らき☆すたの女の子でエロパロ41

このエントリーをはてなブックマークに追加
1名無しさん@ピンキー
アニメも好評のうちに終了し原作も大好評連載中、PS2版も絶賛発売中の「らき☆すた」でエロいの行ってみよ。


☆カップリングは自由
☆基本的に百合マンセー
☆801は禁止(と言っても男キャラあんまいねぇ)
☆投下した作品の保管を希望しない場合、前もってその旨を知らせること

※マナー等※
※割込みを防止するため、書き込みや投下の前等にリロードを。
※荒らしや煽り、気に入らない人・作品等はスルーで。
※グロやSM、鬱モノなどの過激な内容は断りを入れてから投稿する
※読者=主人公の作品(いわゆる俺キャラもの)についてはNGワード指定や断り文を確実に。
※480KBまたは950レスのどちらかに近づいたら、次スレの準備を。

■みゆきさんの一言メモ
・投稿の際に、メール欄に半角英数でsageと入力すると、スレッドを上げずに書き込めます
 『sage』では有効になりませんので、全角・半角を確認してください

・スレッドの閲覧・書き込みは、絶対ではありませんが専用ブラウザの使用を推奨します
 これにより『人大杉』のエラーが回避できます

・SS投下は、一度メモ帳やワードパッドなどで書き上げてからまとめて投下してください
 投下間隔があくと、他の方がレスできなくなってしまいます


マターリはぁはぁしましょうか。

☆まとめサイト(管理人と職人に感謝!)(避難所の行方はここ参照)
ttp://www33.atwiki.jp/kairakunoza/pages/1.html
☆派生サイト:てけてけかなたさん伺か化計画
ttp://neo-experiment.hp.infoseek.co.jp/index.html
☆前スレ
らき☆すたの女の子でエロパロ40
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1204706400/
2名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 16:32:43 ID:T/OG7ZFR
>>1
3名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 16:37:02 ID:6umAbFMM
3年>>1乙〜?
4名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 16:50:07 ID:Tx8dDYZq
>>1乙井先生〜!
5名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 17:47:13 ID:xUQQdDKN
はいはい・・


曖昧1乙!
6名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 17:55:39 ID:KHEUmNB9
そりゃ>>1乙ってことかい?ちょwww
7名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 18:01:15 ID:psHQbDP1
ラッピングが>>1乙?
8名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 20:27:55 ID:L8/WzJiE
豚骨ハリガネ>>1乙だだだだだ!!!!
9名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 20:37:06 ID:qQnhLpX8
眼鏡、眼鏡はどこですかぁ?眼鏡がないと……>>1乙!
10名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 20:45:14 ID:M9KW8yLq
>>1
11名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 21:14:02 ID:6tYJJ9VK
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1205661275/

1 名前:☆ばぐた☆ ◆JSGFLSFOXQ @☆ばぐ太☆φ ★ 投稿日:2008/03/16(日) 18:54:35 ID:???O
★児童ポルノ アニメ規制も検討

・子どもたちのわいせつな写真や映像といった、いわゆる児童ポルノへの対策強化を
 検討している自民党の小委員会は、児童ポルノを所持することを禁止する際、規制の
 対象にアニメや漫画も加えるかどうか検討していくことを確認しました。

 児童ポルノについて日本ユニセフ協会は、実写だけでなく、アニメや漫画、ゲーム
 なども規制の対象にすることを求めています。このため、14日開かれた自民党の
 小委員会では、規制の対象をめぐって議論が行われ、アニメや漫画も加えるかどうか
 検討していくことを確認しました。

 http://www3.nhk.or.jp/news/2008/03/14/k20080314000099.html
12名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 21:31:31 ID:4lpzRz2o
>>1

ってか、スレの進行早過ぎw(もっとやれ)
13名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 21:47:45 ID:yi/rQ/VH
>>12
だがしかし、前スレは久しぶりに、スレを使い切って新スレが立つまでに10日以上かかった
(11日弱)ここ最近では比較的ゆっくりだったスレであるというこの事実w
(ちなみにその前の該当は、約12日かかった22スレ目)
14名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 21:53:27 ID:y8lAThln
このスレはゴッドかなたさんとゴッドかがみん(見習い)によって見守られています


かなた「今後も私の活躍に期待ですね、こなた共々やろしくね」
かがみ「でもシリーズ終わったから、もう出番ないじゃない」
かなた「うぅ、かがみが敬ってくれない」
15なんかメガネで鼻血の人:2008/03/16(日) 21:55:31 ID:Vjo6//F8
「ええもちろん、今後とも親子ともどもやらしくいただきますだばだば」
16名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 21:59:47 ID:p2vDLdwm
>>1
乙なのです。
速さよりも、このスレが持つまたーりな雰囲気が好き……かな。
17なんかメガネで腐な人:2008/03/16(日) 22:15:09 ID:qQnhLpX8
「……よし、鼻血の矛先は現在泉家……と
 ダンボール内っすけど、原稿描くならイマノウチ、
 妄想膨らますならイマノウチ……」
18名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 22:16:19 ID:t/i9czfG
>>13
じつはまだ7KB残っているので使い切れていなかったり
コネタや短編くらいなら書けるので、まずあっちを使ってやってくださいな
19名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 22:41:22 ID:FvTnzY85
今、かがこな書いてるんだけど、ここは鬼畜もおk?
駄目なら他に投下しますので。
20名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 22:46:17 ID:EonHInv7
書く前にテンプレにその旨書いておけば荒れずに済む
ただしレスがもらえなくても泣かないこと
21名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 00:41:22 ID:tQwAuHUR
>>19
百合エロ鬼畜は大好きなんで是非お願いします!
かがこななら尚更!!!!
22名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 01:08:12 ID:B8k3A5zw
おっと、前スレ埋め乙&GJ
23名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 01:13:07 ID:VYKQOQWL
最後の埋めネタ面白かった
GJっした!
ゴッドかなたさんの扱いがひどすぎるw

シンデレラネタといい金の斧銀の斧といい
童話ネタは笑えるのが多いね
もっとやれ!
24名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 01:20:37 ID:RmWKdeMf
童話ものハゲシクワロタwwwwwwwwwwww
次は日本童話でやる猛者はおらぬか(゚∀゚)9m
25名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 01:22:16 ID:InR+Ska5
かがみん(凡)ワロタ。ひでぇwww
26名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 02:50:41 ID:Brjg30GI
前スレの>613-614

あの2人が穏やかに暮らしているだけで嬉しいです
27名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 04:30:18 ID:bThwINF8
前スレで逆転裁判パロを書いた者ですが
続き書けという要望がいくつかあったので、文才無いなりに頑張って裁判編を書いてきたのですが投下おkでしょうか?
28名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 04:34:43 ID:+waIS0OC
どーぞどーぞ
29らきすた IN 逆転裁判 〜逆転のかがみん〜:2008/03/17(月) 04:42:25 ID:bThwINF8
それでは
以下注意書き
・11レス+後書き消費
・カップリング要素なし
・もちろんエロなし
・パロディというよりクロスオーバーに近いです
・逆転裁判のキャラが出てきます(裁判長と亜内)
・原作キャラが死にます
・オリジナルキャラが出ます
・ゲームを意識している為セリフがやたらと多いです
・あくまでパロディなので推理要素は少なめ
・よく考えたら矛盾している理屈があるかもだけどスルーお願いします

それでもいいぜ!という方はどうぞ
30らきすた IN 逆転裁判 〜逆転のかがみん〜:2008/03/17(月) 04:43:31 ID:bThwINF8
…やってしまった。
部屋に生臭い匂いが立ち込める。目の前に広がるのは血を出して横たわる男性。

「……何でこんな事に」

手に握った物と目の前の人間…いや肉塊を見て呟く。

「…私捕まるのかな」

いやだ…こんな所で捕まりたくない。
どうすれば…どうすれば…。
悩んでいるとそこで階上から声が聞こえて来た。

「お父さーん。今なんか変な音がしたけど大丈夫?」

……そうだ、あの子のせいにしてしまおう。
ふ、ふふ…ふふふふふ。
31らきすた IN 逆転裁判 〜逆転のかがみん〜:2008/03/17(月) 04:44:06 ID:bThwINF8
3月 17日 9時55分
地方裁判所第三法廷控室


「うぅ…やっぱり緊張するわね」

私の名前は柊かがみ、今日初めて法廷に立つ新米弁護士。

「かがみさん、大丈夫ですか?」

この人は高良みゆき、高校時代からの友人にして私の先輩。
昔は医者になろうと思っていたらしいんだけど…まぁ色々とあって今は弁護士になって法律事務所を立ち上げている。
かくいう私もその事務所に所属する弁護士である。

「あ、うん。だ、大丈夫。これくらいで緊張なんてしないわよ、あはは…」
「…本当に大丈夫ですか?それにしても驚きましたよ。最初の仕事依頼が殺人事件なんて」

確かに、私も最初は驚いた。
殺人事件という大きい事件の弁護を新米弁護士に依頼するというのはかなり勇気がいる行為だ。
普通は依頼しないし受けるほうも断る物である。
しかし今回は大きな理由がある。それは…。

「まぁ…依頼人が依頼人だからね。あいつも私を信頼してるから依頼してきたんでしょ」
「ふふ、相変わらず仲が良いんですね」
「な、そんなんじゃ…。私はただアイツが殺人なんてするわけないって思っただけで…」
「それを仲が宜しいと言うんですよ。それでその依頼人さんは…」

『終わりだー!もう何もかも終わりだー!』

みゆきと話をしていると突然ヒステリックな叫び声が聞こえてくる。
この声は忘れもしない…。あいつである。

『殺してー!私を殺してー!』

「…死にたがってるようですね」
「まったくアイツは…」

二人揃って呆然としていると控え室の扉が開いて小柄な人物が一人入って来た。
そう、こいつが私の今回の依頼人。

「何騒いでるのよこなた」

泉こなた、私とみゆきの高校時代の友人である。
当時から多少浮いた存在であるこなたではあったが、まさかこんな大事件にまで巻き込まれるとは…。

「かがみん…殺してくれよう。私をさっぱりとさぁ…」
「い、いやいやいや。何言ってるのよ」
「だって……だってぇ……」
「……まぁ元気だしなさい」

そう、今回の被害者はこなたの父親、そうじろうさんなのだ。
無理もないだろうな。この子は小さい頃に母親が死んで父親の手だけで育てられてきたのだ。
何度か会った事があるけど、結構仲が良かったみたいだし、これだけ落ち込むのも当然だろう。
こなたは殺人を犯すような人ではない。それは私が一番良く知っている。
ただ今回は運が悪く事件に巻き込まれただけだ。
絶対助けてあげるから…私の手で。
32らきすた IN 逆転裁判 〜逆転のかがみん〜:2008/03/17(月) 04:44:46 ID:bThwINF8
同日 10時0分
地方裁判所第三法廷

ざわざわと騒がしい傍聴人達。しかし独特の緊張感のせいか妙な圧迫感があり、騒がしい筈なのに静かに感じる。
うぅ…ますます緊張してきたわ。
今回の相手検事はベテランの人らしく、それがますます私の緊張感を増強させていく。

カン!カン!カン!

裁判長席に座る、貫禄のある老人が木槌を叩く。
遂に私の最初の法廷が始まる…。

「それではこれより審理を始めます」
「検察側、準備完了しています」

裁判長がそう言って検事がそれに続く。
もう裁判は始まっているのだ。

「べ、弁護人も準備完了しています」

声が上ずっている上に少し裏声が出てしまった。
うぅ…これじゃあ素人丸出しじゃないの。強ち間違ってもいないんだけど…。
あぁこなた。被告人席でそんな不安そうな顔しないで。

「……柊弁護士。たしか貴方は今日が初めての法廷でしたね」
「は、はい」
「かなり緊張してるようですね。大丈夫ですか?」

さっきみゆきにも聞かれました。
その時には大丈夫って答えたけど、実際は緊張に押しつぶされそう…。

「だ、大丈夫です。多分…」
「大丈夫じゃないようですね。緊張を取る為にいくつか簡単な質問をするので答えてください」

うぅ…気を使わせちゃったみたいね。
まぁせっかくの好意だし甘えておこうかしら…。

「まず、この事件の被害者の名前を言ってください」
「被害者…それは泉そうじろうさんの事ですね」

ふぅ、どんな難しい質問が来るのかと思ったけどこれくらいならわかるわね、うん。

「よろしい、では被害者の死因と凶器を答えてください」
「えっとそれは…確か包丁で心臓の位置をぐさりと」
「よろしい、そろそろ貴方の緊張も取れてきた頃でしょう」

ふぅ…最初は何とかなったみたいね。
…と言ってもまだ最初の一歩すら進んでないんだけど。
33らきすた IN 逆転裁判 〜逆転のかがみん〜:2008/03/17(月) 04:45:21 ID:bThwINF8
「それで亜内検事。何故被告人が犯人と断定されたんでしたかな?」

裁判長が頭が可哀想な事になっている検事に話を振る。

「はい、それは被告人以外の犯行は無理と判断したからです。
事件当時、現場の家に居たのは被告人と被害者のみ。
犯行推定時刻ともぴたりと合っています」
「なるほど…それなら納得もいきますね」
「一応解剖記録と現場写真等を資料として提出しておきましょう」
「受理しましょう」

『解剖記録:死亡推定時刻、PM1:27〜PM1:47。
刺された際の出血によるショック死で即死』
『凶器:泉家で調理用に使われていた包丁。柄の部分から誰かの右手の指紋が検出されている』
『現場写真:被害者がコタツに突っ伏すように倒れている。床に液晶部分が壊れたノートパソコンと割れたガラス片が落ちている』
『被害者データ:泉そうじろう(故)。職業、小説家。趣味、テレビゲームなど。娘と二人暮しだった』
『被告人データ:泉こなた。職業、フリーター。趣味、テレビゲームなど。父親と二人暮しだった』

「かがみさん、資料が提出されましたよ。これはそのままこちらの武器にもなるので良く目を通しておいてください」
「う、うん。わかったわ」

とは言っても…。うーん…今のところ悔しいけど反論できる要素はないかも。

「事件現場に居たのは被告人と被害者だけなんですね?」
「はい、家のドアには鍵もかかっていましたし何処かが破られた形跡もありません」

え、何よそれ…。ほぼ決定的じゃないの。
こんなんじゃ反論する隙なんて…。

「これはほぼ決定的ですね。柊弁護士には悪いですがもう判決に言っても…」
「お待ちください裁判長」

え、みゆき…?
もしかして今のだけで何か見つけたの?

「かがみさん、騙されてはいけません。あの検事は不自然な所を残していますよ」

え、それって…。

「高良弁護人、どうしました?」
「事件現場に被害者と被告人だけ、当時鍵はかかっていたしこじ開けられた形跡もない。
でしたら一つ矛盾が生まれる事になります」
「矛盾…ですか」
「はい、もし其処の検事さんの言うとおりなら一体『誰が事件を通報した』んですか?」
「「……あ!」」
「…む」

私と裁判長がハッとした声をあげ、亜内検事が唸り声を上げる。
凄い、流石ベテラン弁護士ね。

「感動しないでください…。本来ならこれを言うのはかがみさんの役目なんですよ」

あ…ごめんなさい。

「資料によると、被告人は警察が到着するまで被害者を見ながら呆然としていたらしいですね。
被告人自身が通報したとは思えませんが」
「確かにそうですね…亜内検事、どうゆうことですかな?」
「これは失敬…言葉が足りなくて皆さんを困惑させたようですな」

何こいつ…もしかして嘘ついてたの!?
34らきすた IN 逆転裁判 〜逆転のかがみん〜:2008/03/17(月) 04:46:05 ID:bThwINF8
「亜内検事!法廷の場で嘘をつくってどうゆう事なの…ですか!」
「んふっふー、慌てないでください弁護人。私は別に嘘をついてはいませんよ」

余裕綽々の様子の亜内検事。
どうゆう事なのよ…。

「鍵は確かに開いていませんでした。ですが目撃者がいたのですよ。それも決定的な」
「も、目撃者!?」
「裁判長、検事側はその目撃者を召喚を要請します」
「いいでしょう、それではその目撃者の証言を聞きましょう」

も、目撃者が居たって…ますます状況が悪化してるじゃない。
不安になった私はみゆきの顔をチラッと見る。
そして私は驚いた。私と同じく不安そうになっていると思ったみゆきの顔は、むしろ笑みさえ浮かべていたからだ。

「かがみさん、ここからが本番ですよ」
「え、本番…?」
「ええ、一見私達のピンチかもしれません。でもこれは逆にチャンスでもあるんですよ」

目撃者という決定的な証拠がチャンス…?
みゆきは一体何をかんがえているんだろうか。その時の私にはまだ知る良しもなかった。


そして…間も無く目撃者は証言台に現れた。
見た目は、どこにでもいそうな少し気の弱そうなOLと言った感じの女性。

「それでは証人、まず名前と職業をお願いします」
「は、はい。見聞言美。えっと…保険の勧誘をしてます」

この人が目撃証人…。
私はチラッとみゆきの顔を見る。
先ほどと違って、少し厳しい顔に戻っている。

「それでは、貴女が事件当時何を見たか。話して貰えますか?」
「は、はい…」

亜内検事が証言を促す。

「かがみさん、ここからが本番ですよ」
「え、どうゆう事?」
「尋問くらいは知っていますよね」
「う、うん…」
「泉さんが犯人でないなら、あの方の言う事が本当のはずがありません。かならず何処かで嘘をついているはずです。
それを見つけ出して化けの皮を剥がしてあげましょう」
「……」

確かに一理はある。
でも…人を疑う事を知らなかったみゆきがこんな発言をするなんて。
やっぱり、あの事件の事をまだ…。

「みゆき、あんた変わったわね」
「最近よく言われます。さぁ、証言が始まりますよ」

言われて証人の方へ視線を戻す。
おこからが本番…こなたを助ける為にはここで頑張らなくちゃいけない。
その為に必要なのは、この証人の『嘘』を暴く事…。
35らきすた IN 逆転裁判 〜逆転のかがみん〜:2008/03/17(月) 04:46:35 ID:bThwINF8
証言開始。

『アレは…私が仕事であの辺りの家を尋ねて回っていた時の事です。
泉さん…被害者さんと被告人さんの家のインターホンを押そうとした時でした。
…突然家の中から男の人の悲鳴が聞こえて来たんです。
何事かと思って何度かインターホンを押したんですが反応はありませんでした。
なので…あの、悪いとは思いつつも庭に入ってベランダの窓から中を覗きました。
そしたら…中には男の人が血まみれで倒れてて、その直ぐ傍に血の付いた包丁を持った女の子が!
慌てた私はすぐに携帯で通報しました。
包丁を持っていた人は被告人席にいるその青髪の子です。間違いありません』

「……ふぅむ、なるほど。ベランダから中を覗いた、ですか」
「まぁ緊急時でしたししょうがない事ですね」
「これが本当ならほぼ決定的ですな」
「わ、私嘘なんてついていませんよ」
「それはこれからわかる事ですよ。それでは弁護人、尋問をお願いします」

嘘をついてない何てよく言うわよ…。
言美さん…貴方の化けの皮剥がしてあげるわ。

…とは言っても、ここから嘘を探せって言ってもどうすれば。

「かがみさん。嘘とは、要は事実との食い違い、つまり矛盾です。つまり既に事実である証拠品との矛盾点を探せばいいんです」

証拠品との矛盾点…?
なるほど、証拠品との食い違いならあちらもそうそう言い逃れはできないもんね。
私はもう一度法廷記録を見直してみることにした。

そして…見つけた。
あの証言と決定的に矛盾する点を。

「言美さん。貴方こう言いましたよね?『家の中から悲鳴が聞こえた』と…」
「え、ええ…。それが何か?」
「でもおかしいですね…。この解剖記録に『即死』って書いてるんですけど」
「え…!」
「被害者は男性、被告人は女性。気づかれてからでは力関係上犯行は無理です。
つまり悲鳴は刺してからじゃないとあげられない…。でも実際は被害者は即死。
…悲鳴を上げる暇なんてないじゃないですか!」
「…! いや…その」

言美さんが動揺した声を上げる。
傍聴人達も騒がしくなるが、裁判長が木槌を叩いてそれを静める。

「かがみさん、良い指摘です。嘘は次の嘘を呼びます。この調子であの証人を追い詰めていきましょう」
「わかったわ」

「静粛に!静粛に!……言美さん、どうゆう事ですかな?」
「い、異議あり!こ、これはちょっとした思い違いで…」
「私はそうは思えませんな。言美さん、どうなんですか?」
「あの…いや…。あ、思い出しました!じ、事件を見たショックで記憶が混乱してまして…すいません」
「…まぁいいでしょう。もう一度証言してください」
「は、はい…」
36らきすた IN 逆転裁判 〜逆転のかがみん〜:2008/03/17(月) 04:47:13 ID:bThwINF8
証言開始。

『思い出しました。聞いたのは悲鳴じゃなくて音でした。
ほら、被害者さんがゲームをするために使っていたパソコンですよ。あれが床に落ちた音です。
あれとコップのようなものが床に落ちて割れる音がしたんです。それで不振に思って庭に行ったんです。
おそらく被害者さんが刺されて床に倒れた時に落ちたんでしょうね。
どうも迷惑をかけました…』

「ふぅむ…なるほど。それでは尋問をお願いします」
「はい…」

「かがみさん、もうやり方はわかりますね?」
「任せておいて」

矛盾点。すなわち証拠品と食い違う事実…。
この証言のどこかにそれがあるはず…。
あれ、待てよ。この写真…。

「証人、被害者の使っていたパソコンについての件をもう一度お願いできますか」
「え、ゲームをする為に使っていた…ですか?」
「……何故、被告人が当時ゲームをしていた事を知っているんですか」
「え?」
「貴方は先ほど『パソコンが床に落ちて壊れる音を聞いた』と言いました。
この現場写真でも確かに壊れています。……しかし、そこで大きな矛盾が生まれます」
「む、矛盾…?」
「まだわかりませんか?」

私はわざと間を置いて息を大きく吸う。
そして両手で机を思い切り叩いた。
証人がビクッと身を引くが知った事ではない。

「何故、パソコンの液晶が壊れていたのに、被害者が当時パソコンでゲームをしていたと知ってるんですか!」
「ひぃ!」

再び傍聴人席がざわめきだす。
そして再度裁判長が木槌を叩いてそれを静める。

「異議あり!べ、弁護人。何のつもりですか。そんな言いがかりを…。本当は見ていないけど見たと勘違いしただけで…」

強気な発言ではあるけど亜内検事の顔は既に汗だらけ。

「まぁまずは話を聞いてみましょう。柊弁護士、続けてください」
「素晴らしいですかがみさん、畳み掛けるなら今ですよ!」
「はい。いいですか、被害者のデータには小説家とあります。ならば検事の言うとおりなら、まず出てくるのは『小説を書いていたパソコン』となるはずです。
その上で証人はパソコンにはゲームが映っていたと言いました。それは何故か、何故か…」

其処で私は次の一言を言うのに躊躇してしまった。
次の一言を言う事は…すなわち彼女を告発すると言う事だ。
もし、彼女が本当にただの目撃者だったら…。
考えたくも無い。
悩んでいる私を見てみゆきは私の心中を察したのか、薄く微笑んで口を動かした。

「かがみさん、弁護士の仕事は『依頼人を信頼する事』ですよ」

その一言で私は我に帰った。
そうだ、こなたは犯人ではない。そんな事あるはずが無い。
こなたが犯人でないなら答えは一つしかないじゃないか。
私はこなたを一瞬でも疑った自分を恥じた。
今私は一体何を考えていたんだ…。
37らきすた IN 逆転裁判 〜逆転のかがみん〜:2008/03/17(月) 04:47:38 ID:bThwINF8
「柊弁護人、どうしました?」
「いえ、何でもありません」
「そうですか…それでは続きを」

裁判長が頷き続きを促す。
こなた…絶対助けてあげるから。私負けないから。

「はい。証人がパソコンの画面に映っていた内容を知っていた理由…それは事件当時に現場に居たからとしか考えられません!」
「キャアアアアア!!」

言美さんが悲鳴を上げる。
まだだ、まだ終らない。

「そう、実際に被害者を殺したのは貴方だったんです!パソコンの画面はその時に見たんです!」
「イヤアアアアアアア!!」

証人はすっかり怯えきってしまっている。
よし、このままいけば……。
私は横目でみゆきの顔を見る。
しかし、みゆきの顔は私の思惑と違い少々厳しい顔になっている。
見ると、亜内検事も余裕を取り戻した顔になっているではないか。
な、何?何なの?

「弁護人…その主張は少々無理がありますねぇ」
「な、何ですって?」
「事件当時中に居たから犯人…確かにそれは少し強引ですね」
「証人、もう一度貴方の職業を教えていただけますか?」
「え、保険の勧誘員ですが……あ」

言美さんの顔に落ち着きが戻っていく。
一体、どうゆう事なのか私にはまだわからない。

「お、思い出しました。私当時被害者さんに保険の話をしていたんです。
そしたら突然包丁を持った被告人さんが部屋に入ってきまして…。パソコンの画面はその時偶然見たんです」
「な、何よそれ!さっきと全然話が違うじゃない!」
「弁護人、証人は事件を見てしまったショックで少し記憶が混乱しているんですよ。
それを責めるのはどうかと思いますよ」
「くっ…!」

亜内検事に完全にしてやられてしまった…。
せっかくここまで来たのに…どうしたらいいのだろうか。

「ふぅむ、では目撃したのは外では無く中だったんですな」
「は、はい。お騒がせしました…」

どうしたら…今ある資料から必死に反論材料を探すが、当時保険の話をしていなかったか何てわかるわけがない。
もう終わりなんだろうか…。ごめん、こなた…。

「弁護人からの反論もないようですな。それではそろそろ判決を…」
「待った!」
38らきすた IN 逆転裁判 〜逆転のかがみん〜:2008/03/17(月) 04:48:03 ID:bThwINF8
法廷に大きい声が響く。
それは私が発した物ではない。
そうなると…。

「み、みゆき…?」
「お待ちください裁判長、こちらにはその主張を覆す証拠があります」
「ほう…何ですかなそれは」

「み、みゆき…?」
「落ち着いてくださいかがみさん、貴方は大切な事を見落としています」
「大切な事…?でもこの証拠品じゃあ…」
「証拠品はデータだけではありません。思い出してください、泉さんの事をよく」
「こなたの事…?」

私は頭をフル回転させて考える。
こなたの事…。
オタク、ゲーム好き、両手利き、家事が得意………………あ。

「みゆき…もしかして」
「それで正解です。さぁあの証人に止めを刺してあげましょう」

「弁護人、その証拠とは何ですかな?」
「言美さん、貴方利き手はどちらですか?」
「え…右手ですけど」
「そ、それがどうだと言うんですか」
「被告人は…いや、こなたは両利きですが、基本的には左手ばかり使っています。
字を書く時、料理をする時も。おそらくどちらかというと左手のほうが持ちやすいのでしょう。
もし私の主張が信じられないなら、彼女の知り合いを全て尋ねてみてください。
おそらく同じ答えが返ってくるでしょう。左手ばかり使っている、と」
「そ、それがどうしました?」
「この凶器の指紋…誰のかはわかってないですけど右手の物みたいですね」
「…あ、あああああああああ!」

法廷がざわめく。
もうこの法廷にいる人間全員がわかったようだ。

「人を殺すなら凶器は使いやすいほうの手を使うでしょう。
被告人はほぼ左手であったにも関わらず、凶器についているのは右手の指紋でした。
つまり…これはこなたの指紋では無いと言う事です。
そうなると…被害者を殺せたのは。言美さん、貴方しかいないんですよ!」

……一瞬の静寂、そして。

「イヤアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

言美さんの、今までで一番大きい悲鳴が法廷内に響き渡った。
39らきすた IN 逆転裁判 〜逆転のかがみん〜:2008/03/17(月) 04:48:30 ID:bThwINF8
そして…。

「亜内検事、言美さんは?」
「は、は。先ほど緊急逮捕しました。観念したのか自白を始めているらしいです」
「よろしい。柊弁護人」
「は、はい」
「素晴らしいですね、こんなにも早く依頼人を助け出してしまうとは」
「は、はぁ…」

そうは言われても今一実感がわかない。

「それでは、被告人泉こなたに判決をくだします。無罪!」

裁判長が判決を下すと同時に法廷内にこなたに対する祝いの言葉が飛び交う。
それを聞いていると、段々私も実感が沸いてくる。
こなたを助ける事ができたんだなぁ、と。

「それでは、本日はこれにて閉廷!」

裁判長が木槌を打つ。
これでこの裁判は終わりを迎えた。


後から聞いた話だが、見聞言美さんはそうじろうさんの小説の熱狂的ファンだったらしく、病的と言えるほどの憧れ持ったいたらしい。
保険の勧誘に家を尋ねて回っていたら偶然彼に出会い、サインを貰おうと家に上げてもらった。
しかし、そうじろうさんがパソコンでエロ…アダルトゲームをやっているのを見て激しい失望感を覚えた。
夢を奪われた…。そう感じた言美さんはトイレを借りる振りをして台所から包丁を調達。
そして…悲劇は起こった。






同日 13時21分
地方裁判所第三法廷控え室

「やりましたね、かがみさん」

控え室に着いた途端、私はみゆきからのベタ褒め攻撃にあった。
こんな嬉しそうなみゆきを見たのは久しぶりだ。

「久しぶりにスカッとしましたよ。これでこなたさんも…」
「そうね、こなたも少しは元気に…」

「死ぬんだぁ…。死んでやるんだぁ…」

「な、何でアンタがそんな暗くなってんのよ!」
「だって…お父さんが死んじゃって私は一人になっちゃったし…」
「……」
40らきすた IN 逆転裁判 〜逆転のかがみん〜:2008/03/17(月) 04:49:06 ID:bThwINF8
確かに、ゆたかちゃんがいない今、こなたは本当の意味で一人ぼっちになってしまったのだ。
母親、従姉妹、父親といなくなってしまってはそれはショックも大きいだろう…。

「泉さん、貴方は一人では無いですよ?」
「「え?」」

私とこなたの声がハモる。

「みゆきさん、どゆこと?」
「かがみさん、寂しがり屋の泉さんに証拠を示してあげてください」

え、私に振るの?
こ、こなたが一人じゃない証拠品…?
……そんな物あるだろうか?
もしかして…。

「こなた、最後の最後、私が何故反論できたかわかる?」
「え、私が左手ばかり使ってるっていうアレ?」
「そう、アレは私達がアンタと友人としての付き合いが無かったら左手ばかり使うなんてわからないでしょ。
私達は友達だから今回勝てたのよ。アンタには私達友達がいるから一人じゃないの、わかった?」
「かがみ…」

何か柄にも無い事言っちゃったわね。
まぁそれでこなたが元気になるならそれでも…。

「かがみーん」

ぬわっ!いきなり抱きついてきおった!

「な、何するのよ!離れなさいよ!」
「遂にデレ期突入?かわいいなぁかがみんは〜」
「だ、誰がデレてるって言うのよ!離れなさいよ!この!」

前言撤回、やっぱり元気にならなくていい!
…まぁ、元気になってくれたからこそ抱きついてふざけて見せてくれたんだろうけど。
それならそれでも、いいかな…。




その後の事を少し話すと、こなたはアレから日に日に元気になっていき、私達の事務所によく遊びに来るようになった。
依頼も無いのに来られても困るんだけど…ま、客の少ない事務所だからいいか。
事務所と言っても所属してるのは私と所長のみゆきだけだしね。
いっそ事務所で手伝いとして雇ってしまおうかという話もでてきたりしている。
それはそれで楽しいかもね…。

これで私の最初の物語はおしまい。
この後も私は様々な事件に関わっていく事になるんだけど、それはまた別のお話。
以上です

やっぱり長文書くのって難しいです…
ここまで読んで下さった方々、ありがとうございました
もし評判が良かったら、続きも書いてみようかなぁとか思ったりしています
途中ほんの少しだけ出し伏線も回収しておきたいしw

それではもう一度、読んでくれてありがとうございました
42名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 07:03:20 ID:lIJpY+lL
>>41
GJ!逆転裁判の雰囲気が出てた。
…っていうか、俺もかがみん弁護士物考えてたんだけど…。
なんか、伏線とかかぶってそうだ…。
どうしよう…。
43名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 08:43:47 ID:TJc+KCyn
>>41
乙!なんか逆転栽培やりたくなってきた!w

最後のほうでゆーちゃんがいないっていってたのは実家に帰ったってだけだよね!?
事件に巻き込まれたとか(ry
44名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 08:57:07 ID:RmWKdeMf
>>41
逆転裁判GJ!
しかしこれってさ……
みゆきさんに死亡フラグまたは逮捕フラグびんびんに立ちまくってる
ような気がするのは、俺だけなのかな(´Д`; )

>>43
なに?やりたくなってきたとな?

『異議あり!
その野菜は、この環境にこそ適しているのです!
早速試しました!我が家の庭でっ!
とても……美味でしたっ!』
「お……おかーさんっ!?」
45名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 09:54:45 ID:V+2XVnA/
確かに元ネタでは、所殺人に遭った所長がいたり、瓶で人を殴り殺した所長もいたなぁ。
46名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 13:56:07 ID:dbjvNjAR
逆転裁判を取り扱ったSSの前例がすでにあって、どうやってそれと差別化を図るのかなと思ってたが
こっちはだいたい原作のとおりなのね

でも原作と同じように続く場合、次のエピソードでみゆきさん頃されちゃうってことなのかな……
あと全てが終わった後、置時計は……
続きに期待
47名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 16:35:47 ID:RmWKdeMf
「なんでも私、死ぬ心配がないそうですよ。
 かがみさんのよきアドバイザー役として、
 欠かせない存在になるそうです」
「なんだぁ……よかったあ」
「なんだかんだで、みゆきさんにいてもらわないと、
 強力な萌え要素の1つが、ねぇ」
「まったく、どんなときでもあんたってそうなんだ」




『……そう、心配いりません、
 私が死ななければイイだけのお話ですからね……
 さようなら、私のための礎になってください……』
『……って、私かよおっ!?』

 ドコッ! ……

 第 二 章  〜逆転のバルサミコ酢〜



「ちょっとまって!これじゃいずれにせよ物語的にみゆきさんは……(=ω=.;)」

                 −comming soon (いや、ジョークだからね?)
48名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 17:48:20 ID:JbyX1+cz
けど今度裁判SSなら
かが×みな物もいいな…
かがみ弁護士VS検事岩崎みなみ、な感じで…
4942:2008/03/17(月) 17:59:43 ID:lIJpY+lL
>>48
>>42だが、
>けど今度裁判SSなら
>かが×みな物もいいな…
>かがみ弁護士VS検事岩崎みなみ、な感じで…

お前俺の心を読んだのかwww
50名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 18:39:47 ID:JbyX1+cz
>>48です自分が考えてたストーリーとしては…
ゆたか絡みでかな…ゆたかがある事件に巻き込まれ植物人間になる犯人はすぐに逮捕されたが検察側の証拠不十分及び弁護士側が金さえ詰めば黒でも白にしてしまう敏腕弁護士それ以降みなみが弁護士に対して憎悪を抱くようになり検事の道を歩む事になる…
みなみ「犯罪を犯したのに今ものうのうと生活してる奴は許さない…」
みゆき「みなみさん…あの心優しいみなみさんがどうして…」
みなみ「みゆきさん…人はなにかのきっかけで変わるものです…善くも悪くも…」
かつてのクールでちょっと感情表現が苦手だが誰より心優しいみなみではなく
冷徹で犯人を追い詰める
鬼検事岩崎みなみがそこにいた…って感じかな…
なんかバリバリ鬱展開だけど…
51名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 19:18:07 ID:9+i85v+z
その小説、いつ発売するの?
52名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 19:42:03 ID:bThwINF8
……先の展開を言われてしまった
もう続き書けない、どうしよう
53名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 19:45:58 ID:sGXtqNiK
おいおいwwwww
5442:2008/03/17(月) 19:56:58 ID:lIJpY+lL
…うん、なんていうかさ。
みんな考えることは同じだよねorz
55名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 20:34:08 ID:bThwINF8
これはもう>>50に任せて俺は引っ込むべきなのかね…
応援ありがとうございました、>>41先生の次回作にご期待くださいてな感じで
56名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 20:47:09 ID:dbjvNjAR
>>55
できれば今回の話が完結するまでは書き上げてほしい
(もうこれで終わりだったらスマン)

ネタがかぶることはよくあることだし、
「この書き手さんはこの描写に力入れてて、こっちの書き手さんはこの表現が面白い」
みたいに、同じ題材でも個性が出てきて違った作品になるからどっちも読んでみたいし書いてほしいんだが、
これは自分のわがままで強制というわけではないから、最終的に書くかどうかの判断はそちらに任せます
57名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 20:56:46 ID:bThwINF8
>>56
そうか…それなら書かせてもらおうかな
まぁ確かにネタ被るのなんてよくあることだよな、うん
それでもなるべくオリジナル色出せるよう頑張るぜ

期待しないで待っててくれ
58名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 21:27:20 ID:JbyX1+cz
>>57さん先程ストーリーを投下した>>50です。
こんな感じのネタはすぐポンとでるのにお恥ずかしながらSSに表現出来る程文才自分にはありませんので他人任せで申し訳ありませがこのネタお好き使って構いませんので書いてくださいお願いします
59名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 21:32:33 ID:hrLqURg0
超亀で申し訳ないが、前スレの埋めネタGJ !
子鉈でクソワロタw
60名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 21:34:13 ID:PA0nXzNr
いつの間にか新スレが…orz
毎度の事ながら消費速度がネ申ですな。
亀コメですが>>1乙です。

そんなわけで、久しぶりに投下したいと思います。
他に投下される方がいらっしゃらないようでしたら、数分後投下させて頂きます。
6118-490:2008/03/17(月) 21:39:21 ID:PA0nXzNr
いらっしゃらないようなので、投下させて頂きます。

タイトル「コトダマ」
かが×こな
非エロ

一応前々スレに投下した「見上げる空はなぜ青い」の続編みたいなものです。
62コトダマ:2008/03/17(月) 21:40:30 ID:PA0nXzNr
日本には言霊というものがあるらしい。
人が発する言葉は力を持ち、人を喜ばせたり、悲しませたりする。
それがもし、好きな人からの言葉だったら…どれほどの力を持つのだろう。

「かがみが好き…」

好き、というたった二つの言葉の羅列にこんなにも心が踊る理由は、その言霊によるものなのだろうか。
叶うはずもないと思っていた想いが、届かないと思っていた手が、青空へと届いた日。
私達は長い時間をかけて一つに繋がった。



―――コトダマ―――



「…ったく」
右腕につけた時計の文字盤とにらめっこを繰り返しながら本日5回目の溜め息を漏らす。
その理由は至極簡潔。
友人であり、一週間前から恋人となった泉こなたのせいである。
集合時間はAM10:00。
ただ今の時間AM10:23。
そう、私は23分もの間こうして人の行き交う駅前で待惚けをくらっているのである。
『デートしよーよ、かがみん』
なんて誘ってきたのは、アッチからなのに。
そう心の中で文句をいいながらも、口元のニヤけは収まらない。
こなたに自分の気持ちを打ち明けて、こなたも私と同じ気持ちだったと知ってから私達は恋人になった。
お互い恋愛経験が0な上に、今まで友達だったという奇妙な距離感に戸惑いながら一週間が過ぎようとしている。
というか未だにこなたと両思いになったという実感がない。
だからこなたからデートしようよ、なんて言われた時は飛び上がるほど嬉しかった。
付き合ってからつかさやみゆきが気を使ってくれてか、帰りはこなたと二人きりで帰ることが多かったけど…変に意識しちゃって無言になることが度々あって。
恋人同士って、この気まずい時間をどうやって過ごしているんだろう…なんて峰岸にそれとなく聞いてみたら顔を真っ赤にして顔を逸らされた。
あー、なんとなく想像つくなぁ…
結局その後、日下部に色々詮索されて答えを聞きそびれたけど、つまりはそーゆー事なんだろう。
て、手とか…握ったり。
き、き、キス…とか?
だーーっ!!!
なんてこと考えてるんだ、私っ!
63コトダマ:2008/03/17(月) 21:41:29 ID:PA0nXzNr
「あ、いたいた。かがみーっ!」
ブンブンと頭を振って邪念を追い払っていると、小走りで私に駆け寄るこなたが見えた。
ハァハァと肩で呼吸しながら上目遣いで私を見つめてくる。
「……っ」
か、か、可愛い…。
無意識に伸ばしていた左手に気付いて、バッとこなたから視線を逸してしまった。
何をしようとしてるんだ、私の左手!!
「かがみ?」
心配そうなこなたの声に答えるようにゆっくりとこなたの方へ顔を向けると、トレードマークであるアホ毛をピョンと立たせながらこなたが続ける。
「いやー、ごめんね。デート初日から遅刻しちゃって…待った?」
「待った」
春の息吹が感じられるような暖かい気温だけれど、23分も待たせられればいくらこなたといえ少し呆れてしまう。
でも、こなただから許してしまうというこの矛盾。
「ダメだなぁ、かがみん。そこは、俺も今着いたところさ。って言うのがデフォでしょ?」
「どんなデフォだ、ソレ」
そんないつものやりとりに緩む頬を手で隠しながら、こなたの方を向く。
ジャケットから覗く薄い水色のキャミソール、そこから見えるこなたの白い肌。
「……み…、かがみってばっ」
「…へっ?!あ、な、なに?」
その白い肌に見とれていたせいで反応が遅れた。
って、だから自重しろ。私。
むぅ、と少し拗ねたように頬を膨らますこなたが半端なく可愛い。
「ごめん、ちょっと考え事してて」
さすがにアンタの肌(特に胸らへん)に見とれてました、なんて言えるわけもないので弁解してみる。
「…考えごとって?」
「うっ、それは…その、あれよ、あれ」
やばっ、言い訳考えてなかった。
予想外のこなたからの質問に慌ててしまって頭が働かない。
うぅ、これじゃ嘘だってバレるじゃない。
「アレって何?」
私が聞きたいわよ。
なんて、理不尽な回答は心の中に止めておく。
「その…あの、て、…手繋ぎたいなぁ、って」
って、何を言ってるんだっ?!私の口は。
まぁ、そりゃあ手繋ぎたいけど…
だからってこんなタイミングで言うなんて我ながらアホすぎる。
恥かしすぎてこなたの顔を直視出来ないでいると、すっと私の左手に温いものが触れた。
え?と視線を下げると、私より少し小さな手が私の指を掴んでいた。
そんなことするのは一人しかいないはずなのに、確かめようとゆっくり顔を上げると頬を真っ赤に染めたこなたが視界に入った。
64コトダマ:2008/03/17(月) 21:42:37 ID:PA0nXzNr
「あ、あの…こ、こなた?」
うまく喉から音が出なくて、声が裏返ってしまう。
「は、早く行こっ!!」
そう言うとグッと力を入れられて手を引っ張られる。
チラッと見えたこなたの顔はやっぱり真っ赤で、でもどこか嬉しそうで。
左手から伝わるこなたの温度が嬉しくて、幸せだった。
ほんの微かにこなたの指が動いたのを感じて、ゆっくりと握りかえすとチラッとこなたが私の方を見て
微笑んだ。



それから、新しくできたショッピングモールや映画、勿論ゲマズ、メイト、とらあな、と巡っているうちに、赤い夕日が空を真っ赤に染めていた。
「…とぉっ!!!」
公園のブランコに立ち乗りしていたこなたが、ピョンとブランコから飛び降りながら私が座っているベンチの隣に座ってくる。
「やっぱりこの時期になっても、まだ日短いね〜」
その言葉に手首につけていた腕時計に目を落とすと、文字盤は5時を少し回ったところだ。
「なんだかんだいってまだ3月だしね」
だんだん低くなる周囲の気温に思わずブルッと体が震えた。
この時期になると昼間暖かいからついつい春物の洋服着ちゃうのよね。案の定こうやって夕方苦労するんだけど…
「かがみ寒いの?」
「少しね。アンタは?大丈夫?」
私よりも着ている服の枚数が少ないだろうこなたに訊ねる。
「ん。少し、寒いかも…っくし」
両手を交差させて上腕をさすっていたこなたがすべてを言い終える前にくしゃみをした。
「寒いんじゃない。日も暮れてきたしそろそろ帰る?」
「ん〜」
口を尖らせて何故か渋っているように見えるこなたに?マークを浮かばせていると、ピトッと肩にこなたが顔を近づけてきた。
「なっ…!!」
いきなりのこなたの行動にズキューンと銃かなんかで心臓を打ち抜かれたような感覚が襲った。
さっきまでの寒さが嘘のように体温が上気する。
「かがみ、あったかいね」
120%アンタおかげなんだけどね。
ふぁっとこなたの髪からシャンプーの香りが鼻孔を掠める。
こなたと触れている肩が火傷するんじゃないかってくらい熱くなって、気が付いたらこなたを抱きしめていた。
「へっ?!か、かがみ…?」
「こなた」
あぁ、ダメだ。止まらない。
目の前にいる小さな恋人がとても可愛くて、守りたくて、私だけのものでいてほしくて…
そんな欲望の渦に巻き込まれていく感覚。
65コトダマ:2008/03/17(月) 21:43:25 ID:PA0nXzNr
『好き』
…違う、そんな二文字じゃ伝えきれない思いがひしめき合って。
ギュウとこなたを抱きしめている腕に少し力を入れると、慌てていたこなたがおずおずと私の腕を掴んできた。
少し震えているその感覚がリアルで、こなたの匂いでいっぱいのこの状況に私の中の脆い理性という扉が開けられていく。
「…こなた」
キスしたい。
そんな感情を込めてこなたの名前を呼ぶと、私の思いが通じたのか少し恥ずかしそうに俯いて、目を閉じた。
夕日に負けないぐらい真っ赤に染まったこなたの頬に幸せを感じながら、ゆっくりと唇を落とす。
初めて触れるこなたの唇は柔らかくて、甘かった。
うっすらと目を開くとギュッと強く目を瞑っているこなたが見えて、もっとこなたに触れたくて、角度を変えて唇を重ねる。
ここ外なのにとか、誰かに見られるかもなんて考えは頭の奥底に残っていたけど、止まらなかった。
「んっ…かが、っ…」
軽いキスを繰り返しているとこなたの甘い声が聞こえてきた。
口が塞がれているので、うまく呼吸が出来ない。
こなたもそうなんだろうか。
段々と荒くなっていく呼吸のリズムが扇情的で。
潤んでゆくこなたの唇から離れたくなかった。
「んくっ…」
こなたが苦しそうに眉を潜めたのが見えて、名残惜しいけどチュッと音をたてて唇を離す。
「っ…はぁ、はぁ…」
肩で息をしながら私を見上げるこなたの潤んだ瞳が夕日に映えて綺麗だった。
その瞳には私しか映ってなくて、それが私に幸福感をもたらす。
「こなた」
こなたほど息が上がってない私はもう一回キスしたいという欲望を抑えてこなたに囁く。
「キス、しちゃったわね」
キスという言葉に反応したのかこなたがプイッと私から顔を背けた。
一瞬見えてこなたの耳は明らかに真っ赤で。
普段はエロゲやらギャルゲやらの単語を平気で言うくせに、なんでこうプラトニックな事で照れるんだろう。
まぁそこが可愛いんだけどね。
66コトダマ:2008/03/17(月) 21:44:07 ID:PA0nXzNr
「…がみ……い、よ」
虫が鳴くように小さな声が聞こえた。
まぁここには私とこなたしかいないわけで。
その声の発信源はこなたしか考えられないんだけど。
未だ顔を背けているこなたの肩にそっと触れて「何?」と聞こうとした瞬間。

「かがみ、ずるいよ」

その言葉とともに再度唇に柔らかい感触。
聴覚と触覚が脳を経由している間に、視覚がこなたにキスされていると認識した。
「んっ?!」
驚きのあまり唇を開くとヌルッとしたものが口内に入ってきた。
「んんっ、こ、な…んぁ」
初めて感じる感覚に必死に今の状況を把握しようとするけど、うまく頭が働かない。
「か、がみ…んくっ」
何か別の生き物みたく私の口内を犯すこなたの舌が気持ち良くて、萎縮してしまっていた私の舌を絡めるとこなたが甘い声を出した。
その声をもっと聞きたくて、歯茎に沿って舌を這わせる。
それにピクピクと反応するこなたを強く抱きしめた。
「はぁ…んむぅ、くぁ…」
こなたからの絡まる舌の力が弱くなっていくのを感じて、ゆっくりと唇を離すとツゥと銀色の糸がお互いの唇を繋いでいた。
それに気づいたこなたが恥ずかしそうに口をぬぐう。
うっわ、これかなりクるわね。
ディープキスをしたという事実が時間と共に実感してきて、お互い気恥ずかしくなって顔を背けてしまう。
それでもやっぱりチラチラと相手の顔を見てしまって、視線が合って照れ笑い。
「そろそろ帰ろうか」
さっきまで真っ赤に大地を照らしていた夕日は、ようやく今日の役目を果たしたのかビルの隙間に消えかかっていた。
まだ一緒にいたいけど、明日も休日だし。
宿題を手伝ってあげるとかいう理由で私の家に誘ってもいいだろう。
ベンチから腰を浮かせてこなたへ手を伸ばすと、私の手を一瞥したこなたが足下に視線を下げて小さな声で呟いた。

「今日私の家に泊まらない?」

と。
いつの間にか消えてしまった夕日の残像を見ながら、この言葉にはいったいどれくらいの言霊が宿っているのだろうか、なんて見当違いな思考が頭の中を掠める。
凛とした青色の瞳が私を吸い込んでいき、私は重力に沿って首を動かした。
6718-490:2008/03/17(月) 21:46:56 ID:PA0nXzNr
って、レス数書くの忘れてたorz
すいません、5レスお借りしました。
おそらく続きます。
読んで下さった皆さんありがとうございます。
68名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 23:39:11 ID:aIKSlng5
投下乙です
なんという甘さ…この感覚、たまらん!
かがこな可愛いよかがこな。読んでるこっちまでむず痒くなりそうだw
69名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 00:35:51 ID:1zj0qp3c
ストレートなかがこな!
GJ!
70名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 02:15:50 ID:TVnaASB1
まさに正統派かがこな!
甘くて良いですねぇ…GJです!
71名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 02:38:55 ID:3VYWtUNl
これぞかがこな、ほんともう甘すぎですね
続きに期待してます、ほんとGJでした!
72名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 04:10:23 ID:uVse9WJH
18-490氏の二つ名は『こなかがマスター』で決まりだな
73名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 04:34:33 ID:qaZEi7Lr
鍋食ってるときに読んでしまったのでポン酢がみょ〜〜〜〜〜〜に甘く感じたのは気のせいじゃないだろう…
要するにGJ!
74名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 05:18:04 ID:UJWeW0/p
>>68
GJすぎる!
あぅあぅ…口の中が甘ったるくなってきた!
なんかもう・・・最高です
75名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 05:18:34 ID:UJWeW0/p
失礼…↑は>>67宛です。
間違えたorz
76名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 12:20:03 ID:+Zx69ju2
今日はなんか静かですね…今の内にうぃきつーさんをカスタマイズしましょう。
77名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 13:38:30 ID:FSxIhM9g
>>76
だが断る、何故ならその行為は「万死に値する!」のだから・・・。



って何あのピンク色のキュベr
78名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 15:10:31 ID:+Zx69ju2
うぃつきー「いきなさい!ファネル」
79名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 15:46:13 ID:FPORV/ee
>>78
「Hi everybodyこんにちは?ズームの英会話の人?
 しってるしってるー!お父さんはこれを見ないと
 朝が始まった気がしないってよく言ってた(=ω=.)b」
「こなた、あげあしでボケ倒すの、やめにしないか…」
8079:2008/03/18(火) 15:51:17 ID:FoIMyMw1
おっと、俺もぼけてたZE
Good morning!
だったZE!

ま、どうでもいいやorz
8177:2008/03/18(火) 17:06:41 ID:FSxIhM9g
>>78
うぃきつーだし、ファンネルな?
82名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 17:15:01 ID:66JS096p
ここはファングだな
8343Hev0JB:2008/03/18(火) 17:40:00 ID:fmtgzDU4
じゃ、こなつーにフィンファンネルでも付けますか。
・・何この機動戦士こなつー。
ちょっと書いてみますか。
84名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 17:49:00 ID:Vb7+FXEO
こなつーだのうぃきつーだのの内輪ネタで盛り上がるようになってから明らかに人が減ったね
85名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 18:05:11 ID:jPLKwNa1
馴れ合いスレ化してきたからな
86名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 18:27:07 ID:LN9ow+vO
排他的な感じが更に進行してるからね
87名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 18:34:55 ID:NIaGfIJi
今はこっちの方がハードでカオスな展開になっとるわ↓

泉こなたは現実にいたら絶対いじめられる その2
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1201840284/
88名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 18:35:37 ID:+Zx69ju2
すまん…SS書こうにも正直ネタが最近枯渇気味で…orz
89名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 19:06:54 ID:csKIO6QT
書いてる途中のものに、
かがみんが煙草を吸う話の違う人版があるのですが大丈夫ですかね…
2次か3次になりそうですが…
90名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 19:21:46 ID:OFpu8lg9
>>88>>89
何となくとあるSSの設定借りた時代モノみたいなのを書き始めてしまった
自分に比べればはるかにましなはずorz

別のネタ考えてきます…
91名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 19:46:59 ID:g5V3Gyg9
昨日ぶりの18-490です。
なんか変な電波を受信して一日で書き上げちゃいました。
ほかに投下される方がいらっしゃらないのでしたら、数分後投下致します。
92名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 19:51:30 ID:+Zx69ju2
とりあえずそんな時は皆でネタ出し合うってのもOKかな?自分としてはさっき自炊してる時思い付いたネタは
ゆたかメインで設定は自分の病弱な体質を変える為にこなたから以前通っていた合気道道場を紹介されそこに通うようになる。
みなみはそんなゆたかを心配し道場に通うようになる。なんかスポ魂物になるな…
9318-490:2008/03/18(火) 19:52:36 ID:g5V3Gyg9
いらっしゃらないようなので投下いたします。
連投すいません(・ω・`)

タイトル「たまには…」
こな×かが
非エロ
甘くしたつもりですorz
3レスお借りします。

ちなみに前作の「コトダマ」の続編ではないです(笑)
94たまには…:2008/03/18(火) 19:53:42 ID:g5V3Gyg9
「ねぇ、かがみ」
ポカポカという効果音が当てはまるような、昼下がり。
いつものように私の家に遊びにきたこなたが、横にしていた体を起こしながら私の名前を呼んだ。
「ん〜?」
読みかけのラノベを開いたままこなたの方に顔を向ける。
「平和だねぇ」
いつものように猫口にしたこなたが倒れ込むようにテーブルに被いつぶれた。
なにかのネタなのか?とか思ったけど、一応疑問系で聞かれたんだから答えるのが筋よね。
「またアンタは唐突な…というか、ただ暇なだけだろ」
溜め息をつくように少し息を吐きながら言うと、驚いたようにこなたの瞳がピクッと動いた。
「さっすが、かがみん♪」
「なにが?」
「言わなくても私のことを常に把握してくれてるんだね」
嬉しそうな、というより楽しそうに目を細めながら私に近づくこなた。
一応褒められているのよね、これって…
「ってゆーか、5分前に『暇だ、暇だ』って床を転がっている奴を見れば嫌でも分かると思うけど」
転がっていたせいかボサボサになっているこなたの髪を手で梳かしてみる。
手入れとかしてなさそうなのに何でこいつの髪はこんなにサラサラなんだろう。
「むぅ…なんでかがみはこう、ロマンチックに欠けるというか、現実主義なのかねぇ」
「まぁ、いつもアニメやらゲームやらの世界にいるアンタよりは、ね」
と、絡めた指をはずし、ポンッと軽くこなたの頭を叩く。
「その言い方じゃ、わたしはいっつも二次元に生きてるみたいじゃん」
「その通りだろ」
呆れたように、言ってやるとこなたはブンブンと頭を振って乗っけていた私の手を振りほどいた。
「違うモン、三次元にも目を向けてるよ。……たまに」
「やっぱり『たまに』なんじゃない」
行き場を無くした手を再びラノベへと戻し、ペラッとページを捲った。
95名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 19:53:45 ID:+Zx69ju2
リロード忘れてた18-490さんどうぞ。
96たまには…:2008/03/18(火) 19:54:25 ID:g5V3Gyg9
あれ、どこまで読んだんだっけ。
「でもその『たまに』は全部かがみのこと、だよ」
「………………」
ストーリーを振り返ろうと前のページを捲ろうとした指が止まった。
こいつはなんでこう不意打ちに嬉しいことを言ってくれるんだろう。
でもそれを気づかれたくなくて、上気していく体の感覚を紛らわすように「あっそ」とだけ呟いて止まっていた指に力を入れる。
「あれ、なになに〜。かがみ今照れた?照れた?」
ニマニマと目尻を下げて笑うこなたが私の顔を覗き込んできた。
ちょ…か、顔近い。
どっちかが少し動けばキス出来てしまう距離まで近づかれて、思わず後ろに仰け反ってしまう。
「べ、べつに照れてなんか、ないわよ」
自分でも動揺しているのが目に見えて分かる。
熱が顔まで上がってきて、ドクドクと血液を送る心臓の音がうるさい。
「むふー、かがみんは可愛いなぁ♪ほぉら、よしよし」
そういいながらさっきとは逆に私の頭を撫でるこなた。
私の心の中まですべて見透かされているようで、恥ずかしくって…少し悔しい。
「あ、頭撫でるなっ!!」
なんて言ってみるけど、こなたにとって照れ隠しだって事ぐらいお見通しなんだろう。
「顔真っ赤にしといて今更遅いって♪」
「赤くなんか…」


「「「嘘だっっ!!!!!!」」」

「な、なによ。びっくりするじゃない」
そんな大きな声じゃないけど、耳元で叫ばれたから少し耳がキーンってした。
「雛見沢のお持ち帰り少女のセリフだよ」
そんなこと言われても私に分かるわけないだろ。あぅあぅ。
「3期まだかな、かな」
「ついていけん」
魅音より詩音派だとか、鷹野がたまにエーテルに見えるとか、私にはついていけない話だ。
え、詳しいって?富竹は黙って写真でもとっておきなさい。
97たまには…:2008/03/18(火) 19:55:03 ID:g5V3Gyg9
「………かがみん」
そんなことを考えていると再度こなたが私の名前を呼んだ。
「ん?」
もう読む気も失せたラノベをパタンと閉じてこなたの方を向く。
「暇だね」
「……そうね」
「だけどね」
「?」
「かがみといるから暇じゃない」
だから、そんな恥ずかしいことを平気で言うな…っ!!
「……む、矛盾してないか。それ」
耳まで真っ赤になってるだろう顔を背けるのが精一杯で、悪態をつける余裕がない。
「私の中では正論だよ」
「随分狭いストライクゾーンな正論だな」
やばい、私今絶対顔緩んでる。
自分が思っている以上、私はこなたのことが好きなんだなぁと他人事のように思う。
こなたの一言にこんなに心が躍って、こなたの行動一つ一つがこんなに愛しくて。
「かがみは?」
「へ?」
腰に回されたこなたの腕から伝わる体温が、私を包んでいく。
「暇?」
「まぁ、暇っちゃ暇だけど…」
「だけど?」
服を隔てて伝わるその温度が、耳をくすぐるこなたの吐息が、どんどん私の心を溶かしていく。
どこまでも深いエメラルドグリーンの瞳が素直になってもいいよ、と。
そう言っているようで。
…そうね。『たまに』は素直になるのもいいのかもしれない。
だけど、やっぱり恥ずかしくて。これくらいなら、いいわよね。


「アンタといるから、暇じゃない」


カランと鳴ったコップの中の氷の音とほぼ同時に視界がこなたで埋め尽くされた。
唇から感じる甘い甘い感触にゆっくりと瞳を閉じながら、この『たまに』が永遠に続きますようになんて、らしくない事をかんがえていた。
9818-490:2008/03/18(火) 19:57:42 ID:g5V3Gyg9
以上です。
自サイトで書いた日記をアレンジしてみました。
余談ですが、明日から(今更ですが)らき☆すた聖地巡り旅行しにいきます。

それでは読んで下さった皆さん、ありがとうございました。
重ねて、連投失礼しましたorz
99名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 20:08:36 ID:YH1VTwW+
>>98
流れを変えるには投下が一番!
ほのぼのとした甘さが読むのに丁度良いのですよ。
GJ!
100名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 20:08:42 ID:qJ7nOXWR
>>98
うむ、今日からキミの名前は「こなかが&かがこなマスター」だっ !
101名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 20:16:49 ID:8U6sgrJt
GJ!

これはいいこなかが。癒されるなあ。
102名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 20:18:17 ID:K7wEhouh
>>98
昨日といい今日といい、萌え殺す気ですか貴方は。
ていうかラストの台詞がね。もうね。ぐっじょぶ。
103名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 20:52:22 ID:uyypVpic
>>90
時代物?
このスレにそんなのあったっけ
104名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 21:06:17 ID:Dz+IGjZz
>>103

人袖は時代物だと思うが。
話がゴーカイにSFだから忘れがちだが。
105名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 21:35:36 ID:UJWeW0/p
>>98
ぐっじょぶすぎる。
萌え死ぬところだったぜ
106名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 21:43:56 ID:uyypVpic
>>104
それがあったか
個人的には大好きな話だから>>90に激しく期待


そういやあの作者さんも最近見ないね、TSものマダー?
107LD:2008/03/18(火) 22:24:30 ID:o6pR++ev
 
 こんばんわ。だいぶ暖かくなって、そろそろ冬物だと暑く感じるようになった今日この頃、如何お過ごしでしょうか?
 リクエスト(?)があったホワイトデーSSゆたみな版が書き上がってしまったので、投下しようと思います。
 良作の後で些か腰が引けてしまいますが……そこはそれ、気にしちゃいけませんねw
 イベント物としては賞味期限が切れてるっぽいですが、その辺りはご容赦願いますm(_ _)m
・ゆたか×みなみ
・4レス&後書き1レス使用予定
・エロ有り
・ホワイトデー物

 では、他の方と重ならなければ投下開始します。
108M.Y. Sweet Lovers!(1):2008/03/18(火) 22:25:44 ID:o6pR++ev
 
 学年末試験も終わって、テスト休みになりました。この休みが明ければあとはHRなどを済ませて春休みになります。
 そして今日は3月14日。ホワイトデーと呼ばれる女の子達には大切な日の一つです。
 去年までの私にはあまり関係ない話だったけど、今年からは……
 一月前のバレンタインデーに告白したのは私から。告白されたみなみちゃんも同じ想いだったようで、そのまま抱き締められてチョコと一緒にお互いのファーストキスもプレゼントし合う事になったのは、今思い出しても頬が緩んでしまいます。

「こんにちわ、みなみちゃん♪」
「いらっしゃい、ゆたか。外はまだ寒かったでしょ?上がって……。」
「うん、いいお天気だったけどやっぱり少しね。それじゃお邪魔しまーす。」
 何度かお邪魔してすっかり履き慣れてしまったスリッパに足を入れると、廊下の奥からチェリーちゃんがやって来て私の胸に飛び込んできました。
「チェリーちゃんもこんにちわ。」
 大きな体に押し倒されそうになりながら、頭を撫でてあげると尻尾を振りながらほっぺを舐めてきて、少しくすぐったいです。
「チェリー、そのくらいにして……」
「大丈夫だよ、みなみちゃん。チェリーちゃんも加減してくれてるし。」
 私の言葉にみなみちゃんは苦笑しながら、一緒にチェリーちゃんを撫でてあげてます。
 しばらく3人でじゃれ合っていると、みなみちゃんのお母さんも顔を出して、
「あら。いらっしゃい、ゆたかちゃん。今日明日はゆっくりしていってね。みなみも楽しみにしていたみたいだし、ね。」
「お、お母さん!」
「はい、お世話になります。」
「ふふっ、それじゃあみなみの事よろしくね。あとでお部屋にお茶を持っていくわね。チェリー、いらっしゃい。2人の邪魔しちゃダメよ?」
 そう行っておば様とチェリーちゃんは揃ってその場を離れ、みなみちゃんと私が残されました。
 みなみちゃんは顔をうっすらと赤くして、
「じゃあ、部屋に行こうか。」
 と言って私の手を取って歩き始めました。

「あれ?本が少し増えてる?」
 みなみちゃんのお部屋に着いてコートと荷物を置いた私は本棚に見慣れない本が増えてる事に気づきました。背表紙のタイトルを見ると、英語じゃない外国語で書いてあってどんな本かわかりません……
「うん。よかったら読んで欲しい……」
 そう言いながら取り出してくれた本は、
「え?でも、これって外国語だよね?私じゃ読めないよ。」
「大丈夫。ほら。」
 表紙をめくると、中は日本語で書かれていました。
「翻訳されたものだから、ちゃんと読めるよ。」
「あ、ホントだ。背表紙が外国語だったからビックリしちゃったよ。」
「読んでみて、気に入ったなら持って帰ってもいいよ。」
「えっ?そんな、悪いよぅ。」
「これは、ゆたかの為に揃えた本だから。」
 みなみちゃんの言葉に驚いてタイトルを確認すると、それは童話集でした。
「もし持って帰らなくても、いつでも読みに来てくれていいよ。ゆたかが来てくれると、その……嬉しい、から。」
 顔を真っ赤にして、そっぽを向くみなみちゃんが何だか可愛く見えて、私の為にこんなにしてくれた事が嬉しくて、思わずぎゅっと抱きついちゃいました。
「ありがとう、みなみちゃん!」
「っ……気に、しないで。私も読んでみたいと思ったから。ゆたかが好きなものだし……」
 その言葉とともに優しく抱き締められて、みなみちゃんを見上げると私を見つめるみなみちゃんの目と合って……私はそのまま瞳を閉じて……みなみちゃんの顔が近づいてきて……
109M.Y. Sweet Lovers!(2):2008/03/18(火) 22:26:56 ID:o6pR++ev
 
「ゆたかちゃん、みなみ。お茶を持って来たわよー。」
 と、おば様の声がドア越しに聞こえたので、2人揃って弾かれたように体を離してしまいました。
「お、お母さん。ありがとう、今開けるから。」
 ゆっくりとドアを開けると、トレーにティーセットを載せたおば様が入ってきて、
「はい、お待たせ。」
 と言いながら、慣れた手つきで紅茶を淹れてくれました。
「ありがとうございます、おば様。いい香りですね。」
「そう?ありがとう。熱いから気をつけてね。」
 こんな風にやり取りしながら、心臓は近くにいたら聞こえちゃうんじゃないかな?と言うくらいにドキドキと高鳴ったままで……
「あら?ゆたかちゃん、顔が赤いけど大丈夫?暖房が効き過ぎてるのかしら?」
「いえ、平気ですよ。外がまだ少し寒かったからだと思います。」
 こんな言い訳がスラスラと出てくる自分に少し驚きです。
「それならいいのだけれど。それじゃあ私は居間の方に戻ってるわ。お菓子は……いらないわよね?」
 と、私達を見てウィンクを一つ。思わず顔が火照ってしまうのが分かりました。

 おば様が去って、わずかに気まずい沈黙の後。
「ゆたか。」「ねぇ、みなみちゃん。」
 と、2人の声が重なりました。お互い顔を見合わせた後、思わず笑ってしまいました。
「私ね、クッキー焼いてきたんだ。今日はホワイトデーでしょ。」
「私も。考える事は一緒だね、ゆたか。」
 また笑い合いながら、私はカバンから、みなみちゃんは机の引き出しから、それぞれ可愛くラッピングされた袋を取り出しました。
 お互いの袋を交換してテーブルに広げると、2人きりのお茶会です。
 この1年の事を振り返ったり、春休みの事に思いを馳せ、来年も一緒のクラスに慣れたら……そんな取り止めもない事を話して、笑い合い、時に拗ねてみたりしながら時間が過ぎていきました。

 気がつけば、時計はもう6時を回っています。おば様が夕食をご馳走してくれると言っていましたが、何もしないのはやっぱり悪いと思ってみなみちゃんと台所へ向かい、お手伝いをする事にしました。
 その後、3人で支度した夕食を食べながら、色んな話をしました。学校の事、私自身の事、私の知らないみなみちゃんの事……みなみちゃんと話すのも楽しかったけど、こうしておば様と話す機会はなかったので、
みなみちゃんには申し訳ないと思いつつ色々な事を聞いちゃいます。
 慌てて止めようとするみなみちゃんを見ながら、みなみちゃんが家に来たら私も同じようになっちゃうのかな?なんて思いながら楽しい時間はあっという間に過ぎてしまいました。
110M.Y. Sweet Lovers!(3):2008/03/18(火) 22:29:05 ID:o6pR++ev
 
 後片付けを済ませると、みなみちゃんと一緒にお風呂に入りました。
 誰かと一緒にお風呂に入るなんて滅多にないので恥ずかしくもありましたが、みなみちゃんとだと不思議と安心していられます。やっぱり、好きな人、だからでしょうか?
 お互いに背中を流しているうちに、みなみちゃんが
「ゆたか。お願いがあるんだけど、いい?」
「ん〜?なぁに、みなみちゃん?」
「その……む、胸を……もん……」
「え?よく聞こえないよ?」
「私の、胸を、揉んで欲しい、な……」
 今まで見た事もないほど顔を赤く染めて、消え入りそうな声でそう言ってきました。
「……えっと、聞き間違えじゃなければ、『胸を揉んで』って言ったの?」
 小さく頷くみなみちゃんを見て、言われた事を反芻して……私まで顔が真っ赤になってしまいました。
「な、なななな!なんで急にそんな事っ?!」
「その、好きな人に、してもらうと……大きくなるって、ゆかりさんが……」
 ゆかりさんって確かみなみちゃんのお隣の高良先輩のお母さんのはずだけど、そう言えばあの人も高良先輩ほどじゃないけど大きな胸だなぁ、とか、こなたお姉ちゃんも以前同じ事言ってたけどあれって本当なんだ、とか。
 そんな色々な事が頭の中をグルグル飛び交っていると、昼間と同じようにゆっくりと抱き締められて、
「ゆたか、大丈夫?嫌なら無理しなくていい。でも、こんな事ゆたかにしかお願い出来ないから……」
 そう耳元でそっと囁かれると、寒くないはずなのにゾクッと背筋を何かが走り抜けた感じがして、自然と私の口からこんな言葉が……
「うん……いいよ、みなみちゃんのお願いだもん。それに今、私の事が好きって言ってくれたんだよね。」
 顔を上げると、みなみちゃんの赤い顔を潤んだ瞳が目に入り…顔を近づけて唇を重ねると、ゆっくりとみなみちゃんを押し倒しちゃいました。
「んっ……ゆたか……いいの?」
 応える代わりにもう一度キスをすると、私の中で何かが弾けた感じがして、そのまま私の手はみなみちゃんの胸を優しく撫で始めていました。
「んん……んっ、ふぁ……ゆたかぁ……」
「ふふふ。みなみちゃん、可愛いよ。」
 私はみなみちゃんの唇を啄ばむように何度もキスしながら、ささやかだけど確かに感じる乳房をゆっくりと揉み始める。
 手の平で自己主張を始めた乳首を擦るようにすると、みなみちゃんの口から漏れる切なげな吐息と声に混じる何かが大きくなっていくのを感じ取ると、
「ねぇみなみちゃん。気持ちいいの?」
 みなみちゃんの耳元で囁きながら、耳に舌をゆっくり這わせればビクッと体を震わせて小さく頷き、
「うん。きもち、いいの……ゆたかが、して……くれると、自分でするよりも、すごく……ひゃんっ!」
「ふぅん、自分でもしちゃうんだ〜。みなみちゃんってエッチなんだね。」
 みなみちゃんの告白を聞きながら右手で乳首をきゅっと摘んで、そのままクリクリと捏ねるようにしながら、左手は強く乳房を揉んだり優しく撫でたりを繰り返していく。
「あぅっ!それ、すごいっ!んん……ふぁ、ゆたかぁ……」
 可愛く喘ぎながら、私にしがみつくみなみちゃんの足が僅かに擦り合わされていくのを感じると、左手を離す代わりに唇で乳首を銜え、ちゅぅちゅぅと赤ちゃんのように吸いながら、膝をみなみちゃんの足の付け根……女の子の大事な所に当てて、強めにグリグリと擦りつける。
「ひっ?!いやっ、ゆたか!それ、だめぇっ!」
 私を抱き締めたままビクビクッと体を震わせたかと思うと、みなみちゃんの体から力が抜けてしまい、私の下でぐったりとなってしまいました。
「みなみちゃん。もしかしてイッちゃった?」
 耳朶を甘噛みしながら囁くように尋ねると、小さく頷いて、
「ゆたか……すごすぎ、だよ……どこで、こんな事を?」
「えへへ、お姉ちゃんの部屋の本をちょっと、ね。」
 優しくみなみちゃんを抱き起こして、頭を撫でてあげながらそう答えると、シャワーを出してみなみちゃんの汗をゆっくり洗い流してあげました。
 その後はじゃれ合うようにしながら一緒に湯船に浸かって、ゆっくり温まりました……ちょっとだけ、みなみちゃんの胸に悪戯しちゃいましたけど、ね。
111M.Y. Sweet Lovers!(4):2008/03/18(火) 22:30:19 ID:o6pR++ev
 
 お風呂から上がってみなみちゃんのお部屋に戻ると、一緒のベッドでお喋りして……ふと会話が途切れた時にどちらからともなく唇を重ねると、またみなみちゃんの胸を『マッサージ』し始めちゃいました。
 今度は胸だけでは物足りなくて……みなみちゃんの体のどこもかしこも優しく、時に激しく悪戯してしまい……気がついた時みなみちゃんはぐったりとして、頷くのがやっとで……
 みなみちゃんの体を丁寧に拭いて、パジャマを取り替えてあげながら、
「みなみちゃん、本当にごめんね。」
 そう謝るのが精一杯でしたけど、みなみちゃんは弱々しく首を振って、優しく抱き締めてくれて……みなみちゃんの暖かさと穏やかになっていく心臓の鼓動に段々と睡魔が忍び寄ってきました。
 まどろみの中、僅かに残った意識に1つだけ引っ掛かるものがありました。悪戯の最中にチャイムの音を聞いたような気がしたのですが、それを確かめる前に私はみなみちゃんの体の暖かさに誘われるように、ゆっくりと夢の世界へと旅立っていきました。

 翌朝。
 目を覚ますと、みなみちゃんの安らかな寝顔が目に飛び込んできました。
 こんな無防備なみなみちゃんを見るのは初めてで、つい頬が緩むのが分かります。そのまま眺めていると、ゆっくりとみなみちゃんが目を開けて、
「おはよう、ゆたか。」
 と、微笑みながら声を掛けてくれました。
「うん。おはよう、みなみちゃん。」
 私も笑いながら挨拶をすると、みなみちゃんの唇にちゅっとキスをしました。
 ほんのりと頬を染めるみなみちゃんにドキドキしながら、一緒に着替えてダイニングに向かうと、夕べいなかったはずの人物がおば様とお茶を飲んでいるのが目に入りました。
「あらあら、2人ともおはよ〜。」
 ニコニコと手を振りながら、呆然とする私達に挨拶したのは……
「ゆ、ゆかりさん?なんで、ここに?」
「違うでしょ、みなみちゃん。朝は『おはよう』でしょ。ねぇゆたかちゃん?」
「あ。そ、そうですね。おはようございます、ゆかりさん。」
「おはよう、ゆかりさん。それで、どうしてここに?」
「んーとね。夕べ、ちょっとお家にいられなくなっちゃってね〜。それで、みなみちゃんのママにお願いしてお邪魔させてもらったのよ〜。」
 と、何でもない事のように答えるゆかりさんを見て、ふとある事を思い出しました。
「そう言えば、昨日はお姉ちゃんがお泊りに行ったんですよ、ね……って、もしかして?」
 そう口にすると、ゆかりさんは糸のように細い目をますます細めて、
「そうなのよぅ。だからお邪魔虫は退散しないと、って思ったんだけどぉー……」
 私の想像を肯定するように笑いながら言うと、私達2人を一緒に抱き締めると、
「夕べはお楽しみでしたね〜〜♪」
 と一言囁いてきました。
「っ!ゆ、ゆかりさん!!何で、それ?!」
「さ〜って、何の事でしょうねえ?」
 私は口をパクパクさせる事しか出来ず、みなみちゃんはカチンコチンに固まってしまいました……
「ほら、3人とも。ご飯が出来たわよ……って、どうしたの?」
「んーん、2人とも仲がいいわね、ってからかっただけよ〜。」
「全く。そうやってすぐみなみをからかうんだから。本当にゆかりさんはみなみがお気に入りなのね。」
 おば様が何も言って来ないのは気づいてないのか、黙認してくれてるのか……どちらにしても、これ以上はみなみちゃんが大変そうなので、
「ほら、みなみちゃん。冷めないうちに食べようよ。おば様、朝ご飯も美味しそうですね。」
「ええ。お客様が2人もいるから、少し張り切っちゃったわ。ほら、みなみも席に着きなさい。」
 私達に促されてようやく立ち直ったみなみちゃんも席に着いて、4人での朝食は普段こなたお姉ちゃんの家で食べる食事とはまた違った美味しさがありました。
112M.Y. Sweet Lovers!(5):2008/03/18(火) 22:30:45 ID:o6pR++ev
 
 その後は昨日の本をみなみちゃんと一緒に読んだり、おば様達とお喋りしたり。
 みなみちゃんのピアノの演奏をチェリーちゃんと聴いていたら、チェリーちゃんを抱き枕にしてうとうととしてしまい、気がついたらみなみちゃんも一緒に私を挟んで川の字で寝ちゃっていたみたいでした。
 夕方、みなみちゃんの家を出る時にゆかりさんが、
「今日はお世話になっっちゃったから、お夕飯はうちで食べていかない?」
 と誘ってくれたので、みなみちゃんとおば様、私の3人はゆかりさんと一緒に高良家へ行く事になりました。
 その時に嬉しそうに携帯電話を私達に見せてくれました。そこには……
「どう?キレイに撮れてるでしょう。ホント2人はうちのみゆき達と一緒でお似合いよね〜〜。今度は2人のツーショットとか見たいわねぇ?」
 みなみちゃん、私、チェリーちゃんの川の字が写っていました。
 写真とゆかりさんの一言に、私達は揃ってリンゴの様になるしかありませんでした……
113LD:2008/03/18(火) 22:32:47 ID:o6pR++ev
 
 以上で終了です。
 1レスオーバーしてしまいましたが;;
 Hシーン難しい……それ以上にみなみ母の扱いが難攻不落の壁に思えました。
 みなみ母の出番をもっと要求する!って言うか、せめて名前だけでも……

 それでは皆様、風邪や花粉に気をつけて下さいまし
 次回作……どんなカップリングにするか未定ですが、その時までさようならですノシ
114名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 22:50:46 ID:UjDfaCaX
>>113
うは、ゆ か り さ ん 恐 る べ しw
そしてゆかりさんの言葉から考えると、もしやこなた×みゆきも同時に成立しているのか?
だとしたらそっちのバージョンも要求する…させてください。とにかくGJ!

>>98
流れ変えGJ
そして、 >(今更ですが)らき☆すた聖地巡り旅行しにいきます
大丈夫だ、同じ名目で先週ようやく埼玉・東京方面を巡ってきた俺もいるw
115名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 22:54:28 ID:K7wEhouh
>>113
ああ、なんて可愛いやらしいみなゆた。
そしてここでもゆかりさんは無敵なのですか。嗚呼。
116LD:2008/03/18(火) 23:06:43 ID:o6pR++ev
 まとめwiki更新終了しました。

>>114>>115さん
 GJありがとうございます♪
 私の中では、どうもゆかりさんは最強っぽいですw
 そしてこなゆき話は前スレにて「チョコレートトラップ!」(非エロ)と言うタイトルでUPしてあります。
 wikiに保管済みなので、よろしければお楽しみ下さいませ。
117名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 23:45:39 ID:NxWRPKbp
>>113
いやぁ、ニヤニヤさせて頂きました。
糖尿病の検診受けてきますノシ


つまり、GJ!! 次の作品にも期待しますよ。
118名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 00:48:44 ID:5Tchlzor
どうでもです
昔話モノに触発されて一発ネタを一本、猿蟹合戦のパロディです
他にどなたもおられないようでしたら五分後ぐらいから投下させてください

・4レス
・エロ無し
119さる☆かに 1/4:2008/03/19(水) 00:53:08 ID:5Tchlzor
 
 昔々あるところに、二匹のサルとカニがおりました。
「誰がカニだ!」
 いきなり怒鳴らないでください。
「なに怒ってんだよひーらぎ」
 そんなカニを、サルがなだめます。
「そんなコトよりもさ、ひーらぎ、そのミートボールとこの柿の種、交換してくれよ」
「イヤよ。なんでそんなことしなきゃなんないのよ」
「えー。だって台本にそう書いてあんだもん」
「台本言うな」
 カニの冷たい声を無視して、手にした薄い冊子をパラパラめくりながらサルが言います。
「えーっと……ミートボールは食べたら終わりだけど、柿の種は植えて育ててを繰り返したら
ずーっと柿を食べ続けられる、だって。だから交換してくれ、ひーらぎ」
「だったらアンタがずっと柿を食べればいいじゃない」
「うぅ、あやのぉ。ひーらぎが冷たいぃ……」
 サルが、隣にいたもう一匹のサルに泣きつきます。
「よしよし」
「なんでサルが二匹いるんだ……」
「あら、柊ちゃん。最初に『二匹のサル』と『カニ』って言ってたわよ?」
「サルとカニあわせて二匹だと思うでしょ普通!」
 それは文法的におかしいです。
「そんなことよりも、柊ちゃん。私からもお願い。交換してあげて?」
「あー、もう。わかったわよ。今回だけだからね」
 カニはかすかに紅潮させた顔を斜めの角度に逸らしつつ、無造作な手つきでミートボールを
 サルに突き出しました。
「やったー! ありがとなひーらぎ!」
「べ、別にアンタのためじゃないわよっ。ただ、柿の方が美味しそうかなって思っただけよ。それに、
カロリーも低そうだし。アンタもお肉ばっかりじゃなく、ちゃんと野菜も食べなさいよねっ」」
「おーおー、絵に描いたようなツンデレだねぇかがみ」
 と、そこに一匹のハチが飛んできました。
「うっ、うるさいわね! ……ってゆーかアンタ、ハチなの?」
「そだよ。……うぅ〜〜ゅうぅ〜〜ぅうぅうぅうぅ〜〜ぅゅうぅぅ〜〜〜〜……」
 訝しげなカニの問いに答えるように、ハチはエンジン音のような羽音を響かせ飛びまわります。
 そしてその向こうには一台の臼が、
「お……重いぃ〜、動けない〜……助けてお姉ちゃぁん……」
「何やってんのよアンタは……」
 地面に半分埋もれてもがいていました。
「いや、ってゆーかつかさが臼? さすがに脈絡がなさすぎない?」
「お……おもちうにょ〜ん……熱いぃ」
 臼の中ではつきたてのお餅がほっかほかの湯気を立てています。
「あー、はいはい……」
 カニは頭を抱えてしまいました。
 と思ったらパッと立ち直ります。
「ってゆーか! アンタたちの出番はもっとあとでしょうが!」
「だって退屈なんだもん。ぅうぅ〜〜んぅん〜んぅ〜んぅ〜〜うぃゅうぅぅうぅぅ〜〜」
「耳元で飛び回るなうっとうしい!」
「きゃあ〜、シザーハンズが怒ったぁ〜」
「誰がジョニーデップだ!」
 仲がよろしいですね。
「そだね……ってゆーかゆきちゃん、助けてぇ。重いぃ、熱いぃ……」
 そうして差し上げたいのはやまやまなのですが……何せ今の私は声を出すしかできないものでして。
 申し訳ありません。
「うぇえ〜ん」
「あ、ナレーションてみゆきさんだったんだ」
 ええ、お恥ずかしながら。
 ……最大の特徴と言っても過言でない“敬語”をフル活用していましたのに、つかささんにしか
 気付いていただけませんでした……
120さる☆かに 3/4:2008/03/19(水) 00:54:28 ID:5Tchlzor
「いや、だって昔話の語りなんてだいたい敬語だから。――ってゆーか何の話だこれ!」
 知るもんですか!
「なんで逆ギレだよ!」
「……てぇかさー、なんかあたしらさながら背景じゃね?」
「まぁまぁ」
 と、忘れてました。
 二匹のサルは仲良くミートボールを半分こしてほおばっています。
「分けあってるのかよ」
「あったりまえじゃん」
 お二人ですからね。
 とまあ、そんなこんなを言っているうちに、柿の木はすくすく育ち、
 大きくて立派な実をたわわに実らせていました。
「おー! すっげーな、さすがひーらぎ!」
「いや、植えた覚えすらないんだけど」
 気にしないでください。
「なんだかな……ま、いいわ。それじゃさっそく……って、あれ? の、登れない!?」
 それはそうですよ。
 カニが木に登れるはずがないじゃないですか。
「そんな! カニはカニでも私はヤシの実を食べて生きているヤシガニなのよ!
木の登れないはずがないわ!」
 そんな設定ありませんよ。
 それにヤシガニというのは、カニと名付けられてはいますが、ヤドカリの一種であって、
 カニとはまったく別の生き物です。
「そ、そんな……」
 カニは愕然となりました。
 このままではせっかく苦労して育てた柿が食べられません。
「いや、つーか勝手に生えたんだけど……こなた!」
「へ? なに、かがみ?」
「アンタ飛べるでしょ! 取ってきて!」
「んゅ〜〜、花粉だけでいいなら」
「いいわけないでしょ! ってか実に花粉なんか付いてないわよ! ――つかさ!」
「……おもち、食べる?」
「いらないわよ! おもちはカロリー高いんだから!」
「あー、マッチ箱の大きさでお茶碗一杯分、だっけ」
 ええ、その通りです。
 ちなみに柿のカロリーはおもちの四分の一程度だそうです。
「じゃ、みゆき! あんたが取って!!」
 はい?
 いえ、ですから私は……
「ナレーターでしょっ。だったらこう――実が勝手に落ちてきたーとか言えばそのとおりになるはずよ!」
「おー、なるほど」
「お姉ちゃん頭いいー」
 無理ですよ。
 私にできるのはその場の状況を描写することだけです。できるならとっくに臼さんを助けてますよ。
「ああ〜〜! だったらどうしろってゆーのよ!」
「諦めておもちにすれば? つかさの」
「それじゃ意味ないでしょーが!」
 カニは地団太を踏んで悔しがりました。
「実況すんな!」
 ひゃあっ、ごめんなさいっ。
「や、やつあたりは駄目よ、柊ちゃん」
「そーだぜー。ホントなにやってんだよひーらぎ」
 と、そこにミートボールを食べ終えた二匹のサルが割り込んできました。
「今まで食ってたのか……」
121さる☆かに 3/4:2008/03/19(水) 00:55:29 ID:5Tchlzor
「あたしに頼みゃいーじゃん。木登りならサルに任せとけって」
 言うが早いか、サルはするすると柿の木を登っていきます。
「ああっ! ま、待ちなさい日下部!」
「だいじょぶだいじょぶー。落ちゃしねーって」
「アンタの心配なんかしてないわよ!」
 カニは怒鳴り声を上げると、その場にへたり込んでしまいました。
「ううっ……私はこのまま青くて硬い実をぶつけられて死んでしまうのね……あんまりだわ……」
「ひっでーなぁ。んなコトするわけねーじゃん」
「へ?」
 すぐ真上からかけられた声に、カニは伏せていた顔を上げます。
 すると両手一杯に美味しそうな柿を抱えたサルが、不満そうに見下ろしてきていました。
「はい」
 そして、サルはその一つをカニに手渡します。
「は……」
「ほら、ちびっ子と妹さんも」
 茫然とするカニを置いて、サルは他の人たちにも柿を配り始めます。
「おー、サンキュー」
「ありがとう、みさちゃん」
「ありがと……でも、乗せないで……」
 あ、私にもいただけるのですか? ありがとうございます。
「ちょっと!」
 カニが跳ね起きました。
「何やってんのよ日下部! 何素直に取ってきてんのよ! それもきっちり人数分!
台本持ってんならちゃんと書いてある通りにやりなさいよ! 話が成り立たないじゃない!」
 茹でられたみたいに真っ赤になって、カニは声を張り上げます。
「ええ? ちゃんとやってるってば。ひーらぎこそちゃんと読んだのか?」
「読まなくても知ってるわよ! 『さるかに合戦』の筋書きぐらい!」
 え?
 あの、カニさん?
「誰がカニよっ!!」
 さっきご自分でヤシガニ宣言なさったじゃないですかぁ!
「あ、あんなのはちょっとした勢いよっ! ……それで、何よ」
 ええと、カニさんは勘違いをしていらっしゃいます。
 このお話は『さるかに合戦』ではありません。
「はあ?」
 サルさんの持っている台本の表紙に書かれたタイトルをよく見てください。
「ん? コレか?」
「タイトルって……『さる☆かに』?」
「あれ? 『合戦』がついてないよ?」
「え?」
 はい、臼さんの仰るとおりです。
「……どういうことよ」
 ですから、別に争う必要はないんです。
 これは、みなさんで仲良く柿を食べるという、ただそれだけのお話なんです。
「な……」
「おー、ホントだ。書いてある」
「そうなの? ……あら、ほんとう」
「なるほど。私たちらしいオチっちゃオチだね」
「そうだったんだぁ」
 というわけで、カニさん。
 ご一緒に柿をいただきましょう。ほら、とっても美味しそうですよ?
「……な」
 な?
「納得いかねえーーーーっ!!」
122さる☆かに 4/4:2008/03/19(水) 00:56:31 ID:5Tchlzor
 
     ☆


 ぱち、ぱち、ぱち。
 焚き火の薪がはぜる音。
 「イメージだよイメージ」という、こなたのよくわからない主張のもと、私たちは夜の浜辺で
 焚き火を囲んで柿をぱくついている。
 なにやってんだろう、って気分だわ。
 ちなみにみゆきも一緒。
 ナレーターのままでは食べられない、ということで、今はこうしてみんなの前に姿を現している。
 どっからどうやって出てきたのかしら。
 ってゆーかサルやらカニやらに混じって一人だけ普段着な人間なもんだから、違和感が酷い。
 そもそもコレってどういう世界なのよ。
 日下部と峰岸のサルとつかさの臼は微妙に着ぐるみっぽいけど、
 カニの私とハチのこなたは、リアルに考えたらかなり気持ち悪い人面生物だし。
 いや、まあ、それもどーでもいーっちゃどーでもいーんだけど。

「――かがみ?」
「え?」
 物思いから回復すると、ハチのこなたが私の顔のすぐ前を飛んでいた。
「どったの? ボーっとして」
「……別に」
 そっぽを向く。
 けど小回りの利くこなたは、ひょいと簡単に回り込んでくる。
「ねぇねぇ」
「……なんでもないわよ。ちょっとボーっとしてただけ」
「ぅう〜〜ぃゅいゅいゅぅ〜〜」
「だから耳元を飛ぶな!」
 ハサミで追っ払うと一旦離れるけど、またすぐに戻ってくる。
「じゃぁさ、じゃぁさ。さっきはなんで、あんなに『合戦』にこだわってたの?」
「……」
「ひょっとして、みさきちに殺されたかったとか? それなんてヤンデレ?」
「そんなわけないでしょ! ……別にこだわってないわよ。ちょっと、そう思い込んでただけ」
「ホントにぃ〜?」
 ハチの姿でも変わらない猫口が、ニヨニヨと笑う。
「ホントよ。ってかアンタも知らなかったじゃない」
「そうだけどさぁ〜……怪しいなぁ?」
「何も怪しくなんかないっての」
 まったく。
 言えるわけがないじゃない。
 アンタが私のために戦ってくれると思った、なんて。
「うぅうう〜ん、ツンデレの香りがするだけどなぁ〜? ぁぅうぅゅうぅうぅうぃゅぉ〜〜」
「だーっ! もぉアッチ行けー!」




12323-49:2008/03/19(水) 00:59:01 ID:5Tchlzor
以上です
ありがとうございました

なんかもう色々ごめんなさい
番号振り間違えてごめんなさい
連載ほっぽり出してるのもごめんなさい
そして何より栗と牛のフンも出せなくてごめんなさい
124名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 01:14:52 ID:lqVV8Ppu
これは素敵な「かに×はち」ですね、GJ

ってか妙に面白いと思ったらあなたでしたか
あなたの作はただ会話してるだけでも面白いんだよなぁ
125名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 01:37:24 ID:2OwJE3jG
>>123
夜食のグレープフルーツが爆発四散した。あんたってやつァァ!!!

GJだあああ!!!!
126名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 03:07:21 ID:mNCXQtgG
これから投下したいのですが、大丈夫でしょうか?
12723-308 ◆LkanLwwtJA :2008/03/19(水) 03:08:53 ID:mNCXQtgG
大丈夫みたいなので、投下させてもらいます。

ども、前に軽VSGT-Rを書いた23-308です。久々にネタSSができたので投下します。
・ホワイトデーネタ
・思いっきりパロしまくり
・もち非エロ
・4レスくらい
では投下します。

ぶっちぎーりにしーてあげるーうたーってるばあいじゃねぇよ!
12823-308 ◆LkanLwwtJA :2008/03/19(水) 03:09:34 ID:mNCXQtgG
らき☆すたもしもシリーズif NO.002 こなたVSつかさ
〜もしもこなたとつかさが料理で勝負したら〜
2008/3/14 PM5:00 陵桜学園高等部校舎内家庭科室

「会場の皆さん、こんにちは。今回の料理対決の司会兼審査員の柊かがみです。」
と、言っても会場にはいつもの4人と1年ズしかいない。しかも、ゆたかとみなみは保健室に行っているので欠席、よってこの教室には6人しか居ない。
なぜ、この教室を借りることができたのかは面倒なので割愛させてもらいます。

「本日の対戦は…こなた対つかさ!」
「やほー負けないよ!」
「がんばるよ!おねぇちゃん!」
「今回のテーマは…ダイエットを考えたホワイトデーのお菓子!」

「「「「「「おー!」」」」」」

「かがみん…職権乱用?」
「こなた、うるさい!とにかく、試合開始!」

〜数十分後〜

「「できた!」」
「二人とも出来上がったようなので、早速審査に入りたいと思います。まずは…」
「かがみん!私からヨロ〜」
「かがみん言うな!こなた、あんたはクッキー作ったのね?」
こなたが持っているトレイには小さなクッキーが並べられていた。
「そだよ〜食べるなら出来たてだよ!」
「わかったわ」

サクッ
かがみがこなたのクッキーを一口食べた…その瞬間!

「「「「!」」」」

かがみが姿を消した!そして・・・

12923-308 ◆LkanLwwtJA :2008/03/19(水) 03:10:09 ID:mNCXQtgG
♪ひーとりがたりしーてもーいーいでーすーか〜
(JASRAC非許諾)

「え?何?これ…」

「おっはらっきー!小神あきらです!」

「!?」

突然の挨拶にこなたたちが後ろを振り向くと…
「白石みのるです!」
「柊かがみです」
「柊つかさです」
「今日も始まりました!らっきー☆ちゃんねる陵桜学園放課後の机! 」
「この番組は放課後…」

何故か、かがみは小神あきら、白石みのるとラジオをやっていた。つかさも一緒に…
「パティ!これは何事!?ってか、あの二人はどこから湧いた!?」
「Humm...多分、コナタのクッキーのエイキョウとオモイマス。」
「なんやて!?(byひより)」
「コナタが作ったのはおそらくおからクッキーでショウ。」
「なんで、それがラジオに…ハッ!」
「ソウ…おからクッキー→おからッキー→おはらっきー!となったと考えられまス。」
「無茶だーっ!」
「ふっふっふ…パティ、その通りだよ!あのクッキーにはかがみのためにおからを入れたのさ!
おからは(長くなりそうなので以下略。興味がある人は自分で調べて)。」
「そういうことですか!泉先輩!すごいっス!」
「でも、まさかあんなリアクションを取るとはね…予想GUYデス。」
「Boys be ambitious!?」
「あのパンマンガに作者が挑戦シテルとしか考えられマセンネ。」
「ベタなツッコミかもしれないっスが、作者って誰っスか!?」

一方、かがみたちは…
「今日って3月14日ですよね、何の日かわかりますか?」
「今日ってホワイトデーよね。ってか、対決の途中じゃん!」
「誰と対決してたの?」
「こなちゃんとだよ!おねぇちゃん、このケーキ食べて!」
「つかささんのケーキですか!僕もいいですか?」
「あっ!あたしも〜」
「「「じゃ、いただきまーす。」」」

パクっ!

かがみと白石とあきらがつかさのチーズケーキを一口食べた瞬間、また姿を消した!

「かがみ!?」
「おねぇちゃん!?」
「また、先輩が姿を消したっス!」
「今度はドコに!?」

会場にいた全員がかがみを探すが、家庭科室のどこにも見当たらない。
13023-308 ◆LkanLwwtJA :2008/03/19(水) 03:10:40 ID:mNCXQtgG
「陵桜学園高等部グラウンドにて何故か行われているD1グランプリスペシャルラウンド、追走トーナメント一回戦!
続いての組はブルーのマシンS14白石みのる、対するは今大会の紅一点、オレンジのR32柊かがみ!」

「「「「「!?」」」」」

そのアナウンスで一斉に窓に群がった家庭科室にいた全員が見たものは、何故かグランドがアスファルトで舗装されたサーキットになっていて、観客席は満員御礼、
審査席にはあの3人がいてしかも、あきらが乗ったロードローラーがコーナーをスモーク上げながらドリフトしていた。
「白石は第二戦で3位、二人ともここの高校の学生だそうです。」
「え?女子高生が乗ってるの!?なんで出てんの!?」
「今動きだしました、まずは一本目。白石先行、後追い柊!」

「間違いないね、オレンジの車に乗ってるのあれはかがみだ…」
「なんやて!?(byひより)」
「なんでおねぇちゃんあそこにいるの〜?」

「白石が突っ込む!柊も続く!」
S14に続いてかがみが乗っていると思われる324Rが凄いスピードで突っ込む。
「そのままクリッピングを通過!速い速い!柊速い!そのまま食い込む白石に食い込む!近い!近い!
ヤバイヤバイ!お前ほんとに女子高生か!?すごい勢いで柊が〜!柊が〜!喰いこんでくる!喰いこんでくる!」
第一コーナーをスモーク上げながら二台が並走、324RがS14のインに食い込む。
「並んだ!並んだ!おー!!これは凄い!サイドバイサイド〜!!!柊ヤバイ!!!6対4!柊優勢!」

「しかも、上手いし…」
「トリアエズ、下に行きまショウ、多分戻るのに時間かかるノデ、二本目には間にあうハズデス!」
「わかった!」

こなた達がグラウンドに着くと、丁度二本目が行われようとしていた。

「パティ、なんでかがみはこんなリアクションを取ったの?」
「コナタ、カガミが乗っていると思われル車を見てくだサイ。」
「あれがどうしたの?」
「あれハ、Bee☆RのB324Rデス。」
「それが私のケーキと何の関係があるの?」
「ツカサ、ケーキにハチミツを使いませんでシタカ?」
「え?うん…砂糖の代わりにね。」
つかさが照れながら答える。
「英語でbeeとハ、ミツバチの事なんデスヨ。」
「だから、かがみがあのクルマに乗っていると!?」
「でも、蜂蜜だけなら何もこんな事しなくても…」
「デハ、ヒヨリあのクルマの横を見てもそんな事言エル?」
と、言われ、こなた、ひよりが324Rの横を見る。そこには…
13123-308 ◆LkanLwwtJA :2008/03/19(水) 03:11:27 ID:mNCXQtgG
「「ちゅる○さん!?」」

そう、かがみのマシンの後部ににょろーんなキャラが描いてあった。(※マジで描いてあります)
「ちゅ○やさんと言えば、スモークチーズ好き。ツマリ、ハチミツ+チーズだからあのリアクションだったのでス!」
「「な、なんだってー!!」」
「でも、やっぱり他の表現方法が…」
「それは単に作者が好きだったからじゃない?」
「だから、作者って誰っすか!?」

「パトリシアさんのいうとおりよ!」

「「「「!!」」」」
「かがみ!?」
声がした先にはS14を下したのかレーシングスーツを着てヘルメットを持ったかがみがいた。

「そう、蜂蜜はダイエットには効果がある甘味料なの。(以下略)よって、勝者、この勝負、引き分け!」
「なんで!?」
「こなたのおからクッキーは毎日食べたいものだったわ。」
「それは私へのプロポーズと見ていいのかな?」
「ちがうわ!でもね、つかさのケーキも甘くておいしかったのよ。正直言って私のレベルじゃ甲乙つけがたいわ、黒柳さんに頼まないとね。作者も料理に詳しくないし…」
「審査丸投げ!?つーか、誰なんすか!?作者って!」
「だから、この勝負引き分け!」
「かがみん?じゃあ、このサーキットはどうするの?」
「どうせ、二次創作だからほっといてもいいんじゃない?」
「もうツッコむ気も起きないっす…」

「私の出番、ありませんでしたね…」

ちゃんちゃん♪
13223-308 ◆LkanLwwtJA :2008/03/19(水) 03:12:10 ID:mNCXQtgG
なんか、スイマセン…
呼び方もあって無いかもですorz
133名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 03:28:07 ID:zA1cz7gQ
これって、某焼き○てのネタか…
とりあえずGJ、そしておやすみ…
134名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 14:44:45 ID:76Q6snoq
>>116
そうか、そういえばあの話でもゆーちゃんとみなみんが真っ赤になっていた!
気づかなくってごめんなさい(自爆

>>123
さるかに! 合戦しないさるかに!! いやー、ほのぼのしてて心が和みました。
そしてこなた蜂にはぜひとも刺されたいです。アナフィキラシーショックって胸きゅん?(待て
とにもかくにもぐっじょぶでした。

>>132
なんですかこのカオスw
力技ではありますが、笑っちゃったので俺の負けです。というかみゆきさん影薄いよ、影薄いよみゆきさん。
次回がありましたら、「う・ま・い・ぞぉぉぉぉっ!」と叫んで巨大化したり色々する和装の紳士も是非。ぐっじょぶ。
135名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 18:16:20 ID:Ns5rqeCz
ひとつ小ネタみたいなものを投下させていただきます。
・みなみ&ひより、みなみ&パティ
・非エロ
で2レスほど使用します。
136みなみと腐女子コンビ 1/2:2008/03/19(水) 18:17:40 ID:Ns5rqeCz
 1.ひよりとみなみ

 あ〜もう、なんであんな気持ちになったんだろう。
 女の子相手にドキドキしちゃうなんて。
 それは、昨日のお昼休みのこと。
 その日は朝から気分が悪く、頭もクラクラしていた。
 きっと締切間近の原稿を終わらせるために徹夜をしたせいだ、などとと思っていたんだけど
 小早川さんや岩崎さんを心配させてしまったようで
「田村さん、顔色悪いけど大丈夫?」
 と聞かれてしまった。
 ――ただの寝不足だから、大丈夫。
 そう答えたんだけど、岩崎さんは私の額に手を当て
「……熱もあるし、保健室で休んだほうがいい。先生には私が言っておくから」
 と言って、私を保健室まで連れていってくれた。

 いつも小早川さんのことを気遣う岩崎さん。
 その優しさが自分に向けられているようで、少し嬉しかった。
 それはいいんだけどね、岩崎さんに支えられるように保健室へと連れて行ってもらう時、
 私はずっとドキドキしていた。
 今思うと、あのときの自分はどうかしてたと思う。
 きっと熱のせいで頭がぼうっとしてたせい。
 実際、女の子相手に自分がドキドキするなんて思ったこともない。
 でも、岩崎さんって顔も整っていて格好良くて……
 それで、岩崎さんの手が私に触れているというだけでドキドキしちゃうなんて。
 保健室のベッドに横になっているときも、しばらく様子をみてくれた岩崎さん。
 しばらくの間、私の体の上に手を置いていてくれた。
 きっと小早川さんの時もこうなんだろうけど、私はそれだけのことに妙にドキドキしてしまった。
 そして、岩崎さんが教室に戻る際には、もっと居てほしいなどと願ってしまった。
 具合が悪いときは心細くなるっていうから、きっとそのせいもあると思う。
 でもね、岩崎さん。
 あなたの、その顔で真剣に見つめられると誰でもドキドキしちゃうと思いますよ。
 だって岩崎さん、格好良いんだもの。
 でも今はただ、そのときの自分が恥ずかしいっ!!
137みなみと腐女子コンビ 2/2:2008/03/19(水) 18:18:31 ID:Ns5rqeCz
 2.みなみとパティ

 ある日の休み時間のこと。
「恥ずかしいって、パティ!ここ、教室!!」
「ベツにHugぐらいドウッテコトないデスよ」
 パティが田村さんに抱きつく、というのはこの教室ではよく見かけることだ。
 時々、パティってすごいなって思ってしまう。
 少なくとも私は、誰かに抱きついたりなんてできないと思うし。
『ゆたか……』
『みなみちゃん……』
 なぜか、私がゆたかをぎゅっと抱きしめる姿が浮かんだ。
 でも、恥ずかしいし私には無理だろう。
 そんなことを考えていたとき。
「ソレデハ、ツギはミナミですネ♪」
 そう言って、後ろからパティが私に抱きついてきた。
「なっ……」
「タダのHugデスよ。ベツにハズカシガルこともナイじゃないデスカ」
 そんなこといっても、恥ずかしいって。
 それより、胸、あるな……
「ムネをキにしてマスね?」
「そ、そんなこと……」
 思ったことをそのまま当てられ、自分でも顔が赤くなるのがわかる。
「もう、ミナミったらハズかしがりヤさんなんダカラ。カオ、マッカデスよ」
「そ、それはパティが急に変なこというから……」
 そう言いかけたところで、急に胸を触られた。
 揉まれてる……?
「な、なにをして……」
「ほら、ユタカのおネエさんがイッテタじゃないデスか。ムネはモメばオオキくなるって」
「で、でも、こんなこと……」
「こういうことハ、ワタシよりユタカにしてもらいたいデスカ?」
「そ、そんなこと……」
 パティ、いきなりそんなこと言いださないでよ。
『さ、触るよ……?』
 ゆたかの愛らしい顔が私を見上げて――って、何を考えているんだ、私。
 そうじゃなくて。
「あ、イマ、ユタカのことカンガエてましたネ?」
「――!!」

 このときのパティとのやりとりは、まるでゆかりおばさんといる時のようだった。
 パティとのやりとりの間、私の顔はずっと赤くなりっぱなしだった。
 そして、このときの会話はその後もしばらく話のネタにされてしまった。
138名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 18:19:42 ID:Ns5rqeCz
短い話ですが、以上です。
たまにはこういうのもいいかなと。
それでは、失礼します。
139名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 19:59:31 ID:N4YWWhzD
これは…イイ!!
ひよりんもみなみんも可愛くてグッジョブでした。
やっぱり一年生ズは最高です。
140名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 20:27:24 ID:76Q6snoq
>>138
なんて女子高ノリ! これが音に聞くパヤパヤというものですか?
知りあい以上百合未満の微妙な距離感が素敵でした。ぐっじょぶ。
141名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 21:08:00 ID:5tVXUa93
>>138
ひよりもパティもゆたかとみなみのことを気になってるんだけど
二人がカップルとして成立している(と思い込んでる)から
一歩引く、みたいな感じでニヤニヤしてくる。


これからSSを投下します。

・エロ
・みなみ×ゆたか
・4レス
142ベールの向こう側:2008/03/19(水) 21:08:38 ID:5tVXUa93
「失礼します」
 そんな挨拶を使うのは大抵、他人の家や部屋に入る場面になるけど、みなみちゃんが使う
場合は、保健室であることが多い。
 私は保健室のドアを開け、その腕で再びみなみちゃんにしがみ付く。なんでそんなことを
するかっていうと、みなみちゃんは私をお姫様抱っこしてるせいで両手がふさがってるから。
「小早川さん……ですね」
 机に座っていた天原先生が私たちのほうに向き直った。
 ……そっか、先生いるんだ……。
「ベッドをお借りしてよろしいですか」
「どうぞ。一番奥のベッドを使って下さい」
 私はベッドに横たえられて体は安定したけど、心は落ち着かない。それは、これからする
つもりだったことが楽しみだったからでもあったし、天原先生がいるせいでそれができなく
なりそうなせいでもあった。
「ちょうどお昼休みなので、ゆたかに付き添っててもいいですか?」
「それは構いませんが、お昼ごはんはいいのですか?」
「それは後でおいおい……先生はどうなさいますか?」
「お昼ご飯のことですか? 仕事があるのでもう少しここにいますが、その後にするつもり
ですよ」
「そうですか……」
 やっぱりダメみたい。仕方ないけど中止にするしかないと思った。
「何かあったときは私もいますから、岩崎さんも無理する必要ありませんよ」
「ありがとうございます。ただ、今はゆたかの傍にいたいので……」
 みなみちゃんが私のベッドの方に来ると、仕切りのカーテンを引いた。私たちの周辺だけ
が隔離された空間になる。
「ゆたかはそのまま寝ていてくれればいいよ」
「うん……」
 私の体調が悪いのは嘘じゃない。ただ、それに乗じてちょっと保健室のベッドを使わせて
もらおうと思っただけ。天原先生がいるから、本当にベッドを使うだけっていうことになっ
ちゃうけど。
「今日は残念だけど……」
 みなみちゃんにしか聞こえないくらいの小声で囁く。この一文だけなら誰かに聞かれても
問題ないけど、やっぱりやましい事は少しでも聞かれたくないから。
「いや、できないことはないと思う」
 みなみちゃんも小声で。
「む、無理だよ。だって、すぐそこに先生がいるんだよ?」
 いくら見られてないからって、他の人がいるところでえっちするなんて……。私たちは、
誰もいないはずっていう予定で保健室を選んだんだから。
「声を出さないで」
 それだけ言って、みなみちゃんは私のリボンタイに手をかけた。
143ベールの向こう側:2008/03/19(水) 21:09:21 ID:5tVXUa93
「み……」
 みなみちゃんの名前を呼びそうになって、口を噤んだ。この時点では何を言っても大丈夫
だったはずなのに、むしろみなみちゃんに止めさせるには、声を出すべきだったのに。
 みなみちゃんの表情を見る限り、真剣だった。何より、みなみちゃんは冗談でこんなこと
をするような人じゃない。
 みなみちゃんが私の制服の裾をつかんでたくし上げても、私は無抵抗だった。暴れたら音
がして先生にバレちゃうから。……それって自分に言い訳してるだけなんだけどね。
 結局、上着はすぐに脱がされてブラだけになった。拒絶するタイミングはいくらでもある
ってわかってるけど、みなみちゃんを見てるとそんな気持ちはどこかに消えてしまう。
 そのブラも脱がされて、胸が高鳴った。これから始まるんだって……。
「んっ」
 みなみちゃんの手が私の胸に触れて、思わず声を出しそうになった。いつもは優しく撫で
てくれるのに、今日は激しく揉んできて。
「っ!」
 みなみちゃんの手はとても温かい。熱いくらいだった。
 私の鼓動は激しくて、敏感になってるような気がする。
 みなみちゃんは私の瞳を真っ直ぐに覗き込んでる。
 そのどれが原因なのかわからない。全部かもしれない。いきなりのことで何がなんだか
わからないけれど、いつもより感じちゃってることは間違いなかった。
「んっ……ん」
「声を出さないで、ゆたか」
 そんなことを言ってるのに、胸を揉む手を少しも緩めてくれない。
 いつも優しくしてくれたから、知らなかった。胸を揉まれるとすごくエッチな気持ちに
なるっていうことを。いつもは少しずつ気持ちよくしてもらうような感じだった。
『おーす』
『あ、桜庭先生』
 保健室のドアがガラッって開いて、桜庭先生の声が聞こえてきた。
『ふゆき』
『学校では先生を付けて下さいって言ってるでしょう』
 桜庭先生って、天原先生のことを名前で呼ぶんだ。
『結婚してくれ』
 ごく普通に、何の緊張感もなく、桜庭先生は言ってのけた。
 私がみなみちゃんに告白したときは、心臓が張り裂けそうだった。もし断られたら世界は
終わるっていうくらい思いつめて、ようやく告白した。
 それを桜庭先生はあっさりやってしまった。
 私たちでは到底及ばない信頼関係だと思った。
「!」
 みなみちゃんの指が、パンツの上から私のあそこを撫でた。
 私の耳元に唇を寄せて、囁きかける。
「……負けたくない」
「んっ! ……んぅっ」
 私のあそこを擦る力が、少しずつ強くなっていった。
144ベールの向こう側:2008/03/19(水) 21:10:20 ID:5tVXUa93
 指で擦られて気持ちよくなって、そこが湿っていくのがわかる。
 普段だったら気持ちいいよって言ってあげたり、そういう声を出したりしてみなみちゃん
に伝えてあげるんだけど、今はそういうわけにはいかない。
 カーテン一枚隔てた先には、天原先生と桜庭先生がいるんだから。
『それでもう何回目だと思ってるんですか』
『百回から先は覚えていない』
『そこまでしていなかったと思いますが……』
『すまん。言葉の綾だ』
 先生達は呑気な声で話してる。すぐそこでこんなことが起こってるとは知らないで。
「んっ……んんっ!」
 パンツ越しにクリトリスを強く擦られて、いきなり感じさせられた。
 少しそのまま焦らされてから、指はパンツの中を弄って、私のあそこを直接擦る。
 一番敏感なところに直に感じる指は熱を帯びていて、みなみちゃんもその熱にあてられた
かのように、懸命に私の女の子の部分を感じさせてくれていた。
『101回目のプロポーズなら受けてもらえるか』
『桜庭先生、それちょっと古い――』
 何のことを言ってるのかわからないけど、それはとても素敵なことかも――
「ぁあんっ!」
 何の合図もなしに指を中に入れられて、不意打ちの快感に声を抑えられなかった。
 どうしよう。今のは聞こえちゃってた。いや、先生の声と被さってたかな。
 どうしようと思ってみなみちゃんを見ても、表情はさっきまでと同じ。行為を止める気配
は全くない。
『ん? 今の』
 桜庭先生が何か言おうとしたとき、またドアがガラッと開いた。
『あ、ひかるセンセいた』
『お、八坂か』
 今度入ってきたのは知らない人だ。何だか知らないけど桜庭先生の注意はそっちに逸れた
みたいで助かった。
「ん……ぁんっ、んっ!」
 やっぱり助かってない。みなみちゃんの指は休みなく私の中を丁寧になぞってる。
『わざわざ何の用だ。こんなとこまで』
「ゃ……ふぁっ、ぁっ」
 声を押し殺そうとしても我慢できない。もう手で口を塞ぐしかない。そう思ったとき、
みなみちゃんの右手が私の手を頭の上で交差させて、両手とも押さえこんだ。
 手を使いたくても、使えない。
145ベールの向こう側 4/5:2008/03/19(水) 21:11:02 ID:5tVXUa93
『こんな所と思うなら来ないで下さい』
「み、やっ、んんっ!」
 みなみちゃん、なんでそんなことするの?
 聞きたくても、喘ぎ声がそのまま漏れてしまいそうで、聞けなかった。
『私は保健室が好きなわけじゃないぞ。ふゆきがいるから来てるんであってな』
「ゆたか、可愛い」
 手短に、それだけを囁いてきた。向こうの人には話し声にかき消されるタイミングだった。
 多分、喘ぎ声を出したくてそれを我慢している私が可愛いって言ってくれてるんだと思う。
だからって、このままされ続けるのは辛い。
『時と場合を考えて下さい』
「ぃゃ……ぁ……ぁっ」
 みなみちゃんは私を容赦なく攻めてくる。
『相変わらずだね、ひかるセンセもふゆきちゃんも』
「ぁんっ、ん、んむっ」
 どうしようもなく声を出したくなって、歯を食いしばって耐える。
『八坂さんも先生は先生と呼ぶように。それにここは保健室、病人もいるんですよ』
 多分、三人ともこっちの方を見てる。カーテン一枚だけ隔てて、私たちの方を。
 いや、私が知らないだけでもっと人がいるかもしれない。次の瞬間、その誰かがカーテン
を開けるかもしれない。
「んぅ、んっ……」
 絶対にバレちゃいけないのに、声が止まらないよ……。
 カーテンで仕切られた内側だけが隔絶させた空間になってるような錯覚を持っていたり
するけど、そんなことはなくて、私たちを隠しているものは、この薄布一枚しかない。
 すぐそこに先生たちがいる。声を出しちゃいけない。
 自分に言い聞かせるほどに、もっと気持ちよくしてもらいたいってい思いが強くなる。
『あ……桜庭先生、ちょっと外でいいですか?』
「んっ! んあっ、んぅっ……!」
 中指を曲げて中の一番私が好きな部分を刺激しながら、親指でクリトリスを擦る。ピアノ
をやってるっていうだけあって器用な指使いに、みなみちゃんの本気が感じられた。
『ふゆきと一緒に昼飯にしようと思ってたんだけどな』
「ゃぁっ……ぁ!」
 私のあそこは物凄く濡れてる。くちゅっ、くちゅっ、って立っちゃいけない音が立ってる。
みなみちゃんはなるべく音を立てないようにやってくれてるけど、聞こえてない保証はない。
『私はもう少し仕事がありますので。先にそちらをどうぞ』
 もう少しってどのくらい? すぐに、すぐに終わらせて。
『うむ。また後で来る』
『失礼しました』
 ガラッてドアの音。
「んっ、んふぅ、んんっ……!」
 あと一分ですか? 二分ですか?
 天原先生、お願いです。すぐに終わらせてください。でないと私……!
「んぁっ、んっ……んくっ!」
 みなみちゃんのしてくれてることが気持ちよすぎて、何も考えられなかった。
 もうどれだけ時間が経ったのかもわからない。一分しか経ってないかもしれないし、実は
十分くらい経ったかもしれない。
 ドアは開いたのか閉まったのか、カーテンは開いているのか閉まっているのか、そこに誰か
いるのかいないのか、もう何もかもわからない。
「ん、いや、あっ! ふあっ、あっ、ぁんっ」」
 みなみちゃん、ごめんなさい。私、もう耐えられない。
「あっ、あっ、私、いく、いっちゃう、いっちゃううううぅぅぅ!!」
 ――――。
146ベールの向こう側 5/5:2008/03/19(水) 21:11:45 ID:5tVXUa93
 しばらくまどろんでいて、気が付くときちんと服を着てベッドの上で寝ていた。
「小早川さん、体調は良いですか?」
「え、えっと……」
 天原先生は普段と変わりない穏やかな笑顔で聞いてくれた。でも私は後ろめたくて……。
「ゆたか、大丈夫?」
 みなみちゃんも私の顔を覗き込んできた。こっちも普段と変わらない優しい表情。
「岩崎さんはずっと傍にいたんですよ。岩崎さん、心配なのはわかりますけど学生は授業が
優先ですよ」
「すみません……」
「でも、あなたたちの関係は羨ましいですね」
 私からすれば、当たり前に一緒にいられる天原先生たちの方が羨ましいと思うけど……。
「桜庭先生はプロポーズはしてくれるのに、それ以上のことはしてくれないんですから」
「はあ……」
 それ以上のことって? 結納とか式とか? でもそれは流石に無理だし……。
「よくわかりませんけど……みなみちゃんとずっと一緒にいれたらいいと思います」
「ありがとう、ゆたか。私も同じ気持ちだ」
 そう言ってみなみちゃんは私の手を握ってくれた。
 みなみちゃんの手はちょっとふやけていて、さっきのあれから何十分という時間が経った
わけではないんだとわかった。
 さっきのあれを思い出して赤くなった。
 天原先生にあの声は聞こえちゃってた?
 判断できる材料が一つもなかった。もうすぐ出るって言ってたから、あの声はそれより後
かもしれないけど、そうだと言い切れる根拠もない。あの状態の私があれから五分も十分も
耐えられたのかといえば、それも疑問だった。
 でも、聞こえたのならこんな普通に接してくれるはずもないし、それとも実は聞こえてた
けど、私たちに気を使って黙っててくれてるのかもしれないし……。
 あーもう、わからないよぉ!
「ゆたかは大丈夫? もう少し寝ていようか?」
「あ、うん、もう平気。授業いけるよ」
 本当はもう少し休みたかったけど、それ以上に天原先生のいる保健室から出たかった。
 平静を装って靴を履いて、体の平衡感覚が正常であることを確かめながら直立した。
「失礼しました」
「失礼しました。ありがとうございました」
 入り口のところで先生を振り返って、お辞儀する。
 そんな私たちを、天原先生は白衣の天使という言葉が似合いそうな笑顔で見送ってくれた。
「それでは小早川さん、お大事に。保健室を使いたくなったときはご自由に利用して頂いて
構いませんが、なるべく私の許可をとって下さいね」

−終わり−
1473-283:2008/03/19(水) 21:13:36 ID:5tVXUa93
レス数を数え間違えてしまいました。実際は5レス使用させていただきました。

自分の作品を含め、保健室でエッチするときはなぜか先生がいなかったりするんですが、
そんな都合よくいくわけないだろ、という自分への突っ込みを兼ねて書かせていただきました。
148名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 21:31:52 ID:76Q6snoq
>>147
ふゆき先生がいい味出てますねー。
気づいてるとも気づいてないとも取れる笑顔が素敵です。ぐっじょぶ。
149名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 21:57:27 ID:cVPoGWJO
>>147
ハァハァたまんねぇ・・・GJだぜ
みなゆたは俺のジャスティス
150名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 00:14:05 ID:ocA0+BlP
>>147
GJ、これはいい緊張感&背徳感…先生のキャラも素敵
そしてなんという羅将ハンw
151久留里:2008/03/20(木) 01:08:32 ID:RC26c3MM
おばんです。
自転車の雑誌を読んで思いついて勢いで書いてしまいました。

『ばいしくる』
・みさお×みさお兄×あやの、兄視点
・4レス使用
・非エロ/微妙に未来ネタ
・オリジナル設定が多いのはモハや仕様です。

良ければ投下いたします。
152久留里:2008/03/20(木) 01:13:42 ID:RC26c3MM
まもなく発車致します。
あとすみません、やっぱり5レス使います。
153ばいしくる-1/5:2008/03/20(木) 01:14:21 ID:RC26c3MM
桜の花咲く、ぽかぽかで暖かな季節、春。
今日は新しい生活を迎えたばかりの、ある少女の短いお話。

『ピンポーン』
築35年・2DKでリフォーム済みの公団住宅に、呼び鈴が鳴り響く。
「はい」と短く返事をして扉を開けると、そこに居たのは我が妹だった。
「おーっす兄貴〜、あやの居るか〜?」
全く朝からハイテンションな妹である。
2つ離れた先、3Kの住棟にある実家からやって来たみさおは、
今日の約束のためにわざわざ来てくれたのだ。
「あやのー、お客さんだぞ」
「あら、みさちゃん、いらっしゃい」
4月から婚約者である峰岸あやのがうちで生活をしている。
おれ達兄妹と峰岸姉妹の関係は深く、幼少の頃からいつも一緒だった。
みさおとあやのが高校2年になった時、おれはあやのから告白をされ、
様々な困難の末、一緒に付き合う事になった。
そして、今。遂にあやのは日下部家に入る事になった。
一連の流れを話すと、それだけで与えられた原稿用紙が埋まってしまうので、
そのうち、機会を改めて話すとしよう。

閑話休題。無駄に広いダイニングで朝食を食べ終わったおれ達は、外に出掛ける準備をする。
軽いおめかしを終えたあやのは、春色のワンピースに小さな肩掛けバッグ、頭にはつばの広い帽子を被り、
如何にも「大人の女性」という感じ。うーん、高校を卒業した途端、一気に大人になったような気がする。
「何照れてんだ、アホ兄貴」
五月蠅いなぁ。
対するわが妹は長袖のTシャツに黒いジャケット、ヴィンテージもののジーンズという、
こちらも少しだけ大人っぽい、都会のメッセンジャースタイルだ。
バッグは古いデニムで出来たメッセンジャーバッグ。これはおれの卒業祝いである。
中身は相変わらず「子供」なのだが、みさおも少しだけ、変わった様な気がする。
「ほら、そろそろ行きましょ?」
おれがぼーっとしていると、あやのが袖を引っ張って出発を促す。
「ああ、すまんすまん」
「しっかりしろよ」
お前に言われたくはない。
準備が出来たところで家を出る。
154ばいしくる-2/5:2008/03/20(木) 01:14:48 ID:RC26c3MM
今日の目的は、あやのの新しい自転車を買うこと。
普通のママチャリでも構わないのだが、本人の希望でスポーツ車を買うことになった。
となると、今住んでいる鷲宮町にはスポーツ車を扱う自転車屋が無いので、隣町まで買いに行くことになる。
だから、今日はちょっとしたサイクリングも兼ねてのお出掛けだ。
街乗り仕様に改造したMTB、使い古したママチャリ、あちこちいじっている小径車という
バラバラな組み合わせで、一行は県道の旧道を下っていく。
ここでみんなに言っておくが、自転車は軽車両の扱いなので、原則として車道を走らなければならない。
おれが自他共に認める「自転車馬鹿」のため、あやのの自転車の話は、まずおれの方に来た。
今は団地内の貸し倉庫に眠る大量のフレームから、あやのの体格にあった奴を選び出し、
余った部品で組み立てるという案もあったが、専用工具を持っていないこと、
あやのに合うフレームが全くないこと(身長差があるので仕方がない)、
やっぱり新しい自転車に乗って欲しいというおれの希望から、新車を買う運びになった。
原材料費の高騰により、自転車の値段は6割も高くなってしまった。
大手量販店の9000円の自転車が1万5000円に値上げしたくらいだから、
これから買おうとしている自転車も相当な額になっているであろう。

国道のバイパスから「自転車通行可」と書かれた歩道をゆっくり走り、途中の信号で住宅街に入る。
その奥にあるのが、おれの行き付けの自転車屋だ。
あやのの足に合わせてゆっくり走っても自宅から1時間の距離なので、それほど遠くはない。
実を言うと、みさおが今乗っているMTBは、おれがこの店で始めて買ったスポーツ車である。
「こんちは〜」
「いらっしゃい、日下部さん。お久しぶりですね!!」
ガラス戸を開けると、顔なじみの店長が笑顔で迎えてくれた。
続いてみさおとあやのが店に入る。
「こんちゃーっす!!」「こんにちは」
丁寧に頭をさげて挨拶するあやのと、いつものノリで軽く挨拶する我が妹。
本当に同じ18歳とは俄に信じがたい。
この店に足を運ぶのは半年ぶりだが、板張りの小さな店内は相変わらずだった。
この店は本業はママチャリ屋だが、市内で数少ないスポーツ車の取扱店であり、
店長自身もイベントやレースに参加している人なのだ。
おれも2〜3度、富士山のダウンヒルに連れて行って貰った事がある。
「日下部さん、ちょっとそこ見てごらん」
「おお!! F3じゃないですか!! しかもフルカンパ!! 店長、何時買ったんですか?」
「いやいや、それはお客さんのだよ。頼まれ物でね」
「うぉー、凄い、凄い、おれも欲しいなぁ」
早くも改造費だけで80万は軽く越えているロードバイクを見て、おれと店長との濃厚トークが始まる。
が、今日は別の用事で店に来た。
「あ、いや、実は今日は自転車を買いに来まして」
「以前話してたGIANTのTCR Advanced-0、遂に買う事にしたのかい?」
「いやいや、確かに欲しいですけどねぇ」
そのお金は結婚費用と引っ越し代で全部消えてしまいました。
155ばいしくる-3/5:2008/03/20(木) 01:15:53 ID:RC26c3MM
「みさちゃん、何の話か分からないんだけど……」
「ああ、分からなくていいよ。あの2人、いつもあんな感じだから。
 兄貴ぃ〜、そろそろ本題入ろうぜ?」
「ああ、すまん。店長、実は自転車を買うのはおれじゃなくて……」
「ああ、そちらのお嬢さんか。可愛らしいねぇ。もしかして、これ?」
と、おれの前に小指を立ててニヤニヤする店長。
あやのと結婚する話、貴方にした覚えは無いのですがねぇ。

あやのはおれと店長にどの様な自転車が欲しいかを細かく話してくれた。
簡単に言えば、あやのが希望している自転車は、
おれと一緒に買い物が出来て、おれと一緒に山をツーリング出来るやつが欲しい、と。
我が妹が「バカ夫婦」と横でからかっているのは敢えて無視して、
色々なメーカのカタログを見たり、実際に展示してある自転車を見て車種を決める。
店内にあるカタログに載っている自転車であれば、今在庫していないものでも取り寄せてくれるという。
おれが自転車の事を話すと、それだけで夜になってしまうため、あやのが質問するまで黙っていた。
片道20km(!)の自転車通学をしてきたみさおも途中で加わって、ああだこうだと話し合いながら車種が絞られていった。
無数にある自転車の中からあやのが選んだのは、
GIANTのESCAPE Rシリーズと、RIGHTWAYのPASTURE(パスチャー)シリーズ。
前者は「クロスバイク」と呼ばれるMTBとロードバイクの「良いとこ取り」をしたバイクで、
舗装路で高速でガンガン走れる一方で、よく締まった砂利道でもスイスイ走れてしまう優れもの。
後者は「コンフォートバイク」と呼ばれる「ママチャリ」に近いバイクだが、
足回りはちゃっかりMTBと同じものを使用しており、走行性能はそこらのママチャリよりも格段に良い。
「ミケネコブラウン」というカラーもとてもお洒落で可愛らしいし、値段も安い。
ただ、ここで問題が発生。
あやのはスカートを穿くことが多いので、トップチューブの高いESCAPEは非常に乗りづらい。
一方、PASTUREはスカートでも乗れる様に工夫はされているが、これで長距離のツーリングは正直辛すぎる。
「うーん、どっちにしようか迷うわ」
「丈の短いスカートだったら問題無いんだけどなぁ」
これはおれのスケベ根性で言っているのではなく、自転車乗りとしての純粋な意見。
「あやの、あーだこーだ言ってねーで実際に乗ってみたら?」
幸い、どちらも現車が店にある。あやのは試乗してみる事になった。
156ばいしくる-4/5:2008/03/20(木) 01:16:16 ID:RC26c3MM
新しい自転車を乗り較べながら、どちらにしようか考えているあやの。
何だか凄く楽しそうだ。
おれ個人としては、ガンガン走れるロードバイクに乗って欲しいな。
専用のウェアを着て、カーボン製のヘルメットに丈夫なグローブ。
髪を纏め上げて山間、あるいは海沿いの国道を快走するあやの。
長い距離を走破し、目的地に辿り着いた時の達成感を夫婦共に分かち合う。最高じゃないか。
或いは、クロカンライダーとして。
山中の一本道。泥だらけで根っこだらけのシングルトラック、
所々に現れる倒木、土砂崩壊、高い段差。
様々な障害物を巧みなテクニックで攻略するというあやの。
時にはおれが後押しして、共に障害物を乗り越える。
そして、峠を制覇した時の達成感を夫婦共に分かち合う。最高じゃないか。
そして、あとは豪快にダウンヒル。
そうすると、自転車はESCAPEでもPASTUREでもなく、フルサスのMTBが良いな。
あ、敢えてハードテイル路線で行くのもアリか。
「可愛いあやの」も良いけれど「恰好良いあやの」も見てみたいなぁ。
凄いギャップがあるけれど、みさおがワンピースを着るよりはよっぽど現実的であり、
違和感もそれほど感じないであろう。

「さっきから何ブツブツ言ってんだ? 気持ち悪ぃなぁ」
ああ、落ち着け、落ち着くんだ、自重しろ、自重しろ、おれ。
「おーい、聞こえてるかー?」
そうだ、無理に自分の趣味を押しつけるのは良くない。
あやのが自転車に興味を持って、それからゆっくりと、だ。そうだ、
「兄貴〜? あやののパンツは何色?」
「白!!」
って、何言わせるんだ!!
「さっきから何ひとりでブツブツ言ってんだよ。しかもニヤニヤしながらさぁ」
「べ、別に何でもない!!」
おれの理想的な夫婦像をこいつに話すと、碌な事がない。だから話さない。
「ていうか、何であやののパンツの色知ってんだよ?」
「あ、あれは、つつつつつい、勢いで、な?」
正直に言うが、勢いで適当に言っただけだ。鷲宮神社の神さまに誓おう。
「勢いでどーした? 寝込みを襲ったか?」
えっと、勘違いされていますね?
「アホか。まだしとらん」
しまった。
「ふっふーん、『まだ』してねーんだ?
 あんまりあやのを退屈させねー方がいいぜ? このエロ兄貴」
どうやら自分で地雷を踏んでしまったようだ。
落ち着け、落ち着くんだ、おれ。そうだ、平常心、平常心、と。
「で、したのか? してねーのか?」
「じ、実は…………」
まだしてません。おれは24年間経験ゼロです。それが何か?
「へぇ、したんだ? へぇ? で、どうだった? どうだった?」
「お前、何か勘違いしてないか?」
「は? 何の事? やっぱりあやのじゃ物足りねぇってか。どんだけドスケベなんだよ」
「だから違うって!!」
157ばいしくる-5/5:2008/03/20(木) 01:16:37 ID:RC26c3MM
ちょうど良い(いや悪い)タイミングで、あやのが試乗から戻ってきた。
「2人とも、そこで何を話してるのかしら?」
「ん? 兄貴があやのじゃ物足りねぇって」
「そ、そんな事は言ってない!! コイツが勘違いしているだけだ!!」
我が妹が勘違いしているだけです。本当に。
「ふーん、ごめんなさいね? 私が『女』として物足りなくて」
あやのは笑顔はそのままに、声のトーンが下がった。
これは危険信号だ。おれの命日が今日になりそうだ。
「確かに物足りないと言えば物足りないが、それとこれとは意味が違う訳でして……」
「言い訳は裏でしましょうか? ねぇ」
ニコニコ顔でおれと妹に迫るあやの。三方は自転車に囲まれており、逃げ場は無い。
ふと、顔を横に向けてみる。店長、見てないで助けて下さいよ!!
「奥さんはもっと大切にしないといけないよ? 日下部さん」
ちょ、店長っ!!
「さて、行きましょうか?」
おれは腕を掴まれて店の裏へと連れて行かれる。
その後、こってりと絞られるハメになった。
おれが素直に事情を説明すると、やっと理解をしてくれたお陰で事は収まったが、
代わりにみさおに大笑いされた。こっちは本気だったんだぞ!!
この時嬉しかったのは、「いつかその時が来ればいいわね」とあやのが言ってくれたこと。
それは形式的な返事ではなく、心からの希望だった。
つまり、ゆくゆくはおれと一緒に自転車で色々な所を走りたい、とのこと。
おれ達3人は、今後もこんな感じで過ごしていくのだろう。



「はい、確かに。3カ月経ったら店に来て下さい。ブレーキワイヤの点検をしますので」
「はい。どうも有り難う御座いました」
会計をすませたあやのが、ミケネコブラウンの新しい自転車と一緒に店から出てきた。

「さて、折角ここまで来たんだから、サイクリングロードを通って運動公園まで行こうか?」
「そだな。その前に腹減ったからどっかで飯喰おうぜ? もち兄貴のおごりで」
ニヤニヤするみさお。そして、菜の花の様な柔らかい笑顔のあやの。
2人の顔を見てしばらく考えた後、
「よし、おれがご馳走しよう。そこの馬車道まで競争だ!」
「やったー、って、ずりーぞ!! フライングすんなよ!!」
「ふ、2人とも、ま、待ってよ〜!」

暖かい春の土曜日。
おれ達3人は、相も変わらずワイワイしながら休日をゆっくりと過ごした。
サイクリングをしながら。
158久留里:2008/03/20(木) 01:17:50 ID:RC26c3MM
以上でございます。


勢いで書いてしまった。全く反省はしていない。
「自転車日和」という雑誌に、ロードバイクで通学する高校生兄妹が載っていまして、つい……。
159名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 02:20:03 ID:MRZ9JOZq
>>158
随分と勢いで生きてるみさお兄が面白かった。
>みさおがワンピースを着るよりはよっぽど現実的であり、
兄とは言え結構失礼なこと言ってるなw
GJ!
160名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 06:12:16 ID:P/5eG7wP
>>158凄く日常的なSSですな。お出かけしてほのぼのな雰囲気が良かった。GJ!
 
>>「丈の短いスカートだったら問題無いんだけどなぁ」
お兄さんご存じですか?ミニスカって自転車に乗ってると、意外と簡単にパンツ見えるんですよ?
つまり俺があやののパンツ見ても問題ないんですね。じゃあ早速見てきま
161名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 07:06:14 ID:F3BANh33
もはやみさお兄は久留里さんの代名詞
162名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 11:44:30 ID:MJqyMbRQ
むしろ久留里さんがみさお兄
163名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 12:18:49 ID:l1htt+Yg
兄貴ぃ〜♪あやのと一緒にゲームしょうZE
164名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 13:50:59 ID:xlguPGr6
つまり久留里さんはあやののパンツを見ても良いということか…
俺も見たいぜ!
16516-187 ◆Del8eQRZLk :2008/03/20(木) 14:16:02 ID:5OPGD+19
ごきげんよう、投下させていただきます。
『4seasons』の続きです。

■かがみ→こなた
■エロなしです

7レスになります。
166秋/静かの海(第六話)1/7:2008/03/20(木) 14:16:36 ID:5OPGD+19
§10

「コスモス、ヤナギラン……ヒガンバナ。サルスベリにベルガモットに、あれはえっと……
ポリジ?」
 振り向いて訊ねるこなたに、そうじろうさんはうなずいた。
 お寺に向かう道の周りには、自然のままの野原が広がっているのだった。
 未舗装の、土のままの道を歩くのは久しぶりだ。踏みしめた足に返ってくる柔らかい感触に、
ふと懐かしさを覚える。
 鷹宮や糟日部にもまだ自然はそれなりに残っているけれど。こんな風に“空き地”ではなくて
“野原”だと思えるところは、もうそんなに多くはないのだった。
 誰かが手入れしているというわけでもないだろうけれど、それでも野原には色とりどりの
花が咲き乱れている。
 秋にもこんなにたくさんの花が咲くんだな。そんなことを考える。
「……ノコンギク? ううーん、トリカブト?……あ、ワレモコウ!」
 咲いている花を指さしては名前を呼んでいくこなただった。最初のうちは順調だったけれど、
マイナーな花に及んでいくにつれ、段々自信なさげに語尾が上がるようになっていた。それでも
ガーデニングをやっているだけあって、こなたは私がみたこともない花の名前を云い当てていく。
それが本当に正しいのかどうかはわからないけれど。
 ――花の名を、私は知らない。
 元素の原子番号と原子量なら知っているけれど、花の名前はよく知らない。
 経済学と社会学ならわかるけれど、ワレモコウがどういう漢字なのかはわからない。その名に
篭められた意味も。
 きっとみゆきなら、そんなことも全部知っているのだろうなと思う。あいつは何も切り捨てずに
全てを識ろうとすることができる、そんな人間だ。
「吾亦紅って書くんだな、面白いだろ」
 ワレモコウを漢字でどう書くか、訊ねたらそうじろうさんが教えてくれた。吾は私で、亦は
“また再び”という意味だ。
 ――年が巡り、花を咲かせた私は再び紅色に染まる。そういう意味だろう。
 花の視点から“吾”と名前をつけた昔の人の感覚に、感心する思いだった。
「すぐ真っ赤になる、かがみみたいな花だよね」
 こなたが笑いながら余計なことを云った。

 一歩一歩、目的地に近づいてきている。
 そこのからたちの茂みを曲がれば、お墓はもうすぐそこなのだそうだ。
 唐突に始まった私のこの旅も、終わりが近づいてきている。

 朝目覚めると、目の前にこなたの顔があった。
 いつかみたいに口元に手をあてて、ぷくくと悪戯っぽく笑っていた。
「おはよーかがみん。ぬふふ、可愛い寝顔だったよ」
 そんないつもの軽口にも、私は咄嗟に反応することができなかった。
 ――眠い。
 眼がしょぼしょぼする。口の中が乾いていて、麻痺したように言葉がでてこない。全身に広がる
脱力感に、手足を動かすことすら億劫に感じていた。
167秋/静かの海(第六話)2/7:2008/03/20(木) 14:17:04 ID:5OPGD+19
 ひたすらに、眠い。
 寝ぼけ眼で時計を見上げると、どうやら二時間半しか寝られていないようだった。こんなことなら
中途半端に寝ないで起きていればよかった。閉じようとするまぶたと格闘しながらそう思う。
「ど、どったのかがみ。もしかして寝られなかった?」
「……あんたのいびきがうるさくって……」
 うつらうつらとしながら口を開くと、かすれたような声が出た。
「ふぉ! まじですかっ」
 顔を赤らめて恥らうこなたを眺めているうちに、少しずつ頭が覚醒していく。「冗談よ」と笑って
伸びをすると、口から大きなあくびが飛びだした。
「え、えと、ほんとだよね? わたし、いびきなんてかいてないよね?」
 ベッドの上にぺたんと座って、上目遣いで見上げるこなただった。
「あ、うん。ってかなによ今更? いびきを気にするなんてあんたらしくないわね?」
「い、いや〜……。なんていうか、自分の意識がないときに自分が何してるかって、妙に気にならない?」
「あー、まあ、そうかもなー」
 顔でも洗ってこよう。そのつもりで立ち上がった私は、けれどふと思い立って、窓の方に
足を向けた。
 カーテンを引くと、外はまばゆいばかりの光に満たされていた。まだ水平線から昇ったばかりの
朝陽が海原を白く染め上げている。強い陽射しが寝不足の眼に突き刺さるように痛かった。
「うおっ、まぶしっ」と後ろでこなたが呟いた。どうせまたなにかのアニメネタなのだろう。
「うーん、いい天気ねー」
 そう云って、もう一度大きく伸びをする。
 ばきばきと身体が音を立てて、眩暈がするほど気持ちがよかった。
「……かがみ?」
 不思議そうに訊ねるこなたの声がする。
「――ん?」
「いや、なんていうか……なんかあった?」
「なにかって?」
「んー、昨日わたしが寝てるときに、なんかあった? ほら、寝不足みたいだし」
「……なにもないわよ。そんな夜中になにかあるわけないでしょ」
「そっか。そうだよね、ごめん、なんでもないや」
 こなたはごそごそと手持ちの旅行鞄を漁り、タオルやら着替えやらを引っ張り出している。
私が眺めているうちに、「先に顔洗ってくるね」と云ってパウダールームに向かっていった。
 扉の向こうに消えていくこなたの青い髪を見守りながら、私は不思議な満足感に満たされていた。
 身体は寝不足の気怠さに包まれていたけれど、なんだか少しだけ心が軽くなったような気が
していたのだった。

 それはどこにでもある、なんの変哲もないお墓だった。
 墓地にある他のお墓とあまり違うところはない。
 ただ一つ、墓石に刻まれた“泉家之墓”という文字だけが、私にとってそのお墓を特別なものに
しているのだった。刺さった卒塔婆は未だ白木の生々しさを残していて、今でもしっかりと手入れを
されているのがよくわかる。
 枯れた献花や線香の燃えかすなどを掃除して、こなたと一緒にお墓を綺麗にしていった。
小父さんは、お寺にひしゃくと桶を借りにいっている。
 真新しい卒塔婆のことを訊ねると、やはりそれはお盆に帰省したときにこなた達が立て直した
ものらしかった。
「夏にくるとね、アマガエルが沢山いるんだよ」
 さっとお墓の天辺を払って、こなたがそう云った。
「お寺の裏に池があってね、そこに住んでるの。お墓の上に乗ってて半分黒くなってるやつとか、
いるんだよー」
168秋/静かの海(第六話)3/7:2008/03/20(木) 14:17:30 ID:5OPGD+19
 眼を細めて満足気な表情をしているけれど。
 こんなときにそんな顔をされてしまっても、困る。今後こなたのこの顔をみても、今までみたいに
単純に“こいつは今幸せなんだ”と思えなくなってしまう。
 戻ってきた小父さんと一緒にお墓を掃除しながらも、こなたのお喋りは止まらなかった。
「アマガエルってさ、あんなにコロコロ身体の色変えて、元の自分が誰だかわかんなくなったり
しないのかな?」
「そうね、どうなのかしらね」
 答えながら、私は預かっていた包みを開けて花束を取り出した。それは菊だった。埼玉の泉家に
かなたさんが残した庭で育てられた菊だった。
「自分がアマガエルってことを隠したいのかな。周りに憧れてて、一緒になりたいのかな」
「そうね、そうかもしれないわね」
「石みたいに、土みたいに、草みたいになりたいって、思ってるのかもね?」
「――なぁ」
 聞いていられなくなって、私はつい強い口調で遮った。
「……ん?」
「それ、アマガエルの話なんだよな?」
「……当たり前じゃん。どったのかがみ?」
 ちらと振り返って私をみつめるこなたは、いつものニヤニヤ顔だったけれど。その青竹色をした
瞳の中には、常と違う感情がゆらめいているように私は感じていた。
 みると、そうじろうさんも優しい眼差しでこなたのことをみつめている。
 この人は今、なにを思っているのだろう。こなたのことさえ私にはわからないのに、小父さんのこと
なんて余計にわからなかった。この世はわからないことだらけだ。そして、上手くいかないことばかりだった。
 花入れの水を入れ替えて、持ってきた花束を差し込む。花入れは左右に一つずつあったけれど、
片方のものに全部の花を入れた。
 線香を三つに分けて、それぞれの手に持つ。
 こなたが火をつけようとライターを持って近づいてきたとき、私は顔を近づけて小声で云った。
「アマガエルが綺麗な緑色をしてるってこと、私が――私たちが知ってるよ。それじゃだめか?」
「んーん。だめじゃないよ。別にアマガエルなんてどうでもいいし」
 おい。じゃあなんなんだ、さっきの会話は。そう思ったけれど、そんな空気の読めない突っ込みを
するほど私は無粋じゃない。
 最初にそうじろうさん、次にこなた。最後に私。
 黙祷をしながら、思う。
 もし今、この高い空の果てから、或いはこの墓地が見下ろす日本海のその先、西方浄土から
かなたさんがみつめていたとしたら、一体私のことを誰だと思うだろう。そう思うと、人と人との関わりの
不思議さについて考えざるを得なかった。
 ――ありがとう。
 眼をあけた時、誰かが囁く声が聞こえた気がした。
 それを云ったのがこなただったのか。
 小父さんだったのか。
 かなたさんだったのか。 

 それは、いつまで経ってもわからなかった。 

169秋/静かの海(第六話)4/7:2008/03/20(木) 14:17:58 ID:5OPGD+19
§11

「ね、ちょっと海岸歩かない?」
 こなたの提案に、私は一も二もなくうなずいた。
 波打ち際を歩く私たちの髪を、吹きつける潮風が揺らしている。波が打ち寄せれば砂浜が
水を吸って黒く染まり、引けばまた白い砂に戻る。そんなやりとりを、この海は一体何億年前から
繰りかえしているのだろう。
 沖から吹く風は日本海の冷気を吸って冷たかった。まるでよくある“極寒の日本海”のイメージ
通りだと、私は思った。
 足を踏みおろす度、足下の砂がきゅっきゅっと音を立てて鳴きたてる。ちょっとだけ背筋を丸め
ながら、私たちは砂浜に足跡を残して歩いていく。
 晩秋の浜辺を、こなたと一緒に歩いていく。
「あんたは、ご住職に挨拶しなくていいの?」
「うん。あのお寺の住職さん、お父さんとお母さんの同級生なんだ。つもる話も、あるだろうからね」
「へえ、珍しく殊勝な心がけじゃないの」
 私がそう云ってちゃかすと、こなたは“むふー”だか“にゃふー”だかわからないうなり声を上げて、
猫みたいに眼を細めた。
 ざ、ざーと、波の音が聞こえてくる。
 そういえば昨日この町にきたときは、やたらと波音が耳について離れなかったな。そんなことを
思い出していた。
「この町にくると、みんなお母さんのこと知ってるけどさ。わたしだけ知らないんだよね、お母さんのこと」
 ぽつりと、沈黙を埋めるようにこなたが呟いた。
「……それが、小父さんと住職さんと話したくない、本当の理由?」
「ん、ホントのってわけじゃないよ。そんなことも考えちゃうってこと」
 風に暴れる髪をまとめようと、悪戦苦闘しながらこなたが答える。癖のないこなたの髪は風が吹く度に
するするとなびいてしまって、ともすれば上半身を全て覆い隠してしまいそうにもなる。
「あははっ、こなた凄いなそれ、なんかの妖怪みたいだぞ!」
「むー。妖怪を馬鹿にするな!」
「妖怪の方は馬鹿になんてしてねーよ」
 そんな風に突っ込みながら自分のリボンを外すと、こなたの暴れる髪を抑えつけて根元から縛る。
「……あ。ありがと」
 もう片方のリボンも外して、私もこなたと同じように後頭部で一本に縛りなおした。
「あんた、髪切るつもりはないの?」
「ないよぉ。……わかってる癖に」
 わかってる。それも全部わかってる。
 それは去年の秋、こなたの部屋でかなたさんの写真をみたときからわかっていた。ずっと無精している
だけだと思っていたこなたの長髪は、かなたさんと同じくらいの長さに保たれていたのだと。
「――あのさ」
「うん?」
「みんながお母さんのこと知ってるっていうけどさ。自分だけ知らないって云うけどさ。
やっぱりかなたさんに一番身近なのはあんただと思うわよ」
「……え?」
 私を見上げてきょとんとした顔をするこなた。
 その瞳は、迷子になった幼子のようにゆれている。
 だから私はこなたを捕まえるようにして、しっかりと肩を掴んで言葉を継いでいった。
「この身体に、ちゃんとかなたさんの遺伝子が残ってるじゃないの。かなたさんが生きた証を、
受け継いでるじゃないの。……それ以外は、あんたのこの身体以外は、もう、全部、ただの
思い出でしかないんだよ……」
 そう云って、小さな身体をぎゅっと抱きしめた。
 お母さんが子供を抱くみたいに。
 友達が傷ついた友達を抱きしめるみたいに。
 劣情を隠して、ぎゅっと。
 少しだけ高い体温。柔らかな肌。
 それが、不思議と厭じゃなかった。
 なぜだか、悲しくならなかった。
 それはもしかしたら、そうじろうさんの想いに触れて、かなたさんとのつながりを知って、
人を愛するための様々な方法を学べたからかもしれない。そんな風に思った。
170秋/静かの海(第六話)5/7:2008/03/20(木) 14:18:24 ID:5OPGD+19
「――かがみ」
 腕の中で、ぽつりとこなたが呟いた。
「ん?」
「好きだよ、かがみ」
 一瞬、心臓が止まりそうになる。
 こなたが私の胸に顔をうずめているのは幸いだ。
 驚きに眼を見開いた私の顔をみられずにすむから。
 それはずっとずっと聞きたかった言葉だった。
 そして、絶対に聞きたくない言葉でもあった。
 止まりかけた心臓が動き出したと思ったら、今度は今にも張り裂けそうに暴れ出す。
 大丈夫。私は間違っていない。
 大丈夫。勘違いもしていない。
 今こんなに動揺しているのは、ただ吃驚しただけなので。ただ抱きしめた身体が、余りにも
暖かいからなので。
 だから私は深呼吸を一つして、冷静な気持ちで答えることができた。
「――私も、あんたのこと好きよ」
 それを聞いたこなたが、胸から顔を上げて私をみつめてくる。
「……なんだ、あんまり顔赤くなってないね。残念」
「そりゃね。大体今更なにが“好きだよ”なんだか。そんなこと前からわかってるっつーのよ」
「えー。でもそういうのを改めて云われると照れるのが、かがみクオリティじゃない?」
「知るか!」
「むふー。照れてる照れてる」
 そう云って眼を細めたこなたは、再び私の胸に顔をうずめると、満ち足りたようにため息を吐いた。
「――暖かいね、かがみは」
 その言葉を聞いたとき、私は漸く気がついた。

 私がすでに、こなたと私の間に広がっていた空隙を、飛び越えてしまっていたことを。

 38万4,400km。その、月と地球の間ほど開いていた距離はもはやなくて。
 私は、静かの海に佇んでいる私を見いだした。
 荒涼とした晩秋の浜辺は、鈍色の単色に染まる月の平野にも似ていて、私たちの周りには
“静か”が満ちている。
 静かで、落ち着いて、そして涯てもない。
 そんな愛情が満ちている。
 その海は、恋情も熱情も嫉妬も戸惑いも、全部飲み込んでしまうから。
 ただこの腕の中にいるこなたが単純に愛おしいと思うから。
 性欲とか、独占欲とか、支配欲だとか、なんだかもうどうでもよくなってしまって。

 ――だから。

 私の恋は、その日終わってしまったのだ。

171秋/静かの海(第六話)6/7:2008/03/20(木) 14:18:51 ID:5OPGD+19
§12

「んじゃ、お父さん呼んでくるよ、ちょっと待ってて」
 そう云い残して、こなたはお寺わきの住宅に入っていった。そこは集会所のようになっていて、
法事や訓話があるときに檀家が集まれるようになっているのだそうだ。
 私はなんとなく一人で辺りを見て回りたくなったから、一緒に行くのを断ってふらふらと周囲を
歩きだした。
 この場所を覚えておこう。野原に囲まれて佇ずむ、この墓地を忘れないようにしよう。
いつか夏になって、お墓参りの日程が被らなければ、アマガエルを見にまたこなたとこよう。
そんなことを思う。
 ――ふと。
 かなたさんのお墓の方をみやると、そこに人影がいるのに気がついた。
 黒羽二重と縞柄の袴。きっちりと喪服を着こなした老紳士と、黒無地に五つ紋を染め抜いた和服に、
地紋のついた帯を合わせた老婦人。二人ともきりりと背筋が伸びていて、普段から和装を着慣れている
印象を受ける。
 その光景をみた瞬間、私の心臓がどきりと跳ねた。
 そうだった。何かを忘れていると感じていたのだ。
 どうしてそのときまで気づかなかったのだろう。自分のうかつさに、呆れるほかはなかった。
 二人はなにかを小声で云い合っている風だったが、私がみているうちに何か話がこじれたのか、
老紳士はステッキを荒く衝きながらどこかに去っていってしまった。
 老婦人は一瞬頬に手を当てて嘆息を見せると、突然私の方を向いてふわりと笑いかけた。
 その青竹色の瞳に、私は撃ち抜かれたように動けなくなる。
 同じ眼だ。
 あいつと、そしてかなたさんと。
 これは同じ眼だ。
「――あの子の、お友達?」
 小さいけれど張りがあって、不思議と通る声だった。
 その眼差しに、白と青のまだらになったその髪に、子供みたいに小さな体躯に、私は、涙がでそうに
なってしまった。
「……は、はい! そうです、友達です」
 慌てて云う私は、きっとみっともなく写っているだろう。けれど老婦人は、心から幸せそうに満面の
笑みを浮かべてこう云った。
「ありがとう、安心したわ。あの子と、ずっと友達でいてくださいね」
 会釈をして歩み去ろうとする老婦人の背中に、私は慌てて声をかける。
「あ、あの。あの子に会っていってくださらないんですか?」
 その言葉にくるりと全身で振り向いて返事をする老婦人は、その所作の節々から育ちのよさが
感じられた。私は“網元の娘”と云っていたくにおさんの言葉を思い出していた。
「ごめんなさい。……あの子やそうじろうさんに会うと、あの人が怒るのよ」
 そういって困ったように笑った。
 その言葉にほぞを噛む思いだった。くにおさんの、こなたの、そうじろうさんの態度から、
予想できていたことだった。
 それでも私はどうしてもそれを云いたかったのだ。子供っぽいわがままでしかないと知っていても。
家と家の、背負ってきた伝統の重さの前では、私の感情なんて吹けば飛ぶようなどうでも良いものだと
わかっていても。
「普段はあちらさんは夕方に来るはずだったのだけれど。今日は失敗してしまったわ。あ
の人もそれでもうかんかん」
 私はうつむいてこみあげそうになった涙をこらえていた。私はなんて無力なのだろうと思う。
172秋/静かの海(第六話)7/7:2008/03/20(木) 14:19:23 ID:5OPGD+19
「――でも、それでよかったわ。久しぶりにあの子の顔がみられた。あなたにも会えた」
 私は思わず顔を上げて問いかける。
「……あいつのこと、みてたんですか?」
「うふふ、見てたわよ。海岸で、あなたと一緒に――ね」
「……あ」
 見られてた。あの場面を見られてた。
 一体どこからどこまで見ていたのだろう。それを思うと顔が赤らむのを止められなかった。
「安心したというのは本当よ。あの子があんなに楽しそうに笑っているところ、初めてみることが
できたわ」
 そう云って頬に手を当てる老婦人は本当に嬉しそうだった。
 そうして、老婦人は去っていった。
 ――あの子のことを、よろしくお願いします。
 その言葉だけを残して。
 私みたいな若輩の小娘に、深々と頭を下げて。
 その人は、去っていった。

「かがみー!」

 聞こえてきた声にふりむけば、こなたが私に手を振りながら駆けてくるところだった。
そのむこうにそうじろうさんも待っている。
 私も手を振り返して、こなたの方に向かおうとする。
 最後にちらりと、かなたさんのお墓を私は眺めた。
 そのときに、気がついた。

 ――もう片方の花入れに。

 どうして二つあるのに片方しか使わないのだろうと、疑問に思った花入れに。

 満開に咲いた菊の花が、飾られているのだった。


(了)



 4 s e a s o n s
【冬 / き れ い な 感 情】へ続く
17316-187 ◆Del8eQRZLk :2008/03/20(木) 14:20:22 ID:5OPGD+19
以上です。

うーん、秋だけで115Kを越えてしまいました。
信じられないことに、これを書き始めたときには「年内に終わればいいなぁ」なんて
思っていたのです。
人生はいつだって「こんなはずじゃなかった」ことばかりなのだなぁと思いました。

っていうかこのあとの展開、本当どうしようw

――――――――――――――――――――
 その後、帰りの飛行機が落ちて全員死んだ。

(『4seasons』/完)
――――――――――――――――――――

とかそんなんで無理矢理終わらせたくて仕方ないです。

とりあえずまた一ヶ月ほど間をおいて、色々と考えてみます。

それではありがとうございました。
174名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 14:40:13 ID:Epzil9Yw
いつも思うんだけどさ…読んだあと、言葉がないんだよね…あ、言葉を知らないだけかw
しかしまあ、どうなることやら…
とにかくありがとう
175名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 15:34:41 ID:rw88VOBP
>>173
GJ!
なんかもうこなたの髪の話でグッと来ました
176名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 16:23:33 ID:XtP4Fjqs
飛行機墜落ってw
作品上、考える事が多くて大変だと思いますがまた続き待ってます
177名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 16:34:59 ID:c225Z1XO
>>173
何を口にしてもこの感想が表せる気がしない…っ!
読んでる間鳥肌立ちっぱなし、もうどうしようかというくらいでした

冬編にも期待させていただきます!
178名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 18:31:43 ID:tYDmD+8v
>>173
GJ!
なんかもう・・・なんかもう凄いとしか。
こなたの髪の長さの話がいいなぁ…意図したものだったんですね。

かがみの恋が終わってしまった…ってことだけど、
それは恋って感情を超えてしまったって意味なのかなぁ…
179名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 18:50:23 ID:MRZ9JOZq
>>178
それが、愛でしょう
180名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 20:47:59 ID:8eVvaVSI
>>173
神作品待ってました ! GJ !!
いつも思うんだが、細かい描写だけじゃなくて、貴方は語彙も豊富だな
ハラハラしながら読ませてもらった
次回まで一ヶ月くらい間が空くらしいが、しっかり構想を練ってまた素晴らしい作品を読ませてくれ

ところで・・・

かがみの恋は終わったのか・・・orz
181名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 21:19:46 ID:RC26c3MM
>>173
表現に乏しい私の場合、何と言えば良いのか分かりません。
ただ、涙が出てきました。

GJです。
182名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 21:51:50 ID:9ZGUMZf/
>>173
ついにここまで来ましたか……。
春夏秋と苦悩を続けるかがみを見てきただけに、感慨もひとしおです。

そして冬には何が待つのか、来月を楽しみにしております。ぐっじょぶ。
183名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 23:18:01 ID:wEraTx0r
>>173
いまはただ、GJとだけ言っておき、
続きをただ待つのみです。
もうあれだ、この作品の前に迂闊に感想書けねえ……


ただ一言だけ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
その後、帰りの飛行機が落ちて……









数年後、森深き無人島で野生少女が発見された。
長くて蒼い髪をなびかせた、小さな少女だった。
「ナガイヤセイセイカツノタメ、デンキダスヨウニナターヨ、ビビビビビ Σ=ω=.そ」
「あー、だるいから突っ込まなくていいか('A`)」
184名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 00:50:52 ID:EGCm0e1+
むう、長い1ヶ月になりそうなんだぜぐっじょぶ
185名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 02:14:36 ID:ZvTVsimp
>>183
1、飛行機墜落
2、野性化し記憶喪失
3、エレ○トリッ○サン○ー会得
4、記憶を取り戻すため全世界でストリートファイト
5、タイの地で悪の総帥ヴぇガと対決
6、俺達の戦いはこれからだ!
こうですね、わかります。
186名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 03:08:44 ID:HA/noppd
>>185
悪の総帥を倒し、感動のエンディング
「私があなたのお母さんよだばだば」
「ウソイウナ、イッパツデワカタヨビビビビビビビビ」
「(黒コゲ)ふしゅ〜……つれませんねえ泉さんだばだば」


そして、某時刻……
秋葉原で、忍者よろしくせわしなく同人ショップやゲーセンを
徘徊する野生少女の姿……
「レアドウジンゲットダ〜 ムゥゥウゥゥウゥゥウゥゥ……(遠吠え)」
187名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 08:43:43 ID:7U36K4if
みんなブラ○カ大好きだなw
188名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 12:37:05 ID:82v4Bz13
てっきり道を尋ねてきた例のガイルと再戦するものかと(ry
189名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 12:48:32 ID:Q3sVjnM9
みんなやはりあのゲームは思い出深いのかねぇ・・・w
こなたは普段からPCいじってるんだし、軽い帯電体質にでもなってるかもしれんな。
だからこそ余計に○ランカと化しても違和感を感じない・・w
190名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 13:12:09 ID:Dadgja/B
>>189
アニメ(何話かは忘れた)でパソコンやってても人の身体には電気はたまらないってみwikiが言ってたぜ
191名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 19:34:39 ID:hFVXOicj
>>190
ブ○ンカだし、放電してるからなwww

こなた「カガミーンビビビビビ」
かがみ「あばばばばばばば」

こなた「ドウ?カガミン?」
かがみ「ビビッと来たわ!これはもう結婚するしかっ!」
こなた「アッー!!」

電撃結(ry
192名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 20:32:30 ID:H51zQ6t2
何、この電撃ネットワークがキャラソン歌いそうな流れ。

♪東京は コナンカのものだーっ♪
193名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 20:39:27 ID:irHmhz5M
うーん…ネタに困った
スレがここまで来るとあのパターンもこのパターンも既に素晴らしい作品が書かれてしまってるんだよなぁ
同じことやっても仕方ないしでも書きたい
194名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 20:44:31 ID:irHmhz5M
ごめん
完全チラシの裏…というか言ってもあまり意味の無いことだった
流してください
195名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 20:48:56 ID:rdWbhr+D
だが断る!!!
196名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 21:23:54 ID:VgWmeLO9
>>191
誰が上手い事言えと (ry

>>194
全力で君を支援する !
197名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 21:37:29 ID:ERu2tdJL
>>194
カバーソングみたいで良いじゃないか!!
まずは書いて投下してからだ。
198名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 21:50:55 ID:Vu2CmgN5
>>193
ここはお前(と大勢の書き手・読み手)のチラシの裏だ!
思う存分作品を殴り書いてくれ
199名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 21:55:15 ID:V7EHAUig
卿<なに>>194? 何をやっても二番煎じになりそう?
   >>194 それは自分で壁を作るからだよ
   逆に考えるんだ
   「同じ料理でも店によって味が違うもの、あまりに似すぎなければいいさ」
   と考えるんだ
200名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 21:58:27 ID:irHmhz5M
お、なんだか誘い受けみたいになってしまったな、ありがとう
もうちょっとネタ暖めてみるわ。遅筆だけどその時はよろしく
201名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 22:10:38 ID:V9Lq3Lgm
>>199
さすがです、卿!!
202名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 22:38:58 ID:D66hkT8z
>>194
かつてチラ裏発言からどれだけのコラボ作品が生まれたと思ってるんだww
203名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 22:45:58 ID:HA/noppd
まああれだ、>>194、さしあたっては、
コナンカから書いてみてはいかがかとwwwww




「偉い人は言いました。ネタの引きずりはカコワルイと(=ω=.)」
204名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 23:21:04 ID:Dadgja/B
二番煎じになるとか言ってたらもう何も書けないからな、ここの場合は
205名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 23:26:23 ID:mJ1Hv1wp
みなさんネタ切れのようですので、
私が残業中に受信した電波を好きにSS化してみて下さい↓


『朝起きたら犬になっていたみさお』

「みさちゃん、お迎えに来たわよ?」
わんわんわんわん!!
「あれ? みさちゃん、いつ犬を飼い始めたのかしら?」
わんわんわんわん!!
206名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 23:29:49 ID:jQ6mBTjJ
カップリング特になしの非エロ投下します。
207ネタと腐女子は使いよう(1/3):2008/03/21(金) 23:30:54 ID:jQ6mBTjJ
「ファー……ブルスコ……ファー……ブルスコ……ファー……」
 放課後のアニ研部室で、ひよりは奇っ怪な呼吸音を漏らしていた。精気の失せた虚ろな目は、この世ならぬところへと視線を向けている。
「おーい、ひよりん。……おや、いつの間にトリップ中か」
 同じく部室内で雑誌に目を通していた部長のこうは、ひよりの様子を見て小さく嘆息する。
「しょうがないなぁ、ひよりんは……」
 微妙にドラえもんの声真似をしながら、こうは幽鬼のような表情で机に向かっているひよりの背後に回り込むと、
「せい!」
 気合いとともにその首筋へチョップをたたき込んだ。
「べぶらはっ!?」
 花も恥じらう十六の乙女とはとても思えないリアクションで、ひよりは正気を取り戻した。
「あ……こうちゃん先輩。こんちはっス」
「挨拶はさっきしたでしょ。どうしたのひよりん? またネタ出し?」
 こうはひよりの広げているノートをのぞき込む。丁寧な文字で書きつづられた内容に目を通したこうは、何とも言えぬ表情になる。
「伊予柑の皮を剥くと指が酸っぱくなる。キリンさんを見ていると首が痛くなる。耳そうじをしてると体が傾いてくる。……何これ?」
「とある先輩が純粋極まりない親切心から提供して下さった珠玉のネタの数々です」
 明らかな皮肉を込めた説明とともに、ひよりは煙が立ちそうなほど深く濃いため息をついた。
「使えるの?」
「使えると思いますか?」
「だよねぇ……」
 パラパラとノートを捲ってみるこうだが、目に付くのはにっちもさっちもいかない半端なものばかりだ。
「で、何でまたこんなものを前に考え込んでるのよ?」
「実はですね――」
 ひよりは内臓の一つや二つ飛び出すかと思うほど深く大きなため息をつき、いきさつを語り出した。
208ネタと腐女子は使いよう(2/3):2008/03/21(金) 23:32:55 ID:jQ6mBTjJ
「ふーむ……」
 昼休みの一年D組教室。ひよりは鼻の下にシャーペンを引っかけ、腕組みをしながら唸っている。毎度毎度の漫画のネタ出しである。
 今度描くのは、ほのぼの系の四コマ漫画だ。が、どうにもネタの粒が揃わないので困っていた。
「……気分転換に飲み物でも買うか」
 ひとりごちると、ひよりはネタ帳とペンをポケットにしまい、購買部へ向かった。
 自動販売機で紙パックの牛乳を買った時、
「あ。ひよりちゃん」
 先輩のつかさから声をかけられた。珍しく一人で、こなたもかがみもいない。
「柊先輩。ども、こんちはっス」
「ここで会うのってちょっと珍しいね」
「そうっスね」
 何でもない会話をしながら、つかさはひよりと同じ販売機でフルーツオレを購入する。
「そういえばひよりちゃん、今も漫画描いてる?」
 二人並んで紙パックにストローをさしながら、つかさが何気なく話題を振ってきた。
「ええ。次のはほのぼの系の四コマなんスけど、今ネタ出しの最中っス。これがなかなかはかどらなくて――ハッ!?」
 うっかり正直に答えてしまい、ひよりは顔を青ざめさせた。しかし今さら口を閉じたところで、時既に遅し。
「へぇーそうなんだー」
 次につかさが言ってくることを、ひよりは予言者のような正確さで想像できた。
「じゃあ、この前私があげたノートのネタはどうかなー?」
 以前、つかさがひよりに使って貰えたらいいと思って、自慢のネタをたっぷり書いて渡してくれたノートのことである。気持ちは嬉しかったが、その内容はひよりにとってありがた迷惑以上の何ものでもなかった。
 しかしそんなことを正直に言えるわけもなく、今まで曖昧に言葉を濁してきたのだが……。
 つかさは期待に充ち満ちた目をひよりに向けている。
(ああああああしまったあああ!! この流れじゃ「今回は別に……」とか言い辛ぇーっ!)
 ひよりの胸中を今、『後悔』という文字が埋め尽くしていた。

 ※ここからはひよりの脳内フィルターを通した描写でお楽しみ下さい。

「え、えーとですね、今あのノートは手元になくて……」
「じゃあどこに置いてあるの?」
 小首を傾げながらそう尋ねるつかさの声は、平常とは違っていた。具体的にどう違うかというと、ドラマCDの人になっていた。
「ど、どこだったかな〜……?」
「なくしたの?」
 うやむやに答えようしたひよりを、つかさは逃さない。その声音には「私がせっかくあげたノートをなくしたの……?」という感情が滲み出ている。
「いえっ! そんなわけないじゃないスか! あっ、お、思い出しました! 確かアニ研の部室に置いてあります!」
 それは事実であった。どうにも使いようがないネタばかりなので、ロッカーにしまったまま放置していたのだ。
「そう。それなら良かった」
 にっこりと微笑むつかさの目は、怖いほど無邪気な光を放っている。

 ――あるなら、使えるよね?
 ――せっかく私が考えたネタなんだよ?
 ――遠慮なんてしなくていいから、さあ……

 言葉ではない、形無きプレッシャーにさらされ、ひよりの背中に氷塊が滑り落ちる。
 ひよりは固い唾を飲み込むと、小さく深呼吸をした。
「で、では、その……いくつか、使わせて、もらいます」
 苦渋の決断という言葉を絵に描いたような表情で、ひよりはそう言った。
「それじゃあ、楽しみにしてるね」
 朗らかな声と表情。その裏から染み出る想いを、ひよりは幻視する。

 ――使うって、言ったよね?
 ――約束、だよ?
 ――もし、約束、やぶったら……

「で……では、失礼します」
 ひよりは重い枷をはめられたような足取りでその場を去っていった。 
209ネタと腐女子は使いよう(3/3):2008/03/21(金) 23:34:08 ID:jQ6mBTjJ
「――とまあ、以上のようなことがありまして」
 ことの経緯をこうに説明したひよりは、再び大きなため息をついた。
 言うまでもないが、つかさの黒い言動はひよりの妄想力が生み出した虚像である。
 落ち着いた今、ひよりもそれを理解はしているが、ネタを使うと言ってしまったのは事実であるし、万が一、つかさが本当に黒化する恐れもなきにしもあらずである。まず無いだろうが。
「なるほどね。使うって約束した以上は、いくつか使わなきゃいけないわけだ。この中から」
 ノートの表紙をぺしぺしと叩きながら、こうは同情を込めた目をひよりに向けた。
「せめて二つ三つ使えそうなのがないかと探してたんスが……見れば見るほど絶望的で……」
「魂がどっか飛んでいきそうになってたわけだね」
「はい……これ、どうにかなんないスかねぇ?」
 すがるような目で見つめるひよりに、こうは苦笑して肩をすくめた。
「しょうがないね……可愛い後輩のピンチだ。手を貸そう」
「ホントっスか? じゃあこのネタをどう使えばいいのか――」
「まあ待ちな。急がば回れだよ、ひよりん」
 こうは手近な椅子に腰掛けると、机を挟んでひよりと向かい合う。
「まず基礎をおさらいしてみよう。四コマ漫画の構成の基本は何?」
「起承転結っスか?」
「その通り。一コマ目で話の起こり、二コマ目で話のつなぎ、三コマ目で話の発展・転換、そして四コマ目でオチと。ものにもよるけど大体これが四コマの基本構成だね」
 こうは適当な紙を一枚机に置いて、それに鉛筆で「起承転結」の文字を大きく書く。
「ひよりんは四コマのネタを考える時、この四つのどれを主軸にして考える?」
「どれというと……うーん……やっぱりオチ重視っスかね」
「うん。一番笑いどころだし、ここが弱いと全体が活きてこないからね」
 鉛筆の先で紙に書いた「結」の字を叩きながら、こうは話を続ける。
「しかし、そのノートに書かれた何とも言えないネタの数々……それはオチに使える?」
「だから困ってるんじゃないスか……」
「そう。だからオチには持ってこない」
 こうは鉛筆の先を、「結」から「起」に持って行く。
「話の起こりに使うんだよ」
「それは私も考えたっスよ。でも、伊予柑の皮剥いたら指が酸っぱくなるってとこから、どうやって話を広げるんスか?」
「昔の人は言いました。嫌いなものは好きなものと一緒に食べなさい、と」
「?」
「指が酸っぱくなるって、どうやって確かめたらいいと思う?」
「そりゃあ……舐めるんじゃないスか」
「うん、そうだね。指を舐めるんだね」
 こうは鉛筆を置くと、ひよりの目を真っ直ぐに見据え、含みありげな笑みを浮かべた。
「……誰が舐めるんだろう?」
「――っ!」
 こうの言わんとするところを理解し、ひよりの脳裏に電流が走った。
「そうか……そういうことっスねこう先輩! 一見使えなさそうなネタでも、それを起点として百合方向へ話を持って行けばアイデアが湯水の如く湧いてくるという――」
「いや別に百合って限定してないけど」
「感謝します先輩! いよっしゃあーっ! やる気出てきたーっ! 百合より優れた属性など存在しねえーっ!!」
 一気にテンションがトップギアまで入ったひよりは、ネタ帳を広げるや、もの凄い勢いで思いついたことを書き込んでいく。もはやこうも含めて周りなど見えていない。
「やれやれ……創作にかける情熱は凄まじいね、ひよりん」
 置いてけぼりになったこうは、苦笑して元の席に戻り、読みかけの雑誌を手に取った。
 完全に自分の世界へ入っているひよりは、ブツブツと呟きながらネタを練り込んでいる。
「うーむ……つかさ先輩とのカップリングだとやはりここはかがみ先輩が受けの姉妹百合……しかし泉先輩の攻めも捨てがたいし……何と言っても高良先輩を外すわけには……」
「……一般向けの四コマってことだけ忘れないようにね」
 聞こえてないだろうが、一応注意だけしておくこうだった。


おわり
210名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 23:34:49 ID:jQ6mBTjJ
読んで下さった方、ありがとうございました。
211名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 00:01:16 ID:mJ1Hv1wp
リアルタイムGJ!!
果たして、つかさのネタがどの様な展開になるのか?!
212名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 00:01:57 ID:uyLNMUcD
だめだひよりんwwww
それをつかさに読まれるってことわかってないだろww
213名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 00:08:06 ID:OjiLNHaB
 >>210
 こういう話も面白くて良いです。ぐっじょぶ。
 これは『つかさが酸っぱくなった自分の指を誰かの口に突っ込む』
 ということなんだろうけど……

「伊予柑の皮剥いたら、指が酸っぱくなるよね〜(ぱくっ)」
「そうよね。それじゃ私はこっちの指を(ぱくっ)」
「それでは私はこっちの手をだばだば」
 そのほかふぇち感染者多数……
 というのが頭に浮かんでしまった。
214名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 00:40:40 ID:2KOweiFi
>>173
遅レスだけど、読んでいて16-187氏がどこ宗の人・もしくはどこの宗派の思想を参考にしたか何となくわかってしまった。
それにしても、恋が終わった…か。
しかし冬のサブタイトルも決まっているようですし、大まかなプロットはできているんでしょうね。
最後まで是非とも頑張ってください。

>>210
妄想力って凄まじいですねえ…
しかし、それでこそひよりですな。
215名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 00:48:06 ID:afQfo5eZ
>>210
つかさ…恐ろしい子
216名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 01:37:40 ID:LH1OM7WJ
>>213>>215の流れで、脳内で小ネタ(8)のvipつかさと混合し始めている俺は勝ち組だと思っていいんだろうか
217名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 02:57:31 ID:ELzt0I/m
>>210
つかさ・ヤンデレクイーンモード……
コエーー((((;゚д゚))))ーー!!
ひよりんの妄想力は半端じゃねえぜw
GJ!

それと、
>「ファー……ブルスコ……ファー……ブルスコ……ファー……」
ちょ、ファービーwwwww
218双子の兄:2008/03/22(土) 07:56:09 ID:GOBI6G9e
朝から投下します。
続きの要望が多かったんで書いてみました。
前回の『紫煙に溶けゆく』の続きです。

『溶けゆく先に紫煙は泣く』
・カップリング無し
・非エロ
219溶けゆく先に紫煙は泣く:2008/03/22(土) 07:57:33 ID:GOBI6G9e
 カチ、と時計の針が鳴り、壁に掛けられた時計が十二を示した。
 みゆきは嘆息を一つ零すと、机に置かれて充電器の刺された自身の携帯を寂しげに見つめた。
 サブディスプレイの表示は何も変わらず、デジタルの時計が淡々と時を刻んでいる。そこを見ても結果
は明らかなのに、諦めきれずに折り畳み式の携帯を開くとそこにもやはり、何も変わらない待ち受け画面
が表示されるだけだった。メールの画面を開いて新着メールを問い合わせてみても、"新着メールはありま
せん"と苛立ちさえ覚えるメッセージが映るのみ。
 そうしてまた一つ、みゆきは嘆息した。
 親友にメールを送ってから数時間が経った。以前ならば、返信を返さないままに終わる友人ではなかっ
た。少なくとも、日付が変わる前には返事のメールが来ていたのに、日付が変わった今でも返事は返って
来ない。送ったメールが自分に帰ってくるよりは大分良い状況ではあるが、それでもみゆきは心配の念を
頭から追い出す事が出来なかった。
 カチ、とまた一つ時計が時刻を刻む。
 残酷な時の流れは親友を遠ざけるばかりのように思えた。
 もう何時間待っているのだろうか。何時もならとうに眠りに就いている時間なのに、それでも待ち続け
る理由は何処にあるのだろう。答えは最初から決まっているものの、何の変化も起こらない中では不毛な
努力を続けているようにしか感じられなかった。
 先の見えない未来に向かって、徒労ばかりが募っていく。どうしてこんな事になったのだろう。幾ら考
えても答えは見つからず、そしてそれを見つけられない自分に腹が立ってしまう。
 自分がもっと頼れる存在であったなら、親友は相談を持ち掛けてくれたかも知れない。自分にもっと力
があったなら、こんな所で立ち往生をしていなかったかも知れない。そう思う度に色んな何かが欠落して
いる事に気付く。どんなに広い知識を持っていようとも親友を助けてあげれていない。これまで培ってき
た知識はみゆきの中で霞んでいた。
 カチ、と時は進み続ける。
 机の上に置かれた携帯は、静かに佇むばかりだった。




溶けゆく先に紫煙は泣く




「ゆきちゃん……」
 眼に見えて落ち込んだ表情をして自宅のインターフォンを鳴らしたのは良く知る友人だった。普段の朗
らかな明るい笑顔は影を潜め、そこには暗澹とした雰囲気が漂っている。何処か静謐さを感じさせる天気
の日だった。
「取り敢えず、中に入って下さい。話しが聞きたいです」
 その表情だけで此処に来た理由が良くないものだと感じ取ったみゆきは直ぐにその友人を家の中へと招
き入れた。何時もなら、そこで満面の笑みを称えてくれる友人の表情はそこでも暗く、嫌な予感を彷彿と
させながらみゆきは友人をリビングに通した。そして、話の合間にでも、と言う理由で台所にお茶を淹れ
に行った。
 何も無く話すにはその内容はかなり重いものであると、直感的に感じ取ったのだ。
 お茶を入れている間も、みゆきは訪ねて来た友人の事を考えていた。彼女が暗くなる理由など一つしか
思い当たらない。何故なら彼女は高校を卒業してから大きく変わり、人見知りの性格も前ほどではなくな
って大学でも上手くやっていると聞いていたからだ。生活に何の不安もない以上、必然的に友人が暗くな
る理由は思い当たった。
 ――それは、みゆき自身にも降り掛かっているものだったのだから。
「今日は、どうしたんですか? つかささん」
 お茶を二人分、テーブルに置いてからみゆきはまずそう問い掛けた。
 その瞬間につかさの表情が曇る。泣きだしたい衝動を必死に押し殺しているようにも見えるその様子
を、みゆきは真剣な眼差しで見つめ続けた。急がなくても良いのだ。落ち着いて、あった事を話せば良い。
人の悩みを聞く上で、みゆきはそれを心掛けていた。この友人は、とびきり強い精神を持っている訳では
ないと理解していたからだ。
「……お姉ちゃんがね」
220溶けゆく先に紫煙は泣く:2008/03/22(土) 07:58:30 ID:GOBI6G9e
 暫くの間を置いてから、つかさはか細い声で呟いた。それはまるでみゆきに聞かせているようではな
く、自分に対して語りかけるかのようで、みゆきは黙ってそれを聞いた。
 再び舞い戻る沈黙。時計が刻む音が、やけに耳に付いた。
「連絡……くれないの」
 絞り出すような声。けれどそれは確かにみゆきに届いた。
 つかさは今にも泣きそうな表情をしながらも続ける。元々華奢な体は更に弱々しく見えて、みゆきは
言い知れない不安を覚えた。つかさが言葉を紡ぐ度、想いが伝わってくる。それは姉への愛情や、姉へ
の信頼。しかしその全てが報われていない事を思わせるような、そんな想い。何かが揺らいでいた。
「メールしても、電話しても、返してくれないし出てくれない」
 そこまで言って、つかさは顔を手で覆った。そうして、自らの激情を必死に出すまいと、震える声で
また言葉を紡ぎ出す。それでもみゆきは毅然とした態度で耳を澄ました。
「……っ、私、どうすればいいのか分からなくて……!」
 最後に込められた感情が激しい濁流となってみゆきに流れ込むかのように全ての想いを伝わらせた。
 とうとう堪えられなくなった涙を零し、唇を震わせてつかさは泣いた。
 みゆきは眉を下げて、その瞳に優しげな光を称えると座っていた椅子から立ち上がり、ゆっくりとつ
かさの隣の椅子に腰かけた。そして、幼子に母親がそうするように、つかさを両腕で抱え込むようにし
て抱き寄せると何も言わずにその腕に力を込めた。背中に回される腕は本当の赤子のように頼りなく、
抱き締めた小さな体躯は今にも崩れ落ちそうなくらいに脆く思える。そんなつかさを、みゆきはただ黙っ
て包み込んだ。
 どれくらいの時間が経過したのだろうか。自分の胸の中ですすり泣くつかさは落ち着くのにまだ時間
が掛かりそうだった。そんな時にみゆきの頭の中を過ったのは、前に企画した同窓会の事だった。
 高校を卒業して二年と半年の歳月が過ぎた時、各々の近況報告を兼ねた同窓会をみゆきは企画した。
大学は楽しかったし、寂しいという訳ではなかったが、かつて親しい付き合いをしていた友人達に久し
振りに会いたくなったのだ。その旨を数人に話した所、満場一致で同窓会を行う事になった。
 今思い返してみれば、そこから何かがずれ始めのかも知れない。親友の一人が欠けた同窓会が、仲間
内の意識を変えてしまったのだ。それでも全員が気にしないように努めていたが、心の内では誰もが感
じ取っていた変化だっただろう。常にみんなを纏めていた、彼女が居ない同窓会がもたらしたそれを。



 その時の同窓会に参加したのは五人だった。
 ゆかりが自宅を使う事を快く受け入れてくれた為、高良宅で行う事になった同窓会には五人しかいな
かったのだ。全員が集まった時、誰もがその異変に気付いていて、最初は気まずい雰囲気が流れた。そ
の中でも一層気まずそうにしていたのは唯一の欠席者であるかがみの妹のつかさだった。
 彼女はかがみに一番近しい者であったから、かがみを呼ぶ役目にあったのは必然的につかさだった。
この場に来る事を当然だと信じて疑わなかったつかさが誘いを断られた時の様子は誰が見ても傷ついて
いるように見えた。それまでは普通に接していたのに、いきなり姉が無愛想になってしまったのは自分
の所為だと思い込んでいたからだ。
 だからこそ、その同窓会では欠席者を気にしないように楽しむとみんなが決めた。そうでなければ、
楽しいはずの同窓会は通夜を行うかの如く暗いものに変貌してしまうと危惧したのだ。
 料理が得意な峰岸とこなたとつかさが作った豪華な料理を食卓に並べ、成人した事もあってその場に
は酒も同じようにして置かれていた。食を進め、酒を飲んで行く内に程よい酔いが全員に回った頃、話
は弾み、前のような明るい五人がそこに並んでいた。話す話題には困る事はなかった。それこそ昔の出
来事や今の状況など、それは無限にあるように思えた。
 例えば日下部がインターハイに出場した事や、峰岸の彼氏との経過、つかさが大学で起こしたドジ騒
動にサークルで活躍しているこなたの事。そのどれもが楽しくて、その場からは笑い声が絶えなかった。
221溶けゆく先に紫煙は泣く:2008/03/22(土) 08:00:02 ID:GOBI6G9e
 しかし、その雰囲気を一人が打ち破ってしまったのだ。先刻までは楽しげな会話を交わして、時にはみ
んなをからかって。年に似合わない子供っぽさを発揮していたこなたが、唐突に黙りこくってしまった。
 酒が回っていた事もあり、眠くなったのかも知れないと、みゆきが今日は泊まっていって下さいと提案
した時に、こなたは閉ざしていた唇をゆっくりと開いた。
 既にその時には、こなたが言おうとしている事を誰もが感じ取っていた。盛り上がっているこの場で
も、決定的に欠けた何かがあるという違和感を見過ごす事など出来はしなかったのだ。
 例えば、鋭い指摘をこなたに飛ばす声だとか、つかさの大学生活に対して心配する発言であるとか、
前にはあったはずのやり取りがそこからは欠けていた。つまるところ、かがみと言う人間の存在が欠け
ているという事はそれ程までに全員に違和感を与えていたのだ。明るい所に差す陰、それは空白の席に
差し込み続けていたのだから。
「かがみ……何で来なかったんだろうね」
 その一言が空気中を伝わって各々に届いた時、先刻の盛り上がりがまるで偽りのものであったかのよ
うに場は静まり返った。重い沈黙が辺りを包み込む中で、最初に口を開いたのはこの出来事に対して罪
悪感を感じているつかさだった。
「……分からない。ただ、行けないとしか言ってなかったから……」
 俯くつかさの肩に手を置いて、次いで峰岸が言葉を発する。
 彼女にはかがみに何があったかなど分かりはしなかったが、それでも責任を感じる必要のないつかさ
が不憫に思えた。
「忙しいんじゃないかな。柊ちゃん、頭の良い所に行ったから……」
「それでも、理由も話さずに断るなんて事、今までは無かったよ」
 峰岸の言葉を遮るようにしてこなたは反論する。それがこの場に相応しくないものだと、頭では分か
っていても抑える事は出来なかった。それは、かがみが何も自分に相談を持ち掛けてくれない不甲斐な
さだとかが関わっていたのかも知れない。そんな事はこの場に居合わせる全員が感じている事だったが。
「相談したくない内容だったんじゃねーの? ほら、色恋沙汰とかさ。柊はそう言うの話したがらない
だろうし」
 日下部がそう言った時、こなたは血相を変えて反論した。
 如何なる理由があったとしても、同窓会に来られない旨が"行けない"だけでは日下部が言った事に信
憑性は無いに等しいのだ。来られない理由に、脚色など幾らでも付けられるのだから。
「それでも、“行けない“だけなんて不自然過ぎるじゃん! 少し前までは普通に連絡取って、電話だっ
てしてたのに、こんな時だけ行けないだけなんておかしいよ!」
 それが火種だった。こなたの激昂を引き金に、日下部までもが熱くなってしまい、収集の付かない論
争が繰り広げられる事になってしまった。楽しい同窓会は一瞬の内にその色を変えたのだ。
「だからってお前は柊を疑うのかよ! 人間なんだから言えない事の一つや二つくらい誰にだってある
だろ!」
「そんなのない! かがみは困った事があったら相談するし、それが当たり前だった!」
「それはお前の我儘だろ! ……人は何時までも同じな訳じゃない」
「そんなの……! かがみはっ……!」
 こなたはそれを最後に俯いて黙ってしまった。
 呼吸を荒くし、必死に泣くのを堪える姿は痛々しい。そして日下部もそれは同じだった。友達なら相
談する。だが、かがみはそうしなかった。それは他でもない自分達が役不足だからに他ならないと、彼
女自身も考えていたからだ。
「みさちゃん、もういいから、ね?」
「こなたさんも……落ち着いて下さい」
 二人の口論が収まったのを見計らって、峰岸とみゆきがそれぞれを落ち着かせる為に声を掛ける。そ
の様子をつかさは茫然と眺めているだけだった。心配していたのは自分だけではなかった。責任を感じ
ているのも自分だけではなかった。全員同じ気持ちだったのだ。それは嬉しい事でもあり、またかがみ
の事が気に掛かってしまう事でもあった。
 そしてその場ではかがみに対する悶着は一応の落ち着きを見せる事になる。後日、かがみに連絡を取
った所返事は普通だった事もあって、やはり何か言えない事があったのだろうという事になった。
 それでも胸に残る蟠りは消えずにその残ったままだったが。


「……あの時に気付くべきだったんです。かがみさんが何か思い詰めているかも知れない事に、私達は」


222溶けゆく先に紫煙は泣く:2008/03/22(土) 08:01:04 ID:GOBI6G9e
 約半年前、そこで気付くべきだったと、みゆきはそう言った。
 それは責任感が高い彼女だからこそだったのかも知れないが、みゆきは薄々と感じていたのだ。理由ま
では分からなくとも、親友の心境の変化を。思えば同窓会が終わって数日が経った時には既にかがみの様
子がおかしかった。メールに対する返信は殆どの場合において一言だけの簡素なもの。そして、その返事
すらも途絶えたのが、一週間前だ。
「今度こそ何か行動を起こしましょう。このままでは、いけないと思います」
 みゆきはつかさの背中を優しく摩りながらそう言った。薄々気付いていながらも何もしなかった自分。
そして事態はとうとう深刻な所にまで来てしまった。眼に見えてはっきりとしている状況を知っていて、
それを指を咥えて見ているだけなんて、もう出来そうになかった。今何かをしなければ、大切な親友が
戻って来ない危機感さえ感じていたのだ。
「だから、つかささんも協力してくれませんか? かがみさんを想う気持ちがあるのなら、泣かないで問
題に立ち向かいましょう。泣いているだけでは何も変わりませんから」
 力強い言葉だった。こと、つかさに関してはみゆきのその言葉は他の誰が発する言葉よりも力強い響き
を持っているように思えた。せり上がってくる感情の波を抑えて、つかさは唇を噛む。直ぐに泣くのを止
めるなんて事は出来そうになかったから、せめて返事くらいはみゆきと同じように強くと、顎に更に力を
込めた。
「うん……ありがとう……ゆきちゃん」
「いいえ、お友達ですから」
 そうして二人はくすりと笑い合った。
 胸に同じ思いを秘めて。止まった時を動かそうと心に決めて。
 それがどんな結果をもたらすのかはまだ分からない。それでも二人はこの現状を変えようと奮闘する事
を決めたのだ。同じ気持ちを共有する友人達と、共に尽力する為に。
 この後、つかさが落ち着いて帰宅した後、みゆきはかがみにメールを送る事になる。それは他の友人達
と決めた内容であり、例えそれに対して返信が来なかろうと、する事は決めていた。
 止まって、同じ時を刻み続けていた時計の針はゆっくりとその身を動かし始める。カチ、と頼りなさげ
に響くその音は、何よりも力強い未来へ進む歩みの音だった。



 心が沈むような鈍色の空が私を出迎えた。
 午前九時、起きるには早すぎとも思えるこの時間に眼が覚めてしまったのは昨日の事で頭が上手く働か
ないからだろう。落ち着いたと思っていた思考回路は今でも混雑したままだったから、落ち着いて眠りに
興じる事も出来なかった。
 朝、目覚めてベランダに出て見れば、薄暗い曇り空の下に霧が広がっていた。昨日はよく見えていた街
の光景も霞んでいる。朝特融の粘り気を伴った口ではあったけれど、私は何時もの習慣で煙草に火を付け
ていた。自分の健康を損ねる事で、心に安らぎを得る事が出来るのならば決してこの代償は高くないと思
えるのだ。それが刹那の間だけであっても。
 紫煙を喉に通すと、思った通りに寝起きの喉には厳しいものがあった。煙草独特の苦みがある味が舌に
広がり、喉を痛めつける煙は思わず咳を私に出させる。それでも赤い火がフィルターに到達するまで私は
煙草を吸うのを止めなかった。中途半端が嫌だったのだ。既に、とても中途半端な位置に居る癖に、そこ
から来る嫌悪感から逃げ出していた。
 どうしようもなく私は弱いままだった。
 昨日、みゆきからメールが来て、それを無視した事によって全てと決別したと思っていたのに。過去の
しがらみから逃げる事が出来ずにこうして引き摺っている。所詮、逃げだす事も出来ず、立ち向かう事も
出来ず、私はずるずると生きて行くのだろうと、根拠のない確信さえ感じていた。
223溶けゆく先に紫煙は泣く:2008/03/22(土) 08:02:21 ID:GOBI6G9e
 惰性的に日々を過ごし、黒白の世界に怯えながら時は過ぎて行くのだ。
 それはまるで、壊れて動かなくなった時計の針を無理やり自分で動かしているようなものだった。私
は、自身が望まない未来へと歩を進めているのだから。そしてそれを受け入れているのだから。
 もう自分でどうにか出来るとは思えなかったのだ。何時か差し伸べられるかも知れない救いの手を、
頭の中に描いては消す、その繰り返し。その手を受け取る資格など私には在りはしない。私はいずれ、
大学を卒業して、誰にも知られず、誰にも干渉されず、誰にも救われず、たった一人で朽ちて行くのが
お似合いだ。
 何時までも過去に縋ったまま、それだけを生きる糧にして惰性的に生命を保つだけ。それが私が描く
私自身の未来像。これ以外の未来像など、想像する事もしたくなかった。
「……」
 気付いて見れば私はずっとベランダに佇んでいた。この季節でも朝はまだ少しだけ肌寒い。僅かに身
を震わせて、私は家の中へと戻った。背後に広がる世界をなるべく眼に入れないように気を付けながら。
少しでも現実から逃げ出そうと、惨めに背中を向けながら。弱くてもいい。それが私に出来る最大の生き
方なのだから。
 ソファに沈み込んで、何も映っていないテレビに目を向ければそこには死んだ魚の目のような淀んだ
光を称えた私が映っている。世界の色んな光景を映し出すテレビなど、もう随分前から見るのを止めて
いる。理由は勿論、私の眼に映る光景がモノクロにしか映らないからだ。
 生ける屍のような私を見つめていると、何故こんな事になってしまっているのだろうか、と今更な事
を考えてしまう。私の眼に映る光景がモノクロになってしまった理由とか、私の今の状況とか、そんな
事が。
 その答えは簡単に見付ける事が出来る。そして、こうなった原因は全て私にあると、自責の念に押し
潰されそうになるのだ。思い出せば数年前、意気揚揚とこの街に越して来たのがそれの始まりだったの
かも知れない。
 大学に進学した私は、これから始まるだろう新しい生活に対して期待以外の感情を持ち合わせていな
かった。まるで幼稚園生が小学生に上がる時のような、そんな感情でいっぱいだった。
 けれど、現実は違った。
 大学に行って分かった事と言えば、人間と人間の間にある関係の希薄さ。誰もが自分の事を考えて、
他人の事などついで程度にしか思っていない。極論なのかも知れないけれど、少なくとも私が感じた印
象はそれだった。
 高校生の頃は全てを曝け出せるような友達が周りに沢山居た。信頼して、信頼されて、そんな心地の
いい関係が当たり前だった。思春期と言う若さ故の時期のお陰だったのかも知れないけれど、それでも
あの関係に偽りなどは微塵も感じなかった。そんな居心地のいい環境に慣れ過ぎていたのだ。大学に入っ
て、その事を痛感した。
 友達が居なかった訳ではない。むしろ、多い方だったと思う。その時は楽しかったのだ、大学生活が。
 けれど、それが一変するのは唐突だった。積み上げた積み木を崩すかの如く、それは容易いものだっ
た。
 私の外見は悪くはなく、むしろ良い方だったのだろう、大学に入ってから私に話しかけて来る男性は少
なくなかった。自意識過剰とかではなく、高校生に異性との関わりが少なかった私にとって、それは本当
に多いもののように感じたのだ。
 ある日、一人の男が私に告白した。別に私はその人の事を特別意識していた訳ではなかったから、特に
悩む事もせずにその告白を断った。それが、火種だったのだろう。
 その男の人は女性からの人気も高くて、テレビに出ているようなアイドルにも劣らない人だった。そん
な人が私に好意を向けていた事は意外でもあり、嬉しくもあった。けれどそれは私だけで。周りからの人
気が高かったのは、つまりそれだけその男性に好意を向けている人も多いのだ。それが私に告白して来た
のが、周りから気に入られるはずがなかった。
224溶けゆく先に紫煙は泣く:2008/03/22(土) 08:03:48 ID:GOBI6G9e
 その日を境に仲良くしていた女友達が次々と私に皮肉を言い残して離れて行った。それまでは普通に
遊びに行ったり、仲の良い付き合いをしていた友達が、蜘蛛の子を散らすように私の元から去って
行った。
 ――良いね、外見が整った人は。
 ――何で断ったんだろうねー、自分にそんなに自信があるのかしら。
 ――遠まわしに私達を蔑んでるんでしょ?
 そんな言葉を吐かれた気がする。私に罪の意識は無かったから――言いがかりを付けられているとし
か思えなかったのだ――私はそんな言葉に対して強気に振舞った。友人がそんな事を言われたショック
はあったけれど、それでも理不尽な暴言に対して寛容な態度は取れなかった。
 そして、その末に訪れたのは孤独。
 周りには誰も居なかった。色々相談に乗ってくれていた友達ですら、居なくなった。
 些細な事で拗れて、消えた人間関係は友達と言えるものではなかったのだ、と私はその時に理解した。
 悲しかった。寂しかった。怖かった。そして何より腹立たしかった。
 誰にも相談出来ず、かつての親友達に話すのは余りにも惨めに思えて、私が逃げ込んだのは結局楽し
かった高校時代の、眩しい記憶の中だった。思い出だけは色褪せる事無く残っていたから。あの頃は本
当に毎日が楽しくて、居心地が良かった。心が荒んでしまった私には、それが何よりの特効薬だった。
 けれど、効果のある薬ほど副作用は付きものなのがこの世の道理だ。私は過去に囚われて、そこから
抜け出す事が出来なくなった。楽しかった頃を思い出すだけで、充足した日々が戻ってきた気がした。
そんな事は天地が引っ繰り返ったってありはしない事なのに、馬鹿な私はそんな簡単な事にさえ気付く
事が出来なかった。
 それでも依存してしまっていたのだ。あの頃の記憶――その思い出に。色褪せた私の視界にそれは映
らないけれど、心の中でそれは確かな彩りを持っていた。だからこそ、私は特効薬の強い依存性に当て
られてしまった。現実から目を逸らして、過去ばかりを見ているようになってしまった。
 そして、今に至るのだ。
 何かを見ているようで、その実何も見ていない私。それが自分でも許せなくて、そして親友達を裏切っ
てしまった事実が私を苛める。顔を合わせる事が苦痛になるだろう事を、理解していた。
 だから、突き放してしまえば大丈夫と、そう思った。何か連絡が来てもそれに返事さえしなければ、
向こうも諦めてくれるだろうと。それが私の望む結果であり、そして望まない結果でもあった。
「……なんなんだろう……私」
 誰かが傍に居てくれたのなら、この問いに答えてくれたのかも知れない。けれど、私の体重を受けて
沈んでいるソファには私以外の姿は無くて、勿論部屋の何処にも私以外の人間は居なかった。
 どうしようもなく悲しくて。どうしようもなく寂しくて。どうしようもなく怖くて。どうしようもな
く腹立たしくて。私は一人涙を流した。情けない嗚咽を部屋に響かせて、咽び泣いた。
 もう全てどうでも良くなった。もう全てに意味を感じられなくなった。あのベランダの柵を乗り越え
て、身を投げてしまえば楽になれる、そう思うほどだった。けれど、そんな勇気は少しも出なくて。そ
んな自分が嫌で、一層泣き声を大きくした。もしかしたら隣の部屋に聞こえているかも知れない。でも、
そんな事を気にする余裕は無かった。
225溶けゆく先に紫煙は泣く:2008/03/22(土) 08:04:35 ID:GOBI6G9e
 ――その時。
 私の泣き声だけが聞こえるはずの室内に、違う音が響き渡った。
 それは、誰かの来訪を私に告げる音。甲高い音が特徴の、私の家のインターフォンの音だった。
 二度、三度、と同じ音が室内に響き続ける。私が応対していないにも関わらず、何度も何度も。それ
は私に期待と不安を与える音だ。思い出が新しい形で具現化するかも知れないと、両極端に分かれなが
らもそれはある種の確信だった。何故なら、不安も期待も、同じものに属していたから。
 気付けば、曇ってはっきりしない視界で私が見ているのは自宅のドアだった。開けてはいけないと、
そう分かっているのに私はドアノブに手を掛けている。覗き穴は見る事が出来なかった。見てしまえば、
もう一生このドアに触れる事が出来ない気がしたのだ。
 心臓が五月蠅く脈を打っている。それに呼応するかのように、私の手はゆっくりと緩慢な動作でドア
ノブを捻り始めている。がちゃんと、扉が僅かに開く音がした。涙は止まらない。霞む視界で、そして
そこに見える光景に色が無くとも、私はドアを開く。ゆっくりと、ゆっくりと、自身を焦らすかのよう
に。
 ドアが開き切った後、そこにあるのは私が見て来たモノクロの人では無くて。私の人生の中で誰より
も彩りを持っている人たちがそこには居て。その先に見える空さえも色を持っているような気がした。
「おはようございます。……かがみさん」
「お姉ちゃん、久し振り、だね」
「やっほー、かがみん! 何か変わったねー」
「柊ちゃん、大丈夫だった?」
「柊ー! 会いたかったぜー!」
 みんな、違う声。みんな、違う顔。あの時とは違うけれど、本質は何も変わらない。直ぐに理解する
のだ、此処に居るみんなが、私の友人であると。
 声が出なかった。挨拶を返そうとしても喉から絞り出されるのは嗚咽ばかり。みんなの中に飛び込も
うとしても、震える足には力は入らず、私はその場にへたれ込む。
 そんな私を気に掛けて、みんなは揃って心配の声を投げかけて、私の身体を支えてくれる。まるで昨
日の事を思い出すかのように感じられる温もりが暖か過ぎて、今自分が居るこの世界が全て私の作りだ
した偶像のような気さえした。
 ――そうだ。
 私はみんなの手を受け取りながら、考える。
 昨日みゆきからメールが届いた時に、言葉ではっきりと拒絶しなかったのはこの温もりが忘れられな
かったからだ。それどころか、アドレスだってそのままにしておいたのだ。はっきりと拒絶したなんて、
どの口が言えるのだろう。
 私は拒絶など全然していなかった。
226溶けゆく先に紫煙は泣く:2008/03/22(土) 08:05:13 ID:GOBI6G9e
「ごめん……っ! 本当に……ごめん……!」
 やっとの思いで紡ぎ出せるのはこの言葉だけだった。挨拶よりも、久しぶりの再会を喜ぶ言葉よりも、
何よりこの言葉を伝えたかった。私はみんなを裏切っていたのだ。みんなの好意を無下にしてしまってい
たのだ。
 だからこそ、一番に伝えなければいけない言葉はこれだった。
 あれほど孤独を受け入れようとしていたのに、恋しかった温もりを目の当たりにしてみればそんな決意
はことごとく崩れ去ってしまっていた。私は、この瞬間に新しい生き方を見出したのだと思う。みんなと
再会して、こうして触れ合って。孤独なんて最初から私には無理だった。辛かったら甘えれば良かったの
だ。変な意地を張らずに、素直になって。

 “あの頃のような生活に戻れますように――”

 昨夜、紫煙を纏う月に捧げた願いが頭の中を木霊する。決して叶わない願いではなかった。こうして、
今この状態がそれを示している。自分が変われなくとも、信じていた仲間達は駆けつけてくれた。それだ
けであの願いが叶ったように思えた。
 でも、もしかしたら。
 そう、“もしかしたら”と私は思うのだ。
 私が抱え込んでいた負の感情が紫煙に溶けて消えて欲しいと、そう思った時に、確かにその願いは紫煙
に溶けていて。そしてそれは消える事無く、私達との間に空いた空白を長い間彷徨って親友達の元へと辿
り着いてくれたのかもしれないと。ロマンチストな性格になったものだと、心の中で微笑んで、私は空を
見上げた。
 そこには、眼に掛かっていたフィルターを一気に取り払ったかのような世界が見えた。
 黒白の失せた青い空が、眩しい日差しを提供してくれ眩い陽光が、確かに在った。




――end.
227双子の兄:2008/03/22(土) 08:07:20 ID:GOBI6G9e
これにて投下終了です。
前回があまりに鬱だったもんなのでハッピーエンドになるように頑張りました。
カップリングよりもむしろ美しき友情を書いてみたかったんで、物足りなかったかもですが……。
それでは、読んで下さった方、ありがとうございました。
228名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 11:00:28 ID:NJIIouCH
>>227GJ!
かがみんは良いねー。こんな友情うらやましす。

Help me, Kagamin!を聴いてこなたの かがみん☆ ヴォイスが頭から離れなくなった orz
229名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 11:04:57 ID:UJBrkV3K
>>227
素晴らしい!その一言に尽きます
かがみんはこれでタバコ辞めるのかな?
ホントGJでした
230名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 12:33:49 ID:8DPER8ls
GJ!喉に刺さった魚の骨がようやく取れた感じですわw
231名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 14:06:20 ID:jmHG6Prz
いわゆる俺キャラものなんですが投下してもよろしいでしょうか
232名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 15:20:34 ID:WSQALVia
>>231
いいとは思うがレスが貰えなくても泣かないこと。
233名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 16:24:33 ID:oTGW/k6A
そして数時間が経過した
234名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 16:51:39 ID:Jr7ltPOp
>>231
俺キャラ=先ほどの紫煙モノで、かがみがハブられるきっかけを作った
イケメン男だったら死刑確定だがwwwwwwwww
235名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 18:41:16 ID:uFJeSlQ/
終わり方が良かったです!美しき友情にGJ!

しかしかがみんにタバコって他のキャラに比べてそこまで違和感がない(もちろんあるにはありますが)分、
より哀愁を帯びてる感が増すような気がします。
236名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 18:56:02 ID:afQfo5eZ
>>227
よかった…本当によかった!
鬱のまま終らなくて本当によかったよ!
全力でGJを遅らせてもらう

>>231
いいんじゃね?
らだしレスつかなくても泣くなよ
237名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 19:03:03 ID:kEI0p8rd
ちょっと待って他に投下予告無ければ、一本投下させて頂きます。
238名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 19:09:43 ID:kEI0p8rd
ではいきます。
注意
基本、かがみ×こなた
エロ無し。捏造あり。
鬱なのかも?人死にあり(ラストなので今回はありませんが)
オリキャラ?あり
以上の事を踏まえてお読み下さい。
239名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 19:10:33 ID:kEI0p8rd
非現実的な事っていうのは、ある日突然やってくる。
例えば、そう例えば、目の前のこいつなんかがいい例だ。


「あの〜……」
気のせいよ。気のせい。ここ最近、ダイエットでご飯あんまり食べてなかったし、
それに今日こなたに付き合って、ちょっと遠出しちゃったから、疲れてるのよきっと。
それにしても酷い雨よね。念のため折り畳み傘持って行ってて正解だったわ。
こなたも、途中でビニール傘買ってたみたいだし、大丈夫よね。
「あの〜〜〜………」
幻聴よ。幻聴。さっき見たのも、幻覚なのよ。
だって現実に、そんなものいるハズ無いもの。
「あの〜〜〜〜〜!!!!」
「あ〜〜〜!!なんなのよ一体!!!」

堪らず返事をしてしまう。
私が、無視しつづけた事せいで、私の目の前に周りこんだソレは、随分と変わった格好をしている。
頭からスッポリと被った黒いローブ(?)
顔はよく見えないけど、その隙間からチラチラと青い髪が見えてる。
身長(?)は、40センチ位かな?
それで、左手に持たれたのは、その彼女(?)の身長より高い大きな(あくまで、彼女と比較した場合だが)鎌。
うん。ここまではいい。いや。よくないけど、それより大きな問題がある。
彼女は、宙にぷかぷかと浮いているのだ。
「よかった!ようやく気付いて貰えました!!」
いや、随分前から気付いてたんだけど、無視してただけよ。
生憎私は、現実主義者なのよ。
出来れば貴方みたいな、非現実的な存在な人(?)と関わり合いたくないのよ。
「それで?私に何か用?」
胸の中にある、色々な葛藤とか、焦りや恐れを無視して、要件だけを尋ねる。
まあ、何と無く想像はつくんだけどね?
だって、彼女の格好はどう見ても………
出来る事なら、白い髪の娘に会ってみたかった気もするけど。
「えっと、申し遅れました。私こういうものです」
彼女が懐から取り出した、マッチ箱程の大きさの小さな名刺には、更に小さな字でこう書いてあった。
『NO.215141 死神』
端っこの方には電話番号まで書いてある。
これって、かけたら本当に繋がるのかしら?
240名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 19:11:29 ID:kEI0p8rd
「それで?もしかして私を迎えに来たとか?」
どこか現実を受け入れれずにいる私。というか、受け入れれる状況じゃないしね。
「えぇ。まぁ。でも、今すぐって訳じゃなくて、今から1ヶ月後なんですが。
今回は、それをお伝えしに参りました」
なんで、わざわざそんな事伝えにくるのかしら?
知らずにいれば、楽しめたかもしれない残りの人生も、楽しめなくなるかも知れないじゃない。
でも、今は他に知りたい事がある。
別に、彼女の存在を認めたわけじゃないし、信じたわけでも無い。
未だに幻覚の可能性も疑ってるし。
でも、彼女が死神だと言うなら、これだけは聞いておきたい。
「なるほど。ところで、私なんで死んじゃうの?思い当たる事が全然無いんだけど」
事故とかなら、注意する事で防げるかもしれない。
彼女は懐から、黒い手帳の様な物を取り出しパラパラとめくる。
「えっと。貴方も覚悟はされてると思いますが……貴方のお母様と同じ病気で亡くなるみたいです。
言いにくいですけど、2週間後くらいからは、寝たきりの状態になると思います」
覚悟なんかしてないし、そこまで聞いてないんだけど。
それに、お母さんと同じ病気で死ぬって言われても………
「あのさ?」
「はい?」
「私のお母さん、今も物凄く元気に生きてるけど?」
そりゃもう、殺しても死にそうに無いくらいの勢いで。
「え!!?あれ??そんなハズは!??」
あたふたとしながら、手帳をパラパラとめくる彼女。
「えっと、今日友人と買い物にでかけてますよね?」
「うん」
確かに、今日はこなたに付き合って、秋葉原まででかけてる。
「じゃあ間違いないですよ!その2人の内のオタクの方が、今回の対象者なんですから!!」
………
…………………………
「あのさ?一つ聞いていい?」
「はい?」
頭痛を感じて、頭を押さえながら口を開く。
「その情報でなんで私の方に来たの?」
「え?ラノベ買ってたのを見ましたので」
うん。買ったわよ。確かに。フ○メタの新刊出てたからね。でもさ?
「ラノベ買ってたら、オタクですか?」
「えーと………違うんですか?」
「違うわよ!!大体買ってた量を比べたら解るでしょ!!!それって、明らかに………」
そう。母親が死んでて、今日私とでかけて、オタクな娘。
それは、つまり………
自身に言われた時以上のショックを受けながら、彼女の両肩を掴む。
「痛っ!?」
彼女の口から、そんな言葉が漏れたけど、それを気にかける余裕は私には無かった。
「………じゃうの?」
「え?」
私を見上げる、青い瞳がわずかに見えた気がした。
「死んじゃうの?こなたが?」
止む気配すらない雨の音がよりいっそう強くなった気がした。
241名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 19:12:15 ID:kEI0p8rd
「ごちそうさま」
「え?お姉ちゃんもういいの?」
「うん。帰り道で、こなたと一緒に色々食べちゃったから」
心配そうな顔だったつかさは、それで安心した様で、『そっかぁ』と呟いて食事を続け始めた。
嘘だ。今日、こなたと食事なんかしてない。
でも、食欲なんて無かった。
一人部屋へと戻った私は、ベットへと倒れ込む。
シンっと静まりかえった部屋に、秒針が時を刻む音だけが響いていた。
頭の中で何度も繰り返されるのは、帰り道での、自称『死神』とのやりとり。

「死んじゃうの?こなたが?」
私の言葉に、彼女は俯く。一瞬見えた気がした瞳は完全にフードに隠されてしまった。
そして、急に後ろをむくと、何処かへと飛び立とうとしてしまう。
「ちょ!待ちなさいよ!!」
地面を蹴って、おもいっきり手を伸ばす。
何とか彼女の服の裾を掴んだ。
「きゃあ!!」
可愛いらしい悲鳴と共に地面へと引きずり戻された彼女は、私の方へと向き直った。
「何するんですか!?」
「そりゃこっちのセリフよ!
いきなりやってきて、訳のわからない事言われて、そのまま去られたら、気になってしょうが無いでしょ!!
帰るなら、ちゃんと全部話してからにしなさい!!」
食いかかる私に、一瞬呆気にとられた彼女。でも、すぐに私に負けない勢いで切り返してきた。
「ダメです!人の寿命に関するお話は、御本人にしか出来ないようになってるんです。
ですから、貴女にお話するわけにはいきません!!」
さっきまで、ペラペラ喋っといてよく言うわよ。
第一、こなたが……『親友』が死ぬなんて言われて、黙っていられるもんか。
大体、この娘が、勝手に私とこなたを間違えて………ん??
「ねえ?死神は人の寿命を他人に話しちゃいけないのよね?」
「そうです。無闇に他人に寿命を教えたりすると、人間界で混乱が起きかねませんから。
時に、1人の生き死には、何万人の生死に関わる事がありますし。
そうでなくても、今の世の中だと『ほけんきん』とか言うのに関わっちゃう事があるので絶対に言っちゃいけないんです。
まぁ、それ以前に、生前に死神が姿を見せる事を許される人間自体が、限られてますけど。
いくつもの厳しい審査をパスした人間に、その限られた時間を有効に使ってもらうために、前以て死期を告げるんです。
だから、それ以外の人間には話をすることは勿論、姿を見せる事さえ禁止されてます
もし破ったりしたら、それはそれは恐ろしい罰が」
ふーん。わりかし大変なのね。死神の仕事ってのも。でもそれなら、これはチャンスがあるかも。
得意気にかたる彼女にゆっくりと近づき、その身体に両手を廻し、しっかりと抱きしめる。
「な!何をするんですか!?」
「許可の無い人間に、姿を見せる事も話をする事も許されていない。
でも貴女、私に姿を見せちゃったし、話しもしちゃったわよね?
この話、さっき貰った名刺に書いてあった番号に電話してバラしたらどうなるのかな?」
耳元で囁く私に、彼女の身体がハッキリと硬直するのが解った。
効果あり。賭けには勝ったみたいね。
「あう!あう!!それは!!」
「大丈夫よ。そんな真似しないから。ただ、さっきの話、もう少し詳しく教えてくれない?」
「う〜〜〜………」
暫くの沈黙の後彼女は、
「絶対の絶対に秘密ですよ!!」
と何度も念押しをしてから、ポツリポツリと、話してくれた。
私のよく知る、『泉 こなた』の未来と、私の知らない『泉 こなた』の姿を。
242名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 19:13:11 ID:kEI0p8rd
「先程も言いましたけど、泉こなたさんのお命は、後1ヶ月程です。
正確な日時は、まだ、これからの生活で微妙に変化しますけど、2ヶ月目を迎える事はありません」
「そんな………なんで!なんで、そんな急に!!」
何時だって眠たそうで、私をからかって笑って。
今日だって!今日だって、一緒に出掛けて遊んだ!!
全然具合が悪そうなそぶりなんか無かった。
そんなこなたが何で急に………後たった1ヶ月で。
「急では無いです。泉こなたさんは、自身の病気の事をご存知です。
生まれた時からの事ですし、現在もかなりの数の薬を服用、数カ月に一度は通院もなされてます。
まだ私が告げてませんから、後1ヶ月とは思ってないと思いますけど、20歳まで生きれ無い事は、覚悟されてるハズです」
「そんな………」
私は、そんな事知らない。聞いた事も無い。
でも確かに、こなたは遅刻や欠席の日が多かった。
本人の言葉を鵜呑みにして、ゲームのやり過ぎや、
深夜アニメを見てるせいだと思ってたけど本当にそれだけだったのだろうか?
「こなたの病気って?」
「普通の人と比べて老化が早いんです」
「老化?」
こなたが?他の人に比べて若く見られる事はあっても、老けて見られる事は無いと思うけど。
「見た目では無く中身。つまりは、内臓関係が老化してるんです。
そして、それは今も進行してます。こなたさんの直接の死因は、『老衰』になります」
老衰。本来なら、天寿を迎える老人に使われるべき言葉。
それが、あの幼い容姿のこなたに使われるのは酷く滑稽な気がした。
「嘘よ。そんなの。そんな事あるはず無いじゃない」
呟いた私。彼女は背を向け少しづつ、その高度を上げていく。
「信じる信じないは、貴方次第です。
それを証明するのは、泉こなたさんが『その日』を迎えるまで出来ませんし。
ただ、確実にその日はやってきます」
遠ざかる彼女の姿が見えなくなるまで、私はただ立ちつくしていた。

枕に顔を埋めて、頭を振る。
そんな事あるはず無い。こなたが死ぬなんて事。
でも、もし本当なら?こなたに聞く?どうやって??
死神会ったて言うの?それこそ、おかしな人だ。
じゃあどうしたら?
まるで出口の無い迷路をさ迷うように、私の思考は、ぐるぐるとさ迷って。
時計の針だけが、ただ時を刻み続けていた。
243名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 19:13:59 ID:kEI0p8rd
翌日。
「やっほー。遊びに来たよー!!」
わが家にやって来たこなたの後ろには、黒い服を着て、大きな鎌をもった小さな彼女の姿があった。


「いらっしゃっい。こなちゃん」
絶句してしまった私に代わって、にこやかにこなたを出迎えたのはつかさだ。
「やっふー。つかさ。元気にしてたー?」
「うん。元気だよ。でも、ごめんね。こなちゃん。私、今からちょっと出掛けなくちゃいけないの」
「いいよ。いいよ。急に来た私が悪いんだし。それに、今日用事があるのは、かがみにだしね」
呆気にとられる私をほって、つかさとこなたの会話は進む。
「そなんだ。それじゃ、ゆっくりしてってね」
そう言い残して、つかさは玄関から出ていってしまった。
残されたのは気まずい空気が流れる3人。もしくは、2人と1匹かしら?
「あのさ………あがらして貰ってもいいかな?」
「何を今更。いっつも勝手にあがってるじゃない」
気まずそうなこなたに、なんとか平静を装う私。
取り敢えず、こなたを部屋へと案内してお茶を出す。
そして、無言のまま時間だけが過ぎる。
せっかく用意したお茶にも誰も手をつけなかった。
湯気をたててたお茶が、すっかり温くなった頃に、ようやく口を開いた。
「聞いちゃったんだってね?」
「うん」
こなたの言葉に、小さく頷く事しかできない私。
だってしょうがないじゃない。こんな時どんな対応したらいいかなんて、解らないもの。
「あはは。かがみさ、そんなに深刻にならないでよ。たいした事じゃないんだし」
困った様に笑うこなたに、頭に血が登る。
「たいした事あるわよ!あんた自分が死んじゃう事なんとも思って無いの!!
私は!私は!!あんたが居なくなるなんて考えた事も無くて!だから!!!」
声が震える。瞳から熱いものが零れるのが解った。
「私だって嫌だよ。もっと生きていたいよ。次クールから、見たいアニメだってあるし、皆ともっと一緒にいたいよ。
でも、仕方無いんだよ。もう、決まってる事なんだもん。
ずっとずっと前から。
でもね?私は満足してるんだよ?桜藤に入って、皆に会えた。
みゆきさんに、つかさに。そして、かがみに。
皆とずっと一緒にいれないのは残念だけど、でも私は充分幸せだよ」
こなたの顔に浮かぶのは、笑顔。
諦めや、嘆きは無く、ただあるがままの運命を受け入れた者だけに許される、悟りの表情と言ってもいいのかもしれない。
「こなた………」
「今日、かがみに会いに来たのはお願いがあるからなんだ」
この状況の、ううん。そうじゃなかったとしても、私がこなたのお願いを聞かない筈が無い。
「なによ?」
こなたは、ちょっとだけ言い淀んで、やがて意を決したように話し出した。
「私の病気の事、皆には黙ってて。その時が来たら、私から話すから。
それまでは、もう少しだけ今の生活を続けたいんだ」
「こなた………」
こなたは今、どんな気持ちで私にこの言葉を言っているのだろう?私には解らない。解るはずが無い。
きっとそれは、こなたと同じ立場になった人にしか解らない事。
でも、敢えてそれを想像するなら、こなたは、この何気ない日常を誰よりも大切にしていて、
その中に、ギリギリまで居る事を望んでいるだろう。
そんな想いを、願いを、どうして断る事が出来るだろう?
「うん。解った」
頷く事しか出来なかった。それがどんなに辛いことかも知らずに。
244名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 19:15:42 ID:kEI0p8rd
以上です。
最後まで読んで下さった方ありがとうございました。
一応続く予定です。
題名書いてなかった。
『かがみとこなたと死神』です
245名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 19:22:16 ID:ELzt0I/m
>>244
人死にと一口でいっても鬱になるとは限らないと思うんだぜ。
つまり何が言いたいのかと言うと、続きを楽しみにしてますぜ。

それと気になったとこ一つ
>桜藤に入って、
それだと文化祭だけになっちまいますぜ。
246名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 19:41:35 ID:HKHUTABg
>>244
GJ
だがしかし、ラストで人死にということは・・・死んでしまうのか・・・
でも一話目を読んでしまったし、これも何かの縁
ラストまで読んで付き合うぜ !
247名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 19:45:33 ID:afQfo5eZ
くっ…死に行くこなたに俺達ができることはないのか…!

人死系が苦手な俺でも読んでしまったじゃないかこの野郎!
つまり何が言いたいかというと、続き楽しみにしてるぜこの野郎、と
248名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 20:59:22 ID:giWIRITt
人死がでたらハッピーエンドとか難しくないか?そういう作品ってあったっけ?

ともあれGJ!
続きに激しく期待だぜ

そして死神がかなたさんに見えた俺は重症かな?
鎮静化してもこのスレの中毒性は異常
24936-273:2008/03/22(土) 21:26:43 ID:MKJNmgHH
自作の続きが出来たので、投下します。

注意
・「岐路」の続き
・TSもの注意。苦手な人はスルーで。
・つかさ&男みゆき
・7レス〜9レスくらい。
・1レス目と最後のレスはかがみ視点。そのほかはつかさ視点。
・非エロ
250晴朗なれども波高し:2008/03/22(土) 21:27:55 ID:MKJNmgHH
 つかさの様子がおかしい。
 そのことに気付いたのは、ここ一週間の間のことだった。どうも、桜藤祭の準備が本格化してから、様子がおかしい。
 一旦は、持ち直したみたいだけど、今日の夕方に、またぶり返したように様子が急変した。
 私は、今日の帰り、委員会担当の羽生先生に頼まれて、明日の集会の資料を運んでいた。そして、それをつかさたちに告げていなかったので、つかさは、私を捜したらしい。
 でも、私が用事を終えて、教室へ行くと、そこにはこなただけ。こなたと二人でつかさを捜したけど、どこにもいない。そして、家に電話すると、もう帰ってる、とお母さんに言われたのだった。
 一体、どうしたというの? 私にも言えないことなのかしら。当のつかさは、自分の部屋でぐっすりと眠っている。
「こういうときは、誰かに相談してみるべきよね・・・」
 善は急げ、という言葉通りに、私はみゆきにメールで相談することにした。別に、こなたでもいいんだけど、こなたは観察眼が鋭い代わりに、こういう問題への対応力が乏しい。
 それに、異性からの意見というのも、同性には気付けないところを見抜いてたりして、案外新鮮だったりすることがある。
『つかさの様子がおかしくなったんだけど、何か聞いてない?』
 という、単刀直入、かつ簡潔な一文だけのメールを送り、私は、居間へと向かう。もうすぐで、食事時だ。
 食事の間は、つかさは元気そうに振舞っていたけど、絶対、空元気だ。
 これは長年、双子の姉妹として培われた勘だ。言葉では説明できない能力だけど、この勘はまず間違いない。何故なら、十六年間も私たちは一緒だったのだ。お互いのことなんて、すぐ分かる。それ以上は何もつかめなかったけども。
 そして、私が部屋に戻ると、みゆきからの返信が来ていた。
『つかささんの様子がおかしい、ですか。確かに、最近、どことなく気持ちの浮き沈みが激しいようですね。
 何か、あったことは確かでしょう。問題は、その何かが、何なのかということですが。
 僕は、何らかの懸案事項を抱えて悩んでいるのではないか、と思うのですが、あくまで推測の域を出ません。
 一まずは、原因を探るべきですが、まずは、つかささんと話し合ってみることが、一番なのではないかと思います。
 色々と様子を探ってみましょう。何かヒント・・・或いはSOSのサインを出すかもしれません。一挙手一投足に目を光らせてください』
「SOS、か・・・」
 何なんだろう、つかさは一体、何で悩んでいるのだろう。今日の帰りに何かあったことは確かだ。
 その何かが何であるかは、分からない。そして、その何かは、以前に様子がおかしかったときと同じなのだろうか。
 つかさ・・・。教えてよ。



―――
251晴朗なれども波高し:2008/03/22(土) 21:28:25 ID:MKJNmgHH
 時刻は七時四十五分。私はまた悩んでいた。
 私には恋愛というものがよく分からない。いっそのこと、だめもとで高良君に告白してみる?
 ・・・いや。だめ。私には、そんなことできない。そんな勇気がない。私は、いつも臆病だもの。もし、失敗したら、いつもの日常は戻ってこなくなるに違いない。それは絶対、嫌・・・。
「つかさ?」
「ひゃうっ・・・」
 お姉ちゃんだ。振り返ると、いつの間にか、ドアの前に立っていた。
「つかさ。一体、あんた、どうしたの? 最近のあんた・・・変よ」
 お姉ちゃんの言うことはその通りだった。でも、このことは言えない。特に、お姉ちゃんには、絶対知られたくなかった。
「何でもないよ? だから、別に心配しなくても・・・」
「そんなことない! 私には分かる!
 一体、どうしたの? 何があったの? 私たちは姉妹じゃない! つかさが苦しんでいるのを見たくないのよ!」
 その気持ちは痛いほどに良く分かる。事実、お姉ちゃんの言葉は、私の心に突き刺さるようだった。でも、言えない、言えないんだよ・・・。
「・・・ごめん。お姉ちゃん」
 私は、そう言って頭を下げる。すると、お姉ちゃんは目を剥いて、
「つかさ!」
「・・・時間を、下さい。気持ちの整理をつけたいの」
 私にはそういうほかなかった。この状態を何とかしたかった。でも、それには一人の時間が欲しかった。
「つかさ・・・」
 お姉ちゃんは、ひどくしょげたように、目を細めた。そして、
「・・・分かったわ。でも、ちゃんと言いなさいよ。困ったときはお互い様なんだから」
「うん、ありがとう、お姉ちゃん」
 それが心の底からの本音だった。今は、こう言うしかなかった。いつか、お姉ちゃんに真実を伝えられる日は来るのかなあ・・・。
 その日が来たら、本当にいいと思う。



―――
252晴朗なれども波高し:2008/03/22(土) 21:28:47 ID:MKJNmgHH
 翌日。私の心は、晴れやかだった。一晩寝てしまえば、嫌なことはすぐ忘れられる。青空を見ていれば、どんなときも頑張れる気がする。
 それが、私の長所だった・・・はずだったけど。
「やっぱり、少し気が重いなあ・・・」
 晴れやかだった私の心は、一日が始まったという実感が湧くにつれて、曇りだす。そんな時、私の頭に思い浮かんだのは、笑ってる高良君の顔だった。
 そういえば、昨日も高良君からメールが来たっけ。でも、あんなことの後だったから、返す気にはなれなかった。
「・・・怒ってるかな。今度こそ、嫌われたかな」
 また、迷惑をかけた。でも、高良君が怒る姿なんて想像できないし、見たくない。
 私、こんなに男の人のことを考えたことないよ。こんなに、こんなに、高良君のことが好きだったんだ。でも・・・もう遅いのかな。いや、まだ決まったわけじゃないよね。
「・・・ともかく笑おう。精一杯笑おう。笑えば、元気が出るもの」
 私はそう決意し、それから、朝食も、通学も、授業も何一つ変わりないように振舞った。
 高良君は、授業中とかに、たまにこちらを見て、困惑した顔をしていたけど、彼はいつも友人に囲まれていたから、彼に話しかけられる心配もなかった。
 そうしているうちに、また、岐路が私に近づいていたことを、そのとき、私は知る由もなかった。



―――
253晴朗なれども波高し:2008/03/22(土) 21:29:07 ID:MKJNmgHH
「えー、今日は、ダンスの予定でしたが、ラジカセが壊れたので、ドッジボールを行います。
 えー、それでは、クラス別に整列して、クラス対抗で試合してください」
 五時間目は体育。ちなみに隣のクラスと合同。そして、先生が言ったとおり、今日はドッジボールだ。ドッジボールかぁ・・・。私、苦手なんだよね・・・。
「あー、そうだよねー。絶えず、球から逃げ回らなきゃいけないんだからさー。球技はもっとエレガントに行かないとね!」
 私が隣のこなちゃんに苦手なことを話すと、こなちゃんも頷いて賛同してくれた。良かった、仲間がいてくれた。
 私は、全体的に運動が苦手なんだよね。どうしよう、体育祭があと一ヶ月に迫っているのに・・・。どんな種目に出るんだろう。ああ、不安だよぉ・・・。
「では、試合開始!」
 先生の号令で、試合が始まった。大丈夫かなあ、不安だなあ・・・。
 私は、さっきも言ったとおり、運動が苦手だから、逃げ専門だ。昔から逃げてばっかりだから、球を避けるのだけはうまいんだよね。
 球を避けつつ、戦況を確認してみる。味方チームのエースは、こなちゃんだ。さっきは嫌そうなことを言っていたけど、やっぱり運動神経はいいから、自動的にそうなるみたい。あ、今、こなちゃんが敵を一人、やっつけた。
 そして、敵チームのエースは、日下部さん・・・かな。さっきから、投げる球の球威がすごい。その割には、コントロールがうまくいってないから、うまく当たらないみたいだけど。
 でも、外野の人とパスをつなげて、こちらに主導権を与えないつもりらしい。こなちゃんが相手を一人やっつけてから、こちら側に一度もボールが回ってこない。
「むう。こちらに隙を与えないつもりか。こりゃ、参ったね」
 私の横にいるこなちゃんが、そんな事を呟いているのが聞こえる。
 そして、こなちゃんが前面に移動した時、外野から再び日下部さんにボールが渡った。日下部さんはそのボールを思いっきり投げる。
 そのボールはこちらの方へ・・・って・・・え・・・?
 我に返ったとき、私はボールを頭に受け、気を失っていた。



―――
254晴朗なれども波高し:2008/03/22(土) 21:29:33 ID:MKJNmgHH
「日が傾いてきましたね・・・。不安です」
「本当に大丈夫かしら。昨日から、様子もおかしいし、本当に不安だわ。・・・全く、日下部にも困ったもんだわ」
 意識が戻ったとき、私の耳にはそんな会話が聞こえてきた。
 目をつぶっている。そして、身体の感触からして、多分、保健室のベッドの上で横になっているみたいだった。
 そうか、私は、ボールが顔に当たっちゃって・・・気絶しちゃったんだ。どうして、こんなことばかりに遭うんだろう。う〜、私の馬鹿、馬鹿。
「お姉ちゃん・・・こなちゃん・・・高良君・・・」
 気がつけば、そんな事を口走りながら、目を開けていた。
「つかさ!」
「つかささん!」
 私が目を覚ましたのがわかると、お姉ちゃんと高良君が座っていた椅子から立ち上がって、私の顔を覗き込んだ。
 その顔は、とても愁いを帯びている。心配かけちゃったみたい。ああ、どうしよう。
「あんた・・・大丈夫?」
 まず、口を開いたのは、お姉ちゃんだった。
「う、うん。何とか。あの、その、ごめん」
「何、謝っているのよ。謝る必要はないじゃない。それにしても、本当に無事でよかったわ」
「全くもって同感です。つかささんが、目を覚まさなかったらどうしようと不安で、不安で・・・。
 生徒全員の安全を担保するはずの学級委員長として、あるまじき失態といいましょうか」
 高良君は、本当に落ち込んでいるみたいで、前髪で両目を伏せていた。・・・本当に私は、悪いことばかりしている。ごめんね、ごめんね。
「自分を責める必要はないわよ。今回のことを予見できたわけでもなし、みゆきに責任はないわ。
 全ては、日下部の責任よ」
 お姉ちゃんは高良君の肩に手をかけて励ます。・・・見てられない。
「ええ、すみません。でも、それだけ不安だったんですよ?」
 高良君はそう言って、私に向かって微笑みかけた。
 でも、それは、私の不安を完全にぬぐうものではない。私は、さっきから様子を見ていて、心がずきっと痛んだ。
 やっぱり、お姉ちゃんと高良君は仲が良い。傍目から見たら、どう映るんだろう。ただの親友? それとも・・・。
255晴朗なれども波高し:2008/03/22(土) 21:30:39 ID:MKJNmgHH
「つかさ、どうかしたの? やっぱり、もう少し寝てる?」
 お姉ちゃんが不安げな顔で聞いた。いつの間にか、二人とも椅子に座りなおしている。
「う、ううん。大丈夫、もう起きれるよ・・・。あ、そだ、こなちゃんは?」
「泉さんは、つい今しがた、トイレに行くとおっしゃって、出て行かれました」
「そ、そう」
「さて、それでは帰り支度をしましょうか。かがみさん、一旦、外に出ましょう。
 つかささんも、帰り支度をお早くお願いします」
「あ、うん」
 私がそう返事すると、二人とも椅子から立ち上がろうとする。
 そのときだった。
「あっ」
 そんな声と一緒に、お姉ちゃんが何かにつまずいたのか、立ち上がった瞬間に、前に転ぶ。
 そして、その転んだ先には、今まさに立ち上がろうとしていた高良君がいた。必然と、お姉ちゃんは高良君の胸の中へと飛び込む格好となる。
 それは・・・高良君とお姉ちゃんが抱き合っているようにしか見えなかった。
 それを見た瞬間、私の頭の中で何かがはじけた。
「つ、つかささん?」
 私の様子がおかしくなったことに、高良君はすぐ気付いたらしい。優しすぎる、優しすぎるよ。でも、今は、その優しさこそ、私を苦しめている。
「私、先に帰るね」
「ちょっ、待ちなさい、つかさ!」
 お姉ちゃんの制止も聞かず、私はそばにあったかばんを引っつかみ、大急ぎでベッドから降りて、保健室を出る。
 保健室にいた天原先生や、トイレから戻ってくる途中だったこなちゃんは、どちらも、呆気に取られていて、私に何の声もかけなかった。
 まもなく、私は涙を流しながら、走っていることに気付いた。昨日にもう気付いていたはずなのに。成功するわけないのに。私は、実現するはずもない一抹の期待をかけて、そして、あえなく玉砕した。ああ、本当に、私の馬鹿、馬鹿、馬鹿・・・。



―――
256晴朗なれども波高し:2008/03/22(土) 21:31:42 ID:MKJNmgHH
「ぼ、僕、急いで止めてきます!」
 つかさが保健室から出て行った後、しばし呆然としていた私たちの沈黙を破ったのは、みゆきだった。
 彼は、つかさを追うというと、急いで、保健室を出て行った。私も追うべきなのだろうけど、何となく追う気になれなかった。
「つかささん、一体、どうしたのでしょうねえ」
 天原先生が独り言のように言った。
「私には・・・分かりません」
 自然と私の口から出たそれは、嘘だった。私には、つかさの様子がおかしい理由が分かったような気がしたのだ。
 思えば、文化祭準備の頃から、つかさはおかしかったような気がする。そして、その時期に、つかさとみゆきが深く知り合ったのは、こなたとみゆきから聞いていた。そして、そのことをつかさ本人からは聞いていない。
 更に、メールを待ち望んで、何度も携帯を開け閉めしていたし、何より、昨日の夕方、何か普段と違ったことは一つしかなかった。私とみゆきが一緒にいたことだ。
 委員会活動などで、私とみゆきは何かと一緒になることが多かった。クラスメイトにも「柊ちゃんって、高良さんと仲がいいんだね。お似合いだよ」といわれたことがある。
 その言葉を私がうれしく思っていいのかは分からない。でも、そう見られているということは自認していた。
 ならば、つかさは私とみゆきの姿を見て、そういう関係を想像したのだろうか。そして、想像したならば、それで何故、様子がおかしくなったのか?
 導き出される結論はただ一つ。しかし、そうだとすれば、私は、どうすればいいのだろう?
25736-273:2008/03/22(土) 21:36:21 ID:MKJNmgHH
はい、以上です。
前回は、次回で終わらせると言っておきながら、この体たらく。
これについては、非常に申し訳なく思ってます。我が身の計画性の無さがしみじみと分かりました。
ですので、次こそ終わらせたいと思っています。いえ、終わらせます。

しかし、こう書いていると、自分の文章力の無さに改めて嘆息してしまいます。
もっと、才能があればいいのですが・・・。とはいえ、途中で終わらせたくは無いので、必ずや完結編を書き上げたいと思います。
今月中に終わればいいと思っていますが、これも果たせぬ約束となる可能性も・・・。

では、会えるときがあれば、またそのときに。
258名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 22:14:20 ID:afQfo5eZ
相変わらずGJだ
やっぱ恋するつかさは可愛いなヲイ…

伸びることに関しては何一つ文句は無いんだぜ
259名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 22:28:44 ID:D+qOBmRB
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/4koma/1205878259/66
どうみても こなた×かがみです 本当に(ry
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/4koma/1205878259/132
むしろストーカーwww 
260名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 23:23:22 ID:rRcDYkvS
人減ったなあ
土曜なのになあ
261名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 23:25:57 ID:18B+Y6YY
なんでだろうなぁ
連載作品は結構あるように思うんだがなあ
262名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 23:26:23 ID:8DPER8ls
むしろこのくらいで良いかも。あまり大量に投下されると追っかけるの大変・・・
263名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 23:26:36 ID:efBq64xe
逆に、この時期に人が増えるといったらあまりよろしくない意味をとることが多いですし……
264名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 23:43:14 ID:hmbQ+6lX
だからこそ、この時期特有の人が増えてすぐに流されるのを警戒してあえて小出しにしてたり。
265名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 23:46:19 ID:afQfo5eZ
これで少ないほうであるというのが凄いな
266名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 00:16:23 ID:MNddPAij
というより作品の多さでネタが被ったりして自重してる人もいたりするんじゃないか?
267名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 00:19:25 ID:00xGU7uH
そらこなつーだのゴッドだの新参お断りの空気出してりゃ減りもするわ
268名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 00:22:08 ID:T8oBKi3H
>>267
俺も最近来るようになった一人だが、あの流れは辛かった
269名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 00:23:13 ID:LJKZyLnS
たまに目を離してて、わけわからん方向に話が向かってるのをみると、
あー無理だ、と思う。

あと卒業式シーズンなのに話が書き上がらなくて涙目です。
270名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 00:25:37 ID:2HDS4nz9
普通に保管庫のカウンターが減ってる
ゲームと合流したあたりから
271名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 00:50:53 ID:yta05b8L
準備をされている方がいなければ、投下いたしますですよ。
272名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 00:59:12 ID:iP+kDHX5
すいません、こんなもん作ってるもんで作品進んでませんorz

つ【ttp://www.42ch.net/UploaderSmall/source/1206201470.JPG

ねんどろいどぷちこなた+リボルテックよつば+プラ板+パテ。


もうすぐ完成するんで、そしたらなんか書きます。
273名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 01:03:25 ID:T8oBKi3H
売れ、売ってくれ
10万でどうよ
27423-251 ◆5xcwYYpqtk :2008/03/23(日) 01:06:36 ID:yta05b8L
「危険な関係 第7話」

・こなた、ゆたか、かがみ、つかさ

※注意事項

・続き物
・非エロ
・名無しのモブキャラあり
・シリアス
・ダーク
・糖分ゼロ(甘い話が好きな方は要注意!)
275危険な関係 第7話 1/8:2008/03/23(日) 01:08:01 ID:yta05b8L
 晩秋の長い夜とて永遠には続かない。
 
 私は再び部屋に戻って、ベッドで眠っていたが、目が覚めると午前8時を回っていた。
 厚いカーテンを開けると、大きな窓からは眩い程に白い光が、私とつかさを鮮やかに照らしだす。
 眠気の残滓を振り払いたくて、あくびを一つしてから視線を落とす。
 ショートカットの少女は、微かな寝息を立てていた。
 食べてしまいたくなるような、ぷにぷにした柔らかい頬を、人差し指の先で数度つついていると、
有名なギャルゲの攻略キャラに似た少女は、むずがりながら身体を起こした。

「ふわー こなちゃんおはよう」
 あいかわらずのんびりした声をあげながら、とても眠たそうに瞼をこすっている。
「おはよー つかさ」
「今日は、こなちゃんの方が早いね」
 あくびをした後、ぬくぬくとした毛布の中に、もう一度もぐりこもうとする。
「つかさ、駄目だよ。朝ごはん食べにいこうよ」
「うう…… ねむいよう」
 夢の世界に片足を突っ込んでいる少女を、私は、強引に昼の世界に引っ張りあげた。

 着替えを済ませてから廊下に出ると、ちょうど同時に隣の部屋から出たかがみとゆーちゃんと鉢合わせる。
「おはよう。かがみ、ゆーちゃん」
「おはよう。お姉ちゃん。ゆたかちゃん」
「おはよ。こなた、つかさ」
「おはようございます。つかさ先輩、こなたお姉ちゃん」
 4人の挨拶が重ねられる。
 かがみとゆーちゃんの表情は、普段と変わらなかった。

 朝食はバイキング形式となっており、各々が、好みの料理をお皿に載せてからテーブルに戻る。
 眠気が残っていることもあり、会話は少ない。
 ナイフ、フォーク、または箸と、食器に触れた時に生じる乾いた音と、緩く落ち着いた旋律を辿るクラシック、
そして、少し離れて座っている客の談笑がノイズのように耳朶に届いているだけだ。

 食事も半ばが終わった頃、隣に座っているツインテールの同級生が口を開いた。
「ねえ。こなた」
「ん、なにかな。かがみ」
「今日の予定、決まっていなかったわよね」
 旅行2日目の予定は白紙になっている。
 思いつくまま、気の向くまま、自由に行動する為ではなくて、何も考えていなかっただけなのだが。
276危険な関係 第7話 2/8:2008/03/23(日) 01:08:57 ID:yta05b8L
 さて、どうしようかな。
 今ひとつ動きの鈍い脳に稼動を命じて、おもむろに思考を開始した時、ゆーちゃんが提案した。
「もしよろしければ、清水寺に行きませんか。あっ、でも、みなさんは修学旅行で既に行かれているから
別のところの方がいいのでしょうか…… 」

「ゆたかちゃん。そんな事、気にしなくていいよ」
 つかさは、穏やかに微笑んで、ゆーちゃんの懸念をあっさりと打ち消した。
 彼女はひよりんと接している時もそうだけど、下級生と話している時はやけに積極的にみえる。
もしかしたら、教師に向いているのかもしれない。
「私は別にいいわよ。修学旅行の時はバタバタしていたしね。ゆっくりと見て回るのも悪くないわ」
 かがみも納得してくれた。二人が賛成ならば断る理由もないのだけど……
「ゆーちゃん。身体大丈夫? 長い上り坂を登らないといけないよ」

 私の懸念に対して、かがみとつかさだった。
「こなた。ゆっくり歩けば大丈夫じゃない? 」
「そうだよ、こなちゃん。のんびり行こうよ」
 ゆーちゃんのペースに皆が合わせてくれるのなら、問題はないだろう。
「気分が悪くなったら、遠慮せずにすぐに教えてね」
「うん。わかったよ。こなたお姉ちゃん」
 ゆーちゃんは元気よく答えてから、双子の姉妹に頭を下げた。
「ありがとうございます。先輩方」
「お礼なんていいわよ」
「この時期だと、綺麗な紅葉が見られるんじゃないかな。ゆたかちゃん」
 かがみは少しぶっきり棒な、つかさは穏やかな眼差しをゆーちゃんに向けていた。
277危険な関係 第7話 3/8:2008/03/23(日) 01:09:33 ID:yta05b8L
 バスに乗って20分ほど揺られてから、清水道という名のバス停で降りる。
 まだ午前中だけど、既に観光客で賑わっており、特に、修学旅行の最中と思われる、学生服姿の中高生が目立つ。
 清水寺に向かう坂道をゆっくりと登っていく。狭い道の両側に土産物を売る店が軒を連ねており、
品揃えが珍しいのか、ひっきりなしに歓声が聞こえてくる。
 私の隣にはかがみがおり、3メートル程前をゆーちゃんとつかさが談笑しながら歩いている。
 前を行く二人はとても楽しそうで、この旅行で距離が縮まったように思える。

「ねえ、かがみ」
「なに? 」
 怪訝そうな顔を浮かべている、頭一つ分ほど背が高いクラスメイトに尋ねた。
「やっぱり、ゆーちゃんのこと嫌い…… かな」

 かけがえのない親友と、妹みたいに大切にしている従姉妹だから、
かがみとゆーちゃんは仲良くして欲しいと心から思う。
 しかし、二人が対立しているという今の状況は、私の心を鉛のように重くしている。
 それも私の『存在』が原因だ。だからどうしていいのか分からない。
 ゲームだったら正解があるのに。

 私の質問に、かがみは、少し前を歩くゆーちゃんのリュックを眺めていたが、ぽつりと言葉を落とした。
「ゆたかちゃんのこと。嫌いとか好きとか、そういうレベルの話じゃないわ」
「どういうこと、かな? 」
 緊張で喉がカラカラに乾いてしまう。次の言葉を聞くのが何故かとても怖い。

「ゆたかちゃんと私は、同じものを求めているに過ぎない」
「そっか…… 」
 予想された答えだけど、知ったからと言って何ができるものでもない。
 私は無言のまま空を見上げることしかできない。
278危険な関係 第7話 4/8:2008/03/23(日) 01:10:00 ID:yta05b8L
 晩秋を迎えた京都の空は、今日は澄み渡っている。
 雲はほとんど浮かんでおらず、ただ蒼い世界が果てしなくひろがっている。
 視線を戻す瞬間、一羽の黒い鳥が調和の取れた世界を引き裂くように飛んだ。

 ゆるゆると続く長い坂を上りきると、美しい朱色の仁礼門があらわれる。
 境内に入って更に少しだけ歩き、あまりにも有名な、清水の舞台に立つ。
 舞台から見える、山麓を彩る紅葉は息を呑むように美しい。

 しばらく景色を堪能した後、4人揃った写真を撮ってもらう為に、通りがかったの女性に声をかけた。
「えっ、写真? ええよ」
 どうやら地元の人らしいが、何故か見覚えがある。
「自分、昨日コミケに来てた人やろ」
「そうですけど…… 」
 確か、ひよりんの隣に座って売り子をしていた女性だ。
 やや伸ばした黒髪と、吸い込まれそうに大きい瞳が印象に残っている。

「即売会は土曜日だけですか? 」
「そやで。おかげさまで完売や! 」
 満開のソメイヨシノのような笑顔をみせてから、デジカメを受け取る。
「ほんなら、みんな並んでな。そこのテールの子も、リボンの子も、ちっこい子もな」
 ファインダーの一角に納まった私は、女性の合図で頬を緩める。
 果たして、私は上手く笑えているだろうか?

 写真をとってもらった後、私達は清水の舞台のすぐ傍にある、地主神社を訪れた。
 つかさは巫女らしく熱心に手を合わせている。
 私は、皆が仲良くなれますようにと心の中で呟いて、数秒だけ瞼を閉じた。

 ゆるやかな坂を下りると、山の麓から流れ落ちている、糸のように細い三筋の滝が見えてくる。
 まわりには多くの観光客が、並んで順番を待っている。
「こなちゃん、音羽の滝だね。並ぼうよ? 」
 ガイドブックをにらめっこしていた、つかさが私の手をひいた。
 10分ほど待ってから、ひしゃくを伸ばして、流れ落ちる水を受け止める。
 汲んだ水を唇につけようとした時、隣にいたゆーちゃんと至近で視線が交錯した。
「こなた…… おねえちゃん? 」
 唐突に鼓動が速まる。
 見慣れているはずのゆーちゃんの顔が、急に大人びていたように見えてしまう。
「な、なんでもないよ。ゆーちゃん」
「?」
 ゆーちゃんは、不思議そうに首をかしげてから、可愛らしい唇を水にひたした。
279危険な関係 第7話 5/8:2008/03/23(日) 01:10:35 ID:yta05b8L
 私達は、清水寺を出て京都駅まで戻り、14時2分に発車するのぞみ242号に乗車した。
 少しずつ加速していく新幹線の、シートに身を沈めて京の街並みに別れを告げる。
(結局、何もおこらなかったな…… )
 隣に座るゆーちゃんと、真正面に座るかがみを交互に眺めながら、誰にも聞こえないような声で囁いた。

 私は、二人には仲良くして欲しいと願いつつも、心の奥底では曖昧な状況を壊して欲しいという
矛盾した願望を持っている。
 また、旅行という非日常な空間が、淀んだ事態を打開してくれるという根拠のない期待を、
心の何処かに潜ましていたことも否定できない。
 しかし、八百万の神々は、私の身勝手な願いは聞いてくれなかったようだ。

 細かい振動に身体を預けながら、私は瞼を閉じて、ゆーちゃんとかがみのことを考える。

 まずは、ゆーちゃん。
 私は、ゆーちゃんとケンカをしたことがない。
 ゆーちゃんは自分を強く出張するタイプではないし、そもそも身体が非常に弱かった。
 私は、ゆーちゃんをいつも護る立場だった。
 高校に入って、かなり元気になったのは喜ばしいことだけど、
私への恋心を打ち明けられた事には戸惑うしかなかった。
 確かに、ゆーちゃんは、私にとって非の打ち所のない萌えっ子だ。
 ゆーちゃんを嫌う事は絶対にありえない。ケンカすることも今まではなく、おそらく今後もないだろう。
 だからこそ、ゆーちゃんに対して恋心を抱きにくいのかもしれない。
 『喧嘩するほど仲が良い』という言葉は、一面の真理を付いているように思える。

 そして、かがみん。
 かがみとは、つかさに便乗して宿題を写させてくれたことが縁になった。
 かがみは、絵に描いたようなツンデレだ。
 突っ込みが多くて、怒りっぽいところもあるけれど、本当はとても優しい。
 また、自分をきちんと持っていて、間違っていることに対しては妥協をしない。
 私のような趣味をもっている事にも、本当の意味での偏見をもっていない。
 それでも、恋人にするかといえば困るというか、迷う…… というか困る。
 かがみとは大切な親友というポジションが一番似合うような気がする。
 じゃれあってかがみに抱きつくことはあるけど、その先の事は想像しにくい。
 かがみの身体を抱くなんてことを考えただけで、猛烈に恥ずかしくなる。

 私は、どうすればいい? 
 曖昧な態度をいつまでも取ることは許されない。
 しかし、どちらを選べなんて言われても…… 答えを出せそうにない。
 迷路のような思考を続けることに、甚だしい疲労を感じて、私は脳の回転をとめる。
 まもなく、強い眠気に襲われて視界が暗転した。
280危険な関係 第7話 6/8:2008/03/23(日) 01:11:03 ID:yta05b8L
……
…………

 暗闇の奥から声が聞こえる。
 耳を澄ませてみると、よく知った声だ。
「こなたお姉ちゃんは私のものです」
「なんでアンタがこなたのモノになるのよ! 」
 いきなり修羅場に出くわす。訳が分からない。
 混乱しながら、それでも争いを止めようとするけど、二人は聞く耳を持たない。
 
「どうして、私の邪魔をするんですか! 」
「あんた達の関係が異常すぎるからよ! 」
 かがみが形の良い眉をしかめながら、激しい口調で責める。
「はっきり言っておかしいわ。女の子同士なのに、いつもベタベタして。こなたがいい迷惑よ」
「どうしてそんな酷い事がいえるんですか。かがみ先輩に何が分かるというのですか? 」
 ゆーちゃんも、ひるまずに激しくやり返す。

「甘えきって、こなたが困っているくらいすぐに分かるわ」
 かがみの針だらけの言葉に、大きな衝撃を受ける。
「かがみ先輩よりずっとマシです」
「どういうことよ! 」
「かがみ先輩って、本当はこなたお姉ちゃんの事が好きで好きでたまらないくせに、
自分の気持ちを外に出せないんですね。いわゆる、ツンデレっていうんですか? とっても可哀想ですね」
 ゆーちゃんの口からも信じられないよう言葉が飛び出した。
281危険な関係 第7話 7/8:2008/03/23(日) 01:11:36 ID:yta05b8L
「なっ…… 」
 あまりにも容赦がない攻撃に、かがみは言葉を喪う。
 闘争相手がひるんだ隙に、ゆーちゃんが容赦なく追い討ちをかける。
「私は、誰よりもお姉ちゃんが好きなんです。だから、私の身体を捧げました」
 うわっ、ゆーちゃん、カミングアウトしちゃ駄目だよ!
「うそ! 嘘に決まっているわ! 」
「本当ですよ。嘘だと思ったら、こなたお姉ちゃんに聞いたらどうですか? 」
 優位に立ったゆーちゃんが、小さな胸を張りながら微笑む。

「ね。こなたお姉ちゃん」
 いきなり話を振らないで!
 かがみは信じれらないといった様子で、私の顔をまじまじと見つめてくる。
「ごめん…… かがみ」
 しかし、無言の強烈な圧力を感じたのか、『私』はあっさり肯定してしまう。
(ちょっ、待っ)

「う、うそ。こなた…… 」
 呆然となったかがみが、半ば上の空で呟く。
 ゆーちゃんが、私の腕にぎゅっと抱きついて言い放った。
「好きって言葉も素直に言えないかがみ先輩に、こなたお姉ちゃんを渡せません! 」

 あからさまな挑発だ。かがみが爆発するかと震えたが、寸前のところで踏みとどまった。
 しかし、失いかけた闘志には火がついたようで、反撃の矢が放たれる。
「『こんな場所』で、身体を捧げたなんて、はしたない事を言う女の子は、こなたにはふさわしくないわ。
 どれだけこなたに迷惑をかければ済むのかしらね。この甘えん坊さんは」
 歯軋りするゆーちゃんを傲然と見下ろして、冷笑を浮かべてみせる。
 ほとんど悪の女幹部そのものだよ。かがみ。

「でも、今更隠しても仕方ないわね」
 かがみはため息をついて、急に私を睨む。
「こなた。はっきり決めてもらいましょうか? 私とゆたかちゃんどっちを取るの? 」
282危険な関係 第7話 8/8:2008/03/23(日) 01:12:40 ID:yta05b8L
 ゆーちゃんも私を見上げて、小動物のようなつぶらな瞳を潤ませる。
「お姉ちゃん。私を捨てないで」
「こなた、私よね。私を選ぶわよね」

 この状況で、何をいえと? 
 ギャルゲの優柔不断な主人公と全く一緒だ。
 傍から見たら羨ましいぞ、このヤロウというところだけど、当事者にとってはひたすら困る。
 ゆーちゃんを取れば高校で一番の親友を失うし、かがみを選べば大好きな従姉妹を悲しませてしまう。
 背筋に冷や汗がつたう。
 前門の虎、校門の狼とはこのことだ。本当にどちらかを選ばなければいけないの?
そもそも女同士なんだよ?

 物凄い圧力がかかり、恐怖に駆られて後ろに下がるが、すぐに後ろにぶつかってしまう。

「いや、やだよ」
 何度も首を振って逃れようとするけど、かがみとゆーちゃんは許してくれない。
 最終決断を迫って、容赦なく詰め寄ってくる。

「やだ…… 嫌―― 」
 私は声を限りに叫び、視界が再び闇に覆われる。

……
…………

「お姉ちゃん! こなたお姉ちゃん! 」
「しっかりしなさい。こなた! 」
「こなちゃん、起きて! 」
 少しずつ暗闇に閉ざされていた視界が回復する。
 ゆーちゃんと、かがみと、つかさがとても心配そうに私を見つめていた。
28323-251 ◆5xcwYYpqtk :2008/03/23(日) 01:18:14 ID:yta05b8L
読んでくれた方、本スレ及び、wikiに感想を書いてくれた方、ありがとうございます。
今回は、なんというか…… 修羅場です。
どろどろした話の方が、自分の性にあっているのかもしれません。

かなり間をあけてしまって申し訳ありませんが、話は終盤に入っていますので
もう少しだけ、お付き合い頂ければ幸いです。
284名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 01:42:32 ID:BRKJrsad
なんという修羅場
こなたの挟まれっぷりに興奮してしまた
この昼ドラは間違いなく・・・良作

こなたは最終的にどちらを選ぶのか。
結末に期待(・∀・)9m
285名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 01:53:56 ID:rtz7pnrN
ひより「これは・・・リアル・スクールデイズ!(ギラリ)」
パティ「Oh…セツナサ炸裂デスネ♪」
286名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 01:58:44 ID:bRUbPrd9
>>285
ひよりん・・・それじゃあ最後にこなたは殺されちゃうかもだぜ・・・
287名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 02:03:49 ID:Hj+TMfsN
>>267
そういう書き方は作者さんたちの気分を害するからやめようぜ

あくまで住民が盛り上がってるだけでオリキャラ出した作者はそんなつもりはないんだし
罪を憎んでキャラを憎まずだぜ
288名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 02:20:43 ID:g5Url1g0
確かに
アニメももう終わって大分経つし、ゲームで住み分けも出来ただろうし、沈静化は自然な流れだと思うよ
それをオリキャラの所為にするのはお門違い

というかゴッドさんはぶーわ氏が投下した時ぐらいしか盛り上がってないと思うけど
289名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 02:25:39 ID:00xGU7uH
>>287
だからその住人がいけないんだろ
誰もキャラや作者のせいにしてないよ
290名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 02:32:09 ID:Hj+TMfsN
>>289
そういう意味だったんならごめん

でも「こなつーだのゴッドだの」とか書かれたら作者さんには気分を悪くすると思うよ
291名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 02:58:10 ID:ayKaBB3d
>>283
GJ!あなたはホントにこういうドロドロ系が上手いなぁ…
しかし「こなた←ゆたか」になるとこうも修羅場ってしまうのか…((( ;゚Д゚)))
292名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 04:00:25 ID:BRKJrsad
>>291
そりゃそうだ
過去のスレでも挙げられてたが、

こなた:3年のキャラ、とりわけかがみからの結びつきが強力
ゆたか:1年のキャラ、とりわけみなみからの結びつきが強力

この要素があるため、こなた×ゆたかとしようとすると
まずかがみとみなみを何とかしない限り、
どう転んでも泥沼を避ける事が不可能なのでありんす。

…まあ、だからこそ、こなた×ゆたかとしたときの昼ドラっぷりが
たまらぬのではありんすが……www
293名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 06:49:25 ID:v0GKoXJq
ゆたか×そうじろうが書きたくてたまらない俺レス専すぎる
いつか絶対筆をとるぞー!と、ここに決意を込めて書いておこう
294名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 07:17:44 ID:lopHXXvf
>>293
新しすぎるwww
すげぇ読んでみたいから投下されるまで全裸で待機してるぜ!!
295名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 08:38:18 ID:g5Url1g0
>>293
これは期待www
296名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 10:15:21 ID:gp/79V44
>>289
住民全体が百合厨みたいなもんだしな
297名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 10:25:38 ID:Xn6ZLU7M
ん?
なんだか険悪な雰囲気になるように誘導されている気が
298名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 13:32:47 ID:+sAKHb84
おとぎ話ネタにインスパイアされた小ネタ
お題:白雪姫

こなた「かがみよかがみ、この世で一番美しいのは誰?」
かがみ「べ、別にこなたなんかじゃないんだからねっ!」
299名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 13:33:44 ID:xkYgwjW7
誰が上手い事言えと
300名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 14:06:49 ID:JVz1Kl3B
>>298
こなた「かがみよかがみ、この世で一番美しいのは誰?」
かがみ「そりゃもちろん私に決まってるじゃない」
301ちび:2008/03/23(日) 14:12:48 ID:dHYcKQF7
おじゃまします。こりもせずにまた書いてきたっす。2つ程書いたのですが、今、一度に投下しちゃっていいでしょうか。

302名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 14:14:48 ID:lXZLcl63
>>300
小神「白石白石、この世で一番美しいのはもちろん?」
白石「それはもちろんあきら様ですあきら様しか居りませんともはい」
303ちび:2008/03/23(日) 14:23:50 ID:dHYcKQF7
よくないでしょうか・・・。なんか読むと板もやや緊迫してます?
またにした方が・・・?
304名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 14:29:04 ID:xkYgwjW7
いやいや、むしろ投下して場の流れを変えるんだ
305名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 14:31:08 ID:lXZLcl63
あ、自分はリロードしないで割り込んでしまっただけなので無視しちゃっていいです
306ちび:2008/03/23(日) 14:31:12 ID:dHYcKQF7
あぁ、よかったぁ・・・。もう僕ダメかと思いました・・・。

それでは、失礼していきます。一つめです。
エロなしでつかさとみゆきさんの話しです。酷い平凡さです。
307つかさとみゆき(1/7):2008/03/23(日) 14:32:08 ID:dHYcKQF7
 ☆Intro☆

 とある喫茶店に二人はいた。
「その…どうだったのでしょう?」
 その言葉につかさは珍しいにんまりした笑顔を見せる。
「えへへぇ、」
 鞄をごそごそと探って一枚の紙を取り出す。定期テストの結果表。びしっとみゆきに向かって広げた。
「じゃん!」
「あっ!」
 満面の笑顔。
「うん!目標達成だったよ!」
「良かった!嬉しいです。」
「えへへ、ゆきちゃんが手伝ってくれたおかげ、ちょっと自信ついたかも。」
「一緒に頑張ったかいがありましたね。」
「でもやっぱりゆきちゃん凄いよね、学年トップ。」
「実は私自身いつも以上にやっていたんです。つかささんのフォローのためといいますか、つかささんとの勉強が楽しくて…。上手くいって本当に嬉しいです。」
「うん。」
 つかさは少し視線を下に落とした。
 みゆきは疑問を浮かべて首をかしげた。
「つかさ、さん?」
「…あのね、私、もっと頑張っちゃおっかなって。その、」
 声がか細くなる。
「…ゆきちゃんの隣に名前がのるまで、なんて。ゆきちゃんと、一緒に…。」
 上目で不安げにみゆきの瞳を覗く。
「む、無理だよね、迷惑…だよね?」
 みゆきはにっこりと微笑んでいた。
「無理だなんて全然思えませんし、迷惑なんかじゃないですよ。それに結局私のためにもなります。一緒にやりましょう。」
 つかさはちょっと顔を赤らませながら幸せに笑んだ。
「うん!」


〜つかさとみゆき〜


 ☆第一幕☆


どうすれば…


「一緒」になれるのでしょう。


多分、役割みたいなもの。


私らしくある限り、きっとこれは埋まらないんです。

308つかさとみゆき(2/7):2008/03/23(日) 14:33:05 ID:dHYcKQF7
 ある日、つかさは机にうっぷして元気がなかった。
 理由は単純で、努力したテストで思うように点がとれず、自分の要領の悪さとだんだん分からなくなる内容に途方にくれていたのだ。
 こなたとかがみが買い物で、二人っきりの帰り道、つかさが相談があると言って、近くの喫茶店によった。悩みを打ち明けると、みゆきは一緒に勉強することを提案したのだった。
 二人はあれこれ考えて、週に三回、みゆきの家で二人だけの勉強会を開くことに決めた。

 初日、教科書を読んでいるつかさはうつらうつらと眠りに入っていた。
「つかさ、さん?」
「はぅ!?」
 驚いたように目を丸くしてみゆきを見つめるつかさ。
「わぁ、寝ちゃうとこだった…」
 みゆきは少し困る。彼女には、わからないところを訊かれたら答える、そんなスタイルしか勉強会のイメージがなかった。
 しかし、初日でこの様子ならば当人の質疑を待っていているだけだと週に七回やっても、大して進まなそうな気がする。
「う〜ん…あ、」
 みゆきはピンクの髪をふわりと揺らして指をたてた。
「つかささんはきっと、文字に慣れてないんじゃないでしょうか?」
「へ?…もじ?」
「教科書じゃなくて、新聞や本を読んでても眠くなりませんか?」
 つかさは上目に記憶をたどってからうなずいた。
「あ…、うんっ。そうかも。」
「慣れない事は、誰だって疲れて眠くなっちゃいます。もしかしてそれかなって思ったんです。」
 つかさはぱあっと明るくなった。
「そうかも〜。うん!難しいのだと余計そう!ゆきちゃん凄いよ!」
「なんとなくそうかなって思っただけです…」
「う〜ん、どうすればいいかな?」
「毎日ちょっとでも文字に触れるといいかも知れません。何か面白い本を少しずつ読んだり。」
「なんか楽しそうかも。」
「ただちょっと、遠回りなアイディアかも知れませんね。でも、次のテストまでは時間もありますし、価値はあると思います。」
 つかさはぼうっとみゆきを見つめていた。
「あの、やっぱり遠回り…でしょうか?」
 つかさは焦って首を振った。
「うううん!なんか…ゆきちゃんって凄いな、と思って。」
 みゆきは、いえ、そんな…とはにかんでから
「次は絶対成功させましょうね。」
 と力を込めて言った。
「うん!」
 つかさも両手を握りしめた。
 翌日つかさはみゆきと駅前の書店に寄って、自分なりに好きな本を選んで買った。
 つかさの好みはちょっと変わっていたが、みゆきは「面白そうですね、毎日読んで下さいね。」と優しく微笑んだ。
309つかさとみゆき(3/7):2008/03/23(日) 14:33:40 ID:dHYcKQF7
 その翌日は「なんだか読んでたらすぐ眠くなっちゃって…。」としょげたが、毎日少しずつ読むうちに本に引き込まれていった。
「それでね、その彼氏だった人がね…、えと、私の説明、わかる?」
「わかりますよ。聞いていても面白いです。」
「ホント!?えへへ…、でね…」
 毎日一度は休み時間にみゆきの席に訪れ、つかさは自分の本の面白いところ、発見したところを一生懸命伝えていた。
 語っているうちに気持ちが入っていってやや興奮気味になるつかさは、みゆきから見て新鮮な上、少し可愛かったりもした。
 そうこうしながら定期的に行われる勉強会でも、つかさは集中力が増してきて、みゆきが器用に手伝った事も相まって、終わる度に充実した気持ちになれるようになっていた。


 そうして1ヶ月が過ぎた。

「う〜ん!頑張ったぁ!…ちょっとお腹空いたよぉ。」
 と、背伸びするつかさ。
「今日はケーキがあるんですよ。」
 わ〜い、と手を合わせる。
「ちょっと待ってて下さいね。あ…」
 と、つかさのノートを見る。
 何か間違いがあるのかな…。
「何かへん?ゆきちゃん。」
 みゆきは目を丸くした。
 前ならばこういう時、つかさは休憩が中断される事に落胆していた。
 まして甘党のつかさで、休憩にはケーキが待っているのだ。
 しかし、今の彼女の瞳は間違いを直して正しい知識が得られる可能性を楽しんでいる。
「目標、もう少し高くしちゃえそうですね。」
「そうなの!?」
「えぇ、最近つかささんが凄く頑張るので、私の予想以上に進んでまして、ホントに凄いです、つかささん。」
 つかさは顔を真っ赤にして、下を向く。
「ゆきちゃんの、おかげだよぉ…」
310つかさとみゆき(4/7):2008/03/23(日) 14:34:15 ID:dHYcKQF7
「いいえ、私は何も…、最近は自分の勉強ばかりで…」
「うううん、ゆきちゃんが頑張り屋さんだから傍にいると私もなんか頑張れちゃうんだ。」
「…いいえ、頑張り屋さんはつかささんです。」
「違うよぉ、ゆきちゃんだよ」
「いいえ、つかささんです…」
「そんなことないよぅ…」
 二人とも、恐縮そうに頭を下げて上目に相手を伺ったので、その目が合った。
 なんだか可笑しい。
「あは、あはははっ」
「うふふっ」
「あ、じゃあ、頑張り屋さん同士、って事にしようよ。一緒なの。」
 つかさは自分の言葉に照れながら満面に笑んだ。
「ふふっ、そうですね。私達、どこか似ている気がします。」
 つかさはその言葉が自分にはもったいないようで恥ずかしくて、でも嬉しくて、小さな声で呟いた。
「ゆきちゃんのばかぁ…」
「え…!?」
「あ、うんと、ゆきちゃん、私ね、明日新しい本買いに行きたいんだけど、ゆきちゃんにも一緒に行って欲しいんだけど、だめ?」
「もう、あれも読んじゃったんですか?」
「うん!あの作者のは大体読んじゃったからぁ、次新しい作家を探したいんだよね。」
「じゃあ、一緒に探しに行きましょう、私もちょうど何か本が欲しいので」
「じゃあ一緒のやつ買おうよ!」
「えぇ、いいですね。」
「わ〜い!」
 ちょっと不経済ですけど、一緒の本を持っているってなんだか嬉しい気がします。

 みゆきは今までにない不思議な気持ちを感じていた。
 小さい頃から友達は多かったが、中学にさしかかって以来、みゆきに対しての友達の印象には高嶺の花のような感じが漂っていた。
 高校に入ってとても素敵な三人の友達に巡り会えたが、それでも、その小さな孤独は公然と芯に残っていた。

 
 どうすれば…
 

 「一緒」になれるのでしょう。


 多分、役割みたいなもの。


 私らしくある限り、きっとこれは埋まらないんです。


 それが、どこかで溶け消え始めている。そういう気持ちだった。
311ちび:2008/03/23(日) 14:45:32 ID:dHYcKQF7
あれ?
312ちび:2008/03/23(日) 14:48:51 ID:dHYcKQF7
長いのが書き込めません?
313ちび:2008/03/23(日) 14:52:51 ID:dHYcKQF7
あれ
原因がわからないけれど、長文が書き込めません。別に長すぎじゃないんですが。
314ちび:2008/03/23(日) 15:00:02 ID:dHYcKQF7
ダメでどうすればいいかわからないので、明日の朝にでも来ます・・・
315名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 15:07:15 ID:/t18WCpG
ご存知でしたらつまらないことですけれど
レスの一行目に改行入れられてませんか
このスレは知りませんがそういう仕様のスレもあるようです
表現上一行空けたいのでしたら、
全角の空白(スペース)を入れてみてください
316ちび:2008/03/23(日) 15:11:57 ID:dHYcKQF7
・・・入ってました。本っとうにど素人でごめんなさい!!!!
バカやってしまいました。続き投下しちゃいます。
317つかさとみゆき(5/7):2008/03/23(日) 15:12:31 ID:dHYcKQF7
 ☆第2幕☆

 それから数日後。
「いや〜、つかさと帰るのなんか新鮮だねぇ」
 電車のつり革に指先を引っ掻けたこなたは言う。
 かがみは隣でこなたがいつ揺れに耐えきれなくなってもフォロー出来るように意識しながらその言葉につっこむ。
「一昨日も一緒に帰ったじゃない。」
 勉強会は週に3日、大体は火、木、土とやっていて、今日のように無い日はいつもの三人で帰っている。
「えへへ…。」
「でもさ、最近一緒に帰るの減ってるでしょ、みゆきさんとこにしょっちゅう行ってるから。なんか新鮮なんだよねぇ。」
「まあね、でもつかさ、おかげで今回結構自信あるみたいよ」
 おぉっ!とこなたはつかさを見る。
「うん、ゆきちゃんのおかげでかなり自信あるよ。」
「うぅ…、もしかしてヤバいの私だけ?」
 かがみはそれにニヤニヤと返す。
「なんなら私が明日1日教えに行ったげよっか?ゲームや漫画に触ったら黒井先生ばりに制裁してあげるから。」
 …て、こんな言い方じゃオッケーしないか。
 つかさはわたわたと言う。
「わ、私は明日ゆきちゃんと勉強するから、行けないよ…」
「みゆきさんと追い込み勉強?」
「うん!」
 そのつかさの笑顔はいつになく幸せそうだった。
 それを見たこなた。
「ふぅ〜ん…。私もかがみにお願いした方がいいかなこれは。」
 かがみは少し嬉しい展開にときめきながらも平静に話す。
「あんた一夜漬けじゃないの?」
「ま、まぁなんか今回授業ノートが全くなくてね…一夜漬けどころじゃないのだよ。」
「あんた授業中なにしてたんだ?」
「素直に言わせて貰うとDSだね。」
「ほぉ、それで私のノートが欲しいと。」
「ぶっちゃけ…」
「貸すと今後のためにならないと判断しました。」
「うわ〜ん、かがみ〜ん!」
「知らん。」
「うぅ、じゃあ私もみゆきさんとこ行こ。」
「あんた節操ないな…」
「と言うことで、つかさ、明日みんなでみゆきさんのとこ…あれ?」
318つかさとみゆき(6/7):2008/03/23(日) 15:13:29 ID:dHYcKQF7
 つかさは少し困ったような顔をしていた。
「そ、そだね…一緒に。」
「う、う〜ん?」
 こなたの言葉に逆につかさは驚いた。
「あ、ふぇ…!?」
 あ、あれ?…なんで私嫌がってるんだろ。
「あんたじゃ足引っ張るだけだとさ。」
「うぁわ!?そこまで私おいてかれてんの!?」
「少しは懲りて自分で頑張るのね。」
 こなたはがっくりと肩を落とす。
「うぅ…。かがみぃ…、ノート見ないから…、一緒に手伝って…。」
 弱々しい瞳がかがみを射止める。
「いいわよ。その甘えが直るように厳しくいくからね。」
「うぐぅ…出来れば優しくお願いします。今日深夜アニメで夜更かしするので。」
「その甘えを直したいんだっつの。」
 はぁ…、なんで私、こなたなんだろう。
 それでもそう意識するだけでも気持ちが込み上げてくる。
 うぅむ…深夜アニメ録画にしたらかがみ褒めてくれるかな…。…それはそれで厳しいな。
 と、こなた。
 私、ゆきちゃんと二人っきりが楽しいのかも…。なんかケチだなぁ…。
 と、つかさ。
 なんだかよく分からないため息と沈黙が流れ、やがてこなたはつかさに訊いた。
「ねぇつかさ?」
 つかさはさっきので少し自己嫌悪気味だ。
「なにこなちゃん?」
「みゆきさんの事好き?」
 つかさはみゆきの事を考える。なんだか嬉しくなる。
「うん、大好き!」
「それはライク?それともラブ?」
「ら、ライクだけど…?」
 何かを見透かされたようでドキッとする。
「あんたなに訳のわからんことを…」
「やっぱリアルで百合ってあるわけないね。」
「聞いちゃいないわね。」
 少なくとも、今の言葉でこなたはそういった感情を誰にも持っていない事になる。それはかがみの心に少しばかり刺さった。
「まあ、あれだね、お互い明日は頑張ろう。」
「うん、こなちゃん、頑張ろうね。」
 つかさは最後まで「皆でやろうよ」と言い出せなかった。
 ここにみゆきがいたら四人で勉強することになっただろう。そうふと考えて、つかさは自分の友情の形が変になってきてるようで不吉な気持ちになったのだった。
319つかさとみゆき(7/7):2008/03/23(日) 15:14:13 ID:dHYcKQF7
 ☆幕間☆

「なぁ、柊ぃ。」
 こなたとかがみの、この酷く無能な作者の物語を演じている報われない労働のつかの間に彼女はあらわれた。
「何?」
「これさぁ、このみゆきってのが柊を、んでチビっ子が柊の妹を好きになったら凄くね?四角関係。」
「それってどうなのよ。不毛過ぎない?」
「そっか…、オール百合だと簡単に出来ちゃうね。どうせなら、10角関係とか?どうかがみ?」
「だから不毛だって。絶対まとまらないじゃない。」
















                     (いったんおしまい)
320ちび:2008/03/23(日) 15:15:03 ID:dHYcKQF7
以上です。
色々ごめんなさい・・・。
あと、とても短いのを、もう一ついきます。百合じゃなくてすみません。「そうじろうとつかさ」で、微エロです。
321そうじろうとつかさ(1/2):2008/03/23(日) 15:17:00 ID:dHYcKQF7
 これは妄想。
 妄想についての物語。

〜そうじろうとつかさ〜

「つかさちゃんは可愛いなぁ…。」
 後ろからそうじろうはつかさの首筋の匂いを嗅ぐ。
「あ、あのぉ〜…。」
 こ、これってセクハラじゃないかなぁ?
 胸の上当たりに手をまわし、後ろから抱きしめた。
「ちょっと、困ります。」
 うわぁおっきい。なんかほっとする。あれ?こんな事されてほっとしちゃってだめだ私。
「右を見て。」
 つかさの右横には姿見があった。大きなそうじろうが子供みたいに気持ち良さそうにつかさに抱きついている。つかさちょっと可愛いなと思う。
「つかさちゃん、顔が赤いよ。」
 ホントだ、なっ、なんで!?
「ドキドキしてるよ。僕に惚れた?」
 え?違うよぉ。なんかまずい。こなちゃんのお父さん、私を騙すつもりかも。それでエッチな事とか…。
「あ、あの、もういいですか?」
 つかさは立とうとしたが、そうじろうは重く、力もあってびくともしない。
 だめなのぉ?どうしよう。
「落ち着いて。深呼吸。」
 なぜか従って深呼吸する。
 そうじろうは後ろの首筋にキスをした。
 つかさは体中が熱くなる。
 な、なにをする〜!!
 今、今唇触れたよね?
 いいの?ううんまずいよ!
「ずっと君とこうしたかったんだ…。」
 つかさの耳もとで低くて優しい、潤いのある声を囁く。心地よい、女を安心させる声。
 だめだめだめ…!!
「そんなっ、私なんてっ、子供です…。」
「違うよ。」
 うぅ…なんで?…声を聞くたびにドキドキしちゃうよ…
 更にそうじろうはつかさの両肩を持ってやや強引に上半身をひねらせた。
 鼻先がぶつかりそうだ。
 そうじろうの落ち着いた息づかいにくらべ、つかさは少し上気している。
 真剣な顔つきのそうじろうがつかさには頼もしそうに映る。
「僕の瞳に写っている、つかさちゃんを見てごらん?」
 瞳を潤わせた艶っぽい自分がいる。
「君は綺麗だろう?」
 心臓がドクンっと強く脈打った。
 本当だ、
 嘘じゃないんだ…おじさん私を見てる…
 恥ずかしいよぅ…
322そうじろうとつかさ(2/2):2008/03/23(日) 15:17:49 ID:dHYcKQF7
 不安そうなつかさの瞳が少し暖かみを持った。
 そうじろうはそれを見逃さなかった。
「目をつぶって…」
 つかさは従った。何も考えなかった。その声がそう言ったから。
 ーーーー唇と唇が触れ合った。
 つかさの唇は溶けるように柔らかだ。反抗はなかった。
 長く、弾力を楽しむように強く押し付けたり、表皮が触れ合う程度に離れたりする。
 唇を押し付けたまま、移動させると、口内の潤いが漏れ出て、唇を少しずつ濡らしていく。
「…んっ」
 女性にとって第2の性器であるそこ。彼女はもう何がどうなる事もわからない。
 そうじろうはぎゅっとつかさを抱きしめながら、舌を差し入れた。
 つかさはそれを吸うように受け入れる。
 くちゅ…くちゅ…
 心地よい水音が響く。
 つかさはそうじろうの肩に両手をまわした。
 気付くとつかさは全てをそうじろうに売り渡していた。













                             (おしまい)
323ちび:2008/03/23(日) 15:18:42 ID:dHYcKQF7
本っ当に進歩のない男でごめんなさい・・・・。もっと、頑張ろうとおもいます。失礼いたしました。
324名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 17:39:31 ID:dh31Nlm4
とりあえず、子供は帰ってね
325名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 17:49:18 ID:R/4ebxyI
>>323
まぁ誰でも失敗はある。つぎから頑張れ
326名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 18:33:01 ID:ayKaBB3d
>>323
まぁまぁ、視点のブレとか、基本的な書き方とか(「」の最後に句点を入れない、三点リーダは二つ重ねる等)
改善すべきことはたくさんありましたが、話は良かったですよ。
というか2つの話の毛色が違いすぎてびっくりしたw


レスの一行目に改行云々はテンプレにいれたほうがいいのかしらん。
327名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 18:59:09 ID:wefQ941J
>>326
1行目改行については結構前から定期的に疑問カキコ→指摘あるよね。
しかし、テンプレが肥大化するのは避けたいので「必須事項かどうか?」と問われると微妙だな…
328名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 18:59:23 ID:/t18WCpG
ふーん、…をよく単独で使う私もダメってことなのか
興味深い指導を有難う(ニッコリ)
329名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 19:52:34 ID:00xGU7uH
「ひよりは俺の嫁。」みたいに「」に。を入れる作家を一人だけ知ってる

よしもとヴぁなな
330名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 21:50:33 ID:CrIsmy8I
>>329
なぜヴぁななw
331名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 22:04:21 ID:yta05b8L
準備している方がいなければ、投下しますよん。
332名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 22:08:52 ID:lvVD7oKT
>>331
支援させてもらいますよん
33323-251 ◆5xcwYYpqtk :2008/03/23(日) 22:17:17 ID:yta05b8L
「危険な関係 第8話」

こなた×ゆたか

※注意事項

・エロあり
・続き物
・シリアス
・ダーク
・こなた注意

>332
ありがとうございます。
334危険な関係 第8話 1/9:2008/03/23(日) 22:18:02 ID:yta05b8L
 夢、なんだ――
 私は、深いため息をついてから、ゆっくりと3人を見渡した。
「おねえちゃん!? 」
 心配そうに眺めるゆーちゃんの頬を、手を伸ばしてなでる。
「ゆーちゃん…… もう、大丈夫だから」
 私は僅かに微笑んでみせた。

「こなちゃん…… 具合悪いの? 」
 つかさは、私の額に白いハンカチを当てながら、不安げな様子で尋ねた。
「いや…… ちょっと悪い夢をみただけだから」
 そう、それだけだ。
 言葉にすれば、ただ夢を見ただけ…… 何も心配することはない。

「でも、汗、ぐっしょりだよ」
 湿り気を帯びたハンカチを手にしているつかさの表情は、憂いを帯びたままだ。
「大丈夫だよ。つかさ」
 私は、心配性の少女を安心させる為に、彼女の背中に手をまわす。
 ゆーちゃんでも、かがみでなくて、つかさの身体をぎゅっと抱きしめる。

「こ、こなちゃん!?」
 つかさは、驚いて瞼を見開いている。
「お姉ちゃんと、ゆたかちゃんが見ているよ…… 」
 困惑している少女の耳元に、小さく囁いた。
「つかさ、ゴメン。でも安心して、私は平気だから」
「う、うん」
 返事を聞いてから、私はゆっくりと身体を離した。
335危険な関係 第8話 2/9:2008/03/23(日) 22:18:29 ID:yta05b8L
「全く、心配させないでよ! 」
 かがみは、腕を組みながら口を尖らしている。ツンデレとはかくも難しい性格だと思う。
たまには素直になれば楽なのに。

「こなたお姉ちゃん…… 」
 難儀な子がもうひとりいた。
 私は、ゆーちゃんの瞼の下を、指先ですくって溢れそうになっている涙を掬う。
「ゆーちゃん。もう大丈夫だから。心配しないでね」
「う…… うん 」
 ゆーちゃんは小さく頷いた。
「気分転換に、大富豪でもしよっか」
 私は、不安の色を消しきれていない3人に向かって、努めて明るく言いながらトランプを取り出した。


 埼玉に戻り、かがみとつかさと別れて家路につく。
 玄関のドアを開けた時には、秋の短い日差しは既に地平線の下に沈んでいた。
 部屋に戻ってベッドに倒れこむと、旅の疲れがどっと身体に圧し掛かった。

 一瞬ごとに暗色を増す、窓の外側の景色をぼんやりと眺めながら、帰りの新幹線で見てしまった悪夢を思い出す。
「妙に…… リアルな夢だったな」
 かがみとゆたかちゃんの放った、一言、一言が鮮明な記憶となって残っている。
 たかが夢なのに、どうしても気になってしまう。

 しかし、このまま事態が推移すれば、今日見た夢の通りになる可能性が高い。
 かがみとゆーちゃんの板挟みになりたくはなかったから、何か対策を考えないといけない。
 私は、すっかりと暗くなった天井を見上げながら、思考に耽った。
336危険な関係 第8話 3/9:2008/03/23(日) 22:18:54 ID:yta05b8L
 深夜1時を回る頃、ネトゲで黒井先生と遊んでいる時に、躊躇いがちにドアがノックされる。
「お姉ちゃん。いいかな? 」
「いいよー 」
 恥ずかしそうに入ってきたゆーちゃんの服装は、なんと、体操服とブルマだった。
 濃紺色のブルマと、ふとももが露になった白い脚部のコントラストが眩しい。
「ゆーちゃん。その服、どうしたの? 」
 陵桜学園の体操着は、もちろんブルマではない。通販か、ネットで買ったのだろうか?

「ううん、違うの…… 」
 しかし、ゆーちゃんは顔を赤らめながら、首を横に振った。
「お姉ちゃんに借りたの」
「ゆい姉さん? 」
「う、うん」
 ゆーちゃんから、ブルマを貸してと言われた瞬間、ゆい姉さんはどんな顔をしていたのだろうか?。
「それにしても、ゆい姉さん。ブルマなんてよく貸してくれたね」
「うん。こなたお姉ちゃんも、相当マニアックだねって、笑っていたよ」
 イヤイヤイヤ違うから。私は無実だから。思いっきり叫びたい気分だよ。
「あの…… でも、絶対にこなたお姉ちゃんは気に入ってくれるから、と言われたから」

 私は苦笑するしかない。
 スク水、ブルマ、セーラー服は、女子高生の三大萌え要素だし、私も嫌いでない。
それでも、ブルマを付けたゆーちゃんは、スクール水着以上に危険極まりない。
「お姉ちゃん。私、似合わないかな」
 お願いだから、コクンと小さく首を傾げないで欲しい。理性が持たなくなってしまう。

 でも…… 現状を打破する、ちょうど良い機会かもしれない。
 心の隙間に生まれた暗い闇が少しずつ拡がり、全てを覆い尽くしていく。
「ゆーちゃん。その格好は、凄く似合うけどね」
 私は、ゆらりと立ち上がって、ゆーちゃんをベッドに押し倒した。
337危険な関係 第8話 4/9:2008/03/23(日) 22:19:51 ID:yta05b8L
「お、おねえちゃん? 」
「ゆーちゃんが悪いよ。そんな危険な格好で誘惑されたら、もう我慢できないよ」
 ゆーちゃんの両肩をつかんで、可憐な唇を奪い取る。
「んっ…… んんっ」
 小さな鈴が鳴るような儚げな喘ぎ声に、ぞくぞくとしてしまう。
 舌を割り込ませて、濃厚なキスを味わいながら、左手を紺色のブルマの中へもぐりこませる。
「お、おねえちゃん、駄目だよっ」
 いきなり手を突っ込まれて、ゆーちゃんが髪を振り乱して逃れようとする。
 でも、今日はスイッチが入ってしまっており、逃がしてあげる訳にはいかない。

「んはっ、くちゅ、ん…… んんっ」
 ゆーちゃんの舌を堪能しながら、私は指先を動かしていく。
 白い下着の上から透けて見える割れ目をなぞる度に、ゆーちゃんの身体が生きのいい魚のように跳ねる。
 同時に、ブルマから伸びる太腿が、私の手をぎゅっと締め付ける。
「ゆーちゃん、ぐっしょり濡れているよ」
 耳元でイジワルそうに囁くと、ゆーちゃんは顔を赤らめながら、私の身体にしがみつく。

「こなたお姉ちゃん。私を滅茶苦茶にして」
 上目遣いのゆーちゃんの、お願いを断ることは誰もできない。
「ゆーちゃん。覚悟してね」
 私は笑って言うと、ゆーちゃんの下腹部への愛撫を強めていく。
「あっ…… だめ、おねえちゃん…… ひゃん」
 ゆーちゃんの可愛らしい悲鳴が部屋に響きわたる。
 興奮した私は何度も可憐な少女の唇を奪いながら、すっかり湿った下着の中に手をもぐりこませる。

「いや、そこは駄目だよぅ」
 ゆーちゃんのアソコは産毛程度しか生えていなくて、大事なところがすぐに分かってしまう。
「おねえちゃん…… 恥ずかしいよ」
 えっちの時に両手で顔を隠すのは、ゆーちゃんの癖だ。
「恥じらいがあるゆーちゃんは、やっぱり萌えるねえ」
 私は淡々と言って、ゆーちゃんの割れ目を丁寧に撫でていく。
 既に十分にアソコは濡れていて、下着はもちろん、濃紺色のブルマにも恥ずかしい染みがひろがっていた。
338危険な関係 第8話 5/9:2008/03/23(日) 22:20:23 ID:yta05b8L
「ゆーちゃんって本当にえっちな子だねえ」
 私はからかいの含んだ言葉を耳元で囁く。ゆーちゃんは首を激しく振って、
「そ、そんなことないもん」
と、頬を紅色に染めたまま、懸命に否定する。

「でも、アソコはもうぐしょぐしょだよ」
「ううん、違うもん、私、えっちな子じゃ…… ひゃん! 」
 クリを摘まれたゆーちゃんは背中をのけぞらして絶叫する。
「だめ、おねえちゃん。だめっ」
「もうイッちゃうの? 」
 私はゆーちゃんの首筋に唇を当てて強く吸い付く。

「こなた…… お姉ちゃん。そこは…… だめだもん」
「どうしてカナ? 」
 含み笑いを浮かべながら、更に吸い続ける。
「キスマーク、ついちゃうから。みなみちゃんに…… わかっちゃ、んあああっ」

「岩崎みなみちゃん…… ね」
 みなみちゃんという言葉は、私の心の奥底にある鬱屈とした感情を燃え上がらせる。
 この瞬間、私は、ぞっとするような冷たい笑みを浮かべていた…… と思う。
「お、お姉ちゃん? 」
 ゆーちゃんも私の異変に気がついて、瞳に恐怖の色が微かに宿る。
「ゆーちゃんに悪い虫がつかないように、キスマークを付けるんだよ」
 私は、ブルマ姿のゆーちゃんのお豆の辺りを刺激しながら驚くほど低い声で囁いた。

「んあっ、お、おねえちゃん……!? 」
 ゆーちゃんが私の顔色の変化に戸惑っている。
 みなみちゃんは、ゆーちゃんにはっきりと好意を抱いている。
 彼女は、私のゆーちゃんを奪い取る為に、わざわざ呼び出して威嚇すらしてきた。
「悪い泥棒猫さんが近寄らないように、キスマークを付けるんだよ。だから学校で隠しちゃ駄目だからね」
 私は、ゆーちゃんのクリを強く揉みしだきながら、強い口調で命令する。
「んあ、わ、分かったから、だから、やあ、あああっ」
 ひときわ大きな絶叫を放って、ゆーちゃんは、早くも一度目の絶頂に達した。
339危険な関係 第8話 6/9:2008/03/23(日) 22:20:49 ID:yta05b8L
 全身をがくがくと震わせながら、崩れるようにベッドに倒れこむ。
 でも、今日は許してあげないよ。
 荒い息をつきながら、ぐったりとなっている、ゆーちゃんを仰向けにすると、
 すっかり濡れてしまったブルマを脱がしてから、股間を大きく開かせる。
「は、恥ずかしいよう」
 私のやろうとしている事に気がついたゆーちゃんは、必死になって足を閉じようとするけど、許さない。
 私は力づくで開いた股間に顔を近づけて、白い下着の上から唇の先で秘められた場所に口付ける。

「んひゃ、だめ、だめえっ」
 純白だったはずの下着は既に、ゆーちゃん自身が放った愛液でぐっしょりと濡れており、
大切な部分が薄っすらと見えてしまっている。
「お姉ちゃん、やめて、お願いだから…… ひゃあっ」
 アソコを唇で刺激されることは、余程恥ずかしいのだろう。
 ゆーちゃんは瞼に涙をためながら、イヤイヤと首を振る。

 しかし、ゆーちゃんが嫌がる顔と、柔らかい太腿の感触が、私を更に興奮させてしまう。
「ゆーちゃんが誘ったんだから、責任をとってほしいな」
 そう、ゆーちゃんが誘ったのだから私は悪くない。
 私は、内なる心の自己正当化を素早く終えると、ゆーちゃんを護っていた最後の防壁に
手を伸ばして脱がしにかかる。
「駄目、そこはイヤっ」
 ゆーちゃんは必死に抵抗するけど、如何せん体力の差がありすぎる。
340危険な関係 第8話 7/9:2008/03/23(日) 22:21:13 ID:yta05b8L
 私は、ゆーちゃんの下着を易々と脱がしてしまう。
「やだあ、お姉ちゃん。みないでっ」
 股間に顔を埋めた私を、隠した両手の隙間からちらちら覗きながら、ゆーちゃんは泣き叫ぶ。
「もう、抵抗は無駄なのだよ」
 いささか芝居がかった口調で宣言すると、クリに舌端を延ばして、ゆっくりと差し込んでいく。
「んひゃあ! 」
 裏返った悲鳴が部屋中にこだまする。
「ゆーちゃん。気持ちイイのは十分に分かるけど、あんまり叫ぶとお父さんが気がついちゃうよ」
 意地悪なコトを言いながら、敏感な部分への愛撫を続けていく。

「そんなこと、いっても…… んはっ、くうっ、ひゃああ」
 まともに強い刺激を受けたゆーちゃんはびくびくと跳ねながら、切なそうな喘ぎ声をあげた。

「ちゅぱっ、くちゅ」
 私は卑猥な音をたてながら、ゆーちゃんのクリと、周辺にある性感帯に対して執拗な愛撫を加えていく。
「だめぇ…… おねえちゃん…… ひあうっ」
 全身から玉のような汗を噴き出しながら、途切れ途切れの悲鳴をあげる。
「くちゅ…… ちゅ、くちゅん…… 」
 アソコを揉みしだくように、ゆーちゃんのアソコからは大量の蜜があふれ出した。
 甘酸っぱい匂いが立ち込めて、私の性欲を更に昂ぶらせてゆく。
「ゆーちゃんって、本当にエッチな子だねえ。ジュースがとまらないよ」
「やだ、私、エッチな子じゃないよ。お姉ちゃん…… お姉ちゃんが、くはぁ」

「私が、どうしたのかな? 」
「おねえちゃんが…… ひゃん、いやらしい…… ことするから…… くぅん」
 高い悲鳴をあげてのけぞりながら、ゆーちゃんは懸命に答えた。
341危険な関係 第8話 8/9:2008/03/23(日) 22:21:43 ID:yta05b8L
「ふーん。ゆーちゃんはこの期に及んで私のせいにするんだ」
 私は、冷ややかな声を出した。刺激していた舌を引っ込めて、ゆーちゃんの股間から顔を離す。
「お、お姉ちゃん? 」
 急に愛撫をやめたことに驚いて、私の顔をまじまじと見つめる。

 私は、戸惑う従姉妹に対して熱を失った視線を向けると、ベッドから立ち上がって机に腰掛ける。
「ゆーちゃん。今日はもうおしまいにしようか」
「えっ…… そんなっ!? 」
 案の上、ゆーちゃんは焦っている。
 ゆーちゃんの足元には、ブルマと下着が捨て置かれており、シーツの真ん中あたりは
愛液でぐっしょりと濡れてしまっている。

「下着とブルマを着て、部屋に戻ってね」
「あ、あの、こなたお姉ちゃん? 」
 ゆーちゃんが、物欲しそうな顔で私を見上げた。
「どったの? 」
「あのお、私、その…… 」
 ゆーちゃんは股間を毛布で隠して、暫くもじもじしていている。
 どうやら必死に我慢しているようだ。でもね……

 予想通り、5分も経たない内に、ゆーちゃんは首筋までゆでたこのように真っ赤にして、
蚊の鳴くような声を出した。
「続き、して欲しいの…… 駄目、かな?」
 悦楽に堕ちたゆーちゃんがえっちのおねだりをする姿に、私の萌えパラメータの針は、
振り切れてしまったけれど、敢えて冷たい態度を取らなくてはいけない。

「私はね。ゆーちゃんの嫌がることはしたくないんだ」
「それは、そのう」
 ゆーちゃんは俯いたまま、両手の人差し指をつき合わせて口ごもってしまう。
 それでも、絶頂の寸前で止められてしまった彼女は、ついに耐え切れなくなって必死の形相で訴えかける。
「ごめんなさい、ごめんなさい。こなたお姉ちゃん。このままだと我慢できないの! 」
342危険な関係 第8話 9/9:2008/03/23(日) 22:22:21 ID:yta05b8L
 そろそろ潮時かな。

「素直な子は、大好きだよ」
 私は、泣き出しそうになっているゆーちゃんに、軽く口付けをしてから、開かれた太腿に顔をうずめる。
「お願い。こなたおねえちゃん」
 私は、ゆーちゃんのとても大切なところへの刺激を再開する。
「んひゃう! 」
 再開された愛撫に、ゆーちゃんは敏感に反応して、瞬く間に汗と愛液が噴き出していく。
「んくぅ…… やあっ…… 気持ち、よいよぅ」
 ゆーちゃんも、自分で膨らみかけの胸を愛撫している。
「くちゅ…… ちゅばっ、くちゅぅ」
 イヤらしい音をたてながら、ゆーちゃんのクリと睦の入り口を、舌端で丁寧に揉みほぐしていく。
「おねえちゃん、わたし、もう駄目、んあ」
 顔を上気させながら、絹を裂くような悲鳴を何度もあげる。
 ゆーちゃんのアソコからはとめどもなく、濃厚な液体が湧きだしてくる

「んくぅ…… ふあ、んっ、んくっ! 」
 絶頂が間近に迫って、ゆーちゃんは身体を大きく反らせながら、細かく振動する。
 私は指の動きを加速させていき、快楽の頂に登る彼女の背中を強く後押しする。
「やっ、んあっ、だ、だめっ、んあああああっ」
 ひときわ大きな悲鳴を放って、ゆーちゃんは二度目の絶頂を迎えた。

「はあっ、はああっ」
 ようやく執拗な愛撫から開放されたゆーちゃんは、荒い息をつきながら倒れた。
 白いシーツはゆーちゃんと私の汗で、ぐっしょりと濡れてしまっている。
 
 私は、ゆーちゃんの火照りが納まるまで待った。
 それから、全身の筋肉を弛緩させて、疲れた身体を横たえている少女の耳元で囁く。
「ゆーちゃん。風邪ひくといけないから、一緒にお風呂入ろうね」
「う、うん…… こなた、おねえちゃん…… 」
 うつ伏せになっていたゆーちゃんは、気だるそうに頷いてから、のろのろと身体を起こした。
34323-251 ◆5xcwYYpqtk :2008/03/23(日) 22:27:19 ID:yta05b8L
読んでくれた方、感想をいただけた方、毎度ながらありがとうございます。
今回は、黒こなた、ゆーちゃん凌辱編とあいなりました。
もっとも、エロだけで話が全く進んでおりませんねorz

では、今宵はこの辺にて、失礼いたします。
344名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 22:29:58 ID:DKpso4Gm
>>343
Boat警報発令ー! 総員、ヤンデレに備えよ!!

というわけでメッセ中にリアルタイムで読了しました。
いやー、こなたが変な方向に吹っ切っちゃってて凄まじく心配なのですが。
このまましかるべき報いを受けてしまうのか、はらはらしながらもぐっじょぶです。
345名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 23:06:57 ID:8i3b+o7E
あれ、前回の修羅場夢だったのか

自ら破滅に突き進んでるようにしか見えないぜこなた
かがみの反撃が恐ろしいぞぐっじょぶ
346名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 23:11:13 ID:BRKJrsad
nice boatを期待する一方で、
「こなた死ね」とは絶対に言いたくない。
この二律背反、いかにとやせん……


「あら、私どんなことがあってもこなたを殺すなんてありえないわよ」
「かがみ……」
「フェチ化するだけだからね。おーもちかえりーーー!」
「ちょwwwwかがみキャラ変わりすぎアッーーー!!」
347名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 00:30:56 ID:ofjmGYGA
正直、TSだのゴッドだのは訳がわからないんだが、こな☆フェチだけは好きな俺ガイル
348名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 00:46:37 ID:uBDMJpHc
誠みたいなこなただw
349名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 00:49:01 ID:uubORdz7
nice boatに激しく期待
350名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 00:51:41 ID:n9/8NibB
久々に来たけど人気のオリキャラを叩くのでも流行ってるのか?
351名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 01:05:39 ID:87cFuCNU
ヒント:3月下旬〜4月上旬
352名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 01:26:41 ID:aUL3v/Ra
こなた→パティ→ひより→ゆたか
↑           ↓
かがみ←つかさ←みゆき←みなみ

こんなのが急に思い浮かんだw


353名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 01:30:22 ID:NMQKvRBK
右の4人に違和感が・・・
354名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 01:43:08 ID:3W0xeTn2
オリキャラ叩きをしているわけじゃないと説明されているのに、それを無視して春厨認定って…

人が減ったのをそんなに自分達のせいにしたくないんだなあ…
355名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 02:01:42 ID:rLIXIprp
>352は矢印がずれてるだけじゃ?
356名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 02:06:57 ID:wsva8oXg
人が減ったのは、「単にアクセスできないだけ」のような気がしないでもない
宵の口あたりから、メインPCのネットワークの調子がどうもおかしいんだよな。
フレッツあたりで大規模障害やってるんじゃなかろうか。

話変わるけど、オリキャラがらみは難しいね。
「多用はスレが閉鎖的になる」という意見にも一理あるけど、逆に「ネタに困っても出すに出せない」
みたいな、変な自重ムードができちゃってる気がする。
意図されたものではないにせよ、なんか小ネタにも使いづらい雰囲気ができちゃってて俺涙目。

ここにはまとめwikiがあって、オリジナルはそちらを参照できる。
新規の人も話についてきてもらえるインフラは整ってるんだから、元ネタのURLにリンクを張るとかして
適切な誘導を心掛ければ、別にやってもいいじゃん、とも思うんだけどなあ……

このスレを愛するがゆえの意見が、かえってスレの停滞を招いている気がして、なんか辛いっす。


勝手な意見垂れ流しの長文レスでごめんorz
357名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 02:17:34 ID:87cFuCNU
>>356
3/17だったか3/16に、NTT系のDNS鯖が腐ってgoogleや他のサイトに繋げなかったことはあった
OCNやフレッツADSL・BフレッツなどのNTTの回線を使ってるISPは壊滅的だったが、もしかしてまた?
358名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 02:19:12 ID:MS1D+QcD
ちなみに規制で投下したくてもできない俺みたいなのもいるわけでorz

それはそうと>>343GJっした!
なんかboatフラグたちまくってるんですが大丈夫でしょうか…みなみ&かがみがどうするかが怖い(ガクブル
359名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 04:10:24 ID:okGcwbj5
>>358
●を買うのじゃ〜

あんがい快適。
360Foolish Form ◆UEcU7qAhfM :2008/03/24(月) 04:25:36 ID:k/R2qhbA
眠れなくて久しぶりにこのスレに来てみた。
何やらよさげでまったりした雰囲気だったものだから、何か書きたくなった。
だがアイディアが出てこなかったから、昔のを加筆修正してみた。

『Loving Stars -episode1.1-』、僅か2レスのみでしかもエロくないが、楽しんで頂ければ幸い。
では。
361Loving Stars -extra1.1-:2008/03/24(月) 04:26:40 ID:k/R2qhbA
 ある晴れた昼下がり。かがみの家に来ていたこなたは、おもむろに口を開いた。
「かがみってさぁ」
「何?」
「私のこと、好き?」
「……ぶっ」 
 かがみは口に含んだ麦茶を盛大に噴出した。中途半端に生温い水がこなたの全身に降りかかる。ぐっしょりと濡れたこなたは皮肉めいて、
「ねぇ、かがみ。冗談言った私も悪いけど、流石にこれはないんじゃないかなぁ……」
と上目がちにかがみを見上げた。
「あんたの自業自得でしょ。ったく……タオル持ってくるから、身体拭きなさい」
 そう言って立ち上がりかけたかがみの手を、こなたは寄っていって強引に押さえた。
「やっぱり、どうでも良くなっちゃった。気にしなくていいからさ、キスしたら許してあげる」
「ちょ、アンタ……んむっ」
 言うが早いか、こなたはかがみの唇を奪った。そのまま口を押し開き、舌を深く挿し入れていく。ちゅぷちゅぷと水音が部屋中に響いて、二人分の口で支えきれなかった唾液が服にゆっくりと垂れ落ちた。
 何秒かして──かがみには何時間にも思えたのだが──こなたが口を離すと、銀糸が一本、二人の間に架かって、やがてぷつんと切れた。
「ごちそうさまでした」とおやつのクッキーでも食べたかのように両手を合わせるこなたに対し、
「な、ななななな……」
 かがみは言葉が一言も出てこなかった。
「んー、かがみのその顔、いつみても可愛い」
 こなたはかがみの頬をぷにぷにさせながら、
「まったく、かがみは照れ屋さんなんだからっ♪」
とからかい続けるが、一方かがみは真赤な顔をしたまま俯くばかりだった。
「ご、ごちそうさまはこっちの方よ……」
「何か言った?」
「な、何も言ってないわよ!!」
 慌ててかがみは取り繕うが、こなたはニマニマニヤニヤと薄笑いを浮かべる。
「教えてほしいなぁ、かがみさん?」
 かがみは紅潮した顔を背けて、だんまりを決め込んだ。
 こなたが話しかけたり、頬を抓っても、一向に反応するそぶりも見せない。
「かが、み?」
「もう、知らない!」
 その後は完全にこなたを無視して、かがみはそっぽを向いてしまった。
「かがみ? ねぇ、かがみ?」
 かがみは立ち上がって鞄の中を漁り、中から教科書とノートを取り出すと、そのまま机に向かって勉強を始めた。
「えと、あ、その、かがみ……ごめん」
 聞いているのかいないのか、かがみは無造作に教科書をめくり、ノートを書き取っていく。小一時間ものあいだ、ずっと。
「かがみ、ごめん、ごめんってば……」
 問いかけるこなたの声は、次第に潤んでいく。
「かがみぃ……ごめん、ごめんなさい。謝るから、返事してよぉ、かがみ……」
 両の目からポロポロと大粒の涙を零し、服の裾をきゅ、と握り締めたこなた。
 かがみはそれを見て、ため息をついて、やっと口を開いた。
「まったく、少しは自重しなさいよね」
 こなたの額を、軽くデコピンで叩く。『あたっ』と小さく叫び、弾かれた場所を押さえるこなたの手を、優しく取った。
 そのまま、かがみはこなたの指に自らのを絡めて、そっと唇を寄せる。
「ちゅ……ん」
「かが、みぃ」
 ごめん、ごめんね、と何度も繰り返しながら、こなたはかがみの胸に取り付いて泣きじゃくり始めた。
「バカね、アンタは。『ごめんなさい』じゃなくて『ありがとう』でしょ」
 いつもより何倍も小さく見えるこなたの華奢な身体を、かがみはいつまでも抱き止めていた。

「ねぇ、こなた。今日は……今日は、あたしとお風呂に入る?」
「ホント? ホントに!?」
「ええ、まぁ、泣かせっぱなしって言うのも後味が悪いから」
「『ありがとう』、ありがとう、かがみぃ!」
「だぁー、ひっつくな、分かったから引っ付くな!!」
 今日も、こなたとかがみの日常はゆっくりと過ぎていく。
362Loving Stars -extra1.1-:2008/03/24(月) 04:27:28 ID:k/R2qhbA
 一方その頃、つかさの部屋。
「んん……むにゃむにゃ……こなちゃん、お姉ちゃん、幸せになってね……むにゃ」
 双子の妹は、今まさに正夢となっている眠りの世界にいた。
363Foolish Form ◆UEcU7qAhfM :2008/03/24(月) 04:32:22 ID:k/R2qhbA
深夜に突然、即興的に書いたから、面白くするとか構成を練るとか、
正直殆どやってない。申し訳ない。
それでは、次回作がいつになるのやら、その時はまた邪魔させて頂く。
おやすみなさい。


※管理人様へ
『extra1』はそのまま補完しておいて下さい。
『extra1.1』という新作だと捉えて頂ければ、と。
364名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 10:48:26 ID:v264NKFD
>>363
なんというツンデレで保護者的なかがみさん
グッジョブです!
365名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 11:10:12 ID:9pHYCddH
>>363
夜勤明けのボロボロな体を癒してもらいました!GJ!!
366名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 11:40:20 ID:d/Ng9tYn
今朝起きる時にとんでもない電波を受信してしまった

もしもこなたとかなたの立場が反対だったらと言う物
つまり学生かなたさんと幽霊こなた

自分文才ないから代わりに誰か書いてみる気ないか
367名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 11:49:53 ID:MS1D+QcD
>>363
甘々で最高です!つかさがいい味出してて3人の幸せな雰囲気が伝わってきました。GJ!
368名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 14:30:36 ID:Gi0Hljc7
>>366

〜放課後〜
「あ、かがみちゃん。またポッキー食べてる」
「ん、勉強疲れかなあ。甘いものが欲しくなってね」
「そうよね。疲れてるときは甘いもの欲しくなるよね」
(かなた、そこは「また太るよ」ってからかわないと)
「だよねー。でも、体重が気になるのよね」
(チャンスだよ。そこでお腹の肉をむにっと掴んでっ)
「私はあんまり気になんないかな」
(駄目だ。かなたじゃツンデレを引き出せないっ)
「かなたはいいわよね。しっっっかり食べても太らないみたいだし」
「そ、そんなに食べてるかな」
(しかも、逆にからかわれてるし。はっ、もうこんな時間。アニメ始まっちゃうから帰ろ)


こうですか?
わかりませんっ><;
369名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 15:41:02 ID:n9/8NibB
新ジャンルかなかが

「か、かがみちゃん待ってぇ」
「ったく、相変わらずどんくさいわね」
「えへへ、かがみちゃんがしっかりしてるから大丈夫だよ」
「ばっ、な、何言ってんのよ!」
「ひぎゃっ、かがみちゃんがぶったぁ」



「・・・うにょーん」
370名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 17:12:46 ID:1IRAZ4Q9
>>366
重度のヲタク両親を反面教師に、清らかに育った島本声の微突っ込み少女と申したか。


これはこれで!
371名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 17:28:04 ID:640HF7cd
「さよなら〜!」
「はい。さようなら。気をつけてね」
生徒に手を振る、小さな先生を見ていた、生徒達が、喋り出す。
「いいな〜。泉先生。私も泉先生のクラスが良かったな」
「泉先生、人気がありますものね」
「この間、生徒と間違えられた時は、しばらく『かなたちゃん』て呼ばれてたよね」
「それだけ、泉先生が皆に好かれてるって事なんだろうけどね。
泉先生、優しいし、本当に親身になってくれるから」
「噂なんだけどね、泉先生、昔、お子さんを亡くしたんだって。
その子が生きてたら私たちと、同じ位の歳だから、他人事だと思えないんだって」
ワイワイと喋りながら、遠ざかる3人の生徒。
「あの娘が生きてたら、あの中にいたのかな?」
想像してみて、苦笑する。
あの娘がいたら、他の皆は振り回されて大変だろうな。


>>366からの電波で書いてた筈なんだけど、別物になってしまった。すんません。
372名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 18:30:06 ID:I/KetCBX
「うう……さっきから私、殺されまくり……
 いくら薄幸が似合う美少女だからってみんなひどいよ〜(〒ω〒.)」
「こなた……美少女って……自分で言ってて空しくなってこないか?」
373名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 18:37:54 ID:P66/pqei
逆にかなたさんがご健在だったらどんな親子になってたかねえ・・・

ビビビッ…(電波キタ)
そうか、家族で仲良く3Pだお!(`・ω・´)/

こなた「お父さん、早くいれてよお〜」
かなた「そうくん、あたしの方が先でしょ?」
こなた「お母さんズルいよ、もう二回目じゃん」

そうじろう「ちょ、ちょっと休ませてくれぃ・・・」
374名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 19:25:48 ID:xkLkrj14
>>373
「そんなんなったら……俺勝ち組すぎてやばいことになっちまうかもなあ……
 エヘヘヘヘヘ……」

「そうくん……?^^####」
「おとーさん……?(=ω=.###)」

「や……やだなあ2人とも……ちょっとしたジョークじゃないか
え…オシオキって…そのぶっとい注射器はなんですkアッーーー!!」
37523-49:2008/03/24(月) 20:35:21 ID:YPxdWX3t
どうもです
「メドレーリレー・バースデー」第五話、上がりました
ようやく全員が一堂に会します(長かった・・・・・
他に誰もおられないようでしたら五分後ぐらいから投下させてください

・あやの視点
・エロ無し
・6レス使用
・峰岸さん注意
376メドレーリレー・バースデー (5) 1/6:2008/03/24(月) 20:40:49 ID:YPxdWX3t
【track 5 : 栗色の繰糸師と手の空いた料理人】


 ――パァンパパンッ!

「「「ハッピーバースデー! みなみちゃん!!」」」

 玄関のドアが開ききると同時に、クラッカーの音に続いて全員の声がきれいに重なった。
 そんな出迎えを受けた岩崎ちゃんは……ふふ、驚いてる驚いてる。
 目をまんまるに見開いて、不意打ちで手品でも見せられたみたいな顔。
 でも……んー、ちょっと驚きすぎじゃないかしら。唖然、茫然を通り越して、愕然としている感じ。
 みんなよっぽど上手に隠してたのね。
「――みなみさん」
 完全に固まってしまった岩崎ちゃんの、背後。
 その両肩に、そっと手を添えながら、高良ちゃんが優しく語り掛ける。
「どうです? これで、分かっていただけましたか?」
 少し意味の分からない言葉は、外での会話の続きなのかな?
 ひょっとしたら、今日のことをみんなが内緒にしてるのを仲間はずれにされたみたいに感じて、
 それで嫌われたとか思っちゃったのかも。
 岩崎ちゃん、わりと思いつめるタイプみたいだし。
「――え? ……なんで、これ……」
 ぎこちない動きで首を振り返らせながら、強張った声。
 高良ちゃんは糸目になって微笑んだ。
「ですから、お誕生日のお祝いです。みなみさん、あなたの」
「私の……? ――え? でも私は」
「ええ、分かっています。でも、ほら。今はとりあえず、前を向いてください」
「前を……」
 うわ言のようにオウム返しをしつつ、岩崎ちゃんがこちらに向き直る。
 泳ぐ視線が私たちをなぞって、最後に止まったのは、やっぱり小早川ちゃんのところだった。
 単に集団の先頭にいるからってだけじゃ、なさそうよね?
「……」
 その小早川ちゃんは、私の位置からだとよく見えないけど、ぽかんとしているみたい。
 見とれちゃってるのかな?
 まぁ、気持ちは分かる。
 岩崎ちゃんのあの格好、高良ちゃんがさせたのかしら。
 白に近いピンクのワンピースの上に、レース編みのカーディガンを羽織っている。
 どちらもシンプルなデザインだけど、よく見れば丁寧な刺繍や編み込みがしてあって、可愛らしい。
 髪にも手が入っていて、顔には控えめながらもメイクまでしてある。
 彼女の、普段は隠されている少女らしさを引き出しつつ、クールでスマートな印象も損なっていない。
 いいなぁ。
 今度、みさちゃんのこともコーディネートしてもらえるよう頼んでみようかしら。
「……ゆたか?」
「あ――う、うんっ。おめでとう、みなみちゃん」
 声をかけられて我に帰った小早川ちゃんが、最高の笑顔を浮かべながら
 抱えていた大きな花束を差し出した。
「……」
 抑揚のない動きで受け取る岩崎ちゃん。
 まだかなり茫然としていて、理解できないものを前にした顔で花束を見下ろしている。
 うぅん。
 みんなにも不安が広がり始めてるし、もう少し詳しく説明してあげた方がいいんじゃないかしら?
 そう思って、でも私が言うのも不自然だから、とりあえず高良ちゃんに視線を飛ばす。
 すると一瞬の間を置いて、こくこくとうなずいてくれた。
 ちゃんと通じたみたい。
377メドレーリレー・バースデー (5) 2/6:2008/03/24(月) 20:41:49 ID:YPxdWX3t
「みなみさん」
 またぎこちなく首を回す岩崎ちゃんに、高良ちゃんは少し申し訳なさそうに眉を下げる。
「すみません、驚かせてしまったようですね。私が皆さんにお教えして、お願いしたんです」
 目を見開く岩崎ちゃん。
「お友だちと過ごす誕生日の楽しさを、思い出していただきたくて……差し出がましかったでしょうか」
「あ……いえ……」
 そして反応に困ったような横顔。
「――あ、でもっ!」
 そこに田村ちゃんが割り込んだ。
「頼んでくれたのは高良先輩だけど、来たのはみんなの意思だよ? みんなが、一人一人が
岩崎さんを祝いたいって思って――思ったから」
 一生懸命ね、田村ちゃん。
 顔を赤らめて、不器用な感じに上ずった声で。本当に友達のことを思ってる気持ちがよく分かる。
 演技なんて少しも混じってない。
 私にはできない言い方ね。
「だからみんな、来たんだよ。――そうっスよね?」
 最後の一言は、私たちに向けて。
 そうすると、まるで事前に示し合わせていたみたいに、みんなが一斉にうなずいた。
 もちろん、私も。
 誘われた状況がちょっと特殊だったけど、祝いたいという気持ちにウソはない。
 田村ちゃんや小早川ちゃん、他のみんなには及ばないまでも、ね。
「……」
 岩崎ちゃんにゆっくりと理解の色が広がり始めた。
 駄目押しをするように、田村ちゃんが付け加える。
「あと、内緒でやろって言ったのも私。ご、ごめんね? そんなに驚くとは思わなかったから……」
「……じゃあ……」
 そして何かを言いかけた岩崎ちゃんが、ふらりとよろめいた。
「――みなみちゃん!?」
「岩崎っ」「岩崎さん!」「ミナミ!?」
 後ろに立っていた高良ちゃんがすぐに肩を支えたから倒れたりはしなかったけど、
 それでも一同に緊張が走った。
 でも、それもすぐに、軽く戸惑ったような空気に変わる。
「……みなみさん? 大丈夫ですか?」
「……はい」
 その口元が、小さく、でもはっきりと分かる程度に弧を描いていたから。
 みさちゃんの腕がぴくりと動いて、ポケットに差し込まれるのが見えた。
「立てますか?」
「はい」
 高良ちゃんに促されて、岩崎ちゃんがゆっくりと立ち直る。
 またゆっくりと……ううん、今度は、じっくりと。私たちを見回して、そして微笑んだ。

「……ありがとう」

 わぁ……
 思わず、息を呑む。
 キレイな顔してるから、笑ったら可愛いだろうなと思ってはいたけど、これは想像以上――

 ――ピロリンっ♪

 と?
 今のは……携帯カメラのシャッター音?
 突然響いた場違いなその音に、全員の視線が集中する。
「うっしゃーっ! 極上スマイル、撮ったどーっ!!」
 みさちゃんだった。
 ……どうやら、もう気持ちを切り替えたみたいね。
378メドレーリレー・バースデー (5) 3/6:2008/03/24(月) 20:42:50 ID:YPxdWX3t
「ちょっと日下部っ、何やってんのよっ」
「ん? ほら、これ」
 失礼に当たるその行為を叱りつけようとした柊ちゃんだったけど、差し出された液晶画面を見ると、
「ぉ……」
 固まっちゃった。
「いーだろー、極上スマイル。ずっと狙ってたんだー」
「そ……それにしたって、もうちょっと場の空気ってもんを読みなさいよっ」
 あらあら。
 柊ちゃんも欲しいのかしら……なんて、言ってる場合じゃなさそうね。
「いーじゃん。こんな大事なこと黙ってたバツだって」
「なるへそ。それは一理あるかもね」
「まっ! ちょっ! 日下部先輩っ、それはダメだと前にもっ!」
 泉ちゃんがここぞとばかりに、田村ちゃんが焦った調子で割り込んだ。柊ちゃんの表情が強張る。
「あんた……たち、まで」
「いえっ!? 私は否定派っスよっ?!」
「かがみも欲しそうな顔したじゃん」
「……っ!」
 うぅん。これはちょっと、良くないかも。
 柊ちゃんは、まあいいとして。
 田村ちゃんはむきになってるし、泉ちゃんも、そろそろ感づき始めてはいるみたいだけど、
 さっきから必要以上に邪魔されてご機嫌斜め気味だし。
「みさきち、私にも……かがみ?」
「ぜってーヤダ」
「くっ――日下部先輩っ! 貸してくださいっ! てか消してくださいっス!」
「ちょ……なにそんな焦ってんのひよりん?」
 なんて、考えてる暇もなさそうね。
 人前で動くのは嫌いなんだけど……仕方ない、か。
 まず、不安そうに四人を見つめてる妹ちゃんと、そちらに忍び寄ってるパトリシアちゃんとの間を
 わざと横切って、みさちゃんの後ろに回りこむ。
「みさちゃん」
 そして肩越しに声をかけて、
「え?」
「えいっ」
 反対側から、ひょいと携帯電話を取り上げた。
「え? あやの? ……あれっ?」
「峰岸?」
「峰岸さん?」
「峰岸先輩?」
 あっけに取られる四人。あとの二人は、とりあえず無視。
「ダメよ、みさちゃん。岩崎ちゃんが困ってるじゃない。柊ちゃんも、落ち着いて。ね?」
 そう言って玄関扉の方を示しながら自分も見ると、案の定。
 岩崎ちゃんは恥ずかしそうに頬を染めて、そしていい感じに困惑した顔になっていた。
 その傍らの、少し驚いたようになってる小早川ちゃんが目に入る。
「ご、ごめん、あやの。悪かったから、返してくれぇ」
「うん。――でも、ちょっと待ってね?」
 言いつつ、みさちゃんの携帯を素早く操作する。
 登録されてるアドレスの中から一つを選んで、今の写真を添付して送信。のち削除。
 十秒ほどで終わらせると、折りたたんで返してあげた。
「はい」
「な、何したんだよ……って! 消えてる!?」
「大丈夫。消す前にちゃんと、小早川ちゃんのパソコンに送っといたから」
「へっ!? わ、わたしですか?!」
 驚きの声を上げる小早川ちゃんに、私以外の全員の視線が集中する。
 私が目を向けたのは、
「岩崎ちゃん」
「え? ……あ、はい」
379メドレーリレー・バースデー (5) 4/6:2008/03/24(月) 20:43:52 ID:YPxdWX3t
「ごめんね? 消しちゃうのはちょっともったいなかったから。本当に嫌だったら、小早川ちゃんと
相談して決めてね?」
「え……」
 赤くなったまま固まる彼女を確認して、今度は、
「泉ちゃん」
「はっ、はいっ!」
「小早川ちゃんのパソコンだけど、セキュリティは大丈夫よね?」
「へ? ……あ、ああ、うん。ばっちりだけど……」
「ありがと。――柊ちゃん」
「な……なに」
「そんな感じで、許してあげてくれないかな? みさちゃんのこと」
「……」
 信じられないものを見る目をされた。
 けど、そのまま気まずそうに目を伏せると、小さくうなずいてくれた。
「……分かったわよ」
「ありがとう。ごめんね?」
 ふぅ。
 よかった。みんな収まってくれたみたいだし、一安心ね。
 それにしても、ヘンな汗かいちゃった。やっぱり人前でやると緊張する。
(……いやはや、見事なモンだね。サスガだね)
 と、
(コ……コレガ OH-OKA Judgment なのデスね……!)
(知っているのパティ!? って違うから! ……てゆーか峰岸先輩ってこんなキャラだったっスか?)
(いやいや、こんなモンじゃないよ? あの人だけは怒らせちゃダメだよ、二人とも?)
 泉ちゃんたちがひそひそと囁きあってるのが聞こえる。
 もう、恥ずかしい。だからイヤだったのに。
(なにぃ? ちびっ子、お前あやの怒らせたのか?)
(え? ……あぁいや、まあ。昨日誘ったときに、ちょとふざけて……)
(ちょっとであやのが怒るかよ。やめとけよ? シャレになんねんだから)
「……みさちゃん?」
 さらに加わってきたみさちゃんを、軽く睨んであげる。
「っ! な、なんでもないっ! 何も言ってない!」
「まったくもう……」
 ため息。
 でも、ありがと。
 私が口を挟みやすいように、入ってきてくれたのよね。……たぶん、意識はしてないと思うけど。

「……あの、みなさん?」
 なんとなく場が止まったところに、高良ちゃんが手と声を挙げた。
「いつまでも立ち話もなんですから……」
「……そうね。せっかく準備もしたんだし」
「そ、そうっスね。行きましょう」
 そして柊ちゃんに続いて、田村ちゃんもみんなを促す。
 でも、うぅん。ちょっと動揺を見せすぎじゃないかしら。
 こういうことに慣れてない、というか、向いてないみたいだから仕方がないのかも知れないけど、
 それじゃ岩崎ちゃんが不審に思っちゃうじゃない。
 しょうがないなあ。
「さ、小早川ちゃん」
 ま、あっちはあっちでもう置いておこう。
「は……はい」
 って、そんな尊敬の眼差しみたいなのを向けられても、困るんだけど……
「ほら、ちゃんと岩崎ちゃんをエスコートしてあげないと、ね?」
「へっ!?」
「……!」
 あら、赤くなっちゃって。岩崎ちゃんも。
 ほんと、微笑ましいなぁ、この子たち。
380メドレーリレー・バースデー (5) 5/6:2008/03/24(月) 20:44:53 ID:YPxdWX3t
「あ……わ、わかりましたっ。――みなみちゃん」
 みんなが見守る中、だけどほとんど二人だけの世界で。
 差し出された小さな手を、少しだけ大きな細い手が、握る。
「……ゆたか」
「うん、行こっ!」
 そのままみんなを追い抜いてリビングへと向かう二人を見送って、私は再び集団の後尾を歩く。
 時間にして数秒、距離にして数メートル。
 先頭の二人が廊下から消えたタイミングで、

「――峰岸、さん」

 さらに後ろから、声をかけられた。振り返る。
 待ち受けていた、疑うような探るような眼差しは、まるで似合っていなかった。
 黄色いリボンが不安げに揺れている。
「なぁに? 妹ちゃん」
「……」
 あら。
 なんだか、ビクってなっちゃった。特に怖がらせるような顔も声も作ってないんだけど。
 まあ、この子は最初から私のことを避けているような素振りがあったっけ。
「……何か、知ってるんですか?」
「……」
 ひょっとしたら、みさちゃん並に勘がいいのかも知れないわね。
「何かって、何を?」
「お……お姉ちゃんの、ことです」
 上ずった声で、なぜか敬語になっているけど、目だけは逸らさない。
「柊ちゃん? ……いいえ、知らないわ」
「……」
 うそだ。
 と、その目は言っている。
 でも、そんなこと言われも、ね。
 三日前の昼休み以来、私やみさちゃんのことを色々と調べるのに忙しかったらしい泉ちゃんと
 ろくに話ができていないみたいではあるけど。
 その間に柊ちゃんに何があったかまでは、私は本当に知らないし、分からない。
「だったら――さっき、何を言ってたんですか、お姉ちゃんに。廊下で内緒話、してましたよね?」
 ……あらあら。
 見られてたんだ。
「うーん……ないしょ。ちょっとした、元気の出るおまじないってところかな?」
「……」
 わ、怖い顔。
 そんな顔、あなたにはして欲しくないな。
 似合わないから。
「でも、本当に。何に悩んでるかは知らないのよ。――私より、泉ちゃんに訊いてみたら?」
「……こなちゃんも、何も知らないって」
 ああ。そういえば台所で、二人で何か話してたっけ。
 ええっと、確か……

“――こなちゃん、ほんとにお姉ちゃんに何もしてないの?”
“つかさまで? してないって何も”
“じゃあ、昨日はどこに行ってたの? 放課後”
“え? いやだからそれは、みさきちたちを誘いにだよ”
“どうして、こなちゃんが日下部さんたちを?”
“なんでって、かがみのため……ってゆーか、かがみがこっちに来なくなった件で”
“え? じゃあこなちゃん、知ってるの? 理由”
“あ、うん。聞いたよ。つかさも聞いたんだね。……かがみから?”
“うん”
381メドレーリレー・バースデー (5) 6/6:2008/03/24(月) 20:45:54 ID:YPxdWX3t
“そか。うん、イロイロ考えてね。蚊帳の外は悔しかったし、かといってケンカするのもアレだし。
だから逆に私とあっちが仲良くできれば解決かと思って。で、成功したんだけど……”
“そうなんだ……だったら、なんで……”
“わかんないけど……今は下手にいじらない方がいいんじゃないかな”
“……心配じゃないの? お姉ちゃんのこと”
“そんなわけないじゃん。……でも今はタイミングが、さ。パーティーがブチ壊しになっちゃマズイよ”
“……そうかも知れないけど……”

 そんな感じだったかしら?
 小早川ちゃんが不思議そうにしてたから、私が話し相手になってたのよね。
 もちろんそれはイヤじゃなかったけど。私もあの子のことは気に入ってるし。
 まぁ、それはそれとして。
「だったら、柊ちゃんの方から言ってくれるのを待つしかないんじゃない? 私とみさちゃんは、
そうしようって決めたけど」
「……」
 ああ、素直な目だ。
 怯えとか疑いとかが混じっているけど、それでも純粋な、柊ちゃんを想う気持ちが表れている。
 きれいだな。
 そう思った。
「――行きましょ」
 それは、もう随分前に私がなくしてしまったもの。
 いや、最初から持ってなんかいなかったのかも知れない。
 だから向き合うのは、辛い。
「脇役の私たちが、主役を待たせるわけにはいかないわ」
 返事を待たずに歩き出す。
 廊下にはもう他に誰にもいない。
 とっくに待たせちゃってるかな。怪しまれてなければいいけど。
「――本当にそれでいいんですか?」
「……」
 いいに決まってるじゃない。
 だって私は、

「本当に――あなたはお姉ちゃんのお友だちなんですか?」

 足が止まる。
 意識して止めたわけじゃなく、勝手に、思わず止まった。
 再度振り返る。
「当たり前じゃない」
 でも表情までは崩れない。
「ただ、今日は岩崎ちゃんの日だから。……柊ちゃんも、そう思ってるはずよ?」
「それは……でもっ」
 お願い。
 もう黙って。
「高良ちゃんもね」
「――!?」
 きれいな瞳が困惑に揺れる。
 冷たい風に吹かれたロウソクの炎のように。
「だから、今日が終わったら、一緒に考えましょ? 柊ちゃんのために何ができるのか」
「……わかりました」
 項垂れるようにうなずく妹ちゃん。
 納得はしてないだろう。でも、諦めてはくれたみたい。
 ふぅ。
 さてと、それじゃ――待たせちゃったこと、みんなにはどう言い訳しようかな。




38223-49:2008/03/24(月) 20:46:55 ID:YPxdWX3t
以上です
ありがとうございました


つかさ撃沈
かがみが弱ってる分だけパワーアップする(ってイメージある)とはいえ、
さすがに黒あやのの相手は荷が勝ちすぎた
383名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 21:19:51 ID:jiaphhMw
>>382
超GJ ! ずっとこの作品の続き待ってたんだ
なかなか続き来ないから、もう書いてくれないじゃないかとハラハラしていた

あんたの黒あやの最高だ ! これからもゾクゾクさせてくれ
一人ヘコんでるかがみをどう元気付けるかが、今後の個人的な見所になった
続き楽しみにしてる
384名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 22:17:37 ID:FMgesTBm
>>382
GJ!!!!
待ってたよ!これは中々人数多くて大変そうだw
これからどうなってくのか楽しみでしょうがない!
続き楽しみにしてます!!!
385名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 22:35:26 ID:nCa3pH5O
>>382
この話、続きを待ってました!!
GJです!!
ところで、メインの四人+背景コンビ+一年生みんな出る作品って、実は少ないんじゃないでしょうかね。

さて、>>382の投下からあまり経っていない気もしますが、ひとつ投下させていただきます。
今日思いついて書いた、珍しい(?)白石+本編キャラの短い話です。
・非エロ
・特定カプなし
・白石視点
で、2レスほど使用させていただきます。
386白石みのるの不幸(?) 1/2:2008/03/24(月) 22:37:13 ID:nCa3pH5O
 どうもみなさん、白石みのるです。
 今回の話はなんと、僕がメインの話なんですよ。
 いや〜、アニメのオリジナルキャラクターである僕の話を書いてくれるなんて、ありがたいですねぇ。
 作者さん、どうもです。
 ところで今回、どういう話なんでしょうねぇ。
 え?なに?少しばかり痛い目にあってもらうって?
 あの、作者さん、ちょっと先を読ませてもらえます?
 え〜となになに……へぇ〜、このあと僕、高良さんや峰岸さんの怒りを買うんだ……ってどういうことっすか!!
 この二人、作中でも特に『怒ると怖い』って言われてるんですよ!?
 そもそも俺、この人たちとはあまり接点とか無いんですから!
 それじゃ…って、見放さないでくださいよっ!!

 そうこうするうちに俺が立っていたのは、三年の教室の前の廊下。
 待ってよ作者さん、このままじゃ俺が……って
 前っ!前から殺気!!
 廊下の前方には、全身から怒りのオーラを発した高良がっ!!
 顔は笑顔だけど、ものすごい怒りのオーラがでてるよ!?
「白石さん、少し来ていただけますか?少し、お話があります」
 いつも通りの丁寧な言葉だけど、あきら様の何倍も怖いよ!
 俺、悪いことした覚えないけど!?
 逃げなきゃ…って、後ろからも殺気が!!
 振り返ると、やはりというか、怒りのオーラを纏った峰岸が立ってるし!!
「白石くん、絶対に許さないわよ。みさちゃんをいじめて……」
 何言ってるんだよ、峰岸!
 ムチャクチャ怖いよ!!
 みさちゃんって、日下部か?
 あいつとは『新らっきー☆ちゃんねる』で一緒にアシスタントをしたことはあるけど、誓ってなにもしてないぞ!?
 ってか何なんだよ、この状況?
 いつの間にか泉を始めとしたメインのキャラクターたちに囲まれてるし!!
「もう逃げ場はなくってよ、セバスチャン」
 そう言いながら、泉がポキポキと指をならす。
 あれだよな、泉って格闘かなんか習っていたんだよな?
 泉に柊姉妹、背景コンビに囲まれてて本当に逃げ場ないし!
 俺の人生、こんなところで終わるのか!?
 ってか何で俺がこんな目にあわなくちゃならないんだよ、作者さん!?
387白石みのるの不幸(?) 2/2:2008/03/24(月) 22:37:55 ID:nCa3pH5O
 あれ?作者さん、笑ってる?
 それに、まわりのみんなも?
 なにがどうなってんだ?誰か説明してくれよ。
「「「「「「白石くん、誕生日おめでと〜」」」」」」
 へ?
 呆気にとられた。
 誕生日……ってそれより、さっきまでのはなんなの?
「いやー、ちびっ子がさ、思いっきり脅かしてから祝ってやろうっていうからさ」
 ああ、なんだ、そういうこと……
「白石くん、かなり怖がってたよねー」
「あやのと高良、怖すぎだもんなー」
 まったくだよ。
 一瞬、もう終わりかと思ったじゃないか。
「先ほどはすみませんでした、白石さん」
 いやいや、別にもう気にしてないよ。
 あ、でも俺、おまえらとはあまり話とかしたことないんだぞ。
 そもそも俺なんかアニメだけのオリジナルキャラクターなのに、誕生日を祝ってもらったりしてもいいのか?
「何言ってんのよ。アンタだってちゃんとした『らき☆すた』のキャラクターに決まってるじゃない」
「そうだよ。だからみんな、仲間なんだよ」
 みんな……
 そうか。俺、前半の10行目あたりでみんなのことを『自分とはあまり接点がない』なんて言ったけど、
 みんなは俺のこと、そう思ってくれてたんだな。俺、嬉しいよ。
「このケーキ、私が作ったんだよ。みんなで食べようよ」
「私もクッキーを焼いたの。よかったら食べて」
 つかさと峰岸が、教室からケーキやクッキーといったお菓子を持ってきた。
 この二人のお菓子作りの腕は学年内でも評判だから、これはかなり期待できるな。
 それよりも、俺ってアニメオリジナルキャラクターだからか誕生日とかの設定がないんですけど。
「気にしなくていいんじゃない?さっ、食べよ」
 別にいいのかいっ!
 まあ、でもこれってハッピーエンドなんじゃないの?
 こうしてみんなに誕生日を祝ってもらえてさ。みんな可愛いし。
 最高の誕生日じゃないか。
 作者さん、あなたも人が悪いですよ。
 僕が痛い目にあうなんて言って。
 え?なに?
 このままいくと、あとであきら様の怒りに触れることになる……って、ちょっと!!
 このままハッピーエンドで終わらせてくださいよ、作者さん!
 僕がみんなに誕生日を祝ってもらって、それで終わりでいいでしょ!?
 ほら、これで終わりっ!!
 それじゃみなさん、バイニ―!!






「白石、ちょっと来い」
「ひぃっ、あきら様!?」
「お前さあ、今回、本編の女どもに囲まれてずいぶんと幸せそうな顔してたよねえ?」
「そ、それはその……というか、まだ話続いて……?」
「ごちゃごちゃとうるさいっ!!だいたいさあ、あんた最近調子に乗りすぎじゃないの?」
「作者さん、早くっ!早くあと数行上に『おしまい』って書いてくださいよっ!!」


 ……イヤですよ。だって白石くんはイジられキャラなんですから。
 それでは今度こそおしまい、と。                    (By 作者)
388名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 22:41:07 ID:nCa3pH5O
以上、短い話終わりです。
あえて作者の存在を書いてみたのですが、結果として奇妙なものとなった気もします。
作者、正直調子に乗りました。
なんか失敗した感が。
読んでくださった方、ありがとうございます。
389名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 22:46:38 ID:d/Ng9tYn
いや、ギャグに限ってはいいと思うぞ?
これはこれで面白いしな

…ところで白石の誕生日っていつだっけ?(酷
390名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 22:58:18 ID:NMQKvRBK
白石 稔(しらいし みのる、1978年10月18日 - )は、日本の男性声優。愛媛県四国中央市(旧川之江市)出身。アイムエンタープライズを経て現在はプロ・フィット所属。血液型はAB型。
wikipediaより
391名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 23:01:01 ID:4c6NU/lf
>388
なかなか味があってGJ
392名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 02:35:39 ID:iS3IscJ/
日 下 部 み さ お が オ リ コ ン に 挑 戦 だ っ て ヴ ぁ !

「 らき☆すた キャラクターソング 13 日下部みさお 」  発売日 は 3月26日


* 概要
  「らき☆すた キャラクターソング 13 日下部みさお」をオリコン上位に!

* 注意事項
  出荷数を増やすため、できるだけ予約をしてください
  その際、まとめ買いはいくら買っても1枚としかカウントされません
  面倒ですが、一枚一枚予約・購入して下さい
  amazonでの予約も同様に、1アカウントに1枚ずつ
  なお、オリコン加盟店は以下のサイトで参照できます
  http://www.oricon.co.jp/rank/index2.html

* まとめ
  オリコン初動比較表 http://www.syu-ta.com/luckystar/luckystar-cd-oricon.shtml
  まとめ他関連サイトや試聴できるとこあったら教えてほしいんだってヴぁ!

* リクエスト http://yy37.60.kg/test/read.cgi/haruhi/1146361092/

* らき☆すた キャラクターソング 13 日下部みさお [Maxi] LACM-4473 3月26日発売 定価¥1,200 (税込)
  収録曲 「すげえんだって・ヴァ! 」・「だよな3秒たまには5秒 」・「micro Krafty atteValator/AD++」
        「すげえんだって・ヴァ!(off vocal) 」「だよな3秒たまには5秒(off vocal) 」
  日下部みさお(水原薫)
  HMV:http://www.hmv.co.jp/product/detail/2679441
  タワレコ:http://www.towerrecords.co.jp/sitemap/CSfCardMain.jsp?GOODS_NO=1761773&GOODS_SORT_CD=101
  アマゾン:http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B001340ZY8/
393名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 03:00:42 ID:pjjOTX/Z
こういう販促っていつからやってんの?
らきすた←ハルヒ←ネギま←???
394名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 03:23:05 ID:ze5YN4t/
てかみさおのキャラソン前にも発売しなかったか?
二回目?
395名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 04:09:27 ID:7TAMERk9
前のは背景コンビとしてのキャラソン

今回はみさお単独のキャラソン
396名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 04:42:24 ID:7zKIr5Xq
お…おい…さっき黒あやのが鉈持って「み さ ち ゃ ん ど こ か な ぁ ぁ ぁ ぁ!!!?」って叫びながら、オリンピック選手並の速さで走り回ってたぞ…
397名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 04:47:14 ID:Y7jU/Gw7
みなみの誕生日の後、みんなでカラオケ→あやのだけソロの持ち歌が無くて黒あやの発動

ん、誰か来たみt
398名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 05:01:33 ID:Rtr9o+V3
あやの「みさちゃん・・・私達・・・親友?」 ゴゴゴゴゴ
みさお「あぁあぁ・・・あっ当たり前だってヴぁ・・・」 ブルブル





あやの「どうして・・・嘘を吐くのかな・・・」 ドゴゴゴゴゴゴ





みさお「ちちちっちげってヴぁ。ああああやのぉ・・・」 ガクガクブルブル





あやの「 嘘 だ っ ・ ・ ・ !!!!!」 クワッ
399名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 08:26:00 ID:Mi/GMCwL
こなた×かがみの非エロ投下します。
400ツンデレ日和(1/2):2008/03/25(火) 08:26:40 ID:Mi/GMCwL
 ある日のお昼休み。かがみは自分のクラスで、みさお・あやのとともにお昼を過ごしていた。
「でさー、そん時あやのがさ――」
 みさおが中心になって、休日に遊びに行った時のことなど話している。あやのとかがみはほぼ聞き役だ。
「あんたら二人はホント、仲良いわね。姉妹みたいっていうか」
 話が一段落付いたところで、かがみはしみじみとそう言った。
「んー、まあそうだな。でも、あやのもちょっと付き合い悪ぃ時もあるんだぜ」
「へえ、どんな時?」
「もち、こっち優先の時よ」
 こっち、と言いながらみさおは親指を立てる。あやのは慌てふためき顔を赤くする。
「ちょ、ちょっとみさちゃん!」
「あー、確かに。いるとやっぱりそうなるんでしょうね」
「柊ちゃんまで……」
「今さら恥ずかしがることでもないじゃん」
「そうよ。別に普通のことなんだろうし」
「だろう、って付くのが私達の悲しいとこだな」
「言うな……」
 独り身二人は苦笑いしながら肩を落とす。あやのは立場上、下手に慰めることもできずに黙っていた。
「そういえば、あやのって今の彼氏とどういうきっかけで付き合いだしたの?」
「おっ。何だよ柊。そんな情報仕入れて、これから彼氏作ろうなんて魂胆か?」
「そんなつもりじゃないわよ。受験もあるんだし……ただちょっと興味があるってだけで」
「本当かー? 自分だけ抜け駆けしようとか、いやらしいこと考えてんじゃないだろうなー」
「そんなことないってば――」
「『いやらしいかがみ』というキーワードに誘われてこなた&つかさが参上!!」
「いやらしくないって言ってんでしょうがー!」
「わ、私はそんな理由で来たんじゃないよう」
 唐突に某漫画のパロをやりながら、騒がしくC組教室にやってきたこなたとつかさである。
「……で、つかさは何の用?」
「実は五限目の英語の教科書忘れちゃって……」
「あー、はいはい。こなたは? 同じ用件なら教科書は一冊しかないわよ」
「いやいや。私はツンデレーダーの赴くままにここへ惹かれてきたのだよ」
「何だよツンデレーダーって。意味が分からんわ」
・ツンデレーダーとは
 文字通りツンデレを探知するレーダーである。こなたのアホ毛から『ツンデレ萌え波』という電波を発し、それが目標物であるツンデレキャラにぶつかると、その反射波を受信して方向や位置を測定できる。主にかがみの捜索に用いられる。
「真面目に解説すんな! つか実際に存在しねえだろそんなもん!」
「まあまあ細かいことは気にせずに」
401ツンデレ日和(2/2):2008/03/25(火) 08:27:14 ID:Mi/GMCwL
「あーもういいから。ほら、用が済んだらとっとと――」
「ところでかがみが彼氏を欲しがっているというのを小耳に挟んだんだけど」
 追い返そうとするかがみを尻目に、こなたはみさおへ話しかけていた。
「いや、別にそういうわけじゃないぞ。流れでそういう話題が出ただけで」
「あ、そう。それなら安心だね」
「何よ安心て。あんたも抜け駆けされるのが嫌とか言うわけ?」
「抜け駆けとかじゃなくて、かがみに彼氏とか出来たら私がすごく寂しいじゃん」
「え……」
 思いがけないこなたの台詞に、かがみは言葉を詰まらせる。
「かがみほどの突っ込み属性とツンデレっぷりを誇る猛者は他にいないからね!」
「って、そういう話かよ!」
「んー? じゃあかがみはどういう話と思っていたのかなー?」
 にんまり笑みを浮かべながら、こなたはかがみの体にペタリとくっつき、頭を撫で撫でする。
「ちょっ、やめっ……触んなこら」
「ほっほっほ。可愛いねぇ、かがみは」
 そんな二人の様子を、みさお達は少し離れたところから見ていた。
「あの二人も相当仲良いよなー。姉妹みたい……つーか、柊の妹はちょっと妬いたりしねーの?」
「え? んー……そういうのはないかな。私もこなちゃんと仲良いし」
「そっか。ちびっ子はお得なやつだなー」
「泉先輩は親しみやすいキャラクターっスからね。おかげでカップリングも色々作りやす――っとと、何でもないっス」
「あれ? ひよりちゃんいつの間に?」
 どこからともなく湧いて出たひよりに、つかさが首を傾げる。 
「私は百合ージスシステムを駆使してこの場に馳せ参じただけっスよ」
「百合ージスシステム?」
・百合ージスシステムとは
 独自の研鑽によりひよりが編み出した百合シチュ対応システム。目標(百合カプ)の捕捉・識別、萌え度の評価、タチネコの選別などが自動化されており、どのような状況でも効率よく妄想を膨らませることができる。自分を防衛する能力は無い。
「解説はもういいから! 離れろこなたーっ!」
「だが断る。この泉こなたが最も好きなことの一つは、大好きなかがみのツンデレっぷりを思う存分味わうことだ」
「……っ!」
 『大好き』という単語が『かがみ』と『かがみのツンデレ』どちらに掛かるのか。そんな疑問がかがみの体を硬直させた。
「ツ……」
 が、そんな問題はすぐに吹き飛び、次の瞬間には大きな声で怒鳴るかがみだった。
「ツンデレって言うなーっ!」


おわり
402名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 08:27:52 ID:Mi/GMCwL
読んで下さった方、ありがとうございました。
403名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 08:53:16 ID:1eFfBCgb
ミカベルネタを使われると無条件で俺の中で評価が上がってしまうw
404名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 13:18:01 ID:G0snR5bv
ツンデレーダーとか百合ージスシステムとか、装備が充実しすぎです貴様ら。
てかそう言われてみると、こなたってほんと憎めないんですね。ぐっじょぶ。
405名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 15:27:10 ID:7ClVFPC9
>>404

かがみんの武器はツンデレーザー、というわけか……
406名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 18:47:18 ID:oXFM/ekE
>自分を防衛する能力は無い。
ひよりん……
407名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 21:36:44 ID:LH2v0Ugo
>>402
吹いたw
SSというより小ネタに近いけど、とにかくGJ
408名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 00:25:04 ID:a4dYlQKN
ts
409名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 00:50:41 ID:rSivaFwI
                     /⌒ヽ
           __  __,.ヘ-‐く∠^ヽ |
          / rーァーY´ ::|:::::::::::::::ヽ:∨ ,レー-、
          { レ' ::::: |:::::::|::::::::}:::::::::::::∨:::::::::::l
          /:7 ::::::::: | :::/|::::::::lヽ⌒:::::::\::::::::|/`ー- 、
          |/::::::::::::/「:/ハ :::::| \ :::::::::::ヽ::::| /   \
.           /::::::| ::::::::ルzkハ :::| 卞心、 :::::::::}:::|〃 /   ヽ
         ,'::/!:::| ::j::〃うハ \l トイ:ハj}::::∧|从 〃     }
         V:::|:::j :小{!V辷!    辷ソ W:::}\{〃     ノ
        //|:∧:: ハ     rー┐ _,ィ|:::::/〃〃   }.:.:.:.{
              レヘヘ::{:个 ‐z‐ゝー厂ヽ リ/〃〃   んー'´ いぢめる?
                 j∧{  /\ ∀ /∨ 〃〃   .:.ノ
                |   {><}  |      .:./
                r|  ∨゙∨  l|)、.:.:.:.:.:.:,;ノ
               rイヘー‐ヘ‐/`ヽ、}__ト、:.;,ノ
               い「 〉=<)(>=〈_,/ ノ
              弋_>、_j_j_/`ー′

                   __
             _       j、::::::::`ヽ、
          __/:::)-――-く:::〕、,-、::::|
         /:::::::::ん/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`(::_j
        {::::::::::::/.:/.:.: /\.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
         ‘7ー‐'.: |.:.:./!  \:⌒ヽ:|.:.:.:.:. l
        /..:.:.:.:.:.:⌒/ j     \l∨.:.:..:.:.:|
          /.:イ.:.:. 〃レぅミ    'イう_.:.:.:.l.:.:|
       ∨ ! :.|:.{{/トイハ    トイハ}i}.:.: |) !
           |.:.:レヘ V::ソ    ヽ::ソ|.:.: /ハ:|
           |.:.:ハ八      。    _|.:./∧リ いぢめないよ。
         ∨{ヘ:个トーァヘ r‐ッ<:/∨l/
            \レ'^\)「 j  ヽ
            〃⌒\/∨ /'ヘ
            {{    )><7  | , -…-<
             `ァ‐匕_人,/   j'":::::::::::::::::::ヽ
           _, イ/\__(___人⌒)ノ::::::::::::}
           { ∨ \/|  「匸__〕/)'´::::::::::::::/
           `‐ヘ__>ー‐<`‐''〃::::::::::::::/
                     ̄ {::/∨j/
410名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 00:55:36 ID:FxFcYomC
>>409
ちょwww
なにこのぼのぼのAA。
411名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 00:58:54 ID:bt8TAFV6
>>410
最近言ってないがなw
41216-187 ◆Del8eQRZLk :2008/03/26(水) 01:15:30 ID:4CndIb3X
ごきげんよう、えー、投下させていただきます。
ごめんなさい、『4seasons』の続きではないのです。
なんだか思いついてしまったので書き出してしまいました。
総タイトルは【無音声ピアノソナタ】です。

■みなみ→ゆたか
■オリキャラが思いっきり自己主張をしています
■エロなしです

7レスになります。
413第一楽章/テンポ・ジュスト 1/7:2008/03/26(水) 01:16:12 ID:4CndIb3X
 
【 無 音 声 ピ ア ノ ソ ナ タ 】

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
第一楽章/テンポ・ジュスト(正しいテンポで)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


§1

 八十八の鍵盤の上を、たおやかな指先がはね回る。
 ほっそりと白い指が、鍵盤という大地の上で舞い踊る。
 その舞踏は、まるで何か見知らぬ美しい生き物が春を言祝いで踊る、求愛のダンスのようだった。
 だが、それは紛れもなく人間の指先だ。
 正確な自動機械のように淀みなく動く。鍵を押すための動作だと云うことすら感じさせないほど、
なめらかに動く。
 岩崎みなみの、指だった。
 C、E♭、G、B、A。指が跳ねるたび、アトリエに新たな音階が産まれおちていく。
 それは繊細なアレグロ・モデラート。ときにピウ・モッソに速くなり。水のように流れるディミヌエンドは
どこまでも穏やかに。そしていたずらなアルペジオ。
 素早く動く白い指先が鍵盤を押し込むと、ハンマーが弦を叩いて音が鳴る。
 みなみは、その瞬間が好きだった。
 鍵盤を押した刹那、いつもこれでいいのかと思う。もしもこのあと音がでなかったらと不安になる。
でもピアノは忠実に決まりを守っていて、しっかりといつもの音を出してくれる。
 その誠実さが好きだった。 
 その音を聞くのが好きだった。
 一つ一つの音はただ空気を振るわす振動でしかない。けれどそれが水の流れのように繋がった
とき、そこに何か別の新しいものが立ち現れるのだ。音楽という、素晴らしい何かが。
 今このアトリエを満たすのは、まさにその水の流れのような音楽だ。
『水の戯れ』。移りゆく水の様態を描いた、モーリス・ラヴェルのピアノ曲。ゆるやかに流れる、川のような
音楽。その気まぐれなアルペジオ――和音を構成する音階を連続的に弾く奏法――の難しさから、
最高難度のランクを与えられた曲だった。
 みなみはその曲を、易々と弾いていた。
 やがてその音が途絶えても。みなみがダンパーペダルから足を離しても。アトリエには濡れた
ような音の余韻がしばらく残っていた。
 その余韻が霧散するのを待っていたように間をあけて、ぱんぱんと乾いた拍手の音が聞こえてくる。
「素晴らしい。みなみはもう、この曲をマスターしてるね」
 その声に、みなみは顔を赤らめながら無言で会釈を返した。
 喋るのは得意じゃない。少なくともピアノを弾くほどには。
「並のピアニストじゃ、あのアルペジオは弾きこなせないよ。奏法に注力する余り情感をおいてけぼりに
してしまうところさね。なによりたゆたう清流のような優しさがいいんだな、うん。うまく曲想を掴めている」
 拍手をした女が、真っ白なボブヘアーの髪先をいじくりながら云った。
 小さな体躯をしている。みなみよりも頭一つ分低かった。それは未だ成長しきっていないからという
わけではなく、むしろその逆で、彼女の生きてきた古い時代の栄養事情の悪さのせいだろう。
髪は純白に漂白されていて、顔には深い皺が何本も刻まれている。だが、それでもなお彼女からは
溌剌とした生気が感じられるのだ。ぴんと伸びた背筋。強い光を保った眼差し。引き結ばれた薄い唇。
 来島かおるは、齢八十を過ぎた今でも、少女のように若々しい女性だった。
414第一楽章/テンポ・ジュスト 2/7:2008/03/26(水) 01:16:40 ID:4CndIb3X
「……ありがとう、ございます……」
 この老境のピアニストに師事するようになって、もう八年になるというのに。未だにみなみは
かおると話すことに慣れていない。もっとも、そもそもみなみは誰かと話すこと自体に慣れていないのだ。
みなみが心易く話せる相手は、家族を除けばごく少数でしかない。近頃できた同級の小さな友人と、
子供のころから一緒だった、色々なところが大きな姉のような人。そしてその周辺の何人か。
それだけがみなみにとって心安らげる関係だ。
 けれどみなみがかおるに対して上手く話せない理由は、生来の人付き合いの不器用さからくる
ものだけではなかった。
 みなみは、かおるのことを尊敬していたのだ。人として、ピアニストとして。心の底から。人前に
出るだけで上がってしまうみなみにとって、それはつい言葉を失なってしまうのに十分なことだった。
 今でもみなみはそのときのことを思い出す。
 初めて来島かおるの演奏を聴いたときのこと。
 母に連れられて出かけた演奏会は、来島ピアノ教室の定期発表会だった。有名なピアノ教室
なのだと、母から聞いていた。職業ピアニストを沢山輩出していて、来島かおる自身も高名な
ピアニストだったのだと。
 けれど、みなみがその発表会に行きたいと思った理由は、そんなことではなかった。
 当時そのピアノ教室に通っていた、みなみが実の姉のように慕っている近所の優しい
お姉さん――高良みゆきが演奏をすると聞いたからだった。
 三番目に登場したみゆきはランゲの『花の歌』を演奏した。それは単純な音階ながらも
どこか哀切なメロディーで、音楽のことはよくわからないながらも、みなみは胸にこみあげて
くるものを感じていた。みゆきが着ていた臙脂のクラシカルなドレスも、その物悲しさに
拍車をかけていた。上気した顔でぺこりとおじぎをしてから袖にもどろうとしたみゆきが、
ドレスの裾を踏んで転んだことを覚えている。
 他の演奏者のピアノもそれぞれに感動を与えさせる物だった。その発表会が終盤にさしかかる
ころには、みなみは自分でもピアノをひいてみたいと思っていた。
 だが、その最後に。
 本物の演奏に触れるためということで、来島かおる自身が演奏を始めたのだった。
 ベートーヴェン作曲『ピアノソナタ第23番ヘ短調 Op.57』。
 そのアレグロ・アサイが聞こえた瞬間、みなみは泣いていた。
 そのタッチに潜む感情が、ただひたすらにみなみの胸をえぐった。
 厳粛な哀感に満ちた第一主題。優美でのびやかな第二主題。速く、遅く、強く、弱く。
 それは音だった。
 けれど音ではなかった。
 そのときホールを満たしていたのは、物語であり、感情そのものだった。
 みなみはその感情の嵐の中、さんざんに引きずり回された。そしてそれを心地よく感じていた。
かおると共に泣き、怒り、奮い立ち、悲しんだ。
 そうしてみなみは知った。
 喋らなくても、言葉にしなくても、こんなに伝わるものがある。百万言を費やしても伝えることが
できない“感情”をこんなに伝える方法がある。
 みなみはそのとき、はじめて音楽を聴いたのだ。
 やがて穏やかな第二楽章が過ぎ、第三楽章に入ろうとするころには、みなみはすでにかおるの
演奏に取り込まれていた。
 ただ音楽しか耳に入らなかった、ただかおるの姿しか目に映らなかった。
 みゆきと大して変わらない、大人にしては小さな肢体に、世界を打ち倒さんばかりの激情が
みなぎっている。跳ねるように動くバネ仕掛けめいた身体。目にもとまらないほどの指先の動き。
寄せられた眉。今にも叫び出しそうに開かれた大きな口。
 そして第三楽章のアレグロ・マ・ノン・トロッポに入った途端、みなみは砕け散った。
その和音がたたきつけられた衝撃で、身体がこなごなになり、どこか暗い暗渠に放り投げられる
のを感じていた。その暗い情念を孕んだ旋律は、みなみを形作っていたもの全てを打ち壊し、
そうしてそこにあらたな物を詰め込んだ。
415第一楽章/テンポ・ジュスト 3/7:2008/03/26(水) 01:17:15 ID:4CndIb3X
 ――音楽を。
 本物の、音楽を。
 第三楽章の終盤になり、コーダに入る。
 それは爆発するようなプレストで。
 その激情に、世界が壊れてしまうとみなみは思った。
 鮮烈な和音が圧倒的なスピードで飛び散って、そして激甚なフォルティッシモ。
 音楽が唐突に鳴りやんだとき、みなみは何が起きたのかわからなかった。静まりかえった
ホールの中、ここがどこで、自分が誰なのか、全てを見失って漂っていた。
 やがて自分を取り戻した聴衆が立ち上がって拍手を始めたときも。
 みなみは立ち上がることもできず、ただ呆然と座っていたのだった。

 ――その曲が『熱情』と呼ばれているのだと知ったのは、次の週に来島ピアノ教室に入って
からのことだった。

「うんうん、みなみはいいピアニストになったね」
 その尊敬する人から頭を撫でられてしまって、みなみはますます赤くなる。かおるの身長は、
椅子に座ったみなみより少し頭の位置が高いくらいで、その小ささにみなみは改めて驚いていた。
 ピアノを弾いているときはあんなに大きく見えるのに。鍵盤を駆ける指はどこまでも長く見えるのに。
今頭に感じる感触は、ゆたかの手の大きさと大してかわらない。みなみにはそれが不思議なのだった。
「正直私としては、音大の付属にいってほしかったんだけどなぁ。……でも、普通校に行って正解
だったかな」
「すみません、あのときは……」
 小学生のころ、みなみはコンクールにでたことはなかった。そのころはまだ基礎の練習曲
ばかりしていて、ただ指裁きを身につけることばかりを心がけていた。曲想に沿って情感を
込めたり、発想に独自の色をつけていくことは、ピアノを使いこなせるようになってからでいい。
上手い下手云々などそれからなのだから、コンクールなどに意味はない。そういうかおるの
方針だった。
 そして中学生になったみなみは、その頃にはピアノを辞めていたみゆきと同じ地元の学校に
通いながら、出場したコンクールでいくつかの賞をとった。その師の名前の高名さも手伝って、
一時期中学校の音楽関係者の間で話題になったこともあったのだ。
 だがみなみは普通高校に入学した。
 合格していた音大の付属校を蹴って、陵桜に入学したのだった。
「すみません、じゃないだろ。正解だったかなって云っている。本当にもうみなみは、その
なんでも謝る癖をどうにかしないとな」
「す、すみま……あ、いえ……」
 自分でも、よくわからなかった。
 どうして音大付属にいかなかったのか。
 ピアノを弾くのは好きだったし、ピアノ科の同級生となら、きっと話も合うだろう。なにより、
口べたな自分でもピアノを介してならきっと友達ができるはず。楽しく喋り合うことができなくても、
その人のピアノを聴いて、そして自分のピアノを聴いてもらえれば、きっと分かり合うことができる。
みなみはそう思っていたし、だから音大付属に通うことを楽しみにも思っていたのだ。
 それなのに、どうして陵桜に入ったのか。
 自分でも馬鹿みたいだと思いながら、みゆきを追いかけるようにしてとりあえず受験をして
みただけの陵桜に、どうして入学届けを出したのか。
 みなみにはそれがよくわからなかった。
 なんとなく陵桜の方が楽しいかもしれないと思ってしまって、気がつけばその気持ちは
音大付属への憧れを凌駕するほど強くなっていた。
 当時はよくわからなかった。
 けれど今になって思い起こせば、その理由は明白だ。
 それがあまりにも馬鹿げているから、とうてい受け入れがたく、だからこそ考えたくないと
思っていたその理由。
416第一楽章/テンポ・ジュスト 4/7:2008/03/26(水) 01:17:37 ID:4CndIb3X
 ――あの子に、会えたから。

 あの日、受験の日にトイレでうなだれていた女の子。今にも壊れそうで、何かに押しつぶされ
そうで、けれどそれに懸命に耐えながら凛々しく立とうとしていた女の子。
 小早川ゆたかの、そのあまりにも小さな背中をみてしまったから。
 そんな理由で、きっとみなみは高校を決めたのだ。
 最初は、受験生の姉妹だと思った。また会えるなどとは思いもしなかった。差し出した
ハンカチがあの子の元にあればそれでいいと、そう思っていた。けれどその出会いがもたらした
感情はみなみの中でどんどん膨らんでいって、気がつけば陵桜高校そのもののイメージを、
何か素晴らしい物へと変えていた。
 そんな、一番馬鹿げている理由で。
 だからみなみはそのことに触れられると、申し訳ない気持ちでいっぱいになるのだった。
「あのさ。多分音大付属にいったときより、みなみは陵桜に入ってからのほうが成長しているよ。
所詮本物の教育は音大からだからね」
「……成長、成長ですか……?」
 そう云って、なぜだか胸を隠すように手を組むみなみだった。
「高校に入る前のみなみは感情を出すのが苦手だったわよね。ううん、出せてはいたけれど、
なんていうか、譜面に書き込まれた発想記号に忠実に演技するような感じだったな」
 うんうんと、腕組みをしながらかおるはうなずいた。
「でも、今のみなみの音からは、本物の感情を感じるのさ。――高校で、いい友達が
できたんだろう?」
 そうなのかもしれないと、みなみは思う。以前までの自分は、きっとずっと醒めていたの
かもしれないと思う。
 ピアノの前に座っていない自分は、どこか抜け殻のようだと感じていた。目の前で笑う
クラスメイトをみて、自分は彼女たちとは違うのだと思っていた。どうでもいいテレビ番組の
話で大げさに驚いたふりをしたり、耳障りな流行歌を素晴らしいと騒ぎ立てる彼女たちの輪に、
自分は入る必要がないのだと思いこんでいた。
 でも、それは逃げでしかなかったのだと今のみなみは思う。
 口べたで人と気軽に話せない自分を、ピアノにすがることで慰めていただけなのだ。
 ゆたかと出会って、みなみはそれに気がついた。
 ずっとずっと、心を通わせ合える友達を、自分が求めていたことを。
 相変わらず感情を表に出すのは苦手だけれど。素直な気持ちを口に出すのは面映ゆいけれど。
 でも、ゆたかに対して抱く感情は嘘じゃない。楽譜に書かれた発想記号のように、“表情豊かに”と
書かれただけの紛い物のエスプレッシヴォではない。
 例えばつり革に手が届かなくて背伸びした、そのかかとの浮き具合だとか。具合が悪い
のを隠して我慢しようとするその意地だとか。学校を休まなければいけなくなったとき、
ベッドの中でみせる涙とか。チェリーを撫でるときの優しい笑顔だとか。みなみのピアノに
聞き惚れているときの恍惚とした表情だとか。
 そんなものに触れるたびに感じる感情は、あの日かおるの『ピアノソナタ第23番』を聴いた
ときに感じたものに、勝るとも劣らないものだった。
 口べたなみなみにとって、そんな感情を口にするのは難しかった。言葉にして誰かに伝える
ことなんて、できなかった。だからみなみはピアノを弾いた。わき上がってくる感情を誰かに
伝えたくて、ゆたかに、伝えたくて。ひたすらにピアノを弾いた。
 音楽に、想いを乗せて。優しさだとか、悲しさだとか、哀切だとか、楽しさだとか。そんな想いを
乗せて、みなみはピアノを弾いた。
417第一楽章/テンポ・ジュスト 5/7:2008/03/26(水) 01:17:58 ID:4CndIb3X
「――はい。大切な友達ができました」
 だからみなみはそう云って微笑んだ。この人には伝わっていると思うから。言葉にしなくても、
その思いがすでに伝わっていると知っていたから、口ごもらずにそう云うことができたのだ。
「そうかそうか。みなみが一人前のピアニストになりそうで嬉しいよ。私の最後の弟子だからな、
みなみは」
「……え?」
「いい加減身体も動かなくなってきたからな……そろそろ潮時だと思っているのさ」
「そんな……」
 かおるの言葉に、信じられない思いでみなみは呟いた。
 後進の指導とはいえ、自らが弾けないものを教えることはできない。自分が弾けなくなった
ときが引退するときだと、かおるは常々公言していた。八十という年齢を考えると、それは
いつきてもおかしくないできごとだっただろう。けれどみなみは何の根拠もなく、かおるは
ずっと弾き続けるのだろうと思っていた。八十九まで現役を続け、九十五で死去した偉大な
ピアニスト、アルトゥール・ルービンシュタインのように。
「みなみには、本当に悪いと思っている。なんだか途中で放り出すような形になってしまってさ。
でも今日みなみの『水の戯れ』を聴いて確信することができた。私の指導がなくても、みなみは
これからもやっていけるだろうって」
「……もう、決めてしまってるんですね……」
「ああ。老人ホームへの入居も決めてある」
「そうですか……。ご、ごめんなさい、その、上手く言葉にできなくて……」
「あははっ。解ってるよ、みなみのことならね」
 涙ぐむみなみの頭をぽんぽんと叩いて、かおるは少女のような無垢な笑顔を浮かべた。
「引退記念に演奏会を開くよ。私の弟子を色々呼ぶつもりだ。みなみも、弾いてくれるだろう?」
「……はい。勿論……」
 うつむいて袖で涙を拭ったみなみは、そのときもう弾く曲を決めていた。
 みなみがかおるに捧げる曲は、あの曲以外にありえなかった。 
 ベートーヴェン『ピアノソナタ第23番』。
『熱情』と呼ばれるその曲を、自分は弾かなければならない。
 みなみはそう思った。


§2

「そうですか、かおる先生が……」
 頬に手を寄せてため息をつくみゆきだった。
 受験勉強で忙しいだろうと思ったけれど、どうしてもみゆきに報告しなければいけないと、
みなみは思ったのだ。
 みゆきの部屋に入るのも久しぶりだった。壁面は一般的な室内装飾のように壁紙を貼って
終わりではなく、落ち着いたクリーム色の漆喰細工で仕立てられている。唐草文様がふんだんに
使われた書き物机やクローゼットはロココ調の猫足を持ち、ニッチには景徳鎮の壺が鎮座していた。
アンピール風のビロードのカーテンが掛かった出窓からは、庭園とも呼べそうな、草木溢れるテラスが
見えている。
 まるでお姫さまの寝室のような部屋だと、みなみはいつも思う。
 けれど、どんな家具よりもお姫様を思い起こさせるのは、目の前にいるみゆきそのものなのだった。
 その柔らかい物腰に、女性らしい身体の丸みに、ふわりとした笑顔に、みなみは憧れたものだった。
憧れて、そうして近づくことすらできなかった。みなみにとってみゆきは、そんな女性だ。
「……はい。……それで、引退レセプションを開くそうです。みゆきさんにも招待状が届くと思います」
「まあ、それは是非とも参加させていただきますね」
「……私は、ひさしぶりに……みゆきさんのピアノをちゃんと聴いてみたいですけど……」
 みなみがそう云うと、みゆきは慌てて顔の前で手を振って、苦笑いを浮かべた。
「そ、そそそんな、滅相もありません。きっとプロの方などもいらっしゃるのでしょうから、
私のピアノなんてそんな……」
418第一楽章/テンポ・ジュスト 6/7:2008/03/26(水) 01:18:20 ID:4CndIb3X
「……でも好きです。みゆきさんのピアノは優しいから。……本当に聴いてみたいです」
 それは本当のことだった。みゆきに憧れていたみなみにとって、当初目標としていた音は、
みゆきが奏でるピアノなのだった。
 でも、出せなかった。みゆきのような柔らかい、包み込むような優しい音は、みなみには
出せなかった。だから技術に走った。だからより先鋭的な超絶技巧を身につけた。そうすれば
するほどみゆきの音からは離れていき、その反対に、人から褒められることは多くなった。
 その構図はピアノだけにとどまらず、不思議なほどあらゆる分野にあてはまった。気がつけば
みなみは、みゆきと正反対な印象を人に与える人間になっていた。
 それは畢竟みなみがみなみであり、みゆきがみゆきであったという、ただそれだけのこと
だったのだろう。けれどみなみがそんな自分を受け入れられるようになったのは、実につい最近の
ことだった。ゆたかに出会ってからのことだった。
 ふと、みなみの目が壁際に泳ぐ。そこに置かれたアップライトピアノに目を留める。
 いつもより帰りが遅くなった夕方や、うららかな陽射しにのんびりとした気持ちになる休日の
お昼時など。ふとみゆきの家の傍を通りがかったときに、この部屋からかすかに流れ出る
ピアノの音をみなみは聴いたことがある。
 それを証明するかのように、ピアノの上には塵ひとつなく、普段弾かなくなったピアノがよく
陥るように、物を置く棚と化している様子もなかった。
「……あの、お恥ずかしい限りですけれど」
 そんなみなみの視線を読んだかのように、みゆきはピアノの前に座ると、蓋を開けて鍵盤の
上に指を走らせた。
 目を閉じて、深く息を吸い込む。
 みゆきが鍵盤を押し込んだ瞬間、部屋は初夏になった。
 水面におちた雫が波紋を拡げるように。
 五音音階の柔らかな旋律が、幼き日の初夏へとみなみを連れて行く。
 ドビュッシー「前奏曲集」の第一巻の八『亜麻色の髪の乙女』。 愛らしいドルチェはみゆきらしい
甘やかさに満ちていて、和音が紡がれるたびに、その音が心臓のときめきへと変わっていく。
 花畑で歌う亜麻色の髪の少女の、その唇の色すら、見える気がした。
419第一楽章/テンポ・ジュスト 7/7:2008/03/26(水) 01:18:44 ID:4CndIb3X
 けれど短いこの曲は、三分も経たずに終わってしまう。途端にみなみは秋の部屋に立ち戻り、
微笑みながら控えめな拍手を送った。
「……素敵です」
「ありがとうございます。本当に、こんな簡単な曲をみなみさんにお聞かせするのはお恥ずかしいの
ですけど……」
「いえ、そんな……その、難しい曲を弾ければいいというわけでは……難しくても簡単でも価値は
一緒です……」
 顔を赤らめながらも懸命に思いを伝えようとするみなみだった。みゆきはそんなみなみを
眩しい物をみるような眼差しで見つめて、にっこりと微笑んだ。
「そうですか。みなみさんがそう仰るならそうかもしれませんね」
 ぱたん、とピアノの蓋を閉めて、みゆきが訊ねる。
「――みなみさんは、演奏会でどんな曲をお弾きになるのですか?」
「……『熱情』を弾こうと思います」
 力を篭めてそう云ったみなみに、みゆきは驚愕の表情を浮かべる。
「まあ! あんなに難しい曲を!……いえ、でも、みなみさんなら弾けるのでしょうね。
あの『幻想ポロネーズ』をあそこまで弾きこなされたのですから」
 前年の中学生を対象にしたピアノコンクールで、みなみはその曲を弾いて大賞に輝いたのだ。
 黒い幻想に満ちた退廃的な死を、みなみは弾いた。
 技巧の難しさでは『水の戯れ』や『熱情』に並び、その表現の難しさはリストをして“この痛ましい
幻影は芸術の域を超えている”とまで云わしめた、ショパンの一大傑作だった。
 中学生に弾ける曲ではない。
 中学生に出せる表現ではない。
 かおる以外の誰もがそういった。
 では、それを弾けてしまった自分は一体誰なのだろうと、みなみは思った。
“みなみならこれを弾けるだろうね”そう云ったかおるの、どこか悲しそうな表情を、みなみは
覚えている。
「でも、『熱情』を……あの激しい曲想を持った曲をみなみさんが弾いているところは、なんだか
あまり想像できませんね」
「……ええ。先生にも、そのようなことを……」
 そう云って、みなみは目を伏せた。

「――本気なの?」
 かおるは云った。
「はい」
 みなみは云った。
 しばらく真剣な眼差しでみなみを見つめていたかおるだったが、ふ、と相好を崩して楽しそうに
笑った。
「なるほど。ふふっ、面白そうね。やってみなさい」

 ――どうして、かおるはそんな顔で笑ったのだろう。

 みなみは、それが少しだけ不思議なのだった。

(つづく)
42016-187 ◆Del8eQRZLk :2008/03/26(水) 01:20:24 ID:4CndIb3X
以上です。

田園調布の二人のお嬢様で何か書けないかなと思っているうちに
こんなことになりました。
さくっと書いて4seasonsでも、と思っていたのですが……。
まあ、はい、ええ、どうせ長くなるのですよね……。

書き上げてから出そうと思っていたのですが、当分終わらなそうなので、
途中で出してみました。とりあえずこれを優先で終わらせる予定です。

あと、音楽関係は壊滅的に素人なので、おかしなところがあったら
こっそり教えていただけると助かります。

それではありがとうございました。
421名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 02:21:06 ID:hwDovnOi
>>420
あなたが書く文章は綺麗で本当にうらやましい…
音楽をほとんどかじっただけの俺でも作品にグイグイ引き込まれました

4seasonもこちらも楽しみにしてます!
422名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 02:23:33 ID:LiWgy14K
>>420
全く、音楽一つとってもあなたの懐はドコまで広いのか。
その博学、その博識、マジでプロなんじゃあるまいか?
曲のチョイスも、あえて近代印象派からもちだすあたり相当の通だしwwww
相変わらず捏造技術も、「これが本編設定なんじゃなかろか」
と思えるほどの巧さだし・・・。
続きがある、とのことで、みなみ本番編、誠にたのしみにしております。
あ、もちろん4seasonsの続きも絶賛期待中ですのでそこんとこ4649wwww



「さっすがみなみちゃんだねぇ、でもさすがのみなみちゃんでも
 この曲はどうかなっ(=ω=.)ノ□」

Vexations 〜Eric Satie

「い……泉先輩……なんの『いやがらせ』ですかっ……」
「さあさあっ、このスパルタスロンに耐えれないと、
 愛しのゆーちゃんはあげないよっ(=ω=.)b」
「……!!」

みなみの ぼうけんは ここより はじまる
423名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 02:57:27 ID:HcSZsBpt
(元?)技巧派みなみは新鮮ですね。
どっちかというとこの作中のみゆきっぽい弾き方するイメージでしたが。

にしても、
「なんかさー音楽知識一つとってもこの個体差―――
ずるいよねーこれで『壊滅的に素人』なんて何かずるいよねー」
「からむなよぐっじょぶ」
424名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 03:07:27 ID:S32Sv1X6
>>420
新作投下乙です
4seasonsも待ち遠しいところですがこちらのお話も楽しみになってしまってるので、まったりと執筆してくださいませ
それにしてもさくっと書いてこの完成度。あまりのレベルの差に丁度今書いてるSSを消してやりたくなります

様々なジャンルをこれほどの高品質なSSに仕上げてしまうなんて…もうGJ以外に言葉がでません
425名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 03:17:51 ID:mCpHsywU
>>420
なんていうか、ただただ感心するばかりでした。
ピアノの鍵盤を押したら音が出ることを「誠実」だとするあなたの感性が素晴らしい。
しかも「音楽関係は壊滅的に素人」だなんてありえねーってヴぁ!
みなみのピアノについての描写なんて原作でも数えるほどしかないのにここまで広げられるあなたは凄い。
そしてなによりそこまで広げても作品世界を崩壊させないほどの許容性を持ったらき☆すたも凄い。
426名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 05:27:44 ID:qwEL4UCn
>>420
すばらしい!相変わらず良い仕事してますね〜


こなかが好きのてめぇらココもよろしくな
ttp://www39.atwiki.jp/konaxkagamatome/pages/251.html
ttp://www13.atwiki.jp/oyatu1/

この板出身のこなかが中毒は、知らない奴も居そうだしな
427名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 07:16:06 ID:ae6aEqQC
>>420
ピアノからここまで広げられる貴方の感性ときたら! そこにしびれる(ry
みなゆたの想いがどんなメロディーを奏でるか、楽しみにお待ちしてます。

追伸。かおる先生男前だよかおる先生。ぐっじょぶ。
428名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 18:41:39 ID:jAa7aZGb
作中でこなたが語っていた『ゆーちゃんがみゆきさんと組んだら凄い事になりそう』
もしこれが実現したらどうなるんだろうか?
429名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 19:06:57 ID:lqElLSTI
爆発する
430名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 19:23:58 ID:ZlXuiJMy
リアルな話すると多分お前の住んでるスレ住人が萌え死ぬ
眼鏡で雑学王ほどの頭の良さ(約IQ200〜300)のみゆきさんが組んだら想像を絶する衝撃波が発生する
ましてそれがゆーちゃんと融合したら住人がヤバイ
お前の仮説で地球がヤバイ
431名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 19:27:56 ID:LHfq2aWm
これからSSを投下いたします。

・非エロ
・6レス
・オリキャラあり
432魔法使いと桜の梢:2008/03/26(水) 19:28:42 ID:LHfq2aWm
 白い病室。
 白い床、白い壁、白い天井、白いシーツ、そして、そこに横たわる白い肌の少女。
 日本人にとって美しくも見えるその肌は、現実には病弱さの象徴だった。
 そして、その病は確実に彼女の命を蝕んでいる。
「泉ちゃん……」
 彼女は祈るような気持ちで自分を見つめる少女の名を呼んだ。
「泉ちゃん、ごめんね……」
 春に花を咲かせる桜は、出会いと別れの象徴。
 病室の窓から見える枝は、芽吹いてはいるものの、未だ開花に至らない。
「一緒に高校に行けなくて、ごめんね……」
 その名に桜を冠する高校に、二人は共に通うはずだった。彼女が健康でさえあれば。
「そんなこと言わないで。一緒に陵桜に行こうよ。友達でしょ!」
 泉こなたは彼女の手を握り締め、必死に懇願する。去り行く彼女を離すまいと力を込めて。
「生きていたいんだよね? 私と一緒にいたいって言ってくれたよね?」
「わたしだって、そうしたかったよ……」
 こなたの視線から逃れるように彼女が振り向いた先は、窓の外の桜。
「でもわたしは、この桜を見ることさえできない……」
 まさに燃え尽きようとする彼女の命は、たった数日の猶予さえ許さない。
「だめだよ。死なないでよ。私と一緒にいてよ!」
 こなたの頬に涙が伝う。
「ごめんね。そのお願いは聞いてあげられない」
 そして、彼女の頬にも。
「泉ちゃん……わたし、魔法使いになりたかったよ……」
 すでに彼女は、自分の最期を理解していた。
「魔法で困ってる人を助けてあげて、戦争も犯罪もなくて、苦しむ人も悲しむ人もいない世界を
作って、泉ちゃんのお母さんも生きてて、わたしはずっと泉ちゃんと友達でいられる……そんな
魔法使いになりたかった……」
 彼女の涙は、自分が死ぬことの怖さではなく、友達を残して逝ってしまうことの悔しさ。
「でもね、そんなものにはなれなかった……」
 だから、彼女に施せる手段は何一つとしてない。
「わたしが死んだら、泉ちゃんは友達を作って。わたしより大切な友達を作って、わたしのこと
を笑って話してみせて」
「いやだよ、そんな遺言みたいなこと!」
 こなたは彼女の手を握り締め、しかし彼女が握り返す力は弱まっていく。
 その手を離すまいと強く握り締めるほどに、皮肉にも彼女の命が消えてゆくことを確かに感じ
られてしまう。
「約束、して……」
「うん……」
 本当は認めたくない。けれど、認めなければならない。友達だから、約束は違えられない。
「わたし、夜空の星になる。そこからずっと泉ちゃんのこと見守って、泉ちゃんの願いを叶えて
あげるんだ。わたしに祈れば、願いは叶うから……」
 それは嘘だ。こなたの願いは、虚しく潰えようとしているのだから。
「泉ちゃんの幸運の星に……」
 それが彼女の最期の言葉だった。
 桜の梢が花を咲かせるところは見ることなく、彼女は逝った。
433魔法使いと桜の梢:2008/03/26(水) 19:29:27 ID:LHfq2aWm
  ◆  ◇  ◆

「――っていうことがあったんだ」
「うぅ……こなちゃん……」
 窓の外に桜並木が見える喫茶店の一席に、三人の女子高生。ちょうど満開になった桜を目当て
に、店の席はそこそこ埋まっていた。その中でこなたたちのいる一角だけ、違う雰囲気が漂って
いた。
 こなたはかつての友達について尋ねられ、向かいの席のつかさとかがみにそれを話した。
 つかさは止め処なく涙を流し、かがみは瞳を潤ませたまま俯いている。
「私たちは、ずっと……ぐすっ……友達だからねっ。大切な、友達だよ」
「私もこなたの友達よ。もちろんみゆきもね」
「うん……二人ともありがとう」
 こなたは親友たちに笑顔で答えてみせる。それが彼女との約束なのだから。
「おーい、泉ちゃーん! 泉ちゃんだよね!」
 三人の間に流れる湿っぽい空気を吹き飛ばすかのように、唐突に声が響く。
「やっぱり泉ちゃんだよね! 久しぶり!」
「ど、ドチラサマデショウカ」
 陵桜とはデザインの異なる制服を着た少女は嬉しそうなのに対し、こなたは顔を背けている。
しかも棒読みである。
「ひどっ! 泉ちゃんわたしを忘れたの? 魔法使いって言えば思い出す?」
「魔法使いぃ? こなたの友達の?」
「そ、そ、そうだよ。泉ちゃんの友達」
 いきなりかがみがこなたを睨んだため、彼女はびびっていた。
「友達を死なすな!」
 この後、こなたはかがみにたっぷりと叱られましたとさ。

−おわり−






「――と、話がオチたところで」
「落ちてねえよ!」
 もちろんそんなもので誤魔化せるはずもなく、話は続く。
「あんたね! やって良いことと悪いことがあるわよ」
「あうぅ……」
 かがみの剣幕に押されてこなたは小さくなっている。
「いくら作り話でも友達を死人扱いするなんて、何考えてんのよ!」
「作り話って……今の魔法使いさんの話は嘘だったの?」
『遅っ!』
 つかさの想定外のボケに、他三人の声が重なった。
「ひどいよこなちゃん! そんな嘘をつくなんて!」
「つかさが怒るなんて相当なものね……」
 つかさのボケと頬を膨らませた可愛らしさに、いくらか毒気を抜かれたかがみが呟く。
「よくよく考えてみればおかしな点はあったわよね。今際の際なのに医者や家族がいなかったり」
「細かい設定に突っ込むのは無粋ってものだよ」
 確かにその通りではあるが、作り話とわかったからにはいくらでもできる。
 それよりも重要な事柄がもう一つ。
「あのー……わたし、ここに座ってもいいかな?」
 散々おいてきぼりにされてきた彼女が、ようやく自己主張した。
434魔法使いと桜の梢:2008/03/26(水) 19:30:04 ID:LHfq2aWm
「あー、あの話ねー」
 オレンジジュースを飲みながら話を聞き、彼女は納得したように肯いた。
「それ、泉ちゃんと二人で作った話なんだよね」
「あんたたちって……」
 呆れるかがみ。
「『桜の梢』編を話したってことは、『修行の旅立ち』編や『禁断の恋』編は話してないんだ?」
「しかも複数作ってんのかよ……」
 聞き捨てならないタイトルがあったような気もしたが、かがみは無視することにした。
「若気の至りってやつでいろいろ作ったんだヨ」
「あんたはそれを現在進行形でやってるだろ。外見的にも」
 直前の出来事が出来事なだけに、かがみの突っ込みもいつもより鋭い。
「なんでそんな話を作ったの?」
「もちろん、誰かに聞かせるためだよ」
 問われたこなたではなく、共著者である彼女が答えた。
「ちょ、ちょっ……」
「いいじゃない、暴露しちゃおうよ。友達を騙した罰ってことで」
 止めようとするこなたに、彼女は取り合わない。
「暴露って、何か隠し事でもあるの?」
「隠し事ってゆうか、恥ずかしくて普通は話さないようなこと。どうせわたしは初対面だから」
 そして彼女は、かつての出来事を語り始めた。創作ではない、本当の出来事を。

  ◆  ◇  ◆
435魔法使いと桜の梢:2008/03/26(水) 19:31:02 ID:LHfq2aWm
 芽吹いてはいるものの花開いてはいない桜の根元に、二人の少女が佇んでいた。
 校庭には他に誰もいない。学年が変わろうとしているこの時期、大抵の部活は休みをとっており、
四月を目の前にして、彼女ら三年生もわざわざ卒業を済ませたこの学校に来る理由はなかった。
「泉ちゃん、ごめんね……」
 彼女は瞳に涙を溜めて呟いた。
「一緒に高校に行けなくて、ごめんね……」
 一滴の涙が、彼女の握り締めた不合格通知を濡らした。
「……陵桜に行ってくれるって言ったじゃん」
 こなた自身、わかってはいた。もはやどう足掻こうと一緒に陵桜に通う手段はない。
 わかっていても、彼女以外に苛立ちをぶつける場所がなかった。
「わたしだって、そうしたかったよ……」
 少なくとも物理的に不可能ではなかった。実現できなかったのは、彼女の力不足ゆえのこと。
「でもわたしは、陵桜の桜を見ることはできない……」
 数字が分けた二人の命運。当の二人はその正確な数値を知ることさえできない。
「……それじゃあ、私は陵桜に行くのをやめる。それで二人で同じ高校に」
「だめだよ! そんなことしちゃ駄目」
 彼女の瞳から、まだ涙は止まらない。それでも彼女はこなたをしっかりと見据える。
「なんで!? 友達なんだから同じ高校に行きたいのに。一緒に行こうって約束、ちょっと違う
けど叶えられるよ!」
「その約束は叶えられない……泉ちゃんはせっかく合格したんだから、それを不意にしないで」
「学校のランクなんて、褒美につられただけだよ。一緒に行けなきゃ意味なんて」
「そんなこと言わないでよ!」
 ほんの僅かな時間の、沈黙。
「ねえ、泉ちゃん……友達を作って。陵桜でわたしより大切な友達を作って、わたしのことを
笑って話してみせてよ。その友達と一緒に、わたしに陵桜がどんなところなのか教えて」
「私は友達なんて……」
「作れるよ。わたしは友達だよね」
 桜の梢が花を咲かせるところは見ることなく、半ば一方的な約束を抱えて二人は別れた。
436魔法使いと桜の梢:2008/03/26(水) 19:31:35 ID:LHfq2aWm
  ◆  ◇  ◆

「それって……」
「そ。『桜の梢』編は半分実話なの。わたしたちが会ったのはあれが最後だったから、他のやつと
違って実質的に泉ちゃん一人の創作なんだけどね」
 恥ずかしいタイトルはともかく、こなたの意外なエピソードにつかさとかがみは驚いていた。
「二人で作った話もあるわけ?」
「わたしたちが登場する話をいくつかね。登場人物は片方がわたし、魔法使いになるの」
「うわぁ……」
 かがみはいろんな意味で哀れみを込めた目でこなたを見た。
「人は誰もが黒歴史を持っているものなのだよ……」
 中学生といえば、ちょっとオタクが入った子はそんなところに個性を発揮してしまうわけで。
「あんた、なかなか……あれよね……」
 この友人もかなり凄い。初対面の人間にこんなことを話した挙句、少しも恥ずかしがっていない。
「わたしのことを聞かれて、泉ちゃんは『桜の梢』編を話したんだよね? それって友達のことを
すごく大切に思ってるってことだよね?」
「うっ……」
 こなたが真っ赤になって俯いてしまったので二人は言葉が出なかった。こなたがそんな仕草を
見せるとは。
「約束通り、わたしのこと笑って話したんだから。二人のこと好きなんでしょ。好きって言いなよ」
「…………うん…………好き…………」
 こなたの消え入りそうな声に。
「こなちゃんありがとう。私も大好きだよ」
「なななななな、何言ってんのよ! わ、私も嫌いなわけじゃないけど……」
 どちらがどちらの反応なのか、言うまでもあるまい。
「わたしにも聞かせてほしいな。泉ちゃんと陵桜のこと」
 一陣の風とともに、桜の木が僅かに肯いた。梢が揺れて、花びらを散らせる。
「そうね。こなたの珍しいところも見れたし」
「えっとね、私がこなちゃんと友達になったのは、私が外人さんに話かけられて困ってるとき――」
437魔法使いと桜の梢:2008/03/26(水) 19:32:31 ID:LHfq2aWm
 こなたが帰宅すると、ちょうどそのタイミングで携帯電話が鳴る。相手は彼女だった。
「――もしもし」
 当時は二人とも携帯電話を持っていなかったから、番号を交換できなかった。電話越しで話す
ことさえ、今まではなかったのだ。
『もしもし泉ちゃーん! 三十分ぶり』
 喫茶店のとき以上にテンションが高い声だった。あれでも猫をかぶっていたのだ。
『早速本題に入るけど、泉ちゃんの本命はどっちなの?』
「ぶっ」
 あまりにもあまりな質問に、こなたはリアルで吹き出した。
『天然ボケとツンデレ。どっちも可愛くていいよねー。もしかしてハーレムルート狙ってる?』
「私はリアルで同性趣味ないってば。っていうかそういう趣味だったの?」
『わたしもないよ。でも男同士は好き』
「やっぱりそっちに目覚めたんだ……」
『泉ちゃんは違うんだ?』
「私はどうもそっちはね」
『そういえばそうだよね。昔っから男の子寄りの趣味だったもんね。少年漫画とかフィギュアとか』
「最近はエロゲーもやってるよ」
『うわ! そんなのどこで手に入れてんの!? やっぱり泉ちゃんってそっちの趣味が』
「ないってば。確かに私の周りには萌えキャラが揃ってるけどさ。つかさとかがみだけじゃなくて
お嬢様で眼鏡っ娘で成績優秀でドジっ娘っていう友達もいるよ」
『そんなの本当にいるの!? 今度会わせてよ!』
「変なこと言わなければいいよ。あと、今年から従妹が陵桜に通うためにうちに住むことになった
んだよ。ゆーちゃんのこと話したっけ?」
『病弱な女の子だよね? 本当にそれ系の設定じゃない』
「ゆーちゃんも凄く萌えるよ。私にとっては妹みたいなもので――」
 近況報告とディープなオタク話はまだまだ続く。
 彼女に対して改めて好きだとか大切だとか言うことはない。長年の友達とはそういうものだから。
恐らくつかさやかがみにも二度と言うことはない。彼女たちとは長い付き合いになるだろうから。
 今度はみゆきにも魔法使いと桜の梢の、恥ずかしい話をしてみようか。
 頭の片隅で、こなたはそんなことを考えていた。

−今度こそおわり−
4383-283:2008/03/26(水) 19:35:00 ID:LHfq2aWm
読んでくださった皆様、ありがとうございました。
こなたの友達なら相当な変わり者のはず。
でもこなたと友達になれる人、という方向で。
439名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 19:56:31 ID:LiWgy14K
「え??え??私変わり者かよぉ!?!?」
「そうなんですか、私、何か人と違っているのでしょうか……」
「ほー、私普通じゃないってんだ?」

「みんなさあ、もう認めちゃいなよ(=ω=.)b」

「やかましい!はあ……もういいわよ……
そんなに私ら変わってるってんなら……つかさ!みゆき!」
「……そだねー、やっちゃおか」
「賛成致します、やっちゃいましょうだばだば」

〜ルパンダイブ黒い三連星

「えwwwちょwwwww何もこのタイミングでフェチ化ってwwwww
 と、とりあえず>>438はGJだよアッーーーー!!」
440名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 20:08:49 ID:jAa7aZGb
ふむ…中学時代の友人って奴ですか
中学時代のエピソード…これは新ジャンルかもしれんな

ともかく>>438GJ
441名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 20:29:53 ID:13n7i4hm
>>438
たしかにこなたの友人なら変わり者に…
でもこなたの周りの人ってみんな変わりもn

今から投下したいと思いますがよろしいでしょうか?
442名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 20:32:19 ID:jAa7aZGb
構わん、やれ
443名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 20:36:44 ID:13n7i4hm
どうもおひさしぶりですこんばんみ、
17-234です。
もう3月の後半、あと1週間で4月になってしまいます。
ということで投下するなら今しかない!
「卒業式ネタ」です。

あきら様×白石+3年B組
「おいてけぼりをくらうひと」
非エロの4レス使用です。
444「おいてけぼりをくらうひと」1/4:2008/03/26(水) 20:39:29 ID:13n7i4hm
僕はある日、3月の終わり、もう直ぐ卒業式というとき。
或る人に電話で呼び出しをくらった。
場所の指定は、学校の教室だった。

夕日の差し込む教室は誰もおらず、
窓に寄りかかっていると、カラスが赤い空を横切る。

かつかつ、と女の人が廊下を歩く音がする。
教室の前で止まる。
どうやら来たらしい。

「久しぶりやけど、元気そうやな。」
「えぇ、まぁ…」

金色の髪の毛をなびかせて、その人物はやってきた。
よく見たことのある顔が、いつものように僕を見た。
担任、黒井ななこ先生だ。
ちょっと疲れているんだろうか、いつものはつらつとした感じはない。

「先生も、お疲れですね。」
「んー、昨日ネトゲで罠にハマってしもて…気づいたら朝8時やって…」

あぁ、そっちですか…
とりあえず笑っておく。
大人を相手することで、必要なことのひとつだと思う。うん。

「どや、最近。」
「まぁ、まぁですね、落ち着いてきまして…。」

仕事も段々落ち着いてきたこともあり、
僕はちょっと余裕を持てるようにもなってきていた。
…あきら様からの無茶振りに対しては余裕ないんだけどね…。

「んで、白石。」
「はい。」
「すまん、ちょっと、話がある…。」
「……はい」

黒井先生は困ったように笑っていた。
……どうしよう迫られたら。
とりあえずあきら様に怒られるって言おうそうしよう。
……変な想像をしてたら、黒井先生の言葉を聞き逃した。

「え、あの、すみませんもう一度言って下さい…」

黒井先生は呆れた顔をして、
ゆっくりはっきり、
さっきの言葉を繰り返した。

その一言を。

-----
445「おいてけぼりをくらうひと」2/4:2008/03/26(水) 20:40:45 ID:13n7i4hm
きーんこーんかーんこーん。
「はい席につけー泉ー」
「先生っ!なんであたしだけなんですかっ!」

翌日、卒業式。
僕はその教室にいた。
泉、つかささん、みゆきさんをはじめとしたクラスメートたちは、
最後の卒業式前のHRを迎えようとしていた。

「今日で最後になるわけやけど、実はみんなにはいっとらんことがある。」
「先生結婚するんですか!売れ残り脱出ですね!」
「ちゃうわ!売れ残りちゃうし結婚の報告でもない!」
「なぁんだぁ」

教室が一瞬歓喜の声に包まれたが、
違ったと分かった瞬間に止んだ。
なんと分かりやすいクラスだ。

「それで、言わなきゃならんのは、白石、おまえやろ。」
「あ、はい。」

僕は席を立った。
黒井先生は黒板の前に立つことを促している。
仕方ないので教卓の前に行くことになった。
この距離が面倒な距離だと思う。

「お、セバスチャン結婚か!やったね、ちょっと犯罪なんじゃないのー?」
「どんだけー」
「あらまぁ」

違いますそんなんじゃありませんってか誰と結婚ですか!
僕?僕と誰だ?
犯罪って…僕と黒井先生?それは黒井先生が犯罪であって…
って僕とあ、あ、あきら様?!
それは犯罪だわ、僕が!
いや!別に!あの、そんな関係じゃないので!
え、慌てすぎ?そうですね、すいません…

んで、言わなきゃいけないことがあるんだったのをすっかり忘れていた。

「白石、早く言わんと卒業式始まるで?」
「あ、はい!」

僕は慌てて前を向く。
簡潔に言うと、この一言で収まる。
僕は精一杯の笑顔で、
教室のみんなに言った。


「僕、留年しますので卒業式に出られません!
 みなさん卒業おめでとうございます!じゃっ!」


-----
446「おいてけぼりをくらうひと」3/4:2008/03/26(水) 20:42:42 ID:13n7i4hm
「というわけで、帰ってきました。」
「はぁ?!そんなこと、聞いてないわよ!」

ここはらっきー☆ちゃんねる収録のスタジオ。
収録前にお茶を飲みながらナビゲーターに一部始終を説明する。

何故ここに今いられるのか、
何故こういうことになってしまったかを、
簡潔に話した。
しかし彼女は納得しなかった。

「どうして今更そんなことが分かるのよ!」
「…それは、僕にも分かりません。」

本当に、僕の留年が告げられたのは、
卒業式前日のどたばたしている時だった。
事実、卒業できると思っていたし、そのつもりだった。
しかし、黒井先生から言われたのは、

・出席日数不足
・単位不足
・早退の数が多い

この3つだった。
実際この3つで留年になるのか疑問だが…。

しかも、これが判明したのは、
僕が呼び出された日であった。
もうちょっと前から分かっていたはずなのに、
今更だった。

聞いた瞬間は何も考えられず、
棒立ちだった。
黒井先生に謝られた。
別に、黒井先生は何も悪くないのに、
何故謝るのかわからなかった。

「ウチも、なんとかしようとおもたんやけど…」

先生はうなだれてこう言っていた。
何とかしようとしてくれていたんだ。
黒井先生ごめんなさい、こんな生徒で…。

「とにかく!卒業式でなかったって…」
「だって卒業しない僕がいたって仕方ないでしょう…」
「う、うん…」

彼女はお茶を飲みながらかりんとうをぼりぼり食べている。
…服に落ちてますよ?ちょっとー、あきら様ー?

「まぁ…仕方ないですよね、もう1年頑張りますか…」
「もう1年…ん?」

あきら様が僕の顔を見る。
…あきら様、かりんとうついてまs

「じゃ、あたしと同じ学校だね!」

え?
447「おいてけぼりをくらうひと」4/4:2008/03/26(水) 20:44:52 ID:13n7i4hm
「言ってなかったっけ?あたし陵桜学園に入学するんだー♪」
「…はぁ。」

そうなんだ、初耳です。
ってあれ?あきら様?
なににこにこしてるんですか…?

「じゃ、決まりだね!」
「何がですか?」

この人がこういう顔でこういう瞳で僕を見てくるということは、
なにか裏があるからなのであって
それ以外なんでもない。
さぁなんだ、
何をたくらんでいるんですかあきら様!
いってごらんなさい!

「あたしと一緒に卒業だね!ね、白石♪」
「ちょっと待ってくださいあきら様、僕は3年生を何回y」
「楽しみだなー白石とおんなじ学校に通うんだ〜♪」
「あの、聞いてますか?あきら様?」

あきら様は嬉しそうにくるりくるりと回る。
うきうきしているのは分かりますが、えっと、えっと…

「白石とおんなじクラスかー♪」
「なんでいつの間に僕は1年生になっているんですか?」
「宿題は全部白石にやってもらってー」
「僕そんなに成績よくないですよ?」
「あ、制服もやっと陵桜の着られるんだよ?」
「…それは楽しみですね♪」

それはそれで、いいのかもしれない。
あきら様と一緒にまた学校生活をおくるのも、
いいのかもしれない。

みんなにおいてけぼりを食らったけれど、
確かに卒業できないけれど。

「楽しみだねっ、白石♪」
「そうですね、とっても、楽しみですね♪」

貴方と一緒なら、
僕はいくら留年してもいいのかもしれない。

「あと何年留年したい?」
「…いや、最低3年で結構です…」
「1年生からやり直しでしょ?」
「そこからだけは本当に勘弁してください・・・!」

おわり
44817-234後書き:2008/03/26(水) 20:46:04 ID:13n7i4hm
おわりですが文章が稚拙すぎるー!

新らっきー☆ちゃんねる第8回の
「白石くんは一緒だよね?」
というあきら様の台詞から
これを書きましたが、
卒業式と時期がずれそうで怖かったwww

4月までにTSものの続きを投下して
完結させたいと思います。
書きたいネタがまだありますが、まとまらないし追いつかない!
449名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 20:51:00 ID:jAa7aZGb
白石留年…本当にありそうで笑ったww
中々面白かったGJ
450名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 21:26:34 ID:HwXwYTpT
>>448
GJ !
てか、TS物続き作ってたのか ! てっきりもう忘れ (ry
451sage:2008/03/26(水) 21:35:05 ID:Z8sj5iAU
3年も留年か…終いにはゆーちゃん達にも先を越されていくわけだな…

――そして3年後

「白石ーやっと卒業やな」
「本っ当に長かったです!先生、長々とお世話になりました!」
「ホンマおめでとうな。ところで小神おるか?」
「あきら様ですか?んじゃ呼んできますね」

「あきら様、黒井先生が呼んでましたよ」
「わかったー行ってくるねっ♪」

「どうしたんですかあきら様」
「なんかねー、あたし出席日数とか足らなくて留年だって♪」
「あ、あきら様!?大問題じゃないですか!」
「そう?白石もどうせ留年するんでしょ?」
「何言ってるんですか!僕はちゃんと卒業できますから!」
「いいからいいから。もう1年一緒に通いましょ♪」
「そんなぁー……」

スマン、色々と受信してしまった。要するにGJです
452名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 21:36:06 ID:Z8sj5iAU
やってしまった…
申し訳ないです
453名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 21:48:09 ID:13n7i4hm
>>452
ぜんぜんへこたれることはないっす
むしろGJっすありがとうございます!

後輩に「放置した」のことを「ほっぽいた」と言って
みんなに唖然とされました17-234でしたw
454名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 22:20:45 ID:DJzzND3Y
455名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 22:24:09 ID:ae6aEqQC
>>438
うわ、こなたが増えた!(待て
それはともかくからっとした良いオリキャラちゃんで。赤面するこなたも可愛くてGJ。

>>448
同じ学校になれてはしゃぐあきら様に不覚にも萌えた。
そして本当に(強制的に)一緒に卒業させられそうな白石に合掌。ぐっじょぶ。
456名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 23:07:56 ID:tixLZ5na
23話で、こなたがかがみをゲマズに寄り道に誘ってるシーンがあったけど、
こなたの動作が可愛すぎて、かがみ様は他の用事をキャンセルして寄り道したってことでいいの?
457名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 01:30:50 ID:zS4IJYoA
亀でスマソ。。

>>130-131
D1 k t k r wwwww
クォリティタカスwwwww
出来れば、またD1ネタ書いてくれw
あの三人は、ま○P、オリ○ブ、ド○キンだなwwww
ちゅ○やさんのステッカーは知ってるよw
そしてコース図うpキボンヌw

D1を知らない人へ
実際のビーレーシングのB324Rには、手○選手が乗ってるよw
458名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 02:22:42 ID:YFv1/lDl
>>438

うは、ぐっじょ!

その手があったか、と最近ネタに困ってる俺涙目。
459名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 05:00:23 ID:ujWHMF5C
>>453
蹴ることをけっぽるとか言わない?
460名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 15:41:30 ID:MklgmNbi
10時間以上もレスなしか…このスレにしては珍しいな
461名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 15:50:02 ID:/Mb0J3kc
だから全体的に過疎ってきてるからだろと
462東北人:2008/03/27(木) 16:12:29 ID:XVgikTKU
>>459
うちの田舎では「けったぐる(標準語的にいえばけたぐる)」だったな。
「けっぱる(けっぽるとはちょっと違うけど)」は「踏ん張る」の意味だよ。


あと、「ほっぽる」も使います。
463名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 16:43:38 ID:satTYlOY
オリキャラネタとか使いにくくなったからなあ
464名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 16:52:33 ID:hNCfaAHk
意味することは違うが、>>351なのが原因かもしれない

年度末だからリアルで会社が忙しくてこのスレを覗くのが精一杯だ
5月頃になれば研修なんかも終わって余裕も出て来るんだが
465名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 16:57:02 ID:CsXODhVv
その間学生組や家事手伝い組が盛り上げればいいだけの話だろ?
466sage:2008/03/27(木) 17:41:03 ID:4ITPjCjD
>>465
なるほど、じゃあ俺この間受信した
エロゲ脚本家こなたとイソ弁かがみの仕事模様(土曜ワイド劇場風味)
形にするよ。

恐ろしいほど遅筆だがな。
467名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 18:25:33 ID:j7d0bZhn
あるエロゲー雑誌の表紙で一目で初音ミクのパロディ
とわかるキャラがエロい目にあってたんだけど、
気を使ってなのか髪が紫だったせいでどう見ても(ry
468名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 21:09:15 ID:2YWBlqP/
最近忙しくて、書き中の話が進められないんですよねえ。
自サイトのエイプリルフールネタも作っているから、ますます進みが(ry
469名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 21:16:57 ID:/rVe3s6o
そういやもうすぐエイプリルフールなんだよねぇ
らき☆すた放送始まってもう一年か・・・
470名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 21:38:42 ID:bWNIbDMg
もう1年かぁ…1話を見たときにはこんなにハマるとは思わなかったなぁ・・・
何が起きるかわからぬものだ
471名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 21:51:14 ID:dzfbwLyJ
らき☆すたを見始めて、こちら側の人間になってしまったけど、萌えの世界がこんなに居心地が良いとは思わなかった。
472名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 21:54:58 ID:CsXODhVv
俺は元々4コマ好きだったが、らき☆すたは受け付けなかったはずなんだよなぁ・・・
いまやSS書いてるし、ハルヒとかにも手出すようになっちまったし・・・
473名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 22:09:18 ID:EUVJqQly
一番肌のさわり心地が良さそうなのはつかさだな。何となく
474名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 22:24:02 ID:MklgmNbi
アニメの第一話目はお世辞にも面白いとは言えなかったもんな
根気良く見た俺らは勝組なわけだ

>>473
自分でつるつるだって言ってたし、肌の質はいいというイメージがあるんだよな
475名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 23:17:11 ID:i0EioXtg
未だにアニメを見てない俺は何なんだ
476名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 23:33:25 ID:IqtfcK1C
なあに、今から見ても良いし、見なくても楽しめてるなら問題もない
477名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 23:35:43 ID:hNCfaAHk
>>475
声からの印象を受けないで済んでいる分、勝ち組といえば勝ち組
478名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 23:38:23 ID:aTPr5vaL
ちょうど今日、アニメ見終わった俺が通りますよ
思わずかなたさんの話を何度も見返してしまった
479名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 23:54:17 ID:e4Rq4vsB
自分の好きなキャラ贔屓してメイン四人の登場バランスを崩した段階で交代した監督はクズ
480名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 00:08:23 ID:xmHjdDjE
>>479
誰を贔屓したの?
確かにみゆきさんは不遇だったけど
481名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 00:13:29 ID:n48OuvSO
とはいえ、ぶっちゃけ原作の登場頻度も(ry
482名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 00:49:46 ID:t4M/tmHH
雑談スレ化してるw
>>479
そういえばあの監督交代って結局何だったんだろうね?
483名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 00:54:36 ID:6zFqI31o
雑談スレ化か…よし、誰かネタかネタの元でも書くんだ
484名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 00:59:25 ID:qa7DaDER
アニメ版のムックでシリーズ構成の人間が
「構成会議では4コマを短冊状にして、季節の流れに沿うように、テーマで並び替えて構成した」
って言ってたから、誰か一人が特別贔屓したなんてことはないよ
485名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 01:11:05 ID:jZ+9IqHu
というか、公式ガイドブックに載ってる登場コマ数でいうと、
こなた2238、つかさ1022、かがみ1657、みゆき481なので、
アニメで一番ひいきされているのがみゆきさんのようにも思える

あと、らき☆すたに関係する雑談なら、むしろ適度にあったほうがいいんじゃないかな?
書き込みないと、投下しても本当に誰か読んでるのか不安になるし
486名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 01:13:27 ID:YyuCOvdU
誰がどうみてもつかさ贔屓みゆき冷遇で結論づいてるんだけどね
487名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 01:15:58 ID:6zFqI31o
そうか?俺はかがみのが優遇されてるように思うが…
488名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 01:35:26 ID:88nknfQA
>>486
どう逆立ちすればそういう結論に至るのか聞きたい
489名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 01:56:25 ID:ulPMEOua
「アニメでは結構つかさは贔屓されてたよね」
「えっ!?こ、こなちゃん!?」
「その分私の出番は少ないようにも思えましたが……よくわかりませんね」
「むしろお姉ちゃんの方が贔屓されてる気がしたけど……」
「そ、そんな訳無いじゃない!」
「まぁかがみんは寂しがりやのうさちゃんだからね〜」
「だ〜!うるさい!引っ付くな!頭撫でるな!」
「ま、そういわずに〜」


「――みさちゃん……しょうがないでしょ?私達背景なんだし」
「みゅー……」

アニメから入って原作読んでないからイマイチそこらへんは良く分からんけども…
490妄想屋(仮名) ◆JUqojnT5.c :2008/03/28(金) 01:58:02 ID:7Qa38LAV
えーと、ろくにSSやCGも書かずに作ってたブツが完成しました。

つ【ttp://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0037.jpg

ねんどろいどぷちのこなたと、リボルテックのよつばを合体。名づけてねんどろテックw
よつばのままではちんちくりんなので、腕と脚を延長してます。

上の2枚がテイク3。とりあえず完璧版。
左下はテイク2とノーマルよつばボディの比較。上腕、下腕、腿、脛で各3mm延長。
右下は後ろから見たテイク3とテイク2。テイク2では延長部分を隠すために肌を塗装したんですが、
違和感バリバリだったので、延長する場所を変えてみたのがテイク3というわけ。
(テイク3では、下腕と脛はリストバンド/ソックス風に仕上げ、太腿は短パンの部分で延長してます)



……これだけじゃスレ違いなので、1枚おまけ。
つ【ttp://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0038.jpg

綾こな(アニメ版)が働くコスプレ喫茶に遊びに来た、広こな(ドラマCD版)と原こな(原作版)。

綾こな「ほら、団長みずから持ってきてあげたわよ、感謝なさい!」
広こな「さっすが綾こな、ハルヒ演らせたら天下一品だね〜☆」
原こな(仲良きことは美しき哉、うんうん♪)

491名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 01:59:30 ID:YyuCOvdU
みゆき絡みの話ひとまとめにしていっぺんに消化したりとか酷すぎただろ
人気の柊姉妹を中心にしたことで結果的には商売として成功してるみたいだけど
監督のつかさ贔屓は結構色んなところで言われてる
交代前の監督はそこはバランスよくやってた
それでアニメの質が高くなってたかと言われれば疑問だけど
492名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 02:00:27 ID:g85r3vka
むしろ背景コンビは優遇されてる気がする
493名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 02:03:05 ID:wzWc0ZLQ
>>490
3こなの違いがなんとなく見てわかるのがすげえw
494久留里:2008/03/28(金) 02:03:32 ID:9B/TNnaI
雑談スレ化した事により、大量の電波が……。


それはさておき、例の続きを投下しようと思っているのだが、
無駄に長いので続行運転で行こうか15両の長大編成で行こうか、
それともバッサリ切ってさっさと次の話まで持って行こうか悩み中。
495名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 02:05:11 ID:ulPMEOua
>>492
そうなんだ。色々と知らなかったようですまん
んじゃ俺の贔屓目ってことで
496名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 02:07:02 ID:6zFqI31o
>>490
いくらで売ってもらえますか?
10万で足りますか?
497名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 02:15:56 ID:pgeaOup8
>>490
おお、3種(2種?)も揃えるとはゲイが細かいっすね
うちのよつばもペン立てだけでなくこういうこともさせてみようかしら

ねんプチの体によつばの顔を載せた逆verも見てみたい……というのは流石にスレチですね
ともあれ、改造乙です
498475:2008/03/28(金) 03:28:51 ID:AVHAqcrg
>>477
平野と白石が嫌いだから無条件で視聴拒否してた
あと、みさおの声とかで回りに見てない旨言ってみたら「あれはいいもんだ」と「見るな」の両極端だったから見てない
499名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 03:31:51 ID:axoFaKEP
>>498
俺も某同人仕事は観てないw
原作は好きなネタなんだが、アニメのデチューンが酷過ぎだとおもってな
500名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 03:36:36 ID:IOEuY+sC
>>494
列車はまだかのぅ……
501ぶーわ:2008/03/28(金) 05:07:50 ID:ZcGHPzjl
九留里氏が投下しないようなので投下させてもらいますね
どうもなんだかんだお久しぶーわです
諸事情によりテキスト形式で投下させてもらいます

・『俗・人として袖が触れている』2話
・平安パラレル TS(みさお男性化) 苦手な人はスルーどうぞよろしく
ttp://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0040.txt
続きます

いやぁ、相変わらず スレで浮きまくってますね!!!
勢いでつけたのに本当に俗っぽい! 雅ドコー?(´;ω;`) ブーワ
オリキャラとかTSとかパラレル好きで ごめんなさい!! 自重? 課長!!
誰も言わないから自分で言います。みさおもう 別人ですね!!!! やめられないとめられないごめんなさい!!
502名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 06:20:15 ID:n48OuvSO
>>490
これはいいこなた
相変わらず良い仕事でGJ

>>501
久し振りにキター!
みさお切ねぇ…と思ったら最後がw
このまま纏まる…とは思いにくいからさらに拗れるかもですな
503名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 07:16:01 ID:/VXqr7Cu
>>501
うっわわわわー。みさかがフラグが立ってしまいましたか。
というか地味に大事件の予兆もはらんでいるような。
はらはらしつつぐっじょぶです。
504名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 09:41:34 ID:nH1ooQJv
>>501
うわーっ、大波乱の予感!
どうなるのか色々考えながら、wktkしながら続き待ってます
GJ!
505名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 09:55:43 ID:F6PYjz8w
>>501
GJです!
これは波乱の予感。
間違いなくただで済むはずが…!
なんかどう転んでもいい方向に行かない気がする
506名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 10:10:25 ID:agc875Fz
>>474
コンプ誌上で見かけるだけで初期の絵柄を知らなかった俺には新鮮で楽しめたよ
何だこの劣化○ャナは!って突っ込む楽しみとかなw


今?
もちろん単行本全巻と案内と・・・
507名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 10:46:01 ID:c8atqU2P
>>501
嗚呼みさ男、こなたをほっぽってまさかかがみんを抱くとは・・・みさ男もかがみんもこなたも切なすぎる

しかしみさ男、へたれ過ぎないかww
508ぶーわ:2008/03/28(金) 11:08:46 ID:4tk9FMQR
sage忘れてました失礼
509名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 11:11:59 ID:oaDKoXZw
最近ここはNiceboatでも流行っておるのか?
510名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 11:42:15 ID:c8atqU2P
>>509
こなたヤンデレルートか・・・部屋を抜け出しこなたがかがみの部屋で現場を目撃とか
511名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 12:26:49 ID:ulPMEOua
>>501
駄目駄目だなみさお…
実際こんな事起こったら大事件じゃね?
こなたがかがみんの部屋に来ないこと、みさおが理性発揮して思い止まる事に期待したい…んだけどなぁ…
次回作wktkしておりますホントにGJでした!
512名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 15:25:34 ID:Cq0kfKCV
こなた以外にはしる前世かがみんとは・・・
このしがらみが現世のみさおのかがみへの執着心になりそうですね
しかし恋する乙女はかわいいことこの上ない
ぶーわさんの前世みさおは武芸もできるし教養も地位もあるから本気で良い男
続きwktkしてます
513名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 16:59:13 ID:c8atqU2P
良い男なのにどっか格好つかない所がみさおらしさがでてていいな
514名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 19:09:16 ID:cdhInaSK
>>490 >>501
両氏ともGJ !
お二人とも最近見かけないからどうしたんだろうと心配していた

ところで、みさかがフラグが立ちそうですね
でもぶーわ氏のことだ、きっと一筋縄ではいかない展開になると思う
とりあえず、こなたとかがみとみさおで複雑な三角関係必至w

それはそうと、かがみ男×こなた女のTS物の続きはこの作品が終わってからですかね?
515双子の兄:2008/03/28(金) 19:22:33 ID:CZaJxsQ/
投下する方が他に居ないようでしたらさせて頂きます。

『降り頻る雨の中』
・一話完結
・こなた&かがみ
・非エロ
516降り頻る雨の中:2008/03/28(金) 19:24:34 ID:CZaJxsQ/
 私は雨が嫌いだ。
 それは未来永劫絶対不変と確信を持って言えるような気さえするほどに。
 それなのに、そんな私の気持ちを裏切るかのようにその今日は五月蠅い雨音が鳴り響いている。それも、
私が学校から帰る途中の、図ったようなタイミングで。
 降って来てしまったのならどうにもならないし、雨を遮る道具などその場に持ち合わせていなかったか
ら仕方なく、私は誰も存在しないバス停の屋根の下に立ち尽くしていた。ベンチが備え付けられているそ
のバス停は雨宿りをするには充分な広さを持っていたから、私は嘆息混じりにベンチに腰を落ち着けた。
 多少濡れしまったようで、私の髪の毛はうなじに張り付いて、そして制服までもが体に張り付いていて。
 だから雨は嫌いなのだ。こんなにも人間に迷惑を掛けるものであるならば、必要な時以外に降らなけれ
ば良いのに、と子供染みた事を考えながら、せめて風邪を引かないようにと私は制服の裾を雑巾を絞る時
のように握り締めた。
 力を入れてみると、布に吸い込まれた水分が絞り出されて、地面に向けて幾つもの水滴が落ちて行った。
屋根によって天を遮っている所為で地面はまだ灰色を保っている。そんな変哲のないアスファルトに、私
が絞り出した水滴が斑模様を彩って行った。点々と、黒い染みが作られて行く度に早く雨が止まないかと
考える。けれどやはり天から降り注ぐ雨粒はその勢いを弱くすることなど無く、むしろその勢いを強くし
たようにさえ思えた。
「……」
 人通りの少ないこのバス停には、眼の前の道路を悠々と通り過ぎて行く自動車の稼働音ばかりが聞こえ
て来て、そのタイヤが水溜りに沈む度に耳障りな音が耳に付いた。
 代わり映えのない光景に浮かぶ、自動車のヘッドライト。雨の姿を明るく映し出し、私の気分をより一
層不機嫌にさせる。まるでその光は、雨はまだまだ止まないと、そう私に言い聞かせているかのようで。
私は濡れた髪の毛を掻き上げて、眼に掛からないようにした。
 藤色の長い髪の毛が、水滴を辺りに飛び散らせながら少しだけ乱れた。髪の毛を伸ばそうとしているの
は私なのだけど、いざこういう時になって鬱陶しくなってしまう。水分を含んだ髪の毛は背中に張り付い
て何だか気持ち悪いし、体も冷えてしまう。雨の日に、そしてそんな日に運悪く濡れてしまった時に、私
の髪の毛は少し邪魔だった。
「何でこんな日に傘忘れてんのよ……私」
 そう言って空を見上げてみればそこには厚く暗い雲の塊が見渡す限りに広がっている。そしてそこから
降り注いでいるのだろう雨粒が地面に突き刺さっていた。それはもう、バケツを引っ繰り返したと形容し
ても差支えないだろう。この勢いだと、川が氾濫して洪水でも起こるのではないかと要らない心配さえし
てしまう。
 こんな雨の中を走って帰るなど、春に近付いているとはいえまだ肌寒いこの季節にしてしまえば風邪を
引く事必至で、その言い訳はどんなに信憑性があったとしても私の自業自得で終わってしまうだろう。八
方塞がりで立ち往生。取り敢えずこの雨足が弱くならない事には私は此処でそれを待つ事しか出来ないよ
うだ。
 嘆息を一つ落として、手持無沙汰のこの状況をどうやって打開するか頭を捻っていると、パシャパシャ
と水を蹴りながら掛けてくるような音が聞こえた。
 殆ど人通りがないこのバス停に来るなんて、きっと私みたいにやむを得ず雨宿りに来た人か、もしくは
本当にこのバス停でバスに乗ろうとしているかのどちらかだろう。私は特に気にせず、道路に波紋を広げ
ている雨をぼんやりと眺めていた。
「はあっ……はあっ……参ったなあ、もう」
 地面を見つめていると、バス停の屋根の下に潜り込んだ人は息を荒くさせながらそう呟いた。その声は
何処かで聞いた事があるような――いや、間違い無く毎日聞いている声だ――そんな声で、何で今の今ま
で此処に来た人が誰なのかと言う事に気付かなかったのだろう、と私は顔を隣で溜息を吐いている人物に
向けた。
「あれ、かがみんじゃん。いやー、奇遇だねー」
「こなた……ってあんたももしかして傘持って来てないの?」
「そだよー。今日は天気予報見なかったから。うん、こりゃとんだ失態だったね」
 此処に同じ穴のムジナが一人。もしもこなたが傘を持っていたならそれに入れて貰って帰る事も出来た
だろうに、その可能性も呆気なく打ち砕かれてしまった。
517降り頻る雨の中:2008/03/28(金) 19:26:07 ID:CZaJxsQ/
 未だ途絶えるどころか弱くもならない雨は、そんな私達を嘲笑しているかのように断続的な雨音をこの
世界に響かせている。近くからか、遠くからか、何処からか集まってくるこの音はやはり五月蠅かった。
「……」
 何故だか私達は何時もの活気を陰に潜めさせて、沈黙を保ち続けている。かと言ってこの雰囲気が気ま
ずい訳ではないのだけれど、それでも何時もと比べてみるとやはり違和感は拭えなかった。
 何も話さずに屋根と言う盾を持っていないコンクリートに眼を向ければ未だ雨の勢いは健在で。雨足は
途絶える素振りを片鱗すら覗かせなかった。
 ふう、と一つ溜息を落として、隣りに座るこなたを見遣る。長い髪の毛は雨で濡れてしまって、幾つか
のまとまりが出来ていた。頭の上に飛び出たアホ毛はその形を失わず、ぴょこんと天に向かって突き出し
ている。静かに去り行く自動車の光景を眺めているこなたの眼は何処か憂いを秘めているようだったけれ
ど、ただ呆けているだけのようにも見えた。
「……」
 静かだ。
 ただ、雨が大地に刺さる音と、車が横切る音が五月蠅い。それだと言うのに、私とこなたの間に流れる
沈黙は静かと言う言葉以外に形容するものが見付けられなくて、それはまるで私とこなたが雨宿りに使っ
ているこのバス停の空間だけが他の世界から隔絶されたかのような印象を受けた。
「中々止まないねー」
 気の抜けた声で、こなたが呟いた。それは私に対して同意を求めた言葉だったのかも知れないけれど、
私は無言でそれを肯定した。言葉を発するのが億劫に思えたのではなく、ただ言わなくてもこなたに伝わ
る気がしたのだ。そのこなたはと言うと、一人猫口顔で微笑みながら道路を見遣っていた。
「そう言えば、あんた何してたのよ? 家、こっちじゃないじゃない」
 ふと思い出すと、こなたは此処に居る理由がない。少なくともこなたの行動原理を完全に把握していな
い私にとってはこんな雨の日に此処に居る事自体が不思議だ。私とこなたの家はみゆきの家ほど離れてい
る訳ではないけれど、それでも多少の距離はある。それならば、年中面倒くさがりのこなたがこんな土砂
降りの日に此処に居るはずがなかった。
 尤も、これだって勝手な憶測なのだけれど。
「んー、まあ、ちょっと」
 少しだけ首を上に傾けて一考した後、こなたはそう言った。何とも曖昧で不明瞭な答え。それで私を満
足させる事が出来ると思っているのなら、こなたは相当な朴念仁だろう。怪訝な視線でこなたを見ると、
こなたは「まあ、大した事じゃないよ」と言葉を濁してこの話題を打ち切った。
 何だかお腹の奥がもやもやと嫌な気分だ。丁度、分かりそうなクイズの答えが中々出て来ない時と同じ
ように、すっきりしない蟠りが残っている。考えてもこれが何なのか分からなかったから、取り敢えずこ
なたの答えに納得出来ないからなのだろう、と勝手な結論を付けて私は視線を道路へと戻した。
 自動車のヘッドライトに照らされる雨の量は、先刻よりも増している気がした。
「そーいえば」
 私が道路に視線を戻して、暫くもしない内にこなたが何かを思い出したようだ。閃いた、とでも言うよ
うに手の平に拳を打ち付けて軽い音を出した。それも雨音と自動車の喧騒に?き消されてしまったけれど。
 私はそんなこなたに、「どうしたのよ」と無言で伝えるような視線を投げ掛けて、二の句を待った。どう
せ他愛のない世間話だろうから。それは何時もと同じの、軽い話題なのだろう。
「かがみこそ、つかさは? 何時も一緒に帰ってるのに」
 ああ、そう言えば。
 私とこなたが座る間の席に何かが足りないと思ったら、何時も居るはずの人物が居なかった。何だか今に
なって気付いたのがつかさに申し訳ないけれど、雨が私の思考能力を奪って行ったのだ、と責任転嫁をして
私は今頃家の炬燵でぬくぬくと暖を取っているつかさを思い浮かべた。
「ん、先に帰らせた。私、学校でやらないといけない事があったから」
 それは誰がしても良いような内容の、先生の手伝いだったのだけど、何故か強引に私が手伝わされる事
になったのだ。多少疲れたものの、プリントの束を運ぶ仕事だった。
 そして私の予想通り、それが終わった後に長い話に付き合わされて結局こんなに帰路に付くのが遅くな
ってしまったのだ。その話題も殆どがあの保健室の先生の事で、惚気話を聞かされているようで気が滅入
ったのもよく覚えている。
518降り頻る雨の中:2008/03/28(金) 19:27:15 ID:CZaJxsQ/
「先生の手伝い?」
「うん、そう」
「桜庭先生?」
「よく分かったわね」
「んで、長話に付き合わされたと」
「あんたはエスパーか」
「んふふー。かがみんの事は全部お見通しだよ」
「気持ち悪い……」
「今、何かを意識したでしょ?」
「するか!」
 そんな何時ものノリの、馬鹿話。最後はどうせ何かのアニメネタなのだろうけど、生憎私にはさっぱり
分からない。と言うか分かりたくない。それでも何かのアニメキャラと似た事をしてしまったのは何とな
く分かったから、私は何だか悔しくて再び道路に視線を戻した。まだ、強い雨が地面を割らんと突き刺さ
っている。
 はあ、と白い息を出すと、こなたは「ピッタリなのに」と、またしても訳の分からない事を言った。
「あれ、じゃああんたは? 早く帰ったにしては随分遅くない?」
 よくよく考えてみればこなたがこんな所にこんな時間に居るのはかなり不自然だ。
 さっきの答え方もやけに不自然だったし、まさかとは思うけどこれから彼氏の家に行くとかかも……な
んて。私はそんな事有り得ないだろ、と自分に言い聞かせてからこなたの答えを待つ。こなたは少しの間
逡巡した後に口を開いた。
「いやー、ゲマズ行こうと思ったんだけどね」
 何か含みを持たせた物言いでこなたは笑う。私は焦らされているのが気に入らなくて、早く続きを言え
よと目を尖らせた。こなたはまあ落ち着きなよ、なんて言いながら目を細めて、続きを語り出した。
「まあこの通りの雨でしょ? 途中で嫌になって……」
「嫌になって?」
「彼氏の家に行こうかと思ったのだよ」
 一瞬、こなたが何を言ったのか理解出来なかった。何文字化の言葉の羅列が私の頭の中を駆け巡り、そ
してその一つ一つの意味を語り掛けて、漸く話を咀嚼出来る。
 私は暫くこなたの言葉を反芻した後、眼をこれでもかと言うぐらいに丸くしてこなたに詰め寄っていた。
殆ど無意識の行動だったかも知れない。私は脊髄反射でこなたに詰め寄っていたのだ。
「嘘」
「即答の上に否定された私涙目なんだけどなー」
 気付いた時にはその一言だけが口をついて出ていた。最初は「あんたがー?」なんて茶化したり、「あ
ー、はいはい」なんてあしらったり。色んな行動の選択肢が頭の中にあったのに、言えたのは"嘘"の一言
一文字だけで。何でこんなに焦っているんだろうと思う間もなくこなたによる追撃が始まった。
「まあでも、正しくは彼氏じゃないけどね。ただ、好きな人ってだけだよ」
 その言葉を聞いた時、訳も分からない脱力感が私に圧し掛かってきた。そして、それに続いて足の爪先
から昇ってくるかのような羞恥心。私は熱くなった顔を見せないようにと元の位置に座り直した。
「好きな人、居たのね」
「まあねー」
「でも、あんたが男子と話してる所なんてあまり見掛けなかったけど」
「そうだねー」
 こなたの態度はさっきから何だか含ませぶりだ。
 私に何か言いたい事があるんだけど、それを敢えて言わないようにしている。そんな感じだ。
 自分でも何であんなに焦ったのか未だに分からないけれど、こうしてこなたの好きな人について聞く度
に蟠りが色濃く感じる。それでも、まるで男に興味なさそうなこいつが好きになる人が気になった。
 でも、今からこんな態度なら、これ以上踏み込んでも全てを躱されそうだ。ひらりひらりと、風を受け
るみたいに簡単に。だから、私はこの蟠りを残したままにした。いっそ全部ぶちまけたい気分だったけれ
ど。
「でもさ、少し問題があるんだよね」
 暫しの逡巡、そうしてこなたは自分に語り掛けるかのように呟いた。その言葉は私に聞いて、と言っているようで、比較的小さな声量で紡がれるその言葉を一言一句聞き逃すまいと、私は降り頻る雨の中で耳を澄ました。
519降り頻る雨の中:2008/03/28(金) 19:28:45 ID:CZaJxsQ/
「その人、すっっっごく鈍感みたいで、全然気付いてくれない」
「……。ま、そう言う事もあるんじゃないの」
 期待してた私が確実に存在していた。
 何時もの飄々とした態度で"嘘だよ"と言ってくれる事を期待している自分がいた。そして、その期待す
らも儚く散ってしまった今、私はこの話題にもう触れたくなかった。聞けば聞くほどお腹の蟠りが蠢くか
ら。
 嫌悪感を募らせる、嫌な動きで私の中を荒らして回っている。それは、こなたの話を聞くのを止めると
ぴたりと収まるのだ。だから、私はこの件にもう触れたくなかった。
 舞い戻る静寂が痛い。降り頻る雨の音が五月蠅い。車のヘッドライトが眩しかった。
 まだこの雨は止まないのだろうか。一刻も早く家に帰りたいと思っているのに、その望みを見事に打ち
砕いてくれるこの雨は鬱陶しいという他無かった。
「あ、」
 こなたが声を出した。私は特に気を留めるような素振りも見せずに同じ景色に視線を向けたまま。我な
がら子供みたいだと思うけれど、例え些細な話題からでも先刻のような話題が出るのが嫌だった。
 声を出したのち、こなたは何やら鞄を弄っていたようだ。がさごそと、そんな音が聞こえて来る。何を
やっているのか聞こうとも思ったけれど、やはりそれは出来なくて。私は変わらず雨を眺めている。出来
ればこんな静寂を一刻も早く打ち破りたいのだけど、今の私には無理そうだ。こなたが何かを言うのを、
ただ待つしか私には出来ない。
「はあ……」
 吐いた息は白く色付いた。突然の雨だったけれど、気温を下げるのにはこの雨は十分に貢献したらしい。
私は今頃になって身に襲いかかって来ている寒さに体を震わせた。着ていたコートはぐっしょりと濡れて
しまってるから着たら余計に寒くなってしまう。今、そのコートはベンチの背凭れに掛けてあった。
 寒さを凌ぐ手段を持たない私は出来るだけ身を縮こまらせて、暖かくなるようにした。ちらりとこなた
を見遣ってみると、やはり私と同じように寒いのか小さな体躯を震わせている。私達は髪の毛が長いか
ら、余計に寒くなるのかも知れない。こんな時はこの長い髪の毛が煩わしく思えてしまうのだけど、切る
と言う行為をするつもりが毛頭ないのは何故だろう。と、意味のない思考に嵌っていると、こなたの吐息
が聞こえてきた。
「何か、寒いね」
 私が言わなかった言葉を代弁するかのようにこなたが呟く。寒そうに息を吐きながら、正面を向いてい
るこなたの姿は本当に寒そうだ。彼氏――もとい、好きな人の家が近いならそこに走ってでも行く手段は
あるだろうに、何故そうしないのだろう。意味も分からず傷心になっている私は、早めに一人になりたい
のだけど。
「そうね。もう、春も近いのに」
 私達が住んでいるこの土地には春を代表する花、桜はまだ咲いていないけれど、連日の内に感じる暖か
な陽気は春の訪れを感じさせるには充分だった。そんな春の少し手前を謳歌していた私達にとっては、ま
たしても訪れて来た冬並みの寒さが恨めしい。一直線に春に向かって進んでしまえばいいのに――なん
て、考えても無駄な事だ。
 そんな事を考えていた矢先だった。こなたは音も立てずにすっと立ち上がると、これまた音も立てずに
私の前に無言で立ち尽くした。何事かと思ってこなたの瞳を見つめる私。こなたもそんな私を見つめてい
る。時間の経過が感じられず、私達を取り巻く雨音が刻々と時を刻んで行く。
 そして、幾らかの時間が経った後、こなたは静かな声で、けれど何処か怒ったような声で呟いた。
「寒いね」
「え? あ、ああ、そうね……って、どうしたのよ。同じ事さっきも聞いたじゃないの」
 ジト目で私を見据えるこなたに多少怯みながらも私はそう返した。同じ事を反復するこなたの意図が分
からず、眼を彷徨わせる私に、こなたはまだ目の前で佇んでいた。自動車のヘッドライトが浮かび上がら
せるこなたの姿。それは逆光で朧気で、秘める想いすらも朧気に感じられた。
520降り頻る雨の中:2008/03/28(金) 19:29:46 ID:CZaJxsQ/
 ざあ、と雨の音が耳に付く。この気まずい沈黙に拍車を掛けるような雨音が煩わしい。私は何か言える
言葉が無いものかと必死に心中で模索していたが、何を言ってもこの空気は読めないのではないかと思
い、結局何も言えなかった。
「……はあ――、鈍感なのはリアルじゃ迷惑なだけだね、ホント」
 長い溜息を白い吐息に変えて、こなたは諦めたようにそう言った。
 この場合、こなたの鈍感と言う発言は私に当てられたものなのだろうか。けれど、何故そんな事を言わ
れているのかも分からず、私は眼を辺りに彷徨わせるばかりで。そんな私を知ってか知らずか、こなたは
どかりと再びベンチに腰掛けた。
「鈍感って、私が?」
「かがみの眼には他の誰かがここに居るように見えるんだねー」
「……分かったから、そんな不貞腐れないでよ。何でそんな風に言われるのか分からないんだけど」
「そんのまんまの意味ですけど何かー」
「……」
 全く、意味が分からない。此処に来た時は何処か嬉しそうな顔をしていた癖に今になってこんなに機嫌
を損ねるなんて、ただ私を困らせたいだけなのだろうか。
「よいしょ、っと」
 そんな事で頭を悩ませていた私を余所に、こなたは腰を少しだけ持ち上げると鞄を引き摺って自分の所
へ寄せると、私に近寄った。それこそ、密着と言って差し支えないくらいに。
 雨に濡れて冷えていたお互いの体は制服の布越しでも冷たく感じられたけれど、それ以上に羞恥と困惑
とで混乱へと導かれた私の脳は急激に体温を上げてしまう。顔に熱が昇って行くのを感じながら、私はこ
なたの澄まし顔を凝視した。多分、凄く変な表情をしていたと思う。目を真丸にして、口をぽかんと開け
て。
「ちょ、ちょっと! 何やってんの!」
 焦って声を出せば、こなたはそっちこそ何を言ってるの、と言わんばかりの顔で私を見てきて、僅かに
残っていた私とこなたの間の隙間を埋めるかのように更に身を寄せる。
 離れるという選択肢もない訳ではなかったけれど、それをやるのは何だか忍びなくて――ただ私がそれ
をするのを嫌だっただけかも知れないけれど――私はその場で背筋を伸ばして固まっていた。
「いいじゃん、別に。寒いんだもん」
「だからって――」
「はいはい、つべこべ言わない」
 焦る私を見てにやりと微笑んだこなたは小悪魔と形容出来るそれで。未だに慌てふためく私の手を握っ
たかと思えば、そのまま恋人がするような形に指を絡めてきた。
 もう何が何だか分からなかった。こなたが何で不機嫌になったのか、何でこんな事をするのか、何でこ
んなに私は慌てているのか。先刻まで五月蠅いと感じていた雨音よりも今は自分の心音の方が五月蠅かっ
た。
「……っ」
 何でか拒絶する事も出来なくて、私は俯いたままこなたの手の温もりを感じていた。少しだけ濡れてい
るこなたの手はそれでも暖かくて、私は自分の手が汗ばんでいないか、とかそんなどうでもいい事を考え
ている。
 そんな私とは対極的に、こなたは困惑だとか羞恥だとか、そう言った感情の片鱗すらも覗かせずにぼん
やりと空に広がる雲を眺めている。それが余計に私を困らせるのだ。こなたのその表情からは何の意図も
汲み取れないから。
「さっきさ、好きな人が居るって言ったじゃん?」
「う、うん」
 こなたは視線をそのままに語る。横顔すらまともに見る事が出来なくて、私はまだ俯いたまま。この話
題は正直勘弁して欲しかったのだけど、今の私が何か言えるはずもなく、黙って言葉を受け取って、中身
のない返事をした。
「その人、何時も何かと口うるさい人なんだけど逆に迫られると弱いんだよ」
「……」
 こなたの話は聞こえているけれど、まだ落ち着かない。
 相槌の代わりに頷いて、私は深呼吸。その間にもこなたは話を続ける。
521降り頻る雨の中:2008/03/28(金) 19:30:29 ID:CZaJxsQ/
「でも、こんなに迫ってるのにまだ気付いてくれない。私だって恥ずかしいのにね」
「え……?」
 その言葉には違和感があった。
 “こんなに”と言う言葉は現在も進行中だと言う事を示唆しているものだろう。それならば、こなたの“好
きな人”に当てはまる人は――私? 有り得ないと分かっていつつも、それに反して胸の動悸は激しさを増
してしまう。こなたは未だに平然としていて。私だけ慌ててるのが馬鹿らしく思えた。
「だからさー、その“私の好きな人”はどう思ってるのかなー? って今でも考えてるんだけど、どう思う?」
 そう言ってこなたは俯く私の顔を覗き込んで来る。そこにあるのは何時もと同じ、人をからかっている
かのような――けれど真剣な顔。私はこなたが言っている意味も、その“好きな人”が誰かも理解した。
 そんな顔で言われたら、そう思う事しか出来ない。
 こなたは卑怯だ。ズルくて、意地悪で、何時だって私の考えの斜め上を行く言葉を紡ぎ出す。だから私
は何時もこんなに慌てて、一人で顔を赤くしてしまうのだ。だから、言いたい事も素直に言う事が出来な
いのだ。少し前に感じていた苛立ちの正体さえも、直ぐには認める事が出来ないのだ。
「……その人も、好きなんじゃないの。……あんたの事……」
 自分の体温が更に増した事が鮮明に分かる。どうして私の体はこんなにも素直なんだろう。口頭では何
時も強がったりしているのに、こんな時に限って。けれど、それがこいつの好きな事であると言うのなら、
それも良いかも知れない。こんな自分の個性とも楽しく向き合えるかも知れない。
 こなたは私の答えを聞いて、多分満面の笑みを浮かべただろう。私は俯いていたから確証を得る事は出
来ないけれど、手に籠る力と温かさが増した気がする。それは、何かが繋がった証左なのではないだろう
か。
「ふふー、かがみって、ホントに可愛いよね!」
 そんな喜色満面の言葉を聞いて、私は一層深く俯いた。

 見えるのは細かい雨の粒。
 それと、車が通る度に、暗がりを裂く光。
 聞こえるのは五月蠅い雨音と、車の稼働音。
 私は雨が嫌いだ。
 それは未来永劫絶対不変とさえ感じられる程に。けれど、こうしてこなたの体温を直接感じて、少しだ
け恥ずかしい気持ちと嬉しい気持ちが綯い交ぜになった不思議な気持ちで時間が過ぎて行くのを見つめる
のも良いかも知れない。
 ――ふと、こなたの鞄が眼に入った。その端から何かが飛び出ている。それは紛れもなくこの雨を遮る
事が出来る道具で。それが何時までも鞄の中に入れられていた理由を考えると不覚にも微笑みが溢れ出て
しまった。

 私は、雨が嫌いだ。
 ――けれどそんな雨が、今は少しだけ好きになれたと、この降り頻る雨の中で思った。




――end.
522双子の兄:2008/03/28(金) 19:32:40 ID:CZaJxsQ/
以上で投下終了です。
こなたに迫られて照れるかがみの図を書きたくてやってみました。
それでは、読んで下さった方、ありがとうございました。
523名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 19:33:53 ID:6zFqI31o
相変わらずなんと素晴らしい作品…GJ
524名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 20:14:34 ID:/VXqr7Cu
ラスト数行、傘のくだりで一気に頬が緩みました。あー、可愛いなあこいつら。


そしてのろけ話を聞かせるようにふゆき先生について熱く語るひかる先生についても是非kwsk。
ぐっじょぶでございました。
525名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 21:22:47 ID:DTRIfQN/
俺も最後の下りで一気に頬がにやけた(=ω=.)GJ
526名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 21:33:05 ID:hBQVLWlI
丁寧な情景描写とそこに重ねられた心理描写
超ド級のGJを送りたい

超ド級というのは(ry
527名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 23:15:49 ID:cdhInaSK
>>522
GJひたすらGJ !
なんという青春ラブストーリー
凍えた身体で手と手を重ねあう二人の姿を想像しただけで、脳内から色々なものが噴出してきそうだったw
この二人、相性はいいけど深い仲になるには確かにどちらかが積極的にならないと先に進めない気がする
この作品ではこなたGJな感じだなw
52816-187 ◆Del8eQRZLk :2008/03/29(土) 01:54:38 ID:Va9ADqxi
ごきげんよう、こんな時間に投下させていただきます。
【無音声ピアノソナタ】の続きです。

■みなみ→ゆたか
■エロなしです

7レスになります。
529第二楽章/ラルゴ 1/7:2008/03/29(土) 01:55:34 ID:Va9ADqxi
 
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
第二楽章/ラルゴ(幅広くゆるやかに)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


§3

 その日のうちに、みなみは『熱情』のピアノピースを買った。
 楽譜メーカーの判定した難易度は、当然のようにF。最高難度のランクを与えられていた。
 うきうきとした気持ちで、みなみはピアノ部屋に駆け込んだ。
 地下のガレージを改築したピアノ部屋は、みなみにとって居心地のいい空間だ。うちっぱなし
だったコンクリート壁も基礎から壁材を塗り込んで、アイボリーの壁紙で暖かく仕上げられている。
毛足の長い羅紗の絨毯はふわふわとしていて、みなみは裸足でそこを歩く感触が好きだった。
備え付けのキッチンではお茶を淹れることもできるし、専用のサニタリースペースまである。
 よくここに籠もってピアノを弾いたものだった。一日中閉じこもって、ピアノを弾いたものだった。
 さすがに完全な防音というわけにもいかず、どうしても音がリビングやキッチンに漏れるけれど。
母や、よく家に遊びにくるみゆきの母のゆかりにとっては、それはそれで喜ばしいことのようだった。
 着替えをするのももどかしかった。乱れた部屋着もそのままに、それでもオレンジペコーを
丁寧に淹れて、みなみは書き物机の前にいそいそと座る。その白磁のような頬が、興奮に
少しだけ朱に染まっていた。
 紅茶を一口飲んで、逸る気持ちを抑えながらみなみは楽譜を開く。
 新しい楽譜を開くときはいつだってわくわくする。新たな音楽に繋がるその瞬間は、早く起きた
朝に感じるときめきと同じ物だった。
 今度も、みなみの胸にそのときめきは訪れた。けれど今回はそれと同じくらい、強い衝撃を
受けたのだ。
 ――なんという美しい、そして緻密な曲なのだろう。
 その構成の巧みさに、眩暈すら感じた。
 あの日聴いた『熱情』は、とにかく激烈な感情に満ちていたという印象だったけれど。
その荒れ狂う感情に芸術的感銘を与えていた原因は、この水も漏らさぬほど精緻な音楽的構成に
あったのだ。
 五線譜に踊る音符は、さながら新造形主義の絵画のようですらあった。さすがにベートーヴェンの
三大ピアノソナタと呼ばれるだけのことはある。みなみはそう思った。
 こんな曲を、果たして自分は弾けるのだろうか。
 ――きっと弾けない。私には、この曲が弾けない。
 けれどそれは、『水の戯れ』や『幻想ポロネーズ』をみたときも思ったことだった。そして今やその曲も
みなみは自らのものとしていた。であるならば、この『熱情』もいつかきっと弾けるようになるはずなのだ。
 弾けないものを弾く。それがきっと、ピアニストというものなのだろう。
 ぱらぱらと楽譜をめくりながら、みなみは頭の中で自然とその曲を組み立てていた。楽譜をみるだけ
でも、頭の中でその曲を演奏することはできる。
 楽譜に書かれた音符と、頭の中で弾いた自分の演奏と、そうしてあの日聴いたかおるの音を重ね
合わせてみた。
530第二楽章/ラルゴ 2/7:2008/03/29(土) 01:56:01 ID:Va9ADqxi
 その余りの違いに、みなみは我知らず顔を赤らめた。
 発想力、着想、そしてその楽曲理解。
 どれをとっても足下にも及んでいなかった。
 けれどそれは仕方のないことだった。楽譜をみただけでいきなりこの曲を弾きこなせるなら、
それは正しく詩神の御業だろう。ホロヴィッツならぬ半人前のピアニストたるみなみは、少しずつ
少しずつその階段を上っていくしかないのだ。
 第一楽章の中盤以降見せる大きな跳躍は、破裂しそうな緊張感を孕みながらも氷のような冷静さで
弾ききらなければならない。
 第二楽章、短調から長調へと移り、たおやかな変奏曲を情感豊かに弾ききろう。
 そして第三楽章。再び短調に戻って。
 みなみはそこを見る度、頭を抱えそうになる。
 この旋律はなんだ。
 マグマのように煮えたぎる、この和音はなんだ。
 けれどもそこで吹き出してはならないのだ。激甚な感情を表出しながらも、あくまでも構成を見据えて
溜め続け。
 そうしてプレスト。圧倒的な感情の爆発。
 ビッグバンのようなコーダ。宇宙が崩壊するときの音。
 それはまるで、クライマックスで全ての登場人物が死に絶える映画のようで。
 ――一体、どうやって弾けばいいのだろう。
 まるでイメージできなくて、みなみは頭を抱えてうずくまってしまった。

 その夜、みなみはなかなか寝付けなかった。


§4

 頭の中で音符がはね回っていた。
 朝の糟日部駅前には色々な音が溢れている。道行く人々の笑い声。電車が到着するアナウンス。
車のエンジン音。パチンコ屋の呼び込みが張り上げる声。どこにでもある、街の喧噪。
 そんな音が、みなみの頭の中で音符となってはねまわる。みなみには、その全ての音がピアノで
奏でられた音階のように聞こえていた。
 A、D、C♭、B♯、FにGにA♯♯。
 そのピアノを弾いているのは一体だれなのだろう。半ば眠ったままの頭で、みなみはそう思う。
 考えるまでもない。それはきっと、それぞれの人々なのだ。それぞれの人が、それぞれのピアノを
弾いている。誰にも弾けない自分だけの曲を弾いている。
 であるならば、自分が『熱情』を弾けないのも、きっとそれが私の曲ではないからなのかもしれない、
そんなことをみなみは考えて、すぐにそれが逃げなのだと思い直した。
 あの日『熱情』を弾くと云ったときのかおるの楽しそうな表情を、みなみは思い出している。
かおるはきっとみなみがこうして悩みこむことを見越していたのだろう。そうしてどうやって
みなみがそれを切り抜けるか、それとも切り抜けられないか、それを見ることを楽しみに思って
笑ったのに違いない。
 食えない人だ、と改めてみなみはそう思う。
 けれどきっと、許可をだした以上、みなみはなんとかあの曲を弾くことができると、かおるは思って
いたのに違いない。
 いや、本当にそうだろうか。
 引退して、みなみを独り立ちさせようと思っているかおるのことだから。もしかしたら、本当にみなみが
一人でやっていけるかを見るための試金石として考えていたのかもしれない。
 ならば、みなみには弾けないと考えていた可能性もある。
531第二楽章/ラルゴ 3/7:2008/03/29(土) 01:56:23 ID:Va9ADqxi
 そんな思考の泥沼に陥っていたみなみだったが、ふと聞こえてきたメロディに途端に現実に
立ち返ってきた。
 どんな雑踏の中でさえ、みなみの耳がその音を聞き誤ることはない。
 学校指定の革靴が、アスファルトを踏んで立てる音。
 軽い体重と、ふわふわとした足取り。その歩幅の小ささに関わらず、跳ねるようにゆっくりとした
拍子の跫音。
 小さな足が一生懸命に立てる、その跫音。
 ふりむくと、そこにいつものようにゆたかがいる。紅梅色の髪、草色の瞳。みなみよりも頭一つ分小さい
女の子が、出会えた喜びに顔を輝かせて、そこに立っている。
「おはよう、みなみちゃん」
「……おはよう、ゆたか」
 そう云って、二人は笑い合った。心から浮かべた満面の笑みと、こぼれ落ちるような控えめな微笑と。
「……あのさ、みなみちゃん? 二人の世界に入ってるとこ悪いけど、私も一応いるからね?」
 思わぬところから聞こえてきた声に振り向くと、そこに泉こなたが立っていた。糸のように目を細めて、
口角を上げてにまにまと笑っている。
「……お、おはようございます、泉先輩」
「うむ。おはよ〜みなみちゃん。んじゃ、ゆーちゃんは王子様にお任せするね」
「もー、お姉ちゃん! みなみちゃんは王子様とかじゃないってばー」
 ぽかぽかとこなたを殴るような動作をして、怒りを示すゆたかだった。けれどそうすればするほど、
こなたはよりいっそう猫のような口を悪戯っぽい笑いの形に変えていく。
「あれー? じゃお婿さん?」
「ちがうもん! ちがうもん!」
「わかった、旦那さんだ!」
「……いい加減その発想から離れろよ」
 その言葉に反応したようにこなたが後ろを振り向くと、そこでは柊かがみがじっとりとした目でこなたを
睨んでいるのだった。
「ふぉっ! かがみんいつのまに!」
「最初からいたわよ。っていうかいつもここで待ち合わせだろ」
 かがみと一緒にきていたつかさと、みなみと田園調府から同じ電車に乗ってきたみゆきが、困ったような
顔で笑った。
「大体あんたな、みなみちゃんに失礼だろ。スレンダーでクールな印象があるからって、簡単に男役みたいに
云うなよ」
 みんなで歩きながら、かがみがこなたを諭していた。
「むう、それもそうだね。ごめんね、みなみちゃん」
「……いえ、大丈夫です。お気になさらず……」
 とは云うものの、やはり胸がなくて女らしくないと云われているようで、少しだけもやもやしたものを
感じていたみなみだった。けれどそんな思いも、こなたのその言葉で全て水に流すことができた。
かがみの気遣いに、みなみは感謝した。
「……えへへ」
 嬉しそうに笑うゆたかは、なんだか全てを見透かしているようにも見える。途端に気恥ずかしくなった
みなみは、ついぶっきらぼうな口調でゆたかに問いかけた。
「……満員電車、平気だった?」
「もー、みなみちゃんまで。わたしだって、少しくらいなら大丈夫だよぉ」
「……そう。そうだよね、ごめん」
「……みなみちゃん? みなみちゃんこそ、大丈夫?」
「……え?」
「なんだか、具合悪そう」
 なるべく表に出さないようにしていたはずだった。
 やっぱりゆたかには敵わないなと、みなみは思う。
 普通の感情ですらよくわからないと周りの人に云われるものなのに、なぜだかゆたかにはまるで
隠し事ができないのだった。
「……学校で、全部話すから」
「うん、わかった」
532第二楽章/ラルゴ 4/7:2008/03/29(土) 01:56:52 ID:Va9ADqxi
 どこから説明しよう。また悩み始めたみなみだったが、ふいにその手がふわりと柔らかい物に
包まれるのを感じて驚いた。
 ゆたかの手だった。
 自然にみなみの手を握ってくれた、ゆたかの小さな手だった。
 みなみの心の中から、暖かく、それでいて涼やかな感情が、泉のように湧き出しては滴り落ちていく。
 そうして心の表にまでこぼれ落ちたその雫が、みなみの顔を微笑みの形へと変えていく。
『水の戯れ』が聞こえた気がした。
 それは、ゆたかがみなみに与えてくれた感情だ。
 その感情を想うことで、みなみはようやく『水の戯れ』を自家薬籠中の物とすることができた。
そんな感情だ。

 ――言葉にするならば。

 それはきっと“優しさ”と呼ばれるものかもしれないと、みなみは思う。


§5

「……そう。みなみちゃんは、みなみちゃんが弾くには難しい曲に挑戦してるんだね」
 どこからどう説明したらいいかわからなかったので。
 最初から全部を話した。そうしたら、お昼休みをまるまる使うことになってしまった。
それでもちゃんと全部伝わっているのかどうか、みなみはまるで自信がなかった。
 案の定、田村ひよりはなんだかぴんとこないような表情をしている。その横で、
パトリシア=マーティンはひたすらにこにこと笑っていた。これは多分、日本語がわからなくて
ごまかしているときの笑顔だ。今までの長い付き合いで、みなみにもそれはわかっていた。
 ひよりはともかく、パティには伝わらなくても仕方ないのかな、と思う。ただでさえ支離滅裂な
自分の話が、言語の壁を越えられるとはまるで思っていなかった。
 みなみは、喋るのが苦手なのだ。
 少なくともピアノを弾くことよりは、随分と。
 それでも、ゆたかはそんなみなみの話を十分理解しているようだった。
「えっとね。演奏って、ただ音を出せばいいわけじゃなくて、演奏で何を表現するかが大事みたい
なの。それで、みなみちゃんはどう表現すればいいかって、悩んでるんだよね?」
 通訳をするようにひよりとパティに話していたゆたかは、最後に小首を傾げてみなみに
問いかけた。おおむねその通りだったので、みなみはうなずいた。
 うなずいて、そして嬉しかった。
 どんなときでも、たとえ他の誰にも伝わらなくても、ただゆたかにだけは自分の言葉が
伝わるのだ。いや、それは言葉だけではなかった。今朝のように何も云わずに黙然として
いるときも、言葉につまってそれを飲み込んだときも、不思議とゆたかにはみなみの考えて
いることが伝わっているのだった。コンプレックスだった口べたな性格も、ゆたかの前でだけは
それを気にしないでいられる。
 だからみなみは、ゆたかといるとそれだけで幸せになってしまうのだ。
 そして同時に、ずっとそれではいけないのだとも思う。
 みなみは、自分がゆたかを必要としているように、ゆたかも自分を必要としているのだと、
おぼろげながらにわかっている。身体の弱いゆたかにとって、いつでもゆたかのことを
気にかけているみなみの存在は、きっと大きな助けとなっているのだろう。
 そして、そんな風に他人に加護を求めないと生きられない身体に、ゆたかが自己嫌悪の
念を抱いていることも、みなみは気づいている。 みなみに依存せず自分自身の足で歩くこと。
 ゆたかはそれを望んでいるのだとみなみは思う。
 お互いがお互いにないものを持っているがために、みなみはゆたかと深く結びついてしまった
けれど。二人でもたれかかっているだけでは、前に進んで行くことはできない。
 ――だから。
 ――だからみなみは、やはり『熱情』を弾かないといけないと思うのだ。
 ゆたか以外の誰かに聴かせるための、自分自身の曲を弾かないといけない。
 いつでも自分をわかってくれているゆたかに甘えず、他人に伝えられる言葉を手に入れないと
いけない。
 みなみは、そう思っているのだった。
533第二楽章/ラルゴ 5/7:2008/03/29(土) 01:57:14 ID:Va9ADqxi
「おお、なんとなくわかったっスよ! 原作の脚本があって、そこで原作者が表現したいことは
わかるんだけど、自分の表現としてそのシーンを構成した絵が描けない、みたいなことかな?」
「……そう……かな? 漫画のことはわからないけど、多分すごく近いと思う。……演奏は
どっちかっていうと演劇に近いから、楽譜は脚本みたいな感じ……」
「うーん、わかりませんネ。Evangelionに喩えてもらえますカ?」
「“こんなとき、どういう顔したら良いかわからないの”かな? ってパティそれ無茶振りすぎだよ!」
「Oh! つまりミナミがアヤナミに似てるってことですネ、わかります」
「わかってないってば」
「……そんなに」
「え?」
「そんなに私、そのキャラに似ているの……?」
 みなみのその言葉に、ひよりは少しだけ驚いた顔をした。普段みなみがそういう話に乗ってくる
ことは少なくて、ひよりとパティの二人とみなみとゆたかの二人で話していることが多かった。
 せっかく友達になれたのだから、もっともっと仲良くなりたい。 みなみは常々そう思っていたし、
そういうときに自分が取り残されないよう、気を遣って話しかけてくるゆたかにも悪いと思っていた。
 だからたまには、歩みよってみるのもいいと思う。
「似てる似てる、ソックリだヨー。ミナミがアヤナミコスしたら、ウチのお店でもたちまち人気者ですネ!」
「……お、お店……?」
「モチロン、コスプレ喫茶でス。Oh! そうしたら、ワタシとコナタとミナミでunit作りまショウ。
その名も『吸収Girls』デス!」
「……きゅう、しゅう?」
 ぱちくりと瞳を瞬かせながら、ゆたかが不思議そうに訊ねた。
「足して三で割ると意外と平均値だったりするんだヨ」
 得意そうに胸を張りながら、人差し指を左右に振るパティだった。その横で、ひよりが
うんざりした顔をしている。
「パティ、それってもしかしなくても、バストの話……?」
「モチロン?」
 ――歩みよろうとした自分が馬鹿だったのかもしれない。
 あたふたと慌てるゆたかをよそに、みなみは机に突っ伏した。


§6

 荒れ狂え。
 荒れ狂え。
 氷のように冷静沈着に荒れ狂え。
 たぐり寄せるは不安定な第一主題。
 揺れ動く旋律に猛る熱情を重ねていけ。
 引き絞れ。
 引き絞れ。
 益荒男の腕にしなる弓のように引き絞れ。
 展開するは優雅なる狂気、第二主題。
 典雅な調べに身もだえしそうな激情を載せていけ。
 駆けめぐれ。
 駆けめぐれ。
 五線譜の海を、激情を散らして駆けめぐれ。
 指よ、動け。
 心よ、叫べ。
 この鍵盤を叩くために、ただその音を鳴らすために。
 ほら、そこにある。押すべき鍵はそこにある。
 和音。
 和音。
 和音。
 和音。
 和音。
 プレスト。急速に。激甚に。
 たわめきった激情を爆発させて、終末のコーダを――
534第二楽章/ラルゴ 6/7:2008/03/29(土) 01:57:36 ID:Va9ADqxi
 ドゥン、と押し間違えた指が不協和音を奏でて、みなみは動きを止めた。
 はあはあと、荒い息を吐く。心臓の音が、まさにそのプレストのように激しく鳴り響いていた。
 ずるり、と力を抜いて。姿勢良く座っていた腰を前に浅く突き出して、背もたれにもたれかかった。
 天井を見上げて思う。
 ――弾けない。
 みなみは深くため息を吐いた。
 ただスピードを上げて速く弾くのはたやすい。けれどそれでは情感が出せない。
 そして情感のことばかりを考えていると、ミスタッチが多くなる。
 その繰りかえしだった。
 もっとも、みなみはミスタッチそのものはさほど問題視をしているわけではなかった。完璧な
情感を掴めれば、出すべき感情と達成しなければいけない音楽的課題を見極められれば、
あとはひたすらに弾いていけばいいだけだ。反復練習は裏切らない。指に覚えさせてしまえば、
ミスタッチも減っていくだろう。
 問題は、別のところにあった。
 ――どう情感をだしていけばいいか、わからない。
 ためにためて解き放つべき感情が、掴み切れていないのだ。
 コーダにかけて高まっていく感情。山を駆け上がっていくような和音の連打。
 そこまではいい。感情を抑えこんで、身を震わせて駆け上がる。
 だがコーダのプレストに入り、いざためきった激情を発露しようと思っても。
 そこに、爆発させるべき感情が見あたらない。
 持っていると思っていた感情が、抑えこんでいたはずの感情が、実のところただ“感情を抑えこもうと
いう感情”そのものでしかないことに気づくのだ。まるで恋に恋する少女のような、そんな勘違いに。
 曲想は掴めているのだ。そこにどんな感情が必要なのかはわかっている。
 ――熱情。アパショナータ。
 この曲の通称ともなっている、それだった。
 その感情が、心の奥底から湧いてこない。
 元々この“熱情”というタイトルは、ベートーヴェンがつけたものではない。後年の出版商が便宜上
つけたタイトルだったが、それがあまりにもこの曲に溢れる情感を的確に差し表した言葉だったが
ために、以降その名前で呼ばれることになったのだ。
 そして殊更にその熱情で溢れているのが、この第三楽章なのだった。ベートーヴェンは、散歩の途中
ふと思いついた曲想を元に、ピアノにも座らず、演奏者のことなど何一つ考えず、この楽章を書き上げた
のだと聞く。
 ――なんて迷惑な。
 二百年前の作曲者の思いつきで苦労させられなんて、たまったものではない。みなみは心の中で
独りごちた。もっとも、その苦労も半ば以上はみなみの自業自得ではあるのだが。
 そしてなにより、その思いつきこそが正に天才のひらめきであるのだと、この音楽的驚異に充ち満ちた
譜運びが語っているのだから。
 だからみなみは、ピアノの前で探している。
 その感情を、ずっとずっと探している。
 ふと視線を感じたみなみが戸口の方を振り向くと、少しだけあいた扉から、犬のチェリーがのぞき込んでいた。
 その光景に、思わず顔をほころばせるみなみだった。
 頭のいいチェリーは、みなみがピアノ部屋にいるときに、吠えて音楽をかき乱したりはしない。
そっとドアのレバーに手を掛けて、音を出さないようにドアを開けてのぞき込むのだ。別にピアノを
弾いている最中に吠えたことを叱ったわけでもないのに、いつのまにかチェリーはそうするようになっていた。
「ごはんかな?」
 みなみが問いかけると、チェリーは開いたドアから部屋に身体を滑り込ませてきた。そうして、みなみの
足下にちょこんと座り、尻尾を振りながらみなみをみつめるのだった。
「よしよし、いい子いい子。すぐごはんにするからね」
 そう云って頭を撫でると、喜んだ様子でチェリーは辺りをはね回る。
 どんなに煮詰まっているときも、どれだけ落ち込んでいるときも。チェリーの柔らかな毛並みを撫でると、
みなみはいつだって落ち着くことができるのだ。
 だからこの時もみなみは、とことこと後をついてくるチェリーをひきつれて、いつもと同じ様子で
台所に向かった。
 その途中、ふとリビングを覗くと、みなみの母とみゆきの母であるゆかりが楽しそうに談笑をしている
ところにでくわした。
「あら、みなみちゃん、お邪魔してるわね」
 そう云って、ゆかりはにこやかに笑った。
535第二楽章/ラルゴ 7/7:2008/03/29(土) 01:58:01 ID:Va9ADqxi
 会釈を返しながらもみなみは、相変わらずなんて無防備な笑顔をする人なんだろう、と思う。昔から
そうだった。みゆきが段々に複雑で大人びた笑顔を身につけていったのに対して、むしろそうすれば
そうするほど、ゆかりは少女らしくなっていったようにも思える。みなみが子供の頃、思い出の中の
ゆかりは、少なくとも他の大人と同じくらいにはしっかりしていたはずなのに。
 それだけ娘のみゆきが頼れる性格に育っていったということだろうか。あるいはまた単純に、
みなみが成長したことで、周りの大人を自分と同じ目線で見られるようになってきたということ
なのかもしれない。
 それはわからない。
 それはわからないけれど。
 どれだけ子供っぽく見えたとしても、みなみはこのゆかりのことを甘く見たことはなかった。やはり
目上の大人として尊敬しているということもあるし、それよりなにより、この人はにこやかに笑いながら
本質的なことをためらいなくずばりと云ってのける。そういう人なのだと、みなみは常々思っていた。
 そしてその特性は、この時にも遺憾なく発揮されることになるのだった。
「うふふ、ピアノ聴かせてもらっていたわよ。凄いのねみなみちゃん」
「……あ、ありがとうございます」
 いつものように頬を少し赤らめて、丁寧にお辞儀をしたみなみは、その後に続いた言葉に思わず
固まった。
「でも、一生懸命難しい曲を弾いてるみなみちゃんより、『ねこふんじゃった』を弾いてる
みなみちゃんのほうが好きかも」
「――ちょっとゆかちゃん、頑張ってるみなみに対してそれはないわよ」
「えー? 褒めたつもりだったんだけどなぁ。さっきの曲もすごく綺麗だったけど、綺麗で凄いなぁって
思っただけだったのよ。無理しないで楽しそうにピアノ弾いてるみなみちゃんをみてるときは、
私も楽しくなれるもん」
 笑いながらゆかりが云ったその言葉に、みなみは返事をすることができなかった。
 精一杯なんでもないような振りをして。
 精一杯作り笑いを浮かべて。
 精一杯失礼にならないような会釈を返して。
 そうしてその場から逃げ去った。

 チェリーが嬉しそうにごはんを食べる所を見ていると、いつもは心が温かくなるのに。
 その日だけはみなみの心も沈んでいた。
 ―― 一生懸命難しい曲を弾いている。
 ――頑張って弾いている。
 ――綺麗だと思っただけだった。
 それは本人も云っていたように、純粋にねぎらおう、いたわろうとしての発言だったのだろう。
『ねこふんじゃった』を弾いているときのみなみを褒めようとして云った言葉だったのだろう。
 けれどそのねぎらいは、ピアニストとしては聴きたくない言葉なのだった。
 演奏を聴いて、一生懸命ピアノを弾いていると思われるということ。
 それは、感情を、情念を、曲想を、感動を感じさせるべき演奏であるはずなのに、ただ
“ピアノを弾いている”ことしか伝わっていないということを意味していた。
 感情が、まるで伝わっていないのだ。
 ――本当の“熱情”は綺麗で凄いだけの曲では決してないのに。
 その現実に、みなみは力なくピアノにもたれかかった。
「……どうすれば“熱情”を出せるんだろう」
 そんな一人言を口にしたとき、みなみの心の表面に、ようやくその疑問が思い浮かんだのだ。
 ――熱情って一体どういう感情なのだろう。
 それに気がついて、そうしてみなみは青ざめた。
 自分が、そもそも伝えるべき熱情を何も持っていなかったのだと云うことに。
 自分が未だかつて、熱情と呼ばれる物を感じたことがないことに。

 ――ああ、そうか。
 ――それでは、弾けなくて当たり前だ。

 そんな諦観に打ちのめされながら。
 ふと弾いてみた『ねこふんじゃった』は、破鐘が鳴るような音に、みなみには聞こえた
のだった。

(つづく)
53616-187 ◆Del8eQRZLk :2008/03/29(土) 01:58:26 ID:Va9ADqxi
以上です。

あんまり関係ないですけれど、前回みゆきさんが弾いた
『亜麻色の髪の乙女』は島谷ひとみの曲とはタイトルが同じなだけで
全く違う曲です。

うわ、本当に関係なかった。

それではありがとうございました。
537名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 02:20:17 ID:f0X77v9Q
あまり関係ないけど、熱情とか光栄ある孤立とか、なんで日本語訳すると熟語が逆転するのかなぁ

うわ、本当に関係なかった



クーデレがクールの部分について悩むとは・・・GJデス
538名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 02:29:02 ID:IyEPdjaO
>>536
な、んだ・・・これ・・・?
狂おしいような、憤っているような・・・ああわからん、自分が何言いたいのか全然わからん!!
なので、作者のような美しい表現は求めず、馬鹿みたいに、

 す ご か っ た ・ ・ ・                      もうただ圧倒されつつGJですっ
539名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 04:35:41 ID:gu4frCHE
>>536
ありふれた言葉で感想を述べるのには作品に対してあまりにも不躾なのだが…
それでも言わせてもらいたい

GJッ!!
540名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 07:10:13 ID:0TrJtNE+
>>536
ああ、たかがピアノされどピアノ。みなみちゃんの悩みが読んでいるこちらにまで伝わってきました。
弾きこなす鍵は、きっとみなみちゃんの中にあると思うのですが。
とにもかくにもぐっじょぶです。
541名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 07:30:08 ID:/PCpXU90
>>522
GJ!
最初に彼氏の家に、とか言い出した時は驚いたけど、
読み進めていくうちに頬が緩んでいきました!
あぁ、二人とも可愛い…こなたが指を絡めていく様子を想像しただけでニヤニヤが止まらない!

542名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 09:46:56 ID:6ip71q2x
>>536
超GJ!続きにwktk

ピアノ厨から一つ
B#(シ#)=C(ド)
A##(ラ##)=B(シ)
のことなので、よほどのことがない限りクラシック系ピアノ譜では使われません(まあ、特殊表記ってこと。リストやベートーベンのような和音が複雑な作曲家は結構使ってるが…。あくまで特殊表記)。
543名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 10:08:42 ID:esjXp1dJ
むうう、ロゴス(理性→理論)とパトス(感情→表現)がハイレベルで融合している……すげぇっす。



ところで、SS職人各位へ情報です。
今月号のコンプエースにて、高良みゆきに対する呼称の変化が確認されました。
春日部……もとい、日下部みさおは「眼鏡ちゃん」、
蜂岸……もとい、峰岸あやのは「高良ちゃん」と呼称しています。

柊かがみの『これから本格的に受験かと思うと――』という台詞があることから、時期は受験直前(三年の冬頃)のようです。
原作においては、「この時期に呼称が変わった」という可能性があります。

SSにリアリティを求めた場合、時系列による呼称の変化を考慮・再現する必要がある、ということになりますが、
今後、時間のループや時系列戻しが発生した場合、これらの呼称がまた元に戻るのかは不明です。

逆の解釈をすれば、作品内において呼称が変化していることから、呼称についてはさほど厳格な運用にこだわらなくても
よいのではないか、とも言えるかと思います。
言い方を変えれば、親密度の状態を表すために、あえて呼称の変化を利用するという技法も有用かと考えられます。

以上、情報でした。
544名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 10:27:52 ID:fHxb4Cnf
>>536
GJ!まさか3部構成だったとは……でも考えて見ればそのほうが自然か

* * *

>>535
ふと弾いて見たねこふんじゃった……
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1305718
「み!みなみちゃん!それ絶対踏み殺してるからっ!!」

* * *

「にゅっふっふ、それでは私もピアノを披露しますか(=ω=.)」
「え……こなた……あんたピアノなんてできたっけ?」
「こう見えても趣味範囲は広いんですよかがみんや」

〜演奏

「な……に……泉先輩が……こんな技巧を持ってるなんて……
 それにしても何……この曲……ラフマニノフ?聞いた事……ない……」
「あ、みなみちゃん知らなかったっけ?これ楽譜」








〜ピアノ協奏曲第1番「蠍火」

「あ〜……だりいから突っ込まなくてもいい?('A`)」
545 ◆Del8eQRZLk :2008/03/29(土) 10:30:42 ID:Va9ADqxi
いろいろありがとうございます。

>>542
そういう突っ込みが欲しかったのです、本当ありがとうございます、
っていうか本職さんに読まれてると思うとガクブルです
特殊な調性以外では、基本♯や♭は使わない、という認識で大丈夫ですか?
546名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 10:47:20 ID:LJi0pcPy
>>545
ド素人ですが変わってお答え。

>>542が出したのは、シャープやフラットの用法の中では特殊な例なのです。
基本的には、EとBのシャープ、FとCのフラット、それからシャープやフラットが2重についてるのは
特殊な用法だ、くらいに覚えておけばいいのではないでしょうか。

それ以外は普通に使われますのでご心配なく。
547 ◆Del8eQRZLk :2008/03/29(土) 11:02:54 ID:Va9ADqxi
む、むう、なるほど……
と、とりあえずあの場面は、正式な譜じゃなくて、
みなみがそんな感じで聞こえたんじゃないかな? 的な?
ところなので一応ママにしておこうかな、と思います(自戒の念もこめて)。

ありがとうございました。
548名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 13:40:56 ID:Xi+ryeFD
>>547
乙でしたー。音楽やってる人間としては、表現の難しさに四苦八苦するあの感じが現れてて素敵だと思いました。
じゃあ突っ込みなぞを。

B#(シ#)=C(ド)
A##(ラ##)=B(シ)
の件ですが、こういう表記を使うのは調号(楽譜の一番左にある♯や♭)や同じ小節内の臨時記号が被ってる場合です。
例えばド→ド♯という進行をしたい時に、同じドに♯がついてるか否かで判別するのは難しいですが、
シ♯→ド♯と書けば、音が上行しているのが直感的にわかり、見た目もすっきりとします。
ラのダブルシャープも同様に、同じ小節内にシ♯がある場合に使用します。(本当は調性云々の話が絡むので、一概には言えないのですが)

で、『熱情』の場合、ヘ短調なので調号は♭が4つ。つまり、曲中では転調しない限り、
同じ音(例えばシ♭=ラ♯)を表現するにも♯より♭の方が多く使われます。(ド♭=シや、シ♭♭=ラなど)
楽譜を見ていないので♯が使われてる場所もあるのかもしれませんが、一応念の為。

あと、クラシック畑だとドレミファソラシド=CDEFGAHC、H♭=Bというドイツ式の音を使うことが多いので、
音名で「B」とだけ書く場合はお気をつけて。B♯やB♭と書いている分には問題は無いかと思います。
以上、長々と無粋なツッコミを失礼致しました。
549名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 14:43:42 ID:F+1eu+kz
音楽サッパリの俺涙目w
550名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 15:16:51 ID:bw4dgZRh
>>543
あれ、あやのがみゆきを呼ぶときって前から高良ちゃんじゃなかったっけ?
確か4巻あたり?
551名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 15:41:57 ID:nAKCBPIg
552名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 21:23:07 ID:GvH6PKEn
>>543
>柊かがみの『これから本格的に受験かと思うと――』という台詞があることから、時期は受験直前(三年の冬頃)のようです。
>原作においては、「この時期に呼称が変わった」という可能性があります。

大学受験は2月から3月初旬にかけて。
花粉症の話をしていることから、2年の3月という可能性がある。
553名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 21:41:43 ID:luw8KWK3
>>536
GJ !!!
本当に音楽の知識乏しいのか? めっちゃ詳しそうに思えた
熱いハートを知らないクールな彼女がどうやって情熱を獲得するに至るのか楽しみです !
554名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 01:21:41 ID:ugWvuz9r
>>552
なるほど……「これから」というのは「これから3年」とも取れるわけですな。
ただそうなると、今度はみさきちやあやのんとの会話に、こなたやみゆきさんが仲良く絡んでいることが問題になってくるわけで……
55523-251 ◆5xcwYYpqtk :2008/03/30(日) 01:30:24 ID:vyozDCFr
こんばんは。準備されている方がいなければ、投下させていただきます。

「危険な関係 第9話」

・こなた、ゆたか、みなみ

注意事項 (※甘々な要素は一切ありません)

・エロあり
・陵辱要素あり
・SM要素あり
・ダーク
・シリアス

・こなた注意
・ゆーちゃん注意
556危険な関係 第9話 1/9:2008/03/30(日) 01:33:38 ID:vyozDCFr
 9.

 連休明けの昼休み。

 私は、1年D組の教室の扉を開けた。
「ゆーちゃん。お昼ごはん食べよう」
 私が誘うと、隅の方の席でノートを片付けている、小柄な女の子が振り向いて頷く。
「うん。こなたお姉ちゃん」
 ゆーちゃんは、嬉しそうな顔を浮かべて、私の傍に歩み寄ってくる。

「泉先輩、一昨日はどうも」
 田村ひよりちゃんも、まさか京都で開かれた同人誌即売会に、私とゆーちゃんが来るなんて
想像もしていなかったと言いながら、少し恥ずかしそうに声をかけてくる。

「新作、とってもエロかったよ。ひよりん」
 ひよりんの耳元で、私は悪戯そうに囁いてみる。
「恥ずかしいっスよ」
 顔を真っ赤にして視線を逸らしている様子は、なかなか可愛らしい。

「ゆーちゃんを借りていくからね」
「あっ、はい」
 私は軽く微笑んでから、ゆーちゃんの手を握り締めた。
「お、お姉ちゃん、恥ずかしいよう」
 多人数のクラスメイトの視線が気になったのか、ゆーちゃんは頬を紅くして俯いている。

 しかし、傍にいるひよりんにとっては、垂涎ものの情景だったようで、
「いいっス、恥らって頬を染める小早川さん、マニアにはたまらないっス」
と、危ない妄想世界に、意識を飛ばしてしまっていた。
 私は、迷えるふじょしに生暖かい視線を送ってから、教室を後にした。

「ゆーちゃん。どこで食べようかな」
「うーん。どうしよう」
 しばらく、ゆーちゃんは首を傾けながら真剣に考えてから言った。
「こなたお姉ちゃん。屋上はどう? 」
 私は、ちらりと背後に視線を送ってから笑顔で頷いた。
「うん。いいよ」
「ありがとう。こなたお姉ちゃん」
 私たちは、屋上に繋がる階段に続く廊下を歩き始めた。しかし――
557危険な関係 第9話 2/9:2008/03/30(日) 01:34:17 ID:vyozDCFr
(全く、お暇なことだね)
 私は、深いため息をついた。私達の後をつけてきている女子生徒がいたからだ。
 彼女は、背は高めで、髪は短く、切れ目が印象的なかなりの美人だけど、とても怖い顔つきをしている。

(そろそろ、終止符を打たないといけない…… かな)

―― 私は、今まで自分の身の回りに起こった問題を、ことごとく後回しにしていた。
 確かに、みんなに良い顔をすれば、その場は平穏に取り繕うことができる。
 しかし、根本的な問題からは、いつまでも逃れることはできない。
 最後には、私も、相手も深く傷を負ってしまう。
 だから、決着を早くつけなければならないのだ ――

 私は、あからさまな尾行にも関わらず、敢えて気がつかないフリをして、屋上へと続く扉を開ける。
 眩いばかりの日差しは穏やかに降り注ぎ、雲ひとつない空はどこまでも蒼かった。
 屋上の隅に備え付けられている、古いベンチに座って昼食をとることにする。

 今日は、食事当番のゆーちゃんが作ってくれている。
 ミートボールと玉子焼きとほうれん草のおひたし、そして、ウサギのりんごという可愛らしい取り合わせだ。
 お弁当を食べながら雑談をしているけど、やっぱり可愛いな、と頬がゆるんでしまう。

 ゆーちゃんは、小柄で可愛らしく、病弱で妹属性と、あらゆる萌えのカタマリだ。
 でも、彼女の魅力は属性だけではなくて、とても頭が良いことや、謙虚で控えめながら、
決して消極的ではない点も魅力だった。
 何より、話していて嫌な思いをしたことなんて一度たりともなかった。

 ゆーちゃんに、爪楊枝でさしたりんごを食べさせてもらいながらも、屋上の入り口から注意を離すことはしない。
 尾行してきた生徒の姿は、今だに監視をやめていないのだ。

 全くご苦労様な事である。
(せっかく来てくれるのだから、手ぶらで帰ってもらうのも悪いかな…… )
558危険な関係 第9話 3/9:2008/03/30(日) 01:34:52 ID:vyozDCFr
 私があれこれと考えていると、弁当を食べ終わったゆーちゃんが、制服の裾をつまんだ。
「こなたお姉ちゃん…… 」
 ゆーちゃんは、鈴の鳴るような声で言葉を続ける。
「あの、キスして欲しいの」
 少しだけ苦笑して、ゆーちゃんの頭を撫でながら答えた。
「でも、誰かに見られちゃうかもしれないよ…… 」
 ちらりと入り口をみながら、私は言った。

「ううん。それでもいいから…… キスしたい」
 ゆーちゃんが瞼を閉じて、唇を上にむけてきた。
 あまりにも可愛くて、しっかりと抱きしめて、ごろごろと転がってしまいたくなる。

「分かったよ…… 」
 ついにあきらめて、私はゆーちゃんの可憐な唇に吸い付いた。背中に手をまわしてぎゅっと抱きしめる。
「お、おねえちゃ…… んくぅ」
 私は、ゆーちゃんの口腔内に舌を割り込ませた。
「くぅん…… んっ」
 私の舌がゆーちゃんの舌と絡み合い、ちいさな吐息が外に漏れる。
「わ、私…… んあっ」
 唇の端からは唾液がとろりとたれて、制服にはしたない染みをつくる。

 気分が出てきて、ゆーちゃんのセーラー服を脱がしにかかった時、入り口の影から
覗き見していた女の子が、猛然と駆け寄ってきた。

「泉先輩! ゆたかを惑わせないでください」
 私たちを尾行していた少女―― 岩崎みなみちゃんが鋭く叫ぶ。
 あっという間に数歩の距離まで迫り、まるで親の仇に向けるような目で睨みつけてくる。
「み、みなみちゃん? 」
「ゆたか、泉先輩から離れて…… 」
 みなみちゃんは激しい怒りに身体を震わせながら、私とゆーちゃんの間に割り込み、強引に引き離しにかかる。
 しかし、私は彼女の手を払いのけた。
 そして、破局を招いてしまうような危険すぎる言葉を放った。

「余計なお世話だよ。みなみちゃん」
559危険な関係 第9話 4/9:2008/03/30(日) 01:35:33 ID:vyozDCFr
「なっ」
 みなみちゃんの顔が蒼白になる。
「わざわざ屋上までつきまとって、挙句の果てには『離れて』って、どこまで自分勝手なのかな? 」

 私は冷ややかに言ってから、ゆーちゃんを背後に隠すようにして、立ちはだかる。
「よくそんなことが言えますね。ゆたかを、散々誘惑しておいて」
 みなみちゃんの拳は、怒りで小刻みに震えている。
「み、みなみちゃん。やめようよ…… 」
 後ろから、ゆーちゃんが不安げな声をあげる。
「そうだよ。みなみちゃん。ゆーちゃんを不安にさせるようなことは言わない欲しいな」

 私は相当に性質が悪いのだろう。
 相手が何を言えば一番怒り出すか分かっていて、それを言うのだから。

「絶対に許せません…… 」
 案の激昂したみなみちゃんが腕を振り上げるが、想定内の事態である。
 私は素早く反応して、振り下ろされる腕を掴み、逆に足払いをかける。
「痛っ…… 」
 みなみちゃんの悲鳴があがった。
 コンクリートにしたたかにお尻を打ちつけて、秀麗な顔が歪んでいる。

「ゆーちゃん! 」
 私は鋭い声をあげて、従姉妹の名前を呼んだ。
「う、うん」
 流石はゆーちゃん。私の意図をきちんと読み取ってくれたようだ。
 立ち上がろうともがくみなみちゃんの後ろに回り、両腕を掴んでしまう。
「ゆ、ゆたか? 」
 みなみちゃんは、信じられないという表情に変わっている。

「ごめんね。みなみちゃん」
 私は、呆然としている少女の隙を逃さず、覆いかぶさるようにして身体の動きを封じる。
 それから、制服から抜き取ったスカーフを、ゆーちゃんに渡した。
560危険な関係 第9話 5/9:2008/03/30(日) 01:36:13 ID:vyozDCFr
「これで、みなみちゃんの手を縛ってね」
「うん。こなたお姉ちゃん」
 ゆーちゃんは、みなみちゃんの手首を後ろに回して、丁寧に縛っていく。
「ゆたか…… やめて」
 みなみちゃんは擦れた声をあげて抗った。
 しかし、ゆーちゃんが、私の指示通りに行動している事が余程ショックだったのか、
肝心の物理的な抵抗は微弱だった。
 あっという間に、みなみちゃんの両手と両足は固く縛られて、行動の自由を完全に喪失する。

「拘束されたみなみちゃんも、綺麗だね」
 芋虫のように転がされているみなみちゃんは、人を殺せそうな視線で睨みつけて叫ぶ。

「泉先輩。最低! 」
 みなみちゃんの罵倒にぞくぞくしてしまう私は、もしかしたらエムなのかもしれない。
「おー 怖い怖い」
 肩を少しだけ竦めておどけてから、身動きがとれない少女の唇を奪いにかかる。
「嫌ですっ、やめてくださいっ」
 みなみちゃんの瞳の色は、嫌悪に染まっている。
 じたばたしながら懸命に顔を背けるけど、所詮、手首と足首を縛られていては何もできない。
 私は、みなみちゃんの首の後ろに手を回して動きを封じると、あっさりと唇に触れた。

「んむっ」
 みなみちゃんの唇は柔らかいけれど、少し乾いている。
 もっと深いキスを味わいたいけど、今の段階では舌を噛み切られてしまいそうだ。

「ゆーちゃん」
「なあに? こなたお姉ちゃん」
 ゆーちゃんの大きな瞳は、興奮の為か、微かに潤んでいる。
「みなみちゃんを、気持ち良くしてくれるかな? 」
 私が言うと、ゆーちゃんは少し戸惑いながら反問する。
「本当にいいの? おねえちゃん」

 私の事を気遣ってくれている。本当にいい子だ。
「ううん。私のことはいいから」
「わかったよ。こなたお姉ちゃん」
 ゆーちゃんは歌うように頷いて、みなみちゃんのスカートのホックを外してしまう。
561危険な関係 第9話 6/9:2008/03/30(日) 01:36:59 ID:vyozDCFr
「ゆたか! 変な事しないで! 」
 みなみちゃんの悲鳴が屋上に響き渡る。
「いいからいいから」
 ゆーちゃんは天使のような微笑を浮かべながら、スカートをあっさりと脱がした。
 引き締まった太腿と、赤い小さなリボンが付いたショーツが、白日の下に晒される。
「嫌、やめてっ、ゆたかっ」
 双眸から涙を溢れさせながら、少女は悲痛な声をあげている。

「みなみちゃん。凄く可愛い下着をつけているんだね」
 ゆーちゃんは、生き生きした表情で、クラスメイトの下着を論評している。
「言わないで…… 」
 一方、私は、羞恥に悶えているみなみちゃんの後ろにまわって、関東平野のような胸と、
小さな突起を撫で回しながら、耳元で囁いた。

「みなみちゃんって、本当に胸がないねえ」
 胸ぺったんガールズの中でも、微かなふくらみがある私やゆーちゃんとも異なり、完全な平らである。
「余計なことを言わないでください」
 鷹のような鋭い視線で、ギロリと睨み付けられる。
 いくらなんでも、ゆーちゃんとは、扱いに差がありすぎると思うなあ。

「みなみちゃん。胸は他人に揉んでもらえば大きくなるそうだよ」
 私は含み笑いを漏らしながら、制服の裾から手をもぐりこませて、胸への愛撫を始めている。
「いやらしい事、やめてください」
 みなみちゃんが身体を捻って逃れようとするけど、四肢を拘束されているため、効果は無きに等しい。
「ふふ。みなみちゃん。抵抗が可愛いね」
「このっ…… 変態っ」
 ものすごい言われようである。
 しかし最近は、こういう役回りも悪くないと思うようになっており、少なくとも天国には行けそうにはなかった。

 ゆーちゃんは、既にみなみちゃんの白い下着の上に、舌を使った愛撫をはじめている。
「いや…… やめて、ゆたか! 」
 切なそうな悲鳴をあげて、這いずり回る舌端から逃れようともがく。
「逃げちゃ駄目だよ。みなみちゃん」
 悪戯そうに微笑みながら、みなみちゃんの太腿を押さえつけて、淫らな刺激を続けていく。
「ふあ…… ん…… や、やだ」
「みなみちゃん。もうぐっしょりだよ」
「ば、ばか…… 」
 みなみちゃんの声は、どこか甘ったるいものに変わっていた。
562危険な関係 第9話 7/9:2008/03/30(日) 01:37:43 ID:vyozDCFr
「ゆーちゃん。もうそろそろ、下着を脱がしてあげないとね」
 みなみちゃんの下着は、同級生の執拗な愛撫によってすっかりと濡れてしまっている。

「そうだね。お姉ちゃん。みなみちゃんが風邪ひいちゃうね」
 ゆーちゃんはにっこりと笑って、ずいぶんと濡れてしまった下着に両手を伸ばす。
「嫌、ゆたか、それはやめてっ! 」
 顔色を変えたみなみちゃんは、必死でゆーちゃんの魔手から逃れようとする。
 しかし、私がみなみちゃんの二つの乳首をぎゅっと抓ると、
「ひゃん」
と、裏返った声をあげて抵抗をやめてしまう。

「やめてください! 」
 私の瞳を睨みつけるが、その隙に、ゆーちゃんが下着を一気に脱がしてしまう。
「ゆたかっ、駄目、ダメっ! 」
 顔を真っ赤にしているみなみちゃんは、とても美しくて、ぞくぞくしてしまう。
「みなみちゃんはとても綺麗だね」
「私、そんなこと…… んあ」
 同級生に恥ずかしい部分を舐められて、みなみちゃんの身体が跳ねる。
「みなみちゃん。すごいね。お汁いっぱい溢れているよ」
 ゆーちゃんは興奮した声をあげながら、秘所から溢れた蜜を丹念に舐め取っていく。

「ん…… くちゅ、ちゅぱっ…… 」
 ゆーちゃんが、みなみちゃんのアソコを吸い取っている音が、とても淫らに聞こえてくる。
 小春日和ともいえる、晩秋の穏やかな日差しが降り注ぐ昼休みの屋上で、
女子高生3名は淫らな行為に耽っているところを、日照り続きの黒井先生が聞いたら卒倒するかもしれない。

「んはっ…… ゆたか、気持ち…… んくぅ」
 ゆーちゃんの舌は、恥毛に覆われた割れ目を掻きわけていく。
 間もなく、奥に潜んだ突起を見つけて、ゆっくりと丁寧に揉みほぐしていく。
「あっ、だめ、んああ、くぅ」
 短い呼吸音と、嬌声を交互に漏らしながら、みなみちゃんは唇から唾液を溢れさせてよがりまくっている。
563危険な関係 第9話 8/9:2008/03/30(日) 01:38:22 ID:vyozDCFr
「みなみちゃん…… そろそろいいよね」
 私は、みなみちゃんの耳元で囁いた。
 乳首もアソコも十二分にほぐしてあげたから、そろそろ深いキスを受け入れて貰わなければならない。
「イヤ、いや…… です」
 度重なる愛撫によって、みなみちゃんの抵抗は既に微弱になっており、喘ぎ声をあげて
開いている口に舌を押し込めると、あっさりと受け入れてくれた。

「んぐぅ…… んむぅ」
 私は、みなみちゃんの口内を、ゆっくりとかき回す。
 舌や唾液や口腔内の粘膜を、あますところ無く舐め取っていく。
「くぅ…… やっ、んあ、くぅ、くちゅ…… 」
 みなみちゃんの、途切れ途切れにあがる悲鳴によって、劣情を催したのは私だけではない。
「みなみちゃんのお豆さん。とっても大きくなったよ」
「んぐう!」
 ゆーちゃんの刺激的な物言いに、みなみちゃんの顔は羞恥で真っ赤に染まり、悲痛な叫び声があがる。

「みなみちゃん。もっと気持ちよくさせてあげるね」
「んぐ、んんっ! んむうぅ!」
 身体の奥に強烈な刺激を受け、激しく被りを振って、果てしない快楽から逃れようとする。
 しかし、ゆーちゃんはしっかりと身体を押さえ込んで離さない。
「ん、くちゅっ、んあっ、やっ、ふあっ」
 みなみちゃんは、悲鳴なのか、喘ぎ声なのか分からない声をあげて、身体をくねらせながら、
悦楽の高みを目指して駆け上がっていく。

「みなみちゃん…… おもいっきりイッていいからね」
 私は舌を、みなみちゃんの唇から離して、耳たぶを噛みながら囁いた。
「だめっ、ゆたか、もう、私、わたし! 」
 みなみちゃんは、アソコから愛液を漏らしながら、大声で叫んでいる。
「みなみちゃん、我慢しなくていいよ」
 クリと膣壁を交互に刺激しながら、ゆーちゃんは愉しそうに言葉を紡いでいく。

「あっ、んあ、や、いや…… もう、だめ、だめっ」
 みなみちゃんは、制服を乱しながら、いやらしく身体をくねらせ続ける。
「みなみちゃん。いっちゃえ」
 ゆーちゃんが鋭く叫んで、更に激しい愛撫を加えて――
「あっ、わたし、んあ、ああっ、ああああっ! 」
 一際、大きな悲鳴を放って、みなみちゃんは身体を弓のようにのけぞらした。
564危険な関係 第9話 9/9:2008/03/30(日) 01:39:25 ID:vyozDCFr
「はぁ、はぁ」
 拘束を解かれたみなみちゃんは、荒い息をつきながら、火照った身体を横たえている。
「私、もう…… 」
 彼女の額からは、玉のような汗が噴き出している。
「みなみちゃん。とても可愛かったよ」
 私は微笑みながら、みなみちゃんの唇にキスをする。
 彼女は放心してしまっており、私のなすがままになっていた。
「みなみちゃんばっかり、ずるいな」
 ゆーちゃんが物欲しそうに、唇に指をあててながら呟いている。
「後でたっぷり可愛がってあげるからね」
 私の言葉に、ゆーちゃんが満面の笑みを浮かべたところで、予鈴が学校中に響き渡った。

「そろそろ戻らなくっちゃね」
 私は、ゆーちゃんを促した。
 みなみちゃんは、のろのろと起き上がって、足元に転がっている下着を掴む。
 愛液でぐっしょりと濡れている下着を、ため息をつきながら穿いている少女に向けて、
私ははっきりと言った。

「ゆーちゃんは私のモノだから」
「は…… はい」
 哀しそうな瞳を見せて俯いたみなみちゃんに、優しい声を出してつけ加える。
「でも、時々でいいなら、一緒にしようね」
「え、あ、ありがとう…… ございます」

 ゆーちゃんも、普段と変わらない笑顔をみせている。
「みなみちゃんは、とっても大切な親友だよ」
「そ、そうだね。ゆたかは親友だ…… ね」 
 疲れきった表情をしていたみなみちゃんは、ようやく微かに口元をほころばせた。
56523-251 ◆5xcwYYpqtk :2008/03/30(日) 01:45:13 ID:vyozDCFr
続きます。
えっと、感動長編作品が連なる中、救いもへったくれもない、欲情丸出しの話を書いていていいのか、
激しく自問自答してしまいますが、結局のところは、書けるものしか書けないということでありましょう。
みなみ編はこれにて一応決着がつき、話はツンデレ少女を巡る関係に絞られます。
それでは。
566名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 02:09:32 ID:7LKERdCL
GJ
鬼畜エロおいしいよエロエロ
567名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 02:10:57 ID:k5k8Y+ZD
いや、こういう話があるとエロが(も)書けない俺としては安心するので無問題。


というかどんどんアレな方向に転がって行きますねー。
Nice boatに乗っちゃうのは、ゆーちゃんかかがみかはたまたつかさか。
それともこなたを中心に、ずるずるとただれた相姦図を描いてしまうのか。
GJしつつ、続きをお待ちしています。
568名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 02:28:29 ID:FXb/ygk0
>>565
GJ!
これさ・・・たしかにかがみとみなみをなんとかしなければ・・・っていったけど






なんとか、なってませんから!!
しっかり、泥沼ですから!!
いやはや、こなた×ゆたかは
どこをどうころんでも、泥沼にしかなりえない、ってことが
あなたの作品をみてよーけわかりましたwww
この昼ドラNiceBoatの結末、しかと見届けさせていただきますwwwww
569久留里:2008/03/30(日) 02:33:20 ID:tx2gpqqs
大変お待たせ致しました。遅れておりました列車の到着です。

『カケラ』20+間
・かがみ視点 / 第三者視点
・エロ無し
・6レスほど使用
・シリアス/タイムリープ/平行世界/鬱展開
・オリジナル設定が多いのは仕様です。
・物語の性格上、鉄分が濃いです。
・架空の町が登場します。

※途中で投下出来なかった場合は、保管庫へ直接投下致します。
570カケラ 20-1/5:2008/03/30(日) 02:33:52 ID:tx2gpqqs
『ご乗車有り難う御座いました〜、姫路〜姫路〜です。
 相生・上郡方面は7番のりばへおまわりください』

ぐっすり眠っていたせいか、目を覚ました時は、ちょうど列車が終着駅に到着して殆どの乗客が降りた頃だった。
姫路駅を降りた私は、向かいのホームに停まっている岡山行きの普通列車に乗り換えて、相生駅まで行く。
この列車に乗る時、はじめは「ラッキー」と思っていたんだけど、手持ちの乗車券は生憎赤穂線経由。
車内精算も考えたけど、『星のカケラ』の件もあったので、結局乗車券の通りに乗る事にした。
ていうか、素直に私を山陽本線に乗せなさいよ。面倒くさいったらありゃしない。

雪色の空はだいぶ明るさを落としており、今はシルバーグレーに染まっている。
今にも雪が降り出しそうな天気だった。
暖房はそこそこ効いてはいるが、如何せん普通列車なので駅に着く度に片側3箇所の扉が全部開くので、
折角暖まった車内も一気に冷えてしまう。

竜野駅を過ぎたあたりから粉雪が本格的な雪に変わった頃、4両編成の列車はゆっくりと相生駅に到着した。
陽は既に沈んでいるが、ホームから見える市街地はうっすらと雪化粧している事は確認出来た。

『相生〜、相生〜。新幹線、赤穂線はお乗り換えです』

「うわっ、寒っ」
暖房もロクに効かない車内に居たせいで、身体も相当冷えていたのだろう。
ガクガクと身体を震わせながら、私はトートバッグと紙袋を持って跨線橋を渡り、
2番のりばへと向かう。あまりにも寒いので売店で缶コーヒーを買い、待合室で飲みながら列車の到着を待つ。
「よう、目は醒めたか? 眠れる森の美女・ヒーラギカガミ?」
「まぁね。まだちょっと眠いけど」
『時の流れを司るモノ』と自称した、お喋りなペンダント。
いちいち私に変な称号を付けるコイツは、相も変わらずこんな調子だ。
気付けば、私もコイツとのやりとりに大夫慣れてしまっている。
「何なら俺様が一発で醒まさせてやろっか? ヒヒッ」
「遠慮しとく。どうせ身体に電気を流すとか、そんなもんでしょ?」
「残念。俺は電気は使えねぇんだ。炎なら使えるぜ?」
ちょ、それ何て『天○の劫火』?
「断る。こんな所で黒焦げにはなりたくないわ」
「そりゃ残念だな」
「ていうか、アンタ、RPGで言えば炎属性もあるってワケ?」
「そのRPGとやらがどういうものかは知らんが、当たりだ。
 おめーのハートも燃やしちまおっか? ヒヒッ」
「アホか」
「まぁ、見たきゃ何時でも見せてやんぜ? 暖房代わりにはなるぜ? ヒッヒッ」
それを聞いてこいつで暖をとる事を一瞬思いついたが、待合室が火事になりかねないので、
口に出す前に脳内で却下した。話題を変えてみる。
「ところで、『気配』は感じる?」
「あー、まだ分かんねぇな。ま、感じたらその時に教えてやっからよ?」
「なるべく近くの駅で降りられる様にしてよね?」
「おうよ、任せとけ!」
こんなやりとりを続けていると、列車の到着アナウンスが流れ、
ホームの向こうからヘッドライトの光が差し込んできた。
色はまたしてもオレンジと緑だが、今まで乗ってきたやつよりもずっと古い型の様で、
車体はボロボロ。
形は何となく京王井の頭線の古いやつに似ている様な似ていない様な……。
571カケラ 20-2/5:2008/03/30(日) 02:34:16 ID:tx2gpqqs
『終点〜相生〜相生〜。新幹線と山陽本線はお乗り換えです。
 この列車は赤穂線、岡山行き普通列車です』

オレンジのトートバッグと紙袋を持って車内に乗り込む。
座席のフレームと壁は本物の木が使われているレトロな電車で、網棚も文字通りの「網棚」である。
天井には扇風機が整然と並んでおり、その両側には如何にも「後から付けました」的な蛍光灯が
これまた整然と並べられている。
座席はこの時代を基準にしても明らかに小さく、背中が当たる部分は布が貼ってあるだけでクッションが無い。
小さなスピーカからは放送が流れている様だが、音質も音量も足りないので何を言っているのかさっぱり分からない。
ただ、何処からか漂ってくるニスの臭いは、何となく鷲宮神社の本殿のそれを思い出させ、
何処か懐かしさを覚える。
飛ばされてもうすぐ24時間が経過しようとしているが、私はこの時代に何日も滞在しているような気がする。
それくらい、『こちら』では色々な事があった。

『播州赤穂経由の岡山行きです。まもなく発車します。
 扉が閉まりますのでご注意下さい。』

笛がホームに鳴り響き、扉が閉まる。
赤穂線岡山行き普通列車は定刻通りに発車した。

ガクンという大きな衝動と共に、ゆっくりとホームを離れる。
ガラガラとけたたましい騒音が車内に響く。何処かで聞いた事があると思ったら、
たまーに走っていた、東武野田線の旧型電車と同じ音だった。
という事は、この電車はいわゆる「ツリカケ電車」という事か。
鉄道趣味の無い私が何故「ツリカケ電車」を知っているのかというと、
以前、みゆきが何処からか得た知識を耳にしたからだ。
「ツリカケ」というのは電車のモータを動かす方式の事らしく、構造上、どうしても音が五月蠅くなるそうだ。
現在(2007年)ではこの方式を使う電車は殆ど無く、
例外としてJRの機関車だけが、新型でもツリカケ駆動を採用しているそうだ。
それにしても、みゆきの説明はやたらと詳しかったのだが、もしかしたら彼女は『そちら』の住人なのだろうか。

「みゆき、かぁ」
「どうした?」
「───ちょっと思い出しただけ」
『現代』では、みんな何をしているのだろうか?
みゆきや日下部、峰岸は今、何をしているのだろう?
お母さんやお父さん、いのり姉さんや意地悪なまつり姉さん、そして、つかさ………。
みんな、何をしているのだろうか。
572カケラ 20-3/5:2008/03/30(日) 02:34:46 ID:tx2gpqqs
つかさ────。
18年間共に過ごした、双子の妹。
七夕の日に生まれた、双子の妹。
双子なのに、顔も性格も全く異なる、双子の妹。
私を「お姉ちゃん」と呼んで慕ってくれる、双子の妹。
私といつも一緒の、双子の妹。

そして、私がそれまでとは違う「好意」を抱いてしまった、双子の妹。

あれは高校2年の秋、今(現代)から1年と少し前の頃だろうか。
つかさに好きな人が出来た事を知って、私はショックを受けた。
しかし、そのショックはつかさに先を越された悔しさから来るものではなかった。
つかさが、自分以外の人に好意を抱いた事から来たものだった。
しかも、その相手は男ではなく、同じクラスの『女の子』だった。
始め、自分が何故ショックを受けたのか分からなかった。
性格柄隠し事が出来ないつかさでも、『彼女』の話は私以外に話すことは全く無かった。
ある時は私に相談を持ちかけ、ある時は楽しそうに彼女の事を話す。
それが正直、辛かった。
でも、私はその気持ちを表に出す事はなかった。
そうする事によって、つかさを傷付けたく無かったから。
つかさに、嫌われたくなかったから。

秋も終わりに近付いた、ある日の事だった。
私はみゆきのアドバイスを受けて、遂につかさに今の気持ちを伝える事に決めた。
「好き」という気持ちを伝えるだけ。それでいいんだ。
放課後、約束通りつかさは屋上に姿を現した。
私は意を決して想いを伝えた。
『好きです』と。
つかさはにっこりと、しかし寂しげに笑って、こう答えた。
『私もお姉ちゃんの事は誰よりも好きだけど、そういう意味での好きな気持ちにはなれない』
つかさらしい、尤もな答えだった。
その答えを得た私は、それほどショックを受けなかった。
分かっていたことだから。
もしダメだとしても、今まで通り『双子の妹』として接すればそれで良かったのだから。
だが、つかさはさらに言葉を続けた。全く予想していなかった。

『────ちゃん、お姉ちゃんの事、好きなんだって』

つかさは秋時雨の様に冷たい涙を流しながら、そう言った。
つかさが想いを寄せていた『彼女』は、私に想いを抱いているのだという。
私に色々と構ってきたアイツの事だ。そうか、今までのアレは、そういう事だったのか……。
─────ちょっと待って。
私は『彼女』を『知らない』筈なのに、何でそんな事を覚えているの?
あれ? 私、寝惚けている? 頭おかしくなっちゃった?
もしかして、私は『彼女』を『忘れてしまった』の?
いや、そんな事は、無い。無い? 本当? ダメだ。分からなくなってきた。

…………………
…………

573カケラ 20-4/4:2008/03/30(日) 02:35:41 ID:tx2gpqqs
「おい、カガミ、大丈夫か?!」
「??」
あれ? 私、今、何をしていたの?
耳に届いたのは、マルコシアスの声だった。
「顔色悪ぃぞ? 何があった?」
「分からない…………」
「おめーが分からなきゃ、俺に分かる訳がねぇなぁ」
いつもの様にバカマルコが嘲(わら)わない。
「あれ、わ、私……うっ……ど……どうしたの………かな…………、ぐすっ……うっ…」
涙腺が緩み、涙が静かに頬を伝わるのを感じた。
私、泣いてるの? どうして? 何故?

私は非道く混乱していた。
きっと疲れているんだ。はじめはそう思っていた。

『東岡山、東岡山です。山陽本線はお乗り換えです。東岡山を出ますと、次は終点、岡山です』

ぼんやりと浮かぶ外の景色。
車内から漏れる光が反射することで、外は結構積もっている事が分かる。
雪に掻き消されているせいか、耳障りなモータ音もそれほど響かない(結構五月蠅いけど)。
外の景色を眺めているうちに、数本の線路が交錯する。
列車は2度3度揺れて転線し、この深い雪の中、時間通りに岡山駅に到着した。
時計は7時を指していた。
574カケラ 間:2008/03/30(日) 02:39:38 ID:tx2gpqqs
間.

崩壊事故から2日目、否、日付が変わったので3日目、深夜1時。
峰岸あやのは、自室のベッドの中に潜ったまま未だに寝られずにいた。
それは、数時間前に家を出た日下部兄妹の事を気に掛けていたからである。

夜、彼は妹のみさおと共に家を出て、寝台特急「北陸」号で金沢方面へと向かった。
そして、今も彼らは列車の中に居る。
ここで1つ、あやのは疑問に思う事があった。

全国ネットのニュースでも報道された様に、この日の夕方、大宮駅で爆発事件が起こった。
昨日の崩壊事故ほどではないが、怪我人が数名出る程の爆発だった。
この影響で大宮駅を発着する全ての列車が、JR・私鉄を問わず全て運休した。
それにも関わらず、「北陸」号だけが時間通りに上野駅を発ち、大宮駅でみさお達を拾って金沢へ向かっている。

「…………大丈夫かしら」
あまりにも不自然な現象だった。
この処置について、JR東日本からはコメントは無かったし、マスコミもそれほど大きく騒ぐ事は無かった。
「嫌だな………変な胸騒ぎがする」
夜更けの空は、陰鬱な曇り空で覆われていた。



その頃、桜園市営住宅のある一室にて。
「次のターゲットは………ふふふ」
奇妙な笑い顔を浮かべつつ、縹色の髪を持つ少女はパソコンを操作する。
その画面に表示されていたのは、2つのウィンドウ。
そこには、それぞれ場所の異なる地図が描かれていた。
1つは、能登半島のとある集落、
1つは、埼玉北東部のとある神社
とおぼしきモノが、映し出されていた。

「何としてでも『あゆみ』を呼び戻す。そのためにこんな事をしているのだから」
575久留里:2008/03/30(日) 02:42:09 ID:tx2gpqqs
以上でございます。

3人はまだまだ合流する気配が無いようです。本当に現代に帰られるのでしょうかねぇ。
どうでもいいですが、赤穂線を走っていた80系という電車は1978年12月に引退したらしいです。
576名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 02:53:44 ID:mMOyV3Qs
>565
黒こなたと黒ゆーちゃんがお互い自重しないとこうなりますか
かがみとみなみが利害一致で協力するのかと思ってたら一撃で粉砕とは恐れ入ったぐっじょぶ
577名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 04:40:58 ID:ehO6/PYz
>>565
白こなたはかがみを気にして罪悪感を感じたりしていたけれど
ゆーちゃんの望みを叶えるうちに段々と黒こなたになりつつありますね
ここで正気にかえったらたえられないな
いや、どっちになってもきっと傍にゆーちゃんかかがみが傍にいるからきっと大丈夫ですね
続き楽しみに待ってます!
578名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 08:18:40 ID:9jBRnMFh
>>727

でも、今思う
みゆきお姉ちゃんとのそれは
所詮子供の真似事だったと
今私は快楽の虜にされている
この赤い髪の小さな女の子によって
そしてこの女の子に快楽の与え方を教えたのは
蒼い髪と緑の瞳を持つ……
579名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 08:19:44 ID:9jBRnMFh
>>578
誤爆
580名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 08:30:39 ID:kLFeLgvU
>>554
やまと「・・・・時空の歪みが発生しているわ。」
581名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 08:43:42 ID:i7NPE/b6
>>575
うぇるかむとぅーおかやーまー!(白石風に)

先日「15連の長大編成」とか言ってたから、結局分割したんですね。続きも期待
さて、ちょっと出かけるんで俺はそろそろ岡山駅に出ないと
582名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 09:44:40 ID:UupdZWcR
>>565
GJ!
このままこなゆたで全キャラ攻略を目指すしか!

っていうか、ここは「らき☆すたの女の子でエロパロ」であるからして、
むしろこういう話の方が本来的であるはずですよね……
なんか本当、エロ書けなくてごめんなさい
5837-896:2008/03/30(日) 12:40:40 ID:yu6WpyhX
どうも、お久しブリーフ7-896です。
準備している人がいないようでしたら
目分量5分後くらいにそこはかとなく壊れネタを投下したいと思います。
584名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 12:46:06 ID:pHodC6JC
>>582
いやいや、此処はエロパロなんだから。
「エロ」でも、「パロ」でも、はたまた2つを組み合わせたものでもおk。
要するに何を書くかは作者によるから。
だからそんなに気に病む必要は無い。若干上からの意見スマソ。
5857-896:2008/03/30(日) 12:47:36 ID:yu6WpyhX
では、いないようなのでちょっくら。
どうも、さりげなくお久しブリーフ7-896です(意味不
2ヶ月ぶりくらいの壊れネタを行かせてもらいます。
レス数は2レスくらいです。

『甘えん坊なこなた』


「そういえばこなたって甘えん坊よね」
「え、そう?」
 いつもと何も変わらない昼休み。
 みなみちゃんによって袋にしまわれるこなたを、ゆたかちゃんが助ける。
 そんな光景を見て平和を感じながら、いままで考えていたことを口に出した。
「うん。だってよく抱きついてくるし、触ってくるし」
「それはかがみもでしょ」
「そんなばかな」
「いや、事実だし。ってかみんなそうだと思うんだけど。現に今もゆーちゃんがお尻触ってるしつかさが胸触ってるし」
 あ、本当だ。
 弄るようにねっとりと撫でてる。
「なんていうのかな、そういうのじゃなくてもっと根本的なところでこなたは甘えてるっていうか」
「そうですね」
 みゆきいたのか。
「おそらく、泉さんは私達に触れるときに母性を求めているからではないかと思われます。
普通のハグよりも、擦り寄ってくることの方が多いからというのが私の見解です。。
私達が泉さんに触れるときには性的な行為を求めていますので、そこが違うのではないかと」
 こなたが怯えている。
 ゆたかちゃんの肩を掴んで、プルプル震えるこなたのかわいさは異常だ。
 当のゆたかちゃんは、今にも発狂しそうな顔をしている。
「あれじゃないかな、こなたお姉ちゃんはお母さんがいないから、私達に甘えてるのかも」
「そ、そうなのかな」
「つまりお姉ちゃんは私を求めている」
「いや、ゆ、ゆーちゃん落ち着こうよ。ん〜でも確かに、みゆきさんに擦り寄ったりすると
なんだかお母さんに包まれてるみたいで落ち着くってのはあるかも」
「泉さんが私を求めている」
 みゆき落ち着け。
 でもそうか、こなたにとっては私達が母親代わりなのね。そう勝手に解釈する。
 じゃあ私達が、こなたが昔お母さんにしてもらえなかったことをしてあげなくちゃ。
「こなちゃん、おむつは穿いてないから代わりにパンツを履き替えさせてあげるね」
「ふゃ!? つかさ、パンツ引っ張んないでよぉ、伸びちゃうってば!!」
「わー、こなちゃんのお尻つるつる〜、舐めてもいい?」
「つかさ、落ち着いてよ!!」
「みなみちゃん、つかさ先輩しまっちゃって」
「……分かった、ゆたか」
「えへへ、今宵の私はいつもと一味違うんだよみなみちゃん」
 無駄にやる気に満ち溢れているつかさ。なぜ唐突にテンション上がってるんだあの子は……
 みなみちゃんがどこからともなく取り出した檻に呆気なくしまわれてるけど。
 こなたはというと、日下部と峰岸に抱きしめられ、お菓子を食べさせられている。
「泉ちゃん、はいあーん♪ もぐもぐしましょうね」
「あーむ……むぐむぐ」
「うまいか、ちびっ子?」
「うん、美味しいよ」
「ちびっ子が私を求めている」
「泉ちゃんが私を求めている」
「求めてないよ!!」
586名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 12:47:56 ID:pHodC6JC
>>583
そして邪魔してしまい申し訳ありません。
ぞうど存分に投下して下さい。
5877-896:2008/03/30(日) 12:48:31 ID:yu6WpyhX
 するりと持ち前の運動神経で2人の束縛を抜け、こなたがこっちにやってくる。
「かがみぃ、みんなを止めてよぉ」
「こなたが私を求めている」
「ちょ」
 そこで、小さなこなたを見ていてやりたくなったことがある。
 こなたの脇を抱え、力を入れて持ち上げた。 
「ほーら、高い高ーい♪」
「わわわっ!!」
 子供をあやすといえば高い高いだろう。
 やっぱり子供と比べれば重いけれど、ぜんぜん持ち上げられる。
「ちょ、ちょっと……は、恥ずかしいよかがみぃ」
 こなたが赤くなって目を逸らしている。
「ごふっ」
 私が他界他界するところだった。

 私はがんばって堪えたが、他の皆は耐えきれなかったようで、個性溢れる悶えっぷりを披露していた。
 ゆたかちゃんは様々な種類のクロースをオールレンジ攻撃兵器ぶりに周りで飛ばしたり、みなみちゃんは鎖や南京錠を
 放射線状に出したり、日下部はいろいろと部位が爆発したり、峰岸はいろいろと部位がお菓子になったり
 つかさはいい感じにトルネードサイクロンっぷりを醸し出したり、みゆきはなんだか形容しがたい感じに他界他界している。

 無茶しやがって……


異常で以上です。
それにしても、これを保管した場合の、作者ページ作品数が不吉です(´・ω・`)
早いこと次の作品を書かないと……
そんなわけで、お次はエイプリルフールくらいにお会いしましょう。
588名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 13:02:21 ID:puAEgvbp
>>587
何やってくれるんだ貴様はー!



というか、何故かがみだけ無事なんだ・・・
589名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 13:02:57 ID:pHodC6JC
>>585
まず、割り込んでしまい申し訳ありません。

なんか久々だからか耐性が無くなっている所にこれは卑怯すぎるw
慣れてた筈なのに相変わらずの壊れっぷりにワロタw
そしてどうしてここまで壊せられるのかと小一時間(ry

>「ほーら、高い高ーい♪」から
>私が他界他界するところだった。
この一文に笑いすぎて俺が他界他界しかけたwww

次はエイプリルフールか…俺の腹筋大丈夫かなw
590名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 13:16:38 ID:hvRgt5R0
>>587
久しぶりにキタ━━━━━━━━━━━━!!!!!!!
やっぱりあなたの作品が俺の中では最強(腹筋破壊的な意味で)だwww
同じく、高い高いのくだりで死にそうになったwwwww
そして次はエイプリルフールか……
今から待ち遠しいぜ!!!
591名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 13:32:26 ID:HfZI7O2k
つかさはどこがいつもと違ってたんだw
てかとうとう檻まで出してきたかみなみちゃん…

てかもう腹筋崩壊するほど笑った。やはりエロパロはこうでなくては(あれ?)
592名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 13:36:30 ID:1ymL/IJt
「こなたが俺達を求めている」
何処から現れたのだろう、無数のこのスレの住人達がそんな台詞を発しながらあっと言う間にこなたを取り囲もうとしていた。
ある者はただニヤニヤと、またある者はこの光景を各々の作品へと昇華させるべくスケッチブックやパソコンを所持している。
「むー。こうなったら仕方ないね」
逃げ場のなくなったこなたは予め準備していたトンファーを取り出した。まさか……

「必殺、トンファーキック!」

こなたが群がった住人達に向かって目にも留まらぬ速さの蹴りを繰り出した。
元々格闘技を習っていたこなたがトンファーを持ったならば鬼に金棒。
次々と蹴飛ばされた住人達は空のかなたへと他界他界されていった。
僅か10秒足らずで群がった大の大人を片付けこなたはふぅ、と一息つき帰路についた。


電波を傍受してしまいつい…
いやぁ壊れネタは面白いですなぁ。思いっきり笑わせてもらいましたw
エイプリルフールも楽しみにしてますwホントGJです
593名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 13:40:15 ID:tx2gpqqs
>>587
お主、笑い殺す気か?!

>私が他界他界するところだった。
ここでコーヒー牛乳噴くとこだったではないか!!
GJ!!
594名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 13:58:24 ID:qj60gI0P
GJGJです

で結局、瞬時に移し身の術でこなたは逃げ
残されたこなつーがみんなに可愛がられてひどい目?に遭うと…いうのはダメですか
595名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 14:11:15 ID:FXb/ygk0
>>588
こう考えるんだ。
他のみんなは、こな☆フェチだけじゃなく、
こな×かが☆フェチも患っているから
相乗効果で他界他界したと考えるんだ。



「そうかあ、私はこな☆フェチだけだから辛うじて持ちこたえたのね」
「かがみだけは無事で良かったよ。やってることは異常だけど」
「そうよ……あたりまえじゃない……」
「かがみどったの?目の焦点があってないけど
 ……うわっ!ツインテールが変だよかがみ!ばっさばっさって!
 飛び始めてるしっ!やっぱ一番かがみが一番変だよおおおっ!!」
「さ〜あこなた〜!高い高いしましょーね〜ばっさばっさ」
「と……とにかく……>>587はGJアッーーーー!!」
596名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 15:09:44 ID:UX4VEo7w
>>584
こういうマジレスするのもアレだが
エロパロってエロとパロじゃなくてエロいパロディって意味だよ

まあ言いたいことには同意だけどね
このスレが特殊なのも今に始まったことでもないし
597名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 15:13:37 ID:0kHRl97q
そんなこと言ったらなのはスレがなくなっちゃいますぅ><
598名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 16:17:39 ID:X5Wk79Px
>>587
「俺が7-896氏を求めている」
久々の本家壊れネタにやられたwww
みんな言ってるが
>他界他界
のセンスに脱帽www

暖かくなってきたし、エイプリルフールまで全裸で待機だ!
599名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 16:32:36 ID:mvGg5yhp
>他界他界
これが出てくるセンスが俺のただの妄想との違いと見える
600名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 17:02:02 ID:vyozDCFr
>585
ぐっじょぶ。
たった2レスで、多くの読者をぐっと惹きつけてしまうところが凄いなと思います。
みんながナチュラルに壊れているところがたまりませんね。

>575
「世界の車窓から」を想起させる、旅情あふれる描写が好きです。
かなわなかった恋を思い出した、かがみんが流した涙が切ないですね。
続きを楽しみに待っております。


601名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 17:04:57 ID:KozMaGx8
敢えて水を差すが他界他界は流石兄弟スレではおなじみだぞ
602名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 17:38:51 ID:JG34Ls8a
ある男が、演説を聴いた後

大変為になるお話でしたが、貴方の話した言葉は
すべて私の蔵書の一冊に記されています

と演者に告げた

そんな事がある筈がない

怒る演者に

じゃあその本を贈ってあげましょう

翌日彼は、演者に宛てて
彼の蔵書の中から一番大きな辞書を送った

これ誰の話でしたっけ、物知りの>>601さん
603名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 17:53:45 ID:yu6WpyhX
>601
流石兄弟スレには行ったことありませんが
そうですか……既に考えていた人がいましたか(´・ω・`)

もっとギャグを精進しないといけませんね。
いい感じにそこはかとなく。 狂おしいほどに滞りなく。
604名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 18:04:02 ID:hvRgt5R0
>>603
いや、ぶっちゃけみんなが他界他界に食いついてるのは
ただ単に他界他界っていう単語が面白いわけじゃなくて
それを子供をあやすときの高い高いと結び付けるというセンスがすごいからであって
普通に使っただけでは、こんなに評価高くならなかったと思う

よって、あなたのギャグセンスが神懸かってることは覆すことができない事実なわけですよ!!
605名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 18:54:39 ID:k5k8Y+ZD
>>601
穿き替えって素敵ですね。素敵ですね。


7者7様、相変わらずのぶっ壊れっぷりで何よりでした。他界他界しつつぐっじょぶ。
606名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 18:59:27 ID:e63vfySj
>>603
GJ !
そして生存確認できてホッとした
また我々を笑い転ばせてくれ !
607名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 19:19:43 ID:k5k8Y+ZD
うわしまった、レス番間違えたOTL 601じゃなくて>>587だよ……。
608名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 21:00:30 ID:st98su5g
うお、久々に壊れネタ本家が来てる!
たっぷりと笑わせてもらいました。GJ!
ところで。

>いつもと何も変わらない昼休み。
>みなみちゃんによって袋にしまわれるこなたを、ゆたかちゃんが助ける。
>そんな光景を見て平和を感じながら、いままで考えていたことを口に出した。

いつものことか。平和を感じるのか。
みんなもうだめすぎるな。
609名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 22:15:38 ID:MLwEs9LH
らき☆すたや他の漫画アニメゲームがまともに見れなくなるかもしれません
http://cjhjkangaeru.web.fc2.com/
http://gameandpolitic.que.jp/wiki.cgi?page
http://www7.atwiki.jp/2008jipohou/pages/13.html
ここ行って協力して下さい
お願いします
スレと関係ないことですいません
610名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 22:40:24 ID:rwNjrk1L
そういやそろそろ新スレの時期か?
611名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 22:54:21 ID:iqqThVZs
小ネタ

「こ、これは……!」
 ひよりは2chのあるスレを見て息を呑んだ。そこには驚愕の事実が書かれていたからだ。

【高校野球】智弁和歌山・捕手森本、試合中に投手林にキスをする(画像有り)
ttp://mamono.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1206878047/

 要約すれば、センバツの試合中にピンチが訪れ、キャッチャーがピッチャーにマウンド上で
キスをしてそれを機に好投を取り戻し、危機を脱したという内容である。
 釣りでもバーボンでもない。きちんとしたネット記事がソースであり、その瞬間の画像まで
そこには存在していた。別の記事には「魔法のキス」とはっきり書かれている。
 一応「おおきく○りかぶって」のスレも見てみたら、案の定貼られていた。
「これはやるしかないっス」
 モデルが彼らだとわかるのは流石にまずいので「おお○り」の主人公バッテリーに置き換えて
その二次創作として描くことにした。

「Oh,久しぶりにボーイズラブですネ」
 数週間後、完成した原稿を読んだパティは満足げな表情でひよりにそれを返した。
「コレはセンバツの試合をモデルにしたものデスネ」
「パティ、それ知ってるんだ?」
「もちろんデス! 腐女子は決して美味しい情報を逃しマセン」
「いろんなスレで祭りになってたもんね」
「ハイ。ですからスデに何人もの同士が似たような漫画を描いてマス」
「え゙」
 パティの言葉を受けて硬直するひより。
「『バ○テリー』本、『巨○の星』本、『ミス○ル』本、他にもたくさん見まシタ。もちろん
『おお○り』もデス。むしろヒヨリは遅いくらいデス」
「そ、そんな……」
 原稿を手にorzの体勢になるひより。壁サークルへの道はまだまだ遠い。



……まあ、実際にこのネタみたいになるかどうかは知りませんが。
612名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 23:35:36 ID:lDRHE6sJ
>>587
他界他界も上手いと思ったが、みなみがwwww
ついにしまっちゃうみなみちゃん登場かwwww
613名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 01:31:36 ID:2kqVSdex
>>575
亀気味ですが乙!
かがみんも忘れたこなたを思い出しつつあるか…やっぱ愛だy(ry
黒幕っぽい奴の目的も判明、ってそこであゆみか!
中々に状況がこんがらまってますな。次回も待ってます
614名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 03:26:41 ID:e32YnmPU
新スレ立てました
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1206901482/
初めてですんでドキドキしてますが…不手際あったらすみません
615名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 04:52:49 ID:FuI3btF/
>>614
スレ立て乙です!

では、埋めにもならないかもしれませんが、ちょっと思いついた話を書いてみたので投下します。
1レスでぬるいエロ有りです。ひより視点。
616call (1/1):2008/03/31(月) 04:54:51 ID:FuI3btF/
 うぅ……自重しろ、自重しろ私っ……。
 こんなこと、友達として最低のことなのに、

「ん……は、あっ」

 バレなきゃいい、とかそういう問題じゃなくって、

「みなみちゃ……や、あぁっ」

 だって、『岩崎さんに攻められる小早川さんになりきって、ひとりえっちしてる』なんて、いけないことに決まってるからっ!!
 

 「call」


 きっかけは、なんだったかな。
 小早川さんと岩崎さんの本を描いていて、受けの小早川さんの気持ちになってみようって思って、それで始めたんだっけ。
 それとも、単なる思いつき?
 そんなことも忘れちゃうくらい、私はこの「いけないこと」を繰り返してる。

 止めなきゃいけないって思ってるのに、
「んっ、んぅ、あぅっ」
 でも、こうするとなんだかいつもよりも気持ちよくって、
「ん、んんっ……みなみちゃん、気持ちぃよぅ」
 一回終わったら次は止めとこうって思うのに、
「あぁっ、んくぅ、だ、め、みなみちゃん……ふぁっ……」
 ついつい何度もやってしまう。
「あ、あっ、みなみちゃ……あっ、あ、あぁっ……ああぁっ……!」

 きっと岩崎さんは、小早川さんを優しくイかせてくれて、

「あ……あ……みなみ、ちゃん……」

 体をびくびくって小さく震えさせる小早川さんを、温かく抱きしめてくれるんだ。


「はぁ……はぁ……、ん、はぁ………」
 どうして、止められないんだろう。
 もしかしたら私、岩崎さんに好かれている小早川さんのことが羨ましいのかな。
 私達はいつも一緒にいるけど、岩崎さんが一番心を開いているのは、私じゃなくて、小早川さんだから。
 私は、岩崎さんが私に向かって微笑みかけてくれているところを見たことがない。
 当然のことかもね、だって、私は岩崎さんのことを、名前で呼ぶことすら出来ていないから。
 
 そうやって呼んでもいい関係なのか、私は、それさえも分からないんだ。


 けど、私が岩崎さんのことを名前で呼ぶ日は、そう遠くなかった。 
「おはよう、みなみちゃ、ん……」
 私はひとりでしてるときの癖で、学校でもついこっちの呼び名で岩崎さんのことを呼んでしまった。
 いつかやってしまうんじゃないか、とは冗談で思っていたけれど、
 まさか本当にやってしまう日が来るなんて思ってもみなかった。
 挨拶した手を上げたまま固まっている私は、
 岩崎さんのいつもと変わらないような落ち着いた顔をじっと見ることしかできなかった。


 けど、たった一つ、いつもと違ったことは、
 
「おはよう……、『ひより』」

 そう言って少し目を伏せた『みなみちゃん』の表情が、私には少し微笑んでいるように見えたこと――。
6179-727:2008/03/31(月) 04:56:33 ID:FuI3btF/
最近スレ内で一番自慰作品が多いんじゃないかと思ってきました。
ちなみに作中でひよりんにひとりでさせるのはこれで3回目です。なんたる歪んだ愛!!

とまぁ、そんなことはさておき、この話は原作の設定の下で書かせていただきました。
アニメではひよりはみなみのことを名前で呼びまくっていますが、原作だとずっと「岩崎さん」のままなんですよね。
ひよりはみなみにはまだ慣れていないようですが、もっと仲良くなりたいという気持ちはもちろんあって、
みなみはひよりのことを、すでにゆたかと同じくらい(は言い過ぎ?)大事に思っていると思います。
だから「後は何かきっかけさえあれば呼称を変えられるんでは?」とか考えた結果、こんな話ができてしまいました。
でもこんなきっかけではさすがに駄目だと思いますけどね!!!
ちなみに本当は保管庫のみなみ&ひよりのところに入れられるような話を書きたかったんです。はぁ。


読んでくださった方、ありがとうございました。
長いあとがきも埋めの一環ということでここは一つ。
618名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 05:33:49 ID:/EH90+FD
>>617うわっ…エロ… 
GJ!こういう珍しいカプリングが好きな俺にはたまらない
619病弱の人:2008/03/31(月) 08:00:05 ID:hkaK9CB9
>>617はGJだけど……

田村さん、あとでちょっとお話があるの^^^^^^^
620名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 08:15:17 ID:g61mZiHH
それが田村ひよりの最期の姿であったという・・・
621名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 09:16:09 ID:JfLhHlR0
このスレ的にはママンズの需要はあるかい?
622名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 09:49:54 ID:09DX55QL
>>620
その頃から、泉家(埼玉県S市)の3階から時折田村ひよりの嬌声とも思われる声が
聞こえるようになり、また岩崎みなみがしょっちゅう同家に立ち入るようになった、
という証言がある。
しかし、これと今回の事件との関連はつかめていないということになっている…

>>621
wktk
623名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 15:24:18 ID:wFeSHagE
>>621
かなたさんなら大歓迎
624名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 15:31:19 ID:n6GDfSws
>>621
みきさんやゆかりさんも大好物

ママンズにもJKにもはいれない中途半端なトシマーズに誰か愛のt
625名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 16:03:04 ID:wFeSHagE
ゆい姉さんならいずれコウノトリがやってくるだろ
626名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 17:08:50 ID:jNsw/hA+
女の子同士でも妊娠するよ
627名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 17:59:45 ID:WloNQfBm
黒井せんせ……
628名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 18:33:22 ID:BgWbpUYy
>>626
それでは。こなかが、つかみゆ、みなゆた、パテひよ、みさあや、ななゆいのそれぞれの子の名前を予想してみようか。
629名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 18:39:20 ID:kzgCSahQ
ゆたみなだ馬鹿野郎
630名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 18:46:10 ID:RWuQBu5n
ゆたみな太郎
631名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 19:40:39 ID:RAl7YcTU
ユタミナタロス
632名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 19:41:37 ID:9sXmhQGg
センスなさすぎ
633名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 19:58:26 ID:3JYJeRbK
こなかがだと、こなみ、こなか、かなみ。
つかみゆだと、さゆき。
ゆたみなだと、ゆな、ゆみ。
634名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 21:29:40 ID:lI64FoSE
>>626
いろんならき☆すたカプが大歓喜しそうな情報だなw
635名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 21:43:06 ID:jNsw/hA+
先生「もう女でええか」
636名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 21:48:21 ID:HQeRL4ch
ある日・・・

先生「よぉー泉、話があるんや。来てくれへんか?」
こなた「先生ー、また愚痴ですかー?
    愚痴ってるんだったら相手探した方がいいと思いますよー」
先生「まぁまぁええからええから」

人気の無い教室にて・・・

こなた「で、先生、話とh・・・アッー」
637名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 22:35:51 ID:z905tRjU
≡ω≡.<はにゃ〜ん
638名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 22:46:02 ID:lCMeC6n5
>>636から2週間後。

「そういえばこなた、あんた進路ってどうするのよ」
「んー? んとね、色々あって就職することにしたよ」
「就職、ですか。ずいぶんと急なお話ですね……」
「私もびっくりだよー。こなちゃんはどこに就職するの、やっぱりコスプレ喫茶屋さん?」


「ううん? 黒井先生んちに永久就職だよ?」


『な、なんだってー!』(AA略
639名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 22:46:08 ID:nwZTa2Eo
鈍い音が教室に響いた。
それはとても重く、脳裏に響くような音。
そう、眠った者さえも目が覚める程の…

「泉ー、起きいや」
「いっつー……先生、その起こし方やめてくださいよー」
「ええやないか、この方が手っ取り早いんやから」

その音の正体は、こなたが黒井ななこに殴られた音。
いつも通り居眠りをしていたこなたを、いつものようにななこが脳天への拳骨で文字通り叩き起こしたのだった。
眠りの世界へと誘われそうだった生徒も、大体この音で目覚める。
自分もいつあの拳が飛んでくるか…と、恐怖も手伝っているのが現実だが。

「相変わらず無茶苦茶だよ…」
「何か言うたか?」
「何でもありまっせん…」

頭を抱えているこなたを見ながら、ふとななこの脳裏に一つの思い出が蘇る。
それは十年前、ななこがこなた達と同い年だった頃の記憶。
急に浮かび上がった記憶に、ななこの足が一瞬止まる。

(そういや、『あの時』も高校二年の頃やったっけ…
 何となくやけど、泉と被ってもうたな…)

そんな回想に入りそうだったななこの耳に、突如大音量のチャイム音が入ってきた。
…授業時間が終了したのだ。
現実に引き戻されたななこは、そのまま教卓へと戻り授業を締める。

「ほい、とりあえず今日はここまでな。
 後…泉、過度な夜更かしせんで0時までには寝なあかんで?」
「多分無理ですねー」
「…また拳骨くらいたいんか?」
「努力します…」

段々恒例となってきているやりとりを終了した後、ななこは教室を後にした。
それと同時に、こなた達はいつものように同じ机を囲んでお喋りを始める。
楽しそうな談話が廊下にまで聞こえてくる。
その声がななこの耳に入ると同時に、また先程の記憶が脳裏に浮かぶ。
それは、ななこのこれまでの人生にとって一番大事な記憶。
そして教師への道を歩むきっかけになったターニングポイント。

「…形は違えど、何や泉達を見ていると昔の自分を思い出すな…」

ななこは、十年前の自分自身を思い出していた。
直接の要因ではない、しかしこの道へと歩むきっかけになった『ある出来事』
それは高校二年生の七月、ななこが友人達と雑談をしている時の事だった…

////////////////////////

エイプリルフールの準備に時間をかけすぎて、つい何となく。
以前構想していたものの一部みたいな感じで。

続きはアリマセン。
埋めには丁度いいかなと思って。
640名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 23:07:16 ID:XXqgGcj0
こなななに便乗

海へのドライブ……のはずがひとけのない山道で立ち往生する車。
「……先生、道に迷ったんですね」
「迷っとらんよ、予定どおりや。ここに来たんも人がおらんのも」
「あの、先生、それって……」
641名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 23:14:35 ID:DRDTFMWM
ななこなだろう常考
642名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 23:26:18 ID:XXqgGcj0
順番は気にしていなかった
もう一つななこなネタ

「電話がかかってきた……黒井先生か」
『もしもし、泉か?』
「先生、こんな時間になんですか?」
『泉に大事な話があってな』
「話? なんですか?」
『泉……ウチは泉のことが好きなんや。生徒としてやなく、泉こなたっちゅう一人の女を』
「せ、先生何言ってるんですか!?」
『わはははっ。泉、エイプリルフールって知っとるか?』
「またですか。いちいちそんなことのために電話しなくても……」
『いやすまんすまん。それじゃおやすみな』
 ななこが電話を切ってから少し考えて、こなたはひとりごちた。
「あれ……まだ4月1日じゃないよね?」
643名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 23:28:00 ID:bPLGSO5L
きっと数年間待ち続けていた理想の相手なのかもしれない
性別が同性なのは誤差の範囲内だ!
644名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 23:38:51 ID:zvBhyvyX
ちょいと、ねたを投下しますね〜


「ね、かがみ。私さずっとかがみのこと嫌いだったんだ」
「こなた、それは確実に喧嘩売ってるわよね」
「ちょ、かがみ。声がマジなんですけど…… ほ、ほら、今日はエイプリルフールだって」
「何言ってんのよ、今日は三月三一日。四月一日は明日よ」
「えっ、嘘っ。って…… むぅ、だまされた。やるね、かがみ」
「こなちゃん。今日は本当に三月三一日だよ?」
「そうですよ、泉さん」
「ちょ、みんなして同じ嘘つくこと無いじゃん」
「あんたの携帯は四月一日なのか?」
「―― あれ?なんで?」
「ねえこなちゃん。どうして今日がエイプリルフールだと思ったの?」
「だって、初詣に行ってから指折り。と言うかメモ帳に正の字書いてだね」
「って、カレンダー見て無いのかよっ」
「いや、一月の絵が好きだったから、そのままにしてるし」
「泉さん。もしかして、二月を二八日で数えてませんか」
「みゆきさん、何言ってんの。もちろん、二月は二八日までだよ」
「あーさよか。あんたの頭には、閏年が無かったわけね」
「あれ?お姉ちゃん、今年閏年だったの?」
「こんな身近にもいたか……」
「そうだったか。泉こなた、一生の不覚っ。と言うわけで、今の無しね。改めて明日言うから」
「できるかっ。それより、嘘でも二度と言わないでよ。嫌いなんて……」
「ん。ごめんね、かがみ」
「わ、分かればいいのよ」










「ね、ゆきちゃん。私たちっている必要あったのかな」
「そもそも、閏年と言うのはですね(ry」
「ちっ、みwikiになってやがる(by つかさ)」
645名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 23:50:14 ID:09DX55QL
>>644
ちょw最後のセリフのところでつかさに何があったw
646名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 00:17:25 ID:ktkmoIKh
もっと
もっとななこなを
647名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 01:29:43 ID:YndN0Hjq
ごめんなさい、ななこなは品切れなんです
代わりにひかふゆで埋めネタ行きます
1レス
648違和感 1/1:2008/04/01(火) 01:30:59 ID:YndN0Hjq
「ふゆき、いるか?」
 聞きなれた声と共に、ドアが唐突に開けられた。
 ここが保健室であるということを、この人はいつになったら理解してくれるのでしょうか。
「ノックしてくださいね、桜庭先生。――なんですか」
「ちょっとな」
 いつものように火のついてないタバコをくわえて、白衣のポケットに両手を突っ込んで、
 しかしいつもと違って、言葉が微妙に濁される。
「なんですか? また『結婚してくれ』ですか?」
「いや、今日はそれはいい」
「……」
 え?
「実は指を……どうした?」
「え? あ、ああ、いえ。別に」
「そうか? まあいい。それより、ちょっと指を切ってしまってな。手当てしてくれ」
「……わかりました。珍しいですね」
 桜庭先生を丸椅子に促し、傷を見せてもらう。
 深いというほど深くはないけれど、舐めておけば治るというものでもない。
「何で切ったんです?」
「紙だ」
 なるほど。
 たまにありますね、そういうことも。
 消毒液と傷薬を取り出す。脱脂綿を消毒液に浸し、傷口に近づける。
「少し沁みますよ」
「む」
 無表情の眉が少しだけ寄る。
 脱脂綿を取り替えて、今度は傷薬をつける。ガーゼを当て、傷テープで固定。
「――はい。お風呂はそのまま入っても構いませんが、上がったら絆創膏に張り替えてくださいね」
「うむ」
 桜庭先生がうなずいたのを受けて、用意した治療具を片付ける。
「ふゆき」
「なんですか」
「言ってほしかったのか?」
「……」
 片付けの手が止まってしまった。それはもう、あからさまに。
「何をです?」
「いつものアレだ」
 自分で言いますか、「いつもの」なんて。
 振り返り、向き直る。
「そんなわけないでしょう。……『今日はいい』なんて、何かあったのかなとは思いましたけど」
「そうか」
 無表情に言って、
「――いや、なに」
 桜庭先生は指を立てる。
「場所が場所だけにな、下手に動揺させてで手当てをしくじられてはたまらんと思ってな」
 たった今、私が手当てをした、左手の薬指を。
「逆効果だったか」
「……なんでそうなるんですか」
 ため息をついた。
「気を遣うなら、もう少しまともな遣い方をしてください」
「まともなつもりなんだがな」
 両手がポケットに仕舞われる。
「では、私は戻る」
「そうしてください」
「ふゆき」
「なんですか」
 ぴこ、と。
 くわえられたタバコが小さく跳ねて、くわえた口元が小さく微笑んだ。
「結婚してくれ」
「……仕事に戻ってください」
 そして私も、微笑んだ。
64923-49:2008/04/01(火) 01:35:36 ID:YndN0Hjq
また名乗るの忘れたし・・・・・

えーと、
連載の続きですが、明日にでも投下しようと思ってます
では
650名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 01:43:50 ID:eKyoe8ip
これはいいひかふゆ
65123-308 ◆LkanLwwtJA :2008/04/01(火) 01:49:54 ID:7xPG3mDv
俺も落とし所がつかめずにあきらめたネタSSを埋めネタで投下します


らき☆すた もしもシリーズNo.00X 田村ひより

〜もし、ひよりの絵が下手だったら〜
(アニメ版の声をイメージしてお楽しみください)

「八坂せんぱ〜い!原稿上がりました〜きゃは☆」
注:これはひよりのセリフです。
「へぇ、どれどれ・・・・相変わらずドヘタ!」
ひよりの酷い絵を見て思わず、こうが叫んだ。
「田村、ほめられちゃいました!」
ほめてねぇ!
「ほめてないって!」
65223-308 ◆LkanLwwtJA :2008/04/01(火) 01:50:56 ID:7xPG3mDv
二本目
ちょっと下ネタありです

らき☆すた もしもシリーズ No.00X 柊かがみ&泉こなた編

〜もし、こなかががオールナイト●ッポンをやってたら〜

こなた:いや、まいったね。
かがみ:嘘だろ!なんで、そんなに毎週毎週まいってんの!明治神宮でもそんなに参らないだろ!
こなた:いやね、この間復活した牛丼目当てに吉野家行ったんです、吉野家。
    もちろん頼みましたよ?並だけど、ねぎだく。そしたら「ねぎだく出来ません」
    って断られたんだよ。どう思う?
かがみ:へーで、それからどうしたの?
こなた:もちろん、ムカっとしたよ!だって、ネギあってこその牛丼だよ!頭くるよ!食べたけど。
かがみ:結局食ったのかよ!ってか今頃かよ!お前の地域のニュース素材回覧板だけか!
(誰かの声:ハハハハ)
こなた:何?そのツッコミ・・・
かがみ:それくらい遅れてるってこと!
こなた:まいったといえば、こないだゆい姉さんが車のエンジン壊しちゃったんだよ〜
かがみ:なんでまた・・・てか、壊すほど走るな!
こなた:いやさ、ニ××コでD1に軽が出ちゃったって動画を見せたんだけど、その軽のドライバーが「vivioはダメ」って言っててね、
それ聞いた途端姉さんがどっか行っちゃったんだよ〜あれは峠行ったね
かがみ:色々ツッコミたい所があるが、まず、警官が峠を攻めるな!
(誰かの声:ハハハ!)
こなた:でね、その日、きー兄さんとデートする予定があったらしいんだけど、急に仕事が入ったらしくてヒマになったから、うちに来たんだって・・・
かがみ:まさか、その憂さ晴らしじゃないだろうな?
こなた:あったりー☆で、A儀でエボVとバトルしてきたらしいんだけど、その時にね・・・・向こうはバトルじゃなくてセミナーとか言ってたらしいけどね。
かがみ:まさか、もっといいクルマに乗り換えろとか言われなかった?
こなた:えっ!?よくわかったね!ゆい姉さんはエンジン載せ変えるらしいけどね。
かがみ:だから、ちょめちょめDはやめろって!
(誰かの声:ちょめちょめD!?)
こなた:というか、公共の電波で話す事じゃないよね
かがみ:当たり前だ!
こなた:それはそうと、チョココロネの頭ってどっちだと思う?
かがみ:1話のネタまた使うな!つか話変えすぎだろ!
こなた:もう〜そんなにカリカリしちゃって〜かわいいねぇ、かがみんは
かがみ:なっ・・・(///)ってか、なんでまたチョココロネの話題なんだよ!
こなた:いや?特に意味は無い
かがみ:ねぇのかよ!
こなた:ここでメール。千葉県松土市RN・セン○リ
かがみ:またかよ!早くラジオネーム変えろ!
こなた:「おい、かがみ!妹さんがバルサミコ酢のブローカーをしているそうだが、本当なのか?」
かがみ:んなわけね――!!!それはつかさがただ言ってるだけよ!
こなた:そういえばさ、つかさってよく変なこと言ってるよね〜バルサミコ酢〜みたいにさ
かがみ:そうね、このあいだなんて「よっこいしょういち」とか言ってたわよ?
こなた:どこでそんな言葉覚えてくるんだろね?
かがみ:うーん…見当つかないわね…
65323-308 ◆LkanLwwtJA :2008/04/01(火) 01:52:15 ID:7xPG3mDv
ざっとこんなもんです
654名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 02:43:18 ID:coga2wr2
小ネタ?


(……ふぅ。今日は春原バッドエンドのフラグ立てたからもう終わりでいいや)
 カチ、カチ、カタタタタタ……ガチッ。
(そうだ、寝る前にちょっと某掲示板でも覗いておこう)
 カチカチ、カチ……カ、カリカリカリ……。
(えっと、私のお気に入りのスレはどうなって……ん?)

 『【速報】チリで内戦勃発、東西に分裂へ』
 『【速報】ヒラリー氏が敗北宣言、同時にヌード写真集発売を発表』
 『【どっちも】“セレビッチ”に対抗!男の色気ムンムン雑誌“雄マン☆トルコ”創刊【どっち】』

(なにこれ、なんでこんなニュースがこの板に?)

 『登山番組収録中、江頭2:50が行方不明 現在捜索中 ★2』
 『【リアルガイル】バナナで滑って転倒した隊員が重体』
 『カバディをやりながら円周率を言い続けた男がギネスブック申請へ』
 『「期待にこたえたかった」ポンジュースを流した水道局員逮捕…愛媛』
 『エロゲのヒロインが処女じゃなかった事に腹を立ててヲタが制作会社に殴り込み』

(うわ、なんだか凄いことになってる。何で?)

 『【緊急事態】BBSPINKが児ポ法やら経営難やらで閉鎖確定 ついでに2chもか』
  http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1206901482/

(え、これって? 今どんな状態なんだろう)
 カチッ。

 『(´・ω・`)やあ、ようこそエイプリルフールへ。
  このジョークはサービスだから、まずカレンダーを見て落ち着いて欲しい。
  うん、「四月バカ」なんだ。済まない』

「……やられた。すっかり騙された。マスター、かがみんのところのお神酒をください」
655名無しさん@ピンキー
   / : ,. -/: : : : : : : : /: /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
. /,.. '´/: : : :/: : : : /: : : l: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
//   / : : : : /: : : : : /: : : :,! : : : : : : l: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ',
.    /: : : : : /: : : : : /: : : /.|: :|: : : : : |: : : :l: : : : : : : : : : : : : : : : : l
   /: : : : : /: : : : : /-‐ x' !: :|: : : : : |!: : : :l: : : : : :ヽ::::: : : : : : : : :|
   !: : : : :/: : : : : / : : :/ ヽ| : | : : : : | l : : : |: : : : : : :ヽ:::ヽ : : : : : |
.   !: : : :,.イ: : : : : :l : : /   l : !: : : : :| ,.x-‐‐!-、: : : : : ハ::::ハ: : : : : !
  |: : :/ !: : : : : :|: : /     l: |: : : : :|  ヽ: : !、: ヽ、 : : : l::::::l: : : : :|
  |: :/  |: : : : : : ! ll`!‐- 、 l |、: : : :|  ヽ: :| ヽ: :!: : : : :l:::::::!: : : l   それじゃあ次スレ、いってみようか♪
  |:/   l: : : : : イ l |   ,!`'.| ヽ: : | - ..__ヽ| ヽ: l: : : : :l、:::::l: : :!
      |: : : : :l l:|  r'ー',ノ    ヽ: |  |  `丶、ヽ:|: : : : :|:ヽ::l : |
        !: : : ,.!: |!  ` '´     ヽ!  r'、__ ,./'/l: !ヽ : : |):ヽ|: l
       ', : / | : '、 '"'"  ,      ヽ._,. ' l:∧!: 〉、 ,.! '´ ,):|
         ヽ:l !: : :`ヽ、   、_     '"'" ・ l/: : : :l/  /: l
        '.| | : : : :|:l/丶、  `ー'     r‐〈: : : : /  /、 : |
          l: : : : |:| l:.:.:.:.:` ー,┬ '' ´ ,〉、r'ー-'、 /=-ヽ: :!
         /! : : : |:! |:.:.:.:.:.:./ '   , ':/:.:.}-- ..__, !'" `ヽ:|
           / !: : : :|:! l:.:.:.:.:.:l`ヽ、  / /:.:.:.l.__,. l_,. --、:}:l
        {   !: : : |:| |:.:.:.:.:.|   `/ /:.:.:.:.:{     l     ヽ!

らき☆すたの女の子でエロパロ42
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1206901482