なぁに、昔のペースに戻っただけでしょ。
毎日覗く虚しさ
にゃり〜ん
変身シーンはグロイ方がいい・・・よね?(´・ω・`)
あまり気にはしないよ
汝のなしたいように為すが良い
魔法少女の変身シーのごとくメルヘンちっくだけど、
できあがりは……というのもいとをかし
拝啓
このスレにある悪魔化みたいに価値観が変わる展開があればヨロシ
敬具
精神の変化はいるよね
無くても良いと思う。個人的には異形と化した肉体ともとのままの精神の
ギャップが良いというか、心身ともに変わり終わったらただの怪物だろうと
思うが、クトウルー神話みたいに自分の精神が少しずつ人外になっていくという
恐怖を描くというのもまた良きかな。
肉体の変化は遅くても早くても良いけど、精神の変化はゆっくりだよね
まぁ、好みは人それぞれだから。
話題の流れぶった切る訳じゃなくて、
好みは人それぞれだからこそ面白いって事で。
そういえばプレステ1で
人魚の烙印とかいうのあったな
「こ、怖ぇ!鋭い変化がゆっくりとやってくるッ!うおああああああああ」
「どうやら異形化している人間にイギョウカ・エクスペリエンスで さらに過剰に異形化を与えると・・・
『暴走』しちまうらしいな・・・『感覚』だけが・・・せいぜい利用させてもらうかな・・・」
イタリアに帰って下さい
ウェザーさんの蝸牛は良かったよ
Dio様に一生ついていきたい
722 :
名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 01:35:00 ID:QwlFw4ge
age
>>715 精神はゆっくりがいいな
変身してすぐ「ククク・・・」は萎える
ご無沙汰しております。
20レスの中くらいの長さのを書けたんですが、現在残り464KBという微妙な容量です。
まず次スレを立て、リンクを貼ってから投下し、
もし終わらなければ次スレに続く、というやり方で投下したいと思います。
これだと、スレ内で終わるにせよ終わらないにせよ、
埋め立てに長い時間かけなくてすむのではないかと思います。
で、先に次スレ立ててしまいました。下記です。
【異形化】人外への変身スレ第四話【蟲化】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1241610755/ 勝手に進めすぎたかもしれませんが、どうかご容赦下さい。
以下のSSの内容ですが、
実は
>>693のカキコの代わりに投下したかった内容だったりします(w。
ただ、本物のハルピュイアとは色々違うのでその名は使いませんでした。
あ、あと百合と、ごく微弱なスカ表現がありますので一応注意です。
「あぶないな。あぶない、あぶない…」
たしかに、ごつごつした岩場は足を滑らせるとかなり危ないが、そればかり
ではない。このあたりは怪物が出てきて人間をさらっていくという噂があり、
村人は決して寄りつかない場所なのだ。実はわたしも、道に迷わなければ、
こんな恐ろしいところに近づく気はなかった。
だが、人が寄りつかないせいなのだろう。薬草として珍重されるトリコゴケが
岩の隙間に密生している。別のハーブを採りに来たわたしが、急遽予定変更して
コケの採集に夢中になってしまったのは、軽率ではあるが抗しがたいことだった。
これを売ればハーブなどよりずっとましなお金になる。
欲に目がくらんでいなかった、と言えば嘘になる。でもこれは、親に迷惑ばかり
かけている親不孝娘の、せめてもの罪滅ぼしなんだ。…そんな言い訳を自分に
しながら、わたしはせっせと貴重な地衣類を採取し続けた。採り放題とは言っても、
ハーブとは違い、一度に採取できる分量はわずかなもので、採っても採っても
バスケットは一杯にならず、そのため、この、危険な場所を立ち去る踏ん切りが
なかなかつかずにいた。
不意に、背後からばさばさっという音がした。振り向く間もなく、わたしは
うつぶせに押し倒され、脇腹の部分にがっちりとした腕が回されたのを感じた。
そして次の瞬間、再びばさばさっという音がしたと思うと、体が地面から
持ち上げられるのを感じた。それで、自分が大きな鳥のようなものに捕えられて
しまったのを知った。大事なバスケットを置き去りに、わたしは遠ざかる地上を
唖然として見つめていた。
胸元を見ると、脇の下から差し入れられた太いごつごつとした鳥の足が、
どちらかといえばまだ小振りな乳房の下で、お祈りでもするようにがっちりと
組まれていた。振り払うのは難しそうだったし、万一振り払ったら、はるか下の
地面まで真っ逆さまである。たとえ、もうじきこの怪物に食べられてしまうの
だとしても、少なくとも今は、この怪物の腕にしがみついていないといけない
のだった。
あまりに急な出来事は、人の恐怖を麻痺させてしまうようだ。それに、
怪物からは、できかけのワインのような甘い香りが漂っていて、それが
本物のワインのように、全身の筋と頭の中を奇妙に弛緩させていた。それで
わたしは、かなり長い間、悲鳴を上げるのも忘れ、非現実的な空の旅に目を
見張りながら体を委ねていた。
長い飛行が続き、目的地らしきところが見えてきて始めて、わたしの中の
現実感が戻ってきた。目に入ったのは、とても人の近づけない険しい山岳地帯、
切り立った崖の途上の棚のような張り出しにある、「鳥の巣」らしき場所だった。
崖は上も下も果てしなく広がり、空を飛ぶ以外の仕方でこの場所に近づくことも、
出ていくこともできなさそうだった。その意味では、とても安全な巣であり、
そして牢獄であった。
――怪物はこんなふうに孤絶した安全な「巣」に獲物を運び込み、ゆっくりと
解体して食べるに違いない。それはつまり、もうすぐ先の自分の運命なのだ――
そんな冷静な推理を行ってしまった後で、ようやく現実感と恐怖が生まれた。
「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
目前に迫る巨大な鳥の巣を前に、わたしはかなりテンポのずれた恐怖の叫びを
絞り出していた。
「巣」はちょっとした小屋ほどの大きさの工作物だった。巨大な崖の中央部の、
広く張り出した棚の中央部に、人間の背丈の倍はあるしっかりした土壁のような
ものが、円柱状の囲いを形成している。
鳥はなぜかわたしを巣に運び込まず、壁の外側の地面の上に押しつけた。そして、
うつぶせにされたわたしの背中とお尻に、固いくちばしが当てられた。
「ぎゃあ!やめて!やめてよ!!」
無我夢中で無駄な叫びをあげるわたしの肉を怪物が食べることは、しかし、
なかった。怪物はわたしの衣類だけを破り、噛み裂き、ひきちぎっていった。
背中とお尻が外気にさらされ、その頼りない感覚がわたしの不安をさらに煽り立てた。
後半身を丸裸にした怪物はわたしをごろんと転がした。あおむけにされた
わたしは、そのとき始めて怪物の姿を目にした。その姿のあまりの異様さに、
わたしは思わず息を呑んだ。
わたしの両ももを文字通りわし掴みにしているかぎ爪は、紛れもなく猛禽類の
それだった。それに、かぎ爪が生えているごつごつした足、後ろの尾羽、その上に
広げられた、ワシなどよりはるかに巨大な翼は、やはりどう見ても鳥だった。
…しかし、その翼を生やしている胴体の中央部に羽毛はなく、代わりに、
鳥にあるはずのない二つの半球、人間そっくりの乳房があった。そしてその
乳房の上には、やはりどうみても人間、それも若い女性の頭部であると
ほぼ言ってよいものが続いていた。抜けるような白い肌、細い首、ほっそりとした
面立ち、ぱっちり開かれた青い目、豊かな金色の髪。たしかに、鼻から口に
かけてだけ、わたしの服をついばんだ猛禽類のようなくちばしに変形している。
しかしそれ以外はとても美しい女性の顔であった。その全体の姿は、まるで、
巨大な猛禽の上半身に、若い女性の裸像をレリーフとして彫り込んだような姿だった。
「レリーフを彫り込んだような」というのはまた、その顔から受ける印象でも
あった。その美しい顔は、感情の移入をまったく拒む、無機的な無表情さに支配
されていたのである。きょとんと見開かれた目は瞬きをすることもなく、ただ
ときどき、目の下側から伸びる薄い膜に覆われるだけだ。そしてその青い瞳の奥に、
人間らしい感情を読み取ることはできない。
そんな無表情な美しい怪物は、わたしの両足に爪を立てながら、わたしの胸と
お腹になお残っていた布をむしり取る作業を開始した。その不気味さと、
まだはっきり正体のつかめない漠然とした不安が、静かな戦慄となって
わたしの全身を覆った。
やがてわたしはやがて糸くず一つない完全な裸身に剥かれてしまった。そして人面鳥は
わたしを再び抱き上げ、軽く羽ばたきをして壁を乗り越え、わたしを巣の中へ運んだ。
巣の中は床も壁も一面薄桃色だった。人面鳥はわたしを支えながら、わたしを壁に
寄りかかるようにして座らせた。そして器用に羽ばたきながら、わたしを壁に
押しつけた。壁の感触は粘土のように柔らかく、ねとねととしていて、わたしの背中と
腕はそこに軽くめり込んだ。両足は八の字に開かれた状態で、やはり床に押しつけられた。
わたしはすぐ、薄桃色の壁と床が、強力な糊のようにわたしの胴体と手足を固定して
しまったことに気づいた。それはたしかにぐにゃぐにゃと柔らかいが、貼り付いた
手足や胴体を、思うように動かすことはできなかった。
人面鳥は床に立ち、あいかわらずきょとんとした無表情な顔で、体を動かそうともがく
わたしをしばらく観察していた。やがて、わたしが動けないのを確認したのか、ばさばさと
音をたててどこかへ飛び去っていった。人面鳥の足は床に貼り付かない作りのようだった。
視界から人面鳥がいなくなってようやく、巣の中にわたしと人面鳥以外の住人がいた
ことに気づいた。わたしの斜め前の壁に、わたしと同じような姿勢で囚われている
女性の姿が目に入ったのだ。わたし同様、怪物にさらわれてきた犠牲者だろう、と思えた。
悲しげな顔でわたしを見つめている女性はとても美しかった。そしてわたしの目は
つい、わたしなどが今後いくら成長しても追いつけないであろう、その豊満な乳房に
釘付けになってしまった。
だが、落ち着いて見ると、目の前の女性にはどことなく違和感があった。日陰の
せいで始めはっきり見えなかった姿が、暗さに目が慣れるにつれ徐々に鮮明になり、
それと共に違和感の正体が明らかになった。
まず、女性の足は、関節の比率やその他の様子がおかしかった。指が長く、爪の先が
鋭くとがっていた。かかとも長く、その代わり、太ももが短かかった。そして全体に、
ごつごつとしたうろこのようなものができかけていた。腕も奇妙に短く、太くなり、
手も変な風に変形していた。小指と薬指がほとんどなくなりかけ、他の三本もとても
短くなり、その代わりに、手首の上のあたりが細長く伸びていた。そして、
よく見ると腕や肩には、ごく細かい毛が密生していた。
それに気づいたわたしの顔には、反射的に恐怖と嫌悪感が浮かんだはずだった。
それを見た女性の顔に、さらに深い悲しみの表情が浮かんだのが目に入った。
わたしは直観的に、この女性はあの無表情な人面鳥の仲間ではなく、ちゃんと人間の心を
もっているのだということが分かり、あんな顔をしてしまったことに対し、申し訳ない気持ち
が浮かんだ。だが同時に、まだ形をなさない大きな恐怖と不安が心に広がり始めていた。
女性がわたしの体を見つめ、悲しそうな顔のまま口を開いた。
「ちゃんとした人間の体を久しぶりに見たわ。そんな風だったのよね…。でも、とても
悲しいことだけれど、あなたもすぐ…」
その言葉が、わたしの形のない不安を一気に結晶化させた。わたしは取り乱して
女性に聞き返した。
「…わたしもすぐ!?わたしもすぐ、何なの!?そんな風になっちゃうの?
化け物にされちゃうの!!??」
口に出してから自分のデリカシーのなさに気づき、わたしはうろたえながら付け加える。
「…あ、ごめんなさい。違うの。あなたが化け物だと言ったんじゃありません。すみません…」
女性は、しかし、悲しそうな顔をやめ、きりっと眉を引き締めて返事した。
「いえ。いいの。わたしの方こそ気弱になってごめんなさい。むしろ、化け物に
なるのはいやだ、という、今のその強い気持ちを忘れないでいて」
それからしばらく、わたしは衝撃的な事実を頭の中で整理していた。
この女性はわたし同様、あの人面鳥に捕まってここに連れてこられたのだろう。
そして、人間と人面鳥の中間のような姿をしている。ということは、この女性は…
人面鳥とわたしが呼んでいる生き物は…そして、わたし自身は…。
「教えて下さい。…わたしも、これから、そんな風に姿を変えられてしまうんですか?
…そして、最後は、あの人面鳥になっちゃうんですか?」
女性は答えた。
「そうよ。わたしも、ここに来る前はちゃんとした人間だった。それに、わたしの前にも
『先客』がいた。彼女はわたしの見ている前で、徐々に身も心も完全な人面鳥に
変えられていき、やがてどこかへ『巣立って』いった。普通にいけば、わたしも、
あなたも、そうなるのは間違いないわ」
女性はそういって眉を曇らせた。激しい恐怖と絶望がわたしの心を覆った。せめて、
ぱくぱくとついばまれ、苦しみながら食べられてしまうのよりはましだと思うべきだろうか?
…いや、恐らく一瞬で終わる死の苦しみより、何日もかけて徐々に人間でなくなっていく
恐怖の方がずっとおぞましいのではないか?少なくともそのときのわたしにはそう思えた。
女性は再び毅然とした表情を取り戻し、言葉を続けた。
「わたしの体は、多分このまま完全な人面鳥に変えられてしまう。それは防ぎようが
ないわ。だけど、あなたをどうにかして助けることはできるかも」
女性はまた眉を少し曇らせつつも、やはり決然とした口調で先を続けた。
「…残念だけど、あなたをまったく今のままで帰してあげることも無理。だけど、
あなたが本物の人面鳥になってしまう前に、ここを出してあげることなら、できる
かもしれない。してみせる。信じれば、神様はきっと見捨てないわ」
わたしが質問を返そうとしたとき、ばさばさとあの音が聞こえてきた。そして人面鳥が
いきなりわたしに覆い被さった。
人面鳥はわたしの足の上に乗り、くちばしでわたしの口を強引に押し開けた。そして、
円筒状の固い舌をわたしののどに押し入れた。そして、ゲエッという汚い音と共に、
わたしののどの奥に何かどろりとしたものを吐き出した。
吐き出された液体は、ほのかな酸味のある以外に味はなく、ただしあの濃厚なワインの
ような甘い香りがしていた。人面鳥はゲエッ、ゲエッと何度かそれを繰り返し、
それからわたしから離れ、少し離れたところからわたしをじっと見ていた。
わたしは人面鳥が離れたとたん、激しく嘔吐した。そして嘔吐の発作は、目の前の
女性を意識してずっと我慢していた、排泄の欲求も解放した。胸一面にたった今
注ぎ込まれた生温かい液体が広がり、お尻の下には糞尿が散乱した。
人面鳥が次にとった行動はさらに嘔吐を掻き立てるものだった。あの円筒形の舌を
出して、わたしの下にまき散らされた排泄物を丁寧に吸い取り始めたのだ。それが終わると、
次は胸の上に広がった吐瀉物をやはり丁寧に吸い取り、あるいは舐め取った。そして、
その同じ舌を再びわたしののどに差し入れてきたのだ。
先ほど以上の激しい抵抗もむなしく、のどの奥にどろりとした液体が差し入れられた。
先ほどの排泄物もたしかに混じっているはずなのだが、ほのかに甘い味に変わっている
だけで、決していやな味はしなかった。
鳥が離れると、わたしは再度嘔吐を試みた。だが、先ほどのような勢いのある嘔吐の
発作は起きなかった。そして多少漏れ出た吐瀉物を人面鳥がまた舐め取り、わたしの
のどの奥に入れて後は、どんなに試みても、嘔吐の発作はもう起きてはくれなかった。
やがて腹の中のものが全身に広がっていくのがわかった。全身が火照り、
軽く酔ったようなほんわりした感覚が生じた。
わたしはそのままとろとろと眠ってしまいそうになったが、その欲求をどうにか
こらえたのは、人面鳥がわたしの前の女性の方に移動したからである。
人面鳥の作業は一見わたしに対してと似ていた。だが、どうもただのどの奥に液体を
流し込んでいるだけでもないようだった。人面鳥は彼女の足の上に立つのではなく、
自分自身も足を開き、その中央部を彼女の両足の中央部に押し当てている感じだった。
そして、のどに液体を流し込む作業が終わり、人面鳥が口を離しても、その下半身での
作業は続いた。女性は中空を見つめ、眉間にしわを寄せながら、切ない声を漏らした。
「あ、あ、あふ…はあん…ぁん……」
やがて人面鳥が体を引き離し、どこかへ飛び去った後も、女性の切なそうな様子は
続いた。しばらくすると眉間のしわは消え、女性は無表情な、やはりうつろな顔で、
何も言わずに中空を眺めていた。
わたしは不安になり、声をかけた。
「ねえ!お姉さん!しっかりして!ねえ!ねえ!お姉さん!!」
わたしの必死の呼びかけが届いたのか、女性は再び眉間にしわを寄せ、とても険しい
顔つきで首を振り、目をしばたたかせた。そして深く息をすると、わたしの方を見て言った。
「…ありがとう」
女性はそれきり黙りこくってしまった。わたしの方は、眠気は幾分ひいてきたものの、
体の熱はさらに強まっていた。全身の骨と関節に、まるできしんでいるような鈍い痛みを
感じた。体の形が変わり始めたのだと思った。
実際、変形は思っていたよりもずっと早く進むようだった。目の前の女性に比べると
まだまだ微々たる変化ではあるが、小指と薬指が短くなり、足の指とかかとが伸び、
太ももが縮む様子など、目で追えるほどだった。ただ変形はいつまでも続くのではなく、
徐々に収まっていった。
目の前の女性もまた、その肉体がまた一歩鳥に近づいたのがわかった。骨格の変化も
そうだが、全身を覆う綿毛が一段と濃くなったのが目に見えて分かった。そして、
とうとう唇の形が変わり始めたようだった。
女性がようやく口を開いた。まだしゃべり方は普通だった。
「注入された直後が、一番急激に変形するの。だけどその後もゆっくりだけど変形は続くわ」
それから悲しそうな顔でわたしを見て、先を続ける。
「あなたももう変形が始まってしまったのね。仕方のないことだけど、あまり進まない
うちに何とかしてあげたい」
その言葉を聞いて、わたしはさっき聞きたかったことを改めて聞いた。
「あなた、わたしを助けてくれる、と言っていたけど、どういうことなの?神様が
助けてくれるから、というのは無しよ。神様は信じていないこともないけど、
わたしなんかのためにそこまでしてくれるとは、とても信じられないわ」
女性は考えながら答えた。
「わたしはもともと、神に仕える仕事をしていたけど、文字通りの奇跡を起こして
くれるとは思っていないわ。問題は心。つまり、体をいくら化け物に変えられても、
心まで奪われなければいい。わたしはそれに精一杯抵抗する。そして、自由に空を
飛べるようになったら、あなたをここから連れ出す。そういうことだったんだけど…」
それを聞いて、一応女性の言いたいことは納得できた。たしかに、この人がこの人の
心を守ったまま空を飛べるようになれば、わたしをここから連れ出し、帰してくれる
ことも可能だろう。
しかし、女性はその思いつきを伝えながら、言葉を濁してしまった。それが意味する
ことをわたしは察して、あえて聞いてみた。
「だけど…何?…やっぱり難しそうなの?」
女性は悲しそうな顔をして答えた。
「簡単でないことは、認めなければならないわ。日に日に体だけではなく心まで変わり
つつあるのが分かる。わたしの前にここにいた女性と、全く同じ道を歩んでいるのが
分かる。自分は違う、自分だけはそうなるものか、と気を張っても、抵抗しようのない
強い力がわたしをどこかへ連れて行こうとする…」
そこまで言ってから、何かに気づいたように、女性の顔はきりっとした様子を取り戻した。
「…でも、まだ希望はある気がするの。聞いて。さっきあなたがわたしに必死で呼びかけて
くれた。そのおかげでいつもより早く正気をとりもどせたわ。そして、目の前のあなたを、
あなただけでも、なんとか助けてあげなきゃ、という強い決意が生まれた。だから、
お願いがあるの。これからも、あんな風にわたしを励まして、声をかけて!あなたは
まだ大丈夫のはず。そうしてわたしを励ましてくれることが、わたしのためであり、
あなたのためでもあるの。お願い」
強い決意に満ちた顔はとてもきれいだった。わたしは、今のきりっとした顔こそ、
この人の本来の顔なのだろう、と気づいた。つらい現実を突きつけられるごとに、
あの悲しい絶望の表情が浮かぶようになってしまったのだろう。そんな顔ではなく、
このきりっとした顔をもっと見たい、とわたしも強く思った。
「わかったわ。できる限りやってみます」
「ありがとう」
人面鳥は夕方まで帰ってこないらしい。わたしたちはぽつぽつとお互いの身の上を話した。
といっても、近所の村の普通の娘であるわたしに大した話はできなかったのだが、
彼女の方は色々と興味深い話をしてくれた。
「わたしの故郷はここからずっと離れた都市。ずっと神様に仕えるお仕事をしていたのだけど、
色々とあって今は教会の付属の大学に通っている。動物についての研究が専門で、
この辺には調査のために来たの。古文書には出てこないような生物はたくさんいる。
大昔に起きたあの大異変以来、色々とこの世界は変わってしまったらしい。昔には
いなかったはずの生き物もたくさん生まれている。それでちゃんと調べる必要を感じたの。
…そのあげく、うかつにも調査対象に捕まってしまったということ」
そしてその女性、わたしは「お姉さん」と呼ぶことにしたのだが、お姉さんは、
あの人面鳥についてもある程度の推測を行っていた。
「あの森によく行くなら、自分よりも大きなヒナにエサをあげている鳥を見たことが
あるでしょう?『托卵』といって、別の鳥がもとの卵を捨てて自分の卵を産みつけ、
ヒナを育てさせるの。そしてあの人面鳥は、そういう托卵鳥の餌食にされた鳥の仲間。
押しつけられたよその鳥のヒナに自分の遺伝子を組み込むように進化したのよ。
わたしたちは逆托卵鳥と呼んでいる。そしてこの逆托卵鳥からさらに、積極的に他の
生き物をさらってきて、自分の仲間に作りかえる種が出てきた。正確に言うと、
もともとの逆托卵鳥の遺伝子と、さらわれてきた種との混合生物ね。そんな混合生物が、
さらわれる動物の種の数だけいる。そして同じ種の犠牲者は同じ種の仲間をさらってきて、
同族を増やす。人面鳥はその一種ということ。若いグループらしくて、まだ数は少ない
けど、これから飛躍的に増える可能性もあるわ」
イデンシとかシンカとかよく分からない単語も多かったが、あの鳥が悪魔や魔物の類では
ないこと、元々は托卵鳥の餌食にされたかわいそうな鳥だったということ、そして、
どの人面鳥も半分は人間なのだということはよく分かった。それとは別に、こういう話を
しているお姉さんはとても生き生きとしていて、とても好感がもてた。
いつのまにか夕闇が迫っていた。ばさばさと人面鳥が帰ってきてうずくまり眠り始めた。
「さあ、もう寝た方がいいわ。夜明けと共にこの人面鳥が目覚め、またあれが始まる。
そして睡眠不足の状態であれをされると、危険なことにもなりかねない。今は無理にでも
眠りなさい」
異常な状況だが、疲労が溜まっていたのと、あの液体の作用もあるのだろう。わたしは
目をつむると同時に熟睡してしまったようだ。
朝、のどに違和感を感じて目覚めると、すでに人面鳥が口の中に「エサ」を流し込んで
いるところだった。やはり嘔吐感は起きてくれず、わたしのお腹の中には、肉体を変形
させる物質がたっぷり残されてしまった。
やがて体が熱くなり、変形が始まった。四肢の比率が変わり、手の指は短く、足の爪は
固く鋭くなり、足や肩の皮膚はぽつぽつとした「鳥肌」に変わり始め、足は脂肪が落ち
ごつごつとし始めた。さらに、昨日にはなかった変化も始まった。女性のあそこと
お尻の穴周辺が落ちくぼみ始めたのだ。いずれも、思っていたよりも急速で、この分では、
明後日ぐらいには昨日のお姉さんに追いついてしまいそうだった。
お姉さんをふと見ると、目覚めてはいるようだが、呆然と中空を見つめている。
寝ぼけているのではなく、心を冒されかけているのではないかと思われた。わたしは
ぞっとしてお姉さんに声をかけた。
「お姉さん!目を覚まして!目を覚まして!」
あらん限りの声を発して呼びかけているうち、お姉さんは我に返ったようだった。
やがてお姉さんへの「給餌」と、あの怪しげな下半身への操作が始まっても、わたしは
お姉さんへの声かけを続けた。
声をかけ続けたのが功を奏したか、お姉さんはその後ずっと眉間にしわを寄せ心を
冒されることに抵抗を続けられた様子だった。人面鳥が飛び立つと二人は目を合わせ、
深いため息をついた。二人とも涙ぐんでいた。
「ありがとう!」
「ううん。よかった。お姉さん。よかったよ!」
その後また二人は色々と話をした。午後の「給餌」のときもお姉さんは耐え抜いた様子
だった。その後また会話を交わし、その日は眠りについた。
三日目の朝の「給餌」後、昨晩から続いていた股の辺りの違和感がとても強くなった。
どうも、お尻の穴と前の穴が一つの穴にまとまってしまったようだった。
そのショックのせいで声が小さくなってしまったのか、それともお姉さんの変形が
否応なく進んでしまっているせいなのか、今回、わたしの声かけにもかかわらず、
お姉さんは意識を飛ばしてしまった。
呆然と中空を見つめるお姉さんを見ると、お姉さんの変形も着実に進んでいるのが
わかった。全身に羽毛が生え始め、腕は小さな翼になっていた。足もほとんど鳥の足と
いっていいものになっていた。
お姉さんを何とか呼び戻すと、お姉さんはわたしの姿を見て、久しぶりにあの
暗い表情を浮かべた。
「…あなたにも、総排泄控ができてしまったみたいね。明日か、早ければ今夜あたりから、
あれが始まってしまうわね」
お姉さんの発音は不明瞭になっていた。くちばしがだいぶ伸びたし、多分、舌も細く
固く変形しつつあるのだ。
わたしはなんとか聞き取れた知らない単語について尋ねる。
「ソウハイセツコウ?」
「そう。鳥はおしっこの穴とフンをする穴と生殖器の穴がひとつだけなの。あなたも
そういう体に変えられてしまっている。そしてそれが完成すると、その総排泄控から
あの物質を流し込む作業が始まる。…ああ、そして、それが始まると、心の変化が急速に
進むの…」
お姉さんの声には強い恥じらいのトーンがあった。しばらく何か言いよどんでいた
お姉さんは、しかし意を決した様子で先を続けた。
「やっぱりあらかじめ知っておいてもらわないといけないわ…」
どう話せばいいかをしばし思案したらしいお姉さんは、動物学の講義を始めた。
「哺乳類、つまりケモノの場合、交尾は膣に突起物を挿入して、その先から精子を注入する。
…修道女だったので人間の男性のそれをちゃんと見たことはないのだけど、人間も
そういう風にできているわ」
わたしの方が恥ずかしいような気まずいような感じをおぼえた。わたしと言えば、
すでに詳しく経験したことがあったからだ。
「だけど鳥の場合、交尾はお互いの総排泄控を密着させるだけ。そういう風にできているのよ。
そして、人面鳥は人間の女性しか襲わない。だからもともと女性同士なのだけど、
生殖器からのあの物質の注入は、鳥の本物の交尾とほとんど同じ行為なのよ。…そして、
あのときの感じは、まさにそれなの…いえ!いえ!それかどうか、確言はできないけれど、
そうであると考えられるのよ」
お姉さんは話しながら真っ赤になっていた。わたしは修道女や修道士という人種が
そういうものを過度にタブー視するものだ、という話を思い出して、妙に合点がいった。
お姉さんは自分が性的快感を感じているという事実をできればわたしに隠したかったの
だろう。それに、多分お姉さんはここに来る前に性的快感の何たるかを知っていた。
しかしそれを認めることもしたくはなかったのだろう。
それで、お姉さんのためらいの理由が分かったし、ひょっとすると感じなくてもいい
過度のプレッシャーを感じていたのかもしれない、と気づいた。それでわたしは、
変な言い方にならないように注意しながら、言った。
「要するに、あそこからあの物質を注入されると、セックスの快感を感じちゃうのね。
そしてそれが頭の調子をおかしくしちゃう、という仕組みなのね。わかったわ。でも
大丈夫。ちょっと怖いけど、セックスは経験があるから。それに、自分で慰めたこと
だっていっぱいある。だから、少なくともそれがどういうものかは知っている。だから、
負けずにがんばってみるわ」
お姉さんは目を丸くしている。多分、まったく予想外のリアクションだったのだ。
むしろ、もっと色々と言いにくいことを聞かれるだろうと覚悟していたのではないか。
わたしは畳みかけるように言った。
「お姉さん。セックスを特別視して、そのせいで余計な気力をすり減らしたら負けちゃうわ。
ケモノだって鳥だって、普通にやっていることでしょ?お姉さんも、普通のものとして
つきあっていかなきゃだめだよ!」
お姉さんはしばらく呆然としていた。わたしの言葉を反芻しているようだった。
それから、あのきりっとした表情が帰ってきた。
「ありがとう!振り返ってみると、自分は、何かとても狭い見方に囚われていたみたいな
気がする。これからは、わたしも協力するわ。『交尾』が始まったらわたしからも声を
かける。そうして、二人で力を合わせて乗り切りましょう!」
とても頼もしい言葉だった。
…だが、結局それが、お姉さんと交わすことができた最後の会話になってしまった。
その日の二回目の給餌のときまでは、お姉さんはちゃんと人間の言葉を発音できた。
力強い励ましの言葉を受けたわたしは、予想以上の強烈な快感に、何度も意識を飛ばされ
そうになりながらも、持ちこたえることができた。そしてわたしはわたしでお姉さんに
声援を送り、お姉さんもそれを切り抜けた。
だがその後、お姉さんのくちばしはこれまで以上に急激に成長を始めた。舌の形も
変形してしまったようだった。何かを喋ろうとする意志ははっきりあるのに、ろれつが
回らないどころか、音声を区切ることすらままならないようで、「クエッ、クエッ」
という鳴き声しか出せなくなってしまったのだった。
体の羽毛はほぼ完全に生え揃い、足の形もどこから見ても立派な鳥だった。なのに、
翼の骨格と羽毛だけはまだ未熟で、しかも貼り付いた手足はいまだにいくらあがいても
引きはがせなかった。
わたしはわたしで、一段と鳥に近づいてしまった。もう指はほとんど人差し指一本しか
なく、両側に親指と中指が小さないぼのように張り出しているだけだ。全身を綿毛が覆い、
羽毛らしいものも生え始めている。それに体の内側も変わりつつあるらしく、排泄物は
尿と便の区別がなくなり、ピンク色のどろっとした液体が出るようになっていた。
少し前からお姉さんを見て気づいていたことだったが、それがこの巣の壁を形成している
物質なのだった。そして囚われた日はちょうど生理が始まった日だったのに、すぐに
止まってしまっていた。多分、もう、人間の赤ちゃんを作る能力はなくなってしまった
のだろうと思えた。
――どうしても子供が欲しければ…人間をさらって同族に作り変えるしかない。ならば…。
ふと生じたそんな考えにわたしは慄然とする。これはわたしの考えじゃない!人面鳥の!
…わたしはうろたえ、おびえた。
その夕方は二人とも沈みがちだった。わたしはこのままではいけない、と無理にでも
明るく振る舞い、イエス・ノーで答えられる質問を使ってお姉さんと会話をした。
お姉さんも、ここでくじけたら終わりだという判断があったのだろう。気分を切り替え、
恐らく無理をしてとても明るく振る舞ってくれた。痛々しかったが、何だか楽しかった
のも事実だった。
…しかし、やはりそれは空元気だったのだろう。翌朝の「給餌」はとても惨めな
結末になった。
まずわたしが、昨日よりも強烈になった快楽の果て、人ならざるものに心を乗っ取られて
しまった。心を奪われる経験は、とても甘美な経験だったことを告白せねばならない。
よく覚えていないが、安らぎや解放感といったものに満たされていた気がする。
それでも、遠くで聞こえる「クエッ、クエッ」というお姉さんの声がわたしを励まし、
なんとか戻ろうという気力を与えてくれた。わたしは泥沼からはい出すように、
一歩一歩生ぬるい忘我の沼から這い出そうとした。
どうにか帰ってきたときは昼過ぎで、お姉さんへの処理はとうに終わっていた。
その姿はもうほとんど完全な人面鳥で、ただ翼だけがまだすこし小さく、羽根も揃って
いなかった。
わたしが声をかけられなかったせいもあるのだろう。お姉さんは人面鳥そのものの
無表情な顔で呆然と中空を見上げていた。わたしは泣きながら、必死でお姉さんを
呼び戻そうとした。だが。声をからして呼びかけてもお姉さんは帰って来ず、そのまま
午後の給餌が始まった。わたしはまた快楽と忘我の沼に溺れ、気がつくともう夜中だった。
その翌朝、例によって人面鳥の給餌で起こされたわたしは、何とか気を張り、心を
冒されるのを防いだ。人面鳥が離れると、お姉さんの姿が目に入った。お姉さんはまだ
眠っていたが、一晩の内に完全な成熟を遂げたらしく、大きく見事な翼が揃っていた。
人面鳥は給餌ではない、見慣れない動作を始めた。口から何かの液体を吐き出しながら、
お姉さんの腕や背中をつつき始めたのだ。壁からお姉さんを引きはがしているのだと
すぐにわかった。
壁から外されている内にお姉さんは目を覚ましたようだ。翼をばさばさとうち下ろし、
両足でぴょんぴょんと飛び跳ねた。それから「母親」である人面鳥とキスのような仕方で
くちばしを合わせた。無表情なきょとんとしたその顔からは、もう人間の感情は
読み取れなかった。
わたしはそんなお姉さんの顔をじっと見つめた。そしてお姉さんの目がわたしと
合ったとき、お姉さんの顔にあのきりっとした勇ましい表情が戻った。
お姉さんは「母」ののど笛にその鋭いくちばしで食いついた。ぶしゅっと鮮血が
噴き出し、お姉さんと巣の中を赤く染めた。そしてお姉さんは先ほど自分がされたように、
わたしの腕や背中に何かの液体をかけながら、わたしを壁から引きはがした。それから、
「母」がわたしをこの巣へ連れてきたときのように、わたしを抱え、空に羽ばたいた。
晴れ渡る空に一羽の人面鳥と、人面鳥のなり損ないが飛翔していた。
お姉さんはどうやら、わたしの故郷を目指して飛んでくれているようだった。わたしは、
つい数日前まで普通に暮らしていた故郷の光景や家族、友人たちの顔を、とても懐かしいが、
しかし、何かとても遠い世界のことのように思い浮かべた。それからわたしは、
自分の体を改めて見回した。
わたしの体は、最初に会ったときのお姉さんよりも変形が進んでいた。羽毛が生え始め、
くちばしも形成され始めていた。足の表面も人の足よりは鳥の足にずっと近く、蹴爪も
伸びていた。そしてひなどりのような未熟な翼を両肩から伸ばしていた。
わたしは目をつぶった。いつの間にかまぶたはなくなっていて、下から広がる瞬膜が
目を覆った。そしてしばらくの間、もう一度、故郷の懐かしい人々の顔を順に思い浮かべた。
それから、わたしはお姉さんに声をかけた。
「ねえ、お姉さん。引き返して!わたしたちの巣に帰ろうよ。お母さんは死んじゃったけど、
お姉さんが新しいお母さんになって、続きをやってちょうだい」
お姉さんは動揺しつつもコースを変えようとしなかった。わたしは言葉を続けた。
「村のみんなは優しいわ。わたしがこんな姿になっても、迫害なんかしないで迎え
入れてくれそうな気はする。…でも、もうわたしが変わってしまったの。こうやって
連れ出されてみて、ようやく気づいたの。
ねえ。お姉さんはもう人間界には戻れないよね。最後の意志の力でわたしを故郷に
送り届けたら、あとは完全な人面鳥として暮らすんでしょ?…わたしは、故郷のみんなよりも、
お姉さんと一緒にいたい。ううん、一緒に暮らしたいということじゃない――人面鳥は
孤立して暮らすんだよね。そうじゃなくて、わたしは、お姉さんや、死んじゃった
お母さんや、お姉さんのお姉さんになった人たちと同じ世界で生きたいの。そういう風に
なっちゃったの。わかるでしょ?
聞いて!お姉さんもずっと勘違いしていたんだよ。お姉さんが頑張って人間の心を失う
まいとしてきたのは、わたしを救うため。でも、その気持ちがもともと人面鳥の気持ち
なんだよ。お姉さんを『お姉さん』と呼んで慕ってくるわたしを、お姉ちゃんは同じ巣で
育つ姉として思い、姉として何とかしてあげようと思った。その気持ちは人面鳥の
気持ちだよ。ただ、それを形にする仕方が間違っていただけなんだよ!」
お姉さんは向きを変え、再び巣を目指し始めた。言葉はしゃべれなくなっていたが、
その仕草からはこんなお姉さんの言葉が聞こえてきそうだった。
――まったく、あなたの言葉にはいつも目を開かされるわ。
巣に帰るとわたしたちは早速食事をした。お姉さんがお母さんの死体をついばみ、
飲み込んで変化させたものをわたしに与えてくれた。お母さんの死は正直悲しいが、
人面鳥に死骸をいたわる感受性はないのだった。むしろ、遠くまでエサを採りに行かなくとも、
こうして近くに新鮮なお肉があるのは好都合といえた。
食事が終わったら、お姉さんは総排泄控をわたしのそれに重ね合わせてくれた。柔らかな
丸い開口部が重ね合わされ、温かな至福が流れ込んできた。お姉さんであり、新しい
お母さんの情愛のすべてを注ぎ込まれているような気がした。
間もなく訪れる、大空を羽ばたける日を夢見ながら、わたしはその心地よい流れに
身を委ねた。
<了>
長文投下乙
GJ
鳥の醍醐味は羽と鱗と排泄口!猛禽のたくましい脚とかたまらんよなー
好いものをご馳走になりました
これはGJ!ご馳走様です
>>745 新スレおよび短編投下、お疲れさまです。
人面鳥、最後の気持ちの切り替わり方(解釈の変更)が逆転の発想という感じで
面白かったです。
口がくちばしになるのも、見た目に異形化の度合いが増すし、口が利けなくなることで
精神変容にも説得力が加わるしで、見事なアイデアですね。
埋め立て用の短い話を私も書きかけていて、数日前に冒頭だけでも投下するつもり
だったのですが、アクセス規制を食らっておりました。
新スレの方で始めてみますね。即死回避の一助になればと思います。
>>レス頂いた皆様、ご好評頂けて感謝です
>>747様
鳥はファンが多そうなので、分かる範囲で解剖図を見たりなどしてみたのですが、
お気に召して頂けたようでよかったです。もうちょっとウロコを強調してもよかったですね。
そういえば鳥の交尾は"cloacal kiss"というのだそうです。なんか素敵ですね
(cloacaは(総)排出腔のことだそうです。ちなみに、作中、
「腔」の字を全部間違えて控除の控にしてたのに気づきました。お恥ずかしい)
>>749様(◆eJPIfaQmes様)
丁寧なご感想ありがとうございます。
たしかにハルピュイアにくちばしはないんですが、おっしゃるとおり、そのままでは
異形化度がちょっと足りない気がしたのと、あとは手がないので、くちばしがあると
色々と手の代わりに使わせられて便利、というのがありました。そう考えると
自然の生き物はよくできていますよね。
新作の感想は次スレの方でさせて頂きます。
そろそろ埋まりそうですね。
この神スレまとめサイトないの?