乙です!
エロも淫靡でいいけど、ストーリーから目が離せない…!
どうなるんだー!
終わりませんでした。(TдT)
あと一回続きます。
少女を追って歩き続けて、もう何時間になるのだろう?
ちらりちらりと。
長い黒髪を、真白き二の腕を物影から見え隠れさせながら誘いをかける、
少女の後に付いて歩き――。
気付けばこうして、奴らの築き上げた、いびつで不可解な建造物の中にまで迷い込んでいる。
「……おい」
瓦礫や廃材を寄せ集めて、でたらめな形に組み上げられた橋桁の隙間から、
少女に対する何度目かの呼びかけを試みる。
まあどうせ、これもまた黙殺されるのであろうけど……。
そう思いきや、少女は立ち止まった。
生臭い雨水に浸食された瓦礫の山を背に、少女はゆっくりこちらを見返る。
光の無い暗い路地。
ずっと離れた位置に居る彼女の白い顔が、闇にぽっかり浮かび上がって見えている。
そして、その顔は――。
アパートの外は、うんざりするほどの快晴だった。
狂暴なまでにぎらつく太陽。毒々しい青色に塗り込められた空には、雲ひとつない。
今日も暑くなるのだろう。まだ朝の九時だというのに、今からこうでは先が思いやられる。
しかも今日は、盆の帰省ラッシュによる混雑の予想される道で、
長時間に渡って車の運転をしなければならないのだから、堪らない。
あの不可解な現象を目の当たりにした後、帰宅した宮田は、一晩中まんじりともせぬまま、
朝を迎えてしまった。
眠ることなどできはしなかった。
消えた少女。消えた女。女の投げかけた、意味不明な言葉の数々。
――あれらの事象こそが、全部ただの夢だったのだ。
そんな風に片付けてしまうことも試みたが、それは無駄だった。
サンダル履きで走り続けたためにできた小さな靴擦れの痛みが、
ゆうべの体験が現実であることを、容赦なく裏打ちしているからだ。
様々な思考を無為に巡らせながらベッドの中で輾転反側し続け、
赤い眼をして居間に出てきた宮田を見て、恭也は驚きの声をあげたものだった。
「宮田さん……何でそんな、ゾンビみたいな顔になってるんですか」
洗面所の鏡を覗くと、確かにそう言われても仕方のない、やつれ果てた顔が映っていた。
「そんなんで、車の運転大丈夫なの?」
美耶子の心配は、主に今日の旅行のことであるらしい。
「大丈夫だよ。海水浴が楽しみで眠れなかっただけだ……。
さあ。そんなことより今日は忙しいぞ。
今から旅行の準備を始めて、夕方までには宿に着かなけりゃならんからな」
名古屋の海に泊りがけで行くことは、昨夜のうちに決まっていた。
恭也がインターネットで付近の宿を検索し、電話で予約を取っていた。
ちょうどオンシーズンで良い宿はみんな塞がっていたが、少し外れにある民宿には、
僅かばかりの空きがあった。
「ねえ恭也。民宿……って、どういうの?」
「ええ? 民宿は民宿だよ。こう、畳の部屋とか風呂とかがあって……」
「お風呂ならこのアパートにもあるよ? このカーペットを捲ったら畳だってあるし」
「うーん……まあ、行けば判るさ。それより美耶子、水着とか持ってんの?」
当然持っているはずもない。
宮田もそうだし、恭也だって水着持参でこの土地に来た訳ではない。
「出発の前に水着を買わんとな。他に買い揃えるべきものは――」
点検、確認してメモを取る。一連の作業を終えると、宮田は立ち上がった。
「じゃあ、俺は先に出かけてくる。
銀行で金を下ろさにゃならんし、車も借りなきゃならないからな。
こっちの用意ができたら電話を入れるから、それまでお前達はここに居ていいよ」
「判りました。じゃあ俺、掃除とかしておきますから……これで最後だし」
「ああ……ありがとうな」
宮田が恭也達より一足先にアパートを出たのには、理由があった。
些末な用事を片付けるためというのは、表向きの言い訳に過ぎない。
出かける前に――彼にはどうしても、確認しなければならないことがあったのだ。
犀賀と幸江のマンションは、町に隣接する高級住宅街の中ほどにあった。
閑静な気品溢れる通りの佇まいからは、
このすぐそばに、あのスラム街のように不潔で混沌とした町があるのだということが、
どうにも想像し難い感じだった。
白いタイルを基調にした外壁の、瀟洒な十二階建てマンションを見上げる。
犀賀がこのマンションを買ったのは、今から十三年ほど前であるそうだ。
マンションが建つ前の完成予定図を見て、幸江が一目惚れをしたのだという。
エントランス前に設置されたプレートの部屋番号――803を入れ、呼び出しボタンを押す。
呼び出し音が小さく響くのを聞きながら、宮田は小さく深呼吸をした。
休暇初日の朝っぱらから、上司の家に赴きたいと考える人間は、あまりいないことと思う。
無論、宮田だってそうだ。
しかも前もって何の連絡も入れず、いきなり訪問しようというのだから、
さすがの宮田もいささかばかり緊張を覚えている。
アパートを出る前、宮田は昨晩のことを伝えておこうと、犀賀に携帯で電話をかけた。
あの消えた女のことはともかくとして、診療所の鍵が開いていたのは事実だ。
報告の義務があると思った。
ところが、かけた電話には、誰も出なかった。
否、正確にいうなら――『おかけになった電話番号は、現在使われておりません』という、
無機質な案内メッセージのみが返答したのだった。
このマンションの固定電話のみならず、犀賀と幸江それぞれの携帯電話も、
さらには、念のためにかけた診療所の電話でさえも、同じ反応だったのだ。
これはただごとではない。
眩い朝の光を打ち消すような、寒々しい恐怖心にも似たものが、宮田の体内を駆け巡る。
矢も盾も堪らず、宮田は犀賀のマンションまで来ていた。
昨日聞いた話では、犀賀と幸江が旅行に出かけるのは午後以降のはずだから、
今日はまだここにいるはずだ。
『――はい』
呼び出し音が途切れ、女の声がスピーカーから流れた。
「幸江さん? 宮田です。どうもこんな朝早くに……」
幸江の声が聞けたことにほっとして、息せき切って宮田は喋り出す。
が。
『……どちら様でしょうか?』
氷のように冷ややかな声。
しかもその声は、幸江のものではなかった。
重く冷たい塊が、宮田の胃の底に、ごろりと転がり込む。
「あの……そちらは犀賀さんのお宅では」
『違います』
感情を交えぬ声で女は言い放つ。冷淡というよりは、緊張して強張っている感じの硬い声。
突然やって来た、素性の判らぬ訪問者を訝る若い主婦、といったところか。
スピーカーからは、背後で小さな子供がはしゃぎ廻っているような声が、
喧しく漏れ聞こえていた。
宮田は、慌てて自分の入力した部屋番号を確認する。
803。何回見ても間違いない。
そして、犀賀の自宅がここであることだって、間違いないはずだった。
ここには何度か来ているし、上がらせてもらったことだってある。
そうだ。未だに忘れてはいない、幸江の言ったあの言葉。
「本当は、この上の角部屋も空いてたんだけどさあ。ここの部屋番号が気に入ったのよ。
803……八月三日。それはね、私とあの人が、初めてこの町に来た日なの――」
背後から頭をどやしつけられたような気持ちで、宮田はマンションを後にしていた。
本当はもう少し粘って話を訊きたかったのだが、
相手の女から一方的にインターホンを切られてしまったのだ。
「どうなってるんだ……」
とぼとぼと歩き続け、やがて診療所ビルの前まで辿り着く。
そして宮田は見た。
三階の窓の脇。簡素な突き出し看板は、真っ白だった。
消えているのだ。
昨夜までそこに書かれていたはずの――「犀賀診療所」の文字が。
「君、ちょっと」
宮田は、ちょうど真横を通り過ぎようとしていた、白い厨房着姿の女性の肩を掴んだ。
彼女はこの近くの定食屋で働いている店員で、
以前店の客が暴れて手が付けられなくなった時、宮田に助けを求めてきたことがある。
「あの、あそこの看板はどうしたんだ? 診療所の看板は」
宮田が白い突き出し看板を指さして問うと、彼女は怪訝そうな顔でそれを見上げたが、
すぐに「ああ」と気の抜けた声を出して言った。
「あそこの診療所……潰れはりましたよ?」
「潰れた!?」
「はい。そうですねえ……もうふた月ぐらい前だと思うんですけども。
不景気ですからねえ。厳しいんと違いますか? 歯医者さんも」
そう言って女性店員は笑ったが、
その笑顔は明らかに、初めて対面する相手に向けられたものであった。
女性店員が立ち去った後も、宮田はじっとその場に留まり続けていた。
虚しく看板を仰ぎ見ているその表情は哀しげだったが、
なぜだか少し、笑っているようでもあった。
半笑いの彼は、よろめきながらビルに入る。
内壁の塗料と埃の臭いの入り混じった階段を上り、三階まで進んで、
プレートの無いドアを開けた。
ドアの向こう側には、がらんとした灰色の空間が広がっていた。
内装工事を途中で放っぽり出された、剥き出しのコンクリ壁や配線類に覆われた部屋。
そうか。物が無い状態だと、ここはこんなに広かったのか。
場違いな感慨に耽っていると、部屋の中央で、黒い塊がむっくり身を起こした。
雑然と薄汚れた部屋と同化していたその黒い塊は、人だった。
ぼろを身にまとって寝ていた、浮浪者の老人だった。
大柄な彼は宮田を見ると、歯の抜けた口で何かを喚き立てながら近寄ってきた。
非常に聞き取り難いのだが、その言葉は英語であるらしい。外国人か?
そういえば、黒く汚れた髭もじゃの顔の中で、異様に光っている瞳の色が随分と薄い。
老人に掴みかかられそうになったので、それを振り払って宮田はドアを閉めた。
もうここに用はない。
虚ろに穴の開いた心を抱いて、宮田は階段を下りて行く。
暗い、もう彼とは無関係になってしまった古いビルの外に出ると、
膨張しつつある太陽が、汚い町を痴呆じみた光で焼き尽くそうとしていた。
それからの宮田は何も考えず、目の前にある、差し当たっての責務のことだけ考え、
それをこなしてゆく作業だけを淡々と進めた。
すなわち。銀行で金を下ろし、ついでに各種振込みなどを済ませ、
レンタカー屋へ車を借りに行く。
しかしここで問題が起こった。免許証を忘れて来たらしいのだ。
いつも財布に突っ込んであるはずの運転免許証が、どこを探しても見当たらない。
免許証がなければ車は借りられない。
仕方がないので、いったんアパートへ探しに戻ることにした。
「アパートに、まだ俺の部屋があればいいがな」
独り呟き、くすくすと笑いながら立ち去る宮田を、レンタカー屋の若い男性店員が、
困ったような笑顔で見送る。
アパート裏の駐車場前まで来た時、猫の鳴き声がしたので見ると、
銀のカバーが掛かった車の下に、灰色の猫がうずくまっているのが見えた。
「……ケルブ?」
躰が大きく、ふてぶてしい顔をしたその猫は、死んだケルブによく似ていた。
だがしかし、そんなはずはない。ケルブは死んだのだから。
案の定、宮田がそばに近寄ると、灰色猫は車の後ろに走り、
植え込みの奥に姿を消してしまった。
「ケルブじゃない、か。そりゃあそうだ……しかしよく似てたな」
カバーの掛かった車のボンネットに手をついて、猫の消えた先に眼をやる。
ケルブが埋まっているのは、確かあの辺りだっただろうか。
そんなことより――ふと気になることがあった。
今、この手で触れている車のことである。
「これは、もしかすると――」
宮田は思い切ってカバーを取り払った。
カバーの中から出てきた車は、あまりにも懐かしいあの車だった。
村から美耶子を連れ出す時に乗って来た、あの青い車。
それなりに愛着のある車だったから、
手放した時には少々寂しい思いをしたものだったが――。
「そうか……お前はずっとここに居たんだな」
ズボンのポケットを探ると、当然のようにキーがある。
なるほど。ここにこの車があれば、わざわざレンタカーを借りに行く必要もない訳だ。
「何でも願いは叶う。どんな突拍子もないことも実現できる――か」
跳ね返った泥水で汚れたままの車のボディーを撫で、声を上げて宮田は笑った。
ますます強さを増した太陽の光線が、車と、陰気な笑い声を上げる宮田のうなじを、
じりじり音を立てて焼いていた――。
「美耶子ほら、あれが海だよ」
〈わ〉ナンバーのミニバンの窓を開け、恭也が海を指さしている。
予想にたがわぬ渋滞の高速を乗り越え、湾岸沿いの道に下りると、
途端に空気が変わってしまった。
生命の源泉を感じさせる潮風が奇妙な清しさで胸をさらい、太陽の放つ熱波も、
濃紺の海の水に和らげられて、煌めき四散している感じがする。
あれから――あの懐かしい車と再会してから、宮田はアパートに戻り、
免許証を持って予定通りに借りた車で出発した。
あの車を使う気になれなかったからだ。
「ああ、免許証ですよね? 玄関先に落ちてましたよ」
帰るとすぐに、恭也が拾っていた免許証を渡してくれたから、何ら問題はなかった。
消えてしまうこともなく、アパートで留守番をしていた美耶子と恭也をピックアップした後、
何事も無かったかのように買い物を済ませ、車を走らせ数時間。
予定を大幅に遅れたものの、何とか陽の高いうちに海まで来ることができたので、
三人ともほっとしていた。
目当ての海水浴場は、思ったほどには混雑していなかった。
駐車場にもかなり余裕があったし、浜に出ても芋洗いとはならず、
それなりに泳ぐことを楽しむことができそうな塩梅だった。
「やっぱ三年前の事件が後を引いてんのかもしれないですね」
水着の上にいつものモスグリーンシャツを羽織り、デジカメを手にした恭也が、
山に囲まれて横たわる鈍色の砂浜を見渡して言った。
「それほど大きな海水浴場でもないから、元々こんなもんなんじゃないか?」
水着に半袖のパーカー姿で、海の家で借りたパラソルを砂の上に突き立てながら、
素っ気なく宮田は言う。
彼らの後ろでは、黒いワンピースの水着を身に着けた美耶子が、
小さくなってしゃがみ込んでいた。
「どうした美耶子? ご希望通り、海に連れて来てやってってのに」
「うん。海は嬉しいんだけど……」
美耶子はもじもじと足元の砂を弄る。
「水着って……ちょっと恥ずかしいね。なんだか裸でいるみたい」
「そんなの慣れれば平気だよ。みんな同じような格好なんだからさ。
恥ずかしがることないじゃん。ほら」
恭也は美耶子の手を取って立ち上がらせた。
水着姿の美耶子は、普段とはまたちょっと趣の違う美しさを放っている。
彼女の着ている黒い水着は、大型量販店に寄った際、
手近にあったものを宮田が適当に選んで買い与えたもので、
飾りも何も無い質素な作りのものだったが、まるで美耶子のためにあつらえたかのように、
よく似合っていた。
海獣の皮膚のような光沢をもって躰にぴったり張り付いているそれは、
美耶子の肢体のラインを美しく際立たせているし、
その布地の黒さもまた、彼女の透けるような肌の白さを、よりいっそう強調している。
実際、美耶子が立ち上がった途端、周囲に居た人々は老若男女問わず、
みんなが美耶子に注目したものだった。
羨望、憧憬、欲望、嫉妬――様々な感情の篭った視線が、美耶子の長い脚や、横顔や、
潮風に煽られる髪の毛などに集まっている。
それらを肌で感じ取った美耶子は、物怖じするように肩をすくめる――。
「美耶子、泳ごう」
美耶子に絡みつく不躾な視線を振り払うように、明るい声で恭也は言った。
「すいません宮田さん、荷物お願いします」
そう言ってシャツを脱ぎ、デジカメを包んでレジャーシートの上に放ると、
恭也は美耶子の手を引いて、波打ち際へと走ってゆく。
彼らの後姿を見送り、宮田はシートに座った。
パラソルの下で、波と戯れる美耶子と恭也を遠く眺める。
初めのうちこそ、周囲から投げかけられる視線や、異様に塩辛い海の水などに戸惑い、
怯える素振りを見せていた美耶子だったが、
やがて、白い泡となって弾ける波のしぶきや、波に引かれて蠢く足元の砂の感触、
寄せては返す海水のうねりの不思議な面白さに魅入られ、夢中になってそれらに触れ、
すくい上げ、躰を浸してはしゃぎ廻った。
そんな美耶子の姿に、当初あからさまな欲望の視線を送っていた男共も、
これはただの子供と見たか、すぐに興味を失って散ってしまった。
宮田もまた、呆れ笑いをして視線を外し、パーカーを脱いでシートに横たわる。
シート越しに伝わる、熱を持った砂の感触が心地いい。
燦々と煌めく太陽。熱気と湿り気とを孕んだ潮風。
人の声やざわめきの向こうで、果てることなく繰り返される波の音。
――まあ、来てやって良かったかもしれんな。
豊穣な自然のもたらす安らぎに眠りを誘われた宮田は、
そのまま、舌の上のボンボンのように、とろとろと意識を蕩かしていった――。
曖昧な夢から覚めて意識を取り戻した時、すでに陽は翳り始めていた。
吹き付ける潮風は涼やかになり、傾きかけた太陽が、砂の上に長い影を落としている。
「あ、お兄ちゃんが起きた」
いつの間にか隣に座っていた美耶子が、
紙コップに入ったカキ氷をストローで突付きながら、宮田の顔を覗き込む。
「やめろ」
ストローの先に付けた氷の雫を胸の上に垂らされた宮田は、
美耶子の手を押さえて顔をしかめた。
「宮田さんも氷食べますか? なんなら俺買って来ますけど」
美耶子の後ろから顔を出した恭也が言う。
宮田は「いや、いい」と言いながら躰を起こし、脇に置いた携帯を見た。
時刻は四時を十五分ほど廻ったところ。二時間ばかり眠っていたことになる。
「ちょうどいい頃合だ。そろそろ民宿に向かおうか」
宮田は立ち上がって荷物をまとめにかかった。恭也はそれを手伝う。
「民宿、民宿」
歌うように繰り返しながら、美耶子はぶらぶらとその辺をうろついている。
その美耶子の動きが、急にぴたりと止まった。
美耶子は、浜のずっと向こう側に見える木の茂みの方を向いている。
「どうしたんだ、美耶子」
宮田が肩を叩くと、その肩が微かに震えた。
振り返った顔からは、一切の表情が失われている。
「ケルブ」
「え?」
美耶子は真っ直ぐ腕を伸ばし、茂みを指した。
「今あっちの方にね……ケルブが居たみたいなの。気配を感じた」
「何だと?」
宮田は深い緑の塊に眼を凝らす。
しかしよく判らなかった。位置が遠過ぎるのだ。
もっと近づいてみれば――足を踏み出しかけたところで、
自分のしようとしていることの馬鹿馬鹿しさに気付き、舌打ちをする。
「ケルブがこんな処にいるはずないじゃないか」
独りごちる言葉を吐くと、
「そうだよね……うん、そんなはずはない」
と、美耶子もぼんやり頷いた。
予約を取った民宿は、海水浴場から車で三十分ばかりの場所にあった。
貧相な松並木がしょぼしょぼと点在している海岸の、突き当たりに見える小さな岬。
そこにぽつんと建っている、黒い屋根瓦の二階建ての家がそうだ。
砂利敷きの駐車場に車を停め、蝉の死骸がそこら中に転がった緑の中の小道を通り、
開きっぱなしのガラス戸の玄関に立って声をかける。
「ゆうべお電話いただいた……ああ、はいはい」
出迎えた小さな老婆は、一般家庭のものより気持ち広い程度の土間の隅に据えられた、
受付というか、荷物置き場と化している棚の上から宿帳を取り、老眼鏡でそれを確認して、
幾度も頭を上下に振った。
「それではお部屋に案内しますんで……ああ、スリッパはそこ」
老婆は上がり框の横の靴箱を指してから、
板張り廊下のすぐ手前にある木の階段を、よたよたと上がって行く。
案内されたのは、八畳ほどの、角の二面に障子の張られた部屋だった。
障子の向こうは窓になっていて、松林に囲まれた小さな入り江を見下ろせる。
「ここにも海があるんだね」
恭也と並んで浜を見下ろした美耶子が言う。
「あそこも泳げる場所なのかな?」
「泳げないこともねえんだけど、岩がごろごろしてっから……。
近所の子供くらいだねえ、あすこで泳ぐのは」
美耶子の言葉に答えて老婆は言った。
「じゃあ、今からあそこで泳いでもいいの?」
美耶子は老婆を振り返った。宮田は呆れて口を挟む。
「美耶子お前……たった今泳いできたばかりじゃないか」
「でもちょっとしか泳いでないよ。私、もっと泳ぎたいもん」
美耶子が口を尖らせて言うのを見て、老婆はしゃがれた声で笑った。
「晩飯までに戻って来なさんなら、構わねえけど……。
だけんど、あんまり沖まで出ねえようにしてな。特にあの、洞窟んとこには近づかんように」
老婆は、入り江の先の向こう側を指さした。
夕日を浴びた黒い岸壁の下の方に、ひときわ黒く窪んでいる場所がある。
「あの洞窟は……あの世と繋がってる場所だからねえ」
「あの世と繋がってるって、どういう意味なんですか?」
老婆の言葉に、恭也は即座に食いついた。
オカルトマニアとしての好奇心にその眼が燃えている。
その勢いに怯むでもなく、老婆はのんびりと答えた。
「あすこに入るとねえ、神隠しに遭うんよ。消えちまうの。この世から。
危ねえから入っちゃ駄目だよ」
そう言って総入れ歯の口をにっと剥いて見せた後、よろりとお辞儀をして、
老婆は部屋を出た。
「神隠しの洞窟か……」
開け放した窓から半分海に沈んだ洞窟を見やり、物々しく恭也は呟いた。
「海水浴場は外したっぽかったけど、思わぬ処で思わぬ情報をゲットしたな。……よし」
恭也はリュックサックから、未だ湿っている水着と、デジカメ、懐中電灯を取り出す。
「おいまさか、今から入るつもりなのか?」
宮田は微かに顔をしかめる。
「やめとけよ。もう夕方なんだぞ。神隠しうんぬんはともかく、
中がどんな構造になっているかも判らない洞窟の探索を始める時間じゃない。
やるんなら、せめて明日にしておけ」
「そうだよ恭也。やめた方がいい」
美耶子も、恭也の腕を掴んで止めた。
「そんなことより、今は私のそばで一緒に泳いで。私独りじゃ無理だもん。お願い」
美耶子にお願いをされると、恭也は逆らえない。
部屋で水着に着替えた二人は、夕焼けで真っ赤に染まった小さな入り江に出る。
宮田も、彼らの後に付いて出た。部屋に一人で居たって仕方が無い。
入り江は、砂も乏しくごつごつと岩だらけで、
老婆の言うようにあまりいい浜ではなかったが、それでも美耶子は、楽しそうに海の水と戯れ、
明るい歓声を辺りに響かせて遊んだ。
恭也は、はしゃぎ廻る美耶子に辛抱強く付き従い、彼女の眼となり、時には手足ともなって、
我がまま王女の水遊びの手伝いをしている。
彼の態度からは、それを苦にしている雰囲気は全く感じられず、
むしろ、様々な新しい発見を珍しがっている美耶子の、驚きや感動に共感し、
一緒になって楽しんでいるようにさえ見えた。
宮田は海べりの黒い岩の上に腰かけて、
夕日に照り映え、水しぶきをまとって輝く美耶子の姿を眼で追った。
「お兄ちゃーん」
やがて、熟しきった夕日が海の向こうにある山の稜線に触れて、その形を失い始めた頃。
ようやく気が済んだのか、美耶子は宮田のもとに戻って来た。
恭也は海の中に腰まで入り、例の洞窟を遠巻きに写真撮影しているようだ。
「夕日の洞窟を撮っておくんだって」
岩に上がり、潮水をしたたらせる躰を宮田の隣に寄せて、美耶子は言う。
「好きだなあ、あいつも」
真っ赤な光の中、黒ずんだ影法師と化した恭也の上半身に視線を投げかけ、
宮田は片方の頬を上げた。
夕日の入り江は、穏やかな倦怠感を湛えて一日の終わりを迎えようとしていた。
波の音。周囲の林から聞こえてくるひぐらしの声。
夕飯を煮炊きする匂いが、どこか懐かしい記憶を呼び起こすように、切なく胸に迫る。
「お兄ちゃん……今日はありがとうね。海まで連れて来てくれて」
美耶子は濡れた髪を向こうに掻き上げ、宮田の肩に頭を乗せる。
「――ねえお兄ちゃん。お兄ちゃんだけに教えてあげる。
まだ恭也にも話してない、私の本当のこと」
「何だよ」
「あのね、私の眼――恭也だけが見えるの」
遠く海面に眼を向けて、美耶子は言った。
「今までもね、草や木は見えてた。ケルブみたいな猫とか、動物なんかも。
だけど……人で、あんなにはっきり見えたのは、恭也が初めてだった」
海から、ひときわ強い風が吹き上がって、美耶子の髪をなびかせた。
「でもね、見えているって言っても多分、お兄ちゃん達が見てるようなのとは違うんだ。
光が……躰の輪郭に沿って出ている光が見えてるの。
それはね、生き物ならみんなが出してるものだから、
集中すればお兄ちゃんのだってちゃんと見えるんだよ? だけど……」
「恭也のは、集中するまでもなくよく見えている……か?」
「そう! 本当に、全然違うんだ。あの日――初めて恭也を見た時、本当にびっくりした。
見たことなかったから。人なのに……あんなに強くて……あんなに綺麗な光」
宮田は、何も言わずに、美耶子の告白に耳を傾けていた。
(俺の光はどう見えるんだ?)
そんな疑問が心をかすめたが、そんなものは、聞くだけ野暮なものだと思った。
やはり彼と美耶子は、確かな運命によって結び付けられた者同士だった。
恭也と邂逅したあの日、宮田が立ち並ぶ二人の姿に対して抱いた印象は、
それを示したものだったのだ。
ぼんやりと、心を躰から乖離させた宮田の視界で、恭也の影法師が真っ直ぐ横に腕を伸ばし、
何かを指した。
美耶子は、彼に向かって何かを言いながら岩を降り、浅瀬の中を歩いてゆく。
宮田は、恭也と同じ影法師に変わってゆく美耶子を、美耶子の残した水溜りと共に見送る。
民宿の軒下にある外灯が、思い出したように小さく点り、視界の端で白く瞬いた。
茜色の空がすみれ色に変わり、群青色の星空と成り果ててしまうのに、
そう時間はかからなかった。
「今夜の客はあんたらだけだから、サービスしといたよ」
そう言う老婆と、この家の嫁と思しき痩せた中年女が部屋まで運んで来た夕飯の、
予想以上の量の多さに驚きながらも、三人で黙々とそれを平らげてしまうと、
入り江の見える部屋にはすっかり、夜の帳が下りていた。
「風呂は時間で別れてますんで。九時までが男風呂で、九時から十一時半までが女風呂です」
夕飯の後、食器を片しに来た中年女が、無表情にそう告げる。
「お兄ちゃん……」
美耶子が傍らで腕を突付いた。
先頃、アパートでは独りの入浴を覚えた美耶子だったが、勝手の判らないこの場所で、
それを行うのは無理がある。
宮田は、中年女にそのことを話した。
美耶子と一緒に風呂に入らねばならぬこと――美耶子の眼が不自由で、
入浴に介助が必要であることを説明する。
中年女はぽかんとして聞いていたが、神妙な顔をして首を傾げた後、
「今夜はお客さん達だけですから大丈夫ですけど。
一応お入りになる時、暖簾を降ろしといて下さいね」
と、それだけを言って、食器を乗せた盆を運んで行った。
部屋に残された三人の間に、僅かばかりの沈黙が流れた。
「あの……」
真っ先に沈黙を破ったのは、恭也だった。
「お風呂、お先にどうぞ」
「いや、君が先に行けよ。こっちは多分、時間がかかるから」
宮田の台詞をどう受け止めたのか、恭也は少し顔を赤らめそっぽを向く。
「みんなで入ったらいいじゃないの」
美耶子が、何の躊躇もなくそう言った。
「さっき水着を絞りに行った時、お風呂場がちょっと見えたけど結構広そうだったよ。
あれだったら三人でも入れるはず」
美耶子は座布団から立ち上がった。
「み、みんな一緒にって、でも……」
「駄目なことないでしょ。もうみんな、何度も裸を見せ合ったんだから」
それを聞いた宮田は、声を上げて朗らかに笑った。
「美耶子の言う通りだ……今さら体面を取り繕ったって、意味はないってことだな。
じゃあ行こうか」
宮田はスポーツバッグからタオルや着替えを入れた袋を取り出す。
「どうした? 君も早く仕度しろ」
「いや、やっぱ俺……後でいいっす!
あの洞窟のこととか、民宿の人達にもっと訊いてみたいし……。
俺のことは気にしないで、お二人でお先にどうぞ」
恭也は、逃げるようにして襖向こうの廊下へ行き、階段を下りてしまった。
「お兄ちゃん。何で恭也はあんなに恥ずかしがるんだろう?」
「さあなあ……そういう性格なんだろう。
まあいいさ。とりあえず、俺達だけで風呂を済ませちまおう」
風呂場は、階段を下りて、そこから折り返した廊下を真っ直ぐ歩いた突き当たりにあった。
紺地に「男湯」と、白く染め抜かれた暖簾を言われた通りに外し、
磨りガラスの引き戸を開けると、温かな湯の香りが、ふわりと漂って躰を包んだ。
板張りの脱衣所で服を脱ぎ、中に入る。
家族風呂を少し大きくしたぐらいの風呂場は、
洗い場も、掘り下げた形の浴槽も、石を模した黒っぽいタイルに覆われている。
カランは四つ、二つずつが壁に面してついており、それぞれの蛇口の上には、
横に長い鏡が張ってあった。
「ここ、お屋敷のお風呂に少し似てる」
宮田の腕に寄り添って、裸の美耶子は言った。
「お屋敷……神代の家のことか」
美耶子は頷く。
「あそこのお風呂の方が、もうちょっと広かったけど……でも、何となく似てるよ。
浴槽の縁が低いとことか」
「風呂の形状なんて、それほど種類のあるもんじゃあないからな……。
さあ美耶子、こっちへおいで」
宮田は美耶子の手を取り、鏡の前、カランの上の出っぱった部分に座らせた。
「……少し日に焼けたな」
美耶子の顔も躰も、昼間に浴びた日光に火照って赤味を帯びている。
夏の熱気を吸収し、艶々と輝いている手脚の中心で、
水着に隠されていた胴の部分だけが蒼白さを残し、妙な生々しさを発散していた。
宮田は、美耶子の前にひざまずき、肩に残っている水着の線を辿って、
冷たくふやけた感じのする乳房を、手の平で包んだ。
「また少し大きくなった」
張りつめて上向いた乳房を、ゆっくりと撫で廻す。
「こんな処で……悪戯しないで」
美耶子は、長いまつげを揺らめかせながら言うが、それでいて、
自ら進んで宮田の手の動きを止めようとはしない。
それをいいことに、宮田は美耶子の乳房を両手で掴み、
海の匂いがする胸元に顔を埋めてしまった。
「ああ、お兄ちゃんってば」
乳房の谷に触れる宮田の唇は、そのままなめらかな肌を滑り落ち、
下腹部を通って黒い茂みにまで届く。
そこには、ひときわ強く海の匂いが留まっているようだった。
「そういえば……こうしてお前と風呂に入るのも、随分久しぶりのことだ。
独りで入るようになっちまったからな、お前。
どうだ? ちゃんと独りで洗えているのか?」
宮田は美耶子の太腿に手を置き、ぐっと左右に押し広げた。
一日を海で過ごした美耶子の性器は、そこはそれほど焼けてはいない内腿の中心で、
ちんまりと唇を閉ざして沈黙している。
二本の指を使って開いてみても、
薄い桃色の膣口は、ぽつんと小さな窪みを見せているだけだし、陰唇に埋もれた陰核は、
その所在さえも判然としない。
宮田は、包皮の上から陰核をくりくりと扱き、針の穴のような膣口を、
もう一方の手の親指で揉みほぐした。
美耶子は「はあ……」と心地好さげにため息をつくと、少し腰を前にずらし、
宮田が弄りやすいように性器を突き出す。
やがて、しこり出した陰核が、包皮から珊瑚色の顔を覗かせるのと同時に、
揉まれて柔らかくほぐれた膣口から粘液が溢れ出して、
宮田の親指をぐいぐいと飲み込む蠢きを始めた。
宮田は中指で美耶子の汁をすくうと、それを陰核に塗りつけ、
すりすりと裏側から撫で上げたり、てっぺんに細かい震動を与えたりして刺激する。
「あ……ふ……くうっ」
「だいぶん勃起してきたな」
美耶子の陰核が、硬く尖って指先を押し返すようになった処で、宮田は手を止めた。
ぴくぴくとわななき、包皮からずる剥けになった陰核の根元を、
最大限まで引っ張って見つめる。
「やっぱり……ここに滓が堪ってる」
宮田は、陰核の左の根元を指で触れた。
「嘘っ」
「嘘じゃない。視てみろ、ほら」
宮田は美耶子の股間に眼を近づける。
宮田の言うことは、正しかった。
陰核包皮の左の根元には、白い塊が小さく挟まっているのが、はっきりと見えていた。
「そんなあ。毎日皮を剥いて、ちゃんと洗ってたのに!」
美耶子は頬を赤らめ、困惑した声で叫んだ。
「お前の性器は、どうしてもここに滓が堪りやすい構造になってるみたいだな。
昔っからそうだった……そう。俺が初めてお前の健診をした時にも、確かこうなっていた」
宮田は、その時のことを懐かしく思い返していた。
忌まわしきかの村の、忌諱の中心地であった美耶子の生家・神代家。
こけおどし的に豪奢な造りであるにも関わらず、どこかうら寂しく、
薄ら寒い印象を抱かせるあの屋敷で、初めて宮田は、医師として美耶子に接した。
少年の頃より、その存在だけは知っていたし、遠くから姿を見る機会も幾度かはあったが、
至近で対面したのは、あの時が最初であっただろう。
日本人形のように髪の長い、虚ろな眼をした美少女。
己の運命に絶望し、この世の孤独と悲しみを一身に背負って心を閉ざしていた美耶子は――
陰核包皮から溢れ出さんばかりに、恥垢を溜めていたものだった。
「なあにお兄ちゃん? 何で笑ってるの?」
美耶子がむっと頬を膨らませている。
宮田は、笑い声を噛み殺しながら首を左右に振った。
そう、あの時にも宮田は笑ったのだ。
戦慄を覚えるほどに美しい少女だった美耶子を、裸に剥いて股座を覗き込んだ時、
その美しさにそぐわない、あまりに酷い性器の汚れように、
宮田は、腹を抱えてげらげらと笑い出してしまったのだった。
宮田の態度に立腹し、泣きべそを掻いて喚き散らしていた美耶子の幼い顔を、
今でもはっきりと覚えている。
「美耶子――お前は大人になったよ。
村に居た時から比べると、本当に大人になって、綺麗になった」
「そんなお世辞言って。何かいけないことでも企んでるの?」
「お世辞なんかじゃないさ。
神代の屋敷で初めてお前と対面した時には、ほんの子供にしか見えなかったのに。
今ではこんな……少なくとも躰だけは大人になったし、女になった」
「当たり前じゃない。もう一年以上経ってるんだよ? あれから」
「ああ、そうだよな……」
あれから一年。
たったの一年で、こんなにも美耶子は成長した。
そして、これからも成長していくだろう。
その代わり、自分はどんどん年老いてゆく。
老いて力を失ってゆく自分を取り残し、美耶子は、美耶子の女としての性は、
眩いばかりの大輪の花を咲き誇らせるに違いない。
宮田は確信していた。
今後、長い年月を生きていくさなかに、いずれ美耶子は自分を捨てる。
今の彼女がいくら否定しようとも、それは未だ、庇護者の存在なしには生きられない彼女の、
幼く頼りない心がそう言わせているだけのことだ。
弱りゆく男を捨てて、美耶子は選ぶのだ。彼女と同等の、若さに満ち溢れた新しい男を。
他者の視界に頼ることなく、初めてその眼でじかに見ることのできた、
暖かい光輝に包まれているという、あの少年を。
「美耶子」
宮田は美耶子の名を呼び、美耶子の悦びの源泉に唇を押し当てた。
火のように紅い陰核に、吸いついて、吸いついて――。
「ああっ、お、お兄ちゃ……!」
いきなり激しく吸い上げられた美耶子は、苦痛じみた快感を陰核の芯に受けて、
ぐっと腰を反らせた。
「――汚れを取らなきゃならんからな」
言い訳するように宮田は言い、唾液を絡ませた舌を伸ばすと、
陰核の根元をべちゃべちゃと舐め廻した。
「あう……や、そ、そんなの……っ」
通常であれば、こういう汚れを落すにはシャワーの強い水圧を当てるものなのだが、
この民宿の風呂にはシャワーが無かった。
だから、舌で無理やりこそげ落すしかない。
強く強く。陰核の根元をえぐるように舌で突き廻しながら、すくい上げるように弾く。
熾烈なまでに責め立てられて、美耶子の顔は悦楽に歪む。
しかし今、宮田が舌で小突いている場所は、
美耶子本来の泣き処である陰核の裏側からは場所がずれているため、
決定的な刺激ではないのがもどかしく、美耶子は、靴の上から足を掻いているような、そんな、
焦れるような快感に苦しめられる。
「ああん……もっと……もっとぉ」
激しくも見当外れの責めに耐えかねた美耶子は、自ら股を大きく広げ、
陰核の真下にある尿道口の辺りをしきりにひくつかせて、淫らな責めのとどめを乞うた。
それでも宮田は無言のまま――口が塞がっているのだから仕方がないのだが――
とにかく、何も返事をせずに陰核の根元を舌先で弾き続ける。
そうして、どれくらいの時間が過ぎたのだろうか?
「――取れたぞ」
舌の先でこそげ取った白い滓を、人さし指の先に乗せて宮田は言った。
眼の前にそれを掲げて幻視を促すも、美耶子はぐったりと大股を広げたまま、
尋常ならざるほどに大きく膨れ上がった陰核を丸出しにして、
狂おしく肩で息をし続けるだけだった。
「お……兄……ちゃん」
やがて美耶子は、情欲に酩酊しきった声音で宮田を呼ぶと、
ふらりと危なっかしく腰を上げる。
尻の下まで垂れていた発情液が、いやらしくタイルに糸を引く。
今にも転んでしまいそうな美耶子の躰を、すんでの処で宮田は抱きとめた。
その勢いのまま美耶子は、濡れたタイルの床に宮田を押し倒し、
狙いたがわず唇に吸いついた。
たった今まで己の汚猥を掻き混ぜていた舌に、ためらうことなく舌を絡めて、
ぬるぬると扱いた。
塩辛い陰部の味とは一転し、少女の甘い唾液を送り込まれた宮田の舌が、痺れて蕩ける。
背中の下の硬い感触。胸板の上で、充実した乳房の重みが心地好かった。
「して……今すぐにして、お兄ちゃん……お願い」
唇を外さずに、美耶子は囁いた。
吐息が熱を帯びている。
さらに熱を帯びた股間が、無意識的に動いて宮田の強張ったものをぐりぐりと挑発していた。
宮田はふっと笑いを漏らすと、素早く起き上がって美耶子と躰を入れ違えた。
「姦ってやるのは構わんがな。あまり大声を出すんじゃないぞ?
さっきの婆さんなんかにばれて、心臓発作でも起こされたらかなわん」
言いながら、陰核の裏つらを指でこちょこちょくすぐった。
それだけで美耶子は、うっとりと首を反らせて喘いでしまう。
べたべたに濡れきった膣口も。欲しがって、泡立った汁にまみれながら、
ぱくぱくと穴を収縮させていた。
すでに出来上がった状態である美耶子の肉の穴は、しなやかに勃起した陰茎を、
瞬く間に飲み込んでしまう。
しこしこと濡れた熱い肉襞に胴締めをされた陰茎は武者震いをし、
すぐさま、張り出したカリ首でもって粘つく孔内を攪拌し始めた。
「ああん、あ、あっ、あっ、あ……」
美耶子の紅い唇から、牝の声が漏れる。
短い動きでぐいぐいと。微妙な捻りを加えながら、ずずっと奥まで。
硬いタイルの床に肘と膝をついた宮田は、突いたり、しゃくり上げたり、
膣穴上部のしこりをぶるぶると震わしたりと、変幻自在の動きで若い膣を翻弄する。
それは、宮田が知りうる限りの技術を総動員した、快楽の動きであった。
淫魔そのものと化したかのようなその腰の使いようは、
宮田をして、最後の悪あがきにも似たものであっただろうか。
――まだだ。まだ俺は、美耶子を……。
「やはあっ! や……おに、お兄ちゃ……凄……」
タイルに押し付けられ、激しく揺さぶられる美耶子は、宮田の動きを受け入れて、
懸命になって腰を突き上げる。
両腕を床につき、限界を越えるほどに尻を持ち上げ、弓なりに躰を反らせて、
宮田の下腹部に恥骨をすり合わせる。
宮田は、美耶子の腰のくびれを、両腕で抱きかかえた。
ぐっと引き寄せた美耶子の躰は、すでにオルガスムスの兆しを見せている。
しっとりと汗ばみ、硬く張りつめた二つの乳房は、風船のように膨れ上がっているし、
反対方向に折り曲げられた膣穴は、ぎりぎりと狭くなって、脈打つ陰茎を喰い締めている。
それでいて、濡れたくさむらに覆われた穴の周りのびらびらは、
たぐまったり伸び広がったりしながら、柔らかくぬめって陰茎の根元を優しく舐り、
ぐじゅぐじゅと恍惚の汁をまき散らしながら、甘ったるさに酸味の混じった、
淫らがましい匂いを強く濃く立ち上らせた。
そして、宮田の腕が、乱れて絡まった黒髪ごと美耶子の背中を抱き締めた時、
美耶子の灼熱の膣も、ついに快楽の限界に達した。
「あああっ」
宮田の腕の中、自分で自分を支えることさえできなくなった美耶子は、
抱き締める腕の中に完全にその身を預け、白い尻を中心に、ぶるんぶるんと全身を律動させる。
むらむらと盛り上がって波状に蠢く膣の肉は、陰茎を吸い上げて奥深い子宮の中に取り込み、
こりこりとした入口で吸い付いて、咀嚼しようとしていた。
美耶子の女の器官に亀頭を、尿道口をねっとり喰いつかれた宮田は、
陰茎の芯を揺るがし、滾りに滾った欲望の昂ぶりを、一挙に放出した。
どばっと噴き出したそれは、美耶子の子宮頚管に打ち当たり、
じわりと跳ね返って狭い粘膜の中を循環し、膣の入口からどぼどぼと溢れ出る。
それさえ逃すまいと、収縮を続ける美耶子の膣孔の痙攣はきりもなく続き、
至上の快楽を味わう二人の性器を嬲って、蕩かせて、いつまでもいつまでも離さなかった。
強烈な快楽を共有し終わった二人は、だるい躰を起こして躰を洗う作業にかかった。
といっても、実際に作業をするのは宮田一人だ。
「お兄ちゃんに頭を洗って貰うの、久しぶりだね」
美耶子の長い髪を、シャワーの無い風呂場で洗うのは一苦労だった。
しかし美耶子は、洗面器に湯を溜めては泡立った頭にかけるという、
宮田の労働を手伝うでもなく、ただ、頭を反らせて眼を閉ざしているだけだ。
「全く……こんな苦労をさせられるんだったら、お前なんか、
さっさと恭也にくれてやった方がいいかもな」
「駄目ですよーだ。私はこれからも、ずっとずっとお兄ちゃんと一緒だもん」
湯船の中で、美耶子は宮田にしなだれかかって甘え声を出す。
確かに彼女は今、本心からこの言葉を言っているのには違いあるまい。
けれどそれは――あと何年続くものなのだろう?
苦み走った笑みを浮かべ、宮田は美耶子の肩に湯をかけた。
日に焼けた肌にさら湯が沁みて、美耶子は少し眉をしかめた。
「やっぱあの洞窟は当たりっぽいです。お二人が風呂の間に、色々判りましたよ」
たっぷりと時間をかけた宮田と美耶子の入浴の後で、
例によって、瞬く間に入浴を終えた恭也は、濡れた頭にタオルを載せて語り出した。
宮田達が不在の間、恭也は、民宿の老婆やその孫らしき子供達を中心に、
訊き込みを行っていたのだ。
それによると――あの洞窟は数十年前まで、近くの神社の奥宮だったのだそうだ。
神社はとうの昔に廃れて無くなってしまったのだが、あの洞窟に入った中の方には、
今でも鳥居が残されているのだという。
「何でもですねえ、この辺りの集落では昔、秘密の儀式が行われてたとかで……。
洞窟の神社は、その儀式をするのに使われてた場所らしいんです」
儀式の内容は、老婆の口からも訊くことはできなかった。
老婆がこの家に嫁に来た頃には、神社も儀式もすでに絶えていたのだ。
「あすこはあの世と近えから、あの世との境目を開いて、
あの世に逝っちまった人達をお出迎えすんのに、ちょうどいい場所だったんだと思うよ。
まあ、この辺流のお盆の迎え方だったってえことだね」
老婆は、恭也にそう語ったそうだ。
「それで、ちょうどその場に民宿の子が居たんで、話を訊いてみたんです。
洞窟に入って見たことがあるかって。そしたら、あるって」
老婆の前では白を切っていた子供達も、場所を変えて問い詰めると、
案外あっさりと白状した。
当然といえば、当然のことだ。
あんなおあつらえ向きの遊び場を見逃す子供など、この世に存在するはずがないのだ。
あの洞窟は、この界隈の子供達に取って、もっともポピュラーな肝試しの場所として、
不動の地位に君臨していた。
ただその肝試し場所も、近い将来、無くなってしまうことになりそうだとのことだった。
「あの洞窟のある断崖が、崩されちゃうみたいなんですよ。
もう、今年中には工事が始まるらしくて。だから調査するのは、今しかないんです。
いやあ……今夜ここに来られたのって、本当に運が良かったですよ」
開け放した窓から、海の向こうで黒く沈む洞窟を見やり、感慨深げに恭也は言った。
「恭也。あそこに行くの?」
洗い髪を扇風機の風に当てながら、心配そうに美耶子は尋ねる。恭也が振り返った。
「美耶子は、あそこから何かを感じる?」
美耶子は座布団から腰を上げ、恭也と並んで窓辺に立った。
「――あの世かどうかは判らないけど……確かにあそこは、どこか遠い処と繋がってると思う。
それも、何だか……」
女舎監のような厳しい顔つきをして、美耶子は言いよどむ。
「美耶子がそう言うってことは、やっぱあそこは本物なんだな。廃病院でもそうだったし。
美耶子が、『ここは駄目』っつって逃げ出した場所をデジカメで撮ったら、
妖しい光の玉とかがわんさか写ったもんな。ようし……テンション上がって来たー!」
恭也は元気よく拳を上に掲げた。
美耶子は、呆れた風に彼から眼を背け、宮田の方を向く。
宮田は卓袱台に頬杖をつき、
売店で買い求めた袋詰めのナッツでビールをちびちびやりながら、
眠たそうな顔で彼らの話に耳を傾けていた。
「どっちにしても、全部明日にするんだな。今日はもう遅いし、外にはやぶ蚊がいっぱいだ」
コップに残ったビールを飲み干し、宮田は大きく欠伸をした。
「悪いけど、俺は先に寝るぞ。ゆうべは全然眠れなかったからな……。
さすがにそろそろ、限界だ」
宮田は卓袱台を端に寄せて布団を敷いた。
「私ももう寝るよ。なんだか疲れちゃった」
美耶子も寝てしまうのなら、恭也も独りで起きていたってしょうがない訳である。
一同は美耶子を中心に、川の字になって床に着いた。
「いっちゃだめ――」
闇の中の囁き声を聞いて、眼を覚ました。
どれくらい眠っていたのだろう?
明かりを消して布団で横になった途端、泥濘に飲まれるように、宮田は眠りに落ちていた。
頭の中で大きな割合を占めている諸々の気掛かりも、
ずっしりと重たい疲労がかき消してくれていたので、眠りの妨げにはならなかった。
最も深い場所にまで行きついていたはずの、安らかな眠りが途絶えた原因は何なのか――?
その答えは明らかであった。
宮田の左隣にある美耶子の布団が空になっている。
彼女は、向こう側にある恭也の布団の上に居た。
藍色の闇の中、長い黒髪に覆い尽くされた美耶子の背中が、
恭也の上で妖しい動きをしているのが、ぼんやりと見えている。
二人共、裸だった。
美耶子の布団の上では、彼女の脱ぎ捨てた水色のロングTシャツと、
淡いピンクのパンティーが、ちんまりと小山をかたどっている。
その小山の向こう側で、美耶子は恭也に圧し掛かり、顔を寄せて、
濃密な接吻をしているようだ。
宮田は息を殺し、薄眼を開けて彼らの様子を盗み見る。
彼らは薄い掛け布団を足元の方に撥ね退け、抱擁と接吻とに夢中になっているように見える。
不意に、恭也が美耶子の唇から逃げるように首を横に振った。
彼の顔がこちらを向いたので、一瞬宮田は緊張したが、どうやら彼は、
硬く眼を閉じていて宮田の視線に気付いていない。
逃げた恭也の首筋に、美耶子はそっと唇を押し当てる。
恭也は、美耶子の唇が膚の上を這い廻る度に、胸板に載った手の指で乳首を弄くられる度に、
悲壮なまでの激しい息を吐き、苦悶の表情で歯を食いしばって、
漏れそうになる喘ぎ声を堪えているのだった。
「静かにして。お兄ちゃんが起きちゃうでしょ」
はあはあと荒い呼吸を繰り返す恭也に、美耶子はそっと耳打ちをしている。
その囁きのさなか、美耶子のうつ伏せの尻は、くいくいと上下動をしていた。
それを見て、宮田は初めて気がついた。彼らがすでに、性器と性器を結合させていることを。
「美耶子……ちょっと待ってって! でないと俺……もう」
「こんなくらいで? お兄ちゃんなら、この倍以上はがんばるよ?
ねえ、お願いだから、あとほんのちょっとだけでも我慢して。
もうちょっと……私が、ちゃんといくまで」
美耶子は、恭也の肩の上に顔を伏せた。
天井を向いた美耶子の尻が、くるくると回転を交えつつ、
いやらしくも本格的な上下動を始めると、恭也は真っ直ぐ伸ばしていた膝を立て、
美耶子の背中に腕を廻し、美耶子の動きに控え目に呼応する動作を返した。
切迫した射精感を堪えながらの、怖々とした腰の動き。
しかしながら、そんな大人しい交接が、いつまでも続くはずはない。
宮田がそう考える間もなく、畳を伝わる微震動は、徐々に大きな激震へと変わっていた。
複雑な蠢きをしながら絡み合う二つの黒い塊が、狂ったような息ざしを交えながら、
どすんどすんと暴れ廻っているその様は、何か奇妙な化け物が、
苦しみの中で死に絶えようとしている姿にも見える。
それは卑猥さよりも、なぜだか必死の哀れさを感じさせた。
しかし宮田は思うのだ。
哀れなのは、こんなにもがむしゃらに、無心に性交に耽っている彼らではなく、
それを傍観して陰茎を熱くしている、自分の方であると。
もやもやとした嫉妬と情欲の炎が腰の奥で燃え立っているのに、
目覚めきらない躰はぴくりとも動かせず、どうしようもないまま、
ただ見守っている宮田の前で、彼らの営みは、あっという間に頂点を迎える。
部屋を湛える暗闇の底で、「ううっ」と断末魔の呻きが上がり、恭也の頭が枕を越えて、
畳の上に反り返り、全身の動きを止めて硬直する。
彼の上にしっかとしがみついて離れない美耶子は、射精をしているのであろう恭也の陰茎で、さらに膣を摩擦し続けていたようだが、その内になんとか埒が明いたようで、
「く、く、く……」と引き攣れた声を漏らしながら、びくびくと背中や尻をわななかせ、
病的な動きで痙攣をして、オルガスムスの発作を表した。
後はただ、嵐の後の息遣いのみ。
性的快楽の余韻の中、死に絶えたように躰を重ね合うばかりだ。
宮田は、寝返りを打つ振りをして彼らに背を向けて、眼を閉じた。
悄然と暗い心のまま、膨らみかけた陰茎を手で玩んでみるも、やはり疲れが酷いのか、
睡眠欲の方が勝ってしまい、中途半端な性欲興奮を腰の内部でくすぶらせたまま、
再び、眠りの中に意識を沈み込ませてしまった――。
二度目の覚醒は、無理やりもたらされたものだった。
「宮田さん――宮田さん!」
恭也に肩を揺す振られて眼を覚ますと、未だ辺りは暗かった。
眠りしなより湿度が上がっているようで、むしむしとした夜気が膚にまつわりついて、
気持ちが悪い。
しきりに揺り起こそうとする恭也の手をうるさく感じながら、しぶしぶ躰を起こすと、
またしても美耶子の布団が空だった。
「大変です! 美耶子が……美耶子が居ないんです!」
恭也がそれに気付いたのは、つい先ほどのことだという。
ふと眼を覚ましてみると、美耶子の姿が消えていた。
独りで便所にでも行ったかと見に行ったがそこにもおらず、
他に、民宿内のめぼしい場所も見て廻ったのだが、一向にその姿が見当たらないのだという。
「確かに全部見たんだな?」
「見ました。だけど全然……」
「外もか」
「い、いや、外はまだ」
宮田は、舌打ちをして部屋を飛び出した。
玄関に向かって靴箱を調べてみると、美耶子の靴はそのまま残されていた。
けれど、そんなことにはあまり意味は無いだろう。
スリッパのまま表に出た可能性だってあるのだから。
宮田は、開きっぱなしのガラス戸の外に出て、美耶子の名を叫んだ。
宮田を追って、恭也も外に出る。
「あの、民宿の人にも捜して貰った方がいいですかね?」
「そうだな……いや、まずはこっちの方を捜してからにしよう」
宮田は、民宿の真横に広がる入り江の方を指した。
深夜の入り江は、たった一つの外灯に照らされ、ひっそりと波の音だけを響かせていた。
宵の口に見えていた満天の星は、夜半に現れたと思しき分厚い雲に隠されてしまい、
周囲には、何とも言えぬ陰鬱な空気が立ち込めている。
「ひと雨来そうな空気だな……」
そう言うなり、頬をぬるい水滴がかすめた。すでにぽつぽつと降り始めている。
宮田が空を見上げた時、恭也が後ろではっと息を飲んだ。
「どうした?」
「いえ、もしかしたら美耶子……あの洞窟に行ったんじゃないかな……って」
恭也は、入り江の右側の先にある洞窟を指さして言った。
「そんな馬鹿な……何で美耶子があんな場所に行く必要がある?
だいたい、眼の見えない美耶子がどうやってあそこまで泳いで行けるというんだ?」
「いや、泳ぐ必要はないはずなんです。
あの洞窟、夜中になると潮が引いて歩いて行けるようになるんだって、
民宿の子が言ってましたから」
宮田は、漆黒の海の向こう側に眼を凝らしてみた。
なるほど言われてみれば、入り江のそこかしこの海面には、
夕方には見えなかった数多くの岩礁が顔を出しているのが見える。
波打ち際も随分と遠くなっているし、断崖の下には、細く頼りない地面らしきものが、
微かに見て取れるのだった。
「それに……寝る前に美耶子、俺に言ってたんです。
あの洞窟から……誰かに呼ばれてる気がする……って」
美耶子は、夕方にあの洞窟を見た時から、何かを感じ取っていたらしい。
宮田が寝入った後、恭也がこっそりと部屋を抜け出して洞窟を見に行こうとしていた時、
美耶子は、そのことを恭也に告げた。
そして彼女は言ったのだ。
「あの場所に呼ばれてるのは、私一人。だけど私はあそこに行く気は無い。
怖いの。あそこは良くない場所。恭也だって行かない方がいい」
それから美耶子は、着ているものを脱いで恭也にすがり付いた。
あのまぐわいは――洞窟へ行こうとする恭也を、引き留めるためのものだったのだ。
「しかし、それだったらなおのこと。
美耶子があそこに行ってるはずなんか、無いんじゃないのか?
そんなに怖がって、お前が行ことするのさえ、
躰を使ってまで引き留めようとするほどに忌み嫌っている場所に、
なんで独りでこっそり出向いたりすると思うんだ?」
「それは……」
恭也が何かを言いかけた、その時だった。
周囲に、不吉な怪音が鳴り響いた。
高く。低く。波打ち、耳の奥底にまで、渦を巻くようにして入り込んでくるその音は、
怖ろしげな獣の鳴き声のようでもあり、また、奇妙なサイレンの響きのようでもあった。
同時に起こる、大きな地震。
頭蓋骨の中で、脳髄を揺さぶられるかのように。
不可解な感覚に囚われ、宮田も恭也も、その意識を奪われそうになる。
宮田は、そばにある岩にすがり付いて、激しいめまいに耐えた。
「……くそ!」
暫しのち、不気味な揺れがようやく収まり、周囲にとりあえずの静けさが戻った。
「……大丈夫か恭也君?」
「はい……」
宮田の後ろ、恭也は、砂の上に這いつくばって地震に耐えていた。
「しかし……酷い揺れだったな……これは津波が心配だ」
宮田は海の方に眼を向け――そのまま、凍りついた。
「どうしたんですか、宮田さ……」
起き上がり、躰から砂を払った恭也も、海を見て言葉を失う。
闇の空の下、広がる海の色は、一面の赤に染まっていた。
見間違いかと思い、幾度も眼を擦って確かめた。
だがそれは、見間違いなどではなかった。
それは血の色だった。それは傷の色だった。
海の水は、見渡す限りの毒々しい赤色の水溜りに変じていた。
「これは……いったい」
本格的に降り始めた雨の中、宮田は呆然となって赤い海を見つめる。
降りしきる雨の雫はなぜか生臭く、
心なしか、これも普通より赤い色をしているように思えるのだった。
「う……うわ……!」
恐慌をきたした恭也が、海から後ずさってどこぞへ逃げ出そうとしているようだったが、
それを留める余裕など、今の宮田には無い。
背後で、恭也のあわただしい足音が響く。
ところが、恭也はすぐに宮田のもとへ戻って来た。
強く腕を掴まれ、宮田は振り返る。
恭也が後方を指さした。
常夜灯に照らされた民宿の玄関から、小さな人影がこちらに向かって歩いて来る。
それは民宿の老婆だった。
よろよろと覚束ない足取り。
ぎくぎくと不自然な動き。
言いようの無い違和感が、その全身に満ち溢れている。
宮田と恭也は、老婆の手元を見つめた。
小さく萎れた彼女の手には――
大きく湾曲した刃を持つ草刈り鎌が、しっかりと握られていたのだ――。
【Continue to NEXT LOOP…】
*このエロパロSSはフィクションであり、
実在のゲーム・キャラクター・団体・事件及び地域などとは一切関係ありません。
リアルタイムで読んだ。
気になる。次で終わりか。なんだか早いな。
頑張れ
やっぱサイレンだ。
ただ平和なだけのエンドにはならないんだろう。
宮田のみやこへの、愛のような違うような感情が切ない。
どんなラストになるか全く予想出来ないけど、楽しみに待ってます。
ついに…と感じる展開だ…
ラスト楽しみにしてます!頑張ってください!
349 :
名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 19:15:53 ID:K3ptdyZa
あげ
自分の同人誌かホムペでやれよこんなの
ミヤコ=自分乙
↑まあそう言わずに
あくまで「エロパロ」なんだから
>>350
長編乙でした!
美耶子がえろくて可愛かった!
>>350 大作乙!
最後の最後まで展開読めなくてハラハラした
354 :
名無しさん@ピンキー:2009/09/03(木) 07:10:57 ID:Q87HXhbs
乙!
サイレンな展開にグッと来た。
牧野涙目(笑)
お疲れ様でした。宮田ってゲームではサイボーグみたいだけど、SSにすると人間臭さが新鮮ですごく良いね。
関係ないけど無印で宮田と戦うシナリオあったら楽しそうだ。
357 :
沖田×市子0:2009/09/06(日) 19:14:36 ID:W9jhOLu6
>>200です
闇人沖田×市子ss投下します
拙い出来ですがもしよろしければ見てやってください
(・∀・)wktk
359 :
沖田×市子1:2009/09/06(日) 19:19:40 ID:W9jhOLu6
夜見島小中学校の大道具倉庫の裏側に矢倉市子は隠れていた。いや、隠れていたというよりは、どうしていいか分からずに途方に暮れていたというほうが正しい。
釘をまきあの邪魔な軽トラックをパンクさせるところまでは何とかなった、がそのトラックが思いもよらぬ場所に突っ込んだおかげで新たな敵が出現してしまったのだ。
黒い装束を巻いたよく分からない物体が壊れた裏門からわらわらと沸いてきて、屍人と戦い始めたのである、その隙に脱出しようと市子は裏門へ向かったが、
如何せん敵の数が多い、抜けようにも何度も通せんぼされては体当たりを受けた。
このままでは明るく安全な場所に避難するまでに力尽きてしまうと考え、大道具倉庫へと逃げてきた。幸いなことにあの黒装束の物体は、
扉を開けられないようでこの小運動場には侵入できないようだし、
屍人も黒装束に夢中になっていて市子がいるということは、気づいていなさそうだ。
そんなこんなで市子は大道具倉庫の裏で途方に暮れていた。
隠れながら市子は様々な事を考えていた。
「(これからどうしよ・・・ずっとここにいるわけにもいかないし・・。もうなんなんだろ船で目が覚めてから変な事ばっかり起きて・・・
あのお巡りさんと合流できて助かったと思ったら・・・、何なのさっきの・・?!クラっ・・てなったと思ったらいつのまにか私・・?!
もう嫌!家に帰りたい・・!)」
市子の精神はもう限界まできていた。
一時間ほどたった頃、市子はこれからどうしようかと考えた。
このままここでじっとしていても埒が明かない、いっそのこと戦うか?そう思いながら手に持っている鉈を見た。
ここの屍人から奪い、何度もそれをこれで倒してきた。
だけれど、今校庭や校舎裏の道を徘徊しているものは、屍人とは何かが違った。
今、懐中電灯をつけなければまともに行動出来ないほど暗い、
だが今一番近い敵の視界を覗くと、まるで昼間のように明るかった。屍人の視界はこうはいかなかった。
360 :
沖田×市子2:2009/09/06(日) 19:20:48 ID:W9jhOLu6
もう一度、一番近い敵の視界を覗く。
「・・・え?」
階段が見える。小運動場を目指すように上っていた。
自分が居る小運動場に向かっている?
自分が隠れているのが分かっている?
視界ジャックをしながら市子は考えを巡らせた。
視界ジャックを解き、市子は手に鉈を持った。
きいい・・・
扉が開く音がする。
そっと扉の方を覗く。そこに居たものは今まで戦ってきた屍人とは明らかに違っていた。
361 :
沖田×市子3:2009/09/06(日) 19:26:52 ID:W9jhOLu6
その風貌は黒い装束を身にまとい、まるであの裏門から出てきた物体のようだった、だが形は人の形をしていた。
顔にあたる部分は不気味なほど白く、頭には青い黒みがかったターバンのようなものを巻いている。
そしてその手には銀色に鈍く輝く小銃があった。
あまりの不気味さに市子は「ひっ・・」と声を漏らした。
その声に気づき化け物がこちらに近づいてくる。
市子はもうだめだと思い、その場にへなへなと座り込んだ。
「・・・お母さん、助けて・・」
叶うはずの無い希望に市子は願った。
やがて大道具倉庫の影で見えなかった化け物がぬっと現れた。
近くで見るとますます不気味だった。
化け物は白い顔を歪めてにたあっと笑った。
『見つけたあー』
その声に市子は化け物の顔を見る、その顔はあのトラックを運転していた屍人によく似ていた。
「(いや・・・死にたくない・・!)」
そう考える市子の前に化け物が銃口を向けた。
ぎゅっと市子が目をつむる。
ばん。
銃声がひびく。
市子が目を空けると市子の足の付け根のところから少しずれた所の地面に着弾していた。
煙をあげた地面を見てあまりの恐怖に市子は失禁してしまった。
小さな子供のようにおしっこを漏らす市子を見ながら、化け物はにやにやと笑っていた。
化け物は再び市子に銃口を向けた。
今度こそ殺されると思い、市子はこの世の終わりのような顔をして歯を食いしばった。
だが銃口は思いもよらぬ場所へ向かった。
銃口は市子の胸元まで来るとセーラー服の胸当ての部分に先っちょを引っ掛けて、
一気に下に下ろした。セーラー服がブラジャーを巻き込んでずたずたに破れ、市子の未発達な乳房を露にした。
「え・・・いやああっ!?」
思いもよらぬ出来事に市子は驚きが隠せずに叫ぶ。
化け物はニヤニヤと笑いながらしゃがみこみ、
市子の胸を覆っている両腕を片手で無理やりつかみ、大道具倉庫の壁に固定した。
「いや・・・・!!」
この時すでに市子は自分がこれからなにをされるのかがなんとなく分かっていた。
だが化け物―――生前は沖田とよばれていたものは
市子が考えているものよりも酷い辱めを市子に受けさせようとしていた。
362 :
沖田×市子4:2009/09/06(日) 19:29:49 ID:W9jhOLu6
沖田は余った片手で、まだ市子の体に残っているセーラー服の残骸を剥がした。
「やだっ」手をふりほどき抵抗しようとしたが、とてつもなく強い力で押さえつけられ、どうしようもならない。
残骸を剥がしつくし、上半身裸になった市子の裸体をまじまじと見つめた。
未発達な小さな胸は、市子自身が震えるのにあわせて、プルプルと振動していた。
沖田は身にまとっている黒装束の一部をビリビリと破るとそれを縄のようにして市子の両手首を縛った。
そしておもむろに市子の乳房を揉みしだいた。
「あううっ・・・」
初めて受ける感触に市子はなんともいえない感覚になった。
乳房を揉みしだきつつ沖田は親指で乳首を押した。
「いやあっ・・・」
『ここがいいのかあ?』
人差し指と親指で乳首をつまむ。
市子の顔はどんどん紅潮していった。
『あんまりここばっかだと物足りないだろお?』
そういいながら市子の濡れたスカートをたくし上げた。
たくしあげられたスカートのなかには濡れたスパッツがあった。
細い市子の太ももを頼りなく覆っている。
沖田はスパッツを鬱陶しそうに破る。
「やめて・・・やだ」
力なく市子は抵抗した。
破れたスパッツの中にはぐっしょりと湿ったパンツがあった。
この年頃の少女が履くにしては子供っぽい白くリボンがちょこんと付いただけのパンツだった。
沖田は、今度は破らずにずすっと脱がせた。
「やめて!いや!変態!」
声を張り上げての抵抗も虚しく、市子が身にまとっているものはスカートと靴下と靴だけになった。
市子の足の付け根には、乳房と同じく発達しきっていない割れ目があった。
沖田はアヒル座りのような形で座っていた市子の体を大道具倉庫の壁にもたれかからせ、
無理やりM字開脚の形にさせた。
『いい格好だなあ・・、くっくっく、さっきは痛い目に合わされたからこっちもお返ししないとなあ』
「いや・・・おかあさん・・」
沖田は手袋に包まれた自分の中指を市子の膣口にあてがった。
次の瞬間ぐっと勢いよく指を押し込んだ。
「痛いっ!痛い」
指一本でもきつきつなのに、沖田はまた1本指を追加しようとした。
市子は力を振り絞って沖田の腹に蹴りを入れる、だがそれも弱弱しく、沖田にダメージを与える事はできなかった。
それどころか、沖田の何かに火をつけてしまい、3本もの指を一気に差し込まれた。
「痛い痛い痛いいい!!!」
あまりの激痛に市子は気絶しそうになった。
沖田が指を膣の中でピストンさせる。
じゅぶっじゅぶっといやらしい水音がするたびに市子は痛みに顔をゆがませた。
幾度かのピストンの後、沖田は指を出した。
その指には血がべっとりと付いていた。
363 :
沖田×市子5:2009/09/06(日) 19:32:28 ID:W9jhOLu6
あまりの痛みに市子の思考は停止しかかっていた。
『おっと、ここで気絶されたらつまらなくなるじゃないか・・、ほらっがんばれがんばれー』
ニヤニヤと笑いながら市子の頬をぴしゃぴしゃとたたいた。
『そろそろだなあ』
そう言いながら沖田は迷彩柄のズボンのファスナーを開け、何かゴソゴソとしたかと思えば、
自分の屹立した陰茎を露出させた。
その陰茎は不気味なほど白くなにか深海生物の様だった。
沖田はその陰茎を先ほど自分が弄んだ膣口にあてがった。
市子が「嫌!お母さん!」と叫んだ。
『暴れると痛いぞお・・?』
そう言いながら市子の腰を両手で持ち少し浮かばせた。
「嫌!助けて!」
市子が叫び終わるか終わらないかの辺りで、
沖田の陰茎が先ほどの指のように一気に膣へと侵入した。
「・・・・・・・・・!!」
「ああああああああああああああああああああああああああああああっ!」
さっきの指の痛みがちんけに思えるような痛みが市子を襲った。
「いやああ、痛いよおっ!」
「やめてえええええっ抜いて!!」
そんな市子の悲鳴を無視しながら沖田は腰を動かした。
沖田が腰を上下する度に市子の体も揺れた。
市子の膣内から出た血が、沖田の陰茎にかかる。
364 :
沖田×市子6:2009/09/06(日) 19:35:18 ID:W9jhOLu6
しばらくそうしている間に市子の悲鳴はだんだん小さくなり、
その代わり時折大粒の涙を流しながら悲しそうに「あっ・・・あっ・・・」と呟いた。
そのうちに沖田が『うっ』と言ったかと思えば小刻みに揺れ顔を少し歪め、
沖田は市子の膣内で射精した。
市子は腹の中に何か暖かいものを感じ、ぞっとした。
「(いやああ・・・妊娠しちゃう・・)」
子供っぽい市子もさすがにどうすれば子供ができるかは知っている。
その時ふと親友の倫子のことを思い出した。
「(倫子も中島君とこういうことを・・・?)」
・・・こんな時に何を考えているのだろうと市子は思った。
沖田が陰茎を引き抜くと市子の膣からぬたあーと白濁した液体が溢れてきた。
「(これからどうなるんだろう・・・殺されちゃうのかな)」
沖田が市子の体から手を離すと市子の体がドサリ、と地面に落ちた。
まだしぶとく勃起し、精液と市子の愛液にまみれた陰茎を沖田は市子の顔に近づける。
『ほら、綺麗にしろよ』
根元を掴みながらぐっと陰茎を市子の口元に持っていく。
「いや・・・」
市子は口を閉じて拒絶した。
365 :
沖田×市子7:2009/09/06(日) 19:38:39 ID:W9jhOLu6
『ふーん・・・』
沖田はまたいやらしい笑いを浮かべながら市子の鼻をつまんだ。
『いつまで耐えられるかな?』
しばらくし激しい運動の後というのも手伝って、息苦しくなった市子はとうとう口を空けてしまった、
そこに沖田の陰茎が無理やり侵入してくる。
「むぐっ・・ぐうう・・」
口の中いっぱいに、青臭くてドロドロした陰茎が入ってきて市子は苦しそうに呻いた。
沖田の大きな手で頭をガッチリと押さえつけられ、身動きが取れなくなってしまった。
『噛んだら撃つからなあ・・』
市子の首に、手に持った小銃の銃口をあてる。
沖田は、自分の手を動かしながら市子の頭前後に動かした。
喉に亀頭が当たるたびに市子は苦しそうに「うぐっ・・」と言った。
やがてまた先ほどのように沖田が射精する。
口の中に広がっていく精液を市子は一刻も早く吐き出したかった。
が、沖田は陰茎を市子の口から抜き出すと同時に『全部飲めよ、一滴でも吐き出したら撃つからな』と言い、今度は小銃の銃口を、市子の頭にあてた。
恐怖に震えながら市子は口を閉じ、精液を飲み込んだ。
「うええ・・・苦いよう苦しいよう・・・」
初めて体験する不快感に市子は嘔吐しそうになった。
『よーし、全部飲んだな?』
市子の顎を持ち、口を開けさせて沖田は確認した。
366 :
沖田×市子8:2009/09/06(日) 19:42:49 ID:W9jhOLu6
そして、壁にもたれかかっている市子の小さな尻を、両手で掴むとひょいっと宙に持ち上げた。
「(・・?なんなんだろう・・・?)」幼い市子には何が起きるのか全く予想できなかった。
持ち上げたまま市子の背中を壁にもたれかからせ、沖田は自分の陰茎をまた市子の膣に押し入れた。
「うっ・・・・・!?」
先ほどの痛みほどではなかったが、十分痛かった。
沖田はまた自分の腰を動かした。
沖田と市子の体が揺れるたびに、市子の膣から精液がポタポタと滴り落ちた。
「(痛い・・・もういや・・・こんなの)」
「(こいつが満足するまでこんなのを何度もされるの・・・?)」
市子はそう考え絶望した。
「(誰か助けて・・・誰でもいい・・誰か・・)」
市子がそんな考えを巡らせている時、ピタリと沖田の動きが止まった。
367 :
沖田×市子9:2009/09/06(日) 19:45:54 ID:W9jhOLu6
『・・・井も野暮な奴だなあ・・』
沖田はそう呟くと市子から陰茎を引き抜き、市子の体を地面に落とした。
乱暴に落とされたため市子は地面に仰向けに倒れたが、そのまま人形のようにじっとして動かなかった。
沖田は市子に目もくれず小銃を掴むと、そのまま走って小運動場を出て行った。
「(何?助かったの・・?)」
何が起きたのか分からない市子は倒れたまま沖田の視界を覗いた。
階段が見える、さっきとは違って凄い速さで降りている。
度重なる疲労と痛みにより市子は気を失いかけていた。
少しして、沖田の視界に、銃を構えた若い自衛官が現れ、こちらに向かって発砲して・・・。
そこまで覗いたところで、市子は気を失ってしまった。
終わり
最後の後どうなったかは想像にお任せします。
ここまで読んでくださった方ありがとうございます。
期待してくださった方ありがとうございます、期待にそえていたら嬉しいです。
GJ
>>370 最初に時間軸のおかしい所があります、と書いておくのを忘れてしまいましたorz
すみません