「つかさ……」
私は愛しい妹の名前を呼んでため息を吐いた。
生を受けて十八年。私の傍らにはいつもあの子が……つかさがいた。
悲しいときも、嬉しいときも、寂しいときも、楽しいときも、あの子の顔は振り向けばすぐそこに。
「お姉ちゃん……」
「今夜も? しょうがないわね、つかさは」
「えへへ……ごめんね?」
昨日の夜も、つかさはいつものように甘えてきた。寂しくて眠れないなんて、小さい頃からこの子ったら何も変わってない。
でもいい。それで構わない。つかさは何も変わらなくていい。つかさの横で寝るのは、死ぬまで私だけだから。
つかさを守ってきたのは私だから。そしてつかさがそばにいてくれることで、私の心が守られている。
最近はみゆきとおしゃべりする時間が多くなってるみたいだけど、私が一緒のクラスならきっと私のほうが……。
ていうか、みゆきとつかさなんて会話というか単に天然のキャッチボールじゃないの。代わりなさい、みゆき。
夜の十一時。今日はつかさがこない。寂しい。寂しがりやのつかさがこないと寂しいなんて、これじゃどっちが寂しがりやなんだか。
そんな日は私は決まって、家をこっそり抜け出して神社へと向かう。巫女装束に着替えて、お堂の掃除を始めた。
別に私は掃除が大好きだとか、そんなわけじゃない。ただ一巫女として、仏に物を頼む際にはこのくらいの礼儀がいると知っている。
「このくらいやればいいわね……」
僅か気持ちばかりお堂を綺麗にすると、私は箒を片付けてお堂の中心に座った。時刻は夜の十二時。
私は仏像に向かってパンパンと手を合わせると、すでに日常と化していたあのお祈りを、今日も繰り返した。
(つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。)
つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。
つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。
つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。
つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。
つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。
つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。
つかさと……パンパンと合わせすぎた手のひらが真っ赤になって、私は痛みを覚えたところでようやくお祈りを終えた。
ああ……またマメが潰れちゃったわ。でもついつい、祈りすぎちゃうのよね。
「やだ……お祈りしてるうちに朝になっちゃったじゃない。まだみんな、起きてないわよね……」
こんなことを、つかさが甘えてこない夜に毎度続けている。それも、つかさに対する愛情ゆえだ。
私のことを誰よりも知っているのはつかさで、つかさのことを誰よりも知っているのは私。
だからつかさを愛していいのは私だけ。つかさに愛されていいのも、私だけ。
私はこれからもつかさを愛し続けるし、つかさは私を愛しつづけるべきなんだ。
でもこんな気持ち、なかなか口に出せない。これがツンデレっていうやつ? わ、私は別にツンデレじゃないわよ……!
(やだ……つかさのこと考えたら、身体が疼いてきちゃった……)
思い立ったら止まらない。私はお堂の真中で、自分を慰め始める。
生粋の受け体質だと自分でもわかっているせいか、私がひとりで始めるときに考える事はいつも、つかさに責められるところ。
『お姉ちゃん、もう感じてるの? ここ、ぐしょぐしょだよ?』
「あんっ……だめよ、つか、さ……阿弥陀如来像が見てる……からぁ……」
『そんなこと言っても、お姉ちゃんの巫女装束こんなにはだけちゃってるもん』
すぐに達した。朝日を浴びながらお堂で身体をくたっと倒れさせている私。なんて罰当たりな巫女なんだろう……。
(そういえば今度……みゆきがお泊り会を開くって……つかさは喜んで参加するって言ってたわね)
よーし、そのときに私の気持ちを伝えよう。姉妹だからって、そんなの関係ない。つかさを守れるのは、私だけなんだから。
******
「ゆきちゃん……」
私は大好きな親友の名前を呼んでため息を吐いた。
こんな気持ち、初めてだった。いつかは私も誰かを好きになるとは思ってたケド、まさか同級生の女の子だなんて……。
でも、好きなものは好きだから仕方なくて……同時に、私は自分が結構嫉妬深いことにも気付いちゃって。
今日だってゆきちゃんはこなちゃんと楽しそうに。私も笑っていたケド、内心は気が気じゃなかった。
こなちゃんのくせに、こなちゃんのくせに、こなちゃんのくせに、こなちゃんのくせに、こなちゃんのくせに……!
ゆきちゃん、私寂しいよ? 私寂しがりやだから、ゆきちゃんが他の人とお話してるだけで胸が痛いんだよ?
夜になると時々どうしようもなくなって、そんなときはお姉ちゃんを代わりにガマンしていたりする。
お姉ちゃんは優しいから、私が狸寝入りしているときに時々キスしてくれたりするし、私からゆきちゃんを奪う心配もない。
でもやっぱり私は、本当はゆきちゃんじゃなきゃイヤなんだよ? お姉ちゃんなんかじゃ力不足だよ……。
最近はみなみちゃんとも仲いいよね? 従姉妹だから仕方ないとしても、あの子にはゆたかちゃんがいるんだよ?
(あんまり寂しくさせないで、ゆきちゃん……でないと私、死んじゃうよぉ……)
私はこの日もキッチンでひとり、お料理に励んでいた。これも全部、ゆきちゃんのための修行なんだ。
「できた……ゆきちゃんケーキ♪」
それはゆきちゃんを等身大で模した、大きなケーキ。こっそり作ってたから完成まで一週間かかっちゃった。
胸の部分は特に気を使って……ほとんど不眠不休だったっけ。でも、ケーキでもゆきちゃんの姿は惚れ惚れしそうだよ。
「あ、もうこんな時間。今度はチキンステーキを作らなきゃ……」
私は包丁を手に取った。使い慣れたマイ包丁。毎日毎日遅くまで研いで、いつでも鋭いままで保っているお気に入りの包丁。
種類もたくさんあるんだ。これから鶏肉をさばかなくちゃいけなくて、私は鈍い色を放つ出刃包丁を手に取った。
鶏肉はさばきたての新鮮なものを買ってきたんだよ。それをまな板に並べると、私は包丁を振り下ろした。
「あれ? このお肉、固い……」
どうしよう。さばきたてだからやわらかいと思ったのに。死後硬直……じゃないよね?
「だめだよ、ゆきちゃんのためにお料理するんだから。もっと上手になるんだもん」
私が非力だからなのかな。中々鶏肉は切れてくれない。私は更に力を加えて鶏肉に挑んでみる。
「もう、固いよ〜。どんだけ〜、どんだけ〜……どんだけ〜……どんだけ〜……」
キッチンに、ダン! ダン! っていう音が響いた。私は鶏肉に向かって何度も何度も出刃包丁を振り下ろす。
その度に鶏肉からはたくさんの血が飛び散って、私の服を、顔を、髪を、手を、床を、天井を汚していく。
「わあ。ようやく切れた〜。あとはこれにバルサミコ酢で下味をつけて〜……」
私はたまねぎ丸々1個を手に取ると、一度の瞬きの間にそれを千切りにしてみせた。
私、ゆきちゃんのためにお料理上手になろうって決めて、包丁の扱いも得意になるよう頑張ったんだ。これしか取り柄ないから……。
でも練習の甲斐あって、今なら目を瞑った状態で50メートル先のハエに包丁を投げて真っ二つにできるくらいにはなったんだ。
ゆきちゃん、包丁なら私に任せてね。私が切ると思ったら、切られずに逃げられる獲物なんてないんだよ〜?
いつかはゆきちゃんに美味しいお料理沢山作ってあげるね。ゆきちゃんさえよかったら……毎日だって作ってあげたいな。
美味しいケーキもたくさん……あ、ゆきちゃんは歯が弱いから、糖分は控えめにしてあげる。そのかわり愛情はたっぷり、とか……。
今日はゆきちゃんケーキを食べながら、私はキッチンでひとり、えっちなことをした。ゆきちゃんを好きになってからほぼ毎日。
ゆきちゃん……お料理だけじゃなく、私も食べていいんだよ? そんなこと、恥ずかしくて思ってても言えないかも〜……。
(そういえば今度……ゆきちゃんお泊り会開くって……ゆきちゃんの家でお泊まりかあ……)
だったら……そのときに私の気持ちを伝えよう。ちょっと緊張しちゃうけど、ゆきちゃんのこと、信じてるから。
******
「みなみさん……」
私は愛しい従姉妹の名前を呼んでため息を吐きました。
思えば小さなころから、私は彼女の愛くるしさにはいつも参らされていたのです。
私の母もみなみさんの可愛さには敏感に反応していたりしますが、私はそれとはまた違った形で……。
……はい、私はみなみさんを従姉妹以上の関係として、愛してしまっていたのです。
みなみさんは胸が小さいことを大層気にされていました。私のことを時々うらやましそうに見ていたり……。
大きいのも考え物なんですよ? それに私は、みなみさんのその小さな胸がとてもいとおしいのです。
この間はそのみなみさんのお胸を拝見しようと、みなみさんをお風呂にお誘いしました。聞きたいこともあったのです。
案の定、みなみさんはゆたかさんをお慕いしているようでした。私はとりあえず、平然を装っていましたが……。
それにしても、よりによってゆたかさんのようなチビ……ではなくて、小さな女の子に恋心を抱いてしまっているなんて。
ゆたかさんは泉さんのことをお慕いしているんですよ? 調べることに関しては日本一の私の情報収集能力を侮ってはいけません。
泉さんは毎日フィギュア遊びに熱心ですし、かがみさんはお堂で朝方まで何やらぶつぶつ呟いていますし、つかささんは趣味のお料理。
こんな状況でゆたかさんに想いを打ち明けても、みなみさんは傷付くだけなのです。
それだけじゃなくて、せっかく出来た親友を失ってしまう可能性があります。それではあまりにも可哀想です。
万が一、上手くいったとしましょう。それはそれで、私が許せません。
もしもゆたかさんがみなみさんを毒牙にかけようものなら、いつだって高良家の力が爆発します。
最悪、ゆたかさんは骨だって残りません……そんなことになったらきっと、みなみさんは立ち直れなくなるでしょう。
悲しい恋をする前に、私がみなみさんの心の隙間をお埋めしてあげたい……ただそれだけなのです。
それに、私のほうがみなみさんと共有した時間は多いのです。お風呂だって、一緒に入れるのは私ぐらいです。
「それともみなみさんは、ゆたかさんみたいに幼い体型がお好みなのでしょうか……」
だとすれば、私には勝ち目はありません。自慢するつもりはないのですが、私は余計に成長しすぎてしまったので……。
「そうですね……方法があるとすればただひとつ」
私の脳裏に、肉体改造という言葉が浮かびました。とはいっても、ダイエットなどそういった類ではありません。
手術……現代整形外科技術にすがります。身長を低くする手術、胸を小さくする手術、お尻を小さくする手術、声を幼くする手術、
そんな手術が実在するのかなんていうことはまだわかりません。しかし、調べさせていただきますし、無ければ強引にでも。
みなみさんが喜ぶのなら、私はこの身体にいくらでもメスを入れてあげましょう。手足を取れをいうのなら取りましょう。
大丈夫です、予算ならたくさんあります。みなみさんがしてほしいことができれば、私はそれでいいのです。
私は高良家地下にこっそりと造った、『みなみさんルーム』に足を踏み入れました。
壁中に貼られたみなみさんの写真。約40台のモニターに映し出されたみなみさんのライブ中継。
高良家の財力、そして私の情報収集脳能力をフルに活かせるその部屋はまさに、私の要塞。
みなみさんのことで知らない情報はございません。体脂肪率から肌年齢、その日の発言の全てからトイレの回数まで、全て。
「適当なロシア語(ロシア国防省GRUの皆さん。みなみさんの本日の行動はどうなんでしょうか)」
『適当なロシア語(ミユキ・タカラ。本日の対象Aの行動データを転送いたします)』
さすがはロシアの軍を引き連れているだけあって、素晴らしい情報の数々ですね……。
私は壁に貼りつけてある等身大のみなみさんスナップに近付くと、ほお擦りを繰り返しました。
「ああ……愛してますよ、みなみさん」
あなたは私のものにしてみせます。たとえ世界を敵に回しても。まあ、世界は私の味方でしょうけれど……。
(そういえば今度……ここで開くお泊まり会に、みなみさんも参加するって言ってましたね)
でしたら……そのときに私の気持ちを伝えましょう。ゆたかさんとなんてくっつけません。みなみさん……みなみんは私の物です。
なんだかすごく、楽しいお泊まり会になりそうですね。今から楽しみです……。
投下は以上です。読んでいただきありがとうございました。
誤字脱字ありましたら申し訳ありません。
いつもほのぼの甘々しか書かないのでヤンデレに挑戦してみたら
なぜかこういったことになってしまいました。
それでは、読み手に戻りたいと思います。
>>648 GJ!!
お泊り会がどうなるのか、すごく気になるっ
恐ろしいことになりそうだ…
で、みゆきとみなみが従姉妹になってるのが気になった
この二人って、単にご近所さんじゃなかったっけ?
>>648 何このハニカムループ・・・。
あなたは甘い作品を書いていれば、それd(高良財閥によって消されました・・・
>>649 え、本当ですか!
ずっと親族だとばかり……申し訳ありませんでした。
保管の際に修正させていただきたいと思います。ありがとうございました。
>>648 だんだん気持ちの強さとそれに伴う暴走がひどくなってるw
>>651 それと神社に仏像があるっていうのも変だと思いますよ
なんだこの6人の関係!
残りの4人もプラスしてもっとカオスに……
なんて出来ませんよね…それはそれで楽しそうですけどw
とりあえずGJ!
>>648 うおお、なんというヤンデレーズ!思わずゾクッときました。GJ!
そしてちょろちょろ妄想を形にしていたら出来上がってしまったので投下させて頂きます。
・TS注意!
・♂こなた×かがみ
おkでしたらどうぞ。
655 :
弟である前に:2008/03/05(水) 17:03:09 ID:BuMLGGD2
あいつとの出会いは、良い印象、とは言えなかった。
ある日、つかさが家で「新しい友達ができた」と嬉しそうに話すものだから、私もそいつに興味が湧いた。
つかさから聞くには、その友達とやらと知り合った経緯は外人に話しかけられて困っていたつかさを、そいつが暴力的な介入で助けたんだとか。
それって助けたって言えるのかと思ったけれど、まあつかさが今嬉しそうなんでその辺は突っ込まないことにした。
そして「お姉ちゃんにも紹介するね」と言われて、早速次の日の放課後つかさにクラスを尋ねると。
「もしかして、つかさのお姉さん?」
「は?」
不意に、見知らぬ男子に話しかけられた。
その時まず思ったことは、なんだこいつ、いきなり。しかも人の妹を「つかさ」なんて親しげに。
けれど内心そんなことを考えていたとはいえ、流石にそれを見知らぬ人に対して顔に出すわけにもいかない。
「……まぁ、そうだけど」
なので無難に質問に一言肯定の意を表す――と。
「やっぱり! 似てるからそうかなーと思ったんだよねえ。でも似てないとこもあるかな、お姉さんは……んー……」
若干オーバーな動作つきで頷いたと思ったら、今度は顎に手を宛がって考えこんでしまった。
その間に、その男子の容姿を少しばかり観察させてもらう。
男にしては低めの背丈、大きな翠の目。そして妙に艶やかな青い髪と――何よりも目を引く、頭から飛び出ている……これは……アホ毛?
ともかく、全体的に女っぽい印象を受ける外見。いや……女というよりは、子供か。
ちょっと落ち着きのないところもまた、それを際立たせている。
そんな風に私まで考え込んでいると、そいつはぱっと顔を上げて。
「ツンデレだっ!!」
……なんのこっちゃ。
いや、ツンデレという単語自体はどこかで聞いたことはある。確か普段はツンツンしてるのに二人っきりになったらデレるキャラのことで……って今これはどうでもいい!
突然のことに何も言えずにいる私に構わず、目の前のそいつは爛々と目を輝かせながら語り続けている。
「その気が強そうなツリ目に、ツインテール、おまけに気の弱い双子の姉! くはー、完璧だよお姉さん!」
「いや、なんなんだよお前さっきから!」
何が言いたいのかはよく解らなかったけれど、とにかく突っ込まないと負けな気がして思わず。
するとそいつはきょとんと首を傾げた。……ホント、子供みたいな動作だ。
「えっと、つかさから聞いてない?」
「はぁ?」
また出てきたつかさの名前。
そんなことを言われても心当たりはない。
「って、なんであんたさっきから人の妹の名前を呼び捨てで――」
「あ、お姉ちゃーん、もう来てたんだ」
と、ガラガラと教室の扉を開ける音と共に現れたのは当の本人であるつかさ。
「ちょっと、つかさ、こいつ誰なのよ! さっきからあんたのこと呼び捨てで」
「え、あれ、言ってなかったっけっ?」
「え」
つかさは慌てたように机の間を駆け、その男子の横に立って一言二言交わしている。
ちょっと待て私。今日ここへは何の目的で来た?
確か、つかさの新しく出来た友達とやらに会うためで……って、まさか。
軽く混乱中の私を尻目に、つかさは笑顔で、
「えと、紹介するね。新しく出来た友達の、泉こなたくん。こなくんだよ」
「よろしくね、ツンデレなつかさのお姉さんっ」
――ちょっと待て、男だとはお姉ちゃんひっとことも聞いてないぞ。
656 :
弟である前に:2008/03/05(水) 17:03:44 ID:BuMLGGD2
そんなこんなで初対面の印象はあまりよくなかったけれど、それから行動を共にする中で、そんなのも段々忘れていった。
一緒にいて疲れる(主に突っ込みで)けど、なんだかんだで楽しいし。
そのうちメンバーにみゆきも加わって、四人で行動するようになった。
女子三人に男子一人、なんて特殊な構成ではあったけど……(こなた曰くハーレム、だとか。アホか)
まあ、とにかくあいつと一緒にいるのは楽しかった。
女子だからってあいつは私達に変に気を使うこともないし、それは私達も同じで。
お互いの家にも遊びに行ったりもした。何気に初めて男子の部屋に入ったり、逆に部屋に入られたり。
でも、この関係。自分でも珍しい関係だなと思うときがある。
普通男女が集まれば、そこには恋愛とかそんな甘酸っぱいものがついてまわるって言うのに。
少なくとも私にとってこなたは――……
「……私にとっての、あいつ……かあ」
そして、とある日の放課後。時刻は夕暮れ、教室内は赤く染まっている。そんな中。
私は一人学校に残って、教室でぼんやりとしていた。
何故なら、ちょっと考えたいことがあったから。誰も居ない放課後の教室で、一人思い悩む少女……うん、青春じゃない。
いや、そんなことのためにここを場所に選んだわけではない。まあ、どうしてと聞かれたらなんとなく、としか答えることは出来ないんだけど。
いつもの四人組で帰ろうとしていた中、こなたに「今日はちょっと図書室に用があるから」なんて言って、ここに来た。
そしていつも一緒にいつ面々について思考を巡らす中、よく解らないことが一つ。
それが先程私が呟いたことだった。
「あいつ、ねぇ……」
心に思い描いて、あいつについて考える。
泉こなた。男子だけど背は低くて、インドア派でオタク、そのくせ運動神経はよくて。
男のくせに綺麗な青の髪で、アホ毛があって。翠の瞳は綺麗だけど、常に半目でもったいない。
ふと、思う。……結構あいつは容姿が整っているんだなと。
運動神経もいいんだし、実はもててたりとかするんじゃないだろうか。好きな奴だって……
――と、そこまで考えて不意に走った胸の痛みに我に返る。
「違う違う、そんなんじゃなくて……」
よく寝坊して朝の待ち合わせには遅れてくるし、いっつも昼ごはんはパン一個だし。宿題見せてってよく頼んでくるし、まるで。
「弟……みたいなもんなのかな」
声に出してみて、そのフレーズが結構的を射ているような気がしてきた。
そうよね、あいつ小さいし。男のくせに私と同じくらいだし。
うん、そうだ。弟みたいなもんだ。そうに違いない。
そう結論が出そうだったところで――
「かがみー?」
「うっひゃあっ!?」
静かだった教室に響く扉を開ける音。そして私を呼ぶ声。
ぼんやりとしていた私は思わずそれにビックリして、変な声を上げてしまった。
「……何してんの、かがみ?」
「え、あ、いや、な、なんでもないわよっ!?」
入ってきたのはさっきまで心に描いていた人物。こなただった。
それにしてもなんてタイミングで来るかな……って、あれ?
「こなた、何でここに?」
「……それは、こっちの台詞だよ。図書館に用事、って言ってたのに、いないんだもん」
「いや、それは……あれ、こなた、もしかしてわざわざ迎えに来てくれた、の?」
こなたの言葉は、まるで私を探していたかのような言い方だ。てっきりあのままつかさ達と一緒に帰ったのだと思っていたのだけど、迎えに来てくれたのだろうか。
……なんだろう、そう考えると、何故かすごく嬉しいと感じてる自分がいる、ような。
「そだよー、かがみんが寂しがってないかなーと思って」
にやりと笑って返された言葉に、思わず反論しかける。いつものやり取り。
でも、違っていた。
「それに、かがみの様子が変だったから」
私の反論の言葉が出る前に、急にトーンの落ちたこなたの言葉。
657 :
弟である前に:2008/03/05(水) 17:04:14 ID:BuMLGGD2
「……え?」
「かがみ、何かあった?」
言いながら教室の入り口から段々私の方へと近づいてくるこなた。その雰囲気が、上手く言えないけれど、なんだか。
(いつもと、違う)
普段の漂々としたこなたじゃない。
具体的にどこが違うのかと聞かれたら答えられないけれど、なんとなく、としか言えないけれど。
「べ、別に何もないわよ。それより、もう結構遅いし、早く帰りましょ」
とにかくいつもの雰囲気に戻そうと、私は何でもない風に装った。そして早く帰ろうと席を立った――刹那。
いつの間にか横まで来ていたこなたに肩を掴まれ。
「っ!?」
そのまま壁に、押さえつけられた。
「っちょ、な、なにすんの――」
「かがみ」
いきなりのこなたの行動に異論を唱えようとする、が。こなたの声の止められる。
なんだろう、いつもだったら気にせずガーッと食ってかかるのに。今は、そうすることが出来なかった。
「本当に、何も、なかったの?」
落ち着いているかのような、こなたの声。でもどこか焦燥が込められているような気もして。
「……本当よ。何もないわよ」
それを落ち着かせるかのように、静かに答えた。
暫しの沈黙。
解ってくれたのだろうか。なら、早く肩に置いている手を離して欲しい。
なんだかこの体勢は、心臓に、悪い、ような。
けれどこなたはその手を離すことなく、その状態のまま、逡巡の後、口を開いた。
「ねえ、かがみ。ボクのこと、どう思ってる?」
「え」
先程まで考えていたことを尋ねられる。まさかこいつ、心を読んで――ってそんなわけないか。
そのこなたの質問には、すぐに答えられるはずだった。さっき、「弟」って答えが出てたはずだった。
なのに――それが私の口から出てきてくれない。
口だけじゃない、身体も思う通りに動かない。それはこなたに壁に押し付けられているからでもあったけど、それ以上に、なんというか、動こうという意志が抜け落ちたとでも言うべきか。
「……『弟』って、思ってる?」
「っそ、そうそう!」
暫く間を置いた後のこなたの一言に正気を取り戻して、慌てて言葉を紡ぐ。
なんか、まるでこなたに助け舟を出されたような、変に悔しい気分。でもそんなこと考えてる余裕はあんまりなくって。
「あんたはよく寝坊するし、宿題はしないし、ホント手のかかる弟みたいで――」
また沈黙が訪れるのが怖くて、こなたと目を合わせないようにしながら喋る。止まらない。
なんで沈黙なんかを恐れてるんだろう、私は。
だって、放課後の教室で二人きりで、向かい合ったままの沈黙だなんて、まるで。
そう、まるで。
「かがみ」
こなたの、声。
私の名前を一言呼んだだけだった。でも、それで私は喋るのを止めてしまった。
「かがみ」
もう一度。次のそれには、何処か逆らえない力が込められているように感じた。
恐る恐る正面へと目を向ける。
案の定、私を真っ直ぐな瞳で見詰めているこなたと、目が合った。
「かがみ、知ってる?」
そのままの状態で再度の呼びかけ。けれど今度は疑問系で。何を聞きたいのか解らない、否――解りたくない?
こなたが何かを言おうと口を開く。待って、聞きたくない。まだ――
けれど時間も、こなたも待ってなんてくれなかった。
「『弟』だって、『男』なんだよ」
そして――サイは、投げられた。
658 :
弟である前に:2008/03/05(水) 17:04:41 ID:BuMLGGD2
「な、なに言って」
「だから、ボクは、男で」
それでも抗おうとする私は、なんて卑怯者なんだろうか。それでも言わずにはいられなかった、けど、こなたは……目の前の「男」は許してはくれない。
さっきからずっと行き場を無くした私の手を、こなたの私のよりも一回り大きな手が掴んで、こなたの胸に押し付ける。
そこは、当たり前だけど柔らかい胸の感触があるわけもなく。薄いけれど、確かな胸板があった。
そして感じる、大きな鼓動。
「かがみは」
手が、強く握られる。
大きな手。私のそれはこなたのに比べて、こなたのに包まれてしまう程に、小さい。
「女、なんだよ」
そんなこと、知っていた。
――でも、解ってなかった。
今、私の目の前にいるのは、強い眼差しで私だけを見つめているのは。
すごく手のかかる、でも憎めない。ちっちゃくて運動神経はよくって、でもオタクな、泉こなた。けれども、弟みたいな奴じゃ決してない。
一人の、男だ。
「……だから」
更にこなたは言葉を続けようとした。
その続きが何なのか。私にはなんとなくだけど、解ってしまった。解ってしまったから――
――聞きたくないっ!
「ゃ……っ!!」
「っ!」
こなたをどんっ、と押し飛ばして、私は走った。鞄がまだ机の横に置いたままだったけれど、そんなのに構う余裕もなくて。
誰もいない廊下を、全速力で走りぬける。
怖かった。
あのこなたは、私の知らないこなたのようで。
怖かった。
こなたが私に向けた、感情の正体が。
でも、何よりも怖かったのは。
あの瞬間、すぐ側に在った彼の温もりを、言葉を。もっと欲しいと願った、私自身。
急な自分の存在に驚いて、戸惑って。
私はひたすら、自分が何処に向かっているのかも解らずに、走り続けた。
「エロゲとかだと、あのままイベントシーン突入、なんだけどな……」
一人残された教室で、こなたは呟く。
やってしまった、と思った。ずっと我慢しようと、友達の距離のままでいようと思っていたのに。
「やっぱり、現実はそう上手くは、いかないよね」
こなたの言葉は誰にも聞かれることなく、夕暮れの教室の中に溶けていった。
以上です。誤字脱字あったらすいません…
つい勢いで文まで書いてしまった。今では反省している。
ちなみに続きません。続きは妄想で補完して下さいorz
あ、あと♂こなたの一人称は
>>634の「ボク」案を採用させて頂きました
ありがとうございました
な!こ、これで終わりだと!?
けしからん、続きが気になってもやもやしてしまうじゃないか!
>>659 612さん自らこなたきゅんSS! ウヒョー!!
なんと言いますか、恋心を自覚して戸惑う二人に転がりました。
転がりすぎて妄想補完じゃ追いつかないので、続きについても是非に是非に、とお願い申し上げます。
ぐっじょぶでした。
みなさん乙です
気付いたら480KB超えていたので、ちょっと次スレ立てチャレンジしてきますね
ついに40スレ目……! 思えば遠くへ来たもんだ、ですね。
俺もアニメから入った人なので、あんまり大きな口は叩けませんが。
職人の皆様と素晴らしきスレ住人に最敬礼! ありがとじゅしたー!!
目指せ100スレ
……このスレなら本当にいきそうで怖い
入り口はそれぞれだけど中に入れば一緒だしね。って混浴風呂みたいだなw
>>659 新作TSを期待した甲斐があった!だがなんという生殺しwww
早く続きを書くんだ!
書いてくださいお願いします
結局、ゲームネタで鬼加速はしなかったねぇ〜
671 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 19:50:26 ID:3HEgvWEU
>>668 謎の電波を傍受した
今日は久し振りの家族旅行。
昔は年に一回とかの割合で行ってたんだけど、中学生になる頃以来かなぁ。
お父さんも最近は仕事も忙しそうだししょうがないんだけどね。
今年からゆーちゃんが家族の一員になったし、私も受験勉強の息抜き(私なりに勉強はしてるのだよ、かがみんっ)にどっか家族で遊びに行きたいなー、
なんて思ってたら商店街のくじ引きで一泊二日の温泉旅行券なんて都合の良いのが当たっちゃって。
という訳で私とお父さんとゆーちゃんの三人でとある旅館に来ています。
美味しいご飯も食べて部屋でくつろいでいたらもう午後八時。
「こなたお姉ちゃん、そろそろお風呂行かない?」
「いいね〜ゆーちゃん。んじゃ入りに行こっか♪」
「んじゃお父さんもそろそろ」
「お父さん、くれぐれも覗いたりしないでよ?」
「! の、覗く訳無いだろ、ハハハ…」
明らかに覗く気満々だったよねお父さん…
それぞれ準備して三人で温泉へと向かう。
んじゃお風呂上りに、と言ってお父さんは男湯と書いてある暖簾をくぐっていった。
私たちも更衣室に入り着替え始める。周りからはとても高校生には見られないだろうなー…胸なんかこんなんだし。
ガラガラッ
そこはいかにもな大浴場。露天風呂とかもあるらしいんだけど後で行ってみようかな。
「誰もいないんだね〜」
「この時間なら一杯人いそうなのにね〜」
「まぁでも貸切って事で良いんじゃない?」
最初に浴槽のお湯を桶で体にかける。暖か〜い♪
ガラガラッ
私たちが入ってきた所と違うドアが開いた音がした。思わず振り返る。もしや…
「う〜ん、いかにもなお風呂だなぁ。女湯もこんな感じなのかな。てか誰もいな…い……」
「「「ちょ」」」
初めて書いてみた。反省はしている
だが後悔は不要だ (=ω=.)b
>>671 これはいけない。俺の脳内京都アニメーションが早速アニメ化を開始してしまったではないですか。
埋めネタGJです。
…何となくwiki見てたら何か変な設定を見つけたんだが
こなた
『特技はアミノ式のCMの運動を全てできること』
…よし、これで誰か何か書いてみる気ないか?
アミノ式のCMか……
どんな内容か忘れてしまった
燃焼系、燃焼系、網野式〜♪
確か、その場で縦回転と下向きで腕の力だけて棒を昇るってのがあったはず
どんな運動があるのか燃焼系のwikiに一通り書いてあったぜww
>>674 「燃焼系〜燃焼系〜アーミノ式」
「アンタよく歌いながらバク宙なんてできるわね……」
「いやあ、これくらい、私にかかれば、どうってこと、ないよ」
「……CM見たときも思ったんだけどさ、スカートが不自然じゃない?」
「ん? 世の中には、大人の事情、ってのが、あるんだよ」
「どこぞのテレビ局の規制みたいだな」
「鉄壁の、スカート、ってね」
>>659 いかん
いかんぞ君 ! すぐに続きを書くのだ !!
ようするに GJ
このスレの職人を別スレで発見した
ちょっと嬉しい
やったことないから知らないけど、人間には不可能な技があると聞いたような……
運動能力抜群のこなたも床では負けっぱなしです
もう一本
>>674 「かがみ、アミノ式のCMのやつ、ちょっとやってみない?」
「流石にあんな中国雑技団みたいなことはできないわよ」
「そう? 案外簡単なんだけどなぁ……」
「私じゃなくて日下部でも誘ってみたら? あいつの方が運動神経はあるでしょ」
「そっか。じゃあそうしてみる」
「みさきちはアミノ式の運動できるよね?」
「なんだよ、藪から捧に」
「いいえ、壁から釘です」
「へ?」
「ごめん、なんでもない。で、CMの運動、できるよね?」
「いや、とっさに言われてもそんなの――」
「――できないの? 運動部に入ってるのに、帰宅部の私がやれることができないんだ?」
「な、んだと……」
「そっかそっか。ごめんね〜。突拍子もないこと言いだして」
「ちょっと待て、誰もできないとは言ってないだろ。やってやろうじゃないか!」
(案外簡単に引っかかったね)
「……なんだよ、その目は」
「別に。じゃあどの運動やる? バク宙か、鯉のぼりか……」
「それだったら、私が前々からやってみたいと思ってた『アレ』を」
「みさちゃん、どこに行っちゃったのかしら」
「ぉーぃ……」
「みさちゃん?」
「おーい」
「なっ……あれは地獄車!?」
「一度やってみたかったんだよね〜『ダブル登校』」
「…………」
「燃焼系〜燃焼系〜……」
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>>682 実際にはCGを使わず、中国雑技団がやってたとか、やってないとか
実は地獄車(?)でこなたがかがみに絡み付こうとするのを期待してた(知らん)
>>683 というとつまり……。
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今日の体育はB組と合同でハードルの授業。一足早くアレが来てしまった私は、妙に張り切る日下部とこなたや
二人の間でおろおろするつかさ、それに困ったような微笑を浮かべる峰岸とみゆきを遠くから眺めていた。
「いち、にの、さん、あれれれ!?」
例によってタイミングが合わず、盛大に転倒するつかさ。
「つかさ、大丈夫ー!?」
「お怪我はありませんか?」
とはいえレスキュー隊も万全、保健委員よりも早く救助に駆けつけた。
「ありがと、こなちゃん。ゆきちゃんもありがとね、どこも怪我してないよ」
いつも通りの柔らかな笑顔に、みゆきとこなたの緊張が解ける。
この子の笑顔は百万ドル以上だ、って思うのは姉の欲目かな。
「でもひーらぎ妹って、ほんと双子なのに似てないよなー。運動神経全然ないじゃん」
日下部が思ったことをすぐ口に出す。
「もう、みさちゃん。妹ちゃんに失礼よ?」
すかさずたしなめる峰岸。こいつら見てると、時々母娘に見えるわね。
「あ、でもね?」
つかさが笑顔をより一層輝かせた。なぜかしら、姉としては微笑むべきところなのに背筋に冷や汗が。
いやーな予感がしたので、拍手を打ってお社の神様に祈る。でも私の祈りも空しく、つかさは核爆弾を炸裂させた。
「私、お布団の上の運動だったらこなちゃんにだって負けないよ?」
「――――――っっっっっ!?」
おお、エクスプロード。
つかさ爆弾は音もなくみんなを爆風に巻き込み、赤面と硬直の嵐を巻き起こした。
「ま! 枕投げ! 枕投げだよ! つかさってばロックオン兄さんばりの狙い撃ちでねー?」
「そ、そそそそうなんですか! さすがはつかささん、かかか隠れた特技ですよねそうですよね!?」
「な、なななーんだー、枕投げかー! そうだよな、わわわわ私たち高校生だもんな!」
「ええ、そそそうよね? 泉ちゃんも妹ちゃんも女の子同士だものね? ね? ねっ?」
涙ぐましい消火活動。でもねあんた達。つかさの恐ろしさはこんなもんじゃないのよ。
「ううん、えっちな運動だよ? あのね、こなちゃんって女の子のお豆をちゅーって吸われるとね」
「やーめーてー!? つつ、つかさ、自重してー!」
こなたの悲鳴が青空に響く。ああもう、ばかつかさ。
私は親友の平穏を心から祈ると、蜂の巣をつついたような騒ぎになる女子連中を黙らせるべく、血の気の引いた身体に
鞭打ってリボンの付いた爆心地を目指すのだった。
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こうですか? わかりません!
なんと素晴らしい
つかさスキーの俺には堪らんSSだ
そして、こなたに目覚めるみさきち。
「ちびっ子みるたびに胸がドキドキする、これって……」
みゆき「鯉ですね」
みさお「ふおっ!そ、そうか、鯉かあ…!」
みゆき「鯉の病(鯉ヘルペス等)に一度かかると、亡くなってしまうということもあるようですよ」
みさお「Σ死ぬのっ!?どーしよーあやのぉ、このままじゃ死んじゃうよぉ…」
かがみ「話をややこしくするな」
691 :
そうたろう:2008/03/05(水) 22:41:26 ID:lTVu2pe2
お初で〜す、今までここはずっと見てきたんですが
初めて作品を書いてみました!
♂かがみ×こなた です!
かがこな最高です!というかこなた総受け最高です!
と、言うことでこれからもこーいうのを書いていこうと思うんですが
とりあえず、今回ので様子を見てみます
692 :
そうたろう:2008/03/05(水) 22:42:07 ID:lTVu2pe2
「こなた・・・」
「ん〜、なにかがみん?」
「かがみんゆーな!・・・それより、そのゲーム・・」
「うん、新作のエロゲだよ〜、このツンデレっ子がまた可愛くてさ〜」
はぁ・・・こいつはこの状況が分かってんのか?
仮にも、”男”と一緒なんだぞ?
いつもと同じ、“お前”と
俺は今日、こなたの家に来ていた。まあ、いつも通りだな。
何故か弟の司が「一緒に行く!!」とか言っていたが
学校で補習があるらしく、さすがに落ちるわけにも行かず
泣く泣く学校へと行った。
最後に「呪ってやる・・」とか聞こえたがまあ、気にしない
ちなみに今日は男友達の
・・・というかほぼ男の友達しかいないが、御幸も誘っていない。
つまり俺とこなたの二人きりというわけだ。
それで、まあ、こなたの家に行ったり、俺の家にこなたが来たり、
ということは
別にこれが初めてっていう訳じゃないけど、いつも司とか、司とか、司と
かが邪魔してきたから
二人きりになるのは実は初めてなわけで・・・柄にもなく緊張していた。
だけどこなたにその素振りを見せるわけにもいかず、
いつも通りこなたはゲーム、俺はこなたのベッドに腰掛け本を読んでいた
つーか今頃だけどこのベッドっていつも、こなたが寝てるんだよな・・・
・・・うわっ!何か急に恥かしくなってきた!
とりあえずベッドから直接、床に座ることに変更する。
うん、これでよし!
693 :
そうたろう:2008/03/05(水) 22:42:41 ID:lTVu2pe2
「どしたの?鏡?」
一回、ゲームを止め俺のほうを向いてくる。・・・顔が近かった
「い、いや、何でも」
「そ?」
う・・その小首を傾げるのやめい!襲いそうになるだろうが!!
「あ!そだ!」
?新作ゲームの発売日でも思い出したか?
「ポチっとな」
テレビゲームの電源を切り、パソコンのスイッチを付けるこなた。
また、ネトゲか?と聞こうとしたら、まあ、その、何だ
『ぁん!きもちぃ、そこ、あぁぁ』
とかいう音声が流れきたわけでして
今へとなる。
く・・顔が赤いのが分かる。それにこなたを意識しちまう・・
耐えろ、耐えるんだ!俺!!
つーか、何で突然エロゲ始めてんだよ!?
襲うぞ!?襲っていいのか!!?OKサインなのか!!?
ていうか聞くのが一番早いよな・・
「何で突然エロゲ始めてんだよ?」
「いやぁ、最近積みゲーが増えてきちゃってさ、
少しずつでも消化してかないといけないからさ。
それに今日は鏡だけだし、司がいたら何か悪い気がしてさ〜」
「俺はいいのかよ!?」
「ほら、鏡だったらオタクだし理解もあるかな〜って」
おいおい、と反論しようとしたら
「それに私なんか襲う人いるわけないしね〜」
とか言うから
「鏡?」
もう我慢
「ごめん、怒っちゃった?」
できなくなっちまった
「んん!!?」
694 :
そうたろう:
「んん!!?」
何で!?何で突然キスされてんの!?それも鏡に!
え、えーっと、とりあえず思考の整理を・・
「んぁ・・!んん!ん・・・!」
と、思ったけど舌まで入ってきてまともな思考ができない
「ん・・・」
最後に啄むようなキスがあり、ようやく口が開放される
「ぷはっ・・・はぁ、はぁ」
「こなた・・・」
「ちょ、鏡!!?」
パソコンのイスに座っていた私を、というか私の膝の裏と
腰に手を回し、そのまま鏡が持ち上げる。
いわゆるお姫様抱っこ・・・
顔に血が集まるのが分かる。
うぅ、アニメとか漫画とかで見てたら、やってんな〜
くらいにしか思わないけど実際にやられると相当恥かしい。
そしてベッドにそっと降ろされ、その上に鏡が・・・って、え!!!?
「ちょっ、まっ、す、すとっぷ!ひとまずストップ!」
もう一回キスしようとしてくる鏡の肩を押し何とか未遂で済ませる。
「・・・何だよ?」
な、何か不機嫌そうなんですが〜
「な、何だよ?じゃなくて!こっちこそ何でさ!?」
「何が?」
「何が?って、その・・」
キスされたことを思い出し再び顔に熱がこもる。
「き、きす」
「ん?」
「キス・・したこと」
うぅ、はずかしい・・・
「・・・・・」
黙っていると思ったら今度は片手で私の手を押さえ
再びキスをふらせてくる。
「ぷふぇ・・・はぁ、はぁ、だからなんで突然キスすんのさ!?」
「今のはお前が悪い」
可愛すぎだし
「そ、そーじゃなくて!き、キスって好きな人にするもんでしょ!」
「お前なぁ・・・」
こんなにお前に好意むけてるやつが一杯いるっつーのに鈍感すぎだっての。
「俺はお前のことが好きだぞ」