【異形化】人外への変身スレ第三話【蟲化】

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656名無しさん@ピンキー
「……保守、か」
そう呟きながら私は空を眺める。素敵な満月が広がっている……と言いたいところだけど、満月はあまり好きじゃない。月の表面が……ギーグのように見えて。

窓際に置いた机の上にあるのは、まんまるなチーズケーキ。しかもレモンの酸味が効いたレアチーズケーキだ。
『受験を終えた妹への労い兼ホワイトデー』
として兄が買ってきたものだ。兄は店で食べたらしく、「これは旨いぜ!」と妙な墨を私に与えてきた。専門家でもないくせに。
まぁいい。確かに美味しい。今まで食べたどの洋菓子よりも美味しい。あっさりペロリと一個平らげてしまった。

「……ん〜」

その後、今日の日記をつけ終わった後、私は軽く伸びをして――外の満月が目に入った。
――瞬間、体の中に大量の熱が生まれた!

その熱は私を内側から焼き尽くすのではないかと言うほどに熱く、そして激しい。どっ、と汗が出る。脱がなくちゃ、脱がなくちゃ。
すべて服を脱ぎ終わった私は、あまりの熱さに立つことすら出来ず、そのまま床に四つん這いになる。
――その手が、腕が、狼のそれへと変じていく。銀の毛が全体を覆うように生え、指がスパイク状のそれに変化する。脚も同等の変化を遂げていた。
体全体がぞわぞわとすると同時に、首回りを含めた全身から銀色の毛が生え揃う。尾てい骨からは皮膚が延び、尻尾が形成されていく。
変化の度に、私は熱から解放されていく感覚を味わっていた。やがてそれは、理性までもを侵食にしていく。
鼻先や口が前に突き出て、歯が牙に変化する。まるで狼のようになった私の顔にも毛は生え揃っていく。
やがて、頭から尖った耳が二本突き出て――!

「――ウォォォォォォォォォォォォォォォンッ!」

私は、巨大な狼に変化していた。