101 :
<4>:
「そう言えばあれはどうしましたか?保管してあるのですか?」
「まさか!ちゃんと問題の無いように始末しましたよ」
私たちは、少しだけ軽口が叩けるような仲になった。
相変わらず苦手意識はぬぐえないが、その小生意気な部分も以前よりは頭に来ることもなく、慣らされているのはこちらの方なのかもしれない、な
どと時々考える。
しかし何度身体を重ねようと、不思議なことに距離が縮まる気配はしなかった。
冬のニューヨークは氷点下になる。すぐに車に乗り込むとは言え、寝間着のまま出歩かせる訳にいかないので
面倒がるニアの肩にコートを掛け私はスーツの上着を着込むと、彼女を送るために部屋を後にした。
エレベーターで地下に降りるとホールから駐車場までに車椅子用のスロープがあり、その緩やかな坂は杖をつく人間には少々歩きずらいらしく、ニ
アの速度が落ちる。
私は無言でニアを抱き上げると、車まで向かった。
抱えられることを嫌うニアだったが、もはや今の私には何の躊躇もない。
ベッドを降りた途端、素気無くなるニアに無理矢理触れて嫌な顔をさせるのが最近の楽しみで
もちろんごく偶に、の話だが、気をつけているつもりでも私は、多少は馴れゝしくなっているのかもしれなかった。
横に抱いたニアを肩に掛けて片手を空けるとリモコンで解錠し、開けたドアの中にニアを下ろして車の下を確認した。
最近はイグニッションに爆弾を仕掛けるなどとアナログなテロも減ったが、最終的に脅威となるものはローテクだと叩き込まれている。
ニアの正体を、果たしてどれだけの人間に知られているかも判らない今の現状では、惰性とそれに伴う油断が、とりあえず私たちの一番身近な敵だ
った。
運転席に乗り込み車を発進させると、荷物のように扱われたニアが、気分を害したのかささやかな嫌がらせをしてくる。
「しつこいついでに、あなたがフェデラルを辞めた理由を伺いましょうか」
私はもはや隠す気もなく、露骨に大きなため息をついた。
「ニア、それに関しては、もうなにも話すことはありません」
「そうですか?では最初からどうぞ」
「お断りします」
「ワシントンのホテルであなたが尋ねてきた事柄が関係しているのでは、と私は考えています」
ニアは同じ質問を繰り返し、苛立つ相手のミスを誘い本音が吐露されるのを待っている。
私は、これに引っ掛かるつもりは全くなかった。
「大した事ではありません。もう結構です」
「気になります」
「忘れてください」
バックミラーに映るニアが、唇を尖らせる。私はそれに対し、微笑みを返した。
「あなただけすっきりとして、ずるいですね」
ニアは暫く釈然としない表情で私を睨み付けていたが、やがて飽きたのか髪を弄り窓の外の、新年に沸く冬のニューヨークの街に視線を移した。
もうすぐあれから丸4年になる。
そうそう少年の好奇心を満たす冒険の扉は開いているものではない。
これ見よがしに怪しく口を開ける闇の奥には何も無いものなのだと、皆、大人になるに連れ理解していく。
ニアにぽっかりと空く二つの穴の奥にも何も見あたらなかった。誰もが言うようにニアは、どこか感情が欠けているギフテッドなのだ。
空虚な器にはスペースが許す限り知識が詰め込まれている。
YB倉庫で垣間見えた感情の迸りも、キラを追い詰めたという興奮状態がもたらした一瞬の激情に過ぎない。
これで三年の間、私に存在を主張し続けた喉の奥の小骨も取れるのだろう。
後は適切な処理をして、自ら選んだLの一部としての道を歩いて行く事に、なんの迷いも無くなったはずだ。
私はそう考え、残念なような、ほっとしたような複雑な気持ちで
自宅のチェストに仕舞われたままの、高熱で溶 け無惨に爛れたあのロザリオを思った。
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遠くから読みに来てくださっている方々、本当に有り難うございます。
えろーい!
しっとり落ち着いた雰囲気いいですねえ
会話のやり取りも素敵です、大好き
ニアかわいいよニア
-DeathNote- メロ(23)×1mmの迷いもなく最初から女のニア(21)
ニアが女だと思えない人にはダメージを与える可能性があります。
捏造多数・性格改変、色々気になる方はスルー推奨
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目を覚ますと、広いベッドに仰向けに寝かされていた。
両腕は万歳をするように頭の上に拘束されていて、手首に触れる革の感触は動かして確かめるまでもない。
いかにもホテルらしいクロスの、高い天井と開け放たれた窓から差し込む月明かりに今がそれほど切迫した状況ではないことを
判断し少しだけ安堵する。
目が覚めたばかりの霞がかった意識を一秒でも早く覚醒させるために数度、深く呼吸したのち闇に向かい声をかけた。
「ニア、なんのまねだ」
椅子が引かれた振動と、微かに絨毯を摺るような音がしてだれかが近づいてくる気配がする。
「気が付きましたかメロ」
程なくニアの姿が見え、覗き込んでくる白い顔に満足するとメロは繋がれた掌を広げて見せ、とりあえず言った。
「外せ」
「…」
直ぐに開放されるとは思わなかったが無言で自分に視線を注ぐニアにますます苛立ちがつのり眼差しにも険が宿る。
確か二人で夕食をとって、その後薦められるままにワインを飲んだ、彼は、そこまでは覚えている。
不覚を取った事に対し今更後悔しても仕方ないが、メロは己の失態に臍を咬む思いだった
「おい答えろ、どういうつもりなんだこれは」
冷たく見下ろすニアに対し、枷がなければ牙を剥いて襲いかからん勢いでメロがたたみかける。
そんな彼を一瞥してニアは、杖をつき大きなベッドの両脇をゆっくりと回った。
「埒があかないので、拘束させて貰いました」
「なんの話だ。俺達は何か争っていたか?」
「そういう訳ではありません」
張りつけられた自分の姿を前に悦に入った様子もなく、淡々と話すニアがまた憎たらしい。
メロは激しい屈辱感を感じながら必死に感情を抑えた低い声でもう一度ニアに言った。
「とにかくこいつを外せ」
「できません」
一蹴され、睨み付けてみてもニアには通じない。暫く尖った視線を交わし合った後、メロは嘆息して脅すよりも説得する方向に転じた。
「判った」
「何がしたいんだ?言ってみろよ」
メロは大げさに息をつき、頭上で拘束された手を組むと固まった筋肉を解すように身体を伸ばす。
交互に組まれた指先の、漆黒のネイルがニアの視界に入った。
全く他人の視線を気にしないニアに反して、メロは幼い頃から、常に身なりに気を配っていた。
纏うものは完璧にコーディネートされ一部の隙もない。
但し自分を飾ることにそれほど執着している様子ではなかった。彼の常識の範囲では単なる身だしなみの一環に過ぎない。
端正な容姿と適度に鍛え上げられた身体から、ふわりと漂うコロンはさぞかし女を引きつけるのであろう。
そんな嫉妬にも似た思いを抱きつつ、不満そうに横たわる彼を見下ろしニアは言った。
「明日、発つと言いました」
「ああ」
「今度はどこへ行くつもりなのですか」
「…決めていない」
Lの仕事に勤しんでいるニアの前に突然現れ、暫くするとまたどこかへ行ってしまう。
そんなおかしな関係が事件の後、もう3年続いていた。
それにニアが不満を持っていることも判っていたが、相容れない道を選んだ二人なのだから仕方がないとメロは考えている。
「どこに行って、何をするつもりなのですか」
「決めてねえって言ってるだろ」
「今度はいつ、現れるつもりなのですか」
「いい加減にしろニア」
単調に質問を繰り返すニアに苛つきメロが吐き捨てる。
ニアは自分を苛らつかせる天才だ。
メロは思った。あの歪んだ箱庭から外へ出て精神的にも大人になったつもりだが、ニアを前にすると衝動を抑えられない。
少女の様だったメロは精悍な男に、少年にも見えたニアは美しい女に成長した。
世界を揺るがす事件を通してお互いの存在を確認し、わだかまりや齟齬も雪解けの水と共に流れたはずだった。
大事に想うと同じだけ、相手が自分の思い通りに成らないことに激しい苛立ちを覚えてしまう。
威嚇する様に自分を睨み上げるメロをニアは普段と変わらぬ冷めた眼差しで眺めている。
「勝手ですねメロ…」
「好きなときに現れて、私の都合など考えずに振り回しそしてまた、突然姿を消す」
「いい加減にして貰いたいのです」
「なら口で言え」
「今、言いました」
「判った。用が済んだならこいつを外せ」
わざと大きく手首を揺すり金属音を立てて訴えると、ニアがにべもなく切り捨てる。
「お断りします」
「ニア…」
怒鳴りつけてやろうとメロが口を開き掛けた時、遮るようにニアが告げた。
「これから一緒に、ここで、Lの仕事を手伝っていただきます」
「ハッ!冗談じゃない」
「それがLの遺志でもあります」
Lと言われてメロはじわりと頭に血が上るのを感じた。Lがこの世界から失われて7年。ニアは未だLという名前に縛り付けられている。
「嘘を付くな。あの世に行って聞いて来たのか?」
「Lは適当な男だ。自分が死んだ後の世界を心配なんてするか。そんなことをヤツは望んじゃいない」
ニアは一端口を開き何かを言いかけたが、メロから視線を背けると少し考えてからベッドの端に腰掛けた。
雲が月を隠し部屋は暗影に落ちている。ニアの頼りない後姿を観てメロはその背中を抱けない今の自分を歯がゆく思った。
ニアはLに心酔している。それは幼い頃から変わることがない、Lを想いLを目指すことがニアの存在意義でもあった。
むろんメロもLを尊敬している事には変わりないが、そのまま彼らの意志を引き継ぐ事だけが弔いになるとは考えていない。
生き残った意味を考えて、メロは自分だけの道を探したいと思っていた。
「もし、ヤツが気にしているとしたら、そんな事に未だに拘ってあとを継ごうと、したくもないL家業を続けている今のお前の姿だろう」
「誰かに強要されているわけではありません」
「Lを継ぐことが私たちの目標だったではありませんか」
「刷り込まれていただけだ。それはお前が望んだことだったか?」
幼い彼らが生きるためには、与えられたものに順応し、大人に指し示された高みに向かい努力する事しか術がなかった。
「お前は、やらなければいけない、と思っているだけだ」
「…」
「Lは少なくとも、世界よりは俺たちの心配をしているはずだ」
「でも…」
ベッドに腰を下ろしたニアが迷ったような声を出すのにメロはほくそ笑む。
「でもじゃねえ…ニア、早くこれを外せ」
「今なら赦してやる」
「…」
沈黙が流れ一拍置いて振り向いたニアに、予想はしていたがやはり落胆の色を隠せなかった。
「こんな状態でずいぶん強気なんですね」
懐柔できるはずもないニアはいつも通りの黒い瞳で真っ直ぐにメロを見下ろし、その迷いのない視線にメロは失望と同時に感銘を受けた。
微かな月明かりがニアに陰影を付け、硬質な表情は中性的にすら感じるが、ニアはずいぶん綺麗になったものだと呑気に考える。
初めてニアをみたとき、メロは、宗教画に描かれている天使の様だと思った。
伊達でしているわけではないロザリオは孤独な少年の支えだった。毎日通った教会の、ステンドグラスからいつも自分を見下ろしていた
天使が抜け出して目の前にいる。メロはニアを、どうしても手に入れなければいけないと思った。
ニアが自分の物ではないことが幼いメロにとって酷いストレスとなり思い通りにならないニアに癇癪を起こした。
ふわふわと膨らんでいる白い砂糖菓子の様なニアは、見た目に反し甘みなど一切無く、一口囓ったえぐみは未だにメロを苦しめている。
「いいえ…本当の事を言うと、Lの仕事など関係ないのです」
ニアがベッドの端から這うように上ってくる。身体をメロに沿わせて重ねると、白い手でメロの頬を挟んだ。
柔らかいニアの身体に乗り上げられてその心地よさに酔いそうになる。香水などは付けていないニアの、甘い匂いがメロを包んだ。
「こうでもしないとあなたは私のものにならないでしょうから」
「誰がお前のものになんてなるか」
「私はあなたのものなのに、あなたが私のもので無いのは不公平です」
「不公平?」
メロが口を歪めて笑った。
ニアはメロの額にかかる金の髪を除け、醜く残る火傷の後を指でなぞると、瞼の上にキスを落とす。
それから頬に沿って唇を下ろし、メロの唇へ軽く自分のそれを押しつけ直ぐに顔を上げた。
離れて行ったニアの柔らかい唇の感触に、メロは物足りなさを感じる。
「ちゃんと吸わせろ」
ニアは言われた通り再び唇を重ねると、彼に舌を預けた。口内で絡み合う柔らかい舌がお互いを陶酔させて
それ以外の事など、実に些少なものに思えてくる。
溢れた唾液が顎を伝い、ニアはそれを追ってのど元へ舌を這わせていく。
「おい」
メロが声を掛ける。
「やるのなら外せ。こう言うのは俺の趣味じゃない」
「外したらまたメロはどこかへ行ってしまうでしょう」
「淋しいんです」
そう素直に言われると胸に迫るものがあるが、ニアに甘い顔など見せてはいけないことは百も承知だった。
大体、油断していたからこそ、今こんな状態にある。
「だから、Lなんて止めて俺と一緒に来い」
「それは出来ません」
即答されメロは多少良くなっていた気分が一気に暗暗に転じたように感じた。
憤りのままに睨み付けるが、ニアは全く意に介さない様子で、何故この話とその話が繋がるのかという表情で見ている。
ニアの意志によってLを捨てさせなければ意味がないとメロは考えていた。
彼女の頑固で意固地な所に腹が立って仕方がない。
そんなメロの気持ちなど、全く汲む気のないニアはへの字に曲がる唇に己のそれを重ねると強く吸った。
舌を差し込み口中を丹念になぞってゆくとメロがニアの舌を柔らかく噛んでくる。
軽い音を立てて数回キスをすると薄いメロの唇を噛み、再び深く口付けて情熱的に舌を絡ませる。
二人を唾液の糸が繋ぎニアはそれをぞんざいに袖でぬぐうと、添わせていた身体を起こしメロの腰に馬乗りになった。
軽いニアの身体は彼に大した重みも与えなかったが、服越しとはいえその柔らかい腿の感触を歓迎する自分の身体にやや不安を覚える。
淫らさなど微塵も感じさせない白い面で、何度も股間を撫でられメロは苛ついた声を上げた。
「おい、いい加減にしろ」
シャツをはだけ、筋肉に添って胸に手を這わせてゆくとメロのロザリオが軽い音を立てて身体の脇へ滑ってゆく。
止めるつもりのないニアは、胸へ顔を伏せると、クリームを舐めとるように彼の胸の飾りを舌で舐った。
じわりと沸く快感に舌打ちして、どうしたものかと考えているメロを、裸の胸に頬をつけて心音を聞いていたニアが顔を上げ窺う。
不機嫌そうに見返すメロに首を竦めると、身体を下げて、メロのズボンに手をかけそれを外し始めた。
メロが愛用する革の固いボタンに細い指が苦労しているのを感じジッパーのものを履いていてやれば良かったかなどと考えたが
今はそんな余裕を見せている時ではないことをすぐに思い出す。
ニアは、取り出したペニスを愛おしそうに両手で支えると、まだ萎えていたものに舌を添えて喉の奥まで迎えた。
強く吸い込まれ、口内で舌が絡みつき扱くように舐られる。
見えはしないが、ニアの小さな口がどんな風に自分を咥えているかは鮮明に頭に蘇らせることが出来た。
心の中で悪態をつきつつ、他のことを考えようとするが、全て自分が仕込んだ、ツボをついてくるニアの口淫にすぐにペニスは
固く脈打ち始める。
ずるりと口から引き出すと、舌を固く尖らせてにじみ出した先走りをすくい取るように鈴口に差し込まれ、腰が浮き上がった。
「っ…く」
さすがにメロが呻き、頭の上で玩具の様な拘束具の鎖が小さな音を立てる。
「う…ニア、よせ」
裏筋に添って降りた舌は、睾丸を舐めて転がし、的を射た愛撫に腹を打つほどに反り上がったそれをニアは更なる口淫に励んだ。
再び口の中へ入れて上あごへ擦りつけながら唾液を絡め頭を上下させる。
先端を咥え雁のくびれを舐めるとメロの腰が跳ね、頭上から罵倒する声と切羽詰まった喘ぎが振ってくる事がニアには楽しい。
おおよそ食事時でもそんな音はさせたことのない派手な水音を立てて、手にした玩具を舐めしゃぶっていった。
亀頭は弾けそうに赤く腫れて震え、終わりが近いことを知らせる。唇とペニスの間に唾液の糸を引きながらニアは顔を上げ、メロに尋ねる。
こんな時でないと色の付かない頬が赤く染まり、普段は冷たく整った顔が、幼く見えた。
「メロ…辛いですか?」
「…何がしたいんだお前は…」
「私と一緒にいると言ってください」
「いやだね」
「射精したいのでしょう?」
「俺はセックスがしたくてお前を抱いてる訳じゃない」
「では何故ですか」
「自分で考えろッ」
自棄になって声を荒げるメロに、唇を尖らせて不満を表現したニアは、彼から身体を降ろし、のろのろとズボンと下着を脱ぐと再びメロの
身体の上に乗ってくる。
ニアがしようとしていることを察しメロは呆れて視線を仰がせた。
おぼつかない手で、身体に張り付いた革のパンツを膝まで降ろすと、またいだ身体の上で真剣な表情をして支えたものにゆっくりと腰を
下ろして行った。
先端に触れる暖かく柔らかいニアの肉はすでにしとどに濡れそぼり、ぺたりと吸いつくように彼を包み込む。
こんな状態でなければ歓迎すべきシチュエーションにメロは心底怒りと絶望を感じた。
「ああ」
ニアが眉を顰めて甘い声を上げる。
広げられる圧迫感の後、傘の部分が過ぎると滑るように奧まで吸い込まれていった。
ぬるりと暖かい膣に飲み込まれる感触にメロは顎を上げたが、歯を食いしばりかろうじて声は堪える。
「…っ」
快感に上がって行く呼吸に肩を弾ませて、すぐにニアは腰を浮かしその身を上下させ始めた。
大きめのシャツを纏った裾からすらりと細く白い足が伸び、隠れて見えない、重なった部分より湿った水音が聞こえてくる。
袖口から指先だけ見せる手が美しく筋肉が浮く腹に添えられて、それを支えにニアは身体を動かしていった。
「んっ、んっ…メロ、…あっ…」
「はっ…ニア…」
自分を呼びながら身体を揺するニアに身体と感情が高ぶってくる。
しかしこのままでは悔しいのでなんとか脱出を画策するメロは、ニアに気づかれないように腕を動かしバックルの金具がベルトの穴を
通るように革を浮かせる努力をした。
後少しで外れそうなのになかなか上手くいかず、苛立ちと下半身から上ってくる快感に益々焦燥感が高まる。
クソッ…
薄い寝間着越しに揺れる乳房を感じて、メロは拘束された手を本当に煩わしく思った。
ニア主導のままに射精させられる事だけは絶対に避けたい。
しかし、目的を忘れたニアは首を振り立てながら感じ入った様子で喘ぎ、口からは涎が垂れて顎から糸を引いた。
普段の冷徹な様子など微塵も無い、溶けたマシュマロの様なニアが舌足らずに声をかけてくる。
「……んっ、い、いぃ…あなたは…?」
「…ああ、いいぜ…」
身体を弾ませていたニアが、やがて腰を小さく前後に動かし自分の快感を追っていく。射精に繋がる動きが減り一旦は安堵したが、包み込
まれた締め付けと刺激に依然余裕はなかった。
「あっ…ああ、き、ます…メロ…!」
「ニ、ア…っ」
短く声を上げてニアの身体が大きく揺れる。
痙攣する体内に一緒に持ってゆかれそうになるのをなんとか堪えたメロは、胸に倒れ込んだニアの柔らかい髪にキスをした。
甘い匂いを強く感じながら、息を整えて説得を再開する。
「おい…抱きしめたい」
「ニア…、これを外せ」
合わせた胸の柔らかい感触が心地よく、響く鼓動はどちらのものか判らない。
愛おしいと感じる気持ちは真実だが、いろいろと譲れないものもある。
荒い呼吸のニアが胸に伏せたままくぐもった声で呟いた。
「メロ…言ってください。私…の、ものだと」
「ああ、お前は俺のものだ」
「違います、あなたが私のものだと…」
細かいことに拘るニアに、メロも意地になってくる
「…知るか、どうでもいい」
その返事に汗ばむ身を重ねていたニアは、震えの残る身体を起こし、再び腰を浮かせてメロを追いつめることにした。
「バッ…それ止めろ」
「でも…」
拗ねたような顔でニアは手をつき身体を上下させた。
達した身体は重く、再び追い上げられる高ぶりが辛かったが、強要されている訳でもないのに、眉を顰めて耐えながら身体を動かす。
メロは下腹に力を込めて必死に堪えるが、腰を上げるときに締め付けるように力を込められてもはや我慢の限界に達している。
これも自分が教えたこととはいえ、今すぐにでも憎たらしいニアの腰を掴んで乱暴に突き上げてやりたかった。
「あーックソ!」
やけになって声を上げてみたがニアの動きが止まることはなく、再び全身を甘く包んでゆく快感にニアは夢中になっていた。
そんな中、気を紛らわせる為に滅茶苦茶に動かした拘束具のベルトがゆるみようやく金具から離れる。
「…メロ、出していいですよ」
身体を弾ませているニアが、頬を紅潮させてまるで淫婦の様に嫌な笑い方をした。
何かの刺激に瞬間、内部が咥えているものを締め付けて、射精感が高まる。
必死に堪えてかろうじて面目を保ったメロは、ようやく片方の手首に巻き付く拘束具のベルトを長い指で器用に抜き、ニアがそれに気づく
前に取り外すことに成功した。
一瞬遅れたニアを引き倒し組み伏せると、自由になった片手でニアの首を押さえつけて力を込める。
ニアが苦しそうに顔を顰めた。
「お前…判ってるだろうな」
「…はい」
ニアに馬乗りになりようやく両方の腕の拘束具を外すとベッドの下に投げ捨てる。擦れて赤くなった手首を撫でながら
どうしてやろうか考えたが、とりあえず本能の欲求に従い、一度終わらせることにした。
乱暴にシャツのあわせに手をかけ、力任せに引き下ろすとボタンがはじけ飛んで行く。
現れた小さな乳房を掴み柔らかいそれを、手加減を加えず鷲掴みする。
「うっ…メロ、痛…い」
顔を歪め首を反らせるニアに満足したメロは、足を抱え上げて今だ硬度を保つものをニアの赤く濡れたヴァギナへ一気に挿入した。
お互いの体液にまみれたものが、本来の位置に戻ったようにぴたりと嵌り、なんの隔たりもなく繋がった身体に安堵したようにニアが
声を上げる。
「ああ…メロ」
「お前、単に俺に酷いことをされたいんだろ」
二つに折られ、しなやかな身体に押し潰された細い身が苦しげに呻く。
「これもお前の計画のうちか?」
乱暴に揺すり上げられ、ニアはもう返事が出来なかった。
目を覚ますと広いベッドに一人で寝かされていた。
カーテンは閉じられ、その裾のすき間から強い朝の光が漏れている。
ニアは身体にかけられたシーツを頭まで引き上げ暫くその状態で微睡んでいたが、一度猫のように伸びをしてから起きあがり
いつもの様に片足を抱えて座り込むと、サイドテーブルの電話を手にした。
2コールほどで、すぐに相手の声が聞こえる。
「私です。…はい。ええ…迎えに来ていただけますか」
電話を切ると、ニアはもう一度、まだメロのコロンが香るシーツへ身体を横たえた。
--------------------------------
参考914他・多謝
超GJ!!
相変わらず素晴らしい 文体が美しすぎる…
メロで読めるとは感激です リク出来たらとこっそり思っていたもので…
改変なんてとんでもない、Lの話をするシーンとか凄く、らしさを感じます
メロの、Lは世界より〜の下りとか秀逸すぎる
エロも最高でした 書かれていないメロ攻部分が気に(ry
次回も楽しみにしてます!
GJ!
たまたま覗いたらすごい読みごたえのあるのきてたなー。
このシリーズって初出はこのスレですか?
別スレならそっちも読んでみたいんだけど。
メロ好きなニアかわえーなぁ・・・・
クーデレたまらん
ニア可愛いなあ………
しかしエロいな………
>>113 そんなスレが…。世の中は広いな。
さっそく読んできたよ。ありがとう。
ほ
ほ
117 :
<5>:2008/07/30(水) 23:31:40 ID:4ZLsvAq2
-DeathNote- ジェバンニ(31)×どこから見ても紛う方無き女性の(容姿参考)読み切りニア(22)
捏造多数・性格改変、色々気になる方はスルー推奨
--------------------------------
居間にあるチェストの一番下の引き出し、ここにはニアの旧知の人物、その遺品が眠っている。
それは高田清美の自殺により全焼した長野の教会で遺体と一緒に見つかった。
焼け落ちた教会からは、彼女のものと見られる焼死体と、そこに停められた盗難車の運転席にもう一体が発見されている。
ガソリンによる放火で激しく燃え上がり、炭と化した亡骸の足下に焼け残っていた奇妙な形の金属の塊、
高熱で鎖は千切れ、コーラルカラーのビーズは溶け銀と混ざり合い、所々黒く焦げたマーブルを描いている。
ラテン十字の4軸は丸く融解しかろうじてそれが以前、クロスをかたどっていたと言うことが判る程度だった。
一度だけ彼を見た事がある。
左右を挟まれ銃を突きつけられた状態でも彼の目にはニアしか映っていなかった。
セーフティを外した拳銃を構えている緊迫した空気の中、その男の見事なブロンドと首から下げていたロザリオが印象的だった。
祖母が私に作ってくれた手編みのそれに似ていたので記憶に残ったのかもしれない。
もしくはギャング然とした彼が、明らかに他装飾品とは毛色の異なるものをしていた、というギャップ故か。
その後送検された検事の証人として京都府警内での事後処理中、物証の一部に混ざり送られて来た慰留物として
偶然それと再会することになる。
何を思ったのか、私は正式な手続きを行いそれを引き取ってきた。
彼は尊敬する上司と仲間達の仇ではあったがそんな最後を哀れと思ったのか、未だに私は自分の取った行動に説明を付けることが
できずにいる。
照会すれば私の手元に何があるかなどは直ぐに判るはずだが、未だに何も言われないところを見ると
ニアはそういった連絡を全く行っていないのだろう。
日本で不慮の死を遂げた初代Lは正体を明らかにできずに、最終的には日本で身元不明死体として処理されたと聞いた。
志半ばで倒れた初代L、そして同じ道を辿った、恐らく生前はメロと呼ばれる男だったであろう人物、彼らは故郷から遠く離れた
異国の地で眠っている。
或いは、そこへ埋められたのは私たちだったかもしれない。
--
今夜は本当に時間が無かった。
だが二ヶ月ぶりに再会した私達は、少しも諦めるつもりは無くあわただしく用意した部屋へしけ込むと、前戯もそこそこに身体を繋いだ。
私もニアも一瞬の快楽が味わいたいだけで、2人の間にあるものは間違いなく肉欲だった。
ニアを脱がしてしまうと私はネクタイを緩めはだけたシャツと一緒に頭から抜いた。
ニアは着衣のまま行為に及ぶ事を嫌う。
ならば自分で男の服を脱がすことを覚えてほしいものだが
以前それを期待してネクタイに手を掛けさせたときは、ニアはただ黙ってそれを握っただけだった。
神妙な顔でつり革に捕まる様な姿を観て実に複雑な気持ちになったことを覚えている。
ベッドへ上がりその白い髪に手を伸ばしかけた時、肌を隠すように両膝を抱えていたニアが、まるで興味のない目をして言った。
「あなたは子供の様な所がありますね」
「ハウスでそういった服の脱ぎ方をした少年は間違いなく叱られたものです」
ボタンも外さずまるでTシャツのように、頭からワイシャツを脱いだ件について言われていると気付くのに数秒かかった。
そう言えば以前も非難の眼差しを向けられた気がする。
自分は脱ぎ散らかしている癖に、ニアは案外、他人の躾に手厳しい。
「普段からこんな脱ぎ方をしているわけではありません」
「時間短縮ですよ。…何せ、上司よりわずかな時間しか与えられていないものですから」
するとニアが、あの嫌な笑い方をしたので、私も口元を歪めて笑い返す。まるで仇同士が牽制し合っているようだった。
この状況で自分が萎えてゆかないのが不思議で仕方がない。
濡れた膣内を勃起した陰茎で擦り上げる。
こんな単純な行為に夢中になっている私たちはただの動物だった。
「くぁ、んっ」
濡れた音がして未だ硬いままのペニスが引き抜かれると、絶頂の余韻に身体を投げ出していたニアが身を捩って声を上げた。
「…はぁっ…はっ、ん…」
芯を抜くと直ぐにニアの身体は丸まってしまう。
その身体を裏返し小さな尻を掴む。柔らかさを確かめるように握り揉み込んでゆくとニアが喉を鳴らしてむずがった。
眠たいのだろうか、一人満足したからと言って終わらせるわけにはいかない。
118 :
<5>:2008/07/30(水) 23:32:25 ID:4ZLsvAq2
「ん、ぁ止め」
身体をずらして片足をベッドから降すと、逃げる腰を引き寄せ再び一気に貫く。
「は、ぁうっ!」
細い腕が突き出され、目の前のシーツを掴んだ。濡れきった膣は難なく私を飲み込み、柔らかく締め付けてくる感触に満足すると
一層身体を引き寄せるついでに、伸ばされた脇から腰のラインを掌で何度も撫で上げた。
伏せているために身体に潰され押し出された胸が妙にいやらしい。
「あ…乱、暴な…」
「失礼」
1ミリも悪いとは思っていない私は直ぐに律動を再開する。
「や、あ…後ろか…は…」
細い腰を掴み打ち込んでいくとバックから 挑まれるのが好きではないニアは身体を捻って抗議するが、
非力な彼女の抵抗など私にとっては揺れるベッドのスプリングの変わりにすらならない。
「うっ、うん…ふっあ」
寸前まで引き抜き、再び差し込んでゆく。尻たぶを手で広げながら白い谷間に赤黒い蛇が見え隠れするのを楽しみ
暖かい肉に隙間無く包まれ肉ひだの刮ぐような刺激に一旦下降した快感が急速に上がってゆくのを感じた。
薄いニアの肉はクッションにならずに時折骨盤が当たる様な感触があり加減に気を遣う。
痛がる様子は無かったが、一端腰を引き浅い部分で小刻みに抜き差しをすると、顔を伏せていたニアが首を反らして
猫が背を伸ばすような姿勢になり喘いだ。
「はあ…っ、ぃ…、んん…」
普段は痩せぎすの、女らしさのかけらもない細い身体が尻をくねらせ悶えている様は私の性感をダイレクトに刺激してくる。
たまらず再び最奧まで突き入れると押し出されるように愛液が溢れ、腿を伝っていった。
ニアはもう自分を支える力も無いのか、半身を突っ伏し交差させた腕の上に頭を据えて揺すられるままに身体をゆだね
くぐもった喘ぎはシーツへと吸い込まれている。
腰を押し付けたまま身体を伏せて白い背中に口づけた後、肩から手を滑らせて差し込み押し潰されていた柔らかい肉を掌に収めた。
円を描くように捏ね、硬く尖った乳頭を指の間に挟むとニアが切ない声を上げる。
「ああ」
「…いいですか、ニア」
「はい」
「どこがいい?」
ニアの手が下がり、私の腕に触れてくる。その指先の冷たさに、妙な興奮を覚え手の中の膨らみを押しつぶすように揉み込んだ。
「うん…っ」
押しつけた腰に柔らかい尻の肉が吸いつくように張り付き、無意識に揺れるニアの身体を押さえ込むと私は再び馬鹿なことを聞いた。
「どこが気持ちいいですか?」
しつこい私の問いに、閉じていた瞼を緩慢に開くと、以前よりは恐ろしいと感じる事の少なくなった瞳をこちらに向けニアが掠れた声を出す。
「…かん…」
「ん?」
「…時間が、あり、ませ…よ」
それだけ言うとニアは顔を伏せてしまう。見えなくなった顔を少し残念に思いながら私は身体を起こすと
くだらないことをしていないで早く動けとのお達しに、苦笑しつつ腹を内側から抉るように腰を使った。
不規則な動きにニアが細い声を上げる。私を包み込む壁が熱く蠢くような感触に、再びこちらも抽挿を早めた。
「あ、ぁあっ、…」
「はっ…あ、くっ…う」
這い上がる快感に声が漏れ、頭を左右に振ると一層激しく腰を使う。
傷一つ無い白い背中に私の顎から落ちる汗が背骨の窪みに水たまりを作り、揺すられる振動で脇へと落ちていく。
シーツを握りしめるニアの手の甲に筋が浮いて片頬を向けた横顔が辛そうに歪んだ。
それは薄気味の悪い笑顔よりもよほど美しい、などと失礼な事を考える。
「あ、あ…もっ…」
ニアが上体を起こすと背を反らせた。直ぐにシーツに倒れ数回身体が跳ねる。私は逃がさないようにそれを強く抑え込み腰を打ち付けた。
「はあっ、ああ…っ」
「く…、うぅッ」
私たちはお互いのタイミングを合わせるのが上手くなった。
脈動の度に放出される快感が腰を走り抜け身体が震え声が漏れる。やがて力の抜けた私は、ニアの背に被さるように身体を重ねると
そのまま細い身を抱えて横に転がった。柔らかな髪に鼻先を埋めて甘い香りを吸い込む。
ノンストップで走り抜けたような交わりだったが、多少無理をしてでも時間を持ちたいと考える程ニアとの関係は刺激的だった。
やや遅咲きだが性に興味を持ち始めたニアを仕込んでゆく楽しみもあり、思いの外この遊びに夢中になってゆく自分を感じていた。
ホテルのサイドボードに赤くデジタルの数字が光っている。
後、2分だけこうしていよう。
予定通り30分で事を終えた私たちは、それから10分後にホテルを後にした。
119 :
<5>:2008/07/30(水) 23:33:19 ID:4ZLsvAq2
--
それは、ニアの二十歳の誕生日を祝うべきか迷った時に似ている。
ニアにとってそれが不必要な品であったならば、渡すべきではない…そんな思いに囚われていた。
もっとも最初からそんな面倒な事を考えていた訳じゃない。
アメリカに戻りすぐに渡せる機会があればこんな事にはならなかったのだろう。
しかし時がたち、あの時のことを引きずるそぶりすら見せないニアに接するうち
渡した所で彼女がかつて遊び、興味を失った玩具達のように箱に入れられそのまま忘れ去られるのならば、
――ニアがこれを遺品として必要としないのであれば持って帰ってきた意味がない、彼の魂が浮かばれない、と考えるようになってしまった。
もしかするとそれにより私自身が傷つく事のが怖いのかもしれない。
ニアの玩具の一つとして扱われ、用が済んだら箱に仕舞われ、忘れ去られる。
そんな自分を重ねて同情しているだけなのか。
ふと彼がニアに放った言葉が蘇った。
「俺はお前の遊ぶパズルのピースじゃない」
--------------------------------
セリフ改変
>>110他、TSスレの5にも投下させて貰ったのですが落ちたようです。
「暇つぶし2ch」等の過去ログでまだ読めるようなので良かったら読んでやってください。返事遅くなってすみません。
>>113( д) ゜゜
いい!いい!
やらしいし文章もきれいで読みやすいしこのシリーズ大好きです。
どこまで仕込むつもりなのか今後も期待してます。
何という全角…ageンなよお
ちょ、こんなスレに神がいる。
文章が美しいな…
なんだ読み切りスキャンかぁ。
イラストかとオモタ
祝・SP (8月22日 金曜ロードショー)
128 :
Ln1:2008/08/15(金) 03:25:02 ID:dIgS39B5
-DeathNote- キラが勝利した未来/月(26)×ニア(21)←女、女性。female、♀
捏造多数・性格改変、問題アリ。色々気になる方は完全スルー推奨
--------------------------------
マンションの駐車場からエントランスをぬけて特別にあつらえさせた半地下にある部屋へと向かう。
厳重な二重扉の鍵を差し込む時 月はいつも運命を分けた3年前の、あの夜にも似た高揚感を覚える。
日の光が入るのは玄関と前室のみ、居間から先は全くの閉鎖空間で、ここはさながら監獄のごとく来訪者を拒絶していた。
持ってきたカートをダイニングへ置き、美しくリボンアップされた花束だけを手に広いリビングを抜け寝室へ進んで行くと
人の気配を全く感じさせない無機質な部屋の奥、いつもの通りキングサイズのベッドの上に彼女は鎮座していた。
「ご機嫌はいかがかな」
口元に柔らかな笑みを浮かべ手にした花束を軽く掲げた、気障にも見えるそんなポーズが妙にさまになっている。
立てた膝の上に頬をのせ退屈そうなニアは彼に顔こそ向けはしなかったが律儀にも返事を返してきた。
「あなたの顔を観たので最悪になりました」
ニアのそんな様子には慣れてはいたが、若干高ぶった気持ちが冷えて行く。
「…そのようだね」
月はそう返すと、白い花ばかりで構成されたそれをテーブルへ置き、背広を脱いでソファーの背に掛けた。
YB倉庫でニアを出し抜き勝利した月は、その場に居合わせたニアと魅上以外の人間を全て殺し、彼女を拘束した。
音声だけのやりとりが半年ほど続いただけだが、『キラ』と対峙する少女にいつの間にか強い興味を抱いている自分に気づき
或いはニアならば自分の伴侶となるにふさわしい女なのではないかと考えだす。
そして、当時は13,4程度にしかみえなかった彼女を、今まで苦しめられた積怨も相まって
さながら日本古典文学に習うがごとく囲い育ててみようと生かすことにする。
月は2週間ぶりに見るニアに微かなときめきにも似た感情を禁じ得なかった。
ニアがあの時点で既に18になると知った時は、クラインフェルター辺りを疑った事も合ったが
愛想もなく小柄な少年にも見えたニアは、ここ三年のうちに花が開くように成長し
透き通るような素肌に端正な造形はただ美しいだけではなく北欧系特有の愛らしさも湛え
今となっては自分になんの害をもたらすことのない、聡明な彼女との言葉遊びは無為な日々に潤いをもたらし
ニアを前にするたびに、図らずも手に入れた宝石の素晴らしさに感謝することになる。
やわらかに顔の周りを覆うプラチナブロンドが細い指先で玩ばれるのを月は満足げに見つめた。
「先日パキスタンの内戦が終結して世界連合(*1へと加入が決定したよ。キラへの宣誓も行っている」
「そうですか」
情報を得られるようなものはいっさいこの部屋には存在しない。
退屈だろうと与えていた玩具類も今は取り上げ、時計もカレンダーも時が経ったことを知る事ができるものは何一つなかった。
外部から得られる刺激は月だけのこの状態でもニアは反撃の機会を伺い、爪を研いでいる。
「食べ物があまり減っていないな」
「果物を持ってきたけれど今食べるかい」
シャンパンの栓を慣れた仕草で開けると、毎度になる懸念を月が口にする。
居住人数にふさわしくない大きな冷蔵庫には月によりあらゆる食料が常に保存され
そのほか日光に当たらないニアのためにサプリメント等も用意してあるがこちらも定期的に消費されているのが伺えた。
最低限の健康と体力を保とうとする姿勢は、ニアの心が折れていない証拠だった。
出来る事ならケータリングなどを利用して毎日食事を届けてやりたいと月は考えていたが
ともすれば自分でさえも欺きかねないニアに、他人を近付けることは危険すぎた。
持ってきた荷物から苺のパックを手にするとざっと水を見せたあとに皿に移し、フルートグラスと共にニアの元へと向かう。
「はい」
ベッドサイドのテーブルへ皿を置き自分はベッド向かいのソファーの背に軽く腰を掛けて
盛りつけられた小さな苺に細い指が伸ばされるのを目で追った。
ニアの薄い色の唇が開いて白い歯が覗き熟れた苺が中に消えて行く。
細い喉が嚥下に上下するのを見て、月は自分が息を詰めていた事に気づき知られぬようにそれを深く吐いた。
「それから東トルキスタンは中国と…」
「報告は結構ですよ」
129 :
Ln2:2008/08/15(金) 03:25:47 ID:dIgS39B5
苺から目を離さずにニアは月の言葉を真正面から切り捨てた。
「あなたの箱庭に興味はありません」
今日は機嫌が悪いらしい…
とりつく島のないニアに月は嘆息すると、空になった自分のグラスへシャンパンを注ぎそれを傾けた。
まるで今の彼の心中のように強い炭酸の刺激と苦みが口の中へ広がっていく。
「そう。…残念だ」
冷えたそれを喉の奥へ流し込むと月は腕を降ろし、グラスの縁を指でなぞった。
「イギリスや君の同胞の話も合ったのだけれど…必要ないみたいだね」
ニアがちらりと自分へ視線を送るのを感じ、月はほくそ笑むが、期待に反しニアは言った。
「今の私には用がありませんから」
「いいさ。そうやって頑なでいろ」
呆れたように月は膝に置いた手を軽く挙げてみせる。
「君が世界に取り残されてゆくだけだ」
「耳に入れる情報ぐらいは取捨選択の自由がありたいものです」
まるで興味がない様子のニアは立てた膝に頬を預けた。
「仕方ないだろう。自分の置かれている立場を考えて見ろ」
「それでも僕は君が退屈していると思って外の空気を持ってきてやっているんだ。感謝してもらいたいね」
「一方的に押しつけられるそれらに何の意味がありましょう」
「それとも…」
ニアは顔を傾けて月を仰ぐと言った。
「話を聞いて欲しいのですか」
「…別にそう言う訳じゃない」
月はそう言うと手元のグラスへと視線を移した。
泡を立てるために付けられたグラス底の傷から小さな水泡が列を作り立ち上っている。
自分から目を逸らした彼と入れ違いに月へと視線を送ったニアは、ベッドから少し離れたソファーの背に寄りかかる男の姿を一瞥した。
その姿は意外なほど小さく見える。
「迷走していますね」
「?」
見るとはなしにシャンパンの泡を目で追っていた月がニアの言葉に顔を上げた。
「今の僕に迷いなど無いよ」
眉を上げ驚いた表情を作る月に、皿の苺を細く白い指先で遊びながらニアは言った。
「寂しいのですね、夜神月」
「僕が?まさか」
「退屈なこの世界で、あなたが唯一認めたLを自らの手で葬ったそのときから…」
月は言葉を遮り穏やかに否定した。
「彼は関係ない」
そしてニアから視線をはずし、正面の白い壁を真っ直ぐに見つめる。
まるでそこになにかが映っているかのような月の様子にニアも目をやり
何も無いことを確認すると、こう言った。
「では何故弥海砂を生かしておくのですか。彼女の役目はもう終わったはずです」
返事のない月にニアが畳みかける。
「答えられませんか?」
「あなたは超人たれと努力しているようですが、弥海砂に人間的な情を抱いているのも事実」
「昔を知るものが全ていなくなってしまうのが嫌なのでしょう」
「僕には家族がいる。それで十分だ」
月は手にしたグラスへ口を付け、まるで自らに言い聞かせるように呟き
そして少し笑みを浮かべてニアに向き直った。
「僕には僕の考えがあると言うことだ。…それとも君まで、高田の様なことを言い出すのかい?」
しかし会話をする気は最初からなかったのか、ニアはただ誰に聞かせるともなく続けた。
「もはや私を生かしておく理由も同じ事…」
「君は愛するに値する女だと僕は思っている」
彼の周りの女ならば、誰もが信じてしまう真摯な瞳でニアを見つめ月は訴える。
「言ったはずだよ。君には僕の妻となり子供を産んで貰うと」
ニアと自分の子供なら新世界の神を継ぐ人間に相応しい…月は考えた。
「君なら新世界の先導者の伴侶に、そしてその後継者の母に相応しい」
しかしそんな月を冷たく一瞥するとニアは言った。
「それに関してはお断りさせて頂いたはずですが」
「いい加減悟ったらどうなんだ」
グラスの中の液体をあおると、月はやや興奮し声を荒げた。
130 :
Ln3:2008/08/15(金) 03:26:39 ID:dIgS39B5
「君が生きる道は、僕と共に歩むより他はない」
「メロは死んだ…SPKも相沢達ももういない。君を救ってくれるナイトは一人も残っていないよ」
ここ三年で彼は以前より演技性人格に拍車が掛かったようだ。
自他共に神としての立場が確立し、自らの世界に陶酔する毎日を送っているのだろう。
己の言葉に酔うようにゼスチャーを交えて語る月を見てニアは考えた。
「あの場で生き残ったのは僕と君だけ…」
「出会うはずのない二人が出会い たった二人生き残った。運命を感じるだろう?」
何故魅上輝がカウントされていないのかニアは不思議に思ったが
この男の中では個人の人間として認識されていないのかもしれないと考え、哀れに思った。
所詮自分だけなのだ、家族も友人もこの『正しい世界』も何もかも自分の為…。
「…あなたが愛しているのは己だけです」
酔ったように思いを語る月に対し、ニアが静かに言った。
わずかな沈黙の後、月が再び口を開く。
「僕が来なければ君は飢えて死ぬだけだ」
「かまいません」
この場所は月しか知らない。ニアを支配するためにこの三年いろいろなことを行ったがニアの態度が変わることはなかった。
何ヶ月も訪れなくとも、水や電気を止めた日も
期待をして扉を開けた月の瞳に映るニアは冬の湖面の様に冷たく凪いでいた。
どうしたら彼女の中に自分だけを住まわせる事が出来るのか、もっとも原始的な方法しか思いつかない。
「…君にはまだ教育が必要なようだな」
ベッドへ腰をおろすと、月の意図を察し初めてニアが月を正面から見た。
「やめなさい夜神月」
触れようとする月の手を弾き、逃げるニアの抵抗をものともせずにシーツの上へ縫いつける。
「何故?僕は君のフィアンセだ」
「了承した覚えはありません」
ニアの顔に感情が浮かぶ。その侮蔑すら月にとってはシャンパンの炭酸のように甘美な刺激だった。
「死者に貞操でも誓っているのだとしたら愚かとしか言いようがない」
「君が貞淑を誓う相手はこの僕なのだから」
手慣れたもので寝台に取り付けてある拘束具にニアの両手を繋ぎとめてしてしまうと
一旦身を引いて自分の作品を満足そうに見下ろす。
色々着せては見たが一番しっくりときた大きめの白いシルクシャツからしなやかな足が伸びている。
初めて対面した頃より背は伸びたがまだまだ細く小柄な身体が無骨な拘束具によって繋がれている様子に
目眩がするほどの興奮を覚え月はネクタイを緩めた。
ゆっくりとニアのシャツに手を掛け、まだ少し幼さの残る肢体を照明の下に晒す。
両手を掲げている為に薄い胸が引き上げられ、まるで少年の様な白い半身の首筋から胸の中心へと、月は人差し指でなぞって行った。
小さな淡い乳輪を繰り返しなぞると刺激に乳首が立ち上がりそこを指で刺激していると無視することが出来ない感覚にニアが視線をそらす。
その様子に月は口元へ歪んだ笑みを貼りつかせる。
身体を寄せると、はりのある小さな乳房を掌に納め、もう片方の頂を音を立てて吸い乳首を唇で挟み込み舌でくすぐった。
「あなたを軽蔑します」
かたくななニアの言葉も今の月にとっては心地よいBGMでしかない。
組み伏せた身体の脇に両手をつき身を支えると、ニアが月を強い視線で見返してくる。
「全く君を抱いて一年にもなるというのに、いつまで経っても僕を楽しませてくれる」
ニアを監禁して2年後の1月28日に月はニアを力ずくで自分のものにする。その日を選んだのは嫌がらせの意味合いも合ったが
ニアが男を知らない身体であったことや、予想以上の彼女の取り乱しぶりは月を激しく喜ばせた。
「そうだな、ネイト。君には期待しているんだよ」
「確かに僕は退屈している」
そういうと、やおら片足を掬い上げ頭上に取り付けてあるベルトを膝の裏に巻き付けマジックテープで留めてしまう。
片足を曲げた状態で ニアの隠すべき箇所が視線に晒され、取らされたあられもない恰好にニアの全身が赤く染まる。
月は満足そうに震える内股に指を這わせ性器の周りをうっすらと縁取る白く柔らかな飾り毛を撫でた。
月の視線がどこへ向けられているのか痛いぐらいに感じ、この一年で嫌と言うほど自分が女であることを教え込まれたニアは
図らずも身体が熱くなってくるのを止められない。
「濡れているね。かわいいよネイト」
月はその様子を細かくニアに伝え、言葉で辱めた。
弄られ赤く腫れた花弁をくすぐる指に水音が絡み微かに息が上がってくる。視界を閉ざし感覚が研ぎ澄まされてしまう事を恐れニアは
顔を背けることで抵抗したが壁は白く滑らかで気を逸らすことが出来るような特徴はなく、甘い拷問に飲み込まれまいと必死に抗った。
131 :
Ln4:2008/08/15(金) 03:27:31 ID:dIgS39B5
「2本目だ」
「欲張りだな君は」
いつの間にか体内を潜ってきた指にニアの眉が顰められる。
月は、思い知らせるためことさらゆっくり指を出し入れし水音を立てた。
「はっ、…」
内側の、感じる部分を指で執拗に擦り上げられてニアが声もなく首を反らせた。
身の内の熱を逃がそうと額をシーツへこすりつけても、ニアの全てを知る月の手管によって引き返せない所まで高められる。
そんなニアを楽しげに見下ろしていた月は、わざと指を曲げたまま引き抜き声を上げさせた。
「ぁっん…」
自分の発した声と水音に、赤く染まる顔に微笑みかけ濡れた指のぬめりを白い頬になすりつける。嫌悪感に歪むニアに満足すると
腕を伸ばしベッドの脇に置いてあるナイトテーブルの引き出しから何かを取り出した。
「君のお気に入りだ」
醜悪な形のバイブレーターをこれ見よがしにニアの前にかざす。
ニアの表情が曇るのに、月は腹の底から突き上がるような熱を感じた。
「感度が鈍るといけないからこういうものはあまり使いたくないんだ」
手にしたバイブをニアの濡れたスリットへ擦りつけていく。
「んっ……」
「僕は君と末永く楽しみたいと思っている…」
指とは違う遠慮のない刺激にニアが喉を鳴らす。伺いを立てるように笑顔を向けるとニアの返事を待たずに濡れそぼった中心へそれを
埋めていった。
「うぅ…うっ…」
首を振りニアが無言で訴えてくるのを見下ろしながら細身のそれを身体の奥へ沈め根本まで入れ、手元のスイッチを操作すると
不自然に身体から生えたそれが鈍い音を立てて動き始めた。
「はっ…」
頭上に拘束された手が固く握られる。
くねくねと動く性具を月がゆっくりと上下させると、バイブの根本に付属する突起がニアの陰核に触れ
その刺激から逃れようと身体をよじらせるがかえって自分を追いつめてしまう。
もがくニアに満足するとかがみ込み唇を重ねた。すぐにニアの方から舌を絡めてくる。
口をふさがれたいだけだと判ってはいるが、月は気をよくしてニアの甘い舌を存分に味わった。
振動で抜けてしまわないように割り込ませた足でそれを押さえると、あいた片手で淫らにくねる細い身体を撫で上げる。
冷たく月を拒絶していた身体はうっすらと汗を纏って甘いにおいが立ち上り、規則的に身体の中を刺激して行く玩具に合わせニアの腰が
揺れていく。
「っ…ンッ、あ…や…め…!」
「いきそうかい?」
首を緩慢に振りかみ殺せない喘ぎ声が小さな口から漏れる。
返事ではないと判っていたが月は、支えたそれを徐々に引き抜いて行った。
「んっ…あっ…ああ…」
細腰が浮き上がり引かれるバイブを追いかけるように突き出される。
しかし月は、手にしたものを完全にニアの身体から取り去ってしまう。
体内から引き抜かれたものが糸を引き、卑猥な動きを止めずにシーツに転がった。
「あ…っ…」
132 :
Ln5:2008/08/15(金) 03:28:18 ID:dIgS39B5
行き場を失った快感にニアが困惑した視線を月に向けた。
荒い呼吸に上気した顔は陶然と潤み半ば閉じられた瞳がなまめかしい。
ニアは自分がどんな顔をしているのか気づいていないのだろう。月は自分の唾を飲み込む音がひどく大きく聞こえたように感じた。
「どうしたい?ネイト」
胸を忙しなく上下させるニアに身体を寄せ、そのピンク色に染まった熱い頬に自分の頬を重ねる。
顔を上げ微笑みを向けるとニアが掠れた声を出した。
「早く…」
紅く染まった唇が開き、収まらぬ呼吸と共に言葉が吐き出される。
「私の…目の前から消えてください…」
月は、波が引くように熱が冷めて行くのを感じ、ゆっくりと身体を起こすと静かに言った。
「…どうやらお気に召さないようだね」
「ええ…」
ニアは一度深く瞬き、まだ息も整わぬ顔を月に向け視線を合わす。
「私も一言よろしいでしょうか」
月の返事を待たずニアは継いだ。
「…あなたは最近、そんな道具を使い弄ぶだけで私を抱こうとしない…」
「いいえ、出来ないのでしょう…日々のストレスから機能障害にでも陥りましたか」
月の眼が細められ、低く絞り出すような声が部屋に這った。
「…ネイト、お前はまだ判っていないようだな」
指の背でニアの頬をひと撫ですると、身体を起こしまるで射殺すように彼女を見下ろした。
「予定通り君には僕の子供を産んで貰う。…もうしばらく楽しんでからね」
立ち上がると、磨かれたクローゼットの扉を鏡変わりに身なりを整えニアに向き直る。
「ひと仕事終えてからまたくるとしよう」
「しばらく反省するんだな…ネイト」
中途半端に追い上げられ、汚れた身体のまま繋がれているニアは、それでも月に刺す様な視線をよこした。
「…どうぞごゆっくり」
ニアの瞳が全く力を失わないことが月にとっては憎々しく、そして炎で焼かれるような激しい感情を覚える。
ニアの視線を真正面から受け、せめてと思い足の拘束具を外し、その身にシーツを掛けてやった。
君は僕の運命の女だ…
君にとっても僕がそうだと言うことを必ず理解させてみせる。
堪えるように瞼を閉じたニアに背を向けると月は、二人の隠れ家を後にした。
*1)そんなものはない
--------------------------------
神は繊細なのでEDになったようです。/(^o^)\
月らしい…!
まさか月相手が読めるとは思いませんでしたがその内容に脱帽。
まさにあなたが神だ。
繊細な神ワロタww
凄い重厚な文章で感激しました
月は素直じゃないな〜………
すごい!!
繊細な描写に圧倒された。上手すぐる。
まさか、まさか
大好物の月ニアが読めるとは思ってもみなかった……!!
ネ申に感謝します・・・!!
いきなりですが
某デスにょたノート物。ニア初期L。
女体化かよ!と言う方は飛ばして下さい
138 :
夜:2008/08/22(金) 20:54:50 ID:7tWY+npz
微かにシェービング・ローションの香りがした。
なぜだろうという疑念が湧いたが、彼女を抱きすくめきつく取り囲む体温と、無遠慮に唇に侵入しようとする舌に思考が阻まれた。
「んう……」
訴えるために苦しげに息を継ぐと男は少しだけ抱擁する腕を緩めた。
粘っこいキスの音で離れて見るとウォールランプに照らされた部屋の中、目の前には若くして死んだ筈の男の顔があった。
仕事上屋内にこもりきりのニアと比べるとその男は随分健康そうな顔色をしているように思われた。
「L」
散々なキスで濡れた唇から吐き出すように言うと彼はうねる黒髪の間から覗かせた目を細めくすりと笑った。
ニアの動悸が激しいのはキスのためだけではなかった。
彼は死んだはずであった。
「Lはあなたですよ」
L自身が囁いた。
彼女はそれを否定することも忘れた。
持てる力を出し惜しみするような声もぴったりと付き合わされた腹や脚から伝わる生者の生々しい感触も、
彼が生きた人間であると直感させたが、ニアには凡庸な返事を口にした。
「生きていたのですか」
「……まあ……ね。そういうことです」
ニアは腕を振りほどき次のキスに移ろうとするLの頬を思い切りつねった。
得体の知れぬものに対する無意識の脅えが腹立ちとなって胸に戻ってきたのだ。
「あとは譲ってしまって!悠々とバカンスですか?何をしにここへ?あなたは!」
頬や髪をひっ掴み矢継ぎ早に質問を浴びせる彼女の腕を拒むでも無く、彼は「痛いです」と不平をこぼした。
彼女は仕上げに軽くビンタを一発お見舞いすると大きく息を吸い込んで吐き出した。
渾身の力で放った手の平の痛みは本物だ。
「やはり、生きて居ますね」
大きな眼を覗き込むとLは満足そうに口角を上げた。
「納得しましたか?」
ぎゅ、と再度取り囲んだ腕に力が籠もる。
視界いっぱいに顔が近付くと、薄い瞼の皮膚の際から生える睫毛までがよく見えた。
ニアはキスしながら男の髪を指に巻き付けた。
白銀のニアの髪よりは硬くゆるやかにうねる黒髪は確かに一度会ったきりの初代Lのものだ。
唇を触れ合わせながら真っ黒い目と視線を交わすと指がうなじに回り、髪の根本を掻き回す。
がさがさと頭に響く音と粘る唇の立てる音がニアの判断をより危うくした。
Lは下唇から吸い付くように唇を離すと桜色に染まり始めた耳に柔らかく噛み付いた。
「っ……」
139 :
夜:2008/08/22(金) 20:55:56 ID:7tWY+npz
その瞬間血流が脚の間で男を求める甘い疼きに変わる。
身動きもままならず濡れ始めた体の中の反応に神経が向くのをLも察したようだ。
「耳が弱い?」
「あ、L。さっき、質問に……」
パジャマの下のなめらかな肌に触れ、ぎゅっと抱擁された瞬間白いソックスの踵が床から離れた。
束縛から逃れようとしていたニアはついで腰を引き寄せられバランスを崩す。
頭の後ろでばふんと音がして、ニアは易々とベッドに落とされてしまった。
独り寝には広過ぎるベッドの真新しいスプリングは軋みすら響かせず、カーテンを引いた寝室は壁の灯りだけで薄暗かったが、
見た目よりも高価な白いシャツやジーンズを着た長身の男を凝視するには足りる。
己の上に覆い被さったせいで見下すようになった目つきが憎らしくてニアは彼の喉に不健康に青白い指を巻き付けた。
「抱く気ですか、ファーストL」
「ええ何か問題でも?」
喋った男の血流が手の中で感じられた。
「どうせ途中で眠る気でしょう」
「期待には答えられそうにありませんが」
ニアの指の下で喉仏が動く。
薄笑いを浮かべ、Lはニアの肩口に顔を埋めた。
ニアの耳を這い回る男の息づかいは熱く、ニアの腰は勝手に動いてしまう。
Lは造作なくニアの膝の間に足を割り込ませた。
「え、る、なぜ来……」
「その話は後です」
小さな耳に囓りつき、キスの音を聞かせる為に反対の耳を覆う。
手慣れた前戯はこれまで接した男達とはまた違い、ニアもこのままで良いと考え始めていた。
引きちぎるように広げた襟から露わになった青白い肌に柔らかくキスを施され、ニアは息を止めてはふっと漏らし、
体を優しく這う掌と首筋から胸元に這う唇に体を弛緩させた。
Lの居た位置に立って数年が経過した。
人よりも遅い成長を終え、やっと伸びきった手足はひょろひょろと力無い。
その肉の薄い胸に無心に吸い付く男の髪を抱え込んだ。
「ん……ん。あ」
膚を嬲られて立ち上がった小さな赤い先端を甘噛みされニアは甘い声を上げた。
敏感な肌から受けた刺激は脚の付け根で甘く変化し、細い腰は勝手にくねり、ソックスを履いたままの足がシーツを蹴ってしわくちゃにする。
「や……いや」
拒絶の声は思ったよりも甲高く甘い。
男は舌での愛撫を止めなかった。
彼の着た白い服の縫い目の引きつる音がするほど強く掴んだ腕は簡単に組み伏せられて、露出した乳首を何度も、そして段々と強く舐め、吸われる内にニアは叫び出していた。
ニアの下半身は熱く、何かが熔け落ちるように感じられた。
ニアの体は愛撫に弱かった。
しかしそれはニア自身にも判別しがたい事であった。
極度に皮膚も弱く着る物は慎重に選定され、FBIから調達した部下と比べると筋力も無いに等しい。
警護は厳重であったが、最初に関わった事件からの部下は彼女の脆弱さを憂慮した。
彼らの運動不足にも程があり筋力を付けるべきだと言う忠告は聞き入れられることはなかった。
140 :
夜:2008/08/22(金) 20:57:03 ID:7tWY+npz
充血し固くなった赤い乳首に突き出した舌をねっとりと絡め、耐えきれず震えながら啼き出したニアに被さると唇に長い舌を滑り込ませる。
耳を塞いでくちゅくちゅと音を立てて舌を絡ませるとニアは軽く痙攣するように身を震わせた。
膝を割り込ませ密着させた腿を焦らすように動かすとニアの細い腰骨が敏感に反応する。
Lは荒い息を整えると、すっかりはだけたパジャマの最後のスナップホタンを外してまくり上げ、袖を抜かず万歳するように腕を上げさせた。
ベッドの上のニアは顔を桃色に染めて潤んだ目でぼんやりと彼を見返している。
首筋から胸元、やはり肉の薄い腹へと赤い斑点が淫らな徴となって散っている。
子細に観察するLにニアは、
「L、明かりを……」
「真っ暗に?嫌ですね」
もそもそと白いシャツを脱ぎながら言い返した。
裸は初めて見る、とニアはぼんやりと思っていた。
髭や体毛の薄さはアジア人の特徴を示しているようにも見え、うすく灼けた肌は歳の割には滑らかだ。
Lは明かりを恥じたニアの背に唇を当てた。
彼女の肌は青白く燐光を放つようにも見える。
火照りを唇に感じ強く吸い付くとニアが堪えきれず大きく息を吐いた。
柔らかく圧力を跳ね返す乳房は指先の刺激に敏感に反応し赤い先を卑猥に尖らせる。
大きな手の中にニアの乳房を収めると細いうなじから背中にかけて何度も口づけを施し、時折腕の中で跳ねる肩を抱きしめ抑えつけ、また乳房を吸う頃にはニアは目を閉じて小さな痙攣さえ起こしていた。
「ニア?」
「……見ないで」
暗がりに顔を向けたニアの肩を後ろから抱くと、腰のなだらかなカーブを探り、ずらしたパジャマの中の薄い茂みの奥に指を伸ばした。
喉の奥でひくんと声を発し硬直したニアを強く抱き締めると、濡れた局部に指先を進めて行く。
指先に触れるぬるぬるとした液体ははっきりとニアが男を欲している証拠だった。
ゆっくりと可愛らしい花びらに塗り込めるように指先を溝の前後に滑らせると、ニアは耐えきれない感触に膝を震わせ、その脚を大きく開いた。
「嫌、も……早く。」
枕に半分体を預けて彼女の身体を抱いたまま細すぎる肩の骨を甘く噛むLにニアは先を促すが、彼は愉しげに拒絶した。
「簡単過ぎてはいけません」
とろけきった入り口を指で焦らし、花弁を嬲る指の動きを早めるていくとニアの呼吸が早まり遂に絶頂に至る、
その寸前で指を止めてLはニアの体を抱きしめた。
「っあ、あぁ」
「ニア……」
細すぎる腰に腕を絡めると、全身から彼女の快楽の感触を感じ取る事が出来る。
ニアの体からぱっと吹き出す汗と緊張を感じながらLは焦らした事を謝るように青筋の浮いた首筋に口づけをした。
「んっ……ふ……ぅん」
足先でわだかまった下着とパジャマがふるっと震えて落ちた。
口づけに甘い息を吐いたニアの涙を男が舐め取ると、ニアはただ彼の名を呼んだ。
141 :
夜:2008/08/22(金) 20:59:27 ID:7tWY+npz
たかが数年前の事である。
心理カウンセラーだと紹介されたその男は白衣というにはカジュアルな衣装を身につけていた。
長身で痩躯、長めの黒い髪、やや飛び出し気味の眼球と不健康そうな肌をした男がラフなジーンズと白い長袖を着て裸足で床に立っていた。
季節柄ちょっと出かけてきた格好にしては薄着で裸足というのも奇妙であったが、ニアには不思議と彼は好ましい人物にも思えた。
しかし油断無く珍妙なカウンセラーを威嚇しつつ来客用の一人掛けソファーにいつも通り小さく丸まったニアを男はポケットに手を突っ込んだままで興味深そうに観察していた。
ロジャーとキルシュ氏は二人を引き合わせた事ですっかり満足してしまった様子で何事か雑談しつつ退室し、部屋には彼らの運び込んだ大量の洋菓子と来客用ティーセット、初対面の二人だけが取り残された。
ニアは髪を指に巻くと自称カウンセラーを凝視した。
「で、あなたは心理カウンセラーなんですか」
ニアの質問に“心理カウンセラー”は軽く笑うと目の前のケーキの山を崩し始めた。
患者への質問よりも食事を優先するカウンセラーをニアは初めて見る。
このようないい加減な雰囲気のカウンセラーなど居ないと確信を強めたニアに、
「なかなか。鋭い質問です。今日初仕事なんです。……心理カウンセラーは」
と彼は答えた。
もう少し直裁な嫌味を言っても良かったと思いながらニアはケーキの皿を遠ざけた。
彼女に用意された菓子よりは三倍量を目の前にしてカウンセラーに扮した筈の“L”はそれを目で追った。
彼の食い意地をケーキへの視線の強さに感じつつニアが、
「それ、あげますよ」
というと“L”は子供のように嬉しげに皿を取り、先に食べた幾つ目かの咀嚼物を急いで紅茶で喉に流し込んだ。
「それでですね。あなたの……んぐ……将来なんかを……聞いてもいいですかね」
彼は全く呑気そうに言うとニアの分のケーキを食し始める。
「将来?」
「ええ、お花屋さんとか……お嫁さんとか」
「……。」
ニアはこの先の会話の行方を案じて黙り込んでしまった。
甘い香りを放つ菓子を景気良く飲み下す彼を見守るニアに彼は美味であると示すようにわずかに微笑んで見せたりもした。
男は半ば以上食べ尽くした後で神妙な面持ちでフォークを置いた。
「しかしこれではいけませんね」
「どうしたんです?」
「やはり一つくらいは」
男は細長いわずかに節くれだった指でチーズケーキの皿を差し出した。
外の寒さのために青白かったらしい頬は今や血色が良く赤みが差していて、かえって目の下の青さが目立ってくっきりとしてきていた。
ニアは、どうも、ともありがとうともつかない声を口の中で発すると、ケーキを少し食べるフリをしながら男と他愛の無い話を始めた。
無難な天候の話から話が進み、先の戦争から世界的な犯罪の話に至る頃、ニアは二つのことに気付かされる事になった。
彼が見かけよりも聡明であることと、もうひとつ、血色の良さが菓子に含まれていたアルコール成分のせいだということだ。
数分後ニアは“L”の膝に乗せられていた。
彼の名前を当てるという賭に負けたのだ。
雑談のなかでニアの中の彼の評価は変化していた。
どちらかといえば好ましいから好ましい人物へ、そしてそれよりも二人には共通する何かがあるとも感じ取っていた。
「もう良いんじゃないですか」
「王様ゲームですよ」
きゅっと抱きしめる息にはアルコールの匂いは無い。
居心地の良さと悪さが入り交じる。
ニアはどうやったらケーキで酔っぱらえるのか問うと“L”は遺伝の講釈を垂れ始める。
彼は上機嫌であった。
142 :
夜:2008/08/22(金) 21:00:27 ID:7tWY+npz
ベッドの上でやっと挿入されたニアはくぐもった声で甘く啼いた。
体の芯が熱く緩み溶かされて、無意識に握った彼の腕に爪が食い込んだ。
「んっ。はや……早く」
「どうして、そう急かすんですか」
幾度か軽い絶頂を迎えた彼女の内部は程良く濡れて締まり、淫らに吸い付いた。
前後しながらゆっくりと内部に円を描くように襞を掻いて行くと、ニアは桃色に染まった頬を見せながら更にゆっくりとかぶりを振る。
白銀色の睫毛には生理的に漏れる涙が玉になり耳たぶに流れ落ちた。
くちゅっと合わさった部分から音が出、ニアは薄目を開けた。
「……っ、早く」
「ニア」
男は早く荒くなる呼吸を整えぬままにニアの膝を大きく広げ抱え上げた。
白すぎる肌のうち乳房の両端と、接合したそこだけが鮮やかな色をして、固く膨張しきった男の根をくわえこんでいる。
ニアは激しい律動にシーツを握っていた手を離し、倒れ込んできた男の体を強く抱え込んでいた。
止めようと思っても喉から動物じみた喘ぎ声が出て、止まらなかった。
しゃくり上げるニアに苛む動きが止まって、頭の後ろから包み込むように手が伸び暖かい掌が頬を包んだ。
「我慢しないで」
低い囁き声はひどく優しげで呪文のようにニアの頭に響く。
「う、ん……んっ」
やっと答えると、ずんと奥を開かれてニアの腰が浮いた。
抑制の堰を切ったように加えられる律動に、びりびりと身体が戦慄く。
彼がニアをこれ以上淫らに苛むつもりが無く、快楽の頂点を目指している事が感じ取れた。
「あ……あ、っめ……」
突き上がるものの律動が内部で狂おしく甘い衝撃になり、ニアの爪足は糸で釣られたように空に突っ張った。
「っ、は……ニア」
少し遅れてどくんという男の快感の感触がニアの全身を包み込んだ。
突き上げる動きを止め、男は熱い息を継ぎながらニアの首筋に顔を埋め、濡れた銀髪の横で何度も彼女の名を吐息混じりに囁いた。
抱きしめた人の重みと暖かさ、くしゃくしゃと柔らかい髪を撫でる音と呼び声が懐かしく響く。
誰かとこんな風にベッドを共にするのは久しぶりの事で、快楽の余韻のままにニアは眠りの底へとすぐに落ちて行った。
143 :
夜:2008/08/22(金) 21:05:49 ID:7tWY+npz
静かな部屋に鋭い電子音が流れ、切り忘れた携帯電話の着信音でニアは目を覚まされた。
「うん……」
気怠げに目を開け、首の下にあった腕を探すがベッドには彼の温みすら残っていなかった。
ニアはベッドの端まで脚を伸ばすと寝返りを打った。
夜が明け始め、カーテンの下から青い光が柔らかく漏れている。
「L……L?もういないのですか?」
小さく呼ぶが返事はなかった。
細い腕をついて半身起き上がると、腰の奥がぬめる感触がした。
体液の漏れ出す前に処置しようと拭き取るが何故か彼の残り香すら感じる事は出来なかった。
カーテンの外では白々と空が明るくなって行き、鳥が忙しく鳴き始める。
ニアは夜更かしをしたような体に重く残る疲労を感じながら、シャワーも浴びずにぼんやりとベッドに座り続けていた。
瞼を閉じ、静寂の満ちた部屋に誰かの気配が無いか感じ取ろうとしてみるが、
段々と強くなる外の光にかき消されるように昨夜の記憶は朧気になって行く。
「…………夢?」
キスの前にLを見た記憶が無い。
前夜は軽い疲労からすぐに寝入ってしまったが、途中で起きた記憶も無かった。
しかし頭の中の記憶は霞んでも体に受けた感触は生々しく思い起こすことが出来た。
ニアは白い頭を振るとのそのそとベッドから這い出し、カーテンを開けた。
しどけない様子でパジャマの上着だけ引っかけた裸身に目を射るばかりに澄んだ陽光が降り注ぎ、
今は夏のただ中であったと今更ながら思い出された。
「夢、ですか。やはり」
一人ごちるとニアは髪の先をいじりながら肌触りの良いビロードのカーテンにもたれかかった。
彼女は若い割に多くの知り合いを亡くしていたが、誰一人幽鬼となってニアを訪れる者など無かった。
酔っ払ってまだ幼い彼女に求婚した世界的探偵ですら今まで一度も現れはしなかった。
ニアに出されたはずの菓子を食い、Lはそれに含まれた微量の洋酒で酔った。
そして上機嫌になった勢いで十は若いニアに結婚を迫った。
後で考えると酔ったせいでよほど眠かったのだろうと思えるが、YESの一言を聞き出す頃には執拗だったLの声は小さくかすれ、
ニアを後ろから抱きしめたまま子守歌を歌うようにニアの体を優しく揺すった。
「あなたは……病める、時……も……」
彼は一人で婚礼の夢を呟きながらすっかり寝入ってしまった。
「L?」
ニアが小さく呟くと、彼は不愉快そうに眉を顰め何事か呟いた。
「ああ……ワタリ」
「そんなんじゃすぐ身元がバレますよ」
どういう力加減なのかニアの服をしっかりと掴んでしまった彼の呪縛から逃れようも無く身を預けると、
肌触りの良い布越しに体温と他人のにおいがする。
それは彼の使用しているシェービング・ローションか何かの香りだった。
昨夜感じたそれは幻か、無意識の描いた幻影だった。
144 :
夜:2008/08/22(金) 21:06:21 ID:7tWY+npz
カーテンに頬摺りしながらニアは過去の記憶を一つ一つ引き出しては仕舞って行った。
その後すぐ短時間の滞在の予定だったワタリが戻り二人は帰ってしまい、彼にその馬鹿馬鹿しい行いを問い質す事も、
それは数ある愚行の一つなのかも聞く暇は無かった。
彼にに抱かれた感触はどこか心地よすぎて思い出すのを止めてしまっていた。
「男でも作った方がいんですかね……」
青い色を放つ空を見ながら独りごち、ニアはずり落ちたパジャマの肩を引き上げた。
ふと足下を見ると先日あの香りに似ているという理由で部下から取り上げたシェービング・ローションが転がっている。
空調の空気に乗って香ってきたせいであんな淫夢を見たのだろう。
裸足で蹴り飛ばすとニアはよろけ、咄嗟にカーテンにしがみついた。
その時ふっと目の前をよぎった鮮やかな赤い色に一瞬腹がぎくりと凍った。
朝日に照らされた白い手の爪の先に目を凝らすとまだ乾き切らない赤い血がこびり付いている。
夢中でしがみついて情事の後にこんなふうに爪に血が付いていることがあった。
「……まさか……L?」
しかし自分の体を幾度確かめても彼女自身が自身を傷付けた痕跡は見つけることが出来なかった。
夜 終
_、_
( ,_ノ` ) n
 ̄ \ ( E) グッジョブ!!
フ /ヽ ヽ_//
あんた凄いなGJ
あ、いつもの人じゃないのか
避難所みたくなってるんだな
GJ!
むっつりLとおねだりニア(*´∀`)ー3
Lニアは近親相姦チックなエロさがあるな。
例の人のを読みだしてからもうニアは女にしか見えなくなった。
こないだのテレビもしかり。
>>138さんもGJ
ニアは誰が相手でもエロいな。
L、エロいな。GJ。
やつは本当にどっかで生きていそうだ。
それにしても大人ニアはエロいな。
L、悔しくて化けて出たのかw
GJ
152 :
名無しさん@ピンキー:2008/09/02(火) 06:31:21 ID:NI57PikP
ほす
1週間も立っていないのに何故ほするのか。
にょたノートが好きだからだろJK
こんなところまで変なのが来てるなあ
追い出されたわけじゃないけど、場所借ります。
せっかくエロ書いたからやっぱり落とすだけ落としてしまいたい。
旦那様と使用人。前後編の後編のみ。エロ八割。
ちゃぷんと湯がはねる。
青年の寝室には簡易な浴室が隣接されている。普段青年は一階の浴室を使うから、ここは滅多に使われない。
少女がこの浴室を使うのは二度目だった。一度目は言うまでもなく、あの時。
青年の許可を得て、少女は浴槽に香油を数適落とした。いつもなら安らぎを与えてくれる花の香りも、今はあまり効果がない。
そもそもなぜ少女が青年専用の浴室を使っているかというと、持ち主たる青年がそう命じたからに外ならない。
いわく「葛葉さんは私の恋人だから」だそうで、納得がいくようないかないような、どこか釈然としない理由だ。
それが終わったら、私の部屋へおいで――夕飯の片付けをしていた少女の耳朶に甘く囁き、青年は返事を待たずに去っていった。
青年の部屋へ足を踏み入れた少女を捕まえ、青年は少女をぎゅっと抱きしめた。部屋に呼ばれたからにはきっとそうなるだろうと思ってはいたけれど少女は躊躇い、せめて汗を流したいと青年に頼み、それならここを使えばいいと彼が提案した。
そうして、少女は一階にある浴室ではなく、寝室横の浴室を使うことになったのだ。
初めてではないのだし、彼はきっと優しい。わかってはいても、経験の浅い少女は肌を重ねるという行為に少しだけ臆する。
「葛葉さん」
いきなり聞こえてきた青年の声に驚き、少女は曇り硝子で出来た扉へ目をやった。はっきりとは見えないが人影がある。
「入ってもいい?」
心臓が口から飛び出すとはこういうことか。少女は驚きすぎてむせた。
「だ、だめですっ!」
なんということを要求するのだろう。信じられない思いで少女は硝子越しの青年を凝視した。
「ごめん、冗談」
くすくすと笑う声が聞こえ、少女はほっと安堵の息をついた。
「あなたの気持ちを確かめたいんだけれど、私は、あなたに無理を言ったかな。まだ、こういうのは早かった? 抱くのは、もう少し我慢した方がいい?」
青年の気遣いが嬉しくて、少女は胸がつまった。
「いいえ。私、大丈夫です。私も、あなたが欲しいから」
後半は消え入りそうな声になってしまい、青年に届いたかどうかはわからない。
じっと眺めていると、青年は硝子戸に背を預けて座り込んだ。
「少し、話をしていいかな」
「はい」
「ありがとう」
浴槽の縁に腕を添えて楽な姿勢をとると、ちゃぷんと湯が音を立てた。
「私は父の顔を知らないんだ」
青年は訥々と語り出す。
「ずっとこの屋敷で母と暮らしてきた。
同じ年頃の子供も周りにはいなかったし、父親というものがどういうものか理解する機会がなかった。だから、父親がいることの幸福も、いないことの不幸も私には知る術がなかったよ。逆も、ね。
でも、夫のない妻は不幸なんじゃないかと思ったんだ。母は、よく遠くを眺めていたから。父を思っていたんだと思う。
父に会うことがあったらきいてみたかったよ。母を一人にして、あなたは幸せかって。
母にもききたかった。共に在ることが出来ない男を愛して幸せでしたかって。
結局、私はどちらに問うこともできなかったから、きっと幸福ではなかったはずだと思うことに決めた」
青年の生い立ちは、少女も聞いたことがあった。そこらに溢れているとはいわないが、稀な話でもない。幸せとはいえない、一つの恋の結末。
「だから、私は誰も愛さずにいようと決めた。愛さなければ、不幸になんてならずにすむから」
幸せに見えなかった母のようになることを、この人は恐れていたのか。少女は思い至り、いてもたってもいられずに立ち上がった。
「でも、私は――――葛葉さん?」
青年が寄り掛かっているにも関わらず、少女は硝子戸を開けて、青年に抱き着いた。
「あなたが好きです。好き。一人になんかしませんから」
泣いているんじゃないかと思うと青年の顔を見ることができない。
「だから、恐がらないでください」
首に腕を回して、しっかりとしがみつく。少女に抱き着かれた勢いで倒れかけた青年は背後に手をついて転倒を免れていた。
「あの、葛葉さん」
裸の腰に手を添えられ、少女は顔をあげる。
「愛する喜びを教えてくれてありがとうと私は言いにきたんだけど」
戸惑うような青年の声を聞き、少女は我にかえる。
「え、あ……」
はやとちりして、とても恥ずかしいことをしてしまったような気がする。
少女は慌てて身体を離そうとし、そうしてしまうと青年にすべてを晒してしまうことに気付き、どうすることもできずに再びしがみついた。
「ありがとう」
少女をぎゅっと抱きしめながら青年は囁いた。
「あなたには、母のような思いはさせないから」
「旦那様……」
「私も、あなたを一人にはしないと約束するよ」
青年が少女の頬に手を添え、上を向かせる。そして、そっと唇を寄せた。
少女は逃げなかった。青年の唇が何度も啄むように触れ、それが徐々に熱を帯びたものに変わっていく。
舌が唇を這う。少女は以前教えられたように唇を開き、青年の舌を招きいれた。
熱をもった柔らかなそれが咥内を動き回る。不思議な感覚。けれど、嫌悪感はなかった。
背中を大きな手が撫でる。宥めるように優しいのに、その動きはどこか官能的でもある。
「ん……は、ぁ」
唇が離れ、少女は呼吸を深くする。青年はその隙に少女の肩に口づけてから、小柄な身体を軽々と抱き上げた。
「ここじゃ、だめだ」
譫言のような呟きに少女は頬を染める。
青年は迷いなく歩み、大きな寝台に少女を横たえた。
「あの、私、身体が濡れて」
「いいよ。どうせすぐに気にならなくなるから」
少女が寝台を濡らしてしまうことを気にかけてうろたえる間に青年はあっさりとシャツを脱ぎ捨てた。
均整のとれた体つきに、少女は思わず見入る。
「私の裸が気になる?」
少女の視線に気付いた青年が悪戯っぽく笑う。途端に不躾な視線を送っていた自身が恥ずかしくなって、少女は逃げるように寝台の端へ転がる。
そうするはずだった。しかし、実際には身動きがとれないよう覆いかぶさってきた青年のせいで少しも移動できていない。
「いいんだ。あなたが私に興味を持ってくれたなら、こんなに嬉しいことはないから」
ちゅっと軽やかな口づけが額に落ちる。
「触ってごらん」
腕を掴まれ、少女は青年の胸に手を添えさせられる。
「私も君に触れていいかい?」
問いかけておきながら答えを待たず、青年は少女に触れていた。
項から鎖骨にかけてを唇で辿り、小振りな乳房を包み込むようにして触れる。
「可愛い」
青年の肌が、唇が、触れた場所から火がともる。甘く肌を焼く熱は身体の心までを火照らせていく。
青年の指が乳首に触れる。頂を転がすようにして刺激され、少女は身体をびくつかせた。
「ひゃっ…あう、んっ、あっ、あ……」
唇は口づけとともにどんどん下へおりていき、片方の乳首を口に含んだ。舌先で転がされ、時にきつく吸われる。
与えられる刺激はすべて快感へと変換され、少女は慣れない感覚に悶えた。
「あっ、だめ……ん、ひゃあっ」
自分でもあまり色気のない声だと思うが、青年の行為に驚かされてはそれが声になる。
「気持ちいい?」
青年が唇を離し、楽しそうに尋ねる。
恥ずかしさもあったが、少女は素直に頷いた。
「じゃあ、もっと気持ち良くしてあげようか」
青年の舌はそのまま伝いおりていき、臍の周りをくるりと回る。そして、膝を割って太股に口づける。
「やっ、……あっ、んんっ」
そのまま青年は左足を掲げ、唇を這わせて踝に口づけた。
「君の身体はどこもかしこも可愛いね」
同じ道を下り、青年は足の付け根に吸い付き赤い印を残す。
あっと思った時には腰をすっかり固定されていた。
「待っ……あっ、ああっ」
ぬめった舌が思いもよらない場所を刺激する。
蜜を滴らせた花弁を、その奥の蜜壷を、青年は時に舐め、しゃぶり、吸い付き、少女は強い快楽に咽び泣く。
「ん、あ…ひ、あっ、あっ」
腰が逃げてしまいそうになるのに青年はそれを許さない。執拗な愛撫に頭はくらくらとし、気が付けば身体の力はすっかり抜けてしまっていた。
そうして青年の愛撫を心地いいとさえ覚え始めていた頃、彼は花弁だけではなく、小さく自己主張を始めていた芽にそっと舌で触れた。
「ああああっ」
思わず悲鳴が漏れる。けれど、青年はそれに構わず芽を剥き、強く吸い付いた。
全身を電流が駆け抜ける。
少女は声にならない声を上げ、足の先までをのけ反らせて身体を強張らせた。
生まれて初めての絶頂に、意識が朧でわけがわからなくなる。
「可愛い。まだ震えてるね。びくびくしてる」
身を起こし、青年は少女の目尻に浮かんだ涙を唇で吸い取った。
絶頂の余韻が醒めず、少女はぼんやりと緩慢に青年を仰ぎ見る。
ゆっくりと彼の唇が近づき、重なる。
まだ蜜の味を残した舌が念入りに絡められ、少女は自身の味を知らされる。朧げながらそれを悟り、少女は恥じらいを覚えたが身体は貪欲に青年を求め、拙いながらも自分から積極的に舌を絡めていく。
「痛くなったら言うんだよ」
青年の問いかけに少女は疑問をもった。こんなに気持ちいいのに、痛いことなんてあるはずがない。
再び足を広げられ、少女は本来なら秘すべき場所に青年の熱い眼差しを感じた。見られているのだと思うとたまらなく恥ずかしい。それなのに、意志に反して、そこからとぷりと蜜が溢れていくのを自分ではもう止めることが出来なかった。
「すごく濡れてる」
嬉しそうに呟き、青年は見るだけではなく動いた。
つぷと一本の指がさし入れられ、少女の中を埋めていく。
痛かったらという青年の言葉の意味を少女は悟った。経験は一度しかない。慣れない少女の身体は挿入に痛みを感じるかもしれないのだ。
しかし、少女の身体は指を難無く受け入れ、嬉しそうにきゅっと締め付ける。
「平気?」
表情の変化を一瞬足りとて見逃さないとばかりにうかがいながら、青年は少女に問いかける。
「あ…大丈夫、です」
すると指は動き出した。溢れる蜜を絡め、ちゅくちゅく濡れた音をさせる。
ぞくぞくと身体が震えた。
青年の指は浅く、入り口近くを刺激している。少女の身体は知らず揺れ、もっと奥に刺激が欲しいとばかりに指に強く吸い付いた。
「もう一本増やしてみようか」
青年の言葉は問いかけではなく、独り言のようだった。少女の返事は必要なく、次に行われる事実を告げるだけ。
案の定少女が何かを答える前に指は引き抜かれ、本数を増やされて再度中へと入れられる。
「んあっ、ふ……ああッ」
気持ちいい。少女の脳裏を埋め尽くすのはそればかり。
気が付けば指は二本から三本に増やされ、じゅぶじゅぶと音を立てながら出し入れされたり、中でばらばらに動いて少女を翻弄したりと忙しない。
「ああ、葛葉さん」
たまらないとばかりに吐息混じりに名を呼ばれ、噛み付くように唇を塞がれる。ねっとりとした口づけを交わし、青年は滴を伝わせながら唇を離した。
それと同時に指を引き抜き、少女の足の中央へ移動する。
両足を支えながら落ち着く場所を探り、青年は場にそぐわぬほど優しげな笑みを浮かべた。
「正直ね、私も余裕がないんだ。だって、あなたが初めてだったから」
谷間を沿うように、蜜をまぶしつけるように、そそり立つ肉棒が上下する。
「あなたと同じで、私もこれが二度目なんだ」
青年の言葉を理解しようとしていたのに、新しい刺激の気持ちよさに思考が負ける。
敏感になった芽を先端が擦り、幹の部分が入り口を刺激し、もっと欲しいと少女は無意識に腰を押し付ける。
「あっ、や…これ、あっ……」
「気持ちいいの?」
こくこくと少女は涙を浮かべて頷く。
少女のために青年は繰り返し擦りつけ、少女は愉悦に浸る。
しかし、それは長くは続かなかった。
「ごめん、葛葉さん」
呻くように断り、青年はその先端を蜜を滴らせる奥へと突き入れた。
質量を増した肉棒は、小柄な身体の少女に添えられるとまるで凶器のようであった。けれど、快感に溶けきった少女の身体はさしたる抵抗もなく飲み込んでいく。
ゆっくりと、慎重に押し進め、青年はついに少女の中へそのすべてを埋め込むことに成功した。
「大丈夫?」
動きを止め、汗で張り付いた髪を払ってやりながら青年は気遣わしげに少女の顔を覗きみる。
「大丈夫、です。痛くなくて……あの」
もっと欲しいくらいです。思いはしても、さすがにそこまでは口に出せず、少女は口ごもる。そして、言葉にできない代わりにきゅうっと青年の肉棒を締め付ける。
何かを堪えるように眉をよせ、青年は熱い息を吐いた。
「実はけっこう限界なんだ。なるべく優しくするよう努力するから」
それが理性の限界であったというように、青年は少女の太股を支えながら、肉棒を限界まで引き抜きゆっくりと突き入れる。
余裕がないという言葉を証明するよう、その動きは回を重ねるごとに強く荒々しくなっていった。
「あっ…あ、あっ、あっ、ああっ」
揺すられるままに不規則に途切れた喘ぎが少女の口から漏れた。
生理的にこぼれる涙はとめどなく溢れて頬を濡らし、少女は強すぎる快楽から逃れるようにシーツをきつく握りしめた。
ずんずんと奥を突く感覚に僅かに痛みを感じることもあった。しかし、その痛みすら今は気持ちいい。
もっと、もっと。はしたなく身体全部がそう訴えていた。
「もっと…あっ、だんな、さまぁ……もっと、突いてッ」
もはや理性はかけらも残されていなかった。あられもない少女の求めに呼応するよう、青年も獣の荒々しさで応える。
「葛葉、さん……だめだ、ごめん、一度」
唸るように口走り、青年は強く、強く肉棒を叩き込み、遠慮なく少女の胎内を蹂躙した。
背筋を駆け抜け、すべてを奪い去る射精感。身を震わせてそれに浸り、脱力して少女の上に倒れ込む。
「葛葉さん」
息も絶え絶えな少女の耳朶を噛み、青年はぞくぞくするほど艶めいた声で囁く。
「愛してるよ」
そうして、青年は再び身を起こし、少女の身体から一旦離れる。肉棒の引き抜かれた場所から白濁が後を追うように流れ出す。
肩を掴んで反転させ、俯せになった少女の腰を掴み、青年は彼女の背後に膝立ちになる。
「こうすると全部見えるね」
力が入らず抵抗できない少女は羞恥に全身を赤くすることしかできない。まるで犬のような格好をさせて、一体何をする気なんだろう。
答えはすぐに出た。
「次はあなたの番だよ」
青年が、萎えていなかった肉棒を突き入れてきたからだ。
先程とは違う角度での挿入。擦れる部分もまるで違う。
「ひっ…あっ、だめ、いいっ」
そして、肉棒は先程よりも深く少女の中を犯していく。
快感はすぐに少女の思考を奪った。恥ずかしかったはずの格好も関係ない。気持ちがよくて、頭がおかしくなりそうだ。
シーツを掴み、枕に顔を押し付け、少女は許容量を超える快楽を逃そうとするが成功しない。逃しても逃しても、それを上回る快感が後から後から追ってくるのだから。
いつしか少女は自分から腰を振って青年を求めていた。
「ああっ……や、だぁ、いいのっ…これ、すごっ……ふ、あ、ああっ、ひっ」
口の端からは唾液が漏れてシーツに染み込み、ひっきりなしに喘ぎがこぼれる。
青年は容赦なく少女を責めた。
覆いかぶさるようにして小振りな乳房をわしづかみ、乳首をきゅっと摘んだり、擦ったりして刺激する。
泣きながら喘ぐ少女が愛らしく、愛おしい。
「ふ、あっ……や、んんっ…あっ、いや」
不意に少女は今までにないほどに身体をばたつかせ始め、青年は難無くそれを押さえ付ける。力無い少女の抵抗など抵抗としての体さえ保てはしない。
「きちゃ…なんか、きちゃうのっ」
「うん、いいよ。いきなさい」
「あっ、だめぇ! ひぁっ……あっ、ああっ」
痛いくらいに締め付ける少女の内部を感じ、絶頂が近いことを青年は悟る。
自身をも高めるため、肉棒による責めはより強くその動きを増していく。
「ん…あ、ああああっ」
悲鳴を上げ、少女は全身を強張らせる。一拍おいて、青年もまた少女の中に白濁を注いだ。
胎内に温かいものが広がっていくのを感じながら、少女は緊張の解けた身体をぐったりと寝台に預けた。
崩れていきながら、少女は心地よい安らぎへと緩やかに落ちていくのだった。
ぱちりと目が開き、少女はぼやけた思考のまま辺りを見渡した。
そうしてすぐに隣に横たわる青年と目が合う。
「あ、あの」
なんだか気恥ずかしくて、思わず俯き、口ごもる。
「あれから一時間くらいたったかな。悪いとは思ったけど、あなたが寝ている間に後始末はすませたよ」
さすがにシーツまでは無理だったけどと青年は笑う。
その言葉で初めて、自分が意識を手放していたことに気づく。そして、あれだけの情交のわりに不快感のない身体にも意識が向いた。
他人に世話をされても世話をすることなどない立場の人なのに、意識のない自分の身体を拭ったりしたのだと思うと、少女は申し訳なさと恥ずかしさでいたたまれなくなる。
「すみません。旦那様に、そんな」
けれど、青年は手をのばしてくしゃくしゃと少女の頭を撫でる。
「いいんだ。新しい喜びを見つけたから」
「喜び、ですか?」
「そうだよ」
不思議そうな顔をした少女に青年は満面の笑みをみせる。
「愛する人の世話を焼くのは、今まで知らなかった喜びだ」
かあっと少女の頬が染まる。愛する人と青年は少女を呼んだのだ。
「あ、わた、私もっ……愛してます」
青年の顔が一瞬驚きを見せ、すぐさまそれは喜びに変わる。
「うん、ありがとう。私も愛してるよ、葛葉さん」
見つめ合い、微笑みを交わし、二人は睦まじい様子で口づけを交わしあった。
おわり
GJ!
GJすぐる!
ねちっこくかつ愛のある描写がすばらしい
気になっていた後篇が読めて幸せです。どうもありがとう。
一時はもう読めないかとショックだったけど、最後まで投下して下さって感謝です
あなたの繊細な文章は素晴らしい!
またどこかで読みたいな
よかった。投下する先見つけてくれたんですね。
よけいなことかもしれませんが、人のことながら心を痛めてました。
なんというか。
899 :名無しさん@ピンキー:2008/09/09(火) 00:03:46 ID:zoOWku2d
あちらで叩かれ始めたら、なんとまー、中の人が同じようなマンセーレスが連投
突き詰めると投下のひとの脳味噌とも繋がっていそうな…
別人装っても判るもんなんだな、という誤爆
900 :名無しさん@ピンキー:2008/09/09(火) 00:06:32 ID:8Ci+UmmD
普段あんなに人いないだろw
どっから湧いてきてGJしてんだ
やっぱ別々のほうがいいな、あれは
901 :名無しさん@ピンキー:2008/09/09(火) 00:11:16 ID:MxcAJd0X
おもたわw口調かエロw
902 :名無しさん@ピンキー:2008/09/09(火) 00:19:52 ID:SeVmA3jx
どどっと書いて居なくなったな。
長文言い訳といいプライド高いんだろうな。
899 :名無しさん@ピンキー:2008/09/09(火) 00:03:46 ID:zoOWku2d
あちらで叩かれ始めたら、なんとまー、中の人が同じようなマンセーレスが連投
突き詰めると投下のひとの脳味噌とも繋がっていそうな…
別人装っても判るもんなんだな、という誤爆
900 :名無しさん@ピンキー:2008/09/09(火) 00:06:32 ID:8Ci+UmmD
普段あんなに人いないだろw
どっから湧いてきてGJしてんだ
やっぱ別々のほうがいいな、あれは
901 :名無しさん@ピンキー:2008/09/09(火) 00:11:16 ID:MxcAJd0X
おもたわw口調かエロw
902 :名無しさん@ピンキー:2008/09/09(火) 00:19:52 ID:SeVmA3jx
どどっと書いて居なくなったな。
長文言い訳といいプライド高いんだろうな。
女の腐ったようなやつとはこのこと
>>164 あの、晴明くん誕生編とかはないんですかね?
「あの」とか言われてもついていけん
だれか
>>164の作品一覧と登場人物、スペック一覧でも書いてくれよ
よさげなら過去ログ漁るから
164は誤爆かわざと?だろ
これの前は男主人スレにあるよ。まだ落ちてない。
「いれるぞ……」
「ぁ、ああ、は、入ってる、ぶっといのが、入ってるゥゥッ! ああ、あ、ひぃッ!」
「おやおや、まだ先しか入れてないのにイッたのか?」
「は、はいッ。あ、アアア、オマ○コ、ああ、いいい……ああ、あああああああッ、すっご、ひぃ……」
「ほら、全部入れるぞ!」
ぐちゅっ! ぶちゅうううううッ!
「ひあああああッ、アアッ、すっごいぃ! 入ってきた、奥まで入ってきたぁッ! はあッ、ああ、ああああああッ」
「自分からケツを振っているな。気持ちいいのか、この淫乱ッ!」
「い、淫乱ですッ! わたしはぶっといチ○ポでよがる淫乱ですッ! ああ、あぁあああキモチいいぃーーーッ、ああああ、チ○ポ、チ○ポぉぉッ!」
「ほら、動かすぞッ」
ぐちゃッ、ぐちゅぅッ、ぎゅしゅッ、ズボッ!
「ああああッ、ああ、あ、あ、あ、ああアアアアッ、いい、イイッ、いいよぉ、おマ○コ感じるッ! イク、イキますゥッ!! ひぐっ、あひッ、あッ、アッ、イックゥゥゥゥッ!!」
「まだまだ。ほらッ、どうだ!」
「あひぃぃぃッ! ダメ、ダメ、あ、あ、あ、あ、あダメ、イッてる、いッてるのにひぃぃぃッ。ひああああああああッ、チ○ポ、奥までこすってるゥゥゥッ!!」
すまん。間違えたorz
ワロッシュ
>>167前編も容量オーバーになって投下できなくてめっちゃ途中やん
前編途中は気にならんの?本人?
粘着は他の場所でやってくれよ
ここ自体がゴミ箱スレだからいーんじゃね
むーん
184 :
MtN1:2008/09/24(水) 23:16:00 ID:AQ4sl8US
マット(20)×厚かましくもにょたとは微塵も思っていない性別は女のニア(19)
メロWINの続きのような感じ
-------
ミルクの海に浮かぶオートミールの陸地の間をスプーンが滑らかに渡ってゆく。
何度めかの航路を辿ったところで声を掛けられた。
「さっさと喰っちまえよニア」
顔を上げるとポータブルゲームへと一心に視線を注いでいたマットが肘をついてこちらを見ていた。
赤く染めた髪に端正な面差しがニアに向かい、涼しげな切れ長の目が細められる。
「あと少しじゃないか」
「…もう結構です」
「俺が作ってやったんだぞ」
暖めたミルクを皿に注いだだけだろう。
ニアは思ったが、口には出さない。
「だるい顔してるなよ」
マットはそんなニアを見て笑った。
2人は好き勝手にジャンクフードやスナックを食い散らかしていたが
何も言わないからと、味気の無い栄養食ばかり与えられるのは嫌がらせのような気もしてくる。
大体ベーコンもチーズも入っていない素のポリッジなど、とてもではないが食が進むものではない。
ニアは静かにスプーンを置くと手を組み合わせた。
「ごちそうさま」
言ってから、これがご馳走とは何という嫌みか、と少し愉快になる。
再び手元へ視線を戻すマットに、ニアは訊ねた。
「マット」
「なんだ?」
「メロはどこへ」
画面に目を落としたままマットが笑った。
「メロ、メロって」
「そんなつもりではありません」
ニアは自分の耳が熱くなるのを感じた。
顔を向けて欲しいときには上げない癖に、珍しいものでも目撃したかのようにこちらを見て笑うマットが憎たらしい。
「これからどうするのか気になっているだけです」
無遠慮な視線を嫌うようにニアはつい、と顔を背け、マットが薄く笑う。
「お前はそう言う細かいことは気にしないと思っていた」
「自分で把握している場合と、何も知らされずにいる状態では話が違います」
ふーん、とまるで興味のない様子のマットに多少の苛立ちを覚えニアはもう一度彼の名前を呼んだ。
「マット」
「ん」
もはや芳しい反応は期待をせずにニアは続ける。
「一つ策があります。三人の生命に関わる事です」
「何」
「私を一旦、戻して下さい」
「私が、あなた達がアメリカから出られるよう手筈を整えましょう」
マットは視線を伏せたまま口角を上げた。
「ニア、俺を籠絡できると思うなよ」
「まさか」
「提案しているのです。このままでは三人とも命を落としかねない」
全く以て軽い調子にマットは返してくる。
「メロが何とかするだろう」
「無責任な」
顔も上げず笑うマットにニアは言葉を次いだ。
「自らの命に関わる事を、他人任せでよいのですか」
「俺は首謀じゃない」
「あなたはいつもそうだ」
マットの手元から響く電子音に負けぬよう、普段よりも低く通る声で続ける。
185 :
MtN2:2008/09/24(水) 23:17:02 ID:AQ4sl8US
「競り合うだけの力が有るくせにそれをしようとしない」
「現在の位置に甘心し目立たぬように身を潜めている」
ちらりと視線を上げたマットを正面に見据えると、静かに言い放った。
「自分は要領が良いからと高を括って居るようですが、今回はそうもゆきませんよ」
再び顔を伏せたマットが歯を見せて音もなく笑う。
「出る杭は打たれるってね」
そこでいったん言葉を句切ると、マットはニアに向き直った。
「だが俺はそんな風に思っている訳じゃない」
「では?」
「メロは俺よりも、場数を踏んでいる。そして今、まさに目的を持って動いている」
もう一つ、とマットは指を立てて続けた。
「さっきのお前の案は通るはずがない」
「俺が今、勝手に他の道を探っておかなければいけない理由はないだろう?メロが相談してきたらちゃんと考えるさ」
そんな事は天地がひっくり返っても無いだろうけど、と笑うマットにニアは眉を顰めた。
「いいえあなたは遁辞を弄しているに過ぎない。ただの怠慢です」
「無駄な努力はしないようにしているだけだ」
しつこく詰め寄るニアに閉口し、マットは再びゲームへと視線を戻す。
「俺はメロの様に、常に全力でなんて生きられない」
「能力を持っていながら怠惰に身を浸している行為は醜い」
何を言っても一向に気にする様子のない彼に、ニアはこれでマットを怒らせることができればいいと考えた。
「だからあなたはいつまでもナンバー3なのです」
しかし期待した効果は得られなかった。
「おお怖い」
マットは顔も上げずに大げさに肩を竦める。
そんな彼を見て、ニアはゆっくりと息をつき背もたれに身体を預けた。
彼の性格は承知してはいたが、これ以上は無駄と悟ると共に思えばマットのこういう部分が、メロと上手くやってゆけている理由なのかも
しれないと考える。
失望感に苛まれ、やがて自らの髪を弄び始めるニアに言うともなく、唐突にマットは独りごちた。
「いつもそうだ?」
「?」
ゆるりと顔を上げたニアに、悪戯っぽく微笑みかける。
「さっき言っていただろう」
それはニアも判っていたが、何故そこなのか、という視線を受けてマットは続けた。
「俺の事も見ていたんだな」
「…」
「お前はメロにしか興味がないのかと思っていた」
相変わらず口元は笑っていたが、いつもと違った彼の纏う空気にニアは微かな戸惑いを覚える。
「…誤解です。ですが、」
「あなたも私になど興味は無いでしょう」
「いいや興味津々」
おどけるマットを見つめ一瞬だけ ためらったのち、ニアはずっと感じていた思いを口にした。
「あなたは私の事が好きではない」
小さく発せられた言葉にマットはただ黙ってニアを見つめ返す。
何も言わないマットにニアは小さな胸の痛みを感じると同時に、自分に誰からも好かれたい等という感情が存在していた事を初めて自覚した。
誰からもというのは正しくはない。
少なくとも自分が大切に思う人々には、好かれていたい、心の奥底ではそう求めていたのかもしれない。
表層意識には上った事のない、自分の中の真実に気づいたニアは、言葉もなくマットから目を逸らせる。
片肘を付いてニアを見ていたマットは、黙って席を立つと部屋に一つきりの小さな窓から外を窺い、色褪せたロールカーテンを下ろした。
窓から差し込んでいた光源が色あせしみの付いた布に遮られ、そのまだら模様のまま床へと淡い影を落とす。
「ニア」
床に揺れる光のしみを目で追っていたニアは声に顔を上げると、同時にこちらに向き直ったマットと目があった。
「やんない?」
何を、などと聞く程もう初心ではないが、マットの唐突な申し出にニアは、反射的に口から出た言葉に自ら驚くことになる。
186 :
MtN3:2008/09/24(水) 23:19:42 ID:AQ4sl8US
「メロが怒りますよ」
いつの間にか自分はメロの所有物になっている様な気分だったと気づく。自らの言葉にしばし唖然とするニアにマットは返した。
「少し不機嫌になるぐらいだろう」
ニアの様子を全く気にも留めずに傍らに移動すると、身体を引き寄せてソファーへ組み伏せた。
こうなると、いくら男性としては細いマットと言えどニアには押し返すことができない。
もはや抵抗は無駄なものとニアは、なるべく体力の消耗を抑える為に力を抜いた。
「大丈夫、大丈夫。俺はメロみたいに酷いことはしない」
険しい顔つきのニアにマットは微笑みかける。そう言う問題ではない、ニアは思ったがしがない虜囚の身ではどうすることも出来ない。
なるべく早く、終わらせてもらう事を願うしか術がなかった。
人によってキスが異なるという事をここに来てニアは知る事になる。
メロのキスはいつも、荒々しく全てを奪っていった。
自分が一旦、空になってからメロによって彼の全てが注ぎ込まれるような感覚に襲われる。
マットのキスは何も奪わない。甘く余韻を残し通り過ぎるだけだ。
じれったい舌の動きにニアは思わず自らそれを絡める。重ねた唇が口角を上げるのに気づいたが、もはやどうでもよかった。
シャツをたくし上げ、胸をまさぐる手に早くも自分の身体が潤んでくるのを感じ、一体どうしてしまったのかと困惑するが
赤く立ち上がった乳首を摘み取られ、そんな思考すら流されてゆく。
「は…」
リズミカルに乳頭を優しく揉まれて発生した感覚は、マットの腿に押しつけられた脚の間へと伝わり、そこが熱く疼いてくるのが判る。
わざとなのか焦らすような動きに、顔をずらして乳房へと吸いついたマットへと向かい突き出すように胸を反らせた。
小さな胸を寄せられてその頂点へ交互にキスを落とし、尖ったそこへ軽く歯を立てるマットへ堪えきれない呻きを漏らす。
「ン…う、」
思い出したように強張る身体は体裁のためというよりも、急激に熱を帯びて行く事に対し自身が怯えているようだった。
マットはおもむろにニアの両足をまとめて持ち上げると、ズボンと下着を一気に取り去ってしまう。
かすかな抵抗をものともせずに脚を割き、そこへ視線を落としてこういった。
「びしょ濡れだ」
不躾なセリフにニアが顔を顰める。
「1ヶ月前までバージンだったよな?」
「それともだ、れ、か、を想ってマスターベーションでもしてたか?」
わざとらしいイントネーションとにやけ顔に眼下の白い顔がますます表情を険しくさせた。
「くだらないことを言っていないで早く終わらせてください」
ニアはへたりそうになる意識を鼓舞しマットと目を合わせ吐き捨てる。明らかな敵意の視線を受けてマットはおもしろそうに返した。
「お前達は負けず嫌いだな。少しは怒るとか恥じらうとかしろよ、つまらないぜ」
「あなたを楽しませよう等という意識はありません」
「まあいい。勝手に楽しませて貰うから」
そう言うとマットは足を持ち上げニアの身体を二つに折った。
「ほら、持てよ」
「な…」
「早く終わらせたいんだろう?」
憤りも露わに押しつけられた腿を抱える。
「ええ。さっさと済ましてもらえますか」
羞恥と怒りで身体が震えてしまうのを必死に押さえ込みニアはもう一度言った。
最高に不機嫌な顔をしたニアに、ジーンズを脱ぎ捨てたマットが身体を重ねてくる。
折り畳んだ身体を上から押しつぶされてニアは息苦しさに顔をを歪め、上に乗る男を恨みがましく見つめた。
彼は片眼をつぶると素早く小さなキスを浚って、濡れた場所へとまだ、やや柔らかさの残るものを宛い力を込める。スキンも無く挿入しよう
とするマットに慌て、ニアは声を上げた。
「マット、待って」
「大丈夫外に出すし」
「止め…」
逃げを打つ身体を引き寄せられて、ぬるりと差し込まれたものにニアが呻く。
「あっ…うぅ、」
「ああ、凄くいい」
すべて納めたマットが上擦った声を上げる。
穿たれた芯を身体は歓迎し柔らかく包み込んで締め付け、
ニア自身も声が漏れるほどの性感が腰の奥から沸き上がり全身が甘く痺れていく。
187 :
MtN4:2008/09/24(水) 23:20:53 ID:AQ4sl8US
「…はぁう…ん」
ゆっくり仰け反るニアを宥めるよう暫く身体を重ねて優しいキスを繰り返していたマットは
目を閉じて眉根を寄せるニアに優しく声をかけた。
「取りあえずよくしてやるよ」
言うなり、股間を押しつけるように小さく動くそれにより貫かれた場所から擦れるたびにじわりと滲むような快感が広がる。
抱えていた脚はすでに手から離れ、布地が破け中のウレタンを覗かせる背もたれに力無く掛けられ
時折足の指が堪えるように丸められた。
「あ…っ、あっ」
数回の動きであっけなく身体を震わせたニアに顔を傾けて深く唇を重ねると、今度は大きく腰を動かして自らの快感を紡ぎ始める。
「う、んん…むっ」
ニアはふさがれた口で呻く。達したばかりで綿が詰まったような身体が疲労を訴え
のし掛かる身体を両手で押し返すが、力が全く入らなかった。
やがて引いた波が再び身体を浸食し始め、ニアは肉体の事以外何も考えられなくなってくる。
「キモチいい?ニア」
しがみついてくる細い身体を宥めるようにさすりながらマットが訊ねてくる。
「あっ…?」
最奥を突かれて戸惑った声を上げたニアは、目の前の骨の目立つ肩にすがりついた。
「あいつはガツガツやるだけだからなァ」
マットが笑いながら腰を回し絶妙な動きに翻弄されてニアは首を反らせて声を上げる。
「はぅっ…、ああ…」
知らずに咥えたものを締め付けてしまい、逆にニア自身も追いつめられていく。
経験も浅くまだ直接的な刺激しか知らなかった身体に奥からこみ上げるような深い快感が波のように次々に寄せて止まらない。小さな絶頂感
に肩に縋った指が爪を立て、マットが顔を顰める。
「こっちの躾は俺がしてやる」
身体の奥を男が突く度に小さな破裂を起こすようだった。身を捩り、普段の彼女からは想像つかないような蕩けた顔つきのニアを見下ろし、ふと思いついたようにマットは話し始める。
「これからどうなるか…なんて、誰にも判りはしない」
マットの下で、ニアが喉を鳴らして身体を反らせる。
「メロだってそうだ。俺たちはまだあの柵の向こうへ出られた訳じゃない」
成長が遅く、痩せすぎの彼女は女らしさに乏しく決して男の視線を集めるような身体をしてはいない。
久しぶりに再会したニアは、表情などもマットが知っている昔の彼女のままだった。
だが今自分の下で身体をくねらせているニアは女以外のなにものでもなく 、あれからずいぶん時が経ったのだと言うことを改めてマットに
感じさせる。
自分やメロにも同じ事が言えた。だが、変わらないものだってある。
「…お前は、俺がさぼっていると責めるけれど」
「ニア、お前もそうじゃないか」
もう聞こえていないと判っていたが、マットは腰を送りつつ続けた。
「お前は身の内を他人に見せようとしない」
滑る脚を抱え直して腰を強く押しつけると、快感が背骨をつたい股間が引き連つような痛みを訴えてくる。
締め付けうねる肉壁に終わりが近かった。
「はっ…キツ…」
一度大きく熱い息を付くとマットは話し続ける。
「…メロも、誰も気づいていないお前の中に灯る火を」
抱えた身体を二つに折って、ニアの耳元へ囁いた。
「俺は知っている」
圧迫感にニアが顔を顰めるが印象的なその黒い瞳を隠したまま、感じ入っているその様子に満足すると身体を起こし再び緩慢に腰を動かした。
「何故だか判るか?」
マットは込み上げる射精感を堪えるように一瞬天井を仰ぐと、再び身体を動かし始める。
「俺達が、似たもの同士だからだ」
こぼれた言葉が汗と一緒に落ちて、纏わせたままの白いシャツに沁みていった。
すると死んだように揺すられるままだったニアが、気怠げに瞼を上げ、
焦点を失っていた瞳はやがてマットを映す。
現れた漆黒にマットが嬉しそうに笑みを浮かべた。
「ニア」
「…い…しょに、しな…でください…」
「聞いているのか」
汗で額に張り付くニアの猫っ毛をよけて、マットはそこへキスを落とす。
ニアが嫌がるようにかぶりを振り、その様子にまた笑った。
188 :
MtN5:2008/09/24(水) 23:23:45 ID:AQ4sl8US
「俺たちは少し似てる」
マットは繰り返した。
「少し似ていて全く違う」
「あいつに惹かれる気持ちもわかってる」
膝で立ち上がると、軽いニアの腰も持ち上げて、上から激しく抽送を繰り返す。
叩きつけられるような動きに再び頂点が近づいてくる。
「う、ああ、だめ」
休む暇も与えられず苦しいだけの快感にニアが背をたわませて喘いだ。
「はっ、あぁ、くそっ…」
「っ…マ、ト」
ソファーが上で暴れる二人の動きに敷布を引きつらせて位置を変えて行く。
「はぁっ…、ニア、出るっ…」
「や…あ、ああっ」
切迫した激しい腰の動きのあと、短い声と共にニアから抜くと自らを扱き、白く粘るものをピンクに染まった腹の上に数回飛ばした。
「うっ、…あぁ」
「ああ、マット…」
「は…はぁ…」
マットは大きく息をつくと、ソファーの横にへたり込み、芯のない人形のようにくたりと背を預けた。
「…」
ニアが息も整わぬまま横を向くとソファに寄りかかり首を仰向かせたマットの碧い眼が見える。その瞳がニアに笑いかけた。
「気持ちよかった」
好き勝手やられたあげくに身体を汚されてニアは泣きたいような怒りたいような気分だったが
屈託のない笑顔を向けられてそんな気も失せてしまう。
しかしそのまま赦してしまうのも癪なので、ニアは慨然としたままに言った。
「拭いてください」
「ん?」
「自分で拭けるだろ」
「汚い…」
「はは」
笑いながらマットは、側にあったボックスからペーパーを2,3枚抜き、高い位置からひらひらとニアの身体の上に落とした。
それから腰掛けるとシーソーの様に身体を揺らしてスリムジーンズを上げ、煙草を求めてニアから離れていく。
仕方なくニアは、マットの放ったものを紙で拭い、それをどこへ捨てようかと思案する。
マットへ視線を向けると彼はトラッシュを指さしこう言った。
「メロには黙っていよう」
「気付きますよ」
まるで浮気の共謀犯のような気分だった。しかし胸の奥に残る澱は、何故だかそれほど悪いものではない。
のろのろと身を繕うと、ニアはソファーの上で膝を抱える。
「じゃ、スキン付けなかったのだけ内緒に」
きっと怒りが向けられるのは私の方なのだ。ニアは運命に屈伏する殉教者の様な心境で諦めをつけた。
ニアの溜息には構わずに、マットはシェードを上げて窓枠に手を掛ける。
建て付けの悪い安アパートの窓はなかなか開けることができずに、苦労して押し上げると、屈み込みそこから頭をくぐらせた。
窓が落ちてくればいい、とニアは願ったが、それは叶わず乾いた風が部屋に流れこみ澱んでいた空気を攪拌してゆく。
「マット」
「なんだ?」
「もう二度とこんな事はやめてください」
本当は、そうは思っていない自分の為にもニアは念を押すように言った。
マットは笑って新しい煙草に火をつけると窓枠に腰掛け、食卓に座り直すニアを見た。
ニアは残っていたオートミールの皿を引き寄せると、再び、食べるともなく皿のミルクをスプーンでかき回し始める。
紫煙をくゆらせて そんなニアをぼんやりと眺めていたマットは、思いだしたように言った。
「さっきの話だけどさ」
「俺、ニアのこと好きだよ」
子供の様なその言葉にニアは一瞬動作を止めた後、彼に見えないよう小さく微笑を浮かべた。
------------------
>>149 思い通り!(月
おお、久しぶりに神が来てるな!
相変わらずエロくて好きだ
マットって誰だっけとぐぐってしまったよ
あんな奴いたなそういえば
良いな。追い出されたのも何となく分かるが逆に俺はこうして知る事が出来て良かったよ。GJ!
このメロ勝利シリーズ好きだな
続き期待
>>188 出来ればメロにバレて一心に怒りをぶつけられるニアも読みたいです
193 :
名無しさん@ピンキー:2008/09/28(日) 20:08:36 ID:YCqEeMQr
話切る様で悪いですが、
このスレのPART1の過去ログとかもっていらしたらうpしてくれませんか?
>>193つ tp://turine.homeip.net/upload/upload.php?dwn=37723
今はデスノートに乗っ取られているが普通に良スレだった。
うpスレとは方向性がちょっと違うし、これで終わっちゃうなんてもったいない感じがするね。
最近目を開けたまま寝言を言う奴が多くて困る
196 :
名無しさん@ピンキー:2008/09/28(日) 23:21:57 ID:YCqEeMQr
197 :
名無しさん@ピンキー:2008/09/28(日) 23:28:19 ID:YCqEeMQr
>>193 すいませんミスりました
あげてくれて悪いんですが、どのファイルでパスワード何ですかね?
199 :
名無しさん@ピンキー:2008/09/29(月) 16:50:42 ID:G//WgWMe
>>198 パスどうり打ったんですが、ならないのはもう消えたのでしょうか?
まだ有るみたいだけど
メール欄にsageっていれてくれ