「んっ……あっ、あああっ!!」
しょーたが後ろからズンズンと突いてくる。
「気持ちいいか?」
「うん、すっごく、すごくいいよっ! あっ、ああっ……あはあっ!」
しょーたの部屋で、私としょーたは絡み合っていた。
「お前のファンが見たら悲しむだろうなあ。ああ、俺の美奈ちゃんが〜! なんてな」
「うー、意地悪ぅ……あはあっ!!」
しょーた、私にアニメキャラの声をさせたりとか、コスプレさせて楽しんでるんだろうって?
ざーんねんでした、しょーたはアニメを見ないから、そんなこと私にやらせないもん。
小さい頃からアニメが好きだった。
念願かなって声優になったけど、現実を知って愕然となった。
もうアニメはすっかりだめになってしまっていた。
話題の大人気アニメ・声優なんて嘘ばっかり。
今やってるアニメなんて、よほどの長寿アニメでもない限り誰も知らない。
声優なんて、よほどのベテランさんでもない限り誰も知らない。
テレビではめったに取り上げてもらえず、たまに取り上げられても
「オタクに媚びるアブナイ人」「変な人」扱い。芸能人として扱ってもらえないのだ。
仲良しの声優仲間で、テレビに呼ばれてひどい扱いをされた人がいた。
司会者に頼まれてアニメキャラの声をやったら、客席はサーッと引いて、シーンとなったらしい。
いたたまれなくなって逃げ出したいくらい惨めだったと言っていた。私もショックだった。
昔の名作アニメならともかく、今のアニメなんて誰も知らないから仕方がないとはいえ、
声優はさらし者扱いされ、バカにされ、無視されて……これが現実なのだ。
こんな状態だから、「私は声優です」なんてとても名乗れない。
しょーたと知り合った時も、最初は職業を偽っていた。
OLだと言ってごまかしていたが、不規則な生活でデートにも差し障ることが多くなり、
隠し切れなくなって思い切って打ち明けた。
振られるのを覚悟で。
しょーたは「それでも好きだ」と言ってくれた。
「すごく……うれしいよ……話して良かった……」
「……辛かっただろ?」
私はしょーたの胸の中で思いっきり泣いてしまった。
「あっ、ああっ、好き……しょーた、好き、好き、好きぃ!!」
「美奈……好きだ!! んんっ!!」
「しょーた、大好きー!! ああっ……」
しょーたと同時に、私は達した。