らき☆すたの女の子でエロパロ42

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1名無しさん@ピンキー
アニメも好評のうちに終了し原作も大好評連載中、PS2版も絶賛発売中の「らき☆すた」でエロいの行ってみよ。



☆カップリングは自由
☆基本的に百合マンセー
☆801は禁止(と言っても男キャラあんまいねぇ)
☆投下した作品の保管を希望しない場合、前もってその旨を知らせること



※マナー等※
※割込みを防止するため、書き込みや投下の前等にリロードを。
※荒らしや煽り、気に入らない人・作品等はスルーで。
※グロやSMなどの過激な内容は断りを入れてから投稿する
※読者=主人公の作品(いわゆる俺キャラもの)についてはNGワード指定や断り文を確実に。
※480KBまたは950レスのどちらかに近づいたら、次スレの準備を。



■みゆきさんの一言メモ

投稿の際に、メール欄に半角英数でsageと入力すると、スレッドを上げずに書き込めます
 『sage』では有効になりませんので、全角・半角を確認してください

スレッドの閲覧・書き込みは、絶対ではありませんが専用ブラウザの使用を推奨します
 これにより『人大杉』のエラーが回避できます

SS投下は、一度メモ帳やワードパッドなどで書き上げてからまとめて投下してください
 投下間隔があくと、他の方がレスできなくなってしまいます



マターリはぁはぁしましょうか。





☆まとめサイト(管理人と職人に感謝!)(避難所の行方はここ参照)
ttp://www33.atwiki.jp/kairakunoza/pages/1.html
☆派生サイト:てけてけかなたさん伺か化計画
ttp://neo-experiment.hp.infoseek.co.jp/index.html
前スレ
らき☆すたの女の子でエロパロ41
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1205650229/
2泉こなた:2008/03/31(月) 03:56:29 ID:hkaK9CB9
         /: : : :/ : : : : : : i: : : : : :ヽ : : : : ー 、 : : \
           /: : : / : : : : : : : ,イ : : : : : : :l: : : : : : : \- 、:\
.          /: : : / : /: : : : : : / |: : : : : :| : |、: : : : : : : : \ \}
       .' : : :/ : /: : : : : : /  v : : : : l : |斗-: : ヽ: : : : ヘ
       |: : :/ : /| : : :― x   ∨: : :∧ | ∨: : :ハ: : : : :ハ
       |: :/ : /: | : : : : / `  |: : :/ j/- ∨: : :l: : : : : :|
       r┴、/:ヽ| : : : /     |: :/  示旡アV : :|: :|ヽ: : |
       |  | : :│: : /|.     | /   ト::爿/ ハ: :|: :| ',: :|
       'vーく ,x┤: / :|三≧x j/   込;リ { : | ∧ |  ∨
      /   ヽ. | /: :│ ,/      '    .:・} : |/ i/
        |  /⌒}:Y : :ヘ:.:.:.    ー'ーr'   /: : |
        {    /´}_ム: : :≧r 、 .. _ ー ' .. </: : : |
       ヽ    / }ヘ: : \\   厂}ヽ._/ | : : : |
.         \   __/  \: : \\x-┴く ヽ| : : :.′
         /   /ヽ     \ : ヽ \   |  |: : :/
      /     {ヽ}}     ヽ: : }  \ l  |: :∧
軽やかに2ゲット!
そして>>1グジョオ!!
3名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 04:15:14 ID:kzgCSahQ
(^ω^T)乙 これはポニーテールなんだから、変な勘違いしないでよね
4名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 05:11:05 ID:+i3Gz/Ie
>>1乙!
さぁ、始まるザマスよ
5名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 05:29:38 ID:xoCXmQNB
行くでがんす

↓みさおの出番
6名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 07:14:53 ID:lCMeC6n5
「ふんがーだってヴぁ!」
「お前かよ!?」
「まあまあ柊ちゃん、とりあえず>>1乙しようよ」
7名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 10:00:20 ID:LrV9ApgBi

「 私の出番は?無い?にょろーん」


曖昧1乙!
8名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 12:43:30 ID:dZtKA4kw
そりゃ>>1乙ってことかい?
9名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 12:48:04 ID:XeKLCl3D
ラッピング>>1

あやの「私のキャラソンはまだでしょうか……」
10名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 21:33:51 ID:lI64FoSE
がんばっちゃ>>1乙やっちゃっちゃ
11名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 23:20:46 ID:al/r6KFf
そんとっきゃーっちゃ>>1乙よっ!!
12名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 03:31:36 ID:uxxR1MEC
   / : ,. -/: : : : : : : : /: /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
. /,.. '´/: : : :/: : : : /: : : l: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
//   / : : : : /: : : : : /: : : :,! : : : : : : l: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ',
.    /: : : : : /: : : : : /: : : /.|: :|: : : : : |: : : :l: : : : : : : : : : : : : : : : : l
   /: : : : : /: : : : : /-‐ x' !: :|: : : : : |!: : : :l: : : : : :ヽ::::: : : : : : : : :|
   !: : : : :/: : : : : / : : :/ ヽ| : | : : : : | l : : : |: : : : : : :ヽ:::ヽ : : : : : |
.   !: : : :,.イ: : : : : :l : : /   l : !: : : : :| ,.x-‐‐!-、: : : : : ハ::::ハ: : : : : !
  |: : :/ !: : : : : :|: : /     l: |: : : : :|  ヽ: : !、: ヽ、 : : : l::::::l: : : : :|
  |: :/  |: : : : : : ! ll`!‐- 、 l |、: : : :|  ヽ: :| ヽ: :!: : : : :l:::::::!: : : l   それじゃあ次スレ、いってみようか♪
  |:/   l: : : : : イ l |   ,!`'.| ヽ: : | - ..__ヽ| ヽ: l: : : : :l、:::::l: : :!
      |: : : : :l l:|  r'ー',ノ    ヽ: |  |  `丶、ヽ:|: : : : :|:ヽ::l : |
        !: : : ,.!: |!  ` '´     ヽ!  r'、__ ,./'/l: !ヽ : : |):ヽ|: l
       ', : / | : '、 '"'"  ,      ヽ._,. ' l:∧!: 〉、 ,.! '´ ,):|
         ヽ:l !: : :`ヽ、   、_     '"'" ・ l/: : : :l/  /: l
        '.| | : : : :|:l/丶、  `ー'     r‐〈: : : : /  /、 : |
          l: : : : |:| l:.:.:.:.:` ー,┬ '' ´ ,〉、r'ー-'、 /=-ヽ: :!
         /! : : : |:! |:.:.:.:.:.:./ '   , ':/:.:.}-- ..__, !'" `ヽ:|
           / !: : : :|:! l:.:.:.:.:.:l`ヽ、  / /:.:.:.l.__,. l_,. --、:}:l
        {   !: : : |:| |:.:.:.:.:.|   `/ /:.:.:.:.:{     l     ヽ!

らき☆すたの女の子でエロパロ42
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1206901482
13名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 03:32:39 ID:uxxR1MEC
誤爆したorz
申し訳ない……
14名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 05:21:48 ID:TMO0J82k
SS職人への道

誰かのSSにレスをつける
自分のレスにレスが付く
住民になれた気がする
スレ立てや埋めAAをする
1レスの埋めネタをためらいながら書き込む
ウケて続きネタのレスが付く
そして初SSを投下する
GJをもらう
保管庫に保管された自分の作品にアクセスがあることに安心する
投票やコメントが付く
2作品目を投下する
<間>
いつしか作者一覧その2(4作品未満の方) から作者一覧へ名を連ねるSS書きに

っていうのが、ん?
エイプリルフールネタで終わるかどうかは貴方しだい
15名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 05:50:08 ID:MdnzDQAd
こんばんわ。いやもうおはようでしょうか。
SS初投稿になります。よろしくお願いします。
四月一日ということでエイプリルフールネタを投下したいと思います。

・非エロ
・9レス程お借りします
16Poisson d'avril:2008/04/01(火) 05:51:08 ID:MdnzDQAd
それは春らしいとても暖かな陽が差し込む日だった。
私達高校生は春休みに入っており、つかの間の休みを楽しんでいた。
とはいえ今年はもう受験生という事で、遊ぶ時間も作りながら私は勉強をし始めていた。
みゆきは安心だけどこなたもつかさもちゃんと勉強してもらわなきゃ困るわね、と考えていると
テーブルに置いた携帯電話がブルブルと震えた。ディスプレイを見ると泉こなたと表示されている。
電話に出ると間髪入れずに
「明日ヒマ?ヒマじゃなくても明日遊ぼっ」
と聞き慣れたこなたの声が受話口から聞こえる。
何とも強引な誘いだったが、次の日は何もすることも無かったのでわかったわよと言い電話を切った。

桜がそろそろ見ごろになる頃で、その日はてっきり花見に誘われたのかと思ってこなたの家へとつかさと一緒に行った。
みゆきは先にもうこなたの家にいて、縁側の日溜まりに身を置き談笑をしていた。
「おっ、かがみんにつかさ。いらっしゃーい」
私とつかさに気づくとこなたは立ち上がり自分の部屋へと私達を案内した。
しかし、つい数日前にも来た部屋なのにその部屋の変貌振りに私は驚いた。
こなたが集めていた漫画やフィギュアの数々がきれいさっぱり無くなっていたのだ。
「あれ?随分部屋が殺風景になってるじゃない」
そう聞くと全く予想もしていなかった答えが返ってきた。

「……私、引っ越すんだ」
あまりにも突然過ぎて私は言葉を失った。つかさやみゆきも固まったままでこなたを見ている。
「ど、ど、何処へ引っ越すんですか?」
みゆきは珍しく焦ったように質問をした。が
「えっとアメリカの方へ……」
ますます声を失った。えっ?とつかさが発してからしばらく沈黙が続いた。
それを破ったのはこなただった。すくっと立ち上がり
「だから最後に桜見ようよ。アメリカじゃ見れなさそうだし……」
17Poisson d'avril:2008/04/01(火) 05:52:36 ID:MdnzDQAd
近くの公園には花見客が沢山いた。昼間から酒を飲み交わしていてとても賑やかだった。
その中でも明らかに異質であろうこの四人。誰も喋ることなくだんまりとしつつ桜の下を歩く。
「ごめんねずっと黙っていて」
人があまりいない芝生に腰掛け、こなたは今回の件の説明を始めた。
実は引っ越す事は今年に入る頃には決まっていたこと、親の仕事の都合だということ、出発は明日の夜だということ、
今まで言わなかったのはみんなに気を遣わせたくなかったからということ。
こなたらしくないシリアスな面持ちで一つ一つを丁寧に説明していった。
どうすることもできない。そう思いながら私とみゆきは下を向いた。
「ほら泣かないでつかさ……」
そういうこなたの目も潤んでいる。私もみゆきも同じような目でつかさを見た。
「こなちゃん……行かないで……」
「私だってできれば行きたくない……行きたく、ないけど……」
ついにこなたが泣き出した。零れる涙を手で押さえようとするがどうにもならないようで、袖でそっと拭っている。
つかさもうずくまって泣き出してしまった。みゆきもすんすん、と鼻をすすりながらハンカチを目元にやっている。
わたしもいっそ泣いてしまえば楽なのだが、プライドが邪魔をして上手くいかなかった。

そうこうしている内に陽は落ち、公園ではライトアップが始まった。
私もそれに気づき桜の木々を見上げた。するとそこには、とても綺麗な光景が広がっていた。
満開とまではいかないが、ほとんどを桜色に染めた木々は昼間とはまた違う顔をしているようだった。
花見客もその事に気づいているかどうかは分からないが、缶ビールを片手にそれを眺めていた。
私たちのすぐそばにも桜の木があった。それは私の心をそっと癒してくれるように佇んでいる気がした。

「今日、家に泊まっていかない?もし良ければだけど」
公園を出ようとして立ち上がった私たちに目を幾分赤くしたこなたはそう提案をした。
「もちろんだよこなちゃん!」
「私もよろしければご一緒させていただきます!」
つかさはいつもと変わりないようだが、みゆきはいつにも増して積極的だ。
それもそうよね。だってこなたは大事な友達だもんね。
そんな事を思っているとこなたと目が合った。穏やかな優しい目をしていた。
「かがみも、泊まってくよね?」
いつまでも見ていたい目だった。でもそうはいかないようなので、私も精一杯の優しさに満ちた声で言う。
「当たり前じゃない」

ふと振り返ると遠くなった桜が目に留まった。その桜が風を受けてせせらぎながらこう言った気がした。
――自分に素直になってもいいのよ
私は心の中で頷き、すっかり暗くなった空を見上げて一粒の涙を流した。

18Poisson d'avril:2008/04/01(火) 05:53:58 ID:MdnzDQAd
行きと違って帰りの道では四人で色々な話をした。
アメリカの住居の話や生活の話、現地のオタクの話など。
今までと全く違う、まさに異世界の事を楽しそうに、たまに不安そうに話していた。
私の横を歩いているその小学生のような小さな体躯に青紫の長い髪。
この声でかがみーんと呼ばれたり、私に引っ付いてきたりされることはもう無くなるのだと考えると悲しかった。
でもその感情を押し殺した。またいつか会える日が来るんだ。しばしお別れってとこよ。
決してさよならなんかじゃない。

こなたの家に着くとそうじろうおじさんが出迎えてくれた。
いらっしゃい、と申し訳なさそうにおじさんは笑い、四人を居間へと通してくれた。
そしておじさんはこちらにくるりと向き直り、私達三人の名前を一人ずつ呼んだ。
「俺の都合でこなたを連れ出して本当に申し訳ない。でもこれからもずっとこなたの友達でいてくれないか?」
おじさんはそう疑問系で返してきたが、三人の答えは既に決まっている。
つかさとみゆきを見てタイミングを合わせるようにして私は息を吸い込んだ。
「「「もちろんです!」」」

そう私たちが言い終えるとおじさんはありがとう、と優しい声で答えてくれた。
こなたはこういった事に慣れていないようでむず痒そうな顔をしていた。
じゃあ寿司でも頼むか!とおじさんは電話の子機を取りお寿司屋さんに注文の電話をし、
お茶を淹れるために台所にお湯を沸かしに行った。

お寿司が届く間、おじさんも交え引き続きアメリカでの生活のことについて話をした。
おじさんの話によると、しばらくは英会話スクールに通いアルバイトなどを始める、という事らしい。
永住するつもりはないのだが、仕事の進み具合や、こなたが外国人と結婚してしまったらどうなるかは分からないそうだ。
そんな話をしているとこなたのお腹がぐぅと鳴った。それとほぼ同時にピンポーンと家のベルも鳴る。
だってお腹空いたんだもーん、とこなたは恥ずかしそうに頭を掻いた。
壁に架かった時計に目をやると時刻は八時をとうに過ぎていて、私はしょうがないわねと笑った。

19Poisson d'avril:2008/04/01(火) 05:55:21 ID:MdnzDQAd
食べ終わった後、お風呂に入ると言いこなたは居間から出て行った。
するとおじさんは居住まいを直し、再び私達に申し訳ない、と頭を下げた。
寂しいけれど仕方ないですから、とみゆきは私の気持ちを代弁してくれた。
それから私達はおじさんからこなたの話を沢山聞いた。こなたから聞いたことのある話、聞いたことの無い話、
その全てを嬉しそうにおじさんは語った。
その時のおじさんは、失礼だけど子を持つ立派な親の顔をしていた。

「――でなー、その時の顔がまた可笑しくって」
「おとーさん何話してんのっ!」
お風呂から上がってきたこなたが自分の恥ずかしい話を楽しそうに話しているおじさんを早速ポカポカ叩いている。
お風呂の順番はじゃんけんで決めた。最初にみゆき、次につかさ、最後に私が入る順番となった。
今日で家のお風呂に入るのもひとまず最後だなー、と感慨深げにこなたは天井の方を向いた。
何となくしんみりした空気になるのは嫌だったので、私は必死に話題を変えた。
そのまま居間で楽しくお喋りをしていたのだが、おじさんがそろそろ引越しの最終確認をし始めるということで
私がお風呂に入る頃に三人は二階へと上がっていった。

脱衣所で服を脱ぎお風呂場へと入る。そして髪を洗い体を洗う。
いつもやっている作業なのだが今日は色々と思うように進まない。
こなたのいない学校生活を想像してみる。
登下校のときどうしよう。ちょっとオタクな会話は誰としよう。
何をするにもこなたが隣にいた。今更ながらその事に気づいた。
そういえばつかさがいたからこなたやみゆきと友達になれたのよね。つかさにも感謝しなくちゃね。
――寂しいな。
そう思わずにいられなかった。
それこそこなただって、つかさだって、みゆきだってそう思っている。
でも、ずっと離れたくないと言えば何とかなるわけでもない。
もうこなたはアメリカへと行ってしまうのだ。
すると突然脱衣所のほうからこなたの声がする。
「おーいかがみーん大丈夫?一時間近く入ってるよ」
どうやら私は考え事をしているうちに人の家で長風呂をしていたようだ。
「大丈夫よ!いま上がるから!」

――私、こなたがいなくて寂しいけど頑張るよ。約束する。
そう胸の中で決意し、私はお風呂場から出た。

20Poisson d'avril:2008/04/01(火) 05:56:39 ID:MdnzDQAd
お風呂から上がった私がタオルで頭を拭きながらこなたの部屋に入ると、何故かつかさとみゆきしかいなかった。
「あれ?こなたは?」
「おじ様に呼ばれて居間に行きましたが、すれ違ったりしませんでした?」
実はわたしも良く分かりません、といった顔でみゆきは答えた。
二人はオセロをやっていたようで、その対戦を私は眺めていた。
どうやらみゆきは相当強いようで、あっという間にボードが黒に染まった。
んじゃ次は私が、と言おうとしたところこなたが部屋に戻ってきた。
手にはある飲み物の缶を持って。あのこなたさん?それってもしかして……
「これ?ビール!」

「なっ……」
って持ってくるもの違う!てっきり私達への感謝の言葉が詰まった手紙とか持ってくるんだと思ってたのに!
「あの、私達未成年なんですけど……」
そうよみゆき、それが正しい突っ込みよ。どんどん言っちゃって。
「いいからみゆきさん、無礼講無礼講〜」
こなた、その言葉使い方間違ってる。
「でもこなちゃんとの最後の思い出だしね……」
また少し空気が重くなる。そりゃそうだけど……てかつかさビール飲みたいの?
「そうだよみんな!最後だし無礼講だってば〜」

ということで私が乾杯の音頭をとる事になった。
長ったらしい話をするとまたしんみりとしてしまう気がするので明るく振舞う。
「えー皆様、お忙しい中お集まり頂きありがとうございます」
いかにもな挨拶にみんなから笑いが起こる。
「長々と話もしたいものですが、こなたが早く飲みたそうにしているので皆さんご唱和願います。乾杯!」
「「「かんぱーい!」」」

と同時にこなたはグビグビとビールを飲んでいく。慣れてるなコイツ。
みゆきはどうやらお酒を初めて飲むそうで、不思議そうにしながらチビチビと。
二人の姉さんに飲まされたり、近所の会合などで飲まされたりしているから私は平気だけど
つかさは飲まされるといっつもすぐにダウンしているからなぁ……。

21Poisson d'avril:2008/04/01(火) 05:58:30 ID:MdnzDQAd
最初は今日のお寿司の味の話やお酒にまつわる話をしていたのだが、いつしか高校での思い出のことに話はシフトしていった。
こなたは目を輝かせながらみんなの話に耳を傾かせ、そして嬉しそうに思い出を話し出す。
お酒が入るとさらに饒舌になるようで、マシンガントークと毒舌は冴え渡っていった。
みゆきもいつもののんびりな雰囲気を纏いながらこなたの話に相槌を打っていた。
つかさは顔を真っ赤にし、いつもよりトロンとした目で私達を見ていた。
私も時々こなたに突っ込みを入れつつ、こなたと過ごした二年間を振り返っていた。

初めてこなたに出会ったときの事。
一年生の春、引っ込み思案なつかさに友達ができたということで見に行ったのが最初の出会いよね。
ツンデレだぁー、とかいきなり言われて最初は変な奴だなって思ったけど
話をしているうちに、すごい砕けた奴だってことを知ってどんどん仲良くなっていったわね。
一緒に海に行った時のこと。
こなたの親戚の成美さんの運転テクニックにいきなりビックリしたけど
さらにビックリしたのがスクール水着ね。あれはある意味尊敬するわ……。
あの水着のせいで他の人たちには絶対家族連れだと思われてたわね。
でも別にナンパされたいわけであんな事言ったわけじゃないんだからね!
そういえばコミケにも行ったわね。
ホント人が多くて参っちゃったわ。こなたに誘われない限りもう行かないわ。
それから……
学校の登下校での何気ない会話や、放課後に二人でよく行ったゲマズ。
みんなで集まって昼休みお弁当食べた事に、休日集まってのテスト勉強会。
他にも色んなところに行ってたくさん話をしたわね。

ところが、いつも一緒にいたこなたが明日からいなくなってしまう。
お風呂の中では何とかやっていけるって思ったけど、今考えるとそうはいかないのだろう。
実際頭の中で高校生活からこなたを切り取ってみると、とても不自然なものになってしまった。

「どったのーかがみん?やっぱ私がいなくなると寂しい?」
こなたはいつものニヨニヨした顔でこっちを向く。寂しい?
「当たり前じゃない!私の高校生活はあんたを中心に回ってるのよ!」
「ちょ、どしたのかがみん?」
「どうしたもこうしたもないわよ!私の中心が突然無くなるのよ!」
「……あの、かがみさん?」
「そんなの私耐えれるわけ無いじゃない!どうしてくれんのよ!」
気づくとみんなが私を見ていた。それもそのはず、突然私が怒鳴り始めたのだから。
つかさはビックリした目で、みゆきはオロオロと困惑した目で、当のこなたは私の話をちゃんと聞こうとするような目で。
声が大きいとかつかさとみゆきの事とか関係ない。私はただこなたに自分の思いの丈をぶつける事に集中した。
「これからもっと一杯色んな所に行きたかった!色んな話もしたかった!
あんたのオタク話にも付き合ってあげるし、コミケだって一緒に行ってあげるから!
だからアメリカに行くだなんていわないでよ!」

22Poisson d'avril:2008/04/01(火) 06:00:00 ID:MdnzDQAd
お酒を飲むと性質の悪くなる人がこの世にはいる。
色々愚痴を言う人、泣き上戸の人、テンションが上がる人、怒りっぽくなる人。
私がその中の一人だってことに今更気づいた。
あぁ私、今最悪な人間なんだろうな。ここまで自分を失うとは思ってなかった。
申し訳ないと思う気持ちと恥ずかしいという気持ちが混ざり合い、私はみんなに謝ろうとした。

「ゴメン、何か取り乱しちゃって……」
みんなが私を見ながら沈黙している。ホントにこれが最後だっていうのに……。
「ありがと、かがみ……」
と俯いた私にこなたは言ってくれたが、ありがとうは何に対しての感謝の言葉だったのだろうか。
少しの間それについて考えているとかがみ、とこなたに呼びかけられて顔をあげた。
するとこなたが目の前に座っていた。目に涙を溜め、私を見ながら。
私は気恥ずかしくなり、さっと横に目を逸らした。
だがその瞬間こなたに抱き締められていた。えっ?と私が言うよりも早く、こなたは
「ありがと、かがみ……」
と先程の言葉をリピートした。この状況でのありがとうという言葉の真意。それはもう一つしかない。
私が自分の事をこんなにも想ってくれているということに対しての言葉。
ありがとうの矛先が判明した今、私はすごく安心したのと同時に、鼻の奥が急速につーんとなり始めた。
何処を見ていれば良いのか分からずに目を泳がせているとこなたは言った。
「かがみ、もっと自分に素直になって良いんだよ?」
夜の桜に言われた言葉。そして今こなたに言われた言葉。
その二つが重なり合って生まれた一撃は、私の涙腺を決壊させていった。

こなたに抱き締められながら私はポロポロ涙を流した。
「こなたぁ……グスッ……離れたくないよぉ……お願いだから、行かないでぇ……」
無理だって分かっているのに。どうしても声に出てしまう。
「大好き、だよ……こなたぁ……」
ずっとそう思っていた。これが恋なのかはよく分からないけれど。
「……うっ、うっ……離れたく、ない、よぉ……」
徐々に嗚咽が混じり、自分でも何を言っているのか分からなくなってきた。
それでもこなたはうんうん、と言って私の頭を撫で続けてくれた。
「グスッ、こなたぁ……うわぁぁぁぁん、こなたぁ、こなたぁ……」
ついに子供のようにわんわん泣き出した私を、こなたは一層優しく抱き締め、そして落ち着くまでずっとそのままでいてくれた。

23Poisson d'avril:2008/04/01(火) 06:01:43 ID:MdnzDQAd
「ありがと、こなた……ゴメンね?」
大分経ってやっと落ち着いた私はこなたに謝った。が、謝るような事じゃないよと優しく答えを返された。
つかさとみゆきを見ると、大分眠そうだが抱き締め合った二人を温かく見守ってくれていたようだった。
「んじゃ最後にかがみんに見せたいものがあるんだ。だから目瞑ってちょっと待ってて」
絶対目開けちゃ駄目だからね、と念を押されこなたは部屋を出て行った。
何かプレゼントでもあるのだろうか。私はドキドキしながらこなたの到着を待った。
何でしょうね、とみゆきと話をしながら待っているとすぐにこなたは帰ってきた。
「お待たせかがみっ。さっ、目開いて!」
私はパッと目を開くとそこには世にも恐ろしい光景が……。

目の前に立っているのはこなたではなく、作務衣を来た長身の無精髭を生やした男性。
こなたと同じ髪の色で、こなたと同じ左目の左下の泣きボクロ。
右手に『ドッキリ大成功!』と書かれたプラカード、左手にはビデオカメラが持っている。
「かがみちゃーん、エイプリルフールだってエイプリルフール♪」
泉そうじろうだった。
「やふー、かがみん引っ掛かったー♪」
「わーい、お姉ちゃん引っ掛かったー♪」
「かがみさん今日は、いや昨日はエイプリルフールですからー♪」
私の前で四人が小躍りをしている。声が出ない。体が動かない。どうしたんだろう。そうか、夢見てるんだ。ビックリしたなー。
「かがみん、夢オチな訳ないじゃないっすかー♪」
「こんなに長い夢見る訳ないじゃんっ♪」
「うふふ確かにつかささんの言うとおりですねー♪」
「その証拠にこのビデオテープ!毎年四月一日になったら見ようなーこなた♪」
「そうだねお父さん♪なんなら一緒にかがみんも見るー?」
それからしばらく四人の笑い転げる様を見せ付けられたが、肩を揺すっても全く動かない私を見てさすがにヤバイと感じたらしく、
パニックになりながら危うく救急車を呼びそうになったそうだ。




24Poisson d'avril:2008/04/01(火) 06:03:14 ID:MdnzDQAd
「――いやー、何回見ても良い物は良いね」
「ホントだねーこなちゃん」
「口を開けて動かなくなってしまうかがみさんのお顔は何回見ても……」
「でもこの後お姉ちゃん死んじゃうのかも、って思っちゃったよー」
「もしかしたらかがみんも咄嗟にドッキリ仕掛けたんじゃない?」
「う、うっさいうっさい!お前らみんな黙れ!」

私の突飛な思いつきで実行まで至った、名付けて『かがみんドッキリ大作戦』。
二ヶ月にも及ぶ長い準備期間と、数十回に及ぶ綿密な作戦会議を重ね実行した結果、計画は大成功に終わった。
この事に関してかがみは黒歴史として一切口を開かなかったが、週末集まってはよくこのビデオを見ている。
そんなに見たくなかったら毎回見に来なくたって良いのにねぇ。まぁ寂しがりなうさちゃんだから仕方ないか。
「それにしても漫画とか片付けたりして大変だったんじゃないの?」
「確かに大変だったけどさ、かがみんの驚く顔見るためならなんだってするつもりだったから」
あのなぁ、と目を顰めながらかがみは溜息をつく。
「むぅ。かがみんの反応がちょーっと悪いからちょっぴり拷問を、っと」
リモコンを操作し、かがみが唯一画面を全く見ずにずっと耳を塞いでいる問題のシーンまで巻き戻す。

『大好き、だよ……こなたぁ……』
「だぁぁー!分かったからやめてくれー!」
かがみは慌てて私からリモコンを取り返そうとする。それをかわしながら画面を眺める。
『……うっ、うっ……離れたく、ない、よぉ……』
もうかがみは諦め、このシーンでのお決まりのポーズになり、ただ時間が過ぎるのを待つ体勢になっているようだ。
『グスッ、こなたぁ……うわぁぁぁぁん、こなたぁ、こなたぁ……』

いつも思う。画面の中の泣いているかがみを見ると、自分はなんて愛されているんだろうと。
突然の事でかがみ自身パニックになっていたのを差し引いても、泣き喚いてしまうほどにかがみは私を想っていてくれたのだ。
そのことは単純に嬉しかった。他の場面での涙は演技だったんだけど、その場面での涙は純粋な涙だった。
私もかがみの事は大好きだ。もちろんつかさやみゆきさんも大好きだけど、かがみを想う気持ちには敵わないと思う。
いつか私もかがみにちゃんと伝えてあげたい。かがみが言ってくれたのだから、私にだって言えるはず。

――私も大好きだよ、かがみ。と

fin.
25名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 06:10:00 ID:MdnzDQAd
以上です。いやぁ緊張しましたw
Poisson d'avrilというのはフランスでいうエイプリルフールの事だそうです。

こういった所を直すべき、といったご意見有りましたら言ってください。
最後に読んでくれた皆様、ありがとうございました!
26名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 07:14:41 ID:qn3yGKTZ
まさかみゆきさんとつかさまでぐるだったとは!
告白シーンを何度も見返すこなたよろしく、エピローグを読み返しています。ぐっじょぶでした。


というか、来年の4月1日はかがみもそのくらいやっていいんじゃないんだろうか。
27名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 08:58:03 ID:SL7mO3AY
>前スレ652
>「vivioはダメ」


少し、頭冷やそうか……
28名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 09:18:52 ID:gAdX+Uwx
>>25
GJ!
これはいいニヤニヤ
29名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 12:42:05 ID:7xPG3mDv
30ゆかりママ受難:2008/04/01(火) 13:25:57 ID:2OhHyoGP
今日も今日とてのんびりまったり。
お茶を飲み、ケーキをつまんで、もんたが司会をするワイドショーを見ながら高良ゆかりは一人ごちる。
「…暇ね〜…」
ぽ〜っとしたような顔で時計を見る。
…娘が帰ってくるまではまだまだ時間があるのを確認すると、彼女は大きなため息をついた。
「…みゆきぃ〜…お母さんお腹すいた〜…」
と言ってみても、頼れる娘は居ない。
ふうっとこの日何度めかのため息をつくと、のろのろと電話を取りに向かう。
「…もしもし? デリバリーをお願いしたいのですが…えぇ。はい…ざるそばを一つ」
しこしこのざるそばをつるつるっと啜り、熱々のお茶を頂く。
そんな素敵な昼食を夢見て、彼女はにこにこしながらまたワイドショーに目を移した。
『最近こういう事件が増えてますねぇ…私は犯人に言ってやりたいですよ。愛を持てッ! ってね』
そうよねぇ、と頭に良く内容が入っていないのに一人相槌を打ちつつ、お茶を注ぎに向かった。
お茶を飲み、ぼぅっとする事数分、インターホンが鳴る。
随分早いのねぇ、と一度首を傾げながらゆかりは玄関へと向かった。
――それが、大きな分岐点になるとも知らずに…

「…奥さん…騒いだら駄目だぜ?」
無精髭の男が耳元で囁く。
「…早くヤっちまおうぜ…もう我慢出来ねぇ」
スキンヘッドはナイフをちらつかせながら舌なめずりをするとゆかりを家の中に押し込んだ。
「いっ、嫌」
声を搾り出そうとすると、ナイフが胸元に当てられる。
――殺される。お嬢様育ちでのほほんとしたゆかりですら直感的にそう思った。
「…へへっ、奥さん最近セックスはしてんのか?」
無遠慮に胸を捕まれ、小さく悲鳴をあげる。
「まあ、いいさ。たっぷり可愛がってやる」
男達が獣のようにわらった。

ゆかりママ大好きなんだが凌辱しか思い浮かばない俺外道。
続けてよさ気なら今晩あぷろだにうpしたい
31名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 13:51:41 ID:WgB0ZJtV
誘いうけはできるだけ控えた方がいいんじゃないかな
32名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 14:03:07 ID:uxxR1MEC
>>30
その気があるなら投下するんだ!
注意書きさえあれば大丈夫だし、どんな展開にも需要はあるさ!
33名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 14:17:24 ID:T/N5vybC
>>25
GJ!そうじろうはグルだろうと思ってたけど、
まさかつかさとみゆきさんまで一枚かんでたとわw

よくつかさが隠しきれたものだと思ってしまった俺はいろいろとダメだ
34名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 14:23:03 ID:4b+mMeJx
そこで
かがみ「最近つかさが隠し事してるみたいなんだ・・・」
こなた「まー、年頃の女の子だし悩みや隠し事の1つくらいあるよ。かがみんはないのかい?」

みたいな事があったんじゃないかと補完
35名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 16:04:10 ID:ti39FCDj
>>25
撮っといてみんなで見るとかなんとゆー羞恥シチュww
これは良いかがこな
美味しくいただかせてもらいました
36名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 20:03:52 ID:2KA+opZE
>>25
なんという孔明の罠www
超GJ !

でもね、本気で想ってくれてる人の心をもてあそんじゃだめだぜ〜こなた? w
3723-49:2008/04/01(火) 20:42:08 ID:YndN0Hjq
どうもです
前スレの埋めで予告したメドリレ第六話、行きたいと思います
満を持してのゆたかのターン
他に誰もおられないようでしたら五分後ぐらいから投下させてください

・ゆたか視点
・エロ無し
・5レス使用
38メドレーリレー・バースデー (6) 1/5:2008/04/01(火) 20:47:18 ID:YndN0Hjq
【track 6 : そしてパーティーは始まった】


 ケーキにキャンドルを立てる大役は、私が任されることになった。
「やっぱ最後の仕上げまでキチンとやんなきゃね」
 とは、こなたお姉ちゃんの談。
 七本――十歳分一本と一歳分六本――がバランスよく並ぶように、慎重に挿していく。
 確かにやりたいって言い出したのも、一応とはいえ作ったのも私だけど……緊張するよぅ。
「え……じゃあ、これは、ゆたかが……?」
「う、うん。って言っても買ってきたスポンジにクリーム塗っただけなんだけど……」
 しかもインターネットで調べた、一番簡単な作り方のだし。
 だから、こうしてつかささんたちの作ったお料理と並べると、どうしても見劣りしちゃう。
 家で完成させたときは会心の出来だと思ったのになぁ。
「ご、ごめんね。不恰好で……」
 ああ、なんだろ、なんだかすっごく恥ずかしい。
 自分がとんでもない勘違いのウヌボレ屋さんみたいな気がして。
「そんなこと……ない」
「そうだよ、ゆーちゃん」
 だけど、みなみちゃんとお姉ちゃんはそう言ってくれる。
「確かに売り物にできるってレベルじゃないけど、初めてでこれだけできれば上等だよ。――ね?」
「えっ?」
 突然問いかけを向けられて、つかささんがびっくりした声を挙げる。
「あ……う、うん。そうだよ。えっと……私が最初に作ったのなんて、ホントに酷かったから。
あはは……」
 そして、どこか無理してるような言い方だったのは、本当は酷い出来だと思っているからなのか、
 それとも……
「それにさ、これはゆーちゃんがみなみちゃんのために作った、世界でたった一つのケーキだよ。
どこにも売ってないよ」
「へっ?」
 浮かびかけた疑問は、お姉ちゃんのそんな言葉で引っ込んだ。
「ええ。本当に、その通りです」
 続いて高良先輩が相槌を打つ。
 う、嬉しいけど……そんなふうに言われたらくすぐったいよ。
 みなみちゃんの方まで赤くなっちゃった。
「へーぇ、いーコト言うじゃんちびっ子」
「まぁねー。……でも正確には最初でも唯一でもないんだけどね。失敗作が家に二つほど」
 あう……
「そうなんスか? って先輩、そういうのは黙っときましょうよ」
「いやいや。決して妥協しなかったゆーちゃんの情熱を闇に葬るなんてマネ、私にはできないっ!」
「Good Job! コナタ!」
 はうぅぅ。
 手が震えちゃうよ。
「ちなみにソチラはスタッフが美味しく頂きました」
「スタッフ?」
「うん。おとーさん」
 首をかしげる峰岸先輩に、簡潔に答えるお姉ちゃん。
 ごめんなさい、叔父さん。
「いや……健康に悪すぎるだろそれ」
「帰ったら私もちゃんと協力するって。オタクでロリコンのエロオヤジにメタボ属性まで追加されちゃ、
さすがの私も困るからね」
「……容赦ねーな」
39メドレーリレー・バースデー (6) 2/5:2008/04/01(火) 20:48:19 ID:YndN0Hjq
 そしてお姉ちゃんとかがみさんとの、いつものやりとり。
 でもいつもと違って、やっぱりどこかぎこちない。
 無理やり「いつもどおり」を意識してるみたいなかがみさんだけど、
 お姉ちゃんも薄々何かを感じ取っているのか、それともみなみちゃんを気遣ってくれているのか、
 特に何も言おうとしなかった。

 そんなこんなで、どうにか失敗せずに全てのキャンドルを立て終えて、火も灯すことができた。
 照明が落とされて、みなみちゃんのお母さんによるピアノの伴奏に乗せて、
 お馴染みの『Happy Birthday to You』をみんなで合唱。
 最後の「みなみちゃーん」が「いわさきー」だったり「ミナミー」だったり、微妙にバラバラだったのが
 逆にちょっと楽しい感じ。
 ほっぺたを膨らませて一生懸命にキャンドルの火を吹き消すみなみちゃんの姿はなんだか新鮮で、
 可愛らしかった。
 続いてケーキを切り分ける。
 私とみなみちゃんの初めての共同作業、なんてやらされそうになったけど、無理だよう。
 手が震えて、絶対失敗しちゃう。
 二人でそう主張して、結局みなみちゃんのお母さんにやってもらうことになった。
 なんだろう。
 今日はなんだか、みんなで寄ってたかってヘンなふうに背中を押してきてる気がする。
 やっぱり……かがみさんのことが関係してるのかな。



「くさいよねー」
「デスねー」
「気がついたらくさいんだよね」
「なんでくさいのかなぁ」
 話の花が咲いている。
「ってゆーか何がくさいんだろーな」
「謎だよネ」
「最大の謎っスね……ってコレ言っていいんスか?」
 最初はみんなで集まってワイワイやってたんだけど、
 広いテーブルに置かれたお料理をそれぞれが追いかけているうちに、
 今はなんとなく私たち一年生とお姉ちゃんたち三年生とに分かれている。
「ってゆーかうまっ! コレうまっ! うめーよこのミートボール、妹さん!」
「そ、それ作ったの、こなちゃんだよ……?」
「マジでっ!?」
「うわ、ひどっ。そこまで驚くことないじゃん。せっかく用意したのにさ」
「マジでかっ! うわー、ありがとなちびっ子!」
「よしよし。でも野菜も食べなきゃダメよ、みさちゃん」
「おいしいですよ、こちらのサラダ」
 よかった。
 お姉ちゃんと日下部先輩たち、ちゃんと仲良くなれたみたい。
 最初にかがみさん絡みのことを問い詰められたときはどうなるかと思ったけど。
 ……ただ、
「……」
 そのかがみさんだけが、そんな中でただ一人、笑顔を浮かべながらもほとんど喋っていない。
 つかささんも、話しかけられたら答えているけど、
 それ以外のときはチラチラとかがみさんに心配そうな視線を送っている。
「――ねえっ、小早川さんっ」
「え?」
「これ、このサンドイッチ、作ったの小早川さんだよね? おいしいよっ?」
「ミナミも食べてクダサイ。愛情たっぷりデスよ?」
40メドレーリレー・バースデー (6) 3/5:2008/04/01(火) 20:49:20 ID:YndN0Hjq
 そして、田村さんとパティちゃん。
 お姉ちゃんとかがみさんがヘンな雰囲気になりそうになったり、
 今みたいに私の意識がかがみさんに向きそうになったりすると、こうやって割り込んでくる。
 最初は気が付かなかったけど、なるほど、確かに。
 教えられた通りだ。
 さっき台所で、まだお料理をしていたときに。
 小声で何かを話していたこなたお姉ちゃんとつかささんの目を盗むようにして、
 峰岸先輩がこっそりと耳打ちしてくれた通りの状況だ。

 かがみさんは、男の子から告白をされたらしい。

“だから、もし様子がおかしく見えても、気にしないであげてね?”
“今日ここに来たくなかったとか、そういうことじゃじゃないはずだから”
“それと、田村ちゃんとパトリシアちゃんのことも”
“たぶん、なんだけど、柊ちゃんは泉ちゃんとケンカしてるって思っちゃってるみたいなの”
“訂正してあげたいんだけど……柊ちゃんの気持ちを考えると、ねぇ”
“だから二人のことも、不自然に見えても気付かないフリをして、できれば話も合わせてあげて?”

「……」
 ちらりと見上げる。みなみちゃんもまた、かがみさんに気遣わしげな視線を送っている。
 やっぱり気が付くよね。
 みなみちゃん、私が体調が悪いときはどんなに取り繕っててもすぐに見抜いちゃうから。
 単に私の演技が下手だってだけかもしれないけど……と、
「……なに、ゆたか?」
「え? あ、ええと……」
 視線に気付いたのか、みなみちゃんがこちらを見下ろしてきた。
 どうしよう。

“もちろん、みんなには内緒よ?”
“ただし岩崎ちゃんにだけは、もし気にしているようだったら教えてあげてもいいと思う”
“あなたとあの子にだけなら、たぶん、柊ちゃんも許してくれるわ”

 峰岸先輩はそう言ってくれた。
 けど、今は田村さんとパティちゃんがすぐ近くにいる。気付かれずに話すのは無理だ。
「……お化粧、してるんだなって……」
 考えた末、そうごまかした。
 けれどそれも、さっきから気になっていたことではある。
「こ、これは……みゆきさんが……」
 みなみちゃんは恥ずかしそうに顔を背けて、さらに手で隠してしまった。
「……美容院に、連れて行かれて……」
「あ、そうなんだ」
「Oh、ソレは是非トモ見物したかったデスねェ……」
「や、やめて……」
 パティちゃんがニヤリと笑って、みなみちゃんはさらにうつむく。
 でも、そっか。
 みなみちゃんは今日のことを知らなかったんだから、自分からおめかしをするはずがないよね。
「その、服も?」
「う、うん……」
 ピンクのワンピースと、白いレースのカーディガン。
 制服以外のスカート姿を見るのは、ひょっとしたら初めてかも知れない。
「こんなの……似合わない、のに……」
 言いつつ、落ち着きない感じで襟元や裾をひっぱったりして、どうにか隠そうとするみなみちゃん。
 さっきまで普通にしてたのに。悪いことしちゃったかな。
 でも、そんな仕草がかえって可愛らしい、なんて思ってしまう。
 自然と頬が緩んだ。
41メドレーリレー・バースデー (6) 4/5:2008/04/01(火) 20:50:22 ID:YndN0Hjq
「そんなことないよ。すっごく似合ってるよ、みなみちゃん」
「そうそう。なんて言うか、眼福だよね」
「YES! 既存の image に拘ってイテハ萌えの地平は開けマセン!」
 田村さんとパティちゃんも笑顔でうなずく。
「――ふふ。好評のようですね、みなみさん」
 と、そこに高良先輩と、
「あー、やっぱりみゆきさんのセレクションだったんだ、ソレ」
 その後ろから、お姉ちゃんたちも加わってきた。
 ちょっと困ったかも。ますますかがみさんのこと言えなくなっちゃった。
 でも、まあいっか。もうちょっとあとでも。
「ええ、お恥ずかしながら。ただ、私だけでなく、田村さんにもアドバイスを頂いたんですよ」
「へ? あ、いや私は」
「あー、そいや途中でなんか高良と電話してたよな。うんとカワイクとかなんとか」
「……田村さん……」
 みなみちゃんの、珍しく恨めしそうな上目遣い。
 田村さんが大慌てで首を振る。
「いやいやいやいやいや! 違うっス! いやま確かに言ったけどっ、それだけでっ。そもそも
服にするって言ったのもモノを見立てたのも高良先輩だから――ってゆーか! 似合ってるから!
すっごい可愛いから!」
 言い訳から一転、拳を握り締めて力説する田村さん。
 そのあまりの様子に、みんなから笑いが漏れた。
「――でも、さすがみゆきね。いいセンスしてる」
 かがみさんからも。
「うんうん。みなみちゃんの、普段は隠れたオジョーサマ的萌え要素を存分に引き出しつつ、本来の
クーデレ属性も失わせていない……萌えブリーダーとしても完ぺきだね、みゆきさん」
「ありがとうございます」
 お姉ちゃんの少しマニアックなコメントに、高良先輩がはにかんでお礼を言う。
「……」
「……」

 そして沈黙が降りた。

「……」
「……!」
 一拍遅れて口を開きかけたかがみさんと、
 「しまった」みたいな顔をしながらそちらを振り返ったお姉ちゃんとの視線が交わって、
 二人の顔がかすかに強張る。
「……?」
「……っ」
 高良先輩が小首をかしげる。田村さんが息を飲む。
 日下部先輩に焦った顔を向けられて、峰岸先輩が眉を下げる。
 つかささんが何かを言おうと口を開いて、何も言わずに閉じる。
 恥ずかしさに縮こまっていたみなみちゃんが、異変に気付いて顔を上げて――

「――ヒヨリ?」

 同時にパティちゃんが、不思議そうにつぶやいた。
「へっ!? ……あ、なに、パティ?」
「今、『ミユキが服にスルと言った』と言いマシタか?」
「え? えっと……言った、かな? ――あ」
 言われて、田村さんは一瞬怪訝な顔をして、そしてハッとなる。
「そっか……言っちゃった」
42メドレーリレー・バースデー (6) 5/5:2008/04/01(火) 20:51:22 ID:YndN0Hjq
 ?
 なんだろ?
 疑問に思ったのと同時、高良先輩がおずおずと口を開く。
「あの……どうか、なさったのですか、みなさん?」
「Present のことデス」
 すかさず、困ったような笑顔で答えるパティちゃん。
 こなたお姉ちゃんがそれに続く。
「あぁ……そっか。ネタバレしちゃったね、ひよりん」
「スンマセンっす。つ、つい……」
「……はい?」
 高良先輩が疑問符を重ねて、私やみなみちゃんもそれに倣う。
 ねたばれ?
「ん、だからね? 見てのお楽しみなプレゼントの、一つが一足先に判明しちゃったってコト」
 あ、そっか。
 お姉ちゃんのその言葉に、みんなの疑問符が霧散した。
 そういえば、電車の中でもそんな話をしてたっけ。
 日下部先輩が手ぶらで何の用意もしてないふうなのを、田村さんとパティちゃんが指摘して、
 そしたらお姉ちゃんたちが「あとのお楽しみ」、とか。
 高良先輩も納得顔になってうなずいた。
「ええ、確かにみなみさんの服は、私と母からということで送らせていただいたものですが……」
 振り返って見てみると、部屋の隅で先輩のお母さんが笑顔で手を振っていた。
 隣に立っているみなみちゃんのお母さんに、なぜか服の裾を捕まえられている。
「まだ言ってはまずかったのですね。申し訳ありません」 
「いえいえ、今のは私が……」
「や、いーっていーって」
 お互いに頭を下げあう高良先輩と田村さんを、お姉ちゃんが笑ってなだめる。
 そうして――空気が変わった。
 今の気まずい沈黙は、かがみさんの不調が原因ではなく、田村さんの失言のせいなのだと。
 そのように、塗り替えられた。

 すごい。

 みんな、すごい。
 だとしたらさっきのパティちゃんのつぶやきは演技だってことになるけど、全然そうは見えなかった。
「てか、もうそろそろいい頃だし、このままプレゼントタイムに突入しちゃおう」
「おー、いーな。待ってたぜ」
 お姉ちゃんも、日下部先輩も。
 かがみさんのことが気になって仕方がないはずなのに、
 いったいどれだけ我慢すればこんなにも自然に振舞えるんだろう。
 田村さんも、みなみちゃんやかがみさんのために、自分を悪者にしてまで頑張って。
 本当に、みんな、すごい。
 すごく、優しい。
 私にはとても真似できそうにないや…………って。
 ダメだよそれじゃ!
 私も頑張らないと!
 頑張って、チャンスを見つけて、早くみなみちゃんを安心させてあげないと。




4323-49:2008/04/01(火) 20:54:06 ID:YndN0Hjq
以上です
ありがとうございました


ママさんズが空気
以前にLD氏も言っていいましたが、名前がわからないことには
みなみ母はどうにも他との絡めようが

さておき
エイプリルフールネタの投下を予定されてる方がおられましたら
間をあける必要も特にないと思いますので、どうぞ
44名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 21:21:40 ID:bnS9KDIk
>>43
GJ!
パティがあやの以上の才能の片鱗を見せた
45LD:2008/04/01(火) 21:26:15 ID:9ez+82RZ
 さて、本日はエイプリルフール。皆様、誰かに嘘などつきましたか?
 昨日一昨日と寒くて、風邪を引きそうになりましたLDですw

 >>43(23-49氏)
 GJです!
 各々の動きが絡み合ってるこの状況、果たしてみなみの誕生日は無事に終了するのでしょうか?
 って言うか、オールスター出演って感じなのに全員が無理なく動いてる辺り脱帽するしか……


 ところで「こなた&ゆたか」シリーズの話が出来ましたので投下しようと思いますが大丈夫かな?

・3〜4レス+後書1レス使用予定
・こなた&ゆたかシリーズ『夏の夜の約束』の続き
・かがみ→こなた。かがみ視点
・非エロ

 5分程経ったら投下開始するつもりです。
 他の方と被るようなら、その後に投下しますね。
46変わるもの、変わらないもの(1):2008/04/01(火) 21:31:01 ID:9ez+82RZ
 
 『あの』告白から数日。多少ギクシャクしつつも、私達はほぼ今まで通りの関係を続けられていた。まぁ私の中では今だ諦め切れないものがあるけど……

 そんな私の想いとは関係なく日々は過ぎ、今日から新学期のスタートだ。
 今日は始業式の後にHRをやったら終わりなので、いつもの4人で遊びに行こうと言う事になったんだけど、日下部に捕まって大分時間を取られてしまった。
 断れなかったのはあいつが勉強を聞きに来たから。あいつには推薦の話があったんだけど、やはりある程度の成績は必要で、夏の終わり辺りから少しずつやっていたらしい。
 そんな日下部の頼みを断る事はとてもじゃないけど出来なくて、気がつけば20分近く付き合っていた。
 峰岸は……日下部のお兄さんが休みを取ったとかでデートに行くらしい。そんな彼女を引き留めるなんて出来なくて、私を当てにしたそうだ。
 当の日下部は質問の後、体が鈍るからと元気に部活へ行った。

「お待たせー。って、何してんの?」
 声を掛けながらB組の教室に入ると、みゆきの周りにこなたとつかさが集まっているのが目に入った。こなたは熱心に何か書いていて、つかさは本を読みながら難しい顔をしてる。
「あ、かがみさん。お疲れ様です。」
「ごめん、ちょっと日下部に捕まっちゃってさ。で、つかさは何読んでる、の……簿記検定? つかさ、あんたこれ受ける気なの?」
「ううん、私じゃないけど……全然さっぱりだよぅ」
「そりゃ勉強不足なだけよ。まぁ頑張ればつかさだって受かるんじゃないかしら? でもつかさ、あんたじゃなきゃみゆきの?」
「いいえ、それは泉さんのですよ」
「へ〜。こなた受ける、ん……はぁ?! ちょっと、マジか?!」
 みゆきの言葉に思わず声を上げてこなたを見ると、ムッとした顔をこっちを向け、
「そんなに驚かなくてもいーじゃん。私だってやる時はやるのだよ。で、みゆきさん。ここはこれで合ってる?」
「はい、大丈夫ですよ。やってみれば簡単ですよね?」
「いやいや、みゆきさんの教え方が上手なだけだよ。家でやった時は全くわからなかったからねー」
「わ、こなちゃんすごーい。私なんかもっと時間掛かっちゃうよ」
 何の事かと机を見ると、そこには数学の参考書が広げられていた……1年生のものだけど。
「あー……こなた、熱でも出したか?」
「んなっ?! なんと失礼な! 私が勉強しちゃいけないの?」
「あんた……昨日あんたの家で何してたか覚えてるか?」
「昨日? もちろん覚えてるよ。夏休みの最後だから宿題の大掃除やったよね。いや〜、かがみとみゆきさんのおかげで助かったよ〜」
「うん、そうだよね。そんなあんたの口から『勉強しちゃいけないの?』って質問が出る事自体矛盾してると思わないのか?」
「いや、だって。いきなり3年の内容なんて理解出来ないからさ。小さな事からコツコツと、ってね」
「……突っ込む気も失せたわ。とりあえず一段落したんなら行かない?」
「かがみ……遅れておいてその言い方はないんじゃないかな?」
「それについては謝るわ。ごめん、ちょっと日下部の勉強見てたから」
「あら? 日下部さんは陸上で推薦がもらえたはずでは?」
「ああ、成績の方がギリギリらしくてね」
「へ〜。推薦もらえたからって、それで決まりじゃないんだ〜」
「そんなに甘くないって」
「ほい、お待たせ〜」
 荷物をまとめたこなたが立ち上がったのをきっかけに、一旦この話は中断して揃って学校を出る。
47変わるもの、変わらないもの(2):2008/04/01(火) 21:31:35 ID:9ez+82RZ
 
 遊びに行く前にお昼を食べるので近くのファミレスで腰を落ち着け、それぞれ注文をすると、自然とさっきの事が話題になる。
「で。一体どういう風の吹き回し? あんたが勉強やら簿記なんて」
「ん〜? そうだねぇ。姉としての威厳に目覚めたから、とか?」
「姉って? こなちゃんは一人っ子じゃ……あぁ、ゆたかちゃんか」
「そ。いつまでも逃げてばっかじゃかっこ悪いっしょ」
「でも泉さんはコツさえ掴めばすぐに出来るようになると思いますよ。先程もちょっとしたヒントですぐ解答に辿り着きましたし」
「そうは言うけどさ、そのコツを掴むまでが大変なんだよ」
「まぁあんたは集中さえすれば出来る方だけどね。今まで何でその集中力を発揮しなかったかな……って、そういやテストでやってたか」
「一夜漬けなのに私より成績がいいなんて、こなちゃん本当にすごいよねー」
「いや、つかさ? そこは褒めるところじゃないって」
 呆れながらつかさに言うと、視線を泳がせながらえへへと相変わらずの照れ笑いを浮かべる。
「まぁ受験生としての自覚が出てきたのはいいことなのかしらね」
「へ? あれ、言ってなかったっけ? 私、受験しないよ」
 ……今、こいつはなんと言った?
「あれ。どったの、みんな?」
「なぁ……『受験しない』って聞こえたんだけど……気のせい、よね?」
「私も、そのように聞こえましたね……」
「こなちゃん、受験しないの?」
 三者三様の反応に対し、こなたはあっさりと答える。
「いや〜、聞き違いじゃないよ。受験しないで就職……って言うのかな、これ」
 ズズズ……とジュースを啜ってから、何でもない風にこなたが続ける。
「バイト先でそのままチーフスタッフに昇格の話があってさ。ま、正社員って訳じゃないけどね。そんでまぁ、少しは資格なんかがあった方がいいかなぁなんて」
「なるほど。それで簿記検定なんですか」
「うん、事務関係の仕事もやるかも知れないからね。他にもいくつか取ろうと思うのがあるんだけど、とりあえず1つずつやってこうかと」
「わぁ。こなちゃん、おめでとう!」
「いやいや、まずは卒業しないとこの話もなくなっちゃうんだけどね〜。ま、受験するよりは楽だけど気は抜けないよ」
「そうですね。頑張って下さいね、泉さん」
「ありがと、つかさにみゆきさん……かがみ?」
「え……あ、っと……おめでと、こなた……」
「お姉ちゃん、どうしたの?」
「いや、何でもないって。あんまりこなたがらしくない事言ったから、ちょっと驚いちゃって。明日は槍でも降るんじゃないの?」
 そう言って誤魔化したが、呆然としていたのはそれだけじゃない。
 あれだけ将来についていい加減な態度だったこなたが急に変わった理由に思い当たってしまったから。
 どうやら完敗なんだと分かってしまったから。
 それでも、これだけは聞かないといけないと思い、一旦ジュースを口に含んでカラカラになっていた喉を潤す……味なんてわからなかった。
「ねぇこなた。急にこんな事始めたのって、別の理由があるんでしょ?」
「かがみさん?」「お姉ちゃん、何言ってるの?」
 みゆきとつかさが怪訝そうにこちらを見て、私の考えに気づいたのか、あっ、と言う表情になる。
 こなたは、いつになく……いや、あの時と同じ真面目な表情で私を見つめて、ゆっくりと口を開く。
「やっぱ、かがみは気づくよね」
「ゆたかちゃん、の為よね」
「んー、正確には私達2人の、だけどね。お父さんや皆は割とすんなり受け入れてくれたけどさ。ゆーちゃんの両親まで、受け入れてくれるとは限らないっしょ?」
「こなちゃん……」
「だから、少しでもちゃんとしないとね。そりゃ大学行って、会社に勤めるのとは世間の評価は違うけど……
 そうじゃなくても立派に自立出来るのを見せたいんだ。これなら安心して任せられるってところをね。同性については……気長に説得するしかないけどね」
 笑ってそう言うこなたは、体はいつも通り小柄なのに頼もしく見えた。
48変わるもの、変わらないもの(3):2008/04/01(火) 21:32:06 ID:9ez+82RZ
 
 注文した品が来て、皆でお喋りしながらそれを食べるけど、あまり味は分からなかったし皆の言葉もほとんど上の空だった。
 一通り食べ終わると、トイレに行くと言ってつかさとみゆきが席を立った。
 気を利かせたんだろうな、と思う。
 2人っきりになって、こなたがじっとこっちを見つめてるのに気づいた。
 その表情は困ったような、すまなさそうな弱々しいものだったので、苦笑しながらこなたのおでこにデコピンを食らわせながら、
「何て顔してるのよ。それはこっちがするべきものでしょうに」
「ん。そだね……本当はもっとちゃんとした機会に言おうと思ってたんだけどね」
「いいわよ、そんなの気にしなくて。どうせ同じような反応しか返せないだろうし。それよりもっとシャンとしろって。あんた達は自分でキツイ選択をしたんだから、人の何倍も頑張らなきゃいけないのよ?」
「かがみ……」
「この前も言ったでしょ、幸せにならなきゃ許さないって。この私を振ったんだから、情けない真似は認めないわよ?
 その代わり、あんた達が真っ直ぐ進む限り私は……私達はずっとあんた達の味方だし支えになってあげるわよ。多分みなみちゃんもね」
「ありがと、かがみ……私達さ、これからも友達でいられる、かな?」
「馬鹿……当たり前でしょ。こんな恥ずかしいこと二度と言わせないでよね」
 そう言ってもう一度こなたのおでこを弾いて笑う。こなたもやっと笑って私の手を取ると、いつものネコ口をして、
「それにしても、やっぱりかがみはツンデレだね〜。あんな事言えるなんてさ?」
「なっ、元気になったかと思ったらそれかよ! ったく……まぁいいわ、今は大目に見てあげるわよ。今日の事はあんま否定出来ないしね」
「ちょ、そーいう反応は想定外なんですが?!」
 そんな慌てるこなたを横目に離れた所でこっちの様子を窺ってる2人を手招きすると、ほっとした表情を浮かべて戻ってくる。
「変な気を遣わせて悪かったわね」
「いえ……もうよろしいのですか?」
「いいから呼んだのよ。色々とすっきりしたから、もう心配はいらないわよ」
「うん、わかったよ」
「さて、そろそろ行きましょ。今日は久し振りにカラオケなんかどう?」
「ええ、いいですよ。あれから何曲か歌えそうな曲を覚えましたし」
「おー、みゆきさんの歌か〜。今から楽しみだよ」
「ねぇお姉ちゃん。この間の歌、一緒に歌おっか?」
「この間の? あぁCMで使ってた奴ね。いいわよ」

 さーて。初恋は見事散っちゃったけど、クヨクヨしてらんないわね。
 あのこなたが頑張ってるんだから、私も頑張らなきゃね。
 あいつは恋をして変わっていくけど、もう悩んだりはしない。
 私達が親友だという事は誰にも変えられないのだから!
49LD:2008/04/01(火) 21:33:09 ID:9ez+82RZ
 
 以上です。
 些か展開が強引だったり、ご都合主義っぽいかも知れませんが平にご容赦を……
 こなゆたをくっつけると他の娘達が病んでいくSSが多い中、あえて逆路線に突っ走ってみましたw

 鬱、ダーク系は読む事が出来ても、書こうとすると手が震え始めるLDでした♪
50名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 21:39:55 ID:Zb1rAOcy
>>49
投下乙です。
さて自分も投下しますか…

21:45から投下はじめます。
すみません、人が投下したすぐあとで…
51名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 21:46:40 ID:Zb1rAOcy
どうもこんばんは、17-234です。
空気の読めない人でごめんなさい。

またかよ、という感じですが
相変わらずあきら様×白石です。

あきら様×白石+みさお+柊姉妹
非エロ4レス使用です。

17-234
「馬鹿なのは誰だ?」
5217-234「馬鹿なのは誰だ?」1/4:2008/04/01(火) 21:47:52 ID:Zb1rAOcy
「おはらっきー☆小神あきらです!」
「白石みのるです!」
「今日は、重大発表があります!」
「なんでしょー」
「このたび、私、小神あきらと」
「白石みのるは」
「「結婚することになりましたー」」
「拍手ー♪」

4月1日。
突然ラジオからこの声が流れてきて、
あたしははっとした。
あきら様と、師匠が、結婚?!
ってかあきら様まだ結婚できない歳じゃなかったっけ、
女子は16歳から、だったよね…?
男子は18だから…もう師匠は18だからいいのか、
って待てよ、
あきら様はさんじゅうn

いやなんでもない。

きっとあたしの勘違いだ。

何でもいいけど、あきら様と師匠か…
あぁご祝儀とかどうすればいいんだろ?
柊に聞くしかないな!

「これからも仲良くラジオをやっていきますので、みんなよろしくねー☆」
「ということで、今日は臨時放送でお伝えしました!」
「ナビゲーターの小神あきらと」
「アシスタントの白石みのるでした!」
「あ、でも結婚したら白石あきらだね、なんかまぬけだ!」
「それは僕の苗字がまぬけなんですか?!」
「まぁいいや、ということで、」
「いいんだ!」
「「ばいにー☆」」

ラジオから耳を離した瞬間、
あたしの耳は携帯電話へと引っ付いていた。
発信するのは、あたしの携帯から、
もちろん、柊の携帯だ。
5317-234「馬鹿なのは誰だ?」2/4:2008/04/01(火) 21:49:15 ID:Zb1rAOcy
5コール目でやっと電話を取った柊は、
なんだかいつもよりもおっとりしていた。

「もしもし柊?!」
「な、なによー春日部ー」
「日下部だってヴぁ!」
「知ってるよー?で、なぁに?あたし温泉掘らなきゃならないんだけどー」
「それは大変だな、それでさぁひいらぎぃ、」
「(…つっこまないんだ)」
「あきら様と師匠が結婚するんだって!あたしゃびっくりだよ!」

……約10秒の間があいてから、
電話口で柊が何か絶叫していた。
「おねぇちゃーん」だったかもしれない。
よく覚えてないんだけど、とりあえず柊も慌てていた。

それからまたちょっとして柊の声がした。
…いつもの柊だ。
さっきまでのはなんだったんだろう?

「ちょ、ぬりかべ、どういうことよ!」
「み・さ・お・だ!日・下・部・だ!!」
「なによ今更」
「今更なんていうな!!!」
「サーセンwww」
「だから、あきら様と師匠が結婚するんだってヴぁ!」
「…は?」
「だから!あきら様と白石さんが!」
「結婚…?」
「そう(゚Д゚)!」
「ほ〜…いいんじゃない?」
「はえ?」
「2人ともうまくいってるってことよ!」
「そ、そうか!ご祝儀ってどうすればいいんだ〜?」
「え?ご祝儀?」
「ほら、お祝いにご祝儀もって行かなきゃだろ?」
「あぁ、そういえばそうね…どうしよう、あんたはミートボールでもいいんじゃない?」
「そか!さんきゅー」
「どいたしましてー」

ということで、
あたしは柊と柊妹と一緒に、師匠とあきら様夫婦に会いに行くことになった。
5417-234「馬鹿なのは誰だ?」3/4:2008/04/01(火) 21:50:47 ID:Zb1rAOcy
〜後日〜
報告:白石みのる

どうも、白石です。
あの、放送の後に大変な反響をいただきました。
本当に、びっくりしました。
…でもあれを思いついたのは、あきら様なんです。
エイプリルフールの日に臨時放送を流して、
リスナーさんをびっくりさせよう、って。
なぜかその企画がラジオの局でもOKになってしまって。
収録は前の日にして、エイプリルフールに流したのですが…

「ちょっと白石!あんたも手伝ってよ!」
「あぁぁちょっと待ってくださいあきら様!読んでくださる方への説明が先です!」
「んなこといらないの!はやくー!」
「あ、ちょっと、まってください!」

あーもう、とりあえずどうなってるか、
一緒に来てもらえますか?

この部屋らしいのですが…
「ねぇ白石、ここ空けていいの?」
いいらしいです、空けてください。

…あきら様が黙ってしまったので僕が代わりに。
そこにいたのはみさおさん、かがみさん、つかささん。
歴代の、らっきー☆ちゃんねるを一緒に作った人たち。
それに。

リスナーの人がたくさんいて。

「あきら様、白石くん(さん)!」
「ほ、ほへ?!」
「「「「ご結婚おめでとうございます!!!!!」」」」


「…あの、あれ?」
「…えっと、あの放送は、エイプリルフールの冗談d」
「いやーめでたいねぇ!結婚かー(にやにや)」
「まさかねーセバスチャンがねー(にやにや)」
「師匠やるなー(にやにや)」
「わいわいがやがや(にやにや)」

「…だから、それは、エイプリルフールの…」
「あきら様、もう放っておきましょう…」

さて、あきら様、
僕と結婚する気はありませんか?

え、ないって、そんな!
じゃぁなんでこの企画を思いついたんですか?!
思いつき?!
またそんなことをいう!まったくもう!

あ、あ、あきら様ったら…!
別に、す、好きだなんていいませんよ?!
愛してるだなんて、言ってあげないんですから!
ってあきら様?
顔赤いですよ?熱でもあるんdげほっ
5517-234「馬鹿なのは誰だ?」4/4:2008/04/01(火) 21:51:28 ID:Zb1rAOcy
報告:日下部みさお

あんな放送をしたのだから、
嘘と気づかずに本当に祝ってしまえ、
ということになった。
これは、あたしだけじゃない。

実はネット上でものすごい勢いで
これに対する意見が飛び交っていたらしい。
あとでちびっ子に聞いた話だ。

これは単なるエイプリルフールの悪戯だ
いやしかしその前の日に収録しているはずなのだから
こんな気持ちがあるに違いない、
だからあえてそれを真に受けて、
結婚おめでとう会とか開いたらどうだろう

という話に勝手になり、
どこからそんな話になったのか、
いけるリスナーみんなで祝賀会を開くことになった。

扉を開いたときの師匠とあきら様の顔といったら。
(゚Д゚)
こんな感じだった。
いや、本当に。
でもこれは放送したほうが悪い。
本当にその気があるんだと思わせるほうが悪い。

ってか本当にそうなるんだろ?
な、師匠?

四月馬鹿は、
あんたたちだよ?
師匠、あきら様?
5617-234「馬鹿なのは誰だ?」後書き:2008/04/01(火) 21:52:17 ID:Zb1rAOcy
以上です。
2時間以内にかたかたうったらへんなことになってしまいました。
TS?まだ完成してないよ?
4月までって書いたけどあれ間違えたんですwサーセンw
5月までには必ず!
いや、これは本当だから信じて!
57名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 22:05:28 ID:90R9kQts
>>56
あなた、beatmaniaIIDXやってますな?
それはそれとして、何という逆ドッキリ企画。
エイプリルフールはさり気なく色々なドラマが生まれる日でもあるんですよねえ。
58名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 22:42:12 ID:48PO/R1p
>>43 >>49 >>56 と、今日はいろいろと投下されてますね。
まとめてで申し訳ありませんが、皆様GJです。
ところで、>>56からあまり経っていないように感じますが、ひとつ投下してもよろしいでしょうか?
もしよければ、少ししたら投下しようかと思うのですが。
59名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 22:51:45 ID:ktkmoIKh
投下の直後に投下したら前の作品の感想が殺されるんだよね
60名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 22:55:46 ID:jeOy+Tf1
もう、一時間経ってるし良いんじゃね?
6131-207:2008/04/01(火) 23:11:44 ID:48PO/R1p
>>58です。投下のあとですが、とりあえず投下させていただくことにします。
内容はいわゆる飲酒ネタで、4レスほど使用させていただきます。
(注)お酒が入ると、つかさは黒くなります。
・つかさ×まつり
・エロあり
となっています。
62お酒は二十歳になってから♪ 1/4:2008/04/01(火) 23:14:03 ID:48PO/R1p
 まつりの部屋。
 コンコン、という音がして
「お姉ちゃん、ちょっといい?」
 と言ってつかさが入ってきたとき、まつりはお酒を飲んでいた。
「あ、お姉ちゃん、お酒飲んでたんだ」
「うん。ところでつかさ、何か用?」
「えっとね、このまえのパエリアの作りかたを教えてもらおうかなって」
 つかさの言っているのは、数日前にまつりが作ったパエリアのことである。
 おいしかったからみんなにも食べさせてあげたくて、といってレシピを教えてもらったのだ。
 もともと料理が好きなつかさは、それを教えてもらいにきたのである。
「あーあれね。レシピをメモしておいたから、今度一緒に作ろっか」
 その返事に、つかさは嬉しそうに
「うん」
 と答えた。
「それじゃ、明日にでも材料を買って……」
 と、料理の話をしだす二人。
 柊家の女性は基本的に料理が好きなのである。
 かがみを除けば、だが。

 料理の話の後、まつりは
「ところでつかさ。少しお酒飲んでみる?」
 と、つかさにお酒を勧めてみた。
「え、でも私高校生だし……」
「ちょっとくらいへーきよ。私だって高校生の時に飲んだことあるもん」
 そう言うまつり。
 まあ、両親にいのりやまつりといった家族がみな酒に強いのだから、少しなら大丈夫だろう。
 そう判断したのか、つかさは
「そうかな…?それじゃ、ちょっとだけ……」
 と言って、ちょっと、という割にはぐいっとお酒を飲んだ。
63お酒は二十歳になってから♪ 2/4:2008/04/01(火) 23:15:17 ID:48PO/R1p
 数分後。
 飲んだお酒がまわってきたようで、つかさの顔はかなり赤くなっていた。
「ちょっと飲ませすぎたかな?ほら、大丈夫?」
 と、まつりが声をかける。
 すると、それに反応したつかさは急にまつりに抱きついた。
「えへへ、お姉ちゃん、だぁいすき♪」
「ちょっと、つかさ!?」
 そして、つかさは少しの間まつりをぎゅうっと抱きしめたかと思うと、
 今度はまつりの服の中に手を伸ばし、ブラの上から胸を揉もうとしていた。
「な、何するの、つかさ!」
「何って……えっちなことだよ?」
「だ、だめ!!つかさ、ストップ!!」
 つかさを止めようと、まつりはそう強く言う。
 意外にも、それであっさりとつかさの動きは止まった。
 しかし、諦めたというわけではないようだ。
 つかさは今度は
「服、じゃまだね。お姉ちゃん、脱いで」
 と、そう言った。
 それに対し、まつりは
「そ、そんなのだめに決まってるじゃない!」
 と答える。
 それを聞くと、つかさは上目遣いになり
「だめ?」
 と、再度聞いた。
 お願い、とまつりとそっくりな目が言っている。
 つかさの姉たちはみな、この目には弱いのだ。
 それは決して双子の姉であるかがみだけではない。
 つかさにこの目をされると、なんでもしてしまう。
 なんでも許してしまう。
 つかさの姉たちにとってその目は、魔性の目ともいえるものであった。
 その目に、まつりが敵うはずもない。
 つかさに見つめられるうちに、まつりはその目にとらわれてしまっていた。
「もう、恥ずかしいじゃない……」
 と言いながらも、まつりの手は勝手に服を脱ぎはじめている。
 まつりは、まるで催眠術にでもかかったかのようにつかさの言葉に従っていた。
64お酒は二十歳になってから♪ 3/4:2008/04/01(火) 23:16:31 ID:48PO/R1p
「お姉ちゃんの体、綺麗だね」
 裸となった年上の姉の体に、つかさはそう感想を漏らした。
「それじゃ……」
 と、つかさはベッドの方に目をむける。
 すると、まつりは操り人形のように、ふらふらとベッドの方へと向かった。
「ふふ、素直なお姉ちゃん、大好き♪」
 そう言うとつかさは、まつりをベッドに押し倒す。
 その拍子にまつりは、ふと自分の置かれている状況に気づいた。
「つ、つかさ!?や、やめて!!」
 そう言ってまつりはつかさを振りほどこうとした。
 しかし、その抵抗も長くは続かなかった。
「お姉ちゃん、暴れちゃだめだよ。おとなしくしてなきゃ」
 そう言ってつかさがまつりの唇に自分の唇を軽く重ねると、まつりの身体からは力が抜けてしまった。
 つかさを振りほどこうとしていた腕はだらんとしていて、力が入らないという様子である。
 そこまで確認すると、つかさは満足した様子で
「それじゃお姉ちゃん、しよっか」
 と言い、まつりの胸の先端を軽く口に含んだ。
「ひぁっ!!」
 と、まつりが声を漏らす。
 今、つかさは軽く乳首を口に入れただけである。
 それなのに。
「ふああっ!なにこれ!?どうしてこんなに……気持ちいいのよっ!?」
 と、まつりは異常なまでの刺激に、そう声をあげた。
 まるで直接性感帯を刺激されたかのような感覚が、まつりを襲う。
「お姉ちゃん、気持ちいい?」
 つかさが一旦口を放し、そう尋ねる。
 そして再度まつりの乳首を口に含むと、今度は舌でそこを舐めまわした。
「や、やめてっ!ひゃ、ぁあああっ!!」
 まつりはそう言うも、つかさの行為に抗うことはできていない。
 ただ、つかさの好きなようにされるばかりである。

「ふふ、お姉ちゃんったら、可愛い♪ここ、もうぐっしょりだよ」
 そう言って今度はまつりの股の間に顔を埋め、先ほどと同じように舌で軽く触れる。
「つ、つかさぁっ!も、もう、だめぇぇぇえ!!」
 さっきよりもずっと強い快感に、まつりは声を抑えることができないという様子である。
 そして、つかさはそのまま這うように舌を動かす。
「あぁぁぁぁぁああああ!!!!」
 まつりは、押し寄せる快感の波に耐えきれなくなった。
 そして、激しく身体を震わせて絶頂に達したのだった。
65お酒は二十歳になってから♪ 4/4:2008/04/01(火) 23:17:45 ID:48PO/R1p
 翌朝。
 まつりが目を覚ますと、隣ではつかさがすやすやと寝息をたてていた。
 幸せそうに眠るつかさを見て、昨夜のことを思いだすまつり。
 まつりはあの後、何度もつかさにイかされた。
 あのときのつかさは、まるで別人格のようでもあった。
 自分が裸の状態であるのに気づき、まつりはとりあえず服を着ることにする。
 そしてまつりが服を着終えたとき、つかさが目を覚ました。
「ふわぁあ〜。あれぇ、おねえちゃん?おはよ〜」
 と、眠たそうにつかさが挨拶をする。
「……つかさ、昨日のこと覚えてないの?」
「昨日?そういえばここ、お姉ちゃんの部屋?」
 と、つかさは全く覚えていないという様子である。
 いくらお酒を飲んでいたとはいえ、あんなことをしておいて覚えていないというのもどうかと思う。
 当然まつりとしては納得がいかないのだが、つかさが覚えていないというのならしょうがない。
 それにつかさの無邪気な顔を見ていると、まつりはそんなことを簡単に許せてしまうのだった。

 その日の夜。
 コンコン、という音がして
「お姉ちゃん、ちょっといい?」
 と言ってつかさがいのりの部屋に入ったとき、いのりはお酒を飲んでいた。
 四姉妹の長女としてしっかりとしているいのり。
 普段ならばそんなことはしないのだろうが、気分良くお酒を飲んでいたせいか
「うん。つかさもちょっと飲んでみない?」
 と、つかさにお酒を勧めた。

 今晩もまた、ひとりの姉がつかさの餌食となるのだった。


 End
6631-207:2008/04/01(火) 23:18:44 ID:48PO/R1p
投下のあとですみませんでしたが、以上です。
このスレではよくみかける黒っぽいつかさを書いてみました。
なにやらつかさに妙な能力がついてしまいましたが。
読んでくださった方、ありがとうございます。
67名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 23:20:23 ID:qn3yGKTZ
リアルタイムにて読了。


ああもう、なんて末っ子無双。無意識って本当に恐ろしいですね。
この分でかがみとみきさんも一つ、と無責任にあおりつつぐっじょぶ。
68名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 23:25:58 ID:zv1OOSep
>>56GJ!相変わらず面白いです!
>>66つかさ怖え…
69名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 23:26:53 ID:EgVEJqUv
今日はいい感じの投下ラッシュですね。
まとめてで申し訳ないですが、皆さんGJです(・∀・)b
このまま便乗して投下しようと思いましたが、あえて空気を読んでまた後日としますwww
70名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 23:30:51 ID:zv1OOSep
エイプリールネタ
想ったより少ないな…
71名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 23:46:28 ID:HxQ29Msl
えっと、準備している方がいらっしゃらないようでしたら
50分くらいに投下させていただきたいと思います。
ネタがネタなだけに今日中に投下してしまいたいので。
727-896のような気がする:2008/04/01(火) 23:52:50 ID:HxQ29Msl
では、誰もいらっしゃらないようなので……

どうも、7-896じゃありません。

さて、最大限の嘘が終わったところで、壊れネタエイプリル仕様を投下させていただきます。
3レスくらいです。

『みんな嘘つきだよ』


「あ、泉さん。顔に大きな切り傷がありますよ。私が舐めて治してさしあげますね」
「え、いや、これは口なんだけど」
 いつもと何も変わらない平和な日。
 みゆきがあまりにも無理がある嘘で、こなたの唇を奪おうとした。
 こなたの顔をがっちりと掴んで、唇を近づける。
「おっと、そうはいかないぜ!」
 こなたとみゆきの唇が重なる直前、どこから現れたのだろう日下部が
 二人の唇の間に手を入れて阻止した。
 必然的に、みゆきが押し当てた唇の力によって、日下部の掌はこなたの唇に押し当てられる。
「もう一生手洗わないぜ!!」
 後でその掌を嘗め回させてもらおう。
 否応なしに。
「やりますね、日下部さん」
「ちびっ子の唇は私のだってば!!」
 何言ってるのよ。こなたの唇は私のよ。
 そもそもこなたが私のなのに。
 あんたらなんか、いままでに一度も書かれたことのない『みさ×ゆき』でもやってればいいのに。
「日下部、今授業中よ? クラスに戻りなさいよ」
「そういえば、なんでかがみがここにいるの? 授業中なのに」
「私は今日からこのクラスに変更になったからいいのよ」
「あ、そうなんだ」
 信じた。
 抱きしめてクンカクンカしたい。
「先輩達、お姉ちゃんは私のですよ」
 こなたのスカートの中から突如現れたゆたかちゃんがそんなことを言った。
 いや、どこから現れてるんだ。
 あまりにも突然のことに、こなたは驚きを超えて怯えている。
 なんてかわいいんだろうか。
 ねぇゆたかちゃん、今日のこなたの秘密の花園は何色?


 今日は縞々ですよ。


 ……脳内にまで入ってくるな、みゆき。

 そして、よくやった。

「ゆ、ゆーちゃん……今授業中だよ?」
「こなたお姉ちゃん、私昨日飛び級で3年生になったんだよ」
「ふぇ? そうなんだ。すごいねゆーちゃん」
 信じた。
 抱きしめて耳をはむはむしたい。
737-896のような気がする:2008/04/01(火) 23:53:35 ID:HxQ29Msl
「お持ち帰りせざるを得へんな」
「いや、授業進めてくださいよせんせぇ」
「今は自習なんやで泉」
「あれ? そうなんですか?」
 信じた。
 抱きしめて首筋を舐め回したい。
「何でも信じてしまう泉さん……やばいですね。ちょっとこれを見てくれませんか?」
「何、みゆきさん?」
「This is a pen.」
「?」
「これはペンです」
「え、あ、はい」
「しかしそれは、人がそれをペンであると定義したにすぎません。本当はペンヌかもしれません」
 人様の作品の表現をパクるな。
 てかペンヌってなんだ。
「ペ、ペンヌ……」
「そうです……ペンヌだもん♪ と、言ってみてください」
「ペ、ペンヌだもん♪」
「良 き か な」
「わっ」
 今日はいつも以上にみゆきがおかしい。
 その証拠に鼻血が出ていない。
 というかこなたはなんでそんなに簡単にみゆきの言葉を信じるのだろうか。
 みゆきだからだろうか? 仮にも凌桜屈指の優等生なわけだし。
 ……いままでのこれ系統の作品で、優等生っぽいところなんて1度も発揮してないけど。
「ふふふ、泉さんは本当にかわいいですね。指などをぶち込んでもよろしいですか?」
 ぶち込む言うな。
「ど、どこに?」
「ふふふ♪ ……さて泉さん、これはなんですか?」
「えっと……ペンヌ」
「いいえ、ペンです」
「!!」
 こなたがショックを受けている。
 いったい何をしているんだみゆきは。
「先ほどのことは冗談ですよ。泉さんがあまりにもかわいいので、つい」
「むぅ、ひどいよぉ……じゃあ私も」
「何ですか?」
「みゆきさんなんて、大嫌いだもんね!!」
「あ゛ぇ……う゛ぁ……あ、うぁ……ぐ、んふぁ」
「う、嘘だよみゆきさん!! そんな悲しそうな顔しないでよ!!」
「嘘なんですか? ……冗談で本当によかったです。危うく空中分解してしまうところでした」
 してもすぐに戻るくせに。
「ごめんね? みゆきさん」
「いいんですよ泉さん。なんといっても、イズミップリルフールさんですからね」
 ……?
「そんなことはどうでもいいってば!! ちびっ子、キスしようぜ!!」
「え!? なんで!?」
「キスしないと死んじゃうんだってば!! うっ!! 苦しい!!」
「ふぇ!? た、大変だ!! んっ!!」
「んぉ!!」
 こなたが焦ったように日下部の唇に口付けた。
 それと同時に私がツインテイルで空を飛ぶ。
 それと同時にゆたかちゃんがツインテイルで空を飛ぶ。
 それと同時につかさがリボンで空を飛ぶ。
 それと同時に黒井先生がポニーテイルで空を飛ぶ。
 それと同時にみゆきが弾け飛ぶ。

 見 慣 れ た 光 景 だ 。
747-896のような気がする:2008/04/01(火) 23:54:41 ID:HxQ29Msl
「ぷぁ……みさきち!? どぉ!? 大丈夫!?」
「daijoubu daze, arigatona chibikko」
 読んでいる人にはこの上なく見難いかもしれないけれど、『大丈夫だぜ、ありがとな ちびっ子』と言っている。
 声に『ジッ……ジッ……』と、ノイズが混ざって聞き取りづらい。
「そっか、それならいいんだけど」
「chibikko no okagede, sinazuni sundaze」
「えへへ、どーいたしましてみさきち♪」
「chibikko ha hontounikawaiina. dakisimetemoiika?」
「え? い、いいけど」
 読者がそろそろ日下部のしゃべりに慣れてきた頃だろうと、独断と偏見で勝手に判断して
 昭和のモノクロテレビの映像みたいな色になっている日下部がこなたを抱きしめようとしているのを阻止しつつ
 私がこなたを抱きしめながら言う。
「こなた、今日はエイプリルフールよ? みんなの言ってることは嘘に決まってるでしょ」
「……あ!! そ、そういえば……じゃ、じゃあみさきちの、キスしないと死んじゃうっていうのも嘘なの? かがみ離してよ」
「当たり前でしょ。ってかまさか信じるとは思わなかったわ……。 嫌よ」
「こなちゃんかわいいね♪ なんていっても、サンタさん信じてたくらいだもんね。 お姉ちゃんずるいよ、私にもぎゅってさせてよ」
「あぅ……は、恥ずかしい……。 苦しいよぉ、離してよぉ」
 反対側からつかさがこなたを抱きしめる。さり気なくこの作品でのつかさの初台詞だ。
 決して出てくるタイミングを計り損ねていたわけではない。
「cyo!! hiiragi-, zuruitteba!! watasinimo chibikko wo gyuttesaseroyo-!!」
 モノクロテレビから出てきたかのような日下部が、私とつかさを引き剥がそうとする。
 読者が最早『日下部のしゃべり方は見やすい』と感じ始めた頃だろうと独断と偏見で勝手に判断して
 昭和みたいな日下部に負けないくらいの力でこなたを抱きしめながら、お尻を撫でて胸を揉んでキスをしてみた。
「そっかぁ、こなたお姉ちゃんって人の言うことをなんでも信じちゃうんだね。じゃあ今度『私、お姉ちゃんにスクール水着とか
九尺褌とかウェディングドレスとかYシャツ1枚とかベビードールとか2サイズ大きいパジャマとか割烹着とかエプロンとか
合羽とか気ぐるみとか着てもらえないと死んでしまうの』って嘘つこうかなぁ」
「じゃあ私は『こなちゃんが裸になって私の抱き枕になってくれないと石化しちゃう』って嘘ついちゃおうかな」
「じゃあ私は『泉ちゃんが体中に生クリームを塗りたくって「私を食べて」って言ってくれないと消えてしまうの』
って嘘をつこうかしら」
「それなら私は『先輩がヌードモデルをしてくれて、更に体をキャンバスにして絵を描かせてくれないと非常にまずいことになる』
という嘘をつくッス」
「そんならうちは『泉がうちとチャH(うちが攻め)してくれへんと召されてしまうんや』という嘘をつくで」
「それなら私は『親子の愛を確かめるために、こなたをトロトロになるまで性的な意味でいろいろさせてくれないと
お母さん地獄に落ちちゃうの』という嘘をつきたいと思います」
「ではワタシは『コナタ、やらないカ?』ト、demandしますネ」
「では私は『泉さんが私に触れるだけで鼻血が止まらなくなります』という事実をお話しましょう」
 いつの間にこんなに集まったんだろうか。
 最後の方がおかしかったり、ここにいるのはおかしい人の声が聞こえた気がしたけれど、気のせいだろう。
 それなら私は、こなたにキスしたり胸揉んだりお尻を撫でさせるように強要しようかしら。
 もうしてるけど。

 ふとそこで感じた違和感。
 抱きしめているはずのこなたから、鼓動が全く感じられない。
 腕の力を少し緩めて、顔を覗き込む。……こなたの顔は、こんなにも布のような肌触りで
 へのへのもへじだっただろうか?

 目線をあげると、碧色短髪の長身の少女が、蒼い長髪の小柄な少女をお姫様抱っこで連れて行くのが見えた。


 さ せ る も の か 。


以上です。
間違えた、異常です。
書き終えてないSSが溜まりに溜まって大変なことになっています。

時間よ

止まれ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
75名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 00:05:09 ID:TKp2L4xk
相変わらず壊れてますねぇ(褒め言葉)
76名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 00:14:46 ID:nlliT+BB
> あんたらなんか、いままでに一度も書かれたことのない『みさ×ゆき』でもやってればいいのに

ワロタ。ひどすぐるwww
77名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 00:24:37 ID:O8rfPMBF
どうしてあなたはそんなに異常なのですか(誉め言葉)
78ダンボール内の元祖アホ毛:2008/04/02(水) 00:26:59 ID:pgROaGi2
そして、この私自身が、『最 大 の 嘘』だ

なぜなら今、学校にいるそいつは・・・





なんということだ
ザ・ワールドを発動させてやっと気づくなんて
こな☆フェチアルティメットエンペラーのこの私、
柊かがみ一生の、不覚……
今まで必死で争奪戦を繰り返していたその対象に

『継 ぎ 目』が、あったなんて……
よくみたらほくろも光ってるし……






というわけで、今日も私は旅に出るですよ。
久しぶりに大いなる暴走を描いた、あいも変わらず異常(ほめ言葉)な
>>74にGJしながら……(((( =ω=.)
79名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 00:30:20 ID:O6zVcArm
ハッちゃけてますね。(褒め言葉)
80名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 00:32:57 ID:fKZ9K/+G
>49
ぐっじょぶ。
かがみんがいい味だしていますなあ。むしろ、とてもかっこいいです。
氏のこなゆたは、ほのぼのとした味がでていてとても好きですよ。
81名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 00:39:34 ID:rtYOi2Xx
>>74
どこから突っ込めばいいかわからない程の壊れっぷりですね(褒め言葉)
とうとうかなたさんまでこな☆フェチに感染してて吹いたwww
82名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 03:09:55 ID:6vpaGeT9
今更ですが、1レスの4/1ネタを……


「……そういえば、かがみは今日――いや、もう日付またいでるから昨日か――はエイプリルフールだったけど、嘘考えてた?」
『特に前日から仕込んでたりはしなかったわね。嘘をつく前に誰かに騙されることの方が多かったかも』
「たとえば?」
『確か、起きてすぐに黒井先生から、昨日は登校日なのになんで来なかったんや? とか』
「そっちにも先生のイタズラ電話がかかってたんだ……先生、かがみのクラスの担任でもないのにね」
『あわててカレンダーを見たら四月一日でさあ、絶句してたら、やーいひっかかったな!? って』
「よく考えれば、もう卒業した私たちが登校することなんてないのにね」
『寝ぼけてるところを襲うなんて卑怯だとは思いつつも、まんまと嵌められた自分が憎い』
「先生も先生だけど、かがみもかがみらしいね」
『まったく……』

「ねえ、かがみは裾から出た真綿……じゃなくて、嘘から出た真って言葉、知ってるよね」
『もちろん。それがどうしたの』
「いや、なんだかいろんな嘘企画をインターネットで見てたら『YASUKUNIが上映中止』とか、『KEYの新作発表』とか、嘘が本当になってることがあって」
『それはちょっとちがうような気がするけど……で?』
「私も前から嘘をついてたんだけど、そのうちの一つが本当のことになっちゃってたみたいで」
『ふうん。それはなんだったのよ』
「……」
『こなた?』
「……秘密」
『まったく、そんなことだろうと思った。もういい? 夜も遅いし切るよ』
「じゃあ、またね」
『うん、また今度。おやすみー』
「おやすみ」


 ――数日後、かがみはスーツに身を包み、大学の入学式に来ていた。
 会場の中ほどの席に座り、若干緊張した面持ちで辺りを見回す。
 陵桜学園も生徒数が多かったが、さらに倍以上の新一年生がこの大学には居る。
 このなかのどの人が、私と同じ学科なのだろうか。
 自分はうまく馴染めるだろうか。
 そんなことを考え前を向くと、視界に見慣れた跳ねっ毛が飛び込んできた。
(こ――ッ!!)
 そんなはずはない、あいつはここに来ている訳がない。
 だが、あれは紛れもなく三年間隣に居たアホ毛だ。
 どういうことか説明してもらわなきゃ。
 今すぐ席を立って傍に駆け寄りたかったが、式は開会されてしまった。
 焦る気持ちでえらい人のありがたいお言葉が早く終わらないかと祈っていた。
 
 ……やっとのことで入学式が終わると、かがみが動き出すより先にこなたが寄ってきた。
 相変わらず背が小さかったが、スーツ姿のためか幼さはあまりなかった。
 かがみが何から訊けば良いのか迷っている隙にこなたが喋り出す


「実は、『かがみと同じ大学に受かった』という嘘が本当になってました!!」
83名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 07:16:23 ID:5vDFj8KQ
>>74
ああ、ネジをどこかに置き忘れたかのような発症っぷりであることよ。
「見慣れた光景だ」に噴きました。ぐっじょぶ。

>>82
ラスト一行で脳内再生されて、見事轟沈しました。
なんて素敵な嘘から出た真。ぐっじょぶでした。
84名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 09:14:20 ID:n4GvhTV+
>>82
ラスト一行の状況が目にうかぶ。
85名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 11:12:04 ID:S5G4HcCC
>>74
ちょwwwどこから突っ込めばいいのやら…
さすがです(笑)

>>82
なんという微笑ましい作品w
GJです!!!


さて、そろそろ俺も投下したいと思います。
他に投下される方がいらっしゃらないのなら数分後投下します。
86名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 11:15:16 ID:pd+k7+d6
>>56
その日の放送のうちに訂正しなかったのはきっとそういうことに違いない!
と勝手に脳内補完してみるw

>>66
妹総攻めかぁ
三女は酒の力なしでやられちゃうんだろうなぁw

>>82
やるなこなたw
87名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 11:15:39 ID:pd+k7+d6
自分は投下しないです。どうぞ。
88名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 11:18:21 ID:S5G4HcCC
>>87
了解です。

それでは、いらっしゃらないようなので投下致します。
改めまして、こんにちわ。
昨日ガチで教授に騙されて微生物の生態レポート10枚書き上げた18-490です(涙目)

タイトル『一文字の意味』
こな×かが
非エロ
3レスお借りします。
89一文字の意味:2008/04/02(水) 11:19:23 ID:S5G4HcCC
「突然ですが、問題です」
「ん…、ぅん?」
「50音で一番最初の文字は?」
あと少しで眠りの渦に落ちるというところで発せられたのは、横で寝転んでいる泉こなたの声。
瞼が重くて、意識していないと閉じてしまうこの状況で、なにを言ってるんだコイツは…
「なによ、それ」
勿論答えは分かっているけど、睡魔を妨げられた理由くらい聞いてみてもいいだろう。
まぁどうせまともな返答は返ってこないのだろうけど。
「あれ?答え、分からない?」
まともな返答どころか、ニヤニヤと口に手をあてて笑うこなた。
「……………あ」
「ピンポーン♪」
わざわざ挑発にのってやるのも癪だけど、それより猛烈に襲ってくる睡魔の方が断然優先事項なので素直に答えてやる。
さて、問題に答えたとこで私は寝るわよ。
「第二問っ!!これなんて読む?」
肩まで引き寄せた布団をグッと奪われ、どこから取り出したか分からない【井】と書かれた画用紙を私の顔の前におくこなた。
「……い」
わけが分からない。
まぁ普段から不可解な話題を平気で振ってくるし、何考えてるかなんて友達から恋人になった今も分からないのだけど。
「んじゃ、これは?!」
さっきの画用紙を裏返すと『si』という文字が現われた。
いや、『し』って言わせたいんだろうけどローマ字表記間違ってるし。
「はぁ…」
ローマ字なんて小学校で習うはずだろ、なんてつっこんでやろうかと思ったけど…
そう言えばコイツ、修学旅行の時撮ったプリクラでも私の名前間違ってたよな。
We love kagameって。
かがめって、なんだよ。
「チッチッチ…20秒経過っ!!」
良く分からない上に時間制限まであるらしい。
90一文字の意味:2008/04/02(水) 11:20:08 ID:S5G4HcCC
「…し?」
「アタックチャーンス」
いや、言うタイミング違うから。
「満足した?ほら、アンタもさっさと寝なさいよ」
暗闇の中、チラッと頭上にある目覚し時計を見ると、とっくに2時を過ぎていた。
布団に入ったのが11時だからなんだかんだで3時間以上も起きていることになる。
まぁ、色々した、からだけど…
「思い出して照れるかがみ萌え♪」
「るっさいっ!!」
てか私の心の中と会話するなっ!!
さっき散々放出したはずの熱がまた顔に集ってくる。
そんな顔を隠すようにプイッとこなたから顔を背けると、ギュッと左手を握られた。
「んなっ?!」
「第4問、今かがみに触れてるのは何?」
「……あ、アンタの手、でしょっ?!」
こなたの手から伝わる熱が私を浸食していく。
こんなことより恥かしいことをしてたくせに、なんでコイツに触られるだけでこんなに心臓がドキドキいうんだろう。
「かがみに触れてるのは、何?」
耳元で囁くこなたの吐息がくすぐったい。
「だからっ…アンタの」
目と鼻の近くにいたこなたの顔が近付いてきて、途中だった私の口を塞いだ。
「ん…」
角度を変えながらのキスを繰り返えされて、頭がボッーとなっていく。
「こな……ぁっ」
酸素が欲しくてこなたの名前を呼ぶとチュッと名残惜しそうな音を立ててこなたが唇を離した。
「今私が握ってるのは何?」
「………手」
目を細めて聞いてくるこなたに、乱れた息を整えながら答える。
きっと、欲しい答えはこれで合っているんだろう。
てか…もしかして、これって。
ニヤニヤと猫口で笑うこなたが少し恨めしいけど、問題の意図が分かった瞬間、かぁと上がった熱をどうしようも出来ない。
91一文字の意味:2008/04/02(水) 11:20:56 ID:S5G4HcCC
一問目の『あ』
ニ問目の『い』
三問目の『し』
四問目の『て』

と、きたら…
次に答えるべき答えはもう分かっているし。
私が答えることも、こなたには分かっているんだろう。
「こなた…」
「ん〜?」
「なんなのよ、これ」
「なんのことかなぁ〜」
コイツ…
明らかに私の言いたいこと、分かっているくせに。
どうやら本気で私に全部答えさせるつまりらしい。
「最終問題。私がかがみに言って欲しい一文字は?」
「…っ、んな、分かるわけないじゃないっ!!!」
いや、分かってるけど答えられるはずがない。
『愛してる』なんて、コイツが爆睡してたとしても言えるはずない言葉ランキング3に入る言葉だ。
「分かんないのぉ?かがみん♪」
はぁ〜とわざとらしい溜め息を吐きながら、こなたが挑戦的な目を私に向けた。
くそぉ、プライドが…
この安っぽいプライドがぁぁぁ。
「じゃあ、ヒントね」
そう言いながらこなたが大きくはない手で私を抱き締めた。
たった一文字なのに。
唇を丸めればすぐに出る一言なのに。
自分の意地っぱりな性格に嫌気がたつ。
「る」
「へ?」
「愛してるよ、かがみん」
さっきとは違う、優しい笑顔を向けるこなたが少し恥かしそうに私に告げた。

まったく…私はバカか。
こなただってこんなに真っ赤になりながらも私に愛の言葉を囁いてくれたのに。
「わ、私も…っ」
「かがみも?」
「あ、………いしてるわよっ!!!」
「いしてる?」
「ちがっ…」
せっかく恥かしさを堪えて言ったのに、ん〜?なんて聞き返すこなたが癪に触ったけど…
「だ、から…その、愛してる…わよ」
「ふーん♪」
コイツ、むかつく。
「そう言えばかがみ、眠いんじゃなかった?」
なにを今更とか、お前のせいだろ、なんて言いたいことはいっぱいあったけど…
惚れた弱みってこのことなのかしらね、なんて自嘲気味に笑ってみる。

「眠く…は、ない」
「じゃあ」
私の返事を始めから分かっていたように頷きながら、こなたが私の手を握った。
「もう少し問題出しあおっか♪」
嬉しそうに笑うこなたがなんだかとても愛しくて、もう少しくらいコイツに振り回されてもいいかな、なんて考えながらこなたの手を強く握り返した。
9218-490:2008/04/02(水) 11:23:17 ID:S5G4HcCC
以上です。
読んで下さった皆さん、ありがとうございます。
9325:2008/04/02(水) 11:36:23 ID:XqN1CwRC
>>82
二人の笑顔が目に浮かびますね、なんと微笑ましい。
こなたもかがみんも良かったね。

えー、昨日SS投稿した>>25です。感想くれた方ありがとうございます。
まとめサイトにSSを保管したいのですが、作者名は42-25でよろしいのでしょうか?
9425:2008/04/02(水) 11:41:33 ID:XqN1CwRC
>>92
照れるかがみんいいですねぇ。GJです
95名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 12:37:21 ID:SyMGXejb
>>93
まとめサイトにある他の数字のコテハンを見る限りではヘッダの方の番号を
つけているようなので、この場合作者名は42-15になると思います。
まあ、数字でなくとも、自分の好きなように名前をつけても問題はないと思います。
9642-15:2008/04/02(水) 12:46:18 ID:XqN1CwRC
>>95
そうなんですか。
では、特に付けたい名前も無いのでこれから42-15と名乗ります。
教えていただきありがとうございます。
97名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 13:52:31 ID:bxJuh0IQ
>>92
GJ、マジでニヤニヤが止まらん…w
そして2問目でこなたがかがみに何を言わせたいのかはわかった。
なんともこなたらしい。
98名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 14:02:54 ID:5vDFj8KQ
>>92
これは素晴らしいピロートーク。
お布団の中のしっとりとした熱と甘い雰囲気がこちらまで伝わってくるようです。
GJでございました。
99名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 14:30:33 ID:deq3Ot9K
>>92 GJ!

余談だが、今日のお昼のいいともでパティのキャラソンが流れてたww
100名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 15:07:30 ID:n4GvhTV+
>>99
マジで?!
10136-273:2008/04/02(水) 15:44:29 ID:oPwCd43l
>>92
GJです。二人の甘い会話、しっかりと堪能致しました。

そんな職人さんの投下の後ですが、自作を投下いたします。

注意事項
・TSもの注意
・「晴朗なれども波高し」の続き。シリーズ完結編。
・つかさ&男みゆき
・モブキャラ登場
・7、8レスくらい+おまけ
・非エロ
10236-273:2008/04/02(水) 15:45:45 ID:oPwCd43l
 走った。ともかく無我夢中で走った。通行人の人たちは、泣きながら走る私の姿に、怪訝そうな顔を浮かべている。
 暫く走ってから、駅までかなりの距離があることに気付いて、走るのをやめて、歩くことにした。
 止まれと思っても、涙は止まることを知らずに、溢れ続ける。私は今、本当に何もかもが嫌になっていた。
 恋人直前と思える二人も嫌だったし、そんな高良君に少しでも期待をかけた自分自身への自己嫌悪、それらが全てごちゃ混ぜになって、頭の中が埋め尽くされていた。
 もう、どうすればいいんだろう。いくらなんでも、理由も告げずに飛び出したのはまずかったかな…。でも、あの時は、感情が制御できなかった。
 私は、早く帰って、寝てしまいたかった。気がつけば、既に日は暮れ始めている。
「大通りは避けよう…」
 何となく、人目を避けたかった私は、大通りを離れ、人気のない道へと入っていく。怖かったけど、それ以上に、誰にも見つかりたくなかった。糟日部駅へ行くのもやめて、西の方向へ進んでいく。こっちの方は、田んぼばっかりだ。
 そして、暫くとぼとぼと歩いていると、徐々にバイクの音が近づいているのが分かった。まあ、良くあることだよね…。私は、邪魔にならないように、端へ寄った。でも、いつまでも、バイクは私を追い越そうとしない。
 まもなく、一台のバイクが、私に横付けするような格好で止まった。…何なんだろう。怖いよ…。乗っている人たちは、明らかに悪そうな格好の男の人たち、二人だった。
 語彙が乏しい私には、こんな曖昧な表現しか出来ない。でも、それはともかく、怖かった。逃げ出したかったけど、体が思うように動かない…!
「なあ、お姉さ〜ん。俺たちとツーリングしな〜い?」
「さっすが、兄貴! 女子高生をナンパなんてすごいっす!」
 前で運転している人の方が、初めに話しかけてきて、後ろに乗っている人が、相槌を打った。
「え、あ、あの…」
「ねえ、いいじゃ〜ん。付き合ってよ〜」
 片方の男の人が私の腕をつかんできた。
「は、放してくださいっ!」
 何とか腕をばたばたさせるけど、男の人の力は強くて、全く放せない。
「ダメだぜ。兄貴は、狙った獲物は放さないからな。あ〜はっはっ!」
 もう一人の方が、ウインクしながらそう言った。
 どうしよう、どうしよう、どうしよう。周りは田んぼばっかりで、助けを呼べるような状況じゃない。一人で何とかしないと…。でも、一体、どうするの…?
 助けて、お姉ちゃん…こなちゃん…高良君…。私は、無意識に目を瞑った。もう、終わりだ。ゲームオーバーだよ…。
103得恋:2008/04/02(水) 15:46:26 ID:oPwCd43l
「そこの人を離しなさいっ!」
 そのときだった。後ろから、聞き覚えのある声がしたのは。私は、我に帰り、振り返る。男の人たちも、声のしたほうを見た。
 そこにいたのは、口を真一文字に結んで立っていた高良君だった。
「た、高良君…」
 来てくれたんだね、と続けて言おうとするけど、声が出ない。でも、私はとてつもなくうれしかった。
「何だ、お前は?」
「名乗る必要はありません。ともかく、そこの人を放しなさい。嫌がっているではありませんか。強要罪ですよ」
「うるせえなあ…。しゃあねえ、お前を黙らすしかねえな。おい、やれ!」
 私の腕をつかんでいる男の人が、もう一人の人に目で指示を送り、もう一人の人が高良君の前に立ちはだかった。
 ああ、どうしよう…! 高良君が来てくれたのは良いけど、このままじゃ、私のせいで高良君に危害が及ぶよ!
 ああ、本当に最悪だよ…。どうしよう、どうしよう…!
「ふん、高校生のガキなんぞ、さっさと片付けてやらあ!」
「それはどうでしょうか」
 やたらと威勢のいい声に対し、高良君は冷静にそう言った。そして、そういうが否や、男の人へ駆け寄り、背負い投げをする。
 それは、見るも鮮やかだった。あっという間に、男の人は高良君に投げ飛ばされてしまい、私も、私をつかんでいる人も、息をのんだ。
 そして、高良君は、ポケットからスタンガンを取り出し、倒れている人の胸に、それをあてがった。
「あ、あぎゃあああああ!!!」
 電流を流される間、男の人は、奇声を発していた。それが終わると、ふらふらになりながら、バイクに抱きつく。
 そして、高良君はというと、鬼気迫るオーラを放っていた。今までに見たこともない表情で立っていて、本当に怖かった。
「あ、あぐ…」
 いつの間にか、私の腕は放されていた。そして、つかんでいた人は、歯をカタカタと鳴らしながら、高良君を見ていた。
 高良君は、スタンガンを、こちらに向けて、
「次はあなたです。お覚悟はよろしいですね…」
 それは、誰もがぞっとする光景だったに違いない。私も、男の人も、顔が真っ青になった。
「…に、逃げるぞ!」
 男の人はそういうと、バイクのエンジンをふかして、もう一人の人に合図を送った。もう一人の人は、へとへとになりながら、バイクに乗る。
 そして、二人は、あっという間に私の視界から、姿を消した。
104得恋:2008/04/02(水) 15:47:23 ID:oPwCd43l
「こ、怖かったぁ…」
 二人が消えたのを確認すると、思わずその場にへたり込んだ。だって、怖かったんだもん。本当に怖かった。今でも、何が起こったのか頭の整理がつかない。高良君が来てくれなかったら、私、私…。
「つかささん」
 その声に、思わず見上げると、いつの間にか、高良君がいた。さっきのような鬼気迫る感じは全く無く、穏やかな笑みをこちらに向けていた。
「高良君、高良君…!」
 私は、涙を流しながら、高良君に抱きついた。
「怖かったんですね。でも…もう大丈夫ですよ」
 高良君の胸に埋まって泣きじゃくる私に、高良君は、片手で私を抱きながら、もう片方の手で私の頭をずっと撫でてくれる。
 本当に優しい。優しすぎるよ。でも、これも、委員長として当然のことなんだよね。高良君は、どんな人の役にも立ちたい、それだけなんだよね?
 そう思うと、切なくて、切なくて…胸が張り裂けそうになった。
「も、もういいよ」
「えっ?」
 身体を離す私に、高良君は、きょとんとした表情を向けて、間の抜けた声を出した。
「どうしてですか、つかささん…」
 その声は、悲しみにくれていた。でも、私は、話さなきゃいけない。このことに、私なりの決着をつけないと。
 そうでもしないと、いつまでも尾を引いてしまいかねない。
 私は息を吸ってから、
「だ、だって、委員長は、その、人の役に立ちたいだけだよね?
 だ、だからね、その、それを分かっていて、委員長に優しくされると、辛いのっ!
 委員長にしてみれば、これだって、人の役に立とう、それだけの思いでしょ?
 だからね、委員長に優しくされると、胸が苦しくなるの! 委員長が、委員長が好きだからっ!」
 私は、それだけ言うと、高良君に背を向けて、走った。こんなことになるなら、いっそのこと、出会わなければ良かった…。
 と、そんな事を思ったとき、がしっと肩をつかまれた。恐る恐る振り返ると、切迫した表情の高良君がいた。
「は、放して」
 嘘だった。本当は追いかけてほしかった。でも、こんな嘘をついてしまう私が情けない。
「…いいえ、放しません。つかささんは、誤解をしておられる。僕は、釈明しなくてはいけない。そうでしょう?」
「う、嘘だよっ! だって、だって、そうでしょ?
 委員長は、他人の役に立ちたいだけだよ! そして、委員長にとって、私はクラスメイトの以上でも、以下でもない!
 それに…それに…」
 私は、高良君に向き直って言う。
「それに、何ですか?」
 それを口に出すのは、とてもとても、勇気がいることだった。でも、この際だから言わなきゃいけないよね。
 感情の昂ぶりのせいで、思いも寄らずに、私の想いはさっき、高良君にわかってしまったはず。だったら、今更、聞くのをはばかる必要は無いことだった。
「お姉ちゃんと…付き合ってるんでしょ?」
 それを言うと、高良君は、呆然とした表情になった。大驚失色とは、このことを言うのかもしれない。私、何か変なことを言ったかな?
105得恋:2008/04/02(水) 15:48:22 ID:oPwCd43l
「それは…とんだ誤解ですよ」
「う、嘘」
「確かに、かがみさんのことは好きです。ですが、それは友人としてであって、僕にとっては、頼れる友人でしかありません。
 僕には、それ以上の関係になりたい人がいます。そして、その人は、目の前にいます」
 高良君は、ゆっくりと、一語一語を丁寧に、言った。そして、それを言い終わると、高良君は、私の両肩をがしっとつかんだ。
 う、嘘だよ。嘘だよね…? 私は、今、起こっていることが信じられなかった。でも、この世界は現実だ。
「高良みゆきは、柊つかさのことを、世界で一番愛しているんです。
 あなたは、闇を照らす灯台のようなお人です。あなたがいなければ、僕は、永遠に迷子になってしまいます」
「う、うぅ…」
 私は、何かこみ上げてくるものを感じた。
「つかささん?」
「う、うわああああん!」
 泣きながら、また、高良君に抱きついて、胸に顔をうずめる。さっきと同じ体勢になるけど、そんなのどうでも良かった。
 私は、本当に馬鹿だった。高良君やお姉ちゃんは何も悪くないのに、勝手に誤解して、勝手に拒絶して…。
「ごめんね、ごめんね、本当にごめんね…! 高良君に迷惑ばかりかけて…。本当に、私が馬鹿なせいで…!
 でも、でも、本当に、私は、高良君が好きだから、好きだから・・・!
 う、うわあああん!!」
 泣きじゃくりながら、必死になって言葉をつむぎだす。
「いいんです、いいんです。僕は、誤解が解ければ、それでいいんです」
 高良君はそう言って、私を抱きしめる力を強くした。高良君の身体は柔らかく、そして温かかった。
 私は、泣くのをやめたかった。でも、想いが通じ合えたのがうれしくてうれしくて。それを思うと、涙はいつまでも止まらなかった。
106得恋:2008/04/02(水) 15:48:47 ID:oPwCd43l
「ごめんね、ごめんね。本当に、本当に…」
「つかささん」
「ん…」
 涙を手でふき取りながら、顔を上げる。そこには、温かさに満ちた高良君の顔があった。
「その…目を閉じていただけますか?」
「ふ、ふえぇ?」
 目を閉じる…。こんなときにそんな事を言うなんて、そ、それって、あ、あれしかないよね? ないよね?
 私は、何だか頭が沸騰しそうになった。きっと、顔もかなり赤くなっている。
「あ、お、お嫌なら結構なのですが」
「う、ううん! い、いいよ。高良君なら…」
 こんなときに、高良君を裏切りたくない。それに、据え膳食わぬは何とやら、っていうし。…あれ? それって、逆の意味だっけ?
 う、ううん。そんなことどうでもいいよね。今は、目の前の状況に集中…しないと…。
 気付けば、高良君の顔は目の前に迫っていた。私は、静かに目を瞑り、そのときを待った。
「では…参ります」
 高良君の言葉の後、程なくして、口に柔らかい感触が広がった。
 キスってこんな感じなんだ。生まれてはじめての感覚に、私は、しばし、酔いしれた。
 暫くして、身体が離された。目を開けると、真っ赤になった高良君がいた。私も、自分の顔が紅潮しているのが分かった。
「これで、恋人同士になれましたね」
「…うん。大好きだよ、高良君」
 高良君の問いかけに対し、私は、ギュッと高良君に抱きついた。何となく、そうしたかった。
 本当に、高良君の身体は温かい。男の人の胸って、こんなに頼もしかったのかな。
「私もです、つかささん。でも、こんなときで悪いんですが、お願いがあるんです」
「何?」
 上目遣いで、高良君を見つめる。少しおろおろする高良君が、かわいらしい。
「その、僕のことを、名前で、呼んでいただけますか?」
 そういわれて、今までずっと名字で呼んでいたことにようやく気付いた。言われるまで、気付けなかった私は、本当に馬鹿らしい。
 でも、高良君、いや、みゆき君は、そんな私を受け入れてくれた。
 信頼できる恋人がいるということの、幸せ、温かさ、それらを今、体感している。今、私は、本当に幸せなんだろうと思う。
 そして、そんな幸せがずっと続くことを祈りながら、私は、口を開いた。
「…うん、みゆき君」
 自分が、好きな人と、一緒にいます。そんな秋の日のこと。柊つかさ。
107得恋(おまけ):2008/04/02(水) 15:49:20 ID:oPwCd43l
(おまけ)


「全く。つかさも、みゆきも、一体全体、どこに行ったというのかしら」
 ここは、陵桜学園近くの田んぼ地帯。私、柊かがみは、消えた妹と、それを追った親友の行方を捜していた。
「ん〜。そもそも、方角はこっちで合ってるの〜?」
 そう言って、隣できょろきょろしているのは、私の友人、泉こなた。紹介は割愛する。
「それは間違いないわ。陸上部のやつが、西のほうに行った、って言ってたから」
「いや〜。でも、西の方、って言っても、漠然としすぎじゃない?」
「しょうがないでしょ! 携帯に連絡しても、誰も出ないし…」
 そう、私は、二人の携帯にそれぞれ二回ずつ、電話をかけた。でも、マナーモードで気付かないのか、どっちも出なかった。
「まあ、しょうがないか。それに、こんな秋の夜長に、かがみんと歩くのもまたおつなもんだしね〜」
 うるさいので、グーで殴る。
「あたっ! んもう、かがみん、何すんのさー!」
「あんたこそ、何言ってんのよ! こんなときに!」
「ごめん、ごめん。真面目に探すよ」
 全く…。この、こなたの言動や行動には、時折、ついていけないものがある。
 それでいて、いざというときには凄まじい行動力を発揮するのだから、頼もしいのやら、頼もしくないのやら。良く分からないやつだ。
 …って、そんなことより、あの二人を捜さないと。本当に、どこにいるのかしら。あてもなく、田んぼの中を歩く私たち。
「おっ! 隊長、見つけましたよー!」
「誰が隊長だ」
 そんなつっこみもそこそこに、私はこなたの方を向く。
 こなたは、双眼鏡で北の方を見ていた。
「…そんなもん、どこに隠し持ってたのよ」
「まあ、いいからいいから。ほら、あっちのほうを見てみなよ」
 そう言って、こなたは双眼鏡を私に渡す。
 そして、言われるがままに、こなたの指差す北の方を見る。
 すると、そこには…。
「…ちょっ、ま、待ってよ!」
「んあ?」
 こなたは、間の抜けた声を出したけど、そんなのどうでもいい。
 私が見た光景…あ、あれは、どう見てもつかさとみゆきが抱き合って…。そ、それって、やっぱり…って、ええええ!?
「いや〜。フラグが立っているのは分かっていたけど、まさか、本当に、ああなるとはね〜。
 さっきの一件でゲームオーバーかと思ったけど、まあ、さながら、つかさにコンティニューだ、ってとこかな」
 後半の部分が、少々意味不明だけど、今は、それどころじゃない。
「ちょっ、こなた。知ってたの!?」
「ん…ああ、そうだよ。文化祭準備のときに、もう、つかさは惚れていたと思ってたよ。
 かがみん、知らなかったのー?」
「何で、私に教えてくれなかったのよ!」
「何で教える必要があるの?」
「んぐっ…だ、だって、つかさが、元気なかったときに、あんたが早く言ってくれれば、打開策がもう少し…」
「だって、あの時、かがみん、私に相談しなかったじゃーん」
「ぐっ…。その通り、ね」
 全く、こなたの言うとおりだった。全くもって、私の失策だ。…まあ、もう終わったことだし、いいか。
「あれ〜? それより、かがみん、何か、寂しそうじゃな〜い? もしかして、みゆきさんのこと…」
「だーっ! うるさいうるさいうるさい!」
 うるさいので、もう一発殴る。
 殴った後、溜息をついてから、私は、今日の事を振り返る。こなたが、何だか喚いているけど、気にしない。
 ふと空を見上げれば、もう、日は暮れて、月が顔をのぞかせていた。
 願わくは、二人に幸せな日常を。私に言えることは、ただそれだけだ。
「ねえねえ、かがみん」
「何よ」
「つかさも、みゆきさんと結ばれたことだし、仲間はずれ同士、私とかがみんで愛の誓いを」
 もう一発殴った。
10836-273:2008/04/02(水) 15:56:24 ID:oPwCd43l
以上です。やっと終わりました・・・。
焦ったあまり、1レス目の名前を間違えました・・・。申し訳ありません。
しかも、7、8レスといっておきながら、実際は6レス。本当に、ミスばかりで、すみません、すみません。

モブキャラはいらないかな、とも思ったんですが、強いみゆきさんを表現したくて、書きました。
苦手な方は申し訳ありません。
それと、おまけも、本当はいらないんですが、こなたとかがみが不憫すぎるので、書きました。
次は、この二人を書きたいかな、とも思っていますが、実現できるかは分かりません。
それと、これは、年度末までに終わらせたかったんですが、残念ながら、四月にずれ込んでしまいました。
まあ、コンプエースの懸賞で、柊姉妹のテレカが当たったおかげで、ペースアップ出来ました。それがなかったら、まだ書き終わらなかったかも・・・。

何はともあれ、これまで、温かい目で見守ってくださったスレ住人の方々と、勝手ながら執筆中の励みとなった、これまでの職人様のSSに、
厚く御礼申し上げます。
では、また、次の機会に。
109名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 18:58:03 ID:0c7fsWys
初書き込みです。
どうしても自重できず、エロエロふた○りSSを書いてます。が・・・
皆様の作品が素晴らしい感動作ばかりで、正直、投下しようかどうか迷ってます。しかも無駄に長い・・・
ちょいと様子を見つつ、残りを書き上げます・・・orz
110名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 18:59:28 ID:vhxLaHgD
>>108
みゆきさん、いやみゆき君格好良すぎだろ!!
途中現れたDQN一味もいい味だしてるなぁ。

つかさには是非幸せになってもらいたいものです。
GJでした
111名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 21:00:37 ID:TKp2L4xk
>>108
いやぁ最後まで恋するつかさを堪能させてもらいましたよ
ありったけのGJを送ります
112名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 21:08:14 ID:ZiDtUA02
投下、よろしいでしょうか。

『識別装置』

・2レス
・エロなし
113識別装置:2008/04/02(水) 21:09:29 ID:ZiDtUA02
 いつもより早く登校したある朝のこと。C組の自分の机に荷物を置くや、バスの中での話の続きを
と、かがみはB組に直行した。来るのが早かったため登校している生徒は多くはなく、C組にはあやの
とみさおの姿はまだなかった。B組もみゆきが不在だったが、鞄はあったので委員会の用事か何かに
出向いているのだろう。
 姉妹で例の臭いアレについて話していると、二人をじっと観察していたこなたが、不意にこう言っ
たのだった。
 「二人とも、中分けだよね。まあ、私もほぼ真ん中分けだけど」
 「何よいきなり。髪形のこと?」
 「いやさ、二人とも七三分けについてどう思う? どんなイメージ?」
 「イメージって……連想する物でいい? サラリーマンとか」
 「そうそう。他には?」
 「お堅い、真面目。あとは……」
 「バーコードハゲ!」
 うーん、と考え込んでいたつかさが、元気よく答える。
 「つかさ、あんた……」
 「まあそんな感じだよね。垢抜けないっていうか、ダサいっていうか……」
 肯きながらこなたは、鞄からアニメ雑誌を取り出した。
 「あんた、学校に何持って来てん!?」
 びっくりしたかがみは、思わず埼玉弁が出てしまった。鞄には他に、分厚い漫画誌が入っているの
も見える。二冊合わせれば、鞄のキャパシティを相当食うはずだ。
 「これが、私の人生の教科書なのだよ」
 「あっそ……」
 教科書を持って帰らない理由が分かったような気がした。「そうなん」て、突き放すように言って
やればよかったと思った。
 「これでしょ、これとこれに、あとこの子も」
 アニメだけでなくゲーム情報も載ったその雑誌を開いたこなたは、次々とそこに載ったキャラクタ
ーを指差していく。みな女性キャラ、それも髪型が七三のものばかりだ。
 「どーだね」
 こなたはほぼ平らな胸を誇らしげに反らす。
 「はいはい。つまり、女性キャラはたとえ七三分けでも萌えがあるって言いたいのね」
 「まとめてくれたかがみん萌え」
 「うるさい!」
 「これは、『七三』という言葉のイメージが固定されちゃっているがための弊害、つまりアニメや
ゲームに対する偏見と同じことなのだよ。素材の良し悪しもあるんだろうけど、言葉のイメージほど
悪くないんだよね」
 「はいはい、大した発見ね」
 「というわけでさ、どっちか櫛かブラシを貸してくんない?」
 「デッキブラシなら、トイレの掃除用具入れにあるわよ」
 「ん〜、できればヘアブラシがいいんだけど」
 ……話の筋からすると、こなたは自分の髪を七三にするつもりらしい。
 「自分のは?」
 「持ってたら借りないよ」
 かがみはハッとした。そうだった……。こいつは自分の事にはあまり興味がないんだっけ。
 「はい、こなちゃん」
 つかさが貸してやると、こなたは教室の出口にすっ飛んでいく。
 「はっはっは、変身した私は寝て待つがよいぞ」
 「お前は果報か? てか、すぐ戻れよ」
114識別装置:2008/04/02(水) 21:10:09 ID:ZiDtUA02
 言いつけ通りに(?)うつらうつらし始めたつかさを、つつきながら待つこと数分。自分の事に興
味を持ったのだとすればいい傾向なのか、それとも単なるコスプレの延長線なのかなんて考えている
と……。
 「おまたせ〜」
 戻ってきたこなたを見て、姉妹は唖然とした。
 「こなたさん、それマジっすか!?」
 こなたの頭頂付近から生えたアホ毛が、二つに割れていた。
 一方が太く、一方が細い。
 およそ七対三の割合……。
 「いやー、髪の量が多いと短時間じゃ無理だって気付いてねー」
 故にアホ毛にターゲットを絞り、それを七三に分けたということわけか。
 「朝はどうしてるの?」
 「特になにも。髪形変えてないから、これで癖毛なのかも」
 「便利でいいわね」

 ガン

 ベルギーの都市名ではない。出口付近で何かがぶつかる音がした。
 「あ、ゆきちゃん来たみたい」
 分かるのか? かがみは思ったが、ドアを開けて入って来たのは確かにみゆきだった。
 例によって例の如く、考え事をしていてドアにぶつかったのだろう。白い絆創膏を交差させた物を
額の辺りに貼り、「鼻じゃなくてよかったです」なんて苦笑いしながら、教室に入ってきた。
 「ゆきちゃん、おはよー」
 「おっす、みゆき」
 「つかささん、かがみさん、おはようございます」
 「ぶつかったみたいだけど、大丈夫?」
 「はい、もう慣れましたから」
 余計に心配だ。
 「それより、泉さんはご一緒ではなかったのですか? お姿が見えませんが」
 時間が止まった。場が凍りついた。
 ちょいちょいと、みゆきの制服のすそを引っ張る手。
 「あ、泉さん!? いつの間に??」
 演技にしてはあまりに真に入った驚きっぷり。本当に気付かなかったようだ。
 「みゆきさん、それマジっすか?」
 かわいそうに。こなたは泣いていた。
 かがみがかくかくしかじかを説明し、みゆきが気付かなかった理由も分析した上でこう結論付けた。
 「映画に行った時もそうだったけどさ、あんたそれがないと分かんないから、下手にいじらない方
がいいわよ。背景になりたくないでしょ?」
 隣のクラスから、特大のくしゃみが二つ聞こえてきた。あやのとみさおが来ているらしい。
 「ううっ、これが私のIFF!?」
 こなたがうなだれたところでチャイムが鳴り、かがみがC組に退散し、黒井先生が入ってきて出席
を取り始める。
 「泉。泉ー?」
 よせばいいのにこなたは、故意に返事をせず、体を上下させて二つに分かれたアホ毛をにゅんにゅ
んと動かし、自己の存在をアピールした。
 「泉おらんのか?」
 教室を見回す黒井先生。やがてこなたの席のあたりに目を留め、
 「うおっ!」
と仰け反る。
 みゆきとはだいぶ違う反応。
 「……あ、なんや泉か。おるんならちゃんと返事せえ」
 やった! 先生は気付いてくれた。どーです、私流の七三。萌えるなんてレベルじゃないでしょ!?
 「でかいゴキブリかと思ったわ……」
 二つに分かれたアホ毛が、触覚か何かに見えたらしい。


 おわり


115名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 21:13:03 ID:ZiDtUA02
お粗末さまでした。
読むに耐える物でしたら幸いです。
116名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 21:50:58 ID:AfNmLlWJ
触覚じゃだめなのか
アンテナじゃないといけないんだなっ
読みやすくて面白かったです
ぐっじょぶb
117名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 21:59:52 ID:F0CvuSsW
>115GJ
アホ毛の七三分けというアイデアに脱帽
118名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 22:09:35 ID:SyMGXejb
 突然ですがひとつ小ネタを思いついたので投下したいと思います。
 >>66の黒つかさから思いついた小ネタ。短いので保管はなしでお願いします。

 それは昼休みのこと。私はいつものメンバー、そして日下部と峰岸と一緒にいたときのこと。
 事の発端は、こなたのふとした疑問から始まった。
「ところでさ、かがみとつかさの姉妹の名前の由来ってどんなの?」
「えっとね、まずいのりお姉ちゃんとまつりお姉ちゃんの名前が『祈りの祭儀』を意味しているんだって。
 でね、かがみお姉ちゃんがその祭器の『鏡』を意味してるの」
「ふーん。それじゃ、つかさは?」
「私はね、それらを司る『祭司』を意味してるんだって」
「へぇー」
「だからね私、お姉ちゃんたちにはなんでもしてもらえるんだよー」
 と、つかさが言う。つかさ、お願だからここで変なことは言わないで。
「それじゃお姉さんたちはみんなつかさには甘いんだ」
 違う。『なんでもしてしまう』というのは、単につかさに甘いとかそういうものじゃなくって。
 つかさのそれには、しょっちゅう苦労させられてるんだから。
「それじゃこなちゃん、ちょっとみてて」
 と言って、つかさがこちらに目をむけて……ってつかさ、こんなところでそれやんないでよ!!
 ――お姉ちゃん、キスしてよ。
 ああ、つかさの目がそう言っている。
 だめ、みんな見てるんだから――
 必死に抵抗しようとするがその努力もむなしく、私はふらふらとつかさの顔に自分の顔を近づけて……
「ちゅっ」
 と、キスをしてしまった。
 周りの空気が一瞬凍りつく。そして次の瞬間、こなたと日下部が急に
「つつつつつかさ!!い、今のなに!?す、すごい!か、かがみ!!私にも、キス!!」
「ずりーぞ、ちびっ子!!私だって――」
 と、勢いよく迫ってくる。
「こ、こらっ!!やめて――」
 迫ってくる二人を振り払おうとしたのだが、一瞬で身体から力が抜けてしまった。
 視界には、私のことを見つめているつかさ。つかさの目は『おとなしくしてね』と伝えている。
「つかさ、ナイス!」
「それじゃ、ひいらぎぃ」
「「それっ」」
 と、力の入らない私にとびかかるこなたと日下部。
「すごいですね、つかささん。私もつかささんに調教されたいです」
 みゆき、何を言ってるんだ。
「私もお兄さんのこと、思い通りに操れるなら……」
 峰岸、それヤバいから。
 それよりも助けて――
 私の必死の思いも届かず、結局私はそのまま二人にキスをされまくることとなった。

 しばらくして。
「つかさぁ!!さっきは何てことするのよ!!」
 と私はつかさに怒ろうとした。しかし、
「ご、ごめんね、お姉ちゃん。ゆ、許してくれる……?」
 と、そう言われただけであっさりと許してしまういつもの私。
 あーあ、こんなんだから簡単に心を奪われてしまうのかなあと
 半ば諦めつつもそう思った。
119名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 22:10:22 ID:rtYOi2Xx
>>115
GJ!アホ毛の有無がこなたの識別方法か…w

アホ毛が七三分けのこなた。神々のいずれかが形にしていただけないだろうか……(他力本願MAX)
120名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 22:12:19 ID:hdRXUVr3
>>108
おおう、続きを読みたいが、これで完結なのか・・・? orz
とりあえずGJ !

>>115
ワロタw
121名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 22:14:27 ID:9HQ4W/6d
どうも、10スレぐらい前に勘違いでつか×あや小ネタ書いたものです。
実はあれから一生懸命つかあや書いてたんですが、完成無理そうなので
中途半端ながら投下したいと思います(もったいないくてw)

ラストからなのはラストシーンを書きたくてそこから書いてたせいです

それでは2レス失礼します。

SSとして保管はしない方向でお願いします。


122名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 22:16:12 ID:9HQ4W/6d
「……それで…どう、かな……?」
「つかさちゃん、私……」
春とはいえまだ少し冷たい風がびゅうう、と一際強く吹いて私とつかさちゃんの
髪を躍らせる。私より三歩分ほど前にいたつかさちゃんがくるりと私の方を向いて薄く微笑んだ。
「―――なんて、ね。知ってたよ。…ダメだって。…叶わない恋なんだって。
…けど、一つだけお願いがあるの」
「…お願い?」
うん、お願い、と小さく呟いて体ごとつかさちゃんが向き直り私との距離を一歩縮めた。

「一回だけ…一回だけでいいから……キス、してちょうだい?」
風はもう吹いていない。静けさを取り戻したその空間に吐き出された言葉が
ゆっくりと、だけど確実に頭に染み込んでいく。
驚きはしなかった。もしかしたらどこかで予想していたのかもしれない。そうだとしたら、私は
なんてずるいんだろう。予測しておいて尚、期待を持たせるみたいに呼び出して。つかさちゃん
から言わせて。
罪悪感が一気に押し寄せて、それでもぐっとそれを抑えて、大きく深呼吸した。実際には5秒も経っていないはずなのに、体感的には一時間以上も立ちつくしていたような気がする。
私はその間、3日前泉ちゃんに言われたことを思い出していた。

『一回だけなら誤射かもしれない』

そう、一回ぐらいなら。ファーストキスというわけでもないのだし。……ああ、私はやっぱりずるい。

「……いい、よ…」
「……本当?」
「…うん」
その瞬間つかさちゃんの強張っていた顔が崩れ、迷子になっていた子がお母さんを見つけた、そんな表情になった。
そして、つかさちゃんがもう一歩踏み出してくる。後一歩。後一歩前に出れば私とつかさちゃんの
間に空気という隔たりはなくなってしまう。
今度は半歩だけ前に出たつかさちゃんが私の頬に両手を添えた。こくっと唾液を飲み込んだ
つかさちゃんの白い喉が上下して、瞳が閉じられる。真っ赤に上気した顔が段々と近づいて来て、
私も瞼を閉じた。
どこか冷静な私の頭の片隅には、つかさちゃんは初めてなんだろうな、とか
私は彼にもつかさちゃんにも悪いことをしている、とかそんな考えが渦巻いていて。でも
それもすぐに中断させられることになった。

「あ、や、ちゃん……」
本当に小さな私を呼ぶ声が聞こえたと思ったら異性の物とは違う、どこまでも
柔らかくて、瑞々しくてそれでいて弾力のあるものが私の唇に、触れた。
ほんの一瞬だけ合わさったそれは、頬にあった手と共にぬくもりを連れ去っていく。
私も緊張していたのか、初めてしたときみたいに呼吸すら忘れていたらしい。プールで長い間
潜水してから息を吸ったように空気が新鮮に感じる。

「ありがとうあやちゃん。これ、で、私あやちゃんのこと、諦め、られるっ…」
「つかさちゃん………」
瞳を開けて最初に目に映ったものは泣き顔だった。泣きながら、大粒の涙を零しながら、
それでも笑っている。

ぱちんと、心の中で何かが弾けた。
123名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 22:17:23 ID:9HQ4W/6d
その時に感じたものは、後から考えてみれば同情かもしれないし………愛情、かもしれない。
だけど重要なのはそんなことじゃなくて。

思ったから。

ただ、抱きしめたいと。目の前に居る少女を。

解ってる。これは選んじゃいけない道。押しちゃいけないボタン。
だけど、それでも。思ってしまったから。
今にも折れてしまいそうな少女を、愛おしいと。
だから、今度は私からくちづけた。
背中と頭に腕を回して離れないように強く、強く抱きながら。つかさちゃんの見開かれた目と
私の目が合う。おずおずと私の背にすがり付いてきた手は小さく震えていた。


声が、甦る。あの時言われた言葉。アドバイス……もしくは、忠告。

『一回だけなら誤射かもしれない。……だけど、もし2回目があったらそれは
―――本気、ってことだよ』


※              ※               ※


「あやちゃん、今日…大丈夫?」
放課後、誰もいなくなった教室で私とつかさちゃんふたりの影が長く床に
落ちている。不安げにつかさちゃんが私にそう聞いてきて、私は
くすりと笑みを零した。
「……ん、大丈夫よ」

                             ―――そしてまた今日も秘密の逢瀬を重ねる。
124名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 22:19:25 ID:9HQ4W/6d
以上です。
中途半端でお目汚し失礼しました。
明日引越しなので今日までに完済させたかったんですが、無理でした…
書いてて楽しかったのでつかあや増えるといいなあ・・・
125名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 00:42:24 ID:EesxYkZl
エロス
126名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 00:43:10 ID:EesxYkZl
エロス
127名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 01:22:23 ID:K2tmFUvw
メロス
128名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 01:28:46 ID:Nhlft3z6
メロン
129名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 01:39:45 ID:30n0uKl2
バロン
130名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 01:42:46 ID:ejYuD2yM
バロス
131名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 01:55:47 ID:SjfZ8VWm
なんだこの流れwww
132名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 02:16:51 ID:K2tmFUvw
ガバス
133名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 02:41:35 ID:XT6K5hfb
スレ間違えたのかと思ったw
134名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 07:07:14 ID:MXGJPsgU
「ふた○りSS、おk?」と、伺いを立てたものです。結局、自重できずにやっぱり投下。
しかし…まだ様子見の状態なので、前スレの方に投下する事にします。

■注意書き
・エロ有(こなた、ふたなり)
・カップリング(こなた×かがみ)
・淫語とかは、とりあえず伏せない方向で
・ストーリーなし、オチなし、なんで生えているのかの説明もしてません
・かがみんがドロドロになっちゃいます

では、投下開始します。
135名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 07:10:47 ID:Uo2a2mtv
>>134
えーと。前スレは容量の限界を超えてるから投下できないよ。
こちらへの投下を待つ。
136名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 07:13:40 ID:MXGJPsgU
…と、思ったら、もう前スレには書き込めないのね。俺どんだけ素人。
って事で、結局こちらに書き込ませていただきます。

あ、10レスほど使わせていただきます。
137ふた☆こな 〜かがみ〜 1/10:2008/04/03(木) 07:15:51 ID:MXGJPsgU
 自室デートは、決まってこなたの部屋だった。
 大所帯の柊家に比べ、こなたの父そうじろうや、従妹の小早川ゆたかが外出して家を空ける機会が多く、気兼ねする事無く睦み合えるからだ。
「だったら、ラブホ行こうよ。気兼ねどころか完全に二人っきりだしぃ……かがみんが大声出しても、全然へーきだし♪」
 ベッド上で寝そべり、漫画を読んでいたこなたは、ベッドの脇に背をもたれ、同じく雑誌を読んでいたかがみに呼びかける。
「んー……お金払って行く程の、なあ……っていうか、声の大きさはあんたも大して変わらないだろ……なあ。今度の日曜、あんたの家に誰もいないんだろ?」
「そりゃ、いないけど……何でかがみんが、ウチのスケジュール知ってんの?」
「じゃ、それで決まり」
「ここでスルーとかっ!?……ん、まあいいけど……」
 こなたは漫画を枕元に置くと、腹ばいの姿勢でよじよじとかがみの元に移動する。
「かがみって、ひょっとしてラブホ嫌い?」
「いや、好きとか嫌いじゃなくて……」
「ラブホ恐怖症とか、ラブホ進行性骨化性線維異形成症とか」
「違うわ。っていうか二つ目のはラブホ付けただけだろ」
「なんでー?じゃあラブホ好き?」
「あのな、あまりラブホラブホ連呼するな……とにかくっ、あんたの部屋が良いの!」
「お、おぉう……わ、分かったよかがみん。そんなに鼻息荒くしなくていいから……」
「フーッ、フーッ……よし、それでいい。これでこの話は終りっ」
「んむぅ……変なかがみん。まあいいけど」
 的を射ないかがみの答えに、こなたはがしがしと頭をかいた。

 ――言える訳ないだろ。

 雑誌に視線を戻し、かがみは心の中で呟く。
 こなたの匂いに包まれているような感覚が好きだから、なんて。
 言ったらきっと、からかいのネタに使われるから。
 あの猫口で、意地悪そうに笑みを浮かべて。


 ふた☆こな 〜かがみ〜


138ふた☆こな 〜かがみ〜 2/10:2008/04/03(木) 07:17:31 ID:MXGJPsgU
 ちゅ、ちゅ……ちゅう、ちゅぱ、ちゅむ……
 濃厚なキスの音が、無音の部屋にかすかに響く。
「んん、んむ……ちゅううっ、ちゅ……」
「んぅ……ん、んん……んちゅうう……」
 ベッドにもたれ掛かったかがみにまたがり、こなたは覆いかぶさる格好で彼女の唇を塞ぐ。
 かがみはこなたの腰に手を回し、こなたはかがみの首に腕を回す。
 お互いの距離をゼロにして、二人の少女は唇同士の感触を思うまま楽しんだ。
「ちゅ、ちゅうっ……ふはっ、あん……こなたぁ……んむ、んん、んちゅ……」
「んんっ……ふあっ、はあっ……かがみぃ……あむっ……ちゅううう……」
 愛しい人の名前を呼び合い、角度を変えて一層深く口付ける。
 密着した口腔では二人の唾液が混ざり合い、ぬらぬらと舌が絡み合う。
「ぢゅるる……っん、ぷはぁ……」
「ぢゅうう、っあ――」
 そうして舌と唇のまぐわいをたっぷりと楽しんだ後、こなたはようやく、かがみから唇を離した。
 名残惜しそうに、かがみが声を漏らす。
 うっとりと瞳を潤ませる恋人の、その鼻先を――猫口になったこなたは、ツンツンと指でつついた。
「ふふっ♪かがみってば、可愛いなあ。キスだけで、こんなにとろけそうな顔になっちゃうんだもん」
「うう……し、仕方ないだろ……きっ、気持ち良いんだから……っ」
 ぷうっと膨れて口を尖らせるかがみに、こなたは小さく笑い、もう一度唇を押し付けた。
 ついばむようなキスは、やがて唇から頬、あごを伝って首筋を降り、鎖骨を舌でなぞり上げる。
「んんっ!ふ……あ、は……あ……っ!」
「かがみって、鎖骨弱いよね」
「わ、悪かったわね……んふっ!……ん……っ!」
 こなたの舌から、次々にもたらされる優しい刺激。
 じんじんと痺れるような甘い快感に、耐えるように下唇を食む。
 しかしその抵抗は呆気なく無力化され、かがみはたちどころに顎を震わせた。
「――ね、かがみ。私のおちんちん、舐めて……?」
「ちょ、おま、いきなりかよ……」
「だって、もう待ちきれないんだもん……ほら、ほらぁ……ね?いいでしょ……?」
 ぐりぐりと腰を押し付け、露骨に迫るこなた。
「こら、押し付けるなって……あーっ、もう……分かったよ」
 苦笑いしながらも、かがみは頬の朱をさらに濃く染め、こっくりと頷いた。
「やたっ♪」
 こなたは跳び跳ねるように立ち上がり、かがみはやれやれといった感じで、その正面に両膝をつく。
「ったく。こんなに、おっきくして……しょうがないやつ」
 そう言って、かがみは膨らんだハーフパンツの股間をすりすりと撫で回す。
 言葉とは裏腹に、その顔には妖艶な笑みが浮かんでいる。
139ふた☆こな 〜かがみ〜 3/10:2008/04/03(木) 07:19:02 ID:MXGJPsgU
 ジジ、ジ、ジイイィ……。
 ジッパーをつまみ、ゆっくりと引き下ろす。
 次いでホックを外し、ショーツごとずり下げる。
「かがみ〜ん。こういう場合は、パンツとショーツを順番に下ろしていくのがセオリーで……」
「エロゲのセオリーなんか知らん」
 と――。
 ぶるんっ、と音を立て、小柄な身体に似合わないサイズの浅黒いペニスが姿を現した。
 外気にさらされたペニスは、まるで開放感に背を伸ばし、喜びに打ち震えているように見える。
「しかし、あんたのこれは……相変わらず凄いな」
 へそに届かんばかりに反り返り、むあっ……と、オスの匂い立つその怒張に、かがみはためらう事無く顔を寄せ、うっとりとした表情をする。
 初めて目の当たりにした時は、その凶悪ともいえるフォルムに、小さく悲鳴を上げて顔を背けたほどだった。
 それが今では――不快どころか、堪らない愛おしさを感じる。
 これがこなたの常套句であるところの――。
「……愛だよ、愛、か」
「んえ?何か言った?」
「んーん。別に」
 シャツをへその上までたくし上げた姿勢で、不思議そうに見下ろすこなた。
 かがみは自嘲的な笑みを浮かべると、血管の浮き出た肉棒に手を添え、ユルユルと優しく扱き始めた。
「ん、熱ぅい……これでいい?こなた……」
「う、うん。かがみの手も良いんだけどさ、やっぱりホラ……か、かがみのおクチでしてくれた方が、もっと気持ちいいんだよう……ねぇほらあ、早く早くぅ」
「だから、してあげるからせっつくなって。そんなに余裕ないのかよ」
「よ、余裕なんかないって……キスしてる最中、ずっと硬くしてたんだからぁ。ねえかがみ様〜」
「はいはい。ふふふっ」
 もじもじと内股をこすり、甘えるように懇願するこなた。
 かがみはその肉棒を正面に見据えると、その赤黒い亀頭に口付けをした。
「ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ……んん〜……ちゅう……っは、れろれろれろれろれろ……」
 パクパクとヒクつく鈴口に何度もキスを撃ち込み、舌先で丹念に舐め上げる。
「あっ、あっ、かがみぃ、それ……先っぽ、気持ちい……」
「ふふっ。さっきの鎖骨のお返しよ」
 繰り出されるかがみの舌技に、こなたは恍惚とした表情で呟く。
 そんなこなたの様子に、上目遣いのかがみは嬉しそうに微笑むと、亀頭全体に舌を這わせ、自分の唾液を塗りつけていく。
140ふた☆こな 〜かがみ〜 4/10:2008/04/03(木) 07:20:30 ID:MXGJPsgU
「れろれろれろれろれろ……ぢゅるっ、ぢゅるるるる……っん、はぁ……こんなにパンパンに膨らませて、はむっ……ぢゅるる、ぢゅ、ぢゅうぅ〜っ……そんなに、んっ……なあ。あんた、いつも私にこれをせがむけどさ……そんなに私の口、良いのか……?」
「う、んっ……こ、こし抜けちゃいそうだよお……っ!」
「そっか……そんなに気持ち良いんだ……あむっ♪」
 かがみは嬉しそうに亀頭部分をぱっくりと咥え込むと、唾液まみれの舌を激しく絡めた。
 こなたの耳に届くように、じゅるじゅると音を立てて唾液と先走り汁をすする。
「あああん……音が大きいよ、かがみん……」
「じゅる……ん、ぽっ……なんだよ。音立てた方が興奮するんだろ?」
「う、うん……えっへへ♪さすが私の嫁……私の悦ぶツボを、心得てらっしゃる」
「嫁とか言うな。んん〜……ちゅっ♪」
「はうっ!」
 かがみが亀頭に唇を強めに押し付けると、こなたはぴくーんと背筋を伸ばした。
「ぢゅるっ、ぢゅるっ……んんん〜っ、ぢゅぽっ、ぢゅぽっ、ぢゅぽっ」
 かがみはためらう事なく、自分の口内に再びペニスを迎え入れ、ゆっくりと頭の前後運動を始める。
 唾液に塗れた肉竿が、かがみの可憐な唇を出入りしている様子は、たまらなく淫靡だ。
「んはぁ……かがみが私のおちんちん、じゅぽじゅぽって咥えてるぅ……にゃあああ……かがみん、すごくえっちだよぉ……」
 熱に浮かされたようにこなたが呟く。
 いつの間にか、かがみの頭に両手が置かれ、さわさわと髪を撫でている。
 かがみは気持ち良さそうに目を細め、ピストンの速度を上げる。
「ぐぽっ、ぐぽっ、ぐぽっ……ん、ぢゅっ、むあ……私をこんなにえっちにしたのは、誰だと思ってるんだよ……」
 そう言ってかがみは口内からペニスを抜き出すと、雁首や裏筋に舌を這わせる。
「はあ、はあ……こんな、浅ましく血管浮かび上がらせて……はしたないくらい、ガチガチに勃起させちゃって……こんなの目の前に出されたら、ほ、欲しくなっちゃうに決まってるじゃない……んぢゅるるっ、ぐぽっ、ぐぽっ」
「あっ、んふぁ……へへへ、なんだ。かがみんも、ガマンしてたんだぁ……」
「ううう、うるさいなっ。私だって、キスしてる時からずっと疼いて仕方なかったんだから……!」
 かがみは照れ隠しとばかりに、こなたのペニスにがむしゃらに吸い付く。
 お腹の奥から湧き上がる甘い痛みに突き動かされるように、かがみはストロークの長いディープスロートを何度も繰り返した。
「ぢゅるるるっ、ぢゅむっ、ぢゅぶっ、んぢゅっ、んぢゅっ、んん――っ、んっ、ぢゅるるうううっ」
「はっあああ……かがみっ、かがみぃ……そんなっ、激しくしたらぁ……っ」
 次第にこなたも、迫る射精感に突き動かされ、自然と腰を振り始める。
「んむっ、んぐっ、んぢゅっ、じゅるるっ……っぷあ、はあっあ……こなた、イく?ん……ぐ、あむ……んぢゅ、ぢゅずっ、イくんでひょ?いいわよ、らひて……んっ、んっ、んっ!」
「ふわあああっ!かがっ、かがみぃっ!出ちゃうっ!せーしっ、れちゃうううううっ!」
 だらしなく口を半開きにしイヤイヤと首を振るこなた。
 かがみは満足そうに見やると、先ほど以上に愛撫行為に没頭する。
141ふた☆こな 〜かがみ〜 5/10:2008/04/03(木) 07:21:38 ID:MXGJPsgU
「んむっ、んふっ、んん、っぷあ……むあっ、はあっ、あむっ!んふふっ♪いいろ、らひちゃえ、ほなた……!んんっ!んっ!んっ!んっ!んっ!」
 そしていたずらっぽく微笑むと、頬をくぼませ、とどめとばかりに頭の前後運動のスピードを上げ――愛する人を、一気に高みへと追いやっていく。
「ひいいいっ!んきゃあああっ!かがみ……かがみいぃっ!」
「ん!ん!ん!ん!ん!ん!ん!んんんんんんんーーーっ!」
 髪を振り乱し、絶叫するこなた。
 密閉されたかがみの口腔――その内側の粘膜で、こなたの肉棒は何度もむき上げられ、絡みつく舌に執拗に舐めしゃぶられた。
 そんな、かがみの甘美な猛撃に、こなたの理性は太刀打ちできるはずも無く――。
 射精の引き金は、呆気なく引かれた。
「あーっ!あっ――あっ、あああ――……っ!」
 ぢゅぽ……っ!
 腰の真ん中が、ぶるるっと震えた直後――こなたはかがみの喉奥まで収められたペニスを、勢いよく引き抜く。
 そして、無我夢中でツインテールの房を強引につかみ寄せると、かがみの柔らかな頬に自分の肉棒をグリグリと押し付けた。
「かがみぃ、かが、あ、ああああ……っ!」
 ぶびゅううううーーーーーーっ!!
「んくっ!」
 亀頭の先端から噴き出した精液は、かがみの綺麗な鼻筋を無遠慮に横切り、しかめた眉毛まで勢いよく飛び散る。
 びゅぶっ!びゅるっ!びゅるるるっ!
 そして二発目、三発目と白濁液が撃ち出され――頬はもちろん、前髪やまぶた、唇を生っちょろく汚していった。
「うんっ、ふぅんっ、んきぃ――っ!」
 射精感に打ちのめされガクガクと脚を震わせながら、こなたはかがみの頭を股間に押さえ付け、精液を吐き続ける。
「んあ、は――……っ」
 かがみもされるがまま、恍惚とした顔でこなたの精液を浴び続ける。
 肌を打つ生温かい感覚に、かがみの身体も小さな絶頂を迎え、ビクンビクンと小さく震えた。

 ☆

142ふた☆こな 〜かがみ〜 6/10:2008/04/03(木) 07:22:49 ID:MXGJPsgU
「――んもう、顔シャは嫌だって言ってるのに……」
 ウェットティッシュを使って、こなたと二人で顔中に飛んだ精液を拭い終えると――かがみはジト目で、汚した張本人をにらんだ。
「髪に付いたやつ、洗い落とすの大変なんだからな」
「いやあ〜……ごめんね?かがみん」
 丸めたティッシュをゴミ箱に捨てつつ、こなたは苦笑いを浮かべる。
「かがみんの綺麗なほっぺを見てたら、つい、発作的に……ね?」
「ったく……飲みたかったのに」
「え?」
「あ、いや……な、何でもないわよっ。それより、ほら……」
 さながらチークダンスを誘うように、かがみはこなたに片手を差し出す。
「私を汚した責任。私はまだ、全然気持ちよくなってないんだからな」
「……あるぇ〜?でもさっき、小さく痙攣してなかった?あれって、イッてたんじゃないの?」
「っ!ちがっ、あ、あああ、あれは――そう、武者震いよ!武者震い!」
「ちょ、武者震いって。どんだけ臨戦態勢に入ってるのさ」
 拳を握って力説するかがみに、こなたは苦笑いを浮かべ――差し出された手に、自分の手をそっと添える。
「大丈夫だよ。ちゃあんとかがみんをイかせてあげるから♪」


 〜続く〜
143名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 07:24:59 ID:MXGJPsgU
以上っす。
レスの目論見も外しまくりで、恥ずかしさ炸裂ですよ!
ほんと御免なさいorz
144名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 07:35:19 ID:Uo2a2mtv
>>143
リアルタイムで読了。


気持ちいいほど直球のエロ、大いにおっきしました。
フェラとかほっぺずりとかぶっかけとか、もうたまらんですよ。
こなた編も是非に是非にお待ちしております。ぐっじょぶ。
145名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 07:35:38 ID:OUfyYxyZ
ひさしぶりにエロすオンリーの作品を読んだきがする

えろいえろいw
146名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 11:27:29 ID:41M5KIJS
久々にこなかがエロ分補給した
147妄想屋(仮名) ◆JUqojnT5.c :2008/04/03(木) 12:49:57 ID:dLZkAv0T
>>119
ユニコーンこなた、通称「ユニこなた」という電波を受信しますた。


ユニコーンモード……いつもの泉こなた。身長142cm。
・なぜかニーソを履いている(長すぎて生足は見えない)以外、特筆すべき点はなし。

バーサークモード……泉こなたが潜在能力を解放した状態。身長170cm。
・アホ毛は二本に分かれ、V字型に展開。
・顎部分が伸長、ぶっちゃけ大人顔になる。
・身体各部も伸長し、それに伴い内部のサイコフレーム(素肌とも言う)が露出。
 ・胸部:バストの巨乳化に伴い、胸当てのホックが外れ谷間が露出
 ・胴部:上着が小さくなるため臍部が露出
 ・腕部:冬服が半端に短くなるのでたくしあげ、夏服状態に
 ・脚部:スカートが超ミニ状態になるため、ぱんちら及び絶対領域が出現


……どうみてもヤバいおねーさんです、本当にありがたやー。(By 安駄婆@源平)


今会社なので、絵を描いてる時間がありませんスンマソorz
148名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 12:58:31 ID:1TzGI9RK
>>143
GJ!ここはエロパロスレなんだから、臆することなくどんどん投下しちゃっていいんだぜ!
エロ度も高かったし、たまりませんでした。続きに激しく期待!!
149名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 15:59:41 ID:XT6K5hfb
>>143
これまた濃厚なエロスですな
続きを首を長ーく、いや下のほうを大きくさせて待っております。GJでした
150名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 16:24:40 ID:olpVQKaX
IDの最高数値×1日の分だけ、明日からやまとフェチ発症。
無かったらこなたとひよりが今から強制的にメタルギアの世界に(軍事的な意味で)。
151名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 17:00:30 ID:xD26NUQO
>>150
メタルギアの世界行きw
女は隠れることをやめた 散r・・・・散っちゃらめえええええええええええ
152名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 17:06:13 ID:Zn3OjpjK
こなたスネーク
ひよりオタコン
153名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 18:33:08 ID:ejYuD2yM
ひよりとパティならゲームで似たような事してた記憶が
154名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 18:33:25 ID:d1/h2RMw
こなた「うますぎる!」
155名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 18:45:35 ID:d1/h2RMw
>>152
こういうことか

156名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 19:10:26 ID:dEFRmr59
こなた「そういえばさ、地下のゴミ処理場ってなんで未開封のレーションとか落ちてるんだろうね。もったいないじゃん」
157名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 19:25:41 ID:Mp3GfdMU
>>143
ふたなり苦手なんだけど、二人が熱々すぎるせいか、そんな事忘れて最後まで読めた
ああなんてバカップルw
GJ !
158名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 19:44:08 ID:rsmZMWay
>>152
かがみをリキッドにするかメリルに悩む俺、うーーーーん
159名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 19:46:11 ID:rsmZMWay
誤)かがみをリキッドにするかメリルに悩む俺、うーーーーん

正)かがみをリキッドにするかメリルにするか悩む俺、うーーーーん






orz
160名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 20:35:01 ID:BSHvu1Oq
>>159

バラエティ レベル13

『アキラの逆襲』

ミノルを助けろ!



#どう考えても逆なんだが、語呂としてはこっちの方がいいんだよなあ。
161名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 22:04:13 ID:gE2fnZ6L
>>160
アキラの逆襲 ミノルを助けろ どこまでしつこい発狂大佐

ふと思いついた
162名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 22:06:15 ID:xD26NUQO
どこまでもしつこくて発狂してると言ったらみゆきs・・・・
あれこんな時間に誰か来たみたいだ
163名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 22:16:00 ID:d1/h2RMw
>>162
…死ぬなよ……
164名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 22:42:08 ID:D6yGrYlB
僕の拙いSSにレスをつけて下さった皆様、どうも有難うございます。
ふたなリスキーの自分としては、これを機にふたSSが増えてくれるといいなあ・・・と思ってます。
皆、頑張ってくれ!俺も頑張るから!という希望的観測。

とりあえず、次はかがみとの本番編を完成させますわ〜
165名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 22:48:35 ID:FU+XxD6W
>>164
仕事中におっきしかけて慌てて読むのをやめたぞ、どうしてくれる
帰宅してじっくり読むから責任とってもっとやるんだ
俺もふたなりSS書いたものとして応援してるぜ
166名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 23:28:45 ID:olpVQKaX
まさかの>>150につき、こなたとひより救済戦

次のレスのIDの最高数値×1人だけ、こなたとひよりが覚醒してフェチ患者を治す事ができる。
無かったらメタルギアシリーズ(+スマブラXのキャラ)全員がこなたとひよりを護衛してくれるが、
フェチ患者との戦争が始まり、更にCB乱入でもはやgdgd
167名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 23:33:08 ID:ejYuD2yM
最早わけわからん
168名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 23:39:09 ID:olpVQKaX
>>167
つまりフェチ患者を2人だけ治すことができる。



ちなみに俺だったらみゆきとみなみを治す。
169名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 00:45:20 ID:0nfP/85U
そこは白石とそうじろうさんを治して、みんな自重しないとか
170名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 00:51:13 ID:tD7TO6+y
特に投下予定の方がいなければ、5分後くらいに投下しますです。
17116-187 ◆Del8eQRZLk :2008/04/04(金) 00:56:06 ID:tD7TO6+y
ごきげんよう、それでは投下させていただきます。
【無音声ピアノソナタ】の続きです。

■みなみ→ゆたか
■エロなしです

9レスになります。
172第三楽章/グラーヴェ 1/9:2008/04/04(金) 00:56:57 ID:tD7TO6+y
 
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
第三楽章/グラーヴェ(重々しく)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


§7

 そして目覚めると、みなみはこの肌寒い丘にいた。
 白く白く一面の雪景色に、たれ込めた雲も光を透かして白い。
 名も知らぬ広葉樹が、枯れ果てた枝に真っ白な樹氷を咲かせている。とぼしい朝の光に
乱反射して、きらきらと光っている。
 鳥の声も聞こえない。獣の姿も見あたらない。
 どこまでも白いただ一面の雪原に、青ざめてなお白く、みなみは佇んでいた。
 その肌寒さは、決して外気温のせいじゃない。
 その白さは、雪のせいじゃない。
 その世界を作り上げているのが自分の心の冷たさなのだと、みなみはどこかでわかっていた。
 ふと自分の身体を見下ろして、気づく。
 その身体が氷でできていることに。あの樹氷のように鋭角的なカッティングで削られた、
透明で、温もりの欠片もない、氷でできていることに。
 その透明な胸の中、死にかけた小鳥が歌っている。
 極寒の氷に閉じこめられて、震えながら弱々しい声で『ラ・カンパネラ』のメロディーを懸命に
奏でている。キンキンと高音部が響く度に、何かが壊れる音がする。
 ――ああ、出してあげて。この子を出してあげて。
 そんな思いがわき上がり、みなみの胸を激しく衝きあげた。
 けれどその胸も、氷でできているのだ。わき上がった思いも、冷たい、凍えた、がらんどうの
胸にただ響いては消えていくだけだった。
 そう、胸の中の小鳥を殺そうとしているのは、みなみ自信の心の、身体の冷たさに他ならなかった。
 それに気づいたみなみはがっくりと膝をつき、そっと雪原に身を横たえる。
 ぴしぴしと、身体の軋む音がする。ひびの入った身体が割れていく。
 つま先が、髪が、指先が、ぽろぽろと崩れ落ちていく。
 根本から折れた両手の指を見て、“ああ、これではもうピアノが弾けないな”とみなみは思う。
 胸の中の小鳥は、いつのまにか歌うのを止めていた。
 ゆっくりと、見上げた空から雪が舞い落ちてくる。
 雪が、しんしんと、音もなく、みなみの身体を覆っていく。
 凍えきったみなみにとって雪の温度は少しだけ暖かくて、そのぬくもりにそっと瞳を閉じた。

 ――そんな夢。

 ベッドの中で目覚めたとき、みなみの手は何かを掴もうとするように虚空に伸ばされていた。
けれど、何も掴めてはいなかった。
 自分が泣いていることに気づき、そうしてまだ泣けることに驚いた。
 寒い。漏らした吐息が白い雲となって消えていく。
 夢から覚めた部屋も、凍えそうに寒かった。

 季節は初冬で、色づいた紅葉も散り落ちて、水たまりに薄く氷の張る頃。
 そんな季節の早朝の部屋で、けれどみなみが凍えそうに寒いのは、外気温のせいだけでは
なかった。

 ――ピアノを、弾けない。
173第三楽章/グラーヴェ 2/9:2008/04/04(金) 00:57:22 ID:tD7TO6+y
 あの日以降、みなみのピアノが以前のように艶めいた感情を歌うことは二度となかった。
『熱情』に限らず、『水の戯れ』も『愛の夢』も『トロイメライ』も『トルコ行進曲』も『月の光』も。
 何を弾いても、みなみにはそれが水のように流れる音楽だとは思えなかった。ただ音階の
羅列に聞こえた。そこに篭めたどんな感情も、紛い物に感じた。
 人形だ、と思う。
 自分は精々のところ、よくできた演奏人形なのだ。
 あの夢のように、氷でできた冷たい人形。
 ほら、それを示すように、自分の身体はがりがりだ。
 やせっぽちの、女らしい丸みもない、棒のような手足だ。
 みゆきのような柔らかさや、ゆたかのような暖かさなど、欠片も持ち合わせていない。
感情のない機械だ。
 こなたがやたらと男役に喩えていたじゃないか。
 かがみも“スレンダーでクール”と云っていたじゃないか。それが“やせっぽちで冷たい”と
どういう違いがあるだろう。
 自分は、そう、熱情を抱いたことすらない人間なのだ。
 みなみはそう思った。
 そう思って、みなみはピアノを弾いた。
 弾けないと知りつつも、ピアノを弾いた。
 ピアノの悩みは、ピアノを弾くことでしか解決できないだろうと、そう思った。
 だから、朝も夕もひたすらに弾き続けた。
 それ以外に、何をすればいいのか思いつきもしなかった。
 お昼休みにも、音楽の教師に無理を云って音楽室のピアノで弾き続けた。
 朝早く起きて、遅刻ぎりぎりまでピアノを弾いた。みゆきと一緒に登校することはなくなり、
一人で登下校する車中で鞄を鍵盤に見立てて指を動かした。
 放課後も真っ直ぐ家に帰り、ピアノ室に籠もって弾いた。
 岩崎家からピアノの音がとぎれることはなく、チェリーはいつもドアから顔だけを覗かせて、
狂ったように弾き続けるみなみを見守った。
 岩崎家がそれなりの敷地面積を持っていたのは幸いだった。寝室で眠る母や父のもとまで
ピアノの音が響くことはなかったから。
 夜。
 眠れずにピアノを弾く。
 眠ろうとして目を閉じれば、眼前に広がるのは一面の雪原。
 そうして小鳥が『ラ・カンパネラ』を歌う夜に。
 みなみは眠れずにピアノを弾いた。
 緊張感を孕んだ第一楽章。
 たおやかに流れる第二楽章。
 激情に溢れた第三楽章。
 雨が降った日も、風が強い日も、試験の前日でも、どこかで誰かが結婚した日にも、どこかで
誰かが殺された日にも。
 みなみはピアノを弾き続けた。感情がこもっていないと知りながら、自動人形のように弾き続けた。
 睡眠時間は三時間に減った。

 ――酷い顔色をしているな。
 お風呂場で、鏡を前にしてみなみは思う。
 目の下の隈がとれない。心なしか、頬から顎のラインがより鋭角的になった気がする。
少年のように薄い胸の下、あばらが透けて見えている。体重は、五キロ減った。
 私には、こんな身体がお似合いだ。感情のない自分には、こんなやせっぽちな身体がお似合い
なのだ。
 そう思って自嘲する。
 鏡に写ったその笑みは、三日月のように尖っていた。
174第三楽章/グラーヴェ 3/9:2008/04/04(金) 00:57:45 ID:tD7TO6+y
 ある日、かおるからプログラムが届いた。開催期日の迫ったかおるの引退記念。その
プログラムだ。
 かおるの演奏のあと、六人のピアニストが演奏をする。年齢の順に弾いていき、トリを
つとめるのがみなみだった。ピアニストの年齢は大体五歳ずつ開いているようだった。
 なるほど、そういうことか、と思う。
 ピアノを弾きついでいく。
 想いを、未来に繋げていく。
 そういう意図をもった公演になるのだろう。もっとも、みなみが『熱情』さえ弾ききれれば、だが。
 一つ、奇妙なところがあった。プログラムには演奏者の名前があるだけで、曲名が書かれて
いなかったのだ。
 そして添えられた手紙には、毛筆で『熱情はみつかったかい?』と書かれていた。子供のころから
見慣れた、かおるの筆跡だった。
 その手紙を読んで、思わずみなみの顔がほころんだ。
 ――ああ、やはりわかっているんだ。なにもかも。
 曲名が書かれていないプログラムは、きっと、みなみが『熱情』を弾ききれないと判断したときに、
別の曲とさしかえられるようにと考えてのことなのだろう。
 不可能かと思えるほど厳しい課題を出しながら、その一方取り返しのつかないほど傷つくことが
ないようにフォローも忘れない。
 なるほどあの人らしい教え方だ。みなみはそう思う。
 けれど、だからこそそんな思いに答えたかった。
 七十六年ピアノを弾き続けたその最後の舞台に、最高の演奏を贈りたかった。

 それには、どうしても『熱情』を弾かなければいけないのだ。

 だから。
 だから、みなみはピアノを弾いた。
 大丈夫。このくらいのことは大丈夫。そう自分に云い聞かせて。
 ピアニストなら。そうピアニストなら。
 きっとみんなこういう泥沼からはい上がっているはずだ。
 ホロヴィッツも、アルゲリッチも、ポリーニも、リヒテルも、ラフマニノフも、ルービンシュタインも、
フジ子・ヘミングも。みんな。

 ――だから。
 みなみはピアノを弾いたのだ。

175第三楽章/グラーヴェ 4/9:2008/04/04(金) 00:58:12 ID:tD7TO6+y
§8

 ――みゆきは、そんなみなみをただ見守っていた。
 何度手を差し伸べようとしたことだろう。けれどその度みゆきは、この差し出した手に意味など
あるのだろうかと自問する。
 みなみが陥っている苦境は、まさに芸術家を襲う産みの苦しみに他ならなくて。そこから解放
することで、果たしてみなみが本当に救われるのだろうかと、疑問に思うのだ。もっとも、自分が
差し出した手をみなみが握り返してくる可能性は低いだろう。そう思っていたけれど。
 みなみはピアニストなのだ。
 それを、みゆきは知っている。
 自分がなろうとしなかったピアニストに、みなみがなったということを。
 ただ、自分の好きな曲を弾きたかった。『エリーゼのために』とか『メヌエット』とか『アヴェマリア』とか。
そんな曲を。
 優しい曲が好きだった。柔らかい曲が好きだった。
 そんな曲しか弾けない自分はピアニストにはなれないな、そう思ったのだ。
 ピアノ教室を辞めようと思う。そう云ったとき、かおるはなんだか肩の荷が下りたような顔をした。
『そうか。……実はね、少しだけほっとしている』
『……あら、どうしてでしょう?』
『みゆきに、辛い演奏を押しつけるのは忍びなかったからね』
 みゆきの頭を撫でるかおるの指は、ピアニストらしく、節くれ立っていてとても長かった。
『みゆきのピアノは好きだよ。教えて欲しいことがあったらいつでも呼びなさい』
 そう云って笑いながら送り出してくれた。
 だから。
 その道を歩かなかったみゆきだから。
 今みなみが歩いている道の険しさを、朧気ながらにわかっているからこそ。
 手を差し伸べることができなくて、ただ見守っていたのだった。

 ――ひよりはフォローをした。
 最初のうちは、なんとかしてみなみの負担を取り除こうと、色々と話しかけた。遊びに誘ったり、
どうでもいい話題でおどけてみせたり、悩みを聞いてみようとしたりした。
 けれどその度みなみは、心の底からすまなそうな顔をして。
 本当に、泣きそうな顔をして。
『ごめん』だとか。
『そういう気分になれないんだ……』だとか。
『ありがとう、でも、私の問題だから』だとかいう返事をかえしてくるのだった。
 そのうちに、自分がしていることがみなみを惑わしているだけだと気づき、ひよりは無理に
みなみを元気づけようとすることを辞めた。
 そして以前より輪をかけてぶっきらぼうに見え、無口になり、近寄りがたくなったみなみが
クラスから浮いてしまわないよう、ひよりは駆けずり回ったのだ。
 フォローして、説明して、またおどけてみせて、自分を悪者にすらして。
 そんなことをしている自分に少しだけ落ち込んだけれど、でも、どこかで楽しさすら覚えていた。
 クラスメイトのこんな反応は、多分みなみと出会ったばかりの頃の自分の姿なのだから、と。
そう思って。
 こうして今みなみと親しくなって。その真面目なところとか、優しいところとか、不器用なところとか、
そんなところを好ましく思うようになった。最初はただの無表情に見えたその表情からも、感情の
微妙な変化がわかるようになった。
 そうすると、クールな性格だと思っていたみなみが、意外なほど感情に富んでいたことに
気づかされるのだ。
 いつしかひよりは、みなみのことを大切な友人だと思うようになっていた。
 だから。
 そんな友達のフォローをしている自分を、少しだけ誇らしく感じていたのだった。
176第三楽章/グラーヴェ 5/9:2008/04/04(金) 00:58:38 ID:tD7TO6+y
 ――パティはいつもと変わらないふりをした。
 自分は道化だと、常々そう思っていた。
 空気の読めない発言をして場をかきまわし、明るい口調で賑やかに騒ぎ立て、ちょっとしたことで
はしゃぎ回る。
 金髪碧眼で異文化の視点を持ったパティは、たしかに中世の宮廷道化師のように場をかき回す
トリックスターなのだった。
 パティはそんな自分の役割をわかっていたから。
 日常が、そこにあるように。みなみがいつでも戻ってこられる日常を壊さないように。
 いつもと変わらないふりをした。
 ――パティは、みなみのスレンダーな身体が好きだった。
 自分のどこもかしこもぶくぶくと膨らんだ身体に比べて、清潔感に溢れて怜悧な印象を与える
みなみの身体に、美しさを感じていた。
 パティが子供のころから目を輝かせて見続けてきたジャパニメーションのキャラクターは、
そんなスマートなフォルムを持っていたから。
 自己紹介で初めてみたときから、パティの中でみなみは、ジャパニメーションが体現するような、
“きらきらとした素敵な何か”のイメージと結びついていたのだ。
 そう、パティにとってみなみはいつだってミステリアスでエキゾチックでエキサイティングで、
そうして日本にきて初めてできた、大事な友達の一人なのだ。
 それでも、生まれ育った言語環境は大きくて。日本語がネイティブでないパティにとって、
みなみを慰めたり元気づけたり、あるいは相談にのったりすることは難しかった。
 だから、パティはせめて自分ができることをした。
 いつもと変わらないふりをして、元気にはしゃぎ回ってみせたのだ。

 ――そんなそれぞれの想いを飲み込んで、時の歯車は回っていく。
 身を削りながら弾く、みなみのピアノの調べに乗せて、演奏は続いていく。
 それはまるで、みなみをソリストに擁したオーケストラが奏でる協奏曲のように。みなみを中心として、
各々が各々の楽器を弾く、協奏曲のように。
 無音のオーケストラの奏でる協奏曲が、続いていく。
 ――そのオーケストラの中、不協和音を放ち続けるソリストを常に見守る存在がいた。
 喩えるなら、それは演奏をとりまとめるコンサートミストレス。
 ソリストと指揮者に並んで重要な位置にいるその者は、いうまでもなく――小早川ゆたかだった。 


§9

 はぁ、と深くため息をついた。
 今日何度目のため息かもわからなかった。
 どうすればいいのかな、と思う。
 自分になにができるのかな、と思う。
 そう思って、でも自分にできることがなにも思いつかなくて、ゆたかはまたため息をつく。
 そんなことを、みなみが沈み始めた数週間前から、ずっと繰りかえしている。
 そもそも何かしようにも、みなみが陥っている状態のことが、ゆたかにはよくわからなかった。
あれほどの努力と精力をかけて何かを成し遂げようとした経験が、ゆたかにはない。そうしようと
思っても、身体が云うことを利かなかった。何かを成そうとする度に、ゆたかの身体はゆたかを
裏切って壊れるのた。
 そんなことを繰りかえすうち、ゆたかの心の奥底にはいつしか荒野ができていた。
 諦観という名の、荒野が。
 まるで正反対だと、ゆたかは思う。
 みなみと自分は正反対だと、いつも思う。
 クールで無感動にみえるみなみの心の中に、暖かくて豊かな感情が渦巻いている。子供みたいに
幼い外見の自分の中に、乾ききった荒野が広がっている。
177第三楽章/グラーヴェ 6/9:2008/04/04(金) 00:59:00 ID:tD7TO6+y
 ――だから、みなみに惹かれた。
 ――だから、みなみが好きになった。
 ――だから、今のみなみの思いはわからない。
「……みなみちゃん……」
 その名を口にするだけで、目尻に涙が滲む。
 誰も見ていない自室であるのに、その涙をこぼしてしまっては何かに負ける気がして、
ごしごしと涙を拭った。そのまま机の上で組んだ腕の中に顔を埋めて、しばらくまどろんだ。
 思い浮かぶのは、みなみの顔ばかりで。
 照れた顔、微笑んだ顔、怒った顔、真面目な顔、自分が体調を崩したときの、心配そうな顔。
そして最近の、張り詰めて今にも切れそうな、青ざめた顔。
 拒絶されたわけじゃない。
 冷たくされたわけじゃない。
 そうだったなら、まだ何かできることもあったろうけれど。
 近づこうとしても、助けようとしても、「ごめんなさい」と泣きそうな顔で謝られてしまっては、
一体どうすればよかったのだろう。
 だからゆたかは、ただ見ていた。
 大好きな人が一人で傷ついていくのを、ただ見ていた。
 できるだけ、そばにいて。
 できるだけ一緒にいて。
 話しかけようともせず、助けようともせず、わかろうともせず、ただそこにいた。
 そこで、みなみが壊れていくのを、ただ見ていた。
 メイクなどしていなかったみなみの肌に、ファンデーションが塗られていることに気づいたのは
いつからだったか。
 決して居眠りなどしたことがなかったみなみが、授業中ふらふらと船をこぎ出すようになったのは
いつからだったか。
 いつしか音楽室でお昼ご飯を食べるようになったみなみが、精一杯の笑みを浮かべて、でも
ゆたかにだけわかる辛そうな表情を浮かべながら、ゆたかが作ったお弁当をお茶で流し込むように
なったのは、いつからだったか。
 “ゆたか”と、少しだけ低い、けれど深く響く声で名前を呼んでくれなくなったのは、いつからだったか。
 それはわからない。
 それはわからないけれど。
 きっとそんな日々も、もうすぐ終わるのだ。
 みなみからもらった招待状。一年D組の三人に届いた招待状に書かれた演奏会の日付は、今週末。
わずか二日後に迫っていた。
 良きにしろ悪しきにしろ、その日がくれば何かが終わるのだろう。そう思った。
 だからゆたかは、考える。
 どうすればいいのかな、と。
 自分になにができるのかな、と。
 良い方の結末を迎えるためには、自分はどうすればいいのかと。
 でも、なにも思いつかなくて。
 ゆたかは深いため息をつくのだった。
178第三楽章/グラーヴェ 7/9:2008/04/04(金) 00:59:58 ID:tD7TO6+y
 ――とりあえず、今できることをしよう。
 そう思って、ゆたかは立ち上がった。
 そろそろ解凍していたクリームチーズが室温に戻ったころだった。 思い出すのは少し前のこと。
まだみなみがこんな状態になる前のこと。みんなで行ったケーキバイキングで、みなみはチーズケーキ
ばかり三つもお皿に載せて持ってきた。それがなんだか子供っぽくて、ゆたかは不思議と嬉しく
なってしまったのだ。珍しくひよりにからかわれて、顔を赤らめていたみなみが可愛かったことを
覚えている。
 その後、プリンばかり大量にもってきたパティが落ちをつけてしまったのだけれど。
 とにかく、ゆたかの中でみなみと云えばチーズケーキであり、チーズケーキといえば幸せの記憶
なのだった。
 だからゆたかはチーズケーキを作ろうと思った。
 そんなもので何かがよくなるとは、まるで思えなかったけれど。
 受験で忙しいだろうに悪いかな、と思いながらもつかさにレシピまで聞いて。
 ゆたかは、チーズケーキを作ろうと思ったのだ。

 ふと。
 歩きだそうとして、足が少しふらつくことに気がついた。
 ――大丈夫……かな。
 わき上がってきた厭な予感を振り払って、ゆたかは台所に向かったのだった。


§10

 指が、動く。
 まるで両腕の先に別の脳があって、そこから指令を発しているかのように。まるで意識せずとも
指が動く。自動的に次の音符を探しだし、その音をたぐり寄せるために、押すべき鍵を押していく。
 たゆまぬ反復練習が、みなみの指先にその楽譜を覚えさせていた。
 完璧に構築された音楽的迷路を、軽々と飛び越えて叫ぶ。
 緊張感を孕んだ第一楽章を。
 たおやかに流れる第二楽章を。
 激情に溢れた第三楽章を。
 みなみの指先が、駆けていく。
 ――突破口を、見いだしていた。
 少なくともその糸口になりえるものを、みなみは掴んでいた。
 これだけ自分を追い込んで、これだけ身体をいじめ抜いて、なおみなみの胸に灯るその感情。
 極寒の荒野に身を横たえてなお、その身体を動かす微かな熱量。
 ――ピアノを弾くということ。
 ――ピアノを弾きたいということ。
 ――どうしても、ピアノを弾くのだということ。
 それこそは熱情と呼ぶべき感情だろうと、みなみは思う。
 それはあの日聴いたかおるの演奏とはどこか違っていたけれど。あの今にも胸をかきむしって
叫び出しそうな激情とは、少し違うけれど。
 でも、この世界を打ち壊そうと思うほどの感情は。
 辛いことも悲しいことも全てピアノの音に換えて、あらゆることを表現しようと思うこの強い感情は。
 熱情以外の何物でもないと、みなみは思った。
 ほら、その証拠に、私はこんなに弾けている。
 第三楽章に入り、和音の連打を叫んでも。
 コーダに入り、圧倒的なプレストに浸っても。
 失速することなく弾き続けることができていた。
 ――大丈夫。いける。
 あとは曲想にそってこの感情を篭めていくだけ。
 タンッ、と最後の一音まで鳴らしきり、溜めていた息を大きく吐きだした。
 ピアノ部屋に、まだ熱情の余熱が残っているように思えた。
 何度弾いても、弾き終えたときのこの胸の高鳴りを抑えることはできない。どきどきと弾む
胸をもてあましながら、みなみは背もたれにもたれかかった。ギッと、椅子が軋む音がする。
 汗で張り付いた髪をかきわけて、思う。
179第三楽章/グラーヴェ 8/9:2008/04/04(金) 01:00:19 ID:tD7TO6+y
 ――もう少しだよ、ゆたか。
 演奏会まであと二日。
 これを弾ききって、先生の新しい門出を見送って。
 そうしたら自分は、また以前のように笑える気がする。ゆたかのためだけじゃない、自分だけの
歌を歌えるようになると思う。ただゆたかに依存して、ゆたかに慰めてもらって、それで安心するだけの
毎日じゃなくて。自分の感情を、ちゃんと言葉にして云えるように。口ごもらないで、はっきりと言葉に
出せるように。
 そうして、ゆたかの隣を一緒に歩くのだ。
 みなみがそう思ったとき、書き物机においてあった携帯がカタカタと振動を始めた。丁度一曲
弾き終わり、切りが良いところだった。ピアノの蓋をおろして、携帯を取りに立ち上がる。そして
画面を見たみなみの顔がほころんだ。メールの送信者は今まさに考えていたその相手、
ゆたかなのだった。
『調子はどう? これからそっち行っていいかな? あ、もちろんお邪魔じゃなかったらだけど』
 そんな、用件だけのシンプルなメール。
 すぐに肯定の返事を返して、丁度いいから一息いれようとキッチンに向かう。
 指が疲れていて、ポットを持ち上げるのもだるかった。なんとかお湯にかけてから紅茶の缶を
開けたとき、再び携帯が振動を始め、ゆたかからの返信を伝えてきた。
『よかった♪ ケーキ焼いたからもってくね!』
 みなみは、演奏の余韻とは別の理由で、胸が温かくなるのを感じていた。
 思えばずっと心配をかけてきたと思う。
 出来る限りの説明はしたし、きっとわかってくれていると思っている。それでも理屈は理解していても
感情を抑えられるとは限らない。はたして、一緒にいて楽しくない友達のことをずっと大事に思えるもの
だろうか。それはゆたかだけじゃなくて、一年D組の他の友達、パティやひよりにしてもそうだ。
 嫌われていても仕方ないかな、とみなみは思う。
 でも最近の様子を考えるに、そんな印象は見受けられなかった。いくらピアノのことばかり考えていたと
云っても、周りのことも多少は見えていた。ひよりの気遣いも、パティの明るさも、みなみはわかっていた。
ゆたかは週末になるとよく岩崎家に遊びにきていたし、みゆきも顔を出すことが多かった。それも、
ごく自然な様子で。ちょっと顔をみにきた、みたいな様子で見守ってくれていたのだ。
 自分は、とてもいい友達をもっているんだな。
 改めてそう思ったみなみは、少しだけ涙ぐんでしまった。
 ――がんばろう。
 袖で目尻を拭って、みなみはそんな風に思いを新たにしたのだった。
180第三楽章/グラーヴェ 9/9:2008/04/04(金) 01:00:42 ID:tD7TO6+y
 ――それにしても、ゆたか、遅いな。
 ピアノを弾きながらみなみは思う。第二楽章の中盤、展開していく主題の変奏に若干の違和感を
感じていて、そこの修正に手間取っていた。
 つい熱が入ってしまって、気がつけば二時間ほど経過していた。
 ふと時計を見上げたとき、みなみはその時間の進みの速さに驚いて、それと同時に怪訝に思ったのだ。
 ――ゆたか、どうしたんだろう。
 倖手から田園調府までは確かに距離があるけれど、三時間も四時間もかかるほどではない。
これから行く、と云っていたし、ケーキを焼いたとのことだから、そんなに長いこと間をおきたくないだろう。
 なんだか、厭な胸騒ぎがした。
 ――まさか……。ううん、そんなこと……。
 ぶんぶんと頭を振って、そんな思いを振り払う。
 中断していたところを仕上げるため、再び鍵盤に指を置いて続きを弾きだした。
 そうして興に乗り出したころのことだった。

 バタンッとドアを開けて。
 みなみの母が息せき切ってピアノ部屋に駆け込んでくる。

 みなみがピアノを弾いているときに、こんな風に母が邪魔することなどあり得ない。

 そうして目を丸くしてみつめるみなみに、母は云った。

「みなみ! ゆたかちゃんが、駅のホームから落ちて――で、電車が」

 この人は、何を云っているのだろう。 
 母をみつめながらそう思って。
 次に奏でるべき音をだすため、みなみの指が自動的に鍵盤を押し込んだそのときに。

 バツン。

 と雷鳴のような音を発して弦が切れた。
 
(つづく)
18116-187 ◆Del8eQRZLk :2008/04/04(金) 01:01:41 ID:tD7TO6+y
以上です。一文字目ダーシは蹴られるのですね。

それにしても23-49様もおっしゃってましたけど、名無しのみなみ母は
本当どうにかして欲しいものですね。適当につけてもいいのですけど、
あとで判明したときに涙目ですし……。

それではありがとうございました。
182名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 01:12:01 ID:6Q6lfRnK
>>181
GJ!
続きが気になるっす!
183名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 01:47:23 ID:A6+vAbdX
>>181
あぁもう何でゆーちゃんはこんなにも心配かけちゃうんだろうか…
思わずしゃんとせい!と叫びたくなりますねw

それにしてもとんでもなくGJです
キャラの持っている特徴や性格をしっかりと理解しているからこそ、一人一人の細かく綺麗な描写が可能になるのでしょうね
もちろん表現力の豊かさも必要なのでしょうが
こんな方に動かしてもらえるキャラ達は幸せですね

次回作も非常に楽しみにしております。改めてGJでした
184名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 02:20:34 ID:WAdFofns
>>181
あぁもう!GJなSS一気に全部読みたくてうんこ我慢したら少し漏れたじゃないか!
185名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 07:11:36 ID:A8VQKJ9v
>181
乙なのです。
ゆーちゃんが…… 気になる展開ですね。
ちょっと気になった点は、誤字が目立ったことです。
この点については、推敲を重ねれば解消できると思います。
続きをとても楽しみにしております。


186名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 07:13:53 ID:LnrxT9wV
>>181
ゆっ、ゆーちゃぁぁぁぁぁんっ!?


>>18.3さんに同じく、1年生ズとみゆきさん、各人各様に性格を捉えた描写に頭が下がりました。
ゆーちゃんの病弱設定をこうも効果的に使ってくるとは。
そしてかおる先生の気遣いに涙。俺的にかおる師匠とお呼びしたい。
187名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 08:09:00 ID:tD7TO6+y
>>185
あ、ええとすいません、どのあたりでしょう?
188名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 09:46:18 ID:AlEbTy3T
「あれ?」
 買い物のために向かった本屋で彼女を見つけたのは本当に偶然だった。
 ――日下部みさおの女房役の峰岸あやのだ。もっとも、その隣には見慣れない男性の姿。
 優しげに微笑んでいる男性と、同じく微笑んでいるあやのを見てようやく等式が成り立った。
 ああ、彼が噂の恋人さんか。と。
 微笑ましいと思いながらも、その密着具合にどうしても目が行ってしまう。
(い、いかんいかん……人のプライベートを覗き見るなんて……あっ!? こ、ここ、腰に手を!?)
 二人が見ているのは何やら旅行の雑誌である事はそのコーナーですぐにわかった。
 今度の休みに行くのだろうか?
 最早知的好奇心を抑えきれなくなったかがみは音も無くそばに近寄る。
 その後、耳をダンボのようにそばだたせて会話の内容を聞き取ろうと試みた。
「あ、見て見て。この旅館の露天風呂、素敵じゃない?」
「……温泉かぁ。混浴ないかね?」
 あやのの耳元で彼が囁く。その一言も決して聞き逃さないかがみんイヤーは地獄耳なのだ。
 真っ赤になりながらあやのが雑誌の一部を指差す。
「も、もぅ……ほ、ほら、こっちの旅館は?」
「ぇー。混浴いいじゃん混浴。俺、あやのといっしょに入りたいし」
 こうしてブー垂れるあたり、みさおとそっくりだ。とかがみは思った。
 と、いうより彼の背中にチャックがあって、そこを開けると中からみさおが出てくるんじゃないか? と錯覚するほどだ。
「……だ、駄目よ……そんなの」
 もじもじしながら長い髪の先をいぢるあやの。
 ――同姓から見ても可愛らしいと思えてしまう。なんか卑怯だ。
「むぅ。あやのは俺と入りたくないのか?」
「……そん、な事、ないけど……」
 彼がニッコリ笑う。
「……じゃ、決まりだな? ココ。ココの混浴付き旅館で決定」
 仕方ないなぁ。というようにあやのが微笑んだ。
「……うひひ、月に照らし出されて浮かび上がるあやのの柔肌〜♪」
 最後の一言が余計だったのだろう。
 ぽかぽかとあやのに叩かれながら二人は雑誌を手にレジへと消えていった。

「……相変わらずのバカップルっぷりだろ? ひぃらぎ」
「うぐわっ!? ……なんだ、日下部か。……ちょっと待て。お前、いつから居た?」
 少しだけゲンナリした顔の日下部みさおの接近に気づかなかったかがみの心臓がはねる。
「ひぃらぎがココ来た時からいたぜ?」
「な、それなら声かけなさいよ」
「しょーがねえぢゃん。ここで声かけたらバレちゃうだろ?」
 たしかにみさおの言う事は一理ある。
 まあ、今はそんな事はどうでもいい。
 今第一に語るべきは――
「……峰岸は一歩先にオトナになったんだなー……」
 何か言葉には出来ない妙な虚無感。
 大人の快感のーぼるー。彼女もまだ、シンデレラか?
「……最近ぢゃあ、ウチに来る度にアレだもんなぁ……」
「え゛……?」
 むいっと唇を突き出し、みさおが突然グチりはじめた。
「……そりゃ、アタシも気を利かせて家出たりはするぢゃん? んで、ビックリさせようと思って玄関からじゃなくて自分の部屋の窓から家入ったらさぁ」
 みさおの顔がひょっと近づいてくる。
「隣のアニキの部屋からギシギシー、あんあんー。だぜ? やぁ、もっと欲しいの、とかもうお前ら馬鹿かと」
 ……あ、そうか。その時かがみはある事に気が付いた。
「アタマきたからアニキの部屋の戸ノックしたらさ、どたどたーって音がして、返事の後部屋入ったらさぁ……イカ臭いんだもん。参るよなぁ」
「……で、日下部は大好きな峰岸とお兄ちゃんが離れて行っちゃうような気がして寂しくなった、と?」
「ヴァ!? ち、違うってヴぁ! さ、寂しいとか、そんなんぢゃねーってヴぁ!」
 真っ赤になって否定するみさおを見て、あ、コイツ結構かわいいかも。
 なんて思うかがみであった。
189名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 10:11:06 ID:sGu8uyiu
>>188
それを後ろから見ている影が…


 )
|ω=.)じーーーー
190名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 10:17:34 ID:Pc2iAt88
>>188
>かがみんイヤーは地獄耳なのだ。
それなんてスーパーメイド?
191名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 10:21:45 ID:AlEbTy3T
>>189
 そしてそれを更に見つめる影が

>>190
 立てかけのビルの鉄骨に腰掛けるかがみん。
 裏切り者と蔑まれても愛のためにかつての仲間と戦うかがみん。
「ぎょぴーーーーん!」
 の掛け声と共にビキニ姿になって戦うかがみん。
   ほうえ
192名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 14:33:40 ID:y2AePzl4
>>188
いやーGJですー


……その夜

ギシギシーあんあんー
隣の部屋から聞こえる怪しげな声。
「(え? つ、つかさ?)」
昼間に日下部の話を聞いて、ああ兄妹ってのも大変なんだなー、なんてまるで他人事だったのに
まさかつかさが……。てか、いつの間に……?
よく分からない冷や汗が流れる。でも確認しなければいけない、と思う。
かがみは立ち上がり隣の部屋を目指した。やけに緊張するのは何故だろうか。
「(そ、素数を数えて落ち着かなきゃ……)」

ガチャ つk、ってあれ? 何故こなたがいる?
「いやーかがみんをストーキングしてたらみさきちの面白い話が聞こえてさー」
ほうほう、それでわざわざこんなあんあん言ってるレコーダーまで準備したのかい?
「そだよー。あ、かがみんつかさに先越されたとか思ってた?」
とニヤニヤこっちを見るこなた。
こいつを見ていると久し振りに殺意が涌いたので、力いっぱい拳骨を喰らわせた。
193名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 19:17:09 ID:j9Z8ts5o
>192
「かがみんや、こういう場合はエッチなオシオキでしょ」
「もう一発、拳骨喰らいたいの?」
194名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 19:33:26 ID:MrcxBUvW
>>181
あんたマジでスゲェよ・・・
氷のようなみなみの心がゆたかの急変でどう変化していくのか楽しみ ! GJ !

>>192
笑ったw
そこまでしてかがみに構ってもらいたがってるこなたに萌えたw
195名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 19:55:20 ID:fYNUZMoE
一番ツンデレなのは、こなたのような気がしてならない。
196名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 20:12:36 ID:1x7gZpcR
ツンデレとゆーか、ボケデレ?
197名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 20:53:14 ID:bKq8Ymns
>>192
俺はこんな続きを妄想した


「ところでこの声ってどうやって録ったの?」
「内緒」

一方そのころ
「つかささん、もっと声を聞かせてください」
「だ、だめだよ、お姉ちゃんたちがいるのに……」
198名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 21:01:06 ID:Eg5HOjy4
>>196
ボケデレって言い得て妙だな
ボケて誤魔化すというか
199名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 22:55:27 ID:yYOs/bbZ
ツンデレとかみたいに色々呼称が出て困るわ
クーデレとか少したつまでわからなかったわ
200名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 00:06:23 ID:eG0en6a/
魂で感じるんだ!
201名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 00:26:49 ID:ys9uyWre
かがみは「デレ」じゃなく「照れ」が可愛いんだ。ツン照れ(´・ω・)
202名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 00:27:13 ID:ys9uyWre
ageちゃったゴメン
203名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 01:54:14 ID:HeSzCOq2
こなたは、かがみん以上のツンデレっていうか、動揺しているのを悟られないようにしている
204名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 01:56:12 ID:sGCBP3am
新ジャンル「こなデレ」
205名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 02:40:55 ID:hrcJhacB
>>204
(やっぱかがみんのデレの時の顔見ないと一日は終われないネ)
「おーいかがみ様ー」
「あんた、いい加減そのかがみ様っての止めなさいよ!」
「だってかがみんが呼べって言ったんじゃん」
「それは確かにそうだけどさ……」

(まずはいい具合に先制パンチ決まったぁ! こっからどんどん崩しにいくヨ)
「でさー、帰りにゲマズ寄らない?」
「うーん、今日は用事あるからなぁ……」
「ついにかがみんにも男が」
「何であんたはいつもその話に持って行こうとすんだ!」

(よしっ、ツンきた! もう一押しもう一押し……)
「行こうよー、かがみん行こうよー……」
「うるさい! 一々駄々こねんな!」
「……かがみんの意地悪」
「なっ……」

(ココで必殺ッ!)
「ねぇかがみ、行こっ……?(上目遣い+ウルウルした目で)」
「!! わ、分かったわよ! 一緒に行けばいいんでしょ!」

(ぁぁっ! ……ヤバイ、また心臓射抜かれた……)
(……どうしよう、ドキドキが止まんないよっ! でもちゃんとフォロー入れとかないと……)
「いつ見てもデレは良いもんですな〜」
「う、うっさいわね!」

あれ?なんか違う気がする…
206名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 02:59:44 ID:hrcJhacB
まぁもののついでに
かがみのデレにデレるこなたを見てデレるかがみver.

(やっぱデレるこなたを見ないと一日は終われないわね)
「おーいかがみ様ー」
「あんた、いい加減そのかがみ様っての止めなさいよ!」
「だってかがみんが呼べって言ったんじゃん」
「それは確かにそうだけどさ……」

(やっぱりこなただって私のデレを見たいんじゃない)
「でさー、帰りにゲマズ寄らない?」
「うーん、今日は用事あるからなぁ……」
「ついにかがみんにも男が」
「何であんたはいつもその話に持って行こうとすんだ!」

(もちろん用事なんてないわよ。ただこなたのデレを見たいが為の嘘)
「行こうよー、かがみん行こうよー……」
「うるさい! 一々駄々こねんな!」
「……かがみんの意地悪」
「なっ……」

(そろそろ来るわね……身構えとかないと大変なことになりそうだし……)
「ねぇかがみ、行こっ……?(上目遣い+ウルウルした目で)」
「!! わ、分かったわよ! 一緒に行けばいいんでしょ!」

(ぁぁっ! ……ヤバイ、きたっ! 何回見ても……うぅっ)
(……あ、こなたの奴焦ってるわ……その顔もまた良いわぁ……)
「いつ見てもデレは良いもんですな〜」
「う、うっさいわね!」


「なぁあやの〜、あいつらいっつも何やってんだ?」
「う〜ん、分かんない」

何か色々訳わかんなくしてスマン
207名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 03:00:49 ID:sGCBP3am
なんかもう無限ループだな

そして萌えの循環ができてるな
208名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 03:06:47 ID:siCuQGVN
ある種のリサイクルかもしれんね
209名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 03:57:10 ID:eG0en6a/
循環してうるちに相乗効果で二人のテンションがけしからん方向にグレードうpしていくわけですね!
210名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 04:25:18 ID:sGCBP3am
そして相乗効果で高まった萌えエネルギーでエネルギー問題解決…

すまん自分で何言ってるかわからなくなってきた
211名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 08:54:26 ID:Kti6bp6f
>>210
後の萌力発電である。
212名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 09:26:18 ID:astX1fXH
>>210
「人は誰にも右脇腹に浪漫回路を持っている物なのだよかがみん」
「分かりづらいネタを出すな!」
213名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 09:43:28 ID:I9EW8doV
>209
実際二人が一線を越えるとしたらそんな感じかもしれないな
214名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 13:38:04 ID:KCquUyAE
>>212
つまりこういうことか

----------------------------------

「おー、柊もしかしてまたダイエットかー?」
ムニュ
「ひ!ひやあああ!」
バシーン
「あqwせdrftgyふじこlp(あやのにすがる)」
「ご…ごめん、つい」



「どれどれどのくらい育ったのかな?」
ムニュ
「や……やると……思ったけどね……」
「かがみー、顔真っ赤だよー(=ω=.)」
「う……うるさいっ!」

----------------------------------
「浪漫回路は容易に他者が触れてはならぬもの
触れるべき人が触れて始めて浪漫をもたらすもの(=ω=.)」
21523-251 ◆5xcwYYpqtk :2008/04/05(土) 16:39:53 ID:qwAfDM+8
準備をされている方がいなければ投下いたします。

「危険な関係 第10話」
こなた×ゆたか (かがみ、つかさ、みゆき)

※注意事項 (※甘い要素は全くありません)

 ・続きもの
 ・エロあり
 ・ダーク&シリアス
 ・ゆーちゃん注意
216危険な関係 第10話 1/9:2008/04/05(土) 16:42:46 ID:qwAfDM+8
10.

 12月に入って最初の金曜日の午後、ドアを開けようとした時に、教室の中からかがみの声が聞こえてきた。
「…… ゆたかちゃん」
 彼女が口にした名前に、猛烈に嫌な胸騒ぎを覚える。
 私は扉を開けるのをやめて、廊下と教室を分かつ窓ガラスの傍にひっついて聞き耳をたてる。
「でも、お姉ちゃん」
 つかさの不安そうな声が聞こえてくる。
「つかさ、アンタだって分かっているでしょ! 」
 かがみの声は、焦燥にかられている。
「こなたが離れていったのはね。全てゆたかちゃんが元凶なの! 」
(嘘…… )
 ゆーちゃんへの激しい非難に、私の心臓が凍りついた。

「ゆたかちゃんはね。旅行から戻ってきてから、ずっとこなたにくっついているの。
あれから、こなたと一緒に昼ごはんも食べられないのよっ」

(かがみ…… やめてよ)
 氷のような言葉の刃によって、心に無数の傷をつけられる。
「確かに、泉さんと小早川さんが一緒にいることは、周囲の人達に良い影響を与えているとはいえませんね」
(みゆきさんまで何を言うの? )
 私は、ひどく狼狽してしまった。
 天使のように優しいみゆきさんは、他人を責めるようなコトは滅多に言わないから、ショックは余計に大きい。

「どういうこと? ゆきちゃん」
「実は、一昨日から、みなみさんが学校に来ていないのです」
(みなみちゃんが…… 欠席? )
 冷や汗が背中を流れ落ちる。
 嫉妬にかられて、みなみちゃんを責めまくった記憶が蘇ってくる。
「どうして? 」
「私、気になりまして、昨日、みなみさんの家に伺ったのですが…… 」
 みゆきさんは声を潜めてしまったから、この位置からは、はっきりとは聞き取れない。
「ええっ! 」
 暫く沈黙が続いてから、かがみとつかさの驚いた声があがった。
 みなみちゃんの欠席は、やはり、火曜日の屋上での出来事が原因だった。
217危険な関係 第10話 2/9:2008/04/05(土) 16:43:19 ID:qwAfDM+8
「ゆたかちゃん。なんてことするのよ! 」
「えっ、おねえちゃん。こなちゃんだって…… 」
 みゆきさんは、決して、ゆーちゃんだけを責めていた訳ではなかった。しかし――
「こなたは、ゆたかちゃんに強制されてそんなことをしたのよ」

「で、でも…… 」
「何よ。こなたが、好んでみなみちゃんに酷いことをしたとでもいうの? 」
「う、ううん。こなちゃんは、そんな事する人じゃないよ…… 」
 完全な買いかぶりである。私は、酷いコトしかできない奴なのだ。
「でしょ。だったら、ゆたかちゃんしかいないじゃない」

 かがみの頑固な思い込みに、頭が痛くなってくるが、今はどうすることもできない。
「こなたは優しいから、ゆたかちゃんに引きずられてしまったのに違いないわ」
 どういう思考を辿ると、こんなトンデモない結論になってしまうのか、さっぱり分からない。
 みなみちゃんの件で責められるべきなのは、ゆーちゃんではなくて私なんだ。

「それにしても…… これからどうすればいいのでしょう」
 みゆきさんは、ため息交じりの声を出した。
 暫く、沈黙が続いた後…… 口を開いたのはかがみだった。
「もう、普通の手段じゃ駄目だと思う」
 かがみが、みゆきとつかさに話した内容は、背筋が震える程に恐ろしい事だった。
218危険な関係 第10話 3/9:2008/04/05(土) 16:43:59 ID:qwAfDM+8
 私は、教室の手前でUターンした後、ふらふらと歩いていた。
 全部、私が悪いんだ――
 僅か一週間で崩壊した人間関係に暗澹となってしまう。
 私は3年近くをかけても、砂上の楼閣のような、上辺だけの関係しか築くことができていなかった。
 そればかりか、私の存在自体が明らかに周囲の人間にとって不幸をもたらしている。
 少なくとも、私がいない方が、かがみも、ゆーちゃんも、みなみちゃんも幸せになれたに違いない。

 螺旋状のマイナス思考に嵌りながら、とぼとぼと歩いていくと、前方から、
とても大切にしようとして、結局、道を誤らせてしまった少女が駆け寄ってくる。
「こなたお姉ちゃん! 」

「あっ、ゆーちゃん」
(あれっ、おかしいな? )
 私の身体に浮遊感が生まれている。
 視界が不自然にゆらいで、少しずつ周囲が暗くなっていく。
「お姉ちゃん? 」
 私の異変に気づいたゆーちゃんが、飛び込むように走ってきて、崩れかかった
身体を抱きとめてくれた。

「泉さん。大丈夫ですか? 」
 瞼を開くと、養護教諭である、天原ふゆき先生が穏やかな顔で私を見つめている。
「お姉ちゃん。起きた? 」
 先生の横から、ゆーちゃんも顔をのぞかせた。
「少し過労のようですね」
 天原先生は、コップに水を汲んできて、錠剤と一緒に渡してくれる。

「ありがとうございます」
 口の中に、水と錠剤を放り込んで深いため息をついた。
「私は、今から席を外しますが、帰る時は、エアコンと電気を消しておいてくださいね」
「は、はい」
 ゆーちゃんが返事をすると、白衣姿の天原先生は霞むような微笑を残して去っていった。
219危険な関係 第10話 4/9:2008/04/05(土) 16:44:32 ID:qwAfDM+8
「お姉ちゃん。どうしたの? 」
 二人きりになってから、ゆーちゃんは尋ねてきた。
「え、えっと」
 教室でのかがみ達の会話が脳裏に蘇る。
 かがみの強烈なゆーちゃんへの非難が、私の内宇宙をぐちゃぐちゃにかき回す。
「あ…… 私…… 」
 首を何度も振って、這い上がる悪寒から逃れようとするけど、暗い感情は悪意のある蔦のように、
私を絡め取って離してくれない。

「ごめんなさい、ごめんなさい、だからっ、もうやめてっ! 」
「こなたお姉ちゃん! 」
 ひどく混乱した私に対して、ゆーちゃんは瞳をまっすぐと見つめて言った。
「お姉ちゃん、私がいるから。だから絶対に大丈夫だから! 」
 ゆーちゃんは、恐怖に慄いて震えている私を、しっかりと抱きしめた。
 彼女の華奢な身体から伝わる仄かな温もりだけが、地獄で苦しむ私にとっての蜘蛛の糸であり、 
唯一の救いだった。

「こなたおねえちゃん。もう苦しまないで」
 身体の震えがとまっても、ゆーちゃんは抱きしめ続けてくれていた。
「ありがとう。ゆーちゃん」
 私は、微かに表情を緩めて彼女を見上げた。
「あの、お姉ちゃん…… 話してくれるかな。とってもイヤなことだと思うけど」
「そだね」
 私は小さく頷くと、教室で聞いてしまった、かがみ達の会話の全てをゆーちゃんに伝えた。
220危険な関係 第10話 5/9:2008/04/05(土) 16:44:59 ID:qwAfDM+8
「悪いのは全部私だから、ゆーちゃんは気にしなくていいんだよ」
 コップに残った水を飲み干しながら、私は静かに言った。
「ううん。お姉ちゃん」
 しかし、ゆーちゃんは首を振った。
「お姉ちゃんは悪くなんかないよ」
「ゆーちゃんはとても優しいね。でもね…… みなみちゃんを傷つけたのは、やっぱり、私のせいなんだ」

「そんなことないよ! 」
 ゆーちゃんの激しい口調にどきりとする。
「みなみちゃんの想いの強さに気がつかなかった私がいけないんだよ。
だから、お願いだから、こなたお姉ちゃん。自分を責めないで! 」
 ゆーちゃんが瞼に涙をためながら、必死に訴えかけてくる。
「ごめんね。心配かけて…… 」
 私はゆーちゃんの髪を撫でながら謝った。

「みなみちゃんの件は、なんとかするから心配しないで。それと…… 」
 ゆーちゃんは私の背中に手を回しながら、言葉を続ける。
「かがみ先輩の話だけど、私に考えがあるの」
「何、かな? 」
 ゆーちゃんは、ゆっくりと話し始めた。

「そ…… それは」
 あまりにも衝撃的な提案に、私は呆然となる。
「だめ、かな? 」
 ゆーちゃんが上目遣いで私を見上げている。
 上目遣いは萌えるシチュのはずだけど、今回ばかりは余裕がない。
「だ、だけど…… 」
「お姉ちゃんは深く悩む必要は無いの。罪があるとしたら、全て私が引き受けるから」
 ゆーちゃんは全ての責任をとると断言した。そして、何も答えられないでいる私の唇を塞いだ。
221危険な関係 第10話 6/9:2008/04/05(土) 16:45:32 ID:qwAfDM+8
「ん…… んむぅ」
 最初から、舌を絡ませるディープなキスに、頭がくらくらとなる。
「んくぅ、くちゅ、んっ」
 小さな喘ぎをもらしながら、ゆーちゃんは覆いかぶさるようにして、私を押し倒してしまう。
「ん…… んふぅ、んあっ、くうん」
 ゆーちゃんが、早くもスカートの中に手をもぐりこませてくる。
「だ、だめっ、そこはっ…… んんくっ」

 ここは保健室だ。
 いつ、天原先生や他の生徒が来るのか分からない。
 私は、下着をいじりはじめたゆーちゃんを押し返そうとするけれど、濃厚な口付けで頭が
くらくらしてしまい、どうにも力を入れることができない。

「んはっ、だめっ…… んはぁ」
 ようやく唇が離れて、私は大きく息を吐き出した。
「ゆーちゃん。駄目だよ。ホントに見つかっちゃうよ」
 私の下着をまさぐっているゆーちゃんに言うけど、彼女は小さく微笑んだまま、
「大丈夫だよ。こなたお姉ちゃん」
と、取り合ってくれない。

 逆に、スリルを楽しむような表情を浮かべながら、私の制服をゆっくりと脱がしていく。
「こなたお姉ちゃんの方が胸、ちょっと大きいんだ」
 ゆーちゃんの言葉にゾクゾクしてしまう。
 私は、少なくともゆーちゃんに対してはエムなのかもしれない。
 制服がはしたなくはだけて、飾り気の無いブラが露になった私を、ゆーちゃんは愉しげに見つめている。
222危険な関係 第10話 7/9:2008/04/05(土) 16:46:04 ID:qwAfDM+8
「そ、そんなに見ないでよ」
 私は、リズミカルな秘所への愛撫に、吐息まじりの嬌声をあげながら、ゆーちゃんから視線を逸らした。
「恥ずかしがっている、こなたお姉ちゃんって、とても可愛いな」
 しかし、ゆーちゃんは悪戯そうに笑うと、私のブラのホックを外してしまう。

 小さな膨らみと、その上に載っている桜色をしった突起が外気に晒される。
 同時に、大切な場所から粘性のある液体が溢れて、太ももをぎゅっと閉じてしまう。
「お姉ちゃんは、見られる方が感じちゃうんだね」
 ゆーちゃんは、太腿に挟まれた手をもぞもぞと動かしながら、私の耳元に息を吹きかける。

「ひゃう。だ、だから、ゆーちゃん。もっと…… もっと気持ち良くして」
「クスッ、いいよ。こなたお姉ちゃん」
 笑顔で頷いてから、ゆーちゃんは、乳首を吸い始める。
 じんわりとした刺激が伝わると同時に、既にぐっしょりと濡れている下着がずり下ろされてしまう。
「ゆーちゃん。そ、それはまずいよっ」
 頬を紅く染めながら、下ろされたショーツを元に戻そうとするけれど、手が届かない。
「お姉ちゃん。もう少しじっとしていてね。今―― イカせてあげるから」
 ゆーちゃんの指先の動きが次第に速くなった。

「は、はうぅ、だめ、だめだよ、ゆーちゃん」
 割れ目のあたりが焼けるように熱い。
 激しい愛撫から逃れようと、身体を何度も捻るけれども、ゆーちゃんの魔手からは、
決して逃れることはできない。
「んんっ、んくぅ、はっ、はあっ、んはっ…… ひゃうん」
 リズミカルな嬌声が保健室に響き渡る。
 もし天原先生が来たら、どんな顔をするんだろう。
 慌てて私達を止めにかかるだろうか? それとも、顔を赤らめながらも、
従姉妹同士の淫らな行為を見続けるのだろうか?
223危険な関係 第10話 8/9:2008/04/05(土) 16:46:45 ID:qwAfDM+8
「ひゃん! 」
 考え事をしていると、いきなりアソコを思いっきり抓られて、裏返った声をあげた。
 驚いてゆーちゃんを見ると、もともとふっくらとしている頬を、更に膨らませている。
「余所見をしないでね。お姉ちゃん」
 ゆーちゃんはとても鋭い。
「ご、ごめん…… ひゃう」
 嫉妬したゆーちゃんの指先が、私の謝罪の言葉を待たずに再び動き出す。
 リズミカルに動く指によって、私のクリと膣が同時に刺激される。

「ん、んはっ、はあっ、はあ、やだ、きもちいい、気持ちイイよお」
 立て続けに襲いかかる、あまりにも激しい快楽に、私は、場所を忘れてよがりまくってしまう。
「んんっ、も、もう、だめっ、ゆーちゃん、イクっ、イクから」
 疼く身体を何度もよじりながら、私は、何度もはしたない声をあげる。
 ゆーちゃんの愛撫は更に速度を増していく。
「だめ、や、やだあ、はあっ、あっ、んはあ、んんっつ」
 快楽を少しでも引き伸ばそうと、必死に耐えようとするけれども、限界は急速に近づいてくる。

「んはっ、はあっ、も、もう、だめ、あっ、ああっ」
 呼吸が浅く、荒くなり、身体と声が細かく震える。
「んん、んあ、んああああっ、んっ、んく、んっつつ、んあああああ! 」
 私は、ひときわ大きな絶叫を部屋中に放って、絶頂に達した。
224危険な関係 第10話 9/9:2008/04/05(土) 16:47:24 ID:qwAfDM+8
「んはっ、はあっ…… はあっ」
 一方的に、愛撫を加えられてイッてしまった。
 ゆーちゃんとのエッチは、一回毎に荒々しくなっているような気がする。

 私は、荒い息をつきながらも、唇はゆーちゃんを求めて動いて、口付けを交わす。
 舌は中にいれるけれど、相手をゆっくりと堪能するような優しいキスだ。
「ん…… んふぅ…… ん…… 」
 からだの疼きが収まるのを感じてから、ゆーちゃんの唇を離した。
 彼女も疲労したのか、額から玉のような汗を浮かべて、息が荒くなっている。
「こなたお姉ちゃん。絶対に離さないからね」
 ゆーちゃんは私をぎゅっと抱きしめてから、瞼を閉じて、寝息を立て始めた。
 
 ベッドで暫く仮眠をとった後、私は、ゆーちゃんが出した『提案』に頷いた。

 保健室を出ると既に周囲は暗くなっている。
 師走に吹く北風の冷たさに身体を震わせながら、校門に向かって歩いていると携帯が鳴った。
 ボタンを持つ手が震えている理由は、寒さだけではないはずだ。

「もしもし、かがみん? 」
『こなた、どこに行っていたのよ』
「ううん。ちょっと1階にね」
『そ、そう…… それより、明日、暇かしら? 』
「特に用事はないけど? 」
『ちょっと家に来て欲しいの。ゆたかちゃんも一緒に誘いたいのだけど』
「ゆーちゃんなら隣にいるよ」
『だったら、明日の午後に、時間を空けてもらうことができるか、今、聞いてくれるかしら』
「分かった。ちょっと待ってて」

 私は、ゆーちゃんに向かって、用件を手短に伝える。
「もちろん行くよ。こなたお姉ちゃん」
 ゆーちゃんの表情が引き締まっているのを確認してから答える。
「ゆーちゃんもOKだよ」
『ありがと、それじゃあ、明日の午後1時に私の家に来て』
「了解」
 携帯を切って小さなため息をついた。

 これでもう後戻りをすることができない。
 背後の扉が重々しく閉まる音を聞きながら、私はゆーちゃんのあどけない顔をみつめた。
 視線に気がついたゆーちゃんは小さく微笑んでから、繋いだ掌をぎゅっと握り締めた。
22523-251 ◆5xcwYYpqtk :2008/04/05(土) 16:52:17 ID:qwAfDM+8
読んでくれた方、感想をいただけた方、ありがとでした。

今回は策謀編とあいなりました。
エロシーンは最初いれるつもりはありませんでしたが、話の尺が足らなかったので挿入しました。
理想としては、ご飯を食べるような気軽な感じで、エロを入れていきたいなと思っています。
次回は世界最終戦争? となる予定です。

尚、次回で最終回に(たぶん)なります。
ではでは。
226名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 17:48:11 ID:pdcyXuO9
>>225
気軽な感じで、エロシーンが書けるなんて、うらやましい〜 そして貴方に嫉妬する・・・!
怖いゆーちゃんに萌える・・・!GJでした!
227名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 17:53:37 ID:pdcyXuO9
・・・投下はもう少し時間が経ってからの方が良いでしょうか?
とりあえず、様子を見ながらスタンバイ・・・他に投下される方がいるようでしたら、お先にどうぞです。
228名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 18:20:39 ID:pdcyXuO9
では、投下を始めさせて頂きます。

■注意事項
・エロ有(こなた←ふたなり)
・カップリング(こなた×かがみ)
・ストーリーなし、オチなし、なんで生えているのかの説明もしてません
・バカップル
・淫語自重せず
・毛
・キス大杉
・こなたが非常にオッサン臭い
・仕事が手につかなくなる
・熱射病の危険性(ラブラブっぷりをあてられる的な意味で)
・羞恥で瀕死の可能性(作者的な意味で)
229ふた☆こな 〜かがみ2〜1/6:2008/04/05(土) 18:22:50 ID:pdcyXuO9
「大丈夫だよ。ちゃあんとかがみんをイかせてあげるから♪」

 それから、どれくらいの時間が経過したか。
「――脱がしっこするのが、ヒロインとのHイベントで一番盛り上がるシーンなの」
 そうやってお互いの服を脱がせ合い、ベッドの上で全裸となったこなたとかがみは――横になって寄り添ってからこっち、お互いの愛情の分かち合いとばかりに、キスを繰り出し続けていた。
 それこそ、プロフィールの「好きな食べ物」の欄に、「キス」と迷い無く書いてしまいそうなほどの勢いで。
「ちゅう、ちゅうう……ぷあっ、はあ……かがみってホント、キス好きだよね」
 尖らせた唇をどちらともなく積極的に突つき合わせ――。
「んちゅ、にゅちゅ……っん、あ……あんたには敵わないわよ、この甘えんぼ」
 突つき合わせていた唇を、ついばむように食み合い――。
「甘えんぼじゃないもん……んん〜っ、ぢゅちゅうううっ、ぢゅっ、ちゅうう……っ」
 食み合っていた唇を大きく開き、角度を変えて薄膜を密着させ――。
「その口が言うか……んくっ、んむぅ……ぢゅるっ、ぢゅっ、ちゅうっ、ちゅむ……っ」
 密着した薄膜、その口腔内で、仲良く唾液を飲み合って――。
「んんっ、んくっ、んむむっ!……ふはっ、はむっ……んぐっ、んんっ!ぢゅぢゅっ、ぢゅるる……っ!」
「んぐっ、んぅっ、んぷぁっ……あむっ!……んっ!んんっ!んぢゅっ!ぢゅるるぅぅ……っ!」
 かがみもこなたも、愛おしさで胸がいっぱいになり――キスによるじゃれ合いは、さらに熱とねちっこさを増していく。
「はあ、はあ……」
「ふう、ふう……」
 やがて濃厚な粘膜同士の愛撫を終えた頃には、二人ともすっかり息が上がり――熱く艶めく唇は、すっかり性感帯と化していた。
「…………」
「…………」
「……あの、こなた……」
「……ん……?」
「キスもいいんだけど、その……そろそろ始めない……?」
「そうだね……このまま続けたら……キスだけで、全部、事足りちゃいそう」
 かがみとこなたは上気した顔で見つめ合い、照れ臭そうにはにかみ合った。
「「(私達……どんだけキスが好きなんだ)」」


 ふた☆こな 〜かがみ2〜


230ふた☆こな 〜かがみ2〜2/6:2008/04/05(土) 18:24:53 ID:pdcyXuO9
 仰向けの姿勢となったかがみの上に四つん這いの姿勢で覆いかぶさると、こなたは首筋に唇を寄せた。
「あん……あっ、あん……んん……」
 くすぐったそうにむずがるかがみを横目に、こなたの舌は鎖骨のくぼみを這い、なだらかな曲線を描く乳房へと辿る。
 柔らかい隆起に片っ端からキスを撃ち込み、ねろねろと舌で舐めずり、肌に悦びを摺り込んでいく。
「こうして、かがみのおっぱいを独り占めできるなんて……私は埼玉一の果報者だよ〜」
「微妙に狭いな……それは喜んでいいのか?」
「当然!自慢していいよ」
「どうやってだ」
 こなたは幸せそうに頬を朱に染め、夢中になって乳房への愛撫を続けていった。
 ほどよい丸みと膨らみを帯びた乳輪、きれいな桜色のぷっくり尖った乳首、可愛いへそ……。
 執拗なまでのこなたのキス攻撃は、だんだんとかがみの身体を降りて行き――ついに、太ももの付け根にまで到達する。
「んふ……んん……ん……」
 性毛にかかるこなたの吐息にむず痒さを感じ、かがみはかすかに鼻声を鳴らす。
 と――。
「ね、かがみ……」
「ん……?」
「アソコ舐めてあげるからさ……自分で脚、持ち上げて」
「うん…………って……え、ええっ!?」
 先ほどまでの、甘やかな時間はどこへやら。
 かがみは思わず声を上げ、がばっと上体を起こした。
「お願いだよ、かがみ〜脚上げてくれないと、舐められないんだよ〜」
「あ、脚を持って、て……あ、あのポーズ!?」
「ピンポーン」
 おそらくかがみが想像しているであろう『あのポーズ』に、正解を送るこなた。
「そだよ〜。いやあ、アソコの毛が手強くってさあ。なかなか秘境に辿り着けないんだよね〜」
「そんなに毛深くねえよ!どこの密林だよ!」
「えっと……かが密林?」
「名付けるな!あ、いやまあ……思わず振っちゃったのは私の方だけど……」
「とにかく――……お願いだよぅ、かがみぃ……」
「うっ……」
 いつもより1.5割増しの可愛らしさで、かがみに迫るこなた。
 惚れた弱みか、こなたクオリティの成せる業か、こうなるとかがみは大抵の場合、断る事ができない。
 今回も、いつもと同様――。
「うう……わ、分かったわよ……」
 赤面しながらも、結局かがみはこなたのお願いを渋々受け入れ――上体を倒すと両膝を抱え、ためらいながらもゆっくりと脚を開いていった。
「んっ……ほ、ほら……」
 いわゆる、M字開脚の姿勢――秘部はおろか、お尻の穴までさらす格好のかがみに、こなたは、にたぁ〜っと、実にいやらしそうな笑みを向ける。
「……もったいぶってる割にはさあ。かがみって……この格好、好きだよね〜」
「んなっ!?すっ、好きなんかじゃないわよっ!あんたが、こうしないとできないって言うから……っ!」
「だって、ほらぁ……こんなに、もの欲しそうにヒクついてるじゃん」
 ふっくらとしたサーモンピンクの肉襞はてらてらと愛液で塗れ、股間が大きく広げられたためにわずかに左右にくつろぎ――その合わせ目には、パンパンに膨らんだクリトリスが顔を覗かせていた。
 肉襞の奥の裂け目は、愛撫をせがむように、ひくひくとざわめいている。
「早く私をいじって下さい――ってさ♪」
「う、うう……」
「素直になって、かがみ。私、かがみを一番気持ち良くさせたいんだ」
 かすかに開いた花弁のような肉襞に顔を寄せると、舌を突き出し、つうう……と粘膜の縁取りをなぞり上げる。
「かがみ……気持ち良く、なりたいんでしょ?」
231ふた☆こな 〜かがみ2〜3/6:2008/04/05(土) 18:27:36 ID:pdcyXuO9
「う……わ、分かったわよ……素直に、なる……」
 消え入りそうな声で、こっくりと頷くかがみ。
「だから……気持ち良く、して?」
 かがみのおねだりに顔をほころばせると、こなたはふっくらとした秘裂のヒダを食み、包皮を舌先で器用にほじり、クリトリスをちゅうちゅうと吸いつく。
「私、かがみが気持ち良くなるなら、何でもしてあげるよ?はむはむ……かふ、かふ……汗だって舐めてあげるし、匂いだって嗅いであげる……れろれろれろれろ……ん、んん〜、っちゅ……ちゅうううう……もちろん、アソコだって、いっぱい感じさせてあげるんだから……」
「んっ、んんっ、こ、こなた……それ……は、恥ずかし過ぎ――んふっ!」
 口で巧みに秘部をいじりながら、ねちっこく囁くこなたの言葉に、かがみはぞくりと震え――その途端、膣口から愛液をぷちゅっ、と噴き出した。
「ふふ……かがみんの新鮮なラブジュース、お味はどんなかな〜♪」
 そう言って、快感から逃げるようにぴくぴくと跳ねるかがみの腰をしっかりと抱え込むと――こなたはかぶりつくように、愛液をたらす秘裂に顔を押し当てた。
「んあっ!っあ、はああ……っ!」
「ぢゅるるるる〜〜〜っ……んくっ……こくっ……はむっ……ぢゅうっ、ぢゅっ、ぢゅううううう……っ」
 鼻先を裂け目に押し付け、膣の奥から湧き出す愛液をすすり尽くさんばかりに、大きな水音を立てながら吸い立てる。
「あーっ、あっ、ああっ……あんっ、あっ、あっ……あああんっ!」
 こなたの激しい吸引に、かがみは彼女の頭を押さえ、いやいやとかぶりを振った。
「っぷあ……はあ……にへへ、そろそろイキそうかな?かがみん」
「う、うん……」
 もじもじしつつ、かがみはこっくりと頷く。
「……だ、だから、あ、あのね?……く、口じゃなくて……えと……その……そろそろ……」
 そこでかがみは口ごもり、恥ずかしそうな視線を、ちらちらとこなたに送る。
 何が言いたいか分かるでしょ――……察しなさいよっ、と言わんばかりに。
「……――オッケ」
 かがみの気持ちを汲んだのか、こなたは膣口から口を離す――安堵に、小さく息をつくかがみ。
 すると今度は、こなたは中指と薬指をねぶり――それをおもむろに、かがみの膣内めがけて突っ込んだ。
「ひああっ!――えっ!?ちっ、ちがっ……こなたぁっ!」
「ん〜?だって、イきたいんでしょ?指で」
 慌てふためくかがりを尻目に、こなたは白々しくとぼけながら、ちゃぐっ、ちゃぐっ、と、乱暴に膣内を掻き回す。
「やああああああっ!ちょ、こなっ、待……っ!……ゆ、指じゃなくてっ!……あっ、あんたので、イッ、イキたいのぉ……っ!」
 眉根を寄せ、せり上がる快楽の奔流に耐えながらも、かがみは何とか訴える。
「最初からそう言えばいいのに――素直に、って言ったでしょ」
 こなたはそこでようやく、ぬるんっ――と、かがみの膣口から指を引き抜いた。
 ひくひくと揺れる秘唇からは大量の愛液が流れ、尻を伝ってシーツに染み込んでいく。
「お、お願い……こなたぁ……焦らしちゃ、いやぁ……っ」
 潤んだ目を向け、かがみは半ば涙声でこなたに哀願する。
 そんな態度にぞくぞくと嗜虐心をそそられながら――こなたは余裕のない恋人に、穏やかな表情で笑いかける。
232ふた☆こな 〜かがみ2〜4/6:2008/04/05(土) 18:29:17 ID:pdcyXuO9
「分かったよ。じゃあ――」
 そう言いながらこなたはかがみの股間に腰を割り込ませる。
 力をすっかりと取り戻し、太ましく漲る肉棒に左手を添えると、その赤黒い先端をくったりと開いた膣口に浅く潜らせ――ふと、その動きを止めてしまう。
「……?……こな、た……?どうし――……」
 一向に動こうとしないこなたを、かがみは不思議そうに見つめ――ようやく意図を掴み、声を上げた。
「……まさか……」
「そのまさかだよ、かがみん。さ!  す  な  お  に  おねだりして♪」
「………………」
 や は り そ う く る か 。
 催促するこなたを、ジト目で睨み付けるかがみ。
 しかしこなたは至って涼しい顔で、かがみの膣口をくちゅくちゅと、強張ったペニスでなぞり続ける。
「ほら、早く。言わないと入れてあげないよ〜?」
「………………」
「ほらほらぁ〜」
「………………私、の」
「ん〜?」
「……わ、私の……オ、オ、オマ、ン……」
「聞こえな〜い」
 粘膜を攻める手を休めず、ニヤニヤと笑みを浮かべるこなた。
「――っ!……あ、後でヒドイからな……っ!」
 耳まで真っ赤にしながら、かがみは眉間にしわを寄せて顔を反らすも――敏感な粘膜から来る甘い性感に耐え切れず、ヤケを起こすように口を開いた。
「私のオ、オマンコに、こなたのおちんちん入れて……!って、ああもうっ、言わせるなよ、バカッ!」
「ああんっ、もう!可愛過ぎるよ、かがみん……ありがとじゅしたっ!――ではでは……っ♪」
 こなたは嬉しそうにかがみの脚に両手を添えると、ゆっくりと腰を落としていった。
「……いっぱい、気持ち良くなろうね、かがみ……♪」
 にちっ……にゅぐ、ぐ……
「〜〜〜っふあ、あああ、あ、あ〜……入ってくるぅ……♪」
 パンパンに膨らんだ亀頭で膣口を割り広げられると――かがみは相好を崩し、歓喜の声を上げる。
 とろけそうなかがみの顔を見て、こなたは小さく微笑み――腰を一気に進めた。
 ぐぷぷぷぷぷっ!
「あいいいいいいっ!」
 無遠慮なこなたの突然の進入に、無防備だったかがみは思わずびくんっ、と背を反らす。
 根元まで呑み込まれたこなたのペニスは、窮屈な膣壁をキツキツに拡張し、その最奥にあるかがみの子宮口を軽く押し上げた。
「――っは、はああ……っ」
「……にゅふふ。軽くイッっちゃった?オマンコのお肉、きゅんきゅんってしてるよ♪」
 ピクピクと震えるかがみを、にんまり顔のこなたが見下ろす。
「あっ……あんたは……っんもう……っ!」
 完全に不意をつかれた格好のかがみ。
 しかし拗ねた口調とは裏腹に、その声は甘えるような響きを含んでいた。
「ごめんってば。じゃあ、動くね」
 お詫びの気持ちを態度で示そうと、こなたはゆっくりと腰の動きを開始した。
 ぐぢゅっ、ぬぢゅっ、ぶぢゅっ、ぢゅちっ
 ペニスの全長を使った、丁寧なストロークの前後運動に、腰をグリグリと振って、膣内を掻き回す円運動。
 アクセントとして時折、最奥をぐにぐにと小突くのも忘れない。
 そうして、こなたは肉棒を扱かれ、かがみは体内を撹拌され――二人は互いに、目の眩むような快楽に酔いしれていった。
233ふた☆こな 〜かがみ2〜5/6:2008/04/05(土) 18:31:32 ID:pdcyXuO9
「ふっ、ふっ、んっ、んんっ、んっ……!ふにゃあああ……気持ち良い……いいよぅ……っ!」
「あっ、あん、あん……ふふっ、どうしたの、こなた?だらしない声上げちゃって……さっきまでの余裕は、どこにいったのかな?」
「だっ、だってさ……かがみのエロマンコ、私のおちんぽにいっぱいすがり付いてきて……フェラチオみたいに、にゅぽにゅぽって、沢山しゃぶってくるんだもん……っ!」
「お、おま……っ!?エ、エエエ、エロ発言、禁止ーーーっ!」
 こなたのはしたない言葉の連発に、淫語抵抗値の低いかがみの顔面が瞬時に茹で上がる。
 イニシアティブを取れると踏んで、言ったつもりがとんだヤブヘビだった。
「ふふんっ♪かがみの考えてる事なんて、お見通しだよっ……カマかけ失敗して、返り討ちにあうかがみ萌え〜♪」
「うう、うるっさい……っ!もう……っ」
「えへへ……」
「……ふふふっ」
「あはは……続けよっか……」
「うん……」
 睦言を交わし、幸せそうに微笑みあう、こなたとかがみ。
 仲睦まじいおしゃべりは精神的潤滑油の役割を果たし、性器同士による濃密なスキンシップは、お互いの身体を――より一層、欲張りにさせた。
「んっ、んんっ、ふんんっ……かがみぃ、ピストン強くして、いーい?ふっ、ふうっ、んっ……いーい?」
「あっ、あんっ、んんっ……い、いい、よ……あんたの、好きにして……いい、から……っあうんんっ!」
 焦れったそうにおねだりをするこなたに、かがみは揺さぶられながら頷く――と、その返事を待つや否や、俄然と腰を振り立てた。
 ぱんっ、ぱんっ、と肌が打ち合う音も大きくなり、ぐちゅぐちゅと粘り気を含んだ水音も、淫らに部屋中に響きわたった。
「んああっ、あんっ、あはっ……もっと、強くしていいよ、こなた……んんっ!……あ、わ……私のオ、オマンコ……あんんっ……いっぱい、突いて……っ!」
「……かがみ……うんっ……!もっといっぱい、してあげる……っ!」
 ぐぷっ!ぐぷっ!ぐぷっ!ぐぷっ!ぐぷっ!
 小柄で華奢な体躯からは想像もつかない、力強く荒々しいピストン運動。
 そんな、全身を使って抽送を繰り出すこなたの姿に、かがみの胸は嬉しさでじんわりと熱を帯び、次第に嬌声の音量を上げていく。
「あんっ!あっ、あっ、んあああっ!こなたぁ……い、いいっ、気持ち良いいい……っ!」
「あふっ、んあっ、あくっ!……私も、気持ち良い……!気持ち良いよ、かがみぃ……っ!」
 すでに二人の顔には、睦言を交わし合っていた時の笑顔は無く――こなたは、たやすく持って行かれてしまいそうになる理性を留めようと眉をしかめ、かがみは、子宮から中枢へと送り込まれてくる濃密な性感に震え、まぶたをきつく閉じてよがり泣く。
「こなたぁ……キス……キス、してぇ……っ」
「うんっ、かがみぃ……んっ、んんん……っ!」
 鼻でよがるかがみのおねだりに、こなたはピストンのリズムを速めながら応える。
 ぶつけるように唇を重ね、唾液をすすり合い、舌を絡ませ、突っつき合う。
「んふっ、んむっ、んむっ、ぢゅるるっ、んんっ……ぷあっ、はあっ、ああっ、こなたっ、こなたぁ……っ!」
「んんっ、んっ、んむぅっ、んぢゅっ、ぢゅうう……っあ、かがみっ、かがみぃ……っ!」
 むさぼる様なキスをしながらのピストン運動は、二人をいやおう無く高みへと導いていった。
「イッちゃうっ、こなたっ、わたしっ、もうっ、イ、き……そお……っ!」
「待って……私も、もう少しで、イく、からぁ……っ!」
 かがみはこなたの肩にしがみ付き、独り占めをするように腰に脚を絡める。
 射精を促すように膣壁がぜん動を繰り返し、ペニスを締め付ける回数をだんだんと増やしていく。
「早くぅ、こなたの精液……っ、オマンコの中、にぃ……っ!」
「待って……もう少しっ、ホントに、もう少しだから……っ!」
 ごちゅっ、ごちゅっ、と生硬い子宮口を、勃起しきりの肉棒でたらめに叩きまくる。
「ひいっ!ひっ、ひっ、ひいいっ!こなたっ、もうらめ……らめえええええーーーーーーっ!」
 断続的に発した悲鳴のような嬌声も、その間隔が次第に縮まり、ついに――その時を迎えた。
「イく、う……っ!――っ!――っ!ああ、あ……ああああああーーーーーーっ!」
 絶頂と共に、かがみの膣内が、こなたのペニスを握り潰さんとばかりに一斉に収縮する。
234ふた☆こな 〜かがみ2〜6/6:2008/04/05(土) 18:33:46 ID:pdcyXuO9
「かが、みぃ――っあ――あ、ああ……っ!」
 そして、いかな剛直とはいえ、最強の膣圧に抗う術は無く。
 射精欲が一気に昂まり、ついに――延髄を蹴り飛ばされるような凄まじい衝撃に、こなたの腰は大きく震える。
 それを合図とばかりに、ぐつぐつの精液が管を駆け抜け、我先にと出口へ殺到し――。
「あ、く……んっ、んんんんっ!」
 びゅるるるるううううーーーーーーっ!!
 かがみの子宮口めがけ、こなたのペニスは盛大に精液を噴き出した。
「あああっ!凄っ、しゅごく出てるっ!せーえきっ!せっ……ひいっ、ひいいいい……っ!」
「かっ、かがみぃ、まだだよっ……もっと、もっとぉ……っ!」
 びゅぐっ!びゅぐっ!びゅぶぶぶっ!
 絶頂を来たしたかがみの子宮口を、脈動の度に噴出する精液はなおも叩き続ける。
 こなたはかがみの腰を強く引き寄せ、最奥へと送り込もうとする。
「こなたっ、らめぇっ……わたひ、またイくっ!イク、イクイクッ……あっ、あっ、あっああああ〜〜〜っ!」
 全身をぴぃん、と仰け反らせ、かがみは押し寄せる絶頂の波を享受していく。
「ああ――あっ――は、あ…………っ!」
 ストロボのように強い光が、かがみのまぶたの裏に次々と瞬き――藍色の瞳は焦点を定められず、視線は虚ろに宙を漂わせる。
 びゅぐぐ……びゅ……っ
 おびただしい量の精液は愛液と混ざり合い、肉竿と膣壁のわずかな隙間へと染み渡っていく。
 あくっ、はくっ、と大きく喘いでいたかがみも、ようやく身体を弛緩させてベッドに身を沈め――眉間に深いしわを刻み、精液を注ぎ続けていたこなたも脱力し、かがみの胸に倒れ込んだ。
「――っはあ……はあ……はあ……っん、は……はあ……はああ……」
「ふう……ふう……ふう……ふにぃ〜〜〜……あ、ごめん……重くしちゃってるね……」
 荒い呼吸を繰り返すかがみの胸に顔をうずめていたこなたは、脇にどこうと身体を起こす――と、その背中に、かがみの両手がそっと回された。
「別に重くないから……もう少し、このままでいて……」
「あ……うん……」
 背中や髪をさわさわと撫で回されると、こなたはうっとりした表情で、再びかがみの胸に上体を預ける。
 甘美な余韻の前では、疲労感や倦怠感すら心地良く感じられた。
「……こなた」
「ん……?」
「ふふっ……こなた」
「なぁに?」
「言ってみただけ」
235ふた☆こな 〜かがみ2〜7/6:2008/04/05(土) 18:34:50 ID:pdcyXuO9
 上を見やれば、ほこほこと幸せ心地にたっぷり浸ったかがみの顔が。
 デレ期、ここに極まるといった感じだ。
「何それ……ふふふっ」
 可笑しそうに相好をゆるめ、こなたはうんしょと身体を少し移動させ、かがみの顔に迫る。
 ――ぢゅぽ、ん……どろぉ……っ
 やんわりと萎縮を始めたペニスがかがみの膣内から抜け落ち、ほどなく――ダマのようにこってりとした精液が、ほころんだ膣口からこぼれ出し、たちまちシーツに大きなシミを作った。
「相変わらず……いっぱい出したな……」
「うん……かがみの中、気持ち良かったから……ね、かがみも、気持ち良かった……?」
「ん……」
「イけた……?」
「……」
「……?かがみ……?」
「……もー。いちいち聞くなよ、そんなの……」
 照れ臭そうにかがみは言うと、こなたの肩を抱き寄せ、そのまま唇を塞いだ。
 驚きで強張ったこなたの顔は――しかしすぐさま、とろん……と溶け、たちまち安堵感の吐息を漏らす。
「ん……ちゅ。これが答えじゃ、ダメか……?」
「……あ。え、と……えへへ……満点の答えだよ」
 不意打ちのキスに、こなたも照れ臭そうに微笑み――今度はご満悦といった表情で、自分からかがみに口付けた。
 小首を傾げ、お互いのお気に入りの角度で、ぴったりと吸い付き合う。
「ちゅ、ぷ……ふぅ……やっぱり敵わないなあ……」
「……ん……何が……?」
「結局最後まで、かがみんが主導権を握っていたんだなーって事っ」
「そうかな」
「そうだよ」
「……もうどっちでもいいよ、主導権なんて……あんたと一緒に気持ち良くなれたから……」
「うん……そだね……ねえ、かがみ……私、かがみの事……好き」
「何だよ今さら……私も、こなたが好きだよ……」
「うふふ……大好き」
「私も大好きだって」
「私の方が、ずっと、いっぱい好きだもん」
「なに意地になってんだよ……ほんとに子供だな……」
「むうー……」
「むくれるなよ……わかったわかった、あんたの愛の方が上だよ」
「やたっ♪んふふ……っ」
 子猫同士がじゃれあう様に、二人は身体を絡ませる。
 こなたはかがみの頬に頬擦りしながら、鼻にかかった可愛い甘声を漏らし――かがみはこなたの頭を撫でながら、うっとりした囁き声を漏らす。
 二人の身体を満たす愛しさや温もりが、まさに夢のような心地良さをもたらしていく。
「……ねえ、かがみ……これからも、ずっと一緒だよ……」
「うん……」
「ずっと……ずっと、いっしょ……」
「ん……ずっと……ずっと一緒だ……こなた……」
 そんな、ぬるま湯にぷかぷかと漂っているかのような浮遊感の中――二人はそのまま、ゆっくりと意識を手放し、深い眠りへと落ちていった。




 〜了〜
236名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 18:37:05 ID:pdcyXuO9
 以上です。今度は1レス足りなかった・・・ちょっと吊t(ry
 読んで頂き、有難うございました。
 書き終えてから気づいた事ですが、

 この二人、声が  大  き  過  ぎ  る  !  orz

 どんだけー。
 こなたの言うように、ラブホに場所を移した方が良かったかもしれません。

 …というわけで、これでエロストックは完全に空っぽになったので、次回の投下はしばらく経ってからになりそうです。ごめんなさい。もう、ゴールしても……いや、したら殺されそうですな(ガクブル
 エロを!エロをおくれよ!
237名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 19:18:05 ID:Kti6bp6f
>>225
ううむ、自業自得とは言えやつれていくこなたが痛々しい。
そしてゆーちゃんの秘策ってやっぱりアレですか。
最終戦争に期待しつつ、ぐっじょぶ。

>>236
むほーーーーーーー!?


ぜー、ぜー。続編にはwktkしてましたが、まさかこれほどの破壊力とは!
淫語と睦言のトッピングも甘やかに、まさに女(ふたなり含む)の欲望番外地!
いやあ、良い物を読ませていただきました。ぐっじょぶでしたっ!
238名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 19:43:04 ID:KCquUyAE
>>236
エロオオオオオオオオオ!!こなかがっ!!!説明不要!!!
最高にGJってやつだぜえ!WRYYYYYYYYYYYY!!!
239名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 21:03:41 ID:K/2ZsAyL
>>236
これオカズでゴハン50杯はいける!
あっ、オカズって言っても変な意味じゃないんだからねっ!//
nice ero
240名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 21:11:13 ID:IrX2chlT
すげぇ!ここまでストレートな淫語表現を使ったガチエロはほとんどなかったから、ガツーンとキましたぜ!



構想三分+執筆三十分、アホな壊れネタが出来たので、頃合をみて投下します。
241妄想屋(仮名) ◆JUqojnT5.c :2008/04/05(土) 21:22:00 ID:IrX2chlT
ども、今日はなんかIDがすごいことになってる妄想屋(仮名)です。
久々に4レス行きます。
・構想三秒、執筆三十分。思いつきだけで暴走しますた。
・こな×かが/つか×みゆ。
・ぶっ壊れカオス系。
・暴力描写あり注意。NGな方はタイトルで。……てか正直なところ、NG推奨ですorz

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242『それも、愛でしょう。』(1/4):2008/04/05(土) 21:23:32 ID:IrX2chlT
 ――最高学年になったという現実が、ようやくリアルな実感を伴ってきた、そんなある日のお話。

 穏やかに晴れ渡った春の朝。私はつかさとみゆきと三人で、陵桜学園の前庭を歩いていた。
 薄く霞がかかった青空に、薄桃の衣を脱ぎ捨てた桜が、瑞々しい若葉をそよ風になびかせている。
 こんな日にはちょっといいことありそうだな、と思ってしまう、そんな自分がおかしくて、つい口元がほころんでしまう。

 だけど、気がつくと口元がほころんでしまう理由は、もうひとつある。
 初めてできた、恋人のせい。
 先月までは"親友"でしかなかったその子に、思い切って告白したのは春休みのこと。
 同性同士。我ながらインモラルだとは思ったけれど……恋は理屈じゃないんだ、って悟ったら、あとはもう一直線だった。

「……おーい、かがみー!」
 春風になびく、蒼く長い髪。正門のほうから、その人が駆けてくる。
「こなたー!」
 満面に笑みをたたえて振り返り、走り出す。

 距離にしてほんの数十メートル、邂逅までほんの数秒。けれど、そのわずかな時間さえじれったい。

「かがみーー!!」
 両手を広げて駆け寄る、こなた。
「こなたーー!!」
 私も両手を広げ、距離を詰める。

「かがみぃぃぃぃぃ!!」
 左手を引き、腰溜めに構えながらこなたが走る。
「こなたぁぁぁぁぁ!!」
 右腕を額にかざして、私も左手で拳を作る。


 そして――邂逅。


「ふんぎゃっ!!」
「ぐほぁ!!」

 足が地面を離れ、浮遊感が私を包む。
 目の前いっぱいに広がる、空の青と雲の白。

 ああ……空が青いなぁ……

 わずかな滑空を楽しんだあと――背中に強烈な衝撃を感じ、視界に桃色の星が飛んだ。

「……お……おは……よ……ぐふっ」
 ぐわんぐわんと世界が回る。でも、それはこなたも同じはず。
 よろよろと立ち上がり、満面の笑みを作り手を差し伸べる。
「……おはよ……ぬぐぉぉ」
 仰向けにひっくり返ったまま、私の手を取って、こなたがぎこちなく微笑んだ。

「うふふ、見事なクロスカウンターでしたね」
 優しい笑みを浮かべて、みゆきが私たちを讃える。悪くない気分ね。
「お姉ちゃんすごーい、こなちゃんと互角の重いパンチだったよ!」
 目を丸くするつかさ。ふふふ、これこそ愛の重さってものよ。もっと褒めたんさい。


 周りの野菜……もとい、クラスメイト達の目が、点になっている。でもそんなの関係ねぇわよ。


―×― ―×― ―×― ―×― ―×― ―×― 

243『それも、愛でしょう。』(2/4):2008/04/05(土) 21:25:05 ID:IrX2chlT
 勉強は嫌いじゃないけれど、こなたと逢えないのだけは耐えられない。
 拷問のような四時限がノロノロと過ぎて……待ちに待った授業終了のチャイムが鳴った。

「よし、今日はここまd」
「こなた! 今行くわよぉぉぉっ!!」
 ジト目の桜庭先生を尻目に、教室を飛び出す。

 C組からB組へ。あちこち継ぎ接ぎだらけの(誰のせいかしら……乱暴な生徒もいたものよね)、B組のドアを蹴破る。
「かがみぃっ!!」
 響き渡る破壊音。眠そうな目をしていたこなたの顔が、ぱぁっと明るくなった。

「こなたぁぁぁぁっ!!」
 抑えきれないワクワク感を胸に、肘を軽く曲げた腕を真横に伸ばしながら、全速力で駆け寄る。
「かがみぃぃぃぃっ!!」
 左足を少し後ろに引いて腰をひねり、こなたが溜めを作る。ふふ、その手には乗らないわよ。

「のまりゃぁぁぁぁっ!!」
「ふぎゃうっ!!」

 必殺・カガミンラリアット炸裂。私の二の腕が、深々とこなたの喉笛に食い込んだ。
 振り上げたこなたの足が宙を切り、その小さな身体が私の腕を軸にして一回転。……そして、どさりと床に落ちた。

「……う……うごご……げほげほ」
 ひくひくと痙攣するこなたを抱き起こし、青ざめたその頬に頬ずりする。
「ふふっ、私の愛のほうが上だったみたいね♪」
「うぐぐ……つ、次は……負けないよ、かがみん」
 苦しい息の下、こなたは満足そうな笑みで私に応えてくれた。

「……怖いよー、今までにないぐらい怖いよー」
 セバスチャン……もとい、白石君が壁にへばりついて怯えてる。心配しなくても、あんたになんか決めてやんないわよ。


―×― ―×― ―×― ―×― ―×― ―×― 

244『それも、愛でしょう。』(3/4):2008/04/05(土) 21:26:57 ID:IrX2chlT
 放課後。新刊のラノベを買うために、私は秋葉腹のゲマズにいた。
 秋葉腹まで来なくても、近所の本屋さんで買えるんだけど……こなたが行きたいというところなら、私はどこだってついてくわ。

 こなたは今、あの変な熱血店長と拳を交えてる。
『KOしたら二割引き』って言うんだけど……正直、こなたを取られたみたいでちょっとくやしい。
 腹いせに、顔の怖いボサボサ髪の店員をフランケンシュタイナーで沈める。一割引きゲット。
 白目を剥いたその顔に、「いいもの見ちゃった」と書いてある。この野郎。

 ……そんなこんなしているうちに、こなたと店長の勝負にも決着がついた。
 ガードを固めて店長のバーンナックルをしのぎ、降り際のスキに小足払い連打を重ねて削り殺し。なかなかエグイわね。

「ぃやったー、二割引ゲット!」
 飛び跳ねて喜ぶこなた。私も目いっぱい祝ってあげなくちゃ。

 ケロロ軍曹みたいな顔をした、小柄な店員を踏み台にしてジャンプ。
「やったわね、こなたぁぁぁぁ!!」
 天井すれすれで宙返りを決め、左足を突き出してこなたの胸のあたりを狙う。

「ほっ!」
 気合一閃。左腕を立てて、こなたが私の蹴りをガードした。
 刹那、青い閃光が走り……

 ―― 一瞬、時間が止まった。
 うそっ、ブロッキング!?

「ありがと、かがみーーーーん!!」

 拳と肘、そして一瞬遅れて膝。昇龍拳の三点セットが見事に決まり、私は木の葉のように宙を舞った。

「うぅわぁー(うぅわぁー(ウゥワァー))」

 ……うん、エコーも決まって、我ながら会心の、KOボイス、よ、ね。

 薄れ行く意識の中。こなたの愛に包まれて、

私は……心地よい眠りに落ちていった。


―×― ―×― ―×― ―×― ―×― ―×― 

245『それも、愛でしょう。』(4/4):2008/04/05(土) 21:28:30 ID:IrX2chlT
 翌朝。こなたとの朝の"挨拶"を済ませ、私はつかさと三人で学校の前庭を歩いていた。

「ひさびさに草食ってさー」
 額に大きな絆創膏を貼り付けて、私。
「草、いいよねー」
 頬に大きなガーゼを貼り付けて、こなた。
 何気ないこなたとの会話が、楽しくて仕方がない。……身体で語る、いつもの愛情表現には負けるけど。

 前を行く学生たちの中に、みゆきの姿を目ざとくみつけ、つかさが嬉しそうな声を上げた。
「あっ、ゆきちゃーん♪」
 言うなり、バルサミコ酢の壜を逆手に持って走り出す。
「あら、つかささん」
 振り返りざまに、みゆきが懐からヌンチャクを抜いた。……へぇ、ブルースリーの"WAY OF THE DRAGON"モデルじゃない。


「おはよー、ゆきちゃんっ!!」
「おはようございます、つかささんっ!!」


 爽やかな春空に、二つの鈍い音と短い悲鳴が響いた。
 ……ふふっ、今日も楽しい一日になりそうね。



― なんぞこれ ―
246妄想屋(仮名) ◆JUqojnT5.c :2008/04/05(土) 21:30:01 ID:IrX2chlT
----------------------------------------------------------------------------
以上です。

……もはや、なにも言うことはありません。
いっそ、ひと思いに殺してはくれまいか(´・ω・`)
247名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 21:32:44 ID:rL3TR387
>>246
あんた、馬鹿すぎるよw(もち褒め言葉)
248名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 21:33:22 ID:qwAfDM+8
>246
えいっ→ ぐさっ

いや、冗談です。ぐっじょぶなのです。
壊れギャグ系は大好物なのです。周りの野菜ってとこに吹きましたよん。
どうやったらギャグが書けるんっすか!先生!
249名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 21:39:52 ID:KCquUyAE
すばらしき笑いを提供してくれた>>246
お望みどおりにしてさしあげます

      ∧_∧  トンファーGJ!
     _(  ´Д`)
    /      )     ドゴォォォ _  /
∩  / ,イ 、  ノ/    ∧ ∧―= ̄ `ヽ, _
| | / / |   ( 〈 ∵. ・(   〈__ >  ゛ 、_
| | | |  ヽ  ー=- ̄ ̄=_、  (/ , ´ノ \
| | | |   `iー__=―_ ;, / / /
| |ニ(!、)   =_二__ ̄_=;, / / ,'
∪     /  /       /  /|  |
     /  /       !、_/ /   〉
    / _/             |_/
    ヽ、_ヽ         ↑>>246
250名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 21:46:47 ID:sGCBP3am
>>246
アホですかあんたは(褒め言葉)
どうやったらこんなん思い浮かぶんですか(あくまで褒め言葉)
もうなんと言えばいいかわかりませんわ(たぶん褒め言葉)
251名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 21:52:25 ID:zNE+sVv4
>>248-249
捕まる覚悟は・・・できてんだろうなぁ・・・・・・。

>>246
なんぞこれ。GJ!
252名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 21:55:21 ID:MJ3xmkza
>>236
ここがエロパロ板だということを思い出したw GJ
ああもう、なんというバカップルwww

>>246
あんたアホだww (もちろん褒め言葉)
253名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 22:45:36 ID:bszN0tzS
>>246
頭のネジを一体何処に置き忘れてきたのですか?(きっと褒め言葉)
いやぁどうやったらこんな発想が出てくるんだろうかwGJです
254名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 23:52:18 ID:Kti6bp6f
>>246
ああ、素晴らしきかな肉体言語。
これがいわゆる一つの殴り愛ですか。ぐっじょぶ。
255名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 00:03:07 ID:K/ncKMLN
拳で語り合う愛ワロス
256名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 00:21:41 ID:25kvsJgG
今投下OK?
メインはみさお
サブはあやのとみさおの兄貴。
エロ描写あり。
2レス分くらいなんだけど。





257名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 00:24:55 ID:9kTRESGx
おk、どんとこい
258みさおとBK 1/2:2008/04/06(日) 00:27:36 ID:25kvsJgG
 ぎっぎっ……
 あ……やん……もっ……ふぅんっ……

 ……寝れねー……
 アタシはむっくり起き上がるとガシガシ頭を掻きながらじろっと隣の部屋の方を見やる。
 ……ま、確かにさ? 今日は父さんも母さんもいねーし、ハメはずす気はわかるよ。
 でもさ、いくらなんでもやりすぎぢゃね?
 いちおーアレ的にはアタシんちに泊まる=>アタシの部屋に泊まるって流れのはずなのにサ。
 夜中に起き出してトイレ行ったのかナー? なんて思ってたら一向に帰ってこねーし。
 で、ギシギシー、あんあんー。
 もうね。アホかと。馬鹿かと。アタシが居るって絶対わかってないってヴぁ。あのバカップル。
 ふうっとため息をついてごろっとまたねっころがる。
 一向に止む気配のないぎしぎしー、あんあんーな声と音。
 ……なんか、ヘンな気分になって来た。
 い、いかんいかん。負けるわけにはいけないぜ。ぱこっと携帯を取り出してメール。
   to ひいらぎ   件名 バカップル 本文 あいつら酷いんだって。コレじゃ寝れねー
 ぶぶっとすぐにメールが帰ってくる。こんな時のためにマナーモード。お勧めだゼ。
   from ひいらぎ   件名 re:バカップル 本文 あー……心中察してやるが、私にはどうにもならん。
 ……だよなぁ。ってか、あやのもあやのだゼ。普段はあんなにしっかりしてるのに。
 こんなにスケベだなんて……
 ……う、また、股が湿ってきた。
 トイレ行かなきゃ……
 くちゅっ
 ――!? な、う。なんだ、今のっ!?
 びりって、体がしびれたぞ!?
 ……くちゅっ、くちゅっ
「くっ……ふっ……!」
 あ、ヘンだ、ヘンだこれ……頭、ぼーっとして――
 くちゅっ、ぬちっ、くちゅっくちゅくちゅ……
 腰がひくひく震えて言う事を聞いてくれない。
 ぼーっとする頭の中にあやののすがたがフラッシュバックする。
 あやの、おっぱい大きいんだよなぁ。
 今頃、アニキに――
 それどころか、お尻だって触られて――
 きっと、きっと、エッチな顔になってるんだ。
 まるで漏らしたかのようにどんどんどんどん股が濡れていく。
 もう、ぱんつじゃ抑えきれなくなったみたいだ。
 パジャマが冷たい。
 キモチイイ。
 走ってるとき、カーーっとなって気持ちよくなる時がある。
 ケド、そんなの目じゃないくらいにキモチイイ。
 いつの間にか枕に顔を突っ込んで、お尻を上げて股を弄繰り回すのに熱中しているアタシ。
 腰がくねくねと自分のものじゃないみたいに動いて、胸がきゅうっと締め付けられる。
 きっと、あやのも今こうやって――
 あやのとアニキが裸でえっちなコトをしている。
 その光景とアタシの動きがリンクして……
「ふ、くきゅっ……! ぁゃのぉっ……!!」
 あやのの名前を呼びながら、今までにない電撃に体を震わせてアタシハ力尽きた。

 まるでマラソンをした後みたいなダルさ。
 ぐちゃぐちゃになった手をズボンから抜き取ってじっと見る。
 ……恥ずかしい毛が付いてるぐしょぐしょになった手を見て、なんか凄く悪いことをした気がした。
「……あやの……アニキ……ゴメン……」
 泣きそうになりながら、布団からのろのろ立ち上がる。体が妙に重い。
 手を洗って、顔を洗って、ジュースを飲んで、それで寝よう。
 それで……明日には元のアタシにもどろう。
 アタシは音を立てずに洗面所へ向かった。
259みさおとBK 2/2:2008/04/06(日) 00:28:38 ID:25kvsJgG
 手を洗って、顔を洗って、ポカリを一杯飲んで。ついでにちょっとポテチも食べた。
 これで、もう大丈夫。もう、いつも通りのアタシに戻ったはず。
 部屋に戻る途中、アニキの部屋から光が零れていた。
 不意に、気になってしまった。
 二人が何をしているのか。
 ――あ、アタシだって女なんだってヴぁ。その、恋人が何してるのか、知りたいっていうのは嘘じゃねーぜ。
 そーっと、ドアの隙間から中を覗く。
 そこには――

「ダーリン、タップ? タップ?」
「ぐっ! ノー! まだやれる!」
「いいの? 私の本気のスピニングトゥホールドでダーリンの足、壊しちゃうよ!?」
 ……学校の水着を着てタイツを履いたアニキの足を極めるあやのの姿。
「ぐっ、や、やられるかっ!」
「きゃっ!」
 一瞬の隙を突いて体制を入れ替え、逆にアニキが技を仕掛ける。
「ホウッ!」
「あぐっ!? こ、これは……オ、オクトパスホールド……っ!」
 それは闘魂の必殺技。通称卍固め。
「フンハッ! どうだあやの!? ギブか!?」
「くっ……ううっ……ッ!!」
 みるみるあやのの顔が赤くなっていく。
 完璧に決まったあの技は抜けることが出来ない!
「なにっ!? 抜けた!?」
 が、あやのはその驚くべき柔軟性を駆使して見事に技を解いて見せた。
「はいっ! ハイッ! はいっ!!」 
「はごっ!? くはっ! げはっ!?」
 鋭い左右のエルボーがアニキの顔面を正確に射抜く。
 ふらついたアニキのボディに強烈なボディブローが突き刺さるとアニキは体をくの字にし、苦悶の表情を浮かべた。
「はぁっ……はぁっ……これで……決めますっ!」
 正面からアニキの背中に覆いかぶさってしっかり両手をホールドし、そのままアニキを持ち上げた。
 それは、正面から見れば間違いなく墓石。そう、それはデッドマンと呼ばれた男の切り札。
「――あやの式……」
 軽くあやのの体が宙に浮く。
「ツームストンッ! パイルドライバーーーッ!」
 ずどん! とベッドに突き刺さるアニキ。ぎしぎし揺れるベッド。
「……見事だ……デッドマンあやの……」
「……ダーリン……」
 なんか見詰め合う二人。
 ……え? これって、えーと……ぷろ、れす?
「ね、ダーリン。今度はね……私、ザ・ロック役がいいな♪」
「……そろそろ、首折れそうなんだけど」
「やーん……ね? もっと。もっとしよ……」
「ヴァーーーーーーーーー!!」
「みさお!?」 「みさちゃん!?」
「なっとくいかねーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」


 正直2/2は要らなかったか・・・OTL
 あやの可愛いよあやの。
260名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 00:33:43 ID:9kTRESGx
みさおオナり損wwwwww

これはGJ
261拳で語る愛 その他のカップル:2008/04/06(日) 00:38:08 ID:RWXARQgc
「おねがいみなみちゃん!あなたの本気を受けたいの!」
「だめ……本気入れたら……死んじゃう……」

 どすっ

「ぐはっ……」
「こ……この通り、私だってちゃんと本気入れられるんだよ……」

 がくっ……

「今ので……力使っちゃったみたい……次は負けないから……(気絶)」
「ゆ……ゆたかっ……無理はだめだって……
 ……誰……こんな世界にしたの……;;」

※ ※ ※

「あやのおおおおおお!!!私のミートボールパンチくらうんだってヴぁあああああ!」
「うふふふ……(ギラリ)」
「うぐっ……いつもながらすげえ威圧感……近づけねえ……
 ていうか、あやの、いつも思うんだけど、それ卑怯なんだZE;;」
「問答無用……悔しかったらみさちゃんも功徳を積みなさい^^^^^^」

シュッ!ドス!

「(宙を舞う)このカップリングじゃ勝てねえんだZE;;
 私だってひぃらぎとやりたかった……ZE……(どさ)」

===============

>>258
こいつはワロタ!EROEROかとおもったら……GJ!
262名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 01:01:50 ID:+XFGefNV
>学校の水着を着てタイツを履いたアニキ
みさお兄何やってんだよwでもGJだぜ
263名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 01:27:29 ID:9kTRESGx
原作を買ったんだが…こなたって初期はクールキャラだったんだな
264名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 01:32:19 ID:RWXARQgc
クールに「ゴールデンタイムのアニメが見れないじゃん」
クールに「チョココロネってドコから食べる?」

新ジャンル「クーオタ」
265名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 01:47:25 ID:9EeyOdZU
ここは「痛みを伴う愛情」のあふれるインターネッツですねw
切なくて「心が痛い」話が多いと思っていたら、突然「肉体的に痛い」のが連発とは!!

>>261
>「ゆ……ゆたかっ……無理はだめだって……
> ……誰……こんな世界にしたの……;;」

サーセンw
266名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 01:50:35 ID:2uEnlBk3
新たなるブームの兆しが!?
267名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 01:55:42 ID:3QGNi6gD
>>246は人として終わってるかもしれないが神だから無問題だ。うん。

>>258
みさおの叫びも納得だwてかみさお兄とあやの何してるww
268名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 01:55:49 ID:K/ncKMLN
うんあれだ、「強敵」と書いて「とも」と呼ぶ世界w
269名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 01:57:09 ID:9kTRESGx
違う、「好敵手」と書いて「こいびと」と読む、だろ
270名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 02:02:17 ID:9EeyOdZU
こなつー
「かがりん、受け止めてっ! ……愛の"粉雪"、全力全開っ!!」
かがり
「なんのっ!食らって萌えなさいっ、最大収束……ツンデレーザー!!」

かがみ
「やめーーぃ!学校ごと消滅するでしょーがっ!!」
271名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 02:08:49 ID:0oeTw3w+
こうして平行世界《パラレルワールド》が、また一つ創られていくのだった。



IDの最高数値の人数だけ、鷲宮の『柊家特別住民票』が購入できない。
数字が無かったら、ショーケースに安値で大量出品される。
新ジャンル「殴り愛」もしくは「拳で語る愛」

======================

「というわけデ!ひよりん!私たちも闘いまショウ!
 ……ひよりん、どこですカ?」

「(ヨロ……)さすがこーちゃん先輩!その嵐のようなテムジンパンチ
 効いたッス!先輩の愛はパねえっす!」
「(グラ……)何いっちゃってんのひよりん……このペンカリスマ……
 また一段と腕をあげたじゃんか……避け切れなかったぞ!」
「次で決めるッスよ先輩!だりゃああああああ!」
「全力で来な!おりゃあああああ!」

ガシイッ!
ドス! DOUBLE K.O.

「ひよりん……最近冷たいデス(´・ω・`)」

※ ※ ※

「そう君……私の愛を受け止めてっ!ポルターガイストっ!」

ドンガラガッシャーン

「ひええええええ!!そういう霊的攻撃はなし!!
 いくらなんでも俺、かなたを殴れないよ!
 ……第一、霊だから物理的に無理だしorz
 ……ウワアアアアアッ(下敷き)」
「全部受け止めてくれるなんて、流石は私の最愛のそう君(ポッ)」
273名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 02:42:59 ID:K/ncKMLN

ななこ「うろたえるな、小娘どもーーーーーーっ!!!」

ドッギャアァアァアァーーーーーーーーーーーンッ!!!!!(まとめて吹っ飛ぶ生徒一同)
274名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 07:24:20 ID:O4tZJ8/6
嗚呼、殴り合いが広がっていく。お前ら大好きだ。
あと、>>259は2レス目があるからこそ1レス目が活きるので無問題であり即ちぐっじょぶ。
275名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 07:34:33 ID:0NI5YVoX
たった一日ぶりの来訪なのになんでしょうこの新世界、らき☆すた格闘編ツボに入ったwwww
276名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 08:48:04 ID:9Kepnqyi
あきら「…白石のばかー!」

ばふんっ

みのる「な、なんですか藪からスティック、いでっ」

あきら「いいの、そんな気分なのっ!えいっえいっ!」

ばふっばふんっ

みのる「痛いです、ボタンが当たって妙に痛いです!」

あきら「とどめだっ!プリティ☆アイドルあきらキ〜〜ック☆」

どすっ

みのる「〜〜〜〜〜!!!!!!!」

ばたん

あきら「うわぁい、勝った勝った♪」

みのる「これは……はんそ…k…」

あきら様、金的により反則負け

あきら「納得いかん!」
277名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 08:53:24 ID:K/ncKMLN
メロンの某スレから甜菜スマヌ

218 名前:メロン名無しさん:2008/02/27(水) 20:36:50 ID:???0

かがみ「この泥棒猫!こなたは渡さないわよっ」

昼休み、屋上でいつものようにこなたを弄んでいた三人の前に現われたのは
みなみを従えた小早川ゆたか(種割れ済み)であった。
ゆたかの「こなた私物化宣言」に逆切れしたかがみが掴みかかろうとする。

みなみ「・・・排除します。許可を」
ゆたか「了承(1_秒)」

次の瞬間、かがみの身体は綺麗な弧を描いて宙を舞った。
かがみ「ごぶぁっ・・・!」
コンクリに叩きつけられた彼女の首は不自然に捻じ曲がり、ザクロと化した額から脳漿が噴出している。
恐怖のあまり座り小便を漏らすつかさを横目にみゆきはズイッと前に踏み出した。

みゆき「腕を上げましたわねみなみさん。でも、お忘れですか?
     幼い頃よりあなたに極真空手を叩き込んだのは、この高良みゆきだという事を」
みなみ「・・・・・」

ついに竜虎相打つその時は来た。両者を分かつ運命は生死いずれか?


220 名前:メロン名無しさん:2008/02/27(水) 20:47:20 ID:???0
>>218
かがみ殺すな〜バカチン!


222 名前:メロン名無しさん:2008/02/27(水) 21:07:30 ID:???0
>>220

かがみ「中々やるわね……でもそんな程度じゃあ私は倒せないわよ」(血ぴゅーぴゅー)
ゆたか「バカな人ですね、手加減してあげたのに」
かがみ「ツンデレの力見せてやる、行くわよ!」
ゆたか「病弱ピュア少女、だけどその実は女王様、このギャップに適うものは居ません!」

そしてまた戦いはハジマタ
278名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 09:58:02 ID:5BZDnFMo
>>246
>>256
GJ!、ついでに妄想を一つ
「ちびっこー」
「みさおっち、フォーク攻撃は反則だよー」
「5カウントルール、5カウントまでだったら反則OKだってヴぁ」
279名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 11:57:37 ID:h/B1I//O
なんでそうお前らはバカなんだ!的GJ!!

ハラァ痛ぇ
280名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 17:11:32 ID:8vSbY8Xk
誰も準備をされていないようでしたら、こっそりと投下をいたします。
281名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 17:17:28 ID:8vSbY8Xk
「危険な関係 第11話」 最終話

こなた、ゆたか、かがみ、つかさ

※注意事項(甘々な要素は全く存在しません)

・続き物
・非エロ
・ダーク
・シリアス
・こなた&ゆーちゃん注意


28223-251 ◆5xcwYYpqtk :2008/04/06(日) 17:18:27 ID:8vSbY8Xk
名前を表示し忘れていたので、追記します。
283危険な関係 第11話 1/8:2008/04/06(日) 17:19:15 ID:8vSbY8Xk
 11.

「泉ちゃん。いらっしゃい」
 玄関を空けたら、みき小母さんが機嫌よく迎えてくれた。
 みき小母さんは、かがみとつかさの母親と言うより、むしろ姉という方がしっくりくるくらい、
若々しくて綺麗な人だ。
「あらあら、今日は可愛いお客さんも来ているわね」
「あ、あの。こなたお姉ちゃんの、従姉妹の小早川ゆたかと言います。よろしくお願いします」
「ふふ。とてもいい子って聞いているわよ。よろしく。ゆたかちゃん」
「はい。よろしくお願いします」
 ぺこんと頭を下げたゆーちゃんは、傍から見るととてもあどけなくて、可愛らしくみえる。
 確かに、外見はその通りなのだけれど、ゆーちゃんの心の奥にある昏い闇の部分は、
他人からは、容易には窺い知ることはできない。

 では、ゆーちゃんの黒い部分は最初から存在したのだろうか?
 この話をするには、ゆーちゃんは健康状態に触れざるを得ない。
 健康な者にとっては、想像することは難しいけれど、常に体調の事を心配しなければならない人間が、
対人関係を円滑に行おうとすると、相当なストレスが生まれてしまう。
 そして、ゆーちゃんは体調を崩している自分が、周囲に迷惑をかけているという認識をもっていた。
 中学の時は、心無い言葉をかけられた事もあったようで、ゆーちゃん自身も、周囲のテンションを
下げてしまうと悩んでいた。
 だからこそ、ゆーちゃんは、周囲に常に笑顔を見せ続けていたのだが、無理に無理を重ねた結果、
ゆーちゃんは大切な何かを歪めてしまったかもしれない。

 もっとも、高校に入ってからは比較的にしろ体調は良くなったのだけど。
 それでも、身体の調子を崩すことは少ないとはいえず、私は、家の中で、或いは保健室で
苦しんでいる姿を見る度に、ゆーちゃんを護る事ができるのは、自分しかいないと思うようになっていた。

 ゆーちゃんの事を、更に考え続けることにする。
 ゆーちゃんは私にとって、どういう存在なのだろうか?
 私はゆーちゃんの虜になっている。ゆーちゃんを嫌う選択肢は最初から存在しないのだ。
 それならば、ゆーちゃんの言っている事には全て従うのか?

 正確に言うと全てイエスではない。しかし、夜の領域に佇んでいるゆーちゃんには、抗いがたい魅力がある。
 私は、ゆーちゃんと一緒なら、暗闇の部分に堕ちても構わないのだ。
 そして、現実にはありえないかもしれないが、全ての関係を絶って、二人だけで暮らしたい。
そうすれば、ゆーちゃんは私だけのものになるから。
 ゆーちゃんを迫害する者は、例え誰であっても、どんなに親しい友人であっても、
恋心を抱いている人であっても、決して許すことはできない。
 例え、ゆーちゃん自身が我慢しても、私は絶対に容赦をするつもりはなかった。
284危険な関係 第11話 2/8:2008/04/06(日) 17:19:54 ID:8vSbY8Xk
 ゆーちゃんと私はかがみの部屋に入った。
 程なくつかさがケーキを持ってくると言って部屋を後にした。
 私は、直後にお手洗いに行くと、残った二人に伝えて廊下に出る。

 廊下を歩いていくと、ケーキと紅茶をお盆に載せて戻ってくるつかさと、鉢合わせをすることになる。
 私は、擦れ違う間際につかさの肩口で囁いた。
「つかさ…… 私は信じているから」
「こなちゃん」
 つかさが振り返ったが、私は何も言わずに肩をぽんと叩いて、背中を向けた。

「こなちゃん、ゆたかちゃんどうぞ」
「あっ、ありがとうございます。つかさ先輩」
 つかさは指を微かに震わせながら、イチゴのショートケーキと紅茶を差し出した。
 琥珀色の水面からは、微かに湯気が立ち昇っていた。
 
 一方、かがみは、妙に余裕のある表情をしている。
「お砂糖は一つずつでいい? 」
「はい」
 ゆーちゃんがこくんと頷いた。
 つかさが、紅茶に角砂糖をいれていく。黒砂糖はゆーちゃんと私に、白い砂糖はかがみとつかさに入れる。

「やっぱり、苺のショートと、紅茶は合うわよね」
 かがみは妙に上機嫌でティーカップに唇をつけながら言った。
「さ、さ、ゆたかちゃんもどうぞ」
 しかし、ゆーちゃんは紅茶の水面をじっと見つめているだけで、口をつけようとしない。
285危険な関係 第11話 3/8:2008/04/06(日) 17:20:19 ID:8vSbY8Xk
 かがみが首を傾げながら言った。
「どうしたの? ゆたかちゃん。紅茶キライなの? 」
「…… そんな事はありません」
 ゆーちゃんは膝を握り締めながら擦れた声を出した。
「どうして飲まないのかしら? 」
 かがみの不思議そうな瞳から、ゆーちゃんは逸らし続けている。
「ゆーちゃん」
 私は苦笑しながら、躊躇い続けているゆーちゃんに言った。

「体調が悪いなら、無理しなくてもいいんだよ」
 紅茶を飲んだから、身体の調子が悪くなるなんてあり得ないけれど、敢えて言うことにした。
「ううん。こなたお姉ちゃん。私は、大丈夫だから…… 」
 私の言葉で、ようやく覚悟を決めたようだ。
 ゆーちゃんはゆっくりと、ティーカップに口をつけた。

 さて、私も頂きましょうかね。
 香りを楽しみながら紅茶を飲んで、ショートケーキを口に放り込む。
 少しほろ苦い味と、ケーキのクリームの甘さが口の中で溶け合って、とても幸せな気分になる。
 苺のショートはシンプルだけど一番好きだ。
286危険な関係 第11話 4/8:2008/04/06(日) 17:20:56 ID:8vSbY8Xk
「そういえば。ゆたかちゃん」
 苺を口にいれながら、つかさが尋ねた。
「みなみちゃんが、学校に来ていないの…… 」
 つかさが意外なことを口にした。
「えっ、どうしてつかさ先輩がご存知なのですか? 」
 ゆーちゃんは首をかしげている。

「あ、あの、昨日、ゆきちゃんから聞いたの」
「ふうん。そうですか」
 ゆーちゃんは気のない返事をした。
「ゆたかちゃんは、みなみちゃんの事が気にならないの? 」
 つかさはどこか責めるような口調で言った。
「私が、みなみちゃんの事を何も考えていないと言われるのですか? 」
「ううん。そんな事ないけど…… 」
 強気なゆーちゃんに、つかさは気まずそうに押し黙る。
 入れ替わるように口を開いたのはかがみだった。

「みゆきの話によると、みなみちゃん、ショックな事があったらしいわよ」
「どんな事でしょうか? 」
 ゆーちゃんが、かがみを真正面から見つめる。
「それは、ゆたかちゃん。あなたが一番良く知っているのじゃない? 」
 二人の間に緊張が急激に高まる。
 どうしてゆーちゃんとかがみは、悉く対立してしまうのだろうか?
287危険な関係 第11話 5/8:2008/04/06(日) 17:21:24 ID:8vSbY8Xk
「さあ、知りませんね。風邪でもひいちゃったのかな。みなみちゃん」
「とぼけないで! 」

 かがみが激発して立ち上がった。艶やかに伸びた二本のテールが揺れる。
「みなみちゃんに酷い目に合わせたのは、ゆたかちゃん、あなたでしょう。
どうしてそんな他人事みたいなことがいえるのよ? 」
「そうですね。全部私のせいですよね」
「開き直らないでよ! 」
 かがみが、ゆーちゃんに一歩近づく。
「みなみちゃんの事は私が何とかしますから。それにかがみ先輩、あなたは、
私を非難するダシとして、みなみちゃんを使っているだけでしょう」

「なっ」
 バシッ……
 激昂したかがみが、ゆーちゃんの頬を平手で叩いた。

「自分の気に入らないと、すぐに暴力に訴えるんですね」
 頬を紅くしながら、ひるむことなく反撃を加える。
「絶対に、絶対に許せないわ。ゆたかちゃん」
「あなたが、許せなかったらどうなるのですか? 」
 ゆーちゃんの攻撃は止まらない。
288危険な関係 第11話 6/8:2008/04/06(日) 17:22:53 ID:8vSbY8Xk
 しかし、今まで怒気を発していたかがみは、大きな置き時計に視線を移した途端に、
急ににんまりとした笑みを浮かべて言った。

「そろそろ、時間ね」
「どったの? かがみん」
 私は、急に笑顔になった彼女に不審を覚えて尋ねる。
「ゆたかちゃん本人に反省してもらうことは無駄だってことは、最初から知っていたわ」
「だから、何をいっているのですか? 」
「私は決めたの。ゆたかちゃんには教育が必要だってね」
 かがみは、ゆーちゃんを指差しながら謡うように言った。

「私を教育ですか? 」
 何を言っているんだこの女は、という目でゆーちゃんは見上げている。
「そうよ。もとの控えめで素直なゆたかちゃんに戻ってもらうの」
「絵空事を妄想するのは構いませんが、自分のベッドの中だけにしてくださいね」
 ゆーちゃんは、冷めた目で二歳上の先輩に言い放った。
「そうとも言い切れないわよ。ねえ、つかさ」
 かがみがつかさに視線を移して―― 驚愕した。

 つかさは、カーペットに倒れこんで、静かな寝息を立てていた。

「な、なんでつかさが寝ているのよ」
 狼狽したかがみが叫んだ。
「それは、睡眠薬入りの紅茶を飲んだからだよ。かがみん」
「えっ!? 」
 かがみは驚きのあまり、言葉を発することができない。

「良心の呵責に耐え切れなかったのだろうね」
 まともに声を出せないかがみに向かって、私は静かに言った。
「昨日の夜、つかさから電話があったんだ。かがみが、睡眠薬入りの紅茶を、
私とゆーちゃんに飲ませようとしているってことをね」
「つかさ…… 」
 もっとも濃厚な時間を共有している双子の妹に裏切られて、かがみは、衝撃のあまりに
言葉を発することができないでいる。

「でも、つかさは迷っていたよ。私を取るか、かがみを取るかを本当に最後までね…… 」
 私が、つかさの後を追った理由は、最後の念押しをする為だった。
 それでもつかさは直前まで迷っていた。角砂糖を入れる手が震えていたのがそれを証明している。
289危険な関係 第11話 7/8:2008/04/06(日) 17:23:41 ID:8vSbY8Xk
 どうやら、かがみにも眠気が襲ってきたようだ。
 かがみは、辛そうにこめかみを押さえながら両膝をついた。
「でも…… 私のカップに入っている砂糖は、白かったわ」
 納得できないといった顔をしているかがみに、教えてあげることにする。

「つかさは『睡眠薬を入れるべき砂糖の方』を入れ替えたんだよ。かがみとつかさが
飲んだ紅茶には、薬入りの白い砂糖、ゆーちゃんと私にはふつうの黒砂糖をね」
「そんな…… 」
「かがみ先輩って、とても可哀想ですね」
 ゆーちゃんが憐れむように言ってから、必死に眠気に抗いながら、四つんばいになっている
少女を見下ろした。

「ゆたかちゃん。あんたなんかには分かんないわ…… 私が、どれだけこなたを好きでいたかなんて」
 思わぬタイミングで、告白されてどきりとする。
「私はね。何も努力をしないのに、いつもこなたに心配ばかりかけているくせに、
無条件でこなたに愛されるゆたかちゃん。あんたが憎くて仕方がなかった。
こなたと仲睦まじそうにしている姿を見ているのは、何よりも苦痛だったわ」

「でも、睡眠薬はいただけなかったね…… 何をするつもりだったの? 」
 しかし、かがみはフンと鼻息を鳴らして、
「こなたが想像していることと、大して違いはないわ」
と、明らかにはしてくれなかった。

「こなた。これからどうするの? ゆたかちゃんと、不毛な愛を育むの? 」
「それはかがみの知ったことではないよ」
「そうね。私の知るべきことではないわね 」
 かがみの身体が、床に崩れ落ちる。
「私は、かがみのこと好きだったよ…… たぶん、親友というより恋愛感情としての好きだと思う。
かがみと一緒の高校生活はとても楽しかったよ。でもね」
 私には、ゆーちゃんがいたんだ。

 もう一度、かがみの顔を見つめ直すと、私の大好きだったクラスメイトは既に寝息をたてていた。
290危険な関係 第11話 8/8:2008/04/06(日) 17:24:17 ID:8vSbY8Xk
 強制された眠りに落ちた双子を、同じベッドに寝かしてから、家を辞することにした。
 玄関先で、みき小母さんが見送ってくれる。
「もう帰るの? 泉ちゃん」
「ええ。おじゃましました」
「かがみとつかさは見送らないのかしら」
 みき小母さんは腰に手をあてて、頬を膨らました。
「ふたりとも、眠ってしまいましたから」

 私は悪戯そうな笑顔をつくってみせた。
「もう、仕方がないわねえ。後で叱っておこうかしら」
「ではそろそろ…… 」
「今日はありがとうございました」

 私とゆーちゃんは、小母さんにお辞儀をして柊宅を出た。
 すっかり葉を落とした銀杏並木を望みながら、駅に向かってゆっくりと歩いていく。
「こなたお姉ちゃん」
「なあに、ゆーちゃん」
 ゆーちゃんは立ち止まって私の顔を見つめた。
「これから、どうしようかな」
「ん…… 学校、行きたくない? 」
 私の質問に、ゆーちゃんはこくりと頷いた。
 まあ、無理はない。ゆーちゃんにとって、今後の高校生活は大変厳しいものになるだろうから。

「それなら…… 何処かへ二人だけで行こうか。誰もいない、遠いところへ」
 私は、ゆーちゃんの大きな瞳から、視線を外さない。
 ゆーちゃんは私の顔を見上げてから、何も言わずに胸のなかに飛び込んだ。

(終)
29123-251 ◆5xcwYYpqtk :2008/04/06(日) 17:28:27 ID:8vSbY8Xk
以上です。
読んでくれた方、感想をいただけた方、ありがとうございました。

今回の話を進めることはとても難しくて、何度も筆が止まってしまいました。
一度は、他のお話に逃げ出したこともありました。
しかしながら、皆様のおかげをもちまして、何とか最後まで話を進めることができました。
改めて感謝いたします。
それでは、失礼いたします。
292名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 17:39:28 ID:EzwQhFKR
さすが無糖を注意書きに添える作品!
この世界でも逃避行にいってしまうのか・・
作者お疲れ様です!
293名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 18:01:26 ID:A/bls/Qd
>>291
GJ!
深読みしすぎて、つかこなも想像してしまったのは俺だけだろうな
294名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 18:38:26 ID:O4tZJ8/6
>>291
思ったよりは穏便な終わり方でしたが……それだけにあとからやるせなさが効いてきますね。
この二人のこれから、elopeと比べるとどう考えても救いがなさそうなorz
それはさておき、連載お疲れさまでした。GJ。
295名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 22:43:38 ID:ZjiFdMd4
>>291
もうGJの一言に尽きますね
このままだと、また逃避行になりそうだ〜
elopeだとゆたかからだったけど、今回はこなたからですか……
このペアで救われる話って難しいのかなぁ?
296名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 22:56:04 ID:HYDgwWmf
>>291
10話からがーっと読み終えましたが…なんという無糖…
さすがというかなんというか。
この組み合わせはなんでこう、どう転んでも微笑ましい方向にいかないのか。
理由については散々語られてるから、わかっているつもりではいますが。

あぁ、23-251氏恐るべし(もちろんほめ言葉
297名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 23:10:48 ID:Gt0jvYm7
何処か遠くへ逃げよう 遠く遠くへ逃げよう
逃げた町で冬には 吹雪に凍ってしまおう

>>291
この後またこなたとゆーちゃんは駆け落ちモードに入るのだろうか・・・・・?
もしこのまま学校に通い続けてもよからぬ噂を立てられて
ハブられ虐められるのは確実だろうから。
298サスペンス必至なカップル:2008/04/06(日) 23:27:58 ID:RWXARQgc
「わかったよ……」
「私たちが結ばれたのでは、この先どう考えても
 泥沼展開にしかなりえないんだね」

「こなた……やっとわかってくれたの?」
「ゆたか……やっと……理解……」

「私たち、別れるね」
「これ以上、不穏にするのはイヤ、みんな大好きだもん」

「こなた……」
「ゆたか……」

〜数日後









こな×みさ
ゆた×あや

かが&みな「ちょwwwwwwwwおおおおおいwwwwwwwwww」
299名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 23:39:51 ID:9EeyOdZU
>>291
ああもう、GJ!
心が痛いっす!!(;;)

>>298
あてつけカップルバロスwwww
300名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 00:27:26 ID:FZ4P8r13
>291
こなたとゆたかの正に黒と黒の相乗効果、かがみも一蹴ですか。
貴方の作品は本当に大好きだぐっじょぶ!

にしても……
『こなちゃんが誰と付き合っても、最後まで応援するよ。
 みんながこなちゃんの敵になっても、私は味方だから…… ね』
つかさはこれを貫いたんですね。ああ、この子本当にええ子や。
対策委員会のつかさなら、あるいは悲劇を止められたのでしょうか。
301名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 00:46:27 ID:CmNne5xY
シリアスなこなフェチって印象
302みさおとBK:2008/04/07(月) 00:56:58 ID:Vxwum/BJ
「バカッ! ダーリンなんて嫌いっ! だいっ嫌い!!」
 アタシがアイスを買って帰ってくると、丁度アニキの部屋からあやのが飛び出してきたところだった。
 あやのは泣きながらまるで自分の体を隠すように……
 ちょっと待て。アニキはなにやったんだ?
 も、もしかして……
「うへへ! あやのぉ! おまえの体に色々えっちなコトしてやるぜー」
「いやー、やめてー。やあん、おへそにちゅーしちゃだめー」
「ハァハァ! あやののパンツ被らせてくれよォ!」
 ――最低だ! アニキ最低だ!!
 怒りに思わずぎゅっと拳を握る。
 そのまま走り出したあやのが、アタシにぶつかってきた。
「あ……みさちゃぁんっ!」
 ぎゅっと、抱きつかれる。う、凄い、いい匂いだってヴぁ……
 くらくらとするあたまを振って、あやのの手をとると、アタシは自分の部屋に駆け込んだ。 

「……酷いの……私の気持ち、わかってない……」
 アタシはあやのの隣に座って、背中を撫でてやる。泣いてる。優しくていい奴なあやのが。
「……あやの。アニキと別れちゃえよ」
 なんで、こんな事言ったのかわからない。
 でも、アタシは――あやのが、悲しんでるの見るの、嫌だったんだ。
 だって、だってあやのは――
「――あやのぉっ!」
 ぎゅっとあやのを抱きしめる。
 細くて、思った以上に小さいあやのの体。
 アタシなら、絶対大切に出来る。世界中の誰よりもあやのを幸せに出来る!
「みさ、ちゃん?」
「あやの、アタシ、絶対、絶対あやのの事泣かしたりしないゼ」
「――みさちゃん!」
 ぎゅっとあやのがアタシの体を抱きしめてくる。
 それだけでも、心が満たされ
「早まるなあやのぉぉぉぉ!!」
「アニキ!?」
「ダ、ダーリン!?」
 息を切らせたアニキが部屋に飛び込んできた。
「あやの、悪かった……俺は、俺は」
「今更なんだよ! あやのは……あやのはアタシが幸せにするんだってヴぁ!」
「みさちゃん――」
 アニキの顔がゆがむ。
「……止めておけ。お前じゃ……あやのを受け止められない」
「そんなことない! アタシは、アタシとあやのなら、何でも乗り越えられるっ!」
「……みさちゃん……私、嬉しいよ」
 きゅっと腕に力が込められる。
「駄目だあやの!」
 アニキの声が響き
「――あやの式」
 ぎゅいんっと、アタシの視点が回った。
「  猛  虎  原  爆  固  め  !!  」
 ――猛虎原爆固め。一般的にはタイガースープレックスホールドと呼ばれるその技はタイガーの名通りタイガーマスクが得意としていた技である。
 強力なブリッジ力によるぶっこ抜き、そして圧倒的な柔軟性によって描き出されるアーチは受身を取ることを許さぬ急角度となって相手の脊髄を襲う。
 スカートでやると若干ぱんつが見えてしまうがそれはそれで趣がある峰岸あやのの新フェイバリットホールドだ!(みさお兄)

 ベッドで押さえ込まれながらアタシは今までの会話を整理する。
 私の気持ちわかってない=>この技を試したかった
 お前じゃあやのを受け止められない=>耐えられないんじゃね?
 ……なるほど。これならつじつまが合うってヴぁ。
「あ、あやの!! パンツが見えてる!」
「あ、やーん! ダーリンのえっちぃ♪」
 そして仲直り。この、この……このバカップルたちは……!!
「な、なっとく、いかねーーー……」
 ヴぁー……
303名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 00:59:10 ID:aH6QsfxW
>>303
またこのパターンかwwww
304名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 00:59:32 ID:aH6QsfxW
あ、安価ミスた…(´・ω・`)
305名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 01:07:31 ID:TZJ6CXsj
>>302
本当救いようがないな(勿論褒め言葉)
306名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 01:11:05 ID:P3eYxhyV
>>302
ここまでくるともはや病気だな(もち褒め言葉)
307名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 01:20:33 ID:sGNF70FF
>>302

こなた
「ブラック・ジャックセンセ、ぐじょぶなのよさ(=ω=.)」

かがみ
「なんでそこでブラック・ジャックが出てくる……」

こなた
「かがみー、ID、ID!」


GJしたー。
308名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 01:22:16 ID:sGNF70FF
とか言ってる俺のIDが、スイッチ切れてる件について。




こなつー「んじゃ、そゆことなんで、スリープモードに入ります。おやふみー (.=ω=)ノシ」
309名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 02:17:31 ID:lqios/Bo
保管庫のらき☆すた年表を見ながら
小早川ゆきが40だとしたら、26のゆいを産んだのは14歳のときになるから、
それはちょっと無理があるような気がする今日この頃。

そんな横レス。
310名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 04:47:21 ID:x9pXv8dd
実はゆいはゆきの旦那の連れ子なんだよ。
311名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 07:14:31 ID:8oECc0+f
>>302
おお、続編ktkr。
何につけてもプロレス基準のバカッポーが素敵極まりないです。ぐっじょぶ。
312名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 09:06:29 ID:N6nvc/2v
>>309
ダーリンダーリン
いろんな角度から君を見てきた
313名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 19:03:30 ID:vG/t3NWn
>>310
そう考えると、ゆいがゆたかを溺愛してるのも……と色々邪推してしまうな。
314名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 19:16:40 ID:gBOxIYKO
原作で、ゆたかがみなみにゆいを紹介するときにわざわざ「実姉の」っていってるんだけど、
それもなんかことさら実の姉妹を強調しようとしている印象もあるんだよね
こなたと区別したんだろうけど、そう思うと意味深長にも聞こえる

まあ、ぶっちゃけただの設定ミスだと思うんだけどね

あと、
かなたさんが泉家の記憶をもってた=そうじろう20前半であの家がすでに建っている
もなんか変な気がする
315名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 19:17:19 ID:aTbw6+PM
ゆきはそうじろうの妹なのに
ゆいはこなたよりも8つは年上だからな。
こなたが生まれるのがわりと遅めだったのか
ゆきが極めて早いうちに子供生んだのかどっちかじゃないと
おかしいんだよねえ。
316名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 19:59:03 ID:eBljaz0w
血が繋がってないと仮定すれば胸のサイズが圧倒的に違うのも納得できるが・・・
317名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 19:59:45 ID:aH6QsfxW
髪の色が違うのもな
318名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 20:05:55 ID:aTbw6+PM
実の姉妹とあるから血は繋がってるんだろうけど
片親だけかもしれんな。某高町さんとこみたいに。
319名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 20:10:18 ID:aH6QsfxW
腹違いもしくは種違いってことか
320名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 20:18:24 ID:eBljaz0w
異母姉妹って事なら一番納まりが良いのかな。ゆい姉さんは亡くなった前妻の娘という事で。
321名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 21:22:32 ID:OZRhYSo+
夢のないこと言っちゃうと、あの資料は原作・アニメ・工藤治氏の小説etc....の設定をごっちゃにしてるから
2007年にxx才だから19xx年生まれで……とアニメの時間軸を基準にしてるのに別の設定で逆算すると
どうしても矛盾するところが出てきちゃうんだよね
小説のこなた18歳のときそうじろう40歳って縛りが取れればいくらかは納得のいく仮説が立てられそうなんだが……
322名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 21:26:14 ID:iAa8quSZ
その線でいくと柊家はまつりは養子(ry
323名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 21:52:18 ID:jf5+PP3H
投下準備完了。
数分後に行くでがんす。


時計発動。
32442-115:2008/04/07(月) 21:57:45 ID:jf5+PP3H
いざ投下。

『女子高生四人がメジャーリーグにハマるまで』(前)

・四レス
・エロなし

325女子高生四人がメジャーリーグにハマるまで:2008/04/07(月) 21:59:57 ID:jf5+PP3H
 「ゆきちゃん、何読んでるの?」
 ある日の休み時間。みゆきが机に雑誌を広げているのを見つけて、つかさが寄って行く。
 そして、
 「はうぅっ!」
 拒絶反応。つかさの頭が受け付けるものではなかったらしい。
 それを見たこなたが、興味を惹かれて寄って行く。
 「何をしているのかね、私に見せてみなさ〜い(デスクトップ時計風)」
 自分と同じく、ディープなオタクの世界に足を踏みれようというのなら、諸手を挙げて大歓迎なのだが……。
 「くぁwせdrftgyふじこlp;@」
 拒絶反応。そういう種類の雑誌ではなかったようだ。
 それを見たかがみが、少し安心して寄って行く。二人が拒絶反応を示した理由はすぐに分かった。英語で書かれていたのだ。
 「MLB?」
 かがみは、目に入った誌面の文字をそのまま読んだ。屈強な男が丸太のような腕でバットを振りボールをインパクトする瞬間や、鬼のような形相で白球を投じる瞬間の写真も見える。
 「野球? あ、メジャー・リーグ・ベースボールの頭文字か」
 「ちょめちょめMLBってわけだね」
 立ち直ったらしいこなたが、訳知り顔で肯く。
 「ドライバーの運転技術を競う公道自動車レースじゃなくて、監督の選手操縦術(せんしゅそーじゅーじゅじゅ)を競うペナントレースってわけだ。うんうん」
 「上手い事言いながら噛んでじゃないわよ……」
 「適切なツッコミ、あじゅじゅじゅじゅした〜!」
 二人のやり取りを面白そうに見ながら、みゆきが説明する。
 「実は私の父の会社が、ある球団とスポンサー契約を結び、球場のフェンスに広告を出す事になりまして」
 「ほう、みゆきさんのチチの広告とな!」
 こなたが涎を拭う動作……いや、本当に拭ったのかもしれない。
 「そこのオヤジ、変な読み替えしない!」
 かがみ、目覚ましを止める時のように平手でバシッ。
 「日本じゃなくてアメリカの球場なんだ」
とつかさ。
 「ええ、あちらでプレーする日本人選手が増えたためよく中継されますし、現地法人の宣伝も兼ねてますから」
 「それに、国内の中継の視聴率が低下してるからねえ……」
 野球中継を目の仇しているこなたは、ザマ見ろと言わんばかりににこにこする。
 「それは事実らしいけど、関係者の不幸を笑うのは、人としていかがなものかと思う」
 「ふっふっふ、すぐにアニメが野球中継に取って代わる時代が来るよ。あ、そしたら延長とかもするかな?」
 「はいはい、するといいわね」
 「それで、ゆきちゃんは興味を持ったんだ」
 「ええ、ちょっとなんですが」
 「ちょっと」で英語の専門誌にまで手を出すだろうか? 
 三人は等しくそう思った。
326女子高生四人がメジャーリーグにハマるまで:2008/04/07(月) 22:00:46 ID:jf5+PP3H
 「好きな球団とかあるの?」
 まるで彼氏の有無を聞くように、つかさが尋ねる。
 「いえ、まだ球団名と本拠地球場名を覚え、球団史を軽くさらった程度で。それが済んだら、各球
団の監督と主力選手、その過去五年分くらいの成績にも目を通していこうかと思っているんですが」
 「ちょっと」、ねえ……。
 「最近では日本でも導入しつつありますが、球場名の命名権(ネーミングライツ)を売り出してい
るところもあって、日本でも馴染みのある企業やブランドの名前がついていたりするんですよ。例え
ば、タンパベイ・レイズのトロピカーナ・フィールドや、ヒューストン・アストロズのミニッツメイ
ド・パーク」
 「どっかで聞いたことがあるわね、それ……」
 思案顔の柊姉妹の頭上に同時に電球が灯り、
 「「ジュース」」
と声がハモった。
 紙パック入りの果物ジュースとして、どちらもお馴染みだ。値段はやや高いが。
 「メイドさん・パーク? それってどんな公園……」
と目を輝かせているこなたはスルーされた。
 「あるいは、日本で開幕戦を行ったオークランド・アスレチックスのマカフィー・コロシアム」
 みゆきは意味ありげな視線をこなたに送る。こなたの目には、この日初めて理知的な光が宿った。
マカフィーといえば……。
 「あ、セキュリティソフトの……私使ってないけど」
 よくできましたといわんばかりに、みゆきは微笑んだ。
 「調べれば調べるほど奥が深くて、新しい発見があって、ついつい熱中してしまうんです。ロベル
ト・クレメンテの評伝など、読んでいて感動して、思わず泣いてしまいました。お恥ずかしながら」
 「へー」
 つかさは素直に感心する。
 「みゆきさんの好きなタイプはロベルト・クレメンテ←結論、っと……」
 なんて言いながら、古い新聞記者のイメージ(鉛筆の先を舐める)でメモを取る仕種がこなた。
 「みゆきを陥とせる根性のある男、発見」
 なんて呟いたりしたのがかがみである。
 そしてつかさは、改めて雑誌の誌面を覗き込むのだが……、
 「くぁwせdrftgyふじこlp;@」
 拒絶反応。しかもこなたが伝染った。
 みゆきが言うような感動は、どうやら見出せなかったらしい。
327女子高生四人がメジャーリーグにハマるまで:2008/04/07(月) 22:01:53 ID:jf5+PP3H
 「みゆきって、やっぱり牛かもしれない」
 かがみがいきなりこんなことを言い出したのは、その日の夕刻。寄り道もせずこなたと別れ、鷹宮
駅で降りて自宅へ向かう途中のことである。みゆき=牛という図式は、こなたが提唱したもので、つ
かさ説だとみゆき=羊となる。
 「お姉ちゃん……」
 思いつめたような顔で俯いていたつかさが、びっくりして顔を上げる。
 「やっぱりお姉ちゃんも、ゆきちゃんが羨ましいんだ? ゆきちゃんのおっpp―」
 「ちょ、そうじゃないわよ。そうじゃなくて……」
 かがみに言わせると、知識を得ることに邁進する姿が牛を思わせるというのだ。
 「知識の荒野を、鋤を引いて突進してる感じ、かな」
 耕した部分が自分のものになるというレトリックのつもりだったのだが……。
 「誰のため?」
とつかさが聞く。
 確かに、牛だけでは耕した土地をどうこうすることは出来ない。ならば……。
 「種を蒔きたいと望んでいる誰か、かな。誰のためになるか分からないし、その誰かがそこから芽
吹いて実った果実を、耕した牛に与えるとは限らないけど、ともあれ牛の本能は満たされるわ」
 知識を得ることによって、みゆきの心と胸が豊かになればこそ、報われるかどうか、誰の為になる
かなんてどうでもよくなっているのではないか。ああ、どっち道胸は関係ないな……。
 ていうか、みゆき=牛という図式で会話が成り立ちつつある。いや、言い出したの私だけど。
 「寂しくないかな、牛さん?」
 つかさがそれに乗ってきてしまった。
 かがみは眼鏡をかけた牛さんがただ一頭、ぽつんと荒野に佇んでいる様子を想像してみる。バック
が夕日なのはデフォである。
 「寂しいでしょ、イメージ的には」
 「そうだよね……」
 再び俯くつかさの顔が、西日の残照に翳る。
 「そう思うならつかさ、あんたが話し相手になってやればいいじゃない」
 「うん……なれればいいけど」
 苦笑する顔は、みゆきには太刀打ちできないと言いたげだ。
 おそらく学校中探しても太刀打ちできる人間はいないだろうが、でもそもそも、太刀打ちする必要
自体あるのだろうか?
 こなた・かがみ・つかさ・みゆきのシュヴァルム(四機編隊)を、さらにロッテ(二機編隊)に分
けるとすれば、こなた・かがみ/つかさ・みゆきという組み合わせにどうしてもなるだろう。こなた
が5000点を賭けてしまうほど、つかさが一方的に話してみゆきが聞き役だが、その逆もまたよきかな。
牛飼いではなく、牛に飼われてみるのはいかが?
 ……って、やっぱ牛だし。
328女子高生四人がメジャーリーグにハマるまで:2008/04/07(月) 22:02:45 ID:jf5+PP3H
 「一方的に教えを請うだけでも、牛さんの本能は満たされるわよ」
 あ、いかん。「牛さん」じゃなくて「みゆき」と言っとくべきだった。……この思考自体が、だい
ぶ失礼だが。
 「たまに一般文芸の話をして盛り上がった時とかさ、みゆきとラノベの事の話の種にとことん語れ
たらどんなにいいかって思うもの。こなたもあんたも、その辺は一方的な聞き役としてすら期待は出
来ないから」
 よし、「みゆき」に戻った! GJ、私。
 「お姉ちゃんは遠慮してるんだ、ゆきちゃんには」
 「まあね、慎み深いんで」
 食欲以外は……。
 「私やみゆきは大人だから、一人になること、一人でやることの大切さを知ってるの。宿題に関し
ては特に、ね」
 「はうぅ!」
 つかさ撃沈。
 感情にシンクロすると目されている黄色いリボンが、怯える子犬のようにしなだれる。
 「聞き役になってやんなよ。みゆき、きっと喜ぶよ」
 提案してみた。
 応答なし。
 間が、空く…………。
 こなた色に染まった雑念が、♪ 聞き役になってやんよ と歌うつかさを想像する。
 なんだそりゃ!? 100%ナイナイナイ。
 間が持たん。つかさ、早く何か言いなさいよ。
 「それじゃあ、がんばってみようかな」
 「うん、がんばりなさい」
 「だからお姉ちゃんも……ね?」
 やはりそうきましたか。はいはい、分かってましたとも。
 「ダメ?」
 つかさ、ますますお犬様モード。単に哀願するだけで自覚はないのだろうが、実これ相当可愛い。
男だったらやばかった。いや、今でも相当やばい。
 「しょうがないなあ。ああもう、付き合ってあげるから、そんな顔しなさんな」
 「本当!? やったあ」
 物理的にありえないのだが、何故かリボンがピンと立ち、嬉しそうに振り回す尻尾を幻視できそう
で、思わずその頭を撫でてしまった。
 「でも、あんまり期待するじゃないわよ。私にも、自分自身にも。二人がかりだって、あの碩学に
太刀打ちできるとは限らないんだから」
 「『せきがく』ってなあに?」
 「……『望み薄だという事を証明する』って意味よ。今はね」
 「??」
 そんな事を言いながら、かがみの頭には別の計算もあった。
 夏の100冊フェアの時も似たようなものだったが、シュヴァルムの他三人が野球の話を講じていた
ら、こなたはどう思うか。だいたいにおいて、他の追随を許さない(他人がついていけない)話の震
源地はこなただ。こなたをやり込め、懲らしめてやるいい機会である。
 どんな顔するかしらね……。
 しょうがないなと言った姉が、全然しょうがなさそうじゃなく、むしろやけに楽しそうなのがつか
さには少し不思議だった。


 つづく


32942-115:2008/04/07(月) 22:04:12 ID:jf5+PP3H
つづきます。

読んでいただいた皆様、ありがとうございました。
330名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 22:09:19 ID:Gj/wy5ju
リアルタイム遭遇GJ!
このかがみ好きだあああああああああああ
ってことで、続きを待ちます
331名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 22:24:29 ID:nNkRd88x
>>329

リプケンやクレメンス、マグワイアにソーサ、隻腕の投手アボット、
ジーター、マリナーズのクリーンナップトリオたるオルルド、ブーン、マルチネスに
おなじみイチロー、ダブル松井、松坂に岡島、福留・・・・・・

このそうそうたるメンバーをいつもの4人組にどう語らせるのかwktk。
332名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 22:29:14 ID:nNkRd88x
連続スマソ、オルルド&ブーン&マルチネスは6〜7年前のマリナーズクリーンナップトリオだったわ。
333名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 22:33:44 ID:8oECc0+f
いつもの4人を編隊にたとえるセンスがいいですねえ。
さて、みゆきさん牛の拓いた野球畑にどんな実がつき花が咲きますやら。
続きを楽しみにお待ちしております。
334名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 22:40:19 ID:ktWxOQBC
そしていつか、レギュラーでベースボールを嗜むようになり
数年後








こなたのスーパー送球で「鳥羽一郎ビュリホー!」
ドカッ!
人類滅亡!

なんてことになったりならなかったり
335名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 23:37:17 ID:P3eYxhyV
マズイ・・・卓球ネタで何か書いてみたくなった・・・
336名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 00:15:23 ID:y0hJuH01
なんと言う新ジャンル…
続きまってますぜ
337名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 01:03:17 ID:llaKXZr1
温泉→卓球なのかな?期待してる
338名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 01:28:54 ID:3WZBCamh
>>337
ガチのやつを考えてる
339名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 01:47:48 ID:s7EIHONs
映画「ピンポン」のようなノリのやつか?
それとも「燃えよ!ピンポン」のような過激なやつか!?!?(゚∀゚)
340名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 02:03:41 ID:3WZBCamh
>>339
できるかどうかすら分からんから、そこはお楽しみって事でw
341名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 02:30:23 ID:mZHanCI8
>>340
期待させていただきます!!
萌えよ!ピンポン
342名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 02:34:05 ID:s7EIHONs
>>341
『萌えよ!ピンポン』なるほど!

燃えよ!は負けたら殺されるけど、
萌えよ!は負けたら皆にフェチられるんですね!!!
そいつは過激だ!!!(゚∀゚)9m
343名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 02:39:25 ID:Eq/6AKr9
>>342
その発想はなかったわw
344名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 03:40:17 ID:s7EIHONs
ちょっと野球にハマる……という話があったので
実際野球にマジハマリした場合の、レギュラーの立ち位置を妄想してみる。

糟日部ラッキー☆スターズ

投手   みさお  アグレッシヴベースライナー 魔球ミートボール
捕手   みゆき  古田を思わせるメガネの奥に潜む戦略と透徹眼
一塁手  パティ  右翼との連携、それだけでこの位置を志願wwwww
二塁手  かがみ  そのツッコミで行われるこなたとの絶妙なる連携wwwww
遊撃手  こなた  運動能力、俊足、周囲判断、まさにこの花形位置のための存在
三塁手  あやの  強打者。髪を下ろしデコを隠したときが彼女の本領……らしいw
右翼手  ひより  ペンで鍛えた飛びぬけた強肩wwww
中堅手  みなみ  投げてよし!走ってよしのグリーンパンサー
左翼手  つかさ  強打者。ビンで鍛えたバルサミコスウィングwwwww

ゆたか「ほ……ほぇ?私はぁ?」
こなた「ゆーちゃんはうちのチームのマスコットだよ(=ω=.)b」
みなみ「か……可愛い(ポッ)」


ハイ、突っ込みは受け付けますorz
野球詳しくないくせにこんなことやる俺って……orz
345名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 03:47:12 ID:nPH7/NC+
監督  ななこ  試合後のインタビューでボヤくのがお約束w
346名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 06:45:33 ID:ooW+aJMP
>>344
こなたはピッチャーで4番かな、とか
運動神経もさることながらやっぱり主やk(ry
347344:2008/04/08(火) 08:05:02 ID:s7EIHONs
アメリカでは、ショートが花形にして4番なんだそうだ。
それにある作品のおかげで、
俺にとって、ピッチャーはみさお、というイメージもあるし。
だから、あえてこういうポジションにしてみた。
34818-490:2008/04/08(火) 09:23:42 ID:idVWGty8
ソフト部な俺涙目の流れになってますが(笑)投下致します。
タイトル『春の憂鬱』
こな×かが
非エロ
4レスお借りします。
349春の憂鬱:2008/04/08(火) 09:24:31 ID:idVWGty8
―――春と言えば?

と聞かれて世の中から聞こえてくる返答はというと『桜』『恋』『花見』など、どれも心浮くようなものである。
でも所詮そんな浮かれた答えが返ってくるのは空想の世の中だけで。
現実には、花粉症や新生活のゴタゴタがある大変な季節なのに…なにが楽しくて世の中、浮き足じみているのだろう。

……あぁ、ダメだ。
また卑屈になっている。
さっきから世の中への愚痴を繰り返しては自己嫌悪、という悪循環をしていることに私は大きな溜め息を漏らした。
「ったく…」
誰に呟くわけでもなく、唇から零れた言葉に再度感じる嫌悪感。
ここまで私が鬱になっているのには、『明日から始まる新学期』というちゃんとした理由がある。
これだけじゃ、私がどこかのヒキコモリ少女みたいに聞こえるかもしれないので、言葉を変えて言うと…
『明日発表されるクラス変え』が原因なのである。
17年間という少ない時間のうちで数回のクラス変えがあったけど、こんなにクラス変えが嫌だったことは人生初めてだ。
まぁ、それに多いに絡んでいる人物がすぐ傍にいるんだけど。
「どったの?かがみん」
私の溜め息に気付いたのか、横で私の宿題を写していた泉こなたが顔をあげた。
「……別に」
半ばやけくそに返答すると、こなたが持っていたシャープペンを机に置いた。
「ん?写し終わったの?」
「うんにゃ、まだ全然」
「2時間もかけて何してたんだ、アンタは」
呆れたように言ってやると、何故かニヤニヤと笑いながら私を見つめてくる。
「…な、なによ」
「いや〜、なんでも〜♪」
そう言ってこなたは上機嫌そうに鼻歌を歌いながら、再度シャープペンを握った。
350春の憂鬱:2008/04/08(火) 09:25:15 ID:idVWGty8
って、どこまで話したんだっけ。
あぁ、クラス変えが嫌ってトコまでだったわね。
その理由は、至極簡潔。
どうせ一緒になるはずがないからだ、このチビッこいオタクと。

こなたを好きだと気付いたのは半年前。
自分の気持ちに気付いたきっかけ、というか…
ずっと思っていた気持ちはたった一つだった。

『ずっとコイツと一緒にいたい』

こんな少女漫画にありがちなセリフをまさが自分が言うなんて思ってもみなかったけど。
フラフラと少し浮き世離れしたこなたを私が傍で支えてあげたい、という気持ちが日に日に大きくなっていって。
隣りのクラスという現実さえも疎ましくなっていた。
そりゃ登校と下校、休み時間や昼休みは一緒だけど…
やっぱりクラスが違うというだけで、もどかしい事実があるわけで。
だから、今年のクラス変えに期待していた部分もあったのに。

『双子は一緒のクラスに出来へんからなぁ』

と、いう黒井先生の一言で私の仄かな希望は見事に撃沈した。
だから今まで一回もつかさと同じクラスになったことなかったのね。

『柊妹と泉はウチが最後まで面倒みるやさかい、安心せぇ♪』

明るく話す黒井先生に必殺コンボをくらったかのように、私は再度は深い海の底まで沈没させられた。

「かがみんさぁ…」
思い出してまたヘコんでいた私を現実に戻したのは、シャープペンを口にくわえたこなただった。
「実は春、嫌いでしょ?」
「…………はぁ?」
なにを唐突に。
まぁコイツが突拍子のないことを言うのは毎度のことなんだけど。
「いや、さっきからずっと溜め息ついてるし。もしかしたらーってね」
よく物を咥えたまま話せるわね。
どっかの大剣豪か、アンタは。
「別に。嫌いなわけじゃないわよ」
「そうかな―?」
「………そうよ」
全てを見透かしたような深い緑色の瞳から目を背けると、むふーとこなたが唸るように言葉を吐いた。
351春の憂鬱:2008/04/08(火) 09:26:20 ID:idVWGty8
「私は春好きだけどなー♪」
「なんで?」
「なんとなく」
「ホントは?」
「アニメの新番組が始まるから」
でしょうね。
どこにしまってあったのか、コンプティークと書かれた雑誌をとりだすこなた。
嬉しそうにペラペラとページを捲るこなたにふっと笑みが零れる。
私は私が思っている以上にコイツのことが好きなのかもしれない。
「それにね」
「ん?」
「かがみみたく暖かい感じがして、好きだよ」
「なっ…!!」
な、な、なにを言ってるんだコイツはっ?!
いや、落ち着け私。
最後の【好きだよ】は、前の【暖かい感じ】にかかってるわけで。
え、でも【かがみみたく】ってことは…?
心臓がこれでもかってぐらい全身に血液を送ってる音がドクドクとうるさい。
かぁと上がった体温はなかなか冷める気配も感じられなかった。
「照れるかがみ萌えるねぇ♪」
なんて笑いながら言うこなたにつっこみをいれられる余裕さえない。

「そういえば明日さ、クラス変えだよね」
「…そ、そうね」
やっとの思いで搾り出した声はやっぱり震えていて。
どんな顔をしていればいいのか分からずに机にある真っ白なこなたのノートに目を移した。
「今年はかがみと一緒になれる気がする」
「へっ…?!!」
「だから今年はかがみと一緒になれる気がする、って」
いや、聞こえてはいるんだけど…
「な、なにを根拠に?」
動揺を隠そうとそう言いながらも、ニヤけていく口元の筋肉が緩んでいくことを感じる。

―かがみと一緒になれる気がする。

こなたがなにをもってそんなことを言ったかなんて分からないけど…私にとってその言葉は世界一と言っていいほどの嬉しい言葉だ。

「カン」
「カンかよっ!!!」
人が感動してる言葉がカンに基づいて紡がれたものであることに少しの脱力感があったけど。
カンだとしても、嬉しいものは嬉しい。
352春の憂鬱:2008/04/08(火) 09:28:04 ID:idVWGty8
「って言うのは冗談で」
「ん?」
「ホントはお願いしたんだ」人差し指を立てながらこなたが説明するように私を見つめた。
「なにを?」
「かがみと同じクラスになれますように、って」
「……誰に?」
「かがみの神社に」
えっと、それはつまり…
こなたは私と同じクラスになりたいが為にわざわざ願掛けに行ってくれた、ってことよね?
なにこれ、半端なく嬉しい。
でも、なんでなのだろう。
いや、そりゃあ友達なんだし、一緒のクラスになりたいって思うのは当たり前のことかもしれないけど…
だからってわざわざ遠出をしてまで神社に願掛けしに行くだろうか、いや、行かないだろう。反語。
そーゆーことをするのはきっと自分が好意を寄せている人物にだけだろう。
……ん?好意を寄せてる?
誰が?誰に?
こなたが?私に?
「えぇぇぇぇぇっ?!!!」
「ふぉっ!!どったの、かがみん」
「い、いや…別にな、なんでもないわよっ」
きっとデロデロに緩んでしまっているだろう両頬を左手で隠しながら唯一の疑問こなたに尋ねてみる。
「えっと…こなた、なんで?」
「へ?」
「いや、だからなんで私とその、一緒のクラスになりたいの?」
最後の方恥ずかしさで声が小さくなったけど、ちゃんと聞こえてるはず。
ギュッと硬く瞑っていた瞼を開けるとはにかんだ笑顔をみせるこなたがいた。
これってもしかして…
「私…」
少女漫画にありがちな、
「かがみと一緒にいると」
告白?
「宿題写し放題じゃん♪」


…………って、こら。
思わずガクッと机についていた肘が外れてゴンッと額から机に突っ込んだ。痛い。
353春の憂鬱:2008/04/08(火) 09:29:09 ID:idVWGty8
「アンタって奴は…」
なんでこう、紛らわしいことを。
私の数秒前までのドキドキを返せっ!!
「同じ先生だし、テストも安心♪」
そんな楽しそうな笑顔を向けられてたら…怒れないじゃない。
てかテストは自分でなんとかしろ。
「アンタらしい理由だわ」
なんだか悶々と悩んでいた自分がバカらしくて、こなたの笑顔につられてか、自然に笑みが零れた。
「それに私、春好きだしねぇ」
「え?」
「大好きだから、春が」
なんで急に春……


『私は春好きだけどなー♪』
『かがみみたく暖かい感じがして、好きだよ』


さっきの会話がフラッシュバックしたと同時に頭を上げると、少し照れたように笑うこなたが見えた。
……ホント、アンタらしいわ。
不器用で素直じゃなくて、ヲタクで…でもそんなこなたが好きだから。
「私も、好きになってきたかも」
「なにが?」
「春が」
しばらくお互いの顔を見つめた後、吹き出したように笑いあう私達。
不器用はお互い様かもね。

窓の外では桜の花が風に煽られて。
疎ましかったその花びらでさえ今では少し綺麗に見えた。
春も悪いもんじゃないのかもしれない。
そんな風に青い空に舞い上がる桜の花びらから、ゆっくりとどこまでも青い髪をもつ女の子へと視線を下ろした。
35418-490:2008/04/08(火) 09:30:12 ID:idVWGty8
以上です。
結局5スレお借りしました、すいませんorz
読んで下さった方ありがとうございます!!
355名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 10:30:43 ID:T8jvzmt5
ソワソワした俺きめえwww
356名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 13:08:27 ID:Opf4bMx8
付かず離れずの遠まわしの告白
よかった!!
357名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 16:53:18 ID:pJc8eYB7
>>354
悶えた
358名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 18:23:35 ID:dqxcYwbh
>>354
頬が緩むwGJです
359名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 19:17:36 ID:MCzMnWx1
>>354
萌 え 尽 き た w
GJ

きっとアレだ、かがみはこなた無しでは生きていけない身体になっ (ry
360名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 19:23:50 ID:y0hJuH01
えー…以前逆転裁判パロを書いた者ですが、続編を書くにあたって皆さんに聞きたいことがあります。
字だけの証拠品じゃどうしも書きにくいので、証拠写真用の画像を使いたいのです。
というわけでSS中に画像を貼るのって大丈夫でしょうか?
361名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 19:32:02 ID:pkQjK9OA
挿絵として画像を用意するのは前例もあるし、専用のアップローダーにあげれば流れにくいから保管もしやすいし、
特に問題はないと思うんだけど……
ゲームのSS(スクリーンショット)をそのまま使ったりするのは著作権とかややこしいことが絡んでくるので、
その場合は自分で描いたものか、著作権フリーの素材などを用意することになるね
362名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 19:33:22 ID:y0hJuH01
あ、ゲームのスクショは使わないんで大丈夫です
てか自分にそんな技術ねぇ\(^o^)/
363名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 19:51:17 ID:nA2F7bZ5
画像だけってのもかまわんのですか?
364名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 21:06:08 ID:rCEgFLjU
>>344
しっかしショート以外内野が左利きってどうよ
365名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 21:12:08 ID:s7EIHONs
し……しかたないじゃない……ただでさえこの漫画
左利き多いんだし……
べ、別に、あんたのために二塁を取ったんじゃないんだからねっ!
366名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 21:24:53 ID:n5+GP7Jp
そこで右利きのパティとあやのの守備位置を交換という手があるぞ。
ひよりとの連携を希望するならレフトとライトをコンバートで解決だし。
367名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 21:29:27 ID:r9Q7xv6p
>>363
一応この板はSSメインの板なので、画像のみの作品は本当は駄目のようです。
SSの挿絵とか、SSと絡めた画像とかならいいかな、みたいな流れだったかと。

特に被りがなければ5分後くらいに投下いたします。ちょっと多いです。
36816-187 ◆Del8eQRZLk :2008/04/08(火) 21:34:46 ID:r9Q7xv6p
ごきげんよう、それでは投下させていただきます。

【無音声ピアノソナタ】のラストです。

■みなみ→ゆたか
■エロなしです

13レスになります。
楽章形式にしなければよかった……。
369終楽章/プレスト 1/13:2008/04/08(火) 21:35:50 ID:r9Q7xv6p
 
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
終楽章/プレスト(急速に)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


§11

 全力でペダルを踏む。
 その度筋肉が攣りそうになって、歯を食いしばりながらみなみは自転車を漕ぎ続けた。
 その細い脚が出せる、限界ぎりぎりのスピードで。
 荒い息を吐きながら、風のようにスポーツバイクを走らせた。悲鳴を上げて軋む身体を
押さえ込みながら、みなみは走った。睡眠不足と疲労と栄養失調が重なって、今にも倒れて
しまいそうになる。そんな身体で。
 季節は冬だというのに、滝のような汗が流れ落ちていく。
 力を振り絞ってペダルを押し込む度、目の前でちかちかと赤い斑点がちらついた。
 自分の心臓の音が、厭に大きく鳴り響いている。
 それは激しいテンポで。
『熱情』のコーダのような激甚なプレストで。
 それが正しくコーダであるならば、その音はなにかを終わらせるための終結部だ。
みなみは思う。
 コーダが過ぎてしまえば、そこで全曲が終わる。
 そうしてあとに残るのは無音だけだ。なんの音も聞こえない暗闇だ。
 ――それは、まるで死のような。
 思い浮かんでしまったその単語に衝撃を受けて、みなみは思わずうめき声を上げる。
 ――そんな、そんなはずがない。
 襲い来る陰惨な妄想と懸命に戦いながら、みなみは自転車を漕いでいた。
 母の話は混沌としていてよくわからなかった。
 もっとも、それを聞くみなみの方がより一層混乱していたので、話が一向に判然としなかった
原因を彼女だけに求めるのは酷だっただろう。
『ゆたかが田園調府の駅で倒れて、救急車で近くの総合病院に運ばれた』
 とりあえずそれだけ判明したところで、みなみは自転車に乗って家を飛び出していた。
 その総合病院は、みなみの家からほど近く、街を見下ろす坂の中程にあった。病院坂と
呼ばれるその坂を、懸命に自転車を走らせてみなみは登っていった。
 心臓が破裂しそうになり、もう一度たりともペダルを漕げないと思った頃、その病院が
見えてきた。
 増改築を繰りかえされ、奇怪な形になった棟と棟の間を、幾本かの渡り廊下が繋いでいる。
その古ぼけた病院は、羽を閉じてうずくまる化鳥のようだとみなみは思った。
 ――あと少し、そう、あともう少し。
 まるで入院患者のように青ざめた顔をして。
 みなみが漕ぐ自転車が、駐輪場へと滑り込んでいく。

 バタン、と荒々しくドアを開けて、病室に飛び込んだ。
 どこもかしこも白い病室の、窓際のベッドで。
 ゆたかが一人、身を起こして悄然と壁をみつめていた。
 胸元にリボンがついた、透かし編みの白いニット。
 頭を覆った白い包帯が、その紅梅色の髪の毛を覆い隠している。
 そうして蝋のように白い顔色をしたゆたかは、病院の白に飲み込まれて今にも消えてしまい
そうにみなみには思えた。
「……みなみ、ちゃん…?」
 ゆっくりと顔をみなみの方に向けて、目を見開いてゆたかは呟いた。
 その声に、みなみの中で張り詰めていた緊張の糸が音を立てて切れた。それはまるで、
あの瞬間切れたピアノの弦のように。
「ゆたか……」
 安堵感が胸に広がっていき、同時に積み重なってきた疲労がじわじわと身体を覆っていくのを
感じていた。
 急速に目の前が暗くなっていく。
 薄れ行く意識の中で聞いた最後の言葉は、看護師が慌てて叫ぶ声だった。
370終楽章/プレスト 2/13:2008/04/08(火) 21:36:29 ID:r9Q7xv6p
 目を醒ますとベッドの中にいた。
 知らない天井だと、みなみは思った。
 ここはどこだろうと思いながらもぞりと身体を動かすと、腕が隣の誰かに触れる感触がした。
「……おはよう」
 そう云って微笑んだ、みなみを見下ろす草色の瞳。
 身体を起こしたゆたかが、みなみの顔をのぞき込んでいた。
 その瞳は泣きはらしたように真っ赤に充血し、涙袋ははれぼったく膨らんでいる。
「……あれ…。私……?」
「ふふ、びっくりしちゃった。みなみちゃん、来たと思ったらいきなり倒れちゃうんだもん」
「……あ」
 頭を振って意識を覚醒させる。
 そうか、自分は倒れたんだ。ゆたかが無事だったと知って、安心したと同時にそれまでの
疲労が一気に襲ってきて。
「看護師さんもお医者さんもびっくりしてたけど、ただの疲労だと思うからしばらく寝かせて
あげようって、こんなことになっちゃった」
 かすれた声でゆたかが云ったとき、みなみは自分が置かれている状況に気がついた。
ベッドの中で、ゆたかと一緒に横になっている。いくらゆたかが小さいと云っても二人で
一つのベッドに入っていては身体も密着すると云うもので。太ももに感じる暖かい感触が、
ゆたかの脚と触れあっているせいだと気がついた。
「……ご、ごご、ごめん」
 慌てて毛布をめくって、みなみはベッドからまろび出た。途端に感じた寒さは、掛かっていた
毛布がなくなったからだけではないだろう。
「……あ……。いいのに」
 寂しそうにゆたかが呟いたそのとき、ドアを開けて看護師が入ってきた。
「小早川さん、もういちどバイタル取らせていただきますね。って、あら、起きられたんですね、
よかった。体調はどうですか?」
「……あ、大丈夫です……。ご迷惑をおかけしまして……」
 そう云って顔を赤らめて。。」
 みなみは、看護師がてきぱきと作業を進めるのを、椅子に座ってただ眺めていたのだった。

 ――その事故は、田園調府の駅で起きたという。
 電車からホームに降り立ったゆたかは、反対側の出入り口に向かって歩いていた。乗り換え
駅の関係上、ここで歩くのが一番楽なのだ。
 黄色い点字ブロックの内側を、ゆたかは歩く。
 よく黄色い線の内側を歩いてくださいとアナウンスがあるけれど、あれってどうなのだろう、
とゆたかは思った。視覚障害者用の点字ブロックなのに、その内側を歩いた方が安全だ
なんて。だったら視覚に障害がある人の方が、危険なところを歩いているってことじゃないか。
そんなことを考えた。自身が身体が弱く、周囲の人の配慮に頼って生きているゆたかは、
そういったちょっとしたことが気になるのだった。
 ふと、目の前にいる大きなボストンバッグを抱えた人に目が止まる。大きい鞄だな。
そんな当たり前のことを考える。旅行帰りかな、それともスポーツでもしてるのかな。あんなに
重そうな荷物を軽々と持てるなんて凄いな。そんな思考が思い浮かぶままにして、何気なく
その人の横を通り過ぎようとしたときに。
 急に、その人が身体をひねって横を向いた。
 視界の端に、勢いよくこちらに向かってくるボストンバッグが写った。
 ――あ、当たるときっともの凄く痛い。
 そう思って、慌てて飛びずさる。
 反射的に身体が動いたのはホーム側の方だった。
 それでもかわしきれなくて、肩の辺りをバッグがかすめて通り過ぎていく。
 勢いがついた身体を、バッグがちょこんと押しだした。
 ――あれ?
 慌ててついた足は、ホームの端のぎりぎりのところだった。それでも、普通ならば踏み
とどまっていられただろう。
 そのとき、急激な運動に、ゆたかが眩暈をおこさなければ。
 がくんと力が抜けた身体が、支えのなにもない中空に落ちていくのを感じていた。
 最後にゆたかの目に映った光景は、ホームに飛び込んでくる列車のライト。
 耳に入った音は、誰かが慌てて押した列車停止ボタンの甲高いベルの音。
 思い浮かんだことは、手に持ったチーズケーキのことだった。
371終楽章/プレスト 3/13:2008/04/08(火) 21:37:00 ID:r9Q7xv6p
「……頭を打って気を失ったわたしは、たまたま線路脇のくぼみに入ってたみたいで……」
 ぼそぼそと、唇を振るわせながらゆたかは語った。
 それを聞くみなみの顔も、みるみると青ざめていく。
 ――死んでいた。ちょっと何かがずれただけで、この子は死んでいた。
 それを思うと、みなみの身体からも震えが止まらなかった。
 ここでこうやってゆたかが喋っていられるのも、本当にただの偶然でしかないんだ。
 そのたぐり寄せた偶然の糸のか細さに、眩暈がする思いだった。
「……ゆたか」
 震える声で、みなみはその言葉を発する。それを聞いたゆたかはうつむいてしまう。
「……ごめん、なさい……」
「……無事でよかった」
 ほっとした思いが、ため息になってみなみの口から漏れだした。
 その吐息に反応したのか、ゆたかの肩がぴくりと震える。
「……本当に、心配したんだから」
「……ごめんなさい」
 みなみが声をかける度に、ゆたかはますますうつむいていく。悄然とした声で振り絞る
ように謝罪の言葉を紡いでいく。
 なぜだろう、そんな風に云って欲しいわけじゃないのに。
 ――少しだけ、いらいらとした。
 心配したのは本当で、今無事な姿をみせていて心から安心したのも本当で。なのに、
目の前のゆたかはただ謝罪を繰りかえすだけで。
 そんな言葉を聞きたくて、ここまできたわけじゃない。
 悲しそうな顔を見たくて、ここまで駆けてきたわけじゃない。
 ただ笑っていて欲しいだけなのに。
 そんな思いがみなみの中で混沌と渦巻いて、でもその思いを上手く言葉になんてできる
はずがなくて、そんな口べたな自分にまたいらいらとして。
 結局、口をついてでてきたのは、本当に云いたかったこととはまるで違う言葉だった。
「……ゆたかは、身体が弱いんだから無理しないで。……出歩いたりしないでいいから……。
自分の身体のことだけ考えて」
 ――本当に、随分と違う。
 みなみは思いを伝えるのが苦手なのだった。少なくともピアノを弾くことよりは、随分と。
 なんでそんなことを云ってしまったのだろう。心からそう思ったのは、ゆたかがはっとした
顔でこちらを振り向いたときのことだった。
 乾いた、諦めたような表情がその顔を支配していた。
 目も口も眉も、懸命にその無表情を保とうとしているように、ぷるぷると震えている。
 見開かれた大きな草色の瞳が、心の動きを写すようにゆれていた。
 やがて、ダムが決壊するように、その顔はくしゃりとつぶれてしまった。
 ぽろぽろ、ぽろぽろと、しみ出すように溢れてきた涙が、次第に小川のような流れを形作って
頬を伝っていく。
 ぱくぱくと、ふるえる唇が小刻みな開閉をくりかえしている。
 襲ってくる嗚咽を抑えこむように、身体を痙攣させながらゆたかは泣いた。
「……ごめんなさぃ。ごめんなさぁぃ……」
 言葉にならないうめき声をあげながら、むせび泣いていた。
「ゆ、ゆたか……あの……」
 その激甚な反応に、みなみは総毛立つ思いで立ちつくしていた。自分の言葉がゆたかの
心の深いところを抉ったのだということに気がついて。
 ひくひくとゆたかがしゃくり上げる度、みなみの心も悲しみに張り裂けそうになる。
 今すぐ、その嗚咽を止めてあげたかった。今すぐ慰めてあげたかった。
 でも、なんと云っていいのかわからない。
 その涙をゆたかに流させたのは、みなみ自身なのだ。
 こんな風にゆたかを泣かせてしまった、自分の言葉が信じられない。
 だからみなみも口を開こうとしてはその言葉を飲み込んで、泣きはらすゆたかをただ
みつめるだけだった。
「……ごめんね、わたし、一人で電車に乗ることすらできないんだ……わた、わたしもう……
やだぁ……こんなわたしいやだぁ……」
「……ゆたか、ちがう……そんなことない……」
「……もう、もう、なにかしようとなんてしないから……。だれにも迷惑かけないように、
じっとしてるから……みなみちゃんも、こんなわたしに優しくしないでよぉ……」
「……ゆたか……」
372終楽章/プレスト 4/13:2008/04/08(火) 21:37:26 ID:r9Q7xv6p
 その言葉を否定したくて、自分で自分を傷つけるゆたかをゆたかから護りたくて、でも
そんな都合のいい言葉をかけることなんてできなかったから。
 みなみは近づいて、ゆたかの肩に手をかけようとする。
 けれどその手は振り払われてしまって、みなみはどうすることもできず、ただ呆然とゆたかを
見下ろしていた。
 そのときにふと気づく。ゆたかが着ている、お姫様みたいに真っ白で無垢なニットに点々と
散らばる赤。ゆたかの頭から流れ落ちたのだろう、その鮮烈な血の赤に。粉雪に舞い散った
寒椿の花弁のようなその赤を見て、みなみはなぜか安心する。こんなに小さくて白い、ゆたかの
身体のなかにちゃんと血が流れていることに、不思議と安心する。
 みなみの差し出した手を払ったゆたかは、身体をまるめてうずくまってしまった。なにもかもを
拒絶するかのように、毛布を頭からかぶって泣き続けていた。
 それは涙の塊だと思った。小さな小さな、悲しみでできた塊。
 その塊の中から、嗚咽とうめき声だけが聞こえてくる。
「……ゆたか……」
 喉の奥からうめくように出てきた声は、自己嫌悪に錆びついて軋んでいた。
 うつむいて、頭を振って。
 そうして病室からでていった。
 ――無力感にうちのめされたまま。

 そっとドアを閉めて、うつむいていた顔を上げると、そこに一人の少女が佇んでいるのに
気がついた。
「みなみちゃん」
 青髪の少女がゆたかに声をかける。その体躯はたったいま後にしてきた病室で、うずくまって
泣き続けているゆたかと大差がないほど小さい。
「……泉先輩……」
 今まで見たことがないほど真剣な顔をした、泉こなたがそこにいた。
「ごめんね、聞いちゃった。盗み聞きしようとしたわけじゃないんだけどね」
 そう云って、口元だけで薄く笑う。その笑っていない目が自分のことを責めているように
思えて、みなみは思わず顔を逸らしてしまった。
「どったのみなみちゃん?」
「……いえ……私は……。ごめんなさい……」
 うつむいて、ぼそぼそと喋る。
 このこなたが、ゆたかのことを実の妹のように大事にしていることは知っていた。いや、
もしそれが実の妹だったら、これほど心配したりはしないだろうと思えるほどに。
 それは小早川家からゆたかを託されているのだと責任を感じているからか、それとも
それまで父のそうじろうと二人で過ごしてきた家庭に新たに迎えた家族だったからか。
 それはわからないけれど、そんな風にゆたかのことを大事に思っているこなたの前で、
みなみはゆたかのことを泣かせてしまったのだ。
 そのことを責められると思って。
 責められないとしても、とても顔向けができないと思って。
 みなみは、こなたと視線を交わせられなくて、うつむいてしまった。
「やだなーみなみちゃん。別に怒ってるわけじゃないよ?」
「……え?」
 予想外なその言葉に、ちらりと上目遣いでこなたを見つめるみなみだった。
「他人のことを怒ったり責めたり出来るほど、わたしまともに生きてないもん」
 ひらひらと手を振って、軽薄そうに笑う。
 けれどその笑みは、どこか無理して作った物のようにみなみには感じられた。
「二人の間のことはよくわかんないし、介入するつもりもないんだけど、とりあえずこれは
渡しておくね」
 そう云ってこなたが差し出したのは、手提げに入った小振りの箱。厚紙でできたその箱は、
ゆたかがよくケーキを作ってもってくるときに使う箱だった。
「わたしとお父さんで食べてって、家に置いていったやつ。失敗した方だからちょっと形は
崩れてるけど、篭められてる気持ちはおんなじはずだよ」
「……あ…」
 まるで宝物を受け取るように、その手に手提げを捧げ持つ。
 救われた気がした。ゆたかの思いをこうして受け取ることができて、みなみは救われた気が
したのだ。
373終楽章/プレスト 5/13:2008/04/08(火) 21:37:49 ID:r9Q7xv6p
 呆然と、手に持った手提げを見つめるみなみを尻目に、こなたは「よっ」と声をかけて
脇にあった長椅子に飛び乗った。何をしているんだろう。土足で乗っていいのかな。みなみが
反射的にそんなことを考えたとき、こなたは突然みなみの頭に手を当てて、わしゃわしゃと
撫で始めたのだった。
「わ……、い、泉先輩……」
「そんな気が抜けたような顔しない。ゆーちゃんがみなみちゃんのこと嫌うなんて、絶対ないからさ。
まあ、とりあえずゆーちゃんのことは、このこなたお姉さんに任せたまえ〜」
 そう云ってこなたは、薄い胸を張って偉そうにふんぞりかえる。
 まるで今初めて会った人をみるような眼差しで、こなたのことを見つめるみなみだった。
 この一見ぐうたらでやる気のなさそうな先輩のことを、みなみは軽く見たことはなかったけれど。
 それでも、今までの評価は甘すぎたのではないかと、みなみは思い知った。
「……はい」
 思わず微笑みをこぼしたみなみのことを、こなたは満足したような表情で見つめながら、
うんうんと何度もうなずいて見送っていたのだった。
 ――だから。
 椅子に乗ったこなたが看護師にしかられて平謝りしている声を聞かなかったことにして。
 みなみは家路についた。
 
 
§12

 Aの音が出ない。
 弦の切れた鍵盤は、いくら押してもすかすかとした感触を返してくるだけだった。ハンマーが
弦に当たって鳴るあの音がピアノから聞こえてくることは、ついぞなかった。
 お湯が湧くまでの間、何度となく無意味に鍵盤を押し込んだ。
 鍵盤を押すのが好きだった。
 押した刹那は、いつもこれでいいのかと思う。もしもこのあと音が出なかったらと不安になる。
でもピアノは忠実に決まりを守っていて、しっかりといつもの音を出してくれる。
 その誠実さが好きだった。 
 その音を聞くのが好きだった。
 ――でも、もう聞けない。
 今までピアノが当たり前のように調律された音階を返してくれていたことが、得難い奇跡だった
ようにみなみには思えてくるのだった。

 チーズケーキは、みなみ好みの味だった。
 けれど、食べているうちに段々しょっぱくなっていく、不思議なケーキだった。

 ――ゆたか。
 その名を思うだけで、涙がこぼれ落ちてしまう。
 あのとき自分が云った言葉にショックを受けて見開かれた瞳。けれどその言葉に懸命に
耐えようとして。自分を傷つけた言葉を受け止めようとして、そうして果たせずに壊れてしまった
あの泣き顔。
 もしもゆたかがあのときすぐに泣き出してしまうような子だったら。
 自分を傷つけたことを非難するように泣くことができる子だったら。
 身体が弱い自分が護られることは当然だと思って、他人にべたべたと甘えてくる子だったら。
 こんなに好きになることはなかったと、みなみは思う。
 わかっていたはずだった。
 ゆたかが、ただ護られるだけの自分でいたくないと、懸命に足掻いていることを。
 どうしても他人の加護をあてにしなければいけない自分に嫌悪して、だからこそ少しでも
他人の役に立ちたいと、努力していることを。
 わかっていたはずだった。
 ――なのに、どうしてあんなことを云ってしまったのだろう。
 ただ護られるだけの存在でいろと、どうして云うことができたのか。事故で誰よりも何よりも
傷ついていたのがゆたか本人だと、わかっていたくせに。
 消え失せてしまいたいと思う。氷のように溶けて、消えてしまいたいと思う。
 なによりも自分が情けないと感じるのは、泣き出してしまったゆたかに対して何もできないで
佇んでいたことだった。
374終楽章/プレスト 6/13:2008/04/08(火) 21:38:10 ID:r9Q7xv6p
 馬鹿みたいにおろおろと繰り言を並べて。
 何一つゆたかの心に届く言葉を発することができなくて。
 どんな思いも伝えられなくて。
 ただ差し出した手は振り払われた。
 ――ゆたか。
 蓋を閉じたピアノに顔をうつぶせて、その子のことを考える。
 ゆたかにすら思いを伝えることができなくて、自分は誰にむけてピアノを弾こうとして
いたのだろう。そんなことを思う。
 ゆたか以外の誰かに向けてピアノを弾こうと思った。
 ゆたか以外の誰かに思いを伝えられるように、ピアノを弾きたいと思った。
 でも、そんなものは全て思い上がりだ。
 いつでもゆたかは自分のことをわかってくれている。そんな幻想にあぐらをかいて作り
上げた砂上の楼閣だ。

 ――一番大切な人に、一番大事な気持ちを伝えられていないじゃないか。

 ふと、気づく。
 ゆたかに伝えたい、その思いに気づく。
 瞳を閉じれば思い浮かぶのは、あの日陵桜の受験日に会ってから今までの、ゆたかのこと。
 その声。
 その瞳のきらめき。
 微かにミントの香りを漂わせていて。
 “岩崎さん”聞いたことがない音階で奏でられるその言葉が、天上の音楽のように聞こえたこと。
 入学式の日、金髪碧眼のパティを誰もが遠巻きに眺めていたのに、ゆたかはなんの屈託もなく、
満面の笑みで話しかけていた。
 倒れそうになった身体を抱き留めたとき、その軽さに驚いた。
 その優しさ。
 その強さ。
 その気高さ。
 それに、みなみは惹かれた。
 気がつけばいつも傍にいた。傍で顔を見上げて笑いかけてくれていた。
 リボンの柄が曜日によって違うのは、すぐに気がついた。
 体育を見学しないといけないときの悄然とした表情は、二度と見たくないと思った。
 初めてピアノを聞いて貰ったとき、顔中を輝かせて賞賛の声をかけてくれた。
“みなみちゃん”そう呼ばれるのが好きだった。
“みなみちゃん”そう云ってゆたかが笑うと、みなみも嬉しくなった。
“みなみちゃん”そう云ってゆたかが泣くと、みなみも悲しくなった。
“みなみちゃん”そう云ってゆたかが落ち込むと、みなみも元気がなくなった。
 思い出している。
 シャボン玉のように、浮かんでは消えるその情景を思い出している。
“今のみなみの音からは、本物の感情を感じるのさ”かおるがそう云った。
“いい友達ができたんだろう?”そう云ったかおるに、自分はなんと答えたのだっけ。
 そうだ、たしか“大切な友達ができた”と、そう云った。
 それは合っているようで合っていない気がした。
 半分は合っているけれど、半分は違っていると思った。
 ゆたかはただの“友達”じゃない。
 発想記号をなぞるようだった自分の演奏に、艶めいた情動を与えてくれた人。
 氷のようだった、人形のようだった、どこか醒めていた自分に本物の感情を与えてくれた人。
 そんな人は、ただ友達と呼んで終わらせていい人じゃない。
 ゆたかがただの友達なら、この感情はなんだ。

 ゆたかを思うとわき上がる、この激情の焔はなんだ。
375終楽章/プレスト 7/13:2008/04/08(火) 21:38:37 ID:r9Q7xv6p
 それに気がついたとき、みなみは最初戸惑った。
 その感情を名付けることができなくて、もしかしたら自分は何かの病気なのではないかと思った。
 胸が熱くなって、どきどきして、いても立ってもいられなくなって。
 苦しかった。ひたすらに苦しかった。
 ゆたか。ゆたか。ゆたか。ゆたか。心の中、その名を口にすると少しだけ楽になる。
けれどその度、以前を倍して燃え上がる炎が、みなみの胸を焦がしていく。
 口を大きく開けて息を吸い込む。その苦しさに眉を寄せてうずくまる。
 ――そうだ、この感情には覚えがある。みなみは思う。
 こんな風にうずくまるようにしてピアノを弾いた、そのピアニストのことを覚えている。
 あの日、あの発表会の日。
 かおるが弾いたその演奏のことを思い出している。
 ベートーヴェン『ピアノソナタ第23番』。
 あの日聴いたあの曲に溢れていた感情がこれだ。世界を打ち壊すほどの感情がこれだ。

 ――そうか。
 これが『熱情』なんだ。

 それに気がついたみなみは、雷に打たれたような思いで立ちつくしていたのだった。


§13

 舞台を照らすシーリングライトに、みなみは少しだけ目を細めた。寝不足の目に、その
眩しさが痛かった。
 天上に設置されたライトの全てが、ピアノとその前に座るピアニストを照らし出そうと、
舞台に光を投げかけている。
 その光の中心で、みなみは呆けたように立ち竦んでいた。
 ボレロを重ねたワンピースドレスを着ている。パフスリーブになった肩口の線が、そのまま
たおやかに細い二の腕に繋がっている、そんなクラシカルなドレスだった。その藍を
一滴垂らしたような深い色のドレスは、みなみのコバルトグリーンの髪とよく似合っていた。
大きく開いた胸元と、脚の白さとも、また。
 小首を傾げるようにして、みなみは客席を見渡した。
 大きなコンサートホールだった。音を反響させるためのシェーパーの刻まれた壁面が、
ライトを浴びて飴色に光っている。ワインレッドのベルベッドが張られた椅子は円弧を描いて
整然と並んでいて、その全てが聴衆で埋まっていた。
 最前列にかおるが座っているのが見える。その周囲に陣取っているのは、雑誌でみかける
音楽評論家だとか、誰もが知っているオーケストラの指揮者だとか、ベルリンで活躍する外国人の
ピアニストだとか。そんな顔ぶれだ。
 その全てが、身じろぎもしないで一心にみなみをみつめている。
 しわぶき一つない。完全な静寂。
 そんな客席を見渡して、その中から一点に目を留めると、小さな笑みを浮かべた。
 深々と礼をする。
 そうして歩きだす。
 ピアノにむけて歩きだす。
 その足取りは、まるで。
 これから恋人と会いにいくかのように、弾んでいた。

 ――あの日、すぐにでもピアノを弾きたいと思った。
 ゆたかが事故に遭って病院に担ぎ込まれた夜。
 病室で何も云えなかった夜に。
 みなみはすぐにでもピアノに向かいたかった。新しく知ったその感情を弾くために。
『熱情』の調べに乗せてその思いを伝えるために。
 けれど、弾くことは出来なかった。
 弦が切れていたから。
 Aの音が出なかったから、みなみはピアノを弾くことができなかったのだ。
 普段みなみが贔屓にしている調律師は予約が必要で、すぐに来て貰うことはできない。
他の調律師に任せて音が狂うことをみなみは嫌がった。
376終楽章/プレスト 8/13:2008/04/08(火) 21:38:59 ID:r9Q7xv6p
 だからみなみは、そのままのみなみでここに来た。
 ピアノを弾くために。
 ただピアノを弾くためにここに来たのだ。

 その演奏会は、かおるが弾く『亡き王女のためのパヴァーヌ』で始まった。
 ラヴェルの手になるその小品は、簡単な曲だった。シンプルで、そして繊細な小ロンド形式の
ピアノ曲。
 その曲を、かおるは何度もミスタッチをしながら弾いた。
 その演奏を聴いた誰もが、かおるの腕を知る誰もが、なるほどこれは引退公演なのだと
理解したことだろう。 
 あの詩神をねじ伏せるような豪腕は、すでにそこにはなかった。
 いつかみなみが見た、ラフマニノフの第三番を軽々と弾きこなしたかおるの姿は、どこにも
見られなかった。
 けれど。
 だからこそ、その演奏は胸に響いたのだ。
 自らの姿を、今はもういない王女の肖像と重ねて。
 失われてしまった大切なものへの断ち切れぬ思いをその係留音に載せて。
 哀愁にみちたメロディを、かおるは弾いたのだ。
 客席のそこかしこから、啜り泣きの音が聞こえた。演奏会で音を出すという最大のタブーを
招待客に破らせるような、そんな演奏なのだった。
 舞台袖でその演奏を聴いて、みなみも滂沱の涙を流した。出番を待つ他のピアニストたちも
それぞれに涙を浮かべながら、去っていく一人のピアニストのことを悼んでいた。
 十六歳の小娘から五十過ぎの中年男性まで、その全てが泣いていた。これだけ歳の離れた
演奏家たちが、皆かおるの弟子なのだった。
「……大丈夫なの? みなみん」
 その中の一人、二十代前半の女性がみなみに声をかけてくる。音大に通っているみなみの
姉弟子で、国際コンクールで入賞したこともある人だった。
 何を訊ねているかはわかっている。『熱情』をお前に弾けるのか、と問うているのだ。
「はい」
 だからみなみは力強くうなずいた。
 なんでだろう、と不思議に思う。ピアノに触ることすらできなかったのに、なぜだかなんの
根拠もない自信に溢れていたのだった。
 その顔を見て、彼女は大口を開けて目を見開いた。感情が大げさな人だったな、とみなみは
思い出す。
「そっかそっか、うん、みなみんがねぇー。ま、がんばんなさいな」
 そう云って、ばんばんと背中を叩いた。
「それにしてもあんた、やけにメイク濃いわね?」
 顔色と目の下の隈を隠すために濃くしてきたメイクを指摘されて、困ったようにみなみは笑った。

 一人ずつ、ピアノを弾いていく。
 有名オーケストラのソリストを一手に引き受けているピアニスト。
 自分の名前を前面に出したCD録音を出しているピアニスト。
 テレビの音楽番組に出演しているピアニスト。
 そんな演奏家ばかりだった。
 活気をもって。歌うように。壮大に。生き生きと。表情豊かに。
 生涯を通して研鑽してきたその技量を次々と発揮して、ピアニスト達が入れ替わり立ち替わり
舞台を通り過ぎていく。
 そんな演奏を聴いて、普段のみなみならその音楽的暴力に圧倒されていただろう。自分の
技量に対して疑問を持って、果たしてこの人たちと並ぶような演奏をできるのかと、不安に
なっていただろう。けれどこのときのみなみは不思議なほど落ち着いていた。ふつふつと
わき上がってくる熱情を胸に抱きながら、冷静に熱狂していった。
 早く弾きたい。
 私もピアノを弾きたい。
 今すぐピアノを弾きたい。
 そう思った。
 やがて姉弟子が深々と礼をすると、割れんばかりの拍手がホールを満たす。
 まるで静謐が産み落としたような、端正な『ジムノペディ第一番』を彼女は弾いた。
 彼女のように大げさで騒がしい人が、こんなに乾いた憂いに満ちた曲を弾くなんて。
みなみはそれを意外に思った。
377終楽章/プレスト 9/13:2008/04/08(火) 21:39:21 ID:r9Q7xv6p
 そう思って、そして苦笑する。
 私がこれから弾く曲も、私を知る人には意外だと思われるのだろう。きっと彼女の
『ジムノペディ』よりもずっと。
 客席が十分鎮まるのを待って、司会者がみなみの名を呼んだ。
 晴れやかな笑みを浮かべた姉弟子のウィンクに会釈を返して、みなみは舞台に上がっていった。

 瞬間、光の洪水の中にいる。
 数百人の聴衆が、みなみをみつめていた。
 その最前列の特等席に、かおるが座っているのが見えた。期待と不安の入り交じった、
複雑な表情を浮かべている。
 その顔にうなずいて、ぐるりと客席を見渡した。
 自分は呆けているように見えるかもしれないな。そんなことを思いながら。
 その顔はすぐにみつかった。
 右翼の十五列目あたりに並んで腰掛けている。
 みゆき。パティ。ひより。
 そしてゆたか。
 リボンがついたガーリッシュなニットキャップを被っている。
 まだ頭に巻いているはずの、包帯を隠しているのだろう。
 視線が絡むと少しだけ目を見開いて、ゆたかは驚いたような顔をしてみせた。そんなゆたかに
微笑みかけて、みなみはピアノに向かった。
 ゆたかの隣になぜかこなたがいることは、見なかったことにした。
 みなみは招待状を贈っていないし、みゆきも自身に当てられたもの以外には受け取っていない
はずだった。
 一体どうやって潜り込んだのだろう。
 ピアノの前に座ってそんなことを考えている自分がおかしくて、みなみはまた笑った。
 そうして深呼吸をして。

 最初の音を出した瞬間、みなみの全身が雷に打たれたように痺れた。
 鍵盤を押すと音がでる。
 そんな単純なことが震えるほどに嬉しかった。
 途端に溢れそうになる想いに驚いて、みなみは懸命に自制する。今は駄目。今はまだ駄
目だ。その想いを出すのは、まだ早い。
 生み出した和音にその身を浸して、みなみは第一楽章という川を流れていく。
 アレグロ・アサイ。非常に速く、快活に。
 絶え入りそうなピアニッシモを。叩きつけるようなフォルテッシモを。
 みなみの指が、たぐり寄せるように第一主題を引きよせていく。その音色はどこまでも
厳粛に、哀感に満ちていて。まるでゆたかと出会うまでの自分のように生硬に。
 そうしてみなみは思い出していた。
 ゆたかと初めて会った日のことを。
 なぜか見過ごせなかった小さな背中に声をかけたときのこと。
 振り向いて見上げる、その草色の瞳が綺麗だったこと。
 そんな出会いに胸をときめかして。陵桜での楽しい生活を思い浮かべてしまって。
 そうして進学先を決めるにいたった心の動きを。
 みなみは思い出していた。
 そんな想いが、気がつけば優美なる第二主題に載って流れていた。
 そのことに、みなみ自身が驚いた。そうして、それが楽しかった。
 指が動くことが。
 次の音階を探して、自動的に指が動いていくことが。
 それは終わりなき鍛錬の日々の成果だと、みなみは思った。
 出口もみえず、先に何の望みも考えられず、ただひたすらにむさぼるようにピアノを弾
いた日々。そのたゆまぬ反復練習は、みなみを裏切らなかったのだ。
 楽しい。
 ピアノを弾くことが。
 嬉しい。
 ゆたかと出会えたことが。
 中盤に差しかかり、曲が驚くべき跳躍をみせても、みなみの指は易々と鍵盤の上を踊っ
ていった。
378終楽章/プレスト 10/13:2008/04/08(火) 21:39:43 ID:r9Q7xv6p
 ゆたかに惹かれていく日々を思い出しながら、強く、弱く、繊細に、激しく鍵盤を押し
込んでいった。
 そこに溢れそうな熱情を乗せていくのは簡単だ。
 ――今、まさにその想いが溢れそうなのだから。
 やがて第一楽章も過ぎゆき、曲は第二楽章に入っている。
 それはアンダンテ・コン・モート。主題の繰りかえされる、変奏曲形式の楽章。
 どこまでも優しい旋律に満ちていて。
 その一つ一つの音階を、慈しむようにみなみは弾いた。
 それはゆたかと共に過ごした穏やかな日々だ。
 優しさという主題が繰りかえされる、たおやかなる変奏曲だ。
 ――それは、まるで祈りにも似て。
 こんな日々が永遠であればいいと願った。
 けれどそんなものは夢物語で。
 鮮烈なアタッカで第三楽章に入ったとき、みなみの目の前が白熱したように真っ白にな
った。減7の和音を叩きつけた瞬間、胸をかきむしって叫び出しそうな想いに襲われた。
 ゆたか。ゆたか。ゆたか。ゆたか。
 ――その身体に、納めきれないくらいの激情をみなぎらせて。
 背中を丸めて、うずくまるようにしてみなみはピアノを弾いていく。
 目にもとまらないほどの指先の動き。
 寄せられた眉。
 今にも叫び出しそうに開かれた大きな口。
 ゆたか。
 ゆたか。
 ゆたか。
 ゆたか。
 舞台の上に、逆巻く颶風が現れていた。それは寄る物全てを打ち倒さんばかりの、音楽
的な暴虐。激しく。強く。速く。しかし過度でなく。それがアレグロ・マ・ノン・トロッ
ポ。
 氷のように冷静に荒れ狂えと伝える発想記号だ。
 激しくはね回る第一主題。不安定に揺れる第二主題。その間を、嵐のように駆けめぐっ
た。
 ゆたか。ゆたか。ゆたか。ゆたか。
 思うのは、その人のことばかりで。
 あの日病院坂を登ったときの不安。
 胸のうずき。
 祈り。
 そしてたぎるようなその感情。
 病室で最初にみたときに感じた安堵。
 ベッドの中、隣で目を醒ましたとき、その半身に感じた暖かさ。
 そして胸に宿った劣情。
 傷つけてしまった、こと。
 そんな想いの全てを伝えるために。
 客席にいる、ただ一人のその子に伝えるためだけに。
 みなみは、ピアノを弾いていた。
 加速して和音。
 爆発しそうに激烈なフォルテッシモ。
 ゆたか。ゆたか。ゆたか。ゆたか。
 その全てに大切な人の名前を載せて。
 そうしてプレスト。終わらせるための、コーダ。

 そこに産まれた新たなる主題を弾くために。
 最初の音を叩きつけたとき、みなみはこの宇宙が壊れる音を聞いた。
 その音に、爆発するような感情が宿っていることがわかった。
 それは新しい主題だったが、それまでの演奏全ての先にあり、そうして全く新しい意味
をそこにつけくわえる。
 その感情。
379終楽章/プレスト 11/13:2008/04/08(火) 21:42:14 ID:r9Q7xv6p
 好きだ。
 大好きだ、ゆたか。

 ――狂おしいほどに。

 酸欠に陥ったように、ぱくぱくと口を開けて。
 圧倒的なエネルギーに満ちた、その旋律を爆発させていく。
 大好き。
 一つ音を出す度に告白をする。
 ずっとずっと、傍にいたい。
 主題を奏でる度に、より一層ゆたかのことを求めていく。
 大好き。大好き。大好き。大好き。大好き。
 いつまでも一緒にいたい。
 ゆたかが自分のことを嫌っても、それでもゆたかが好きだ。
 どんなゆたかであっても、ゆたかならば好きだ。
 その心も。憂いも。喜びも。声も。指先も。瞳も。そのか弱い身体さえも。
 護りたい。
 抱きしめたい。
 キスをしたい。
 自分だけのものにしたい。

 ――ああ、私はこんな聴衆の面前で、こんなことを告白している。 誰もが眉をひそめ
るような、女に対する女の恋心を。
 だからこそみなみがなかなか気づくことができなかった、その熱情を。
 こんなところで、私は叫んでいる。
 熱に浮かされた頭で、みなみはちらとそう思う。
 けれど顔を赤らめて縮こまる余裕などなかった。
 ひたすらに鍵盤を押す。ただひたすらに鍵盤を押す。
 世界にはただピアノとゆたかと自分だけがいて、突き動かされるようにピアノを弾き続
けた。

 ――愛している。
 と。最後の音にその想いを乗せて。

 みなみは『情熱』を弾ききった。

 曲が終わり、世界から音が途絶えたことに一番驚いたのは、みなみ自身だった。荒い息
を吐き、全身から汗を吹きだしている。
 あれ、終わりだっけ?
 と、ぼんやりとそう思って。
 いつもの動作で立ち上がり、自動的に礼をする。
 ホールは完全な無音に包まれていて、衣擦れの音が厭に耳に大きく響いた。
 客席なんて、見る勇気がなかった。
 特に右翼の十五列目あたりは。
 みなみが歩きだしても、ホールは無音で。
 何か酷い演奏をしてしまったのだろうかと、少しだけ不安になる。
 けれど袖で出迎えてくれた姉弟子は、くしゃくしゃに歪んだ今にも泣き出しそうな顔を
していて。それだけで、まあいいやとみなみは思った。
 ふらりと、力が抜けて倒れそうになったみなみを彼女が受け止めたそのとき。
 突然聞こえてきた雷鳴のような音が、ホールが壊れそうなくらいに鳴り響いた。
 なんの音だろう、とびっくりして。
 目をぱちくりさせていたみなみに、姉弟子が微笑みかけている。
 そのとき初めて客席の様子に目を止めたみなみは、やっとそれが拍手の音だと気ついた
のだった。
380終楽章/プレスト 12/13:2008/04/08(火) 21:42:54 ID:r9Q7xv6p
 最後のセレモニーでかおるに花束を贈る役は、みなみに与えられることになった。一番
上の兄弟子がいいのではないかとみなみは云ったのだけれど、なぜか満場一致でみなみに
決まってしまったびだった。
 和やかな、けれど拍手に包まれて、一抱えほどもある大きな花束をかおるに手渡した。
 晴れやかな笑顔でそれを受け取ったみなみは、ウィンクをしてみなみに語りかける。
「恋をしているんだな」
 その言葉は完全に正しいと思った。少なくとも“友達ができた”ということよりは。
 だからみなみは大きくうなずいて。
「はい」
 と、そう云った。
「よかった。本当によかった。……もう思い残すことはなにもない。私は良いピアノ人生
を生きたよ」
 ふっと宙空に笑いかけて、かおるはそう云った。
 その笑顔が悲しくて、みなみは思わず花束ごと抱きしめてしまった。
 みなみより頭一つ分低い、その小さな体躯。
 七十六年ピアノを弾き続けた、その生涯に思いを馳せて。
「ありがとうございました!」
 はっきりした口調で、そう云った。

 ――だるい。
 酷くだるい。
 控え室の長椅子に寝そべって、みなみは全身を覆う気怠さに身を任せていた。
 ただでさえここ数週間はろくに寝ていない。
 その上病院にいくときの筋肉痛も残っている。
 それに加えて、二十分弱の演奏。
 このまま明日の朝までここで眠ってしまいたい。泥のように眠ってしまいたい。
 みなみはそう思った。
 内輪の送別会兼打ち上げを誰かが予定していたはずだったけれど、今のところ特に連絡はない。
 姉弟子は携帯の番号を知っていたはずだから、やるならば連絡があるだろうと、そう思って
みなみはまどろんでいた。
 と、コンコンと控え室のドアをノックする音がする。
「はーい……」
 眠気を振り払って、かすれた声で返事をした。
 ドアを開けて入ってきたのは、桜色の髪をした近所の優しいお姉さん、みゆきだった。
「……あ、ご、ごめんなさい」
 顔を赤らめながら慌てて居住まいを正そうとするみなみを手で制して、みゆきはにっこりと
笑って云う。
「……素晴らしい、というのもおこがましいほどの名演だったと思います」
「……あ、ありがとうございます」
 そういえば、他の出演者に面と向かって褒められてはいないな、とみなみは思った。
もっとも、自分が弾いた演奏が実際に褒められるようなものだったのか、みなみは未だに
よくわかっていなかったのだけれど。
 それに、そう。もしあの『熱情』が真実名演と呼ばれるようなものだったとしても。
 自分だったらいい演奏をみせたピアニストを無心で褒めるなんてこと、悔しくてできないだろうなと、
みなみは思う。
381終楽章/プレスト 13/13:2008/04/08(火) 21:43:32 ID:r9Q7xv6p
「それで、ゆたかさんが会いたいと仰ってますが、どうなさいますか?」
 眼鏡の奥の普段は優しげな瞳が、そのときはなんだかいたずらっぽく煌めいているように
みなみには感じられた。
「……あ……」
 改めて、それに気づく。
 自分はなんてことを告白してしまったのかと。
 ピアノに載せて弾いたその赤裸々な感情を思い出して、みなみの顔が茹でダコのように
真っ赤に染まった。
 ピアノを弾くのに必死で、その思いを伝えることに夢中になっていて、そのあとどうなるかなんて
考えたこともなかったのだ。
 でも、そう。
 もうここから逃げ出すことはできないだろう。
 伝えてしまった感情を。
 持ってしまった感情を。
 今更なかったことになんて、できないから。
「……あ、会います」
 みなみがそう云ったとき、ためらうようにしばしの間を置いて。
 キイと音を立てて、控え室のドアノブがゆっくりと回り始めていく。
 やがてその向こうからゆたかが顔を覗かせるまで。

 みなみはそのドアを、じっとみつめていたのだった。

(了)
38216-187 ◆Del8eQRZLk :2008/04/08(火) 21:44:52 ID:r9Q7xv6p
以上です。

途中で規制に引っかかって焦りました、ごめんなさい。

えー。読んでいた方、おつきあいいただきありがとうございました。
エロなしどころからき☆すた本編からも盛大にずれた
こんな趣味的な作品を読んでいただいたことに大感謝です。

書くのは滅茶苦茶大変でしたけれど、その分楽しかったです。

それではありがとうございました。
38316-187 ◆Del8eQRZLk :2008/04/08(火) 21:45:51 ID:r9Q7xv6p
うわ、
読んでいた方→読んでいただいた方
です

なんか最近へっぽこになってきたのか、誤字脱字が多い…。
384名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 21:56:17 ID:AnQS6d/B
>>382
はは。
ははは。

ははははははははははははー!!
やったか、やってくれたかみなみんっ!!
ああ、なんてみなゆた。ずれるどころか包含した挙げ句超越して、なんてみなゆた!!

そして音楽に疎い俺でも、冷たく見えながらも煌々と青白い光を放つ、摂氏二万度のみなみんピアノは
しっかりと幻視できました。
向後は「熱き氷のみなみ」の尊称を捧げ、ぐっじょぶに代えさせていただきたく存じます。
連載完結、ありがとじゅしたー!
385名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 22:27:25 ID:sz5o0ze3
>>382
あまりにも良すぎて途中、何度かニヤニヤしながら読んでました!!
なんていうか、自分の中の「みなゆた」というイメージを
寸分狂うことなく表してしまったような、そんな作品でした。正直たまりません!!

今日は、いい夢が見られそうです。超GJ!!
386名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 22:32:32 ID:s7EIHONs
>>382
岩崎みなみ ピアノソナタ第1番 『ゆたか』
堪能させていただきました。

まさに『熱情』にふさわしい物語。
みなみによる四部構成楽曲だったと思います。

今はただ、>>382に喝采を送るのみ。
GJではなく、この言葉を捧げましょう。

BRAVO!!(スタンディングオベーション付き)
387名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 23:09:38 ID:OU3Ifxld
>>382
いや、もう陳腐な言葉を掛けるのもためらわれる
でも、言わせてもらう
GJ!
みごとな「みなゆた」でした


それだけに、気になったので

>>380
>なぜか満場一致でみなみに決まってしまったびだった。
決まってしまったのだった



>晴れやかな笑顔でそれを受け取ったみなみは
受け取ったかおるは

かな?
388 ◆Del8eQRZLk :2008/04/08(火) 23:19:34 ID:r9Q7xv6p
Exactly(その通りでございます)

あと、
>やっとそれが拍手の音だと気ついたのだった。

>やっとそれが拍手の音だと気づいたのだった。
ですね

なぜか9レス目の途中から校正前のテキストを流してました……
多分脳みそが豆腐になっているんだと思います

保管庫の方では直ってます、ごめんなさい
389名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 23:31:54 ID:iCaS+XJU
>382
あふれる熱情と、迸る才能というのを見せてもらった感じです。
文章的には、ぶっちゃけミスや改善した方がいいと思う点は少ながらずあります。
しかしながら、物語が終幕に向かって怒涛のように展開していく中で、
読み手をぐいぐいと引き付ける魅力や、壮大な構想力には感嘆するばかりです。
また、ピアノを題材にしたことによって、今まで隠されていた、みなみの魅力を思う存分に
引き出していたと思います。
素晴らしい物語を拝読させていただき、ありがとうございました。
390名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 00:24:14 ID:AhQFQjzZ
昨日ふと思いついたネタを投下しようと思います。
※7-896氏の壊れネタを少し使わせてもらっています。
※基本的にギャグですが、1レス目だけは暗い話なので注意。
※あと、オリキャラありです。
※4レス使用
391妖精のいたずらと少女たち 1/4:2008/04/09(水) 00:25:04 ID:AhQFQjzZ
 妖精のいたずらと少女たち――【Kagami side】

 私、柊かがみは今大変な問題を抱えている。
 それは妹のつかさ、友人のこなたと日下部の三人のことである。
 最近、この三人が一緒にいるときの空気が異様に重い。
 そして、その原因となっているのが私である。
 この三人は、みんな私のことを好きになってしまったのだ。
 好きといっても、友達とかそんな関係などではない。
 謂わば、性的な意味で『好き』になってしまったというのだ。
 そして、その三人が互いの気持ちを知っているというのが問題となっている。
 表面上はいつも通りの間柄なのだが、どこか空気が重くて辛い。
 私に甘えっぱなしのつかさに、私にぺたぺたとひっつくこなたと日下部。
 もし私が三人の気持ちを知らないでいられたなら、今よりもずっと気楽にいられただろう。
 しかし、私は三人の気持ちに気付いているのだ。
 この前つかさと一緒に寝た時も、つかさは布団の中でどこか切なそうな顔をして私を見つめていた。
 こなたや日下部も、日々元気を失っていくのが分かる。
 私はそれに気付いていながら、何もできないでいるのだ。
 以前と同じように接し、以前と同じように振舞おうとしていた。
 三人の気持ちなど、気付いていないかのように。

 それから少し経ったころ。
 私が何もできないでいるうちに、また問題が出てきてしまった。
 あの三人が私のことで苦しむ一方で、また別に苦しむ者がでてきたのだ。
 みゆき、峰岸、それから一年のゆたかちゃんである。
 みゆきは、つかさが私しか見ていないのに苦しんでいる。
 峰岸は、日下部が。
 ゆたかちゃんは、こなたが。
 三人とも、自分の想いを寄せる相手が私しか見ていないのに苦しんでいるのだ。
 そのせいで私たち七人の間柄は今、とても不安定な状態にある。
 七人を安定した人数へと揃えるならば、一人が余計となる。
 みゆきたちにとって、それは当然私。
 そして、三人は苦しみや怒りを私にぶつけるようになった。
 閻魔のような業火を纏って私にあたるみゆき。
 鬼神のような気迫を私に向ける峰岸。
 悪魔のように暗闇へと私を追い込むゆたかちゃん。
 私たちの関係は、もう崩れてしまったかのようだった。
 そして、全ての原因は私なのだという事実。
 それが私にとって非常に辛いものだった。
392妖精のいたずらと少女たち 2/4:2008/04/09(水) 00:25:55 ID:AhQFQjzZ
 私のもとに救いがやってきたのは、ある日のお昼休みのことである。
 午前の授業が終わったころに『それ』はやってきた。
 キラキラと光を振りまく小さな体に、透きとおるような薄い羽根。
 それは、幼い頃に絵本で見た妖精だった。
 私も初めは目を疑ったが、それは確かに存在している。
 そして、いかにも妖精らしい可愛い声で私に話しかけてきた。
「はじめまして、柊かがみ。私は見ての通り、いわゆる妖精よ。よろしくね」
 そう自己紹介する妖精。
 妖精というと、さまざまなイメージがある。
 人間に好意的で、願いを叶えてくれるもの。悪戯好きで、人間をからかおうとするもの。
 しかし、実際はどうなのかは私も知らない。
 そもそも本当に妖精がいるなんて、考えたこともないし。
 しかし、どうしても期待せずにはいられなかった。
 この妖精が私の悩みを解決してくれることを。みんなの関係を元のようにしてくれることを。
 そして、
「妖精さん、あなたはどうしてここへ現れたの?」
 と、そう尋ねてみた。
 そして、帰ってきた答えは
「それはね、貴女の悩みを解決するためよ。どうする?貴女の友達との関係を良くすることならできるけど」
 というものだった。その答えに、私は喜びを感じたのだ。。
 そして、私は妖精にお願いをした。
「それじゃ、いくわよ。そーれっ! か が ☆ ふ ぇ ち 発動!!」
 次の瞬間、どたばたとこちらへ向かうみんなの足音が聞こえてきた。
「かがみだぁ〜」「おねえちゃ〜ん」「ひいらぎぃ〜」
 と、私を取り囲む三人。
 三人ともかなり元気にはなっているが、これじゃ本質的に変わってないんじゃないか?
 そう思っていると、周りにはみゆきたちもいた。
 一瞬恐怖を感じたが、みゆきたちも同様に私に飛びついてきた。
 大勢を相手に逃げることもできず、私はみんなの餌食となったのだ。

 放課後。私は追いかけてくるみんなを撒いて、家へと向かっていた。
 妖精はまだ私についてきていたので、文句をぶちまけた。
「どういうことよ!アンタ、何してくれてんのよ!!」
「いや、その……みんなの争いを止めるには、こうするのが良いかと思って……」
「良くないっ!!もっと他の方法があるでしょうが!!」
「だって、私にはこれしか能力がないんだもの。少なくともこの状態でいる限りはみんな元気でいられるし、
 お互いに苦しむこともないんだから良いんじゃないの?」
「ふざけるなっ!!毎日あんなんじゃ、身体が持たないわよ!!」
 まったく、こんな妖精、信じた私がバカだったわ。
「……あ、そうだ。言い忘れてたけど、これってね、貴女の体にかかる魔法なの。
 つまりね、みんなが貴女を好きになるんじゃなくて、貴女がみんなに好かれるってことね」
 私は妖精の言いたいことが良く分からなかった。
 しかし、家に着くとすぐに分かった。
 姉さんたち、それにお母さんまでもが同じ状態だったのだ。
 これから先に起こることを考えると、私は頭が痛くなるのだった。
393妖精のいたずらと少女たち 3/4:2008/04/09(水) 00:26:45 ID:AhQFQjzZ
 妖精のいたずらと少女たち――【Fairy side】

 先に言っておくわ。私は非常に疲れた、と。
 私はあの後、かがみにさんざん怒られてちゃったの。
 もう、せっかく助けてあげたのにね!
 そして長い説教の後、かがみがある提案をしたの。
「ねえ、私以外の誰かをさっきみたいにすれば良いんじゃない?」
 つまり、みんなの気を誰か一人に向けさせるのなら、自分でなくても良いんじゃないかと思ったみたいね。
「そうするとかがみ、貴女もその子に対してはみんなみたいになっちゃうのよ?」
 と一応言ったんだけど、かがみは別にいいって答えたの。
 まったく、勝手なものね。
 で、その候補になったのがクラスメイトの泉こなたという子なの。
 私ね、この子が対象者になるのは何回も見てるんだけど。
「そしたら私、その子のところにつくことになるけど、いいの?」
「いいわよ、別に。それじゃ、あとよろしく」
 そして私は、泉こなたのところへ行き――
「こ な ☆ ふ ぇ ち 発動!!」

 次の日。こなたちゃんはしっかりと役目を果たしていたわ。
 先日までのドロドロとした雰囲気は消えて、みんな元気にこなたちゃんを追いかけていたの。
 かがみも、先日のことなど忘れたかのように追いかけてたわ。
 でもね、この子はいつもこうなっているし、少し不憫に思えたの。
 そして、提案してあげたわ。
「ねえ、他の誰かに移しても良いのよ」
 って。
 そしたらね、こなたちゃんはすこし考えて言ったの。
「うーん、みんなに追いかけまわされるなら、みゆきさんかなぁ……?
 あの人、『歩く萌え要素』だし。とにかく、私はもう疲れたよ。
 ところで何だったんだろ、あの感じ?以前も感じたような……デジャヴかな?」
 それは、きっと他の話のせいね。
 でも、みんな立ち直れてよかったわ。私が来るまではあんなに元気がなかったのに、もう元気になってるみたいだし。
 この子だけじゃなくて、つかさちゃんやみさおちゃんも。
 うん、やっぱりふぇちの力は素晴らしく平和的よね。
 自分の仕事にやりがいを感じたところで、私はその高良みゆきって子のところへ行ったの。

 翌日。今度はみんな、みゆきちゃんを一日中追いかけまわしていたわ。
「み、みなさん、どうしたのでしょうか……?」
「戸惑うゆきちゃん、かわい〜」
「ほんとにな〜」
「みゆきさん、昨日はさんざん私を追いかけまわしたんだから、今日は覚悟してね」
 まったくね。この子、他の子よりも壊れかたが激しいんだから。
 それはいいんだけどね。
 その夜。私はその子に言われたの。対象を変えろってね。
 できない、って言ったんだけど
「それ、嘘ですよね?一昨日はかがみさん、昨日が泉さんだったのですから、
 変えるのができないなんてことはないはずです」
 と答えてきて。
 凄いわね。あそこまで壊れておいて、しっかり記憶があるなんて。
「イヤだと言ったら?」
 そう言ったら、あの子はものすごい怒りのオーラを纏って……
 言えないっ!!これ以上は思い出すだけで恐ろしいっ!!
 それでね、誰のところへ行けばいいって聞いたら、峰岸あやのちゃんっていう子のところに行けっていうの。
 その子なら、また自分のところへ送り返したりしないだろうからって。
 そして私は、逃げるようにしてそのあやのちゃんの家へ向かったの。
394妖精のいたずらと少女たち 4/4:2008/04/09(水) 00:27:48 ID:AhQFQjzZ
 でもね、そのあやのちゃんもすぐに私を追い出そうとしたの。
 みんなして、ひどいわね。普通みんな妖精が来ると喜んでくれるのに。
 やだっていったら、この子もみゆきちゃんと同じくらい怖い表情をして……
 やだっ!!この先、言いたくないっ!!
 でね、その子は岩崎みなみちゃんっていう子のところへ行ってって言うの。
 なんでも、少し知ってるぐらいの子だから自分に送り返すはずがないってね。
 まったく、ずるいわね。
 それで今度は、みなみちゃんのところへ。
 みなみちゃんは、優しくて良い子だったなぁ。
 私の知る限り、いつもゆたかちゃんのことを心配しているし。
 それで、私はつい言っちゃったの。
「他の人のところに行ってもいいのよ」
 って。
「え……いいの?それじゃ……ゆたかはあんなの、絶対に無理だし……パティかな?」
 なんか私、いろんなところを回ってるなぁ。最初の目的とだいぶズレてきてるし。
 と、そんなことは気にせずにパティちゃんのところへ。
 パティちゃんは、ふぇち状態をかなり楽しんでくれたわ。
 なんでも、最近のみんなの様子から、今度は自分にも回ってくるんじゃないかと期待してたんだって。
「ワタシ、ホカのハナシではキホンテキに『受け』をタイケンしたことがナイですから、とてもオモシロかったデス」
 ってさ。
 今度はしばらく落ち着けるかと思ったけど、
「それじゃツギはもちろん、ヒヨリのところデスね!!」
 って言われちゃって。
 ……なにか勘違いしてるわね、絶対。
 私は別に毎日ふぇち対象者を探してるわけじゃないのに。
 まあ面白そうだし、とその子のところへ行って。
「うう……ヒドイ目にあったッス……恨むッスよ、みんな……
 特に今回、日下部先輩とかって基本的につらい思いをしてないじゃないッスか……
 妖精さん、次はまだこれをくらってない人のところにでも行ってくださいッス……」
 って、また他所へ行かされて。
 そして、いろいろと回ってきて。

「……で、また私のところへ来た、と」
「そ。もう、疲れたわ……」
 そう。私の目の前にいるのは、柊かがみ。
 かがみってば、私のことなんか忘れてたみたい。
 まあ、それもそうか。毎日いろんな人を追いかけ回してたもの。
 というか、最初に私が来たときの理由なんかも忘れてるみたい。
 みんなもう、誰ひとり暗い表情なんかしてないし。
 自分の扱えるふぇちパワーのすごさを改めて知る。
「でね、もう次の人で最後にしたいと思うの」
「ふーん、それじゃ……一年生はかわいそうだし……みゆきだと何か悪いし……」
 で、結局。
「なんでいつもこうなるのさ」
 いつもの通りというかなんというか。かがみが向かわせたのは、こなたちゃんのところ。
 なんか、このふぇち状態が一番しっくりくるんだってさ。
 ごめんね、こなたちゃん。でもね私、もうそろそろ帰るから。
 それじゃまた、今度会う時までね。
395名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 00:30:23 ID:AhQFQjzZ
以上です。
なんかいろいろと変になった気がしなくもないです。
なんか、2レス目以降が急すぎるような。
あと、1レス目だけ妙に暗かったり。
思いついたままを投下したので、結構適当になってしまっているかもしれないです。
396名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 02:47:39 ID:RpQCIwmu
新鮮で面白かったです!若干の慣れちゃってる感がたまりませんw
そして確かにパティはふぇち状態にされても楽しみそうですね。
397継ぎ目のあるアホ毛:2008/04/09(水) 02:55:32 ID:Sl5qlxTV
冗談じゃありません
また姉さん、私をスケープゴートにして行方くらましちゃいました
折角フェチ状態を楽しんでたんだから、
パティさんに永住させればよかったものを;;
ああ……また例の人たちが、ハァハァ言いながら私の所へ……
こころなしかかがみさんがいないようですが……
ああ……それもいつもどおりか……

って!みんないいかげんにしてー;;;;;
>>395GJなんていってあげなーいアッーーー!!
398名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 03:07:11 ID:H7ymBInq
>>382
音楽をやっていると「この瞬間じゃなきゃ出来なかった神懸かり」に出会う瞬間があります。
それをここまで鮮烈に書き上げられて、胸がかきむしられるような思いで読み進めました。

本当に凄い。凄まじい。高名なプロだと言われても頷くだけです。
悔しいほどに、壮絶な筆致だと感じました。音楽を描いた最高の短編小説です。
ありがとうございます。
399名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 05:11:58 ID:mzyzWa4E
>>382
>>398氏の言う「この瞬間じゃなきゃ出来なかった神懸かり」…それは貴方の筆でもあるのかもしれません。
実に素晴らしい。それ以外の言葉は必要無いでしょう。

>>395
『ゆた☆ふぇち』がどんなものになるのか気になって仕方がない。
400名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 07:07:12 ID:gfs2HuIg
>>395
ナース姿のこなたたちが朝から晩まで完全看護、とかじゃなかろうか。


主に性的な意味で。
401名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 07:10:46 ID:gfs2HuIg
げふ、アンカーミスorz >>400でした。

というか>>395がいつの間にかフェチの当番制になってるのに噴いた。
天下の回り物って胸きゅん?
402名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 07:10:57 ID:Rgs3Zuxi
でも下のお世話ができるのはみなみちゃんだけ
403名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 11:47:04 ID:RpQCIwmu
とあるくすぐり絵に影響され、こんなのを書いてしまいました。
非エロのみなゆたモノです。2レスお借りします。みなみ視点。
404「くすぐり」は、いかが? (1/2):2008/04/09(水) 11:47:58 ID:RpQCIwmu
 私は、くすぐったがりだ。
 子供の頃からゆかりさんに散々くすぐられてきたので、自分でもそのことはよく分かっている。
 このことを知っているのは、家族とゆかりさんの他にはみゆきさんくらいだけれど、

「みなみちゃん、糸くずが付いてるよ」
「ひぅっ!?」

 制服に付いていた糸くずを取ろうと、私の脇腹あたりに触れたゆたかにも、
 私がそれに過剰に反応してしまったことによって、知られてしまった。

「みなみちゃん、もしかしてくすぐったがりやさん?」

 私はゆたかが、まさかゆかりさんのように私をおもちゃにするような子ではないだろうなと思って安心していたのだけど、

「うん……あの、恥ずかしいからみんなには内緒にしてほしい……」
「分かった、みんなには、内緒だね」

 そういって無邪気に微笑むゆたかこそが、
 最もこの秘密を教えてはいけない子だったと気付くのは、そう時間のかからないことだった。

「みーなーみーちゃん、おはようっ!」
「ひゃっ!?」

 次の日から、ゆたかはことあるごとに私の体を触ってくるようになった。
 挨拶のときの脇腹タッチは恒例のこと、抱きつくふりをして私の脇を触ってきたり、
 髪を触るふりをして首すじや耳元を撫でてきたり……

「あの、ゆたか……」
「んー? どうしたのー?」
「う、ううん、なんでもない」

 私も何回か注意しようとしたけれど、
 いざ言おうとするとゆたかはこうしていつものように無邪気な笑顔を浮かべるものだから、
 ゆたかの触れ方がわざとやっているのかそうでないのか区別が付かないほど軽いものだったということもあって、
 私は結局何も言えないまま、こうしてゆたかに触られ続ける毎日を過ごした。


「みなみちゃん、次のテスト、勝負しない?」
 
 そんな日が続いた、テストを間近に控えたある日、私は突然ゆたかからそんな提案を持ちかけられた。
 
「負けたほうは罰ゲームねっ。
 そうだなぁ……『負けたほうは、勝ったほうにくすぐり続けられる』っていうのはどう?」

 ゆたかはおそらく初めから考えてあったのであろうセリフを、にっこりと笑いながら言った。
 ゆたかの笑顔は少し前の私が見たら純粋なものに写っただろうけれど、
 今の私はその奥に何か小悪魔めいたものを感じずにはいられず、
 それは今までのあのくすぐりがわざとだったということに気付いた後に、より強いものとなった。

「……負けない」

 私はゆたかがくすぐりに弱いかどうか知らないので、
 この賭けが何か自分にとってメリットのあるものかは分からなかった。
 しかしここで私が勝っておかないと、今後私達の関係が絶対的に決まってしまうような、そんな胸騒ぎがして、
 私はこのゆたかの誘いを断わることが出来なかった。
 私は今までゆたかにテストで負けたことはなかったけれど、きっとゆたかもたくさん勉強してくるだろうから、
 だから、いつも以上に力を入れて勉強した。

 そしてすべてのテストが返ってきた日の放課後、
 誰もいなくなった教室で、私達はテストの点数の見せ合いをした。
405「くすぐり」は、いかが? (2/2):2008/04/09(水) 11:48:34 ID:RpQCIwmu
「そ、そんな……」

 自信はあった。確かな手ごたえもあった。
 しかし結果は、私の負け――。それも、二点という僅差で負けてしまった。
 この数週間、私はくすぐられたくない一心で、勉強に打ち込んだ。
 しかし、ゆたかは私の思いを凌ぐほどの熱意、「私をくすぐりたい」という一心で、私に勝ってしまったのだ。

「ゆたか、そんなに私をくすぐりたかったの……?」

 生気の抜けた声でゆたかに問いかけると、ゆたかは

「だって、くすぐられてるときのみなみちゃん、なんだか可愛いんだもん」

 と、喜んでいいのか分からないことを、人差し指で頬を掻きながら言った。

「じゃあ、さっそくやっちゃおうかな」
「えっ、こ、ここで……?」
「うん、誰もいないし、大丈夫っ。じゃあ、いくよ?」

「ひぁっ……ふふ、ふふふふっ、あははははっ!!」

 心の準備ができないうちにゆたかに脇下に手を差し込まれ、驚いたのも束の間、
 堪えられない刺激がすぐに襲ってきて、私はみっともなく声を上げて笑いだしてしまった。

「ふふっ、だ、だめっ、あはははっ、ゆたかっ、ふふふふっ!!」

 ゆたかの指がもぞもぞと動かされ、私も抵抗しようとするのだけれど、
 逆に体が緊張して脇をもっと強く締め付けてしまい、さらに抜け出せなくなってしまった。
 
 ふるふると反応する私の体は段々とその震えを大きくさせていき、
 そのうちに私は座っていた椅子からガタンと音をたてて落ちてしまった。

 しかしゆたかはそれでも私をくすぐる手を止めず、私に馬乗りになって容赦なく私の体を蝕んでいった。

「あはっ、あははははっ!! はぁっ、ゆたかっ、もうやめ、ははははっ!!!」

 ゆたかは片方の手を脇に入れたまま、もう片方の手で腰や、お腹を制服の下から手を入れて、直に触り始めた。
 私は限界もいいところで、目に涙を溜めながら、早くゆたかがこの罰ゲームに飽きてくれるのを必死に待った。
 けれどいつになってもゆたかはその手を止めてくれず、
 むしろその顔は新しいおもちゃを手にいれた子供のように、いつまでもイキイキとしていた。

「ひはっ、ふふふふふっ!! ふはぁっ、あはははっ!! も、だめ、あははははっ!!!」
 
 首すじや足など、体のいたるところをくすぐられ、私はもう感覚がなくなってきていた。
 それでも笑いだけは止まらずに、おそらく顔を真っ赤にしながら、私はゆたかにくすぐられ続けた。


 永遠にも感じられる時間が過ぎ、ゆたかの手が止められた頃には、
 私は制服をはだけさせ、満身創痍といった状態で教室の天井を見つめていた。

「はぁっ、はっ、はぁ……」

 ぼんやりとする頭のせいで、ゆたかがどんな顔をしているのかは分からない。
 もう飽きてくれたのだろうか。それとも、休憩しているだけ……?
 ただ、分かっていることは、「おそらく今後もこの罰ゲームはゆたかの気分次第で行われる」ということだけだった。

 教室に入ってきた田村さんが鼻血を出して倒れるのを見たと同時に、
 ゆたかの手にまたかすかな力が込められていくのを、私は不思議と嫌だとは思わなかった。
4069-727:2008/04/09(水) 11:51:14 ID:RpQCIwmu
以上でございます。
わりかし特殊なジャンルではあると思いますが、書いていてとても楽しかったです。
読んでくださった方、ありがとうございました。
407名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 11:54:25 ID:RpQCIwmu
あ、みなゆたものと書きましたが正しくは「ゆたみな」ですね。失礼しましたっスー。
408名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 12:23:35 ID:r2M0z2Fn
>>406
微笑ましい…微笑ましすぎる…
そんな光景見せられたら誰だって鼻血出すわなw
gjでしたー
409名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 13:23:52 ID:gfs2HuIg
>>406
ラスト1行で目覚めちゃってるみなみちゃん可愛いよみなみちゃん。
無邪気攻めのゆーちゃんも大変おいしゅうございました。ぐっじょぶ。
410名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 13:32:31 ID:mzyzWa4E
>>406
微笑ましい…
だがその微笑ましい光景を思い切り腐らせた『ひよりん☆フィルター』Ver.がどうなるのかすごく気になる。
411名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 13:47:56 ID:09cgNs0Q
>>410
一部愛好家に受ける「くすぐりビデオ」そのものだと思われ
412名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 15:55:28 ID:mzyzWa4E
ちょっとした>>404-405の裏話的な物を書いてみました。
16:00に投下しますね〜。多分2レスくらい。
413妄想と現実の境目:2008/04/09(水) 16:06:50 ID:mzyzWa4E
「みーなーみーちゃんっ!」
「ひゃう!?」
最近、二人の様子のスキンシップが前より過剰になった気がする。

「みなみちゃんの髪、さらさらして気持ちいー♪」
「あっ…んぅ…あ、ありが…とう…」
(イイ!すごくイイっスよ!これは間違いなくゆた×みな…って自重自重ーっ!!)
しかし頭ではそう思っても当の本人達はどうだろう。
岩崎さんの頭を撫で回している小早川さんの純粋な笑顔。
撫でられている岩崎さんの何処か熱に浮かされたような恍惚とした表情。
こんな美味しいシチュを前に妄想をしないなど無理な相談である。

―――――――――――――――☆―――――――――――――――
『みなみちゃんは耳が弱いんだよね…』
『…ッ!ダ、ダメ…ここは教室…みんな、見てる…から…』
耳もとで息が軽くかかるようにしてゆたかが囁く。
『嘘。みなみちゃん本当はもっとみんなに見て欲しいんでしょ?女の子らしく感じるところ見て欲しいんだよね?』
『…そ、そんなこと…』
『ふふ、みなみちゃん可愛いー…たしか、首筋も好きだったね』
そう言って髪を触る振りをして首筋を微妙な力加減で擦る。
『ち、違う…私…はっ…ゆたかにだけ…ゆたかにだけ見詰められていたい…』
『…良く出来ました。じゃあ、続きは放課後だね―』
そう言って無邪気に微笑むゆたかの背中には子悪魔の翼が僅かに姿を見せているようで――
―――――――――――――――☆―――――――――――――――

―――っは!
(自重しろ!自重しろ私!ていうか漫画出来てるー!?)
妄想の世界から現実に戻った私の手元にあったのはノートに見開きで描かれた漫画。
しかもコマ割りまでされており、そのままネームの一部に使えそうなくらいである。
(妄想世界もここまで至ると我ながら恐ろしいっスね…)
しかし最近の二人はなんとなく前より更に距離が近い。
そして小早川さんの太陽のような笑顔の裏になにか小悪魔めいたものを感じる
(…純情な少女に宿った劣情の火種を思わせるような微笑が岩崎さんを虜に―って自重汁ー!)
その度に湧き上がる妄想を止める事など、彼女には不可能であった。
414妄想と現実の境目:2008/04/09(水) 16:07:23 ID:mzyzWa4E
そんな日が続いた、テストを間近に控えたある日の出来事である。

「みなみちゃん、次のテスト、勝負しない?」
勝負?小早川さんが岩崎さんに?珍しいなぁ。
「負けたほうは罰ゲームねっ」

負けたほうは罰ゲームね。負けたほうは罰ゲームね。負けたほうは罰ゲームね。

(な、ななななんですとーーーーッッ!!?)
罰ゲームと言う事は勝ったほうが負けたほうを○○○して、×××や△△△で□□な事をくぁwせdrftgyふじこlp

「そうだなぁ……」
(っは!!これは妄想してる場合じゃねぇっス!)
ひよりはこれ以上無い程に耳に全神経を集中する。

だが。

「―――っていうのはどう?」
「……負けない」
結局罰ゲームの内容は聞こえなかった。


その『罰ゲーム』の内容が気になり、悶々とした日々を送ったひよりのテスト結果は芳しくなかったがそれは置いておく

そして全てのテストが帰ってきた日の放課後…

(う〜ノートノート)
今忘れ物のノートを取りに小走りしている私は陵桜に通うごく一般的な女の子
強いて違うところをあげるとすれば友達をモデルに百合漫画を描いてるってとこかナー
名前は田村ひより

そんなわけで放課後の1−D教室にやって来たのだ

教室のドアに手をかけようとして私は一瞬躊躇う。
(おっと、私としたことが。基本は忘れちゃダメっスね)
姿勢を正し、教室のドアを勢い良く開ける。

「うぃーす、WAWAWA忘れ物〜」

そうして引き戸を開けたひよりの目に映ったのは、征服を肌蹴させ、恍惚とした表情で天井を見上げるみなみと
そのみなみに馬乗りになって嬉々とした微笑を浮かべるゆたかの姿―

「おうあ」
そう間抜けな声を出し、私は鼻血を噴いて倒れた。
415名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 16:26:34 ID:mzyzWa4E
うわ、今更誤字発見したし。
二人の様子のスキンシップ→二人のスキンシップ

そして遅れましたが読んでくれた方、ありがとうございます
416名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 17:04:33 ID:YUA7Op0J
>>406,415
そして、この後ひよりんは保健室で気がつく
そして「知らない天井だ……」ってお約束ねたやって
ゆたみなにくすぐられる
って、妄想が浮かんだw
417名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 17:16:36 ID:RpQCIwmu
>>415
ひよりん自重ww
拙作から素敵な妄想ガールを書いていただいてありがとうっス!
ほんのりエロいのがまたなんとも(*´∀`)
418名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 17:36:53 ID:gfs2HuIg
>>415
おうあ。


自重しようとするひよりんは素敵です。
結局自重できないひよりんはもっと素敵です。ぐっじょぶ。

あ、あと。
一人称(私は〜)と三人称(ひよりは/彼女は〜)が混ざっていたので、どっちかに統一するとより良くなるかと。
419名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 17:46:07 ID:mzyzWa4E
皆さん感想ありっス!

>>418
アドバイスありがとうございます。そして自重出来ないひよりんの淫スピレーションが舞い降りてきたのですが
出勤10分前なのでどうしようもなく。仕事明けにイメージが残っていたら形にしてみようと思います
420名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 18:14:04 ID:hB+reaD5
>>419

あらすじでもシチュエーションの一部でもいい、移動中やトイレ休憩中にメモるんだ。
ケータイから自分にメール、自宅の留守電に吹き込み、なんでもいい。

仮に今は使えなくても、そうやって溜めたネタが後で役立つ時がきっとくる。オヌヌメ。


つ「『ミカンを食べ過ぎると手が黄色くなっちゃう』っていうのも使えるよね?」
ひ「ぐはっ」




#でも、ここの職人の手にかかれば、
「ミカンの食べ過ぎと思っていたら実は……」
みたいな感じで、きっちり作品に仕上げてきそうな気はするな。
421名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 20:21:41 ID:khlx8eVj
誕生日大全なる本を立ち読みしたら、
5月28日の箇所に、
「異性のみならず、同姓にも性的興味が」
みたいなことが書かれてて吹いた。
422あほげ:2008/04/09(水) 21:19:04 ID:Sl5qlxTV
ぬおっ!?
ナゼばれたっ!?
Σ(=ω=.)
423名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 21:19:48 ID:wUgbr6a8
>>421
その本知ってるwww
あのクソ分厚い本でしょ?w
ていうか何気当たってるんじゃね?w
424名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 21:29:19 ID:WDvjuBdx
pinkBBS終了だな
おまいら今までありがとうな


「青少年ネット規制法」成立はほぼ確実 その背景と問題点
ttp://www.itmedia.co.jp/news/articles/0804/09/news096.html

18歳未満の未成年者を保護する目的で広範なインターネット規制を行う法案が、現在自民党と民主党の内部で審議されている。
未成年にとって“有害”なサイトをフィルタリング対象にし、未成年者が見られないようにしよう――という法案だ

12年前にアメリカで成立し、その1年後に最高裁判所に違憲判決を出された
アメリカのCDA(通信品位法)と同様の法案が日本でも出されようとしている
ttp://slashdot.jp/it/article.pl?sid=08/04/07/099244

ネット規制にばく進する自民党 「有害情報」を流せば懲役刑も
ttp://diamond.jp/series/machida/10023/

12年遅れでネット規制に乗り出す自民党
ttp://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/4aee54f5a00a190bb3af575b34780be7

ネット料金が高騰し、政治家の懐に入る法案が審議されてる!?
ttp://labaq.com/archives/50957448.html

日本の子供たちからインターネットが消える日
ttp://ofo.jp/blog1207249431.phtml

リアルメディアが青少年ネット規制法案のヤバさを報じない訳
ttp://ofo.jp/blog1207433498.phtml

米国ではとっくに違憲判決出されてるネット規制法を成立させようとする日本って…
どうして今更、大昔に通って間違いだという結論が出てしまった道を通ろうとするのだろうか
425名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 21:50:52 ID:QNjski++
坊やだからさ
426名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 21:54:36 ID:Sl5qlxTV
しかも自分らのことしか考えることが不可能な
頭だけ坊やのじいちゃんたちか……

ぶっちゃけ、俺らよりたち悪くね?
427名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 22:11:15 ID:wldsUkwb
えーっと、投下してもよろしいですか


問題なければ、5分後くらいから投下したいと思います
42828-538:2008/04/09(水) 22:17:19 ID:wldsUkwb
KYでさーせん

久しぶりの投下です

タイトルは”Maid in Konata”

かが×こな
 8レス+1レス(言い訳?)
ちょいエロあり
こなたがこなたらしくないです
かがみも変な方向へ…
429Maid in Konata(1/8):2008/04/09(水) 22:18:09 ID:wldsUkwb
 私のクラスの方が早く終わったので、こなたを廊下で待っていた。
 帰りに、本屋に行く約束をしていたから。
 なかなか終わらないホームルームにため息が出る。
 待ち合わせをしたときは、いつも私が待っている気がする。
 早く終わりなさいよっ。
 なんて心の中で言ってみても、黒井先生には届かないわよね。
 仕方なく、廊下の窓越しに空を見上げて雲を眺める。
 常に形を変える雲を見ていると、飽きないから。
「かがみんっ」
 突然声を掛けられて驚いた私は、とっさに振り向こうとした。
 その瞬間、背中に軽い衝撃を受けてバランスを崩した私は、こなたと一緒に倒れこんだ。
「ちょっと、何やってんのよあんたはっ」
 背中に乗っかっているこなたに、私は怒鳴りつける。
 まったく、こなたは何しでかすか分からないわね。
 だから一緒にいて飽きないんだけど。
 でも、こういうのは勘弁してほしいわ。
「ご、ごめん……」
 私から降りたこなたが、手を差し出してきた。
「まったく、気をつけなさいよ」
 手を取り立ち上がろうとしたら、右足に激痛が走った。
 足首から発した痛みが、頭の天辺まで一瞬で駆け抜けた。
「痛っ」
 立ち上がることができず、こなたの手を握ったまま、片膝を付いた体勢で動きが止まる。
 こなたが心配そうな顔で覗き込んできた。
「か、かがみ。大丈夫…… じゃ無いよね」
 正直、大丈夫じゃない。
 さっきから、足首が心臓になったんじゃないかと思うくらい疼いている。
 片足で立ち上がろうとしたけど、右足を僅かに動かしただけで、痛みで力が抜けてしまう。
 ふと、こなたの手が離れたと思ったら、目の前に背中を向けてしゃがんでいた。
「さ、かがみ」
 こなたが何をしようとしているのか分からなかった。
「ほら、はやく。保健室までだから」
 やっとこなたが、私をおんぶしようとしていることを理解した。
 こなたにおんぶされたら、引きずられそうな気が。
 それに、最近ちょっと体重増えてるし……
「いいわよ、恥ずかしいし。肩を貸してくれたら歩けるから」
「駄目だよっ。無理に歩いたりしたら、怪我を悪化させるんだよっ」
 こなたが、いつになく真剣な声で反論してきた。
 悪いことをしてしかられた子供が、反省しているような、悲しげな感じの表情を見せて。
 まったく、そんな表情するくらいなら、もうちょっと考えて行動しなさいよね。
 それに、そんな顔見せられたら断れないじゃない。
「分かったわよ」
 こなたは、私をおんぶしてもよろけたりしなかった。
 そのことに、ちょっとほっとする。
 だって、もしよろけられたりしたら、重たいって言われてるようなもんじゃない。
 ゆっくりとした歩調で保健室へ歩き出すこなた。
 きっと、私の足にできるだけ振動が伝わらないようにしてくれてるんだ。
430Maid in Konata(2/8):2008/04/09(水) 22:18:53 ID:wldsUkwb
 保健室に着いて中に入ると、そこには誰もいなかった。
 先生が戻ってくるのを待つしかないか。
 と思っていたら、こなたが私の前に座る。
「ちょっと痛むかもしれないけど、靴と靴下脱がすからね」
 私の足を取ると、手際よく上履きと靴下を脱がされた。
 そして、左手でふくらはぎを持ち、右手はかかと包むように添えられる。
「すこし動かすから、痛かったらちゃんと言ってね」
 私は首を縦に振ることで、肯定の意をこなたに伝えた。
 あまりの手際のよさに唖然としていた。
 それよりも、今まで感じたことの無いこなたの雰囲気に、声が出せなかった。
 よく分からないけど、必死な感じ、かな。

 しばらく私の足を診ていたこなたが、ほっとした表情を浮かべる。
 それを見て、私もなんだかほっとして、一つ息を吐いた。
 こなたの表情を見てたら、なんかこっちまで緊張しちゃってた。
 だけど、こなたの真剣な表情って、見慣れないからか違和感あるな。
 やっぱり、こなたの笑ってる顔が一番好き。
 そんなことを考えていたら、いつの間にか湿布を貼り、包帯で足首を固められていた。
 そのとき扉が開き、天原先生が姿を現した。
 こなたが事情を説明すると、先生が包帯の巻き方とかを確認してくれた。
「うん、これなら大丈夫ですよ。泉さん、私より上手じゃないかしら」
「ありがとうございます」
 どこかおっとりとした雰囲気で話す天原先生に、私はお礼を言った。
「お礼なら、泉さんに言ってください。それと、今日は誰かに迎えに来てもらった方がいいわね」
「はい、分かりました」
「あと、明日は一日安静にしておくこと。それで、痛みもひくと思うわ」
 必要なことを私に伝えると、先生はまだ用事があるらしくすぐに保健室を出て行った。
 素直に返事をしたものの、怪我の原因はこなただからちゃらだと思うけど。
 でも、ちゃんと治療してくれたんだから、お礼は言っとこうかな。
 私と天原先生が会話している間、私に背を向け外を見ていたこなたに声を掛けた。
「こなた、ありがと」
 こなたは、振り返っただけで何も言わなかった。
 逆光のせいで、表情ははっきりと見えないけど、何か違和感を感じた。
 うまく説明できないけど、いつものこなたじゃないと思う。
431Maid in Konata(3/8):2008/04/09(水) 22:19:36 ID:wldsUkwb
 相変わらずこなたの表情は見えないけど、私から声を掛けるのは躊躇われた。
 少しの間、二人の間に沈黙が訪れた。
 その状況を動かしたのは、やはりこなただった。
 私の前に立つと、深々と頭を下げる。
「かがみ、ごめんなさいっ。何でも言うこと聞くから、許してください」
 その行動が、言葉が、普段のこなたじゃないことを物語っている。
 なんなのよ、いったい。
 怪我もたいしたこと無かったし、気にしなくていいのに。
「べ、別に何もしなくていいわよ。これから気をつけてくれれば」
「でも、私が怪我させたわけだし……」
 声を震わせながら、なおも食い下がってくるこなたは、明らかにいつもと違っていた。
 こなたのやつ、倒れたときに頭でも打っておかしくなったか?
 今の感じだと、授業なんかも真面目に受けそうだし、それはそれでいいかも。
 でも、それはきっと私の好きなこなたじゃないわけで……
 あーもうっ。
 どうしたら、いつものこなたに戻るわけ?
 もしかして、こなたは私をからかってるのか。
 ちょっと確かめてみるかな。
「じゃあさ、今晩からみんな出かけて誰もいないから、明日の晩まで私のメイドになってくれる?」
 普段のこなたなら、きっと「ちょ、かがみさん。まじですか」とか言ってくるはず。
 じゃなければ、絶対にこなたはおかしくなってる。
 そんなことは無いと思うけどね。
 でも、返ってきたのは全く予想外の言葉だった。
「うん、分かったよ。それじゃ、一旦帰ってから行くからね」
 そう言って、走って保健室から出て行くこなたを、私は呆然と見送った。
 みんな出かけてしまうのは事実で、できればこなたに来てもらいたいのも本当。
 でも、私、メイドって言ったわよね。
 それに対して、こなたは分かったって返事したわよね。
 いったいどうなってるのよっ!

 私は、いのり姉さんに迎えに来てもらって帰宅した。
 足の怪我を知ったお母さんが、用事を取りやめて家にいようか、と言ってくれた。
 けれど、こなたが来てくれるからと言うと、予定通りに出かけてくれた。
 私以外誰もいない家に、こなたが来たのは七時を回った頃。手には大きな鞄を抱えていた。
 そして、すぐにメイド服に着替えると、完全に私のメイドになっていた。
 何度か「もういいから」と止めさせようとしたけど、こなたは「約束ですから」と受け入れなかった。
432Maid in Konata(4/8):2008/04/09(水) 22:20:10 ID:wldsUkwb
「こなた」
 勉強机の椅子に座っている、髪をポニーテイルにし、紺色のメイド服を着たこなたを呼んだ。
 呼びかけに応じて、こなたは読みかけの本を机に置く。
 セミロングスカートの裾を、物に引っ掛けないように気を使いながら、私の元へとやってくる。
「お呼びでしょうか、かがみ様」
 優雅な動作でお辞儀をするこなたは、とても可愛らしい。
 でも、いつものこなたじゃない。
 私をからかったり、ちょっと憎たらしいような笑顔もない。
 いつもなら、表情で何を考えているのか分かるけど、今のこなたは作られた笑顔しか見せてくれない。
 ずっこなたのことを考えてたせいで、ちょっと頭がぼうっとしてる。
 コーヒーでも飲んで、しゃきっとさせたい。
「うん、飲み物が欲しいの。そうね、コーヒーがいいな」
「少々お待ちください」
 テーブルにポットが二つ置いてある。
 つかさが出かける前に準備してくれた、コーヒーと紅茶だ。
 そのうち一つを手に取ると、カップに注いでいく。
「お待たせいたしました」
 コーヒーを受け取ると、こなたは椅子に座り再び本に目を落とす。
 私が何も言わなければ、ずっとそうしているだろう。
 最初、こなたはじっと椅子に座っているだけだった。
 あまりにも気になるので、「本でも読んでなさいよ」と言ったら、それからずっと読み続けている。
 その姿を眺めながら、コーヒーを口に運ぶ。
 苦味で少しはすっきりするかと思ったけど、全く効果は無かった。

 なぜこなたがこんなことをしているのか、思考をめぐらす。
 私をからかうネタを作ってるのか?
 けれど、保健室で私がお願いをしたときの笑顔は、心から喜んでいるようだった。
 あれが演技とは思えなくて、その考えは消し去った。
 でも、それ以外に合点がいく理由を思いつかない。
 結局、何も思い浮かばず、こなたは私の言うとおりに動くという現実だけが残った。



――こなたは私の言うことを聞く――

 それを、はっきりと認識した心に、蠢くものがあった。

――今なら何でもできる――

 理性がそれを押し留めようともがいているが、蠢きだした欲望を止めることはできない。

――好きなことを何でも――

 私の心は欲望に支配された。

――思い通りにできる――

 大好きなこなたは今、私のもの……
433Maid in Konata(5/8):2008/04/09(水) 22:20:36 ID:wldsUkwb
「こなた、ちょっと」
 こなたは、素直に私の元へくる。
 心を欲望に絡め取られた私の元に。
「もういいから、止めにしない?」
 今日何度目の提案だろう。
 こなたが止めると言えば、全てが終わる。
 けれど、今のこなたなら絶対に、今までと同じ返事をするはず。
 この問いかけは、メイドであるこなたではなく、友達のこなたへの問いかけだから。
 それを理解しているから、こなたは必ず同じ返事をしてくるわ。
 私に怪我をさせたことへ負い目を感じ、その謝罪として私のお願いを聞いたこなた。
 その約束を守らないことで訪れるかもしれない、『何か』に怯えているから。
「いいえ、約束ですから。明日の晩まで、私はかがみ様のメイドです」
 そう言うと、こなたは頭を下げる。
 思ったとおりだ。
 これで、こなたは私から逃げられない。

「メイドなら、主人である私の言うことを聞いてくれるのね」
 私はあえて確認する。
 こなたに拒否権が無いことを、分からせるために。
「はい。私にできることでしたら」
 顔を上げ、何のためらいも無くそう言うと、再び頭を下げた。
 満足感に満たされる心に、ほんの僅かな痛みが走る。
 今から言おうとしている言葉に、良心が反応したのだろうか。
 しかしその痛みは、私の気持ちをさらに高ぶらせる。
「こなた、スカートを持ち上げなさい。下着が見えるように」
 興奮のためか、思わず普段より大きな声が出た。
 こなたは驚きの表情を見せたが、従順に私の言葉に従った。
 スカートの裾付近を掴み、下に着けていたペチコートと一緒に持ち上げる。
 しなやかな足は、白のオバーニーに覆われていた。
 スカートが腰の高さまで持ち上がると、、フリルが可愛い純白の下着が見える。
 こなたがよく言う、萌えってこういうことなのかしら。
 確かに、なんともいえない喜びと言うか、嬉しいものね。
「ふうん。可愛い下着ね。いつもこんなのをはいてるの?」
 羞恥に顔を赤らめ、横に顔を背けているこなた。
 返事をしないこなたに、私は苛立ちを覚える。
「答えなさいっ、こなたっ」
 強い口調で命令すると、こなたは、びくっと体を震わせ口を開いた。
 しかし、絞り出された声は小さく、はっきりとは聞き取れない。
「い……、ふだ……はちが……」
 普段見ることの無い、こなたの女の子らしい仕草。
 その一つ一つに反応し、私の体が熱を帯びる。
434Maid in Konata(6/8):2008/04/09(水) 22:21:02 ID:wldsUkwb
「ま、いいわ。こなた、メイド服を脱ぎなさい」
 私の命令に従い、ゆっくりとした動作でメイド服を脱いでいく。
 脱ぎ終わった服を椅子に掛けると、私の前に戻ってきた。
 目の間のこなたは、下着とオーバーニーを身に着けている。
 下着は上下お揃いのものらしく、ブラもフリルのあしらわれた純白のものだ。
 一人でするときに想像していたものが、目の前にある。
 しかし、そのブラの膨らみが、本来のこなたの大きさでは無い。
 明らかに大きい。
「こなた。パッドを入れてるわね」
「はい。メイド服を着るときは、衣装を綺麗に見せるために着けています」
 おそらくは真実だろう。
 けれど、今の私は単純にそれを鵜呑みにするつもりは無い。
 愛しいこなたをいじめることで精神が高揚し、それが気持ちいいから。
「ふんっ。バイト先ではそうやって胸を大きく見せて、客をたぶらかしてるのね」
 私は冷たく、そう言い放った。
 こなたのバイト先に行ったときのことを、思い出しながら――


 一度だけ、こなたのバイト先に行ったことがある。
 衣装をまとい、笑顔で接客をしているこなたを見て、苛立ちを覚えた。
 その笑顔が私に見せるものと違い、作られたものだと気付いてほっとした。
 その苛立ちが、安堵感が何なのか、最初は分からなかった。
 そして、その気持ちが嫉妬だと気付いて愕然とした。
 まさか女の子を好きなるなんて、考えたことも無かったから。
 そんなはずは無いと、否定しようとすればするほど、私はこなたが好きだと言うことを思い知らされた。
 そして私は、こなたに恋をしていることを自覚した。
435Maid in Konata(7/8):2008/04/09(水) 22:21:50 ID:wldsUkwb
「それとも、客に好きな人でもいて、アピールするためかしら。だったら、今はいらないわよね」
 私の言葉の意味を理解して、こなたはブラを外す。
 わずかな膨らみと、その頂点にある、綺麗な桜色をした突起があらわになる。
 こなたは腕で隠そうとするが、私の視線に気付いて腕を下ろした。
 随分と分かってきたみたいね。
「質問には答えて無いわよね。誰か好きな人がいるんじゃないの」
「…… はい。好きな人がいます」
 わずかに間をおいて、こなたの口から出た言葉は、私の心に突き刺さった。
「誰なの、それは」
「そ、それは……」
 私は何を期待しているの?
 私を好きだと言ってくれると思うの?
 そんなわけ無いじゃない。
 否定しつつも、淡い希望を捨てきれずにいる自分が哀れだと思った。
「まあいいわ」
 心の痛みを和らげようと、私はこなたの体に手を這わせる。
 わずかな膨らみの胸。
 乳首の周りに指を這わす。
 しまったお尻を、揉むように愛撫する。
 太ももを撫で、秘裂へと指を伸ばす。
 その一つ一つの行為に、反応を示すこなた。
 そして、私自身の秘部も熱を帯びる。

「こなた。あなたの携帯を持ってきなさい」
「えっ……」
 驚きながらも、命令に従って携帯を取ってきたこなたに、また手を伸ばす。
 必死に声をこらえるこなたが、可愛くて仕方が無い。
 乳首はつんと立ち上がり、下着にはしみが広がり始めている。
 こなたの下着を膝まで下ろし、秘部をあらわにさせる。
 秘裂からあふれ出た愛液が、下着との間に橋を掛ける。
「こなた。今から、さっき言ってた好きな人に電話を掛けなさい」
 指を秘裂に這わせながら、こなたに命令する。
 こなたの秘裂を指で開き、陰核を刺激する。
 その行為に体を大きく反応させ、小さく声を漏らすこなた。
 私も我慢できなくなり、スカートの中に手を伸ばし、自らの秘部に指を落とす。
 既にぐっしょりと濡れていた下着の脇から、指を忍ばせようとした瞬間、私の携帯が振動した。
436Maid in Konata(8/8):2008/04/09(水) 22:22:21 ID:wldsUkwb
 ったく、なんなのよ。こんなときに。
 枕元においてあった携帯を取り、発信者を確認するとつかさだった。
 出ないわけにはいかないだろう。
「こなた、ちょっと待ってなさい」
 そう言って、苛立つ心を落ち着けるために、深呼吸をしてから電話に出た。
 つかさは心配して電話を掛けてきてくれたんだけど、タイミングが悪い。
 まるで、私の行動を諌めるかのようだ。
 そのためなのか、さっきまでの興奮が一気に冷めていく。
 それと同時に、虚脱感が体を襲う。
 頭にもやがかかったような感じがする。
 私は適当に会話を終わらせると、電話を切った。
 こなたの方に向き直ろうとしたとき、また電話だ。
 言い忘れたことでもあって、つかさが掛けてきたと思って、そのまま電話に出た。
「つかさ、なにか忘れてたの」
 しかし、聞こえてきた声はつかさのものじゃなかった。
 そして一言だけ。
「鈍感」
 同じ声が、言葉が反対の耳からも聞こえた。
 私は携帯を耳に当てたまま、体の動きを止めていた。
 この部屋にいるのは、私とこなただけ。
 何を言ってるの、こなたは。
 鈍感ってどういうこと。
 それよりも、なぜこなたは私の電話に掛けてきたの。
 混乱する頭に、声が響く。
「かがみの鈍感。私が好きなのはかがみだよっ」
 恐る恐る振り向くと、こなたが恥ずかしそうに笑っていた。
 そこには、怯えるような雰囲気は一切無かった。
 どういうことよ。
 さっきまでのこなたはなんだったの。
 私はなんてことをしてたの。
「かがみ、泣かしちゃってごめんね」
 こなたに言われて、涙が流れていることに気付いた。
 そして、こなたが私のほうに寄ってこようとして、倒れこんできた。
「うわっ」
 こなたが私に覆いかぶさる。
 その衝撃で、足にわずかな痛みを感じる。
 けれど、それは本当にわずかで、気になるほどじゃなかった。
「あちゃ。下着下ろしてたの忘れてた」
 てへへ、と笑うこなたを見て、自然と笑顔になる。
 私の大好きなこなただ。
 でも、私はこなたにひどいことをした。
 許してはくれないだろう。
 それが悲しくて、また涙がこぼれた。
「かがみ、本当にごめん。まさか、こんな風になるとは思わなくてさ」
 えっと、どういうこと?
 まさか……
「こなた、ずっと演技してたの?」
「うん、そだよ」
「い、いつから」
「んと、保健室でかがみに謝ったとこかな――」
437Maid in Konata(言い訳?):2008/04/09(水) 22:23:44 ID:wldsUkwb
 こなたの話によると、こういうことだったらしい。
 こなたは私のことが好きだった。
 そのことをアピールしてたのに、私がなかなか気付かないから、やきもきしてたらしいのよ。
 どうしようかと考えていたときに、たまたま私に怪我をさせてしまった。
 そうそう。私に飛びついてきたのも、こなたなりのアピールだったらしい……
 その瞬間は、とんでもないことをしてしまったと思ったんだけど、私が気にしてなくて安心したって。
 それならば、これは一歩前進するチャンスだと考え、私のお願いを聞こうと思った。
 「宿題を自分でしなさい」とか、「授業を真面目に受けなさい」って言われるだろうからって。
 そんなことでも、私に気に掛けてもらえれば嬉しいんだって。
 言われた私は、思いっきり照れちゃって。もちろん、こなたにからかわれたわよ。
 話がそれたわね。
 ところが、私がしたお願いは「メイドになってくれ」でしょ。
 驚いたけど、面白そうだからオッケーしたんだってさ。
 あのときの笑顔は、楽しいことを見つけた笑顔だったのよ。
 見事にだまされたわ。
 それと、ご想像通り言われたわよ。「それ、なんてエロゲ」って。
 そのときには、一歩前進とか忘れてたって言うんだから、呆れちゃうわよね。
 後はごらんの通りよ。
 暴走してる時に、私の愛を感じたって言われたわ。
 どこをどう見れば、そういう結論に至るのか分からないけど。
 こなたを好きなことは、間違い無いからいいけどね。
 は、恥ずかしい話しちゃったわね。
 それじゃ、こなたのとこに戻るから――



「かがみってば、攻めに入ると結構Sっ気強いんだね(=ω=.)b」
「ちょっ。何言ってんのよっ!」
「ま、私がコーヒーに混ぜた、怪しげな薬のせいかもしんないけどね」
「ほっほー、こなたさん。その話、詳しく聞かせて欲しいわね」
「あなたの隠れた性癖を暴き出す、ってうたい文句の薬があってね。それをちょっとねー」
(って、嘘だけどね。時々足が痛そうだったから、コーヒーに痛み止めを入れたんだけど)
(わ、私って、あんなことしたかったんだ…… 確かに、気分よかったけど)
「かがみ様。また、お願いいたしますね」
「すっ、すっ、するかーっ!」
43828-538:2008/04/09(水) 22:24:56 ID:wldsUkwb
読んでくれた方々、ありがとうございます
がちエロに行こうかと思ったんですが
どうも鬱エンドになりそうで書けませんでした
相変わらずへたくそな文章です( TДT)ゴメンヨー

あと、こなたサイドを書こうかと思ったんですけど
無理っぽかったんで、言い訳を最後に入れさせていただきました

それでは、失礼します
439名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 23:18:03 ID:jtfQ5jgN
>>438
なにこの素敵なかがこな
もし…もしもだ……こなたサイドが完成したなら投下してくれ!いや、待ってます!!
440名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 00:28:06 ID:2wZLwwti
こなかがを書きたいものの自分でアイディアは思いつかなくて
もうそういうのは書き尽くされてるのかななんて思ってたけど
まだまだ新しい地平はあるんだなと思い知らされたような感じ
441こな×かが☆フェチ筆頭のピンク:2008/04/10(木) 00:32:35 ID:Ljz9RcCA
何をおっしゃってるのですかだばだば
こなたさん、かがみさん
このお二方が混ざり合ったとき、
そこに現れるのは宇宙、無限にして夢幻の宇宙ですよだばだば
ついでにmugenらう〜んどわん、ふぁいっですだばだば
まだまだ新しい地平があるですって?
むしろまだまだたらないくらいですだばだば
というわけで、宇宙一のバカップルに、今こそ熱いベーゼを!!







「「はなぢ、ふけ」」
442名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 01:55:55 ID:UttLVWYj
>>440
らき☆すたって良い意味で投げっぱなしな作品だからやりようは幾らでもあるんじゃないか
例えば文化祭とか体育祭の描写されてない年の方を妄想してみるとか
結構本編で空白になってる期間ってあるよ
4437-896:2008/04/10(木) 02:25:27 ID:e/JutTeE
>>438
なんとなく描きたくなったので描かせていただきました。
雑ですみません。

ttp://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0041.jpg
444名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 02:54:53 ID:A8LsgMmv
>>443
こなた可愛いよこなただばだば
これはみwikiでなくても鼻血だばだば
>>438
GJ!
445名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 03:17:08 ID:8tnWUqMB
>>443
これはいい…。
446名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 05:16:40 ID:AppTGByK
>>443
…すんません、ニヤニヤとまりません。
可愛すぎんだー!!
447名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 07:08:35 ID:Qm0ZyH1u
>>443
ぱんつ! ぱんつ! 恥じらいながらぱんつ!


なんて素敵ななんとなく。速攻で保存しました、ご馳走様。
448名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 07:38:44 ID:EkeOtN+Z
44928-538:2008/04/10(木) 09:26:17 ID:muXR7olk
>>443
遅くなってすみません
ありがとうございますっ
まさか、まさか、絵を書いていただけるとは
思ってもいませんでした
ほんっとうに、ありがとうございます

コメントくださった方も、ありがとうございます
それでは(´・ω・)ノシ
450名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 11:24:16 ID:EEI2O+p4
五分後くらいに投下させて頂きます。
爽やかな感動やら妖精さんやらくすぐりやらの盛り上がりを台無しにしそうな勢いの、ふたSSです。
お昼前にオカズをどうぞってな感じですよ(自棄

■注意事項
・エロ有り
・多分みなゆた(みなみ←ふた○り)
・淫語あいかわらず自重せず
・ストーリーもオチも、なんで生えてるのかも説明せず
・ゆーちゃん、おトイレ
・ふた☆こなとリンクしてたりしなかったり
・6〜8レスくらい使わせて頂きます
451ふた☆みな 〜ゆたか〜 1/8くらい:2008/04/10(木) 11:28:05 ID:EEI2O+p4
 私はゆたかを愛してる。
 私はみなみちゃんを愛してる。
 みなみの自室での、甘やかな二人だけの時間。
 デコレートされた睦言も、くすぐったいじゃれ合いも――そんな愛の確認作業など、今さらみなみとゆたかの間にはまるで必要がなく。
 他愛もない会話を紡いでいた二人の唇は、いつしか静寂の中で距離を縮め、ほどなく――熱い吐息と共に、ぴったりと塞がれた。
「ん……ちゅ、ちゅう……ちゅ……んん……」
「んふ……んあ……ん、んん……ちゅう……」
 みなみはゆたかの唇の柔らかさに、陶酔したように、ぽおっ……と頬を染め。
 ゆたかはみなみの唇の温かさに、夢中になったように、とろん……と瞳を潤ませ。
 呼吸も忘れるほど、二人はとろけそうなキスを心ゆくまで堪能した。
「ちゅうっ、ちゅっ、ちゅっ……あふ、かふ……んっ……んん〜っ、ちゅっ、ちゅうう……」
「ちゅく、ちゅう……ちゅっ、ちゅ……んあ、はふ……ふぅん、んっ、んぅ……ちゅくく……」
 少しだけすぼめた唇を重ね合わせると、くすぐったい痺れのような感覚に、上ずった鼻声が漏れる。
 お互いに角度をつけ、ふっくらとした薄膜をたわませる度、二人は胸の真ん中を切なく疼かせた。
 その疼きを溶かし尽くそうと、みなみとゆたかは唇をさらに深く密着させ――。
「んぢゅ、ぢゅるっ、んく、こく……っぷう、はむぅ……ぢゅるる、ぢゅ、ぢゅうう……」
「んく、んく……こく、ん……ふう、っあむ……ぢゅく、ぢゅうっ、ぢゅぢゅるるる……」
 舌を絡め、ねろねろとまさぐり――自分の唾液を相手の口内に注ぎ込み、溜息交じりにすすり合う。
 唾液と共に流れ落ちる幸福感と安堵感は二人の体内を満たし、じんわりと心地良く染み込んでいった。
「ん――っぷあ、はあ、はあ……ゆたか……」
「はあ、はあ、はあ……あ――みなみちゃんの、硬くなってきたよ……」
 そう呟くとゆたかはみなみの股間に手を差し込み、ショーツごしに、いきり立つ男性器を上下に撫でさする。
 漲るみなみのそれは、ゆたかの手に包まれると何度も跳ねた。
「んしょ、んしょ……気持ち良い?みなみちゃん……」
「あ、う……うん……ゆたかの手……気持ち良い……」
 ショーツから覗くツヤツヤの亀頭を、いとおしそうに撫で回すゆたか。
 初めの頃はみなみの秘密――男性器の存在に驚きを隠せず、勃起状態を目の当たりにした時などは、その醜悪なフォルムに嫌悪感すら抱いていた。
 それが、みなみと何度も睦み合い、想いを込めて愛撫を続けた結果――今ではその姿を見ただけで、格別の愛おしさが止め処なく湧き上がってくるまでに至る。
 愛というフィルターは、こうまでも自分の見ている物を変えてしまうものなのか。
 ゆたかは自分の変貌ぶりに、改めて驚かされた。
「みなみちゃん……私の手でしこしこされるの、好き……?」
「うん……好き……」
「ホントに……?」
「本当に、好き……」
 ゆたかのささやきに、みなみはこくこくと頷き答える。
452ふた☆みな 〜ゆたか〜 2/8くらい:2008/04/10(木) 11:29:27 ID:EEI2O+p4
 いつもならこのまま、勃起しきりのペニスはゆたかによる手淫で果てるのだが、今日に限っては、その様子が違っていた。
 ゆたかのその手はそのピッチを上げるでもなく、ただのたのたと肉棒をもてあそぶばかり。
「……ゆたか……?」
 ぼんやりとペニスを見つめ、心配そうに呟くみなみにも答えない。
 そんなしばしの逡巡の後、ゆたかはみなみを見つめると――意を決したように口を開いた。
「あ、あの……みなみちゃんの、これ……お、おクチでしてあげようか……?」


 ふた☆みな 〜ゆたか〜


「……え……口、で……?」
 ゆたかの、耳を疑うような大胆すぎる申し出に、みなみは思わず聞き返してしまった。
 ――この子は今、口ですると言ったのか……?口でアレを……?それって、つまり……。
「う、うん……フェ、フェラチオって言うんだよ……みなみちゃん、知ってる……?」
 ゆたかは耳まで紅潮させ、消え入りそうな声で答える。
 みなみがこくりと頷くと、ゆたかはたどたどしく言葉を繋いだ。
「こなたお姉ちゃんの遊んでいるえっちなゲームでね?そ、そういうシーンとかあって……お、おクチでなら、私でもちゃんと、みなみちゃんを気持ち良くさせられるかな、って思って……」
 ……なるほど。泉先輩の入れ知恵か……。
 みなみの脳裏に、猫口の表情をしたゆたかの従姉――泉こなたの顔が浮かぶ。
「……そうなんだ……でも、ゆたか……えっちなゲーム……する、の?」
「えっ!?あっ、ちちち、違うのっ!こなたお姉ちゃんがね?みなみちゃんを悦ばせたいなら、こんな方法があるよ――って、そのシーンを見せてくれたの。それで……」
 熱っぽく語るゆたか。
 その柔らかそうな唇に、みなみは思わず見入ってしまった。
 こういうものが生えている以上、知識はあったし、興味が無いといえばウソになる。
 これまでは、勃起したペニスは大概は自分で扱くか、ゆたかが手淫で処理してくれていた。
 ゆたかの目の前で自慰をするのは、背徳的な快感を得られたし、何より愛らしい少女の手で扱かれれば、怒張は呆気なく射精をきたした――それだけで満足できた。
 愛する人と結ばれたいという気持ちは、正直に言えば、ある。
 自分のペニスでゆたかの膣を思うさま掻き回し、その小さな子宮内にぐつぐつと煮えた白濁液を、たっぷりと注ぎ込みたい。
 しかし彼女の事を思えばこそ、みなみは激しい運動を伴うセックス行為に二の足を踏んだ。
 だから今回の提案、おそらくは――そんなみなみの想いを、ゆたかが汲み――さらにこなたが読んだ、という事であろう。
 きっとゆたかも、みなみを満足させられない歯痒さに思い悩んでいたのか――そう思うと、みなみの胸がしくりと痛んだ。
「ごめん……」
「何でみなみちゃんが誤るの……?謝るのは、私の方……」
 ゆたかは小さくかぶりを振ると、みなみにすがりついた。
「私の身体が弱いせいで、みなみちゃんに、いつも不自由な思いをさせてるし……だから、せめておクチで、沢山みなみちゃんを気持ち良くさせたいの――ねえ、お願い……みなみちゃんのおちんちん、私に……お、おしゃぶりさせて……?」
 恥ずかしさを必死にこらえ、上目遣いで哀願するゆたか。
 そんな必死な彼女の願いを――みなみが断る理由は無かった。

 ☆

 ベッドの上で互いに服を脱がし合い、みなみを立ち上がらせると、ゆたかはちょこんと、その正面にひざまずいた。
453ふた☆みな 〜ゆたか〜 3/8くらい:2008/04/10(木) 11:30:51 ID:EEI2O+p4
「ふわぁ……あはっ、みなみちゃんの……こんなに、ビキビキ……」
 透き通るような白い肌にのスレンダー体型には、およそ似つかわしくない、浅黒く太ましいペニス。
 へそまで反り返るようなペニスを、ゆたかはうっとりとした表情で見つめる。
 間近で見る、その危ういまでのみなみのアンバランスさに、ゆたかは堪らない興奮を覚え……んく、と小さく喉を鳴らした。
 左手で筒を作り、その肉竿の部分に被せると――火傷しそうなほどの熱い脈動が、ゆたかの手のひらを伝わってくる。
「――フェラチオされるの、期待してるから?」
「!……あ、う……」
 脈打つペニスをやわやわと扱きながら、微笑を向けるゆたか。
 自分の浅ましさを指摘されたようで、みなみは赤面して口ごもってしまう。
「……ゆ、ゆたかの、意地悪……」
「えへへっ、ごめんね?……それじゃ、するね……」
 みなみの拗ねた口調に、ゆたかは顔をほころばせると――顔を近づけ、小さな舌先を亀頭に触れさせた。
 ひくんっ、とペニスが小さく震える。
「あん――先っぽ、ヘンな味……」
 鈴口からこぼれる透明な滴を、ソフトクリームを舐めるような舌の動きですくい取っていく。
 もどかしい先端からの刺激に、みなみの顔は甘くとろけ、すんすんと鼻を鳴らした。
「れろれろれろれろ……んちゅ、ちゅぴ……はあ、あ……んん〜……れろれろれろれろれろ……」
 浅黒い先端を念入りに舐め上げ、舌の腹を使って、くびれの裏側を大きく擦る。
 次いで舌を拡げて亀頭部分を一回りするようにぐるぐると舐め回し、なぞる様に這わせた。
「ゆたか……はあ、はあ……ゆたか……んああ……」
 ゆたかの丹念な口唇の愛撫に、みなみは気持ち良さを示すように彼女の髪を、いたわるように撫でる。
「れろれろ……うふふ、みなみちゃん……♪」
 みなみのよがり声を満足そうに聞くと、ゆたかはちゅっ、ちゅっと鈴口にキスを連発し、やがてツヤツヤの亀頭に唇を密着させる。
 そして唾を飲み込む小さな音を残し――そのまま、根元に向けて頭を進ませた。
「んあ……お、こ……あこ……」
 いたいけな少女の口に、巨大な肉棒がゆっくりと呑み込まれていく。
 苦しそうな呼吸音に、みなみは申し訳なさを感じながらも、その淫靡な行為から視線を反らせずにいた。
 ゆたかも羞恥で頬を真っ赤に染めながら、みなみのペニスを自分の口腔に迎え入れる。
 しかし――。
「ん、ぐ……!っえ、えほっ!ごほっ!」
 みなみのペニスの全長を収めようと喉奥まで頬張ろうとするものの、その圧迫感にえづいてしまい、ゆたかは思わず吐き出してしまった。
454ふた☆みな 〜ゆたか〜 4/8くらい:2008/04/10(木) 11:32:09 ID:EEI2O+p4
「ゆ……ゆたか、大丈夫……?」
「えほっ、えふっ……んっ、大丈夫……ちょっと、むせちゃった……ごめんね」
 みなみは慌ててしゃがむと、咳き込むゆたかの背中を撫でさする。
「あまり無理しないで、ゆたか……」
「うん……でも、私、みなみちゃんに気持ち良くなってほしいの……うん。もう大丈夫だから……ほら、みなみちゃん、立ってて?」
「う、うん……」
 みなみを笑顔で促すと、ゆたかは目尻の涙を拭い、改めて口唇の愛撫を再開した。
「今度は、ちゃんとするから……あむぅ……んふぅ……んん〜っ、んふ、んふ……」
 ゆたかは肉竿の半分までを咥え、亀頭部分を舌で舐め回し、残りを指先でしこしことしごく。
 頭を前後に動かし、唾液でぬるぬるの舌の上にペニスの裏筋を何度も滑らせると――先端に血液がどんどんと集まっていくのが分かった。
「ちゅぶっ、ちゅぶっ……んんっ……みあみひゃん、ひもひいい?おひんひんの先っほ、あふくなっへひはお……」
「うん……ゆたかの口、すごく気持ち良い……」
「んふ♪よはっは……んぢゅっ、ぢゅうっ」
 熱に浮かされたように呟くみなみの反応に、ゆたかは嬉しそうに目を細める。
 そして更なる快感を与えようと、唇をしめ、頬をくぼませ――激しく頭を振り、口内の粘膜でたっぷりとペニスをしごき上げた。
「ゆたか……ああっ、ゆたか……っ!」
 愛する少女が、ひざまずいた姿勢で自分のペニスを咥えるという、この状況に――心の奥底に眠っていた加虐心が、否応なく駆り立てられる。
 ――ああっ、気持ち良い……ゆたかの小さなおクチを犯して……わ、私、感じてる……っ!
 じくじくと煽られる暗い愉悦に、みなみはゆたかの頭を押さえると、自らも腰を振り始めていた。
「んふっ、んむっ、んん……みはみひゃあん……っ!」
 みなみが感じてくれている事にゆたかは嬉しさをますます募らせ、彼女の腰を両手で押さえると、懸命に頭を動かす。
455ふた☆みな 〜ゆたか〜 5/8くらい:2008/04/10(木) 11:33:17 ID:EEI2O+p4
 いつしかペニスもざらつく舌の上を滑り、狭い喉奥までたどり着くようになっていた。
「んぐっ、うぶっ、んぢゅっ、んんっ、おごっ」
 時折、勢いあまった亀頭が喉奥を突くとむせ込みたくなるものの、それも愛あればこそ――ゆたかは嘔吐感を抑え、さらなる愛撫に没頭した。
「ちゅぶっ、ちゅぶっ、ちゅぶっ、ちゅぶっ……ん、はぁ……あむぅ……ぢゅちゅっ、ぢゅっ、ぢゅるるっ、……んっ、んんん〜〜〜っ」
「はあ、はあ、はあ……ゆ、ゆたか……私、もう……っ」
 ゆたかの口唇からもたらされる快楽に、みなみはガクガクと脚を震わせ、切なげに眉をたわませる。
 執拗なまでのゆたか愛撫は、確実にみなみを射精へと追い詰めていった。
「ちゅぶっ、ぢゅぶっ……っぷあ……いいよ、みなみちゃん……はあ、はあ、あむっ……ぢゅぶっ、ぢゅぶっ、ぢゅぢゅっ……みあみひゃんのみうく、わたひのおくひに、らひてぇ……っ!」
「うん、うん……もう出るから……出る、からぁ……」
 ゆたかはペニスから唇を離すと、熱を帯びた視線でみなみを見上げ――小さな口を精一杯に開き、にゅちにゅちと唾液まみれの肉棒をしごきたてる。
「はやく、はやくぅ……お、おひっこするみたいに、わたひのお口に、ビュビューッてらひて……!」
 愛しいゆたかの淫らな甘言に、みなみの理性のタガは呆気なく外れ――。
「あっ、あっ、ゆ、ゆたかっ、ゆた、か……んんんっ!」
 びゅるるるるっ!びゅるるっ!びゅっ!
 視界にスパークを散らしながら、みなみはその口内めがけ、放尿するように白濁液を注ぎ込んだ。
 びゅぷっ、びゅるっ、びゅるる……っ!
「んっ!んくっ、うっぐ……んお……っ!んふ、んふ……んぅ……んん〜……」
 鈴口から精液が喉奥に撃ち出される度、ゆたかは眉をしかめながらくぐもった声を上げる。
 あごを突き出し、一滴もこぼすまいとするゆたかに、みなみは肉棒を震わせ、さらに生っちょろい精液を吐き続けた。
 ――ああ、私……こんな姿勢で……お、おトイレみたいに、みなみちゃんの精液、受け止めてるぅ……!
 恍惚とした表情を浮かべ、ゆたかは自分のはしたない姿に酔いしれる。
456ふた☆みな 〜ゆたか〜 6/8くらい:2008/04/10(木) 11:34:27 ID:EEI2O+p4
「んん……んく……んく……こく……こくん……っん、ぷぁ、はぁ……ぢゅぢゅ、ぢゅるる……っ」
 やがて口内に並々と注がれた白濁液を、口を閉じ、両手を添えながら大切そうに咽下していく。
 そして再び亀頭に唇を付け、尿道に残った精液を吸い出すと――ゆたかは愛する人の精液を、すべて胃の中に収めた。
「はふぅ……ぺろ、ん……うふふ、たくさん出たね、みなみちゃん」
「ゆ……ゆたか……」
 唇の端にこびりついた精液の残滓を舌で拭い終えると、ゆたかはみなみに年相応な笑みを向ける。
 その笑顔はどこまでも無垢で――先ほどまでグロテスクな男根をもてあそんでいたとは、とても想像がつかない。
 倒錯的なまでの少女のギャップに、みなみは、こくりと唾を飲み込んだ。
「あ……みなみちゃんの、また硬くなってきたよ……」
 硬さを取り戻しつつあるみなみのペニスを、ゆたかは小さな手で、いとおしそうに握りしめる。
「う、あ……ごめん、ゆたか……」
「……ね。今日は大丈夫だから……最後まで、しよ……?」
「え……でも……?」
「平気だよ……身体の調子が良いから。それに……ボッキしたままじゃ、おちんちん辛いでしょ……?」
 やわやわとしごきながら、ゆたかはみなみを見やる。
 その顔は、強い酒を飲んだように瞳を潤ませ、頬を真っ赤に染め上げていた。

「だから、ね……みなみちゃん……私と、せっくすしよ……?」
457名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 11:35:59 ID:EEI2O+p4
ふうっ、レス数もピッタリだぜ(おい
以上でございます。
458名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 13:41:01 ID:xQa3M+1G
え!!!終わり!!!?
ちょ、ちょっと!ボクのこのエッフェル塔はどうしたらいいんですか!!

相変わらずの自重しない具合も良ござんした。「続き」も待ってますよーw
459名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 18:22:44 ID:Df//6Tp/
>>457
100000000回抜いた
やっぱりあなたの全力の官能SSは大好物ですw
460名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 18:51:38 ID:Qm0ZyH1u
>>457
相変わらず、目に浮かぶような濃密で芳醇な濡れ場ですな。
俺の股間の紳士も思わずチャーグル。
続編についても、Vの体勢でお待ちしております。
461名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 19:19:23 ID:rFlLKNXt
>>457
どうしてチ○コ生えたのか説明してくれwww

次はぜひ、つか×みゆでつかさ攻めをお願いw 
462無乳の緑:2008/04/10(木) 19:24:07 ID:Ljz9RcCA
>>457
いい……とても……GJ……

もう……1000回は……読み直してる……

続き……熱望する……
463名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 19:25:44 ID:q6tp7s/7
>>457
抜いたっス
464イクシキャヌン ◆P5TPu/OBR2 :2008/04/10(木) 21:40:48 ID:7BloUDjY
はじめまして(´・ω・`)
最近までつかこな一筋だったのが、急にいのり×みきにも目覚めてしまった者でつ。

目覚めてからはいのみき物を必死こいて探してみたんですが、全く見つかりません。
ドマイナーだから仕方がないのかもしれませんが・・・。

なので、自分でつくりますた(´・ω・`)

いのみきの短編SSと絵を投下させてくらはい、SSは多分5レス使用でつ(´・ω・`)
問題なければ、15分後位に投下しまつ、よろしくおねがいしまつ(´・ω・`)

>>457
でもって、読ませていただいた後に股間がランドマークタワーになってるんですがどうすれば(ry
465愛に勝ってしまう愛1:2008/04/10(木) 22:01:42 ID:7BloUDjY
「かがみん、やふ〜〜〜〜!!!」
「お〜?来たかこなた」
「こなちゃん、ばんわ〜〜〜」
どうやらこなたちゃんの来訪の様だ、かがみとつかさとこなたちゃん、もはや、我が柊家の中でも仲良し3人組となっている。
「あら、いらっしゃい」
まだエプロンを装着したままの母さんが出てくる、手には洗いかけの皿を持ったままである。
「いらっしゃい」
私もまた、読みかけの小説を手に持ったまま、こなたちゃんを出迎える。
「あ、お邪魔します」
そう言って深々と頭を下げるこなたちゃん、最初の頃はかがみ達から聞かされた印象と随分と違うな、と思っていたが、付き合いが長くなるに連れ、実際はとても礼儀正しいいい子であるのがわかってきた、
まぁかがみとつかさとは親友だから隠さずに付き合えるってのもあるんだろうけど。
「こなたちゃん、今日は泊まっていくのかしら?」
お母さんが尋ねる、最近はよく泊まりに来るからだ、たまにみゆきという子も交えて四人の時もある。
「あ〜〜〜……はい、不束者ですが、迷惑はおかけしませんので……」
「そんなかしこまらなくても……」
つかさが頬をぽりぽりかきながら、こなたちゃんの肩を掴んで部屋へと連れて行く、本当に仲良いわねぇ、あの三人。
「あら、そういえば、まつりは?」
「何か友達と遊んでくるらしいわよ」
そうなの、と胸に手を当てるお母さん、こんな仕草が娘の私から見ても可愛らしい。
「さて、私もプライベートの時間はお預けね」
「あら、いのり、何かあるの?」
「まだ書類の整理が片付いて無いのよね、さっさと終わらせてくるわ」
そう言って自室に戻った私はさっさと仕事を済ませ、最後に散らかり始めていた部屋の整理も一緒に片付けた。
やる事を終えた私はベッドに転がると、読みかけの小説に目を通す、当然、瞼も重くなってくる訳で……。

「……ん?」
体を起こして時計を見る、七時ちょっと前か。
約三時間眠ってたらしい、随分体が疲れていたんだろう。
そして、この部屋の物ではない布団が私の体に掛けられていた。
……誰だろう。
目を軽くこすり、台所へと降りていくと、お母さんが夕食の支度を始めている。
「あら、いのり、目が覚めた?」
お母さんが尋ねる、ひょっとしなくても布団を掛けてくれたのはお母さんか。
「うん―― あ、手伝うわ」
そう言ってお母さんの横に並ぶ私。
「あ、大丈夫」
「いいのよ、三時間も寝かせて貰ったんだもの」
軽くウィンク、お母さんも微笑を浮かべて、
「じゃあ、お願い」
466愛に勝ってしまう愛2:2008/04/10(木) 22:04:44 ID:7BloUDjY
こうやってお母さんと二人の時間を持つ事が最近多い。
だがそれは、当たり前の事でもあった。
何故なら私達は―――。

愛人同士と言っても良いのだから。
母娘、しかも同姓、禁忌オンパレードな間係ではあるが、不思議と全く不快には感じない。
それも当たり前か、愛してるって、そういう事でしょう、きっと―――。
「今日はこなたちゃんもいるから、一人分多く作らないとね」
「そうね」
水洗いをしている最中、私は尋ねてみた。
「やっぱり、変、かしら」
もちろんそれは具材の事では無い、私達の事である。
「変、ね」
相も変わらずニコニコと笑いながらお母さんは言った。
「そうよね……」
私はまた沈黙に包まれそうな空気に耐え切れなくなり、あえて口を開く。
「ねぇ、お母さん、もしも嫌なら」
「ねぇ、いのり」
途中で私を遮る言葉。
「いのりがそんな風に言うのは何で?最初に迫ったのがいのりだから?」
「……」
最初に……そう、思い起こせば半ば強引と言っていい形で私がお母さんに迫って、こんな関係を持つに至った。
子供の頃からお母さん子だった私だが、まさかそれが別の感情に結びつくなんて、お母さんは思いもよらなかったに違いない、ていうか普通思う訳無い。
当の私でさえそんな風になるなんて思っても見なかった訳だし。
あの時、私はどうしただろう、もちろん、すんなり受け入れて貰った訳が無い、抵抗するお母さんを上から押さえつけてたからね。
レイプ、そう、言ってみればレイプよね、あんなの。
でも、行為の最中に抵抗はされなくなっていた、抵抗を諦めた、そういう風にも取れたけど、あれは―――。
「私、すごくショックだったわ、あの時、何でいのりにこんな事されるのかがわからなかったもの」
「……わかってるわ」
「でも、その後は、どう?私、いのりの事一回でも拒んだ?」
「……」
「もし、一夜の過ちでこの関係を絶とうとするんだったら、もうとっくにしてると思うの、いくら何でもそこまで意思は弱くないつもりよ、私は――」
「自分からしておいてこんな台詞変だけど、お母さん、それでいいの?」
「そうね、いいとは思わない、はたから見ればおかしすぎるもの」
まるでかみ合って無いように聞こえる私達のやり取り、でも直後、お母さんが「自分の答え」の台詞を口にした。
「いいとは思わないけど、いのりの事を考えると、いつも答えが反対になっちゃうのよ、だから……「いい」じゃ、駄目?」
ああ、もう、何でこうもお母さんは、
私にとってあまりにも都合の良い、そして最も望んでいた答えを返してくれるのだろう……。
「こんなんじゃ、母親失格ね、私も―――」
夕食の準備中だと言う事も忘れて私はお母さんを後ろから抱き寄せた。
467愛に勝ってしまう愛3:2008/04/10(木) 22:07:45 ID:7BloUDjY
「!……」
一瞬お母さんの体に力が入るが、すぐに力を抜くお母さん。
「こんな親不孝な娘でごめんね、お母さん」
「……」
「それでも愛してるわ、お母さん」
「いのり、私の目、見て」
「……?」
言われた通りにお母さんの目を覗き込む、私を見る瞳は、まぎれも無く恋人へのそれで……。
「私も一緒、いのり、どう?」
その台詞が、その事実が私を一気に幸福の絶頂へ立たせる。
こんな親不孝娘が、こんなに幸せで、いいのかしら?
「さ、あの子達もそろそろ帰ってくる頃だと思うから、夕食の準備、しちゃいましょう?いのり」
「そうね」
私はお母さんの頬に軽く口を付けて、再びお母さんと共に調理作業へと戻った……。


「ただいまー」
まつり帰宅。
その数十分後
「「ただいまー!」」
「再びお邪魔しまーす……」
三人組も帰宅。
「よいしょ……」
お父さんも顔を出した。
「さ、もうすぐ出来るから皆居間で待ってて」
お母さんと私が料理を並べる。
ご飯、海藻サラダ、貝の吸物、刺身、漬物、ちょっと奮発した和牛のシチューなど、いつもより手が込んでいる、こなたちゃんも来ているから、当然と言えば当然か。
「うおー……」
最初に着席したこなたちゃんがお預けされた犬の如く、料理に目を釘付けにしていた、その仕草が面白い。
「ほら、お父さんも座って、お皿並べちゃうから」
「ああ、ごめんごめん」
私が新聞を読んでいたお父さんに声をかけると素直に席に付くお父さん。
やがて、妹達も居間に出てきてそれぞれの場所に着席し始めた。
全員が座ったのを確認して、私とお母さんも座る。
「さ、じゃ食べようか」
お父さんが第一声を発した後、全員が箸を持って、
「「「「「いただきまーす」」」」」
テレビを見つつも、料理に夢中になっている皆を見て、満足気なお母さん。
そんなお母さんを見て、私も満足感を味わえる。
468愛に勝ってしまう愛4:2008/04/10(木) 22:10:28 ID:7BloUDjY
「いやー、うちのお父さんもこの位料理が出来ればなー」
しみじみとこなたちゃんが呟き、かがみが「何おっさん臭い事言ってんのよ」とこなたちゃんの頭を軽く小突く。
「確かこなたちゃんは料理するのよね」
「ええー、はい、家事全般担当だったもんで」
お母さんの質問に食べ物をモゴモゴさせながら答えるこなたちゃん。
「こなたちゃんが家に来てくれたら助かるわぁ」
お母さんの言葉に顔を若干赤くしたこなたちゃんが喉に物を詰まらせる。
「んぐっ、おっ……」
「こなちゃん、大丈夫?」
つかさが軽く背中をさする。
「落ち着きが無いからそーなんのよ、全く」
口では文句を言いながらもつかさと同じ様に軽く背中を叩いてやるかがみ、本当に仲がいいね、この三人は。
見てるこっちまで微笑ましくなってくる。
「あはは、じゃいっそウチの子になっちゃわない?」
冗談めかしてまつりが軽口を叩く、こなたちゃんは笑って「考えておきます」と返した、その返答に笑い合う一同。


「お母さん?」
「ん……いのり?」
既に居間には私達二人しかいない。
そこで母さんは一人でテレビを見ていた。
「何か面白いものやってる?」
「うーん、あまりやってないかしらね、この時間帯じゃあ」
私はお母さんの横に座ると、軽く抱き寄せて呟いた。
「ね……出かけよっか、明日は休みだし」
「え?」
一瞬目をパチクリさせたお母さんだったが、
「不思議に思われないかしらね、二人で夜中出て」
「バレないわよきっと、皆寝てると思うもの」
こうして私はお母さんを「浮気」へと誘う。
そう、私との浮気。
お父さんには申し訳無く思う気持ちが無いと言えば嘘になる、それはお母さんも同じだろう、でも……。
ずっとずっと、強いのよ、お母さんを欲しがる気持ちの方が。
そして、お母さんにもそうであって欲しいと思う、勝手な願望が。
しばし、私の横で黙っていたお母さんが。
「……そうね、行きましょう」
そう言って、コートに手をかけるお母さん。
私は、これから起きる事を思って、既に軽く興奮を覚えていた。

「……冷えるわね」
「そうね」
私とお母さん、夜の街を並んで歩く。
「昔も、こうやって二人でよく夜外に出て散歩したわね」
昔、そう、まだ私が子供の頃の話。
まだ私が、歴としたお母さんの「娘」でいられた頃の―――。
469愛に勝ってしまう愛5:2008/04/10(木) 22:12:41 ID:7BloUDjY
「何だか、もう、何十年も前の話みたいよね」
「お母さんは、まだそんなに経ってない様な気持ちでいるけど……」
少し肌寒いのか、お母さんがマフラーを握りしめる。
私は自分のマフラーを外してお母さんにかけてやった。
「ごめんね、いのり」
それは、何への「ごめんね」なのか。
マフラー?それとも、今の私達?
だけど、こちらが謝る事はあれど、謝られる筋合いなんて全く無い。
私は、これっぽっちも後悔なんてしていないのだから。
「……お母さん、今日はここにしようか」
そう言って私は建物を指差した、比較的小さめな……ラブホテル。
横でお母さんが「そうね」と頷く。
「久しぶりだから、今日はちょっと抑え、効かないかもしれない」
始めにそう言っておいた。
「構わないわ、いのりが好きな様に……」
「お母さんも、ね……」
「え?」
「私相手じゃ、興奮できない?」
「……」
お母さんはしばし私を見つめ、直後。
「ううん、そんな事無いわ」
そう言ってくれた。
「嬉しい」
一歩、踏みしめる。
「たくさん可愛がるから、たくさん可愛がって」
お母さんの手を取り、ホテルへと向かう。
会計を済ませ(誘ったのは私だから私が全額支払うと言ったのだが、強引にお母さんが半分支払った)部屋へと二人で移動する。
店員の若干奇異がこもった目で送られながら。

「ここも、結構いい部屋ね」
私が手早く感想を済ませると、お母さんは大きなベッドに腰を下ろした。
「あったかいわね」
ポツリ、とお母さんが呟いた。
こうやって二人でホテルに来るのは何度目になるか、いつもの空気、それがたまらなく愛おしい。
「テレビ、見る?」
私がそう言い、リモコンを手に取ってお母さんの方へ持っていくと、そっとリモコンを下ろされ、
「平気、いのり……お願い」
潤み始めたお母さんの目を見て私の最後の理性がじわりと氷解するのを感じながら……。
お母さんに口付けて、その体を優しく押し倒していった。
今頃、皆は寝てるだろうか、お父さんも、まつりも、かがみも、つかさも、こなたちゃんも。
きっと、寝ているだろう、皆の夜は終わりを迎えたのだろう。

だけれど、私達の本当の夜は、始まったばかり――――。




                                       FIN
470イクシキャヌン ◆P5TPu/OBR2 :2008/04/10(木) 22:19:32 ID:7BloUDjY
以上になりまつ(´・ω・`)
本番シーンSSは作った経験が無く、本番入る前にEND的な作りになりますた。
のでせめての挑戦と思い、作った絵はその後ホテルでの光景を描いたつもりでつ。
エロく作った(つもり)でつ。
自分でSS読み直してみて「エロ必要ないねコレ」とも思ったんでつが、何分先に出来上がったのが絵の方でしたのでSSで無理やりエロへとこじつけた感があるのは許してくだしあ。



絵 ttp://momoiro.s4.dxbeat.com/up/img/momoiro05342.png




駄作でつが、読んでくれた方、ありがとうございます(´・ω・`)ノ
471名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 23:13:14 ID:Cdvanppp
>>470
作品イイ!
いのり×みきイイ!
絵もエロイイ!
つまりGJ!



で、続きはまだかい?
472名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 00:30:49 ID:0OIwB2+6
>>470
遂にここまできたか…GJです
もちろん続きもあるんだよな
473名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 00:43:01 ID:HdTiOuFa
>>470
娘にレイプされて絆されるみきさんだと〜?
おかげさまで新しい属性に開眼しました
GJ!

是非続きを頼みます
474名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 00:43:26 ID:iC6PtqD/
>>470
確かにマイナーカプかもだけど、すごい魅力イパイ!そしてGJ!!
二人の愛がビシビシきたよ!


それでもちろん続きは(ry
475名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 00:45:11 ID:E4XtZ/gB
 白石みのる以下十数名が学園の美少女達に牙を剥く! 少女達の悲鳴がこだましたとき、一人の少女が立ち上がった。
「待ちなさい! それ以上の蛮行……私は絶対に許さないわッ!」
「面白い……ならば俺達を止めてみろ! 柊かがみ!!」
「やってやるわ!」
 そして――少女達の貞操をかけた野球勝負が始まる。
先行 白石バンディッツ 「お前ら! 勝ったらやり放題だぜ!」  vs  後攻 かがみキューティーズ 「ちょっと待って。何かおかしい」
 制服のままのかがみキューティーズが圧倒的不利な展開。すでに勝利を確信している白石バンディッツ。
 しかし――彼らは知らない。この先、どんな悲劇が待っているか――
「プレイボーイ!!」
(……審判は十中八九相手ですね……みなみちゃん。ここは一球外して様子を見ましょう)
 シュッ! 女子が投げるにしては速い球がミットに向かって一直線に伸びてくる。
 が――所詮は素人の珠。
「ウィーーッハァーーーー!」
 先頭バッターのマルティネッスに特大アーチを浴びる。
「……そん、な」
「良くやった! マルティネッス!」  「ネッス!」
「ドンマイ! 落ち着いて行きましょう!」
 セカンド、かがみから激励の声がかかる。
 そうだ。まだ、まだ一点――みなみの目に再び闘志が灯る。だが――
 ……一回表が終わり、スコアは4対0。打者9人に滅多打ちにされてしまったみなみ。
「だ、大丈夫だよみなみちゃん! きっと……きっと皆が取り返してくれるから……」
 ゆたかが必死にみなみを励ますが、それは焼け石に水。自分の不甲斐なさに涙すら浮かべるみなみの肩を優しく叩いたのは、あやのだった。

 ――一回裏。先頭打者みさおが見事な内野安打を見舞い、一塁に出ると、続くかがみもヒットで出塁。
 ノーアウト1、3塁でバッターはみゆき。
(……野球の三要素。ギューって来た玉をグッと引き付けてバーーン! ……)
「そ、それじゃあどうしていいのかわかりませんニャガシマさん!!」
 あえなく凡退。
 そして、四番の泉こなたを敬遠したピッチャーのガルベソ。
 白石バンディッツは5番、峰岸あやのに勝負をかける事を選んだ。
 ネクストバッターズサークルのあやのはゆっくりと目を開ける。
(ダーリン……今だけ、今だけ――)
 ヘアバンドを外し、髪を解く。
 そこには、紛れもなく本気になった峰岸あやのがいた。
「あやのー! 絶対打てー!」 「峰岸! 気合よ!!」 「おおっ!? 髪下ろしたのも萌え〜」
 ポケットにしまわれていたグローブを手にはめ、ぎゅっと一度握り締めると、静かにバッターボックスへと足を進めた。
「ヘイ。いいじゃねえかよ。どうせ彼氏にもヤらせてるんだろ?」
 キャッチャー白石の囁き戦術。しかし、あやのは動じない。
「安心して」
 まるで独り言のように彼女はつぶやく。 
「貴方、一生童貞のままでいさせてあげる。チンカス君」
 ぐっと一度反り返るあやの。その姿は、カリブの大砲とあまりにも似ていて――
 ガルベソの投げた渾身の1球は、あやののフルスイングによってバックスクリーンへ伸びていく……
 ぶんっとバットを上空に放り投げる。まるで、それはHRが確定した未来だと言うように。
「ばかな……」
 呟いて立ち上がった白石の股間に、鋭い痛みが走った。バウンドしたバットが、めり込んでいる。
「オ、オモイダシタゼ……」
 ガルベソはひざまづきながらその昔、少年野球の県大会決勝戦を思い出していた。
 あの日も、今日のようにうだるような暑さで。
 自分の投げた究極の1球は――一人のヤマトナデシコによってバックスクリーンに消えていった。
 彼女の名も――
「……あの頃よりは、速い球投げられるようになったのね」

みさお「って、言うわけで……なぁ、あやのぉ。アタシ達で野球チーム作らね? みさおチーターズっぽいさぁ」
あやの「……みさちゃん。こっち来て? ほら、背中に何か付いてるよ?」
みさお「みゅ? 取ってくれー」
あやの「あやの式……   猛   虎   原   爆   固   め   !!  」
みさお「……あ、やの……」
あやの「もう! 私はそんなにおてんばな女の子じゃありません!」
みさお「……納得……いかな……みゅーん……」
476名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 00:47:29 ID:E4XtZ/gB
書いててわけわからなくなったのは俺と皆との内緒だ。
ここって、書きなれた職人さん多いよネ?
 いつかガチエロ書きたいけど、反応が怖くて投下できない俺
477名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 02:56:30 ID:cSjZOg3P
わかる
こないだのメイドこなたのこなた視点書かれないなら書こうと思ったけど怖くてやめた
478名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 02:59:55 ID:jLN0c4Pc
あんたそんなこと恐れていてどうするのよ…。
479名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 07:53:49 ID:/Mt4oqYb
まったくですっ
そんな事言ったら、自重せずにふたSS投下している俺の立場はっ!?投下する度、俺もビクビク震えてるんだってヴァ・・・

・・・そんな訳で、つたない僕のSSにレスつけて下さった皆様、ありがとうございました。ホント、全力で書いてすいません。
読んでくださるだけでありがたいのに、使って頂けるなんて恐縮の極みですよ。
小説家志望の友人に言わせれば「擬音語とか副詞使い過ぎ〜」だそうですが、頭悪いから上手い言い回しとか使えないので、どうしても濫用しがちになっちまいます。反省。
何もかも自重する気ゼロですが、使って頂けたら幸いです。
次は本番編ですな・・・ゆーちゃんに

「そんなにしたら壊れちゃうよおおおおっ!」

・・・なんて言わせたら、ホントにシャレにならない事態になりそうで怖いですが・・・
480名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 09:53:38 ID:gbCUPnJF
>>479
ふたSSの人か!
あなたには自重しない姿一番自然だーーー!
481名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 10:11:31 ID:Xh0N2PC8
そうですとも!
初投稿作品が他人のSSのサイドストーリーな私も居るっスよ。

>>479
「いいからはやく か↑ け↓ て↑ PON☆」

「イヤー、まさかユタカがコレを知ってイるとは思ワなかったネ」
「泉先輩の教育の賜物っスね〜。…岩崎さん顔赤いけどどしたの?」
「……なんでも…ない…///」

こうですかわかりません
482kt:2008/04/11(金) 11:09:56 ID:F6ar2+kt
どうもお久しぶりです
はい、えー…ktです
気合い入れて書きました

それでは
「鼻血)ry会5.1☆栗色奮闘記」
投下してもよろしいでしょうか?

・17レス
・みさお兄×あやの×オリキャラ
・前作「鼻血)ry会4.5☆高良家に行こう!1」の続きです
・オリキャラあり
・あやの視点
です、、どうぞ
483鼻血)ry会5.1☆栗色奮闘記:2008/04/11(金) 11:11:13 ID:F6ar2+kt
私は悩んでいた
…彼の発した言葉の意味を考えていた

どうすればいいのだろう、、答えは簡単なのかもしれない
でも…最悪の結果ばかりを考えてしまう、、、私の悪い癖だ

ずっとそんなことを考えていたとき
――彼女が現れた


鼻血)ry会5.1☆栗色奮闘記


―話は少し戻る
ある日みさちゃんと一緒に高良ちゃんに呼ばれた
何かの発表をするらしいけど…私はそんなのに興味なかったんだけど、、
みさちゃんが楽しそうなら…まぁ、それでいっか

『皆さん、初めまして、私は<うぃきつー>といいます、よろしくお願いします』
彼女はそう自己紹介をした
「自分とほぼ同じヒューマノイド…か、」
ふと私の中に悩んでいた事を打開する考えが浮かんだ
でも、これは…ちょっとなぁ…やっぱり…
う〜ん、、いや、どうなんだろう…
「あやの?どーしたんだ?」
う、、みさちゃんは鋭いなぁ…お兄さんと一緒で直感で行くタイプだからかな…
でも…心配させちゃいけない
「…ううん。みさちゃん、何でもないの」
私はみさちゃんにそう言った
「?」
―やっぱり納得して…ないよね
どうしようかと思っていたら、、
みさちゃんはすぐにうぃきつーちゃんに興味を移していた

484鼻血)ry会5.1☆栗色奮闘記:2008/04/11(金) 11:13:43 ID:F6ar2+kt
うぃきつーちゃん、、いや学園では高良ゆうきって名乗っているんだっけ?
ともかくゆうきちゃんのお披露目からかなりの日にちが立った
そのとき私はお兄さんの仕事の関係で会えない気分を晴らすために
昼休みに屋上にいたのだけれど…
…その…偶然観ちゃったのだ、、ゆうきちゃんが一人でシテいるところを
…いわゆる出歯亀というやつだ
釣られて私もしちゃったから何も言えないんだけど、ね
…ヒューマノイドでも…ひとりえっち出来るんだなぁ、、と思っていたら
またあの考えが浮かんだ
でも、、これを話してしまったら私は―淫乱と思われ、、、柊ちゃんやお兄さんに嫌われるかもしれない
…ってまぁそんな考えなんだけど、、と思っていた

そしてある日
まだ悩んでいた私に柊ちゃんが
「峰岸〜!私の変わりにみゆきの家に行く気ない?」
と聞いてきた、、これは…チャンスかもしれない…
「そうねぇ…考えておくわ」
…でも私はまだ、迷っていたんだ



―そして、今
「峰岸さん、話とはいったい何でしょうか?」
高良ちゃんが聞いてくる
ゆうきちゃんが『外で話すのは寒いでしょうから』と家の中に入れてくれた
そしてゆうきちゃんが3人分のお茶を運んでくる

私は話を切りだした
「ええ、私を…私を模したヒューマノイドを造ってくれないかな?」
これでもう…――後戻りは出来ないわね
485鼻血)ry会5.1☆栗色奮闘記:2008/04/11(金) 11:15:46 ID:F6ar2+kt
『あやのさんを模した…ですか?』
「訳を詳しく聞かせてください」
高良ちゃんが身を乗り出してくる
ふぅうっ…
私は一呼吸おいて話し始める
「これはちょっと前の話で…私と彼、、みさちゃんのお兄さんとその……せっくすしてたんだけど…」
「はぁ?」
高良ちゃんの顔が「こいつ何言ってんだ?」って言いそうな表情になってくる
…自分でも恥ずかしいことを話しているのは分かっている…でも私は続ける
「…し終わったあとにお兄さんが 「ん〜…刺激が足りないのかな…」 って言ったの…その意味を聞こう
にもなかなか勇気がでなくて…それにお兄さんは仕事があって…すれ違ってばっかりで…私も色々やって
みたんだけど…それでもやっぱり聞けなくて…」

「へーそーなんですかー」
高良ちゃんなんでこんなにノリ気がないんだろう…
そうか、いつものメンバーで彼氏がいるのって私だけなんだっけ?…なんだか悪かったような…
『その…それでなぜ?』
私は最後まで言うべきか悩んでいた言葉を…―言った
「…い、色々考えたんだけど、、さ3Pなら刺激的なのかな、、、と」
『そそそそそんな理由でっ!』
珍しくゆうきちゃんが取り乱している…それは…そうだよね…
『い、いいですか?あ、あなt』

「人のそういう感情は素晴らしいモノだと私は思うな、、結構考えていたんでしょう?峰岸さん?」
「『お母さま!』」
いつの間にか高良ちゃんのお母さんが部屋のドアの前に立っていた
『しかし…その、、ですね…』
ゆうきちゃんは顔を赤くして私のほうを見る
…分かってる、、、これは―
「分かってる…分かってるの…これは―」
涙が出そうになる
「―でもうーちゃんも確かそういうことに興味あったじゃない?」
高良ちゃんのお母さんが助け舟をだした…なぜかニコニコ笑顔で
『ふぇ?』
「ほら、学校の屋上と家のお風呂で―」
『わわわわ分かりまたっ!ちょうど妹が欲しかったんです!!ええそうでした、、忘れてました!』
「という訳で造れるわよ?」
「はぁ…」
私はあまりの展開の速さに戸惑っていた
高良ちゃんのお母さんが続ける
「じゃあ峰岸さん、これから色々検査をします♪ 1時間ほどで終わるからゆっくりしていってね」
「え?ええ…それでいつ完成するんですか?」
「そうねぇ、、1週間後ぐらいかな?」
486鼻血)ry会5.1☆栗色奮闘記:2008/04/11(金) 11:17:12 ID:F6ar2+kt

そして1週間後、それは出来た
私は高良ちゃんに呼ばれて家にいる…なぜか高良ちゃんは不機嫌そうだったのが気にかかるけど…
「この方がうぃきつーの妹<TRMS-S02>です」
高良ちゃんが説明する
「あの、、やっぱり完成するの早くないですか?」
「まぁ基本フレームとスキンはもう出来てるから、あとは新型OSを搭載したり・装備をS01
…―うぃきつーより減らしたり、だからかな?」
高良ちゃんのお母さんが解説する
「みんな寝る間も惜しんで死ぬ気で作業したのよ〜」
「なんというか…その…すいません」
「いいのいいの、私は女の味方だから」
「…あとは肌や胸の質感を人間に近くしたり、再生機能を付けてみました」
高良ちゃんが言う再生機能…なんだろう?

あ、そういえば―
「この子名前はなんて言うの?」
「それはあなたが決めてください、、私のセンスは酷いらしいので」
やっぱり怒ってるんだ…まぁあのことは私がパティちゃん達のことを聞いて思いついたんだし…
つまり わざと高良ちゃんを怒らせて地下へ→そこで頼む
って流れの作戦だったんだけど…今思うと無理しすぎだよね
それはそうと名前か…どうしよう?
それなら―
「“きみどり”がいいな、私の好きな色なの」
高良ちゃんがその子…きみどりちゃんに何か打ち込んでいる
「設定完了です、きみどりさん自己紹介してください」
『初めましてっ!きみどりです、よろしくですっ!』
きみどりちゃんは満面の笑顔で私に話しかける
本当に顔がそっくりだなぁ…いや、私がそうしてくれって言ったんだけど…でも

こんな生まれたばかりの・純粋なきみどりちゃんを…私は―

「峰岸さん、後悔しないように…頑張りなさい?」
高良ちゃんのお母さんが私の肩をポンっ!と叩く
「…はい」
やはり私は思っていることが顔に出やすいのだろうか…
お兄さんの次の休みは明後日の土曜日、そして学園も学園記念日で休みだ
…その日にしよう
487鼻血)ry会5.1☆栗色奮闘記:2008/04/11(金) 11:18:23 ID:F6ar2+kt

今日はきみどりちゃんと2人で私の家にいる
いよいよ明日…
明日、私達は…
『まだ迷っているんですか?』
私達は2人で横になって寝ている
「ううん、違うの…私はきみどりちゃんが―」
『え、と…“きぃちゃん“でいいですよ?』
「え?」
『その方が…すぐに馴染めるかなって思ってっ…ほら峰岸さん固いですし』
「…じゃあ、、私はこれから“きぃちゃん“って言うわね、きぃちゃんも私のあだ名を考えてみて?」
『そうだなぁ…“あやさん“とか?』
「…あやさんかぁ、、今まであだ名ってあやのか峰岸さんだけだったからなんだか新鮮だな」
私は、、そのとき思ってしまったことを口にしてしまった
「…きぃちゃんはこのことに抵抗は無いの?」

私は馬鹿だ…きぃちゃんは私の勝手な考えで造られたのに…
      きぃちゃんの誕生には私が関わっているのに…
『何が…です?』
「だから、、その、、お兄さんと私とのせっくす…」
『んー…私はどっちかっていうと嬉しいんですっ』
「え?」
私は驚いた、まさかそんな答えが返ってくるとは思わなかったからだ…しかも笑顔で
『高良家のヒューマノイドのお姉さま達より早くこんな体験ができるんだものっ』
「その…私達がこれからしようとしていること、、分かってるの?」
『もちろん頭に入ってますよ?、、私にはゆかり様とお父様の…性交データが入っていて…そのっ…』
なるほど…生まれたばかりでも経験豊富ということ、か

『あ、そのデータ、ディスクとして取り出せますけど観ますっ?』
「いや、、それは…」
『そうですか…じゃあ寝ましょうっ!明日は大変ですよ』
『あ、そういえば私…高感度センサーが組み込まれてるんです』
「…それはどう反応したらいいの?」
488鼻血)ry会5.1☆栗色奮闘記:2008/04/11(金) 11:20:19 ID:F6ar2+kt

決行の日
私達はみさちゃんの家に向かっていた
そしてまず、きぃちゃんを近くに待機させて私が最初に行く事にした
…突然2人で会ったらお兄さんがびっくりするだろうからだ
「でも…お兄さん家にいるのかな?」
きぃちゃんの方にばかり頭がいっていたというのもあってお兄さんの方まで頭が回っていなかったのだ
…もしかして

私、へましちゃった!?

「あにき〜!そんじゃ〜今日はちびっ子の家に泊まっから〜」
「おお〜!」
家からお兄さんとみさちゃんの声が聞こえた
…良かった…お兄さんは家にいるみたいだ
がちゃっ!
そしてドアが開いた
私は緊張する
「あ、あやの」
「み、みさちゃんどうしたの?」
なんだ、、みさちゃんかぁ…確かにそう聞こえたものね…
「今日さぁ兄貴どこにも行かねーんだって、疲れてるらしーからさ、だからつまんねーからちびっ子の家に泊まんだ!」
「そうなんだ…」
「じゃ!兄貴と頑張れよ〜」

そう言ってみさちゃんは飛び出して行った
みさちゃんは知らないん…だよね?
最後のはたまたま出た言葉なのだろう、うん、そう思おう
そして今度こそお兄さんが出てきた
「しっかし、、いつ約束したんだ?みさおのやつ…―あれ?…あやのっ!」
「お兄さん、、その…久しぶり…」
489鼻血)ry会5.1☆栗色奮闘記:2008/04/11(金) 11:21:36 ID:F6ar2+kt
「ああ!あやの久しぶり!」
お兄さんは必殺スマイルで私を見つめる
「うん、、寂しかった」
「…その、、ゴメン、なかなか会えなくて…」
お兄さんが私に近づき…私を抱きしめる
「え、、あ、、」
「仕事のせいにしたらアレだけど…仕事が終わってからでもあやのに会いに行けたのに…!」
お兄さんは私を抱きしめているという感覚がないのかなんなのかは分からないけど自然に言葉を続ける
「俺は―」
どきん! どきん! どきん! どきん! どきん! どきん!
久しぶりにお兄さんと会って・そして抱きしめられたからか…心臓が物凄い勢いで動いている
あれ?…この流れって―…もしかして…キ―

「あ!そうだ!そうだった!!」
「ふぇっ!?」
突然お兄さんが私からはなれ奥に行って荷物を探し始める
「あやのの為に買ってきたやつがあるんだけど…よっと…え〜…と」
「もう…」
…期待してたんだけどな、、まぁ仕方ないっか、お兄さん天然サディストの気があるし…
「これこれ!これさぁ青汁の―」
うん……私から言おう
あぁ!もうっ…このパターンっていつも緊張する…
ドクンッ!! ドクンッ!! ドクンッ!! ドクンッ!!
…心臓が爆発しそうだ
「…お兄さん…その…今から…し、しない?」
「え?するって?」
…わざとだ、これ絶対わざとだ
「……その…分かる…でしょ?」
「あ…」
途端にお兄さんの顔が赤くなる、、本当に分かってなかったんだ…

―そうだ、今日はもう1つ緊張することがあるんだった
…私のせいなんだけど、ね
「今日はね、、後もう1人―…」
490鼻血)ry会5.1☆栗色奮闘記:2008/04/11(金) 11:22:59 ID:F6ar2+kt

私達は今、お兄さんの部屋にいる
「外は寒いから」とお兄さんが暖房を付けてくれた…のはいいんだけど…
「あやの、、ホントにいいのか?」
「…うん」
お兄さんは裸のきぃちゃんをみて言う
「しっかしヒューマノイドか〜…さすが高良家!」
お兄さんはまじまじときぃちゃんをみている
…その時私は何かが傷むのを感じた
…これって嫉妬なんだろうか?…自分から言い出したことなのに?
「ホントにロボットなんだな〜!凄いよ!ホント凄い!!」
『あ、あの…そんなに見つめないでください…』

お兄さんは目を輝かせている…裸なのに元気だなぁ、、、お兄さん
「はぁ…」
私はため息をつく、いつまでみているんだろう…と
お兄さんがきぃちゃんをみるのはかまわない、だって珍しかったらまじまじと見てしまうのが人間だ
…それに男の人ってロボットとか好きだr―
「…あやの」
「え?…んんっ」
私は突然唇を奪われた
「あ、あ…んん…」
いくらなんでも突然すぎるわよ!お兄さん!
…って裸になってる時点で準備万端だよね…
でも…

―あぁ、久しぶり…
―お兄さんの、温もりだ…

私は嬉しくなりお兄さんの舌を受け入れる
ちゅぱっ…ちゅぱ…
というキス音が部屋に響く
「んん…あふぅ…んっ…」
…一時して私たちは唇を離した
「キスも…久しぶりだね」
「…うん」
「今のあやの、キレイだった」
お兄さんは照れもせずに、、、真っ直ぐにそう言った
「き、、、キレイ?」
「うん、すごくキレイだ」
491鼻血)ry会5.1☆栗色奮闘記:2008/04/11(金) 11:24:42 ID:F6ar2+kt
「――〜〜!」
私は赤面した
体中が熱くなってくる…
…そういえば前にお兄さんが「赤くなる私に魅力を感じる」って言ってたっけ…今は関係ないけど
「じゃ、きぃちゃんもだね」
そう言ってお兄さんはきぃちゃんにキスをする
『ん…あっ…んんっ!んぁあ…んんっ』
早くもきぃちゃんの目は恍惚としている
………これは…
私が寝ようとしてる時に『高感度センサーが組み込まれてる』というのは聞いたけど…
これ、感度ありすぎなんじゃないのかな…きぃちゃん…
「え、と唇が敏感なの?」
『こ、高感度センサーを超強力にしているんですっ…あっ』
…きぃちゃん…ずるいなぁ…
きぃちゃんの感じてる声を聞くと…さっきまで私もお兄さんとキスをしていたのに
…また…込みあがってくる
私はお兄さんときぃちゃんがキスをしている間に、後ろから迫りお兄さんのアレを握った
「うをっ…あやの?」
「やっぱり、、黙ってみてるのは耐えられないな…って」
私は胸をお兄さんの背中に押し付け動かし、それと同時にお兄さんのをシゴく
「あやの…その…当たってるんだけど」
「あ、あててんのよ」
…こんな感じだっけ?
泉ちゃんに聞いたようにしているつもりだ、、けど
…やっぱり慣れない…でも胸をこするこのくすぐられる快感を止めたくない
いつもと違うドキドキだ
「あやの、、なんか無理してない?」
「そ、そうかな?」
確かに慣れない事をして無理はしているかもしれない、、
でも私は…お兄さんを喜ばせたいのだから、その気持ちに偽りはない

いつの間にかきぃちゃんはお兄さんとのキスやペッティングを終えて私たちのやり取りを観ていた
『なるほどっ…参考になります』
…何が参考になるんだろう…
そろそろ、かな?
私はシゴくのと胸を動かすのを止め、お兄さんの前に回り、、言う
「その……“いつもの“…していい?」
492鼻血)ry会5.1☆栗色奮闘記:2008/04/11(金) 11:25:50 ID:F6ar2+kt
“いつもの”というのは…フェラチオのことだ、、、
私はこの行為をしながらお兄さんの顔を見るのが…まぁ…その…好き…なのかな?
キスじゃお兄さんの顔はよく見えないし・ぱ、パイズリが出来るほどの胸も無い…と思うし
それに…お兄さんのを入れられてる時に顔を見る余裕なんて無いと思うから…
そうこうしているうちにお兄さんはベットに仰向けになっている
「んんっ…」
私はお兄さんのを口に含む
じゅぽ…ちろっ…じゅぽっ…じゅぱっ
私は口に含んだお兄さんのを舐めたり、、奥まで含んだりする
「んっんっ…あふぅっ…」
ここで私は一旦フェラチオを止め、お兄さんに聞く
「どう、、かな?」
「…ん、、気持ち、いいよ…」
『あ、あの…』
「ん?、どしたの」
『わ、私も一緒にシテいいですかっ?』


私ときぃちゃんは向かい合わせになり左右からお兄さんのを舐める
じゅぽっ…じゅぷっ…ちゅぱっ…ちゅっ…じゅぼっ…
部屋はいやらしい音とにおいで充満している
「ん、、んふぅっ…」
私は思わずため息をつく、私よりきぃちゃんの方が上手いからだ
…それは入れられてるデータが凄いからなんだろうけど…ちょっとへこむなぁ…
じゅぽっ…ちろっ…じゅぱっ…れろっ…
私は負けじとお兄さんのを攻める
、、そう思っている時にきぃちゃんと目が合う
…その時ふと思った

“きぃちゃんってかわいい顔してるんだなぁ“って

…と言うかかわいい顔って元は私の顔なんだっけ、、かわいいと思った自分が恥ずか―
「っく…2人ともっ!!出っ」
どびぴゅっぅうぅ!
お兄さんが言い終わる前に、精液が私ときぃちゃんの顔、布団にとぶ
そして口の中の唾液と精液が混ざる
…私はこの感覚も好きなのだ
「ふぅ…」
「はぁ…はぁ…」
『はぁ…はぁ…へへ』
―その時の私はどうかしてたのかもしれない
、、興奮していたのか…
、、暖房の熱気とこの場のにおいにのまれたのか…
…今となっては分からない…けど
私はきぃちゃんにキスをしていた
493鼻血)ry会5.1☆栗色奮闘記:2008/04/11(金) 11:27:27 ID:F6ar2+kt
『っ!?』
きぃちゃんは戸惑っていた
私は舌を入れ2つの舌を絡ませあう
『……んんっ…』
最初は戸惑っていたきぃちゃんも受け入れてくれたみたいだ
「『んんぁ、、あ、はふぅ…んん…』」
私達は互いの口の中に残っている精液を移しあう
が、その時に相手の口に入りきらなかった精液が顔を伝って落ちていく

―あぁ、、お兄さんのが…落ちて…

私達はキスを続け、顔に付いた精液を舐めあい…キスは首…胸と下りていく
『あっ…ひぃんっ』
そして私はきぃちゃんの胸を甘噛みした
―きぃちゃんの、ヒューマノイドの胸ってこんなに柔らかいんだ…本物みたい…
そう思いながらきぃちゃんの胸をむにゅぅっと揉む
そして私は胸の頂上― 乳房を噛む
『ん、、はぅっ…んん』
私は乳房を噛みながらきぃちゃんの秘所に手を入れ動かす
くちゅ…くちゅっ…
「はぁ…ぁあ…」
『〜〜〜〜〜っあぁあぁぁん』
私はきぃちゃんを攻める、攻めて…攻めて、攻めて―…

「あやの、、今…ヨロコんでる?」
お兄さんが言う
攻…へ?、、あ、あれ?
「よ、ヨロコんでませんっ!」
「だってほら、きぃちゃんとシテた時あやのノってたよ?」
「ノってないし、ヨロコんでもないです!」
ヨロコぶって、、そんな…
…………―ヨロコんでたかも
「きぃちゃん、まだ大丈夫?」
『あっ、ハイ…』
2人は何か話し込んでいる
「じゃ、2人であやのを気持ちよくさせちゃおう♪」
『はいっ♪』
この2人は笑顔で近づいてくる
「え、ちょ…」
思わず私は後ずさりする
きぃちゃんは私を後ろから抱きしめ動けないようにする
そして前からはお兄さんが―
「お、お兄さ―」
彼の顔が近づいてくる、、つまり私の言葉は今からお兄さんのキスで封じられようとしている
「でも、、その、、待って!…今さっきまで私の口…お兄さんの精液で…」
「あやののだからいいんだ」
そう言ってお兄さんはキスをした
494鼻血)ry会5.1☆栗色奮闘記:2008/04/11(金) 11:29:16 ID:F6ar2+kt
「そういう問題じゃっ…あっ…ん…」
ちゅっぱ…ずずっ…ちゅぱ…
お兄さんのキスはどんな状況でも受け入れられる、、そんな気がする
そして―…下半身のくぼみからはひんやりとした、気持ちいい刺激が襲ってくる
きぃちゃんが私の秘所を舐めていたのだ
ちゅぱっ…ちゅぱっ…れろっ…ちゅぱっ
という音が聞こえてきてただでさえ恥ずかしいのにさらに恥ずかしくなる
『気持ち、いいですか?』
「……う、ん…」
お兄さんにもしてもらったことはあるけど、、同性の人…ってまぁその、、ヒューマノイドなんだけど
にしてもらうのはなんとも言えない気分だ
その間にお兄さんは首、胸、脇腹…へその順にキスしていっている
………な、なんかこういうのもいいかも…
もっと、もっとして―
…って、、あれ?
これ…私が淫乱っぽくないかな…
…まぁ、、いいかっ、、このまま…このまま身をゆだねたら…2人にな−

ヴぅ〜!ヴぅぅぅ〜!ヴぅぅぅぅ〜!
そう思っていた時、
突然私のケータイが鳴った
…もう…誰なの?
2人とも気にしてないみたいだし…無視して―
そう思いながら私はケータイサブ画面の表示を見てみた

〔日下部 みさお〕

そうディスプレイ画面に表示され、右から左へと流れて行っている
なーんだぁ…あっ…んん…みさちゃんかぁ…
…みさちゃん?
へ!?!…ちょっ…まっ
「ストップっ!!!!!」
私は渾身の力を込めて叫んだ
「どうしたんだ?」
「でで電話!、電話っ!!」
「そんなの無視すれば―…」
「みさちゃんからなの」
「なに!?そりゃやばい!」
『どうかしたんですか?』
「ああ、みさおのことだから何度かコールして出なかったら家に来るぞっ!」
495鼻血)ry会5.1☆栗色奮闘記:2008/04/11(金) 11:30:44 ID:F6ar2+kt
『そんな大げさな…』
「いや、、前に1度そういうことがあってね…」
『へ〜!詳しく聞かせてくださいっ!』
「おお!あれは―…」
漫才をしてる2人を気にせず私は出来る限り急いで電話に出た
…確かにあの時はハラハラしたなぁ、、
確かみさちゃんが帰ってきて急いで2人で押入れに隠れてて…結局中でやっちゃったんだっけ
そう思っていたら

「も、もしもし」
「お!あやのか〜?」
ふぅ…やっぱりみさちゃんだ
「どうしたの?」
「おお、今ちびっ子やどでかちちやゆうきと一緒でさ〜」
するとみさちゃんの声の後ろの方から『その間 わずか2秒!!』という声やだばだばだば…という音が聞こえる
え、、とちびっ子は泉ちゃんで、どでかちちは高良ちゃんよ…ねっ!?
突然、身体にひんやりとする刺激やあたたかい刺激が襲ってくる
「え!?、なっ…」
「? どーかしたのか?」
「な、、、なんでも…ない、、よ?」
そう、お兄さんやきぃちゃんが私の身体を愛撫し始めたのだ
「んでさ〜」
「う、、ん…ん…」
きぃちゃんは私の秘所を、お兄さんは様々な所にキスをしたり胸を揉んだりしている
…みさちゃんとの電話だというのに…私、、、感じちゃってる…
そう思うと、より興奮してくる
「なぁ、ホントーに大丈夫なのか?」
「…どうし…た、の?」
さすがのみさちゃんも気付き始めているみたいだ
…みさちゃんにバレたら私はっ…我慢しないとっ
「うん、大丈夫だから…お兄さんと…一緒だしっ」

「ん〜、兄貴は?」
「お兄さんは…今、、手が離せなくて…っぁ」
…私って、こんなに淫乱だったかなぁ…
「もしかしてマッサージしてもらってるのか?」
「え、うん、、そうそう、それそれ!」
どうやら…隠し通せたみたいだ
「そっか、んじゃ〜な!」
そう言って電話は切れた
…結局みさちゃんは何を伝えたかったのだろう…
496鼻血)ry会5.1☆栗色奮闘記:2008/04/11(金) 11:32:35 ID:F6ar2+kt

「お兄さんっ!きぃちゃんっ!みさちゃんにバレたらどうするんですか!?」
「あいつこういうのは鈍感だから大丈夫だって」
とお兄さんは笑って言う
「だからそういう問題じゃ…」
「じゃ、続きしよっか!」
「…続きって―」
そう言いかけて気付いた
私は今お兄さんやきぃちゃんとせっくすの真っ最中だってことに
「…―〜〜」
私は赤面する
…これわざとだ、今度こそそうだ
それでも、、私はこう言った
「…うん、、」


ベットの上には私たち3人がいる
私が下にあお向けになり、きぃちゃんは私の上に覆いかぶさる
…確かこれって女の子同士で、、やる時の体位…だよね?

それにしても―…

この体勢じゃ直にきぃちゃんの胸と……きぃちゃんのアソコが感じられる
「じゃ、、やるぞ」
ドクンッ!!! ドクンッ!!!
…私はいつも以上に興奮している
お兄さんのペニスは私ときぃちゃんの………具の間に入る
「『くっ…ぅう…』」
ぐちゃぁ…ぬぷぅっ…くちゅぅ…
ペニスは具と具の間に入りこすっている感じ、、なのかな
そしてその時の揺れで私ときぃちゃんの具や胸がこすれてなんともいいがたい快感になる
『「〜っぁあんっ!んんっぁ」』
そして私達は、きぃちゃんと私はキスをする
「きぃちゃんっ!お兄さんぁっ!」
『あやさんっ!お兄さんさんっっぁあ…』
私はキス・こすれ・ペニスの3つでの快感が何度も、何度も続いた
497鼻血)ry会5.1☆栗色奮闘記:2008/04/11(金) 11:34:04 ID:F6ar2+kt
「ふ、二人ともっ…交互に入れるぞっ」
お兄さんがそう言い、まず私の中にペニスが入った
「―っつぁあっ…」
「あやの、大丈夫か?」
「ううん、平気だよ…だから動いて?」
その言葉の数秒後に、ベットが軋みだし
お兄さんの息遣いがさらに荒くなる
…私はこの行為が好きだ、大好きな人と繋がっているからというのもあるけれど…
何より直にお兄さんの温かさを感じられるからだ
…この快感に変わるものは、私はまだ…いやこれからも無いだろう
「くっ、きぃちゃん行くよっ」
『んぁ―…っつぁ!』
「初めて…何だよね?」
『…大丈夫です…んん…私には再生機能がありますから…』
再生機能って…そういうことだったの!?高良ちゃん!?

きぃちゃんに…お兄さんのが入っている間、
私はきぃちゃんにキスをしたり・下半身を動かし下からきぃちゃんを攻める
徐々に入れ替えのペースがあがりピストンやベットの軋む音も早くなってくる
『あっあっあっあっ…あぁ!んんんっっっぁぁ!』
きぃちゃんが私より先にイってしまった
「あやのッ…出すぞっっ!」
「うんっ中にっ!、っあ…あぁあ!んんんっっっぁあっ!」
どぐゅうぅうぅぅぅ…
―お兄さんの精液が…
―私の中を駆け巡ってぇ……
「きぃちゃんにも…」
そう言ってお兄さんはペニスをきぃちゃんに突っ込み
残りの精液を出した
『うっ…ひぁっ…ぁ』

「ハァ…ハァ…」
部屋には3人の声が響いていた
498鼻血)ry会5.1☆栗色奮闘記:2008/04/11(金) 11:35:25 ID:F6ar2+kt

お兄さんは暖房を消し、私達は布団で寝ている
…きぃちゃんはと言うと充電している、、らしい
高良ちゃん曰く「激しく動いたあとは充電」しなくちゃいけないんだそうだ
「気持ちよかった?」
「…うん、とっても」
「お、あやの笑った!」
私は顔が赤くなる
「バカ……」
…そうだ今なら…あの事を聞けれる
「…お兄さん」
「ん?、どうしたの?」
「あの、この前した時、ね「ん〜…刺激が足りないのかな…」って言ってたけど…」
「あれ聞こえてたんだ!?」
…やっぱり…聞き間違いじゃなかったんだ
「そっか、、あれは“あやのが気持ちよさそうじゃないなぁ”って思ってさ…」

―…え?
「俺も仕事疲れで手早く済まそうと思ってたから…あやのの気持ちを考えてなかったなって…」
―なーんだ…
「だからもっと―…あやの?」
「フフ…ほんともうっバッカみたい…」
―…私の考えすぎだったんだ
私の眼には涙が溢れていた
「そんなことで私は悩んでたんだ…」
「…ゴメン」
「なんでお兄さんが謝るの?これは私が―」
「それでも…ゴメン」
―ふとお兄さんに聞いてみたくなったコトができた
「…お兄さんは私のどこが好きになったの?」

「―全部、かな」
余りにも早い回答に私は驚いた
「…え?」
「なんて言うか…全部なんだ、その青い目や、栗色の長い髪も何もかもひっくるめて
まるごと全部あやののことが好きなんだ」
―…ああ
「…よくばりすぎ、かな?」
とお兄さんが笑う
―これだ
「ううん…私も同じ、正直なところも、天然サディストなところも何もかもひっくるめて
お兄さんのことが好き…ううん大好き」
―この人の真っ直ぐさに私は惹かれたんだ
「同じだな!」
「…同じだね」
私達は笑いあう
「…私ね、これからも、、ずっと…ずっとお兄さんやみさちゃんと一緒に生きていきたいな」
「ああ!…俺もそう思う」
そして私は彼と軽い口づけを交わした




……でも、ふと思った
女の子同士も―…
いいかもしれないって、、

499鼻血)ry会5.1☆栗色奮闘記:2008/04/11(金) 11:36:57 ID:F6ar2+kt
―そして月曜日の学校再開日
休み時間にて
AM10:03
「〜あのあとちびっ子と一緒に色んなとこ歩いてさぁ―…」
私はみさちゃんの泉ちゃん家に泊まるまでの話を聞いている
「…〜でさ!」
みさちゃんの話が急に止まる、どうしたんだろう?
「……ん〜?」
「みさちゃんどうかしたの?、私の顔に何かついてる?」
「いや、あやのなんかいーことあったのかな〜って」
「どうしてそう思うの?」
「いや、なんつーかニヤニヤしてたからさ」

少し前まで悩んでいたことが考えすぎで、
それが解決して…安心したことが顔に出ていたのだろうか…それとあと―
「そう、かな?」
「兄貴から聞いたんだけどさ、1人で寂しかったんだって?」
「まぁ、うん」
「あやの今1人暮らしだろ?兄貴に聞いて私が一緒に暮らせるかどーか…」
「そのことだけど、、私もう1人じゃないの、同居する人ができて―…」
「へ?誰と暮らすんだ!?兄貴か?!?」
ふふっ…みさちゃん驚いてる驚いてる…
「お兄さんじゃないの、あ、その同居人さんの兄さんも知ってる人よ」
「兄貴も知ってんのか?、それなら安心だなー…で、どんな人なんだ?」
「…ふふ、内緒よ♪」
500鼻血)ry会5.1☆栗色奮闘記:2008/04/11(金) 11:38:45 ID:F6ar2+kt
ありがとうございました。まぁすごくエロくな(
…これ最後で台無しですねw

あやのさんは色々悩んでしまうタイプかなと思ったので…
あとみさお兄は某豚さんの偽善者と言われる主人公をモデルにしてみました

次回は5.1の裏でみさおはどういう行動をしていたかという話です
それにしても鼻血みゆきさん関係なくなってきたな…それにしても 長い…
501名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 20:56:51 ID:XdovJbt2
残りが50KB近くなってきているし、そろそろ次スレの季節かな?
502名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 21:18:59 ID:jLN0c4Pc
>>500
きぃちゃんかわいいよきぃちゃん



GJ
503名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 21:29:55 ID:Swtn3cCg
>>500
GJ
504名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 21:32:56 ID:5wBN6qXk
>>501
このくらいの速度ならいつも通り480KBで立てても十分だと思うよ
もし501が50KB近い中編を投下するつもりなら別だが
5057-896:2008/04/11(金) 21:33:18 ID:yWdt5hRf
>>500
どんどんヒューマノイドが増えてきて
楽しくなってきましたね。
実に性的な意味で。
実に性的な意味で。
大切なことなので2回言いました。




さて、せっかくなので
昨日の>>443に色を塗ってみました。

ttp://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0042.jpg

あれですね。
線画が適当だと塗るのが難しいですね。
困ったものです。
実に。
506名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 22:17:24 ID:V8uhwIrJ
>>500
あやのの危機は去った
しかし、その時みさおの身に異変が
次回、みさおの秘密っ

ってことですねwktk



>>505
こっ、これはっ!!!
こなフェチ発動っ
今すぐ、お持ち帰りやー
507名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 22:19:12 ID:3IokWuSL
>>505
素 晴 ら し い
>>506
馬鹿野郎!死にたいのか!?
こな☆フェチのこなたをお持ち帰りしたら三日で萌え死ぬんだぞ!
508kt:2008/04/11(金) 22:32:57 ID:GhXzvBve
感想ありがとうございます…やっぱりレスが付くっていいものですね
…と半泣きのktです

あとこの前道を歩いてたら「お好み焼きゆたか」というお店を見つけました
…そこから何か考えようとしましたが
@以前スレで話題になったこなた大根のパク(ry
A普通に店を切り盛りするゆたかとみなみの人情話
B店を切り盛りする未亡人ゆたか
という盛り上がりそうに無いものばかりですw
509名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 22:43:07 ID:3IokWuSL
性別問題で交際反対されたみなみとゆたかが切り盛りするお好み焼き屋台…ゴクリ
510名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 22:46:39 ID:5wBN6qXk
キャベツの千切りをしているときに指を切ってみなみに舐めてもらうんですね。わかります
511名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 22:49:39 ID:j9/Dtem3
>>508
すまん、3番から目が離せないんだが。
鬼籍に入ってしまったみなみちゃんを一途に思い続ける未亡人ゆーちゃんがね?(身も蓋もなく自爆
512名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 23:14:09 ID:kmo7w9Og
うほっww
513名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 23:33:28 ID:NXId6eab
始めまして、板で始めてっすぉ投稿させていただきます。
こなたとかがみの定番百合。えっちというよりかは純愛です。
差し支えなければ、5分後に投稿しますね。
514ふれんち、キス:2008/04/11(金) 23:38:54 ID:NXId6eab
「なんだかんだ言って、かがみ、私のこと好きなんでしょ」
「…そ、それは」
 こなたが、ニヤニヤと、私を見つめてくる。私は自分の気持ちを知られないように、目を逸らす。その行為自体が答えになっていることは、わかる、

けど。
「んふふ〜好きっていえば? 私は一応ノンケだけど、最後まではともかく、途中までならいいよ。
 …かがみだから。誰でもっていうわけでは、もちろんないけど」
「―――あのね、こなた。本当に、私、そんなんじゃ」
 しどろもどろに否定する。でも、違う、とは言えなかった。

 確かにこなたのことが好きだ。
 いつもこなたのいるクラスに行くのは、つかさと一緒に弁当を食べるためだけど、何よりもこなたを見ていたい。
 出会ったのは、高校一年生のとき。二年の進級、私は神様にまでお祈りした(つかさのせいで、こなたにからかわれたけど)けど、私とこなたは別の

クラスだった。
 少しだけ、ほんの少しだけ、つかさが羨ましかった。双子は離すということは、この学校でなくてもよくあることらしいのだが、それとこなたと別のクラ

スになることは、違うと思う。
 三年生のクラス替えの日。つかさに知られないように、私は枕を濡らした。

 たしかにこなたって、オタクだし、傍若無人だし、どうしようもないいじわるだ。ついでに胸もないし。
 看病に来てくれたと思ったら、私を笑いものにしたり、宿題を写させてという。
 でも、私は、そんなこなたと一緒にいるととても楽しい。
 お姉ちゃんでいること、とても大変だった。つかさはもちろん大好きだけど、幼き日の私には心労は大きかった。
 
 こなたが「ツインテール、似合っているよね」って言ってくれたとき私は、「別に、惰性でこうしているだけよ」といったけど、本当にうれしかった。
 それ以来、この髪型を変えるつもりはなかった。ショートにしてみようとして、こなたに訊いてみたとき思ったよりも反応がなかったことは、残念だっ

た。
515ふれんち、キス:2008/04/11(金) 23:40:03 ID:NXId6eab
「…ばか、こなた」
「その反応は、正直返すのにとまどうんだけど」
 こなたが困ったように呟く。
 ああ、愛しい。
「その、あの、さ…」
 好き、こなた。ごめん、私、こなたのこと、好き。
―――口には出せなかった。
「ん〜お姉さんに言ってみ?」
「……うん、えっとね、その」
「ツンデレもいいけどさ、もう少しはっきりいってくれないと、私もわからないよ」
「うん、ごめん、こなた。でもさ、こうでしか、私、やっぱりできない」

――もう、後には引けない。
 私はそのままこなたに――こなたの可愛い、小さな頭に触れるように体を屈して――強引にこなたの唇に触れた。
 初めての味はキスの味という。
 この味は、何の味なんだろう。
「ん、んー!!」
 こなたが何かいいたげに手をじたばたさせる。私は、そんな抗議にこなたの唇に舌を入れて返した。
 くちゅ、くちゅ。
 卑猥な擬音が、教室中に響いて木霊した。

 そうだ、ここ、教室だったんだ。
 でももう、どうでもいいや、と私は思った。
 こなたも観念したのか、手を振るのはやめていた。私とこなたの舌が絡み合い、糸を引いていた。
 こなたの息遣いが、直接肌に伝わる。唇がふさがっているせいもあり、こなたの鼻息が、私の鼻にかかる。
 
 ん…、あ…、くふ…小さい、小さい、けれども淫猥な喘ぎ声を聞いた。
 私はたまらず、体が火照てしまう。

 数十秒? 数分?
 時間の感覚なんて、とっくにない。
 それでも、名残惜しいように――私にとっては、特に――私とこなたは、繋がっているただひとつの器官を離した。

 紡いだ糸や、唾液が、教室の床にたれた。
 こなたの唾液――甘い汁を、私は咽ながら口で受け取った。
516ふれんち、キス:2008/04/11(金) 23:41:46 ID:NXId6eab




「あのさ、かがみん…」
「…はい」
 火照った体も、冷えてきた頃。
 …こなたの、視線が痛い。
「あ、あのね、こなた。
 えっと、うんと、そんなんじゃなくてさっ!」
 私はしどろもどろに言い訳をする。

 だって、こなたに、嫌われたら、って。
 私、こなたの意見も聞かず、最低だ。
 どうしよう。もう取り返しがつかない、けど。でも、こなたの唇が、息遣いが、色っぽい表情が、忘れられない。

「―――かがみんって、ちょっと清潔すぎるんだよ」
「ど、どういう意味よ、それ」
「言葉通りだよ。
 それにしてもかがみがねー、いきなりフレンチキスというか、ディープキスというか。
 ゆい姉さんじゃないけど、お姉さんびっくりだ」
「う…反省、してる」
 ちなみにフレンチキスとは、ほとんどディープキスと同義って、私が読んでいた小説に書いてあった。
 こなたに貸してもらった、ライトノベル。
 こんなところで、こなたと一緒ということが、不思議に嬉しい。こういう状況なのに。
「あのさ、かがみ」
「…うん」

 気まずい沈黙。
 こなたの途中まで、ってどこまでなんだろう。
 手をつなぐこと? プラトニックなラブ? でも私はもう、それだけじゃ我慢できない。
 どうしても我慢できない時、私はいつもこなたを思い浮かべる。最初はなんであんなやつっ!と思ったけれど、抵抗も、違和感もない。こなたじゃな

いと駄目だから。
 あの小さい唇、指が私の陰核に触れる。全身を弄ぶようにくりくりと私の大切なところに触れる。優しく、激しく。
 「かがみいやらしいね〜、そんな顔をして」とこなたが意地悪そうに言う。私は「う、煩いっ、仕方ないじゃないの…っ」と、悪態をつきながらも、こなた

に身をまかせる。
 そんな想像で、私は絶頂に達するのが、いつものひとりえっち。

「…かがみ。 ――かがみーん?」
 手をあてられて気づいた。こなたはもう、次に発する言葉を準備していた。
「あ、ごめん。ちょっと、考え事をしていて…」
 あの時のことを、こなたの裸体を、想像していたなんて、とてもいえない。
「それで、何。
 ううん、先にいっておく。ごめんこなた。あんなことして――」
 嫌いになるなら、嫌いになって。
 その言葉を発する前に私の唇は遮られた。
 こなたの唇だった。
517ふれんち、キス:2008/04/11(金) 23:42:58 ID:NXId6eab
 フレンチキスではない、恋人通しがする、ごく普通のキス。
 温かい。ふわりと触れた一面に、全身が反応した。
 こなたの味は、やっぱりレモンの味だと思った。

「あのさかがみ。
 もう一度聞くけどさ。私のこと、好き?」
「そ、それは…」
 そんなこと、わかっているでしょ?
 と思ってしまうのは、B型の血なのか、あるいは私が単に素直ではないだけなのか。
「かがみん」
「な、何よ」
「言葉で言わないとわからないことって多いんだよ?――不公平か、それじゃ。
 私は、かがみのこと好きだよ。かがみがどう思っているかわからないけど、おそらくかがみが思っていない意味で」
「でも、ノンケ……というか、こなたは、女の子、好きになれるの?」
「そだねー
 今はわからないよ。かがみのこと好きというの本当。それが友達して、という意味ではないことも本当。
 かがみが恋人だったら、って思ったこと、私あるし」

 どういうこと?
 こなたは、私のこと、好き、なの?

「私は」
 そこでしどろもどろとしてしまう。気恥ずかしい思いが、その先を告げることを躊躇わせる。
「私は、うん、その。
―――こなたのこと、好き。大好き、だよ」
「…」
「そこで沈黙しないでよ……っ。
 私、どうしたらいいか、わかんないよ……っ!」
「うん、そのね」
 こなたは少し面食らったのか、ぽりぽりと頬をかく。
 それから言った。

「かがみん。やっと言ったね。もっと、言いたいこと、素直になればいいのに」
「それができたら苦労しないわよ。
―――それに、それがツンデレっていうものじゃないの?
 わ、私は、知らないけどさ」
「その返しはなかなかポイント高いよ〜
 うん、確かにツンデレはそうかも。ツンデレ最高!」
「ばか、こなた!声でかいわよ!」
「――あれだけのことをしていて、何をいまさら。私たち、キスどころかディープキス、したんだよ?」
「そ、それは…悪いとは、思ってる」
「謝らなくていいよ。かがみのことだから、普通のキスが関の山だと思ったけど――私も、嬉しかったから」

 それが、答え?
 こなたの気持ち?
518ふれんち、キス:2008/04/11(金) 23:44:13 ID:NXId6eab
「――はっきり言ってほしいよ。言葉で伝えないとわからないこと、あるから」
「う…かがみん、そうきたか」
「仕返し、よ」
「てゆーか私の気持ち、さっき伝えなかった?」
「もう一度言って。そうじゃないと私、安心できない」
「ツンデレだね〜
 わかった、よ」
 こなたは、言葉を切る。
 すうっと、息を吸い込む音がした。

「かがみん、私も大好きだよ。かがみのこと、大好き」

―――ぽっ。
「これで満足、かがみ?」
「う、うん、その、かっこよかった」
「女の子に言う台詞かな、それ」
「あ、ごめん」
「ううん、ほめ言葉っていうことはわかっている。百合ゲーなら私が攻めだろうから、それであっているだろうし。
 まあ、先ほどは、私が受けに回ったわけだけど?」
「もう、こなた、しつこい」
「そうそう、その表情だよかがみん。私は、そういったかがみんが大好きなんだから」
「――もう、いじわる。そんなこといったら、怒れないじゃないの」

 私はこなたの長い髪を指ですきながら、愛でた。
 同じように私の髪に、こなたの指先が揺れる。

「かがみ、付き合って」
「……うん」
 私から言うつもりだったのに。言って玉砕して、すっぱりとあきらめようと思っていたのに。
 もう戻れない関係。深く嵌ってしまった陥穽。
 少しの憂鬱と、ノスタルジーを感じながら、三度こなたと唇を重ね合わせた。

 甘い、甘い。レモンの味。
519ふれんち、キス:2008/04/11(金) 23:47:46 ID:NXId6eab
以上です。
>>513でいきなりの誤字orz 「板で始めてっすぉ」は「板で初めてssを」の間違いです。
私が板の動作が理解できていないようで、変に改行されていてわかりづらくてごめんなさい。
520名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 23:54:01 ID:TkMPgh4v
>>519
GJ!
キキースシンが異様にエロいぜ!
521名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 00:19:24 ID:Jjy9bK6Z
>>519

じれったい純情とほのかなエロ具合とツンデレ攻防戦が果てしなくGJ!

「そういえば思ったんだけど、私のキスって、何味?」
「こ……こなた味……かな……」
「そーだよねーそーなるよねー(=ω=.)」
522名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 00:23:49 ID:OwJxlDWq
>>519
ニヤニヤさせてもらったぜ、GJ
確かにちょっと改行がアレだったけど、まぁ許容範囲内じゃね?
52342-415:2008/04/12(土) 01:03:17 ID:8bDUhKFf
>>519
べっとりと甘く、それでいてしつこくない。これが『こなかが』の甘さか…


で、前作の続き的物を書き上げたので、1:05くらいに投下しようと思います。
@2作目ということで42-415を名乗らせていただきますね〜。
524妄想と現実の邂逅(2/2):2008/04/12(土) 01:07:52 ID:8bDUhKFf
「――さん!田村さん!」
…声が聞こえる。私の良く知ってる、声。
「…小早川さん?」
「あ、気がついたんだね。田村さん」
目の前に居るのは心配そうに私を見下ろしている小早川さんと岩崎さん。
「こ、ここは!?私はいったい…?」
「きゃあっ」
勢い良く体を起こしたので少しめまいがした。うぅ…頭が痛い…。
ここは――教室、かな?…さっきのは…夢?
「…ゆたか、大丈夫…?」
「あはは…田村さん急に起き上がるからびっくりしちゃった」
顔を覗き込んでいた小早川さんが今のでびっくりしたらしく、しりもちをついていた。
「あ…ごめん。つい勢い良く起き上がっちゃって…」
そういって頭の後ろをかく。…手は、縛られてない。
「ううん、大丈夫。それより田村さん、すごい汗だよ」
「…教室に入ってきたと思ったら、急に倒れちゃったから…とりあえず、これ…使って」
岩崎さんがハンカチを差し出してきた。私はそれを受け取り額の汗を拭う。
「ありがとっス。今度洗って返すっスね」
「…気にしなくていい…」
あ、そうだ。それよりも…
「そういえば私、忘れ物取りに来たんだっけ」
「あ、それってもしかして…このノート?」
一冊のノートを差し出し、小早川さんが微笑む。しかし私はそのノートを見て石化した。
それは紛れもなく私、田村ひよりのの忘れ物であり…そして、日常の小早川さんと岩崎さんを
腐女子コンバーターを通して描かれた濃厚な百合イラスト満載の妄想メモリーである。
あれ?
この展開どこかで見たような?
これはもしかして正夢というやつでいまからわたしは小早川さんと岩崎さんに『オシオキ』と称してもみくちゃにされて
リアルにひぎぃでらめぇであっはーんなR-18と言わざるを得ない展開に―!?

「田村さん、どしたの?」
「えっ!い、いやなんでもないっス!」
そういって手早くノートを受け取り鞄にしまう。
「そっか。じゃあ早く帰ろう」
「…うん」
「そだねー」
…この様子なら、ノートの中身は見られて無いっスね。というか小早川さんそんな人じゃないよ。
友達を疑った自分を少し後悔する。それにしてもあんな夢を見るとは、我ながら腐れすぎだ。
(というか私、マゾっ娘だったんスかねぇ…)
夢の内容を思い出す。いつもなら直ぐに忘れてしまうものだが、今回の夢は鮮明に思い出せる。
(夢の中の小早川さんの小悪魔スマイル、良かったっスねぇ…あんな顔で岩崎さんを攻める小早川さんも…って自重しれ私)
夢を思い出し妄想に走る自分を抑制しつつ、歩く。

「あ、そうだ!」
ふと何かを思い出したように、小早川さん
「今度の日曜日、おじさんもお姉ちゃんも出かけちゃうから、うちに遊びに来ない?」
「いいっスよ〜」
「…わかった」
そんな他愛も無い会話をしながら、私達はそれぞれ帰途についた。

…そして日曜日、ゆたかの部屋でひよりは二人から全身をくすぐられる事になるのだが、それはまた別のお話。

【続かない】
525名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 01:09:38 ID:8bDUhKFf
あれ?(1/2)が投下されないのは何故?
526名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 01:15:40 ID:8bDUhKFf
あ、容量の問題か…お姉さんうっかりだ。
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1207930465/
↑新スレへドゾー
527名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 01:16:38 ID:fko7pHQ8
一行目空改行か、rock54に引っかかるNGワードが含まれていたか、
1レスの容量制限に引っかかったか、同じ語句が20数回入っていたか、
そのあたりじゃないでしょうかね
528名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 01:17:57 ID:2uiFsNyY
>>525

一番最初に改行入ってると反映されない事があるらしいぞ
529名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 01:19:36 ID:fko7pHQ8
>>526
容量はまだ40KBもあるので、それは絶対にないと思いますよ
あとスレ立ては重複なども考慮に入れて、宣言してからの方がよろしいかと……
530妄想と現実の邂逅(1/2):2008/04/12(土) 01:31:48 ID:8bDUhKFf
―――知らない天井だ。
…えっと。まず落ち着こう。ここは何処だろうか。そう思い辺りを見回す。
首を横に向けるとそこには見慣れた桃色のツインテール。
「…小早川さん?」
「あ、気がついたんだね。田村さん」
声を掛けると、予想通りそこにいたのは私の友人、小早川ゆたかであった。

「ってことは…ここ、保健室?」
「うん、そうだよー。田村さん急に倒れるからびっくりしちゃった」
あぁ、そうだ。私は忘れ物を取りに教室に行って…教室に行って…なんで倒れたんだっけ…?
そう考えようとして異変に気がつく。…両手が縛られている!?
「ねぇ、田村さん。田村さんは教室で『何で』倒れたのかなぁ?」
「そ、そんな事より小早川さん!この手のスカーフは何なんスか!?」
鮮明に倒れる前のことが思い出され、同時に岩崎さんがこの場にいない事に気がつく。
「田村さん。私の質問、終わってないよ?」
太陽のような満面の笑み。しかしそこから紡ぎ出される言葉は北風よりも冷たい鋭さを持っていた
「い、岩崎さんは一緒じゃないの?」
「みなみちゃんはね、先に帰ってもらったんだけど…なんでみなみちゃんがいないのが不思議なの?」
「そ、それは…」
教室であんな事してたから…そんなことを口に出せるはずもなく、私は顔を赤くして横を向く。

「…田村さん、単刀直入に聞くよ。『何を見た』の?」
「ね、ねえ小早川さん。天原先生は何処に…」
「先生は今いないよ。ここに居るのは私と田村さんだけだよ…質問に答えて」
二人きり。私の額に嫌な汗が浮かぶ。こ、小早川さん…目が逝っちゃってますヨ?
「こ、小早川さんが…」
「私が?」
喉からしぼりだすようにして私が見たものを正直に答える。
「…小早川さんが、岩崎さんを押し倒しているところを…」
「そっか。やっぱり見ちゃったんだね。田村さん」
「それは…その…あの…」
私は口ごもり、また横を向いた。小早川さんの刺すような目線に耐えられなくなったからだ。

「びっくりした?私達が田村さんの妄想の通りの仲で」
―――!
どうしてそれを―――そう言い掛けて、言葉を飲み込む。しかし小早川さんには伝わってしまったらしい。
「どうしてって…だってほら。このノート」
――私の全身から血の気が引いていくのが実感できた。
小早川さんが手にしていたノート。それは私の忘れ物であり…そして、小早川さんと岩崎さんが絡み合う
濃厚な百合イラスト満載の妄想メモリーである。
「田村さん、すごいね…私とみなみちゃんを見て、いつもこんな事考えてたんだ。」
頬を僅かに上気させながら小早川さんはそのノートをぱらぱらと捲っていく。
やめて。
みないで!
そう思っても言葉は出ない。私は唯、ガクガクと肩を震わせページを捲る小早川さんを見詰める事しか出来なかった。
「『お友達』でこんな妄想してるなんて―田村さん、最低だね。」

―――!!!
―――――最低だね。
言われた。私が最も恐れていた、最も聞きたくなかったその言葉。
既に私の顔は血の気が引いて青白く、肩を震わせて冷や汗をだらだらと流している。
「毎日毎日…私達を見てこんな事考えてたんだ。田村さんてすっごい変態さんだったんだね」
言い返すことなど出来ない。私に出来るのは唯々震えて小早川さんの言葉のナイフに耐えるだけである

「…そんな変態で最低な田村さんには、オシオキが必要だよね――」
そんな小早川さんの台詞とともに私の意識は白くもやが掛かったように遠くなり……
53142-415:2008/04/12(土) 01:37:28 ID:8bDUhKFf
(1/2)の最後に猫線が入ってたのでそれが引っかかったようですorz
皆さんアドバイス及び忠告ありがとうございました( TДT)

ちなみに容量の勘違いはモニターにゴミがついてて459KBが499KBに見えたと言うありそうでありえないミスです
無知って恥ずかしい…orz
532名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 02:18:02 ID:X4EMO9CB
夢オチというのが何とも面白い…
夢の中のゆたかコワスwww

GJ
53342-519:2008/04/12(土) 02:32:52 ID:eyTiTRTK
感想、ありがとうございます。
「初めての味はキスの味」ってなんだ自分ーっ!「初めての味はレモンの味」の間違いです。
もっと推敲に時間かけないといけませんねorz

>>531
ゆーちゃんこええ、と思ったらオチがあってよかった。
「リアルにひぎぃでらめぇであっはーんなR-18と言わざるを得ない展開に―!?」に萌えたw
乙です。
534名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 05:45:20 ID:oYF06ati
>>519
GJ!
ほのかなエロスがたまらない・・・これはいいものだ
535名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 12:37:21 ID:uAAB3d2I
>>519

いいキキースシンだったね よかたよ
わたしもゆきちゃんとがばてくるね

つかさ
536名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 19:00:23 ID:i+7iAilZ
>>519
キスシーンだけだというのになんというエロス・・・GJ

>>531
ゆたか攻めも面白そうだなw
537名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 19:38:54 ID:eQXWedhK
この時間に投下される方がいなければ、投下したいと思いますがよろしいでしょうか?
53820-612 ◆xdkSnUtymI :2008/04/12(土) 19:49:22 ID:eQXWedhK
では投下いたします。
40スレ目に投下したナイトウィザードとのクロスSSの第2話になります。

・8レス分です
・オリジナル設定あります。
・柊蓮司、赤羽くれは、アンゼロットといったナイトウィザードの登場人物が出てきます。
天空に紅い月が昇るとき、闇の眷属『エミュレーター』たちが人の世界へと侵入してくる。
彼らには『科学』という『常識で生み出された力』は一切通用しない。
闇に対抗しうる唯一の力、『人々が遠き過去に忘れ去った魔法』を駆使して戦う者たち。

彼らの名は夜闇の魔法使い……ナイトウィザード。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

闇祓う光明    − ナイトウィザード in らき☆すた −

第2話『月匣(げっこう) 〜 はじまりの足音 〜』

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

グアアアッ!

ライオンとヤギの頭と蛇の尾を持つ巨大な四本足の怪物、キマイラがほえる。
怒りに満ちた目、よだれをたらしながら大きく開かれた口、何よりも見上げるばかりのその巨体。
鎌首をもたげる蛇の頭のついた尾からは何かがこすれるような不気味な音が。
土の上とはいえ、地面にめりこんだ足からは、その重量がかなりのものであると予想できる。

怪物の目の前には髪をポニーテールに結わえたスーツ姿の女性、黒井ななこ。
さらに黒井の後ろには、小学生と間違われそうなくらいに小柄で長髪の少女、泉こなたの姿が。
紅い月に照らされたこの地に立つふたりの目に恐怖はない。

直前にゴーストの攻撃があり、こなたがそれをかわしたところを横目で見ながら、黒井は腕輪から発した闇の刃でゴーストを両断。
だがそのとき「くっ!」という声が聞こえ、こなたの態勢が崩れてすぐには行動が起こそうにないことに気づく!

(あかん!)

おそらく、かわした時にうっかり態勢を崩してしまったのだろう。
結果、立て直しに失敗したこなたは、キマイラの前に無防備なまま立つことに!
こなたが攻撃を受ける前に何とかしなくては、そう思った黒井の背すじに寒気が走る。

大きく開かれたキマイラの二つの口の奥に、かすかな輝きが生まれたのに気づいたからだ。

( 『火炎攻撃(ブレス)』がくる!)

黒井は手にした巨大な本を急いでめくり、こなたに向かい手をかざす。
そして一瞬の集中の後、聞いたことのない言語でつづられた呪文を、一息にそして大きな声で吐き出した!

「 《 暗き守り手、躍り出よ! 》 」

かざされた手のひらから巨大な暗黒の球体が飛び出し、こなたとキマイラの間に割って入る。
直後、キマイラの口から、滝の流れにも似た炎の激流が二人に向かってほとばしる。

鉄をも溶かす灼熱の炎を目に、歯を食いしばるふたり。
炎がふたりを包み込もうとしたがまつわりつくことすらできず、そのほとんどが黒い球体に吸われ、その中心部をかすかに光らせただけだった。
ホッとため息をつく黒井だったが、そのとき一瞬だけこなたの姿が赤く輝いたことに気づかなかった。

黒井のおかげで大きなダメージを受けることのなかったこなた。
そしてそれはこなたに態勢を立て直すだけの時間を与えることとなった。

万全の態勢で攻撃のかまえを取るこなただが、その手に武器はない。
格闘技経験者とはいえ、通常の攻撃手段ではエミュレイターにダメージを与えることは不可能なのに。
だが、こなたに攻撃の手段がないわけではない。

なぜなら、こなたは自らのからだを武器として戦うウィザード、龍(ロン)使いなのである。
「はあああっ!」

気合と共にこなたの拳がキマイラに突き出される。
直後、拳圧と思われる風と共に、何本もの電光がからみあいながらキマイラを直撃!
バシッと何かがぶつかるような音と共に、キマイラの巨体が揺らぎだす。

ズン……

キマイラは倒れ付し、その姿があっという間にかき消されていく。
鈍い光を放つ紅い宝石をその場に残して。



大地に残された赤い宝石を無言で拾い上げ、黒井に手渡すこなた。
黒井はかるく感謝の言葉を返して、そばの空間に手を差し入れる。
ウィザードの使える個人結界『月衣(かぐや)』の効果で、ある程度のものはしまっておくことができるのだ。
もちろんこなたも使えるのだが、あえて宝石を黒井に渡したのだ。

「なんとか終わりましたね、黒井先生」

「なんとかな、泉」

黒井が手を空間から引き抜くと同時に紅い月が消え、戦いの痕跡がかけらも存在しない、ごく普通の夜景へと変わりゆく。

目の前に広がるのはフェンスで囲まれた、土があらわになっている巨大な空き地。
フェンスのそばには何本もの木が植えられ、青々とした葉を茂らせていた。
黒井の見つめる正面には3階建て、右手には4階建てと2階建ての鉄筋コンクリート製の建物が並ぶ。
そして足元の地面にはラインが引かれ、そこが運動をするスペースであることを示していた。

こなたと黒井が立っているそこは、糟日部市にある陵桜学園高校の校庭。
ふたりが通いなれた母校の庭であった。

やがて何事もなかったかのように黒井はこなたのそばにより、声をかける。

「しっかし、よりにもよって陵桜学園に出るとはたいした連中やな」

「学校壊しちゃったらどうしようかと思っちゃいましたよ」

今にも舌を出しそうに、猫を思わせるような表情で笑うこなた。
先ほどまでとは別人を思わせるほどの変貌ぶりである。
だが黒井も慣れたもので、動じる様子を見せることはなかった。

「月匣(げっこう)張っとけば跡は何にも残らんから、その辺は心配しとらんかったけどな。
ちゅうか泉のほうが先輩やろ? そんな心配せんでもええって知っとるやないか」

「いやあ、月匣がいつ消えるか心配だったんですよ。あいつらが『月匣の主(ルーラー)』とは思えないし」

表情を変えないままのこなたの言葉に黒井は少し考え込む。
そして頭をかいてつぶやくように言う。

「確かにな。せやけど連中が消えたら月匣も消えたんや。
連中の中にルーラーがおったんちゃうか?」

「まあ、どこかの『下がる男』みたいに魔王とばかり戦ってきたわけじゃないですからね。
私もよくわかんないです」

こなたは肩をすくめる。
その姿が『無理に大人ぶっている子ども』を思わせてかわいいと黒井は思った。
やがてこなたは他に何者かがいないかを確認するために、周囲をキョロキョロと見る。
そのそばで黒井もこなたの死角を補うように、あたりをチェック。
無言の連携がそこにはあった。

やがてあたりに誰もいないことを確認し、ホッとひと息を吐いて、こなたは言う。

「とりあえず、これでおしまいのようですね」

少しだけ西の空にかたむいた満月の光の下、ふたりはホッと胸をなでおろす。
と同時に、どちらもかなり汗ばんでいることに気づくと、それぞれ手近な空間からタオルを取り出し汗をふく。
時間は短かったとはいえ、激しい動きをしたことに変わりはなく、びっしょりと汗をかいていたのだ。

「そやな。ほなら任務完了やな。連絡取る前にヒールしたろか?
キマイラのブレス、ダークバリア使たとはいえ、無傷やないやろ?」

そう言って大きな本、魔道書を小脇に抱えてこなたに寄っていく黒井。
あちこち触れながらケガの程度を調べると案の定、こなたの手や顔に火ぶくれが見つかった。

「やっぱりなあ、魔法に耐性のあるウチもそうやし。
さて、ほならヒールするで、泉」

そう言って黒井は、キマイラたちとの戦いを思い出していた。

こなたも、黒井も、キマイラから2度もブレスを浴びていたのだ。
呪文が主戦力となる魔術師である黒井はともかく、こなたの受けたダメージは相当なものである。
普通なら消し炭すら残さずに消し飛んでいたはずであった。

実は、こなたのそばに出現させた暗黒の球体の正体は、ダークバリアという魔法の障壁であった。
球体のそばで発動する『攻撃力を持った魔法』を吸い寄せる魔法である。
とはいえ、キマイラの強力な火炎を防ぎきることはできなかったようで、こなたも黒井も、からだのあちこちに火ぶくれができていたのだ。
それでも、まともに火炎を浴びるより、はるかにマシであることは確かであった。

こなたのそばに立ち、黒井は魔導書片手に呪文を唱える。

「 《 清らなる、癒しの御手よ 》 」

黒井のからだが、こなたのからだが、うっすらと輝きだす。

こなたは自分に魔力が流れ込んでくること、それまであった痛みが少しずつ引いていくことを感じる。
しばらくたてば、火ぶくれが跡形もなく消えるであろうことは間違いなかった。

「先生、きょうもフォローありがとうございます。先生がサポートしてくれるからこそ、私が思い切って前に出られるわけで。
タンカーだけでは持ちこたえられませんからね。 ……あ、まあ、さっきは先生の後ろに立っちゃいましたけどね」

こなたの言葉に、黒井は出会った日にふたりで決めたことを思い出す。

『泉、ウチらの任務のこと、ネトゲの振りして話さんか?
これやったら学校で話したりメールでやり取りしてもおかしないやろ?』

この言葉を聞いた時の、こなたの狐につままれたような顔を、黒井は今でも思い出す。
当時、それなりに社交性を発揮するものの、どこか覚めたところがあった、こなた。
そのためか友人らしい友人はおらず、どことなくクラスで孤立しかけていた。
とはいっても完全に孤立しているわけではなく、一歩引いたところからみんなを見ている感じであった。
そんなこなたが大きく顔をくずしたことが、その時のことを強く印象付けていた。

やがてふたりを包んでいた魔力の輝きが薄れる。
呪文の発動が終わったのだ。

「よっ……と。うん、全部治ったみたいですね」
精神集中を解いた黒井が、呪文を唱えている最中のこなたの言葉に答える。

「さっきのはしゃあないって、ふたりっきりで戦ったんやし。
ま、マジックユーザーだけでもしゃあないんや。これからも頼むで、泉」

続けて自分自身に呪文を唱える黒井を見ながら、こなたは答えた。

「こちらこそ、黒井先生」

笑顔で答えるこなたを見つめ、黒井はこなたの成長に思いをはせる。
どこか覚めたところがあり表面的な付き合いはできていたものの、親しい友人のいなかった入学当初のこなた。
その表情が人懐っこさのある明るいものへと変わり、多くの友人に囲まれるようになっていた。

なぜだろうと思い返しているうちに、ひとりの少女の姿が浮かんでくる。

休み時間に、黒井が担任をしているこなたのクラスにちょくちょくにやってくる、髪をツーテールに結わえた神社の娘。
四人姉妹の三女で、こなたと同じクラスに双子の妹がいる、こなたがもっとも仲のよい友人。

柊かがみ。

彼女の双子の妹で、こなたと同じクラスにいる、柊つかさ。
そして、なぜかこなたたちと馬があう、学級委員を務めている優等生、高良みゆき
彼女たち3人とかかわりだすようになってから、こなたの表情が豊かなものへと変貌していったのだ。

(学級委員の高良や柊の妹にも影響受けとるけど、何より柊の姉のおかげやな)

黒井は温かい目でこなたを見つめる。
そんな黒井の視線に気づいたこなたは、キョトンとするばかりであった。

「黒井先生、どうかしました?」

無邪気な顔で見つめるこなたに、黒井は時の流れを感じていた。
そして、はじめてウィザードとして対面した時のことを改めて思い返す。



「泉、自分が三岬町から越してきたウィザードか?」

黒井の質問に無言でうなずくこなたに、黒井は返す言葉を失っていた。
ここで黒井が会うはずたったのは、少し前まで三岬町で活動していたベテランウィザード。
ところが、目の前に立っているウィザードは、自分の教え子だったのだ。

「先生が孤高の黒豹? じゃあ、自己紹介は省かせてもらいますね。
で、用件ですけど、私、日本コスモガード連盟から先生を指導するようにって頼まれました」

ほほえんではいるものの、黒井を見つめるこなたの目は覚めていた。



(あれから2年とちょっと……か。あっという間やったな)

ひたっていた思い出から抜け出して今を思う。
そして、自分を覆っていた魔力の光が消えていることに、その時気づく。

「おっ、きっちり治ったみたいやな」

それまで痛みを感じていた部分に触れてみると、もう痛みは感じない。
治療は完璧に終わったようだ。
「さて、と」

携帯を取り出し、いずこかへと連絡を取る黒井。
しばらくコール音がなった後、出た相手に黒井が話し出す。

「日本コスモガード連盟ですか? 黒井ななこです。
泉こなた共々、任務、無事に完了しました。
詳細は後ほど書面にて連絡しますよってに。ほなら」

黒井は携帯をしまい、こなたを見るとニヤリと笑って口を開く。

「泉、きょうはこれでしまいやな。だいぶ遅うなったけど、宿題忘れたらあかんで」

「うぇぇぇっ! 黒井先生、任務なんだから仕方ないじゃないですかあ」

「そないなことが理由になるかい。第一、任務のことはみんなに内緒にせなあかんやないか。
そんなんで宿題免除できる思うとったら大間違いやで。ほなら、学校でな」

こなたに手を振ってから小声で何かつぶやくと、黒井の姿はかき消すように消えた。
黒井は転送魔法を使って自宅まで戻ったのである。

「うーん、しょうがないか。なんとか頑張ってみますか、ひとりで」

頭をかきながら、ひとりでぼやく。
その後、同じように呪文を唱え自宅へと戻っていった。






「で、いったい何の用だ? アンゼロット」

巨大な白亜の城のテラスに声が響く。

広々とした海の上に浮かぶ巨大な岩山がいくつもあり、そのひとつひとつの岩山の上に城が建てられている。
岩山は城の建てられている頂上付近と波打ち際につながる麓はしっかりとしているものの、その間をつなぐ部分はまるで針金細工のように細くなっていた。
巨大な城壁の上に高々と伸びるいくつもの尖塔が並び、全天を覆う青い空には巨大な星がいくつも見え、その中にはなんとわれわれの住む地球までふくまれていたのだ。

一幅のシュルレアリスム絵画のような光景に囲まれ、そびえたつ城。
その中のひとつ、もっとも巨大な城にその声は響いたのだった。

そこは、われわれの世界とは異質な場所にある、『世界の守護者』の居城であった。

テラスの中央に置かれた大きめの丸いテーブルに3人の人物が座り、そのまわりにはエンジ色の軍服を着た男たちが何人も立っている。
男たちは美形ぞろいと思われるが、その顔は仮面で覆われてよく見えない。
だがその表情は硬く、何かを警戒しているようだった。

テーブルでは人形を思わせる銀髪の少女と、白い小袖に緋袴という巫女装束の若い女性が、ひとりの青年を見つめている。
青年はTシャツにジーンズ、パーカーといったラフなかっこうをしており、どう見てもこの場にはそぐわない。
しかも、腕を組んで銀髪の少女をにらみつけており、とても穏やかな話しが行われているとは思われなかった。

先ほどの声の主はこの青年のようであった。

テーブルには三つのティーカップ。
青年の隣に座っている少女と、女性の分は少なからずカップの中身が減っていたが、青年の前に置かれたカップに注がれた紅茶は出された時のままであった。

「そんな怖い顔でにらまないでください、柊さん。怖い顔がもっと怖くなりましてよ」
「やかましい! とっとと任務の内容を教えやがれってんだ!」

笑顔を絶やさずに青年に話しかける少女の名は真昼の月『アンゼロット』、全てのウィザードに指令を出すことのできる世界の守護者である。

われわれの住む世界、『第八世界ファー・ジ・アース』とも呼ばれるこの世界は、幻夢神と呼ばれる神の見ている夢として生まれた世界である。
そして、大いなる観察者『ザ・ゲイザー』、そして本当の名前が不明でTISという呼び名で呼ばれる少女、この二柱の神の分身が代理でこの世界を治めているのだ。
アンゼロットはゲイザーの指示の元、永遠とも思える長い時間、この世界を守護してきたのである。

そんなアンゼロットに諫言をする者はいても、くってかかる者などまずいない。
ある種、この青年だけに許された特権とでも言っていいのだ。

とはいえ、青年の払った代償を考えると割に合わない特権ではあるが。

「ホント、柊は怒りっぽいんだから。せっかくアンゼロットがお茶を出してくれたんだから、少しは飲みなよ」

「何が入っているかわからないもん、飲めるか!」

青年はぷいと横を向く。
その大人気ない態度に、女性は隣で肩を落とすしかなかった。

ふてくされたような態度を取る青年をあきれ顔で見つめる、巫女装束の女性の名は赤羽くれは。
青年の幼馴染で陰陽師の名家と呼ばれる赤羽家の長女で、その力でエミュレイターと戦うウィザードのひとりである。
かつて『星の巫女』という運命を背負い、世界を滅ぼす原因になると世界中から狙われたこともあった。
だが、共に高校生だった青年とローマ聖王庁の使者、そして『星の勇者』の運命を背負った後輩と協力し、その宿命を打ち破ることに成功。
その時以来、青年への思いはさらに強くなったのだが、青年はいつまでたっても気づいてくれない。

それだけが、くれはの不満であった。

なお、巫女装束は中学時代からくれはの常服となっており、自宅、学校、その他を問わず常に同じ姿である。
それはくれはの通っていた輝明学園、そして赤羽家の特色であり、くれはもそのことに異議を唱えたことはなかった。
だが、他校の生徒との交流から巫女装束を常服としていることは『普通ではない』ということに気づいてはいる。
とはいえ、このまま家業を継ぐことはすでに決めており、他の服装をする機会が少ないことに不満は抱いていない。

そのくれはが見つめている青年の名は柊蓮司(ひいらぎ・れんじ)。

どこにでもいそうなガラの悪い青年にしか見えないが、世界の危機を人知れず何度も救ったことのある英雄なのだ。
もちろん、そんな彼がただの人間であるわけはない。
彼もまた日本コスモガード連盟に所属するウィザードのひとりなのである。

彼の活躍は『柊サーガ』としてウィザード、特に世界各地にあるウィザード組織の幹部たちに知られている。

魔王の力により、その名を冠した小惑星『ディングレイ』が地球に衝突するおそれがあるという危機に陥ったときが、彼の名が知られるようになった最初である。
このとき彼は小惑星を導く役目を担ったエミュレイター『星を継ぐ者』を、『星の勇者』が滅ぼす助太刀をしたのだ。
つづいて異世界『ラース=フェリア』に存在する魔王ディングレイの本体が、こちらの世界に戻ってきたところをラース=フェリアの戦士たちと協力して撃破。
これで、幼馴染のくれはが背負っていた『星の巫女』としての運命を完全に断ち切ることもできたのだ。

さらに金色の魔王『ルー=サイファー』が世界結界と呼ばれるエミュレイター排除の結界を操作し、ウィザードの持つ力を失わせようとする企みをも阻止したのだ。

これらは全て、ひとつの目的に沿って魔王たちの企んでいたものであり、その最終目的が七徳の宝玉の収集であった。
「どんな願いでもひとつだけかなえることができる」という宝玉の争奪戦、後にマジカル・ウォーフェアと名づけられた戦いの中心に、彼はいた。

だがアンゼロットにも裏界の魔王たちにもひとつの誤算があった。

宝玉がそろった時に起きるのは「願いをひとつかなえること」ではなく、裏界の皇帝『シャイマール』の復活。
シャイマールの力で世界を滅ぼすことこそが、宝玉の収集をアンゼロットに命じたゲイザーの真の狙いであった。
だが、その企ても大勢のウィザードたち、特に柊蓮司の手によって阻止されたのだった。
その他にも、彼は大きな戦いをいくつも経験している。

近い将来、自らが魔王となって、はるか未来で世界を滅ぼすことになるウィザードが、魔王として覚醒することを防いだこともある。
「柊力」と呼ばれる謎の力を狙ってきた古のウィザードを倒したこともある。
異世界に逃亡した魔王のかけらがその異世界を狙うものの力を取り込み、復讐に戻ってこようとすることを防いだこともあるのだ。



さて、柊蓮司が出された紅茶に手をつけないのには理由がある。

『アンゼロットのオモチャ』とも言われる柊蓮司がアンゼロットから受けたさまざまな仕打ちに、アンゼロットから出された紅茶が絡んでいるからであった。
任務完了の慰労と共に出される紅茶、それは次の任務の指令を出すための前置きでしかないことがほとんどであった。
時には紅茶を飲んだとたん眠らされ、次の任地へと連れて行かれたこともある。

こんな仕打ちを受けてばかりいたら、飲むことを躊躇するのもやむをえないと誰もが思うであろう。
と思うのは彼ばかり、他のだれもがそのことを気にも留めていなかった。

にらみつける彼の視線を軽く受け流してアンゼロットは口を開く。

「では、お話したいと思います」

ふたりの次の任地は埼玉県鷹宮市および糟日部市、任務の内容は鷹宮神社およびその関係者の護衛であった。

「柊」

「ああ」

鷹宮神社と聞いたとき、くれはと柊蓮司の顔つきが変わる。
神社の宮司一家は彼の親族にあたり、今の宮司と彼の父親は再従兄弟(またいとこ)の関係にあった。
親族としてのつながりは薄いが、赤羽家とのつながりもあり、宮司夫妻と娘の四姉妹とは彼が中学生のころまで、何度か顔をあわせたことがあったのだ。
ウィザードとなってからは任務に追われて会うこともなくなっていたが、彼は姉妹と一番最後に会ったときのことを思い出していた。

姉妹の上ふたりは自分の姉である柊京子とフンイキの似たところもあり、苦手な相手ではあったが、話し相手にはなってくれた。
だが、下の双子は近寄るそぶりすら見せず、口を聞くことすらできなかった。
双子の姉のほうからにらみつけられていたことを思い出し、つい苦笑する。

(そういや、『お姉ちゃん』のガードが固かったっけなあ)

「柊さんには陵桜学園高校で、それからくれはさんには鷹宮神社での護衛をお願いしますね」

「ちょっと待った!」

思い出にふけっている柊蓮司は、肩を震わせながら叫ぶ。
それは恐怖ゆえの震えではない。
かつて任務で行われた処置を思い出して、怒りに満ちているが故の震えであるのだ。

「まさかこの年で高校に通えって言うんじゃないだろうな、アンゼロット! 今さら高校生に『下がる』なんてイヤだぞ!」

「はわぁ、柊、また『下がる』んだ」

「下がってたまるか!」

「はわっ!」

柊蓮司の即答にくれはは驚く。

そんなくれはの顔と、アンゼロットの邪気にあふれる笑顔をよそに怒号があたりに響く。
その表情はそれまで以上にあせりを感じるものになっていた。
『下がる』

それは、彼がウィザードとなってからずっと、つきまといつづけている言葉であった。
彼に与えられた二つ名は『裏切りのワイバーン』だが、『下がる男』という呼び名のほうが知られていることも、それを証明している。

高校生の時、2年から3年に進級するはずが『なぜか』1年に学年が『下がった』のがそのはじまりであった。

その後、別の任務において成長した力が強すぎるという理由で、その能力を『下げられ』てしまう。
さらに別の任務では、せっかく復帰した高校3年から中学3年にまで学年が『下がり』、復帰後さらに別の任務において高校2年に『下がって』しまっていた。
しかも、アンゼロットに渡された『下がるお茶』で年齢まで『下がって』しまったことまである、という始末なのだ。

彼にとって『下がる』という言葉は既に忌まわしいものでしかなかった。

「輝明学園とは勝手が違いますから、おふたりとも臨時の職員という形で行っていただきます。
柊さんは陵桜学園の警備および用務員ということで、くれはさんは鷹宮神社のお手伝いということで。
それぞれ近くに住居も用意してありますので、このままお連れしますね」

アンゼロットは終始笑顔を絶やさぬまま言葉を締めくくろうとしたそのとき、くれはが言い出す。

「ねえねえアンゼロット。ちょっと、お願いがあるんだけど……」

席を立ち、まっすぐアンゼロットのそばに近寄るくれは。
周囲で警戒している精鋭部隊『ロンギヌス』のメンバーに、かすかに緊張が走った。
アンゼロットに危害が加えられることを警戒してのことである。

だが、くれはを信頼しているアンゼロットが、目でロンギヌスたちを制止したのだ。

くれははそのまま脇に立って、柊蓮司に聞こえないように耳打ちをする。
その内容にアンゼロットは目をみはり、話が終わるとすぐにくれはに質問をした。

「よろしいんですか?」

くれはは大きくうなずいて、ポリポリと頭をかきながら言った。

「ここら辺で、ちょっと思いきっとかないとダメだろうしね」

くれはとアンゼロットはそろって柊蓮司を見つめる。
彼はキョトンとするばかりであった。

「なんだあ?」

そのとき、ぽんと手を打ってくれはが言った。

「そうだ柊! たしか、鷹宮神社の親戚も『柊』だったよね? じゃあさ、呼び方変えてもいいかな? ……『蓮司』って」

「いいぜ! ……っていうか、前に向こうの連中と会ったときも、そう呼んでたじゃねえか。
今さら気にすんなって!」

途中から赤くなってモジモジしながら話すくれはの言葉に、彼はあかるく答える。
それは何も考えずに発せられた言葉のようであった。
その態度にくれはとアンゼロットは頭を抱えるしかなかった。

だが、それを見た彼は頭をひねるだけであり、ふたりの落胆の度合いはますます深くなっていった。

「ダメだ…… ぜんっ……ぜん、わかってない」

「柊さんが鈍感であることはわかってましたけど、これほどだとは……」
54720-612 ◆xdkSnUtymI :2008/04/12(土) 19:58:56 ID:eQXWedhK
以上です。

一応次回からは、らき☆すたにより近い雰囲気になる予定ですので、よろしくお願いします。
548名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 20:19:07 ID:4pshva0t
オリジナルの世界観設定を構築するのって大変ですよね、お見それしました。
今後の展開に激しく期待しつつ……GJでした!
549ふた☆自重:2008/04/12(土) 20:28:32 ID:4pshva0t
埋めネタです。保管しない方向で。
■注意事項
・ふた○り
・2レス使います



 下半身の違和感に、私は目を覚ます。
 ベッド脇に置かれた目覚まし時計を見る。時刻は現在、午前8時54分。
 確かネトゲで落ちたのが、えーと……午前5時30分過ぎた頃だったから……うわ、3時間ちょいしか寝てないや。
 窓の外を見ると、澄み渡るような青空が広がっている。外出には最適な休日日和だ。
 これなら、ランランルー♪とか口ずさんで、気分良くお洗濯物を干せそうだ。

 布団をめくり、自分の下半身を見下ろす。

 股間の部分が、明らかに盛り上がっている。

 そっと、パジャマのズボンのゴムを持ち上げ、中身を確認する。

 あり得ないくらい山のように張ったパンツが、私の目の前に飛び込んできた。

「…………………………」

 ズボンのゴムから指を離し、枕に頭を落とす。

 OK、生えてる。明らかに生えてる。

 無修正の本物です。本当にありがとうございました。

 ――ちょw今さらパニクッてるとかww
 ――いやいや。心はオヤジでも、娘十八番茶も出花。花も恥らう女子高生なわけですよ。
 ――おまwwエロゲで耐性ができてるだろ。
 ――朝起きたら、イキナリおちんちんが生えて御覧なさい。マジびびるって。
 ――ねーよww大体ふたなりなんて、よくある設定ジャマイカ。
 ――家中に響く悲鳴を上げないだけでも、大勲章モンよ。

 なんて、天井を見つめながらチャット形式の脳内会議をする。
 もちつけ、こなた。原作第1巻の頃の、クールな自分を思い出すんだ。
 ……とりあえず、股間の違和感は時間が経っても消える様子が無い。
「………………ふうーーーーーーーーっ」
 私は長いため息を吐くと、再びズボンのゴムに手を掛け、すねの方までずり下ろした。
 女物の下着がこんもり膨れているという異様な光景。私はズボン同様、パンツもずり下ろす――が、許容範囲を超えたサイズなのか、ふちに引っかかって脱ぎにくい。
 男と女で、脱ぎ方が違うのかな?出っ張ってるし。
 そう考え、少しゴムを浮かせながら下ろす。と――
 ぼろんっ、という音が聞こえてきそうな勢いで、半勃起状態のおちんちんが飛び出した。
「わっ」
 いきなり登場したおちんちんに、私は思わず声を漏らした。っていうかどんだけ巨根なんだよ自分。
「お、おおぅ……これがいわゆる、朝立ち状態の……」
 誰に聞かせるわけでもなく、私は呟きながら上体を起こした。そしてあぐらを掻いて、改めておちんちんの観察をする。
 ふにゃふにゃ状態のは、小さい頃にお風呂でお父さんのを見た事があったけど、勃起したやつは初めて見るなー。
550ふた☆自重:2008/04/12(土) 20:31:09 ID:4pshva0t
「ふーむ、これは仮性包茎ってやつなのかな?」
 タートルネックで目元まで隠した兄ちゃんを思い浮かべながら、皮で半分顔を出している亀頭をつまむ。そしてぷにぷにしてみる。サオの部分よりも柔らかい。
 お尻に力を込めてみると、ゆいんゆいんと前後に揺れた。あ、意識を集中させたからか、なんか硬さが増してきたぞ。
 つまんでいた指で輪っかを作り、そのままサオを握る。
「ん……っ」
 熱い。それに、びっしりと浮き出た血管から、びくびくと脈動が手のひらを通して伝わる。
 被っていた皮が剝かれ、亀頭が完全に姿を現す。つまんでいた時とは違い、パンパンに充血して赤黒くなったそれは、結構グロい。
 ううむ……確かにコレは、見慣れないとちょっと怖いな。コレをくわえるって結構な勇気がいるよ?
「………………」
 試しに思い切り背中を丸め、亀頭に口を付けようと思ったけど……やっぱり届かなかった。
っていうか、男の子ってどうやってオナるんだっけ……?
 確か、前にプレイしたエロゲで、ドMの主人公にドSのヒロインが強制オナニーさせていたシーンがあったっけ……あの時、主人公は確か……
「サオをごしごしと……」
 一人ごちながら、血管の走るサオ部分に左手を添える。ビクビクと脈打っているのが手のひらから伝わる。
 あー、想像していた以上に強めに握らなくちゃダメなんだ。
 握り潰すほどまでは大げさだけど、それくらいの握力でサオを握り――皮を巻き込みつつ、ごしごしと何度か往復させてみる。
「お、おおぅ……こ、これは……!」
 皮が亀頭に擦れる度に、ジンジンとした刺激が腰を上って脳に伝わる。
 ……いいかもしんない。
 ダイレクトな感じが、何とも分かりやすいというか、男って単純なんだな、とか。

 だ  が  、  そ  れ  が  い  い

「…………」
 コホン。
 ……まあ、せっかく生えてるんだし?にぎにぎしてたら、何か悶々としてきちゃったし?
 男の子のオナニーを本格的に試してみるのは自然の摂理ってもんでしょ?
 ……そういえば昨夜、CGコンプしたエロゲがあったっけ。結構エロシーンに力が入ってたから、なかなか満足できる内容だった。
 よし、オカズはそれでいこう。よ〜し、オラ、何かwktkしてきたぞ!
 善(?)は急げ。私はさっそくベッドから降りると、PCを立ち上げ、ゲームのDVDを取り出してトレイに突っ込んだ。



 以上です。あじゅじゅしたー。
551名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 20:33:56 ID:RUuZxkjw
>>550
ワッフルワッフル! ワッフルワッフルっ!!


こなちゃん初めてのおせんずりですか。
続きへの期待が高まるので精子基盤……もとい正式版を是非に。
552名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 20:41:51 ID:aPj2BxxU
>>550
同じくわっふる!
あなたの文章の描写が好きなんで、続きを……!
553名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 21:00:25 ID:/FqxhCp5
>>550
な ん と い う 生 殺 し


さあ早く続きを書く作業に戻るんだ
554ふた☆自重:2008/04/12(土) 21:03:04 ID:4pshva0t
マジっすか。
勢いでガッと書いたやつなんで、保管しないつもりでしたが……それじゃ、続きを何とか書いてみますね。
……っていうか、生えてるのはこなたですけど、描写的には男のオナニーっすよ?それでも良いってんなら、まあ……(^^;

でもその前に、みなゆた完成させますね。その後は、要望があったつかみゆですか。
うん、先は長いな(w;
555名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 21:16:58 ID:OwJxlDWq
なんでだろう…俺ふたなり属性ないのに続きに期待しちゃってるぞ
556名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 02:50:24 ID:wRIQI7Vb
残り8kなら短編の1本は投下出来るか?
557名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 02:51:43 ID:CfeCtCaW
6kじゃないか?
558名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 14:04:04 ID:FLOj/+Y0
どうみても5kなんだが
55942-519:2008/04/13(日) 14:43:59 ID:Y8+NtzAr
>>519の続きを、5kbに入るように書いてみました。
メモ帳の容量で3.5k。入りますように…
5607-896:2008/04/13(日) 14:44:22 ID:axF4zPWF
では埋めネタ的な意味で、久しぶりに別フェチ行かせてもらいます。2レスです。
※血的表現が多々あります。

『ゆた☆フェチ』


「ゆーちゃん危ない!!」
「ひゃ!?」
 横断歩道。
 赤だと気づかずに渡ってしまった私を庇うように、こなたお姉ちゃんが車に轢かれてしまった。
 凄まじいクラッシュ音。ガードレールに叩きつけられるお姉ちゃん。滴り落ちる真っ赤な血。
 私はというと、お姉ちゃんに押された衝撃で尻餅をつき、びっくりして動けずにいた。
「ゆーちゃん大丈夫?」
 血まみれになりながら、何事もなかったかのように私の前に立つお姉ちゃん。
 ふと、その視線が私の下半身で停止している。どうやらパンツを見ているようだった。
 転んだ拍子にスカートが捲れてしまったみたい。私は急いで立ち上がり、スカートを押さえる。
 例えお姉ちゃんでも、パンツを見られるのは恥ずかしい。
「ふふふ、真っ赤になっちゃって……ゆーちゃんはかわいいなぁ♪」
 そう言って抱きしめてくるお姉ちゃん。真っ赤になってるのはお姉ちゃんのほうだと思う。
 お姉ちゃんの血で制服がどんどん赤くなっていくけれど、元から赤っぽい色をしているのであんまり目立たないと思う。
 そしてお姉ちゃんは抱きついたまま私のお尻を撫でてきた。
「んっ……お姉ちゃん、くすぐったい」
「ごめんね、我慢できなくなっちゃって」
「危ないわ!!」
「「ふぇ!!」」
 突然の衝撃に、私とお姉ちゃんは横断歩道の向こう側に吹き飛ばされた。
 またもやお姉ちゃんが庇ってくれたので、私は擦り傷すら負っていない。
 私の下で、いい感じに背中を削られたお姉ちゃんが幸せそうににっこり笑って、私を抱きしめた。
 向こうで何かが轢かれた音がした。
「お、お姉ちゃん……取り敢えず起きようよ」
「もうちょっとこのままで」
「ちょっと二人とも!!」
 後ろで聞こえた怒鳴り声に、2人で振り返る。真っ赤なかがみ先輩が立っていた。
 なんで真っ赤なのかは言わなくても大丈夫だと思う。
「横断歩道のど真ん中で何やってるのよ。私がいなかったら2人とも轢かれてたわよ?
こなたは大丈夫だとして、ゆたかちゃんが危ないじゃない」
「む、ひどいなぁかがみは」
 血にまみれながらやり取りをする2人が、私を挟むように抱きしめる。
 逃げられない。それにしてもすごい鉄の匂い。
 お尻とか胸とかいっぱい触ってくるけど、この状態では私にはどうすることもできないので、されるがままになっている。
「待ってよぉ〜お姉ちゃ」
 そこまで聞こえたところで、凄まじい衝突音で声が掻き消される。
 たぶんつかさ先輩の声だったと思う。
「いたた。おはようこなちゃん、ゆたかちゃん」
 いろんなところから血を噴きながら、こちらに小走りに駆けてくるつかさ先輩。
 そしてそのまま抱きついてきた。
 私の周りには丈夫な人がいっぱい。私は病弱だから、そんなみんなが羨ましい。
56142-519:2008/04/13(日) 14:44:52 ID:Y8+NtzAr
 あれはあれ、これはこれなの。
 私の恋人。好きな人、夢にも出てきた人。それは、こなた。
 調子に乗って玉砕しようとした日から、私とこなたの恋人になった。
「…ん」
 こなたの部屋。私は学校帰りに、こなたの家によっていった。こなたは帰るなり「徹夜あけなのだよ〜」といって、布団に入った。
 私一人、こうしている。
「…んふぅ、かがみん、ゲームでえ、Dカップだとお?」
「…何を言っているんだこいつは」
「私に半分よこせ〜〜〜この爆乳っ」
 殴っても、いいだろうか。
 でも、あげられるものなら、あげてみたいと思う。私自身は、胸なんてどうでもいいし、こなたが喜ぶなら――そんな方法があれば、だけど。
 それに、胸の大きいこなたを想像すると、わたしは微笑んでしまう。かわいいというか、なんていうか。

 こうして一人でいるのは少し寂しい気がしたけど、こなたの寝顔はかわいい。よく整えられた前髪がこなたのまつげにかかる。寝相はおせじにもいいとはいえないし、寝言もつぶやいているけど、私はそんなこなたが好き。
「もう、何しているんだか」と、悪態をついて苦笑する。

――そんな時間が幸せなのだ。

「寝顔、かわいいな」
 微笑ながら、こなたの小さい肢体を上から下まで眺めてみる。布団がみだれていて、制服の下まで見えていた。スカートからは太ももが見える。それに、こうしたことを思うのは恥ずかしいのだけど、白いパンツが見えていた。

「キス、しちゃうよ」
 そう呟いてみる。反応はない。本当に寝ているのかな。
 どきどきと、はやる心臓は、行為への抵抗とはならなかった。ゆっくりと私は顔を落とし、こなたに顔を近づける。

 こなたの味。世界で一番の優しい味。
56242-519:2008/04/13(日) 14:45:17 ID:Y8+NtzAr
あう、重なってしまいましたごめんなさいorz
5637-896
「m」
 何か単音が聞こえたけれど、クラッシュ音でそのあとは遮られてしまった。
 その音の聞こえた方向に目を向けると、高良先輩が空を飛んでいた。
 そのまま綺麗に着地して、こっちにやってくる。
 血すら出ていなかった。
「皆さんおはようございます。小早川さんは、今日も美味しそうですね」
 変わった挨拶をしてくる高良先輩。
「みゆきさんぜんぜん怪我してないね。どうやったの?」
「それは私も知りたいわね」
「ぶつかった瞬間にくいっとやるんですよ」
「なるほど、くいっとね」
「わーゆきちゃんすごいね♪」
 私はみんなすごいと思う。

 ふとそこで、横断歩道の向こう側から小走りに駆けてくるスラッとした女の子が見えた。
 見間違うはずもない、私の親友のみなみちゃんだ。
 みなみちゃんにぶつかった車が中に舞う。
「ゆたか……おはよう。それから先輩たちも、おはようございます」
 口々に放たれる挨拶に耳を傾けていると、右の足首にちくりと痛みが走った。
 白いソックスが少し赤く染まっている。
 どうやら、みなみちゃんにぶつかって吹き飛んだ車の部品の一部で切ってしまったみたいだ。
 みなみちゃんの方からごうっという何かが吹き出る音が聞こえたので、そっちに目線を向けてみると
 すごくショックを受けた顔のみなみちゃんが、私の足首の傷口を見て固まっていた。
「ゆたかが……怪我してる」
「え!? ゆーちゃんが!? おのれ忌々しい車め!!」
 こなたお姉ちゃんが理不尽な怒りを拳と化して道行く車にぶつける。
 なぜか他の先輩たちもそれに加わっている。
 不意に体が宙に浮いた。
 どうやらみなみちゃんが私をお姫様抱っこしたみたいだ。
「病院行こう……ゆたか……!!」
「え、でも学校」
「今は……この怪我を治すのが先」
 そう言って走り出すみなみちゃん。
 その横顔はどこまでも真剣で頼もしく思えた。

 ……だけどねみなみちゃん。
 できれば車道じゃなくて、歩道を通ってほしいな。


以上です。
そして42-519さんごめんなさいorz
もうちょっと様子見てからにすればよかったですね……