http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1219568508/193 より数日後のお話。
「はい、もしもし。なんだお前か。え? 今から会う? なんでまた。なんでも
いいから来いって? ……しょうがねえ、どうせ暇だし、行ってやるよ」
「……寒い。ったく、なんだよあいつ、呼び出しておいて遅れるとかありえねー」
「ごめんごめん、待たせたかな?」
「ああ、待ったと、もぉぉぉぉぅ!?」
「何をそんなに驚いてるんだい?」
「驚くわっ!? ななななななな、なんでお前がスカート履いてんだっ!?」
「そりゃ、僕だって女の子なわけだし、スカートくらい履くさ」
「いや、お前のスカート姿見たのって、幼稚園の時以来なんだが」
「そうかい? まあ、君が見たのが、という事ならそうかもしれないね」
「……っていうか、お前、何というか、その……」
「なんだい?」
「いやいやいやいやいやいやいやいや、なんでもないなんでもないなんでも
ないったらなんでもないから気にするな。気にしないでくれ」
「変な奴だな」
「お前には負けるが。っていつもと逆っ!?」
「あはは、そうだね。じゃあ、行こうか」
「行こうかって……どこへ?」
「今日が何の日かは、流石の君も知ってるだろ?」
「そりゃ……クリスマスイブ、だよな?」
「クリスマスイブに、男の子と女の子が二人で行く所と行ったら?」
「……ラブホ?」
「君は本当に馬鹿だな」
「その姿だと余計に情け容赦なく聞こえるっ!?」
「そこは最後だ」
「そうだよな……って、え!?」
「……というのは冗談だけど」
「性質が悪い冗談はやめろよ……びびった」
「……最終的には冗談じゃなくなればいいんだけどなぁ」
「あ? なんか言ったか?」
「何も。そうだね、まずは、軽く街を散策しよう。そういえば、最近駅前に
ゲームセンターが出来たそうだけど、まだ行った事がないんだよ。丁度
いい機会だ。久しぶりに君のクレーンゲームの腕前を見せてもらいたいな。
頼めるかい?」
「ああ、いいけど……クリスマスイブに、俺みたいな男と二人でゲーセンって、
お前ホントに男っ気まるでないのな」
「そういう君こそ、僕からの電話に『どうせ暇だし』と答える辺り、少しは見栄を
張ろうとは思わなかったのかい?」
「そんなもん、お前相手に今更張っても仕方ないだろ」
「それはそうだね。そうだけど……僕の方は、少しは逆に考えて貰いたかった
りもするんだけどね……」
「逆?」
「……まあいいよ。じゃあ、行こう」
「なんか……お前、怒ってる?」
「別に。何か怒られるような事をした心当たりでもあるのかな?」
「それは無いけど……何か、怒ってるように見えたからさ」
「大丈夫だよ。怒ってない。安心してくれ。僕は至って平常心さ」
「そうかー?」
「そうだとも。とりあえず、今日の君のノルマはぬいぐるみ十個だ」
「多っ!? やっぱり怒ってるじゃねえか!?」
「ふふふ……さあ、ガンガン獲ってもらうから覚悟しておくんだね」
「……まあ、いいけどよ。んじゃま、気合入れていくかっ!」