「なんだかんだ言って、かがみ、私のこと好きなんでしょ」
「…そ、それは」
こなたが、ニヤニヤと、私を見つめてくる。私は自分の気持ちを知られないように、目を逸らす。その行為自体が答えになっていることは、わかる、
けど。
「んふふ〜好きっていえば? 私は一応ノンケだけど、最後まではともかく、途中までならいいよ。
…かがみだから。誰でもっていうわけでは、もちろんないけど」
「―――あのね、こなた。本当に、私、そんなんじゃ」
しどろもどろに否定する。でも、違う、とは言えなかった。
確かにこなたのことが好きだ。
いつもこなたのいるクラスに行くのは、つかさと一緒に弁当を食べるためだけど、何よりもこなたを見ていたい。
出会ったのは、高校一年生のとき。二年の進級、私は神様にまでお祈りした(つかさのせいで、こなたにからかわれたけど)けど、私とこなたは別の
クラスだった。
少しだけ、ほんの少しだけ、つかさが羨ましかった。双子は離すということは、この学校でなくてもよくあることらしいのだが、それとこなたと別のクラ
スになることは、違うと思う。
三年生のクラス替えの日。つかさに知られないように、私は枕を濡らした。
たしかにこなたって、オタクだし、傍若無人だし、どうしようもないいじわるだ。ついでに胸もないし。
看病に来てくれたと思ったら、私を笑いものにしたり、宿題を写させてという。
でも、私は、そんなこなたと一緒にいるととても楽しい。
お姉ちゃんでいること、とても大変だった。つかさはもちろん大好きだけど、幼き日の私には心労は大きかった。
こなたが「ツインテール、似合っているよね」って言ってくれたとき私は、「別に、惰性でこうしているだけよ」といったけど、本当にうれしかった。
それ以来、この髪型を変えるつもりはなかった。ショートにしてみようとして、こなたに訊いてみたとき思ったよりも反応がなかったことは、残念だっ
た。
「…ばか、こなた」
「その反応は、正直返すのにとまどうんだけど」
こなたが困ったように呟く。
ああ、愛しい。
「その、あの、さ…」
好き、こなた。ごめん、私、こなたのこと、好き。
―――口には出せなかった。
「ん〜お姉さんに言ってみ?」
「……うん、えっとね、その」
「ツンデレもいいけどさ、もう少しはっきりいってくれないと、私もわからないよ」
「うん、ごめん、こなた。でもさ、こうでしか、私、やっぱりできない」
――もう、後には引けない。
私はそのままこなたに――こなたの可愛い、小さな頭に触れるように体を屈して――強引にこなたの唇に触れた。
初めての味はキスの味という。
この味は、何の味なんだろう。
「ん、んー!!」
こなたが何かいいたげに手をじたばたさせる。私は、そんな抗議にこなたの唇に舌を入れて返した。
くちゅ、くちゅ。
卑猥な擬音が、教室中に響いて木霊した。
そうだ、ここ、教室だったんだ。
でももう、どうでもいいや、と私は思った。
こなたも観念したのか、手を振るのはやめていた。私とこなたの舌が絡み合い、糸を引いていた。
こなたの息遣いが、直接肌に伝わる。唇がふさがっているせいもあり、こなたの鼻息が、私の鼻にかかる。
ん…、あ…、くふ…小さい、小さい、けれども淫猥な喘ぎ声を聞いた。
私はたまらず、体が火照てしまう。
数十秒? 数分?
時間の感覚なんて、とっくにない。
それでも、名残惜しいように――私にとっては、特に――私とこなたは、繋がっているただひとつの器官を離した。
紡いだ糸や、唾液が、教室の床にたれた。
こなたの唾液――甘い汁を、私は咽ながら口で受け取った。
・
・
・
「あのさ、かがみん…」
「…はい」
火照った体も、冷えてきた頃。
…こなたの、視線が痛い。
「あ、あのね、こなた。
えっと、うんと、そんなんじゃなくてさっ!」
私はしどろもどろに言い訳をする。
だって、こなたに、嫌われたら、って。
私、こなたの意見も聞かず、最低だ。
どうしよう。もう取り返しがつかない、けど。でも、こなたの唇が、息遣いが、色っぽい表情が、忘れられない。
「―――かがみんって、ちょっと清潔すぎるんだよ」
「ど、どういう意味よ、それ」
「言葉通りだよ。
それにしてもかがみがねー、いきなりフレンチキスというか、ディープキスというか。
ゆい姉さんじゃないけど、お姉さんびっくりだ」
「う…反省、してる」
ちなみにフレンチキスとは、ほとんどディープキスと同義って、私が読んでいた小説に書いてあった。
こなたに貸してもらった、ライトノベル。
こんなところで、こなたと一緒ということが、不思議に嬉しい。こういう状況なのに。
「あのさ、かがみ」
「…うん」
気まずい沈黙。
こなたの途中まで、ってどこまでなんだろう。
手をつなぐこと? プラトニックなラブ? でも私はもう、それだけじゃ我慢できない。
どうしても我慢できない時、私はいつもこなたを思い浮かべる。最初はなんであんなやつっ!と思ったけれど、抵抗も、違和感もない。こなたじゃな
いと駄目だから。
あの小さい唇、指が私の陰核に触れる。全身を弄ぶようにくりくりと私の大切なところに触れる。優しく、激しく。
「かがみいやらしいね〜、そんな顔をして」とこなたが意地悪そうに言う。私は「う、煩いっ、仕方ないじゃないの…っ」と、悪態をつきながらも、こなた
に身をまかせる。
そんな想像で、私は絶頂に達するのが、いつものひとりえっち。
「…かがみ。 ――かがみーん?」
手をあてられて気づいた。こなたはもう、次に発する言葉を準備していた。
「あ、ごめん。ちょっと、考え事をしていて…」
あの時のことを、こなたの裸体を、想像していたなんて、とてもいえない。
「それで、何。
ううん、先にいっておく。ごめんこなた。あんなことして――」
嫌いになるなら、嫌いになって。
その言葉を発する前に私の唇は遮られた。
こなたの唇だった。
フレンチキスではない、恋人通しがする、ごく普通のキス。
温かい。ふわりと触れた一面に、全身が反応した。
こなたの味は、やっぱりレモンの味だと思った。
「あのさかがみ。
もう一度聞くけどさ。私のこと、好き?」
「そ、それは…」
そんなこと、わかっているでしょ?
と思ってしまうのは、B型の血なのか、あるいは私が単に素直ではないだけなのか。
「かがみん」
「な、何よ」
「言葉で言わないとわからないことって多いんだよ?――不公平か、それじゃ。
私は、かがみのこと好きだよ。かがみがどう思っているかわからないけど、おそらくかがみが思っていない意味で」
「でも、ノンケ……というか、こなたは、女の子、好きになれるの?」
「そだねー
今はわからないよ。かがみのこと好きというの本当。それが友達して、という意味ではないことも本当。
かがみが恋人だったら、って思ったこと、私あるし」
どういうこと?
こなたは、私のこと、好き、なの?
「私は」
そこでしどろもどろとしてしまう。気恥ずかしい思いが、その先を告げることを躊躇わせる。
「私は、うん、その。
―――こなたのこと、好き。大好き、だよ」
「…」
「そこで沈黙しないでよ……っ。
私、どうしたらいいか、わかんないよ……っ!」
「うん、そのね」
こなたは少し面食らったのか、ぽりぽりと頬をかく。
それから言った。
「かがみん。やっと言ったね。もっと、言いたいこと、素直になればいいのに」
「それができたら苦労しないわよ。
―――それに、それがツンデレっていうものじゃないの?
わ、私は、知らないけどさ」
「その返しはなかなかポイント高いよ〜
うん、確かにツンデレはそうかも。ツンデレ最高!」
「ばか、こなた!声でかいわよ!」
「――あれだけのことをしていて、何をいまさら。私たち、キスどころかディープキス、したんだよ?」
「そ、それは…悪いとは、思ってる」
「謝らなくていいよ。かがみのことだから、普通のキスが関の山だと思ったけど――私も、嬉しかったから」
それが、答え?
こなたの気持ち?
「――はっきり言ってほしいよ。言葉で伝えないとわからないこと、あるから」
「う…かがみん、そうきたか」
「仕返し、よ」
「てゆーか私の気持ち、さっき伝えなかった?」
「もう一度言って。そうじゃないと私、安心できない」
「ツンデレだね〜
わかった、よ」
こなたは、言葉を切る。
すうっと、息を吸い込む音がした。
「かがみん、私も大好きだよ。かがみのこと、大好き」
―――ぽっ。
「これで満足、かがみ?」
「う、うん、その、かっこよかった」
「女の子に言う台詞かな、それ」
「あ、ごめん」
「ううん、ほめ言葉っていうことはわかっている。百合ゲーなら私が攻めだろうから、それであっているだろうし。
まあ、先ほどは、私が受けに回ったわけだけど?」
「もう、こなた、しつこい」
「そうそう、その表情だよかがみん。私は、そういったかがみんが大好きなんだから」
「――もう、いじわる。そんなこといったら、怒れないじゃないの」
私はこなたの長い髪を指ですきながら、愛でた。
同じように私の髪に、こなたの指先が揺れる。
「かがみ、付き合って」
「……うん」
私から言うつもりだったのに。言って玉砕して、すっぱりとあきらめようと思っていたのに。
もう戻れない関係。深く嵌ってしまった陥穽。
少しの憂鬱と、ノスタルジーを感じながら、三度こなたと唇を重ね合わせた。
甘い、甘い。レモンの味。
以上です。
>>513でいきなりの誤字orz 「板で始めてっすぉ」は「板で初めてssを」の間違いです。
私が板の動作が理解できていないようで、変に改行されていてわかりづらくてごめんなさい。
>>519 GJ!
キキースシンが異様にエロいぜ!
>>519 じれったい純情とほのかなエロ具合とツンデレ攻防戦が果てしなくGJ!
「そういえば思ったんだけど、私のキスって、何味?」
「こ……こなた味……かな……」
「そーだよねーそーなるよねー(=ω=.)」
>>519 ニヤニヤさせてもらったぜ、GJ
確かにちょっと改行がアレだったけど、まぁ許容範囲内じゃね?
523 :
42-415:2008/04/12(土) 01:03:17 ID:8bDUhKFf
>>519 べっとりと甘く、それでいてしつこくない。これが『こなかが』の甘さか…
で、前作の続き的物を書き上げたので、1:05くらいに投下しようと思います。
@2作目ということで42-415を名乗らせていただきますね〜。
「――さん!田村さん!」
…声が聞こえる。私の良く知ってる、声。
「…小早川さん?」
「あ、気がついたんだね。田村さん」
目の前に居るのは心配そうに私を見下ろしている小早川さんと岩崎さん。
「こ、ここは!?私はいったい…?」
「きゃあっ」
勢い良く体を起こしたので少しめまいがした。うぅ…頭が痛い…。
ここは――教室、かな?…さっきのは…夢?
「…ゆたか、大丈夫…?」
「あはは…田村さん急に起き上がるからびっくりしちゃった」
顔を覗き込んでいた小早川さんが今のでびっくりしたらしく、しりもちをついていた。
「あ…ごめん。つい勢い良く起き上がっちゃって…」
そういって頭の後ろをかく。…手は、縛られてない。
「ううん、大丈夫。それより田村さん、すごい汗だよ」
「…教室に入ってきたと思ったら、急に倒れちゃったから…とりあえず、これ…使って」
岩崎さんがハンカチを差し出してきた。私はそれを受け取り額の汗を拭う。
「ありがとっス。今度洗って返すっスね」
「…気にしなくていい…」
あ、そうだ。それよりも…
「そういえば私、忘れ物取りに来たんだっけ」
「あ、それってもしかして…このノート?」
一冊のノートを差し出し、小早川さんが微笑む。しかし私はそのノートを見て石化した。
それは紛れもなく私、田村ひよりのの忘れ物であり…そして、日常の小早川さんと岩崎さんを
腐女子コンバーターを通して描かれた濃厚な百合イラスト満載の妄想メモリーである。
あれ?
この展開どこかで見たような?
これはもしかして正夢というやつでいまからわたしは小早川さんと岩崎さんに『オシオキ』と称してもみくちゃにされて
リアルにひぎぃでらめぇであっはーんなR-18と言わざるを得ない展開に―!?
「田村さん、どしたの?」
「えっ!い、いやなんでもないっス!」
そういって手早くノートを受け取り鞄にしまう。
「そっか。じゃあ早く帰ろう」
「…うん」
「そだねー」
…この様子なら、ノートの中身は見られて無いっスね。というか小早川さんそんな人じゃないよ。
友達を疑った自分を少し後悔する。それにしてもあんな夢を見るとは、我ながら腐れすぎだ。
(というか私、マゾっ娘だったんスかねぇ…)
夢の内容を思い出す。いつもなら直ぐに忘れてしまうものだが、今回の夢は鮮明に思い出せる。
(夢の中の小早川さんの小悪魔スマイル、良かったっスねぇ…あんな顔で岩崎さんを攻める小早川さんも…って自重しれ私)
夢を思い出し妄想に走る自分を抑制しつつ、歩く。
「あ、そうだ!」
ふと何かを思い出したように、小早川さん
「今度の日曜日、おじさんもお姉ちゃんも出かけちゃうから、うちに遊びに来ない?」
「いいっスよ〜」
「…わかった」
そんな他愛も無い会話をしながら、私達はそれぞれ帰途についた。
…そして日曜日、ゆたかの部屋でひよりは二人から全身をくすぐられる事になるのだが、それはまた別のお話。
【続かない】
あれ?(1/2)が投下されないのは何故?
一行目空改行か、rock54に引っかかるNGワードが含まれていたか、
1レスの容量制限に引っかかったか、同じ語句が20数回入っていたか、
そのあたりじゃないでしょうかね
>>525 一番最初に改行入ってると反映されない事があるらしいぞ
>>526 容量はまだ40KBもあるので、それは絶対にないと思いますよ
あとスレ立ては重複なども考慮に入れて、宣言してからの方がよろしいかと……
―――知らない天井だ。
…えっと。まず落ち着こう。ここは何処だろうか。そう思い辺りを見回す。
首を横に向けるとそこには見慣れた桃色のツインテール。
「…小早川さん?」
「あ、気がついたんだね。田村さん」
声を掛けると、予想通りそこにいたのは私の友人、小早川ゆたかであった。
「ってことは…ここ、保健室?」
「うん、そうだよー。田村さん急に倒れるからびっくりしちゃった」
あぁ、そうだ。私は忘れ物を取りに教室に行って…教室に行って…なんで倒れたんだっけ…?
そう考えようとして異変に気がつく。…両手が縛られている!?
「ねぇ、田村さん。田村さんは教室で『何で』倒れたのかなぁ?」
「そ、そんな事より小早川さん!この手のスカーフは何なんスか!?」
鮮明に倒れる前のことが思い出され、同時に岩崎さんがこの場にいない事に気がつく。
「田村さん。私の質問、終わってないよ?」
太陽のような満面の笑み。しかしそこから紡ぎ出される言葉は北風よりも冷たい鋭さを持っていた
「い、岩崎さんは一緒じゃないの?」
「みなみちゃんはね、先に帰ってもらったんだけど…なんでみなみちゃんがいないのが不思議なの?」
「そ、それは…」
教室であんな事してたから…そんなことを口に出せるはずもなく、私は顔を赤くして横を向く。
「…田村さん、単刀直入に聞くよ。『何を見た』の?」
「ね、ねえ小早川さん。天原先生は何処に…」
「先生は今いないよ。ここに居るのは私と田村さんだけだよ…質問に答えて」
二人きり。私の額に嫌な汗が浮かぶ。こ、小早川さん…目が逝っちゃってますヨ?
「こ、小早川さんが…」
「私が?」
喉からしぼりだすようにして私が見たものを正直に答える。
「…小早川さんが、岩崎さんを押し倒しているところを…」
「そっか。やっぱり見ちゃったんだね。田村さん」
「それは…その…あの…」
私は口ごもり、また横を向いた。小早川さんの刺すような目線に耐えられなくなったからだ。
「びっくりした?私達が田村さんの妄想の通りの仲で」
―――!
どうしてそれを―――そう言い掛けて、言葉を飲み込む。しかし小早川さんには伝わってしまったらしい。
「どうしてって…だってほら。このノート」
――私の全身から血の気が引いていくのが実感できた。
小早川さんが手にしていたノート。それは私の忘れ物であり…そして、小早川さんと岩崎さんが絡み合う
濃厚な百合イラスト満載の妄想メモリーである。
「田村さん、すごいね…私とみなみちゃんを見て、いつもこんな事考えてたんだ。」
頬を僅かに上気させながら小早川さんはそのノートをぱらぱらと捲っていく。
やめて。
みないで!
そう思っても言葉は出ない。私は唯、ガクガクと肩を震わせページを捲る小早川さんを見詰める事しか出来なかった。
「『お友達』でこんな妄想してるなんて―田村さん、最低だね。」
―――!!!
―――――最低だね。
言われた。私が最も恐れていた、最も聞きたくなかったその言葉。
既に私の顔は血の気が引いて青白く、肩を震わせて冷や汗をだらだらと流している。
「毎日毎日…私達を見てこんな事考えてたんだ。田村さんてすっごい変態さんだったんだね」
言い返すことなど出来ない。私に出来るのは唯々震えて小早川さんの言葉のナイフに耐えるだけである
「…そんな変態で最低な田村さんには、オシオキが必要だよね――」
そんな小早川さんの台詞とともに私の意識は白くもやが掛かったように遠くなり……
531 :
42-415:2008/04/12(土) 01:37:28 ID:8bDUhKFf
(1/2)の最後に猫線が入ってたのでそれが引っかかったようですorz
皆さんアドバイス及び忠告ありがとうございました( TДT)
ちなみに容量の勘違いはモニターにゴミがついてて459KBが499KBに見えたと言うありそうでありえないミスです
無知って恥ずかしい…orz
夢オチというのが何とも面白い…
夢の中のゆたかコワスwww
GJ
533 :
42-519:2008/04/12(土) 02:32:52 ID:eyTiTRTK
感想、ありがとうございます。
「初めての味はキスの味」ってなんだ自分ーっ!「初めての味はレモンの味」の間違いです。
もっと推敲に時間かけないといけませんねorz
>>531 ゆーちゃんこええ、と思ったらオチがあってよかった。
「リアルにひぎぃでらめぇであっはーんなR-18と言わざるを得ない展開に―!?」に萌えたw
乙です。
>>519 GJ!
ほのかなエロスがたまらない・・・これはいいものだ
>>519 いいキキースシンだったね よかたよ
わたしもゆきちゃんとがばてくるね
つかさ
>>519 キスシーンだけだというのになんというエロス・・・GJ
>>531 ゆたか攻めも面白そうだなw
この時間に投下される方がいなければ、投下したいと思いますがよろしいでしょうか?
では投下いたします。
40スレ目に投下したナイトウィザードとのクロスSSの第2話になります。
・8レス分です
・オリジナル設定あります。
・柊蓮司、赤羽くれは、アンゼロットといったナイトウィザードの登場人物が出てきます。
天空に紅い月が昇るとき、闇の眷属『エミュレーター』たちが人の世界へと侵入してくる。
彼らには『科学』という『常識で生み出された力』は一切通用しない。
闇に対抗しうる唯一の力、『人々が遠き過去に忘れ去った魔法』を駆使して戦う者たち。
彼らの名は夜闇の魔法使い……ナイトウィザード。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
闇祓う光明 − ナイトウィザード in らき☆すた −
第2話『月匣(げっこう) 〜 はじまりの足音 〜』
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
グアアアッ!
ライオンとヤギの頭と蛇の尾を持つ巨大な四本足の怪物、キマイラがほえる。
怒りに満ちた目、よだれをたらしながら大きく開かれた口、何よりも見上げるばかりのその巨体。
鎌首をもたげる蛇の頭のついた尾からは何かがこすれるような不気味な音が。
土の上とはいえ、地面にめりこんだ足からは、その重量がかなりのものであると予想できる。
怪物の目の前には髪をポニーテールに結わえたスーツ姿の女性、黒井ななこ。
さらに黒井の後ろには、小学生と間違われそうなくらいに小柄で長髪の少女、泉こなたの姿が。
紅い月に照らされたこの地に立つふたりの目に恐怖はない。
直前にゴーストの攻撃があり、こなたがそれをかわしたところを横目で見ながら、黒井は腕輪から発した闇の刃でゴーストを両断。
だがそのとき「くっ!」という声が聞こえ、こなたの態勢が崩れてすぐには行動が起こそうにないことに気づく!
(あかん!)
おそらく、かわした時にうっかり態勢を崩してしまったのだろう。
結果、立て直しに失敗したこなたは、キマイラの前に無防備なまま立つことに!
こなたが攻撃を受ける前に何とかしなくては、そう思った黒井の背すじに寒気が走る。
大きく開かれたキマイラの二つの口の奥に、かすかな輝きが生まれたのに気づいたからだ。
( 『火炎攻撃(ブレス)』がくる!)
黒井は手にした巨大な本を急いでめくり、こなたに向かい手をかざす。
そして一瞬の集中の後、聞いたことのない言語でつづられた呪文を、一息にそして大きな声で吐き出した!
「 《 暗き守り手、躍り出よ! 》 」
かざされた手のひらから巨大な暗黒の球体が飛び出し、こなたとキマイラの間に割って入る。
直後、キマイラの口から、滝の流れにも似た炎の激流が二人に向かってほとばしる。
鉄をも溶かす灼熱の炎を目に、歯を食いしばるふたり。
炎がふたりを包み込もうとしたがまつわりつくことすらできず、そのほとんどが黒い球体に吸われ、その中心部をかすかに光らせただけだった。
ホッとため息をつく黒井だったが、そのとき一瞬だけこなたの姿が赤く輝いたことに気づかなかった。
黒井のおかげで大きなダメージを受けることのなかったこなた。
そしてそれはこなたに態勢を立て直すだけの時間を与えることとなった。
万全の態勢で攻撃のかまえを取るこなただが、その手に武器はない。
格闘技経験者とはいえ、通常の攻撃手段ではエミュレイターにダメージを与えることは不可能なのに。
だが、こなたに攻撃の手段がないわけではない。
なぜなら、こなたは自らのからだを武器として戦うウィザード、龍(ロン)使いなのである。
「はあああっ!」
気合と共にこなたの拳がキマイラに突き出される。
直後、拳圧と思われる風と共に、何本もの電光がからみあいながらキマイラを直撃!
バシッと何かがぶつかるような音と共に、キマイラの巨体が揺らぎだす。
ズン……
キマイラは倒れ付し、その姿があっという間にかき消されていく。
鈍い光を放つ紅い宝石をその場に残して。
大地に残された赤い宝石を無言で拾い上げ、黒井に手渡すこなた。
黒井はかるく感謝の言葉を返して、そばの空間に手を差し入れる。
ウィザードの使える個人結界『月衣(かぐや)』の効果で、ある程度のものはしまっておくことができるのだ。
もちろんこなたも使えるのだが、あえて宝石を黒井に渡したのだ。
「なんとか終わりましたね、黒井先生」
「なんとかな、泉」
黒井が手を空間から引き抜くと同時に紅い月が消え、戦いの痕跡がかけらも存在しない、ごく普通の夜景へと変わりゆく。
目の前に広がるのはフェンスで囲まれた、土があらわになっている巨大な空き地。
フェンスのそばには何本もの木が植えられ、青々とした葉を茂らせていた。
黒井の見つめる正面には3階建て、右手には4階建てと2階建ての鉄筋コンクリート製の建物が並ぶ。
そして足元の地面にはラインが引かれ、そこが運動をするスペースであることを示していた。
こなたと黒井が立っているそこは、糟日部市にある陵桜学園高校の校庭。
ふたりが通いなれた母校の庭であった。
やがて何事もなかったかのように黒井はこなたのそばにより、声をかける。
「しっかし、よりにもよって陵桜学園に出るとはたいした連中やな」
「学校壊しちゃったらどうしようかと思っちゃいましたよ」
今にも舌を出しそうに、猫を思わせるような表情で笑うこなた。
先ほどまでとは別人を思わせるほどの変貌ぶりである。
だが黒井も慣れたもので、動じる様子を見せることはなかった。
「月匣(げっこう)張っとけば跡は何にも残らんから、その辺は心配しとらんかったけどな。
ちゅうか泉のほうが先輩やろ? そんな心配せんでもええって知っとるやないか」
「いやあ、月匣がいつ消えるか心配だったんですよ。あいつらが『月匣の主(ルーラー)』とは思えないし」
表情を変えないままのこなたの言葉に黒井は少し考え込む。
そして頭をかいてつぶやくように言う。
「確かにな。せやけど連中が消えたら月匣も消えたんや。
連中の中にルーラーがおったんちゃうか?」
「まあ、どこかの『下がる男』みたいに魔王とばかり戦ってきたわけじゃないですからね。
私もよくわかんないです」
こなたは肩をすくめる。
その姿が『無理に大人ぶっている子ども』を思わせてかわいいと黒井は思った。
やがてこなたは他に何者かがいないかを確認するために、周囲をキョロキョロと見る。
そのそばで黒井もこなたの死角を補うように、あたりをチェック。
無言の連携がそこにはあった。
やがてあたりに誰もいないことを確認し、ホッとひと息を吐いて、こなたは言う。
「とりあえず、これでおしまいのようですね」
少しだけ西の空にかたむいた満月の光の下、ふたりはホッと胸をなでおろす。
と同時に、どちらもかなり汗ばんでいることに気づくと、それぞれ手近な空間からタオルを取り出し汗をふく。
時間は短かったとはいえ、激しい動きをしたことに変わりはなく、びっしょりと汗をかいていたのだ。
「そやな。ほなら任務完了やな。連絡取る前にヒールしたろか?
キマイラのブレス、ダークバリア使たとはいえ、無傷やないやろ?」
そう言って大きな本、魔道書を小脇に抱えてこなたに寄っていく黒井。
あちこち触れながらケガの程度を調べると案の定、こなたの手や顔に火ぶくれが見つかった。
「やっぱりなあ、魔法に耐性のあるウチもそうやし。
さて、ほならヒールするで、泉」
そう言って黒井は、キマイラたちとの戦いを思い出していた。
こなたも、黒井も、キマイラから2度もブレスを浴びていたのだ。
呪文が主戦力となる魔術師である黒井はともかく、こなたの受けたダメージは相当なものである。
普通なら消し炭すら残さずに消し飛んでいたはずであった。
実は、こなたのそばに出現させた暗黒の球体の正体は、ダークバリアという魔法の障壁であった。
球体のそばで発動する『攻撃力を持った魔法』を吸い寄せる魔法である。
とはいえ、キマイラの強力な火炎を防ぎきることはできなかったようで、こなたも黒井も、からだのあちこちに火ぶくれができていたのだ。
それでも、まともに火炎を浴びるより、はるかにマシであることは確かであった。
こなたのそばに立ち、黒井は魔導書片手に呪文を唱える。
「 《 清らなる、癒しの御手よ 》 」
黒井のからだが、こなたのからだが、うっすらと輝きだす。
こなたは自分に魔力が流れ込んでくること、それまであった痛みが少しずつ引いていくことを感じる。
しばらくたてば、火ぶくれが跡形もなく消えるであろうことは間違いなかった。
「先生、きょうもフォローありがとうございます。先生がサポートしてくれるからこそ、私が思い切って前に出られるわけで。
タンカーだけでは持ちこたえられませんからね。 ……あ、まあ、さっきは先生の後ろに立っちゃいましたけどね」
こなたの言葉に、黒井は出会った日にふたりで決めたことを思い出す。
『泉、ウチらの任務のこと、ネトゲの振りして話さんか?
これやったら学校で話したりメールでやり取りしてもおかしないやろ?』
この言葉を聞いた時の、こなたの狐につままれたような顔を、黒井は今でも思い出す。
当時、それなりに社交性を発揮するものの、どこか覚めたところがあった、こなた。
そのためか友人らしい友人はおらず、どことなくクラスで孤立しかけていた。
とはいっても完全に孤立しているわけではなく、一歩引いたところからみんなを見ている感じであった。
そんなこなたが大きく顔をくずしたことが、その時のことを強く印象付けていた。
やがてふたりを包んでいた魔力の輝きが薄れる。
呪文の発動が終わったのだ。
「よっ……と。うん、全部治ったみたいですね」
精神集中を解いた黒井が、呪文を唱えている最中のこなたの言葉に答える。
「さっきのはしゃあないって、ふたりっきりで戦ったんやし。
ま、マジックユーザーだけでもしゃあないんや。これからも頼むで、泉」
続けて自分自身に呪文を唱える黒井を見ながら、こなたは答えた。
「こちらこそ、黒井先生」
笑顔で答えるこなたを見つめ、黒井はこなたの成長に思いをはせる。
どこか覚めたところがあり表面的な付き合いはできていたものの、親しい友人のいなかった入学当初のこなた。
その表情が人懐っこさのある明るいものへと変わり、多くの友人に囲まれるようになっていた。
なぜだろうと思い返しているうちに、ひとりの少女の姿が浮かんでくる。
休み時間に、黒井が担任をしているこなたのクラスにちょくちょくにやってくる、髪をツーテールに結わえた神社の娘。
四人姉妹の三女で、こなたと同じクラスに双子の妹がいる、こなたがもっとも仲のよい友人。
柊かがみ。
彼女の双子の妹で、こなたと同じクラスにいる、柊つかさ。
そして、なぜかこなたたちと馬があう、学級委員を務めている優等生、高良みゆき
彼女たち3人とかかわりだすようになってから、こなたの表情が豊かなものへと変貌していったのだ。
(学級委員の高良や柊の妹にも影響受けとるけど、何より柊の姉のおかげやな)
黒井は温かい目でこなたを見つめる。
そんな黒井の視線に気づいたこなたは、キョトンとするばかりであった。
「黒井先生、どうかしました?」
無邪気な顔で見つめるこなたに、黒井は時の流れを感じていた。
そして、はじめてウィザードとして対面した時のことを改めて思い返す。
「泉、自分が三岬町から越してきたウィザードか?」
黒井の質問に無言でうなずくこなたに、黒井は返す言葉を失っていた。
ここで黒井が会うはずたったのは、少し前まで三岬町で活動していたベテランウィザード。
ところが、目の前に立っているウィザードは、自分の教え子だったのだ。
「先生が孤高の黒豹? じゃあ、自己紹介は省かせてもらいますね。
で、用件ですけど、私、日本コスモガード連盟から先生を指導するようにって頼まれました」
ほほえんではいるものの、黒井を見つめるこなたの目は覚めていた。
(あれから2年とちょっと……か。あっという間やったな)
ひたっていた思い出から抜け出して今を思う。
そして、自分を覆っていた魔力の光が消えていることに、その時気づく。
「おっ、きっちり治ったみたいやな」
それまで痛みを感じていた部分に触れてみると、もう痛みは感じない。
治療は完璧に終わったようだ。
「さて、と」
携帯を取り出し、いずこかへと連絡を取る黒井。
しばらくコール音がなった後、出た相手に黒井が話し出す。
「日本コスモガード連盟ですか? 黒井ななこです。
泉こなた共々、任務、無事に完了しました。
詳細は後ほど書面にて連絡しますよってに。ほなら」
黒井は携帯をしまい、こなたを見るとニヤリと笑って口を開く。
「泉、きょうはこれでしまいやな。だいぶ遅うなったけど、宿題忘れたらあかんで」
「うぇぇぇっ! 黒井先生、任務なんだから仕方ないじゃないですかあ」
「そないなことが理由になるかい。第一、任務のことはみんなに内緒にせなあかんやないか。
そんなんで宿題免除できる思うとったら大間違いやで。ほなら、学校でな」
こなたに手を振ってから小声で何かつぶやくと、黒井の姿はかき消すように消えた。
黒井は転送魔法を使って自宅まで戻ったのである。
「うーん、しょうがないか。なんとか頑張ってみますか、ひとりで」
頭をかきながら、ひとりでぼやく。
その後、同じように呪文を唱え自宅へと戻っていった。
「で、いったい何の用だ? アンゼロット」
巨大な白亜の城のテラスに声が響く。
広々とした海の上に浮かぶ巨大な岩山がいくつもあり、そのひとつひとつの岩山の上に城が建てられている。
岩山は城の建てられている頂上付近と波打ち際につながる麓はしっかりとしているものの、その間をつなぐ部分はまるで針金細工のように細くなっていた。
巨大な城壁の上に高々と伸びるいくつもの尖塔が並び、全天を覆う青い空には巨大な星がいくつも見え、その中にはなんとわれわれの住む地球までふくまれていたのだ。
一幅のシュルレアリスム絵画のような光景に囲まれ、そびえたつ城。
その中のひとつ、もっとも巨大な城にその声は響いたのだった。
そこは、われわれの世界とは異質な場所にある、『世界の守護者』の居城であった。
テラスの中央に置かれた大きめの丸いテーブルに3人の人物が座り、そのまわりにはエンジ色の軍服を着た男たちが何人も立っている。
男たちは美形ぞろいと思われるが、その顔は仮面で覆われてよく見えない。
だがその表情は硬く、何かを警戒しているようだった。
テーブルでは人形を思わせる銀髪の少女と、白い小袖に緋袴という巫女装束の若い女性が、ひとりの青年を見つめている。
青年はTシャツにジーンズ、パーカーといったラフなかっこうをしており、どう見てもこの場にはそぐわない。
しかも、腕を組んで銀髪の少女をにらみつけており、とても穏やかな話しが行われているとは思われなかった。
先ほどの声の主はこの青年のようであった。
テーブルには三つのティーカップ。
青年の隣に座っている少女と、女性の分は少なからずカップの中身が減っていたが、青年の前に置かれたカップに注がれた紅茶は出された時のままであった。
「そんな怖い顔でにらまないでください、柊さん。怖い顔がもっと怖くなりましてよ」
「やかましい! とっとと任務の内容を教えやがれってんだ!」
笑顔を絶やさずに青年に話しかける少女の名は真昼の月『アンゼロット』、全てのウィザードに指令を出すことのできる世界の守護者である。
われわれの住む世界、『第八世界ファー・ジ・アース』とも呼ばれるこの世界は、幻夢神と呼ばれる神の見ている夢として生まれた世界である。
そして、大いなる観察者『ザ・ゲイザー』、そして本当の名前が不明でTISという呼び名で呼ばれる少女、この二柱の神の分身が代理でこの世界を治めているのだ。
アンゼロットはゲイザーの指示の元、永遠とも思える長い時間、この世界を守護してきたのである。
そんなアンゼロットに諫言をする者はいても、くってかかる者などまずいない。
ある種、この青年だけに許された特権とでも言っていいのだ。
とはいえ、青年の払った代償を考えると割に合わない特権ではあるが。
「ホント、柊は怒りっぽいんだから。せっかくアンゼロットがお茶を出してくれたんだから、少しは飲みなよ」
「何が入っているかわからないもん、飲めるか!」
青年はぷいと横を向く。
その大人気ない態度に、女性は隣で肩を落とすしかなかった。
ふてくされたような態度を取る青年をあきれ顔で見つめる、巫女装束の女性の名は赤羽くれは。
青年の幼馴染で陰陽師の名家と呼ばれる赤羽家の長女で、その力でエミュレイターと戦うウィザードのひとりである。
かつて『星の巫女』という運命を背負い、世界を滅ぼす原因になると世界中から狙われたこともあった。
だが、共に高校生だった青年とローマ聖王庁の使者、そして『星の勇者』の運命を背負った後輩と協力し、その宿命を打ち破ることに成功。
その時以来、青年への思いはさらに強くなったのだが、青年はいつまでたっても気づいてくれない。
それだけが、くれはの不満であった。
なお、巫女装束は中学時代からくれはの常服となっており、自宅、学校、その他を問わず常に同じ姿である。
それはくれはの通っていた輝明学園、そして赤羽家の特色であり、くれはもそのことに異議を唱えたことはなかった。
だが、他校の生徒との交流から巫女装束を常服としていることは『普通ではない』ということに気づいてはいる。
とはいえ、このまま家業を継ぐことはすでに決めており、他の服装をする機会が少ないことに不満は抱いていない。
そのくれはが見つめている青年の名は柊蓮司(ひいらぎ・れんじ)。
どこにでもいそうなガラの悪い青年にしか見えないが、世界の危機を人知れず何度も救ったことのある英雄なのだ。
もちろん、そんな彼がただの人間であるわけはない。
彼もまた日本コスモガード連盟に所属するウィザードのひとりなのである。
彼の活躍は『柊サーガ』としてウィザード、特に世界各地にあるウィザード組織の幹部たちに知られている。
魔王の力により、その名を冠した小惑星『ディングレイ』が地球に衝突するおそれがあるという危機に陥ったときが、彼の名が知られるようになった最初である。
このとき彼は小惑星を導く役目を担ったエミュレイター『星を継ぐ者』を、『星の勇者』が滅ぼす助太刀をしたのだ。
つづいて異世界『ラース=フェリア』に存在する魔王ディングレイの本体が、こちらの世界に戻ってきたところをラース=フェリアの戦士たちと協力して撃破。
これで、幼馴染のくれはが背負っていた『星の巫女』としての運命を完全に断ち切ることもできたのだ。
さらに金色の魔王『ルー=サイファー』が世界結界と呼ばれるエミュレイター排除の結界を操作し、ウィザードの持つ力を失わせようとする企みをも阻止したのだ。
これらは全て、ひとつの目的に沿って魔王たちの企んでいたものであり、その最終目的が七徳の宝玉の収集であった。
「どんな願いでもひとつだけかなえることができる」という宝玉の争奪戦、後にマジカル・ウォーフェアと名づけられた戦いの中心に、彼はいた。
だがアンゼロットにも裏界の魔王たちにもひとつの誤算があった。
宝玉がそろった時に起きるのは「願いをひとつかなえること」ではなく、裏界の皇帝『シャイマール』の復活。
シャイマールの力で世界を滅ぼすことこそが、宝玉の収集をアンゼロットに命じたゲイザーの真の狙いであった。
だが、その企ても大勢のウィザードたち、特に柊蓮司の手によって阻止されたのだった。
その他にも、彼は大きな戦いをいくつも経験している。
近い将来、自らが魔王となって、はるか未来で世界を滅ぼすことになるウィザードが、魔王として覚醒することを防いだこともある。
「柊力」と呼ばれる謎の力を狙ってきた古のウィザードを倒したこともある。
異世界に逃亡した魔王のかけらがその異世界を狙うものの力を取り込み、復讐に戻ってこようとすることを防いだこともあるのだ。
さて、柊蓮司が出された紅茶に手をつけないのには理由がある。
『アンゼロットのオモチャ』とも言われる柊蓮司がアンゼロットから受けたさまざまな仕打ちに、アンゼロットから出された紅茶が絡んでいるからであった。
任務完了の慰労と共に出される紅茶、それは次の任務の指令を出すための前置きでしかないことがほとんどであった。
時には紅茶を飲んだとたん眠らされ、次の任地へと連れて行かれたこともある。
こんな仕打ちを受けてばかりいたら、飲むことを躊躇するのもやむをえないと誰もが思うであろう。
と思うのは彼ばかり、他のだれもがそのことを気にも留めていなかった。
にらみつける彼の視線を軽く受け流してアンゼロットは口を開く。
「では、お話したいと思います」
ふたりの次の任地は埼玉県鷹宮市および糟日部市、任務の内容は鷹宮神社およびその関係者の護衛であった。
「柊」
「ああ」
鷹宮神社と聞いたとき、くれはと柊蓮司の顔つきが変わる。
神社の宮司一家は彼の親族にあたり、今の宮司と彼の父親は再従兄弟(またいとこ)の関係にあった。
親族としてのつながりは薄いが、赤羽家とのつながりもあり、宮司夫妻と娘の四姉妹とは彼が中学生のころまで、何度か顔をあわせたことがあったのだ。
ウィザードとなってからは任務に追われて会うこともなくなっていたが、彼は姉妹と一番最後に会ったときのことを思い出していた。
姉妹の上ふたりは自分の姉である柊京子とフンイキの似たところもあり、苦手な相手ではあったが、話し相手にはなってくれた。
だが、下の双子は近寄るそぶりすら見せず、口を聞くことすらできなかった。
双子の姉のほうからにらみつけられていたことを思い出し、つい苦笑する。
(そういや、『お姉ちゃん』のガードが固かったっけなあ)
「柊さんには陵桜学園高校で、それからくれはさんには鷹宮神社での護衛をお願いしますね」
「ちょっと待った!」
思い出にふけっている柊蓮司は、肩を震わせながら叫ぶ。
それは恐怖ゆえの震えではない。
かつて任務で行われた処置を思い出して、怒りに満ちているが故の震えであるのだ。
「まさかこの年で高校に通えって言うんじゃないだろうな、アンゼロット! 今さら高校生に『下がる』なんてイヤだぞ!」
「はわぁ、柊、また『下がる』んだ」
「下がってたまるか!」
「はわっ!」
柊蓮司の即答にくれはは驚く。
そんなくれはの顔と、アンゼロットの邪気にあふれる笑顔をよそに怒号があたりに響く。
その表情はそれまで以上にあせりを感じるものになっていた。
『下がる』
それは、彼がウィザードとなってからずっと、つきまといつづけている言葉であった。
彼に与えられた二つ名は『裏切りのワイバーン』だが、『下がる男』という呼び名のほうが知られていることも、それを証明している。
高校生の時、2年から3年に進級するはずが『なぜか』1年に学年が『下がった』のがそのはじまりであった。
その後、別の任務において成長した力が強すぎるという理由で、その能力を『下げられ』てしまう。
さらに別の任務では、せっかく復帰した高校3年から中学3年にまで学年が『下がり』、復帰後さらに別の任務において高校2年に『下がって』しまっていた。
しかも、アンゼロットに渡された『下がるお茶』で年齢まで『下がって』しまったことまである、という始末なのだ。
彼にとって『下がる』という言葉は既に忌まわしいものでしかなかった。
「輝明学園とは勝手が違いますから、おふたりとも臨時の職員という形で行っていただきます。
柊さんは陵桜学園の警備および用務員ということで、くれはさんは鷹宮神社のお手伝いということで。
それぞれ近くに住居も用意してありますので、このままお連れしますね」
アンゼロットは終始笑顔を絶やさぬまま言葉を締めくくろうとしたそのとき、くれはが言い出す。
「ねえねえアンゼロット。ちょっと、お願いがあるんだけど……」
席を立ち、まっすぐアンゼロットのそばに近寄るくれは。
周囲で警戒している精鋭部隊『ロンギヌス』のメンバーに、かすかに緊張が走った。
アンゼロットに危害が加えられることを警戒してのことである。
だが、くれはを信頼しているアンゼロットが、目でロンギヌスたちを制止したのだ。
くれははそのまま脇に立って、柊蓮司に聞こえないように耳打ちをする。
その内容にアンゼロットは目をみはり、話が終わるとすぐにくれはに質問をした。
「よろしいんですか?」
くれはは大きくうなずいて、ポリポリと頭をかきながら言った。
「ここら辺で、ちょっと思いきっとかないとダメだろうしね」
くれはとアンゼロットはそろって柊蓮司を見つめる。
彼はキョトンとするばかりであった。
「なんだあ?」
そのとき、ぽんと手を打ってくれはが言った。
「そうだ柊! たしか、鷹宮神社の親戚も『柊』だったよね? じゃあさ、呼び方変えてもいいかな? ……『蓮司』って」
「いいぜ! ……っていうか、前に向こうの連中と会ったときも、そう呼んでたじゃねえか。
今さら気にすんなって!」
途中から赤くなってモジモジしながら話すくれはの言葉に、彼はあかるく答える。
それは何も考えずに発せられた言葉のようであった。
その態度にくれはとアンゼロットは頭を抱えるしかなかった。
だが、それを見た彼は頭をひねるだけであり、ふたりの落胆の度合いはますます深くなっていった。
「ダメだ…… ぜんっ……ぜん、わかってない」
「柊さんが鈍感であることはわかってましたけど、これほどだとは……」
以上です。
一応次回からは、らき☆すたにより近い雰囲気になる予定ですので、よろしくお願いします。
オリジナルの世界観設定を構築するのって大変ですよね、お見それしました。
今後の展開に激しく期待しつつ……GJでした!
549 :
ふた☆自重:2008/04/12(土) 20:28:32 ID:4pshva0t
埋めネタです。保管しない方向で。
■注意事項
・ふた○り
・2レス使います
☆
下半身の違和感に、私は目を覚ます。
ベッド脇に置かれた目覚まし時計を見る。時刻は現在、午前8時54分。
確かネトゲで落ちたのが、えーと……午前5時30分過ぎた頃だったから……うわ、3時間ちょいしか寝てないや。
窓の外を見ると、澄み渡るような青空が広がっている。外出には最適な休日日和だ。
これなら、ランランルー♪とか口ずさんで、気分良くお洗濯物を干せそうだ。
布団をめくり、自分の下半身を見下ろす。
股間の部分が、明らかに盛り上がっている。
そっと、パジャマのズボンのゴムを持ち上げ、中身を確認する。
あり得ないくらい山のように張ったパンツが、私の目の前に飛び込んできた。
「…………………………」
ズボンのゴムから指を離し、枕に頭を落とす。
OK、生えてる。明らかに生えてる。
無修正の本物です。本当にありがとうございました。
――ちょw今さらパニクッてるとかww
――いやいや。心はオヤジでも、娘十八番茶も出花。花も恥らう女子高生なわけですよ。
――おまwwエロゲで耐性ができてるだろ。
――朝起きたら、イキナリおちんちんが生えて御覧なさい。マジびびるって。
――ねーよww大体ふたなりなんて、よくある設定ジャマイカ。
――家中に響く悲鳴を上げないだけでも、大勲章モンよ。
なんて、天井を見つめながらチャット形式の脳内会議をする。
もちつけ、こなた。原作第1巻の頃の、クールな自分を思い出すんだ。
……とりあえず、股間の違和感は時間が経っても消える様子が無い。
「………………ふうーーーーーーーーっ」
私は長いため息を吐くと、再びズボンのゴムに手を掛け、すねの方までずり下ろした。
女物の下着がこんもり膨れているという異様な光景。私はズボン同様、パンツもずり下ろす――が、許容範囲を超えたサイズなのか、ふちに引っかかって脱ぎにくい。
男と女で、脱ぎ方が違うのかな?出っ張ってるし。
そう考え、少しゴムを浮かせながら下ろす。と――
ぼろんっ、という音が聞こえてきそうな勢いで、半勃起状態のおちんちんが飛び出した。
「わっ」
いきなり登場したおちんちんに、私は思わず声を漏らした。っていうかどんだけ巨根なんだよ自分。
「お、おおぅ……これがいわゆる、朝立ち状態の……」
誰に聞かせるわけでもなく、私は呟きながら上体を起こした。そしてあぐらを掻いて、改めておちんちんの観察をする。
ふにゃふにゃ状態のは、小さい頃にお風呂でお父さんのを見た事があったけど、勃起したやつは初めて見るなー。
550 :
ふた☆自重:2008/04/12(土) 20:31:09 ID:4pshva0t
「ふーむ、これは仮性包茎ってやつなのかな?」
タートルネックで目元まで隠した兄ちゃんを思い浮かべながら、皮で半分顔を出している亀頭をつまむ。そしてぷにぷにしてみる。サオの部分よりも柔らかい。
お尻に力を込めてみると、ゆいんゆいんと前後に揺れた。あ、意識を集中させたからか、なんか硬さが増してきたぞ。
つまんでいた指で輪っかを作り、そのままサオを握る。
「ん……っ」
熱い。それに、びっしりと浮き出た血管から、びくびくと脈動が手のひらを通して伝わる。
被っていた皮が剝かれ、亀頭が完全に姿を現す。つまんでいた時とは違い、パンパンに充血して赤黒くなったそれは、結構グロい。
ううむ……確かにコレは、見慣れないとちょっと怖いな。コレをくわえるって結構な勇気がいるよ?
「………………」
試しに思い切り背中を丸め、亀頭に口を付けようと思ったけど……やっぱり届かなかった。
っていうか、男の子ってどうやってオナるんだっけ……?
確か、前にプレイしたエロゲで、ドMの主人公にドSのヒロインが強制オナニーさせていたシーンがあったっけ……あの時、主人公は確か……
「サオをごしごしと……」
一人ごちながら、血管の走るサオ部分に左手を添える。ビクビクと脈打っているのが手のひらから伝わる。
あー、想像していた以上に強めに握らなくちゃダメなんだ。
握り潰すほどまでは大げさだけど、それくらいの握力でサオを握り――皮を巻き込みつつ、ごしごしと何度か往復させてみる。
「お、おおぅ……こ、これは……!」
皮が亀頭に擦れる度に、ジンジンとした刺激が腰を上って脳に伝わる。
……いいかもしんない。
ダイレクトな感じが、何とも分かりやすいというか、男って単純なんだな、とか。
だ が 、 そ れ が い い
「…………」
コホン。
……まあ、せっかく生えてるんだし?にぎにぎしてたら、何か悶々としてきちゃったし?
男の子のオナニーを本格的に試してみるのは自然の摂理ってもんでしょ?
……そういえば昨夜、CGコンプしたエロゲがあったっけ。結構エロシーンに力が入ってたから、なかなか満足できる内容だった。
よし、オカズはそれでいこう。よ〜し、オラ、何かwktkしてきたぞ!
善(?)は急げ。私はさっそくベッドから降りると、PCを立ち上げ、ゲームのDVDを取り出してトレイに突っ込んだ。
☆
以上です。あじゅじゅしたー。
>>550 ワッフルワッフル! ワッフルワッフルっ!!
こなちゃん初めてのおせんずりですか。
続きへの期待が高まるので精子基盤……もとい正式版を是非に。
>>550 同じくわっふる!
あなたの文章の描写が好きなんで、続きを……!
>>550 な ん と い う 生 殺 し
さあ早く続きを書く作業に戻るんだ
554 :
ふた☆自重:2008/04/12(土) 21:03:04 ID:4pshva0t
マジっすか。
勢いでガッと書いたやつなんで、保管しないつもりでしたが……それじゃ、続きを何とか書いてみますね。
……っていうか、生えてるのはこなたですけど、描写的には男のオナニーっすよ?それでも良いってんなら、まあ……(^^;
でもその前に、みなゆた完成させますね。その後は、要望があったつかみゆですか。
うん、先は長いな(w;
なんでだろう…俺ふたなり属性ないのに続きに期待しちゃってるぞ
残り8kなら短編の1本は投下出来るか?
6kじゃないか?
どうみても5kなんだが
559 :
42-519:2008/04/13(日) 14:43:59 ID:Y8+NtzAr
>>519の続きを、5kbに入るように書いてみました。
メモ帳の容量で3.5k。入りますように…
560 :
7-896:2008/04/13(日) 14:44:22 ID:axF4zPWF
では埋めネタ的な意味で、久しぶりに別フェチ行かせてもらいます。2レスです。
※血的表現が多々あります。
『ゆた☆フェチ』
「ゆーちゃん危ない!!」
「ひゃ!?」
横断歩道。
赤だと気づかずに渡ってしまった私を庇うように、こなたお姉ちゃんが車に轢かれてしまった。
凄まじいクラッシュ音。ガードレールに叩きつけられるお姉ちゃん。滴り落ちる真っ赤な血。
私はというと、お姉ちゃんに押された衝撃で尻餅をつき、びっくりして動けずにいた。
「ゆーちゃん大丈夫?」
血まみれになりながら、何事もなかったかのように私の前に立つお姉ちゃん。
ふと、その視線が私の下半身で停止している。どうやらパンツを見ているようだった。
転んだ拍子にスカートが捲れてしまったみたい。私は急いで立ち上がり、スカートを押さえる。
例えお姉ちゃんでも、パンツを見られるのは恥ずかしい。
「ふふふ、真っ赤になっちゃって……ゆーちゃんはかわいいなぁ♪」
そう言って抱きしめてくるお姉ちゃん。真っ赤になってるのはお姉ちゃんのほうだと思う。
お姉ちゃんの血で制服がどんどん赤くなっていくけれど、元から赤っぽい色をしているのであんまり目立たないと思う。
そしてお姉ちゃんは抱きついたまま私のお尻を撫でてきた。
「んっ……お姉ちゃん、くすぐったい」
「ごめんね、我慢できなくなっちゃって」
「危ないわ!!」
「「ふぇ!!」」
突然の衝撃に、私とお姉ちゃんは横断歩道の向こう側に吹き飛ばされた。
またもやお姉ちゃんが庇ってくれたので、私は擦り傷すら負っていない。
私の下で、いい感じに背中を削られたお姉ちゃんが幸せそうににっこり笑って、私を抱きしめた。
向こうで何かが轢かれた音がした。
「お、お姉ちゃん……取り敢えず起きようよ」
「もうちょっとこのままで」
「ちょっと二人とも!!」
後ろで聞こえた怒鳴り声に、2人で振り返る。真っ赤なかがみ先輩が立っていた。
なんで真っ赤なのかは言わなくても大丈夫だと思う。
「横断歩道のど真ん中で何やってるのよ。私がいなかったら2人とも轢かれてたわよ?
こなたは大丈夫だとして、ゆたかちゃんが危ないじゃない」
「む、ひどいなぁかがみは」
血にまみれながらやり取りをする2人が、私を挟むように抱きしめる。
逃げられない。それにしてもすごい鉄の匂い。
お尻とか胸とかいっぱい触ってくるけど、この状態では私にはどうすることもできないので、されるがままになっている。
「待ってよぉ〜お姉ちゃ」
そこまで聞こえたところで、凄まじい衝突音で声が掻き消される。
たぶんつかさ先輩の声だったと思う。
「いたた。おはようこなちゃん、ゆたかちゃん」
いろんなところから血を噴きながら、こちらに小走りに駆けてくるつかさ先輩。
そしてそのまま抱きついてきた。
私の周りには丈夫な人がいっぱい。私は病弱だから、そんなみんなが羨ましい。
561 :
42-519:2008/04/13(日) 14:44:52 ID:Y8+NtzAr
あれはあれ、これはこれなの。
私の恋人。好きな人、夢にも出てきた人。それは、こなた。
調子に乗って玉砕しようとした日から、私とこなたの恋人になった。
「…ん」
こなたの部屋。私は学校帰りに、こなたの家によっていった。こなたは帰るなり「徹夜あけなのだよ〜」といって、布団に入った。
私一人、こうしている。
「…んふぅ、かがみん、ゲームでえ、Dカップだとお?」
「…何を言っているんだこいつは」
「私に半分よこせ〜〜〜この爆乳っ」
殴っても、いいだろうか。
でも、あげられるものなら、あげてみたいと思う。私自身は、胸なんてどうでもいいし、こなたが喜ぶなら――そんな方法があれば、だけど。
それに、胸の大きいこなたを想像すると、わたしは微笑んでしまう。かわいいというか、なんていうか。
こうして一人でいるのは少し寂しい気がしたけど、こなたの寝顔はかわいい。よく整えられた前髪がこなたのまつげにかかる。寝相はおせじにもいいとはいえないし、寝言もつぶやいているけど、私はそんなこなたが好き。
「もう、何しているんだか」と、悪態をついて苦笑する。
――そんな時間が幸せなのだ。
「寝顔、かわいいな」
微笑ながら、こなたの小さい肢体を上から下まで眺めてみる。布団がみだれていて、制服の下まで見えていた。スカートからは太ももが見える。それに、こうしたことを思うのは恥ずかしいのだけど、白いパンツが見えていた。
「キス、しちゃうよ」
そう呟いてみる。反応はない。本当に寝ているのかな。
どきどきと、はやる心臓は、行為への抵抗とはならなかった。ゆっくりと私は顔を落とし、こなたに顔を近づける。
こなたの味。世界で一番の優しい味。
562 :
42-519:2008/04/13(日) 14:45:17 ID:Y8+NtzAr
あう、重なってしまいましたごめんなさいorz
563 :
7-896:
「m」
何か単音が聞こえたけれど、クラッシュ音でそのあとは遮られてしまった。
その音の聞こえた方向に目を向けると、高良先輩が空を飛んでいた。
そのまま綺麗に着地して、こっちにやってくる。
血すら出ていなかった。
「皆さんおはようございます。小早川さんは、今日も美味しそうですね」
変わった挨拶をしてくる高良先輩。
「みゆきさんぜんぜん怪我してないね。どうやったの?」
「それは私も知りたいわね」
「ぶつかった瞬間にくいっとやるんですよ」
「なるほど、くいっとね」
「わーゆきちゃんすごいね♪」
私はみんなすごいと思う。
ふとそこで、横断歩道の向こう側から小走りに駆けてくるスラッとした女の子が見えた。
見間違うはずもない、私の親友のみなみちゃんだ。
みなみちゃんにぶつかった車が中に舞う。
「ゆたか……おはよう。それから先輩たちも、おはようございます」
口々に放たれる挨拶に耳を傾けていると、右の足首にちくりと痛みが走った。
白いソックスが少し赤く染まっている。
どうやら、みなみちゃんにぶつかって吹き飛んだ車の部品の一部で切ってしまったみたいだ。
みなみちゃんの方からごうっという何かが吹き出る音が聞こえたので、そっちに目線を向けてみると
すごくショックを受けた顔のみなみちゃんが、私の足首の傷口を見て固まっていた。
「ゆたかが……怪我してる」
「え!? ゆーちゃんが!? おのれ忌々しい車め!!」
こなたお姉ちゃんが理不尽な怒りを拳と化して道行く車にぶつける。
なぜか他の先輩たちもそれに加わっている。
不意に体が宙に浮いた。
どうやらみなみちゃんが私をお姫様抱っこしたみたいだ。
「病院行こう……ゆたか……!!」
「え、でも学校」
「今は……この怪我を治すのが先」
そう言って走り出すみなみちゃん。
その横顔はどこまでも真剣で頼もしく思えた。
……だけどねみなみちゃん。
できれば車道じゃなくて、歩道を通ってほしいな。
以上です。
そして42-519さんごめんなさいorz
もうちょっと様子見てからにすればよかったですね……