スクールデイズの分岐ルートを考えるスレ part5
ブログの方で山場を一つ書き終えたのでいたるSSを投下します。
今回は後編という事で。
誠の実家にて。
いたるが誠の実家で暮らし始めて3日。
誠は毎日いたるに起こされていた。
「お兄ちゃん起きて。起きてよ。」
ゆさゆさと揺り動かされて誠が目を覚ますと
「えへへへお兄ちゃん起きたー。」
とそのまま抱きついてきた。
「い・いたる。」
朝っぱらから妹とは言え年頃の女の子に抱きつかれるとさすがに焦る。
「おはよう。お兄ちゃん。」
何の邪心も無い純粋に兄を慕う笑顔でそう挨拶されると誠も邪険に出来ない。
「おはよう、いたる。」
と答えていたるの頭を撫でてやった。
「ねえねえお兄ちゃん。いたるお兄ちゃんを起こしてあげたよ。えらい?」
「ああ、いたるはえらいなあ。」
「わーい。」
そんな様子を言葉は優しく微笑んでみていた。
実家近くの海岸で。
いたるはスコップで砂山を作って遊んでいた。
誠と言葉はそんないたるの様子を心配そうに見ていた。
「いたるはずっとこのままなのかなあ。」
「そんな事・・」
「でもいたるも年相応の記憶を取り戻さないと不味いよなあ。」
「6歳いたるちゃんはとても純真無垢で可愛いんですけど
心の事を思うと・・・」
「ああ・そうだな。」
いたるは言葉に対しては自然に懐いてきたけれど
何故か心が近づくと誠や言葉の背後に隠れてしまうのだ。
心は少なからずショックを受けたようで言葉にこんな事を言ってきた。
「お姉ちゃん。私本当はいたるちゃんに嫌われてたのかな?
いたるちゃんは私と無理して付き合ってくれてたのかな?
私ってそんなに嫌なやつだったのかな?」
心はそう言って泣いていた。
言葉はそんな事はないと慰めたけれど心は泣き止まなかった。
そして心はそれ以来いたるの見舞いに来なくなった。
いたるが砂をスコップで固めていると手元からスコップが落ちた。
そして誰かが近づいてきてスコップを拾っていたるに手渡した。
「これでいいよね。いたるちゃん。」
数日振りに姿を現した心だった。
「だあれ?」
「心だよ。」
「心?違うよ。心ちゃんもっと小さいもん。
お姉ちゃん知らない人だよ。」
「いたるちゃん。私は本当に・・」
でもいたるは心の目を見て何かを感じ取ったようだ。
「こ・こ・ろ・・・・
こころちゃん・・・
こころ・・お姉ちゃん・・」
「え?いたるちゃん今なんて?」
「心お姉ちゃん。」
「いたるちゃん!!」
心はいたるを思い切り抱きしめた。
「わ・痛いよ!!心お姉ちゃん!!」
「いたるちゃん思い出したんだね!!」
その二人の様子を見て誠と言葉が駆けてきた。
再び誠の実家にて。
「心お姉ちゃん本当にゴメンね。」
「ショックだったよ。いたるちゃん私の事本当に嫌ってないよね?」
「嫌うわけないよ。あんな態度とっちゃったのは10年の間に
心お姉ちゃんが一番変化したからだと思う。」
「という事は完全に私とお姉ちゃんの記憶が消えてたわけじゃないんだね。」
「うん。どこかで何かをぼんやりと覚えてたのかも?
お姉さんは優しくて綺麗って感じで、
心お姉ちゃんは私よりちょっと体が大きくて遊んでくれる仲良しって感じで。」
「なるほどなあ。10歳から20歳だもんなあ。
全くの他人に見えても仕方ないよなあ。」
「うん。だからパニックになって。」
「そうですね。外観の変化だけは一番大きいでしょうね。」
「なんか引っかかる言い方だねえお姉ちゃん。」
心が言葉をジト目で睨む。
誠は電話で母にいたるの記憶が戻った事を伝えた。
そして後ろを振り返るといたるが頬を染めて誠を見ていた。
「お兄ちゃん見たよね。」
「見たって何をだよ。」
「私の裸。」
「あれか。見たというより見せられたけどな。」
誠も何となく居心地が悪い。
「べ・別に兄妹なんだし裸見られたってどうって事無いんだからねっ。
た・ただちょっとあれかなあって・・・とにかく忘れて!」
「あ・ああ。」
「誠お兄ちゃん。16歳の時のお姉ちゃんと今のいたるちゃんだと
どっちの裸がすごかったの?」
「そりゃ決まってるだろ。当然・・」
「誠君!!」
言葉が真っ赤になって止めに入った。
「わあ即答できるって事は16の頃にはお姉ちゃん達って!!
すごいねえいたるちゃん。」
「うんすごいねえ。」
「心!!」
「いたる!!」
ようやく日常を取り戻したいたる達だった。
End