らき☆すたの女の子でエロパロ36

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1名無しさん@ピンキー
アニメも好評のうちに終了し原作も大好評連載中、PS2版も絶賛発売中の「らき☆すた」でエロいの行ってみよ。



☆カップリングは自由
☆基本的に百合マンセー
☆801は禁止(と言っても男キャラあんまいねぇ)
☆投下した作品の保管を希望しない場合、前もってその旨を知らせること



※マナー等※
※割込みを防止するため、書き込みや投下の前等にリロードを。
※荒らしや煽り、気に入らない人・作品等はスルーで。
※グロやSM、鬱モノなどの過激な内容は断りを入れてから投稿する
※読者=主人公の作品(いわゆる俺キャラもの)についてはNGワード指定や断り文を確実に。
※480KBまたは950レスのどちらかに近づいたら、次スレの準備を。



■みゆきさんの一言メモ

・投稿の際に、メール欄に半角英数でsageと入力すると、スレッドを上げずに書き込めます
 『sage』では有効になりませんので、全角・半角を確認してください

・スレッドの閲覧・書き込みは、絶対ではありませんが専用ブラウザの使用を推奨します
 これにより『人大杉』のエラーが回避できます

・SS投下は、一度メモ帳やワードパッドなどで書き上げてからまとめて投下してください
 投下間隔があくと、他の方がレスできなくなってしまいます



マターリはぁはぁしましょうか。



☆まとめサイト(管理人と職人に感謝!)(避難所の行方はここ参照)
ttp://www33.atwiki.jp/kairakunoza/pages/1.html
☆派生サイト:てけてけかなたさん伺か化計画
ttp://neo-experiment.hp.infoseek.co.jp/index.html
☆前スレ
らき☆すたの女の子でエロパロ35
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1201460300
2名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 11:07:33 ID:JMAD3Zd7
>>1
スレ立て乙です
3名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 11:12:05 ID:xf1I4dN2
>>1乙ざますよ
4名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 11:15:38 ID:R2y59tbd
スレ立て乙っす。
5名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 12:10:20 ID:pHm2o2OZ
>>1乙ー
6名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 12:29:00 ID:ReRTUE1w
前スレのまめ…じゃない、埋めが完了しましたので
ここに報告いたしますですー。
7名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 12:44:21 ID:L3kRgKDj
このスレはゴッドかなたさんによって見守られています

注意1:大変気難しい神様です。誠心誠意をもって敬いましょう、点数を加算してくれることがあります。
8名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 12:51:04 ID:hnXWQHdf
注意2:むやみに餌を与えないでください。
9名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 12:56:03 ID:hnXWQHdf
sage忘れたorz
10名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 13:00:47 ID:BbMH7OJg
注意3:時には厳しくしつけましょう。耳をダイナミックに引っ張るとたいへん効果的です。
11名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 13:04:25 ID:UKsJPmye
前スレ>>554
GJ!!ピョーとかこっち見てくださいやらのネタがツボったwwww
かがみの親父ギャグから始まるエロも堪能…本当にぐっじょぶでした!
124-243 ◆X9xLTlcDnY :2008/02/03(日) 13:30:29 ID:AHl9YCZ6
13名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 13:30:51 ID:AHl9YCZ6
sage忘れゴメンorz
14名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 13:34:41 ID:6WiVAT1T
スレ立て乙です

ところで、>>1のテンプレって何時頃からあんなに改行をはさむようになったのでしょうか
三行以上の空改行をNGに設定していたのを忘れてて五分ほど悩んでたorz
1526-485:2008/02/03(日) 13:44:28 ID:tYoIrJZa
>>12
ふげっふ!
こいつはやられた……
俺の脳内ビジョンと寸分違わぬ衣装のこなたですな
節分なだけに拙文にならないか心配でしたが
もう幸せです!試験期間潰した甲斐があったw
16名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 13:55:55 ID:bnn0iWk+
>>12

は、はえぇ……まにあわなんだorz
17名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 14:32:05 ID:AHl9YCZ6
>>15
先にえろい方を描いてたんだけど構図が決まらずに断念orz
ていうか試験期間てww

>>16
おお。節分イラストかまーん(*゚∀゚)=3
僅差でうp、よくあることなんだぜorz
18名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 15:01:39 ID:SwBPC9WM
>>12
こ、これは…
そりゃかがみも理性失うわな。
>>15
さっさと勉強してこいw
19名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 15:13:55 ID:l8bfkdod
前スレ>>554
手と足を失って…って何という鏡の錬金術師w
20双子の兄:2008/02/03(日) 15:20:04 ID:R2y59tbd
誰も投下予定がないのなら投下させて頂きます。

・つかさ&かがみ
・非エロ
・鬱、グロ注意
・俺的にむっちゃダーク

苦手な人は避けてください。
21愛と言う名の狂気:2008/02/03(日) 15:21:50 ID:R2y59tbd
 噎せ返るような濃い血の匂いが蔓延した部屋で何かが転がっていた。ピクリとも動かな
い。ただ、それを中心に赤い円が歪な形で徐々に広がっている。
 窓に打ち付ける雨は、激しく大きい音をくぐもらせながら部屋の中に侵入させてくる。何
かが見えるかと思って窓の外を見てみると、そこには何処までも、それこそ地球の裏側に
行っても続いているかのような漆黒だけが見えた。
 痛い。冷静な頭が、痛い、と必死に訴えてる。それなのに体を見回しても私の体にこれ
と言った外傷は見当たらない。薄暗い宵闇の中で、自分の手を顔に近付けて見てみると、
それにも思わず噎せてしまうような血の匂いがべったりと貼りついていて強烈な吐き気が
私を襲った。
 視界が揺らぐ。もう一つの手に握る何かに力を込めて、血が止まりそうになるくらいに強
く握り締める。僅かな重量感しか持たないそれも、今はズシリと重力と共に私を床に簸れ
伏せさせようと、重く圧し掛かる。もう、長くは立っていられそうになかった。
 痛い。どうしようもなく、痛い。外から受けるような痛みではなく、内から私の身体を引き
裂こうとしている痛みが、体中に張り巡らされた血管を通じて全身に襲いかかる。頭の中
が黒くなっていた。何も考えられなかった。考えたくなかった。
 耳を劈くような轟音が、近くから聞こえた。窓から差し込む漆黒が切り裂かれ、真っ白の
閃光が一瞬だけ部屋の中を照らしだした。黒に近い赤が広がる床、その中心で伏せる、
肉の塊。赤に染められた、色の原型を見せない糸のような髪の毛。その全てが私を狂わ
せた。
 気が狂うような血の匂い。膨れ上がって、破裂しそうな何かが限界に近付いてる。全て
が夢のような浮遊感に包まれた、幻の世界が完全な闇に飲み込まれて行く。
 夢に居るような非現実的な感覚の中で、私の左手に握られる狂喜の触感が、やけにリ
アルだった。





愛と言う名の狂気




22愛と言う名の狂気:2008/02/03(日) 15:23:15 ID:R2y59tbd
「ちょっと、こなたに勉強教えに行かないといけないから」
 そう言って私の、勉強を教えて欲しいと言う頼みを断って家を出るお姉ちゃん。
断る時の、申し訳なさそうな顔と、罪悪感を滲ませた瞳は、家を出た時には遠足を前日に
控えた小学生のように嬉々としたものに変わっていた。
 私は一人取り残された玄関で、そっと呟いた。
「しょうがないよね」




「日下部の買い物に誘われちゃって……悪いけど、また今度ね」
 みゆきを誘ってみれば? それを最後に、電話を切ったお姉ちゃん。
朝早くから居なくなって、何時もと同じ時間に目覚めた私はお姉ちゃんに電話を掛けた。
さっきまで私とお姉ちゃんを繋げていてくれた携帯電話の電話口では、ツー、と言う音
を断続的に繰り返すだけだった。
 私は手に持っていた二枚のテーマパークの招待券を握り締めて、そっと呟いた。
「しょうが……ない、よね」




「あー、ごめん、今はちょっとダイエット中だからさ」
 苦々しい表情を作って、お姉ちゃんは私が差し出した、私が焼いたクッキーを私の手元
に戻した。お姉ちゃんの机の上には、可愛らしい包装が成された袋が置かれていた。中に
は、峰岸さんが焼いてくれたクッキーが入ってる。
 私は、自分の部屋のゴミ箱にクッキーを放って、呟いた。
「こんなにいっぱい、食べれないよね」




「今日はこなたとゲーマーズ寄って帰るから、先に帰ってて」
 私が一緒に帰ろう、と言う前に、お姉ちゃんはそう言った。隣ではごめんね、と合掌する
こなちゃんが居た。二人は、仲の良い恋人みたいに、からかい、からかわれながら楽しそ
うな笑い声の余韻を残して教室を出て行った。
 夕染めの教室の中、一人になった私は呟いた。
「こなちゃんの方が、大事なんだね」




「こなたのお父さんの書いた作品の試し読みに誘われたから、ちょっと行ってくるわ」
 休日、一緒に何処かへ遊びに行く約束をしていたお姉ちゃんは、そんな事忘れたかの
ようにはにかんだ笑みを私に残してこなちゃんの家に向かった。私も行きたい、その言葉
を私に言わせないかのように、お姉ちゃんは早足だった。
 こなちゃんのお父さんは、仕事の取材で家には居ないはずだった。
 嘘を吐かれて、お姉ちゃんの靴が無くなった部屋で、私は言った。
「何で、嘘を吐くのかな」
23愛と言う名の狂気:2008/02/03(日) 15:24:32 ID:R2y59tbd
"かがみんは私の嫁"
 そんな文字が印刷されたプリクラが、お姉ちゃんの机の上から二番目の引き出しに
入っていた。傷つかないように、ビニールで保護されているプリクラだった。私は油性
マジックでその文字と、こなちゃんの顔を、一枚残らず塗り潰した。
 その後、保護の為に使われていたビニールをゴミ箱に捨てた。ビニールが無くなった
プリクラには、猫口顔でお姉ちゃんと頬をくっ付けるこなちゃんと、真っ赤になってカメラ
の方を見るお姉ちゃんの姿が眼に見えて仲良さそうに映し出されていた。
 それを机の二番目の引き出しに入れ直して、私は壁におでこを打ち付けた。
「私、馬鹿だよね?」




「それで、そしたらこなたがさ――」
 楽しそうにこなちゃんとの間であった出来事を話すお姉ちゃんは、口ではああした方が
良い、とか、こなたは受験生としての自覚が足りない、とか言っていたけど、その顔には
本当にこなちゃんを咎めているのかどうか分からないほど嬉しげな笑みが終始貼りつい
ていた。
 お姉ちゃんが話の合間にトイレに行った後、私は自分の頭を掻き毟った。何十本と抜け
た私の薄い紫色の髪の毛が、手に絡まっていた。お姉ちゃんの話にこなちゃんが出て来
る度に、ポケットの中で裁縫針を太股に突き刺していた事を、お姉ちゃんは知らない。
 見てみると、太股の辺りには薄っすらと血が滲んでいた。私はそれをお姉ちゃんに悟ら
れないようにティッシュで拭き取って、手に絡まった髪の毛をゴミ箱に捨てた。そして、裁
縫針を元の、ポケットの中に忍ばせて、握り締めた。
「あ、それとさ、この前こなたが――」
 トイレから戻って来たお姉ちゃんが、再び話し始めた。私は顔に笑顔の仮面を作り上げ
て、ポケットの中に握った裁縫針を太股に突き刺した。痛みは、無かった。




「あいつ、本当に遅刻癖直らないわねー」
 出勤や登校する人達で賑わう駅まで、お姉ちゃんは呆れ気味にそう言った。その顔は、
待ち合わせ場所で恋人を恋い焦がれながら待つような、そんな幸せそうな顔だった。
何度も自分の腕時計を見たり、駅前に立っている時計を見比べながら、お姉ちゃんは
そわそわしていた。
「やあやあ、お待たせー」
 こなちゃんが来ると、お姉ちゃんはすぐにこなちゃんの隣にくっついて、遅刻の事を
叱り始めた。その顔は、恋人と一緒に歩いているかのような、幸福感を含んだ顔だった。
こなちゃんも、お姉ちゃんにくっついて、次々と降りかかる叱咤の言葉を軽々しく避けてい
た。
 私は、二人より二メートル離れた位置で、唸るように呟いた。
「……ちゃんの癖に……!」




 休日を翌日に控えた金曜日の夕暮れ時、お姉ちゃんはこなちゃんの家に行ったきり
帰って来なかった。夜の帳が住宅街を包んでも、お姉ちゃんは帰って来なかった。
家の門の前、私は寒さに耐えながらお姉ちゃんの帰りを待ち続けていた。お父さんや、
お母さん、お姉ちゃん達も、私がお姉ちゃんと一緒に居ると思っているのか、連絡して来な
かった。
24愛と言う名の狂気:2008/02/03(日) 15:26:19 ID:R2y59tbd
 その時、夜の静寂を切り裂くように、私の携帯の着信音が鳴り響いた。
『もしもし、つかさ? 今日はこなたの所に泊めてもらう事になったから、お母さん達に
言っといてくれない? 帰りは明日の夕方になるとおも』
 電話を切った。私の嫌いな音が、電話口でずっと鳴り続けていた。私は、何事も
無かったかのように家の敷居を跨いで、帰った事を家族に告げる事もなくお風呂場に
向かった。衣服を全部脱いで、シャワーを浴びると、冷え切った体には温かいお湯が
ひりひりと痛かった。
 シャワーを止めて、色々とお風呂で使う道具が入った籠から、お風呂場の電灯の光を
受けて、鈍い光を放つ銀色の刃を手に取った。
「つかさー? 帰ってたの? かがみはー?」
 お母さんの声が曇り硝子越しに聞こえた。ピチャン、と天井から落ちる水滴が
立てる水音が響くお風呂場で、私は言った。
「こなちゃんの家に……泊まる……って」
 お母さんが、そうなの、と言って洗面所から出て行った。鈍い光を放つ銀色の刃は、
私の腕の手首より少し上の方に食い込んで、今は赤い光を放っていた。刃が食い込んだ
場所からは、まるで涙の代わりのように、止めどなく血が流れていた。
 天井から落ちる水滴だけじゃない、水音がお風呂場のタイルに反響して、響いていた。





 お姉ちゃんは翌日の夜に帰って来た。
 私は、自らで付けた傷跡を、長袖の寝巻で完全に隠して、何時も通りにお帰り、
と誰よりも先にお姉ちゃんの事を出迎えた。お姉ちゃんは何故か疲れた様子でただいま、
と返してくれた。
 そして、すぐにお風呂に入って、ご飯を食べて、自分の部屋に向かおうとした。
 何だか、本当に酷く疲れているように見えた。
 私は全然手に付けていないご飯を前に、ご馳走様、と言ってお姉ちゃんが部屋に
行きつく前に話しかけた。お姉ちゃんの部屋の前、下からは心配そうなお母さんの声が
聞こえて来ていた。
 私は食欲あまり無いから、もう寝るね、と返してからお姉ちゃんを見つめた。
 私の大好きな、宝石よりも綺麗な瞳、白く透き通るような肌、サラサラで長い、
まるで糸みたいな髪の毛。私はそれを全て脳に焼き付けるように見回してから、尋ねた。
「こなちゃんの家で、何してたの?」
 そう聞くと、お姉ちゃんはみるみる内に顔を赤くして、爆発しそうなくらいに真っ赤になった
顔で、何度もつっかえながら何にもしてないわよ、と言った。
 嘘を吐いているのは明白で、お姉ちゃんはこなちゃんの物になったしまった、
と理解するのに時間は掛からなかった。
 私の大好きな、宝石よりも綺麗な瞳も、白く透き通るような肌も、サラサラで長い、
まるで糸みたいな髪の毛も、そして、私が触れた事も見た事もない、大人になった場所も、全部こなちゃんの物になってしまった、と理解したくもない事を、理解してしまった。
「そっか」
 私はそう言って、自分の部屋に入った。未だ顔を赤くしているお姉ちゃんの姿を、
こなちゃんのものになってしまったお姉ちゃんの姿をこれ以上見たくはなかった。
逃げるようにして、部屋の中に、私だけの世界に、飛び込んだ。
 ドアの鍵を掛ける。今までは無かった鍵、自分で付けた鍵で、勝手にこの扉が開かないよ
うに、私は鍵を掛けた。私だけの世界が、壊されないように。
「嘘吐き……!」
 既に傷だらけになった腕を、爪で掻き毟った。肉が抉られるくらい強く、深く。
床に血が滴って、それに混じってボトボト、という嫌な音がした。
 壁越しに、お姉ちゃんの部屋の扉が閉まる音がした。
25愛と言う名の狂気:2008/02/03(日) 15:28:01 ID:R2y59tbd
 怪しい月光が部屋を照らしてる。綺麗で怖い、真円を象った月が、ぼんやりと漆黒の
中に佇んでいる。まるで、狼男が出て来そうな、そんな怪しい光だった。
 月を隠しては通り過ぎて行く雲は、その光を受けて青白く、その色を変色させていた。
群れる星達は、まるでその輝きを恐れるように、その姿と輝きを見せる事は無かった。
 私の肌が、青白く光る。腕を見ると、赤く生々しい傷跡が、ぬらりと光った。それでも
痛さは感じない。それどころか、安心さえしてくる。この傷跡と、体に残る他の傷跡が、
私を現実に繋ぎ止める唯一の鎖だった。
 窓から差し込む月光を道標に、私は歩を進める。何も纏わない私の体は肌を外気に
直接晒して、少し寒い。
 でも、すぐ傍に暖かそうな温もりがある。私の冷めた心も、体も、全て温めて癒して
くれる。
 ……だから、取り戻さないと。私以外の他人に、奪われてしまったお姉ちゃんの為にも。
きっと、無理やりやられたんだ。お姉ちゃんは拒絶したのに、アイツが無理やりに
お姉ちゃんを襲ったんだ。優しいお姉ちゃんはそれを受け入れるしかなかったんだ。
本当にお姉ちゃん事を分かって居るのは私、だから選ばれるのも私。違いない、そうに
決まってる、間違っているなんて思えない、お姉ちゃんだって、そう思ってる。
独り善がりなんかじゃない。ましてや現実逃避なんかでもない、これは紛れも無い真実、
それしか有り得ない。
「そうでしょ……お姉ちゃん」
 頬を撫でる。ひんやりとしたお姉ちゃんの頬が、私の掌を受け止めて形を変える。
私は慈しむように、何度も何度もお姉ちゃんの頬を撫でた。お姉ちゃんが小さく
身じろいで、その仕草が可愛くて、私は撫でるだけじゃ足りない事に気付いた。
 お姉ちゃんも私を求めてくれてる。私もお姉ちゃんを求めてて、その間に立ちはだかる壁
なんて、ある訳ない。私はお姉ちゃんが眼を覚まさないように、ゆっくりとお姉ちゃんの温も
りを受け継いでいる柔らかい布団の中に入った。
 久し振りだ。この暖かさも、こんなに間近でお姉ちゃんの甘い香りを楽しむ事も。
私は、お姉ちゃんと向き合って、一方的に微笑んだ。良かった、お姉ちゃんはやっぱり私を
拒まない。受け入れてくれる。だから、これからしようとしている行為も、良く思ってくれる。
 私は、特大という訳ではないけれど、十分に女としての魅力を出している膨らみに手を
伸ばす。手に馴染むような柔らかさと、掌を押し返す強い弾力、お姉ちゃんの胸は、
触っていてとても気持ちのいいものだった。
「ん……」
 お姉ちゃんが眼を覚ました。慣れない感覚に驚いたのか、それとも服の上から触られる
もどかしさに耐えられなかったのか、それは私には分かりはしないけど。お姉ちゃんは
寝惚けたようにぼーっとした瞳で私を暫く見つめると、やがて大きく眼を見開いた。
「な、何でつかさがここにいるのよ!」
 飛び起きたお姉ちゃんは、ベッドの端まで私から離れて、壁に背を付けた。
 ……どうしてそんな反応するの? 昔は何時も一緒で、寝る時だって一緒の事も
多かった。その時は私を優しく撫でててくれたのに、何で今は私から離れるの? 
まるで、私に怯えているみたいな、そんな表情を作りながら、私を見ているの?
「何で? 昔は一緒に寝たりしたのに。これぐらい当り前でしょ?」
「そういう問題じゃない! 大体、私に何をしてたのよ!」
 怒気を露わにして、お姉ちゃんが怒鳴る。真夜中だけど、まだ家族の誰かが起きて来る
気配は感じられなかった。
 月が雲に隠されていて、私達は私達の姿がお互いに見えなかった。一メートルも離れて
いないはずのお姉ちゃんの姿でさえ、片鱗すら見えない。
「お姉ちゃんが、汚れちゃったからだよ」
 そうだ。私以外の人がお姉ちゃんに触ったら、お姉ちゃんは汚れてしまう。だから、私が
洗ってあげなきゃいけないんだ。
 だって、お姉ちゃんは言ってくれたもの。幼い、遠い過去の話ではあるけれど、"つかさ
はきっと、世界で一番綺麗だよ"そう、言ってくれたもの。
 だから、お姉ちゃんに触れる事が出来るのは私だけ。他の人なんて、有り得ない。
26愛と言う名の狂気:2008/02/03(日) 15:29:48 ID:R2y59tbd
「は……? 私の何処が……ッ!」
 お姉ちゃんは言葉の途中でそれを切った。見ると、お姉ちゃんの顔がはっきりと見える。
雲に隠されていた月が、再び姿を現していた。青白い光が部屋に差し込んで、部屋の漆
黒を少しばかり切り裂いてくれている。
「あ、あんた、何で裸なのよ……それに、その傷……」
 私は言われて、自分の腕を見た。青白い光に照らされているそこは、血が固まって、
黒く変色している。傷跡には、切り傷とは全然違う、醜い形で肉を抉った跡がある。
 私はこれがどうしたの? と尋ねるようにお姉ちゃんを見た。私にとって、これは薬。
私の心を人間のままでいさせてくれる、安定剤。全部お姉ちゃんの為なのに、私が人
でなかったら、お姉ちゃんはとっても悲しむだろうから。
 だから、私はずっと綺麗なままで居たのに。
 どうして、そんなに青褪めてるの? お姉ちゃんの為に、私が耐えていた証なのに、
これは。だから、何時もみたいに私の頭を優しく撫でて。頑張ったね、と私が求めている
言葉を言って。それだけの為に、こうやって耐えていたのに――どうして、そんなに怯えた
眼をしているの。全部、お姉ちゃんの為だったのに、全部、全部、全部全部全部!
「いや……来ないで。私から離れて……」
 何でそんなに怯えているの。私は綺麗なんでしょ? 私が純粋で、無垢だから
お姉ちゃんは私の事を綺麗って、そう言ってくれたんでしょ? だったらそんなに怯えない
で。私は今でも綺麗なままだから。だから、ずっと耐え続けていたんだよ。
「やめてっ! 私に触らないで!」
 私が伸ばした手を弾いて、お姉ちゃんは私を突き飛ばした。再び暗く染まった部屋の中、
またお姉ちゃんの顔は見えなくなった。私は、ベッドの下に落ちて、お姉ちゃんが居る
方向を茫然と見つめる。何も見えないのに、お姉ちゃんの表情が分かる気がした。
 喜んでる。何時もお姉ちゃんは素直になれないから、だからこんな事をしてしまうんだ。
きっと、暗闇の向こうでお姉ちゃんは照れた様子で、顔を真っ赤にしているんだろう。私は
、優しい声でお姉ちゃんに呼びかける。そして、もう一度手を伸ばした。
「大丈夫だよ。何も怖がる事なんて無い。だから、大丈夫だよ?」
「嫌……っ、来ないで……。こなた……助けてよ……!」
 ドクン、と心臓が脈打った。長くしまっていた何かが、扉を破って溢れ出す。
伸ばしていた手を引っ込めて、その手で自分の体に爪を立てる。視界が歪んだ気がした。
体調が悪くなったんじゃない。私の意識はしっかりしているのに、視界がゆらゆらと揺れて
いた。
 私が発した声は、自分でも驚くくらいに冷たかった。
「何で」
「え……」
「何で……!」
 お姉ちゃんが静かに呻いた。小さな悲鳴が暗闇の向こうから聞こえる。私は、
揺らぐ視界の中に暗闇だけを収めて、お姉ちゃんが居る筈の一点を見つめた。
「何でこなちゃんが出て来るの。何で助けなんか求めてるの。私はただ、お姉ちゃんを
綺麗にしてあげようとしてるだけなのに」
 そうだ。お姉ちゃんは汚されてしまったんだ。あの、何時も何時もお姉ちゃんを
からかって、困らせている、アイツガ汚したんだ。だから綺麗にしなくちゃいけない。
他の誰でもない、お姉ちゃんに綺麗だと言われたこの私が。唯一心を許されている私が。
 それなのに、何でアイツに助けを求めているの。何で、私に怯えて、私を拒絶しているの。
「何……言ってるのよ……。あんた、少し落ち着いた方が……」
「私は落ち着いてる! おかしいのはお姉ちゃんだよ!」
 真夜中だと言う事にも構わず、私は叫ぶようにして怒鳴った。お姉ちゃんが、涙を混じら
せた声で、息を呑んだ。
27愛と言う名の狂気:2008/02/03(日) 15:31:43 ID:R2y59tbd
 下から物音が聞こえた。誰かが起きてしまったのかもしれない。他のお姉ちゃん達は、
今日はそれぞれの用事で出掛けている。恐らく、お母さんかお父さんが眼を覚ましたん
だ。
 私は、怒りに震えながらも踵を返した。お母さんかお父さんが来る前に自分の部屋に
戻らないといけない。こんな姿を見られたら、心配されるに決まってる。
「もう、いいよ」
 もう、いい。それに全ての言葉の意味を含ませた。お姉ちゃんはアイツに、体はおろか、
心まで汚されてしまった。私が助けてあげないといけない。お姉ちゃんは、心の中で、
深層意識の中で私に助けを求めている。私が、絶対に救ってあげないといけない。
 すすり泣くお姉ちゃんの声を聞きながら、私は自分の部屋に向かった。暫くしてから、
お姉ちゃんの部屋から大きな泣き声が聞こえたけど、私について何かを言っている様子はない。
 お姉ちゃんは、やっぱり優しかった。




 次の日、私は学校を休む事にした。気分は悪くないけど、私にはお姉ちゃんを救う使命
みたいなものがあったから。その為に、私は学校を休み、何をしなければならないか、
を考えた。
 お母さんは心配そうだったけど、用事があったらしく、家を出た。帰りは遅くなるらしい。
私にとっては好都合だった。まつりお姉ちゃんといのりお姉ちゃんは、昨日に引き続き、
家に帰って来ないらしい。これも、私にとっては好都合。お父さんも、町全体の会議に
でなければならないらしく、今日の夕方には家を出るそうだ。全ては私にとって良い方向に
向かっていた。勿論、お姉ちゃんにとってもそれは同じだ。私はお姉ちゃんを救うのだから。
 少し重量のある、蛍光灯の光を受けて光る鈍色。それに指を這わすと、私の指に
切れ込みが入った。赤い筋から、どろりと液体が溢れる。痛みよりも、それを越した
安心感が私を包んで、静かな安らぎを与えた。
 この赤い血はお姉ちゃんと同じものなのだろうか。そんな事を考えると、私の指を
伝って床に落ちる血が、愛しく見えた。お姉ちゃんが私の中を流れている、お姉ちゃんと
私は、何時でも一緒なんだ。だって、お姉ちゃんの血にも、私がいるはずだから。
 音が聞こえた。窓の外には大粒の雨が降っている。空に立ち込める暗雲は、今にも
凄まじい閃光を落としそうに、ゴロゴロと唸っていた。
 お姉ちゃんが救われる日には、黒く暗い天気。私は淀んだ空を見て、それを忌々しげに
睨んだ。これではまるで、何も救われない、と神様に言われたような気がした。





 時刻は黄昏時。もう少しでお姉ちゃんが帰って来る。お父さんは既に家を出ている。
お姉ちゃんはその事を知らない。この家に、私以外の人が居ない事を、知らない。
28愛と言う名の狂気:2008/02/03(日) 15:33:25 ID:R2y59tbd
 やっと、今日で全部終わるんだ。お姉ちゃんは救われて、私を見るようになる。
汚染された心が元に戻るのだから、当たり前の事だ。きっと、喜んでくれる。今まで
汚されていた事に気付いて、私に謝ってくれる。全部元通りになる。……そうしなきゃいけ
ない。
 下から、お姉ちゃんがドアを開けた音がした。時計を見ると、時刻は黄昏時を回って、
夜へと近付いている。暗雲が空に立ち込めている所為か、辺りは真夜中にでもなって
しまったかのように暗い。私は電気も付けていない自室の中で、ベッドに籠っていた。
 お姉ちゃんは、ただいま、と言うと返事が返って来ないのを不審に思ったのか、色んな
部屋を覗いているみたいだった。下から聞こえる物音で、それが分かる。いや、
そうじゃない。私だから、お姉ちゃんが何をしているのかが分かる。
 やがて、お姉ちゃんは階段を上がって来た。私の部屋の前で立ち止まり、
何もせずに自分の部屋に入る。やっぱり、お姉ちゃんはおかしくなってる。
私が学校を休んだ時は、何時も必ずと言って良いほど私を気にかけて、部屋に来てくれる
から。優しく頭を撫でて、大丈夫? って聞いてくれるから。





 夜の帳が落ちる。空は雨と雲の所為で、完全な暗闇となっている。私の部屋は、もう何も
見えないぐらいに暗かった。
 私は手に握っていた堅い感触を握り締めてベッドから出た。頭は冴えてる。何時もなら
不安になってしまうこの暗闇も、今は私に馴染むくらいに親近感が湧いていた。
 扉を出ると、お姉ちゃんの部屋からガタッと音がした。そんなに私が怖いんだね。全部、
アイツに毒されてしまったんだよね。私が治してあげるから、もう大丈夫。すぐに、救われ
るから。だから、今だけは我慢してね? 少しだけの、少しだけの間だけだから。痛いの
も、怖いのも、全部、少しの間だけだから。
「お姉ちゃん」
 扉を開く。なるべくお姉ちゃんを怖がらせないように、手は後ろに回して。お姉ちゃんは
恐怖で引き攣る顔で、必死に平常を装っているように見えた。「な、なに?」
 私は答えない。ただ、黙ってお姉ちゃんに近寄る。お姉ちゃんは、それに合わせて後ろ
に後ずさった。でも、広さには限界があるこの部屋ではずっと後ろには下がっていられな
い。お姉ちゃんは壁に背中を付けると、潤んだ瞳で私を見つめた。
 私とお姉ちゃんの距離は一メートルくらい。そこで、私は足を止めた。
「お姉ちゃんは、変な病気になっちゃったんだよ」
 アイツの所為で。
「だから、それを治さなきゃ、お姉ちゃんが可哀そう」
 お姉ちゃんは病気にかかっている事に気付いていないから。
「なに……言って……」
 唇が震えてる。言葉が上手く出せないみたいだった。降り頻る雨の音はその激しさを
増して、窓を割ろうとするかのように、強く打ちつけていた。遠くで雷が落ちたのか、一瞬
部屋に光が差した後、唸るような音が聞こえた。
 お姉ちゃんの部屋は薄暗い。何故か電気を付けていなくて、唯一光を放っていたのは
机の上に置かれた電気からのみだった。ぼんやりと、そこから広がる光は私の影を作っ
て、それがお姉ちゃんに圧し掛かるように掛かっていた。
29愛と言う名の狂気:2008/02/03(日) 15:34:37 ID:R2y59tbd
「私が治してあげる。簡単な事だもん」
 そう言って、私は手を体の両側にぶら下げた。途端に、お姉ちゃんが悲痛な悲鳴を洩ら
す。あまりに怖いのか、膝がガクガクと震えていた。
「な、なによ……それ……どうするつもりなのよ……?」
 私はそう言われて、自分の手を見てみた。私の血で黒ずんだ、狂気を振り撒く凶器が電
気の光を受けて、不気味に光る。普段は台所に収められているはずの包丁が、私の手に
あった。
「お姉ちゃんの病気を治してあげるんだよ。大丈夫、すぐに終わるから……っ!」
 私はそれを一気に振り上げて、お姉ちゃんに向かって振り下ろした。空気を裂いて、
それが一直線に弧を描いてお姉ちゃんに向かった。
「……ッ!」
 短い悲鳴を上げて、お姉ちゃんは身をよじってそれを避けた。ざく、と、堅い物を刺した
感覚が手から腕に向かって伝う。痺れる手をきにせずに、私は壁からそれを引き抜いた。
思いの外柔らかかった壁には、切れ込みが走っていた。
 お姉ちゃんは、私から距離を取って、それでも入口には遠い壁に背中を付けていた。
「何で……避けるの」
 声が自然と漏れる。お姉ちゃんを怖がらせたくないのに、低い声が言葉を紡いだ。
「それはこっちの台詞よ! 何で……何でこんな事……!」
 お姉ちゃんは震えながら言った。何で、なんて言わなくても分かると思ったけど。だっ
て、一つに括ってしまえば、“お姉ちゃんの為”で括れる。私は、ただそれだけを理由にし
てるんだ。なのに……お姉ちゃんは気付いてくれなかった。
「だって、お姉ちゃんは私を見てくれなくなったんだよ」
 あれ? 私、何を言ってるんだろう。こんな事を言うつもりじゃなかったのに。
 お姉ちゃんが眼を見開いた。そんな答えは予想もしていなかった、と言うように。
「何時も一緒で、ずっと一緒にやってきたのに、お姉ちゃんは私を見なくなったんだよ」
 違う。こんな事は言いたくなかった。私はお姉ちゃんの為に、やっている。
「私が幾らお姉ちゃんの眼を戻そうとしても、お姉ちゃんは他の人と……ううん、こなちゃん
を見てた。私じゃなくて、こなちゃんを」
 嫌だ、こんなの私の本心じゃない。それなのに、私の唇は止まってくれない。歯止めが
効かなくなった、歯車のように回り続けていた。
「私はこんなに好きなのに、お姉ちゃんは全然振り向いてもくれない。お姉ちゃんには分
からないよね? 好きな人に振り向いても貰えない、辛さが」
 何で……私はこんな事を……?
 私じゃない私が、わたしの心を読み取って、代弁しているみたい。雨の音が、急に耳に
付くようになった。窓に打ち付ける雨が、五月蠅く思えた。
「だから、ダメなの。そんなに辛いのは、もう耐えられない。じゃないと私、壊れちゃうもん」
 違う、違う! これじゃ、これじゃまるで――全部私の為、みたいな――。
「だから、お姉ちゃんが居なくなったら、私は私で居られる。壊れるのは、怖いの」
 私は腕を持ち上げていた。お姉ちゃんはもう震えてはいなかった。私は、これまで
ずっと、お姉ちゃんの為なんかじゃなく、自分を守りたい一心で、自分の為にやっていた。
 その時、私の中で何かが壊れた気がした。ガラリ、と積み上げた積み木を壊すように
簡単に、私が積み上げて来たものが、呆気なく壊れてしまった。
30愛と言う名の狂気:2008/02/03(日) 15:35:33 ID:R2y59tbd
 視界が歪む。自分が何をしているのか分からない。頭の中が真っ白になって、ただ私が
お姉ちゃんに向かって駆けているのが風が顔を撫ぜる感覚で分かる。
 叫んでいるのは私なのか、雨の音なのか、全く分からない。
 ただ、その場からお姉ちゃんは、一歩も動かなかった。
 ズブリ、と切るのとは違う音が、嫌な感触と共に手に伝った。
 ぽたぽたと、何かが滴る。荒い息が、お姉ちゃんからも、私からも聞こえる。お姉ちゃん
は切なげな息を漏らし、私は獣のそれのように荒々しい息を。
 雷が落ちた。眩しい閃光が私達を一瞬だけ闇に浮かべた。私の手には赤い赤い血が、
べっとりと生温い温度で纏わりついていた。
 それなのに、お姉ちゃんはふっと笑って、私に凭れかかった。まだ暖かい体温が、体に
伝わる。未だ切なげに吐息を零すお姉ちゃんは、私の耳元で、慈悲に満ち満ちた、優し
すぎる声音で、そっと囁いた。
「つかさは……綺麗、だったよ……。本当に、真っ黒で……きれ、い、だった……」
 お姉ちゃんの体が崩れる。前のめりに、私の体を伝うようにして、ゆっくりと床に倒れた。
 足に、生温い液体を感じた。少しだけ後ろに下がるとぴちゃり、と水音が鳴った。
 私は綺麗だった。自分でも気付かないほどに、真っ黒で。お姉ちゃんはそんな“綺麗”を
望んではいなかったのに、お姉ちゃんは綺麗だと、そう言ってくれた。
 それは、色んな事を間違え過ぎた私への断罪で、お姉ちゃんが最後に私に残してくれ
た、私を引き裂く皮肉。
 夢だと思った。夢であってくれるなら、それはどんなに嬉しい事だろう、と。
 けれど、噎せ返るような血の匂いは無くならなくて、暖かった手は次第に冷えて、足もと
に広がる水溜りは部屋一面に広がるようだった。
 痛い。付着している血は私のものではないのに、凄く痛い。何かが張り裂けそうな痛み、
自傷していた時とは、比べ物にならない痛みが私の中から襲ってくる。逃げ場なんてある
はずがなかった。私の中の痛みは、何処に行ってもこのままだ。
 雨が、荒れ狂う風に乗って窓ガラスを割ろうと猛威を奮っている。すぐ近くに雷が落ちた
のか、耳を劈くような轟音と一緒に、真っ白な光が私の網膜を焼いた。視界に広がってい
た部屋の中は、ただ寂寥に包まれていて、この漆黒がそれを際立たせている。
 足元に広がる水溜りに、何かが落ちて波紋が広がった。

 それが私の涙だったのか、血だったのか、それはもう、分からない。
 ただ、体中が濡れて、冷え切っている。私は眼を閉じた。
 開けていても、何も見えはしなかったから。





――end.
31双子の兄:2008/02/03(日) 15:37:43 ID:R2y59tbd
投下完了。
前に甘いのも書いてみようかな、とか言ってたけど、結局ダークを書いてしまった。
こういうのは内容が他作品被らないかが怖い。
読んで下さった方に感謝を捧げます。
32名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 15:42:39 ID:BbMH7OJg
初っ端からヤンデレか! だが引き込まれるように読んでしまったのでぐっじょぶと言わざるを得ない。
絶命する間際に、かがみはどんな思いであの言葉を放ったのだろうか。嗚呼。
33名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 16:31:41 ID:UKsJPmye
>>15
勉強頑張れw
楽しませてもらったのでお礼に4コマ描いてみました。
ttp://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0020.jpg

お礼とかいいつつ、最後のコマが書きたかっただけなのは内緒。
みwikiさんは初描きなので、他のキャラ以上に似てないのは仕様です。
34名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 16:39:28 ID:eBOVL34u
>>31
ヤンデレキター(・∀・)-!!
背景描写も心理描写もむちゃくちゃ上手いっすな。
nice boat(GJ的意味で)


やっぱ、らき☆すたメンバーでヤンデレ要素があるのはつかさとゆーちゃんくらいかな?
35名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 16:42:49 ID:L3kRgKDj
みなりんも忘れてもらっちゃ困るぜ!


すごく・・・トラウマです
36名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 16:45:18 ID:lgpb24YU
あまり表立たないが、ふゆき先生もその本性は黒い、だったらおもしろそうだ

>>31
こわかなしい話だーGJ
自傷癖が悪化していく様がおそろしあ
37名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 17:04:08 ID:jnVNb1RF
>>15

遅ればせながら、歳の数ほど甘いものGJ!
これはもうこなたに逆襲してもらわねば

「ほーらかがみん、ワタシの恵方巻きだよー、さあさあくわえたくわえた(=ω=.)」
「ば・・・ばかっ・・・」
38名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 17:36:58 ID:ESfBRnoy
三分
レスなし
パティ嫁
39名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 17:39:39 ID:lgpb24YU
ひより「パティは!」
こう「私達のマスコット!」
パティ「だソウですヨ〜?sorryネ」
40名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 17:40:01 ID:CehgFQPm
>>38
阻止……間に合ったか?

>>34
実はあやn……ひぃっ!!


お、俺……明日と明後日の試験を乗り切ったら……、なぜか前の投下から一ヶ月以上も
かかってる作品の続きを、書……(俺の記憶はここで(ry)
41名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 17:41:05 ID:ESfBRnoy
三分レスがなかったら「はい、パティはひよりんの嫁〜」ってやろうと思ったのに
4226-485:2008/02/03(日) 17:43:59 ID:h98PguDt
>>31
GJ
相変わらずの繊細な描写ですね
俺も見習いたいものです

>>33
自分の作品に絵を描いて頂けるのが
こんなに嬉しいとは……感涙
即効保存です
こちらこそ心からのお礼を

>>37
こなたが逆襲するとしたら
「実は節分には自分より大きいものを食べるっていう習慣もあるんだよ」
みたいなノリになりますかねw
43名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 17:44:07 ID:swHIWgGQ
俺も含めて>>38-41はあらし
444-243 ◆X9xLTlcDnY :2008/02/03(日) 18:06:30 ID:AHl9YCZ6
45名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 18:29:09 ID:Iw5Jl7sC
>>31
いやー、少しずつ狂っていく感じがまた怖いですね。
最近は狂愛シリーズとかも投下されていたし、少しヤンデレ分が増えてきたかな?
4637:2008/02/03(日) 18:45:13 ID:jnVNb1RF
>>44
おまwwwwwwwwwなんという仕事の速さwwwwwwwwwwwww
47名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 18:55:46 ID:efxKC5Dz
最近かかつかが多いのはうれしい限りだ
48名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 18:57:44 ID:ESfBRnoy
かかし×つかさ
49名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 18:59:00 ID:/4tQeD8H
>>48
これは新しい
50名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 19:01:09 ID:jnVNb1RF
>>47
リカルド・イゼクソン・ドス・サントス・レイチ「だからワタシには妻がいるんだっての」
つかさ「ブラジルにはどんな酢があるのかな〜」

かがみ「あーもう・・・('A`)」
51名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 19:29:57 ID:swHIWgGQ
>>44どうせならちょんまげ(殴・・・
52名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 20:22:01 ID:6vy4b/jf
さっきサザエさんで知ったんだが、鬼を追い払うにゃ、柊の葉っぱも有効だったんだなぁ・・・
そんな事考えてたら壊れたみんなが、かがみを独占しようとする妄想が・・・
 
「・・・ってかつかさ!あんたも柊でしょうが!」
「でもそんなの関係ねぇ!」
 
これなんてかが☆ふぇち?
53名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 20:22:50 ID:lv4iNJPH
こなかがのエロです。
書いてる人の頭悪いです。
2レス使います。

「やっほーこなたー」
「あ、かがみ。 待ってたよ♪」
「さっきしてた話は本当なのよね?」
「う、うん…」
「じゃあ、早速脱がすわよ」
「え、も、もうですか?
ちょっと気が早過ぎやしませ…ひゃうっ」
「あんたのココはそんな事無いって言ってるみたいだけど?」
「もう、エロみんめ…」
「だって相手がこなただもん、仕方ないって」
「そんな言い方反則だよ、もうっ」

「脱いだよ、かがみ」
「うわー、ココもうとろけちゃってるじゃない。
そんなに私にされたかったの?」
「うぐ…そ、そうです。 されたい、です…」
「良く言えました♪ それじゃ…」

『年の数だけ、あんたの下のお豆を舐めてあげる』

「ひゃうっ、ふあっ、あああああ゛あ゛あ゛!?」
「(3…4…5…)」
「やあっ、あっ、あっ!」
「(8…9…10…)」
「うくっ、はふっ、イく――」
「(14…15…16…)」
「も、もう…イく「18っ!」…ふぇ?」
「18。 終わりよ」
「あ…ま、待ってよ…こんな、生殺し…」
「随分ともじもじしてるのね。
もっとして欲しいの?」
「う、うん…早くぅ」
「うわー、ドロドロのあそこを私に擦り付けてくるなんて、相当イヤラシイ娘なのね、こなたは」
「そ、そうだよ! だって、相手がかがみだもん!」
「そう…それなら」
「あ…」
「私のココも、舐めてくれる?」
54名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 20:25:22 ID:lv4iNJPH
「ぺろ…ぺろ、くちゅ…」
「あ、あ、あ、あ!」
「ちゅ、むちゅ、あむっ!」
「ひゃふ?!」
「ちゅ、ずずず…ちゅぅ…」
「はあ…イ、イくっ!」
「…残念、今のが18回目だよ」
「はっ、はっ…はひ?」
「18。 もうこれ以上は舐めてあげないよ?」
「あ…したい…したいよぉ…」
「さっきの私もこんな顔してたのかな?
…すっごくエッチな顔してるよ、かがみん?」
「したいよぉ! こなた! 続きしようよぉ!!」
「そだね…私もいい加減我慢できないし…」

「こなたのクリが、私のクリと擦れて…きもひいぃ…」
「アタマの中、飛んじゃいそうだよぉ…!
背中から頭まで痺れて…くぅっ!」
「わたしもっ! イく! イく! はぁあ…イっちゃうぅ〜!」
「らめへぇ、わらしもイくぅっ!」

『はあああぁあああぁん!!』

「豆蒔き結局してないけど…」
「散々蒔いたじゃない」
「何を…ひゃう!」
「こんなにイヤラシイ液を撒き散らして、まだ何も蒔いてないって言うの?」
「や、止めてよかがみん!」
「なんで?」
「も…」

もう一回したくなっちゃうよ…。

終わり。
554-243 ◆X9xLTlcDnY :2008/02/03(日) 21:05:31 ID:AHl9YCZ6
56名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 21:15:04 ID:ugh5/xSw
>>55
はやっ


「なあ、ひいらぎー。バレンタインのとき家に来てくんねーかなぁ」
「どうしたのよ?」
「いや、柊って鬼避けになるんだろ」
「ちょっとまて」
「兄貴を独り占めする鬼が来るんだよなぁ」
「……(後ろ、日下部、後ろ)」
「みさちゃん。ゆっくりお話ししようか^^#」


いや、こんなことかいてる暇があったらSS書けよ、俺
昨日、車が壊れたことだし、ゆいさんをネタに…
思いうかばねぇ OTL
57名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 21:19:55 ID:5TuCg8I+
GJ!日本の伝統行事もここの職人達にかかれば形無しですねw(もちろんいい意味で)


「うう……でも今日は一応私の誕生日でもあるのに……;
 ゲームにも出たし、人気でるかなーと思ってたんだけどナー……
 先輩方にもってかれちゃったよー……はぁ」
「ひ、人の豆をさんざん食べておいて、よくそんなことが……」
「んー、なに、ひよりん? もっと食べてほしいの?」ジリジリ
「ちょwwwやっぱりこうなるんスかwwwwていうか食べすぎは体に良くなアッーーー!!」
「もちろん前スレ532氏には感謝してるよっ!! 節分はまだまだこれからだよ、ひよりんっ!」
58名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 21:28:19 ID:jnVNb1RF
>>55
まったくwwwwwwあんたってひとはwwwwwwwwww

「おやぁ?かがみん、そこでしこしことナニカしてる子がいるよ?」
「あれ、ほんとね・・・」
「にゅふ、こういう状況に取り乱さないとか、
 かがみんもダイブなれてきたよね(=ω=.)」
「まあねぇ・・・ねえこなた」
「ん?」
「みせるだけじゃなくさ、どうせだから・・・ね」
「そだねー、私らいっつも、ネタにされるだけじゃあねw」

あ・・・あれ・・・?気のせいかお二人ともこちらに近づいてるような・・・
あ、あの、お二人ともお気になさらずどうか続きを・・・って
ちょ・・・ちょ・・・2人ともその妖艶な目つきは何ッスか!?
なぜじりじりこっちきてるっすか?手ワキワキってして・・・
これはいけないッス、逃げねば・・・え?
あ・・・これはこれは・・・ゆうちゃんみなみちゃん・・・お揃いで・・・

うはwwwwwさすが節分wwwwワタシも歳の数だけwwwwアッーーー!(回数略)
59名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 21:40:26 ID:Q0xlF+lO
先日本屋で『えろ☆すた』なるエロアンソロを見掛けたのだが
ここの人で買った人いる?
どんな感じか教えてくだしあ><
60名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 21:43:54 ID:ESfBRnoy
表紙からみゆきさんをハブるような本に買う価値なんかないよ
61名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 21:44:37 ID:bnn0iWk+
>>55
69回目は69でかw


てか、桜藤祭の泉パパのショートシナリオでなんか浮かびそうになった俺。
こなたって、かなたさんとXXできるのか……
62名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 21:49:10 ID:mJM6GDLG
>>31
このまえ友人に貸してもらった(というか、聞いてみろ、といって渡された)
Sound Horizonっていうアーティストの曲に「Ark」という曲があって、
読みながら聞いていたらそれがちょうどヤンデレな歌詞でびっくり。
まあ、そっちの方は姉妹ではなく兄妹だけど。
63名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 22:03:19 ID:5TuCg8I+
>>59
その中のひよりんの話が異常にツボにハマってしまって、
その話を書いた人の本を全部そろえてしまった俺が通りますよ。
なんかこのスレにありそうな話で、こういう話書く人もいるんだって関心しました。

でも逆に言えばそれ以外はダメダメだと思う…みんなキャラへの愛が足りん!!
64名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 23:06:45 ID:BbMH7OJg
どうにか節分にぎりぎり間に合って投下できそうな俺が来ましたよ。
23:20を目安に投下を開始します、先に投下をご希望される方はそれまでにご一報ください。
65名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 23:14:06 ID:Q0xlF+lO
>>63
なるほど、愛無しならいらないな
ていうからきすたなら百合のエロアンソロ出せよと言いたい
66尼野録 拾七 ◆9YoxyCDQ/E :2008/02/03(日) 23:21:31 ID:BbMH7OJg
そろそろ時間ですので、投下させていただきます。……俺、惨状!

今回お送りしますのは、かがみ×みさおの節分ネタもどきエロ風味です。
微SM描写、ペニスバンド、夢オチを含みますので、あらかじめご了承ください。
本文4レス+前書きあとがき2レス、計6レスほどお借りいたします。
67柊のはりでさす。(1/4) ◆9YoxyCDQ/E :2008/02/03(日) 23:23:03 ID:BbMH7OJg
「大根買った、きゅうりも買ったし……あ、里芋みっけ! よぅし、これで全部だぜっ♪」
 2月2日、土曜日。日下部みさおは、頼まれていた夕食の買い物にスーパーを訪れていた。
「あ、このぽてち安いじゃん。買いだめしておこーっと」
 とはいえちゃっかり者の彼女のこと、自分の分の買い物にも余念がない。本日のターゲットはバーゲン中のスナック菓子、3袋で248円。
いそいそとカートに放り込むと、日に焼けた童顔に満面の笑みを浮かべた。
「みゅふふ、大漁大漁ー♪」
 早足でカートを押して、レジを目指すみさお。会計待ちの列にたどり着いた彼女だったが、浮き足立ったせいか前に並んでいた買い物客の
背中を軽く押すような格好になってしまった。
「あっ、ごめんなさい。……あ、柊!」
「ああ、いえいえ……げ、日下部!?」
 前に並んでいた買い物客が振り返る。つり目がちの瞳にツインテール、みさおよりも若干小柄な同年輩の少女。実に5年越しの腐れ縁となる、
同級生の柊かがみであった。押しているカートには、受験仕様のカールとキットカットとハイレモンが立錐の余地なく詰め込まれている。
「あー、ウカールじゃん。なに、柊もそういう縁起とかかついじゃうタイプ?」
 格好のおもちゃを見つけた、とばかりにかがみにじゃれ付くみさお。肩にあごを乗せるしぐさが、やんちゃな子犬を思わせる。
「顔近づけるな! これはアレよ、こなたとみゆきの分よ!」
 赤面したかがみは、みさおの顔を手で遠ざけようとした。
「ちびっ子はともかく、高良はもう推薦決まってるじゃん。ほんとは自分の分なのに、強がっちゃうかがみんモエー」
 当然みさおにとっては逆効果。余計に面白がってかがみをからかい始めた。髪をひと房つまみあげて声色を変えてみせたところを見ると、
かがみの親友である泉こなたの物まねをしたつもりらしい。
「違うわよ! ていうか似てねーよ!」
 実際、激しく似ていなかった。
 そうこうしながら会計を済ませた二人は、並んでカートの中身を持参の袋に詰め始めた。徒歩のみさおはトートバッグ、自転車のかがみは
大きめのリュックサックである。
「へー、柊もマイバッグ持ってきてるんだ。意外ー」
「うちはずっと前からやってるわよ。家族多いし、安いにこした事はないもの」
 言いながらかがみは一度詰めた中身をリュックから出し、収まりよくなるように詰めなおしている。
「買い物慣れしてないかがみんモエー……あいて」
「似てないつってるでしょう、うっさいわねぇ」
 かがみチョップがこなた化したみさおの額に命中する。おどけて距離をとってみせたみさおは、その拍子にある物に気づいた。
「んぉ? なんだこりゃ?」
「何よ?」
 みさおが目を留めたのは、窓の内側に貼られた貼り紙だった。豆まきや恵方巻きといった節分の風習が写真入りで解説してある。
「ああ、そういえば明日は節分だものね。うちは14日だけど」
「へ、なんでバレンタイン? 3日じゃねーの?」
「お社の方の節分が14日なのよ。それまでは準備で節分どころじゃないわ」
 きょとんとするみさおに、かがみは人差し指を立てて解説した。彼女の家は関東最古の神社なのだ。今年は受験だってあるしね、と説明を
締めくくると、かがみはリュックのファスナーを閉じた。
「ちびっ子とか来そうだよな、巫女さんモエーとか言って……ぶっ、あはははははは!」
 懲りずにこなたのまねをしていたみさおが、不意に爆笑を始めた。怪訝に思ったかがみがリュックを背負って向き直ると、みさおは貼り紙の
ある一点を指差したまま、某同人ドラマCDの日陰の少女もかくやという勢いで笑い転げている。
「なにげらげら笑ってるのよ……なになに? 『柊鰯は鰯の匂いで鬼を遠ざけ、柊の針で鬼の目を刺すと言われています』……?」
「柊の針! 柊の針だって! 針持った柊が鬼を刺すんだ! 柊凶暴伝説ー! あははははははは!」
 衆目そっちのけでみさおは笑い続ける。一方のかがみはしばし渋面を作っていたが、こらえきれずにみさおに向けて噴火した。
「ちょっと待て! 誰が凶暴で針で刺すって!?」
「きゃー、刺されるー、凶暴柊ー♪」
 ひょいとバッグを提げて、跳ねるように店から出て行くみさお。かがみもすかさず追いかけるが、みさおが日ごろの健脚に物を言わせて
瞬く間に距離を開けてやると、根負けしたように肩をすくめた。
「明日の勉強会! あんたの家に集合だからね、忘れんなよ!」
 両手をメガホンにしてそれだけを告げると、かがみは駐輪場へ歩み去る。
「うん、分かったー! また明日なー!!」
 その背に大きく手を振りながら答えると、かがみは振り返って小さく手を振り、自転車に乗って去っていった。
68柊のはりでさす。(2/4) ◆9YoxyCDQ/E :2008/02/03(日) 23:24:22 ID:BbMH7OJg
 そして、その夜の日下部家。
「……でさあ、柊に『凶暴伝説ー』って言ってやったんだよ。そしたら柊もむきになるもんだから、もうおっかしくて。……あ、そか、もう
こんな時間か。……うん、おやすみあやの。じゃーね、また明日」
 自室で幼馴染の峰岸あやの相手の長電話を終えると、みさおは延べておいた布団にもぐりこんだ。そろそろがたがき始めた電気ストーブを
切ると、刺すような冬の空気が部屋に忍び入ってくる。彼女は温もりを逃さないように、布団の中で身体を丸めた。
 郊外の住宅地ともなれば夜は静かで、安眠を妨げるものは何もない。あっという間もなく、みさおは眠りへと落ちていった。


「……さかべ。日下部! 日下部ったら!」
 みさおの見ている夢の中。かがみの声に気がつくと、そこはなぜだか教室だった。夢特有のあやふやな感覚のせいか、教室であるという
事が分かる程度で、細かいディティールは判然としない。
「なんだよ柊、私は昼寝に忙しいんだってば」
 だってヴぁ、と聞こえそうないつもの口調でみさおは返す。
「そんなの関係ないわよ! よくもこの間は人を凶暴呼ばわり……」
 してくれたわね、とかがみが続けようとしたとき。
「でもそんなの関係ねえ! あーそんなの関係ねえ! あーそんなの関係ねえ!」
 突然かがみの妹のつかさが乱入し、どこぞの芸人よろしく左拳を振り下ろした。身に着けた白いスリングショット……俗にブラジル水着と
呼ばれるそれは、幼さを色濃く残すつかさの身体には悲しくなるほど似合っていなかったのだが。
 かがみはひとしきりこめかみを押さえると、なぜか天井からぶら下がっているロープを力いっぱい引いた。
「はい! おっぱっぴにゃああああああ!?」
 足元の床がぱくりと開き、決め台詞を放とうとしていたつかさを飲み込んで閉じる。
「……」
「……」
 二人の間を天使が通り過ぎた。和風ミニスカスパッツで空気が読めないかどうかは定かではない。
「……で、何の話だったっけ」
 毒気を抜かれたようなみさおの一言。しかしかがみは当初の勢いを取り戻すと、みさおに食って掛かった。
「それよそれ! よくも人を凶暴だの針で刺すだのヤンデレだのNice boatだの、好き勝手放題言ってくれたわね!?」
「待てよ柊、後半二つは私言ってないじゃん!」
「黙れ日下部。今日という今日は私も我慢がならないわ。ちょうど節分だし、あんたの中の鬼を徹底的に退治してあげる」
 しなやかな人差し指が、まっすぐみさおを指差す。次いで不敵に微笑むと、かがみは裁判官よろしく冷徹に告げた。
「……そうね。散々針で刺す針で刺すとからかってくれたんだもの、お望み通り『はり』で『さして』あげるわ」
「いいいいい!?」
 青ざめるみさお。たかがからかっただけで針をぶっ刺されては、とてもではないが洒落にならない。だがかがみはそんな彼女をねめつけ、
やおら着衣に手をかけて言い放つ。
「ふふ……言葉も出ないみたいね、日下部? 見せてあげるわ、あんたに『さす』『はり』は……これよっ!!」
 すぽーん、と擬音がつきそうな勢いでセーラー服が宙を舞う。一挙動で脱ぎ去られた制服の下から、半裸のかがみが現れた。大きすぎず
小さすぎず、実に絶妙なサイズの乳房を隠そうともせず、両腰に手を当てて胸を張っている。局部を覆うのは皮製と思しきハーネス、そして。
「ぺ、ぺぺ、ぺぺぺぺぺぺ!?」
 思春期の頃から兄秘蔵のエロ本をこっそり盗み見ていたみさおは、それが何であるかを正確に理解した。Tバックのハーネスの中央部、
男性であれば一物があるだろう箇所から、男性自身をかたどった木製の何かがにょっきりと生えている。
「何よ日下部、意味もなくカードでもあげたくなったの?」
「違ぇよ! そ、それ、それ、ぺに、ペニスバンドじゃん!」
 彼女が指摘した通り。かがみが身に着けているそれは、まごう事なきペニスバンドであった。だがかがみはぴしりと人差し指を立て、左右に
振りながら3回舌打ちをしてみせる。
「古式ゆかしく、張り型と呼んで欲しいわね。我が家に代々伝わる、総柊造りの由緒正しい一品よ?」
 言われてみれば、件の張り型は使い込まれた木特有の光沢に輝いている。ここまでの色つやが出るまでの歳月となると、一世紀やそこらは
軽く超えているだろう。
「代々伝わってるのかよ! てーかそれを『さす』って……」
「言ったでしょう? 『張り』で『挿す』ってね?」
 愛おしそうに張り型を撫でさするかがみ。あたかも情事の前に男性が一物を猛らせるかのようなそのしぐさは、かがみに男性自身が生えて
いるかのように生々しく見えた。
69柊のはりでさす。(3/4) ◆9YoxyCDQ/E :2008/02/03(日) 23:25:35 ID:BbMH7OJg
「い、いや、私結婚前までは清い身体でいたいから! じゃーね!」
 針路反転180度。一分の隙もない回れ右できびすを返すと、みさおはどこぞの時をかける少女ばりの俊足で一目散に逃げ出した。逃げられた
格好になったかがみは、しかしいささかも動じることなく号令を下す。
「コナッキー!」
「はーい。全国のツンデレ女子高生の皆さ〜ん」
「ミネズラー!」
「え、えっと、風邪ひいてまんねん?」
「いや峰岸、それ違う人だから……もとい! 犯ぁっておしまい!」
『アラホラサッサー!!』
 みさおが急ブレーキをかける暇もあらばこそ。行く手をふさぐように現れたこなたとあやのは、みさおを取り押さえたかと思うと制服の
上をずり上げて下着を上下とも剥ぎ取り、そのままくるくると後ろ手に縛り上げてしまった。あらわになった両の乳房にかけられた縄が、
風変わりなブラジャーのようにみさおの胸を強調している。
「さあ、観念しなさい日下部。思う存分ぶっ挿してあげるわ」
 自慢の張り型を構えるかがみに、みさおは声一つ出ない。今しもそれがみさおの中に突き込まれようかという時、あやのが声をあげた。
「柊ちゃん、柊ちゃん」
「なによ峰岸、これからが本番よ? それとも替わって欲しいの?」
 お楽しみに水を差されて不満そうなかがみに、あやのはおっとりとした口調を崩すことなく言った。
「みさちゃん、震えてるわよ? 柊ちゃんが男の子ポジションなんだから、優しくリードしてあげないと」
「そだねー。今のまんまじゃみさきちも痛いばっかりだし」
 こなたも、いつもと変わらぬお気楽さで同意する。
「それもそうね……じゃあ、まずはこの辺からかしら?」
 一瞬考え込むようなそぶりを見せたかがみは、みさおをうって変わったような優しさで抱き起こし……そのまま自らの胸の中に抱きしめた。
ふわふわとした温もりに包まれて、先ほどまでとは別の意味でみさおの言葉が失われる。収まりの悪い髪をくしけずる手つきはあくまでも
優しく、みさおは自分が縛られているのを忘れそうな気分になった。いや、きっぱりと忘れた。


 なにしろ夢の中の事である。見ている当人に忘れ去られた事柄は、存在していないに等しい。みさおを縛っていた戒めはこなたとあやの、
それに着ていた制服もろとも綺麗さっぱり消え失せ、いつの間にか彼女は生まれたままの姿でかがみの愛撫を受けていた。
「可愛いわよ、日下部……もっともっと可愛くしてあげる」
 慈愛に満ちた眼差しが、裸身のみさおに注がれる。頬に、胸に、背に、尻に、そしてみさおの大事な場所に。かがみの指先がそっと触れる
度に、みさおの隅々までが雨を注がれた草原のように潤されていった。
「ひぃらぎぃ……」
 普段より上ずった声が、かがみに呼びかける。
「なぁに?」
 返すかがみの声も、夢のように優しい。実のところ夢なのだが、みさおが気づこうはずもない。
「あのさ……あのね? こういう時くらいさ、その、名前……で、呼んで欲しいな」
 うっとりと見上げる視線の先で。かがみは笑みを深くして、みさおの願いをかなえた。
「お安い御用よ、みさお」
「ありがと、かがみ……!」
 見詰め合う二人の距離が縮まり、やがてゼロになる。長くて優しい、恋愛ドラマのようなキス。ただし空けた利き腕で、みさおの大事な
場所を撫でさすることも忘れない。みさおが息苦しさに唇を離すと、かがみは頬をひと撫でしてからみさおの乳首を口に含んだ。
「うぁ、ぁ、ひいら……かがみ、はげし、すぎる、よぉ……」
「ん、ちゅ……美味しいよ、みさおのおっぱい」
 いたずらっぽい笑みを浮かべると、かがみは右手を乳房に添え、さらに愛撫を強めた。左右の胸とみさお自身、敏感な3ヵ所を同時に愛された
みさおは、更なる愛撫をねだるかのようにかがみを抱きすくめる。
「はっ、あっ、ぁあ、ひいらぎ、きもち、いいよぉ」
「こぉら、呼び名戻ってるじゃない。かがみでしょ、み・さ・お?」
「あ、そだった……やぅっ、あーっ!!」
 呼び名を戻してしまったみさおをとがめるかのように、かがみは左手の動きを強めた。みさおにもたらされる快感もそれにつれて加速し、
みさおにスパートを強いていく。
70柊のはりでさす。(4/4) ◆9YoxyCDQ/E :2008/02/03(日) 23:26:47 ID:BbMH7OJg
「も、だめ、かがみ、わたし、そろそろ、げんかい、かも……!」
 いやいやをするように首を振りながら、みさおはかがみに訴えた。
「そう……じゃあ、そろそろ行くわね。あんたを大人に、してあげる」
 そっとみさおの両膝を開かせると、かがみは張り型をみさおの奥深くに差し入れた。破瓜の痛みに一瞬身を硬くするみさおだが、そこは
なんと言っても夢の便利さ。恐れていた痛みはなく、今までに倍する快感がみさおに訪れた。もちろん、現実ではキスさえ未経験のみさおに
とっては想像上のものでしかないが、彼女を高めるにはそれで充分だった。
「ひ、ひいら、かがみ、すごい、すごいの、なんかすごいの、きちゃう、おね、がい!」
 両手はかがみの背に、両足はかがみの腰に。全身で彼女を抱きしめると、かがみはより強い快感でみさおに応える。
「みさお、好きよ、大好き、ずっと、一緒、一緒だからね……!」
「うん、好き、わたしも、すき、だから、一緒、一緒に……!」
 みさおの身体が、激しく揺さぶられる感触。その感触が最大限に高まろうかとする刹那、待ち望んだ感覚がみさおに訪れた。彼女はあらん
限りの声を振り絞り、訪れる感覚をそのまま言葉にして放つ。


「かがみ、私、いっちゃう……うぁぁぁぁぁーっ!!」


 意識を取り戻したみさおが見たものは、見慣れた自室の天井だった。
「夢かぁ……つかなんか変な夢。よいせっと」
 むっくりと起き上がるが、妙に身体が涼しい。というか寒い。なぜだろうと首をひねると、辺りに脱ぎ散らかされたパジャマが散乱して
いるのが見えた。寝ぼけて脱いでしまったのだろう、と結論付けたみさおは着衣を拾おうと全裸のまま布団を出て、自室に自分以外の人影が
あるのを認識した。

 人影その一。顔面を蒼白にして腰を抜かし、足先の動きだけで出口への後退を試みる柊かがみ。
 人影その二。キャパシティを超えた事態の到来に思考を停止させ、口をあんぐりと開け放って「sneg?」と繰り返す泉こなた。
 人影その三。いつも通りの笑顔でたたずんでいるように見えるが、笑顔のまま固まって延々と「SEVENTH MOON」を口ずさむ峰岸あやの。

「あ……れぇ?」
 不審に思ったみさおが出たばかりの布団を振り返ると、超特大のしみがくっきりとシーツについている。はっとして自分の大事な場所を
見やると、そこは愛液でてらてらと濡れ光っていた。


 ……まるで、「たった今オナニーで達した」ばかりのように。


「あ、あのさぁ?」
 引きつった笑顔でみさおが声をかける。すると。
「だだだだ、だめよ日下部! 私たち女同士だしこういうのは間違ってると思うの! ていうか1000万歩譲って最初は交換日記からにして!」
「それなんてエロゲ? これなんてエロゲ? ていうか私、エロゲの国に迷い込んじゃったの? フラグはどこ、セーブはいつできるの?
助けて知得留先生、もしくはタイガー道場ー!?」
「おしーえーてくれせぶんすむーん♪ このむーねのもやもやをっをー♪ おれをどーこへとーつれてゆくのかー♪」
 混乱の限界値に達したかがみたちは、三者三様のパニックを起こしながら転がるように部屋を出て行ってしまった。
 あとに取り残されたのは、全裸のみさおただ一人。
「もぉぉ〜、朝っぱらからなんなんだよぉ〜!? ……へきしっ!」
 くしゃみを一発放つと、みさおは混乱もそのままに着衣をかき集めた。ぐしょ濡れで使い物にならないショーツは諦め、たんすから新しい
ブラとショーツを取り出して身に着ける。

 実のところ。昨日の夕方かがみと交わした約束か、枕元で未読メールと不在着信を溜め込んでいる携帯電話、どちらか一方にでもみさおが
気づいたなら、状況の正確な把握にも役立ったろうが……ぐしょ濡れの布団にも戻れず、はんてんを羽織って電気ストーブが温まるのを待つ
みさおがそれに気づくのは、もう少しあとの事になりそうだった。

(どっとはらい)
71尼野録 拾七 ◆9YoxyCDQ/E :2008/02/03(日) 23:28:06 ID:BbMH7OJg
……はい、お目汚しでした。
投下もずいぶん久しぶりでしたので、至らないところもあるかと思いますが、ご笑覧いただければ幸いです。

では、風呂入って寝ます。おお、寒い寒い(自爆
72名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 23:38:41 ID:hnXWQHdf
>>71
GJ!!!
みさお可愛いよみさお
名前で呼んでのシーンがツボったw
73名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 23:49:34 ID:znFGs60c
>>71
なんだ、その、ほら……gj!!!1


みさおかわいいよみさおwwww
74名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 00:08:24 ID:jnVNb1RF
信じられるかい・・・
これ、昨日の11時に建ったスレなんだぜ?
もうレス70台後半達してるスレとは思えないだろ?

ったく・・・なんつー勢いだこのスレ・・・
そして一言・・・









かがみーーん!私の処女も奪ってーーーー(〒ω〒.)
え?かがみんの処女?もう奪ってますよ?

・・・私の恵方巻きで(=ω=.)b
75名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 00:12:22 ID:VPv2sQwE
新スレになってもすまない……


白石の一人称ってなんだっけ?
76名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 00:12:30 ID:8oXtVcqC
>>71
これはGJなのですぜ。
エロと、テンポのいいギャグを書ける人ってうらやましいわけで。
まさかここにペペペマンが現れるとはw


それにしても、かがみ達の性欲(夢の中含む)に限界はあるのか。そして別の話だが、
それぞれ1日(2月3日0時〜24時)に20回もされてしまったこなたとひよりん(こなたは
加えて、前日にも18回ほどされている)の運命は!?
77名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 00:22:25 ID:5PXP+awz
>>75
基本「僕」か「俺」
どちらにするかは書く人によるらしい。
(自分が書くときは僕にしてるが、他の人は俺が多い。)
あきら様に対しては僕、ただラジオをやってると俺になることがある。
21話で覚醒したときは
「ワシももうすぐ30やっちゅーねん」と言ってるが…
保管庫も参照すると良いと思うよ。
ただ、このスレでの白石、あきら様の登場率は異常(に低い)

長文ですみません
78名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 00:22:38 ID:tdjMSNrE
>>75
みのる的には〜
79名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 00:25:52 ID:2GASh/jt
>>71
GJです!
これはいいみさおww

>>75
多分「俺」で、あきら様の前では「僕」とか「自分」……だと思う
書き手によって変わってるんだよなあ、白石の一人称って
まあそれはそれでありなんだけど
80名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 00:49:05 ID:CvywLTOi
>>53
まさか「ひよりん☆ブレイク!」ではあるまいな
81名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 00:50:58 ID:CvywLTOi
って安価間違えたアッー!
>>63へのレスですorz
82名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 00:59:55 ID:ovlKbPRi
投下〜、よろしいでしょうか〜?
83名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 01:00:59 ID:+gsDYfbe
かむかむ
8414-319:2008/02/04(月) 01:05:58 ID:ovlKbPRi
はい、それでは行きます

注意〜
かがみ&つかさ
6〜7レス
非エロ
前回、「頼り」の続き

こんなもんです
85違い:2008/02/04(月) 01:07:47 ID:ovlKbPRi
<nanakon> : おい、泉
<konakona> : あ、もうそろそろ落ちる時間ですね
<nanakon> : 落ちる前に言っとくけどな
<konakona> : 宿題ですよね?ちゃんとやりましたよ
 もちろん、宿題はやっていない。

<nanakon> : 最近はちゃんと提出してるからそっちはもう心配いらんけどな
<nanakon> : 授業中の居眠りだけや
<konakona> : 今日は徹夜するつもりはありませんよ〜
<nanakon> : ほんまかぁ?信用ならへんけどな
<konakona> : そ、それじゃもし私が寝たならばその時は叩いてもおkですよ
<nanakon> : じゃ、そん時は遠慮せずに行くな
<konakona> : 寝ることはないと思うので覚えておかなくてもおkですけどね

<nanakon> : んじゃ泉、また明日な
<konakona> : ばいに〜ノシ
<Game Master>: 【nanakon】がログアウトしました。

 今日はほどほどにするか……。

―――

「おねーちゃん、朝だよ〜。えっと、早く起きなきゃ……」
 ん〜……今日はゆーちゃんが直々に起こしに来るほどなにかあったっけ?
「お弁当作る時間がなくなっちゃうよぉ?」
 あっ、そうだ。今日は私の番だった。
86違い:2008/02/04(月) 01:09:55 ID:ovlKbPRi
 というのも、ゆーちゃんが来てから交代でお弁当を作るようになったからだ。
 料理のバランスはかがみとつかさのよりとれてるだろう。
 悪いけどゆーちゃんのお弁当は最初、かがみぐらいだったのがこのごろとても上手くなって、私の腕に近づいてきている。
 しかし、いつもかがみたちのお弁当の中身を見ているけど、かがみの料理の腕は昔も今も余り変わっていなかった。
 ま、それより……、
「きゃっ!!」
 がばっと突然起き上がったから驚いたみたい。
 えっと、まぁ誰でもこんな状況下で急に起きられたら驚くだろうね。
「ごめんごめん。忘れてたよ。ありがと、ゆーちゃん」
「ふぅ……びっくりしたぁ。それとおはよ、お姉ちゃん」
 私もおはよう、と朝の挨拶を返す。

 ゆーちゃんと二人でリビングへ行くとお父さんが既に起きていて、朝食の準備をしてくれていた。
 普段あれなお父さんだけど、こんな時お父さん結構役に立つよねぇ。
「おう、二人共おはよう。もう朝食が出来てるぞ」
 朝食と言ってもジャムトーストと牛乳ぐらいだけ。

 にしても最近のゆーちゃんは牛乳をよく飲むようになった。
 なぜかと聞いてみたらやっぱみなみちゃんみたいになりたいかららしい。
 身長が高いことよりも今の方が十分可愛いよ。と言っても全然聞いてくれなかった。もったいない。
 低身長は希少価値なのに。
 でも私達と付き合う人はロリ○ンに見られてしまうもろはのつるぎ。素人にはオススメ出来ない。
 その前に兄妹に見られそうだけどね。年がそんなに離れてなければ。いや、それでもダメだね。
87違い:2008/02/04(月) 01:11:59 ID:ovlKbPRi
「ごちそうさま〜」と言った後は昼の弁当を作る時間。
「あっ、そうだ。ゆーちゃん、今日は好きな物入れてあげよっか?」
「えっ、いいの?ありがと、お姉ちゃん」
「いやいや、可愛いゆーちゃんのためだからね」
 極上のゆーちゃんスマイルを眺めながら作る準備に取り掛かる。

「お姉ちゃんみたいになりたいなぁ……」
 これは……ゆい姉さんのことじゃなくて私のことかな?
 じゃ、私みたいって……この性格でこの中身に?
 ……そうかそうか、姉である私が直々に――
「優しくて料理が上手くなりたいな…」
 あ、そっちの意味ね……
「ゆーちゃんはいまのままでも十分優しいし、料理も上手いよ」
 少なくともかがみんよりも上手い。
「えっ、そうかな?」
「私が言うんだから自信持っていいよ」
「それでも……」
「それよりさ、お昼のお楽しみ出来たよ」
「さすが、お姉ちゃん。はやいね」
「私なんてまだまだ。とりあえず早めに学校行く準備した方がいいんじゃない?」
「うん、そうだね」

 私とゆーちゃんはそれぞれの部屋に戻り準備を整える。
 部屋でくつろいでるとゆーちゃんの「いってきま〜す」という声が壁越しに元気よく伝わってきた。
 お父さんの声もそれに続いてきた。

「あっ、お姉ちゃん、お弁当玄関の靴箱の上に置いておくね」
 ゆーちゃんは私の部屋のドアを開けたかと思うとそれだけを伝えて閉めた。
 うん、分かった。と言う暇もなかったし、気をつけてねも言えなかった。
 早すぎっていうレベルじゃねーぞ。もうちょっとゆっくりして行けばいいのに。
 この行動もみなみちゃんを見習ってるのかな……?
88違い:2008/02/04(月) 01:13:57 ID:ovlKbPRi
 とりあえず今日もギリギリの時間まで待とうか。
 そして学校行って、宿題見せてもらって、提出して、普通に授業を受ける。寝ないように。
 計画と言えるものじゃないけど計画は完璧。何も穴はない。あった場合は……。
 なんとかなるよ。うん、なんとかなるね。と言い聞かす。

「こなたー!そろそろ行った方がいいと思うぞー!」
「はーい!分かってるよー!」
 実はと言うと分かっていなかった。いやぁ、時は経つのは早いもんですねぇ。
 ま、しょうがない。これも運命だ。
「いってきまーす!」
「おう!いってらっしゃい!」
 ゆーちゃんが置いてくれた玄関の弁当箱をカバンに入れ、靴を履いて外に出た。

 のんびり出来るのはいんだけどなんか一人で登校してるのはつまんないんだよなぁ……。
 でもま、自分で決めたことだし文句はないんだけどね。
 それに色々考え事してたらもう学校が目の前だなんてにちじょうちゃはんじだし。
 しかし、今一番気になってるのはかがみのことなんだよなぁ……今日には来るかな?
 突っ込み役がいないと無限ループがそのうち起こりそうで怖い。
 私がしてもいいんだけどつまんないし。かがみが一番の適役だよ。

 超スピードとか催眠術とかそんなレベルじゃないけど学校に着いていた。
 まだ鐘の音も全く聴こえなかったし余裕を持って教室にゴール!旗も花火もないけど。
89違い:2008/02/04(月) 01:15:04 ID:ovlKbPRi
 教室に入って最初に目に入ったのはつかさとみゆきさんの二人がつかさの席の周りで話していた所だった。
 どんな天然会話、フォローとボケのエンドレスをしてるのかなぁと気になったけれど
 カバンを自分の席に置いたらチャイムが鳴ってしまった。
 こういうときどんな事話していたのか気になったら止まらないよね。
 この事をかがみに聞いたらどう返してくるんだろう。あるある?ねーよ?それともどうでもいい?
 直接かがみに聞いて見なきゃわかんないけどね。

 やがてHRも始まり、その内容も耳に入らぬうちに終わってなぜか先生がこちらに向かって来ていた。
「泉」
「なんですか?」
「昨日も言ったけどな、居眠りしたらあかんで」
「大丈夫、昨日はそのためにすぐに寝ましたよ」
「ま、いい。寝たとしてもきっついおしおきが待っとるんやからな」
 そう言い残し、先生は職員室に向かって廊下に出て行った。
 そして、先生と入れ替わりにつかさとみゆきさんがやってきた。

「こなちゃんおはよー」
「泉さん、おはようございます」
「二人共久しぶり」
「えっと……久しぶりですか?」
「久しぶりだっけ…?」
「うん、久しぶりだよ。数週間も来てなかったからね」
「え……でも先週もいたよね?」
「えっと、なんていうか……先週まで来てたのは実は私の姉だったんだよ。で、今ここにいるのは妹の方。」
「へぇ〜、こなちゃんって双子だったんだぁ……このほくろとか目つきとか、この髪のあれまで一緒なんだね」
 アホ毛のことかぁーっ!
「そうですね……というよりそのまんまですね」
 なんでこの二人はここまで信じるんだァーッ!?
 この前、冗談を―(中略)―難しいって言ったのに。
「あ……あの、二人とも、嘘だからね?」
 誰かほんとに突っ込み役呼んでーっ!!

「うぃ〜っす」
「セバスチャンには興味ありません」
「ぉぅぁっ!?」
 いや、ほんとにセバスチャンには興味ないから。
90違い:2008/02/04(月) 01:16:16 ID:ovlKbPRi
「なんだ……そうなんだ……」
 なんでそんなに落ち込む必要があるんだろう……親近感が沸いたからかな?
「でも泉さんらしいですね。このような冗談は」
 あれっ、みゆきさん――もしかして分かってましたか?
「ま、いいや。改めて二人共おはよう」
「うん、おはよう」
「おはようございます」

「えっとさ、さっき黒井先生と何話してたの?」
「んとね、『今日授業中に居眠りしおったらボッコボコにしてしばいたる』って言われたよ」
「えっ!?こなちゃん大丈夫?」
「いや、まだやられてないから………というかもう決定事項に聞こえるんだけど……」
「でも、寝ないように気をつけてくださいね。泉さん」
「うん、大丈夫だよ。それより、かがみんは今日も来ないね」
 かがみの名前を口に出した時、つかさの表情が一瞬曇った。
「……うん、お姉ちゃんまだこっちに来れないみたい。ごめんね」
「いや、つかさが謝ることじゃないよ。それより――」
 と、言葉の途中でチャイムに遮られた。
 ……チャイム、空気嫁。

「授業が始まってしまいますね。では、これで」
「うん、じゃあまた後でね」
「じゃね〜」
 はぁ……宿題が……。
 でも、冗談かまして時間喰ってた自分が悪いんだけどね。
 まだ午前中だし、全然余裕があるけどね。次の休み時間にでも。
 それに、かがみが何をしてるかも少し気になるし、確かめるついでに答えを見せてもらおうかな。
91違い:2008/02/04(月) 01:17:21 ID:ovlKbPRi

―――

 ふぅ……。久しぶりに、そしてまともに授業受けたからなんだか疲れたなぁ…。
 でも、今日は寝ないって先生と約束したから、意地でも目を開けとかなきゃ。

 とりあえず、早めに宿題見せて貰いに行こっと。
「あっ、ちょっと待って!」

 …あれ?誰か呼んでた?まぁいいや。
「やっほ〜、かがみ〜ん!」
 そう呼んだらつかさと似ても似つかない双子の姉、かがみが振り向いた。
92名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 01:18:42 ID:ovlKbPRi
今回はこれで。
次回から急展開?でもないけどこれでギャグにもならないギャグパートはおしまいだと思います

ありがとうございました
934-243 ◆X9xLTlcDnY :2008/02/04(月) 01:46:31 ID:xhHtYnaB
コソーリ (´・ω・)っ >>71

【※ペニバンかがみ注意】
http://www.geocities.jp/extream_noise/rakisutaep/img/peniban.jpg

>>92
ジョジョとか2chとか吉野家とか、さりげなく混ざってるひと言でいろいろツボたw
944-243 ◆X9xLTlcDnY :2008/02/04(月) 01:50:27 ID:xhHtYnaB
あ、というより線画のみでゴメンナサイ
月曜日の憂鬱からの逃避もここまでぽい(´・ω・`)ノシ
95名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 02:10:51 ID:UROhHiNV
>>93
もうねwwwwwwwまったくおまいはwwwwwwwwwwwww
おやすみなさいwwwwwwwww
96名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 02:12:51 ID:BApp6/Sc
>>93
今日だけで何枚描いたんだ貴方はw
真似できんww
97名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 02:22:24 ID:geDzmsm7
PS2のプレイ動画やこのスレを見てると、らき☆すたって今まで読んだ4コマとは異質だと思う。
元がおとなしいから設定をいじりやすいし、ぶっ飛んだ設定でも話によっては違和感がなくなる。
これに近いのは某童顔幼児体型の27歳国語教師のマンガしか知らん。

今更だがなw
98名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 02:26:35 ID:n0a7Qd44
それでもやっぱり原作準拠、原作ありきの二次のほうが
一番好きだっていうのはオレだけだろうか…
99名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 02:38:50 ID:BHMaktB8
原作至上のまま進めると面白くなく、しかし原作をないがしろにすると二次創作として意味がない。
難しいところだなぁ。
100名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 02:39:10 ID:u+5jZ6ay
またパラレル批判か
101名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 02:41:08 ID:IPtWbOya
ぱに☆ぽに
102名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 02:43:40 ID:y5ogqkHb
男と絡むこなた達は違和感ありまくりだっぜ、という俺は百合厨
それはともかく
たしかにらき☆すたは創作やりやすいけど
やっぱりそれは話を深く読み込んだ上でのことじゃないかな
唐突な設定ほどちゃんと作品を把握しないといけないから逆に難しいだろうな
103名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 02:50:02 ID:sv6YdJMF
既存キャラを踏襲して別の世界観で描くってのも個人的には好きなんだけどなぁ
まぁ個人差があるからとやかく言ってもね

……と、36スレ目にもなるとこの流れも天丼だよな
結局いきつくのは「駄目な作品はスルー」「作者は注意書きをしっかり」ぐらいに行き着くわけだし
104名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 02:52:20 ID:UROhHiNV
俺は逆に、
パラレル、男、TS、ファンタジー、どんとこい派だな。
上手く作ってくれる分には、なんも文句はあらへん。
ただ・・・








原作のキャラ設定、背景設定はちゃんと把握し、
それをしっかり踏襲しないと全く認めないけどな。
それサボると、「そもそもらき☆すたでやる意味あるの?」
ってなるからな。
くれぐれもそこらへんはずさんように・・・。
105名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 02:59:45 ID:geDzmsm7
いじればいじるほど話の書き方が難しくなる・・・
まるでレーシングカーだな
106名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 03:01:07 ID:u+5jZ6ay
原作が非エロなんだからエロパロ板の時点で大分パラレルな気もするんだが・・・
107名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 03:16:08 ID:n0a7Qd44
まあ単に原作の重箱の隅をつついているような作品が好きなだけなんよ
創作意欲が沸くっていうかより原作が楽しめるっていうか

実際パラレルだろうがなんだろがどんと来いだ(二つの意味的に
あんまり完成度が高いとその才能に嫉妬してしまうがな…
108名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 03:18:50 ID:+gsDYfbe
>>105
しかしちゃんと書けば、そこには面白い作品がある
そう言う点を踏まえてもレーシングカーって例えは言い得て妙だなw
109名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 03:20:10 ID:u+5jZ6ay
まぁでもさすがにぶーわ氏ぐらいまでいくとやりすぎじゃないかとは思うな・・・
人気の理由がいまいち分からん
110名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 03:37:30 ID:H50o02A6
らきすた原作はキャラの設定資料集だという発言を聞いたことがあるが、
最近納得できるようになった。
111名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 03:39:39 ID:geDzmsm7
強いて言うならここは東京オートサロンか?w
112名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 03:42:39 ID:geDzmsm7
と書いてモニター前でしたり顔をする俺
113名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 03:48:03 ID:dRiuShns
>>110
思わず同意した俺w
114名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 04:23:55 ID:9MYiecLg
次の誕生日は、黒いセンセーの2月8日か。
たった4日間しかないし、なんとかわすレズにすみそうだ。
個人的に、くろこなは雰囲気が好きなので誕生日SSにwktkしてる。 
 
・・・ん?だがしかし、あと4日後には黒い先生も年とるんだよな・・・
売れ残
115名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 05:04:50 ID:5PXP+awz
そんなに原作にでていないキャラを書いてる自分が
ここにいなくても良いような気がしてきた。
116名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 05:05:48 ID:H50o02A6
>>114
>たった4日間しかないし、なんとかわすレズにすみそうだ。
何と交わすレズに済みそうだ
とか読んでしまって????となった。
117名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 05:37:51 ID:aJXW1j22
>>115
最低限のルールを守ればある程度は何を書いても良いと思うんです。
「気に入らない人・作品等はスルーで」とありますし、読み手は取捨選択できるわけですから。
まぁあまりにも批判が相次ぐとかならアレですが、ここの住人&職人さん達は
大人な人だし、文章も上手い人ばかりなので、心配はあまりしていませんけどね。
住民にウケるために、票を多く取るために書くようになるのが一番いけないことだと思います。
やっぱり書いてる本人が楽しいと思うことが重要じゃないでしょうか。
その結果、読み手も楽しめる作品なら尚いいんですけどね。
僕は「自分の作品の一番のファンは自分」だと思ってます。あまり人気ないですからw
でもその反面、たまに得票してたり、コメントがあったりするとすごく嬉しくなるんですよね。
それで、また書こうって気になります。だから書くのってやめられないですね。

…早起きしたせいで寝ぼけてるのか変な長文打ってしまった…はぁ、仕事しろよ俺…。

>>80
「ストライク」のほうですよ。まぁ全部読んだんですけどw
あれだけ雰囲気違いますね。やはり必要なのは愛だよ、愛d(≡ω≡.
118名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 07:33:20 ID:tdjMSNrE
らきすたは
原作>>>(超えられない壁)>>>アニメ
だと思ってる
119名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 09:12:30 ID:IPtWbOya
投下された作品を見てどう評価するかは読者の自由だが、例え「正直これどうよ…」みたいな感想を持ったとしてもそれを素直に書き込んじゃうのはアレだと思う。
「この表現おかしい!」とか「言葉づかいが微妙」とかならまだしも、ジャンルとなると完全に個人の趣味の問題だし。

このまんまの雰囲気だと、「このスレは投下してもアレは良いコレはやだとか言われるから、投下したくないな」って書き手さんは多かれ少なかれ出てくると思うんだ。

…朝っぱらから何を言いたかったんだ自分は…orz
長文ごめん
120名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 09:54:05 ID:29A60qnf
ところで、PS2の桜籐祭って季節的にはいつ頃の話だっけ?
既読スキップ多様してたせいで記憶が曖昧3p
場合によっては今書いてるSSがボツってしまうんだぜ('A`)
121名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 10:11:44 ID:pb81MHt9
3年秋の話かな。
アニメのチアとパラレルな気がする。
122名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 10:13:53 ID:UwuEqbnz
>>120

確か秋、少し寒くなってくる時期のはず。10月ぐらいかな?
123121:2008/02/04(月) 10:22:46 ID:bdQUiARo
すまん、色々間違えてあげてるorz
124名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 13:25:56 ID:80WuiO8I
奇妙な安価の仕方だな
125名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 14:15:23 ID:ia6xxWLp
ゲームとアニメはパラレルワールドだろうな。
アニメだとこなたのクラスは占い師、かがみのクラスはお化け屋敷だったわけだし。
126名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 14:17:24 ID:RKXgDr+I
>>118が余計。人それぞれ十人十色。
127名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 15:23:07 ID:m+Y6sMBn
俺としてはこなた達が高校卒業を区切りにそれぞれの大学生活書いてみたいな…らき☆すたのその後みたいなSS
128名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 17:56:29 ID:VysEWDUH
パティ×ひよりの非エロ投下します。
「ふぬぬぬぬぬ……」
 昼休みの教室。田村ひよりは弁当も食べずに奇っ怪なうめき声を上げていた。本来手に持つはずの鉛筆を煙草のようにくわえ、腕組みをし、気むずかしげな表情で机の上のメモ帳を睨み付けている。
「田村さん、また漫画のネタ出し?」
 一見この上なく近寄りがたい雰囲気のひよりに、ゆたかは屈託無く声をかけた。こういう状態のひよりには慣れっこである。
「うん、まあね……」
 ひよりは苦虫を噛みつぶしたような顔で答える。実際に噛んでいるのは鉛筆のお尻なわけだが。
「なかなかネタが出なくてねー……まあ、いつものことっちゃあ、いつものことなんだけど」
「それはいけませんネー」
 どこからともなく間に入ってきたパティが会話に加わる。
「ヒヨリ。そんな時はうつむいて考えこんでいるよリ、ナニか別のことをやってみるですヨ」
「別のことって?」
「ここは私に任せておくでス」
「え、ちょ、ちょっとどこへ?」
 パティはひよりの襟を掴んで、ずるずると引きずるように教室の外へ連れ出していく。ゆたかはそんな二人を唖然と見送っていた。

「古来よりネタというのは思いがけないところから生まれるものでス。一意専心して集中すればいいというものではないのでス。ヒヨリにとってはチャカに鉄砲かもですガ」
「それを言うなら釈迦に説法ね。言いたいことは分かったけど、具体的にどうするの?」
「ですかラ、テキトーにぶらぶらしてネタになりそうなことを探すですヨ」
「要するにただの校内散策?」
「ここは粋に『校内デート』と言いましょウ」
「デートて……粋って言葉を使いたいだけでしょそれ」
「細かいことは気にしな〜イ♪ ところでヒヨリ。今度の本はエロスありですカ?」
「なっ……いきなり何?」
「それがあるかないかデ、考えるネタの方向性も変わってくるでス」
「えっと……まあ、その、あっても困らないけど……むしろあると、良い……かな?」
「ありですネ。それじゃあ体育倉庫や社会科資料室あたりを回ってみますカ。ひょっとしたら若さ故の過ちを現在進行形な人達ガ……」
「いや、いないでしょ。いたらむしろ困るし」
「先客がいないのでしたラ、かえって好都合――」
「は?」
「なーんて冗談ですヨ。それでは行きましょウ」
「……ま、いっか。やれるだけのことはやってみるわ」
「OK. Mission Start!」
 こうして、ひよりとパティのぶらりネタ探しが始まったのだった……。
◇Mission01 3年B組教室

 今日も今日とて、いつも通りなお昼休み。こなた達四人は一緒にお弁当を食べていた。
「今日も元気だコロネが美味い!」
 などと言いながら、こなたはコロネのお尻――つかさ的には頭の方――を囓っている。
「こなちゃん、お昼にチョココロネ久しぶりだね」
「うん。三年になってからお弁当の割合増えたしね」
「そういえばそれって何で?」
「ゆーちゃんが来てから、姉としてのプレッシャーというかプライドというか、そのへん絡みの問題で」
「ふーん……?」
 つかさはよく分かってない顔をしていたが、とりあえず納得した様子で頷いた。
「お陰で朝起きる時間が早くなっちゃったけどね」
「早起きは三文の徳と言いますし、それは良い傾向なのではないでしょうか」
「うーん、確かにそうなんだけど……」
 みゆきの言葉に、こなたは頬を掻いてから、ふと疑問を口にする。
「そういやそのことわざを聞くたび思うんだけど、三文って具体的にどれくらい?」
「ハッキリと現在の貨幣価値に換算するのは難しいですね。参考として、落語の『時そば』ではお蕎麦一杯が十六文とされています」
「それなら三文はお蕎麦の大体五分の一くらいだね」
「そうですね。でも三文という言葉はお金の値としてより、とても安い、あまり価値の無い、などの意味で使われることが多いです」
「へえ……確かに三文ってそういう使われ方されるのが多いね。二束三文とか三文小説とか三文文士とか」
「そうですね」
「でもそうなると、さっきのことわざが『早起きしてもそれほど得じゃない』って意味にならない?」
「た、確かにそうも捉えられますね……」
 それなりにオチが付いたところでこの話は締めて、四人はお弁当の続きに取り掛かる。

 ひよりとパティは、廊下から指向性集音マイクを使ってこなた達の会話に耳を立てている。
「うーむ……さすが先輩方。非常にまったりした会話を繰り広げておられる」
「世の中、本筋以外のことを気にする人が多いですかラ、どーでもいい話のが人気を取れるでス。絶望しタ! 本筋以外が気になる国民性に絶望しタ!」
「……ところで私としては学校に集音マイクとか持ち込んでいるパティが激しく謎なんですが」
「備えあればグレイ無しでス。いつなんどき宇宙人の襲来みたいな非常事態があるとは限りませんかラ」
「備えあれば憂い無し、ね。宇宙人相手に集音マイクが何の……そもそもこれ盗聴――」
「芸術に犠牲は付きものでス!」
「……まあそれはともかく。どうでもいい会話を観察してるだけじゃ、ネタには――」
「待ったヒヨリ。話の風向きが変わってきてまス」
「かがみ。さっきから元気なくない?」
 さっきから一言も喋っていないかがみに、こなたが声をかける。
「え……別にそんなことないわよ」
 すぐに否定するかがみだか、嘘だというのはすぐに分かった。さっきからお弁当にあまり箸を付けていないのだ。
「お姉ちゃん、どうしたの? 何か嫌いなの入ってた?」
「子供じゃないんだから、そんな理由じゃないわよ」
 そう言って箸を置くかがみに向かって、こなたがぐいと身を乗り出した。
「じゃあどして? かがみがお弁当食べないなんて……」
 本気で心配そうな顔をしているこなたに、かがみはつい目をそらす。
「な、何よ。別にご飯を食べてないくらいでそんな顔しなくても――」
「そんなことないよ!」
 強い口調で遮ぎられ、かがみは目を丸くする。が、
「かがみと言えば飯! 飯と言えばかがみ! そのかがみが――」
「人を食欲魔人みたいに言うな!」
 やはりボケと突っ込みの流れだった。
「別に大したことじゃないわよ。ちょっと今日はたまたまお腹が空いてないってだけで――」
 その時。きゅぅ〜〜……と、可愛らしい音が、漫画みたいなタイミングで鳴った。もちろんかがみのお腹から。
「……!」
 顔を真っ赤にしてうつむくかがみ。それをニマニマ笑って見ているこなた。
「かがみ……ダイエット?」
「わ、悪かったわね!」
「誰も悪いなんて言ってないじゃん」
「お姉ちゃん、また体重増えたの?」
 また、という単語にこめかみを震わせたかがみだが、努めて平常心を装う。
「ええ、そうよ。増えたわ」
「具体的にはどれくらい?」
 グラム単位の増減でもいちいち気にするかがみのことである。こなたは軽い気持ちで聞いたのだが、
「……――」
 ボソボソとかがみが告げた数値を聞いた途端、売られていく仔牛を見るような目になった。
「何でまたそんなに?」
「それが……これという原因は思いつかないのよ」
 かがみは困惑した様子でそう答える。
「ちょっとした細かい原因なら、いくつかあったかもしれないんだけど」
「……その細かいいくつかがズバリ原因でしょ。一つ一つは小さく非力でも、積み重なって力を合わせることでかがみの体重を増やすことに成功したんだよ。全米が泣いた」
「泣きたいのは私だっつの」
 かがみは深々とため息をついた。

「失念していた……かがみ先輩にはダイエットキャラという立ち位置があったんだ。これは美味しい」
「ことさら体重を気にするのはあれですネ、好きな人の前ではキレイでいたいという乙女心……」
「それだ! 過剰なダイエットのせいで倒れたかがみ先輩。そしてそれを介抱する泉先輩。かがみ先輩が必死に減量をしていたのは泉先輩に嫌われたくないから……
 そこで泉先輩の決め台詞! 『太ってるとか痩せてるとか関係ない。私はありのままのかがみが好きなんだよ!』」
「そしてMake loveですネ!」
 ひよりの方も変なテンションになってきた。思いついたネタをメモ帳に走り書きし、集音マイクを拳銃よろしくポケットに収め、立ち上がる。
「次のポイントへ向かおう!」
「ノってきましたね〜ヒヨリ」
「まあね。……にしても、最近の私はとことん百合思考だなぁ」
「それが世界の選択なのでス」
「ずいぶん偏った世界で」
◇Mission02 保健室

「おーす。邪魔するぞ」
 気怠げに声をかけながら、桜庭ひかるは保健室の戸を開けた。
「桜庭先生、またサボタージュですか」
「おいおい。今は昼休みなんだから、サボりにはならんだろう。ちょっと休みに来ただけだ」
「ここは休憩室じゃないんですよ。まったくもう……」
 養護教諭の天原ふゆきは、そう言いながらも手は二人分の紅茶を用意している。
「どうぞ」
「うむ」
 椅子に座ったひかるは、入れ立ての紅茶をちびちびすする。ふゆきも向かい合って腰掛け、ティーカップを傾ける。
「ふゆきのお茶は、相変わらず美味いな」
「どうも」
「良かったら毎日、私のためにお茶を入れてくれないか?」
「今だって毎日のように飲んでるじゃないですか」
「いや、一応プロポーズのつもりだったんだが。遠回しなのは好みじゃないか」
「今さら遠回しも何もないでしょう。何回目だと思ってるんですか」
 ため息まじりのふゆきだが、口元には少しだけ笑みが浮いていた。

 ひよりとパティは廊下から集音マイクを使い、保健室内の様子に聞き耳を立てていた。
「あの二人は何というか、ナチュラルにつがいっぽいよね」
「ですネー。ヒヨリはどっちが受けと思いますカ?」
「んー……やっぱり天原先生が受けかな。化学教師+白衣ってのはいかにも攻めっぽいしね。試験管挟む木の洗濯バサミみたいなので色んなとこ挟んだり」
「そうですカ……私は医療関係者はすべからくドS攻めであるべきと思うのですガ」
「うん、確かに。それも分からないではない。……『すべからく』とか、難しい日本語もちゃんと勉強してるんだ。偉いねパティ」
「もちのろんでス。日本生まれのコンテンツを骨の髄まで楽しむためにハ、正しい日本語の習得は必須でス」
「ラノベなんかでも漢語や凝った言い回し多いからね……おっと、中で動きが――」

「今日は給料日だから、久々に飲みに行かないか?」
 ひかるが空のカップを酒杯に見立てて傾ける。しかしふゆきは困惑したように眉をひそめた。
「行くのはいいですけど……またこの前みたいなことになったら――」
「ああ。あの時は悪かった。しかしまあ……お互いあれが初めての経験ってわけじゃないんだし」
「そういう問題じゃありません。いくら飲み過ぎたといえ、教職の身であんな……」
 明らかな恥じらいを見せ、ふゆきは口をつぐんだ。

「二人でお酒を飲みに行って、飲み過ぎた末の教職にあるまじき振る舞い……!」
「これの意味するところは一つですネ!」
 別に一つに限定する必要はないのだが、今の二人にとってはそうなのだ。
「ついつい飲み過ぎて酔っぱらった天原先生は、同じく酔った桜庭先生に誘われるままホテルの中へ……ううむ、アダルトな雰囲気になりそうだ。その手のホテルの部屋って実際に見たことないんだけど……」
「今度取材に行ってみますカ?」
「いやさすがにそれは。人に見られたらまずそうだし」
 ひよりはメモ帳への走り書きを終え、ペンとマイクをポケットに収める。
「よし! 行こう」
「Yes ma'am!」

 ちなみにふゆきの言う「この前みたいなこと」とは、飲み過ぎたため翌日二人揃って強烈な二日酔いになったというだけのことである。
 それを知ることなく、ひよりとパティは去っていった。想像の翼を大空いっぱいに広げすぎた腐女子にとって、事実など古新聞程度の価値しかないのだ。
◇Mission03 1年D組教室

 じきに昼休みも終わりである。ひよりとパティは散策(というかほとんど明確な作戦行動)を終え、自分達の教室に戻ってきた。
「田村さん、パティちゃん。おかえり」
「うおっまぶし!」
「え?」
 汚れを知らぬ天使のように無垢なゆたかの笑顔は、汚れた妄想にどっぷり浸かってきたひよりにとってあまりに眩しすぎた。
 いきなり奇声を上げて目を閉じ身をよじるひよりに、ゆたかとその隣にいたみなみは戸惑っている。
「あの、田村さん……?」
「あ、ごめん、つい……小早川さんの笑顔があまりに眩しかったもんだから」
「え……ど、どうしたの急にそんなこと」
 思いがけないことを言われて、ゆたかは少しだけ照れて顔を赤らめる。
 その時である。ゆたかの傍らにいたみなみの表情が微細な変化を見せた。時間にしてコンマ数秒も無かったが、ひよりは見逃さなかった。
(今の岩崎さん……ちょっとムッとしてた? 私の台詞で小早川さんが照れて……もしかして……ジェラシー、とか?)
 まさかそんなことはないだろう。たまたま一瞬、そんな風に見えないこともない表情になっていたというだけだろう。ひよりも理性でそれは分かっている。
 だがしかし、妄想を司るのは理性ではない。オタクとしての、腐女子としての、そして同人作家としての本能だ。
(他の女の子から色目を使われ、気の弱い小早川さんはついなびきかけてしまう。岩崎さんはそんな小早川さんを許せず、お仕置きとして――――……
 ドSな岩崎さんか。この発想はちょっとなかったな。実際の小早川さんは病弱だから強めに攻めるとか論外だろうけど、あくまでフィクションである漫画のモデルなわけだから――)
「ブツブツブツ……」
 完全に自分の世界へ入っているひより。もはや取り留めもない妄想ではなく、脳内で具体的なプロット立ての段階に入っている。
「田村さん、さっきからどうしたのかな……?」
「気にしないでくださイ。同人作家にはよくあることでス」
「ふーん……」
 ひよりはひたすら頭の中で構想を組み直し練り直し、結局、予鈴が鳴るまでずっと自分の世界へ潜り込んでいた。
(お話を作るのって、大変なんだなぁ……)
 まさか自分をモデルにした淫らなストーリーがひよりの脳内で展開されているとは露知らず、ゆたかは無邪気にそんなことを思っていた。
◇Extra mission アニ研部室

 放課後。この日はパティもひよりと一緒にアニ研へ寄り、昨今のアニメ・ゲーム・漫画について部員達と熱い議論を交わし、「そろそろ帰るべー」となって部室を出た後。
「ア、ヒヨリ。ちょっとまってくださイ」
 昇降口に着いたところで、パティが足を止めた。
「どうしたの?」
「忘れ物をしてしまいましタ」
「部室に? じゃあ戻ろうか」
 そんなわけで部室へ引き返すひよりとパティは、人気のない廊下を歩いていく。下校時刻の差し迫った今、校舎の中は奇妙なほど静かだ。
 じきに日も暮れる時間。夕日が校舎全体を赤く染めていた。
「夕暮れ時の学校というのハ、独特の雰囲気ですネー」
 西へ落ちる日を窓から眩しげに眺めながら、パティが呟く。
「うん。ちょっと物悲しい感じだけど、何か良いよね」
 そんな会話をしながら、二人はアニ研部室まで戻ってきた。
「それでパティ、忘れ物って――」
 部室の電気を付けようと手を伸ばしたひよりの背中へ、不意に柔らかいものが当たった。
「え? あの……」
 パティの両腕がひよりのお腹の前に回される。
 ひよりは背中から、パティに抱きしめられていた。
「ヒヨリ……」
「はひっ!?」
 ひよりは状況が掴めず錯乱している。囁きかけられると、耳に直接パティの吐息が当たる。
 薄暗い部室の中を、窓から差す夕日がぼんやり茜色に照らしている。カラスの鳴き声と車の走る音が、遠くから聞こえてくる。
 パティの腕は優しく、だけど簡単には振り解けないほど強く、ひよりを抱きしめている。
「ね、ねえパティ。ちょっと状況が、掴めないっていうか、その……」
 突然の事態に、ひよりの顔は真っ赤になっている。パティは微笑むと、ほとんど触れそうなほど近く、耳元に唇を寄せた。
「ヒヨリ……私、ヒヨリのこと――」
「うぃ〜っす! WAWAWA忘れ物〜♪」
 空気をぶちこわしてアニ研部室に歌いながら飛び込んできたのは、たにぐ――ではなく、アニ研部長の八坂こうだった。
「あれ? 二人とも何やってんの? こんなとこで不純同性交遊しちゃダメだよ」
 抱きしめられてるところをばっちり見られたひよりは、慌ててパティから離れる。
「ち、違うっスよ先輩! これは、そのっ……!」
「ウ〜ン残念。邪魔が入っちゃいましたネー」
「パティ、さっきのは――」
「お芝居でス」
「お芝居……って」
 唖然とするひよりに、パティは人差し指を立てて何故か得意げに説明する。
「今日のお昼休みみたいに他の人を観察するだけでなク、実際に自分でシチュエーションを体験してみるのモ、ヒヨリにとってプラスになると思ったのでス」
「それで、わざわざ部室に戻って?」
「はいでス。……ひょっとして怒りましたカ?」
 身を縮めて上目遣いにひよりを見つめるパティ。おまけに涙目。わざとらしいのが見え見えだが、ひよりは強いて怒る気にはならなかった。
「まあ……私のためにしてくれたことだしね。かなりびっくりしたけど……」
「そうですカ。安心しましタ」
「よく分かんないけど、用が済んだなら早く帰りなよ。もうすぐ最終下校時刻だから。急がないと門閉まるよ」
 こうに言われて、二人は慌てて鞄を持ち直した。
「それじゃ先輩。さようなら」
「また明日でス」
「はい、さいなら」
 こうと挨拶を交わし、ひよりとパティは部室を出る。
 その直前、パティとこうがすれ違いざま、
「お邪魔虫メ……」
「泥棒猫が……」
 と呟きあったことを、ひよりは全く気がつかなかった。


おわり
135名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 18:14:54 ID:Ixvr/xg8
読んで下さった方、ありがとうございました。
136名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 18:19:11 ID:RgWxsv58
リアルタイムにて読了しました。
三者三様のシチュから妄想を広げる腐女子どもに乾杯。
相変わらず貴方のひよりん物は素晴らしい。ぐっじょぶでした。


あとひよりん逃げて、逃げてひよりん。
137名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 18:29:30 ID:jgDxsscu
リアルタイム乙!
パティひよ良いなあ(*゚∀゚)=3

>あとひよりん逃げて、逃げてひよりん。
むしろ逃げないでくr
138訂正:2008/02/04(月) 18:44:37 ID:Ixvr/xg8
>>132
ひよりの台詞
×化学教師→○生物教師
139名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 18:51:34 ID:IPtWbOya
やばい最後良いよ最後w
ひよりん、ダンボールでの生活は長くなりそうだな。
140名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 18:58:44 ID:aJXW1j22
>>135
GJ!

「んもうっ、仲良くしなきゃダメだよっ、二人とも」
「そう、ケンカは良くない……」
「Oh,sorry、ユタカ&ミナミ……」
「ごめんごめん、つい熱くなっちゃって……でもそうだよね、なんてったってひよりんは」


「「「「「みんなのもの、だもんね?」」」」」




(……ガタガタ;)
141名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 19:18:43 ID:tFiRGggY
>>135
ところどころにネタが散りばめられてあって面白いw
いつか使いたいと思っていた「うおっまぶしっ!」が
先に使われていたのは残念。
でもしっかり「まぶしくない場面」で使っていたのもすごいw
142名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 19:21:59 ID:WPYdadVw
>>135

ビバ腐女子!


あと、タイトルで反応弾吹いたw
143妃美川乙葉:2008/02/04(月) 19:44:36 ID:WaNdlkVs
/!   ,.::'::::::::::::::::::::::::::::::ヽ            ヽ、:::::::::::::::::::::|
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    l l::::::::ヽ    `''‐-r'′   l:::::::::::::| l7    /    ̄     /rへ,i 
    .i '、:::::::::\     |     |:::::::::::::| !  _,.`         /f i } ||. 
    ゙, ヽ::::::::::::`ヽ.、_,l     !::::::::::::;' / `トヽ ̄         /ィ ノ ,.ノ 
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      \  `ヽ:、:::/   /:::::::::::/ /_``   'ゝヽ    /        
       ` 、,../    ,/::::::::;:∠-‐'′ ``'ー-‐'゙`   ,. /
            ` ‐-;-'--‐ <.  ヽ、       ,.. - '" /    
__ ,,.. -─一¬ヾ´ヽ、;;;;;;;;;;;``;;;.、 `''ー---‐ ''"´   /ヽ、  
   このレスを見た人間は十三日以内に死にます。
     ※あなたに訪れる死を回避する方法が一つだけあります。
     それはこのコピペを一時間以内に7つ、別のスレに貼り付ける事です

すいません
死にたくないんです。
信じる私が悪いのですが・・・。
144名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 20:46:20 ID:RvV96xfq
信じる者は足下を掬われる。
145名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 20:50:15 ID:UROhHiNV
荒淫矢の如し。







「んぅ〜〜かがみんと過ごす一夜はホントあっという間だよね〜(=ω=.)」
「ば・・・ばか・・・・」
146名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 21:11:28 ID:aJXW1j22
「ど、どどどどうしようこなたっ! 十三日以内に死んじゃうって……;」
「んもー、かがみは怖がりさんだなぁ。大丈夫だって、こんなの嘘っぱちだよ=ω=.」
「ほ、ほんと……?」
「ホントホントっ。それに私が十三日間ずーっとそばに居てあげるからさっ。
 もし万が一死ぬときがきても、天国まで一緒だよ、かがみ……」
「こなたぁ〜……;;」
147名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 21:38:50 ID:xhHtYnaB
>>71
色塗ってみたドゾー(´・ω・)っ
http://www.geocities.jp/extream_noise/rakisutaep/img/peniban2.jpg

>>135
パティ×ひよはいいなぁ( ´∀`)b
タイトルにご飯粒噴いた(板野サーカスっぽい感じで。一粒だけタコ酎ハイも混じってた)
148名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 21:57:15 ID:RvV96xfq
板野サーカスって、ここの住人平均年齢高すぎないか?w
149名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 22:09:00 ID:RgWxsv58
>>147
うお、色が! 毎度ながら早くて確実、きょうもぐっじょぶです。

>>148
いやほら、アニメ版からしてターゲット層高めだから。
1話からキョーダインとか言ってたわけだし。
150名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 22:39:35 ID:9VSzwBtM
>>147
KUROIwwwwww
151KUROI:2008/02/05(火) 00:34:49 ID:moPqO+6P
静かやな〜・・・
ワイの名前が出たからかな〜
・・・ったくあんたらってやつぁ・・・ブツブツ・・・








「(だから先生!あなたのこといったんじゃないんですって!(=ω=.;))」
152名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 01:39:30 ID:a0FJvUwn
   | (Y)
   |´/⌒ ヽ
   |/ ハヽ !
   || ゚ ヮ゚ノリ ダレモイナイ・・・
   |⊂     ウニョーンスルナラ イマノウチ
   |
153名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 01:45:38 ID:L4qJwYBl
>>152
だ が 俺 が い る

もうチョイで投下できるんだが、最後の最後が納得いかねーorz
154名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 03:23:00 ID:fSB+mGYF
>>153頑張ってくれ。一読者として楽しみにしてるぜ。
 
さて桜藤祭してて思ったんだが・・・
 
 
 
こ の ス レ に 絶 対 開 発 者 い る だ ろ 。
 
ヒヨーク(もといひよりギアソリッド)なんてネタ正にこのスレにタイムリーな話題じゃまいか。
もしかしたらカガミーメイトとか、平安への時空の穴とか、名古屋地下街逃亡戦とか、かなたさんinコンピュータとかもあるのか・・・?
 
そして極め付けはやはり、こな☆フ(CERO規制によりこれ以上の文章は鼻血で破棄されました)
155名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 03:42:24 ID:pg3anM9l
>>154
なにをいまさら。
156名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 06:56:35 ID:ZY8uzy1b
シナリオライターあたりが怪しいと思うんだよ
157名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 07:42:26 ID:kKJ8vQcY
まあ考えすぎだわな
158名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 08:03:44 ID:HWYdRlG8
>>157

シナリオを書いた時期から考えると、逆という可能性も……

先生怒らないから、目をつぶって手を上げなさい。
159kt:2008/02/05(火) 11:42:37 ID:WuxxA/ct
どうも
文章力に定評のないのでおなじみの
ktです
今回は頑張ってみました…
普段小説読んでた方がいいのでしょうか?

…それでは
「鼻血みゆきさんの今後を考える会」
投下してもよろしいでしょうか?

○4レス+1
○オリキャラが2人います
○登場人物:3年生ズ、ひより、パティ
○パティの扱いがヒドいです、ファンの方すいません
○妄想屋(仮名)氏の『えす☆えふ』のある設定を参考にしました
…すいません
160鼻血みゆきさんの今後を考える会:2008/02/05(火) 11:43:51 ID:WuxxA/ct
高良家にて
「…ごめんくださーいっス」
「ごめんクダサ〜イ!」
パティは勢いよく扉を開ける
「ようこそ家に集まっていただきありがとうございます。パティさん、田村さん、さぁどうぞ席の方へ」
「あっはいっス」

鼻血みゆきさんの今後を考える会

「あの…ところで…」
ひよりはおそるおそる質問した
「何でしょうか?」
「高良先輩って私たちとあんまり面識無かったっスよね、なぜ家に呼んでくれたのかと思って…」
「まァまァイイじゃないデスカひよりん♪楽しミマショウ!」
それにしてもこのパティ、ノリノリである
みゆきは話を切り出した
「さて、ここに集まってもらったのは他でもありません、、私というキャラクターの今後を一緒に考えていただきたいのです」
「はぁ…そうっスか…」

みゆきは別の机の上に置いてあるパソコンで 〔らき☆すた wiki〕 と検索する
「このこなたさんに教えて貰いました【らき☆すたエロパロ版】を見ると私のキャラクターは『鼻血
みゆきさん』か『腹黒』の2択しかない様に思えるのです」
「いや…そんなことはないと思うっスけど…」
「気落ちしない方ガイイですよ先輩!」
「そして影響されたのか、お恥ずかしながら私も…最近こなたさんを見ると…その…フフ…鼻血が出るようになりまして、信じてもらえないかもしれませんが…」
本人は気づいていないが今まさに だばだばだば… と流れている
「はぁ…」
ひよりはなんと相槌を打っていいか分からず、気の抜けた返事をした
「あ、失礼しました」
ようやく鼻血が出ていることに気づいたみゆきは鼻を拭いた
そしてみゆきは立ち上がり力説する
161鼻血みゆきさんの今後を考える会:2008/02/05(火) 11:45:15 ID:WuxxA/ct
「しかし…それを打開する策を考えました…それはSSの中にあったのです。
…それは『えす☆えふ』シリーズの『こなつー』というキャラクターです」
みゆきは、ばんっ!と壁を叩いた…その衝撃で鼻血が吹き出す

「えと…大丈夫なんスか…それ、色々と」
「なんとか大丈夫かと…思います…多分」
「ひよりん!インスパイアですヨ!」
みゆきは気を落ち着かせた…が、まだ鼻血がおさまっていない
「つまり、我が高良財閥が開発した高性能ヒューマノイドを学園に行かせ、
こなたさんの様子を内臓されたカメラで撮影し、それを私が家で観て鼻血を流すと言う訳です」
“これ以上の策はないでしょう?、他にあるのなら言ってみてください”と言わんばかりの雰囲気のみゆき
「あの…それ何も解決してないじゃないっスか…」
ここでようやく自分が鼻血を出している事に気づくみゆき、顔を拭きながら続ける
「ええ、そしてそのヒューマノイドがこれです!」
そう言ってみゆきは部屋の奥のカーテンを開けた
「「!!!」」

そこにはみゆきそっくりのヒューマノイドがいた、顔・胸…どこをとってもそっくりである
…しかし
『ヤッホー私ミユツーダヨ遊ボ遊ヴォ私ト一緒ニ』
声を聞いた2人は戸惑った
「「……」」
「あの…」
ひよりはおそるおそる聞いた
「はい?」
『ヤッホー私ミユツーダヨ遊ボ遊ヴォ私ト一緒ニ』
「これ…っスか?」
『ヤッホー私ミユツーダヨ遊ボ遊ヴォ私ト一緒ニ』
「ええ、お恥ずかしながらまだプロトタイプですが」
「声パターンは…」
「今はこれだけです」
『ヤッホー私ミユツーダヨ遊ボ遊ヴォ私ト一緒ニ』
162鼻血みゆきさんの今後を考える会:2008/02/05(火) 11:46:15 ID:WuxxA/ct
「ミユツー」といわれるヒュー…ロボットは何度も同じ音声を発している
「…あノ、、突っ込ンデイイですか…ミユキ」
パティはこれまで我慢してきた言葉を発する

『ヤッホー私ミユツーダヨ遊ボ遊ヴォ私ト一緒ニ』
「…ええなんなりと」
「文字表記ガ私ト被りますヨネ?」
「そうですね…」
「コノ声っテデパートの1角にあるゲームコーナーにヨク使われテいるヤツですよネ?」
「ええ…」
みゆきの眼鏡が怪しげに光る
「ソレニ「ミユツー」っテ名前某ポケm」
「ちっ」
ピっ
「? ねぇ…パティ?、変な音しなk」
パカっ  ガタンっ
「What?!?ウワアァアアアアァァアアアアァァァァォォォ……・・・・」
「!?!」
「ちゃんと相談に乗ってくれないとこうです、覚えておいて下さい」
「い、イエッサ…」
『ヤッホー私ミユツーダヨ遊ボ遊ヴォ私ト一緒ニ』
163鼻血みゆきさんの今後を考える会:2008/02/05(火) 11:47:30 ID:WuxxA/ct
一週間後、放課後の学校にて
3人はみゆきに呼ばれた、時刻はもう5時である
「〜と言う訳で完成しました、さぁ!お入りになって下さい」
教室の扉を開け、ピンクの髪の女の子が喋り始める
『初めまして、私の名前は<うぃきつー>です、これから宜しくお願いします』
「お〜!髪はショートカットに近いけど他はみゆきさんそのまんまだねぇ〜、それに声もなめらかだよぉ!」
『ありがとうございます、お姉さまや私を褒めていただき光栄です』
「も〜なんていうか本物の肌みたいだよ〜!!」
こなたはもう完全にうぃきつーのとりこである
「ありがとうございます、こなたさん」
「ねぇねぇ!みゆきさん、家でうぃきつーさん飼っていい?答えh」
『えっ?…ちょっ…』
「まだ駄目です、それにペットではありませんし」
即答するみゆき
「各設定が最後まで終了していないんです…カメラとか」
『…あの、、「まだ」って…』

「…ホント色んな意味で凄いな…高良家の科学力…」
『どういたしまして、高良家の科学力は世界一ですので』
「あだ名は“うーちゃん”でいいのかなぁ?」
突然あだ名決めを始めるつかさ
『あだっ!?…えーと……私の名前は<うぃきつー>で、、だから…えと、、それはちょっと…その…』
戸惑う、うぃきつー
「そうかなぁ?かわいいと思うんだけどなぁ〜」
つかさは納得していないようだ
「あと現在行方不明のパティさんを模したヒューマノイドがちょうど家におりましたので…どうぞ入ってきて下さい」
『ミナサン。ハジメマシテ。<しんぱてぃ>デス。ヨロシクデス』
「「よろしく〜!」」
こなたとつかさはノリノリである
「どうなのよ…?これ…」

※本物のパティさんは翌日秋葉原近辺で無事発見されました、ご安心ください。高良財閥@※
164本編とは関係ないおまけ:2008/02/05(火) 11:49:00 ID:WuxxA/ct
「…何で私たちを呼んだんスか?もうロボットを造ってあったたのに…」
「ええ、眼鏡の解説要員が欲しくて仕組んだんです、、それでつい…」
(あ、アブねぇ〜〜〜!!!ギリギリだったぜ自分!ありがとう!控えめな自分!!)
「でも、、、今からでも遅くはないですよね?」
「え?」
165kt:2008/02/05(火) 11:50:37 ID:WuxxA/ct
もう僕の中で
みゆきさん=ちょい黒い
パティ=…イジられキャラ?
という事になってますw
でも僕は(らき☆すたの方の)パティが大好きです

デパートのゲームコーナーの音声を聞いて…って
思いついたきっかけをどう書いても二番煎j)ry
続きます

…ところで
みさお兄×あやの×あやのを模して造られた新型ヒューマノイド
という電波がキタのですがどうしたらいいですか

それでは失礼しました
166名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 12:06:40 ID:hfPadaUp
GJ!
なかなか面白かったんだぜw


それにしても

らき☆すた

こな☆フェチ

えす☆えふ

鼻血みゆきさんの今後を考える会


なんていうか、こなフェチってやっぱりすごいんだな・・・・
ってか鼻血みゆきさんがすごいのか?
167名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 12:23:14 ID:kKJ8vQcY
正直鼻血みゆきさんネタとかはもう・・・そろそろ新参お断りみたいになるし
まあ「このスレではみゆきさんは鼻血キャラが公式だ」とかにならないだけいいか
168名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 12:52:43 ID:hOBB7ska
>>165

こなた
「……むぅ、『アラレ目テレビジョン』作戦ときたか」
かがみ
「意味がわからん」
169名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 13:36:04 ID:SewtnNcb
いや、wiki行って全壊れネタを読んでくる俺みたいな新参もいるから。
170名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 13:54:24 ID:pIVfQmlM
ネタはネタとして、SS本編でなら
普通のみゆきさんの方が遥かに多いぜ。
171名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 13:56:15 ID:w+b3l6mW
前に一度小ネタであった、らき☆すた辞書inエロパロみたいなのが保管庫にあればいいと思うな
初出の作品にはリンク張ったりとか

でもあれ保管されてないんだっけ?
172名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 14:45:14 ID:hfPadaUp
173名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 14:51:23 ID:hfPadaUp
sage忘れごめんorz
174名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 15:18:36 ID:IiK11r7m
新参の書き手さんもお断りですか?なんかやりにくい…
175名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 15:46:46 ID:IMIS4k8d
>>174
どうしてそうなるんだw
新参書き手お断りだとは、誰も言ってないぞ。
176名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 15:52:22 ID:xwpN1rzH
ここはまとめサイトもあるんだから、書く側が出典を明記しておけば十分かと。

ただ、三次創作者は元の作者に変な制約を課さないよう、特に冒頭への注釈入れが大事かも。
177名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 16:08:37 ID:w+b3l6mW
>>172
>・こう
 アニメしか見てない人は知らない人。
>・こなあや
 ねーよww

吹いたwww
178名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 16:18:17 ID:9jVy9mZ0
敷居が低い
それがこのスレの良いところ
カオスとも言う
179名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 16:18:17 ID:Fdo4x0Oo
>>120
今更だが11月って明記されてたハズ
180名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 16:25:16 ID:2R8K8Atk
流れぶった切って済まないが、ドラマCDが発売中止(発売時期未定)になったのが結構ショックだorz
181名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 17:13:09 ID:r5vmiRHW
ちょwwwww
延期じゃなくて中止!?

なにがあったんだ・・・・
182名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 17:47:19 ID:2R8K8Atk
>>181
セブンアンドワイよりご連絡
商品名:『TVアニメ「らき☆すた」ドラマCD 』

【ご連絡・ご回答】
ご利用ありがとうございます。

先日ご予約いただきました商品『TVアニメ「らき☆すた」ドラマCD 』
(ご予約注文番号:0024428056)
ですが、メーカーの事情により発売が中止(発売時期未定)となってしまいました。

●●様よりご予約いただいたにもかかわらず、
ご期待にそえず大変申し訳ございませんでした。
発売中止の状況ですので、
この度のご予約はお取り消しとさせていただきます。

●●様にはご迷惑をおかけいたしますが、
なにとぞご了承くださいますようお願いいたします。
183名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 18:18:18 ID:Vj1nDhr+
キャラスレに投下してたが、こっちに引っ越してきてもいいのかな?
184名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 18:25:17 ID:Vj1nDhr+
時間が181818って…
イヤってことですか…
185名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 18:28:22 ID:Jga670XL
俺はおkだと思う。
実際ここは非エロの方が多いし、若干内輪ノリの傾向こそあれ住人の質も高い、と思うし。

来たれ若人、当スレは常に新たなる職人を求めている。あーいうぉんちゅー。
186名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 18:42:58 ID:GfD1azW6
もちろん24時間ウエルカムだってばさ。
187名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 18:58:15 ID:/23H5OIL
ゲーム版の主人公をメインに据えたものを書こうと思ったが、キャラが
掴めなくて断念した。
つかギャルゲの主人公なんてそんなもんとはいえ、個性無いキャラだなー。
188名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 19:12:44 ID:L4qJwYBl
>>187
同意。
あれはキャラが掴めん。
俺は元々あれをメインにした小説を書く気はなかったが。
189名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 19:13:53 ID:Wo5jHgdY
出歯亀的なキャラとしては使えそうだけどなー
俺の力量じゃ無理だ
190名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 19:35:31 ID:+YyzDooL
所詮男を主人公にしたゲームなんてそんなもんでしょ
191名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 19:38:29 ID:GfD1azW6
逆に考えるんだ。
らき☆すた原作のキャラが立ちすぎだからだと。
192名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 20:30:58 ID:nyrT23F3
オリジナルキャラにしても、よほど濃くないと馴染めないよなww
19323-49:2008/02/05(火) 20:41:06 ID:Srt5Ob9F
どうもです
「圏外 後編」、どうにか完成しました
他にどなたもおられないようでしたら5分後ぐらいから投下させてください

・かがみ→こなた
・かがみ視点
・エロ無し
・9レス使用

途中で止まってしまった場合は例によって wiki と避難所を参照してください
194圏外 後編 1/9:2008/02/05(火) 20:46:26 ID:Srt5Ob9F
 
 眠気を誘うバスの振動にどうにか抗いながら、私は半眼で前方を睨む。
 視界に捉えるのは、うちの学校の制服を着た三人の男子生徒たち。
 糟日部駅前で私たちと一緒に乗り込んだときは二人だったのだが、
 二つ目の停留所でもう一人が合流して三人組になった。
 最後列に座る私たちに対して、彼らはほぼ最前列に立っているから、話し声は聞こえない。
 だからこの場で観察する意味は実はない。
 ないのだが、やはり見ずにはいられない。
 三人組の男子生徒。
 そのキーワードは、どうしても、二日前に昇降口で聞いたあの会話の主たちを連想してしまう。
 全員、特徴らしい特徴はない。
 今までにも一緒になったことがあるのかどうかすら曖昧だ。
 昨日日下部たちと一緒に登校したときには見かけなかった……はず。
 ――と、
 目が合った。
「……」
「……」
 何かの拍子に後方、つまりこちらの方を向いた彼らのうち一人と、視線が数瞬、交錯する。
 そして次の瞬間、私は顔ごと目を逸らした。
 入れ替わって視界に納まる、黄色いリボンと長いアホ毛。つかさとこなただ。
 やばい。
 よりにもよってコイツの前で男子のことを凝視してしまうなんて。また何か言われる。
 ……と、身構えたのだけど。
 こなたは眠そうな――と形容するには妙に真剣に思える面持ちで何もない空間を見据えていて、
 こちらに気をかけている様子はなかった。
 やや、安堵。
 と同時にまた何か、得体の知れないモヤモヤが胸に湧き上がってくる。
 思えば駅前で合流したときからこんな感じだった。口数少なく、ずっと何かを考えているような。
 一方のつかさは、そんなこなたの様子をちらちらと窺っている。
 昨晩に比べていくらかすっきりした表情をしているものの、どこか緊張している感じ。
「ねえ、こなちゃん」
 そしてとうとう、我慢できなくなったらしい。
「ん?」
 こなたがこちらに向き直る。
 単に呼びかけに応じてつかさを振り返っただけなんだろうけど、
 何故だか私は逃げるように目を逸らし、再び顔を正面に戻した。二人の表情が見えなくなる。
「どうしたの? 何か考えごと?」
「んー……ちょっとね。戦略のシュミレーションをね」
 『シミュ』レーションな。
 呑気な声に胸中でツッコむ。
「ただの地味キャラだと思ってたのが意外と強敵でさ。攻略に手間取ってるトコ」
 ゲームの話か。
 こっちの気も知らないで、いい気なもんだ。
「そ、そうなんだ。えっと……頑張ってね?」
「ん。ありがとつかさ」
 そんな二人に届かないよう、私はこっそりとため息を吐いた。

 私は今、三つの懸案事項を同時に抱えている。
 一つは、例の男子三人組の件。
 彼ら自体がどうというのではなく、その正体がどうしても気になってしまう私自身が問題なのだ。
 判明したところで何にもならないというのに。むしろ逆に気まずいだけだというのに。
 だから早く忘れたい、という件。
195圏外 後編 2/9:2008/02/05(火) 20:47:29 ID:Srt5Ob9F
 二つ目は、つかさのこと。昨晩受けた相談ごとについて。
 っていっても、これについても片は付いてはいるのだ、一応は。

“……分からないわよ、そんなの”
“でも、抵抗がないってだけなんでしょ?”
“だから、誰か女の子を好きになったとか、女の子で興奮するとか、そういうのは……”
“分からないってあんた……ああ、ごめんごめん。怒ってないから”
“うーん……じゃあ、男の子相手ならどうなの? 抵抗があるのかないのか”
“……ある、か”
“……”
“いや、ってゆーか逆にそれ、男の子を怖がってるだけ、ってことはない?”
“例えば……そうね。パトリシアさん。あの子が料理できないってことで世話焼きに行ったのよね?”
“もし男の子が相手でも、同じことできた?”
“――うーん……じゃあやっぱり、同性なら安心できるってだけなんじゃない?”
“じゃあ大丈夫よ”
“うん。その区別がつかないってレベルなら、おかしいってことはないと思う”
“だからまぁ、あんまり気に病むことはないわよ”

 そんな感じで。
 だけど、あんなのでよかったのかという思いが、やはりどうしても消えない。
 間違ったことを言ったという意識はない。
 でも同時に、真正面からまっすぐに向き合ったとも言い切れない。
 問題を摩り替えただけなんじゃないか、はぐらかしてしまったんじゃないのか、と。
 つかさは、ありがとうって笑ってくれたけど、その笑顔も騙して手に入れたもののようで後味が悪い。
 だからもう少し真剣に向き合わなくてはならない、という件。
 そしてそこから派生したのが最後の三つ目。一つ目の問題とも微妙に関係している。
 すなわち、こなたについてだ。
 というわけで今現在、奇しくもバスの車内というこの狭い空間に三つが顔を揃えていることになる。
 だからといって、というかむしろ逆に、身動きが取れない。

「――ま、どーなるにしても今日中に決着はつくから、だいじょぶだよ」
「だいじょうぶ、って?」
「明日には持ち越さないってコト」
「あー、そっか」
 ああ、そうか。明日は岩崎さんの誕生会があるんだったわね。
 忘れてたわ。
「あ、そうだ。そういえばお姉ちゃん」
 と、つかさがこちらを振り返る。
「昨日訊くの忘れてたんだけど、どんなの買ったの? プレゼント」
「……」
 忘れてた!
 そうだった。つかさに料理関係に専念してもらうため、私が二人分用意することになってたんだった。
 どうしよう。
 完っ全に忘れてた。
「お姉ちゃん?」
「――あ、ああ、うん。その……ね? 昨日は良さそうなのが見つからなかったから、今日、街まで
出て探そうかなって。だから――まだ買ってない」
 って何見栄張ってんのよ私。
 こんなの、つかさはともかくこなたには簡単に……って。
 ちょっと。
 なんでこっちを見てすらいないのよ。
 いや別に見て欲しいわけじゃないけど。むしろ追及されない方が助かるんだけど、でも。
 だけどそのなんていうか、そういう無関心って、どうなの?
196圏外 後編 3/9:2008/02/05(火) 20:48:31 ID:Srt5Ob9F
「そうなんだ。……ごめんね? 難しかった?」
「う、ううん。大丈夫。簡単よ。ぬいぐるみでしょ? ま、まあ何を買うかはだいたい決めてるから、
大丈夫よ。うん」
 ウソです。ぜんぜんまったくこれっぽっちも決まってません。
「じゃあ、お願いしちゃうね?」
「……ええ。任せて」
 訂正。懸案事項は四つだった。
 ああ、もう。
 何やってんのよ私は。


     ☆


 教室の窓から見上げる空は、私の心を映したかのような薄暗い灰色だった。
 型に嵌まった表現。
 何度もなんども何かで読んだり聞いたりしたけど、そのたびに傲慢な台詞だと感じていた。
 どうして人一人の心情が空模様と結びついたりするのよ、なんて。
 けど、まあ。
 今は分からないでもない。確かにこんな気分のときはそんぐらい思わなくちゃやってらんないわ。
 空回りっていうか、目に見える全てに手が届かないような、そんな感覚。
「はぁ〜〜…………」
 長い長いため息をついて、机に突っ伏す。どうしてだろう。いつの間にか放課後になっている。
 一応ノートだけは機械的に取った覚えはあるけど、頭に入っているかどうかは怪しい。
 ああもう、受験生だってのに。
 考えることが多すぎる。考えても仕方のないことも多すぎる。
「どうしろってのよ……」
 男子三人のことは、一番どうでもいいはずなのにしつこく頭に浮かんできて鬱陶しい。
 ちなみに朝のバスで乗り合わせた彼らは一年生の靴箱に消えた。
 岩崎さんへのプレゼントのことは、とりあえず一番優先度が高いけど、
 今この場所で思い悩んでも仕方のないことだ。街に出てからでないと。
 つかさの悩みについては、こなたの問題が片付かなくては先に進めない。
 本人が一応納得している様子なので、心情的にはともかく、実際の優先度はあまり高くないのが救いか。
 そしてこなたのことは、いくら考えても答えが出ない。何をどう考えればいいのかすらよく分からない。
 昨夜、つかさに退路を立たれる前の考察で、無意識のうちに避けてしまっていた問題。

 つまり――私にとってアイツが何か、なんて。

 一言でいえば『親友』だ。四時間考えてその結論に達した。
 でもそうとしか言いようがないのに。そのはずなのに、それじゃ納得できない。
 だって同じく親友であるはずのみゆきや、日下部や峰岸だとこんな風に悩まないから。
 つまり、何らかの特別な感情を抱いていることになる。なってしまう。
 ただしそれは恋愛感情の類では、ない。
 だって、その……キスとか。そういうことをしたいとかは思わないし。
 いや、そういうんじゃなくて。
 昨日、あれから考えてみたのよ。つかさの話を聞いたあと。無理やりにいろいろ想像してみたの。
 忌避感や嫌悪感が意外とないのはびっくりだったけど、それでもしたいって気にはならなかった。
 朝だって直に顔を合わせてみてもドキドキとかはしなかったし。
 そしてそれは、やっぱり他の友だちに対しても同じことなわけで。
 堂々巡り。
 八方ふさがり。
 結局私は、昨日の夜から一歩も進めていないのだった。
197圏外 後編 4/9:2008/02/05(火) 20:49:33 ID:Srt5Ob9F
「――なあ、ひーらギ?」
 と、またそこに新たな頭痛の種になりそうなのがやってきた。
 突っ伏したまま首だけを回して向き直る。
 頬に張り付いていたノートのページが巻き込まれて折れ曲がり、押しつぶされた。どうでもいい。
「帰らねぇの?」
 珍しく気遣わしげな声で、日下部。隣にはこれまた珍しく笑みを消した、それでも優しげな峰岸。
 ちらりと周囲を探ると、残っている生徒の数は半分ほどになっていた。
「……帰るわよ」
 のっそりと、身を起こす。
 だけどそれ以上は動かない。二人から目を逸らし、窓の外を見上げる。
 相変わらず見通しの効かない、のっぺりとした曇り空。
 かといって雨が降りそうってほどでもない、どっちつかずの空。
 イライラする。
「また寝てねぇの?」
「……ええ」
 まあ、二日連続でこんな調子だもんね。さすがのコイツも心配になるか。
「なんで寝てねぇんだ?」
 そしてそう簡単には引き下がってくれなくなってる、と。
「みさちゃん……」
 いいのよ峰岸。
 分かってる。
 分かってるのよ。コイツは悪くないって。少なくとも悪気はないんだって。
 だから。
 だから謝ろうと。謝って笑おうと。
 そう思ったのに。

「――ちびっ子とケンカでもしたのか?」

「っ……!」
 このタイミングで、それか。
 言うに事欠いて、それか。
「ちょっとみさちゃんっ」
「んみゅ……だって」
 だってじゃないわよ。
 なんでそんなこと言うのよ。
 元はといえば――元はといえば、あんたが……!

 ……日下部が?

「な、なんだよ、ひーらギ」
 気が付くと。
 私に睨まれた日下部が、峰岸の肩の後ろに隠れるようにして背を丸めていた。
 いや、待って。
 ちょっと待って。
 日下部が、元はといえば、なに?
 私、今、何を言おうと――思おうとした?

 ――元はといえば、あんたが。
 ――あんたが、原因でしょう。
 ――あんたが、余計なこと言って割り込んできたからでしょう。
198圏外 後編 5/9:2008/02/05(火) 20:50:34 ID:Srt5Ob9F
 なに、それ。
 ありえない。
 確かに今のこの“かわりばんこ”を最初に言い出して、望んだのは日下部だ。
 だけどそのための勝負に、この子は負けた。
 にもかかわらず、それが実現したのは、どうして?
 私がそう言ったからじゃないの?
 別にいいわよと、ある意味でこの子の気持ちも努力も全部無視して、そう言ったからじゃないの?
 それなのに今さら、「あんたのせいで」?
 何よそれ。有り得ない。
 そんなの、許されるわけがないじゃない!

「……ごめん、日下部」
「へ?」
「うん。ごめんね。峰岸も。なんか、睨んじゃったりして」
 笑う。
 笑顔を作る。
「……最近ね、ちょっと勉強が思うようにはかどらなくってさ。下手したらあんたにも抜かれちゃうかも、
なーんて……」
 今にもひび割れて剥がれ落ちてしまいそうな脆い仮面だけど。
 これ以外を見せるよりはよっぽどマシだと信じて。
「ま、さすがにそれは大げさなんだけど……でも参るわー。この時期にこんなことになっちゃうなんて、
どうしちゃったのかしらねぇ、ははは……」
 私は笑う。
「……」
「……」
 二人に反応はない。
 いや、返答がないだけで、その顔には疑念と非難、そして心配の色がありありと浮かんでいる。
 ウソをつくな、友だちじゃないのか――そう言っている。
 だけど、それでも。
「――そっか」
 日下部は。
「ベンキョのコトだったら、あたしらじゃチカラになんねーか……」
 そう言って。
 こいつにはまるで似合わない力ない笑みを浮かべて、引き下がってくれた。
「そう、ね……悪いけど……」
「いーよいーよ。そんじゃ、あたしら帰るから」
「ん……」
「……じゃ、またな。――行こーぜあやの」
「うん。――またね、柊ちゃん」
 ああ、峰岸。
 心の中だけで思う。あんたが正しかった、って。
 あんたの言うとおり、日下部は確かに「良い子」だわ。
「……」
 ふと、思う。
 明日の岩崎さんの誕生会に、二人を誘えばいいんじゃないか。
 知らない仲じゃないらしいし。喜んでくれるだろうから、お詫びにもなる。
 いや、でも。
 話が急すぎるかも知れない。予定があったら逆に気を使わせるだけになってしまう。
「あ……」
 そんな風に迷っているうちに、しかし二人は扉の向こうに消えてしまった。
 あとを追う気には、なれなかった。
199圏外 後編 6/9:2008/02/05(火) 20:51:35 ID:Srt5Ob9F
 そしてまた一人になる。
「……どぅしよ、っかな……」
 思考の一部が空気に漏れ出す。
 どうしようって、何言ってるんだか。帰るだけよ。
 今日はこなたたちと一緒の日だから、B組に行って……ああ、『こなたたち』って思っちゃった。
 『つかさたち』じゃなく。
「はぁ……」
 ノートの上にまた突っ伏す。あとでちゃんと読めるのかな、これ。どうでも……よくは、ないわよねぇ。
 でも今は、どうにかしようとか思えない。

“――ちびっ子と仲良くなー”
“――泉ちゃんが待ってるわよ”

 脳裏に再生される、声。声。声。

“――こなちゃん、言ってたよ?”
“――せっかくかがみさんが来てらっしゃいますのに、泉さんは――”

 イライラする。

“――いつも、お姉ちゃんがお世話になってます”
“――あれー? 泉先輩は一緒じゃないんスか?”
“――Oh、アナタがコナタのヨメですネ?”

 ここ数日のものから、数ヶ月前のものまで。浮かんでは消えて。
 私とこなたを結びつけるような台詞の数々。消えては浮かんで。
 そして最後に残って響くのは、引き金となった顔も知らない誰かの声。

“――柊姉には、泉さんがいますからね”

「ちくしょう……」
 こなたもこなただ。
 アイツがいつもベタベタくっついてくるから。

“――かがみって、意外とかわいいよね”
“――もぉ〜、寂しんぼさんだなぁかがみんは〜”

 ああもうちくしょう。顔が熱い。
 そんなことばっかり言うから変な噂を立てられるのよ。たまにはもっと――

“――ホント甘えんぼさんだねぇ、つかさは”

 え?

“――歩く萌え要素だからね、みゆきさんって”
“――みさきちも良いキャラしてるよね”

 あれ、ちょっと……
200圏外 後編 7/9:2008/02/05(火) 20:52:36 ID:Srt5Ob9F
“――ゆーちゃんは可愛いなぁもぉ”
“――ひよりんもけっこー萌えキャラじゃん?”
“――カッコイイよねぇみなみちゃん”
“――パティはもう反則でしょ常識で考えて”
“――セバスチャンが臭くってさー”

 いや待てなんだ最後の。誰だ。
 じゃなくて。
 ……私だけじゃ、ない?
 思わず腰を浮かし、けどまたすぐに下ろす。右を見て、また前を見て。頭に手を伸ばしかけて、
 やっぱり下ろす。ノートのシワを今さら延ばす。カバンに手を伸ばして、引っ込める。
 思いっきり挙動不審だ。
 こなたにとって、私は、数ある友人の一人に過ぎない。
 ただそれだけのことに、こんなにも動揺してしまうなんて。
 今朝も妙に無関心だった。
 それに、そういえば、訊いてくる気配がない。この“かわりばんこ”の件について。
 私には伝える意思があることを、つかさには話した。それなのに。
 いや――そうだった。向こうから訊いてきたらという条件付きだった。
 そのつかさも何も言ってない。
 こなたに何も訊かれていない? でも、そうとも言ってない。私は何も聞いてない。
 自分の悩みと明日の岩崎さんの件で忘れてるのかしら。
 ありそうな話だ。
 違う。つかさのことは、悪いけど関係ない。それよりも今はこなたのこと。
 どうしてアイツは、何も訊かない? 何も言ってこない?
 ……関心がないの?
 ううん、前に一度訊かれた。一週間か十日ぐらい前に。一度だけ。

“――なんかさ、かがみ。最近あんまりこっち来ないよね?”

 うん。確かに、訊かれた。昼休みだった。いつものようにチョココロネをほおばりながら。
 私は……私は? なんて答えた?
「えっと……あれ? え、えぇっと……」
 憶えてない。
 なんとなく、だとか、そんな適当なことを言った気もするけど。思い出せない。
 ただ、本当の理由は言わなかった。
 からかわれたくないという自尊心から、私は誤魔化しを口にしたんだ。

 ……だから、なの?

 脈絡なく。
 そんな思いが、突然に湧き上がった。
 私が本当のことを言わなかった。だからこなたは私に無関心になった。そんな図式が完成する。
 何よそれ。
 まるで成り立ってない。筋道も何もあったもんじゃない。そんな考え、都合がよすぎる。
 都合?
 都合って、なに? そうだとしたら、何がどう都合がいいっていうの?
 待ってよ。
 それってつまり。
 本当のことを言いさえすれば、こなたも元に戻ってくれるとか、そういう考え方なわけ?
 それじゃまるで、私の方が構って欲しがってるみたいじゃない。
 ってゆーか先に距離を置いたのは私の方だから――いや、でも、別のそんなつもりはなくて、
 日下部が――違う。だからその、そもそも「元に戻る」ってなんなのよ。
 また会いに来てくれるようになるって?
 おかしいじゃない。行ってたのは私の方――いやそれはつかさにであって――ってゆーか。
201圏外 後編 8/9:2008/02/05(火) 20:53:37 ID:Srt5Ob9F
 待って。
 ちょっと待って。
 おかしい。さっきから、おかしい。訳が分からない。思考がバラバラだ。
 どこからおかしくなった?
 ええと……そうだ。都合がいいとかどうとか。うん。そこがまずおかしい。おかしかった。
 本当のことを言おうがどうしようが関係ないのよ。
 だって。
 だってこなたは。

 こなたは、最初から私のことなんか少しも気にしてないから。

「――っ!?」
 ガタン、と。
 椅子を鳴らして立ち上がる。何ごとかと集まる視線。
 一瞬怯んだけど、その拍子に泳いだ視線が、ある一点に吸い寄せられるようにして止まる。
 黒板上の時計。
 日下部たちが出て行ってから、まだ数分しか経っていない。HRが終わってからも、まだ五分少々。
 なら、まだ間に合う。

 ――何に?

「……ああ、もう……」
 嘲笑うかのような疑問の声を、しかし無視。強引にねじ伏せて黙らせる。
 もういい。
 そんなのは、もういい。もう分かった。
 いや、分からない。
 そう、分からない。
 だから確かめる。確かめなきゃいけない。そうしないといけないということが、分かった。
 そのためには、まず。

「――ぁああっ! もおっ!」

 分かったわよ。
 行ってやるわよ。
 行って、会って、向き合って、それで何かもかもすっきり白黒つけてやろうじゃないの!

 カバンを引っつかみ、机の上に叩きつけ、ノートや教科書を強引に詰め込む。
 きびすを返して、引きっぱなしの椅子もそのままに、足音を蹴立てて教室の扉に向かう。
 進路上にいた何人かのクラスメイトが怯えたように次々と飛びのいていく。
 開け放されていた扉をくぐり、廊下を進み、こちらは閉まっていたB組の扉を乱暴に引き開けた。
 室内にいたほとんど全ての生徒から集まる注目を、無視。視線を巡らし目当ての人物を探す。
 だけど。
「お、お姉ちゃん?」
「どうか、されたのですか? かがみさん……」
「――こなたは?」
 恐る恐るといった感じで言ってきたつかさとみゆきを、半ば無視して問いかける。
 息を呑む二人。ちくりと生じる罪悪感。例の三人もこの場にいるはずでは、との危惧。
 しかしそれらも、全て無視。
「こなたは、どこ」
「か、かえっ……っちゃ、った」
「あ、あの、何か急ぎの用事があるとかで……」
 手を取り合って縮こまる妹と親友。さらに無視、というか、気遣うだけの余裕がない。
 そんなものは日下部と峰岸と、そのあとの一人相撲で使い切ってしまった。
 代わりに、胸いっぱいに怒りに似た、だけど怒りではない何かが渦巻いている。
202圏外 後編 9/9:2008/02/05(火) 20:54:38 ID:Srt5Ob9F
「どこに行ったの」
「ご……ごめんなさい……聞いてないの……」
「かがみさん、あの、落ち着いてください。泉さんが、何か……」
「知らないならいいわ」
 言い捨てて、背を向ける。
「自分で探す」
 再び生徒たちを蹴散らしながら早足に入り口まで戻り――そこでようやく自制が働いてくれた。
 立ち止まって、扉の枠に手を置いて。
「ごめん。あんたたちは、悪くないから」
 だけどそれだけ言うのが精一杯。
 そしてまたブレーキを手放す。
 廊下を突き進み、階段を駆け下り、一階の廊下走り抜けてクラスの靴箱に飛び込んだところで、
「――柊ちゃん?」
 なぜか峰岸と出くわした。
 一人だ。日下部と一緒のはずじゃなかったか。
 だけどそんな疑問も、存在もろとも、やはり無視。
「ど、どうしたの? そんなに慌て――」
「ごめん、急いでるの」
 言い捨て、靴を履き替えて校舎から躍り出る。
 声が追ってきたりはしなかった。怖がらせてしまったか。
 ごめん、と胸中でもう一度詫びながらも足は止まらず、校門を抜け、たたらを踏んで立ち止まる。
 バス停に並ぶ生徒たち。
 アイツの姿はない。
 すぐに見切りをつけ、徒歩で、走って駅へと向かう。道行く人たちが振り返る。無視、無視、無視。
 いくつかの角を曲がったところでようやく思いついて、ポケットから携帯電話を取り出した。
 画面をろくに見もせずに目当ての番号を呼び出して発信。
 呼び出し音。
 一つ、二つ、三つ、四つ。
 待つ間も走り続ける。
 五つ、六つ、七つ、八つ。
 信号につかまり、足踏み。
 十一、十二、十三、十四……
「なんで出ないのよ……」
 足が止まる。
 また家に置きっぱなしなのだろうか。
 二十……いくつだ。分からない。頬を伝った生ぬるい雫を、制服の袖で乱暴にぬぐう。
 汗だ。
 走ったから。九月で、まだまだ暑いから。
 信号が青に変わる。
「なんで……」
 足は止まったまま。
 どこからか冷たい風が吹きつけて、汗が引いていく。
「なんで出ないのよ……っ!!」
 ポツリ、ポツリと。
 歩道のコンクリートタイルに穿たれる丸い染み。
 同じく、重力に従って手が落ちる。指が終了ボタンを勝手に押し込む。
 電源が、切れた。
 空を見上げる。
 灰色に滲む一面の曇り空。
 雨なんか、一滴も降っちゃいなかった。




20323-49:2008/02/05(火) 20:55:40 ID:Srt5Ob9F
以上です
ありがとうございました


やっぱりかがみは難しいです
虐め甲斐はあるんですが(待

さて
このあとどうしよう
204名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 21:36:36 ID:oh5EZoDr
>>203
GJ !
読んでいてグングン引き込まれた。心理描写が巧みでテンポも良くて、読んでいて気持ちがいい
ジリジリと焦らされる感じが最高
続編待ってる !
205名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 21:44:09 ID:nNApGG6Z
>>203
いや、思わず引き込まれました
かがみの心情がすっごい伝わってくるGJ
そして、続きが気になるっ
wktkしながら待ってます
206名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 21:51:11 ID:0G+Xv+2t
>>203
GJ!うおお!すげえドキドキする!!
心理描写が上手くてぐあっと引き込まれた!
続きwktkせざるを得ない
207名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 22:12:32 ID:ISbppslu
>>203
こなたの変に抜けたところとか、かがみのツンデレっぷりが絶妙すぎる。
キャラ各々の使い方が上手いですね。
GJです。続き期待。
208名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 22:37:37 ID:gSObqa+G
>>203
むぅ……心理描写と情景描写が巧みで引き込まれます、素晴らしい!
そして続きが気になる〜
209名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 22:49:24 ID:RdRaDHu+
>>203
こなたとデコ様の対決の中、一人蚊帳の外のかがみが切ないよかがみ。
210名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 23:42:21 ID:Jga670XL
>>203
うっわー、見事にすれ違いましたねこれは。
すれ違いの先のストロベリーを信じて、続きをお待ちしています。
211名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 23:44:29 ID:rJOtETjd
>>203
あぁ・・・ここの電話があそこの着暦になるわけか・・・
なんというすれ違い…いろんな人のを読んでて思うのですが
先が気になる終わりに出来るって凄いのです
212名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 23:59:59 ID:a0FJvUwn
   | (Y)
   |´/⌒ ヽ
   |/ ハヽ !
   || ゚ ヮ゚ノリ モウ コンナ ジカン
   |⊂
   |
213名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 00:02:19 ID:x/RfK3X1
GJな心理描写です。
あの着信があの場面、と実に上手い書き方です。
続きを全力で待つ!
21431-207:2008/02/06(水) 00:30:44 ID:88p/UBRF
 さて、他に誰も投下予定がないようなので今から投下させていただきます。
 
 ・キャラ崩壊あり
 ・かがみ視点
 ・みんな→かがみとつかさというパターン
 ・エロなし
 
 で、3レスほど使わせてもらいます。
 昼休み。私はいつものように隣のクラスへと向かおうとする。
「うう〜、ひいらぎぃ、私もひいらぎと食べたい〜」
 そう言って私に泣きつく日下部。ってか、抱きつくな。
「わかったわよ、あしたはこっちのクラスで食べるから」
「本当か!!絶対だからな!!」
「ふふ。よかったわね、みさちゃん」
 目を輝かせ、急に元気になる日下部。
 それをみて、とりあえず隣のクラスへ行くことにした。
 教室を出る時、後ろから小声で
「本当は『柊ちゃんを食べたい』でしょ」
 という不穏当な会話が聞こえたような気がした。
 少し身の危険を感じたけど、無視して隣のクラスへ向かった。


 隣のクラスに入るとつかさの声が聞こえてきた。
「お、おねえちゃ〜ん、こなちゃんとゆきちゃんが〜〜」
 つかさはこなたとみゆきにもみくちゃにされていた。
 こなたはつかさをギュッと抱きしめ頬をすりすりし、みゆきは人間とは思えない量の血を鼻から噴き出している。
 何なのよこの異様な光景は。つかさ、大丈夫かしら。
 そう思っていると、こなたとみゆきは私に気づいたようだ。
「かがみもきたぁ〜」
「か、かがみさんまで…私、もう…」
 そう言いながら私にも近寄ってくる二人。いつもと雰囲気が違うし目が怖い。
 そ二人が私をつかさと同じように取り押さえようとした時、教室の扉が勢いよく開いた。

「ひいらぎ〜、私やっぱりこっちでたべる〜!!」
 目を輝かせながら教室に入る日下部。その目は、こなたやみゆきと同じ目だ。
 教室を出る際に聞こえた会話を思い出し、聞きたくはないが『何を』食べるのかという疑問がわいてしまった。
「ふふ。私たちの方からこっちに来れば、柊ちゃん姉妹そろって食べられるものね」
 峰岸、あんたまで何を言っているのよ。
 どうしても別の意味に聞こえちゃうってば。
「あやのぉ、柊か妹かどっちかでいいからほしいよぉ」
「ちょっとまってね、みさちゃん。柊ちゃんたち、これ食べない?」
 そう言ってお菓子を差し出す峰岸。
 いらないわよ。なにか入ってそうで怖いって。
 気づくと、峰岸のそばにはカートに乗せた大量のお菓子がある。
 こんなにたくさん、どうやって出てきたのよ。

「先輩方、こんにちはっス」
 峰岸が私とつかさの口にお菓子を押し込もうとしていると、一年生組が来た。
「ひよりん、いいところに来たね。加勢してよ」
「了解っス」
 了解しないで、助けてってば。ってか返答早すぎ!!
 そしてこなたたちと一緒に私とつかさを押さえつける一年生四人。
 ああ、やっぱり。この子たちの目もこなたやみゆきと一緒だ。
 田村さんのメガネからは煙が出ているし、パトリシアさんは奇声を発している。
 そしてゆたかちゃんはメイド服やら巫女服やらを抱えているし、
 みなみちゃんは無言でつかさを抱きかかえようとしている。
 あれ?そういえば私もつかさもいつの間にメイド服にされたんだろう…?

「放しなさい!」
「みんな、落ち着こうよ」
「無理デスね。ツンデレとドジっ娘の双子姉妹がいるのデスヨ?コレガ萌えずにいられマスカ!!」
「まったくっス」
「本当、先輩たち……みなみちゃん、つかさ先輩連れていっちゃだめだよ。次はこれを着せるんだから」
 つかさをお姫様抱っこしてどこかへ連れて行こうとするみなみちゃんを、ゆたかちゃんが軽くおさえる。
「二人とも……せめて片方……お持ち帰り……!」
 みなみちゃん、息が荒いし顔が怖いってば。

「そういえば、かがみさんとつかささんは昨日一緒に寝ていたようですね」
 鼻血を噴き出しながらもなんとかそう言ってのけたみゆき。
 何でそんなこと知ってるのよ。そのメガネには透視能力かなにかがついてるのか。
 そして、この状況でそんなこと言わないでよ。
「そうなんですか!!」
「私もその間に挟まって寝たいっ!!」
「私もね」
「やっぱり二人とも……お持ち帰り……!」
「ずるい!!柊と柊妹は私が貰うんだからな!!」
 みんなの目つきがまた一段と怖くなったから。

 そういえばいつの間にかつかさが巫女服にされている。
 さっきゆたかちゃんがつかさに触れた時かしら?
 そういえば、私まで巫女服にされている。
 …ってこれ、家の神社にあるやつじゃない!
 どうやって持ってきたのよ。
「ふええ、みんなが変になってるよぉ〜」
 みなみちゃんに抱きかかえられながら、つかさが言う。
 まったくだ。
 今の状況をまとめると、私とつかさは、人間とは思えないくらいに体を仰け反らせたこなたと、
 もの凄い勢いで鼻血を噴き出すみゆき、そしてメガネから煙が出ている田村さんと、
 奇声を発し続けるパトリシアさんに取り押さえられている。
 その間にゆたかちゃんは次々と私たちに違う服を着せ、峰岸は怪しげなお菓子を私たちの口に入れようとしている。
 そして、日下部とみなみちゃんは取り押さえられている私たちを無理やりどこかへ連れて行こうとしている。

「あーもう、今日はいったい何なのよ!!」
 そう叫ぶ。
 みんなおかしくなってるし、夢かなんかじゃ……
 あれ……?夢…?
 ………
 ……
 …

 目を開けると、私は自分の部屋のベッドの中にいた。
「夢……?」
 いつも通りの朝。
 隣ではつかさが眠っている。
 そういえば、昨日は一緒に寝たんだっけ。
 まったく、なんていう夢を見たんだろう。
 夢のくせに、妙にハッキリとしていたわね。
「あ、起きたんだ〜」
 声のした方に目を向けると、いのり姉さんとまつり姉さんがいた。
 なんか目がおかしく見えるのは気のせい?
「姉さんたち、なにしてるの?」
「それがね、私とまつりでどっちがかがみとつかさを貰うかという話をしていたんだけど、
 結局今日は私がかがみで、まつりがつかさっていうことになったのよ」
「そうそう。そしたら二人ともこっちで寝ていたから、二人でずっと寝顔を見ていたのよ」
「姉さんたち、何言って…」
 私がそう言った時、つかさも起きた。
「あ、あれぇ?さっきの、夢かな?……あ、お姉ちゃんたち、おはよ〜」
「つかさも起きたのね。それじゃまつり」
「もちろん。せ〜の」
「「それっ」」
 そう言うが早いか、私とつかさにとびかかる姉さんたち。
「わわ、これも夢!?」
「姉さん、やめて!!」


 そして。
 私たちはしばらく姉さんたちにいろいろされた後、なんとか学校へ行った。
 学校へ行くと、予想通りというかなんというか。
 こなたにみゆき、日下部に峰岸、そして一年生四人。
 みんながみんな壊れていて、私たち姉妹に飛びついてくる。
 あーもう、これも夢であってくれ!!


 おしまい

21831-297:2008/02/06(水) 00:35:13 ID:88p/UBRF
 以上です。
 最近かが☆フェチ的な話もみかけるので、自分もそれに乗じて…という感じで書いたものです。
 それで、ついでだからかがみとつかさで 双子☆フェチ みたいな感じにしてしまおう、と。
 読んでくださった方、ありがとうございます。
21931-207:2008/02/06(水) 00:35:46 ID:88p/UBRF

すみません。名前間違えました。
220段々と人数が増えつつある公園にて:2008/02/06(水) 01:11:15 ID:E0jarjSq
「おじゃましまーす・・・」
「やたー!調理要員が増えたーヽ(=ω=.)ノ」
「つかさ・・・あんたもここ来たんだ・・・?
 ダンボール生活は最初きついかもしれないよ」
「ん〜ん、大丈夫・・・私もこなちゃんやお姉ちゃんの気持ち、
 やっと理解したし・・・あれ、すっごくやばいよ・・・><」
「なんにしても歓迎するっす、大したもてなしは出来ないッスけど
 (くうぅうぅ〜〜こな×かがのみならず、魅惑的な柊ジェミニまで!
  なんか私、ここで一生分の運を使い果たしているような
  気がするっすwwwwwビバ!ダンボールライフッ!
  はっ!だから自重しろ私ぃい〜〜〜!!;;;)」
「んまあ、なんにしても、>>218にはGJをっ!(=ω=.)b」
221名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 01:39:17 ID:rHCuWHKF
>>187-192
なに? 主人公のキャラが薄い?
それは主人公のキャラを捉えようとするからだよ
逆に考えるんだ
「自分の好きにキャラを作れる」と
考えるんだ

>>218
それはそうと双子☆フェチGJなんだぜ!
222名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 02:14:09 ID:BWVEqE5d
>>218
GJだけど、ベースっていうか表現が完全にこなフェチだな
こなた以外のキャラの壊れ方とか
一応7-896氏に断りくらいは入れておいた方がいいと思うんだけど
223名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 02:14:51 ID:BWVEqE5d
sage忘れてるやつには言われたくないよな
すまんorz
224名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 02:28:31 ID:X/pkb52J
>>222-223
31-297氏はハンドルからして最近参入された方ぽいので、各ふぇち(特に鼻血みゆき等)の元ネタが
7-896氏の個人作品である事を知らなかったんではないかと思う。
特に最近はいろんな方がネタにしてるから当スレ全体の流行?みたいに受け取られたのかもしれない。

だから問題ない、と言うつもりは毛頭無いが、まぁそう思ってしまっても仕方ないんじゃないかなーくらいに言ってみる( ´∀`)
最後に>>218GJ♪
225まだry:2008/02/06(水) 04:40:51 ID:zgZRlFNX
かなたスレから引っ越しします。
元はと言えば、去年のお盆の頃に誰かが投下した、ここにある彼方の続きのお話。

「おかーさん……そんなトコで何してんの〜?」

って。

続かない。

と終わってしまったのですが、なんか勿体ないので続きを書いてしまったのが始まりでした。
まだだ、まだ終わらんよってことで。
続きということで、あっちに投下していましたが、微妙に荒れるので、まぁ、引っ越しかなっと。
書いてる途中でHDがクラッシュしてくれたので、実は前半部分は過去ログにしかバックアップが無い状態でした。
今回、過去ログからサルベージしてきて、誤字脱字、その他気になる修正すべきところも多数あるのですが
そのまんま、とりあえずロダに置いておきます。
最後まで書き終えたら、修正するつもりです。


今、読み返すと、最初の頃と今と、全く違う…

遅筆ですが、よろしくお願いします。

http://deaikei.biz/up/up/8598.txt.html
パス kanata
226名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 05:24:52 ID:873qJJyf
>>222-223
うっかりっぷりに思わず萌えた
227名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 06:05:30 ID:IIqIMIiv
>>225
うぅ…親子愛っていいなぁ…涙腺崩壊。
続き待ってますぜ
228名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 07:24:06 ID:XHp7s1tj
>>225
うわ、お引越しの人って貴方だったのか!
あっちの方でお見かけしなかったからちょっと心配だったんだが。

ともあれエロパロなのにえろくないカオススレへようこそ。
今回更新分も、なかなか見られない父親としてのそうじろうが秀逸でした。ぐっじょぶ。
229妄想屋(仮名) ◆JUqojnT5.c :2008/02/06(水) 07:57:25 ID:7yuOnkDX
>>225
>かなたスレから引っ越しします。

いらっしゃぁっせぇーーー!!

>元はと言えば、去年のお盆の頃に誰かが投下した、ここにある彼方の続きのお話。

あー……えと。

思いつきの1レスをここまで広げてくださったあなたに、最大級の賛辞と感謝を。
これからも楽しみにしております。

230名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 11:42:01 ID:hsu7p3dh
ふおおおおお>>225よGJ!!
てけてけかなたさんと双璧を為すかなたさん系感動超大作キタ―――――(゚∀゚)―――――!!!
一気に読了涙も溢れる(シパシパ的な意味で←おい

続きに超期待




尚、個人的な感覚なんですが
最敬礼と言われるとどうしても御辞儀の形を思い浮かべてしまいます
(ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%AC%E7%A4%BC 参照)
文脈からは顔の横に手を当てる、一般的な“敬礼”を想起させるところからも、
最敬礼よりも敬礼の方が適当、のように感じます
私感失礼致しました
231名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 11:49:23 ID:Qyph3787
かなたさんと聞くと最近はもうゴッドかなたさんしか出てこない俺が通りますね

とにかくGJ!!!イーハナシダナー
232名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 12:45:58 ID:tJZUFQpS
ゲームのみなみの台詞でオナニー狂いしか想像できない俺は終わってるのか
233名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 12:51:04 ID:3GtrYfF/
>232
まだそこまでゲームを進めてないが

おまいの行動は多分正しいw
234名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 12:56:08 ID:qKl3cqM0
ども携帯から失礼します。前にかがみボッチスレでかがみとオリキャラ金森書いていた物ですがこっちにもボッチスレで書いてSS投下して大丈夫でしょうか?
235金森:2008/02/06(水) 13:00:04 ID:qKl3cqM0
すいません書いてたも作品でした
236名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 13:02:27 ID:3nl0Tns8
>>234-235
日本語でおk
237名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 13:14:16 ID:hJVZPLHY
>>225
ようこそカオススレへwそしてGJ!!
>>234
もちつけ。
鬱展開とかなら、事前に断りをいれればおkかと。

ここでは、基本、職人カムカム!!ですから。
238名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 13:32:15 ID:pqjjgP4B
>>232
「毎晩ベッドに入るたびに先輩のことが頭に浮かんで眠れなかった」とかどう考えても(ry
しかもどんどん悪化して授業中にまで、とかもうね・・・ひよりんじゃないけど創作意欲掻き立てられるぜ。
239名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 13:36:23 ID:mSlK6LzV
234>>
今後の分をこっちのみで投下するならOKかな
ただ、ここは「作品としてはなんでもあり」だが、「マナー違反も何でもあり」ではないので
1>>のテンプレを読んだ上で、空気の違いに馴染めると思うなら
今後の発表分も二重投下という意味なら、別に禁止ではないが
あまり快く思われないかも知れない
240名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 13:39:11 ID:A/RlPTB7
スマン

>>234
今後の分をこっちのみで投下するならOKかな(私見)
ただ、ここは「作品としてはなんでもあり」だが、「マナー違反も何でもあり」ではないので
>>1のテンプレを読んだ上で、空気の違いに馴染めると思うなら
今後の発表分も二重投下という意味なら、別に禁止ではないが
あまり快く思われないかも知れない(私見)
241名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 13:41:29 ID:JvQw2qO6
お願いだからゲームのネタバレやめて
解禁は発売から一ヶ月後のはずなのに
242名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 13:48:43 ID:pqjjgP4B
あ、すまん・・・
243名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 13:51:29 ID:ZSgS/KHa
鬱系で専用あるならそっちで書いたほうがいいんじゃないの?
こなた自殺スレとか見たことないから知らないけどそういうSSが流れてきたら
住人減るだけだと思うんだけど
244名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 13:56:17 ID:aqhS8WEf
>>225
やぁっと読み終わりました。素晴らしい親子愛をありがとう!!
続きを待っておりますね。
それにしてもDL数を見て改めてここの住人の多さを実感…w
245名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 14:11:58 ID:hcr3S/NZ
>>225
あんたのせいで…
いままでこな×かが主義でゆりゆりと花咲いていた俺の頭に、
「こなたにはやっぱりまともな結婚して子供に恵まれ
 幸せになってほしい」という考えが広がりつつあるじゃないか!
責任とって続きを(ry

…それはさておきww、心温まる感動巨編GJ!





…でも、よくよく考えてみたら俺、「いずみけ」シリーズの
ファンなんだよなwwwww
246金森:2008/02/06(水) 14:15:51 ID:qKl3cqM0
レスの返答ありがとうございます。う〜んやっぱ二重投下みたいになりそうなのでボッチスレで書いた作品は自重します。また新たに自分の新作できましたらこちらに投下します。スレ汚し失礼しました。
247名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 14:43:19 ID:FHI2AwWI
>>225
ふぅ、仕事の合間に読むには長過ぎだぜ。
読む合間に仕事になっちまった。涙堪えるのがキツかった。
いい話ありがとう。
続き待ってる。

しかしDL数76ってw平日のこんな時間にみんないいのかw俺もだけど。
>>245
つまり、かがみとまともな結婚をして、養子をもらってってこと?
どこかのなのフェのように。
248245:2008/02/06(水) 14:52:03 ID:l/CY9TqT
おまいさんの、その発想に脱帽wwww

俺はただ、「いずみけ」のような展開を想像してただけだったのだがwww
249名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 15:26:55 ID:FBPKzGY6
養子をもらうのが妥当だな
現実的に考えて
250名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 16:18:59 ID:JA4Uj6ju
>>249
は?
女の子同士でも子供ぐらい出来るだろ?
251みゆつか愛してる:2008/02/06(水) 16:30:59 ID:5ch1Cj4y
新しい職人さんが続々参入の予感ですね・・・・・・。
ぜひ勉強させていただきます。

投下します。
・ひかる×ふゆき
・微エロ
・7レス拝借

では、他に投下宣言が無ければいきます。
252あなたがいるから1:2008/02/06(水) 16:35:23 ID:5ch1Cj4y
午後五時半になりました。陽は沈みかけて、差し込む西日が眩しいですね。
あ、私ですか? 私はこの学園で養護教諭を勤めている天原ふゆきといいます。
この時間になると保健室へと駆込む生徒の姿はほとんど見られなくなり、私はいつものように一人、日誌を書いています。
誰もこないということは、とてもすばらしい事です。さすがにこの時間に睡眠のためにベッドを借りに来る生徒はいません。
……生徒、はいないのです。
「おーす、ふゆきー」
その声と同時に、保健室を包んでいた静寂は壊されました。
「あら、桜庭先生。今日は職員会議はもう終わりですか?」
白衣をひらりと翻すと、桜庭先生は気だるげに頷いて、ポケットから取り出した煙草に火をつけました。
「ん。退屈だった」
「そうですか……あら、保健室は禁煙なんですよ?」
「まあ、そういうな。どうせもう生徒はこないんだろう?」
「部活で怪我をした生徒がくるかもしれないんです」
「若いうちは気合で治る、そんなもの」
煙草をくゆらせて白い煙を吐くと、桜庭先生は開け放した窓の外を怪訝そうに眺めていました。
光る眼鏡とそばかすに、真っ赤な西日が当たっています。運動なんて興味ない、といったことを考えているのでしょうか。
グラウンドで声を張り上げているのは野球部の生徒達ですね。保健室のお世話になる回数が最も多い部活です。
「ところで今日は宿直なんだ」
「あら、そうなんですか? 頑張ってくださいね」
「それでだな、ひとつ不安な点がある」
「なんですか?」
桜庭先生はまた大きく、天井にめがけてたくさんの煙を吐いたら、吸いかけの煙草を携帯灰皿に入れました。
「今日は少しばかり疲れててな、眠気がどうもおさまらないのだ」
「お疲れさまです。冷蔵庫に栄養ドリンクがありますよ? それともコーヒーをいれましょうか?」
「それはそれであとでもらう。しかし、今すぐ保健室を閉めるわけじゃないんだろう?」
「うふふ……言わなくてわかっていますよ?」
私の言葉を聞くと、桜庭先生は少し含んだようなしたり顔を見せました。
「桜庭先生のこのお願いは、一度や二度じゃありませんもの」
「それなら話が早い。ベッドをひとつ、借りるぞ」
「はいはい。時間になったら、起こしますね」
「助かる。ふゆきは理解があって助かるよ」
「きちんと『天原先生』って呼んでくださいね」
私の後ろで衣擦れの音がしています。皺にならないようにと桜庭先生が白衣を脱いでいる音ですね。
「最近寝つきが悪いのだが、保健室のベッドはなぜかよく眠れるんだ」
「疲れが溜まっているのでしょうか? 適度に息抜きをしたほうがいいんじゃないですか?」
「そうだな。ふゆきが添い寝でもしてくれれば気持ちよく寝られるかもしれないのだが」
「もう……そんなところまで面倒は見られませんよ?」
「よし、結婚してくれ」
「睡眠不足はストレスからもきている場合が多いんですよ。仕事でなにかあったんでしょうか」
「いや、これといったストレスはないな。案外、学校のほうがかえって安心するのかもな」
「桜庭先生がワーカホリックには見えませんが……」
「空気的というか、環境的にな。結婚してくれ」
253あなたがいるから2:2008/02/06(水) 16:36:21 ID:5ch1Cj4y
「慢性的に眠れないというのもりっぱな体調不良です。保健室のほうがよく眠れるというのなら、いつでもお貸ししますよ」
「ベッドを借りるいい口実ができたな。まあ、ふゆきはそうでなくても貸してくれるだろうけどな」
「私も甘いですね。でも先生は特別ですからね?」
「わかってるよ。なあ、ふゆき」
「はい、なんでしょう」
「結婚してくれ」
桜庭先生が寝やすいように、ベッドのシーツを整えてあげました。
二本目の煙草を味わう桜庭先生は少しばかり目をうつろにしています。寝不足でも煙草は美味しいんでしょうか。
「まいった。灰皿がいっぱいだな……」
「私が捨てておきますので、そこに置いていてください」
「む、すまない」
携帯灰皿を机に置くと、倒れ込むようにしてベッドに潜り込む桜庭先生。本当にお疲れのようですね。
「一時間以上は寝られるはずです。私はここで日誌を書いていますので」
「ありがとう。結婚してくれ」
「では、おやすみなさい」
「……ああ、ようやくわかったよ」
「何がですか?」
「保健室だと安心してよく眠れる……理由が……」
「理由?」
「ふゆきが……そばに……いるからぁ……」
やがて、小さな寝息が聞こえてきました。毛布に包まった小さな身体が、規則正しく上下しています。
私が窓を閉めると、グラウンドからの喧騒は消えて室内に再び静寂が訪れました。
毛布から顔だけを出している桜庭先生に近付き、その寝顔の様子を確かめます。
寝付きが悪いと言っていましたが、子供のようによく寝ついています。寝心地はそれほどのものでしょうか。
「……また眼鏡をかけたまま、寝ちゃったんですね」
眼鏡をそっと外してあげると、少しだけむず痒そうに顔をしかめながら、再びいつもの寝顔に戻る桜庭先生。
(寝不足……ですか。桜庭先生、何があったんですか?)
ストレス? それともなにか体調不良の表れ……? 
私は養護教諭の知識をフル活動して、睡眠不全の原因と治療法を追求しました。出来る限り薬には頼りたくありません。
(ただでさえそんなに健康的な生活は送ってないのに……それが原因なのかしら……)
泥のように眠る桜庭先生の頭を撫でてあげると、むにゃむにゃという声を漏らしました。
『ふゆきが添い寝でもしてくれれば気持ちよく寝られるかもしれないのだが』
桜庭先生の言葉が私の頭によぎります。
(それでよく眠れるのなら、いつでも私はかまわないのですが……)
それにしても本当に、桜庭先生は心臓に悪い事をいうものです。今日は何度心臓が止まりそうになったことでしょうか。
この人は私の気持ちに気付いているのでしょうか? 冗談を冗談と受け取れないくらい、余裕の無い私の胸の内に。
(悪魔のような人ですね、本当に)
普段の言動からは想像も出来ないくらい、幼い寝顔。身体の大きさにはよく合ってはいるんですけれど。
(そ、それにしても……)
私は穴が空くのではないかというくらいに、桜庭先生の寝顔を凝視していました。
じゅるり、という音が聞こえます。というよりは、その音は私が発していたのですが……。
(本当に可愛い寝顔ですね……)
きっと私の顔は真っ赤になって、恍惚とした表情を浮かべていたことでしょう。とても人様には見せられないような……。
254あなたがいるから3:2008/02/06(水) 16:37:29 ID:5ch1Cj4y
桜庭先生の天使のような寝顔を見る度に、私の心臓は爆発しそうなほどに踊ります。
誰にも言えません。桜庭先生の寝た後のベッドにこっそり潜り込んで残り香をかいだりしているなんて……。
時折毛布からはみ出る桜庭先生の生足を、息を荒くしながら見つめているなんて、とてもとても……。
気だるげに煙草の煙を吐き出す姿に、胸を射すくめられて動けずにいる。そんなこともあるんです。
携帯灰皿から吸い殻を取り出して、間接キスを楽しんでいることだってもちろん秘密です。
……どれもとても、桜庭先生に言える事ではありませんけれど。だって、冗談では済まされませんから。
(はあ……桜庭先生……好きです……)
昔から、桜庭先生に想いを寄せていました。もちろんそれを伝える事は決してありません。
そしておそらく、これから先もなのでしょうけれど……。
桜庭先生お得意の『結婚してくれ』なんて言葉も、全て冗談からでるものですから。
……わかっていても、ダメになりそうなくらい魅力的な響きなんですけどね。
(忍ぶ恋は苦しいものですよ? それも知らずにこんなに寝ちゃって)
胸の奥がぐっと苦しくなります。添い寝……そんなことは冗談で言い合えても、私は実はそれを求めていて。
でもどんなに冗談にできても、それを現実にすることは絶対にありえなくて。それは『結婚してくれ』も同じこと。
世界一残酷な冗談を言い合う私達。何気ない会話でも、私だけ気持ちは空しい方向にいったりきたりなんです。
(今のうちにこの寝顔を写真におさめようかしら)
そんなことを考えとていると、桜庭先生が急に寝返りを打って……私の白衣の袖をがっしりと掴みました。
「ひゃっ……!」
一瞬桜庭先生が起きたのかと思って、間抜けな声を出してしまう私。
……しかし、桜庭先生の瞼は固く閉じて、小さな寝息を立てたまま。それから口をむぐむぐと動かして……。
「ふゅ……ふゆきー……」
「は、はい。なんですか?」
「……けっこん、してくれー……」
「え、ええと……」
「……みゅう」
赤面して戸惑う私を横に、再び寝息。
(寝言、ですか……)
聞きなれた冗談でも、寝言で聞くとまた斬新で恥ずかしいものです。
罪な寝顔……私は心臓の高鳴りをなんとか制止して、今度は袖を掴んだままの桜庭先生の手に自分の手を重ねました。
(日誌書かないといけませんね……でも、離れたくない……)
時刻は六時。本来なら日誌を書き終わっている時間帯です。
ふと、その手のひらに桜庭先生の手の感触を感じているうちに、
(あっ……いけません……!)
私の中にぐるぐるとしたものが渦巻いて、それはやがて熱になり、身体の奥へと伝わっていきました。
残念なことに、私は……欲情してしまったみたいなのです。
(どうしましょう……さすがに、ここは学校ですし、桜庭先生がいますし……)
こうなってしまった時の解決策にはいつも、恥ずかしながら自分を慰めているわけなのですが……。
もちろんそれは桜庭先生がお相手、という失礼な妄想で、もちろん自分の部屋でしか行いません。
なのでいくら欲情したとはいえ、もう立派な社会人、それも女となると気を使わなければならないことなのですが……。
「すー……すー……ふゅ……」
眼前のその寝顔を見つめると、自制心がついに活動をやめてしまいました。獣欲のみが心を支配していきます。
255あなたがいるから4:2008/02/06(水) 16:38:35 ID:5ch1Cj4y
(私のせいじゃありません……桜庭先生がいけないんですからね?)
私はずいぶんと身勝手な責任転嫁をすると、桜庭先生の温もりが残る手をそっと白衣の中に差し入れて……。
「……んっ……ふぅ……はあっ……」
静かだった保健室の室内には、途切れ途切れに私のみっともない声、荒い息が響いています。
(こんなところ、桜庭先生に知られたら、絶対に嫌われますね……)
そうは思っていても私は自分の欲望に抗う事ができずに、自分を慰め続けました。
桜庭先生、ごめんなさい―――そんなことを考えつつ、心とは裏腹の行為に耽ったままの私。
「くっ……すきです、桜庭先生……」
何を考えていたのでしょうか。桜庭先生に愛されたら、抱かれたら、キスされたら、触れられたら、そんなこと?
どれも明確にはわかりません。ただひとつ、桜庭先生への感情が、暴力的なまでに膨れ上がっているというだけです。
「き、気持ちいいです、先生……あっ、ううんっ……!」
異質な状況のせいでしょうか。自分でも驚くぐらいに溢れていて、桜庭先生への想いと比例するようにも思えて……
いつもよりも強い快感に溺れていた私は、桜庭先生が目の前にいることも忘れて、はしたない声を上げていました。
「ひぁ……もう、ダメですっ……あっ、ああ、んっ……!」
激しく身体を痙攣させると、いつもより何倍も早く、私は達してしまいました。
頭の中がぼやけて、身体の中の獣欲はするすると姿を消してゆき、荒い息を整えると、徐々に冴え渡っていきます。
(してしまいました……どうしましょう……)
大人の女としてのプライドが戻ってくると同時に、悲しみと空しさとでやりきれない気持ちになってしまいました。
桜庭先生は相変わらず、瞼を閉じたまま。小さな唇は、見た目からもわかるくらいの弾力を感じます。
すると……愛しい寝顔のはずなのに、私の中に怒りが込み上げてきました。それは次第に大きさを増していきます。
(安心して眠れる理由……私がいるから、そういいましたよね?)
答えてくれるわけでもないのに、私は桜庭先生にそっと質問を投げました。怒りは燃え滾ったままです。
(私を信頼してるから。私に全て任せているからなんですよね? 私に色々面倒を見させるのも、そうだからなんですよね?)
下唇を噛んで、桜庭先生を睨みつけます。ここまで怒りや敵意を込めた目を桜庭先生に向けるのは、きっと初めてでしょう。
ただでさえ私は怒ることが少ないつもりなのですが……ここまで大きな怒りを、まさか愛する人に向けているだなんて。
(それなのに、今もこんなに近くにいるのに。なぜあなたを手に入れられないんですか? 理不尽すぎると思いませんか?
 こんなの、耐えられるわけないじゃないですか。……なんで、私がいると安心するとか、そんなこと言うんですか?
 『結婚してくれ』なんて言うんですか!? 人の気持ちも知らないで、子供みたいに眠って、そんな桜庭先生なんかもう……)
涙腺が緩んでいくのを感じていました。それでも、あれだけ大きかった怒りが少しづつ諦めへと姿を変えていって……。
(……好きなんです……)
桜庭先生を包んでいる毛布をギュッと引っ張ると、私は涙が零れないようにぐっと顔をしかめていました。
この人が目が覚ましたときに、私の目が赤くなって心配されたら、申し訳無いですからね。
(もっとあなたに触れたいんです、桜庭先生。無理だとわかっていても)
桜庭先生の唇に視線が注がれ……少し前歯が見えます。私の胸は再び高鳴っていき、
(こんなに苦しい思いをしてるんですから……このくらい、かまいませんよね?)
私は身を起こすと、あおむけになっている桜庭先生に向かって顔をおろすと、かかりそうなロングヘアをかきあげて、
それからゆっくりと、愛する人の寝顔に向けて顔を近付けていきました。心臓はすでに、早鐘を打っています。
残り10センチ。私の唇はまるで、ファーストキスのように小さく震えて……。息も少し不規則に荒れていました。
(本当はもっときちんとした形で、あなたとこうしたかった……)
再び悲しみが私の中に込み上げてきました。今日は私にしては本当に、感情が忙しない日だと思います。
残り5センチ。残り3センチ。すでに桜庭先生の吐息が、私の唇に感じる距離まできました。残り1センチ。
256あなたがいるから5:2008/02/06(水) 16:39:35 ID:5ch1Cj4y
……私は唇を触れさせる事無く、顔を離しました。立ち尽くしたまま、桜庭先生を見下ろしています。
(……これ以上、桜庭先生に嫌われるようなことも、自分を嫌いになることもできません)
桜庭先生の眠るベッドから離れると、私はテーブルの上の携帯灰皿に目を落としました。下着には違和感があります。
「……そんなに美味しいのでしょうか、煙草なんて」
私は煙草を吸えません。時折その匂いが気になることもありますが、桜庭先生の場合だと特に気にはなりません。
携帯灰皿から綺麗な吸い殻をひとつ取り出すと、それをそっと口にくわえました。二人の口紅のあとが残りました。
結局、また桜庭先生に嫌われそうな事をしてしまいました。常習なので、私はずいぶんと性質が悪いみたいです。
(やっぱり、変な匂いがしますね……)
「煙草は火をつけないとうまくないだろ」
「いえ、私にはどのみち味の良し悪しは……」
唇から離れた吸い殻が床に落ちたことも気にせず、私はその声に反応して、素早く後ろを振り返りました。
「おはよう、ふゆき。結婚してくれ」
「さっ、桜庭先生!? お、起きられたんですか?」
「いや、まだ眠いんだけどな」
「えと、これは……」
桜庭先生は寝ぼけまなこで頭をかいています。混乱した私は落ちている吸い殻を拾って……。
「す、すみません……煙草に少し興味がありまして」
「なら吸ってみるか? ……って、嘘つけ。煙を全く受け付けない身体のくせに」
「……ごっ、ごめんなさい。他意はないんですけれど」
「他意か。他意ね……」
私は笑顔をつくってみせたのですが、内心は心臓が張り裂けそうになっていました。間接キス狙いだと思われませんように。
「桜庭先生、まだ眠っていても大丈夫ですよ? 私、起こしますから」
「いや、寝れないだろう。横であんなことされちゃ」
「えっ?」
「びっくりしたぞ。ふゆきはああいうのに縁が遠いと思っていたからな」
心臓が止まったかと思いました。全身に冷たいものが走りぬけて、私は崖から突き落とされたような気持ちになり……。
あの痴態を桜庭先生に見られていた? あのあられもない姿を、聞かれたくなかった言葉を聞かれていた?
「あの……あ……桜庭先生」
「やっぱりあれはいただけないな。別に行為自体は構わないけど、お前ともあろうやつが時と場所を選ばないのはな」
そう言うと、桜庭先生は大きくため息をついて、私は頭を思いきり殴られたような衝撃を受けました。
終わりがきた。私と桜庭先生が歩んできた長い歳月は、育んできた関係は、全て私のミスで壊されたのです。
桜庭先生からの拒絶。呆れたような顔を私に送っていました。その奥にあるのは、きっと軽蔑と嫌悪。
「しかし、私のことが好きか。そうか、好きなんだな」
「さ、桜庭先生……」
「なるほど。だからこんなことをしちゃったわけなのか」
「……ご、ごめんなさい!」
もう生きていけない。愛する人から嫌われえしまえば、さすがにもう笑顔に戻る自信は無い。
何よりもこれからを考えると心がもたない。きっと桜庭先生はもう、冗談として受けとっていないはず。
いたたまれなくなった私は、その場から立ち去ろうとしました。桜庭先生を残すのも最低だとは思っていたのですが……。
「待て、ふゆき」
「私、学校やめます。だから」
「いいから、待て!」
257あなたがいるから6:2008/02/06(水) 16:40:56 ID:5ch1Cj4y
桜庭先生の珍しい大声に、背を向けて走りかけていた私は足を止めました。
そのまま桜庭先生を振りかえらず、自分からは言葉を見つけられなくて、桜庭先生の言葉を待っていました。
「ふゆき……お前は告白をしておいて、返事も聞かずに帰る気か?」
「し、しかし桜庭先生……」
「つれないな。私とふゆきの仲だろう」
「だって、もう結果は見えているじゃないんですか?」
私は白衣を握って一生懸命に耐えていました。今の私には桜庭先生の声が、棘の付いた鞭のように効いています。
当の桜庭先生は何でもないとでも言いたげに、飄々と答えています。これが『結婚してくれ』を冗談にできる力……。
「それは違うな。生物の行動に、確実な結果が見えているなんてことは絶対にない」
「でも、いきなり告白されても、どうしようもないじゃないでしょう」
「いきなりじゃないな。ふゆきが私のことを好きだってことくらい、私はずっと前から気付いてたぞ」
「……!」
私は振りかえって、桜庭先生のほうを向き直りました。ベッドの上で桜庭先生は、なぜか得意げな顔をされています。
前から気付いていた……ということは今まで、自制心を効かせていた私の闘いは無駄だったということ。
「……いつからですか?」
「具体的な日にちは知らん。でも私は鈍感ではないからな。それにお前と何年一緒にいると思ってるんだ。
 ただ、寝顔凝視されたり、足を舐めるように見られたりっていうのは結構辛いぞ。私も一応女だからな。
 そういうことには割と注意してるんだよ。ていうか、お前も女ならなおさら自重すべきじゃなかったのか?
 そんな思春期の男子みたいなことしなくても……まあふゆきだから別にイヤってわけじゃなかったけどな」
私のしていたことは全部バレていたということでしょうか。だとしたら、私はすごく滑稽な存在でしょう。
それでも私には言い返す余地が十分あります。いいえ、桜庭先生を責める資格もあるということでした。
「だとしたら、酷過ぎます」
「何がだ?」
「私の気持ちを知っていて、『結婚してくれ』とか、そんな冗談を口にしていたんですよね? あんまりですよ。
 こんなに桜庭先生のことを好きなのに、そんな気持ちを弄ぶようなことばかり言って、今日だって……」
私の中で膨らむ怒りと悔しさ。またも涙腺が緩み、肩を震わせて桜庭先生に吠えていました。
桜庭先生は失敗したというように自分の頭をパチンと叩くと、姿勢を正してしずしずと私に向き直しました。
「それは謝る。きちんとお前の気持ちに対して言葉で答えられずに、結果としてお前を辱めた。それはすまない。
 しかし、言い訳をさせてくれ。私はお前とは長い付き合いだ。お前に好かれてイヤだったらイヤだと言えるし、
 それを隠してお前の気持ちを弄ぶなんてことは絶対にしない。ただ、私はこういうことに関して少し不器用なんだ」
ぺこりと頭を下げる桜庭先生。簡単な動作だったけれど、それだけで反省しているのだという事は十分に伝わってきました。
「私の答えも少しくらいはお前に伝わっていると過信しすぎていた。もうほとんどわかりあえているものだとばかり。
 だって、考えてもみてくれ。好かれてイヤだと思った相手に、甘えたり、寝顔を見させたり、足を見させたり、
 ましてや添い寝を頼んだり『結婚してくれ』なんて、さすがの私でも口にするわけがないだろう。わかるよな?
 不器用ですまないとは思う。でもこれだけは言っておく。私はお前を悲しませたりするのが一番イヤなんだぞ」
熱弁する桜庭先生。私はそれを聞いているうちに、自然と冷静さを取り戻す事ができました。
もしかしてこの人が言っていることは、私にとっては嬉しい事なのかもしれません。けれど……。
「私はそれをどう受け取ればいいんですか? もう、何を信じたらいいのかわからないんです」
「……すまないが、ちょっとこっち来てくれるか?」
桜庭先生の手招きに応えて、私はベッドへと向かいます。
ベッドの横に立った瞬間、強く腕をひっぱられ……私は桜庭先生に倒れ込むように、ベッドに横になっていました。
258あなたがいるから7:2008/02/06(水) 16:42:31 ID:5ch1Cj4y
「さ、桜庭先生……?」
「ふゆき。これが答えじゃダメか?」
「ど、どういう、んっ」
気が付くと私の唇は桜庭先生に塞がれていて、ほのかに煙草の香りが鼻腔をくすぐりました。
横になったままの2〜3分のキスが終わってようやく唇が離れたときには、私は桜庭先生に目を合わせることができずに。
「……これは、冗談じゃないんですよね?」
「当たり前だ。私は最初からずっと本気だったぞ。伝えるのが遅すぎたみたいだけどな」
「ちょっと下手すぎますよね」
「だからすまないって」
「……でも、女同士なんですよ」
「そんなこと、私とふゆきの間ならいまさらなんてことないと思っていたんだが」
今度は我慢しませんでした。喜びが胸に溢れるのを感じて、私は少しばかりの涙を零しました。
桜庭先生はそんな私への対応に少しばかり困ったみたいでしたが、すぐにその涙を拭ってくれました。
「なんで私が寝不足になったか、知ってるか?」
「……いえ」 
「ふゆきがいるから眠れるってことは、ふゆきがいないから眠れないんだ。さっきも言ったが、私も曲りなりに女だ。
 寂しくて寝れない日もあるんだぞ? 好きな相手を想う日には、特にな。ふゆきならこんな気持ちわかるだろう?」
「眠れないのは……私のせいですか?」
「まあ、そうなるんじゃないのか?」
「……そんなこと言われても、面倒見切れないかもしれません」
「ぶつくさ言わず、私の睡眠不足を治してくれるな? 養護教諭だろう?」
「……それは、養護教諭としてですか?」
「……いや、違ったな。とにかく、治してもらわないと困る」
すると桜庭先生はまるで母親に甘える幼い子のように、私の胸に顔を埋めてきました。私はその頭をそっと抱き締めます。
どうやらこんなところでも私達は、世話をする者とされる者に別れてしまっているようです。でもそれで構いません。
今はお互いにようやく、求め合う事が出来ました。桜庭先生の小さな身体はやっぱりちょっと暖かくて、煙草臭くて。
「……好きです。大好きなんです、桜庭先生」
「ああ、私もだな。ふゆきのことが好きだ」
「本当は天原先生なんかじゃなくて、ふゆきって呼んでもらいたいんです」
「ああ、だからずっと呼んでる」
「結婚してください、桜庭先生」
「ああ、しよう。それよりもふゆき、私のことは『ひかる』と呼べ」
「……全部いつもと逆ですね」
「ああ、逆だな。こうしてるとやっぱり、ふゆきのそばは一番安心するな。これでよく眠れる」
「私のほうが、寝不足になりそうですよ?」
「今は寝よう。起きたときに、全部始めればいい」
白衣が皺になってしまう……それに桜庭先生は宿直なのに、誰が起こさないといけないんでしょうか。
そんなことを考える余裕はありませんでした。私達は寄り添って、互いの温もりを確かめあってます。
起きたらコーヒーをいれましょう。桜庭先生は煙草を吸うから、目覚めのコーヒーがちょうどいいかもしれませんね。
今だけは桜庭先生って呼んでしまいますね。二人きりのときにそう呼ぶのは、これがもう最後になりそうですし。
目が覚めたときには何もかも変わっている世界。今日は幸せな夢が見れそうですけど、どうか夢ではありませんように。
259みゆつか愛してる:2008/02/06(水) 16:45:14 ID:5ch1Cj4y
投下は以上です。読んでいただいてありがとうございました。
本当はひか☆フェチ状態の壊れふゆきのギャグを書くつもりが
なぜかこんなことになってしまいました・・・・・・。

しかし、みゆつかファンとしては同じみゆつか好きがいると
とてもテンションがあがってくるものですね。
みゆき×つかさ男体化を書くとつかさがどうしてもショタっぽくなるのですが
ショタっぽい感じは大丈夫でしたっけ・・・・・・。
では。
260名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 16:51:27 ID:XHp7s1tj
リアルタイムで読了。

「……みゅう」! 「……みゅう」!! あーーーー!!!

ええもう。あんまりにも甘すぎて血液が黒蜜になりそうです。ふゆひか可愛いよふゆひか。
いろんな意味でごちそうさまでした。ぐっじょぶ。
261名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 17:21:52 ID:aqhS8WEf
あなたは私をニヤニヤさせるのが上手なようで……結構なお手前でしたb
毎度ながら安心できるクオリティにおにーさん大満足です。GJ!
262名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 19:29:36 ID:SEsvdlIH
>>259
GJなんだぜ
鼻血が止まらないんだぜ?
ちなみに俺も激しくみゆつかカップル推奨組
26335-215:2008/02/06(水) 19:39:47 ID:QZSJU6MU
同じくみゆつかカップル推奨組の1人だったりする。今回のネタでも2人絡ませようとしたし。

というわけでかがみ×みなみお弁当編が出来たのでレスがないなら投下したいと思います
2642人のお弁当(+その他の野次馬):2008/02/06(水) 19:45:57 ID:QZSJU6MU
翌日、いつも以上に早く起き、お弁当を作ることにした。
「今日はつかさの当番だけど、私が作っちゃってもいいよね?」
という訳で早速料理を始める。今更だけどもっと料理の勉強すればよかったな・・・
「あれ?お姉ちゃん何してるの?」
「え?つ、つかさ!?」
振り向くとそこにはつかさがいた。ていうか何でこんな時だけ早く起きてくるんだ我が妹は
「あれ?お姉ちゃん料理してるの?」
「あ、う、うん。ちょっとお腹が空いたからね。あ、後ついでだからお昼のお弁当の分も作ろうと思って、だから今日はつかさは作らなくていいわよ」
「そうなんだー、お姉ちゃんありがとう」
自分でも呆れるくらい同様してたのが判るが何とかこの場を誤魔化せた。さて、早い所作るか、もしまつり姉さんが起きてきたら色々茶化されるに違いない。

4時間目の授業が終わり、弁当を持って教室を出ようとすると、日下部の声がした。
「柊ぃ、今日もこっちで食べないのか?」
「悪い、今日もね、人を待たせてるから。それじゃ」
そう言って足早に教室を離れた。


「怪しい・・・なああやの?」
「みさちゃん、あんまり入って行っちゃ駄目だよ」
「えー良いじゃんよー」
「行きたいんでしょ?私も行くから、その代わり戻る時は言うからね」
「お、あやのサンキュー」
という会話が聞こえたり聞こえなかったりしたという。


「あ、みなみちゃん」
「柊先輩、どこで食べましょう?」
「そうね、この前みたいに裏庭・・・は今日の天気じゃ無理ね」
私は空を見て言った。今日は曇りで何時雨が降ってもおかしくない天気だ。これじゃあ外は無理だろう
「それじゃあ・・・」

「それで、ここに来たということですか?」
天原先生は私達の話を聞いてそう言った。
「はい、室内だと色々限られてくるので」
「貸してあげたいのは山々何ですが・・・たまに大食い勝負をしてお腹を壊す生徒がいるので」
2652人のお弁当(+その他の野次馬):2008/02/06(水) 19:47:40 ID:QZSJU6MU
誰だよそんなアホな事する奴ら・・・
「少し待ってて下さい」
天原先生はそう言うと保健室を出て、少しして桜庭先生を連れて戻ってきた。
「桜庭先生に頼んでアニメ研究部の部室を借りました。そこへどうぞ」
「え、いいんですか?」
「あ〜大丈夫大丈夫、どーせこの時間はあそこ誰も使わないからな」
そう言って桜庭先生は天原先生にコーヒーを入れてもらい、飲んでいた。
「それじゃあお言葉に甘えて、みなみちゃん。行こうか」
みなみちゃんは頷き、私は先生達に一礼して保健室を出た。

「ここね」
アニ研の部室を見つけ、中に入った。
「それじゃ、食べようか」
「はい、いただきます」
近くにあった机の上にお弁当を広げた。
「みなみちゃんのお弁当って自分で作ったの?」
「はい・・・柊先輩もですか?」
「うん、ちょっと失敗しちゃったけど」
「あの・・・1つ貰ってもいいですか?」
「いいけど・・・」
そう言ってみなみちゃんは私のお弁当のおかずを口に運んだ。
「あ、おいしいです」
「え?ほんと」
「はい・・・あ、私のほうも食べてみてください」
「ありがとう。うん、おいしいよ」
「ありがとうございます・・・」


「うぅ、これっスよこれ!」
「お弁当のおかず交換、恋愛モノの定番デスネ!」
ドアの隙間から2人の様子をこっそり覗いているひよりとパティが口々に呟いた。
「楽しんでますね。お二人とも」
2662人のお弁当(+その他の野次馬):2008/02/06(水) 19:48:45 ID:QZSJU6MU
「はいっス・・・って高良先輩!?」
2人の後ろにまさに異質のオーラをまとったと言えるみゆきが立っていた。これは鬼も裸足で逃げ出すくらいだろう。
「すみません、みなみちゃんに頼まれているので」
みゆきはそう言うと2人を掴んでどこかへとアニ研部室前から去っていった。


「あやの、さっきの1年生って誰だっけ?」
「多分、高良さんの言ってた岩崎さんじゃないかな?」
「ってことは柊の奴・・・あやの、行ってみようぜ!」
「うん、でもやめておいた方がいいんじゃないかな?」
「え?何でだよ」
「だって・・・」
「あれ?みさちゃんにあやちゃん。どうしてここにいるのかな?」
かがみを追いかけていた2人の前に現れたのはつかさだった。無論つかさもいつもとは異質のオーラをまとっている。はっきり言ってしまえば恐ろしい。
「つかさちゃん、ちょっと待ってね」
あやのはそう言うとみさおのみぞおちに一撃いれた。
「うう・・・あやのが冷たいー」
「みさちゃん、人の恋路を邪魔する奴はなんとやらって言うじゃない?だからあまり茶化したら駄目だよ」
そう言ってあやのはみさおを引きずって教室へと戻っていった。
後に残ったつかさは携帯を取り出し、電話をかけた。
「もしもしゆきちゃん?こっちは大丈夫だよ」
『こちらも大丈夫です。そろそろ戻りましょうか』
「うん、今度また何か作るね」
『楽しみに待ってます』
そのまま雑談しながら教室へと戻っていった。


「ご馳走様。みなみちゃんの料理、おいしかったよ」
「ありがとうございます・・・かがみ先輩の料理もおいしいです」
「それじゃ、そろそろ戻らないと・・・」
そう言って私が立ち上がった所でみなみちゃんが声をかけた。
「あ、かがみ先輩、今度の土曜・・・空いてますか?」
「大丈夫だけど・・・?」
「一緒に買い物でも行きませんか?」
「うん、いいよ」
「ありがとうございます、そろそろ時間ですね・・・」
「うん、また後で」
そう言って私はみなみちゃんと別れ、教室へと歩いていった。
土曜に買い物か・・・どこに行こうかな?みなみちゃんにも色々本を薦めてみようかな・・・
26735-215:2008/02/06(水) 19:50:54 ID:QZSJU6MU
終わりです。
今回ちょっとネタで遊びすぎた感がありすぎるのを自覚してますが

何か1部の人が黒化してるのは仕様としてみてください
268名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 20:41:15 ID:8YeU2yTT
グッジョブ、馬に蹴られるというより姉妹に連れられって感じですね
269名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 20:43:13 ID:+aB3KX+J
DL数100超えてるしw住人多いなw
270名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 20:44:58 ID:JvQw2qO6
DL多いのに感想少ない
このスレは読み手の9割以上が感想を書きたがらないのか
職人のモチベーション上がりづらいな
271名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 21:11:50 ID:o9TvYcEz
まあまあ。BBSPINK…てか2ちゃんで書き込むのは攻撃されそうでなんか恐いから閲覧専門…って人はよくいるんだぜ。かつては自分もそうだった。

>>259 ふゆきさん可愛いよふゆきさん。みゆつかといいひかふゆといい、あなたの作品にはマジ萌転がります。

>>267 かがみなみとは新鮮でした。おべんとづくりを頑張っちゃうかがみん萌!黒い二人組も素敵だw
272名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 21:31:24 ID:8+HtBtem
たった一人でも、それがGJの一言であっても励みになるもの。
9割以上がROMでも、発言してくれる人はいるからココはまだ大丈夫。
273名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 21:32:08 ID:6j8DPigG
えー、誰も予定がないのでしたら、初作品を投稿致します。
初作品で至らぬ点があるかもしれませんが、そこはどうかご勘弁下さい。

・つかさ&みゆき
・エロなし
・TSもの注意
274憧憬が好意に変わる瞬間:2008/02/06(水) 21:33:22 ID:6j8DPigG
「はぁ・・・」
 思わず、溜息が出る。
 私、柊つかさはあることで悩んでいた。
 それは、同級生である高良君についてのことだった。
 初めて会ったのは、入学式でのことだった。



―――



「ほーい、ほんじゃ、センセの自己紹介も終わったことやし、次は、みんなに自己紹介してもらおか」
 黒井先生の言葉は、私にとって重いプレッシャーとなって私に乗りかかっていた。
 うう、緊張するよう・・・。
 天性の人見知りである私は、昔から人付き合いがどうにも苦手だった。だから、昔から私はかがみお姉ちゃんに付きっ切りだった。
 でも、お姉ちゃんは隣のクラス。自分は、今、一人だった―――。まさに孤立無援。
 不安に打ち震えていて、私は混乱していた。
 そんな時に―――。
「大丈夫ですか? 震えていらっしゃいますが」
 話しかけてきたのは、隣の席にいたメガネをかけた男の子だった。
 うう、男の子と話すことなんてめったにないから、余計に緊張するよう・・・。
 でも、向こうは善意で話しかけてくれたんだよね? そうだよね?
「う、うん。き、緊張しちゃって・・・」
「そういう時は、深呼吸するとよろしいですよ」
 その男の子は、そう言ってにこっと笑ってくれた。
「う、うん。やってみるね」
 言われたとおりに深呼吸をしてみる。
 ・・・何だか、落ち着いた。考えてみると、さっきまで慌てていたことがまるで嘘のよう。
「もう、大丈夫なようですね」
 私の様子を見て判断したのか、その男の子がそう言って、もう一度微笑した。
「うん。ありがとう。
 あ、あの、自己紹介・・・聞いてなかったから、名前、教えてくれるかな?」
 一体、どうしたんだろう。自分でこんなこと言ってから、そう思ってしまった。
 あうー。いつもは、臆病なのに、どうして大胆になっちゃったんだろう?
 これって・・・昔、お姉ちゃんが言っていた「つり橋効果」なのかな?
 案の定、隣の男の子はきょとんとした顔をしていた。ますます、恥ずかしい。
「ご、ごめん! 変なこと聞いちゃって・・・」
「い、いや、別に変なことではないと思いますよ」
 そんな事を言っているけど、彼はかなり慌てた様子だった。
 うう、私のせいだ・・・。
「ほーい、次は、柊つかさー。柊つかさやでー」
 しかも、いつの間にやら自己紹介は私の番になっていたようだった。
 さっき、せっかく落ち着いたのに、また動揺してしまう。
「あうぅ!
 ひ、柊つかさです。出身中学は―――」
 慌てて、立ち上がって自己紹介する。
 心なしか、隣の男の子がじっと見ているような気がした。
 顔が真っ赤になっているのが、自分でも分かる。うう、入学式から大失敗・・・。
275憧憬が好意に変わる瞬間:2008/02/06(水) 21:34:09 ID:6j8DPigG
―――


 その後、委員決めをするところで、ようやく、隣の子が「高良みゆき」という名前だと分かった。
 そして、高良君は学級委員長となったのだった。
 本当に凄い人だと思った。私には出来そうにもないもん・・・。
 とはいえ、それから私は高良君と話す機会もなく、ホームルームは終わり、下校の時間となる。
 恥ずかしい話かもしれないけれど、私はずっとお姉ちゃんと登下校を一緒にしていた。
 滅多な事でない限り、私たちはいつも一緒だった。そう、そして今日も。
「どう、高校初日は? 友達、出来そう?」
「うーん・・・。ちょっと微妙、かな」
「そう。まあ、まだ初日だしね。
 私たちの高校生活はこれからよね」
「そうそう。お姉ちゃんも、彼氏が出来ると良いね」
「ばっ、つかさっ! 余計なこといわないの!」
 お姉ちゃんは顔を真っ赤にして、言った。
 でも、口ではそう言っていても、満更でもなさそうだった。
「私も・・・彼氏が出来るのかなあ・・・」
「え?」
 お姉ちゃんはきょとんとした顔を見せた。
「つかさがそんなこというなんて意外ね」
「えへへ。そかなあ」
「そうよ。まあ、つかさはいい子だからきっと出来るわよ」
「うん、ありがとう」




―――


 それからのことだけれど、はっきり言ってしまうと、高良君と接する機会はほとんどなかった。
 黒井先生の気まぐれで、入学式翌日のホームルームに席替えがされて、席が離れてしまったことが主な原因だった。
 高良君は、いつも人気で、休み時間に彼の周りに人がいないことはなかったし、彼の周りで笑いが絶える事もなかった。
 人見知りの私では、到底行き着けそうもないところに彼はいたので、話しかけることなんて怖くて出来なかった。
 でも、それからの毎日を彼と同じクラスで過ごしたことで、高良君は凄い人だということは良く分かった。
 成績は優秀だし、人付き合いは良好。それから、それから・・・うう、多すぎて話せない。とにかく、非の打ち所がない、と言ってよかった。
 でも、私と彼の接点なんて、元々、自己紹介のアドバイスだけだったし、これだけだったら単なる尊敬と憧れだったに違いない。
 お姉ちゃんもいたし、こなちゃんこと泉こなたちゃんという親友が出来たこともあって、日に日に彼のことを意識することもなくなっていた。
 でも、そんな私にも転機が訪れたんだ。それは、桜藤祭の準備のとき―――。
276憧憬が好意に変わる瞬間:2008/02/06(水) 21:35:22 ID:6j8DPigG
「あうぅ、テープがたりないよぅ・・・。
 こなちゃーん、テープあるぅ?」
「うーん、こっちにもないや・・・。どこか探せばあると思うけど・・・」
 といって、こなちゃんが教室中をぐるりと見回したけど、目に見える場所にはテープはなかった。
 誰かに聞こうと思っても、クラス全員が忙しそうで、話しかけるのが気後れした。
「ちょい、探しに行ってくるねー」
「うん、行ってらっしゃーい」
 こなちゃんを見送って、一人残される。
 うう、何か視線が痛いような・・・。大抵は気のせいなんだけれども・・・。
 誰も私を見ているわけじゃないのに、何だか誰かに見られているような・・・。うぅ、これって言葉じゃ伝えられないかな・・・?
「つかささん、どうされました?」
「え?」
 その声に振り向くと、高良君がいた。
 相変わらず、穏やかな笑みをたたえている。
「う、うん。テープが足りなくてね。
 それでね、こなちゃんに取りに行ってもらってるの」
「ああ、そうでしたか。
 僕は、今、クラス全体での進捗状況を調べておりまして。テープの件を除いては、順調ですか?」
「う、ううん。それがそうもいかなくて・・・」
 正直に言った。もっと言うと、うまくいかないことばかりで泣きたくなってくる。
「そうでしたか。では、お手伝いいたしましょうか?」
「え? いいの?」
 パーッと自分の顔が明るくなっていくのが分かった。
「ええ。クラスの代表たる学級委員長として、作業の遅れと困っている人は見過ごせません」
 高良君は、胸を張って言った。
 私にとって、それはとても頼もしい言葉だった。それに何だか・・・かっこいい。
「あ、ありがとう。ごめんね、手伝ってもらっちゃって」
「いえ、こういうのはみんなでやったほうが楽しいですし。
 それに、僕の方は大体片付きましたので」
 高良君は当たり前のように言った。そんな風にいえるのが羨ましい。
 そして、高良君は制服のポケットからテープを取り出した。
「あ、あれ?」
「すみません。泉さんには悪いのですが、いつも持ち合わせておりまして・・・」
 高良君は、申し訳なさそうに話す。
「ううん、でも凄いね。用意充当・・・だっけ?」
「ふふ、それを言うなら、用意周到ですよ」
「あ、そだっけ。と、とにかく、用意周到で凄いね。
 それに、委員長ってこんなに話しやすくて優しくて凄くいい人だし・・・」
「そ、そんなことは・・・ありませんよ」
 高良君はそう言って、照れくさそうに笑った。
「いや、あるよー?」
「い、いえいえ、僕なんてちょっと要領がいいだけで・・・。
 たいしたことではありませんよ・・・」
「ううん、そんなことないよー」
 その後も、私は高良君と話しながら、文化祭の準備を進めた。
 何というか・・・楽しかった。お祭りは準備しているときが一番楽しいと言うけど・・・。
277憧憬が好意に変わる瞬間:2008/02/06(水) 21:35:59 ID:6j8DPigG
「・・・これで一段落しましたね」
 高良君の言葉で我に返る。
 楽しく喋りながら作業をしているうちに、私に割り当てられた作業は終わってしまっていた。
 終わるのはうれしいけど、それは高良君との会話も終わってしまうことを意味していて・・・ううん、何だか寂しい。
「丁度、作業時間も終わる頃です。頃合が良かったですね」
「そうだね。
 今日はとにかく、助かったよー。高良君に手伝ってもらって、本当に良かった」
「いえいえ、僕は人として当然のことをしたまでですよ」
 穏やかに笑いながら、高良君が言う。
 私にとって、その何気ない一言は、心にぐさりと刺さった。何でだろう?
 どうしたんだろう、今日の私はおかしいかもしれない。
「どうかされましたか?」
「えっ?」
「また、ぼうっとされておりましたが」
 いけない、またぼうっとしてたみたい。うう、また、高良君に迷惑をかけちゃった・・・。
 私ってどうしてこうなんだろう。本当に、高良君とは大違い。ああ、本当に高良君がうらやましい。
「う、ううん。なんでもないの。
 ゴメンね、心配かけさせちゃって」
「そうですか? 何かあったら、遠慮なくおっしゃってくださいね」
 本当に高良君は優しい。私なんて、足元に及ばなくて。本当に・・・。
 ああ、やっぱり今の私っておかしいかも。
「うん、ありがとね」
「いえいえ、では」
 高良君はそういうと、私の目の前から去った。
「つーかーさー?」
「ひゃうっ!」
 その声にびっくりして、振り返ると、こなちゃんがいた。
 うー、びっくりさせないでよー。
「私が見ない間に、委員長とのフラグを立てちゃうとは、つかさもなかなかやるねー」
「え、えっ?」
 こなちゃんの唐突の言葉に戸惑ってしまう。フラグって何?
「だって、かがみのクラスからテープを取ってきて戻ってみたら、委員長と仲良く話してるんだもん。
 これは近づけないよねー。何か、仲もよさそうだったしさー。つかさって、委員長の事好きなの?」
「そ、そんなんじゃないよー。手伝ってもらっただけだし・・・」
「いやー、でも、それだけじゃないって感じがしてたよ?
 私なんか近づいたらダメそうな雰囲気がさ・・・」
 こなちゃんはそう言ってから、親指を立てて、
「ま、頑張りたまえ!
 私は、つかさを応援しているから!」
「だ、だから、こなちゃん・・・。
 そんなんじゃないって・・・」
 こなちゃんはそれに対して、何か言おうとしてたみたいだけど、
「うーっす! 準備時間も終了やー!
 全員ちゅうもーく!」
 という黒井先生の言葉で、
「おっと、いけない、いけない」
 こなちゃんは、黒井先生の方に身体を向けて、黒井先生の話を聞く。
 私も、一応黒井先生の方を向いて、話を聞こうとしたけど、全然、頭に入らなかった。何故なら・・・

 「私は、高良君のことが好きなの?」

 何故なら、その疑問だけが、頭に渦巻いていたから・・・。



 そして、話は冒頭に戻る・・・。
27836-273:2008/02/06(水) 21:38:33 ID:6j8DPigG
以上で終了です。
初作品なので、筆が荒れている点もあるかもしれませんが、どうかご容赦下さい。

今回の作品は、今年の初夢に出てきたものを文章化してみましたが・・・。
やはり、小説は難しいですね。
続くかは未定です。

それでは、またROM作業に戻りたいと思います。
279名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 21:51:31 ID:SEsvdlIH
>>278
GJなんだぜ
みゆきさんを男化すると、ちょっと気取った委員長タイプになると思うのだが、見事俺の想像どうりの姿で吹いたw

280名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 21:59:18 ID:JvQw2qO6
>>272
それでも感想は多いほうが確実にスレのためにもなるんだけどな、たとえGJでなくても
いい作品を読ませてくれた職人さんにはもっと頑張ってほしいと思うし
まあ今日ここまで投下されたSSは全部GJGJGJGJGJGJGJGJなんだけどね
281名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 22:46:08 ID:8nZ8SDAI
>>278
クククッ…
おまえはもう、書き始めてしまったんだ。
もう、後には戻れないんだよ。
書き続けるしかないんだ。

ちうわけで、グッジョブ!!
続き、がんがれ〜
282名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 22:50:07 ID:9kSIDc+T
>>281
湾岸ミッドナイト乙
283名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 22:55:43 ID:E0jarjSq
私ね、TS見ると、酔っちゃうんだ。
でもね、あなたのTSだとちーっとも違和感ないんだ。










嘘です、TSでもオリ男でもなんでもおkですwwwww
でもマッガーレしてない優等生イケメンみゆきも、いいんじゃないかな(゚∀゚)
>>278GJだ!こうなったら恋愛成就まで書くんだ(゚∀゚)9m
284名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 23:22:00 ID:VdjJW8fh
>>278
お、お前という奴はなんというものを書くんだ!

ようし、こうなったらお前に呪いをかけてやろう!
それは……









『お前はこのまま、最後まで作品を書き上げたくなってしまう』


という呪いだ!


どうだ、恐ろしいだろうwwwww



ということで、続きを楽しみにしてますよ。
GJ!
28531-207:2008/02/06(水) 23:31:14 ID:88p/UBRF
>>222-224
昨日は投下後に寝てしまったので、今さらとういう感じですが、昨日双子の壊れネタを書いたものです。
以後気をつけるようにします。

そして
>>278
GJです!!
続きもみたいので、がんばってください!

286名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 23:32:18 ID:wWzQ2rCU
素晴らしい新人さんが続々と来てますなぁ
俺も埋もれぬよう精進せねば……!

誰も予定されていないなら投下します
28726-485:2008/02/06(水) 23:36:35 ID:wWzQ2rCU
・「もどかしすぎて辛い」の続編
・ゆたか→←みなみ
・ゆたか視点
・4レス使用
・シリアス注意

ではいきますよ
288堕ち行く闇の中で(1/4):2008/02/06(水) 23:37:10 ID:wWzQ2rCU
 ただ好きだから。
 ただ突っ走って。
 ただ後悔している。





 堕ち行く闇の中で





 校庭からは今の私には到底出せそうもない無邪気な笑い声が嫌でも聞こえてくる。私にとっては欝でしかない体育の時間も、健康な人達にとっては楽しいのだろうか。
 どうしても卑屈な思考になってしまうのは病気の所為か気持ちの所為か。
 ガラスを通して外の風景をぼんやり眺めていた私は、ちょっとは前者の可能性もあるだろうけど恐らく後者だろうと結論づけて溜め息をつく。
 時刻は三時限目終了間際、そろそろ先生が入れてくれた連絡の通りおじさんが学校にやって来る頃だろう。
 結局、数時間近くの休養を取っても体調の悪化が止まらないと判断された私は、早引けする事になった。
 マラソンを行った時から痛いほど熱い肺臓と脳髄、全身に抗力がのしかかっているかのような重量を感じる身体。
 酷い風邪の症状はベッドに横たわってからも変わる事なく私を苦しめている。
 少し息を吸い込むと途端に咳き込んでしまった。灼熱に包まれるように苦しい喉は渇ききって潤いを求めている。
 どれも身体的な状態だが、それは精神的な状態とも密接に関し合っているようにも思えた。
 自責の念に駆られる枯渇した私の心は、岩崎みなみという癒しを欲している。
 自ら手放したのに、傍にいてくれる事を望んでいる。
 何とも身勝手な話だろうか。
 私は驚くほど冷静に、まるで他人事のように自分を考察していた。
 みなみちゃんに迷惑を掛けたくないという気持ちから、私は無理をしてでも授業に参加する事を決断した。
 だが実際の結果はこの通り、私の所為でみなみちゃんの手を煩わせてしまっている。
 そもそも少し考えれば、体力も運動神経も一般的な高校一年生の女子の平均と比べてそれを著しく下回るだろう私が、何事もなく完走するなんて不可能に近い事ぐらいすぐに分かるはずだ。
 一瞬でも良かった。私が今の状況について予測を立てていれば、みなみちゃんにこれほどまでの手間を取らせる事もなかった。
 最初から自分のコンディションを把握しておき予め此処に連れてきて貰っていれば、もしかしたら病症の悪い方向への進行は防げていたかもしれない。
 ところが私はその選択肢を己の意志で切り捨てて、みなみちゃんに杞憂させてしまい、多くの時間をしがない私の道の誤りに費やさせてしまった。
 私の自分の都合だけを優先させた想いが、みなみちゃんを巻き込んでいる。
 空回りした現実、良好な行く末を微塵も感づかせない病状。好ましくない事物は相互に連関して実体なき刃となり、私を容赦なく斬りつける。
 換気の為開け放たれた窓から冬の風が吹き込んだ。然程強くはなかったが、淡黄色の窓掛けは僅かな音を発してはためく。
 静寂を保てなくなり、本来の目的も果たせなくなった優しい色調の布を私は見ていた。
 ―――諦めた方が良いのだろうか。
 誰かからの返答を欲したわけじゃないけど、問い掛ける。
 答えの知らない、同じ事を、何度も何度も。
 初めて人を好きになって、手探りで気持ちを伝える方法を探して。
 でも分からなくて、自分のしたい事をしたいがままにやって。
 みなみちゃんを、傷つけてしまって。
 それでも、この想いに気づいて欲しいと願い続けていて。
 もう怖くなってきた。
 しかし、何が怖いのか、分からない。
 何もかも分からなくなってきた。
 何が分からないかさえ、分からない。
 扉を手の甲で数度叩く音が私の耳に届く。私が早退するという事で、恐らく保健委員が荷物を持って来てくれたのだろう。
 白塗りの壁を隔てている相手が、みなみちゃんだと私は望んで良いのだろうか。
 会いたい。けど、会いたくない。
 交錯する正反対の気持ちは鎖となって、幾重にも私の心を締め上げる。
289堕ち行く闇の中で(2/4):2008/02/06(水) 23:37:34 ID:wWzQ2rCU
「失礼しまーす」
 私の二つの両極端な願いは、後者が叶えられた。
 控えめなノックの後、私の学生鞄を手に入ってきたのは、眼鏡を掛けた長い黒髪の友達。
「田村さん……」
 私は唐突に込み上げてきた感情を悟られぬよう押し殺して、保健委員とは全く関係のない友人の名前を呼んだ。
「荷物持ってきたよ」
 田村さんは私にそう告げて、持ってきてくれた私の持参物を近くの椅子の上に置いた。
「ありがと」
 私はお礼を言いつつ、再び脳を稼動させ始めていた。。
 何故田村さんが来たのだろうか。保健室の先生が頼んだんだから、普通はみなみちゃんがその役割を任されるべきだろう。
 偶然教室の入口付近に田村さんがいて依頼されただけかもしれないけど、私の心は真相を確かめろと言って聞かなかった。
「ねぇ、田村さん」
 私は張り裂けそうな心拍のまま、凍える手に白い息を吹き掛ける田村さんに問い掛けた。
「ん?何?」
 目線をこちらに向ける田村さんを眼前にして、私は今更切り出し方に戸惑ってしまう。単刀直入に聞くと傷つけてしまいそうだったし、かといって遠回しにしすぎても伝わらないかもしれない。
 脳内の辞書から最も適切な言葉を引き出し紡いでいく。
「みなみちゃんは……どうしたのか分かる?」
 私の質問を受けた田村さんは、どうやら何故保健委員ではない人間が代役を引き受けたのか知りたい私の心中を理解したらしく、一拍置いて答えた。
「用事があるって言ってたけど……」
 不自然に取られた空白、決して断定しない語形に私は不審さを抱いてしまう。
 田村さんは何か嘘をついているのだろうか。
 だとしたら何の為だろうか。
「私にはどうもそんな感じには見えなかったのよね」
 思考を堂々巡りさせていると、田村さんが呟いた。
「それは、みなみちゃんが嘘を言ってるって事?」
 少し引っ掛かるところがあって、私は質問を重ねる。
「誰よりもゆーちゃんを心配してるから……それ以上に大事な用事があるのかなって」
 田村さんは深刻な表情のまま自分の意見を述べた。
「不思議だよね……みなみちゃん、どうしちゃったんだろう」
 小声で言って、考え込んでしまう田村さん。
 しかし私にはみなみちゃんの行動の理由が糸も簡単に分かった。
 私を避けているのだ。
 落ち着いて自分のしでかした事を見つめ直せば答えは容易に出てきた。
 幾らお人好しでも、あれだけ面倒を掛けさせた挙句露骨ではないにせよ拒絶されたら、そんな我儘な人間嫌うに決まっている。
 全てみなみちゃんの事を思った上での行為だったはずなのに。
 私に突きつけられた取り返しようのない現実は、真逆のものとなってしまった。
 もう、何もかも終わったのだろう。
 もう、この初恋が実る事はあり得ないのだろう―――
「……みなみちゃんと何かあった?」
 怪訝な顔で私を問い質す田村さんが、私の思惑の輪廻を断った。
「……ない、よ」
 この事を話すわけにはいかない。これは私の浅はかさが招いた結果なのだから、私が何とかしないといけない。
 俯く私を多少はいかがわしく思っただろうけど、田村さんはそれ以上の追及はしてこなかった。
 盲目の優しさは、今の私にはとても痛く感じた。
「いつでも良いから何かあったら相談してよ。私じゃ力になれないかもしれないけど」
 代わりにくれた温かい気遣いの言葉に、私は涙を堪えて頷いた。
290堕ち行く闇の中で(3/4):2008/02/06(水) 23:37:58 ID:wWzQ2rCU
 少ししてチャイムが鳴り、慌てて教室へ駆けていく田村さんを見送ると、おじさんが入れ違いに顔を出した。
 先生の力も借りて私は何とか車に乗ると、そのまま市内の病院へと連れていかれた。そして検査を受け薬を貰い、車内で安静にしながら自宅へと着くのを待った。
 後ろの数人掛けのシートを一人で横になって使う。おじさんは運転席に乗っているから別に誰にも迷惑が掛かるわけじゃないんだけど、自分だけが後部座席を独占しているようで複雑な心境だった。
 私の事を思ってかスピードを控えめに運転するおじさん。
 遅すぎず速すぎずの速度を保って家路を辿る、ささやかな心遣いが込められた空間でも、私が安眠出来る事はなかった。
「着いたぞー」
 目線を上げると、見慣れた泉家の外観が哀愁を漂わせていた。
 再びおじさんに協力を仰ぎ、自室まで付き添って貰った。ベッドに寝かされてからお礼を言うと、おじさんは満足げな笑顔を浮かべてお昼を作ると一階へと降りていった。
 見飽きたといっても良いほどの自分の部屋の天井。それでも私には仰向けに上方を見ることしかする事がなくて、何もせず眠気が襲来するのを待つ。
 寝転がって間もなくは十分な睡眠が取れそうな気配は全くなかったが、おじさんお手製のお粥を食べて薬を飲んだら段々と瞼が落ちかけてきた。
 心地の良い感じに身を任せ、私は夢の世界へと誘われる。
 不思議な夢だった。
 静寂が包む辺りには何も見当たらない空虚の世界に私はいた。
 見渡す限りの、暗闇というには明るい薄暗い景色。荒涼としたこの風景は私の心理状態と関係があるのだろうか。
「ゆたか……」
 そんな事を考えながらさ迷い歩いていると、私の名を呼ぶ声がした。
 その方向を向き直れば、そこには私の一番会いたくて会いたくない人の姿。
「みなみちゃん……」
 すらっと背の高い女の子が、その魅力的で中性的な顔立ちで私を見据えている。
 近づきたい。けど、迷惑が掛かる。
 嫌われたくない。ごめんねって今すぐ謝りたい。
 けど、もう私はみなみちゃんに見放されたんだ。
 頭がまるっきり異なる命令の信号を同時に発信する。混乱する脳に天使の、悪魔の囁きが聞こえる。
 みなみちゃんは本当に用事があったのかもしれない。
 けれどもそれは私よりも大切な事。
 みなみちゃんはまだ私を嫌っていないかもしれない。
 けれども私がみなみちゃんを拒絶したのは事実。
 視界が歪む。混乱して何が現実なのか、何が正しいのか区別がつかなくなる。
「ゆたか……」
 今一度呼ばれて、私はみなみちゃんの方を向いた。
 一歩、みなみちゃんが踏み出した。
 少しずつ私に近寄ってくるみなみちゃんに、私はどうしようもない胸の高鳴りを覚えて、同じように歩みを進める。
 そして、私とみなみちゃんが接触しようとしたその時―――
 二人の身体はすり抜けた。
 私は驚いて向き直る。
 みなみちゃんは、表情一つ変えずに立っていた。
 そしてまた、私に一歩ずつ歩み寄る。
 私もそれに応える。
 そして、再びすれ違う。
 私達が実際に触れてお互いの存在を確かめ合う事は不可能だった。
 不思議な夢だった。
 二人が相手を求め合う歩調は、惹き合う心を表しているようで。
 決して実態を掴めない姿は、想いが通じ合う可能性を否定しているようで。
 正しい選択肢とあり得ない可能性を、同時に照らし出しているようで。
 私に嫌でも実現し得ない希望を持たせてしまう。
 そしてまた、心に深い傷を刻んでいくのだろうか。
 それでも良いと思えた。
 きっとこれは、神様が私に下した罰なのだろう。
291堕ち行く闇の中で(4/4):2008/02/06(水) 23:38:36 ID:wWzQ2rCU
 目覚めたのは夕方になってからだった。
 寝る前は甚だしいほど過度だった症状もすっかり治まりを見せて、完全復活とまではいかないものの気分は大分優れてきた。
 上半身を起こし伸びをすると、更に楽になれた気がする。
 時刻は夕暮れ、もうそろそろ皆もそれぞれの家に帰っている頃だろうか。
「ゆーちゃん、入るよ」
 実際に我が家にはお姉ちゃんが帰宅していた。二つ返事で了解すると、セーラー服のままのお姉ちゃんが部屋へ入ってきた。
「もう起きてて大丈夫なの?」
「うん、もう大体良くなったよ」
 聞いてくるお姉ちゃんに、私は身体的な状態の快調さだけを伝えた。
 心の方は大変な事になっていたけど、それを悟られるわけにはいかない。
「まぁ何にせよもう少し安静にしておいた方が良いね。暫くしたら夕食持ってくるよ」
 お姉ちゃんはそう言い残して出ていった。
 私は折角くれた好意を無下にしない為にも、大人しく再び背中をベッドへとつけた。
 蛍光灯が妙に眩しかった。
 見たばかりの夢の風景と似通った色に空が染まってきた頃、お姉ちゃんがお盆に食事を乗せてやってきた。温かい食べ物が入ったお皿から湯気が立ち上っている。
 それを全部食べて、私は近くに置いていた携帯に手を伸ばした。電話帳を開いてみなみちゃんの番号を呼び出す。
 真実を確かめたいという願望だけが私を突き動かす。
 私は意を決して電話を掛けた。
 私が求めた人間を呼び出している音が数度に渡って鳴り響き、それに伴うように私の動悸も激しくなっていく。
「はい、もしもし……」
 数十秒後、私ではない人の声が聞こえてきた。当然みなみちゃんのもの。
「あ、みなみちゃん?ゆたか」
 電話を通じて会話している相手に名乗る。
「ゆたか?早退したって聞いたけど……大丈夫?」
「うん、もう平気」
 みなみちゃんの声を聞き漏らさぬよう、携帯電話を耳に押し付ける。
「何かあった?」
 みなみちゃんは私が通話してきた目的を尋ねてきた。
「えっとね……」
 心臓が煩いくらい騒いで、私が言葉を探すのを邪魔する。
 冷静に深呼吸。効果があったかどうかははっきりとは分からないけど、ほんの少しだけ落ち着けたような気がした。
「今日田村さんが荷物を持ってきてくれたから、みなみちゃん何かあったのかなって」
 必死に求めた言葉の欠片を繋ぎ合わせて聞きたくてしょうがなかった事を告げると、重苦しい沈黙が流れた。
 黙するという一見何もないかのような行為が、痛いくらい私が望まない事実を肯定している。
 正体を掴めない強大な力が、生まれたばかりの微かな希望を跡形もなく砕く。
 耳に宛がった利き手が震える。
 声が出そうになるのを懸命に堪えていると、みなみちゃんがようやく口を開いた。
「ちょっと、用事があって……」
 黙っていた時間に対して、不釣合いな短い返答。
 きっと、多くは語りたくないのだろう。
 私も、聞きたくはなかった。
 受け入れたくない真実を否定したかった。
 解決には決して繋がらないけれど、事実から目を逸らしたかった。
「ごめんなさい……」
「ううん、良いの。みなみちゃんだって私にばっかり構っていられるわけじゃないもんね」
 電話越しの相手にというよりは、自分に言い聞かせるように呟く。
「だから、自分を責めないでね」
 ―――悪いのは全部、自分勝手な私なんだから。
 続くはずの台詞が喉を通過するのを拒んだ。
「夜遅くにごめんね。また来週ね」
 限界だった。殆ど強引に話を遮断して、携帯を傍に置く。
 寝転んで手の甲を額に当てる。多少は予想していたとはいえかなり堪えた。
 自分の愚かさゆえの結果なのに。
 この方がみなみちゃんは幸せになれるだろうに。
 私はたった一つの動作しか出来ない機械のように、声もなく涙を流し続けた。
 頭が酷く痛い。
 風邪がぶり返してきたのだろうか。それとも氾濫する想いの所為だろうか。
 勿論私には分からなかった。
29226-485:2008/02/06(水) 23:40:43 ID:wWzQ2rCU
数日前節分ネタでキャラ壊してた日が
とても懐かしく感じる……
シリアスも好きなのですがいかんせん書き手も胸が詰まるというか
どの道文章能力上げないといけませんねぇorz
みなみ視点に続きます
293名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 00:01:17 ID:nVWJtZBL
GJ!期待して待ってるぜ
294名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 00:05:48 ID:bA/dPFB5
>>292
あーあーあーもどかしい!!
二人とも何やってるんだかなぁー。
続きを全裸待機しつつ、ぐっじょ!!
295名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 00:06:33 ID:A2Xa0PN3
Gj

タイトル見てドキッとしちゃったよ
そっちの方向行くんかと
296名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 00:10:03 ID:207ozwk6
>>292
GJ!胸がすっごい詰まるけどGJ!
シリアス話はやっぱものっそいやきもきするなぁ
それがいいんだけどね
続き、楽しみにしてますぜ

ついでに勝手に妄想らくがきを投下しますのです
元作品:23-49氏『ついんずランチ』(つかさ&かがみ)
ttp://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0021.jpg
2974-243 ◆X9xLTlcDnY :2008/02/07(木) 01:30:36 ID:Chsc47+Y
帰りのバスで「続ここにある彼方」を途中までしか読んでないのにこの投下祭って何w

>>225
まだ途中までしか読んでないのにこんな鮮明電波受信したのでドゾー(´・ω・)っ
http://www.geocities.jp/extream_noise/rakisutaep/img/zokukoko.jpg
298名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 02:27:08 ID:jV2zKjFg
>>297
これはすばらしい!
こなたとかなたの表情がぴか一でございます!
299名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 02:28:07 ID:ZWICyycO
>>296
>>297

おおーーーーーGJ!

泣き顔はいいねぇ……リリンが(ry
300名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 02:41:19 ID:eLowrVbi
皆様SSもイラストも…素敵すぎる!すべての書/描き手さんにGJ!!

自分もひとつ引っ提げてまいりました。投下予定がなければ、投下いたします。

・かがこな
・非エロ
・5又は6レスくらい使用?
・携帯からですので、見づらかったらすみません。
301名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 02:57:57 ID:eLowrVbi
規制でしょうか?か、書き込めない…!
302名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 02:58:36 ID:eLowrVbi
あ、書き込めた。では次から投下いたします。
303名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 03:01:29 ID:9WhhUSZo
支援
304甘いしあわせ(1/5):2008/02/07(木) 03:01:48 ID:eLowrVbi
私…柊かがみは悩んでいた。

「…どうしよう」

色とりどりにラッピングされた、チョコレートの群れを目前にして。



事の始まりは1時間前。CDを借りようと、つかさの部屋に行った時のことだった。

「つかさ、入るわよー…ん?あんた何読んでんの?」

つかさはベッドに腰掛けてティーン雑誌を読んでいた。手元からカラフルな薄っぺらい紙が見える。あんまり雑誌は買わない子だから、ちょっと珍しいと思ったんだけど…

「あ、これねえ、今月発売のやつなんだ。チョコのお菓子のレシピがいっぱい載ってたから、ついつい買っちゃった」
「へえ。…ん?レシピ?チョコ?」

…チョコのレシピなんて偏った情報、ティーン雑誌に載ってるもんか?料理雑誌じゃあるまいし…

眉間にしわを作っていた(だろう)私に、つかさは言った。

「だってほら、明日だもん…バレンタインって」
「…あ!そうか、そんなのもあったわねえ…」

そうかそうか。そういう日もあったっけ。あの言わずと知れた、バレンタイン司祭の命日ね。または製菓会社の陰謀の日。…え、言い方が悪い?ほっときなさいよ。

「お姉ちゃん、もしかして忘れてた?」

私の瞳を覗き込むような仕草でそう言うつかさの言葉には、(無意識かもしれないが)「忘れてたの?女の子なのに?女の子にとって大事な日なのに?」という非難が込められている気がした。む…無意味に悔しい。
305甘いしあわせ(2/5):2008/02/07(木) 03:03:36 ID:eLowrVbi
「そ、そんなこと言って、つかさこそよく覚えてたじゃない」
「だって、私も一応女の子だもん」
「ぐはっ!!!」

何よそれ、その言い方だと私がまるで女の子じゃないみたいじゃない。何このそこはかとなく胸に漂う敗北感。そうか、とうとう来たのねつかさが私を越える日が。アデューつかさ、大きくなったわね…

「私はチョコあげるって言っても友チョコだけど…お姉ちゃんはあげないの?」
「うひゃ!?」

おっと、ショックが大きくて深層心理まで旅に出てたわ。…って言っても、チョコねえ…。好きな人は…まあいない訳じゃないんだけど…

「うーん、特にこれと言って…」
「こなちゃんにはあげないの?」
「んーこなたねえ……って!!なっなんでそこでこなたの名前が出てくるのよっ!」

多分、私の顔は赤いのかもしれない。そうでないことを祈るけれど。

「だってお姉ちゃん…バレンタインデーは、好きな人にチョコをあげる日だもん」


‐‐‐‐‐
306甘いしあわせ(3/5):2008/02/07(木) 03:06:18 ID:eLowrVbi
私は街灯に照らされた夜の歩道を歩いていた。吐く息が白い。あまり寒くはないけれど、ほっぺたに冷たさを感じる。

つかさとの会話が終わったあと、私は急いでコートとマフラーをひっつかんで家を飛び出した。行き先は家から少し歩いたところにある、大きめのスーパー。あそこならまだ開いてるし…バレンタインチョコだって、沢山置いてあるはず。

そう、チョコを買うのよ。こなたに渡すための。

…なんでバレたかなあ、よりにもよってつかさに。あのあとつかさはいつもみたいににこにこ笑って、「あそこのスーパーならまだ閉店まで時間があるよ」とだけ言った。…お見通し感が否めない。

…私は、こなたが好き。友達になって、沢山話すようになって。ふとした時に見せる表情とか…仕草とか。たまに見せる、やさしさとか。そういうのに、いつのまにかぐいぐいとひかれて行った。
けれど…こなたは?私のこと、好き?

わずかに降り積もった雪が、踏まれて溶けていく。
307甘いしあわせ(4/5):2008/02/07(木) 03:07:59 ID:eLowrVbi
私とこなたは女の子同士だ。それに、仲の良い友達同士。もしも想いを口にしたら…嫌われるかもしれない。気持ち悪いって言われるかもしれない。
『いやー、私、女の子は二次元しか駄目なんだよねえ』
そう言って苦笑するこなたが、簡単に頭に浮かぶ。
だから、私は想いなんて伝えたくなかった。伝えて、今の幸せな関係が壊れるよりは…。

でも。今回は…このバレンタインだけは頑張ってみたかった。だって…バレンタインは、「好きな人にチョコをあげる日」なんだから。

見えてきたスーパーの明かりに、私はきつくこぶしを握り締めた。



店内に一歩入ると…あったあった、バレンタインコーナー。入ってすぐのところに、大々的に設置されている。

「こうして見ると沢山種類があるな…」

トリュフに生チョコ、ブランデー入りにミニケーキ。フレーバーにしても、ビター、スイート、ホワイトにストロベリー…。沢山ありすぎて目移りがする。…うう、こんなことなら普段からこなたの好みを聞いておけばよかった…。

「どうしよう……あ!」

ワゴンの隅っこに目がとまる。そこには、薄いラベンダー色の包装紙に、サテンっぽいつやつやとした青いリボンがかけてある、小さな立方体が鎮座していた。中身は小さめのトリュフらしい。

「…よし!」

私はそれを手に、レジへと歩き出した。私とこなたを彷彿とさせる、その小さなチョコレートギフトを手にとって。


‐‐‐‐‐
308甘いしあわせ(5/5):2008/02/07(木) 03:12:26 ID:eLowrVbi
次の日。今日も天気が良い。やっぱり、ちょっと寒いけど。
私は、学校の屋上にいる。今は昼休み。つかさとみゆきに断りを入れて(二人には頑張って!と応援された…てかみゆきも気付いてたのかよ)、峰岸と日下部を振り切って(特に日下部)、さっきメールで呼び出したこなたを待っている。

「…ちゃんと渡せるかな」

手には、昨日買ったチョコレート。青いリボンが、太陽の光を受けてぼんやりと輝いた。

…と、

「やふー!おっまたせーかがみん♪」

入り口から声がして…気が付けば、隣にこなたが立っていた。

風が、わずかに強くなる。

「むふー、なんだいかがみんいきなり呼び出しちゃってさ。これはアレかね?フラグってヤツかね?ん?」
「う…うるさいわね!…い、いや、その…えっと…」

渡さなきゃ。

緑色の大きな瞳が、私を見つめている。

渡さなきゃ。
昨日、頑張るって誓ったじゃない。つかさとみゆきに、頑張ってって言って貰ったじゃない。

チョコレートを包む手に汗がにじむ。

309甘いしあわせ(6/5):2008/02/07(木) 03:14:26 ID:eLowrVbi
渡さなきゃ。

し、心臓が。心臓がばくばくする。

ああもう、まったく何でこんなことに!こんなだったら清水の舞台から今すぐ飛び降りたい!そして着地したい!

…何がしたいのよ私は…。

渡さなきゃ。
渡さなきゃ。
渡さ…

「かーがみっ」
「ふぇ!!?」
「これ、かがみにあげる」

こなたの手には、水色の包装紙にくるまれてラベンダー色の細身のリボンがかかった…長方形の箱が握られていた。

「こ、これ…」
「ん。チョコだよ。つかさとみゆきさんにも友チョコはあげたんだけどね、かがみには…かがみには、特別に渡したかったんだ」

そう言ったこなたは、今の私にはまぶしいくらいの笑顔で。私は、そんなこなたを見て…情けなくなった。

「ふぇ……」

涙が、筋になって頬を伝っていく。

どうしてこんなに勇気が足りないのか。
どうしてもっと素直に渡せないのか。
どうしてこんなに…自分は情けないんだろう。

「こなたぁ…」
「うん」
「これね、…あげる。こなたに…もらってほしい」
「…うん。ありがとね、かがみ」

震える手で差し出したチョコを、こなたは両手でそうっと包んで。そのまま…

「ね、かがみ。耳かして」
「みみ…?…うん……っ!?」

屈んだ私の頬に、やわらかくて暖かい何かが触れる。まるでとろけるチョコみたいな…こなたのくちびる。

「かがみ…私ね、かがみのこと、好きなんだ……すっごく。世界中の…誰よりもね」


耳元でささやかれたその言葉は、くちびるの熱と一緒に、私の心にとろけていった。



バレンタインデー。
それは、愛する人に、想いを伝える…素敵な日。

END.
310名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 03:16:34 ID:eLowrVbi
以上です。何を間違ったんだか書き込めなかったり1レスオーバーしたりで申し訳ありませんorz

ちょっと先取りでバレンタインネタにしてみました。なんかつかさが一枚上手になってますねw
311名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 03:45:48 ID:fwdmEtTL
>>310季節感もほのぼのな甘さもぎっしりとつまってるなぁ・・・
最高に甘いこなかがご馳走様でした。
一番槍GJ!!
 
そういや後一週間なんだな。昔このスレで流行ってた『あめこなた』ってあったけど、次は『ちょこなた』あたりが流行りそうだなww

そして『ふぇちょこなた』なんて電波受信した俺はどうしようもないこな☆フェチ末期患者。
312名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 03:50:24 ID:1Cw9x7Nk
>>310
甘い…甘いよ!GJですぜ。
んー・・・思い返せばバレンタインなんていい思い出なんもないな。
だからこそこういうのが余計によく思えるのかもしれない
313名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 08:16:11 ID:ew+fOqOs
>>310
なんですかこの短く纏まっててかつ甘さ最大級の傑作は。
耳元でささやくこなたにもう…KOです……ガク
31418-490:2008/02/07(木) 10:32:48 ID:G2HbzjJi
>>310
あまーーーーいっ!!!
やっぱかがこなはスイーツですなw(GJ的意味で)

そんな甘々なSSの後には、やっぱりシリアスは必然でしょ。
ってことでAKY(敢えて空気読まない)で投下します。

タイトル『見上げる空はなぜ青い』
かがみ→こなた
非エロ
微妙にシリアス
5レスお借りします。
315見上げる空はなぜ青い:2008/02/07(木) 10:34:15 ID:G2HbzjJi
新年も無事に迎え、そろそろ春の温かさが恋しくなってきた頃。
私は2年間という長いようで短い間通ってきた通学路を歩いていた。
時間が早いせいか、辺りに生徒の姿は見えない。
「ふぅ…」
誰に向けるべくもなく自然に排出された吐息が、寒空へと吸い込まれていく。
その白い息を追いかけるように、うっすらと太陽が覗いている空を見上げると、いつもの清々しいような青色ではなく、私の吐息のような白い色をした空が一面を覆っていた。


―――見上げる空はなぜ青い―――


自分の足音が反響する廊下を抜け、ガラッと教室のドアをあけると外気より少し温かい空気が私を迎えてくれた。
この季節、上級生は受験期真っ盛りでこの時間から学校にきて勉強をしている生徒は少なくない。
その受験生への学校側の配慮なのか、すでに教室の暖房器は外気に冷やされた体を温めることが出来る程に暖まっていた。
受験、か…
首に巻かれたマフラーを外しながら小さく呟く。
あと一年もたてば自分も図書室で必死に手を動かしている受験生と同じ立場にたつだろう。
一年…
人によって感じる時間が違うとかよく聞くけど、少なくても私にとって一年という時間の感覚は短く感じられた。
たった365日…違う言い方をすればその365日で私の高校生活は終止符をうつのだ。
このまま何も言えない、何も伝えられないままで……別れてしまうのだろうか。

……あぁ、ダメだ。
こんなことを考える為に朝早く学校にきたわけじゃない。
わざわざ寒空の下を一人で歩いたのには理由がある。
いや、理由なんて言葉のあやだ。私は逃げているんだ、大切な人から…なにより、自分の気持ちから。

ガラガラ…
と後ろから聞こえた扉を開ける音が、私に教室への訪問者の存在を告げる。
こんな朝早くから学校へ来るもの好きがいるなんて、と自分を棚にあげて思う。
「かがみ」
聞き覚えのある、だけど予想外の声にバッと後ろを振り向くと、そこには見間違えるはずもない友人――
私の片思いの相手である泉こなたが立っていた。
「こなた…」
呟くように小さな訪問者の名前を呼ぶと、深い青色の瞳が少し揺れたように見えた。
その瞳に私は見覚えがある。

316見上げる空はなぜ青い:2008/02/07(木) 10:35:19 ID:G2HbzjJi
『かがみはさ、好きな人とか…いるの?』
急激に頭の中で甦るこなたの言葉。
いつも通り、なんの変哲もない帰り道。
少し先を歩くこなたが私を振り返って尋ねた言葉。
その言葉に頭の奥底に閉まっておいた記憶の扉が、ゆっくりと開けられる。

―だめだ、思い出すな。
頭の中で冷静な私が叫ぶのが聞こえる。でももう手遅れ。私の目の前には先日起こった光景が既に思い浮かび上がっている。



「かがみはさ、好きな人とか…いるの?」
いきなりのこなたからの問いかけに一瞬呆気にとられる私。
それもそのはず、好意を寄せている相手にそんな質問をされて、私はアンタが好きなのよ、なんて言える奴がいるはずはないだろう。
少なくても私にはそんなこと言えない。
「私はね、いるんだ…」
何も言わない私の視線が気恥ずかしいのか、こなたが私から目を逸し、髪の色と同じ色をした空へと両手を伸ばして言った。
後ろから見える髪で隠れたサラッと揺れる長い髪、細い腕を高い高い空へと向けて、こなたが続ける。
「とっても、とっても好きな人が」
ズキッと体の中心にヒビが入るような音が聞こえた。
痛い。
ヒビの入った胸の中心あたりが焼けるようにヒリヒリする。
焦燥感のような胸のモヤモヤが心臓から頭の方へと伝染していくのが分かる。
「…へ、へー。で、相手は誰なのよ」
動揺を気付かれまいと、発した声が震える。
自分から聞いたことなのに、答えが怖くてギュッと両手の拳を強く握り締めてしまう。
空に伸ばした手を下ろし、再度私を振り向くこなたが何故か遠くに見える。
―いかないで。
こんなに近くにいるのに遠い。空に浮かぶ雲のように触れられそうで触れることができない。
そんな不安定で私を翻弄する目の前の小さい友人はフッと諦めに似た自嘲的な笑みを浮かべた。
それがまるで、好きと言えない私を責めているようで。
「かがみは…好きな人いないの?」
私の問い掛けを無視して、こなたからの二回目の質問。
こいつは、何を考えてこんなことを言ってるのだろう。
まさか、こなたは私の事が…
いや、そんな事私の都合に無理矢理合わせた期待でしかない。
こなたは私が自分に友達以上の感情を寄せていることなんて微塵にも感じてないだろう。
317見上げる空はなぜ青い:2008/02/07(木) 10:36:45 ID:G2HbzjJi
自分の事ばっか考えてそうで、本当は人一倍周りを大事にしてることくらい2年間一緒にいれば嫌でも分かる。
だから私は言えなかった。
自分の欲望の為だけにこなたに好きだと打ち明けたら、こなたはどうするのだろうか。
笑いながら「デレ期だね、かがみ」といつものようにからかうのだろうか。
いや、それならまだマシな方だ。私にどう接すればいいか分からずに距離をとるかもしれない。
――怖い。
こなたへ伝えたいと思う気持ちと、このまま傍にいたいという気持ちが交錯している不安定さ…それがたまらなく怖い。
それならいっそ、自分の気持ちを抑えこんで、友人としてこなたの傍に居続ければ……
そんなの嘘。
私が望んでいることは、そんな綺麗な感情じゃない。
もっと汚い、こなたに自分だけを見て欲しい、好きでいて欲しいという薄汚い自分勝手な欲望。
「かがみ」
こなたが私の名前を呼ぶ。
それすらにも反応してしまう自分の心臓が恨めしい。
こんなに思っているのに、こんなに好きで好きでたまらないのに…
「…かがみ?」
不安そうに見つめるこなたを直視できなくて…このままじゃ、自分の気持ちをぶちまけてしまいそうで…
「………いるわよ」
勝手に口が言葉を発した。
「へ…?」
「好きな人、いるわよ」
何を言ってるんだろう、こんなこと言うはずじゃないのに…言えるはずないのに…
「え……。あ、あぁ、そ、そうなんだ。アハハ、私全然気付かなかったよ〜」
なんでそんなに慌ててるんだろうとか、こなたの様子を疑問に思えるほど、私にとっても余裕が無かった。
「ち、ちなみに…お相手は誰?私の…知ってるひと?」
勝手に動く口が、声帯が止められない。
止めて、言いたくない。
こなたを傷付けたくない。
「こなた……」
こなたの瞳が、空に映える深緑の瞳が一瞬揺らぐのが見えて…
「…には、関係ないでしょ」
自分の声がゆっくりと頭の中を反芻する。
なにを、なにを言ってるんだ…私は。
「…っ」
こなたが何かを言おうと口を開いたけど、声にならない音のみが辺りに響いた。
下唇を噛んで、何かに堪えるように両手を震わしている。
こんな、ひどい事を言うつもりはなかった。そんな顔をさせるつもりもなかった。
ただ一言、好きという言葉が届かない。
だから…
「ごめんっ」
その感情から、こなたから、私は逃げた。
こなたの顔も見ずに、さっきまで歩いて来た道へ走り出す。
318見上げる空はなぜ青い:2008/02/07(木) 10:38:30 ID:G2HbzjJi
最低だ。こんな行動になんの意味もない。
ただ、逃げたかった。
他の誰かを好きだというこなたから。
他の誰かよりもこなたを好きだという感情から。


それから数日間、私はずっとこなたを避けてきた。
勉強したいから、とつかさに告げてこうして朝早く登校したり…
昼休みも日下部や峰岸と過ごすようにしていた。
休み時間たまたますれ違ったこなたにどんな顔をしていいのか分からず、顔を背けた。
愛しいのに、こんなに近くにいるのに…こなたが遠い。


「わ、私ね…」
記憶を辿っていた私を現実世界へと引き戻したのは私とは少し距離をとったところにいるこなただった。
「謝ろうと、思って…」
いつもより半音高い声。
いつもより萎れて見えるアホ毛。
いつもより緊張しているこなたの表情。
「私、かがみに嫌われるようなこと…しちゃった、かな」
違う。
謝らなきゃいけないのは…
嫌われなきゃいけないのは…
私だ。
自分勝手な欲望がこなたを傷付けている。
逸していた視線をこなたに向けると深いエメラルドグリーンの瞳が私を見据える。
なんでコイツはこんな綺麗な瞳をしているんだろう…
「わたし、は…」
―言うつもり?
こなたが好きだと、抱き締めたいと、ずっと一緒にいたいと…
「アンタのことが…」
ずっと我慢していたたった二文字の言葉が、私の全てを支配していく。
渇いた口内。
強く握り締めた左手。
痛いほどのこなたの視線。
ダメだ、言ってしまう…

319見上げる空はなぜ青い:2008/02/07(木) 10:39:07 ID:G2HbzjJi
「好き」

言って、しまった。
達成感というよりも虚脱感が私を襲う。
こなたの表情を見るのが怖くてギュッと目を瞑ると目の前に広がるのは闇…真っ暗に私を吸い込むような暗黒だけだった。
「……っ」
息を飲む音がして、ゆっくりを目を開けると、瞳を揺らすこなたが見えた。
こなたが私に対して友達以上の感情を持っているなんて毛頭思ってない。
だけど…
拒絶される程度の覚悟は持っていたつもりなのに…
こなたの瞳が私を責めているようで、背けた視線の向こうには少し明るくなってきた空が見えた。

…なんで空はこんなに青いんだろう。
思っても想っても届かない、この青空のような長い髪をもつこなたへの思い。
これからどうしよう、見上げた空に問い掛けてみるけど、答えてくれるはずもない。
「わたしはっ…」
視界の端に揺れる青い幻影。
すぅと息を吸い込んで次に続けられるだろう拒絶の言葉に備えた。
嫌われたくない。
自分から告白という裏切きをしておいてそんな理屈はないだろう、と自嘲気味に自分に話し掛ける。

「かがみが好き…っ」



「へ…?」
予想外の言葉に遅れた間の抜けた自分の声が、私達以外いないこの教室に響いた。
32018-490:2008/02/07(木) 10:41:37 ID:G2HbzjJi
以上です。
中途半端な終わり方は…仕様ですorz
こなた視点に続きます。

読んで下さったかた、ありがとうございました!!
321名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 11:50:03 ID:gPqR5bvJ
TS・ゆたみな・かがこな・こなかが、4氏4様にぐっじょぶと言わざるを得ない。
つか一晩で4本とか相変わらずどんだけー。今日も嬉しい悲鳴が上がる。
322名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 11:56:36 ID:iLdjhEeO
いつ来ても新作が読めるってふしぎ!
まとめてで申し訳ありませんが皆様GJ!!!
323名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 14:06:24 ID:dxurzGiz
こなた×みさおをみてみたい
324名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 14:45:19 ID:f1GmLyWJ
>>323
最近だとぶーわ氏がやってるね、連載もので
325名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 15:04:05 ID:Pnc3IO1e
>>310
GJ
ああ・・・甘いなあ
バレンタイン前に虫歯になるところだったよ

>>320
さあ待ちきれないから早く続きを読ませるんだw
326名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 15:54:03 ID:aKk+RPgJ
>>323

つ【主導権争いの巻】
327小ネタ『こなたの呼称』:2008/02/07(木) 16:15:28 ID:ew+fOqOs
「フと思ったんだけど、私っていろんな人からいろんな呼ばれ方してるよネ(=ω=.」
「またあんたは藪から棒に変なこと言い出すな」
「だって、例えばつかさからは『こなちゃん』、みゆきさんからは『泉さん』でしょ?
 あとみさきちからは『ちびっ子』で、峰岸さんからは『泉ちゃん』だし」
「そう言われてみるとそうね」
「でしょでしょ? 他にもゆーちゃんからは『お姉ちゃん』とか『こなたお姉ちゃん』って呼ばれてるし、
 みなみちゃんとかひよりんからは『泉先輩』、パティは『コナタ』だけどね。
 あと黒井先生の『泉』ってのもあるかな」
「そういえば私のお母さんもあんたのこと『こなたちゃん』って言ってたわね」
「ひゃー、これだけでもう十個もあるよ。あとかがみの『あんた』を加えたら十一個かな?」
「あれ? 私ってこなたのこと、『こなた』って言ってなかったっけ?」
「んー、そういう時もあるけど、基本的に『あんた』のほうが多いかな。
 この会話だけでも二回は『あんた』って言ってるしネ」
「そっか……自分じゃ結構気付かないものね。気をつけるわ」
「いやいや、別に『あんた』って呼ばれるのが嫌ってわけじゃないから、特に気をつかわなくてもいいヨ?」
「そ、そう? いや、ほら、何となく人って自分の名前で呼ばれたいものじゃない?
 その……私は家族以外で名前で呼んでくれる人って、あ……こなたぐらいしか居ないし……
 何だかんだで結構嬉しかったりするしさ、そういうの……
 ……って、しまった!!」
「むふふ〜♪」
「え、えーい! そのニマニマ顔はやめんかっ!!」
「名前で呼んでもらえないことを寂しがるかがみ萌えーーーーーっ!!!!!」
「叫ぶなっ! はぁ……久々の失態だわ……」
「これからいーーっぱい名前で呼んであげるからね? かがみ♪
 あ、今日はゲマズ寄ってく、かがみ? 今日はかがみの買ってたラノベの新刊が出てるよ〜? ねぇねぇかがみーん」
「う、うううるさいっ! ひっつくな!! あーもうっ!! 
 もうあんたのことなんか知らないっ! 名前でもぜーーーーったい呼んであげないからねっ!!」
「待ってよかがみ〜、私のコト名前で呼んでくれなきゃ『かがみ様』って呼んじゃうぞ〜?」
「う、うるさーーいっ!!!」




SSを書いてる最中にこなたって呼称多いなぁと思って突発的に小ネタに。
ちなみに他にもあきらの『こなたさん(三巻おまけより)」とか、こうの『チビ』『ガキ』とかもありますね(笑)
328名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 18:32:17 ID:pJLz2vl1
>>327
みゆき「かがみさん……?」
329名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 18:47:02 ID:PUZGsg53
みゆきはアウト オブ 眼中ですかそうですかGJ
330名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 18:56:30 ID:HuTBVzsL
恋は盲目…
でもでも、ぐっじょぶだぜ。
331名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 19:07:46 ID:Z4zSqvP9
世界は二人のために
332名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 19:20:04 ID:fJAF0qDu
「かがみーハンカチ落としたぞー」
「KA☆E☆RE!!」
「うっ・・・グスッ・・・あきら様ぁぁ!」
333名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 19:25:45 ID:lyuDKKFk
くすん、いいんですいいんです。私にはつかささんがいますもの
334名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 19:56:44 ID:hV28UT0w
>>332
「くるな!」
「うわぁぁぁん(´;ω;`)」
335名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 19:59:14 ID:tmDWmxRp
>>327
みWikiの不憫さに全俺が泣いたwww
336名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 20:28:27 ID:woJVfyMe
>>320
情景描写が甘さを引き立てる!
だけど……リーダーが多くてくどかったと思ってしまったorz
なんにせよ、GJ!

>>327
み ゆ き が く う き
でもGJww
337名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 20:29:14 ID:woJVfyMe
三点リーダーって書こうとしたら変換しちゃったorz
338名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 20:30:02 ID:Ys2tqqpJ
白石も名前で呼んでなかったか
33943Hev0JB:2008/02/07(木) 20:35:16 ID:HXSJzEu3
白石?あんなものはあきら様の恋人です!
偉い人にはそれがわからんのです!
340名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 20:36:35 ID:1Cw9x7Nk
>>320
続きは!続きはまだですかー!
341名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 20:41:52 ID:o21S1ao7
白石はあきら様の嫁
34223-49:2008/02/07(木) 21:05:04 ID:vTCGC6w3
>>296
あうあうあうあうあうあうあう

前と同じ人ですよね?
ありがとうございますありがとうございます嬉しいです氏にます
もし別の人だったらごめんなさい氏ぬほどごめんなさい

本当はもっと書き連ねたいんですけど
他の人に迷惑でしょうから、このぐらいで
ああ、氏ぬる
343名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 21:33:21 ID:tzz5SRiF
>>320
GJ !
でも最後の呆気にとられたかがみの描写は、読者の想像力に任せて削ったほうが良かったかも
個人的にはそのほうが綺麗にまとまる気がして好き
344久留里:2008/02/07(木) 22:19:11 ID:mmjxi3tX
皆様投下GJです。
………だ、誰か、漏れにSS読む時間と拙作品の続きを書く時間をおくれorz

代わりに一発ネタ。
神奈川県民にしか分からないかも知れません。



♪エフエーム ヨーコハーマ〜〜
 エイティフォーティーセヴェン〜〜

あやの「あ、メールだ。柊ちゃんからだ」
みさお兄「その着メロ、アレのだろ? 確かFMヨコハマの……」
あ「あ、知ってるんだ」
兄「当たり前だろ。あやのが好きなラジオ局だからね。
あ「うふふふ、有り難う。
 この曲ね、『無料プレゼント』って書いてあったからダウンロードしてみたの」
兄「へえ。無料なのに音が綺麗だね。おれも欲しいな。何処で手にはいるの?」
あ「えっと、FMヨコハマのケータイサイトで貰えるわよ」
兄「よっし、早速おれも入れてみるよ」




『この着信メロディは、お客様のお使いの機種には対応しておりません』

みさお「よしよし、泣かない泣かない」
345まだry:2008/02/07(木) 23:16:15 ID:9p21eXkW
>>229
ぴーーんっときて、ここまで来てしまいました。
あの1レスが無ければ、このお話は出来てなかったので感謝しております。

>>297
挿絵だ、挿絵だ♪
ありがとうございます。
めっさうれしい。
以前、違う方にいただいた挿絵も大事に取っといてあるです。

早めに帰宅できたので、まずは読んでから…

続きは、今しばらくおまちください。
346久留里:2008/02/07(木) 23:28:49 ID:mmjxi3tX
だぁぁぁあああ間違えたorz

「エイティフォーティーセヴェン〜〜」じゃ84.7(MHz)にならないorz
ちょっと吊ってくる。
347名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 23:34:27 ID:Ri8kGyPM
桜藤祭のエロパロスレ立たないかなー
348名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 23:38:13 ID:4ffBEsnM
桜藤祭……? なんだ やま×こな の事か
349名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 23:38:45 ID:HjBnWy06
>>347
立てても重複扱いでここに誘導されてスレッド削除依頼が入るのがオチかと
350名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 23:38:50 ID:8UyLJL3R
>>347
1作品で多数スレを立てることは禁止されてるはずな上に、
このスレでもネタバレ1ヶ月禁止措置が取られてる。
だから最短でも今月下旬まで待てと。

そういった加速要素が制限されてても突っ走るこのスレは恐ろしい。
351名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 23:53:47 ID:hGoXCs04
>>348
それか!!w

オリジナル男×女性キャラってこのスレじゃかなり嫌われてるけど、
都合のいいオリキャラとくっつけられるのは嫌という感情が大きいのかな。
肝心の原作男性キャラはそうじろう、きよたか、ただおと皆妻帯者(ココロの妻帯者含む)だがw
352名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 23:58:22 ID:5Y6+XK+q
>351
完全に狙ってるんだろうけど、桜藤祭の主人公ってガチ典型のギャルゲ主人公で、
顔もないし一人称のテキストは厨臭いし心情の動きは超ご都合だからなあ。
353名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 00:04:06 ID:b5aWyAr+
TSとかじゃ駄目かな?おす☆かがとか
他何があったっけか
354名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 00:18:05 ID:4ocgZlkx
こなたTS作品
「泉こなたは大変なフラグを立てていきました」もあるでよ。
こなた主義の俺は個人的にこれ好きだ。
355名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 00:19:42 ID:PUFuliU8
「いずみけ」の主人公はこなたの息子だった。
356名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 00:31:12 ID:PUFuliU8
>>352
平均的な「らき☆すた好き視聴者」を具現化してるんだろうとは思うんだ。
「登場人物と作品世界で接するとしたらこうなるよ。楽しみなさい」的に。

でもここの住人の大半は、たとえば「メインキャラ視点で、キャラ同士が接するシチュに萌える」
というタイプが多いように思うので、自身が作品中に踏み込んでいくのに抵抗があるんじゃなかろうか。
※名無し男キャラすらあまり好まれないのもその辺が理由かなと。

この辺りが「○○は俺の嫁!」という人達と根本的に違う気がする。
357名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 00:35:51 ID:ODSy6xEq
三分以内にレスがつかなかったらつかさはみゆきの、
ひよりはパティの、そうじろうはただおの嫁
358名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 00:37:03 ID:wKUvenZV
準備している方がいなければ、投下しますですよ。
359名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 00:38:45 ID:J3aokahy
「女なんてモノにしちまえばこっちのもの」
なんて、女をヤるための対象としか見なさないような
空気の読めない男ってたまにいるけど、
その手のゲームはそういう男と同じ臭いがする。
360名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 00:39:12 ID:J3aokahy
あ、失礼。
自分は投下しないのでどうぞ。
36123-251:2008/02/08(金) 00:42:06 ID:wKUvenZV
『危険な関係』 (第4話)

こなた&ゆたか みなみ、かがみ

注意事項

・続き物
・非エロ
・シリアス〜ダーク
36223-251:2008/02/08(金) 00:43:13 ID:wKUvenZV
訂正します 第4話→第3話
363危険な関係 1/5:2008/02/08(金) 00:44:10 ID:wKUvenZV
 3.

 午後のホームルームが終わると、既に西の空は茜色に変わっている。
 教室の喧騒を耳にしながら、かがみと一緒にゲマズに行こうかと思っていた時、
入り口に良く知っている下級生が立っていることに気がついた。
「みなみちゃん」
 声をかけると、彼女は静かに頭をさげた。
 岩崎みなみちゃんは、ゆーちゃんと同じクラスの女の子で、
思わず振り向いてしまうような美人さんだ。
 どこか人を寄せ付けないミステリアスな雰囲気を醸し出しているけれど、
ゆーちゃんにはとても慕われている。

「泉先輩。話をしたいことがありますので、少しお時間をいただけますか? 」
「いいけど。何の話? 」
「すみません。ここではちょっと…… 」
 みなみちゃんの様子に微かな違和感を覚えたけれど、ゲマズに寄る以外には、
これといった用事はないし、特に断る理由もない。
「じゃあ。食堂にする? 」
「お願いします」
 みなみちゃんの声は微かに震えていた。

 昼間は殺人的に混みあう食堂だけど、今は数名の生徒が雑談に興じているだけで閑散としている。
「どうぞ。みなみちゃん」
「ありがとうございます」
 みなみちゃんに、自販機で買ったホットコーヒーを渡して、隅の方にある椅子に座る。
364危険な関係 2/5:2008/02/08(金) 00:44:45 ID:wKUvenZV
「ところで話って何かな 」
 みなみちゃんは、いきなり本題を切り出した。
「失礼ですが…… 泉先輩は、ゆたかと付き合っているのですか? 」
「え? 」
 あまりにも直截的な言い様に、答えることを忘れて、まじまじと整った顔を見つめた。
「ゆたかが泉先輩に向ける目線が明らかに違うんです。話をしていても、すぐに泉先輩の
話題になってしまいますから」
 鷹のような鋭い瞳が、私をしっかり捉えて離さない。

「みなみちゃんは…… 」
 暫く考えた後―― 私は、大きく息を吸い込んで、最初の銃弾を送り込んだ。
「ゆーちゃんのことが好きなのかな? 」
「…… はい」
 みなみちゃんは顔を真っ赤にして頷く。
「それで…… 私は何をすればいいのかな? 」
 言葉に棘が含まれることに気がつき、みなみちゃんの表情はにわかに厳しくなる。

「ゆたかをこれ以上惑わせないでください」
「どういうことカナ? 」
「今のままでは、ゆたかが不安定なままです。先輩は分かっていないかもしれませんが、
ゆたかは繊細な硝子細工です。何かあったら壊れてしまいます」
 あきらかに焦燥の色を浮かべながら、普段の寡黙さを捨てて早口で捲くし立てる。

「ゆたかをしっかりと支えてくれる人なら、ゆたかの一番になっても仕方がないと思っていました」
 みなみちゃんは大きく息を吸い込んで続けた。
「でも、先輩はずっと曖昧なままじゃないですか」
 みなみちゃんが振るった言葉の刃に、私の肺腑は深くえぐられる。
365危険な関係 3/5:2008/02/08(金) 00:45:31 ID:wKUvenZV
 でもね。みなみちゃん――
 正論を言われて、ありがたがる人なんて余程の聖人君子か、自分の意見を持たない
葦のような人のどちらかなんだ。
 溢れ出しそうになる感情を抑えていた蓋が、完全に外れる音を聞きながら、
私ははっきりと言った。
「私とゆーちゃんのことを、みなみちゃんに言われる筋合いはないよ」

「なっ」
 私の返事が予想外だったようで、みなみちゃんの顔色が変わる。
「正直に言うとね。ゆーちゃんとの関係を、みなみちゃんにあれこれ言われるなんて
おせっかいもいいところなんだ」
 どす黒い感情と一緒に、酷い言葉がどんどん吐き出される。

「泉先輩っ 自分が何を言っているのか、分かっていますか? 」
 みなみちゃんは怒りで身体に震わせている。
「十分に理解しているつもりだよ。少なくともみなみちゃんよりはね」
 私の言葉と気持ちも、十分に冷え切っている。
 実りのない応酬が交わされる度に、みなみちゃんとの間に修復不可能な溝が広がっていく。
「泉先輩…… あなたなんかに、ゆたかを渡すわけにはいきません」
「それはゆーちゃんが決めることだよ」
「違います。ゆたかは先輩に騙されているんです。泉先輩と一緒にいると不幸になってしまいます」
 みなみちゃんの言葉は、どんどんエスカレートしていく。

「ゆーちゃんも可哀想に。こんな独占欲の強い子に囚われてしまって」
「どういう…… 事ですか」
「みなみちゃんはゆーちゃんしか見えていない。そんな視野の狭い子に捕まったゆーちゃんが気の毒だよ」
「うぐっ…… 」
 言葉を詰まらせたみなみちゃんに、容赦なく追い討ちをかける。
「散々、私に言ってくれたけどさ。みなみちゃんは自分の事しか考えていないよ。
それでよく私と一緒になると不幸になる、なんて言えたものだね」
「いい加減にしてくださいっ! 」
 激高して立ち上がった拍子に椅子が倒れ、不協和音を響かせながら床に転がる。
 みなみちゃんは私の頬を張ろうと腕を振り上げたけど、動作が大きいために難なく避けることができる。

「甘いよ。みなみちゃん」
 安い挑発にのったみなみちゃんが、真っ赤になりながら私の胸倉を掴む。
 しかし、既に周囲の生徒の視線が集中しており、みなみちゃんは手を離すしかなかった。
「絶対に許しませんから」
 みなみちゃんは擦れた声で言うと、背を向けて遠ざかる。
 彼女の姿が消えて暫くしてから、私もゆっくりと立ち上がった。
 先程までいた数名のギャラリーは、既に食堂から立ち去っていた。
366危険な関係 4/5:2008/02/08(金) 00:46:06 ID:wKUvenZV
 鞄を取りに教室に戻ると、かがみが私の席に座っていた。
「やあ、かがみん」
 軽く手をあげると、かがみは立ち上がって頬を膨らました。
「どこにいってたのよ…… 」
 文句を言いかけた、かがみの表情が驚愕を含んだものに変わる。
「あんた…… 顔が真っ青よ」
「え!? 」
 心配そうな表情を浮かべながら言葉を続ける。
「そういえば、つかさがみなみちゃんと一緒に出ていったって話していたけど、彼女と何かあったの? 」
 異常なほどに鋭い。巫女って特殊能力があるのかな。
 
「まあ…… ちょっとした擦れ違いというか、衝突というかね」
「何があったの! 」
 血相を変えて顔を近づける。
「落ち着いてよ、かがみ。ちゃんと話すからさ」
 迫力に耐え切れなくなって、食堂での出来事を話す羽目になってしまった。

「こなた。あんた挑発しすぎよ」
 額を指で押さえながら、かがみは深いため息をついた。
「まあ、反省はしているけど、つい…… ね」
 私が努めて明るく振舞ったけど、かがみは真剣な口調のままだった。
「後ろから刺されても知らないわよ」
367危険な関係 5/5:2008/02/08(金) 00:46:46 ID:wKUvenZV
「まさか」
 一笑に付そうとしたけど、喉がからからに乾いていて、なかなか声がでない。
 大丈夫…… 私は大丈夫だから。
 必死で自分を抑え付けて、はりついた笑顔をみせる。
「みなみちゃんが…… そんな事をするなんて思えないよ」
 私は自分自身を騙すために敢えて嘘をついた。 

「そうかしら。最近の子ってキレやすいわよ」
「かがみさん。あなたお幾つですか? 」
「馬鹿、とにかく不用意に挑発するのはやめなさい」
 かがみは、指を伸ばして私の額を小突いた。
「分かったよ。それにしても…… 」
「なによ」

「本当はとても心配してくれるかがみ萌え」
「もうっ、いつも茶化すんだから」
 かがみは何度目かのため息をついて、スカートの裾を翻しながら言った。
「ほら、ゲーマーズに寄るんでしょ。早く行かないと真っ暗になっちゃうわよ」
 生き生きとした表情が眩しい。

 かがみと一緒にいると、泡立つ心が少し落ち着いたような気がした。
 辛い事なんか忘れられるような…… 気がした。
36823-251:2008/02/08(金) 00:49:24 ID:wKUvenZV
読んでくれた方ありがとうです。
内容は…… 思いっきりダークですね。
スレで思いっきり浮いているような気がしますが、ご容赦の程を。
369名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 01:13:37 ID:V3D3op3W
>>359
それは見方が偏りすぎじゃね?
二次創作でそんなこと言ってたらきりがない
370まだry:2008/02/08(金) 02:03:58 ID:DXaUT3VU
皆さんGJです。
どれも、続きが気になる気になる。




何気にDL数が190を超えてる…

遅筆なりにがんばるですよ。
少ないですが投下します。
371続 ここにある彼方:2008/02/08(金) 02:04:48 ID:DXaUT3VU
「こなた…」
こなたの頭に手をのせるそうじろう。
「……んっ…」
かなたに抱きついたまま、こなたがそうじろうの方を見上げる。
「なんだかんだ言って、お前はやさしくて良い子なんだよな…」
「…お父さん…」
いつものオタク全開な壊れた人間の典型のようなダメおやぢな姿はそこにはなく、娘への愛に溢れた父親がいた。
(……なんで、お母さんがお父さんと結婚したのか、少しわかる気がする…)
ほけーと見上げる。
「ん?なんだ?」
そうじろうに突っ込まれ我に返る。
「んぁ…なんでもないよ…」
再び、かなたの方に向き直す。
「ん〜〜…んっと、ほれ、こなた、ティッシュ」
そうじろうが箱ごとこなたに渡す。
「あ…うん…ありがと、お父さん…」
かなたから離れ、箱を受け取る。
「そう君…」
そうじろうの隣りに行き、服の裾を引っ張りつつ、そうじろうを心配そうに見上げる。
「んん?…ははは…まぁまぁ…ついカッとなっちまった、今は反省している」
バツが悪そうにしながら、苦笑いを浮かべる。
「大丈夫だよ…お父さん、お母さん…」
目は赤く腫れぼったいが、すっきりとした表情のこなた。
「なんだろうね…悪い方向に考えると、どんどんそっちの方向に行っちゃって止まらなくなるんだよね」
困ったもんだと、頭のうしろに手を組みつつ2人の隣りへと来る。
「普段はプラス思考の癖に、一度マイナス思考に陥ると、とことん落ちていくか…なはは、そう言う所は
かなたに似たようだな」
「え?」
こなたがそうじろうに視線を送る。
「そ、そう君…」
そんなことないもん!!と言いたげに、かなたが抗議の視線をそうじろうに送る。
ぷっくりふくれたほほが、かえってかわいらしい。
「あははは…あ〜〜まぁ〜〜なんだ…」
困ったような笑顔を見せるそうじろう。
(んあ〜、そんなかなたの表情もかわいいんだが、今そんなこといったら殺されるよなぁ…)
「おおぅ」
ぽんっと手を叩くこなた。
「え?ええぇ?こなた、なに納得してるのよ?」
なぜ?とかなたがこなたに突っ込む。
「ん〜?だってさ、お母さんも、死んじゃってごめんとか、母親失格とかさんざん言ってたじゃん、自分で」
こなたが答える。
「あ!…ああ〜…言ったわね…そんなこと…」
額に手をあて、天を仰ぐ。
「まぁまぁ〜いいじゃないか、そんなことはさ。まだ昼まで時間あるし、3人で対戦でもしようぜ。な?」
ふたりの肩に手を置き、ぽんぽんっと叩く。
「そうだね」
こなたが再びテレビの前に陣取るとPCエンジンの電源を入れる。
「お母さん、桃鉄とボンバーマンはやった事があるんだよね?」
「ええ。ファミコンの方だけど」
かなたが、こなたの隣りに座る。
「どっちからやる?」
こなたが誰に聞くともなく言う。
「そいじゃ、手短に、まずはボンバーマンからやるか。操作方法は、たしかファミコン版と同じだったよな」
2人の真後ろというか、2人の間に割り込むかのようにそうじろうが座り込む。
372続 ここにある彼方:2008/02/08(金) 02:05:08 ID:DXaUT3VU
「お、お母さん…案外強いね…」
かなた一人負けかと思われたが、勝敗数は3人で拮抗していた。
「へへへ、このゲームはクリアできた数少ないゲームの一つなのよ」
かなたが、えっへんと胸をはる。
「おっ、だいぶ慣れてきたな。じゃ、ドクロ有りでやるか」
そうじろうが提案する。
「そだね。そっちの方が圧倒的に面白いし」
こなたが相づちを打つ。
「そーそー、そのドクロってなに?」
「んーとね、パワーアップアイテムみたいに壁から出るんだけど、取ると足が速くなったり遅くなったり、勝手に爆弾
セットしていったり…マイナス効果ばかりなんだけど、他のプレイヤーに触ると感染しちゃうんだ。まぁ、面白いから
やってみてのお楽しみだね」
にやにやが止まらないこなた。
「へー…、ま、やってみましょうか」

「ちょっっっ、きゃぁぁぁぁぁ、いやーーーーーー!!」
かなたが叫びまくる。
かなたは、ドクロを自ら取ろうとはしないのだが、こなたが積極的に取得、さらに巧みに感染させていくことにより
かなたもドクロに染まっていく。
大抵3人同時爆死でドローになるなか、じりじりと、こなたが勝ちを拾いはじめてきた。
かなたにとって足が早くなるのが特に鬼門のようだ。
画面狭しと走り回り、皆を道連れに爆死してしまう。
一人叫び声を連発して奮戦するかなたを、そうじろうとこなたが腹を抱えて笑いまくる。
「いやーー久しぶりにコレやったけど、原点っつーか、やっぱ面白いね〜これは」
こなたが笑い過ぎて死にそうになりながら、息も絶え絶えに言う。
「だな!!」
そうじろうも笑い死にしそうになりながらこなたに答える。
「んもー2人とも…んん〜でもこの訳の判らなさがすごくおもしろいわね〜」
なんのかんのと爆死しつつも笑みがこぼれるかなた。
あっという間に時間が過ぎていく。
「おっ!?気がつけば1時過ぎじゃないか。うし、ちょっくら、お父さん昼飯作ってくるわ」
そうじろうが立ち上がる。
「あら?わたしが作るわよ?」
かなたがそうじろうを見上げる。
「ああ〜、いいっていいって。俺が作ってくるからさ、ゆっくりしてなって」
そういって、そうじろうがキッチンへと消えていく。
「あらあら……それでは、お言葉に甘えさしてもらって、ちょっと休憩しますか」
んん〜と伸びをして、そのまま、後ろに倒れるように大の字になって床に寝そべる。
「んじゃ、わたしも〜♪」
そのとなりに同じようにゴロンと寝そべる。
373続 ここにある彼方:2008/02/08(金) 02:05:27 ID:DXaUT3VU
「ねぇねぇ、お母さん、そういやさ、お母さん、いつの間にやら自分の事『お母さん』って言うようになったね」
「あら?気づいた?」
「えへ…あれ〜なんか昨日と違うな〜、なんだろうなぁ〜って思ってて、あ〜〜って」
と言いつつ、スルスルっとかなたの腕枕ポジションへと頭を滑らせるこなた。
「そう君のしゃべってるのを聞いてて、なんか違和感あるなっと思ってたら、一人称が『俺』じゃなくて『お父さん』
になってたからかぁ〜って気づいて。それじゃ、わたしも自分の事『わたし』じゃなくて『お母さん』って言っても
いいかなぁってね。まだまだ、自分のこと『お母さん』っていうのなんだか恥ずかしいんだけどね」
天井を向いていたかなたが、枕になってる腕を残してこなたの方に身体が向くよう横向きになる。
こなたを見つめるその顔の、頬の辺りがほんのり赤い。
「はずかしい?そう?ん〜〜、わたしはそっちの方が自然だと思うし、変じゃないよ。大丈夫だよ」
「そう言ってもらえると、なんか安心ね…へへ」
こなたの頭をそっとなでる。
しばらく無言の時間が流れる。キッチンの方から時おり音がしてくるだけの静かな時間。
「ふふ…、ただこうしてるだけなのに、不思議ね…こなたを見てると飽きないわ…」
「にへへ…わたしも、このまんまいくらでも過ごせそう…」

「おーい、できたぞー、こっちで食うか〜?そっちにもってくか〜?」
奥から、そうじろうの声が響く。
「どうする?お母さん」
こなたがむくりと起き上がる。
んん〜と伸びをしつつ、かなたもムクッと起きる。
「持ってきてもらうのもなんだし、向こうにいきましょ」
「うん、そうだね…お父さん、そっちにいくよ〜」
こなたがそうじろうに返事をする。
「…おう、伸びないうちに早くな〜」
やまびこのように返事が返ってくる。
「伸びる?麺類か!」
こなたが、んしょっと立ち上がる。
「さてと」
かなたも立ち上がり、キッチンの方へと2人で歩いていく。

テーブルに置かれた3つのラーメン用のどんぶり。
こなたが、テーブルに置かれたうちの一つを覗き込む。
「塩ラーメンか…あれ?あったっけ?」
冷蔵庫や食材の在庫をほぼ把握していただけに、あれ?と思うこなた。
「ははは、鋭いな。食ってからのおたのしみだ」
そうじろうが、おっ!!とこなたに返す。
「まぁ、なんにせよ、伸びたり、冷めたりしないうちにいただきましょ」
かなたが、こなたの正面の席に移動する。
「そだね」
こなたが目の前の椅子に座る。
「そいじゃ、お父さんもっと」
そうじろうがこなたの左となりの席に座る
「んじゃ、いただきます」
「「いただきます」」
374続 ここにある彼方:2008/02/08(金) 02:05:53 ID:DXaUT3VU
三人揃ってのいただきます、か…それが出来る機会はもう…
そんな、切ないような悲しいような感覚がふっと湧いてくるそうじろうであったが、目の前の光景に
頭を軽く振り、そんな後ろ向きな感情を即座に打ち消す。
幸い、二人は目の前のラーメンに釘付けな為、そうじろうのそんな行為は見られる事はなかった。
どんぶりのなかを箸を用いて調べ、一口食べるこなた。
「!!っおおっ、スパゲッティーか!!ラーメンの器使ってたから、騙されたよ!!」
目が輝くこなた。
「スープスパってところか…でも、具といい、スープといい、ラーメンのだね…意外に合うもんだね〜」
「いや…まんまラーメンのスープってわけではないぞ。ちょっとひねってはある」
そうじろうが、してやったりとにやけつつ解説する。
「まぁ、いいや、まずは全部食べてからっと」
コメントが多いこなたとは対照的に黙々と食べるかなた。
真っ先に食べ終えたのは…こなただった。
「ふぅ〜ごちそうさま。ん〜中華風のイタリアンか…今度わたしも挑戦してみよう」
こなたが、さっさと食器を片付けながら誰に言うともなく言う。
続いてそうじろうが食べ終わる。
「ごちそうさまっと。新メニューか、こなた、楽しみにしてるぞ!」
食べ終わったものの、とりあえずは座ったままのそうじろう。
まるで、かなたが食べ終わるのを待つかのように。
しばらくしてかなたが食べ終わる。
「ふぅ〜ごちそうさま、そう君、随分上手くなったわね、おいしかったわ。う〜ん、お母さんもしかして負けてる?」
「それは無い」
間髪いれず、こなたが否定する。
「あはは…即答か?わかっちゃーいたが、もちっと考える時間があっても良いんじゃないか?」
そうじろうが、悲しげに聞く。
「いや、考えるまでもなく。いくらお母さん補正がかかってるとはいえ、やっぱお母さんの料理は別格だよ。
昨晩と今朝のはめっちゃ勉強になった。あとで、レシピいろいろ教えてね、お母さん。お父さんも上手いけど
比べる相手が悪いよ」
なぜか誇らしげなこなた。
「ありがと、こなた」
ニコッと微笑むかなた。
「いや〜、本当の事を言ったまでだから…んと、お母さんたちのも下げちゃうよ?いい?」
ニヤニヤしつつ、テーブルの横に戻ってくる。
「え?うん、お願いね」
「おっ?サンキュ、こなた」
テーブルに残るそうじろうとかなたの食器を下げ始めるこなた。
「ちゃっちゃっと洗って、今度は桃鉄でもやりますか」
こなたが、食器を洗い始める。
「麦茶でも飲むか?」
こなたが食器類を洗い始めてからそうじろうが冷蔵庫から麦茶を取り出す。
「うん」
かなたがコップを3つ取り出しテーブルに置く。
「こなたの分、ここに置いとくな」
そうじろうが3つのコップに麦茶を注ぐ。
「あ、ありがと」
こなたが洗い物をしつつ返答をする。
とりあえず、今すぐ飲む気は無い様子。
かなたがが椅子を移動させてそうじろうの隣りに座る。
特に会話がある訳でもなしに、二人ともコップの麦茶を飲んでいく。
ただ、隣り合っているだけでも幸せそうな二人。
麦茶を飲み終えたかなたが、こてんっと頭をそうじろうの肩にあずける。
会話なんていらない、そんな風にも見れる。
そんな二人をちら見しながら、なんともいえない誇らしい気持ちになるこなたであった。
375まだry:2008/02/08(金) 02:06:57 ID:DXaUT3VU
短いですが、とりあえずここまでで。
では、また。
376名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 02:13:16 ID:j5+WEi0T
>>368
相変わらずGJだ
激突の予感にドキドキ
377名無し@ピンキ―[sage]:2008/02/08(金) 02:14:13 ID:ZPPENUxo
白こな を見てみたい
378名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 02:24:26 ID:hMHPm2Uw
>>375

かなたさん、かあいいなあ……
379名無し@ピンキ―:2008/02/08(金) 02:24:33 ID:ZPPENUxo
すいません 勘違いしてて名前のところにsageとか書いてました ちょっと吊ってきます
380名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 02:41:23 ID:4ocgZlkx
>>375
は〜なんとも・・・
GJなんだ、ものすごいGJなんだが・・・

この幸せな究極また〜り空間が、いずれ終わりを告げると思うとね・・・
じつの所俺、今回の投稿を切なく眺めておりました(´・ω・`)
今はただ、続きを期待するのみです。

願わくば、出来るだけこの幸せまた〜りが長く続くことを祈って・・・。
(BGMがヴォカリーズってときに>>375が投稿されるという間の悪さorzセツナサバイゾウ)
381名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 03:37:34 ID:s4tvofnT
てす
382名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 04:20:37 ID:b5aWyAr+
なんか調子悪いな
383ぶーわ:2008/02/08(金) 04:40:27 ID:s4tvofnT
ども、投下しようとしたらまたタイミング悪く色々あったぶーわです
「0から始めよう!」の続き投下させてもらいますね
・パラレルあり オリキャラあり(みさお兄他) 死人あり
・9レス使用
・規制くらったら、避難所で連絡します
3840から始めよう! 25.準備しよう!(1/9):2008/02/08(金) 04:42:58 ID:s4tvofnT
 おはようございます、と天使が言った。
 こんにちは、と天使が言った。
 こんばんは、と天使が言った。
 始まりはその言葉……その一番初めは、少し嬉しかった。
 この虚ろな体が、ほんの少し。
 この体は何にも縛られない。
 窮屈な世界にも。退屈な日常にも。
 ……ううん、一つだけあったっけ。
 私を縛るもの。
 私を繋ぎとめてくれる、存在。
 それが……『彼女』。
 狭い、閉ざされた空間。
 他人の居ない空間。
 そこに、こなたは居た。



 誰かの泣き声が耳を劈く。
 音のない拍手が、これほど五月蝿いとは思わなかった。
 黒と白で埋め尽くされた葬斎場に、人が溢れている。
 つかさのクラスメイトとか、親戚とか……私もよく知っている人ばかり。
 その誰もが……つかさの死を弔っていた。
 世界の何処かで誰かが居なくなっても、世界は何事もなく回る。
 それはきっと、神様が言ってるのかもしれない。
 悲しんだらいけませんよ、って。
 なんかどっかの天使みたいな口調になったわ……まぁいいけど。
 悲しみ続けることに、意味がないのは分かってる。
 そんなの意味はない。居なくなった人だって、それを望んでるわけない。
 それでも……心は納得してくれない。
「終わったね」
「……うん」
 全ての工程を終えた後に、こなたが小声で私を呼ぶ。
 その姿は……当然制服だ。
 学生ならその姿は一般的。でもこなたが着ると何処か違和感なのは多分、初めて見た所為なのかも。
「泉」
 その時、誰かがこなたに声をかける。
 見覚えのあるその姿に、こなたが軽く会釈する。
「お久しぶりです、黒井先生」
 黒い衣装に身を包んだその姿は、何処か艶っぽかった。
 こなたの担任……黒井先生。
 こなたの動悸は、もう激しくなる事はなかった。
 これからもきっと大丈夫……こなたは向き合えたんだ、他人の存在に。
3850から始めよう! 25.準備しよう!(2/9):2008/02/08(金) 04:45:01 ID:s4tvofnT
「……もう、大丈夫なんか?」
 先生にとっても、ここでこなたと出会えたのは意外だったのだろう。
 こなたの話ではよく家を訪問していたらしい。
 その度に会うこともせず、追い返していたらしいけど。
「はい……心配かけました」
「……」
 しおらしく謝るこなたに、黒井先生に少し笑みが戻る。
 そして……。
「そうか、ほんなら」
「ふぇ? ……んぎゃぁっ!」
「んぎゃっ!」
 と、私もつられて叫び声が漏れる。
 脳天に響く痛み。黒井先生の拳が、こなたに落下した所為だ。
「今まで何回足運ばせた思うとるんや……まぁ、今ので勘弁したる」
「うぅ……体罰反対」
「体罰やない、愛の鞭や!」
 そう言って笑う先生。
 だけど今自分の居る場所を思い出し、少し表情が憂う。
「柊の最後……一緒におったらしいな、高良も」
「……はい」
 みゆきの名前が出て、少しこなたにも緊張が走る。
 そして、つかさの最後の言葉も蘇る。
『ゆきちゃんが全部は言うなって言うの』
 みゆきは、知ってるんだ。
 つかさが見たものを。
 つかさが言った、『ありえない』状況を。
「今日は、高良さんは?」
「……さすがにショックだったみたいや」
 と、首を振る。
 葬儀にみゆきの姿はなかった。
 避けられた……ってのは考えすぎだろう。
 目の前で親友が飛び降り、命を落とした……ショックは大きいはずだ。
 親友……か。
 私はみゆきの事は、そう思ってる。
 みゆきも多分……一緒、だと思う。
 つかさは言った。
 あの時、『もう一人』が居た……と。
 それは私の記憶の中には登場しない、三人目。
 多分それは、事実。
 そしてその三人目が……私を殺した、誰か?
 そうだ……それしか、もう選択肢は残っていない。
 じゃあそれは、誰?
 どうしてつかさもみゆきも、それを隠すの?
 最後にそれだけ。
 その真実だけ……私は、知らなくてはいけない。



 善行を積みなさい、と天使が言った。
 そうすれば生き返れるでしょう、と笑顔で言った。
3860から始めよう! 25.準備しよう!(3/9):2008/02/08(金) 04:47:57 ID:s4tvofnT
 その癖、散々な目に会わされた。
 それを恨んでるわけじゃない。
 それなりに楽しかったし、彼女なりに気を遣ってくれたんだと思う。
 きっと、彼女は知っていたんだ。
 私を待っている……非情な現実を。



「泉、泉ー。なんや遅刻かー?」
 目の前数メートルの前の扉から、黒井先生の声が漏れる。
 それが耳に入り、こなたが最後のスパートを駆ける。
 結構運動も出来るのね、陸上でもやればいいのに……今度薦めてみようかな。
 まさかアニメが見れないから、とか言い出さないわよね?
 そのまま勢いよく扉に手をかけ、スライドした扉が轟音を立てる。
「ストップっ、遅刻じゃないですっ!」
 バス停から全速力で走ったため、肩で息。
 しかも途中で転んだからちょっと頭打った……うぅ、毎度ながら理不尽な痛みよね。
「おー、なんや久しぶりやなぁ……それで、何で遅れたんや?」
「え、えとですねー……人助け?」
 まさかギリギリまで寝てたとは言えるはずもない。
 しかも電車は乗り過ごすはバスは乗り損ねるは……朝のホームルームに間に合ったのは奇跡と言ってもいいわね。
「ほぅほぅ、そら仕方ないわなぁー」
「ですよねー、困ったもんです」
 ……まぁ、そんな言い訳通じるわけないんだけど。
「それで、何のゲームの話や? それ」
「……うぐぅ」
 逃げようとした所で後ろ首を掴まれ、首が締まる。
 そのやり取りを懐かしく感じたのか、先生の口から笑みがこぼれたのを私は見逃さなかった。
「ほれ、席はそこや……開いてるやろ」
 その手が離れ、席を誘導される。
 その姿を、クラス中の皆が笑っていた。
 ……。
 そう、こなたは今……学校に来ている。
 制服を着て、朝ちゃんと起きて……はなかったか。
 数ヶ月ぶりに訪れた学校に、こなたはどんな気持ちだろう。
 伝わってくるのは、不安や心配。
 それでもクラスの皆の暖かい笑顔の歓迎に、それも少しずつ消えていった。
 だけどまだ……つかさの傷跡は、皆に残っている。
 見慣れた席の空白が、皆の心を締め上げる。
 それが視界に入るたびに、少しずつ空気が暗くなる。
 残された人たちの心の傷は、その人が立ち向かうしかない。
 少し、天使の言った意味が分かった気がする。
 つかさの行為が……罪だ、と。
「私、自分のクラス……行くね」
 こなたに小声で言う。
 どうせ誰にも聞こえないのに、つい気を遣ってしまうのはもう、性分かもしれない。
 それに首を振ったこなたを確認した後に、私のクラスへ向かう。
 少し急いでいたのは、気の所為じゃない。
 どうしても私は、居合わせたかった。
 ……私の、『最後』の場に。
3870から始めよう! 25.準備しよう!(4/9):2008/02/08(金) 04:50:25 ID:s4tvofnT
「今日は、辛いお知らせがある」
 私の教室の中は、少し緊張感が漂っていた。
 担当の先生が暗い表情で教壇に立っている。
 それに反応して騒がしかった声も静まっていく。
 その静寂を確認してから……先生が告げた。
「柊が、学校を辞めることになった」
 喧騒がクラスに広がる。
 その中で、先生が続けて言う。
 私の病状……もう、勉強なんか出来ない事。喋れない事。動けない事。
 そして最後に、つかさの事も。
 ……分かってるはずなのに、やっぱり辛かった。
 泣いてくれる子が沢山居た。
 その中の一人が日下部で、心を絞られる。
 峰岸に抱きついて泣くその姿は、天使と私のそれを思い出させる。
 日下部は前だって、無理して笑ってくれた。
 落ち込む峰岸を、励ましてくれた。
 でもそれは……希望があったから。
 いつか、私が帰って来るという希望。
 希望の全てが断ち切られた時、人は……どうしようもなく、脆い。
 ホームルームが終わっても、日下部は泣いていた。
 日下部が馬鹿な事言って、私がそれをからかって。
 あとは日下部が峰岸に泣きついて……そんな日々はもう、戻ってこない。
 こんな体になって、初めて分かる。
 私はそんな当たり前の世界が……大好きだったんだなって。
 でももう、それが続くことはない。
 それは他の世界……他の私がきっと、味わってくれる。
 知らないの? 世界には無限の樹形図がある。
 私はその一つ……あはは、SF小説の読みすぎね。
 細かい説明は面倒だからいいわよね、どっかの抜けた天使にでも聞いて。
 そこの世界にはきっとつかさも居る。
 私も居る。
 みゆきも日下部も峰岸も他の皆も。
 もしかしたらその輪の中には……こなたが居るのかもしれない。
 そうだったら……いいな。



 貴方は殺された、と天使が言った。
 それは私の妹だと、ゆたかちゃんが言った。
 世界が、黒く滲んだ。
 だけどその暗雲に……光が差した。
 こなたが言った。
 そんなはずない、って。
 信じよう、って。
 一緒に……前に進もう、って。



「……そっか、それでみさおは?」
「今は保健室に……まだ、ショックみたいで」
 峰岸が話しかけている相手は、日下部のお兄さん。
 その彼に会いに今は三年の教室へ。
 泣き止まない日下部を保健室まで連れて行き、そのままここまで直行した。
 ホームルームと授業の間はほとんどない。
 だからすでに授業開始のチャイムは鳴り、他の生徒の姿は見当たらない。
 その無音の階段を、二人が下っていく。
3880から始めよう! 25.準備しよう!(5/9):2008/02/08(金) 04:52:12 ID:s4tvofnT
「すいません……授業があったのに」
「いやいいよ、みさおが心配だし」
 峰岸もきっと感じ取ったんだろう。
 今の日下部には、支えてあげられる人が必要だと。
 そしてそれは峰岸には出来ない。
 その理由は……簡単だ。
「みさちゃんがあんなに泣いたの……初めて見たかもしれません」
「……」
 幼馴染の峰岸がそうなんだ……私だって初めてだった。
 日下部が、あんなに声をあげて泣くのを見るのは。
「あやのちゃんは?」
「えっ……」
 階段を下りる足が止まる。
 それに峰岸も足を止め、二人の視線が交わる。
 お兄さんは少し下に居るから、丁度峰岸の視界は彼で一杯のはずだ。
「ちゃんと、泣いたかい?」
「……っ」
 お兄さんの言葉に、峰岸が視線を逸らす。
 そんな暇がなかったのは、私がよく知ってる。
 それが……峰岸には日下部を支えられない理由。
 泣き出した日下部を一番に支えたのは峰岸だった。
 その彼女を支えるので、精一杯で……峰岸に悲しむ時間なんてなかった。
 でも、私は見た。
 お兄さんと顔をあわせた時の、一瞬の苦悶の表情を。
 本当は、すぐにでも抱きついて泣きたかったはずなのに。
 もう我慢が出来ないくらいに、悲しみに震えているはずなのに。
 それでもそれを……堪えた。
 その居場所をもっと、必要にしている人が居たから。
「み、みさちゃんが、待ってるから……行きましょう」
 お兄さんの横を抜け、階段を下りていく峰岸。
 その視線は、彼を見ることはなかった。
 だから、だったのかもしれない。
 その足が止まった……いや、止められた。
 その手を、掴まれたから。
 お兄さんに……想いを寄せる、彼に。
「ちゃんと、泣いたかい?」
「あ……」
 質問を繰り返したのと、同時だった。
 峰岸の頬から……涙が零れたのは。
「やっ、違っ……」
 掴まれた手を振り解き、涙を拭く。
 でも、そんな涙が止まるはずないのは……当然だ。
 私がそうだったように、峰岸の眼から涙が溢れていく。
 日下部と一緒に抱き合って、泣く事も出来た。
 それでもしなかったのきっと……支えたかったから。
 幼馴染の彼女を、いつも支えてくれた彼女を。
「違うんです……違う、からっ見ないでっ」
「……」
 その言葉に、お兄さんが踵を返した。
 だからと言って、立ち去るわけじゃない。
 抱きしめて「これなら見えないだろ?」とか言うわけじゃない……いやそれただの変態だから。
3890から始めよう! 25.準備しよう!(6/9):2008/02/08(金) 04:55:05 ID:s4tvofnT
「見ないよ、見られたくないなら見ない……でも一人は嫌だろ?」
 一人で泣くのは、辛い。
 ただ自問自答して、自己嫌悪が募っていくだけ。
 ……少し分かった気がする。
 峰岸が、彼に惹かれている理由が。
「ぇ……っ」
 その彼から、声が漏れた。
 それは驚きの声。
 それも当然かもしれない。
 峰岸の体が、彼の背中に預けられたから。
「あやの……ちゃん?」
 突然の状況に、彼が戸惑う。
 背中に身を預けられ、泣かれているこの状況を上手く理解出来ないらしい。
 だけど振り向いて峰岸の顔を見ようとはしなかった。
 見ない、と彼は言ったから。
「私……言われたんです」
 戸惑いながらも、峰岸の言葉に耳を傾ける。
 涙で擦れた声。
 それで必死に言葉を紡いでいく。
「伝えられる間に伝えないと……伝えられなくなった時後悔するって」
 それは……いつかのこなたの言葉。
 想い人と峰岸を自分に重ねた……同情の言葉。
「その意味が、分かった気がします」
 そこまできて、私にもようやく分かる。
 峰岸が……何を伝えようとしているのかが。
 私がこんな体になって、きっと思い知らされたのかもしれない。
 別れという、単純で……悲しい言葉を。
「私、貴方の事……」
 その言葉の続きはもう、聞こえなかった。
 重なる二人を背に私はその場所から離れたから。
 その先はきっと、二人だけの言葉だから。
 二人きりの、世界だから。



 私は死んだと、つかさが言った。
 その世界に絶望して、つかさは身を投げた。
 何も出来ない体。
 何も出来ない私。
 そんな世界は、死んでるのも同じだった。
 だから私もつかさに習った。
 世界に絶望して、自らを諦めようとした。
 ……でも、こなたが言った。
 生きてるって。
 それでも、生きてるって。
 それだけが私の……支えだった。



 授業が終わって、こなたと二人で保健室に寄った。
 ホームルームが終わって急いだので、峰岸の姿はなかった。
 居るのはベッドに日下部だけ。
 泣き疲れたのか、今は布団に包まって寝ている。
 もうすぐ峰岸が来て、起こしてくれる。
 ううん、多分二人で手でも繋いで来るかもね……お兄さんと。
 っと、邪推はよくないか。
3900から始めよう! 25.準備しよう!(7/9):2008/02/08(金) 04:58:37 ID:s4tvofnT
「……ごめんね、日下部」
 私の言葉と共に、こなたが日下部を撫でる。
 手の感覚が伝わって、まるで私が撫でている気分。
 ううん、一緒よね……共有してるんだから。
「今まで……ありがと」
 私に出来るのは、これだけだ。
 その言葉を言って回るしか、私には出来ない。
 それは、伝わらない言葉だけど……言いたかった。
 今まで私と時間を重ねてくれた皆に、ただそれだけを。
 これで最後、日下部が……最後の一人。
「ひぃ……らぎぃ」
 漏れた声に驚いたけど、寝言だったみたい。
 その時に零れた涙も、こなたが指で拭ってくれた。
 ごめん、は謝る言葉。
 それは別れへの謝罪じゃなくて……悲しませた事への謝罪。
 だって……そうでしょ?
「これからも、よろしくお願いね」
 こなたは言ってくれた。
 生きていれば、時間を重ねられる。
 それは、生きてるから。
 それが……生きるという事だから。
 きっともう、日下部の馬鹿な発言に声を張る事もない。
 返事をする事も、からかう事もない。
 ただ耳を……傾けるだけ。
 それでも、いい。
「行こっ、かがみ」
「……うん」
 最後に乱れた布団を直し、もう一度日下部にかけてあげる。
 負けないでね、日下部。
 そしてまた……一緒に笑いましょ。
 馬鹿みたいな話で、何気ない会話で。
 私、頑張って生きるから。
 頑張って……受け入れるから。
 どんな姿になっても、醜い体になっても
 だからずっと……友達でいてね。
 友達で、いようね。
 私がもう、生きてここに来ることはない。
 そうね……この姿のままなら、少しくらいはいいのかな。
 まだ私は、生き返るだけの善行を積んでない。
 だからそれくらい、きっと許してくれる。
 誰がって? まぁそうね……神様とかよ。
 あはは、そんなの居るわけないとか思ってる?
3910から始めよう! 25.準備しよう!(8/9):2008/02/08(金) 05:02:11 ID:s4tvofnT
 分かんないわよ? 私なんか天使に会ったんだから。
 馬鹿で、抜けてて、頼りない天使。
 だけど凄く……優しい天使。
 ……調子に乗るから、そんな事言ってやらないけどね。
 ふん、いい気味よ。
 そうね……いつか心の整理が出来たら、言うから。
「ありがとう」って。
 でもそれは、全部が終わってからかな。
 私の最後には、立ち会えた。
 皆にお礼も、謝罪も言えた。
 あとやり残した事は……一つだけ。
 会いに行こう、『みゆき』に。
 そこにきっと真実がある。
 それを、みゆきは知ってる。
 だからもう一度天使に会うのは、その後だ。
 ゆたかちゃんの件もその後。
 ……ううん、もしかしたら一緒に片付くかもしれないわね。
 私の事件。ゆたかちゃんの事件。
 二つの交わらない事件。
 だけどその二つをもし……みゆきの知る『何か』が結んでいたら?
 つかさにはゆたかちゃんの事件は無理だった。
 それは警察の、成美さんが教えてくれた。
 そして呈した……合わないピースの可能性を。
 そしてつかさが教えてくれた。
 事件の時私の傍にいた……『もう一人』の、存在を。
 これが多分、最後のピース。
 そこにどんな答えが待っていたとしても。
 そこにどんな真実が待っていたとしても。
 私はそれを……受け入れてみせる。
 それが私の、生きるという事だから。
3920から始めよう! 25.準備しよう!(9/9):2008/02/08(金) 05:05:00 ID:s4tvofnT
 





 ……結論から言おう。
 私はこれからみゆきの家に行く。
 その先で……真実を知ることになる。
 全ての、真実を。
 そして思い知らされる。
 世界はどうしようもないくらい鈍(にび)色で。
 どうしようもないくらい理不尽で。
 どうしようもないくらい……何も、ない事を。
 そう……何も。
 私が知りたかったのは真実。
 それがどんな答えだろうと、その先にあるものは変わらない。
 その先にあるのは動けない体。
 その先にあるのは喋れない体。
 それは『0』……何もない、不自由な体。
 でも、違ったんだ。
 私のそれは決して、『0』じゃない。
 だって私には……皆が居る。
 こなたが居る。
 何もない体でも……誰かが、支えてくれるから。
 それだけで私は現実と向き合える。
 現実を、受け入れられる。
 そう勝手に……『思い込んでいた』。

 ねぇ、じゃあもし。
 もしそれが本当に、『0』だったら?
 その時私は……どうすれば、いいのかな。

(続)
393ぶーわ:2008/02/08(金) 05:05:54 ID:s4tvofnT
 続きます。
 終わりが見えてきましたね。
 人袖でもありましたね、こんな総集編的な回。
 グダグダしてるように感じたらごめんなさい、精進します。
 最近0始強化月間中……そろそろ本当に終わりです、頑張りたいです
394名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 05:10:13 ID:s4tvofnT
>>368
 うおお続ききた続き!
 GJです! こういうピリピリした展開が書けるのが羨ましい……
 激突にwktk
>>375
 こっちも続きキタ!
 ほんわかな雰囲気が伝わってきて和みました
 GJでした!
395名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 05:22:24 ID:7c4AUVzv
>>393
続ききましたわー!
ついにこなたが学校に来れましたね。
うん、ここまで来れるようになるのにいろいろありましたなぁ。ほんとに。
次回でみゆきさんちにいく、ということで真相がわかるのだろうか。
かがみの事件とゆーちゃんの事件がどう繋がるのか楽しみです
396名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 07:19:49 ID:rk0lX4uY
>>393
とうとう真相が暴かれますか……かがみの唯一の支えすら0に帰するほどの真実というと、まさか?


なんにせよ、かがみの選択を見届けようと思います。ぐっじょぶでした。
397名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 08:47:10 ID:b5aWyAr+
>>393
GJです!
さ、最後にまたなんという引きを
ここまできてかがみんをさらにどうする気なんだww
本当に0? ダメだ、俺の読解力じゃさっぱりだ
398名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 10:50:15 ID:vVQQuNkV
そういえば今日はななこてんてーの誕生日だったな
てんてー大好きな俺はwktkで全裸待機中だってヴぁ!

自分で投下?
もう間に合わねぇ
399名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 10:59:17 ID:DBZ85Cn1
てんてー?







天帝?
「うははははははワイが天帝黒井や!
 ワイに逆らったら補習に追試やでえ」
「んがっ!そんな!理不尽なぁ!
 …でも、普段とあまり変わらない気がするのは何故?(〒ω〒.)」
400名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 11:05:16 ID:Kc2pax4H
でも最強だわね・・・
401名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 13:03:30 ID:yejAHkM7
>>359 それは言いすぎでは…
このスレの作品も原作の空気を読んでないって言われたら同じだろうし。
402名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 13:31:09 ID:/tiaLdH9
そだね
403名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 13:36:59 ID:GT53HnFd
俺は書き手さん一人一人の持つらき☆すたの世界観ってゆうのを尊重したいな。そうすれば書き手さんのSSの幅も広がるし…
どうしてもアニメ・原作等に範囲を固定しちゃうとその範囲でしかSS書けなくなると思う…今日この頃…
404名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 13:51:22 ID:rk0lX4uY
使い古されたフレーズだけれど、

「私がらき☆すただと思うものがらき☆すたです。
 あなたがらき☆すただと思うものがらき☆すたです。 
 だれかがらき☆すただと思うものがらき☆すたです」

……って事なんじゃないかな。
無論、どれか一つでも欠けてはいけないのは言うまでもない。
あと、転んでも泣かない。これ重要。
405名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 15:02:36 ID:X4D4su/a
>>393
GJっした
とうとうクライマックスって感じですね!
そしてようやく犯人が……って今回見る限りあの人?
あと最後にまたやってくれましたね……続きが気になりまくりです
今回が総集編回ってことはそろそろ来ますか、超設定回が! どんでん返しに期待してます!
406名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 15:39:09 ID:b5aWyAr+
>>403
同意
パラレルは敬遠されがちだけど個人的には面白いと思う
らき☆すたという枠を残しながら自分なりの形を創るのは難しいと思うし
407名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 16:12:10 ID:ODSy6xEq
10-249氏、17-234氏、9-727氏の作品が好きだ
ああ、自分の好みってだけで他意はないからな
408名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 16:27:58 ID:X4D4su/a
パラレルって単語がいまいち曖昧かな
二次創作の時点でパラレルな気がするんだが
409名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 16:39:27 ID:oxedkjSa
俺はらき☆すたの作品自体への愛に溢れた作品が好きだな
つか愛がある作品ほどじっくり読みたくなる
410名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 16:55:50 ID:/tiaLdH9
逆に言えば、特定キャラへの偏愛に満ちた作品はアウトなんだろうな
411名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 17:08:18 ID:ODSy6xEq
作品愛がある作品が好き≠キャラ愛がある作品が嫌い
412名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 17:34:22 ID:NGaebRsM
>>408
本編での描写が前提にあるものは普通パラレルとは言わないと思う。
SFだったりキャラの性別が変わってたり死亡したキャラが生きてたり、と
設定の段階で何かしら変化してるものが2次創作で言うところのパラレルじゃないかな。
413名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 17:51:43 ID:b5aWyAr+
多分>>408は平行世界って意味で言ったんじゃないかな
パラレルって本来はそっちの意味だし
414名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 17:55:32 ID:b5aWyAr+
もしくは百合やエロパロの時点で設定改変に該当してる、って言いたいのかも・・・すいません邪推でした
415名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 18:04:48 ID:OdaiXtjq
邪推もなにも完全にその通りでしょう
416名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 18:07:53 ID:qX2uvkmW
まぁいまさらここでどんな定義付けがされようと、これまでの作品群はGJで今後の投下もwktkなんだけどね
417名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 18:23:34 ID:PUFuliU8
グロやSM、鬱モノその他諸々の投下が(断り書きを入れることで)はっきりと認められてる、
というか「余計な括りを設けない」のがこのスレの良いトコ。

好き嫌いは当然発生するだろうけど、「アレはダメ、コレは嫌い」とかいうコメントはそもそも無意味。
(気に入らない作品は読まないよう推奨されてる)
気に入った作品にバンバンコメントすればいい。 その方が建設的だし、スレも賑わう(充分賑わってるけどw)。

もっとも「ここはこうした方が良くない?」的な感想は多くの作者さんが求めてるとは思うんだ。
418名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 18:39:03 ID:lACuOBhh
今までに一体何度この議論が繰り返されてきただろうか
419名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 18:41:08 ID:Jzyji5Pw
>>407
呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃ〜ん
自分が真ん中に書かれていることに理解するまで30秒かかりましたw
めちゃめちゃ嬉しいです!ありがとうございます!

なんかこの流れで行くと、あきら様×白石しか書けない自分はどうすれば良いのか…
書くものが何故か両想い限定(もしくはそれに近い)時点で、既にパラレルなんですかね?
この二人が付き合っているという描写は全くないので…。
420名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 18:49:47 ID:8F20fu+c
それでもわざわざPS2を否定したがる奴は定期的に沸くんだがな
421名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 19:17:28 ID:ODSy6xEq
このスレではまだ一回しかわいてないような
422名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 19:25:58 ID:4ocgZlkx
まあとりあえず、ネタバレ1ヶ月ルールは最低限守って頂いてから
PS2ネタOKだぜ兄弟!ってことでFA?
423名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 19:33:50 ID:s4tvofnT
祝ななこ先生誕生日☆

やっつけでごめん!
ttp://www.geocities.jp/je104049/nanako.jpg
424名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 19:41:04 ID:Kc2pax4H
>>423
なんか無性に泣けた・・・先生・・・(;´д⊂
425名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 19:41:55 ID:ODSy6xEq
なにこれかわいい
426名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 19:56:25 ID:rk0lX4uY
手乗りななこ先生とか新境地開拓しすぎです。もっとやれ。
427名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 19:57:04 ID:vewd9188
>>423

う、うれしそうで……なにより……です、先生w
428名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 20:18:13 ID:s4tvofnT
祝☆ななこ先生誕生日★

もっとやってみました
ttp://www.geocities.jp/je104049/nanako2.jpg
429名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 20:22:41 ID:psnuUbGP
>>423>>428
かわいすぐるんだが、どうしてくれる
430名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 20:34:16 ID:4ocgZlkx
これはもう、柊ジェミニにも期待せざるを得ない!
431名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 20:43:25 ID:L+BMopum
>>423>>428
これは新しいw もっとやってくれw
432名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 20:43:51 ID:o+BvicGx
>>428
みwikiひでえwwwwwwwwwww
433名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 20:56:25 ID:Ng1ZfPYM
>>420
まあ、女の園に無理やり自分の分身と言い張って、ありもしない男ねじ込んだんだから、否定的になる人がいるのも
無理ないとは思う

>>423 >>428
柊姉妹編をぜひ希望するw
434名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 20:58:12 ID:uR0XXbxa
ななこセンセに初めて萌えたw


っていうか、プロットまで作ったのに、書いていくうちに内容に差異が出てくる……。
自分の計画性のなさにorz
435名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 21:24:31 ID:rk0lX4uY
>>428
みwikiさん、スマイルが輝きすぎです。ぐっじょぶ。


そして柊姉妹編を相良軍曹のような勢いで熱望します。射殺はしませんが。
436名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 21:53:39 ID:D3AF7uQc
>>423>>428
吹いたw
ぶーわさんなにやってはるんですか!?w
437名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 22:03:49 ID:8nIa/dN+
みWikiは黒い、履いている黒ストがその象徴
438名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 22:06:52 ID:s4tvofnT
祝☆黒井先生誕生日!
ttp://www.geocities.jp/je104049/nanako3.jpg
ttp://www.geocities.jp/je104049/nanako4.jpg

いやなんか 何もないのは寂しいかなって!!
すいません日記に帰ります!!!
439名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 22:13:08 ID:uR0XXbxa
>>438
gjgjgjgj!!!!!!!!!1111


キレイにまとまったなw
440名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 22:14:29 ID:rk0lX4uY
を、早速来た!
最後かがみが綺麗に締めるあたりにあなたの愛を見た。ぐっじょぶ。
441名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 22:15:52 ID:4ocgZlkx
>>438
原作でも、一番先生を「先生らしく」あつかったのはかがみだものなーwwww
期待通りDAZE!!GJ!











残りの6名も、といったら怒ります?(・∀・)
442名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 22:20:31 ID:s4tvofnT
他との絡みが 想像できません!! 誰か想像力を 分けて!
443名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 22:33:38 ID:4ocgZlkx
ヴァ「おーすせんせー、おめでとー」
なな「くさかヴぇ・・・その言葉・・・お前もくれるんか・・・(感動)」
ヴァ「じゃーなー」
なな「あからさまにそれだけえ!?」

でこ「先生、これ・・・」
なな「おおおおおこれはうまそうなケーキやなあ・・・先生感動や!」
でこ「彼にプレゼントしたいんですけど、形どうです?」
なな「くろーーーん(´・ω・`)」


だめだ・・・どうもいまいちだorz
444名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 22:45:46 ID:DXaUT3VU
みなみ「あっ…黒井先生…」
ゆたか「黒井せんせ〜お誕生日おめでとうございます!!」
黒井「お、おう、おおきにな…」
ゆたか「こなたお姉ちゃんから色々聞いてますよ〜今時の先生らしからぬ熱い先生だって」
黒井「な!…いやいやそんなことは…ないと思うけどな…そないなこと言われたら…なんかはずかしいやんか」


うーん、難しいな…

445名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 22:53:04 ID:ZQ+vaqP9
ななこ先生が一番祝ってもらえる相手か

MMOのギルメン?
446名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 22:53:46 ID:vVQQuNkV
>>438
こっ、これは…激しくGJ!
447名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 23:12:43 ID:+c8GO2O/
ゆい姉さんならどういう言葉をかけるだろうか。でもそんなことより
>>443
>「くろーーーん(´・ω・`)」  にフイタw


…もしかして、増殖させるのか!?(クローン的な意味で)
448名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 23:17:13 ID:r4wotW5v
無粋なこと言わないでおこうと思ったがぶーわさん「先徒」は天然なのか。よし、萌えとこう
449名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 23:17:52 ID:4ocgZlkx
>>444
病弱「・・・と言えば喜ぶとお姉ちゃんがいってました」
無乳「・・・ゆたか・・・それは禁句・・・」
なな「くろーーーん(´・ω・`)」
450名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 23:28:01 ID:s4tvofnT
>>448
やった! 第三部完!!!
間違ったままコピペしてました……面倒だから 直さないけど!!
451名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 23:42:41 ID:4ocgZlkx
さらに>>444
腐女「くうううううう!萌えるッスねえ!!!」
なな「な・・・なんや田村・・・そんなダイレクトに言われると・・・照れるで・・・」
腐女「(目線は完全にななこの隣)やっぱり定番の百合カップル!萌えっ!最高!」
なな「くろーーーん(´・ω・`)」

コス「カモーン、こっちへカモーン」
なな「なんや?」
コス「なんかアナタは、他人のような気がシマセーン、仲良くしまショー」
なな「(あかん・・・あのゾーンに入ったらアカンような気がする・・・)」
神「いや・・・あなた・・・ もう、手遅れですからっ!」
なな「ズガーーーーンΣ(´・ω・`)」


これで一通りそろったわけだが・・・やっぱインパクトに欠けるなあorz
452名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 00:04:57 ID:Wusj04H4
きっと黒井先生の本音を…
「まぁまぁ…みんなありがとな…でもな…30も近くなってくるとな…正直、あまり嬉しくはないんやで…」
453久留里:2008/02/09(土) 00:20:25 ID:lsi7dHlj
おばんです。
何とかフラグを回収する目処が立ったので、続きを投下します。

『カケラ』
・つかさ×あゆみ(オリキャラ)・つかさ視点
・今のところ非エロ
・5レスほど使用
・シリアス/タイムリープ/平行世界/鬱展開
・オリジナル設定が多いのは仕様です。
・物語の性格上、鉄分が濃いです。



〜星のカケラ〜
カケラ一つになりて、その内に秘めしチカラがセカイを変える────。
454カケラ 13-1/5:2008/02/09(土) 00:22:30 ID:lsi7dHlj
13.

「本当にあるの?」
「うーん………確かに『気配』はするんだけど……」

1時間近く経ったのだろうか?
灰色の寒空の下、私とあゆちゃんは熊本城の中にある公園で『あるモノ』を探していた。

その『あるモノ』とは私が現代へ帰るための、『鍵』。ここではキーワードって意味かな。
そのキーワードを揃えられれば、私は現代へ帰れるらしい。
実際はそれが『物』なのか、『者』なのか、『モノ』なのかは、まだ分からない。
困った事に、あゆちゃん自身も分からないという。ただ、『気配』を感じ取る事は出来るらしい。

「ふぁ〜〜〜〜〜〜〜、もう動けません」
「わ…私も………、はぁ」

私達は遂にエネルギーが切れてしまった。へなへなと茶色の芝生の上にへたり込む。
お昼ご飯も食べずにずっと探していたせいか、もう立ち上がる力も沸いてこない。
今すぐ充電しないと動けないや。
悴む指をすりすりしながら、あゆちゃんの様子を伺う。
あゆちゃんもやっぱり寒いようで、私と同じく指をすりすりしていた。
『チカラ』を使ったせいか、すっかり疲れている様でちょっと辛そう。
「構わないで。私は大丈夫だから」
「で、でも、顔青いよ」
「だ、大丈夫って言ったら大丈夫なの。ちょっと寒いだけなの!!」
「わ、分かったよぉ。で、で、でも、ほ、本当に辛かったら言ってね」
「うん………………分かった」
2人の会話は、そこで一旦途切れた。
私達に吹き付ける冬の風が、限りなくゼロに近い体力を更に奪う。
ふらふらと風の当たらない城壁の裏に回って、そこにあったベンチに腰掛ける。
お互いの身を寄せ合うと、何となくだけど暖かく感じられた。

「ちょっと、休憩しよっか」
「う、うん」

熊本城は、私がイメージしていたモノとは大分雰囲気が違っていた。
一番びっくりしたのは、壁が黒いこと。
私はてっきり、お城は壁が白いものだと思っていたんだけど、期待は見事に裏切られた。
それでも灰色の曇り空の中、でんと構える佇まいは、おバカな私でも何となく「凄いなぁ」と思えた。
お城自体は改修工事をしている最中のようで、
工事現場でよく見る足場が組んであったり、ブルーシートを被せている建物もあった。
日本史の授業で習ったんだけど、確か熊本城は西南戦争で一回焼けちゃったらしい。
つまり、今ある建物は最近になって建て直したもので、中は史料館になっているらしい。
時間があったら2人で中に入ろうって決めていたんだけど、今日は工事があるそうでお休みだった。
残念。現代へ帰ったら『一緒』に行こうね、あゆちゃん。

──────そう言えばあゆちゃんって、私と一緒に帰るのかな? 現代に。
455カケラ 13-2/5:2008/02/09(土) 00:23:32 ID:lsi7dHlj
「もう一回、探してみようよ。まだ感じるんでしょ? 『気配』」
「うん、感じる。
 でもおっかしーなー。一番強く感じたのはあそこだったんだけど……」
と言ってあゆちゃんが指さすのは黒壁の天守ではなく、反対側の園内の植木。
既に何十回も探し回った所だけど、結局これと言ったモノは見付からなかった所だ。
「ねぇ、その『気配』ってあの植木の所しか感じないの?」
「うん。多分。あの木、えっと、いちょうって言うの?」
「胃腸?」
「違う!! イチョウっ!! ギンナンっ!!」
「あ、銀杏かぁ」
熊本城は、銀杏城という異名を持つそうで(とガイドブックに書いてあった)、確かに銀杏の木が多い。
「あの木。あの一番大きいやつ!」
「そこ、さっきも探したけど、無かったよね」
「うん。穴まで掘ったもんね」
私はあゆちゃんの手を引いて、散々探した一番大きな銀杏の木の下へ向かう。
根元は私達が公園の隅に捨てられていたスコップで穴ぼこだらけ。
今にもプレーリードッグが「きゃんっ」って鳴いて出てきそう。
「……これだけ掘ったんだもん」
「……出る訳無いよねぇ」
その穴ぼこだらけの銀杏の木の前で、2人同時に7回目の溜息をつく。はぁ。
「うーん、もしかして、この木そのものが『鍵』だったりして」
「それは無いと思う。木そのものには『気配』を感じない……と…思う」
あゆちゃんの答えがあやふやになってきた。
一発で見付からなかったのが余程効いたのか、かなり凹んでいる。

「ねぇ、もしかして、上の方にあったりとか」
「あー、そう言えばまだ………………ああ!!」
「ひゃっ?!!」
もう、脅かさないでよ。
私に続いて顔を上げた途端、いきなり大声を出したから吃驚しちゃった。
「あれ、あれ!! 『鍵』ってきっと、あれだよ」
「え? え? どこ? どこ?」
「ほら、あれだよあれ!!」
「だから何処??」
「あれだってば!!」
「どれだか分からな…………あああっ!!」
456カケラ 13-3/5:2008/02/09(土) 00:25:40 ID:lsi7dHlj
「にゃうっ?!!」
「ひゃうっ!!」
あゆちゃんが変な声を上げた。私もそれに思わず反応してしまう。
「つかさまで驚くことないじゃない」
「だ、だってだって、あゆちゃんが辺な声出すから……」
「うるさいうるさいうるさい!! 脅かすな」
「そ、そんなに怒らなくたっていいじゃない!!」
「つかさだって怒ってるじゃん!!」
「怒ってないもん!!」
「怒ってる!!」
「な、い!!」
「あ、る!!」
「ない!!」
「ある!!」


「「むぅ〜〜〜〜〜!!!!!」」


しばらくの沈黙。
すると、突然突風が吹いて、火花を散らしている私達の間をひゅうっと抜ける。

「…………」
「………ごめん」
「ごめんね、ムキになっちゃった」
私、ちょっと大人気なかったね。私の方がお姉さんなのに。
「こっちこそ、ごめん………なさい。け、喧嘩してる場合じゃなかった」
「そだったね。ほら、探そう。あの木の上でしょ?」
「うん」
「でも……」

『鍵』となるモノは、銀杏の木の上、一番高い枝にぶらさがっていた。
それは、キラキラと光る、何かの『石』のようだった。
問題は…………。
「どうやって」
「登ろっか?」
そう。この木の上に登る手だてが無いことだった。
私は全然木に登れないし、運動神経の良さそうなあゆちゃんも木が大きすぎて一番下の枝に捕まれない。
しばらく考えた結果、
私があゆちゃんを肩車して木に登らせて、あゆちゃんがスコップで『それ』をはたき落とす。
それを私がキャッチすることにした。
「責任重大だからね。つかさ」
「あんまり言うと余計緊張しちゃうよぉ」
「落としたら帰れないからね」
「だからあんまり言わないでぇ」
思わず泣きそうになってしまう。でも、頑張らなきゃ。私がお姉さんなんだから。
「じゃあ、行くよ」
「うん、いいよ」
あゆちゃんがしゃがんだ私の背中から肩に乗る。
子どもって、意外と重い。
「よーし、行くよ。せーので行くよ。せーのっ」
「せーのっ」
よ、よっこいしょういちっと!!
肩にずしりと荷重が掛かる。私より小さいとはいえ、やっぱり重い。
457カケラ 13-4/5:2008/02/09(土) 00:26:21 ID:lsi7dHlj
「うぅぅぅぅ〜〜〜〜、重いよぉ」
「ほら、しっかり立って!! そんなフラフラしてたら私が落ちちゃうじゃない」
「ご、ごめん〜〜、ひゃぁ!!」
思わず左足の荷重が抜ける。
「きゃあ!!」
「ご、ごごごごごめん………しゅん」
「ちょっと、ホントに落としたら怒るからねっ!!」
「わ、分かったから早く登って!!」
「わ、分かってるわよ!! だからフラフラしないで!!」
分かってるよぉ。ああ、やっぱり私、力無いなぁ。
そんな事を考えていたら、片足が穴に躓いてしまった。しまった!!
「きゃっ!!」
「ひゃあっ!!」
体重が一気に前へ移動して、両脚に掛けていた力が全部抜けた。
私の顔はそのまま、太くて堅くて乾いた幹に、顔が勢いよくぶつかる。
つまり、バランスを崩して転んでしまった。
あゆちゃんはと言うと、上手く私から離れて幹にしがみつき、そのまま一番下の太い枝に掴まった。
「ふにゃ〜〜〜」
もう動けません。ホントに。
458カケラ 13-5/5:2008/02/09(土) 00:26:44 ID:lsi7dHlj
頭の中が真っ白になって、私の視界は無彩色の渦巻きがぐるぐると回っていた。
何故だか分からないけれども、ぐるぐるの渦巻きの中、耳には大喜利の掛け声と笑いが聞こえる。
ああ、ここは何処? 私は誰? 楽太郎さんは今何て?
「───かさ、──かさ」
??
「大丈夫?」
昇太さん達とは違う声がする───。
「ねえ、つかさ!」
視界がぐるぐる渦巻きからうすぼんやりとした「誰か」の影に変わる。
さっきから私の名前を呼んでいるのは貴方?
「んもう……、えい!! 起っきろ〜〜〜!!!」
身体が揺さぶられる。今度は「影」がぐるぐると回る。
「あれ?? ここは何処? 私は誰? 笑点終わったの?」
「何意味不明な事言ってんのよ。ほら、あったわよ」
「えっと……何が?」
「もう、しっかりしなさいよ。ほら、『鍵』、あったわよ!!」
───『鍵』??
「────!!!!!」
その一言で目が覚めた。
視界が一気にクリアになった。
灰色の寒空の下、私はいつの間にか銀杏の木の下で横になっていた。
寒さをそれほど感じなかったのは、私の身体の上にもう一枚、厚手の白いコートが被せてあったから。
丈が短いので、お腹から下はすっかり冷えてしまっている。
「ご、ごめん、あ、えっと、み、みみみみ見付かった??」
「落ち着いて。ほら、これ」
私が焦って周りをきょろきょろしていると、あゆちゃんは私の目の前に『何か』をぶらさげた。
ちょっと顔を離してピントを合わせると、それは透き通った黄色い『石』だった。
ほのかにふわぁっと光っている……様な気がする。
「『鍵』って、これなの?」
「そう、この『石』。私が感じてた気配はコレだったわ」
と、言う事は…………。

私とあゆちゃんは、その場でハイタッチを交わして目的を達成した事を喜び合った。
タイミング的には遅いけど、それに、目的は全部達成した訳じゃないけど、
兎に角、『鍵』となる『石』が見付かった。

「これで私『達』、帰れるね」
「ええ。でも、まだ遠くに気配を感じるわ。行きましょ?」
「うん」
459カケラ 13-6/5:2008/02/09(土) 00:28:26 ID:lsi7dHlj
熊本城を後にした私は、あゆちゃんの手を引いて市街地へ向かう。
鶴屋百貨店というデパートで遅めの昼ご飯を食べ終えて、トイレに行く。
すると、個室の中で私の携帯電話がブルブルと震えた。
メールが一件、届いていた。送り主は鹿児島の時と同じく不明。
内容は、

『ホンB2-0046』

という不思議な記号の羅列だった。
次に私がしなきゃならない事だとは思うけれども、一体何なのだろう?


「どうしたの? つかさ」
「うん、それがね」
トイレに誰も居ない事を確認して、携帯電話の画面をあゆちゃんに見せる。
ウサギの髪飾りが2度揺れると、あゆちゃんはあっさりと答えてしまった。
「これってさ、アレじゃないの?」
「どれ?」
「この暗号が意味する場所に行けば、何かがあるんじゃないの?」
何かと聞いて、とっさに思い出すもの。それは──、
「『鍵』のこと?」
「ううん、このデパートの中では感じない」
残念。外れちゃった。
でも、このタイミングで(時代から考えて)来る筈の無いメールが来たのだから、
もしかしたら、ここ鶴屋百貨店で何かがあるに違いない。
「取り敢えず、このデパートの中を調べてみない?」
私から提案してみる。あゆちゃんは怪訝な表情。
「ここにあるってコト?」
「そう、たぶん……だけど」
「根拠は?」
「何となく。でもね、ありそうな気がするの。ちょっと探してみよう?」
「まぁ、ここでボケーっとしていてもしょうがないもんね。行きましょ」

私達は7階のレストラン街を後にし、ガラス張りのエスカレータを使って下のフロアへ向かった。
460久留里:2008/02/09(土) 00:29:07 ID:lsi7dHlj
以上でございます。
1レスオーバーしてすいません。
461名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 00:31:57 ID:nZd0CvMo
まあ、乙
462名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 00:39:30 ID:vzxksRWM
>460
リアルタイムぐっじょぶ。
いつも楽しみにしています。
今後の展開が気になりますが、wktkしながら待っていますよ。
463名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 00:42:23 ID:6fBbf90u
>>438
たからにたかられたww
しょーもないはずなのにツボったwwww
464463:2008/02/09(土) 00:51:46 ID:6fBbf90u
というかぶーわさんだったのか、URL削ってやっと分かった
というかまたサイトで何やってんすかww
465名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 00:53:28 ID:g93AVt4i
>>460
ぐじょーぶ
フラグ回収のめどがついたとのことなので、今後の展開に期待してます!
466名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 06:43:31 ID:kXwc2xgH
昨日受信した電波。

「こなた……。

私はこなたの事が好きよ。
でも眼鏡とか馬鹿な妹とか、周りの奴らが私達の恋を邪魔しようとするの。

だから、ねえ?

そういう奴ら全員、邪魔する事が出来ないような体にしてやろうと思っているんだけど良いわよね?
ふふ、答えは聞いてないわよ?

それにしても、さっきから携帯に電話してるのに出てくれないだなんて。

ずっと通話中だし、まさか私の知らないところで恋人なんて作っているんじゃないでしょうね?

でも大丈夫。
すぐに私以外愛せない体にしてあげるんだから。

だから早く電話を取りなさい、こなた……」

「かがみ……。

何で電話してるのに取ってくれないのさ?
通話中だし、まさか恋人? 男なの?

……許さない。
私のかがみに手を出す奴はみんなみんな■してやる……。

かがみに触れていいのは私だけなんだよ?
逆に私に触れていいのはかがみだけなんだから……。

早く電話取ってよ。
聞きたいよ、かがみの声……」

ダブル DE ヤンデレ。
467名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 07:24:15 ID:zsVpQFdK
468名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 11:10:59 ID:xJiAty8r
>>466
最後は殺し愛の果てに刺し違えると申したか。

……ちょうど雪の季節だし、白い雪に鮮血が映えて……いやいやいや、自重しろ俺。
46926-215:2008/02/09(土) 11:16:38 ID:OQ25EePa

 街がそろそろチョコレート色に染まる今日この頃皆様どうお過ごしでしょうか?
 一大イベントに向けて弾みをつけるべく、一発投下したいと思います。

・こなた&ゆたか。自作SS『相手はだぁれ?』の翌日からの話
・5レス+後書き1レス使用予定
・エロ無し
・こなた視点

 誰も投下予定がなければ発射します
470夏の夜の約束(1):2008/02/09(土) 11:19:03 ID:OQ25EePa
 
 ゆーちゃんにイタズラのお仕置きをした翌朝。さすがに疲れたのか、私の方が先に起き出した。
 横にあるゆーちゃんの可愛い寝顔をずっと眺めていたいけど、今日の朝食当番は私なので、着替えて台所へ向かう……その前にゆーちゃんのほっぺにキスを1つ。くすぐったそうに身動ぎしても起きる気配はない。まぁ仕方ないかな?
 台所へ行くとお父さんがすでに起き出していて、新聞を読みながらノンビリとお茶をすすっていた。
「お?こなた、今日は早いな。」
「おはよーお父さん。なんだか目が覚めちゃってね。それに今日の朝ご飯は私の番でしょ。」
「いつもこうだといいんだがなぁ。ゆーちゃんは……まだ寝てるみたいだな?」
 と新聞越しに言ってくる。声が妙に楽しそうだ……まさか夕べの聞かれてた?平静を装いつつ冷蔵庫から麦茶を出してコップに注ぎながら、
「えっ、と。うん、夕べちょっと遅くまで話し込んじゃってねー。」
「そうか。まぁ夏休みだからいいが、程々にな。ゆーちゃんは夜更かしとかには慣れてないみたいだし。」
「うん、そだねー。気をつけるよ。」
 どうやら気付かれてない?
「あと騒ぎ過ぎないようにな?」
 ……訳はなかったらしい。新聞越しで見えないけど、絶対に笑ってる。
「気をつけるよ……」
 さすがにそれ以上何も言ってこないのは空気を読んでの事か。
 エプロンをつけてフライパンを火にかける。

「じゃあゆーちゃん起こしてくるね。お箸とか出しといてー。」
「おー、わかった。冷めないうちに戻ってこいよ?」
「なっ?!あ、当たり前だよっ!」
 危うく転びそうになった。余計なことは言わないで、本当に。
 自分の部屋に戻るとゆーちゃんはまだすやすやと寝ていた。
「ゆーちゃん。朝だよー。」
「んん……」
 ほっぺをぷにぷに突付くと、逃げるようにもぞもぞして。
「早く起きないとご飯冷めちゃうよ〜。」
「んみゅ……もうちょっと〜……」
 可愛いなぁ、本当に。とはいえ、お父さん待たしてるしなぁ。あと1回声掛けてダメなら……と思ったところにふと閃くものがあった。
「ゆーちゃん♪ちゅっ」
 唇にキス。
 するとゆーちゃんの腕が私の首に回されて。私の口にあったかい何かが入ってくる。応えるように、入ってきた舌に自分のを絡めるとぴちゃぴちゃと水音が響く。
 ゆっくり唇を離すと銀色の橋が2人の唇に架かり、音もなく途切れる。
「おはよー、ゆーちゃん。」
「えへへ、おはよう。お姉ちゃん。」
 にっこり笑顔を浮かべて抱きついてくるゆーちゃん。
「いつから起きてたのかな?」
「ほっぺにキスしてくれた時からだよ。」
「じゃあ私と同じくらいだ。って、なんで寝た振りしてたの?」
「お布団からお姉ちゃんの匂いがしてね、なんだかいい気持ちだったから。あとお目覚めのキスしてくれないかなぁって、ね。」
「あーもう!可愛いなぁゆーちゃんはっ!」
 ぎゅっと抱きしめて頬擦りする。
「あぅ。お、お姉ちゃん?」
「っと、いけないいけない。ゆーちゃん起こしに来たんだっけ。ご飯の支度出来てるよ。」
 名残惜しいけど体を離し、手を取って起こしてあげる。
「じゃあ着替えてくるね。」
「そんなに急がなくていいからね。」
「うん。でもおじさん待たせてるんでしょ?すぐ行くね。」
471夏の夜の約束(2):2008/02/09(土) 11:20:16 ID:OQ25EePa
 
 そう言って自分の部屋に戻るゆーちゃんを見送ってから台所へ行くと、お父さんが準備をすっかり整えていてくれた。
「ありがと、お父さん。ゆーちゃんもすぐ来るって。」
「お目覚めのキスでもしてきたのか?顔が赤いぞ。」
「……んな!ちょ!お、お父さん?!」
「はっはっは、図星か。そんな事だろうとは思ったがな。」
「いくら私達の事を認めてるからって、そーゆうのは言わないで……恥ずかしいから、さ。」
「いや、あまりに嬉しそうな顔してたからな。つい。」
「おはようございます、おじさん。」
「おー、ゆーちゃん。おはよう。」
「お待たせしてすみません。」
「いやいや、気にしなくていいよ。じゃあ食べようか。」
「「「いただきまーす!」」」


 こうして3人揃っての朝食は珍しい。まぁ主な原因は私なんだけど。
 他愛もないおしゃべりをしながらご飯を食べていると、お父さんは今日打ち合わせとかで1日出掛けるらしい。
「夕飯には戻れると思うけど、2人で済ませちゃっても構わないからな。」
「んー、帰ってくる時間次第かな。近くまで戻ったら連絡くれる?」
「じゃあこっちの目処が立ったら一旦連絡入れるか。」
「うん、そうしてくれれば準備とかしやすいね。」
「気をつけて下さいね、おじさん。」
「ありがとう、ゆーちゃん。さて、じゃあそろそろ支度して出掛けるよ。」
「ほーい。片付けなんかは私達でやるから、このままでいいよ。」
「ああ、じゃあ留守番よろしくな。」

 お父さんを見送って、後片付けを済ませると、麦茶を片手に広告のチェック。
 あちこちからそうめんをもらって来てるのでそれを如何に飽きずに食べれるか、そんなことを考えていると隣にゆーちゃんが座ってきた。
「おねーちゃん♪」
「どしたの、ゆーちゃん?」
「んーん、何でもない。」
 ふむ……片付けてる時もそうだったけど、今まで以上にくっついてきてる気がする。夕べの事がきっかけなんだろうけど。
 私を見てくれるのは嬉しい。でも私『だけ』を見るようになると、それはいけない。
 気にし過ぎかもしれないけど、夕べの言動からちょっと心配になる。
「ねぇゆーちゃん。今日は涼しいし、急だけどちょっとお出掛けしようか?」
「え?うん、いいよ!」
「よし決まり。じゃあ着替えて準備しておいで。」
「はーい。」
 さて、私も部屋に戻って着替えるとしよう。

 数分後、2人並んで家を出る。
「お姉ちゃん、今日はどこに行くの?」
「んー?実は決めてない。その辺ブラブラ歩くのもいいかな、なんて思ってるけど。」
「私もそれでいいよ。」
472夏の夜の約束(3):2008/02/09(土) 11:21:05 ID:OQ25EePa
 

 おしゃべりをしながら適当に歩く。普段何気なく歩いてる道もこうしてゆっくり歩くと違って見えるのは不思議だね。
 まぁ歩きっぱなしもどうかと思うので、少し離れた公園で一休み。
 ジュースを買って、公園の端の方にある木陰のベンチに並んで腰掛ける。公園には子供達が元気一杯に駆け回っていた。
「ゆーちゃん大丈夫?ちょっと歩き過ぎたかな?」
「ううん、全然平気だよ。」
「そっか……ねぇゆーちゃん。私の事好きって言ってくれたけど、どのくらい好き?」
「え?どのくらいって言われても……うーん、世界で1番大好きだよ。こんな事言うと変だけど、誰にも渡したくない、かな。お姉ちゃんは?」
「もちろん、私も一番好きなのはゆーちゃんだよ。でも、同じようにかがみやつかさ、みゆきさんも好き。まぁ好きのベクトルは違うけどね。」
 首を傾げるゆーちゃんを真っ直ぐ見て言葉を続ける。
「ゆーちゃんを1番愛してるのは間違いないよ。けど、ゆーちゃんだけがいればいい、とは言わない。だって、私達2人だけで生きていける訳じゃないよね。」
「うん、そうだよね。」
「夕べのゆーちゃんを見てたら、余計なお世話かも知れないけど少し気になっちゃって、ね。」
「ううん、そんな事ないよ。言われても仕方ない事しちゃったし。私もあんなに嫉妬深いなんて思わなかったもん。」
「あははは。まぁ『あんなコト』見たら、ねぇ。その辺り私は心配が少なくてよかったかも。」
「心配させちゃってごめんね。でも大丈夫。お姉ちゃんも大事だけど、みなみちゃん達も大切なお友達だよ。みんながいるから楽しく学校に行けるんだもんね。」
「こっちこそ変な事言ってゴメンね。」
 2人して笑いながらぎゅっと手を握る。私が思っていたよりしっかりしていたんだね。

 さて、私の心配が思い過ごしで済んで安心すると、もう1つ気掛かりな事がある。
「そう言えばゆーちゃんさ。」
「ん?何、お姉ちゃん。」
「私達の事、みんなにいつ言おうか?」
「あ……そう言えば、私もまだ言ってない……」
「それぞれ別々に言うよりはみんな一緒の時の方がいいような気もするけど、どうだろ?」
「うーん……お姉ちゃん達は確か明日お勉強会するんだよね?」
「その予定だけど。」
「私達も同じなんだ。だからうちで一緒にして、その時に言うのはどうかな?」
「んー、じゃあその線で行こう。ついでにみんなには素麺を減らす手伝いをしてもらおうかな?」
「あとでおじさんにも言っておかないとね。」
「まぁお父さんなら平気だと思うけどね。今夜帰ってきたら伝えよっか。」
「そうだね。それとみんなにもうちでやるって伝えないと。お夕飯の事もね。」
473夏の夜の約束(4):2008/02/09(土) 11:22:04 ID:OQ25EePa
 
 その後お昼を外で済ませ、いろいろ買い物をしてから家に帰る。
 夕方のお父さんからの電話によると思ったより早く帰れるらしい。ついでに明日の事を伝えると快く了解してくれた。
 お父さんの確認を取ってから勉強会と夕飯の事をみんなへ連絡すると、これまた2つ返事でOKが出た。どうやら心当たりと言うか、身に覚えがあるらしい。こういう頂き物はどこも一緒みたいだね。

 翌日。お昼過ぎにみんな集まって、1年組と3年組に分かれて勉強会を始める。
 相変わらずのプレッシャーを感じながら、いつまでもこのままじゃダメかな、と思い始める。
 すぐ近くに私を頼りにしてくれる存在がいるのだから、それに応えられるようにならないとなぁとぼんやり考える。いつも逃げるんじゃカッコ悪いしね。

 日も傾いてくる頃、切りのいいところで終わりにして夕飯の準備に取り掛かる。
 私とゆーちゃんの2人で9人分の準備はなかなか大変かと思ったけど、つかさやみゆきさん、みなみちゃんが手伝ってくれたので思ったよりスムーズに出来た。
 かがみはお父さんと小説の事であれこれ話していたし、ひよりんとパティに至ってはかがみとお父さんを巻き込んで萌え談義に花を咲かせていた。なんか「俺は勝ち組だーー!」とかいう歓喜の雄叫びが聞こえたけどまぁ聞かなかった事にする。

「お待たせー。ご飯だよーー!」
 つゆと具を数種類用意し、サラダ風にアレンジし、春巻の皮に包んで揚げてみたり……3人寄れば何とやら、5人もいれば色々出来た。
「Ohコナタにユタカ、すごいゴチソウデス!」
「うわー、本当に凄いわね、これ。ほとんど素麺なの、本当に?」
「うん、そだよ。こなちゃん達ってお料理の事いろいろ知ってて楽しかったよ。」
「そりゃー毎日やってるからねぇ。まぁ私とゆーちゃんの2人じゃさすがにここまでは出来なかったね。」
「デザート用にスイカを冷やしてあるからね。遠慮せず食べていいよ。」

 さすがにこの大人数だと食卓は賑やかなものになった。用意した料理も好評で、見事に空になった。
 スイカを切り分けてみんなで食べている時に頃合かなと思ってゆーちゃんをチラッと見ると、私の言いたい事を察してうなずき返してくれた。
「ねぇ、みんなに伝えたい事があるんだけどいーかな?」
「ん?なんスか、泉先輩?」
「急に改まってどうしたの、こなちゃん?」
「うん。私ね、ゆーちゃんと付き合う事にしたんだ。」
 と何でもない事のようにサラッと言う。ゆーちゃんは耳まで真っ赤だけど。
「おー、おめでとうッス。泉先輩にも春到来ッスね。」
「あらあら、おめでとうございます。泉さん。」
「What?!ユタカ、それは本当デスカ?」
「ゆたかちゃんの事大事にしなきゃダメだよ、こなちゃん?」
 思っていたよりもあっさりと受け止められた……もうちょっと反対とかされると思ってたのに。
474夏の夜の約束(5):2008/02/09(土) 11:23:03 ID:OQ25EePa
 
 そんな中で違う反応を示したのは
「……はぁ?!ちょっとこなた、それ真面目に言ってるの?」「ゆたか……冗談、だよね?」
 険しい表情で詰問してくるかがみ、少し寂しげな表情を浮かべたみなみちゃん、の2人だ。
「今の私は大マジだよ、かがみ。2人には悪いけど、こんな事は冗談じゃ言えないって。」
「私もお姉ちゃんの事が誰よりも大好きなんです。それで普段お世話になってる皆のいる時に伝えようって決めました。」
 私達2人の言葉を受けて、まず口を開いたのはかがみ。
「2人とも自分達が何を言ってるのかわかってる?男女ならともかく、同性での恋愛なんて辛いだけでしょ。周りの目に耐えられるつもり、ゆたかちゃん?」
「心配してくれて嬉しいけど、でも大丈夫です。これでも色々調べたりもしましたから。私達のような同性の恋愛が少数派で他人から受け入れられにくい事も、『日本では』法律で触れられていない事も。」
「だったら……」
「でも、だから何だと言うんですか?周りに否定されたからって私達の想いは消せませんし、法律に守られていないからって悪い事をしてるんじゃないですよね?」
「……でも後ろ指を差されたままで、平気なの?」
「見ず知らずの人達から言われるくらいなら気にしないよ、みなみちゃん。」
「まぁ平気なのは『見ず知らず』の人であって、友達から拒絶されたりってのは辛いかな。だから理解してして欲しいとこだけど、無理強いは出来ないよね。」
「みなみちゃん、かがみ先輩。どうしても認められませんか?」
「少し、考えさせて。少なくても、嫌悪とかはないけど……」
「かがみは……どうかな?」
 みなみちゃんは何か悩んでいるみたい……理由はまぁ、察しはつくけど。一方かがみは険しい表情のまま私達を見て、
「1つ聞きたいんだけど。同性の恋愛については置いとくとして、何でこんな事を言い出したの?言わずに内緒で付き合ってれば私達からあれこれ言われる心配はなかったのに。」
「秘密にするなんて、そんなのあり得ないよ。」
「だってみんな大事な友達ですから。隠し事はしたくないです。」
「そそ。反対されるかも知れない、最悪絶交なんてのもあり得るけどさ、あとで知らされていい気持ちはしないでしょ?私達だって、隠れてこっそりなんて気分が悪いしね。」
「お互いが一番なのは譲れませんけど、周りに友達のみんながいて初めて私達は幸せなんだと思います。だから今はダメでも、いずれは認めて欲しいなって思うんですけど……」
「ま、生理的に受け付けないって言われたらそれまでだけどね〜。」
 ちょっと茶化したように締め括ると、みなみちゃんがゆっくりと口を開いた。
「私は、認めてもいいと思う……正直に言うと、ゆたかの一番じゃないのは少し悔しいけど。」
「え、あ……ありがとう、みなみちゃん。ごめ……」
「謝らなくていいよ、ゆたか。けど、幸せになってね?泉先輩、ゆたかの事お願いします。」
「もちろんだよ、みなみちゃん。」
 お互いに頭を下げ、顔を上げた時にはみなみちゃんはどこか吹っ切れた顔で。ゆーちゃんは少し目尻に涙を浮かべていて。みなみちゃんの想いを裏切らないよう心に誓うとかがみを見る。
 百面相とは言わないけど、表情を変えながらすごく悩んでるのがわかる。皆の視線がかがみに集まる。
475夏の夜の約束(6):2008/02/09(土) 11:23:55 ID:OQ25EePa
 
 やっと決心がついたのか1つ頷くと指で拳銃を形作り私達、特にゆーちゃんに向けて、こう言い放った。
「いいわ、認めてあげる。でもゆたかちゃん、覚悟しておいてね?いつかこなたの事を振り向かせて見せるから。」
「ふぇっ?あの、どういう?」
「あーもぅ!最初っから同性云々なんてどうでもよかったの。私だってこなたの事が好きだったんだから。いい加減な態度だったらこなたを奪ってやろうかと思ってただけよ。」
「ちょ、ちょっと、お姉ちゃん?!何言ってるの??」
「Oh!三角関係という奴デスネ!みんなFightデス!」
「あ……じゃあ私も、ゆたかを諦めなくてもいい、のかな?」
「ちょ、みなみちゃんまで?修羅場ッスか?修羅場なんスね?!」
「あらあら、こんなに積極的なみなみさんは初めて見ますね。私は友達と妹、どちらを応援しましょうか?」
 かがみの爆弾発言をきっかけに場は一気にヒートアップ。さっきまでの重い空気はどこへ行ったのやら。その様を呆然と眺めるゆーちゃんの手をしっかりと握ってあげると、こっちを振り向いて『どうしよう?』って顔をしてる。
 いい加減収拾がつかなくなったので、ゆっくりとかがみに近づいて背後から抱きしめて、
「ありがとう、かがみ。」
 と囁くと、驚いたように振り向いて。そのおでこに軽く触れるだけのキスをして、
「な、ななな!何してるのよっ!」
「ん〜、何となく。それにしても、そこまで驚くかねぇ。」
「そりゃ驚くわよ!す、好きだった相手に……されたら……」
「おやおや、『好き』なんて普通に出てくるなんてデレ期かな?」
「う、うるさ〜〜〜い!」
「こ、こなちゃん。あまりからかうのは止めようよ。ね?」
「あのっ!かがみ先輩、ありがとうございます。でもおねえちゃんは絶対に譲りませんからっ!」
「まったく。ゆたかちゃん、こいつが変な事しないようにちゃんと手綱を握っておくのよ?じゃなきゃこっちの心臓が持たないわ……それにああは言ってもね、他人のお下がりなんかじゃ願い下げだからね。こなたも捨てられたからって泣きつくんじゃないわよ?」
「まったく素直じゃないッスねぇ、かがみ先輩は。まぁツンデレなんてこんなもんッスか。」
「ゆたかも、泉先輩にひどい事されたら言ってね。私はいつでもゆたかの味方だから……」
「あははー。宣戦布告かな、みなみちゃん?」
「そう取ってもらって、結構です。でも、出来ればそんな事にはならないで下さいね。」
 どうやら皆認めてくれたみたい。本当にいい友達を持ったな、とつくづく思う……
476夏の夜の約束(7):2008/02/09(土) 11:24:25 ID:OQ25EePa
 
「いや〜、騒いだ騒いだ。もういい時間だけど、みんなどうする?」
 皆で大いに騒いだ後、時計は既に10時半を指していた。
「みゆきちゃんとみなみちゃん、遠いならおじさんが車で送っていってもいいよ?それとも皆で泊まっていくかい?人数分の布団があるか怪しいけど。」
「え、でもこの人数は多過ぎませんか?それにうちなら家に連絡して車を出してもらっても……」
「ん〜〜、お邪魔でなければお泊りさせてもらいたいッスねぇ。2人の事いろいろ聞きたいし、おじさまにも聞きたい事あるッスから。」
「そうだよ、みんな泊まっていこうよ。夏休みもそろそろ終わりなんだし。ね?」
「ではお言葉に甘えさせていただいてよろしいですか?」
「じゃあうちに電話しておくね、お姉ちゃん。」
「私も、電話してきます。」
「ワタシハNo Problemデス!……Oh ドウセナラ色々Costume持ってくるんデシタ……」

 結局みんなで今夜はお泊り会になった。みんなが家に連絡してる間に私とゆーちゃん、お父さんで布団や着替えの準備。
 さすがに6人分の布団は用意出来ないので、敷くものだけは確保して掛け布団はタオルケットで我慢してもらうことになったけど。
 一通り準備して、縁側で1人涼んでいると横にかがみが腰を下ろしてきた。
「ねぇこなた。あそこで私が絶対に譲らなかったらどうするつもりだったの?」
「直球だね。ん〜〜、どうだろ。少なくとも同性っていう事に関しては心配してなかったけどね。」
「へ?どうしてよ。」
「だって、かがみの気持ち気づいてたから。」
「……いつから?」
「3年になってからかなぁ。ちょうどゆーちゃんの事が好きになった頃かな?」
「それ以前は気づいてなかったんだ。」
「ん。同じ立場……誰かを好きになってようやく気づいた、ってとこだね……でも不思議だよね、それまでは同性なんて興味は全くなかったのに、一旦意識し始めたら止まらなくなってた。」
「じゃあさ、もし私が……いや、いいや。」
「うん……」
「ゆたかちゃんの事もそうだけど、あんたも幸せになりなさいよ?じゃなきゃ許さないからね。」
「わかってるよ。」
「さてと。じゃあ戻ろ。今夜のメインディッシュはあんた達なんだからね。覚悟しておきなさいよ?」
「お手柔らかに頼むよ、かがみ?ただでさえひよりんとパティがいて大変なんだからさ。」
「ふふっ、さてどうかしらね。」
 そう言って颯爽と部屋へ向かうかがみはとても格好よくて。その背中にそっと呟く。
「ありがとう、かがみ。かがみが友達でいてくれて、私……私達は幸せ者だよ。」
47726-215:2008/02/09(土) 11:25:50 ID:OQ25EePa
 
 きゃーー、2レスオーバーすみません><
 改行が多いとか言われたデスよ

 ともあれ、以上です。お付き合いいただきありがとうございました。
 もう少しかがみの葛藤とか書ければよかったかな、と思いますが……

 バレンタインまであと数日。気合入れて行きましょう!

P.S. いささか恐縮ですが、コテハンなど名乗ってみようかと思います。
   今後は「26-215」改め「LD」とさせていただきます。
   これからもよろしくお願いします〜♪
478名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 11:30:43 ID:ta2bOVUv
>>477
おー、いいです。GJ
認めつつのライバル宣言
そして、かがみとみなみの優しさに泣いた
479名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 12:04:01 ID:vzxksRWM
>477
とってもGJ!
素晴らしい、こなゆたを堪能させていただきました。
作風が明るくてポジティブで、読後感も清涼でした。
嫉妬して受け入れる、ツンデレかがみんの描写も凄く良かったのですよ。
480名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 12:09:01 ID:myEfazVb
予期せぬドロドロの修羅場で四角関係希望
・・・冗談はさておきGJ!
481名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 15:11:09 ID:GgyLZHDb
そして愛憎劇の果てに、かが×みな、というもう一つのカップルが誕生

と申したか。
482名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 15:18:34 ID:sJIqpIb6
それはそれで美味しい展開
48335-215:2008/02/09(土) 17:45:12 ID:yKCu4c9R
かが×みなと言えばかがみな執筆者として反応しなければ

すんませんでしゃばって本当にすんませんorz
でも増えてくれたらうれしいような・・・しかしマイナーカップル書くの好きだな自分・・・

弟「マイナーこそ俺のジャスティスとか前言ってなかったっけ?」
↑の発言弟に実際に言われましたorz


かがみな買い物編はしばらくお待ちくださいと宣伝してみる
484名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 20:16:41 ID:HmJWnbAx
>>477
GJですぜ。
こういう黒くなってない三角?関係も素敵です。
みなみちゃんとかがみの奮闘も期待してみたいところ。
485名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 21:50:03 ID:myEfazVb
三分 レス無し こう嫁
486名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 21:50:39 ID:xJiAty8r
ならば華やかに阻止を試みる。
487名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 21:51:44 ID:myEfazVb
テラハヤス
488名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 21:51:45 ID:6fBbf90u
こう主役ものってないのかな
489名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 21:53:10 ID:8rVpEmXl
>>487
Do in V.I.P.
490妄想屋(仮名) ◆JUqojnT5.c :2008/02/09(土) 21:58:37 ID:9Fnp5kBF
親がWii Fit買ってきた記念。

つ【ttp://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0022.jpg



……お客様の中に、どなたかこのネタでSS描ける方はいらっしゃいませんかーー!?
491名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 22:12:19 ID:HmJWnbAx
>>490
修羅場です で盛大に吹いたwwww
一体何がwwwww
492名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 22:17:31 ID:iNJIrVf8
お姉ちゃんに白い板を見せちゃダメだよ、こなちゃn
493名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 22:30:08 ID:uMK1wepq
「これのせいであんたが私に構ってくれなくなったのよ!
こんなもの壊してやるー!」
「ちょ、かがみ、落ち着いて!」

うーん、違うなぁw
494名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 22:35:18 ID:xNUA90u2
WiiFitは身長と体重を入力すると「体重」「BMI」の数値と「やせぎみ」「標準」「ふとりぎみ」などの表記があるらしい……かがみ、もしかして……
運動能力の測定でバランス年齢もわかるんだってさ
495名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 22:44:51 ID:QJWJEaVz
>>490
じゃあシンプルに




――――――――――


「かがみー。新しいゲーム買ったんだけどさ、帰りに来ない?」
「ん、いいわよ。何買ったの?」
「まぁまぁ、来てのお楽しみってコトで」

 というわけで放課後。
 二人で連れ立って泉家へ。
「ただいまー」
「おじゃましまーす」
「じゃ、リビングで待ってて」
 言い残して、こなたは台所の方に消える。
 言われたとおりリビングで待っていると、しばらくして大量のお菓子を抱えたこなたが戻ってきた。
「じゃーまず食べよー」
「待て待て。ゲームするんじゃないのか」
「だから、先に腹ごしらえだよ。Wii の新しいヤツだから」
「ああ、運動系なわけね。それにしても多いわね」
「ぜんぶ食べろとは言わないよ。やりながらつまんだりもしよ」
「ま、いいけどね。じゃ、いただきます」

 小一時間後。
「うう、食べ過ぎちゃったかも」
「計画通り」
「え?」
「なんでもないよ。そろそろやろっか」
「何を? ……ああ、ゲームね」
 そしてこなたが Wii をセッティングし、テレビ台の戸棚から“それ”を取り出した。
「じゃーん!」
「……」
「じゃーん!」
「いや……こなたさん?」
「なに?」
「これはなんでしょう」
 白くて平たい、柔らかな四角を描く物体。
「板です」
「……」
「例えば――」
 言いながら、テレビの前に置く。
「体重計になります」


「だーーーーーーーーっ!!」
「わーーーーーーーーっ!!」
496名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 22:49:44 ID:dwUAOs6u
「ちょっとこなた、今から体重はかるんだから見ないでよね!わかった?!」
「見ないよぉ、まぁかがみの体重知れたらデータがまた増えるから良いんだけど♪」
「よくない!まずデータってなんだデータって!」
「いやほら、愛しのかがみのことならなんでも知りたいじゃん?ほら、ここにかがみノートが」
「アッー!なんで高校の成績までかいt」

「アナタノタイジュウハ

 ロクジュウヨンテンハチ キログラム デス

 フトリギミノケイコウニ アリマスネ」


「………………」
「…………あ」
「でてけ……」
「いや、ほら、不可抗力で」
「でてけぇぇぇ」
「きゃー」
497名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 22:58:13 ID:sxAMDk29
かがみの身長で64.8は肥満だろw
498名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 22:59:21 ID:16mTEtB/
運動するしかないな……こなたと
499名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 23:05:16 ID:BHc62pur
>>496
傾向ってか完璧太ってるだろw
かがみと身長ほぼ同じな男の俺でも53キロしかないってのにwwww
500名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 23:11:16 ID:WMkLCvu5
>490
無数のドラマが見えてくるなw
501名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 23:15:31 ID:xJiAty8r
>>490
修羅場かがみんぐっじょぶ。あのナレーションで淡々と読み上げられました。

そして書いてみたは良いが、書き途中で495さんに先を越されたという罠。嗚呼。
502名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 23:17:32 ID:9Fnp5kBF
ちょwwwなんというクイックレスポンスwwww
ここの職人は神揃いなのかッ!?
503名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 23:31:20 ID:dwUAOs6u
ごめんなさい、かがみの身長が分からなかったのと、インパクトが欲しかったんですw
504名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 23:32:45 ID:kXwc2xgH
かなたです。

かがみさんの体重に貢献しました。

良いことをした後は気分がいいです。

それはさておき、何で修羅場になっているのかしら?

とりあえず、ちょちょいとこなたを守ってきます。



板ーーーーーーッ!
505名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 23:40:40 ID:9Fnp5kBF
>>504

『ゴッドスレイヤー』と呼ばれ恐れられた、あの柊かがみに挑むとは無謀な……

てか、 あ ん た の せ い か w
506名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 23:43:35 ID:xJiAty8r
501ですが。

KYと言うのは承知で尋ねるんですが、495さんに先を越されたネタで投下してもおkでしょうか?
ダメだったらダメでも構わないのですが、それこそだめもとでお聞きしたく。
507名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 23:45:04 ID:eHMtnvaB
ついでに、自分も便乗して490のコネタ投下よろしいでしょうか?
508名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 23:50:22 ID:g93AVt4i
>>504
神様何やってんすかwwwwww

>>506>>507
どんどんやっちゃっていいと思いますよ!!!
全裸待機!!!!!
509尼野録 拾七 ◆9YoxyCDQ/E :2008/02/09(土) 23:53:33 ID:xJiAty8r
>>508
ありがとうございます。ならばお言葉に甘えて、俺、惨状!
==============================================================

 ぴろん♪ ぴろん♪ ぴろん♪ ぴろん♪ ぴろんぴろんぴろん……♪
 テレビの前の私が右に左に体を動かす度に、画面の中のボールがヘディングで弾かれていく。
「こなちゃん、すごーい!」
 ちょこなんと正座して、目をきらきらさせるつかさ。
「へぇー、さすがに上手いものねぇ」
 いつものツンデレはどこへやら、感嘆の表情を浮かべるかがみ。
 二人からの賞賛の視線が、ことのほか気持ち良い。ふふん、もっと崇め奉ってくれたまへー。
 ここはかがみとつかさの家。二人の家でwii fitを買ったって聞いた私は、学校帰りに直行したのでありました。
 日ごろの鍛錬の成果を遺憾なく発揮してあげると、もう二人とも喜ぶのなんの。かがみんちの居間をステージに、さながら私の独演会。
くーっ、ゲームが上手いのがこんなに評価してもらえるなんて、良い時代になったもんだヨ。長生きはするもんだ。

「……ふー。まーざっとこんなものだヨ」
 いやー、いい汗かいた。ハンドタオルでふきふきしながら二人に胸を張ると、暖かい拍手までもらってしまった。
「すごいすごいすごい! すごかったねー、お姉ちゃん」
「さすがにあんた、こういうのは得意よねえ。得意種目の二段重ねってとこ?」
 ああ、好感度アップの効果音が聞こえる。私は得意の絶頂だった。そう、この時までは……ね。
「やー、大したことじゃないヨ。まあアレかな、日ごろの修練の賜物って奴?」
 ごきゅごきゅとジュースを飲みながら、私は軽い気持ちで口を開く。
「やっぱり、お家で練習してるんだ?」
 つかさはそう言うとコップを両手で持ち、可愛らしくストローでちゅうちゅうと飲みはじめた。
「そりゃね、体力づくりにもなるし。こないだもゆーちゃんがフープダンスできないって言うから、手取り足取り実演してあげてね……」
 ぽろっと漏らした一言。これが致命的だった。かがみの持っていたコップに、みしりと亀裂が入る。
「ゆたかちゃん、ですって?」
 体感温度は一気に氷点下。さっきまでデレモードだったかがみの全身から、殺意の波動が立ち昇った。
「ゆたかちゃんと……そう、そぉう。あんたってば私という彼女が居ながら、ぽっと出の後輩に手取り足取り腰取りしちゃうんだ?」
 あまりの剣幕に、つかさはどこからか防災頭巾を取り出してテーブルの下にもぐりこむ。ていうか、仮にも神社の娘が念仏唱えるのって


神社的にどうなんだろう。
「あああ、あのねかがみ? 腰はとってないヨ? それにゆーちゃんは」
 従妹だし姉妹のようなものだから、と続けようとした私だったけど、ツン・デレに続く第三のモードを発動させたかがみには無駄だった


 まずこめかみがぴくぴくと震え、次に切れ長の瞳が潤み、最後に涙が溢れ出して、そして。

「キシャ―――――――ッ!!」
「うぉわぁぁぁぁぁ!? かがみ、かがみ落ち着いて!」

 嫉妬怪獣・カガミドン降臨。そりゃもう満を持しすぎる位に。かがみ改めカガミドンは憤怒の形相でバランスボードを振りかざすと、私


向かって一直線に振り下ろした。私がすんでのところでかわすと、かがみはwiiごと引きずって第二撃の体勢に入る。
「この浮気者! 優柔不断! 私っていうものがありながらー!!」
「待って、かがみ、今回は、完全、無欠に、私、無実じゃん! なんで、一緒に、wiiするだけで、殴られなきゃ……どぅぶれあ!」
 長谷川のパンチもよけられそうな華麗なフットワークで攻撃をかわしていた私だったけど、ついにバランスボードの角が直撃した。冗談
抜きで目から星が飛び、心配そうなお母さんの顔が脳裏に浮かぶ。そのまま視界は暗転し、私はゆっくりと意識を手放していった。


 ……はぁ。女の子同士だからってためらっていた私の気持ちを、二つ返事で受け入れてくれたのはいいけどさ。
 かがみがこんなにやきもち焼きだったなんて、さすがの私でも読みきれなかったヨ……。


(どっとはらい)
==============================================================

はい、お目汚しでした。今回は1レスですので、保管の際は作品ではなく小ネタ扱いでお願いいたします。では。
510名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 23:55:04 ID:xJiAty8r
……改行おかしくなってました……orz

俺は吊ってきますので、507さんあとはよろしくお願いします(血涙
511名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 00:05:04 ID:PEWKhJoL
おけおけ
512名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 00:05:15 ID:2C80Fhax
GJ!

もうこうなったらKONA Fitを開発して運動するしか(これ以降は鼻血で見えない
513名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 00:14:31 ID:pt/zki5q
>>509
嫉妬怪獣・カガミドンKOEEEEEEE!!w

>>512
「ぼ、ボードにこなたの顔がっ!? ……こんなの……踏めない、踏めないわよぉっ!!」
「お姉ちゃん、秋葉腹の改札のところでも端歩いてたもんね〜。あと、ポスターも剥がしてお持ち帰rムグッ」
514名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 00:26:35 ID:2C80Fhax
KONA Fitはボードに変わって泉さんのすべて原寸大のドールに乗ってですねだばだば
515名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 00:27:20 ID:e7atAM2K
>>509
かがみこえええええええええええGJっした!
wii fit欲しくなってきたなぁなんか
516名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 00:31:41 ID:pt/zki5q
>>514
すべて原寸大で、こちらの責め……もとい、動きに反応して、プレイしない時は話し相手にになってくれて、
普段は家事とかしてくれて一緒に学校行ってだばだば


こなつー「(ぞくぞくぅっ!!) ……な、何、いますっごい悪寒がっ!?」
517名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 00:33:05 ID:NanaCWiL
KONA Fitってさ・・・









まんまこなつーのことじゃない?

「ちょ・・・みんな・・・また目の色が・・・
 いやあああ!姉さん余計な事いってまたこう言う役私におしつkアッーーーー!!」
518名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 00:37:29 ID:iX+zqW6Y
「母が買ってきたのですが、すぐに飽きてしまいまして……もしよろしければ、泉さんたちで使ってみませんか」
「うん。喜んで、と言いたいところだけど、かがみが……ねぇ?」
「その目はなんだ、その目は」
「いや、これでショックを受けちゃうと、かがみは繊細だから立ち直れないかな〜って」
「たかがゲームの一周辺機器でしょうが。そんなものでへこみっぱなしになるほど柔じゃないわよ
……しっかしゲーム機で勉強とかもおかしいけど、もうここまできたらゲームにする意味ないわよね」
「言わんとすることは正論だけど、それは言わない約束だよ……(ワタシタチダッテチイクゲームニデテルンダカラ)」
「なにか?」
「べつにー。……じゃあ、今日の放課後はうちに来やってみますか」
「ふふ、では後でボードをお渡ししますね」


「おじゃましまーす」
「ようこそ。とりあえずテレビに繋いであるから、早速やる?」
「急かさなくても私は逃げないって」
「いや、今はお父さん出かけてるけど、帰ってきたら困るでしょ」
「困らない」
「お父さんの目の前で色々結果が出ても?」
「困らない!」
「ふーん。そこまで言う。じゃあかがみは一番最後ね」
「い、いいわよ。上等じゃない」
「わかりやすい意地っ張り系だね」
「ふん!」

「まずはトレーニングの前に測定だね」
 よっと、ほい、はっ
「へぇ、こなたって運動神経だけはいいのね」
「『だけ』ってのは余計だよ。これでも、一応は、ゲームだから、私の、得意分野だし。はい終了」
「あ、結果発表」
「まずまずだね。本気を出していればもうちょっとよくなったかも」
「普通のゲームとは違うんだから、やる気で結果が変わるわけないでしょ」
「むぅ。じゃあ次かがみやってみてよ。結構難しいんだよ、これ」
「……しょうがないか。貸して。重心バランスやってみる」

 ………………。

「あれ? 何も動かないわよ」
「おかしいな……さっき私がやったときはちゃんと動いてたよね」
「接触がおかしいのかな?」
「もいっかい私に貸してみて」
「……あ、動いた」
「今度は大丈夫かな。最初からやり直してみて」
「えーと、重心バランス……」

 ………………。

「やっぱり動かないね」
「これって私が悪いの?」
「私は大丈夫で、かがみが乗ったときだけ無反応になるって」
「こっちじゃなくて本体がおかしいって事は?」
「別のゲームの不具合で修理から帰ってきたばっかりだからそれはないよ。ちょっと待って、説明書に何か書いてあるかも
……あ、これかな? 体重制限136kgまでになってる。もしかしてかがみ」
「ないわよ!! その半分もないわよ! これだけは自信を持って言えるわ」
「逆に軽すぎて検知しないってこともありえないだろうし、他に原因も思いつかないし、うーん」
「あーもう! だからこんな周辺機器は嫌いなのよ! こんな板さえなけりゃ――」
「うを! かがみ、落ち着いて、それ借り物だから! 壊したらダメ――」

終われ
51920-612:2008/02/10(日) 01:37:40 ID:uKMydL/t
みんなのを見ているうちに私も便乗したくなっちゃいましたwww

というわけで、わたしも書いて見ました。
2レスばっかりお借りします。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「やふう、つかさ他一名」

「略すな。つうか、いいかげんそのネタやめろ」

いつもの通りのやり取りをして、かがみの家にお邪魔した。
何でも、Wii Fitを買ったんだとか。
うちじゃ買えないからいいなあとか言ったら誘われたんだ、「やってみる?」って。

もちろん、即答したよ「やらせて!」ってね。
お父さんに買っちゃダメって言われてたから、とってもうれしかったよ。
何しろお父さんは小説家、あんまり家でドタバタ出来ないんだよね。
だから、ゆうちゃんといっしょにかがみの家で遊ぶことにしたんだ。



「こなちゃん凄ーい」

「お姉ちゃん、やっぱり凄いなあ」

みんなで遊んだのはスノボのゲーム、これだったら盛り上がれると思ったからね。
つかさもゆうちゃんもしりごみしてたけど、けっこう夢中になってたよ。
対戦ではかがみもかなり熱くなってたし。

そのかがみは今、キッチンに行ってる。
飲み物を持ってきてくれるらしい。
で、今は私がひとりモードでゲームしているのをつかさとゆうちゃんが見てるって訳。
ふたりの褒め言葉に得意になっていると案の定、キッチンから戻ってきたかがみから突っ込みが来た。

「ホント、この手のものだけは得意よねえ。勉強の方もこれだけ頑張ってくれるといいんだけど」

おかげでバランス崩して失敗しちゃったよ。
それを見たかがみはトレイをテーブルに置いてから謝ってくれた。

「ごめんこなた。気を散らせちゃったわね」

「いいんだよ気にしなくて。ちょっと疲れたかなあって思ってたとこだったから」

ボードからおりてかがみのそばに座る。
で、トレイからカップを取って、クイッと一口。
ココアだね、インスタントの。

お店で作っているのより薄味だけど、なぜかうちで作ったことのあるインスタントのココアよりうまい。

いや、味は似たようなものなんだけどさ、なんでかしんないけど美味しいって思っちゃったんだ。
しかも私がお店で作ってるのより美味いって。

なんでだろ?
52020-612:2008/02/10(日) 01:39:16 ID:uKMydL/t
ま、その話は置いておこう。

で、私がココアを飲み終えるたとき、かがみの視線がボードにむかっていることに気づいたんだよ。

「かがみ、もう一度対戦する?」

「あ、そんなつもりで見てたんじゃないわよ。一息ついたらまたやって……」

私の言葉を慌てて否定しようとしたかがみだったけど、つかさの発言がかがみをパニックにしちゃった。

「お姉ちゃん、こなちゃんといっしょにゲームしたくって買ってもらったんだもんねえ、これ。
お父さんやお母さんに何度も何度もお願いしたんだよね、こなちゃんのために」

え、つかささん、それマジですか?
かがみが、私のために?

「ちょ、つかさ! あんた何バラしてんのよ! べ、別にこなたのためじゃないわよ!
みんなで楽しめそうだったから頼んだんだからね!」

……あ、かがみがパニックになってる。
こりゃなんとかしなくちゃ。

「こ、こら! なに見てんのよ! ホントに違うんだからね! だからそんな目で見るな!」

いや、だから、別に、かがみを見てたのは様子がおかしかったからで。

……って、痛い痛い痛い! ちょっとかがみ、落ち着いて! お願いだから叩かないで!
いや、ちょっと待って! ボードを持つのはまずいって!
お願い、つかさ、ゆうちゃん! ビックリしてないでかがみを止めてよ!



なんとかボードで殴られるのは防げたけれど、パニックになったかがみを可愛いと思ってしまった私はどうしたらいいのだろうか。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

即興なんであまり自身はないですが、どうでしょうか。
521名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 01:50:16 ID:o382c7yH
>>509
カガミドン吹いたwww
独占欲の強さもかがみらしいというかなんというかw

っていうかみんな凄いなぁ。よくここまで広げられると尊敬しちゃうよ
522名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 03:15:14 ID:NanaCWiL
そして>>520のかがみんもかわいーーーおーもちかえりーーーー(=ω=.)b
523名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 03:17:49 ID:NanaCWiL
ていうか、なにこのID
ワイはこの瞬間!くろーいせんせーやでえ!(>w<)b
524ねれわ三兄弟:2008/02/10(日) 03:24:12 ID:Rys2dQqb
ども、初めて投稿する。ねれわ三兄弟です

では注意点を。
・オリキャラです。
・オリキャラがなまってます。
・非エロです。


題『陵桜学園に来た田舎人』

その日、俺は一念発起して田舎から都会の学校へと手続きを済ませ、転校してきたぜよ。

高いビルの多さに関心しながらもなんとか着けた。確か……名前は陵桜学園っちゅう。


「なんや、関原。えらい背ぇ小さいな〜」
玄関から職員室に向かい、自分の担任になる先生からそう言われた。

あやと「ははは、前居た学校でもそう言われたち−−です」
途中でなまりそうになり、俺は慌てて標準語に切り換える。

いけねー、いけねー。標準語しゃべらなι

「? じゃあ、今から教室行くからついてきー」
あやと「あ、はい」

関西弁をしゃべるこの黒井ななこという先生に続き朝の職員室を後にする。

ななこ「しかし、自分。顔立ちが女の子みたいやなー。女子の制服着たら絶対疑われへんわ」

あやと「そうですか?」

廊下に出てから、黒井先生はいろんな質問を俺にしてくれた。
正直、緊張しているから、まっことうれしいぜよ。

ななこ「そうや〜。自分、レディースデーとか利用出来んちゃうか?」
そう言いながら、黒井先生はニシシと悪戯っぽい笑みを浮かべている。

あやと「むむ……」
ななこ「あ、ごめんごめん。怒ったか?」

あやと「……ソレ良いですね。800円もお得ぜよ」
ななこ「Σ良いんかい!?」
良い感じのツッコミを貰い、しばらくすると先生は教室の前で立ち止まる。
どうやらここがクラスのよう……引き戸の前で先生は俺へと振り向いて尋ねる。

525ねれわ三兄弟:2008/02/10(日) 03:29:10 ID:Rys2dQqb
ななこ「さ、入ろか」
あやと「はい」

俺の返事を聞き、先生は引き戸を開けて教室へと入っていく。
小さな深呼吸を行い……俺も教室に入り、教卓の隣に立つ。そこからの風景は自分に注がれる驚きの視線。
多分。先生みたいな感想を持ったがやろな……うわぁー。まーた緊張してきたぜよι((ドックン ドックン ドックン))
ななこ「朝礼の前に今日からこのクラスの新しい仲間を紹介するわー」
あやと「……あ。えと」
やっべ。緊張して何言うたらええがかわからんなってきたぜよι

ななこ「どーした?緊張しとるんか」

あやと「あああ、いや。」((ドックンドックン))
先生の言葉に俺はふるふると首を横に振り、五月蝿い心臓の鼓動を感じながら改めて皆を見遣る。
ま、緊張しててもしかたないがか……。パッと言うて終わらせな。

「せ、関原あやとって言うがじゃ。みんな、これからよろしく頼むぜよ」

「うわーショタでなまりキャラなんてめずらしー。これプレミア?」
「ほんとだね。『ぜよー』って何かな?」
Σっ しもうた〃〃

真ん中ぐらいの席に座っている女子達の言葉に気付き、あやとは一気に顔を赤く染めてしまう。

ななこ「さっきちょっとなまっとったで?」
あやと「Σうそン!?」

ななこ「ホンマ。あと見た目が女の子みたいなんはしゃーないって。えーっと関原の席は……泉の隣が空いとるからそこに座って」
あやと「あ……はい」

なんとか恥ずかしさを堪え、ななこの言う席を見遣るとさっきの女子がこっちに手をふっていた。
教卓から離れ、指定された席にあやとは座る。
すると、「泉」と呼ばれた女子が直ぐさま俺に話しかけてきた。

こなた「あ。私、泉こなた。よろしくねー」
あやと「あ。うん、よろしくたのむぜよ」

この学校に来たことで始まる……。
田舎人であるあやとがゆったりとした空気に馴染んで行くのは。

続く

2レスも使ってしまってすいませんorz
そして、皆さんの『らきすた』を大変楽しく読ませてもらってます。頑張って下さい♪
526名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 08:41:49 ID:ydExFe8c
投下されたみなさまGJなのですよ。

準備をされている方がいなければ、投下させていただきます。
52723-251:2008/02/10(日) 08:46:33 ID:ydExFe8c
「危険な関係」 (第4話)

こなた&ゆたか

注意事項
・続き物
・エロ
・シリアス
528危険な関係 1/8:2008/02/10(日) 08:47:43 ID:ydExFe8c
 4.

 かがみとゲマズに寄って、二人分のポイントをゲットしてから家に帰ると、
ゆーちゃんが玄関を開けてくれた。
「ただいまー」
「お姉ちゃん。お帰りなさい」
 薄い桜色のエプロンがとても似合っている。裸エプロンにしたら萌え転がること必至だ。 
 脳裏にひよりんこと、田村ひよりちゃんが書いた、18禁の百合同人誌が浮かんでくる。
 でもね、ひよりん。ゆーちゃんそっくりの女の子に裸エプロンを着せて、みなみちゃんとしか
思えない子に襲わせるって話は、鬼畜すぎだと思う。
 ゆーちゃんが見たら絶対にショックを受けて避けられるよ。
 みなみちゃんが知ったらビンタじゃ済まないよ。鬼籍に入る覚悟はできているのかなあ。

「どうしたの? 」
 ひよりんの身の安全を案じていたとは、もちろん言わない。
「何でもないよ」
「ふうん。あ、そうだ」
 ゆーちゃんは両手を合わせた。
「おじさん。出版社の人達との飲み会があるから夜遅くなるって電話があったよ」

 食事当番のゆーちゃんが作ってくれたシチューを二人で食べる。
彼女の料理の腕はめきめきと上達しており、とても美味しかった。
 夕食の後にお風呂に入り、さっぱりした気持ちになってから部屋に戻る。
そして、PCの電源を入れた時に、部屋の扉が二度叩かれた。ゆーちゃんだ。

「おねえちゃん。入っていい? 」
「どうぞ」
 扉をあけて近づいてきた従姉妹の姿をみて…… 私は完全に固まった。
「ど、どうしたの? 」
 ゆーちゃんは水着姿になっていた。
 それも、俗にスク水といわれる、スクール水着だ。
 幼い顔立ちと身体が、濃紺色の布地とリンクしていて、危険な魅力を放っている。
529危険な関係 2/8:2008/02/10(日) 08:48:18 ID:ydExFe8c
「こなたお姉ちゃん」
 スクール水着を纏ったゆーちゃんが寂しそうな表情を浮かべながら、身体を寄せてくる。
「ゆ、ゆーちゃん。その格好は何を、どうしたいのカナ」
 ほとんど反則的な姿に、私は、ひどく動揺してしまう。

「田村さんが、お姉ちゃんはスクール水着が好みって教えてくれたから」
 ひよりん。それは誤解だよ。というより根本的に間違っているよ……
 確かに、小学校の時に使っていたスク水は、この夏にも着たけれど、
同性のスク水に欲情するほど、ダメで危ない人じゃないから。
「お姉ちゃん。ダメかな」
 私の心の揺れを見透かしたのか、ゆーちゃんは頬を紅く染めて、必殺技の上目遣いを浴びせかける。
 前世は、本当に萌えキャラなのかもしれない。

「な、なにがダメなのかな…… 」
 私は、涙をためている大きな瞳をまともに見てしまう。
 ゆーちゃん。そんな風に見つめられたら、強制イベントに突入しちゃうよ。

「こなたお姉ちゃん…… 」
 まずい。まずすぎる。本能が危険を感じて数歩後退するけど、ゆーちゃんはスク水という
最終兵器を装備したまま、じりじりと近づいてくる。
 壁に背が当たる。もう逃げられないよ。

「めいわくなの、かな」
「そ、そんなこと…… ないデスよ」
 動揺を抑えられないまま、カラカラに渇いた口からなんとか声をひねり出す。
「だったら、いい? 」
 私の返事を待たずに、覆いかぶさるように抱きついてきて、四肢を絡めてくる。
 スク水の柔らかい布地とゆーちゃんの華奢な足が密着して、煩悩によって頭が沸騰してしまう。

「お願い。キス…… して」
 鈴の鳴るような声をあげて瞼を閉じる。柔らかそうな唇が迫ってくる。
 駄目だ。もう理性が持ちそうにない。やっぱり最初のスク水姿に悩殺されたのカナ?
 私は半ば投げやりになって、ゆーちゃんを受け入れる。
「んんっ」
 今日のゆーちゃんはとても積極的だ。唇を少し重ねたと思ったら、すぐに舌をねじ込んでくる。
「くぅ…… ふあっ」
 私は喘ぎ声をあげた。
 ゆーちゃんの舌によって中をぐちゃぐちゃにかき回され、唾液が唇の端から漏れて頬をつたう。
 背中に回わされていた手が、パジャマの中にもぐりこんで、ブラのホックが外される。
530危険な関係 3/8:2008/02/10(日) 08:48:54 ID:ydExFe8c
「お姉ちゃん。私、不安なんだ」
 長いディープキスを終えた後、ゆーちゃんは心の内を漏らした。
「なにが不安なのかな? 」
「しっかりと繋がっていないと、こなたお姉ちゃんが遠くにいってしまいそうで」
 私の胸に顔をくっつけていた、ゆーちゃんが震えた。
「だから…… お姉ちゃんの傍で安心したいの」

「ゆーちゃん」
 私は、支えを求めて縋りつく少女をぎゅっと抱きしめた。ゆーちゃんはほっとけないよ。
「大丈夫。ゆーちゃんから離れないから」
 単なる偽善者なのかもしれない。
 でも、ゆーちゃんのこんな思いつめた顔は、もう見たくない。
 とびっきりの笑顔の方が絶対に似合っている。

「ほんとうに? 」
 涙を頬に流したまま、ゆーちゃんは数歩動いて、ベッドにあおむけに倒れ込んで私を見上げた。
スクール水着から伸びる、白皙の四肢がひどく眩しい。
「こなたおねえちゃん…… 来て」
 光に寄せられる夏の虫のように、紺色の水着を来たゆーちゃんに近づき、覆いかぶさる。
 身体つきは幼いはずの、ゆーちゃんが発する色気は、あまりにも鮮やかで強烈だ。
「ゆーちゃん。本当に後悔しない? 」
「うん。しないよ」
 私は手を伸ばして、ゆーちゃんのスクール水着の肩紐を外した。
531危険な関係 4/8:2008/02/10(日) 08:49:24 ID:ydExFe8c
「恥ずかしい…… 」
 ゆーちゃんは頬を染めて、両手を隠そうとするけど、私は目線だけでダメと伝える。
 ゆっくりと水着をめくっていくと、ほんの少しだけふくらんだ乳房と、
薄い桜色をした乳首が視界に入る。
「お姉ちゃん。はずかしいよう」
 羞恥に震えて顔を真っ赤にしているゆーちゃんがとても可愛らしくて、
少しいじわるをしたくなってしまう。

「ゆーちゃんが誘ったんだからね」
 念を押すように言いながら、ゆーちゃんの突起に唇を近づけて、舌の先端でつつく。
「ひゃうっ」
 可愛らしい悲鳴をあげて、少女は身体を震わせた。
「逃げちゃダメ」
 私は囁きながら、膨らんだ乳首を舌で押し潰す。
「んっ、あっ…… だめっ」

 ゆーちゃんは、苦悶の表情を浮かべながら、両手で私の頭を抑えて必死に耐えている。
「あうっ、おねえちゃん。私、おかしくなっちゃう」
「乱れていいよ。ゆーちゃん」
 私は、乳首への愛撫を続けながら、ゆーちゃんの水着を少しずつ脱がしていく。
 小さなおへそを通り越して更に下に進むと、女の子にとって、一番大切な部分が外気に晒される。

「お姉ちゃん。恥ずかしいよお」
 顔を紅く染めながら、シーツに頬をつけて、目を瞑っているゆーちゃんに欲情しながら、
一気にスク水を太腿のあたりまで下げてしまう。
「ゆーちゃんのアソコ、とても綺麗だよ」
「いわないでっ! 」
 ゆーちゃんの口から悲鳴があがる。
 みずみずしい反応に満足してから、ゆーちゃんの乳首に口づけをしたまま手を伸ばし、
未開発のアソコに触れる。
532危険な関係 5/8:2008/02/10(日) 08:50:00 ID:ydExFe8c
「ひゃうっ」
 少女の唇から甲高い悲鳴があがって、背中をのけぞらせる。
「お、お姉ちゃん…… わたし、もうダメだよ」
「とっても可愛いよ。ゆーちゃん」
 私は囁きながら、秘められた場所に触れている指先をゆっくりと動かして、
固いつぼみを解きほぐしていく。

「んんっ…… んあっ…… 」
 ゆーちゃんは、リズミカルな喘ぎ声を漏らしながら、シーツをぎゅっと掴んでひたすら耐えている。
 秘所からは粘性を帯びた液体が漏れ始めており、声も単なる悲鳴から、
どこか色気を含んだものに変わっていった。

「んああっ、ひゃん……  おねえちゃん、きもち…… ううん。なんでもないのっ」
「ゆーちゃん、気持ちイイの? 」
 からかいを含んだ声に、ゆでたこのようになってしまう。
「んんっ、おねえちゃんのイジワルっ」
「ごめん。ごめん」
 頬を膨らましているゆーちゃんが可愛くて仕方がない。

 ゆーちゃんの肌をもっと感じたくて、私は愛撫をしている手を止めてパジャマを脱いだ。
 既に外されたブラがベッドに落ちる。
 勢いに任せて下の方も脱いで、一糸纏わぬ姿になってから、ゆーちゃんを強く抱きしめた。
 少女のぬくもりを感じながら、私は耳元で囁く。
「寒い? 」
「ううん。あったかいよ」
 裸で抱き合う私達を、お父さんが見たら出血多量でしんじゃいそうだ。
 少し外れたことを考えながら、ゆーちゃんの唇に触れる。

「こなた…… おねえちゃん」
 ゆーちゃんの手が私の背中に回る。
 ふくらみかけの乳房や太腿が密着して、鼓動が速まる。
 全てを吸い込みそうな大きな瞳、ふっくらとした頬、ぷるぷると震える小さな唇――
ゆーちゃんの全てが私を惑わす。
533危険な関係 6/8:2008/02/10(日) 08:50:44 ID:ydExFe8c
「お姉ちゃん。もっとエッチなことして」
 なんですと――
 オオカミに向かって、私を食べてくださいと言っているようなものだよ。
 もう、自制をすることなんかできないよ。
「遠慮しないからね」
 私はキスを続けながら、十分にほぐれたアソコへの愛撫を再開する。
「んん…… ふあっ」
 大切な場所から粘性を帯びた愛液がとろりと溢れ出して、ベッドのシーツの上に、
とてもはしたない染みをつくる。
 執拗な愛撫によって、ゆーちゃんの形の良い眉が歪んで、快楽と苦痛の混ざった表情に
なっているのを確認してから、唇から首筋へと愛撫を行う場所を移していく。

「はあっ…… はあっ」
 ゆーちゃんは荒い息をつきながら、必死にしがみついており、
華奢な体のいたるところからは、大量の汗が噴き出している。
 少女の限界が近いことに気がついて、アソコを刺激している手の動きを強めていく。
「だめ、お姉ちゃん、いっちゃう、いっちゃうよ」
 イクなんて言葉どこで覚えたのかな…… もしかして?
 私の美少女ゲームのデータが知らないうちに更新されていたことがあったけど、
あれはお父さんじゃなくて、ゆーちゃんだったのかな。

「ごめんなさいっ…… はあああっ、ひゃん」
 愛撫による刺激によって喘ぎながら謝るゆーちゃんは、
おにぎりにして転がしたくなる程、かわいすぎる。

「隠れてえっちな事をしている、ゆーちゃんにはお仕置きが必要だね」
 暴走が抑えられないよ。
 私は、ねちっこい愛撫によって膨らんでいるお豆を軽く捻る。
「うあああああっ」
 強烈すぎる刺激に、ゆーちゃんは髪を振り乱しながら身体を捩った。
「おねえちゃん。ごめんなさいっ、だめっ、もうダメっ」
 ゆーちゃんは急激に高みに上っていく。
「いっちゃえ。ゆーちゃん」
 私はとどめともいうべき愛撫を、ゆーちゃんの大切な場所に加える。
「いやああっ、だめ、いく、いっちゃうよ」
 幼い身体がガクガクと震える。背中が大きくそらされて、胸がぐんと張り出される。
「いや、いやああああっ…… ああああっ」
 ひときわ大きな悲鳴をあげると、ゆーちゃんは身体を硬直させて絶頂に達した。
534危険な関係 7/8:2008/02/10(日) 08:52:10 ID:ydExFe8c
「はあっ、はあっ」
 荒い息をつきながら、ゆーちゃんは火照った身体を鎮めている。
 私は身体を起こして、タンスに入ったタオルを手に取ると、汗みずくになった
ゆーちゃんの身体を丁寧に拭いていく。
 濡れた身体のままでは風邪をひいてしまうから。

「あっ、ありがとう。お姉ちゃん」
「どういたしまして」
 しっかりと乾くまで身体をふき取ってから、替えの下着とパジャマを渡す。
 もちろん、ゆーちゃんの部屋に行けば服はいくらでもあるけど、そこは気分の問題だ。
「ごめんなさい」
「ううん。気にしなくていいよ」
 うなだれている少女に微笑んでみせる。

「少し待っててね。飲み物をもってくるから」
 ゆーちゃんを部屋に残して台所に行き、冷蔵庫から取り出したミルクを温める。
 出来上がったホットミルクをお気に入りのマグカップに注ぎ、
部屋に戻ってゆーちゃんに渡す。
「お待たせ〜 」
「ありがとう。こなたお姉ちゃん」
 羞恥に震えるゆーちゃんも魅力的なのだけど、やっぱりゆーちゃんは笑顔が一番だ。
「どういたしまして。それにしても」
 私はニヤリとしながら、片目を瞑った。
「ゆーちゃんは、えっちがとても激しいね」
535危険な関係 8/8:2008/02/10(日) 08:52:58 ID:ydExFe8c
 少女の頬が瞬く間に朱色に染まる。
「お姉ちゃんの意地悪! 」
 ほっぺたを膨らまして、思いっきり睨みつける。萌え転がりそうな程に本当にかわいい。
「ごめん、ごめん」
 私はゆーちゃんの頭をなでる。
「もう、子供扱いしないでよ〜 」
「でも、大人っぽいゆーちゃんって想像できないなあ」
 私は伸びをしながら言った。
 ゆーちゃんは、ずっと将来におばさんになっても可愛らしいままのような気がするよ。
「ううっ、私には無理なのかなあ」
 一転してしゅんとなってしまう、ゆーちゃんを眩しそうに眺めながら、私は少しだけ
真面目な顔つきになって言った。

「ゆーちゃんは自然なままが一番だよ」
「そうかなあ」
「背伸びしたい気持ちは分かるけどね。さて…… 」
 私は、一呼吸置いてから言葉を続ける。
「そろそろ寝よう。明日は旅行だしね」
「あっ、そうだね」
 ゆーちゃんは、自室に戻ろうとベッドから出ようとしたけれど、私は腕をつかんで言った。

「ゆーちゃん。一緒に寝よ」
「う、うん」
 ゆーちゃんは曇りのない笑顔をみせてから、ベッドにもぐりこんだ。
「おやすみなさい。お姉ちゃん」
「おやすみ。ゆーちゃん」
 目覚まし時計の秒針が一周もしないうちに、安心しきったゆーちゃんは夢の世界の住人となった。

 愛らしい寝顔を眺めながら、私は、小さなため息をついてしまう。
 京都に行く前に、ゆーちゃんと一線を越えてしまったのは、良かったのか、それとも、
後悔することになってしまうのか。
 暫くの間考えていたけれど、やがて迷宮の出口を見つけることに疲れてしまい、
ふいにおとずれた眠気に身を委ねた。
53623-251:2008/02/10(日) 08:57:40 ID:ydExFe8c
読んでくれた方、感想をいただけた方、ありがとうございました。
久しぶりに得ろを書いた気がします。
ゆーちゃんの初々しさを出すことができたかは微妙ですが……

次回からは旅行編とあいなります。よろしければお付き合いお願いいたします。
では。
537名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 08:59:18 ID:q8if/dBt
>>536
リアルタイムGJ
テンポ良いし、エロも堪能しました
しかし、朝っぱらからなんてものを投下してくれなさいますか
ゆーちゃんのスク水に萌え死ぬ
続きをwktkしながら待ってます
538名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 10:14:34 ID:ZiJhcfky
>>536
ああ、エロすぎ&萌えすぎ!
おにぎりにして転がしたい、は斬新な表現ですなw
GJ!
539名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 10:16:39 ID:xBn1qoo1
同意。おにぎりゆーちゃんGJ!
540LD:2008/02/10(日) 10:32:41 ID:Bg/p1aYV
 
 投下して1日経ってみれば何やら凄い事にw

 478さんを始め、GJ下さった皆様。遅くなりましたがありがとうです♪
 三角四角関係を希望される方がいるようですが、一応私の中ではその予定はないですね。
 既にこの後の話で円満な関係にしてあります故……

 wiiネタで盛り上った皆様GJ!
 どの話もかがみが素敵に暴走してますね。

 >>525さん、よこそデス。
 これからどうらき☆すたメンバーと関わっていくか楽しみですよ。

 >>536さん、GJでしたー^^
 あなたの書くこなゆたは相変わらずドキドキさせてくれますね(色んな意味でw)
 雰囲気は違えど、同じこなゆた書きとしてこっそり目標とさせていただいてます。

 最後に、改めて皆様GJでした!
541名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 11:22:03 ID:yIz4s+1N
>>536
GJ
おにぎりゆーちゃん是非見てみたいw

誰も予定されていなければ投下します
54226-485:2008/02/10(日) 11:26:39 ID:yIz4s+1N
もうすぐバレンタインという事でこんなものを投じます

・こなた→かがみ
・5スレ使用
・非エロ
・ちょいシリアス気味

ではいきます
543Sweet Devil’s Temptation 前編(1/5):2008/02/10(日) 11:27:29 ID:yIz4s+1N
 一年に一度の特別な日。
 女の子が甘いお菓子持って勇気を振り絞る。
 だからチョコレートは甘くて苦いんだって。





 Sweet Devil’s Temptation





「ふえ?」
 冷え込む一方の気候を見せる一月下旬。
 喫茶店に話があると連れて来られた私は、今目の前にいる私を誘った本人から相談を受けて素っ頓狂な声を上げた。
 私の反応に気を悪くしたのか、かがみはほんのり染まった頬のままそっぽを向いてしまった。顔の向きを変えるその仕草に薄紫色のツインテールがばらつく。
「私にお菓子の作り方を……教えて欲しい?」
 先程伝えられた事の内容を反復して、自分の顔面の下部辺りを指差し再び問い掛ける。
「……うん」
 かがみが向き直って頷く。小さく呟いて肯定の意を表したかがみは、更に赤くなっていた。
「ほら、もうすぐバレンタインでしょ?」
 言われて私は思い出す。
 好意を抱いた相手に女の子が贈り物をする―――
 毎年日本中の一帯の店舗が張り切る時期が今年もやってきたのだ。
 その行事にリアルで乗っかる事が滅多にない私は、一般的な女性なら必ず浮き足立つであろう聖なる日付を全く意識していなかった。むしろ、イベントにあやかって儲けようとする店側の策略に嵌められなんて馬鹿らしいとも思っているぐらいだ。
「今年はちょっと張り切ろうかなって思ってさ」
 私が催促するまでもなく自分から理由をつらつらと並べるかがみ。言い終わってから、席についた直後に運ばれてきた氷と水が入ったグラスを手に取る。
「去年のは酷かったもんねぇ」
 私は口元をこれでもかってほど緩めながらかがみに倣って水を一口含んだ。外が幾ら寒くてもやはり喉は渇くもの、少量の飲み水が気持ち良い。
 かがみは少しだけ眉を吊り上げたけど、怒る気力も失せたのか思い出して悲しくなったのか、何も言わずにしょげてしまった。
「Kagami選手これ愚形ですね〜」
「流石にそのネタは分からんぞ」
「第二回日韓対抗戦は見た方が良いよ」
「はいはい」
 実況が神だから、と続ける私にかがみは適当に相槌を打つ。
 バレンタイン、か……
 ふと外の景色を見ると、年頃の女の子がでかでかと提示された『セール特価!』とか『愛を込めて』とか書かれた宣伝に惹かれて店内に入っていく光景が目に飛び込んできた。
 他にも街を行く人々達は、何処か浮かれているようで楽しそうだった。
 拗ねた顔で頬杖をつく、最愛の人を見て思う。
 今年もかがみは私にもくれるのだろうか。
 ―――友達として。
 私の中では、期待よりも悲哀の方が凌駕していた。
544Sweet Devil’s Temptation 前編(2/5):2008/02/10(日) 11:27:52 ID:yIz4s+1N
 生まれてきてから初めて出来た、私の話に飽きずに突っ込んでくれる友達。
 他人とは少し違った趣味を持つ私にとって、自分の好きな話題を気兼ねなく話せるかがみは一際特別な存在だった。
 一緒に時を過ごす事も多くなって、共に笑い合って、色々思い出を作って。
 恋に落ちていって。
「で?結局どうなの?」
 かがみが私を見つめる。
「へ?何が?」
 思考を強制的に中断し、違うところへ飛んでいっていた意識を引き戻す。
「その、お菓子作り……教えてくれるの?くれないの?」
 不安げな瞳で私を見据えるかがみに、私は心が反射的に応じてしまうのを感じた。
 本音を言うと、教えたくはない。
 別に面倒臭いとかかったるいとかじゃなくて、かがみが苦手な分野に精を出すという事は、それだけ張り切るのに相応な相手がいるというわけだ。
 勿論その相手は万が一にでも私じゃないだろうし、私には関係ないからかがみは聞いても教えてはくれないだろう。
 それを交換条件にしようとも考えたが、好きな人にそんな事はしたくないし、何の得にもなりはしない。
 結局、私に与えられた道は二つ。
 友達としてかがみの恋を応援するか、自分の気持ちを優先して手伝わないか。
「……良いよ」
 私は前者を選んだ。
「本当!?」
 途端にかがみの表情が明るいものへと変わっていく。
 そう―――私はこの笑顔を壊したくなくて頼みを承諾した。
 ここで断っても私とかがみの関係が悪化するだけだろうし、どうひっくり返ってもかがみの気持ちが私に傾くという結果には至らない。
 ならば私は自分の本当の気持ちを殺す。そしてかがみに全力で協力する。
 それがかがみの、私の一番好きな人の望む事であろうと信じて。
「ありがとうこなた!」
 歓喜に満ちて私の手を強く握るかがみ。私は呆気に取られながらも、着実に刻むリズムを速めていく鼓動だけは確かに感じていた。
 叶わぬ願いだと知り得ても、未練がましく期待してしまう私は本当にこうしたかったのだろうか。
 今更悔いても遅いか。もう引き受けるって言っちゃったんだし。
 今になって考えを改めようとする愚かな自分を咎め、私は気になった事を一つ聞く。
「でも何で私なの?つかさの方が家も一緒で時間も取れるし教え方も腕も上手じゃん」
 かがみは一瞬返答に窮したが、やがて口を開いた。
「それは……秘密」
 てっきり答えをくれるのかと思っていたが、どうやら教えてくれないらしい。少々疑わしく思いながらも、本人が話したがらないならと私は散策を止めた。
「お礼に何でも頼んで良いわよ。私のおごり」
「おおっ!?マジっすか!?じゃあねぇ……」
 私は目を輝かせて傍に用意されていたメニューを開いた。中には料理の名前と値段が写真と簡単な説明文付きで記載されている。
「この『超特大パフェ 〜残したら負けかなと思っている〜』ってのにしようかな」
 一目見て何かを感じた品の名前を言う。
「食べ切れるのかそれ。っていうかここ普通の喫茶店だよな……」
「細かい事気にしちゃダメだよ」
 結局、食べれなかったらどうするのよとかがみに丸め込まれ、私はしぶしぶ隣にあった『そこに痺れる憧れるショートケーキ』を頼んだ。
 本当に痺れた。まさにショートケーキだった。
545Sweet Devil’s Temptation 前編(3/5):2008/02/10(日) 11:28:19 ID:yIz4s+1N
「こなた、ここはどうやるの?」
「ああ、そこはね……」
 休日、エプロンを着用して我家の台所に立つ私とかがみ。
 身の回りには勿論、チョコレートの材料や調理器具、レシピが書かれてある本などが結構乱れて置いてある。主に料理が不得意なかがみが散らかして、それを気に留めないくらい集中しているのが原因なんだけど。
 そこまで一生懸命になれる相手がいるのだろう。
 真剣な眼差しで包丁片手にまな板と睨めっこをしているかがみ。
 その私には向けられていない横顔に、私は明らかに見入っていた。
 慣れない手つきで刃物が動き切断音がする度に、リズムに合わせてかがみの身体が、髪が揺られる。
 時々見せる、やってしまったと言っているかのような表情、一息ついて、前髪を掻き揚げる仕草。
 どれもが全て愛しい。
 かがみのチョコが貰える相手が、本当に羨ましかった。
「いたっ」
 ぼんやりと考え事をしていると、かがみが片目を瞑って短く叫ぶ声が聞こえた。
「かがみっ、大丈夫!?」
 凄まじい速度で現実へと戻ってきた、私は急いでかがみの指を確認する。包丁を握っている時に痛いといったらこの可能性以外は考えられなかった。
 案の定、かがみは包丁で綺麗な人差し指に傷をつけてしまっていた。
「見せて」
 返事も聞かずにかがみの手を目に近づける。
 よくよく観察すると、結構深くまでやってしまったようだ。真っ赤な血液が体外に行き場を求めて垂れ流れている。
 ドクンと、血液が運搬される音がやたら大きく響く。
「こな……ふあっ!?」
 一瞬自分でも何をしたのか分からなかった。
 気づくと私は、自分の舌を傷口に這わせていた。
 細い指を口内に入れてから、ようやく私は自分がやっている事を自覚する。途端に血の味が口の中に広がっていった。
 それでも途中で止めるわけにはいかなかったので、私は唾液を絡ませて消毒までの繋ぎとした。
 かがみは何も言わなかった。

 解放した瞬間に染め上がっていたかがみと目が合って、伝染してしまったかのように私まで顔を赤くしてしまった。
「ははは早く正式な手当てしないとっ」
 上擦った声のままかがみの手を握って居間へと連れ出す。
 とんでもない事をしてしまった……
 後悔やら自責やら色々な、殆どは負の感情が私を支配する。まるでせめてもの償いをするかのように、そんなに使う事のない救急箱を大慌てで探す。
 二段目の棚から目的物を引っ張り出し、即行中身を確かめる。まるで用意されていたかのように一番上に鎮座している、真っ先に目についた絆創膏を取り出して待たせていたかがみの方を向いた。
 かがみは無言のまま怪我をした手を差し出してきた。繊細な硝子細工を扱うように、かがみの些かに冷たい手を支えて、負傷した部分を被覆していく。
「あの……さっきはいきなりごめんね」
 苦痛な静けさに耐えかねた私が恐る恐る口を開く。
「えっ?いや、別に……」
 歯切れ悪く返すかがみだったが、私もそれ以上何も言えなかった。
 治療が完了し、私はかがみが立ち上がろうとする前に提案した。
「少し休んだ方が良いよ。適度な休憩も必要だからね」
「そうね……そうしようか」
 すぐに会話が続くなくなって、いつも通りの自分でいられなくなって、私は知らず知らずの内に逃げ道を探していた。
「何か飲み物持ってくるよ」
 かがみの返事を背中で受けながら、私は一人台所へと足を運ぶ。
 無意識の行動とはいえやり過ぎてしまったのではないだろうか。歩きながら肩を落とす。
 別に私にかがみに触りたいとかやましい欲望があったわけではない。
 いつの間にか、思い出すだけで顔が火照ってしまうほど大胆な行為に出ていた。
 かがみを案じたからだろうか。それとも見えない自分の欲求なのか。
 私はまだかがみの事を諦めていないのだろうか。
 明らかに実らない恋なのに。
 この想いを断ち切るべきか、伝えるべきか、隠しとおしていくべきか。
 冷蔵庫の取っ手に手を掛けたまま、私は考え込んでしまっていた。
546Sweet Devil’s Temptation 前編(4/5):2008/02/10(日) 11:28:40 ID:yIz4s+1N
 いつまで思考の迷宮に迷い込んでいても仕方がないと、私は二人分のジュースを持って居間へと戻った。
 かがみはソファーに腰掛けて、先日購入したと言っていた雑誌を読んでいた。やがて私の登場に気づいて、開いていたそれを閉じて机の上に置いた。
「オレンジジュースで良かった?」
 嫌だとは言わないだろうとは分かっていたが、何か話題が欲しくて私は尋ねながら持ってきたペットボトルとコップをお盆から降ろした。
「ああ、うん」
 邪魔になると考えたのだろうか、かがみは手放したばかりの本を自分のバッグの中に仕舞った。私はその間に橙色の液体を透明な容器に注ぐ。
 両方とも八分目くらいまで入れて作業を終えと、かがみも丁度終わったようで、チャックが閉塞されるのが見えない空気の振動で伝わった。
「ありがとね、頂くわ」
 律儀に私に言ってから飲み物を口内へ流し込むかがみ。私もガラスの縁に口をつける。
 程よい酸味と甘味、清涼感がほんの少しだけ私を落ち着かせてくれた。
 一気に飲み干す気にはなれず、私は飲料を再び机上に戻す。
 普段は華やかなリビングの空気が、今は痛切に感ずる。
 重たく、弾圧されるような雰囲気に息が詰まりそうだった。
 もっとかがみと話したい。
 もっとかがみと笑いたい。
 私の本心は切なる願望を秘めているはずなのに、私の口は金縛りに掛かったかのように動かなくなってしまっていた。
 この空気は私が原因で生み出されたものなのだから、尚更苦しい。
 かがみは、本当はどう思っているのだろうか。
 その心の内に、私が入り込む事は許されないのだろうか。
「やっぱり……迷惑だった?」
 波形に揺らめく狭き水面を眺めていると、唐突にかがみの格段に低い声が聞こえてきた。
 急にどうしたのだろうと心配や不安が入り混じって、私は顔を上げる。
 かがみが目を伏せて俯いていた。
「こなたこういうイベントに興味なさそうだから……」
 ぼそぼそと言葉を繋いでいくかがみ。少しきつめの瞳からは輝きが失われていた。
 やる気の全くなかった私を、自分が巻き込んでしまったとでも思い込んでいるのだろう。
 ―――最悪だ、私。
 助力するって決めたはずなのに、本当の気持ちを隠しきれずにいて、かがみに心配を掛けている。あらぬ誤解をさせている。
 手伝うとか宣言しておきながら、何もしていない。
 それどころか、不要な不安を生み出させている。
「そんな事ないよ」
 すらっと流れ出る否定の台詞も、明らかに説得力に欠如が見られる。
 言葉だけでは足りない。
 もっと、私の気持ちを証明出来るものはないのだろうか。
 行動する事しか今の私には思いつかない。
 そこまで考えて、私はふと重要な事をまるっきり忘れているのに気がついた。
 私を占める感情は、二つあるという事に。
 今すぐにでも好きだと伝えたいと、もう一つは、かがみを応援したいと叫んでいる。
 矛盾したお互いの存在を相容れようとしない、まるで正反対の磁極同士のような想い。
 正直な気持ちは封印してこの道を選択したはずなのに、それが今更になって膨れ上がり始めている。
 抑えきれるかと思っていたのに、ちょっとした弾みで爆発してしまいそうなほどまでになっていた。
「……そう?」
「そうだよ」
 嘘偽りのない目を向けて、嘘を吐いた。
 どちらも本当の事で、裏を返せばそうではない。
 どちらが正しいかなんて、今の私に判断をつける事は到底無理だった。
 両方とも願う力が強すぎて、優先度が分からなくなってくる。
 私はどうありたいのだろうか。
 このままでいれば良いはずなのに、今まで積み上げてきたもの全てをかなぐり捨てて、僅かな可能性に賭けるべきなのだろうか。
 平穏に過ごせる期間を大切にして、一人の親友としてかがみを応援するべきなのだろうか。
 その選択肢の後に後悔は発生しないのだろうか。
 結論は、まだ出せない。
547Sweet Devil’s Temptation 前編(5/5):2008/02/10(日) 11:29:07 ID:yIz4s+1N
「こんな風に掻き混ぜるんだよ」
 ボウルを抱え込むようにして、その中で様々な形を作っている原材料を更に変形させていく。銀色の入れ物の中で甘く香る、ペースト状のチョコレートが次第に一体感を増していく様子をかがみはじっと見つめていた。
 暫くの休憩を挟んで再び台所へと舞い戻った私達。気合を入れ直すかがみを見て私も頑張ろうと思い立つ。
 今度は、私は横から基本的な理論に基づいて適正な助言をするのではなく、実際に自分がやってみせてかがみに勉強させるというスタイルを取っていた。
 材料や器具は余分に必要となってしまうけど、この方が私の意欲をより分かって貰えると思ったから。
 そして何よりも、身体を動かしていれば集中する事が出来て、他の事を考える余裕がない状況になるだろうから。
 実際その通りだった。かがみの目の前で失敗するわけにはいかないし、私は至って真剣に手を動かしていた。
「ほうほう……」
 かがみが頷きながらボウルの中身を覗き込む。そして納得したように数度呟いて、自分の分の用具と格闘を始める。
 相変わらず一生懸命な姿を、私はなるべく見ないようにしていた。
 臆病者の私は、知らない間に偽りの仮面を被っていた。

「さて、後は固まるのを待つだけだね」
 作業も最終段階に近くなり、私は振り返ってそう呟いた。
「そうね、楽しみだわ」
 かがみはエプロンを外しながら答える。
 日も暮れてきて、今日はこれで終わろうという話になっていた。やはり教えながらだと時間は掛かってしまうものだと実感する。
「こなたは、今年は誰かにあげるの?」
 綺麗に折り畳んだ後、鞄を手に取りながらかがみが私に聞いてくる。
「ん〜……今のところ予定はなしかな」
 後から気が変わっても困らぬよう、今現在の考えを伝えた。
「つかさは今年も手の込んだのくれるだろうね」
「でしょうね。あの子とても張り切ってたから」
 それから試作品が完成するまで他愛のないお喋りをした。
 別段普段と変わったところはなく、私はいつも通りを装えた。
 この距離が、いつまで続くのだろうか。
 終幕は果たして、私の心の暴走か、かがみの恋の成就か。

 そろそろ頃合いだろうか。私とかがみが作ったチョコを、比較するように机の上に並べる。言っちゃ悪いけど、見た目からしてその差は歴然だ。
「おっと今回更に愚形ですねぇ」
「だからそれは分かんねーよ」
 おっとそうだった。
「でも味はきっと良いはず……!」
 かがみは自分が作った、あまり形が良いとは言えない濃い茶色のお菓子を手に取る。そして何かを決意したような表情を見せて口に放り込んだ。
「その顔は凄く美味しいのか凄く不味いのかのどっちかだね。多分後者だろうけど」
 素晴らしい笑顔になって私に振り向いたかがみに意地悪く言ってみた。
 途端に言葉を詰まらせその場に崩れ落ちるかがみ。
「こりゃもう毎日やるしかないわ……!」
 拳を握り燃え立つかがみを見て、私はかがみの台詞に気になるところを発見した。
「毎日?」
「そ、毎日。これから決戦の日まで毎日あんたの家にお邪魔するから」
 さも当たり前の事かのように言い放つかがみ。
「でも、今日はもう遅いしお暇するわ」
 そう言ってかがみは帰り支度を始める。
 そりゃ毎日放課後かがみが家に来てくれるのは嬉しい限りなのだけれど、やはり反面悲しくもあるわけで。
 虚実の仮面を完全に被りきれていない私は、どうなってしまうのだろう。
 全然予想が出来ない未来に不安を募らせたまま、私はかがみの背中にただ視線を送っていた。
54826-485:2008/02/10(日) 11:30:58 ID:yIz4s+1N
バレンタイン当日に投下するつもりだったものが
思いのほか長くなったので前編後編に急遽分けることに
後編は当日に投下します
読んでくださった方ありがとうござました
皆様に良きバレンタインが訪れますよう祈りつつ
549名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 12:29:37 ID:oNwcpjps
>>548
先生!続きが気になります…GJ!!
550名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 12:50:38 ID:BpT/JE5d
>>548
このソーロー野郎!gjじゃないかwww
551一日ななこ:2008/02/10(日) 15:39:20 ID:NanaCWiL
>>548
お、泉、いつになくしおらしい乙女しとるやんか。
男は度胸や言うけど、女だって度胸やで!
後編でどーーーんと当たったらんかい!(>w<)b
当たれるうちにやな、あたっておかんとな、
あかんでぇ・・・orz(←過去になにかあったらしい)
552名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 16:11:51 ID:hY2PAa5Z
>>548
激しくGJなんだが、続きマダー?
553名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 16:16:51 ID:HB320lEE
後編は、バレンタイン当日に投下するって、作者本人が言っているだろ・・・
554名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 16:34:15 ID:PkRCXoZh
駄菓子菓子、それでも待ち切れ内蔵。
555名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 17:01:05 ID:sZyQyDm/
>>548
すごく…wktkです……
みんなと同じく待ち切れない
556名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 18:03:25 ID:FlyCQTqu
>>548
当日がまちきれませんgj
557名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 18:26:27 ID:EPjrYW/T
「ねーかがみ、思うんだけどさー」
「何よ?」
「チョコって、バレンタインデー当日に渡すから人目を気にしたり緊張したりするんだよ」
「まぁ、そうね…」
「だから二人だけの秘密ってことで、渡す日をずらせば他人に気付かれず
 しかも当人同士だけでwktkできるのだよー!ということで、ハイ♪」
「え、え?ホントに?…じ、実は私も…(///) こなたにあげるの持ってきてた…」
「(=ω=.)ニヨーン」



>>548「そうか!当日じゃなくてもいいんだ!」
558一日ななこ:2008/02/10(日) 18:30:59 ID:NanaCWiL
>>557
泉!目のサイズ!目のサイズ!!(>w<)
55926-485:2008/02/10(日) 20:12:55 ID:rDpNDJGk
何やら催促が来てますね…
ですがやはり後編は当日という事にします
元々バレンタインネタなので雰囲気を出したいというか
上手く説明できませんが、何卒ご了承を
凄まじい愚形をどうするのかお楽しみに

ふと思ったんだが愚形ネタ分かる人いたのだろうか……
560名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 20:27:11 ID:vTi/OdKI
俺がバレンタインを乗り切るには、あんたの力が必要なんだ……

だから当日に投下でいいよ
561名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 20:41:59 ID:RkcgnSUF
>>536
一線越えちゃったー!?
ううむ、どちらかというと地獄の一丁目を越えてしまった感がひしひしと。
はらはらしながら、続きもお待ちしてます。

>>548
切なげな雰囲気ですが、当日までwktkするのもまた風流。楽しみにお待ちしてます。
562名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 22:50:39 ID:Kc7GmpPs
特に誰も予定ないようでしたら5分後くらいに投下します。
56316-187 ◆Del8eQRZLk :2008/02/10(日) 22:55:14 ID:Kc7GmpPs
それでは投下します。

お久しぶりな『4seasons』の続きになります。
例によって前作の話なんかがごちゃごちゃ入ってくるので
色々と忘れていると何がなんだかわからないかもしれません。
私も色々忘れてました。

■かが→こな
■エロなしです

9レスになります。
564秋/静かの海(第一話)1/9:2008/02/10(日) 22:55:46 ID:Kc7GmpPs
§プロローグ

――私たちは、海のような関係だと思う。

 ※  ※  ※

 スターターが右手を高々と挙げると、競技場に緊張感が走った。
 両手を突き、ぐっと腰を上げて前方を見つめる選手達。それぞれに少しずつフォームは
違えど、ゴールを見据える眼差しの強さは皆同じだった。
 ターン、と乾いた音が高い空に吸い込まれれば、皆一様に走り出す。
 スタートのタイミングはばらばらで、その瞬間すでに勝敗の何割かはついてしまっている。
 高く腿を上げ、振り子のように正確に腕を振る。そのかもしかのような脚に、引き締まった腕に、
余分な肉のそぎ落とされた身体の線に、のびやかな力強さがみなぎっていた。
 その有様が、美しいと思った。
 ただ自分の身体を動かすことだけを追求して、ただ自分の肌だけで世界と触れあって。
余分なこと――自意識とか、自分らしさとか、思想とか――そういうものを全部とっぱらって、
ただ最小の自分、肉体を持つ動物としての自分であるということ。
 そんな人間のありようが、美しいと思った。
 見とれているうちにも、団子状態だった集団から飛び出してくる者がいる。
 ココア色の髪、胡桃色の瞳。
 いつもの満ち足りたようにだらけきったあいつからは想像もできない精悍な顔付きで、
ただゴールのみを見据えていた。
 みるみるうちに二位以下を引き離して、日下部みさおはトップでゴールテープを切った。

「やったな! 決勝進出おめでとう!」
「おう! あんがとなひいらぎぃー」
「ふふ、でもまだあんまり褒めないであげてね。これからが本番なのに、みさちゃん気を
抜いちゃったら大変」
「あー、そっか。さすがマネージャーはよくわかってるな」
「へ? 別にあやのは陸上部のマネージャーじゃねぇぞ?」
「誰も陸上部のマネージャーなんて云ってないだろ。あんた専属のマネージャーって意味だ」
 呆れたように私が云うと、日下部は我が意を得たりと目を輝かせて云った。
「ああ、そっかもな。いっつも栄養とかマッサージとかうるせぇんだあやの」
「うるせぇんだ、じゃないでしょ。本当は自分で管理しないと駄目なんだよ。放っとくと
みさちゃんお肉ばっかだし、家帰って身体もほぐさないですぐ寝ちゃうから、私が仕方なく
口出してるんじゃない」
「……な?」
「な? じゃないだろ。なんで得意気なんだよ。ちゃんと感謝しろよ」
 まったくこいつは昔から変わらない。私が呆れたようにため息を吐くと、日下部は憮然とした
表情で口を尖らせた。
 もう十月が始まろうかという時期だった。
 少しづつ暑さも和らいで、涼しく肌を撫でる風に、心地よさと夏の終わりを感じるこんな季節、
千葉県の陸上競技場に私たちはいた。国体へ出場する日下部の応援だった。
 今年の国体は千葉開催で、ちょっと脚を伸ばすだけでこれるところだったから、峰岸に
誘われた私は一も二もなくうなずいた。日々机に齧りついてひたすら知識を頭につめこむ
受験勉強に飽き気味だったので、気分転換にちょうどいいと思ったのだ。
 日下部が、三年生が出場するには微妙な時期の国体に参加したのには訳がある。夏の
インターハイで六位入賞を果たした日下部には、大学からのスカウトがあったのだ。けれど、
着々と記録を伸ばしていたとは云え、高校から陸上を始めた日下部は、まだ全国で余り名を
残していなかった。だから、インターハイでの成績がフロックではないことを証明する必要があり、
その場がこの国体なのだ。
565秋/静かの海(第一話)2/9:2008/02/10(日) 22:56:12 ID:Kc7GmpPs
 条件としてはあまり良いとは云えないだろう。
 受験で入ろうとするなら、少しでも早く勉強を始めないといけない。だから三年生が秋の
大会に出るのはそれだけで冒険だ。もし良い成績を残せなくて推薦入学がとれなかったら、
大きく遠回りをすることになってしまう。それに、日下部に課せられた条件はただ決勝に
進出すればいいというものではなく、メダルを取れというものだった。
 厳しいと思う。
 そう思うのだけれど、きっと日下部は悩む暇もなく即答したのだろう。それは、この話を
私に告げたときの峰岸の苦笑からも伺いしれた。
 それを、素直に羨ましいと思った。
 そんな風に簡単に、自分の未来のことを決められる日下部が。それを笑って受け入れて、
なお献身的に面倒を見られる峰岸が。そんな二人の関係が、少しだけ羨ましかった。
「――それにしても」
「ふみゅ?」
 私のつぶやきに、幸せそうにイチゴホイップのサンドイッチにぱくついていた日下部が、
不思議そうな目でこちらを見る。
「その専属栄養士が、試合前にこんなに選手に食べさせていいのか?」
 峰岸の持参したバスケットには、サンドイッチがぎっしり詰められていた。具もさまざまで、
ハムサンドやらカツサンドやらの重いものから、デザート系のピーナッツクリームやら
イチゴホイップやら盛りだくさんだった。
「あ、いいのいいの。みさちゃん鉄の胃袋だから。おなかいっぱいになれないと機嫌悪いんだ」
「ほふ、ふみゃほんはふほうはえ!」
「飲み込んでからしゃべれよ!」
 ――本当にもう、なんで私の周りはこんな奴ばっかなんだ。

 ふと、青い髪がちらつく。
 いつでも頭から離れない、私の“こんな奴”
 無軌道なネズミ花火みたいにはね回って、片時も目を離せないあいつ。
 一日会えないだけで、ふと思い出すだけで、今でもこんなに切なくなる、私の大切なあいつ。

「――らぎぃ?」
 日下部の声に、どこかあっちの世界に飛びかけていた私の意識が戻ってくる。
「あ、ごめん、ぼーっとしてた、なんだ?」
「いや、あのさ……今日は来てくれてあんがとな?」
 珍しく神妙な顔をして殊勝なことを云う日下部だった。
「な、なんだよ急に……」
 急にそんなことを云われるとは思わなくて、妙に照れくさかった。
「や、ひいらぎってあんま私の試合とか見に来てくんなかったしなぁ。正直こんな時期に来て
くれるなんて思わなかったぜ」
「……う、まあ、ね。その、あんたとは長い付き合いなのに、なんかさ。妙に仲良くなる
切っ掛けが掴めなかったっていうか、その……」
「おお?」
「柊ちゃん?」
 峰岸まできょとんとした顔で私をみつめている。五年来の友人にそんな目で見られる自分が、
なんだか情けなくなってきた。私ってそんなに薄情なことばかりしてきたのだろうか。ふと不安に
なって、今まで自分がしてきたことを思い出してみる。
 体力測定のとき、途中で峰岸と日下部をほっぽってこなたとつかさと話してた。
 昼休みはほとんどこなたとつかさがいる教室で過ごしていた。
 合同授業があると大抵B組に混ざっていた。
 修学旅行、自由行動はずっとこなたの班だった。

 ――してきたな。

566秋/静かの海(第一話)3/9:2008/02/10(日) 22:56:44 ID:Kc7GmpPs
 あらためて思い返すに、冷や汗が出る思いだった。
「あのさ?」
「うん?」
 なんだか真剣な表情をして、日下部が問いかける。
 ――こいつも、スポーツをしているとき以外でもこんな真剣な表情ができるんだ。初めて見た
その大人びた表情に、少しだけ戸惑った。
 変わってない変わってないと思っていても、こいつも、峰岸も、私も、もうあの頃とは違うんだ。
改めてそれに気づく。
「柊たち、なんかあった?」
「みさちゃん!」
 慌てたように云う峰岸の様子からすると、以前から二人の間で話題にのぼっていたことなのだろう。
「……私たち、って?」
「とぼけんなよ、ちびっこと愉快な仲間達のことだろ。夏休み明けから、なんかちょっと違う感じするぜ?
でもなんか、喧嘩してるって感じでもないんだよな」
 ああ、ばればれなんだな。
 小さく笑う。
 風が吹いて私の髪を揺らした。
「何も、ないよ」
 そう、何もない。私たちの間で、何事もおきなかった。

 ただ、ちょっと。

 ただ少し、みんなが大人になっただけ。

「――ふーん? そっかぁ」
 ぱんぱんとパン屑を振り払って、日下部は立ち上がる。
 腕を頭の上で組んで、大きく伸びをした。
「ま、いいけどよ。お前らのことだかんな。ただちょっと気になってさ」
 背中を向けて、晴れ上がった青空を見上げながら日下部が云う。
 その後ろで、峰岸が私に笑いかけていた。ごめんとか、困ったとか、でも少し寂しいとか。
峰岸の笑顔にはいつも色んな意味があって、そんな表情一つで奥ゆかしく他人に感情を
伝えようとする峰岸が、私は昔から好きだった。
 日下部だってそうだ。前向きで、一生懸命で、大らかで。中学時代も、女だてらに野球部を
ひっぱっている日下部を見ていて、ガリ勉だった私はいつでも眩しく感じていた。
「そろそろ時間かな?」
「んあ、そだな。んじゃ行ってくるわ」
 私に背中を向けたまま手を振って、日下部はトラックに向かおうとする。
 これでいいのだろうか。いや、よくないと思う。これではなんのためにここまで応援に
きたのかよくわからない。云えなかった言葉を伝えるのは、今しかないと思った。
 だから私はその背中に向けて声をかけた。
「あ、あのさ!」
「ん?」
 首だけを回して、ちらりと私をみる日下部に云った。
「その、がんばれよ……み、みさお!」
 これは予想外に恥ずかしい。五年来つきあってきて今更呼び方を変えることがこんなに
恥ずかしいとは思わなかった。いや、きっとこんなことで顔を赤らめるなんて、自意識過剰な
私くらいなんだろう。他の人はもっと自然で素直に呼び合えるに違いない。
 みさおは、驚いたように目を丸くしたあと、お陽様みたいに笑って云った。
「おう、あんがとな、かがみ!」

 ――みさおは、二位でゴールテープを切った。

567秋/静かの海(第一話)4/9:2008/02/10(日) 22:57:12 ID:Kc7GmpPs
 お祝いを云おうとして控え室に行った私は、そこで異様な光景を目にすることになった。
 身も張り裂けんばかりに泣きじゃくるみさお。奥のベンチに横たわって、何も目に入らない
様子で号泣している。
 部員もマネージャーも、すでに慣れている風で遠巻きに様子をうかがっているだけだった。
「かがみちゃん」
 その専属マネージャーであるところのあやのが、私に気づいて声をかけてくる。
「ど、どうしたんだみさお。怪我でもしたのか?」
「ううん、みさちゃんいつもああなんだ。負けたときはね」
「……負けた?」
 あやののその言葉に、私は驚いた。
 そうか、みさおは負けたのか。
 国体で二位。見事大学推薦を獲得。
 私は、勝ちだと思った。だからお祝いの言葉を用意してこの部屋に入ってきたのだけれど。
 でも、一位以外は全て負けなのだ。
 少なくともみさおにとっては。
 私はそこで、スポーツの世界のシビアな現実を思い知った。
 トップ中のトップ以外は常に負けの世界。個性とか役職とか技能とか、そんなものは全て
無意味になる世界。一番早いとか、一番強いとか、一番上手いとか、そんな人以外は全て
負けになる。そういう世界で、アスリートは生きているのだ。
 ただその身体一つで、ただその最小の自分である肉体のみでこの世界と渡り合って。

 みさおが飛び込んだのは、そんな海なのだ。

 茫漠として、行き先も知れず、島影も他の船も見あたらない。
 天と海、二つの青に挟まれて、ただ水平線のみが見える海。

 そんな海を、みさおはその身体一つで泳ぎきろうというのだ。

 強い。
 全身全霊を篭めて泣きじゃくるみさおを見て、そう思った。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 4 s e a s o n s

 秋 / 静 か の 海

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


568秋/静かの海(第一話)5/9:2008/02/10(日) 22:57:42 ID:Kc7GmpPs
§1

 黄昏時の陽射しはひたすらにオレンジ色で、真横から差し込むその光に青い影がどこまでも
長く伸びていた。
 駿台模試の帰り道、ポプラ並木を私たちは歩いていた。菱形をした枯れ葉が風が吹く度
舞い落ちて、髪に肩に降り掛かる。
 地面に落ちた私たちの影が、何かの奇怪な生物のように動き回っている。それを作って
いるのが私たちのこんなに小さな身体だなんて、なんだか信じられない。私たちの小さな
動き一つで、風に髪の毛がなびくだけで、影たちはまるでそこに深い意味があるかのように
秘密の舞踏を踊るのだ。
 十月は黄昏の国。
 そんなフレーズが突然頭の中に蘇る。
 これはなんの言葉だったっけ? 詩かなにかだろうか。
 少しだけ考えて思い至る。たしかお父さんの蔵書にあった本のタイトルだ。SFの棚にあった
ものだけれど、そのSFっぽくないタイトルが不思議と気になっていた。
「まあ、日下部さん、そんなに悔しがっていらしたんですか」
「うん。まあ、次の日からは得意顔で自慢しまくってたけどな。なんか、スポーツ選手とかって
華やかに見えるけど、やっぱり凄い辛い世界なんだなぁって思ったわけよ」
「そうですね。きっとどんな人生を選んでも、それなりに辛いことが待っているのでしょうね」
 みゆきのそんな言葉に、思わず笑みがこぼれてしまった。
 まるで私に云い聞かせているように聞こえたからだ。
 みゆきはそんな風に遠回しに匂わすようなことは云わないから、きっと私の自意識過剰
なんだと思うけど。
 そんなことを考えていたとき、後ろから伸びた手がしゅるりと私のリボンをほどいていった。
「あ、こら! なにすんだよ!」
 途端にばさりと肩におち、夕暮れの風に踊り出した髪の毛を抑えながら、こなたに怒鳴り
つける。
「へっへー、かがみんの萌え要素もーらい!」
「はあ?」
 首を傾げて問いかける私の前で、こなたはいそいそとその長髪をツインテールに結んでいく。
みると、頭の上でちょこんとつかさのリボンが結ばれている。
「こなちゃん、まってよー」
 こなたと後ろを歩いていたはずのつかさが、慌てておいかけてくる。どうやらつかさも
トレードマークのリボンを奪われているようだった。
「いや、ね、みんなのトレードマークな萌え要素を一人に集めたら凄いかなって思ったのだよ」
「思うなよ、ってか変だろそれ」
 頭の上にリボン。その両脇にもリボン。やたらとリボンが結ばれたその髪型は、なんだか
冠でも被っているように見える。なんというか“弥生時代の巫女の想像図”みたいな感じに
なっていた。
「や、でもまだ完成じゃないから。ってわけで失礼、みゆき!」
「はうっ。こなたさん何するんですかー」
 あたふたとしているみゆきに襲いかかって、その眼鏡を強奪するこなただった。
「……おい、完成したら余計に変だろ」
 私の突っ込みを無視して、“ぢゅわっ”なんて掛け声を発しながら、こなたは眼鏡を掛ける。
「お、おおおお? こ、これは、世界が回る〜」
 度の強い眼鏡に目を回してふらふらと踊り出したこなたが面白くて、お腹を抱えて笑った。
 同じように爆笑しているつかさの横で、みゆきが「なにも見えません〜」と寂しそうに呟いた。
 そんな私たちの影は、複雑にもつれ合いながら奇妙な紋様を描き出していて、楽しそうに
笑う女子高生たちとは似ても似つかないものだった。

 ――私たちは、いつのまにか随分嘘が上手くなった。

569秋/静かの海(第一話)6/9:2008/02/10(日) 22:58:08 ID:Kc7GmpPs
 恋心をどこまでも隠して、私は上手く笑えるようになった。
 劣情を何重にも覆って、気軽に触れあえるようになった。
 その度に心のどこかが張り裂けそうになるけれど、そんな痛みこそ自分が自分である証なの
だと、そう思えるようになった。
 それはきっとみゆきもつかさも、そして多分こなただってそうなのだ。
 つかさもみゆきも、私がこなたのことを好きだと云うことを知っていて、それをおくびにも
出さずに振る舞った。
 知っていることを知られているとわかっていてなお、何も知らないふりをして。
 それは小さな小さな嘘だった。そして、みんながそんな嘘を抱えながら、笑い合っている
のだ。作り物めいた、本心を隠した、ごまかしで云った言葉と知りながら、それでもそれを伝え合う
ことで嬉しくなり、暖かくなり、心から笑い合うことができる。
 それがきっと、大人になるということなのだと思う。
 なんの隠し事もなく、開けっぴろげな心で触れあえたらそれはきっと素敵なことなのだろう
けれど。きっと人間は生きていくうちに色々なしがらみを得て、譲れない思いを抱いて、密やかな
秘密を抱えて、そうして一人一人違っていくものだろうから。だからそう、誰にも話せないこと、
誰にもみせられない部分を持ちながらそれでも親友であり続けることは、特別珍しいことでも
ないのだろう。
 そう、私たちにはただそれが急に訪れたというだけのこと。
 あの夏が過ぎて。
 私たちは、否応なく大人になってしまったのだ。
 私だけじゃない。皆が皆、少しずつ変わっていってしまった。

 つかさは、随分と綺麗になった。
 その表情や佇まいや、まなざしが。時々見知らぬ人に見えてはっとすることがある。優しい
部分や穏やかなところがなくなったわけじゃない。でもその裏に何か一本通った芯の強さが
伺えるようになって、つかさは一人で輝きだした。
 そんなつかさを見るにつけ、妹を守っているつもりだった今までの私は、なんて見当違いを
していたのだろうかと自嘲する。守っているつもりが、ずっとそれを支えにしていたのは自分の
方だったのだ。今、私という覆いを外されて、つかさは眩しいくらいに輝いている。
 羽化した蝶のように、雲間から差し込む太陽のように。
 そんなつかさを見る度に、誇らしい思いで一杯になる。
 きっとこの優しさは、子供の頃に手折られていたら簡単に失われていたものだと思うのだ。
そういう意味では私が護ってきたことは無駄ではなかったはずだと思いたい。
 だから私は、つかさのことを誇らしく思い、そして自慢にも思うのだ。
 これが私の妹なんだと。この綺麗で優しい生き物が、私の妹なのだと、全世界に吹聴した
くなるほどに。

570秋/静かの海(第一話)7/9:2008/02/10(日) 22:58:51 ID:Kc7GmpPs
 みゆきは、より冴え渡った知性を発揮するようになった。
 それはきっとそう、あの日私にくれた言葉と関係しているのだろう。
 あの日、誕生日パーティの日、“何があっても私の味方だ”と云ってくれたみゆき。
 みゆきはその約束を違えなかった。こなたと話していて、口ごもったり、対応に困って
うろたえたり、何気ない一言に心をえぐられてしまっても、みゆきはそんな間隙をすかさず
捕らえて、自然な流れになるように、私が問題なく言葉を返せるように適切なフォローを
してくれるのだ。
 その頭の回転の速さと気遣いに、舌を巻く思いだった。
 ――思えば少し不思議だったことがある。
 あの夏の日、こなたと喧嘩別れみたいになって、私が熱を出して寝込んだ頃のこと。
 あの日こなたの方から私の部屋にきてくれたことが、私にはなんだか不思議だった。
あんな風な行き違いがあったとき、こなたはきっと押しつぶされるように自閉するだろうと
思っていた。誰よりも寂しがりやのこなたは、殊更に他人からの拒絶に弱い。それは普段の
ひょうひょうとした態度からは伺い知れないことだけれど、ずっと見てきた私にとって
それは自明なのだ。
 だから、自分の方からアクションをしてきたあの日のこなたの行動は、私の中ではありえない
ものだった。
 それに、後日私がこなたの家に行ったときも、随分スムーズに私の謝罪を受け入れてくれた
ものだと思っていた。
 今になって思えば、そのどちらにもみゆきが絡んでいたのだろう。
 あの日、私のケータイに掛けて異変を察知したつかさは、みゆきに相談したらしい。その後の
行動も、すべてみゆきの意志が働いていたようなのだ。
 おそらく、こなたと一緒に私がでかけたと聞いて、みゆきは私たちの間に何がおきたのか、
すぐにわかったのだと思う。
 だから、その後色々とあってなるようになったのも、全部みゆきの掌の上にある。もっとも、
さすがに私がお見舞いにきたこなたを追い返すとは思っていなかっただろうけれど。
 そのときにみゆきとこなたの間でどんな話があったのか、私は知らない。それは聞いても
仕方がないことでもあるし、また聞かないほうがいいことでもあるのだろう。
 ただ、こなたとみゆきは、いつのまにか名前で呼び合うようになっていた。泉さんとみゆきさん
ではなく、こなたさんとみゆき、と。それは夏に二人の間であった色々なことを想像させるに
十分な出来事だろう。
 人は、きっとそうやって変わっていく。
 漫画やアニメのキャラクターではなく、生身の人間なのだから。
 永遠に変わらない関係なんてありえないから、だから私たちは否応なく変わっていくのだ。

571秋/静かの海(第一話)8/9:2008/02/10(日) 22:59:14 ID:Kc7GmpPs
 ふらふらとしていたこなたの向こうから、自転車がやってきているのに気がついた。
「ほら、あぶないだろ」
 そう云って脇によって手をひくと、足がひっかかったのか、こなたは私の胸の中にしなだれ
かかってくる。
 肌寒くなってきた季節に、その体温が暖かい。
 ただの熱量のはずなのに、こなたの身体が暖めた空気だと思うとなぜか嬉しくなるから
不思議だ。
 ふわりと漂ってくるこなたの匂いが鼻腔をくすぐった。
 ――何やってんだ、私は。
 通り過ぎていく自転車に頭を下げながら、いつこの胸の高鳴りが気づかれてしまうかと、
気が気じゃなかった。
 やぶ蛇というかなんというか、大口開けて待ちかまえてる虎の前に自分で飛び込んでいった
ようなものじゃないか。
 自分に呆れながらため息をついて、こなたの眼鏡をひょいと取り上げる。
「はしゃぐのはいいけど、ちゃんと周りのことみとけよ、あんたは」
「……ご、ごめん。てかあんがと」
 つかさと一緒に脇によっていたみゆきに眼鏡を渡して、ついでにリボンも取り返して結び
直そうとする。
 風に暴れる髪を纏めるのに手間取った。
「ちぇー。あ、じゃさ、かがみとつかさでリボン交換してみようよ。なのフェイみたいに」
「なんだよなのフェイって」
「なのは無印の最終回で、なのはとフェイトちゃんがリボンを交換した」
「しらんわ」
「うー、かがみが冷たい……」
 これみよがしに落ち込んで見せるこなただった。

572秋/静かの海(第一話)9/9:2008/02/10(日) 22:59:36 ID:Kc7GmpPs
 こなた。
 こいつも、ちょっとだけ変わった。
 普段はこんなだけれど、ちゃんと自分一人で計画を立てて勉強をするようになっていた。
『一応やるだけやってみようと思うんだ。後々後悔するのやだしね』
 そう云ったこなたを覚えている。
 MARCH辺りを狙いにしているようだったけれど、一体どれだけ伸びるのか、それが少し
だけ楽しみだ。頭の回転は早いし、テスト範囲を一夜漬けで覚えきれるくらいの要領の良さは
あるし、なによりうちの学校に入れるのだから、元々やればできるはずなのだ。
 こなたはバイトも辞めた。固定客もついていたようだし、フロアもバックもばりばりこなして
かなり頼られていたようだから、色々と大変そうだった。結局、受験期間の間だけ休業して、
落ち着いたらまた戻るかもしれない、ということだ。
 こなたが誰かに頼られていることを知るのは少しだけ嬉しく思うのだけれど、無邪気に男に
愛想を振りまいているこなたを想像すると、胸からどす黒い塊がせり上がってくるのを感じて
しまう。だから、できれば戻らないでいてくれたらと思うのだけれど、そんなことを云えるはずも
なくて、結局私はそんな願望も、鎧った恋心の隣にそっと埋葬するのだった。
 鋼鉄の板と鎖で何重にも閉ざされたその秘密の小部屋は、今や沢山の小物でいっぱいだ。
「――かがみ?」
「……ん、あ、ごめん。なに?」
 少しだけぼーっとしていたところに声を掛けられて、意識が覚醒する。
「や、みゆきとつかさ、いっちゃうよ?」
 みればいつのまにかこなたと二人になっていて、つかさたちは先に歩きだしていた。
「ああ、悪い」
 駆けだしたこなたに追いつこうと、私も小走りになっておいかける。
 オレンジ色の夕陽はもう沈みかけていて、遠くを歩くつかさとみゆきの顔は、宵闇に染まって
よく見えない。
 急に襲ってきた得も云われぬ寂しさに、ぎゅっと胸が締めつけられるのを感じていた。
 私はせめて目の前の背中から離れないように、それだけは見失わないようにと必死で
みつめていた。

 ふと、ひるがえったこなたの髪がさーっと横になびいて、視界を青く染め上げた。

 それは、まるで、海みたいだった。

 ――私たちの関係も、海みたいだな。
 そんなことを考える。

 一見凪いでいるようにみえる。けれどその底では複雑な海流が渦巻いていて、海上からは
それを伺い知ることもできない。それを見るため潜ろうとすると、たちまち冷たさに凍えて
二度と再び浮き上がれない。

 茫漠として、先も宛もなく、ただ青く。一度そこに漕ぎ出してしまえば、海流にのって
どこに辿り着くのかもわからない。

 凪いで、静寂だけが満たされた。

 そこはまるで、静かの海のようだと、そのときふと思った。

(つづく)
57316-187 ◆Del8eQRZLk :2008/02/10(日) 23:00:49 ID:Kc7GmpPs
以上です。ありがとうございました。
なのフェイいいよなのフェイ。

それにしても、久しぶりにらき☆すたのアニメを見返したのですけれど、
自分が書いているものと全然ちがくてびっくりしました。
なんか、これ、どうなのかなぁと思って参りました。
書き始めてしまったので、意地でも書き続けますけれど……。

っていうからき☆すた面白いですね。
574名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 23:09:25 ID:Ls2Kpafy
すげえええええ
以前から見てますけど描写が上手で羨ましいです
GJ!!

PS2のゲームもお勧めですお
575一日ななこ:2008/02/10(日) 23:37:09 ID:NanaCWiL
>>573
さすがやなあ・・・
この描写力、ディテール付け。
教授のワイもうなるでこれは・・・(-_-;)
毎度毎度、楽しみにしとるさかい、がんばりーや!(^o^)b
576名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 23:37:35 ID:RkcgnSUF
ああ、あなたの作品は読むたびに胸が締め付けられるのです。
新シリーズ突入おめでとうございます、続きも楽しみにしてます。


あ、あとな○×フェ○もよいですがス○ル×ティ○も萌えm(砲撃
577一日ななこ:2008/02/10(日) 23:38:11 ID:NanaCWiL
教授ってなんや・・・教諭や・・・
ボケは自分の意図のみと決めとるワイの、一生の不覚や・・・orz
578名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 23:43:21 ID:V6P7up9Y
>>573
GJ !
繊細な文章が羨ましい
って、最近見かけないと思ってたら、なのフェイに浮気しとったんかい ! ww
579名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 23:48:32 ID:LqmTwmq3
>>573
続きキター(・∀・)
雪かきしながらwktkしてたかいがあったゼ!
毎回のことながら、繊細すぎる文章、目に浮かぶ背景描写、GJです。
580名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 23:52:04 ID:G16hnDNx
>>576
いいから早く戻りなさい。


実は、

[○のは(カ○ス)&フェ○ト(○ビス)VSこなた(レ○ダー)&かがみ(B○ンパルス)]

という組み合わせの連ザも見てみt(ハイマットフルバースト!
581名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 23:58:45 ID:l4YlcY6d
>>573
俺の中の神が現れた。
582名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 00:25:25 ID:B1ydXQiJ
そういえばバレンタインデーに投下予定の人ってどのくらいいるのだろうか…
583名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 00:34:23 ID:ysAIpamL
>>582
14日はバレンタインデーであると同時にあきら様の誕生日でもあるから、
結構いそうな予感
584名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 00:36:26 ID:ihMl9pBU
バレンタインデー
ゲームネタ解禁
ホワイトデー
卒業

シチュエーションいくらでも出てくるなw
585名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 00:56:14 ID:XgZoOqjE
ゲームネタ解禁が山になりそうだなやっぱり
こう×やまととか色々でそうだし
586名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 01:52:52 ID:14LuUEH9
バレンタインネタ
かぶってないか心配です
587名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 01:58:21 ID:4hG8+yiY
俺はその点は安心だな
むしろ自分の季節感のなさが心配だ
何で未だに夏の話書いてんだろ・・・・
588名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 02:25:06 ID:JKt7oRRy
>>587
大丈夫だ。オイラもお盆の頃のお話、いまだに終わってないよ。
589名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 02:58:50 ID:JKt7oRRy
>>573
無印の5巻を思わず見てしまった…


表現がわかりやすくてかつ情報が多いというか脳内再生がし易いというか…自動再生される。
グッジョブです。
590名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 03:01:57 ID:TV6GNZk8
ここで突然だが、
>>466からうけた電波が突然派生したので公表する。

「ゆきちゃん…大好き
 好きなの…バルサミコ酢よりも大好き。
 いますぐあのお胸にとびこんでうにょ〜んってするの
 ああ、またこなちゃんがゆきちゃんを指差して萌え〜とかいってるの。
 だめだよこなちゃん、ゆきちゃんは私しか萌えちゃいけないんだよ。
 ゆきちゃん、どうして否定しないの?今すぐ言ってよ。困りますって。
 ふふふ、でもいいの、もうすぐ私しか見れなくなるようにしてあげる。
 得意のお菓子に…睡眠…仕込んで…トリコニ……バル…サミk…」

「ああ…つかささん
 つかささん…つかささん…つかささんつかささんつかささんつかs
 あっ、いけません、うつつに戻らないと一生戻れなくなってしまいます。
 こんなにもお慕い申していますのに、どうして振り向いてくれないのですか?
 泉さん!私のつかささんにちょっかいをかけないで下さい!
 かがみさん!つかささんのあんな事を知ってらっしゃるなんて、
 私を出し抜いていらっしゃる!ひどいです!!
 でも、もういいんです…今宵…つかささんは私のものにするんですから…
 つかささんを、謹んで我が家に御招待致しましょう。
 そして…高良製薬独自開発の…この惚れ薬で………ウフフフフ……」


バレンタインデーも間近だってのに、何考えてるんだ俺はorz
591名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 03:19:34 ID:Gh1lgBp/
>>573
たまには原作を読み返してあげてください…
それはともかくとして、GJであります。

まあ、同性愛というこのスレ独特のファクターがある分、
どうしても雰囲気が原作から離れ気味になるのは仕方がないかも。
ここの書き手さんを見ていると、心理描写を深く書き連ねるタイプの方が多いですしね。
恋愛が絡むと、そうなるのは微妙に避けられないんでしょうけど…
とはいえ、二次創作であれこれ考えても仕方がないと思います。
気にせず、自分の思うがままに話を書いていってください。
最後まで期待しております。
592名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 03:23:03 ID:pO3G7gir
>>548
GJ!かがみがチョコをあげたいと願う相手は誰なんだろう…
そんなかがみを見るこなたが切ないッス…14日当日待ってます

>>573
GJ!やっぱり凄いなぁ…描写とかが深いというかなんというか。
こなたがみゆきさんのことをさん付けしてなかったからアレ?と思ったけどそういうことですか
かがみの言うとおり、みんな少しずつ変わっていったんですね。
けど、かがみはどうなんだろう?
まさか嘘が上手くなったとかそんな悲しい変わり方じゃないと信じたいな
593名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 06:53:04 ID:7fHl2qu3
密かにバレンタインデーにはちょこなたを期待してる俺。
 
高良コンツェルンさん、何とかなりませんかね?
594名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 08:35:01 ID:3FnVHcIJ
バレンタイン、チョコではなく皆さんのSSに期待してる18-490ですorz

他に投下される方がいないようでしたら、投下させていただきます。
595名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 08:39:54 ID:3FnVHcIJ
いらっしゃらないようなので、投下します。

>>320の続き(こなた視点)
タイトル『見上げる空の向こうには』
こなた→かがみ
非エロ
シリアス気味
5レスほどお借りします。
596見上げる空の向こうには:2008/02/11(月) 08:41:19 ID:3FnVHcIJ
「わたし、は…」
ゴォと教室の暖房機が熱を排出している音だけが聞こえるこの空間で、目の前に立つ友人は何かに耐えるように両手を握りしめながら言葉を紡いでいく。
「アンタのことが…」
長い前髪のせいで表情が見えないこど、きゅっと結んだ口元がやけにリアルで…
ぎゅっと握る手が少し痛んだけど、緊張と期待でそんなこと関係なかった。
わたしのすべての感覚が耳に集まっている。私の大好きな人、かがみの言葉を聞き漏らさないように…




―――見上げる空の向こうには―――




『かがみはさ、好きな人とか…いるの?』

時間にすると4日前。
いつものようにかがみとした寄り道の帰り道の途中、私は何の考えもなく、ほぼ無意識にこの質問を問い掛けていた。
この時の私は少しおかしかったんだと思う。
いや、おかしいという自覚は随分前からあった。
かがみを好きだと思ったあの日から、ずっとおかしかった。
今のままの関係に納得しようと何度も何度も自分に説得したのに…
何故こんなことをかがみに問い掛けてしまったんだろう。
こんなことを聞いても意味なんてないのは自分自身がよく分かっているのに。
かがみと二人きりでいる空気に浮かれていたのかもしれない。もしかしてかがみも私のこと好きなんじゃないか、って思って…
自分勝手な妄想だって、ただの期待だって、分かっているのに。
こんなにもかがみの事が好きで、愛しくてたまらなかった。
「私はね、いるんだ」
いきなりの問い掛けに驚いたように私を見つめるかがみの視線がなんだか気恥ずかしくて、その視線から逃れるように空を仰ぐ。
まだ完全な夕方ではないけど、少し傾いた太陽が赤い幻影をまとっている。
青い空に赤い夕日が交じあって、綺麗な紫色の空。
まるでかがみみたいだ、と思った。
凛として、でもどこか優しい空の色。
そう思うと愛しくてたまらなくって、ぐっとこの大きな空に手を伸ばしていた。
597見上げる空の向こうには:2008/02/11(月) 08:43:06 ID:3FnVHcIJ
「とってもとっても好きな人が…」
その本人に言うことじゃないけどね。
伸ばした手はやっぱり空には届かなくて、それがなんだか無性に悲しくて、手を下ろそうと思った瞬間。
「へー。で、相手は誰なのよ」
後ろから聞こえてきたのは、いつもの口調のかがみの声。
予想外の反応に伸ばしていた腕がストンと重力に沿って落ちる。
そっか…。
かがみは私のこと何とも思ってないんだ。私に好きな人がいるという事実を聞いて、少しは妬いてくれるんじゃないかと、もっと慌ててくれるんじゃないかと、期待していた私が馬鹿だった。
結局私の片思い。ただそれだけのこと。
そんな事を思う自分が酷く滑稽で、自嘲に似た笑みがこぼれる。
「かがみはさ、好きな人とか…いるの?」
半ば、やけくそに再度同じ質問を問いかけた。
私はまだなにか期待しているのだろうか。
好きな人なんていない、そう言われることを望んでいる。
―ホントにそうなの?
そうだよ。
かがみに好きな人がいないなら、私がいくらかがみを思っても自由だよ。

―思いは通じないのに?

―思いは、届かないのに?

ブンブンと頭を振って私に話しかけるもう一人の"私"を追い払う。
今までだって何度、かがみに告白しようとしたか。
理性という脆い感情だけで、どれだけの思いを押し込めてきたか。
自分自身が一番よく分かっているはずだ。
女の子同士の恋なんてどこか遠い、私とはまるで縁のないものだと思っていた。
ストパニとか神無月とかは所詮アニメであって、3次元とは違うもの、…だと。
かがみのことを思うだけでこんなに胸が苦しくなる。抱き締めたくなる。私だけを見て欲しい。
そんな感情が芽生えるなんて思ってなかった。
だけど…
かがみはきっとこんな事を私が思ってるなんてこれっぽっちも思ってないんだ。
仲のいい友達。ただそれだけ。
それだけが私とかがみを繋ぐもの。
「かがみ」
だから、呼んだ。
友達でもいいから、傍にいたい。そんな気持ちを込めて、愛しい人の名前を呼んだ。
「…かがみ?」
何かを我慢しているように両手を握り締めて、何も言わないかがみに私の心にモヤモヤとした不安感が募っていく。
598見上げる空の向こうには:2008/02/11(月) 08:44:01 ID:3FnVHcIJ
「……いるわよ」
「へ?」
すぅ、と息を吸い込んで唖然としている私にかがみが続ける。
「好きな人、いるわよ」
瞬時に、トンカチかなんかで頭を強く殴られたみたいな衝撃が私を襲った。
感覚は冷静なのに頭の中の処理が出来ない。
今、かがみはなんて言った?
―好きな人がいる。
誰が、誰に、誰を?
普段使わない頭をフル回転させて、さっきの言葉を理解しようとするけど、容量オーバーなのか全く糸口が見えない。
『深刻なエラーが発生しました。』
なんて某ボーカロイドの声が頭の片隅で聞こえてきそうだ。
「あ、あぁ、そ、そうなんだ。アハハ、私全然気付かなかったよ〜」
気付かれまいと、動揺なんかしていないと、いつもの様に発した声が震えているのが自分でも分かった。
かがみに好きな人がいる。
だけど…もしそれが自分だったら?
こんな状態でも期待してしまう私がいて、苦笑に似た笑いが出る。
あぁ、なんでこんなに遠いんだろう。近くにいるのに心が遠い。
好き、というたった二文字の感情が届かない。
それを言える勇気が私には、ない。
「ち、ちなみに…お相手は誰?私の…知ってるひと?」
なんで私はこんなことを聞いているのだろう。
分からない。
かがみの気持ちも私自身の気持ちも。
期待するなと自分に言い聞かせても、どこかで「こなたが好き」と言ってくれるのではないかと期待している。
ホント、バカだ。私。

「こなた……」
――――え?
ポカーンという表現が当てはまるように中途半端に開かれた口の中が乾燥してうまく言葉がでない。
私の名前を呼んだってことは、かがみも私のことが、好き…?
やばい、どうしよう。凄い嬉しい。緊張していた糸が切れたのか、ツーンしたものが鼻の上に集まってくる。
ダメだ、まだ泣くな。ちゃんと私も言うんだ、かがみが好きって。
「わたし…」
「…には、関係ないでしょ」
私もかがみが好き、覚悟を決めて呟いた言葉は大空を横切るジェット機みたいにかがみによって遮られた。
出だしが微妙にかぶってたから聞き取りづらかったけど、かがみの声が自然に頭の中で何度も何度もリピートされている。
―――こなたには関係ないでしょ。
私には、関係ない…?
そうだよね、かがみが私と同じ気持ちなんて…
なんて勘違いをしてるんだ、私。分かっていたはずなのに…期待なんてしても無駄だって分かっていたのに。
599見上げる空の向こうには:2008/02/11(月) 08:44:48 ID:3FnVHcIJ
さっき名前を呼ばれたことに、喜んでいた自分がすごく惨めで。
先ほどとは違う理由で目頭に熱いモノがこみあげてくる。
「…っ」
胸が苦しい。息が出来ないくらい、つらい。
下唇を噛んで、両手を握りしめて、必死にこみ上げてくる熱を押さえようとしたけど…ダメだ、押さえられない。
「ごめん」
叫ぶようにして、私から逃げるように背中を向けて走り去っていくかがみ。
走れば追いつくのに、手を伸ばせば止められるのに…
私は出来なかった。
ついて来ないで。遠ざかっていくかがみの背中がそう言っているようで…
さっきより赤くなってきた空を仰いだ。
綺麗な夕日が今日の役目を終えようと、西の空へと消えようとしている。
ふと有名な歌の歌詞が頭に浮かんだ。
「上を向いたって、涙、こぼれちゃうよ……」
誰に言うのでもなく、小さく呟いた後、私の涙腺は崩壊した。




それから数日、かがみが私を避けているのは嫌でも分かった。
勉強をするからと朝早く登校したり、昼休みも忙しいからと私たちの教室に来なくなっていた。
「かがみさん、どうしたんでしょうね」
「うん、なんか寂しいよね」
事情を知らないつかさやみゆきさんの会話が私の心臓をチクチクと痛めつける。
いや、違う。全部私のせいなんだ。
いてもたってもいられなくて、かがみの教室へと向かう途中、前から歩いてくるかがみに会った。
「あ…」
なんて声をかけようかと悩んでいる私と目があった瞬間…
かがみは思いっきり私から顔を背けた。
初めてされた、かがみからの拒絶。
なんだかんだ言いながらも宿題を見せてくれるかがみ。
愚痴を言いつつも一緒に寄り道に付き合ってくれるかがみ。
こなた、と私の名前をよんでくれるかがみ。
私がいくら馬鹿なことをしても、拒絶されたことなんてなかった。
私は甘えていた。かがみの優しさに思いっきり甘えていた。
だから、呆れちゃったのかな。
だから、怒っちゃったのかな。
だから、私を…避けるのかな。
だったら謝らなきゃいけない。謝ってまたいつもの様に私のそばで笑っててほしい。
そのためだったら、私は自分の感情を抑え込む。かがみを好きだという感情を抑えて友達として…ただの友達と、して。
600見上げる空の向こうには:2008/02/11(月) 08:46:10 ID:3FnVHcIJ
「わ、私ね…謝ろうと、思って」
そして、今。
かがみに謝ろうと、深夜アニメもネトゲもほっぽり出して、早起きした今朝。
教室にいたかがみの前に、私は立っていた。
「私、かがみに嫌われるようなこと…しちゃった、かな」
いつもの私より半音高い声。
こんなテンパるつもりじゃなかったのに、言葉の所々が震えてるのが分かる。
沈黙に耐えきれなくてそっと伺い見ると、真剣な顔で私を見つめているかがみと目があった。
「わたし、は…」
少し苦しそうに聞こえるかがみの声。
かがみは…?
「アンタのことが…」
私のことが…?


「好き」


――――――え?
予想外の言葉に私の口がだらしがなく開く。
好き?誰が?かがみが?だれを?わたしを?なんで?
次々に湧き上がる疑問に頭の中がパニック状態に陥る。
混乱した中、かがみを見ると頬を少し赤らめてギュッと目を瞑っていた。
その顔に私の体温がかぁと上がる。
「……っ」
これなんて告白?
言いたいことは山程あるのに、声帯が震えない。
コクッとカラカラの喉で唾液を飲み込むのと同時に、かがみが窓の外へ視線を移した。それにつられて私も外を見上げる。
この季節には珍しい青天の青空。
それを見上げるかがみがとても綺麗で、神聖で、こんなに近くにいるのになぜか遠くに見えた。
「わたしはっ…」
それがとてつもなく怖くて、いつの間にか私は声を発していた。
窓から視線を移したかがみが、すぅと深呼吸をしたのが見えて、何か言われる前に私から言葉を続ける。


「かがみが好き…っ」


あぁ、もう…
最後の方、声が裏返った。
私らしくもない、でも正直なかがみへの気持ち。
ずっと言いたくて、言えなかった私の気持ち。


「へ…?」
そっちから告白してきたくせに、かがみは唖然というか呆然とした様子で私を見ていた。
60118-490:2008/02/11(月) 08:49:08 ID:3FnVHcIJ
以上です。
前作投下の際、「…」が多すぎるというご指摘を頂いたので、今回は極力減らしてみたのですが…
如何せん、やはり難しいですなorz
個人的に甘々が好物なので、以後甘々展開に入ります。

読んで下さった方、ありがとうございます!
602名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 08:51:19 ID:dtqKElLp
>>573
なんというハイクオリティ……!
素晴らしいとしか言いようが無いです
続きを心からお待ちしております
603名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 09:08:05 ID:xbg17mOg
>601
GJ!
かがみの一言一言に、一喜一憂する、こなたの心情がとても細かく描写されている
ように感じました。
特に、『こなた……』 で喜び、『には関係ないでしょ』で落ち込む、
あたりの描写は、初めての恋に落ちた少女の動揺が目に浮かぶようです。
続きをとても楽しみに待っています。
三点リーダの量については、多いから悪い、少ないから良いという性質のものでは
ありませんから、お好きなようにすれば良いと思いますよ。
604名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 09:45:20 ID:z4Fz82sN
>>601
嗚呼、なんて乙女なこなた。
この時点で既にニヨニヨが止まらないのに、さらに甘くされますか貴方は。

さて、砂糖になって崩れ落ちて、ささやきいのりえいしょうねんじられる準備をしつつ、続きをお待ちします。
ぐっじょぶ。
605名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 11:54:23 ID:14LuUEH9
>>590
熱く支持する

>>601
GJ!
さあ、虫歯級の甘々をよろしくお願いします!
606名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 16:14:02 ID:h1UNLE0E
>>601
すれ違いが解消されたので、次からはエライことになるわけですね?
607名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 19:29:27 ID:iZ0MPuss
皆さんGJです! 
自分も便乗して投下します。
俺キャラ物非エロなんで一服ついでに見てくれたら幸いです。
608恋するコッペパン:2008/02/11(月) 19:31:10 ID:iZ0MPuss
「…」
 
「…」
 
 
小さな身体。
 
青く長い髪。
 
小振りな唇。
 
それらとは相対的に、大きく円らなその瞳にオレは今にも吸い込まれそうだった。

「ねぇ〜」
 
「…え?あ!ちょ、その…な、なに??」
 
「話ってなんだよー??早くしてくれなきゃ昼休みが終わってしまうじゃないかぁ!」

泉の唐突な先制攻撃により、オレはハッと正気に戻った。



陵桜学園に入学して以来、ずっと泉の事が好きだった。
1、2学年と泉とは違うクラスで、友達どころか話したこともなかったが、3年生でようやく同じクラスになれる事が出来、ついに今日オレは告白する事を決心したわけだ。


…が、いざ泉を前にすると言葉が見つからない。
頭が真っ白になり、喉がカラカラだ。


やばい…何か喋らなきゃ!このままじゃただの変なヤツじゃねぇか!!
いけ!いくんだオレ!!


「う〜ん……無理!」


いつまで経っても口を開かないオレに嫌気が刺したのか、泉は唐突に口を開いた。

「…え?オレまだ何も言ってないんだけど…」

「んもぅ〜大体分かるよ。君、私に告白しようとしたいんでしょ??」

「…な!何でそれを…!?」

「昼休みに女子を屋上に呼びだすなんてギャルゲーの基本だからね★」

泉が屈託のない笑顔でオレに親指を立てながら言う。
609恋するコッペパン:2008/02/11(月) 19:31:58 ID:iZ0MPuss
「な、なんかよく分かんねーけど…つ、つーか何で無理なんだよ!理由は何!?」

「だって…彼氏いたらネットやる時間とか減りそうだし、メールとか色々めんどうだし…」

「ちょ…おま…」

「そもそも告白すらマトモに出来ないへタレ主人公は興味ないっす!…あ、ほら次の授業始まっちゃうよ!?早く行かなきゃ!!」


そう言い残すと泉は屋上の階段を駆け降りて行った。


屋上にはチャイムが鳴り響き、オレはただタメ息をつきながら青空を見上げた。 
 
告白もマトモに出来ない…かぁ…
 
 
好きだ!の一言も言えずにフラれちゃうなんて

 
ははは…笑える。


次の授業サボろ…。



とても授業に参加出来る気分じゃなかった。
席は遠いといえど、泉とは同じクラス。
 
フラれた直後だし今はなんとなく顔を合わせたくなかった。
610恋するコッペパン:2008/02/11(月) 19:33:04 ID:iZ0MPuss



…ん?

頭がクラクラする。
 
どうやら屋上のベンチに横たわってそのまま眠ってしまったようだ。

ポケットから携帯を取り出して時間を確認すると、もう5時を過ぎている。


もう放課後じゃん…
 
あーあ。 
 
 
…帰ろっと。


教室にカバンを取りに行く為、オレは目を擦りながら屋上の階段を降りて行った。



教室までの廊下を歩いてる中、オレの脳裏には何度も泉の言葉がリフレインしていた。


段々とフラれたという自覚が滲み出ていたが、まだ何処かその現実を受けとめれずにいた。



教室に入ると電気はついているが誰もいない。

皆帰ったようだ。


ちらっと泉の席を見る。


はぁ〜と深いタメ息をついてカバンを取り、教科書を入れていると背後に人の気配がする。
611恋するコッペパン:2008/02/11(月) 19:34:31 ID:iZ0MPuss
「長い昼休みだったの〜。私の授業をフケるとはええ度胸や」

振り返るとそこには薄気味悪い笑顔を浮かべた黒井先生がいた。


「あ…いやその…。あは、あはははははははは」


笑いながら教室を出ようとしたが背中を掴まれ、
「昼休みから何処に隠れとったんや!言わんと締め落とすで!?」
とスリーパーホールドをかけられてしまった。

「お…おえっ……せ…せんせ……チョーク入ってる…」


このままだと本当に締め落とされるのでギブアップをし、昼休みの事を全て黒井先生に話した。


「なんやなんやそういうことやったんかぁ!そんなやったら許すたる!!」

黒井先生は目を輝かせながらオレの肩をバンバン叩く。

「いや〜しかしまさかアンタが泉にホの字やったとはねぇ」


人の気持ちも知らずに…

自分が独身だからって他人の恋愛事情に首突っ込んでくんなよ!と言おうとしたが、確実に死亡フラグなのでそれは自重しておく。
612恋するコッペパン:2008/02/11(月) 19:36:09 ID:iZ0MPuss
「まぁ…今となっちゃ笑い話ですけど」

力なく答えるオレを見て哀れに思ったのか黒井先生は「うーん泉はオタクやからなぁ。リアル男子に興味あるんやろか」と呟いた。


「先生あいつのこと詳しいっすね…」

「泉とはネトゲー仲間やからな!」


そう言えばいつも休み時間に泉、柊とかとそんな話してたな…。


「まぁとりあえず泉のことはもう忘れます…」

「ちょい待ち!諦めるのはまだ早いで!!」

「いや、もうフラれたんだし…。それに先生も現実の男子に興味あるか分からないって言ってたじゃないですか…」

「アホ!!逆に考えたらこれはチャンスなんやで!!!」

「…え?」

「泉のことや。高校はおろか中学んときすらマトモな恋愛したことないはず。言うなればアイツは恋愛については真っ白なんや」

オレは黙って先生の話に耳を傾ける。

「つまり、これから何色に染まるのかもアンタ次第やねん!本当の意味での萌えを教えたれ!!!」

そう叫ぶと先生は教壇を叩き、「泉こなた攻略作戦開始や!」と叫んだ。


「…いや、そんなこと言ったって具体的に何をすればいいのか…」

「ちゃんと考えてるっちゅーねん!ええか!?目には目を、ネットにはネットや!」


熱くそう語ると先生はその作戦内容を黒板に書き、結局その日オレが家に着いたのは9時過ぎだった。
613名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 19:37:00 ID:iZ0MPuss
とりあえずここまで。
書け次第また投下しますー。
614名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 20:55:22 ID:qRsLzueo
行間スカスカなのが少し見辛い
615名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 21:11:40 ID:xbg17mOg
投下された方々、GJです。
楽しくそして、興味深く拝読しております。

準備されている方がいないようなら、投下させていただきます。
616名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 21:21:45 ID:0iHoUbjs
>>601
おおっ、こなた視点来ましたね !
すれ違い続けて限界まで引っ張って、最後の最後で華を咲かせる・・・王道GJ !

このお話、出来れば続きも読みたいです
61723-251:2008/02/11(月) 21:23:34 ID:xbg17mOg
「危険な関係」 第5話

こなた&ゆたか、かがみ、つかさ、ひより、名無しの女性あり

注意事項

・続き物
・非エロ
618危険な関係 1/9:2008/02/11(月) 21:24:46 ID:xbg17mOg
 5.

 連休初日の朝、私とゆーちゃんは、かがみ達と待ち合わせの場所になっている、
東京駅の、東海道新幹線の改札口に到着した。

「おっす、こなた」
「おはよう、こなちゃん。ゆたかちゃん」
 既に待ち合わせ場所で待っている、二人が同時に声をかけてくる。
「おはよー。かがみ、つかさ」
「おはようございます。柊先輩」
 ゆーちゃんがぺこりと頭を下げた。

「やっぱり、ゆたかちゃんがいると時間通りにくるわね」
 かがみは腕を組みながら、少しだけイジワルそうな表情をみせる。
「信用ないなー 」
「あんた、遅刻の常連じゃない」
 まったくもってその通りなのだけど、遅刻をしていない日に言われるのは不本意だよ。

「そろそろ行かないと…… 」
 つかさが困ったような顔をして時計を指した。見上げるとちょうど10時を指し示している。
「では、いきますか」
「そうね」
 改札口を通り抜けてホームに入る。私達が乗る列車は16番線に停まっていた。
 電光掲示板には、10時13分発、のぞみ19号、博多行き、と表示されている。

「こなちゃん。カモノハシみたいだねえ」
 つかさが列車の先端を指差しながら素直な感想を述べる。
 確かにそう見えるけど、やっぱり空気抵抗を考えているのかな。
「こなた、11号車だったわよね」
「そうだよ」
 長い新幹線のホームを歩いて11号車に乗り込み、予約した指定席を見つけて、
座席の向きを対面に変える。
 二人分の荷物をかがみに置いてもらった時、ベルが鳴って扉が閉まり、滑るように車輌は動き出した。
619危険な関係 2/9:2008/02/11(月) 21:25:26 ID:xbg17mOg
 品川、新横浜と短い区間で停車してから、本格的に加速していく。
「ねえ、こなた」
 熱海駅を通過した頃、かがみが、缶コーヒーを片手に持ちながら尋ねてきた。
「今日は、何処を回るつもりなの? 」

「そうだねえ。一応プランはあるんだ」
 私は、京都のガイドブックを広げながら答える。
「こなちゃん。もう決めてあるの? 」
「あんたにしては計画的ね」

「そうだよ。つかさやかがみがOKといったら、私の計画通りになるのだよ」
「ふうん。で、どこに行きたいの? 」
「まずはスタンダードに鹿苑寺へ行こうと思うんだ 」
「ろくおんじ? 」
 つかさの頭に、大きなクエスチョンマークが浮かんだ。
「つかさ。金閣寺のことよ」
「うん。金閣寺は通称で、正式名は鹿苑寺だよ」
 私の言葉につかさは肩を落とす。
「こなちゃんに負けた…… 」
 つかさ、そんなに落ち込まないでよ。流石に傷つくよ。
「まあ、こなたが知っていたというのは驚きだけどね」
「う…… かがみまでひどい」
 私がほっぺたを膨らますと、かがみは、からからと笑った。

「で、その後はどうするの? 」
「ひとつ寄りたいところがあるんだけど」
 私が、同人誌の即売会のパンフレットを見せた。
「こなた。やっぱりあんたらしいわね」
 やれやれと肩を竦めながら、それでも頷いてくれた。
「つかさはOKかな」
「そんなに…… 人、多くないよね」
 不安そうな顔色に変わる。冬コミのトラウマが未だに残っているらしい。
「大丈夫だよ。有明のコミケは特別だからね」
「それならいいよ。こなちゃん」

「さてと、ご承認をいただいたことだし、少し遊びますか…… 」
 私はおもむろに鞄からトランプを取り出した。
 小刻みに揺れる、列車の振動に閉口しながらも、『大富豪』というゲームで時間を潰した。
620危険な関係 3/9:2008/02/11(月) 21:26:05 ID:xbg17mOg
 正午近くに名古屋に停車した時、やや疲れたこともあって、私はトランプをバッグに仕舞ったが、
名古屋を発車してすぐに、つかさは眠りに落ちてしまっていた。

「つかさ、夜更かしでもしていたかな? 」
「ううん。9時には寝ていたはずよ」
「よく寝る子だねえ」
 私とかがみは顔を見合わせて苦笑した。

 名古屋を出てからは、しばらくは田園地帯を走る。
 岐阜羽島駅の前後にある、大きな河川を何度か越えると単調だった景色が急に変わる。

「ここが関ヶ原なんだね。お姉ちゃん」
 ゆーちゃんが窓の外を眺めながら口を開いた。
「ずいぶん、狭いのね」
 かがみも、林と段差の多い耕作地をみながら感想を漏らす。
 確かに、東西合わせて16万という大軍が、合戦を繰り広げたとは思えない狭さであり、
山あいの細長い窪地という感じだ。
「まあ、交通の要衝だからね」
 私は、関ヶ原と、その奥にそびえ立つ伊吹山を眺めながら呟いた。

「ところで、ゆたかちゃん」
「えっ」
 ゆーちゃんが、びくんと震える。
「身体の方は大丈夫かしら」
「はい。おかげさまで、今日は調子がいいみたいです」
 ゆーちゃんは両手をわざわざ前に持ってきて、握りこぶしをつくってみせた。
 こんな何気ない仕草も、萌え要素の一つになってしまう。なんて恐ろしい子。
「そう…… でも、気分が悪くなったら遠慮なく言いなさいよ」
「ありがとうございます。かがみ先輩」
 二人のやり取りをみて、私はほっと息を吐き出した。
 先日のような冷たい空気は、今のところは流れておらず、私はほっとする。

 米原を通過するあたりから、再び田園風景がひろがってくる。
 湖西の山並みを遠くに望みながら、列車は高速で駆け抜けて、12時35分、定刻通りに
京都駅に滑り込んだ。
621危険な関係 4/9:2008/02/11(月) 21:26:43 ID:xbg17mOg
 車輌から降りると、どこか空気の味が違っていた。
「ふわあ…… 」
 京都に到着する直前まですやすやと眠っていたつかさは、大きく伸びをする。

「よく眠れましたか? 」
 ゆーちゃんが声をかけると、つかさは眠そうな瞼を擦りながら、
「もうちょっと寝たいよお」
と、大きなあくびをみせた。

 新幹線のホームから階段を降りて、中央改札口を抜けて右に曲がって再び昇ると、
周囲が黒っぽく変わる。京都の駅ビルの色調が、黒で統一されている為だ。
「うわあ。人がいっぱい」
 つかさが物珍しそうに周囲を見渡すと、かがみは呆れたように言った。
「いや。東京の方が確実に人多いから」
「でも、鷺宮よりは多いよ? 」
「当たり前だ」

 巫女姉妹のコントを聞きながら、京都駅の上を横断して、バスターミナルの手前に降りる。
 私はガイドブックを広げて確認してから、3人に向かって伝えた。
「金閣寺は、B3乗り場だって」
 B3と書かれた場所で待つと、間もなく金閣寺方面に行くバスがやってくる。
「ゆーちゃん。酔い止めの薬は飲んだかな? 」
「う、うん。飲んだけど。でも、大丈夫だよ」
 ゆーちゃんは、心配性の私に向けて微笑んだ。

 車内は予想通り、金閣寺に向かう観光客で混雑していた。
 なんとか空いている席にゆーちゃんに座らせたけれど、残る3人は立ちっぱなしだ。
「こなた…… 金閣寺までどのくらいかかるのよ」
 ジト目で睨みつけてくるかがみから、視線を逸らす。
「40分くらいだよ。うん、すぐについちゃうよ」
 かがみは、がくっと肩を落としながらぼやいた。
「そうね…… 40分なんてすぐね。確か、名古屋から京都の間もそのくらいかかったわよね」
 新幹線と、市バスを比べる方がどうかと思うけど、不必要に刺激することもないから反論はしない。

 バスは西大路通りをひたすら上り、(ちなみに京都では北に行くことを上る、
南に行くことを下るというらしい)金閣寺道という名の停留所でとまる。
「ゆーちゃん。平気? 」
「う、うん。大丈夫だよ。お姉ちゃん」
 ゆーちゃんは健気に笑顔をみせてくれる。やっぱりかわいいな。
622危険な関係 5/9:2008/02/11(月) 21:27:18 ID:xbg17mOg
 バスを降りてから周囲を見渡すと、観光客でごった返している。
 外国人の姿もかなり多い。さすが国際的な観光名所だ。
 人の流れに沿って歩くと、すぐに入り口が見つかり、拝観料を支払って中に入る。そして……

「金閣寺だね」
「ちょっと、こなた」
 何故か、かがみはむくれている。みさきちが言うとおり、最近ちょっとヒスチックな気がする。
「なにかな。かがみん」
「どうして入った途端、最終目的地があるのよ。ナジミの塔で、いきなりゾーマじゃない」
「昔のRPGの事、言われてもね」
「でも世界遺産なんだよ。お姉ちゃん」
「いや、それって関係ないし」

 金閣寺を選んだ訳は、京都駅からは距離はあるものの、あまり歩かなくても済み、
ゆーちゃんの負担が軽いというのが大きな理由だった。
 もっとも、清水寺は修学旅行で既に行ったということもあるけれど。

「とりあえず、みんなの写真をとろうよ」
 つかさの一言で立ち止まり、通りすがりのカップルにデジカメを渡して撮ってもらう。

 Say Cheese ―― パシャ!

 3層の金閣寺を後にして、順路に従って歩いていくと、右手にお茶屋さんが見えてくる。
「ちょっと休憩しよっか」
 茶店特有の赤い敷物の上に座ると、なんだか気分が落ち着いてくる。
 間もなく、桜色の着物を着た店員さんが抹茶と和菓子を運んでくれる。

「いただきま〜す」
 中にあんが入った小さな和菓子を口に含むと、ほんわかとした甘さがひろがる。
次に抹茶を飲むと、渋さと甘さがほどよく混じりあう。
「こなたお姉ちゃん。お抹茶、美味しいね」
「うん。そうだね」
 ゆるゆると歩く人の流れを眺めながら、私達4人は落ち着いた時間を過ごした。
623危険な関係 6/9:2008/02/11(月) 21:28:08 ID:xbg17mOg
 金閣寺を出てから、四条河原町方面のバスに乗り、四条河原町からはタクシーを使う。
「こなた、こんなところで即売会なんてやっているの? 」
「うん。そうだよ」
「あたりには、平安神宮と、美術館しかないわけだけど…… 」
 きょろきょろと、かがみは周囲を見渡しながら聞いてくる。
「美術館の隣の建物だよ。かがみん」
「『京都会館』って書いてあるところよね」
 かがみは、ガイドブックと周囲を交互にみながら言葉を続ける。
「そだよ」
 みんなを案内して、少しだけ歩くと、どっしりとした構えを見せている、
灰色系統の建物が迫ってくる。
 私達は、2階にある会議場の扉を開き、会場に入った。
 今回は40ほどのサークルが参加している、ごくありふれた規模の即売会であり、
建物の中にいる限りは、つかさが迷うことはない。

「先輩。ここっスよ」
 会場に到着すると、早速、良く知っている女の子が声をかけてくる。
 田村ひよりちゃんだ。
 丸いめがねと、流れるような長い黒髪が特徴的な一年生で、ゆーちゃんのクラスメイトだ。
 
「ひよりん、お疲れ様だねえ」
「わざわざ来てくれてありがとうございます。今日は関西のサークルと合同で
販売させてもらっているっス」
 ひよりんの隣には、セミロングの女性が売り子さんをしている。
「わざわざ埼玉から来てくれたん? ありがとうなー 」
 私の顔をみると、穏やかな微笑を浮かべて、サークルの新刊を渡してくれた。
624危険な関係 7/9:2008/02/11(月) 21:28:41 ID:xbg17mOg
「田村さんと、こんな遠いところで会えるなんて」
 つかさはとても嬉しそうに駆け寄ってくる。
 彼女は、同人誌のことをほとんど知らないのに、何故かひよりんの同人活動を熱心に応援している。
 みかんのネタが日の目を浴びることが果たしてあるのだろうか?

「柊先輩。こんにちはっス」
「一冊、500円なんだね 」
 いきなりお財布をとりだすつかさに、ひよりんは慌てて言った。
「つかさ先輩、お代はいらないっス。関係者には差し上げていますから」
「えっ、あっ、ありがとう。ひよりちゃん」
 つかさは初夏の木漏れ日のような、思わずどきりとしてしまうくらいに無垢な笑顔を浮かべた。

「えへへ。田村さん、覗きにきちゃった」
 つかさの脇から、ゆーちゃんも顔をのぞかせる。
「えっ、小早川さん!? 」
 小柄なゆーちゃんが、ひよりんの目の前にあらわれた直後――

「自分、そっくりさんやなあ」
 隣の売り子さんが、ゆーちゃんの顔をみて驚いている。
「えっ? えっ? 」
 目を白黒させているゆーちゃんに、売り子さんは後ろの箱から、別の同人誌を取り出して渡した。
「なあ、なあ、この本のモデルさんやろ」
「ちょ、まずいっす。それはダメっす」
 ひよりんは黒髪を振り乱して、ひどく慌てている。
「え、ほんでも、モデルさんやし…… 」
 ゆーちゃんと、ひよりんを交互に眺めながら、売り子さんは戸惑っている。

「あ、あの、拝見してもいいですか? 」
 自分の姿が書かれた表紙を見て、顔を赤らめたゆーちゃんが口を開いた。
「あ、それあげるで。もちろんお代はいらへんよ」
「ありがとうございます」
「だめっ、本当にダメっす」
 本気で泣き叫びながらひよりんは、ゆーちゃんの手から同人誌を奪おうとするけど、
残念ながら長机が邪魔をして届かない。
625危険な関係 8/9:2008/02/11(月) 21:29:13 ID:xbg17mOg
「あきらめよう…… ひよりん」
 私は、絶望にひしがれる少女の肩をぽんと叩いた。
 気持ちは痛いほど分かるけど、ゆーちゃんの承諾はやっぱり要るよ。
 許可がおりるとはとても思わないけどね。

「あ、あの…… 」
 裸エプロンを着たゆーちゃんが、狼さんと化したみなみちゃんに陵辱されるという、
18禁ガチ百合本を読み終えて、当然ながらゆーちゃんは顔を真っ赤にしている。

「小早川さん、嫌っていいよ。友達を汚した私は地獄の業火に焼かれて死ぬべきっス。
豆腐の角に頭をぶつけて逝ってしまうべきっス。もう十字架に貼り付けになっても、
釜茹でになってもイイッス。ああ、カムバック、どきどき百合観賞らいふはもうゼロっス」

 ゆーちゃんは、涙を流してうずくまっている、迷えるふじょしの頭にゆっくりと掌を置いた。
「ごめんなさい。生まれてきてごめんなさい」
 すっかりと脅えて泣き叫ぶひよりんが、あまりにも哀れでたまらない。
「田村さん、あのね…… 」
「もう、一思いに殺してくださいっス」
「私、嬉しかったんだ」
「へ? 」
 涙で濡れた顔をあげたひよりんは、呆然としている。
 彼女の予想とは異なり、ゆーちゃんは微笑んでいた。

「恥ずかしかったけど、とても綺麗に描いてくれて嬉しかったよ」
「小早川さん…… 」
 天使を見つめるような眼差しを、ゆーちゃんに向けている。
「本当に許してくれるんスか…… 」
「許すも、許さないもないよ。田村さんの絵、温かくて好きだから」
 ゆーちゃんの慈愛にみちた言葉に、田村さんは感極まっている。
「小早川さん。一生ついていくっス。小早川さんの道を邪魔する者は
僭越ながら排除していただくっスよ」

 おーい。ひよりん。方向性が間違っているよ。
「ありがとう。田村さん」
 そこは否定しないのか。ゆーちゃん。
 どこかゆーちゃんの微笑みに打算じみたものを感じてしまうのは、本当に気のせいだろうか。
 最近いろいろな事があって素直になれない自分が恨めしい。
 でもね、ひよりん。決して深入りしてはいけないよ。
 私は、ゆーちゃんの笑顔の虜になってしまった一人だから、とても良く分かるんだ。
626危険な関係 9/9:2008/02/11(月) 21:29:57 ID:xbg17mOg
 暫く雑談とサークル巡りを楽しんだ後、BL本に夢中になっていたかがみを回収して会場を後にする。
「かがみん。全部立ち読みするのはマナーとしてどうかな」
「わ、悪かったわよ」
 顔を赤らめてそっぽを向くかがみの仕草が、ツンデレの様式美なのだろうな、なんて思いながら、
予約をしたホテルに向かって歩く。
 鴨川の上に架けられている橋を渡っている時に、西の空が茜色に染まっていることに気がついた。

 ホテルに荷物を置いて、寺町通と呼ばれるアーケード街まで繰り出して夕食をとり、
再び部屋に戻ると、既に9時を回っている。
「ふー 食べた」
 私は、苦しそうにおなかを押さえているかがみに向かって言った。
「かがみん。限定リミット解除しすぎだよ」
「う、うるさいわね」
 数日後に体重計に乗って真っ青になっている少女の姿を想像してニヤニヤしてから、一同を見渡した。
「さて、そろそろ部屋の割り振りを決めないといけない訳だけど」

 私の一言によって、ゆるゆるとした空気は消え去り、にわかに黒い雷雲がわき上がる。
「普通に考えると、私とゆーちゃん、かがみとつかさだけどね」
「そんなありきたりな事は許さないわ」
 かがみは、躊躇いなく言い切った。
「少なくとも、機会は平等に与えられるべきよ」
 かがみさん。もしかして酔っていませんか?
 一方、ゆーちゃんは危機感をあらわにしており、森の中で天敵に出くわした
小動物のような瞳で、かがみを睨みつける。
「えへへ。私も参加したいなあ」
 一方、つかさはのんびりと微笑を浮かべている。緊張感がないのは毎度のことだけど、とても楽しそうだ。

「トランプで決めようか? 」
 私は、新幹線で遊んだトランプを取り出し、シャッフルをする。
「いいけど、何をするのよ」
「そだね。ここは単純にババ抜きでいいんじゃない? 」
「でも、どういう風に部屋を分けるの? 」
 つかさが唇に人差し指をあてながら、質問をしてくる。
「うーん。1位と4位、2位と3位が同じ部屋でどうかな」
 私の提案に、3人はあっさりと頷いた。
「いいわよ。こなた」
「いいよ。こなちゃん」
「分かったよ。こなたお姉ちゃん」

 ゆーちゃんとかがみの間に激しい火花が散る。
 どちらと一緒でも眠れそうにないな、なんて思いながら、私はカードを配り始めた。
62723-251:2008/02/11(月) 21:35:43 ID:xbg17mOg
読んでくれた方、感想をいただけた方、ありがとうございます。
今回は、間奏曲といった感じとあいなりました。激突は次回以降になりそうです。

>540
とても温かい作風を、楽しませていただいております。

628名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 21:45:09 ID:z4Fz82sN
>>627
今回はほのぼのでしたけど、その中に後々の波乱の種が見え隠れしている気がして、相変わらずはらはらです。
というか部屋割りいかんではもしかしてまさか、とか思うのですが。ぐっじょぶ。
629名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 21:58:17 ID:BzB+rXgO
>>627 微妙にはらはらさせられる話の進め方と次が気になる切り方に毎回やられっぱなしです
GJ

ところでほのぼのしているところ悪いんですが、まとめの管理人さんへのコメント
あれはないんじゃないかなと思ったのは私だけかな?
以前にもtex添付形式の投下の漏れはあったし、管理人さんも大変な時間と労力をさいて下さってるんだしね

それに仮に見落しを指摘するなら、何スレのレス何番に投下(本スレか避難所か含めて)したと明記すべきでは

私は普通にスレを追って読んでいますが、今回指摘されている1-808氏の作品の投下には気付かなかった
630名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 21:58:25 ID:OeEIfVf2
>>627
京都に住んでいる身としては、様々な場所が頭に浮かんできますなあ。
寺町通りには結構美味しいお店も多いですしね。
最近は烏丸御池のアイリッシュパブでギネスを飲むのが好きですよ。

ともあれ、微妙に火花が見えながらもゆったりな展開ですね。
続きも期待しています。
631名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 22:05:12 ID:UsiKUsDX
>>627
ほのぼのしていながら、最後にそれ以上に女の子同士の意地のぶつかり合いが。
これからの展開が非常に楽しみ。GJです!

>>629
俺もそれは思った。人間だからミスぐらいはするだろうに。
いきなり高圧的な態度でまとめの人を責めちゃいけないよ……(´・ω・`)
632名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 22:35:07 ID:z4Fz82sN
んー、1-808さんの作品に関してはちょっとしたボタンのかけ違いだと思うんだけど。
当事者間で円満に解決するに越したことはないので、現状では静観。
633名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 23:11:49 ID:CS8ExSNT
専用うpロダへのうpの仕方がわからない…
634名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 23:21:27 ID:14cuUsjq
>>633
[選択]であげたいファイルを選んで、[Upload]であげられない?
635名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 23:24:00 ID:Crxg06T/
>>633
この板のID(URL中にある6文字)がパスワードらしい。
636名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 23:35:30 ID:Mbs3MCfh
7文字じゃね?
637名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 23:35:56 ID:Mbs3MCfh
ヒント:er○par○
638名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 23:39:56 ID:Crxg06T/
>>636
やっちまったorz
639久留里:2008/02/12(火) 00:16:37 ID:Rwx12IGn
バレンタインデーが近付いていたので、電車でGO!をやりながらSSを一つ書いてみました。

・みさお×あやの → ???×ALL
・キャラ崩壊
 (例のキャラ崩壊ネタを使っていますが、みゆきさんは鼻血出しません)
・ほのぼの/日常
・7レス仕様


良ければ先に発車致します。
6400214 1/7:2008/02/12(火) 00:17:43 ID:Rwx12IGn
2月14日、聖バレンタインデー。
女性にとっては大切な大切な日。
一部の男性にとっては大切かも知れない日。
そして、ある少女にとってはあまり嬉しくない日???

2月8日、金曜日の放課後────。
「あやのー、折り入って頼みがあんだけど───」
教室を出る生徒のざわめきの中、日下部みさおは彼女の友人、峰岸あやのに相談を持ちかけた。
幼少の頃から彼女を知るあやのは、みさおが何の相談をしたいのかをすぐに察知した。
それでも敢えて、あやのはみさおの話に耳を傾ける。
みさおが珍しく真剣な顔をしている。これは本命か?
「あやのってお菓子作るのうめーよな?」
「う、うーん、そうかな?」
照れながらも内心嬉しいあやの。
「あ、あ、あ、あ、あの……、え、え、え、えっと……」
みさおは二度三度深呼吸するも、胸の内に秘めたドキドキが収まらず、中々口から言葉が出ない。
「焦らなくてもいいわ、みさちゃん」
「う、うん。あ、あのさ、私にも、作れる、かな?」
「チョコレート?」
「う、うん、そうだけど」
珍しくしおらしいみさお。そんな様子を見て、あやのは彼女をちょっとからかってみる。
「もしかして、お兄さん?」
しかし、
「違ぇよ」
答えは呆気なく外れた。
『お兄さん』とはみさおの歳の離れた兄。実は、あやのの恋人でもある。
あやのはみさおとは保育園の頃からの付き合いなので、彼との付き合いもまた長かった。
しかし、恋人同士であるにも拘わらず彼女が彼を「お兄さん」と呼ぶのは、
十数年間あやのが彼をそう呼んでいたからであり、その癖が直らずにいるからである。
「それじゃあ、柊ちゃんかしら?」
柊とはみさお達のクラスメートであり、友人でもある柊かがみの事である。
関東最古の由緒正しい神社の娘であり、双子の妹、つかさも同じ学校に通っている。
最近はかがみが休み時間の度につかさのクラスに行ってしまうため、
彼女らとかがみとの関係はある意味で『腐れ縁』状態となっている。
「内緒っ。兄貴でも柊でもねーよ」
「あら、柊ちゃんでもないんだ。そしたら、泉ちゃんかしら?」
「ばっ、ちょっ、な、何でチビっ子なんだよ! 第一、女同士じゃねーか!!」
ははーん。やっぱり泉ちゃんね。
決して表には出さないニヤケ顔を仮面の裏側に隠しつつ、あやのはそこで慌てふためく幼馴染みの様子を静かに観察する。
「い、いーからさ、よ、良かったら、私にも作れるチョコレート、教えてくんねーかな?」
「いいわよ。その代わり、」
「その代わり?」
「チョコレートを渡すお相手、私にも教えてね」
「な、ちょ、い、い、言える訳ねーだろっ!! あ、兄貴じゃねーって事は確かだっ!!」
やっぱりお兄さんに渡すのね。
そう思ったあやのは、半ば対抗心を抱きつつも、みさおにチョコレートの作り方を教える事を、快く承諾した。
「ふふふ、みさちゃん、可愛い」
「ばっ、からかうなよ。あやのの意地悪ぅ」
これ以上からかうと泣いてしまいかねないので、あやのはみさおをからかうのをやめにした。
みさおは今にも泣き出しそう。
「それじゃあみさちゃん、明日の土曜日、十時にうちに来て。まずは買い出しから行きましょ?
 一緒に頑張ろうね、みさちゃん」
「お、おう、いいぜ。サンキュっ、あやの」
泣き出しそうな顔が一気に晴れる。
季節外れの向日葵の様な笑顔をあやのに向けると、そのままぴょんぴょん跳ねながら教室を飛び出してしまった。
「ま、待ってよ、みさちゃん」
6410214 2/7:2008/02/12(火) 00:18:14 ID:Rwx12IGn
2月9日、土曜日───。
鷲宮町のとある小さな住宅街、その一角に位置する比較的大きな戸建て住宅。そこがあやのの家だった。
冷凍庫の様に冷えた雪色の空の下、一台の黒いマウンテンバイクが彼女の家の前で豪快なブレーキを掛ける。
が、そのままみさおは派手にコケて尻餅をつく。路面が凍っていた。
手のひらの擦り傷を舐めてからインタホンを鳴らそう………とする前に、峰岸家の戸が開いた。
「いらっしゃい、みさちゃん。大丈夫? 凄い音したけれど」
「お、おーっす、来たぜ。私はこの通りだぜ……いててててて」

みさおは峰岸家で応急処置をして貰った後、ザックを背負ってあやのと共に家を出る。
向かうのは最寄りのスーパー。しかし、最寄りと言ってもここは小さな田舎町。
二人は自転車でスーパーへと向かい、必要な材料を揃える。
最近は「手作りキット」という形で、必要なモノが一通り揃ったセットが売られている。
チョコレートはオーソドックスなハート型のものを買う事にした。
ハートの型は勿論、パウダーなどの飾り付け用のチョコや、マジペンなども入っていた。
クッキーもついでに焼く事にした。
レジに並んでいる時、手作りチョココーナーに柊かがみの姿があった。珍しく妹は居ない。
柊かがみはみさお達のクラスメートであり、中学2年からずっと一緒である。
しかし、かがみは「妹が居るから」という理由で休み時間の度に教室を抜け出しは
双子の妹であるつかさのクラスに行ってしまうため、学校内では中々一緒に話す機会が得られないで居る。
そんな彼女も想い人にとっておきのチョコレートを作るつもりなのだろうか。
しかし、彼女に好きな人が居ることなど、二人は聞いた事が無い。
6420214 3/7:2008/02/12(火) 00:18:36 ID:Rwx12IGn
「それじゃあ、始めましょ」
「おう!! んで何すりゃいいんだ?」
みさおは家から持ってきた水色のエプロンを身につけ、律儀に三角巾も頭に着用している。
エプロンは小学校の家庭科調理実習で作ったもの。
両手には使い捨てのビニル手袋。衛生上の理由もあるが、傷口保護の目的もある。
ハタから見ればまるで家庭科の調理実習の様だが、本人は本気である。
ちなみに準備をする時にあやのに「可愛いね」と言われて赤面した事は内緒だ。

「まずは買ってきたチョコを湯煎に溶かして……」



二時間後────。
冷蔵庫から型を取りだし、それを勢いよくステンレスのトレイに被せて型を外す。
「よっしゃ、出来たぜー!!」
「ちょっと崩れちゃったけど、上手く出来たわね」
あやのに褒められて照れ笑いを見せるみさお。本当に嬉しそうだ。
みさおがあやのと一緒に作ったチョコレートは、初めて作った割には上出来だった。
カカオの甘い香りがつんと鼻をつく。
「そ、そっかー? 何か、嬉しーなー。なぁなぁ、味見しよーぜ?」
「うん」
二人は形の崩れてしまったチョコを一個ずつ、ひょいとつまむ。
見た目が悪いだけだが、ちょっとこれは、流石に義理チョコでも人に出すのは憚れる。
「せーの、で行くぜ?」
「いいわよ」
「「せーの」」
二人の掛け声と共に、手に持ったチョコレートが口の中へと運ばれる。
甘みと共にカカオ独特の苦みが口いっぱいに広がる。
砂糖の分量を間違えたせいで、中途半端なビターチョコになってしまったようだ。
「むー、こりゃ兄貴向けだな」
「そうね」
みさおの兄は大の甘党でありながら、何故かチョコレートはビター派である。
余談だが、コーヒーと紅茶も無糖派である。
「まぁいいや。これは兄貴に『処理』して貰う事にして、今度は私が自分で作ってみるよ。
 あやのが折角教えてくれたんだもん」
「そう? それじゃあ、お土産の用意も兼ねて、ラッピングの練習もしましょう」
「おう」
6430214 4/7:2008/02/12(火) 00:19:01 ID:Rwx12IGn
そして、2月14日、昼休み────。
チャイムと同時に3年C組の教室を飛び出したみさおは、そのままダッシュでB組の教室に飛び込んだ。
C組の後の扉からB組の前の扉までは徒歩10秒。
そんなに走らなくてもいいのに、と思ったあやのは、扉越しに彼女の事をそっと見守っていた。
「やっぱり泉ちゃんかしら?」
「さぁ。てっきりお兄さんか私か峰岸だと思ってたんだけどね」
あやのの上に頭を並べるかがみが、そう言った。

「おーっす、チビっ子〜」
その呼びかけに答えたのは、長い蒼髪を持った、とても小柄な少女・泉こなただった。
「あれ? みさきち何で来たの?」
「ひでぇな。そんなに柊がいいのかよ?」
「どちらかと言えば」
『何だよ、それ』と扉の方で声がしたような気がするが、多分気のせいだろう。
相手にされていないショックを抑えつつ、みさおは意を決して手に持っていた包みを差し出す。
「チビ……いや、泉っ!!」
いきなりの大声でB組のクラスメート全員が二人に注目する。
「な、何さ?!」
「こ、これ、良かったら受け取ってくれ!!」
暖房ガンガンの筈の教室に、冷たい風が吹く。
暫くの間、時間が止まった。
扉の影に隠れていたかがみとあやのは、いつの間にか居なくなっていた。

空気が完全に冷え固まって、数分が経過した。
「…………有り難う、貰っておくよ」
「………マ、マジか?」
「いや、まさかね。攻略した覚えのないキャラにフラグ立てられるとは思わなかったよ。
 さて、かがみよりも不味いかどうか、この私が毒味してしんぜよう」
「んだよ、それ。酷ぇなぁ」
何も本人の前で言う事は無いだろ? そう思ったみさおは、幼い子どもの様に頬を膨らませる。
勿論、こなたは本気で言っているのではなく、みさおをからかっているだけである。
からかっている時のこなたはとても意地悪だが、
常人よりも思いやりのある優しい子である事は、みさおも良く分かっている。
「さーてさてさて幸手、みさきち特性チョコレートのご開帳〜〜〜〜〜〜〜♪
 って、うわっ、凄っ!!」
通常の三倍豪華な赤いリボンを解き、赤に近いピンク色の袋からそっとチョコレートを取り出す。
ひとつひとつ丁寧に個包装され、地球には優しくはないが、
丁寧に包まれたチョコレートの美しさにこなたは思わず感嘆の声をあげる。
男子生徒が約一名、さっきからこちらを見ている。もしかして、みさおに貰われたかったのか?
「うほっ、これ、本当にみさきちが作ったの? 峰岸さんが作ったんじゃないの?」
「だから違ぇよ!! あやのだったらもっと綺麗に作ってるよ!!」
そう言われれば、と思い、ハート型のチョコをよく見ると、微妙に形が崩れている。
「いいから早く食えよ。なぁ、どうだ? 旨いか?」
「まぁ待ちたまえ、みさきち。焦らしプレイも中々良いものだよ?」
焦らされているみさおは堪ったものではない。
「ほら、さっさと食え!! なら私が食わせてやるっ」
「ちょっ、まっ、待って!! ほにゃ?!」
無理矢理チョコを突っ込まさせられたこなたは、しばらくその場でばたばたしていたが、
やがて舌がチョコレートの味を感知したのを感じて、じっくりと噛み砕く。
「ふっふっふ。初めての割に上出来だねぇ。でもさ、これは本命の人にあげるものだよ?」
「五月蠅ぇな。で、でも、あんがと」

この二人のやりとりが済んだ直後、教室から一斉に拍手がわいた。
しかし、それは二人を祝福する拍手では無かった───────。
6440214 5/7:2008/02/12(火) 00:20:19 ID:Rwx12IGn
ガラガラガラ。

教室の扉が開きかがみとあやのが飛び込んできた。
何故か外で待機していたつかさと友達の高良みゆきも入ってくる。
「お目出度う、みさちゃん」
「ま、まさかアンタがこなたを狙ってたとは………い、いや、別に何でも無いわよ」
二人とも、顔が恐い。特に前者は強大なATフィールド─絶対『恐怖』領域─を既に展開している。
何なんだ、この二人。
「泉さん、私からもどうぞ。是非、受け取って下さい」
「こなちゃん、はい、どうぞ」
「ちょっとそこの二人、フライング禁止!!
 ほ、ほら、こなた、い、一応自分で作ったもの、なんだけど」
「泉ちゃん、私からもどうぞ」
「ちょ、ちょ、ちょ、待ってって、何か恐いよ、みんな」
「何言ってんのよ?」
「これは、私達のほんの気持ちだよ?」
「そうですよ。私達にとって、」
「泉ちゃんは大切な大切な─────」
「「「「友達だからよ」」」」
こなたが何に怯えているのかと言うと、友人達の用意した贈り物が、明らかに「それらしい」モノだったからだ。
かがみはキットで作ったチョコレート。ここまでは普通だが、量が尋常でない。
つかさは美味しそうなクッキー。しかし、手に持っているのはほんの一部で、
その後にはトイレットペーパーが入っていそうな大きな段ボール箱が控えている。
みゆきは市販品とは言え、世界各国の最高級チョコレートが台車の上に山積みとなっている。
そのヘブライ語らしき言語で書かれたチョコ、本当に食べて大丈夫か?
あやのの方は………何処から搬入したのか、教室の天井に届かんばかりの豪華なウェディングケーキ、
(元ネタの人、ごめんなさい)
一番マトモだったのは、みさおだった。
「み、みんな、何か恐いよ。ど、ど、どどどどどうしたの?」

「さあ、こなた。全部食べて良いわよ」
「こなちゃん、はい、あーん」
「つかささん、私が先ですよ。では、先ずはこのGODIVAの新作を……」
「いやいや、私が先よ? さあ、まずはケーキの入刀を」
ギャ○曽根でも無い限り、この量は食べられない。
それにあやの、ケーキの入刀には普通、斧は使わないぞ。
6450214 6/7:2008/02/12(火) 00:21:14 ID:Rwx12IGn
(ここは逃げるべきだ)

そう悟ったこなたは出口を塞ぐ四人を突破しようか、それとも後の扉から逃げようか、
はたまた何とかして教室の窓(ちなみに教室は4階)から飛び降りようか、考えていた。
そして、後の扉から出ても四人に囲まれるのがオチだと思ったこなたは、
「ごめん!!」
と言って窓に向かってダッシュする。
が、
「何逃げてんだよ、チビっ子」
一人忘れていた。
みさおにセーラー服を掴まれて簡単に捕獲されてしまった。
格闘技が使えるとは言え、腕力ではみさおには敵わないし、投げ飛ばす訳にもいかない。
かくて、こなたは一気に窮地に追い込まれてしまった。
全身に嫌ぁ〜な汗がダラダラと滴る。ああ、下着を替えたい。
「うわわわわわわわ、もうみんなの気持ちは分かったから、だ、だだだだだから、
 離せぇ〜〜〜〜〜!!」
「ふふふふ、恥ずかしがらなくてもいいのよ、こなた」
「そうだよ、こなちゃん、クッキー、沢山あるからね、ふふふふふ」
「泉さん、このガーナ産のチョコレートは如何でしょう? ふふふふふふふ」
「いーずーみーちゃん、ほら、早く食べましょう☆」

これは悪い夢だ。そうであって欲しい。
だが、これはまだ始まりに過ぎなかった。

ガラガラガラ。

「こなたお姉ちゃ〜ん」「……お邪魔します」「ちわっス、泉先輩っ」「Hi、コナタ!!」
「1年生ズ」ことこなたの従姉・小早川ゆたか、
その友人の岩崎みなみ・田村ひより・Patricia Martinの四人がクラスに入ってきた。
「お姉ちゃん、はい。実は前の日に作っておいたんだ」
「泉先輩…………良ければ……………是非…………」
「ふっふっふ、私もこの日の為に作ってみたっスよ。市販品を溶かしただけっスけど」
「コナタ〜、私のアイを受け取って下サ〜イ♪」
「ちょ、ゆーちゃん達まで!!」
この四人が用意したものは………………まぁ、想像にまかせるとしよう。
平静を失ったこなたには、もはや1年生ズが用意したモノを見る余裕など、無かった。

「た・す・け・て・く・れ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
こなたは隙を突いて9人の壁を突破し、廊下を猛ダッシュしてしまった。
6460214 7/7:2008/02/12(火) 00:21:37 ID:Rwx12IGn
しかし、職員室の前で
「こら、泉、廊下に穴開いたらどないすんねん!!」
今度はこなたの担任、黒井先生に捕まった。
「あああああああああああのあのあのあのあの
 ぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐ具合がわわわわわわわわわ悪いのでわわわわわわわわわわ私
 そそそそそそそ総体………じゃなかった早退します!!」
だから今すぐ離して下さいと言わんばかりにこなたは必至に黒井に懇願した。
が、
「ちょう待ち。一つだけ約束守って貰うで。そしたら早退は認める。ええな?」
「な、何でもしますから早く帰して下さいっ」
こなたは既に半泣きだ。
「よう言うた。さっすが私の可愛え教え子やな。ほな、ウチと来(き)いや」

言われるがまま、こなたは黒井に連れられて学校裏の駐車場まで行き、そこで「しまった」と思った。
黒井はいつものワゴンR(軽ワゴン車)ではなく、何故かハイエース(商用バン)で来ていた。
その中は………………、
「まぁ、ネトゲに付き合うて貰てる例と、授業中寝ている罰と、今日早退する罰や。
 有り難く持って行き」
にっひっひと笑いつつ、黒井は後の扉を開ける。

ずどどどどどどどどどどどどどどど……………………………、
「ひゃぁあああああああああああお助けぇぇぇぇぇぇえええええええ!!!!!!!」



泉こなたのその後を知るものは、誰も居なかった。10人を除いて。
6470214 by 久留里:2008/02/12(火) 00:24:00 ID:Rwx12IGn
以上でございます。


うーん、やっぱりこういった日常系の方がらき☆すたらしいなぁ。
誰だよ、30年前に飛ばしたのはorz(←お前じゃ)


保管庫 管理人様へ
本作品のタイトルは「0214」です。
もし保管庫の都合でこのタイトルが使えない場合、
前後に「」を入れるか、全角文字にて対応願います。
648名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 00:27:38 ID:mlJhqs6k
>>647
GJすぎる 
自分も最後まで一気に投下させて頂きます 
スレ汚しスマソ
649恋するコッペパン:2008/02/12(火) 00:29:02 ID:mlJhqs6k
>>612からの続きです 
 
翌日、教室へ入ると泉はいつものように柊達と談笑をしている。

机にカバンを下ろした際、ふと泉と目が合い、「おはよー!」と声をかけてきた。

昨日のこと、アイツは別に気にしてないみたいだな… 
安堵した気持ちの中に少しの複雑な心境が入り交じり、オレは愛想笑いをしながら泉に応じた。


「さてHR始めるでー」

朝から大きな声で黒井先生は出席確認をとり、HRが終わるとすぐに授業を始めた。

はぁ…。
なんか大変なことになっちゃったなぁ…。


昨日の放課後、黒井先生から説明された泉こなた攻略作戦の概略はこういったものであった。

普段からよくネットサーフィンをする黒井先生によれば、最近、某巨大掲示板の地域BBSのスレッドで祭になっているコッペパンがあるという。

そのコッペパンを意中の異性に食べさせると、その子との間に恋が生まれるという話。

実際にそのスレッドのレスに「うはwww彼女できたwwwwww」、「あのコッペパンだけはガチ」等といった書き込みがあり、賛否両論になってるという。

そして偶然なことにそのコッペパンを製造している店が隣町にあるとのこと。

信憑性もへったくれもなく、オカルト過ぎて最初は呆れていたが黒井先生の説得もあり、善は急げとのことで放課後に買いに行くことになった。
650恋するコッペパン:2008/02/12(火) 00:30:05 ID:mlJhqs6k
そして放課後、オレは近くのバス停から隣町へと行き、黒井先生がくれた地図を頼りに店がある商店街へと歩いた。

なにやら商店街の奥に長い行列が出来ている。
どうやらそこが例のコッペパンの店らしい。

オレは行列の最後尾についた。
ふぅーと一息つきながら順番を待っていると、急に並んでいた人達がぞろぞろと帰りだした。

首をかしげながら店内に入ると『本日売り切れ』の札を出しながら店主であろう眼鏡をかけたおじさんが「悪いねぇ。今日はもう売り切れちゃったんだ」と申し訳なさそうに言う。

「そ、そうですか…」
 
落胆を隠しきれずに俯きながら答える。

「…君もコッペパンを買いにきたのだろう?」

そんなオレの姿を見て気がかりに思ったのか、おじさんは優しい口調で問いかけてきた。

「えぇ…まぁ…」
「誰にコッペパンを食べさせようと?」
「好きな子に…。フラれたんですけど…やっぱまだ諦めつかなくて」

しばしの沈黙の後、おじさんは「ちょっと待ってて」と一言残し、一度厨房へ行くと数分後に小さな袋を持って戻ってきた。
 
「サービスだぞ?」
 
おじさんはニンヤリ微笑むとオレにその袋を差し出した。

中を見るとそこにはコッペパンが入っている。

「ただしな…若者」

視線をコッペパンからおじさんに移す。

「このコッペパンは出来損ないで店頭に出せなかった商品なんだ」
「…え?」
「だからこれを食べさせても好きな子との間に恋は生まれないぞ」
「そ…そんなぁ…」
「話は最後まで聞け!確かにこのコッペパンは出来損ないだ。だが、だからこそ君の気持ち次第で色々な形や味に変化する」
「んなアホな…そんなオカルトみたいな話が…」
「真っ白で純粋な気持ちはいつか愛に届く」

そう呟くとおじさんは店のシャッターを閉めた。
651恋するコッペパン:2008/02/12(火) 00:30:42 ID:mlJhqs6k
「疲れたあああ」

家に戻るとオレは勢いよく自室のベットに倒れこむ。

天井を見つめながら、おじさんが言っていたことを思い返す。

「オレの気持ち次第……か」

やがて視界が虚ろになり、半分眠りかかっていた時に携帯の着信が勢いよく鳴り響いた。

着信相手は黒井先生からだ。

「もしも」
「おー!どないやった!?ちゃんとコッペパン買うたか!?」
「まぁ…なんつーか一応…」
「よーしよくやった!後は明日そのパンを泉に食べさせるだけやな!!」
「そうですけど…どうやってその状況にすればいいのか…」
「アホー!!そんなもん気合やろ!!」
「そんな無責任な…」
「ヘタレやなぁ…ホンマに。そもそもアンタは泉のどこに惚れたんや?」
「え?うーん…いつも明るくて…空気読めないけど…笑顔が可愛い所とかかな…あんま理由になってないけど…」
「ちゃんと言えてるやん!後はその想いをパンと一緒にぶつけるだけやないか!男みせてみぃ!!」
「…は、はい!」


…よし。
明日コッペパンを泉に渡してもう一度告白しよう!
652恋するコッペパン:2008/02/12(火) 00:31:18 ID:mlJhqs6k
翌日、授業中にどうやって泉にコッペパンを渡そうか模索していた。

休み時間は基本的に泉の周りに柊や高良がいる。
そんな状況でいきなりコッペパンを渡すのはあまりにも不自然だ。

チャンスは泉が1人になった時か…。


しかし、昼休みも移動教室の合間も柊達が泉をガードしている。

結局渡せずじまいで帰りのHRの時間になってしまった。


「最近、連日でウチの学校の女生徒が他校の男子生徒からナンパの被害にあってるっていう報告があるからなー。気をつけて帰るようにー」

黒井先生が何か言っているみたいだがまったく耳に入らず、頭の中は泉とコッペパンでいっぱいだった。


廊下から泉達とはある程度の距離を保ちながらそのまま玄関に向かおうとしていたとき、黒井先生が話しかけてきた。
「なんや!渡すのこれからかいな!?」
「は、はい!」
「まぁええ。チャンスは1回っきりや!逆転ホームラン打ったれ!!」
「うっす!」
思いっきり背中を叩かれ、喝を入れられたオレは泉達を追いながら学校を出た。
653恋するコッペパン:2008/02/12(火) 00:31:52 ID:mlJhqs6k
はぁ…オレまるでストーカーじゃねぇか…

罪悪感に苛まれながら、泉達の後をつけて行くとゲームセンターに入って行った。

遊んでいくの!?
あぁもうますます渡せなくなるじゃん…。



外で泉達が出てくるのを待っていたが、なかなか出てこないので恐る恐る中に入ると聞き覚えのある声が聞こえてきた。
柊かがみの声だ。
 
「やめてください!」
「なんだよーお茶くらいいいじゃん」
「これどこの制服だっけ??」
「陵桜だよ陵桜」

どうやら泉達は他校の生徒数人にナンパされているようだった。

おいおいおい…

「ううぅ…こなちゃん怖いよぉ…」
「えらい人は言いました。これはストーリーの分岐に関わる重大イベントだと★」
「ちょっと、こなた!こんなときにふざけてるんじゃないわよ!」

泉達は男子生徒に囲まれているせいで身動きが出来ないでいた。

どうする?
警察を呼んでくるか??

いやそれじゃ間に合わないよな…。

くそ…
くそったれがああああああああああああああ

「うーんギャルゲーだったらここで主人公が助けに来るんだけどねぇ」


「おいお前ら!!」

男子生徒達が振り返る。

「オレの学校の女子に手を出すな!!」

「…え?」
「あ、あんた確か…こなたやつかさと同じクラスの…」
「ヘ…へタレ主人公が何故ここに…??」

泉達がポカーンとしながらオレを見つめている。

そこまでは記憶があったのだが、そこから先がまったく覚えていない。


次からの記憶は学校近くの公園からだった。
654恋するコッペパン:2008/02/12(火) 00:33:09 ID:mlJhqs6k
「…痛っ」

目を開けると身体中の至るところから痛みが生じる。

そっか…オレゲームセンターで……

ん?
ここって学校近くの公園だよな??

あれ?泉達は??


「あ!起きたー!」

声のする方向に振り向くとそこには泉がいた。

「よかったー。もう目を開けないかと思ったよ」

「…あの、状況が見えないんですけど」

「君ねー。いくらなんでも無理しすぎ。もうホント大変だったんだから」

「…どういうこと??」

「勢いよく突進したのはいいけど、その後ボコボコにされたの。つかさが警察の人呼んできてくれたから助かったんだよー?」

「そうだったんだ…」

「ねぇ?なんであのゲーセンにいたの??」

「え!?いや…その…たまたま通りすがって…」

「ふふふ…素直じゃないなぁ」

「…うっさい」

「でも凄いドキドキしたよ。あんなギャルゲーみたいな展開リアルで初めてだし。何より君の気持ちが私にも伝わったしね」

「泉…」

「泣きそうな顔もまた萌えるね〜」

「う、うっさい!」


体中が熱い。多分顔も火照っいるだろう。
マトモに泉と視線を合わすことが出来ない。
 
その時、オレのお腹がグ〜と鳴った。
655恋するコッペパン:2008/02/12(火) 00:33:38 ID:mlJhqs6k
「悪ぃ…お腹すいちゃって…。あ、そーいや…」

オレはカバンの中にコッペパンがあることを思い出した。
さっそくカバンから取り出すと、それを見た泉が
「私にもちょうだい」
と言い出した。

「いいでしょ?コッペパン大好きだし私もお腹すいてるからさ」
そう言ってコッペパンを半分ちぎると食べてしまった。

それを飲みこむと、
「ごちそうさま」
と呟きながら、
「知ってるんだよ私。このコッペパンの秘密。食べたら恋しちゃうんでしょ??ネットで有名だからね」
と、いたずらっぽく笑ってみせた。

「なんだよ…知ってたのか…」

オレはガクッと肩を落とす。

「そのせいなのかな?」

「…え?」

「なんだか君のことがとても好き」

オレは泉の言葉が理解できない。

泉はオレに顔を近づけると頬に優しくキスをした。


656名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 00:35:08 ID:mlJhqs6k
以上です。 
もう設定とかめちゃくちゃですが… 
スレ汚し失礼しました
657名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 00:43:39 ID:v6l8C7sm
>>647
一言つっこんでやる

ど  こ  が  日  常  系  だ

だがそこがいいwwwwwwwwwwwwwww

以上、壊れネタ大好きっ子からのGJですたwwww




>>656
これが●●君とのなれそめであった!    ・・・と思うw
たまにはこういうのもいいんじゃないかな、GJ。

〜数週間後
「いだだだだ誰か救急車をあでででで」
「いでえええええ俺が何したってんだよ(泣)」
「フン!女の子の事を考えずに強引ナンパする方が悪いんだよ。
 その腕じゃあしばらくナンパは不可だぁね(=ω=.)b」
「何この見事な合気道・・・あの時の俺って・・・実は殴られ損?(´・ω・`)」
「んなことないよ♪それで私をゲットしたんだし。病まない病まないwww」
「・・・ウッセエ(///」
65843Hev0JB:2008/02/12(火) 00:44:15 ID:gnPpD94r
GJ、なんだけど忘れものが・・
sage忘れてるよ。まぁ最初のころは有るから。
次回から忘れないでくださいね。
659名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 00:45:57 ID:mlJhqs6k
>>657
合気道ネタは使おうか迷ったw
評価どうもー
660名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 00:46:07 ID:kseJHAXg
リアルタイムGJ!今秋はまたスレがkskしそうだから読むほうも気合入るな
661名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 00:46:45 ID:tmKz3a1t
>>647良い壊れ具合GJ!!!!

>>655 前の人の投下が終わってすぐに投下はやめたほうがいいよ〜皆が感想書けないしネ
662名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 00:49:13 ID:nXnmGuVS
これからのVDラッシュに備えて次スレ立て挑戦してきますね
663名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 00:53:33 ID:nXnmGuVS
次スレ
らき☆すたの女の子でエロパロ37
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1202745120/

改行についての意見があったので、勝手に減らしてしまいましたが……
664名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 00:55:34 ID:dJwNxPSb
>>663
乙( ^ω^)
VD投下予定なのに1文字も打ってないw
665名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 01:05:09 ID:qHaj/jES
確かに改行が多いよな
重要なの意外は>>2とかにするとか出来ないのかな
下にスクロールしないと次のレスが見えないぜ
666名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 01:28:48 ID:EYru2AIT
>>665
■みゆきさんの一言メモ  を ※マナー等※  に統合する(6行程度短縮可能?)とか
てけ(中略)伺か化計画のURLをテンプレから除く(2行短縮可能)あたりはどうだろう…?


そういえば、先日の鯖移転以降、ここで人大杉にかかってないなぁ。増強されたのか?
667名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 01:42:40 ID:qHaj/jES
アニメも好評のうちに終了し原作も大好評連載中、PS2版も絶賛発売中の「らき☆すた」でエロいの行ってみよ。

☆カップリングは自由
☆基本的に百合マンセー
☆801は禁止(と言っても男キャラあんまいねぇ)
☆投下した作品の保管を希望しない場合、前もってその旨を知らせること

※マナー等※
※割込みを防止するため、書き込みや投下の前等にリロードを。
※荒らしや煽り、気に入らない人・作品等はスルーで。
※グロやSM、鬱モノなどの過激な内容は断りを入れてから投稿する
※読者=主人公の作品(いわゆる俺キャラもの)についてはNGワード指定や断り文を確実に。
※480KBまたは950レスのどちらかに近づいたら、次スレの準備を。
※投稿の際に、メール欄に半角英数でsageと入力すると、スレッドを上げずに書き込めます
 『sage』では有効になりませんので、全角・半角を確認してください
※スレッドの閲覧・書き込みは、絶対ではありませんが専用ブラウザの使用を推奨します
 これにより『人大杉』のエラーが回避できます
※SS投下は、一度メモ帳やワードパッドなどで書き上げてからまとめて投下してください
 投下間隔があくと、他の方がレスできなくなってしまいます

マターリはぁはぁしましょうか。
☆まとめサイト(管理人と職人に感謝!)(避難所の行方はここ参照)
ttp://www33.atwiki.jp/kairakunoza/pages/1.html
☆前スレ
らき☆すたの女の子でエロパロ36
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1202004018/



と、>>666の言う感じでやってみた
いかがなもんざんしょ
668妄想屋(仮名) ◆JUqojnT5.c :2008/02/12(火) 02:07:01 ID:ntSmv8cj
>>1乙〜

さて、この三連休でフルカラー2枚描きました。何やってんだ俺。
1枚は、次に書く予定のSSに連動しているので保留させてくださいorz

……で、もう1枚は…………
いいのかなぁ、こんなの載せて(汗)


(※ある意味エロ&微グロにつき、各自自己判断にて回避願いますorz)
----------------------------------------------------------
みつきさんがヤンデレのままいっちゃった、バッドエンドルート。
つ【ttp://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0023.jpg
----------------------------------------------------------


#これ描きながら、大ヤ○ト零号を1〜4巻まで見てしまったw
#なんつーか……スゴイ話ねコレ。
669妄想屋(仮名) ◆JUqojnT5.c :2008/02/12(火) 02:23:41 ID:ntSmv8cj
盛大に誤爆orz


……まあいいか、この手の絵は速く流れたほうがいいかもしんないし。
670名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 02:29:50 ID:PAnOW8WQ
>>668
GJなんだけれど、辛いな…やっぱりこういうのは、グロというより鬱に感じてしまう
私見ですみません
671名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 02:36:48 ID:qHaj/jES
>>668
GJ! あのまま行けばこんな鬱エンドだったのか……
鬱エンドも嫌いじゃないけど、やっぱハッピーエンドで良かったと思います!

やっぱ救いのない鬱からハッピーエンドに起死回生する、っての書きたいけど難しいよね
自分が書くと鬱エンドってなんか投げっぱなしな雰囲気になるんだよなぁ
主人公悲惨な目にあわせてそれだけ、的な

物語的にはやっぱ大逆転ハッピーエンドって理想だなぁ
672名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 02:46:32 ID:7WNQYqoO
It is a 「ひいらぎー」?

No. this is a 「ひいだぎー」
673梅みwiki:2008/02/12(火) 03:56:07 ID:JPqkJSj4
「ひいだぎー」ですか?

沖縄のお菓子、サーターアンダギーの一種で、柊さんに砂糖をたっぷり付け、
油で揚げたお菓子です。一般的にはかがみさんが好まれるようですが、私は
つかささんの方が…こ、こほん

ち、ちなみに、サーターとは首里の言葉で"砂糖"、アンダは"油"、アーギーが
"揚げる"という意味で、文字通り「油で揚げた砂糖菓子」ですね。
674名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 04:38:16 ID:31Ytn8K3
>>673
想像したら、何だかグロい絵が浮かんでしまったorz
リアルに考えすぎると駄目ですな…
675名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 04:46:37 ID:bIyxZZAL
>>601
おぉ!!と思ったらまだ何かありそうな!
こなたの恋は実るのだろうか…正直先が読めないんだぜ。GJすぎる

>>627
いつも通りに見えて水面下では激しい争いの種が見え隠れ…。
このババ抜きの結果次第でゆーちゃんとかがみがどう動くか。
さぁどうなる!GJ!
676名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 07:30:15 ID:RNfJpqdn
>>668
いかん、バッドエンド絵なのにおっきしてしまった。ぐっじょぶです。
至る所に(脳にすら!)コード突っ込まれてるのが「終わっちゃった感」を加速しますなぁ。
677名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 08:02:41 ID:0rPDvfim
>>676

そこはそれ、なんせらき☆すた世界だから、(゚Д゚)ポカーンなオチが待ってるんじゃないかと。

「……中に誰もいませんよ?」
「いるわけないじゃん……てかさー、そのネタやるためだけに、あちこち開けるのやめてくんないかな」
「あらあらうふふ」
6787-896:2008/02/12(火) 11:10:17 ID:CW1372Dt
では埋めネタ程度に『壊れ』替え歌を行かせてもらいます。

『フェチ病患者から逃げられない』(原曲「エアーマンが倒せない」)

 気がついたら 最低1人は隣にいる      
 そしていつもそこで 食べられる
 諦めずに デコイに紛れ 逃げ延びるけれど     
 すぐに 追いつかれるよ

 すごいダンボールあれば
 楽にみんなを撒くことできるけど
 どこに隠れても どこに紛れても

 かがみだけは 騙せないよ

 あの嗅覚 反則もいいところだよ
 かがみに見つかると 高い確率で
 他の皆もやってくる

 さぁこなつー 今だよ 君の出番だよ
 草葉の陰で震えてる
 だけど次は絶対逃げるため
 私 念入りに体洗い匂いを消す


 気がついたら みゆきさんいつも鼻血が出てる         
 そしていつも つかさ 雑技団
 峰岸さん いつもおいしいお菓子くれるけど         
 みさきち すぐ爆発する

 1年 紹介してない
 だけど時間もないから省くよ
 みんな怖いけど ほんと怖いけど

 やっぱりかがみが怖いよ

 他の皆と 次元が2つは違うよ
 デコイやダンボール使ってみるけど かがみにすれば空気だよ
 最終手段のこなつー出しても 軽くいなして襲われる
 だから次は絶対逃げるから
 私全力でこなつー 調教しておく


 最近かがみだけじゃなく みんなにダンボールが効かないよ
 みんな抗体が出来てきたのかな 私もPOWER UPがんばろう
 
 だけど訓練する暇すらみつからない
 四六時中みんなに張り込みされてる ほんと助けておかーさん
 最近はお風呂に入ってる時も 隣に誰かが寄り添う  

 だけど別にそれでもいいかなぁ
 なんて思う私は やっぱりみんなが好き

 (お尻撫でないで)

スレ汚し失礼しました。
679名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 12:38:33 ID:kbyw+fIK
>>678

こなつー不憫だよこなつーwww
680勝手ながら続きをばw:2008/02/12(火) 12:46:50 ID:EOn4J12v
>>678
別世界のみゆき「いいなんて言ってる場合じゃありません!
           あまり萌やし過ぎるとみんな死んじゃいます;;」
こなた「いいんだよ。いざとなったら私、覚醒してみんなを守るんだから」
別世界のみゆき「ど…どういうことですか!?」
こなた「最近ね、気づいたんだ。私も感染者の一人だって」
別世界のみゆき「え…」
こなた「みんなに襲われてる時ね、時々記憶をなくす時があってさ
     で、気づいたらみんな気絶してるの。私一人だけ起きてて。
     これって、どう思う?」
別世界のみゆき「まさか…」
こなた「私の身にも何か起きてるってことだよね。
    で、これさ、性欲を持て余した日に、必ず起こるんだよね。
    みゆきさん。私思ったんだ。
    私は、性欲を持て余した時に発症する、
    
    『全☆フェチ』
    
    なんじゃないかって」
別世界のみゆき「泉さん…」
こなた「でも私。あきらめない。元のみんなが大好きだもん。
     みんなと早く元の暮らしに戻りたいし。
     だからみゆきさん。悪いけど、今しばらくお付き合いを…
     って、やばい…かがみ、つかさ、みゆきさん(鼻血の)…」
かがみ「こなたぁ…」
つかさ「こなちゃんうにょーん」
みゆき「泉さんだばだば」
こなた「ひいいいいいいもう追いつかれt…
     
     ブチン、性欲を持て余す

     WRYYYYYYYYY!!オトリヨセエエェェェッ!!…(以下検閲)」
別世界のみゆき「泉さん、どうかご武運を…」
681名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 14:49:30 ID:F9oHg1iR
保管庫の管理人さん、いつもいつも、乙なんだぜ!!
682名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 15:04:52 ID:2FAcf46V
            _ , ―、_f ̄ヽ、_
          ,へ>     |    /、/ \_
        __」   ヽ __ゝ__j /    >
        |  _>‐'`7: :. : : : :/ト:.`丶、/ト┐
       ∧ ̄ノ: :/://: :. :,イ/ | | l: : : :`ヽ  }
      /r‐∨: :. :レ/ ,-‐/// | | ト、: :ヽ: :ヽイ`ヽ、
      //ィl }: : : :r/ :'/ //  .j | ハヽ:|: :. :Y :|\ゝ
.     ///| f: :. :. :| ,,≦ュ、/'    レ  |:`|: : : :|:/
    /イ': :|イ: :. :. :彳うヽ`     ,ニミ、 :|: : : :|'
    '/ |: :^ゝ: : イ|f::::::::}      ,、.フヾV: : :.|:|
.    / | |(ヘト: :. :代::::ノ\\\ヽ{::::::::j ||: :/ リ
      ヽトヽ|ヽ: : |      、  ヽ、ノ |/i
.    {へリ‐、ヽヽ: :|    ,―┐    ノ7リ
   /こ!  ノ\ト|丶|丶、 丶-′_ ,,.':/L
.  {   ̄ゝ-へr‐‐i,く\`  7マイ/レ′ノ
  ヽ -‐'/「 ̄ Γ:丶 、>< 〉 __ く
   〉{  f:::L__L、;;::::::::\ ,> '::::::::::::::`丶、
   人ヽ |/:\ \::::ヽ、::::l::::::::::::;;;;;;;;;;;;:::::::::|
   \ }/ヽ― 、\ \:::::丶レ '::::::::::::::::::::`ヽj
     {.7( -―'¬\ \::::::::::::::::::::,-(` ―イ
  「`ヽ{ ト 、 - 'ス \ \::::::: ,-rヽ、  _r‐'
  |   }ヽ   ̄ ゝィ、::::\ \-ゝ-ヽ-`7

次スレ
らき☆すたの女の子でエロパロ37
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1202745120/
683名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 18:28:01 ID:NPYLFLsY
これは?携帯だけだけど
ttp://courseagain.com
684名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 18:50:43 ID:tOygmvaF
>>678
GJ!
こな☆フェチ前提だと『魔王』や『ドナドナ』でも書けそうだ
ドナドナは電車の中でこなたの逃げ場がない歌に、魔王はストーカー(たち)の歌とかに
685名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 18:50:44 ID:RNfJpqdn
いやいや、これは? 業者お断りだけど。
次スレ
らき☆すたの女の子でエロパロ37
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1202745120/
686名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 19:10:16 ID:jxtPwylY
>>684
こなた総受けw
687名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 19:19:54 ID:nXnmGuVS
 多くの板に被害を与えたスレッド乱立騒動からもうすぐ二ヶ月経つ。
 運営側の対処により規制は再開され、内部紛争が起こらない限り再発はないものとされている。
 これは二〇〇七年最大の出来事であり、今世紀最大の出来事でもあるといっても過言ではなかった……。

 しかし、ここへ来て乱立事件を超えうる危機が迫ってきていることが判明した。
 二月十四日に訪れる「バレンタインデー」、そしてアイドル・小神あきらの誕生日である。
 一度に二つの記念日が重なる事により、「らき☆すたの女の子でエロパロ」スレは空前の投下ラッシュとなることが予測される。
 勢いのカウンターは跳ね上がり、DATの量はみるみるうちに限界まで達してしまうであろう。
 難民が出ることを危惧した住人は、まだ二日前であるにもかかわらず新たな母艦を用意した。
 それがこの、次スレこと「らき☆すたの女の子でエロパロ37」である。
 http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1202745120/

 このスレッドはまもなく現役を引退する。
 そのときは慌てず、速やかに次スレへと移行していただきたい。
 では、健闘を祈る。
688名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 19:26:36 ID:2DNj9jj8
>魔王

お父さん お父さん! かがみに連れて行かれるよ!
かがみがあたしをひっぱっていくよ!
689名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 19:44:04 ID:tBihKber
                                       |
 次スレこそ、泉さんを私だけのものにして見せますわよ!   |
_____ ____________________/
        V
                  / ̄ >―───―-
             , -ー─ |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : `丶
             |: : : : : : l: : : : : : ヽ: : : : : : : : : : : : : : : \
.           |: : /: :.:|: : | : : : : l\ : ヽ: : : : : : : : :\: :ヽ
          j/ : /: :.|: : | : : : : |ー\‐丶-: : : : :.ヽ: :\ハ ┼
          /: : : / : : |/|l.: : : :.|   _\ }\: : : : : l: . : |:|
           /: : : / : : ∧ :八.: : :│ 行う示_ヽ: : : j\: |:| _人__
        /: : : : | : : ,′'x=ミ、 : : l、  |j:_ハ_jW:.ヘ : / : :j/:| `Y´+
         |: :/| :│ : | /イノ'ハヽ :{ :>弋_Yソ |│:.Vヽ: : :│ +
         | :ハ: : ヽ:小'{iヘ_Yソfj⌒ヾ、 ''  ̄  ,| j: : :! } : : |
         ∨ ヽ: : ト{ ハ ゞ'´/tー'^ヽ`ー‐ '´|/∨:|イ : :│
        ヽ   \!/\j__''_ノ ∨  }    / : : :.|│: :│
               |: :.:ノゝ, __/⌒'<_ イ.: : : :.:|⊥:.:八
               |: :/: :j: : |/ ノ`ーくヽ ∨: : : : : リ'⌒\丶
              ∨: :/ : /   ̄ヽ_)_)‐': : : : :〃    `、:\
            / : / /7   Y '´ ,ィ’ : /: :/       |: : :\
             /: : : / ∧{.   ノ // : : /: :/      │: : : :.ヽ
          /: : : /{ノ ヽ\ー/「 /! : :∧:/       ハ: : : : : :i
            /: :./ :厂\ \\ヽ∨∧ / 〃          {: ヽ.: : : :|
690名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 19:52:22 ID:v6l8C7sm
                                       |
 残念ね、こなたは未来永劫私のものだからねっ!!     |
_____ ____________________/
        V
            / / /                     \
         /Y^Y^ヽ/  /    /  .イヽ        \ \
.       /: : : ∨: : /  /     / / / !  !  ! !   \ ヽ
    /: : : : :::/: : :.l  /     / イ / |  |  | l  ',   l`ヽ.l
   /: : : : : :: /: : : :{  l、_  / / ! /  |  |  ,.l -ト  l   |   l
   \: : : : : : i: : : : :|  { `メ、 l/ l/  l  l//l |  !   ト、
    \: : : :.|: : : : :|  | / / `ニナー〃 ー'l / !/l  l   l: :〉
       \/l___.r|  l え¨斤〒     f 斤fア从 ∧   |/
        |  l  l{ ヘ l/ 辷ラノ      辷ノノ /}l /: :〉 /
        |  l  lト、_V          ,    、、 {/l /'´//
        |  l  l   ̄lヽ、   f^ー--ァ    ノ l/
        l  l   ',    |   >  辻_ノ_,.  イ  l
.        /   ト、  ヽ、 |/: :.|   T:.ヽ |   l   |
      /   /  \  \|: : :.<   Lュ: 弋.  l   |
      /   /   | >、  \: : \___ ヽ: : lヽ.l   |
.     /   l   /⌒ヽヽ  ヽ: : : \  ̄| : l: :l|   |
次スレ
らき☆すたの女の子でエロパロ37
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1202745120/
691名無しさん@ピンキー
火花を散らしあうかがみとみゆき。
しかし一方でゆたかは黒化によってヤンデレ属性を手に入れ、要らん知識を蓄えたつかさは「こなちゃん女体盛り計画」を企む。
四者四様の思惑が絡み合ったまま、舞台は2月14日……聖バレンタインデーへと移ろうとしていた。


次回、らき☆すたの女の子でエロパロ37
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1202745120/


「あ、私パティと付き合うことにしたから」
『どんだけー!?』