【ソフトでも】腹責め専門SS・その4【ハードでも】

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628ナインボール・前 5/8:2008/12/09(火) 22:43:10 ID:2DINqU44
 「どうかなさいましたか?」
当たり前といえば当たり前だが、巨乳のメイド服はまだ部屋の中に居た。
一瞬愛理が、このメイドと自分とどっちを取るか俺を試しているんじゃないかと思ったが、
そんな都合のいい話がある訳ないと自分に言い聞かす。
「探し物でしたらお手伝いしましょうか?」
都合がいいと言うのなら、ある日突然自分の部屋にメイドが来ている事の方がよっぽど都合がいいじゃないか。
人の部屋の真ん中で小首をかしげるメイド服を見ていると、思わず笑い出したくなってきた。
愛理の悪ふざけで無いとすると、余計に訳が判らない。
「あの、ご主人様。探し物でしたら、私がさっき掃除してしまいましたから」
「ご主人様って言うな」
何処にゲームが置いてあるのか全然判らない。
ほんとに人の部屋を片付けやがったコイツ。
「では、宗次郎様。何を探してるんですか?」
「煉獄! PSP!」
「それはこちらになります」
笑顔と共にゲームソフトが差し出された。
有り難いような迷惑なような、フクザツな気持ちだ。
「あ、ありがと……」
受け取って、とりあえず玄関を開ける。
愛理が待っていた。
「お待たせ。ほらよ」
「お、サンキュ。なぁ、これ2も出てんだよな? もうやったか?」
身を乗り出して渡してやると、ロックな格好の少女は笑顔になった。
彼女が犯人だと思ったのは勘違いだったらしい。
叩いたりして悪い事したな。
どう言って謝ろうかと思っていたら、彼女は何を思ったか近づいてきて、ひょいっと部屋の中を覗いた。
「何黙ってんだよ。声がしたけど、誰かいるのか?」
メイドに比べるとぺったんこだなコイツ。
この期に及んで胸に気を取られる男のサガが悲しい。
「いや、誰も……」
「こんばんは」
ご丁寧にメイドが挨拶してくれた。
扉に手をかけたままの俺の脇で、愛理が固まっている。
「こ、こんばんは」
彼女にとっても予想外だったのか、茶色い小さな頭が所在無さ気に下を向いた。
散らかった靴の間に、小さなチラシが落ちている。
『デリヘル』
あ、そういう事か。
とりあえず部屋にメイドがいる理由には納得した。
誰かが勝手に俺の部屋に呼びやがったに違いない。
愛理も同様に納得したらしい。
いや、待て。多分お前の方は誤解だ。
629ナインボール・前 6/8:2008/12/09(火) 22:44:15 ID:2DINqU44
「ご、ごめんな。さ、最初から言えよ」
慌てて首を引っ込めて、また扉に頭をぶつけていた。
「いや、いやいや。違う。違うから。俺も今まで知らなかったんだって」
「じ、時間ないのに悪かったな。私、帰るから。ゆ、ゆっくりな」
また涙目になりながら、転げ落ちるみたいに階段を下りて行く。
「待てって。厚底で階段走ったらコケるぞ」
注意したそばから怪しい足音が何度か響いて、そのうち聞こえなくなった。
ゆっくり何しろって言うんだよ。
追いかけて引き止めるのも変な気がして、俺は部屋に戻った。
愛理には、後でメールでも送ればいい。
まずはメイドを追い返さなくては。
誰かのイタズラだったと言えば大人しく帰ってくれるだろうか。
かつて先輩からタクシー代だけは要求されると聞いた事がある。
そしたら面倒だ。財布の中身は千円も入っていない。
払えないと知れたらどうなるだろう。
スーツを着たムキムキマッチョの黒人に囲まれる自分を想像して、泣きたくなってきた。
畜生。誰だよ、こんな嫌がらせしやがったのは。
メイドはベットの横に正座していた。
俺はなるべく相手を刺激しないように、丁寧な言葉遣いを心がける。
「えっと、真琴さん。でしたっけ?」
「はい」
「申し訳ないんだけど、えっと、なんて言ったらいいのか。多分誰かにイタズラされたんだ。
信じて欲しいんだけど、俺は君をここには呼んでいないんだよ。
君も俺も誰か酷いヤツに騙されたんだ」
メイドはニコニコしたまま静かに首を振った。
「いいえ。騙されてなんかいませんから、安心して下さい」
真っ向から否定されて、何をどう安心しろと言うのか。
脳裏のマッチョな黒人が、厳つい顔で腕組みしている。
俺まだ死にたくない。ホントに。
「違うんだ。ホント、身に覚えがないんだって。
だからごめん、今日の所はこのまま帰ってくれませんか。
ほんとに申し訳ない。この通り」
両手を合わせて力いっぱい拝んだ。
相手は初めて困惑した表情を見せると、そわそわと落ち着かなくなる。
頼む。黒人マッチョだけは呼ばないでくれ。
更に土下座して、俺は床に額を擦りつけた。
この際なりふり構っていられるか。マッチョに殴られたら治療費だって無いんだぞ。
「やめて下さい。宋次郎様がそこまで仰るなら、判りましたから。
私、外に出ますから、顔を上げて」
必死の思いが伝わったらしい。
彼女は黙って部屋の外に出てくれた。
前髪の隙間から覗く悲しそうな顔に心苦しくなったが、だからと言って俺には払えるお金がない。
扉を閉めて、落ち込んでくる気持ちを断ち切った。
630ナインボール・前 7/8:2008/12/09(火) 22:45:08 ID:2DINqU44
 玄関からベッドまでを一直線に突き進み、うつぶせに、俺はシーツの上にダイブする。
スプリングが軋んで音をたてた。
ベッドに顔をうずめて一息つく。
なんとか一命をとりとめた。
逆境にめげず、よくやった俺。
そのままごろんとベットを転がって、違和感に気付いた。
伸びたシーツと、折り目正しく畳まれた布団。
自分じゃ滅多にこうしない。
大きな胸に邪魔されながら、髪の長いメイドが布団を畳んでいる光景を思い浮かべた。
可愛かったな、真琴さん。
グラビアアイドルみたいなおっぱいだった。
もし今の俺にもうちょっと金があったら、追い返しはしなかったかもしれない。
しばらく一人でニヤけていて、ふと茶髪のツインテールを思い出した。
あまり時間の経たないうちにメールしておくか。
恐らくは盛大に誤解している筈だから。
携帯を手にとって、苦心しながら何度か文面を打ち込んだが、なかなか上手くいかない。
そのうち諦めて、煙草に火をつけた。
最後の一本だった。
咥え煙草をくゆらせて、メールを打ちながら考える。
今まであまり気にした事は無かったが、真琴さんに比べると随分自己主張の弱い胸だよな、愛理って。
気付くと零れ落ちそうになっていた燃えカスを灰皿に押し付けると、俺は部屋を出た。
一度消した煙草にも、もう一度火のつけられる事を、あのメイドは知らなかったらしい。
ご丁寧に灰皿まで綺麗にされていた。
320円で購入可能な安らぎを補充せねばならない。
小銭しか入っていない財布をポケットに捻じ込み、踵の潰れた靴をつっかけ、吹きさらしの階段を、
いつものように3階分下った俺は、そこでフリーズした。
階段にメイドが座り込んでいる。
正直、ぎょっとした。
「ご、ごめんなさい。すぐに他の場所、探しますから」
俺は部屋まで逃げ帰ろうと思っていたが、先に気付いた向こうの方が慌てていた。
「なんで、まだここにいるの?」
「ごめんなさい。他に行く場所を知らなくて……」
まさか、お金貰わないと帰れないって事か?
くそう。朝まで部屋を出るべきじゃなかった。
「ごめん。金、払ってあげたいのはやまやまなんだけど。俺、持ってなくて」
「お金? 私にお金を払うつもりだったんですか?
貴方が私に支払う必要なんてないんです。私が、貴方に対して支払われたんですから」
いやごめん。貴女のいう事は、いつもまったく意味が判りません。
多分その思いが顔に出たんだろう。メイドが説明を続けた。
「宋次郎様は今夜、とある方とゲームをなさいましたね? ナインボールだった筈です。
彼は私の昨日までの主人でした。彼は宋次郎様に負け、私を代金として支払った。
彼らにとってゲームとは全て真剣勝負であり、その勝敗の結果として、
私が宋次郎様にお仕えする事になったのです」
631ナインボール・前 8/8:2008/12/09(火) 22:45:51 ID:2DINqU44
ここにきてようやく俺は、グレンチェックの背広男を思い出した。
財布よりもっと良いモノ。
俺の家に送っておく。
一見サンの俺に対して、律儀に約束を果たしたワケだ。
独り身の学生を哀れんで女を贈ったってか。
真剣勝負が聞いて呆れる。
「バカらしい。もういいからあのオッサンの所に帰ってくれよ。代金は受け取った事にしておくから」
余程金持ちなのか、女に苦労しないのか。
どっちにしてもバカにしてやがる。
「申し訳ありません。許して頂けるなら、帰りたくはありません。
前の主人はプライドの高い方でしたから、貴方に賭けで取られた筈のモノがただで送り返されたと知ったら、
きっと怒り狂ってしまいます」
人のプライドなんぞ知ったこっちゃない。
こっちにだって貧乏学生なりのプライドがある。……多分だけど。
そりゃあ、確かに、この、胸のボリューム感に、逆らいがたいものがあるのは、否定出来ないところでは、あるのだが。
屁理屈こねながら、ついつい視線を送ってしまうのが我ながら寂しい限りだ。
「アイツってそんなに怖いの?」
「大抵は気を失うまで殴られますから。
でも、それくらいなら良いんです。殴られるのも景品の宿命ですから。
宋次郎様にまで迷惑がかかってしまうかもしれません」
この娘は本気で言っているのかと疑いたくなってくる。
女に手を上げるのも許せないが、そもそも人を賭けるなんてフザけた話があってたまるか。
「他に帰る所、無いんですか? 実家とか」
メイドは黙って首を振る。
深くは聞かない事にしたが、とにかく腹が立ってきた。
傲慢な背広男にも、従順すぎるように見えるメイドにも。
自分をモノとか景品とか、平気な顔して言うなよ。
ムカムカすると俺は、後先考えるも面倒に思えてくる。
「いくら夏でも風邪ひくから、部屋に戻ってて下さい。鍵、開いてるし。
俺、煙草買って来るんで」
強烈に身体がニコチンを求めていた。
理由はどうあれ可愛い女の子と一緒にいる口実が出来た事に対して、少しは喜んで良いのかもしれないが、
そんな気分でもない。
コンビニ前の灰皿で一服しながら深みにはまり始めている自分に気がついたが、
今更後戻りするのも格好悪すぎて出来やしない。
愛理になんて説明しよう。
書きかけだったメールの文面は、全て削除した。

632名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 14:59:01 ID:q7XVxh6r
>>631
あるあるw
ムシャクシャすると急激にニコチンを取りたくなるよね
俺も事業主とかを相手にした電算業務でPCに無知な上司と事業主の相手に疲れた時とか無性にタバコを吸いたくなるよ

この共感に免じて今回の腹パン要素皆無は不問とすることとす。

一瞬誤爆かと思ったぜww
続き待ってる
633名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 21:10:50 ID:rAXdA2cv
投下します。

>>623の続きです。
腹責めは7レス目から。
634ナインボール・中 1/12:2008/12/11(木) 21:11:37 ID:rAXdA2cv
2_愛理

 愛理を初めて見たのは半年前。初めて会話したのはそれから2ヶ月後だ。
大学最寄のゲーム屋で、売り切れ表示のゲームを前にうーうー唸っていた。
「貸してやろうか?」
同じ大学だと明かしてからそう持ちかけると
「ホントか!?」
初対面からタメ口きいて、無邪気に喜んだ。
背は随分と小さい。
ロックとゲームと戦車を愛するヘンテコリンな趣味と独特の語り口のせいか、
可愛いくせになかなか特定の男が出来ない。
短めのスカートが好きで、理由が「今のうちに太股出しておかなきゃ。若いうちしか出来ないんだし」。
変なヤツだ。
ゲームの話題でよく盛り上がり、俺の部屋まで時々借りに来る。
ビリヤードには一度誘ったが、短いスカートから下着が覗かない事に相当な苦心をした挙句、
あまりのド下手っぷりを俺が笑いすぎたようで、それ以来二度と顔を見せない。
今のところ、腹を割って話が出来る女の知り合いといえば、俺にとっては彼女だけだ。
真琴さんの事について色々と相談したかったのだが、あれから2日経ってまだメールの返事がない。
忙しいのか無視されているのか。
アイツの事だから携帯をまったく見ていない可能性もある。
もう一度メールしようか、電話をかけてみようか。
ぐるぐる悩んでいるうちに3日経った。
既に彼女は、背広男が着々と広げた包囲網に捕われている事など、この時の俺は知りようも無い。
小さな身体を震わせて苦しむ姿を見せられるなんて、予想もしていない。
まだ10代の娘が、心に傷を負う体験をさせられるのだ。
下らない事で悩んでないで、さっさと愛理を探しに行け。
出来るなら過去の俺を蹴り飛ばしてやりたい。
だが何も知らない俺は、掃除機をかける真琴さんをのんきに眺めている。
呆れたものだが、どうしようもない。
警察に相談したらどうかとか、2人で直接背広男の所に行くかとか、
いくつか提案もしたが、真琴さんはどれも断った。
「一度景品を手にしたら、ゲームから逃げる事は出来ません」
数日待てば連絡が来る筈だから、それまで待つように強く言われた。
635ナインボール・中 2/12:2008/12/11(木) 21:12:45 ID:rAXdA2cv
 一度、俺とナインボールがしたいと言われて、いつものプールバーへ行った事がある。
メイド姿の彼女を連れて店に入るのは恥ずかしかったが、ビリヤードの腕は服装とは関係なかった。
キューを構える彼女の胸元を横目でずっと眺めていたら、いきなりのブレイクランナウト。
1度も失敗する事無く、全てのカラーボールをポケットに叩き込んだ。
「調子いいみたいです」
笑顔の彼女を見て、俺も気が変わった。
タップにチョークを擦りつけ、真剣に狙う。
結果は先に5セットを制した俺の勝利だったが、1セット差。
どっちに転んでもおかしくはなかった筈だ。
「負けちゃいましたね」
年上とおぼしきこの女性は、嬉しそうに言った。
「前の主人から再戦の依頼がきっと来ますけど、宋次郎様なら勝てますね」
勝負する気はなかった。背広男にはもう関わりたくない。
ただ、彼女の今後について、一度背広男と話をつけなければならない。
そんな義務感を持っていた。

 背広男から迎えが来たのは、ヤツと勝負をしてから3日目の夜だった。
愛理とは連絡が取れず終いだ。誰か他の仲間にも相談しておけば良かったかと後悔したが、後の祭りだ。
結果的には、これ以上余計な人間を巻き込まずに済んで幸運だったと思う。
「宋次郎様が勝ちますように」
出かけ際、唇と一緒に胸の谷間が押し付けられた。
頬にキスされた事より、二の腕に当たって凹む大きなマシュマロに意識が集中する。
鼻血が出そうデスヨ。
でも期待されて申し訳ないけど、俺は勝負なんてしたくない。
そもそも人を賭けるなんて吐き気がしそうだ。
背広男がどんなつもりか知らないが、妙な世界に足をつっこんでしまうのだけはごめんだ。
リムジンの後部座席に詰め込まれ、俺と真琴さんは背広男の元へと向かう。
外の見えない窓ガラスに反射している冴えない自分の顔を見て、俺は早くも後悔し始めていた。
ただの学生に過ぎない俺が、何をかっこつけて雲の上の人間に会おうとしているのか。
しばらくしてリムジンが停車したのは、地下駐車場らしかった。
建物の外観さえ判らないまま、俺たちはさらに地下へと案内される。
体格のいいスーツが2人、俺たちの前後を挟むようにして歩いていた。
やっぱりマッチョが出て来たよ。
俺はげんなりしながら、ポケットの中の携帯電話を握り締めた。
確か携帯からでもかかるんだよな? 110番。
急に不安になってくる。
背広男が待っていたのは、光度を抑えた広い部屋だ。
数台のビリヤードテーブルの奥にはバーカウンター。
プールバーみたいだ。
もし個人所有だとしたら、予想以上の金持ちって事になる。
636ナインボール・中 3/12:2008/12/11(木) 21:14:09 ID:rAXdA2cv
「やぁ。いらっしゃい宋次郎君。まずはくつろいでくれたまえよ」
葉巻らしきものを咥えて球を撞いていた背広男が、手にしていたキューを置いた。
咥え煙草はルール違反ですよと言ってやりたい。
それからふと、自分の名前を呼ばれた事に気付いて、今更恐ろしくなった。
真琴さんもそうだったが、何故彼らは俺の名前と住所を知っていたのか。
俺は自分からは一度も名乗っていない事を思い出した。
「どうして、俺の名前が判ったんですか?」
恐る恐る尋ねてみると、背広男に鼻で笑われた。
「そんな事は大した問題でもないんだよ、宗次郎君。
君はバーボンが好きだったね。これはアメリカじゃあ田舎者の酒だと知っていたかい?」
バーカウンターで手ずからグラスに酒を注ぐ。
いちいち名前を呼ぶな。
「酒はいりません。こっちはさっさと帰りたいんです」
「目上の人間に対して、そんな事言うもんじゃないな、宗次郎君。
学生は気楽でいいね。こっちは気まぐれで君の賭けを受けたばかりに、随分と恥をかかされたんだ。
私の名誉回復に付き合って貰わねば、腹の虫が収まらないんだよ」
派手な音が響き渡った。
グラスが壁に当たって割れたのだ。
言いがかりも大概にしろ。賭けはそっちから持ちかけて来たんだろうが。
俺はただ、勝負しようと言っただけだ。
「いい加減にして貰えませんか。あんまりフザけた事言ってると、警察呼びますよ?」
「警察? 呼びたいなら呼んでみればいい。君の言う事など、どうせ誰も聞きはしない」
言うじゃないか。ビビって電話しないとでも思っているのか。
俺が鼻息も荒く携帯電話を取り出すと、どうやら背広男はそれを待っていたらしい。
「言い忘れていたがここは電波を遮断していてね。携帯電話は使えないよ。
どうやって呼ぶつもりかね?」
チクショウ、確かに圏外表示だ。
してやったり。背広男はそんな顔をしながらゲラゲラと笑っていた。
つくづく腹の立つ野郎だ。
これ以上こんな場所にいてたまるか。
「真琴さんを帰らせるつもりで一緒に来ましたけど、貴方みたいな人の所に帰すわけにはいかないですね。
連れて帰ります」
「真琴は君にくれてやったんだ。好きにすればいいが、こっちの娘はどうするんだ?
見捨てて帰るのかね?」
何を言ってやがるのか。もはや呆れて何を言うつもりもなかったが、振り返った俺は死ぬほど驚いた。
壁だと思っていた部分がスライドしていき、大きなガラスに仕切られた舞台が姿を現す。
その向こうに、愛理がいた。
「宗次郎っ」
俺の顔を見た愛理が叫ぶ。
637ナインボール・中 4/12:2008/12/11(木) 21:15:05 ID:rAXdA2cv
俺の部屋から立ち去った時の服のまま、両手足には枷が嵌められていて、金属製とおぼしき鎖に繋がれていた。
何だこれ。フザケんなよオイ。
冗談にしては、あまりにタチが悪すぎる。
隣の真琴さんを見ると、悲しそうに目を伏せていた。
これが現実なら、なおさら笑えない。
「先日手に入れたんだ。彼女の親御さんの事業が急に難しくなってね。
古い話だが、借金のカタというワケさ」
「バカにしてんのか。何処の江戸時代の話だ」
俺は背広男の胸倉を掴み上げるつもりで迫ったが、マッチョスーツに阻まれる。
「現代の日本の話だよ。君には理解出来ないだろうが、あらゆる金融機関に融資を止めるさせた。
親御さんの会社に吸収合併の話を持ちかけて、社員の首と引き換えに娘さんが欲しいと取り引きした。
海外にいる息子の嫁にして欲しい。日本に来た際に一目惚れしてずっと探していたとね。
もちろん私に息子などいないが、あの両親は自分の娘が海外にいると信じてるんじゃないか?」
まさか、本当に騙し取られたのか?
愛理に目をやると、泣き出しそうな瞳でこちらを見つめるている。
もう何度か泣いたのかもしれない。目が赤い。
この国でそんな理不尽な事があってたまるか。
誘拐だろこれ。
「誰がそんな話信じるかよ。待ってろ愛理。すぐに警察呼んできてやるから」
「逃げるのかね? 信じる信じないは勝手だが、君がこの場でこの娘を見捨てる事に変わりはない。
どこに行ってどう話して、いつ警察を連れてくるつもりかね?
それまで私がこの娘を置いたまま大人しくここに留まると、なぜ思うんだ?
一度でも見失った後、この娘が無傷でいられると思っているのか?
そもそも君自身無事に帰れると信じているのか?
あまりにも楽観しすぎだとは思わないのかね?」
その時の背広男の笑顔が、一瞬で脳裏に焼き付いた。
常人とは思えないその表情に、俺は背筋が寒くなる。
足が震えてくるのを人生で初めて感じだ。
「俺に、どうしろって、言うんだよ」
「ゲームさ。ビリヤードをやろう。ナインボール。君の好きなごっきゅーだ。
私に勝ったら娘を返してやる。負けたら君の人生から彼女を消し去ってあげよう。
これが緊張感のあるゲームという事だ。うすっぺらい財布を賭けるのとはワケが違う」
この男、完全にイっちまってる。
俺はすがるような目線で真琴さんを見た。
彼女は目をふせたままで呟く。
「これが、私達景品の運命なんです」
眩暈がしてきた。
胃の辺りが締め付けられる。
はっきり言って吐きそうだ。
638ナインボール・中 5/12:2008/12/11(木) 21:15:46 ID:rAXdA2cv
「受けるかね? それとも男としてのプライドも、その娘も、かなぐり捨てて逃げるかね?」
俺は情けなくヨロヨロと歩いて、ガラス板に手を触れた。
その向こうに、愛理が座り込んでいる。
「お前まで、こんな所にいる事ないだろ。早く逃げろよ」
愛理は自分の親のせいだと思っているのかもしれないが、違う。
俺が巻き込んだんだ。
「大丈夫。絶対、勝ってやるから」
聞いた途端に彼女は泣き出した。
馬鹿野郎。笑えって。
俺がビリヤード上手いのお前も知ってるだろ。
「俺が勝ったら、愛理だけは絶対に返せよ?」
「当たり前だ。これ以上私を侮辱するな。本気の私に君が勝てる事は万が一にもないがな。
キューを選びたまえ。先攻はバンキングで決める」
手球をクッションさせて、手前に近い方を選ぶわけだ。
やった事ないが、なんとかなるだろ。
何度か球を撞いてキューを選んでいるうちに、少しずつ気持ちも落ち着いてきた。
「何ゲームやる? それとも先に得点に達した方が勝ちなのか?」
「景品次第だ。1ゲームで終わる事もあれば、20ゲームして終わらない事もある。
おいおい教えてやろう」
なんじゃそら。
キューを選び終えて、俺はビリヤードテーブルの短クッション、長方形の短い辺付近に立った。
背広男が隣に立ち、白い手玉を二つ、テーブルに置く。
「勝負の前に景品の用意だ」
背広男が嫌味な動作で指を鳴らすと、愛理の手首に繋がれた鎖が、音を立てて天井に上った。
引きずられた愛理は万歳するような格好で、強引に立たせられる。
立ち上がると鎖が緩み、腕が下がった。
「勝負が終わるまで手荒な真似すんな」
「それは君と私次第だ。あの娘は君の手駒として貸してやろう。
反対側にいるのが私のものだ」
背広男が指し示したのは、ガラス張りの向こう側。
そこに、ごてごてと膨らんだ衣装の女が現れる。
白とピンクのロリータファッションが恐ろしく場違いに思えた。
メイドはまだしもロリ装束とは、40男の趣味として想像したくはない。
ロリータ女は愛理と同じように手足に枷を嵌められていたが、その態度は随分と落ち着いていた。
「ゲーム開始だ。撞きたまえ」
俺と背広男は、並んで白の手球を撞いた。
2つの手球がフッド側の短クッションで跳ね返り、戻って来る。
よりヘッド側に引き寄せた方が先攻の権利を得るのだ。
近かったのは俺の手球。
こちらのブレイクでゲームの開始だ。
639ナインボール・中 6/12:2008/12/11(木) 21:16:40 ID:rAXdA2cv
カラーボールは真琴さんが組んだ。
俺はタップに炭酸カルシウムを擦りつけ、摩擦係数を増加させる。
構えて、何度か深呼吸した。
ブレイク。
3と7のカラーボールがポケットに落ちる。
オッケイ。なんとか普段通りやっていけそうだ。
落ち着いて1から2をポケットに沈め、4の的球は5にぶつけた。
そしてコーナーにポケット。
最初の得点を上げた。
「ふん。いい度胸だな。5秒取得だ。カードを選ぶがいい」
5秒? カード?
迷う俺の前に、真琴さんがワゴンを押してやってきた。
上に何やら機械が載っていて、画面には5枚の伏せられたトランプのようなカードが表示されている。
「一枚を選んで押して下さい」
言われるまま、適当に画面をタッチした。
カードが裏返り、白抜きされた人型のイラストが現れる。
胸の辺りだけが赤く点滅していた。
『5sec』
舞台の上の掲示板に表示が出て、愛理の頭上から鎖が落ちてきた。
ビビった彼女が足を絡ませて尻餅をつく。
反対にいるロリータ女の鎖は天井に吸い込まれ、両腕で万歳をする格好になっていた。
「何やってんだ。殺す気か!」
「彼女は5秒間だけの自由を得たんだ。その時間を有効に使えるかは君達次第だ。
自由は自らの手で勝ち取る事を学びたまえ。それと、今のは本来であればダウンと見なすぞ。
最初は見逃してやるが、次に床に膝や手をついたら、その場で君達の負けだ。いいな?」
5秒のカウントが終わり、鎖の長さが元に戻った。
ロリ女の腕が下がり、愛理の鎖も短くなる。
愛理が困惑した顔で俺を見て、俺は真琴さんを見た。
「5と9をポケットすると、ナンバー分の秒数が与えられます。
時間内で相手を倒して下さい。そういうゲームなんです」
冗談だろ。
俺は抗議の言葉を投げかけたが、背広男は聞く耳持たなかった。
「ゲームを続けたまえよ。放棄と見なすぞ」
仕方なく俺は続きのカラーボールを狙ったが、動揺を抑えきれずに途中でトチった。
背広男はニヤリと笑い、冷静に残りのカラーボールを全て沈める。
ヤツの得点だ。
俺とは別の画面を押して、カードを裏返す。
腹の周辺が赤く点滅しているイラストだった。
640ナインボール・中 7/12:2008/12/11(木) 21:17:19 ID:rAXdA2cv
『9sec』
またカウントが出た。
「美樹。後輩どもに社会の厳しさを教えてやるんだ、いいな」
「はい。お任せ下さいご主人様」
鎖が落ちてくる前に、スカートの裾をなびかせてロリ女は走った。
愛理の両腕が頭上に固定される。
小さな音が聞こえると腰がビクンと跳ね上がり、スカートが浮き上がった。
ピンク色の下着が僅かに覗いて、俺は一瞬だけドキっとした。
赤と黒のチェック模様が再び彼女の下着を隠した時、舞台の上に表示されたカウントはまだ9のままだった。
愛理が、驚いた表情で目の前のロリータ衣装を見つめている。
俺と同様、自分の身に何が起こったのか判っていないのだろう。
視線を下に向け、ロリータ女の、枷を嵌められた腕が、彼女のネクタイを押し上げて、
ほのかに膨らんだ胸の下、鳩尾に入っている事を知った。
「……う。けほ、けほっ」
愛理が咳き込み、カウントが8になった。
そして8から7になると、フリルの沢山ついたピンクの腕が、もう一度愛理の鳩尾を叩いた。
「ううっ! げほっ……やめろ、何すんだこの……うぐぅ」
両腕を吊り上げられた愛理に逃げる術はない。
ロリータ女は何かの玩具みたいに同じ動きを繰り返す。
その度に愛理の小さな体が揺れ、鎖が音を立てた。
彼女の悲鳴が響き、同時に俺の中で何かが破裂する。
気付いた時には背広男に飛びついて、シャツの襟元をねじりあげていた。
「ふざけんな! 今すぐやめさせろっ」
背広男は今までにない程冷静に、突き刺すような視線を俺に送っている。
「マナー違反だ小僧。今すぐその小汚い手を離さんと、ペナルティーがつくぞ」
知った事か。
俺は激情のまま相手のふてぶてしい横っ面を殴ろうとしたが、ゲンコツは無情にも宙を切った。
視界が暗転したのだ。
目の前に何かが覆い被さって、左半分が何も見えなくなった。
次いで世界がぐるぐる回転し、背中が何かとぶつかるのを感じた。
最後は後頭部を激しく打ち付けて、反射的に口元を抑える。
「宋次郎様っ。だ、大丈夫ですか?」
耳元で真琴さんの声がする。どうやら俺の左側にいるらしいが、視界が右半分しかない。
俺はビリヤードテーブルの足下に転がっていた。
目の前にはマッチョのスーツが仁王立ちしている。
どうやらこいつに一発喰らって吹っ飛んだらしい。
ジャラジャラと金属音が響いて舞台に目をやると、ピンクのロリータ服が鎖に引きずられ、
元の位置に戻っている所だった。
両腕が下りた愛理は、お腹を抑えて前かがみになりながら千鳥足だ。
「だ、ダイジョブか宗次郎……うぷっ」
白い喉がコクリと蠢いて、手で慌てて唇を覆っていた。
お前の方が大丈夫じゃないだろう。
641ナインボール・中 8/12:2008/12/11(木) 21:17:57 ID:rAXdA2cv
相手も女とは言え、華奢な身体をしこたま叩かれて今にも吐き出しそうだ。
「どうやら勝負は見えたな。女々しく騒ぎたてやがって。見苦しい」
シャツと背広の皺を伸ばしながら、男が吐き捨てるように言った。
もう一度殴りかかってやりたいが、背広男はともかくとして、
目の前のマッチョに勝てるような必殺技は生憎と持ち合わせていない。
畜生。格闘技でもやっとくんだった。
「次のマッチは勝者から、即ち私がブレイクを行なう。真琴、ボールを組め」
何食わぬ顔で背広男が命じた。
真琴さんは俺を立ち上がらせてから、カラーボールをラックに詰めて菱形に並べる。
背広男のブレイクでボールは四方に散らばったが、いずれもポケットには入らなかった。
舌打ちが聞こえる。ノーイン。こちらの番だ。
俺はキューを構えたが、しかし左眼がどうやっても開かない。
力を込めると僅かに開いたが、すぐに塞がってしまう。
距離感がまったく掴めなかった。
結果、手球はカラーボールにヒットしたものの、ポケットには嫌われた。
クッションに2度反射して、ポケット手前で停止する。
「くそっ」
思わずキューで床を叩く。
途端にフワっとしたいい匂いが鼻腔を刺激した。
背後から真琴さんの両腕が回されて来て、背中にはむぎゅっとした肉感が押し付けられる。
「落ち着いて、宗次郎様。チャンスは巡ってきますから、冷静に」
俺はただ、頷いた。
そして展開は彼女の言う通りになる。
背広男は1から3を問題なく決めたが、4は他のカラーボールが散らばる中にあって狙いにくい。
無理に狙って案の定、白い手球は4より先に別の番号に当たった。
ファウルだ。
なんとかしてここから5までを俺が取りたい。
ボールに触れないよう注意しながら、キューをテーブル上にかざして、距離感のズレを把握する。
たっぷりと時間をかけて4を沈め、ついに5をポケットした時は思わず小さなガッツポーズを決めた。
「愛理。遠慮すんな、ぶちのめせ」
ガラス板の向こうの少女に向けて叫んだ。
愛理の鎖が落ち、ロリータ女の腕が拘束される。
頭上に5のカウントが出た。
「ど、ど、どうやって!?」
悲鳴のような声が愛理から上がる。
俺は選んだカードを見た。
腰の部分が光っているのは、愛理からも見えている筈だ。
「えっと、腰。スカートとかその辺だ」
「わかんないよ宗次郎」
彼女がオロオロしている間にもカウントは進んでいく。
642ナインボール・中 9/12:2008/12/11(木) 21:19:07 ID:rAXdA2cv
「いいからとにかくぶん殴れって! 俺が許す」
ロックな少女が覚悟を決めた時には、カウントがほとんど残っていなかった。
彼女は走り出した勢いのまま、フリルだらけのスカートに向けてキックをかました。
厚底がめり込んだから、これはかなり効いた筈だ。
事実ロリータ女は
「うぐぅっ」
と盛大に呻き声をあげた。
可哀相な気もするが、さんざん愛理を殴りやがった仕返しだ。
自由になった両手で腰の辺りを庇う姿を見ても、ザマァミロとしか思わない。
見てろよ、次も俺が取ってやる。
そう思ってはみたものの、上手くはいかなかった。
片目のプレイは距離が判らなくなるだけでなく、想像以上に気力も体力も消耗する。
大事な所でタッチがずれる。
それでも相手のミスに助けられ、9は俺が取った。
カードの表示は腹。
正直、これで決まって欲しかった。
視線から俺の思いを読み取ったのか、今度は迷う事無く愛理が走る。
スカートがめくれるのも構わずに、さっきよりも高く足をあげて、ピンクのフリルに厚底を叩き込む。
10センチはありそうな靴の底が、フワフワの服に思いきりめり込んだ。
「がふっ!」
衣装に似合わぬ低い声が漏れた。
鎖が軋み、ロリータ女の髪が乱れる。
突き出た唇から飛沫が飛んで、愛理が目を瞑った。
まだ後6秒。
「でりゃっ」
「ぎゃんっ」
ロック少女の太股大サービスキックが横腹を抉る。
残り3秒でロリータ服の肩を掴み、跳び膝蹴りという大技までかましてくれた。
チェックのミニスカートから伸びた膝が、エグイ角度でフリルの鳩尾に埋まっている。
実は結構強いんじゃないか、アイツ。
カウントが0になり、愛理が鎖に引き戻されていく。
「無敵だな、お前」
肩で息をしながらウィンク飛ばす仕草を見て、不覚にもシビれた。
伊達にジャラジャラ金物付けてるわけでもないな。
やられた方のロリータ女といえば、腹と口元を強くおさえながら、
産まれたばかりの子鹿のようにプルプルと震えている。
「う、うえ……げっ」
足下がおぼつかない様子も、今にもゲロ吐きそうな呻き声も、飲みすぎた酔っ払いみたいだ。
あれだけやられりゃそうなるだろう。
643ナインボール・中 10/12:2008/12/11(木) 21:19:46 ID:rAXdA2cv
仕方がなかったとはいえ、その苦しそうな喘ぎを聞き続けるのは流石に忍びない。
「ノックアウトだろ。もう終わりにしようぜ」
俺の提案を、しかし背広男は無視した。
「美樹、私の前で無様な姿を晒したらどうなるか。
しかも相手は素人だ。判るな?」
「はい……判って、います。ご主人様」
判るな。判らんでいい。
俺は心の中で念じたが、ロリ服は汚れた手の平を服で拭い、背筋を伸ばした。
なんでそんなに健気なんだよアンタ。
呆れながら俺は、意識を目の前の白球に集中させた。
次の5秒があれば愛理が暴れてくれるだろう。
あの娘のためにも次で決める。
そんなガラでもない正義感に力が入りすぎたのか、片目が完全に開かなくなったせいなのか、
ここで俺は信じられないポカをやらかした。
手球の中心を撞く筈のタップが、端を滑った。
俺の手球はどこにも転がっていかなければ、他のどんな球にも当たらなかった。
ただその場でゆっくりと回転しているだけ。
完全なミスショットをしたのだ。
呆然とする俺を背広男が押しのける。
「無様なものだな、宗次郎君。そこをどきたまえ」
ヤツのブレイクで四散したボールは、互いに干渉し合った結果、色付きが1つ、サイドポケットに落ちた。
黄色の球だった。
その色のボールは2つある。
1番と9番。
あろう事か、サイドに入ったのは9番だった。
俺にあった全ての幸運を、背広男が吸い上げた。
そうとしか思えない。
「これは幸運ではない。勝負が早く終わるか遅く終わるか、それだけの事だ」
背広男が画面に触れた。既に開かれたイラストをもう一度タッチする。
『18sec』
舞台上に表示が出る。
ごっきゅーはサイドに入ると、得点が2倍。
「これだけあれば十分だろう。美樹」
「はい。復讐の機会を与えて下さってありがとうございます、ご主人様」
俺は青ざめた愛理と見つめ合っていた。お互い、鏡でも見ているような気分だっただろう。
恐怖からか、絶望からか、目の端に涙が浮かんでいた。
その涙が、宙を舞う。
愛理の頭が勢い良く上を向いていた。
「容赦はしませんね」
酷く明るい声のピンクロリータが、いつの間にかヒールの踵を愛理のシャツに埋め込んだのだ。
644ナインボール・中 11/12:2008/12/11(木) 21:20:25 ID:rAXdA2cv
「ひっ……!? ひぐぅ!」
さらにもう一度ヒールをめり込ませると、俯いた愛理の肩に両手を置いてジャンプする。
白とピンクの長いスカートがゆらめいて、そこから飛び出した膝小僧が、今度は愛理のネクタイを打った。
愛理の口から唾液が飛ぶ。
復讐の膝蹴りはドスドスと低い音を立てて、彼女の薄い腹を何度となく強烈に突き上げた。
逃げ腰になっていく尻がその度に跳ねあがり、健康そうな太股の付け根に貼り付いた、
可愛いピンクの下着が顔を出す。
愛理の顎が上がって、ツインテールが背中に落ちた。
「あっ、あっ、あぁ…っ」
顔と尻を突き出した卑猥な格好のまま、口だけが金魚みたいにパクパクと動いている。
一旦ロリ娘が手を離すと、愛理は一気に力を失って手枷にぶら下がった。
力なく垂れ下がったツインテールが、顔を半分だけ隠している。
「あっ!!」
その茶色い髪が再び揺れ、愛理が声をあげた。
サンドバックでも打つように、ロリ娘は愛理を叩き始めた。
スカートまで伸びたシャツを、左右の拳で交互に、淡々と、冷静な顔で、力いっぱい叩いていく。
乾いた音が響く度、両手を頭上に上げた愛理の身体が震え、ツインテールが揺れる。
「あっ……も、もう…ヤッ。あっ、ダメ……。あッ! あっ、あぐっ、あおっ…おっ……おげっ…げっ、げぶっ」
ツインテールに短いスカートがトレードマークのこの娘とは、飽きる程会話を交わした。
笑ったし、怒ったし、ふてくされた顔も見た。
だが、こんな酷い声を聞かされたのは初めてだ。
愛理の白い喉がごぽごぽと水音を立て始め、薄い唇が黄色い液体を送り出していく。
シャツを打つと唾液とも胃液ともつかない水分がピンクの衣装に吹きかけられたが、
ロリータ娘は気にとめる事もなく、18秒が過ぎるまでキッチリと、愛理の腹部を叩き続けた。

 愛理の両腕を吊るし上げていた鎖が落ちると、愛理の身体もそのままも崩れ落ちた。
横になり、胎児のように丸まって、背の低い女の子は震えている。
俺からは背中しか見えなかったが、苦しそうに嘔吐している声が聞こえた。
床と頬の間で、彼女の吐き出した物が少しずつ広がっている。
「ごめ……んな。私、負けちゃった……。宗次……うぐっ…頑張った、のに」
馬鹿か。お前の何が悪い。
ミスをしたのは俺だ。
背広男の誘いに乗ったのも俺だ。
お前に最初に声をかけたのも俺だ。
全部俺だ。俺が悪い。
ガラス板の向こうで倒れ伏した愛理の横にロリータ娘が立ち、スカートの裾を持ち上げると、
優雅に一礼してみせた。
舞台を、再び壁が覆い始める。
震える愛理の背中が、その向こうに消えていく。
「借りっぱなしの物……沢山、あったな。……ごめん」
その言葉を最後に、彼女の姿を見る事は出来なくなった。
645ナインボール・中 12/12:2008/12/11(木) 21:21:07 ID:rAXdA2cv
 突然、大音量の拍手が俺の鼓膜を遠慮無く打ちつけて来た。
振り返ると、いつの間に現れたのか仮面を被った中年男女が何十人も俺の周りを囲んでいる。
「よく頑張ったわね」
「彼女の事は諦めなさい。最初からいなかったと思えばいい」
「踏み入れちゃいけない世界にノコノコ入ってくるからだ。女一人で済んで良かったじゃねぇか」
口々に勝手な事を言っている。
俺はすっかり面食らった。
右も左も、正面も、頭上も、仮面、仮面、仮面、仮面。
視界がぐるぐると回って、俺は後ずさり、尻餅をついた。
湧き上がる嘲笑。差し出される腕、覗き込んでくる仮面。
振り払っても寄って来る仮面、腕、仮面、腕、仮面、腕。
思わず悲鳴を上げそうになる俺に前に、背広男が進み出た。
手を叩いて彼らの注目を引き寄せる。
仮面の群集が一斉にヤツを見た。
「皆さん。私は先日、不覚にも自らの失態で不名誉を被り、仮面の資格を失いました。
しかし今日、私はその汚名を返上した事を宣言致します。
皆さんもご覧の通り、私はここで正々堂々と勝負をし、彼を打ち破った」
俺を見て、ニヤリと笑う。
その手には周囲の人間達と同じ仮面を持っていた。
「確かに、正当な試合だった」
「大したものだ。名誉を重んじて小僧相手にここまで舞台を整えるとは。
なかなか出来るものじゃない」
「私、貴方の志の高さに打たれましたわ」
再び拍手が沸き起こる。
背広男は自らを称える拍手の中、うやうやしい態度で仮面を掲げ、そして被った。
なんなんだコイツら。
背広男の同類がこんなに沢山いたってのか?
俺には始めから勝ち目なんて無かったのか?
震える俺の肩に、誰かが手を置いた。
「僭越ながら、皆様に申し上げます」
真琴さんが張り上げた声に、再び全員が注目する。
「真琴、出すぎた真似をするな」
仮面を被った背広男が小声で制止したが、真琴さんは続けた。
「この少年は先ほどの少女を取り戻すため、無謀にも氏との再戦を希望しています。
彼にはまだ賭ける物が残っています。それは私です。
勿論、氏がこのような挑戦を受けなければならない理由はありません。
しかし氏は、自らの名誉回復のためには、一度のゲームでは足りずに、
この少年を完膚なきまで叩きのめす事でそれが行なえると信じ、この挑戦をお受けになりました。
皆様どうか、氏の勇気ある決断に、さらなる拍手をお願いします」
盛大な歓声と拍手が沸き起こった。
仮面を被った背広男と俺だけが、その中にポツンと取り残されている気がした。
鳴り止まない拍手の中で、さらに真琴さんが付け加える。
「さらに氏は、愚かにもマナー違反で自ら片目を潰した彼が、再び万全の体制を整える時間まで下さいました。
再度のゲーム開始まで今しばらくお待ち下さい。
さ、宋次郎様。今のうちに行きましょう」
最後は俺にだけ聞こえる小声で言って、真琴さんは俺の手を引いた。
振り返ると、人垣の間から背広男が手を伸ばしていたが、俺には届かない。
俺は真琴さんに導かれるまま部屋を出た。
646名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 23:06:53 ID:BGeqBaEJ
普通に続きが気になるんだが
647名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 23:17:14 ID:KVU30zLd
上に同じ
648名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 23:43:51 ID:iil1/7kN
一回にご飯2号って食いすぎ?
649名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 23:45:17 ID:iil1/7kN
ごめん、誤爆した
650名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 00:04:59 ID:87GvbSPB
>>645
気丈娘は腹責めで仕留めるそれがオレのジャスティスage
651名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 00:26:06 ID:ra4ZA2is
最初はどうなる事かと思いましたが、普通(?)に腹責めでよかったです。
続き待ってます。
652名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 05:24:35 ID:tzqW34+9
>>645
おお、やべえ、すげえ面白い! GJ!
ちょっとアドレナリン出ちゃったぜ。
再戦時には容赦なくリベンジしてぶちのめして欲しいところ。
次は景品同士も顔見知りみたいだから別の楽しみもありそうだ。
653名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 10:27:49 ID:JJ1Hwh69
切る、刺すは、そういうスレを立ててください
654名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 17:16:56 ID:SBvmWsfG
>648
食い過ぎwwwwwwww
655名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 20:47:19 ID:g4IhRohD
飯2号食って今にも吐きそうになっている娘の腹を指でツンツンしたり、手の平で軽く押したりして責めあげたい。
656名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 23:32:00 ID:kZwR6tAA
たっまんねえわ
http://ameblo.jp/sinnjyukunokinnniku/image-10139339986-10092548387.html
こんな腹に一撃極めてみたいぜ
657名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 00:07:10 ID:5KjsnFgo
3次好きな人が常に一人いるんだな
658名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 00:09:41 ID:uykJwsaK
>>657
しょーがねえべ?責めたくなる腹って2児でもそうそうみかけないんだからよー
659名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 00:21:09 ID:Zw6qEEUy
腹責めなら何でも残さずいただきます
贅沢は言いません
660名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 13:18:30 ID:sWkjryeR
大食いもの

『女子大食い大会 決勝戦』
大勢の観客が見守る中二人の少女が黙々とご飯を平らげていく。
もう2合は平らげたであろうか?
その時突然ポニーテールがトレードマークの少女が叫んだ。

「審判! 今彼女ずるをしました! 食べるふりをしてこっそり捨ててました!」
その一言に場内が騒然となり、慌ただしくなる。
「わ、私そんなことしてません!」
言われた方の少女は、驚きながら否定した。
だがポニーテールの少女の抗議は止まらない。
そこで審判団は仕方なく少女のチェックを行うことにする。

「スイマセンが服をまくっていただけますか?」
「……は……ぃ」
消え入りそうな声を出し、少女は洋服を捲りお腹を見せる。
柔らかそうなお腹はぽっこりと膨らみ、
いましがたまでの激戦の証をくっきりと見せている。
お腹を見られて恥ずかしいのだろう、少女は服を捲りながら
耳まで真っ赤に成り、プルプルと体を揺らしている。
柔らかそうなぽっこりお腹も小刻みに震えている。

「ふむ、服の中に捨ててる様子は見られませんね」
「審判長! 床に捨てている形跡も見られません!」
「そうですか、なるほど、ではちょっと失礼します」

くいっ、きゅきゅ。
「きゃ!? きゅぁぅぅぅ……」
審判長が柔らかなそうなぽっこりお腹に指をくりくりと押し付ける。
『皆に見られている中、指でくりくりとお腹を押される』
女性に生まれてきてこれほど恥ずかしい責苦はあるだろうか?
いや、あるわけがない。
「も、もういいですか……ぁ?」
少女は真っ赤に成りながら審判長に問いかける。
眉間にしわを寄せて困った顔をする審判長はポツリと言った。
「いや、まだ駄目ですね」

661名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 13:19:20 ID:sWkjryeR
「今度はあなたの対戦相手の彼女も調べないと不公平でしょう?」
そう言うと審判長はすっと立ち上がりポニーテールの少女に向かう。
「ちょ!? 何よ、私は何にもしてないわよ!?」
ポニーテールの少女は焦る。
それもそのはず、
これを繰り返して対戦相手の少女を恥ずかしさでTKOさせる彼女の作戦だったのだ。
「さあ貴方も捲って下さい、でなければ不正をしていると疑われますよ?」
「あ、ああ、ううぅぅ」
少女は泣き出しそうになる、出来る訳がない、彼女が着ているのは
ワンピースだ。
だが、少女は意を決したように一番下を掴むとぐっと胸の部分まで捲り上げる。
「ど、どう? ふ、不正なんてしてないでしょ?」
ここまで対戦相手のフードファイター達をこの方法で倒してきた彼女自身が
同じ目に合うとは、自業自得とは言え、屈辱以外の何物でもない。
ぽっこりとした下腹を観客に見られる上、
おまけに下着まで見られている。
「うーん、そうですねえ、服の中に隠している形跡はないですねえ」
「じゃ、じゃあもういいですよね!?」

観客の視線が自分のぽっこりと膨らんだお腹に集中している。
そう考えただけで、恥ずかしさの余り逃げ出したくなる。
それなのに ――
「では、失礼」
グゥ!!
「あああ!!」
審判長が手のひらでお腹を押してくる。
「や、やめ、出ちゃう!!」
スカートを片手で押さえながら、口元を手で押さえる。
だが審判長は意に反さずぐりぐりと手のひらでお腹を押さえつける。
「ああ、止めて!」
だが審判長の手のひらは食べたばかりの少女のぽっこり膨らんだ
柔らかボディを情け容赦なくグリグリとチェックし続ける。

「や、やだ、れちゃう、もれちゃぅぅ――――」
ぽとぽとぽと、
少女はついに耐えきれずに放物線の虹を描き失神した。
662名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 13:21:18 ID:sWkjryeR
「あ、うう……ん、あれ、ここは」
「あっ? よかった気がついたんですね」
ポニーテールの少女が気がつくと、どこかの室内の簡易ベットに寝かされていた。
目の前にいたのは決勝での対戦相手の少女であった。

「チェックの最中に倒れちゃったから、ここに運ばれてきたんですよ」
「そ、う……、ごめんね」
「えっ? いいんですよ、食べすぎちゃうことってフードファイターならだれでもありますから、気にしちゃダメだと思います」
その言葉を聞きポニーテールの少女は驚きで目を見開く。
自分のせいであんなに恥ずかしい目にあったのに、
何とも思ってないのだろうか?
「そうだ、審判長さんが言ってました、
『胃の中が空っぽになったらまた一から食べればいい』 って」
その言葉を聞き少女はぽろぽろと涙をこぼす。
「あ、あわわわ、ど、どうしたんですか? どっか悪いんですか?」
「ご、ごめんなさい、ごめんなさい、そうじゃなくて……」
グルキュウゥ
突然少女のお腹が鳴った。
「ああ、おなかがすいたんですね? お腹がすいたからって泣きだすなんて
早く言ってくれればいいのに」
「えっ!? あ、いやそうじゃ……」
「御食事券を貰いましたから二人で何か食べに行きませんか?」

「えっ……う、うん、ありがとう」
「はい、おなかいっぱい食べましょうね」


その後二人は数々の名勝負を繰り広げるが、特にお腹を叩いたりしないので語る必要はあるまい。


こんな感じでドウっすか?
663名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 15:31:37 ID:ZLjC3NZm
GJです。

ところでスレ容量が486kbになったので、
そろそろ次スレが必要です。

タイトルは

【   】腹責め専門SS・その5【   】

系でいきますか?
【】の中はどうしましょ?
664655:2008/12/13(土) 16:35:06 ID:XFCe8vrK
>>662
うお、これは予想以上に萌えさせてもらいましたw
審判鬼畜すぎる・・・
ありがとうございましたw
665名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 16:45:37 ID:uykJwsaK
>>663
【力の限り!】【ぶちこめ!】とかどうか?
ちと鬼畜かw
666名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 16:50:59 ID:hrSuCUB5
【ボディが】【甘いぜ!】
シンプルにいこうシンプルに
667名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 17:17:27 ID:yCB/iMOY
>>662
バトル系が好きな俺には残念ながら嗜好が違ったが、素早い対応に乙!

>>663
【嘔吐】【失禁】
いやごめん。単に俺の好み。
668663:2008/12/13(土) 17:20:15 ID:ZLjC3NZm
すいません、なんか自分じゃスレ立てられませんでした。
他の方お願いします
669名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 12:07:57 ID:qQKMhIaI
立てました
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1229223999/
【何発でも】腹責め専門SS・その5【叩き込め】
670名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 23:25:46 ID:0Z+kl9Bk
あげ
671名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 00:41:11 ID:ysZ2CFhU
うーむ、埋めなければな。

交配した都市の片隅、地下に広がるレジスタンスのアジトに物資が運ばれてくる。
それは補給基地から移動する車両を襲って手に入れた食料だった。

「へっへー、どうよ! ちょろいもんですって!!」

白い歯を見せて少年のように笑うのは、若干14歳の少女だった。
果物かワインでも入っているのだろうか、戦果の木箱の上に座っている。
短いタンクトップにジーンズのショートパンツ、額には迷彩柄の鉢巻。
赤毛をショートカットにしている少女は、口調だけでなく身体つきも少年のようだった。
スレンダーな肢体は女性的な膨らみに欠け、代わりに筋肉が発達している。

狙撃銃やバズーカからナイフまで種類を選ばず使いこなせる力強く繊細な腕。
長時間の歩行も数秒のダッシュもこなせるしなやかで強靭な脚。
ギュッと締まった筋肉をわずかに感じさせる腹部。どれをとっても素晴らしい。
きめ細かな肌は僅かに日焼けしていて、健康美を少女に与えていた。

運び込まれた大量の食料に喝采を上げるレジスタンスの構成員。
大人から女子供までの声援に笑顔で答える少女。
その人垣を割って、赤銅色の頭髪に僅かに白髪が混じった男が現れた。
レジスタンスのリーダーである、歴戦の勇士だ。

「良くぞ無事に戻ってきたなフラッハ」
「ボス! どうだよこの戦果! もうアタシを子ども扱いさせないよ」
「やれやれ、だが見事なものだ」

赤みを帯びた頭髪同士ということもあってか、二人は親子同然だった。
褒められて鼻の下をこするフラッハ。周囲からも和やかな喝采が起きる。
照れ笑いした少女は物資を漁ると、その中からパンとワインを取り出した。

「最初に食うのはボスとアタシって決めてたんだ。食おーぜ」
「そうそう! みんな待ってますぜー! パーっとお願いしやす!」

囃し立てる声の中、首領の男は投げて寄越されたパンとボトルを受け取った。
フラッハと同時に、乱雑に栓を開け、周囲に見えるよう高く掲げる。

「それじゃあ、頂くとするか」
「へっへー、いただきまーすっ!!」

言うが早いか、柔らかなパンにかぶりつき、ワインをあおるフラッハ。
僅かに遅れたボスが苦笑しながらパンを口に運ぶ。

そしてその味を感じた瞬間、ボスの顔色が豹変した。
ワインのボトルから手を離し、一瞬でフラッハの懐にもぐりこむ。

「ん?」

上機嫌にワインをあおっていたフラッハが視線を下げたと同時に、
下から抉り上げるような拳の一撃がフラッハの締まった腹部に突き立った。
ドスンという重い衝撃音。周囲が静寂に包まれる中、ガラスの割れる音が響く。
ボスが離したボトルだった。次いで、フラッハの手からボトルが滑り落ちる。
足の爪先が浮くほどの一撃を受けたフラッハは、顔色を一瞬で蒼白にさせ――

「なっ、んっ、んぐぶっ……、おごおおおおええええええええ」
「食べるなっ!! 毒だーーーーーーー!!!」

びしゃびしゃと嘔吐したワインとパンと胃液が床に広がるなか、ボスが大声を上げる。
食べ物に群がろうとしていたレジスタンスたちは、その声に動きを止めた。
喧騒を背に膝をついて腹を押さえるフラッハは、敵を憎むことで痛みを堪えていた。おしまい。
672名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 00:42:20 ID:ysZ2CFhU
最初いきなり荒廃を交配と間違えてて恥ずかしいんだぜ。
673名無しさん@ピンキー:2008/12/20(土) 02:16:55 ID:n6y/tltN
交配都市のインパクトがデカすぎw
色々妄想を刺激されそうだぜ。
埋めに使うには勿体無いくらい、丁寧な文章だなぁと思った。
674名無しさん@ピンキー:2008/12/21(日) 00:25:08 ID:4HekHzUv
どこの南斗白鷺拳だこのヤロウw
675名無しさん@ピンキー:2008/12/22(月) 22:00:56 ID:/8hTiEuC
誤爆でも良かったんだけど、埋めにちょっと独り言。
割と似たような住人層じゃないかなって思ってた他スレを見ていると
ここって穏やかなのに投下も結構あっていいスレだなとしみじみ。
676名無しさん@ピンキー:2008/12/22(月) 22:21:12 ID:j/QUC4Bn
腹責めは紳士淑女の楽し・・・じゃなくて嗜みだからな。
677名無しさん@ピンキー
つまり

レディ「さあどうぞ、思う存分打ってくださいませ伯爵様」
伯爵「おお、これはこれは、では遠慮なく打たせてもらいますよ、レディ」(指金具をはめながら)

こう言う事ですね。