あれだな。例のビデオを見た後に、こういうイベントがあるわけだ。
「テストは簡単だよ、エリオ君。さっきの映像で……、見た?」
やや横目で行われたユーノの問いに、エリオが目つきを変えた。鋭の一字に、だ。
しかし彼はややあってから、慌てて首を横に振った。口を開いて出る言葉は、
「な、何も見てませんよ? 僕は。……そんなテストだなんていきなり、何のことか」
両手を雨が降ってきたかのように広げるポーズのエリオに、フェイトは思う。
……この子、何かを見たの?
その思いを解っているかのように、ユーノは更に問うた。エリオの肩を叩いて視線を合わせ、
「やっぱり見たね? 僕と同じものを」
「い、いえ何も見てませんよ」
「いや、飛行している所で見えた筈だよ。ちらりと見えた感じ、青の縞だったね!?」
「違いますよ白ですよ! 何となくしっかり見ましたから!」
反射的なエリオの応答に、皆の動きが停止した。
沈黙があり、風が吹き、さらに数秒おいてから、
「あ」
しまった、というエリオの声に、ユーノは何度も納得したように首を下に振る。
解っている、解っている、と。
そして彼は腕を組み、もっともらしそうな口調で、
「君には見所がある。今後も精進し―――」
と、なのはが右脚を振るとユーノの姿が消えた。
わずかな空白。
そして、左の方から何か人体のようなものが壁に当たった激突音が聞こえてきたが、もはやこちらの気にすることではない。慣れたものだ。
「さて」
と皆を見ると、左の方を見ていた顔が一斉にこちらを向いた。
見れば映像を再生していたシャーリーも身体を硬直させてこちらを見ている。
……久々に視線が合ったわね。
ちよっと嬉しい。だから言うことは言っておこう。
「ねえシャーリー? 今度から、私達が出てくる映像を見せるときは、ユーノ君がいないときにしてね?