封神演義で!!!4

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92教主と公主の話EX OP編(前)-7/9:2008/11/01(土) 02:27:01 ID:YTF+50t2
「ぶっちゃけそこまで親身になってあげるほどの義理もありませんからね」
なんて、と並の女性ならコロリと言いなりにできそうな計算づくの笑顔で誤魔化してみたところ。
「むぅ…………ならば何が欲しい」
「は?」
眉を立てて更に詰め寄る公主。
その発言は楊戩の発言と微妙に繋がっていないような。
「相応の何かを差し出せば親身になって貰えるのじゃろう?」
「えーっ」
大失敗だった。
これは良い考えじゃと勝手に盛り上がってますけど明らかに酔っ払いの理屈ですよ
っていうかエロパロ板でその発言は命取りですよ!?
相手如何では少年誌では匂わすことも禁じられかねないような目に遭わされてたとこですよ!?
という内心はおくびにも出さず楊戩は考え込むフリをする。
いや実際考え込む。
別にムキになって隠しだてするほどの事ではない。
けれどもったいつけてしまった以上今更素直に言ってみてもなんだか気まずいし。
どうせ相手は酔っ払い、
逃れられないならここは適当な注文で煙に巻くのが一番……なのだろうけれどさてどうしたものか。
できっこなさそうなこと――例えばエロパロらしく「じやあ裸踊り」とか言ってみてもし
万が一酔った勢いで実行されてしまったりしたらあとで燃燈さまに(中略)からそういうのは避けたい。
とはいえ羞恥系を避けるとなると個人的な領域をつつくことになるわけで、
彼女に関してそんな好き嫌いだとかの詳しい知識は残念ながら持っていない。
ああこんなことならもう少し彼女の情報を持っておくのだったと頭を抱えたところで名案を閃いた。
「……そうですね、それなら――」
たっぷり間をとって。
「――丁度体がなまって仕方がないなあと思っていたところなんです。
 一度手合わせ願いたいのですが。全力で」
“全力“の部分を強調して持ち掛ける。
相変わらず歪みなくアルコールを喉に流し込みながら待っていた公主は目を丸くした。
「……なんじゃ、そのようなことで良いのか?」
随分簡単な、と首を捻る彼女に対して指を立てて楊戩は更に口を開く。
「嫌だなあ、全力でですよ、全力で。ですから――」
つまり、話は公主が全力で動ける体になってから、ということです。
説明すると、途端に公主の表情は曇った。
何かぶつぶつ言いながら指を折る様子を傍らで見ている楊戩はなんだか罪悪感を覚えてくる。
そんな真面目に考え込まれると穴が見つかりそう……じゃなかった、
時間が必要な対価を注文すればそのうち忘れるだろと思ったのにこの分だと
絶対忘れてくれそうにないなあ……じゃなかった、
とにかくこれほまでに真剣な応対をするような人相手に
自分はなんて申し訳無いことをという気分にならないでもないんですよ!!
…とはいえこういう些事を小さな事と侮って放置すると
後々思いもよらぬトラブルを招く場合が時にはあるわけで、楊戩は心を鬼にしてもう一押し。
「そんなに考え込むほど難しい注文では無いでしょう?
 全力とは言いましたけど何も燃燈さまから盤古幡をかっぱらって来いとかいう話じゃありませんし、
 それに何も重大な契約というわけでもない――ただの口約束です」
勿論僕は約束は守りますけどね、と一応付け足しておいた。
言ってしまったからには軽んじるつもりは無い。
けれどだからといってあまりに重たく受け止める必要も無い。
そんな程度の話だ。
93教主と公主の話EX OP編(前)-8/9:2008/11/01(土) 02:27:58 ID:YTF+50t2
「…………楊戩」
そして公主は何故か唖然とした顔でそんな楊戩を見、
「……すまぬ、空になってしもうた」
最初のうちは注ぎ足し注ぎ足ししていたはずの桶を逆さに振った。
見事に空っぽだ。
途中から注ぎ足し無しにカパカパ飲みまくっていたのだろう。
楊戩はそれほどおかわりした覚えが無いので
ほぼ手桶一杯ぶん彼女が飲み干してしまったということか。
「あー……これは見事にスッカラカンですねえ」
これじゃもう注ぎ足しただけじゃあ酒にはなりませんね、と苦笑い。
供給が切れたからか、一時のくどさの抜けた公主も恥ずかしそうに笑う。
期せずして話題が転換され、お開きには丁度良いとどちらからともなく腰を上げた時。
「愚痴に付き合わせてしもうて悪かったの。
 それと――私はあまりにも長きに渡って受け身な生き方をし過ぎていたようじゃ。
 お主に指摘されるまで至極単純明快な事実にすら気付かぬでおった。
 礼を言わせてくれ。今度は正真正銘、お主の手柄じゃ。
 ――ありがとう」
「……は?」
――自分は。果たして感謝の言葉を送られるほどの発言を、
たったあれだけの台詞の中で彼女にしていただろうか。
楊戩は上げかけた腰をもう一度屋根に下ろして、立ち上がった公主を見上げた。
何かしらの返答が来るものと無言で待つ楊戩と、真意を探るようにこれまた無言で彼を見下ろ

す公主。
主観としては奇妙に引き伸ばされて感じられる短い沈黙の時間を経て、
先に――笑うような形に口を開いたのは公主だった。
「……わからぬか。そうか……いや、そういうものなのであろうな。
 うむ、気にするでない。
 お主にとっての当たり前が、私には新鮮で――そう、革命的だったのじゃよ」
彼女の中ではもうそれでこの話は完結してしまったのだろう。
忘れてくれ、と笑みを深くして去ろうとする姿は謎めいてはいても潔く、
追及する気を削がれてしまった楊戩も今度こそと腰を上げかけ――
「……――ッッ!?」
どすん、とやや無様な音を立てて尻餅をついた。
なにせ何の前触れもなく公主に全体重で飛びつかれたのだ、
下手に受け身もとれず押し倒される形で屋根瓦に完全に後頭部が乗ってしまった。
抗議しようと開きかけた口を手で塞がれると同時、彼女の突然の暴挙の原因に思い当たる。
「――勘が鈍った……のではないようじゃな。
 どうあれ、すまぬが今しばらく付き合ってもらうことになりそうじゃ」
唇が触れかねないほど至近で耳打ちされても
口をがっちり塞がれている楊戩はうんともすんとも言えない。
確かに数秒前から不穏な物音というか気配というか──耳に入ってはいたのだ。
けれど彼にとっては気にするほどのことではなく、
そろそろ帰宅者が出るような時間かなとかちょっと考えた程度だったわけで
なんで身を隠さなければならない(のだろう、体勢的に)かだとか本当にわからない。
という思考の間にもう庭では大きな動きが始まっていた。
94教主と公主の話EX OP編(前)-9/9:2008/11/01(土) 02:28:39 ID:YTF+50t2
屋根上の二人からは現在死角だが、
庭木の根元からやや離れた、整備したてで若干柔らかな庭土がこんもりと盛り上がり
――その頂点を突き破って長い爪が飛び出し、瞬く間に地面の穴を広げ――
持ち主のずんぐりしたシルエットが土中から月明かりの下へと転がり出る。
特色は少々違ってはいるが土を操る爪型宝貝の持ち主は現在二人居り、
しかしこの特徴的な体型を例えば遠目だったとしてももう一人に間違う者は恐らくいまい。
土行孫だ。
そして地べたを必死に這いずる彼の足首をがっちり掴んでいる細い手指があり――
「だあーッッもう! いい加減離しやがれッッ!!」
――カサコソと不快害虫のごとく暴れまわっているにも拘わらず
全く土行孫を離そうとしないそれは先程彼の出て来た穴の奥から伸びており、
やがてもう片方の腕がぬうっと出、穴の縁を掴み、
恐るべき膂力でもって残りの体を持ち上げたのだった。
どこかに引っかかったのか、ふたつの長い三つ編みが一瞬引っ張られ、
しかしすぐにぴょこん、と跳ね上がる。
「――ハニーッッ! よくも逃げようなんてしてくれたわね!!!」
土埃にまみれた顔を拭い土行孫の(一応)妻・蝉玉は怒声を張り上げ、
次いで拳に宝貝を握り込み、腕を振り上げ、そのままの勢いで
「うわおまちょ、待」
愛する夫の頭部をぶん殴った。

めちゃくちゃ良い音がした。





──────────後編に続く→



試験的にユニコード代替表示を使用しました、クレームつくようなら後編は半角カナ等に変えます。
では>>80氏の可愛い公主様を待ちつつ後編なんとかしてくる!
95名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 02:29:52 ID:YTF+50t2
ってごめん一部改行ミスってた。以後気をつける。
96名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 07:38:13 ID:3VKKXkkh
期待あげ
97名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 07:38:38 ID:ay9Ov3zH
蝉ちゃん攻めと聞いて裸靴下で走ってきました
98名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 15:33:33 ID:rL54V6/y
>>94
なんか頑張ってるな!新鮮だ
wktkして続き待ってる!
99名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 16:16:39 ID:fOxPkJfI
保守
100教主と公主の話EX (中):2008/12/05(金) 21:30:48 ID:gYGUJteq
2桁投下を避けようと前振りだけ投稿してシコシコ後編を書いていたつもりが
いつの間にか中編になっていましたよサーセン……。
つーわけで>>94の続きです、
後編はもうエロ無しで今後小ネタ落としたくなった時のための地固めパートだけなので
興味のない人は今回投下分だけ目を通して下さいますれば。
引き続きエロ有りカップルはメ欄。
前回いっちゃん大事なこと言い忘れてましたが 俺 設 定 注 意 です。
101教主と公主の話EX (中)-1/8:2008/12/05(金) 21:32:05 ID:gYGUJteq
月明かりの下、豪快且つ猟奇的な殴打の音が何度も繰り返される。
ガシッ!ボカッ!なんて生易しいものではない。
擬音を当てはめるのもはばかられるような、
皮膚が裂け肉がひしゃげる湿った音混じりの本格的なアレだ。
「ハニーのバカ! 浮気者! ハニーを殺してあたしも死ぬ!!」
などと泣き叫びながら殴打を続ける蝉玉だったが、
端で聞いている側からすると既に殺してしまっているのではないかと疑いたくなる状況だ。
なにせ殴打されている側の土行孫が最初の数回はギャーと叫んでいたのに
今はすっかり静かに殴られるままになっていて、
ただただ彼女の叫びと湿った打撃音が響いているばかり。
蓬莱島で死した仙道はおおむね神界に送られるという原則を知らねば
既に土行孫は少年誌ではモザイクだとか修正海苔だとか無しでは描写できないような
陰惨悲惨な姿になり果てているのではないかと思ってしまうところだ。
……死んでいないというだけでかなり近いことにはもうなっていそうだけれど。
「……で。なんで僕らは隠れてるんでしょうか」
未だ屋根上、
押し倒され今や迂闊に物音も立てられぬ状態ながらようやく口の蓋を外された楊戩は
まず何はともあれ最大の疑問を口にした。
勿論音声が漏れぬよう先程自分がされたのと同じ、
ギリギリまで相手の耳に口を近付けて囁きかける方法で。
こんな体勢でいる場面を人に見られてあらぬ誤解を受けるのは自分としてもまずいので
本当にぼそぼそと、
相手にさえ果たしてきちんと聞こえているのかという音量だったのだけれど、
どうにか伝わったらしく公主はうむ、とひとつ頷き
「――ついとっさに」
いけしゃあしゃあとのたまった。
「あっ……あなたという人は…………」
どうにか大声を出さずに済ませて頭を抱える。
考えてもみればあらぬ誤解を受けて困るのは彼女も同様ということなのだろう。
――だったら僕だけ突き飛ばして自分はさっさと行っちゃってれば良かったんじゃ…。
なんて思わない思わない。
それにあんな修羅場と鉢合わせするというのも気まずかっただろうし。
いや先客に気付いてたらもしかしたらあんな凄惨な展開にはなっていなかった……?
いやいやもし顔突き合わせることになっていたとしてもあの様子じゃ
ギャラリーお構いなしにDVっていた……?
いやいやいや……
堂々巡りな思考に深く沈む楊戩。
キリがないことに思い至って現実に立ち返る頃には蝉玉の喚き声は聞こえなくなっていた。
そしてその間へばり付いたままでいたらしい公主が
「――……ッ」
咳込み損ねたような奇妙な吐息を洩らして身を震わせている。
この症状はもしや――
「――……ぁ…………ッッ!」
――酔っ払いによくあるアレではないか。
差し迫った危機に思わず大声を上げそうになった口を手で押さえる。
同じように手で口を押さえている公主は身を縮め、必死で楊戩の上から退き、
しかしそこで力尽きたのか軽い音を立てて倒れ込み、
それでも口には強く手を押し当てたまま
「――ぐっ……ぅ…………」
鼻血を出した。
102教主と公主の話EX (中)-2/8:2008/12/05(金) 21:33:22 ID:gYGUJteq
「――……あれ」
蝉玉は、ふと我に返った。
何か物音が聞こえた気がしたのだ。
しかしぐるりと首を巡らせて周囲を見回しても誰も何もおらず
――改めて正面に目線を戻すと、そこには愛しい夫の変わり果てた姿があった。
「あっ……やだあたし……ハニーになんてことッ……」
震える手でそっと彼の宝貝に触れる。
当たり前だけれど、夜気に触れたそれはひんやりと冷たかった。
死体みたいに。
「……やッッ……やだあああああ! なにこれなにこれなんで!? あたしそんなつもり……」
蝉玉は頭を抱え、身をおこりのように震わせ――
「イヤーッッ! ハニー! ハニー! 死なないでハニーッッ!!」
とどめになりかねない勢いで夫に抱きついた。
のみならず両腕で力の限り締め上げ、
腫れ上がった頭部にめいっぱい頬を擦り寄せ、鼓膜を破らんばかりに慟哭した。
「うあああぁぁぁぁーッッ、ハニーを殺しちゃった、あたしが殺しちゃった、
 ハニーのいない世界なんてあたし耐えられないのになんでこんな、ごめんなさいハニー、
 ごめんなさい! ごめんなさい!! ごめんなさ」
「だあぁーッッッうるせーッッ!! 死んでねーっつーの!!」
「…えっ……」
がばりと身を離した蝉玉の目に映った土行孫は
確かに人だかコブだかわからないほど頭部がボコボコに腫れ上がった、
変わり果てた姿には違いなかったけれど――案外ピンピンしていた。
どこが口なのかもよくわからない有り様の割には、だいぶ元気そうな声だ。
「……あっ…ぅ…………良かった……良かったよおぉ〜……」
「ったく……自分がやっときながら泣くなよなー」
何故か彼女オンリーに冷たい土行孫だったが女を泣かせるのは流儀に反する。
普段なら無駄な抵抗をするところ、
顔をぐしゃぐしゃにして抱きついてきた蝉玉に今回のところは無抵抗に身を預けた。
「だって、だってちょっと殴っただけなのにハニーが動かなくなっちゃうなんて……」
蝉玉にとっては“ちょっと“だったらしい。
あれで。
「アホか!! 普通の人間だったら死んでたぞ!!!」
「うん…ごめんなさい」
「……んっ…まー反省してんならいいけどよ……」
土行孫は落ち着かなげに目を泳がせた。
ここまでしおらしい蝉玉というのはかなり珍しいのだ。
「うん…撲殺なんて野蛮よね。妻が浮気夫に天誅下すための得物は包丁って決まってるのに」
土行孫は今度はサッと青くなった。コブだらけだけど見事に青くなった。
蝉玉はいつの間にやら土行孫の脊髄をいつでもバキ折れる形に腕を回し、
いわゆるレイプ目で地面に視線を落としたままフラットな口調で
「あたしねハニー、ハニーを間違って殺しかけたことは謝るわ、とっても反省してる。
 だけどハニーの態度によっては――改めてあたし、ハニーを殺してあたしも死ぬ。
 ちゃんと作法に則った心中よ。
 だってハニーに不倫されるのもハニーのいない世界もあたしは耐えられないもの」
そうなのだ、この蝉玉という女――流行りのヤンデレのきらいがあるのだ。
実際問題病んでいるという程では無いのだが、
しかし一途が過ぎて時折恐ろしく過激な結論に到達してしまう。
今夜は酒が過剰に入ってしまっているので尚更酷かった。
「よよよよよし落ち着けとりあえず!
 あのな、いい女がいたら男はどうしても目が追っかけちまうもんなんだ、不可抗力ってヤツなんだよ。
 おまえそんな程度で浮気だと思ってたら世の中のとっつぁん全員が浮気モンだぜ!?」
改めて身の危険を感じた土行孫は必死に彼女を宥めにかかる。
103教主と公主の話EX (中)-3/8:2008/12/05(金) 21:35:00 ID:gYGUJteq
「そうかしら…」
気のない口調を返す蝉玉。
「そうなんだって!
 そりゃ崑崙の連中は変に禁欲的でつまんねージジィばっかだけどよぉ、
 おめー金鰲にいたならわかんだろ!?」
土行孫はかなり必死にたたみかける。
崑崙山は(特に修行中の未婚の道士には)禁欲を是とする風潮があるが、
聞くところによると妖怪中心の金鰲ではそうでもないらしいのだ。
「……じゃあ、ハニーは確かにあたしだけを愛してるのね?」
「そっ……れは……」
「答えられないの? やっぱりほかの女に気が」
「違う違う違う! そのー、なんだ、て、照れるじゃねーかよ……」
土行孫は誤魔化した。
「嘘よッッ!!!」
通用しなかった上に逆鱗に触れてしまったらしい。
「嘘嘘嘘嘘嘘ばっかり! ハニーはいつも誤魔化してばっかり!
 そのくせ決定的に突き放すことはしないであたしの気持ちを弄んで! もういい! もう――」
いや、彼にしてはかなりきつい突き放し方をしたことも何度かあり、
その度蝉玉は落ち込みつつも持ち前の前向きさで立ち直ってはアピールを続けてきた
というだけの話なのだがそんなことは今の逆上しきった彼女には関係無い。
抱き寄せていた土行孫の両腕をねじり上げ、どこから出したのか赤いワイヤーロープで
きちきちと土竜爪を縛って逃げられないようにし、乱暴に地面に投げつけて
「――もう、実力行使しかないってことよね」
ぎゅうと踏みつけた。
ハイヒールで。
股間を。
土行孫の側からは――パンツ丸見えだった。
「ギャーアアアアアアアアアアァァァァァァ!!!!」
背筋の凍るような悲鳴と共に土行孫は泡を吹いて失神しかけた。
しかし蝉玉は彼が意識を手放すことを許さない。
未だ腫れ上がったままの頬を強かに打って気付けとし、
勝ち誇ったような顔で再度立ち上がり、見下ろす。
「だいじょうぶ逃げようとさえしなければ何も痛いことなんてしないわ、
 あたしだってハニーが苦しむ姿は見たくないもの。
 今のは――あたし以外の女に目を奪われたことのお仕置きよ、もうしないから安心して」
妙に優しく微笑みかけて、まず彼女は
彼に苦痛を与えるばかりの右のブーツをゆっくりと、実に艶めかしい所作でもって脱ぎ捨てた。
脚の付け根近くまで覆うタイプのそれが無くなると、汗ばんだ白い腿が悩ましく月明かりを反射する。
そうして見せつけるように、否、じっくりと見せつけるつもりで剥き出しにした足を、
彼女は決して地面に置いたりなどしなかった。
彼女はひたりと、再度夫の股間に足を置いた。
静まり返った夜気を震わせる、彼の喉の音を聞いた気がした。
「ほら…ね? 痛くないでしょ?」
すり、とくすぐるように足先を滑らせる。
土行孫は上擦った息を漏らして身を捩らせ後ずさろうと試みたが、
庭木にぶつかって更に身動きがとれなくなるだけだった。
「おっ…前……〜〜ッッ! どこだと思って……!!」
「外ね」
「変態! 変態!! 変態!!!」
「やあねハニー、これはお仕置きを兼ねてるんだもの。布団の上じゃ意味ないの。
 あたしの趣味じないわよ?」
「なん…っつー理屈ッッ…………だッ……」
なおも口答えを続けようとする土行孫だったが、
蝉玉は話はこれで仕舞だとばかりにくすぐりを再開する。
足裏を押し返してくる感触の僅かな変化も逃さぬよう、ゆっくりと、じらすように。
104教主と公主の話EX (中)-4/8:2008/12/05(金) 21:36:09 ID:gYGUJteq
「ふふ…ハニーはこれから外で、
 それもいつもなら格好の逃げ場になる地面に転がされたままで、
 なす術なく無様にあたしになぶられて犯されるの。
 誰かに見られちゃったらどうしましょう。もう二度と浮気なんてできないわね
 ……ううん。他のどんな美人にも目移りなんてできないくらい――溺れさせてあげる」
陶然と笑い、蝉玉は更に足を蠢かすのだった。
土行孫は――時折ブチ切れた彼女にこうされるのが、ぶっちゃけ結構好きだったりした。
ので、蝉玉が完璧にアッチの人状態とわかれば無駄な抵抗はしない。
諸々あって絶対に本人の前では匂わせすらしないけれど、
結構悪しからず思っていたりするのだ。
でなければいくら成り行きだろうと結婚までしてやったりなんかしない。
持てる全ての力と思い付く限りの全ての手段を以てして抵抗し、逃げたはずだ。
そんなわけで彼はこんな屋外でという恥辱には目を瞑り、
都合良く快楽のみを楽しめるよう頭を切り替えて
蝉玉には悟られぬよう目を伏せ屈辱に耐えているような呻きを漏らすのだった。
どうせ、こんな場所で淫行に及ぶ不届きな仙道がいるなどとは誰も思うまい。
105教主と公主の話EX (中)-5/8:2008/12/05(金) 21:37:15 ID:gYGUJteq
「……たぶん本来いっちばんバレちゃいけない立場の人物に最初っから筒抜けなんだけどなぁ……」
何がどうしてそうなったのか彼からしてみればサッパリ理解できない流れの果てに
アンアンやり出した暴力夫婦の濡れ濡れなやり取りをBGMに楊戩は溜息を吐いた。
とりあえず土行孫の喘ぎ声とか
一生のうちに聞きたくなかった音声のかなり上位であることは間違いない。
人様の濡れ場を盗み聞きしている状況でしかも隣には絶世の美女がいるにも関わらず、
吊られてムラムラしたりなど全くできない楊戩なのだった。
最も――その絶世の美女の方も、
現在とても手を出したりしたくなるような有様ではないのだけど。
「……すまぬ楊戩、とんだ面倒をかけてしまった…………」
鼻血――正確には吐血を抑えようとして逆流したものなのだがまあとにかく――を出して
うずくまった公主に対して、楊戩はとっさに六魂幡を翻して対応した。
つまり――彼女の大量に流れ出た血液が滴り錆の臭いを撒き散らさぬうちに、
それらを残さず消し去った。
たぶん長い仙人生活のうちでもかなり上位に入るくらいしょうもないものを収縮してしまった気がしたが、
「ゲロじゃなかっただけマシですよ、
 それにどうせ存在自体を消去してしまうんですから不衛生とかありませんし。
 ――何より。綺麗どころは鼻血を垂らしてはいけませんからね!」
彼のポリシー的に絶世の美女の鼻血ブー助な姿というのは存在してはならなかった。
それに六魂幡は広げっぱなしにしておけば
ついでに向こうからこちらの様子を悟られぬ防護壁にもなるので都合が良いし。
いや本当にスーパー宝貝というのは便利なものだ。
「そ、そう言ってもらえるのは有り難いが……むぅ」
あまりの申し訳なさに先程から三角座りで小さくなったままの公主。
さっきからイチャコラアンアンやってる音声も
耳に入ってはいるのだろうが意味を成していないのだろう。
気まずくならないのはありがたいが……。
「お主が気にせずとも私は気にするのじゃ――父君の形見であるというに」
私ときたら、と更に深く顔を膝の合間に埋めて。
小さく、けれどはっきりと、彼女は呟いた。
「……ああ。そんな、こと」
そんな、気遣い。
「……そんなことは良いんですよ。ああいや、別に父を蔑ろにしているわけではなく。
 ――宝貝は、使うものです。スーパー宝貝は大変に強力で、
 あなたも勿論ご存知でしょうが使い手に多大な負担を与えます。
 けれど。どう使っていくかを考えた時、
 大仰ですが――荒っぽい使い方しかしてやれないのは、悲しいでしょう?」
大切だから、と長々語った。
公主は黙って全て聞いていた。その上で。
「……わかった。これは面倒をかけてしもうたことへのけじめじゃ」
とひとつ頭を下げて、やっと笑った。
良かった良かった、と安心して笑い合ったところで――

「んっ……あたしのこと言えないんじゃないのハニー!? 気持ち悪い! こんなになってるわよッッ!!」

――台無しな感じで蝉玉の声が響いた。
公主の顔から、表情が消えた。
106教主と公主の話EX (中)-6/8:2008/12/05(金) 21:38:33 ID:gYGUJteq
「踏まれて感じてたなんてとんだ変態ね! ほらっ! ここがいいの!?」
蝉玉はノリノリで足コキをしていた。
下履きの前を器用に爪先で開くと中身が跳ね上がり、
そこがもうしとどに涎を垂らしている様を揶揄するが、
「ひっ…との、ことっ……言えねーのは、どっちだ!」
しかし土行孫も目敏かった。
ようやく腫れの引いてきた顔はちゃっかり蝉玉の太股、そしてスカートの中に常に向けられている。
視界が悪いにもかかわらず
そこが今や汗とは全く異なる質感の水分を肌に這わせている状態なのがわかるのだ。
「とんっっでもねー淫乱だな! 俺が気付かねーとでも思ってたのかよ!?」
なめんな、と吼えるがどう見ても限界が近いのは土行孫側であり、
蝉玉はそんな夫の強がりを鼻で笑って見下ろす。
確かに足でいじっているだけで自分まで腿を伝わすほどに濡れているのは異常なのだろうが――
「だってハニーがあたしの足でこんなにみっともなく興奮してくれてるのよ?
 妻にとってこれほど気持ちいいことってないわ!
 あたしはねハニー、ハニー限定の淫乱なの、他の男じゃこんなに感じられない、
 ハニーだけよ! 触りもしないであたしをこんなに濡れさせるのは!!」
――彼女にとって、彼からのそれは真に罵倒の意にはなり得ない。
交合の最中に彼の口から出る言葉に意味なんて無い、
彼の下半身から伝わる熱い律動だけが意味を持って彼女を行動させる。
「ね、わかったでしょあたしの愛。
 ハニーは忘れっぽいからすぐ忘れて他の女に目移りするみたいだけど……」
ぎゅう、と不意打ちでへし折らんばかりに肉棒を踏みつける。
土行孫は目を剥いて呻いたが、
蝉玉の足裏に伝わる硬さはひとつも変わらないばかりかむしろ限界まで張りを増した。
「……あたしはいつでもハニーを愛してるから、
 そんな時はいつでもどこででもこうやって思い出させてあげる」
不気味なほど甘い声で言い切って、
蝉玉は未だ朦朧としている土行孫の小さな体に跨った。
「つまり――あたしって、いつでもハニーがしたい時に使える肉便器なのね」
そもそも。
愛しい人から向けられる言葉ならば、どんな内容であっても快感とするのが夜の妻。
物足りないのか彼女はセルフで更に自分を貶め、そうしながら下着をずらす。
了承も求めず一息に夫を呑み込んでしまえばもう、仕置きだとか何とかそんなことはどうでもよかった。
「んッッ……あぁああああああ!!」
下腹を刺し貫く熱に押し出されるように吐かれるのは息ではない、
悦びに張り裂けんばかりの嬌声だ。
どれほど濡れていても直接触れてほぐしたのでは無い。
数瞬前まで閉じ合わさっていた場所を強引に割り開かれ、その違和を拭う間も与えられず
奥まで蹂躙し尽くされる感覚ときたら
彼女にとって挿入しただけでイッてしまえるほどの強烈な快感だった。
「んぅう……〜っ」
ここまでひたすらに夫を虐げ(ながら悦ばせ)ることに執心していた蝉玉だったが
今やそれどころでは無いほどの圧倒的な絶頂感に身を強ばらせ、
息を吐くのが精一杯だとばかりに痙攣している。
下腹が更なる刺激を求めてうねり、
女陰はしとどに蜜を垂らして既に奥まで到達してしまっている挿入物を
いっそ肉の内に取り込みたいかのようにきつくきつく搾り上げていた。
快楽どころか熱烈すぎて苦痛まで与えるレベルの締め付けに
組み敷かれた土行孫は射精のタイミングを逃し、
出したいのに出せない異様な感覚に支配されながら見上げる視線の先、
震える蝉玉の健康的に張り出した乳房、布越しに物欲しげに自己主張するその先端、
汗と涎とで濡れ光る白い喉を奇妙に冷めた思いで眺める。
持ち主の痙攣に合わせてふるふると漣たつ双乳は、
今彼が求めさえすればすぐにも新たな快感を提供してくれるだろうし
実際何度かそのようなシチュエーションも体験している。
……強制だったことは置いておくとして。
107教主と公主の話EX (中)-7/8:2008/12/05(金) 21:39:21 ID:gYGUJteq
確かに悪しからず思っているとはいえ――正直なところ(一応形の上では妻である)この女に対して
自分が具体的にどういう感情を抱いているのかというと、土行孫自身よくわからないのだ。
誰もが口を揃えて「そんなに愛され尽くされて何が不満なのだ(ブサメンの分際で)」的なことを言うが
なんぼ非モテでも好みというものはある。変な女でさえなければ――確かに上玉だけれど。
そう、たとえば彼の永遠の憧れである竜吉公主だとか、その弟子の碧雲だとかのような
しとやかさがあればかなり最高だとは思う。
しかしだ。
性格が違えばそれはもう彼女では無いわけで、
割と紳士の土行孫は「そのしつこい性格をなんとかしろ」などとは言えず、
他のどのような手をもってしても蝉玉は絶対に諦めず、
なし崩し的にこんな関係になってしまっているのだった。
だいたい世界中でたった一人の異性だけを永劫に愛するなど、できるものなのだろうか。
自分はもっと、軽くて良いのに。
「……ハニー?」
とかなんとかロマンチックっぽい思考に陥っている土行孫に、
半ばとろけた顔のまま蝉玉が覆い被さった。
「うふ、ハニーったら…一緒にイッてくれないなんてホントつれないんだから…でもほら」
「…!!」
すっかりほぐれた肉襞を器用に吸い付かせ、尻を弾ませるように腰をくねらす。
今度は明らかに相手を好くするための動きだ。
土行孫はたまらず呻くが蝉玉は全く動きを緩めず、むしろより一層情熱的に下腹を蠢かす。
元より限界近かった土行孫だ、これには到底耐えられず、
情けない吐息と共に腰をガクガク浮かせた。
「ぁんぅううう……ッッ! すご、い、ふふっ、いっぱい……はぁ、ビクビク、って、してるぅ……」
どこか勝ち誇ったような、しかし余裕のない表情で、
これこそが至上の馳走なのだとばかりに目を細めて苦い濁りをキリキリ搾り上げる彼女の
その淫らがましい姿ときたら他の誰も見たことなどあるまい。
できれば土行孫は淑女の方が好みではあったが
――夜の生活的には、このくらいはしたないくらいで丁度良い。
もうちょい色々こっちから触ったり揉んだりできるのが理想だけども
彼女に対してそれをする気にはなれないのでそれはそれとして。
「ね、ハニー、気持ちいいでしょ、汚いものいっぱい中に出して、
 なのにまだこんなにあたしはヌルヌルグチョグチョ動いてて、ほらっ、
 また大きくなっちゃった、ふふっ、うふふ…!
 もっといっぱい、あたしのお腹が破けちゃうくらいしてくれなきゃ許さない…!」
108教主と公主の話EX (中)-8/8:2008/12/05(金) 21:40:59 ID:gYGUJteq
まったく。
いつもこうだ。
「あっ…ふふふ、やだぁもう出ちゃうの? うん、いいよぉ、
 あたしっ、ハニーが出してくれるたびにイっちゃうから、
 ハニーが気持ちよくなる時はいつもあたしも一緒なのよ、あっ、ぅんっ…!」
蝉玉の背がしなる。
土行孫が歯を食いしばる。
「やだやだ、溢れてきちゃった…ぁん、勿体無い……うふ……」
結合部から漏れ出た二種の体液の混ざり物を指で掬って
これ見よがしにチュッチュとしゃぶる彼女はまだまだまだばてそうにない。
世の普通の夫婦に比べれば、
土行孫が逃げ回っていることもあり夜の営みの頻度はだいぶ低いのだろうが
――その代わりというか。一晩の回数は常軌を逸していた。
男を知らぬ体だった初夜から貫通の苦痛をものともせず驚嘆すべき精力を発揮し
肉体面では完全に土行孫を籠絡した蝉玉は、
しかし自身も完全にその未知なる快楽の虜となってしまい、
だというのになかなか捕まらぬ夫に想いと欲求は募り、
一途な彼女は他の男に粉をかけるのは勿論独り遊びすらできず
結果としてたまの機会に過剰なほど頑張ってしまうようになったのだった。
さて今回は一体何度イかされることやら。
土行孫は早くも数えることを諦めた。
この女ときたら、場所が屋外であろうと全く問題なく腰が抜けるまで続けるつもりらしいから。
どうせ、こんな場所で淫行に及ぶ不届きな仙道がいるなどとは誰も思うまい。
…ちょっと前に既に一度、全く同じ形で思考を打ち切っていたことを既に忘れている土行孫だった。





──────────(今度こそ)後編に続く→

また間空きそうなので順番待ちの方がいましたら気にせず落として下さいお願いします><
109名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 20:05:04 ID:jm+xOKRp
続編投下GJ!
夫婦万歳w

そして無茶な要望で申し訳無いのだが、
場面転換の際に、空行でも入れてくれると読みやすい
次もお待ちしてます!
110名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 19:35:08 ID:0xhlGorK
臭いフェチの俺は蝉ちゃんのブーツ下の臭いを妄想してハァハァするぜ!
111名無しさん@ピンキー:2008/12/28(日) 00:59:46 ID:EcE5Z7ZB
いいねこの夫婦。安能版で死んでた分まで幸せになって欲しい。
112名無しさん@ピンキー:2008/12/28(日) 18:24:48 ID:5oSE77Hq
安能版の土行孫の死に様はマヌケすぎて吹いたw
113名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 22:55:24 ID:AtXpLLUT
ほす
114名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 01:17:30 ID:OZBKpuOP
あけましておめでほしゅ
115名無しさん@ピンキー:2009/01/15(木) 01:28:50 ID:vgnShmTU
にょほほしゅ
116名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 00:16:10 ID:KOhVwz5B
桃が食べたい
桃じりが食べたい
117名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 20:28:49 ID:svK0X/Rg
サクラテツはここで良いの?
それともジャンプ総合が適切?
118名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 20:42:19 ID:lCYGsxo9
一応藤崎作品ならおkじゃなかったっけ?
前スレは藤崎作品総合だった気がする
119名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 22:31:48 ID:ijl1aLe7
最初の方で屍鬼トークとかちょっと出てたしここがフジリュー総合でいんじゃね?
120名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 01:03:02 ID:jbIRNu+l
───わしの名前は太公望。世界を救った「最初の人」。チンチクリンで怠け者体質の愛され軍師♪
わしがつるんでた連中はカバの容姿で悪徳ロリータのハートを射止めた超仙界シンデレラ四不象、
そろそろ短パン姿はきつい年齢のはずの武吉。
訳あって素性を隠して崑崙山に所属していた楊戩。
仲間の目を盗んで遊ぶ楽しみはあってもやっぱり地球はタイクツ。
今日もモモをくすねたことで農家のオッサンと口喧嘩になった。
素性を隠して人間界を渡り歩いてるとこんなこともあるからストレスが溜まるよね☆
そんな時わしは一人でこっそり蓬莱島を歩くことにしている。
がんばった自分へのご褒美ってやつ?自分らしさの演出とも言うかな!
「あームカツク」・・。そんなことをつぶやきながらしつこい雑魚妖怪を軽くあしらう。
「オイお前どっかで見たことあるツラだな?」どいつもこいつも同じようなセリフしか言わない。
モブ妖怪はたまに格好いいのもいるけどなんか薄っぺらくてキライだ。
もっと等身大のわしを見て欲しい。
「太公望さま・・。」・・・またか、とセレブなわしは思った。
シカトするつもりだったけど、チラっと相手の顔を見た。
「・・!!」
・・・チガウ・・・今までの妖怪とはなにかが決定的に違う。
スピリチュアルな危機感がわしのカラダを駆け巡った・・。
「・・(犯される・・!!・・これがわしの運命・・?)」
相手はビーナスだった。連れていかれてレイプされた。「ギャーやめれ!」関節技をキメられた。
「ブツン!ズッニュー!!」わしは(精神的に)死んだ。主人公(笑)
122名無しさん@ピンキー:2009/02/11(水) 00:03:28 ID:S9cbIEo5
wwwwww
GJ!!
123名無しさん@ピンキー:2009/02/18(水) 18:46:08 ID:1MT200D1
ズッニュー懐かしいなw
124名無しさん@ピンキー:2009/02/23(月) 10:21:43 ID:CRQyFk2D
ho
125名無しさん@ピンキー:2009/03/03(火) 21:03:53 ID:jKOBzwxN
ああ……だっきちゃんにちゅっちゅ攻撃したい…
126名無しさん@ピンキー:2009/03/10(火) 19:13:34 ID:pq03HS9V
職人さん来ないな…終わって何年も経つ作品スレなんてそんなもんか。
今書いてる人も他の人も待ってるよ保守保守。
127名無しさん@ピンキー:2009/03/21(土) 20:12:14 ID:b9S4Bnls
最近完全版読み直してみたら後半になるにつれて公主と張奎が近くにいるカットが多くなってるような気がしたが(シスコンが先頭突っ切っちゃってることが多いのが原因かも)
この二人のカップリングとか想像して興奮して俺はなにやっていたんだ状態に
128名無しさん@ピンキー:2009/03/23(月) 01:39:03 ID:tXiTz/iz
やべぇ楊×竜堪らん
129名無しさん@ピンキー:2009/03/28(土) 11:13:23 ID:9ZbygIO9
名作なのに
130名無しさん@ピンキー:2009/03/31(火) 08:50:45 ID:q8L1bABT
保守
131名無しさん@ピンキー:2009/04/07(火) 04:04:28 ID:l4mNH8ks
蓬莱島でねんとうの前で二人並んでいた楊ぜんと公主を見て
「結婚式の愛の誓いかよ」と思った懐かしい思い出



楊竜すきだあああああああああ
132名無しさん@ピンキー:2009/04/15(水) 20:32:04 ID:KlhAShT+
公主かわいいよ
133教主と公主の話EX (後):2009/04/16(木) 22:21:00 ID:XuCflqQ8
何だこの空前の楊竜祭は!俺にもボケさせろ!!
じゃなくて、規制に巻き込まれてて投下しに来れませんでしたが
>>108の続きです。エロ無し。


>>109
改めて見返してみたら確かにレス区切りだけじゃ読みづらいですね、少し気をつけてみます。
134教主と公主の話EX (後)-1/1:2009/04/16(木) 22:21:40 ID:XuCflqQ8

「……」
「…………」
「…………」
「………………」
――気まず……ッ!
表情フラットのままぼんやり前を見て黙り込んでしまった公主を見るにつけ楊戩は変な汗が出た。
この楊戩に精神的動揺による失言など無い
……といつものように言い切れないのは何故なのだろう。
なんか未だにアンアンやってらっしゃる御夫婦の音声すら耳に入らなくなってきた、
もとはといえばアレがこの気まずさの原因だというのにおかしな話だ。

「――あの二人は」

楊戩的にすっかり空気が煤けきってしまったかと思われた丁度その時、
不意に公主が口を開いた。
「――あの二人は。ああして子を為すことが可能なのであろうか」
またえらく答え辛い質問を…と一瞬楊戩は思ったが、
よく見れば彼女は未だぼんやりと表情無く前を見ているばかりであり
――いや、今はほんの僅か、神妙な顔をしていると言えた。
何にせよ、どうやらそれは楊戩に向けた質問なのではなく、
隣に他人がいることを瞬間忘れて発せられた独り言に近いのだろう。

――ああ、そうか彼女は。

「…蝉玉くんは多分まだヒトとしてギリギリ生殖が可能な年齢でしたから、あるいは」
他の仙女達よりは、生物として遥かに可能性があるだろう。
崑崙内でかなり年長に属する竜吉公主と比較した場合は、更に。
「……っ」
やはり存在を忘れ去っていたか、一瞬公主は驚いたような顔を楊戩に向け
――すぐに力ない笑みを浮かべた。
「すまぬ、またおかしなことを言うたな」
まあ、この状況でそんなある種深刻な物思いにふけるというのは確かにおかしな話ではあるが。
けれど楊戩は、なんだか彼女のそんなズレた思考回路に今、どこか救われた気がした。
と同時に。
「……危なっかしいなあ…」
「うん?」
ここに至るまでの諸々の行動といい、溜め息混じりに肩に手を乗せてみても
不思議そうな笑顔で見返すばかりの公主のなんと無防備なことか。
たぶん楊戩がその気になれば簡単に組み敷いて
セクハラってレベルじゃないあれこれに及べそうなほどに、
彼女には女としての警戒心が足りない。というか、無い。
仙女としての実力がいかに高かろうと、
これでは何かあった時冷静になる間もなく取り返しのつかない事態に及んでしまうこと請け合いだ。
改めて、燃燈様も大変だなぁ…と深く思う楊戩なのだった。


「……おや、二人が戻ってゆく」
「え、いつの間に早っ……ていうかアレを二人って勘定していいんですか」
言われて視線を戻せば軽く会話していただけの間にもう
コトを済ませた蝉玉が土公孫を簀巻きにして揚々と引き上げていところだった。
なんというかどう見ても仲睦まじい夫婦ではなくひとりのおきゃんと大荷物という有り様なのだが
あれでも当人及び公主から見れば何故かきちっとしたひとつの男女の愛の形なのだろう。
……多分。
伺い見た白い横顔はどこかひどく羨ましそうで、
なんだか夫婦の訳の分からん情事なんぞよりよっぽど
見てはいけないものを見てしまっているような気分に楊戩はなった。
しかしそういうものほどつい眺め倒したくなるものであり
そもそも楊戩には変化を嗜むものとして元々観察癖があるわけで
――つい相手が気付くまでの数秒、その複雑な表情をただ眺めるだけの無為な時間を過ごしてしまう。
135教主と公主の話EX (後)-2/4:2009/04/16(木) 22:23:55 ID:XuCflqQ8
当然、隠そうともしていない視線は簡単に察知された。
「……何か?」
「いえ別に」
「……私に変化して弟子達を惑わしたりするつもりではなかろうな」
新発見。半目で見上げられると絶世の美女でも結構俗っぽく見える。
「しませんよ。どうせ惑わすなら燃燈様でしょう」
出来そうな気がしないのに敗北感を覚えない事柄というのも楊戩にしてみれば珍しいかもしれない。
いやいつかは騙くらかしてみせたいものだが
何が悲しくてそんなアホなことに労力を使わねばならんのかという思いの方が今のところ強いだけだ。
たぶん。
「だいたいお弟子さん達には(主に碧雲に)しばしばお世話になってますしね、だから安心し…あ痛」
ほとんど無意識に、
子供にするように公主の頭に伸ばしかけていた手に鋭い痛み……のような感覚が走る。
「え、あれ」
「む?」
痛みと錯覚したのは湿った冷気だ。
極薄の水のベールが楊戩の手が公主の頭に届くのを阻んでいた。
「……なんで!?」
肩に手を置こうとほとんど抱き合うように密着しようと何も起こらなかったのに
こんな誰でもするような何の害意も下心も無い行動にどうして彼女の宝貝が反応するのだ。
わけがわからない。頭に手を触れるのが禁忌だなんて――
「――畜生ですか貴女は!」
犬猫じゃああるまいし、と思わず叫んでしまった。
「し、失敬なことを言うでない!
 お主こそ私の頭に何かよからぬことでも仕掛けようとしたのじゃろう! 私の意志は関係無い!」
「なんで頭撫でようとしただけでそんな勘ぐられなきゃならないんですかそっちこそ失敬ですよ!?」
「そのような筈が無かろう!今の今まで何をしようと無反応だったのじゃ、お主が――」
売り言葉に買い言葉とでも言うのか、
心底どうでもいいような譲れないもの合戦で危うく小学生の喧嘩になりかけたところで
正気に戻ったのか公主の台詞が途絶え、
少しの間を置いて互いの口から大きな溜め息が吐き出された。
「……いかん。酔っておるな。これでは子供じゃ」
「……同感です」
双方自分の大人げなさに肩を竦めて苦笑する。
「おそらくは私の側の不調なのじゃろう、疑ったことは謝る……しかし畜生は無いじゃろう畜生は。
 お主自分が同じことを言われたら私よりよっぽどショックじゃろうに」
「僕もその点に関しては謝りますよ。だからそう苛めないでくれません?」
はー、と再度溜め息を吐いた楊戩は言うほど傷ついてもいなかったのだけれど、
公主がえらく真面目くさった顔で頷いたものだから
別にいいんですけどねとかフォローが出来なくなってしまった。
136教主と公主の話EX (後)-3/4:2009/04/16(木) 22:24:27 ID:XuCflqQ8
「しかし――本当に随分話し込んでしまったものじゃ。
 何度も引き留めて悪かったの。今度こそ戻るとしよう」
気分を入れ替えたのか、やけにすっきりとした顔で言った公主の周囲、
常に漂っていた水球が掻き消えていた。宝貝の使用を中断したらしい。
そしてそれに楊戩が気付いたと認めるや唐突にガッツポーズなどとって見せた。
「私はのう、良い事を考えたぞ、楊戩!」
ふふん、と随分と得意げに笑う表情が見たこともないほど明るい。
「はあ、何を」
基本的に姫君のする振る舞いしかしたことがないのだろう、
力が入りすぎて不格好なポーズといやにやる気に満ちた表情は
彼女が何を決めたのか聞く前からなんか失敗しそうだな感を漂わせていたが、
しかしともかく礼儀として楊戩は質問した。
「まずは体力作りからじゃ!
 思えば私は宝貝に何でもかんでも頼りすぎじゃった。これではいつまでも虚弱なままじゃ」
「……はい?」
「私は約束は守る。例え――相手が幾ばくの時間も経たぬ内に忘れてしまうような
 口から出任せであろうと、な」
恐らくは生まれて初めてしたのではなかろうか、
公主はほんの僅かだけ意地悪げな笑顔を作って楊戩の顔を覗き込む。
実際色々ありすぎて自分の発言が忘却の彼方だった楊戩は不意を突かれて言葉を失った。
「……っ。あー……参った。参りました。なめてかかってました。申し訳無い」
大人な姫君だと思いきや意外に子供じみた人だ、と思いきややはり充分大人だった。
軽い目眩すら覚えて頭を掻く。
なんというか、うん、完全に一本とられました。ハイ。
「ふふん……約束は守る、という下りは信じて良いのじゃろう?
 今度こそ忘れるでないぞ。私はお主を信頼すると決めたのじゃから」
無邪気に笑う公主の纏う空気はそれでもやはり童女じみていて、
きっとこの人は自分が考えている以上に本当は捉えどころの無い大人の女なのだろうと
楊戩は眩しく思った。
「嬉しいですけどね、駄目ですよ、頼ってはね」
だからもう少しだけ、揚げ足をとってしまう。
「しかし信用では少し違うのじゃよ。いつか太公望が言うておった……お主に関してのう」
「わ、初耳です」
なんとくすぐったいことを言ってくれていたのだあの人は。
と楊戩がなんだか感動している間に
公主は下に降りようとして危なっかしく屋根端にぶら下がっていた。
素早すぎる。
そして危なすぎる。
「――ってちょっと! こういう時は素直に宝貝使った方がよくないですか!?」
「いや…つい調子に乗った宣言をしてしもうた手前……なんとか自力で……おお!?」
ものの見事に手を滑らせる公主。
「わーッッ!」
137教主と公主の話EX (後)-4/4:2009/04/16(木) 22:25:19 ID:XuCflqQ8
予測はついていたので反射的に(彼女と違ってスマートに)飛び降りていた楊戩だったが危ないところだった。
伸ばした腕がギリギリで細い体を抱き留める。想像したよりもかなり――
「かっる……」
――軽かった。そのくせ柔らかかった。
「公主。筋トレも必須です。もう少し体重を増やした方が良い」
とん、と地に足をついた途端僅かに身をよろけさせて、それから両足できっちり立った公主が渋い顔をする。
「女子に言う台詞では無いのう」
「あなた細すぎるんだから良いでしょう。赤身も脂身ももっと必要です
 ……ま、日常生活で気をつけていればすぐに増えるとは思いますけどね」
何せ元がなさ過ぎるのだから、減る心配が無くなったのなら今後は増える一方だろう。
パッと見そこまで痩せぎすには見えないがやはり標準よりはだいぶ不健康な体をしている。
「……うむ、わかった。約束があるものな」
真面目な顔で差し出された拳に、少し考えて楊戩も拳を差し出して突き合わせる。
「実は少し、男同士のこのやりとりに憧れておった」
照れたように、けれどひどく嬉しそうに、公主は笑みを零して回れ右した。
「しかしじゃ、何より憧れておったのは――自分の足で歩くことだったようじゃ」

だから今私はとても嬉しい、とその言葉を最後に彼女は立ち去り、後には楊戩のみが残され――
きっと今まで何度となく顔をつきあわせつつ特に親しく話すことなど無かった竜吉公主との、
これはきっと一生分の会話を今夜だけでしたのだろうと、どこかしんみりとした気分で思った。
約束は守るけれど、自分がたとえまた忘れてしまっても彼女はきっと守るけれど、
二人の話はこれでおしまい、もうこれで全部。二人の接点はやっぱり燃燈道人だけで、
だから先には続かない、今夜だけの――
何だろう、友人と言ってしまって良いものか、まあ、そんなものなのだ。
「つまり……酔ってるんだね、やっぱり」
だからなんだというのか、それに何の問題があるのか、
スマートに纏められない思考を持て余しながら、
それでも彼はそろそろまた真面目で優秀な教主に戻らなければならなかったので、
もうそのことについて思考を巡らせること自体を打ち切ってしまった。
それで今度こそ本当に、二人の話はこれでおしまい。




――のはずだったのだけども。

「……何か御用ですか、竜吉公主」
「おお教主! 散歩じゃ」
翌日デスクワークの息抜きに庭木の具合を診ていたところに
至極当たり前といった顔で尋ねてきた公主に楊戩は面食らうしかなかった。
「そりゃ良いことですね。で、なんだってこんなところに」
「気の無い返事をするでない。別に行き先など私としてはどこでも良かったのじゃが……
 今日は弟子共を使いに出しておるのでな、ここならば燃燈がおるじゃろう、
 いらぬ心配をかけずに済むのではないかと思うたのじゃよ」
聞けば彼女がこれからは健康的な生活を目指すのだと揚々と宣言したところ
弟子達もシスコン弟もそれはそれは不安そうにあれこれと反対意見を述べたらしく、
しかし公主としてはそんな程度で長年の夢を諦められるはずもなく、
折衷案でなるだけ単独行動を控えるようにすることに相成ったらしい。
「自由行動はまだ無理じゃが――やはり好きに外を出歩けることは楽しいのう」
くるりと体を一回転させて、少しバランスを崩してふらつきながらも笑う姿は
まだ少し太陽の下で見るには儚すぎたけれど、
「良かったですね」
その不自然さが消えていく過程を眺めることができるというのは、
自分が思う以上に楽しいことかもしれないという予感があったので、楊戩も笑い返した。





ひとまずのおしまい。そして──────────(たぶん)>>50に続く→
138名無しさん@ピンキー:2009/04/16(木) 22:28:19 ID:XuCflqQ8
長々失礼いたしました。
変に間が空いちゃうと読むのが大変なので次何か書いたら最後まで纏めて落とそうと思います。


>>131
萌えすぎて完全版読み返してやっぱり萌えすぎた 連想GJ
139名無しさん@ピンキー:2009/04/17(金) 23:52:07 ID:wRebhy/p
GJ!待ってました!
140名無しさん@ピンキー:2009/04/18(土) 15:50:47 ID:V3Rye4ld
ジャ!!ジャジャジャーン
素敵
http://bandlove.jp/bbs/c12/main.cgi
141名無しさん@ピンキー
楊竜はおもくそはまってたなあ
妄想も山ほどしてたなあ
そして全部中途半端で放り出したなあ