467 :
お神酒徳利:2008/04/25(金) 22:04:32 ID:8h3rgWXj
「ありがとう」
「……ん?」
「あなたの勘違いなんかじゃないわ。私は、あなたの事を愛しているし、あなたは私の事を愛してくれている。私たちって、本当に幸せ者だわ。子供たちはすくすく育って、一人前の大人になろうとしている。これ以上の幸せが、果たしてあるかしら?」
「さあ、私には分からない。だが、私たちの愛が昔から続いているということは、確認できたよ」
「ふふ。あなたったら……」
全く、ただおの言うとおりだった。二人は、倦怠期などを知らない、模範的な中年夫婦だった。それは、子宝にも恵まれたことが証明してくれるだろう。
今でこそ、落ち着いた雰囲気の二人だが、昔はやはり若く、一日に何回も情を交わしたものだった。特に、いつもは穏やかなただおが唯一、強気になる瞬間であり、みきはそのギャップも楽しんでいた。二人の緊密な関係は、お神酒徳利の名にふさわしいものだった。
ただおは、そのことをも回想する。みきの身体は若く、実に魅力的だった。そしてそれを独り占めしているという、支配的な喜びと相まって、二人の性生活は激しいもので、点火した男の欲望に対し、みきは全面的な協力をもって応対していたのだ。
最後に情を交わしたのはいつであろうか、とただおは考える。今でも枕を並べて寝てはいるが、その回数は激減していた。
しかし、精神的なつながりは、ちっとも希薄ではなかった。恐らく、互いを求め合わなくとも、二人の心は通じ合っており、それで満足しているからだろうと、ただおは考えていた。
「……ねえ」
みきは、あたりをはばかるような小声で、言った。実際は、はばかる必要は無いほど、あたりは静穏であったが。
「ん?」
「何か、いやらしいことを考えていたでしょう。あなたがいやらしいことを考えているときは、いつもその目をしているわ」
それを聞き、ただおは慌てて顔をそらす。その動きのおかしさに、みきはまた吹き出した。
「……やっぱり、みきには敵わないよ。本当に、素晴らしいよ。私なんかの妻で、実に勿体無い」
「何を言うのよ。あなたこそ、私なんかの夫で実に勿体無いと思うわ。もっと、自分を高く評価したほうがいいわよ?」
「はは……。そういうところが敵わないんだよ……」
そして、二人は双方のおかしさに、笑いあった。
その後も、二人の会話はずっと続いた。時が過ぎるのを忘れた二人は、子供の高校卒業直前という時期とも相まって、話題が尽きることは無かった。
468 :
お神酒徳利:2008/04/25(金) 22:05:02 ID:8h3rgWXj
「……今は何時かな?」
長い時間が経ってから、ただおは、ちらりと壁の時計を見やった。時刻は、既に午前一時半に近かった。
「……私はそろそろ寝ようと思うんだが、ちっとも眠気が無い。みきはどうだ?」
「私も全然ないのよ。目が冴えちゃって……困っちゃうわね」
「ならば、私に名案があるんだ」
「眠気が出る方法の?」
「その通り。ただ、この方法を実行するに当たっては、細心の注意を払う必要があるんだよ。まず聞くが、今は疲れていないか?」
「いいえ、疲れていないわよ」
このとき、みきはまだ質問の意図が良く分からなかった。
「もう一問質問しよう。今から、少し騒いでも子供たちは起きないかな?」
ここまできて、みきは、ただおの言わんとすることがようやく分かった。
こんな機会は、今では、非常に稀である。そして、ただおがそれを望むなら、こちらも誠意ある対応をしなければならない、とみきは思った。
みきは艶やかに笑い、
「勿論よ」
といった。夫を魅了するような笑いだった。
そして、みきは、内心、これを喜んでいた。それを見抜いたただおは、やはり、若干、欲求不満であったのかもしれない、と、思った。勝手な推測だから、真実は問わないことにしたが。
ただおは、しばしみきの顔に見とれてから、頭を振ると、
「では、行こうか」
言いながら立ち上がり、みきを寝室にいざなった。
みきも立ち上がって、
「ええ。……何ヶ月かあとに、兄弟が出来るといったら、子供たちは喜ぶかしら?」
「さあ、どうだろう。そもそも、出来るかどうかさえわからないけどね」
ただおはそう言って、柔和な笑顔を返した。みきも笑顔を返す。二人の心が、間違いなく通じ合っているということは、誰が見ても明らかであろう。
その後、二人の姿は、寝室へと消え、その夜、寝室の電気が消されることはなく、その夜のお神酒徳利は、まるで自らに入れられた酒に酔うように、乱れていたという。
469 :
36-273:2008/04/25(金) 22:08:31 ID:8h3rgWXj
私は、生まれつきマイナーなキャラを好きになる性質なのか、しばしばマイナーなキャラを好きになる傾向があります。
柊夫妻も私の好きなキャラの一つに挙げられるのですが、恐らく私と同じような人はそうそういないかと思います。
それでも、この二人はどうしても書いてみたかったのです。やはり、子供の数からして、昔はお盛んであったのだろうと思いまして……。
最後、エロまで持ち込めなかったのは、私の力不足です。申し訳ありません。
エロはどうしても苦手でして、現在、練習中なのですが……十分に精進を重ねてから挑戦してみようと思います。
それに後から見ると、捏造設定ばかりですね。すみません。
私としては、ただおさんが唯一、神事と関係ない名前だということから、婿養子だと思ったのですが、本当はどうなのでしょう…?
話は変わりますが、昨日の
>>377は保管庫に保管したほうがよろしいのでしょうか。
こんなに短いわけですから、保管していいのかと迷いまして。皆さんのご意見をお聞きしたく存じます。
それでは、今日はこのあたりで。次回は、
>>377の続編と共にお会いできればうれしいなと思います。
>>468 GJ ! 柊夫妻のSSは少ないから新鮮だった
ここはエロパロ板だけど、気にせず自分の好きな作風で書いてくれ
GJです
婿入りする(神主になる)ために神道文化学部で勉強するただおさん……
想像してみると真面目そうなただおさんならありえそうな気がしてきますね
>>377の件については、「小ネタ枠で保管してもらう」という選択肢もありじゃないでしょうか
>>450 心優しい姉妹の話にGJ!
ゆーちゃんは強い子だよねっ
>>469 GJ!
みきさんとただおさんの雰囲気が、とっても良かったです
いい話が続いてる中に、投下するのもためらわれますが
よろしければ、5分ほど後より投下したいと思います
>>469 GJ!
こうゆう展開の話なら、無理にエロに持ち込むことはないかと。
それでも二人の情事が気になってしまうのは男の性ですがw
あとは、おまけみたいな感じで、
いのり「全く」
まつり「お父さんたちも」
かがみ「まだまだ」
つかさ「若いよねー」
とかw
475 :
28-538:2008/04/25(金) 23:23:08 ID:yeGpgK7b
最近、思考が変な方向にばっかり飛んでる28-538です
進歩のない文章で申し訳ないですが、投下させてもらいます
タイトルは ”本当は、甘えん坊?”
こなた&かがみ
7レス
ちょいエロあり?
「ね、かがみ。ぎゅってしてー」
そう言いながら、私はかがみの胸に顔をうずめる。
かがみに包まれる気がして落ち着くから。
それに、素肌で感じる温かさが心地いい。
「もう、本当にこなたは甘えん坊よね」
やれやれ、といった感じで言いながらも、かがみは抱きしめてくれる。
「そうだよー。私は甘えん坊さんなんだよ」
顔をちょっとかがみに向けた後、私は赤ちゃんのようにおっぱいに吸い付いた。
私はお母さんに甘えたことが無い。
だから、全てを包んでくれる、優しいかがみに甘えるんだと思う。
「ちょっ、やめっ。今日はもう駄目だって」
「むぅ。じゃあさ、一緒にお風呂に入ろう。汗いっぱいかいちゃったし」
「そうね。でも、もうちょっとこのままでいたいかな」
かがみは、私を抱きしめる力をちょっとだけ強くした。
私も、かがみをしっかりと抱きしめる。
「あのさ、かがみ……」
「なに」
「かがみも私に甘えて良いんだよ?」
かがみは、しっかりとしたお姉ちゃんでいようと頑張っていた、って言ってたよね。
だから、誰かに甘えることが無かったんじゃないか。
私と同じで、誰かに甘えたいんじゃないかな。
「なっ、なによ。いきなり…… あれ、どうしてだろ……」
顔を上げると、かがみが泣いていた。
「か、かがみ。私なんか悪いこと言った? ごめんね」
「あんたは悪く無いわよ。自分でも、なんで泣いてるのかわかんない」
私は体を動かし、かがみの頭を胸に抱きしめた。
そして、かがみの頭を優しく撫でる。
「泣きたいときは、私が胸貸したげるよ。あんまり無いけどね」
「ば、ばかっ」
かがみは、しばらく私の胸で泣き続けたあと、眠りについた。
「ねぇねぇってば〜」
体を揺すられ目を覚ますと、窓から差し込む朝日が目にしみる。
ところで、かがみってこんな喋りかたしたっけ?
「おはよー、かがみ。相変わらず早起きだねー」
上半身を起こし、腕を突き上げ背中を伸ばす。
声のした方に目を向けると、かがみが裸のまま立っていた。
そっか。昨日、あのまま眠っちゃったんだっけ。
とりあえず、シャワー浴びてから――
「お姉ちゃん誰?ここどこ?」
えと、空耳かな。
まだ寝ぼけてるみたいだね、私。
「かがみ、シャワー浴びよっか」
そうすれば、目もちゃんと覚めるよね。
「なんで私の名前知ってるの?」
あー、さっきのは空耳じゃなかったんだ。
それにしても、かがみったら冗談にも程があるよ。
「ちょっと、かがみー。いいかげ――」
「う……」
う?
「うぁーーん。おうちかえるーっ」
えっ?えっ?どうなってんの?
目の前のかがみは、間違いなく昨日一夜をともにしたかがみだよ。
で、そのかがみが裸で…… と、これはどうでも良いか。
いや、だから、本当の子供みたいに泣き出しちゃったよ。
お、落ち着け、私。
まずは、泣いているかがみを何とかなだめよう。
でないと近所の人に、お父さんが白い目で見られるようになるっ。
「えと、かがみちゃん? お姉ちゃんは、こなただよ。泉こなた」
こんなとき、どんな表情したら良いんだろう。
笑えば良いと思うよ……
うん、ベタだけどそうだよね。
笑顔笑顔っ。
「ぅぇ、ひっく。こなた、お姉ちゃん?」
とりあえず、返事してくれたよ。
さて、どうしたもんかねー。
「そうだよ。そして、ここは私の家」
「どうして、私ここにいるの?」
小首をかしげるかがみの仕草は、本当に小さな女の子みたいだよ。
正直、可愛すぎる。
「うんとね。かがみちゃんは昨日から家にお泊りに来てたんだよ」
「ん〜、そうだっけ。ね、つかさは〜」
「そっ、それよりさ。お風呂入ろう、お風呂。いつまでも裸でいると風邪引いちゃうぞー」
ごまかせるのか、こんなことで……
今の―― 高校生のかがみなら「な〜にごまかしてんのよっ」とか言われそうだけど……
「うん、はいるーっ」
はぁぁ、よかった。
少しは時間が稼げるな。
お風呂に入る前にみゆきさんに電話して、家に来てもらおう。
どう見ても、かがみがふざけてるようにも見えないし。
みゆきさんなら、きっと何か分かるよね。
「それじゃ、頭洗うよー」
「う…… うん」
あれ。かがみ、どうしたのかな。
なんだか緊張してるみたいだけど。
「どうしたのかな。かがみちゃん」
「あのね、シャンプーハットつけて欲しいの」
最後は、消え入りそうなくらい小さな声だ。
顔も赤くなってるし、恥ずかしいと思ってるのかなぁ。
「おけおけ」
お父さんが使うから、普通においてあるんだよね。
なんか、そのことの方が恥ずかしい気がする。
頭を洗い始めると、かがみがなんか歌いだした。
どっかで聞いたことあるような気がする。
えーと、いつだっけ…… そうだ、みんなで始めてカラオケ行ったときだよ。
確か「I'm proud」とかいう歌だよね。
「かがみちゃん。その歌好きなの?」
「うんっ、大好きっ。泣きたくなったりしても、この歌、歌うと元気が出るの」
「今、泣きたいの?」
「ううん、楽しいよ。でも、何でか歌いたくなったの」
そう言うと、かがみはまた歌いだした。
だけど、どうしてこんなことになったんだろう。
心が子供に戻っちゃってるんだよね?
なんて言うんだっけ、こういうの。
かがみの体を洗い終えて、自分の体を洗ってるときまで考えてたけど、結局分からなかった。
「あーっ!」
「こなたお姉ちゃん、どうしたの」
突然声を上げた私に驚いて、かがみは心配したような表情で声を掛けてきた。
「な、なんでもないよ。もうちょっとで洗い終わるからね」
しまったー…… かがみの体洗わせてもらったこと無かったんだよ。
貴重な体験だったのに、考え事してたから全然覚えてない。
泉こなた、一生の不覚だ。
体を洗い終わると、湯船に浸かっていたかがみが足をまげて、背中側を大きく開けた。
これは、かがみの後ろに私が入れってことかな。
私のほうが小っちゃいから、本当はかがみが後ろの方が楽なんだけどね。
「お邪魔しまーす」
私が後ろに入ると、かがみは私の太もも辺りに座ってきた。
かがみの体重を感じていると、自然と笑みがこぼれる。
手を回して、おなかの辺りを抱いてあげる。
身長差があって、上からは抱けなかったんだよ。
「えへへー」
そうすると、かがみは嬉しそうに笑った。
「かがみちゃん、どうしたの」
その笑顔が、すごく嬉しそうなのが気になって、私はかがみに聞いてみた。
「うん。いっつもね、私が後ろだから、前に座ってみたかったんだー」
そっか。つかさと一緒に入ると、がかがみが後ろだったんだね。
やっぱり、かがみも誰かに甘えたかったのかな。
お風呂から上がって、かがみの髪を乾かしてあげると、自分で器用にツインテールを作ってた。
今は、着替えも終わって私を待っている。
私が髪を乾かし終えると、かがみがとてとてと近付いてきた。
「こなたお姉ちゃん、ちょっといいかな」
そう言って、私の髪にリボンを結ぶ。
かがみは手馴れた手つきで、私の髪をツインテールにしてしまった。
「お揃いだよっ」
かがみの笑顔がすごく嬉しそうだから、今日はこのままの髪型でいよう。
それに、今のかがみにはそれが必要な気もするしね。
「ありがとう、かがみちゃん」
私もとびっきりの笑顔を返してあげた。
「くぅ〜〜っ」
その時、かがみのお腹から可愛い音がした。
かがみは顔を真っ赤にして、お腹を押さえる。
「お腹すいたね。何が食べたい?」
「うんと、スパゲッティミートソース」
えーっと、ミートソースは缶詰があったはずだから。
うん、大丈夫。
「よーっし。それじゃあ、スパゲッティにしよう」
「やったーっ」
ちょっと遅めの朝ごはんを食べた後、部屋でゲームをしていると呼び鈴が鳴らされた。
「はーい。今出ますよー」
かがみを残して玄関に向かう。
扉を開けると、待ち焦がれていたみゆきさんの姿があった。
「こんにちは。泉さん」
「やふー、待ってたよー。大体は電話で話した通りなんだけどさ」
「ええ。おそらくは幼児後退ではないかと」
「で、どうやったら元に戻るの?」
「あの、泉さん……」
みゆきさんの視線は、私の後方へと向けられている。
その視線を追っていくと、かがみが部屋から顔だけを覗かせていた。
「ま、ここで立ち話もなんだから、部屋に行こっか」
部屋に入ると、お互いの自己紹介。
朝、私のことを分からなかったみたいだから、みゆきさんのことも分からないだろうしね。
「かがみちゃん。私の友達のみゆきさん」
「こんにちは、かがみさん」
「こ、こんにちは」
かがみは恥ずかしそうに、みゆきさんに挨拶を返した。
「かがみさんは、今何歳なのですか?」
「8歳。小学2年生」
あ、そっか。年齢聞けばよかったんだよね。
さっすが、みゆきさんだね。
今、かがみは躊躇なく返事したよね。
ってことは、やっぱり心が若返ってるのか。
「ね、かがみちゃん。ちょっとみゆきさんと話してきていいかな」
「うん……」
寂しそうな表情を一瞬見せたけど、かがみはすぐに笑顔になった。
この頃から、我慢することを覚えてたんだ。
なんか気が引けるけど、かがみの前で話すことじゃないもんね。
「すぐ戻るからねー」
リビングに移動して、みゆきさんに事の成り行きを説明した。
電話では、かがみの様子だけしか伝えてなかったからね。
「そうですね。やっぱり幼児後退だと思います」
「さっきも言ってたけど、なんなのそれ」
「見ての通り、精神が幼児期に戻ることですよ」
「で、どうやったら元に戻るのかな。みゆきさん」
今のかがみも可愛くて良いんだけど、さすがにこのままって訳にはいかないよ。
「泉さんの話を聞く限り、小さい頃に人に甘えていないことが原因ではないかと思います――」
みゆきさんの話では、幼児後退は過度のストレスなんかで起こる。
他には、小さい頃にできなかったことを体験しようとして、起こることもあるらしい。
かがみの場合は後者ではないか。
きっかけは、私が「甘えてもいい」と言ったことじゃないか、とのことだ。
「ってことは、思いっきり甘えさせてやれば、元に戻るってことでいいのかな」
「確証はありませんが、おそらくは。病院に行って診て貰う方が良いと思うんですが」
「うん。夕方まで私がやってみるよ。で、駄目だったらかがみの家に連絡する……」
本当はすぐにでも連絡した方が良いんだろうけど、私の言葉が原因なら、私が治してあげたい。
それに、かがみも他の人に、こんな状態を見られたく無いだろうし。
「そうですか。それでは、私は失礼しますね」
「うん。ありがとう、みゆきさん。それと、このことは内緒にしといてね」
「ええ、心得てますよ」
みゆきさんを見送ってから部屋に戻ると、かがみはゲームをやっていた。
だけど、楽しんでる感じじゃないね。
「おまたせ。ごめんね、かがみちゃん」
声を掛けると、かがみはゲームを放り出し、私に抱きついてきた。
瞳がわずかに潤んでいる。
「ごめんね、寂しい思いさせちゃって」
かがみを抱きしめ、頭を優しく撫でてやる。
かがみは、ずっと我慢してたのかな。
誰かに甘える姿を見られないように。
しっかりしたお姉ちゃんである為に。
私の前では、そんな事しなくていいんだよ。
私がかがみに甘えるように、かがみも私に甘えてほしいよ。
「ね、かがみちゃん。今から何しよっか? 今日は一日やりたい事やろうね」
「お姉ちゃんと一緒に、お昼寝したい」
間髪いれずにそう言ったかがみは、顔を真っ赤にして恥ずかしそう俯いていた。
「じゃあ、今からお昼寝だね」
「うん、一緒に寝てくれるの?」
「もちろんだよ。でもその前に、着替えようね。服にしわが付いちゃうから」
「うんっ」
パジャマに着替えて、ベッドに二人で横になる。
昨日と同じように、私の胸にかがみの頭を抱きしめながら。
昨日と違ったのは、かがみが嬉しそうにしていること。
かがみは私の胸で、安らかな寝息を立てている。
それを見ながら私も眠りについた。
起きたときには、かがみが元に戻ってることを祈りながら。
どれくらい眠っていたんだろう。
私は胸に違和感を覚えて目を覚ました。
まだはっきりとしない意識で視線を胸元にやる。
パジャマの前が開けられ、かがみが私の胸を吸っていた。
「ちょっ、かがみちゃんっ」
私の声に反応して、かがみが視線を上げる。
「どうしたの?こなたお姉ちゃん」
なぜ驚いているのか分からない、と言った表情を見せると、再び私の胸に吸い付くかがみ。
私の祈りは届かなかったらしい。
かがみはまだ、元に戻ってないみたいだね。
「ん、なんでもないよ。かがみちゃん」
目の前の菫色の髪を撫でながら、これからのすべきことを考える。
まずは、かがみの家に連絡。
それからのことは、なるようにしかならないよね。
多分、かがみは病院に行って、検査を受けることになるだろう。
そうなったら、私はできるだけかがみの傍に居よう。
「ね、こなたお姉ちゃん。ぎゅ、って抱きしめて」
かがみに目を向けると、照れくさそうに私から視線を外す。
私は、抱きしめている力をちょっとだけ強める。
「しかたないなぁ。かがみちゃんは甘えん坊さんだね」
「そうよ。ずっと、こうして誰かに甘えたかったのよ」
「そっかー…… って、かがみ?」
かがみの肩に手をやり、顔が見えるように少しだけ体を離す。
「やっ…… こなた、抱きしめてて」
私は言われた通りに、かがみを抱きしめなおす。
抱きしめている力を、ちょっとだけ強める。
「ありがとう、こなた」
そう言ったかがみの声は涙声だった。
483 :
28-538:2008/04/25(金) 23:31:53 ID:yeGpgK7b
以上です
すんません
相変わらず、タイトル思い浮かばないです
バシッと決まるタイトルを付けてみたいっ
かがみを甘えさせてやりたいなぁ、と思って書いてみたけど……
普通の状態じゃ、絶対にかがみは素直に甘えないよなぁ
なんて考えてたら、結局こんなことになってしまいました
いつものごとく、勢いで書いたことを反省してます
|ω・`)ノシ
>>483 乙です。
こうした形のこなかがも燃えますね。
>>483 幼児退行か……うん、アリだなw
GJ!
>>483 かがみの幼児退後は演技なのか?最終(ry
やはり俺の中で甘いこなかがはジャスティス!
GJ
>>483 GJ!
甘々、甘々ですなあ……
「かがみの幼児退行は本当だったのか?」とか、
いろいろ考える余地があるのもいいですねえ。
次の作品もお待ちしてますよ!
>>469 いい話だなー。
マイナーキャラいいではないか!満遍なく愛を捧ぐその姿勢こそ高く評価されるべき!
つまりはGJ!
ただおさんもまだまだ若いってことか…
>>473は本当にありえそうで噴いた。
誰が一番最初に見ちゃうんだろう。
>>483 非常に甘い!納豆に砂糖たっぷりぶっかけて食わされるような甘さだ…
勢いでこれほどのネタを展開できる貴方の才をわけてくれ、ださい。
これから投下しても大丈夫ですか?
では・・・
ども!勢いだけで突っ走ってる23-308です!初の続きものなのでちゃんとできてるか心配です
・懐かしいネタ
・続きもの
・衝撃の事実あり
・新しいパーツがかなり出ます
・オリキャラ
・もち非エロ
二次ブームのイメージが強い人はショックを受けるかもしれません。それでも大丈夫なら・・・
GO!バックブレーダーァァァァ!!
忘れてましたが、3レスくらいお借りします
らき☆すたもしもシリーズif NO.003-2 泉そうじろう編
〜もしもそうじろうがミニ四駆をやっ(ry
お父さんにフルボッコされた後、とりあえずミニ四駆の現状を調べるためパソコンを立ち上げた。
まずはミニ四駆で検索して、タミヤの公式サイトに行く。ミニ四駆オンラインとかいうページがあって
「ミニ四駆PRO?何だろ」
と、思い不思議な単語が書かれているバナーをクリックした。
詳しく調べるとミニ四駆PROとは最新のシリーズで、大きな特徴はモーターがシャーシの前でも後ろでもなく真ん中に置いてあるMSシャーシというのが使われている事。
モーターも両方から軸が出ていて直接動力を伝えていてプロペラシャフトも無くなっているらしい。
時代も進んだね〜パーツも種類が増えていたし進化していた。
でもこれだけだとまだ情報が足りないみたいなので検索結果で公式サイトの下にあったページを見てみる。
そこはこのSSを見てる人には多分お馴染みであろう掲示板であまりいいイメージが無いかな〜って人もいるだろう板のミニ四駆スレのwikiで、実戦から得た改造法が結構載っていた。
そのwikiでは、今はフロント一段、リア二段、ローラー幅は規定いっぱいというローラーセッティングが主流であること、
実は六角ベアリングは性能が悪い事、ファイターが引退していた事(←重要!)等がわかった。
(作者注)
現在、主に使われているシャーシを書いておく。
MSシャーシ
最新のシャーシ。
先の説明の通りシャーシ中心にモーターがあり、プロペラシャフトが無いためノーマルでの圧倒的な駆動効率と速さを誇る。
また、シャーシを前中後の3ユニットに分割されていて、(タミヤ曰く)簡単にセッティングが切り替えられるようになっている。
ユニット間の連結がボックス構造になってるので強度もあるが、構造の関係で重量が重くなっている。
VSシャーシ
MSが出るまで主流だったシャーシ。
と、いっても現在も第一線で活躍している。テクニカルコース向け。
スーパー1シャーシのコンパクトな設計にスーパーXシャーシで採用されたアイデアが取りこまれている。
フロントバンパーの強度が弱いのがネック
スーパーXシャーシ
二次ブームが下火になりかけた頃に出たシャーシ。
高い剛性と駆動系の優秀さに定評がある。
ワイドトレッド、ロングホイールベースのため小回りが効かないのと620ベアリング(後述)を使うのが難しいのが欠点。
前後を逆転させたFMXという改造シャーシもある。
カーボン入りナイロンを使ったXシャーシはその性能の良さと希少性から定価の3倍以上で取引される事もある。
スーパーTZシャーシ、スーパーTZ-Xシャーシ
スーパー1より高剛性になり、スーパー1の短所である「フロントバンパーの脆さ」を克服した。
後部には申し訳程度のデフューザーが標準装備されている。ホイールベースもS1より長くなり、より直進安定性が高くなった。
スーパーXには劣るがフロントバンパーの強度がある。
駆動系はあまり良くなくギアの噛み合わせの悪さからくる爆音に定評がある。
スーパーTZ-XシャーシはTZシャーシのマイナーチェンジ版。
フロントローラーのスラスト角が変更され、パーツ取付け穴が追加されてXシャーシ用のパーツが使えるようになっている。
因みにスーパーTZ-Xシャーシは作者の使用シャーシ。
スーパー1シャーシ
恐らく二次ブームにミニ四駆をやっていたなら誰もが使った事があるだろうシャーシ。
軽量で旋回性が高いがフロントバンパーの強度が悪く、超速ギヤ使用時に専用ギヤカバーを装着する必要がある。
(今まで生産停止になっていたが、最近再販された。)
他にもスーパーFMシャーシ等も使われているが、競技ベースとしては上記の6種類がメインである。
「なんか天の声が聞こえたけど気のせい?」
それは置いといて、他にもサイトを回って色々調べて大体買うものは決まった。
明日 バイト無いから学校帰りに模型屋に寄るとしますか。
「さってと!ネトゲーやろうっと!」
翌日、案の定授業中に爆睡して黒井先生から鉄拳制裁を喰らい、かがみ達とダベりながら帰るという日常を過ごした後、
地元の駅に降りた私は真っすぐ家に向かわずにある店に向かった。
駅から5分くらいのところにあるその店は小学生の頃小遣い握りしめて通った模型店である。まだ健在のようだ。
「おばちゃん、ばんわー」
「あら!久しぶり。大きくなったね〜で、どうしたの?」
「ちょっとミニ四駆買いに来たんだ」
「こなたちゃんも?」
「どゆこと?」
「お父さんも来てるのよ。」
「お父さんここで買ってたんだ・・・」
そんな感じでおばちゃんと話しながらパーツや本体を物色していた。
ここは小さいながらも品揃えが良く、AOパーツまで置いていた。
私が買ったのは以下の通り
レイホーク・ガンマ 630円
スーパーTZ-Xシャーシ(ホワイト)315円
アトミックチューンモーター 300円
スプリントダッシュモーター 350円
スーパーXシャーシ FRPマルチ強化プレート 150円
スーパーXシャーシ FRPリヤーローラーステー 180円
ミニ四駆PRO FRPワイドプレートセット×2 200円×2
620ベアリング×3 500円×3
ローラー用9mmボールベアリングセット×3 420円×3
スーパーXシャーシ用超速ギヤ 105円
ラジ四駆 72mm強化シャフト 150円
大径ライトウエイトホイール×2 105円×2
大径ナローライトウェイトホイール(バレルタイヤ付) 300円
1.4mm中空軽量プロペラシャフト 105円
ゴールドターミナルB 120円
スペシャルロングビス・ロックナットセット×2 252円×2
ダンガンレーサー スタビフィン&ガード 263円
ショートスタビローラー 263円
合計7105円
店は2割引きなので5684円
お父さんとの思い出 priceless
我ながら買い過ぎだと思う。本やゲームなら少なく思うのに・・・
TZ-Xにした理由?小学生の時最後に使ったのが確かTZのバスターソニックだったから何となく・・・かな?
軸受けは本当はダンガン用のHGベアリングにしたかったんだけど出回ってないんだって。
実際店にも無かった。620ベアリングは性能は最強なんだけど少し手間がかかるから本当は素人が手を出すべき代物ではないらしい。
あと100円ショップとかで必要な物を買い集めてついでに今日の晩御飯の食材を買って家に帰った。
荷物が重い・・・組み立ては休みの日にやろう。
ってか会話文が少ないね〜このSS。
「ただいま〜」
「お帰りお姉ちゃん!遅かったね。」
「ごめんね、ゆーちゃん。ちょっと寄るところがあってね〜すぐ支度するね。」
と、まあいつものように夕飯の支度して家族3人で夕飯を食べた後、廊下に置いていた戦利品を入れた紙袋を部屋に持って行こうとしたとき・・・
「おっ!買ってきたのか?」
お父さんがニヤついた顔で
「あんな事言われたらね〜お父さん、負けるつもりはないから!」
「おう!」
なんか柄にもなく熱くなっているのが自分でもわかった。
つづく
以上です。結局1レス増えやがった・・・
それと投下後の緊張感は慣れないな・・・
模型店は実在していませんが、俺がお世話になっている模型店がモデルになっています。
こなたにTZ-Xを使わせた本当の理由は俺がTZ系しかわからないからですorz
基本構造は変わんないと思うんですが・・・
次回は組み立て編です
次は29日の大会が終わってからになりそうなので結構空くかもしれません
最後に・・・・
なんかスミマセン!
GJであります。
小学生の頃ミニ四駆やってたの思い出すわぁ。また、やりたくなってきた…。
って、
ファイター引退してたのぉぉぉぉぉぉぉぉぉ?!
ミニ四駆といえばホットショットJr'とかスーパードラゴンJr'とかが主流だったなー俺の時代は・・・・
ええ、当時小学校高学年〜リアル厨房でしたが何か?
高尾山と都立大くらいしかもう売ってないよな(´・ω・`)
ちょっと西川口にナックルブレイカー買いに行ってくる
480KB超えてるようなのでそろそろ次スレ立てチャレンジしてみますね
502 :
42-519:2008/04/26(土) 14:11:37 ID:R+HuSaoC
誰もいなかったら投稿してきますね。
・非エロです。読んだことはない人が多いと思いますが、一応リメイク物です。
・つかかがです。
最近毎日が楽しい。
こなたと一緒に学校にいったり、ゲームをしたりした当たり前の日常に幸せを感じていると思う。強引にアニメイトやらとらのあなやら秋葉原につれていかれて、どんどんオタク化していく私は、どうなんだとも思うけど。
このところ気温が低い。埼玉の冬は日本海側と違ってほとんど雪が積もることも雨が降ることもない。天気事態は良好だが空気は乾燥しているし北風は厳しいのだ。
雨戸を閉めているせいで晴れか曇りかの判断は困難だが、湿気があまりないことから今日もピーカンなのだと思った。
「7時か。つかさ、起こしに行かないと」
目覚ましがけたましく鳴り響く。それを手探りでボタンを押す。
五分後にまたなる。スヌース機能が憎らしい。
私は暖房をつけようとベッドから立ち上がる。
――っ!
目の前の世界がぐるぐると回っている。。数歩でたどり着くはずのドアが私の視界から逃げるように消えていく。
起き上がって気づいた。体が重い。鉛を背負っているような感覚。体の制御がきかない。
まるで、私の体がのっとられかけているような――これは、私? 幾度となく目にしたはずの自室は、一種のゲシュタルト崩壊を起こしているのか無機質な、自室によく似た別部屋とすりかえられたような錯覚に陥る。
私の部屋だ。違うことは回転式扉、あるいはメリーゴーランドのように部屋が廻っているだけだ。。それって、「いつも」と言えるのか? 私は冷静だ。あるいは、狂った平静。狂気を正気と思える、そんな壊れた理性でいる。
――あ。
「てゆーか、単に熱なだけよね」
頭が覚醒してくる。同時に私は常識的な判断を下せるまでになった。
私、なんか変なことを考えていなかったか? いけないいけない。こなたと同類になったら、人として問題があるじゃないか! って、いくらなんでもこなたに失礼か。私はそんなこなたが好きなわけだし。
小さいころに間違ってお酒を飲んで経験した二日酔いのような、不思議な感覚がある。とにかく、つかさを起こしにいこう。回転している、狂っているのは自室ではなく、私のほうだ。頭の回転をさせないと…とにかく、まっすぐ歩けば扉まではたどり着けるはず。
やっとの思いで私は扉を開けた。つかさの部屋まで、一歩一歩、歩く。健康の喜びを実感するのは、病気のとき。換言すれば、人間、失ってはじめて気づくのだ。後悔は先にたたないものだけど。
あとちょっと。あと一歩。
「おーい、つか――」
ばたっ
あ、れ……?
視界がフェードアウトしていく。連続的であるはずの時間は、今この時点において、確実に切断された。
そんな思考も、数秒のうちに消えうせる。
今日学校行けるかな、とかすれゆく記憶にお祈りをした。こなたに会えるかなという祈祷はしかし、絶望的だった。
もう何も見えない。何も聞こえない――。
「あれー、外で大きな音がしたような…
ふわああっ…眠いよう。でももう7時過ぎてるし、起きないと。
あれ?
いつもならお姉ちゃんが起こしにくる時間なんだけど、もしかしたらお姉ちゃん、寝坊かな?
――もう、仕方ないなあお姉ちゃんは。
もし本当に私がお姉ちゃんだったら――ほらきょうちゃん、朝だよお。ねえ、起きてよう――わあ、すごいことになってるよう!」
つかさは、眠たい眼をごしごしと手でぬぐいながら、扉をあけた。
そこで立ち尽くす。
「え、えええええええええええ?」
つかさは目をぱちくりして、そこで倒れているかがみをみかけた。
「お、お姉ちゃん?」
よく事情を飲み込めないつかさは、ためしに話しかけてみた。かがみからの反応はない。
かがみを持ち上げて、意識がないことを確認する。
―――お、お姉ちゃん?
頭の中で反芻した後、つかさは事態を飲み込む。次にすべきことは。!
「お、お母さああん!
お姉ちゃんが、お姉ちゃんがあ!」
間違いなく、非日常。
つかさはばたばたと階段を駆け下りて、母であるみきのもとへ急いだ。
階段で数回蹴躓いたことは、殊更話題にすることでもなかった。
「――38度4分! お姉ちゃん、大丈夫?」
かがみの熱っぽい顔を見て、つかさは心配そうに尋ねる。体温計は平時とは比べものならない体温を示した。体温計が四十二度までということは、それ以上はたんぱく質に異変をおこし、生命維持が極めて困難になるからである。
最初はおろおろと、どうすればいいかわからなかったつかさも、かがみが単に熱をだしただけだとわかると、幾分落ち着きを取り戻し、他の姉に協力してもらい、かがみをベッドに寝かした。
学校には完全に遅刻だ。
でもそんなことはどうでもいい、とつかさは思う。学校の勉強だってお姉ちゃんがいないと楽しくなんてない。お姉ちゃんが苦しんでいるのに私だけ楽しむわけにもいかない。
「つかさ、後は私がやっとくから」というみきの言葉に、強情に「お姉ちゃんが起きるまでは、そばにいるもん!」と否定した。みきもすぐに折れた。
仕方ないわね…と苦笑した後、「黒井先生と桜庭先生に、かがみの欠席と、つかさの遅刻を連絡しておくわね――起きるまで、かがみのことよろしくね」とつかさに頼み、かがみの部屋からでた。
母親として、つかさとかがみが特別仲がいいことも理解していたし、つかさの心配そうな顔を見たら、どうせ学校の勉強も身にはいらないだろう…と思った。
みきは、時々はかがみの様子を確認しようとは思ったけど、できるかぎりつかさに任せようと思った。かがみもそれを望んでいると、どことなくみきは思うのだ。
それにつかさだって高校三年生だ。みきも信頼はしている。父親であるただおにその旨を説明する。神主であり、世間一般的にも人格者であるただおは「うん…何かあったら連絡して」とだけ言って、みきの判断に肯定した。
――柊家の電話は黒電話である。
かがみが目を覚ましたのは、それから二時間もたった10時ごろであった。
「…なんだ、38度か」
計測完了の音を確認したかがみは、脇から体温計を取り出して、見た。「分」の部分はあえて繰り返さなかった。
「なんだって、なんだじゃないよお姉ちゃん! 38度だよ!? 普通より2度も高いんだよ!」
「大丈夫よつかさ、それほど辛くはないわ」
そういって無理やりかがみは立ち上がろうとする。しかし、一歩歩く前に足はふらつき、倒れそうになる。
それをつかさが「お姉ちゃん、危ない!」といってかがみが倒れる前に支え、半ば強引にベッドに寝かした。
普段のつかさからは想像できないような、必死の思いでつかさは叫んだ。
「もうお姉ちゃん! 今日は寝てなきゃだめだよ! それにもう先生は欠席の連絡したから! お姉ちゃんが倒れたら、私…、わたし!」
「――ごめん、強情だった」
38度4分が普通でないことくらい、かがみだってわかっていた。
それでも、学校に行きたかった。こなたに会いたかったし、壊れてしまいそうな日常を精一杯楽しんでみたいと、自己中心的な態度をとってしまったのだ。
そんな感情も、かさの目を見て、気持ちを感じて、すぐに萎えた。次に湧き上がってきた感情はどうしようもない罪悪感だった。
絶対にかがみを学校に行かせないという毅然とした態度よりかは、懇願に近い感情でつかさは訴えた。その瞳から、涙が洪水のように流れていた。
「うう…嫌だよう。お姉ちゃんがいなくなったら、嫌だよう」
大粒の涙がかがみの寝具にこぼれて滲む。
「…ごめん。
――つかさの言うとおりにする。心配かけて、ごめん」
「ううん。私こそごめんね。泣いちゃって」
その言葉が痛い。小さいころ「つかさを泣かすのは許さない!」とできるかぎりお姉ちゃんでいようと勤めてきたのに、その私が――私のせいで――つかさを泣かしてしまった。
そしてつかさに「泣いちゃってごめん」なんていわせるなんて、私、どうかしてる。
いや、そんな生易しい言葉で自分を庇護してもしかたないとかがみは思った。
私は最低だ。
「本当にごめんね、つかさ。もう大丈夫だから、心配しないで。今日は休む」
「うん…それがいいよお姉ちゃん」
「ほら、涙、拭いて」
そういってかがみは自分の指先をつかさの目じりまでよせる。そうしてつかさの涙をぬぐった。
「えへへ…なんか不思議な気持ち」
ぬぐった涙をかがみは、舌で舐めた
つかさは「お姉ちゃん…?」とその行動を不思議に見つめていた。
――しょっぱい。この痛みは、忘れないようにしようとかがみは深く思った。
「え、今日休むの?」
つかさは、かがみの体調を確認しにきた、みきに伝えた。
「お願い、お母さん」
「…仕方ないわね」
つかさの切実な思いを感じ、またも慈愛に満ちた判断を下す。それが正しいかはわからないが、少なくてもみきは今はそうでもいい、と思った。
「――でも、黒井先生にはつかさから連絡しなさいよ。それくらいはできるよね」
「う…うん、わかった」
「つかさ、本当に休むの? つかさは学校にいっていいんだよ?」
かがみが心配そうにたずねる。熱のせいかいつもの覇気はなく、どことなく弱々しげだった。
「うん。今日はお姉ちゃんと一緒にいる。ううん、一緒にいたいの」
かがみの部屋から廊下にでた。その足取りは少し重い。
もう、ばか…とかがみの部屋から聞こえた。
――黒井先生に電話かあ、なんていえばいいんだろう。風邪…かな? お母さんは特に病状を言わず「遅刻していきます」と告げただけらしいから、それでいこう。
「つかさ、かがみ。泉さんたちがお見舞いにきたわよ」
午後6時。黒井先生に欠席の連絡を伝えてから、つかさずっとかがみの部屋にいた。
お姉ちゃんの看病は私がするんだから、と意気込んでいたが、其のうちの半分はかがみのベッドにもたれかかって、寝てしまっていた。
寝言で「うう…お姉ちゃん、大丈夫?」と呟くつかさを見て、かがみはつかさの髪を優しく梳きながら人知れず枕をぬらした。
「ありがとうね、つかさ」
――どたどたと、階段を上る音がする。その音は複数ある。きっといつものメンバーがやってくるのだろう。
嬉しさや期待と、二人だけの空間が壊されることに少しだけ残念だった。
私とつかさ。双子の空間に。
「やっほーかがみ、あれ、起きていいの?」
こなたが私に話しかける。私はうん、昼間、眠ってたからさと答える。
「ちぇえ、またかがみの寝言を堪能しようと思ったのになあ」
こなたは私がおきていることにがっかりしたのか、口をとんがらしていった。
「宿題がどうのとかいったら、殴るからな」
「はいはいわかってますよ。私だって賞味期限の切れたネタはつかわないよ。でも本当に寝てなくていいの?」
こなたは気を取り直して私の体を心配してくれる。私は「うん、つかさが看病してくれたから」と素直に言った。
「そのわりには寝てるみたいだけど?」
私のべっどに寄りかかって寝ているつかさを見て話しかける。
「そ、それだけ、私のために看病してくれたってことよ。つかさの悪口いったら、許さないんだからね!」
「んー、今日のかがみんはなんか怖いなあ」
「あ、ごめんこなた。わざわざお見舞いにきてもらったのに」
「いーよー別に。それはそれでツンデレで萌えるし♪ 私とかがみんの仲じゃないか〜――てゆーかつかさも風邪じゃなかったの?」
ぎくっ、と私は狼狽する。
つかさは黒井先生に風邪と偽って連絡したらしい。いまさら隠すことでもないし、親友に嘘をいってもしかたない。
「あれ、仮病よ。つかさのやつ、馬鹿だからさ――私の看病するって聞かなくて」
そういう私は、こなたに指摘されないでも赤くなっていると思う。熱で赤いのか、それとも恥ずかしくて真っ赤なのか…。
そんな心地が私は幸せだった。
「それにしてもかがみさんとつかささんが元気そうで安心しました。これ、お見舞いと今日のノートのコピーです。お二人の分ですが、かがみさんに渡しておきますね」
みゆきはそういって、紙とお花を手渡し、言葉を続ける。。
「かがみさんのノートは、峰岸さんからお借りしました」
「うん、みゆき、ありがと」
みゆきは本当にお体は大事にしてくださいねと、微笑みかけてくれた。こなたはこなたなりに私を心配してくれる。
たまには風邪を引くのもいいのかな、なんて思ってしまう。
「でも本当にかがみんも頼むよ〜。かがみがいないと学校つまらないんだからさ」
「そうですね…今日の泉さんはとても落ち込んでいらっしゃいました」
「そ、そうなの?」
こなたのことだから私のことなんて気にせず今日もいつもの調子だと思った。
こなたは心外といった風に私を見つめ返してくる。
「あのさかがみん。つかさも休みだったんだよ? 二人がいないのに楽しいわけなんてないじゃん」
「そ、そっか…あ、ありがとっていえばいいのかな?」
いつものようにツンデレかがみ萌え! と抱きつこうとする。私は風邪だからといって振りほどく。こなたは不満そうに、それでも「とにかくお大事にね」といってくれた。
「――ねえかがみ」
みゆきがお手洗いにいっている間、小声で私に話しかけてきた。私は何よと、顔をあげた。
「キス、してよ」
「は、はあ?」
「私達、恋人だよね。さっきはみゆきさんのいる手前ああいったけど、私だって本当は、本当に寂しかったんだからね。かがみ携帯にも連絡してくれなかったし」
「こなた…」
そういえば朝から携帯には一度も触っていない。つかさが一緒にいてくれるのに携帯を使うのは不謹慎だと思ったし、必要もなかった。
そう、私とこなたは付き合っている。
私はこなたのことが好き。こなたと一緒にいたいいから学校に行きたい。
脆弱な日常。壊れてしまいそうな平穏。それを必死にしがみつきたいから私は登校する。
そうして、女の子を泣かした。
私は自分自身のけじめとして「うん…治ったらでいい?」というのだった。
こなたは「むう…」と納得のいかない顔だったが「でもまあ、かがみのことだし、何か理由があるんだろうしね」といってその場を取り繕う曖昧な笑いを見せた。
それから、これくらいはいいよねといって、私の指をとって、こなたがふんわりとキスをした。
ごめんね、こなた。
今日だけは、つかさのお姉ちゃんでありたいんだ。
・
・
・
「ふわああああ、あれ、朝?」
つかさが目をさめるなりつぶやいた。時刻は8時。こなた達も帰っていたころである。かがみは「よく寝られた?」とつかさにたずねる。
つかさは「あ、あはは…私、寝ちゃってた。ごめんね、お姉ちゃん」と苦笑気味に言う。
「ううん、馴れないことして、疲れたのよ。もう、学校まで休んで、何やっているんだか」
「あはは…お姉ちゃん、風邪は大丈夫?」
「まだ熱はあるけど、だいぶ楽になったわ」
「よかった〜」
「あしたは、学校いきなさいよね。私はまだちょっと、無理そうだけど」
「うん、わかってる。お姉ちゃんも元気なってきて、私も安心したし」
――違う。
そんなことじゃなくて、私がいま、言わなければいけないこと。朝から切実に感じてきた、私の思い。
「あ、あ、あのね、つかさ」
「? なあに?」
かがみは一呼吸置く。恥ずかしくてしどろもどろ。黙ってしまう。
かがみはもう一度つかさの顔をみた。不思議な顔をしてかがみの顔を見つめてくる。言おう。かがみは心の中で強く決意して拳を握った。
「つかさ、今日は本当にありがとう! 迷惑かけてごめん! でもね、でもね…
つかさ、大好き!」
つかさは驚いた顔をみせたが、すぐに泣いているのような笑っているような、そんな幸せな顔を見せた。
瞳からにじみ出てきた涙を手で拭う。
「うん、お姉ちゃん。私も、お姉ちゃんのこと大好きだよ。だから、早く元気になって、また遊ぼうね。私、いつもお姉ちゃんに助けてもらったから――こんなときでしか、お礼ができないけど――私も、お姉ちゃん、いつもありがとう」
もう我慢しなくてもいいや、とかがみは思った。
涙腺が決壊してぽろぽろと涙が流れる。幸せと涙のカタルシス。
おろおろとするつかさの顔が妙にいじらしくて、「大好き」とだけいった。
―ー38度4分の体が火照っている。
つかさの優しさが暖かくて、ぽかぽかだ。
ありがとう、つかさ。
元気になったら、一緒にでかけようね。
509 :
42-519:2008/04/26(土) 14:29:45 ID:R+HuSaoC
以上でした。あう、ぎりぎり…。
桜藤祭用に書いたものをリメイク。華麗にスルーされたものです。
GJですb
姉のピンチに覚醒つかさイイ!
こういう何かあった時に優しくしてくれる家族や友達がいるのは素晴らしいですね。
自分も昔ふたごスレに同じ様なシチュのSS投下したことあるんだけど
病気でクラクラしてる描写が自分よりかなり上手くて羨ましいw
>>509 治りかけの熱でこっちまでぽかぽかしました。
良いなあ、姉妹愛良いなあ。ぐっじょぶ。
512 :
42-415:2008/04/27(日) 05:14:14 ID:sI//F4UL
埋めネタ行きマース
ある休みの日、パティから掛かってきた電話。
『Oh!ヒヨリ、忙しい所済まないケドBig Newsデス!』
『何?また無茶言うんじゃないでしょうね…』
この一本の電話が、ひよりの人生を左右する事になるとは…今はまだ、誰も知らない。
MeganeMoeSolid
→START
CONTINUE
「で、渡したいものって?」
パティの部屋に招待された私は、しばらく他愛の無い雑談をした後、そう尋ねた。
「Oh!うっかりワスれる所デシタ」
「…メインの用事忘れてどうするっスか」
「ヒヨリがCute過ぎるのがいけないのデス。…ちょっと待ってクダサイ」
そう言ってパティは何かを探し始めた。何か妙な事をいわれた気がするけどあえてスルーしておこう。
暫くするとパティは一つの大きい段ボール箱を持ってきた。
「ヒヨリにこれを渡したかったデス」
「…メガネ?」
パティが箱から取り出したのはメガネとコントローラーのようなもの、そして全身タイツだった…
514 :
42-415:2008/04/27(日) 05:15:56 ID:sI//F4UL
以上です。お楽しみに!
>>514 では、なりきり感想をまねさせていただくとして。(オリジナルの方、勝手に拝借失礼
「ワッフルワッフル! ワッフルワッフル!」
「泉先輩、そろそろ勘弁してほしいっス……」
「田村さん、これからどうなっちゃうのかなあ。でもちょっとわくわくするかも」
「ソレハ次回ノお楽しみでスヨ、ユタカ♪」
「タイツのようなもの……そういえば、前に見たテレビで似たような服を見たような」
「モーションキャプチャーですね。身体の動きを解析することでスポーツや医学に役立てたり、
映画やテレビゲームなどにも使われているんですよ。そもそもモーションキャプチャーには
光学式、機械式、赤外線式などの方式が……」
「ゆきちゃん、すごーい」
「って、本筋からそれてるじゃない。ほらみんな、締めるわよ。せーの」
『ぐっじょぶでしたっ!』
お粗末。
次スレ:
らき☆すたの女の子でエロパロ44
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1209171600/ |ヽ ___
| \__/ /
ゝ、_ノ--←ー‐z‐
/: :|彳 :i: :ハ、:-、ヽ:\
/: :. :i|レ' / |:ハ \l、:ヽ :\
f: |: : : :|| :/_=|' ヽ ィぅ、: :|:.l、ヽ
|: :|: : : :||ィ'う:ヽ ト:::リJV \i
|:. :|: : : :||代::::j 丶' {|: |
. V ヽ: :. :ヘ. ` ′ _ ' ノ: :|
Vト、: :. :ヽ_ ‐'.ィf :ハ |
ヽ、l\ヽィ ̄tヽレ∨ `'
ヽ ハlヽ_.} \
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fミミ丶、 V/// }
{ `丶ミミ彡' yヽ
/ Y /`^ \ノ