パワポケでエロパロ5

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942名無しさん@ピンキー:2008/07/14(月) 00:21:47 ID:wNfMLBas
そういうシチュも大好きなんだが……それを自分で書こうって輩はいないのだろうか…
943名無しさん@ピンキー:2008/07/14(月) 00:34:51 ID:3TB9AE9z
>>942
それは正論だね
でもまたそこで「あなたが書けば」って言われたら無限ループになる
944名無しさん@ピンキー:2008/07/14(月) 00:46:32 ID:wNfMLBas
それももっともなんだけど、一応自分も何本か投下した人なんだ。
だけど浪人生なもんで最近時間がなくてね……
945名無しさん@ピンキー:2008/07/14(月) 00:47:33 ID:8QwqnwNf
だったらさっさと寝るんだ
946名無しさん@ピンキー:2008/07/14(月) 01:27:06 ID:3TB9AE9z
>>944
職人ということを知らずにすいません
947名無しさん@ピンキー:2008/07/14(月) 07:27:34 ID:0duDec4g
>>936-937
某ダッシュ神をはじめとする日本中の真薄ファンが、真薄の全人類共有など許すものか。




ちょ、ちょっと待て、あんたらなぜ列に並んでるんだ!!
948名無しさん@ピンキー:2008/07/14(月) 19:03:09 ID:hEQLNfWB
470KB超えたし、もうすぐ>>950だし、そろそろ次スレの頃合いだと思うのだがどうかね?
949名無しさん@ピンキー:2008/07/14(月) 20:12:55 ID:8QwqnwNf
飯占「今日は気分がいいからスレを立ててやろう」

パワポケでエロパロ6
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1216033898/
950あの男:2008/07/14(月) 21:29:40 ID:Pi9kzIba
梅業者にコンバートしようかな…
ネタばかりでゴメンよ…

『大切な場所で・裏』

「どうしたんだナオのやつ。こんなとこに呼び出したりして……」
10月、小波は親切高校の森の中をうろついていた。見渡せば、四方の金色鮮紅の綾錦は目に麗しく、そよぐ秋風が銀杏の薫りを乗せて通り過ぎた。
今日は幸いにもあの厄介極まりないドーベルマンは出現していない。ナオがなんの用事かは知らないが、彼女に呼び出されて番犬に撃退されたなんてカッコ悪すぎる。
先日のドラフトで見事プロ入りを果たした小波は、車坂監督の最後の特訓を終え教室に戻ったところをナオに捕まったのだが、彼女の様子がどうもおかしかった。
変にもじもじしたり、何か語りかけようとして止めたり、何かと挙動不審。まるで、そう……小波に告白する数週間前のように。
思案を巡らせているうちに、開けた場所に着いた。いつもナオとの逢瀬―と称するほど立派な事はしていないのだが―に利用している場所だ。
広場の中央に立ち、歩みを止める。
すると正面の茂みからガサゴソと音を立てて緑の髪の少女が現れた。
……ナオだ。

「ふふふ、よく来ましたね。ワナだと知らずに来るとはなかなか勇気があるようです」
951あの男:2008/07/14(月) 21:30:53 ID:Pi9kzIba
「だ、だから、できたら、これまでよりも、あたしと一緒にこの学校をいろいろ……って、ああ、もう!」
今まで逡巡していたナオが、半ばヤケクソ気味に表情を固めた。
「な、なんだよ」
「あたしは小波くんが好きなんですよ! 一緒に居れなくなると思うと、寂しいんですよ!」
「え……」
「あたしはバカで、色気もなくて、胸もそれほどなくて、顔だって自信ないけど、あたしを抱いてください!」
ナオは顔を真っ赤に染めながら、そう言い切った。彼女の背後にある紅葉とどちらが紅いだろうか、などと一瞬場違いな事を考えていた小波だが、正直言葉の意味を理解するのに時間がかかった。
……よくよく考えてみれば、とんでもない事を言われたようだ。
「……」
「な、何か言ってください」
「…………」
「こ、この沈黙が耐えられませんよ」
「………………」
「あ、あのう……」
「プ……アハハハハ!」
「えっ?」
「そんな自分のダメな部分ばかりアピールして誰が抱くんだよ?」
「じゃ、じゃあ……」
「いいよ」
「えっ?」
「いいよ。えっちしよっか」
こんなセリフ、笑いながら吐けるのも我ながらどうかと思うけど、ナオの様子がおかしくて、不思議と落ち着いていた。
「えっ? ええええええええ?」
「ナオ……うるさいよ」
「えええええ……やったあああああああ! 小波くんの女になりましたよ!」
「うわっ!」
(ダキッ!)
「二人で楽しい思い出作っていこうね! これからは二人だから、楽しい思い出が2倍ですよ!」
……今までは一人でやってたのだろうか、というのは野暮だ。
「嫌でもナオとなら作れそうな気がするな」
「うん!」
そう言って、ナオは本当に幸せそうな顔をして、そっと唇を寄せた。
952あの男:2008/07/14(月) 21:31:15 ID:Pi9kzIba
後日談

「とぉっ!」
「うわっ!? いつきちゃん! いきなり飛び蹴りは危ないって。てか何そのロープとか怪しげな小瓶とか?」
「うるさいこの悪魔め! とうとう姉御の純潔まで……今日という今日はお前を許さない! この薬で手足を痺れさせ このロープで縛って、月に代わっておしお……」
「あ、ナオ。それにさら」
「へっ……?」
(ガシッ)
「いつき〜? 本当に学習しないねぇ」
「あ、あ、あ……」
「おねえちゃんがそれを言うのもどうかと思いますけど……」
(ガシッ)
「今回だけは別です」
「え、さ、さらちゃんまで……」
「あれ、こんなところにちょうどいいお仕置きの道具がありますね」
「そういえば今度小波くんに使ってもらうために買ってきた電動マッサージ機があるだけど、不安だから試しておきたいんですよ」
「あう…ちょ、ちょっと……」
「いつき、世の中には辛いことがあるってこと、教えてあげますよ」
「あの体育倉庫は今使ってませんしね……」
「い、い、いや〜〜〜〜〜〜〜〜!!」



おわり
953あの男:2008/07/14(月) 21:32:23 ID:Pi9kzIba
以上です

あの男のパワーアップイベントはまだ起きませんが、いずれ……

それでは失礼
954あの男:2008/07/14(月) 21:36:49 ID:Pi9kzIba
すいません、携帯からの投稿なんでいつもミスります
一番最初抜けてます

「ふふふ、よく来ましたね。ワナだと知らずに来るとはなかなか勇気があるようです」
いつかと同じ展開だ。
どうツッコむべきか迷うが、いつかと同じように返す。
「何を言ってるんだ、ナオ」
「呼び出したら、一回ぐらい言ってみたいと思いませんか? 男のロマンですよ」「お前は女だからな。……二回目だし」
「まあ、細かいことはどうでもいいじゃないですか」
ちなみに一回目はナオに告白された時だ。今度は何を言うつもりだろうか。木々の間から覗く秋の午後の空は、不思議と心が落ち着くように高く澄み切っていた。木漏れ日が優しく注がれる。
間を置いて、小波が切り出した
「それで、ここに俺を呼び出して、何の用だ?」
「いやあ、あの……その…」
目を逸らすナオ。
「どうしたんだ? 突然、挙動が不審だぞ」
「そのね……えっとね……」
「はあ」
もじもじとしているナオがなんだかしおらしくて奇妙……といったら失礼か。新鮮だ。
「ドラフトで、指名されたじゃないですか!」
「そうだな」
「だから……これまでよりも、一緒に居れる時間が減るでしょ!」
「あ、ああ……なんでそんな大声なんだよ?」
955あの男:2008/07/14(月) 21:41:27 ID:Pi9kzIba
今度こそ失礼
次スレで会おう
956名無しさん@ピンキー:2008/07/15(火) 08:08:31 ID:oiNEA9zw
乙しつつ梅
957名無しさん@ピンキー:2008/07/15(火) 10:03:09 ID:rlDV3X9r
おっつー
958名無しさん@ピンキー:2008/07/15(火) 15:46:41 ID:DAMKZvm9
いいなぁww
959名無しさん@ピンキー:2008/07/15(火) 16:47:30 ID:LO5sdHdj
よーしGJしつつ梅ちゃうぞ
960名無しさん@ピンキー:2008/07/15(火) 16:53:18 ID:ZLVo+Yzf
うめましょうめましょ
961名無しさん@ピンキー:2008/07/15(火) 18:01:59 ID:ZOvduyCq
梅木寮長
962名無しさん@ピンキー:2008/07/15(火) 20:00:41 ID:ZLVo+Yzf
うめりん
963名無しさん@ピンキー:2008/07/15(火) 21:30:29 ID:rlDV3X9r
うめ☆
964名無しさん@ピンキー:2008/07/15(火) 22:01:08 ID:ZLVo+Yzf
黒梅興行
965名無しさん@ピンキー:2008/07/15(火) 22:55:12 ID:Fzqf5zBb
ひとつ埋めてはこの子のため
966名無しさん@ピンキー:2008/07/16(水) 01:50:09 ID:4v5YgvUk
梅花
967名無しさん@ピンキー:2008/07/16(水) 07:56:00 ID:vqjSmy56
梅宮アンナ
968名無しさん@ピンキー:2008/07/16(水) 12:54:09 ID:vScaSBX5
次スレも沢山の投下がありますように梅
969名無しさん@ピンキー:2008/07/16(水) 13:33:30 ID:uHNOw5rD
梅の木
970名無しさん@ピンキー:2008/07/16(水) 13:50:44 ID:4v5YgvUk
唯のパンチラを見たい。その後自宅にお持ち帰りしたい
971名無しさん@ピンキー:2008/07/16(水) 16:28:29 ID:Z1sQjKZZ
表ルートの複数プレイって難しいな…

主×茜×リン
主×奈津姫×武美
主×奈桜×桜空

思いつくのはこれくらいかな…
972名無しさん@ピンキー:2008/07/16(水) 19:09:27 ID:hAF3sxUC
禁断の主×妙子×蘭
究極の主×弓子×愛×幸恵×霞×のりか

ふふふ〜〜〜〜〜〜〜〜ん
973名無しさん@ピンキー:2008/07/16(水) 23:46:58 ID:NDbwh1w0
埋めついでに質問
4主って裏に行ってから表の記憶どれだけ持ってったっけ?
アキミやユイやミユキを見てクリソツとか思うぐらいには覚えてたっけ?
974名無しさん@ピンキー:2008/07/17(木) 00:37:22 ID:YyNWunHN
>>943まずそれは正史では無い。
けれど「あれから随分立つな・・・日の出のみんなは今頃何をしているのだろう?」といっていることから
最低限は記憶ありそう。
975名無しさん@ピンキー:2008/07/17(木) 01:26:57 ID:BtmaHknb
表のキャラの主人公についての記憶が曖昧にされてるから、
飛ばされた主人公の方も曖昧にされてるんじゃね?
976名無しさん@ピンキー:2008/07/17(木) 11:54:20 ID:0YqXJ7Jc
>>971
主×維織×准

これだけは譲れない。ころしてでもうばいとる
977名無しさん@ピンキー:2008/07/17(木) 18:40:45 ID:3WZJq/6e
>>971
そんなことよりいつきをだな…
978名無しさん@ピンキー:2008/07/17(木) 20:14:43 ID:wLJoAUrZ
うめ
979名無しさん@ピンキー:2008/07/17(木) 20:16:01 ID:0BySvj5J
埋め木寮長
980名無しさん@ピンキー:2008/07/17(木) 22:20:05 ID:83pnRSma
武美のおっぱいを揉みながら梅
981名無しさん@ピンキー:2008/07/17(木) 22:51:34 ID:wLJoAUrZ
友子の方が好き。
982名無しさん@ピンキー:2008/07/17(木) 23:15:56 ID:ePaRTZiQ
タマちゃんタマちゃんタマちゃん
983名無しさん@ピンキー:2008/07/17(木) 23:26:51 ID:8/EUsvsJ
埋め投下、9裏エリエロ無し、無駄にシリアス
984まっすぐ:2008/07/17(木) 23:27:25 ID:8/EUsvsJ
 勝敗は決した。
怨敵の心臓、その最後の一つを貫かんとする刃。
赤い液体が滴るそれを、ほんのあと少し前へ押し出せば。
 彼女は、確実に死ぬ。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
 違う。荒い息を吐きながら、浮かび上がった言葉を否定する。
 自分が殺すのだ。三年間の戦いの末に。
「けほっ……ふぅ、はぁ……」
 痛みすら覚えるほど強い鼓動、それを必死に押さえながら、
じっと地面に伏した彼女を見つめる。
 憤怒、憎しみ、焦り。――ほんのわずかな怯え。
赤い血に彩られた顔からは、そんな感情が読み取れた。
「すぅ…………はぁ」
 心を落ちつけようと、彼女を睨みつけたまま、息を大きく吸う。
すると、身を包む空気から、鼻腔に様々な匂いが届いた。
焦げた匂い、酸の匂い、よくわからない甘い匂い。
それら全てを覆い隠しそうなほど強い、血の匂い。
 そんな獣じみた匂い達は、刃を前に進めようと急かしてくる。
急かされるまでもない、ついに復讐を終えることができるのだ。
迷うことも、躊躇いを覚えることも、ない。
 心の底からそう思っていた。それなのに。
(…………どうしてだろ)
 手が、動こうとしなかった。
痛いほど刀の柄を握りしめても、まったく動かない。
何故だろう、考える。
 怪我が原因ではない。
体中がずきずきと痛むけれど、刀を握る右手は無傷だ。
 人を殺すのが怖いわけでもない。
各地を放浪した三年間の中で、人の命を奪ったこともある。
 目の前にいるのは憎き仇、喜びを感じているのは確か。
 それなのに、なぜ、どうして、この手はまったく動こうとしないのか。
 どんなに力を込めても、刀は動かない。
理由を探しても、答えは出てこない。
ただ彼女をじっと睨みつけて、立ちつくすことしかできない。
「!」
 不意に、双方の激しい呼吸の音にまぎれて、妙な音が聞こえた。
一瞬遅れて、彼女の肩から肉の塊がこぼれて地面へ転がる。
それはトマトが潰れるような、嫌悪感を誘う音を立てて、
血で赤く染められた地面に衝突した。
 数度痙攣して、動きが止まるピンク色の塊。
それを無感動に目の端でとらえ、彼女の状態を再確認する。
 彼女――シルバーはすでに人間の形を取れない部分があるほど衰弱していた。
スイカぐらいの大きさの、血管の浮き出た肉の塊。
そんな状態になっていた右腕は、立った今地面に転がり落ちた。
 両足は幾度も斬った結果、
彼女自身の体重を支えることができずに崩れてしまっている。
簡単に言えば満身創痍。この言葉がこれほどふさわしい状況もないだろう。
 ――もっとも、それはエリも同じだった。
 だらしなく垂れ下った左腕は、出血を止めるために自ら焼いた結果。
肘から下の感覚がない。
ねばねばとした粘着液を吐きかけられた右足は、
無理に動かしたため、服どころか皮膚がはがれおちてしまっている。
他にも、細かい傷は数え切れないほどあったけれど。
 それでも勝者はエリだった。
シルバーはみすぼらしく地に伏しており、エリは両足で地面に立っている。
そして一秒もかからないうちに、エリは彼女を殺すことができるのだから。
985名無しさん@ピンキー:2008/07/17(木) 23:27:55 ID:8/EUsvsJ
 無事な左目でこちらを鋭く睨みつけているシルバー。
そこにあるもっとも強い感情――殺意。
意思だけでは人は殺せない、彼女自身がいつか言った言葉。
それを自分が体験するとは思っていなかっただろう。
そんなことを思い、暗い満足感がエリの心に芽生える。
「……ごほっ」
 沼が泡をたてるような音。彼女の口から液体が漏れる。
恐らく言葉を発そうとして失敗したのだろう。
……それがわかっても、彼女が何を言おうとしたのかはわからなかったが。
(……なにが言いたいかなんて、どうでもいいはずなのに)
 血に染まった指が、圧迫されて白く見えるほど強く、刀を握る。
あと一センチ、この刀を前に進めれば、悲願が成就する。
三年間、突き動かされるように前に進んできたのも、
全てはこの瞬間のため。
 なのに、できない。まったく手が動かない。一センチも、一ミリも。
 できないはずがない、自分は強くなったのだ。
 先輩のようにカッコ良くはないけれど、強くなったのだ。
 シルバーに勝てるほどに、強くなったのだ。
「……止めるつもりですか?」
 足音がしたわけでもない、呼吸の音が聞こえたはずもない。
けれども背後に確かな気配を感じて、エリは一言つぶやいた。
「……」
 気配の主は少し驚いたのか、
何かの液体――恐らくシルバーの体液だろう――を踏む音をたてた。
音からして彼女との距離は五歩程度。
――彼女なら、一瞬にして詰められる間合い。
けれどもその一瞬でこの刃は心臓を貫くことができる。
「…………止める」
 彼女――ブラックは平坦な、けれど確かな激情を秘めた声で宣言してきた。
シルバーが涙の浮かんだ眼でエリの背後――ブラックを見、小さく唸る。
手を出すな、そういいたいのだろうか。それとも、もっと他のことか。
「……あなたに、伝えたいことがある」
 ブラックがそう言った時も、エリは全く動揺しなかった。
眼にシルバーをとらえたまま、短く、鋭く、囁く。
「なんですか?」
「…………」
 訪れる沈黙――静寂では決してない。
シルバーの肉が蠢く微かな音、耳に掠る風の音。
何よりも自分の激しい鼓動が、うるさいほどに耳を揺らしていた。
「……あなたが」
 時間に直せばわずかなものだっただろう、
だがブラックが『迷った』と言う時点で、
エリにはそれがシルバーにとって都合のいいことではないと感じた。
 事実。
「……あなたが、デスパレスで」
「ブラック!」
 話し始めたブラックの声を、かき消すようにシルバーがかすれた声で叫ぶ。
その瞬間。エリは反射的に刃を数ミリ進めた。
けれど彼女の行動が自分を傷つけるものではないと理解した瞬間、刃を止めてしまう。
 鼓動が伝わるのではないかと錯覚するほど、
切っ先の食い込んだ肉が激しく脈打っている。
「けほっ」
 再び液体がシルバーの口から飛び出した。刃を汚す黄褐色の液体。
銀色の刃の表面がわずかに溶ける――だが、全てを一瞬で溶かせるわけもない。
叫びで力を使い果たしたのか、シルバーはこちらを睨んでいた眼を閉じ、
苦しそうに痙攣し始めた。……文字通り最後の力を振り絞ったのだろう、
残った力は生命を維持することのみに使われているようだった。
986名無しさん@ピンキー:2008/07/17(木) 23:28:31 ID:8/EUsvsJ
「シルバー……」
 心配そうな、ブラックの声。
エリにはそれが、あの時逃げ出した自分があげた悲鳴と、重なって聞こえた。
 状況はまったく違う。
あの時の自分は弱かったけれど、
ブラックは戦える強さを持っている。
タマコは敵に傷一つ付けられなかったけど、
シルバーはエリの身体に重大な欠損を与えている。
そしてもっとも大きな違いは……
エリは逃げだしたのに、ブラックは立ち向かおうとしていること。
(……でも、同じなのかな)
 けれど一つだけ、重なっていることがあることには気づいていた。
 大事な人が目の前で殺されそうだということ。
「……」
 今ここで、シルバーを殺せば、ブラックはどうするのだろう。
ふと心に浮かんだ疑問の答えを探す。
目の前でパートナーを殺されて、彼女が黙っているはずもないだろう。
そして今の状態で彼女と戦えば、自分は確実に負ける。
……だが、シルバーに気をとられている隙に逃げることはできる――そして今度は、
自分が追われる立場となるのだろうか。
 それが怖いわけではない、返り討ちにできる自信はある。
彼女とて間接的に先輩を殺害した人物。憎しみがないはずがない。
 刃を進めることができないのは、何かが怖いとか、同情をおぼえたとか、
そんな理由じゃない。そんな理由じゃないのだ。
 声には出さずに叫びながら、彼女を睨みつける。
 滲む視界に映るのは、もはや生き物とすら呼べなくなってきている肉塊。
動きもだんだんと鈍くなっていき、力が消えていくのがよくわかる。
 だが今なら、ブラックが適切に処置を行えば、きっと彼女は一命を取り留めるのだろう。
シルバーの生命力の強さは、誰よりも彼女と戦ったエリ自身がよく知っている。
 ただ、そんなことはありえない話のはずなのだ。
 三年。
 涙で枕を濡らし、悪夢にうなされ、消えない傷が増えた。
 手にした刀はいく度となく折れて、使い物にならなくなった。
 けれど自身は折れることなく、ここまで進んできた。
そして復讐を遂げると、つい先ほどまで思っていた。
 思っていたのだ。
「…………」
 三年前なら、きっと迷うことはなかっただろう。
未熟で、何もできなかった、愚かとも言える過去の自分。
 過去にできなかったことでも、今ならできる。
見えていなかったものも、今なら見える。
あの時の自分から成長したと、胸を張って誇れる。
 それなのに、刃を進めることに迷いを感じるようになった。
迷わないことは重要なはずなのに、なぜそこだけが変わってしまったのか。
 なぜ。
 ――もしかしたらこれが、折れてしまったということなのだろうか。
「……ふぅ」
 小さく溜息をつくと同時に、エリは決意を固めた。
どんなに迷っても、躊躇っても、選ぶべき道は一つ。
 シルバーの瞳を、まっすぐに見つめ。
「……シルバー!」
 名を叫ぶ。先輩の姿を脳裏に描き、憎しみを、怒りを思い出す。
 刃を。
987名無しさん@ピンキー:2008/07/17(木) 23:29:09 ID:8/EUsvsJ
 煌く刃。
 それが見えたのと同時に、エリは地面に打ち付けられた。
どこか殴られたのか、それとも足払いをかけられたのか。
視界が霞んでいたため、エリにはよくわからなかった。
「……う……あ……」
 模造刀とはいえ、あたりどころが悪ければ死ぬこともあり得る。
だが、タマコが決してそのようなミスを起こさないことを、エリは良く知っていた。
「……もういい、今日はここまでだ」
 とある森の奥、忍者たちの修行場所。
その日エリはいつものように、尊敬する先輩と訓練していた。
『適当に刀を振りまわしていろ』いつかそんなことを言ったタマコではあるが、
エリが訓練したいと言えば何も言わずに付き合ってくれていたのだ。
「……は、はい! ありがとうございました!」
 お礼を言うと同時に、一礼。
そのまま節々痛む身体を動かし、近くに転がっていた荷物袋から水筒を取り出す。
そして蓋をあけ、温かいお茶をコップに注ぐ。
 ほとばしる湯気が頬の傷に染みたことを、覚えている。
「先輩、どうぞ!」
「……ああ、ありがとう」
 そのまま手ごろな石に腰かけているタマコにゆっくりと近づき、コップを渡した。
 タマコがコップを受け取るのを確認して、エリは地面に座り込む。
荒い息を吐いている自分と、いつもと変わらないタマコ。
その対比が何故か少しだけおかしくて、エリは笑顔を作った。
「この前より、マシになったな」
 それに気づいているのかいないのか、
タマコは茶を飲みほして小さくつぶやいてきた。
感情を込めることもなく、ただ淡々と。
「ありがとうございます!」
「褒めてはいない」
 タマコがエリを褒めることはまれだった。
戦いに関しては数えるほどしかなかったし、
戦いに関しないこともそれほど多かったわけではない。
 けれどエリは褒められたことを、その時に感じた嬉しさを、覚えている。
 だから今まで、ずっと前に進み続けてきたのだから。
「……ここのところ、少し連邦に妙な動きが見える」
 空を見上げているタマコが言うことを、エリはすでに知っている。
けれど不思議そうに顔は呆け、ただタマコの言葉を待つことしかできない。
 ……あたり前だ、これは夢なのだから。
「次の任務にはお前を同行させる。
現場の感覚を掴んでもらうためにな、準備しておけ」
「は、はい! 頑張ります!」
 駄目なのだ、その任務の途中でタマコは死ぬのだ。
後輩に助けられることなく、不合格とさげすまれ、遊びながら殺されるのだ。
 どんなに止めたくても、記憶の中の自分は緊張した面持ちで嬉しそうに返事をするだけ。
「……そうだな、頑張れ」
 微笑みを浮かべるタマコ。
一瞬で消えたけれど、それでも確かに笑顔だったのだ。
(ああ……そうだ、だから私は……)
988名無しさん@ピンキー:2008/07/17(木) 23:29:41 ID:8/EUsvsJ
「まもなく、オーブールに到着します。お荷物のお忘れがないように……」
 頭に響く声。毛布をはねのけて、エリは飛び起きた。
体中が汗まみれで、下着と服が体に張り付いていて気持ち悪い。
寝不足故の倦怠感が身体を支配し、吐き気さえも感じる。
「う……」
 実際に吐きだそうとしたが、吐き出すものがなく、エリは溜息をこぼした。
薄暗い部屋。明かりをつけていないため、純白のはずの壁が灰色に染まっている。
(……えっと)
 ぼんやりとした頭を懸命に動かし、エリは状況を把握しようとした。
 ゆっくりと、一つずつ思い出していく。
 あの場所を逃げるように去って、治療ポッドで身体の治療をした後。
何も考えることができずにオーブール行きの宇宙船に飛び乗った。
 そこまでははっきりと思いだせるのだが……
(……もう一週間もたったんだ)
 宇宙船で過ごしたはずの一週間。その間の記憶はあいまいだった。
ぼんやりと宇宙を眺めていたことや、
意味もなく部屋で泣き続けていたことは、少しだけ覚えているのだが。
 詳しく思い出そうとしたところで、頭痛。
(なんで頭が痛いんだろ)
 鈍く、重い痛みが脳を揺らす。
寝不足が原因か、それとも泣いていたことが原因か、両方か。
少しだけ考えて、大したことはないだろうと結論を出した。
 軽く伸びをして眼を擦る。
 何か良い夢を見ていた気がしたのだが、思い出すことはできなかった。

 薄暗い森の奥。
 一般人は決して足を踏み入れることのない場所に、その墓はあった。
 闇に生まれ闇へ消えていく忍者のための墓。
そこには名前が刻まれることすらなく、訪れる人もほとんどいない。
「……」
 ――タマコの亡骸が、ここに眠っているわけではない。
後に調べたところ、黒こげになっていた死体は向こうの星の共同墓地に葬られたそうだ。
けれど、魂と言うものがあるとするならば、きっと先輩はここに帰っている。
エリはそう思っていた。だからここを訪れることをしなかった。
 墓前に来てまで、泣き言を言うのは嫌だったから。
 苔の生したそれを一度撫でた後、持ってきた花束を無造作に墓前に立て懸ける。
少し大きすぎたのか、エリの背丈の半分ほどの墓石は、花に埋もれて見えなくなった。
「……」
 それを気にすることなく、エリはじっと墓を――花束を見つめる。
(……先輩だったら、どうするんだろ)
 考えても、考えても、何故自分の心が晴れないのかがわからなかった。
 もともと考えるのはあまり得意ではない。
それでも――
「……?」
 微かな足音が聞こえて、エリは振り返った。
遠くの木々の隙間に人影が見える。
優雅な動きで近づいてくる、白い影。
「!」
 ゆったりした衣を着た、風に揺れる長い髪が綺麗な女性。
それはエリの、いや、オーブールに住む女性たちのあこがれの存在。
 スズネ姫。
989名無しさん@ピンキー:2008/07/17(木) 23:30:05 ID:8/EUsvsJ
「あ……」
 エリの身体が固まっている間に、
ゆっくりと近づいてきたスズネ姫は、こちらを視認して微笑みかけてきた。
 慌てて飛びかかるように近づいて、膝をつき、頭を下げる。
「そ、その。ごきげんうるわしゅう姫様……じゃなくて、えっと」
 何を言えばいいのか、よくわらかなかった。
敬語ってどんなのだっけ、そんなことさえわからなくなる。
「面をあげなさい。エリ」
「は、はい!」
 筋肉が委縮し、身体が震える。口の中が妙に粘り、舌が動かしづらくなる。
それでも言われたとおりに顔をあげて、エリはまっすぐに姫を見つめた。
気品と聡明さと美しさ、
ただそれだけなのにどんな敵を前にしたときよりも身体が緊張していく。
「そんなに緊張しないでください、ただ少しお話をしたいだけですから」
「お、お話……ですか?」
 緊張しないように意識しても、どうしても声がどもってしまう。
決して手の届かない憧れの存在が、
目の前にあるのだから仕方がないともいえるが。
「ええ。……少し、元気がないように見えましたから」
「え……」
 鈴の音のような美しい声。
柔らかく、暖かく、その音に包まれているだけで幸せになれるような、そんな声。
「何か、辛いことでもあったのですか?」
「!?」
 そんな声でずばりと内心を告げられて、エリは眼を逸らした。
今の自分は、そんなにも酷い顔をしているのだろうか。
「……ごめんなさい」
 少しして、口から出たのは謝罪の言葉。
何故だかわからないが、謝りたかったのだ。
「あら……何か悪い事でもしたのですか?」
「えっと、その……」
 スズネ姫のふざけたような優しい声が、今のエリにとっては辛かった。
 腕を掴み、服を握りしめる。何かに触れていないと、
不安に押しつぶされそうだった。
「……少し時間があります。場所を変えましょうか」
「え?」
 提案に驚いて、スズネ姫を見つめる。
「オーブールの民の悩みを解決するのも、私の仕事の一つです」
 眼に映った、優しさと同時に支配者としての貫録を見せるスズネ姫の微笑みに。
 姫様はやっぱり姫様なんだな。
 そんなことをエリは思った。
990名無しさん@ピンキー:2008/07/17(木) 23:30:28 ID:8/EUsvsJ
 そしてたどり着いたのは海の見える丘。
潮風が髪を揺らし、眼前には透き通った綺麗な青に染められた海。
オーブールに住む人間ならば、だれもが誇りに思っている海。
「えっと……ど、どうぞ、お座りください」
 手ごろな腰かけるところがなかったため、
エリはハンカチを地面に敷いて姫へ座るように促した。
汚れていたため、少し無礼な行動ではないかと思ったのだが。
「はい、ありがとうございます」
 スズネ姫は微笑みながらそういって、優雅に腰かけた。
その隣に座り、エリは話し始めた。
「えっと、シルバーのことを……以前お話ししましたよね」
「はい。……タマコを殺した人、だそうですね」
 あの戦いが終わる直前。
オーブールが襲撃されて、スズネ姫を救出した時に、
エリは姫にシルバーのことを話し、
仇を追うことを、許してもらったのだ。
「はい……」
 先輩が殺された場面を思い出し、目頭が熱くなる。
今すぐにでも泣きだして、誰かに甘えたくて、身体が震えた。
「……んっ」
 けれどエリは懸命に涙をこらえた。無様で、情けないと思ったから。
袖で拭って、泣かないようにした。
「そ、それで、先輩の仇を取るためにシルバーを倒そうと戦ってきました」
「…………」
 自分の腕をさらに強く掴む。完全に癒えたわけではない傷が、じくじくと痛んだ。
「一週間前に、シルバーを倒した時。
あとほんの少し刀を前に進めれば、命を奪うことができたんです。
でも……でも……」
 言葉が止まる。嗚咽が出そうになって、言葉が喉に詰まる。
「……できなかったのですか?」
 姫が代わりに言葉を紡いでくれて、エリは頷いた。
 両腕で自らの身体を抱きしめて、嗚咽を堪える。
 悔しさに、怒りに、叫び出したいのをこらえながら、かすれる声で続きを話す。
「今でも、シルバーのことは憎いですし、先輩のことは大好きです。
……でも、それでも、できませんでした」
「……」
 爪が、服の上から肉に食い込んだ。発する痛みが、なぜか心地良い。
「わたしは……」
 何か言葉を紡ごうとして、何も言えなかった。
 訪れる沈黙、そよそよと潮風が耳を掠める。
興奮して火照った体を、優しく冷やす風。
どうしてこんなに、身体が熱いのだろう。
「…………私には兄弟がいました」
 太陽の位置がわずかに動いたころ。
突然、姫が小さく語り始めた。
どこか遠くを見つめるような、哀愁に満ちた瞳で。
「ですが次々に不慮の事故で命を落としてしまい……私が王位につくことになったのです」
 その話はエリも知っていた。
オーブールにすむものならだれでも知っている、
スズネ姫の悲劇にまみれた……少し怪しい噂もある過去。
 それはきっと辛い過去、語らせることはよくないのではないか。
一瞬そう思ったが、姫が自ら話し始めたことだったから、エリは黙って話を聞くことにした。
「王位についたとはいえ、わたしはお飾りのお姫様でした。
けれどあなたたちの――忍者の力を使って、国の実権を握ることに成功したのです」
「……」
 驚きと同時に、納得する心。
したっぱであったエリは、姫様がどんなことをしたのかよくは知らなかった。
だが、姫様がそういった、強いお方だということは、薄々は感じていたのだ。
991名無しさん@ピンキー
「その後、私は『不慮の事故』の真相を調査しました。
結果判明したのは……私の家族が、殺されたという……真相です」
「……」
 訪れる沈黙に、何も言葉を発することができずに、ただじっと待つ。
先ほどまで優しかった潮風が、今は寒気をもたらしてきていた。
「…………私も、復讐をしたいとおもったことがあるのです」
 その告白に、体が震えた。
憧れの、お姫様である彼女が、そんなことを言うとは、思っていなかったのだ。
「……それで、どうなさったんですか?」
 気づけば問いを投げていた、話を遮る形で、無礼なものだとわかっていたけれど。
どうしても投げずにはいられなかったのだ。
「私が実権を得る過程で、すでに幾人かは十分過ぎるほどの罰を受けていました。
ですが、まだ復讐の対象となる人は残っていて……そして」
 よどみなく話していた姫が言葉を区切り、空を見上げた。
エリもつられて見上げると、一片の白も無い、透き通った青が視界を染める。
 体が寒くなる、その青は少し綺麗すぎた。
「それ以上、わたしは何もしませんでした。
すでにわたしに逆らう人はいませんでしたし……
復讐をしたいと、それほど強く思えなかったのです。
……時がたつにつれ、人の心は変わるもの。
それはわかっていたはずなのですが……少し、悲しかったですね」
 視線を戻すと、スズネ姫が小さなため息を吐いたところだった。
その悲しみが、辛さが、エリにはわかる気がした。
「……私は復讐をするのを途中でやめましたが、
結局のところ、あなたがどうしたいかです」
 口調をどこか朗らかなものに変え、姫はそんなことを言ってきた。
唐突に変わった雰囲気に戸惑いながら、耳に入った言葉を頭で処理する。
「わたしが……」
「はい。……難しく考える必要はないと思いますよ?」
「…………」
 それはきっと、一つの正解なのだろう。
何も考えずに行動するのは、とても楽だ。
 けれど。
「……それが」
「?」
「それが大切な人を。先輩を、裏切ることになってもですか?」
 先輩を、裏切ることが嫌だった。
理由なんてよくわからない、ただ、嫌だったのだ。
「それが裏切りなのかどうかは私にはわかりません。
……ただ、あなたはもう彼女を殺したくないのでしょう?」
 エリの出した問いに、姫は間を入れずに返答して、問いを返してきた。
「…………はい」
 少しだけ迷ったが、肯定の返事を出す。
倒して、命を奪うことで、満足する部分もあるだろう。
決して無駄にならないとは思う。それでも。
「シルバーを……殺したいとは、もう思えなくて」
 彼女がただの悪人なら、迷うことはなかった。
けれど彼女がただの悪人なら、自分は今生きていない。
 彼女がいなければ、ここまで強くなりたいと思わなかった。
けれど彼女がいなければ、ここまで強くなることができなかった。
 泣くのを必死にこらえる。なぜ涙が出そうになるのかが、わからない。
「なら、それでよいと思いますよ、無理をする必要は……ありません」
「……はい」
 スズネ姫の言葉に、こぼれかけた涙を袖で拭いて、エリは頷く。
全てに納得できたわけではない、だが、少しだけ楽になった気がした。