ポケモン その13

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480スイクン×クリス:2008/09/24(水) 22:58:31 ID:nqmFt0DT
・獣姦
・凌辱





「スイクン様に会う資格があるか、試させていただく」
スズの塔の僧がクリスの目の前に立ちはだかる。スイクンに会いたいという強い信念の前には、たった一度の勝負など容易いものだった。僧はクリスにスイクンに会う資格を認めるしかなかった。
「しかし…後戻りはできない。命の危険すらあるのだぞ。それもこんな小さな子など、前代未聞だ。」
「大丈夫。私の仲間さえいれば打ち勝てる。」
この時、クリスはこの僧の言葉の真実を解っていなかった。なおも引き止めようとするが、すでにクリスはスズの塔へ足を踏み入れる。
「生きて、帰れ。」
僧が呟いた。後少しすれば、彼女の運命が決まる。


スズの塔の入口の扉が重たく閉まる。不安と期待が混じり、クリスは中へ向かう。薄暗い塔内に、冷たい風を纏うポケモン、スイクンが待ち構えるように立っていた。
「スイクン、あなたに会うために探していた。勝負!」
まずは素早いワタッコから。ボールを選んで投げた。と、いきなりスイクンがうなり、部屋中が凍り付いた。北風の生まれ変わり、凍える風だ。同時にクリスの持つボール、及び控えのポケモンのボールも凍り付き、出すことが出来なくなった。
「まさかっ!?」
そしてスイクンはクリスに飛び掛かり、その巨体で彼女を押し倒す。反動で背中を打ち、むせながら上を見る。
「私を従えたいのなら、その資格があるか試めさせてもらおう。」

その目が言っていた。一旦クリスから離れると、有無を言わず、その鋭い爪と牙で、着ていた衣服全てを引きはがした。布が裂ける音に、ただ恐怖で何も言えない。
481スイクン×クリス:2008/09/24(水) 23:32:21 ID:nqmFt0DT
>>480








「ひぃっ!」
ようやく声が出た時は、スイクンの生温い舌がクリスの陰唇に触れた時だった。反対に息は冷たく、粗い呼吸に合わせ、開いた足全体に吹きかかっていた。不思議と息のかかった足は段々力が入らなくなっていく。
 この状況は逃げなければ。言うことを聞かない足を動かした瞬間、スイクンが吠える。
「えっ!あっ!」
再び凍える風が吹き、クリスの手足は氷に囚われてしまった。しかも足は開いたまま、スイクンの良く見えるように向いて。
「やめてえ!」
腹の底から叫ぶ。スイクンの力の前ではビクともしなかった。スイクンは陰唇をなめ、出てくる液体を眺めて、さらに陰唇の上、クリトリスに触れた。
「やーっ!」
気持ちいいではない。人体の防御反応である反射だ。陰部からあふれる液体を止めることが出来ず、全てスイクンの舌に絡めとられる。
 何が起きているか、何をされているのか。クリスには全く理解が出来なかった。ただ、予想より早くスイクンの舌が離れ、一瞬だけ安心する。
 が、次の瞬間、さらに強い恐怖が襲いかかる。スイクンが再びクリスの上に覆いかぶさって来た。その威圧感は異常。そしてスイクンの真中にある、伸びた棒。冷たいスイクンの、唯一熱気を放っているそれを、クリスの陰部近くに持ってきた。
「やだ!私まだ」
手足を封じられ、抵抗らしい抵抗が出来ない。徐々にその瞬間は近付く。
482スイクン×クリス:2008/09/24(水) 23:50:27 ID:nqmFt0DT
>>481








「きゃああああ!!!」
クリスの悲鳴はスズの塔の隅々まで響いた。少女の体格には似合わないスイクンの雄の性器が、今、入口を広げながら進入を試みているのだ。
「抜いてぇ!入って来ないで!いたいっ!いたいー!」
すでに半分は入っており、事前の「処置」のおかげか、スイクンは退行することを知らない。その代わり、肉壁は最大に伸び、体を守ろうとしている。
 しかしここでスイクンの侵入が止まる。子宮頚部に来たのだ。全て入りきるまで後少し、スイクンは作戦を変更して来た。侵入速度を落とし、さらなる道を探ろうというもの。このあたりに来たらクリスは何も言えず、口を半開きにして呼吸音を微かに出すしかなかった。
「ああああ…」
腹部が突き上げられるような感覚がした。そこまでスイクンは入って来ているのだ。
「!ぎゃああああ!」
我に帰ったかのようなクリスの悲鳴。スイクンはさらにクリスの中を進み、全て入れ切ったのだ。そしてその瞬間、どこにあったのか、大量の熱い液体がクリスの中に放たれる。人間の量とは比較にならない量を出してもまだ出し切らないと、スイクンは置くに入れたままだ。
 やがてクリスの臍の下あたりがゆっくりと膨らみ始めた。スイクンの放つ精気が入っている証拠である。そのようになってもなお、スイクンは放ち続けた。
483スイクン×クリス:2008/09/25(木) 00:02:13 ID:nqmFt0DT
>>482










 20分くらい、スイクンはクリスの中に入ったままだった。ポケモン特有の、交尾後に必ず妊娠させるための行為だった。それはクリスにとって地獄以外の何者でもなく、性器で蓋をされた状態で迎えた大量の精気は、当分出て行きそうになかった。


 それからしばらくして、スイクンは大人しく性器を引き、クリスの陰部を見た。
 痛いわけだ、中で傷付いたのか、血が混じっている。行為の前よりも優しく舌で舐めとり、氷を解いた。

「終わった…」
全裸のままクリスは呟いた。スイクンはずっと横にいて見つめている。何とか上体を起こし、スイクンの方を見る。
「スイクン…」
恐らく向こうは認めている。こちらを主人として。その証拠に、手を伸ばすと素直に従う。

「やっと、会えたね…認めてくれてありがとう…」


その後、スイクンを連れた彼女は、次々に戦いを制覇し、チャンピオンにまでなった。

しかし彼女の力の代償は大きかった。



スイクンへ支払う代償、それはクリスの一生であったのだから。
484スイクン×クリス:2008/09/25(木) 00:04:13 ID:bTFCellr
何か色々とすみませんでした。



初めてお邪魔しました。
一応終わりました。


場所をお借り出来たことを有り難く思います。


485暴走ボート ◆z95s/qs7OM :2008/09/25(木) 01:28:58 ID:/FpQQ1Kl
>>484
苦手な系統なので感想が書けん…
スイクンに性別があったのかと思うばかり。
(いや、もちろんないのはわかってるが。)

>>479
まあ、次もエロシーンは皆無なわけだが。
とりあえず書きだめしているやつはさっさと乗せておこうっと。
486>>486コウキ×ヒカリ 第6弾・3/5:2008/09/25(木) 01:31:01 ID:/FpQQ1Kl
時間は少しさかのぼる。
今度はユウキ、ヒカリペアの方を見ていくことにしよう。

こちらはどんな状況かを少し説明する必要があるだろう。
現在、ヒカリはトゲキッス、コウキはボーマンダで飛行中。
「どこに行くんですかー?」
「そらのはしら、ってところだ。
 内部の野生ポケモンは相当のレベルに達しているところだ。
「今まで入ったことあるんですか?」
「俺も一度だけ入ったことがあったが、あの時はポケモンリーグに挑戦する前でさ。
 1日もしないうちに手持ちポケモンも薬も壊滅状態になったよ。」
殿堂入り前とは言え、チャンピオンのコウキも相当苦しめられたダンジョン。
今回は相当の装備で挑むことになり、少しの手抜かりも許されない。
ヒカリも今回ばかりは今まで育成のために手持ちに入れていたアチャモをパーティーから外した。

「そろそろ着くよ、下降しよう。」
「トゲキッス、ついていって。」
まるで海の上に浮かんでいるような感じの茶色の塔が少し先に見える。
空を突き刺すようなその高さは、『そらのはしら』の名に恥じないものである。
伝説によれば、伝説のポケモンが塔の一番上で体を休める、と言われているらしい。

「でも、そんな伝説があるなら、最初から空から一番上に行けばいいんじゃないですか?」
「身も蓋もない事を言うな…
 途中に結界が張ってあって、外側から塔の頂上に行くことはできない。」
「じゃあ、やっぱり内部から頂上まで登っていくしかないんですね。
 …どれくらいかかるんだろう。」
「塔自体は細いから、何もなければ3日くらいで頂上に着くんじゃない?
 …何もなければ、ね。」
途中にハイレベルな野生ポケモンがいる、これが問題なのである。
確かに1人では行かせられないというオダマキ博士の考えは正しい。

いつポケモンが襲ってくるか分からないので、常時1体はポケモンを出しておくことに。
現在ヒカリはサーナイト、ユウキはヘラクロスと一緒に歩いている。
「…ところでさっきから気になってたんだけど、その腕につけている鎧は?」
ヒカリもコウキと同様にバトルアーマーを装着している。
とにかく可能な限りのことをやっておかないといけない。
出現するポケモンのレベルだけならハードマウンテンより苛酷だ。
487>>486コウキ×ヒカリ 第6弾・3/5:2008/09/25(木) 01:31:58 ID:/FpQQ1Kl
「あ、これはバトルアーマーと言ってですね、これをつけてると、ポケモンの技を出せるんです!」
「へえ、どんなふうに…」
「危ない!」
ヒカリの声で振り向くユウキ。
見ると、すぐそこまでゴルバットが迫っていた。
「へ、ヘラクロス、ストーンエッジだ!」
ヘラクロスがストーンエッジを発射、しかしゴルバットは旋回してかわし、毒を吐き出す。
「しまった、毒毒か!」
ヘラクロスに直撃、ヘラクロスは猛毒状態に…ならなかった。

「あ、あれ、ヘラクロス?大丈夫か?
 毒を浴びているようには見えないが…」
「えへへー、これがバトルアーマーですっ!たまたま技マシン20を装着していて助かりました。」
マシンを装着した状態でも、バトルアーマーにどの技マシンが差し込まれているかは分かるようになっている。
ヘラクロスのストーンエッジがかわされた瞬間、バトルアーマーに一瞬だけ目をやっていたヒカリ。
たまたま技マシン20が差し込まれているのをみて、とっさに神秘の守りを出したのである。
「よし、もう一度ストーンエッジ!」
ゴルバットが毒毒が効かないのに驚き、怯んでいる隙をついた。
見事に命中し、ゴルバットは地面に倒れこんだ。

「ふう…助かったよ。」
「ユウキさんのポケモンが倒れちゃ、困りますからねっ!
 あたしはコウキほど強くないから、補助的な技でサポートしますから!」
コウキが攻撃的な技マシンをチョイスする一方、ヒカリはもっぱら守備的な技マシンを選んでいる。
タッグバトルの時も、コウキが攻め、ヒカリが援護するスタイルで戦っている。
もっとも、最近あまりコウキと組んでタッグバトルすることもないのだが。

何十階か上へと上がり、そろそろ疲れてきたのでお昼にする。
とはいえ、トウカの森はポケモンの出現率は低いがそらのはしらはそうはいかない。
しかもコウキ、ハルカペアの時とは違い危険かつ強力なポケモンがいつ出てくるか分からない。
料理を作る暇はなく、水のはいったペットボトルと携帯食料だけを出して食べる。
「…ユウキさんは、普段は旅の途中で料理とかするんですか?」
「ああ。今回は無理だが、機会があれば作ってあげるよ。」
「あたし、料理が全然だめで。コウキと一緒に行動する前は、いっつも携帯食料ばっかりで。
 今回のような危険な場所じゃなくても、ですよ?」
「ははは、まあ、みんながみんな料理が得意とは限らないさ。」
幸い食べている間にポケモンが襲ってくることはなく、何事もなく昼食を終えてまた歩き出した。
488>>486コウキ×ヒカリ 第6弾・3/5:2008/09/25(木) 01:33:37 ID:/FpQQ1Kl
「そう言えばユウキさん。
 このそらのはしら以外に、ホウエンで伝説のポケモンにまつわる場所とかあるんですか?」
「旅をしていると、結構そう言う話を聞いたことはあるよ。
 たとえば、ルネシティの南にある海底洞窟に、伝説のポケモンが眠っているって話を聞いたことがある。
 カイナシティにいるクスノキさん、って人から聞いたんだ。
 確か名前は、えっと…カイ…なんだっけ、忘れた。」
そのほかにも、えんとつやまの内部にいると言われている大地をつかさどるポケモンや、
ホウエン地方のどこかに眠っている『6つの点』のポケモンの話などをしてくれた。

「えっ、ヒカリは伝説のポケモンに会ったことがあるの!?」
「目の前に現れたんです。パルキアってポケモンで、はっきりとその姿を見たんですよ。
 悪い奴らが無理やり呼び出したんだけど、コウキがその悪い奴らをやっつけて、
 …で、パルキアはコウキを試すかのように、コウキと対峙していたんですよ。あたしはその場にいたんです。」
「し、信じられない…」
さしものユウキもこれには驚いた。
バトルをしていないとはいえ、伝説のポケモンとある意味互角に渡り合ったのである。
しかも、同じような出来事、ハードマウンテンで起こったヒードランとの出来事を話すと、
もはや正気を保つことすら難しかった。

「い、一度だけじゃなく、二度までも…?
 見ただけでもすごいというのに、コウキは伝説のポケモンに認められた…!?」
「まだありますよ。
 …さすがにこれは信じてもらえるか分かりませんけど。」
「ま、まだあるのか!?聞かせてくれ!」
コウキはただ聞かされた現実に驚いたが、そこから目をそむけ疑うような事はしなかった。
ユウキは、ある程度の嘘を見破れるだけの力を持っている。
だからこそ、驚きもひとしおなのである。

「…可愛らしい伝説のポケモン、エムリットと友達なんですよ、彼。
 一応あたしも友達ですけど。」
「ト、友達…!?伝説のポケモンとか?」
「エムリットは、テレパシーでしゃべったりしてたんです。
 あと、人間にも変身することが出来るんですよ!
 人間の姿なら口から言葉を喋られるみたいで、いろいろ楽しくお話をしたんです。
 一緒に3人でお風呂や温泉に入ったり、一緒に3人でベッドで寝たんですよ!」
傍から見たらどう見てもおとぎ話。
だが、ユウキには、ヒカリが嘘をついていないことはしっかりと分かっていた。

「エムリットの性別って♀だったんです。それでコウキったら、あたしと言う恋人がいながら、
 あたしがいない隙をついて、人間の姿をした時のエムリットを襲ってセックスしてたんですよ!」
「…それはウソだろ。」
「あは、ばれちゃいましたか。」
怒り口調で嘘をついたが、コウキはしっかりと見破った。
そもそも、本当だとしたらヒカリは間違いなくコウキと別れて、口も聞かないはずである。
あまりにもばればれの嘘に、流石に呆れていた。
489>>486コウキ×ヒカリ 第6弾・3/5:2008/09/25(木) 01:35:28 ID:/FpQQ1Kl
「ストップ。
 …ポケモンたちがたくさんいる。」
「え?」
曲がり角の先に、強そうなポケモン達がうじゃうじゃいた。
「以前も同じような事があって、無鉄砲だった俺は奴らを全員倒そうと真っ向勝負を仕掛け、
 結果的に手持ちが壊滅状態になった。
 その時は何とか脱出したが、…今回はバトルは最低限にとどめる。
 今回の目的は、このそらのはしらにどんなポケモンがいるかという調査と、」
「頂上には何があるか、ですよね?
 で、今回はどうするんですか?」
「いったん戻ってくれヘラクロス。でてこい、バシャーモ。」
バシャーモが出てくる。

「バシャーモ、手の中で火の球を作れ。」
「え?」
「簡易爆弾を作って、ポケモン達をおびき寄せて気を取られさせるんだ、その隙に突破して上の階に上がる!
 よし、行け!」
バシャーモが火球を投げる。
火球が小さく爆発を起こし、ポケモン達は何事かと爆発した場所に集まってくる。
「よし、今だ!」
合図と同時に走り出す。
ポケモン達が気付く前に、上の階に上がることに成功した。


その後も順調に歩を進める。
野生のポケモン達と戦うのを最小限にとどめ、ほとんど戦わずに進み続ける。
そして日も暮れた頃、今日はここまでにしておこう、と言う事になった。
「とにかくいつ何に襲われるか分からない。
 常に荷物はまとめておいて、なるだけ荷物からモノを出さないようにね。」
「はーい。」
ポケモン達に見つからないような岩場に影をひそめて身を隠す。
周りにポケモンの気配は全くないが、気を抜くことはできない。
とりあえず携帯食料で栄養を摂取した後、荷物から寝袋を出す。

タオルを水で濡らして体をふきたい気分だったが、
ハードマウンテンの時と違いコウキではなくユウキがいるのでそうもいかない。
それにそんな悠長な事をしていたらポケモンに襲われる。
「とりあえず交代制で行こう。
 とはいえ、ヒカリの方がだいぶ疲れてるみたいだ。先に休んでて。」
「あ、ありがとうございます。」
そんなことないですよ、と言おうとしたが、なぜか言えなかった。
疲れていたのも事実だし、相手が年上と言う事で遠慮はしない方がいいと思ったのだろうか、
もしくは、素直に言う事を聞いた方がユウキの足を引っ張らずに済むと思ったのかもしれない。
もちろん、コウキ相手なら間違いなくこんな考えには至らなかっただろう。
490>>486コウキ×ヒカリ 第6弾・3/5:2008/09/25(木) 01:37:56 ID:/FpQQ1Kl
(すやすや…)
「ぐっすり寝てるな。」
岩場の影から周りを見張って警戒するユウキ。
ヒカリの安らかな寝顔を、守ってあげないといけないという使命感がそこにはあった。
「可愛いよな…本当に、守ってあげたいくらいに可愛い。
 …だから、絶対に守ってあげないと。」
ヒカリがコウキのものだとは分かっていたが、今はコウキがいないのでヒカリを独り占めできる。
もちろん手を出すつもりはないが、今だけは自分がヒカリを守る男だと感じていた。
「やれやれ、俺の下心が丸見えたな。」
可愛い女の子を守るのは、男の子の希望であり、夢である。

「…本当に可愛いなあ。」
岩場のそばから一時的に離れ、ヒカリの傍に寄る。
…この閉じていても可愛い目、頬、唇、さらさらの髪。自分のものにしたくなってきた。
「…いかんだめだ、コウキのモノなんだってば!」
だが、年がいかんせん離れ過ぎているハルカには、恋愛意識がずっと持てなかった。
ホウエンの旅の途中でも、惚れた相手はいなかった。
コウキと同様、ユウキの初恋の相手もヒカリになってしまった。

「ヒカリちゃん、寝てる?」
(すう…すう…)
「…いいよね、ヒカリちゃんさえ気づかなければいいんだから。
 だ、だめだだめだ!コウキがいるんだ、ヒカリには!」
理性と本能が戦っている。だが、ついに我慢しきれなくなり、
「い、いいよな、うん、ヒカリに気付かれなければ、何もなかったことにすれば…」
そっと顔を近付ける。
唇が段々近づいてくる。
互いの距離が残り10cmを切った。

「ん…あ、あれ?ユウキさん?」
「どわああああっ!」
ヒカリがいきなり目を覚ます。眠たそうにして体を起こした。
「どうしたんですか?顔を近づけて。」
「あ、えっと、いや、その…」
普段が冷静沈着なユウキなだけに、その様子に疑問を持つ。
もちろんユウキとしては、死んでも本当のことを言うわけにはいかない。

「ああ、えっと、そろそろ時間かなって、あはははは…」
「え、もうそんな時間ですか?」
ヒカリがポケッチを見ようとする。
それを必死になって止める。
「いや、やっぱりヒカリは疲れてたんだよね、ちょっと起こすのが早過ぎたね。
 ほら、明日もあるし、速く寝て!」
「ちょ、ちょっと、ユウキさん!?」
ポケッチを見ようと動かすヒカリの腕を止め、ヒカリを再び寝袋にしまいこみ、ジッパーを閉める。
「大丈夫大丈夫、俺はまだ眠くないから、ね?
 おやすみ、ヒカリ!」
逃げるように、再び岩場に寄り、見張りを再開する。
そんな様子を不思議に思いながらも、さっきまで寝ていた故寝ぼけており、
再び寝込むのにそう時間はかからなかった。
491>>486コウキ×ヒカリ 第6弾・3/5:2008/09/25(木) 01:39:10 ID:/FpQQ1Kl
数日後、ついに頂上についた。
「やっと着いたー!」
「さて、今までだれもついたことのない頂上には何が…!!!」
「あ、…あれは!?」
緑色の細長いドラゴンのようなポケモン。とぐろを巻いて眠っている。
「あれは…」
2人ともポケモン図鑑を見る。
シンオウタイプもホウエンタイプも、しっかりとそのポケモンの事が乗っていた。

レックウザ。空を制す、伝説のポケモン。
「俺も…俺も、ついに伝説のポケモンを拝めたぞ…!」
例えようもない感動と感慨にふける。
しばしその姿に見とれていた。
「ゲ、ゲットしようかな…幸い、手持ちはほぼ無傷だし。」
「もしゲットするなら、あたしも手伝いますよ?」
「ほんとか!?よーし…」
モンスターボールに手をかけ、レックウザにバトルを挑もうとした、との時。

ドッパーン…ドドドドドド…

「な、なんだ!?」
「なあに、今の音!?」
音のした方、東の方角を見る。
見ると、ずっと向こうの方の海上で、大きく高い水柱が立っていた。
「な、なんだあれは!?」
「あそこって、どのあたりですかね!?」
「少し北にルネの島が見えるって事は…ま、まさか海底洞窟か!?」
「か、海底洞窟って確か、伝説のポケモンがいるって言う…」
嫌な予感がした。
もしユウキの言っていた伝説が本当なら…ヒカリはパルキアの時の事を思い出していた。

「ギャアアアアアアアアス!」
「なあっ!?レ、レックウザが起きた!」
レックウザが何と目を覚ましてしまった。
そして、水柱の方角へ飛んでいった。
「…お、俺たちも行こう!」
「で、でも、ここから降りるには最低でも1にちはかかる…」
「ここからポケモンで飛んで行くんだ!
 結界は侵入者を拒むものであって、出ていくものを拒むことはない!」

直ちにトゲキッスとボーマンダに乗って飛び始める。ユウキの言うとおり結界にははじかれなかった。
何かとんでもないことが起こりそうな気がする。
そんな予感がしたヒカリは、一人でも仲間が多い方がいいと感じ、
…そして、一番信頼できる、恋人に助けを求めた。

「…もしもし、コウキ!?」
492>>486コウキ×ヒカリ 第6弾・3/5:2008/09/25(木) 01:40:43 ID:/FpQQ1Kl
また時間を少しさかのぼらせる。
コウキとハルカは、ジム戦の真っ最中だった。
「キノココ、吸い取る!」
コウキとの特訓のおかげで、なんとかバトルは形にだけはなっていた。
だが、バトルでは素人の上、相性が不利なゆえにアチャモはあっさりとやられた。
キノココも相性はいいのだがイシツブテ相手に大苦戦。必死に技の指示を出すも、

「イシツブテ、かわして下さい!」
あっさりかわされ、
「体当たりです!」
かわせ、という指令を出す暇もなく、直撃した。
ハルカが思わずキノココのもとによる。だが、目にはもう力がなかった。もう立つ力もないようである。
「キノココ、戦闘不能!」
「そ、そんなあ…ごめんね、キノココ…」
ジムリーダー・ツツジとイシツブテがハルカ達のもとによる。
コウキはと言うと、備え付けのベンチから離れて見ている。

(…ハルカ…)
「残念でしたけど、いいバトルでしたね。
 またいつでも、挑戦しに来て下さい。」
「は、はい…」
ハルカが涙をこぼす。申し訳なさそうにハルカを見るキノココ。
「キノココ、気にしないで、わたしが、まだまだ未熟だから…」
「キ、キノ!」
「ありがとうね、…そして、負けちゃって、ごめんね。」
「キ、キノ…」
キノココはせつない顔をしている。
…キノココ自身も、自分が情けないと思っていた。ハルカを悲しませる自分の無力さが、悔しかった。

…そしてその想いは、奇跡を呼んだ。
「あ、あれ、キノココ!?」
キノココの全身が光る。そして、どんどん姿が大きくなる。
ハルカの腕で抱えられるくらいだったのが、ハルカの身長に匹敵するくらいに大きくなっていった。

「し、進化!?」
(ハルカのやつ…ポケモンとの絆を、繋げやがった!)
「キ、キノガッサに、進化したのですか!?」
先ほどのよわよわしい姿から一転、一気にたくましくなった。
眼光も明らかに鋭くなり、戦う目、戦う顔をしている。
「…審判。さっきの戦闘不能は、取り消しなさい。」
「え?」
「進化して、体力が回復したようです。
 それならば、ポケモンの進化という、最大限の力と戦うのが、ジムリーダーです。
 …なにより、このキノガッサの闘志、先ほどと打って変わって、比べ物にならないくらい強い。」
「わ、わかりました!バトル続行!」
493>>486コウキ×ヒカリ 第6弾・3/5:2008/09/25(木) 01:41:25 ID:/FpQQ1Kl
両者が元の立ち位置に戻る。
「キノガッサの技は、わかりますか?」
「え?ええっと…」
「しっかり調べて下さい、わたしは待ってます、隙を突くような事はしません。
 すべての力を出してもらうためにね。」
「は、はい!!」
ハルカが必死になってポケモン図鑑を調べる。
そして、インプットして、バトルに臨む。
「えっと、キノガッサ、マッハパンチ!」
「イシツブテ、かわして…」

一瞬だった。ツツジも、イシツブテも、反応しきれなかった。
直撃。
「は、速い!イシツブテ!」
「す、すごいよ、キノガッサ!」
イシツブテは目を回して倒れている。
コウキもツツジも、その速さにただただ驚かざるを得なかった。
「い、イシツブテ戦闘不能!」

ツツジがイシツブテを戻す。
「見事です、ポケモンのあなたへの信頼を、見せてもらいました。ならば、この子はどうです?」
モンスターボールから出てきたのは、ノズパス。
ツツジのエースポケモンである。
「ノ、ノズパス…」
「ガンバレ、ハルカ!おまえとキノガッサなら、絶対にいけるはずだ!
 (…あれ?ポケギアから電話?)」
「…うん!(あれ?電話かけてる…)」

コウキがポケギアのスイッチを押す、声の主は、ヒカリだった。
(…もしもし、コウキ!?)
「お、久しぶりだな!どうしたんだ、ヒカリ。」
コウキは嬉しそうな顔をするが、ヒカリはそれどころではなかった。
空の柱から見えた、水柱。それが、伝説のポケモンが眠ると言う海底洞窟のあたりで見えたという事。
…その事がパルキアの事件と重なり、嫌な予感がしたという事。

パルキアの事はコウキにもヒカリにも深く刻み込まれている。
ヒカリのその予感は当たっていると感じた。黙っているわけにはいかない。
「パルキアの時と同じ感じがしたの…なんだか嫌な予感がするの、すごく不安なの!
 ねえ、お願い、力を貸して、コウキ!」
「ああ、わかった、すぐ行くからな!」
スイッチを切る。
そしてキノガッサとノズパスが激突しようとしたその瞬間、
494>>486コウキ×ヒカリ 第6弾・3/5:2008/09/25(木) 01:42:37 ID:/FpQQ1Kl

「ス、ストップ!」
「「え?」」
その声に反応して、ポケモン達の動きも止まる。
そしてコウキは一目散にツツジのところへ走る。
「ごめんなさい、急いで行かなきゃならないところがあるんです、
 ジム戦を、中止してはもらえないでしょうか!」
「え?」
必死の懇願。審判は困ったように言う。

「あのですねえ、勝手にそんな事言われては困りますよ。」
「…いいでしょう。わかりました。」
「つ、ツツジさん!?」
コウキの必死の思いが、ツツジには伝わっていた。
「どうやら、ただ事ではないようです。それも、何かの危機を感じ取っているような。
 …行ってください、その危機を乗り越えるために。」
「あ、ありがとうございます!行くぞハルカ!」
「え、ど、どうしたのコウキ!?」
「本当にごめん、理由は走りながら話す!」
とにかく、飛行ポケモンがいないと話にならない。
ムクホークを転送してもらうために、ポケモンセンターに向かって走る。

「…て言う事なんだ。ハルカは、ポケモンセンターで待機してくれ!」
「嫌だ、わたしも、ポケモンと一緒に戦うかも!」
「ダメだ、危険すぎる!」
コウキがハルカを止めようとする、だが聞かなかった。
「わたしだって、伝説のポケモンと戦ってみたい、コウキだって、好奇心が大事って言ってたかも!」
「そんな問題じゃない!」
「そんな問題よ!それで危険な目に会ったって、ポケモン達を信じて、一緒に乗り越えていく!」
「ハルカ…」
「それに、みんなが戦ってるのに、わたしだけ何もしないなんて、いやだ!
 わたしだってポケモン達を信じてる、乗り越えていける自信があるの!」
「…。」
何も言えなくなった。コウキ自身がそう言ったのもあるが、
何より、強い意志を感じるその瞳に、大丈夫だという強い信頼感を覚えた。

コウキが笑った。
「よし、行こう!一緒に伝説のポケモン達と戦おう!
 でも忘れるなよ、ハルカがどんなピンチに陥っても、必ず僕が守ってあげるって事を!」
「うん!」

ポケモンセンターにつき、すぐさまナナカマド博士に連絡。
ヒカリが手際よく博士に連絡を取って手を回してくれたらしく、すぐさま必要なポケモンを送ってくれた。
そしてハルカと一緒にムクホークに乗り、128番水道に向かって飛び立った。
(待ってろよヒカリ、すぐに助けに行くからな!)

こうして、ホウエンを揺るがす大事件が始まった。
495>>486コウキ×ヒカリ 第6弾・3/5:2008/09/25(木) 01:43:42 ID:/FpQQ1Kl
ひとまずここまで。
次もエロシーンは多分無い。

本当に最後の最後にエロが来ると思ってくれれば。
496名無しさん@ピンキー:2008/09/25(木) 14:21:02 ID:+l6GCzSM
伝記話をしてるシロナさんはひぐらしの鷹野三四と被る。
497名無しさん@ピンキー:2008/09/26(金) 00:01:08 ID:oWg8vsWt
>>>486 GJ!!!
すごくわくわくした
ヒカリがユウキにとられないように・・・
498名無しさん@ピンキー:2008/09/26(金) 00:50:13 ID:oWg8vsWt
失礼<<494
でした
499名無しさん@ピンキー:2008/09/26(金) 20:45:48 ID:qfGbQxVI
>>485
ありがとうございます。
苦手なのに目を通していただけただけで嬉しいです。


スイクンは性別不明が正しいです。あってます。

あくまで妄想で、両方あるから不明にしといてるんではないかなぁと思っただけですので、公式の方を信じてください。
500名無しさん@ピンキー:2008/09/26(金) 23:21:34 ID:6PmNC0zN
一応オス固体も♀固体もいるみたいだけどな、伝説にも

某セレビィとか、某フリーザーとか
501名無しさん@ピンキー:2008/09/27(土) 19:59:25 ID:ilpNGqt0
ミル×男主人公マダー

幼女に逆レイプ
502名無しさん@ピンキー:2008/09/28(日) 10:18:35 ID:rf3fhP5S
カトレア×コクランまだ?
途中からのリバも可
503名無しさん@ピンキー:2008/09/28(日) 17:54:22 ID:+Ec5H3n0
くやしいっ
504名無しさん@ピンキー:2008/09/30(火) 16:55:00 ID:vftqdQav
>>494傑作です
続き読みたいです
505名無しさん@ピンキー:2008/09/30(火) 23:27:38 ID:bUJ2ilXU
210番道路のカフェのウェイトレスの台詞↓
「勝負の後はモーモーミルクごっくんして下さい」

エロくね?
506名無しさん@ピンキー:2008/10/03(金) 23:08:41 ID:5d5fnwEx
<<494の続き
希望
507暴走ボート ◆z95s/qs7OM :2008/10/04(土) 09:03:10 ID:aH5FJHM1
>>504
>>506
今夜投下するから待ってくれ。
とはいえ今回もエロ無しだけど。あるのはその次。
508名無しさん@ピンキー:2008/10/04(土) 14:51:56 ID:iaMrWL2X
>>507
期待してます
509>>509コウキ×ヒカリ 第6弾・4/5:2008/10/04(土) 23:14:36 ID:FmPdbK6c
コウキはとあることを思い出していた。
ヒカリを救うために、雨の中手負いの状態で必死にヒカリを探しだした事。
そのあと、エムリットからヒカリとセックスするという極上のご褒美をもらったこと。

…あの時に似ていないか。
姿の見えないヒカリを助けるために必死に追っている自分の姿が。
「コウキ、どうしたの?」
「え?ああ、昔の事をちょっと思い出してね。」
もっとも、追っているのはコウキの足ではなくムクホークの翼なのだが。
1,2mほどの小柄な体にもかかわらず2人を乗せて飛んでいるという事は相当鍛えている証拠である。
「しかし、いったいどこだ?
 128番水道としかいってなかったし…そもそもここはどこだ?」
ちなみに現在位置は124番水道。ミナモシティの少し東である。
しかし、このまま爆進したらホウエン地方を突破してしまう。

「まいったなあ…って、ハルカ、お前がポケナビ持ってるじゃないか!」
「え?あ、そっか。」
「さっさとそれを…ん?」
向こうから白い何かが飛んでくる。
「…トゲキッス?もしかしてヒカリのか!おーい!」
ムクホークとトゲキッスが合流。トゲキッスが何か紙袋をくわえている。
とりあえずそれを受け取り、ハルカをトゲキッスの背中に乗せる。
トゲキッスが先導し、ムクホークがそれについていく。

「これは…技マシンだ。…いや、これは秘伝マシンだな。…8?ロッククライム?」
ロッククライムくらい持ってるよ。
…と言いたいところだったが、この秘伝マシン、水色である。
「ロッククライムは白色のはず…あ、手紙が付いている。」
『これはダイビングだよ、これを使ってね ヒカリ』
紙袋の中にはモンスターボールも入っている。おそらくトゲキッスのボールだろう。

「ああ、なるほど、これで潜れって言うのか。それじゃ、さっそく誰かに覚えさせて…」
と思った瞬間に気がついた。…シンオウには当然この秘伝マシンは出回っていない。
となると、非戦闘時に秘伝技を使うための対応バッジを、コウキは持っていない。
「やば…ヒカリー!肝心な事が抜けてるぞー!
 バッジがなけりゃ、ポケモンは非戦闘時では秘伝技は使えねーんだよー!」
当然、悲痛の叫びはヒカリに届くはずもなかった。



「〜♪」
「この非常時に楽しそうだね、ヒカリ。」
「もうすぐコウキに会えますから。」
「そんなに好きなのか?あいつが。」
海底洞窟の奥へと進んでいく。途中にポケモンはいないのですいすい進める…
とも思ったが、自然界の迷路が行く手を阻む。
計画的に押さないと前に進めないようになっている岩の数々、波乗りをするポケモン達を押し戻す海流。

それでもそれらのパズルを何とか潜り抜けると、
「ふう、なんとかたどり着きましたねー。」
「ああ、苦労し…隠れろ!」
そこにいたのは、コウキとハルカが出会った集団と、同じものだった。


「まったく、設計図を手に入れるのをガキに妨害されたおかげで、
 潜水艦ごと奪ってこなきゃならんとはな…」
「アオギリ様、カイオーガと見られる反応があちらに!」
「そうか。イズミ、ウシオ、行くぞ!」
510>>509コウキ×ヒカリ 第6弾・4/5:2008/10/04(土) 23:15:32 ID:FmPdbK6c
「カイオーガ?ユウキさん、なんですかそのポケモン。」
「…思い出した!クスノキさんに聞いた、海底洞窟にいる伝説のポケモンの名前!
 確か、カイオーガだった!伝説は本当だったのか?」
「ど、どんなポケモンなのか分かります?」
「…一説では雨雲を発生させ大雨を降らせ、ホウエンを一面海に沈めてしまおうとしたポケモン。
 多分、あいつらはその力を使って何かしようと…」
「そんなことになったら、ホウエンが海に沈んでしまいますよ!」
やはりヒカリの予感は当たっていた。
パルキアの時と同じ、危機的な状況。

「あいつらを止めよう、行くぞ!」
「はい!」
ユウキとヒカリは、アクア団を追っていった。


その頃。
「やっべー、ジムバッジがない以上、ポケモンは非戦闘時に秘伝技を使えない…」
「こ、こうなったら、コウキの実力をもってすれば、ジムバッジなんて簡単に」
「そんなチンタラやってたら、ヒカリが死んじまうぞ!」
海底洞窟上空のポイントに来た。
下は見渡す限りの海。

「あーあ、マジでどうしよう…
 もしこれでカナズミのジムバッジがダイビングとリンクしてたりなんかしたら、
 俺はとんでもない早とちりを…」
カナズミを出て数時間たっていた。
数時間ヒカリが危険な海底洞窟の中で持ちこたえられるかどうかすら心配なのに、
これ以上他の場所に行く時間などない。
「…待てよ、ポケモンは非戦闘時に秘伝技を使えない…そうだ、これだ!」
「え?」
「秘伝技の鉄則であるこの難点を、逆用するんだ!」



「…いた!」
海底洞窟の最深部。約3名、おそらくリーダーと幹部であろう3人が、目の前に見える水面を見ている。
ユウキとヒカリが追いかける途中数人アクア団の邪魔が入ったが、その都度蹴散らした。
「いつ出る?」
「早い方がいいが、もう少し様子を見よう。」

「…この紅色の珠があれば、カイオーガをコントロールできる。」
「マツブサ様、では、お願いします。」
「ああ。」

「やめろ!」
様子を見るつもりだったが、この言葉を聞いてユウキは飛び出した。
紅色の珠を発動されたら、カイオーガが目覚めてしまうとわかった以上、何とか発動を止めないといけない。
「なんだ、お前は。」
「悪いが、カイオーガを目覚めさせるわけにはいかない。ホウエンが滅茶苦茶になる。」
「ガキには分からんだろうな。われわれのなす素晴らしい事が。
 邪魔をするなら消えてもらおう!やれウシオ、イズミ!」
「出てきなさい、クロバット!」
「こいや、サメハダー!」
「ヒカリ、手伝ってくれ、頼むぞヘラクロス!」
「エンペルト、がんばって!」

2vs2で対峙する。
だが、ポケモンチャンピオンであるユウキの強さは、圧倒的だった。
511>>509コウキ×ヒカリ 第6弾・4/5:2008/10/04(土) 23:16:51 ID:FmPdbK6c
「なに、やられた!」
「く…」
「さあ、その珠を渡して、さっさと立ち去れ!」
「ふん、そう簡単に…?」
アオギリの持っていた珠が、勝手に輝きはじめた。
「おお、アオギリ様!」
「いや、俺は珠をコントロールしてないのだが…」
「おそらく、カイオーガに近付いたことで、反応しているのでしょう。
 スイッチだけは自動で作動して、あとはアオギリ様がコントロールを…」

バッシャアアアン!

「あ、あれは!?」
「ユ、ユウキさん、あれがもしかして、カイオーガなんじゃ?」
カイオーガが水面から姿を現し、そして吠える。
「ぐお…な、なんだ、この威圧感は…」
「アオギリ様、カイオーガをコントロール…」
「で、できない!どう言う事だ!」
どうやら、カイオーガを操るのが目的だったアオギリの、予想外の事態になっているらしい。
「ギシャアアアアアアッ!」
「ぐああああっ!」
アクア団の3人に、カイオーガのハイドロポンプが炸裂。
入ってきた入口の方へ押し戻されてしまった。

「おっと!」
このとき、おもわずアオギリが吹っ飛ばされた時に手放した紅色の球が、ユウキの方に飛んできた。
何とかキャッチするが、カイオーガが今度はこちらを向いた。
「まずい!」
「ギシャアアアアアッ!」
今度は2人にハイドロポンプを放つ。
「く、このパワーは、抑えきれない!」
「バトルアーマーに装着した、守るの効果を発動!」
2人をシールドが包む。何とかしのいだ。

「くそう、諦めぬぞお!」
出入り口の方から声が聞こえる。おそらくはカイオーガにしつこく食い下がるつもりなのだろう。
だが、
「な、入口が崩れた!」
洞窟が揺れ始め、出入り口が崩れて岩で封鎖されてしまった。
「し、しまった!」
「これじゃあ俺たちは出られない!」
一方、アオギリの方も、
「アオギリ様、ここは危険です!
 部下の報告では、外は予想外の大雨で、このままこの洞窟にいるのは危険との事です!」
「ぐう…仕方ない、外へ避難する!」

それらの会話を、ユウキとヒカリは一部始終聞いていた。
「そ、そんな…い、入り口を封鎖している岩を壊して、私達も…」
「カイオーガは完全に怒っている。俺たちを狙っている。
 攻撃され続けたら、岩を壊す暇なんてない!」
もう1度ハイドロポンプを撃ってくる。
「よ、避けろ!」
辛うじてかわすが、岩に大穴があいていた。
「そ、そんな…」
「なんてパワーなの…そ、そうだ!これを逆用すれば!お願い、エテボース!」
512>>509コウキ×ヒカリ 第6弾・4/5:2008/10/04(土) 23:19:33 ID:FmPdbK6c
エテボースで何をするつもりなのか。
ヒカリはエテボースに封鎖された入口に立つように指令。
「エテボース、挑発!」
「そうか、そういう事か!」
「ギシャアアアアアッ!」
ハイドロポンプが飛んでくる。エテボースがかわす。
「あのパワーを利用して、入り口をハイドロポンプで粉砕させるつもりか!」
だが、伝説のポケモンは、2人の想像を超えていた。

ハイドロポンプが入口の手前で曲がり、エテボースの方へ。
「…ま、曲がった!?ハイドロポンプを、コントロールした!?」
「そんな!え、エテボース!」
不意を突かれて命中。エテボースは目を回して倒れている。
「も、戻って!」
「こうなったら、戦うしかない!俺だって、ポケモンチャンピオンの称号を持ってる。
 伝説のポケモンであろうと、そう簡単に負けるもんか!行け、ヘラクロス!」
「あたしも戦う!出ておいで、エンペルト!」

…その考えもまた、甘かった。
カイオーガの圧倒的な力の前に、次々手持ちがやられていく。
ヒカリはすべてのポケモンが戦闘不能になり、目の前が真っ暗になって気絶している。
ユウキの最後に残された、エースポケモンであるバシャーモももはや満身創痍。
「く、…もう、だめだ…
 この崩れゆく洞窟とともに、俺は…」
カイオーガが大きく息を吸い込む。とどめのハイドロポンプを放つために。
バシャーモは立っているだけで精いっぱい。もはや、かわす力すら、残っていなかった。
(…終わった…)


「ウッドハンマァー!!」
突然、岩に封鎖された入口が爆発した。
「なんだ!?」
そこから、緑色の塊のようなものが、カイオーガに突っ込んでいく。
「ギシャアアアアッ!」
不意を突かれ、カイオーガは水面から沈んでいく。
「あれは…ドダイトス!まさか…」
「よお、ユウキさん、相当苦戦されてたみたいで。」
「なんてパワーだ…入口ごとカイオーガを吹っ飛ばすとは…」
「僕だってチャンピオンなんですよ。僕のポケモンだって、強い!
 …ヒ、ヒカリ!?」
ヒカリが倒れているのに気付く。

「…ポケモンをすべて失って気絶しているだけか。それなら…」
モンスターボールを手渡す。
ヒカリ自身のポケモンでなければ意味がないが、幸いヒカリが案内役として送っていたトゲキッスがいた。
「う…うーん…」
「お、起きたか、ヒカリ!」
「コ、コウキ?」
「助けに来たよ。ごめんな、こんな目に合わせて…」
「コ、コウキぃ…」
目が涙ぐんでいる。コウキに会えたことが、コウキが助けてきてくれた事が相当うれしいようだ。
コウキの背中に腕をまわし、抱きつくヒカリ。
513>>509コウキ×ヒカリ 第6弾・4/5:2008/10/04(土) 23:20:38 ID:FmPdbK6c
「ハルカ…」
「だ、大丈夫ですか!?」
「お、俺は恐怖に体が動いてないだけだ。ダメージを受けているのは、バシャーモの方だ。」
「もう大丈夫です。わたしが、ユウキさんを助けるかも!」
「へっ…新米トレーナーに助けられるようじゃ、ポケモンチャンピオンとしておしまいだな…」

洞窟が崩れ始めた。
「キノガッサ、コウキを背負って!」
「ヒカリ、僕の背中に乗って。」
ドダイトスがぶち抜いた入口から脱出する。
全力で走り続ける。

「そういやあさ、ヒカリ。ダイビングの秘伝マシン渡されても、俺バッジ持ってないんだけど。
 バッジを持ってなければ、ポケモンは非戦闘時に秘伝技を使えないからな。」
「え…」
「よーするに、ダイビングのマシン渡されても、それだけじゃどうあがいても来れないの!
 まったく、肝心な事を見逃してる…」
「ご、ごめん…
 でも、じゃあどうやってここに来たの?」
「ポケモンは非戦闘時に秘伝技を使えない…
 一見逃れようのない難点だが、このルールには盲点があったのさ。」
ヒカリは首をかしげる。

「逆を言えば、非戦闘時に秘伝技を使えないのは、ポケモンだってこと。」
「そ、そうか!」
「そう。ポケモンは、ね。ポケモンが使えないなら、僕たち人間が使えばいい!
 バトルアーマーで僕自身が使うのは、このルールの限りではない!」
「コウキ、海底洞窟の入口に戻ってきたかも!」
「よし、ギャラドス、戦闘不能状態で悪いが、もう一仕事ダイビングを頼む!」
「秘伝マシン8、ダイビング発動!」
ユウキとハルカはギャラドスで、コウキはヒカリを抱いてダイビングで海底洞窟を脱出した。
514>>509コウキ×ヒカリ 第6弾・4/5:2008/10/04(土) 23:22:34 ID:FmPdbK6c
とりあえず水深3cmの海(と言うより陸地同然だが)に足をつける。
コウキとハルカはともかく、一度意識を失っていたヒカリはもはや体力の限界で立てる余力はない。
ユウキも立っているのがやっとである。
「カイオーガをなんとかせにゃならんが、とりあえずヒカリを安全な場所へ避難させるのが先決だな。」
「あ、あたしは…だ、大丈夫だから…
 仮にだめでも、ほっといたって、あたしは…」
「はいはい、今まで何度そういう事を聞いたやら。
 そういう思いやりは、全然思いやりじゃないって事は何度も言ってるだろ。」
そう、ホウエンが沈もうが、ヒカリさえそばに入れればそれでいい。
乱暴な考え方だが、これがコウキと言う少年の信念。
口調からしてもその考え方からしても、コウキは若干覚醒状態に入っているのであろう。

「俺たちにとっては大事な故郷なんだが。」
「そうですか、俺にとっては故郷はシンオウなんでね。
 水底に沈むだけならまだましですよ、水底に沈む建物とか、あなたたちが生きた証拠は残るんですから。
 僕たちのシンオウ地方は、空間そのものが崩壊しかけたんですからね。」
(い、言ってる意味がさっぱりわからないかも…)
「ただ1つ言えることは、あの時のパルキアの目とカイオーガの目が、違う事。
 ありゃあ対峙して収まるようなもんじゃないな、実力で何とかしないと。」
パルキアとも、ヒードランとも、コウキは戦っていない。
戦って勝てる相手かどうかは微妙だったが、コウキは伝説のポケモンと戦ったことはない。

「しかし、いよいよ戦う時が来たか…満身創痍のヒカリやユウキさんには、無茶なことだ。
 …でも、ヒカリはついてきたいんだろ。」
「うん…何度も何度も、あたしの事そっちのけで無茶してきたから…
 それを許してきたのは、その時そばにいたからだもん。
 あたしがいないところで、危険なことして、心配させないで。」
「つーわけでユウキさん。ハルカを連れて、ルネまで来て下さい。
 おそらく元凶はあそこかと。ほら、雨雲の渦の中心はちょうどルネ上空にあります。」
ユウキは何も言わずにうなずき、もう一度ギャラドスを出して波乗りを指令。
ハルカと一緒に先にルネへと向かった。

コウキはヒカリを抱えあげる。
「さて、僕たちも行こうか、ヒカリ。…?」
「ん…ここんとこエッチどころか、キスもしてなかったでしょ?」
そっと唇を奪うヒカリ。
キスをし終えるとコウキはビーダルを出して、ヒカリを抱えたまま波乗りでルネに急行。
515>>509コウキ×ヒカリ 第6弾・4/5:2008/10/04(土) 23:25:15 ID:FmPdbK6c
「こ、これは…」
ユウキが一足先にダイビングでルネに到着。
水上に上がるやいなや、彼が見たのはカイオーガが暴れ狂っている姿だった。
「ギシャアアアアアッ!」
「まずい!」
「君は…ユウキくん!早くこっちに!」
カイオーガのハイドロポンプを辛うじてギャラドスはかわす。
ユウキの姿をみて陸地に上がるように言った人物―ルネジムのリーダー、ミクリの指示通りに、
大急ぎで上陸しギャラドスを戻す。

「…酷いですね…」
「ああ、そういえばユウキくん、きみの体もガタガタじゃないか。」
「ユウキさん、さっき海底洞窟でカイオーガと戦ってたのかも…」
「何?じゃあ、戦える状況じゃないな…ポケモンセンターに避難するんだ!」
「…わかりました。」
(あれ?チャンピオンのユウキくんだったら、この場合戦うとか言い出すと思ったんだが…
 素直に言う事を聞いてくれたのはいが、ちょっと様子が変だな。)
今の自分のこの状態では、何もできないことをユウキは悟っていた。
そしてもう1人のチャンピオン、コウキに全てを賭ける覚悟をしていた。

ハルカにコウキの事を聞いたミクリは、
「となると、ユウキくんはもうコウキくんにすべてを託すことにしたわけか。
 …早く到着してくれ…」
ミクリの手持ちも実は全滅していた。ポケモンセンターで回復してもらっているが、まだ治りきっていない。
そうこうしている間にも、カイオーガのハイドロポンプが町を破壊していく。
家は激しい水圧で穴が開けられ、低地に生えている木は大波で流され、
ルネ市民はほぼ全員、位置的な関係でハイドロポンプが命中しないゆえに安全なポケモンセンターに避難している。

「…来た!コウキ!」
そして、水面からようやくコウキが顔を出した。
「ビーダルごくろうさん!さあ、あともう一息だ、ハルカのいる岸まで上がってくれ!」
「あの男の人は?」
「写真で見た事がある、確かルネジムのジムリーダーだったはずだ。」
シンオウにもミクリの名が知れ渡っていたおかげで、コウキもミクリの事は知っていた。
だが今はそれどころではない。
「君がコウキくんだね?」
「はい!ここは俺がやれるだけやってみます!」
「今の僕は足手まといだ、君を信じて、避難しておくよ。彼女たちも連れていくね。」
「いえ、結構です。ヒカリもハルカも、俺のそばに置いておきます。」
ミクリが少し驚く。
彼女たちの実力がどの程度か分からないが、そばに置いておいたらそれこそ足手まといになるはず。
だが、コウキは何か考えを持っているのだろう、そういいきかせてミクリはその場を去っていった。
その際、コウキに頼まれて同時に3人の荷物も預かった。

「…さあて、どうするか。とりあえずカイオーガは怒っている。
 今にも俺たちにハイドロポンプをふっかけてきそうだ…」
「やっぱり、戦うしか無いの?」
「…そうみてえだな、ヒカリ。俺も今回は最初から全開で言った方がいい見てえだ…」
守るの技マシンを差し込む、伝説のポケモンともなると、バトルアーマーの攻撃技が効くはずもないからだ。
今回はポケモンを信じて戦うのみ。
だが、優しい心を残して戦って勝てる相手ではない。コウキの瞳は赤くなり、覚醒状態に入っていた。
(もう、これでコウキは、カイオーガに対して容赦はしない…)
「お前を眠りから起こしたのは俺たち人間だ、悪いと思っている。
 だがな、その報復にしちゃやりすぎだ。てめえをぶっつぶす!」
開口一番、ドダイトスをボールから出す。
ドダイトスが背中からカイオーガに突進。
516>>509コウキ×ヒカリ 第6弾・4/5:2008/10/04(土) 23:27:48 ID:FmPdbK6c
「ウッドハンマー!」
見事に命中。この攻撃が効かないはずがない。
よろけるが、すぐさま体勢を立て直し、ハイドロポンプを撃つ。
「ドダイトス、よけ…え?」
なんとカイオーガがハイドロポンプを放ったのは、コウキの方だった。
「まずい、守るだ!」
バトルアーマーがバリアを張る。
とりあえず防いだが、カイオーガはこちらへを向かってきた。
「俺たちを狙っているんならそっちのほうが好都合だ、ドダイトス、背後からウッドハンマー!」

これも決まる、背後から不意を突かれて体勢を崩す。
だが、それでもカイオーガはコウキ達に向かって進んでくる。
(どう言う事だ?狙いは人間である俺たちなのか…?
 守はもう使えない、かわすしか無いか…)
「ギシャアアアアアアッ!」
「何!?冷凍ビームが使えるのか!」
予想外の攻撃に、避けることを忘れていた。
コウキとハルカに直撃する。だが、直撃したのは、足だった。

「くそ、足を凍らされて、氷が地面にくっついてるんじゃ、動けねえ…」
「つ、冷たいかも…」
「コウキ!」
ヒカリだけは冷凍ビームが当たらなかった。…いや、カイオーガが、当てなかった。
「くそ、カイオーガの狙いは、やっぱり俺…!?」
カイオーガの目線は、自分の方を向いていない。コウキはそう感じ取った。
カイオーガが目を向けている先は…
「ま、まさか、カイオーガは最初からヒカリが狙いだったのか!?」
カイオーガがヒカリに冷凍ビームを放つ。
反応が遅れ、ヒカリの頭部以外が凍りついた。
(まずい、あの野郎ヒカリを!)
今度はヒカリの腹部に水鉄砲を浴びせる。なぜかものすごく弱い水鉄砲。
そして、ヒカリを覆っていた氷が、水鉄砲によってパキンと割れていく…

…冷凍ビームによって人間がカチカチ固まる事はない。
恒温動物である以上、温度調節機能があり、それが細胞を凍らせることを許さない。
だが、彼女の体を覆っていた、衣服だけは別だった。

「な!?」
「きゃああああああっ!」
ヒカリを覆っていた氷が割れるとともに、カチカチになった衣服も、一緒に割れてバラバラになった。
衣服の残骸がヒカリの足元に落ちていき、…ヒカリは、裸にさせられた。
「ギシャアアアアアアッ!」
カイオーガはなおもヒカリに向かって進んでいく。
「…てめえ…俺のヒカリに、絶対に許さねえ!ドダイトス!ウッドハンマー!」
三度命中。
3度目とも不意打ちでしかも頭部、さらに効果抜群の草タイプ最強クラスの技ともなれば、
さしものカイオーガも水面から沈んでゆく。

「倒れたんだろうが、戦闘不能になったぐらいじゃ俺は攻撃をやめたりはしねえぞ!カイオーガ!
 例えお前が死のうとも、生き返らせてでも何回でも殺してやる!
 ドダイトス戻れ!レントラー!水面に向かって雷を落とせ!」
雷を落とす。
水は電気をよく通す。大ダメージは必至だろう。戦闘不能どころか、本当に命を落とす可能性がある。
だが、大好きなヒカリをこんな目に合わせたカイオーガに対してなら、
覚醒状態に入った残忍なコウキはなんでもやるだろう。
「レントラー!もう1度…」
517>>509コウキ×ヒカリ 第6弾・4/5:2008/10/04(土) 23:28:48 ID:FmPdbK6c
(…やめなさい、コウキ。)
「誰だ?俺にやめろを指示したのは。」
ヒカリの方を向く。ヒカリは胸と陰部を抑えながらその場に座り込んでいる。
「え?あたしじゃないよ。やめてほしいけど、コウキはもう止められないもの…」
(わたしですよ、と言っても、あなたは私の事を知りませんものねえ…)
カイオーガが浮上してくる。
あれだけのダメージを喰らっても、まだ体力が残っているとでも言うのだろうか。

(カイオーガは気絶している。だから、わたしがカイオーガの体を乗っ取って、あなたに話しているんですよ。)
カイオーガがしゃべっている。
だが瞳の輝きがおかしい。本当に誰かに操られているようだ。
「誰だ、お前は。」
(ずっと、あなたの事を見てきた者です。
 あなたがエムリットと会って話していたことも見てましたよ。)
「どう言う事だ。」
(ヒカリとあなたは、本来、10歳の時にジュンとシンジこに言った時に初めて会った、そうでしたね。)
「…。」
(でもエムリットは、それより前に1度、あなたたち2人が出会ったと言っている。
 おかしいと思いませんか?)
「…。」
そういえば、以前そんな話もした。
だが、ヒカリと会ったのは、確かに10歳の時、それより前に会った覚えは、本当に無い。
その時だった。

(わたしがあなたたちの記憶を、消したんですよ。)
「!
 おまえは誰だ!」
(さあ、私にもわかりません、本来わたしは目に見えない虚無の存在。
 だから誰かと話すときには必ず誰かの体を借りないといけないのです。)
「どう言う事だ、記憶を消したというのは!」
(…あなたの心の奥底に、強力な悪魔のパワーがあったのです。
 そしてあなたの想い人、ヒカリには、全てを包み込む、大いなる天使のパワーがあったのです。)
自分の覚醒状態、
それは生まれ持った悪魔のパワーとでもいいたいのだろうか。

(その2つのパワーを持ったあなたたちを見ていました。シンジこからね。
 ずっと、その素晴らしいパワーを…
 特にあなたの、コウキのその悪魔のパワーを覚醒させすべて解き放てば、
 この世は悪に満ちたすばらしい混沌の世界となる…)
「よーするにあんたは俺の力を利用して、世界を変えようとしたいのね。ギンガ団とまるで変わらねえな。
 で?なんで俺とヒカリがあった記憶を消さなきゃならねえんだ?」
(簡単なことです。あなたたちが知りあって友達に、恋人になって一緒に毎日のように遊んだら、
 その天使のパワーに悪魔のパワーが包み込まれ中和されてしまう。
 そうなれば、あなたの中から悪魔のパワーが消えてしまうではありませんか。)
言っている意味はなんとなくわかっていた。コウキには。
ヒカリもハルカも、ただ唖然と聞いていることしかできなかった。
(わたしにとって邪魔な天使のパワー。
 コウキの悪魔のパワーと同じ天使のパワーを持っているのは、ヒカリ、あなただけなんですよ。)
「あたし…だけ…」
(つまり、悪魔のパワーを覚醒させたい私にとっての唯一の邪魔もの、それがあなたなんです、ヒカリ。
 でもわたしは優しいですから、まだ小さい少女を殺すような真似はしませんでした。
 その代わりに、天使のパワーが悪魔のパワーに出会わないように記憶を消したのです。)

なにかどんどん話がとんでもない方向に行っている。
518>>509コウキ×ヒカリ 第6弾・4/5:2008/10/04(土) 23:32:33 ID:FmPdbK6c
「じゃあ、なんで10歳の時、俺がヒカリと初めて会ったと思っている時の記憶は消さなかったんだ?」
(1つ目。あなたたち2人のほかに、ナナカマド博士、ジュンがいたから。
 第三者がいる場合、つじつま合わせが大変ですからね。
 2つ目。その必要がなかったから。ヒカリはともかく、コウキはヒカリに一目惚れした。
 何か大きな意志を持った時、悪のパワーは覚醒する。
 あなたの場合、あなたが持つであろう一番大きな意志は、大事な人を守る事って事は分かってましたから。)
「…。」
(最初に会ったときは、まだまだ子供。他人を守る力なんて、ない。
 力がなければ、大いなるパワーも発生しない。
 それどころか、ヒカリと過ごすうちに、さっき言った通り悪魔のパワーが中和されてしまう。
 実はね、コウキ、あなたは最初に会った日に、数時間一緒に遊んでその日にヒカリに惚れていたんですよ。)
過去の事がだんだんわかってきた。
コウキは、なんとなくそんな記憶があるような、そんな気がしていた。
「…だからか。
 俺が初対面だと思ってた時にすぐにヒカリに一目惚れしたのは。」
(…だが、10歳はもう大人の階段を上り始めている。他人を守る力も見につきはじめる。
 その上あなたはヒカリに惚れていた。ポケモンバトルの才能もあった。
 …そして私の予想通り、あなたはチャンピオンになる事で他人を守る力を、手に入れた。)
「俺には力なんてない。
 ポケモン達が一生懸命頑張ってくれて、強くなっただけだ。」
だが、それこそが最大の理由だった。

(そして3つ目、最後の理由。ポケットモンスターとの出会い。
 あなたにとって、ポケモンとの出会いはとてつもなく大きなものだった。
 …記憶を消そうとしても、消えないくらい、あなたにとって心に響くものだった。)
「よーするに、記憶を消そうとしても消せなかったんだな。」
(でもいいんです。あなたは、今まで何度か、恋人を守るその意志のために、悪の力を使っている。
 ヒカリを守る事が、あなたの力を呼び覚ます。わたしの狙いは、的中したんです。)
「こ、コウキがあたしを守る時にいつも覚醒していたのは、
 あたしを守ろうとする思いが悪の力を呼び覚まさせていたから…」
「俺も何となく気づいてたのかもしれないな。
 Jとの戦いでも、ギンガ団との戦いでも、何となく自分に異変感じてたから。」
「でも、コウキが覚醒し始めたのは、チャンピオンになってからずっとあと…
 そのあともいろいろあったのに…」
(とあるときを境に、覚醒させるために必要な力を、コウキの力が超えた…
 彼はポケモントレーナーとして成長を続けていますからね。
 その必要な力のラインを越えたのが、ハードマウンテン事件とJの事件との間だったんでしょう。
 …そろそろよろしいか?)
そして、カイオーガの様子が豹変する。
519>>509コウキ×ヒカリ 第6弾・4/5:2008/10/04(土) 23:33:27 ID:FmPdbK6c
(あなたのすべての力を出し切らせるため、ヒカリを全力で守らせるため、
 このカイオーガの力を持って、ヒカリに襲いかからせていただきます。)
「何!?」
(あと1歩、あと1歩で、あなたのすべての力が解放する。
 その為に、あなたに悪の力を使わせるために、もっと強い意志、力でヒカリを守らせる。
 そして、この世に、永遠の闇と混沌が訪れる…)
「だ、だめ、コウキ!急いでここから逃げて!
 あたしの事は放っておいて!でなきゃ、この世界は滅んじゃう!」
「そうはいくかよ、そんなもの、何の根拠もない!
 何の根拠もないものに惑わされる俺じゃねえ!
 それに仮に本当だったとしても、仮にお前を守る事でこの世界が壊れようとも…」
コウキの選ぶ道は、1つしかない。
「俺はヒカリを選ぶ!
 鬼、悪魔と呼ばれようとも、俺はヒカリのためにすべてを犠牲にする。」
(そう、コウキ、あなたは、そうせざるを得ないのです…
 ヒカリ、彼の苦しみ、思い、分かってあげて。
 いや、苦しみは、ないですね。彼は、ヒカリを守るなら、この世を滅ぼすことなど何の苦にもしませんから…)
空がますます黒くなる。
暗くなっているのではない、黒くなっている。
先ほどまでの雨はとうにやみ、漆黒の悪のパワーが空を包み込んでいる。
(そ、そんな世界、あたしは望まない…
 でも、もしこんな事を言ったら、コウキの心は壊れて…それこそ、もっと世界がひどい事になっちゃう!)
(分かっているじゃありませんか、ヒカリ。
 彼の心が壊れたら、それが暴走して、この世はさっき言ったよりもっとひどい事に…
 もっとも、その方が私にとってはいいのですが。)

「こ、この世の、終わり、かも…」
「やめてっ!コウキぃ――――――――――ッ!」


空を支配していた漆黒の闇から、一閃の光が差し込んだ。
そこから、何か長い物が降りてくる。
どこかで見た、緑色の大きくて、長いもの。

「あれは…」
「レ、レックウザ!」

ぐんぐん距離を縮め、カイオーガのすぐ真上まで来た。
そして咆哮する。
520>>509コウキ×ヒカリ 第6弾・4/5:2008/10/04(土) 23:36:47 ID:FmPdbK6c
(…な、なんだ、この圧迫感は…
 くそ、体が、言う事を聞かない…沈んでいく…!)
「あれが…レックウザ…」
ポケモン図鑑を開く、そこには、伝説の話が載っていた。

(あ、あと、一歩だったのに…!)
「どうやら、カイオーガの体は、レックウザの咆哮に耐えられないようだな。
 いや、カイオーガの体は、レックウザの咆哮によって沈むように作られてるのか。
 言わばスイッチだな。紅色の珠がカイオーガを眠りから起こし暴走させるスイッチなら、
 レックウザの咆哮はカイオーガを停止させるスイッチ…」

こんな信じられない、神秘的な状況を、コウキは冷静に分析していた。
これも覚醒状態の、コウキの悪のパワーの影響である。

(つ、次こそは、コウキ、お前の悪の力を…)
空が明るくなる。
カイオーガは姿を消し、元の静けさが戻った。
コウキとハルカの動きを封じていた足元の氷も、同時に解けていった。

(おおおっ!)
(空が晴れたあっ!)
「っと、まずいな。今市民の人が出てきたら、ヒカリのヌードショーになってしまう。」
流石にヒカリの服は元通りになっていない。裸のまま。
コウキがヌードショーなんて言うものだから、ヒカリは再び胸と陰部を抑え下を向き、顔を赤くして慌てる。

「ほら、ヒカリ。
 とりあえず僕の上着を羽織ってて。ヒカリの荷物、ミクリさんが預かっているから、とってくる。」
「ありがと、コウキ。
 …コウキ、優しいコウキに戻った。そういうところが、一番好きだよ。
 あたしの一番好きな、優しいコウキ。」
「何を言ってるんだ。ヒカリがそれを願っている限り、僕はいつでも優しいよ。
 僕は、いつでも、ヒカリの一番好きな、優しいコウキで居続けるよ。」
(わあ…ラブラブかも…うらやましいかも…)
そう言ってポケモンセンターへと向かっていく。ハルカはそれをうらやましそうに見ている。
ルネシティの町を網羅する石階段から次々人が降りてくるが、

「まだ危険です、もうすぐカイオーガが浮上してきます!」
コウキの開口一番、市民全員ポケモンセンターに逆戻り。
(いたずら心も、いつものコウキに戻っちゃった…やれやれ。)
苦笑いしつつ、荷物の到着を待つヒカリだった。


こうして、ホウエン(と言ってもルネとその近辺だけだったが)を揺るがす事件は終わりを告げた。
謎の『虚無』の存在が、またいつコウキに襲ってくるかは分からない。今回はとりあえず一件落着と言うだけ。
でも、それでも嬉しかった。なぜかって?

笑顔のヒカリと一緒にいられるこの時間が、幸せだから。
521暴走ボート ◆z95s/qs7OM :2008/10/04(土) 23:37:35 ID:FmPdbK6c
投下完了。
次回はきっちりエロを投下。

今回はエメラルドを題材にしてみました。
言わなくても分かってるだろうけど;
522名無しさん@ピンキー:2008/10/04(土) 23:39:38 ID:eXZpVdZe
サトシのハーレム物書くとか言ってた人まだかな?せっかく女の子キャラの性格を
教えてくれた人もいたのに。
523名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 10:31:25 ID:ND8wXjeG
>>509>>520
GJ
524名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 18:14:37 ID:0nbuP4kB
今pixivに神が降臨中だな
525名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 19:18:27 ID:I6kUDlbg
>>524
外れていたらすまないけど。

画力は勿論だが、
なんと言っても分け隔てないキャラへの愛がまさしく神だと思う。
526名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 21:33:25 ID:0nbuP4kB
>>525 そう、その人だよ。たぶん、なにがいいってベイリーフやラティアスも含まれている事だ。
527名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 22:45:23 ID:2I5MmqMl
そろそろ暴走ボート
許してもいいんじぁね?
支援してくれてる奴もいるし
>>253とか>>254とか>>334とか>>523とか
528名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 00:00:46 ID:qRT8BV1O
このスレの容量が満杯寸前なので次スレを立てた

ポケモン その14
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1223218534/


新作を投下する人にも期待
529名無しさん@ピンキー
埋め作業入ります

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