【女優】架空の芸能界でエロ小説【アイドル】

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547名無しさん@ピンキー
私の名前は笹尾美奈。職業、声優。
世間では『アイドル声優』と呼ばれてる、そういう職業。
20代半ばになって、アイドルという年でもないんだけど。
なぜか声優界では、20代後半、30歳を過ぎてもアイドル活動ができるし、人気も取れる。
今出ているアニメで共演している人の中にも、そういう人がいる。
アイドル活動は私もやっている。CDも何枚か出した。
歌はお世辞にも上手くはないけど、決して嫌いじゃない。
でも本当にやりたいのはお芝居だ。
私はアニメが好きだから、自分の声で子供に夢を与えたくて声優になった。
なのに、今じゃアニメなんて、6、7時台はほぼ全滅、夜中の1時、2時という冗談みたいな放送時間ばかり。
これでどうやって子供に夢を与えろと?
子供向けのアニメがないわけじゃない。でもそこは、ベテランさんばかりで、私みたいな若手の出る幕じゃない。
たまに呼ばれても、少女Aとか、村娘Aとか、名前もないチョイ役、やられ役ばかり。
真夜中にならないと私たち若手の活躍の場はない。まるでお化けみたい。
それでも、いわゆる「おっきなおともだち」と呼ばれる人たちからの人気は得られた。
「魔法教師キャロット!」という作品で念願の主役になった。
なんとヒロインが31人という、いかにもアニメ化、オタク受けを狙った作品だ。
狙い通りアニメになり、『ごく一部』で大ヒットとなった。
イベントのチケットは毎回あっという間に売り切れ、会場は満員だ。
そのファンの人たちには、確かに感謝している。でも、何かが違う……そんな気持ちはぬぐえない。
「がんばってください」「今度のイベントも行きますから」「いつまでも応援します」。
励ましてくれるのは嬉しいんだけど、それはそれ、これはこれで……。
たまに、こういう人がいる。
「○○たんやってー!」
それ、正直言って「ちっちゃなおともだち」に言われたいんだけどなあ。
でもたった一人だけ「声優、やめたいんだったらやめていいよ。辛いんだったらやめていいよ」と言う人がいた。
それが……。
「だーれだっ!」
「きゃあああっ!ちょ、ちょっと、しょーた!」
「あったりー!柔らかいなあ、ゴムボールみたい」
「ちょっとぉ、離してよぉ」
「あはは、ごめんごめん」
「…」
「どしたの?…もしかして、怒った?」
「そ、そんなことないよ!」
「俺のこと、嫌いに…」
「違うよ!私、しょーたのこと、大好きだよ!」
「さっき胸触ったから、それで怒ったのかなって」
「そんな、私、しょーたにならどこ触られたっていいよ。ただ…びっくりしちゃっただけ」
「美奈…じゃあ、触っていい?」
「うん…あっ…んん…」
触れてくる指の先から、優しさを感じる…… あったかくて、ドキドキして…… 。
「しょーた、大好き…」
「美奈、好きだよ…」
ちゅっ♪
そう、彼が「声優やめていいよ」と、私を心配して言ってくれた人なのです。