104 :
灰色 猫:
「枢様が私の血を吸ってくださったのは、あの時一度きり…」
「………」
月の寮の渡り廊下で、隣を歩く瑠佳がそうつぶやいたことに、暁は眉をひそめた。
決して表に出すことは無かったが、瑠佳の抱くそれが恋愛感情であれ、枢の能力に
よるものであれ、純粋に不愉快だ。
付き合いの長い3人の中でも、暁は冷静である。
黒主学園の存在の危うさ。人類とヴァンパイアの対立構造の中で、第3勢力として新たな
抗争の火種になりかねない組織の、ナイトクラスの長でありながら、リーダーとして何ら
方向性を示さないことにも危機感を覚えない。もはや日和見主義と言ってよいものが、
瑠佳への態度に重なって見える。
『ダメとわかっていてもなぁ… イヤ、ダメなら、むしろそれでいい』
自分達は敵ではない。が、近づきすぎて利用されるのは阻止してみせようと、暁は思うのだ。
「……なぁ」
「え?」
「ちょっと来いよ」
瑠佳の返事を待たず、そういって彼女の手をとり、もと来た道を引き返す。
「ちょっと、なによ!?」
「なんでもねぇって… いいから来いよ」
用も無いのにどこへ連れて行く気だ、と言い返そうかとも思ったが、無言で手をひく
暁の背中から、何か答えが返ってくるとは思えなかった。
デイクラスの女たちには、クールガイなどという印象をもたれてはいるが、ただぶっきらぼうで、
無愛想なこいつがどうすればそう見えるのか、瑠佳には不思議にさえ思える。
思い返してみれば小さいころから、愛想のない子供だった。
それを知らないから、あの女たちは、このむくれた顔の男に黄色い声を上げるのだと、
デイクラスの女子生徒たちを評した。
暁は、瑠佳を引っ張って、彼女の部屋の前までやって来た。
当たり前と言わんばかりに、暁はドアを開ける。
「なにするのよ! 勝手に――」
瑠佳が言い終わるより早く、部屋の中に放り込むようにした。手を引かれてここまで
きたのだが、この時の力加減は乱暴だった。
瑠佳は、勢いに、カーペットの上でよろける。
そんな瑠佳を見やりながら、暁は後ろ手にドアを閉め、鍵をかける。
瑠佳が暁のほうを見たのは、そのあとで、相変わらず無愛想な暁が、部屋の中に視線を
ゆっくり泳がせているときだった。
瑠佳は、暁が室内を見回していることに気付く。それ自体特別な行為ではないはずなのだが、
インテリアだとか、家具の配置だとか、所狭しと化粧品のビンが並ぶ鏡台だとかを見られるのが、
たまらなく恥ずかしいことに思えてくる。気が付けば気になってしまって仕方がない。
「やめなさいよ。いやらしい!」
瑠佳が怒気のこもった声をあげるのにはかまわず、暁は彼女のほうに手を伸ばす。
このとき瑠佳は、まだその意味に気付いていなかった。今日は暁が少し変だったが、
いつも愛想のない、何を考えているのかわからないようなところのある男だったから、
それ自体疑問には思わなかったのだ。
暁は、眉間に皺を寄せる瑠佳の肩をつかみ、ベッドの方へ突き飛ばした。
そして、ベッドの上で跳ねる瑠佳に覆い被さる。
瑠佳は、暁の目的が理解できなかったから、押し倒されて気がついたときには、
目の前に暁の顔があった。
「なんなの!? どきなさいよっ!」
暁の体を押しのけようとしてままならないとわかったとき、瑠佳は、ようやく自分の
105 :
灰色 猫:2008/07/02(水) 00:18:32 ID:6rAJ76oC
身に起きている脅威が現実のものだと認識した。
「正気っ?」
自分の体の下でもがく瑠佳にかまわず、暁はその頬に手を添えた。
瑠佳の口元が引きつったように見えた刹那、周囲の空気が一気に殺気で張り詰める。
シーツの上に広がったウェーブのかかった柔らかい瑠佳の髪が、ざわついたかと思った瞬間、
その色の薄い金髪がのたうって暁の手と首を捉える。瑠佳が"能力"が発動させたのだ。
「………」
暁は、動きこそ止めたが、瑠佳の上からどこうとはしなかった。
「………」
「………」
瑠佳が暁を睨みあげ、暁が瑠佳を見下ろす。
暁の瞳の奥には、暴力的な猛りも無ければ、恐れも無かった。まるで平静さを保っていた。
この平静さが、瑠佳にとって厄介だった。
というのも、急所を捉え命に手をかけたつもりだったが、暁はそれを脅威とは思っていない。
つまり、威嚇するだけでは、抑止力として機能しないことを突きつけられる格好になって
しまったのだ。
そうなった場合、目の前の脅威を振り払うには実効排除するしかないのが、それも理屈
ほどたやすくはない。
襲われているとはいえ、暁は獰猛さを見せてはいない。少なくとも瑠佳にはそれが見えない。
無抵抗の相手を一方的に傷つけるというのは、まともな感性を持った者にとっては、元来
相当な覚悟が必要なことなのだ。
「………」
「………」
このまま暁を絞め殺すなどということは、瑠佳にはできなかった。
暁の首と手に絡んでいた金髪が、スルリと流れ落ちる。
暁は、再びゆっくりと瑠佳に顔を近づけ、成す術もなく、悔しさを滲ませる瑠佳の目を
見つめながら、唇を奪う。
暁にとって初めてのキスだ。女の唇は、やわらかく滑らかで、感じられる体温は間違いなく
血が通っている事実であり、生命力をもっている証として認識できる。
唇を重ねるのと同時に、瑠佳の唇は震えだし、暁の体を押しのけようとする生身での
抵抗も弱々しいものになった。
レイプされても、抵抗できない女は、決して抵抗できない。しないのではなく、できないのだ。
瑠佳は抵抗できない女のようだ。
暁は、おとなしくなった瑠佳の唇に吸い付き、やわらかさを口に含み、その感触を存分に味わう。
それから、顎から頬へと移動し、ヴァンパイアの本能に従い首筋へとさしかかった。
暁は、瑠佳の首元に顔をうずめる。若い女の甘酸っぱい体臭が、鼻腔を犯す。いつも
そばにいるこの女は、間違いなく異性。女なのだと納得できた。
牙を突き立てる前の前戯代わりに、舌を這わせるのだが、その舌先から伝わる瑠佳の
きめの細かい肌の舌触りが、傷をつけることを躊躇わせた。
もともと暁が、吸血という行為に執着しないこともあって、首筋にキスを繰り返してから、
標的を、また唇へと戻した。
「んんっ」
唇を割って舌を差し込むと、苦しいのか、瑠佳が少しうめいた。
本当は舌を絡めたかったのだが、瑠佳は震えているばかりで、口内も舌も硬直したままだった。
暁は、口元から漏れる唾液をチルチルと啜りながら、差し入れた舌で、歯列のさらに
奥の吐息の熱に満たされた口内をさぐる。
瑠佳は、暁に支えられた顎を突き出すようにしながら、口内を陵辱されていた。唾液に
濡れ弾力を帯びた暁の舌が、口内で蠢くたびに、彼の体温と唾液をすり込まれ、こもった
熱を吐き出したい衝動に駆られても、ぴったりと密着した唇は、それを許してくれなかった。
暁は、舌で口内をなぞりながら、手では身体をなぞる。
106 :
灰色 猫:2008/07/02(水) 00:20:00 ID:6rAJ76oC
頬から、顎の整ったライン、首筋、鎖骨のくぼみとなぞり、指先に伝わってくる瑠佳の
素肌の感触から、「絹のような肌とはこういうものか」などと考えながら、先ほど血を吸わなくて
正解だったと思った。
暁が、はじめて触る女性の肌の感触に感動しているとき、瑠佳は、身のうちに渦巻く
乱暴される悔しさと強迫観念に翻弄されていた。
同じ温かさの違う人間の体温が身体を這い回るのだ。それが、男の手であり、唾液であり、
お互い知りえた幼馴染が相手である屈辱・嫌悪感は、決して男には理解できないだろう
と瑠佳は思う。
瑠佳の伏せた目尻に、大粒の涙が浮かんでいたが、暁は、唇を重ねたまま、瑠佳の身体に
這わせた手を胸元にもっていき、器用に片手で、一つ一つ寝巻きのボタンをはずしていった。
ボタンをはずされていくたびに、刻々と瑠佳の身体は強張っていく。
寝巻きの前をはだけさせると、淡い藤色のブラジャーが露わになる。肩紐やカップの
周りに繊細な模様のレースがあしらわれていて、男の暁から見ても値のはるものなのだと
わかった。
だが、豊満な乳房がブラをはちきれさせそうにしているのが、もともとグラマーな
身体つきなのだが他のパーツに華奢な印象を与えているところは、瑠佳にブラに喰われない
だけの魅力があるのだと、買い被りかも知れないと思いつつも、暁は確信していた。
それを言葉にして伝えれば、まだマシなのだが、「どうせ軽口にしかなるまい」と、
何も言わないのが暁であった。
暁は、瑠佳の双丘の間に顔をうずめ、瑠佳の香りを、下着が含んでいる分まで、いっぱいに吸い込む。
女の香りの中で、ブラのレースの肌触りも、瑠佳の乳房自体も、思っていた以上に
柔らかいものだと感じた。
「イヤ……」
暁がブラに手をかけると、消え入りそうな声で瑠佳が拒絶を示す。
それでも、罪悪感が暁を制することは無く、暁の手はブラをたくし上げる。本当は
取り去ってしまいたいのだが、不覚にも暁はブラのはずし方を知らない。
ブラをずらしたときの弾みで、ふるりと瑠佳の胸が揺れる。
露わになった乳房の頂上、うすいピンク色の乳輪が、暁の目にとまる。
色彩が、やわらかさという触覚や、甘さという味覚と帯びていると思える感覚は、
錯覚なのかもしれない。あるいは、すでに魔力といえるかもしれないが、淡い色合いの
乳輪が、肌の上にまあるく浮き出ている様には、事実そういう力があると思えた。
暁は、男性としての自然な欲求に従って、淡い色の乳首を口に含む。
「〜〜〜!」
嫌悪感に、瑠佳の肩に力がこもる。
素肌とは違った舌触りの乳首は、弾力のある柔らかさで、底なしにやわらかい乳房の
上にあって口を押し付ければ、沈んでいってしまうのだが、口にしているうちは自然と
満たされるのだ。
口に含んだのと反対側の乳房を手で弄ぶ。手からこぼれるほど大きさにもかかわらず、
つかもうとすれば、指が沈むほど柔らかく、なされるがままに形を変えて、やんちゃな
欲求に応えてくれた。
暁は、物心ついてからは初めて女性の胸に触れたが、手に吸い付く感触や、乳首を口に含むことが、
これほども安心感で包み込んでくれるとは思わなかった。
そうして、暁はしばらくの間、思うままに瑠佳の胸を弄び尽くした。
「んう、ん… うぅ」
我が物顔の暁に胸をいじりまわされながら、瑠佳は自分の胸の感覚が、体温を通じて
他人に浸食されていく錯覚と戦いながら、苦悶の声を漏らした。
暁は、片方の手を乳房に置いたまま、もう片方の手を瑠佳の下半身へと這わせた。
ウエスト周りの引き締まった体型に、ほんのわずかに脂が覆っていて、女性らしい曲線を
なだらかに構成していた。
腹部に手を滑らせ、指先でかわいらしいヘソのくぼみをなぞり、手に触れた寝巻きの
107 :
灰色 猫:2008/07/02(水) 00:20:35 ID:6rAJ76oC
ズボンを一気にずり下ろす。そして目の前に下着が露わになる。
ブラと同じカラーのショーツは、やはり繊細なレースがあしらわれていて、丸みを帯びた
瑠佳の腰周りをほんの少し食い込むように覆っていた。
すべりのいい手触りから、これがシルクなのだろうと、暁にも想像できた。
しばらく、下腹部のあたりで下着の手触りを楽しんでいた暁は、股間へと手をのばす。
下腹部から聖地へと稜線伝いに降っていく。"余計な物"が無い女性の股間だからこそできる芸当だ。
瑠佳の最後の抵抗が、太ももをぴっちりと閉じさせていて、狭いそこへ中指と薬指を押し込む。
暁の指を拒むように、瑠佳が太ももをこすり合わせる。
熱のこもった狭い空間で、ショーツの上から聖地をまさぐる。
『やわらかい』
それが、はじめて触れる女性本体への感想だった。
男のモノを飲み込むそこは、もっと弾力に富むのかと暁は思っていたが、瑠佳の腿の間で
少し不自由だったが、はさまれた指をわずかに動かしただけでも、肉土手はふにふにと
形を変えた。
暁は、足の間からいったん指を抜いた。
ゴムを迂回して、ショーツの内部に侵入する。
次に指先に何が触れるのか? 慎重に、というよりは臆病になりながら、暁は指を進めた。
きめの細かい肌の上を滑っていくと、最初に恥丘の上で茂みにたどりついた。この奥が"そう"なのだ。ざらざらとした陰毛の手触りを感じながら、暁はそう思った。
「?」
茂みの奥へと進んだはずの暁だが、不意に茂みを抜ける。奥までずっと陰毛が生えている
のだと思っていたが、これが男と女の発毛の違いである。
陰毛の茂みを抜けた先に、柔らかい感触があった。その中心にスリットが走り、中から
顔を出した粘膜質のやや湿った質感の小陰唇が指に触れた。
小陰唇の上に中指をあてがい、押し込むようにして分け入る。
「!っ……」
瑠佳が唇をかみ締める。
『ヨダレって言うより、涙だな。こりゃ』
「ヨダレ」 暁は指先をわずかに濡らす愛液に、以前、一条から借りた官能小説の卑猥な
揶揄を思い浮かべた。
暁は、瑠佳の秘所から手を離すと、ショーツを脱がせにかかる。
制しようとする瑠佳の手が届く前に、暁がショーツを下ろした。
暁は、間髪入れずに、ひざを割って瑠佳の秘所に顔を近づけ見入る。恥丘の上にちょぼり
と固まって生えた陰毛は、意外とまっすぐな毛で、髪と同じ薄い金色だった。
その下、ぷっくりとした"肉土手"大陰唇が寄り合わさった山の真ん中に、ピンク色の
粘膜質の"花弁"が頭を出していた。直接は見えなかったが、その下にはアナルもあるのだろう。
最も密やかな部分を見られて、瑠佳は手で目元を覆ってしまった。
親指で両側から肉土手を開くと、抵抗するかのように寄り合わさっていた花弁が引かれて開き、
中にたまっていた愛液がゆっくりと流れ出た。
暁は、流れる愛液に促されるように、瑠佳の秘裂に口をつけた。
「ヒッ!」
瑠佳が、ギョッとして悲鳴をあげる。
蜜と喩えられる愛液ではあったが、実際甘いものではなかった。瑠佳の女性の本体も、
確かに淡いピンク色の小陰唇が花のように見えたが、生臭さと微かなアンモニア臭をさせていた。
その生々しい臭いが、今は、そこを"肉"なのだと認識させた。
「ちょっと、イヤ、汚っ――」
あられもない部分に口をつけられた瑠佳が、暁の頭を押しのけようとするが、
彼は応じようとしなかった。
秘裂の下側の合わせ目の、少し上に舌を差し込む。舌の長さには限界があったが、
その先に肉穴が続いているのはわかった。
108 :
灰色 猫:2008/07/02(水) 00:21:06 ID:6rAJ76oC
暁は、口をつけたまま舌を動かし、花弁の中を舐めあげた。愛液を帯びた粘膜は
驚くほど滑らかな舌触りを与えてくれた。
暁が、秘裂の上側でしこる花芯に気付くのに時間はかからなかった。柔らかな女性器の
中で充血するクリトリスは異質な存在であったから。
「う… ふぅっ…」
暁の舌先が、クリトリスをつつくたびに、瑠佳が押し殺したうめき声を上げ、締まる肉壷から
愛液をあふれさせた。
口を離した暁は、ルパンジャンプには遠く及ばなかったが、手早く下を脱ぎ捨て、愚息を露わにする。
暁は、体格に相応する、そそり勃つペニスをひとしごきしてから、瑠佳のほうを見た。
「それだけは… 許して…」
子供のころに見たのとはあまりにかけ離れた、凶悪なそれにますます怖気づいて、
頭を振ってイヤイヤをしながら懇願した。
暁は聞く耳を持たず、主砲を見当をつけた入り口付近にあてがいながら、瑠佳の上に
覆い被さる。砲口を秘裂に押し付け、下にずらしながら突きいれる。
愛液のすべりに助けられ、暁のそれは少なからず快感を伴って自然に目標を捉え、突貫をかけた。
「あくぅ、アウアァァっ」
瑠佳は悲鳴をあげる寸前、暁のペニスが秘裂にあてがわれ、その先端が膣口へと
移動するのを感じ取っていた。
破瓜の瞬間、暁は予想以上に抵抗が少ないと感じつつ、瑠佳がその痛みに反射的に進入
を拒んだため、ワンテンポ遅れて抵抗を覚えた。
瑠佳の媚肉に愚息をこすられながら、暁は心地よい圧迫感の中を進んだ。この圧迫感は
瑠佳に苦痛を与えている反動なのだ。
瑠佳は、破瓜の痛みに強張らせた胎内を、暁に無理やりこじ開けられ、引き攣る痛みに
晒されていた。
「おおぅ…」
愚息が体温に包まれていくはじめての感覚に、暁は感嘆の声を漏らした。
今日だけで、ずいぶんたくさんの"はじめて"を体験したが、このはじめては特別だと、
暁は思った。
「うう… ふぅ…」
同時に瑠佳が、膣内を押し広げられる苦痛にうめいた。
「痛ぁ… やめ――」
瑠佳は、痛みに耐えかねて、暁の腕に爪を立てて逃れようとしたが、その腕はビク
ともせず、
逆に瑠佳の肩をつかんで動きを封じ、なお侵入を続けた。
瑠佳は、一瞬暁の顔を見たが、その鬼気とした形相に目をそらした。
まだ不慣れな瑠佳の胎内は、引き攣って、硬さのような感触があった。
そうして、暁は最奥へとたどり着いたのを亀頭の先で感じたのだが、まだ3割ほど
あまった砲身をさらに押し込む。
「ヒィっ!」
下腹部を押し上げる、今まで感じたことの無い内臓から伝わる感覚に、痛みとともに
吐き気を覚え、下半身に嫌な痺れが走った。
全てを挿入し終わった暁は、あらためて、瑠佳の体温と圧迫感に心地よさを覚える。
柔軟な媚肉が満遍なく包み、自分の形に変形した膣が、瑠佳の胎内で動く重たい感触が
伝わってくるのだ。
「…もういいでしょ」
破瓜の痛みと、膣を押し広げられる痛み、まだ弱い粘膜をこすられる痛みの三重苦に
合わせて、子宮を揺さぶられる悪感、幼馴染に裏切られ、純潔を散らされ、もう何もかも
打ちひしがれた様子の瑠佳が、消え入りそうな声でつぶやいた。
が、「悪いが、これからなんだ」というの暁の心中である。
暁は、組み敷いた瑠佳を見下ろす。自分とは対照的に色白な体色で構成された肌が
109 :
灰色 猫:2008/07/02(水) 00:21:37 ID:6rAJ76oC
よりいっそう際立って見えた。
その素肌に包まれたボディーライン、事に大きく開いた太ももに目を奪われる。太ももの
付け根で、瑠佳の女の部分が、自分のモノをしっかりとくわえ込んでいるのだ。その証拠に、
幾筋か、瑠佳の初めての証が流れていた。
暁は、瑠佳を抱きしめ、一度引いた腰を突き上げる。
「ううぅ」
暁も瑠佳も、同時に似たような声をあげるが、そこに含まれる意味はまったく違っている。
挿入を繰り返しながら、暁は全身で、抱きしめた瑠佳の身体を感じた。
グラマーな身体も男から見れば華奢ではあるのだが、滑らかな皮膚の下の薄い脂肪が、
筋肉や骨格というものを感じさせず、胸に限らず全身が柔らかいのだ。
腕の中のか細い身体が、突き上げるたびに揺れると、なおいっそうか弱いものに思えて、
征服欲と加虐心をくすぐった。それでいて、この行為を受け入れている事実が包容力を
感じさせるのだから不思議なのだ。
一突きごとに、瑠佳の複雑な胎内が愚息をすりあげ、最奥に到達してからも、膣全体が
伸縮して余った部分を飲み込んだ。腰を引くときもしめつけが弛むことは無く、媚肉が
後退するカリのくびれに絡みついた。
抜くときの方が、やや刺激が強かったが、突き入れてペニス全体が瑠佳の体温に包まれる
感覚の方が、暁は好きだ。
そんな事を考えながら、数回入出を繰り返してから、暁は、テンポよく動こうとしたのだが、
これがなかなか難しかった。腰を引いて抜けそうになるのを避けるために、スピードを
セーブすると、動き自体がギクシャクしてしまうからだ。
ビデオみたいにはうまくいかないものだと、思いながら具合のいいスピードとスロークを
見つけた頃には、腰と股関節が筋肉痛気味になっていた。
だが、苦労の甲斐もあって、快感を得るコツがつかめた気がした。
生ぬるい快感を積み重ねるため、あとはひたすら腰を振るだけである。
「うっ、痛っ、あ… あぁ」
反面、瑠佳の口から苦痛に耐える声が漏れるようにもなる
手でするのとは違う、むずがゆい快感であったが、生物の本能というのは確かで、絶頂を
求めて自然に腰の動きを加速させていった。
「いっ、うぅ… い、あぁ」
暁は、身体を融合させるくらいのつもりで、力強く瑠佳の身体を抱きしめ、乳房をつかむ。
「キャア!」
肺の空気を搾り出され、乳房にはしる痛みに瑠佳が悲鳴をあげる。
「んぅんん――!?」
暁は、その唇をキスで塞ぎ、猛烈な勢いで腰を打ち付けラストスパートをかける。
自分の身体を組み敷している暁が、今までに無いくらい息を荒げ、激しく責めたててくるのだ。
「このまま、暁が我を忘れて加減を間違えたら?」瑠佳にとって、この状況はただ恐ろしい
ものであった。
息ができないほど強く抱きしめられ、突きあげらるたびに視界は揺れ、ちぎられるのではないか
と思えるほど強く胸をつかまれて、なにより、女の最も大切な部分をボロボロにされる
ような激しい挿入。ひたすら乱暴すぎる行為に悲鳴をあげることもできず、暁に己の体を
壊されるのではないか、という恐怖を抱いた。
「おぁあああっ!」
「っ!!」
絶頂に達した暁は、獣のようのなうなり声を上げながら、瑠佳の最奥を突き上げ、
身体を痙攣させた。
瑠佳には、力いっぱい抱きしめられ、骨が軋んだのではないかと思えた。
鈍痛が続く膣内で、規則的に脈動する暁のペニスから温かいものが広がる感触に、
瑠佳は、自分はこの男に汚され尽くしたのだと認めさせられた。
耳元で、暁がゼェゼェと息をつくのさえ、どこか遠くに聞きながら、涙が溢れ出す目で
110 :
灰色 猫:2008/07/02(水) 00:22:09 ID:6rAJ76oC
天井を眺めた。
暁は、絶頂の余韻の中で呼吸を整えてから、ゆっくり体を起こした。
涙を浮かべたうつろな目をした瑠佳を見下ろし、わかってはいたことだが罪悪感を覚えた。
瑠佳の中に入っていた主砲を引き抜く。
暁の形のまま口を開けた膣口から、ワンテンポ遅れて、精液と愛液に血が混ざり合った
ピンク色の泡立った体液が逆流し、アナルを伝って流れ落ちていった。
赤く腫れた瑠佳の肉土手は、あまりに痛々しく、幾筋も流れた跡の残る"はじめて"の
証は暁にとっても強烈な印象をもって迫った。
何も声をかけられない暁だった。
瑠佳は足を閉じると、手近にあったシーツを手繰り寄せ、頭からかぶって身を縮めた。
声をあげないで泣いているのだろう、と考えつつも、やはり暁にはかける言葉が思い
浮かばなかった。
瑠佳は、シーツに包まり目を閉じて、全て夢であってほしいと思いながら、暗転していく
意識の中で、秘所の痛みが妙にはっきり残っているのを感じた。
………
……
…
人間(ヴァンパイア)の習性などというのは、図太いモノで、あのような事があった
あとでもきちんと働くものである。
あの後、泣いていた目を開けた瑠佳は、ベットサイドにおいた時計で、いつも目をさます
時間より、少し遅いということを確認した。
特別気だるくもない体が、昨日の出来事を否定していないようで嫌だったが、そのくせ、
泣き腫らした瞼と処女を散らされた秘部だけには痛みがあった。
「!」
体と起こして、まず驚いた。
暁が背中を向けて、ベットに座っていた。
その背中に、当然、だが妙に怒りを覚える瑠佳である。
「今まで何してたのよ。着替えるから出てってちょうだい!」
目を覚まして開口一番に、瑠佳が怒鳴る。
強がりが含まれているのかもしれなかったが、それでも、瑠佳が怒ったような声を出すのが、
暁にはうれしかった。
「ああ… 出てくよ…」
そういって、暁は振り返らないままトボトボと部屋を後にした。
「体は大丈夫か?」と、一声かけたかったのだが、しておいてそれをする卑屈さは、
あまりに女々しいように思えたから、気に食わなかった。
この女々しいと感じることを嫌ったぶっきらぼうさこそ、彼をワイルドなどと呼ばせて
いるのだ。
暁がドアを閉めるのを確認してから、瑠佳は鏡台の前に座った。まだ、痛みが引いて
いなかったが、それで学校を休むわけにはいかないし、なにより、それが元で昨日のことを
枢に悟られるのではないかという強迫観念のような思いがあった。
鏡に映る自分はひどいものだった。顔色も悪く、泣きつかれたせいか酷くやつれたように見え、
とりわけ、泣きはらした目元が赤くなっているのが、たまらなく惨めだった。
それを気付かせまいと、化粧には念を入れた。
口紅をひいている時、不意に暁にキスされたことを思い出す。唇といわず体中に暁に
唾液が染み付いているのだ。日常に還ることに必死になっていて忘れていたが、思い出せば、
今すぐにシャワーを浴びたい衝動に駆られる。
が、普段より支度に時間がかかっていることを示す時計は、それを許してくれない。
身支度を整えても、体中に違和感が残る。それでも普段どおりなら、もう部屋を出ている時間だ。
111 :
灰色 猫:2008/07/02(水) 00:22:58 ID:6rAJ76oC
だから、気にしないで部屋を出ようと瑠佳は思う。それで普段どおりの生活に戻れる
かもしれないのだから。
「うっ!?」
私室から廊下に出た瑠佳は、思いがけず声を漏らした。
瑠佳の部屋のドアのすぐ横に、暁が壁に寄りかかるようにして立っていた。
昨日のことで暁に恐怖を覚えているというのではないが、まさかいるとは思っていなかったから、
瑠佳は驚いたのだ。
暁は、口では何も言わなかったが、「遅かったな?」といわんばかりに、瑠佳を横目で見てから
歩き出した。
暁の目的を計りかねたまま、瑠佳はその後ろに続く形で歩いた。目指す方向が同じなの
だから仕方ない。
月の寮の門の前。
門が開くのを待つナイトクラスの生徒たちが、一塊になって群れていた。
遅れて来た瑠佳と暁が、その最後尾に加わる。
「よう。遅かったな?」
「ああ、なんでもないさ」
集団の中から二人を見つけた藍堂 英が、声をかけ、暁は、何事も無かったようにしれっと返す。
「?」
血の臭いに殊更敏感な英が、瑠佳から発せられる臭いに気が付く。
『アレのときの臭いとは少し違うし、なんだ? …暁からもする?』
英も所詮血の匂いに敏感なだけでしかなった。
『……まいっか』
結局、二人の間にあったことには気付かないまま、彼に頭の中はデイクラスの女子生徒達や
風紀委員を、いかにからかおうかということで一杯になっていった。
定刻が近づくにつれ門の向こうで、デイクラスの女子生徒が、ナイトクラスの男子生徒
の名前を呼ぶ声で騒がしくなる。一部で「瑠佳しゃ〜ん♥」などという声もしていたが、
瑠佳の耳には入らない。
定刻どおりに門が開く。
黄色い声が一段と大きくなり、その中に、風紀委員の叫び声が掻き消されていった。
『わずらわしい』
毎度の感想を思い浮かべながら、瑠佳は、一団の流れに沿って歩いているつもりであったが、
気が付くとずいぶん前の方に出てきてしまっていた。
先頭を歩く枢の姿を見とめ、ドキリと立ち止まりそうになったとき、彼女の視界を遮るように
枢との間に、暁が入ってきた。
瑠佳自身なぜかはわからなかったが、暁に反感を覚えたのだ。この反感がそのときは
怒りとして捉えられた。
枢への後ろめたさが、このとき怒りという形で捌け口を得たのかもしれなかった。
この奇妙な感じ方が、今後しばらく、暁との間を保つことになるのを、瑠佳は知らない。
もちろん暁も。
観衆の黄色い声が遠ざかるなか、瑠佳は暁の背中を見ながら後ろに続いた。
おわり