20いかないと落ちるんだっけ?
このスレが
【ワルキューレ】へ、へ…へっくしょ(照れる)
【ハイドラ】 ぶぁっくしっ!「あ〜」
【メーム】 (扇で口元を隠して)ヘクシッ
【ネスティー】 えぐ
【ファム】 クチュン(眼鏡を直す)
【イナルバ】 はくしょん
【ライネ】 周りに人がいる ヘクチュン 周りに誰もいない時 へっくしょいっ!!
【コーラス】 (そもそもクシャミをしない)
7 :
真田でございます:2008/02/25(月) 06:04:43 ID:Vjw3Ot1u
改めましてスレ立てお疲れ様でございました。
このスレでもよろしくお願いいたします。
では続きをさせていただきます。
「姫様、侍女長は本命チョコをお作りになられますから、私達が」
侍女の1人がにやりとしながらワルキューレに進言すると
「あら、そうね。 邪魔しちゃ悪いしお願いしようかしら?」
ワルキューレもニヤけて真田さんを見ながら言った。
「で、ですからわたくしと和人様はそういう間柄では……」
焦る真田さんだったが
「でも、そういう気持ちが全く無いと言うわけではないのでしょう?」
ドキッ!
時々ワルキューレは鋭い指摘をする。
実は真田さんも和人の存在をどう受け止めているか解らないでいた。
気がついていなっかったと言うべきか。
でも今の「ドキッ!」は何を意味するのだろうか?
「わ、わたくしは皇室侍女長でございます。 姫様をさしおいて恋愛なんて、とてもとても……」
チクッ!
その場を取り繕ったが、かすかな胸の痛みを覚えた。
夜。
ワルキューレが何時に無く真剣に公務を片付けると、少し早い時間かと思われたが夕食を食べる事になった。
「ねえ、真田さん。 真田さんも一緒に食べましょ」
テーブルに座ったワルキューレが後ろで控えている真田さんに声をかけた。
「いや、しかし……」
返事に窮する。
「いいじゃない。 地球に来てから真田さんと一緒に食事してないし」
「はぁ、ですが……」
確かに以前はワルキューレと一緒に食事をする事があった。
真田さんとは仲が良いし、2人の時はそれこそ姉妹のように過ごす事だってある。
だが、地球に来てからは公務があったり、要人と会談の後、会食したりしてなかなかその機会がなかった。
「ねえ、真田侍女長のお食事もこっちに持ってきてくれる?」
部屋の隅で待機している侍女に声をかけると、彼女は黙って頭を下げて部屋を出た。
それを見計らって
「姫様、他の者がいる場であのような事は…… 姫様のお心遣いは大変有難い事でございますが、わたくしはあくまで姫様の、ヴァルハラ皇家の臣でございます。 秩序の問題もございますし」
あくまで立場やヴァルハラ皇家の事を考えるが
「だってぇ、1人で食べても美味しくないんだもん」
少し頬を膨らませて、子供のような仕草をした。
ドアが開いて真田さんの食事を持ってきた。
テーブルの上に揃えると
「ご苦労様。 ねえ、貴方達もお食事にしたら? 後で私と真田侍女長でお風呂をいただきに参りますから、一緒に行くなら早めにね」
ワルキューレの言葉に、昼間一緒にお茶を共にした侍女が一瞬驚いた。
「あ、あの…… ご一緒してもよろしいのですか?」
上司である真田さんの方をチラっと見ながらワルキューレに尋ねるが、真田さんが
「姫様の給仕はわたくしがいたしますので、貴方達も早く食事になさい」
侍女長らしく指示すると、一礼して部屋を辞した。
「さあ、食べましょ」
ワルキューレがナイフとフォークを取って食べだすのを見て、真田さんも食べだした。
「しかし、よろしいのですか? あの者たちもご一緒で?」
いくら地球に来ているとは言え、皇女と侍女が一緒に入浴するというのは如何なものか。
だが、当のワルキューレは
「皆と一緒の方が楽しいじゃない。 それにお風呂屋さんって他のお客さんもお見えになってるんでしょ?」
行儀悪くフォークをクルクル回しながら言う。
「まあ、そうでございますが……」
歯切れが悪い。
「あっもしかして私が行くからって、そのお風呂屋さんを貸切とかにしてないわよね? そんな事はダメですよ。 私のワガママなんですから、地球の皆さんに迷惑をおかけする訳にはいかないもの!」
(やっぱり、姫様は姫様ですわねぇ)
少し感心した。
同時に、プライベートでは少々奔放な所もあるが、やっぱり皇女なのだと思ったのだった。
「ええ、そのような事は……」
食事が終わり、真田さんが後片付けをしている間もワルキューレはそわそわしている。
「ねえ、真田さんまだ?」
時計を何度も見ては声をかける。
「はいはい。 今しばらくお待ちくださいませ。 時乃湯さんは逃げはしませんから」
なだめるように言うがワルキューレは子供のように落ち着き無く部屋の中をウロウロと歩き回る。
時計が20時を示すと
「では姫様、そろそろ……」
真田さんがワルキューレと自分の分の着替えやタオルを入れたバッグを肩にかけた。
2人が部屋を出ると、そのフロアの広いロビーに昼間の4人の侍女が待っていた。
6人がエレベーターで1階に降り、フロント前のロビーにつくと、日本政府から派遣されてきている女性のSP2人が待っていた。
ショートヘアで、職業柄なのだろう、少々目つきが鋭い。
1人はメガネを着用している。
一礼すると、
「殿下。 殿下のお申し付け通り警備はつけておりません。 車を用意してございますので……」
言いかけた所で
「ごめんなさいね。 私のワガママでお仕事増やしてしまって。 でも近いみたいだし、歩いて行きましょ。 そこの商店街のはずれみたいですから」
ワルキューレは大きくごっつい感じがするリムジンに乗るのはあまり好きではなかった。
「ですが殿下、警備も着けず我々2人では何かと……」
額に汗を滲ませて言うが、ワルキューレは空も飛べるし、彼女が本気を出せばこの星すら宇宙のチリにしてしまう事も可能なのだ。
警備なんていらないし、いざ事が起こったらこの中で一番戦闘のスキルが高いのはワルキューレ。
「本当にごめんなさいね。 私はそれなりの術も心得ておりますし、剣術の心得もございます。 貴方達もお仕事でしょうけど、ここは私のワガママを聞き入れてくださらないかしら?」
皇女らしい物言いに困り果てたSPの1人が真田さんに助けを求めるように言うが、真田さんも
(ここまで言われてはダメですわ)
という感じで首を小さく振ると、彼女達も諦めたように
「はっ! 殿下の御心のままに」
頭を下げ、先導して表に出た。
「只今、ワルキューレ殿下、真田侍女長他4名と共に時乃湯方面に向かってます」
襟についたマイクに向かって言うと歩き出した。
先頭と殿をSPが務め、その次に侍女が2人ずつ着き、中心にワルキューレ。
真田さんは斜め後ろに付き添っている。
商店街に入るが、夜の8時過ぎなので、人通りは少ない。
それでも前後のSPは周囲に気を配って進む。
暫くすると時乃湯の煙突が見えてきた。
「姫様、あちらにございます」
真田さんが声をかけると、目をキラキラさせてワルキューレがうんうんと頷いた。
暖簾をくぐり、下駄箱の使い方を真田さんに聞いてクツをしまって中に入ろうとした。
「殿下、少々お待ちを……」
SPの1人が戸を開ける。
「いらっしゃ〜い」
真田さんと侍女達には解る、やはり少しやる気無さそうなリカの声が聞こえて来た。
リカは声はかけたものの、単語帳を見ているので、お客の方はチラっと見ただけだった。
(見慣れない人だなぁ。 新規のお客さんかな?)
とか考えていたが、なかなか入って来ない。
中を覗き込むように隅から隅まで見渡している。
「あの〜」
やはり少しやる気無さそうな声で尋ねると
「申し訳ございません、今しばらく」
「?」
リカもその後が出なかった。
その女性が後ろを振り返り
「どうぞ殿下。 お入りください」
頭を下げながら言った。
「殿下ぁ?」
訳が解らないリカだったが、入ってきた客を見て驚いた。
「うわぁっ! TVのお姫様!!!」
驚きのあまりヘンになってしまったが、毎日ニュースやワイドショーで見る顔。
真っ白な肌に膝まであるレモンイレローの髪。
大きな羽根のついた帽子を被っている姿はそれこそTVで見るそれと同じだった。
「お世話になります」
ワルキューレが小さく頭を下げると直後に
「リカ様、今夜は姫様もお湯をいただきに参りまして……」
サイフから回数券を出しながら言う。
「真田さん! そう言えば真田さんもお姫様の後ろで立ってる姿とかチラっと見るけど、やっぱり皇室侍女長だったんだぁ」
とにかく回数券を受け取るリカ。
だが、本物のお姫様をこんな近くで見るのは当然初めてで、ひどく緊張したのだった。
(な、なんでウチに)
そんな事すら考え付くのは後になってからだった。
「あの、真田さんから伺っておりますが時野リカ様でいらっしゃいますわね。 私はヴァルハラ星のワルキューレでございます。 お見知りおきを」
改めて頭を下げて挨拶するとリカも慌てて番台から出て頭を下げた。
「リカ様、和人様は? やっぱりボイラー室でございますか?」
真田さんが尋ねると
「何ですか侍女長〜。 やっぱり和人様にお会いしたいのですかぁ」
冷やかすように言われる
「何言ってるのですか! 姫様が御越しになったのでご挨拶を」
「うふふ。 そうね、そういう事にしておきましょ。 でもお仕事中ですからご挨拶は後ほどにしましょ」
ワルキューレも冷やかし半分で言うが、ヴァルハラ言語でのやり取りなのでリカには解らない。
しかし、さっきの挨拶は完璧な日本語だった。
(やっぱりお姫様って勉強とかしてるんだろうなあ。 でも誰に習ったんだろ? それにしても…… キレイだなぁ。 お人形さん…… ううん、何かそれこそアニメに出てくるお姫様みたい)
(真田さんもキレイだけど、このお姫様も本当に…… キレイ。 女神が実在してるなら、きっとこんな姿してるんだろうなぁ)
ボ〜っとしてると
「リカ様、先にお風呂をいただきますので、和人様へのご挨拶は後ほどに……」
真田さんが言ったが
「う、うん……」
としか答えられなかった。
一行はSPの2人を除いて服を脱ぐと浴室に入っていった。
「あぁ〜。 ビックリしたぁ!」
あまりにも突然の事で、呆気に取られていたが、我に返ったリカが止めてた息を吐き出すように言ったのだった。
今宵はここまでに。
続きは今度こそなるべく早いうちにさせていただきますので、何卒。
今日からまた1週間。
社会人の方はお仕事に、学生の方はご勉学に。
そして受験生の方は正念場であろうかとございますが、是非とも頑張ってくださいませ。
それでは、おはようございます。 そしておやすみなさいませ。
wktk
15 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/03(月) 22:29:08 ID:7dyLmMGn
ほす
こないね
忙しいのかな?
たまには他の職人さん来ないかな?
18 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 15:12:00 ID:ZViapFbv
更新が遅くなって申し訳ございません。
それでは続きをさせていただきます。
今回もエロはございませんので、そちらを期待されてる方はスル〜なさいますようお願いいたします。
では後ほど。
曇りガラスの戸を開けて浴室に入ったワルキューレと侍女達。
「まあ! あの壁画ステキ!」
ワルキューレがタイル絵を見て目を輝かせた。
富士山にUFOというちょっと変わった取り合わせの絵だが、あまり荘厳な感じのタッチでない為柔らかく見える。
「畏れながら申しますと姫様、あれは「タイル絵」と申しまして、銭湯独特の芸術との事でございます」
真田さんが言葉とは裏腹に少し得意げに言うと
「あら、真田さん良く知ってるのね。 やはりその和人様から教えて頂いたの?」
逆を取るように少しからかうように返したのだった。
「ひ、姫様。 ですから……」
決して湯気だけのせいではないのだろう。
少し顔を上気させて俯く真田さん。
「まあまあ、その和人様には後でお会いさせていただくとして、まずはお風呂をいただきましょ」
タオルを手に流し場に向かった。
真田さんもそれに続き、ワルキューレの為にイスにお湯をかけて、座らせた。
一通り作法(?)をレクチャーすると、ワルキューレもそれを実践した。
皇家に皇女として産まれたワルキューレだったが、学園惑星の寮に入って以降は自分で自分の体を流すようになった。
だが、それまでは侍女、途中からは配属されたばかりの真田さんが流してくれてたが、学園惑星の寮に入った直後は各自が自分で体を洗ってるのを見てどうしてよいのか解らずファムと途方に暮れた事があった。
かと言って、ハイドラのような豪快(?)な流し方だと肌を傷つけてしまいそうで、マネできない。
仕方なく、他の人の流し方をまるでテスト中にカンニングするようにコッソリと覗きながらマネしたのだった。
そんな経験があったので、地球式の方法も直ぐに身につけた。
さすがに長い髪は真田さんが手伝って洗ったのだが、その髪を湯船に浸からないように、なるべく纏めてタオルで包むといよいよ湯船に浸かる。
「!!!」
片足をお湯に浸したワルキューレの体は電気ショックを受けたように一瞬固まった。
その様子をチラっと覗き見る真田さん。
その後ワルキューレはゆっくりと全身を和人が心を込めて沸かしたお湯に委ねた。
「……」
しかし、その後ワルキューレは黙ったまま。
お湯の感触を味わっているようで、真田さんも他の侍女達も声を出さず見守るだけだった。
「ああ〜っ……」
うっとりとした声を出すワルキューレに
「如何でございますか、姫様?」
真田さんが声をかける。
しかし、振り向いたワルキューレは少し怒ったような顔をしている。
「真田さん、ひどい!」
「は?」
これには真田さんも戸惑う。
「そして貴方達も」
随行して来た4人の侍女達も顔を見合わせた。
「こんなにステキなお湯なんて、お風呂なんて初めて…… ヴァルハラ皇宮と似てる…… ううん、私はこっちのお湯の方が好き…… こんないいお風呂を貴方達だけで楽しんでいたなんて。 ホントにひどいわ」
手のひらでお湯を掬うようにしながら横目でチラリと侍女達を見た。
「それはそれは申し訳ございませんでした。 しかし、この国のこういった銭湯は下々…… 庶民の為の施設と伺っておりますし……」
謝りながらも少し自慢げに言う真田さんに他の4人もホっとした。
上司の様子からして主君は本気で怒ってないと解ったからで、2人を囲むように近づいた。
「ええっ! この国の方々ってこんな贅沢をしているの? いいなぁ。 こんなお風呂に毎日入れるなんて……」
本当に羨ましそうに、また少し子供みたいな口調で言った。
無論、ワルキューレは文化の違いも学習してるので解ってはいるが、自分達にとっては入浴は神聖な儀式でもあり、楽しみでもある。
自分を含めた8人の姉妹達も例外なくお風呂は大好きであり、ついその基準で考えてしまったのだった。
「ああ〜〜〜っ。 この地球(星)に来て良かった。 この国に滞在する事になって本当に良かった……」
ピチョ……
感極まったのか、涙が1粒落ちた。
「この地球に来て、初めて体だけじゃなくって心も温まるお湯に浸かれたわ…… ムリ言って来て良かった……」
慈しむように手でお湯を肩口にかけながら言う。
パシャ!
急にワルキューレの手が止まった。
「如何なされました?」
真田さんが声をかけるとワルキューレが彼女の方を向き
「そう言えば、このお湯を沸かしてらっしゃるのがその和人様なんですよね?」
我に返ったような表情で尋ねた。
「はあ、さようにございますが……」
「それでちょっと可愛いと?」
今度は他の侍女達を見て言うと、彼女達は小さく頷いた。
「それはますます和人様とお会いするのが楽しみだわ。 もうちょっと暖まったら出ましょうか?」
1人盛り上がるワルキューレだった。
どれくらいの時間が経っただろうか?
まだ緊張しているリカはボ〜っと浴室の方を眺めてるだけだった。
ガラスの戸があくと皇女一行が出てくる。
それを見つけると、風呂には入らず脱衣所で待機していた2人の女性SPが頭を下げた。
「お先にいただきました。 貴方達もご一緒なされたらよろしかったのに」
皇女らしく声をかけると
「いえ、お言葉とお心遣いありがとうございます。 任務中ですのでお心だけいただきます」
ワルキューレもそう返ってくる事は予想してたのだろう。
特にどうと言う事もなくバスタオルで体を拭いた。
(それにしても……)
我に返ったリカがその様子をこれまたボ〜っと眺める。
(お姫様ってやっぱり世間知らずの天然なのかな? それともよっぽど自分の体に自信があるのか…… まああの体だもんね、自信があって当然かぁ。 それにしても堂々としてるわよねぇ)
リカが思ったように実に堂々と体を拭いている。
(ミルクみたいな白い肌。 少しピンクに染まってるのが色っぽいなぁ…… うわっ! 乳首なんか子供みたい。 ピンクというより肌色?)
(! ん? お姫様っていいモン食べて食っちゃ寝とかしてるから太ってるかも? とか思ったけどこのお姫様、全然太ってないし。 腕もお腹も引き締まってるなぁ。 太らない体質なのかな?)
体が拭き終わったのだろう、コスチュームを身につけた。
その後は一足先に服を着た真田さんが手伝って長い髪を整える。
(長い髪だなぁ…… もしかして産まれてから一度も切ってないのかな?)
なんて考えていたら、鏡を見ていたワルキューレが視線を感じたのか番台のリカの方を見てニッコリと微笑む。
(!)
別に悪い事をしてるワケではないが、慌てて目をそらせてしまった。
しばらくして、真田さんがブラシをかけ終わると、彼女に一言礼をいい、席を立った。
そのまま番台に来る。
「あの……」
「は、はひぃっ!」
横目でワルキューレが近づいてくるのは解っていたが、ヘビに睨まれたカエルのように固まってしまっていて、声をかけられても緊張のあまり裏返った声で返事をしたのだった。
「あの、こちらのご主人である和人様はまだお仕事中でございますか? お時間がございましたら是非とも一目会ってご挨拶したいのですが」
入ってきた時のように実に流暢な日本語で尋ねてきた。
「えっ! あっ! お、お兄ちゃんですか? ちょっと待ってもらえますですか」
やはり焦りがあるのかおかしな言葉にあってしまった。
そんな事も気づかないくらいリカはいっぱいいっぱいのだろう。
慌てて番台から出るとボイラー室へ走る。
ガララ!
扉を勢い良く開けると
「お、お兄ちゃん! き、き、来たのよ」
リカらしからぬ焦っているのに少し驚いた和人だが和人はあくまで和人らしく
「来たって何が来たんだい?」
のんびり答える。
「お、お姫様が! TVに出てるお姫様よ。 真田さんの……」
「あっ……」
ようやく理解出来た。
夕食時にニュースなどでワルキューレの事を報道している時、2人にとっては皇女様より常にピッタリと影のように付き添ってる真田さんに目が行くのだが、当然ワルキューレの事も目には入る。
真田さんも皇室侍女長だと言っていたし。
和人はボイラー室を出た。
が、出てはみたもののワルキューレ達は女湯側にいる。
和人が番台に座れば事は足りるが、ニガ手だ。
「あ、あの……」
「はい?」
和人が声をかけるとしきり越しから聞き慣れない声がした。
透き通るような、それでいて小鳥が囀るような声。
ワルキューレの声なのだろう。
しかし声をかけたものの、どう繋げていいか解らない。
さらに仕切りで相手の表情も見えない。
「あのさぁ、ココじゃなんだから家の中で話せば。 番台はあたしがやっておくから」
リカに言われると
「あ、あのワルキューレ…… 殿下……」
どう呼んでいいのか解らないので、TVで報じられてる通りに呼んでみた。
「はい。 あっ、でもワルキューレで結構ですわ和人様。 お話は伺いましたここでは……」
「そ、そうですね、ではちょっと出ていただけますか?」
戸を開けて和人が先に下駄箱の所に出た。
「ではリカ様ごきげんよう」
「リカ様失礼いたします」
ワルキューレと真田さんが挨拶をしているのが聞こえた。
暫くして一行が出てきた。
(あっ!……)
出てきたワルキューレに目を奪われる。
その神々しいまでの姿と全身から発せられている超然としたオーラ。
何の予備知識が無い状態で出会っても彼女がやんごとなき人物であろうと言う事が一目で解るだろう。
「和人様、こちらがわたくしのお仕えするワルキューレ皇女殿下であらせられます。 姫様、こちらが当銭湯の主でいらっしゃいます時野和人様にございます」
真田さんが間に入って互いを紹介した。
そして
「ここでは姫様のお体が冷めてしまいますので……」
和人をチラっと見て言うが
「真田さん。 真田さんはともかく私は初対面なのに、そんな……」
ワルキューレは遠慮するが、和人も言われて気づき
「す、すみません気がつきませんで…… あのよろしければウチに上がって行かれませんか?」
誘ってみた。
(「折角のお誘いでございますが……」)
そう返事が返ってくるかと思ってはいたが
「よろしいのですか? 本当に?」
目をキラキラさせて答えてきたのだった。
「殿下!」
女性SPの1人が、それはちょっと困る! という感じで言う。
しかし、
「お願いします。 少しだけ。 ご主人とお話したいの」
もう夜で、この先のスケジュールは空いている。
さらに明日も誰かに会う予定も無い。
そもそも彼女達はワルキューレの護衛が任務で行動の制限を加えられる立場ではない。
「はっ! 殿下の御心のままに……」
諦めたように頭を下げた。
「では貴方達、貴方達は先に戻って姫様のお休みの準備、引継ぎをお願いしますよ」
4人の侍女達に言うと
「あ〜、侍女長ずる〜い。 やっぱり和人様とぉ」
冷やかすように不満を言った。
「な、何を言ってるのです。 わたくしは姫様の…… と、とにかく貴方達は……」
決して風呂上りのせいだけではないだろう、少し顔を赤くしながら言うと
「は〜い」
上司をちょっと冷やかすように返事をして帰って行った。
改めてワルキューレと真田さんを母屋の中に招き入れた。
「あっ! あの……」
玄関の前で立ったまま入ろうとしない女性SP達に声をかけるが
「いえ、私達はこちらで待機させていただきます。 お心遣いは無用ですので」
ちょっと鋭い視線を投げかけ、向きを変え外の方を向いた。
和人が戻ると、2人は居間で立ったまま。
「あっ! ごめんなさい。 座ってくださればよかったのに……」
申し訳なさそうに言うと、真田さんが座布団を用意して
「では、姫様……」
座るように勧める。
しかし、それでもワルキューレは座らない。
「?」
彼女の意図が解らないまま和人が座るとワルキューレもそれにならって、ようやく座布団に座った。
いくら皇女とはいえ、この家の主はあくまで和人。
友好関係となったがヴァルハラ星と地球はあくまで対等な間柄。
それだけにマナーとして和人が座ってから座したのだった。
当然、真田さんままだ立ったまま。
それに気づいた和人は
「真田さんも座って」
和人が勧めると
「はい、ではお言葉に甘えまして」
とワルキューレの斜め後ろに座った。
「あら、真田さん。 そこでいいの?」
振り向きながらワルキューレが言う。
和人には見えないその顔は少しニヤけている。
「ひ、姫様……」
少し困ったように意地悪な主君を軽く睨む。
「こちらにいらっしゃいよ」
自分の横をポンポンと叩いて招いた。
仕方なくワルキューレの横に座った。
「それにしても和人様。 いただいたお風呂は大変素晴らしかったです」
向き直って和人に改めて感想を述べた。
「ああっそれは良かった。 ボクもお客さんのその言葉を聞くと嬉しくなります。 あっ、お茶入れますね」
席を立とうとした。
「いえ、お茶はわたくしが用意させていただきますゆえ、和人様は姫様と……」
そうやって和人を制して真田さんが立った。
以前に来たことがあるので、台所が隣にあるのは知ってるし、チラっと見ただけだが急須や湯のみの位置も覚えている。
しかも、リカにお茶を煎れられて作法(?)も覚えた。
2人に一礼して居間を出ると台所でやかんでお湯を沸かし始めた。
「んふふ。 なんか真田さん。 ここの奥さんみたいですね」
今度は和人をからかうように流し目で見つめる。
和人の反応を見て楽しんでいるようだった。
「そ、そんな…… あ、あの、茶っ葉の場所やお茶菓子の場所までは知らないだろうから、ボクちょっと見てきます」
顔を赤くしながら慌てて席を立つ和人を見て
(んふふ…… ああ〜! ホント、可愛い!!!)
とか思ったのだった。
襖の隙間から台所の様子が伺える。
皇女らしからぬ、行儀悪く覗き見た。
台所で和人が湯のみや茶筒の場所を教え、お菓子を用意している。
だがその様子は互いが目を合わせず、よそよそしい。
一瞬2人の視線が交差した。
ワルキューレや侍女達の言葉が頭に残っているのか、妙に意識しあってるようで、2人は慌てて顔をそらせた。
(ふ〜ん、やっぱり……)
ワルキューレは自分が子供の頃に配属されて来て以来、初めて見る真田さんの姿に侍女達が言っていた、またそれを聞いた自分のの考えが正しいのを確信した。
2人はまだ互いの想いどころか、自分の気持ちにすら気づいてないかもしれない。
だが、その想いは本物なのだろう。
そして、また視線があうと今度は2人とも笑顔を見せて楽しそうに話している。
お湯が沸いたようで、急須にお湯を入れ、残りをポットに入れてるのを見てワルキューレは座布団に座りなおした。
2人が戻ってきてお茶が煎れられる。
台所でのやり取りで打ち解けたのか、和人と真田さんは楽しそうに談笑している。
そこへワルキューレも混ざって3人は時間を忘れるほど話し込んだ。
さらに時間は過ぎ、リカが戻ってきた。
「お兄ちゃん。 もう閉めちゃったからねぇ」
リカの言葉が合図となった訳ではないが、ワルキューレと真田さんが時計を見た。
「あら、もうこんな時間…… 真田さん、そろそろお暇しましょうか?」
「さようでございますね。 和人様もお風呂の片付けとかございましょうし……」
席を立った。
「あれ? もう帰っちゃうの? 銭湯閉めちゃったから、それこそ今からなら時間あるのに」
あまり話せなかったリカが少し残念そうに言うが
「あまりムチャ言っちゃダメだよ。 ワルキューレ様だって忙しいだろうし、真田さんも……」
和人の言い分はもっともだった。
「そうだね。 ワルキューレ様、真田さんまた来てね」
声をかけた。
「リカ様、今日はお邪魔いたしました。 リカ様も和人様も今度は私の所に遊びにいらしてくださいね。 お名前を言っていただければ通していただくようにしておきますから」
実に上品に一礼し、ニッコリと微笑んで居間を出た。
「では和人様、リカ様、失礼いたします」
真田さんも頭を下げてから居間を辞した。
玄関からワルキューレが出ると、SPの2人が敬礼して迎え、4人は帰路についたのだった。
その帰り道。
「真田さん…… 私解っちゃった」
ワルキューレが少しニヤけて切り出した。
「は? 何がでございますか?」
困惑しながら答える。
「真田さんが和人様をお慕いする理由…… 和人様ってちょっと可愛くて、笑顔がステキで、お優しくて、お風呂は最高で……」
「ひ、姫様!」
ヴァルハラ言語でのやり取りなのでSPの2人には解らないだろうが、少し戸惑った。
「コホン! 姫様、わたくしは和人様とは……」
取り繕うが
「あらそうなの? 本当に何とも思ってないの?」
意外そうにキョトンとした表情で真田さんを見た。
「は、はい……」
答えたものの、真田さんの表情は冴えない。
(やっぱり……)
それを受けてワルキューレから思わぬ言葉が出た。
「そう。 だったら私が想いを伝えちゃおうかナ? 和人様に」
「!!!」
真田さんは声にもならず、驚愕の表情で主君を見た。
「真田さんが和人様の事を想ってないのなら良いわよね? 私は…… 和人様が好きよ」
「ひ、姫様……」
「だぁってぇ、メームお姉様もイナルバお姉様も「結婚しろ」ってうるさいし、私達8人の中から1人、同盟国(星)の王子と結婚するのが習わしでしょ?」
「和人様は王族ではあらせられないけど和人様ならメームお姉様もイナルバお姉様も納得してくださるわ。 この地球とはもう同盟国なんだし」
目をキラキラさせて言うワルキューレ。
「姫様!」
真田さんがキツイ口調で止めた。
いくらヴァルハラ言語での会話とは言え、「和人」と言った固有名詞は変わらない。
ワルキューレの表情などで和人の事を悪く言ってないのは解るだろう。
彼女達は選りすぐりのSPだけに周囲に漏らすことはないだろうが、上司に報告として話が挙がるかもしれない。
だが、ワルキューレも表情を引き締めて
「真田さん。 私は本気よ。 私は和人様とならヴァルハラ皇宮でもこの地球でもどこまでも添い遂げるわ」
「……」
「和人様のお手伝いをして、あのお風呂屋さんをお手伝いするのもステキじゃない?」
一気に畳み掛けてくる。
「ひ、姫様。 と、とにかくお話は戻られてからでも……」
そう言って止めるのが精一杯だった。
ホテルに着く。
「到着っと。 ありがとうございました。 今日はもう出かけませんし、明日も予定はございませんから、ゆっくり休んでくださいね。 ご苦労様でした」
皇女らしくSPを労うと
「では殿下、私達はこれで失礼いたします」
まるで何も聞いてなかったように表情を変えず敬礼すると2人はワルキューレの前から辞した。
待機していた侍女達がワルキューレと真田さんを出迎え、2人の荷物を受け取る。
「貴方達ももう下がって結構です。 真田侍女長、少々お話がありますので私の部屋に…… それとお茶をお願いしますね。 カップは2つで」
「はい!」
真田さんを先頭にして並んでいたが、頭を深々と下げると侍女達もそれにならう。
ワルキューレが1人エレベーターに乗り、ドアが閉まると真田さんが顔を上げた。
「貴方達、姫様のおっしゃるように、待機の者を除いてお休みなさい。 姫様のお茶は私が用意いたします」
引き締まった顔で指示すると侍女たちは各自の部屋に戻って行った。
真田さんがポットにリーフを入れ、お湯を注ぐとカップを乗せてワルキューレの部屋に向かった。
(姫様の先程のお言葉…… 姫様は本気で和人様を?)
いろいろ考えながら廊下を歩く。
部屋に着きドアをノックした。
「真田でございます」
告げると
「どうぞ、入って」
中から声がしたので部屋に入った。
「ねえ真田さん。 さっきの話だけど……」
ピクッ!
紅茶を入れていた真田さんの手が止まる。
しかし、止まったのは一瞬で、すぐさまワルキューレと自分の分の紅茶を入れた。
「姫様、お茶にございます」
ワルキューレに差し出す。
「ありがとう。 真田さん、まあおかけなさいな」
「はい。 それでは……」
向かいに座ると、ワルキューレは紅茶を一口飲んだ。
「どうぞ。 真田さんも飲んで」
紅茶を勧めるが口にはしない。
ワルキューレはそのまま話を進める。
「真田さん。 本当に和人様の事、何とも想ってないの? 私が彼に想いを伝えていいのかしら?」
ピクッ!
やはり真田さんの体が反応した。
それを見たワルキューレ。
だがそれを見なかったように
「紅茶さめるわよ。 ここでは私と真田さんの2人だけ。 主従の作法はやめにしましょ」
「はい、それでは有難く頂戴いたします」
喉の渇きを紛らわすように熱い紅茶を喉に流し込んだ。
熱いもには苦手なのに……
「それでそうなの? もし真田さんが何とも思っていないのなら私のお婿さんに彼を迎えたいと思うのよ」
「そ、それはようございます。 和人様ならメーム様もイナルバ様も文句はございませぬかと……」
極端に緊張してるのか、迷いがあるのか、言葉はよそよそしいものだった。
そして真田さんの言葉が本心でないのも手に取るように解る。
「本当にいいのね? 私は本気よ」
「……はい。 これでメーム様イナルバ様もご安心なされるでしょう」
「……」
「……」
「ふぅ。 解りました。 今日はもう休みます。 真田さんも休んで。 あっ私1人で着替えますから、もう結構です。 真田さんおやすみなさい」
立ち上がってクローゼットからナイトウェアを出して着替える。
「はい…… では姫様、お休みなさいませ」
一礼して部屋を辞した。
(姫様……)
次の日からワルキューレは侍女達とバレンタイン用のチョコを作る練習をした。
最初は手つきも危なっかしく、手際も悪かったが、本人がやる気を見せれば出来るワルキューレだけに飲み込みは早かった。
バレンタインデーの数日前にはかなり上手く作れるようになっていた。
ハート型の大きなチョコにパイピングをメッセージを書く。
「私の想いを込めて……」
ヴァルハラ文字で書かれたメッセージ。
「どう真田さん? なかなか上手く出来たと思わない?」
真田さんに見せる。
「えっ!? は、はい、そうでございますね……」
そう答えただけでチョコから目を離した。
それを見計らって、ワルキューレはナイフでクリームの文字を取り去ると
「ステキなお風呂をありがとう。 和人様に感謝と親愛の思いを込めて。 ワルキューレより」
日本語でメッセージを書き直しで箱に入れた。
「……」
真田さんも和人にチョコを渡す事にしていたが、メッセージはどう書いていいのか解らない。
ワルキューレや侍女達に言われて気がついたが、自分は和人の事が気になっているのは事実のようだ。
だが、主君ワルキューレが和人と結婚を考えてるようで、そうなると自分の想いを伝えるのは主君の逆らう事にならないだろうか?
真田さんのチョコはちょっと凝ったトリュフだが、カードを添えようとしている。
チョコなら食べてしまえば残らないが、カードは後に残ってしまう。
自分が想いを伝えれば和人は主君か自分かも選択を迫られる事になる。
まあ、地球人の和人だけに既に地球人の女性を好きになってるかもしれないし、そうでないにしてもワルキューレと自分では比較にすらならないだろう。
和人がヴァルハラ皇家に婿入りすれば、自分がワルキューレ付きの侍女である以上、一緒にいられる……
例え、ワルキューレ付きでの任を解かれても皇室侍女長だけに会える事は間違いないだろう。
(でも、それでいいの?)
(そ、そんな…… わたくしには解りません!)
様々な思いが錯綜する真田さんだった。
そして2月14日になった。
今宵はここまでに。
毎度ながら遅くなりまして申し訳ございません。
続きはなるべく早くいたしますので、その時はどうぞお付き合いくださいませ。
それでは皆様、よい休日を。
お休みなさいませ。
キテタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
昼ドラみたい
わざと引っ張ってます?
純愛の話だから、出会ってすぐにエロシーン、というわけにはいかないんじゃないかな。
たぶんそうだろうね
この人の話はハズレがないから心配はしてないよ
ただ引っ張り方が上手いんだよね
次も見なきゃって気にさせる
しかし言われてみれば、本当に昼ドラみたいだなぁ
相変わらず更新が遅くなって申し訳ございません。
ところで、ご指摘いただいたように少々(?)引き伸ばしております。
元々はそんなに長い話ではございませんでしたが、次の話が何時書けるか解らないですし、他の職人さんの都合も解りかねますので、こういう形になってしまいました。
ですので、他の職人さんの都合とか、お話が出来たとかございましたらお知らせくださいませ。
きりのいい所で終わらせます故。
それでは続きをさせていただきます。
2月14日。
今日ワルキューレは政府要人と会う予定が詰まっていた。
首相を始め与党三役や野党党首など、外交や通商、安全保障などの話までする事になった。
学校ではあまりマジメな生徒でなかったワルキューレだが政治学は得意だったし、特使として地球に来る前に一通りの知識は入れてきたので大して苦にはならなかった。
しかも地球を代表してはいるが、現在滞在してる日本の政治家達であるし遠くに出かけなくていい分、楽ではあった。
黒塗りの見るからに重厚そうなリムジンに乗るのがワルキューレは好きになれない。
「あ〜あ、もうすぐ着くのよねぇ。 お車はあまり好きになれないわ。 息苦しくって……」
ヴァルハラ言語でグチる。
「姫様……」
真田さんが小声で注意した。
横と対面に女性SPが座っており、鋭い目つきで外に気を配っている。
ワルキューレの言葉は解らないかもしれないし、解った所で何も言わないだろう。
だが、かといって待遇に対するあからさまな不満はよろしくない。
地球を代表して日本国政府がワルキューレの為に用意したのだから。
リムジンの前後には白バイがいて、前の白バイが議事堂へ入って行った。
「殿下、そろそろ……」
対面に座ったSPが声をかける。
「はい」
ワルキューレがニッコリと微笑んで答えた。
車が停止し、ドアが開けられる。
真田さんとSPが先に下りて周囲を一瞥してから真田さんがワルキューレの方を向いて1つ頷いた。
ワルキューレが降りると、待ち構えていた報道陣から一斉にフラッシュが焚かれる。
いつまで経ってもカメラのフラッシュもリムジンの乗るのと同様好きになれない。
皇女という立場上、どの星でもカメラのフラッシュに晒される。
慣れては来たが好きにはなれなかった。
それでも報道陣にフラッシュに負けない輝くような笑顔を振りまき、小さく頭を下げて手を振った。
(これも皇女の務め。 特別親善大使の務め…… 解ってはいるけど…… あ〜〜っ早く終えて、あのお風呂に行きたいなぁ。 のんびりとあのお風呂…… あのお湯に浸かりたい……)
そんな事を考えながら議事堂の中に入って行った。
まずは首相との会談。
会談の終わりに
「真田さん」
あえて日本語で後ろで控えている真田さんに声をかける。
「はい、姫様」
真田さんもあえて日本語で返答し、持っていたバッグの中から包みを1つ取り出してワルキューレに渡した。
要人との会談は各自30分程だったが、人数が多いので終わったのは夕方だった。
夕方、和人とリカがちょっと早い夕食を食べてる時、TVのニュースがワルキューレが政府要人と会談したした事が報じられた。
こぼれるような笑顔を見せ、手を振るワルキューレ。
「すごいよねぇ。 このお姫様がウチのお風呂に入ったんだから」
リカがしみじみと言うが、和人は
「そうだね」
としか答えなかった。
(やっぱりお兄ちゃんは女の人に興味ないのかな? それともやっぱり真田さんの事が?)
とりとめもなく思っていたら、普段からにやけ顔が多い首相がことさらニヤけ顔で報道陣のマイクに向かってしゃべっている。
(「総理、その包みは?」)
報道陣の質問に「待ってました」と言わんばかりの顔と声で
(「いやね、今日会談した時にワルキューレ殿下から頂いてね。 当然義理だろうけど嬉しいですよね。 殿下の手作りだとおっしゃってたし。 後でじっくり味わわせていただきますよ。 殿下には来月何かお返ししなきゃねぇ」)
とても一国の総理とは思えないはしゃぎようだった。
他の要人も似たようなもので、コワモテで有名な野党党首まで少々浮かれ気味だった。
会談が終わり、ワルキューレは徒歩か公共交通機関で帰る事を望んだがやはり警備上の問題で却下された。
リムジンに乗ると
「あ〜〜〜っ。 んっ……」
大きく伸びをした。
「姫様!」
いくら普段顔を会わせているとは言え、地球人のSPの前で気を緩める事に真田さんが注意した。
「だってぇ。 それより真田さん。 今晩またあのお風呂屋さんに連れてってくれない? ゆっくりお風呂に入りたいし、和人様にお渡ししたい物もあるし」
ワルキューレの目がキラリと光った気がした。
「……!」
今日要人に渡したチョコはあくまで義理用に作ったもので、本命とおぼしきチョコはワルキューレがかなり熱心に作っていたハ〜ト型のチョコ。
和人に一目ぼれでもしたのだろうか?
かなり和人の事を気に入ったようで、真田さんがワルキューレに仕えてから今まで見た事のない熱心さで料理を勉強していた。
子供の頃から活発で、皇宮の中を走り回ってはメームやイナルバにいつも叱られ、学園惑星では校長の像にイラズラまでしていたワルキューレが熱心に料理に取り組む姿は衝撃的だった。
それにあのメッセージ……
それを見たせいで、自分は和人へ贈るメッセージは
「ありがとうございます」
とだけになってしまった。
おぼろげながら自覚した恋心。
でもそれに気づいた時、主君ワルキューレも同じ和人の事を想っているらしいと知ってしまった。
事有るごとにメームやイナルバから見合いを勧められ
「早く結婚して落ち着きなさい」
と言われてるワルキューレがその相手、生涯の伴侶として和人を選んだのなら、自分が想いを貫く事は結果的に主君とヴァルハラ皇家に逆らう事になる。
それに何より、今でこそ皇室侍女長という立場ではあるが、生来身寄りも家柄も何もないただの女なんかより、宇宙に冠たるヴァルハラ皇家の皇女と結ばれる方が和人にとって幸せではないだろうか?
そう考えるようになってから、和人と顔を会わせるのが少し辛くなった。
無論、お風呂は最高だし、和人の笑顔には癒される。
だが、それだけで無く同時に胸が締め付けられる感じがしたのだった。
(姫様…… 和人様……)
ホテルに着いたとき、ワルキューレがSPに声をかけた。
「私は今晩この前行ったお風呂屋さんに行きたいと思ってます」
にこやかに言うとSPの1人が
「はっ! かしこまりました。 後でお時間を指定していただければ。 で、また徒歩で参られるおつもりですか?」
今日の様子からして、車に乗ることについて不満の色を滲ませているのは明らかだった。
ワルキューレの事がだいぶ解ってきたのだろう。
「そうですね。 お手数かけますが、よろしくお願いしますね」
ワルキューレにしてみれば、彼女達の帯同すら煩わしいのだが、彼女達が理解を示してくれたので、それに応えるのも、例え立場が上のワルキューレであってもそれが礼儀と考えたのだった。
ドアが開き、前後を囲むようにしてホテルのドアを通った。
ロビーに着くと敬礼をして
「では殿下後ほど……」
挨拶をして彼女達に与えられている部屋に戻った。
侍女達がやってきてワルキューレや真田さんから荷物を受け取る。
「貴方達、夕食の後、姫様とわたくしは時乃湯さんに参りますので、留守を任せますよ」
真田さんの指示に
「じゃあ私達、先に行って来てもいいですかぁ?」
無邪気に言う年少の侍女。
彼女達も和人にチョコを渡す予定がある。
「よろしいですよ。 でも長湯はいけませんよ。 遅くても20時までには戻ってくるように。 よろしいですね?」
ワルキューレが夕食を済ませて、一息つくであろう時間を読んで指示を出した。
「はぁ〜い!」×4
声を揃えて返事をすると、荷物を片付け、仕事に戻った。
「真田さん、お夕食。 一緒にいただかない?」
立場からすれば命令でも構わないのだが、ワルキューレは決してそれをしない。
せいぜいお願いという形をとるのが精一杯だった。
ワルキューレには年長の皇女が3人いるが、皇宮に居た頃もあまり一緒に過ごす事も無かったし学園惑星でも一緒になる事はなかった。
生まれ順で姉、妹が決められてる同年のファムやハイドラとは長幼の序なんてものがない。
さらに妹、コーラスとライネはいるが、学園惑星に居た時、2人がたまに会いに来た事はあったが、やはり普段はあまり一緒に居る事は無く、自分より4つ年上で、子供の時からずっと一緒にいる真田さんがワルキューレにとって一番姉らしく思えた。
皇宮にいた頃、イタズラしてメームやイナルバに叱られた時に慰めてくれたのも真田さんだったし、オネショをして困り果てた時も助けてくれたのは真田さんだった。
何でもこなし、問題を解決していき、自分がピンチになった時は手際よく助けてくれる頼もしい存在。
まあ、彼女も少々お茶目な所があり、自分の事を溺愛してる部分もあるが……
胸が膨らみ始めた時、お風呂で体を流してくれた時の異様に「ハァハァ」と興奮したような息遣い。
その胸を見る目はそれこそ獣のような感じがした。
さらに、初潮が来た時は赤飯を大量に炊いて、ヴァルハラ皇宮中に配り歩いたので、そんな事実を知らなかった姉達にも一発でバレ知られてしまった。
その時は恥ずかしさでいっぱいだったが、記憶を辿ってみると姉達やファムやハイドラ、ライネ達に初潮が来た時にそこまで大々的に祝っただろうか? と。
その時はまだ皇室侍女長になってなかった、一侍女の真田さんが個人で盛り上げた。
その行動力が若くして侍女長になった原動力なのだと思うと嬉しくもあった。
無論感謝もしてるし、それだけに真田さんが自分の成長を姉妹達より、それこそ自分の事のように喜んでくれて、苦しい時悲しい時には一緒に悩み、悲しんでくれた。
その真田さんが始めて自分以外の存在…… しかも異星人の男性に心を惹かれている。
まだ自分が幼い時、その頃は少女だった真田さんが始めて自分の前に現れた時からずっと彼女はウソをつかなかった。
だが、初めてのウソがヴァルハラ星を遠く離れた地球でつかれたと言うのは、真田さんと和人の間になにやら運命的なものを感じる。
真田さんの幸せの為になんとかしてあげたい。
純粋にそう思ったりしたが、初めて時乃湯のお風呂に入った時の衝撃。
さらにその時に顔をあわせた時野和人という地球の、それこそ王族でも貴族でもないごく普通の少年。
彼に何故か心が惹かれた。
真田さんを焚きつける為についたウソだったが、あながちウソではなくなっていた。
(真田さん。 遠慮してたら和人様のハートは私がいただきますよ。 和人様も真田さんの事が好きみたいだけど、結婚して一緒に過しているうちに彼の心を完全に私のものに出来るかもしれない)
夜ベッドに入ってからそう考える事もあった。
しかし、暫くして我に返って
(な、何考えてるの? 真田さんと和人様と仲良くさせる作戦でしょ!)
慌てて、布団を頭から被ったのだった。
(でも…… それは本当なの? もっとじっくりお話して、一緒に過せば私の事を見てくれるかもしれないじゃない?)
夢の中まで自分が自分を問い詰める事も増えた。
……
「私も…… 和人様の事が好きなのかな?」
思い出したようにポツリと呟く。
しかし、ハッとして口をつぐむ。
「え? 姫様、何かおっしゃいましたか?」
幸い真田さんには聞こえてなかったらしく、尋ねてきた。
「えっ! ううん、何でも。 それより夕食をいただきましょ。 真田さん用意してくださるかしら?」
頼んでから部屋に戻ると
「はい、かしこまりました」
他の侍女達もいるので、主従の礼で答えたのだった。
食事中は和人の話題は出ず、今日の政府要人との会談の話や明日からのスケジュールの話題しか出なかった。
だが、食事が終わって紅茶を飲んでる時、和人の名前が出た。
時計をチラリと見て
「SPの方には何時とお伝えしてるの? 早くお風呂に行きたいなぁ…… 和人様にもチョコをお渡ししないといけないし」
横目で真田さんを見ながら言う。
真田さんはカップから口を離さず、一瞬固まったようだった。
「そ、そうでございますね……」
目を伏せながら言う姿が印象的だった。
「真田さんもお渡しするんでしょ? 和人様に?」
主君の問いに
「え、ええ。 まあ…… でも、わたくしのは姫様とは違う意味合いですし……」
消え入るように言うのが精一杯だった。
額にはうっすらと汗が滲んでる。
(「意地っ張りなんだから」)
「え? 何かおっしゃいましたか?」
ワルキューレが小声で呟いたので聞こえなかったのだろう。
聞き返した真田さんだったが、ワルキューレも
「いいえ、別に」
と何事も無かったように返したのだった。
食事が終わり一息ついた所で出かける事になった。
ワルキューレは自分の荷物を持とうとしたが、真田さんが自分の分も含めて一緒に持つ事になった。
ロビーに行くと時間を伝えられていたSPがソファに座って待っていた。
メガネをかけた方の女性SPがワルキューレと真田さんに気づくと立ち上がって敬礼をする。
それにつられてもう1人も同じように敬礼で迎えた。
「ごめんなさいね、お仕事増やしちゃって。 それじゃあお願いしますね」
溢れる笑顔で流暢な日本語で言うと2人は改めて敬礼をして外に出た。
「ねえ、貴方達もご一緒にどう? あそこのお風呂ってホントにステキなのよ」
ワルキューレが前をあるくSPに声をかけた。
「いえ、任務中ですので。 以前殿下がお褒めになってましたので、非番の日にいただきました。 確かにくつろげるお湯でございました」
あくまで冷静に返答したのだった。
「それは残念ね。 でも今度お時間がある時はご一緒しましょ」
彼女達の立場からしてその「今度」は訪れるわけはないのだが
「はっ! ありがとうございます。 その時はお供させていただきます」
と答えた。
ワルキューレもその事は理解してるだろう。
だが、彼女達があまりにも任務に熱心で、正直言えば面白味がないので、打ち解けようと言ってみただけだから。
暫く歩くと夜の空にうっすらと時乃湯の煙突が見えてきた。
入り口の所で、後ろを歩いていたメガネをかけた方のSPが
「では私はここで。 殿下、どうぞごゆるりと」
敬礼して3人を送った。
暖簾をくぐり、戸を開ける。
「いらっしゃい。 あっ!」
聞き覚えのある和人の声がした。
「和人様、お風呂をいただきに参りました。 今日は和人様がここにおられるのですね」
ワルキューレが挨拶する。
「え、ええ。 リカは勉強がありまして……」
「そうですか。 リカ様にはお勉強頑張ってください。とワルキューレが申しておりました事をお伝え願えますか?」
それだけ言うと中に入って行った。
「和人様……」
ワルキューレの後から真田さんが入ってきて回数券を番台に置く。
「真田さん…… い、いらっしゃい」
一瞬見つめあうと、慌てて迎えの言葉を告げた。
(全く、あの2人は! 子供じゃないんだから。 そんなんじゃ本当に私が貰っちゃうわよ!)
その様子を横目で見ていたワルキューレが心の中で呟いた。
逃げるように真田さんが小走りにワルキューレの横に行く。
ワルキューレが見ると真田さんの顔が少し上気している。
一方和人の方を見ると、こちらをボ〜っと眺めている感じがする。
それを見たワルキューレが少し大胆に服を脱ぎだした。
ミルクのような白い肌が露になり、豊かな胸の膨らみが支えを失ってぶるんと弾む。
(どう和人様? 私だって真田さんには負けてないでしょ?)
そんな感じで和人を見てみる。
こちらの方をボ〜っと眺めてるのは変わらないが反応はない。
だが次の瞬間和人が顔を赤くして視線をそらせた。
(?)
ワルキューレが反対側を見ると、ちょうど真田さんがメイド服を脱いで、ブラジャーを外した所だった。
(ちょ、ちょっとぉ! 和人様は真田さんしか見えないの? 和人様から見て真田さんの前に私がいて、その私が先に脱いだのにぃ!)
同じ女性から見て真田さんが綺麗なのは解る。
自分ほどではないが白い肌、艶っぽい黒髪とそれに同じ色の耳とシッポ。
侍女長として動き回るので、引き締まった体、それでいて筋肉質というわけでもなく、程よく引き締まってるというべきか。
だから大きく盛り上がった胸の膨らみからキュっとウエストは引き締まり、さらにそこから急カーブを描いて再び盛り上がってお尻へと続いている。
丸みを帯びた曲線で構成されているボディラインは美しく妖艶だった。
男性なら誰でも目を惹かれるだろう。
しかし、こう言ってはなんだがワルキューレも自分の容姿にはそれなりに自信があった。
真田さんには及ばないが、胸の膨らみは同年代の女性と比べてかなり大きい部類に入るだろう事は学園惑星にいた時の入浴で確認できたし、スポーツが得意なだけに真田さん同様引き締まった体。
透き通るような肌のキメも細かく、魅惑的な胸の膨らみの頂きも薄いピンクで、それを取り囲むような乳輪も肌色と紛うばかりである。
(さ、真田さんなんて、ちょっと色が濃いじゃない。 私は、あ、アソコだってピンクなんだからぁ! ……まあ真田さんのアソコは見た事ないけど)
(で、でも! 全く眼中に無いって失礼じゃない? もう!和人様ったらそんなに真田さんがいいの? 私は全く対象にもならないの?)
少し落ち込んだが、次の瞬間には
(そう! それなら和人様のお心を絶対私に向かせてやるんだから!!! 主君と侍従なんてハンデはいらないわ。 女と女の戦いよ!)
(和人様、絶対貴方を振り向かせて見せるんだから。 真田さんに勝つのは大変だろうけど……)
大きな羽根のついた帽子を取りながらメラメラと心が燃えるワルキューレだった。
「姫様、如何なさいましたか?」
心配そうに真田さんが顔を覗き込む。
「ううん、何でも。 さ、お風呂いただきましょ」
浴室に入ってからは何事も無かったように和人が心をこめて沸かしたお湯を堪能したのだった。
風呂から上がると、まだその豊かな髪にバスタオルが巻かれたまま真田さんからサイフを受け取るとそのまま番台に来た。
「ひ、姫様!」
体にはバスタオルが巻かれておらず、全裸。
その姿を男性に晒すのだ。
しかもその相手はよりによって和人。
慌てて止めようとするが一足先に番台に着くと
「和人様、この前いただいたフルーツ牛乳。 とても美味しゅうございましたわ。 今日もいただきたいのですが……」
体を一切隠す事もせず、むしろ見せびらかすように堂々としている。
和人の視界には暖まり、ほんのりとピンク色に上気している肌、人目を引かずにいられない白く大きな胸、髪の毛と同じ金色に輝く陰毛。
その奥にタテに走ってるキレコミまでがうっすらと見える。
(どう和人様? 私の体は? 私を選んでくだされば…… 私のこの体…… ううん、体だけじゃなく、私の全てを思うままにしてよろしいのよ)
だがワルキューレの強い思念は和人にまるで通じてないようで、女性の裸が苦手な和人は少し困惑したように視線をそらせて
「えっと…… 1本100円になります」
と答えた。
(カチン!)
自分の裸に興味を示さない和人に少々苛立ちを感じたが、こぼれるような笑顔で
「100円…… ですか? 申し訳ございませんが、私この星の通貨の事は存じませんので、この中から取っていただけますか?」
サイフを差し出した。
「真田さんもいただきますわよね? 和人様2本いただきますので、お願いします」
小首を傾げて、可愛らしく微笑んだのだった。
ワルキューレが真田さんの名前を出したので反射的に和人も真田さんを見てしまう。
当然真田さんも全裸で、まだ体を拭いてもいないので、プリプリとした肌がお湯を弾いてる様子までハッキリと解る。
しっとりと濡れている髪と耳とシッポ。
少しでも体を動かすと大袈裟に揺れる胸。
濡れてベッタリと貼り付いてる陰毛。
和人はただ、目を奪われている。
だが、自分はあくまで番頭。
興味本位で女性を見るのは許されない。
それでもどうしても真田さんに目が行ってしまう。
(それにしても…… これは前途多難だわ……)
和人の様子を見てワルキューレは落胆したのだった。
しかし
(ええ、ええ! それならそれで結構ですわよ。 来年ヴァルハラ星に帰る時は絶対、貴方も一緒に帰るんだから!)
(それとも、私はもうヴァルハラ星に帰る事はないかも…… どの道、和人様は私だけのものにしてみせるんだから!)
さらに闘争心を燃やし、フルーツ牛乳を豪快に煽ったワルキューレだった。
飲み終わるとロッカーに戻って体を拭いて服を着る。
隣の真田さんはまだフルーツ牛乳のフタを開けておらず、先に服を着ようとしていた。
和人をチラリと見るとやはり少し落ち着き無い様子でこちらを見ている。
しかし、その目標はあくまで真田さんなのだろう。
今夜のオナニーのオカズにする為なのか、その目にしっかり焼き付けているようだ。
(ふふふ。 今の所私はあくまで真田さんのオマケなのね。 ええいいわ! 来年まで時間はあるからその間にゆっくりと私の方を振り向かせて見せるんだから)
「姫様……」
服を着終わった真田さんが手伝おうとするが
「ええ、大丈夫よ。 1人で出来ますから。 それより真田さんもフルーツ牛乳いただいたら?」
そういって体を拭き始めた。
「はい、ではそうさせていただきます」
真田さんがビンを取ってフタを開けようとする。
「んっ!……」
力が入ったのだろう、息を詰める声が漏れた。
番台の和人の様子がおかしい。
顔を赤らめて視線をそらせている。
「んっ…… あっ……!」
勢い良く飲んだせいで、口の脇からフルーツ牛乳が一筋漏れている。
慌ててタオルで拭うが、やはりその様子を目に焼き付けている和人の姿。
(?)
ワルキューレには理解できなかったが、年頃の男性の和人にとっては好きな女性の息をつめる声やちょっと仕草も愛しく感じる。
真田さんの少し驚いた声の後に口から漏れる白濁した液体。
年頃の男性が「何か」を想像するには十分なシチュエーションだった。
(!)
ワルキューレもなんとなくそれが解る。
和人は今夜、目に焼き付けた真田さんの裸と、さっきの声。
さらに、飲み損ねたフルーツ牛乳の様子を思い出しては「何か」を想像してオナニーするのは間違い無さそうだ。
だがそうなると
(和人様、そんなに真田さんがいいの? 私じゃダメ? それにしても真田さん、ワザとやってるんじゃないでしょうねぇ?)
和人と真田さんを交互に眺めながら思ったのだった。
ワルキューレの髪を乾かし終わり、帰り支度を済ませる。
「和人様、とってもいいお湯でございました。 またいただきに参ります」
ちょっと頭を下げて挨拶をすると
「あっはい。 ありがとうございました。 またのお越しをお待ちしてます」
当たり障りのない返事を和人が返す。
「あっ、真田さん。 和人様にあれを……」
後ろの真田さんに声をかけると
「は、はい……」
少し目を伏せてバッグの中から綺麗にラッピングされた包みを手渡す。
「和人様、今日はバレンタインデーとの事ですので、これをお受け取りください」
チョコを渡す。
「あっ、ありがとうございます。 ニュースでも見ました」
ちょっと照れながら受け取ると夕方のニュースの事を話した。
しかしワルキューレは
「あら、あれとこれは違いますわ。 このチョコレートは私の気持ち、想いが込められてます。 味わって食べてくださいね」
ニッコリと微笑んでいるが、目は真っ直ぐ和人を見ている。
真剣な眼差しだった。
「え! あっありがとう…… 」
困惑したように真田さんを見る。
(カチン!)
チョコまで自分は真田さんの付録でしかないようだ。
(あ〜あ、これだったら真田さんに気遣わなくて、もっと熱いメッセージにしとけば良かったかなぁ)
ワルキューレも和人もこの後真田さんが和人にチョコを渡すものだと思っていた。
だが、
「では姫様そろそろ……」
和人とは目を合わせず、外に出ようとした。
「あっさ、真田さん……」
「は、はい!」
ぎこちなく声をかけ、真田さんも慌てて返事をした。
(「貴方のチョコが欲しい」)
ワルキューレが見た和人の目はそう言ってる気がした。
しかし
「ま、また来て下さいね。 待ってますから……」
力なく言うと真田さんも
「はい、また…… 来ます」
やはり目を合わせず言い、下駄箱に出た。
帰り道。
2人のSPに挟まれるようにワルキューレ、やや後ろに真田さんがついて歩く。
「ねえ真田さん」
すっかり静になっている商店街に入った所でワルキューレが声をかけた。
「はい」
主君が何を言いたいのか解っているのだろう。
その声は重く沈んでいる。
「渡さなくてよかったの? チョコレート」
「……」
ワルキューレが尋ねるというより問い詰める感じで放った言葉に返事が出来ない。
「ねえ、真田さん。 私って和人様から見てそんなに魅力の無い女なのかしら?」
一転して口調が柔らかくなり、質問の内容も微妙に変わった。
「いいえ、とんでも無い。 姫様の魅力に敵う者などこの銀河に存在……」
「ウソね!」
主君のワルキューレが侍従の真田さんの言葉を遮るのは無礼には当たらないかもしれないが、行儀は悪い。
ワルキューレも真田さんの事を特別に思っていたので今までそんな事はなかった。
それでも今回はしてしまった。
「姫様?」
「和人様にとって私なんかより魅力を感じてる人を私は知ってるわ。 貴方も知ってるハズよ…… 真田さん」
立ち止まって後ろの真田さんを見て言い放つ。
「ひ、姫様!」
どう答えていいか解らない。
答えに窮しているとワルキューレが畳み掛けてきた。
「真田さん、いい加減にしてよ! 私を気遣って和人様から身を引くつもりなの? 私と真田さんを天秤にかけたら和人様は真田さんを選ぶのが解ってるから?」
「そりゃ、真田さんは女の私から見てもステキだし、細かい気も配れるし、何でも出来る。 だから何? 持てる者が持たざる者への同情? 止めてくれない? お姉様達からいろいろ言われてるけど私だってヴァルハラの皇女よ、ワルキューレなのよ!」
「ひ、姫様」
「殿下、如何なされましたか?」
普段は穏やかで常に人前では笑顔を絶やさないワルキューレが、ヴァルハラ言語で話してるので、意味は解らないが語気を荒げ、怒ってるのは解った。
SPの2人がワルキューレと真田さんの間に割り込むようにして伺った。
「ごめんなさい。 私と真田さんの個人的なお話です」
毅然とした態度で言い切るとSPの2人は何も言えなくなった。
「答えて、真田さん。 私はワルキューレは勝ちを譲って貰わないと真田さんに勝てないの? ううん、確かに今は勝てない。 でも私だって自分の伴侶になる殿方は自分で選びたいし、自分で愛を勝ち取りたいのよ!」
「和人様だって、真田さんが身を引けば私に靡くような方ではございませんわ。 その事は真田さんが一番知ってるんじゃなくて?」
「そんなにヴァルハラ皇室侍女長の地位が大事なの? 愛も恋も捨てて私とヴァルハラ皇室に殉じるつもりなの? 冗談じゃないわ! 真田さんの幸せすら叶えてあげられなくて、宇宙の皆さんの幸せなんか叶えられるわけ無いじゃない!」
鬼気迫るワルキューレに反論が出来ない。
真田さんもワルキューレがまだ幼い頃から面倒を見ているが、ここまで真剣に怒っているのは初めて見た。
「愛を勝ち取るなら正々堂々と勝ちたいのよ。 負けるかもしれないし、負ける可能性が高いだろうけど、それでも私は差し出された愛より勝ち取った愛が欲しいの。 皇女と侍女なんてハンデはいらないわ!」
「1人の女として正面から私は真田さんと闘って和人様の御心を奪って見せるわ。 だから遠慮はしないで欲しいの…… ね」
最後はいつもの優しい口調に戻った。
「……」
真田さんは俯いたまま。
だが、ワルキューレも言う事を言うとそのまま真田さんを見つめるだけだった。
「姫様……」
ようやく重い口を開いた。
「私は…… どうして良いのか…… もう少し時間をくださいませ……」
それだけ言うとまた俯いた。
しかし、顔を上げ今まで歩いてきた方向に向きを変えると
「あ、あの…… わたくし、時乃湯さんに忘れ物を…… 姫様はお先にお帰りくださいませ」
言葉を残して時乃湯の方に走って行った。
「あっ! 真田侍女長」
メガネをかけたSPが走り去る真田さんに声をかけるが
「ごめんなさいね、真田侍女長はお風呂屋さんに忘れ物があるそうです」
心配ない。というように言う。
「そ、そうですか。 では殿下は先にお戻りになられますか?」
もう片方のSPが尋ねる。
「そうねぇ」
ワルキューレが辺りを見回すと、小さな公園が目に入った。
「あっ、ワルちゃん…… じゃなかった、私あれに乗りたいですわ」
公園にあるブランコを指差した。
「お手数かけますが、真田侍女長が戻ってくるまであそこで待たせていただけないかしら?」
少女のような表情で言うワルキューレに困惑し、目を合わせるSPの2人。
だが
「はっ、殿下の御心のままに」
3人は公園に入っていった。
子供用のブランコに乗るワルキューレ。
ゆっくりと漕ぎながら空を見上げる。
「あ〜あ、真田さんも素直じゃないんだから…… それにしても私もバカだなぁ…… んふふ」
少し楽しそうに、また少し悲しそうに呟くワルキューレを見守る2人。
一方、真田さんは時乃湯の着いた。
ガララ……
「いらっしゃ…… あっ!」
扉が開くと反射的に客を迎え入れる和人が入ってきた人物を見て言葉が止まった。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
よほど慌てて走ってきたのだろう。
息が上がっており、折角お風呂に入ったのに、またまだ寒い冬なのに額にはうっすらと汗が滲んでいる。
「さ、真田さん……」
和人が恐る恐る声をかけると彼女は顔を上げる。
帰る時とは違って、少しだけスッキリとした感じがした。
「和人様、これを…… お受け取りくださいませ」
バッグからリボンで口が閉じられているチョコレートを差し出した。
「あっ! ありがとう」
真田さんからは貰えないと諦め落ち込んでいた和人の表情がパッと明るくなって、見るからに嬉しそうに受け取った。
しかし
「あっちょ、ちょっとお待ちを」
リボンに挟んであるメッセージカードを取るとクルリと背を向けた。
胸のポケットからペンを取り出して、カードにメッセージを追加した。
日本語でもヴァルハラ言語でもない、宇宙でも殆ど使われないネコミミメイド星の言葉で
「わたくしのこの想いが貴方に届きますように。 和人様に真田がチョコレートに想いを込めて……」
再びメッセージカードをリボンに差込み
「改めて、お受け取りください、和人様。 で、ではわたくしは戻らねばなりませんので。 またお邪魔いたします」
チョコレートのようなほんのり甘い香りを残し、真田さんは少し頬を染めて急いで出て行った。
ワルキューレも真田さんも和人も改めて自分の気持ちに気づき、三人三様の想いが交錯したバレンタインデーが終わろうとしていた。
今宵はここまでに。
毎度ながら、本当に続きは時間が取れ次第させていただきますので、その時はどうぞおつきあいくださいませ。
それでは皆様、また1週間お仕事に勉学に頑張ってくださいますよう。
50 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 14:28:12 ID:usDtS+Js
保守age
こないね
忙しいのかな?
雑談も無いし反応薄いし新しい書き手来ないしで、疲れたんじゃね?
本スレ?でも言われてたが、ここは新規来づらいそうだし。
本スレってアニメ2板?
あそこも人いないね
キャラスレは廃墟だし
ちょくちょく雑談あるけど賑わってないよなぁ
あそこの人達全員がここ見てるとしたら、もう少し雑談でると思う。
キャラスレは………なんか怖い。
共存は難しいんじゃね?
容認できる人ならいいけどエロの入った二次は原作命の人からみれば耐えられないかもしれないし
原作者のこと考えれば、それほど難しいことじゃあないと思うがな
それほど質が悪いわけでもなし、流れが速いわけでもなし…
ただ、向こうでもそうだが、過去の作品だけあって萌え談議が皆無ってのがつらいなぁ……
そだな
質はむしろ上質に思えるよ
言い過ぎかもしれないが、キャラとか作品への愛情とか情熱はむしろ作者より上なんじゃないかとさえ思える作品あるし
ところでオレは
>>50,52,54だが
>>51,53,55は同じ人?
一応二人はいるんだな
職人さん、待ってる人間はいるから無理しないでかける時に書いてくださいねー
ってか、原作者の作品に対する愛情と情熱が少なすぎる罠。
ここ見てる人間の数は二人……
過疎スレはどこもこんな感じなのかな?
良い職人いるから、むしろ読み手を募集したいとか思わんでもない。
嵐を呼ぶ恐れもあるから諸刃の刃だしね
過疎スレは月1投下もないところ多いよ
投下作品の数に関しては恵まれてる方だと思う
59 :
前・359:2008/03/30(日) 02:36:30 ID:LMIUc9RE
こう言う事を書いて良いのかわかりませんが、今月は本当に余裕がないので、今週も更新はご容赦ください。
来月からは幾分余裕が出来ますので、その時に続きを書かせていただきます。
それと、他の職人さんで話が出来てる方とかおられましたら、気になさらず投下してください。
大変なんだね
ムリせず頑張って!
更新が遅れて申し訳ございません。
では続きをさせていただきます。
バレンタインデーの日の夜。
和人は抑えきれない劣情に苛まれた。
布団に入ってもなかなか寝付けない。
この歳になって初めてバレンタインデーに他人からチョコを貰えた。
可愛いネコミミの侍女達と、女神のように美しいワルキューレ……
何より真田さんに貰えた事が嬉しかった。
わざわざ、息をきられて戻ってきて渡してくれた事に。
彼女が改めて書き足したメッセージは解らないが、そのメッセージが書かれたカードを添えて手渡されたチョコはベッドの側に置いてある。
侍女達やワルキューレのチョコは机の上に置いてあるのだが、真田さんに貰ったチョコは特別だった。
息をきらせて駆け込んできた真田さん。
顔を上げて自分の方を向いた時、一瞬彼女の耳がピクッと跳ねた。
さらに荒い呼吸をするたびに大きく上下した胸の膨らみ……
その大きな胸が作り出すメイド服の胸元から見えた、深い深い溝。
柔らかそうな丸みの間の谷間に指を入れてみたい。
両側からきつく、それでいて程よい弾力で挟みつけてくるだろう。
真田さんが喋りだす直前に唇を濡らした赤い舌。
彼女の唾液で艶を増した唇。
思い出すと体が火照り、性欲にはあまり縁が無かった和人だったが、今日はやたら悶々とした。
「さ…… 真田さん!」
とにかく突っ張る寝巻きの裾から手を入れ、どうしようもない衝動に和人は右手で扱き続けた。
(「和人様……」)
真田さんの声、ふっくらとしてそれでいて指をめり込ませれば跳ね返してきそうな胸。
甘い香り……
「あっ…… くっ! さ、真田さん」
左手で慌ててティッシュを取り、陰茎に添えた。
だが、その瞬間、番台で盗み見した真田さんの裸は、ワルキューレに変わってしまった。
「ああ〜っ……」
もう一度真田さんの裸を思い浮かべようとしたが、それも敵わず和人はティッシュに大量の精液をぶちまけた。
(真田さん……)
丸めたティッシュをクズ篭に捨てるとぼぅっとしながら天井を見上げる。
射精の瞬間に彼女では無く、より近く、より鮮明に見たワルキューレの顔と裸が脳裏をかすめた事が残念に思えた。
(確かにワルキューレさんも綺麗だけど…… でも……)
明かりを消して布団に潜り込むように寝ようとしても悶々としてなかなか寝付けなかった。
和人が眠ったのは4時前だった。
「お兄ちゃん、早く起きてよ! 学校遅れちゃうよ!」
朝。
珍しく、なかなか起きてこない和人をリカが起こしに来た。
「ん…… リカ? もう朝なんだ?」
髪の毛もボサボサの和人が半身を起こす。
「お兄ちゃん。 ご飯出来てるからね。 ちゃんと食べてってよ。 あたし先に行くから」
セーラー服姿のリカが背中を向けると早足で部屋から出て行った。
「もう、こんな時間かぁ……」
学校でもぼぅっとしたままの和人。
秋菜が話しかけて来ても、ボンヤリとしたままだった。
(真田さん……)
彼女に会いたい気持ちは募るが、その日から数日間ワルキューレも真田さんも来なかった。
ネコミミ侍女達はほぼ毎日来てるのに……
ニュースではワルキューレのニュースを毎日のように報道している。
やはりワルキューレは皇女で、特別親善大使なのだった。
公務が多忙を極め、ワルキューレに随行している真田さんも忙しいのだろう。
そうなると、さらに会いたくなる。
真田さんに会いたい……
(そう言えば、ワルキューレさんが言ってたっけ。 「いつでも遊びに来て下さいね」って……)
ワルキューレの言葉を思い出したが、すぐに首を振った。
「遊びにいらっしゃい」
と言ったのはワルキューレで、無論彼女に会いに行けば真田さんも一緒にいるだろう。
でも、遊びに行くとすればワルキューレに会うのが理由であって、真田さんに会いたいが為にワルキューレの所に遊びに行くのを口実にするのはあまりにも失礼だろう。
そもそも、自分のような一般庶民が皇女に気安く近づいていいものだろうか?
真田さんも皇室侍女長。
ヴァルハラ星の事はあまり知らないが、宇宙のニュースで度々出てくる名前で、この銀河系でもかなりの影響力のある星なのは解る。
その皇室侍女長と言う事は、皇女達に極めて近くにいる立場と言う事であってヴァルハラ星に身分を保証された女性。
時乃湯に来た時随行していたSPも「真田侍女長」と敬礼して接していただけに、政治的にはそれなりの立場なのだ。
それに対して自分は銭湯の主とはいえ、しがない高校生。
年齢も彼女の方が上。
大人の女性である真田さんが、自分なんかを相手にするのだろうか?
あのチョコもあくまで義理なのではないだろうか?
書き足したメッセージも
「これはあくまで義理ですから、本気になさいませぬように」
という意味ではなかろうか?
……
考えれば考えるほどマイナス思考になってしまう。
(会いたい……)
地球には宇宙人も大勢来ており、真田さんと同じネコミミメイド星人もそれなりの数が来ている。
街中でネコミミメイド星人を見るたびに和人は真田さんを想う。
真田さんに会いたい、会いたい、会いたい!!!
ここまで狂おしく女性を好きになった事は初めてで、もうどうしようもない。
ワルキューレの言葉に甘えて、押しかけようか?
和人の我慢が限界に達しそうな日。
ガララ……
受験本番のリカに代わって番台に座っていた和人が扉を方を見た。
「あっ!」
メガネをかけた、少し目つきの鋭い女性。
ワルキューレと一緒に来たSPの女性だった。
「お世話になります」
番台の和人に一礼して言い、前と同じく脱衣所を一通り見渡する振り返り
「殿下、どうぞ……」
一歩下がって頭を下げた。
次の瞬間
「ごきげんよう。 あら、和人様が番台にいらっしゃるのですね。 お風呂を頂きにまいりました」
ワルキューレがニッコリと微笑みながら入ってきた。
そして……
ワルキューレに少し遅れて真田さんが入ってきた。
「さ、真田さん! い、いらっしゃい」
身を乗り出しそうになって、迎えた。
「はい……」
真田さんも顔を上げて和人を見る。
「……」
「……」
一瞬2人だけの時間が流れた。
(やっぱり和人様、真田さんが好きなのね)
傍目から見ていたワルキューレにはそれが解ったが
「もう! 和人様。 ワルちゃんだってお客さんなんだもん!」
2人の間に割り込んで、今までの口調とは違い駄々をこねる子供のような口調で和人をナジるように見上げた。
「えっ! ええ…… いらっしゃい」
一瞬呆気に取られながらもワルキューレを出迎えた。
それにしても、ぷぅっと頬を膨らませて怒ってる様子は少女のように愛くるしい。
普段は皇女という立場ゆえ、毅然とした態度しか見てなかったが、これが本来の彼女の姿なのかもしれない。
気を取り直したワルキューレは2、3事喋るとロッカーで服を脱ぎだした。
真田さんとも少しだけ言葉を交わし、主君に続く。
2人は浴室に入っていった。
……
1時間くらい経っただろうか?
2人が出てくる。
先に服を着てワルキューレの身支度を終えると真田さんが番台に来る。
他愛の無い会話だったが和人には待ちに待った真田さんとの時間。
彼女の言葉、声、仕草。
全てが和人の琴線に触れる心地良いものだった。
「ねえ、和人様」
和人と真田さんの間に割り込むようにワルキューレが入ってきた。
「えっ! は、はい」
慌ててワルキューレを見る。
「和人様。 リカ様もそうだけどどうして遊びに来てくださらないの?」
「え?」
「あ〜〜〜! 和人様お忘れになってますの? 前に遊びに来てくださいって言いましたのに〜」
またお風呂に入る前みたいに子供みたいに怒る。
「えっ、あっ…… ええ、覚えてますけど。 でもボク達みたいな普通の庶民がお邪魔してよろしいんでしょうか? ボクもリカも冗談かと……」
ここ数日、真田さんに会いたくて、ワルキューレの言った言葉を信じて彼女達が滞在するホテルを訪れようとした。
でも、今の言葉だとそうでもないみたいで彼女達…… 真田さんに会える。
その事が可能になったと言う事で内心喜んだ。
「大丈夫だからぁ。 ね、今度遊びにいらして。 ホテル暮らしは退屈でワルちゃんつまんな〜い!」
今度はワザと子供っぽく言うワルキューレ。
ワルキューレの言葉に嬉しそうな表情を浮かべた和人を真田さんが見逃すはずがなく
「ひ、姫様。 和人様もリカ様も学校がございますし……」
注意するが
「あら、だったらお休みの日ならいいじゃない。 ね、和人様?」
食い下がる。
「か、和人様とリカ様はお2人だけで生活してらっしゃいますので、家の事はお2人がなさいますし、リカ様は受験であらせられますし……」
真田さんも負けていない。
和人がワルキューレに会いに来ると言う事は自分とも会う事になる。
だが…… だけど……
しかしそれを聞いたワルキューレは
「う〜ん、そっかぁ。 だったら私達が和人様の所にお邪魔しちゃうってのはどうかしら?」
手をパンとたたいて提案する。
「私達が和人様とリカ様の家事とかお手伝いしてさしあげるの。 私だってお嫁さんになればそう言う事をしないといけないかもしれないし」
チラリと横目で真田さんを見ながら言う。
「えっ? ワルキューレさん結婚なされるんですか? それにワルキューレさんが家事をなさるなんて……」
和人はワルキューレの意図を汲み取れない。
「ええまあ。 私だって普通の女性ですからいずれは結婚もしますよ。 相手によっては家事をする必要に迫られる場合もありますから……」
今度は和人をチラリと見ながら、それでいて少し潤んだ目で見つめながら言うが
「へぇ、そうなんですか。 ワルキューレさんならどこかの王族とか貴族の人と結婚なさって家事とか無縁だと思ってましたから」
正直に感想を述べた。
まあ事実そうなのであるし、結婚したとしても真田さんが一緒に来れば家事全般は彼女がするだろう。
だが、ワルキューレの言葉は和人に届かなくても真田さんには届いた。
「姫様……」
少し困ったように声をかける真田さん。
しかしワルキューレは
「ねぇ、和人様。 明日はどこにもお出かけになられませんよね? だったら私達がお邪魔していいかしら? 時間は…… そうねえ、午前11時あたりでいかがですか?」
サクサクと話を進める。
「えっ? ホントに来られるんですか?」
驚きの様子で彼女を見る。
「ご迷惑…… ですか?」
また潤んだ目で見上げる。
「え、ええ。 解りました。 お待ちしてます」
返答をし、同時に真田さんの方を見た。
真田さんも少し困ったような表情だったが、それでも最後は明るい表情を浮かべて小さく頷いた。
「はい、決まり! じゃあ和人様、明日11時にお邪魔しますから。 お休みなさい、今日もとってもいいお湯でしたわ」
一礼して出て行った。
「あの…… 和人様……」
どう声をかけて良いのか解らない感じだったが
「真田さん。 お待ちしてますから」
真剣な眼差しで、強い口調で言われると
「は、はい。 それでは明日……」
決して湯上りだけのせいではないだろう。
少し頬を染めて主君の後を追った。
(やったぁ!)
真田さんの残した甘い香り。
そして彼女の言葉と声を思い出しながら、喜んだ。
何より明日は彼女と会える……
一方、ワルキューレ達一行。
前後に女性SPはいるが気にもしないでワルキューレと真田さんは明日の事を話していた。
無論、彼女達には明日の事を伝えてはある。
皇女がプライベートで地球の庶民の家を訪れる。
只事ではないが、SPである彼女達がどうこう言える立場ではない。
それに皇女といえどもまだ18歳。
いくら公務とは言え政府要人と会見するのも、それこそ親…… いや、祖父に近い年齢の人物達とばかりあっているのも退屈だろう。
全く自由のない立場を考えるとワルキューレの申し出にも理解を示した。
「ところで、姫様」
ヴァルハラ言語で真田さんが声をかける。
「なあに?」
ワルキューレもヴァルハラ言語で答える。
「家事のお手伝いと申されましたが……」
それこそ「畏れながら」と言う感じで不安そうに言うと
「あっ!」
ワルキューレは立ち止まって固まってしまった。
勢いに乗って約束してしまったが、家事なんて今までした事がない。
真田さんに言われるまでは、
(お掃除にお洗濯。 お料理を作ってさしあげてぇ……)
なんて思い、「女性っぽさ、家庭的」をアピールしようとか思ってはいたが、根本的な問題があったのだった。
「あ、あの姫様……」
真田さんが声をかけると
「ど、どうしましょう?」
日本語で答えると
「殿下、如何なされました?」
言葉が解った2人が心配そうに呼びかけた。
「ま、マズイわ!」
ワルキューレはフワッと浮かび上がると、慌ててホテルのほうに向かって飛びだした。
「は、早く戻らないと。 真田さん急いで。 私先に戻りますから真田さん早く帰ってきてね」
かなりのスピードで戻っていった。
「あっ殿下!」
「真田侍女長?」
SPの1人がワルキューレを追いかけ、もう1人のSPが真田さんを見た。
「申し訳ございません。 私達も……」
それだけいうとホテルに向かって走り出した。
真田さん達がホテルについた時、ロビーではワルキューレを追いかけたSPが敬礼をしてワルキューレを見送っていた。
遅れて着いた2人を見つけると
「真田侍女長。 ワルキューレ殿下が火急の用事があるそうでございます。 殿下のお部屋にお越しになられるようお言葉を賜っております」
改めて敬礼をしながら伝えた。
「はい。 解りました。 それではわたくしはこれにて失礼いたします。 明日、よろしくお願いいたします」
深々と頭を下げて2人の前から去り、SPの2人も敬礼で真田さんを見送った。
「真田でございます」
ワルキューレの部屋のドアをノックすると
「入って」
中から声がした。
だが、その声は子供の頃おねしょした時やイタズラがバレた時のような弱々しいものだった。
「姫様、如何なされました?」
中に入ると、それこそ今にも泣き出しそうな顔のワルキューレが佇んでいた。
「真田さ〜ん、どうしよう?」
懐かしいフレーズ。
最後に聞いたのは何時だろうか?
やはり子供の時おねしょした時だっただろうか?
困った時のワルキューレが真田さんを頼る時の口調は今でも変わっていなかった。
「はいはい、如何なされましたか。 真田がついておりますよ」
やさしく抱き寄せて頭を撫でながら言う。
困って泣きじゃくるワルキューレに昔からしてきた「儀式」をする。
顔を上げたワルキューレが
「私…… ワルちゃん、お掃除もお料理も全然出来ないよ〜。 どうしよう? 和人様にあんな事約束しちゃったのに〜〜〜」
18歳の特別親善大使ではなく、それこそ皇宮にいた子供の頃のように泣いている。
「今から朝まで練習したら少しは出来るようになるのかな? ねえ、今から練習したいの」
「まあまあ……」
思わず微笑んでしまう真田さん。
昔、夏休みの宿題を最後まで残してしまい、
「しゅくだい、あさまでがんばれば出来るかなぁ」
最終日の夜に泣きながら真田さんの部屋を尋ねてきた事を思い出した。
「姫様。 家事のお手伝いはこの真田がなさいます故、姫様は和人様と歓談なりなさいませ」
それこそ、「そんな事か」と言う感じでワルキューレを慰める。
「でもぉ……」
ワルキューレからしてみれば真田さんへの対抗心から言い出した事なので、真田さんの言う事はもっともであるが、はいそうですか。とは言いづらい。
「朝まで頑張られましても、そうそう身につくものではございませんし、姫様はそういう事をされなくても。 家事は私達侍女の仕事でございます」
「う〜ん、でもぉ。 和人様に約束したのに」
まだ納得しないワルキューレ。
真田さんなら家事はそつなく完璧にこなすだろう。
言いだしっぺの自分が何も家事をせず、真田さんがテキパキとこなすのを和人に見せるのはよろしくない。
「いや…… しかし……」
困った真田さん。
そもそもヴァルハラ皇女が家事をするなんて前代未聞であるし、こんな事をメームやイナルバが知ればどういうだろう。
そんな考えも頭をよぎったが、それよりもワルキューレがそこまで庶民である和人を意識している事に驚いた。
「それでは、明日のお約束はキャンセルなさいますか?」
和人に合わせたくないという思いも皆無ではなく、複雑な思いで言ってみる。
ワルキューレはまた真田さんの胸に顔をうずめて首を振った。
(じゃあ、私はここで練習するから、真田さんだけで行って来て)
口にしそうになったが、慌てて言葉を飲んだ。
それこそ、いくらリカがいるとはいえ、真田さんだけで和人の許に行かせるわけには行かない。
彼女は頼りになる姉であると同時に恋のライバルなのだから。
かと言って、今のまま和人の所に行った所で、点数を稼ぐのは真田さんだけである。
(ああ〜! ダメだなぁ、私って…… 後先考えずに行動しちゃって。 そういえばメームお姉様やイナルバお姉様もおっしゃってたなぁ。 「少しは落ち着きなさい」って)
「では、約束した通り、明日は時乃湯さんに参りましょうか?」
優しく言うとワルキューレは黙って頷いた。
次の朝。
「それではお願いいたします」
真田さんがSPの2人に声をかけると一行は時乃湯に向かう。
途中、真田さんがスーパーに立ち寄って買い物をした。
さすがにワルキューレがスーパーに入るわけにもいかず、近くの公園で待つことになった。
ブランコに乗りながら考え込む。
「あの……」
「はっ!」
ワルキューレが声をかけるとSPの2人が振り向いた。
「やっぱり…… 女は家事が出来ないとダメなのかなぁ? 殿方はそいいう女性が好きなのかな? やっぱり」
「……」×2
昨夜のワルキューレと真田さんの会話は解らなかったが、銭湯に行くわけでもないのに時乃湯に訪れると言う事はやはりそういう意味だったのだろう。
SPの2人は顔を見合わせた。
皇女も独身だし、時乃湯の主人も独身であるのでスキャンダルではないが、ワルキューレが和人に好意を寄せているのは宇宙規模のニュースである。
これは大変な事で、もしワルキューレが無事和人と結婚出来れば問題ないが、そうでないとしたらそれこそ墓場まで持っていかないといけない秘密。
「あの、殿下……」
返事に困ってそれだけ言うと
「ええ、私は…… 時乃湯さんのご主人、和人様をお慕い申しております。 あっそれと真田さんも和人様を……」
「!!!」×2
それを聞いてさらに驚いた。
正直いえば聞きたくなかった事実だった。
SPではあっても庶民である自分達には重過ぎる。
「申し訳ございません殿下。 自分達には判断しかねますし、そのような判断は我々の分を超えます。 ですが殿下のお立場では家事など……」
そこまでしか言葉が出なかった。
それ以上はどう言っていいのか解らなかった。
「貴方達はお食事の用意とか、お部屋のお掃除とか出来るの?」
ブランコに乗ったままワルキューレが尋ねる。
「は、はい。 一応は……」
メガネをかけた方のSPが答えると、もう片方の女性も小さく頷いた。
「はぁ…… そうよねぇ。 立場って言ったけど、私はたまたまヴァルハラ星の皇家に生まれただけで、1人の女なのよね。 年上でしかも女の私が家事が出来ないなんてカッコ悪いなぁ……」
タメ息混じりに言うと
「殿下、畏れながら申し上げます。 女性の価値はそんなのもでは決まりません。 殿下は我々と違って政治で活躍されてるではありませんか! それに時乃湯のご主人も家事が出来る出来ないで人を判断するとは限りませんし」
精一杯慰めるように言う。
「政治か…… それこそ私がたまたまヴァルハラ皇家に生まれたからなのよね。 それにそれこそ和人様は政(まつりごと)を行う女を評価なされるとは限らないし。 それに……」
「それに?」
「この前読んだ雑誌で、殿方を射止めるには美味しい料理を食べさせるのが効果的ってあったし」
「!」×2
自分達も読んでるファッション雑誌にあった記事の事を言ったので驚いた。
同時に、やはり本人が言うように18歳の普通の女性でもあると思い、今までより親近感がわいたのだった。
「お待たせいたしました」
ちょうどその時食材の入った袋を抱えて真田さんが戻ってきた。
「あの、今の事は真田さんには言わないでくださいね。 それと出来ればそれ以外の方にも」
ワルキューレが頼むと
「ええ、それは身に変えてもお約束いたします」
と答え、真田さんが合流すると、何もなかったように先導したのだった。
時乃湯の敷地に入ると
「では、殿下。 私達は……」
敷地の前で敬礼し、ワルキューレと真田さんを見送った。
ワルキューレもウジウジした気持ちを切り替えて
「おはようございます」
元気良く玄関を開けた。
今日はここまでに。
続きは時間が出来次第させていただきますので、よろしければお付き合いくださいませ。
それでは、皆様今週も1週間。
新たな年度が始まった事でもございますのでご勉学、お仕事に頑張られますよう。
おお、生きておられましたか。
今回も投下乙です。次回も楽しみにしとります。
思ったのだけど、このワルキューレは小ワルがそのまま大きくなった感じですね
こういうのもいいかも
続き待ってます
ゴースト×和人×ワルキューレが読みたくなった。
仮にゴーストが生き残った場合。
表向きの身分はヴァルハラ皇家の傍系の血筋。
住居は時乃湯の空き室。
普段は時乃湯の仕事を甲斐甲斐しく手伝っている。
何気に事情を詳しく知らない人々からは「和人の恋人」と認識されている。
ゴーストもヴァルハラ皇女の資格は充分あるし、本人は妖艶な大人の女性だけど根は一途だし。。
ワルキューレが大人の姿になれないうちは、、ゴーストが圧倒的に有利。
最後は両手に花でもいいが。妖艶な姉と清楚な妹。秋菜は完全に蚊帳の外。
こういうネタふりしたら書いてくれるんじゃね?
このワルキューレは小ワルなのか?
そういや、まだ多人数プレイが書かれてないよな。
ワルキューレ×ハイドラ書いて欲しい。
だが、書いてくれるって言っても、現在、職人は………一人、なんかな?
389氏はおられますか?
ってか、そこまで構想練ったんなら、自分でちょっと書いてみるのも悪くないよ
>>76 そうですね、それがいいかも。
話が出来てるならそのまま投下されて大丈夫ですし、時間がかかるようでしたら今の話を終わらせるタイミングを変えますから。
是非とも書いて欲しいですね。
ゴーストと和人とワるきゅーレとなると第二期の後日談とかになるんでしょうかね?
多人数はですね、和人・真田さん・ワルキューレの3人ならしましたが、結構難しいです。
前・389さんと、名乗っておられなかったので勝手に呼んでますけどコーラスさんとかおられるんですかね?
今週なかったですね?
前・359氏はゴースト×和人×ワルキューレ、ワルキューレ×ハイドラは書くつもりないのですか?
>>79 すみません。
いろいろございまして。
提案されたネタはどなたも行かれなくて、時間があれば……
でもまずは、ネタを出された方の話を期待したいです。
誰もこない
一応いるよ
だれか前スレのログとか持ってませんか?
前スレならありますよ。
ログって書き込みとか作品ですよね?
専ブラに残してあるのでよければ。
おられましたか。
何か行かれます?
>>74のやつとか?
あるならどうぞ行って下さい。
今書いてるのは展開を早めて終わらせますので。
>>86 投下するものはありません。一応、書いてはいますが、まだまだ時間がかかりそうです。
アニメの方は見たことないので
>>74の話ではありません。
それと、超個人的な意見ですみませんが、
あなたの作品は無理に延長したり、無理に早めに終わらしたりしないで、気兼ねすることなく書きあげて貰った方が良いんじゃないでしょうか?
原作が完全に終わってしまった今は、あなたの作品をいつも楽しみにしています。
随分と更新が遅れましたが、続きをさせていただきます。
「わっ! ホントに来た…… じゃなかった、いらっしゃったんですねぇ。 お兄ちゃん、冗談言ってるんだと思ってた」
出迎えたリカが驚きを隠さなかった。
リカはこれから学校へ行くのだろうか?
土曜日なのにセーラー服姿だ。
「お兄ちゃ〜ん、ワルキューレさん達が来たよぉ」
ワルキューレ達に背を向けて奥の方に声をかけた。
暫くして和人が出迎えに来る。
それを見計らって
「あの〜。 すみませんがあたしは試験が近いんで、勉強しに出かけるんですよ」
ワルキューレ…… というより真田さんに言うと
「じゃあ、お兄ちゃん。 行ってくるね」
と声をかけて出て行ってしまった。
ワルキューレと真田さんはリカを見送り、和人の方を向き
「えへへ。 和人様、来ちゃった」
無邪気な少女のようにニッコリと笑って言う。
「ご迷惑じゃなかったでしょうか?」
真田さんは少々、和人の顔色を窺うように、下から見上げる感じで言う。
彼女の手には食材が入った袋が持たれており、やはり食事を作ってくれるようだ。
休みに日に、入浴以外で真田さんが来てくれた。
それだけでも嬉しかったが、彼女の手料理を食べられるなんて最高に嬉しかった。
「ど、どうぞお入りください」
少しうわずった声で迎え入れた。
「では、お台所をお借りします」
真田さんが一礼して台所に向かう。
「姫様、ここは真田にお任せくださいませ」
和人に言ったのとは一転してヴァルハラ言語で言った。
「真田さん……」
複雑だった。
本当の所は真田さんが和人と一緒に過したいだろうし、和人も真田さんと一緒にいたいだろうし。
そもそも和人に家庭的な所を見せて点数を稼ぎたかったのは自分のハズだったのに。
真田さんが料理を始めると、ちゃぶ台を囲んで2人きりになる。
「……」×2
しかし、何を話していいのか解らない。
それは和人も同じで、どう切り出していいのか悩んでるようだった。
「あ、あの和人様……」
何を話して良いのか解らないまま、声をかけてみたが、それと同時に台所から
「あの〜、和人様。 ちょっとよろしいでしょうか?」
真田さんの声が居間に届いた。
「ワルキューレさん、ちょっと……」
立ち上がった和人がワルキューレに言うと
「え、ええ。 はい、どうぞ」
とだけ答えた。
和人が台所に行き、暫くすると
「ああっ! ここでございましたか」
真田さんの声がした。
さらにすると今度は和人の
「へぇ〜。 そういうやり方もあるんですね。 うわぁ、今のままでも美味しそうですね」
弾んだ声がした。
ただ、座布団に座ってるだけじゃ退屈なワルキューレは行儀悪く襖を少し開け、台所の様子を窺った。
ワルキューレの目に飛び込んできたのは、2人が仲良く並んで料理をしている姿。
「少し、味見されますか?」
取り皿にダシを少し掬い、和人に差し出している。
「え、うん」
少し照れながら取り皿のダシを飲む。
「あっ!」
和人がダシを飲んだ所で2人が気づく。
取り皿を真田さんが持ち、和人の口に運んでるのは、それこそ恋人か新婚夫婦のようだったからで、2人は顔を染めて別々の方を向いて俯いた。
(もう〜〜〜! 何よ何よ! 真田さんも和人様も〜〜〜!)
あまりにも雰囲気のいい2人に嫉妬の心がわきあがった。
「も〜〜〜! つまんな〜い、つまんな〜い! ワルちゃんつまんな〜い!」
ついにその気持ちが声になってしまった。
かなり大声だった為、当然台所にも届いた。
!
「あ、あの…… 和人様、わたくしの方はこれで結構ですので、姫様の……」
真田さんが急に現実に戻されたように主君を気遣う。
「え、ええ。 そうですね」
和人も後ろ髪を引かれるように、未練を残しながら居間に戻ったのだった。
(わわっ! ど〜しよう)
一方ワルキューレもしまった! というように口を押さえたが後の祭り。
和人が戻って来るだろうから慌てて襖を閉めて座布団に座りなおした。
「あの…… すみません」
襖を開けて和人が入ってきた。
子供っぽいと自分を戒めたワルキューレだったが、和人の言葉を聞くとつい
「もう、和人様ったら! どうせ私は真田さんの付録ですよ〜だ!」
頬を膨らませてスネてしまった。
「そ、そんな事はないです。 ホ、ホントに……」
一生懸命謝る和人。
ワルキューレはチラっと片目を開けて和人の様子を窺う。
頭を下げて困り果てたような和人。
その様子が実に
(わ〜〜、可愛い!)
などと思えてしまう。
あまり困らせるのも悪いと思ったし、退屈なのは間違いない。
「ホント? ワルちゃん、お邪魔虫じゃない?」
少女のような表情で、やっぱり少しスネたように言ってみる。
ドキ!
TVで見るワルキューレは燐としてて、政府要人と接する時も堂々としていて、とても自分より1つ年上には思えない大人びた感じだったが、今は自分よりずっと年下の、それこそ少女のような感じがした。
「だったらワルちゃん、和人様のお部屋とか見せて欲しいなぁ」
自分の事を「ワルちゃん」と言う時は「私」という時とは違って本当に幼く感じる。
大きな目をキラキラと輝かせて和人の顔を覗き込んで言う。
「えっ? で、でも……」
少し困ったような和人。
でも
「ダメ?」
小首をかしげて畳み掛けてくる。
そうなってしまっては和人も断りきれなかった。
ワルキューレと階段を上がる。
「ボクの部屋はここですけど……」
ドアを開けて披露する。
興味津々という感じでワルキューレが覗き込み
「お邪魔しま〜す」
少し声を上ずらせて入った。
男性の個室になど入った事はなく、ワルキューレは言葉とは裏腹に緊張していた。
喉が渇く……
辺りを見回すが整頓された学習机とクローゼット、それとベッド以外に特に目に付くものはない。
「あっ! ちゃんと食べてくださったのですね」
机の上に、バレンタインデーの時、プレゼントしたチョコに添えてあったカードが置かれていた。
「ええ。 とても美味しかったです」
少し照れ気味に答えると
「んふ。 だったらホワイトデーは期待してよろしいのかしら?」
イラズラっぽく微笑み和人を下から見上げるように窺う。
「え、ええ。 そうですね」
「ホント? 絶対ですよ」
本当に嬉しそうにいうワルキューレに少し申し訳ない気がした。
!
ワルキューレが見つけたのは、ベッドの脇にある小さいテーブルに置かれた真田さんが贈ったカード。
ご丁寧にラッピングシートやリボンまで残されている。
和人にとって真田さんのチョコは特別だったと言う事はワルキューレにも解った。
それでも何事もなかったように
「ばた〜ん!」
少しおどけてベッドに倒れこんだ。
「えへへ。 和人様ってここでお休みになられるんですよね?」
シーツに顔を埋めていたワルキューレが体の向きを変えて言う。
「あ、あの…… ワルキューレさん?」
ベッドの上でキュッと身を縮めるワルキューレ。
成熟した体ににつかわぬ、子供のような仕草。
体を丸めているので、丸いお尻が大きなボールのような曲線を描いている。
やがて体を伸ばしてうつ伏せになると
「ん〜〜! 和人様の匂い…… なんか和人様に包み込まれてるような感じがするぅ……」
シーツに顔を埋め、こすり付けるようにするワルキューレ。
「ホラ、こうするともっと……」
布団を被って、顔を布団の中に潜り込む。
「和人様…… えへへ」
くごもった声がしたと思ったら、突然布団が跳ね除けられる。
ワルキューレの甘い香りがフワッと拡がる。
「和人様…… あ、あのね…… 和人様のお布団にいたらワルちゃん……」
「ワルキューレさん?」
少し頬を染めて、モジモジしている。
身を捩ると、大きく丸い胸の膨らみが弾む。
「和人様。 和人様はす、すき……」
和人の視線を感じてさらに胸を強調するポーズで言いかけた時
「「姫様ぁ〜、和人様ぁ。 お食事の用意が出来ましたぁ」」
実に絶妙のタイミングで下から真田さんの声がした。
「!」
「は、は〜い。 今行きます」
我に返ったように和人が振り向いてドアから下の階にいる真田さんに返事をした。
「ワ、ワルキューレさん。 ご飯出来たみたいですから……」
「そ、そうですね」
ワルキューレも体を起こして少し乱れた髪を手で直すと立ち上がった。
和人が先に部屋を出て、ワルキューレは少し遅れて部屋を出たのだが
(「もう、真田さんったら良い所だったのにぃ〜!!! ワザとなの?」)
などと考えてしまい、少し音を立てて階段を下りたのだった。
ちゃぶ台には、昼食と呼ぶには少し豪勢な料理が並んでいた。
「わぁ! 美味しそうですね」
真田さんが作ったと言うこともあって、和人の喜びようはかなりのものだったが、ワルキューレの心には影を落とした。
(やっぱり、お料理出来る女性がいいのかな? 和人様は……)
「さあ、和人様。 どうぞ」
先に座った和人に真田さんがご飯をついで渡した。
傍目から見ると夫婦の、ごく普通のありふれた日常の一部に見える。
「はぁ……」
ため息をつきながらワルキューレも座ると
「姫様、こちらをどうぞ」
やはりお茶碗に入ったご飯を渡す。
「ありがとう真田さん」
心とは裏腹に笑顔で茶碗を受け取る。
しかし、その様子を和人が凝視していた。
「ワルキューレさん、お箸とか使えるんですか?」
地球人でも日本やごく一部の国や地域でしか使われないお箸を宇宙人の、しかも姫君が使える事に驚いた。
「え? ええ。 地球のこの国に来ることが決まってから、少しだけ習ったから……」
流暢な日本語と同じく、努力したのか、飲み込みが早いのか短期間に身につけた彼女の能力に驚いたのだった。
(でも、ボクと殆ど変わらないのに、国(星)を代表して政治を担ってるんだから、ボクなんかよりずっと頭いいのは当然か)
その思いが視線に表れたのか、ワルキューレも和人の様子に満足気味だったが、食べだしたらそれは一転する。
「うん! 美味しいです。 ホントに美味しい」
和人の関心はすっかり真田さんに移ってしまい、ワルキューレは食事を口にした。
悔しいが…… いや、悔しいも何も自分が全く歯が立たないレベルの美味しい食事。
(やっぱり、和人様のお嫁さんになるんだったら、お料理は出来ないとダメなのよね?)
「はぁ……」
やっぱりため息が出るワルキューレだった。
食事の後、真田さんが洗物をし、洗濯、掃除と実に手際よくこなした。
「はぁ……」
やっぱりここでもため息が出る。
(当たり前だけど、こうやって真田さんを見てると…… 私ってホントに何も出来ないのよね。 私が結婚したらやっぱり身の回りの事は真田さんがしてくれるんだろうけど、でもその相手が和人様だったら?)
(ここで生活するのなら、和人様と結婚してお風呂屋さんを手伝って……)
(そうなると、皇女じゃなくなるかもしれないから、やっぱり家事は出来ないとダメなのよね?)
洗濯や掃除が終わって3人で話していると、どうやら時野家の家事は和人とリカが共同でしているようだった。
だから和人も家事全般は得意らしく
「今度はボクが食事つくりますから、たべてくれますか?」
などと話している。
(ええ〜〜〜! って事は私と結婚しても家事は和人様が…… ってダメダメ。 何言ってるのよ私ったら!)
和人と真田さんにとって楽しい時間はあっという間に過ぎ、夕方になろうとしていた。
「そろそろ、店を開ける準備しなきゃ。 お2人とも入っていかれますよね?」
和人が勧めてくれたが、ワルキューレも明日は要人と会う予定があり、帰る事となった。
気を落とした和人だったが
「またお時間がございましたら、お手伝いをさせていただきますので、今日は何卒……」
真田さんが言ってくれたのが救いだった。
「ねえ、和人様。 リカ様には申し上げたけどどうして遊びに来てくださらないの?」
ワルキューレが不満そうに言う。
「え? で、でもワルキューレさん忙しいだろうし。 それにボク達みたいな普通の人間がお邪魔して良いんですか?」
和人の返事に
「やっぱり、和人様もそんな事考えてらっしゃったのね。 大丈夫だから、ね。 絶対に来て下さいね。 お菓子もいっぱい用意してるから。 ワルちゃん待ってるから」
子供じゃあるまいし、お菓子に釣られて訪問するなんて事はないだろうが、
「そうですね、ワルキューレさん達のお時間がありそうな時にお邪魔させていただきます」
約束を交わしてワルキューレ達は帰って行った。
その夜。
和人は、昼間見た普段とは違う真田さんの姿を思い出し狂おしいオナニーをした。
額にうっすらと汗を滲ませて家事を行う真田さん。
ご飯をついでくれた時のさりげない仕草。
母親と離れて暮らす自分にとって母を思い出させたが、彼女の美貌とメイド服の中でパンパンに張り詰めている胸やお尻。
官能的な声と甘い香りはやはり母より女として感じてしまう。
脱衣所で見た真田さんの裸。
銭湯の客の裸で劣情を感じ、性欲を満たす事に利用してしまうことに抵抗はあったが、それ以上に彼女への想いが勝った。
洗濯物を干した時、反動で彼女の胸の膨らみが揺れたのを思い出し、また料理を味見した時に料理の匂いと混じってふんわりと漂ってきた彼女の汗と昨夜入浴した時に使ったシャンプーと石鹸の香りが混じった甘い香り。
陰茎を扱きながら真田さんの姿、声、匂い、そして脱衣所で見た裸を思い浮かべ続ける。
「さ、真田さん……」
ティッシュを用意して射精に備えたが、その瞬間、真田さんの魅惑的な裸はワルキューレに変わってしまった。
「……」
ティッシュで陰茎を拭い、ゴミ箱に投げ捨てながら
(どうしてワルキューレさんが……)
だがよくよく考えてみたら、昼間ワルキューレは今自分が横になっているベッドに横たわっていたのだ。
美しく長い髪がシーツいっぱいに広がり、仰向けから横向き、うつ伏せと、まるで動物がマーキングするように匂いをつけていったのだからある意味仕方の無い事だった。
今まで女性と言えば母親と妹のリカ、それと近所の幼馴染である秋菜くらいしかロクに話したことも無い。
その秋菜に告白したがフラれ、それ以来彼女とは普通の幼馴染として認識している。
リカ以外の強烈な女性の匂いに敏感に反応してしまうのだった。
秋菜とは対照的に胸やお尻の大きい肉感的な真田さんを好きになったのは、秋菜にフラれた事が心の奥底に残っているからだろうか?
そんな事をボンヤリ考えていると眠くなり、ワルキューレの匂いに包まれながら眠りについたのだった。
その日以降、ワルキューレと真田さんは、時間がある限りほぼ毎日と言っていいほど時乃湯に来た。
家事でいい所が見せられなかったワルキューレは、その分を取り戻そうとしているように、特に用事も無いのに全裸で番台に来ては和人と他愛も無い話をした。
無論、色白で美人で胸も大きいワルキューレの裸は素晴らしかったが、逆に素晴らし過ぎて和人の性欲の対象にはなかなかなりえない。
それより
「姫様、そんな格好で……」
と注意し、浴室に入るよう諭しに来る真田さんの裸の方に興味が行く。
控え目な彼女らしからぬ、「どうだ!」と言わんばかりに突き出た胸。
それでも股間に楚々として生えている陰毛は、彼女らしい。
風呂上りの少ししっとりとしたシッポと耳は艶やかな漆黒で、いくら控え目な真田さんでも隠しきれない美しさを物語っていた。
次の日、TVではワルキューレが公務をこなしてる様子が映し出されていた。
女神の化身のような美しさは相変わらずだが、マイクを向けられた時
「はい、私は……」
自分の事を「私」と言ってる。
そういえば、TVで見るワルキューレは「ワルちゃん」と言った事がない。
多分、それこそ影のように付き添ってる真田さんしか、その事を知らないのではなかろうか?
それを知ってる自分は特別な存在のようあ気がしないでもないが、それでもやはり和人の関心は受け答えするワルキューレの後ろに立ち、画面にちょっとだけ映りこんでる真田さんにあった。
週末になり、土曜日の昼。
昨夜、真田さんが少しはにかむように
「明日、またお食事を作ってさしあげたいのですが……」
と言ってくれたので、和人は朝からソワソワと落ち着かなかった。
かと言って、真田さんが1人で来ることはないだろう。
それでも一緒に来るのは美しいワルキューレ。
今までの和人からすれば考えられないくらいの話だ。
ガララ……
「ごめんくださいませ」
待ちわびた真田さんの声がした。
「はい、どうぞ」
玄関に迎えに出るが、真田さんしかいない。
「あっ!」
和人の驚きを察したのか
「あ、あの…… この国の風習に合わせまして、私達侍女も週休二日制になりまして、私はお休みなんてとんでもないと思ったのですが、姫様がどうしても申されまして、今日はわたくし1人で…… あの…… やはり1人では……」
上目遣いに聞く姿が愛らしい。
今まで無かった休日を手にしても、ワルキューレ一筋だった真田さん。
しかも慣れない地球に来てるだけに行くところも無く、時間も潰せないのだろうか?
それでも、その空いた時間に自分の所に来てくれたのが嬉しかった。
「そ、そんな…… とても嬉しいです、どうぞ。 でも折角のお休みなのにボクの食事を作るとかでよかったのですか? どこかに遊びに行くとか?」
招き入れながら聞く。
「いえ、わたくしめは休むと言う事に慣れておりませんし、それに遊ぶと言っても……」
少し伏目がちに言うと早速エプロンを着けて食事の用意をしだした。
和人は居間に座って待っていたが、憧れの真田さんが1人で来て、自分の為に料理を作っている。
そう思うと落ち着いてなどいられない。
つい、ソワソワと襖の間から台所を見てしまう。
「! もう少しお待ちくださいね」
和人の視線を感じて目が合った真田さんが笑顔で答える。
1度は言う事を聞いた和人だったか、ますますもって落ち着かない。
エプロン姿の真田さんを少しでも見たい。
黙って隙間から覗いてしまった。
(!)
真田さんも和人の熱い視線を再び感じ、気づいたが今度は気づかぬフリをした。
空腹の限界からなのか? それとも女として自分を見てるのか?
でもそれは考えるまでもないだろう。
チリチリと絡みつく視線は明らかに異性を意識したもの。
(……)
最初に時乃湯に来た時から和人を意識しないでもなかっただけに、真田さんも体が火照る。
(和人様…… わたくしを…… 見てらっしゃるの?)
間もなくして料理は出来、居間で2人きりの昼食をとった。
食事の後は洗濯をして掃除をした。
でもまだ時間は4時にもなってない。
和人は夕食の買い物に真田さんを誘った。
デートと呼ぶには、洒落っ気もないものだが、和人は満足だった。
だが、何を話していいのか解らない。
無言のままスーパーについた。
その帰り道、和人はありったけの勇気を振り絞って話し掛ける
「あ、あの。 て……」
それでも言葉にならず、黙って真田さんの手を握ってみた。
一瞬ビックリしたように目を見開き、体を反応させた真田さんだったが、和人の手を拒否する事はしなかった。
行き道と同じ黙ったままだったが、2人の心は大きく弾んだ。
「お夕食の用意もしてさしあげたいのですが……」
帰り支度を済ませ。玄関で申し訳なさそうに言う真田さんだが、明日も休みらしい。
先程の手を握ったのも大変な勇気が必要だったが、さらに大きな勇気を搾り出し、ついに
「あ、あの。 明日も、会ってくれますか?」
思い切って誘ってみた。
「え? は、はい。 ではまたお食事の用意を……」
頬を染め、俯き加減に言う真田さんだっかが、和人の意思は違っていた。
「で、出来れば…… その…… ボクと出かけませんか?」
「え? そ、それって……」
「うん、そのボクと…… その…… ダメかな?」
今度は和人が俯いてしまった。
拒絶される事が怖くて真田さんの顔が見れない。
「…… はい。 わたくしでよければ喜んで」
真田さんも俯いて返事をした。
「やったぁ!」
和人の顔がパッと明るくなり、喜びのあまり真田さんの手を握った。
「あっ!」
いきなり手を握られて、真田さんが少しよろめき、それを和人が支える形となった。
和人の胸に縋るような形になり、和人の胸に真田さんのふくよかな胸の膨らみが潰れる感触が感じられる。
ふんわりと甘い彼女の匂いが鼻腔をくすぐる。
体中の血液が瞬間的に沸騰したように体が熱くなる。
「ああっ……」
同時に真田さんを抱きしめてしまい、真田さんも思わず声を上げてしまった。
和人の手が漆黒の髪に伸びる。
「さ、真田さん……」
和人の意思を察したのか
「い、いけません……」
真田さんも顔を背けるが、和人の手がネコミミの後ろ側に回り、顔を自分の方に向ける。
「ダ、ダメ……」
弱々しい拒絶の言葉を発したが、その唇は和人の唇で塞がれてしまった。
「いけま…… んっ……」
加減が解らない和人の唇がギュっと押し付けられる。
その唇は心なしか震えている。
和人の腕が背中に回って、きつく抱きしめられ、真田さんは和人に身を委ねるように力が抜けた。
「んっ……」
2人の顔が離れると同時に、真田さんから息ともつかぬ声が漏れた。
少しだけ落ち着きを取り戻した和人は緊張と、真田さんにいきなりキスしてしまった事で、少し青ざめている感じだった。
「あ、あの……」
何とか声を出したが
「もう……」
言葉はキツめだが、声は上ずっていて艶っぽい。
しかし和人にそんな事を気づかせる余裕などあるはずも無く
「ご、ごめんなさい」
頭をさげて謝った。
「わ、わたくしはこれで失礼いたします…… その、また明日……」
それだけ言うと、素早く向きを変えて出て行った。
怒らせてしまった。
どうしてキスなんかしてしまったのかと後悔した。
無意識のうちにしてしまった。 と思う。
柔らかい真田さんの唇。
ふんわりと漂ってきた彼女の甘い香り。
手と唇に残る彼女の感触。
夢にまで見た、真田さんの唇に触れ、手も握った。
でも、最後に彼女を怒らせてしまった。
そう思うと、和人の心は大きく沈み、部屋に戻るとベッドに倒れこみ、天井を見上げた。
(!)
真田さんを抱きしめた手を掲げていた時
(そう言えば。 真田さん「また明日」って言ってた……)
彼女の最後の言葉を思い出した。
(じゃ、じゃあ、明日も真田さんに会える。 あまり怒ってないのかも)
沈んでいた心も一気に晴れた。
すると、先程抱きしめた感触、彼女の香りが蘇り、陰茎が突っ張ってきた。
今まで見るだけだった真田さんと今日は手をつなぎ、抱きしめ、キスまでしたのだから。
布団にこそついてないが、今なら真田さん本来の体臭に汗の混じった甘い匂いが鮮明に思い出せる。
急いでズボンを脱ぎ、トランクスを下げると、もの凄い勢いで陰茎が天に向かってそそり立った。
真田さんの感触を思い出して、陰茎を扱く。
目を閉じて、彼女の戸惑った声を反芻し、匂いを思い出す。
血管が浮き出た陰茎がさらに硬さを増し、亀頭の先からはじくじくと透明な汁が漏れ始めていた。
左手でティッシュを取ると、陰茎を扱く手が早まる。
(「い、いけません……」)
戸惑いつつも甘い、粘りつくような声を思い出した瞬間、和人は用意したティッシュの中に思いっきり射精してしまった。
「あうっ。 さ、真田さん、真田さん。 真田さん……」
普段、オナニーする時、入浴に来た時の真田さんの裸を思い浮かべるが、今日の「彼女」は終始メイド服を着たままだった。
それでも、普段とは比べ物にならないくらいの大量の精液がティッシュにぶちまけられた。
今までは射精の瞬間、ワルキューレに変わってしまったり、ワルキューレの匂いが布団に残っていたりして真田さんだけを想って射精まで行ける事が少なかったが、今日は正真正銘、真田さんだけで射精出来た。
あくまでオナニーで、自分の手で出したのだが、今はなんだか真田さんに扱いてもらって出したような充実感と満足感を得られたのだった。
「真田さん……」
ワルキューレは美しい。
それこそ女神のように。
だが、そんなワルキューレより、やっぱり自分は真田さんに惹かれていると自覚したのだった。
しかし、明日の約束があるとは言え、逆に明日まで会えないと思うと淋しく感じる。
別れたばかりだが、今すぐにでも逢いたい。
叶うはずもない望みだが、そう思わずにはいられなかった。
その夜、番台に座っていると扉が開く。
「どうも……」
「!」
見慣れた女性が辺りを警戒しながら入ってきた。
ワルキューレの護衛をしているメガネをかけた女性のSP。
と言う事は……
暫く中を見渡すと
「殿下……」
と頭を下げて一歩引く。
「えへへ、和人様。 来ちゃいました」
こぼれるような笑顔を湛えてワルキューレが入ってきた。
そして、少し遅れて真田さんも……
「い、いらっしゃい」
慌てて迎え入れるがその声は緊張のあまり、裏返っている。
「は、はい……」
真田さんが一瞬顔を上げ2人の視線が交差すると、またお互いが俯いてしまった。
「む〜〜〜。 ちょっとぉ和人様、ワルちゃんだってお客さんなのに〜! それと何? 2人とも?」
「い、いえ……」×2
だが2人の様子は明らかにおかしい。
「あ〜〜〜! 2人共、お昼になんかあったんだぁ〜〜っ!
交互を指差して騒ぐと他の客も一斉に番台周辺に注目した。
「ひ、姫様。 そんな大声で。 そ、それにわたくし達はそんな…… ね、ねえ和人様」
「そ、そうですよ。 ボク達はそんな……」
必死に取り繕うが、ワルキューレの視線は厳しい。
じぃ〜〜〜〜!
「まあ、いいわ。 お風呂いただきましょう」
ワルキューレが中に入っていくと、ホッと胸を撫で下ろした2人だった。
風呂から出てくると、全裸にバスタオルをかけただけのワルキューレが来て
「ねぇねぇ和人様。 昼間に何があったの?」
目をキラキラさせて聞きに来た。
しかし、どうしてもその事は聞きたいようだった。
時折、表情が曇る。
「いえ、ホントにボク達は……」
でもウソが苦手な和人。
それを聞いたワルキューレは
「ああ〜。 ワルちゃんも来たら良かったぁ! お料理の特訓なんて……」
言いかけた所で口を押さえた。
「え? 特訓?」
「う、ううん。 何でもないです。 きょ、今日もいいお湯でしたわ。 ほほほ」
今度はワルキューレが慌ててロッカーに戻って行った。
髪を乾かして、服を着終わると
「和人様、今日もいいお湯をありがとうございました。 ごきげんよう」
軽く頭を下げて出る。
それについている真田さんは黙って一礼し出て行こうとする。
「あ、あの…… 真田さん。 明日……」
引き止めると、チラっと和人の方を見て
「…… はい」
と決して湯上りのせいだけではないだろう。
顔を上気させて呟くとワルキューレの後を追った。
(やった〜〜〜!)
改めて、明日の約束を確認すると心の中で大喜びをした和人だった。
銭湯を閉め、寝る事になる。
部屋に戻ると、別れ際の真田さんの表情と声が頭を駆け巡った。
さらに、服を脱いだ時、またお風呂から上がってきて体を拭いてる姿が、時間も経ってない事もあり鮮明に思い出された。
そうなると、寝巻きの下では陰茎が痛いほどに勃起してしまう。
夕方1度オナニーしたのに、今ももう射精しないと治まりそうにない。
ほんのり染まった肌、動くたびに大袈裟に揺れる胸を記憶の限り思い出し、楚々とした陰毛に隠された秘部を想像しては、激しく陰茎を扱き、またもやティッシュから溢れんばかりに激しく射精したのだった。
明日は真田さんとのデート。
オナニーをした後とはいえ、興奮してなかなか寝付けない和人だった。
今宵はここまでに。
続きは時間が出来次第させていただきますので、その時はどうぞお付き合いくださいませ。
まだまだ連休は続きますが、皆様にはいい休日を過されますよう。
おやすみなさいませ。
乙
ついに来ますか!
GJ!
続き楽しみにしてますよ。
106 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/20(火) 23:48:42 ID:7MvgWJPv
あげ
更新が遅れて申し訳ございません。
それと、今回もまだエロには到達いたしませんでしたので、ダメな方はスル〜していただきますよう。
では、後ほど。
なかなか寝付けなかった和人。
寝たのか眠らなかったのか解らないような感じで朝を迎えた。
寝不足から来るだるさはあったが何と言っても今日は真田さんとデート。
まだ知り合って間がないが、一目見た時から心奪われた彼女と共に時間を過ごせる事は最高に嬉しい。
今になって思えば、秋菜に告白して失敗して以来、女性に興味は持っていたものの、今ひとつ踏み出せなかった自分。
臆病になっていた自分が、よくも年上の美人に声をかけられたものだと思う。
用意を済ませると、急いで待ち合わせの場所に向かった。
約束の時間より若干早かったが、真田さんは既に待っていた。
だが、和人はそれに気づかず、約束の場所で待つ。
「?」
すぐ横にいるのに声をかけてこない和人の真意を測りかねた真田さん。
「あ、あの……」
思い切って声をかけた。
「え? あっ!」
和人が目を見開いて慌てた。
真田さんは普段の見慣れたメイド服ではなくて、普段着を着ていたので、気づかなかったのだった。
「真田さん。 ご、ゴメン。 その気づかなくて…… 時間も早かったし」
必死に取り繕う。
「やっぱり、似合いませんか? 地球の女性のファッションを取り入れてみたのですが……」
少しがっかりしたように俯きながら言った。
だが和人は
「ううん、そんな事ないよ。 凄く似合ってる。 その…… 可愛いです。 で、でも普段の格好がダメなんじゃなくて、あの…… その…… 普段もステキですけど…… え〜っとボクは何言ってるんだろ?」
混乱しながら思わず真田さんの手を握りながら力説した。
「あっ!」
和人が思わず力を込めたので真田さんも声が出た。
「あっ! ご、ごめんなさい」
慌てて手を離す和人。
「い、いえ……」
2人はそのまま顔を赤くして俯いてしまった。
「あの…… 今日はよろしくお願いいたします」
実に真田さんらしく頭を下げて頼むと
「う、うん。 こちらこそ」
和人もつられて頭を下げたのだった。
「…… うふふ」
「…… ははは」
同時に顔を上げた2人が顔を見合わせて微笑んだ。
和人が真田さんの手を取って歩き出す。
昨夜、布団に入ってから色々考えたデートプランもあったのだが、真田さんを目の当たりにしてキレイサッパリ忘れてしまった。
舞い上がってしまったと言うべきか。
とにかくデートと呼ぶには幼いデートをする。
時間が経つにつれ、表情がイキイキとする真田さんに対して、和人の表情は曇っていく。
頭の中であれやこれやと考えて、スマートに彼女をリードして……
なんて考えていたが、次にどこに行こうか? とか何をしようか? などといった事が頭に浮かばず、行き当たりばったりで過す時間が悔しくて仕方なかった。
夕方になり、2人の初デートも終わろうとしていた。
「あの…… 真田さん。 ごめんなさい」
「?」
突然の和人の言葉に、意味が解らない真田さん。
「如何なされました?」
思わず尋ねる。
「ホントはいろいろ考えて、もっと楽しんで貰おうと思ったんだけど…… 上手くいかなくって……」
落ち込む和人を見てると真田さんの胸が締め付けられそうになった。
「そんな…… 今日はとても楽しゅうございました。 それに殿方と2人で過すのも初めてでございます故、わたくしにとっては今日が一番楽しく嬉しく、心弾む時間でございましたから」
夕日に照らされた真田さんが目を輝かせながら言う。
皇室侍女長として過してきた彼女は、プライベートな時間など殆どなかっただろう。
言ってることはあながち、和人を気遣ったウソでもないだろう。
「真田さん!」
思わず彼女を抱きしめてしまう。
顔を上げさせてキスを迫ろうとするが
「あっ! お、お待ちください」
体を強張らせて、和人の胸に手を当てて体を離そうとする。
この前、半ば強引にキスをしたが、同意の上でのキスはまだ早過ぎたのかもしれない。
彼女の気持ちも考えず、自分の欲求を満たそうとした自分を咎めた。
だが、思いもよらぬ返事が返ってきた。
「あ、あの…… ここでは人目につきますので…… そ、その、恥ずかしい……」
消え入るように言うと俯いてしまった。
「! だ、だったら」
真田さんの手を引いて、裏通りに入って、殆ど人通りのない場所に連れてきた。
「さ、真田さん」
今一度抱きしめてみる。
「はい……」
今度は拒まない。
「あの……」
彼女の目を見て声をかけると
「……」
真田さんは黙って目を閉じる。
その顔を見ると和人の心臓はバクバクと激しく鼓動し、その音が真田さんに聞こえるのではないか? と思えたほどだった。
それでも、顔を近づける。
真田さんに心臓の音を聞かれたって構わない。
自分は女性の扱いに慣れてるわけではないし、デートもした事はない。
背伸びして格好をつけるよりも、ありのままの自分を見せる方がいい。
「ん……」
唇が重なると、真田さんが息とも声ともつなかい声を漏らした。
2人とも慣れてないのか、唇をあわせただけで、舌を絡めあうとか濃厚なキスではない。
それでも和人の心臓は破裂しそうに激しく脈打ち、それは真田さんも同様だった。
生ぬるい互いの唾液が不思議な感覚だった。
どれ位の時間が過ぎたのだろうか?
実際は数秒の出来事なのだが、2人には実に長い時間唇をあわせていたように思えた。
2人の間に距離が出来ると
「あ、あの……」
俯いたまま真田さんが呟いた。
何が言いたいのか解らなかったが
「あの、真田さん。 また…… またボクと会ってくれますか? ご飯を作ってくれますか? ボクも真田さんの為にご飯つくりますから」
とにかく何かを言わなくちゃいけないと思ってまくしたてる。
「はい…… わたくしでよければ喜んで。 でも……」
「でも?」
「あの…… 今みたいな…… その明るい…… お外での…… そ、その…… キスは堪忍なさってくださいませ」
それだけ言うと背を向けた。
「今日はありがとうございました。 とても楽しかったですわ。 失礼いたします」
恥ずかしそうに顔をあわせる事無くその場を去った。
「……」
(やったぁ!)
慌しく、何1つ計画通りに行かなかったデートだったが、強引に奪ったようなキスではなくて、互いの気持ちから惹かれてキスをした。
時と場所さえ気をつければ、キスを拒まれない関係になれた事が最高に嬉しかった。
どこかのアスリートではないが、今まで生きてきた中で最高にハッピーな日になった。
その時は緊張と感動と興奮が入り混じっていて落ち着かなかったが、夜に布団に入ると真田さんとのキスを思い出してしまう。
柔らかい唇。
抱きしめた彼女の体も柔らかく、それでいてほどよく締まっていて弾力に富んでいた。
胸板に感じる真田さんの胸の膨らみも、みっちり詰まった感じの張りのある弾力が魅惑的だった。
甘く香ばしい、彼女の吐息と唾液。
ゆらめく体臭も甘ったるく、思い出す和人を酔わせた。
今日のデートを噛み締めるように反芻しようとしたが、思い出せば思い出すほど陰茎が硬く突っ張って来る。
今日一日、傍らにいた真田さんの声、甘い匂い、柔らかくも張りのある感触を思い出す。
そして、初めての時より意義のあったキス。
その甘い吐息とシロップのような唾液の味を思い出しては、陰茎を扱き用意したティッシュに思いっきり射精したのだった。
時は遡り夕方。
真田さんがホテルに着いた。
中に入ると
「お帰りなさいませ真田侍女長」
ロビーで侍女達が出迎えた。
しかし、いつもの4人の姿が見えない。
「はい、ただいま戻りました。 して姫様は?」
少し不安になって聞く。
「あ、あのぉ……」
返ってきた返事は冴えない。
「あっ、よろしいですよ。 わたくしがお伺いいたしますから」
それだけ言うと部屋に戻り、服を着替えた。
エレベーターから降りた時は気づかなかったが、最上階のロビーにあるソファにいつもの4人がグッタリとしていた。
「貴方達! 何してるのですか? わたくしが不在の間、姫様の身の回りのお世話は貴方達に……」
ヒステリックに言いかけると
「じ、実は姫様が……」
真田さんの呼びかけに答えかけた時
「あら、真田さんおかえりなさい。 その4人の事はよろしいですから。 私に付き合ってもらってましたの。 ちゃんと仕事はしてくださいましたから」
「はあ、さようにございますか」
答えて、再び彼女達を見ると動くのも辛そうだ。
(一体何が?)
ワルキューレがその場を去ろうとしたので、真田さんもそれに続く。
「うう〜。 姫様ぁ、お許しくださいぃ」
「姫様ぁ、それは塩ですぅ、お砂糖じゃありません〜〜〜」
意識が朦朧としてるなかで、何やら言ってるのが聞こえたが、真田さんには完全には聞き取れなかった。
「あの、姫様。 あの者達と何が……?」
自分が不在だった時の事を聞こうとした。
ビクッ!
ワルキューレの体が一瞬反応した。
が、振り向いたワルキューレは少しひきつった笑顔を見せ
「い、いえぇ。 別に何も…… 皆さんどうしたんでしょうねぇ。 うふふふ」
実に怪しい。
次の日、例の4人に事情を聞いたが、口ごもって答えようとしない。
それどころか、事情を聞いているとワルキューレが来て、話題をそらせてしまった。
さらに次の週末にはワルキューレの方から真田さんに休む事を言われた。
「真田さん。 侍女長の真田さんがお休みを取らないと、他の侍女の皆さんがおやすみし辛くなりますから、ちゃんと休んでくださいね」
クギを刺されてしまった。
金曜日に時乃湯に行った際、週末が休みになる事を言うと和人がはにかみながらもまたデートの誘いをしてきた。
真田さんも少し頬をそめて、頷く。
土曜日の朝、私服の真田さんが
「いいですか。 わたくしがいない間、姫様のお世話をお願いしますよ」
例の4人に指示を出すが
「はぁ〜い」
4人の返事は冴えない。
それどころか、少々怯えてる感じすらする。
「真田さん、和人様とデートなの?」
ワルキューレがわざわざ見送りに来た。
「い、いえそんな……」
真っ赤になって俯いて返事をする。
4人も慌てて、ワルキューレの方を向いて頭を下げる。
「貴方達、今日もお願いね」
4人に声をかけると
「ひぃっ!」×4
同時に怯えた。
「あ、あの……」
その理由を聞こうとしたが
「じゃあ、真田さんいってらっしゃい。 和人様にもよろしく」
と遮ってしまった。
和人とのデートを終えて夕方戻ってくると、先週と同じく4人はソファでグッタリとしていた。
その事情を聞こうとすると、またワルキューレが話を遮ってしまう。
ともあれ、週末は真田さんが休みとなって、毎週和人とデートを重ねる。
もう何回デートをしただろう。
遊園地に水族館、ショッピングモールをのぞいたり、少し遠出をして海岸にも出かけた。
季節は春から夏へと変わり、本格的な暑い季節となった。
今日は帰って来たのが少し早く、そのまま別れるには惜しい。
真田さんも家に上がる事にした。
「あっお兄ちゃんお帰り〜。 えっ? お兄ちゃん真田さんと一緒だったの? もしかしてデート?」
家に入るとリカが帰っていた。
上がりこんで彼女の部屋を覗くと制服がハンガーにかけられていた。
ブレザータイプの制服。
色からして和人と同じ学校の物で、話を聞くと第一志望には落ちたので、合格した和人の行ってる学校にしたらしい。
「申し訳ございません。 わたくしの力が及ばなかったばかりに……」
時乃湯に出入りするようになってから空いてる時間はリカの勉強を見てあげた真田さんが謝ったが
「そんな、頭を上げてよ。 もともとかなり厳しいのは解ってたんだし。 それにお兄ちゃんの後輩になるもの悪くはないし」
なんて会話をしたのが春。
和人とは毎週デートをして、リカとも時乃湯の番台で話す事はあるが、家に上がるのは久しぶりの事だった。
カベにかけてあるカレンダーを見るとマルがふってある。
「リカ様、23日は何かご予定でも?」
尋ねると
「え、23日? お兄ちゃんの誕生日だよ」
そこへ和人が冷えた麦茶を持って戻ってきた。
「お兄ちゃん、もうすぐ誕生日だね?」
「う〜んそうだね」
自分の事ながら特別な意味はなさそうに和人が答え、リカと真田さんに麦茶を出した。
その後、何気ない会話が続き、辺りもうっすらと暗くなってきた。
「そろそろお暇しませんと」
時計を見た真田さんが立ち上がる。
和人もそれに続いて彼女を見送る事にした。
玄関を出ると
「和人様、お誕生日はリカ様とお過ごしになられるのでしょうか?」
尋ねてみる。
「う〜んどうなんだろ? もう学校も夏休みに入ってるからリカは出かけるかもしれないから解らないなぁ」
和人の返事を聞くと
「では、ご予定がございませんでしたらわたくしと」
真田さんの提案に和人の顔がパっと明るくなった。
「いいの? 嬉しいなぁ」
本当に嬉しそうな和人を見ると真田さんの心も温かくなる。
この和人の笑顔がたまらなく好きだ。
全てを包み込むような……
「それではそのように……」
いよいよその場を去ろうとした。
「さ、真田さん」
慌てて和人が真田さんを呼びとめ、彼女も思い出したように振り返る。
「和人様……」
胸の前で手を組み、そっと目を閉じる。
和人も真田さんをそっと抱きしめると唇を重ねた。
「んっ……」
2人が離れると真田さんがいつものように吐息のような声を出し、一礼してその場を去った。
真田さんがホテルに戻る。
「侍女長〜お帰りなさいませ〜」
そう言えば何時頃だろうか?
春先には帰って来ると、ワルキューレの部屋がある最上階のロビーでグッタリしてた4人が、最近は1階のロビーで自分を出迎えるようになったのは。
23日は和人の誕生日。
地球に来るまでは皇室侍女長として自分の事には一切感けずヴァルハラ皇室の為、ワルキューレの為だけに存在した自分だったが、今は恋をしてる。
そう。
この感情は、想いは間違いなく恋だろう。
自分にとっては遠い異星に住む年下の少年の事を考えると胸に甘酸っぱいものがこみ上げてくる。
その彼の誕生日。
今までデートをして来たが、その帰りはキスでお別れ。
年頃の男性だけに性欲はあるのだろうが、自分にはそれを向けてこない。
都合よく解釈したら、それは自分の事を大事に思ってくれているという事なのだろう。
(もし、和人様がわたくしの身体を求めて来たら?)
それはそれでも良いのだが、その先を考えると少々辛い。
自分はワルキューレと共に来年、年が明けたら早々に地球を去るのだ。
和人は時乃湯をとても大切にしている。
命よりも大事にしているかもしれない。
自分と一緒にヴァルハラ星に来てくれ、とは言えない。
(わたくしも、姫様、ヴァルハラ星への恩義が……)
部屋で着替えている間、そんな事ばかり考えてしまう。
(と、とにかく和人様へのプレゼントは後で考えましょう……)
とりとめもなくい考えてた時、ドアがノックされた。
(「真田さん。 いいかしら?」)
ワルキューレが来たようだった。
「はい、どうぞ」
返事を返すとドアが開き、ワルキューレが入ってきた。
しかし何も話さず、ベッドに腰掛けた。
「如何なされました、姫様?」
着替え終わって振り返りながら声をかける。
「真田さん。 今日は和人様とデートだったんでしょ?」
単刀直入に言ってくる。
どう返事してよいものか考えたが、隠したところで知っているだろう。
「え、ええ…… でもちょっとお買い物に行っただけで……」
世間ではそれをデートと言うのだが、ワルキューレは別にどうする事もなく
「そうかぁ。 デートかぁ。 ワルちゃんも好きな殿方とお出かけしたいなぁ」
この時ばかりは掛値なしの羨望の眼差しを真田さんに向けた。
「と、ところで御用向きは? 何かございましたらわたくしから参らせていただきましたのに」
真田さんがワルキューレの前に立って言った。
ワルキューレはチラっと窓のほうに視線を向けながら
「あのね。 今日テストして欲しいんだぁ」
「はぁ? テストでございますか?」
意味が解らず聞き返す。
「うん、今日のお夕食、ワルちゃんが作るから真田さんに感想聞かせて欲しいの」
!
「え?」
自分の聞き違いと思い、聞き返す。
「だからね、ワルちゃん真田さんが和人様とデートしてる時にお料理の勉強してたの。 その成果を見て欲しいなぁって思って」
窓の外を見ていたワルキューレが自分の方を向く。
その目は自信に満ち溢れている。
出来不出来はあるが学校の勉強も真剣に取り組んだ科目はかなりの成績を残している。
地球に来る事が決まってから、この星の言語から文化風習を学習したが、短期間で身につけた能力。
それは家事にも活かされるだろう。
でもそれで合点がいった。
和人とデートをするようになって、最初の頃は自分が帰って来ると4人組がグッタリしてたのは、ワルキューレの実験台…… もとい教師兼試食役をしてたからだと。
そして、最近は4人組は普通に出迎えてる事からして、ワルキューレの料理の腕前も上がってきたという事だろう。
「そこでね、今度和人様のお時間が空いてる時に、こちらに招待したいの。 だって和人様ったら全然遊びに来て下さらないんですもの。 だからこっちに呼んで。 で、その前に真田さんに食べてもらおうかと思って」
「…… 姫様」
「だって、地球で和人様のお嫁さんになろうと思ったらお料理くらいは出来ないとダメでしょ」
「姫様…… ほ……」
「私は本気よ、真田さん。 前にお風呂の帰りに言いましたよね。 私は本気です!」
(姫様、本気でございますか?)
尋ねようとしたら先を越す形で答えられ、言葉を失った。
「今日、時乃湯さんに行くけど、その時和人様をご招待したいと思ってるの」
話は思わぬ方向に進んでいるようだった。
申し訳ございませんが、今日はここまでに。
続きは時間が出来次第させていただきますので、何卒。
今日からまた1週間。
学生の皆様はご勉学に、社会人の方はお仕事にそれぞれ頑張ってくださいませ。
ではまたの機会に。
GJー
個人的にはワルキューレに頑張って欲しいけど……
和人にあんまし相手にされてなくて、ワるちゃんかわいそ……
ライネとかコーラスとか、騒がしいのが居ないと、結構落ち着いた雰囲気になるんだな
保守
ヴァルハラ人の寿命って、人間と同じなのかな……?
まあそうじゃね
見た目が人間に近いから寿命も近いと思うけど
あげ
あがってないよ
久しぶりにワるQのアニメを見た
ついでに公式サイトもみた
BBSが目についた
あぁ、散々荒らされたから閉鎖になったんだっけ…
なんだか懐かしく思えた
チラ裏すまん
職人さん、続き待ってます!
続きマダー
ラストは最初にあったやつですよね?
それともまさかのヤンデレ展開とか
最初のやつをぶち壊すとか、そりゃまたとんでもない超展開。
>>122 寂しいね
125 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 21:56:25 ID:Z2tljKfE
あげ
職人さんが降臨しないので過去スレ読んで時間潰し
↑
過去スレっていつから残ってる?
そろそろ続きこないかな
ほしゅ
130 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/23(月) 23:16:37 ID:t05TWMwA
あげ
もうみんな絶滅してしまったのか?
てか現在保管庫は無し?
いますよ。
保管庫はどうなんでしょう?
解らないです。
『黒と白の輪舞』
夢の中で和人は消えたはずの彼女に再び出会った。
「あら、よく来たわね、和人」
驚愕する和人の前で彼女―ワルキューレ・ゴーストは妖艶に笑う。
時の鍵の力によって失われた四皇女との繋がりを絶たれた彼女は消滅したはずだった。
しかし、四皇女との繋がりを絶たれたことによって、完全に独立した存在となった彼女は復活のため、
次元の狭間にある異界空間に自らの部屋を構築し、そこで力を蓄えていた。
和人は夢の中で時乃湯の中に見覚えのない扉があることに気づき、その扉から続く道を通って彼女のもとに辿り着いたのだ。
いや、正確には彼女に誘導されたと言うべきか。黒いコート姿で悠然と微笑みながら、ゴーストはゆっくりとした歩調で和人に近づいていく。
「貴方が来てくれるか、不安だったけど来てくれて嬉しいわ」
そのまま彼女は驚き、硬直している和人に抱きついた。夢の中だというのに確かな温もりと暖かさを感じる。
「ここは夢の中、目覚めれば忘れてしまう・・・・でも、心の奥底には残る。私の存在を貴方の魂に刻み付ける」
更に彼女は和人の首の後ろに手を回し、体を押し付ける。豊満な胸がお互いの体に挟まれて艶かしく形を変える。
「それと私はもうすぐ復活できるんだけど、少し力が足りないの。その最後の分、貴方から貰うわ」
そういって彼女は和人を後ろに押し倒す。倒れた後ろにはいつの間にか、豪華なベッドが出現しており、和人の体を優しく受け止めた。
ゴーストは和人の上に圧し掛かりながら、ゆっくりと見せ付けるようにコートを脱いでいく。
コートの黒さと対照的な肌の白さに和人の目が釘付けになる。彼女は下着を着けただけでコートを直接素肌の上から羽織っていたのだ。
しかも肌はただ白いだけではなく、人間としての温かみを感じる。その上、和人の視線を感じてか、薄っすらと朱に染まっていた。
遂にコートを脱ぎ捨て、下着姿になった彼女は和人を見下ろして、不敵な、それでいて何処か恥ずかしがるような笑みを浮かべた。
「ねえ・・どうかしら? この下着は・・・似合ってる?」
凝ったデザインだが、落ち着いた色合いの黒いレースの下着に包まれた豊かな胸を両手で持ち上げながら、ゴーストは笑う。
彼女の放つ凄まじい色香に圧倒され、和人は声も出せない。ただ、彼女の顔と胸の間で視線を行き来させるだけだ。
「ふふ・・・ワルキューレがしてくれないようなこと・・・いっぱいしてあげる」
和人に覆いかぶさったゴーストは、和人の耳を甘噛みしながら、悪戯っぽく囁いた。更に和人の首筋に舌を這わせ、汗を舐め取る。
「そ、そんな・・・・あ、うう・・・何を・・・」
「そうね・・・例えば、裸エプロンやスクール水着とか? やっぱり和人も男の子なのね」
「な、何故、それを・・・」
友達の家での内緒の鑑賞会。それを何故、彼女が知っているのか。
どうやら異界空間で暇をもてあましていた彼女は、時々、和人をストーキングしていたらしい。
恐らく家に帰った後、自室でこっそりやっていた自慰行為も見られているだろう。
しかも本に出てくる女性の設定は――
「長い金髪、双子のお姫様で妖艶な姉と清楚な妹。もしかして私とワルキューレのことを考えてオナニーしていたのかしら?
嬉しいけど、ちょっと複雑ね」
少し拗ねたような表情でゴーストは口を尖らせた。自慰行為の対象とはいえ、和人の興味が自分以外の女性に向いたことが気に食わないらしい。
「まあ、それも含めて『ここ』ではっきりさせておかなくちゃね。ここは夢の中、時間は関係ないのだし、じっくりと楽しめるわ」
ここは夢の中、例え十年の時を過ごそうが、目覚めれば一夜の夢で終ってしまうということらしい。
ゴーストの指が和人の股間に伸び、寝巻きの上から『その箇所』を的確に探り当て刺激する。
その刺激に和人は思わず、声をあげる。その様子を見てゴーストは嗜虐的に笑った。
「ふふ、夜は長いわよ、和人。精々、可愛い声で鳴いてもらうわ」
書く人居ないので、自分でゴースト×和人を書いてみた。タイトルにひねりが無いのは勘弁。まずは導入部だけ。更新は飛び飛びになると思う。
読んでくれる人居ればいいが。ワルキューレも参戦するが、当分の間はゴーストだけ。そのゴーストにストーキングされているムッツリ和人君。プライバシー0。
もっともコーラスが居る時点で・・・・
あとゴーストの目的
@復活に必要なエネルギー(精気)を和人から貰う
A自分の存在を和人の魂に刻み付ける。
もしかしてゴーストって、コート着たモードの時には下着以外(色は黒か紫)着てないんじゃないかと邪推してる。
キタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!!!!!!!!!
>>134 お疲れ様です。
助かりました。
続きも頑張ってください。
>>137 よくお解かりになられましたね。
書かせていただくつもりでいます。
ですが前の投下のあと日本を離れて、帰ってきたのが月曜日で、また明日から海外に行くので時間が……
更新出来ないのは申し訳なく思ってます。
時間が出来次第、またはメモとかに書いてそれを知り合いに頼んで投下してもらうようにします。
ですので、それまでは誠にもって申し訳ございませんが、
>>134さん、他の職人さんに頑張っていただければ。
と思ってます。
お心遣いありがとうございました。
皆忙しい中書いてくれてるのね
全部の職人氏がんばって
まぁ、無理せず仕事優先で頑張って下さい。
マターリ投下待ってますんで。
『黒と白の輪舞』@
そういうと同時にゴーストは指をパチンと鳴らす。それが合図だったのか、ベッドの上に蟠っていた黒いコートが鎖の束に姿を変化させる。それらは和人の体を身動き出来ないように絡め取ると強制的に立ち上がらせる。
「・・あ、く・・・・」
「ふふ、いい格好ね。赤くなった顔が可愛いわよ、和人」
ゴーストは赤面した和人の顔を堪能した後、顔を股間に近づけていく。そして寝巻きのズボンをずり下ろす。更にパンツの中から半勃ちの肉棒を取り出した。
「あっ・・・・」
「ふふ・・・」
ゴーストのしなやかな人指し指が、和人の尿道口を刺激する。溝の部分を上下にさすり、あるいは円を描くようにこねくり回す。彼女の指は、尿道口だけを集中的に攻めていた。
「ほら・・・面白いと思わない?」
「・・な、何が・・・?」
ゾクゾクするような刺激に身を震わせる和人に対して、ゴーストはからかう笑みを浮かべる。
「貴方のここが私の人差し指だけでこんなにも固くなってるのよ・・・あら、先から透明なものが出てきたわ」
指を伝う透明な粘液を見てゴーストは楽しげな声を上げる。無論、その粘液は肉棒の先端から溢れ出ている。
「ネバネバしているわ・・・」
粘液を人差し指にまとわり付かせるゴースト。そして親指と合わせて、その粘性を楽しんだ後、おもむろに口に含んだ。唾液と共に飲み込む音が僅かに聞こえる。
「・・・んん・・ちゅる・・・ちゅ、んふ・・はむ・・・ちゅ・・・美味しくは無いけど・・・何回も飲んだら癖になるかもしれないわね」
ゴーストは和人の顔へ視線を向けて、意味ありげに悪戯っぽく笑う。その笑みを向けられた和人はドギマギして言葉を返すことが出来ない。
「・・・・ほら、このまま出してしまいなさい」
「・・えっ?・・・あ、ぐう・・・」
先程よりも更に細かく動くゴーストの指先。まるで尿道口を弄ぶかのように。
「貴方は指一本でいかされてしまうの。大の男が、女の人差し指に負けるなんて・・・・誰かに知られたら大恥をかくわね」
「うう・・・く・・・」
ゴーストの意地悪い笑みに、何も反論することが出来ない。ただ、その動きに身体の全てが支配されてしまう。
「ふふ・・貴方って、これを見られただけで興奮してしまうの?」
「そ、そんなことは・・・・・」
「・・・あるでしょう? ほら・・・」
人差し指が尿道口やその周辺を嬲るようにジワジワと刺激していく。
「・・・う、うん・・・」
「ふふ・・やっと認めたわね」
この状況下では何を言っても彼女には通じそうにない。不本意ながら頷くしかないと悟った和人は首を縦に振った。
「いいわよ、存分に出してしまって」
嗜虐心交じりの微笑みを浮かべるゴースト。それと同時に彼女の指の動きが更に激しさを増していく。既に絶頂が近いことを和人も悟った。最早我慢することも出来ず、体の奥から衝動が突き上げてくる。
「・・・!!」
「・・・・ふふ、出たわね。それもこんなにたくさん・・・」
先端から精液が勢いよく発射され、ゴーストの顔や髪、上半身を汚していく。
彼女は自分の身体にかかった精液を舐め取りながら、クスクスと楽しそうに笑った。
「本当に指一本でいってしまったわね。可哀想だからこれは二人だけの秘密ということにしておいてあげるわ」
「・・・そうしてくれるとありがたい・・・かな」
「さてと・・・お楽しみはまだまだこれからよ・・・今度はこうしてあげる」
嫣然と笑いながらゴーストが指を鳴らすと黒い鎖が蠢き、ベッドの上で和人の身体は上半身だけを起こされた状態で固定されてしまう。更に抗うことも出来ない和人にゴーストは抱きついた。生暖かくぬめった感触が和人の口内を犯していく。
「んん・・・和人・・ちゅ、はむ・・・・んん・・・ちゅる・・・・」
「・・・はあ、んぐ・・・んん・・・」
お互いの吐息が重なり合う。ゴーストは一旦唇を離し和人の鎖骨周辺に舌を這わせ、ペロリと汗を舐め取った。
「・・・ふふ、男とは思えないほど滑らかな肌・・・・嫉妬してしまいそうよ」
ゴーストは和人の耳元に熱い吐息を吹き込みながら囁く。そして再び和人の唇を奪い、口内に自らの唾液を流し込んでくる。和人はその唾液の甘さに思わず、陶然とした心地になった。更に舌を絡め取られ、益々、意識が蕩けていってしまう。
ゴーストは和人の太腿に跨るようにして抱きついているため、和人が身体を揺らすたびに自ずと下着に包まれた秘所に刺激を受けてしまい、激しく身悶える。その足の付け根からは明らかに汗とは違う液体が流れ始めていた。
ゴーストとのエッチは序盤はソフトSにしようと思う。
正直ドSにはしずらい。
投下乙&ありがとう!
『黒と白の輪舞』A
和人は柔らかな胸を強く押し付けられ、その先端を擦られる。
ブラジャー越しに感じられる感触に身体が本格的に疼き出してしまう。
「ふふ・・・そんなに私の胸を見て・・・ふふ、それ程悪い眺めじゃないでしょう?」
「・・・大きくて柔らかい・・・まるで熟れた果実みたいだ」
和人の言葉を受け、ゴーストはブラジャーのホックを外す。圧力から解放され、プルンと揺れる豊かな乳房の圧倒的な迫力で、陳腐な感想と溜息しか出てこない。
「・・ほら触ってもいいのよ・・・・んん・・・」
全身を拘束していた鎖の一部分が緩み、両手が自由になる。ゴーストが更に強く胸を押し付ける。触れという意思表示だろう。しばらく逡巡した後、幾ばくかの罪悪感を覚えながらも和人は目の前の‘果実,に手を伸ばした。
「・・・ん、ふう・・気遣って、優しく触ってくれるのは嬉しいけど・・・・もっと強くして・・・その方が・・・はあ・・・そのくらいが・・・いいわ・・」
熱を帯び興奮した乳房は更に汗ばみ、揺れ動く。揉み心地も極上でとにかく柔らかく、それでいて芯がある。ある程度、指を沈み込ませるとフワリと押し返してくるのだ。
このまま揉むのに夢中になってしまいそうになりながらも、脳裏にワルキューレの顔が浮かび、手の動きが鈍る。それを敏感に察知したのか、ゴーストの眼が鋭い光を帯びる。
「誰か・・・他の女の事を考えたわね・・ちゅ・・んん・・・貴方の心に侵入してみようかしら・・私のことしか考えられないようにしてあげてもいいけど」
「それは・・・やめてくれ」
「冗談よ・・・半分ほどはね。今は私だけを感じ、感じさせるのよ。蕩けて快楽に溺れましょう」
ゴーストの言葉に頷くと和人は快楽に没入していく。その一方で愛蜜に塗れ用をなさなくなったショーツを脱ぎながら、ゴーストは和人の右手を掴むと自らの股間に導いた。
そこはとろりと蜜で熱く濡れ、和人の脚や下腹部をしとどに濡らしていく。
「うん、はああ・・・もっと強く・・・・んんん!!」
胸を激しく揉みしだきながら、裂け目に指をねじ込む。そこを大きく広げて指の腹を押し付ける。
「ふああ・・・・いいわよ・・・ん、身体の芯まで熱くなるわ・・・」
「ここが・・・気持ちいいのかな・・・」
クチュリ―裂け目の奥に指を滑り込ませると、ゴーストはビクリと身体を震わせた。
「・・・何だか私ばっかり気持ちよくされるのは不公平ね。貴方にも気持ちよくなってもらわないと申し訳ないわ」
「・・・ん・・・そうかな」
そうよ、と呟きながら、ゴーストはパチンと指を鳴らす。和人の身体を拘束していた鎖が一瞬で消滅する。更にゴーストは和人の体を巧みに動かすと自らを組み伏させた。
丁度、和人がゴーストの上に馬乗りになっている格好だ。
ゴーストは目の前にある肉棒をツンと指で突く。それだけでたちまちそそり立っていく肉棒を豊満な胸に挟んだ。
「私の胸で貴方のこれを愛でてあげるわ・・・他の男には絶対してあげないけど」
闇より生まれ出でた悲しみの化身とは思えない優しさで真っ直ぐに和人を見上げ、まだ熱い体の胸の谷間に挟み込む。
「ふふ・・・もうこんなに硬くしてるのね・・・可愛い。私以外にこんなことされたこと無いでしょう? ワルキューレは初心で潔癖だし、幼馴染の巫女・・明菜とか言ったかしら、は身体構造的に無理だろうし」
クスクスと笑いながら乳房を寄せては、軽く擦り上げるように揺らす。硬く立ち上がった肉棒を優しく刺激しながら、ゴーストは嬉しそうに微笑んだ。
「どうかしら? 私の乳房は極上でしょう?」
手で胸を左右から圧迫し、乳房の形を艶かしく変えながら、肉棒へと刺激を与えていく。
弾力のある乳房が、その力強い肉感で肉棒を飲み込んでいる。
和人は最早、待ちきれないとばかりに、自分から腰を前後に振っていた。
「んっ、ふふ・・・・待ちきれずに自分から、貴方も自分から腰を動かし始めたわね・・・」
「君も心地良さそうだ」
「・・何を言うのよ。心地よくなっているのは・・・貴方の方で・・しょ・・う・・・はん・・・」
「あふっ・・・んん、おかしいわね・・・こんなに緩やかな動きだというのに」
いきり立った肉棒が、はちきれそうな乳房を内側から力強く愛撫する。和人の腰の動きに合わせるようにゴーストがくすぐったそうに喘ぐ。
「そんなに優しい瞳で正面から見つめられると・・・・恥ずかしいわ」
「駄目かな?」
「・・別に駄目じゃないわよ。ただ、照れくさいだけ」
柔らかな肉感に加え、痺れるほどにゴーストの体温が伝わってくる。熱が肉棒に集まり、それと同じくゴーストもまた身体を熱くし始めている。
「貴方は本当に・・・暖かい人・・・凍えた私の心を暖めて、火照らせていく。ほら、もっと近く・・・ふああぁ・・・あ、あ・・・」
ゴーストは笑い、両掌で豊満な双丘を挟み込み、肉棒をその谷間に全て飲み込んだ。挟み込まれ、ビクビクと脈動する肉棒をゴーストは愛おしそうに見つめる。
「ぴくっと動いたわ。本当に可愛い」
圧迫された肉棒は胸の中で暴れようとする。先走った液体が谷間にじわじわと流れていき、乳房と肉棒の滑りをよくしていく。和人は再び、腰を前後させた。
まるで挿入しているかのような圧迫感が下半身を包み込み、感度を上げていく。
弾けそうな肉棒を押さえながら、ゴーストは優雅に、そして淫靡に笑う。
「ふふ、分かっているわ。こうして欲しいんでしょう?」
言うが早いか、ゴーストは挟んだ肉棒に口付け、唾液を擦り付けた。そのまま、二、三回ついばむように先端にキスをする。生暖かさとぬめりが加わり、肉棒は更に硬さと大きさを増していく。それでも美麗な双丘で挟んだまま、前後に動く刺激に応え、痺れる性の刺激を返す。
「ちゅ・・んん、ふふ・・先端がいやらしく濡れているわ。私の口の中で唾液と混ざり合ってる」
むき出しの亀頭は唾液とあふれ出した先走りが混ざり合い、淫靡に輝いていた。
和人の突きを甘んじて受けながら、艶かしい肌を紅潮させ、乳房で圧迫し、姿態を揺する。
「ん・・ふう・・はあん・・・」
熱を帯びた肌がしっとりと汗を浮かべ、動きを滑らかに、淫靡なものに変えていく。
「ゴーストはこんな風に感じるんだね」
「・・・貴方のものだからよ・・・ふう・・」
照れくさそうにしながらも和人を真っ直ぐに見据えるゴースト。快感に蕩けた双眸が、彼女の告白が真実だと教えてくれる。
「はあ・・この逞しいものが私を貫くと思うと・・・昂ぶってしまうわ・・・・んんぅ・・・ちゅる・・・んん・・・」
そう言ってゴーストは肉棒に舌を這わせる。亀頭の裏を唇で擦るようにして、先端から滴る透明な液体を啜り取っていく。その舌の動きが尿道口を刺激し、和人はブルっと身体を震わせた。
「くう・・・何処でこんなやり方を・・・」
「私のベースになった、四皇女が殿方を悦ばせるために侍女から教わっていたやり方よ。実際に使うのは初めてだけど・・気持ちよくなかった?」
ゴーストの紅い瞳が不安に揺れる。縋るような視線の彼女に対し、和人は首を横に振った。
「ううん・・・凄く気持ちよかったよ。ありがとう、僕を悦ばせようとしてくれる君の気持ちだけでも嬉しいよ」
そういって和人は微笑むと、ゴーストの流麗な金色の髪を梳いた。和人の指の中で髪は美しく輝きながら流れていく。
「本当に綺麗な髪だ・・・まるで星が輝いているみたいだ」
「陳腐な言い回しだけど、悪い気はしないわね。ワルキューレの髪とどっちが綺麗?」
「・・意地悪な質問だね。どっちがいいとは言えないけど、微妙に手触りや色合いが違うと思う・・・それに僕は髪よりも君の瞳に惹き付けられた」
「私の・・瞳に・・?」
言葉を紡ぎながら、和人はゴーストの頭を撫でた。ゴーストは薄っすらと頬を染めながらも抵抗しない。無言で続きを促す。
「うん、君の瞳はとても澄んでいて綺麗で、何処か悲しげだった。初めはワルキューレとそっくりな顔をしている君がそんな眼をしているのが嫌だったんだ。
でも・・・・」
「でも?」
「こんな僕を求めてくれる女性の悲しそうな顔を見るのが嫌だったんだ。
というよりも僕は身の回りの人達には笑顔で居て欲しいと思うんだ」
何処か照れくさそうに和人は締めくくった。そんな彼の様子にゴーストは微笑む。彼が愛おしくて堪らない。
幻の恋人だから、とかそんな理由ではない。そんなものはもう要らない。目の前の彼、優しくて芯の強さを持った時野和人が欲しい。
その気持ちを込めて――
「んちゅ・・・ちゅるる・・・はああ・・んん・・・この匂い・・・頭が蕩けそう・・・はあむ、ちゅちゅ・・」
「うわっ!?・・・そこは、ああ・・・」
今まで以上に熱のこもった奉仕に思わず、和人は仰け反る。ゴーストはそんな彼を見上げながら笑った。
私を恥ずかしがらせたお返しと言わんばかりに攻め立てる。
快楽に翻弄され、和人が無意識のうちに腰を前に突き出す。押し付けられた、そそり立つ先端をゴーストは待っていたかのように口に含む。
強く、弱く、敏感な部分を吸い上げる。
「たまらないわ・・・・ちゅる・・・んちゅう・・・ちゅる・・・はむ・・・」
柔肉による圧迫と舌の絡まり。そして唇による摩擦。滑った舌が、一つの生命のように亀頭に絡みつき、張り詰めた肌を舐め上げる。
腫れ上がった先端を舌で嬲ったかと思うと、今度はえらを容赦なく摩擦し、犯す。絶え間ない刺激に晒され、和人の肉棒の裏から痺れが上がった。
その痺れが肉棒の中を往復しながら、次第に溜まって行くのを感じる。
溜まって来たものが下から押し上げてくるような感覚を受ける。それを敏感に感じ取ったゴーストは、一瞬、ニヤリと笑うと舌と唇の動きを早める。
更に乳房を上下で揺すり、射精感を煽った。
「く・・・ま、待って・・・」
「んふ・・・ちゅ、はむ・・・くちゅ・・んちゅう・・・いつでも、いいわ」
ゴーストは魅惑的に目尻を下げると、そのまま和人を見上げながら、熱い口淫と柔らかな乳房で攻め続ける。
「んちゅ・・・はん・・・ちゅ、ちゅる・・・あむ・・・ちゅる!!・・ちゅる!!・・・ん、ん――!!」
ゴーストの口内で唾液と先走りによって濡れた肉棒は耐え難い刺激を訴えっている。
こみ上げてきたものが堰を押し切って、噴き出そうとしている。
「くっ・・」
「ん・・はあ・・」
和人はビクンと震え、肉棒をゴーストの喉に突き入れた。
だが、口内の温もりに包まれたのは一瞬だけで肉棒は身をかわすように唇を滑った。
居場所を失った肉棒がみだらな液体の糸を引いていた。
「私の口ではいかないのね?」
「・・・・・・・」
和人は答えないまま、肉棒を突きつけたまま、静かにゴーストを見つめている。
彼女は和人の内心を察したのか、妖艶に、そして嬉しそうに笑う。
「・・・そんなに私の‘中,がいいかしら? こんなに大きくして・・・貴方が何を求めているか、よく分かるわ」
「・・・・そうだね、君の中に入れたい。君の事が愛おしいから、君の事が欲しいから」
和人がそう告げた瞬間、ゴーストの身体が上気した。頬が真っ赤に染まり、所在なく視線をさ迷わせる。
「そんなに素直だと・・・こっちが照れるわよ、まさか貴方の・・・私を望む声がそのまま出てくるなんて・・・・・」
嬉しさと恥ずかしさが入り混じったような表情でゴーストは、和人の前に自らの秘所を晒す。白い肌は薄っすらと上気している。
和人の視線を身体の各所に感じ、ゴーストは今更ながらに羞恥心を覚えたが、いじらしくも拳を握って耐えた。
「・・・来て和人、私の中に。貴方になら、いえ、貴方だからこそ・・・私の純潔を捧げたい」
今回はここまで。Sっぽい展開にならなかった。
あと俺の中のゴースト様。精神年齢は高いが一途で純情で隠れM。激しくされると燃えるひと。多分、背中が性感帯。
「わかった・・・僕も君の気持ちに応えるよ」
美しい裸体のままに晒す秘所は、ゴーストの芳しい愛蜜に濡れて、和人を誘うようにきらめいている。
「そんなにじろじろ観察しないで・・・・」
「やっぱり恥ずかしいかな?」
「ええ・・・恥ずかしいわ・・・・でも、この気持ちも悪くないかもしれないわ」
恥じらいながら、ゴーストは身体を震わせる。それでもプライドのためか、和人の視線が注がれている部分を隠すような真似はしない。
「さあ・・・和人、私のここに貴方のそれを突き入れて・・・それとも、もっと下品な言い方が好みかしら?」
「わかってる・・・下品な言い方は君らしくないし、僕も好きじゃない、いくよ」
恥ずかしさを隠そうとするゴーストの心情を察した和人は誘われるままに、固く張り詰めた肉棒を沈める。
生々しい感触が肉棒に絡み付いてくる。
自らの中に入ってくる異物の猛々しさにゴーストは嬌声を挙げながらも、シーツを握り締めて堪える。
その目元には薄っすらと涙が溜まっていた。
「・・・んん・・・は、入って・・くる・・・これが貴方の・・・」
「・・大丈夫?・・・・もっと奥まで入れてもいいかな?」
和人の気遣う視線に対し、ゴーストは気丈に微笑んで頷いた。その許可を得て和人は更に腰を突き出していく。
その途中で肉棒の先端が薄い壁のような物にぶつかった。純潔の証。
一瞬、躊躇した和人だが、ゴーストの促すような視線を受け、勢いよく突き出す。
「はあ・・・ああ・・・・痛い・・・!!・・わね・・・・中に突き出されて・・・んん・・」
「君の中が・・・ギュッと締め付けてくるよ・・・」
先端に一瞬、和人は薄い布を突き破るような感触を感じた。一方、ゴーストは凄まじい痛みに感極まった声を挙げた。
二人の繋がった部分から鮮血が滴り落ち、シーツを汚していく。数秒間の硬直の後、二人の視線が絡み合う。
「これで・・・・私は女になったのね・・・・」
「そうだね・・・・これは夢の中のことだけど・・・僕達は確かに繋がってる・・・」
そうしている間にも、ゴーストの中は純潔を失った痛みの見返りを得ようとするかのように貪欲に蠢き、和人の肉棒に絡みつく。
そこにある濡れた卑肉を掻き分けて、肉棒が奥へ、奥へと突き進む。
「んく・・・はあ・・・貴方と私は身体の相性がいいのかしら・・・
段々、身体が火照って・・・気持ちよくなってきて・・・はあん・・・」
ゴーストは繊細に打ち震え、自らの中に埋没している肉棒の感触に酔いしれている。
力強く締め付けてくる中は程よい抵抗感を生んで、ねじ込まれる肉棒に新たな快感を与え続ける。
「・・・もっと奥へ・・・!!・・ああ・・・・・・・」
求めに応じ、和人は腰を押し付け、肉棒を最深部まで突き入れる。
「んん・・・ああ・・しっかり蓋をされてしまったわね・・・貴方の硬いこれによって・・・」
「熱いね・・・君の中は・・・それに・・・・・」
いあやらしくうねる柔壁が複雑な刺激で肉棒を苛んでくる。ゴーストは意地悪げに笑うと中をキュッと締めてきた。
程よい締め付けが、肉棒全体を愛撫するように上下へと動いていく。
どうやら男を悦ばせるコツをある程度掴んだらしく、感じるポイントを的確についてくる。
「・・・遠慮しなくていいわよ・・・もっと激しくしてもいいんだから・・・はあん!」
その言葉を受けて和人は一気に加速し、ゴーストを一気に攻め立てる。
突然激しく貫かれ、ゴーストは弾けるように喉をそらせる。
「いいっ!!・・・もっと激しく私を貪って!!・・・深く・・・深く・・・ああ!!・・・んん・・!!」
美麗な肢体を慄かせながら、ゴーストは肉棒を受け止める。
甘い嬌声と悩ましい吐息を漏らし、汗を滴らせながら和人を求める。蕩けた秘所からは蜜を溢れさせ、ただただ和人に貪られている。もっと彼女を貪りたい、もっと彼女を感じたい。激しい欲求に突き動かされ、和人は唐突にゴーストの唇を奪う。
「・・んん!?・・・んん・・ちゅ・・・・もう、強引なんだから・・・はむ・・・」
「・・・はむ・・・ちゅる・・・ん・・・ちゅ・・・」
最初は驚いたゴーストも直ぐに和人の求めに応じ、唇を差し出す。お互いの吐息が重なり、舌が艶かしく絡み合った。
その一方で和人は摩擦と圧迫によって生じる快感に酔いながら、何度もゴーストの中を抉る。
「・・はあ・・・私の中をもっと抉って!!・・・壊れるくらいに!!」
ゴーストの身体にビリビリと痺れが走り、千切れそうなほどに肉棒を締め付ける。
ゴーストの淫らな喘ぎは激しくなり、和人の耳から脳を支配し始めた。ゴーストの身体がビクビクと震え、背筋に力が入った。
絶頂感が直ぐそこまで沸きあがっている。
「・・・もうすぐ私、果ててしまうわ・・・・構わないからこのまま中に注いで・・・」
「うん・・・わかったよ・・・」
ギュッと締まり、肉棒を奥でくわえ込んだまま包んだ。
締め付けが更に厳しくなり、中を往復する肉棒への摩擦によって快感が急激に上がった。
ゴーストは火照った身体を震わせて、恍惚感を顔に浮かべて悦びを露にする。
「ふあっ!!・・・一緒に果てましょう・・・・ああん・・はああ!!」
彼女の声も吐息も温もりも和人を虜にする。
上限を知らない快感が止め処も無く流れ込んできて身体を激しく突き抜けていく。
和人は快感に押し負けないように、持てる限りの力を振り絞ってゴーストを攻めた。
「んんっ!!・・・また激しくて・・深い・・あああっ!!・・くああ!!」
奥へ肉棒を打ちつけたまま、激しく腰を揺さぶり、何度も最深部を貫く。
深い結合感に酔いしれながら、ゴーストも和人も、絶頂に向かって腰を振り、身体をぶつけ合う。
「激しく・・・私を突いて・・・壊れるほどに・・・ふ・・あ・・・ぁぁあああ!! ああ!!」
その叫びに応え、和人は激しく腰を振り続けた。沸き上がりが肉棒の裏を駆け上がってくる。
和人はそれを抑えることも忘れ、目の前の果実を犯し、貪った。
「あっ・・・ああああっ!!・・・も、もう・・私・・・はあっ、ああんっ!! くうう・・!!」
凄まじい律動に襲われ、ゴーストが殆ど悲鳴のような喘ぎを上げる。
口からは唾液を、秘所からは愛蜜を流しながら、ゴーストは痙攣し始めた。
「くっ・・・!!」
熱い込みあがりを亀頭の側にまで感じ、和人は腰を震えさせる。
そのまま、肉棒を奥まで叩きつける。
射精が迫る脈動が、ゴーストを揺さぶり、彼女は犯される感覚に身悶えた。
「ふぁっ!! ああっ、んんん!!!」
体内を駆け上がってくる獣性の声。
圧倒的な雄の本能の波に、意識が飛び、瞳が焦点を失いかける。
ただ、目の前の美しく愛おしい、黒き天女を・・・どこまでも汚したい。
「んああ・・・出して!!・・・私の中に・・・貴方の熱い滾りを・・・・注ぎ込んで!!」
「ぐうう・・!!」
「あぁぁぁああああっ!!・・・ふううう・・・・」
大きく身体を反らせて、ゴーストは絶頂の階段を上り詰める。
行き場を求める大量の精が、激しい潮流となってゴーストの身体に襲い掛かる。
絶頂の余韻を感じながら、和人は結合部から肉棒を引き抜く。
「貴方のこれは何て・・・熱くて・・・心地いい・・・蕩けてしまいそう」
「くう・・・まだ・・・出てくる・・」
「ああっ!!・・待って、そんな、ひぁあああ!!」
止め処も無い濁流が、再び肉棒から吐き出され、それらは痙攣する美身に浴びせられた。
白濁がゴーストの気高く秀麗な顔を、薄い紅色の艶やかな唇を、白桃のように豊かで柔らかい乳房を
――汚していく。全てが和人の精と匂いで染まってゆく。
「ああっ・・・何よ・・・これは・・・・」
「余りにも気持ちよくて止まらなかった・・・・」
「私をこんなに汚して・・・・・それにしても貴方の精は濃いわね・・・くらくらしそう」
顔に飛び散った精を指で掬って、唇の中へ含めていく。そうして出てきた指は唾液に濡れて淫らに光っていた。
更に身体の各部に飛び散った精を指で掬って舐め取っていく。
「ふふ・・・本当にしょうがないんだから・・・ちゅぱ、ぺろ・・・んん・・・」
だが、その声には――あからさまな甘美の色が含まれていた。
汗を洗い流すため、部屋に備え付けてあったシャワー室――無論、夢の中の代物でしかないのだが――で再び盛り上がり二ラウンド楽しんだ。
その後、二人は再びベッドの中で抱き合っていた。
「何だか本当に疲れたよ・・・・でも、とても暖かくて安心する」
「私もよ・・・ゆっくりと眠りましょう・・・夢の中で眠るというのも変な話だけどね」
ゴーストの言葉に頷き、和人は目を閉じた。
それから間もなくして寝息を立て始めた和人の無防備な寝顔を眺め、ゴーストは優しく微笑んだ。
そのまま、彼に甘えるように抱きつく。そのまま、細身だが案外引き締まった胸板に頬擦りする。
滑々している、それでいて男としての逞しさも感じる。これは癖になりそうだ。
復活に十分なエネルギーは和人から貰うことに成功した。それらのエネルギーは目の形をしたパワーユニットに貯蔵されている。
そして、そのパワーユニットはベッドに備え付けの小物入れに収納してあるのだ。そして自分の存在を彼の魂に刻み込むことにさえ、成功した。
結果は上々と言えるだろう。
「ふふ、私は貴方のワルキューレ・ゴースト・・・・この言葉を現実の物にして見せるわ」
そう呟くとゴーストは、和人の身体に腕を回して抱きつく。愛しい相手の温もりと鼓動を感じながら、彼女も深い眠りに落ちていった。
とりあえずここまで。次回でワルキューレ登場予定。
うわー!
すっごいエロい描写のゴーストがありありと浮かんでドキドキした!
GJー!
続きに超期待してます
自分に乙してしまった
>>151 乙
職人さんがんばれ
『黒と白の輪舞』B
こちらに迫ってくる何者かの足音でゴーストは目を覚ました。何者だろうか。
この異界空間に侵入してくるとは只者ではあるまい。
ゴーストは熟睡している和人を起こさないように注意しながら上半身を起こす。
て侵入者に見つからないように、彼の身体をシーツで隠す。
扉の方を鋭く見据えながら左手を一振りする。
その軌跡に従って空間が裂け、黒い極光と共に細身の長剣が出現した。
剣を握って一振り。鋭い音と共にそこに居た仮想敵を切り裂く。
その仮想敵は銀髪の合体超女だった。
「・・・まあ、大丈夫ね。腕は鈍ってなさそう」
自らのベースになった四皇女達は、皇女の嗜みとして古代皇家に伝わる剣術を修めていた。
当然、その剣技は自分も遣うことが出来る。これならば、おくれを取ることはまずあるまい。
冷静に状況を分析していたゴーストは、自分が裸だったことに気付いた。
このままでは侵入者に裸を見られてしまう。
和人以外の男に見られるのは真っ平御免である。
剣を床に付きたてると、慌てて下着を付ける。その直後、慌しい音を響かせて扉が開かれた。
「和人様!! ご無事ですか!?」
部屋に入ってきた途端、不安げな大声を上げた侵入者は、白いネグリジェの麗しい金髪の女性だった。
驚くべきことにゴーストと瓜二つの姿をしている。双子の姉妹といっても通じるだろう。
違う部分と言えば目付きと瞳の色くらいだ。
ゴーストの切れ長の目付きで紅い瞳に対し、侵入者は対照的に垂れ目がちで紫色の瞳をしている。
それもそのはず、彼女こそはゴーストの姿の『見本』になった女性。
その名はヴァルハラ皇女ワルキューレ。そして、同じ想い人
――ベッドの中で幸せな寝息を立てている少年――を巡る恋敵同士である。
だが、当の二人はお互い想定外の事態に出くわしてか、完全に思考停止していた。
茫然自失としていた二人だが、ゴーストの方が一瞬速く我に返る。そして会話の主導権を握るべく、口火を切った。
「・・・・貴方・・・何しに来たの?」
静かだが、背筋が凍るような冷たい声。愛しい相手の温もりを感じながら眠っていた所を邪魔されたのだ。ある意味、当然とも言える。
無論、ワルキューレの方も負けてはいない。彼女らしからぬ激しい口調で言い返す。
「そういう貴方こそ、あの時・・・《刻のブリザード》と共に消滅したのではなかったのですか!?」
「・・・和人への想いが私を現世に留まらせてくれたのよ。私は四皇女の呪縛から解き放たれた・・・・
今はただ、一人の男に恋焦がれる一人の女よ。
それより貴方、質問に答えなさい。
どうして、この部屋に来れたの? この部屋は私の誘導が無い限り来れない筈よ」
「わ、私はただ・・・和人様の身に何かが起きていると感じて・・・
この『刻の鍵』の導きに従って、ここに・・・・」
成程、合点がいった。
ゴーストの視線が白いネグリジェ姿のワルキューレに向けられる。
飾り気の無いデザインだが、高級な材質を使っているらしく手触りは良さそうだ。
和人に魂を分け与えて以来、大人の姿になったことは数えるほどしかないから、ヴァルハラ星の宮殿に住んでいた時のものだろう。
夢の中だから、服装などの設定は曖昧になっているのだ。
まあ、そんなこと今はどうでもいいのだが。
ゴーストの興味はワルキューレの左手に握られた、剣の形をした神器『刻の鍵』にある。
元々、『刻の鍵』は古代ヴァルハラ皇家を襲った未曾有の大災害《刻のブリザード》を防いだ四皇女達が、現世に残した神器である。
そしてゴーストは、その四皇女達の悲しみから生まれた存在。
ある意味、ゴーストは『刻の鍵』の創造主と言ってもいい。
ゴーストとしては何となく裏切られた気分だったが、気にしても仕方が無いので話を切り替えることにした。
「貴方がその神器に導かれてきたというのは理解したわ。それで貴方は私に何をさせたいの?」
「決まっています・・・和人様に何をしたのか・・答えて貰います!!」
手に持った『刻の鍵』の切っ先を真っ直ぐゴーストに突きつけ、激しい口調で詰問する。
平静さを保とうとしているが、声は上擦っており焦っているのは明白だった。
それに対して、状況を把握している者の優位を自覚しているのかゴーストには精神的な余裕があった。
「見れば分かるでしょう?・・復活するのに必要なエネルギーを少し、和人から貰ったのよ。どうやって貰ったのかは・・・・大体、察しは付くでしょう?」
「ま、まさか・・・・」
「そのまさかよ、ベッドの中で男と女がする事なんて決まっているわよね。和人は優しく私を抱いてくれたわ」
その時のことを思い出しているのか、ゴーストは頬を朱に染めた。そして、優越感に満ちた笑みをワルキューレに向ける。
視線を受けたワルキューレは口元を引き締め、言葉を搾り出した。
「そ、そんな・・・きっと変な術をかけて和人様を誘惑したんでしょう!!」
「違うわよ、妙な言いがかりをつけないで欲しいわね・・・・!」
ワルキューレのヒステリックな物言いに対して、ゴーストは刺々しさを隠そうともせずに言い返す。
誘惑したのは事実だが、相手の心を呪縛する術など使っていない。そんなものに頼るほど、自分は落ちぶれていないつもりだ。
怒りの表情を露にしながらベッドの上にあったコートを拾い上げ、ゴーストは剣片手にワルキューレとの距離を詰めていく。
近づいて来るゴーストを警戒したワルキューレは『刻の鍵』を構えるが、力が入りすぎている。
『刻の鍵』から放たれた光弾をサイドステップでかわし、次の光弾が放たれる前にゴーストは剣を一閃させた。
甲高い音と共にワルキューレの手から『刻の鍵』が弾き飛ばされ、部屋の隅に転がる。
一旦、間合いを取ろうとするワルキューレだが、一瞬遅かった。
ゴーストが投げつけてきたコートが黒い鎖の群れに変わり、ワルキューレの身体を絡め取る。
全く身動きが取れなくなったワルキューレに対して、ゴーストは勝ち誇った笑みを浮かべた。
「ふふ、私の勝ちね・・・私にとって至福の時間を邪魔したばかりでなく、言いがかりまでつけてくれたわね・・・・・
お返しに貴方を少し苛めてみようかしら」
「な、何を!?」
身動きを取れなくされ、全く抵抗出来ない状態。自分の置かれた状況を把握したワルキューレは顔面蒼白になった。
そんな彼女の顔を眺めながら、ゴーストは楽しそうに笑った。
もっともその笑みは不穏な物を多分に含んでおり、ワルキューレの顔は更なる恐怖で引きつった。
「そんなに怯える必要はないわ・・・・ただ、こういうことをして遊んでみようというだけよ」
「ああ!?・・む、胸をそんな・・・んん!!・・・」
「・・大きさは私とほぼ同じくらい、いえ、私の方が少し大きいかしら?」
ゴーストはワルキューレの胸を右手で鷲掴みにして、ゆっくりと揉み立てる。更に左手を自分の胸にやって大きさを比べ、ゴーストは勝ち誇ったように笑う。
ワルキューレのにらむ様な視線も何処吹く風と受け流す。指が沈み込むほど、キツく揉んでみる。
流石に堪えきれなかったのか、ワルキューレの口から悲鳴とも思える喘ぎ声が漏れた。
「い、痛い!!・・・はあぁぁ・・・・・・んん!」
「随分と大きい声を出すのね。でも、いいのかしら? 和人が目を覚ましちゃうかも知れないわよ?」
そう言うとゴーストはベッドの方へ意味ありげな視線を向ける。
その視線の先にあるのは盛り上がったシーツが、小さく上下しているのが見える。
耳を澄ませば、寝息も微かだが聞こえてくる。
和人の熟睡具合から見て、まず目を覚ますことは無さそうだが、今のワルキューレにそれに気付く余裕はない。
「・・・・・・・・・・」
「あら、急に静かになったわね。やっぱり、愛しい人にこんな姿を見られるのは恥ずかしい?」
いつの間にかゴーストは、ワルキューレの後ろに回りこみ、彼女の乳房を背後から両手で掴むと、先程よりも激しく揉みしだき始めた。
それと同時にワルキューレの耳に息を吹き込み、甘噛みする。その刺激のコンビネーションにも必死で目をつぶって、ワルキューレは耐える。
だが、微かに開いた唇からは悩ましげな吐息が漏れてしまう。
「中々、頑張るわね。それじゃあ、こういうのはどうかしら?」
「!?・・・い、嫌ぁっ!!」
文字通り絹を裂くような音。質素だが、高級な材質を使っているであろうネグリジェが引き裂かれる。
露出した豊かな胸と、それを覆う純白の下着。
ゴーストの手が下着をずり下ろし、豊満な乳房が露になる。
隠そうと思っても鎖が邪魔をして、それもままならない。
「隠さなくても大丈夫よ。私しか見てないから、それとも和人に見て欲しい?」
「・・・・・・く・・・」
ゴーストのからかい混じりの声にもワルキューレは口をつぐんで答えない。
しかし、その頬は真っ赤に染まっており、その内心を予測するのは容易い。
そして、そういった仕草をされると苛めたくなってくるものだ。
「ふふ、もっと苛めてあげるわ」
「・・・ひっ!?」
ワルキューレの後ろにゴーストは居るので、振り向きでもしない限りワルキューレからはゴーストの顔は見えない。
しかし、ワルキューレにもゴーストがどんな顔をしているのかは見当がついた。
きっと嗜虐心に満ちた、まるでネズミをいたぶるネコのような笑みを浮かべているだろう。
その笑みを想像して、ワルキューレは戦慄を覚えた。自分とそっくりな顔をしているから余計怖い。
怖くて振り向くことが出来ない。
ゴーストの手が、露になった豊満な乳房を再び鷲掴みにする。しかも今度は直に触っているため、感触がお互いにダイレクトに伝わってくる。
更にゴーストが左右で揉み立てる強さや速さに差をつけたり、尖り始めた先端の突起を軽く抓るなどしてくるため、ワルキューレはその刺激に翻弄されてしまう。
そして、その様子をゴーストは楽しんでいる。
「・・・んん・・・はぁ、いや、嫌ぁ・・・」
「やっと声を出すようになったわね、それにしてもここをこんなに尖らせて・・・ふふ、感じてるのね。
和人が近くで寝てるのに・・・・」
「うう・・・・」
頬を朱に染め、必死で涙をこらえ、与えられる刺激に耐えているワルキューレの姿はとてつもなくいじらしい。
そんな顔をされると、もっと苛めたくなってくる。
いじめっ娘気質が出てきたゴーストは、指をパチンと鳴らす。
ワルキューレの身体の自由を奪っていた鎖が蠢き、数秒の後には触手に変わっていた。
「大声を出して和人を起こすのが嫌というなら、その口塞いであげる」
そのまま、触手の一部が強引にワルキューレの口の中へ侵入していく。
「!?・・・んん――!!・・ん、くちゅ・・ちゅる・・・ん、んん――!!」
身動きの取れない状態で僅かな抵抗を見せるが、逃げる舌が触手を舐め上げるような動きを見せた。
ワルキューレの口からはくぐもった声が漏れるばかりだ。
口の端からは唾液が細い線となって滴り落ちている。
更に触手は下半身を覆っていたネグリジェを引き裂いた。
続いて両足に絡みつき、ワルキューレの固く閉じていた脚を開かせる。
ワルキューレは「大の字」に近い格好を強制的にとらされている。
ゴーストの手は妖しく蠢き、ワルキューレの女として最も大事な部分を申し訳程度に覆っていたネグリジェの切れ端を剥ぎ取る。
余りの恥ずかしさにワルキューレは目をつぶり、大粒の涙が零れ落ちた。
「ここもたっぷり攻めてあげるわ・・・思い切り乱れていいのよ、ワルキューレ」
純白のショーツの上から、ワルキューレの秘所を軽くつつきながら、ゴーストは淫靡に笑った。
右手が秘所に、左手が乳房に伸び、触手が身体の各所に纏わり付き、ワルキューレの清純で華麗な肢体を蹂躙し始めた。
「・・・んん・・んちゅ・和人・・・様ぁ・・・ああ、あむ・・・・はあ・・・・・・」
それらの攻めを受け、ワルキューレの瞳が徐々に潤み、快感に蕩け始める。
この先の『展開』を待ち望んでいる自分が居ることを彼女は心の何処かで感じていた。
とりあえず、ここまで投下する。ワルキューレ×ゴーストはもう少し続く。
あとこの話の中のキャラ設定はこんな感じ。
ゴースト
性癖:S(隠れM)
年齢(外見上):19歳くらい
スリーサイズ:B87、W57、H84
ワルキューレ
性癖:M
年齢:18歳
スリーサイズ:B86、W56、H83
乙
そして、保守
>>160 触手きたw
ゴーストほんとエロ過ぎ……
GJ!
和人に見られながらの羞恥プレイになるのを期待ー
オボンヌ先輩やユリアーヌさんもありだろうか(オボンヌ先輩には萌えまくった記憶がある。あの乳で)
例えばオボンヌ先輩が明菜に突っかかるの理由の一つは和人のことが好きで、和人のそばに居る明菜が気に食わないからだとか、
ユリアーヌさんは、初めはからかっていただけなのに徐々に本気で好きになっていってしまうとか。
余裕があったら書いてみたい。書くとしたらハーレム物になるだろうけど。
>>164 そういえばこのスレ、脇役がピックアップされたSSはほとんど(一個も?)無いんだよな
あとハーレムものも
見てみたいかも
真田さんとかライネとかハイドラって脇役じゃね?
ハイドラは少ないけど、真田さんとライネなら過去にいくらでもあるぞ
コーラスのもあったしイナルバもあった気がする
オボンヌやユリアーヌに比べたら脇役とは言い難いんじゃないかな。
数えるぐらいにしか出てこないし。
>これでいったんおしまいで、
>>164の話になるの?
ワルキューレ&ゴーストの奴が一段落して、余裕があったら
ゴースト、ワルキューレにオボンヌ先輩とユリアーヌを加えたハーレム物書くと思う。
話に組み込めるか解らんし、それ以前にワルキューレ&ゴーストの奴終らせないと駄目だからまだ先の話になる。
「そういえば、あったね。そんなの」くらいの気持ちで待っててくれれば。
続きを投下する。
「・・・うう!!・・む・・んん・・・・・はぁん・・・」
ワルキューレは口を触手で塞がれ、右の乳房と秘所をゴーストの手で弄ばれている。
更に身体の各所も触手によって、好き勝手に蹂躙されていく。
各々の触手が意思を持つかのように、絡み付き、肌に食い込んでいる。
触手の先端からにじみ出る粘液と汗が混じりあう。
「はぅぅっ!・・・ぁ・・・戯れは止めて下さい・・・
やめ・・・ん・・はあ・・駄目ぇ・・いけない・・・も、揉まないで・・・」
「ふふ・・・まだ、始まったばかりじゃない。素直に楽しめばいいのよ」
苦痛から理性を取り戻したワルキューレは頭を振って、触手を吐き出し懇願する。
だが、その懇願にさえ、ゴーストは無情な答を返す。
肌に触れる触手が蠢くたびに白の姫君は身体を動かそうとするが、徒労に終わってしまう。
触手は汗に濡れた肌を撫で回す。
触手の動きに合わせるようにゴーストの両手が、絶妙の力加減で動いた。
「はあ・・ん、ああ・・・!!・・・うぐっ!!」
顔を優しく撫でさすり、触手は開いた唇に再び勢いよく滑り込んだ。口を塞がれ、頭を振るが、先程よりも深く入り込んできている。
最早逃れることは出来ない。体の自由を奪われ、ワルキューレはされるがままに弄ばれていた。
「んう!・・・ん、むぅぅぅ・・ぅ、ぐ・・・ふぅ・・・」
「ふふ、口の中に一杯に頬張って・・・まるで殿方の固いあれを舐めてるみたい・・・」
声にならぬ声をあげながらも、姫君は愛撫、揶揄に懸命に耐えている。
しかし、口内を這いずり絡む舌の圧迫と、身体の奥から沸きあがってくる疼きによって、ワルキューレの意識は朦朧とし始めた。
「ぁ・・・あ・・・うぐ・・・っうう、あぅ・・んぅぅ!」
更に、蹂躙されているのは唇だけではない。
乳房は触手によって絡め取られ、揉みしだかれる。
それだけではなく薄桃色の突起は唇のように変形した触手の先端に吸い付かれている。
嘗め回され、固くしこり始めている。
息を詰まらせ、混濁とするせいなのか、身体が火照る。
秘所にまで侵入しようとする触手を見て、ワルキューレの顔が青ざめる。
その様子を見てゴーストは楽しげに笑いながらも、助け舟を出した。
秘所を弄んでいた手で触手を掴んで引きちぎる。触手は黒い布切れに変わって床に落ちた。
「ここは取っておかないと・・・大好きな和人に捧げる場所なんだから、ね?」
意味ありげに声のトーンを落としてゴーストは耳元に囁きかける。
その囁きに対して、大粒の涙を流しながらワルキューレは頷いた。
その瞳には大きな脅えの他に、微かだが被虐の悦びの色があった。
「今度はこういうことをしてみましょう」
ゴーストは指をパチンと鳴らす。触手が一瞬で消え、大量の布の切れ端に変わる。
その切れ端が寄り集まってコートに変わった。
そのコートを床に放り捨てたまま、力が抜けて満足に動けないワルキューレをベッドの側まで引きずっていく。
ゴーストがシーツを捲り上げると、安らかな寝息を立てて和人の姿があった。
和人の無防備な寝顔にワルキューレが安堵しているのも束の間、ゴーストの手が突然、ワルキューレの頭を掴む。
そのまま和人の股間に顔を向けさせる。
「い、嫌ぁ・・・こ、こんな・・・・・」
「恥ずかしがることも無いでしょう?・・・まさか、愛しい殿方のこれを見たことも無かったの?」
ゴーストの言葉は事実だった。それ故に言い返すことも出来ずに頬を染めて顔を背けるワルキューレ。
しかし実は興味があるのか、チラチラと横目で和人の肉棒を盗み見ている。
その様子を見ながら、ゴーストは冷たく宣告した。
「さあ、和人のこれを貴方の口で気持ちよくさせるのよ」
「・・・そ、そんなこと・・・・」
「出来ないと言うのかしら?」
戸惑うワルキューレに対し、ゴーストは優越感に満ちた笑みを浮かべる。
「愛する殿方にこの程度の奉仕も出来ないなんて・・・・将来は妻になる者の覚悟が足りないようね。
私なら喜んで奉仕するのに」
「く・・・!!・・・や、やります・・和人様の伴侶に相応しいのは私だということを証明して見せます」
頬を赤面させながらもワルキューレは意気込むとベッドの上に勢いよく上半身を乗り出した。
そしてゴクリと唾を飲み込んだ後、和人の肉棒を口に含んだ。
「んぁ・・・んんっ、ちゅ・・・ぺろ・・・んっ・・・ちゅ・・・」
ワルキューレは肉棒を頬張り、奉仕を開始した。
とはいっても生理的嫌悪感は拭えないのか、その動きはぎこちない。
その様子を見てゴーストはやれやれと溜息をついた。
そしてゴーストはベッドの反対側に移動し、ワルキューレと同じくベッドに上半身を乗り出す。
お互い向かい合う形になり、ベッドの上で二人の豊満な乳房が触れ合った。
「見ていられないわね、私も参加してお手本を見せてあげるわ」
その言葉と共に、この肉棒は私の物だと言わんばかりに、長く伸ばした舌を絡めてきた。
「ちゅる・・・んっ、ちゅっちゅっ・・・・んじゅる・・・ちゅう・・・ちゅぷ・・・ちゅうう」
艶かしく光る唾液を肉棒に薄っすらと垂らし、それを自分で掬い取るようにして、まるで生き物のように舌をくねらせる。
「舌が・・・あんなに動いて・・・・別の生き物みたいに・・・な、何ていやらしい」
「うふふ、ちゅる・・・ちゅ、ちゅ・・・・熱くて固いわ。初心な誰かさんには刺激が強かったかしら?」
「・・・く!・・か、和人様のものなのですから別に恐ろしくなど・・・はむ・・ちゅ・・・んん・・・」
顔を真っ赤にして先端を口の中に含んで吸い上げるワルキューレに対し、余裕たっぷりな笑みを浮かべ、ゴーストは竿を舐め上げる。
そんな中で何かを思いついたらしくゴーストは床に落ちていたコートを引き寄せて鎖付きの首輪二つに姿を変える。
「な、何ですか!?・・こ、これは一体!?」
自分につけられた首輪に驚愕しワルキューレは、肉棒から口を離す。喉元に手をやると冷たい金属の感触が伝わってくる。
驚くワルキューレに対して、ゴーストは平然と答える。
「演出よ、演出。私達は『高貴な家柄でありながら戦乱で没落し、奴隷に身を落とした双子の姉妹。
そんな自分達を宇宙海賊から買い取ってくれた優しい主に奉仕する』という訳。こういった趣向も面白いと思わない?」
目を楽しそうに細めながらゴーストは再び竿の部分に舌を這わせ始めた。
数秒間、複雑な表情を見せていたワルキューレも対抗心から奉仕を再開する。
二人の奉仕に熟睡中の和人の口から心地良さそうな声が漏れた。
「はむ・・・ちゅる・・・和人様ぁ、私の愛しいご主人様・・・どうか気持ちよくなって下さい・・・
んん、ちゅぱ・・・ちゅる・・・」
「ふふ、何だかんだ言って気分を出してきたわね・・・私も楽しまないと損だわ。
さあ、胸でして上げるわ。さあ、ご主人様・・もっと可愛い声を聞かせて・・・ぺろ、ちゅ・・んん・・」
ゴーストは豊かな胸で肉棒を挟みこむ。それによって肉棒はほぼ縦半分が見えなくなる。
先端から滲み出る先走り汁を舐め取りながらゴーストは時折、ワルキューレの方へ視線を送る。
貴方もやってみない?とでも言いたげに。
その視線を受けてワルキューレも意を決して、ゴーストとほぼ同サイズの乳房で肉棒の残り半分を挟みこんだ。
「ふふ・・・和人のこれ、私達の胸で埋もれて先の方しか見えないわ」
「・・・和人様の・・熱くて・・・固い・・・そ、それに力強く脈打って・・・」
二人は両手で胸を寄せて、肉棒をきつく挟み込む。反り返った肉棒に押し返されて、乳房が艶かしく変形する。
ワルキューレがちょこんと顔を出した先端に唇を寄せる。
「・・・ぺろ、ちゅ・・・んん・・・」
「私もするわね・・・ん、ちゅっ・・・ちゅる・・・ぺろ・・・」
奉仕の途中で唐突にゴーストは、ワルキューレに唇を重ね合わせた。逃げる舌を絡め取り、強引に咥内へ自らの唾液を流し込んでいく。
初めは戸惑っていたワルキューレも、負けじとゴーストに反撃する。離れた二人の唇の間に銀の橋が作られる。
「・・・汗や唾液が混ざり合って変な味・・・でも、興奮しちゃうわ・・・和人の可愛い声も聞けて・・・身体が疼いてたまらないの」
「・・私も・・・身体が火照って・・・和人様に奉仕していると思うと・・・・」
二人は乳房を寄せ合い、肉棒を扱き上げる。
しこり始めた乳首が擦れあう。それに反応して二人は嬌声を挙げた。お互いの担当部分を変えたり、唇を重ねあって汗や唾液、先走り汁を交換しあう。
倒錯的な快感に溺れながら、益々、二人は奴隷になりきって奉仕にのめり込んでいく。
今回はここまで。
ぶっちゃけゴースト様ってワルキューレより人気あるような気がする。
>>174 乙
気のせいだろ
本スレでも殆ど名前あがらないぜ
少ないけど熱心なファンはいるだろうけど