ちなみに、アリサはクロースレンジ戦闘の他に、魔法出力をセーブして高機動飛行を行
う飛行方法を教えまくったりしていたのだが、それは余禄。
「なんか嬉しいような、褒められてる気がしないような」
アリサは言い、微妙な苦笑を浮かべながら、頬をぽりぽりと掻いた。
「それに、一元的な有事管理センターの設置で、これまでの緊急時展開能力の低さも、解
消された」
レジアスは軽く手振りを加えつつ、そう言った。
「でも、それは、オットーの能力の方が大きいでしょ?」
アリサが言った。
オットー・ロウラン。高い情報処理能力を持つ文系型の魔導師だ。時空管理局に直接籍
を置く魔導師としては、珍しい存在である。
「もちろん、彼女の技量によるところも大きいがね。とにかく、予算をかけずに抜本的な
治安維持能力の増強が図れた以上、わざわざ本局の石頭どもを説得してまで、『アインヘ
リアル』を実行する意味はなくなった」
レジアスがそう言ったとき、オードブルが、テーブルに運ばれてきた。
軽く手をつけつつ、会話は続く。
「それで、本題に入りたいと思うが……」
レジアスが言い、アリサとユーノは頷く。
「機動6課に赴任、でしたよね?」
アリサは、レジアスに訊ねる。
「ああ。あのちびダヌキに……失礼。中学の同窓生だったな」
レジアスは、勢いで言ってしまってから、慌てて、咳払いで誤魔化す。
「小学校までです。中学は、私たち、公立でしたから」
「そうか、すまない」
アリサが言うと、レジアスは申し訳なさそうに言った。
「あ、いえ、別に気になさらないでください」
慌てて、フォローするように、ユーノは苦笑混じりに言った。
「……とにかくだ、陸士総隊の管轄に巡航警備部系の独立部隊を置く以上、そこに楔は打
ち込んでおきたい。それが、ひとつ目の理由だ」
レジアスは、やはり、軽く手振りを加えて、そう言った。
「それであたしたちに白羽の矢が立った、ってわけですね」
アリサはニヤリと、悪戯っぽく笑い、そう返した。
「ああ、八神二佐以下、現在内定している機動6課の主要人物と、面識があるとのことだ
からな」
レジアスは、頷いて、肯定する。
「ま、今もまじめにつき合いがあるのは、フェイトぐらいなんだけど」
アリサは、自嘲気味に呟く。
「それで、他にも理由があるんですか?」
ユーノが訊ねる。