【総合】新ジャンルでエロパロpart6【混沌】

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1名無しさん@ピンキー
「ツリデレ」「素直カール」「素直キュート」「オールウェイズ全裸」
などの世間一般的ではない新ジャンルの総合・混沌的なエロSSスレです
大元の新ジャンルスレでは投下したいけど出来ない、そんなエロSSカモン
勿論、今までにないさっき自分で思いついたキャラやシチュでも構いません



大元の新ジャンルスレが現在進行形であるなら、向こうで宣伝するなどの迷惑をかけないように
基本的にどんな新ジャンルでもおk
嫌いな新ジャンル・シチュはスルーなどしての大人な態度で
職人さんは随時募集中。迷うより投下
保管庫への収録の協力者も募集中です



新ジャンルでエロパロ@ウィキ(まとめサイト)
ttp://www37.atwiki.jp/wixi/pages/1.html



「新ジャンルまとめ@wiki」(参考サイト)
ttp://www12.atwiki.jp/new-genre/pages/1.html



過去ログ
【総合】新ジャンルでエロパロpart5【混沌】
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1202030382/
【総合】新ジャンルでエロパロpart4【混沌】
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1196288942/
【総合】新ジャンルでエロパロpart3【混沌】
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1190506464/
【総合】新ジャンルでエロパロpart2【混沌】
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1185291735/
【総合】新ジャンルでエロパロ【混沌】
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1157732209/
2名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 14:13:23 ID:3J+i9LZS
2なら2get
3名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 14:28:29 ID:3R8fehDI
おっさんゲット
4名無しさん@ピンキー:2008/04/20(日) 01:02:22 ID:6723bqNy
女「男〜、やったよ〜」
男「ん?」
女「おっさんゲットした」
男「逃がしなさい」
女「え〜」
男「え〜、じゃないの」
おっさん「え〜」
男「え〜じゃなくて本体は帰れ。財布は置いてけ」

既出ジャンル「オヤジ狩り」
5名無しさん@ピンキー:2008/04/20(日) 19:34:28 ID:e0smoagy
>青春の人
新キャラキターwww 名前と性格設定頼みますorz …どう動かしたものだか
>1
乙であります
以下投下

いつもの様に迎えた月曜日。いつもと変わらないように見える教室の風景。
しかし、新たな変化が訪れた事を青山春樹は友の口から聞く。

「聞いたか?今日付けで美術の先生が来るそうだ。」
「ふ〜ん。となると、朝礼の時に顔を拝めるわけか…。」
「そういうことだな。何でもスゲー美人らしいぞ?胸もでかくてスタイル良いらしいし。」
「でかい…のか?それは良いな。」
「おっ?お前もようやくムッツリすけべの仮面を外したか?
 …でも俺はやっぱ会長だな。胸は無いけど日焼けした野生なイメージで妙に迫力ありそうだ。」
「いや、豆田はああ見えて色白だぞ?あと、恥らってる様子は意外に可憐な感じだな。」
「!?」
「どうした?」
「……………なぁ。」
「何だ?」
「…………………会長の胸、見たのか?」
「………ああ。………でもあれは事故…って聞いちゃいないか。」
「っぅううわああああああぁぁぁぁぁぁぁん!!会長の純潔がぁぁぁぁぁぁ!!!(涙ながらにダッシュ)」

遥か彼方まで走り去っていった友。
呆気に取られその姿を見送るだけの春樹だったが、2人の少女達の声に現実に引き戻される。
「はるくん、たいいくかんにしゅうごうですよ?」
「青山くん、行こうよ。」
「……あ、ああ。そうだな。」

そこで意外と早く訪れた再会。
「青山春樹くんか?…久しぶりだね。」
新たな役者が舞台に殴りこみ、台本の無い物語はさらに混沌を増す。

新ジャンル「めぐりあい 体育館」新醤油学園野望編
6名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 00:38:11 ID:/GBxWSGH
>>1
オールウェイズ全裸www
乙。
7名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 21:36:44 ID:kUgLqCGH
男 「ここが新しい町かぁ……友達、できるといいなぁ………なんて、俺は小学生かっ!
   でも、正直友達できるといいなぁ……。できれば彼女できるといいなぁ………」
女 「………」

バッタリ

男 (あ、全裸だ)

女 「…………」
男 「………………」
女 「……………………」
男 「…………………………全裸?」

女 「きゃあああああああああああああああああ!!!!」
男 「わぁぁああ……ってなんで!?なんでそっちが悲鳴あげるの?全裸なのに!そっちが全裸なのに!!」

K察「朝っぱらからうら若き乙女の悲鳴を聞きつけ即参上!町の平和を守りマニアのお巡りさんです!!」

男 「あ!お巡りさん!大変です!全裸の女の子が目の前に!」
K察「……何だ、女さんじゃないですか」
男 「え!?知り合い?」
女 「あの人が……わたしのこと、全裸って!!」
K察「……君、本当かね」
男 「えぇ!?言いましたけど!何?この空気!何で僕が悪いみたいになってんの?」
女 「わたし、わたしどうしていいか……」
K察「大丈夫、もう大丈夫ですよ。……君、ちょっと話を聞かせてもらおうか」
男 「待って!なんで!?僕悪くないよね!?」
女 「わたしのこと、いやらしい目で見てたくせに!!」
男 「服着ろよ!!」


新ジャンル「オールウェイズ全裸」
8名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 21:58:13 ID:EUEkf1mA
女「メリークリスマス!男くん!」
男「…」
女「みてーキレイでしょう!ほらチカチカーって」
男「…えーと…何のまね?」
女「えー、見てわからないかなー」
男「分らないから聞いてるんだけど」
女「ほらー緑のワンピに白い綿とキラキラのイルミネーション、頭に☆だよ、☆」
男「なんで…今なんだよ…」

新ジャンル「ツリーデレ」



三平「べ、べつに魚心さんの事、なんとも思ってないんだからぁ!」

新ジャンル「釣りデレ」

9名無しさん@ピンキー:2008/04/22(火) 18:34:18 ID:xUR19VFc
>>7
テラ理不尽w
10名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 01:46:11 ID:dVDy6pfo
女「新ジャンル」
男「無謀チャレンジャー」
女「これができたら100万円!!」
男「……いや、100万円は貰えないけど。なんだ、その懐かしい番組は」
女「ホント、ウッチャンナンチャンをもう一度ダンス以外の番組で見てみたいものだよね」
男「………それについては色々黒い噂があるのでスルーします。
  この番組は好奇心の赴くままに遥か銀河へ一直線!な俺の彼女、浅井 茶々(あさい ちゃちゃ)と」
女「最終鬼畜チャレンジャー、M.Dレンジは彼氏だった!なわたしの彼氏、美鳥 蓮二(みどり れんじ)でお送りします」
男「……納得いかないものがあるけど、ここはスルーだ。で、今日は何するだ?」
女「この前さ、足コキってやってみたじゃん」
男「ああ、途中でお前の足が攣って丁度いいところでおあずけ食らったやつな。それが?」
女「それでね、今日は一風変わったコキをやってみようかなって」
男「一風変わった……てことは、脇とかか?」
女「ノン。我々は日々新たな性癖を開発しようと逢瀬を重ねる大いなる挑戦者、無謀チャレンジャー。
  今日のチャレンジはこれです!!『千歯コキ』!!!!」
男「……よし、ちょっと待とうか浅井 茶々クン」
女「すごくない?『千』で『コキ』だよ?みみず千匹っていうけど、それでコキだよ?すごそうじゃない?」
男「すごそうだな確かに。すごい勢いで脱穀できそうだ」
女「『歯』がナゾかなって思ったんだけど。ああ、きっとこれはアレだね。歯ブラシみたいにアレでしゃこしゃこと」
男「痛そうなイメージしか出てこないんだが。フェラはあくまで歯に当たらないようにするから気持ちいいんであって、
  積極的に歯を使おうとする辺りなんとも。人体で一番硬いんだぞ歯って。新しいっちゃ新しいけど」
女「新しい!?やっぱり!?えへへ、これはチャレンジしなくっちゃね!レンくん!!」
男「………」
男「……………」
男「……………………ああ、そうだな」
女「わーい!」

男(……あの笑顔にゃ、敵わないからなぁ………)


……………案の定、痛かった。


新ジャンル「農具」
11名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 01:55:35 ID:dVDy6pfo
ペリー「ははは、もうこんなになってるじゃないか」
日本 「くぱぁ」

新ジャンル「開国」
12名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 12:21:10 ID:z23tPmW1
>>11
いやらしい子!(笑)

13名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 17:59:42 ID:dVDy6pfo
女「ごめんね〜、待ったぁ?」
男「え、あー……ううん、全然待ってないよ!今来たところだよ!」
女「でも待ち合わせは一時間前なn」
男「さ、早く遊びに行こうよ!とりあえず移動!あ、どっか行きたいところある?」
女「家」
男「……………うん?」
女「家帰りたいなぁ」
男「いやいやいや!いやいやいやいやいや!!来たばっかでしょ!?」
女「でも、帰り遅くなると怒られるんだ私」
男「来たばっかだよね!?なんで既に帰ること考えてるの!?」
女「門限まであと30分」
男「帰れェェェェェ!!!!」


新ジャンル「やる気0」
14名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 22:20:01 ID:CYTzUqbO
>>10
ちょww思わずぐぐったが……コレかよ……
http://images.google.co.jp/images?sourceid=navclient&hl=ja&ie=UTF-8&rls=GFRD,GFRD:2007-36,GFRD:ja&q=%E5%8D%83%E6%AD%AF%E3%81%93%E3%81%8D&um=1&sa=N&tab=wi

ご子息が夭折されてないか心配だな…
15名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 22:05:49 ID:ejyHZBMd
拷問器具にしか見えないんだが
16名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 23:02:14 ID:5z9L6d2i
これで一体ナニをどうしようと言うのだ・・・
17名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 22:43:26 ID:3PI5xgu0
春樹の話にショックを受けて、ダッシュで駆け去った友が帰ってきたのは、昼休みも終わる頃だった。
「……ハル、帰って来て良かった……強い子に会えて……」
「友ーっ!?」
一言を残し、倒れこんだ友を心配する青山春樹。
「いったい全体何が?」

保健室へ友を運び寝かせた後、春樹は再び教室へと戻る。

『友の衰弱には一体何が隠されているんだ?』
考え込んだ春樹、しかしその行動はある事件を引き起こす。

ドンッ!!

「あたた…す、すまない。考えこん…(ムニュ)…えっ!?何だこの感触は(ムニュムニュ)!!」
「青山くん、ぶつかったのは兎も角、新任教師の胸を揉むのは感心しないぞ」
「でぇ!?さっきの!?」
倒れた春樹の下には新任の美貌女教師。
春樹の手は知らず知らずの内に、女教師の豊かな胸を揉みほぐしていた。

「名前は先程名乗った筈なんだが。…千所舞(ちどころまい)だ」
「ち、千所って校長の苗字じゃ!?」
「校長は私の姉だ。それはそうと退いてくれないか?」
18名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 22:47:37 ID:3PI5xgu0
傍からみれば、春樹が廊下の真ん中で押し倒しているようにしか見えない。

「あっ、すみません!!」
「こんな所を見られたら誤解…された様だ」
「えっ!?」
「……春樹さん……!!」
「…………………」

慌ててはね起きた春樹の視界に入った少女二人。

いつも無表情な豆田貴子の怒った顔と、感情豊かな筈の妹・春香の氷ついた顔だった。


新醤油学園 青春編
「新任教師は校長妹」

おまけ

「あれ?薫〜何だか顔ツヤツヤだけど〜?」
「あ、夕圭。おはよう」
「普段遅刻しない薫が重役出勤なんて珍しいね〜」
「なに、ちょっと浮気な幼馴染みにお灸を」
「……?」

女2こと仁科薫。
只今男友こと音胡友の彼女でもある…
言うまでもなく友の衰弱の原因とは。


「か、薫…も、もう出ないよ…あ、そんな所に指入れちゃ……………!!
アーッ!!!!」
19名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 11:08:09 ID:ujuKyrFC
今もあるのかどうか知らないが即死回避
20名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 19:23:45 ID:zhB8uX0M
wikiの人、更新乙です!
21名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 19:43:11 ID:beqeGRlB
ほんとだ!更新されてる!!
wiki乙!!
22名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 22:42:27 ID:pfZyDriJ
WIKIの方、更新お疲れ様です。


桜吹雪女学園。
共学の新醤油学園及び東部味噌工業高校とは異なり、女子高である。
さて、昼休み前に堂々と校舎を後にする人影が。

「…理菜ちゃん?」
「お、おばさま!?」

ギリギリ

「あだだだだ!!」
「お・ば・さ・ま?」
「い、いえ!!あ、青山校長先生!!は、離して〜」

過去幾多の不良を更正&セクハラ教師を地獄へ送ったアイアンクローから、
遠山理菜はようやく解放された。

「…理菜ちゃん、まだ授業中でしょ。感心しないわね」
理菜は校長―青山夏実―に懇願する。

「胸騒ぎがするんです」
「胸騒ぎとは穏やかじゃないわね…」
「春くんに魔の手が迫ってる気がするんです!!」

理菜は幼馴染みの名前を相手に告げる。

「春樹に?まぁ、女性絡みの問題よね」
「母親としていいんですか!?そんな態度で!!」
「だってあの子しっかりしてるし、昔から慣れっこだからね」

ケラケラ笑う青山校長。
息子を信じていると言うよりは、単に面白がっている様にしか見えない。

『春くん、待ってて!!私が今助けに行くから!!』

手を握り締めて、堅く決意する理菜。

『それにあの泥棒猫Sにもリベンジしなきゃ!!』


新醤油学園 青春編
「逆襲の理菜」
23名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 02:05:46 ID:c62tJgaf
wikiの人、乙です!!


妙齢の女教師の胸を、事故とはいえ揉みしだいてしまった青山春樹。
その事実を部分的に誤認され、見事に修羅場な流れに突入している。

「………春樹さん。浮気は駄目。」
「ハル?私なら良いけど、他の女性を押したりしちゃダメだよ?」

珍しく怒りを露わにしている豆田貴子に、凍りついた表情で空ろな視線を向けてくる青山春香。
…正直、怖い。慄いた春樹は助けを請うべく、もう一人の当事者の千所舞に顔を向ける。
そんな少年に対し、美術教師は艶然とした笑みを浮かべた。
私に任せるが良い…とでも言いたげに。

だが、期待と言うものは常に裏切られる為に存在する。
…発火点ギリギリまで加熱された少女達の怒りは、魅惑の女教師の放り込んだ火種によって爆轟となる。
「そうだぞ、青山くん。女性の身体は壊れ物なんだ。胸一つ揉むにも、もっと優しくしてくれないとな。」

「「お仕置き決定!!!」」
「ちょっと待ったぁぁぁぁ!!!」
飛び掛ろうとした彼女たちの前に立ちふさがる一人の少女の姿。

「……お姉ちゃん?」
「豆田姉?」

困惑する少女達に、珍しく真剣な表情をした豆田陽子が口を開く。
「それよりも緊急事態だ、貴!!哨戒に出ていたL班から、桜吹雪女学園方面より重大な脅威が迫っているそうだ!!」
 通常の3倍の速度で走ってるらしく、もう1分もしたら本校に突入する!!」

「ね、ねぇハル…。…何なの?」
「さ、さあ?」

困惑する青山兄妹を脇目に、肩を並べて身構える豆田姉妹。

「…お姉ちゃん!」
「ああ!来る!!」

やがて校舎を揺るがす爆音と振動。
煙が立ち上るその中心部にて立ち上がる、一人の影。

「新醤油学園よ!!私は私は帰って来た!!…なんてね。ふふふ。春くん、迎えにきたよ?」

新ジャンル「オペレーション・メテオ」新醤油学園野望編
24名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 11:46:12 ID:LZzLrvzm
「別に君のことなんか、好きではない」
「『この子宮に君の熱い子種を注いでほしい』なんて全然想ってない」


新ジャンル「ツン素クール」
25名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 20:11:02 ID:BG4MUDH9
>>24
なんでかドラえもんの道具を連想した。
嘘が現実になる薬。


爆音と爆煙の中に佇む遠山理菜だったが。
「ゲホッ、火薬の量多すぎたかな?…しかもちょっと派手な音したし。
…仕方ない。ここは姿を隠すか…」

煙が晴れた後には人影はなく、ただ爆破の痕跡が残るのみ。
駆け付けた豆田姉妹にも手掛りが掴めなかった。


「番長とどこ行こうかな〜♪やっぱ定番の遊園地かな?」
「おいっ!!チーマー…じゃない芝村!!妄想に浸っている場合じゃねぇ!!」
「どしたの?姉妹揃ってさ……仕事?」
中庭で一人、お弁当を食べながら番長とのデートプランを考える少女、芝村麻里愛。
又の名を四天王チーマージャン。その彼女に豆田姉妹が声を掛けた。

「…L5班から連絡。ピンクブリザード方面より侵入者…」
「貴にゃん、侵入者の数はどのくらい?」
「…一人。それと…『貴にゃん』は辞めて…」

ちょっと嫌そうに貴子が答える。一方の姉、陽子は『すぐに追跡!!』と足踏みをしている。
26名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 20:13:43 ID:BG4MUDH9
「テンメン…夕圭の奴がファンシーモード入って使い物になんねぇんだよぉ!!手伝え!!」
「ファンシーって…ああまた例の病気か」
「…病気というよりか、もはや業……」
「うーん、多分死んでも直らないね」
「だー!!呑気にくっちゃべってんじゃねぇ!!」

他愛ない二人の会話に、ぶち切れる陽子。しかし
『一人ということは多分…ターゲットは恐らく春樹さん。ならば対策も…』
『あの子にも困ったね…まぁ片想い仲間として助けてやりたいけど』
二人の頭の中では、既に容疑者が割り出されていたりする。
『しかし何故、校舎を爆発させる必要性が!?』

一方その頃。
「おかし♪おかし♪」
鼻唄を歌いながら、購買部へ急ぐ真智子の前に…

「見つけた!!泥棒猫ロリ1号め!!この前の恨み晴らさせて貰うわ!!」
「ふえっ?…あ、がちゆりのひと!!」
「違う!!私は春くん一筋なの!!そんなデマ…」
「…ならわたしのてきですね……(ギロリ)」
『な、なにこの殺気は!?こ、こんなロリ娘に私がプレッシャーを!!』

真智子VS理菜。今ここに春樹を巡るガチバトルが始まる!!
…かもしれない…


新醤油学園 青春編
「激闘は憎しみ?深く」


おまけ
「え、で、でも薫。いつの間に音胡くんと!?」
「ちょっと前に」
「ひどいよー、教えてくれたっていいのに…」
「すまない…夕圭」
「で…どこまで進んでるのかな?」
夕圭の瞳がキラキラ輝いている。彼女が校内の異変に気付くまで、もう少しかかるだろう……

新醤油学園 青春編
「F-MODE 起動中」
27名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 13:05:08 ID:ttXIFghp
女「おきょ…おちょこきゅん!」
男「え?何」
女「わたすはなちありゅね」
男「なんて言ってるかわかんねーよ!」
女「わ・た・し・は・にゃ・し・が・あ・りゅ・の」
男「話って何だよ?」(こまぎれにしてしゃべってもちゃんと言えないってある意味すげぇ)
女「おきょこちゅん!しね!」
男「え……」
女は顔を赤くして走り去っていった。
女(ちゃんと好きって言えた!)
男「なんなんだよいったい!」
 
新ジャンル「カミカミ」
28名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 22:02:05 ID:3Sxth79M
一触即発まで殺気を高めた囲炉裏真知と遠山理菜。
「…あなたは、わたしのてきなのですね?」
「ならどうする?……そんなことより覚悟はいいわね?泥棒猫!!」

気勢を上げ、一気に距離を詰めて攻めかかる理菜。
「はぁ!!!」
フェイント無し、さらに踏み込みの加速と全身の体重を乗せた右ストレート。
しかし、真知の左手に払われた拳は空を切り、理菜はたたらを踏んで体勢を整える。
「ちっ!!」
続けて後ろ回し蹴りを放つが、これも受け流される。
「むだです!だげきなんて、ただのべくとるです!だから、べつほうこうのちからをかけることで、かんたんにむりょくかできます!!」
『ちっ!このロリ娘!!それでも私の打撃を見切らなきゃできない芸当じゃない!!
 …でも、組み付いたらどうかしら!?』

戦術を変え、タックルを仕掛けてテイクダウンを奪う理菜。マウントポジションをとった以上、勝敗は決したにも等しい。
「どう?これだけ近接したなら、よっぽど強いベクトルを与えないと直撃は避けられないよね?………じゃ、さよなら!!」
理菜は止めを刺すべく拳を振り上げているが、こんな危機的状況ですら真知は余裕の表情すら浮かべている。
そして……。
「たすけて〜〜〜〜!!はるくん〜〜〜〜!!がちゆりさんにおかされます〜〜〜〜!!!」
「ちょっ!?な、なんて事を!!?」

うろたえる理菜に対し、勝者の笑みを隠さない真知。
『はたからみれば、がちゆりさんがわたしをおそっているようにしかみえません!
 これではるくんがかけつければ、わたしのかんぜんしょうりです!!』
だが、その声に呼ばれて現れた人影は彼女にとっても想定外の人物だった。

「おや?校内での淫行沙汰はご法度だよ?…でも、私の居室なら問題はないぞ。
 ……ふふふ。天国に招待してあげるよ?」

「え?ぇえええ!?なんではるくんじゃなくてこうちょうせんせいがくるんですかぁ〜〜〜!?」
「そんなに思い通りに行く訳ないでしょ!?…でも、何、この人。すっごくヤバ目な格好と目付きしてるんですけど!!?」

「…喧しいな。えい。」
騒ぐ二人に一瞥をよこす校長。ハンカチに含ませた薬品を吸引させ、手早く意識を刈り取る。
「え?なに?ちょっとオバサン?…う(くたっ)」
「こ、こうちょうせんせい……。…なに…を(がくっ)」

「ふふ…。囲炉裏真知ゲット…だな。それにこの娘は遠山家の…。ふふふ、美味しそうな身体をしている。」
脱力した二人を抱え上げ、己が根城へと歩を進める恥女校長。
果たして真知と理菜の運命や如何に…。

新ジャンル「漁夫の利」新醤油学園野望編
29名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 22:02:43 ID:3Sxth79M
真知と理菜が激闘を交わしている頃、春樹たちは豆田姉妹および芝村と合流していた。

「…きっとターゲットの狙いは春樹さん。…だから動かず防御に徹したほうが得策。」
「へ〜〜。さすが貴にゃん」
「……貴にゃんはやめて。」

「で、春樹?新任の女性教師に悪さしたってのは本当なのか!?」
「そ〜よ!ハル!!ダメじゃない!!
「彼は積極的だよ?初対面なのに私に対して綺麗とまで言ってくれたし、さっきだって……ふふ(///)」
「ちょ!?せ、先生!?」

「……春樹さん。」
「春樹!!」
「ハル!!」

突き刺さる3対の瞳。…後ずさる青山春樹だが、時既に遅く。
「「「お仕置き!!!!」」
「アッーーーーー!!」

昼下がりに響き渡る少年の断末魔…。彼が意識を取り戻すとき、運命の歯車はどう廻っているのだろうか?

新ジャンル「実刑判決および刑執行」新醤油学園野望編
30名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 10:09:57 ID:AZsNBQud
春樹への制裁を終了した三人だったが、傍観者・芝村麻里愛からある指摘を受ける。
「言い辛いんだけどさ…侵入者が青山君を狙ってるなら、今の制裁を止めたんじゃない?」
「「「……………」」」
言葉の出ない三人。

「…春樹さん、悪いのはお姉ちゃんとルカさんだから…」
「貴子ちゃん!!」
「貴、自分だけ良い子になるなんて卑怯だぞ!!」
制裁者三人が仲間割れしていると。
「何やってんの?もう授業始まるよー」
「あ、夕圭ちゃん」
「てめえ!!今頃来てその言い草はなんだ!!」
ようやくやって来た夕圭に食ってかかる陽子。慌てて麻里愛は事情を説明する。

「…真智ちゃんの姿が見えないのよ」
事情を聞き終わった夕圭が発した言葉に、貴子が答える。
「…この際囲炉裏は…関係ない…」
「…そうかな?」
「悪いが囲炉裏のことは後回しだ。あたし達は校内を巡回、ルカは春樹を保健室へ。
…夕圭は校長へ報告だ」
「「「「OK!!」」」」

新醤油学園 青春編
「四天王+1 揃い踏み」
31名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 10:17:01 ID:AZsNBQud
みんなと別れ、夕圭は校長室へと足を運ぶ。
「参ったなぁ…最近成果も挙げてないし、侵入者を許すなんて…
大目玉食らうのかなぁ」
夕圭は一人愚痴を溢す。
「…!!あれは!!」

身を廊下の端に隠した夕圭が目にしたもの。
『校長…!!真智ちゃんと……理菜ちゃん!?事情は分からないけど、校長に捕まった!?』
夕圭は急いで頭脳をフル回転させる。

『このまま放っておけば二人は校長に××されちゃうし、報酬もパー!!』
『でも助けると一気に退学も…が真智ちゃんを見捨てる訳には…』
ピンポンパンポン

「校長先生、校長先生。応接室でナイスミドルな青山さんがお待ちです」

校内放送が入り、校長の興奮を更に掻き立てる。
「なんだと!!!!あ、青山先生が!!!!人生で最高に幸せな日だなっ!!!!」
くねくね踊りながら、校長室を出ていく痴女クール校長。

しばらくして校長室の窓が音もなく開く…

「ごめん、校長…」


五分後、戻って来た校長の鼻息が荒い。
「くそっ!!悪戯にしては度が過ぎる!!犯人を見付けたら、死ぬ程可愛がってやる…………
……二人が消えた――――っ!!!!!!うーん……」
その場にショックで崩れ落ちる痴女クール校長だった………


遠山理菜が目覚めたのはある少女の背中だった。
「う…うーん…えっ!?」
「気がついた?安心…」
「お、お前は!?は、離しなさい!!」
「わ、あ、暴れちゃ駄目だよ…と、ととと!!!」

ボチャン!!

中庭の池に落ちた少女が二人。やはり夕圭はオチ要員だった…


新醤油学園 青春編
「オチてません。」
32名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 10:23:51 ID:AZsNBQud
>>31途中抜けorz

『見捨てる訳には…』の後に


『仕方ない…隠密行動で行くしかない』

校長室へ苦心して二人を運んだ校長。自然と笑顔がいやらしい物になる。
「はははは!!!!囲炉裏だけではなく、遠山の娘まで手に入れるとはな!!!!
……いかん鼻血が」
首筋をトントンと叩く、痴女クール校長。
そこへ…

ピンポンパンポン

です…


さて続き

「ふにゃあ…もうたべられない…」
古典的な寝言を言う真智子。春樹は優しく……
「…ですか、はるくん?…ならわたしがもらいますね」

ズルッ

春樹の体勢が崩れた。

目覚めた春樹の横に眠っていたのは真智子。思わず大声を出しかけたが、気持ち良い寝顔の
真智子を憚って、声を飲んだ春樹だった。

『…本当に平和そうな顔で寝てるよな。でも多分、俺が寝てるのを心配して居てくれたんだな…』

無論事実は異なる。が誰も告げる事はない。

「はるくん…おいしいですよ……」
『囲炉裏…今日はお前の大好きな献立にしてやるよ……ありがとな』

新醤油学園 青春編
「知らぬが仏・ヒロインのターン」


おまけ


「…お姉ちゃん…侵入者は何処へ…」
「…帰ったとか?」
「な訳ねえ!!相手はこっちがダレるのを待ってるんだよ!!!!」
「そうかな?」
「見付だすまで巡回だ!!気合い入れろっ!!!!」
『えーーっorz』


「さ、寒いよぉ…必死に二人を助けたのに………(ヒックシュン)」

「私の……出番……」
33名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 10:27:04 ID:AZsNBQud
「……8.5℃。結構熱がでてるな。大丈夫か?」
「うん…(ゴホンゴホン)…頭いたい…」
「ちゃんと寝てろよ。今何か作ってくるから」
「うん…」

春樹は部屋を出て、階下の台所へと向かう。
『にしても…黒田が熱を出すなんてな』


「理菜の逆襲」事件翌日のこと。中々起きてこない夕圭を心配し、春樹が見に行ったところ、
赤い顔をしてだるそうな夕圭を発見。
体温計で計ってみれば、熱がありいわゆる風邪の症状。
病人を一人放っておく事もできず、学校を休んで看病する春樹。

『…疲れがでたのかな?いつも黒田に面倒かけちゃってるしな』

実際のところは、自分で池に落ちたのが原因なのだが、春樹は知らない。

『まずはお粥とリンゴを持って行くか』


「何だと!?テンメンジャンが風邪!!更に春樹まで休みだって!!!」
「…春樹さんから聞いたから…間違いない…」
驚いた陽子だったが、日頃感情を表さない貴子の心底悔しそうな表情で、我に帰る。
「かーっ!!こうしちゃいられねぇ!!貴っ、あたし達も行く…」
「…春樹さんから念を押された…『俺が見てるからちゃんと学校へ行きなよ』と…」

貴子からすれば気が気ではない。二人が急接近する可能性は十分ある。
『…夫を信頼するのは妻の役目…でもテンメンジャンは策士…心配…』
『…あのクサレおっぱい女…春樹さんに手を出したら………!!』
34名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 10:33:32 ID:AZsNBQud
妹の危険な表情に気付いていない陽子がある一言を漏らす。
「策があるにはあるんだけどな…でもな…」
「…お姉ちゃん!!」
ガシッと肩を掴んで姉へ迫る貴子。
「教えて!!その策を!!」
「た、貴!?き、キャラ違わないか!?」
「…早く!!」
『春樹…貴が怖いよ…』
内心で春樹に助けを求める陽子だった。


「…真智ちゃん、ちょっとお菓子食べ過ぎよ」
「…はるくんのごはんじゃないと、はらもちわるいんです」
「ハルも、何も休まなくてもねえ…心配なのは分かるんだけど」
教室で朝からお菓子を食べ続ける真智子と夕圭の代わり、お守り役ルカ。
『夕圭ちゃんも大変なのね…真智ちゃんのお守り役なんて』
「……るかさん、しつれいなことかんがえてます?」
「べーつーにぃー」
ムッとした真智子だが、ルカは気にしない。
「ゆかさん…だいじょうですよね…」
「まあねぇ。ハルもいるから特に問題は…」
「……しまったです」
「どうしたの?」
「えいごのれぽーとをわすれてきました。とりにかえります」

そう言うと慌てて支度を整え、真智子は教室を出ていった。
……鞄を持って。

「…………逃げたな」
呟いたルカの表情に
「私も帰ろう」という色が浮かんでいた。


新醤油学園 青春編
「風邪引き対応」



>野望の人
ネタが進んで一気に書いてしまった。申し訳ない。
しかも、そっちの投下から半日しか経ってないのに…


35名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 16:42:33 ID:bI7jj6RR
おー、すげぇすげぇ。
ウィキも更新されたことだし醤油学園もー一回読んでくるー
36名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 19:13:50 ID:T/9NpYFr
しかしもちろんこれが醤油のペースだとはわかっているけど、
長いのも読みたいなーとか思ってる俺
37名無しさん@ピンキー:2008/05/01(木) 01:37:58 ID:UFw7aKw3
>34
こちらはちと遅れ気味ですが、構わずにどんどん書いて下さいな

>36
魔王の人とか、奈良の人、あと妖艶伝の人とかチャレンジャーの人に期待ですな


新醤油学園から青山家に至る道。二人の少女が疾走していた。
「るかさん!!なんでついてくるのですか!?」
「私も忘れ物しちゃったんだよ〜〜。…夕圭ちゃんの部屋に。」
「……るかさん。……まさか?」
「…真知ちゃん、同時突入よ。時刻合わせて。」
「りょうかいです!」
敵対よりも共闘を選んだ二人…。
彼女らの向かう先には、こんな光景が繰り広げられていたりした。

「黒田、食べられるか?」
「うん。ありがと。」
湯気を立てるお粥と、丁寧に剥かれたリンゴ。
ちなみに添え物の梅干は、先日の温泉旅行の際に春樹は惚れ込んで購入した一品だったりする。
「…味、どうだ?」
「うん。美味しい。すごく美味しいよ。」
「そうか…、良かった。…黒田?どうした?何で泣いてるんだ?」
少女の頬を伝う涙…。こんな展開になれば、経験値の低い春樹はオロオロするしかない。

「…ゴメン。…凄く嬉しいんだ。今まで一人で暮らしてきたけど、今は一人じゃないんだって…。
 傍に青山くんや真知ちゃん、ルカちゃんたちが一緒に居て、ほんとに今は寂しくないんだ…。」
「そうだな。…お前、ずっと一人で頑張ってきたもんな。」
思わず夕圭の肩を抱きしめる春樹。
「春樹……くん。」
夕圭も春樹に身を委ね、彼の胸元に顔を埋める。
「元気が出るおまじないってヤツかな?ルカには特に効果覿面だったな。
 …黒田も無理するなよ。囲炉裏に振り回されながら生徒会も頑張って…。抱え込みすぎだ。
 俺なんかでよければもっと頼ってくれ。」
38名無しさん@ピンキー:2008/05/01(木) 01:38:36 ID:UFw7aKw3
夕圭からの返事は無い…。しかし額が擦れる感覚から、何度も頷いていることは察知できる。
やがて春樹の胸元の濡れた感触は次第に乾いてゆき、さらに暫く後には安らかな寝息を立てている夕圭。
ベッドに優しく横たえ、彼女の眠りが深くなりつつ頃合を見計らい、台所に戻ろうとしたところ…。

「ゆかさ〜〜ん!!かぜ、なおりましたか〜〜〜!?」
「ハル〜〜〜〜〜!!夕圭さんの具合、どうなの!?」

勢い良く、黒田夕圭の部屋に突入してくる真知とルカ。
『だいなみっくえんとりー、せいこう…ですね!?』
『まだよ、囲炉裏巡査長!!ハルと夕圭ちゃんの分断まで行って、ようやく作戦成功なのよ!?』

しかし、彼女らを迎えたのは春樹の無言のリアクションだった。
人差し指を唇に当てた…それだけの格好なのに圧倒的な迫力が醸されていたりする。
『バカヤロー!!病人がいるんだぞ!?自重しろ!!』

予定外の事態に、当然慌てる二人。
『あ、あわわわわ。はるくん、ほんきでおこっちゃったです……。』
『あちゃ〜〜、こりゃ撤退…しかないか……。真知ちゃん、策を練り直すわよ……。』

乱入者の撤退を見届けたところで、再び夕圭に視線を向ける。
煩かったのか少し眉を潜めつつ寝返りをうつ夕圭の手を握ってやると、人肌の感触に安心したのか、安らかな寝顔に戻る。
『もう少し、ここにいるか…。』

しかし、彼は知らない…。第一波の真知、ルカの再襲来だけでなく、豆田姉妹も密かに策を練っていることも…。
彼は、黒田夕圭の穏やかな眠りを守れるのか…?

新ジャンル「看病会戦 突入失敗」新醤油学園野望編
39名無しさん@ピンキー:2008/05/01(木) 21:15:13 ID:ShlFPzGB

くされおっぱいに吹いたww
そして春くん、あんだけいい思いしておいて経験値の低いとは何事かっ!

風邪引きイベントといえば色々思い浮かぶけど
ここは職人のイマジネーションを穢さないように発言を控えさせていただくぜ!
40名無しさん@ピンキー:2008/05/01(木) 22:26:53 ID:7/s58Eir
風邪ネタ……

夕圭の着替・おっぱい・口移し…とりあえずそんなのしか浮かばないorz
従って突入前まで…



真智子とルカ、二人の侵入者を退けた春樹だが、ある事に気付く。
「まだ昼前…って事はあいつら学校サボリか…」
いささか憮然とする春樹の頭に、『本日晩御飯抜き』と厳しい制裁案が浮かぶ。
「…ったくあいつら」


「はわわ…はるくん、おこってました…」
「ハルが本気になって怒ると恐いから…どうしようか…」
「でも…ゆかさんとぶんだんしなきゃ」
真智子とルカ、二人揃って顔を見合わせるばかりで、いい案は出ない。
「こまりました…」


さて豆田姉妹は。
「…お姉ちゃん、どうやって早退許可を?」
「生徒会規則32章2項…ここを読んでみ」
陽子は生徒手帳を貴子に手渡す。
「…『生徒会役員は生徒会行事その他適時に応じ、欠席を公休へ申請できる』…………
お姉ちゃんが校則に詳しいなんて…意外」
「芝村に教えて貰って、都合が良いから覚えてたんだよ。つー事であたし達はサボリじゃない!!」
陽子は薄い胸を張る。
「…でもどういった作戦をとるの?…テンメンジャンは病気だけど策士…」
「ねぇよ」
「…は?」
「あたしが思い付いたのは学校を出るまで!!後は正面から!!力押しなら負けはしない!!」
熱く燃える姉を見て、貴子は心中で呟く。
『やっぱり馬鹿姉…』
41名無しさん@ピンキー:2008/05/01(木) 22:28:30 ID:7/s58Eir
豆田姉妹は青山家近くの公園で作戦を練る。
「なんだよ?春樹んち行かねえのか?」
「……待って。今策を………………」
『貴の悪い癖だな…』
さすが姉妹。お互いの欠点は十分理解している…
「…よし、お姉ちゃんちょっと耳を…」
「おっ!?何かひらめ……(ガシッ)…うっ!!」
耳を寄せた陽子に、死角から攻撃を入れた貴子。
「……ごめんね、お姉ちゃん。具合が悪くなったお姉ちゃんを…青山家に運ぶ作戦に…」

…貴子の作戦。それは『具合の悪い姉を青山家に運び、内部に入り込む口実を作る』
というものだった。

「…今日はお肉料理にするからね…」
そう言って姉の体に手をかけ―

ドムッ

「かはっ!!……」
突然の急所攻撃に意識を刈り取られる貴子。

「…甘えよ。何と無く嫌な予感がしたから、警戒はしてたんだ。悪ぃな貴……」

陽子が済まなそうな顔で倒れた妹を見る。
「あたしがきっちり春樹をモノにしてやる!!」


新醤油学園 青春編
「颯爽たる陽子」
42名無しさん@ピンキー:2008/05/03(土) 02:00:22 ID:34W8Cf7o
青山家近くのコンビニで黄昏ている少女二人。
「るかさん…。どうしましょうか…?」
「どうしよ…。完全に八方塞がりだよ…。……最悪、晩御飯抜きかな。」
「……ひじょうにまずいです!!るかさん!!
「………謝って許してくれるかな?…………あんなに怒ったハル、何年ぶりだろ。」
食事抜きくらいで済むなら、まだ良い。
以前…かなり遠い昔に怒らせた時は、3日間も口をきいてくれなかった。
『ハルに嫌われる…それだけは嫌…。』

一方、妹と血で血を洗いあった豆田陽子。
己の一撃で昏倒した貴子を担ぎ上げ、意気揚々と青山家への道を進む。
「しかし、具合が悪くなった貴をダシにして春樹の家に行く…か。
 さすが貴、良い策を練ってくれたじゃないか!!」

そして青山家玄関。己の策と妹の策…この二つがあれば、自分の頭脳でも春樹を言いくるめられるはず。
…だったのだが。
「生徒会役員は、正当な理由があれば早退できる権利…ねぇ。
 …で、貴子ちゃんはでっかいタンコブ作って倒れた訳は何だよ?」
「…あ(しまった〜〜〜!!誤魔化し利かない場所殴てた〜〜〜!!)」
「まったく…。また喧嘩でもしたのか?
 お前も貴子ちゃんも嫁入り前の女の子なんだから…。キズモノになったらどうするつもりなんだ?」
「…(嫁入り…///)…も、貰ってくれるなら(ぼそぼそ)。」
「ん?何か言ったか?」
「…いや…なんでもない。」

それでも結果オーライらしく、屋内に導かれる陽子。
「ともかく、貴子ちゃんは客間のソファに寝かせてやれ。俺は黒田の容態が安定するまで、もう少し診る。」
「え!?貴は放置!?」
無論、春樹とてそんな事をするつもりもない。携帯電話を取り出し、通話開始。
「ルカ、近くに居るんだろ?戻ってきてくれないか?力を貸して欲しい。」
43名無しさん@ピンキー:2008/05/03(土) 02:00:59 ID:34W8Cf7o
数分後、帰って来たルカは気まずそうに春樹の様子を伺う。
「…怒らないの?」
「授業を抜け出したのは良くない…。でも俺も学校休んだし、人のことは言えないからな。」
「……私でいいの?」
「ルカを頼りにしてるからだ。…この前温泉に行った時だって、凄く助かったしな。
 貴子ちゃんを頼むぞ?」
そう言いつつ、ルカの頬に手を当てながら真っ直ぐ見つめる春樹。
「ハル…。…うん、しょうがないね。」
不安げな顔が、次第に笑みを取り戻す。
「私にバ〜ンと任せて。…ハルは夕圭ちゃん診てていいから。」
「…ゴメンな。面倒ばっかりかけて。」
「埋め合わせはデートがいいな。…今度、二人っきりであの公園に行こ?」
「お安い御用だ。…弁当のリクエストはあるか?」

兄妹の会話にしては妙に甘ったるい雰囲気にげんなりとする真智子と陽子。
「…はるくんとるかさんが、すごくなかよしさんなのはわかりました。…で、わたしたちはなにをすればいいのですか?」
「そうだぞ!ここまで来てあたしと囲炉裏だけ蚊帳の外ってのはないだろ!?」
そんな少女たちに一つの土鍋を差し出す春樹。
「…そうだな。俺の代わりに理菜の見舞いに行ってくれ。何故かアイツも風邪引いたらしくてな。
 これ、お見舞いの品のお粥だから、温めて食べさせてやれ。帰ってきたらおやつくらいは出す。
 プリン、冷蔵庫でひえてるぞ。」
「いそいでいきましょう!!!」
「ちょ!ま、待て!!なんでプリン程度のエサに!!…おい!引っ張るなって!!」

青山春樹と黒田夕圭を分断するまでは味方に付くと見ていたルカ、真智子もあっさりと篭絡された。
妹の貴子も昏倒させてしまった今、戦力になりそうな駒は思い当たらない。
『ちっ。へんな小細工せずに、力押しの正攻法で行けばよかった!!』
何が悲しくて憎き遠山理菜の見舞いなど…。…いっそ見舞いの品のお粥、この場で食べてやろうか。
捲土重来の機会を待ちながら、豆田陽子は囲炉裏真智子とともに遠山家に向かう羽目となった。

一方その頃…。
眠りに落ちていた夕圭は目を覚まし…少し前の自分の行動に悶える羽目になる。
『え〜と…。私、一体………。春樹…くんの前で泣いちゃって…抱きしめられて、そのまま寝ちゃって…。
 熱……上がっちゃった……かも(///)』
平熱だったら遠慮なく床の上を転がりまわっていただろう。
それが無理なので、布団に潜り込むだけで我慢しておく。

新ジャンル「天然策士 無意識な離間の計」新醤油学園野望編
44名無しさん@ピンキー:2008/05/04(日) 09:58:13 ID:umQ2YmK/
嫁「あ。お義母さま、おはようございます」
姑「ふん。何がおはようですか。もう七時ですよ?朝食はどうしたんです?」
嫁「え、あ……いえ、その。これから……」
姑「もう結構。もう私が作りましたから。まったく、最近の娘はこれだから……」
嫁「………」
姑「なんですその目は。言いたいことがあるならはっきりと言ったらどうなんです?」
嫁「……いえ、今後気をつけます」
姑「そうして欲しいものですね。さ、さっさとご飯、食べちゃって頂戴」
嫁「え?わたしの分もお義母さまが作ってくださったんですか?」
姑「………」
嫁「……………」
姑「ふん!」
嫁「ありがとうございます!」
姑「か、勘違いしないでよねっ!別にアンタの為に作ったわけじゃないんだからぁ!」



夫「母さんキメェ」


新ジャンル「ツン姑」
45名無しさん@ピンキー:2008/05/04(日) 12:30:23 ID:umQ2YmK/
女「うにょうにょうにょ」
男「よう、女。今日も元気だな」
女「うにょうにょうにょ!」
男「はっはっは。痛い。触手を絡ませるな魔神を呼び寄せるな復活するな」
女「うにょうにょうにょ」
男「照れてなんかない。ただ朝っぱらから顔面に吸盤の跡をつけたくないだけだ」
女「うにょうにょうにょ」
男「本当だっての。お袋にさんざ言われるんだからな。アンタたちつきあってるのかって。
  冗談じゃない、誰がお前みたいな旧支配者と……あ」
女「うにょうにょ……」
男「あ、ん、んん。あー、言いたかったのはそういうことじゃなくて、だな。その……」
女「うにょ………」
男「え?行くところが?あ、そ、そうか……じゃあな」
女「うにょうにょうにょ……」

男「………」
男「……………」
男「………くそっ、俺はバカだ。旧支配者だろうが、何だろうが、女は女だろう!」

―――うにょうにょうにょ……

男「そうだよ、な……俺は、あいつのことが……!」


新ジャンル「素直クトゥルフ」
46名無しさん@ピンキー:2008/05/04(日) 12:55:05 ID:umQ2YmK/
女「唐突だが男くん。キミは文通というものをしたことがあるかね」
男「文通ね。……いや、ないな」
女「そうだろう。ならばコレを受け取るがいい」
男「大学ノート?なになに。……最初の1ページだけ使ってある。びっしりと。
  好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ……なんだこれは。新手の呪いか」
女「鉛筆を貸してやろう。次のページに返事を書き込んで私に返せ」
男「ふむ。……おれは、そうでも、ない……と。ほら」
女「確かに。ふっふっふ。罠に落ちたな男よ」
男「何」
女「これで私はお前にとって『はじめて文通した女』になったのだ。
  この調子でお前のはじめてをどんどん奪ってやる」
男「なんて女だ。動機を聞こう」
女「しらばっくれるな。男よ。盗みを働いたろう」
男「いや、俺は窃盗など犯した覚えはないが」
女「いいえ、お前は私から大変なものを盗んでいきました。私の心です」
男「ならば返そう」
女「返品は受け付けない。生ものなのでお早めにお召し上がりください。スキあり」チュ
男「む」
女「……初キスだ。ふははははは」スッタカター
男「おい、どこへ行く」

女「知れたこと。恥ずかしくてお前の顔を見ていられん。今日はもう家に帰って布団で悶えることにする。
  また明日くるから顔を洗って待っているがいい。ふははははははははは」

男「そうか。楽しみにしていよう」


新ジャンル『淡々とかたり合う二人』
47名無しさん@ピンキー:2008/05/04(日) 17:00:52 ID:RZu0MSC2
>>44
まさかとは思ったが、本当にそう来るとはwww

>>45
まさかとは以下略

>>46
こういうの大好きwww
48名無しさん@ピンキー:2008/05/06(火) 20:52:02 ID:Put1GGhX
カランコローン

男「へー、ここが女がバイトしてる店かぁ……思ったよりずっとシックな感じ」
友「場違い、だよなぁ俺ら。思いっきり普段着だぞ俺」

女「いらっしゃい。来てくれたんだ」

男「おわ、お前……女か?」
女「そだよ?」
友「なんか……」
男「うん……」
女「な、なによう?」
男「かっこいいな」
友「うん……」
女「………!……!………!!シャカシャカシャカシャカ!!!」
男「おぉおおぉぉ〜〜!」
友「シャカシャカだ!シャカシャカだ!」
女「シェ、シェイカーっていうんだよ友くん」
男「よし、せっかくバーに来たんだからなにか頼まないとな」
友「せっかくだからシェイカーで作ってもらえるようなのにしようぜ!」
女「えへへ」
男「……!!?」
友「………!!!?」
女「……どうしたの?」
男「………………」
友「……………なん、だと……?」
女「何が?」
男「……………………」
友「………………」
女「もしもし?」
男「……女、水。ロックで」
女「それただの氷水だよね?」
友「高ぇんだよ……」


新ジャンル「バーテンダー娘」
49名無しさん@ピンキー:2008/05/06(火) 21:00:06 ID:DV45R2QQ
>>48
何故か高橋しんの絵でめっちゃかわいい娘が浮かんできて萌えた

なんで高橋しんなのかはちょっとわからない
50名無しさん@ピンキー:2008/05/06(火) 21:28:42 ID:Put1GGhX
女「ごめんね……男くん。あたし、こんな身体になっちゃった……」
男「女……」


―――抱きしめた女の身体は、

    シェイカーの音がしなかった―――


 最 終 バ ー テ ン ダ ー 彼 女 



こうですかわかりません><
51名無しさん@ピンキー:2008/05/06(火) 21:53:15 ID:DV45R2QQ
>>50
シェイカーの音がする身体のがおかしいだろっ!?wwww
52名無しさん@ピンキー:2008/05/06(火) 23:37:24 ID:+/NAX4F1
>>50

つまり。

男「…じゃあさ、ソルティドッグを」
女「うん。…(カチャカチャ)…では……(ゴックン)」
男「お、おい!?飲んでどうするんだよ…」
女「ふーっ。次に…(シャカシャカシャカシャカ)」
男「踊るなよ!!…待て、オチが読めたz」
女「えー、作ったものは出さないと…」
男「だからズボンを下ろすな、パンツを脱ぐn」
女「じゃあ上から?」
男「断じて断る!!」


新ジャンル「人間バーテンダー(お下劣版)」

違うなorz
53名無しさん@ピンキー:2008/05/07(水) 01:47:31 ID:6G8WiwHM
>>48
ガールズバーね!
ガールズバーならそんなに高く無いし普段着でもおKなんだからぁ!
>>52
それだと人間シェイカーよ!ばかばかぁ!

とりあえずあなたたちいつもの人たちじゃないわね!うわぁわああああん!

新ジャンル「ツンデレス」
54名無しさん@ピンキー:2008/05/07(水) 03:42:09 ID:V5I+MM9i
書けるよな
55名無しさん@ピンキー:2008/05/07(水) 07:27:09 ID:NO9JynWB
ああ、お前にならきっと素晴らしい作品が書けるよ
56名無しさん@ピンキー:2008/05/07(水) 21:58:13 ID:rrFRxI64
俺が書いた>>52を、今改めて見て気付いたが。

バーテンダーは人間に決まってるよorz




男「……この前と同じことはするなよ」
女「任せて。あれからちゃんと修行したし」
男「わかった。では前と同じく、ソルティドッグを頼む…」
女「はい…(カチャカチャ)…」
男『今度は大丈夫そうだな…一安心だ』
女「はっ…(シャカシャカ)…お待たせしまし…いっけなーい!!塩を忘れた!!」
男「あ、グラスの回りに塗る塩か。別に構わないが」
女「駄目!!あと30分待ってね!!」
男「は?なんで30分もかかるんだよ?」
女「私の汗や色々な液を煮詰めた塩が…」
男「いらんわ!!」


新ジャンル「お下劣バーテンダー2」
57名無しさん@ピンキー:2008/05/08(木) 22:45:13 ID:IS8/GgwO
「ふふっ。そろそろ春くんが様子を伺いにやって来るはず…
ベッドに引きずり込んでしまえば、私の勝ち!!」
理菜はベッドの中でほくそ笑む。昨日池へ落ちた後に思い付いた起死回生の作戦。

『風邪のふりで、グラウンド勝負inアダルト』

「早くこないかな〜」
理菜は静かにベッドの中で獲物を待つ…


「おい、囲炉裏。勝手に入って良いのか?」
「かぎあいてましたし、だれかいるはず。ようすみてぷりんです」
既に頭はプリンで一杯の真智子。反対に陽子は嫌な予感が頭から離れない。
『どうも妙だ、嫌な予感しまくりだぜ…』


ガチャ

「(小声で)ねてるようですから、おかゆをおいておきましょう」
真智子がベッドそばのサイドボードにお粥を置いた。

次の瞬間。

ベッドから手が伸び、真智子の姿が消える。

「○※△%◇!!!」
「春く――ん!!!!」
「い、囲炉裏っ!!!!」


貴子は頭の痛みで目を覚ました。
「……つぅ!!……お姉ちゃん……?」
「気が付いた?貴子ちゃん」
「…ルカさん?…ここは……春樹さんの…?」
「そうよ。頭にコブなんて喧嘩したの?」

貴子が頭に手をやると大きなコブが出来ていて、おまけにかなり痛い。
『…そうだ、お姉ちゃんに反撃されて……お姉ちゃんの晩ご飯は【お麩だけ】の刑…!!』

貴子が密かに決意した時、ルカが貴子に尋ねた。
「貴子ちゃんは……ハルのどんな所が気に入ったのかな?」
「!!…ル、ルカさん!?」
余りにも直球な質問に慌てる貴子。
「い、一体…そ、その質問は……」
「……ごめん、変な事を聞いて。忘れて」
下を向くルカの表情を、貴子からは読む事が出来ない。
「……春樹さんといると暖かいから……春樹さんに笑って貰えると幸せだから……」
「貴子ちゃん……」
58名無しさん@ピンキー:2008/05/08(木) 22:47:39 ID:IS8/GgwO
「黒田?起きてたのか」
「う、うん。さすがに目が冴えちゃって…」
春樹が夕圭の部屋を訪れると、ベッドに半身を起こした夕圭の姿が。
「顔色も随分良くなったみたいだし…どれ熱はどうかな……」
春樹が夕圭の額に手を当てる。
『ひゃっ!!春樹…くんの手が…!!』
「ありゃ?意外にまだ高いな……って顔赤くなってる。熱上がった?」
「わ、分かんないよ……そんなの……」
「まあ、ゆっくり休んでおけよ。何かして欲しい事あるか?」

夕圭は少し躊躇いがちに切り出す。
「……あのね」
「おう、なんだ?」
「あ、青山くんのことを『春樹くん』て呼んでも……いい……かな?」
顔に血が集まるのを感じるのと同時に、再び頭がクラクラとなる夕圭。
『やば…わ、私何を……言って……』
「ああ。構わないが?」

「!!……うん、ありがとう……春樹……くん」
ニコリと柔らかく微笑む夕圭を見て、春樹の心は踊る。
『黒田ってこんな優しい顔で笑うんだ……な、なんか胸が……!!』
普段とは違う夕圭の笑顔に揺れ動く、春樹の(恋愛経験値低い)男心。
更に百合地獄へ引きずり込まれた、囲炉裏真智子の運命は!?


新醤油学園 青春編
「風邪引き 中盤戦」
59名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 11:22:58 ID:d+XKAl5K
はるくん的に一番高感度高いのは誰なんだろうね!
だが熱はかるのに手を使う時点でまだ甘い。
男ならデコを使えデコを!
ポイズン

>>56
ネタ的にもしょっぱいよ!ギリギリだよ!
60名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 20:42:44 ID:JcK6PeeW
>>56
すごい臭いがしそうだな、その塩
61名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 17:54:26 ID:knix7v0Y
女「男。このテストの点はなんだ。勉強していないな」
男「あ、ああ。ちょっと部活の練習が…」
女「駄目だ。学生の本分は勉強だ。そんなことでは先が思いやられる」
男「うっ…」
女「だいたい男は…」
(30分経過)
男『な、長い説教だ。いい加減切り上げて…』
女「聞いているのか!?」
男「は、はいっ」
女「全く…そうだちょっと待て」
男『何だよ…説教中にメールなんて………………ん?俺の携帯にメール?…女!?」


『今度また頑張れば大丈夫だよ。分からない所は教えるからね(///)』

男「…………」
女「い、言いたい事はそれだけだ。またな…」


男『口に出して言えば良いのに…』


新しくないジャンル
「ツンメール」
62名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 17:55:50 ID:knix7v0Y
女「男くんの嫌いな物って何かある?」
男「ん?特にないな……何でだ?」
女「や、やっぱり付き合ってるから、男くんの事をもっとたくさん知りたいなって」
男「(キュン)女……」
女「男くんの性感帯ならバッチリなんだけど」
男「ほぉ…それは俺に対する挑戦と見ていいんだな?」
女「…試してみる?」
男「望むところ!!」



女「やっぱりお尻弱かったねぇ。あんなに声出しちゃって」
男「母さん…俺…汚れちゃったよ…(シクシク)」


新ジャンル
「アナリスト」
63名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 18:36:50 ID:P1wLrDSz
意味違うやんかw
64名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 20:54:55 ID:AaTWt55q
>>62
不覚にも…





「はぅん」ってなった…orz
65名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 15:41:09 ID:YnYmNyAF
男「……なぁ」
女「んー?」
男「宇宙ってさ」
女「うん」
男「あるじゃん」
女「うん……ん?」
男「宇宙ってあるじゃん」
女「うん」
男「無重力じゃん」
女「宇宙ね」
男「うん」
女「で?」
男「オナニーするときどうすんのかな」
女「オナニー?」
男「そう、オナニー」
女「……あー」
男「無重力だとさ。液体ってこう、ブァーってなるわけ」
女「あー」
男「で、こう、なるわけ。イッたときに。ドピュッと」
女「精子が」
男「そう」
女「あー」
男「やだろ」
女「相当やだね」
男「宇宙ヤバイな」
女「宇宙ヤバイね」

新ジャンル「宇宙」
66名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 15:53:57 ID:YnYmNyAF
男「おっぱいってさ」
女「うん」
男「なんて数えんのかな」
女「数える?」
男「そう」
女「一個、二個じゃない?」
男「でもさ。おっぱいって、こう、左右でワンセットじゃん」
女「あー」
男「靴もさ、左右でワンセットじゃない?」
女「えー、じゃあ、『足』?」
男「いや『足』じゃないだろ。それまんま足だし」
女「じゃあなに?『パイ』?」
男「いや、それだとイカになっちゃうから」
女「でも、お椀型っていうし」
男「……は!」
女「半円を描くという意味でもπじゃないかなぁ、とか」
男「……は!」
女「……は!」

新ジャンル「数え方」
67名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 15:59:06 ID:YnYmNyAF
男「手淫」
女「朱印?」
男「手淫」
女「朱印がどうしたの」
男「シュイン!」
女「速い!」

新ジャンル「手淫」
68名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 19:11:20 ID:Vlg2Rt0E
女「究極の選択です」
男「ん?」
女「付き合うならどっち。私の顔した世紀末モヒカン男と、世紀末モヒカン男の顔した私」
男「むーん」
女「ちなみに前者は火炎放射とかしてきます。後者はトゲトゲの肩当とかしてます」
男「後者かなぁ」
女「ほほう」
男「なんか、慣れると思う。モヒカンでも」
女「付き合いますか、モヒカンと」
男「お友達からだな。様子を見たい」
女「よかったね」
男「なにが」
女「私の外見が、私で」
男「………そういやそうだな」
女「でしょー?」
男「よかった」
女「よかった」

新ジャンル「モヒカン世紀末」
69名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 19:41:20 ID:Vlg2Rt0E
男「薄着の季節ですな」
女「暑いからねー」
男「薄着というと」
女「うん」
男「ラインが見えるわけよ」
女「ブラの?」
男「ブラの」
女「……」
男「ウヒョヒョ」
女「………ニヤリ」
男「ナニッ!?見えない!ぶらじゃあのラインが見えないッ!何故だッッ!!」
女「そう来ると思って、今日はノーブラで来たのよ!」
男「ああー!それが真実だと示すかのように胸を張ったそこには謎のポッチ(乳首)がー!!」
女「………………」
男「……………………」
女「…………………………///」
男「着替えてこい」
女「はい」

新ジャンル「のーぶら」
70名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 20:08:49 ID:Vlg2Rt0E
女「携帯電話」
男「うん?」
女「携帯するから」
男「うん」
女「読んで字の如く」
男「携帯電話」
女「うん」
男「で?」
女「でもさ、マナーとかあるじゃん」
男「あるな」
女「いくら携帯電話がさ。携帯する電話だとしてもさ」
男「うん」
女「限度ってものがあると思うわけよ」
男「あー」
女「電車の中とか、ご飯食べてるときとか」
男「マナーね」
女「そう。マナー」
男「女」
女「うん?」
男「も、ちょっと足広げて」
女「………」
男「………」
女「やだ」
男「えー」
女「マナー違反」
男「大丈夫。マナーモードにしてあるから」
女「そういう問題じゃなくて」
男「マナーモードだから」
女「撮るな」


カシャ

新ジャンル「携帯電話」
71名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 21:10:07 ID:EbCS0nNK
面白過ぎるwww
このシリーズをずっと見ていたい感じだなあ
72名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 22:26:38 ID:o0qbEVvQ
>>65
マジでヤバイよマジヤバイ。


しかし一個一個がマジウケルwww
シュイン!が夢に出そうだwww
73続・妄執のマジュヌーン(1/12):2008/05/13(火) 00:05:19 ID:Vlg2Rt0E
ジョン・ディ・フルカネリは部屋のドアを開けると、音を立てないようにベッドに近づいた。
二人寝るには少し狭い、でもそれだけくっついていられるからいいじゃん、と相棒が笑っていた寝床には、
今リオルが一人で安らかな寝息を立てていた。
広がる翡翠色の髪に長い睫毛、朱がさした頬。
柔らかそうな唇は、この世界のどんな果実より甘い味がすることを彼は知っている。

愛おしい、僕の恋人。

その胸元に、そっと手を触れた。
暖かな鼓動は、彼女が紛れもなく生きていることを教えてくれる。
しかし、これは本物の心臓ではない。
彼女の心臓はジョンが培養した仮初のもの。
リオルの命はそこにはなく、さらに奥底、胸の中心に埋め込まれている親指大の
小さな結晶によって生み出されているのだ。

「………リオル」

その名を、呼ぶ。
―――そこには、溢れるような情愛が込められていた。


生物と非生物を隔てる絶対の壁、それは魔力を自己回復できるかどうかである。
どんなに強大で、幾多の命を葬り去ることができるゴーレムでも、魔力を使い切ってしまえば指ひとつ動かせない。
そうなってしまえば唯の土くれ、物陰に隠れ住むネズミにも劣る物体に過ぎなくなる。
ゾンビや式神もそう。珍しい種類のものでは自己の意識を持つものもいるが、所詮は術師の傀儡に過ぎない。
魔力の供給がなくては機能を停止する、その程度の存在である。
魔力とは流体だ。一点に留まることなく、常に循環している。
魔力を汲み取ることができないモノは、たとえ魔力を帯びていたとしても常にそれを消費し、
空になってしまえばもう機動することはできなくなってしまう。
反面、生命は魔力を取り入れ、また放出させることで常に魔力を自らの裡に留めているのだ。
この『呼吸』こそが生命の根源、そして世界を循環させる鼓動の連鎖。

魔力の自己回復とは、唯一生命を持つもののみに許された『世界との繋がり』なのである。

だからこそ、世界は命を育み、また繁栄を許しているといえよう。
世界も一つの大いなる生命―――この星の理。

その円環から切り離されたものは、最早輪の中に戻る術などない。
命あるものが、魔力の呼吸を失う。それが、死なのだ。
死から蘇ることはできない。死んだ瞬間に、それはモノに成り下がる。

たとえば、以前ヒロトたちが出会ったヌシの中に、ククという名のアルラウネがいた。
彼女は森の番人である恋人と共に暮らしていたが、ある日神々の社から脱走した勇者の
凶刃をその身に受け、肉体を破壊され絶命してしまう。
ヒロトたちがその場に駆けつけたときには既に命はなく、手の施しようがなかったのだが、
魔王リュリルライアの絶大な魔力によって蘇生され、今は再び恋人と共に静かに、幸せに暮らしている。

……と、されているが、実のところこれは誤解なのだった。
蘇生ではない。この世に蘇ったとはいえ、それは新たな命を得たことにはならない。
ククはリューによって製造された義体に魂を移し変えられ、活動に十分な魔力を注ぎこまれたにすぎないのだ。
―――いや『すぎない』といっても義体が今後何十年も不自由なく動いていけるだけの魔力を与えられたのだから、
それはそれで世界中の魔導師たちが目を剥いて腰を抜かすほどの大魔法ではあるのだが、
生命の根源、魔力の呼吸ができるかといえば答えはNOだ。すなわち『生き』返ったわけではない。
結局のところ、かのアルラウネはものすごく高性能なゾンビの域を出ないのである。
74続・妄執のマジュヌーン(2/15):2008/05/13(火) 00:07:44 ID:Vlg2Rt0E
死者は蘇らない。
生命は戻らない。
それが世界の理。
たとえどんなに悲しくとも。
それが、世界の理。


しかし、それを覆すことができたとしたら?
死を乗り越えることができたとしたら、それはどれほどの偉業だろう。
人間たちは遥かな古代からそれを目指していた。
たとえ夜空の星に手を伸ばすが如き行為であろうとも。
人々は届かない高みを目指すことをやめようとはしなかった。

何故って、ヒトにとってそれは――――――。



リオルが目覚めた時には、既に日は高く昇っていた。

「むにゃ?」

ぼんやりした頭で、辺りを見回す。
簡素なベッド。枕元には小さなランプ。
閉じられたカーテンの隙間からは日の光が差し、鳥の声は森が近いことを教えてくれる。
ひびの入った土壁に掛けられた花の絵。乱暴なタッチで描かれたそれは決して絵描きのものではない。
素人が投げやりに描いたもの丸出しだ。
……見るからに安宿の一室といった内装だった。そしてそこはまさしく、
リオルたちがビサレタの町で部屋をとっている宿の一室に違いない。
リオルは首を傾げた。

「あ痛」

途端、身体を走る激痛に思わず声をあげてしまう。
そうそう、そうだった。昨夜はヒロトを手伝って森でドラゴン相手に大暴れしたんだっけ。
木が二、三本まとめてへし折られるような勢いで叩きつけられたり、斬り裂かれたり、
傷を自分で焼いて塞いだりしたために、いかに頑丈なリオルといえど受けたダメージは相当なものだったのだ。
その後魔力切れを起こしたのか気が遠くなって―――現在に至る。
身体は動く。傷も、大きなものは未だ包帯が巻かれているものの細かな傷は綺麗に消えていた。
きっとヒロトが倒れたリオルをここまで運び、そしてジョンが治療してくれたのだろう。
意識もはっきりしているから魔力補充もしてくれたに違いない。

「あ………」

そこまで把握して、リオルは気まずそうに肩を落とした。
魔力補充は決して愛を語らいあう行為ではないにしても、意識を失った相手を抱くのは
いい気持ちのするもんじゃないとジョンからは再三言われていたことだったのだ。
また、ジョンに小言を言われるのだろうか。
………いや、でもまぁ、昨日のアレはヒロトの仕事の手伝いで仕方なかったことだったのだ。
そこんとこ、ジョンも汲んでくれるだろう。ヒロトだって助け舟を出してくれるに違いない。
っていうか、見捨てたら恨む。

「お腹、すいたなぁ……」
75続・妄執のマジュヌーン(3/15):2008/05/13(火) 00:08:56 ID:DnQzPn9R
ぽつり、と呟いた。
思い出したかのような言葉だったが、真実お腹はぺこぺこだった。
義体が栄養を欲している。今何時くらいなのだろうか。お昼は過ぎているだろうか。

「ん、しょ」

とりあえず降りてみんなと合流するか、と身を起こして、据え置きの机にジョンが向かっているのに気が付いた。

「ジョン、おはよ」
「………………………」

ジョンは答えない。振り向くこともなかった。
む、と思ったがどうも無視というわけでもないようだ。
羊皮紙にペンを物凄い勢いで走らせていた。その両脇には召喚したのだろうか、何冊もの分厚い魔道書が積み重なっていた。
こういうジョンは随分久しぶりだ。少なくとも、ヒロトたちと合流してからはこんなに集中して式を組むことはなかったように思う。
新しい錬金の術を思いついたとき、ジョンは頭の中にあるイメージをこうやって紙に書いて数列として残すのだ。
頭の中だけでは輪郭のはっきりしない考えでも、ペンを走らせて形を与えることではっきりした答えとして見ることができるらしい。
もっとも、その大半は役に立たない、という結論にたどり着くという。
現実には組み立てられないアイデアがほとんどなのだとか。
こういうのをまさに机上の空論というのだとジョンが言っていたのをよく覚えている。

それが妙に懐かしくて、リオルはしばらくジョンを見つめていることにした。

「……………………?」

……眉が、寄る。
ジョンの様子がおかしいことに気付いたのだ。
ジョンは何かに追われるようにペンを走らせている。集中しているのは同じなのだけど、
どこか精彩を欠くというか、いつものジョンとは違う様子だ。
ジョンが何かを閃いたとき。それを図式に表すとき。
その表情は、宝物を見つけた子供のように輝いていたというのに。

「ジョン」

リオルはたまらずに、もう一度声をかけた。
今度こそはジョンは気が付いて、肩越しに振り返る。

「―――ああ、リオル。目が覚めたんですね」
「うん」

こくん、と頷く。
やっぱり変だ。ジョンの笑顔がどこか寂しい。
影のあるような、リオルを切ないようなものとして見ている目だ。
リオルはどこかその目を見たことがあるような気がして、ふと思い至った。
リオルはもともとジョンが、リューとの交渉のために命を助けた存在だ。
ジョンの技術を魔王にアピールした上で、その確かな技術力を提供する代わりに
魔王城の書庫の利用を許可してもらおうという計画だったのである。
そのため、ジョンはかつてリオルをどうしても『交渉道具』として扱うことを余儀なくされた時期があった。
リオルに情が移ってしまったことを差っ引いても、優しいジョンにとってそれはつらいことだったに違いない。
明るく、ジョンに懐き、生命力溢れるリオルが相手ならなおさらのことだ。
そうした『一線を引く』ように努めているとき、ジョンはしばしばこういった寂しそうな目をすることを思い出した。
これも、ヒロトたちと合流してリューの軍門に下ったときからこっち、さっぱり見なかったことだった。
76続・妄執のマジュヌーン(4/15):2008/05/13(火) 00:10:56 ID:DnQzPn9R
リオルは普段の能天気さからはかけ離れた恐るべき洞察力で―――おそらくは、ジョン限定に働くものだろう―――それに気が付いた。

(……でも、リュリルライア様の仲間になって、もう賢者の石の研究には目処がついたはずなんじゃなかったっけ?)

顎に指をあてて小首を傾げる。まあ、考えてもリオルには錬金術のことは
さっぱりわからないから、目星なんかつくわけないのだが。

「リオル、すみません。少し集中したいのでヒロトさんたちのところへ行っていてもらえませんか。
 朝から教会に行っているはずですから」

ジョンは最後に微笑むと、また机に向かってしまった。
もう少し話をしていたかったが、ジョンはそうではないのだろう。

リオルは、む、と少しだけ唇を尖らせた。



「………なんで我がこんなことせにゃならんのだ」

リュー、むむー、と唇を尖らせていた。

「仕方ないでしょう。壊したのも散らかしたのも私たちなのですから。ってうか貴方なのですから」

その隣でじろりとリューを睨みつけるのはローラである。
箒にエプロン、三角巾。完全なお掃除ルックで昨夜砕け散ったステンドグラスの後片付けをしているのだった。
もともとはブレイズと交戦したことによって聖堂教会から何か通達がるのではとE.D.E.N.を観にきたのだが、
来てみれば何故か美しかった教会が見るも無残に倒壊していたのだった。
そして神官の話によると、昨夜ここから飛び去っていった何かがとてつもない衝撃波を起こし、
そのせいで教会が嵐の日の木こり小屋のように吹き飛ばされたためらしい。

………その『何か』に、ものすごく心当たりのある三人だった。

「我のせいかよ!?」
「フレズヴェルグの衝撃波でこうなったのですから、術師の貴方のせいに決まっているでしょう」
「待て待て待て。しかし昨夜はフレズヴェルグで飛ぶしか間に合う方法はなかったろう!」
「それにしても、加速の加減を考えて欲しいものですわ。腰を打つわ、建物は壊すわ、使いにくいったらありませんもの」

はぁぁあ、と深いため息をつく。その嫌味ったらしい態度に、リューのこめかみがぴくぴくと震えた。

「………それなら俺にも責任はある。フレズヴェルグに乗ろうと決めたのは俺なんだからな」

一日で急激に成長するという伝説の豆、ジャックスビーンよりも勢いよく跳ね上がったリューの怒りメーターが、
その一言でこれまたあっという間に冷却される。

「ヒロト」
「ヒロト様」
77続・妄執のマジュヌーン(5/15):2008/05/13(火) 00:12:23 ID:DnQzPn9R
ヒロトである。
屋根の上で傾いた十字架や崩れた天井の大穴を直していたヒロトが戻ってきていた。
まったく、魔王を模して造られた古代の怪物さえ撃退した勇者のすることとはとても思えないが、何せ人手が足りないのだ。
恰幅のいいここの神官は決して身軽とは言えないし、町の人々にはそれぞれ仕事がある。
そこへ行くと、ヒロトは片手で重い祭壇だって軽々と持ち上げてしまう怪力と
ひと蹴りで屋根まで飛び越える脚力の持ち主。作業が進むのもやたらと早い。

それに何より、彼らはヒマなのだ。

一応ヒロトの件に関してはお咎めはない、というかどうもブレイズは聖堂教会に昨日のことを報告していないようだとわかったのだが、
帰ってきてみたらジョンが何やらすごい勢いでペンを走らせていたのだった。
話しかけても返ってくるのは生返事だけだし、食事どころか水の一杯さえいらないという。
リオルがまだ眠りこけていたことを考えても、ヒロトたちだけで次の町へ出発するわけにもいかないし。

「………ジョンさん、どうしたんでしょう?」

ローラが心配そうに言った。ジョンの様子は尋常じゃなかった。
あんなジョンを見るのは、ローラたちにとっては始めてのことだったのだ。

「……さてな。リオルの身体は順調に回復していると言っていたが」

リューの声にも心配そうな影が見える。
考えてみれば、リューたちはジョンがああやって『デスクワーク』をしているところを初めて見たのだ。
ラルティーグの魔導師は、そのほとんどが錬金術師。
つまり研究職なのだが、ジョンはといえば勇者に選定されただけあってどちらかといえば
フィールドワークの方が得意なようだった。もしかしたら、案外机に向かうと豹変するタイプなのかも知れない。
………そうだと、いいのだが。

「ヒロト様はどう思います?」

話を振られて、ヒロトは困ったような、厳しいような、複雑な顔になった。
そうしてしばらく言葉を選ぶように考えて、口を開く。

「ジョンが何か困っているなら、もちろん力になるつもりだ。でも、多分ジョンは今、それを望んでいないと思う。
 あいつは頭がいいからきっと、本当に助けが必要なときはちゃんと助けを求めることができるだろ」

……まあ、確かにそうだが。
それは、ようはジョンを放っておくということだ。
聞きようによっては冷たくそっけないとも取れるヒロトの言葉。しかしそれは、同時に信頼の裏返しでもある。
ヒロトだって以前、勇み足でローラから説教を食らった身だ。
同じように溜め込むタイプであろうジョンとヒロトはどこか通じるものがあるのかも知れない。
男同士、言葉無くとも分かり合えるというヤツか。なんだか妬いてしまう二人であった。

「それに、ジョンの力になるのなら俺たちよりもっと相応しいヤツがいるから」

リューとローラの脳裏に、能天気な少女の顔が思い浮かんだ。

「リオレイア、か……」
「……まぁ、確かに」
「俺たちは下手に手を出さないほうがいいと思う。
 俺にお前たちがいてくれているように、ジョンを一番に支えているのはリオルなんだから」

遠く、宿の方向を見つめて目を細める。
78続・妄執のマジュヌーン(6/15):2008/05/13(火) 00:13:54 ID:DnQzPn9R
「………またこの男は……」
「……………ずるいですわ……」

一方リューとローラの方は、さらっと嬉し恥ずかしいことを言われて少し頬を赤くしていた。
昨日のフレズヴェルグで頼りにしているという告白といい、
この青年は真正面から照れることを言うから、その、少し困る。
しかもおそらくは自覚なしに。嘘をつけるような性格ではないことはわかっているから本心に違いない。
それがとてつもなく嬉しく、同時にくすぐったくて参ってしまう。
まったく、惚れた方はこれだから『負けて』いるというのだ。

「……でも、まぁ」
「そういうことなら……」

そっとしておくことにするか、と呟いて。
再び、教会の傾いた十字紋様を見上げるのだった。



「………はぁ」

ジョンは大きく深い息をつくと、ぎ、と床を軋ませて椅子にもたれかかった。
ついさっきまでがりがりと走らせていたペンを置いて、目と目の間を揉みほぐす。
肘が当たってしまい、山と積まれていた魔道書がばさばさと落ちたが拾う気も起きなかった。
そもそも、手垢で汚れたそれらは既にジョンの頭の中にすっかり入ってしまっているのだ。
拙い召喚術で呼び寄せたそれらはジョンの私物である。
ラルティーグの実家兼研究所に置いてきた、フルカネリ家の研究資料。亡き父の遺産だ。
ジョンが幼少の頃から何度も何度も捲ってきたページには、賢者の石にまつわる知識の粋が記されている。
魔道書といってもフルカネリの血を継ぐもの以外には表紙を開けないだけで、
持っているだけで魔力を食い尽くされるようなものでもなければ、
特別な魔法や魔獣が封印されているわけでもない。
そこに書かれているのは単なる『技術』だ。誰にでも再現が可能な知識の結晶。
魔道の真髄である『奇跡』とは真逆に位置するものだった。

――――――そう。『技術』だ。

ジョンたちラルティーグの錬金術師は気の遠くなるような時間をかけてそれを培ってきた。
昔は貴族や王族、魔道の家系のみが独占していた『奇跡』を
『技術』として平民たちに分け与えたのはラルティーグの錬金術師である。
無論猛反発はあったものの、これにより世界は飛躍的な進歩を遂げたといえよう。
深夜でも昼間のように仕事ができ、猛暑の中でも氷を齧れて、指先ひとつで火を熾せるようになった。
これらは全てラルティーグの技術あってもの。
近年、世界中に根を張り巡らせたE.D.E.N.の根幹―――情報を保管し、
共有する特性さえも賢者の石の研究過程で生み出されたノウハウから成り立っている。

技術は万人が為に。

それがラルティーグの在り方なのだ。

「リオル」

小さく、名を呼んだ。
ほとんど辺りに拡散しない、聞こえるか聞こえないかのその声に、少女は当然のようにぴくりと耳を動かした。
79続・妄執のマジュヌーン(7/15):2008/05/13(火) 00:14:53 ID:DnQzPn9R
「なに?」

毛布に包まったままのリオルが顔をあげる。
ジョンは出て行くように言ったはずなのに。
何故かまだ彼女はベッドから降りずに毛布に包まっていたのだった。

「―――身体の調子はどうですか?」
「ん。傷はまだ痛いけど、動かさなければ大丈夫みたい。
 それよりあたしお腹すいちゃった。レーション食べていい?」
「食堂に行けばいいじゃないですか」
「ううん。いい」
「……………」

リオルの言うことは矛盾している。空腹なら食堂に行って好きなだけ食事を取ればいいのだ。
保存食のレーションは決して美味しいとはいえないし、リオルだって好きじゃなかったはずなのに。

「…………………」
「…………」

リオルはジョンの了解を得ないままにもぞもぞと動いて荷物を漁ると、
角ばった袋を開けて固形食を齧り始めた。
視線は、ジョンの背中に。確かめたわけではないが、わかる。
リオルはもそもそと美味しくもないレーションを食べながらも、
じっとジョンから目を逸らしてはいないに違いない。

静かだった。
どこからか遠くで釘を打つような音が聞こえる。

何故リオルがここにいたがるのか。
それは、ジョンにはわかっている。
何故リオルがなにも訊かないのか。
それも、ジョンにはわかっていた。

「………リオル」

だから、ジョンは言った。

「何?」
「ボクは昨日、魔力補充をしていません」
「………?」

リオルはよくわかっていないようだ。
もぐもぐごくん、と口の中のものを飲み込んで、首を傾げているのがわかる。

「いえ、いつものようにリオルに魔力を充填しようとしたのですが、しかしその必要はなかったんですよ」
「どゆこと?」

ジョンはゆっくりと振り返った。
隈が色濃く縁取った目でリオルの姿を認めると力なく、息をついた。

「キミは、いいですか、リオル。キミは、自力で魔力を回復したんです。
 キミの胸に埋め込まれている賢者の石はそんな機能はない。ならば何故?それがわからないんです。
 もし。もしですよ。リオルに自力で魔力を回復できる能力が備わったなら。これがどういう意味かわかりますか。
 それは、きっと、『本当の』賢者の石に大きく近づいたことになる。100年の停滞に終止符が打たれるんです。
 いえ、それどころじゃありません。もしかしたら、届くのかも知れない。
 これが、これこそが。ボクたちの望んでいた賢者の石そのものなのかも知れないんです」
80続・妄執のマジュヌーン(8/15):2008/05/13(火) 00:15:55 ID:DnQzPn9R
ジョンはさらに目を見開くと、大仰に両手を広げてみせた。

「さらに、リオル、さらにですよ。まだあるんです。話はもう、そこにすら留まらない。
 一度魔力循環の力を失ったリオルが再びこれを取り戻したとなれば、これはもう間違いない。事実上の死者蘇生です。
 まだ実現されていない、ラルティーグの錬金術師が、ユグドレシアの魔術師が、ケムトの精霊使いが、ヴォドゥンの呪法師が、
 パナパの祈祷師が、インの仙人が、ヒイヅルの巫が、ナルヴィタートの神官が―――世界中の、
 ありとあらゆる魔導師たちが目指し、そして未だ達成していない大魔法が実現することになる。
 これは、これはね。今まで生きた星の数ほどの研究者たちの、夢が。望んで、手に入らなかったものが。
 リオル。はは、よりにもよって!キミの胸に!埋め込まれているってことなんですよ!」

がん、と机を叩いた。
その剣幕にリオルは驚いて、しかし、正直なところやはりよくわかっていない。
ただ、なにやらとんでもないことになっているということだけは理解できたようだ。

そう。
しかし、問題はここから先にある。

問題は、問題は、―――何故、リオルの賢者の石に変化が起きたのか。
そこなのだから。

「……ボクの練成した賢者の石に元々そんな能力はなかった。これはまず間違いありません。
 開発したときにあらゆる面から実験を繰り返してきましたからね。
 考えられるとすれば、リオル。キミの義体がリオレイアの魂によって変質したように、
 強力な龍の魂魄の力で賢者の石の試作品にもまた、何らかの変化が起きたのではないかということです。
 これも所詮、推測に過ぎませんけどね。そう。推測を立てるくらいしかできないんですよ。ボクにはね。
 その変化が何なのか、どうすればそれを再現できるのか。それを確かめることが、ボクにはできない」

ジョンはぎしり、と奥歯を噛み締め、両手で髪の毛を鷲摑みにした。
これほど動揺しているジョンを見るのは初めてだった。苦渋に満ち満ちた視線は絶えず彷徨い、
しかしリオルの目だけは決して見ようとしていない。

「………………」
「だって、仕方がないじゃないですか。変質したのは―――リオル。キミの『生命』そのものだ。
 それを、それを、はは、摘出して、実験する?そんなことをしたら、キミが死んでしまう!!
 ええ、ボクだって一度瀕死のキミを救ったんだ。今度だって、命を抜き取られたリオルを
 何とか死なずに済ませることが出来るかもしれない。そう思いましたよ。一度はね。
 でも、駄目だ。わかってましたよ。無理なんだ。不可能なんだ、そんなことは!」

―――ああ、そうか、と。

リオルはやっと、ジョンの苦悩がどこにあるのかを悟った。

リオルの義体はジョンがリオルの為に造ったものだ。
正確には、ホムンクルスの種に絶命寸前だったリオレイアの魂を移し変えてから作成したリオルの第二の肉体。
そして、その核となったものが賢者の石なのである。
賢者の石を引き抜くということは、文字通りリオルの命を引き抜くことを意味していた。
そうなれば、リオルは今度こそ絶命する。
それでもリューなら、あの無尽の魔力を誇る魔王なら莫大な魔力で無理矢理に延命させることができるかも知れない。
81続・妄執のマジュヌーン(9/15):2008/05/13(火) 00:16:39 ID:DnQzPn9R
―――リオルが、ジョンの眷属でさえなければ。
そう、これもまた無理な話なのだった。身の内にある魔力とは無色ではない。術師によって色づけされているものだ。
これを『魔法』ではなく、『魔力』のままで交換できるのは術師の眷族となった者のみ。
そしてリオルは、既にジョンの魔力によって染め上げられた眷属となってしまっている。
もとはといえば灼炎龍リオレイアを制御するために練った策が、ここにきて落とし穴となっていた。

だが、賢者の石を調べなければ『どうして』がわからない。
予想を立てることはできるだろう。だがそれらは純然たる『解答』に比べれば吹けば飛ぶ程度のものに過ぎない。
答えはここにある。リオルの心臓を抉り、賢者の石を摘出すれば、あるいは何か秘密がわかるかもしれない。
さらには、それをしないということはジョンにとって耐え難い裏切りをなってしまう。
ジョンはヒトの技術の発展に信念を掲げた民の一員なのだ。
ラルティーグを裏切るということは、ジョンの今までの人生を裏切るということなのである。

二者択一。
リオルの命か、祖国の―――いや、人類の夢か。

「……………………………………そっか」

胸元に。
指を這わせる。

そこにあるのは、なんだろう。

「考えたこと、なかったなぁ」

リオルはポツリと呟いた。

「あたしね、今まで、あたしはあたしだと思ってたよ」

ジョンは驚いて顔をあげた。
リオルは笑っている。でも、その笑顔はいつもの無邪気なリオルのものではなかった。
ジョンは呼吸を忘れた。心臓が痛い。鈎針のついた鉄線でがんじがらめにされたように。

「でもね。今の話で、思ったよ。この身体はジョンにもらったもので、リオレイアの魂もジョンに助けてもらったもの。
 で―――この、なんていうのかな。生命?賢者の石は、これまで頑張ってきたジョンの仲間みんなもので―――。
 だったら、ええと、あたしはさ。その役に立ちたいわけで」

―――リオルは、そうだ。

いつだってジョンの気持ちを汲んでくれる。
それがリオル生来のものか、ジョンに気持ちを寄せてくれているからなのか。
はたまた、ジョンとの術的な繋がりが作用しているのか……それはわからないけれど。
ジョンが求めたとき、望んだとき。きっと、リオルはそれを察してくれるのだ。

それが、今。
何を意味しているのか。
気付いたとき、ジョンは体中の血が凍りつく音を聞いた。

「ジョン。あたしは」
82続・妄執のマジュヌーン(10/15):2008/05/13(火) 00:17:24 ID:DnQzPn9R
 
言うな。
言わせるな。
違う。
ボクはこんなこと、望んでいない。
発展に犠牲は必要かもしれない。でも。
リオルは―――リオルは、ボクにとって。
差を、つけるのか。他の全てと、リオルに?
馬鹿な。ああ。
言葉が出ない。
歯を。
食いしばるな。
喉を振るわせろ。
ここで言わないと。
ボクは―――ラルティーグの悲願が、叶うかもしれない。
煩い。
関係ない。関係ない?
ボクは勇者だ―――関係あるだろう!
畜生。
畜生!


「―――あ、」

ジョンは口を開け、しかし言葉は出てこない。少しだけ唇を噛んで、目を伏せ、そして見開いた。
リオルの手が、膝の上で握り締められて―――小さく、震えている。

「――――――……」

ジョンは、奥歯を砕くように強く、強く噛み締めて。



――――――そう、言った。



高い太陽に雲が差し、辺りはあっという間に薄暗くなっていった。

「……雨になるな」

ヒロトはぼりぼりと頭を掻いた。
教会の屋根の上、ソニックブームでばらばらになった煉瓦を新しいものに補修しているのだ。
急がないと雨漏りで大変なことになってしまう。予備の煉瓦があまりないので
何箇所か雨漏りすることは最早この教会には避けられないことなのだが。

「勇者様。もう充分ですのでどうかお下りください。
天下のヒロト様やそのお連れ様にこんな雑務をさせるなんて、やはり申し訳がありません」

下から神官が声を掛けてくる。
そうもいかない。この屋根にしたって………まぁ、もともとボロではあったとしても実際吹き飛ばしたのはヒロトたちなんだから。
その主犯格であるリューは、屋根の上に登っても修理する技術に欠けるのでとりあえず
ローラと共に教会の掃除を言いつけておいた。そのせいで余計に神官は恐縮しているのだろう。
まぁそれはわかるのだが、急がないと雨が降ってきそうだし、それに何より、ヒロトたちはヒマなのだ。
リオルの目が覚めているのかどうかはわからないけど、とりあえず夜になるまでは宿にも戻らないほうがいい。
そう決めていたから。
83続・妄執のマジュヌーン(11/15):2008/05/13(火) 00:18:16 ID:DnQzPn9R
「気にしないで。好きでやっていることです」
「しかし、ならせめて休憩をされては……。お茶を淹れますので」

お茶、ね。

ヒロトは暗い空を見上げた。

「雨漏りはもう、仕方がないものですから」
「……そう、ですね。じゃあ、リューたちに淹れてやってください。俺の分はいいですから」

空を見上げたまま、ヒロトが呟く。

「え?」
「少し、用事ができたようですので」

そう、口にしたが早いか、ヒロトは手元にあった煉瓦をひとつ掴むと、身体を捻らせて思い切り投擲した。
そのままならば地面と水平にどこまでも飛んでいくかと思われた煉瓦は、
数メートルもいかないうちに破壊され砕けて粉々になってしまう。

「え?……あ、れ?」

神官は突然のことに目を白黒している。
しかし、見る者が見ればわかっただろう。
それは、どこからか飛んできた空気の塊に衝突し、それを相殺する形で防いだのだということが。

「………………」

ヒロトはすっと真顔になると、立ち上がった。
彼方、離れた屋根の上にばさばさとたなびく薄汚れた白衣の少年がいる。
薄い茶色のクセっ毛に梟のような眼鏡。光の加減で表情はよく見えないが、あの背格好は見慣れたものだ。
間違いない。さっきの『攻撃』は、彼がヒロトを狙った風の魔法だろう。

ジョン・ディ・フルカネリ。

稀代の天才と謳われたかの勇者が、ヒロトに仕掛けてきたのだ。

「――――――……」

ジョンは両手を広げた。
何か呪文を詠唱したようだ。その手にそれぞれ砂埃が渦を作る。風が逆巻き、砲弾が生まれているのだ。
ジョンは錬金術師でありながら攻撃魔法も嗜んでいる。その多芸はジョンを天才と言わしめているよ要素のひとつだった。
だが。

「これしき!」

ヒロトは丸腰だった。屋根の修理に剣は必要ない。だからそのままぶん、と手を大きく振って―――。
―――それだけで、放たれた真空弾をかき消した。

話にならない。攻撃魔法というなら、昨夜食らいつかれたブレイズのバルクンドやアフアナールとは
比べ物にならないほどの差があった。
所詮は手習い程度の攻撃魔法、そこらの魔獣ならともかく相手がヒロトでは通用する道理もない。
そもそも、ジョンの得意は接近戦。拳打と共に呪いを送り込み肉体を破壊する“霊拳”にこそあるのだろうに。
84続・妄執のマジュヌーン(12/15):2008/05/13(火) 00:19:36 ID:DnQzPn9R
「……来いってのか」

それでも、ヒロトには遠距離攻撃の術がない。
確かに以前、空中のリオルを剣の風圧で落としたりしたことがあったものの、
あれは攻撃というよりは牽制、それも手品みたいなものであって、
ようは同じ平面状にいない相手をびっくりさせて隙を作るワザ、それだけだったりする。
そもそも狙いがどうしても甘くなるので街中では使えないし。

「ゆ、勇者様?どうなされたので?」

神官のいる地上からはジョンの姿は見えない。おろおろしている神官に、なんでもない、と頷いた。

「少しここを離れますが、リューたちは好きにこき使っていいですから」
「え、はぁ……」

ヒロトは跳躍した。
ジョンも屋根を降りて、走り出す。さっきのは声を掛けたようなものに過ぎない。
ジョンは初めから場所を変えるつもりだったようだ。
ヒロトも追いつこうとはせず、その誘導に従うことにした。
屋根の上を跳び越え、ジョンの背中を追う。
その後姿からは、ジョンが何を考えているのかは、わからなかった。



「……行ったか」
「そのようですわね」

二人の勇者が町から離れていくのを、リューとローラはそのただならぬ気配から感じ取っていた。
礼拝堂の奥、ヒロトの言いつけで掃除を手伝っていた魔王と王女は天井を見上げてやれやれと肩をすくめた。
ジョンがヒロトを襲ったことについては、二人は特に驚いてはいないようだ。
それもそうだろう。大方の予想はついていたのだ。ジョンが『相談』を持ちかけるのなら、それはヒロトだと。

リューは人間世界に降りてきてから何度か小説で読んだことがある。
いわゆる男の友情。一発ブン殴ってスッキリするというアレである。
リューにはとことん理解しがたいが、どうもオトコという生き物はそういうコミュニケーションをしばしば取るものらしい。
拳と拳で語り合う特殊言語。それが証拠に、ヒロトは剣を置いていった。
男のドツキ合いにエモノはいらない、というワケだ。

………度し難い愚か者である。男という生き物は。

「そうは思わんか、ローラ」
「まったくですわ、リュー」

二人の少女はコクコクと頷きあった。

お前ら似たようなことやったじゃん、というツッコミを入れる者は、その場にはいなかったけれど。

85続・妄執のマジュヌーン(13/15):2008/05/13(火) 00:20:27 ID:DnQzPn9R
 
―――もう微かにしか覚えてはいない、父や母との思い出。
自分を育ててくれた祖父の背中。
ラルティーグの施設で共に学んだ仲間たち。
研究の上で関わった全てのヒトが、ジョン・ディ・フルカネリの礎となっていた。
ジョンが恵まれていたのは何も才能だけではない。天性の才能というなら、
ジョンが生まれ育てられた環境こそ、奇跡のようなバランスで構成された天の恩恵に違いなかった。

匠の国ラルティーグの、錬金の名家フルカネリに生まれたこと。
息をするだけで罪とされるような戦乱の世のように、磨いた技術を殺戮の道具にはされない時代に成長できたこと。
どこか一筋縄ではいかない、けど信頼しあえる同胞たちと切磋琢磨できたこと。
認められること。
笑顔でいられること。

その、全てが、ジョン・ディ・フルカネリの持つ計り知れない才覚なのだ。10

だからこそ、他のヒトビトの想いを受け、技術の発展に身を捧げる決心をした。
おそらくはそれは、ラルティーグで脈々と受け継がれてきた絆なのだろう。

「渇きの国で外道に堕ちた同胞を見たとき、ボクは悲しかった。
 あれだけの力を持ち、実現できるなら―――そこには必ず、先人たちの努力があってこそ。
 彼はそれを踏みにじった。ラルティーグの誇りを汚したんだ。それが、許せなかったんですよ」

小柄なジョンと長身のヒロト。体格差はあるものの、格闘戦にはジョンに一日の長がある。
剣を持たない剣士の拳をいなし、躱し、懐に入り込んで一撃を叩き込む。
が、ジョンの祖父にして師匠直伝の拳法の技ですらヒロトとの差を埋めるには足りない。
打ち込んだ拳が筋肉の鎧に止められる。硬い。まるで鉄の塊を殴っているようだ。
拳打を打ち込んだ手が逆に傷つき、血が滲んむほどに。
それでも、ジョンは拳を緩めない。
身の裡から湧き出す感情を、そのままヒロトにぶつけるように。

血が滴る拳がヒロトの頬に突き刺さる。と、ジョンのまぶたの裏に星が飛んだ。
腕を交差させるような形でジョンにヒロトの拳が食い込んでいる。クロスカウンターだ。
拳の重さと自らの勢いが加重された攻撃に、ジョンはよろけるどころではない。踏ん張りもきかずに吹き飛ばされた。
地面を無様に転がり、鉄の味が口内に広がっていく。それでもジョンの慟哭は止まらない。
よろけながら、血をべ、と吐き出しながら立ち上がる。

身体が濡れている。
いつの間にかしとしとと雨が降っていた。

「でもね。一番許せないのはボク自身だ。
 ラルティーグの勇者であるくせに。リオルが大切だというのに。
 ボクは結局どちらを選んだと思います?どちらを犠牲にしようとしたと思います?
 選べなかったんですよ。どちらもね。選ばなかったことで、どちらも傷付けてしまった。
 ボクがリオルに何を言わせようとしたか―――どんなに残酷で!卑怯なことか!
 初めから、答えは出てたっていうのに!!」

ごん、と。
鈍い音がして、ジョンの視界がぐるんと回った。
ヒロトの拳がまともに入ったのだ。先程のように軌道を反らそうと手を添えようとしたが、その動作が間に合わない。
頭に血が昇っているのを自覚する。それで身体に染み付いている型さえも崩れてきているのか。
それとも、剣神と謳われたヒロトが得物を必要としない拳闘に慣れてきたのか。
がくん、と膝から力が抜けた。倒れる―――奥歯を食い縛る。
86続・妄執のマジュヌーン(14/15):2008/05/13(火) 00:21:44 ID:DnQzPn9R
 

『―――リオルを失いたくない。ボクは、キミに傍にいて欲しい』


血が滲む拳に魔力が灯った。
唯の殴り合いには必要ない筈のその技は、しかし紛れもないジョンの全力。
一撃必殺の呪拳―――“霊拳”を握り締めた。
力の抜けた足を踏ん張り、地面に突き立てる。
雨水で滑りそうになる。それでも、踏みしめ、往く。

ジョン・ディ・フルカネリはいつか、過去を顧みて―――今の、この決定をどう思うだろうか。
愚かだと笑うだろうか。計り知れない幸運を見逃したと呆れ果てるだろうか。
でも、それでも―――きっと後悔はしない。
ジョン・ディ・フルカネリはリオルを犠牲にした瞬間、死んでしまうだろうから。
奇跡のような才覚に恵まれたジョンの錬金術師としての矜持が、かけがえの無いひとを殺したことで嘘になる。
それがヒトの夢を裏切る行為なら、ジョンは代わりに幸運に頼ることなくそこに至ろう。
きっと、どれほど遠い道であっても倒れることはない。
支えてくれる彼女がいるのだから。

―――きっと。


「あ―――ぁぁぁああああああああああああ!!!!」


喉が張り裂けそうな程に叫んだ。

その声が、ラルティーグの同胞に対する懺悔の声だったのか、それはわからないけど。

ジョンは持てる全ての想いを込め、拳を打ち込んだのだった。



リオルは教会に足を運んできていた。
身体を動かすと時々痛むけど、腕の傷以外は大したことはない。
自分で塞いだ傷が一番痛むというのは皮肉というものか。

どうも来るタイミングが良かったようだ。
教会の扉を開けると、リューとローラがお茶を飲んでいるところだった。
リューとローラはお菓子の取り分が減ってあからさまに嫌な顔をしたけど、
そこはジョンとの話の報告も兼ねて、ということで。

「―――お前の胸に真の賢者の石が、ねぇ」
「本当だったら物凄いことですわ」

身を乗り出すローラとは対照的に、リューはどこかつまらなそうだ。
頬杖をつきながら、お茶請けのクッキーを口に放り込んでいく。

「本当だったら、な」

ジョンはリオルを取ったのだ。リオルの胸に埋め込まれている賢者の石が『本物』かどうか、確かめる術はない。
87続・妄執のマジュヌーン(15/15):2008/05/13(火) 00:25:49 ID:DnQzPn9R
「魔力を回復できるっていう性能は確からしいんですけどねー。その仕組みを解明できなきゃ技術とはいえない、とかなんとか」
「道理だな」
「まあ、それはそうですけど」

リューはずずず、と行儀悪くお茶を啜っている。

リューは―――嫉妬しているのかも知れない、と思っていた。
ジョンはいわば、自分の夢の達成よりリオルを優先させたのだ。
そこまで愛されることに対しての嫉妬。そして、おそらくは―――ヒロトはそうではないだろうという確信。
ヒロトはおそらく、リューが障害となった場合、その剣をリューに向けてくるだろう。
心を殺し、刃となって。
もちろん、リューはヒロトの敵となるつもりは全くないが……。

リューは砂糖をもうひとつお茶に放り込むと、



――――――雨の降りしきる空を見上げた。



頬をつたう。
熱い雨水で、視界がぼやけている。

雨が降っていてよかったと、ぼんやりと思った。


「―――すみません。ヒロトさんには関係がなかったのに、付き合わせてしまって」
「いいさ。こんなことでいいなら、いつでも」
「遠慮しておきます。身体がもちそうにないですから」
「……気分は」
「すっきりしましたよ。こうやって雨に打たれるのも悪くない」
「そりゃ、よかった」
「ところで―――お願いがあるのですが」
「ん」
「その、町までおぶっていってくれませんか?」

大の字にひっくり返って動けないジョンが照れたように笑う。ヒロトは口元を緩めて、頷いた。
両目から溢れるものでジョンの笑顔はひきつっていたものの、
小雨の振る灰色の空とは逆に―――晴れ晴れとしていたようにヒロトには見えたのだった。



              続・妄執のマジュヌーン〜新ジャンル「錬金術師」英雄伝〜 完

88名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 00:42:00 ID:DRDFXPGm
勇者キターーーーー!
一番槍GJwww
しかし青春なステゴロなタイマンだことで
毎回、戦闘描写には脱帽ですわ
89名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 14:33:21 ID:sJtlMjN5
久々に見つけたよ…
ノーパソのキーボード死んだおかげで見れなかったよ…


蓮華「お久しぶりですっ」
番長「元気してたか?」
芝村「私達の愛は「そんなもん元からねぇよ」えー!?」
90名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 23:50:49 ID:DnQzPn9R
男「ナマコってさ」
女「ナマコ?」
男「そう」
女「………」
男「海にいる」
女「………あー」
男「エロくね?」
女「何が?」
男「形が」
女「………」
男「太いし、長いし」
女「………」
男「オナホっぽくね?見た目」
女「いや、知らんけど」
男「海の男って欲求不満じゃん」
女「なんで」
男「女、船乗せちゃいけないから」
女「そうなの?」
男「昔はな」
女「へー」
男「で、欲求不満だから、こう、ナマコを上手く加工してオナホに」
女「そうなの?」
男「したんじゃね?って話」
女「へー」
男「想像だからね?」
女「うん」
男「………」
女「………」
男「………」
女「……ヒトデ?」
男「ナマコ」

新ジャンル「海のいきもの」
91名無しさん@ピンキー:2008/05/14(水) 01:29:45 ID:cZKFFxOS
>>90
ナマコは知らないが、イギリスの軍艦は雌ヤギを乗せていたとかいう噂が…
92名無しさん@ピンキー:2008/05/14(水) 04:31:47 ID:wozIPuqq
男「………」
女「何?」
男「考えてる」
女「何を」
男「生下着」
女「生下着?」
男「そう」
女「生下着がなんなの」
男「生下着はどこまでが生下着なんだろうか」
女「ん?」
男「お前がはいてるぱんつ。これは生下着か?」
女「んー」
男「おそらく違うだろう。中身があるからな。ちょ、ぱんつ脱いでみ」
女「え?いいけど……はい」
男「今さっき脱いだ状態の下着。これは生下着だな。間違いなく」
女「あ。取るなよう」
男「これはサンプルに必要なんだ」
女「なんと」
男「……………」
女「……………」
男「はい、下着から体温のぬくもりがなくなりました。これは生下着でしょうか」
女「見ないで」
男「ここが重要なところなんだ。これを洗濯すると、これはもう生下着じゃない。ただのぱんつだ」
女「匂いをかがないで」
男「つまり生下着か否か、その分かれ目がここにあるということになる」
女「咥えないで」
男「俺としては体温を失った下着でも何か手を加えたわけではないのだから『生』下着と呼んで差し支えないと思っている」
女「かぶらないで」
男「しかしこれは非常に慎重にならなければいけない問題だ。帰ってからまた考えるとしよう」
女「返して」
男「明日返す。じゃあな」
女「すーすーする……」

新ジャンル「生下着」
93名無しさん@ピンキー:2008/05/14(水) 05:39:05 ID:PCsK3kk9
何故か萌えた
94名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 04:22:34 ID:bCUp44l2
ケーキ「ゎーなにそれータルトちゃんそのバッグかゎスギ♪」
タルト「あーこれぇ?ダリンがね→買ってくれたんだけどーパチで勝ったからとか言って」
ケーキ「え→ぜったぃ照れ隠しだょ♪」
タルト「でもぁぃつこの前隠れて合コンとかぃってたのゎかってさ→」
ケーキ「そーなんだ−。黙ってはサイアクだねー」
タルト「でしょ?だからさーぁたしも合コンぃってゃろうと思ぅんだケドK→チャソも来るょね」
ケーキ「ぁたし着てく服なぃょ」
タルト「じゃ→ぁたし前めっちゃかゎぃぃワンピ売ってるトコ見つけたからさー。一緒に買い行こー?」
ケーキ「マジでー?」


バナナ「………」


タルト「あ→でも人足りるかな→」
ケーキ「テキトーにTELすれば集まるんじゃなぃ?」


バナナ「………」


タルト「トリアーエズスフレ辺りにTELしてみるゎ」
ケーキ「ぁぃつカレシと別れたっぽぃから今きっとオトコに飢ぇてるょ♪」


バナナ「………」


新ジャンル「バナナはスイーツに入りますか?」
95名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 07:17:16 ID:ekKL3oRv
スイーツ(笑)ってか(笑)
こっちにも行ってあげて
http://same.u.la/test/r.so/yomi.bbspink.com/eroparo/1200136428/l10#down
96名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 21:32:29 ID:lsmpaIyf
>>92
はぁはぁする……
97名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 22:42:42 ID:zBstyRj0
>58
ごめんよ 遅くなったけど今投下

囲炉裏が飲み込まれて数秒、不気味に布団は蠢いている…。まるで捕獲した獲物を食しているかのように…。

後に豆田陽子は語る。
「あ…ありのまま、あの時起こった事を話すぜ!
『囲炉裏が布団の中に引きずり込まれた。…そして桃色な声が聞こえてきた。』
な…何を言ってるのかわからねーと思うが、あたしも何が起こったのかわからなかった…
頭がどうにかなりそうだった…。レズだとか百合地獄だとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…。」

そして現状の再確認を実施する。
『看護対象のハズの遠山理菜…。コイツは全くピンピンしている。
 で、一緒に来た囲炉裏が現在進行形で誤食されてる。…コイツら、放って帰っても別に問題ないよな?』

囲炉裏の不用意な行動が招いた結果だが、そのお陰で厄介な遠山理菜の足止めに成功しているようだし…。
それ以上に春樹と夕圭の仲が、これ以上進展するのを阻止することが当面の優先事項である。
お粥を置いてくる事がミッションクリアの条件だが、これを果たした以上、長居してやる義理もない。

布団の中から、囲炉裏のものと思われるブラやショーツが飛んでくるのを脇目に、踵を返して玄関に向かう陽子。
特に、彼女のブラに対しては優越感を憐れみの混じった表情を浮かべながら…。

「……囲炉裏。聞こえているなら、君の胸の不作を恨むがいい。」
布団の中から何かが呻く様な『音』は聞こえるが、明瞭な声としては聞き取れない。
『哀れな…。押し倒された上に口も塞がれたか…。『口を使って』塞がれてなけりゃ良いが…。』

後日、囲炉裏の涙ながらの証言から、青山春樹は『やっぱり理菜、レズだったんだな』と再度確信を得たそうである。
 
新ジャンル「食うもの 食われるもの …見捨てるもの」新醤油学園野望編
98名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 22:44:09 ID:zBstyRj0
一方、青山宅の春香さんと貴子さん。
「……ルカさんも…なの?」
「……バレちゃった?」
「……見てれば判る。」

春香の一言によって真意を引きずり出された貴子…。
もっとも、そんな彼女とて春香の胸の内など容易に読めている。
そして、ため息を一つ吐いて、改めて己が心情を語り始めたルカ。

「……私だけのハル…だったんだけどなぁ。…生まれた時から今まで、ずっと傍に居てくれた男の子。
 でもさ、ハルって結構モテるでしょ?それで、最近ハル分が不足してる感じ。…今日も夕圭ちゃんにとられちゃったし…。
 …おまけに貴子ちゃんが来るようになってから、妹ポジションまで取られかねない勢いだしさ。」
そんなルカを元気付けるように、彼女の手を握り、瞳を見つめながら語りかける貴子。
「……いいえ。春樹さんはルカさんだけのお兄さん。」
思わず見つめ返すルカ。
「………貴子ちゃん。」

ここまでにすれば、実に麗しい女同士の友情物語…。…しかし。
「…そして、春樹さんは私の未来の旦那さま(///)。…未来の義姉妹ということで、これからも仲良くして下さい(///)」
「…………」
頬を染め、うっとりした表情を浮かべて爆弾を投下する貴子。
ちょっぴりイラっときた春香は無言で拳を叩き込む。…ピンポイントにたんこぶを狙って。
「…はぅ。」
相当ダメージが残っていたのか、あっさりと昏倒する貴子を尻目に、嘯く春香。

「貴子ちゃん…。候補者は他にも居るから競争が激しいことをしっかり覚悟した方が良いよ〜?
 …それに私も、今まで通りハルの傍から離れるつもりはないしね。」

新ジャンル「宣戦布告」新醤油学園野望編
99名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 22:45:50 ID:zBstyRj0
一方、黒田夕圭の部屋の中では…。
「ともかく黒田、熱が上がってきたなら横になれ。
 さっきも解熱剤を飲む前に寝ちまっただろ?今からでも飲め。」
必死に照れ隠しをしている青山春樹。
『マズイ…。黒田が普段の3割り増しで色っぽい…。
 …風邪で弱ってるのに、不謹慎だよな、俺。』

「…うん。でもその前に、ちょっと肩を貸してくれないかな?」
「…いいけど、どうした?」
「……トイレよ。」
「す、スマン…。」

上体を起こしていた夕圭だが、そんな彼女の肩に腕を回して立たせる春樹。
当然密着しているので、彼女の柔らかい感触や匂いを普段よりも強く感じてしまう。

『黒田の匂い…。囲炉裏や豆田姉妹とは違う、女の匂いだな…。』

そんな彼の様子に、当然気づいてしまう夕圭。
「…春樹くん?…やだ。あんまり匂い嗅がないよ。…熱のせいで汗かいてるんだし。」
「あ、ああ。…身体を拭きたいなら、後でルカに手伝ってもらうか?」
「……なら、春樹くんにお願いしようかな?」
「…はぁ?」
「…春樹くんなら…いいよ。」

普段の軽い調子なら、『冗談言ってないで寝てろ』とか『さっさとトイレに行くぞ』とでも受け流せるのだが…。
妙に潤んだ瞳で見つめる夕圭に対して、春樹は適切な返事が思いつかなかった。

新ジャンル「誘う女」新醤油学園野望編
100名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 11:32:35 ID:REOGkBrq
ハルくーーーん!!
ハルくんチャーーーーーンス!!
101名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 13:31:22 ID:jE6i3/zz
健気クールなんてどう?
102名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 13:57:43 ID:REOGkBrq
女「男、弁当だ」
男「弁当?」
女「ああ。恋人となったのだからな。キミの分も作ってきた」
男「あ、ありが―――」

友「ヒューヒュー!健気だね、女ちゃん!」

女「うむ。わたしは男の恋人だからな」
男「……ッ!い、いいよ。頼んでないし!」
女「え……」
男「つきあうからって……余計なことすんなよな!」
女「………すまん」
男「………」
友「お、おい男」
男「いいよ。行こうぜ、友」
友「……ご、ごめんな。俺が変なこと言ったせいで」
女「いや、いいんだ。こんな人目のあるところで渡そうとしたわたしも悪い」

………………。
…………。
……。

友「あれから、一週間か……女ちゃん弁当作ってこなくなったな」
男「………」
友「お前、ちゃんと謝った?」
男「ふん」
友「お前さぁ……女ちゃんがああいう性格だってことはわかってんだろ?
  それでお前、ちょっと言いすぎだったんじゃないの?俺も悪かったけど」
男「うるさいな」
友「うるさいって、お前な」
男「うるさいってんだよ!友も!それから、女も!」

女「………!!」ビク

男「弁当!」
女「え……?」
男「作ってきてるんだろ?出せってんだよ」
友「お前、わがままだな……」
男「うるせ」
女「ばれていたんだな……」
男「ふん!毎日毎日、指怪我してきやがって。馬鹿でもわかるわ」
女「流石だな!男!さあ、食べてくれ!!」

新ジャンル「健気クール」

こんな感じ?
103名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 15:42:58 ID:r7Jwujyb
>>102
(・∀・)イイ!!
104名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 17:58:52 ID:snBynzbu
クールもヒートも、感情を素直にぶつけてくるってのは
相手にとっちゃ決していいもんとは限らないからなぁ……
それが、たとえ好意であれ
105名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 18:25:46 ID:znOomp/t
児玉清でお願いします
106名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 19:34:40 ID:o/sRZgcD
陽子が遠山理菜の部屋を立ち去ってから暫く……
布団の中から這い出た一人の少女。

「まめあね…えぐれむねのくせに…!!」

憤然とする囲炉裏真智子であった。


―布団の中に引きずり込まれた瞬間こそ、訳が分からず慌てた真智子。
しかし襲いかかった理菜が、春樹とは違うロリな感触に手を止めた所で、抜手一本で失神させていた。

『…ちゃんすです。がちゆりさんにおそわれたことにすれば…』

とっさに判断して自ら服を脱ぎ、陽子をミスリードした真智子。
しかし、ブラを投げた後の陽子の声に怒りを覚え、なんとか布団を噛んで我慢した―


「もう、がちゆりさんにようはないです。かえってぷりんとはるくんにあまえ、
まめあねに……!!」


一般的に欠点を指摘されて愉快な人間はいない。
ましてや、自分と変わらない境遇(貧乳)の相手から言われれば尚更。

「あ、がちゆりさんにまだようがありました」

真智子が手にした物は…



その日の夜、遠山家の風呂で必死に全身を洗う理菜の姿があった。

「油性マジックで落書きするか普通!!しかも胸に『がちゆりむだきょにゅう』なんて!!」

鏡を見た瞬間の理菜の驚きと嘆きの声は、辺り1kmに響いたという…


新醤油学園 青春編
「奇跡の生還」
107名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 19:37:57 ID:o/sRZgcD
さて青山家では。

二人(主に春樹)を気遣ったルカが二階へ上がると、春樹と夕圭が肩を寄せあった場面。

「夕圭ちゃん…親しき仲にも礼儀ありよ。ハルも男の子だから、代わりにわたしが…」
「ルカ?貴子ちゃんは大丈夫なのか?」

年下の少女を気遣う春樹だが…

「…何よ、そんなに貴子ちゃんが心配?」
「は?そりゃまぁ…」
「ハルの一番は私だよ…真智ちゃんや夕圭ちゃん、豆田姉妹でもないんだから…」

ドンッ

体当たりに近い勢いでルカに抱きつかれる春樹。

「ルカ!?ど、どうしたんだよ一体!?」
「ルカちゃん…」

胸には涙ぐむ妹、右には夕圭を抱いて春樹はかなり戸惑う。
「ルカちゃん…ちょっと相談が」
「…何?」
「…ここじゃなんだから汗を拭くの手伝ってくれるかな?その時に…」
「うん…」

妹が夕圭を連れて部屋の中に入るのを見て、
『…助かった様な、残念な様な…』
そんな事を心中で考えながら一人廊下に佇んでいた。


「あのね。私は春樹くんの事もルカちゃんのことも…………(中略)
だから私達上手く…」
「それしかないのかな、やっぱり……」

ルカと夕圭の密談の内容とは一体?ナイチチな二人は激突するのか?
そして再び倒れた貴子の挽回はあるのか?


新醤油学園 青春編
「覚醒と野心 横たわるのは百合とツインロリ」
108僕の恋人、鈴木さん(1/6):2008/05/18(日) 23:50:43 ID:REOGkBrq
 
ぢゅうっ、ちゅ、くぷ、づるるっ……

熊のぬいぐるみやペンギンの貯金箱などが飾ってある、女の子の部屋以外の何物でもない空間に、
その淫靡な音はまったく場違いだといつも思う。
頭の片隅でそんなことを考えるのは、もちろん鈴木さんの行為に意識を持っていかれないためだ。
まともにこの快楽に身を委ねたりしたら、間違いなく腰砕けになって
鈴木さんのなすがままになってしまうだろうから。それでは男としてあまりに情けない。
………まあ、まったくもって今さらなんだけどさ。

「ん、んふ……ふぅっ……く、ふぅぅ……っ」

ちゅ……ぴちゃ、ずるるっ……れろ、ぺちゃぺちゃ……

鈴木さんは腰に腕を回して、ほとんど僕を抱きしめるようにして、
まるで三日三晩砂漠を彷徨った旅人がキンキンに冷えたミネラルウォーターを
前にしたような勢いでフェラチオに没頭している。
そこには、窓際最後列が定位置の引っ込み思案な美術部部長の姿はどこにもない。
妖艶さだけなら三十路を過ぎた娼婦のような、でもその幼い容姿はいつものセーラー服を
纏っている少女のもので、そのギャップに夢かうつつか、わからなくなってしまう。

「………鈴木さん、すごくエッチだね。そんなに欲しかったの?」
「うん、うん……!ぷは、欲しかったよぉ……これ、さとしくんのおちんちん………ずっと、
 こうしたかったよぉ……ああ、軽蔑する?こんなの、変だよね?
 ……はむ、れろ、れも……やめられない、やめられないよぉ………!」

鈴木さんの頭に手を添えて、少し意地悪な質問をしてみた。
僕なりに必死の抵抗のつもりだったのだけど、鈴木さんは潤んだ瞳であっさりと肯定する。
背骨まで蜂蜜に漬かったような言葉に、逆に僕がくらりときてしまった。
本当に………エッチなったなぁ。鈴木さん。

いきり立った僕のモノに下を絡め、サオの根元からカリ下にかけてねっとりと唾液を絡めたかと思うと、
カウパー氏腺液と涎の混ざったソースを音を立てて啜りこむ。
じゅぽ、じゅぷるるっ、とマナーとはかけ離れたいやらしい音が聴覚さえも愛撫する。
かと思うと一度口を離し、鈴口を細くした舌でちろちろと刺激してきた。
反射的に分泌された先走り液の原液を美味そうに舐め上げ、
ぬらぬらとサオに頬ずりするように玉袋にまで舌を伸ばす。
僕の下腹部で濡れていない場所はない。滴るような鈴木さんの唾液で、どこもかしこもぐっしょりと濡れている。
109僕の恋人、鈴木さん(2/6):2008/05/18(日) 23:51:22 ID:REOGkBrq
鈴木さんは学校の勉強も熱心だけど、どうもこういったことに対しても熱心なようだ。
身体を重ねるたびに目に見えて―――快楽神経直撃で上達していくのがわかる。
恐るべし鈴木さん。いつも窓際で大人しくしてる女の子が
こんな痴態を繰り広げていると知ったらクラスメイトはどんな顔をするだろうか。
想像して―――思考がうまく纏まらない。
かわりに、ぞくぞくとした感覚が腰の辺りに広がっていく。
射精が近いらしい。

「鈴木さん―――出るよ……っ!」
「うん、出(ら)してっ!たくさん……飲ませてっっ!」

ぷぁ、と大きく口を開けた鈴木さんの顔を、僕の白濁が汚していく。
いや鈴木さんに言わせると汚しているんじゃなくて化粧をしている、
つまり綺麗にしているということらしいんだけど―――こんな顔で外を出歩いたら
まず間違いなく通報されてもれなく御用になると思うよ、鈴木さん。

「ん、じゅるっ、んふ、ふふ、ふふふ……」

口に入らなかった分の精液をぬぐい、指先のそれをぺろり、と舐める。
うっとりとした妖しい微笑みで僕を見つめ、

「さとしくんの、美味しい―――」

鈴木さんはねっとりとした口調で、そう言うのだった。



引っ込み思案のくせに大胆で、大人しいのに破天荒。
僕の恋人、鈴木さんはそんな二面性を孕んだ不思議な女の子だ。
恥ずかしがりやで、人前に立つと緊張で変な汗が止まらなくなるくせに学級委員長に立候補するような。
なんでも小学校、中学校と計9年間連続で学級委員長に推薦&任命されていて、
ならいっそその記録を伸ばしてやろうと立候補したんだって。
でもLHRのときあんな死にそうな顔してまで教壇に立つくらいなら
そんな記録に拘る必要なかったんじゃないかな。
まぁ、その辺はともかく僕としては鈴木さんのアンバランスな大胆さに
感謝していないこともないんだけれど。
最近、それが少しだけ不満になりつつも、ある。

僕らはまぁ、奥手だった鈴木さんがこんなになっちゃうくらいにはセックスの回数を重ねているんだけど、
その主導権を握っているのは何故かいつも鈴木さんなのだ。
僕が慣れるのが遅いのか、それとも鈴木さんが異常に性欲旺盛なのか。
とにかく、僕だって男だし?いつまでも鈴木さんにヤられっぱなしになっていてはくやしいと思わけ。
と、いうわけで反撃の機会を伺ってはいるんだけど。敵はあまりに強大で。

今日だって、突然放課後の教室で全裸になったりするから、
大慌てで服を着替えさせて近所にある鈴木さんの家に避難してきたわけだ。
110僕の恋人、鈴木さん(3/6):2008/05/18(日) 23:51:55 ID:REOGkBrq
 
「ねぇ、さとしくん―――セックスしていい?いいよね?するよ?」

とろり、と蕩けた目つきで、鈴木さんが僕を押し倒す。
やわらかくて濃厚な雌の匂いがする鈴木さんの力は、まったく女の子のそれそのものだ。
一応男である僕がその気になれば押しのけられないこともないだろう。
でも、僕はそれをしない。そうしたら、鈴木さんが傷つくんじゃないかとか、
そんな考えが僕の四肢を弛緩させる。
よくよく考えれば押しのけなくても鈴木さんを逆に押さえ込む手はあるな、
と僕は押し倒されてから思ったり。時既に遅いんだけど。

「は―――く、ふぁあ……!」

ずにゅる、と鈴木さんの濡れそぼったそこに僕のモノが吸い込まれていく。
おとがいをそらし、大きく息をつく鈴木さん。鈴木さんはえっちだ。
えっち過ぎて恋人の僕でさえ呆れてしまうくらい。

「ん、ふぅ……っ!あ、あぁ……っ!!」

鈴木さんの身体が歓喜に震えている。
ぬらら、と鈴木さんの内側に波立つ千の襞が僕の肉僕を愛撫する。
それだけで射精してしまいそうな快感に、僕は丹田に力を込めてそれを堪えた。

「は、はいったよ?さとしくん……!」
「うん。気持ちいい?鈴木さん……」
「うん……!うんっ!うん……っ!気持ちいい……気持ちいいよぉ、さとしくん……!」

ぼたぼたと鈴木さんのしまりのない口元から涎が垂れて、僕のお腹に零れ落ちた。
すごく美味しそうなものを前にした時と同じ。鈴木さんの理性は今にも擦り切れそうで、
瞳もどこか虚ろになってしまっている。
――――――そんな鈴木さんは、最高に綺麗だと思う。

「あ、はぁ、あっ、あぁっ、あ―――さとしくん、動いていい?動いていい?」

がくがくと痙攣しながら僕に許可を求める鈴木さん。
僕は―――わざと余裕たっぷりに笑って、首を振る。

「だめ」
「………な、や、ぁ―――!!?」
「駄目だよ鈴木さん。我慢して―――動いたら駄目だからね」

鈴木さんは泣きそうになっている。
騎乗位の体勢で、僕のお腹に手をついて、その皮膚に爪が食い込んでいく。
痛い。けど、これは鈴木さんが感じている無情の証だ。
鈴木さんの膣内は絶えず収縮を繰り返している。その度にざわわ、と襞が僕の陰茎を撫ぜ上げていた。
言葉にさえならない鈴木さんの代弁。
もっと、もっと、もっと気持ち良くなりたい、もっと『これ』を擦りたい、咥え込みたい。
そう、襞の一片一片が主張している。それがまた、ぞくぞくとした快感を与えてくれる。
心地いい。
111僕の恋人、鈴木さん(4/5):2008/05/18(日) 23:53:31 ID:REOGkBrq
「やだ、嫌です、さとしくん、駄目だからね?わたしは、もう―――我慢、できないんだから―――」

鈴木さんはぶんぶんと首を振ったかと思うと、とうとう勝手に腰を動かし始めた。
ぬるる、と鈴木さんの膣内が僕の陰茎を離すまいと吸い付いて、
ぐちゅ、ぐぷ、と絶えず粘度の高い愛液を吐き出している。
入り口はきゅうきゅうと締まり、真っ赤に膨れ上がったクリトリスは小さいながらも
てらりと光って自己を主張する。上下運動だけじゃない、うねうねと腰を回転させるようにして、
単純なピストンに変化をつける。鈴木さんの上達は口淫だけでなく、腰使いも目覚しいものがあるのだ。
たいそう気持ちがいいけど、僕は呆れたように口元を歪めた。

「鈴木さん」
「あ、あ、ああぁ……!」

鈴木さんは泣きそうな顔をしている。というか泣いている。
ぼろぼろと涙を零して、僕を申し訳無さそうに見つめている。
それでも、鈴木さんは止まらない。こうしている間にも艶めかしく動き、快楽を貪っていた。
躾のなっていない、浅ましい動物のように。

「ごめん、ごめんなさい―――でも、駄目だから。わたし―――駄目なの。
 さとしくんがダメって言ったのに、動いちゃ、駄目なのにぃ……!!
 止まらない……気持ちいいの、止まらないよう……!!」

ぱじゅんっ!ぱじゅんっ!ぱじゅんっ!ぱじゅんっ!

鈴木さんが犬のように舌を出し、愛液と肉が叩きつけられる音を響かせて、何度も何度も腰を振る。
すでに何も考えられなくなっているようで、その動きには先程のようなテクニックも何もない。
セックスというより、交尾と言ったほうがよほど近いだろう。
自慰を覚えた猿になって鈴木さんは絶頂に向かって腰を振っている。

「あっ、あっ、あン、あ、あぁ、あっ、ああぁっ―――」

―――聞こえないと思うけどね、鈴木さん。
駄目だって言ったのに、勝手に動くようなえっちな鈴木さんは―――
『また』、何日かお預けしないといけないよね?
そうだなぁ。今回が一週間だったから、次は――――――
112僕の恋人、鈴木さん(5/5):2008/05/18(日) 23:54:34 ID:REOGkBrq
 
 
「――――――あ、あ、ひ、あぁぁあああああああああッッッ!!!?」


ぎゅぅうっ、と鈴木さんの膣が僕のペニスを絞り上げる。

とりあえず、触れ合いなしオナニーなしで二週間とかどうかな?と。
鈴木さんにとっては拷問と等しいことを考えながら、
僕は鈴木さんの子宮口に勢いよく精液を叩きつけていた。

 

引っ込み思案のくせに大胆で、大人しいのに破天荒。
僕の恋人、鈴木さんはそんな二面性を孕んだ不思議な女の子だ。
普段は素直なんだけど、ときどきわがままを言って僕を困らせる。
たとえば、一週間はお預けする約束なのに我慢できなくなっちゃって襲い掛かってくるとか。
いくら放課後だからって、鍵をかけたからって、教室で素っ裸になるのはどうかと思うよ僕は。
見つかったら停学どころか退学もやむなし。流石に危なかったから鈴木さんの家に移動したけど。
いや、求めてくれるのは素直に嬉しいし、そんなところも可愛いとは思うんだけどね。
でも、男の矜持として―――ちゃんとリードしたいのに。
鈴木さんは、ちっとも僕の言うことを聞いてくれない。

僕の恋人、鈴木さん。

………まぁ、そんなところも可愛いとは思うんだけど、ね。



              僕の恋人、鈴木さん〜新ジャンル「普通すぎる思考」妖艶伝〜 完
113名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 00:00:59 ID:REOGkBrq
女「白の検査薬が赤に変わった!」
男「妊娠ですか?」
女「そのとぉーり!」

新ジャンル「児玉清」
114名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 00:08:43 ID:uNx/zcwv
女「働いたら負けかなと思っている」
男「………」
女「はたらいたらまけかなとおもっている」
男「………」
女「はらたいら負けかなと思っている」
男「3000点!」
女「3000点!」

新ジャンル「素直ニート」
115名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 00:30:34 ID:uNx/zcwv
女「格闘ゲームとかは?」
男「苦手」
女「なんで」
男「指、動かせないから」
女「あー」
男「必殺技とかさ」
女「ガチャガチャガチャッ!て?」
男「そう」
女「コマンドできない」
男「一瞬であんな複雑なコマンド、できるかよ」
女「なーる」
男「にんげん の うごき じゃねぇ」
女「わかる」
男「だろ?」
女「でも、おかしくない?」
男「何が」
女「ちょ、セクハラしてみそ」
男「いいけど」

オラオラオラオラオラオラ(効果音)!!

女「はぁはぁ……」
男「それがどうかしたん?」
女「にんげん の うごき じゃねぇ」
男「用は向き不向きってことか……」

新ジャンル「コマンド」
116名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 01:18:01 ID:B4TpX2N7
遠山家から脱出し、青山宅のドアノブに手をかけた豆田陽子。
…しかし、後方からの闘志に反応し、身を翻す。その場に突き刺さる油性ペン…。

「このプレッシャー…。遠山?いや、違う!…囲炉裏か!!」

陽子が身構えた瞬間とほぼ同時に、咆哮しながら突貫してくる小柄な影。
「まぁめぇあぁねぇぇ!!!!さっきはよくも!!!!」

真智子の右の貫手を受け流しつつ、左方向へ飛び退く陽子。
「まさか、遠山じゃなくてアンタが来るとは!あの状況でヤツを倒すなんて、やるじゃないか!?」
逃がすまいと追撃する真智子。左正拳突きの後に右の横蹴り。
「あたりまえです!!わたしのていそうをうばっていいのは、はるくんだけです!!
 …それよりも、まめあね!!いったい、だれのむねがふさくなんですか!?」
陽子とて、黙ってやられるつもりはない。拳を捌き、横蹴りに合わせて囲炉裏の足元を狙う水面蹴りで応える。
「お前だよ!囲炉裏!!第一、小学生サイズのお前にはブラすら要らないだろ!?」
とんぼを切って回避する囲炉裏。
両者とも距離をとった状態で、口による攻防が始まる。
「しつれいな!!あなただって、にたようなものです!!えぐれむねです!!」
「バーロー!!貧乳と無乳の間には越えられない壁ってモノがあるんだよ!!お前とあたしの立ち位置はちがうんだ!!」
「いってはいけないことを……。……ぜったいに。ぜったいにゆるさないです!!!」

気炎を吐いた囲炉裏真智子…。…だが、突貫しかけた彼女の足は止まる。
同様に豆田陽子も、首は動かさずに視線を横に向ける。

「……なぁ。……遠山は確実に仕留めたんだよな?」
「…はい。…ですが、このさっきは。」
両者が動きを止める程の殺気…。その発生源に立つ、一人の少女。

「お姉ちゃん…。それにちびおばさん…。…まとめて潰してあげる。」

新ジャンル「三つ巴」新醤油学園野望編
117名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 01:20:24 ID:B4TpX2N7
玄関前で激闘が繰り広げられている頃…。
「痒いところはありませんか〜?」
「うん…。ありがとね、ルカちゃん。」
ドライシャンプーで夕圭の髪を洗いつつ、軽口を叩くルカ。
しかし、頭の中、胸の内は大いに乱れている。

気分を切り替えるために、意図的に作業に没頭する。
髪が終わったので、次は身体だ。
『やっぱり、胸、大きいな…』
自身の胸とて平均値以上。部活仲間と比較しても形も自信はあるのだが…。
しかし、この圧倒的な存在感には毎回、驚嘆する。

その胸の持ち主である夕圭の告白が、ルカの心の乱れの原因でもあるのだが…。
『私も…春樹くんが…好き…みたい。ルカちゃんと同じで…。…だから二人でモノにしない?
 決定打を出すには、あと一歩の押しが要る…。そこで二人掛かりで…ね。
 …そりゃ真智ちゃんも大事だけど、彼女の身体では春樹くんを受け入れきれない。
 …誠意の証として、これをあげるわ。…今度、春樹くんと公園に行くんでしょ?
 そこの近くにあるシティホテルの宿泊券よ。…だから、今日は力を貸して。」

そんな夕圭の生まれたままの身体を拭く春香…。大きな乳房、細いウエスト、そして女性器…。
作業が終わったところで目配せし、頷きあう。
意を決して、ルカも自身の服を脱ぎ…。…そして。
「ハル〜。悪いけど、氷水を汲んできてくれない?」
夕圭との打ち合わせ通りに、春樹を呼び寄せる。

夕圭と共に、春樹と一つになる為に…。

新ジャンル「共闘の誓い」新醤油学園野望編
118名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 09:12:33 ID:DzjfTNKw
「ちょっと其処の貴方」
「はい?」

「私、今度こちらの学園に転校してきたのだけれど…広すぎてよくわからないの。
 申し訳ないけど、案内頼めないかしら?」
「いいですよ。何処から行きま………っ!」
「ど、どうし―――」

「くっ…此処にも居ないか!君、此処にちっちゃい男の子が居なかったか?!」
「ちっちゃい…?いえ、居ませんが…」
「くそっ…わかった、ありがとうっ!」

「何処だぁぁぁあああ!!蓮華ぇぇぇええええ!!!」

「…助かった…」
「貴方の事なの?」
「はい、あれは恐らく僕の事です」
「…大変なのね」
「よく言われます…」

「それでは参りましょうー」
「ええ、お願いね」


----------------------

「蓮華、見つかったか?」
「いや…何処に居るんだ…っ」
「折角今日は手錠を用意しておいたというのに…」

「先輩、何してるんですか?」
「やあエレミー。ちょっとな…あ、蓮華は見てないか?」
「蓮華?居ましたよさっき。転校してきた子の案内してますね」
「何処でだ!?」
「三階じゃないですk…ちょ、案内の邪魔しちゃダメですよー!?」
「知った事かぁぁあぁぁああああ!!」
「待ってろ蓮華ーーーー!!」

「…マズいかも……?」

----------------------------------

「ありがとう、助かったわ」
「いえ、これぐらいならお安い御用ですよ」
「貴方は…蓮華、君?」
「はい。風守 蓮華です」
「宜しくね。私は―――あら?」
「………しまった!じゃ、僕はこれで…!」
「え、あ、ちょっ…」


「待ぁぁぁぁぁあああああてぇぇぇぇぇ蓮華ぇえええええええ!!」
「待てって言われて待つ人なんか居ませんよーーっ!!」

「…本当、大変なのね……」


新ジャンル「転校生といつもの一幕」
119名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 21:46:34 ID:likWXBnZ
豆田貴子、又の名を新醤油学園四天王XOジャン。

まだ中学2年生でありながら四天王に抜擢されたのは、卓越した武器の使い手であり、
加えて大人顔負けの判断力と策略の深さを評価されたからである。

しかし、体力はさほど一般の少女と変わらない貴子が、何故接近戦で二人を敵に回す愚を犯したのか?


「…みんな敵…なら一人残さず潰す…!!」
どうやら陽子とルカの頭部への不意打ちが、貴子を酷く傷つけた様だ。

「貴っ!!本気かよ!?」
「まめこ…すごいとうき…いやさっきです!!」

さっきまで争っていた真智子と陽子は、肩を並べて貴子へと向かい合う。
無論本意ではないが、余りにも貴子の凄まじい気迫に押されたからである。

「…まずはお姉ちゃん…おばかな事が二度と出来ない位お仕置き…!!」

呟いた貴子の手から何かが飛んだ。

「ぐうっ!!……た、タオル!?」
水分を含んで丸めただけのタオル。それが陽子の腹に当たり、強烈なダメージを与えた。
おそらくは弩の様な物を使用したのか。
「……まめあね、まめこかなりやばいです……」
「あ、ああ…ある意味『晩御飯一週間抜き』よりヤバい……」

二人が囁いたその瞬間。貴子の姿が消えた。
「えっ…!?」
「貴がきえ…」

真智子と陽子の二人が驚いて出来た僅かな隙を、見逃すはずもなく…

バンバン!!

眉間に強烈な一撃を受けて二人は昏倒した。


「…本当なら二人とも地獄巡りのフルコース……でも」
ゴム弾銃を手に貴子は呟く。
「…私は一人残らず潰すから…こんな所で体力を…無駄にしない…」


新醤油学園 青春編
「三つ巴あっさり終了」
120名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 21:47:22 ID:likWXBnZ
「黒田の奴、ルカに何を相談したんだか…氷はこの位でよしと…」
妹に頼まれた氷水を用意した春樹。
「…あれ、貴子ちゃん。大丈夫なのかい?」
「!?……春樹さん…!!」
階段をまさに今駆け上がろうとする貴子と目が合った。
「…ルカさんは?」
「黒田の部屋に…いやちょっと待って」
何かを感じとったのか、春樹は貴子に近付き、話し続ける。
「ちょっと居間においでよ、貴子ちゃん」
「…?……はい…」

ソファーに貴子を座らせると春樹は貴子の頭をじっくりと見つめる。
「あ、あの…」
「でかいタンコブができてたから心配したけど、大丈夫みたいだ」
「は、はい。どうも…」
「で。何で喧嘩したんだい、姉妹でさ?」
「……………」
まさか正直に言うわけにもいかず、貴子は黙る。
「言えない?」
「…大した理由ではないです……喧嘩…は…」
「…豆田と早く仲直りできる?」
「……はい」

貴子の返事にある程度満足した春樹。手が貴子の頭を優しく撫でる。
「!?…(///)………ごめんなさい…」
「いいさ。豆田も貴子ちゃんの事を心配してたから、すぐ仲直りできるよ」
「えっ…嘘…」
「本当さ。殴って後悔したって。謝りたいけど、許してくれるか悩んでた」

貴子の脳裏に陽子の笑顔がよぎる。うるさくて、落ち着きがない、えぐれ胸のおばかな姉。
でも自分には優しく、大事にしてくれる姉。
「…………さい」
「えっ?」
小声で聞き取れなかった春樹が聞き返す。
「…ごめんなさいお姉ちゃん、ごめんなさい、ごめんね………」
後は言葉にならず、静かに泣く貴子。春樹は優しく頭を撫で続けた……
121名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 21:48:26 ID:SDe0O9BJ
おお、なんか狂乱してるな!
これぞ混沌。各職人たちGJ!
122名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 21:51:00 ID:likWXBnZ
一方夕圭の部屋で春樹を待つ夕圭とルカ。
「ハル…遅いな…」
「ほんと春樹くんどうしたのかな?」
下着姿の二人が首を傾げていると……

ダッダッダッ

階段を駆け上がる音が。
「あ、来たわ」
「もうせっかちさんなんだから、春樹くんは」
しかし部屋に突入したのは招かざる客二名。
「無事かぁ!!春樹ぃ!!」
「はるくん!!……な、なんでふたりはしたぎなんですか!!」
真智子と陽子の目は驚きから疑惑、そして怒りへと変わっていった。
ちなみに二人の眉間は赤く腫れた状態だ。
「えっ…!?…あ、あは。汗かいて暑くなってさ…あは、あはは…」
「夕圭はまあいい…でなんでルカまで下着なんだか言ってみろ!!」
「…わ、私、家ではいつも下着で……」
「うそです!!」
後は坂を転がり落ちる様に、不毛なバトルが始まったのは言うまでもなし。
では春樹は何処へ?

「困った…」
ソファーで身動きの取れない春樹であった。
腿の上には泣き疲れた貴子の頭があり、シャツの裾をしっかり握られている。
「貴子ちゃん起きて…」
先程寝返りを打ってから、貴子の頬が春樹の敏感な部分を刺激している。
『耐えろ俺!!負けるな春樹!!……煩悩を断ち切るんだ!!…』

目を瞑り、必死に煩悩と戦う内に春樹は眠りに落ちていった…


しばらくして…
「…う、うん?私は……!!『は、春樹さんに膝枕されて(///)……
!!!!!…は、はるきさんの股間に顔が!!』(プシュー)……はうっ!!」
目覚めた貴子も興奮で失神してしまった。


余談ながら、不毛なバトルで風邪を悪化させた夕圭に、風邪を移された三人が完治したのは三日後だった。


新醤油学園 青春編
「うつるもの」
123名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 22:08:01 ID:SDe0O9BJ
あー

ごめんなさい割り込んでしまいました
124122:2008/05/19(月) 22:21:02 ID:likWXBnZ
>>121
お気になさらず。
こっちが手間取ったせいですし。

>>117
新章ネタお願いします。
125名無しさん@ピンキー:2008/05/21(水) 18:56:46 ID:wb8q2Oau
新ジャンルって台本形式が基本だからか、長いの書こうとすると難しいんだよな
まあシチュ系ならそれはどこも同じかも知れないけどさ
126名無しさん@ピンキー:2008/05/21(水) 23:08:50 ID:rHCBAnRy
>>125
それは違うよ
127名無しさん@ピンキー:2008/05/21(水) 23:21:34 ID:IuWhIH5D
とある土曜日…。とある民家の玄関にて、一人の少女が一人の少年を誘う。

「えへへ…。ハル、行こ?」
「そうだな。囲炉裏に黒田、留守番頼んだぞ?」
ちなみに、彼らの父母も外出中だったりするため、そう同居人たちに声を掛ける。

そんな彼らを見送る同居人たち。
「……む〜〜〜〜〜。」
「あ、あはははは。二人とも、行ってらっしゃい。」

凄い勢いで睨んでくる真智子と、乾いた笑みを浮かべている夕圭。
この状態の囲炉裏を置いていったら末代まで祟られそうな勢いではあるが…。
『二人だけで、公園に行くって約束したからなぁ…。』
もっとも先日の【貴子の看病を手伝ってもらったご褒美】という名目だけに、彼女との約束を反故にするわけにはいかない。
『そういえば、貴子ちゃんにもちゃんとお礼しないと…。
 頭撫でてるだけじゃ、不十分だよな。…あと豆田にも手伝ってもらってるしな。』
満面の笑みを浮かべる妹の顔を見ながら、もう一人の頼れる妹分、さらにはその姉の事をぼんやり考える春樹。

一方、夕圭とルカはアイコンタクトを交わす。
『ルカちゃん。できる限り、真智子ちゃんは私が抑える…。…だからGood luck!』
『夕圭ちゃん…。…ありがと。』
彼女らは、同盟の保持を選択しているようだ。
先日の【誠意の証】は、ルカの左肩に掛けられたバッグの中に厳重に収められている。
そして空いている右腕を春樹の左腕に絡ませ、幸せそうに寄り添う。

しかし、囲炉裏もそんな彼らを追ってはいけない己の事情に、改めて心で泣く。
『…囲炉裏だけ微熱が続くな。黒田も豆田も、ルカも治ったのに…。
 …黒田、迷惑を掛けるが看病頼む。お前の時ほどの熱じゃないが、何かあったら呼び戻してくれ。』
今朝、春樹によって【本日も静養】するよう通達された真智子。
…実は、囲炉裏にしてみれば、風邪など既に完治していた。
しかしながら、身体だけでなく体温まで子供規格な彼女。
加えて食事量が多く、代謝量が高い体質までが仇となってしまったようだ。
(反面、その体質ゆえに太らずに済み、さらに見た目と異なって身体能力は高い訳だが…)
それなりに楽しそうな夕圭とは対照的に、かなり沈んだ足取りで寝室へと向かう真智子。
『おのれ〜〜〜。あいるびーばっくです!!』
128名無しさん@ピンキー:2008/05/21(水) 23:22:16 ID:IuWhIH5D
さらに別方向から、その玄関先の光景を苦々しげに見つめる一人の少女…。
遠山家が令嬢、理菜である。
…きつく歯噛みしているのか、唇の端からは血が滴っており、何気に鬼気迫る表情でひとり呟く。

「泥棒猫ばっかりに気を取られていたけど…。…貴女が獅子身中の虫になるなんてね、ルカ。」
先日は【仮病】という策を弄したものの、釣果は囲炉裏のみ。
挙句には誤食しかけた囲炉裏に倒され、自慢の胸に落書きされるという屈辱まで味わった彼女…。
そんな理菜からすれば、いまのルカはただただ嫉ましい。
まさに燎原の火の如く、燃え盛るは嫉妬の炎…。

そんな彼女は懐から小型無線機を取り出し、何者かに連絡を送る。
「豆田姉妹…。春くんとルカが動いたわ。」
【敵の敵は味方】
彼女たちは、一時停戦の道を選んだ。
当面の最大の障害であるルカを、全力をもって排除する…。
そしてその後は…春樹の覇権をかけてのガンダムファイト、レディーゴーである。
通信を終えた理菜は手早く身支度を整える。
飛び苦無に忍者槍、煙球に吹き矢を鞄に押し込み、目的地に向けて疾走する。
「春くん…。待っててね、今ルカから引き離してあげるから…。」

周囲の敵意に気づかず、手と手を取り合って仲睦まじく歩を進める兄妹。
そんな彼らが向かう公園正門にて、指関節を鳴らしながら待ち構えている少女。
「春樹!!ルカじゃなくてあたしと遊べ!!」
一方、茂みの中に身を潜める少女。
彼女のスコープは二人の姿を捉えている。…有効射程距離まであと150m。
「…ルカさん。…先日の借りは返す。」

公園という戦場にて、新たな戦いが始まる。

新ジャンル「総合公園の死闘 幕開け」新醤油学園野望編
129名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 21:02:31 ID:TcZnUQze
新章期待
130名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 23:54:02 ID:IDj5j6Lc
女「おとこくんのばか!!おとこくんなんてだいっきらい!!」
男「ぐすっ…ぐすっ…」
女「えっ!?な、なかないでよもー。……ほら」


男「学校行くぞ。ほら…起きろ」
女「わ、私一人で遅刻せずに学校行けるわよ!!幼馴染みだからって、馴れ馴れしくしないでよ!!」
男「はいはい」


男「ほら、式始まるぞ。いい加減化粧やめとけ」
女「わ、私は別にアンタと結婚したいわけじゃないんだから!!
け、結婚しないとお腹の子供が可哀想だし…アンタを野放しにできないし!!」
男「はいはい」


男「結婚10年目か、ほらこれプレゼント」
女「!!…う、嬉しくなんかないんだから!!」
男「涙流して喜んで…」
女「こ、これは…汁よ!!涙じゃないんだから!!」
男「はいはい」


男「先に逝かせて貰うよ…今まで有難う…」
女「…馬鹿、何で先に死んじゃうのよ…」
男「はは…ずっと楽しかったよ…君がいて」
女「……私は…」
男「楽しくなかった……かい?」
女「…楽しかったわよ」
男「……ははは」
女「な、な、なんで笑うのよ!!たまには私だって!!………男?…男!?………返事してよぉ!!」


旧ジャンル「ツンデレきれなかった女」


既出かもしれんが…
131名無しさん@ピンキー:2008/05/23(金) 18:28:21 ID:BBa6bcxG
女「おっ、男くんっ!」
男「ああ、女ちゃん。おはよう」
女「おはよう……はっ!ダメだからね!そんな笑顔でわたしを懐柔しようとしても!」
男「怪獣?」
女「ああっ!きっと漢字を間違ってるっ!訂正したいけどダメだからね!つーん」
男「なに言ってるかわかんないけど、学校行こうよ。もうこんな時間だし」
女「い、いちいち言わなくてもわかってるもん!ついてこないでよ!」
男「え?いつも一緒に登校してるじゃん。一緒に行こうよ」
女「だ、ダメなのっ!男くんなんか、嫌いなんだからねっ!」
男「……………」
女「………………?」
男「……………………ガフゥ」
女「男くーーーーーん!!」
男「女ちゃんに嫌われた女ちゃんに嫌われた女ちゃんに嫌われた女ちゃんに」
女「ち、違うの!これはツンデレで……ごめんね!ごめんね男くん!大好きだから!
  アナタノコトガー!チュキダカラーーー!!」
男「最期に……その言葉が聞けてよかっ………ガク」
女「男くーーーーーーーーーーーん!!!!」


友「遅刻するぞ」


旧ジャンル「ツンデレきれなかった女」
132名無しさん@ピンキー:2008/05/23(金) 18:54:37 ID:BBa6bcxG
『立て逃げだー!立て逃げだ出たぞー!』

女「フフッ、探してもムダよ。のろまな警察さん、貴方たちなんかに捕まる私じゃなくってよ」

男「………それはどうかな」

女「誰ッ!?」
男「やはり来てしまったんだな。立て逃げ……いや、女!」
女「刑事さん……いえ、男くん」
男「何故?何故キミがこんなことを」
女「女には秘密があってこそ。それを無理に訊くのは無粋というものよ」
男「………………」
女「でも……そうね。フフ、私を捕まえられたら、教えてアゲル」
男「今話すことは何もないということか。いいだろう。ならば―――ここで逮捕だ、立て逃げ!!」
女「ゴメンだわ。立てて逃げることこそ私たちの妙技。その真髄、身をもって知るがいい!」

男「うぉぉーーーッ!!」
女「たぁぁーーーッ!!」

………………
…………
……

女「それじゃあね……男くん。また……どこかで」
男「ま、待てッ!くそッ!いつか、キミを捕まえてみせる!必ず……!」
女「………………」

    ――――――そう、楽しみにしているわ――――――

男「………」
 「刑事殿ーッ!ご無事ですか!?………ハッ!そのチンコは!」
男「ああ。見事に勃てられたよ。完敗だ……僕の」
 「しかしまだ遠くには行っていないはず!刑事殿はそのチンコでは走れますまい、休んでいてください!」
男「ありがとう。じゃあ、任せる」
 「はッ!」

男(………………)
男(……………………しかし、彼女が言っていた……『私たち』とは……?)
男「まさか、彼女の他にも立て逃げがいるというのか……?」

?『相変わらず甘ちゃんだなぁ……ねぇ、お姉ちゃん?』

To Be Continued...?

新ジャンル「立て逃げ」
133名無しさん@ピンキー:2008/05/23(金) 19:05:46 ID:fb9LspDt
>>130
ちょwww
汗じゃなくて汁なのかよwwwww

最後はホロリとくるな。ポロリじゃないぞ。

>>131
冷静な友にルネッサーンス!

>>132
最初「スレでもたて逃げするのか?」と思ってたら・・・w
134名無しさん@ピンキー:2008/05/23(金) 20:02:32 ID:BBa6bcxG
男「枕返し、という妖怪がいます」
女「えー……モノの本によると、ヒトが眠っている間に寝室に忍び込んで
  枕をひっくり返す悪戯好きな妖怪……とのことです」
男「そう!そして俺様はその枕返しの孫!妖怪・布団返しだァーーーッッ!!」
女「はぁ」
男「なんだその薄いリアクションは!もっと怖がれよ!」
女「いやぁ……具体的に何するひと?」
男「名前の通りさ。眠っている間に布団をめちゃくちゃに乱しておく。朝起きたら
  布団が足元でくちゃくちゃになってることあるだろ?あれは寝相が悪いんじゃない。俺の仕業だ」
女「へー」
男「どうだ!恐ろしいだろう!!」
女「別に……迷惑っちゃあ迷惑だけど恐ろしいかって言われたら………ん?」
男「……………どうした?」
女「枕返しの布団版っつった?」
男「ああ」
女「眠っている間に寝室に忍び込んで、布団を乱す?」
男「ああ」
女「昨日の夜、あたしんち来た?あたしの部屋入った?夜に。夜中に、女の子の部屋に」
男「ああ。そうそう、寝るときもブラをつけていないと形が崩れるそうだぞ?」
女「トェェェェイ!!」
男「痛い!!」

新裏ジャンル「妖怪」
135名無しさん@ピンキー:2008/05/23(金) 21:18:43 ID:fb9LspDt
ただの不法侵入者じゃねえかw
136名無しさん@ピンキー:2008/05/23(金) 22:21:43 ID:1s4wzFZE
「えへっ…ハルと二人でお出掛けなんて、久しぶりだね。天気も良いし」
「ああ。本当だ」
腕を組み、晴れた休日の下を歩く青山兄妹。
彼らを知らない人間が見たら、83%の確率で『バカップル』認定される仲良さげな二人である。

春樹の左腕はルカの右腕に抱えられており、そこから伝わってくる感触が。
『ルカ……胸が当たってるんだが…』
勿論ブラコン妹はわざと当てているのであって、抱える腕には力が篭っている。
『うふっ、ハルったら意識してる…まずはここまで順調ね』


○○市立総合公園。
そこは広大な敷地内に豊かな緑と綺麗な水辺を持つ、近隣でも有数のデートスポット。
だが、そこに待ち受ける刺客の影が。
「…しかし弱った。相手がルカだから、本気で殴る訳にもいかねぇ…」
「………」
小型無線機で会話をする陽子と貴子の豆田姉妹。
「貴、とりあえずあたしは足止めだけでいいんだな?」
「…お願い。私が麻酔銃で狙撃するから…」
豆田姉妹と遠山理奈の共同作戦とは、

1.陽子が春樹を足止め
2.貴子がルカを麻酔銃で狙撃する
3.デートを中断させ、春樹とルカは青山家へ戻る
4.陽子、貴子、理奈の三人で決闘し、勝者が…

という物だった。

「ま、遠山にはこの前の借りもあるしな。後で全てのケリを!!!!」
137名無しさん@ピンキー:2008/05/23(金) 22:23:57 ID:1s4wzFZE
しかし熱く闘志を燃やす姉とは対照的に、貴子は疑惑を抱いていた。
『…遠山理奈。彼女の最も得意なのは、地形的な利点を生かした強襲……この公園では不利?』
『…もし私が彼女なら…まず私がルカさんを攻撃した直後に私を無力化させ、後でお姉ちゃんを…?』
『…彼女を信頼できる?……無理。できない…』

貴子の中で一つの決意が固まった。
『…まずは彼女から』


「真智ちゃーん、ちょっと早いけど朝のおやつ…………あれ?」
夕圭がケーキとココアを持って真智子の部屋へ入ると、ベットで大人しく
寝ているはずの真智子の姿が見当たらない。
「まさか…春樹くん達の後を!?……抜け駆けな……じゃないルカちゃんの邪魔をさせる訳には!!」
慌てて身支度を整え、青山家を飛び出す夕圭。
しかし………

「ふにゃあ…はるくんのいいにおいですぅ」
当の真智子は春樹のベットに潜り込み、至福の時を味わっていた。
暫く掛け布団にくるまって、ゴロゴロと転がって楽しむ状態が続いていたが。
「なんだか…ねむく…」
やがて聞こえる静かな寝息の音。やはり体調は万全ではなかった様だ。


遠山理奈は疾走する。
『今度こそ全ての障害を乗り越えて、私と春くんはひとつになる!!』
ただその一念だけを胸に抱きながら。


新醤油学園 青春編
「総合公園の死闘 開始5分前」
138名無しさん@ピンキー:2008/05/23(金) 22:26:36 ID:1s4wzFZE
「着いた…さて…」
驚くべき足の早さで、遠山理奈は青山兄妹の訪れる入口とは別の入口に到着した。
「…豆田の姉は馬鹿だけど実力は確かだし、裏表は無さそう……ね。
となると警戒すべきは…妹の方。あと、ここに来るか微妙だけど…」

理奈の脳裏に二人の少女が浮かぶ。
「囲炉裏真智子と黒田夕圭……囲炉裏には恨みがあるけど…」
以前、訳の分からない痴女から夕圭には助けて貰った恩がある。
「…あの爆乳女…か」

道を急ぐ夕圭。
『真智ちゃんの事だから一直線に春樹くんへと向かうはず』
『しかし、私まで姿を現せばルカちゃんとの約束を破る事に…』
『事情からいって豆田姉妹には頼れないし、チーマージャン(芝村)は捕まらない…』

夕圭が考えている内に、公園が見えてきた。
しかし…

「…やはり来たのね」
「!?…遠山理奈!!『迂濶だわ…気配に気付かないなんて』」
夕圭の前に現れた理奈。
「…正直言えば、今貴女とは戦いたくはない。今日の私の敵はルカだけ」
「それは…有難いけど無理なの。私は同盟相手を裏切る趣味はないから」
「残念ね、交渉決裂なんてさ。仲良くなれたかもしれないのに」

口振りとは裏腹に、戦闘体勢に入る理奈。
「悪いけど、全力でいかせて貰うわ。私の敵は他にいるし…決着をつける相手もいるから」
「……私もやらなくちゃいけないのよ。真智ちゃんを止めないと!!」
夕圭も同じく戦闘体勢を取る。
『私達の幸せの為、今は遠山理奈を!!』


「ハルぅ、ほら公園だよ。早く入ろっ」
「おいルカ、そんなに引っ張るなよ…」
青山兄妹が公園まで10mの距離に近付いた。
入口の陰にいる陽子、更には茂みに潜む貴子にも、声がはっきりと聞こえる。
「(小声で)遠山は来ねえが…仕方ない。貴、頼んだぜ」
「…任せて」
貴子の目は、スコープ内のルカに注がれていた。
「……グゥレイトォ」
狙撃の際の祈りの言葉を口にし、引金へ指が触れる。
『…一発で仕留める』

新醤油学園 青春編
「総合公園の死闘 開始5秒前」
139名無しさん@ピンキー:2008/05/23(金) 22:54:10 ID:1s4wzFZE
女「コスプレHってあるじゃない」
男「べふっ!!…いきなり何を言い出す!?」
女「いやね、考えてみたら服装に興奮するのか、それとも着た人間に欲情するのか。
はたまた非日常性のシチュに萌えるのか?」
男「つまんない事をまた突き詰めるなぁ…」
女「最近、分析癖がついちゃってね。自分でも困ってるのよ」
男「…やってみるかw」
女「もう好き者なんだから!!男くんのエッチ!!」

男「とは言えウチにそんな衣装はなし…」
女「…これは?」
男「……学ラン着てやおいなんて俺は嫌だ」
女「どうしても?」
男「相手が女でも俺のナニが勃たねぇよ…」
女「あ、大丈夫よ」
男「?」



女「もうお尻弱いんだから…男くんてばぁ」
男「姉さん…俺…もうお婿行けないよぉ…」

新ジャンル
「アナリスト 痛(ツウ)」
140名無しさん@ピンキー:2008/05/25(日) 00:59:46 ID:WL4IjD/h
女「ワンクリックで助かる命か……」
男「ん?なんだそれ?」
女「あー、何でもワンクリックで発展途上国の子供にワクチンをって。……やろうかな?」
男「……あんまり勧められないな。詐偽の可能性もあるし」
女「そうか……」
男「なら自分で募金しろよ。そっちの方が確実で実感も湧くだろ」
女「そうだね。……じゃあ男も協力して」
男「うん、何を?」
女「男の特徴を考えて………うーん………」


男友「…でエッチの度にワクチン一回分の金額?お前も苦労するよなw」
男「ああ…」
男友「結局、幾ら募金したんだよ」
男「……女に感謝状と手紙が来てな」
男友「おう?」
男「ざっと1万通程」
男友「お前凄えぇ!!!!」


新ジャンル「ぼきん」
141名無しさん@ピンキー:2008/05/25(日) 12:21:34 ID:H6tQzwOS
安すぎるwwwww
男も男で鬼畜すぎだろww
142名無しさん@ピンキー:2008/05/25(日) 20:08:28 ID:2LF7xeFh
セックス1回で救える精子がある
143名無しさん@ピンキー:2008/05/26(月) 22:02:58 ID:v2vUgavp
セックス一回で生まれる生命もある
144名無しさん@ピンキー:2008/05/26(月) 23:55:45 ID:EnSJ2q37
セックス1回では収まらない性欲がある
145名無しさん@ピンキー:2008/05/28(水) 01:05:02 ID:wqQgQYV0
男「この世には音読すると死んでしまうという詩があるらしい」
女「あー、聞いたことある」
男「聞いたことあるの!?」
女「話に、ね。実際詩を聞いたって意味じゃないから」
男「そっか。セーフ」
女「セーフ」
男「で」
女「で?」
男「なんだっけ」
女「何が?」
男「タイトル」
女「詩の?」
男「詩の」
女「………あー」
男「ロ……ロミオ?」
女「いや、そんな煙突掃除でオコジョを相棒にしてる主人公みたいな名前じゃなかったと思う」
男「アミノ?」
女「人間に不可欠な栄養素っぽい名前でもなかったよ」
男「ドミノ?」
女「あー近い!限りなく正解に近いブルー!でも違う!もっと、こう……苗字っぽい名前!」
男「鈴木」
女「違う!遠い!天体に例えると地球と月だったのが地球とイクシオンくらい遠のいた!」
男「イクシオンとは太陽系で冥王星よりさらに遠いところにある星のひとつです」
女「……っていうか、正解思い出したから言っちゃっていいかな?」
男「だめ」
女「………なんで」
男「こわい」
女「………」
男「………」
女「トミ」
男「わー!!」

新ジャンル「トミノ」
146名無しさん@ピンキー:2008/05/28(水) 01:28:21 ID:wqQgQYV0
?「ぉぉぉおおおおおおお」

男「………」

?「にぃぃぃいいいいいい」

男「………」

?「ちゃぁぁぁぁああああん」

男「………ん?」

?「お兄ちゃんっっっ!!!!」
男「ゴふッ!!!?」
?「うわぁ!ほんの数十メートルから助走して抱きついただけなのにお兄ちゃんが死んだ!
  弱い、弱いよお兄ちゃん!これがわたしのお兄ちゃんの姿か!」
男「げほ、げほ……なんだ、誰かと思ったら女か。何?」
女「ううん、別に。用はないんだけど」
男「用もないのに人の腰にタックルしないように」
女「狙ったお兄ちゃんは逃がさない!」
男「俺限定かよ」
女「だって他の人だったら、死んじゃうじゃん!」
男「そして殺す気か!」
女「お兄ちゃんは死なないわ。わたしが守るもの」
男「今しがたお前に襲われたんだが」
女「じゃあ凶悪犯のわたしは捕まえなきゃ」
男「………」
女「お兄ちゃんが!」
男「だが断る」
女「なんと」

新ジャンル「ロケット少女」
147名無しさん@ピンキー:2008/05/28(水) 03:17:21 ID:wqQgQYV0
女「我輩は猫である。名前はまだない」
男「タマ、飯だぞ」
女「にゃー」

新ジャンル「我輩っこ」
148名無しさん@ピンキー:2008/05/28(水) 03:49:35 ID:wqQgQYV0
男 「あれ!?」
彼女「どうしたの?」
男 「い、いや!なんでもない!」

男 (ゴ、ゴムがねぇ……!おかしいな、確かにサイフの中に入れておいたのに)

彼女「男ぉ、もしかして……」
男 (やばい、ここで無いとかありえん……!折角ここまできたのに、気持ちが醒めてしまうじゃないかっ!)
彼女「コンドーム買い忘れた……とか?」
男 (………千手ピンチだ!!)

? 『はーっはっはっはっはっはっは!!』

男 「だ、誰だッ!?」

? 『地が呼ぶ、天が呼ぶ、男くんが呼ぶ!俺を助けてと私を呼ぶ!彼の危機にその影あり
   風のごとく駆けつけて、風のごとく去ってゆく!その名は女!スーパーヒロイン・女!トォ!!』

クルクルクルクルクルスタッ

女 「呼んだかね、男くん!」
男 「………」
彼女「……………」
女 「フフン」
男 「誰?」
女 「キミのピンチを察して駆けつける謎の美少女!スーパーヒロイン・女さ!」
男 「……いや、女さ!と言われても……」
彼女「へー。可愛い娘じゃない」
男 「うわぁぁぁ!人生で初めてできた彼女がなんか誤解してるぅぅぅ!!
   違うからね!?こいつなんか知らないからね!?関係ないからね!!?」
女 「おっとそりゃあ悲しいね。だがそれでも!私はいつでもキミの傍にいる!」
彼女「へぇ」
男 「ウェイ!お前何!?何しに来たの?」
女 「はっはっは、キミを助けに来たのさ!」
男 「帰れェェェ!!」
女 「そうはいかない。キミのために働くこと。それが私の喜びであり、存在意義なのだから……」
彼女「帰る」
男 「帰らんといてぇぇ!違うの!この女関係ないの!ほら、お前も言えよ!違うって!」
女 「見たところ避妊具がないんだろう?私なら生で中田氏OKだよ!……ぽっ///」
男 「帰れェェェェェェェ!!」
彼女「……最ッ低!!」

バッチィィィン!!!!

男 「あべし!」

………………
…………
……

男 「ううぅ……初めての彼女にビンタされてフラレた………」
女 「ふっふっふ。奇遇だね!私は今フリーなのだよ!………ぽっ///」
男 「出てけよぉぉぉぉぉ!!」


新ジャンル 「とりあえずピンチには駆けつける」
149名無しさん@ピンキー:2008/05/28(水) 11:08:35 ID:wqQgQYV0
ギュルルルル……

男 (はうっ!は、腹が……ッ!)

グルルル……

男 (へ、屁をこっそり出してやりすご………ダメだ!実が出る!まずい……これは非常にまずいぞ……!!)

乗客「………」ガタンゴトン
乗客「………」ガタンゴトン

男 (なんで朝ウンコしてきたのにまた腹痛くなるんだよぉ!?しかも満員電車の中でぇ!)

乗客「………」ガタンゴトン
乗客「………」ガタンゴトン

男 (うう……仕方ない!次の駅で降りてトイレに行くしか……また遅刻だよ畜生!
   しかし下手したら確実にバイオハザード……!俺、ピンチ!!)

? 『はーっはっはっはっはっはっは!!』

男 「だ、誰だッ!?」

? 『ひとーつ、惹かれあうのは運命なり!ふたーつ!二人の明日のため!
   みっつ!淫らに付きまとう!!すぅぱぁひろいん・ァ女ァァ!!』

ハイドイテクダサイ ココトオリマス

女 「よいしょ。やあ、男くん!お困りのようだね!」
男 「帰れェェェェエエ!!!!」
女 「はっはっは。遠慮することはない!お腹が痛いんだろう?」
男 「う……!なんでそれを……」
女 「言っただろ?キミのために働くこと。それが私の喜びであり、存在意義だと!」
男 「お前……。すまん、薬を持ってきてくれたのか?」
女 「ん?そんなものはないが?」
男 「はい?」
女 「スカトロは正直、趣味ではないが……キミが興奮するなら、
   私は甘んじてそれを受けよう!愛って素晴らしいね!さあ!」
男 「一遍死ね!氏ねじゃなくて死ね!!」

乗客『…ざわ……ざわ………』
乗客『………ざわ………ざわ……』

男 「ああーッ!なんかいらぬ誤解を受けているゥゥゥウ!!」
女 「こんなに人目が多いところで私を汚すというのかい?まったく変態だなキミは!」
男 「眼球取れろ!」


新ジャンル「うんこもれそう」
150名無しさん@ピンキー:2008/05/28(水) 11:44:14 ID:bLBd2mtb
男「褒め言葉ってあるだろ、2ちゃんに」
女「うん」
男「まず、『GJ』に『投下乙』、『GOD JOB』、あと『ベネ』なんてのもある」
女「ふんふん」
男「で順番で行くと俺的には…GOD→GJ→ベネ→乙になる」
女「うんうん」
男「でだ。俺はこの投下をした人に気持ちを伝えたい、だがどれを選ぶべきか?」
女「面白かった?」
男「ああ!!短い単発ネタの連続ながら、切れが良い」
女「でも神の領域じゃないわね」
男「しかし単なるいい仕事じゃないんだ」
女「……難しいわね」
男「…………」
女「……でもさ」
男「ああ?」
女「この人の投下って男のエッチに似てるね」
男「………え?」
女「いい仕事じゃ言い足りないけど、神クラスではないし」
男「……………」
女「連発で威力はあるけど一回一回は短いし」
男「……………」
女「そう、例えて言うならまるで………あれっ?男、どうしたの?膝なんか抱えて…」


新ジャンル「マシンガン」

という訳で>>149GJ!!
151コイノロウ(1/15):2008/05/28(水) 11:47:11 ID:wqQgQYV0
どんどこどこどこ。
どんどこどこどこ。

その部屋は、異様としか言いがたい雰囲気で満たされていた。

まず、暗い。
カーテンはぴったり閉め切られていて、そこからは一筋の光さえ差し込まないようになっている。
ちゃんと蛍光灯があるのに何故か点けておらず、照明はゆらゆらと揺らめく蝋燭の火のみ。
頼りない灯りに照らされているのは、これまた不気味な内装だった。
天井から吊り下げられているのはボロボロに擦り切れた、ゾンビのぬいぐるみである。
一応ファンシーなデザインになっているものの、目玉は零れ口は縫い付けられ、
絞首刑のように首に紐を巻きつけられてぶらん、と揺れている。
壁には五寸釘の刺さったわら人形が磔にされ、さらに黄色地に赤い字の書かれたお札がぺたぺたと貼られていた。
豪奢な装飾の鏡は無残にも罅が入り、何の悪戯か紫のペンキがべったりと塗られている。
部屋の隅に立ち、眼球のない眼で虚空を見つめているのは、理科室によくある骨格標本だ。
いったいどこから調達したのか、棚の上にはカエルやネズミのホルマリン漬けが並び、
隣には場違いな北海道土産のまりも。あと自家製ピクルス。
その棚に並んでいるハードカバーの書籍は一冊の例外もなく、
『黒魔術』やら『幽霊』やら『呪い』やら、うさんくさいタイトルのものばかりである。
住人の趣味を思い切り疑ってしまう………いや、疑うまでもなく悪趣味な部屋に止めをさすように、
部屋のほぼ半分の面積を占めているのは―――『祭壇』であった。

祭壇。

そうとしか形容できない。
真っ白な布の被さった台座の上には不気味なお香と生贄の血と肉。
どこからともなく地の底から響くような呪文が紡がれ、飢えた獣が悪魔のようにうなり声をあげる。
床に走る、蛍火のライン。それは曲線を描き、複雑に絡み合い、
太古の昔に滅びたという悪魔崇拝の一族の魔法陣を描いている。
魔法陣の中心、跪いているのは一人の少女である。
襟の大きな黒いマントと鍔の広いとんがり帽子、学園指定のハイソックス。
小さな身体に纏っているのはこれだけだ。ほとんど全裸に近い恰好だが、
それもそのはず、彼女はこの儀式のために先程沐浴をして禊を行ったばかりなのだから。
わざわざ余計なケガレを身につけることはできない。
彼女は、この儀式を失敗するわけにはいかないのだ。
少女の薄い唇から何事か呪文が口ずさまれていた。

「―――ぎゃーてーぎゃーてーはーらーぎゃーてーはらそーぎゃーてーぼーじーそわかー」

どんどこどこどこ。
どどこどこどこ。

太鼓の音が高まっていく。
鋭い短剣を掲げると刃に手を添え、すぅ、と息を吸い込んだ。
そしてそのまま、きぇえ、と雄叫びをあげ、そのまま短剣を振り下ろす。
鈍く光る凶刃は違うことなく台座の中央に捧げされた人形を貫いた。
短剣に刺さったままの人形を蝋燭であぶる。ちりちりと嫌な臭いがして、
ぼう、と燃え上がるのに時間はいらなかった。
燃えていく。
人の形をしたものが、胸を貫かれたまま、声もあげずに。
その火を昏い、生気に欠けた瞳で見下ろして―――少女は厳かに十字を切った。

「偉大なる邪神、我が主リュリルライア様―――どうか、あのひとがぼくを好きになりますように」
152コイノロウ(2/15):2008/05/28(水) 11:47:41 ID:wqQgQYV0
最後に、お願いします、と付け加えて。
少女は光沢の少ない眼でめらめらと燃える人形を高く掲げた。

この想い、炎より赤く。
この想い、炎より熱く。
届け、我が純情。
愛おしい、あのひとの元へ―――。

焼けた人形から出る一筋の煙が、据え付けの火災報知機に触れた。
びー、と警告音が鳴り響き、少女は慌てて近くに置いておいたバケツに燃える人形を放り込んだ。



「……で?結局怒られたって?」
「うん」

友人の言葉に、少女―――黒妻 呪々(くろつま じゅじゅ)はコクンと頷いた。
どう見ても義務教育課程にある、というか小学生くらいにしか見えない小柄な体型に、
サイズの合っていない、ぶかぶかな学園指定のセーラー服。
長い前髪の下からは隈で彩られた、生気のない瞳が覗いている。
よく見れば可愛らしい顔立ちをしているが、それはどこか作り物じみていて、
アンティークドールや日本人形を連想させた。
そんな不気味で妖しい容姿に違わず、彼女の趣味はオカルト全般。
それこそ、西洋の黒魔術から日本の神道、
中国の陰陽道やら南アメリカの精霊祈祷に至るまで節操なく手を出し、
最近ではそれらをRE-MIXしてオリジナルの儀式を開いてしまうほどである。
昨日はその儀式の最中ボヤ騒ぎを起こしてしまったというわけだ。

「邪神様がお怒りになったのかな」
「………それ、自分で考えた神様でしょ?」
「違うよ。異世界からの声を聞いたもの」

まぁ、要はうっかり拾ってしまったデムパが生み出した虚構である。
信者が一人しかいなくても宗教というのか。被害はないから放っておくけど。
呪々の数少ない友人、自称親友、面倒見がいいことで定評のある原衛 清芽(はらえ きよめ)は溜め息をついた。

「生贄の血と肉も用意したのに。使い魔もいたのに」
「トマトジュースと鶏モモ肉でしょうが。あと、飼い猫をヘンな儀式につき合わせるのはどうかと思うわよ」
「大丈夫」
「何が」
「大丈夫」

呪々は根拠もへったくれもなくうん、と頷くとお弁当のから揚げをもそもそと頬張った。
ちなみにこのから揚げ、昨日の鶏モモの成れの果てである。
彼女は生贄を無駄にしないエコロジーなオカルトマニアなのだ。トマトジュースもちゃんと飲んだし。
清芽はそのから揚げと自分の冷凍ミニハンバーグを交換しながら、やれやれと肩をすくめた。

「呪々さ、基本はいいんだからその、なんだっけ?舌噛みそうな神様」
「リュリルライア様」
「そんな、恋愛偏差値低そうな神様に祈らなくっても。普通に告白すればいいじゃない」
153コイノロウ(3/15):2008/05/28(水) 11:48:08 ID:wqQgQYV0
呪々は途端、目をまん丸にするとぶんぶんと首を振った。
そして―――ちらり、と窓際の、その席に座っている男子生徒の様子を伺う。
視線の先にいるのは、特に目立ったところのない短髪の男子生徒である。
前の席の男子の弁当に手を伸ばして、その小指を掴まれて極められている。
パンがなければお前の弁当を食べればいいじゃない、とか珍しい断末魔をあげて、彼は机に沈んだ。
どうやら弁当及び財布を忘れてきたらしい。
そんな彼の様子を盗み見て―――呪々はほぅ、とため息をついた。
屍のように真っ白な頬に朱が差している。呪々は彼のことが好きなのだ。
昨日の儀式だって、彼と仲良くなりたいがために開いたのだった。

小岩井 幸太(おいわい こうた)。
呪々と彼の馴れ初めは丁度一年ほど前に遡る。
入学したての頃。まだクラスメイトたちが呪々の異様なオーラに慣れていなかった当時の話である。
彼は。
呪々の隣の席だった。
なんかいいな、と呪々は思った。
…………………。
……………。
………。
以上。
別に何らかのドラマがあるとか、そういうのはない。恋とは得てしてそういうものだ。
むしろ異常な状況下で覚えた恋は長続きしないと某アクション映画でも言ってましたよ!?

そんな、奇天烈なようで意外と普通っぽい乙女ちっくハートの持ち主たる呪々が、面と向かって幸太に告白する?

「……恥ずかしい」

呪々は俯いてしまった。
前髪で隠れた顔は、しかし見えなくても真っ赤になっているとわかる。
その様子は小動物のようで、ぶっちゃけめちゃくちゃ可愛かった。
恐るべし恋する乙女。恋をすると女の子は可愛いくなる、というが、
呪々は何せ基がいいのでその破壊力はメガトン級である。
こういう所を見せれば男なんて一撃必殺できるのになー、とか清芽はもぐもぐとから揚げを咀嚼しながら思った。

「ううん、じゃあ手紙とかは?時代遅れだけど信用度は変わらず高いラブレター」
「書いた」
「書いたの?やるじゃん!」
「でも出してない。恥ずかしいから」

呪々は周りのクラスメイトの目を気にしながら、鞄をごそごそと探ると真っ黒な封筒を取り出し

「待った。なにそれ?何その黒さ」
「黒い封筒が売ってなかったから自分で染めたの」
「いや、いいから。そういうのいいから。普通、ラブレターっていったら真っ白か薄い桃色の封筒で
 ハートのシールは鉄板でしょうが。え?なに?なんで黒?」
「おまじない。幸太くんがちゃんと読んでくれますようにっていう」
「抽選ハガキかよ。で、中身もなんかおどろおどろしいワケ?」
「ううん。中身はふつう」
「普通か!じゃあ封筒もそうしなよ!」
「………恥ずかしい」
「ああ、くそ可愛いなこいつ!!」

くわっと牙を剥く清芽。彼女は面倒見の良さには定評があるが、同時にツッコミにも定評があるのだ。

「原衛ェ、黒妻苛めてんじゃねーぞ」
154コイノロウ(4/15):2008/05/28(水) 11:48:34 ID:wqQgQYV0
大声を出したので、周りから揶揄が飛ぶ。
無論、清芽を責める言葉ではない。清芽はだいたいいつもこんな感じだからだ。
黒く腐敗した毒沼のような近寄りがたいオーラの持ち主である呪々にとって、
世話焼きで交友範囲の広い清芽はクラスメイトとの重要なパイプ役だったりする。

「何騒いでんのお前ら。お前らっていうか原衛。……おー、黒妻のから揚げ美味そー」

―――こんな風に。

「………………………!!!!」

呪々が猫のように固まる。
清芽も驚いた。呪々たちが囲む弁当を見つめてそう言ったのは、誰あろう小岩井 幸太その人だったからだ。
なんで、小岩井が、ここに―――!?

「原衛。黒妻のから揚げ食っていい?」

そうだ、さっき幸太はクラスの男子に弁当を分けてもらおうとして(と、いうか盗み食いしようとして)
小指を間接とは関係ない方向に曲げられていた。
清芽が大声で目立っていたから様子を見てみた、そしたら何かから揚げが美味しそうだった。くれ。
別に不思議なことはなにもない。そういう流れだろう。
だが今、ここで、よりにもよって呪々のから揚げを欲しがるか。小岩井幸太。恐ろしい男である。
………っていうか。

「な、なんであたしに聞くかな?呪々に言えばいいじゃん」
「ん?だって原衛、黒妻の保護者だろ。黒妻、いいよなー?」

呪々は。

こくん、と。

頷いた。

「う、うん」
「おー、さすが。じゃ一個貰うから」

幸太はいともあっさりとから揚げを一つ摘み上げると、ひょいと口に放り込む。

「ンめぇ。何、これ冷凍じゃない?」
「呪々の手作り。この娘、こう見えて料理上手いんだから」
「へぇ。すげー、やるな黒妻」

ぱたん、と何かが―――誰かが倒れる音がした。
呪々である。

「呪々――――――ッッッ!!!?」

床に転がる呪々の顔は、どこか満足そうだった。
幸太に褒められたのが嬉しすぎてうっかり気を失ってしまったらしい。
何かと難儀な娘である。

155コイノロウ(5/15):2008/05/28(水) 11:49:04 ID:wqQgQYV0
 
オカルトパゥワーだ。
目が覚めた呪々はそう確信していた。
だって、だって。
儀式を開いた翌日にたまたま幸太が弁当を忘れ、たまたま清芽に相談し、たまたま清芽が大声を出して、
たまたま幸太がこれを聞きつけて、たまたま呪々のから揚げを褒めてくれる。
―――そんな偶然が!果たして起こり得るのだろうか!?いや、ない(反語)!!
………この際、似たような儀式っぽいことは何度もやってきたとか、
その時には今回のような奇跡は起きなかったとか、そういう細かい話は完全に無視である。
オカルト好きをナメてはいけない。
信じるものは都合のいいモノ。それが人生をより良く生きるコツなのだ。

呪々は感激してふるる、と小さな肩を震わせた。
正直、今まで呪々の身にこんな素晴らしいオカルトチックな出来事が起きたことなんてなかった。
オカルトマニアであることは自覚しているし、世の全ての摩訶不思議は存在すると思っているが、
どうにも呪々には霊感というものが皆無なようなのだ。
どんな恐ろしい怪談が語られるいわくの地に行っても幽霊なんぞ見たことはないし、
高いお金を出して買った水晶玉を何時間睨んでいても丸く歪んだ自分の顔しか映らないし、
走るのが苦手だから体育祭の前日決行した雨乞いも失敗したし、
テストの山勘も当たらなかったし。ちゃんと勉強したところしか解けなかったし。
そんな呪々が、初めて呪術の儀式に成功したのだ。
呪々のテンションは最高潮である。

「………呪々、大丈夫?」

保健室のベッドの上で、呪々は不気味に笑っていた。
いや、本人としては普通に微笑んでいるつもりなのだが、目をまったく細めずまん丸に見開いたまま、
口元だけ三日月のように歪めているその表情は無駄に怖かった。
そんな呪々に、放課後になって様子を見に来た清芽は心配そうに、恐る恐る声を掛ける。
清芽も呪々とつきあって長いが、この娘の笑顔は未だにちょっと怖い。

「ん。あ、清芽ちゃん」

しばしケタケタと殺人鬼の魂が宿った呪いの人形の如く笑っていた呪々が
親友の声に気付いてギギギと首だけこっちに向けた。
テンションが上がってますます不気味さが増している。すごく………怖いです。

「どうしたの?なんか嬉しそうだけど」
「うん」

呪々はコックリと頷いた。

「儀式がね、成功したみたいなの」
「儀式?」

清芽は小首を傾げた。この娘の言うところの儀式というと、話に聞くうさんくさいエセ魔術のことか?
しかし昨日はボヤ騒ぎを起こしたとか言ってなかったっけ。それって失敗じゃないか?

「幸太くんに褒められたのは邪神さまのおかげだよ。きっとぼくの呪いが奇跡を起こしたんだ」
「………………?」

奇跡を起こすならどっちかっていうと祈りの方が正しいんじゃないかとか思ったがそこには触れず、
清芽は傾げた小首を反対側にした。奇跡て。あの程度で?
そりゃあ幸太は呪々のから揚げを美味しいとは言っていたが………。
―――あれ、多分普通にお腹がすいてたから摘んだだけだろ。
奇跡とは程遠い。ただの空腹な少年の行動だ。
から揚げが美味しかったのは邪神だか魔王だかのおかげではなく、
これまた普通に呪々の料理の腕によるものだろうし。
156コイノロウ(6/15):2008/05/28(水) 11:49:30 ID:wqQgQYV0
色々とツッコミ所が多くてクエスチョンマークが頭の周りを舞っている清芽をよそに、
呪々はなにやらヤル気まんまんだった。

「……今度のお肉は牛ヒレ肉にしてみよう…………もっと効果が上がるかもしれない」

もちろんお弁当のことではない。生贄のことである。
呪る気と書いてやるきと読む。呪々の儀式の効果が証明された今、幸太と親しくなれるか否かは
ひとえにオカルトパゥワーにかかっているのだ。そりゃあ生贄も豪華になるってものである。

「ま、いいか……」

そんな呪々を見て清芽は肩をすくめ、優しく溜め息をついた。
クエスチョンマークはこの際丸投げでいいだろう。
いつも大人しくて引っ込み思案な親友が珍しくプラスの方向にテンションアップしているのだ。
この娘、趣味からは誤解されがちだが人畜無害だし。恋路に水を差すこともないだろう。

「頑張りなよ、呪々」
「うん。がんばる」

ぽんぽん、と頭を撫でてやる。
呪々も素直にこくん、と頷いた。



翌日。
止めておけばよかった。
清芽はセーラー服の上から熊っぽい毛皮を羽織り、幾重にも数珠やらドクロやらロザリオやらをさげ、
火のついたアルコールランプで蟹の甲羅を炙っている呪々を前にして後悔の念に駆られていた。
怪しい。呪々は不気味ながらも、世間一般の常識を持ち合わせていたはずなのに。
少なくともこんな、外に出た瞬間にお巡りさんに下半身タックルで職務質問されそうな
個性的な恰好はしなかったはずなのに。
ああ、ほら、いつもの呪々に慣れているはずのクラスメイトたちが若干いつもより遠い。
この学園はわりかし奇人変人が多いのだが、呪々はその中でもギリギリ
常人の範囲内にいた―――なにせ学校での呪々は雰囲気が不気味なだけで
異能というほどのものではなかったので―――はずなのに、今日のこの対応はどう見ても変人側のそれである。

「……黒妻さんの仮面、かわいいなぁ………」

しかも、いつも仮面をつけて決して素顔を晒さない謎のクラスメイト、
桐生(きりゅう)さんが仲間を見る目で呪々を見ている!
ちなみに今日の桐生さんの仮面は珍しく露出の多い蝶のアイマスクだ。
仮面の下から覗く肌の細やかさとか桃色の唇とか澄んだ瞳とか、素顔の彼女は結構な美人なんだろうけど。
触らぬ変人に祟りなし、がこの学園における暗黙の了解なので誰も彼女の素顔には触れない。
―――そんな、奇異の目で見られるのが日常の変人ロードに入ろうとしている親友を見過ごしていいものか。
呪々は、そりゃあヘンな趣味はあるが―――中身は普通の女の子なのである。

「あの……呪々?」
「あ、清芽ちゃんだ」

清芽に気付いた呪々はアルコールランプから蟹を下ろすと仮面を額まであげて微笑んだ。
なんだろう、おかしい。いつものようにまん丸なハイライト処理を忘れたような妙に光沢のない目で
チシャ猫を連想させる三日月口の笑顔なのに、いつもより可愛い気がする。
妙に嬉しそうで―――頬も、少しだけ上気しているようだ。
157コイノロウ(7/15):2008/05/28(水) 11:49:59 ID:wqQgQYV0
「………なんか嬉しそうだけど。どうしたの?」
「うん。呪いがね、順調だから」

呪々は上機嫌だった。
それもそうだろう。昨夜は気合を入れて呪いの儀式に明け暮れて、
いつの間にか疲れ果てて眠ってしまったのだが、なんと夢の中に幸太が出てきたのだ。

「………………………」
「…………………」
「……………」
「え?そんだけ?」
「ふふ」

にこにこしている呪々には悪いが、だからどうしたという清芽である。
って言うかそれ、呪いと何の関係もなくないか?

「それだけじゃないよ。朝ね、学校に来てミニ祭壇の準備をしてたら、幸太くんに挨拶されたの!」

幸太はよお、と、クラスメイトに普通に挨拶しただけなのだが―――この恋するオカルトマニアにとっては
天にも昇るような出来事だったのだ。急に近くなった(気がする)幸太との距離。
これはもう、呪術の成果に違いない!というのが呪々的見解なのである。

……呪術の成果、ねぇ―――。

清芽は軽い頭痛を覚えてこめかみを押さえた。
清芽的見解を言わせてもらえば、それらは単なる偶然。
というか、不思議なことなど何もないフツーのことに過ぎない。
おかしいのは今の呪々の方だ。明らかに暴走している。
今までは趣味の範囲内と見逃してきたが、教室にまでこんなモノ持ち込むのは常識ある人間のやることではない。
恋するオカルトマニアと優しく微笑んではいられない領域だ。
だいたい、こんな奇行を見せられたら幸太だってドン引きするんじゃあるまいか―――。

と、ちらりと幸太の席のほうを盗み見て。

幸太が、なにやらぽぅっとこっちを―――呪々を見つめているのに気が付いた。

「え?」

自然と声が出る。
幸太は清芽の視線に気が付くと、慌てたようにそっぽを向いた。
その横顔の、頬がなにやら染まっている。
これは―――え?まさか。

「………………………なんで?」

呪々に目を落とす。
呪々は幸太の視線には気付いてないようで、
うんだばだーうんだばだーとわけのわからない呪文を口にしながら蟹を炙っている。
そりゃあこの怪しい女の子を見て気にならない者はいないだろうが
―――それで頬を染めるというのはどうなんだろう。
可愛いくなってるといっても、付き合いの長い清芽にして始めて気付くような変化だ。
幸太のような普通の人間からすれば、少なくとも常識的な恰好をしていた
昨日までの呪々のほうが余程魅力的だろうに。
158コイノロウ(8/15):2008/05/28(水) 11:50:21 ID:wqQgQYV0
………昨日までの幸太が呪々を意識していたなどという記憶はない。
良くも悪くもクラスメイトとして、遠ざけはしないが積極的に近づこうともしない距離にいたはずだ。
それが証拠に、昨日のお弁当の時は呪々を清芽の付属品みたいな言い方をしていなかったっけ。
それが、なんで今日になって。

「………………………呪い?」

呪々は混乱する清芽をよそに、一心不乱に蟹を炙っていた。
その焦げ目を見ながら、うん、と頷く。
亀甲占術。最古の呪術のひとつですね。
それは占いであって直接相手に影響をもたらす呪いとは微妙に異なるような気がしないでもないが、
呪々はなにやら満足そうに焦げた蟹を眺め回している。
そして、そんな呪々をちらちらと見つめる幸太。

「……………………………」

まさかね。



………………………まさかね。

清芽は今日、何度そう思ったかわからない。
幸太である。幸太の様子がヘンなのだ。
どのようにヘンなのかというと、それはまぁ今朝の通り。呪々に気を取られているというか、
呪々が気になっているというか―――ええい、呪々を意識している。これに尽きる。

「呪々、あんた何かした?」
「誰に?」
「小岩井」
「………?」

呪々は質問の意図するところがよくわかっていないよう。
幸太の名前を出されてちらりと幸太の方を見て―――幸太が、呪々と目が合ってびくっと大きく震えた。
慌ててそっぽを向き、関係ないような顔をしている。バレバレだ。
呪々はというと、幸太と目が合ったのが嬉しいのかちょっと頬を染めている。

「両思いになれますようにって呪いはかけてるけど」
「………いやそういうんじゃなくて」

呪々の『呪い』は人畜無害。それは清芽にはわかっていることだ。
よくテレビや何かだと呪いに見せかけて裏で工作をする、なんてサスペンスやミステリーがあるが、
そんな姦計を巡らせるような腹黒い女の子なら清芽は友達をとっくにやめているだろう。

しかし、その呪いの効果が出ているのは確かなわけで。

なんせ、幸太は授業中にもずっと呪々を目で追っていたのだから。
教科書を広げていても、頬杖をついた視線の先には呪々の姿。
ぼりぼりと頭を掻いて、物憂げにため息とくればこれはもう決まりじゃないか?

「そうなの?」
「あたしが見てた限りでは」
159コイノロウ(9/15):2008/05/28(水) 11:59:22 ID:wqQgQYV0
それは清芽が授業中ずっと幸太を観察していたということに他ならないわけだが。
誰かに見られていたらそれはそれで誤解されるかも知れない。まぁ、それは置いといて。

「ホントに、何もしてないんだよね?」
「呪い」
「呪い以外で」
「………」

呪々は少し考え込んだ後、ふるふると首を振った。

「謎だ」

腕を組む清芽。幸太が急に呪々を意識し始めたのは知る限り今日からだ。
心当たりは……ない。
ないけど。

「なんだろ?何か忘れてるような」

清芽は首を捻った。
そして呪々はというと。

「………そっか。呪い以外でも頑張らなくちゃ」

なにやら胸の前で拳を固めている。
―――そしてその間にも、幸太はぼうっと呪々を見つめていた。



うんうん唸って考えたあげく、放課後、呪々は思い切って幸太に挨拶することにした。
ばいばい、小岩井くん。
………それだけ。
呪々を責めないで欲しい。彼女はオカルトマニアだけど基本的に引っ込み思案で恥ずかしがりやなのだ。
それが証拠に、たった一言挨拶するだけなのに、呪々の小さな胸はこんなにも激しく脈打っている。
どくん、どくん、どくん、どくん。
耳元で鼓動が鳴り叫ぶ。あまりの音量に、幸太の耳にも届くのではないかと心配になるほどに。
恥ずかしい。でも、頑張れる。なにせ自分には呪いの力があるのだ。今、絶好調なのだ。
これから少しずつ仲良くなって、いつか―――本当にいつか、好きだと言えるような関係になるのだ。

呪々は精一杯の笑顔をつくり、言った。

「ば、ばいばい―――小岩井くん」
「……………………」

幸太は、一瞬だけ立ち止まると、

呪々と目も合わせずに、すっと行ってしまった。

「――――――――…………ぁ、え」

一瞬、何が起きたのかわからない。
目を瞬かせて、後ろを振り返って、幸太の後姿が廊下に消えていくのを確認して
―――急速に全身の血が冷えていくのを自覚する。
160コイノロウ(10/15):2008/05/28(水) 12:00:31 ID:wqQgQYV0
『無視された』。

その事実が、万物を凍結させる冷却材となって呪々の頭をぎりぎりと締め付けた。
何で?どうして?
清芽だって言っていた。
呪いはあんなにうまくいっていたのに―――。
反動か?なんのリスクもなく呪いを使おうとしたのが間違いだったのか。
悪戯に運気を弄ぶような真似をしたから、罰が当たったのか。
わからない。

下校を促す鐘の音が、すごく、すごく遠くから聞こえた気がした。

傍から見れば、きっとなんてことない。
ほんの少しの、些細なすれ違い。
だが、恋するオカルトマニアにとって。
好きな男の子は世界の中心である。

「お待たせー、呪々。………呪々?どうしたの?」

用事を済ませて教室に戻ってきた清芽の声も、聞こえているのかいないのか。
呪々はただでさえ白い顔を蒼白にして、ふらふらと幽鬼のような足取りで家路についた。

「………?」

昼間でのはしゃぎようとあまりに差のある火の消えたような呪々の様子に、清芽は訝しげに眉をひそめた。



「………………………」

頭が痛い。
鉄でもガラスでも、熱した状態から急激に冷やすと罅が入るというが、人間の心もそうなのだろうか。
呪いが成功し、幸太とわずかでも触れ合うことができて高揚していた心が、たった一回の拒絶で反転している。
どこか自分に非があったのだろうか?知らない間に、幸太にとって不快なことをしていたのだろうか?
―――わからない。
ぐるぐると思考が回る。螺旋を描くように、深く、深く地面を抉るように。
どうしよう。どうしようもない。どうすればいいかわからない。
建設的な考えは何も浮かばなかった。ただ、どんどん沈んでいくような感覚に立ち上がることもできない。

普段なら―――こういうとき、何をどうして気を紛らわせたっけ。


呪いが実在するのかどうか―――それについては、現代の科学をもってしても明確に答えることはできない。
だが、迷信、言い伝え、ジンクスと呼ばれるものならば。
つまらないものと切って捨てることは容易だが、その裏には結構信用に足る解釈が隠されているものだ。
たとえばエジプトの有名なピラミッド。王の財宝を荒らすものにはミイラの呪いが降りかかるとされる
アレなんかは、実のところピラミッドという密閉された空間に保存されていた
未知の―――古代の病原菌によってもたらせられる病なのではないか、という説もある。
王の財宝を荒らすものに呪いあれ―――。
それが言霊となって印象付けられることにより、盗掘者や考古学者たちは
『病気』ではなく『呪い』によって死んでいくと解釈されるというわけだ。

呪いの本質は言葉にある。
161コイノロウ(11/15):2008/05/28(水) 12:01:39 ID:wqQgQYV0
呪いという言葉がプレッシャーとなり、降りかかる不幸を呪いと関連付けて考えるようになるのだ。
本当はなんでもないことなのに、これは呪いのせいだ、と受け取ることによって
その人にとってはけつまづいた自分の不注意ではなく、呪いの影響で運気が下がっていることになるのである。
それは『掛けられた側』ではなく『掛けた側』も同じであり、
呪った相手に不幸が訪れるとしめしめ、呪いが効いたなと思ったりする。
しかしそれが偶然の出来事なら別に呪わなくても相手は不幸になったろうし、
必然ならなおさら呪いなんか関係ない。
なのに呪いの成果と信じられるのは、つまるところ言葉によって思考が停止していることに他ならない。
それこそが呪いと名付けられた言霊の力なのである。

本質的な意味での『呪い』など、そんなものは存在しない。
念じただけで相手に影響を及ぼすような、そんな便利な能力があるわけがない。
意思はすべからく、行動によって始めて力と成す。
それが―――少なくとも、呪々のような普通の人間の常なのだ。

しかし、呪々は信じていた。もともと不思議なこと、非科学的なことが好きなタチであり、
自分には男の子に好かれるような魅力などないという自虐が根底にあることも手伝って、
幸太が自分にしてくれることは全て呪いの成果によるものだと信じていたのだ。

それが良いことであろうと―――、

―――悪いことであろうと。

「――――――………」

たとえ呪いの代償が我が身に降りかかってこようとも。
呪々に頼れるのはやはり、呪いしかないのだった。



漆黒のマントが翻る。
つばの広い、先っぽの折れたとんがり帽子。
脚には学校指定のハイソックス。

それが現在、呪々の身に着けているもの全てである。
嬉しい時は感謝を込めて、悲しい時は願いを込めて。
何度も何度も繰り返した儀式の礼装。
ただし、今回のそれは今までの儀式とは少し違っていた。
照明代わりの蝋燭に火が灯っていない。雰囲気を出すための小道具であるところのアロマも、
オリジナルの呪文を延々と吹き込んだデッキも今日はなし。呪々が生贄と呼ぶスーパーで買ってきた生肉も、
おどろおどろしさを演出する『生き血』のトマトジュースも、『祭壇』―――布をかぶせた机の上には乗っていない。
あるのは呪々の身体ひとつ。
随分と投げやりで、手抜きの儀式であった。

「………………」

……だって、本当は呪々だって知っているから。
この行為には何の意味もない。
単なる気休めなのだということを。

「―――ふぅ」
162コイノロウ(12/15):2008/05/28(水) 12:02:47 ID:wqQgQYV0
ひた、と小さな手がすべすべとした肌の上を滑る。
幼さの残る肢体。呪々のコンプレックスでもある未熟さは、
しかし熱っぽく、指先が伝う度にぴく、ぴくと小さく震える。
目を閉じる。まぶたの裏に、大好きな彼の姿を幻視する。
明るくて優しい彼は、想像の中では呪々だけを見てくれていた。
その大きな掌で、呪々の心を包むように胸元をなぞる。
平らといってもいいほどの凹凸のないそこの中心、一際敏感になってしまっている突起に触れた。

「くぅっ」

思わず出そうになった声をかみ殺す。
いけないことをしている。やめなくちゃ―――でも、止まらない。
まるでほんとうに、幸太に愛撫してもらっているようだ。恥ずかしくて死んでしまいそう。
瞳の端に涙を浮かべて、しかし呪々の手はどんどん動きが大胆になっていった。
こりこりと硬くしこってきた乳首を摘み、擦る。
痛みを感じるほどに引っ張って、指の腹で転がすようにさすって。
ぴりぴりとした快感が弾けて、自分の中で何かがどんどん高まっていくのがわかる。

熱い。
芯から、身体が熱くなってくる。
その熱はお腹の―――下。女の子の大切なところに集まっていく。

「………はぁ、はぁ、は―――」

呪々はまるで操り人形になってしまったような動きで、のろのろと自分の下腹部に手を伸ばした。
指を這わせた縦筋は、なんだかびっくりするくらい濡れていた。
身体が幼いなら性器も幼い。小学生半ばからほとんど成長のないこの身体は、
それでもしっかりと『女』を感じることができていて、こうして幸太を求めて恥ずかしい汁を垂れ流す。
そんなとき、想像の中の幸太は意地悪く笑って呪々をからかうのだ。
熱に浮かされた頭で、幸太が呪々のその部分から溢れた蜜を掬い、粘ついた液を見せ付けるところを想像する。
つうっと銀の糸が指と指とに橋をつくり、ぽたりと垂れてお腹の上に落ちた。

こうやって幸太と身体を重ねるところを想像して自分を慰めるのは初めてのことではない。
いや、実際のところ数えちゃいられないくらいの回数はこなしている―――ように思う。
おかげで呪々の中の幸太は何をどうすれば呪々が切ない声をあげるのかすっかり知り尽くしてしまっていた。
かなり恥ずかしいが、まぁそれも仕方がない。
これは呪々なりのオリジナル呪法―――と、いうことになっているのだから。
今日は気分が沈んでいたのでかなり準備が雑だったが、
本当は普段の儀式のように蝋燭に火をつけたりお香を焚いたりする。
ようは、幸太の生霊だかなんだかを呼び出して抱いてもらう―――そして幸太の魂が身体に戻るとき
その記憶は消えてしまうのだけど、呪々を抱いた事実が深層心理に働きかけて呪々との距離を縮めることになる
―――という面倒くさい設定を持った儀式なのだが、
言ってしまえば自慰という恥ずかしいことをする理由付けのようなものだ。
儀式なのだから仕方ない。その程度のものに過ぎない。

………でも、それもどうでもいい気分だった。
今はそんな建前など忘れて、ただ好きな男の子に愛されるユメを見ていたい。

僅かな毛さえ生えていない未熟な秘所を、何度も擦る。
その度に熱い吐息が声帯を震わせて、自然と喉の奥から生臭い声が漏れる。

幸太くん。
幸太くん。
幸太くん、幸太くん。
幸太くん、幸太くん、幸太くん幸太くん……。
163コイノロウ(13/15):2008/05/28(水) 12:04:01 ID:wqQgQYV0
何度も何度も彼の名前を呼ぶ。
返事はない。想像の彼はにっこりと微笑んでくれるけど、優しく名前を呼んでくれるけど。
本当は―――目の前に彼の姿はないし、鼓膜を震わせるものは寂しい少女のあられもない声だけだ。
愛しくて、寂しくて、呪々はますます小さくなってしまいそうだった。
呪々のから揚げを美味しいと言ってくれた幸太。
呪々の消しゴムを拾ってくれた幸太。
おう、おはよう黒妻と挨拶してくれた幸太。
教科書見せて、と授業中肩と肩が触れ合うくらいに近づいてきたときは、本当に死んでしまうかと思ったものだ。
どうして無視されてしまったんだろう?答えはない。その答えが何よりも恐ろしい。
常識で考えればわかることだ。こんな暗くて、ちんちくりんの女の子なんか嫌いになって当然だから。
ただ、それを―――幸太に言われてしまったら、きっと、自分は生きていけないと思った。
だから今、こうして自分を慰めているのだ。
くだらない呪いに望みを託して、浅ましく快楽を貪っている。

胸がくるしい。
呪々は泣いていた。
泣きながら、自分を慰めていた。
恋するオカルトマニアはただの少女になって、
愛しいひとの名を呼びながら、果てた。

「―――こうた、くん……」

その声が届かないことを、呪々はちゃんと知っていたけれど。



昆虫の羽音のような低いバイブ音が響き、くったりと弛緩していた呪々はびっくりして跳ね起きた。
携帯電話だ。
鞄の中に放り込んでそのままになっていたそれを―――濡れた手はティッシュで乱暴に拭いて、つまみ上げた。
液晶画面に浮かび上がった相手の名前は―――。

「……清芽ちゃん?」
『あ、もしもし?呪々?』

おせっかいで優しい、一番の友達のものだった。
コールに出てしまってから少しだけ後悔した。
呪々は今さっき自慰で果てたばかり。身体がだるくって何をするにも億劫な状態だ。
清芽のことは好きだけど、この元気さに付き合えるのも時と場合ってものがある。

「……ごめん、清芽ちゃん。ぼく、今」
『いや、すぐ終わるから!ちょっとだけ聞いて!』

なんだか清芽は興奮しているようだ。いつもより1.5倍くらいテンションが高い。
呪々は面倒くさそうに聞き返した。

「なに?」
『呪々さ。今日の帰り、小岩井にシカトされたんだって?』
「………………」

何も言わずに通話を切ろうかと思った。
そりゃあ事実だ。幸太に無視されてしまった。だから呪々は落ち込んでいるのだ。
恋するオカルトマニアの世界は好きな男の子の態度ひとつで簡単にくるくる表情を変えるのだから。
でも、その事実をわざわざほじくりかえすことはないんじゃないかなぁ?
だいたい、そのことを一体誰から清芽は聞いたのか。もちろん呪々は言ってない。
164コイノロウ(14/15):2008/05/28(水) 12:05:09 ID:wqQgQYV0
………ん?と、言うことは。

『いや、呪々の様子がおかしかったから小岩井に電話してみたんだけどね。まぁ、ビンゴだったわけだけど。
 それで、呪々。話変わるんだけど、例のラブレター今持ってる?なくしたんじゃない?』

ラブレター?
呪々は少し考えて、すぐ気が付く。あの黒いラブレターのことか。
呪々が一生懸命書いて、呪いを込めて黒く塗りつぶして、でも恥ずかしくて渡せなかったあのラブレター。
……あれ?
そういえば、あれ、どこへやったっけ。
一番最後に見かけたのはこの間の昼休み、清芽に見せて―――幸太がから揚げを褒めてくれて、呪々が倒れて。
………………………。
…………………。
……………。
………片付けた覚えがない。

『あれ、小岩井が拾ってたらしいんだわ。あたしが呪々を保健室に連れて行ったあと、
 なんじゃこりゃあって感じで』

―――。

「えぇぇぇぇええええええぇぇぇぇぇ!!!?」

呪々は絶叫した。
あんまり大きな声が出せない呪々だけど、今回ばかりは絶叫した。
あれを?幸太が?拾った?ウソ。え、嘘!?

『で、裏に小岩井幸太くんへって書いてあったから、まぁ拾った手紙読むのもアレだったけど自分宛だし、
 興味が勝って結局その』
「………読んじゃったの?」
『うん』

呪々は気絶した。気絶して、二秒ほどして意識を取り戻した。
もう夏が近いとはいえ、限りなく全裸に近いこの恰好で朝を迎えたら風邪を引いてしまう。
それに気絶している場合ではない。
読まれた。あの、黒いけど内容は普通に恋を綴ったラブレターを。
………………。
ぷしゅう、と一瞬にして脳味噌が沸騰する。
赤くなったり青くなったりしている呪々を知ってか知らずか、清芽は続けた。

『―――で、まぁそういうわけ。読んで、呪々のことが気になってたんだけど、
 面と向かって声かけられたのにびっくりしてつい、そのまま帰っちゃったんだって。
 悪かったって言ってたよ。ああ、それから明日、放課後ちょっと残って欲しいらしいんだけど。
 ―――呪々、もちろん予定はないよね?』

清芽の声のトーンが若干高くなっている。にやにやとした顔が目に浮かぶようだが、
呪々にはそんなことを意識している余裕はなく、あまりの展開の飛びっぷりに目を白黒させている。
165コイノロウ(15/15):2008/05/28(水) 12:06:15 ID:wqQgQYV0
待て待て待て待て。
と、いうことは、何か。
呪々は、幸太に嫌われたわけではなかったということか?
そして―――なんだって?放課後?残ってくれ?
ラブレターで告白された相手にわざわざ―――そんなことを伝えるということは。
え。え。え?
ど、どういうこと?

『………ま!ここから先は若いもん同士でよろしく!!って感じ?あたしからはそれだけ!
 それじゃあ呪々。明日、頑張りなさいよ!!』

それだけ言って、清芽は一方的に通話を切った。
と、思ったらメールが来る。女の子らしい、やたら顔文字の多い激励メールだ。
本当に、おせっかいで―――優しい、親友だった。

「………………」

呪々は―――目を瞬かせた。
未だに現状の把握ができていない。
どうしてこんな、奇跡のような出来事が起きたのか、さっぱりわからない。

わからない?

そんなことはない。
呪々はその原因を知っているはずじゃないか。
たとえ幸太に想いを伝えたのが、呪々が一生懸命書いたラブレターだとしても。
たとえラブレターを幸太が拾ったきっかけが、呪々のから揚げに釣られて空腹の幸太が寄ってきたことであったとしても。
たとえ幸太に惹かれたオカルトマニアが、ただの小さな女の子だったとしても。
奇跡なんかじゃない。不思議なことなんて何もない。どこにでもあるような恋の物語でも―――。

これは―――きっと、呪いがきいたのだ!
呪々の恋するオカルトパゥワーが奇跡を呼んだのだ!!
そうだ!そうだ!きっとそうに違いない!!!!

呪々は混乱の極みの中、握り拳をつくって立ち上がった。

ハイル・オカルト。
ジーク・オカルト。

とりあえず、明日の放課後は呪術礼装であるこの恰好で!!



              コイノロウ〜新ジャンル「オカルトバカ」妖艶伝〜 完

166名無しさん@ピンキー:2008/05/28(水) 12:39:45 ID:bLBd2mtb
リアルGOD JOB!!!

しかし凄え、短編も長編もレベル高い……

あんたにならほら(ry
167名無しさん@ピンキー:2008/05/28(水) 18:45:44 ID:4qVxwQ8j
長編GUJ!短編GJ!

>>146
読みながらニヤニヤしてしまったw
168名無しさん@ピンキー:2008/05/28(水) 21:30:51 ID:Ush/MuQM
ジャブの嵐のあとに本命のストレートって感じだな
魔女ルックに靴下だけ装備する呪々のセンスにGJ!
そしてさりげなく出演してる某アサシンデレと某へっぽこ魔王にさらにGJ!
169名無しさん@ピンキー:2008/05/28(水) 23:26:15 ID:nTFUtX1K
久し振りにキターーーーーーーーーーーーーーーーー
無口オカルトの次は勘違いオカルトかい?
かわええのぉコノヤロウ!
そしてタイトルを『コノヤロウ』と読んだ俺の頬を音高くパンチしてくれ!

はぐぅっ

なかなかいいパンチじゃねぇかコノヤロウ…orz

要するにこう言いたいのさ
やられたぜGJ!

170名無しさん@ピンキー:2008/05/30(金) 22:06:14 ID:slRtkOh7
男「もぐもぐ……」
女「なに、アンタまたパンなの?」
男「うん。ツナサンド」
女「男のくせに小食ね!ほら!」
男「……なんだこの弁当」
女「あ、あげるわよ!」
男「えー、いいよ」
女「いいの!どうせ余っちゃったやつだから!か、勘違いしないでよね!
  朝、作りすぎちゃっただけなんだからねっ!」
男「いや、いいって。まだパンあるし」
女「………」
男「もぐもぐ……」
女「………」
男「もぐもぐ……」
女「………すん」
男「もぐもぐ……」
女「……な、泣いてなんかないんだからねっ!」
男「はぁ」


新ジャンル「報われないツンデレ」
171名無しさん@ピンキー:2008/05/30(金) 22:17:35 ID:slRtkOh7
追加


男「おーい、友ー」
友「ん?」
男「女が弁当余って困ってるんだって。食ってやれよ」
友「え?いいの!?」
女「な、ちょ……!何勝手に……」
男「え?作りすぎて余ってるんだろ?」
女「………あ、う……」
友「いやー、悪いね!ラッキー、飯代浮いたぜ!」
女「あ、あ……」
男「パン食ったし、図書室で昼寝でもしてくるわ」
友「もぐもぐ!」
男「口にモノ入れたまま喋んな」

ガララ ピシャン

女「………」
友「もぐもぐ」
女「………」
友「もぐもぐ」
女「………う…」
友「いやぁ、美味いよ!女ちゃん!」
女「………うわぁぁぁぁん!!」
172名無しさん@ピンキー:2008/05/30(金) 23:18:31 ID:TlxyT4to
>>170-171
全俺が泣きながら萌えた・・・(つд`*)
173名無しさん@ピンキー:2008/05/31(土) 22:12:37 ID:e5sw4H1C
いやー、でもツンデレってこんなもんじゃね?
174名無しさん@ピンキー:2008/05/31(土) 22:16:32 ID:CamhcvkE
だな。
リアリティー考えると、こういう感じになるだろうなぁ・・・。

次は是非新ジャンル「へこたれないツンデレ」で。
175名無しさん@ピンキー:2008/05/31(土) 23:49:59 ID:wJw+C8SI
ぼく、リアリティーのはなしをするひと、きらいだな
176名無しさん@ピンキー:2008/06/01(日) 03:06:02 ID:RIYq+fEr
豆田貴子が構える狙撃銃の、スコープ越しに写る少女の笑顔。
自分の愛する男の、双子の妹。将来は義妹となる彼女とは良好な関係を築きたいとは思っていたのだが…。
彼女に微笑みを向けているであろう少年の笑顔を想像し、嫉妬の炎を滾らせながら改めて標的を睨み付ける。
『春樹さん……。……ルカさん、覚悟!』
引き鉄にかけた指に力を込め、射撃する。
そしてサイレンサーを通じて音も無く放たれた弾丸は、いつも通りに標的を貫く………ハズだった。
「……何故?」
飛翔した弾丸はルカから大きく逸れ、通路を挟んだ向かい側の木の幹を微かに抉ったのみだった。
改めて狙いを付け直し、再発射するものの、今度は植木の葉っぱを打ち落とすのみ。
脳内に数多の疑問符を浮かべつつ、今度は適当な生垣の花を狙い発射。
今度は狙い通りに椿の花…しかも花弁を一枚のみを打ち落とせた。
『照準は狂っていない……。何故外れたのか判らないけど……これなら!!』
もう一丁用意しておいた突撃銃。
サイレンサーの具合を検め、セレクターレバーをセーフティーからフルオートモードに切り替え、斉射。
今度は春樹もろとも気絶させる可能性があるが、仕方ない犠牲と心の中で謝罪する。
まぁ姉の陽子と二人掛かりなら、春樹を連れてこの戦場を離脱することも可能だろう。
……しかし。
『…馬鹿な。』
1マガジン20発の麻酔銃を打ち込んだにも関わらず、何事もなかった様にいちゃついている二人。

認めなければならない…。何の手品か奇跡かは知らないが、標的の青山春香に対しては飛び道具は通じないようだ。
『そういえばダンボール愛好家の工作員が言ってた…。
 ……ライフルやグレネードすら通用しない、幸運の女神の名を持つ女戦士がかつて居た事を。』
しかし、今の相棒はなにより肉弾戦を得意とする者…。彼女なら、この戦局を打開できる。

『お姉ちゃん…。狙撃に失敗、接近戦を開始して。』
しかし、彼女からは返事は無い…。双眼鏡を姉の方に向けると…。
『…ね、寝てる?…!まさか、流れ弾で!』

これは見事に作戦失敗としか言いようがない。
…こんな所で爆睡している姉をこのまま放置しておけば、今回のデートを阻止できるだろう。
春樹が姉を連れて帰るという形で…。…それもそれで腹が立つ。
『…お姫様抱っこの二回目は無い。お姉ちゃんを回収して、出直す。』

しかし、撤退を行う前に一仕事だけはこなしておく。
撤退の合図の橙色の信号弾…。

「あれ?ハル、花火上がってない?」
「そうだな。でも、一体何なんだろうな?」

自分たちの連絡ですら、スウィートな話題の一環にされてしまうこの悔しさ…。
『春樹さん……。浮気する旦那様は、後でお仕置き………。』
「……ぅうう〜ん。春樹ぃ〜〜。」
「………くっ!!」
額に青筋を浮かべながら、幸せそうに眠りこける姉を引きずりつつ退場する豆田貴子。
I'll be backと、堅く心に誓いながら…。

新ジャンル「Fotune 幸運の女神」新醤油学園野望編
177名無しさん@ピンキー:2008/06/01(日) 03:08:37 ID:RIYq+fEr
「せい!!」
遠山理菜の手元から放たれた飛び苦無。
「たぁ!!」
もっとも、黒田夕圭とて大人しく殺られるつもりもない。
ベルトに押し込んでいたトンファーでなぎ払う。
「へぇ〜。貴女、得物も扱えるの?…なら私も!」
懐から忍び槍を取り出し、再度構えなおす理菜。
『豆田姉妹はあっさり撤退…か。…彼女達を過剰評価してたみたいね。
 距離をとってチマチマやるのも時間が惜しいし…。一気にカタを着ける!!』
一方の夕圭の方も、戦いを楽しむ余裕などまるで無い。
『真智子ちゃんに、豆田姉妹…。いつまでも彼女相手に手間取る訳には!!』
囲炉裏が春樹の布団で眠っていることも、豆田姉妹が撤退したことも今の彼女に知る由は無い。
裂帛の気合が周囲を包んだとき、少女たちは文字通り火花を散らしあっていた。

そんな殺伐とした空気とは全く無縁な二人の姿。
ルカお気に入りのスポットである池のあるエリアは、水鳥が優雅におよぐ平和そのものな光景であった。
そこでルカはとある提案をする。
「えへへへへ。お腹空いたし、そろそろお弁当にしようか?」
「ああ。そうだな。」
本日の昼食は珍しくルカ謹製のサンドウィッチ。
彼女も料理はできるのだが、如何せん朝に弱いために豆田姉妹のように早朝の台所に立つことができない。
そして放課後も部活に参加しているため、ルカが作った料理もかなり久しぶりだったりする。
それでも春樹は思う。これは良い仕事をしていると。
『ベーコンとレタスとチーズ…。定番だけど良い取り合わせだよな。
 こっちは鶏ハムに玉ねぎと春キャベツでマヨネーズの味付け…。…この組み合わせ、サラダで試させてもらうか。』
なにより自分と味の好みがほぼ完全に一致している。

やがて、二人前の弁当を二人で平らげると、春樹に擦り寄ってくるルカ。
「ねぇハル、膝枕、してあげよっか?」
春樹の方は戸惑うしかないだろう。
普段の休日は正午を廻らないと起きて来ない妹が目覚ましなしに目を覚まし、弁当の準備までこなしていたのだから。
しかも、何か妙に気合が入っている。普段から見慣れているルカの顔なのに、薄化粧している為かより可憐に見える。
「お、おい…。そこまでしなくてもいいぞ?そういうのは彼氏とか、大切なヤツが出来た時まで取っておいていい。」
しかし春樹の返答に、ルカの太陽のような笑顔は曇りだす。
「ハル…。何も判ってない…。」
「ルカ?」
「私の大切な人はハル一人だけなの!」
「お、おい?何を…むぐぅ。」
一気に距離を詰められ、ルカに抱きしめられる春樹。そして強引に唇で塞がれる口。
触れ合った頬の隙間を彼女の涙が伝った事で、春樹は妹の覚悟を思い知る。

「好きなんだ、ハル…。きっと、生まれた時からずっと…。それに、これから先もずっと好きだから…。」
唇を離し、そうつぶやくルカ。
血のつながった妹の、しかし男を誘う女の目をした彼女に対し、春樹は明確な返答を返せずに居た。

新ジャンル「ブラコン妹 突貫」新醤油学園野望編
178名無しさん@ピンキー:2008/06/01(日) 11:26:28 ID:qCVNquwG
急展開だけどとりあえずスネークに吹いたw
179名無しさん@ピンキー:2008/06/01(日) 23:29:27 ID:dyI9Xkp4
麻酔銃とはいかなる物なのか?

『麻酔薬の入った注射筒やダート(矢)を発射する銃。拳銃型とライフル型が存在する』
と某百科事典には記載されている。

失態に我を忘れたのか、弾の回収を怠った貴子。
麻酔薬は貴子特製の薬であり、後遺症なしにスッキリ目覚めの優れ物である。

ある意味、物凄く危険な置き土産。その内のひとつが、膠着状態の戦いに決着をもたらす…


忍び槍とトンファーで激しく打ち合う理菜と夕圭だったが、理菜が大きく跳んで距離を取る。
「奥儀・乱れ吹雪っ……はぁ――っ!!!!」
理菜は渾身の力を籠めて苦無を投じる、しかも八本も。
「くっ!!やらせるか!!」
が夕圭も達人級の腕前、全ての苦無をトンファーで弾き飛ばす。
「ちっ…あれをしのぐとは……。黒田夕圭…流石ね!!」
「そう言う貴女こそ……只者じゃないわ…」
お互いを認めあう二人の少女。戦いはまだ続くと思われた、その時。

「は、ハルぅ―!!」

公園内に響く少女の声。二人の戦っている、すぐ近くから聞こえてきたその声は……

「ルカの声!?まさか春くんに何か!?」
「春樹くんに!?」


一体、春樹に何がおこったのか?夕圭と理菜の二人が青山兄妹に駆け寄ってみると……

春樹が大の字になって倒れていた。
180名無しさん@ピンキー:2008/06/01(日) 23:31:32 ID:dyI9Xkp4
「ルカ!!春くんはどうしたの!?」
「理菜!?…それに夕圭ちゃんまで!?」
ルカの目が険しくなる。
「…どうして二人がここにいるのかな?」
「る、ルカちゃん…説明は後でするから…それより春樹くんが…」
「ああっ!?は、ハルがいきなり『痛え!!』と言って倒れて!!」
夕圭はざっと春樹の体を見渡す。
「えーと…わっ、たん瘤が出来てる…!!『首に針の痕!?』」
微かにうなじの所に針で刺した様な痕が残されている。
『呼吸、脈に影響は見られない。…となると麻酔薬か何かで眠っているだけか』

ふぅと夕圭はひとつ息を吐く。
「大丈夫みたいよ…ただ気絶してるみたい」
「でも何で春くんが気絶をしたの?」
「ああ、多分…」
「……これなぁに?」

ルカがあるものを発見した。
「あっ!!それ私の苦無じゃん、なんで…」
「…これが多分落ちてきたんだよね…となると……ハルが気絶したのは…理菜のせい?」

キギッ

首を理菜の方へ向けるルカだが…
「る、ルカ…さん?……ひょ、ひょっとして…」
「怒ってるわよ」
口許は歯を見せているものの、目が尋常じゃなく血走っている。
「あ、あの…わるいとは…思って…」
「許すと思う?」

次の瞬間。
猛ダッシュで逃亡する理菜と、陸上部エース・ルカの追跡劇が始まった。
「ひぃ―――っ!!!!」
「待ちなさいよ―――、オラァ―――ッ!!!!!!」


その場に残された夕圭。
『おそらく、私が弾き飛ばした苦無が春樹くんの頭に落ちる
→痛みで春樹くんが下を向いた→麻酔弾が当たる→春樹くんが気絶…』
『ルカちゃんと遠山理菜は暫く戻らない。真智ちゃんも見当たらない』
『麻酔弾から豆田姉妹が近くに潜んでいるのは確実、場所を移動しないと春樹くんが…』
『そして、ルカちゃんにあげたシティホテルの券は、私も持っている』


夕圭の脳内で様々な情報が分析され、出した結論とは。

『ごっつぁんです』

夕圭は春樹を背中に背負い、足早にある方向を目指した。
シティホテルの方へ。
181名無しさん@ピンキー:2008/06/01(日) 23:34:15 ID:dyI9Xkp4
一方その頃。

「お姉ちゃん…じゃないトウバンジャン。後で必ず回収するから…」
豆田貴子は事態の経過を無視できず、倒れた姉を安全な場所に避難させ、再び公園へ戻る。
(本音は姉が重かったのと春樹が気になった)

「……あれは!?」

とっさに物陰に隠れた貴子の横を、逃げる理菜と追うルカが駆け抜ける。
「…いったい…何が?」
呟いた貴子だが、すぐ重要な点に気付く。
「…!!…春樹さんのそばには誰もいない!?」

貴子は知らない。自分の弾で春樹が眠ったこと、春樹のそばに「くされおっぱい魔人」
黒田夕圭がいることを。

「…私のチャンス…未来の旦那様に……ムチと…アメを…」

物騒な事を呟くと、貴子は疾走する。春樹というお宝奪取の為に。


シャー……

水の流れる音がする。
春樹は目を覚ました。
「…ん、……へんな夢を見たなぁ…ルカにマジ告白され……って俺の部屋じゃねぇ!?」

あわてて辺りを見渡す。
「…なんというか…ホテルっぽい部屋だ」
「あら?お目覚め?」
聴き覚えのある声。
「おう、黒田。ここはどこな…(ベフン!!)」
春樹の視線の先には夕圭の姿。ただし、バスタオル一枚纏っただけの。

「くくくくろだぁ!!!」
「ん?どうしたの、変な声だして」
「お前がそんな格好してりゃ出したくなる!!」
182名無しさん@ピンキー:2008/06/01(日) 23:37:44 ID:dyI9Xkp4
夕圭は自分の胸を見た後に春樹へと笑いかける。
「…春樹くんのエッチ」
「おまえがそんな格好してるのが悪い!!」
「…だって春樹くん背負って汗かいたし。仕方ないでしょ」
にやにや笑う夕圭。
「それともタオルが無い方が良かった?」
「おま…(タラリ)…あ、いかん鼻血が……」

経験値の低い春樹がピークに達し、鼻血が出てきた。ティッシュを探す春樹に夕圭が近付き…

じゅるっじゅるっ

「!!!!…ば、馬鹿!!な、何を!?き、汚いから辞めろ!!」

夕圭が春樹の鼻へ舌を伸ばし、鼻血を吸って舌で舐めとった。

「あは。しょっぱい」
「な、何を考えてるんだよっ!!汚いだろ、鼻血なんて!?」

「…汚くなんてないよ。春樹くんのだもん……」
「えっ!?」
夕圭の口許には笑みがあるが、目は真剣な色を浮かべている。
「私の…大事な人の物だもん。全然気にならないよ」
「黒田……」
夕圭はバスタオルから手を放し、春樹に抱きつく。
当然タオルは体からずり落ち、春樹の胸に夕圭の爆乳の感触がダイレクトに伝わる。

「だいすき。春樹くんになら………いいの」
夕圭は春樹の唇へそっと口付けをする。

「……二度目だけど。前のは事故だし…これが私の気持ちだよ…」
春樹の頭に霞がかかる。
『いい…におい…だ……もう…がまん……』

新醤油学園 青春編
「バトル決着!?」
183名無しさん@ピンキー:2008/06/02(月) 20:04:28 ID:lEQs9YtE
はるくんスッゲーハードなスケジュールだな
184名無しさん@ピンキー:2008/06/03(火) 01:33:11 ID:XtI8cR30
女「どうせ男はわたしの事なんとも思ってないんでしょ!」
男「いや…そういう事じゃないんだが」
女「嘘!あなたはわたしを女として見て無いわ!分かってるのよ!」
男「いやー…それは…そうだけど」
女「やっぱり!やっぱりそうじゃない!わたしが機械(マシーン)だからなのね!」
男「いや…お前ミシンだし」

新ジャンル「ぼくの彼女は裁縫具」
185名無しさん@ピンキー:2008/06/03(火) 03:23:53 ID:Lil4UXhS
男「昔……といっても10年かそこらの話なんだが、パラサイト・イヴというホラー小説があってな」
女「ゲーム?」
男「いや、小説。ゲームの元になったんだよ」
女「ふむふむ」
男「人間が細胞の中に持ってるミトコンドリアが、突然変異を起こして人間に反旗を翻すっていう話だった」
女「怖いね」
男「怖いって言うより、ピンと来なかった。専門用語満載だったし、ガキだった俺にはちょっと難しかったから。
  ―――で、反乱を起こしたミトコンドリアは主人公の嫁さんの細胞だったんだが、
  劇中でそのミトコンドリアが主人公を襲うんだ。性的な意味で」
女「………へぇー」
男「反乱のミトコンドリアは人類の枠から外れて自分たちだけで繁栄しようとしたのさ。
  そして、進化の最後の胤(たね)として主人公を選んだ。逆レイプシーンなんか、圧巻だったなぁ。
  当時毛も生え揃ってなかった俺がどんだけお世話になったか」
女「ほぉ」
男「でもなぁ」
女「うんうん」
男「顕微鏡でしか見えない彼女はいらんわ流石に」
女「えー」

新ジャンル「ぼくの彼女は細胞」
186名無しさん@ピンキー:2008/06/03(火) 03:33:34 ID:Lil4UXhS
男「女ー、草だぞー」
女「ブモー」
男「美味いか。そーかそーか」
女「ブルル」
男「今日も女のツノは立派だなぁ」
女「ブモーブモー」
男「あっはっは。じゃれるなじゃれるな。死ぬ。マジ死ぬ」

新ジャンル「ぼくの彼女はサイ」
187名無しさん@ピンキー:2008/06/03(火) 09:20:21 ID:4crEPhlo
カオス過ぎてフイタwwwwww
188名無しさん@ピンキー:2008/06/03(火) 18:24:56 ID:ooT9pBAM
>>184
( ´w`)<わかります
189守ってあげたい:2008/06/04(水) 23:35:55 ID:+7GykXr/
「はぁ、はあ、はぁはぁ」

あなたの熱い吐息が聞こえる。
わたしの中であなたの体温を感じる
凄く熱い

あなたがわたしの中で暴れる度にあなたを感じる。
なんて激しい

あなたの所為でわたしの中はもうぐっしょりと濡れている。
あなたも感じるでしょう?
それともそれも感じないくらい昂ってるのかしら。

待ってた
あなたの様な人が現れるのをずっと待ってた
ずっと

今迄何人かの男達を受け入れて来た
でもみんな駄目だった

あなたこそ男
わたしが受け入れるべき男
わたしが包むべき男
わたしが守るべき男

だから安心して暴れて

あなたはわたしが守るから
あなたを傷つけるものから守るから

そうあなたは誰にも負けない



男「せぃっ!」
主審「一本!そこまで」
(歓声)
後輩「先輩!やりましたね!今回も全部一本勝ちですよ!」
男「はぁはぁ…ああそうだな」
後輩「あ、それ外しましょうか」
男「いや、このままでいい」
後輩「また例のジンクスですか?」
男「まぁな、これ着けてると負ける気がしない。それに…なんか妙に落ち着くんだこいつと居ると」
後輩「へぇ?まぁいいですけど…」

男(それにどうせ試合が全部終わるまで絶対に外れないしな、コイツ)


絶対に勝つ
わたしがあなたを守る限り

新ジャンル「僕の彼女は防具」


>>186に先に「サイ」をやられたのでお返しな(w

190名無しさん@ピンキー:2008/06/05(木) 00:13:27 ID:Beecpgck
女「……男が私に見向きもしてくれない」
男「当たり前だろ。俺にそんな趣味はない」
女「とか言って、実は責められると弱いくせにー」
男「……誰が責めるんだ? ん? お前責められるのか? あ?」
女「そこはやっぱり自慰で」
男「だから俺にそんな趣味はないって言ってるだろ!」
女「……男が私に見向きもしてくれない」
男「せめて穴になって来いよっ!」


新ジャンル「僕の彼女は棒具」
191名無しさん@ピンキー:2008/06/05(木) 00:43:48 ID:MY4gkLi+
酷すぎる流れだwwGJwww
192名無しさん@ピンキー:2008/06/05(木) 01:17:15 ID:xISKBMaF
俺こういう流れ嫌いじゃないよ
嫌いじゃないっていうか……好き……だよ。うん
193名無しさん@ピンキー:2008/06/05(木) 19:36:12 ID:z2smhw1/
男「なんだよもうこんなになってるのか」
彼女「いや、みないで」
男「なーにが『見ないで』だ、見せつけてるくせに。もうこんなに真っ赤でビンビンじゃねぇか、ほら!」
彼女「あっ、だめ、触らないで…ひゃうん!」
男「ほらほら、こうだ、ほれ」
彼女「ひゃ、ひゃうぅうん、ひゃだ、やめ…はぁん!」
男「まったく簡単乱れやがって…シコたら直ぐじゃねぇか、この淫乱。ほぉら!」
彼女「ひゃ、ひゃぅううううん!ひゃだっ、ひゃめで、ひき、ひっちゃふ!ら、めぇえそこらめぇええ!ひゃなはらめぇえええ!

ひ、ひぐうう!」ビクッビクッ

新ジャンル「僕の彼女は天狗(弱点は鼻)」

194名無しさん@ピンキー:2008/06/05(木) 20:47:26 ID:z2smhw1/
男「なんだよもうこんなになってるのか」
彼女「や、やめろよ」
男「なーにが『やめろよ』だ、してほしいくせに。もうこんなにビンビンじゃねぇか、ほら!」
彼女「あっ、よせ、触るなっ…!」
男「ほらほら、こうだ、ほれ」
彼女「う…くう…や、やめろ…やめろっば!ぁあはぁっ」
男「まったく簡単に乱れやがって…シコったら直ぐじゃねぇか、この淫乱。
ほぉらいくぜ!」
彼女「!…くっ…んはぁっ…おま…や…んんっ」
男「うっ、きついな、またくやらしい身体してやがるぜ、グイグイ締め付けやがる」
彼女「ふっ…ふぐっ、うう…うる…さ、んぁ!」


男「うういくぜ!」
彼女「っあーーーーー」
ビクッビクッ

男「よかったぜ、斉藤」
彼女「…ううっ」

新ジャンル「僕の彼女は斉藤君」
195名無しさん@ピンキー:2008/06/05(木) 21:11:17 ID:rzHKMvz1
男「なぁ、なにツンツンしてるんだよ?」
女「知らない!!自分の彼女をベタベタ他人に触らせるなんて!!」
男「…ふふん」
女「なによ!!」
男「…知ってるんだぜ。お前、触られてる間ずっとイキっ放しだったろ」
女「!!!!」
男「ほら、今だって」
女「ちょ、やめて!!」
男「ほら。こんなに糸引いちゃってさ」
女「い、いや!!やめて!!」
男「下の穴も寂しそうだな……入れるぜ」

女「あっ!!…あん!!」
男「ありゃ、入んねぇ。…ふん!!ふん!!」
女「はぁはぁ…は……てよ…」
男「ん?何だ?」
女「早く……入れてよ……我慢出来ないの……」
男「いや…俺も入れたいんだが…入らん」
女「道具使ってよぉ…」
男「…あれ好きじゃないんだが」
女「早くぅ!!もう限界なの!!」
男「……分かった」

(30分後)

男「はぁ……終わった」
女「あんた下手すぎ」
男「…雑巾くらいミシン使わせろよ」
女「だめ!!」

新ジャンル「僕の彼女は裁縫具」


横入りごめん。
196名無しさん@ピンキー:2008/06/05(木) 21:12:50 ID:rzHKMvz1
ごめん。裁縫具ネタは最初にあったのかorz
197名無しさん@ピンキー:2008/06/05(木) 23:22:58 ID:xISKBMaF
(・∀・)ニヤニヤ
198名無しさん@ピンキー:2008/06/06(金) 00:30:26 ID:aF4/xZ7e
>>196
ドンマイ!って言いたいとこだが…

ゴメン、素で>>195の状況がわからん
彼女は雑巾かと思ったんだか、それだと裁縫具じゃないし、ミシンでも無いんだよな?

>>193>>194
どっちも彼女にしたくないなWW
199195:2008/06/06(金) 00:47:30 ID:ZZYO62up
すまん。
彼女は「縫い針」のつもりだったんだ。

…確かに分からんなorz
200名無しさん@ピンキー:2008/06/06(金) 09:42:22 ID:L3GpuNQ/
いや、分かりやすい気もする
201名無しさん@ピンキー:2008/06/06(金) 11:19:36 ID:QOZ1k7ld
「道具使ってよ」に吹いたw
あれだろ。なんかエリザベス女王っぽい女の横顔が入ってる銀色のやつだろww
202名無しさん@ピンキー:2008/06/06(金) 19:13:49 ID:SROz+9Qc
>>201
なんかワロタ
203あたしの名前はハートにDQN(1/14):2008/06/07(土) 02:24:21 ID:jgAjOp5J
放課後の教室。
あたしは、クラスメイトの稲井 啓太郎(いない けいたろう)に呼び出されて
ぼんやりと夕日を眺めていた。何の用かは、聞いてない。
こんな、誰もいない教室に二人っきりだなんて、あいつは人をなんだと思っているんだ。
そりゃあ、あたしは目つきは悪いし背は無意味に高いしガサツだしオマケに一部の下級生からは
同性愛のケがあると思われているらしいけど、あたしはユリ目ユリ科に属する多年草の一種じゃないし、
性別は一応雌である。『もしかして告白!?』なんて、甘酸っぱいことを考えなかったわけではない。
ええ。考えましたよ。そりゃあね。あたしだって花も恥らうオンナノコですから。
そういう、枕を抱えてごろんごろん転がるような1ページに、何?憧れ?みたいなもんは、ありますよ。
でもね、冷静になって考えてみるとね。そういうの、ありえないんですよ。

だって、あたしは―――P子だから。

そう。あたしはみんなからP子と呼ばれる女。もちろん本名じゃない。これはあだ名だ。
本名は大杉(おおすぎ)―――言いたくない。勘弁して欲しい。恥ずかしい。
あたしの両親はいわゆる………その、世間一般の常識とは少しばかりズレてるというか、
自由な人たちだったらしいので、赤ちゃん―――つまり、あたしのことだが―――が生まれたとき、
世の理に中指を立てるような恥ずかしい名前を採用したのだ。
こんな名前を付けられたせいであたしがどれほど迷惑を被ったかわかりゃしない。
もし両親が生きていたなら襟を掴んで吊るし上げてがっくんがっくん揺さぶってやるところだけど、
その両親は赤ちゃんのあたしがやっと立てるようになった頃交通事故で亡くなってしまった。
よって、両親の記憶はあたしにはほとんどない。
親が死んでしまったあたしだけど、あたしは幸せなことに独りというわけじゃない。
あたしはじいちゃんとばあちゃんに引き取られてそれなりに健康に暮らしている。
じいちゃんとばあちゃんは大好きだ。できるなら、じいちゃんとばあちゃんの子供に生まれたかったくらい。
それなら、こんなヘンな名前は付けられなかったろうし―――。
………素敵な彼氏だって、いるはずだし。
ああ、そうだ。あたしは今まで男の子と付き合ったことがない。
なんというか、想像できないのだ。
あたしが男の子とお付き合いしている光景が。
だって、恋人同士っていったらお互いを名前で呼び合ったりするものだろう。
それまで苗字で呼んでいたものが、敬称無しの呼び捨てで名前を呼び合う。
そんなことが。できるはずがない。恥ずかしすぎて死ぬ。むしろ殺す。呼んだら殺す。オマエヲコロス。
と、いうわけで、そんなことを気にしていたらいつの間にか男の子が寄り付かなくなってきて、
目つきがどんどん悪くなってきて、背とかもにょきにょき伸びちゃって、
気が付いたら男の子より女の子にもてるようになっていた。
おまけに友人たちに次々と彼氏が出来始め、休日とか誰とも遊べなくてちょっと悲しくなってしまう。
気が付いたら14連鎖でサンダーしてたり。はぁ。
あたしだってね。そりゃあ欲しいですよ。彼氏。ええ。
でも………ねぇ。あーあ。

なんか、失敗してるなぁ。あたしって奴ぁ。
204あたしの名前はハートにDQN(2/14):2008/06/07(土) 02:25:12 ID:jgAjOp5J
机に突っ伏して、大きく溜息を吐いた。
そんな時である。がらら、と教室の扉が開いた。
顔を向けると、そこに立っていたのはあたしを呼び出したクラスメイト。
仲間内からはKタローと呼ばれる男の登場だった。
っていうか、呼び出しておいて遅れるとはどういう了見だ。

「遅いぞKタロー」
「うむ。緊張しすぎてお腹が痛くなってな。トイレに篭っていたら時間が過ぎていたのだ」

文句を言うあたしに、当然の如く、といった偉そうな態度で返すKタロー。
パッと見て不遜とも取れるほど自信満々なのはこいつの特徴だ。
でもそれが中身にまで及んでいないのは少し喋ればすぐわかる。
それが証拠に台詞の内容は全然偉そうじゃないし。と、いうか弱そうだし。
あたしは少し拍子抜けした。なにが告白だ。シチュエーションに酔いやがって。馬鹿じゃないか?
こいつはKタローで、しかも相手はあたしだぞ。どこをどう押せば告白が出てくるんだ。
我ながら恥ずかしいったらありゃしない。
きっとKタローの顔が真っ赤なのも、夕日に染められているからに決まっている。………うん。

「で、何の用?」
「うむ。そのだな―――」

Kタローは、Kタローには珍しい、少しばかり俯いて言いよどむと、
キッと顔をあげ、ずんずんと近づいてきた。
何だろう。っていうか止まれそこで。近い。近い。近いってば。

「大杉」
「な、なんでしょう?」

思わず敬語になるあたし。Kタローの迫力に気圧されてしまう。
Kタローは茹ダコのように真っ赤になった顔で、鼻先と鼻先がくっつくかのような距離で、
数秒間あたしを睨み付けたあと―――言った。

「お前が好きだ」

目を瞬かせる。
今、なんと言った。
こいつ―――え?あたしが……なんだって?
す、き………?

その言葉はゆっくりと、ゆっくりと鼓膜から脳味噌に到達し、その瞬間にあたしの顔面を真っ赤に染め上げ、
そして、あたしは―――。
205あたしの名前はハートにDQN(3/14):2008/06/07(土) 02:26:07 ID:jgAjOp5J
 
                  ☨☨☨

あめんぼあかいなあいうえお (水馬赤いなあいうえお)
うきもにこえびもおよいでる (浮藻に小蝦も泳いでる)
かきのきくりのきかきくけこ (柿の木栗の木かきくけこ)
きつつきこつこつかれけやき (啄木鳥こつこつ枯れ欅)
ささげにすをかけさしすせそ (大角豆に酢をかけさしすせそ)
そのうをあさせでさしました (その魚浅瀬で刺しました)
たちましょらっぱでたちつてと (立ちましょ喇叭でたちつてと)
とてとてたったととびたった (トテトテタッタと飛び立った)
なめくじのろのろなにぬねの (蛞蝓のろのろなにぬねの)
なんどにぬめってなにねばる (納戸にぬめってなにねばる)
はとぽっぽほろほろはひふへほ (鳩ポッポほろほろはひふへほ)
ひなたのおへやにゃふえをふく (日向のお部屋にゃ笛を吹く)
まいまいねじまきまみむめも (蝸牛ネジ巻まみむめも)
うめのみおちてもみもしまい (梅の実落ちても見もしまい)
やきぐりゆでぐりやいゆえよ (焼栗ゆで栗やいゆえよ)
やまだにひのつくよいのいえ (山田に灯のつくよいの家)
らいちょうさむかろらりるれろ (雷鳥寒かろらりるれろ)
れんげがさいたらるりのとり (蓮花が咲いたら瑠璃の鳥)
わいわいわっしょいわゐうゑを (わいわいわっしょいわゐうゑを)
うえきやいどがえおまつりだ (植木屋井戸換へお祭りだ)

――――――演劇部発声練習『あめんぼの歌』より

                  ☨☨☨


「あれぇ?P子。今日はお弁当なんだ」

昼休みである。
学食にも行かずに突っ伏していると、不意に声を掛けられた。
顔だけあげてそっちを見る。そこにいたのは机の向きをがたがたと変えて
簡易テーブルを作っている女の子のグループ。その中の一人、原衛(はらえ)というクラスメイトだった。
あたしはひらひらと手を振って、ぞんざいに返事をする。

「まぁね」
「だったら一緒に食べようよ。一人飯ってアンタ、それでも女か?女はつるんでナンボでしょうや」
206あたしの名前はハートにDQN(4/14):2008/06/07(土) 02:26:51 ID:jgAjOp5J
めちゃくちゃなことを言っている。放っておいて、と言うこともできたが、
原衛という女はこういうことを周囲への建前ではなく厚意で言えるようなヤツであり、
しかも突っぱねたら突っぱねたで余計な心配を掛けてさらに付きまとわれるのは明白だったので、
あたしは連中の仲間に入ることにした。実際、お腹すいてたし。
あたしは溜息をつきながら向かい合う机のひとつの席につく。
今日のご飯はおにぎりだ。ばあちゃん特製。
食欲はあんまりなかったから出かけにコンビニでパンでも買っていこうと思ったのだけれど、
格好つかないことに財布の中がだいぶ寂しいことになっていたのだ。

「……Pちゃん、おにぎりだけなんだー?」
「男らしいな。P子」
「うっさいな。ほっといて」

食欲がない―――調子が出ない。ここ一週間ほどそんな状態が続いている。
風邪じゃあない。あたしは自慢じゃないが、医者の世話になったのは
生まれてこの方出生の時だけっていうような健康体だ。
それが、こんな。おにぎり二つしか喉を通らないほど弱っているなんて。
原因はわかっている。Kタローのバカのせいだ。あいつが、変なことを言うから―――。
………………。
今思い出しただけでも顔が熱くなる。
放課後。夕日の教室。真っ赤に染まったKタローの顔。そして、告白。
告白……。

「う、うう………」

ぷしゅう、と頭が茹で上がるのを自覚する。ええい、なんなんだ。あいつは。
訳がわからない。あたしは―――ヘンな名前で、自分のこの名前が嫌いで、
でも、あいつはあんなにまっすぐな目をしてあたしの名前を呼んで。

………嫌い、なのに。

それに、このあたしのどこに惚れたっていうんだ。
自慢じゃないが無愛想だし、目つき悪いし、身長だって無意味に高いし、かといって
スタイルがいいわけじゃないし。可愛い服見つけても全然似合わないから結局いつもジーンズだし。
ゲーマーだし。この前枝毛三本も見つけたし。それから―――。
………ええと、自分でも悲しくなるくらいに惚れる要素がなかった。
とにかく、こんなあたしを好きだって?訳がわからない。不気味だ。

「どうしたのー?Pちゃん」

などと苦い顔をしていたら、サンドイッチをもきゅもきゅと
頬張っていた仲居戸(なかいど)が顔を覗き込んできた。

207あたしの名前はハートにDQN(5/14):2008/06/07(土) 02:27:36 ID:jgAjOp5J
「調子悪いのー?」
「まさか。赤葉。P子はね、出生以来医者にかかったことがないっていうような健康体だよ?
 どーせおにぎりじゃ物足りないんでしょ」
「黙れ原衛」

ギロリと睨みつける。
原衛は笑い、そして一転してはぁ、とため息をついた。なんなんだ。

「あたしもさー、呪々のから揚げが恋しくてさ。くそぅ、小岩井のヤツめ。あたしの呪々を返せっていうのよ」
「あー」

行儀悪くお箸を咥えたままヨヨヨとくずおれる原衛に、なにやらコクコクと頷く仲居戸。
呪々……というと黒妻か。
確かあの娘は料理が得意で、信じられないことにお弁当を自分で作っていたはず。
あたしも前に摘んだことがあるけど、なるほど冷めても美味しい、
どこに出しても恥ずかしくないっていうかお金取れるんじゃないかっていうような出来だった。
………そういえば黒妻はどこ行ったんだろう。黒妻はちびっこくて大人しくて、
いつも原衛とセットになっているような娘である。朝見かけた覚えがあるから休んではいないようだけど、
そういえばこのグループに参加していないのはヘンだった。

「ところで、その黒妻は?」
「呪々?さぁ。中庭じゃない?」
「………なんで?」

確かに中庭で食べる生徒もこの学園には多いけど、あそこは芝生なのでシートを広げなきゃならない分
面倒くさいし、なによりカップルが多いために普通の生徒は寄り付かない。
あそこで男女が一緒にお弁当を食べることがこの学園の生徒たちの間では
『恋人になりましたよ宣言』だという暗黙の了解があるほどだ。
したがって、独りもんであるところのあたしには少し太陽が眩しい場所である。
黒妻も同様。あの闇属性があんな危険地帯に迷い込んだら
連中の石破ラブラブ天驚拳に当てられて消滅するんじゃあるまいか。

「あれぇ、Pちゃん知らないのー?呪々ちゃん、小岩井くんと付き合い始めたんだよー」

―――などと考えていたら、仲居戸がにっこりと柔和な顔を綻ばせた。

………………………………………あ、そうなん?

初耳だったので少し驚いた。黒妻は誰かに告白されたり告白したりするタイプじゃないと思っていたから。
いや、中身は普通だってことは知ってるし、よく見れば結構可愛い顔してるんだけど。
その、何だ。オーラ的に?

208あたしの名前はハートにDQN(6/14):2008/06/07(土) 02:28:15 ID:jgAjOp5J
「まぁ、呪々が嬉しそうだったから別にいいんだけどさ。
 ひとりもん同盟が減ったのはこっちとしては痛いわけですよ」
「あー」
「あー、じゃない。赤葉はいいわよねぇ。幼馴染みだっけ?そんな便利なイキモノがいてさぁ」
「え。で、でもでも、クロが幼馴染みじゃなくっても、あたしはクロを好きになったと思うよ?………えへー」
「ぐぁあ、しまったノロケられたぁ!P子、塩持ってきて塩!」

しかし……そうかぁ。黒妻がねぇ。男の子と付き合ってるんだ。
………………男女交際、かぁ。
あたしはもやもやと想像の霧を膨らませた。
休みの日には駅前とかに待ち合わせして。待った?いや全然待ってないよ、とかお約束な会話して。
見慣れた制服姿とは違う私服姿にドキドキしちゃったりなんかして。
まずは映画とか見ちゃって。薄暗い中、手を握る―――ううん、
そっと重ねるだけで映画どころじゃなくなっちゃって。
その後、ファーストフード店でハンバーガー食べながらさっきの映画の感想とか話して。
でも、手を握った辺りでにドキドキして途中で二人して黙っちゃったり。
で、恋人らしく改めて手を繋いで、てくてくショッピングを楽しんだり。ゲームセンターに入って対戦したり。
UFOキャッチャーで思いのほか大きいぬいぐるみをGETして少し持ち運びに困って。
遊んで小腹がすいたら喫茶店に入って大きなパフェを二人で食べたり。
暗くなって―――公園で休んでいこうか、なんて。気が付いたら周りはカップルだらけで、
ああそういえばあたしたちもカップルだったね、なんて少し笑って。
周りの真似して、キス、くらい―――。

Kタロー。

「きぁあぁぁあああああああああああああ!!!!」

ぼん、と音がしたようだった。
あたしは真っ赤になって、慌ててその想像……妄想?のピンクのもやをばたばたとかき消す。
何を考えているんだあたしはッ!Kタローとはまだそういう関係じゃなくてですね。
いや『まだ』っていうか、それはいずれそういう関係になるって意味じゃなくて!
つまりは、あたしはその。ああああ。何なんだ、あたしはッ!あたしはP子だぞ?
P子がそういうの、ダメだろう!常識的に考えて!

「………何?どうしたの」

はっと気が付くと、原衛たちがびっくりした顔であたしを見ていた。
あたしは小さくなって、なんでもない、と返す。本格的にヘンだ。それもこれも全部Kタローのせいだ。
ええい、責任取れ。いや、そういう意味じゃなくて。

「P子、調子悪いなら保健室、行く?」
「Pちゃん無理しない方がいいよー?」
209あたしの名前はハートにDQN(7/14):2008/06/07(土) 02:29:00 ID:jgAjOp5J
うう、なまじこいつらいい娘だから居心地悪い。そういうんじゃないのだ。
あたしはわたわたと手を無意味に動かした。ここは何か話題を変えて場を乗り切るべきだろう。
だけどもあたしは自分で思うより相当てんぱっていたらしく、

「そ、そういえばKタロー、最近学校休んでるけどどうしたんかね!?」

見事に墓穴を掘った。

そう―――それもあたしの懸念のひとつ。
Kタローは最近、というかあたしに告白してきたその翌日から学校に来ていないのだ。
あたしは別にKタローを振ったわけじゃないし、いやまぁそりゃあウヤムヤにはしてしまったけれど
………そんなにショックを受けるのだろうか?あたしが原因だったとして、の話だけど。
そして時期的に考えてあたしが原因なのはまず間違い無さそうだけど。

「そういえばKタローくん、ずっと休んでるよね。どうしたんだろ?」
「んー、前に男子が話してるの聞いたんだけど、Kタロー、家に篭ってずっと滑舌練習してるらしいよ」
「………カツゼツ?」

なんだそれは。
聞き覚えのない言葉だったので、あたしは思わず聞き返した。

「演劇とかでさ、台詞を噛まないでハッキリ言えるようにする練習だよ。
 早口言葉とか。発声練習とか。それを延々繰り返してるだって」
「………なんで?」
「知らないわよそんなの」

Kタロー、訳がわからない。あたしに告白してきたと思ったら家に篭って演劇の練習?
どう考えても奇行としか思えない行動だ。この学園には確かに奇人変人が多いけど、
Kタローはそっち側の人間じゃなかったはず。
………もしかして。もしかするとだが。あたしはとんでもなく悪いことをしたんじゃないだろうか。
人が奇行に走るとき。その人の身に何か起きたんじゃないかと思うのが自然な考え方だ。
そして、その『何か』にあたしは嫌ってほど心当たりがある。いや、あたし自身は
気が付いてないけど―――気が付いてないだけで、人を傷付けてしまうことだってよくあることだろう。
あたしみたいなガサツで、他人の細やかな心の機微に疎い人間ならなおさらだ。
あの日。夕日の教室で。Kタローに好きだと言われた。その対応が、間違ったものだとしたら?
そのせいでKタローはショックの余り家に引きこもって毎日早口言葉で一日を
浪費するような人間になってしまったのかも知れないのだ。
………相当嫌だなそんな一日。

「………あの、さ」
210あたしの名前はハートにDQN(8/14):2008/06/07(土) 02:29:41 ID:jgAjOp5J
あたしはおずおずと、切り出した。
原衛と仲居戸がきょとんとしてそろってこっちに顔を向ける。
うう、言いにくい。でも、この娘たちは基本的に善人だ。ちょっとヘンなところはあるけど。
それに原衛はおせっかいで相談ごとには慣れているだろうし、仲居戸は彼氏持ち。
きっとあたしの話を真摯に聞いてくれるだろう。多分。


                  ☨☨☨

拙者親方と申すは、お立合いの中にご存知のお方もござりましょうが、お江戸を立って二十里上方、
相州小田原一色町をお過ぎなされて、青物町を登りへおいでなさるれば、欄干橋虎屋藤右衛門、
ただ今は剃髪なされて円斎と名乗りまする。元朝より大晦日までお手に入れますこの薬は、
昔ちんの国の唐人外郎と云う人わが朝へ来たり、帝へ参内の折から、この薬を深く籠めおき、
用ゆるときは一粒ずつ、冠のすき間より取り出だす、依ってその名を帝より「とうちんこう」と賜る。
すなわち文字には、「頂き、透ぐ、香い」と書いて「とうちんこう」と申す。ただ今はこの薬、
ことの外世上に弘まり、ほうぼうに似看板を出し、いや小田原の、炭俵の、さん俵のといろいろに申せども、
平仮名をもって「ういろう」と記せしは親方円斎ばかり、もしやお立ち合いの中に、
熱海か塔の沢へ湯治においでなさるか、または伊勢参宮の折からは、必ず門違いなされまするな。
お登りならば右の方、お下りなれば左側、八方が八つ棟、表が三つ棟玉堂造り、
破風には菊に桐のとうの御紋をご赦免あって、系図正しき薬でござる。

イヤ最前より家名の自慢ばかり申しても、ご存じない方には、正身の胡椒の丸呑み、白河夜船、
さらば一粒食べかけて、其の気味合いをお目にかけましょう。
先ずこの薬をかように一粒舌の上にのせまして、腹内へ納めますると、イヤどうも云えぬは、
胃、心、肺、肝がすこやかになりて、薫風喉より来たり、口中微涼を生ずるが如し。
魚鳥、茸、麺類の喰い合せ、其の他、万病速効あること神の如し。
さて、此の薬、第一の奇妙には、舌のまわることが、銭ゴマがはだしで逃げる。
ひょっと舌がまわり出すと、矢も楯もたまらぬじゃ。

(……以下略)


――――――演劇部発声練習『ういろう売り』より

                  ☨☨☨


「………それで?」

夕日の教室での出来事を話したあと、原衛たちはずいっと身を乗り出してきた。
そう。
原衛たちにはうっかり告白の流れを丸々喋ってしまったけど、肝心なのはここからだ。
211あたしの名前はハートにDQN(9/14):2008/06/07(土) 02:30:25 ID:jgAjOp5J
あたしが取った行動ひとつで、Kタローが奇行に走った理由がわかるかもしれないのだから。
Kタローに告白されて、あたしは―――。

「―――Kタローを殴って、逃げた」
「なんで!!!?」

昼休みの教室に原衛たちの、というか原衛の絶叫が響き渡った。
何事かと教室にいたクラスメイトたちがこちらを向く。
あの時はいいのが入ったなぁ。この拳がKタローの頬にめり込み、一瞬間を置いてから衝撃が弾けて
Kタローの身体がくるくる回りながら机の列に突っ込んでいくシーンなんて昔のカンフー映画みたいだった。
多分、あんなにいいパンチはこれからの人生でもそうそうないだろう。
でも、だって。あれは仕方なかったんだ。

「………恥ずかしかったし」
「馬鹿か――――――ッッッ!!!?」

がっしゃーん、と想像のちゃぶ台をひっくり返す原衛。
そんなこと言われても。
あたしは想像の秋刀魚やら味噌汁やらを頭からかぶったまま小さくなった。
だって、男の子から告白なんてされたことなかったんだし。
しかも相手が毎日顔合わせてるクラスメイトのKタローだったし。あたしはP子だし。

「いやー、Pちゃん。最後のは理由になってないんじゃないかなー」
「全部理由になっとらんわ!告白したら返事に拳て!そりゃKタローも引きこもるわ!」

………いや、いやいやいや。返事じゃないぞ。アレはいわゆるひとつの照れ隠しというやつでして。

「いらないから!そんな攻撃的な照れ隠しいらないから!普通に振られるよりキツいわ!」
「………ふ、振った覚えはない……よ?」

そう、そうだ。
あの時は返事なんかする余裕はなかったし、翌日寝不足の頭で学校に来てみたらKタローは休みだったし。
―――それから、ずっとKタローは学校に来ていない。
原衛情報だと家に篭って奇行に走っているみたいだけど。
ああ、そうだ。あたしはKタローを振ったわけじゃないのだ。

「殴った時点で振ったも同然だってヴぁ」

呆れたように溜息をつく原衛。そこに仲居戸が小首を傾げて、

「じゃあ、PちゃんはKタローくんとお付き合いするのー?」

と、独特のどこか気の抜けた口調で言った。
212あたしの名前はハートにDQN(10/14):2008/06/07(土) 02:31:07 ID:jgAjOp5J
 
「………………………………………」

途端、硬直するあたし。
そうだ。告白された時点でもう、付き合うか付き合わないかの二択しかなく、
そして振っていないということは、Kタローが彼氏になるということになるんだ。
Kタローが。あたしの。彼氏に。
あたしの。
P子の?

「………いやぁ、それは」
「なんだ、結局振るんじゃない」
「………うぅ」

Kタローはいいやつだ。……と、思う。
考えてみたら、同じクラスにいながらあたしはKタローのことをほとんど何も知らないに等しかった。
ますますなんでKタローがあたしを好きだと言ってきたのか謎は深まるばかりだ。
でもKタローとクラスの男子とふざけあってるのはよく見る。
無邪気で、楽しそうで、男の付き合いってやつはあたしには時々、すごく魅力的だ。
友達も多いみたいだからヤな性格はしていないんだろう。
そりゃあ人間なんだから長所も短所もあってしかりだろうけど、
それを言うならあたしだってそうそういい娘じゃないし。っていうかP子だし。
あたしは頭を抱えた。どうしよう。
男の子と付き合うなんて、そんな大事件があたしの身に降りかかってこようとは
まさか思いもしなかったからどうしていいかわからない。
ああ、なんてこった。Kタローが学校に来ていないのをいいことに、
あたしはずっとその問題を保留にしてきてしまったのだ。
Kタローはクラスメイトだ。それ以上でもそれ以下でもない。恋人?彼氏?冗談。
あたしは人を好きになるってことがどんなことかもよくわかっていないP子なんだぞ。
そんなあたしが、Kタローの彼女をできるのか―――そんなの、考えてみなくってもわかるってもんだ。
いや、でもなぁ……。

「わからないんだったらさ」

うんうん唸っているあたしを見て、原衛がぼそりと呟いた。

「付き合ってみればいいじゃん。そもそもアンタ、付き合うってよくわからないんでしょ?
 Kタローと付き合ってみて、一度経験してみればいいじゃん。彼女ってヤツをさ。
 Kタロー、あんたを好きだって言ってくれてるわけでしょ?幸せなことだと思うよ。それって。
 それに彼女になったからって絶対キスとかしなきゃなんないってワケじゃないんだしさ。でしょ?赤葉」
「………うーん、てゆーか考えてみたらあたしとクロって幼馴染みだから昔っから知り合いなんだけど、
 ちゃんとカノジョにしてもらったのはえっちしてからなんだよねー」
213あたしの名前はハートにDQN(11/14):2008/06/07(土) 02:31:57 ID:jgAjOp5J
………超不安。
というか、虫も殺せなさそうな顔して何してやがりますかこの女は。
ぽわぽわしてる娘だと思ってたのにヤることはヤってんのかっ!あんまり知りたくなかったよそんな情報。

まぁ、それは置いといて。原衛の言うことももっともだと思う。
あたしだって―――その、何だ。青春のナニガシに興味がないわけじゃないんだし?

「………でも、あたしはP子だしなぁ……」
「だーかーらーさー」

原衛がだぁあ、と天井を仰いで、

「P子だからなんだっていうのよ。あんたはね、ヘンなところで自信なさすぎ。あんたはあんたなんだし、
 そんなイジイジしてたらあんたに惚れたっていうKタローも浮かばれないでしょ?」

死んでない。
それに、自信があろうがあかろうがあたしがP子なのは疑いようのない事実なわけで。

「………あたしがなんでP子って呼ばれてるか、原衛だって仲居戸だって知ってるでしょうが」

P子というあだ名は―――関係ないかも知れない。むしろP子と呼ばれるあたしは、まだP子でいられる。
問題は、あたしが何故P子と呼ばれているのか……そこにあるわけで。
あたしは、自分の名前が嫌いだ。ヘンだし。長いし。言いにくいし。
恋人っていうのは、友達より、もしかしたら家族より、あたしの内側に入ってくる人になるのだろう。
そんな関係の男の子に、あだ名ではなく本名で呼ばれる。
それはあたしの中にあるテンプレート的な恋人関係の行動になっている。
マンガやアニメの主人公に憧れるような、幼い願望とも言っていい。でも、それはきっと大切なことなのだ。
それを、あたしは容認できるのだろうか。
―――あたしは、自分の名前が嫌いだ。

「P子……」
「Pちゃん……」

傍から見たら、きっとつまらないコンプレックス。
でもそれは、あたしが一生背負わなければいけない問題でもある。


『ポンポコピー子』


――――――嫌だな。
214あたしの名前はハートにDQN(12/14):2008/06/07(土) 02:32:30 ID:jgAjOp5J
「P子」

沈んでしまったあたしの愛すべきあだ名を、原衛は強く、呼んだ。

「あんたさ。やっぱりKタローと付き合うべきだよ」

………?
何を言ってるんだろう、原衛は。
そりゃあ原衛にとっては他人事だからいいけどさ。あたしは当事者ですからね。
そうそうお菓子を買うみたいに手軽にはいかないのだ。

「そうじゃないよ。Pちゃん。わかんないかな。Kタローくんは―――」
「赤葉」

何か言おうとした仲居戸を、首を振って止める原衛。
何?Kタローがなんだというんだ。
あたしは気になって、伏せていた顔をあげた。

「大杉」


そこには。

学校をずっと休んでいたはずのKタローが。

まるで、あの日の再現みたいなまっすぐな眼で、あたしを見つめていた。


「………あ、え?」

頭が真っ白になる。
あれ?なんだこれ。幻?いやいや、教室のあちこちからざわざわと声がする。
Kタローだ。本物の。随分と久しぶりだった。やっと学校に来たみたい。
でも、なんで?なんで今。このタイミングで。
いやいやそれはいい。まだ頬に湿布が張られている。ああ、やっぱりあのパンチはいいところに入ったのか。
っていうかこいつ、部屋に篭って滑舌練習してたんじゃなかったのか?それはもういいのだろうか。
Kタローはしばらく無言であたしの顔を見てから、口を開いた。

「俺はお前に殴られてから、考えた。何故俺は殴られたのかと。
 好きだというチープな台詞がいけなかったのか?単純に俺のことが気に食わなかったのか?
 だが俺はお前ではない。答えはわからなかった」
215あたしの名前はハートにDQN(13/14):2008/06/07(土) 02:33:18 ID:jgAjOp5J
以前と変わらない、偉そうな口調。でも、響きが違う。よく通るいい声になっていた。
ホントに家に篭って滑舌練習してたのか。馬鹿じゃないか、こいつ。
というか。
そもそもなんで。なんでKタローは滑舌練習なんかしてたんだ。
まるで、まるで―――。
とてつもなく長くて言いにくい誰かのヘンな名前を、
すらすらと言えるようにするための練習だというかのように。

「そしてこう考えることにしたんだ。俺が殴られたのはきっと、苗字ではなくファーストネームで
 告白しなかったからだと!!そして淀みなく大杉の名を呼べたときこそ、
 大杉の心の呪縛を解き放ち、堂々と胸を張って大杉に好きだと言えるのだと!!」
「エスパーかお前は」

握り拳をつくって吼えるKタローに、原衛のツッコミが入る。
………本当、なんでそんなしあさっての方向に答えが出るのかわからない。
どうなってるんだ、こいつの頭は。
殴られたショックで脳味噌がズレたとしか思えない。殴ったのあたしだけど。
本気の本気でそんなくだらない理由に行き着いて、そんなくだらないことのために学校を休んで、
家に引きこもってアナウンサーも驚きの練習をしていたというのか。
そんなに本気で。
こんな、あたしなんかの為に。

馬鹿じゃないのか。むしろ馬鹿だろう。
でも、それは。今まであたしが知らなかった馬鹿で。
あたしの胸の奥で、不覚にも何かがぎゅぅっ、と締め付けられてしまった。

そしてKタローは言った。あたしの忌まわしい―――両親が長く、幸せに暮らしていけるようにと
願いを込めてつけてくれた、大嫌いな名前を。

「寿限無寿限無五劫の擦り切れ 海砂利水魚の水行末 雲来末 風来末 食う寝る処に住む処
 やぶら小路の藪柑子 パイポパイポ パイポのシューリンガン シューリンガンのグーリンダイ
 グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命の長子」


――――――ああ。
       あたしの名前――――――。


「……俺と、付き合ってくれ」

216あたしの名前はハートにDQN(14/14):2008/06/07(土) 02:34:06 ID:jgAjOp5J
ずっと大嫌いだったあたしの名前。
それが、こんなにも。
心に、響いて。
あたしは―――。


Kタローを殴って、逃げた。


「ええええぇぇぇぇえええぇぇぇぇぇぇえええええぇぇぇぇぇえええ!!!?」

教室中から絶叫があがる。
あたしの拳は違うことなくKタローの湿布の上、つまり前回殴った場所に食い込み、
Kタローの顔面を陥没させたかと思うと一気に弾け飛んでKタローを身体ごと吹き飛ばしていた。
Kタローがくるくると綺麗に回転して机の列に突っ込んでいく。
それを最後まで見届けることなく、あたしは走り出した。

「ちょ、ぴ、P子!?むしろポンポコピー子!!」

後ろから原衛の焦ったような声が聞こえた気がした。
でも気がしただけだ。今のあたしにはそんなことに構っている余裕はない。
胸が熱い。顔が熱い。
身体中、火照って仕方がない。
なんだこれは。なんなんだこれは。猛烈に恥ずかしい。苦しい。
でも、嫌じゃない。それがまたわからない。

あたしは走った。
きょとんとしている生徒たちを、教師たちを追い越して。
あたしは走った。
どこへ向かっているのか、ぐちゃぐちゃの頭ではわからない。

「胸が熱いのは走ってるせい……!顔が熱いのも走ってるせい……!」

そう自分に言い聞かせ。
どこまでも、あたしは走った。



              あたしの名前はハートにDQN〜新ジャンル「DQNネーム」青春伝〜 完

217名無しさん@ピンキー:2008/06/07(土) 04:40:50 ID:YQsYUHbN
素晴らしいwww
GJ!
218名無しさん@ピンキー:2008/06/07(土) 05:22:12 ID:6UT8n4bL
いいなあ!歌舞伎十八番・外郎売まで引用したことに感動。
何かエロゲネタ板のハイテンション妹思い出しちゃったよw
219名無しさん@ピンキー:2008/06/07(土) 21:58:59 ID:uWW4Fbf5
何と言うGJ!!!!!
220名無しさん@ピンキー:2008/06/08(日) 09:43:55 ID:gbH4sWxx
何の意味もなく名前を音読したのは俺だけでいい
221名無しさん@ピンキー:2008/06/08(日) 10:37:43 ID:qVPUlj0T
ぐわーーーーーーーーーっ!
先に14/14をうっかりみてしまった俺のバカバカバカバカ!
だけど構成が効いててGJです!
エロシーンが無いと青春編になるのねw

そしてここに来て今迄の登場人物が!
流れは学園ものなのか!ww
222名無しさん@ピンキー:2008/06/08(日) 23:01:50 ID:oSuT0OWr
男「うっ・・・もうすぐ出すぞ!女」

女「うんっ、ああん!きてぇ、きてぇ!」

男「でっ、出るっ!外に出すからな!」

女「キング・クリムゾン!私以外の時間は消し飛び、行動の結果だけが残るッ!」

男「おおっ!ふー、出たで・・・なぜだッ!俺は抜いたはずだッ!」

女「ふふっ、男くんと私の赤ちゃん///」

男「お前!時を飛ばしたなッ!」
223名無しさん@ピンキー:2008/06/08(日) 23:03:43 ID:mdNsiCwy
なんつー使い方してんだwwww
224名無しさん@ピンキー:2008/06/08(日) 23:05:02 ID:oSuT0OWr
新ジャンル「ディアボロ」
225名無しさん@ピンキー:2008/06/08(日) 23:12:10 ID:McxpR16f
男「女、今日もするか?」
女「……うん♪」
男「今日もたっぷり可愛がってやるからな」
女「うーんと気持ちよくしてね」
男「じゃあ、どこでやる?」
女「……うーん……やっぱりあそこがいいなっ」
男「えぇ〜? またあそこか?」
女「嫌なの?」
男「いや、別に嫌じゃないけどさ」
女「じゃあ、決まりっ♪」
男「けど、なんであそこでするの好きなんだ、女?」
女「だって、汚れても大丈夫だし、すぐに洗えるし」
男「そりゃそうだな」
女「浸かってやると……なんだか凄く温かくて気持ちいいし、ね」
男「ははは」
女「じゃあ、早速やりましょ♪ 待っててねー、愛しのお風呂ちゃ〜ん♥」





新ジャンル「ディア風呂」
226名無しさん@ピンキー:2008/06/08(日) 23:16:07 ID:PS+jE9gK
俺、キングクリムゾンの能力をいまいちわかってなかったんだけど
今言葉じゃあなく心で理解した
227名無しさん@ピンキー:2008/06/08(日) 23:18:43 ID:oSuT0OWr
男「ハァハァ・・・かわいいなぁ、この子・・・むしゃぶりつきてぇ・・・」

男「ハァハァ・・・もう出ちゃうぜ・・・よーし、この子に決めた!」

男「うおおおおおお!ハァハァ・・・でっ」

女「キング・クリムゾン!私以外の時間は消し飛び、行動の結果だけが残るッ!」

男「出るーーー!・・・ってありゃ?射精感が・・・うおッ!グラビアに俺の精子が飛び散っているッ!」

男「いきなり賢者タイム突入だとッ!何処だッ!何処にいる、女ァ!」

新ジャンル「ディアボロ」
228名無しさん@ピンキー:2008/06/09(月) 17:18:13 ID:wQU0De4Z
>>227
男「女ッ!貴様、見ているな!」
229名無しさん@ピンキー:2008/06/09(月) 20:18:43 ID:y3x4efjO
>>227男「女ァ!!俺は童貞を捨てるぞォォォ!!」
230名無しさん@ピンキー:2008/06/09(月) 23:28:38 ID:5H7YRVyh
素直ヒートは静かに暮らしたい
231名無しさん@ピンキー:2008/06/11(水) 02:54:44 ID:rHQIO0vD
女『震えるぞハート!燃え尽きるほどヒート!』
232名無しさん@ピンキー:2008/06/11(水) 07:04:37 ID:0N8PgxLd
姉「あー疲れたー」
弟「姉貴」
姉「おー、弟よ。ただいまんこ」
弟「おかえりんこ………ん?」
姉「………」
弟「………」
姉「まんこ!」
弟「うっさい!」

新ジャンル「姉自重」
233名無しさん@ピンキー:2008/06/11(水) 07:07:47 ID:0N8PgxLd
姉「弟ー、風呂上りのお姉ちゃんにビールを出してくれないかい」
弟「そんくらい自分でしろよ……って姉貴、全裸で歩き回っちゃいけません!」
姉「いいだろー別にさー」
弟「恥らえ!」
姉「なんだ、弟。欲情したか?」
弟「するか!」
姉「しろよ!!」

新ジャンル「姉自重」
234名無しさん@ピンキー:2008/06/11(水) 07:14:26 ID:0N8PgxLd
弟「まったく、ウチの姉ときたら……ブツブツ」
姉「ひゃー、仕事帰りの風呂上り。冷えたビールが身体に染みるゥー」
弟「オッサンかよ」
姉「ときに弟。晩酌に付き合わない?」
弟「付き合わない!」
姉「えー」
弟「えーじゃない」
姉「でも、もう注いじゃったし」
弟「コップ、一個しかなかったろ……ってオイ!」
姉「さあ飲め!必殺わかめビール!!」
弟「カーペット汚すなよなー、もう」
姉「説明しよう!わかめビールとはッ!こう……正座した状態でできるふとももの」
弟「いらんわ!!」

新ジャンル「姉自重」
235名無しさん@ピンキー:2008/06/11(水) 07:33:35 ID:0N8PgxLd
姉「弟よー」
弟「なんだよ姉貴」
姉「彼女いないの?」
弟「いないよ」
姉「チッ」
弟「なんだよ」
姉「『昨日一緒に歩いてた女のひとは誰なのよ!』『あ、姉貴だよ!』
  『嘘吐き!あたし、キスしてるの見たんだからね!』ごっこはまだできないか……」
弟「うん、最後のセリフちょっとおかしいよね」

新ジャンル「姉自重」
236名無しさん@ピンキー:2008/06/11(水) 07:49:31 ID:1NJWS19R
姉自重wwwwww
237名無しさん@ピンキー:2008/06/11(水) 12:29:45 ID:hHrshKfp
(夜道、一人で帰宅途中の私に突然襲いかかって殴る蹴るの暴行を浴びせる
抵抗する気力を失わせ心も身体もボロボロになった私を無理矢理レイプ
処女膜を破瓜され激痛で失禁した私の映像を撮り誘拐監禁。
その様子をネットに流しレイプしたい奴を全国から募り全員一回ずつ中出しさせる。
私が俺君の名前を叫ぶが日に日に弱っていく姿をビデオに収め俺君に贈る。
お腹が大きくなり墜ろせなくなったら私を中国やタイの路上で全裸で縛り付け放置。そんな……)

俺(おいっ起きろって)

内気「…あ……なに」

俺「授業当てられるぞ」

内気「…すみません」

新ジャンル「内気な子の妄想」
238名無しさん@ピンキー:2008/06/11(水) 19:54:59 ID:DFZ/Tc2P
「どう見ても内気じゃねえええええwwwww
 しかし、姉自重も素晴らしいなw
 ここで逆転ホームラン!
 たまたま続けて投下されたこの二つを組み合わせた、
 内気な姉自重を誰か一つお頼み申す!」


新ジャンル「俺自重」
239名無しさん@ピンキー:2008/06/11(水) 22:23:48 ID:4gBTOozr
取り合えずこのスレには波紋使いとスタンド使いと自重しない人間が多い事は解ったw
240名無しさん@ピンキー:2008/06/12(木) 10:07:13 ID:MYeZRZBf
>>237
妄想過激だな
241名無しさん@ピンキー:2008/06/12(木) 10:07:47 ID:MYeZRZBf
>>237
妄想過激だな
しかも自傷的な妄想がまた
242名無しさん@ピンキー:2008/06/13(金) 03:18:38 ID:21JMr2tS
女「はー・・・男くん・・・」
女友「どうしたの?」
女「1組の男くんかっこいいなぁって・・・はふー」
女友「御三家か・・・アンタ勝ち目ないよ?」
女「御三家?」
女友「そう。同学年の男くん、俺くん、学年下の弟くん合わせて御三家」
女「あー、モテるもんねぇ・・・」
女友「やめときなって。ただでさえ、1組は美人の集まりなんだし。それに、男くんには三柱の護りが付いてるからね」
女「三柱のまも・・・り?」
女友「ツンさんでしょ、クールさんでしょ?あと、ヒートさん」
女「ミス学園の1位と2位・・・」
女友「そ。周りにはいつもその誰かがいるから、誰も近づけないし」
女「んー・・・」
女友「アンタもかわいいと思うけど、1組の奴らはもはや人外の集まりじゃない?」
女「うー、確かに理解できない趣味の人とかいるもんねー」
女友「1組ほどじゃないにしても、2組、3組だってそれに近しいものがあるから近づきにくいし」
女「女友ちゃん、詳しいね?」
女友「あー。私も、御三家に一度は恋しちゃったからね」
女「えっ!そうなの!?」
女友「男くんは三柱の護りが居た時点で諦めたし、俺くんには親衛隊いるでしょ」
女友「弟くんなんて、三年生と付属中学にファンクラブがあって、告白しようものなら呼び出し食らっちゃうもん」
女「ふーん・・・」
女友「ま、私たちは普通の恋しよ?その方が傷つかないって」

新ジャンル「神格化」
243名無しさん@ピンキー:2008/06/13(金) 21:08:05 ID:aCAfQ1tr
新ジャンルたちがオナラをしたようです

ツンデレ「わっ、わたしじゃないんだからねっ!」
男   「………ふぅん?」ニヤニヤ
ツンデレ「なっ!なによっ!しっ、仕方ないでしょ!生理現象なんだからっ!」
男   「わかってる、わかってるって。ほらほら、力むとまた」



ツンデレ「〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!!////」
244名無しさん@ピンキー:2008/06/13(金) 21:22:28 ID:aCAfQ1tr
新ジャンルたちがオナラをしたようです・素直クール編

女「ああ、すまない。わたしだ」
男「ん」
女「男の前ではしたない、と思う一方、それだけ男に心を許してしまっている現われだと思うと
  感慨深いものがあるな。ああ、知っての通りわたしは人見知りが激しい方でな。
  家族以外の人間と一緒にいて気が休まるということは今までになかった経験だ。
  そういう意味ではキミは既にわたしにとって家族のようなもの、生活に、いや人生に於いて
  最も身近に感じる者の一人になっているのかも知れん。だが反面、女性としての奥ゆかしさは
  持ち合わせておきたいとも思う。特に、キミの前では。難儀なものだよ」
男「……っていうかオナラひとつでそこまで語るか」
女「……照れ隠しだ。察してくれ」
245名無しさん@ピンキー:2008/06/13(金) 21:29:22 ID:aCAfQ1tr
新ジャンルたちがオナラをしたようです・素直ヒート編

女「うぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
男「うっさいうっさい。何だよ一体」
女「聞いたか!?」
男「オナr―――え?何を?」
女「とぼけるのが遅いぞ男ぉぉぉぉぉぉおおおお!!!!」
男「うわ、悪かった。悪かったってば。っていうか別に気にしないぞ俺は」
女「そうじゃないッ!そういう問題じゃないんだぁぁぁあああ!!!!」
男「ヒート……そうか、お前にも人並の恥じらいというものが」
女「あんな小さな音しか出ないなんてッ!不覚ッッッ!!!!」
男「そっちかよ!!」
女「聞いてくれ男!わたしの実力はあんなものじゃないんだッ!
  今度は町中に響き渡ろうかという立派な音を出してみせるッッ!」
男「いいよ別に!そこ頑張らなくていいよ!」
女「うぉぉぉぉおおおおおお!!次こそはッ!次こそはぁぁぁぁぁああッッ!!!!」
男「……ヒートは元気だなぁ」
246名無しさん@ピンキー:2008/06/13(金) 21:53:22 ID:aCAfQ1tr
新ジャンルたちがオナラをしたようです・内気な子の妄想編

俺「ん?なぁ、なんか臭くね?」
友「……お前か」
俺「違うわ!」
友「諦めろ。この世には『いいだしっぺ』という言葉があってな」
俺「俺は無実だー!」

女(もし……わたしだってバレたら……)


俺『なんだオイ、臭すぎるだろ。なに食ってんだよお前』
友『はっはっは!鼻が曲がっちまうわなぁ!オラ、今度から人間様と間違えないように
  ケツにガス袋って書いといてやんよ!』
俺『分別はちゃんとしなきゃだもんなぁ!』
友『おーおーキレーなピンク色のケツ穴だこと。こっからあんな臭い屁が出たのかぁ?』
俺『オイ、しまりのねぇガス袋にゃあちゃんとフタしておかないとな!』
友『そりゃいいや。まさに臭いモンにゃ蓋ってなぁ!』


女「や、やだぁっ!そんなの入らない……入らないからぁ!」

友「え?何が?」
俺「……俺じゃないのに……」
247名無しさん@ピンキー:2008/06/14(土) 01:01:52 ID:Iy83n125
糞ワロタ
そして既に素直ヒートじゃねぇ、ヒート馬鹿だwww
248名無しさん@ピンキー:2008/06/14(土) 01:06:24 ID:eFHxrkBb
>>179
ごめんよ おそくなったけど、投下

自分の胸元にしなだれかかる少女。
彼女を包んでいたバスタオルは滑り落ちており、生まれたままの姿を少年の前に晒している。
『魔性』『妖艶』…。
男の級友たちの多くは彼女をそう評するが、その抗いがたい魔力は春樹の理性を蝕んでいた。
…しかも、つい今しがた、彼女の本心を打ち明けられた。
朴念仁の春樹と言えど、彼女に対して愛おしさを感じ、夕圭の肩に腕を回す。
濡れた髪の感触に、シャンプーの香り。
「…黒田。」
「ん〜、50点。…どうせなら、夕圭って呼んで欲しいな。」
しかし、その瞳は愛情と信頼を湛えており、春樹は引き付けられるように黒田夕圭を抱き寄せる。
「…夕圭。」
承諾の返事として微笑みを浮かべ、目を閉じる夕圭。互いの唇が触れ合うまで残り5cm…。
そんな彼らの動きを止める電子音…。携帯電話の着信音のようだ。
「ご、ごめんね。少し待ってて。」
「あ、ああ…。」

あまりにタイミングが悪い…。内心毒づきつつ電話に出ると…。
『ゆかさん!どこにいるのですか!?おなかすきました!!』
…正直、吃驚した。囲炉裏の姿が見えなかったからこそ公園に出向き、これまでの騒ぎに巻き込まれたというのに。
『ど、どこって?…真智ちゃんこそ、どこに居るの?』
『居間でずっと待ってます!!なのにもう、ごご2じをまわってます!!はやく、おひるごはんたべたいです!!』

ため息と共に携帯電話の通話モードを解除する夕圭。
そして、申し訳なさ気な表情で、事情を春樹に告げる。…若干の脚色を加えて。
「…真智ちゃんからよ。
 熱も落ち着いて、ずっと寝てたから張り付いている必要はないかなと思って出てきちゃったけど…。
 お腹空いたってご立腹だったわ。」
真智子の体調が復調したためか、それとも良い雰囲気に水を差されたためか、軽くため息をつく春樹。
「そうか……。喜ばしいけど…何か残念な気もするな。」
どうやら、両方だったようだ。
「ふふふ。…きっと、子供に夜泣きされたらこんなのだよね。」

その、夕圭にとって何気ない一言は春樹にとって大層な衝撃だったようで…。
「…子供って…お前。」
その一言に、自分が何を言ったのかを改めて思い知る夕圭。
「…あ。」
…まるで、結婚後に子作りの相談をしている夫婦の話題そのものではないか。

お互い赤面しながら見詰め合っていたが、やがて夕圭が告げる。
「…ごめんね、春樹くん。先に帰るわ。」
「ああ、囲炉裏をよろしく頼むよ。お母さん。」
珍しい春樹の冗談…。…もっとも内容は、彼を慕う少女達…特に通い妻を自認している少女は憤死しかねないものだが。
「…もう。本気にしちゃうわよ、お父さん?………続きは帰ってからしましょ。
 あ、そうだ。…ルカちゃんもちゃんと迎えにいってあげてね?…お兄さんとして。」
『あと一歩だったけど…。…まぁこれでルカちゃんの願いは果たせるからいっか。』

夕圭の身支度も、それから5分とかからなかった。
やがて、少年と少女は部屋を後にする。

新ジャンル「夕圭 撤退」新醤油学園野望編
249名無しさん@ピンキー:2008/06/14(土) 01:07:09 ID:eFHxrkBb
「理菜!!止まりなさい!!」
「止まれと言われて止まる人なんて、TVの中にしかいないわよ!!」

春樹の昏倒直後から続く、デッドヒート。
しかし、10分を過ぎた辺りから趨勢は決まりつつあった。
春樹とのデートという事で、おめかしに気合を入れてきたルカ。
お気に入りのワンピースにヒールが高めのミュールは、少なくとも運動に向いた格好ではない。

対する理菜の方は殺る気満々な格好。
黒の革ツナギ、靴も軍用の無骨なブーツ。
装備の差は決定的な戦力差となり、加えて煙球を使用した理菜は辛うじて逃走に成功する。

「…何なのよ、一体。」
残されたルカ…。これでもかという程に落ち込んでいる。
折角、兄の春樹に勇気を振り絞って告白したのに、返事の前に昏倒され、その元凶(と勘違いした)理菜には逃げられた。
気に入っていたワンピースも、理菜を追って茂みに突っ込んだ際に破れてしまったし、挙句にはミュールの踵も折れてしまった。

そんな傷心の彼女がたどり着いたのは、公園の端にある展望台。
「そういえば、ここって…。」
初めてここに来たのは、幼稚園の時…。
はしゃぎにはしゃいだ末に迷子になったルカ。この高台で一人で泣いていた時に、兄が向かえに来てくれた。
その当時から、誰よりも優しかったハル…。

…ハルと二人で遊びにきたはずなのに。…なんだか泣きたくなって来た。
涙で視界がぼやけかけたが、大きく呼吸することでどうにか堪える。
…そんな中、聞きなれた想い人の声。

「ルカ、ここに居たか…。」
「ハル!?」

やがて、春樹の手が、ルカの手を包み込む。
思わず顔を赤らめているルカに、普段どおりに話しかける春樹。

「…帰るか。」
「…うん!(…ハルから手を握ってくれたの、何年ぶりだろ。)」

往路と同じく、仲睦まじく帰路を進む兄妹。
「えへへへへ。」
春樹の腕を抱きこみ、彼の肩に頭を預けるルカ。
「随分とご機嫌だな、ルカ?」
「…だって色々あったけど楽しかったから。誰よりも好きなハルとのデートだったんだし…ね。」

頬を染めて答えるルカと対照的に、見る見る顔が青ざめている春樹。
『ゆ、夢じゃなかったのかよ!?』
改めて自分の置かれた環境を思い知る春樹。
理由はわからないが、自分に思いを寄せる少女は名乗り出ただけで3名…。
…憩いの我が家も、戦場になる日は遠くなさそうだ。

新ジャンル「総合公園の死闘 終結」新醤油学園野望編
250名無しさん@ピンキー:2008/06/14(土) 01:07:43 ID:eFHxrkBb
木陰に身を潜め、乱れた息を整えている少女。
「ふぅ。やっと撒けた…。…ルカ、あんな格好なのに油断できないわね。」
今回の騒動の黒幕、遠山理菜である。

「…さて、春くんを回収しないと…。」
呼吸と心拍数が正常に収まったところで、次の行動を開始する。
急ぎ、池のエリアまで戻る理菜。あとは黒田夕圭を血祭りに上げて、ジ・エンドである。
しかし、彼女を待ち受けていたのは、恋焦がれる相手ではなく、敵だった。…それも黒田とは別の。
「あれ?これはこれは、役立たずな豆田姉妹の片割れさん。撤退したんじゃなかったの?」
「……言ってくれる。その作戦時刻に遅刻した役立たず以下の貴女が…。」
「………喧嘩、売ってるのかしら?是非、喜んで買わせてもらうわ。」
「……覚悟!!」
双方飛び退き、一瞬後に飛び交う弾丸と飛び苦無。
…春樹たちの去った公園にて、激戦のエキストララウンドが始まった。

一方、回収されずに放置されているトウバンジャンこと豆田陽子。
そんな彼女に忍び寄る一人の影…。
「おや?これは、生徒会長さんじゃないかい?」
新任の女美術教師の千所舞。
「こんな所で寝ていると風邪を…。…いやまて。…これは意外と絵になる。」
豆田陽子…。
割とぶっ飛んだ言動や行動で名を轟かせている彼女だが、豆田貴子の姉だけに人形のような整った容貌であることはあまり知られていない。
白く、きめの細かい肌に長い睫毛。やや小柄な身体が横たわっている場所は、クローバーの絨毯に紫陽花の日傘。
意を決した舞は、やがて筆を走らせる。

後に彼女が日展で発表した作品。
この絵に描かれた眠れる美少女が誰なのか、新醤油学園内で話題となったとかならなかったとか。

新ジャンル「残された者たち」新醤油学園野望編
251名無しさん@ピンキー:2008/06/14(土) 11:09:53 ID:zwBttc4k
友「無人島に三人の若者がいます、彼らは島から脱出する為に船を造りました。しかし船には二人しか乗れません、あなたならどうしますか?」

俺「お前を置いて先に逃げる」
友「えっそれ酷くね?」

内気「私なら・・・」

俺『おい、助かりたかったらこれから一か月性奴隷な』
友『性奴隷ってのはな拷問、拡張、剃毛、中出し、何しても良いって意味だけどご存じ?』
俺『あれぇ?もしかして初めてだったの?性奴隷ちゃん』
友『後ろの穴も初めて?そりゃいい、試しがいがある』

二週間後

俺『二人しか乗れないってことは一人殺して乗せればいいんじゃね?』
友『じゃあお前上半身、俺下半身な』
俺『悪いけどそういうことで』

内気「・・・あれだけ尽くしたのに……殺すなんて」ポロポロ

俺「何泣いてんの?」
252名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 08:40:00 ID:bwqIXJU6
醤油学園は転機を迎えたっぽいな
はるくんがどういう選択をするのか期待

そして内気妄想は自重しろw
253名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 09:45:18 ID:c47Os2FI
内気妄想、なんか病んでるな

だがそれがいいw
254名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 11:31:49 ID:NOcyH2km
エロ パロだからな
内気もアリ
255名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 16:05:47 ID:AVosgSS6
深夜の繁華街、良い子は出歩いちゃマズい時間。
いい年の痴女クール&素直クールな千所姉妹は、屋台のおでん屋で酔っていた。

「ちくしょう………あと少しで、上玉ゲットだったのになー…はぁ…」
「相変わらずだな、姉さんは。気が多いのは感心しないぞ」
「お前こそ恋愛の一つもしてみろ。私の人生は、常に刺激と快楽に満ちているぞ!!」
「姉さんのは恋愛ではない、只の色情狂だ」
「色情狂で何が悪い!!」

どうやら千所姉(校長)は先日の一件で、かなりご不満な様子。
この所、満足できる獲物にありついていないのも拍車をかけている。

「…それに私を、ロボットみたいに言わないで欲しいんだが」
「舞は昔から絵にしか興味が無かったし、どうせ今も変わらんだろ?」
「…私だってもう24だ。気になる男の一人や二人はいる」

ニヤリ

はっと千所妹(舞)が傍らの姉を見れば…

「舞ちゃん〜…姉さんに話してごらん…」
「ね、姉さんのその口調は明らかに面白がっているな!!」
「おほほ。きのせいよ」
「棒読みになってるし!!」


「……なんだ青山春樹だったのか」
「ううう…」
吸った揉んだの末、千所舞は姉へ白状に及んだ。店の親爺が前屈みなのは…気にしない。
256名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 16:07:03 ID:AVosgSS6
「でもな、まだ高一だぞ相手は。男の色気にはまだまだだな」
「どうして姉さんは、すぐ話を下品な方向へ持っていく…」
「仕方ないだろう、私の長所なんだから」
「長所ではない!!」
先程とはうって代わり、妹の方が興奮している。どうやら似たもの姉妹のようだ。

「高一というが、あと十年もすれば立派な男だ!!更にもう十年ちょいでナイスミドルになる!!」
「……あっ!?わ、私はどうして、そんな事に気付かなかったんだ!?」
「……姉さん?」
「今だって中々顔立ちは悪くないし、何より青山先生の息子じゃないか!!結構似てるし!!」
「…もしもし?」
「決めた、決めたぞー!!舞ーっ!!!!」
「な、何よ…」
「私達姉妹で青山春樹を手に入れよう!!」

椅子から立ち上がり、大声で野望を語る千所姉。
「し、しかし私達って…き、共有はちょっと…」
「構わん。舞と青山春樹の二人、まとめて私が可愛がってやるとも!!」
「それは嫌だ!!いろんな意味でー!!orz」
「はははは!!!!明日から忙しくなるぞ!!巧く行けば青山春樹だけでなく、
囲炉裏真智子に四天王、更には青山先生まで………!!」

鼻血を出しながら、目をギラギラさせる姉を見て千所舞が一言。

「姉さん、初めては私が貰うからな」

やはり似たもの姉妹だ。
257名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 16:09:59 ID:AVosgSS6
翌朝のこと。春樹が廊下を歩いていると…
「ん〜、ゴホン…。青山春樹くん。ちょっと…」
「(ゲッ)こ、校長先生…お、お早うございます」
「うん、おはよう」
「い、いつもながら凄い服ですね…」
確かに古今東西、レザーのビキニ上下のみで、校内を歩く校長はただ一人だろう。
「はは、君にそう褒めて貰えるとは光栄だ」
『褒めてねぇよ!!』
心中で突っ込む春樹。
しかし視線はつい…

『こ、校長の胸…黒田以上の大きさ…まさに凶器と呼ぶしか…………!!
しかも、足長いな………あんなに綺麗で白い足なんて……』
『ふふっ、視線を感じるぞ、青山春樹。…しかし見れば見るほど父、青山先生にそっくりだ…
…いかん、濡れてきたな………舞には悪いが味見させて貰うとするか』
両者に沈黙が流れる……がそれを破る者が。

「おーす、春樹ぃ!!…と校長!?…先生……何やって…」
生徒会長、豆田陽子が通りがかる。
「うるさい、トウ…じゃない豆田。あっち行け」
「こ、校長!?いくら何でもその言い方は!!」
「あ、いーよ。校長せんせー失礼します…」
そう言うと陽子は春樹の手を取り、猛ダッシュで逃げ出す。


「ま、豆田!?」
「春樹、あたしを信じて逃げろ!!…今の校長はヤバいぞ!!」
半信半疑の春樹だが、言われるまま走り出す。
残された校長は…
「やってくれる…トウバンジャンめ!!」
ハンカチを噛み締めて悔しがっていた。

はたして春樹と陽子はこのピンチをどう乗りきるのか?


新醤油学園 青春編
「今そこにある危機」
258名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 16:36:48 ID:AVosgSS6
授業開始の鐘が鳴っても二人、いや先導する陽子の足は止まらない。
「お、おい!!豆田!!授業が始まってる…」
「それどころじゃねぇ!!ヤバいんだよ!!」
陽子の声に真剣な物を感じとったのか、春樹は黙って陽子に従う。
いつしか二人は高等部の校舎を離れ、中等部の敷地へと足を踏み入れていた。

「…久しぶりに来たな」
「ん?あ、豆田は持ち上がりで進学したんだっけか。…懐かしいか?」
「まあな。とりあえずここなら大丈夫だろう」

二人が一息を入れたその時。

足下へ短剣が刺さる。

「誰ダ!!」
「……あたしだよ」
「陽子サマ!?…謝々!!」

校舎の陰から姿を表したのは、春樹達と同年代の少女だった。
黒い頭髪を頭の両側でお団子に、切り揃えた前髪と可愛らしい目の少女。
「どうしたネ、陽子サマ……と?」
「ああ。こいつは青山春樹。あたしの連れだよ、レーファ」
「…ヨイ人みたいネ」
「な!?ち、違う…いや違わないが…その!?」
慌てふためく陽子を横目に春樹が尋ねる。
「えっと…青山春樹だ。君は?どうやら豆田の知り合いみたいだが?」
「是。ワタシはレーファ=シラー。レーファと呼んでくださいネ」
「レーファ…さん。君は…中国の?」
「イヤ、中国系カナダ人ネ。陽子サマの家にお世話になってるヨ」
意味ありげに陽子を見るレーファ。
『レーファ!!あたしの正体は黙っておけよ!!』
『オー、陽子サマ。怒ったら台無しヨ、彼氏の前で』
『…くそぉ!!』
259名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 16:38:30 ID:AVosgSS6
「……でどうするんだ?ここまで来て」
「そうだ。レーファ、隠し部屋を頼む」
「?…良いけど、何に使うネ?あと貴子サマにも連絡…」
「いや…貴にも内緒だ。どこから漏れるか分かったもんじゃ…」
「…了解ネ」


「はるくん…どうしたんでしょうか?」
「春樹くんがサボるなんて初めての事だし。何かあったのかしら?」
真智子と夕圭が顔を付き合わせて考えていると、夕圭の携帯が鳴った。
「はるくんですか!?」
「いやメールみたい。誰かしら……!?…」


『四天王へ
トウバンジャン離反。
同行者青山春樹共々捕縛の上、第三会議室へ連行せよ。
コードF by BB 』
痴女クール校長からの指令メールだった。

『どういう事!?一体…!?しかも、コードFなんて最優先事項の…』


一方その頃。
「……やってくれる馬鹿姉が…!!……春樹さんと駆け落ちなんて…!!」
凄まじい勘違いをした中学生が一人、怒り狂っていた。
「…捕まえたら馬鹿姉は渡すとして…浮気な春樹さんは……お仕置き二倍
……なでなでをいつもの四倍(///)に…あと…」

打算高き中学生、その名は豆田貴子。又の名を四天王XOジャンという…

新醤油学園 青春編
「逃亡者と追跡者」
260名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 16:41:31 ID:AVosgSS6
獲物を狩るべく、貴子は行動を起こす。
取り出したるは、ピンクの可愛らしい携帯電話。
貴子が相手を呼び出す。

『お呼びでしょうか?貴子様』
『…姉ともう一人、至急居所を掴みたい…付近を捜索して…』
『了解です。僕一人で構いませんか?』
『…いや、貴方の恋人にも協力を』
『ち、違います!!レ、レーファとはそんな関係じゃ!!』

電話の相手、少年らしき声に焦りが混じるが、貴子は冷静に返す。
『…あれだけ愛されてよくもそんな事を…来月の給料10%カット…』
『ひぃーん!!』


春樹達は中等部校舎のとある教室にやって来た。
「…ここ、普通の教室じゃんか。隠れるのには不向きだろ」
「まあ春樹、黙って見てなよ」
陽子は電灯のスイッチを乱雑に、いやある規則性を持って素早く切り替えてゆく。
すると…

ゴゴゴ…

「こ、黒板が!!し、しかも空洞が!!」
「入るヨロシ、春樹サマ」
謎の中国系カナダ人、レーファに促されて、春樹は黒板の裏、空洞の中へ身を入れる。

「…な、なんだ!?」
そこは六畳程の小部屋、しかし学校にはふさわしくない普通の部屋。
「豆田…この部屋は?」
「説明するとちょいと長いから、また今度な」
陽子は肩をすくめて答える。
「それよりレーファ」
「…ワタシで良ければ探ってみるネ」
「頼む。…校長が一体何を…って分かるが、突然の行動だからな」
「じゃあ、マイダーリンにも手伝って貰うネ」
それまでどこか飄々としていた少女の顔が、微かに赤くなる。
「…勝手にしろ」
「陽子サマ、焼きもちは良くないネ。でも、しばらく二人でしっぽり休むと…」
「…行けっての!!」
261名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 16:43:39 ID:AVosgSS6
「最近番長冷たいなぁ…姿も見せてくれないし」
芝村麻里愛は屋上で一人黄昏ていた。
「コードF発動なんて何を考えてるのかね、あの玲にゃんは…」
校長をあだ名で呼びつつも、麻里愛はしっかりと任務を分析してる。
『大体、陽子が離反なんて悪い冗談よね。なんだかんだで、あの子が一番職務熱心だし』
『となれば安易に任務遂行とは…まずは情報収集から』


「ハル〜、朝御飯頂戴よぉ!!」
ルカが教室にやって来たが、見たのは主のいない机。
「夕圭ちゃん、ハルはどこ行ったの?」
夕圭はかぶりを振る。
「私にも……」
「おかしい…あの真面目なハルがサボるなんて…!!…私探してくる!!」
あっという間に出ていくルカ。夕圭は内心で自問する。
『…どうする…夕圭。春樹くんを取るか、任務を取るのか……?』

さて真智子は。
「…はるくんさがすまえに、まずははらごしらえです!!」
呑気に購買部でお菓子を大人買いしていた。


新醤油学園 青春編
「INTERMISSION」
262名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 23:57:05 ID:bwqIXJU6
チャイナ娘……お主、できるなッ!?
263 ◆MUMUMU4yyk :2008/06/16(月) 02:02:52 ID:C7p9RmaS
瑞穂「インポテンツなのよ、私……」
    まったく予期しなかった告白にまごつく貴子さん。
貴子「ことによると、案外、制服きているせいじゃありませんか?人間には同性愛を拒否する本能があるという噂を……」
瑞穂「インポなのよ、おしっとしっと……」
瑞穂「貴子さん、軽蔑してるでしょう、私のこと」
貴子「軽蔑?まさか外見に異常があるわけではないし、むしろ」
瑞穂「惨めなものよ、裸を見ても感じない。感じないから、見たくない。
   でも女子校の体育なんか、どれもコレも裸だらけでしょう?
   鼻風邪ひいたみたいな気分になってしまうわ」
貴子「気楽でいいですわ。羨ましいくらいです。私なんかいつも自分が色情狂じゃないかと思って、、
    めがねだとかおでこだとか、桜色の大きいリボンだとか……とたんに反応してしまって……」
瑞穂「真面目な話、どちらに手術しようかと……」
貴子「そんなに切実なものなんですか……」
瑞穂「寂しいのよ」


新おとぼく「駄目ルダー」
264名無しさん@ピンキー:2008/06/16(月) 09:48:11 ID:uIW14Irv
〜その頃の番長〜


「…………」
「番長ー、何死んでんだー?」
「死んでねぇ……なんつーか、一人の生徒として、この学校に不安が…」
「周りじゃなくて?」
「内部だ内部……」
「大変だな」
「…部外者はいいなこの野郎。腹立ったからちょっと河川敷来いや」
「ほう、俺に喧嘩を売るとはいい度胸だ」

---------------------------------------------

「…………」
「…………」

「オッス!オッス!」
「アッー!アッー!」

「おう、そこのいい男二人、やらないk…ちょっと待てよー」

(逃げんぞ!!)
(無論だ!!!)

新醤油学園番長編〜河川敷のガチムチ兄貴〜
265前衛と後衛の日(1/11):2008/06/17(火) 03:51:06 ID:ezeFnkzQ
「む!」

リオルの声である。

「むむむむ……」

リオルの唸り声である。

「むぅぅぅうう……う!」

苦しげな、リオルの唸り声である。
眉間に寄せた皺がどんどん濃くなっていき、形のいい眉がつりあがる。
あまりにも力を込めているので眉と眉がくっついてしまいそうなほど。
それに伴いリオルの声も高まっていき、そしてとうとうそれが頂点に達したその時。

「うがぁ―――――――――ッッッ!!!!」

爆発した。
主にリオルの我慢的なモノが。
立ち上がったリオルは肩を怒らせてぐるりと辺りを見回した。
隆起した地盤がそのまま小高い丘になっている、背の低い草で覆われた緑の土地。
暖かな日差しとてくてく歩いている小鳥がやけに平和で、
岩の上には大トカゲの魔獣がぬべーっと日向ぼっこしている。
最近降った雨のおかげで普段より二割増しで生命力溢れるこの場所で、
リオルは胡坐をかき座禅モドキのスタイルで瞑想していたのだった。
しかし少し考えればわかりそうなものだがリオルと瞑想はまったく相性が合わなかったらしい。
彼女の瞑想は時計の秒針が一回りするかしないかの間しかもたず、奇声と共に中断と相成ったのだ。短っ。

そんなリオルを苦虫を噛み潰したようなジト目で見るのは、蒼い鎧と背中の長剣がトレードマークの勇者。
勇者として振舞うならさらにここに赤いマントが加わるが、普段は別に身につけていない。
町から離れて数十分ほどの距離にあるここで、今日はリオルの鍛錬に付き合っているヒロトである。

「いくらなんでも早すぎやしないか、リオル」
「ダメ。あたしこれダメ。イライラするもん。瞑想。あたしイライラする」
「集中力ないにも程があるな」

ヒロトは呆れたように言った。
そもそも、ヒロトに修行をつけてくれと言い出したのはリオルの方なのだ。

リオルの核(コア)とも言うべき賢者の石が変質し、より『本物』に近い性質を手に入れたと発覚したのは
つい先日のことだ。ジョンは貴重なサンプルであるはずのリオルの賢者の石を見逃し、
生命を優先させたためにその秘密は未だに解明されていないままになっているが、
もちろんそれは賢者の石を諦めたわけではない。ジョンはリューが魔王城書庫から召喚した
魔道書の一部を借りることによって、今まで以上に精力的に研究に励んでいる。
リオルはそんなジョンを見て、自分にも何かできることはないかと思い、
自分の体内にあるという賢者の石をどうにかして制御できないものかと考えたのだ。
その方法として思いついたのがこれ。自己の裡に潜り己を高める瞑想という手段である。
ちなみにヒロトは『なんかそういうの上手そうじゃん』という理由でつき合わされていたりする。

「なんかさー。コツみたいなのってないの?コレ」
「コツ……かぁ。それ以前の気もしないでもないが、まぁ形にこだわることはないんじゃないか?」
266前衛と後衛の日(2/11):2008/06/17(火) 03:52:12 ID:ezeFnkzQ
ヒロトはそう答えた。わざわざ座禅を組んでいたことを言っているのだろう。
『とりあえず形から』という手段ももちろん有効だろうが、瞑想は瞑想であって、
特にこれこれこういうポーズをしなければならない、というものではない。
ようは集中できればいいのだ。それさえできれば、たとえ十字を切って手を組んでも、
剣を正眼に構えていても、ただ目を閉じているだけだって構わない。
ヒロトがそう言うとリオルは小首を傾げて人差し指を顎に当て、

「集中、ねぇ」
「いっそ延々と稽古をしているとかどうだ。リオルはじっとしているより
 身体を動かしているほうがかえって集中できるように思う」
「そうですわね」
「ふうむ……」

リオルは腕を組むと、考え込んだように唸った。

「って、ローちゃん!?いつの間に!」

いつ現れたのか、音もなくローラがリオルたちの背後に接近してきていた。

「……ついさっき、ですわ。リオルさん、勝手にヒロト様を持っていかないでもらえます?
 行方不明になったと思って街中探してしまったではありませんか」
「いやぁ、あははー……」

それでどうして町の外であるこの場所に行き着くのかかなり謎だったが、
乙女ちっくハートの潜在能力が無限だということは万国共通、常識以前の話だ。
そこを深く考えるのは無駄というものだろう。

「俺はモノ扱いか」

ヒロトの呟きは無視された。

「と、ところでジョンは?はかどってた?」

リオルの問いに、ローラは少しだけ眉を下げててゆっくりと首を横に振った。
わかっていたことだけど。リオルはそっか、と肩を落とした。

魔道書を調べて賢者の石に関する手がかりを見つける、というのは
勇者ジョン・ディ・フルカネリの使命のひとつでもある。
魔王と契約してこの世の全ての魔道書が集う魔王城書庫の使用許可を得るという目標は
リューと出会ったことによって達成されたが、その先、つまり実際に魔道書を調べることとなると、
これがジョンにとって大きな落とし穴だったのだ。
魔道書というものは、本それ自体がひとつの魔術式に等しい。形のある魔法のようなものだ。
魔法とは術師のマナを消費し、この世に奇跡を体現させる。その法則は魔道書も同じなのだ。
魔道書は読み手のマナを喰らう代わりに、記録されている知識を、
あるいは術式を、記憶を、叡智を、幽世の理を読み手にダウンロードする。
ジョンはリューの協力によって―――リューはかつて絶命したアルラウネのククに即席の蘇生魔法を
成功させた夜のように、召喚魔法を使って魔王城の書庫から魔道書を取り寄せたのだ―――念願の魔道書を
手にすることができたのだが、その魔道書を読むのに必要な魔力とジョンの魔導師としての能力には
残念ながら、大きな開きがあるとしか言いようがない状態なのだった。

まぁ、無理もない。

リューが召喚した魔道書はどれも神代級のシロモノばかり。
魔道国家ユグドレシアの王立図書館、通称『真理の森』でも何冊あるかわからないようなレベルなのだ。
魔王であるリューはそのとてつもない魔力を以って、まるで野菜スープのレシピのような気軽さで
読めるのかもしれないが、魔法使いとしては決して優秀な方ではないジョンが容易く扱えるものではない。
267前衛と後衛の日(3/11):2008/06/17(火) 03:53:11 ID:ezeFnkzQ
悪くすれば魔道書に飲まれ、正気を失ってしまうようなそれらを、
ジョンはリューの張った結界の中で慎重に解析している。
そして作業が難航しているからこそ、リオルはジョンの為に頑張ろうと心に決めたのだ。

「でもなぁ」

リオルはウムムと腕を組んだ。

「正直、どうすればこの賢者の石の秘密がわかるのか、あたしにはさっぱりわかんないんだよねー。
 いや自分のことだってのはよくわかってんだけどさ」
「……まぁ、作った本人にもわからないようなものですからね」

現在わかっているこの賢者の石の性能は、まず魔力を貯蔵できること。そして魔力を解放できること。
この二つはジョンが作った賢者の石にもともと備わっていた機能である。
魔法使いにとっての魔力のサブタンクであり、飲み物を入れておく水筒と変わらない。
だが問題は、その水筒に水が勝手に溜まるようになったということ。
一度に放出する量さえ気を付けていれば、飲んでも飲んでも水がなくならない水筒。仕組みは、謎。

………………………怪しすぎる。

「気持ち悪ッ」
「しかも、それが自分の身体に入っているんですものね」
「とにかく、どうすればいいかなんて誰もわからないんだ。
 なら思いつく限りのことをやってみればいいんじゃないか」

………結局、そこに収まるのだった。


『身は心に通じ、心は真に通ずる』。


その昔、インの国で最強を謳われた拳法家、マスター・リーが残した言葉だ。
身/肉体を鍛えることで心/精神を引き締め、磨き上げられた精神で真/悟りに至るというものらしい。
その拳法家は勉学ではなく拳を極めることによって世の真理に近づこうとしたことで有名でもあり、
没後何百年も経過した今でもなお多くの人から尊敬されている。
イン国が誇る拳法流派のほとんどがその人を源流としているというのだから相当なものだろう。
イン国の人間でなくとも、武道を志した者ならマスター・リーの名は
誰だって人生の内に一度は耳にするほどの偉人である。

「真理云々はともかくとして。自己の能力を把握するのに鍛錬は欠かせないものだというのは頷ける話だと思う。
 どうせ今日はジョンやリューが宿に篭っているから俺たちは暇なんだし、軽く身体を動かしてみるか」
「うん、まぁそっちの方があたしは得意っぽいかな」

リオルは大きく伸びをすると、ぱきぱきと骨を鳴らした。

「で?」

そうして、ヒロトを見る。
ヒロトは頷いて、

「そうだな。ここなら迷惑になることもないだろうし、少しくらい派手に暴れてもいいだろ。
 じゃあ、まずは適当な距離を取って実戦と同じようにやってみるか。相手は俺がするから、
 手加減はなしの方向で構わない。ああ、さっきその辺に魔獣がいたか。
 少しどいてもらうように断っておかないとな」
268前衛と後衛の日(4/11):2008/06/17(火) 03:53:48 ID:ezeFnkzQ
と、すたすた歩き出した。言葉の通じる知能があるとは思えないようなトカゲモドキまで
わざわざ追い払っている辺り、さすが人間と魔族の調和を目指す変り種というか何というか。
と、思ったら案の定襲い掛かられている。しかしヒロトの方も慣れたもので、ひらりと身をかわすと
しっぽを掴んでそのままブン投げた。ひゅるる、と彼方に飛んでいく。まぁ死にはしないだろう。多分。
ちなみに魔獣の棲む土地で勝手に暴れればそのエリアのヌシが怒って外敵と見なし、
排除しに来ることもあるだろうが、気になるこのエリアのヌシとは町に辿り着く途中で既に会っていたりする。

『城亀』の異名を持つヌシ、テラストゥードはその名の通り城ほどもあろうかという巨大な亀の魔獣であり、
背中の甲羅に象がくっついてお盆状の『土地』を支えているような恰好をしている。
性格は大変なのんびりや。十年に三日しか起きていないほど眠るのが好きで、
喋っている間に何度も眠りに落ちてたためにリューがとうとうキレて魔力波で永眠させようとしたほどだった。
まあ最終的に害はないだろうと放っておくことにしたのだが。

「んー、まぁそれはいいんだけどさー」
「……?」

リオルの声を聞いて、振り返る。まだ何かあるのだろうか。
リオルはこきこきと首を回して、

「一撃につき一回!なんでも言うこと聞くとかどうよ?」
「………………?」

ぴっと人差し指を立てた。
ヒロトがイマイチ飲み込めていないのか不思議そうな顔をしていると、
リオルはだーかーらー、と言って続ける。

「ヒロト強いでしょ?そんなことわかってんの。ムカつくけど戦闘力だけは魔王級なんだから。
 そんなのとやりあったってさー、こちとらあんま、面白くないわけ。負けて当然〜みたいになっちゃったら
 鍛錬も何もなくなっちゃうでしょ?だからね?一撃ごとにご褒美が欲しいなってことよん」
「な!」

妙なしなを作って猫なで声を出すリオルに、ローラのツインロールが逆立った。
それはそうだろう。リオルの言っていることは完全なおねだりだ。
お互い歳が一桁の頃からの知り合いであるローラでさえ何度頑張って断念したかわからないような試みである。

「ああ、そういうことか。構わないぞ」
「イエー!」
「な!!」

そして軽く了承するヒロト。なんてことだ。ローラにさえ一度もそんなこと
許したことないのに(単にローラが一度もそういったことを言い出さなかったとも言う)。
灼炎龍時代のリオルの首を刎ねたことで、
最近までリオルはどちらかというとヒロトを仇として敵視していたのではないか?
グリーンドラゴンの鎮静を経て少し打ち解けたかと思えばすぐコレかっ。リオル、恐ろしい娘!

じゃなくて。

「ひ、ひひひヒロト様っ!」
「ん。何だローラ」
「何だではありませんわ!そんな、そんな勝手に決めてしまって!反則ですわ!
 ずるい―――じゃなくて!私も―――じゃなくて!」
「よし、まず落ち着け」
269前衛と後衛の日(5/11):2008/06/17(火) 03:54:30 ID:ezeFnkzQ
ローラは深呼吸するとキッとリオルを睨み付けた。

(おのれ、ですわリオルさん。ジョンさんという者がありながらっ!っていうかライバルは
 目下リューさんだけだと思っていましたのにっ!こんなところに伏兵が!?
 考えてみれば『気に食わないけど気になるアイツ』的ポジションは神話の時代から王道中の王道……うかつ!
 うかつですわ私!無邪気さ故の天然スキンシップはヒロト様のフラグクラッシュでも防げませんの!?
 うう……そんな絶対攻撃を身につけているなんて……羨ましい!羨ましいですわリオルさん!
 そして多分ご本人にヒロト様をどうこうしようという気がまったくないのも逆に腹立たしいですわっ!!)

と、だいたいそんな感情を瞳に込めるもリオルのきょとんとした反応を見るにまったく通じておらず、
あげくこんなことを言い出すのだった。

「ヒロト、ヒロト。ローちゃん入れて二対一ってのはどうよ」
「ん?……んー。二対一、かぁ」
「ケチケチすんなよー。最強の勇者なんだろー」
「……別にそんなつもりはないけど。ま、いいか。ローラ、悪いけど頼めるか」
「え!?わ、私もですか?ですが……」

急に話を振られて、ローラは流石に戸惑った。
直前まで拗ねていたこともあり、そもそもリオルの為の鍛錬なのではなかったけ?

「いいじゃんいいじゃん。ヒロトに言うこと聞かせるのはローちゃんでいいからさー」

雷が落ちた。
愛剣ボルテックを抜きはらったローラが一瞬にして魔力を刃に通わせると、
戦場の指揮官の如く紫電の剣をヒロトに向けて一気に突きつけたのだ。
途端に切っ先からばりばりと稲妻が迸り、こちらにまだ顔を向ける途中だったヒロトに襲い掛かる。
いきなり直撃―――するかに見えた完璧な不意打ち。が、電撃が地面を抉ったのみで
肝心のヒロトはすでにそこから消えていた。ばっと辺りを見回す。
いた。少し離れた丘の上。一足飛びでそこまで移動したのか。
―――まぁ、ローラも別にこんなに簡単に一撃を当てられるとは思っていない。しかし失敗は失敗だ。

「ちっ」
「うわぁ。ローちゃんヤル気満々だね」

三白眼になって舌打ちするローラの変わりようにリオルも引いていた。

「リオルさん。知っての通りヒロト様は一筋縄ではいきませんわ。
 まずなんとかして足を奪いましょう。二人力を合わせれば糸口はある筈ですわ」
「………そだね」

リオルは頷いて、龍の能力を解放した。こめかみに冷や汗が一筋、流れ落ちるのを感じながら。



ローラが当初の目的を完全に忘れて稲妻を纏いながらシャーオラー、とかやっている頃。
町に残っていたリューは何やら一冊の本をぺらぺらめくりながら、しかし何をするでもなく、
腰掛けた椅子をひっくり返りそうなほど傾けてそのままゆらゆらと揺れていた。
今日のリューはずっと宿に篭ってジョンの研究に付き合っているのだ。
といっても実際に魔道書を捲って解析しているのはジョンだけであり、
リューはそれを手伝ったりはせずにこうして半目になって揺れているだけだったりする。
何せこれはジョンの使命であり―――魔術の叡智とは、そうやすやすと伝達できるものではないからだ。
一歩間違えば簡単に意識を持っていかれる。掌に小さな種火を灯すような下級の魔法じゃあるまいし、
魔王の書庫を漁るのならばそれが当然なのである。ジョンも無論、それを承知でリューに協力を要請したのだ。
270前衛と後衛の日(6/11):2008/06/17(火) 03:55:22 ID:ezeFnkzQ
だからリューができるのはこうやって結界を張って、外に被害が出ないように工房を作ってやるだけ。
それから―――。

『SSSYUGURRRRRRRRRRRRRRRRッッ!!!!』
「っく、リ、リューさん!!」

ジョンが高く声をあげる。
目を向けると宿の一室がびゅごう、ごおう、と黒い大風で逆巻いており、
魔法陣の中心で倒れているジョンの背中から、
めりめりと音を立てて得体の知れない化け物が顔を出そうとしていた。
ジョンの足元に落ちている本は『レメゲトン』。存在が知れればすぐにでも専門の神官や魔導師が
回収に駆けつけるであろう第一級禁書だ。内容は主に悪魔召喚であり、
マナを仮想物質(エーテル)に変換して形を与える、高度な使い魔使役の呪法である。
今起こっているのは暴発である。魔道書に飲まれてどこぞの悪魔でも召喚してしまったのだろう。
もちろんこれは失敗であり、放っておけばジョンは悪魔に内側から身体を引き裂かれ千切れて死ぬ。
リューは溜め息をついた。ぱたん、と読んでいた―――眺めていた本を閉じる。
そのタイトルは『恋するオーラ』。巷の若い女の子に人気だというつまらない恋愛小説である。
そしてがちがちと牙を鳴らしている悪魔に手をかざし、

「―――五乗封印」

それだけ、呟いた。
途端、この世に生まれ出でようとしていた悪魔の黒い身体がぎしっ、と止まる。

五乗封印。

相手の四肢と首に魔力の刻印を刻み、自由を奪ってしまう『緊縛』の上位魔法である。
かつてクルミというクノイチがヒロトを拘束した術で悪魔を封じ込めたリューは
そのままツカツカと悪魔に近づくと、呪縛を解こうともがいているその顔面を思い切り踏みつけた。

『MUGYUッッ!!?』

そのままぐりぐりと踏みにじって悪魔を強制的に送り返す。
悪魔の姿が見えなくなると、リューは倒れて息を荒げているジョンに声を掛けた。

「……無理しすぎではないのか」

ジョンは顔面蒼白、汗まみれでぐったりとしているものの意識ははっきりしているのか、
視線だけでリューを見上げてぎこちなく笑ってみせる。

「……すみません。また、失敗してしまいました」
「まったくだな。傍迷惑なものだ。引き際を見誤れば死ぬ以上の苦しみが襲い掛かってくると教えただろう」
「……リューさんも、同じような目に?」
「馬鹿を言え。我こそはリュリルライア。あらゆる魔と闇の頂点に立つ魔王だぞ。我にとっては
 ネクロノミコンだろうが黒い雛鳥だろうが四神天地書だろうが、野菜スープのレシピと変わらん」
「………すみません」

―――魔道書に飲まれるということは、魔道書よりも術師の格が劣るということ。
職人の世界ではしばしば道具と自分の力量が合わないことを『道具に使われる』というらしいが、
そんなものでは済まされない。文字通り『道具に食われる』のが魔導師なのだ。
そして術師の血肉を喰らって実体化した『魔道』はそのまま外の世界に解放され、
様々な災厄を引き起こす―――世に言うマージハザードというヤツである。
かつて渇きの国で外道魔導師が国中のマナを吸い尽くし枯渇させるという事件があったが、
それも例のひとつに数えられるだろう。ともすれば世界の崩壊を招きかねない、
聖堂騎士団や勇者にしか対応のできない文字通りの『災害』である。
271前衛と後衛の日(7/11):2008/06/17(火) 03:56:09 ID:ezeFnkzQ
 
今呼び出されようとした悪魔も同じ。それも、それこそヒロトやブレイズのような
戦闘特化型の勇者が聖堂教会の命を受けて処理に現れるような掛け値無しのバケモノだ。
……それをあろうことか踏んずけてあっけなく追い払っしまったリューはやはり、
少女の姿をしてはいても人間とは天と地よりも隔たりがある存在だといえよう。

ジョンが素直に謝ったのを見て、リューははぁ、と溜め息をついた。

「そこはツッコむところだぞ、ジョン。我に料理のレシピが扱えるものか」
「……はは、そうですね」

リューには珍しい自虐的なジョークにも、ジョンは渇いたように笑うだけだ。
そんなジョンを見下ろして、リューはまた深く溜め息をついた。
ひょい、と紙屑でも拾うかのような調子で魔法陣の上に落ちているレメゲトンを拾い上げると、ぱたん、と閉じる。
そしてそのまま放っておけば町中の人間を皆殺しにしたであろう悪魔を召喚した魔道書は
魔王の手の中で光の粒子となり、消えた。―――送還されたのだ。
それからリューはしっちゃかめっちゃかに散らかった床の上のモノを乱暴に足で除け、すとん、と座り込んだ。

「いいのか」

そして、それだけを訊く。
なんのことです?ととぼけることもできない。『こんな無茶をしていていいのか』とリューは訊いていた。
ジョンは、その問いに答えるまでも無いと思った。ジョンには、リオルを殺すことはできない。
しかしラルティーグを裏切ることもジョンにはできなかった。勇者という名の希望はそんなに安いものではない。
なら、自分のこの身体を張るしかないじゃないか。ジョンはそう思っている。
しかし、リューは首を振った。

「―――ならば、せめてこの事態をリオルに話すべきではないのか」
「………………」
「リオルは貴様がこうして死にかけていることを知らん。魔道書の解析に手間取っているといっても、
 せいぜい魔力切れで倒れるとかその程度だと受け取っているだろう。ジョン、貴様がそう見せているのだからな」

実際は、違う。
さっきの悪魔召喚のように、一歩間違えれば大災害を引き起こすような
術式を―――ジョンのスペックを遥かに超越した無茶を繰り返している。
ハイリスクハイリターン。だが余りにも分の悪い賭けだった。
それでもリオルの前ではなんでもないように振舞って、それを隠しているのだ。
リオルに心配をかけたくない。
その一心で。

「ヒロトさんを引き摺っていった、リオルの顔を見ましたか」
「ああ」
「修行を付けて貰うんだそうです……また無茶を言っていなければいいですが」
「言っているだろうな。まず間違いなく」
「はは」

無邪気なリオル。だが、ジョンが死を賭して魔道書に挑んでいると知ったら、
今のように変わらず笑っていられるだろうか?
ジョンは思い出す。リオルの胸に埋め込まれている賢者の石が進化したと告げたあの日、
リオルは震えながら、自分の生命を差し出すと言った。
その顔を、ジョンは忘れない。

「惚れた女の笑顔を守る―――か。難儀なものだな。お前も」
272前衛と後衛の日(8/11):2008/06/17(火) 03:57:10 ID:ezeFnkzQ
「こう見えても男の子ですからね」

ニッと歯を見せる。さっきの自虐ジョークのお返しだ。リューは苦笑した。

「……それに、秘密はお互い様でしょう。リューさん」

だが、続けてぽつ、と呟いた声に、リューは身を硬くする。
未だ倒れたままのジョンを見た。ジョンは床に頬をつけ、手足を不恰好に折り曲げた体勢のまま、
それでもまっすぐにリューを見つめている。
リューは目を逸らし、とぼけた。

「なんの話だ」
「神は世界を創り、魔王は世界を破壊する―――裏表の存在なら、神にできることは魔王にもできる。違いますか」

突然、話が飛んだ。飛んだ?違う。それはリューがまだヒロトに話していない、隠していることの中心だった。
それでも、リューは目を逸らしたままだ。

「……なんの話だ」
「お互い様、という話です。ボクはリオルとの関係が大切だから、こうやって倒れていることを秘密にしている。
 貴方だってそうでしょう。貴方がその気になれば、ヒロトさんを自分のものにすることは簡単なはずです。
 でも、それでは貴方の大切を壊してしまう。だから、秘密にしている―――」
「………………………」

リューは、いや魔王リュリルライアは答えない。
だが、冷たく燃えるその瞳が、『余計なことを知ってしまったのか』と問いかけていた。

「―――憶測です。ボクが観た限り、そして今までに得た知識で解釈した限り、そういう結論に達しただけのこと。
 だからリオルには秘密にしておいてくださいね。ボクがこうやって、死にかけていることを」

リューは目を閉じると、また深い溜め息をついた。

「……魔王を脅迫するか。太いヤツだ」
「こうでもしなきゃやっていけませんよ。人間なんて」

ジョンは苦笑した。
その時、ずずん、という地響きが遠くの方で起こり、窓ガラスがびりびりと震えた。
町の外だろう。煙が幾筋か立ち上っていた。結構な距離がありそうなのに
こちらにまで振動が伝わってきたところを考えると、まず間違いなくヒロトの仕業に違いない。
リオルの『修行』か。楽しんでいるといいけど。
ジョンはいまだ痺れて感覚のない身体をもぞもぞと動かして、やっとの思いで身を起こした。
リオルが帰ってくるまでになんとか回復させないと。
せめて、ヒロトに手も足もでなかったと泣いて暴れる彼女を、なだめてあげられるくらいには。



地盤が、捲りあがっていた。

『豪剣』。
魔法の使えないヒロトが魔王にも匹敵する戦闘力を発揮できる秘密がそれだ。
魔力を放出して奇跡を起こす魔法とは違う、自分の血肉に高密度の魔力を通わせて
身体能力を向上させるヒロトが編み出したオリジナルの術。
その膂力の凄まじきは天をも斬り裂き、―――大地を砕くと言われるほど。
273前衛と後衛の日(9/11):2008/06/17(火) 03:58:03 ID:ezeFnkzQ
「わ、わわわっ!?」

シーソーのように傾いていく地面の上で、とても立っていられない。
ローラは放電するどころではなく、尻餅をついて放り出されないように突き立てた剣に捕まるしかなかった。

「うぇえ、ヒロトのヤツ本気出しすぎだろ常識的に考えて……」

翼を広げて空を飛ぶリオルが、呆れたように呟く。
彼女からはまるで地面がビスケットやクラッカーになってしまったかのように見えた。
ヒロトが踏み込みや踏みつけによって地面を砕き、
相手の足場を崩すという戦法を取るのはなにも今回が初めてのことではない。
先日の牙の森で猿の魔獣たちを威嚇した時は小規模ながら地震まで起こした男である。
だが、これは―――女の子一人に対して、ここまでやるか。普通。

対ヒロト戦に於いて、最も有効な手段はやはり、剣の間合いの外からの遠距離攻撃だろうと言ったのは
ローラだった。接近戦でヒロトに敵う者など存在しない。たとえそれが魔王であろうとも、だ。
逆に、魔法の使えないヒロトには遠くにいる相手をどうこうできる手段はない。
いや無理をすれば、その剣が巻き起こす真空波で吹き飛ばすこともできるのだろうが、
わざわざ『技』を出さなくてはならないのはやはり離れた場所にいる敵を嫌がっている証拠だろう。
そこでリオルは空を飛び上空からの火炎弾で狙い撃ち、
ローラは中距離から雷でヒロトがリオルを撃ち落とすのを邪魔するという戦法を取っていたのだった。
ヒロトの戦い方をよく知る二人の作戦はおおむね有効といえ、
こちら側の攻撃も通らないがヒロトの力を上手く殺しているという戦況が続いていた―――その時である。

ヒロトが地面を踏み砕いたのは。

しかしローラを牽制するにしてももっと手加減すればいいのに。
リオルは飛んできた岩をひらりと避けながら、あ、とローラを見て声を出した。

「ひゃぁああ!?」

隆起した地盤が自重を支えきれずにメキメキと音を立てて途中で折れる。
その勢いで、ローラは剣に捕まっていられずにポーンと放り出されていた。
地面に激突すれば、まさか死ぬことはないだろうが空を飛ぶ術がないローラが
怪我をするのは必至である。もしかしたら骨を折るかもしれない。

「ローラ!」

それを、ヒロトが空中で受け止めた。
物語に出てくるヒーローとヒロインよろしくお姫様抱っこで抱えたまま綺麗に着地を決める。
ヒロインが空中に放り投げられたきっかけを作ったのが
ヒーローその人であるという事実を除けば絵になる光景だった。

……いや、実のところヒロトだって予想外だったのだ。
少し地面を割るくらいのつもりが、岩盤を隆起させるほどの破壊を生み出してしまうとは。

ヒロトはこの特訓の最中、『豪剣』を使っていなかった。
ローラとリオル、二人掛かりでさえ身体能力の底上げをするまでもなくあしらえるはずだったからだ。
しかし流石に相手はヒロトの手の内を完全に把握している旅の仲間たち。上手いようには戦わせてもらえない。
火炎弾と雷撃、畳み掛けるような遠距離攻撃にヒロトは焦れて、
とりあえずローラの動きを止めようとして―――『豪剣』を発動した。
思えばブレイズ戦以来となる本領発揮だった。ジョンとの殴り合いには
必要なかったし(ヒロトが『豪剣』を発動した状態で殴ったらジョンは首から上が吹っ飛んでしまう)、
ここいら一帯のヌシは寝てばかりで剣を交えるまでもなかったし。
だから、ヒロト自身も知らなかった。
274前衛と後衛の日(10/11):2008/06/17(火) 03:58:52 ID:ezeFnkzQ
 
自分が、以前より強くなっていることに。

(―――そういえば、再生能力も上がっていたっけ……)

地面を砕く程度でよかった。もしこの力を把握しないまま以前の調子で剣を振っていれば、
もしかしたらローラやリオルを一刀両断していたかもしれない。
そんな最悪の事態を想像して、ヒロトはぶるっ、と身震いした。
先日対峙したブレイズの声を幻視する。

―――ホント、バケモノよねぇ。お兄さん―――

……自覚はある。自分のこの剣はヒトの域を遥かに超越しているものだということくらい。
そもそも聖堂騎士団の精鋭が束になって始めて相手にできるような怪物たちを
剣一本で殲滅してきたのだ。これが異常でなくてなんだというのだろう。
少なくとも城を出て間もない頃はこうではなかった。多少腕には自身があったとはいえ、
それはまだヒトの域にあった。それどころか魔法の才能がまるでなかったヒロトはスライムに襲われても
剣で対抗するしかなく、撃退に十分も費やしたために護衛に就いていた商人に呆れられたものだ。
火や氷なら初歩の魔法でも退治できるというのに、と。
それが一閃で龍の首を刎ねるほどになろうとは―――『豪剣』を編み出したにしても度が過ぎている。
望んだ力ではない。むしろ力が手に入ってしまったからこそ、ヒロトは―――。

「ヒロト様……」

ローラの声がした。思わずはっとなって我に返る。
ローラはヒロトの腕の中で恥ずかしそうに小さくなっていた。

「す、すまん。力加減を間違えた」
「いえ、それはいいのですが―――その」

ローラは桃色に染まった頬を緩ませると、囁くように言った。

「チェックメイト、ですわ」
「え?」

その微笑みの意味に気付いたのは、電撃がゼロ距離で直撃してからだった。



彼らは変わりゆく。
リオルはジョンの魔力供給に依存しない『生命』を手に入れたし、
ローラも未完成ながら、聖堂教会本部にさえ影響しうる『王家』の能力の片鱗を見せ始めた。
ヒロトの成長は今もなお止まらず、魔王であるリューもなにやら秘密を握っているらしい。
彼らは変わりゆく。
今はまだ予兆だとしても、いずれそれらは明らかになるだろう。
その時になによりの鍵となるのは、しかしその中で変わらなかったものとなる。
たとえば、このいつかの穏やかな日々が。
試練の時、在り方を決めることとなるように。
275前衛と後衛の日(11/11):2008/06/17(火) 04:00:10 ID:ezeFnkzQ
 

……ヒロトは顔をしかめていた。
理由は簡単だ。ローラのアレは完全に不意打ちである。不意打ちというか騙し討ちに近い。
ドラゴンブレスにも耐えるヒロトの防御力を持ってすれば少しばかり痺れるだけで済んだものの、
一撃は一撃、という少女たちの言い分により結局ヒロトはひとつ言うことを聞くはめになってしまった。
口先で女の子に勝てる男はいない。まして口下手なヒロトだ。結局のところ油断したのはヒロトなんだし。
でも、納得いかない。だから不貞腐れているのである。

「……あの、ヒロト様?」
「なんだよ」

ようは拗ねているのだ。珍しい。珍しいがローラはそれを可愛いと思う余裕はなかった。
ヒロトの機嫌が悪いというのはローラにとってとても辛いことだからだ。それを自分が引き起こしたのがまた辛い。
ううん。あの時はヒロトがまたよからぬことを考えていそうだったから咄嗟に放電してしてしまったが、
これは失敗だったか、とローラはしょんぼりと肩を落とした。

「男に二言はない。で、俺は何をすればいい?」

そう言われても。

「……リオルさん、譲りますわ」
「え?マジ?じゃー、えっとね」

リオルは無邪気にウムムと唸ると、

「最初はどんぐり飴でも買ってもらおうかって思ってたけど、攻撃を当てたのはローちゃんだからなぁ。
 んー、宿に戻るまでローちゃんをお姫様ダッコしていくってのはどうよ」
「え」

顔を引きつらせるローラ。
何も言わずにひょいとローラを抱えるヒロト。

「え、わ、ヒ、ヒロト様?私は―――」
「男に二言はない。これでいいな?リオル」
「うん」

リオルは妙に嬉しそうに頷いた。
ローラはわたわたと暴れるも、ヒロトに抱えられてしまってどうしようもない。
かくして、仏頂面のヒロトが困り顔のローラを抱え、
その後ろからニヤニヤしているリオルがついていくというヘンテコな三人組が出来上がった。
このまま宿に戻れば、さらに怒るリューと苦笑するジョンが加わることだろう。

「その前に買い物に行くか。リオル、お前はどうする?」
「え、ですがヒロト様。予定では買出しは明日に……」
「ついでにどんぐり飴も買ってやろう」
「わーい本当?」
「………あのぅ、ヒロト様?」
「当然、宿に戻るまではローラは抱えたままだけどな」
「うぅ、ヒロト様が怒っていますわ……」



              前衛と後衛の日〜新ジャンル「悪魔」英雄伝〜 完

276名無しさん@ピンキー:2008/06/18(水) 00:43:04 ID:5aSqjqF6
GJ!
ヒロトは何処まで行くんだ…
277名無しさん@ピンキー:2008/06/18(水) 00:45:46 ID:V2rV5X2R
男「両腕骨折した」
女「赤信号なのに自転車でツッコむアンタが悪いのよ」
男「いけると思ったんだけどなぁ……」
女「どこに?スピードの向こう側に?」
男「それでこのザマさ。オナニーもできなかった」
女「……アンタさ、もしかしてアタシを呼び出したのって……」
男「そう!性処理に関することだ!」
女「バ、ババババッカじゃないの!?そんなの嫌よ!絶対!」
男「………」
女「で、ででででも、責任とってくれるなら……ごにょごにょ」
男「何を言っている?俺はオナニーはできなかった、と言ったんだぜ?
  つまり過去形だな。アンダスタン?」
女「え?でも両手は骨折して……」
男「ふっ。欲のためなら限界なんて軽く突破するのが生物の本能ってヤツさ。
  見さらせ!俺が編み出した新しいオナニーを!」
女「ああーッ!これはーッ!」

男「 セ ル フ ・ 足 コ キ ! ! ! ! 」

女「できそうでできない……セルフフェラのさらに上!驚異的な股関節の柔らかさがなくては
  実現できない幻のオナニー!ついに成功させたのね!男!」
男「おう!これでもう腕なんか必要ないぜ!」

ゴキ

男「………」
女「…………」


股関節脱臼

新ジャンル「オナニー」
278名無しさん@ピンキー:2008/06/18(水) 01:02:15 ID:V2rV5X2R
男「野郎……ッ!ついにッ!」
?「………」
男「ついに会えたなッ!女ッ!!」
?「…………」

ゴゴゴゴゴ ゴゴゴゴ ゴゴゴ

友「ッ!?男ッ!そいつは両右手じゃない!女じゃあないぞッ!」
男「な……なにィ〜ッ!?」

ゴゴゴゴ ゴゴゴゴ ゴゴゴ
ドドドドド ドドドド ドドド

女「バァカめ〜!わたしがJ・ガイルだ」

ドーーン


新ジャンル「左手がない少女」
279名無しさん@ピンキー:2008/06/18(水) 20:24:38 ID:9ichfwwm
>>277
続編ワクテカwww
280名無しさん@ピンキー:2008/06/18(水) 21:01:39 ID:rvcO1aiH
GJにつぐGJ!だが色々自重しろwww
281名無しさん@ピンキー:2008/06/19(木) 00:55:29 ID:3RABPjaI
男「留学生」
女「うん?」
男「留学生が来た」
女「どこに」
男「俺のクラス」
女「男?女?」
男「女」
女「かわいい?」
男「かわいい」
女「……へー」
男「何そのタメは」
女「別に。死ねばいいのに」
男「怖っ」
女「何人?」
男「キプロス」
女「……ん?」
男「日系キプロス人」
女「……キプ……?」
男「キプロス。キプロス共和国」
女「……かわいい?」
男「かわいい」
女「……へー」

新ジャンル「キプロス」
282名無しさん@ピンキー:2008/06/19(木) 01:17:12 ID:3RABPjaI
男「友との約束までちょっと時間あるな。お、喫茶店がある。コーヒーでも飲みながら待つか」

カランコローン

女「いらっしゃいませ!ご注文をどうぞ!」
男「(あ、可愛い)え、え〜と、じゃあコーヒーお願いします」
女「かしこまりましたっ」
男「いいふいんき←何故か(ryの店だなぁ……店員さん可愛いし」
女「え、や、やですよぉお客さん……」
男「あ、すみません。聞こえちゃいました?」
女「あたしなんて暗いし、髪の毛長くてうっとうしいし、ドジだし……」
男「いやぁ、そんなことないですよ」
女「そ、そうですかぁ?えへへ……」
男「友のヤツにも教えてやるか。いい店があるって」
女「それは!」
男「え?」
女「男さんだけで、こうしてお話、できなくなっちゃうじゃないですか……」
男「……!!い、いやぁ、あはは……!!」
女「やだ、あたしったら……男さん、コーヒーお待たせしましたっ!」
男「(………あれ?俺、名前教えたっけ……?)うわっ!ちょ、店員さん!髪の毛入ってますよこれ!」
女「当然じゃないですか。あたしの髪の毛を男さんのカラダの一部にするためですよ」
男「え、えぇっ!?」
女「そうそう。友さん、来れなくなったみたいですよ?うふふ……よかったですね。これで一緒にいれますよ」
男「あ、あんた友に何をしたんだっ!?と、とにかく逃げ……ドアが開かない!?」
女「うふふ、うふふふ、うふふふふ……」
男「う、うわぁーーーーーーッッ!!」

新ジャンル「ヤンデレ喫茶」
283名無しさん@ピンキー:2008/06/19(木) 01:26:55 ID:3RABPjaI
男「友との約束までちょっと時間あるな。お、喫茶店がある。コーヒーでも飲みながら待つか」

カランコローン

女「いらっしゃいませぇぇぇぇええああああ!!!!」
男「うわ!い、いらっしゃいまし……た?」
女「ご注文をどうぞうおぉぉぉぉぉぉおおおお!!!!」
男「え、あ、じゃあ、これ、コーヒーで……」
女「かしこまりRYYYYYYYッッ!!」
男(なんでいちいち叫ぶんだ……?)
女「コーヒー豆ッ!砕け散れェェェェェッ!!」
男「何やってんの!?」
女「見ればわかるだろう!コーヒー豆を砕いているんだッ!!」
男「素手で!?」
女「気合があればなんでもできるぅうあああああ!!!」
男「す、すごい……なんて熱い店なんだ……ッ!友にも教えなくては……!」
女「うぉぉぉぉおおおおおおおッッッ!!!!」
男「うぉぉぉぉぉおおおおおおッッッ!!!!」

………………………
………………
………

友「お冷ください」

男・女「そんなものは無いッッッ!!!!」


新ジャンル「素直ヒート喫茶」
284名無しさん@ピンキー:2008/06/19(木) 08:20:02 ID:U0XyYAa/
男「友との約束までちょっと時間あるな。お、喫茶店がある。コーヒーでも飲みながら待つか」
カランコローン

内気「・・・あ、いらっしゃい…」
男「あ、内気さん、ここでバイトしてたんだ」
内気「・・・うん」
男「でも学校ってバイト禁止のはずじゃなかったっけ?」
内気「だまっ…っててほしい」
男「どうしょっかな〜」

内気(私がバイトをしていることをネタに脅迫し肉体関係を勧めてくる。『ミルクコーヒー』と架空の商品の名前をあげたらそれが彼との合図。学校中の男子にもこの話が伝わり一か月もしないうちに性処理カフェと成り果て…)

男「お冷こぼれてる!こぼれてるよ!!」
内気「ご、ごめん・・・許して」フキフキ

男「じゃあミルクコーヒー奢ってくれたら…」

内気「こ、心の準備が…」
男「え?」




ごめん(´・ω・`)
285名無しさん@ピンキー:2008/06/19(木) 10:05:59 ID:3RABPjaI
いいや許さん。もっとやれ
286名無しさん@ピンキー:2008/06/19(木) 11:53:40 ID:CHUCJU1i
内気かあいいよ内気
喫茶店フィーバーもっとやれ
287名無しさん@ピンキー:2008/06/19(木) 12:39:50 ID:U0XyYAa/
内気「黙ってて……ね?」

男「う、うん」

内気「ご、ご注文は…何です…か?」

男「じゃあホットコーヒーを」

内気「かしこまりました…」

男(なんか学校で見るより可愛いな…)


内気「おまたせしまし…つぁ…!」ガシャン!!
男「あっつぁ!!!」

内気「あ、あ、ど、どうしよ」

内気(熱いコーヒーを下半身に零してしまい布きんで拭いていると『自慢の息子にもかかった』とイチモツを見せつけ口で奉仕させられる、コーヒーに入れるミルクを出せと小さな胸を弄れ下の口から溢れる蜜が太股を伝わり…)
男「はっ早く拭いてぇぇえ!!!」

内気「ふ、布きん…」



またやったごめん(´・ω・`)
288名無しさん@ピンキー:2008/06/19(木) 12:56:30 ID:U0XyYAa/
男「あ、内気さん」

内気「…お、お早う、足だいじょ…ぶ?」

男「うん何とか、内気さんこそ店長とかに怒られなかった?」

内気「ク…クビになった」

男「え?そうなの」

内気「…うん」

男「ごめん」

内気「い、や男くんがわ、悪い訳じゃな…いよ」

男「でも!」

内気「悪いの…は私だ、よ」

男(かわいい内気さんを抱き締める、すると震えた声で『…私、男くん好きなんだよ』と言ってくれる。その後学校をフケて河川敷まで歩く、川をずっと見ながら膝枕をしてもらい…その体勢からキス)

内気「学校…行くよ」
男「ひざまくら〜・・・」

内気「ひ、ざまくら…?」



男の妄想でした
(`・ω・´)
289名無しさん@ピンキー:2008/06/19(木) 13:27:36 ID:yV7eASJo
バリエーション毎回おもろいなぁw

>>288
男自重www

>>281
男「怪鳥キプロス〜空を飛べ〜」
女「飛ばない」
男「飛ばない?」
女「うん」
男「ポセイ友は海を行け〜」
女「行けるね」
男「行ける?」
女「うん」



友「……な、何か寒気が……」

新ジャンル「バビル二世」
290名無しさん@ピンキー:2008/06/19(木) 13:37:36 ID:U0XyYAa/
男「満員電車って本当ウザいわー…ってあれ内気さんじゃん」

内気「うぅ……あぅぅっ」

男「…なんか様子がおかしいな…まさか・・・痴漢?」

内気「あぁっ…傘の柄が…ぅ」

男「やっぱり痴漢だ、ちょ…ちょっと通してください」

内気(この電車は全て仕組まれている。傘はワザと当てられていて周りの人間はそれを観察して楽しんでる。この後主犯が私の身体を触れてくる、下着をカッターではぎ取り今度は直により強く傘の柄を私のアソコに押し当て中へ…)

男「内気さん!」
ガタン
男「あ!!」
内気「…ぁ」

さわり

おっさん「君痴漢?次の駅で降りなよ」

男「いやっ違う!違うんだ!!」
内気「・・・・・」ダッ

男「違〜〜〜〜〜う!!」

内気(男くんに…触られた・・・気持ちよかったのかな・・・///)
291名無しさん@ピンキー:2008/06/19(木) 13:38:37 ID:yV7eASJo
二次災害wwww
292名無しさん@ピンキー:2008/06/19(木) 15:54:28 ID:U0XyYAa/
男「あっあの?」

内気「!…ど、どうしたの…」

男「昨日はごめん!!そんな触るつもりじゃなくて!!あっワザとじゃないって意味で」

内気「…気持ちよかった?」

男「気持ちよかった!…あっ」

内気「…正直ね」

男「やっ待って今のナシ!!」





やっぱ俺にはバットエンドが御似合いのようだ(・ω・)
293名無しさん@ピンキー:2008/06/20(金) 04:30:55 ID:le/t3DIV
ミイラ取りがミイラになるとは正にこの事か

何か違う気もするが細かい事は気にするな
294名無しさん@ピンキー:2008/06/20(金) 09:16:54 ID:IkvT1w5N
>>293
たとえ方おかしい
295名無しさん@ピンキー:2008/06/20(金) 18:45:48 ID:SoZQwXq/
>>293
はっはっは。
まったくお前ってやつは。秋の日は釣瓶落としとはこのことだ
296名無しさん@ピンキー:2008/06/20(金) 18:47:25 ID:aq2SI+QH
いやいや、内弁慶の外無双だろ

あれ?
297名無しさん@ピンキー:2008/06/20(金) 19:01:47 ID:oUHHtYfg
>>293>>295-296
この確信犯どもめ! ……ん?


新ジャンル『わざと誤用』
298名無しさん@ピンキー:2008/06/20(金) 22:55:34 ID:mNkjTtvU
あなたは電器店の中にある修理部門の担当者。あなたの目の前には今にも故障しそうなテレビがある。

* 「これで直るはず!」と思い込んで修理してみたが壊れてしまった
(過失犯)

* 「よくわからないけど...こうかな?」といじっているうちに壊してしまった
(過失犯・『壊れるかもしれない』という認識があれば未必の故意犯)

* 「修理不能扱いにして新品を店で買ってもらおう」と考え、わざと壊した
(故意犯) ←これを確信犯とするのが典型的な誤用の例である

* 「テレビは社会を汚染するから、テレビを破壊するのは正義である」との信念に基づき壊した

(確信犯)
 
こうですね、わかります。
299名無しさん@ピンキー:2008/06/20(金) 22:58:40 ID:mNkjTtvU
あなたはやりたい盛りの男の子。あなたの目の前には肌も露に美少女が寝息を立てている。
と思っていただきたい。

* 「俺を誘っている」と思い込んでやってみたら騒がれ、レイープになってしまった
(過失犯)

* 「よくわからないけど...こうかな?」といじっているうちに犯してしまった
(過失犯・『レイープになるかもしれない』という認識があれば未必の故意犯)

* 「何さわがれても女なんか犯っちまったら俺のモノ」と考え、レイープ
 (故意犯) ←これを確信犯とするのが典型的な誤用の例である

* 「女は自ら堕落したがるのだから、女を犯すのは正義である」との信念に基づき犯した
 (確信犯)

こうだったかもしれません、わかりません(´・ω・`)

 新ジャンル「連続婦女暴行犯」
300名無しさん@ピンキー:2008/06/20(金) 23:12:15 ID:dTSF0an5
女 「………」
刑事「女!男友殺害の容疑で逮捕するっ!」

ガチャ

女 「………」
男 「女……お前」
女 「ごめんね。でもいいのよ、男くん。これで……」
女友「女、あんた……まさか!」
女 「………」

ニコッ

男 「………!!」

刑事「さあ、早く乗れ!」

ピーポーピーポー

??「……女………ワタシの罪を被ってくれたのか」

新ジャンル「わざと御用」
301名無しさん@ピンキー:2008/06/21(土) 00:08:35 ID:fMTpyYlf
愛しの青山春樹と、六畳間の隠れ部屋にて二人きりの豆田陽子。
しかし事態は絶望的であり、起死回生の策を立てる陽子には、現状を楽しむ様子はまるで無かった。

しかし、普段はお馬鹿な彼女とて、新醤油学園四天王が筆頭。
喧嘩、荒事にむざむざ遅れを取るつもりなど毛頭ない。
『さて、どうするか…。』
青山春樹は戦力とカウントしないとして…現時点で味方はレーファひとり。
彼女はもう一人の奉公人を呼びに外に出たが、彼は陽子専属の従者ではなく【豆田家の執事見習い】。
『先に貴から指示が出されてたら、アイツは敵に廻ってるだろうな。』
己の妹、四天王XOジャンこと豆田貴子。
最近の春樹絡みの騒動では、妙に自分に突っかかってくる。
味方になるつもりがあれば既にコンタクトをとってくるだろが、今回はその気配がまるで無い。
…まったく、昔は自分の後ろを付いて廻っていたのに。反抗期なのだろうか。
ともかく、敵には貴子ともう一人居ると考えただけで、現時点での彼我戦力は完全に敵と同等。

『逆に味方になりそうなヤツだと…ルカは堅いだろうな。春樹を助けてくれって言えば、きっと首を振らない。
 …ルカを引き込めれば、夕圭も取り込める可能性も。囲炉裏と麻里愛は考えが読めない…こいつ等は、放置か…。』

とりあえず、ルカにメールを送る。
【春樹が狙われている。G08ポイントに居るから、夕圭に案内してもらえ。】
ルカは迷わず夕圭に連絡するだろうし、夕圭がルカをこの場所に連れてくれば、なし崩し的に味方になる確率の方が高い。

『そして、一番の問題だな…。』
今回の作戦の最大の障壁…。BB:Bitch Bossのコードを持つ女…。新醤油学園校長たる千所玲。
豆田の格闘術は先祖伝来のものだが、黒田に近接戦闘を教えたのも、芝村に偵察術を教えたのも、妹に狙撃術を教えたのも彼女である。
…勝てるか?彼女に…。おまけに彼女の妹、舞までが参戦したら、勝ち目が全く無い。

『BBとサシで戦えるヤツ…。あの人に助けを求めるか…。』
やがて、陽子は携帯電話を取り出し、ダイヤルボタンを押す。
「…はい。桜吹雪女学園 校長室です。」

交渉の後、陽子の作戦は固まった。
おそらく追手に廻った貴子…。自身は陽動の意味も込めて、彼女と闘う。
その間にルカと夕圭は青山春樹と合流…。彼女らが付けば、最悪囲炉裏と芝村が敵に廻っても、ある程度の時間稼ぎは期待できる。
その二人で守りを固めている間に、陽子が応援要請した最強の駒【クイーン】がこの戦場にたどり着き、どうにか逆転勝利というシナリオが描けた。

新ジャンル「plan operations」新醤油学園野望編
302名無しさん@ピンキー:2008/06/21(土) 00:11:42 ID:fMTpyYlf
隠し部屋に連れ込まれたものの、陽子は何をするでもなく、何かに考えを巡らせている。
手持ち無沙汰な春樹にできた事は、そんな彼女の顔を眺めていることくらいだったりする。
『…珍しいな。豆田が真面目な表情で考え事をしてる。』
彼女の勉強の面倒を見ている際にも、ここまで真剣になっていない。
やがて電話を切った陽子が、春樹の視線に気づく。
「ん?春樹、どうした?」
「いや。お前がそんな表情してるって珍しいと思ってな。」
と、みるみる陽子の顔に朱がさしてくる。
「み、見てたのか?…ずっと、あたしの顔を。」
「あ、ああ。そうだが…。」
「…………」
…ついには、真っ赤になって黙ってしまった。
そのリアクションに今更気づく。…ああ、こんな狭い部屋に二人っきり。
そういえば、さっき喋っていた時に顔が近い気はしていたし、豆田の吐息すら届いていた気も…(ガムを噛んでいたのか、ミントの香りだった)。
陽子の身体からは女の子特有の甘い感じのいい匂い…。…うん。コレはマズイ。
…性欲が鎌首をもたげ上げる前に、どうにか話題を変えないと。
そこで、今更ながらな疑問が生まれてくる。

「なぁ。…そもそも何でこんなことになってるんだ?」
「あ、あぁ。…春樹はこんな噂を聞いた事はないか?ウチの校長、気に入った男子生徒を【飼う】って話。」
噂どころか、公然の秘密である。
「らしいな。……もしかして!!」
「…多分、春樹も標的にされてる。」
「げ…。マジかよ…。」
「ああ、だが心配するな。春樹はあたしが守る!絶対に!!」
「豆田…。」
陽子の瞳に宿る強い意志…。
その瞳が次第に近づいたかと思うと、急に目を閉じ…。
「っ!?ま、豆田!?」
唇に伝わる柔らかい感触に、ただただ驚愕するだけの春樹。

「へへ。景気づけってことで、春樹の唇貰っちまった…。かわりにあたしの初めてをあげたから、文句ないだろ?
 …じゃ、あたしは少し出てくるけど、春樹はゼッタイにここから動くなよ!?」
「…………あ、ああ。」

いきなり校長に迫られて、豆田とその知り合いにこんな小部屋に押し込まれ、なんだか豆田を見てたらドキドキして、挙句にはキスまで…。
一言で言うと『何がなんだかさっぱり判らない』くらいに混乱している春樹を残し、陽子は一人、隠れ部屋を飛び出す。

『貴ならあの場所で待ち伏せているはず!!…ルカと夕圭が来るまで、派手に暴れてやるさ!!』

新ジャンル「make a sally」新醤油学園野望編
303名無しさん@ピンキー:2008/06/21(土) 14:24:20 ID:8Ssh0xzt
誤用・・・だと・・・?
俺素で間違ってたのか、辞書引き直してくる
304名無しさん@ピンキー:2008/06/21(土) 15:59:26 ID:jRHeRPGb
>>303
でもそれでネタになってるんだからだいじょうぶだお(^ω^)
305名無しさん@ピンキー:2008/06/21(土) 17:07:26 ID:8Ssh0xzt
>>304
べ、別にネタの為に間違えたわけじゃないんだからね!

結構本気だったんだがネタ振りになったと考えればそれはまぁ
306名無しさん@ピンキー:2008/06/21(土) 23:44:09 ID:FZZH1NGB
ふふっ>>305の奴

ばかだなぁそこが可愛いんじゃないか…
307名無しさん@ピンキー:2008/06/22(日) 20:58:13 ID:1XzvmK9e
ここは何書いてもおkって感じでいいなぁ
308名無しさん@ピンキー:2008/06/22(日) 22:02:53 ID:90t/fXni
妄想力激しい奴がネタに転換してくれるからな
309名無しさん@ピンキー:2008/06/23(月) 01:27:19 ID:c4bucHoJ
つまりあれだな、作者さんの中に内気妄想がまぎれこんでる訳だな
310名無しさん@ピンキー:2008/06/23(月) 04:56:33 ID:lxvXplKy
私は毎晩夢を見る、薄暗い廃墟で何人もの男に押さえつけられ無残にも犯される…そんな夢。
窓から漏れた一筋の光で一瞬男の顔が見える……

お前は・・・・!

内気「…朝か」


夢はここで終わる。夢なのに…起きたら身体が震える。

内気「風邪を引いたのかな…」
無理矢理自分に言い聞かせて今日も私は学校へ行く。

俺「内気ーおはよ!」

内気「お、お早ぅ」
やった朝の挨拶が交わせた、嬉しい
私は気になる人がいる、俺君だ。
友達がいない私に最初に話しかけてくれた。
彼は…好きな人とかいるのかな……

俺『今日の一時限目って理科の性処理法だよな』

内気「性しょ…!?」

俺「え?聖書?今日は理科の生物だよな」

内気「あ…あぁそうだよ」
今のは…空耳?俺君がそんな事言うわけないよ。気のせいだよ

俺「どうしたんだ?顔色悪いぞ」

内気「へ、平気だよ」
311名無しさん@ピンキー:2008/06/23(月) 11:41:44 ID:lxvXplKy
生徒「起ー立、礼」

先生「今日の生物は人体です52Pを男、読んでみろ」

男『はい女性性器は大陰唇と小陰唇、クリトリスで構成され…』

内気「えぇ!?」ガタン

先生「どうした内気?」

内気「いえ…何でもないです」

今ものすごく卑猥な内容だった…教科書は普通なのに


俺「上腕二頭筋は腕で一番よく使う筋肉と言われ…」

私はどうしちゃったんだろう……恥ずかしい


キーンコーンカーンコーン
俺「どうしたんだよ内気、保健室行くか?」
内気「…そうする」

私、変になっちゃったのかな…
312名無しさん@ピンキー:2008/06/23(月) 11:54:30 ID:lxvXplKy
内気「ベッド借りまーす、先生いないのかな?」

幻聴が聞こえるなんて今までなかったのに、このままだと日常生活すらままならないよ…




やめて…やめてください、何でもするから…
痛い…初めてなのに
嫌だ、嫌だ、嫌だ…
ごめんなさい…
ごめんなさい…
貴方は……だ…れ


俺「内気!?」

内気「・・・・俺君?」

先生「随分うなされてたよ、で保健委員に来て貰ったのよ」

俺「大丈夫か、早退する?」

内気「いや…教室に戻るよ」

もう少しで夢の最後が見れた気がする、でも見てはいけない…
そんな気がする…夢なのに
313名無しさん@ピンキー:2008/06/23(月) 12:03:20 ID:lxvXplKy
俺「何か悩みでもあんのか?保健の先生も心配してたぞ」

内気「…な、何でもない、よ」

俺「何かあったらいつでも力になっからな、気軽に言えよ」

内気「う、うん!」

こんな私にも声をかけてくれる、本当に俺君は優しいな…

友「おっ夫婦が帰って来たぞー」

俺「そんなんじゃねーよ」

内気「…////」

友「所で次体育だけど内気さんここにいて平気なの?」

内気「へ?」

友「みんな脱いでんだけど…」

内気「うゎ…あ、どうしよ、う」

友「一緒に着替える?」
俺「バカいうな」
314名無しさん@ピンキー:2008/06/23(月) 12:18:18 ID:lxvXplKy
男子の更衣室は教室、女子の更衣室は校舎から離れている

内気「もうみんないない……あ、女さん」

女「ああ内気さん、具合はどう?」

彼女は女さん、クラスで浮いてる時に声をかけてくれた。クールで頭脳明晰、運動万能
完璧だけど料理は苦手という一面を私は知ってる
同学年だけど私の憧れの人だ

女「みんな体育館に行ったよ私たちも着替えましょ」

内気「…うん」

女「あっ」カシャンッ

私の前にヘアピンが落ちた

女『悪いけどそれ床に這いつくばって口で拾って』

内気「くち…で?」

女「え?いやそっちにピンが行ったから拾ってって…口?」

内気「いや…何でも」
女さんはあんな事言わない、いつもの幻聴だ
私は最低だ…
315名無しさん@ピンキー:2008/06/23(月) 12:32:31 ID:lxvXplKy
私はお昼をそこそこに済ませて図書室に行く
前までは一番落ち着く場所だったんだけど
今では不良の溜まり場みたいになってる
知っていたら図書委員なんて選ばなかったのに

不良「この本借りてぇんだけどー」

内気「あ、の学生証…ある?」

不良「は?何言ってんのか分かんねー」

内気「が…くせぃしょ…ある?」

不良「がくせいしょ?なんだそれ?いいから借りんぞ」

もう嫌だな…返ってきた試しがないもん
先生も注意してくれないし、早く仕事終わらないかな

内気「ちゃんと返して、ね?」

不良「はぁ?俺が泥棒すると思ってんの?ちょっと皆聞いてくれよー」

ああ…逆効果…
早くチャイムなって…
316名無しさん@ピンキー:2008/06/23(月) 12:46:47 ID:lxvXplKy
不良A「泥棒疑惑かけたのテメェだろ?謝れよ」

内気「注意…しただけ」

不良B「はぁ謝るのが先だろ?」

「「あーやまれっあーやまれっ!」」

内気「ちゅうい…」グスッ
不良「じゃあ俺が借りる本のタイトルを読んでくれたら許してやんよ」
「鬼畜だなーお前」
「情け容赦なしだな」
「鍵掛けとこうぜ」

読みたくない、でも逃げられる空気じゃない。

内気「・・・・・女性器のしくみ、性交とは・・・・・
男性の・・・・ペ、ニ・・・を…」
キーンコーンカーンコーン

不良A「ちぇっ終わっちまった」
不良B「今度イチャモン付けたらマジ殺すからな」

内気「助かった・・・・・うわぁぁぁあん」
317名無しさん@ピンキー:2008/06/23(月) 13:03:18 ID:lxvXplKy
ジュースの缶やタバコの吸い殻を片付けて教室を出る…私の居場所はなくなってしまった

内気「顔洗いに行かなきゃ…」ガラッ

女「!?どうしたの内気さん!」

内気「…何でもない」

女「本当?」

本当は今すぐ話を聞いてほしい、でもバレたら女さんにも危害が及ぶかもしれない

内気「本当だよ」
私は偽りの笑顔を見せた
でも女さんは頭が良いから…バレたかもしれない
嘘が下手って損だなぁ…
318名無しさん@ピンキー:2008/06/23(月) 16:41:18 ID:9KhqNOhU
何が何だか
319名無しさん@ピンキー:2008/06/23(月) 17:48:04 ID:lPZx+Y98
思いつきで書いてみたやつだから期待しないでね〜

ここはアースという惑星だ。
俺は元もと地球にいたんだが、何かの拍子にこの世界にきちまった。
てゆーか、この惑星に「アース」って名前付けた人は地球人に近いと思うのは俺だけ?
あ、そうそう、俺は神無 月(かみな つき)15歳だ。
自分でも珍しい名前だと思ってる
それはさておき、俺はこの異世界に来てからとある学園の理事長にお世話になった。
この世界でも俺ぐらいの年ともなると学校に行くらしい。
だがこの世界で身よりもない俺は仕方なく理事長の学園に行くことになった。
ただそこは武芸専門の学園だと知ったのは転入した時だった…
転入初日
「え〜、今日から転校してきた神無 月くんだ。仲良くな」
俺のクラスの担任となった人が生徒に言う。
俺は2年生として転入した。
(正直、転校も何もこの世界で学校に通ったことないんだけど…)
「神無くんの専門は剣術だそうだ。アズリアと一緒だな。ついでだ、隣になりなさい」
「…え、何のお話ですか…?」
「だからあそこにいるアズリアの隣にいけと…」
「そうじゃなくて、剣術って?」
シーン
虚しい沈黙が流れた。
それも当然。普通は覚悟の上で入学するはずの学園なのだから。
「聞いていないのかい?」
先生が聞く
「ええ」
即答する俺
「…」
沈黙するクラスメイトたち
これからここでやってくのか、俺は…
ってか、武芸なんかしたことないってば!
どうすんだよ〜っ

「武芸もできない奴が何しに来たんだ」
そう言ったのは俺の隣の席のアズリアって人だ
一見男っぽいけど、女のようだ。
「え〜と、いろいろあって学園に入学することになったんだけど、それがここしかなくて…」
仕方なく本当のことを伝える
「はぁ、実力もない奴が武術専門の学園に来るとは…。正直迷惑だ。」
(何だとコイツぅ〜!)
これが本音なのだが初対面の相手なので、
「自分でもそうは思うけど…」
「言い訳はいい。とにかく邪魔になるだけだ」
ブチッ
完全にキレたよ。久々にさ。
「なんだと!さっきから聞いてりゃ邪魔だの何だの、オマエこそ武術できんのか?」
「ああ、できるとも。もちろん。少なくともオマエよりはな。」
「本当か〜?」
アズリアのかわりに先生が答える
「実はね、彼女はこの学園で現在武術レベルが一位なんだよ。」
…完全に冷めたおれ。
やべぇ、やばいやつにきれちゃったよ…
「そういうことだ。分かったか?」
「くっ」
こんな感じに初日は終わった。
明日が不安で眠れなかった…
320名無しさん@ピンキー:2008/06/23(月) 18:04:24 ID:c4bucHoJ
腹筋が爆発したwwwwwwwwwwwwwwwww
321名無しさん@ピンキー:2008/06/23(月) 18:04:53 ID:c4bucHoJ
ごめん超誤爆死にたい
322名無しさん@ピンキー:2008/06/23(月) 18:05:19 ID:91IROckd
まあ大体何やってもフリーダムなここだけどさ、
「書きながらかんがえてだらだらいつ終わるかわからないのを細切り投下」
ってのは勘弁な。
323名無しさん@ピンキー:2008/06/23(月) 20:24:57 ID:Fo/QZLGD
せめて最後に新ジャンル……
324名無しさん@ピンキー:2008/06/23(月) 21:15:29 ID:9KhqNOhU
新ジャンル「俺」
325名無しさん@ピンキー:2008/06/23(月) 21:18:31 ID:5SR1FUpy
女「男、実は私には秘密がある」
男「なんだよ、改まって……」
女「実は、私は男、君なのだ!」
男「なにぃ!」
女「つまり、君は私で俺は私で君は俺なんだよっ!」
男「な、なんだってー! という事は、昨日あんなに激しくまぐわったのも……」
女「ああ……凄いオナニーだったな」 ポッ
男「嘘だと言ってよ女ぁ!」


新ジャンル「俺」
326名無しさん@ピンキー:2008/06/23(月) 21:47:51 ID:9KhqNOhU
ほんと何でもネタにしてくれるのな
327名無しさん@ピンキー:2008/06/23(月) 22:05:25 ID:lZSPbYak
バーローwwwwwwwww
328名無しさん@ピンキー:2008/06/24(火) 09:49:52 ID:jHkSa0wB
なんか「内気な子の妄想」を見てもっとダークに書こうと思ったんだが…長すぎたお
(^ω^;)すぐ終わらせるお
>>317

内気「終わった…」

女「一緒に帰ろ」

内気「うん」

女「内気さんは好きな人とかいる?」

内気「い?いる…」

女「それって・・・男君?」

内気「!!!あ…なんで知ってるの」

女「そんな気がしたから、私たちライバルだね」

内気「ぉ、女さんも…」

女「うん///」

負けたくないけど女さんなら負けてもいいかなと私は思った。

今日も私は夢を見る。何人もの男に押さえ付けられ犯される夢だ。
最後に出てくる男の顔、今日はわかるかな




(;^ω^)以上だお
暫く自重するお
内気の妄想・ダーク完
329名無しさん@ピンキー:2008/06/24(火) 20:40:11 ID:YgP2rNUT
妄想というか既に幻覚レベルだったぜ
330名無しさん@ピンキー:2008/06/24(火) 20:59:00 ID:jHkSa0wB
>>329

> 妄想というか既に幻覚レベルだったぜ



(^ω^ )・・・・ですよねー
今読み返したら妄想というか幻聴だったお

やっぱ妄想の人の方が面白いお…
331名無しさん@ピンキー:2008/06/24(火) 21:25:05 ID:0HShNZmt
>>330
新ジャンル「内気幻聴」

こうですね!わかります!

内容自体は結構個人的にナイスだと思ったので、
次に投下する時があったら書き上げてから投下するとか、
そういう部分に気をつけてやってくれい。
332名無しさん@ピンキー:2008/06/24(火) 21:40:35 ID:jHkSa0wB
>>331

(^ω^ )
そうですね、書いては載せて書いては載(ryだったら収集つかないね
333名無しさん@ピンキー:2008/06/24(火) 21:47:07 ID:YgP2rNUT
いっぺんに書かなくてもいいからある程度纏まってると嬉しいんだぜ
何にせよ内気かわいいよ内気
334名無しさん@ピンキー:2008/06/24(火) 21:48:39 ID:0HShNZmt
んだね。
ある程度までまとめてくれりゃそれでおk。
書きながらだけはやめてくれれば。

内気は可愛かったのでGJ
335名無しさん@ピンキー:2008/06/25(水) 12:57:21 ID:jQfWGaa2
女「・・・」
男「キスしようぜ?」
女「・・・」コクッ
男「っちゅ」
女「!ふー」
男「うぷっ・・・」プクー
女「ふー」
男「おぷぷ」プクー
女「ふー」
男「っぶしゅ!」ズルッ
女「うひゃあ・・・鼻水ついた」
男「お前が口の中に空気送り込むからだろうが!」
女「・・・」

新ジャンル「口に付いたものはなんでも膨らます女の子」
336名無しさん@ピンキー:2008/06/25(水) 13:04:28 ID:jQfWGaa2
男「こうやって、口に風船をくっつけますと」
女「ふー」プクッ
男「風船を膨らそうとします」
女「ふー」プクーッ
男「そこで、風船を揉んで空気を口の中に送り返します」ギュッ
女「ぶへっぼ!」ズルッ
男「行き場を失った空気が勢いよく器官と鼻に流れ込み、むせるのと同時に鼻水が出ました!」
女「うー」ズルーッ
男「あっはははは、きたねぇwww」
女「む」
男「次は、女がシャーペンを咥えます。シャーペンは膨らみません」
女「ふー」プクー
男「なので、どんどん頬が膨らむばかりですが、それにも限界があります」
女「ふー」プクー
男「そして、その空気はシャーペンと同時に口から勢いよ・・・え?」
女「ぷっ!」ビシッ
男「いてぇええ!おい!目の近くに当たったぞ!一歩間違えば失明したかもしれんのだぞ!」
女「・・・」

新ジャンル「口に付いたものはなんでも膨らます女の子」
337名無しさん@ピンキー:2008/06/25(水) 18:44:23 ID:CS3to9JL
その子がフェラなんてしたら大変な事に・・・
338にんじん畑でつかまえて(1/17):2008/06/26(木) 23:19:23 ID:d1p7Y7pA
 
ピーター・ベンジャミン・キャロットは変わり者だ、とよく言われる。
ピーターは魔導師の一族であるキャロット家に生まれた。
この小さな国で魔導師といえば、他所の国でいうところの貴族にも等しい。
先祖がかつての戦争で魔法によって手柄を立てたために、子孫である彼らもまた
生まれながらにしてなに不自由なく暮らしているのだ。
ピーターもまた毎日の贅沢を約束された日常を送っていたのだが、ある日突然実家を飛び出して
魔法技術の研究がより進んでいるラルティーグに留学してしまう。
というのも、キャロット家は魔導師として既に機能していない、『ただの』貴族になってしまっていたからだ。
折角の魔道の才と知識がありながら、土地の管理と社交界でのおべっかで
終わってしまう人生に嫌気がさしたというのがピーターの言い分だった。
そしてラルティーグから帰ってきた彼は―――ここからが彼の変人と呼ばれる所以なのだが、
何を考えているのか自分に委ねられた土地をあろうことか畑にしてしまう。
しかも使用人も雇わずに、だ。たった一人で管理をしているのである。

貴族の豪奢な生活を捨て、魔導師として真理を目指すのならばそれでいい。
しかしその技を得たにも関わらず、よりにもよってたった一人で土弄りである。
これでは農夫と変わらないではないか。道楽にしても度が過ぎている。
ピーターはとうとうキャロット家からも呆れられ、半ば勘当されたも同然になってしまった。
社交パーティが開かれても、もう彼には招待状は届かない。

『変人』ピーターの噂は領地の人々にも広がり、誰も彼には近づこうとしなくなった。
それでもたまにピーターの屋敷の近くを通る人が出ると、
彼ないし彼女はピーターしかいない筈の屋敷に大勢の人影を見るという。
畑には得体の知れない魔獣を飼い、秘密の軍団を揃えて戦争を起こそうというのか。
事実、時折ピーターの屋敷からは人のものとは思えない気味の悪い叫び声がするらしいが……。
真実を知る者はいない。みな、外国の魔術を学んできたピーターが恐ろしいのだ。
実害がないので聖堂教会に応援を頼むわけにもいかず、その国の人々は困り果てていた。

そんな時である。

紅のマントを翻し、伝説の勇者たちがこの国を訪れたのは―――。



「―――で、引き受けたのか」
「ああ」

あからさまに顔をしかめているリューに、ヒロトは大真面目に頷いた。
今夜の宿はいつもより少し豪華だ。
と、いうのもヒロトたちは正式な客人として持て成されているからである。

この小国に入り、いつものように教会で祝福を受けた後のことだ。
この、キャロット家が治める地方に行くよう指示があったのは。
何でも勇者であるヒロト、そしてジョンがキャロット家の食事会に招待されたらしい。
珍しいことだった。勇者とはあらゆる組織に縛られず行動することを定められた者。
故に彼らに賄賂は通じない。もしおかしな真似をしようにも、勇者の動向は常に聖堂教会が目を光らせている。
それに勇者側にしても、そこらの貴族など問題ではない、世界最高権力の『聖堂教会』を
後ろ盾にしているのだからこれをわざわざ裏切るような真似はしない方が得だろうというものだ。
ほとんどの貴族はそれ故に、勇者に積極的に関わろうとはしない。
勇者を手懐けようとして、逆に藪をつついて蛇を出す結果になりかねないからだ。
ヒロトたちは首を捻りながらキャロット家の屋敷に行き―――そして、
食事の後に『変人』ピーターの話を持ちかけられたのだった。

仕事の依頼である。
339にんじん畑でつかまえて(2/17):2008/06/26(木) 23:20:08 ID:d1p7Y7pA
勘当したとはいえ、ピーターはキャロット家の一員。
もし、もし。万が一、ピーターが噂の通りに軍団を揃え、戦争を企んでいるのなら。
勿論それを放っておいたキャロット家も無事では済まない。
悪くすれば責任を追及されるどころか『共犯』扱いされ、一家全員打ち首になってしまう。
どうか噂の真相を確かめ、もし真実であれば、すみやかに考え直すよう説得して欲しい。
その為ならば多少、手荒な真似をしても構わないから、と―――。

「……自分で行けばいいじゃん」

至極もっともな意見を言うリオルだが、しかしジョンは首を振った。

「キャロット家の魔導師としての力は衰えています。そもそもそれを憂いてピーターは
 留学を決意したのですから。キャロットの家に魔導師と戦う力なんて残っていないんですよ。
 騎士たちを動かせば大事になってしまいますしね」
「めんどくさー」
「身内の恥を他に知られたくはない、ということだな」
「ま、そういうものですわ。大抵の貴族なんてね」

ローラが訳知り顔でうんうんと頷く。今は休業しているが、そもそもローラはこんな国より
もっとずっと大きな王国・ヴェラシーラの王女である。覚えがあるのだろう、色々と。

「ま、依頼は依頼だ。別に特別なことじゃないさ。倒して来いって言われた訳じゃないんだし、
 様子を見るだけならそう危ないことじゃない。なんなら俺たちだけで行ってこようか」

ヒロトがそう言うと、ジョンは顎に指を当て、

「しかし、噂が本当だとして、ピーターが軍団を育成していたら?一人で挑むのは……」

そこから先が出てこない。危険では?と続けようとしたのはわかる。そして続けられなかった理由も、
この場にいる全員が身に沁みて知っていた。ヒロト相手に一人だろうが軍団だろうが大して変わりはない。
鬼神のような強さは世界最強、たとえ相手が何者だろうが関係はあるまい。ただ蹴散らすのみだ。

「………いや、まだそうと決まったわけじゃないから、一人で挑もうなんて思ってない。
 だから俺『たち』と言ったんだ。最低でもローラにはついてきて欲しいし」
「承知しましたわ」
「む!」

ヒロト指名にローラはどこか嬉しそうに頷き、リューはまた不機嫌そうに唇をへの字に曲げた。
いやヒロトの判断はわかる。
リューは確かに交渉に於いての切り札だ。切り札というか反則に近い。なにせ魔王である。
交渉どころか、リューを一目見ただけで逆らう気を無くしてしまう者も少なくない―――魔獣相手なら。
だが相手が人間の場合、リューはただの少女に過ぎない。
人間の世界に詳しくないリューは、人間相手の交渉の席についても何の役にも立たないのだ。
そしてその際、ヒロトをサポートするのは専らローラの役目である。
王たる風格を以って威風堂々と佇む彼女を傍に置けば、それだけで相手を圧倒して有利に話を進めるのは簡単だ。
いざという時は頭も口も回る彼女のこと、舌先で相手をやり込めることもできるだろう。
さらには本人やヒロトはまだ知らない、『王気』の能力も―――。
………だから、こういう時に頼りになるのがリューよりもローラであるということはわかる。
理解はしている。納得もしている。でも、ヒロトがリューよりローラを頼るのは嫌だ。つまりはヤキモチである。

「………我も行くぞ。まさか、別についていって困ることはあるまい?」

むくれ顔のままで低く呟く。ただでさえ最近はなんとなくヒロトとのスキンシップが
足りない気がするリューである。ここは乙女的に譲れないところだ。
340にんじん畑でつかまえて(3/17):2008/06/26(木) 23:20:55 ID:d1p7Y7pA
 
「と、いうことは魔道書の解析ができないということですね」

ジョンが頷く。
勇者ジョン・ディ・フルカネリは己の使命のため、賢者の石の秘密を探っている。
が、その為に必要な魔道書はリューが魔王城の書庫から召喚するため、
リューの協力が得られないなら解析どころか触れることさえできないのだ。
………それに、ジョンの能力を魔道書のレベルが遥かに上回るため、ジョンの生命を守るためにも
魔道書を完璧に制御できるリューの付き添いは必要不可欠なのだが―――それは、リュー以外には秘密である。

「ならボクも行きますよ。元々ボクに与えられた依頼でもありますからね」
「ジョンが行くならあたしも行くー」

リオルが能天気に手を挙げて、これで五人。つまるところ全員参加だ。

『変人』ピーターとはいかなる人物か。
それはわからないが、明日、勇者二人と魔王、王女、龍の世にも奇妙な一団が彼の屋敷を訪れることになる。
それがピーターにとって何をもたらすのか―――今のところ、まだ、わからない。
今は、まだ。



翌日訪れたピーター・ベンジャミン・キャロットの屋敷は、なんというか、思ったより『普通』だった。
屋敷といってもそれほど大きなものではない。ピーターは使用人も雇っていない一人暮らしのはずなので、
あんまり広い屋敷では管理が追いつかないという理由からだろう。
造りは立派だがどこか小ぢんまりとした屋敷とは別に納屋があり、見た限り農民の家を豪華にした感じ、
という印象を受けた。あとはキャロット家で聞いた通りに畑が広がり、なにやらにんじんを育てていたりする。
のどかだった。少なくとも、噂のように反逆の軍団を人知れず育成しているなどという気配はない。

普通だ。
あまりに、普通だ。

「……なんか、逆に怪しい感じ」

リオルがぼそっと呟いた。ローラは思わず、心の中で相槌を打ってしまう。
―――が、もう一人の少女。魔王たるリューはそうではなかった。
炎のような眼を煌かせ、探るように辺りを油断なく見渡している。

「どうしました?」
「……魔力の残滓だ。確かに感じる」

ローラの問いに、リューは小さく答えた。ぎょっとする。ローラには何も感じない。
優れた魔法力を持つリューだからこそ感知できる微弱な魔力。魔法を使った痕跡。だがこれは―――。

「なるほど。確かに魔導師としてはあまり優秀ではないらしい。心配するな。
残り香が微弱なのはそもそもさほど大きい術を使っていないからだ。
 この程度の魔導師なら無傷で拘束するのも造作ないな」

ふん、とつまらなそうに鼻を鳴らす。

「ローラ」

と、そこにヒロトが声をかける。彼はさっきから身をかがめて、じっと畑を見つめていた。
341にんじん畑でつかまえて(4/17):2008/06/26(木) 23:21:47 ID:d1p7Y7pA
「どう思う?」

ヒロトの右手は畑の土をなぞっている。土?いや違う。そこにあったのは足跡だ。
柔らかな畑の土を踏み固めた、大きく無骨な足跡が―――刻み込めれている。
ローラはあ、と声をあげた。『大きすぎる』。
残された足跡は頑丈な戦士のブーツをはいたヒロトのものよりずっと大きい。およそ畑仕事には向かないほどに。
これを元に身長を逆算するなら、この足跡の持ち主は見上げんばかりの大男ということになる。
キャロット家の情報による限り、ピーターがそんな怪人だという話はなかったはずだ。
百歩譲って―――いや、そんなに譲る必要もないのだが、まぁそれは置いておくとして。
『多すぎる』。
ピーターは一人暮らしだと言った。変人扱いされ、滅多に人は寄り付かないと。
なのに、この足跡の多さはなんだ。畑には大きな足跡がいくつも刻みこまれている。
とても、一人の人間によるものではない。

「―――少なくとも四人。いえ、五人。この小さい足跡も含めれば六人分ですわね」
「小さいといっても普通の大きさだな。これがピーターの足跡だろうか」
「おそらく。軍団というには少ない気もしますが、少なくともピーター氏が一人で暮らしているという話は
 真実ではないということになりますわね」
「……それにしては」

二人の隣ではもう一人の勇者、魔法知識担当のジョンが首を捻っている。

「畑で育てているのは本当にただの野菜ですね。品種改良したマンドラゴラかと思いましたが、
 普通のにんじんですし。少なくとも霊草の類は育てていないようですよ?」

薬師でもあるジョンが言うのだ。ここは本当に怪しいところなどない、
普通の畑としてしか機能していないのだろう。
『変人』ピーター以外の人間が闊歩するただの畑に魔力の残滓が漂い、かと思えば作っているのはただの野菜?
なんだかちぐはぐだ。怪しい。怪しくないところがあるのがまた怪しい。
大げさな―――まるで、攻城戦弓(バリスタ)で兎を狩るような違和感がある。
わざわざ留学までした魔導師が農民の真似事をしているのも十二分に妙な話だし、
野菜を作りたいならそれこそ、人を雇えば事足りるのではないのか?

「………………わけがわかりませんね」
「わかんないんだったらもう直接本人に聞きに行けばいいじゃん」

ものすごく簡単に言うリオル。だけど、正論には違いない。ここで憶測を並べているよりはよほど良い。
ヒロトは立ち上がり、頷いた。

「そうだな。じゃあ、ローラとジョンは一緒に来てくれるか」
「……我は?」

リューがヒロトを睨みつける。リューにしてみれば、今回ヒロトと行動を共にしたくて
ついてきたようなものなのだ。しかし、ヒロトは首を振るのだった。

「あんまり大勢で押しかけて警戒されるのはうまくない。それに、相手は仮にも魔導師だ。
 リューやリオルじゃ、威圧しすぎるとも限らないだろ」
「なーる」
「………………………」

交渉役のローラ、魔術知識のジョン、そして護衛としてヒロト。布陣は完璧。それが定石というわけだ。
セオリーとも言う。ならばリューは邪魔だってか?リューは唇を尖らせた。
342にんじん畑でつかまえて(5/17):2008/06/26(木) 23:22:33 ID:d1p7Y7pA
「じゃーさ、あたしらは何をしてればいいわけー?」
「そうだな……周辺をぐるっと回って調べてきてもらえるか。噂にはピーターは魔獣を手懐けている、
 というものもあった。畑の様子を見る限り、それが根も葉もないものとは言い切れないだろう」
「ん。りょーかい」

リオルは手を挙げると、ぶつぶつ言っているリューを引き摺るようにして行ってしまった。
リューは腕を組んだままこっちを、というかヒロトを睨みつけていたが、
やがて引き摺られているのが苦しくなったのか乱暴にリオルの手を振り払った。
そして何やら空を仰いでうがー、と叫んでいる。なかなか面白い光景だが、彼女は仮にも、
というか紛れもなく世界最強の魔力を持つ魔王なのであって、あんまり簡単に機嫌を損ねたりしないで欲しい。
世界が滅びるから。と思うヒロトであった。それにしても、何でリューは怒っているんだろう。
別におかしなことはしなかったはずだけど。と、続けてヒロトは首を捻る。

「………リューさん……」
「……心中お察ししますわ」

ローラとジョンが何故か苦笑いしているのもよくわからないが、ヒロトはとりあえずピーターの方が
先決だと頭を切り替えた。こういう『正しさ』が万事を解決する術ではないと学ばない男である。
でもまぁ気配りが完璧なヒロトというのも考えてみれば相当に気持ち悪いが。

「周りに民家がないとはいえ、できるだけ戦闘は避けたい。ローラ、頼めるか」
「ええ」

ローラはリューに手を合わせるのをやめて、真面目な顔になって頷いた。
これからピーターの屋敷に直接訪問するわけだが、何も馬鹿正直に『御用改めである!』と
権限を振りかざすだけが手ではない。相手が警戒してしまってはやりにくくなる。
特に、相手は秘密裏に何かを企んでいる魔導師なのだ。こちらがキャロット家の回し者だと知られたら
逆上して襲い掛かってくることもなきにしもあらず。できるだけそれは避けたいところだった。

なんというか、ピーターの生命を守るために。

先日の特訓の際、威嚇のつもりで踏み込んだ足が力余って地割れを引き起こしたヒロトである。
相手が思いのほか『やる』場合、うまく手加減できるかは微妙なところだ。
今回はローラやジョンもいるため、ブレイズ戦の時のように攻撃にひたすら耐え続けるという手段も難しそうだし。

とりあえずの作戦はこうだ。

『お忍びで旅行中の良家のお嬢様が町を探索中、郊外の屋敷の前に広がる畑に興味を持って
 従者の制止も聞かずに屋敷の戸を叩いた』。

頭から尻尾まで全てを偽る嘘はかえってバレやすい。
なら、好奇心旺盛なお嬢様という設定をはなっから作ってやれば、こちらも動きやすくなるというもの。
一国の王女でありもかかわらず、ヒロトを探しに王城を飛び出したローラならその役を演じるのは朝飯前だろうし、
もし相手がその手の人間を嫌うようであっても、彼女ならば臨機応変に対応できる。
直接反乱だとか、戦争だとかいう単語を探り出せなくてもいい。
言葉の端々から情報を導き出せればこちらの目的は達成されるのだ。
もちろん、もしピーターが本当に危険な思想に染まっているなら実力で阻止するまでである。

「―――というわけで、心の準備はいいな?」

ヒロトは先頭に立って、ローラとジョンがその背後で頷く。
ピーター・ベンジャミン・キャロット。
衰退の魔導師一家に生まれ、なお魔力を求めた異色の魔導師。
彼は一体いかなる人物か―――。
コンコンと、扉をノックする。
343にんじん畑でつかまえて(6/17):2008/06/26(木) 23:23:15 ID:d1p7Y7pA
………………………。

「―――はい。どちらさま」

しばらくして返ってきたのは若い男の声だった。男、というより少年のそれに近いかも知れない。
ピーターのものと見て間違い無さそうだ。留守なら留守でもよかったのだが、本人がいるならその方がいい。
作戦続行。ヒロトは背後のローラを一瞬だけ見やって、頷いた。

「突然の訪問をまず許されたい。旅の者です。我が主が貴方と話がしたいと。どうか扉を開けて頂けますか」

凛と、丁寧な口調で言う。こういうとき、王城暮らしで叩き込まれた礼儀作法は役に立つ。
勇者とは基本的に聖堂教会の後ろ盾を得ているだけの冒険者に過ぎない。
だがマナーも何もあったものではない過酷な旅生活で、それでも身なり人なりをきちんとできるのは
信頼を勝ち得ていく上で案外重要なものだったりする。もしヒロトが礼儀知らずの乱暴者だった場合、
いくら魔獣を退治しても生きる伝説とまで謳われるような勇者にはならなかったかもしれない。
あの王城での日々が。確かに、ヒロトの糧となっている。その事実が、ローラにはとても嬉しく思えた。

「旅の―――か」

中では何やらガタゴトと重いものが動く音がして、

「驚いた。お前、男の声真似ができるんだな?」

ピーターが、おかしなことを言った。
え?と思わず聞き返す。真似?なんのことだ?
中ではがたん、と一際大きな物音がして、突然扉が勢いよく開かれた。
そして―――。

「ブッ飛べこの悪戯ウサギィィィイイイッッッ!!!!」

巨大な拳が。
ヒロトめがけて、襲い掛かってきた。



風はそよそよ。日差しはぽかぽか。
真っ青な空は吸い込まれるように高く、思わずあくびが出てしまうようないい陽気であった。
背の低い草に覆われた緩やかな起伏の緑の平原、あちこちに咲いている黄色いたんぽぽ。
その葉っぱをよじよじと上って、赤いテントウムシがぱっと羽を広げて飛んでいく。
畑を囲んでぐるっと立てられた柵、その周りをすたすたと探索中の少女が二人。
一人は灼炎龍リオレイアの魂をその身に宿す少女、リオル。
もう一人は世界最強の魔力を誇る少女、魔王リュリルライア。
リオルはなかなかにこの『散歩』を楽しんでいるようだが、
リューはというと、ぶっすぅぅう、と膨れっ面で不機嫌なのを隠そうともしていない。
リオルはそんなリューを振り返って、呆れたように言った。

「リュリルライア様ー。いい加減、機嫌直しましょうよー。ほら、テントウムシいますよテントウムシ!
 うわっ、なんか黄色いの出した!」

けらけら笑う。リオルは楽しそうだ。リューは楽しくない。
ヒロトがリューを追い払ったのは、その理由は理解できる。それに対して文句を言うつもりもない。
間違っているとも思わない。ヒロトは依頼された仕事をこなすために最善の手段を取っただけだ。
他意はない。ないと理解できる。理屈では。ヒロトは決してリューがうざったいから
『外回り』に回したわけではない。ローラが特別好きだからローラを傍に置いたわけでもない。
344にんじん畑でつかまえて(7/17):2008/06/26(木) 23:24:00 ID:d1p7Y7pA
そんなこと、わかっているのだ。わかっているから文句は言えない。
だからこうやって、ただふてくされているのである。
本当は、もっと大事にされたいのだ。
我が侭だと分かっていても、触れることができる距離にいたいのだ。

「ふん」

リューは足元の小石を蹴飛ばした。
畑の周りを調べるといっても、ここはジョンが言うとおり何の変哲もないただの野菜畑である。
反逆の軍団どころか、スライム一匹出くわさない。微弱な魔力の残滓は相変わらず畑全体に感知できるが、
それはほとんど無視できるレベルだ。結界も張っていないし、ここには死守するべきものなどないのかも知れない。
それとも、単に結界の張り方を知らないとか。
魔法障壁、絶対無敵の盾を持つリューから見れば―――見るにも値しない脆弱さ。
失笑が漏れる。漏れないけど。拗ねてるから。

「だいたい、ヤツは我のことをナメきってる。そうは思わんかリオル。一応アレだぞ。好きだと言ったんだぞ我は。
 自分を好いている女だと知っているくせに、ビフォーアフターで態度が全ッ然変わらんのはどういうことだ。
 おい、どういうことだリオル!」
「知りませんよそんなの」

テントウムシをぱっぱと空に逃がして、リオルは半目で憤っているリューにどうでもよさそうに返す。

「じゃー、言えばいいじゃないですか。ヒロトに。もっと構ってくれって」
「そんなこと言ってウザイとか思われたらどうする!」

ほな聞くなや。
リオルはそう思ったが、相手は魔王。魔族の魂に刻み込まれた絶対的上下関係(カースト)が
それを口に出すことを許さない。
だいたい、リオルに恋の駆け引きなどわかるものか。灼炎龍時代はオスなんか興味はなかったし、
ジョンに助けられてからは割と好きな時にじゃれてるし。
ジョンがリオルを大切にしてくれているってことは知ってるし。
不満があるとすれば、最近だろうか。リオルが賢者の石で魔力を自己回復できるようになったために、
定期的に行っていた魔力補充―――つまり性行為のことだが―――がめっきり減ってしまったのだ。
いや減ってしまったというか考えてみれば、あの賢者の石事件以来一度もシてないんじゃないか?
いやいや、賢者の石が自己回復能力を得たと発覚したのはグリーンドラゴンのゾーラとガチ勝負をした後。
それ以前もなんやかんやで機会を逃していたから……あれ。もしかして結構シてない?

「倦怠期到来かっ!?マズくないあたし!」

リオルは大変なことに気付いてしまった。これが世に言うセックスレスというヤツかっ。

「……ふふん。それ見ろ。貴様とて楽観している場合ではないではないか。
 もっと、こうだな。それと気付かれることなく相手を意識させるにはどうすればいいかを考えるべきなのだ」

セックスとか性行為とか、リオルとジョンの関係はリューとヒロトのそれより大分オトナちっくなので、
聞いてるリューの頬は少し赤くなってしまう。
が、そこは魔王としてのなけなしの威厳を保ってウンウンと頷いておく。

「いやぁ別に。あたしの場合ジョンに直訴すればいいだけの話ですし」
「なんだと貴様!裏切るのか!」
「裏切るも何もないですよう。っていうかホラ。ちゃんと探索しないと後で怒られますよヒロトに」
「ええい構わん!どーせ何もないのだから適当に……」

嫌な先輩さながらにリオルに無理矢理ヘッドロックをかけようとするリュー。
嫌がってる後輩そのままに超迷惑そうな顔でヘッドロックをかけられるリオル。
二人のヒトならぬ少女はほとんど同時に、はたと気が付いた。
345にんじん畑でつかまえて(8/17):2008/06/26(木) 23:24:45 ID:d1p7Y7pA
畑の一角。
丁度柵に隠れて見えないが、何かいる。

「たーらららららんなないろっ♪にんじ〜んらっちゅーぃえー♪」

ご機嫌な歌を口ずさむ謎の影。
何をしているのかと覗き込んでみれば、むくりと起き上がり
一仕事終えたいい顔で額に浮いた汗なんかを拭いている。
おしりをふりふり、白くて丸いしっぽをぴこぴこ。
空色のチョッキに赤い蝶ネクタイ。腰には金色の懐中時計が揺れている。

「ふー、これで今日の収穫はおしまいですぅ。にんじんにんじん。さて、あとは落とし穴を掘って、と!」

少女だった。
ただし、人間ではない。人間の耳はあんなに白くて長くない。頭のてっぺんから生えてない。

ワーラビット。

人間を素体にウサギのパーツをブレンドしたような外見をしているそのイキモノは、
パッと見、カジノで働くおねーさんに見えなくもないがこれでも獣人。魔族の一員だ。
人間を凌駕する身体能力を持ち、特に逃げ足のスピードは相当なもの。
主な生息地、草原。

「………………」
「……………………」

柵に寄りかかってじぃーっとウサギ少女を観察する。
ウサギ少女の隣には山積みになった野菜。主ににんじん。そして、荒らされた畑。
ウサギ少女は引っこ抜いたにんじんの生えていた一角を、またサクサクと掘っている。

「………………」
「……………………」

野菜ドロだ。
リューとリオルは同時にそう思った。

「うに?」

と、その思念を聞き取ったかのようにウサギ少女の耳がぴくぴくと動いた。
驚異的なスピードで掘り進んでいた穴からひょこっと顔を出し、
きょろきょろ辺りを見回した。かと思うとこっちを向く。

「………………」
「……………………」
「……………………………」

「「「………………………………」」」

沈黙が流れた。
ウサギ少女がそのどんぐり眼をぱちぱちと瞬かせる。
リューとリオルは変わらず、柵に寄りかかった姿勢のままウサギ少女を見つめている。
じー、と二人と一人の視線が交差して約一分。

「きぁぁぁぁぁぁああああああああああああああ!!!!」
346にんじん畑でつかまえて(9/17):2008/06/26(木) 23:25:33 ID:d1p7Y7pA
ウサギ少女が絶叫した。
目に一杯の涙を溜めてわたわたわたと両手両足をバタつかせ、
ひと蹴りで身長の二倍ほども跳ぶと穴から一瞬で脱出、文字通り脱兎の如く逃走を―――

「どこへ行く」

―――リューの威圧的な声に、ぴたりと止まる。
駆け出していた体勢のままギギギと首だけ錆びた鉄門の蝶番よりぎこちなく回し、るるると泣きながら振り返る。
柵に腰掛け、頬杖をついているリュー。柵に寄りかかったままのリオル。
リオルの方は何やらのほほんとしているが、リューは炎の瞳を揺らめかせ、にいっ、と笑う。
さっきまで恋する男の愚痴をぶつくさ呟いていた少女とは思えない、魔王に相応しい壮絶な笑み。
かわいそうに、ウサギ少女は失禁寸前、といった様子でふるふる震えている。

「何故逃げる。まだ我は貴様に『去れ』と命じてはおらぬぞ?」

吹き荒れる魔力の奔流。雲ひとつない青空の下、絶好のお昼寝日和に間違い無しの陽気が嘘のようだ。
この畑の一角。ここだけ魔界になってる。限りなく黒に近い紫色の空気になってる。
屈強な戦士の亡骸が埋葬もされずに白骨化し、路傍に積みあがっているような、そんな感じ。

(な、ななななんで魔王サマがここここんなところにぃぃぃいいいっ!!?)

ウサギ少女が悲鳴をあげるのも無理はない。洗濯物がよく乾きそうな平和なある日、
ふと振り返ったら魔王がいたなんてシュールすぎてリアリティにも欠ける。
が、肌に痛いほど感じるのは夢かと疑う余地すらない威圧感。これはまさしく現実。
ウサギ少女のなけなしの魔族としての本能がビンビンに告げている。今目の前にいる
燃え盛る炎の如き鮮やかな赤い髪をした少女が、この世全ての闇と魔を司る魔王・リュリルライアであることを。

「こんなところで何をしている。見たところにんじんを収穫していたようだが。持っていかなくていいのか?
 まさかこそこそと野菜を盗んでいたわけでもあるまいに。まぁ、万が一。本当に野菜ドロなどという
 小賢しい真似をしていた場合―――この魔王の名を穢したとして、相応の罰を受けてもらうが構わんな?」
「ひ、ひぃぃぃいいいい!!?」

リューの指先に炎が灯る。ランプの火よりも小さなそれは、しかしひとたび放てばドラゴンブレス以上の
破壊を巻き起こす地獄の業火だ。哀れ、ウサギの丸焼きがひとつこんがりと出来上がるかと思われたその時―――。

「リュリルライア様ー、八つ当たりはへっぽこですよ」
「馬鹿者。冗談だ。それとあんまりへっぽこって言うな。傷つくから」

ふ、と。
張り詰めていた空気が弛緩する。リューの纏うそれも魔王から普段の少女のものに戻り、
ウサギ少女は危機が去ったと悟って緊張の糸が切れたのか、へなへなとその場に崩れ落ち、
そのままぱったりと倒れてしまった。



「いやぁ、申し訳ない!!」

ピーター・ベンジャミン・キャロットは後頭部に手を当てて、あっはっはと笑った。

「人間のお客さんは本当に久し振りでして!てっきり魔獣と勘違いして攻撃しちゃいましたよ!」
347にんじん畑でつかまえて(10/17):2008/06/26(木) 23:26:14 ID:d1p7Y7pA
空色のチョッキに赤い蝶ネクタイ、よれよれ白衣といった格好の青年は陽気に過失を告白した。
扉が開け放たれた時、先頭にいたのがヒロトでよかった。ヒロトでなかったら突然のことに驚いて
その怪力に吹き飛ばされていただろうし、もちろんそれでは無事では済まなかったに違いない。
しかし戦闘力なら史上最強の一人とも謳われる勇者はその奇襲にも動じず、襲い掛かってきたそれを
ひょいとかわすと背中の長剣を抜き払い一閃した。硬い石で出来ているはずのそれは
肩口から腰に掛けて真っ二つに両断され、今は玄関先で転がっている。

ゴーレム。

魔導師が操る動く人形である。ポピュラーなものでは粘土を捏ねて魔力を通し、
形を作って使役する使い魔であるが、その汎用性は高い。
ジョンがダンジョン探索の時、複雑なマップを掌握するために使うマウスもそのひとつなら、
リューがその無尽の魔力を体現するように喚び召すクレイドラゴンもそのひとつ。
他にも人間そっくりの外見を持つほど精巧な『ガイノロイド』や
門を守護する『ガーゴイル』など、様々な種類を持つ術である。

「しかし、自分のストーン・ゴーレムを剣で斬り裂くとは!剣士さん、すごい腕していらっしゃる!」

何故か嬉しそうなピーターの言葉に、微妙な顔をするヒロトたち三人。
そりゃあそうだろう。ヒロトがその気になれば石どころか山だって斬れるのだ。
その辺の魔導師が造ったゴーレムなんぞ目ではない。
―――と、いうことは胸の中に置いておいて、ローラはにこやかに微笑んだ。

「私の従者をお褒め頂き、ありがとうございますわ。ですが貴方のゴーレムもなかなかのものとお見受けしました。
 もしや名のある魔導師様のお弟子様では?」
「いや、いやぁ!自分なんて!自分なんて!少しばかりラルティーグで基礎を学んだだけですので!」

美人のローラに笑顔を向けられて顔を真っ赤にし、ピーターはがりがりと頭を掻きながらアハハとさらに笑う。
ラルティーグ、と聞いてジョンの耳がぴく、と震える。しかしそれだけだ。ジョンはゴーレムに関しての
技術的な話が出ない限り、ローラの従者として黙って静かに出された緑茶を啜っている。

しかし―――と、ジョンは思う。

彼の操るさっきのゴーレム。あれはたいしたものではない。
造形からして雑なのが見え見えだ。シルエットこそ辛うじて人型に見えるものの、首はない。
盛り上がった上体から直接頭が生えており、身体のパーツパーツがごつくて大きい。腕が妙に長く、
地面に届きそうなほどに対して足は短く、膝はどこかと思うほど。はっきり言って不細工だ。
あれではパワーのほうはともかく、精密な動作なんてとても叶わないだろう。
ゴーレムの外見は術師のイメージに寄るものが大きい。
より高度なゴーレムはそれだけ精密なイメージを必要とするのだ。
リューの召喚するクレイドラゴンとは比べるのも馬鹿らしい、月とすっぽんである。
ラルティーグで学んだ、と言うのならもっとマシなものになるまで帰ってこなければいいのに―――。
ラルティーグが誇る天才、ジョン・ディ・フルカネリは心の中で溜息をついた。

「ですがなんだか申し訳ありませんわ。私は魔術のことはよく知らないのですが、
 その、貴重なのでしょう?ゴーレムって。急に襲い掛かられたからといって、それを真っ二つに」
「ああ、それは構いません。悪いのはこちらですし、それにストーン・ゴーレムはまだ代えがありますから!」
「そうなんですの?」
「あはは。元々畑仕事をさせるためにいくつも創った試作品のひとつでね。まぁ、貴重といえば貴重ですが、
 修理すればまだ動きますから!」

ローラはにこにことした笑顔を崩さず。
ヒロトは従者らしく、瞑想するように控えたまま。
そしてヒロトの隣で緑茶を啜るジョンの目がすっと細まった。
348にんじん畑でつかまえて(11/17):2008/06/26(木) 23:27:01 ID:d1p7Y7pA
畑仕事をさせるために。

やはり。これではっきりした。畑に残っていた大きな足跡、そして魔力の残滓はこのゴーレムのものだったのだ。
……しかし、それではそれで合点がいかない。
そんなこと、人間の手でもできるではないか。何故わざわざ、ゴーレムを使わなければならないのだ。
町に広まった噂の影響で従業員を雇うことができなくなったのか?それもあるかも知れない。だが違うだろう。
そもそも噂が広まったのはピーターがキャロット家を追い出されて郊外に―――つまりここに屋敷を持ってからだ。
この青年がゴーレムを使って畑を耕したのが始めであり、噂はそのあと生まれたのだから。
それに魔導師が畑を耕すなんて聞いたこともない。秘薬を作るために霊草を育てるならまだしも、
畑に生っているのは何の変哲もない唯のにんじんである。
魔道の才を持ちながら唯人に堕ちたキャロット家を憂い、ラルティーグに留学したんじゃないか。
それなのに何故わざわざこんな、誰にでもできるようなことをしている?
……はっきり言って、せっかく学んだ魔道の術を無駄にしてないか、こいつ。

じー、と、知らない内にジト目でピーターを睨み付けている自分に気がついて、ジョンは慌てて目を伏せた。

「まあ。畑仕事を?ゴーレムに?」
「ええ!」

その間にもローラはピーターと話を続けている。

「よく働いてくれます。本当は全自動生産を目指してはるのですが、
 まだまだ自分の腕ではそんな複雑な命令はインプットできなくて。いやぁ、難しいものです!
 畑仕事というのも、魔術というのもね!」
「―――全自動?」

それまで黙っていたヒロトも、それからローラも。驚いてジョンの方を見る。
思わず聞き返していたのだ。しまった、と思ったがもう襲い。ピーターは訝しげな顔でジョンを見、
―――そして顔を綻ばせた。

「ええ!それこそが自分の夢!野菜の栽培から収穫まで全自動で行われるオートマティック・ファーム!
 どうです?素晴らしいと思いませんか?指一本動かさずとも美味しい野菜が食べられるのです!
 ビバ大地のMEGUMI!!」
「……ですが、ピーターさんはキャロット家、つまり名家の生まれなのですわよね?
 それなら始めから何もせずとも食べるには困らないのでは」

大きく手を広げるピーターに、ローラは可愛らしく小首を傾げた。
しかし、ピーターはノン!と立ち上がって拳を握り締める。

「そうではありません!自分も知らなかったことなのですが、野菜を作るのは大変な手間がかかるのです。
 自分が調べたところによると、米を一粒作るのに農民は実に八十八の手間をかけるとか。八十八!なんと!!
 自分はそれを知ったとき稲妻のような衝撃を受けました。自分は!その農民たちの努力の上に立ち!
 一体彼らに何を返してきたのかと!!」
「………………………」

ローラたちは目を丸くした。特にローラは。
なんとなく、ピーターが変人と呼ばれる所以がわかった気がした。魔導師を志したからではない。
貴族に―――『貴き血族』に生まれ、なお平民の上に立つことを当然としないとの姿勢こそが、
傲慢な彼らの中で異端だったのだろう。魔道に身を染めたのは些細なことだったのだ。

「幸い自分には魔導師の一族の血が流れていた!自分は唯人ではない!
 何か彼らにできることがあるはずだとラルティーグに渡り!そして手に入れたのがこの!!
 ストーンゴーレムの秘術なのだァーーーーーーッッ!!!!」
349にんじん畑でつかまえて(12/17):2008/06/26(木) 23:27:50 ID:d1p7Y7pA
 
スタンディングオベーションだった。

ローラは立ち上がった。そして拍手した。
民のことを考え、そして貢献できる―――しようとできる者。己が何の上に立っているのか知り、
その上で行動できる者。確かに人の上に立つ存在は必要だ。そうでなかったら人間の社会は秩序を保てずに
崩壊してしまう。だが、その中で自分が生まれもって優れていると勘違いし、傲慢に振舞う者のなんと多いことか。
それはもはや貴族ではない。王ではない。真の貴族は彼だ。彼こそが、貴族の名に相応しい。

ジョンも立ち上がった。そして拍手した。口笛も吹いた。
魔導師の術を無駄にしている?三分前の自分は馬鹿だった。『人が為』。それがラルティーグの魔術師の
誇りじゃないか。そも、ジョンの目指す賢者の石も同じ。ゆくゆくはヒトの世に更なる繁栄をもたらす為に、
何世代もの研究者たちが目指してきたのである。事実、賢者の石の研究はその過程でさえ、
世の中に貢献してきた。それがラルティーグの在り方だろう。
彼はその力を欲し、得たのだ。真の魔術師は彼だ。彼こそが、魔術師の名に相応しい。

ヒロトは座ったままだった。そして、ちょっとローラとジョンの異様な盛り上がりにびっくりした。
だけど立派だと思ったことは思ったので立ち上がり、両手を広げて天を仰いでいるピーターに拍手した。

ピーターは泣きながら『ありがとう、ありがとう』と答え、何故かこちらも泣いている
ローラやジョンと熱い握手を交わした。ヒロトにも向かってきたのでとりあえず手を出したら、
何故かヒロトだけ抱擁された。泣きながら。それを見てローラがさりげなく抱きついてきた。
ノリだろうか、ジョンもヒロトの背中に身を預け、一同は一体となって感動を分かち合った。

なんだこれ。


「でも、困っていることもあるんですよ」


しばらくスポーツの祭典で優勝を決めたチームのように抱擁しあっていたが、
やがてウソのように冷静になったピーターが眉間に皺を寄せて言った。

「困っていること?」
「というと?」

こちらもさっきの熱狂などなかったように一瞬にして冷めたローラとジョンが真剣な顔で訊く。
ヒロトはちょっと疲れてた。

「この近くに魔獣が住んでいまして。いつも自分の畑を荒らすんですよ。あげく、畑に落とし穴まで掘る始末」
「落とし穴………とは。なんとも、緊張感のない魔獣ですわね」
「それだけではありません!自分が畑に出ている間に勝手に自分の家に入り、
 写真や服、果ては家具までもを盗んでいくのです!」

『写真』。

専用の道具を使い、術師のイメージを紙に焼き付けた絵のことである。
見たものから己の印象を排除して正確に現像するのは至難の業であるが、
そういった『写実念写』を可能とする念写師は信用を第一とする
大手の吟遊詩人結社―――ミンストレルスギルドにとっていなくてはならない存在だ。
だが魔法使いにとっては真実(現実)とはむしろ歪めるべきものであり、低俗な魔法とされ、
念写を専門とする魔導師は少ない。最近では未来視や千里眼を併用する術式が確立されて
そのような考えは変わってきたようだが、それでも貴重なものは貴重なのだ。

「………ですが、魔獣なんですわよね?犯人は」
350にんじん畑でつかまえて(13/17):2008/06/26(木) 23:28:34 ID:d1p7Y7pA
人間のコソ泥ならまだわかる。ピーターの服や家具はキャロット家から追い出されたとはいえ上等なものだし、
写真だって貴重品だ。売れば結構な値がつくだろう。
……なんで、魔獣が?

「恐ろしく逃げ足の速いワーラビットです。自分をからかうのを生きがいにしている、
 悪魔のようなようなヤツです!きっと盗んだものをいいようにして、嘲笑っているに違いない!」
「悪魔……ですか。ぞっとしませんね」

つい最近悪魔に憑り殺されかけたジョンが口をへの字に曲げる。
しかし、魔獣と人間の諍い事なら黙ってはおけない。ローラはヒロトに目を合わせた。
ヒロトがこくんと頷き、ローラも頷き返す。

「―――で、その魔獣はどこに住んでいるんです?」



畑からしばらく歩き、森にほど近いそこに、彼女の住んでいる穴はあった。
自分で掘ったのだというそこは入り口ににドアが取り付けてあり、中は小さな部屋となっている。
いかんせん地中であるため窓はないものの、ベッド、机、棚、箪笥まで用意してあり、
なかなか住み心地はよさそうだ。

「ほほう、ここが貴様の住処というわけだ」
「うう……住処、じゃなくて家って言って欲しいですう、魔王サマ」

部屋をぐるりと見回すリュー。
その隣では結局パチってきた野菜をぼりぼり齧るリオル。

「うぇ〜、苦ッ。ねー、肉ないの肉」
「ご、ごめんなさい。お肉はないんですぅ、火龍サマ」
「馬鹿者リオル。こやつは草食。野菜しか喰わんベジタリアンというヤツだ。……あれ?魚がある」
「川から釣ってきて干物にしてあるんですぅ。ウサギだからって野菜ばっかり食べてるわけじゃないですよぅ」
「………チッ」
「え!?何ですかぁその舌打ち!?ごめんなさぁい!ベジタリアンじゃなくてごめんなさぁい!!」

ウサギ少女、アリス・ワーラビット・ネザーランドはぺこぺこ謝った。
あのあと気絶から目覚めたアリスは目の前にリューたちがいないことに気付いて夢だったんですねぇ〜と安心し、
振り返ったら引っこ抜いたにんじんを物色しているリューたちを発見して再び気絶し、
さらに目覚めた後に無理矢理この洞窟・アリス邸に案内させられたのだ。

しかしリューとリオル。この二人、まったくいい客人とは言い難い。
なにせアリスはヌシでもない唯のワーラビットであり、一方相手は魔王と火龍。種族のレベルが違いすぎる。
魔族とは混沌から生まれし種族の総称だ。人間のように貴族と平民でも裸になれば同じ人間というわけではなく、
力の強い種族と弱い種族で露骨に差が生まれる。それでも知能すらない最下級の魔獣なら、愚かな鈍感ゆえに
上の者の『存在』に何のプレッシャーも感じないかも知れないが、残念ながらアリスはそうではなく、
普通の人間並の魔力しかない癖にレベルの差は感じ取れるという哀しい下級魔族だった。
そして目の前の二人は上級種『ドラゴン』と頂点たる『魔王』。
簡単に言えば、『死ね』と命じられても二つ返事で死ななきゃならないくらいのレベルの差がある。
これが良い客人になるわけがなく、さっきからの傍若無人っぷりで済んでいることが奇跡なのかも知れなかった。

―――と、いっても、リューやリオルはヒロトたちとの旅でだいぶ考え方が『人間っぽくなって』丸くなった
魔王と火龍であり、いきなり無茶な命令なんかするわけがないのだが(傍若無人は二人の素である)。
………それを、アリスが知っているかと言うと、まぁ答えは言うまでもないだろう。
351にんじん畑でつかまえて(14/17):2008/06/26(木) 23:29:12 ID:d1p7Y7pA
 
「そっかー、肉、ないのかー」

リオルは少し残念そうにしている。小腹がすいたのだろう。肉好きのリオルは取っておいたジャーキーを
食べようかなと思い、しかし今食べてしまうと『おやつのジャーキーを少しずつ取っておいて、
まとめてお腹いっぱいジャーキーを食べる大作戦』がまた遠のくなとも思った。
そしてふと、戸棚から何か取り出しているアリスに声をかける。

「アリスちゃん、なにやってんの?」

アリスが持っているのは黒い―――火打ち石?
かきんかきんと打ち付けることによって火花が散り、火を熾すことができるアレだ。
もっとも現代では火の魔印を刻んだ『ジッポストーン』が普及しているため時代遅れのものとなっているが。
………しかし何故火打石?

「アリスちゃんなにやってんの!?」
「火龍サマに召し上がっていただくお肉は残念ながら持ち合わせておりません。
 ですから不肖、我が身、アリスめの身体をこんがりとぉ―――!」
「待った!いいから!そんなんいいから!!」

くわッ!と手にした黒石を振り下ろそうとするアリスに飛び掛り、慌てて羽交い絞めにする。

「止めないでくださいぃ!アリスは月に!お月さまに逝くんですぅぅ!!」
「無理ー!無理だから!人身御供っても月面のクレーターが見せる影模様にはなれません!!」
「……リオル落ち着け。何を言っているのかまるでわからんぞ」

どったんばったんと暴れる二人から離れて、リューが顔をしかめた。
リューの細腕では獣人であるアリスと火龍の化身であるリオルを押さえつけるなど……実は簡単にできたりする。
筋力はないが魔力なら並ぶものなし、魔王リュリルライアは適当に緊縛の魔法でもかけて二人から
自由を奪ってしまおうか、でもこんなくだらないことにわざわざ我が動かなければならないというのもなー、
と面倒くさそうに溜息をついた。

「アリスはー!生まれ変わったらまた貴方と出逢いたいー!」

どんがらがっしゃ、と棚の上に立てかけてあった何かが崩れる。
それを何気なくひょいと拾い上げて、リューは眉をひそめた。

「……なんだこれ」

額縁に飾られた、恐ろしく精密な絵……いや、前に見たことがある。
写真とかいう人間が編み出した技術で写し出した『画像』だ。
一人の青年の姿が写っている。背景はどこかの観光地だろうか、
空色のチョッキに赤い蝶ネクタイの青年が恰好をつけて剣を掲げている―――誰だこいつ。

「あー!ま、魔王サマー!駄目ですぅ、それは!」

気付いたアリスが声をあげるも、リオルに羽交い絞めにされているので動けない。
リューは小首を傾げ、きょろきょろと再び部屋の中を見渡した。
……そういえば、とひとつ疑問を抱いた。この部屋の装い。獣人の住処にしては異様に豪華だ。
戸棚や机は細かい模様細工が彫ってある高級品だし、羽ペンには銀の装飾まで施してあった。
ベッドに掛かっている毛布―――いや羽毛布団は雲のようにふかふかしていそうで、
どんな宿屋にもそんな柔らかな寝床はないだろうという程。
そういえばアリスが腰にぶら下げている金時計だって見るからに高価そうなシロモノである。
っていうかなんでこんな僻地の魔獣が時計なんか持っているんだ?
そこでリューは気付いた。
写真の青年の服装と、アリスのそれが同じものだということに。
352にんじん畑でつかまえて(15/17):2008/06/26(木) 23:29:51 ID:d1p7Y7pA
「なになに?どうしたんです、リュリルライア様!」

………………………。
なにやら目を輝かせているリオルとは対照的に心が冷えていくのを自覚する。
この女、まさか―――。

「あ、あうぅ……」
「………この男を殺して装備を奪ったか。なるほど?魔獣の本性というわけだ。いやいやいや、構わんよ。
 ここで、魔王たる我が、貴様を糾弾することはできぬということはわかっているさ。
 だが―――あいにくと今の我はある愚かな勇者と行動を共にしている身でな。
 ヤツの理想と真正面から対立するような貴様の所業を、―――見過ごすわけにはいかんのだ!!」
「……え、ええぇっ!?」

リューの瞳がカッと見開く。そしてゴオッ!!と魔力の奔流が空気を掻き乱し、大風を巻き起こした。
さながら紅の海が波立ち逆巻き、全てを飲み込む時化となるように。先程アリスをからかったものなど
比べ物にならない。魔力の波動にただ居るだけで血潮が逆流し、皮膚を食い破って吹き出しそう。
狭い部屋の豪奢な家具が吹き飛ばされ、壁に押さえつけられてミシミシと嫌な音を立てた。
たまらず箪笥は衣類を吐き出し、戸棚もまた扉を開いて中のものをぶちまける。
台風さながらのリューの怒りの波動に、たまらず少女二人は悲鳴をあげる。

「ちょ、リュリルライア様!落ち着いて!抑えて下さい!」
「誤解っ、誤解ですぅ!あたしはピーターを殺してませぇん!!」

アリスの叫び声に、リューはピタリと魔力の放出―――これだけの威力があって、未だ『放出しただけ』
―――をやめた。どさどさと壁に縫い付けられていたアリス、そしてとばっちりのリオルが落ちてくる。

「痛た……もう、リュリルライア様ったら短気なんだから………」
「では何か。譲り受けた、貰いものだというのか?」

お尻をさすっているリオルをさりげなく無視して、リューはジト目でアリスを睨みつける。

「……あぅ、いえ、それは……違いますけど」
「なら、やはり『ニア 殺してでも奪い取る』ったのか!」
「違いますったら!なんでそう極端なんですかぁ!?」
「アリスちゃん、リュリルライア様はいつもだいたいこんな感じだよ」
「リオルは黙れ」

魔王の一瞥でリオルを黙らせてから、リューはアリスにずいと迫った。
アリスはこめかみから冷や汗を流しながら、思い切り目を逸らす。が、そこは魔王とワーラビットの
哀しいまでの種族的階級差。重圧に耐え切れるわけもなく、がくりと観念したように肩を落とす。

「………畑の向こうにピーターっていう人間の屋敷があるんですけどぉ」
「知っておる」
「………そこから、盗んできましたぁ」
「何故」
「………綺麗だし。便利だったからですぅ」

るるると泣きながら耳まで垂れてるアリスだが、リューは懐疑的な目でじろじろアリスを眺め回している。
そこへ、それまでお尻へのダメージを癒していたリオルがあっけらかんと言った。

「えー、ウッソだぁ」
353にんじん畑でつかまえて(16/17):2008/06/26(木) 23:30:44 ID:d1p7Y7pA
え、とアリスが顔を上げる。リオルは足元に落ちていた写真―――さっきの立てかけてあったものとは違う、
戸棚の中身がバラ撒かれた拍子に飛び出していたものだ―――を拾い上げた。
ピーター。
これも、ピーター。
それも、ピーター。

「この写真全部同じ人のじゃん。ええと、この人ピーター・ベンジャミン・キャロット、でしょ?」
「あぅ……」

そこへ、何かを察したらしいリューがフムと頷く。

「……なるほど、そういうことか」

あると便利だった。豪華だったから。それもあるだろう。しかし、芯の部分は、違う。
それでは同じ人間の写真を何枚も持っている理由にはならない。そもそも、写真やペンや、時計―――こんなもの、
盗んだってワーラビットであるアリスには何の使い道もないだろうに。
ならば答えはひとつ。アリスはこれが必要だから盗んだのではない。
これを手元に置いておきたかったから盗んだのだ。
つまりそれは、意中の男と常に一緒にいたいがために彼の持ち物を持ち出してしまうという
乙女ちっくハートの成せる行動。そう、アリスは―――。

「アリス!貴様、ピーター・ベンジャミン・キャロットに恋をしているなッ!!」
「ギクぅッッ!!」

リューがビシィッ!と指を突きつけると、アリスは面白いくらいに肩を大きく跳ねさせた。
その顔が見る見るうちに真っ赤に染まる。わたわたと手を無意味に動かしたあと、
ふわふわで真っ白な耳まで赤くして、アリスはぷいと横を向いた。

「そ……そんなんじゃないですぅ」
「「ウソつけっっ!!」」

そのリアクションで十二分。二人のツッコミに部屋の端まで追い詰められたアリスは、しばらくうぅー、
とか唸っていたが、どうせ魔王の追求にウソはつけない。アリスはとうとう、両手両膝をついて告白した。

「その通りですぅ。わたしは……アリスは、人間をスキになっちゃったんですぅ」
「やはりな」
「わぁい」

フフンと何故か勝ち誇ったような顔をするリューと、これまた何故か嬉しそうに顔をほころばせるリオル。
アリスは目いっぱいに涙を浮かべると、悲痛なまでの声で叫んだ。

「魔族にあるまじきこととは存じておりますぅ……お叱りは何なりと受けますぅ!
 でもでも、ピーターは、あの人は何にも知らないんですぅ!ただ、わたしが勝手にスキになって、
 遠くから見てただけなんですぅ!お願いしますぅ!ピーターには手を出さないでくださいぃ!!」

魔王リュリルライアと灼炎龍リオルは―――、

え、と顔を空白にさせた。

そしてこそこそと二人顔を寄せ合うと、秘密会議モードに突入する。

「………おいリオル。人間に恋をするのは魔族的にタブーだったのか?」
「さあ……。でもおとぎ話だと大抵悲恋に終わるっぽいですけど。確かに」
「ああ、鶴とか狐とかフタクチとかか?ふん、そんなものがどうした。ヒロトはそんなんじゃないからな!」
「ジョンだってそうですよぅ。ようは男と女の覚悟次第……これは人間どうしでもそうじゃないですかね?」
354にんじん畑でつかまえて(17/17):2008/06/26(木) 23:31:36 ID:d1p7Y7pA
「であろう。だいたい我、っていうか魔王的にも自由恋愛を禁じた覚えはないし」
「じゃ、アリスちゃんは?」
「無論OK。オールOK」
「っていうかあたしらがブーブー言える立場じゃないですもんねぇ」
「ん、まぁな」

あっはっはと笑いあう魔王と火龍。アリスとしてはかなり不安な光景である。

「あ、あのぅ……お叱りは」

おそるおそる声をかけてみるアリスを振り返って、リューはぱたぱたと手を振った。

「ああ、そんなもん、いい。いい」
「はぁ?」
「それよりアリス。貴様、遠くから見ていただけと言ったな」

含みのある顔ではあるが、アリスをまっすぐに見つめる魔王リュー。アリスはまたもびくっ、
と竦みあがるが―――その視線が威圧的なものでないことに気が付いて、かえって混乱する。

確かに言った。そして事実だ。アリスはもともとこの土地に棲んでいた魔獣であり、
ピーターを知ったのは彼の屋敷が建てられてからのことである。こんな僻地に家を建てるのも酔狂だと思い
こっそり様子を伺っていたら、ゴーレムを引き連れてきたのでとても驚いたのを覚えている。
もしや自分を討ちにきたのでは、しかし自分なんかやっつけたって何の得にもならないよぅ、
とびくびくしていたら、何故かゴーレムたちは畑を耕し始めたのだった。
それまで怖がっていた気恥ずかしさもあり、よくも驚かせたな、と毎日睨みつけるように様子を伺って―――
で、気が付いたらそれがとても楽しみになっていた。
あとはリューたちの思った通り。家具や小物を盗んだのはピーターといつも一緒にいられるような気がするから。
畑の野菜を盗んだり、落とし穴を掘ったりしてイタズラするのは自分がいるというアピールのためである。
直接会ったり話したりしたことはない。向こうはアリスの名前も知らないだろう。

それは寂しいとは思うけど―――別に、アリスは、それ以上は―――。

「甘いッッッ!!」
「ひぃ!?」

ちょぴりセンチメンタルになっていたアリスを、腕組みで仁王立ちのリューが吹き飛ばした。
あまりの迫力に尻餅をついたままわたわたと後ろにさがろうとするアリス。しかし背中に、どん、と何かが
ぶつかり、それ以上の後退を許さない。見上げると―――そこにはやはり、腕組みで仁王立ちのリオルが。

「魔族の女の子と人間の男の子の恋とあらば!あたしたちは見逃すわけにはいかないっての!!」
「その通り!!」

囲まれた。もう逃げられない。
アリスは異様なテンションの二人に迫られてガタガタ震えた。
頼むから。頼みますから。余計なことはしないでくださいぃ――――――とは、言えない。
この二人の少女は上位種。それも魔王と火龍、ワーラビットなんぞメではない絶対的種族階級の支配者なのだ。
はっきり言って、『死ね』と命じられても二つ返事で死ななきゃならないくらいのレベルの差が―――。

「往くぞリオル!アリスの恋を成就させるために!!」
「サー!イエッサー!!」


……………こうして、『変人』ピーターと『白兎』アリスの恋は。
半ば無理矢理に、始まることになるのでしあ。



              にんじん畑でつかまえて〜新ジャンル「うさぎ」英雄伝〜 続

355名無しさん@ピンキー:2008/06/27(金) 00:01:11 ID:qZyLCKji
魔王キターwww
新シリーズはドタバタなラブコメですか
続きwktk
356名無しさん@ピンキー:2008/06/27(金) 11:38:38 ID:HRXr9Qo1
男「女ァ、そのウンコを爆弾にしたなッ!」
女「んー、どうだったかな?したかもしれないし、してないかもしれない」
男「ちゃんと質問に答えろォー!」
女「好きすぎず、かと言って嫌いでもなく!このポジションがいいのだ!」
男「ちくしょうッ!」
女「男くんと友達以上恋人未満・・・ちょうど幼馴染みたいな関係が私の心に平穏をもたらしてくれる!」
女「進展もせず、かと言って終わるわけでもなく!」
男「なら・・・なら、俺を女友さんとのデートに行かせてくれ!時間がないんだァー!」
女「このまま忠告に従っておとなしくしてるもよし・・・ウンコまみれになって、家に帰らなければならなくなっても」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

男「くしょう!ちくしょう!強行突破だッ!押させないぞ!」
女「いいや、限界だ!押すね!」

カチッ ドッグオオーーーーーン

男「ぶべらっ!」
女「これで今夜もグッスリ寝られる♪」

新ジャンル「心の平穏を求める女の子」
357名無しさん@ピンキー:2008/06/28(土) 23:49:45 ID:VQ7qhxQ1
友「お、ありゃあ女さんじゃねーか。隣にいるのは……男?おーい」

女「キュキュッキュッキュキュキュキュ♪キュキュッキュキュッキュ♪HEY!YO!友くんおはYO!YO!
  今日も朝からイイおten key!キミは毎日めっちゃ元気ィ!HEY!YO!」
男「おはよ、友」
友「女さん、なんかいつもにも増してHIP☆HOP育ちだな。なんかいいことでもあったのか?」
男「あ、バカ!」
友「?」

女「メーン!」

シュルルルルルル

友「アッー!女さんの鞄(学園指定)からッ!」
男「一枚のレコードが飛び出したーッ!!」

シュルルッ!ジャキーン!

友「そして女さんがいつも駅弁売りの人みたいなスタイルで持ち歩いているターンテーブルにON!!」
男「あのレコードはッ!まさか―――ッッ!!」

 『キュキュキュッ♪キュッキュキュッキュ♪』
 『俺……女さんのことが好きなんだ!』『好き』『好き』『なんだ』『好』『好きなんだ!』

男「アッー!!やっぱり昨日の俺の告白だァ―――ッッ!!」
友「お前ー!っていうかだから女さんは上機嫌だったのかーッッ!!」

女「YEAH!!」


旧ジャンル「DJ女」
358名無しさん@ピンキー:2008/06/29(日) 00:25:20 ID:3NqaqYHy
 
男 「なあ、じいさん。あんたは結局、何が欲しかったんだい?」
老人「………」
男 「金ならいくらでもあったろう?いくつも会社を経営して、そのどれもが巨大企業に成長した。
   妬む人もいなくなるくらいに、あんたは『成功』したんだ。あんたが望めば、
 それこそ国ひとつだって手に入ったはず。………なのに」
老人「………」
男 「あんたは結局、企業も、家族も、何もかも手放して……こんな貧乏人に最期を看取られている。
   なあ、金があればなんでも買えるんじゃないのかよ。俺は……それを信じて田舎から出てきたんだ」
老人「……はっ、ははは」
男 「……おかしいかい?」
老人「―――ああ、おかしいね。まるで……昔の儂を見ているようだ」
男 「………昔の、あんた?俺が?」
老人「ああ。儂も坊主くらいの頃はそうだったさ。金、金、金……金さえあえば、何でもできる。手に入る……。
   そう、思っておったよ」
男 「違うのか?」
老人「―――ああ。違ったよ」
男 「でも、金さえあればいくらでも食える。でかい家にも住めるし、時間だって、愛だって買える。
   そうだろう?違うとは言わせないぜ。あんたが世の中の贅沢の限りを尽くしたってことくらい、
   この国の人間なら誰だって知ってるんだ」
老人「贅沢……か」
男 「………」
老人「なあ、坊主。そんなもの、所詮、金があれば買えるものでしかないんだよ。
   ああ、儂は確かに、贅沢をしてきた。それだけの金があったからなぁ。
   だが、それが儂のものになったことなど一度もなかったよ。儂だから贅沢を許されたんじゃない。
   坊主、お前さんに同じだけの金があったなら、儂と同じ贅沢ができただろうさ」
男 「………」
老人「―――そうさ。金で買えるものなど、その程度……。坊主。儂が、儂が本当に欲しかったものは……。
   うっ!ごほっ!ごほっ!!」
男 「じいさん!しっかりしろよ!」
老人「ふ、はは。坊主。金で変えないものはこの世に確かに存在するよ。それは―――」
男 「それは……?」
老人「ごほっ!ごほっ!―――だ」
男 「じいさん!じいさん!」
老人「ははは。は、はは。ああ、欲しかった、なぁ―――」
男 「じいさん!じいさ……!」
老人「――――――……」
男 「………………」

男 「……じいさん……。そりゃあ、金じゃ買えねぇわ……」


旧ジャンル「幼馴染み」
359名無しさん@ピンキー:2008/06/29(日) 00:41:14 ID:3NqaqYHy
男「粉塵爆発ってさぁ……」
女「え?何?」
男「粉塵爆発」
女「なにそれ?」
男「俺もよく知らないけど」
女「うん」
男「なんか、あるじゃん。粉」
女「粉?」
男「粉」
女「粉が?」
男「ぶぁーって、なるじゃん」
女「あー」
男「黒板消しとか」
女「黒板けしとか?」
男「うん」
女「それで?」
男「そこに火ィ付けると」
女「どうなるの?」
男「爆発する」
女「嘘だぁ」
男「いや、マジで」
女「チョークの粉?」
男「校舎半壊」
女「怖ぁ」
男「それが、粉塵爆発」
女「へー」
男「ん、でさ」
女「うん」
男「新しいオナホールってさ、付いてるじゃん」
女「………何が?」
男「粉」
女「そうなの?」
男「うん」
女「へー」
男「爆発しねぇのかな」
女「粉塵爆発?」
男「粉塵爆発」
女「吹き飛ぶオナホール」
男「焼け焦げたオナホール」
女「シュール」
男「な」


新ジャンル「粉塵爆発」
360名無しさん@ピンキー:2008/06/29(日) 01:53:02 ID:CTxU5czb
>>358
全米(ぜんよね)が泣いた
361名無しさん@ピンキー:2008/06/29(日) 12:18:43 ID:w6z2brld
新醤油学園高等部における第三会議室。
そこは一般教員及び生徒の立ち入りを禁止する、いわゆる聖域。
その内部とは?

「姉さん、いくらなんでもベッドを学園内に持ち込むのは…」
「構わん。私がルールを作る立場だし、第一これは自腹で購入したしな」
「…………」

第三会議室の中は巨大なベッド、半透明のガラスで仕切られたシャワー室に、栄養剤の詰まった
冷蔵庫に各種18禁な玩具、妖しい衣類。
どう見てもラブホテルですありが(ry

「もうすぐだ、もうすぐで青山春樹が…!!」
校長、千所玲の興奮度合いは相当の様だ。
『いいのか…これで?』
反対に妹、舞の表情は冴えない。
『私が望んだのは…』


中等部校舎の廊下。そこに、一人の少年がうつ向きかげんに歩いている。
「参ったなぁ…これ以上給料下がったら、母さんに仕送が…」
「どうしたネ、マイダーリン?」
少年に声を掛けた少女が一人。
「レーファ!?…いやなんでもない…」
「嘘ネ!!顔見ればすぐ分かるヨ…ワタシじゃ役立てないカ?」
「…ううん。でも貴子様から『給料ダウン』って言われちゃって…」
「?訳を話すネ」
「うん…」
少年は自分の相棒(兼恋人)に経緯を語る。
「成程ネ…貴子サマがそんな事ヲ」
「うん…」
レーファとしては恋人の役に立ちたい所だが。
『…陽子サマの信頼を裏切るのは…駄目ネ』
362名無しさん@ピンキー:2008/06/29(日) 12:20:08 ID:w6z2brld
桜吹雪女学園校長室。
一年華組遠山理菜は授業中に呼び出され、この校長室へと通された。
呼び出したのは、校長青山夏実、幼馴染み春樹の母親。しかし…
「………」
いつもとは違い、沈黙を保ったままの夏実に理菜は戸惑うばかり。
『…どうしたのかしら?おばさまが黙ってるなんて…』
「…理菜ちゃん。おばさまは禁止よ」

ギリギリ

「あだだだ!!ひ、人のモノローグ読まないで!!」

必殺アイアンクローから理菜を解放して、夏実は語る。
「さっき、新醤油の生徒会長さんから電話があったのよ」
「!!……豆田姉が!?」
「そう。…陽子ちゃん」
「ん?でも変ですね。豆田姉はお馬鹿ですけど、決して無能じゃ…」
「どうやら『仔猫ちゃん』が動き出したの」
『仔猫ちゃん』。聞いた限りでは、可愛らしい印象の言葉だが。
「!!!!新醤油学園校長がですか!!」
「そう…千所さんが」

実はこの二人、新醤油学園校長の千所玲にはそれぞれ因縁がある。
夏実は夫を狙われ、理菜は入学直前に新醤油学園を追われた。
「…ターゲットは春樹みたい、陽子ちゃんの話によれば」
「!!…ぶち殺す!!」
理菜の怒り、いや殺意は燃え上がる。
「…本来なら私一人で乗り込みたい所だけど……理菜ちゃんにも借りがあるでしょ、彼女に」
「当たり前です!!」
「では…」
「行きましょう!!新醤油学園へ!!」

新醤油学園 青春編
「出撃!!桜吹雪女学園」
363名無しさん@ピンキー:2008/06/29(日) 12:23:13 ID:w6z2brld
校内をあちこち探し回るルカ。
もっともサボりは後で春樹に怒られるので、休み時間のみの探索。
これでははかどらない事この上ない。
「ハルのばかぁ…一体どこ行っちゃったの?」
「るかさーん!!」
「あ、真智ちゃん…ってお菓子食べながら歩くなんて……」
真智子の口の回りには、様々なお菓子の食べかすが付着している。
「どんだけ食べたのよ…あーあ、こんなに口の周り汚して(ふきふき)」
「ありがとです。(もきゅもきゅ)でもしゅうちゅうして(もきゅ)さがすとおなかが…」
ルカとの会話中も食べ続ける真智子と呆れた顔で見つめるルカ。
すると……

『あにもえー♪すきすきまいぶらざー♪』

「な、なんですか!?」
「あ、メール。マナーモードにするの忘れてた」
「ちゃくしんおんがきになります!!」
「ま、まぁいいじゃ……豆田姉からだ」
「まめあね?」
「うん。えっ…『春樹が狙われ…(略)』って、どうゆーことなの!?」
「わ、わたしにも」
事情の分からない二人はうろたえるばかり。
「夕圭ちゃんならハル達の居場所が分かるみたいだけど…」
「ゆかさんとごうりゅうです!!」


364名無しさん@ピンキー:2008/06/29(日) 12:24:28 ID:w6z2brld
「…麻里愛、話ってなんなのかな?」
「夕圭にゃん、誰もいないし何時もの喋り方でいいんじゃないの?」
夕圭はとある建物の屋上で同僚である麻里愛と話していた。
「…ううん。決めたからもう……」
「?」
麻里愛の顔に疑問の色が浮かぶが、すぐにある事を悟り愕然とする。
「ま、まさか!?」
「うん…テンメンジャンでいるより、黒田夕圭として春樹くんに向き合いたいから…」
「で、でも!!四天王脱退って!!あなた奨学生としてなんだから!!」
「…学校は辞めて働くつもりなの。これ以上青山家に迷惑を…」

麻里愛は夕圭の意思の堅さを感じとったが、呼び出した本題で食い下がる。
「こ、今回は静観してなよ。トウバンジャンだってむざむざ…」
「ううん。陽子だけでは校長には勝てない。私と貴子ちゃんがいて勝てるかどうか…」
「わ、私も!!」
「駄目。麻里愛までいなくなったら、学園の守りはどうなるの?」
「………」
麻里愛は悲しげに溜め息をつく。
「ふぅ……ならひとつしか方法はないね」
「えっ?」
「…コード・グランドクロスよ」
365名無しさん@ピンキー:2008/06/29(日) 12:26:41 ID:w6z2brld
コード・グランドクロスとは?

現四天王結成時、痴女クール校長は四人を前にこう告げた。
『諸君らは私の配下となり働いて貰う、忠誠の見返りに十分な報酬と学園内での安全は保証しよう』
『だが、私の意に反する場合にも四天王の意思統一があれば、特権として覆す権利も与えよう』
『但し、その時は身を持って私に捧げる事も忘れないで貰おう』

つまり、校長の決定を覆すべく四天王の貞操を代償とする、ある意味諸刃の剣たる最強のカード。
なお、名前の由来は学園創設時に遡るらしいが、そこまでは彼女達も知らない。


「……なんでよ…?」
夕圭の声が震える。
「なんでそこまでしようなんて言うのよ!!」
「ん?当然でしょ」
麻里愛は気楽げに言い放つ、ただし若干の演技力を要して。
「私達、同志でライバルで戦友じゃない。仮に私が夕圭にゃんの立場なら、夕圭にゃん達も…」
「馬鹿……!!」
泣き出した夕圭を麻里愛は優しく抱きとめた。
366名無しさん@ピンキー:2008/06/29(日) 12:30:34 ID:w6z2brld
「…んだありゃ?夕圭と麻里愛じゃねーか?」
実妹貴子と対決するべく、部室棟の屋上へとやって来た陽子。
そこで彼女が目にしたのは。


「夕圭が…震えてる!?」
そう、夕圭は身を震えさせて泣いていたのだが。
「…!!…そうか…麻里愛に絞め技食らって!!」
相変わらずの早合点ぶりでそう判断した陽子。死角から一気に近付くと、

ザクッ

「ぎゃんっ!!」
「ま、麻里愛!?」

腹部への一撃で麻里愛を気絶させてしまった。

「ったく、危なかったな夕圭。麻里愛が校長に付くなんて…ってその握り締めた拳はなんd?」
「くぅおのぉ……お馬鹿ずん胴パ○パ○えぐれ胸!!!!(ドムッ)」
「ぐふぅっ!!」


気絶した二人の少女を前に夕圭は決意する。
『どうせ一度は身を捨てる覚悟はしたんだ』
『陽子を連れていき、油断した校長を倒し…あの人に全てを打ち明けよう…』


「…どこにもゆかさんいないですね…」
「携帯にかけてみよっ」

『もしもし?』
『夕圭ちゃん、今どこ?ちょっと…』
『ごめんね、今無理なんだ。また後で…』
『ちょ、ちょっと!!じゃあG08ポイントってどこにあるの!?』
『中等部の四階、空き教室の横よ。じゃあ』
夕圭の電話はそこで切れ、無機質な音が鳴るだけ。
「…でもさ、変な場所の示し方するのね。生徒会は」
「どうでもいいですよ、はるくんがいるなら!!」
「うん、行こ。真智ちゃん!!」
367名無しさん@ピンキー:2008/06/29(日) 12:33:00 ID:w6z2brld
真智子達が中等部へと向かう10分程前のこと…


授業を聞き流しつつも豆田貴子はPCを使い、春樹と姉の居所を探っていた。
勿論級友と教師は気付いてはいたが、何も言わない。
『豆田関わるべからず』
それが中等部一貫しての貴子への対応だった。
もっとも貴子は気にすることもなく、自分の作業を続行する。

『…馬鹿姉が春樹さんを連れて行く場所、それは高等部からはそう離れていない筈』
『しかし、チーマージャン配下の偵察隊には発見されない所…』
『…となればある地位以上の人間が知っている場所…隠し部屋…』
『…電力供給がいつも以上の所に二人はいる…』

ブゥーンブゥーン…

マナーモード中の貴子の携帯が振動する。

『メール…居所が?……いや…お姉ちゃん!?』

姉陽子からのメール。
『あたしは部室棟の屋上で待つ!!捕まえられるなら捕まえてみな!!』

しかし貴子は裏を読む。
『恐らく真実…でも逃走を考えれば、春樹さんとは別行動…ならば春樹さんを……!!』


そわそわと落ち着かない風で部屋を見回す春樹。
「しっかし…部屋もそうだが、この部屋の存在を知ってる豆田って一体…」
思わず『豆田』の名前を口に出した途端、春樹の顔が赤く染まる。
「豆田ともキスしちゃったよ…俺どうすればいいのか…」

ガチャガチャ…ピー

突然物音が部屋の外で起こり、扉の解錠が行われる。
「…豆田か?無事なのか?」
「………春樹さん」
「た、貴子ちゃん!?」
突然この部屋に現れた貴子に驚く春樹。
「ど、どうして…?」
「…………」
「あ、ああ。豆田が教えたのか」
「……違う!!」
368名無しさん@ピンキー:2008/06/29(日) 12:36:05 ID:w6z2brld
語気を強める貴子。
「えっ?じ、じゃあどうやって…」
「…春樹さんがどこに行っても私は……見つけます……私…の大切な人、だから…」
「貴子ちゃん…」
しばし無言になる二人。しかし…

シュルルル…

貴子が胸のネクタイをほどき、ブレザーを脱ぐ。
「ど、どうしたのさ!?」
春樹の問いかけには答えないまま、続いて貴子はシャツのボタンを外していく。
「た、貴子ちゃん!?」
「……春樹さんは…む、胸の小さい…子は嫌い……ですか?」
「へっ!?そ、そんな…」
「…答えて……」
「い、いや嫌いじゃ……ない…けど」
「…良かった」
答えにある程度の満足が得られたのか、貴子は滅多に見せない微笑を浮かべる。
何度見てもドキリとする春樹だった。
『か、可愛い笑顔…』
その間にも貴子の手は止まる事は無く。

スーッ……

ホックを外されたスカートが、白く細い腿を滑り落ちた。

「だ、駄目だよ…」
「…私を春樹さんだけ…のものに…して…」
正面からゆっくりと近付く貴子を、春樹はボンヤリと見つめるのみ。

『春樹さんは…頂いていく……ね』


新醤油学園 青春編
「貴子強襲」
369名無しさん@ピンキー:2008/06/29(日) 17:55:23 ID:hxCWlt7x
醤油学園の女の子の積極的姿勢、俺嫌いじゃないぜ
370名無しさん@ピンキー:2008/07/01(火) 00:32:26 ID:eimnN/ii
ああ、やっと追い付いた、読むのが..最近ホント規制が多くって…
>>338-354
相変わらずのテンポの良さでGJ。
つかリューとリオルがラブチェリースになっとる(w
あのー、念写のカメラはわりと普及してるって事いいんですよね?
魔術師はあまり使わないけど、ってニュアンスで。
371名無しさん@ピンキー:2008/07/01(火) 02:18:28 ID:eimnN/ii
女「…以上で本日の会議を終わります、みなさん、ご苦労様でした…書記は議事録を」

男「春日…これ」
女「会長。」
男「会長、議事録…」
女「『会長、議事録をもってきました』くらい言いなさい。」
男「う、」
女「返事は『はい』!」
男「はい…」

生徒1「会長キツいなぁ相変わらず」
生徒2「春日て普段誰にも人当たり良くってそんなにキツイ感じじゃないのに、あいつにだけキツいのな」
生徒1「まぁな、あの眉目秀麗、成績優秀で才気煥発、飛耳長目な才色兼備で謹厳実直、不撓不屈でありながら
性格は純情可憐、温厚篤実にして春風駘蕩、洒洒楽々、でも外柔内剛の人呼んで四文字熟語オンパレード、
マスターグレードの春日にしてみりゃあの絵に書いた凡俗エアーマンの登小路が身内ってのは流石にイライラ
来るんじゃ無いのか?」

生徒2「え?身内って、親戚?」
女生徒「そだよ」
生徒1「うわ、なんだよ静、来てたか」
女生徒「えー…迎えにきたのにー…遅いしー」
生徒1「遅いって、普段のお前の方がどんだけトロいと思ってんだよw。」
女生徒「えー…なにそれー…」
生徒2「ハイハイいつもながら仲のイイこって…つか御所、それホントなんか」
女生徒「うん…一緒に住んでるって…」
生徒2「えー!マジかよ!あんな美少女と一緒って」
女生徒「…春日さんチに…居候?って感じな…」
生徒1「立場的に家でも肩身狭そうだな」
生徒2「春日といえども帰ってもあれじゃ辛いかなぁ…」
生徒1「家でも家事とかやらされてそうじゃないかw」
生徒2「うわーツレー(笑」


男「…ただいま」
女「おかえりなさいまし!旦那様!御飯に致しますか、それともお風呂?それとも…(///)ポ」
男「…」
女「旦那様?この乃鹿、妻として何か粗相を致しましたでしょうか…」

男「妻って…勝手に親同士が決めた事だし」

女「いいえ!乃鹿はずっと興(はじめ)様の事をお慕い申しております、外では登小路家の当主として相応しく
なって頂くために厳しく教師の様に、家では一日の疲れを優しく癒す妻として一所懸命に御使えしようと…
今日も心を鬼にしてに興様に辛くあたりましたが、そう言いながら乃鹿は興様のことを思うと…
想うと…乃鹿のそそは…その…恥ずかしい事になって…(///)もう早く慰めていただきたいと…
なのに興様は一向に素振りも無く…乃鹿はいつになったら女にしていただけるのかと…」

男「乃鹿…あのさ…」
女「はい!なんでございましょう、旦那様!」
男「とりあえず何か着てくれないか…」
女「あらぁ着てますわ、妻の証しの首輪とエプロン!」

新ジャンル「内柔外剛(違)」


女「春日 乃鹿(かすがのじか)」
男「登小路 興(のぼりこうじはじめ)」
372名無しさん@ピンキー:2008/07/01(火) 11:05:32 ID:FQcDahfQ
男「内気ぃ悪いけどシャーペン貸してくれ」

内気「しゃ、シャーペンは…ないです」

男「じゃあ他に書く物ある?」

内気「ま…まごの手〜…なんて」

男「ギャグはいいからその鉛筆貸しな」

内気(渾身の出来なのに…)
373名無しさん@ピンキー:2008/07/01(火) 16:51:38 ID:FQcDahfQ
TV『台風8号は勢力を強め〇〇県に移動
全壊した家は二十数件にも及び…』


男「昨日のニュースみたか?屋根が吹き飛ばされた家もあったんだって」

友「見た見た、家畜の鶏とかも飛んでったらしいぜ」

内気「屋根が、飛んだ…やぁねぇ〜」



友「あれ反応したほうがいい?」

男「反応したら頭に乗るからほっとけ」


内気(今回のは…ちょっと古かった)
374名無しさん@ピンキー:2008/07/01(火) 17:03:16 ID:FQcDahfQ
先生「今日はエロパロ高校の見学です、みんな静かにしましょうね」

幼児「はーい」


男「懐かしいなー」

友「俺あそこの幼稚園卒業だぜ」

男「マジで?あの幼稚園って元貴族や王室の子供が通うとか聞いたけど嘘だったのか」

友「ちょw嘘じゃねーし」


内気「王様そろって…ハイキングぅ〜」


友「クスッ・・・あっ」

内気「にぱー(・ω・*)」

男「久々にレベルが高いギャグなのに他人のネタも取り入れてんじゃねぇよボケ」

内気「シューンρ(_ _。)」

友「そんなに言ってやるなよ」

男「いやこのくらい言わなきゃ図に乗るからな」

新ジャンル『すべる内気っ子』
375名無しさん@ピンキー:2008/07/01(火) 19:15:04 ID:aUOPJhUC
内気www

男はツンデレだな、うん。
376名無しさん@ピンキー:2008/07/01(火) 21:34:31 ID:TMYKwww3
内気をギュってしたい
377名無しさん@ピンキー:2008/07/01(火) 21:50:10 ID:qcxOuGmA
奈良シリーズで新キャラでてる件と内気が可愛い件

……でもそれ以上に、内気さんが笑点の木久扇師匠を彷彿とさせる件
378名無しさん@ピンキー:2008/07/01(火) 22:35:38 ID:FQcDahfQ
男「奈良の1300年祭のマスコットに新キャラ登場だってよ」

友「まんと君だろw投票とはいえどうなのwww」

男「初めてせんと君見た時はアリエネェって感じだったけど慣れたら何ともないよなー」

友「慣れてきた頃合を見てまんと君出すって凄いな」


内気「せんと、みつお、ナラナラ…」




友「・・・今の何?」
男「多分『せんだみつおゲーム』だと思う」

内気「せ…せんと君はどこ?彼なら銭湯にいr」

男「口にガムテープ貼ってやろうかコラ」

379名無しさん@ピンキー:2008/07/01(火) 22:51:11 ID:FQcDahfQ
彼氏「ノートに何書いてんだー?」

彼女「あっ勝手に見ないでよバカバカ〜」


男「・・・・」
友「・・・・」


内気「ρ(・-・`;)」カキカキ

男「何書いてんだ内気〜」

内気「あっノート!返して、返してぇ」

男「えーとなになに?」

[布団がお山に吹っ飛んだ、おやまー]←自信あり
[バスケット選手がバス蹴っとる]←いつか使えるかも
[チーターが穴におっこちた]←これもいつか
[ネズミが宙を舞うっす]←本当に飛んだ時に


内気「ど、どう?」

男「オラオラオラー!!!」ビリビリビリ

内気「あぁ酷い(´□`。)!」


友「セールスマンが来た、うるせぇ留守だ」
男「せめて友くらいのレベルを作れ」

内気「うぅ…ぼろぼろ」
380名無しさん@ピンキー:2008/07/01(火) 23:01:22 ID:FQcDahfQ
2/14
彼女「はいこれ、自信作だよ」

彼氏「さすが料理研究部、かなり美味いぞこれ」


男「むかつくイベントだ」
友「同じく」



内気「お、おと、男君!こ…これ」

男「え?俺に!?・・・嬉しいなー」カパッ


チョコレート(チョコ頂戴、ちょこっとね)

内気「…どうかな?」

男「義理ならこの場で叩き潰す、本命なら作り直させる」

友「俺によこす選択肢はなしか?」
381名無しさん@ピンキー:2008/07/01(火) 23:21:47 ID:FQcDahfQ
内気「〜〜♪〜〜♪」ユサユサ

友「内気ってあんな胸あったっけ?」

男「大方寄せてあげるブラじゃね?」

内気「ちっ違うもん!し、証拠にホラ…」(男の手を胸に付ける)

友「この…役得な奴め!!」

男「…暖かい、てか熱い」

内気「正解は、肉まんでした〜…」ホカホカ

男「気が利くな、一個受け取れ」

友「サンキュー内気」

内気「私の肉まんー…」

男「帰りに友と俺のフランクフルトやるから」

内気「…じゃあ、あげる・・・」
382名無しさん@ピンキー:2008/07/01(火) 23:55:24 ID:FQcDahfQ
内気「男君、約束の…フランクフルトは?」

友「・・・・」
男「・・・・ちょっとトイレまで来い」

内気「トイレ…で食べるの?」

友「買い食いはいけない事だからね」
内気「そっかぁ…」




男「ほれフランクフルト」

内気「うゎ!…これは違…」

男「ほら食べろよ」

友「二本もあるぞ」


内気「フ、ランクフルトと…ウィンナー…」
友「orz」
男「プ…」

男「・・・面白かったから本物買ってやる」

内気(助かった…)

友「俺の心の傷はどうするつもりだ」
383名無しさん@ピンキー:2008/07/02(水) 12:21:20 ID:z10V/Mod
もう内気でもなんでも無ぇじゃないか(笑)
384名無しさん@ピンキー:2008/07/02(水) 12:22:57 ID:kNnBD1gO
新ジャンル『すべりっ子』でいいんじゃね?
385名無しさん@ピンキー:2008/07/02(水) 18:40:10 ID:z10V/Mod
>>384
ソレダー!(σ・∀・)σ
386名無しさん@ピンキー:2008/07/02(水) 18:43:22 ID:JeYAKLlc
アレだろこの後フランクフルト食べつつ友をどっかにやって
内気「…男くんのも食べたい…」
男「な、おま……………ちょっと家に来ようか」

ってオチなんだろ?
387名無しさん@ピンキー:2008/07/02(水) 18:56:34 ID:I9HPnE32
なんかこう俺の胸にキュンキュンきてるw

そして男はやはりツンデレだと思うw
388名無しさん@ピンキー:2008/07/02(水) 19:27:07 ID:kNnBD1gO
>>387
なんていうかSだよな
389名無しさん@ピンキー:2008/07/02(水) 20:51:21 ID:I9HPnE32
愛のあるSだな。
ただ単に弄んでるだけなら、逸物まろびだして何事も
なかったかのように本物買いに行くとかありえないしな。

とりあえず、アレだ、こういう時に言う言葉は一つ。

GJ!
390名無しさん@ピンキー:2008/07/02(水) 21:30:45 ID:z10V/Mod
>>389
いやいや、お前のフォローの方ががGJ!だぜ(笑)。
391名無しさん@ピンキー:2008/07/03(木) 00:01:25 ID:uqHqIcdO
男「女…いいな?」
女「…(コクン)」
男「と、そのまえに…ん、…あれ?…おかしいな…」
女「…」
男「ええと…くそ…」
女「…男くん」
男「あ、いやちょと、ちょと待っててくれ…」
女「男くん、…あの、わたしが…」
男「え?いや、いいよ…これくらい」
女「いいの、大丈夫だからわたし」
男「え。でも」
女「いいの…男くんはそう…寝ててくれたらいいから」
男「いや、あの…うっ、お、女、おま、」
女「…(ペロ、ペロペロペロペロペロペロペロペロペロ)…どう?」
男「ふ、、ぁあ、ああ…き、気持ち言いよ、女…」
女「…よかった…(ペロペロペロペロペロペロペロペロペロ)」
男「ふぁああっ!お、女…さん、ああいい、いいよぉ!」

新ジャンル「なめる子」


男「ああ、ヤバかった…じゃ、今度こそ…いくよ?」
女「…(コクン)」
(あんなに緊張しちゃって可愛い、ホントに初めてだったのね。
わたしの舌だけでイっちゃいそうになっちゃって可愛いんだからっ(w)。
でも以外に大きいのにはびっくりしちゃった。
うふ、でもどこまで頑張れるかしら、ドーテー君(w

数分後

女「ああ!あひぃ、ひい、ひああああっ!、やっやっ、やぁああ、いやぁあ、あひゃぁあん!」
男「ハァ、お、女、ハァ、おんなぁハァ、ハァ、ハァ、まだ、まだぁ!ふんんんっ!」
女「ひ、ひくぅう!ひっっちゃふ、ひゃぁ、ひゃぁ、ひゃあああっ!もう、もうらめ、ひゃぁあああん!」
(もう、駄目、だめぇいいちゃう、またいっちゃふうう、こわれちゃうううううっ、すごいのぉお!)

新ジャンル「なめてた子」


男「いくぞ、女!」
女「まかせて!林業にはグラップルソー、解体作業に油圧粉砕ニブラー!狭い敷地でも安心の回転式フォーク!
そしてこれがクラス最大の作業半径16mを実現したホイール式スクラップローダァァァァァアアアア!」

新ジャンル「コベル子」


男「あれ?女?」
女「お。おーおとこくんやなぁ、おぼえてるでぇ」

韻ジャンル「つるべ子」
392名無しさん@ピンキー:2008/07/03(木) 00:03:33 ID:uqHqIcdO
女教師「大体さぁ、センとかマンとか、ヌル棒とかって名前からしてダメじゃん!」
女生徒1「はぁ?」
女教師「デザイン以前の問題だよねっ?」

女生徒2「そうかなぁ、わたしこの『まんとくん』は結構好きかも」
女生徒1「そう?その「まんと」って名前付けるトコがなんかイヤじゃん?わたしー、もう『ぬる坊』でいいと思うけど」
女生徒2「えー天理ってそんな趣味なん?」
女生徒1「えー、いいじゃん別に」

女教師「よかないヨ!大体ナンだよぬるぬる棒っていやーらしいよね?」
女生徒2「明日香ちゃん…ぬる坊だし…」
女教師「とにかく、名前がよくない!」
女生徒1「じゃぁ明日香ちんはどんなのがいいの?」
女教師「あんなヘンなのじゃなくてー!ナラには昔から「あすかちゃん」と言ういいキャラが居るのに!
何故あれを使わないかと小一時間…」

女生徒1&2「あーはいはい(さんざ引っ張ってそれか)」


新ジャンル「奈良キャラ」

たしか『あすかちゃん』と『たいしくん』ってのがいましたよね?
わたし個人的には「せんとくん」好きなんですがw
393名無しさん@ピンキー:2008/07/03(木) 09:11:54 ID:Hml0lbpE
男「おじゃましますー」

内気「部屋上だから…上がって」

男「部屋にエアコンとテレビだと?贅沢モノめ」

内気「あの…お、面白いTV番組がね、あるから…観よ」

男(こいつの面白いレベルだとイロモネアかヘキサゴンあたり・・・まぁいっか)

男「いいよ、観ようぜ」

内気「にぱー(・ω・*)すぐ用意するね!!」

男(しょうもなかったら帰ろ)

TV『エン〇の神様〜今日も独特なキャラクターがエ〇タに舞い降りる〜』

男(想像以上だった・・・)


男「で、三時間延々と〇ンタを観てた」
394名無しさん@ピンキー:2008/07/03(木) 09:25:35 ID:Hml0lbpE
男「例の番組見た?」
友「見た見た、『栃木のいい所はどこですか?』『ねぇんだよなそれが』www」

男「不良自重しろよな」

内気「栃木が…ちょっとちぎれる」




男「ちぎれちゃったら栃木の人どうなるんだよ、土地が千切れるって大災害だぞ?」

友「いやただのギャグだしそのくらいで…」

男「災害をギャグに例えて笑えだなんてお前は最低だな」

内気「うぅ・・・ごめんなさい」


新ジャンル「すべりっ子」になっちゃったんだね
395名無しさん@ピンキー:2008/07/03(木) 09:43:15 ID:Hml0lbpE
友「昨日は楽しかったな〜」

男「ノリはよかったけど女はイマイチだったな」

内気「昨日…メール送ったけど…どこ行ってたの?」

男「合コン」

内気「まぁ酷い(ノ□`。)゜。」

男「酷い?何で?」

友「もしかして内気さんって男のこと好きなの?www」


内気「好きだよ」


友「・・・・マジで?」


内気「すき焼並に好き!」

男「なんだ大したことないレベルか、来週のセッティング考えとけよ」

友「こんな時にギャグはねぇよ」


内気「うぅ・・・ギャグが裏目に…」
396名無しさん@ピンキー:2008/07/03(木) 14:12:40 ID:Hml0lbpE
先生「今日の写生大会の舞台は動物園です、他人の迷惑にならないように行動し、写生してください」

友「射精大会ならよかったのに」

男「ウィンナーから飛ばすのか?かわいいな」

内気「アハハハハハハ!!」

男「おい内気どうした!?」

内気「写生大、会で射精とかアハハハハ( ゚◇゜)ケキョキョキョキョキョ!!」

先生「どうしたの内気さん、どうしましょう何かの発作かしら!??」
保健委員「こんな内気さん初めてだ、とりあえず救急車を…」

男「笑いの沸点が低いって損だな」

内気「と、止めてぇぇへへふひゃーハッハッハ」
397名無しさん@ピンキー:2008/07/03(木) 14:18:51 ID:Hml0lbpE
内気「し、死ぬかと…おも、思った・・・」

男「死んだらよかったのに」

友「俺鳥系描こうと思うんだけどいいのいるかな?」

男「そうだな、フラミンゴやフクロウ、飛ばない鳥ならペンギンとかは?」

友「もっとカッコいいやつ」

内気「コンドルが…壁に、めり込んどるー」



友「あ、やっぱライオンにするわ」

男「カッコいいっつったらライオンだよな」


内気「・・・・・・・冷たい」
398名無しさん@ピンキー:2008/07/03(木) 19:44:32 ID:8fp4wLlw
やっぱりもう内気じゃねえw
あれだな、内気とかいてないきと読むんだな。

399名無しさん@ピンキー:2008/07/03(木) 20:50:38 ID:Hml0lbpE
↑に新ジャンル『すべりっ子』の方がいいんじゃない?と指摘があったので滑り優先にしました

内気は名残です
オドオドした子が空気を和ませようと寒いギャグ飛ばす話です
400名無しさん@ピンキー:2008/07/03(木) 21:30:45 ID:PZ/ETxaz
おK、じゃ「内気すべりっ子」でいいんじゃね。
あれだ、ここVIPじゃないからここの書き方に合わせてくれた方がいいかな。
あなたの投下の仕方はあんまりSS板じゃ歓迎されないから。
まとめWikiとか過去ログも読んでな。

つーことで新シリーズだな(笑)
401名無しさん@ピンキー:2008/07/04(金) 01:49:46 ID:dAyjW/uC
うん、やっぱり内気をギュってしたい
402名無しさん@ピンキー:2008/07/04(金) 10:20:22 ID:04i3B81g
栃木がちょっとちぎれるにワロタ
403名無しさん@ピンキー:2008/07/05(土) 11:17:46 ID:CWPhl71n
新キャラのレーファの相方の名前とか決めておいでですかね?設定固めてたら教えて下さいな
以下本文


『蝶が蛹を脱ぎ捨てて、美しい姿を見せようとしている。』
眼前で広げられている光景を青山春樹は後にこう語った。

『…私を春樹さんだけ…のものに…して…』
彼にそう告げた少女、豆田貴子の身体を覆っているのは可愛らしい縞柄のブラとショーツのみ。
身体の線は女と呼ぶには余りにも幼い。
乳房と呼ぶにはまだ未成熟な青い果実。たわわに実った黒田や理菜とは対極であり、姉の陽子にも及ばない大きさ。
しかし、年少者の特権である肌理の細やかさはずば抜けて美しいことが見て取れる。
白磁のような横顔と、艶やかな黒髪の流れ。紅玉の唇と黒曜石の瞳を持つ少女は、まさに可憐だった。

彼女の腕は後ろに回されているから、ブラのホックが外されるのも時間の問題だろうか。
こんな閉ざされた空間に、今は可憐であり、やがては女として美しく成長するであろう少女と二人きり…。
知らず知らずの内に己の鼓動は速くなり、視界もぼんやりと霞みがかっているようにみえる。
…だから、きっと驚愕のあまり凍りつた表情を浮かべた妹と同居人が見えたのは気のせいだろう。
「ってルカに囲炉裏!?何でここに!?」

しかし、彼女たちから返事はない。瞬きすらせず、貴子を見つめている。
…妙にじとっとした視線で。
それはそうだろう…。
春樹が狙われているという通報でここに駆けつけたのに、目の前ではラブコメ展開で鼻の下を伸ばしている男。
当然怒りの感情は生まれるわけだし、その矛先も明らかになっている。

「……ちっ。」
見られている側の貴子は悔しげに舌打ちし、おもむろに脱ぎかけていた服を身に着ける。
『獲物を前に舌なめずり。三流のすることだな。』
どこかの組織の軍曹が言っていた台詞を思い起こし、臍を噛む。
リボンを結びなおし、身支度を整え終わったところで囲炉裏が彼女に声をかけてきた。
「なにをしていたのですか?まめこ。」

………2対1では不利。…しかも、相手にルカさんがいる。
囲炉裏一人なら倒せない相手ではないが、飛び道具の効かないルカとは圧倒的に相性が悪い。
海辺の温泉、黒田の看病イベントに加え、先日の公園でも敗れ続けているわけだし。
そして今も丸裸…というか全裸2歩手前の徒手空拳な状況では全くの勝ち目は無い。
なら、誤魔化すしかないか…。

「……はるきさんをたすけにきた。」
…ちょっと片言になっていたが、多分大丈夫。
「だったら服を脱ぐ必要ないでしょ!!」
……無理があったか。

春樹は一瞬前とずいぶん変わった状況を見つめていた。
視線の先では囲炉裏が貴子を羽交い絞めにした状態で、ルカが両拳を彼女のこめかみに押し付け捻じ込んでいる。
…春日部市在住の野原家の長男が母から受ける懲罰…いわゆるグリグリ攻撃という技だ。

「っ!?ぎぶぎぶぎぶぎぶ!!」
珍しく貴子ちゃん、本気で悲鳴を上げてるなぁ…などとどこか他人事のような心地で傍観している春樹。
貴子が倒れたら自分の番が廻ってくることは明白なのだが。
もっとも、自分がルカの追跡を振り切れないことも理解しており、まな板の上に乗せられた鯛は諦めて捌かれるのを待つだけだった。

新ジャンル「隠れ部屋でのお仕置き」新醤油学園野望編
404名無しさん@ピンキー:2008/07/05(土) 11:19:13 ID:CWPhl71n
「裏切り者のトウバンジャンを取り押さえました…。」
昏倒している陽子を引きずり、たどり着いた第三会議室。
テンメンジャンは、やがて訪れるであろう機会を待ちつつ、はやる心を落ち着かせる。
その標的である恥女校長こと千所玲。今は黒田夕圭と向き合う形で彼女の報告を聞いている。
「…それよりも青山春樹はどうした?」
「……単独で行動しているようです。私が会敵したのはトウバンジャンのみでした。」
「そうか。…下がっていいぞ。」
やがて踵を返し、机に向かうであろう校長。
その無防備な背中…とくに急所である延髄付近を狙って渾身のストレートを打ち込む夕圭だったが…。
「…甘い!!」
あっさりと避けられ、挙句には腕を取られて肩関節を極められる。
「ぐっ!!」
鈍い音に鋭い痛み…。容赦なしに肩関節を外されたようだ。
激痛のあまりに視界は霞み、脂汗は止まる気配も無い。
「不意打ちをやるなら殺気はもっと隠すべきだ。もっと鍛錬を積め。
 しかし、腕一本では屈さないか…。それでこそ四天王だ。及第点くらいならやってもいいぞ。」

退くわけにはいかない。外された関節を無理やりに押し込み、肩を戻す。
春樹を守護していたはずの陽子は、己の手で倒している。麻里愛も戦闘不能のであり、四天王で健在なのは自分と貴子のみ。
その貴子もこの場に居ない以上、自分一人でカタをつけるしかない。
囲炉裏とルカが春樹と接触している可能性もあるが、彼女ら二人も春樹と同じく『大切な人』。
全身全霊を賭けて、守りきってみせる。そして…。

「校長先生…。いえ、BB。貴女を倒す。…そして偽りの仮面を外した本当の私を春樹くんに見てもらうの!!」
「夢を持つのは結構だが、お前の力で実現できる事かよく考えろ!!この馬鹿弟子!!!」
校長の左ハイキックを右腕で流し、左のフックでカウンターを狙う。
しかし利き腕ではない一撃では、必殺の威力を期待できるはずもなく…。
「その程度か!!」
夕圭の拳を避けつつしゃがみこんだ玲の、さらにカウンターとなる八極拳の体当たり【鉄山靠】。
「っ!くはぁ……。」
勁を込めた一撃に吹き飛ばされる夕圭。その彼女の前に立ちふさがる影。
しかし、その影は追い討ちをかけに来た恥女校長ではなく…。

「そこまでだな。姉さん。」
「…舞。何のつもりだ?」
405名無しさん@ピンキー:2008/07/05(土) 11:19:39 ID:CWPhl71n
姉の行動を妨げる妹の姿…。

「姉さん。…私は姉さんのやり方が正しいとは思えない。」
「…舞。どういう事だ?」

ちらりと夕圭に視線を投げかけ、再び玲に視線を戻すと、舞はこう言い切る。
「性行為はこの場でするべきでない!」
「「はぁ!?」」
話はまるでつながらない…。…一体、何なんだ?
「いや、説明が不足していた。最初のデートは手を握るまで、3回目のデートを目安にキス。
 性行為に及ぶのは10回目のデートの帰りに、彼か自分の部屋でやるべきだ。ということで、ここで事に及ぶのは邪道だ。」

「…………舞先生?」
「…やれやれだ、舞。今時の小学生ですら、悠長な心構えではないぞ。
 大人の恋はスピーディーなモノだぞ。つまりは獲即食だ。」
「姉さんは黙っていてくれ。…ともかく、黒田くん。この場限りでは手を貸そう。
 そしてこの騒ぎが収まった後、私は青山春樹に交際を申し込み、最終的には私のものになってもらう!!」

予想外な寝返りに、思わず固まる恥女校長とテンメンジャン。
会議室での戦いが新たな局面を迎つつある頃、新醤油学園校門前には新たな2つの人影。

「おばさ…痛たたたたたたた!!す、すみません、校長先生!!
 だからアイアンクロー止めて下さい!!……………また、来ましたね。」
「ああ。新醤油学園だな。」

桜吹雪女学園からの刺客たち。青山春樹を巡る騒乱は、まだ終わらない。

新ジャンル「新醤油純情組」新醤油学園野望編
406名無しさん@ピンキー:2008/07/05(土) 18:08:39 ID:SdG53jBg
内気な子の妄想じゃなくなってるお(^ω^;)

今度から書きためて書くお
407名無しさん@ピンキー:2008/07/06(日) 03:04:18 ID:ErmhKk5D
あ、ロリっこって戦闘力あったんだ、と思いながら縞パンGJ
やっぱ縞パンはロマンだよね

>>406
なら内気じゃなくてもいいじゃない!色々やったらいいじゃない!!


>>370
普及はしているけど一家に一台(?)カメラがあるものでもない、
新聞社以外には写真屋さんくらいしかカメラは扱えないくらいなものだと思っています
わざわざそういう魔法を開発しなくても絵で描けばいいじゃん、
と大抵の魔法使いは思っている〜みたいな。
408ワンダーランドでつかまえて(1/19):2008/07/06(日) 10:26:54 ID:ErmhKk5D
魔獣と人間との問題解決は勇者に任命されたときからのヒロトの仕事である。
もっとも解決といってもその実態は人間に害をなす魔獣を倒すこと。死山血河を渡る命の奪い合いに
終始していたのだが、魔王と知り合ってからは交渉という平和的手段を取るようになった。
というか、平和的手段を取りたかったから魔王と知り合いになったという方が正しいか。
なにせ相手は魔獣。人間より強く、人間より高い種族である彼らには、基本的に人間の言葉は通らない。
言葉が通じない、という意味ではなく、聞く耳を持たれない、という意味で。こちらが交渉の相手たりえる、
魔獣並みの力を持っていると相手に分からせるには剣を使わなくてはならないし、そうなったらヒロトは
完全に外敵扱いだ。結局、話の通じる相手ではないのである。
なら話の通じる相手を連れてくればいい―――と、そういうわけで彼は魔王と戦い、そして勝利したのだった。
種族によってその地位が露骨に変わるのが魔族という生き物だ。その頂点たる魔王を連れているとなると、
これはもう最強クラスの交渉カードである。逆らえるものなど誰もいない。最終的に従わせることは容易であり、
こっちは譲歩するだけでいい、とそれくらいの反則っぷり。
既に交渉というシロモノではない気もしないでもないが、一応ヒロトはこれまで上手くやっている方だろう。

それもこれも、魔王たるリューがヒロトと行動を共にしてくれているからなのだが。
………そのリューはどこに行ったのだろうか?

「畑の周りの探索を任せたから、遠くには行ってない筈だが……」

外に出ると、そこには相変わらず気の抜けるような青空が広がっていた。
ピーターの畑は、農業に関して素人な魔導師が無骨なゴーレムを使って耕したものであると知っているために
さっきより大分粗が目に付いてしまうが、それ以上にピーターの目的を教えられたために素晴らしいものだと
感じる。ゴーレムによる自動生産プラントの卵。天気によって、風によって顔色を変える畑を管理するのは
大変に難しいことだけれど、それを『術式』として確立できればどれほどの偉業となるだろう。
ピーターには是非頑張ってもらいたいところである。
が。

「その研究の邪魔をする不届きなワーラビットがいる、という話ですわよね」

そのワーラビットは畑を荒らすばかりではなく、ピーターが屋敷を離れている間にこっそり屋敷に忍び込み、
私物を漁ってこっそり持ち帰るというからまるっきり泥棒だ。
街道近くの森に棲み、旅人を襲って金品を奪うオークの盗賊団じゃあるまいし。
こんな辺鄙な場所じゃ魔族をも相手にするような商売根性逞しい商人の換金ルートも確保するのは難しい。
というか、羽毛布団くらいならまだわかるが……いったいワーラビットが
ピーターの写真を持っていって何に使うというのだろうか?
謎である。

「……ま、捕まえてみればわかることか」

ヒロトがじっ、と畑の彼方を睨みつけると、ピーターは静かにかぶりを振った。

「いえ、ヤツを侮ってはいけない。ヤツはこの辺じゃ『影無し』と呼ばれ恐れられているんです!」
「か……『影無し』……ですって?」
「その通り。ヤツは姿を見せた瞬間には既に彼方に逃げ去っているというほど逃げ足が速いんです……!」

こめかみに戦慄の冷や汗を流し、掠れた声で呟くピーター。その形相にヒロトたちも思わず息を飲む。

「………まあ、『影無し』というあだ名は今自分がつけたんですが」
「アドリブですか!」

ローラのツッコミに頬を照れながら掻くピーター。どこか気合の入らない青年だった。

「ですが……なるほど、確かにワーラビットといえば俊足の持ち主。臆病な性格で、
 その耳で戦士の足音を聞くや一目散に逃げ出すという魔獣です。ピーターさんのゴーレムはもちろん、
 ヒロトさんもあまり積極的に動くべきではないかも知れませんね」
409ワンダーランドでつかまえて(2/19):2008/07/06(日) 10:27:33 ID:ErmhKk5D
ジョンが冷静な口調で言い、頷く。なるほど確かにごついストーン・ゴーレムや戦士の硬いブーツで足元を
固めているヒロトがあちこち動き回っては標的のワーラビットに警戒されてしまうことは避けられないだろう。
ということは、ワーラビットの捜索は軽装のローラとジョンの二人だけで行うということになるか。

「とんでもない!」

と、そこでピーターが声を上げた。何事か、と目を瞬かせるヒロトたちに、ピーターはもの凄く紳士的に胸を張る。

「自分は腐ってもキャロット家の魔導師、ピーター。女性ばかり働かせて自分は高見の見物などできません!
 ようはゴーレムを連れていなければいいのでしょう?ならば自分もお供しましょう。もとよりこれは
 自分の畑の問題で、皆さんは厚意で手伝ってくれているのですから、
 それに甘えっぱなしになるわけにはいきません。おらが畑はおらが護る!」

一同はおー、と思わず拍手しそうになるが、同時に首を傾げてしまう。女性ばかりって、ジョンは?
しかしすぐにあー、とうなじの辺りをぽりぽり掻きたくなった。というのもこのジョン・ディ・フルカネリ、
見た目が少女と見紛うばかりの美少年なのである。というか容姿といい、小柄な背丈といい、
齢14、15の女の子にしか見えない謎の生き物っぷり。そういえばクシャスの町で
温泉に入ろうとしたときも番頭さんに必死で止められたっけ。
まぁ実際のところ脱いでみれば一発で男性だということは証明できるのだが、
ここでそれをするのはかなり嫌だった。ローラもいるし、ジョンにそんな趣味はないし。

それによく考えてみればピーターはゴーレム使いの魔導師であり、
そのゴーレムを目立つために連れて行けないということはいったい彼がどれほど役に立つのだろうか。

「失敬な。自分はこれでもラルティーグで修行を積んだ魔導師ですよ!?確かにストーン・ゴーレムより
 性能は劣りますが、土に直接魔力を叩き込んで練り上げるクレイ・ゴーレムくらいは
 いつでも喚ぶことができるのです!」

ピーターは憤慨したように言うや否や、バッ、ババッ!と怪しい拳法じみた構えを取り、
しゅばばっと身をかがめて地面に掌をつけた。
その手がにわかに淡く発光し、めり、めりり、と地面が割れて地下からゴーレムが飛び出す。
ピーターの得意とするストーン・ゴーレムをそのまま小さくしたような姿の小型のゴーレムだ。
小型の………。
小型………。

「か、可愛いですわね」

ローラが困ったように口元を引きつらせるのも無理はない。
そのゴーレムは、ヒロトたちの中で一番小柄なジョンよりもさらに小さい。というか、ジョンの半分ほどの
大きさしかなかった。発案には素晴らしいものがあっても魔導師としてはどうしても腕利きとは言い難い、
というか平凡以下のピーターらしい。
しかし、ここで断っても変に正義感のあるピーターのこと、無理にでもついてくるに違いない。
ええい、面倒くさい。

「………よろしくお願いします」
「任されましょう!」

実際の戦力ではピーターが最下位につくのは間違いないだろうが、探している相手がワーラビットなら、
むしろジョン一人でもお釣りがくるだろうというものか。
………もっとも、戦うのと捕まえるのはまた別の話。一撃で相手を麻痺させるジョンの“霊拳”であろうとも、
当たらなければ意味がないし、足元を電磁力によって弾けさせて高速を得るローラの“雷刃”であろうとも、
あくまでも加速は一瞬であって、出会った瞬間背を向けて逃げられたら追いかける手段にはならない。
ワーラビットという魔獣の性質上、エンカウント&ランは十分ありえる話だった。
410ワンダーランドでつかまえて(3/19):2008/07/06(日) 10:28:35 ID:ErmhKk5D
 
「と、いうことは。ワーラビットを探すというよりも、まず先にリューたちと合流する方がいいのかな」

ヒロトはさり気無くジョンの傍まで近寄って、そう囁く。ジョンも頷いた。
捕まえるのが困難なら、こっちから呼びつけてしまえばいい。幸いそれができそうな仲間が彼らにはいる。
魔王リュリルライア―――彼女なら、ワーラビットに言うことを聞かせるくらい簡単なはずだ。リューとリオルが
今どこにいるか知らないが、手分けして探せば簡単に見つかるだろう。ピーターにまた適当な説明を
しなければならなくなるが―――勇者であるというのならともかく、旅の仲間に魔王がいるというのはいかに
ピーターが気のいい青年であっても明かすことができる秘密ではないのだ。

「まだお仲間がいるのですか?」
「あ、ええ。あまり大勢で押しかけるのも迷惑でしょうから、この辺りで待つよう指示をしたのですわ。
 魔獣に詳しい魔法使いが一人と―――ええと」
「―――ボクの助手が、一人」

きょとんとしたピーターに、苦笑いしながらそう返す。ものは言いようだ。
確かにリューは世界で一番『魔獣に詳しい魔法使い』には違いないし、
リオルだって手伝うというより邪魔する方が得意であってもジョンの『助手』で間違いない。
ピーターはわかったようなわかっていないような顔をして、

「……もしかして、その方たちも女性では?」

と訊ねた。また紳士論を語る気だろうか。でも正直あのリューがいればそこらの魔獣や盗賊はおろか
聖堂騎士団の本隊が襲い掛かってきても返り討ちにしてボロ切れのようにしてしまうだろうし問題はないと思う。
一応頷いておくと、ピーターは予想に反してすいっと腕をあげると遠く、何かを指し示した。

「―――先程から畑の向こうに赤い髪の女性が浮いているんですが、もしかしてその方でしょうか?」

赤い髪。というとリューか。
ヒロトたちは揃ってピーターの手が示している方向に目を向けた。畑の向こうに―――ああ、いた。
遠いが目立つ、炎のような赤い髪をなびかせ見えない地面に立っているように仁王立ちになってこっちを見ている。
ニヤリと笑う、その少女には確かに見覚えがあった。リューである。

「………なにしてるのあの娘」

ローラが呆れたように呟いた。リューはニヤニヤとこっちを見ているだけで、全然動こうとしないのだ。
むしろ来いということか?とヒロトたちが思い始めた頃、リューはさらに笑みを深く―――邪悪にして、
ばっと掌をこちらに向けた。
その空間が、ゆらっ、と波紋が広がるように歪む。
極限まで圧縮された魔力が空間を歪めることによって発生するその波紋は―――名を“天輪”という、
魔王にのみ可能なほどの絶対攻撃……!

「なにしてるのあの娘!」
「伏せろ!」

ヒロトが叫び、いまいち飲み込めていないピーターを突き飛ばして背中の剣を抜き払う。
リューはきゅうっ、と唇の端を吊り上げ、そのまま魔力波をぴゅん、と放った。
光の矢のようなそれは触れれば辺り一面を焼き払う破壊の結晶だ。ヒロトはそれを弾き、打ち返す。
軌道を大きく変えられた魔力波はそのまま緑の平原の一角に落ちてゆき、―――爆発を起こした。

「う、うわぁあ!?」

ピーターが驚いて声をあげる。それは驚くだろう。平原に大きなクレーターができてしまっている。
もし直撃すれば命はない。身体がばらばらになってしまう。
411ワンダーランドでつかまえて(4/19):2008/07/06(日) 10:29:34 ID:ErmhKk5D
「リュー!」

ヒロトが咎めるように大きな声をあげると、リューはくるりと背を向けてふよふよと飛んで逃げていく。
なんなんだ、一体。

「……別行動をさせられた腹いせかしら」

ローラの呟きを聞いたのか聞いていないのか、ヒロトは剣を手にしたまま怒ったように言った。

「リューを追いかける。なんのつもりだ、あいつ」
「行ってらっしゃいませ。あ、私の分の拳骨は二発でお願いしますわ」

頷き、眉を吊り上げてヒロトは跳んだ。“豪剣”によって身体強化された脚は地面に足型を残し、
ひと蹴りで彼方まで跳躍する。その脚力にピーターは目を剥いたが、ジョンとローラは今さら
特に驚くことでもないので伏せた時についた土をぱんぱんと払っている。まったくもう、とか愚痴りながら。
……というか、直撃すれば明らかに即死するような攻撃を受けてなお平然としているローラたちの神経に
ピーターは驚いて声も出ない。それを弾き返したヒロトは、まあ彼はさっきピーターのストーン・ゴーレムを
あっさり斬ってのけたから只者ではないとわかっていたが、詠唱も何も無しであんな大穴を穿つほどの
攻撃魔法を放つ少女もピーターには計り知れない存在である。
っていうか、仲間じゃないのか?なんで殺そうとする?

混乱しているピーターをよそに、ぷりぷり怒っているローラたちは「あ、」と声をあげた。
その視線の先にいるのは―――。

「うんうん、リュリル―――じゃなかった。『ハートの女王』様はちゃんとヒロトを誘い出せたんだね」
「リオル?」

いつの間に近づいてきたのか、ミント・ブロンドの髪を持つ少女が畑を挟んだ向こう側にいた。
活発そうな容姿をした彼女は紛れもなくジョンの助手にして灼炎龍リオレイアの魂と賢者の石を
その身に宿すドラゴン娘、リオルである。
しかしどう見てもリオルなその少女は慌てたように首を振った。

「違う違う。今のあたしはリオルじゃなくて『ワンダーランド・プロジェクト』の『チェシャ猫』なんだよ!」

リオルは手をついて獣のような四足の体勢になると―――ばさ、と翼を広げた。

「リオル!?」

龍化である。リオレイアの『肉体』―――勇者ヒロトによって破壊されたリオル本来の身体と同じ
赤銅色の鱗を纏ったその姿は半人半龍、リオルの戦闘形態だ。魔力の消費が激しいために以前は
数十分も維持することができなかったその変身も、賢者の石が変質してからは自由にできるようになった。
……もっとも、大技を連発すればやっぱりすぐにバテてしまうのだが。

「リオルじゃないって!『チェシャ猫』!」

おとがいを反らし、ひゅうっ、と大きく息を吸い込んで―――、

「明後日に向けて必殺!火龍烈火吼(デラ・バーン)!!」

―――火球を放った。
うわ、と身を伏せるも、その軌道は勝手に逸れて遥か遠くで爆発した。
412ワンダーランドでつかまえて(5/19):2008/07/06(日) 10:30:31 ID:ErmhKk5D
どどん、と地面を揺るがして立ち上る炎の柱にまたもピーターは愕然とした。ぱらぱらと破片が飛んできて
足元にぶつかる。冗談じゃない。さっきのヘンな恰好の少女もそうだが、
あんな攻撃魔法、ピーターのストーン・ゴーレムでさえ一撃で木っ端微塵だろう。
完全に、殺しにきている攻撃である。
間違いない。
ピーターは悟った。
彼女たちは仲間じゃない。
何かが、ローラたちの仲間に化けているのか―――もしくは……。
まずい、このままでは全滅だ。
その前に。
元凶を倒さなければ。

「リオル!危ないじゃないですか!!」
「ひゃあ、違、違うってばジョン―――じゃなくて。ええと?ふは、ははは。悔しかったら
 ここまでおいで―――と。ああ、リュリルライア様。これってやっぱり無茶な気がしてきました!」

よくわからないことを口にして、リオルはばさばさと飛んで逃げようとする。

「ローラさん、電撃を!」
「了解ですわ!」

ジョンがこめかみをひくつかせてズレた眼鏡を直し、ローラも怒りを隠さない形相でギリギリと奥歯を鳴らした。
リューには絶対防御の魔法障壁があるためヒロトにしか相手はできないが、
相手がリオルでこの距離なら彼らにも『撃つ』手はあるのだ。
ジョンはぱきぱきと指を鳴らすとすっと手を重ねて逃げるリオルに向け、
ローラは腰に差している愛剣ボルテックを抜き払い、やはり切っ先をリオルに向ける。

「【閃き奔れ】!」
「“雷刃”!」
「わひゃぁ!?」

ジョン、そしてローラの放った二筋の稲妻は絡み合い一筋の光線(ビーム)となってリオルに―――避けられた!

「くっ!ローラさん―――いえ、ここに残ってください!ボクはリオルをとっちめますから!」
「任せましたわ!拳骨は三発で!」
「ええ!?ちゃんと外したじゃんかぁ!」
「帰ってきましたわ!“雷刃”!」
「危なッ!ローちゃん、掠ったよ今の!」
「チッ!ちょこまかと!」

ローラは目を三角にして怒り、ジョンはむしろ薄く笑顔さえ浮かべて追跡体勢に入り走り出している。
リオルはしばらくローラの稲妻に抗議していたが、すぐにわたわたと空中で手足をばたつかせて再び逃げ出した。
ジョンが怖い。口は三日月、眼鏡がキランと光って瞳が見えないがきっとそこだけ笑っていないに違いない。
リオルを撃ち落とすための攻撃魔法をびゅんびゅんと放ち、リオルはそれをひょいひょいと躱しながら、
やがて二人は森の中に消えていく。

あとには肩を怒らせてビリビリと帯電しているローラ、
そして何やら真剣な顔で考え込んでいるピーターが残された。
ピーターははっとなる。ヒロトはリューを、ジョンはリオルを追いかけていってしまった。
これは、まずい。

「いけない!お嬢さん!」
「なんですの?」
413ワンダーランドでつかまえて(6/19):2008/07/06(日) 10:31:15 ID:ErmhKk5D
 
ピーターの叫び声にローラは振り返った。まだ目が据わっている。ピーターは正直ちょっと怖かったが、
すぐにブンブンと首を振って気を取り直した。そうして、続ける。

「彼女たちはきっと操られているんです!」
「…………………………………………………はぁ?」

ローラは怒りも忘れて間抜けに口をぽかん、と開けた。

「おそらくは自分の命を狙う何者かの仕業でしょう。自分に近づいた貴方たちを自分の仲間だと思ったのか、
 同士討ちというこのようなこすい真似を……ッ!」
「あ、いえ。あの、それはないと断言できますわ……よ?」

ピーターはあずかり知らぬことではあるが、リオルはともかくリューにその手の呪いは一切通用しない。
精神操作であろうと身体破壊だろうと確率変動だろうと、リオルの持つ膨大な魔力が干渉しようとする『呪い』を
踏み潰してしまうからだ。毒も薄めれば無害となるのと同じ。彼女に呪いをかけようとするなら、
歴史に名を刻まれるような使い手がちゃんとした方陣、いや神殿を築いて三日三晩の詠唱を経て全魔力を費やして、
やっと石につまずいて転ぶくらいに運気(ラック)が下がる程度といったところか。
リューに魔法戦を挑もうなどというのはそれくらい、考えるだけでも馬鹿馬鹿しいことなのだ。

が、それをピーターに説明しようとするとこれが非常にややこしい。
だいたい人間にそんなレベルの魔法使いなんかいるわけないし。

「では、どうしてお仲間が貴方たちを殺そうとするのです!?」
「殺そうとって、あ、あー……」

普段のべらぼうにハイレベルな世界にいると結構慣れていたりするのだが、考えてみればそういう風に
見えなくもない。ローラはぽりぽりと頬を掻き、しかしまあ、別に気にすることもないか、と思った。
なにせ。

「―――あの方に聞けば、きっと何かわかるでしょうし、ね」
「え?」

ピーターが振りかえる。
長い耳がゆらっ、と揺れた。
畑を囲う柵の上。
ほんの少ししか足場のないそこに、とん、とよろけもせずにまっすぐに。
静かな瞳でこちらを見つめて、彼女は立っていた。
ローラは知らず、ピーターは知っているその少女は件の魔獣。

ワーラビット。

ピーターの畑を荒らし、屋敷に忍び込んで盗みを犯した少女が、そこにいた。



内心めちゃくちゃにビビッていた。

(な、なんかまだいるですよぅ魔王サマぁ〜ッッ!!)

リューとリオルが(勝手に)立てた『ワンダーランド・プロジェクト』の内容はこうだ。
ピーターのことが好きなアリスのために、ピーターとアリスを二人っきりにしてやるから、好きだって言え。
………。
身も蓋も中身もない作戦だった。
414ワンダーランドでつかまえて(7/19):2008/07/06(日) 10:32:07 ID:ErmhKk5D
実はこの作戦、裏にリューとリオルもそれぞれ想いを寄せる相手と二人っきりになりたいという暗黒面があり、
むしろこっちが本命だったりするのだが、まぁそもそもオトメ経験値の低いくせにオトメちっくハートは
天災並みの局地的タイフーン壱號と弐號からマトモな案が出るわきゃあねぇのである。
しかもこのプロジェクトには誰が見ても明らかな落とし穴があり、それがローラの存在だった。
リューがヒロトを、リオルがジョンを引き付けるのはいいとして、それでは一人余るのは自明の理。
ちなみに二人はローラの存在を忘れていたわけではなく、お互いが
ローラを何とかするものだと思っていたというスレ違いが生んだ悲劇であることを明記しておく。
まぁ、どんな勝手きわまる作戦であろうと単なるワーラビットに過ぎないアリスにとって
魔王たるリューと火龍のリオルは見上げても霞んで見えないほどの上位魔族であり、
簡単に言えば『死ね』と命じられても二つ返事で死ななきゃ以下略。
つまり絶対服従、無条件降伏の相手だということである。
アリスに口を挟むなんて大それた真似、できる訳なかった。

かくして、哀れ『ワンダーランド・プロジェクト』の『白ウサギ』ことアリスは只今絶賛大ピンチ。
だってなんか残ってた女の人(ローラ)が金色のツインロールを帯電させてこっちを睨みつけている。
アリスは魔法もロクに使えない、正真正銘の下級魔族だ。
身体能力は一応人間のそれを凌駕してはいるものの、それは身の軽さ、すばしっこさに限った話。
腕力はといえば外見通り女の子の細腕に見合った分の力しかない。戦闘経験なんてもちろん皆無なので
常に逃げの一手である。それでもあの怖いビリビリ少女(ローラ)の放つ電撃から逃れられるかどうかわからない。

「―――そうか。貴様か、ワーラビット」
「はぇ?」

心底帰りたい、と心の中でため息をついていたアリスは突然の殺気立った声に驚いて
思わずバランスを崩しそうになった。
声の主―――低い、押し殺したような男の声。
考えなくてもわかる。この場に男は一人しかいないのだから。

「ピーターさん?」
「……お嬢さん。下がっていてください。このケダモノは、自分が相手をします……!」

ローラを手で制し、ざ、と一歩前に出た。その青年はピーター・ベンジャミン・キャロットという。
アリスが密かに想いを寄せていた彼が、今、アリスを仇敵を見るような視線で睨みつけていた。
アリスはもちろん、慌てて両手をばたばたと振る。

「ちょ、ちょちょちょ、ちょ!ちょっと待ってくださいよぅ!何ですかそのマジぶっ殺スな目はぁ!
 あたしはですね、ただ……」
「ただ―――なんだというんだ?自分の客人を貶め、操り、同士討ちを狙うような悪党が。
 今さらなんの言い訳をする?」
「なぁっ………!?」

話がものすごくこじれているのを感じた。
断っておくがこの『ワンダーランド・プロジェクト』とやらの立案に於いてアリスはまったく、これっぽっちも、
魔王に誓って関与していない。というか、させてもらえなかった。する余地もなかった。気力も無ければ
根性もなかった。しかしそれでもアリスを責めないで欲しい。作戦を立てた相手を思えば詮無きことだろう。
それにリューたちの言う『呼び出し』がまさか魔力波や火炎球をぶっ放すことだとは夢にも思っていなかったのだ。
アリスの淡い恋を応援してくれるというから何かしらのサポートをしてくれるのかと思ったら、
むしろ積極的に破壊しているような気すらする。アリスは今や半泣きだった。

「誤解ですよぅ!あたし、そんなことはしませんってば!」
「問答無用だ!『メタル・ゴーレム』ギガントール―――起動!!」
415ワンダーランドでつかまえて(8/19):2008/07/06(日) 10:33:16 ID:ErmhKk5D
ピーターが鋭く叫ぶと、屋敷の隣、納屋の屋根を貫通して巨大な腕が突如として生えた。
ぱらぱらと破片が飛んでくる。突然のことにアリスとローラは声も出ない。
絶句していると、その腕はばきばきと納屋の屋根を破壊するように押し上げて、ぶん、と放り投げる。
茅葺きとはいえ、その重量は半端ではないはずの屋根は紙細工のように飛ばされてぐしゃっ、と潰れた。
そして―――納屋に格納されていたそれは、ゆっくりとその身を起こす。

「―――な、なぁっ!?」
「なんですのアレは……!?」

………それを、一体なんと形容すればいいだろうか。

巨大な、ゴーレムである。
ピーターが普段操っているゴーレムも大きかったが、これはさらにその三倍ほど大きい。
黒に近いほどに深い、青みがかった甲冑のような鋼鉄のボディからは無骨で逞しい手足が伸び、
顎とたてがみが目立つ頭部からは雪だるまに指したにんじんのような尖った鼻が突き出ていた。
見るからに鈍重そうな、しかし力強く、頑健なる鉄(くろがね)の巨人。

その暗い双眸が光を放ち、巨人―――ギガントールは跳躍した。

「わ、わっ!?」

そしてピーターの背後に着地する。その衝撃ときたら、地面が揺れて傍にいたローラが
一瞬宙に浮いてしまうほどだった。アリスもとても柵の上に立っていられず、
たまらず地面にひっくりかえってそのままぺたん、と座り込んだ。

なんだアレは。

「ギガントール……できればお前はもう二度と起動することなく、納屋の中で眠り続けて欲しかった……」
「だ、だだだ、だったらずっと眠らせておいてくださいよぅ!!」

腰の抜けたアリスが必死に叫ぶ。

「それはできない。自分は今一度このメタル・ゴーレムを使って悪を討つ!」
「だからあたし何にも知らないんですってばぁ!!」

ローラはぽかん、と口を大きく開けて声も出ない。
それはそうだろう。こんな規格外のゴーレムが出てきたことにも驚きだが、それを操作しているのが
あのピーターなのだから。彼女の仲間たちが分析したピーターは半人前もいいところの魔導師で、
碌なゴーレムを操れなかった筈なのだ。
だが忘れるなかれ。彼のストーン・ゴーレムはあくまでも畑仕事のため、
しかも複数操作を前提とした石人形であることを。
それは両手で絵を描く行為に似ている。絵筆を持ち、右手と左手で同時に絵を描こうとすれば、
どうしてもその絵は雑になるか、単純なものになってしまう。慣れていないならなおさらだ。
そんな隠し芸のような真似をして描いた絵を見て、どうしてそれがその人が持つ画力の全てだと笑えるだろう?
ピーターが先程、素体のない状態で練り上げたクレイ・ゴーレムにも同じことが言える。もともとゴーレムは
その場で作り使役するものではなく、前もって人形を用意しておき、それに魔力を通して動かすのが常なのだから。

そう、たとえば。
魔道技術の先進国であるラルティーグの研究室で開発した機体があり。
彼の持つ全ての魔力を一点集中して注ぎ込めるのであれば。
もしかしたら、再現できるかも知れないではないか。


―――かつてピーターの先祖たちが使役したという、27体のゴーレム。
戦火に飲まれ、侵略を受けたこの小国を見事に護り抜いたという、伝説の『鉄人』を―――。
416ワンダーランドでつかまえて(9/19):2008/07/06(日) 10:34:06 ID:ErmhKk5D
 
「往けギガントール!お前が28体目の『鉄人』となるんだッ!!」

ギガントールは大地を踏みしめ、ガタガタ震えるアリスに迫った。
ギガントールは見た目の通り、すばやく動くことができない。だが機動性がない分、その腕力は岩石さえも
軽く粉砕してのけるほど。術者ピーターの指示にもよるが、おそらくはドラゴンとさえ格闘し、
殴り倒すことが可能だろう。その鋼鉄の拳の前には腰を抜かしたワーラビットなど塵とも埃とも変わりない。

「………………………む」

ピーターは震えるアリスを憐れと思ったか、眉をしかめ、言った。

「ワーラビット。命が惜しければお嬢さんのお仲間たちにかけた術を解くんだ。
 今までの悪さを反省し、もうしないと誓うなら許してやる」
「あ、あぅ、あぅあぅあぅ」

アリスは歯の根が合わずに返事ができない。しかし、力の限りを振り絞ってブンブンと首を振った。
無理もない。アリスは本当に何もしていないのだから。そりゃあ今までは盗んだり落とし穴掘ったりはしたけど、
それだって、恋する女の子のおちゃめの範囲内だし。
それを知らず、決裂ととったピーターはギリリ、と奥歯を噛み締めた。

「……そうか。正義のためとはいえ、キミのような女の子を殺めることになろうとは―――残念だ」
「あうぅぅうううぅぅ!!」
「―――ギガントール!ハンマーパンチだ!!」

鋼鉄の巨人は主人の命令に従い、大きく腕を振り上げた。

「あ、ちょっ、待ってくださいまし!」

呆然としていたローラがはっと正気を取り戻し、静止の声をあげる。
が、もう遅い。ギガントールは文字通りの鉄拳を小さなアリスに叩き込もうと、全体重をかけて―――


――――――柔らかい畑の土に足を陥没させてすっ転んだ。


「ギガントォォォォォォォォォォォル!!!!」



ヒロトはついさっきまでリューにお仕置きの拳骨をくれてやるべく、森の中を疾走していた。
しかし気付いてみれば急に辺りに濃い霧が立ちこめてきてリューの背中を見失い、
それでも“豪剣”によって研ぎ澄まされた聴覚を頼りに何やら物音のする方向に来てみれば―――。
森の木々が切れ、ちょっとした広場になっているそこには、椅子とテーブル、そして二組のティーカップと
ポットが用意されていたのだった。そしてヒロトを待っていたように―――実際待っていたのだろう、
頬を少し赤く染めてリューがスラリ、と立っていた。

リュー。
リューである。
リューのはずだ。

炎のように鮮やかな朱い髪に緋色の瞳。その容姿には見覚えがある。
だが、その服装には見覚えがなかった。
417ワンダーランドでつかまえて(10/19):2008/07/06(日) 10:34:54 ID:ErmhKk5D
暗闇が染み入る黒と鮮血が脈動する赤。彼女を表す二つの色を豪奢なドレスにして纏っている。
胸元と背中が大きく開きいてぴったりと身体のラインが目立つようなデザインになっており、
スカート部分にはそれこそ腰まで覗きそうな深いスリットが入っている。そこからスラリと伸びた美脚を
際立たせるのは濡れた鴉羽根のストッキング。踵の高い真っ赤なヒールを履いて、
天の羽衣のようにストールを羽織り、金色のティアラをつけたその姿はそれこそ、どこの令嬢かと見惚れるほどだ。
薄い化粧でもしているのか、ルージュを引いたような唇がフワリと緩み、微笑む。
百人の男がいれば九十九人が腰砕けになるような、妖艶さと無邪気さが絶妙に入り混じった笑顔だった。
豪奢で絢爛なローラとはまた違う。光を放つのではなく、吸い寄せるような。
一言も言葉を交わさぬうちに、既に掌の上でいいようにされているような。
そんな妖しい魅惑がそこにはあった。
これが、魔王の魅惑なのか。
いや、違う。そこに禍々しいものは感じない。
今のリューは、彼女は―――

――――――『クイーン・オブ・ハート』。

ヒロトは、そんな、心を蕩けさせるような美しい少女に誘われるようにふらふらと近づき、
とりあえず、拳骨をした。

「痛い!」

頭を押さえてうずくまるリュー。さっきの妖艶さはどこへやら、すっかりもとのリューに戻っている。
まあ、拳骨されてまだ妖艶な流し目なんかしてたら色っぽいどころか面白いけども。

「―――リュー。危ないだろう、いきなり攻撃してきたら」

ヒロトはジト目でリューを睨みつけた。

「って、この恰好を見てまず第一声がそれか!!」

『ハートの女王』のリューが顔を真っ赤にして激昂する。
だがどんな恰好をしていようがヒロトはリューを叱るために追いかけてきたんだし、
まずそれを済ますのが順番として正しいというものだろう。
ヒロトがクソ真面目にそう言うと、ドレスアップ・リューは地面に抉りこむような深い溜め息をついた。

「………………とりあえず貴様の耳を引きちぎって逆さまにくってけてやりたいんだが」
「なかなか似合ってるんじゃないか?リュー」
「遅いわ!!」

カッ!と目を三角にして怒鳴りつける。ヒロトは少しだけ笑ったあと、改めてじー、とリューを見つめ始めた。
その眼差しに膨れていたリューはむむ、と唸り、ふん、とそっぽを向いてしまう。しかしこのドレスは
もともと『普段よりオシャレしてヒロトをドキドキさせよう』という計画で着ているので悪い気はせず、
頬が少し赤くなっているのを自覚する。

「………そのドレス、まさか買ったんじゃないだろうな」
「うぉぉおい!!」

心配そうに言うヒロトにツッコミが絶えないリュー。
リューは頭に漬物石が乗っているような鈍痛を覚え、こめかみを押さえながらひくひくと口の端を痙攣させる。

「………『変化』の魔法だ。服だけしか変化させてないから『変身』といった方がいいかも知れんがな。
 貴様のために!前々から温めていたデザインを出してきてやったんだぞ」
「へぇ。お前、なんでもありだなぁ」
「……………貴様……他に言いようはないのか……?」
418ワンダーランドでつかまえて(11/19):2008/07/06(日) 10:35:41 ID:ErmhKk5D
ぐったりしているリューをよそに、ヒロトは辺りを見回した。
この空間だけ霧が切り取られているかのように途切れ、
その先は真っ白で何も見えない。なんとなくわかる。この霧もリューの魔法のひとつだろう。
そんなヒロトに気付いたリューは、ひらひらとおざなりに手を振って答えた。

「ああ、この霧は特殊な結界でな。内部と外部の位相をズラし、次元レベルで隔離している。
 ま、我が創った幻想空間といったところさな。いかにヒロトといえどここから出ることはできぬ。
 我が術を解くか、もしくは我を倒すかでもせん限り、な」
「………」

ヒロトは顔をしかめた。
リューがヒロトを誘い出したくて攻撃を放ったのはわかっている。あの魔力波は全然、本気じゃなかったからだ。
それ以前にリューが仲間を攻撃するなんてありえない話だし。ヒロトが弾くとわかって撃ったのである。
拳骨は、それでも危ないことは危ないことなのでお仕置きだ。
それにしても、普通に呼べばいいのになんて回りくどいことを―――。

「―――で?理由を聞こうか」

ヒロトは椅子に腰掛けると、リューの顔を覗き込んだ。
リューは微妙に唇を尖らせて、でも頬はこれまた微妙に赤くして、向かい側の椅子にどっかりと座った。
そして口を真一文字に結び、じー、とヒロトを凝視する。見つめあう二人。

「………リュー?」

リューはしばらくヒロトから目を離さずにいたが、やがて視線を彷徨わせると落ち着きなく手で宙を掻き、
ヒロトにティーカップを渡すと、ポットを傾けてトロトロとお茶を注ぎ込んだ。

「お茶会だ」
「はぁ?」

リオルは自分のカップにもお茶を注ぐと、じび、と音を立ててそれを啜った。

「―――いや、何。とある女の恋路に協力してやっているのだよ」
「………?」
「我とリオルはお前に言いつけられて畑の周囲を探索していたろう。その時にだな―――」

………………………。
…………………。
……………。
………説明終了。

「と、いうわけでお前たちをあの場から移動させる必要があったのだ」
「……ワーラビットのアリス、か。ならこっちの話も解決っぽいな。その娘がピーターの研究を邪魔していたのが
 好意の裏返しの結果だとすば、気持ちを伝えることでその必要はなくなるだろうし」

ヒロトはうん、と頷いて、

「しかし、それなら始めにそうと言えばいいのに。それに、俺をここに閉じ込める必要もないだろ?」

と、当然のように眉を寄せた。
そんなヒロトに、もうリューは言い返す気力もない。
べったりとテーブルに突っ伏して、恨みがましい半目でヒロトを睨み上げる。

(本当に、こいつは―――……少しは我と一緒にいようと考えてくれたっていいだろうに……)
419ワンダーランドでつかまえて(12/19):2008/07/06(日) 10:36:28 ID:ErmhKk5D
やっぱりローラのように山あり谷ありくびれありのスタイルでないと色気に欠けるのか、
とリューは寂しい胸元に視線を落としてさめざめとため息をついた。

「―――ま、いいか。依頼されてた仕事はこれで解決。ピーターも邪なことは考えていない立派な人だし、
 キャロット家には後ろ暗いことはなさそうだと報告できる。ワーラビットもリューの方でなんとかしてくれた
 ようだから俺の出る幕はないし。―――たまには、リューとお茶でも飲んでくつろいでるのも悪くない」
「……!!」

リューは顔をあげた。ヒロトはすました顔で静かにお茶を啜っている。
リューは何やら頬をむずむずさせると、ヒロトに向き直って自分のカップに口をつけた。
我ながらなんて単純な。しかし、ションボリしていた胸の内が火照ってくるのは止められない。
まったく、公平にはいかないものである。

「ところでドレスは自前として、この椅子とかカップとかはどこから調達してきたんだ?」
「アリスの住処―――家からだ。茶葉も棚にあったから使わせてもらった」
「いいのか?このお茶も高価そうだが……っていうかこれもピーターの家から
 盗ってきたものじゃないのか?もしかして」
「さあな。もし仮にそうだとしても我にはあずかり知らぬこと。魔獣のモノは我のモノ。我のモノは我のモノ」
「………お前な」
「む。なんだその目は。ちなみにこのお茶は我が沸かしたモノだぞ。
 ふふん、どうだ。我も日々進歩しているのだよ」
「それはご馳走様だな。ピーターに後で謝っておかないと」
「おいこら、我には?我には何にもなしか!」
「アリスとやらにもちゃんと謝っておくんだぞ」
「そーじゃなくてだな!」

ヒロトは笑いながらもカップを傾け、リューは眉を吊り上げてばしばしテーブルを叩く。
そして自分のお茶を倒し、また騒ぐのであった。霧に包まれた小さな幻想空間(ワンダーランド)で、
二人っきりのお茶会は賑やかに、緩やかに過ぎてゆく。


一方、リオルの方はというと。

「………はい。マジスンマッセン。自分、調子乗ってました。ていうか、こいてました。ぶっこいてました」

オデコに大きなたんこぶをつくり、正座してジョンに説教をされていた。もともと追いかけたり襲い掛かったり
迎え撃ったりするのは得意でも、誘い出して罠にはめるのは不慣れなガチバトル専用少女リオル。
追う間隔や僅かな位置の差を変えて追いかけるジョンにまんまと逃げる方向を操作され、
飛びにくい森の中に誘導されたと思ったらジョンの攻撃、カマイタチ。
それを慌てて躱したかと思ったら、風でしなった木の枝が目の前に……。

で、とっ捕まって今に至るというわけだ。

「しかし、リューさんも素直なんだか意地っ張りなんだか……ヒロトさんその辺、
 上手くフォローできなさそうなヒトだからなぁ。あんまり期待しないほうがいいんじゃないですか?」
「うーん、でもリュリルライア様は秘策があるって言ってたよ?」
「秘策、ねぇ……」

あんまり期待できないなぁ、と溜め息をついて(正解)、ジョンはジロリとリオルをにらみつけた。
う、とリオルが目を泳がせる。説明は済ませてあるのだ。
『ワンダーランド・プロジェクト』も、ワーラビットのアリスのことも白状させられた。
420ワンダーランドでつかまえて(13/19):2008/07/06(日) 10:37:09 ID:ErmhKk5D
「話はわかりましたが、そうなるとアリスさんを放任しすぎなのではないですか?
 けしかけたのは貴方たちでしょうに」
「うーん。でもこの計画、基本的な方針は『みんながんばれ』だからなぁ……」
「………かわいそうに」

ジョンは彼方を見上げて、会ったこともないワーラビットの少女に同情した。

「だいたいさー、それもこれもジョンがあんまあたしに構ってくれないから悪いんですよ主に夜!」

いや、それは違うでしょ。とジョンは思わないでもなかったが、そうとは口にせず、
キイキイ鳴きながらじたばた暴れるリオルをしばらく見つめて目を細めた。
そうしてリオルが暴れ疲れた頃、ジョンは膝をついてリオルと視線を合わせ、ぽんと頭に手を乗せた。

「ジョン……?」

その慈愛に満ちた瞳に、リオルがぽぉっとした表情で見つめ返す。
ジョンは、僅かに頭を垂れて謝った。

「すみませんでした、リオル」
「え?」
「どうあれ、リオルを不安にさせてしまったのでしょう?なら、ボクは謝らなくっちゃ。
 せっかく―――その、魔力補充云々ではなく、恋人としてできるようになったんですからね」

照れたようにはにかむジョン。
そんなジョンにリオルは、リオルは、ああ、もう、リオルはぁぁぁぁ!!

「ジョォォォォォォォン!!!!」
「うわっ、なんです!?リオル、落ち着いて!ここ、外ですよ?ヒロトさんたちだってどこにいるのか!」
「でもそんなの関係ねぇー!」

おっぱっぴー、と奇声を上げて襲い掛かってきたリオルに、ジョンは慌てて

「“霊拳”!」

拳を打ち込んだ。
魔力を相手に注入し、呪いにも似た効果を発動させて一撃で意識を刈り取るジョンの必殺拳“霊拳”。
それは正確にリオルのみぞおちに食い込み、リオルはどこか幸せそうな顔をして倒れこんだ。
あやうく強姦されそうになったジョンは冷や汗の浮いた額をぬぐって呟く。

「とりあえず、夜までは我慢してください、リオル」

その声は、夢の世界(ワンダーランド)にいるリオルには届かなかったけれど。



「ひっく、えぐ、ううぅ」
「よしよし。怖かったですわね。でももう、大丈夫ですわ」

ローラは泣きじゃくるアリスを抱きしめ、その背中をさすっていた。
ピーターの持つ最強のゴーレム、ギガントールのハンマーパンチはギガントールがこけたために
不発に終わったものの、振り上げられた拳そのものはアリスがへたり込んでいた位置からほんの一歩だけ
ずれた場所にめり込んでいる。巨大な鉄鎚が己の身に迫る恐怖、それはどれほどのものだっただろう。
アリスは命拾いした安堵感から泣き出し、ピーターは凶悪犯だと思い込んでいたアリスが見せた
まったく無防備な表情に戸惑い、おろおろしている。そしてアリスがリューたちをどうこうしたのではないと
分かっているローラが、事情を聞くためにアリスを落ち着かせてやっているのだった。
421ワンダーランドでつかまえて(14/19):2008/07/06(日) 10:37:49 ID:ErmhKk5D
「あ、あー……その、自分は」
「お黙りなさい。そしてこの娘に謝りなさい。誤解があったとはいえ、
 無防備な女の子に手をあげるとは何事ですか。この娘への追求はそれからです。
 それまで、ピーターさんはそこに正座!」
「はい」

ビリビリと稲妻を飛ばすローラの剣幕に、ピーターは大人しく正座した。志の高い魔導師なのに。
その隣で、身を起こしたギガントールが術師に同調して同じく正座する。再来した伝説の『鉄人』なのに。

「うぅっ、ううぅ、あたし、あたし……魔王サマたちの命令に従っただけなんですよぅ。信じてくださいぃ……」
「………ええ、まぁそれはなんとなく。はぁ。何をやっているのかと思えば本当に何をやっているのかしら。
 で?本当は貴方、何をさせられようとしていたのです?」
「………………………」

言われて、アリスは赤くなる。そしてちらちらとピーターを見つめて……俯いてしまった。
ピーター(と、ギガントール)はきょとんとしているが、ローラはなんとなく、その様子を見て気付いてしまった。
ヒロトのような疎いというより『無意識的にわざと考えないようにしている』ようなニブチンじゃあるまいし、
ましてやこっちは同じ想いに身を焦がすオトメちっくハートの持ち主だ。その瞳の揺らめきを知ったなら
なんとなくわかってしまうのは当然といったところだろう。

「あ、あー……なるほど?だからリューさんたちはヒロト様とジョンさんを遠ざけようとして……って私は?」

恋は盲目とはよく言ったもの、ということで。

「なんか釈然としませんわ……」
「あのぅ、その。あたしはこれからどうすればぁ……」

ローラの腕の中で、泣き止んだアリスがおずおずと尋ねる。潤んだ瞳で上目遣いにローラの顔を覗き込む
ウサギ少女はなかなか庇護欲がそそられるが、そんなもんローラには知ったことではない。
リューやリオルのように『魔族と人間の恋路を応援する』という名分も彼女にはないし。
―――だからただ、これだけは聞いておく。

「どうしたいのです?」
「えぇ?」
「貴方は、どうしたいのです?ピーターさんと、どうなりたいのです?」
「………」

それは。

「……………」

ピーターと、仲良くなりたい。

できれば二人で―――仲良く、にんじんを収穫したい。
思い浮かべるのはそんな幸せなイメージだ。この畑で一緒ににんじんを育てて、今日のようないい天気の日に、
見事に色づいたにんじんで籠を一杯にして。泥のついた顔で笑いあって、
その足元に子供たちがじゃれ付いたりして―――。

できるなら、そんな。
夢のような、未来を。

「だったら」
422ワンダーランドでつかまえて(15/19):2008/07/06(日) 10:39:41 ID:ErmhKk5D
アリスは何も言わなかった。しかし、そんなウサギ少女の表情を見てローラは微笑んだ。
そして立ち上がり、アリスも支えながら立たせてやる。

「その為になることをなさいな。今、ここで、想いを伝えるのが一番でなくてもいい。
 貴方の望む未来のためにはまず何をしなければいけないかを考えて、それをなさい。ね?」
「で、でも……魔王サマの命令には」

アリスは、魔族だ。しかもロクな魔力を持っていない、下級魔族。
そんな彼女が、魔王たるリューの命令に逆らえるわけがない。
そんなアリスにローラはやれやれと肩をすくめると、びっ、とその鼻先に人差し指を突き出した。

「私は貴方のことなんて名前も知りませんけどね。貴方の想いはそんなもの?ひとつだけ言っておきますけどね」

アリスは息を飲んだ。
アリスだって、この少女のことなんか名前も知らない。魔王の仲間―――なのだろうか。
それにしては魔王にかしずいていないようだし。なんなのだろう。人間なのだろうか?
それすらアリスには曖昧に感じられた。
この少女、彼女の瞳から感じるこの感じは――――――


「恋する乙女に、不可能はなくってよ?」


――――――魔王。

いや違う。もっと別の『何か』。人間でありながら魔王でもある。アリスは怖いと思った。
小心な自分はこの得体の知れない少女に対し恐怖を感じると思った。しかし、何故だか怖くない。
その不思議な感覚にアリスは戸惑っていた。
アリスがまごまごしていると、ローラはきびすを返してピーターのところまで歩いていき、
まだ正座していた彼を立たせると、すたすたとそのままどこかに行ってしまう。

「あ、あのぅ!どこへ……?」
「リューさんを探しに行くのですわ。ヒロト様と二人っきりなんて、そんな抜け駆け放っては置けませんもの」

その背中に、アリスの声が響く。
ローラは肩越しに振り返って片目を瞑ると、今度こそ振り返らずに森の中へ消えてしまった。

あとには正真正銘、『ワンダーランド・プロジェクト』の予定通り、アリスとピーターの二人だけが残された。
アリスは頬を赤く染めてもじもじと手をせわしなく動かし、ピーターは脚が痺れたようで若干ふらふらしながらも
足についた土をぱんぱんと払っている。ちなみにギガントールはまだきちんと正座していた。

………。

「あー、それで、だな」

間がもたなくなったのか、ピーターはポリポリと頬を掻いた。

「なんとなく、自分の勘違いだったようだから……攻撃してしまったことは謝ろうと思う。すまない。
 ………しかし、それならキミはいったい何が目的なんだ?」
423ワンダーランドでつかまえて(16/19):2008/07/06(日) 10:40:29 ID:ErmhKk5D
びく、とアリスは大きくその肩を震わせた。
身体の内に熱いものを感じた。その熱は胸の奥をちりちりと焦がし、アリスの身体を急かし掻き立てる。
アリスはその感覚に覚えがあった。
ピーターを遠くから見たとき。ゴーレムに指令を出して、失敗して。思い切り頭から土を浴びて、
小山の中から顔を出し。なかなかうまくいかないもんだ、なんて。彼が苦笑いしたとき。
ピーターのいつも寝ているベッドにばふっ、と倒れこんで、彼の匂いを胸いっぱいに吸い込んだとき。
彼が育てたにんじんをこっそりとひっこぬいて、一緒ににんじんを育てる未来を想像してしまったとき。
約束の時間に遅れそうでせかせかしているときのように、頭がかーっと赤くなってしまうのだ。
そんなとき、アリスはいつも逃げ出してきた。
溢れて零れそうな感覚のままに脚を動かして、こう、ばびゅーんと逃げ出してきた。

しかし。

今は、それができない。
アリスは火のつきそうな胸の鼓動とは裏腹に、背後に何か大きくて冷たいものがそびえ立っているのを感じていた。
それは燃え盛る炎のような、底の見えない暗い海のような。アリスのようなちっぽけなウサギには計り知れない、
とてつもない何か。それがアリスの頬をゆっくりと舐めるように撫で上げ、三日月のような口で笑う。

―――そうだ、アリス。ピーターと二人っきりにしてやる。その時に、奴ニ想いヲ伝エレバイイジャナイカ―――

そのときの魔王の言葉は何気ない、純粋に恋する少女を応援する言葉として発せられたのだろう。
しかし、それはアリスの小さな心臓に杭を刺す。足元が縫い付けられて動けない。ここでピーターに
背を向けるということは、あの言葉に背を向けるということ。それは彼女にとって自分の血流を
逆に回すことよりも、もっとずっと難しいことなのだ。

「あ、あたしは……!」

でも、今ここでピーターに告白する?そんな。
だって理由はどうあれ、アリスがピーターの畑を荒らしたのは事実で、ピーターの屋敷から家具や衣類や小物を
盗んで持ち去ったのは事実なのだから。そんな自分が、どの面下げてピーターに
『好きです』なんて言えっていうんだ。それよりも前に言わなくちゃいけないことがあるってものだろう。
そう、順番なら、こっちが先だ。告白なんかより、こっちが―――。


―――奴に想いを伝えればいいじゃないか―――

―――恋する乙女に不可能はなくってよ?―――


「あ、あたしはぁっ……!」

アリスはぎゅっと目をつむり、


「色々悪いことして、ごめんなさいぃっ!!」


ぺこん、と頭を下げた。

「………え?」
「あ、いや、その。だから。ピーターさんの畑からにんじんを盗んだり、
 屋敷から色々持って行ったり……しました!あたしはっ!だから、だから………ごめんなさいっ!!」

ピーターは呆けたようになり、アリスは長い耳をぶんぶん振り回して何度も頭を下げる。
そう、悪いことをしたら謝るのが当たり前。そこをすっ飛ばして好きも何もない。
魔王サマたるリューは告白しろって言ってたけど……まず、アリスは謝らないといけなかったのだ。
謝って、罰を受けて、許してもらって、そこから。そこから、アリスは始めなければならない。
それが、アリスの想う一番の未来の、きっと一歩目なのだから。
424ワンダーランドでつかまえて(17/19):2008/07/06(日) 10:41:10 ID:ErmhKk5D
「……あ、うん。謝ったのか。あー……なら、とりあえず自分の家具とか、返しなさい」
「………はい」

ピーターは戸惑っているのか、どこか視線を泳がせながらもアリスに命令する。
アリスは―――そりゃあ、少しは残念だったけど、仕方ない。それに、それが当然。こくりと頷いた。

「それから……ああ、そうだな。自分の畑から盗った野菜は、どうせもう食べてしまったんだろう?
 だったら、仕方ない。ワーラビット。しばらく自分の畑仕事を手伝ってもらうっていうのはどうだ」
「はぇ?」

続くピーターの言葉に、アリスは驚いて顔を上げた。なんだって?さっきのが聞き違いでないなら、
それが本気なら、その意味は―――。

「それで、今まで盗んできた分を返してもらう。素直に謝ったことだし、それで勘弁してやろう」

―――願ってもない。ピーターと一緒にいられるってことじゃないか。

「なんだ。不満か?だが、キミがしてきたことは―――」
「いいえ!あたし、一生懸命働きます!働きウサギになりますぅ!!」
「……そ、そうか。なら、えっと、とりあえず明日からだな―――」

研究の予定を組みなおさないとな、なんて。
ボリボリ頭を掻くピーターを前に、アリスは花が咲いたように笑った。
ああ、夢にまで見た未来の『ワンダーランド』。

それは、明日の朝日と共にある。



―――翌日、ヒロトたちはまたピーターの屋敷を訪れていた。
呼び鈴を鳴らす。ぴょこんと顔を出したのはアリスだった。
昨日各々『ワンダーランド』から帰ってきたヒロトたちはアリスの家にあったピーターの家具を運び出し、
届けたのだが、引越し状態でしっちゃかめっちゃかになってしまったのでとりあえずアリスは泊りがけで
ピーターと共にずっと整理をしていたらしい。ヒロトたちがキャロット家への報告のために
帰らなくてはならなくなった後も、ずっと。
そこで判明したのは、ピーターがこの屋敷を管理しきれていないということだった。
元々ピーターは贅沢を当然とする貴族じみた生活を嫌っていた上に、工房は必要でも広いリビングなど
必要ではない生真面目な魔導師であるために、キャロット家から与えられたこの屋敷を持て余していたらしい。
そこで、アリスが勇気を出して提案したのが―――。

「………なるほど。それでその恰好というわけだ」

リューがきゅうっ、と目を細める。

「え、えへへぇ」

照れ笑う。アリスは、メイド服に身を包んでいた。
ようは畑仕事だけでなく、ピーターにとって広すぎるこの屋敷で清掃、洗濯、炊事を担当すると
言い出したという話。ピーターもそれならゴーレム使役のトレーニングに時間を裂けるので、
畑仕事のオート化も近づくだろうと受け入れたそうだ。うさみみメイドの爆誕である。

「しかも住み込みなんでしょ?すごいじゃん、頑張ったじゃーん」
「あ、ありがとうございますっ!」
425ワンダーランドでつかまえて(18/19):2008/07/06(日) 10:41:56 ID:ErmhKk5D
にこにこしているアリス。その後ろから、ピーターが顔を覗かせた。

「ああ、皆さん。いらっしゃっていたんですか」
「あ、す、すみませんご主人サマ。お客様なのに……」
「ご主人サマ?」
「ご主人サマ……」

ぺこぺこ頭を下げるアリスの台詞を聞いて、リューとリオルが口元をひくつかせる。
ピーターは困ったように笑って、

「自分もどうかと思うのですが……アリス。それはやめてくれと言っただろ」
「ですが、ピーターさんはご主人様ですっ。ご主人様はきちんとご主人サマとお呼びしないとぉ!
 で、ですよねっ!?まお……リュリルライアさんっ!」
「………まぁな」

リューが肩をすくめると、アリスはほら!とピーターを見上げた。
ピーターは参ってしまって、頭を掻く。その様子がおかしくて、一同は笑った。
しばらく談笑した後、それじゃあ、とヒロトたちは二人に背を向けた。
その背中に、ピーターは声をかける。

「最後に聞かせてください!貴方たちは、本当は何者なんですか?」

ヒロトは立ち止まり、隣にいたジョンと顔を見合わせる。ジョンは、一息ついたあと、頷いた。
ヒロトも頷き返し―――そして、荷物からマントを取り出してその背に羽織る。
ジョンもまた、荷物からグローブを取り出して手にはめた。

マントは紅。世界最高権力、聖堂教会の十字紋様を背中に背負う、ヒロトが翻す勇者の証。
ブローブは黒。世界最高権力、聖堂教会の十字紋様を手の甲に刻む、ジョンが握りしめる勇者の証。

ピーターは、もちろん知っている。
勇者ヒロト。彼はかの『はじまりの勇者』と同列に数えられるほどの武勲を生み出した、
歴代最強クラスの戦闘力を持つ生きる伝説であると。
そして、ピーターにとってはその伝説より遥かな憧れである、その小さな勇者。
勇者ジョン。ピーターが留学し、魔道の技術と在り方を学んだ技術大国ラルティーグの希望を背負う英雄だと。

ふたりの勇者はピーターに大きく手を振った。

「応援しています、ピーターさん!」

―――それが、誰からも認められず、家族にさえ追放を受けたひとりの魔導師に、どれほど響いたことだろう。
世界を巡り、何人もの人を助け、様々な発見をした勇者たち。尊敬を集める彼らに支持された、
それがどれほどピーターの救いになったことだろう。『変人』と呼ばれた彼は知らず、涙した。


――――――自分は、間違っていなかったのだ、と。


「あたしからも、聞いてもいいですかぁ!?」

アリスも叫んだ。ずっと気になっていたのだ。アリスに最後の―――逃げ道を塞いでくれたのは
魔王リュリルライアだが、それとは別に―――勇気をくれたのは、彼女だったから。
お礼は言ってもいいきれない。だから、これがお別れというのなら、聞いておかなくては。
426ワンダーランドでつかまえて(19/19):2008/07/06(日) 10:42:44 ID:ErmhKk5D
 
「ローラさんはどこにいるんですぅ!?」

ヒロトたちは立ち止まった。
『ヒロトたち』―――そこにいるのはヒロト、ジョン、リュー、そしてリオルの四人だけ。
ローラがいない。というか、昨日からずっといない。最後にローラを見たのはアリスたちであり、
それはアリスを勇気付けてヒロトたちを―――というか、ヒロトを探しにいった後ろ姿だというのだ。
それを聞いたのはとりあえずキャロット家に報告に行って、もしかしたら宿に帰っているのかもと
いったん引き返して、でもいなかったからまたピーターたちの屋敷に戻って、そのときである。

なんとなく嫌な予感はそのときからしていたのだが……みんなで『ないない、それはない!』と
強引に思い込んで朝を迎え、それでも戻ってこないので今から探しに行くのである。
というか、迎えにいくのだ。

「……どこへですぅ?」

決まっている。


「ワンダーランドへだ!!」


………………………………。
………………………。
………………。


ローラは森を彷徨っていた。
森には深い霧が立ち込め、数歩先はもう真っ白で何も見えない。
いったいどのくらい歩いたのか、森に入ってどのくらい経ったのか。もうさっぱりわからなかった。
そもそも、この霧はヘンだ。強い魔力の塊であり、方向感覚も何もまったく狂わされてしまう。
ローラは知らない。リューがヒロトをいざなったあのとき。
森は異次元空間、魔の霧による特殊結界で覆われていたことなど。
無論、結界にはお茶会の相手、ヒロトにしか侵入できないのだが、リューとヒロトの逢引きを
邪魔しようと森に侵入したローラは強引に霧に入り込み、そのまま結界に干渉してしまったのだ。
げに恐ろしき乙女の執念。リューが『変化』と『幻想空間』の二つの魔法を同時に行っていたのが悪かったのか、
それとも恋する乙女に不可能はないのが悪かったのか。その二つが重なり合って、ローラはリューの作った
別位相に乗り込むことができたのだが、そこでまた最悪のタイミングでリューが結界を解いてしまったのだ。
もともと正式なゲストでもないローラは結果、霧の中―――別位相に取り残されることになり、
しかし『そこにローラが存在する』以上、その別位相と元の世界の繋がりも消えてしまうことなく、
こうやって次元の狭間である霧の中を彷徨っているのだった。

出れる気配は、あんまりない。

「………………………私、今回恰好いいこと言いましたのに……」

リューが再び森の中に幻想空間を作り、ローラを救出するのは、彼女の体感時間ではまだ先の話である。



              ワンダーランドでつかまえて〜新ジャンル「うさぎ」英雄伝〜 完

427名無しさん@ピンキー:2008/07/06(日) 12:44:23 ID:5hVGduMi
うさみみメイドかわいいようさみみメイド

…でも何気に鉄人28号も可愛かった件
428名無しさん@ピンキー:2008/07/07(月) 22:36:54 ID:ivTs1HRc
408-426
平凡ですがやはりこの言葉を

GJ!

相変わらずのいいお手並みです。
429名無しさん@ピンキー:2008/07/09(水) 21:46:37 ID:dMdKDj07
板垣死すとも新ジャンルは死なず
430名無しさん@ピンキー:2008/07/09(水) 22:49:33 ID:NyiO6qOm
?
板落ちてたの?
431名無しさん@ピンキー:2008/07/10(木) 09:01:08 ID:rmf1kcKj
オチテナイヨー
432名無しさん@ピンキー:2008/07/10(木) 10:34:08 ID:x2ZpWR8w
板垣退助の名言だぜ>>429

元は「板垣死すとも自由は死せず」だけどな

しかも板垣死ぬのかと思ったら国外逃亡しちゃったけどな
433名無しさん@ピンキー:2008/07/10(木) 11:55:39 ID:rmf1kcKj
女「上のケツからクソを垂れる前と後ろに『サー』を付けろ!」
男「サー!イエス!サー!」
女「今日から貴様はわたしの彼氏だ!」
男「サー!イエス!サー!」
女「地球で最高の生き物だ!両手一杯のダイヤモンド以上の価値がある!」
男「サー!言いすぎです!サー!」
女「彼氏の分際でわたしに口出しするな!」
男「サー!イエス!サー!」
女「わたしの傍から離れるな!できるだけぺたぺたしていろ!」
男「サー!イエス!サー!」
女「他の女に手を出してみろ!泣いたり笑ったりできなくしてやるからそう思え!」
男「サー!イエス!サー!」
女「わたしのことが好きか!?」
男「サー!イエス!サー!」
女「声が小さい!」
男「サー!!イエス!!サー!!」
女「えへへー」
男「………」
女「気に入った!ウチに来てわたしをファックしていいぞ!」
男「サー!イエス!サー!」

新ジャンル「ハートマンさん」
434名無しさん@ピンキー:2008/07/10(木) 12:00:50 ID:rmf1kcKj
少年「アヒルや犬と一緒に旅をしています」

新ジャンル「鍵っこ」
435名無しさん@ピンキー:2008/07/10(木) 23:59:44 ID:FRv1uPLI
>>433
ごめんよ 何か便乗してみた

女「まるで、そびえ立つクソだ 」
男「サー!自分の息子を捕まえて、幾らなんでもソレは!サー!」
女「心配するな!どっちにしても放送コードに引っかかる!」

女「クソまじめに努力するこたぁない!
  神様に任せりゃケツに奇跡を突っ込んでくれる!」
男「サー!どうせなら自分は突っ込みたいであります!サー!」
女「上出来だ、頭が死ぬほどファックするまでシゴいてやる!
  ケツの穴でミルクを飲むようになるまでシゴき倒す!」

女「じじいのファックの方がまだ気合いが入ってる! 」
男「…………え?」
女「こ、言葉の綾だ!!お、お前には、私の初めてをやっただろう!!」
男「サー!!イエス!!サー!!」

女「イクか? 私のせいでイクつもりか? さっさとイケ!」
男「サー!!イエス!!サー!!」

女「貴様は私を愛しているか?」 
男「生涯忠誠! 命懸けて! 闘魂!闘魂!闘魂!」 

女「えへへー」

新ジャンル「ハートマンさん弐」
436名無しさん@ピンキー:2008/07/11(金) 07:39:47 ID:eBjUXKoG
437名無しさん@ピンキー:2008/07/11(金) 11:37:45 ID:+sbQoaJ3
>>434
今丁度やってて吹いた
438名無しさん@ピンキー:2008/07/11(金) 22:23:47 ID:EGPDOb0i
残り30KB
毎度ながら500はいきそうにないな
439名無しさん@ピンキー:2008/07/12(土) 15:33:09 ID:fG/PMn5a
>>403
某少年については、後述のある一点を除いて全く未定です。
名前他決めて貰えれば…
以下本文



妹の思わぬ裏切り行為に驚いた痴女クール校長こと千所玲だったが。
「…くっ。ははははっ!!あははははっ!!!!」
突然の姉の高笑いに妹たる舞は戸惑う。
「姉さん、何がおかしいんだ?」
「ははっ。いや大した決意だ、我が妹よ。しかし実力の差は考えていたのか?」
「見くびるな、私だって千所家の娘。むざむざやられるものか」
そう言って舞は戦いの構えを取る。低く腰を落とし、相手の攻撃を
受けつつも決定的なカウンターを狙う。

「さあ…来い!!」
「舞、それが甘い!!」
言葉と同時に投げつけられた幾本かの試験管、舞は辛うじてそれらをかわす。
「くっ!!薬物か!!」
「お前は真っ直ぐ過ぎなんだよ!!」
校長・玲は無駄なく妹との距離を詰め、矢継ぎ早に攻撃を繰り出す。まさに流水の如く滑らかに。

「オラオラ!!どうした!!口だけなのか!?」
「な、舐めるな!!」
玲の攻撃に対して時折カウンター攻撃を繰り出すも、舞の拳や蹴りは空を切るばかり。

時計の秒針が時計を五周した後、はっきりと差がつき始めた。
舞は全身傷だらけなのに対し、玲は涼しい顔でいやらしい笑みさえ浮かべている。
『ここまで実力差がついていたとは…しかも姉さんはまだ遊んでいる。
現に私が今、立っていられるのがその証拠だ』
『何か…気を反らす物があれば……いや…』
440名無しさん@ピンキー:2008/07/12(土) 15:33:58 ID:fG/PMn5a
肩で大きく息をつきながら、必死に舞は勝つ為の策を練る。

「舞、覚悟はいいか?」
「『来る!!』…ああ」

そこで舞は胸元に手を入れる。
「何だ、その構えは?」
「姉さんを倒すための秘策……さ」
シニカルな笑みを浮かべて姉に向き直る舞。
「気に入らないな…その笑い方は。あの女の笑いを連想する」

『あの女?』
肩の痛みに耐えて戦況を見守ってきた夕圭。
四天王でも情報通の彼女だが、校長が不快感をあからさまに示す女性の存在は初耳だった。

「では…!!」
正面から舞が突進する、しかし疲労が蓄積してか相手の虚をつく程のスピードがない。
「…終りだな、舞!!」
その時、玲へ舞の胸元に入れた手から何かが投げつけられる。

「…ぶ、ブラッ!?」

投げつけられた物体、舞の薄い水色のブラ(推定Eカップ)はフラフラと玲の顔面に張り付き。

バシュッ

舞渾身の右フックが玲のこめかみを打ち抜いた。
441名無しさん@ピンキー:2008/07/12(土) 15:36:40 ID:fG/PMn5a
「大丈夫か?黒田くん」
「舞先生…ほんと無茶しますね。私は肩だけ…」
「そういった意味では私の体の方が傷だらけか。…一応嫁入り前の身なんだが」
真顔でとぼけた事を言う舞がおかしく、夕圭はクスリと笑う。

「面白い人ですね、舞先生って。ちょっと手強いライバル出現かも」
「ははっ、お手柔らかにな。だが青山春樹を手に入れるのは…」
「あいたた…くぅ〜、あっ夕圭、手前よくも!!」
長い気絶から目覚めた陽子が夕圭に食ってかかる。
「なによ、いきなり麻里愛を殴ったあなたが悪いのよ」
「あたしは夕圭が締め技食らってると思って!!」
「お馬鹿っ!!!!」
「馬鹿って言う方が馬鹿なんだぞぉ!!!!この垂れ乳女!!!!」

安心感からか、つい軽口の応酬になる少女達。
その時だった。

「危ない!!」
強い力でいきなり突き飛ばされる夕圭と陽子。
「きゃっ!!」
「痛え!!何しや……こ、校長!!」

起き上がった二人の視線の先には、憤怒の表情の校長・玲とうずくまって肩を抑える舞の姿が。

「…痛かった、今のは痛かったぞ…舞いぃぃ!!」
妹の腰へ容赦なく二、三回ローキックを入れる玲。
「ぐぅっ!!」
「…この私がまさか拳を入れられるとは思わなかった。油断大敵だな…」
先程のキックで倒れこんだ舞の背中を足で踏みにじる。
「ぐぅぅ…!!」
「まあ、身内だからこの程度で許してやる。……しかしお前達は覚悟しておけ、四天王」
玲は両手を顔の高さまで上げて、指をわきわきと震わせる。
「この所欲求不満なんでな……たっぷり可愛がってやるさ、二人とも。
この先男に二度と興味が湧かなくなる位にな…」
442名無しさん@ピンキー:2008/07/12(土) 15:37:37 ID:fG/PMn5a
夕圭と陽子は思わず抱き合って震えだす。
「や、ヤバいぞ…」
「こ、怖いよぉ…」

ゆっくりと近付く玲。
「どちらに…よし。まずは…二人いっぺんだな。その後、失神するまでトウバンジャンを……」
ぶつぶつと妄想を口にしながら、鼻血を流す妙齢の女性。下手なホラー映画より恐い。

玲の手が夕圭の制服にかかるが、恐怖のあまりに夕圭の体は金縛り状態。陽子も同様だ。
「い、いやぁ…は、春樹くん…たすけ…」
「…は、春樹ぃ…」
「ふん、青山春樹も私がいずれ飼ってやるさ……安心してお前達も」

「…お取り込み中に悪いんだけどさ、千所校長。手を離して貰えるかな、二人からさ」
「…!!き、貴様!!遠山の!!何故ここまで!!」

慌てて玲は距離を取り、突然の来客に対する。
「えっ、と、遠山理菜!!なんであたし達を…?」
「…あんた達が襲われてるのを助けたんじゃないわよ。千所校長は私の敵だから」
「…何の用だ」
「春くんのピンチに颯爽と登場するのは、彼女だからよ!!(ピシッ)」
指を突きつけて主張する理菜へ、陽子が抗議の声を上げる。
「春樹はあたしの恋人だぞぉ!!」
「なに勝手な事を!!」
「まあまあ…三人とも。その話題は後でね」
「あっ、おばさま…(ギリギリ)…ギブギブッ!!」
「げぇ!?あ、青山夏実!!な、何故貴様まで!?」
玲の声に隠し切れない憎しみ、恐れ、妬みの感情が渦巻く。
「あらあら。久しぶりに会ったのに。でも元気そうね」
反対に夏実の声は平素と変わらず、のんびりとしたもの。
「…まあ、たまには母親らしくしないとね。秋くんに怒られちゃうし」
「くぅ!!!!!!」
玲の表情が一段と険しさを増す。
443名無しさん@ピンキー:2008/07/12(土) 15:42:03 ID:fG/PMn5a
「あ、あの…春樹のおばさ…じゃない青山先生…」
「何?陽子ちゃん」
「『秋くん』て誰?」
夕圭が呆れた表情で相方を見やる。
「あなたねぇ…青山秋彦さんよ。春樹くんのお父さんの事」
「なぁんだ…春樹の父ちゃんかよ……で何でウチの校長はあんな悔しそうなんだ?」
「さ、さあ?」
夕圭もそこまでの事情は知らない。
「んー昔ね、秋くんにそこの玲ちゃんがちょっかいかけて来てね。それ以来よ」
淡々と事情を語る夏実。もっとも握り締めた拳には相当の力が込められている模様。
「わ、私の方が先に知り合ってさえすれば!!貴様なぞに青山先生を!!」
「あらあら。秋くんに想いを気付いて貰えなかった女の台詞ではないわねー、仔猫ちゃん」


陽子、夕圭、理菜は共通の想いを抱いていた。

『夏実さん怖い!!そして春樹のニブチンは父譲りなのか!!』


先程までとはうって代わり、余裕のない表情の玲とのんびりした顔で笑う夏実。
二人の間である一つの決着がつこうとしていた…




新醤油学園 青春編
「クイーン登場」
444名無しさん@ピンキー:2008/07/12(土) 15:44:26 ID:fG/PMn5a
春樹への制裁を済ませた後に、ルカは真智子と相談を始めた。
「ハルは無事だったから良かったけどさ。豆田姉と夕圭ちゃんは一体どこへ?」
「…わかりません」
真智子としても首を傾げるしかない。すると、部屋の隅で(痛みから)頭を抱えていた貴子が口を開く。
「…それより…問題が」
「貴子ちゃん…ちゃんと反省してるの?」
ここは大人しく従った振りをしよう。貴子はそう判断し、深々とお辞儀する。
「…ごめんなさい」
「まめこ…わかってくれたですか」
貴子の手を握り締めて喜ぶ真智子。貴子は内心後ろめたく感じてしまう。
「わたしとはるくんのしんきょで、かせいふとしてやとってあげます!!」

この言葉の後、某埼玉の一家で有名なお仕置きがあり………

「…でここは危険て?」
えぐえぐ泣いている真智子を尻目に、ルカは貴子の意見を聞く。
「ここは密室…万一居所が判明すれば…」
「逃げどころがない…って事よね」
小さく頷く貴子。
「…問題はもうひとつ…追手の正確な数が掴めてない…」
「はるくんをねらうのはどこのわるものですか!!わたしがぎたぎたに!!」
「…まあ、過去にも例があるから…校長と…理菜が候補よね」
疲れた表情で呟くルカ。貴子も無言で首を縦にぶんぶん振る。
「がちゆりさん…!?このまえはにげられましたがきょうこそは!!」
445名無しさん@ピンキー:2008/07/12(土) 15:47:06 ID:fG/PMn5a
そんな会話がされている所とは別の場所で。
「ねぇレーファ。一応、僕は貴子様に任務を…」
「ふんふんふーん」
「それにまだ授業中なんだし、こうして脱け出してお茶するのは…」
陽子の直属の部下であり豆田家チャイナメイド、カナダからの留学生レーファ。
彼女は学園を脱け出し、相方兼恋人の少年と喫茶店でひとときを楽しんでいた。
「ねぇ…レーファ?」
「気にしないネ、こうして楽しみながら情報を集めてるのネ」
すっかり上機嫌のレーファに対し、相方の少年は落ち着かない様子。
「タマには息抜きも必要って陽子サマも言ってたシ、ダーリンとデートも久し振りネ」
『この前の買い出しの時も確かそんな事を言ってたよなぁ…』
疑問には思うが、目の前の楽しげな少女を見ていると心が和む少年だった。

そして少年は気付いていなかった。携帯へ入っていた、主人からの連絡メールに。

『指令変更。ポイントM0へ移動するので護衛を命ずる』
『指令無視とは…給料更に10%カット』

少年の仕送り額は更に減少の一途を辿っていくのであった。

新醤油学園 青春編
「巻き込まれ体質」
446名無しさん@ピンキー:2008/07/13(日) 10:44:20 ID:JCOEspMk
蛙の子は蛙
だが既に何人かから告白を受けてるはるくんは親父さんとは違うと思うんだぜ
447名無しさん@ピンキー:2008/07/13(日) 23:18:33 ID:63yseeJ5
>>432

女「板垣…?」
女友「退助、教科書に載ってるでしょ」
女「そだっけ?」
女友「ほらこーんなひげの、天理、前に変な中国人にしてたよね」
女「あーあれか、何した人だっけ?」
女友「自由民権運動」
女「自由…えーとエライ人?」
女教師「何言ってるだよ、エライに決まってるじゃん!お札になってんだよ、100円札!」
女「100円…」
女友「…札?」
女教師「うむ、板垣死すとも札残す!」(`・ω・´) シャキーン

女友「100円札って…明日香ちゃん幾つよ」
女教師「うむ、永遠の18才だっ!」(`・ω・´) シャキーン
女/女友「ちょ」
男「待て、それ以前にそいつ英国育ちだろ」


新ジャンル「板垣死すとも」


ゴメン、落しそこねたんだ…(´・ω・`)
448名無しさん@ピンキー:2008/07/14(月) 17:15:41 ID:EkcsUy9D
板垣死すとも自由は死せず

とは、ヤンデレ女さんに極限まで監禁され精神的にギリギリになった男くんが
幾たびの熱烈すぎる求愛を受け、それでも屈せずに放った言葉である
女さんは男くんに感服し、ますます虜になってしまったといわれている
449名無しさん@ピンキー:2008/07/15(火) 02:34:42 ID:jrhyUYrb
五月雨は 露か涙か 不如帰 
我が名をあげよ 雲の上まで

主人公、ヒロインである「男」「女」に対して、オチ要員の「友」
彼は己の切実な願いを込めて詠ったとされる
450名無しさん@ピンキー:2008/07/15(火) 13:13:20 ID:6P8m07qo
男「女の子の名器をみみず千匹というらしい」
女「曰く、膣内挿入時の感触があたかも千匹のみみずにねっとりと絡みつかれたようであるからだとか」
男「かずのこ天井という言葉もある」
女「曰く、膣内部に男性器を刺激する突起がかずのこのようにいくつも付いているからだとか」
男「と、いうわけで!古来より伝わりし双方を組み合わせた画期的なオナホールをつくってみました!」
女「わぁい!古来より伝わっててなんで画期的なのかイマイチわかんないけどわぁい!」
男「側面にかずのこを接着し、内部にはみみずを千匹!」
女「ぎゃぁぁぁぁああああ!!えんがちょぉぉぉおおお!!」
男「いやー、本当に千匹みみず捕まえるのには苦労しました」
女「いやぁぁぁぁああああ!!ちょっ!おまっ!こっち来んなぁぁぁ!!」
男「ふっふ。女である貴様にはわかるまい。これこそロマン!男の!ロマン!!」
女「死ね!」
男「なんとでも言え!レッツ!エレクチオン!!」




入院した

新ジャンル「名器」
451名無しさん@ピンキー:2008/07/15(火) 14:31:56 ID:6P8m07qo
男「Hになればなるほど硬くなるものってなーんだ?」
女「ちんこ」
男「……スッゲェきっぱり言うんだもんなぁ……」
女「え?あ、やだ!あたしったら……!」
男「うら若い乙女がちんことか断言すんなよな」
女「クリトリスの方?」
男「そっちかよ!どっちにしても下ネタじゃねーか!」
女「じゃあ何?乳首?乳首ならいいわけ!?」
男「なんで怒ってんだよ!そして下ネタの『下』は下半身のことじゃないからね!?
  上半身になったからって下ネタなのに代わりはないからね!?」
女「ニプル……?」
男「やっぱ乳首じゃねぇか!」
女「硬くなるもの……硬く……海綿体……」
男「鉛筆の芯だよ!BよりHBの方が硬いだろうが!」
女「HB……H本……?」
男「お前そればっかか!」


新ジャンル「なぞなぞ」
452名無しさん@ピンキー:2008/07/15(火) 14:41:17 ID:6P8m07qo
   ……ざわ……ざわ………
 ………ざわ…ざわ……

女「しっ、静かにしてくださ〜い!」

……ざわ……ざわ…
  …ざわ……ざわ…

女「図書館ではー!静かにしてー!」

ざわ……ざわ………
 ……ざわ…ざわ………

女「う、うぅー……しずかに、静かにしてぇ……ぐす」

男「デター!女さん涙目の懇願!」
友「あんなに涙目が可愛い女の子もそうもいねェよなァ!」
男「これだからやめられねェぜ、図書館で騒ぐのはよォ!」

女「……死ねばいいのに……」ボソ

男「………」
友「…………」


新ジャンル「図書館喧騒」
453名無しさん@ピンキー:2008/07/15(火) 21:21:17 ID:c/lzc7vV
>>452
萌えたw

あと二つは男と女それぞれ自重せよ!
繰り返す、それぞれ自重せよ!
454名無しさん@ピンキー:2008/07/16(水) 04:00:57 ID:4yY0Jqi7
いや、いいぞもっとやれwww
455名無しさん@ピンキー:2008/07/16(水) 07:06:59 ID:VOBPFe1L
さっき覗いてみたんだけどさ、wikiの方、なんか更新されてんじゃん。いつの間にか。
毎回思うんだけどさ、マジGjだよな。いや、毎回っていってもアレだよ?
毎回更新してくれてる人かはわかんないよ?わかんないけど、まあ関係ねぇんだよそこはさ。
俺が言いたいのは、こっちでアホみたいに『更新しました〜』って宣言しないで
『更新しましたけど何か?』的な?寡黙な職人みたいな?それってマジカッケーと思うわけ。
そんで、俺はそんなwikiをまとめてくれた人に、GJって言いたいわけ。
456名無しさん@ピンキー:2008/07/16(水) 09:49:58 ID:VOBPFe1L
女「男くーん」
男「んー?」
女「ぷにゅ」
男「………」
女「にこー」
男「振り向きざまにつっかえ棒って。お前さんは小学生か」
女「あはは、引っかかったー」
男「違うね。知ってたね。知ってた上でわざと引っかかったんだね」
女「えー、ウソウソ」
男「ウソじゃないもんね。ところで女、あれ何だ?」
女「え?何?」
男「………」
女「何?何?何もないじゃんか」
男「女」
女「んー?」
男「ちゅ」
女「………」
男「引っかかったー」
女「………」
男「女?」
女「男くん」
男「どうした?」
女「あ、あれ何だろうね!?」
男「バレッバレだな」
女「うー」
男「でもあえて引っかかる。何々?どれだよう」
女「ちゅー」
男「甘い!ちゅー返し!ちゅー」
女「返された!ちゅー返し返し!」
男「何くそー、ちゅー返し返しかえ」


友「いいかげんにしろ」


新ジャンル「デレデレ」
457名無しさん@ピンキー:2008/07/16(水) 10:03:05 ID:VOBPFe1L
男「もごもご」
女「男くん、何食べてるのー?」
男「飴。白みそ味」
女「へー。美味しい?」
男「白みその味がする」
女「へんなの」
男「いや、意外と美味いよ白みそ味」
女「ふーん」
男「もごもご」
女「………」
男「………なんだよ」
女「頂戴」
男「これ一個しかない」
女「口うつし」
男「ん」
女「ちゅー」
男「………」
女「もごもご」
男「どうよ」
女「微妙」
男「えー」
女「返す。ん」
男「ちゅー」


友「死ねばいいのに」


新ジャンル「デレデレデレ」
458名無しさん@ピンキー:2008/07/16(水) 10:27:15 ID:VOBPFe1L
男「女ってさ」
女「んー?」
男「可愛いよな」
女「え?や、やだーもう」
男「いや、違うんだよ。そういう意味じゃなくて」
女「どういうこと?」
男「いや、美人は三日で飽きるっていうだろ。慣れるんだよ。普通はさ」
女「ふんふん」
男「でも、不思議なことに女の可愛さは毎日見てもずっと可愛いままなんだよな。
  むしろずっと見ていたいくらいだ」
女「あ、それわたしもわかる」
男「わかんの?ナルシスト?」
女「いやそういうんじゃなくて。わたしも、男くんの顔ずっと見てたいって思うもん」
男「そうか……お前にも同じ症状が」
女「謎だね」
男「そうだな」
女「まあわたしが男くんのこと大好きだってことは置いておいても、これは解明すべき謎だね」
男「そうだな。俺が女のこと大々々々好きだってことは差し引いても無視できない謎だな」
女「どうしよう」
男「とりあえずキスだな」
女「だね」
男「ちゅ」
女「ちゅー」


友「日本が銃社会じゃなくてよかったと思うよ」


新ジャンル「デレデレデレデレ」
459名無しさん@ピンキー:2008/07/16(水) 16:12:32 ID:Pe1o5y0q
デレデレ二倍か
460名無しさん@ピンキー:2008/07/16(水) 18:15:58 ID:VOBPFe1L
友「よぉ、男。来たぞ〜」
男「おう、友。まぁ上がってくれよ」
友「ん。じゃあ、おじゃまします、と」
男「あ、悪いな。酒、持ってきてくれたのか」
友「いーのいーの。一人暮らしだと節約しなきゃだろ?その点俺はホラ。
  まだ親元だからな。あー、でもいいなー一人暮らし。ゴチャゴチャ言われねぇしさー」
男「そういいもんでもねぇよ」
友「そなの?あー、でもそういう苦労を差っぴいても憧れるわー」
男「………」
友「……あー…で、どうしたの今日。相談事って?」
男「ああ。……お前さ。ここに来るとき、なんか視線感じなかった?」
友「視線?」
男「最近ヘンなんだよ。夜さ、深夜だよ?エロパロスレ覗いてたらどっかから俺のじゃない呼吸音とか聞こえてくるし」
友「………………」
男「バイトから帰ってきてさ。もちろん真っ暗のはずだろ?はずなんだよ。でも何故か電気ついてるんだよ」
友「…………」
男「んで極め付けに、だよ。記憶違いかな、勘違いかな、まぁいっかって寝ようとしたわけ。
  布団敷いて、横になって、ふっと天井見上げたんだよ。したらさぁ!」
友「……!!」
男「ちっちゃい穴開いてて、そこから俺のこと見てんの!」
友「………………夢か」
男「夢じゃねぇよ!!」
友「夢じゃねぇのかよぉぉぉおお!!」
男「夢じゃねぇよ。だって」
友「だって?」
男「……今も見てるもん」
友「オギャァァァァアア!!!!」
男「声がでかいよ!気付かれたらどうすんだバカ!」
友「帰る!俺帰る!相談ってそれかよ!知らねぇよそんなもんゴーストスイーパーじゃねんだよ俺は!」
男「帰るなよぉ頼むから!どうすればいい!?どうすればいいと思う俺!?」
友「幸せに暮らせ!」
男「だから幸せに暮らすためにどうすればいいかお前が考えろ!」
友「なんで命令口調なんだよ!ふざけんな俺を巻き込むな頼むから!」
男「巻き込むね!お前生きてこの部屋から出れると思うなよ!!」
友「おう上等だ殺やれる前に殺ったらぁ!!」
男「来いやぁぁぁああああ!!」

ガタガタ スタッ

女「お、落ち着いてください!喧嘩してる場合じゃないでしょう!?」

友「………………………」
男「……………………………」

女「愛しの男さんが幸せに暮らすためなら、不肖、あたしも一生懸命できることを」
男「出てけェェェェェエエエエエエエエエエエエ!!!!」


新ジャンル「天井裏の女」
461名無しさん@ピンキー:2008/07/16(水) 19:57:35 ID:yodhnbnC
だ、だから自重しろって言ってんじゃないのよっ!
べ、別にホントはもっとやってほしくて自重しろって言ってるわけじゃ・・・。

な、ナニよっ! 馬鹿ぁっ!

>>460
普通に怖いわw
462名無しさん@ピンキー:2008/07/16(水) 20:20:14 ID:QUaZGcuP
>>461
自重しろ
スレのKBも少ないし
463名無しさん@ピンキー:2008/07/16(水) 20:21:32 ID:yodhnbnC
>>462
おっとごめん。
464名無しさん@ピンキー:2008/07/16(水) 20:57:43 ID:VOBPFe1L
いや、反応もないのに淡々と投下するのは哀しいもんですぜ旦那
465名無しさん@ピンキー:2008/07/16(水) 20:59:49 ID:yodhnbnC
というか、そろそろ次スレ立ててもいいんじゃね?
466名無しさん@ピンキー:2008/07/17(木) 17:24:44 ID:kx0fiMBp
友「テレビ見るものないなー」
女「これは?夏の納涼スペシャル」
友「えー。これ怖いやつじゃん。やだよあたし幽霊とか苦手だもん」
女「そうだっけ?作り話だよこんなの」
友「そういうの関係ないの。フィクションだろうがノンフィクションだろうが怖いものは怖いの」
女「幽霊だよ?いるわけないじゃん」
友「何で言い切れるのよ」
女「見たことないもん。いるとしても感じないならいないも同じだよ」
友「怖いものなしかあんた」
女「そうでもないけど。でも存在するかしないかもわかんない幽霊(笑)より人間のほうが怖いと思うね、あたしは」
友「対人恐怖症?」
女「違うって。なんていうの?精神に異常をきたしたみたいな?サイコ系?」
友「あー」
女「幽霊よりかは『存在感』があるわけじゃん。人殺しだって人間なわけだしさ。あたしは人間が一番怖いと思うね」
友「なるほどなー。でも、そういう話してるとさ。何気ない隙間とか気になっちゃわない?」
女「そうだよね。なんか視線感じたりさ」
友「だから嫌なんだよね。誰もいないっていうのはわかってるんだけ……ど……………」
女「………?」
友「……………」
女「どしたの、友。顔色悪いよ?」
友「………………あ、あぁ、あの、なんでもない。なんでもないから」
女「でも」
友「そ、それより!あたしなんか……あの、コンビニ行きたくなっちゃった。ついてきてくんない?」
女「えー」
友「いいから!」
女「あ、ちょっと!痛、なんなのさー」
友「早く!!」
女「あたっ、ちょ、友ってば。離してってば。どうしてのいきなりー」
友「………か、いた……」
女「へ?」
友「さっき!あんたの部屋のベッドの下に!誰かいたの!」
女「………」
友「ど、どうしよう!?警察とか呼んだ方がいいよね!?女、こ、心当たりとかある?」
女「………それって……」

男「驚かせたみたいで。ごめんなさい」
女「暗くて狭いところが好きなんだよねー、男くんって」
男「落ち着くんです」
女「そんな彼が大好き!」
男「あはは、こいつゥー」

友「男癖悪ッッッ!!!!」


新ジャンル「ベッドの下の男」
467名無しさん@ピンキー:2008/07/17(木) 17:47:16 ID:kx0fiMBp
兄「ただいまー」
妹「おかえりー。どうしたの?今日は彼女の家に泊まるんじゃないの?」
兄「いや、彼女の友達が来て。今日は帰ってきた」
妹「あはは、フラれたんだ」
兄「人聞き悪いこと言うなよな。……あー、ベッドの下落ち着くわー」
妹「趣味悪いよ。ベッドの下って」
兄「いいだろ別に。それにお前が言うなよな」
妹「なによー」
兄「お前だって暗くて狭いところ好きだろうが」
妹「……ん。まぁね。でもあたしはお兄ちゃんと違ってベッドの下なんかに興味ないもん」
兄「天井に登るのって面倒くさいんだよ」
妹「ぐうたら」
兄「うるさいな。お前はなんとかとバカは高いところが好きって類だろうが」
妹「それ普通バカの方を隠すよね!?」
兄「そうかぁ?そういえば、お前の方はどうしたんだ?彼氏に会いにいくんじゃないのか?」
妹「ま、まだ彼氏じゃないよぅ。遠くから見てるだけだもん」
兄「そっかー。ま、ほどほどにな」
妹「ん」

母「あら。二人とも帰ってたの?」

兄「お袋。……どこ?」
妹「天井裏にはいないよ?」
母「ここよ。ここ。床板の下」
兄「お袋スーパーの帰りだろ。食いもんが汚れるような場所に潜るのやめろよな」
母「いいじゃない。落ち着くのよ」
兄「……この一家は、まったく……」
妹「お兄ちゃんが言うー?」
兄「俺はまともな方ですー」

父「ただいまー」

母「あらあなた。お帰りなさい」
妹「お父さんまた新しいダンボール拾ってきたの?」
父「あ、うん。なんかそそられるんだよ」
兄「それ何個目だよ。ウチは引越し業者じゃないんだぞ?」
父「い、いいだろ別に!被ってると落ち着くし、敵にも見つかりにくいんだから!」
兄「……この一家は、まったく……」
妹「だから、お兄ちゃんが言うかなぁそれを」
兄「俺は一般人だって!まだ趣味の範囲内!」
父「はー……暗くて狭いところ落ち着くなー」
母「そうねー」


新ジャンル「家族」
468名無しさん@ピンキー:2008/07/17(木) 21:24:24 ID:Ey3LIw1R
>>464
反応したいんだがどうも最近規制が多くってな(´・ω・`)…
469名無しさん@ピンキー:2008/07/17(木) 22:28:42 ID:a4rJ5wxr
まさか続き物だと思わなかった天井裏w
470名無しさん@ピンキー:2008/07/18(金) 11:37:21 ID:CeWUcC1S
>>467
親も親ならw
471名無しさん@ピンキー:2008/07/18(金) 13:35:42 ID:yjwvaYtM
よく考えてみろ


全員猫だとは思えないか?
472名無しさん@ピンキー:2008/07/18(金) 20:49:02 ID:opUUChK5
むしろゴキ(ry
473名無しさん@ピンキー:2008/07/18(金) 23:32:58 ID:0dKFEnqg
いや、一部スネークが混ざってるな
474名無しさん@ピンキー:2008/07/19(土) 05:48:58 ID:7u8JiYOH
男「子供の頃、将来の夢は?って聞かれてなんて答えてた?」
女「男くんは?」
男「お巡りさん」
女「あー」
男「まぁ、ありがちですよありがち」
女「あたしはねー、化石」
男「………」
女「化石」
男「え?」
女「恐竜とかさ、好きなんだよね」
男「それ大分将来だな。もう大人になったら、とかそんなレベルじゃなくね?」
女「ま、大人になったらお花屋さんになりたかったんだけど」
男「おう、それでいいじゃん。可愛いじゃん」
女「でもま、将来を視野に入れたら化石かなと」
男「どんだけ遠いんだよ視野。億単位じゃねーか」
女「それはアレよ。既に次のオリンピックを視野に入れてるアスリートみたいな」
男「次元が違う!」
女「でもさ、最近思うんだよね。ただ化石になってもアレかなって」
男「アレかなってなんだよ。………っていうか最近って。最近も思い描いてんの!?化石を!?」
女「うん」
男「目を醒ませ!」
女「目指す意義はあるでしょ!?時期知的生命体に人間の情報を伝える、みたいな」
男「お前は何に未来を託してるんだよ!今を生きろ今を!!」
女「でさ、ただ化石になるのも面白くないから、ポーズをつけてみようかなと!」
男「んん、まぁ色々言いたいことはありますけど。ポーズて何よ?」
女「恐竜にしてもそうじゃん。ありきたりでさ。みんな同じ。個性がない」
男「いや個性はいらないだろ。いいんだよありきたりで。修学旅行の写真じゃねぇんだから」
女「そうはいかないわ。時期知的生命体に『人間って個性ねーw』とか思われるのは耐えられない」
男「まぁ何でもいいけど。で、どんな化石になりたいわけ?」
女「幸せそうな化石」
男「………はぁ」
女「安らかで、温かで。見てるだけで胸がほっこりする……そんな化石に、わたしはなりたい」
男「そっか……なれるさ。お前なら。誰もが幸せというものを見て取れるような、そんな化石に」
女「男くん………きゅん」
男「きゅん、じゃねぇよ」


新ジャンル「化石」
475名無しさん@ピンキー:2008/07/19(土) 21:29:04 ID:7u8JiYOH
【総合】新ジャンルでエロパロpart7【混沌】
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1216470416/

ついカッとなって立てた
今では反省している
476名無しさん@ピンキー:2008/07/19(土) 21:50:14 ID:VjG7iMx4
>>474
こういう掛け合い大好きだw

>>475
そして乙
477名無しさん@ピンキー:2008/07/19(土) 23:46:54 ID:7u8JiYOH
女「はい、男!お弁当!べ、別にあんたの為に作ってきたわけじゃないんだからね!」
男「………」
女「あんたって本当にダメね!仕方なく!あたしが面倒見てあげるわよっ!」
男「………」
女「な、何見てるのよっ!用もないのにじろじろ見ないでよねっ!」
男「………」
女「か、勘違いしないでよねっ!たまたま!たまたま今日ヒマだったから付き合ってあげてるだけなんだからっ!
  べ、別にめいっぱいお洒落とかしてきてないわよ!むしろ部屋着よ!部屋着!」
男「………」
女「あ、ああああんたなんかに褒められたって、ち、ちっとも嬉しくないんだからぁっ!」

男「女」
女「何よ!」
男「ちゅ」
女「〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!!」


男「この味は!……ウソをついてる『味』だぜ……女!」


新ジャンル「ツンデレ」(VSブチャラティ)
478名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 01:39:35 ID:K3e4fHYu
あと4KBか・・・・・500KB行かなかったな・・・
479名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 02:00:04 ID:xRXJq0QD
男「えっさ、ほいさ」
女「男くん、何やってるの?」
男「見ればわかるだろ。埋めてるんだよ」
女「あー」
男「これがなかなか骨の折れる作業でさ。女も手伝ってくれない?」
女「いいけど」
男「そういえば埋めるで思い出したけど、どっかの拷問に『穴を掘って埋める』っていうのがあるらしいな」
女「……なにそれ?」
男「文字通り。穴を掘ってはまた埋めて、掘っては埋めての繰り返し。延々続けると人間は発狂しちまうんだって」
女「眉唾だなぁ」
男「そうか?賽の川原っぽくて怖くない?」
女「ひとつ積んでは……ってやつ?」
男「そ。で、積みあがる直前に地獄の鬼に積んだ石を崩されんの。はじめっからやり直し」
女「あー、それはきついわ」
男「意味ないことを延々やってるのはキツいからなぁ」
女「と、いうことは男くんもいずれ発狂しちゃうの?」
男「………なんで?しないよ?」
女「だって男くんはいつも無意味にオナニーしてるじゃない!射精しても意味なんてないのに!」
男「失礼やなキミ!」


新ジャンル「埋め」
480名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 02:57:13 ID:xRXJq0QD
女「実験器具って、なんかエロくない?」
男「……またこの人はヘンなこと言い出したぞ」
女「例えばこれ。ビュレット。何か発射してない!?ビュレっと!白くて生臭い何かを発射してない!?」
男「そんなん考えるのアンタだけだから!何その笑顔!」
女「あと漏斗。『漏れる』が入ってる時点で既に18禁よね。しかもマニアックだわ。お漏らしプレイなんて。卑猥!」
男「卑猥なのはアンタの頭ン中だよ!つーかソレ注ぐモノであって放出するものではないからね!?」
女「注ぐ……卑猥!」
男「そうそう、挿入することさえなく機械的に……ってバカ!」
女「マウスを使った実験で使用します。スキナー箱。……好きな箱。何が入ってるの!?何が入ってるの!?いやらしい!」
男「疑う余地もなくマウスだろ」
女「本命はこれよね。乳鉢。……完全に狙ってるわね」
男「おっぱいのことじゃなくて離乳食とかその辺りから来てるから。性的な意味じゃないからね」
女「甘いわ。それなら乳鉢とセットの乳棒。これはどう説明するの?」
男「いや同じ説明でいいだろ。すり潰して柔らかくして、赤ん坊に食べさせるんだよ」
女「乳に棒とくれば固くなるに決まっているじゃない!!」
男「何の話をしてるんだあんた!!」
女「個人的にはこれを推すわ。メスシリンダー」
男「どこに推すんだよ。誰に推すんだよ」
女「雌。尻。んだー。もう、何!?飲み会の三次会くらいじゃないと口にできないレベル!
  嫁入り前の娘に何を言わせようというの!?わからない!理科、わからない!」
男「わかんねぇのはお前の脳味噌だ!!」


新ジャンル「理系さん」
481名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 12:13:13 ID:K3e4fHYu

    ∧__∧
`Π  ━  ━ 彡
|@|  ●  ● 彡
|_|  |   ) 彡
ニニニ/|  /  彡
  / (o o ) ヽ ヽ
  / /| ̄ ̄  | |
―(_ノ――――-(⌒)-
((|_|))      ̄
__________
482名無しさん@ピンキー
女「……スレの終わりというものはいつも寂しいものね……」
男「そうだな。沈む夕日を見るようだ」
女「でも勘違いしないで。これは終わりじゃない。新しい始まりなのよ」
男「………」
女「砂浜の足跡が消えるように、このスレの細かな部分はきっと、忘れてしまうかもしれない」
男「………」
女「それでも、このスレがあったことは必ず残る。wikiという記録、そして私たちの思い出に」
男「………」
女「行きましょう。次のスレに。ありがとう、それだけを残して……」
男「これで500KB取れなかったら相当かっこ悪いな」
女「それは言わない約束よ」

新ジャンル「500」