1 :
アホ竜:
〜シルフィードでも分かる保管庫更新講座〜
○新規に保管する場合
1.ゼロの保管庫を開く。
2.上のメニューバーの『新規』をクリック。
3.ページ新規作成メニューが出るので、欄の中にSSの通し番号を入力し、『編集』をクリック。
(通し番号は、スレ番―レス番という形式。
たとえば1スレ目の141番から投下されたSSの場合は1-141と入力すればよい)
4.新規ページ編集画面が出るので、フォームに本スレからSSの本文をコピペする。
5.コピペ後、フォーム下の『ページの更新』をクリック。
ちゃんと出来ているか不安なら、まず『プレビュー』クリックし、実際にどのように表示されるか確認すること。
6.対象SSの作者のページを開く。
(たとえば261氏のSSを保管したい場合は261氏のページを開く)
7.ページ上のメニューバーの『編集』をクリック。
8.対象作者ページの編集フォームが開くので、SSのリストの中に、新規に追加するSSの通し番号とタイトルを入力。
出来れば通し番号順に並べた方が見やすいと思われる。
また、この際、通し番号を[[]]で囲むと、確実にリンクされるはず。
(上の例で言えば、[[1-141]]ゼロの使い魔(タイトル) という風に入力する)
9.入力後、フォーム下の『ページの更新』をクリック。
10.更新終了。余裕があればキャラ別orジャンル別も同じように更新すべし。
○既出のSSの修正or続きを追加する場合
1.ゼロの保管庫を開く。
2.対象SSのページを開く。
3.上のメニューバーの『編集』をクリック。
4.編集フォームとその中に記入されたSSの本文が現れるので、必要な部分を追加or修正する。
5.フォーム下の『ページの更新』をクリック。
6.更新終了。
>>1
乙
3ゲットならテファはドS
アホ竜乙
乙でございまする
>>6 テンプレは少しだけ整理しました。
前スレで、過去スレのURLを全部乗せる必要はないんじゃないかと、意見が出ていたので。
タバサとアンアンしてー
>>7 その意見出したの俺だわw
dd
そんでもって乙
てか平日の深夜だぞ
ロードアベレージが4.5から下がらんとかってどんだけだよこのへんたいどもwww
…壷を入れない俺が悪いのか?そうなのか?
さて、風邪でダウンしてて&諸々の都合で遅くなったけど前スレ546の投票結果。
アン様編。いきますよー
あ、エロパートは次回以降だから無用な期待は禁物(何
へったくそな字で書かれたリストを、才人は何とか読む。
最初の二人は、なんとか分かった。
既知の名前だったので、汚くても読めたのである。
しかし。
「…なあシルフィード」
「さあ、さっさと『呪印』に取り憑かれた娘を捜すのねー!」
ごす。
「…いいから人の話聞けよ」
「…最近サイトおねえさまに似てきたのね」
才人の手刀を頭部に食らってうずくまりながら、恨めしそうな目でシルフィードは文句を垂れる。
才人はそんな視線を完璧にスルーして、リストの一番下を指差す。
「この『黒髪の娘』ってシエスタの事じゃないのか?」
今現在、学院に常駐している『黒髪の娘』といえば、シエスタくらいのものだ。
才人の当然の疑問に、シルフィードは首をかくん、とかしげて。
「シルフィはその娘の名前知らないのね」
はて。シルフィードはシエスタに逢った事はなかっただろうか。
才人はその疑問を口にする。
「シルフィード、シエスタの事知らないのか?」
「黒いメイドの事?知ってるのね。
シルフィが言ってるのは違う黒い髪の子なのね」
…まさか。
才人の中を、嫌な予感がよぎる。
そしてシルフィードは説明を続ける。
「シルフィが見たのは、黒い髪に脚にぴったりしたズボンを履いた子なのね。シエスタじゃないのね」
「何やってんだあのわたあめ姫わぁーッ!」
予感が確信に変わった瞬間、才人は駆け出した。
学院のどこかに潜む、黒髪の街娘…アンリエッタの化けた少女、『アン』を捜して。
アンリエッタは、その日はたまたま、書類整理の雑務しかなかった。
これは好機とばかりにアンリエッタはトリステイン魔法学院へ出向くことにした。
もちろんお忍びで。
雑務処理は代役としては人間より優秀なアルヴィーに任せて、誰にも知らせず秘密裏に。
もちろん、最大の目標である才人にもこの来訪の事は知らせていない。
いきなり出向いて、驚かせようと言う魂胆である。
ついでに、この間タルブに視察に出向いた際に古文書に載っていた『ニョタイモリ』とかいう料理を、才人に試食してもらうためである。
サイト様の故郷の伝統的な料理ですもの、きっと喜んでいただけるはず。
などとその後の妄想まで繰り広げながらアンリエッタの変装した黒髪の街娘、『アン』がトリステイン魔法学院に着く。
門衛とは既に顔見知りなのでもちろん顔パスである。
『アン』はそのまま、『ニョタイモリ』の素材を探しに、厨房に向かった。
しかし。
その道中、図書室前の廊下から伸びる、渡り廊下をアンが横切ろうとした時に、悲劇が起きる。
音も立てずに、小さな黒い影が、アンに背後から飛び掛った。
アンは一切その事に気付かず、そのまま厨房に向かう。
小さな黒い影は、アンの影にそのまま溶け込むように消える。
それを、柱の陰から青い髪の韻竜は見ていた。
「って見てただけかよお前!」
「家政婦は目撃者になるのが仕事だって大いなる意思も言ってるのね!」
「…どこのI原E子だよ…」
間抜けな韻竜と伝説の使い魔のコンビは、わけのわからない掛け合いをしながら、中庭を駆けずり回る。
すると。
厨房裏の倉庫から、大きなバスケットを持って出てくる、トリスタニアではあまり見られない、足にぴったりしたズボンを履いた短い黒髪を短いポニーテールにした少女。
間違いない。
「アン!」
才人の呼びかけに。
「あ!サイト…さ…ん…?」
一瞬悦びに満ちたアンの表情が曇る。
才人が違和感を覚えるその前に。
アンは唐突に、大きなバスケットを置いて逃げ出した。
どうして、と一瞬疑問を抱いた才人だったが、すぐに原因に思い当たる。
それは先刻、傍らできゅいきゅい鳴くアホ竜が吐いた妄言だった。
「わかったのね!倉庫でつまみ食いしてたのがバレて逃げるつもりなのねー!」
「アホかお前わーッ!」
ごす!
「いたいのね二度もぶったのねー!おねえさまにもぶたれたことないのにーっ!きゅいきゅい!」
もう突っ込む気も起きない。
このアホ竜は今や小ネタ製造マシーンとしてしか機能しないのだ、と理解した才人は、慌てて逃げるアンを追いかける。
彼女が逃げているのは、『呪印』の影響。
アホ竜の言葉を借りるなら、『宿主に中から命令して、自分を見つけられないように他人との接触を断つようにしちゃうの!きゅい!』といった所である。
「待って、アン!」
しかし、才人の呼びかけにも、アンは足を止めない。
訳のわからない事を叫んで、逃げるばかりだ。
「こ、来ないで!今すぐそちらに行きたいのはやまやまなんですけど!来ないでくださいまし!」
これも『呪印』の影響だろう。アンは追っ手から逃げ続ける。もう、場所は人通りのない裏庭にさしかかっていた。
どうしたもんか、と才人が頭を捻っていると。
「シルフィにおまかせなのね!」
アホ竜が才人の横をすごいスピードで駆け抜けていく。
才人は、このアホ竜本当にハルケギニア生まれなのか、と疑いたくなった。
「モタモタしてると置いてくぜ!なーのねー!」
両手を後ろに伸ばし、足をバタバタさせながら、どこかで見たような走り方で駆け抜け、シルフィードはあっという間にアンに肉薄する。
「つかまえたー!のねー!」
言うなりシルフィードは地面にばん!と手を衝く。
そして、呪を唱える。
「母なる大地よ、我が呼び声に答えよ」
すると、アンの足元の地面が隆起して、二本の大きな手を形作る。
それはあっという間にアンの両足首を捕まえる。
ごす!
「ぶべ!」
とても女王の扮装とは思えない格好と声で裏庭の芝生とキスした女王は、それきり動かなくなる。
見事に気絶していた。
「みっしょんこんぷりーと!なのね!」
「…ハナっからその魔法使えばいいじゃん…」
呆れながらそう言う才人にシルフィードは。
「逃げる前方に発動させないとだめだからある程度近づかないとダメなのね!
ていうかコレで終わりじゃないのねサイト!」
言って懐から何やら道具を取り出す。
それは、小さな壷と、大きな筆。
「さあサイト、出番なのね」
そして、気絶したアンを、先ほどの土の腕で仰向けにさせ、さらに二本腕を増やして両手足を拘束する。
シルフィードは筆と壷を才人に手渡した。
「シルフィは魔法に集中してないとダメだから、サイトがイタヅラしてコーフンさせるのね!
少女の要所を筆でくまなくなぞるのねー!」
才人は、壷と筆を手にしたまま、呆けたように目の前で拘束されたアンを見つめた。
はい今日の所は以上。
24日誕生日の某家政婦に敬意を表して昨日の内に上げたかったけど無理でしたとさ
絶望した!自分の筆の遅さに絶望した!orz
というわけで今日はもう寝ますノシ
>>17 風邪か〜お大事に(´・ω・)
シルフィがなんか和むwGJ
まったり待ってますよう
久々のリアルタイムだ!!GJ!!
そして
>>1乙!!
>>17 あほ竜とサイトはいいコンビだなあ。
ボケとツッコミがはっきりしているからなのかもわからんが。
>>17 乙です。
家政婦と聞いて戦うメイドさんが初っ端に出てきた俺は末期。orz
ロベリア?
変態アン様キター、GJ
とりあえず場所を考えようぜ
ボルボXのアン様も読みたくなってきた
ボルボ氏はクオリティを維持するのに時間がかかるからなw
まぁ、気長にやってくれればいいよ
変態紳士は大人の対応で待つだけだw
27 :
205:2008/01/25(金) 23:36:29 ID:/znt9kDq
俺だって、たまにはセンチメンタルな気分になることぐらい、ある。
そんな感じでシルフィードの短編を投下します。
28 :
君へ向かう光:2008/01/25(金) 23:40:11 ID:/znt9kDq
――昔、こんな会話をした記憶がある。
確か、愛しい主がいつものように木陰で本を読んでいるときに、話しかけたのだった。
「ねえねえお姉さまお姉さま!」
返事はなかった。本を読んでいるときに主が返事をすることは滅多にない。だから、気にせず問い
かけた。
「死んじゃった人間の魂って、どうなると思います?」
どうしてそんなことを聞いたのかは、よく覚えていない。多分、タバサの友人達の内の誰かと話し
ていて話題になったとか、そんなところだろう。
その質問に対する答えも、やはり期待していなかった。だから自分なりの見解を捲し立てようと
思っていたのだが、驚いたことに主は本から目を離してこちらを向いた。
物凄く珍しいことだったので声を出すのも忘れて唖然としてしまった彼女の前で、主は穏やかな微
笑を浮かべて――これもかなり珍しいことだ――そっと、口を開いた。
最初に聞こえてきたのは、唸りを上げる風の音だった。
苦労して重い目蓋を開く。寝床にしている狭苦しい洞窟の中だ。ずっと向こうに、入り口がぽっか
りと口を開けていて、白い空が見えた。外は猛吹雪らしく、轟音を孕む風に混じって、氷雪が岩肌
を叩く音が絶え間なく聞こえてくる。
(あのとき)
先程の夢を思い出しながら、ぼんやりと考える。
(お姉さまは、なんと仰ったんだっけ)
遠い記憶を呼び起こそうとしても、思い浮かぶのはあのとき主の口元に浮かんでいた穏やかな微
笑だけだ。彼女がなんと言ったのかは、霞の中に隠されている。
仕方のないことだと思う。いかに韻竜が人間に比べて遥かに高い知能を誇るとは言え、あれから既
に数百年の月日が流れている。
今思い出そうとした記憶は、夢で見たから「そんなこともあったな」と思えるだけで、本来ならば
埋もれたまま二度と思い出されることのない、ごくごく些細な思い出だろう。
だが、脳裏に鮮明に焼きつけられて、今でもはっきりと思い出せる記憶もある。
彼女――この世界に残された最後の韻竜であるシルフィードは、ゆっくりと目を閉じ、疲れきった
意識の中で記憶を辿った。
(これで、使い魔としてのあなたの役目もおしまい)
今わの際に、主は静かに呟いた。
(自分では使い魔を選ぶことができないとは言え、あなたがたくさん危険な目に遭わされたのはわた
しのせい。そのことは、申し訳なく思ってる)
そんなことはない、自分は自分の意志であなたについてきたし、後悔なんて少しもしていない。そ
う反論すると、主は年老いた頬の皺を深くして微笑んだ。
(その愛情は、きっと大部分が使い魔のルーンによりもたらされたもの。わたしが死んでルーンが消え
れば、愛情も執着も薄れていくはず。わたしのこなんてすぐに気にならなくなる)
主への想いをそんな風にして否定されるのはたまらなかったから、シルフィードは必死に反論した。
そんなことはない、使い魔の役目なんて関係ない。わたしはあなたを愛しているし、あなたが死んで
ルーンが消えても、絶対にあなたのことを忘れたりはしない。それを聞いて、主はただ嬉しそうに目
を細めた。
(ありがとう、シルフィード。でももういいの。わたしのことは忘れて、あなたのお家へお帰りなさい)
それが、主と言葉を交わした最後の記憶である。もっと伝えたいことがあったが、主はそれを聞く
ことなく逝ってしまった。
(違う。わたしは、使い魔だからお姉さまのそばにいたんじゃない。お姉さまを愛していたから、お
姉さまの助けになりたかったから、ずっとそばにいたの)
シルフィードはそれを証明したかった。自分と愛する主の縁が、たかが死ごときによって断ち切ら
れてしまうのは耐えられなかった。
だから、主の言葉に反して、彼女の死後もシルフィードは人間の世界を離れなかった。
29 :
君へ向かう光:2008/01/25(金) 23:42:53 ID:/znt9kDq
(1000年……そう、1000年の間、人間の世界に留まって、お姉さまの子孫を見守っていこう。それが
出来たら、きっとお姉さまも、わたしの愛情が偽りのものでなかったと、分かってくださるはず)
そう決意したシルフィードは、主の娘や孫たちを守護し始めた。その血族の守護竜として、ときに
力を振るい、ときに知恵を貸し、主の血が絶えることのないよう必死に努力してきたのである。
主同様、その子孫達も生きていく途上で様々な脅威と対峙せねばならない運命にあった。脅威は
様々な形を取っていた。天災などのように自然的なもののこともあれば、他者の悪意によってもたら
されたこともある。だが、大抵は子孫達が、彼らの持つ勇気と気高さによって、自ら悪と対決しようと
する過程で遭遇したものだった。
(お姉さまのご子孫は、やはりお姉さまの血と意志を受け継いでいる)
シルフィードは喜んで彼らに力を貸した。ときには彼女の助力を以ってしても切り抜けられない場
面も多々あったが、そういったときにも、子孫達は大抵充足した表情でその死を迎えていった。
(ありがとう、シルフィード)
幾度その言葉を聞き、幾度自分の無力に涙を流したことだろう。それでも、彼女の助けもあって、
主の子孫は着々とこの大地に広がっていった。
しかし、そんな日々にも終わりは訪れた。魔法に加えて科学という名の力も手にした人類は、過去
以上の欲望を原動力として、瞬く間に世界中にその勢力を広げていった。宿敵であるエルフを始め
として、オーク鬼やトロールなどの外敵をことごとく打ち滅ぼし、火竜山脈のサラマンダーを捕えてその
皮を剥ぎ、翼人の翼をもぎ取りその羽で衣服を作った。
そうした人間の欲望は、彼らに近いところにいたシルフィードにも向けられた。
シルフィード自身はそうした人間達などに遅れを取るつもりはなかったが、彼らは非常に数が多
かった。それに加えて、彼女を狙う人間達が、その傍らにいる主の子孫達に危害を加える危険もあった。
(わたしがいることで、お姉さまの子供達を傷つけてしまうかもしれない)
シルフィードはやむなく人間の世界を離れ、彼らの技術を以ってしても未だ容易には入り込めない
雪山の奥深くに寝床を構えた。成熟期を迎えてますます高まりつつあった魔力を最大限に活用して人
間の世界の様子を見守り、主の子孫達が危機を迎えるたびに翼を広げ、彼らの助けとなったのである。
そうした生活の中で、シルフィードの力は急激に衰えていった。いかに強大な韻竜といえども、そ
の力は無限ではない。さらに悪いことに、世界中に広がった人類は、森を切り崩し海を埋め立て空を
汚していた。それがために精霊の力が衰えていたこともあって、その加護を受ける韻竜もまた、力を
失っていたのである。彼女同様雪山にねぐらを移していた他の韻竜たちも、次々に力を失って、本来
の寿命を半分も全うしない内に息絶えていった。
まだ死ぬわけにはいかないという思いがなければ、シルフィードもまた彼らと同じ運命を辿ってい
たことだろう。だが彼女は死ななかった。もはや魔法を使うどころか羽ばたくことすら困難になった
今となってもなお、命の灯火は完全には消えていない。
(1000年。1000年経つまでは)
もはや、その思いだけがシルフィードの命を繋ぎとめていたのである。
長い記憶の旅から帰ってきたシルフィードは、不意にあることを確信した。
(今日が、お姉さまが亡くなってからちょうど1000年目なんだわ)
正確に数えていたわけではない。そもそも、数えることなど不可能だった。最近のシルフィードは
起きていることすら億劫になっていて、夢と現実の間を絶え間なくたゆたう状態だったのである。も
はや、最後に人間の世界を垣間見てからどれだけ経ったのかも覚えていない。
それでも、確信できた。
(1000年目。今日が1000年目だわ)
狭苦しく冷え切った洞窟の中、重い首をもたげて、ゆっくりと四肢に力を込める。長い間じっとし
ていたせいか、体の動きはぎこちなく、節々がずきずきと痛んだ。それでも、シルフィードはなんと
か自分の足で立ち上がることが出来た。もしかしたら、この日が近いことを悟って、無意識の内に最
後の力を溜め込んでいたのかもしれない。そんな風にも思う。
(飛べる、かしら)
シルフィードは洞窟の入り口まで這うようにして歩いた。視界を真っ白に覆う吹雪の向こう側で、
永遠の雪に閉ざされた山々が霞んでいる。
(飛べる、飛べる。わたしはまだ飛べる。最後の力を使えば、なんとか、飛ぶことができる)
違う。
(飛べなくても、飛ぶんだ!)
30 :
君へ向かう光:2008/01/25(金) 23:44:26 ID:/znt9kDq
(飛べなくても、飛ぶんだ!)
シルフィードは渾身の力を込めて翼を開いた。後足で地を蹴り、吹雪の中へと身を躍らせる。長い
間閉じられていた翼は思うように動いてくれず、シルフィードの体はまっ逆さまに落下した。だが、
氷の山肌に激突する直前、巨大な体が軽やかに風に乗った。昔に比べると哀れなほど懸命に翼をばた
つかせるシルフィードの胸を、温かい何かが通り抜けていく。
(ああ、今もこの地に残る大いなる意志が、わたしの最後に力を貸してくださっているんだわ!)
心の中で感謝の祈りを捧げながら、シルフィードは無我夢中で翼を動かした。
次に地に下りたら、もう二度と空に舞い上がることは出来ないだろう。確信めいた予感がある。
落ちる瞬間が来る前に、なすべきことをなさなければならない。凍りついた空を突き抜け、山々の
向こう、懐かしい人間の世界へ。
吹雪が遠く後方に去る頃、下界にちらほらと人家が見え始めていた。その辺りも通り越して、もっ
と遠く、たくさんの人の気配がする方向を目指す。その内、大気に鉄の香りが混じり始めた。苦手な
臭いだったが、シルフィードは躊躇うことなく空を駆ける。
目指す場所にたどり着いたとき、シルフィードは呆然としてしまった。そこは過去にガリアと呼ば
れた王国があった場所で、今彼女がいるのは、主の墓のちょうど真上のはずである。だが眼下あるの
は何やら鉄で出来た建物だけで、墓所などどこにも見当たらない。
(ああ、お姉さま。お姉さまの痕跡が消えてしまった!)
シルフィードは高く鳴いた。しかし、すぐにまた気力を振り絞る。
(いえ、まだ。まだ、お姉さまが生きた証が全て消えてしまったと決まったわけじゃない)
滞空したまま瞳を閉じ、意識を四方へと広げ、分厚い鉄の向こう側、かすかに残る大いなる意思に
問いかける。
(どうかわたしの最後の願いをお聞き届けください。この大地の上に息吹く、シャルロット・エレー
ヌ・オルレアンの命の残滓をお見せください)
声は届いたはずだった。だが、いつまで経っても何も起こらない。鉄で埋め尽くされた大地に、主
の命の残滓は欠片も感じられなかった。
(まさか)
シルフィードの全身に悪寒が走った。
(わたしが眠っている間に、お姉さまの血は全て絶えてしまったのでは)
あり得ない話ではない。シルフィード自身、もうどのぐらい人間の世界に介入していないか覚えて
いないほどなのだ。それ程長い時間の中では、一人の人間の血などあっという間に渇いてしまうかも
しれない。
絶望が、シルフィードの翼から力を奪う。
墜落が始まる直前、鉄で埋め尽くされた地平線に光が生まれた。
(あれは……?)
シルフィードはなんとか翼に力を入れなおし、その光をじっと見詰める。
最初は小さな光点が一つ見えただけだったが、その近くにまた一つ灯り、また一つ、と増えていく
内に、光は夜空の星のごとく鉄の大地を輝かせた。
圧倒的な光景を、シルフィードは呆然と見下ろした。
(これは……お姉さまの、命……!)
主の血は絶えてなどいなかった。むしろ、主の墓すら形を留めていないこの時代にあってもなお、
力強く大地に根を下ろしている。
やがて、光は少しずつ姿を消していった。
(大いなる意志よ、感謝いたします)
かすかに答える声が聞こえた。シルフィードは緩やかに翼をはためかせ、かつてガリアと呼ばれた
地を離れた。
青く晴れ渡った空に抱かれて、今なら、昔のように軽やかに飛べるような気がした。
31 :
君へ向かう光:2008/01/25(金) 23:46:52 ID:/znt9kDq
穏やかな幸福感に包まれたまま、シルフィードは当てもなく飛び続けた。体の末端から、少しずつ
力が失われていくのが分かる。あとわずかで、この肉体は全ての力を失い、地に堕ちるだろう。恐怖
はない。ただ、やり遂げた、生き抜いたという思いが満ちている。
(お姉さま。これで、わたしの愛情を信じてくださいますわね)
そのとき、シルフィードの視界に何か大きなものが現れた。
それは、塔のような形をした、巨大な鉄の塊だった。ずっと向こうまで広がっている大平原の真ん
中、太陽の光を浴びながら、赤々と力強く、真っ直ぐ天を指して佇んでいる。
命の終わりに突如として現れたその物体に、シルフィードは何故か強く惹きつけられた。
(あれは何かしら。あれは、どこに行くのかしら)
突然、轟音と共に、塔のような物体が底から火を吹きだした。凄まじい勢いで大地を焦がしながら、
焔が鉄の塊を持ち上げる。目を見張って見守るシルフィードの前で、重々しい鉄の物体が、信じ難い
ほどの力強さで、天に向かって上っていく。
そのとき、シルフィードは気がついた。
(ああ、あの中にも、お姉さまの命の欠片がある!)
シルフィードは翼に力を込めた。何も考えず、ただ上昇する鉄の塊を追って、高く高く上っていく。
千切れ雲が後方に流れ去り、空の青が視界を染める。そのとき、青さを増した空に、見えていなかっ
た星が急に現れた。
(ああ、そうだ、そうだったわ)
嬉しくなった。思い出したのだ。あのとき、主が何と言ったのか。
(お姉さま。お懐かしいお姉さま。シルフィは、今お姉さまに会いに行きます。どうか、昔のように
うるさがらず、温かくお迎えくださいね。1000年に渡るわたしの愛情を、お姉さまが認め、受け入れ
てくださるのなら)
全身に満ちる幸福感を糧として、最後の竜の体が光を放ちながら天へと上る。
近くなる星の海を微笑と共に見つめながら、シルフィードは己の体がゆっくりと砕けていくのを感
じた。
――昔、こんな会話をした記憶がある。
確か、愛しい主がいつものように木陰で本を読んでいるときに、話しかけたのだった。
「ねえねえお姉さまお姉さま!」
返事はなかった。本を読んでいるときに主が返事をすることは滅多にない。だから、気にせず問い
かけた。
「死んじゃった人間の魂って、どうなると思います?」
どうしてそんなことを聞いたのかは、よく覚えていない。多分、タバサの友人達の内の誰かと話し
ていて話題になったとか、そんなところだろう。
その質問に対する答えも、やはり期待していなかった。だから自分なりの見解を捲し立てようと
思っていたのだが、驚いたことに主は本から目を離してこちらを向いた。
物凄く珍しいことだったので声を出すのも忘れて唖然としてしまった彼女の前で、主は穏やかな微
笑を浮かべて――これもかなり珍しいことだ――そっと、口を開いた。
「星になる」
「お星様?」
「そう」
頷き、主は空に目を向ける。
「きっと、お星様になって、わたしたちを見守っていてくださる。お母様が、そうお話してくれた」
まるでそこに星があるかのように、主は目を細めている。しかしそのときは昼の空で、彼女には星
など見えなかった。
「きゅいきゅい。お姉さまったら、そんなこと言ったって、昼間は星は消えていますわ」
「消えてない。見えないだけ」
再び彼女の方を向いた主は、ただただ優しい微笑で語りかけてきた。
「きっといつか、あなたにも分かる日が来る」
「いつかって、いつ?」
「わたしにとっては遠い、あなたにとっては近い未来。わたしもみんなと同じようにするつもりだから」
言葉の意味は分からなかったが、彼女は何故かとても寂しい気分になった。急に主に甘えたくなっ
たが、主はまた読書に没頭していて、もう声をかけても答えてくれなかった。
それでも、彼女は何故か嬉しかった。こうして聞いていない風でいて、主が自分の言葉を聞いてい
てくれることはよく分かっていたから。
「ねえねえお姉さまお姉さま!」
愛しい主のそばで、彼女はいつまでもいつまでも、一人でたくさん喋り続けた。
ただそれだけの、ささやかな思い出である。
32 :
205:2008/01/25(金) 23:51:00 ID:/znt9kDq
以上。読んでくださってありがとうございました!
ハッピーエンドよりトゥルーエンドの方が好きです。シルフィードはもっと好きです。
しかし、昨日は鼻ちょうちんで今日はこれって、俺は躁うつ病の気でもあるんでしょうか。
>>32 (´;ω;`)ウッ
これは悲し涙じゃない、感動の涙だ。
たまに読みたくなる類の話だわ。ジーンと来た。
GJ
>>32 GJ!
ちょっとしんみりする、すてきなお話でした。
そして前スレの鼻ちょうちんの話はやっぱり205氏でしたか・・・
そっちもGJ!
笑わしてもらいました
GJ!!
最高な誕生日プレゼントになりました!!
激しくGJです!!
久々にジーンと来ました
>>32 GJ!!
心の奥に響いてしんみりしたけどいい話でした
さあ、今週は休みがないのでコレが今週最後のアップになるかもです
>>13の続き、いきますよー
「その壷の中には淫竜特製の興奮剤が入ってるのね!
ソレをヌリヌリされたらその子も興奮して、『呪印』がガマンできずに出てくるって寸法なのね!」
なるほど、それで壷と筆ってわけか。
いきなりなんで、とか突っ込む前に解説が入って助かった。
でも。
「…なんでお前がこんなもの持ってるんだよ」
しかもどっから出したのか。
シルフィードの服には、どう見てもこのアイテムが入るスペースなんてない。
「ちっちっち。女の子にそんな事聞くなんて野暮のキワミなのね」
…いや野暮とかどうでもいいし。
まあそれはともかく…。
俺は手元の壷と筆を改めて見つめる。
コイツを使って、イタヅラするんだよなあ。アンに。
ん?待てよ興奮剤なんだから普通に素肌にぶちまければ…。
「あ、事前に言っておくけど塗るだけじゃ興奮しないのねそのクスリ。
ちゃんと筆でこしょこしょしないとダメなのね」
…どんだけ悪趣味なクスリなんだよ…。
「そういう仕様の方が萌えるって作った人が言ってたのね!」
…よくわかってらっしゃるようで…。
俺は仕方なく筆を壷に突っ込む。
すると結構な手ごたえがある。
まるで、でんぷんのりにハケを突っ込んだ時みたいな。
筆を引き抜くと、ぬめぬめの液体が筆にまとわりついてくる。
「さて、と…」
俺はその筆を持ったまま、気絶したアンの脇に跪く。
さてどこから塗ったもんかな。
首筋かな、ここはやっぱ。
なんて考えてると。
ぶちぶちっ!
へ?
いきなり土の腕がアンのブラウスを引っ張ったせいで、ぽよよんとアンのおっぱいが飛び出る。
俺がシルフィードにいきなり何すんねん、と視線を送ると、ヤツは自信満々親指を立てた。
「首筋とかまどろっこしい事はいーから弱点をダイレクトアタックなのね!」
…このアホ竜は。
全く情緒というものが分かっていない。
しかし。
目の前でそんなやわらかそーなお肉をぽよんぽよんされて黙っとれるかっつーの!
そんなわけで。
俺はクスリをたっぷり含ませた筆を、ぽよよんと揺れる右側の白いおだんごに押し付けた。
べちょ。
音を立てて、クスリがアンの真っ白な肌に絡みつく。
筆の当たった所だけが、透明な粘液でぬめぬめと光っている。
そのぬめぬめ具合はなんともエロチックで。
これは…いいものだ…!
「ンっ…!」
気絶しているアンの眉毛がへの字に歪む。
でもアンは起きない。
…そっか、『呪印』の影響で感じにくくなってんだな。
じゃあ、がっつりいかなきゃねー?
俺はそのまま筆を動かして、アンのおっぱいをべとべとにしていく。
わざと乳首だけを避けて、両方のおっぱいをどんどんぬるぬるのべとべとにする。
だってねえ。せめて、このくらいは情緒がないと…。
すると、最初はくったりしていたさきっちょのピンク色の乳首が、だんだん元気に上を向き始めてきた。
「っは…!はぁ…、はぁ…」
眉を歪ませるアンの息が荒くなってきた。
ほっぺたも、だんだん桜色になってきてる。
おー、効いてきた?んじゃトドメいきますかあ?
俺は、一度壷に筆をひたして、大量のクスリを筆に染み込ませて、そして。
アンのびんびんになった乳首の上に、クスリで重さを増した筆を持ってくる。
なぜかさっきより粘度の下がったクスリは、ゆっくりとアンのさきっちょに滴っていく。
そして。
ぴちゃ…。
水滴が、アンの乳首の先のくぼみを、覆い尽くした。
「ひぃっ──────────!?」
いきなりびくん!とアンの背筋が仰け反って、目が開いた。
お?ようやくお目覚め?
アンは自分が拘束されてエロいことをされているのを確認して、俺に抗議の視線を向けてきた。
いつもなら『もっといじめて』みたいな視線で見てくるのに。こりゃまだ『呪印』の影響が抜けてないな。
「さ、サイトさまっ?こ、これは一体?」
「ちょっとガマンしてねアン。すぐ済むから」
俺はあからさまな抗議の視線を向けてくるアンを無視して、完全に勃ったさきっちょを、クスリ塗れの筆で、思い切り押しつぶした。
そしてそのままぐりぐりと、アンの乳首をこね回す。
「ひ、────────────あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
またアンの背筋が仰け反る。
そしてそれと共に、アンの目に光が宿りはじめる。
いっつも、俺と二人きりでいるときみたいな。
俗に言う、『メス奴隷モード』の時の目だ。
それと同時に。
アンのみぞおちの辺りに、奇妙な文様が浮き出始める。
そう、これが、『呪印』だ。
そして、『呪印』が浮き上がってきた瞬間に、シルフィードが叫んだ。
「今だチャンスだまかせろなのね!
必殺!外道照身霊波光線!」
わけのわからん必殺技名とともに、シルフィードが目元に指を当てると。
びーっ!
「目からビームてお前どこのアンドロイドだよ!」
俺の容赦ない突っ込みは結局無視される。
シルフィードの目ビームを浴びた『呪印』はアンから離れ、逃げ出す。
それを、シルフィードが追っていってしまったからだ。
「あとはシルフィにおまかせなのねー!待てこらー!逃げると逮捕するぞー!」
シルフィードは訳のわからない台詞を叫びながら、腕と足をバタバタさせて駆けて行ってしまう。
…全く。最初っからお前が捕まえてればこんな事には…。
そして。
俺は、足元で横たわって、荒い息をつく胸元をはだけたアンを、そっと見下ろす。
…さて、問題はっと。
アンは俺の視線に気付いたのか、上半身を起こしながらこっちを見る。
もう、顔が完全に発情しきっていた。
「あ、あの、サイトさま…。な、何があったんです…?」
言葉じゃそう言ってるけど、火照った頬とか潤んだ目とか妙に品を作ってる腰とか。
誘ってるなあ。全力で…。
しょうがない、こうしちゃったの俺だしなあ…。
「とりあえず、二人きりになれるところで説明するよ。いい?」
「あ。は、はい♪」
さあて、とりあえずこの発情した雌犬をなんとかしないとだなあ。
才人は、アンに言われるまま、倉庫の傍に置いてきたバスケットを回収し、そのまま、人のめったに来ない物置にしけこんだ。
才人が事情を説明すると、アンは『助けてくださってありがとうございます!』と嬉しそうに抱きついてきた。
そして。
お礼といってはなんですが、サイトさまの故郷の料理をご賞味ください、と言ってきた。
アンがバスケットを開くと、その中身はたくさんの調味料だった。
まず手始めに、アンは粉砂糖をたっぷりとねばねばでべとべとになった自分の胸にまぶした。
「はい、『ニョタイモリ』です…」
ぺたんとぼろ布を敷いた倉庫の床に腰を下ろし、恥ずかしそうに視線を逸らしながらアンはそう言ってのけた。
違う。これは『女体盛り』などではない。才人はわかっていた。しかし。
そんな無粋な突っ込みをするほど、愚かではなかった。
才人は、問答無用で砂糖塗れでピンクの乳首を勃起させたアンの乳房にかぶりついた。
そう、その柔肉に、痛みを感じるほどに噛み付いたのである。
「やんっ…♪乱暴にしないでください♪」
しかしアンは嬉しそうに微笑み、乳房を襲う痛みを伴う快感に悦びの声を上げる。
乳房に塗り込められた薬が、才人の噛み付きの衝撃を和らげていたのだった。
才人はそのまま、舌で砂糖を舐め取りながら、アンの胸にむしゃぶりつく。
じゅる…ぐちゃ…ぶにゅ…
唾液と砂糖と粘液と肉の交じり合う卑猥極まりない音が、倉庫にこだまする。
「ひぃ!たべられちゃうっ、サイトさまにっ、あぁんっ」
だらしなく唇の端から涎を零し、アンは胸を捕食する才人の頭をがっしりと抱える。
しかし才人はその腕を振りほどき、今度は逆の胸に襲い掛かる。
無残に歯形の残る右胸はすっかり粘液も砂糖も舐め取られていた。
左胸にも同じように噛み付く。そしてその行為は、アンの胸から砂糖がなくなるまで続いた。
「は…はぁ…はぁ…」
両胸に赤い文様を刻まれ、アンはボロ布の上で大の字になって、荒い息をつく。
胸虐だけでアンは何度も軽い絶頂に達していた。薬の影響だろうか。
そんなアンを見下ろしながら、才人は何を思いついたのか、バスケットに近寄っていく。
そして、一本の陶器の瓶を取り出す。
そのラベルにはこう書かれていた。『蜂蜜』。
才人はズボンを脱いで完全に勃起した己を晒すと、まだ小休止中のアンの前に立つ。
そして。
瓶の蓋を開け、中身を屹立した牡にまんべんなくふりかける。
少しひんやりした蜂蜜が表面を滑る感覚。それはたしかに快感だった。
才人はアンに語りかける。
「俺ばっかご馳走になってばっかじゃ悪いからさ。
はい、アンにも食べさせてあげる」
アンは上半身を起こし、そして目の前に突き出される蜂蜜でどろどろの牡に魅入る。
蕩けた視線が、才人の牡に絡みつく。
そして、涎に塗れた口がぱっくりと開き、蜂蜜塗れの肉棒をぱっくりと咥え込む。
アンの口の中に、蜂蜜の甘さと牡の臭いが充満し、アンの獣を刺激する。
唇を絡ませ、舌を絡ませ、アンは蜂蜜と才人をたっぷり味わう。
ちゅぱ、ちゅぱ、ちゅぱ…。
「ああ、アン、そんなに、おいしい?」
倉庫の中に、牡と蜂蜜を啜る音と、牡の嬌声が響く。
才人の手がアンの頭をロックし、強制的なグラインドを強要し始める。
「ふぐ?…んっぐ、んぐぅ」
喉の奥を甘い臭いの棒で衝かれ、アンはえづくが、才人は手を止めない。
腰を使い、さらにアンの口を犯す。
その刺激にアンはたまらなくなり、右手を下半身へ持っていく。
もどかしくズボンの留め金を外すと、そこから牝の臭気が溢れ出る。
黒いズボンの下は、既に溢れて糸を引くほど、牝の粘液で塗れていた。
ショーツはすでにぐしょぐしょで、下着の意味を成していない。
その中に指を挿し入れ、アンは自らを高める。
「んっふ、んぐぅ、ふぐぅぅっ…!」
涙目で己の口を犯す男を見上げ、アンは心で訴える。
おいしいです、サイトさまのおちんちん…おいしいですぅ…!
そして、その視界に、足元に置かれた先ほどの蜂蜜の瓶が目に入る。
アンは、才人の行為の邪魔にならぬ様、その瓶をそっと手元に引き寄せる。
そして、右手にたっぷりと蜂蜜を垂らすと。
己の秘所に突っ込み、己の蜜と丹念に混ぜ合わせ始める。
「ああっ、アン、俺もうっ」
間もなく、才人が限界を迎える。
アンの頭を抱え込んで最奥で己を咥えさせ、そこで爆発する。
どくどくどくぅっ!
「ん─────────────!!」
喉の奥で弾ける熱さと生臭さに、アンも絶頂を迎える。
べとべとのズボンの中で、アンの愛液と潮と、蜂蜜は、白く濁るほど溶け合い、粘度を増していた。
「えほっ、えほっ、えほっ…」
開放されたアンは、喉に絡みついた才人を、吐き出してしまわないように、口許に手を当ててむせこんだ。
才人はそんなアンを気遣う。
「大丈夫?アン」
「あ、はい…。おいしかったです、サイトさま…」
アンは、そんな才人に、涙目で優しい笑顔を向ける。
アンのそんな健気な笑顔と対象的に、才人の視界に、こぼれた唾液と精液がこびりついた口許と、いやらしく乳首を勃起させた乳房が目に入る。
しおれていた才人の牡は、再び元気になった。
「あ、まだ…お元気ですね…」
「あ、あはは」
照れ笑いを浮かべる才人のそこに。
アンは、瓶から蜂蜜を手に取り。そして。
再び、蜂蜜を塗りこみ始めた。
「ちょっ、アン!?」
「サイトさま…もう一度、食べさせてくださいまし…。
そして…」
アンはそのまま、脱ぎかけだったズボンと、そして、愛液と蜂蜜に塗れたショーツも脱ぎ去る。
そして、大きく牝を割り開く。
そこは、大量の粘液で、白く汚れていた。
「私のも、たべて…」
才人はその言葉に。
そのまま、アンの股間に顔を埋め、両手でアンを割り開き、舌で犯す。
そこはアンの手でこね回され、愛液と潮と蜂蜜が絶妙に混じりあった、蜜壷と化していた。
アンは、再び蜂蜜に塗れた才人を咥える。
そこから臭う蜂蜜と牡の臭いは、先ほどよりもずっと強い臭いでアンの牝を刺激する。
ぬちょお…。
水飴と言っても差し支えないほどに粘度の高い蜜を指で掻き出し、才人は呆れる。
「下で何してるかと思ったら…すごいな、これ…」
アンは、そんな才人に、指で刺激を与え続けながら、口を離して言った。
「アン特製のミックスジュースです…たぁんと召し上がれ…」
淫靡な声で、行為を促す。
才人は半ば呆れ、そして、行為を続ける。
ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅぅ…。
お互いの蜜を嘗め回す音が、倉庫の中で卑猥なオーケストラを奏でる。
そして間もなく、二人は限界を迎える。
「出るッ、また出るよっ、アンっ!」
(イきますっ、私もイっちゃいますぅっ!)
どくどくどくどくっ!ぷしゅぅぅぅっ!
お互いの口許を、お互いの迸りが汚す。
「ふぅ、ふぅ、はぁ…」
「んく…あ、は、はぁ…」
才人は荒い息をつくアンを抱き締め、アンはその腕の中でくったりと身を預ける。
才人は脱力するアンに語りかける。
「おいしかったよ…アン」
「サイトひゃまのも…ほんなに、濃いの…」
アンは言って、才人の腕の中で、ぺろり、と舌を出してみせる。
軽く窪みを作られた舌の上には。
才人の白濁が、水溜りのように溜め込まれていた。
アンのその行為に、才人の喉がゴクリ、と鳴る。
そして。
「あ」
「ははは…立っちゃったよ…」
才人の牡は再び元気を取り戻し。
「じゃあ…」
アンは才人の腕の中から立ち上がり。
「こちらのおくちにも、食べさせて…ください…」
右手でぱっくりと、蜜の溢れる下の口を、開いたのだった。
その頃シルフィードは。
「バケモン、ゲットだぜ!なのねーっ!」
無事、『呪印』を捕まえていたのだった。
「残る『呪印』はあと2匹!
さーサイト、ガンバガンバなのねーっ!」
その顔には、まるで日頃の鬱憤を晴らすかのごとく、歪んだ笑顔が浮かんでいたのだった。〜fin
以上。残るはタバサにテファ。気長にお待ちくだせい(ぁ
しかしシルフィあんま関係なかったような。
まあ思いつきだけだし無問題(ぁ
んじゃまたねーノシ
乙
>>47 具合はそれで丁度良いと思うぞ
…となると、残りもシルフィでオチるわけだな!w
GJです
あんえろいよあん
せんたいさんえろいよせんたいさん
>>47 乙!!
>その壷の中には淫竜特製の興奮剤が入ってるのね!
( ゚д゚)ノ 隊長! 淫ではなく韻だったような気がww
乙っす!
>>50 やっぱりへんたいさんだからIMEまで調教してるんですよ、きっと
隊長!せんたいさんじゃなくへんたいさん(ry
>>47 乙!!
というか外道照身霊波光線ってヨコシマンか
>>53 あー、昔、ダイヤモンド・アイという特撮番組があってだな…
55 :
前スレ675:2008/01/27(日) 21:57:21 ID:8VIp5z8d
前スレに埋めとして2KBの改変ネタを置いてきたが、やっぱこっちの方に落としたほうがよかったかな?
>>55 うんにゃ、ああいう改変ネタやショートショートは、向こうみたいに容量少ないスペースの方が良い雰囲気出すと思うよ。
職人さん達、いつも乙です。
>>54 実物を知らない俺はレインボーマンが元ネタだと根拠もなく思い込んでたw
勉強になるぜ
獣姦はよくないぞ
竜姦はおk
ハーフエルフならぬドラゴンハーフの登場か
はは……既に消えてやがるorz
>>イン竜
せっかく今まで俺は使用を自重してたのにwww
それにしても前スレは13巻の影響で帰還ネタ多くなると思ったが差ほど多くなかったなあ
69 :
名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 12:47:13 ID:dHZ8EPKO
帰還ネタは14巻しだいでだからな。
教皇に帰されなくて才人本人も「こっち残るわwww」で地球踏まずじまいだったら、
帰ること前提で書いたSSが一気に「なんだかなあ」になっちゃいそう。
>>69 てか教皇、素直に送り返してたらかなりバカだし、
4の4未達成フラグだよな。
まだこっそり暗殺の方があり得る。
引き戻す方法に当てがあるのなら別だけど。
どっかのへんたいが帰還モノ書いてなかったか?
俺はサイト帰らないに100ペリカ
教皇が引き留めてその後ルイズとストロベリィするに違いない
ちょっとガンダールヴぶっ殺してくる
自衛隊と米軍の合同部隊による侵略に一票
豊富な土地と資源求めて
普通に交易したほうが儲かるが・・・とマジレス
才人帰還してテファに再召喚、胸にルーンが増えて
記すことさえはばかれる乳神様が降臨してヒャッホウ
に100ペリカ
>>73 錬金で濃縮プルトニウムや高純度ヘロインを作らせて大もうけですね!
>>74 才人巨乳化&テファと契約で、ダブル胸革命の誕生ってわけか…
オラ、なんだかワクワクしてきちまったぞ。
ヤンデレ気味なルイズ作品ってある?
>>80 ほかにも19-300とか2-491がヤンデレっぱいかな?
さっさと前スレ埋めろカス共
……そして前スレがAAで埋まった
乙でした
時代の流れと共に見捨てられた鉱山の町。とっくに休校となった静かな校舎。
かすかな蛍の光の合唱の中、一人一人去って行く。あと一人?いや、二人は残っているんだろうか・・・
あと何KB?そろそろかと自分も腰を上げ・・・
という雰囲気が良いんじゃないか。無理にスレを埋めるな!!!
時代の流れと共に見捨てられた鉱山の町。とっくに休校となった静かな校舎。
かすかな蛍の光の合唱の中、一人一人去って行く。あと一人?いや、二人は残っているんだろうか・・・
あと何KB?そろそろかと自分も腰を上げ・・・
という雰囲気が良いんじゃないか。無理にスレを埋めるな!!!
時代の流れと共に見捨てられた鉱山の町。とっくに休校となった静かな校舎。
かすかな蛍の光の合唱の中、一人一人去って行く。あと一人?いや、二人は残っているんだろうか・・・
あと何KB?そろそろかと自分も腰を上げ・・・
という雰囲気が良いんじゃないか。無理にスレを埋めるな!!!
猛省・・・。書き込みが反映されなかったから何度か投稿したら・・・OTL
お前らが喧嘩してる内にタバサはもらっていきますね
残念、お主がもらっていったのはイザベラ様だ。
タバサは今シルフィときゅいきゅいしてるぜ。
ちょっとまて、何勝手にわれらがアイドルイザベラ様をそこいらの馬の骨に渡してやがる
お前なんか初期ルイズにいびり殺されちまえ
保管庫なくなるの?
好きだったのに
せつなす
諸事情により保管庫がなくなるかもだそうです、詳しくは雑談スレにて確認ください
そんな・・・
ちょっと レスが消えると思ったらこんなところへ・・・
>>95 見なかったことにしてくれ かなり恥ずかしい
>>95 それはきついなあ。
ローカルに移すのが大変そうだよ(´・ω・`)
99 :
名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 22:05:44 ID:J+qbzpHQ
今まで書いた作品群とかなくなっちまうのか!? と焦ったけど、どうもそうでもないようだね。
てす
>>87,90
俺だって埋めるの嫌だったんだぜorz
俺だって埋めネタ来るのずっと待ってたわ、容量計算しながらずっと…
でも新スレで「早く前スレ埋めろよ」と催促(?)されるのもどうかと思うしな…
で、埋めてきた。後悔は消えない。
そういや保管庫で遂に爆発したみたいだな
センター試験で忙しかったから立ち会えなかった(´・ω・`)
厨房てwせめてROMってりゃ何事もなかったのになぁ
さっきから書き込めなかったけど、何だったんだ?鯖移行?
まぁ、仕方がないな。埋めネタ書く人が殆どいないし。
個人的には同じSS張ろうと、AA張ろうとどっちでも構わないな。
勿論ベストは埋めネタを誰かが書いてくれることだが。
職人さんによって書き溜められたお宝の山に何事もなければ良いけどねぇ
>>101 あ、ごめん。そんな真剣に書いた訳じゃなくて・・・。
ただ蛍の光書きたかっただけ(ry
>>103 そかー
なんかその一言で救われた気がするわ
前にどっかでフルボッコ喰らって以来のヤケクソ埋めだったからな…
俺にSS書く程の腕があれば、と、よく思う
ていうか、さっきまで書き込めなかったのはAA貼りまくって規制されたんだと思ってた
三日程度ならともかく一週間も残ってたら早く埋めろとは思うけどな。
ローカルルールを盾に取られたら文句なんて言えないし
保管庫からこのスレに来たので、残念です。
でもこないだの惨状をみたら…しょうがないのかな(´・ω・`)
本気で雑談にビキビキきてる人もいるだろうけど
あーゆーのは相手にして欲しいだけだからな・・・
無視&裏で手回しがいい・・・
いずれにしろ保管庫なくなるのはさみしいなー
108 :
205:2008/02/02(土) 01:33:19 ID:89cMK7mH
物凄く久しぶりに、
http://wikiwiki.jp/zero/?19-667 『不幸せな友人たち』
の、続きを投下します。
設定は9巻発売時ぐらいに分かっていたものに無茶なオリジナルを混ぜているので、
現在公開されたものとはかなり食い違いがあります。その辺りはあらかじめご了承ください。
また、あまりにも久しぶりに投下するので、話の筋を覚えている人はほとんどいないと思います。
ですので、最初に簡単な粗筋を書いておきます。
才人を中心として、ティファニアや学院の面々も含んだ一行が東方を冒険中、才人がルイズをかばって死亡。
ルイズは自分のせいで才人が死んだ現実に耐え切れず、自殺しようとする。これを防ぎ、生きるようルイズを説得することは困難である。
それ故にシエスタは、ティファニアの魔法によってルイズの記憶を奪い、才人が生きているという偽りの記憶を植えつけることを提案する。
策が上手くいったので、今度は西方に戻る準備を整えるため、ギーシュやコルベールが先行してトリステインに帰還。
才人の帰還を待ちわびていたアンリエッタは、彼が死んだというギーシュの報告を受けて愕然とする。
しかし次の瞬間、彼女は優しい微笑を浮かべて、ギーシュに「自分に相談したいこととは何か」と問いかけていた。
それを聞いたアニエスは、アンリエッタの微笑の裏に何か底知れぬものを感じて、我知らず体を震わせるのだった。
以上。大体こんな感じの話です。
では投下します。
アンリエッタとギーシュは、ルイズの処遇について話し合った。目的はルイズを死ぬまで幸せにし
ておくことである。シエスタの提案どおり、才人の死に関する記憶を奪い、彼が元気に生きていると
思わせておく、というのが計画の根幹だった。
「そのためには、ルイズを徹底的に外界から引き離し、なおかつその状況を彼女が不審に思わないよ
うにしなければなりません」
「そこで私の力が必要になるのですね?」
「はい。具体的には……」
計画自体は既にほとんど完成されていた。だからこそ、アニエスは余計に不安だった。
(陛下は、この計画を強引に変えさせて、ルイズを取り巻く嘘を壊してしまうつもりなのではないか?)
先ほどのアンリエッタの微笑から、そんな風に勘ぐってしまう。
だが、傍らでアニエスが聞いていた限り、アンリエッタは計画に対して非常に協力的だった。不安
が残る箇所を指摘し、その穴を的確に埋めてみせたのである。そうして数刻ほどの時間が過ぎ、空が
白み始めたころ、計画は持ち込まれた当初よりもかなり完成度の高い状態に仕上げられていた。
「女王陛下」
部屋を辞する直前、ギーシュはアンリエッタの眼前に膝を突き、頭を垂れた。その声は細かく震えていた。
「私たちの力だけでは、ルイズの幸福を保つのは困難だったでしょう。ですが、こうして陛下のご助
力を賜った今、それはもはや不可能な話ではなくなりました」
アンリエッタは労わるような微笑で応えた。
「お気になさらないでください、ギーシュ殿。私はただ、大切な親友の幸福に、少しでも寄与したい
と思っただけなのですから。あれほど愛していたサイト殿を失ってしまうだなんて、可哀想なルイズ……ギーシュ殿、どうか、生ある限り、彼女の幸福の助けになってあげてくださいましね」
「はっ……」
ギーシュはさらに深く頭を下げた。その肩が小刻みに震えている。泣いているのかもしれなかった。
彼はやがてそっと目元を拭ったあと、立ち上がってきびきびと一礼した。
「それでは、失礼いたします。夜半突然の来訪の上、このような慌しい出立になるのは非常に無礼で
あると承知しておりますが」
「構いません。すぐに準備を整え、ルイズを迎えに行ってあげてください。あまり遅れて、彼女が不
審がってはいけませんから」
ギーシュは再度礼を述べて、慌しく部屋を出て行った。彼はそのままトリステイン近郊に停泊して
いるというオストラント号に戻り、ルイズを迎える準備に奔走することになっている。
アニエスと二人だけになった途端、アンリエッタは長く息を吐き出して、椅子に深く身を沈めた。
顔を伏せ、沈黙する。それから、不意に肩を震わせ、低い笑い声を漏らし始めた。その笑いはじょ
じょに大きくなり、ついには全身を揺さぶるほどの狂笑と化した。
その笑い声から滲み出る強烈な悪意に背筋を強張らせながら、アニエスは慎重に問うた。
「いかがなさいましたか、陛下」
アンリエッタは狂おしく笑いながら応えた。
「だって、あんまりおかしいんですもの。アニエス、聞いたでしょう? あの子が今どんな様でいる
のかを。ああ、なんて馬鹿なルイズ。愛しい愛しいサイト殿が目の前で死んだこともきれいさっぱり
忘れ去って、よりにもよって彼と幸福な結婚をしたと信じ込んでいるだなんて。でもそうね、あの子
にはそれがお似合いだわ。だって昔から道化だったんですものね、あの子は。ねえアニエス?」
「なんでしょうか、陛下」
「あなたは、私があの子を取り巻く偽りの幸せを、壊すつもりだと考えているのでしょう?」
実際その通りだったが肯定することも躊躇われ、アニエスはすぐに返事を返せなかった。アンリ
エッタは構わずに、奇妙なほど優しい微笑を浮かべて言った。
「でも、そんなことをするつもりはありません。私は、あの子が一生、サイト殿が生きているという
幻想に抱かれながら生きていく手伝いをするつもりです」
「それは、陛下のルイズに対する友情故でございましょうか?」
違うと知りつつも、アニエスは問いかけた。案の定、アンリエッタはゆっくりと首を横に振った。
その瞳には、死にかけて痙攣している獲物を面白がって見下ろすような、冷酷な光が宿っていた。
「違うわ。私はねアニエス、表ではあの子の幸福を喜びながら、裏では思う存分あの子を笑ってあげ
るつもりなのよ。私が手に入れられなかったサイト殿の愛情を一身に受けているつもりで、実際には
お節介な友人方がお膳立てした、偽物の幸福の中で無邪気な夢を見ているあの子をね」
アンリエッタは小さく身震いした。
「ああ、なんて素敵なのかしら! 本来なら、私があの子から哀れまれ、見下される立場だと言うの
に、今やそれは完全に逆転したのだわ。私は確かにサイト殿の愛情を勝ち得ることは出来なかったけ
れど、ただ本当の記憶を持って生きている、あの子が気付かない本物の現実を知っているという点に
おいて、あの子の全てを嘲笑い、見下すことが出来るのだから」
そうしてまたひとしきり哄笑を上げたあと、アンリエッタは不意に押し黙り、俯いた。
少しの沈黙の後、彼女の頬を一筋の涙が流れた。
「でも、私がサイト殿の愛情を受けることは、もう二度とない。いいえ、愛情どころか、言葉ですらも」
ぽつりとした呟きと共に、アンリエッタの頬を滂沱の涙が流れ落ちた。彼女は声を詰まらせながら言った。
「ねえアニエス、あの方の最後の願いを覚えているかしら? あの方は最後にこう言い残したそうね
――『ルイズを幸せに』と。その一瞬、あの方の心を占めていたのはルイズの行く末を案ずる感情だ
けだったでしょうね。きっと、あの方の死を看取ることも出来ず、最後の眼差しの一片すら受けるこ
とができなかった私のことなど、あの方の心には微塵も浮かばなかったことでしょう。私はこんなに
も、この身が引きちぎれるほどに激しく、あの方の愛情だけを求めていたと言うのに」
震える声は、いつしか悲痛な叫びに変わっていた。
「どうしてあの子だったの? どうして私ではなかったの? 私だって、あの方と一緒にいることさ
え出来れば、あの方の心の片隅にでも存在していることが出来たでしょうに。最後の瞬間まで、あの
方があの子だけに心を奪われたまま死んでゆくことなんて、絶対に許さなかったでしょうに。ああア
ニエス、どうして? 何故なの? 何故私は、こんな遠く離れた場所で、あの方が死んだことも知ら
ずに、帰ることもない彼の帰りを待ち続けていなければならなかったの? どうして、どうして……!」
その慟哭は、アニエスの胸に陰鬱な痛みをもたらした。
哀れな恋敵を嘲笑し、己の不幸だけを嘆くアンリエッタのことを、身勝手で無様な女だと軽蔑する
ことは出来ない。
(この方は、ただ他の誰よりも情が深いだけなのだ)
愛情、優しさ、憎悪、嫉妬。全てが常人の何百倍も強く、また深くもある。アンリエッタはそうい
う女だ。誰よりも女らしい女だ。だからこそ、これほどまでに強くルイズを憎み、愛しい才人の死を
嘆くことが出来る。
(サイト、何故貴様はこの方を残して死んでしまったのだ)
死人に問いかけても無駄なことだとは知りつつ、アニエスはそう思わずにはいられなかった。
(貴様さえ無事に帰ってきてくれれば、この方の心がこうも深い闇に捕らわれてしまうことはなかっ
ただろうに。貴様がこの方に笑顔を向けてくれさえすればよかったのだ。そうすれば、かつての親友
をこれほどまでに憎悪することもなく、全てが平穏の内に治まったかも知れないというのに)
だが、その幸福な未来はもはや永遠に幻となってしまった。才人の死は、間違いなくアンリエッタ
の最後の希望を打ち砕いたのだ。
もう二度と、彼女が他人の愛に期待することはないかもしれない。
その事実はアニエス自身の心にも暗い影を落としたが、打ちひしがれている暇はなかった。今もま
だ、アンリエッタは押し殺された声で泣き続けているのだ。
どうするべきか、アニエスは少し考えた。まさか自分の慰めなどが彼女の心を癒せるはずもないが、
かと言って彼女をこの部屋でずっと泣かせたままにしておくわけにもいかない。
(せめて寝室までお送りしよう。今日の執務はなんとか取りやめにして……)
考えながら、アニエスは声をかけた。
「陛下」
泣き声がぴたりと止んだ。
「陛下?」
アンリエッタが繰り返す。非常に小さかったが、それでも聞き逃すはずないと思わせる、不気味な
迫力の篭った声だった。アニエスの背筋が震えた。
(……なんだ?)
心臓が早鐘を打ち始める。椅子に座って俯いたまま、微動だにしないアンリエッタが、平坦な声で
問いかけてきた。
「アニエス。今、あなたは私のことを何と呼びましたか?」
わけの分からぬまま、アニエスは答えた。
「はっ。陛下、と」
「陛下。陛下……そう、そうだったわね」
アンリエッタの肩が震え出した。続く声音で、泣いているのではなく笑っているのだと知る。
「私は、このトリステイン王国を治める、アンリエッタ・ド・トリステイン女王陛下だったわね!」
笑い声はじょじょに高まり、部屋全体に反響するほどになった。そのただ中で、アニエスは不意に
眩暈を感じた。足がふらつき、よろめきそうになる。何か、悪夢の中に突然引きずり込まれたような
不快感があった。
笑い声が止んだ。
「ありがとう、アニエス」
アンリエッタがにっこりと微笑む。
「あなたのおかげで、私は自分の望みがはっきりと分かったような気がします」
「はっ。左様で、ございますか」
どう返事をしたものか、アニエスは迷った。
今、目の前のアンリエッタはとても透き通った美しい微笑を浮かべている。ここ数ヶ月ほど、彼女
の顔に常に付きまとっていた倦怠と悲嘆の色がすっかり消えうせていた。だが、直前までの嘆き様か
ら一転してこの表情である。どう考えても尋常ではない。
「ねえアニエス。私はね、全て分かったような気がします」
表情を変えないまま、アンリエッタが穏やかな表情で語り始める。
「私の不幸の源が、一体どこにあるのか」
アンリエッタは己の胸に手を置いた。
「それは、私が女王陛下だから。想い人と共に在ることどころか、心のままに振舞うことすら許され
ぬ、王という人種だから。かつて『王になどならなければよかった』と私が嘆いたとき、マザリーニ
枢機卿は私に言われました。『そう思わぬ王はおらぬものです』と」
アンリエッタが薄く目を開く。剣のような鋭さだった。
「『王になどならなければよかった』あの頃の思いは、今もなお変わっていません。それどころか、
今日という悲惨な日を経て、より一層強くなったような気がいたします。だからアニエス、私は」
アンリエッタは強い声音で宣言した。
「私は、王をやめます」
「陛下!?」
アニエスが目を見張ると、アンリエッタは口元を手で隠して笑った。
「アニエス。まるでこの世の終わりが来るのを知ったような驚きようね」
「同じようなものです。陛下、どうかお考え直しください。陛下なくして、このトリステインは」
早口に説得しようとするアニエスを、アンリエッタは手の平で遮った。その顔には、澄ました表情
が浮かんでいる。
「落ち着きなさい。何も、今すぐにやめると言っているわけではありません。私なくして、今のトリ
ステインが保たないことは十分に理解しているつもりです」
「では……?」
「つまり、私などいなくてもいい状況を作り出せばいいのです。そのために……アニエス、協力して
くださいますわね?」
問いかけるアンリエッタの瞳の奥底に、暗い悦びが宿っていた。
(この方は、己の激情をぶつけるべき相手を見つけたのだな)
アニエスは踵を揃え、背筋を伸ばした。
「分かりました。このアニエス、及ばずながら、陛下のお力になりましょう」
「ええ、お願いしますね、私の隊長殿。まずはね」
アンリエッタは楽しげな様子で、己の策を語り始める。今この場で考え出したとは思えないほど、
綿密かつ具体的な計画が、歌のようにその唇から流れ出す。
(いや、今この場で考え出したのではない。この方は、今までも同じようなことを取りとめもなく考
えていたに違いない)
今までそれは、単なる妄想や思いつきの類に過ぎなかった。だが、今や一つの目標のために筋道立
てて並べ立てられ、より洗練され、現実的な計画に仕立て上げられていく。
その原動力となるものが何なのかがよく分かっているだけに、アニエスは余計悲しかった。
(陛下、憎悪以外の情を全て失くされましたか。ですが、それも致し方ないこと。私は止める術を知
りませぬし、止めようとも思いませぬ。せめてあなたの傍らで、この復讐劇が終わるまでのお供をさ
せていただきましょう)
アンリエッタの声に相槌を打ちながら、アニエスは心の中で強く決意を固めたのだった。
アンリエッタ・ド・トリステインは、トリステイン王朝最後の王となった。
とは言え、それは同時代のガリア王であるイザベラや『一代王朝』と呼ばれた帝政ゲルマニア・
ツェルプストー王朝の女帝キュルケにしても同様であるから、そのこと自体は特筆するには値しない。
違っていたのは、ほぼ全ての国において、革命が武器を手にした民衆の武力闘争によってなされた
のに対し、唯一トリステインのみは無血の革命を成し遂げたことである。そのためにトリステインは
国力を損なうこともなく、この混沌とした時代にあっても、一度として国土を他国に蹂躙されること
はなかった。
この穏やかな政権の譲渡は、アンリエッタ女王が事前にこういった事態を予測し、有力貴族の勢力
縮小や平民の登用などに心血を注いできた、努力の結果であるといえる。彼女は非常に冷静かつ慎重
に事を運び、誰にも気付かれぬまま、全ての準備を終えた。その政治家としての有能さは、同時代の
学者の一人が、彼女を評価した有名な言葉に表されている。
「トリステインの白百合は、剣でも切れぬ鉄の華」
鉄の華に例えられるほど、彼女は政治の場において無慈悲であり、なおかつ冷静な人物であったと
いうことだ。
故に後世の人々は、彼女のことを人間的な情とは縁の薄い、冷徹で意志力の強い人物として思い浮
かべることが多い。
しかし、近年発見された一冊の手記は、そういったアンリエッタ女王像を覆すものとして注目を浴
びている。終生女王の剣としてその傍にあった、近衛隊長アニエス・シュヴァリエ・ド・ミランが残
したとされるものだ。
以下が、その内容を一部抜粋したものである。
「――アンリエッタ・ド・トリステインは、非常に感情の激しい女性である。多くの者たちは、それ
を知りはすまい。彼らの中に、あの強烈な感情の発露を見た者は誰一人としていないだろうから。
彼女は実に冷静に政務を遂行している。そのたゆまぬ努力の向かう先が何であるのか、私は痛いほ
どよく知っている。彼女は、女王である自らの手で、長く続いた王政に終止符を打とうとしているのだ。
だが、それは多くの者たちが評価しているように、時代の流れを見据えているからでもなければ、
彼女が国や民のことを一番に考える政治家の鑑だからでもない。
私は今、ここに彼女の真の姿を記しておくことにする。
アンリエッタ・ド・トリステインは、強い意志力を持った優秀な指導者などではなく、魂の奥底ま
でが激しい情に満たされた、どこまでも女性らしい女性なのだ、と。
彼女の行動は、全てがそのあまりにも人間的な感情に基づいたものである。王政を終わらせ、平民
達に政権を譲渡しようとしているのは、単にそれが王政に対する一番激烈な復讐になると考えているからだ。
そう、彼女は王政という制度そのものを憎んでいる。王政が自分自身の運命を翻弄し、生の喜びを
全て奪い去ったと考えているからだ。――常に彼女の傍らにあった身としては、その認識はさほど間
違っていないようにも思う。
王政の象徴とも言える王自らの手で、王政を終わらせること。高々と翻る白百合の旗を地に引き摺
り下ろし、嘲笑いながら自らの手で泥を塗りたくること。それだけが、彼女の望みなのだ。だからこ
そ、あれほど激しい情を持つ女性が、あれほど冷徹に行動できるのである。
今、私の耳には王政の終わりを告げる鐘の音が聞こえている。おそらく、女王の目論みは完璧に実
現するだろう。トリステインは、平穏のまま革命を終えることとなる。
それ自体は女王の功績ではない。たまたま、時代の流れが彼女の望みに合致しただけのことである。
彼女としては、無血だろうが多くの血が流されようが、自分を散々苦しめた王政を破壊することさえ
出来れば、あとはどうでも良いのだ。
一人の女性として運命に愛されなかった女王が、政治家として時代の流れに愛されたというのは、
実に皮肉なことだ。おそらく、これからもそれは変わらないだろう。彼女が狂おしいことに求め続け
た、たった一つの愛を勝ち得ることは永遠にない。
我が哀れな主の魂が、死後天上でゼロの使い魔と共にあることを、私は願わずにはいられない」
――アンリエッタ・ド・トリステインは、各国歴代の王の中でも、最も優秀な政治家として、歴史
にその名を留めている――
114 :
205:2008/02/02(土) 01:51:00 ID:89cMK7mH
以上。読んでくださってありがとうございました! 次回もよろしくお願いします。
(以下蛇足ですので、興味のない方は読み飛ばしてください)
突然ですが、自分は頭の悪い人間でして、大抵分かりやすい構造になっているライトノベルでも、
一読しただけではそのキャラクターがどういう人間なのかよくつかめないことが多々あります。
ゼロの使い魔についてもそれは同じことで、そのキャラクターがどういう人間なのかを知るためにSSを書いている……
という面もいくらかあります。もちろん単純に書くのが楽しいという理由も大きいですが。
そういう人間が書いてるから、原作とキャラが違ったり萌えなかったり明らかにキャラの行動がおかしかったりするわけです。
で、今回書いたアンリエッタに関しても、一読しただけではどういう人なんだかよく分からなかったキャラクターの一人でした。
優しい人かと思えば身勝手で冷酷だったり、弱いかと思えば意志の強いところを見せたり、
王とは思えない自己中心的な暴挙に及ぶかと思えば臣下のルイズに咎が及ばないように配慮したり。
一体なんなんだこの人は! 何考えてんだか全然わかんねぇ!
……とまあ、そうやって頭悪いなりに考え続けて書いたのが今回の一節で、自分の中でアン様という人はこんな感じです。
自分としてはちょっとはアン様のことを理解できたかなあと思うんですが、
もっと頭がよくて知識もあって読解力のある人たちは「205は全然分かってねえ」と思われるでしょう。
そういう面も含めて感想を聞かせていただけたら幸いです。
以上、蛇足でした!
115 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 02:01:35 ID:c73nu2Ny
>>114 GJ! アンリエッタ怖ぇ
でも皮肉な話だけどアンリエッタやサイトの不幸が
トリスティンの平民の地位を向上させ幸せにしたと思うとやり切れないな
GJです。
なんだか切なくなった。
原作ではみんな幸せになってもらいたいもんだ。
>>114 GJです。
キャラ解釈については人それぞれ違って然るべきかと。
実際私もアンリエッタについては、おそらく人と違ったふうに見てると思うので。
何が言いたいかというと、このタイミングで「不幸せな友人たち」の続きは不意打ちだww
>>114 ノーヴォル・ヤマグッティが真面目にトリステインの歴史を語っている想像をした
>>114 >狂おしく笑いながら
スレチこの上ないが、鬼隠し編のレナを想起した
完結乙でした。GJです!
このスレにいるからだろうか、まさか最後にアンが狂うとは思わなかったわ
あんまり黒アン様出てこないからねぇ。ずっと雌奴隷の流れだったしw
>>114 保管にあるのも含めて読みました
一言・・・ありがとう。感動した。でも心が辛い・・・
またこれからも作品を読ませて下さい
「幸せな男爵」は別話だと思って読み飛ばしてた・・・。
今読んだが涙が・・・。テファ→アンリエッタ→幸せな〜と読むと非常にやばいね。
涙が止まらん・・・。作者さんの意図する読み順で無いかも知れんが。
あああああ・・・これで14巻がアレな展開だったら俺立ち直れないかも
123 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 18:02:23 ID:yzptg1Gj
>>114 GJ! 面白かったです。
アン様についての解釈は、ほんと分かれてるから人の意見は気にせずよいかと。
複雑で人間的な人だから。情が深いってか感情の量が多い人ってのは俺も思います。
205さんがすぐに判断できないってのは、謙遜されてるように頭が悪いんじゃなくて、
深く考察するタイプの人にはよく見られる傾向だと思います。
ageちゃったスマソ
125 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 21:49:49 ID:dW7h8UUs
保管庫の流れが読めない
雑談掲示板みてきたが荒らしいたぐらいしかわかんね
どこに消滅の可能性と関係性のあるレスがあるんだぜ
126 :
Lv.見習:2008/02/02(土) 21:53:38 ID:tvXrwvSE
128 :
Lv.見習:2008/02/02(土) 21:56:45 ID:tvXrwvSE
うわっなんかヘンだと思ったら86以降なぜか読み込みが……。
40レスもの間専ブラと共に空間の狭間に迷い込んでたみたいだorz
と、とりあえず投下。
129 :
未来図β 2:2008/02/02(土) 21:58:46 ID:tvXrwvSE
ゆるく差す陽光。それが床に描き出すシルエットは、再び一つに重なっている。
朝の優しい静寂の中、二人は穏やかな幸福をかみ締めていた。
……しかし、いつの世もそういう時間は長く続かない。
どすどすどすどす……。
やおら戸外から聞こえてきた不穏な音に、才人は重ねていた唇を離した。
「……ん? なんか廊下からすごい地響きが……、いや、足音か? これ」
「ひっ……、こ、この足音は!」
やけに怯えた声色におや? と思った瞬間。
どん。……ガツン。
思い切りルイズに突き飛ばされた才人は、ベッドから落ち、床に強かに頭を打ち付けた。
「ぅお、いって……おい、ルイズ! いきなり何すん……」
バァン。
才人がばっと身を起こしたのとほぼ同時。弾け飛ぶようにドアが開いた。
その爆音の主を見て、才人はルイズの突飛な行動の意図を知る。
やはりというべきか……。彼女はベッドの上で、がちがちに緊張していた。
「エ、エレオノール姉さま。おはようございます」
ルイズは引きつった顔で、姉のそれ以上に引きつった顔を見る。
エレオノールは返事もせずにずかずかとベッドに歩み寄り、すぅ、と大きく息を吸った。
「こンのバカ! バカルイズ! 脳天気のちびルイズ! 本当に迷惑ばかりかけて!」
おはようじゃないわよ! と叫びながら、彼女は強くルイズの頬をつねり、ひっぱった。
「ひぅーっ、ひふぁい、ひふぁいへふ……」
頬をうにょーん、と引き伸ばされ、ルイズは解読の難しい言葉で喋った。
ひっぱられるルイズの身体は、水底の草のように頼りなくふらふらと揺れる。
「あ、あの、エレオノールさん。ルイズはさっきやっと気がついたばかりで……」
「何か言ったかしら? この成り上がり! お黙りなさい!」
「……す、すんません」
見かねて口を挟んだ才人はルイズ以上に凄みの効いた視線と声にびくりと身を竦ませた。
「エレオノール姉さま、もうそのくらいにしてあげて。私はもう大丈夫なのよ」
後ろから遅れて入ってきたカトレアの声に、エレオノールはフン、と言って手を離した。
「……わかっているの? おちび。カトレアはあなたに治癒をかけ続けて倒れたのよ」
「はい……先程、使い魔から聞きました」
ルイズは頬をさすりながらも、神妙な面持ちで一番上の姉を見上げる。
「あなたが身勝手な振る舞いをした結果がこれよ」
「はい」
ルイズは唇をかんで俯き、素直に返事を続ける。
先程似たようなことをしたばかりの才人はがしがしと頭をかいた。
「ねぇルイズ。今日ばかりはわたしもあなたに言わなくちゃならないわ」
普段かばってくれるカトレアにそう言われ、びくんとルイズの肩がはねる。
130 :
未来図β 2:2008/02/02(土) 21:59:20 ID:tvXrwvSE
「あなたはね、私たち家族にとっては、虚無の担い手ではないの。わかっているかしら?」
「え……!? だって、わたしには虚無の系統くらいしか」
思わず反発しかけたルイズの口をカトレアは指でそっと押えた。
「……虚無の系統を使うあなただけにしか出来ない事が時にあるけれど……、あなたはね、
その前にわたしたちのかわいい妹よ。代わりなんていないわ。……だから、あまり無茶を
しないで。倒れたあなたを見たとき、わたし、心配で心臓が止まってしまうかと思ったわ」
「あ……。ご、ごめんなさい……ちいねえさま……!」
大粒の涙を零しながら、ルイズはカトレアの胸に飛び込んだ。
それを見たエレオノールは顔を顰め、ふいっと背を向ける。
「……まったく、カトレアはいつもおちびに甘すぎるのよ」
泣いているルイズは気づいていないが、才人にはそれが聞こえてしまった。
ルイズと同じで、どうにも素直じゃない長姉。
……その拗ねた横顔に、才人は思わず微笑んだ。
彼女は愛情表現の形が違うだけなのだ。
似ている割に、ルイズは気がついてないようだけれど。
パン粥を一掬い。それをルイズの口元にやり、また一掬い。その繰り返し。
立ち上る湯気の先でルイズは恥ずかしそうに、しかしおとなしく食べていた。
意識は回復したものの、ルイズの身体は本調子にはまだ程遠い。
気だるげに腕を動かすのが痛々しくて、才人が自分から強行したのである。
部屋にはミルクとはちみつの、ほんのり甘い香りが漂う。
東へ危険な長旅をして、戻って。ルイズが無茶をして倒れて、眠り続けて。
そんなドタバタの後だからか、こんなのんびりとした時間は久しぶりに思える。
介抱をするのは苦どころか、むしろ嬉しくさえあった。
しかし、繰り返し続けて何度目か。
ルイズはふと思案顔をして、口を開けるのをやめた。
「おいこら……、冷めちまうだろ。食えっつの」
ぐいぐいと唇に押し付けて、やっとできた隙間からスプーンを押し込み、流し込んだ。
ルイズは目を白黒させつつ飲み下し、それから、なぜかじっと見上げてきた。
その視線の意図が解らない才人は困惑し、首をかしげる。
「……? どうしたんだよ。嫌いなのか? パン粥」
さっきまでぱくぱく食ってたろうに。それに実家のメシなんて、いいじゃねえか。
平民と違って家族が作ったメシじゃないにしろ、それでも一番慣れた味のはずだろ。
そう考えながら言うと、彼女はパン粥はわたし好きよ、と言って首をふった。
「じゃあなんで食うのやめてんだよ。……胃の調子でも悪いのか?」
「違うわよ。……ねえサイト、元の世界に帰らなくっていいの? こんな風にのんびり、
わたしの世話焼いてないで、さっさと帰りなさいよ」
「そりゃあ、気にはなるけどさ……、お前、まだだいぶ調子悪いじゃねえか」
「寝ていればじきに治るわよ。アンタがここにいる必要なんてないわ」
……お姉さま方が様子を見に来る直前までは、あんなに素直でかわいかったのに。
ケンカを売るかのような言葉選びに才人はため息をついた。
以前の才人ならば、こういう物言いをされれば「とっとと帰れってか」と単純な思考で
腹をたてていたかもしれないが……。
131 :
未来図β 2:2008/02/02(土) 21:59:56 ID:tvXrwvSE
今の彼が思ったのは「そんな顔して、そんな声で、そんな事言うなよな」である。
そっけない言葉に反し、気遣わしげに歪んだ顔。
気の強そうな言葉に反し、いつもより幾分はりのない声。
そんなにも心配してくれるのなら、ついでに言葉ごと心配してほしいものだった。
こうもひねくれた言い方をされては、ごめんともありがとうとも言えない。
「お前が無理したのは俺のためだろ。……なのに、その無理した分も治らねえ内に放って
いくほど俺は不義理じゃねえよ。別に今すぐじゃなくても帰れるんだろ?」
何かと気にしすぎては落ち込んでしまう、真面目で優しいご主人さま。
……だから、自分が好きでそうしているのだと伝えて、頭にぽんと手を置いた。
「でも、それじゃサイトのご両親が……。アンタが帰るのを心待ちにしてるはずだわ」
「そりゃなあ、行方不明になってずいぶんたっちまったしな、俺。だから、一度向こうに
行ったら、すぐにはこっちに戻れないと思うし、気がかり残したままじゃ行けねえよ」
「…………わかったわよ、そこまで言うなら仕方ないわ」
不承不承といった風ながら、ルイズはうなずいた。
才人は冷めかけのパン粥を再び彼女の口に運ぶ。
「さ、わかったんなら食え。早いとこ元気になってくれねえと困る」
「そうね、私が早く回復しなきゃ気兼ねなく帰れないものね」
怒りもなく、至って真面目に、むしろ微笑んでルイズは言った。
……彼女は「困る」理由をさっきまでの会話と繋げて理解したらしい。
「…………。うん、そうそう。俺使い魔だしね。ご主人さまが弱ってると離れらんねえの」
だから才人は、呆れ半分拗ね半分で、ぶっきらぼうに答えた。
そりゃ、家族には会いたい。なんせ、もうずいぶん長いこと会ってないのだ。
ルイズの言うとおり、向こうもまさに一日千秋の思いで帰りを待ってくれているだろう。
……けど、早く元気になって欲しいのは「好きな娘が寝込んでると心配だから」だ。
けして「恩人の身体の具合が気になって帰るに帰れないから」ではない。
……たく、だから、こうして自分からお前を看病してんじゃねえかよ。
今まで散々好きって言ってるんだから、そんくらい気づけっての。
なのに、このご主人さまは……、未だに鈍感で。
……才人は自分の普段の鈍感さを棚に上げて、そんなことを考えた。
132 :
Lv.見習:2008/02/02(土) 22:03:19 ID:tvXrwvSE
以上。
ああ、赤っ恥だけど一回投下って言っちゃったからのっぴきならんかったよ。
なんで読み込みこなかったんだろう?そしてなぜ気づかない俺ニブチン。
とりあえず読み込みなかった分おいしく読んでこようっと……。
白くてどろっとした液体をぐいぐい口に押し付けてムリヤリ飲ますっていいよな。
……ん?モチロン、パン粥の話ですよ?
エロには結びつかないけど二人の姉さんも大好きだ。
特にエレオノール様。なんていいツンデレ。
近くにいたら絶対身がもたないだろうけど……。
>>132乙
たぶん移転したせいだと思うな
俺はギコナビで板一覧更新しても読み込まずあわあわしてたら
移転板検索してようやく読めるようになった
134 :
Lv.見習:2008/02/02(土) 22:18:14 ID:tvXrwvSE
>>133 そうなのか。教えてくれてありがとう。
俺JaneDoeStyleだけど、怪しんで板一覧更新・板更新・
スレッド再読み込み、とあれこれやってたのになぁ……。
ついでに違う操作なにもしてないのになぜ急によめる。不思議だ。
しかも間違って存在スルーしたのが205さんの不幸せな友人の続きとは。
大変なご無礼を致しました。遅ればせながらGJ!
>>134 俺もJane使ってて、
昨日か一昨日あたりに更新が無くて「(´・ω・`)?」ってなった
う〜ん…三姉妹良いね。GJ
メープルシロップで卵を煮る料理・・・・・・・
携帯変えたらメモ帳引用できない機種だった……早くPC灰汁禁解除してくれ……
139 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 12:30:49 ID:Qdj4od0w
保管庫の管理人って荒らしと変わらんな
>>139 そんな荒れそうな話題は雑談用掲示板で語ってくだしあ。
ageて荒れそうな話題を放り込む人には反応しないように。
スルーでよろ
●REC
節分なんだからその辺に豆撒いて水に流そうや
姫様の豆を水で…ゴクリ
>>146 そして姫様はサイトの恵方巻を頬張り(ry
あれ、誰も見てないところでイッキ食いするはずなのに
サイト失神?
>>139 せめて自分で考えて怒ろうな。
雑談341の半日後にってwww
昼間で寝てて、見つけてよっぽどうれしかったのかよwwwwwww
>>149 雑談板の住民が怒って自滅しようとしているように見える
制限かけて終わりなだけだろ
お前ら少し前のレスぐらい読め
あと
>>139=
>>150(=管理人に反感持ってて軽い対処を望んでる誰か)
アクセス制限すれば終わることを、荒らした奴の生活壊そうと躍起になってるんだよな
それによって消滅の可能性があるとかそういう流れだよな?
これどうみても躍起になってる側が馬鹿なだろ・・・
>153
「痛くなければ覚えませぬ」
つか、自業自得だわな
ID:Qdj4od0wが言いたいのはなんでこっちまで痛い目みないといけないんだ?ってことじゃね
実際俺も保管庫潰してまでやることじゃないと思うし個人サイトならまだ話は別だけど
荒しをいちいち相手にするのも荒らしだってばっちゃが言ってた。
そんなもんほっとけ。
話通じる人もいるようだな
正直どっちが厨房かわからん
しかも色々提案してるのが管理してる側なんだよな
終わりすぎてる
躍起になってる(って言うのも言い方が悪いけど)人たちの自尊心の問題なんだろうね。
要するに、「通報するぞ」って脅しに対して、荒らしてた奴がビビッて謝罪すりゃ良かったのよ。
実際、前に特定人のSS削除してた奴のときはそういう風に事が収まったし。
でもいつまで経っても何のリアクションもないもんだから、
何とかして相手を凹ませよう、謝らせようと必死になってるわけだ。
そうでなけりゃ、「俺たちはあんな馬鹿な荒らしに負けた」って気分になるから。
現実的にはアクセス制限すりゃ済む話、ってのは全くもってその通りだと思うね。
しかし、ここまで来ちゃったらもうホントに通報するしかないのかもね。
雑談で騒いでる人たちも引っ込みつかなくなってる感があるし。
出来ればもう少し冷静になって、適当なところで妥協してくれるとありがたいんだが。
俺たちにできることは何なのさ。
管理人に愚痴こぼしたってしょうがない。
なんか提案出来ることがあるなら雑談掲示板にでも持っていけば?
>>158 何のリアクションも無いならまだいい、それに対して煽り返してるんだぜ?
ぶちきれてやることやっちゃろうじゃないかってなるのもまあ判らんでもない
どっちもガキっすね
>>160 そんな煽り返しに同レベルでつきあっちゃうのもどうよってな話。
・保管庫潰れるリスク犯してまで馬鹿ガキをしめるのと
・アク禁でもかけて後は適当に放置ってのと
どっちがスレ住人全体にとって有益かは分かりそうなものだと思うけどな。
アク禁かけても
本スレまで来たら一緒の展開だし…
>159
>俺たちにできることは何なのさ。
エロいアン様SSを書くことだ!
某有名コピペのパロ
「しりとり」
ここはルイズの部屋。暖かい春の午後。する事がない二人は
しりとりなど始めていた。言い出したのはルイズだ。
「私が勝ったら、もう二度と胸の大きな子に鼻の下を伸ばさないこと!!」
・・・だそうである。
窓から差し込む暖かな光の中、淡々と二人のしりとりは進む
サイト「で・・・。でるふ」
ルイズ「ふ・・ふ・・・フーケ」
サイト「・・・・・。け・・・けっけっ・・・」
ルイズ「何よ。はやく言いなさいよバカ犬」
サイト「けっけっけっけけけ・・・」
ルイズ「ふっふ〜ん。無いのね?私の勝ちって事は、解ってるでしょうね!
約束通り!もう二度と他の女の子の胸なんか見・・・」
サイト「けっ・・・結婚・・・・・・・しよう」
ルイズ「ふぇ!?」
サイト「・・・・・続き。お前の番だぞっ」
ルイズ「う・・・う・・・」
ルイズ「浮気しないと誓う?」
サイト「う・・うん」
サイト・ルイズ「あ」
とことん間抜けなサイトであった
恵方巻きの習慣をルイズに教えて食べてるときに声出しちゃいけないんだぞっていってイタズラする妄想が浮かんだ
いいなそれ…節分ネタ書きたいけど俺には文章力も妄想力も足りない
>>170 ならC++で書いてくれ
ちゃんとコンパイルできるか確認してな
ルイズ→軽度から重度のヤンデレ
シエスタ→上に同じ
アン様→上に同じ
タバサ→クーデレ
ティファ→なんだろ
異論は認める
>>168 プラネテスネタかよw
いつみてもいいネタだよな
プラネテス2期やらねーかな?
>>172 テファ→桃りんご
アニエスさん→アニエスさん
デルフ→困っちゃう
ムスカ→らくたろう
ノボル→ヤマグッティー
節分はネタにできるような世界観じゃねえもんな……
歳の数だけ豆を食うというネタがあるじゃないか
姉さま大爆発必至の
>>169 悪戯だけじゃ済まなくて、俺の股間の恵方巻きも食わせるつもりなんだろ?w
ルイズ→自分だけに好意が向けられるとデレ
シエスタ→デレから徐々にヤンデレ
アンリエッタ→すぐヤンデレ
タバサ→クーデレ
キュルケ→惚れるか惚れないかのはっきりしたツンデレ
モンモン→ルイズと同じ
アニエス→サイトから本気の好意のときデレる
ティファ→隠れたヤンデレ
イザベラ→デレデレ
ケティ→ツンデレ
異論はもちろん認める
>>177 ハイ。ティファニアの略称はテファです。
テファ「あなたに……力を……」
サイト「デルフ、売るよ」
さあみなさんお待ちかね!
誰も待ってないと思うけどゼロ魔エロパロスレのアホ担当が選択肢モノタバサルートをもってきましたよっと
…ていうか時間軸的には繋がってるからタバサルートとか関係ないけど。
とりあえず、腰が抜ける前に開放された才人は。
名残惜しそうに見つめるアンをとりあえず浴場に案内して、自分は用事があるから、と学院内にシルフィードを探しに出た。
そしてアホ竜はすぐに見つかる。
というよりも、アホ竜が才人を発見した。
「捜したのねサイトーっ!『呪印』捕まえたのねーっ!きゅいきゅい!
…って随分顔色悪いのね?」
シルフィードが指摘するとおり、才人の顔色は悪かった。当然である。
発情した牝奴隷が、一度咥え込んだ主人をそうそう離すはずもない。
ちなみに牝奴隷の攻め手が緩むまで本日は5ラウンドを消化した。
才人の顔は軽く青ざめ、心なしか腰が引けていた。
「ああ…そう見えるか…。
実際しんどいよ、今日は正直もう寝たい気分」
なるべくなら、厨房によって生卵の2、3個も補充したいところではある。
しかし時間は昼を少し過ぎた頃。寝るには少々日が高い。
それに。
「何を言ってるのね!早く『呪印』を取り出さないと、あとの二人がやばいのね!」
そう言いながらシルフィードの広げた小さな紙切れには、二人の少女の名前。
タバサと、ティファニア。
この二人に、残り二匹の『呪印』が取り憑いているのである。
ちなみに『呪印』とは、人に取り憑き、その魔力を食らう、魔法生物である。
「今日中に二人ともなんとかしないと、たいへんな事になるのねー!」
『呪印』が食らうのは魔力。つまり人の心の力である。
心の力を食われたものはどうなるか。心の死んだ人間は…すなわち廃人である。
しかし。
「あとの二人って…イタヅラだけで済まないじゃん…」
げんなりした顔で才人は言う。
『呪印』を宿主から引き剥がす方法は唯一つ。
宿主を興奮させ、体内の活動を活発にさせればいいのである。
つまり、タバサとティファニアにイケナイ悪戯をして興奮させなければならないのであった。
だがそれこそが問題であった。
そもそもこの二人、才人と肉体関係がある。
タバサはここ数ヶ月で既に全身開発済みだし、ティファニアに至っては最近才人との関係が進展してなんだかはりきりつつあるのだ。
そんな状態で悪戯なんかしたら間違いなく、その代償に才人が廃人になることは目に見えていた。
そんな才人に、シルフィードが笑顔で緑色の丸薬を手渡した。
「大丈夫なのね!はいこれ」
「…ナニコレ」
「淫竜特製の精力剤なのね!コレ呑んで元気になるのね!」
「…どっから手に入れてんだよこんなもの…」
しかし背に腹は換えられない。
才人はその丸薬を手に取ると、丸呑みにした。
「すぐは効かないと思うのね。でも移動時間中に回復すると思うから」
「…そうなることを願うよ」
やっぱりゲンナリした顔で、才人は応える。
そして、シルフィードは元気一杯宣言した。
「さー、次はおねえさまの番なのねー!きゅいきゅい!」
私は知っている。
この感覚を。
何の感慨も沸いてこない、心のどこかにぽっかり穴が開いているような、この感覚。
そう、確か、シルフィードが言っていた。
『呪印』とかいう魔法生物が、私に取り憑いた時の感覚。
…いつの間に。というより、まだいたの?
私は椅子に掛けたまま、あのときの事を思い出していた。
サイトに、思い切り辱められた。
窓に押し付けられて。
外から見えるように。
思い切り脚を開かされて。
乱暴に、何度も犯された。
…とくん。
その回想に、私の中で何かが震える。
…あれ…?
前の時と違う。
前は、この程度じゃぜんぜん心が震えなかった。
というよりも、サイトに愛撫されている間ですら、身体だけが反応して心が一切動かなかった。
でも。
今は違った。
サイトとのえっちを思い出す。
…とく、とく。
背筋に軽い悪寒が走って、私の中を微弱な官能が走り回る。
…いつも自分でする時みたいに、乱暴な衝動じゃあないけど。
確かに私の心は震えている。
この『呪印』は魔力を、心の力を糧とする。
しかし、宿主の身体の中にいられるのは、宿主の心が震えていないときだけ。
羽虫が火に入れないのと同じような理屈だろうか。
だったら、心を震わせて追い出してしまえばいい。
…あの時、サイトが私にしたみたいに。
きっとサイトは来てくれる。それまで、私は私の勇者が来るまで、心を震わせていればいいんだ。
私は椅子の上でショーツを脱ぐ。
つう、とショーツと私の女の部分の間に、粘液の糸が渡される。
そこは、サイトと逢うまで、ずっと一生使うことはないだろうと思っていた場所。
今は、彼を悦ばせるためだけに存在する、彼のためだけの場所。
そして将来は…彼がよければ、なんだけども…。
うんと、彼の子を…孕むための、場所。
…ちょ、やだ、私何考えてるのかしら…っ!
その想像に、また心が震える。頬が熱くなる。
よ、よし、この調子で…!
そして私は妄想する。
一番、恥ずかしい事を。彼にされて、一番、嫌で、恥ずかしくて、死にそうになることを。
それは、『あの行為』を彼に見られること。
汚いものを吐き出す自分を、彼に見られること。
それを、想像する。
…ちゅく。
指が、自然に股間に伸びていた。
そこは、自分の妄想で、とろとろに融けていた。
…やっぱり私、変態さんになっちゃったのかも。
恥ずかしくなるのがキモチイイ。すごく、ゾクゾクする。
こんなの、普通の女の子は考えない。絶対に。
…こんな、淫乱で変態な女の子は、だれも娶ってくれないだろう。
それがたとえ、ガリアの王族でも。
だから私は、心に決めている。
私は彼の物。ずっと一生。
私に刻まれた彼の刻印は、一生消えない。
彼の跡をなぞる様に、指が勝手に動く。
湿った私の中を、指が前後する。
ぐちゅ、ぐちゅ。
だから、サイトには、責任を、とって、もらわなきゃ…。
ゆびで、硬くなった所を押してみる。
ぷちゅ、くちゅっ!
きも、ちいい…っ!
こんな、えっちな、あ、あな…。
えっちな、か、からだに、されちゃったんだから…。
「サイト、さいとぉ…」
声が、かってに…!
でも、よばなきゃ…!
わたしは、考える…。
さいとに、あのひとに、見られてるって…。えっちな、だめな私をいっぱい…。
やだ、みないで…!でも、もっと見て……!
「さいとぉ…!は、はやくぅ…!」
ばたん!
突然扉が乱暴に開いた。
来た。来てくれた。
私の、勇者様…!
「助けに来たのねおねえさまーっ!」
お前は呼んでない。
私は全力で隣の椅子に立てかけてあった杖を、シルフィードの脳天めがけて放り投げた。
そしてまた『つづく』なのじゃ!
んじゃスマブラXやってくるーノシ
>>185 >お前は呼んでない
ワラタwwwなぜかそのセリフだけものっそい冷静www
続き待ってます。GJ!
>>185 乙です。
無印時代はカービィ強かったんだけどなあ・・・
おおぅーリアルタイム
初めての遭遇だ
スネークの無線で遊びましょうぜ
189 :
バレット:2008/02/03(日) 23:46:05 ID:dn+ZSunG
そして別のスレじゃついさっきまでルイズに召喚されたスネークがダンボール被ってやしたぜ旦那。
何というタイミング。そして明日明後日辺り自分も投下します。
・・・何時の間にかスレッド見れなくなっててビビッたぞこの野郎。というか、自分が気付くのが遅かっただけ?orz
>やっぱり私、変態さんになっちゃったのかも。
でクソワロタwww
191 :
205:2008/02/04(月) 02:04:54 ID:Iq5bFxPP
へ……せんたいさいさんの相変わらずのへんたいぶりにGJしつつ。
>>109-113 不幸せな友人たち の続きを投下します。あらすじは
>>108参照のこと。
前回までのサブタイトルは「アンリエッタ」、今回のサブタイトルは「罪人」です。
トリステイン王国内、デルフリンガー男爵領。
王都トリスタニアから遠く離れたこの地は、ギーシュの提案を受けたアンリエッタから、サイト・
シュヴァリエ・ド・ヒラガに対して下賜された領地である。
もちろんそれはルイズを騙すための嘘であり、実際は彼女自身が女男爵であった。
領地自体は非常に狭い。山一つと、その中腹にある小さな村、領主の居城である小城が一つあるぐ
らいだ。これといった特産物もなく、領民たちは山で狩りをしたり痩せた土地でわずかな作物を育て
たりして、細々とした昔ながらの生活を営んでいる。主要な街道からも遠く離れており、他国に抜け
るための便利なルートだということもない。そもそもかなり奥深い場所にあるため、隣の村に行くの
にも人の足でニ、三日かかるほどだ。当然、外界との交流もほとんどない。閉ざされた寒村である。
つまり所有する側としては何の旨みもないわけで、元の持ち主である伯爵からはほぼ完全に打ち捨
てられていた。だから彼は、アンリエッタから贈られたわずかばかりの金品だけで、喜んで土地の所
有権を手放したのである。
小城のテラスから、少し離れたところにある小さな村を見下ろし、ティファニアはぎゅっと唇を噛んだ。
(なんて寂しいところなんだろう)
小さな村は、山のある程度平らな部分を無理に切り開いて作られたらしかった。狭い平地に粗末な
掘っ立て小屋のような家屋が詰め込まれるようにして立ち並び、その集落からさほど離れていないと
ころに、これまた狭い畑がぽつぽつと点在している。あんな畑ではろくな作物が採れないだろうし、
山の中だって、そう多くの食物があるわけではないだろう。考えれば考えるほど、よくこんな場所で
人間が生活できるな、と呆れるやら感心するやら。それほどに、貧しい土地であった。ティファニア
が元々暮らしていたウェストウッドの村にしても、これほど寒々とはしていなかったはずだ。
今日ここに来る途中、一行は馬に乗って、村の中を抜ける狭い一本道を通り過ぎた。
村の者たちは、皆一様にボロ着としか言いようのない服を着ていた。その目には突然外界からやっ
て来た支配者に対する恐れしかなく、後で城を訪れた村長だという老人も、びくびくと落ち着きない
様子で体を震わせて、舌をもつれさせながら挨拶したものだ。
あの人たちは、一体何を楽しみとして日々を生きているのだろう、と半ば本気で考えてしまうほど、
弱弱しく、暗い雰囲気を纏った人々だった。
(そんな場所に縛り付けられたまま、ルイズさんはこれからの一生を過ごさなければならないんだわ)
テラスの手すりを握る手に、ぎゅっと力がこもった。
「あらテファ、こんなところにいたの」
背後から声をかけられて、どきりとする。振り返ると、部屋の中からルイズが歩み出てくるところ
だった。ゆったりとしたドレスを身に纏っており、いかにも貴族夫人といった風情だ。
「ひどい場所よね、ホント」
ティファニアの隣から寒村を見下ろし、ルイズは苦笑した。
「でも、仕方ないか。しばらくはお父様たちから隠れていなくちゃならないんだものね。そういう意
味ではうってつけの場所よね、ここって」
「そうですね」
笑いを作って答えながら、ルイズが信じている嘘のことを思い返す。
先に西方に帰還した才人は、女王へ報告に行ったあと、反対されることを覚悟の上で、ヴァリエー
ル公爵領へ結婚の報告に行った。この結婚はルイズの両親とは何の相談もなく行われたことだったた
め、当然彼女の父の激怒を買った。それで才人は命からがら逃げ出して、再び女王と相談し、彼ら夫
妻はヴァリエール家とは何の関係もない辺境の貴族として生活していくことになった、と。
ティファニアが知っているのはこの程度だった。隣のルイズがこの状況をおかしく思っていないの
だから、もっと細かく、いかにも本当っぽい理由付けをして、この嘘を教え込んだのだろう。
「デルフリンガー男爵領、か」
ルイズがじっと目を細めた。
「実際ひどい場所だけど、わたしとサイトの領地なんだもの。豊かとまではいかなくても、貧しくな
い土地にはしたいものね。学院で学んだことが役に立てばいいけど」
気難しげに言ったあと、ルイズはふっと体の力を抜き、腕を手すりに置いて体をもたれさせた。
「サイト、早く帰ってこないかしら。なんだかすごくさみしい」
――才人は現在、この土地のことでアンリエッタと細々とした相談をするために、王都に留まった
ままである。
そういうことになっていた。
「いけないいけない」
ルイズは慌てたように体を起こすと、ティファニアの方を向いて少し無理した感じの笑顔を見せた。
「こんなんじゃダメよね、これから男爵夫人として立派にやっていかなくちゃならないんだもの。夫
の留守ぐらいで弱気になってちゃ、何も出来ないわ。サイトが帰ってきたとき面倒な仕事が残ってな
いように、張り切って頑張らなくちゃ」
心臓が痛くなってきた。ルイズの笑顔から目をそらし、ティファニアは城の中を掃除しているシエ
スタの手伝いをすると言って、その場を後にした。
そうやって居館の準備等が整うと、友人達は皆、名残惜しげにこの地を去っていった。残ったのは、
ルイズとシエスタ、そしてティファニアだけであった。
三日後の夜、ティファニアはルイズの寝室となった部屋に立っていた。
傍らのベッドでは、ルイズが規則的な寝息を立てている。小さな窓から差し込む月明かりが、あの
日と同じようにルイズの顔を青白く浮かび上がらせている。
「それではお願いしますね、ティファニアさん」
背後から促すシエスタの声に従って、ティファニアは詠唱を開始した。この地に到着してから三日
間の記憶を消す魔法である。詠唱は滞りなく終わった。
「お疲れ様でした」
「いえ。ルイズさんには、どのような嘘を?」
「サイトさんは戻ってきて早々に領地運営のわずらわしさを嫌って冒険の旅に出かけた、と。ミス・
ヴァリエールが散々サイトさんに領地運営の大変さを説いた結果だ、と言っておけば、この人も納得
して反省までしてくれるでしょう。いかにも、この人が後先考えずにやりそうなことですからね」
シエスタは淡々と言った。
一瞬、そこまで上手くいくだろうか、という疑いが頭の中に浮かんだが、すぐに解消される。
(結婚式があったことを忘れていた、なんて、無茶苦茶な嘘を信用するぐらいだもの。その程度のこ
とを疑問に思うはずがないわ)
ティファニアはそっと息をつき、頭を下げた。
「今日は、これで失礼します。なんだか凄く疲れてしまって」
「そうでしょうね。ミス・ヴァリエールには『ティファニアさんはアルビオンに帰りました』とか、
適当に説明しておきますから」
「シエスタさん、まだルイズさんのことを『ミス・ヴァリエール』と呼ぶんですね」
少し疑問に思って言うと、シエスタは一瞬かすかに眉根を寄せた。
「当然でしょう。だって、この人はまだミス・ヴァリエールですもの」
「それは、そうですけど」
「安心してください、本人の前では……そうですね、『奥様』とでも呼ぶことにしますから」
かすかに皮肉っぽさが感じられる口調だった。
ティファニアは扉を開けて部屋を出る直前、そっと肩越しに後ろを見やった。
シエスタはベッドの傍らでルイズを見下ろしていた。表情は見えなかった。
ランプの灯りだけを頼りに、ティファニアは家への道を急いでいた。道、と言っても、生い茂る草
木でほとんど隠された獣道である。ギーシュが土魔法により急ごしらえでこさえたものだ。よほど目
のいい者でも、事前に知っていなければ到底発見できないだろう。万一ルイズに見つけられては困る
から、その方がいいのだろうが。
そんな森の中のの道を踏みしめ、長い時間をかけて小屋までたどり着く。闇の中に小さな小屋の姿
が見え始めた頃には、服が草塗れになっていた。
(でもきっと慣れるわね。これから、ルイズさんの記憶を消すために何度も往復することになるだろうから)
そんな風に考えながら、小屋の扉を開ける。一部屋しかない、非常に小さな小屋だ。ベッドとテー
ブルと椅子と、竃兼用の簡素な暖炉。後は細々とした生活用品がいくらかあるだけで、後は何もない。
ここが、これから長い間、ティファニアが暮らす家なのである。
アルビオンの家に戻るつもりはなかった。子供たちには、ティファニアは死んだと伝えてもらう手
筈になっている。彼らは悲しむだろうが、秘密を守ることを考えれば、これが最良の手段だった。
ベッドに腰掛けて小屋の中の狭い空間を眺めていると、まるで牢獄にでも入れられたような気分になった。
(あまり、変わりはないのかもしれないけど)
自然とため息が出た。疲労が鉛のように体を重くしている。肉体的な疲労も大きいが、精神的なも
のはそれ以上だ。
それでもこのまま眠る気分にはなれず、ティファニアは再びランプを手に持って家を出た。裏手に
回り、森の奥へと進んでいく。しばらくすると、わずかに開けた場所に出た。
ティファニアは我知らず息を飲んでいた。小さな広場の中央、小さく盛られた土に、一本の剣が突
き刺さっている。剣身が月光を照り返して青く光っていた。
「デルフさん」
返事がないと知りつつ呼びかける。やはり何も返ってこない。デルフリンガーのそばにしゃがんで、
じっとその剣身を見つめる。
才人が死ぬのと同時に、デルフリンガーもまた力と人格を失っていた。どういった作用によるもの
かは分からない。才人が死の直前に受け止めたエルフの魔法の中にそういった効果をもたらすものが
あったのか、それともデルフリンガー自身が自らの意志で心を閉ざしてしまったのか。
いずれにしても、彼女がよき相談相手を失ったことだけは確かだった。
ふと、デルフリンガーの剣身に何かが刻まれているのを見つけて、ティファニアはそこにランプを
近づけた。
サイト・シュヴァリエ・ド・ヒラガ、と刻んである。驚きのあまりランプを取り落としそうになった。
(誰が――?)
そう思いかけて、首を振る。誰が書こうが同じことだった。
(ここは、サイトの墓標だものね。いくらルイズさんから隠さなければならないからって、名前もな
いのでは可哀想だもの)
物言わぬデルフリンガーの下に眠っている才人の亡骸を思いながら、ティファニアはそっと手を組
み合わせた。
家に戻り、テーブルの上にランプを置いた。頼りない灯りの下に、もらってきた紙を一枚広げる。
インク瓶の蓋を開けて、羽ペンを右手に持つ。一動ごとの音が、やけに大きく聞こえた。
羽ペンの先にインクを浸したものの、ティファニアはまだ迷っていた。
(本当に、こんなことをしてもいいんだろうか)
ティファニアがしようとしているのは、才人からルイズに宛てた手紙の偽造だった。もちろん天国
からの手紙というわけではなく、今も生きて元気に世界中を旅している才人が、ルイズに向けて自分
は元気だと報せるための手紙である。
一人城に残ったシエスタが、どういう嘘をルイズに教えるかは事前に聞いているため、どういうこ
とを書けばそれらしく見えるのか、頭では分かっていた。
「でも、どうしてわたしなんですか? どうせなら、ギーシュさんとか、男の人の方がいいのでは」
「ご学友の文字は見たことがあるかもしれませんし、皆様それぞれやることがあって、この地に残っ
ているのはわたしとティファニアさんしかいません。だからと言って、わたしが書くわけにもいかな
いでしょう? ミス・ヴァリエールはティファニアさんの文字を知らないはずですから、『サイトさ
んにとっては外国の文字だから、意識して丁寧に書いているんだろう』と言えば誤魔化せます」
シエスタの理屈は正しかった。まさか他の者に代筆を頼むことなど出来ないし、これは間違いなく
ティファニアの仕事だ。
(やらなくちゃ、ならないのよね。それが、わたしの罪滅ぼし……責任だもの)
ティファニアは羽ペンの先を紙に近づけた。どれだけ慎重にやろうと思っても、どうしても手が震える。
(落ち着いて。変なところがあってはいけないのだから)
そう念じた矢先、驚くほど自然にペンが走り出した。
『元気か、ルイズ。俺は今――』
ティファニアは羽ペンを紙面から離し、己の右手を凝視する。
(どうして――?)
混乱しながらも、再び紙にペンをつける。ほとんど考えることもなく、自然とペンが走った。見る
間に違和感のない、自然な文章が組み立てられていく。その全てが才人らしい言葉だった。自分が今
どこにいて何をしているのかを伝える言葉。ルイズの身を案じる言葉。そして、それ以上の愛の囁き。
愛してる、愛してる、愛してる、愛してる――。
全てを書き終えた後、ティファニアは疲労のあまりテーブルに突っ伏すところだった。なんとかこ
らえながら、便箋の中に手紙を折りたたんで入れ、封をする。それから、今度こそ疲れ果ててベッド
に倒れこんだ。
先程の手紙を楽しげに読むルイズの顔が自然と思い浮かんできて、頭の奥がずきずきと痛む。
(わたしは何のためにこんなことをしているの? 大切な友達を、あんなひどい嘘で騙して……)
罪悪感が膨れ上がり、胸を強く圧迫する。
それでも、今更この嘘をやめるわけにはいかなかった。これからも、才人の振りをして手紙を書き
続けなければならない。そして、それは決して不可能ではないのだと、たった今証明されてしまった。
ティファニアは自分がどこにも行けなくなったことを悟った。
一ヶ月ほどの時間が流れた。
ルイズはシエスタの嘘を信じた。自分が才人から領地の運営を任された、と張り切り、領地の状態
を少しでもよくするために奔走しているという。
「昨日なんて、川の深さを自分で確かめる、とか言って、危うく流されそうになって」
と、小屋を訪れたシエスタが愉快そうに話していた。
手紙は、今のところ三日ごとに訪れる彼女が城へ持って行ってくれている。食料などもそのときに
運んできてくれるので、こちらも問題はなかった。ルイズにばれる可能性があるから、その内何か別
の手段を講じるつもりらしいが。
手紙自体の内容も問題ない。あれ以降もティファニアの筆は滞りなく走り、まるで死んだ才人の魂
が乗り移ったかのようである。真実を知っているシエスタですら、
「いつ見ても感心しますね。本当に、サイトさんが遠い地からミス・ヴァリエールに宛てて書いた手
紙みたい」
と驚嘆していたほどだ。それ故に、ティファニアの胸はますます痛んだ。必要なことだと言い聞か
せても、罪悪感は消えてくれない。
(当たり前よね。実際に、悪いことをしているんだもの)
ティファニアはそんな風に自嘲に浸る日々を送っていた。眠る前、ほぼ毎日葡萄酒を飲んで、泥酔
したまま床に入った。そうでもしなければ、夜毎襲ってくる罪悪感と悪夢で、頭がおかしくなってし
まいそうだった。
そんな風に彼女が苦しむのをよそに、日々は穏やかに過ぎていった。
最初は突然現れた支配者をただ恐れるだけだった村人たちも、その人物が小さいながらも美しい少
女で、確かに自分たちのために尽くしてくれているのだ、と知ると、じょじょに警戒心を解き、こわ
ごわながらもルイズに協力するようになった。
何もかもが、上手くいっている。
ティファニア自身もルイズの様子を直に見たくなって、こっそり村の方まで降りていったことがあ
る。遠目に見たルイズは、貧しい身なりの村人たちに囲まれて自分も泥だらけになりながら、それで
も楽しく笑っているようだった。以前に比べると、刺々しいところがほとんどなくなっている。
(サイトに愛されているって、実感しているからなのかしら)
たとえそれが実際には偽りだったとしても、幸せそうなルイズを見るのは悪い気分ではなかった。
(もしかしたら、本当にこれで良かったのかもしれない)
その日の夜、久しぶりに葡萄酒なしで眠りにつく直前、ティファニアは自然とそんな思いを抱いた。
事件が起きたのは、その翌日のことである。
その日は、朝からずっと雨が降り続けていた。
こんな山奥に人知れず隠れていて、なおかつ雨の日ともなると、本当に何もすることがない。繕い
物などのちょっとした手仕事をするのも、何となく気が向かなかった。
だから、ティファニアは椅子に腰掛けてテーブルに頬杖を突き、ぼんやりと窓の外を眺めていた。
(雨は、嫌いだな。ううん、嫌いになった、って言うべきなのかも)
降りしきる雨を見て、その音を聞くたびに、才人の死体に語りかけていたルイズの姿や、その優し
く虚ろな声音が蘇ってくる。
首を振ってそれらを追い出しながら、自分に言い聞かせる。
(大丈夫よ。今のルイズさんは、あのことは完全に忘れている。それに、あんなに幸せそうだもの。
何の問題もないわ)
そのとき、突然小屋の扉が大きく開け放たれた。吹き込んでくる雨風に驚きながら振り向くと、戸
口にフードつきのマントを羽織ったシエスタが立っていた。雨の中を走ってきたのか、全身ずぶ濡れ
だった。荒く息をつく顔は、血の気を失って青ざめている。
「ミス・ヴァリエールが、いなくなりました」
出し抜けにシエスタが言った。ティファニアは目を見開きながら立ち上がり、彼女に駆け寄った。
「どういうことですか? 一体どこに」
「分かりません、分からないんです」
シエスタは顔を両手で覆って、声を詰まらせた。
この日のルイズは、朝からどこか様子がおかしかったらしい。降りしきる雨ゆえに村に降りること
もできず、テラスのある部屋で外を眺めながらシエスタと一緒に紅茶を飲んでいたのだが、ふと
ティーカップをテーブルの上に置いて顔をしかめ、
「なんだか、頭が痛い」
と言い出したらしい。
「それで、薬を探して戻ってきたら、もうどこにもいなくて。城中を探しても、村の方を見てきても、
どこにも。ああ、一体どこに……!」
シエスタの顔には隠しきれない焦燥が浮かんでいる。無理もないことだとティファニアは思った。
才人の遺体を抱えて湖に向かって歩いていたルイズの背中が、嫌というほど鮮明に頭の中に浮かんでくる。
(サイト……そうだわ、ひょっとしたら……!)
ティファニアの頭の中にある考えが閃いた。
「シエスタさん、ひょっとしたら、ルイズさんがどこにいるのか、分かるかもしれません」
「本当ですか?」
シエスタは目を見開き、ティファニアの肩をつかんで揺さぶった。
「一体あの子はどこに」
「落ち着いてください、今から案内しますから」
肩にかけられた手をやんわりとどかし、壁にかけてあったマントを羽織ると、ティファニアは外に
出た。ぬかるんだ道に足をとられて何度も転びそうになりながら、雨の降る森の中を、奥へ奥へと走
る。走る内に、予感は確信へと変わっていった。
(間違いないわ。ルイズさんは、あそこにいる。この雨が、彼女の記憶を取り戻させたんだわ……!)
雨に煙る森の向こうに、少しだけ開けた場所が見えてきた。才人の亡骸が眠る、デルフリンガーの
墓標だ。そのそばに、小さな背中が見える。
「ねえ、デルフ、お願い、応えて!」
悲痛な叫び声も聞こえてきた。
(やっぱり、ここにいた……!)
ティファニアは咄嗟に木の陰に身を隠し、わずかに顔だけを出して広場の様子を窺い始める。その
横を通り抜けて、シエスタが小さな広場に駆け込んでいく。
「ミス・ヴァリエール!」
叫び声に、ルイズの細い肩がぴくりと震えた。彼女が呆然とした様子で振り返る。格好は、城の中
で着ているドレスのままだった。全身ずぶ濡れで、泥まみれである。どこをどう通ってここまでたど
り着いたのか、見当もつかない。ティファニアたちが今通ってきた道ではあるまい。あの道に入るに
は、どうしても小屋の前を通らなければならないのだから。
(つまり、道も目印もない森の中を通り抜けて、それでもここにたどり着いたんだわ、彼女は……!)
体が震えた。一体何が彼女をここに導いたのか。
振り向いたルイズの顔に浮かぶ呆然とした表情を見る限り、彼女はここがどういう場所なのか、既
に理解しているらしかった。震える声で、シエスタに問いかけている。
「ねえ、シエスタ、これ、どういうこと。どうしてデルフ、何も喋らないの。どうしてデルフに、サ
イトの名前が刻まれてるの。もしかして、ここ、サイトのお墓? サイト、死んじゃったの? い
つ? どうして? だって、昨日だって、手紙が、届いたのに」
答えはなかった。答えられないのだろう。そうしている内に、ルイズの顔に浮かぶ苦悩の色はどん
どん濃くなっていく。
「待って、違うわ。おかしいもの。サイト、サイトは」
ルイズが目を見開き、両手で頭を抱えた。
「そうよ、サイトは死んだんじゃない。東方で、わたしをかばって、死んでしまったんじゃない!」
激しく頭を振りながら、ルイズが恐怖に顔を歪めた。
「なんで、そんなことを忘れてたの!? わたし、見たことがないぐらい青白いサイトの顔も、体の
冷たさも、今だってはっきり思い出せるのに! それなのに、なんで、サイトは生きてる、サイトと
結婚した、なんて……!」
混乱するルイズの肩を、シエスタが意を決したように抱きしめた。
「とにかく城に戻りましょう、奥様。こんなところにいては、風邪をひいてしまいますわ」
「そんなことどうでもいいわ。早く、サイトのところに行かなくちゃ……!」
その言葉に、ティファニアは反射的に身を乗り出してしまった。ルイズが不意に顔を上げるた。視
線が引き寄せられるように、自然とこちらを見据える。
しまった、と思って木の陰に身を隠したときには、もう遅かった。
「誰、そこにいるのは。出てきて。出てきなさい!」
今更逃げることも出来ずに、ティファニアはゆっくりと小さな広場の中に歩いていった。心臓が痛
いほどに高鳴っていた。
「テファ……あなた、どうしてここに? アルビオンに帰ったはずじゃ……」
ルイズの顔に困惑の色が浮かぶ。それはすぐに疑念に変わり、やがて彼女がある結論に到達したこ
とを示すような、理解と激怒の色に染まった。
「そうか、あんたね、あんたがわたしの記憶を消したのね!」
物凄い勢いで、ルイズがつかみかかってきた。支えきれず、ティファニアは地に倒れる。泥水が服
の中に染み込んできて、背中が凍りついたように冷たくなる。そんな彼女の胸倉を無理矢理つかみ上
げ、ルイズは雨を吹き飛ばすほどに強く、大きな怒声を張り上げた。
「なんでそんなことしたのよ! サイトを殺したことも忘れて、一人でのうのうとぬるま湯みたいな
幸せに浸って……! あんた、そんな馬鹿なわたしを笑ってたのね!?」
「ち、違います!」
ティファニアは必死に弁解した。ルイズの血走った目から逃れたくてたまらなかった。
「わ、わたしは、ルイズさんのために……」
咄嗟に口から出た言葉に、ルイズは歯軋りした。
「わたしのためですって!?」
ルイズの顔が憤怒に歪む。彼女はティファニアを放り出すと、地面に深く突き刺さっていたはずの
デルフリンガーを、軽々と引き抜いて戻ってきた。
「自分のせいで愛する人を死なせた記憶を奪って、馬鹿な嘘を信じさせて、何も知らない馬鹿面で幸
せな生活を送らせるのが、わたしのため!? ふざけんじゃないわよ、あんたはわたしを世界で一番
薄汚くて醜い、最低の女にしたのよ! そんなことをしておいて、よくもわたしのためだなんて!」
ルイズはまるで重さを感じていないように軽々とデルフリンガーを持ち上げると、その切っ先を
ティファニアの喉元に突きつけた。ひっ、という短い悲鳴が、喉の奥から勝手に漏れ出した。
「考えが変わったわ。サイトのそばに行く前に、あんたを殺してやる」
ルイズがデルフリンガーを大きく振り上げる。
「地獄に落ちろ、この――」
そのとき、突然視界が眩い光に満たされ、ティファニアは吹き飛ばされた。同時に轟音が襲ってき
て、鼓膜に突き刺さる。一瞬後、彼女は先程隠れていた木の幹のそばに倒れていた。
(一体、何が……雷?)
光と音からそう察する。どうやら、かなり近いところに雷が落ちたらしい。この雨の中では、山火
事になることはあるまい。とんでもない偶然に、命を救われたようだ。
(そうだ……ルイズさんは!?)
はっとして広場を見ると、ルイズもまたティファニア同様に吹き飛ばされていた。落雷の衝撃でデ
ルフリンガーを手放してしまったらしく、剣は彼女とはかなり離れたところに落ちている。彼女自身
は、広場の縁にあった木の幹のそばに倒れていて、ぴくりとも動かない。おそるおそる近づいてみる
と、どうやら木に頭をぶつけて気絶しているらしかった。
「良かった」
ほっとしたような呟きに振り向くと、傍らにシエスタが立っていた。
「一時はどうなることかと思いましたけど、始祖ブリミルが助けてくださったようですね」
彼女はルイズのそばにしゃがみ込むと、ティファニアを見上げて言った。
「さあ、彼女に魔法をかけて、今日の記憶を消してください」
なんでもない口調だった。ティファニアは首を横に振った。
「もうやめましょう、シエスタさん」
声だけでなく、全身が震えているのが分かる。先程のルイズの叫びが、頭の中をぐるぐると駆け
回っていた。
――あんたはわたしを世界で一番薄汚くて醜い、最低の女にしたのよ!
「そうよ、その通りよ。わたしは、ルイズさんの誇りも、サイトに対する愛情も、何もかもを汚して
泥まみれにしてしまった……! やっぱり、こんなことをするべきじゃなかった、してはいけなかっ
たんだわ……!」
悔恨が胸を締め付ける。
「シエスタさん、もうやめましょう。このまま、ルイズさんをサイトのところに行かせてあげましょ
う。そうするのが、一番正しいことなんです」
ティファニアの必死な訴えを、シエスタはただ無表情に聞いていた。その目が、呆れたように細められた。
「あなた、よくそんな恥ずかしいことが言えたものですね」
「は、恥ずかしい……?」
「そうですよ。正直に白状したらいかがですか? あなたが今更そんなことを言い出したのは、ミ
ス・ヴァリエールのことを考えてのことじゃ、ないんでしょう?」
「ち、違います、わたしは……!」
弁解しようとして、言葉が出てこないことに気がついた。心のどこかで、誰かが「その通りだ」と
言っていた。
「単に、自分が汚れるのが嫌なんでしょう、あなたは? ミス・ヴァリエールにとって何が正しいの
かなんてどうでもいい。彼女が死ぬのは可哀想だと思ったら記憶を消す、自分のやったことが汚いこ
とだとわかったら、今度はその罪を忘れるためにミス・ヴァリエール自身を消す。あらあら、ずいぶ
んと自分勝手な理屈ですね?」
刺々しい言葉を、ティファニアは否定できなかった。
(そうよ。わたしは、さっき言ったじゃない……!)
――わたしは、ルイズさんのために……
咄嗟に口を突いて出た言葉が、全ての嘘を剥ぎ取ってしまった。
(わたしは、自分のしたことが悪いことだと理解していると言いながら、罰を受ける覚悟なんて少し
も持っていなかった……! それどころか、ルイズさんの意思や尊厳なんてまるで無視して、『これ
が本人にとって一番いいことなんだ』って、言い逃れまでしていた……! わたしは、なんて汚い……)
全身から力が抜ける。ティファニアは地面に膝を突いた。ぬかるんだ地面は冷たい。このまま少し
も動かず、雨が熱を奪い去るのに任せて死んでしまおうかとさえ思った。
「さて」
シエスタの静かな声が、ティファニアを現実に引き戻した。
「それでは、ミス・ヴァリエールの記憶を奪ってくださいな。早くしないと目覚めてしまいますよ」
「でも……」
自分の醜さを自覚しても、まだそうすることには迷いがあった。そんなティファニアをじっと見下
ろしながら、シエスタは淡々と問いかける。
「いいんですか?」
「え?」
「いま、ミス・ヴァリエールが目を覚ましたらどうなるかなんて、分かりきったことだと思いますけど」
シエスタの視線がすっと動く。それを追うと、地面に転がっているデルフリンガーに行き当たる。
同時にルイズの血走った目が思い浮かび、ティファニアの全身に震えが走った。
あとはもう夢中だった。杖を取り出し、今までやったこともないぐらいの早口で詠唱を終え、杖を
振るう。その一瞬で、ルイズの記憶は奪われた。今日の悲嘆も憎悪も、何もかも。ルイズの血走った
目が、ティファニアの頭の中から急速に消えていく。
「う……あ……」
気を失ったままのルイズから逃げるように、ティファニアはニ、三歩と後ろによろめいた。不意に
腹の底から何かがこみ上げてきて、その場に蹲って嘔吐する。胃酸が口の中を通りぬけ、びちゃび
ちゃと地面に垂れ落ちた。一度だけでは済まずに、何度も何度も吐き出す。
そんな彼女のことなど見えないかのように、シエスタはルイズを抱え上げて脇を通り抜けかかった。
「ま、待って、ください」
息をするのも苦しかったが、ティファニアはなんとか去り行くシエスタを呼び止めた。彼女は肩越
しにこちらを見た
「なんですか」
「あなた、あなた、は」
こみ上げる嘔吐感を、寸でのところでこらえる。
ティファニアには、シエスタが平然としているのが信じられなかった。自分がこれほどまでに凄ま
じい罪悪感を感じているのに、目の前の少女がそうではないらしいことが。
「あなたは、こんなひどいことをして、なんとも思わないんですか?」
かなり無理をしてそう言ったあと、ティファニアは後悔した。
自分であれだけのことをしておいて、他人にそんな問いかけをするのはあまりにも滑稽に思えた。
しかしシエスタは、先程のように矛盾点を突くこともなく、ただ一言、揺るぎない口調で返した。
「ええ、なんとも思いません」
絶句するティファニアをよそに、シエスタはまた前を向いた。表情が見えなくなる。
「あなたはずいぶんと、ミス・ヴァリエール自身のことが気になっているようですけど」
ぞっとするほどに、感情のこもっていない口調だった。
「わたしは、彼女のことなんてどうでもいいんです」
「じゃあ、どうしてここまで……」
「だって、サイトさんが言いましたから」
彼女の肩が小さく震え出した。
「サイトさんが最後に言ったんです。ルイズを幸せに、って。わたしにとって大切なことはただそれ
だけ。わたしはどんなときだってサイトさんの味方です。だからミス・ヴァリエールには幸せな一生
を全うして頂かなくてはいかないんです。こんなところで死なせはしません。ええ、死なせてやるも
のですか!」
振り絞るような叫びだけを残して、シエスタが静かに去っていく。
雨の中、ティファニアはただ一人だけで残された。しばらくして立ち上がり、落ちていたデルフリ
ンガーを再び深く突き刺して、ゆっくりと家路を辿る。
小屋に入ってから無言で杖を取り出し、先端を自分の頭に向けて、口を開いた。しかし、どうして
も詠唱を紡ぐことが出来なかった。
手から力が抜け、杖が落ちる。ティファニアはその場に蹲って、嗚咽を漏らした。
(誰か、誰か、助けて……!)
降りしきり雨の音を聞きながら、一晩中そうやって泣き続けた。
翌日、ティファニアはルイズの城館に潜入していた。昨夜は一睡も出来ず、体の調子は最悪だった。
だが、今日はどうしても、ルイズのことを見なければならないと思っていた。
彼女はテラスのある部屋にいた。開け放たれた扉の影から覗き込むと、テーブルの前に座って
熱心に何かを読んでいる様子だった。目を凝らすまでもなく、手紙を読んでいるのだと分かる。時折、
おかしそうに笑う彼女の息遣いが聞こえてくる。
「奥様、奥様……!」
慌しい声と足音がして、廊下の角からシエスタが姿を現した。扉の影に隠れているティファニアを
見つけて、息を飲む。二人はその場に立ち尽くしたまま、一瞬見つめあった。
「シエスタ、わたしならここにいるわよ」
部屋の中から、ルイズがのんびりと言った。シエスタははっと我に返り、こちらに向かって駆けて
くる。横目で警戒するようにティファニアを見ながら、部屋に駆け込んでいった。
「あらシエスタ、どうしたの、そんなに慌てて」
「いえ……お姿が見えないものですから、勝手に城の外に出て行かれたんじゃないかって思って」
「違うわよ、後少しで面倒な仕事が全部片付きそうだから、ちょっと一休みしているところよ。
勝手にどこかに行っちゃうなんて、サイトじゃないんだから」
おかしそうな声に続いて、楽しげな会話が聞こえてくる。ティファニアは、扉の影に隠れてそれを
じっと聞いていた。シエスタは一度部屋を出て、厨房の方に向かっていった。程なく、ティーセットを持ってまた部屋に入っていく。楽しげな会話が再開された。
やがて、ティーセットを両手に持ったシエスタが出てきた。今度はこちらを一瞥することもなく、
廊下の角に向かって歩いていく。すれ違ったとき、目に涙が浮かんでいるのが見えた。
再び、部屋の中を覗き込む。ルイズはまだ手紙を読んでいたが、やがて不意に立ち上がり、手紙の
束を胸に抱きしめて、テラスの方まで歩いていった。目を凝らすと、彼女の肩がかすかに震えている
のが分かった。静かに涙を流している。
「よかった……サイト、無事で……」
呟きが耳をかすめる。美しい涙だ、と思いながら、ティファニアはそっとその場を立ち去った。廊
下の角を曲がるとシエスタが待ち構えていて、物問いたげな視線でじっとこちらを見ていた。
「もう、迷いません」
すれ違い様にそう言い置いて、ティファニアは裏口から城を出た。
獣道の家路を辿っていると、自然と自嘲めいた笑いが口元に浮かんできた。
(わたしは何を勘違いしていたんだろう。罪悪感や悪夢から逃れようとしたり、彼女のためだなんて
偽善者ぶってみたり、この記憶自体を忘れようとしてみたり、誰かに助けを求めてみたり……わたし
には、それをする資格がなかったのに)
一晩考え抜いて、彼女が出した結論だった。
(わたしは罪人だ。一生許されぬ罪を犯した大罪人だ。わたしに出来ることは、ただ耐え抜いて、罪
を償うことだけ……ううん、罪を償うんじゃない、終わらない罰を受けるだけだ。だって、わたしの
罪は、償うことなんか絶対に出来やしないんだから)
静かに涙を流すルイズの姿が頭に浮かんできて、ティファニアは強く唇を噛み締めた。やがて、家
が見えてきた。家とも言えぬ小さな小屋。そこが、彼女がこれから長い時間をかけて罰を受けるべき
牢獄だった。
201 :
205:2008/02/04(月) 02:13:22 ID:Iq5bFxPP
>>195 ×一ヶ月ほどの時間が流れた
○半年ほどの時間が流れた
早速訂正。勢いで書いてるからこういうことに(ry
他にも誤字多数発見しましたが、保管庫掲載時に修正するってことで一つ。
直前のと比べるとあまりに根暗ですがまあキニシナイ!
>>201 GJ!
しかし胃が痛い 上に切ないな
ティファもシェスタも辛かったろうに
>>201 乙です・・・でも
_/\|
 ̄○ ・・・
反対意見を書けば荒らしの味方だとか認定されて、アク解駆使した管理人に晒し者にされちまうのでここで発言する。
しょせんは二次創作なんてのは権利者に無断でやってる日陰者なんだ。
しかもエロときた日にゃもっと肩身が狭い。
目立たないように、騒ぎを起こさないように、こっそりと活動するのが当たり前だろ。
教育機関やら各所に通報?
「こちらはエロ同人小説を書いてるサイトの者ですが〜」とでも申告するつもりか?
挙句にVIPにスレ立てとか、正気の沙汰とも思えん。
騒ぎを大きくすればする程、エロパロ板や同人業界に余計な被害が出る惧れまである。
相手が串も使わず今でも生IPのままなんだろ、アク禁掛ければそれで済む話をわざわざ大事にするな。
WIKIなんてのは荒らされて当たり前の脆弱なシステム、たかが一人の荒らしで何をヲタヲタしてんだか。
>>201 GJ。
ルイズもシエスタもテファも姫様も・・・
>>206 >反対意見を書けば荒らしの味方だとか認定されて、アク解駆使した管理人に晒し者にされちまうのでここで発言する。
>>207 それは言い訳だな、まず言葉の使い方を覚えた方が良い。
>>204 君自身の存在と意見が無価値と分かってるなら、おとなしく無言でフリーライダー続けてなさい。
>>201 しかしこの一連の作品を読むとテファの能力の恐ろしさが本当によく解るね。
ルイズの人間としての尊厳を完全に踏みにじってる。辛いことでも幸せなことでも
自分の身に起きた現実は等しく大切なものなんだなと改めて思った。
でも現実に耐えられない現実に直面したとき何が出来るのか。難しいね。
結局は逃げてはダメって事かな。記憶を奪うかどうか話し合った時、キュルケや
コルベールやギーシュは逃げるんじゃ無しに全身全霊でルイズを見守る決断をして
欲しかった。狂気を持ったシエスタやアンリエッタはともかく・・・。
馬鹿の相手はするな
213 :
バレット:2008/02/04(月) 15:59:24 ID:Zmgyki4Y
魔法学院突入編、投下させていただきやす。
今回もエロ無いけど簡便な!
ハルケギニアでは、丁稚奉公というものは珍しくない。
とは言うものの働く先は商店などではなく、主に金持ち――その大体が貴族でその屋敷の使用人、いやむしろ雑用役みたいなものとして出稼ぎに来るが多数である。
とりあえずそういう小難しい事は筆者には色々苦手なので途中は省く。
まあとにかく言いたい事はだ、タルブ村の農家の長女である黒髪の彼女、シエスタも遂に出稼ぎする事になった訳で。
彼女の働く先はなんと貴族の子女子息が多数過ごす学び舎、トリステイン魔法学院なのであった。
とりあえず先輩がたへの挨拶もそこそこに、メイド服に着替えた彼女。同世代の中じゃ頭1つ抜き出た胸部装甲が中々目立っている。
最初の仕事は何かというと、新たに入学してくる生徒達への対応である。正確には、彼らが持ち込む荷物を寮へと運ぶという物。
その量は半端無い。なにせ家で使っていたベッドごと馬車に乗せて持ってきた猛者が居るほどだ。というかそんなのが大半だ。
服の詰まったトランクらしき物も大きさと重さはかなりの物だが、農家の娘を舐めてはいけない。こう見えても力仕事はバッチコーイなシエスタだった。
まあそれでも、いつかは限界が来る。
女子寮の一室へとトランクを徒歩で1人運び上げていたシエスタだったが、
これが何個目か数えるかも億劫になるくらいの重たいトランクを抱え上げていた腕は、秒刻みで力が入らなくなっていた。
「お、重たい・・・」
しかし休む訳にはいかない。もし誰かに見つかれば――あまつさえそれが貴族の誰かであれば良いとこ初日でクビ、悪ければ家族まで責めが向かうかもしれない。
極端な話だが、ありえないと言い切れないのがまた恐ろしい。
なんせ何も悪い事をしなくても、貴族の気まぐれであっさり首を吊られかねないのがこの世界。
ぐらり、とバランスを崩して、トランクごとシエスタの身体が後ろへ傾く。
石で出来た階段、それも重量物もろとも転げ落ちるのは非常に危険だが、傾く体は意に反して止まらない。
そのまま少女の身体は階段に激突―――
ぼすっ
しなかった。
「おっと、大丈夫か?」
頭上の声に見上げてみれば、すぐ目の前に見慣れぬ青年の顔。
その髪の色は、彼女と同じ黒だった。
「重たそーだな。俺も運ぶの手伝うよ」
「あ、ありがとうございます!で、でもわ私の仕事ですし・・・」
「いーっていーって。そんな重たいもん女の子に運ばせんのもあれだろ?俺も自分の荷物あっちの部屋に全部運んじゃったし、暇でしょーがなかったし」
ひょい、と軽々青年はトランクを持ち上げる。そしてトランクに刻まれてあった、何処の貴族かを示す紋章を見て怪訝そうな顔をしてから溜息をついて、声を上げた。
「おーい、イザベラー!自分の荷物ぐらい少しは自分で運べよ!」
すぐに足音と共に青い髪の少女が階段へやって来た。
まごう事なき新入生らしい貴族の少女、しかも纏っているドレスの質からシエスタでもかなりの大貴族の子女だという事は理解できる。
スタイルもなんだかシエスタ以上にゴージャスっぽかった。広いおでこも何だか神々しい。
少女を見た瞬間脊髄反射で直立不動になったシエスタ、しかし一方黒髪の青年はむしろ非難するような口調で、
「あのなあ、いくらなんでも3年間ここの寮で過ごすからってどれだけ服詰め込んだんだよこれ、この子も運び上げるのすげぇ大変そうだったぞ?」
「仕方ないじゃないか、ガリア王家の子女が同じドレス使い回してる、なんて事になったら恥じゃないのさ」
「いや、それでもこれだけ重いって何着入ってんだよ・・・」
「うるさいね、それに・・・その・・・」
青い少女、何だかモジモジ。
顔も何故かほのかに赤い。
言えない。
彼にどれだけ汚されてもいい様に、だなんて・・・!
そう考えただけで、既に今はいている下着が湿り気を帯びてくる。
青の少女は頭をブンブン振って脳内で繰り広げられかけた妄想――
――しかしその内容はこっちに来る前に実際シてた事と大差無し――
――を慌てて打ち消した。しかし頬の紅潮は納まらない。青いのに紅いとはこりゃいかに。
「あー、とにかくこれお前のだろ?運ぶから部屋がどこか教えてくれよ」
「!!わ―――分かったよ!しっかり付いてきて覚えときな!」
「分かってるって・・・分かんなきゃ夜部屋に行けないしな。あ、あとメイドさんも無理しないようになー」
去っていく2人。シエスタそのまま置き去り。
去っていった方で何来て早々他の女に手ぇつけようとしてんだい!やちょっと待てそりゃ誤解んぎゃ〜〜!!とか、鉄砲水が壁にぶち当たったような音が聞こえてきたけどそれはともかく。
どうも先ほどの貴族の少女と知り合いだったという事は、彼も貴族なのかもしれない。
けれど彼は、シエスタが見てきた貴族とはどこか大きく違っていた。
気さくで、優しくて、偉ぶらなくて、ありがちな美形じゃないけど近くで見てみると味のある顔で・・・
微かに頬を赤らめながら、青年が消えて行った階段の先をシエスタはボーっと眺めていた。
「また、会えますよね・・・・・・」
・・・平賀才人、無自覚のまま学院突入数時間でフラグ1本先取。
「あー痛ぇ。イザベラの奴覚えてろ、今日の分倍返しで苛めてやるぜ・・・」
ぐっふっふっふっふ、と悪役というより変態的な笑いを漏らしながら、才人は学院を探索していた。
何時の間にかジョゼフに手配されて魔法学院の生徒にされていた彼。しかし実際はあまり怒ってはいなかった。
なにせイザベラとシャルロットにも言った通り、自分だって別れ離れになるのは寂しい。
ぶっちゃけ2人の少女の身体を知ってしまったお陰で、彼女達がいない間に本性を現した股間の息子を抑えきれるか才人自身不安だったりもした。
・・・それにハッキリとは言っていないが、異世界とはいえ再び学生生活が遅れる事も嬉しい。
周りに対して歳の差はあっても、彼女達がいれば大した事じゃない。
未だ正門から入ってくる新入生一行で賑わう中庭に出た才人は、ふと青空を見上げ。
「ん?」
近づいてくる黒点に気付いた。
それは成体の翼竜による大型の竜籠である。何だかあのデザインには見覚えがあった。
側面にはアルビオン王家の紋章。他国の王家の紋章が刻まれた竜籠の接近に、中庭の新入生達も俄かにざわめく。
「アルビオン・・・て事は、まさか」
才人は駆け出した。その間にも竜籠が正門前に着地し、竜を操っていた従者が籠の扉を恭しく開ける。
中庭に居た者達はゴクリと息を呑んだ。他国のとはいえ王家、単なる貴族とは比べ物にならない権力を持つ。
そしてこの場に居る新入生の大半はトリステイン貴族、アルビオン王家にコネを作るかはたまた国際問題を生み出すかは彼ら次第である。
乗っていた人間が、ステップに降り立って姿を晒す。
その瞬間その場を包んだのは―――――恐怖。
「エルフだ」
誰かがポツリと呟く。その場に居るほぼ全員の思考を締めるのはその単語だ。
エルフ。ハルケギニアで最も恐れられる種族。現れた少女の、その尖った耳がエルフの特徴だ。
それが、なぜここに?
顔を上げた少女の造詣は絵画のような神秘的な美しさだが、周囲はそれさえも目に入らず恐怖に引き攣った顔を浮かべる。腰を抜かしてへたり込む者も。
それに気付いた少女の顔が哀しく翳ったが、その様子さえもこの場の人間達には更なる恐怖を与えるしかなかった。
誰かが叫んだ。
「え、エルフだ、逃げ――――」
「テファ!やっぱりテファじゃんか!!」
遮られた。駆け込んできた黒髪の青年に。エルフの少女も一転して嬉しげな華やかな表情に。
「サイトお兄様!」
はい?お兄様?エルフの?何ソレ?
混乱のステータス異常に陥った場のど真ん中で、互いに相手の元に駆け寄った2人は熱〜い抱擁を交わす。
才人の手が優しくエルフの少女――ティファニアの金色の頭に乗せられる。
なでなでなでなで
気持ち良さそうに、ティファニアは目を細めて受け入れる。ソレを見た周りの反応はまさに吃驚仰天驚天動地、犬は喜び庭駆け回り猫はコタツで丸くなる程。
何でそんな仲良さげ!?つーかあいつ平民じゃないか?どうして平民がエルフと?
落ち着かないという事で貴族の証である紋章が縫いこまれたマントを纏ってないせいで、才人は新入生達から平民扱いされていた。
もっとも才人は生まれながらの貴族ではないし、才人自身貴族みたいに堅苦しく振舞うのは苦手だから仕方無いっちゃ仕方無い。
「つーかもしかしてテファもこの学院に通うのか?」
「うん。あのね、お兄様の方の王様が子供達同士で更に仲良くなろうって事でお互い同じ学校で学ぶ事にしたらしいの」
「そっか・・・あの髭親父、とことん俺に黙ってやがったな」
戻った時はあの髭モヒカン風に刈っちゃると固く誓う。恨みはらさでおくべきか!
報復を確定し、ふと胸元に当たる感触に何かと視線を下にずらし・・・目を見開いた。
「な、なんじゃこりゃあ!!」
「へっ、ど、どうかした?」
思わず太陽に吼える才人。突然の叫びにたじろぐティファニア。
視線の先には子供の頭よりも大きくマシュマロよりも柔らかくかつ弾力性のある胸。おっぱい。
デカい。着痩せするタイプのイザベラよりも明らかにデカい。
何が何だかという感じのティファニアを見、そして最後に会った時のティファニアの母を思い出す。
・・・そういえば、ティファニアの母親も負けず劣らずのサイズだったよーな。
アレか。エルフは皆規格外の特乳なのか。そりゃエルフが恐れられるのも納得だ。あのデカさには敵わないよなー。
それにしても、まあ。
「おっきくなったよな、テファ」
色んな意味で・・・ゲフンゲフン!
なでなでなで
「そうかな?」
「そうだって。最後に会った時なんか頭が俺の鳩尾辺りにあったぜ?」
なでなで
「でもお兄様は昔からおっきいままだと思うよ」
なでなで むにゅ
「でも俺あれからあまり身長伸びてないけどな?」
「そ、そう、あ、あのお兄様・・・あっ」
なでなでむにゅむにゅ
「おにいさまぁ・・・んっ」
なでなでなでむにゅむにゅなでなでむにゅむにゅ
「あれ、どうかしたかテ・・・ファ・・・あ」
いつの間にやら右手はテファの頭の上に乗ったまま。左手はティファニアの胸にしっかりと埋まっていた。
い、イザベラよりもやーわけー。って考えてる場合じゃねー!シてる時みたいにやっちまったー!
突き刺すような殺気。振り向けば、そこには緑の髪のメガネ美女。しかしその殺気半端ねー。
「いー度胸してるじゃないか、サイト『お兄様』?」
「あ、あはは、マチルダさんも来てたの、ね・・・」
「ああそうだよ。テファに何かあった時のためにね。例えば、そう―――――」
マチルダが杖を振るえば、ずももももと土が隆起して30メイルものゴーレムを生み出す!
「アンタみたいなテファに近づく変態を抹殺するためにねぇ!」
「ノオォォォォォォオオッ!!」
「ま、マチルダ姉さん!!?」
その日、学院敷地内で数時間に及ぶガンダールヴと巨大ゴーレムのリアル鬼ごっこが繰り広げられたそうな。
219 :
バレット:2008/02/04(月) 16:13:16 ID:Zmgyki4Y
これで今回分は終わり。次こそ、次こそエロを・・・!
>>204 馬鹿の相手は止めろ。
もう諦めとけ。
そもそも、WIKIWIKIの規約を読んでるかも怪しい管理人だぜ、
通報されて消されるのは自分かも知れんのだがな。
GJ!!
サイトに関するフラグ立ちまくだなw
投下お疲れ様、続きも楽しみにしてますぜ
あと、乙も言わずにただ蒸し返してるだけの馬鹿は頭冷やして来い
そういや規約違反があるんだよなあ。
自分から閉鎖するつもりが無くても規約違反でアカ削除ってのも有り得るか。
一応バックアップ取っとくか。
>>219 乙、よくやった
うちにきてシルフィードをファックしていいぞ
225 :
転載:2008/02/04(月) 19:23:04 ID:bhcd0aOz
394 2008/02/04(月) 19:04:46 ID:Ad4A8eUs
色々と魅入られたへんたいさん(sage)
管理人がアクセス解析使ったのって、前の一人と今回の覗きの二人だけの筈だけど、
彼は誰にアク解食らったんだろーねー
不思議不思議
コーヒー吹いた
ま た お ま え ら かwww
>>219 こういう有得たかもしれない外伝はいいねぇ。
今後シエスタはどうでるのか、テファとの関係は!!
一番気になるのはルイズだな…存在自体が無かった事になってるのかあるいは原作のイザベラみたいに捻くれてるのか…。
230 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 21:02:45 ID:qIrK4MVW
シャルロットがでてない…
231 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 21:38:56 ID:qqKnSwDJ
393 名前:色々と魅入られたへんたいさん 投稿日: 2008/02/04(月) 21:12:20 [ 7jx3JEYg ]
本スレやここに書き込んでる奴らはどうしたいんだ?
保管庫潰したいのなら、放っておけばいい。
覗き見の人生と崩落起こしてくれる。
潰したくないなら、そんなに手はない。
管理人が動く前に、IP晒されてる覗き見に何らかの手を打つ。
ここ見てるかどうか分からんが、今からでも謝るように説得する。
潰したくないなら、覗き見の放置は論外。
Wikiが脆弱なシステムなのは、みんな承知だ。
今まで何故荒れなかったのか、知ってる奴は知っている。
前回荒らされたときに原因を叩き潰したからだ。
スレ住人の民度が高かったのはもちろんあるが、あれが無かったらここまで平和だったとは思えん。
どのみち潰れるのなら、原因ごと相殺は望むところ。
ガンガン行けばいい。
>>379 「こちらは・・・・」
捨てアドでも使えば、さして恥ではない。
メール出す以上、管理人のIPは通報先に割れるが、管理人に非がない以上あちらから同種の手段で反撃が出来るわけでも無し。
そもそも、社会人ならプロバの変更になんの抵抗がある。
さらに言うなら、通報される側はさらに輪をかけて恥を掻くわけだし。
同人に波及?
するとしたら、未成年が閲覧した事が最大の問題になるだろうが、
ここの住人は全員大人だ、問題有るまい。
規制がキツくなっても、恨まれるのはいにしえの京都の学生の如く覗き見だ。
今は2ch有るし、あの頃ほどの恨みを買えば、まず間違いなく身元が割れるな。
まぁ、
それでも通報を避けたいんなら、代案を出すんだな。
アク禁以外な、昨日までは有りだったかも知れんが、
>>360で禁止する意味が無くなってる。
本スレ来られたら一緒だ。
こんな池沼が見てるこのスレは末期っすね
>>231 私が悪かったです もう二度としないからから許しください
くらい言えないのか この屑は マジで死ねよ
以下 保管庫雑談掲示板より引用
>386 名前:色々と魅入られたへんたいさん 投稿日: 2008/02/04(月) 19:04:46 [ Ad4A8eUs ]
>管理人がアクセス解析使ったのって、前の一人と今回の覗きの二人だけの筈だけど、
>彼は誰にアク解食らったんだろーねー
>不思議不思議
ああ、それと日本語さえまともに読めない屑は下を1千回読み直せ
まあ、無駄だと思うがww
このスレの保管庫wikiといえども結局は個人サイトの話です
利用規約云々についてこのスレで語られても如何とも出来ません
この件についての話は雑談用掲示板
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/7927/1162204142/ もしくは直接WIKIWIKI.jpの方にお願いします
とりあえずwikiの話は向こうでやれよ。
末期だろうが保管庫なくなろうがどうでもいいから、
こんな空気のなかでも投下してくれてる人たちに、少しはコメントしてあげてくれ。
感想とか書きにくい雰囲気なのは分かるが、SSより罵り合いの方が楽しいですって
職人に言ってるようなもんだぞこれじゃ。気の毒すぎる。
>>234 正論だな 屑をスルーできない俺も荒らしだな 少し反省
とりあえず バレット氏GJ!
236 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 21:57:40 ID:qqKnSwDJ
>>218 GJ。
本編よりもハーレムが広がってきてるw
あとはルイズか。サモン・サーバントで誰を呼び出すのやら・・・
ああ、さらにハーレムが広がりそうな妄想が・・・w
本スレも荒れ始めたな。明らかにどっかから煽ってる奴が入り込んできてるだろ
職人さん達が書き辛くなるような流れはやめてほしいんだがな
何も言うな
>>219 GJ! こういうドタバタ学園物風味のノリは好きだw
個人的には原作のこういう部分が好きなんだけどな……
>>238 そういうこと書く暇があったらSSに対するレスの一つでも書いたほうがよっぽど有益だよ。
極端な話、上にSSがあるのにそういうこと書くってのは、
「読んだけどつまらなかった」「つまらなそうだったから読んでない」と言うに等しい。
どっちにしても職人は凹む。
俺たちは紳士 何事も優雅にあるべきだと思う、すべての職人さんたちに私は感謝を送りたい
205氏、バレット氏 GJ!
>>219 妄想が止まらないですなぁw
もうこの時点でムラムラムラムラムラm(ry
続き待ってます!
244 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 23:12:27 ID:qqKnSwDJ
398 名前:261のひと 投稿日: 2008/02/04(月) 23:04:31 [ MceAlJJ. ]
ご心配おかけしてます。
さて困ったな、8割ハッタリだったけど、ここで引いたら消え損ですねー
ちゃんと謝ってくれる子の可能性に期待していた自分は甘いのかな。
移転してもまた管理者が糞だったら通報して消してもらうお^^
そういやボルボ氏まだみかけてないな、あの人の書くシナリオ 内容が濃くて結構好きだったりするんだよな
内容が濃いってことは、それだけ書くのに時間がかかるってことだからね。
まあ気長に待とうよ。
おや?
どうやら、ブラウザが壊れたみたいでSS以外のレスが見えなくなったようだ。
205氏、へんたいさん、見習い氏、バレット氏gjです。
248 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 03:01:39 ID:l4RAfqXj
205氏の鬱展開に諸氏のエロやギャグ。どれも極上だぜ。
不幸な〜はシエスタ視点も語られるのかな。読めると嬉しいがやばそうだな・・・。
通報マダー?????
俺としちゃ、たかがリモホ一つ握った程度で荒らしを破滅させるなんてアホの戯言としか思えんのだが、
あれだけ自信満々に人生終わらせる宣告してんだ、あっと驚く手腕を期待するよ。
余所のスレ住人に荒らしとの戦い方を伝授するんだろ?
他の荒らしに対して見せしめをするんだろ?
さっさと通報して、その顛末を逐一報告してくれよ。
さっさと通報しないと先に保管庫が垢デリ、荒らされた証拠消滅なんて笑えない事態になっちまうよ。
まさか口先だけの脅しでした、なんてつまらん結末にだけはしないでくれよw
ぶっちゃけどこもマトモに取り合わないでFAだろうけどな。
出会い系サイトからの迷惑メール程度の扱いしかうけんだろ。
まあ傍観者の俺にはどうでもいいことだが。
私の行為は歴史に残る偉業だ!みたいに思ってるからアホくさいよなw
どうでもいいなら黙ってりゃいいのに
まあどうでもいいんですけどね?
☆-(ゝω・)vにゃむ
>>253 >きっと言葉では言い表せない
>「うんざり」みたいなものを感じてくれたと思う。
>殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい
つっこんだら負け?負けなのか?
スレが荒れるのはうんざりだという人間らしい感覚を忘れないでほしい。
ってことじゃないか。
お前らいい加減にしろ!
ノーヴォル・ヤマグッティーがこんなことを望んでると思うか!?
まあちょっと落ちついて、 荒らしをする奴はボルボックス扱いでいいじゃない そうすればまったく気にならないし
ほっとけば時代の荒波に飲まれて文字通り「藻くず」と消えてゆくさ
なぁ、その話は桃りんごの素晴らしさより大切なものなのか?
桃りんごと比べるなんて桃りんごに失礼なくらいどうでもいい話だな。
ところで前回のスレ埋めがなかなかおわらなかったけどさ、
スレ埋めの時は普段ROMの人もちょっとやる気出して
みんなで一気に小ネタかきまくったりしてぱーっと埋めね?
前スレの最後のひっそり感が寂しかったし、
残しっぱなしでだらだら埋め待ちも他のスレッドに悪いしさ。
>>259 いやごめん 桃りんごのほうが大事だわ ひんぬーもまた良い
つまり エロ話がいいってこった. ・・・俺だめ人間 orz
了解した
桃りんごうめぇ
>>261 了解、 じゃあ小ネタ考えよう もう一回本読んでネタ作るか
まあ初めてなんで二日ぐらいかかるかも知れんが
265 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 21:30:13 ID:T2deHPu0
1.
相手が何も知らないリア厨だと侮って、出来もしないと承知の上で脅しを掛けていた。
2.
本気で相手を潰せると考えて、本気で通報に動いている。
管理人と愉快な仲間たちはどっちだ?
桃りんご( ゚д゚)クレ
…というか、テファの魅力は美脚にもあると思うのだがどうだろう( ゚д゚ )
流れも読めないage厨は全力スルーで。
アン様SSまだー?
>>265 2でFA!
本気で潰せると信じてるし、今頃モニターの向こうでガクブルして司法の手が伸びてくるのを怯えてると信じてるだろう。
@@@@@@@
428 名前:色々と魅入られたへんたいさん 投稿日:2008/02/05(火) 22:04:59 [ Rx5VXqQU ]
これだけ書かれてもまだ不安なのな、覗き見www
精々が親バレだろ。
親から近所>友達>学校とかのコンボは分からんが。
あと、折角高校に上がるのかも知れんが、小遣いの値上げの保留とか、
当分親の目が厳しくなるのくらいは覚悟しとけ。
wiki通報したんなら、Ispに通報くらいはないと周りが納得しないだろ。
未だに謝罪もないしな。
そんくらい。身内に弱み抱え続けるとはいえ、楽しい生活送れよ。
プロバイダーなんて小学校の住所を2chで延々と晒し続けた馬鹿でさえ実質お咎めなしなんだぜ。
たかだかアングラサイトの掲示板でのマナー違反なんざ相手にされるかよってんだ。
管理人はどんな事態になっても最後の良心であるべきという持論を持つ俺からされると率先して場を乱すどころか
壊そうとしてる管理人には失望を感じずにはいられない
そもそも保管庫に雑談用のスレなんていらないと思うんだ。
今回みたいな余計な火種呼び込むだけで。業務連絡用だけにしときゃいいのに。
アン♪アン♪アン♪
テファの胸で窒息したい
煽り厨学生が多いな
このスレも、もはや最期か??
冗談ではない、ここは本来作品多くていいスレなのに。
久しぶりに来たらなんの騒ぎだこれ
誰か三行でお願い
各キャラの胸のサイズがよくわからんが
テファ>キュルケ>アン様>シエスタ>超えられない壁>ルイズ>エレオノール>タバサ
でおk?
良い作者がいて、頻度も高くて、書き手の数も多いってのにこんなくだらんことで荒れるなんて
SS書きとSS読みがいりゃ、最期にはならんだろ。
煽りやら荒らしの書き込みでスレが埋まろうが、
SSが書かれていれば読むことは出来るし、それに対してコメントをつけることも出来る。
大量の荒らし書き込みの中に一つでも「ちゃんと読んでくれたんだな」と分かる感想があれば、
それだけでSS書きは達成感を得られるものだ。
要はいちいち要らん心配せんでもいいから、職人が投下してくれたときに備えて
読む準備といい感想書く準備でもしてりゃいいってことだ。
>>277 リア中荒らしと、DQN管理人と、騒ぎを聞きつけて集まった野次馬と、
三者が入り混じっての大乱闘。
>>278 テファ>キュルケ≒カトレア>アン様>シエスタ>エレオノール>越えられない壁>ルイズ≒タバサ
こうジャマイカ?
>>283 カトレアさんを忘れてました。サーセン。
そういえばルイズの祖父母の話って聞かないな。
もう亡くなっているんだとは思うけど。
そんなことより、テファの桃りんごみたいに、ルイズの胸の素晴らしさを表す言葉をみんなで考えようぜ?
チェリーパイ
耐震性抜群、ぐらいしか思いつかなかった。
ステンレス製のまな板とか
アクリル板
ルイズ ゴルゴダの丘
シエスタ ピナトゥボ火山
テファ 聖帝十字稜
アンアン 淫乱
錆びた鏡
だ、大平原の小さなルイズ
あと、雪原のタバサ
チェリーパイに一票。
桃りんごに並んで美味そうじゃないか。
てか、錆びた鏡ってヒドスw
ああ、これを忘れてた。
ゼ ロ
虚乳のルイズ
チェリーパイかわいいな
チェリーパイに一票
そしてそのチェリーに舌で…
>>越えられない壁>ルイズ≒タバサ
を見て、
ルイズとタバサ(シャルロット)がフュージョンすると
宇宙最強の虚乳人!!
『ルイザ』!または『シャルイズ』!
が誕生するのだ!!
となるんだな。
シャルイズだとシャナとルイズに思える
人生は掛け算だ。
よって、ルイズとティファニアがフュージョンしたら、中間のサイズではなく無乳になる。
つまり虚乳最強。
足してもかけても無いものは無いんです。
八年前はよりそって寝てたアン様もぺっちゃんこ幼女だったのに、
いつのまにあんな巨大な差が・・・
全然関係ない話だが、ニコ動の公式動画とやらに
リアル109cmおっぱいとやらが載ってる。
テファって現実にいたらあんな感じの胸なのか……? それとももっとでかいのか?
ヒント:リアルでは標準サイズの乳でも二次元では普通〜やや小ぶりに見える
つまり
桃 り ん ご は も っ と す ご い
とな?
…そうだよなーなにせ乳革命だもんなぁ
306 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 02:51:19 ID:bScvnaah
今北産業(株)
なんで揉めてんの?
面倒くさくてログ読んでないので適当に教えてくださいな
>306
「アンさまのおっぱいを揉むのは俺」
「いやおれ」
「むしろ私が」
「オレはルイズのおっぱいでもいい。我慢する」
「我慢するとは何て物言いだゴルァ!!!」
「でもやっぱシエシエやアン様と比べたら見劣りするじゃん」
「貧乳は素晴らしいんだ!貧乳はステータスだ!それをガマンだの見劣りだのなんだこの野郎!!!」
「じゃあ僕はテファの耳をはむはむ甘噛みしたい」
「タバサのお尻が」(←今ここ)
「貧乳死すべし」「乳首の高さしか胸がない」「肋骨が浮き出てるのがイイ」
あれだお前ら妖刀流舞のおっぱい子爵の講義を受けて来い。
おっぱいはただそれだけで貴く美しい……「おっぱいに貴賎なし!」
そう言い切るおっぱいソムリエを前にすれば大きさを比べあって争うことなんてくだらないことに思えてくるから!
そういえば少し前にこんな書き込みがあったな。
「ルイズもタバサもナイスバディだ(私から見て)」
私から見て←ココジュウヨウ
>>283 アニメの二期のドラマCDで魔法のブラが出てくる話があるんだが
それによるとエレオノールはルイズより小さいそうだ
>>309 どんだけ貧弱なんだよ それともすごくデブだとか?
>>306 何のセキュリティも無いノーガードのまとめwikiがリア厨に荒らされた。
謝れといっても謝らないのでリモホ晒して閲覧の時間帯を晒して、
教育機関に通報するぞ、VIPPER嗾けて自宅襲撃させるぞって脅してみたけど蛙の面にションベンで、
逆に「アダルト禁止の所でエロサイト作って何言ってんだバーカ」と煽られ返され通報される(?)。
で、親にバレるぞ、小遣い減らされるぞ、中3なのに受験に失敗するぞって涙目で怒ってるところ。
ルイズのおっぱいは日の丸弁当
>306
保管庫の管理人である261氏が
雑談掲示板の261を取ろうとして失敗して
鳴いた「にゃー」がものすごく萌えた
>VIPPER嗾けて自宅襲撃させるぞ
これ立派な脅迫罪だよ。
315 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 14:20:39 ID:UhphVTnD
保管この管理人はほんとクズだな
中卒なんじゃねw
>>303 よくビックリ人間番組とかで超巨乳の人が出てるけど・・・
全く萌えないよな。お化けじゃん。テファは歳とったらどうなるんだろうね。
エルフだから寿命は長いだろうし、サイトが生きてる間はもつかな
>312
つまり、基本であり根底であり根源であり唯一にして無二の…むに?むに!?むにむにむにむにムニムニムニムニmunimunimuni
''';;';';;'';;;,., おっぱい!おっぱい!
''';;';'';';''';;'';;;,., おっぱい!おっぱい!
;;''';;';'';';';;;'';;'';;;
;;'';';';;'';;';'';';';;;'';;'';;;
_ vnm_yvwnym_vynmyn_vy、
_ ∩(゚∀゚)彡(゚∀゚)彡(゚∀゚)彡_ミ(゚∀゚)っ
⊂(゚∀゚ )彡と(゚∀゚ ) ⊂ミ (゚∀゚ )っ (゚∀゚ )つ
ゝ⊂彡(゚∀゚ )っ _ ∩ (゚∀゚ ) .(ミ⊃ r
し u ミ⊃ r⊂(゚∀゚ )彡 ⊂彡 i_ノ┘
i_ノ┘ ヽ ⊂彡 しu
(⌒) .|
三`J
Wikiの話はあっちでしろよ
>>315 それは中卒に失礼だろ
覗き見も管理者と同じくクズなのは言うまでもないと思うが
いちいちいわなきゃならんようなことか
目糞鼻糞がいつまで騒いでやがる
リア厨の荒らしってだけで十分だと思うがな。
何処にでもいる様な荒らし、それ以上でもそれ以下でもない。
そんなに必死になるなよ、管理人w
>>320 あんたはそういう考えなわけな
話を振った俺が言うのもなんだがここでのその話もう止めてくれ
SS職人に悪いからな
しかし昼間から元気な連中だな
>>319の書き込みからも垣間見えるように、
荒らしに対する過剰なまでの対抗心、少しでも荒らしの下に扱われるのが我慢できない、
この無駄な攻撃性とプライドが事態をここまで悪化させたってのを理解して欲しいね。
起こったのは単に荒らしが出た、ただそれだけのことだったんだから。
お前らそんなことよりもっとおっぱいの話しようぜ
>>325 すまん 一理あるな
>>326 ジェシカとモンモラシーのサイズ 特に後者はどうだったけ?
ジェシカはシエスタの一族なのでシエスタと同じくらいかな。
モンモンは小説の挿絵を見た限りルイズよりはあるみたいだけど、
そこまで大きく無さそう。
ジェシカの胸は良質そう
330 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 18:06:02 ID:ZLPkHLix
ここでゼロ魔に関係ないことでキャンキャン吠えているのって、アホか当事者だよなあ
そんなことより早くタバサとアン様の乳首のどちらがより桃色かの考察に戻るんだ
考察するまでもなくタバサだろう
むしろタバサは肌色、アン様はいじりすぎて真っ黒
334 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 18:53:50 ID:MLpFQxU1
タバサは真っ青・青い乳首って冷たそうだな
>332
貴様今
アンリエッタ女王陛下がビッチだと申したか!?
そもそも、サイト好きな女は皆ビッPAMPAMPAM!
何かマリコルヌの乳首がこの世の物とは思えない程良い色をしている想像が沸いて止まらなくなった俺はアホ竜に食われてくる
>337
マリコルヌは色・形・量全てにおいて完璧なおっぱいらしいって研究結果が専門家から電波で送られてきたよ
おっきしたお
>>219 亀ですがGJでした
バレット氏のSSのおかげでイザベラ好きが更に悪化してしまった
イザベラの頭を毎日なでなでしてあげたい
今日日偽MIDIごときでおっきとな
345 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 22:44:37 ID:J2DZEoD0
435 名前:色々と魅入られたへんたいさん 投稿日:2008/02/06(水) 20:38:00 [ IO919wt6 ]
いや実際、本気でやるなら探偵でも雇って依頼するだろ?
けど覗き見と諭吉さんを天秤にかけたら諭吉さんのほうが価値あるしな
というかこれ以上もめれば俺たちが餓鬼扱いされる
探偵wwwwww
これ以上って、、、もう既に手遅れだってw
だからこっちにもってくんな
>>339 見れねぇorz
悔しいから桃りんごとチェリーパイをセットで食べてくる。
>>347 気にするな、タバサとシルフィのオマンマンがまる見えなだけよ。
そしてKYな俺が
>>182の続き投下。
そしてさらに続くだけどごめんしてねブラザー。
「痛いのね、酷いのね〜」
杖の直撃を顔面に食らったシルフィードは、真っ赤な顔を抑えてうずくまり、ひんひん泣いていた。
タバサはそんな使い魔をいつものように冷たい目で見下ろした後、すぐ後ろの人物に気がつく。
そして、その直前までしていた行為と、両の足首に引っかかっている濡れたショーツを思い出す。
タバサの頬に朱が注した。
そして、思わずそんなタバサを注視してしまった才人に言い放つ。
「…何見てるの」
普段の彼女ならそんな事は言わないはずだ。
思わず泣きそうになり、真っ赤になってその場にしゃがみこむだろう。
『呪印』の影響だと、才人もタバサも理解していた。
すぐに、タバサはその事を謝る。
「…ごめんなさい」
タバサはすぐに謝るが、その間にも『呪印』の影響か、昂ぶった心が冷めていくのが分かる。
また、あの時と同じ。
いや、少し違う。
今、タバサはこの場から立ち去りたいという衝動に駆られていた。
才人がここにいるというのに、羞恥を感じる心も冷めているというのに。
前の『呪印』と違う…?
タバサがそう疑問を感じた瞬間。
「今だチャンスだ!なのねー!」
突然のシルフィードの叫びとともに、タバサの周囲に、光の輪が現れる。
「ぷろてくとほ〜〜るど!」
シルフィードはいつの間にやら魔法の詠唱を終えていたらしい。
タバサの周囲に現れた光の輪が一気に縮まり、両腕と足を拘束する。
タバサは自分を拘束するシルフィードを睨む。
その目はすでに自分の使い魔を見る目ではなかった。
場末のチンピラにでも向けるような、冷たい目であった。
「くぅ、『呪印』の影響なのね!おねえさまがこんな目でシルフィを見るなんて!」
悔しそうにシルフィードは拳を握り締めるが。
才人は容赦なく突っ込む。
「普段と変わんないんじゃねえの?」
「そんなことないのね!シルフィとおねえさまは鉄の鎖よりも硬い『使い魔の契約』で結ばれて」
「…解消できるなら契約解消したい」
拘束されたタバサからも、容赦ない突っ込みが入る。
シルフィードは開いた口が塞がらなくなった。
そして。
「あーもうわかったのね!
おねえさまには最高の恥辱をプレゼントしてやるのねっ!」
キレた。
シルフィードはすたすたと部屋の隅にある棚に寄って行く。
まさか。
タバサはある事に思い当たる。
そしてそれは的中する。
「あったのね…。コイツでひんひん言わしてやるのねー!」
シルフィードが棚から取り出したものは。
二本のガラス瓶と、箱。
どうしてシルフィードが、これの場所を知っているの…!?
タバサの瞳が、驚愕に見開かれる。
「そ、それは…」
「くっくっく。その通りなのね。
おねえさまがいっちばん恥ずかしい事を、サイトの前でしてもうのね…!」
シルフィードがぱちん、と指を鳴らすと、タバサを拘束していた光の輪が動き、両足を強引に開かせる。
短いスカートの内側から、真っ白なタバサの肌と、濡れた桜色の牝の器官が露になる。
それを見つめる才人の喉がごくりと鳴った。
床の上で人の字にされたタバサは、必死に懇願した。
「や、やめてシルフィード、お願い…!」
「もー知らないのね。シルフィは完全にトサカにきました」
シルフィードはタバサの懇願をそう受け流し、無常にも箱を開けてしまう。
そこから取り出されたのは、大きな注射器と、羊の腸でできた、耐水性の細いチューブ。チューブは片方の先端が三重に折り曲げられ、固められてこぶのようになっていた。
シルフィードはてきぱきと注射器とチューブをつなぎ、注射器の中に角ばった青いほうのガラス瓶の中身を注ぐ。
軽い粘りをもったその液体は、注射器を満たす事なく空になる。
それを見たタバサは蒼白になる。
「だ、だめ、原液で使ったら…!」
この薬は本来、薄めて使用するものなのだ。
「…なあシルフィード、なにそれ?」
才人の疑問に、まずタバサの顔が真っ赤になる。
シルフィードはそれを見て満足そうに嗤う。
「聞いて驚くのねサイト。
おねえさまは、サイトにお尻でしてもらうために、これでお腹をからっぽにしてるのね…!
さあ、サイトの前でおもらししてもらうのねー!」
シルフィードはノリノリで原液の詰まった注射器の先から伸びるチューブを、タバサの肛門へ持っていく。
タバサの顔が、羞恥と恐怖に歪む。
やだ。サイトの前で、そんな、そんな…!
タバサの頬を、涙の筋が伝った。
「いや、お願い、やめて、それだけはっ…!」
「くくくくく…何を今更…!さあ、中身をぶちまけて、特殊な趣味の皆様をさんざん悦ばせるがいいのね…っ!」
ごすん。
「いったーい!何するのねサイト!?」
そんなシルフィードの後頭部を、才人の拳が直撃する。
才人は言った。
「いーかげんにしろ。シャルロット泣いてるだろ。
それに、ほれ」
才人の指差した、僅かに覗くタバサのお腹の上に。
複雑な文様が、浮かび上がっていた。
先ほどの責めで興奮したタバサから、『呪印』が剥離していた。
「さっさと捕まえろよ」
「く、くう、仕方ないのね…!」
本来の目的を思い出したシルフィードは、呪文を唱える。
「風の韻竜、イルククゥの名に於いて。我は汝を封印する」
詠唱が終わると、シルフィードの手から光が伸び、剥離した『呪印』を捕らえる。
それはシルフィードがいつの間にか手にしていた一冊の本に、吸い込まれる。
これで、『呪印』の封印は完了した。
そして。
「さー、それじゃあシルフィは次の『呪印』を捜しに行かなきゃなのね」
逃げようとしたシルフィードの首根っこを、才人ががっしりと掴んだ。
ぎぎぎぎ、と大量の冷や汗と共にぎこちなくシルフィードが振り向くと、そこには笑顔の才人が。
そして、その奥には。
怒りのあまり完全に表情の消えた、雪風の二つ名を持つ、シルフィードの主人がいた。
「じゃあ、お仕置きされてみようか?」
「いーーーーーーやーーーーーーーーーー!」
どかぁん!かっきん!ばこばこばこばこばこばこばこばこばこばこばこばこ…ぼりっ。
「…今日はこの辺で勘弁してあげる」
「…は、はひ。もういたひまへん…」
吹っ飛ばされ体を半分凍らされひたすら杖で頭を小突かれて、シルフィードは半死半生で床に転がされた。
「さてと。んじゃ次の『呪印』捜しに行かないと」
それを横で見ていた才人は、そそくさと部屋を出て行こうとした。
しかし。
「…待って…」
その背後から掛けられる、鳴きだしそうな少女の声。
…いや分かってるんだけど。ここで振り向いたら負けだって。
理性がそう囁くが、才人の本能はそれよりコンマ5秒早く、才人を反転させていた。
そして、理性の予想どおり。
才人の振り向いたそこには。
ベッドの前で、両手でスカートのすそをたくしあげ、本気度2000%の潤んだ目と、火照った頬で、才人を見つめる青い髪の少女。
もちろんスカートの下ははいてない。白いニーハイソックスと黒いローファー以外は。
ごくり、と才人の喉がなる。
「…お願い」
消え入りそうな声で、タバサが囁く。
「ガマン、できないの…」
何が、と聞くほど空気が読めない才人ではなかった。
「して…」
そこまで言ったタバサを。
才人は、彼女の予定通りベッドに押し倒したのだった。
さてここまで。続きは後日。
明日も仕事じゃー…。
ではではノシ
355 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 23:39:20 ID:VFsmLTpc
わははぁい
1番乗りGJ!
相変わらず、へんたいさんの焦らしプレイは容赦が無いぜ!!
そして、無意識にコンマを逆読みした俺は手遅れorz
>>354 シルフィwww
アホの子扱いwwwwww
特殊な趣味のない俺は嫌展に突入する前に止めてくれたサイトにGJを贈りたいw
>>354 >その目はすでに自分の使い魔を見る目ではなかった。
>場末のチンピラにでも向けるような、冷たい目であった。
>「くぅ、『呪印』の影響なのね!おねえさまがこんな目でシルフィを見るなんて!」
>悔しそうにシルフィードは拳を握り締めるが。
飲んでた茶吹いたwwwwwwwGJ
361 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 00:14:55 ID:TR4wikz/
動き過ぎて害を与えるのは論外だが、
火種を抱え込んだまま沈黙を続けるのも論外だぞ。
やるならやるでさっさと動け。
438 名前:色々と魅入られたへんたいさん 投稿日:2008/02/06(水) 23:26:55 [ 7bbgHB/o ]
もうこの話題は終わりでいいんじゃないの?
いつまでこの不毛な流れは続くの。
439 名前:色々と魅入られたへんたいさん 投稿日:2008/02/07(木) 00:04:54 [ buAKExqA ]
まあ、実際どうするかは261氏次第なんだから(規約違反で潰されたら別だけど)
氏の体調が良くなるまでおとなしく静観しようぜ
へんた…せんた…へんたいさん毎度GJ!
>>357 くやしいのうwwwwwwくやしいのうwwwwww
>>354 GJ!!
俺にもそこまで特殊な趣味はないが、タバサが恥じらう姿の描写が少なくなったという意味では凄く残念だw
365 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 00:55:47 ID:edEi5LYd
これはもう艦長プレイでおしおきだな>シルフィ
>>354 GJ! せんたいさんKYなんて自嘲なさらずに
SSが投下されてのSSスレですので
>>363 まあ、それだけタバサがサイトに開発されて爛れた体になったというだけで
すまん、無粋だな
>>354ちょwwwいつも思うけどシルフィに優しくしてあげなさいってwwww
いやまあその鬼畜ぶりも大好きなんですけどねwwww
GJ!
ところで今日14巻はサイトが7万のヨルガンムントに突っ込むってお告げが始祖からあった。
だからちょっと先取りして俺が突っ込んでくる。
ええいもう! 原液をシルフィにつっこんだれ!!!!
保管庫の管理人は氏ねばいいのに
頭悪い幼稚園児が管理がすると碌な事にならないな
しかもまだ通報したくて仕方がない様子w
どこまで負けず嫌いなんだ
雲行きが怪しければ、第2保管庫を俺が作ろう。過去スレのdatは全部持ってるし。
ただ、今の保管庫に直接投稿されたものは失なわれてしまうが。
>>372 中身確認したけど、ちゃんと入ってるぞ?
馬鹿だから右クリックを知らないようです
なんつーか、データまるまる盗んで、僕のHPですって作るのか
>>373 必ず準備中と出るんだが
>>374 スルー出来ない事を指摘されて逆切れかよ 大したもんだなww
ガンダムクロスオーバー保管庫みたいに
アカウント制にでもすればいい。
嵐厨DQNはアカバンすればいいんだし
問題は大なり小なり廃れるだろうが
>>376 馬鹿はお前のことだよ
右クリックってわかる〜?
>>377 でも少なくとも今回の件で荒らしをスルーできなかった
俺みたいな奴とかもいるから
そういう方法なら静かになっていいかもな
>>378 おいおい、スルーで着ない事を指摘された挙句
他人をバカ呼ばわりとはいい神経してるなww 親の顔を見てみたいんだが
そんな事より、ちょいと聞いてくれよ。ただの吉野家改変なんだけどさ。
今、エロパロ板のノボルスレ見てるんです。ノボルスレ。
そしたらなんか人がめちゃくちゃいっぱいで荒れてるんです。
で、よく見たらなんかスレageて、保管庫云々、とか書いてあるんです。
もうね、アホかと。馬鹿かと。
お前らな、保管庫荒れた如きで普段来てないノボルスレに来てんじゃねーよ、ボケが。
保管庫だよ、保管庫。
なんか野次馬とかもいるし。上がってるからって見に来たのか。おめでてーな。
今北産業、とか言ってるの。もう見てらんない。
お前らな、雑談用掲示板あるからそっち行けと。
ノボルスレってのはな、もっと安穏としてるべきなんだよ。
モニターの向こうに座った奴といつ作品投下が始まってもおかしくない、
GJか駄目出しか、そんな雰囲気がいいんじゃねーか。女子供は、すっこんでろ。
で、やっと落ち着いたかと思ったら、隣の奴が、あらしが悪い、とか言ってるんです。
そこでまたぶち切れですよ。
あのな、マジレスなんてきょうび流行んねーんだよ。ボケが。
得意げな顔して何が、あらしが悪い、だ。
お前は本当にスレの空気を戻したいのかと問いたい。問い詰めたい。小1時間問い詰めたい。
お前、自分の意見言いたいだけちゃうんかと。
ノボルスレ通の俺から言わせてもらえば今、ノボルスレ通の間での最新流行はやっぱり、
とにかくスルー、これだね。
言いたいことがあっても完全無視。これが通のレス。
スルーってのは蒸返しが多めに入ってくる。そん代わり絶対反応しない。これ。
で、それ無視しながら雑談(たまにSS投下)。これ最強。
しかしこれをやるとスルーできなかった者まで住人にマークされるという、諸刃の剣。
才人にはお薦め出来ない。
まあ、皆さん、茶でも飲んでマターリいきましょってこった。
雑談用掲示板
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/7927/1162204142/
ヒントだしてあるのに保存できないとな
久々に本物の馬鹿を見たぜ
384 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 16:28:41 ID:edEi5LYd
この流れで、このスレにwikiの話題をする時点でまともな人物とは思えません。
職人さん方の個人情報を抜くための釣り保管庫の可能性ありです。
新しい保管庫をつくるにしても何にしても雑談スレで意見構成してからにするべきです。
この流れでこのスレで新まとめサイトを作っても信用されないと思われ。
なんにせよ、このスレでこの話題はするな
>>382 バカである事は否定しないがお前のような餓鬼に言われるのは不愉快だ
>>383 PCだけど
>>384 正論ですな そしてスルーできず流れを悪くしてすいません
まあ、何にせよ寛容さが必要だよな
例えば薬のせいとはいえ二階窓から蹴り落とした奴の事を笑って許したり
毎日の様に暴力を振るって自分の事を人間扱いしない奴の為に7万の軍に剣一本で飛び込んだり
もっとお前らサイト見習えよ
>>386 でっていう
結局落とし方わからないままだなんて滑稽だわw
>>387 サイトはハードMだからいいんじゃね
まあだからと言って俺がスルーできないことは褒められた事じゃないな
あと管理人のひとが新しい保管庫立てたみたい。
詳しくは雑談掲示板へ
正直あのDQN管理人にはこれからの管理には一切関わることを止めて欲しいから新しい保管庫の用意をしてもらってなんだが
他の人が新しく作ってくれるといいね
そうそう、だから
>>370に期待
現管理人よりひどい奴なんていないだろうからな
執拗に管理人を悪く言おうとする人たちは何なんだ?
どうせ荒らしなんだろうし、それに応える俺もたいがい馬鹿だけど、いい加減にしろっての。
いままで保管庫を運営してくれたこととか、新しく保管庫を用意してくれたこととか
「ありがとう」くらい言ってもいいだろ。報酬なしでやってくれたんだから。
何がDQNだよ。感謝もできない奴のほうがよっぽど心根卑しいだろ。
戦災孤児の為に養護施設を作りました。素晴らしい偉人ですね。
ですが借金がかさみ経営にもう首が回らない。こうなったらもう首を吊るしか……
そうして経営者は施設を爆破しましたとさ。中の子どもごと
今まで生かしてくれてありがとうございましたってか
だから、気持ちは判るけどもう大人なんだから我慢してスルーしなさいって
>>389 Mの根源ってのは
自分が尊敬してたり、上だと思ってる人間に
自分の全てを放棄してゆだねたいって心理から来てるんだ・・・・と最近やったエロゲで言ってた
そういう意味ではMはルイズのほうだと思う
>>388 なあ、それ以前に俺が質問したのは
>>371であって
お前には聞いていないんだが 批判されたのがそんなに悔しかったか?
>>391 >>392 上から目線で他人の行動を批評しておいて自分からは何の行動もせずに
ここでくだくだ言うのは立派な行動と言えるのかよ
つーか俺ってほんとスルー出来ない奴だな これじゃ荒らしと変わらんorz
399 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 17:57:00 ID:gqkL3+sN
せんたいさん
>>350の所で「プロテクトホールド」とありますが、
ガオガイガーのホールド技は「プラズマホールド」
防御技は「プロテクトシェード」または、「プロテクトウォール」ですよ
>>395 (・3・)アルェー?
擁護施設に、入ってきた<丶`∀´>3人が抜けているよ
403 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 18:09:31 ID:oaHRX7VT
あれえ?
規約も読まずにエロ禁止のwikiを借りただけで、殆どの更新作業はスレ住人の有志がやってたんじゃなかったっけ?
で、今回の騒動の責任の8割は管理人が馬鹿だからじゃね?
(・3・)アルェー?
もともとは、SS内容を勝手に改変したのをアク禁したんだよね?
>>397 エロゲってときたま妙に含蓄ある言葉が出てくるよな
>そういう意味ではMはルイズのほうだと思う
ハードSはハードMに繋がると言う話をここの過去ログで見かけたから
案外そうかも
そういえば某年齢制限のないエロゲでも、
ツンツンデレのキッツイ御子様が内心もぐるとハードMだったなぁ。
謳ってくれ
は、けだし迷言
>>406 >>407 アルトネリコか?
ハードMで思い出したんだがルイズも8巻だかで
自身のことをサイトくらいしか好きといってくれないとか
9巻でサイトが出世してまだ見ぬ恋敵に対して怯えている描写があったな
>>408 そうそう。スレ違いだから伏せたけど、
前衛が守りつつ戦って、後衛が無防備に呪文ってのはサイトとルイズに通じるとこがあるぞ。
ルイズにダイブしたら……大怪獣エレオノールとか魔女シエスタとか出てきそうだな。
ああ、なんかそういうゼロ魔ゲーやりたいかも……。
>>409 >大怪獣エレオノールとか魔女シエスタとか出てきそうだな。
他にも大魔王カリーヌとかいるのかね?
サイトは結構口が軽い所あるからこれはルイズの死亡フラグだなww
>>410 そりゃサイトがルイズに構って貰いたいから話してるに決まってるジャマイカwww
>409
>前衛が守りつつ戦って、後衛が無防備に呪文ってのはサイトとルイズに通じるとこがあるぞ。
ウィザードリーの時代から(D&Dの時代から?)そういう関係じゃないのか?
>>412 王家ともいうべきLtRだと、ガンダルフじーさんは前衛ばりに剣をふるんだぜ
システムソフトよりハルケギニア戦略シミュレーションゲーム大零略発売決定!
ファイヤーエンブレムとかの方が近いか
>>414 もうアルファをそっとしてあげて・・・・
>>412 D&Dの方が古い wizはたしかD&Dの発展系であるAD&Dを参考にしてたはず
>>414 × ファイヤーエンブレム ○ ファイアーエムブレム
そういや萌え系のキャラをつかった戦略シミュレーションゲームがあったが
あれってどうなったんだろ?
いや、擬人化した戦車や戦闘機がでるやつじゃないか?
被弾すると装甲(衣服)が剥がれるカットインがあるらしい
サイト×ゼロ戦フラグ!?
萌え萌え2次大戦のことかー
保管庫見てきた。
暗黒時代突入・・・orz
栄枯盛衰は世のならい、しかし案ずるな。職人と読者さえいれば必ずや日はまた昇る。
新天地で盛り返そうぞ。
_
, '´ `ヽ
_ .i f从ノリ,、) ひう
〃` ヽピシ l∠))Tヮノ( <なにこれ」
ノ、 ルリノ〉ピシミ/, ゙)つ)) む、胸・・・
/ /。・゚・リ#") /シく\_ゝ '’ <はしゃぎすぎよ
( ( ( ( ( ヽつ \_))_
゙/))`ド、ゞil
ん〜、_,ノノ
 ̄三三 ̄
422 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 22:20:58 ID:ZTv4mGZ4
新しい保管庫
http://zero.matome-site.jp/ これが置かれてるレンタルwiki
http://mywiki.jp/ その利用規約
第6条(禁止事項)
1.ユーザーは、本サービスを利用するに際し、以下のような法律違反行為を行ってはなりません。
1.著作権、特許権等の知的財産権を侵害する行為
まあ、二次創作における著作権の侵害は権利者の申告で成り立つものだから、よほど厳しくない限り大丈夫だろう。
ただし、
2.ユーザーは、本サービスを利用するに際し、以下のような社会的に不適切な行為を行ってはなりません。
2.倫理的に問題がある低俗、有害、下品な行為、他人に嫌悪感を与える内容の情報を開示する行為。ポルノ、売春、風俗営業、これらに関連する内容の情報を開示する行為。
単に”公序良俗に反する行為”としか記さない所に比べたら明確にポルノ禁止と謳われてるな。
>使う使わないは皆さんにお任せしますが、規約に引っかからないまとめサイトです
まあ、なんだ、本当に規約を読んだのか?
それとも、読んだ上で大丈夫だと判断したのか?
>>414 アリスソフトの地域制圧ゲーで頼む。無論、18禁
>>423 それだと全ヒロインにレイプイベントが入るから個人的にNGだ
>>424 逆に考えるんだ。ルイズがサイトを守れなければサイトがその他ヒロインsに逆レされるんだよ!
守り切れれば甘甘Hが控えているとw
最大の敵はアン様かタバサ嬢だなw
取りあえず、俺のほうでも第2(第3?)保管庫を今週末くらいから用意するよ。
あくまで本拠地はこのスレなわけで、保管庫自体はいくつあっても困るものでもないだろう。
あ、あんたのせいで負けちゃったじゃない!責任とりなさいよ!とか言われてレイプされるのか
おいおい、負けるしかねーだろ
>>426 他人のやる気を殺ぐようなことはやめろ。
429 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 23:43:35 ID:sx016WpS
>>428 保管庫が無い、あっても規約違反の所に建ってる、
なんて状況の方がよほど職人のやる気を殺ぐだろうがアホ。
なに、もしかして規約を読むこともしないアホのカンリニンサマのやる気を殺ぐって言いたいのか?
>>427 こういうことか?
負ける → ヒロイン’s総攻め サイト総受け
サイトは首輪を付けられ地下牢で徹底調教
勝つ → ルイズ御褒美攻め サイト受け
もともと保管庫なんてなかったよな( ´д)ヒソ(´д`)ヒソ(д` )
だから執拗な管理人叩きはやめろよ・・・
それはともかく、新しい保管庫は必要だけどな。
ここまで厨の作品投下無し。
職人の意見も無し。
冬だからって、猿が多いにも限度があるだろ
甜菜
| /| /| ./| ,イ ./ l /l ト,.|
|_≦三三≧x'| / :| / ! ./ ,∠二l |. || ■ ■ ■ ■
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/ヘ { /{ 〉マム / ,≦シ、 }仄 .j. ./ ■ ■ ■ ■ ■
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V \ V: : : : : :リ \ ./ .トイ: :/ ノ/ .}/ ■ ■ ■ ■
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V \ヽ\ヽ\ ヽ \ヽ\ | \. ■ ■ ■ ■ ■ ■
\ , イ▽` ‐- __ 人 \ ■■ ■ ■ ■
:∧ ∨ ∨ / ハ
::::∧ ヘ, / , イハ |
::::::∧. ミ≧ 、 ,∠, イ: : : : :.', |
::::::::::} 了`>ァ-‐ ´ } : : : : : : : : ', |
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:::::/ レ'7 ̄{`ヽ. V/ : : : : : : : : : / .|
::/ / / V∧/: : : : : : : : : : / /
437 :
Lv.見習:2008/02/08(金) 01:32:17 ID:1d4h9Mmp
さっきちらっとアルトネリコな会話してたら思いついちゃったのを投下。
その勢いのまま2時間くらいでぱっと書いちゃったんだ。反省はしてない。
全然アルトネリコな雰囲気出てないけど、元ネタ知らない人には
意味不明になりそうなところがあったからわざとずらした。
元ネタわかってる人はわらってくれ。
興味ない人はそのままスルーしてくれ。
「ん……あれ? ここどこだよ?」
ふと目をさまし、周囲を見回すと……、そこは異世界だった。
……といっても、才人がボケているわけではない。
さわさわと揺れる草原からの視界は広く、はるかに孤島のような土地が見渡せるが……、
才人はこんな土地はまるで見覚えがない。
大体、昨日は確かに普通にいつもどおりに、ルイズのベッドで眠ったはずだった。
なのに、なんでこんな野っ原で目が覚める?
はるかに見渡せば、猛る活火山に、遠く崖下に流れ落ちる滝。
点々と見えているのは王宮と、ラ・ヴァリエール邸だろうか?
幸いというべきか、見慣れた魔法学院がすぐ近くに見える。
ただ、それらはどうにも寒々とした雰囲気をかもし出して、今、才人がいる草原だけが
なぜか柔らかな光を放っていた。
「しっかし……、誰もいねえみたいだな。参ったねこりゃ」
背中に背負っているはずのデルフリンガーもいない。
ムダに長生きしてるデルフなら少しはわかるかもしれないと思ったが、残念なことに、
今回はアテにできないらしかった。
「うーん……、座っててもしかたねえし、とりあえず、あちこち回って見るか」
才人がとりあえず訪れたのは、トリステイン魔法学院だった。
見慣れた道を通っていくが、なぜか生徒たちの姿をまったく見かけない。
これだけ違和感のある世界であるのに、ルイズがいつも通りいるとも思えなかったが、
それでも才人は寮の一室、おなじみのルイズの部屋に訪れた。
「おい、ルイズ。いるか?」
ノックもなしに扉をばっとあける。
……いた。ベッドの上、シーツをかぶっているのは、間違いなくルイズだった。
「サイト……」
言って、ルイズはそっとシーツから顔だけを覗かせる。
才人はそれでようやくほっと一息ついた。
「あー、すぐ会えてよかったよ。なあルイズ、ここってどこなんだ?」
「どこって……、ここはわたしの部屋よ」
「そりゃわかってるよ。でも、なんかこの世界ヘンだろ?」
「ヘンじゃないわ。ここはわたしの部屋よ」
どうにも話が通じない。困った才人は頭をかいた。
「でも風景も妙だったし、なにより学院内のどこ行っても誰もいないし……」
「それでいいの」
「ん? 何言って……?」
予想外の言葉にうろたえる才人の目の前でルイズははらりとシーツを落とした。
その下はごく僅かな布地で要所のみを隠している、下着より全裸よりいやらしい……、
うん、これはあれだ。「あぶないビスチェ」ってヤツだ。
「……って、こ、こら! なんてもん着てんだよお前!」
「あ、こういう服じゃサイトは興ざめしちゃう? じゃあ脱ぐわね」
「ま、待てーーー! 脱ぐなっ!!」
言うなり肩紐に手をかけたルイズに慌てて駆け寄って、先程まで羽織っていたシーツを
頭からかぶらせた。そのままシーツごとベッドに押し付ける。
危ない。何が危ないって、何かヤバいものがぞくぞくと湧き上がって――……。
暴れそうになる本能から逃れようと、才人は頭をぶんぶんと大きく振った。
押さえる手が緩んだ隙に、シーツの隙間から繊手がすいと忍び出て、指先が頬に触れて、
その感触に才人はおもわずぴたりと動きを止める。
「もう……、やっぱりサイトってば、ケダモノなんだから」
潤んだ瞳。そして、いつもの声より、数段煽情的な声が才人の耳をくすぐった。
ち、ちがう。このルイズはいつものルイズじゃないんだ。ちがう……。
才人はもはや己にいい聞かすように内心でつぶやき続ける。
「ちょ、ちょっとまて。それより早く外に出てだな……、皆を探さないと」
「え……、皆の前でシタいの? そんなことさせるなんて……、サイトのいじわる」
ぽっと頬を染めて視線をはずす仕草といったら……。
才人は思わず伸ばしそうになる手をぎりぎりとつねり上げて堪える。
「ま、まあ、落ち着けって。それより皆を探そうぜ。な?」
「……イヤよ」
「イヤって……、なんでだよ」
「だって、サイトと二人きりでいたいんだもん」
あっさりすんなりと躊躇いもせずにルイズはそんなことを言った。
聞いた才人は下顎がすとんと地に落ちた気がした。
おかしい……、おかしすぎる。
仮にそう思ったとしても、ルイズがそんなことを言うはずがない。ありえない。
「お、おい……ルイズ」
「ねえ、ずっと一緒にいて。わたしのカラダ……、サイトなら、なんでもしていいの」
言いながら白い素肌に才人の手を持っていった。
鎖骨の上をつうっと滑って、才人の指先はビスチェの肩紐の内側に滑り込む。
生唾を飲み込むと、喉があまり行儀の良くない音を鳴らした。
「……お、お前……、ほんとにルイズか?」
「そうよ。わたしはわたし。……っていっても、わたし全部じゃないけど」
にこ、と微笑んだその笑顔に見覚えがあった。
「まさか……、またモンモンの惚れ薬飲んじまったのかよ?」
「飲んで無いわ。だって、薬なんて使わなくてもわたしは元々いたもの。わたしはね……、
ルイズの中の、サイトの事が大好きでしょうがない部分よ」
肌に触れた手はそのままするすると導かれて、胸当ての内側の、幼い膨らみに触れる。
細身なのにふんわり柔らかいその上、存在を主張する小さなしこりが掌をくすぐった。
ルイズが、自分を大好きだと言った……。
それもあって、才人の意識はこれまでの思いやら情欲が溢れていっぱいになる。
今、手のうちにある膨らみをもっと実感したくなって、才人は思わず手に力を込めた。
……しかし、ふと見下ろしたルイズの表情に、暴力的な熱は急速に収まった。
ルイズがどうしてこんなことをしているのかがわかってしまったのだ。
こんな行為に及ぼうとしていながらも、その瞳は熱欲ではなく不安に染まっていたから。
「……る、ルイズ。やっぱだめだ。こんなのやめよう」
「ど、どうして? わたしじゃだめ? むね、ちっちゃいから?」
「違うよ。……俺はルイズのこと大好きだけど、身体が目当てで言ってるんじゃないんだ」
「でも……、いつもちいねえさまとかティファニアとか、大きい胸ばかり見てるじゃない」
「つ、つい見ちゃうけど、それだけ。大体、俺が胸の大きさしか頭に無いようなヤツなら、
今頃見境なくあちこち言い寄ってるだろ?」
「……そうね、それはそうかもしれないけど」
「だから、こんな無理しなくていいんだ。いつものままのお前が……、お仕置きはまあ、
控えめにしては欲しいけど、それはともかく、ルイズはルイズのままで好きだ。だから、
身体で繋がらなくても、胸の大きさがそのままでも、俺はルイズが好きなままだから」
「……ホントに?」
「うん」
ルイズがほっとした顔をした瞬間、窓の外が眩く光った。
「あ……」
「な、なんだ? あの光は……、俺がさっきいた草原?」
「パラダイムシフトだわ」
「……はあ? パラダイム……なんだって?」
「行きましょ。次のわたしが待ってるわ」
「つ、次のわたしぃ??」
ごつん。
ぱちりと目を開けると、そのすぐ目の前にあったのは床だった。
窓からさわやかな朝の光が差している。
「いてて……、んー? ……なんか、妙な夢見てたような気がする」
「ぅん……? おはよ、サイト。……今日はずいぶん寝相が悪かったみたいね」
「うーん……そうみたいだな。おはよう、ルイ、ズ……」
言って才人は、あくびをして大きく伸びをするルイズを見た。
朝の光に照らし出されたその姿を視野に納めた瞬間、才人の目は点になった。
「……って、こ、こら! なんてもん着てんだよお前!」
「え?何? ……きゃああっ!」
指摘されたルイズは即座にシーツをひっかぶった。
おかしい。おかしいっつーの!
うっすらしか覚えてない夢のなかで、唯一鮮明に残っていた記憶……。
これは……、さっき夢の中でみた「あぶないビスチェ」じゃないかー!!
― ルイズのコスモスフィアLv?を完了しました。
コスチューム【せくしぃビスチェ】を手に入れました ―
441 :
Lv.見習:2008/02/08(金) 01:34:34 ID:1d4h9Mmp
以上。
あ、見ての通りギャグだよ。クロスにもなってないよw
>>441 GJ!
次のレベルは学園変身ヒロイン編でコスチュームは「メタモル委員長」なんだな?
>>441 GJ! 荒んだときはSSの投下に限りますな ありがとう
ナイスタイミングでの投下だw
>>424 鬼○王ラ○スっぽく才人がアン様と結婚してガリア、アルビオン、ゲルマニアを
制圧、最後にラスボス「ロマリア」と戦って世界統一する展開が良いな。
>444
そういえば、あのシリーズもヒロイン桃色頭だったな
向こうは、ピンク髪のほうが、使い魔というか奴隷だけどな。
エルフの女王や日本の女サムライとの間に子供ができるイベントは、テファやシエスタで代用可能。
>>444 それだと真のラスボスが変な鯨になっちゃうじゃないかw
鯨=ブリミルで実は世界はブリミルの見た夢でしたってオチか?w
そして最後はルイズと旅に出て終わりか…
>>446 女侍は声的にはアン様のが合ってると思うけどね(笑)
>>447 ネタバレすんなwwwww
いいえ
全てはノボル神の妄想です
ここは6割はノボル神の妄想で、残りの4割はその他の妄想でできています
>>446 リセット・ウエストウッドは見てみたいな。
脳内メーカー(笑)
最強剣士な主人公
ピンクふわふわ髪ヒロイン
喋る剣
作者に贔屓されてる青髪メガネ
主人公にべた惚れで手段を選ばないエロ女王
金髪巨乳な伏兵
そんなの関係ねえ!
459 :
205:2008/02/09(土) 00:37:33 ID:NppwrgYK
あの雨の日も遠く過去へと過ぎ去り、ティファニアがデルフリンガー男爵領に来てから、ちょうど
五年の月日が流れていた。
周囲の風景は時間と共に移り変わっていくが、ティファニアの生活にはほとんど変化がない。
三日に一度は才人のふりをして手紙を書き、訓練された梟に持たせて城に届けさせる。ルイズから
の返事がくれば、よく読んでまた返事を書く。それ以外は、本当に何もない生活だった。正確には、
それ以外は何もしようとしない生活だった。
あの雨の日以来、ティファニアは自分の気を紛らわせたり、罪の意識から目をそらす行為を一切し
なくなった。ベッドの中で悪夢にうなされようと、罪悪感で胸が引き裂かれんばかりに痛んでも、寝
入るために葡萄酒を飲んだりはせず、ただじっと痛みを受け止めて眠れぬ夜を過ごした。罪悪感は起
きている間も襲ってきたが、そういうときも手仕事をして気をそらしたりはせず、黙って椅子に座っ
たまま、胸を痛めて葛藤の渦に沈んだ。
一方、城の方でもさほど大きな変化はない。ルイズは相変わらず夫の留守を預かる妻として張り
切っている。その努力の甲斐あって、貧しい村は少しずつ活気づきつつある。さらに、貴族には珍し
いほど質素な生活を営み、無理な要求もしないため、領民からの評判も上々だということである。
変わったことといえば、シエスタが弟のジュリアンを呼びつけて、城に住まわせるようになったこ
とだ。買い付けなどの様々な雑用や、女には不向きな力仕事をさせるため、というのが表向きの理由
である。実際は、シエスタが自身の仕事を減らし、出来る限りルイズの監視に専念したいが為だった。
ジュリアンはたまに城周辺の見回りという名目で森に入り、ティファニアに日用品や食料などを届け
てくれる。そういうときに、彼女は一度問いかけたことがあった。
「あなたはきっと、これから一生今のような生活を続けていくんでしょう? 私よりもまだお若いの
に、よくそんなことを承諾できましたね」
彼は真面目な表情で答えた。
「僕は以前、サイト・シュヴァリエ・ド・ヒラガ殿に命を救われたことがあります。あの人がいなけ
れば、僕は今生きていません。ですから、彼の願いを叶えるために生きるのは、当然のことです」
彼もまた、才人の存在によってその運命を大きく変えられた人間の一人なのだ。
(サイトは、一体どれだけの人の人生に影響を与えていたんだろう)
ティファニアの記憶に残っているのは、能天気で明るい笑顔を浮かべた黒髪の少年の姿だけだ。だ
が、彼が死んでもう五年も経つというのに、その存在は薄れるどころかますます濃く、日増しに大き
くなってくるように思える。
ルイズが封じられた記憶を取り戻したことは、あのとき以来一度もない。降りしきる雨を見たり、
あの日のことを連想させるような物品に触れても、特に変わった反応は見せないという。
「だからこそ、不思議なんですよね。どうしてあのとき、ミス・ヴァリエールは記憶を取り戻してし
まったんでしょう」
シエスタは首を傾げていたが、ティファニアにはその理由が分かる気がしていた
彼女が最初にルイズの記憶を消したとき、心の中には明らかな迷いがあった。その感情が、魔法の
効果を弱めてしまったのかもしれない。対して、あの雨の日はルイズの凄まじい怒りを目の当たりに
した直後で、心が恐怖に塗りつぶされていた。あの怒りに滾る瞳から逃れたくてたまらなかった。だ
から、自己防衛本能が全ての躊躇を消し去り、魔法を完璧な状態にしたのではないか。そんな風に思えた。
(どっちにしても、今はもうどうでもいいことね。私があのとき、自分の保身だけを考えてルイズさ
んの記憶を奪ったことに、変わりはないんだから)
ティファニアは今でもシエスタに呼びつけられて、夜半こっそりと城に忍び込むことがある。ニ、
三日中のルイズの記憶を消し、「長旅から帰ってきたサイトが少しだけ城に滞在し、また旅に出かけ
た」という作り物の思い出を植えつけるためである。この企ても、皮肉なほど上手くいっている。
ルイズに魔法をかけるたび、ティファニアの胸は罪悪感でさらに重くなっていった。その重みで、
彼女は底が見えない泥沼に、どんどん深く沈みこんでいくのだ。
だが、そこから抜け出すつもりはなかった。自分はもう、その資格を永遠に失ってしまったのだと
思っていた。
燃え立つような赤毛を翻してキュルケがやってきたのは、そんな頃のことだった。
「これはまた、ずいぶん窮屈なところに住んでるのね、あなた」
狭い小屋の中を見回して、キュルケが呆れたように呟いた。彼女の外套は、白く上質な布で織られ
ており、惜しげもなく宝石を使って飾り立てられている。こんな場所には不釣合いなほどきらびやか
である。そんな彼女に椅子を引いて勧めながら、ティファニアは答えた。
「わたしには、ここで十分ですから」
「そう? どう見たって、若い女が一人で住むような場所には見えないけど」
手に持っていた小さな鞄――これも宝石で遠慮なく飾り立てられていた――を、テーブルの上に放
り出しながら、キュルケは椅子に座る。無遠慮に小屋の中を見回して、やや不快そうに眉根を寄せた。
「私物らしきものが全く見当たらないんだけど」
「ええ、持っていませんから」
「要するにお茶すら期待できないわけね」
「ごめんなさい」
「ま、別にいいけど」
ティファニアはキュルケの向側に腰掛ける。テーブルを挟んで彼女と向き合う形だ。人が二人いる
だけだと言うのに、狭い小屋の中は既にかなり窮屈だった。そんな中で、赤毛の女はテーブルに頬杖
を突き、何か咎めるように目を細めて言った。
「あなた、変わったわね」
ティファニアは逃げるように顔を伏せて、キュルケから目を背けた。
「そうですか?」
「ええ。昔から内気で大人しい……悪く言えば暗い感じだと思ってたけど、今はもっとひどいわ。な
んかどんよりしてて、近づいただけでこっちまで気が滅入ってきそう」
遠慮というものが欠片も感じられない、うんざりとした物言いである。ティファニアは膝の上で拳
を握り締める。一方キュルケは、部屋の中に置いてある櫃に目を止めていた。ルイズから、サイトに
宛てられた手紙が入っている櫃である。
「この部屋を見た感じ、あなた、極端に自制した生活を送ってるのね。何の楽しみもなく、退屈を紛
らわせることすらせずに、ただただ日々を過ごしているだけ」
キュルケの声が少し鋭くなった。
「まるで、自分に罰を与えてるみたいに」
心臓が大きく跳ねた。握り締めた手の平に汗が滲んでくる。
「だって」
言いながら、わずかに顔を上げる。キュルケはテーブルに頬杖を突き、じっとこちらを見つめて
いた。落ち着かない気分になり、ティファニアは少し目をそらす。
「わたしがこうしている理由は、分かるでしょう?」
「まあ、大体はね」
キュルケの口元に微笑が浮かんだ。
「真面目だものね、あなたも。タバサと同じで」
居心地の悪さに身じろぎしながら、ティファニアは改めてキュルケを観察した。
白く上質な布で織られた外套の下も、やはり豪華なドレスらしかった。継ぎはぎだらけの薄汚れた
服を着ているティファニアとは、正反対の格好である。燃え立つような赤毛も以前より艶を増してい
た。少々けばけばしいほどの化粧が施された褐色の肌も非常になめらかで、健康そのものに見える。
テーブルの上には何か私物が入っているらしい小さな鞄が投げ出されているが、これも宝石が散りば
められた悪趣味な一品だった。
つまり、目の前にいる女は、富や享楽、世俗的な願望を、これでもかと言うほど凝縮したような姿
をしているのだ。服の丈だけは昔と違って非常に長くなっており、露出が極端なほど抑えられている
が、それ以外は昔のキュルケそのまま、実に陽気で享楽的な風体だった。
(話に聞いていた通りだわ)
五年前、東方から帰還したキュルケは、すぐに故郷ゲルマニアのツェルプストー家領に帰ると、か
なり強引な手段を使って当主である父を隠居に追い込み、権謀術中により家族親族を巧妙に蹴落とし
て、名実共に家の主となった。ほとんど間を置かずに師であるコルベールと結婚した彼女は、夫を説
き伏せて様々な兵器を秘密裏に開発、量産させた。ツェルプストー家の私兵は、周囲が気付かぬ内に
強化されていたのである。
当時、ゲルマニアはアルビオン戦役後間もなく勃発した内戦が激化の一途を辿っており、国内の政
情は非常に不安定な状態にあった。キュルケは強化した私兵軍を率いて、突如としてその内戦に参
戦した。様々な事前工作のおかげもあって、彼らは破竹の勢いで勝ち進んだ。他の勢力も大方はツェ
ルプストー家の軍門に下り、いつしかゲルマニア最大の勢力となった彼らは、最後まで頑強な抵抗を
続けた前皇帝アルブレヒトV世の軍団すらも打ち破るに至る。
こうして、帰還してからたった三年足らずで、キュルケはゲルマニアという巨大国家の長にまで上
り詰めてしまったのである。今の彼女は神聖ゲルマニア帝国ツェルプストー王朝の祖なのだ――。
というような情報は、かなり正確な形でティファニアの耳にも入ってきていた。情報源はシエスタ
である。彼女はルイズに嘘がばれないように細心の注意を払っており、様々な手段を用いて各地の情
報を集めさせていた。
「何が原因でミス・ヴァリエールが真実を知るか、分かったものではありませんからね」
淡々とした口調で、そんな風に言っていた。
ともかくそういった理由で、今のキュルケがどんな生活を送っているのか、頭では理解しているつ
もりだった。
だが、実際にこの目で見てもなお、ティファニアはまだ信じられなかった。
常に自分の胸を締め付け、心を重くする罪悪感が、目の前のキュルケからは欠片も感じられない。
しかも、彼女はついさっき、久方ぶりにルイズと再会してきた帰りのはずだった。
(あのルイズさんを見ても、この人は何も感じなかったのかしら?)
疑問が胸の中で膨れ上がる。
「わたしはね」
と、ティファニアの内心を見透かしたように、不意にキュルケが呟いた。
「あのときの選択……ルイズからサイトの死に関する記憶を奪ったことは、間違った選択じゃなかっ
たと思ってるわ」
ティファニアは目を見開き、伏せていた顔を上げた。キュルケが大袈裟に目を瞬く。
「あら、信じられないって言いたげな顔ね」
「当たり前じゃないですか……!」
声が詰まった。何を言っていいのかよく分からない。キュルケはテーブルの上で手を組み、そこに
顎を乗せた。派手な外見には似つかわしくないほど静かな瞳が、真っ直ぐにティファニアを見据える。
「よくよく考えてご覧なさいな。あなたはあのときの選択が間違っていたと思ってるみたいだけど、
他にわたしたちが選べる選択肢は、なんだった?」
「他の選択肢、は……」
「ルイズの望みどおり、彼女にサイトの後を追わせてあげること。そうよね?」
ティファニアは再び俯いた。握り締めた拳が、膝の上で小刻みに震えている。
「あなた、あのとき、その選択肢は選ばなかったでしょう? いいえ、選べなかった。そりゃそうよ、
わたしたちみんな……最後まで反対してたタバサだって、ルイズに死んでほしくはなかったんですも
の。あなただって、そうでしょう?」
その質問には、ティファニアも迷いなく頷いた。「わたしもね」と、キュルケが吐息混じりに続ける。
「あの子には死んでほしくなかった。そりゃ、家同士は犬猿の仲だったけどね。あの子本人のことは
結構好きだったもの。見てるこっちがやきもきするぐらい不器用なあの子がね。そんな友達に、どん
な形であれ、生きていてほしかったのよ。それが、一番強い感情だった」
キュルケは小さく笑った。
「さっき、久しぶりにルイズに会ってきたけどね。凄く幸せそうだったわ。あなた最近、あの子と話した?」
ティファニアは首を横に振った。彼女がルイズを見るのは、記憶を消すために、深夜城に侵入する
ときだけだ。それでなくとも、自分にルイズと会って話をする資格があるとは思っていなかった。
「あの子、幸せそうだった。笑っちゃうぐらいベタ惚れよね。サイトのことばっかり話して……そう
そう、彼、今はわたしの頼みでゲルマニアの地方領主の反乱鎮圧に協力してることになってるんだっ
たわね。あの子があんまり自然にそう話すんだもの、ついついわたしまで信じそうになったわ。本当
に、サイトがまだ生きているんじゃないかって」
沈黙がやって来た。外から、鳥が鳴き交わす声が聞こえてくる。
「わたしは、悪くない結果だと思ってるわ」
キュルケの声の調子が変わった。ティファニアは顔を上げる。赤毛の女は、穏やかに目を閉じていた。
「ルイズは幸せに包まれながら生きて、このささやかな領地の領主として頑張ってる。前に来たとき
は比べ物にならないぐらい、領民の顔は明るかったわ。あの笑顔も、豊かさも、全てルイズが生きて
いたからこそもたらされたものよ。彼女の頑張りがなければ、死んでいた人だっていたかもしれない。
ルイズを生かした私たちの選択は、間違いなく多くの人々に幸せをもたらしたのよ」
諭すような声音を聞いたとき、ティファニアの脳裏に怒りに滾るルイズの瞳が浮かび上がった。
「やめて」とか細く呟いた声は、キュルケには届かなかった。
「仮にあのとき、ルイズを死なせていたとしたら、どう? 誰が喜んで、誰が幸せになった? わた
したちはサイトを失った上にルイズまで死なせて、心に深い傷を負っていたでしょう。そもそも、死
んだサイトだって、そんなことは望まなかったはずよ。二つの未来を天秤にかければ、どちらがより
よい結果なのかは、子供にだって分かるはず。だからね」
キュルケの声が、深い優しさを帯びた。
「あなたは、そんな風に苦しまなくたっていいのよ」
その声音は、じわりじわりとティファニアの胸に染みこみ、おぞましいほどの温かさをもたらした。
「やめて」と絞り出した声は、小刻みに震えていた。それに気付かぬように、キュルケの声はますま
す深く響き渡る。
「だって、いいことをしたんですもの。死にゆくルイズを救い、同時に多くの人を幸せにした。サイ
トの死に囚われて、引きずり込まれようとしていたルイズを助けられる、唯一の人間。それがあなた
だったの。そのことを誇ったっていいぐらいよ。だから」
「やめてください!」
とうとう耐え切れなくなり、ティファニアは悲鳴を上げた。小屋の外で、鳥の一群が枝から飛び立
った。言葉を失って呆然とするキュルケの前で、ティファニアは両手で耳を塞ぎ、大きく身をよじっ
た。胸を覆わんばかりの温かさが、吐き気となってこみ上げてくる。涙で視界が滲んだ。
「お願い、もうやめて! これ以上わたしを惑わせないで!」
「あなた……」
視界の隅で、キュルケが手を伸ばすのが見えた。その手から逃れるために、ティファニアは椅子を
蹴って立ち上がる。息を飲んで立ち上がるキュルケに向かって、声を絞り出す。
「わたしを慰めないで。あのときの選択が正しかったなんて、言い聞かせないで。今ここにある現実
が、いいものなんだと思わせないで。あなたの言葉は、気持ち悪いぐらいに温かくて、優しくて、自
分にとって都合がよくて……悪魔の囁きと同じなの。それを聞いていると、わたしはつい『これでよ
かったのかもしれない』と思いそうになる……自分がしたことの汚さを忘れて、自分を許してしまい
そうになる」
――あんたはわたしを世界で一番薄汚くて醜い、最低の女にしたのよ!
降りしきる雨の中に響き渡ったルイズの声が、今また頭の中に蘇る。
「それだけは嫌なの! それだけは、絶対にしてはいけないことなの! だからもう、これ以上わた
しに優しい声で語り掛けないで。わたしの心を折らないで。これ以上、醜い人間になりたくないんで
す……お願い、お願いします……」
涙を流して懇願しながら、床に膝を突く。視界の隅で、またキュルケの手が伸びてくるのが見えた
が、ティファニアの肩に触れるか触れないかのところで、すっと引っ込められた。
「ティファニア」
先程の優しい声音とは打って変わった、厳しい声が降ってくる。ティファニアが顔を上げると、涙
で滲んだ視界の中に、唇を引き結んだキュルケの顔が見えた。
「その生き方は、とても辛いものよ」
苦しげに細められた瞳が、真っ直ぐにこちらを見つめている。
「それでも、いいのね?」
ティファニアは涙を拭い、キュルケを見つめ返しながら、しっかりと頷いた。彼女は沈痛な面持ち
で顔を伏せ、唇を噛んで一言だけ呟いた。
「不器用だわ、すごく」
ティファニアは、何も言い返さなかった。
しばらくの間沈黙と共に過ごしたあと、キュルケはぽつりと呟いた。
「帰るわ」
ティファニアも黙って立ち上がり、彼女の後に続いた。もう日暮れ時で、こんな深い森の中でさえ
も、周囲は赤く色づいている。キュルケは数歩ほどで不意に立ち止まり、ティファニアに背中を向け
たまま言った。
「さっき、あのときの選択は間違いじゃなかったって言ったけど」
数秒、躊躇うような間が続く。ため息をつく音がかすかに聞こえた。
「だからと言って、正しい選択をしたとも思ってないわ。あのとき、最良の選択肢と呼べるものは、
わたしたちの前には存在していなかった」
キュルケが振り返る。いつも陽気だった顔に、寂しげな表情が浮かんでいた。
「わたしもね、今のルイズを包む幸せは、とても歪なものだと思う。辛い現実を誤魔化して、忘れて
生きるなんて……正直、反吐が出る考え方よ。わたしだって、そんな生き方は選びたくない。それでも」
キュルケは背筋を伸ばして、力強い口調で言った。
「わたしはやっぱり、あのときの選択は間違ってなかったと思ってる。だって、大切な人が死んで、
寂しくて耐えられないから後を追う、なんて……それは、彼の願いや想いを踏みにじる行いだもの。
命を投げ出してまで愛する人を救ったサイトのためにも、ルイズは生きるべきだった。でも、彼女一
人ではその意志を取り戻すことは難しかったし、わたしたちも、サイトの代わりになるものを用意す
ることなんてとても出来なかった。だから、わたしはルイズが唯一生き延びられる手段を支持した」
そこまで言ってから、キュルケはまた、寂しげな微笑を浮かべてティファニアを見た。
「……ここまで言っても、あなたはやっぱり、罰を受けることを選ぶのね?」
ティファニアは迷いなく頷いた。キュルケは「そう」とだけ答えて少しの間俯き、また顔を上げた。
「だったらね、せめて、こう考えてちょうだい。あなたが強く感じているその罪は、あなた一人だけ
のものではないんだって。あのとき、あの場所にいたわたしたち、一人一人が背負うべきものなん
だって」
そのとき、ティファニアは不意に気がついた。キュルケが羽織っている外套の袖が少しだけ捲れ上
がって、彼女の手首が見えている。そこに、醜い傷跡が残っていた。思わず、「それ……」と指差す
と、キュルケは恥らうように、そっと外套の袖を戻した。
「戦いなんてやってると、このぐらいの傷は自然と出来るものよ。気にしなくていいわ」
――アルビオン戦役から間もなく勃発したゲルマニアの内戦は激化の一途を辿り、あと少しで他国
に飛び火する可能性があった――
以前聞いた情報がちらりと頭をかすめて、ティファニアは何も言えなくなってしまう。キュルケが
困ったように笑った。
「そんな顔されると思ったから、隠してたんだけどね。あなたにも、ルイズにも」
そう言ったあと、キュルケは表情を引き締めた。
「ティファニア。わたしは、何も後悔してないわ。自分の意志で、この道を選んだから。あなたもそ
うしなさい。自分の意志に従って、罪に苦しみ、罰を受けながら生きていきなさい。でもね」
キュルケの瞳に、切実な色が宿った。彼女はニ、三歩とティファニアに歩み寄った。
「いつか、自分を許せる日がくるかもしれないってことを、忘れないで。自分を許すという可能性を、
捨ててしまわないで。今は無理かもしれないけど、いつかは……いつかは、自分のことを許してあげて」
キュルケはティファニアの手を、自分の両手で握り締めた。また外套から手首が覗き、醜い傷跡が
露わになる。それを気にする素振りすら見せず、キュルケは必死に言い募った。
「忘れないでね、ティファニア。今日、わたしがあなたに投げかけた全ての言葉を。ここにわたしが
いたってこと……あなたの苦しみを見るのが辛いと思っている人間が、この世界のどこかに存在して
いるんだってことを」
ティファニアはどう答えるべきか迷った。だが、真っ直ぐに自分を見つめるキュルケの瞳から、目
をそらすことはできなかった。
「はい」
しっかりした声で答え、頷くと同時に、目から涙が溢れ出した。堪えようとしても、涙は止め処な
く頬を伝って流れ落ちていく。滲んだ視界の向こうで、キュルケが苦笑した。
「これ、あげるわ」
手に持っていた小さな鞄から折りたたまれたハンカチを取り出し、そっとティファニアの涙を拭う。
それから、そのハンカチを彼女の手に握らせた。
「でも、使っちゃだめよ。これは、戒めの証。いいこと、ティファニア」
キュルケは真剣な口調で言い聞かせた。
「これきり、泣くのはお止しなさい。罰を受ける覚悟を決めたのなら、泣くことで自分の心を慰めて
はいけないわ。涙を流すことなく、顔を上げて真摯に痛みを受け入れるの。それが、あなたの意志を
貫くということなんだから」
「はい」
ティファニアは、またしっかりとした声で答え、頷いた。今度は涙は出なかった。
キュルケは穏やかに笑い、大きく腕を広げてティファニアを抱きしめようとして、止めた。
「抱擁は、次に会うときまで取っておくわ。慰めや別れのためではなく、祝福のために……あなたが
自分を許せたことを喜ぶために、抱きしめてさせてちょうだい」
優しく囁き、キュルケは踵を返した。薄暗い森の中に、燃えるような赤毛が翻る。陽気な笑い声が
弾けた。
「なんだか柄にもなく湿っぽいことばっかり言っちゃったけど、今度こそ帰るわ。飛行機械のそばで
待ってる家来の頭がまた薄くなっちゃ、可哀想だものね!」
冗談めかしたその言葉に、ティファニアは久方ぶりの微笑を浮かべた。
女帝キュルケが夫作の小型飛行機械で勝手気ままに飛び回り、臣下の領地を訪れては無秩序な騒動
を巻き起こしている、というのは、何度か耳にしていたエピソードだった。ティファニアの耳に入る
情報の中で、一番キュルケらしいエピソードだった。
遠ざかるキュルケの背中に向かって、ティファニアは大きく声を張り上げた。
「コルベール先生にも、よろしく伝えてくださいね! たまには妻のわがままを聞かずに、髪の毛を
大事にしてくださいって!」
「分かったわ! また会いましょうね、ティファニア!」
キュルケが笑って手を振る。ティファニアもまた、声を上げて笑って、手を振り返した。
友達の想いに応えるために、今この瞬間だけは、自分に笑うことを許してやってもいいと思えた。
その後、ティファニアがキュルケの抱擁を受けることはなかった。
デルフリンガー男爵領を訪れてわずか数ヶ月後、彼女は行方不明になったのである。
夫コルベールが自ら設計した、新型の巨大飛行船の試運転に乗り合わせていた際、この船が原因不
明の爆発を起こして墜落、炎上したのである。燃え落ちた船の残骸から彼女と夫の亡骸が発見される
ことはなかったが、以降彼女の姿を見たものが一人もいないことから、誰もが彼女は死んだものと判
断した。
こうして、神聖ゲルマニア帝国ツェルプストー王朝は、わずか数年、一代限りでその歴史に幕を閉
じることになった。
多くの人々は、このことによりまたゲルマニアが支配権争いによる内乱に突入することを危惧した
が、そうはならなかった。
何故こうなったのかと誰もが不思議がるほど、国内の各勢力の力関係が均等に保たれ、誰もが迂闊
に動けぬ状態のまま不思議な平和が形作られることとなったのである。
その後も、覇権を握るほど飛びぬけて強い勢力が現れることはなく、神聖ゲルマニア帝国は皇帝不
在のまま自然消滅し、時代の流れそのままに、平民主体の政治を得るための革命期を迎えることにな
る。この時代、平民と貴族は武力を持って真正面からぶつかり合ったが、それはあくまでも国内のみ
の問題に留まり、それ以降長い間、他国がゲルマニアによって侵略されることはなかった。
女帝キュルケが行方不明になった事件の真相は、今も謎に包まれている。単純に飛行船の設計ミス
という説もあれば、暗殺という単語が嘘まことしやかに囁かれることもある。だが、民衆の間で最も
好まれ、信じられているのは、政治の面倒くささに嫌気が差した女帝キュルケ自らこの事故を演出し、
死んだ振りをして夫ともども他の大陸に逃亡した、という説である。そういった説が信じられるほど、
女帝キュルケは自由奔放な人間像を持って、人々に愛されていたのだ。
女帝死後のゲルマニアに不思議な平和が保たれたことすら、女帝の綿密な工作のおかげだった、と
か、彼女は無秩序に遊びまわる振りをしていたが、その実様々な手段を使って、帝国の平和を保つ努
力をしていたのだ、という説すらあったほどである。
なお、巨大だがまとまりに欠けていたゲルマニアにある程度の安定をもたらし、後の時代への布石
を築いたという点で、彼女はそのいい加減な人間像とは裏腹に、政治家としても一定以上の評価を受
けている。
こうして、ティファニアの元にはキュルケのハンカチだけが残された。だが、彼女の死を聞いたと
きですら、それを手に取ることはなかった。
彼女がそれを使うことになったのは、キュルケとの出会いからさらに5年を経て、青い髪の少女が
小屋を訪れたときのことである。
467 :
205:2008/02/09(土) 00:51:26 ID:NppwrgYK
以上。読んでくださってありがとうございました! 次回はタバサです。
今回、結構筆が止まったというかどう書いていいか分からん状態だったんですが、
>>211氏の丁寧な感想を読んで、また思考が再開したような感じがします。氏のキュ
ルケへの意見に対する答えになったかどうかは分かりませんが、一応、自分なりに
必死に考えて書きました。またご意見くださるとありがたいです。
この作品、ぶっちゃけ原作に対しては冒涜に等しい代物だと思うんですが、それでも
こんな風に真剣に読んでくださって、丁寧な感想をくださる方がいるのは、SS書き
にとって非常に幸運なことだと思っています
そういう人たちがいるこのスレが大好きです。
また何か書いたら読んでくださるとありがたいです。それでは。
>>467 乙!!
相変わらずのシリアス展開に引き込まれるw
やっぱりキュルケは自由奔放が似合う
>この作品、ぶっちゃけ原作に対しては冒涜に等しい代物だと思うんですが、
そんな事無いと思うよ。ルイズとサイトが戦いに身を置いてる以上、ルイズをかばって
サイトが死ぬなんて本来いつ起こってもおかしくない話しだと思う。
キャラが良く動いていて魂もこもってるので、単なるアナザーストーリー以上の想い入れで
読んでしまってる。悲しい話だから読後は原作のデレ話で気力回復は必須だけどw
>>467 GJ! 現実的な観点からするならキュルケの考えもアリだなと思いました
テファが自分を許す事が出来ないのも虚無という力を運用できたからですね
あれ、原作でも虚無がなければ不幸になった人の数が減ったような
>>467 GJです。原作のサイトって運が良かったんだと改めて思い知らされました。
要するに、主人公補正のない世界か・・・
主人公補正の無い=モテない
ショボーン(´・ω・`)
>>467 211です。キュルケの懐の大きさや力強い優しさが胸を打った・・・。
自分の選択や結果を受け入れて生きるって大変だよなぁ。テファの決意が凄い。
継ぎ接ぎだらけの服を想像しただけで涙モノだ(俺はこういうのに非常に弱いw)
でもキュルケがルイズの幸せを語るのはどうかなとも思った。
自分は、生きる上で大切なのは「何を選択するか」よりも「選択する」という行為そのもの
だと思ってる。選択する事でそこに責任が生まれるし、責任を自覚する事で初めて起こる結果を
己の物とする事ができ(結果の良し悪しに関わらずに)、そしてその繰り返し、積み重ねが自己を
形作っていく。選択を奪われた人間や、しない人間は自己を失っていってしまう(よくある例が新興宗教
や、何事も人のせいにして生きていく人間)。
これが今の(不幸せな友人達の中の)ルイズなのかな・・・と。サイトの死という己が
生んだ結果を奪われ、責任を奪われ。そして不都合がある度に選択の機会を奪われ、あまつさえ
偽りの結果を与えられる。
そんな行為を容認したキュルケが「ルイズの幸せ」を語る資格はあるのかな・・・と。
以前書かれた「幸せな男爵様」の中で、老ルイズがテファに感謝を述べてるけど、そのシーンを
読んだ時にゾっとしました。テファはどういう目でそんなルイズを見てたんだろうって。
あ、上に書いたのは作品批判ではなく、作中のキュルケ考です。キャラに魂が籠もってるので
色々と身に置き換えて考えたくなります。あまり気にせず思うように書いてやってください。
長文ごめん。またいつか続きを楽しみにしてます。
475 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 17:42:51 ID:RODOFsnc
>>471 実際の話、ルーンの能力で切り抜けられるのって一対一に近い状態でさらに相手も平民と
見下してる状態で能力的にもよくて精々一流の魔法使いか傭兵にしか無いと思う。
身体能力が上がっても所詮殺し合いなんかしたことがない平和な国で暮らしてた訳だし
技術が伴わなければ獣と同じなわけで、一流の騎士が相手になったりすると
普通にやられる気がする…
ルーンに洗脳効果があったとしても殺し合いをしたことがない人間が戦場に立てる訳がないし…
まぁ、そのへんが超ご都合主義だったり主人公補正だったり宇宙意思なんだろうな〜
そこを恋愛補正が底上げするからなあ。
足りない分は勇気・・・もとい愛で補え!
ん? ルーンでベテラン並の技術とかも会得できるんじゃないのか?
ゼロ戦に乗った時の描写になかったっけ。
すくなくとも、木の葉落としが出来るレベルになってたキガス
身体能力が上がるだけじゃなくて、
「その武器を自在に扱う技術」も身に付く。
たとえスキルが身についたとしても精神的な問題(死に対する恐怖とか)もあるから常に強さを発揮できるとは限らないキガス
それ言うと肩書き上はプロの軍人にもかなり当てはまる。
毎日訓練してる人間でも、生きるか死ぬかの戦いを潜った経験のある人材は希少。
自らの知識になく、想定に入れていない相手ならさらに。
つっこむのもヤボだと思って黙っていたが、そのへんの話は本編の早い時期に描写があるだろう?
ルーンに頼ってワルドにフルボッコにされるサイトとか、アルビオン戦役でなにもできないマリコルヌとか
そっちのゼロ魔のほうがオレはむしろ好きなんだがな
女の子とやればやるほど力が上がってくサイトとか裏設定どっかにないノボル
ルイズの力の源がストレスと判明した今、ガンダールヴにとってもっとも効率的な『心を震わせる』方法が何かを議論する必要がある。
何しろサイトだからな……エロイ事をするのが一番『心を震わせる』事なのは明白か。
>>484 「ルイズを守る」
「ルイズラブv」
エロするだけが心を震わせることじゃないだろjk
>483
知らないのか?
初稿にあったそういう部分を編集がすべて削除したのが現在発売されている「ゼロの使い魔」なんだぜ?
>>484 >>もっとも効率的な『心を震わせる』方法が何か
ルイズの目の前で胸の大きな娘とエロイ事をするに一票(w
>>486 そうだったのか!?
なんか往年のRPGカオスエンジェルを連想したよ
>>484 性格にはストレスというよりも激しい感情なんじゃない?虚無にも属性があると俺は見てる。
だからルイズの属性は虚無の火だと思う。ヴァリエール家は火に関連があるのは公爵も言ってるし
で効率的な方法はそんなのもう決まってるじゃん。他の女になびくとルイズは猫みたいになる
ってのは才人もわかったんだから・・・
ヒロイン全員娶ってハーレムにする→ルイズの嫉妬・対抗心を燃やす、しかない。断言できるw
ルイズに魔法使わす時はとりあえず近くにいる奴の胸を触るとかキスを見せ付けるとか。
タバサ、アン様、シエスタ、テファで実践可能だろ?
性格には→正確には、か。
タイプミス、スマン。
どこぞのエロゲみたいな感じで、エロい事をして精神力をチャージする魔法を
ルイズが祈祷書から習得して、魔法使うためだから仕方ないよねとサイトとエロ行為に耽る
SSを誰か書いてくれ。
すでに原作がそんな感じになってる気もする
ところで
>>455は鬼畜王な槍さんでいいのだろうか
あの作品は無理矢理されて好きになるはずないだろとツッコミ入れつつシステムが面白いからやってたりする
>492
>423
いいえ ゼロの使い魔です
そしてピザが大好きです。
ラノベ板のゼロスレでもここでもよく鬼畜王の話題が出てくるなぁ
10年以上前のゲームなのにな やはりまだ新作が発売されてるからかな
才人
「がーっははは!良い女はみんな俺のもの!」
テライカス。
ダーク・シュナイダーを思い出したのはオレだけでいい
槍?やってねー
まぁ、サイトは女にはヘタレじゃないとなぁ。
しっとマスク3号当たりにルイズが来そうな悪寒
>>182>>350 の続き投下。皆様お待ちかねエロパート。
ぶっちゃけ魔力=心の震えなんだから、才人が死ぬほどルイズを喜ばせたらそらもうえらいことに。
だからラストはラスボスをラヴラヴ石破天驚拳でだな(ry
『呪印』の抑制の解けた私の心と身体は、サイトの愛撫に過剰なほど反応していた。
それが証拠に、サイトに押し倒された時点で、私の心臓は痛いほど脈打っている。
私の唇を乱暴に塞ぐサイトの耳に、この恥ずかしい音が届いてるんじゃないだろうか。
そして、そう考えると同時に、背筋を這い回る恥辱によるたまらない悪寒…快感。
恥ずかしい…でも、キモチイイ。
羞恥の感情が快楽に繋がるなんて、絶対おかしい。
私の中の『常識』が、たまらない快感に嬌声と蜜を溢れさせる私の身体を否定する。
でも…否定するたび…否定されるたび…。
股間から、どうしようもないほどいやらしい粘液が溢れてくるのがわかる。背筋を、快感が駆け回るのが分かる。
サイトの声が、愛撫と一緒に耳元で囁く。
「シャルロット…今どんな格好してるかわかる?」
え…?
私は、今まで甘く流れ込んでくる快楽を受け止めるのに精一杯で、自分がどんな格好をしているのかなんて気にも留めていなかった。
その質問と一緒に、サイトの責めが停まる。
いつの間にか。
サイトは私の両足首を掴んで、私の身体を二つ折りにしていた。
頭の上まで足が来て…私の…あそこが…。
丸見え…!
「見える?シャルロット、こんなにべちょべちょ」
お尻の向こうで、サイトが…。
濡れた私に…!
ちゅるるるっ!
「あひぃ!」
舌で塗れた部分を舐められた私の喉が勝手に鳴る。
物凄く恥ずかしい格好をさせられて。
それでも、私の身体は歓喜に吼える。
心で否定しても、駄目。
「やだっ、こんなっ、恥ずかしっ…やだぁ!」
声にも出してみるけど…駄目。
私の身体は意思を完全に無視して、びくびくと震える。
腰の奥の器官が、サイトを、牡を欲して高鳴る心臓よりも強く脈打つ。
私の牝の顎から、牡を欲する唾液が、どんどん分泌される。
私が高まっていく。高められていく。
喉がいやらしく謳って、限界が近づいてくる。
やだ…きちゃう…きちゃう!
「やっ!らめぇ!もっ、いっ、くぅっ…!」
ヤだ!サイトがなかにいないのにぃ!なかに、ほしいのにぃ…!やだやだやだや……、
だ──────────………………………………………………。
タバサが絶頂の余韻から目を醒ますと、才人の上でうつ伏せになっている自分に気がついた。
「…サイトの意地悪」
乱れた半裸の状態のまま、タバサは軽く朱に染まった頬で才人を半眼で見上げ、文句を言う。
それは、恥ずかしい格好で逝かされたことに対する抗議。
しかし、身体を完全に才人に預け、胸板に頬を寄せて掌で才人の身体を撫でながら言っても説得力はない。
「…ンなこと言って、シャルロット思いっきり感じてたじゃんか」
「…しらない」
才人の言葉に、拗ねたようにぷい、とそっぽを向いてしまうタバサ。
それでも、タバサは才人の上からどこうとしない。彼の体温に肌触りに、もっと融けていたかったから。
もっと密着したくて、タバサは足を動かす。
すると。
太股の内側に、熱くて硬くてぬるぬるしたものが当たった。
それは、先ほどからタバサの欲しているもの。
タバサの腰の奥の牝の器官が、その刺激に完全に覚醒し、牡を喰らえとタバサを動かす。
潤んだ目で、タバサは才人を見上げた。
視線が絡み合う。
才人はタバサの視線の意味を汲み取り、タバサの両脇を抱え、抱き上げる。
タバサはそのまま才人をまたぎ、馬乗りになる。タバサの桜色に染まった白い臀部が、脈打ち、屹立する才人に押し当てられる。
タバサの視線が訴える。才人は軽く頷いた。
愛する人の許可を得たタバサは、膝立ちになると、腰を浮かせる。
真っ直ぐ天を衝く肉棒をまたぐと、それに指を添えて、自分の入り口に押し当てる。
牝の期待に溢れた蜜が、牡の唾液と混じりあう。
入り口に押し当てられる温度と硬さに、タバサの喉から溜息が押し出される。
もう一度、タバサは才人を見つめる。
「いいよ。シャルロットの好きにしな」
今度は、言葉で応えてくれた。
歓喜に震える心が、身体を動かす。
腰が自然に下がり、ずぶずぶと才人を飲み込んでいく。
身体を削られる快感が、タバサの喉から牝の啼き声を溢れさせた。
「あ…はぁっ…!」
それでも無意識に、タバサは声を絞る。
それは、恥ずかしいからではない。
サイトが、そうしたほうが好きだから。サイトが、そうしたほうが興奮するから。
愛する男の悦ぶことを、この青い髪の小さな少女は、完全に知り尽くしていた。
そして、その小さな体はあまりにもスムーズに、才人を奥まで咥え込んでしまった。
ごり…。
小さな少女の膣道は、男の剛直で奥を押し上げられる。
「はぁ、はぁ、はぁ…」
奥を犯される快感に、荒い息をつきながら、タバサは才人の胸板に両手をつく。
そしてそのまま、奥に当たる才人の感覚を愉しむ。
「シャルロット…動かないの?」
才人の言葉に、タバサは、行為の最中とは思えないほど、優しく笑って応えた。
「サイトにおくまでされてるの…キモチイイの…」
それは答えになっていなかったが、才人はそれに満足した。
そのまま動かず、動かないタバサを優しく見守る。
二人の中で、快感が静かに高まっていく。
「あっあっ…びくびくって…してるぅっ…」
「シャルロット…気持ちいいよ…」
「隙ありなーのねー!」
そんな二人の睦言を、アホ竜の声が引き裂いた。
アホ竜は青い髪をなびかせ、全裸で背後からタバサに抱きついた。
空気の読めない自分の使い魔に、振り返りながらタバサは、行為の最中とは思えないほど、冷たい視線を送る。
「引っ込め」
その声は二つ名の『雪風』のごとく、完全に冷え切っていた。
しかしアホ竜は怯まない。
「コレ見てもそんなこと言えるのかー?なのねー!」
その手には、一本の青い張形が握られていた。
それは、どこかで見た形。
「そ、それ…!」
タバサの顔が驚愕と羞恥に染まる。
シルフィードは才人に貫かれたタバサを抱き締め、その顔の横で『才人に向かって』説明を始める。
「これはねー、おねえさまがオナニー用に買ってきた張形なのねー。でねえ」
「し、シルフィ…!やめなさ…」
止めようとしたタバサの口を、左手で器用に封じてしまう。
その力は意外に強く、タバサが両手で引き剥がそうとしても、適わなかった。
そして、タバサとシルフィードの下敷きになっている才人は、その話に興味をそそられた。
腰を浮かそうとしたタバサの臀部を掴み、もう一度奥まで犯す。
「ふぅぐぅーっ!?」
「で?続き聞かせてよ」
恥辱に抵抗するタバサを腰を捻りながら快感と力で抑え込み、才人はシルフィードを促す。
シルフィードは、右手で張形を見せ付けるように、ぷらぷらと指先だけでつまんで揺らしてみせる。
そして続けた。
「これね、サイトのおちんちんと同じ形なのね。
おねえさまったら、ケースに並んでるコレ見ただけでサイトのだって気付いたのね」
「ふ、ぐぅーっ?」
どうして、どうしてアナタがその事しってるのっ…!?
心の中でそう尋ねるタバサの声を、使い魔であるシルフィードは受け取った。
「ふふん。シルフィを甘く見ちゃダメなのね。
おねえさまがそわそわしながら一人で街に出かけるときはたいがいえちぃ道具を買いにいくときだから、こっそりつけてったのね。
でねえ、サイト。おねさまがコレ使ってどういうことしてるか知りたくなぁい?」
悪戯っぽく笑うシルフィード。
その心の中に、絶叫が響く。
やめて!お願いやめて!そんなこと、サイトに教えないでぇ!
涙交じりのその声に。
「もー遅いのね。
サイトも知りたいでしょぉ?」
シルフィードは拒否を示した。
そして、才人の答えがタバサの絶望を後押しする。
「うん、知りたい知りたい」
より一層強くなるタバサの力。
しかし捻りをいれて奥を犯され、力が抜ける。
もう…だめぇ…!
タバサの心が絶望と…とんでもない羞恥の快楽に塗りつぶされる。
「それはねぇ…こうしてるのね…!」
ずぶぅ!
シルフィードが張形を持ち替えてタバサに密着すると。
タバサの目が大きく開かれ、そして開放された口から嬌声が漏れた。
「あっひ───────────────!」
才人を容赦なく締め付け、絶頂するタバサ。
そして、才人の剛直に、タバサの締め付け以外の刺激が襲ってくる。
それは、薄いタバサの肉を挟んで、感じる硬い異物。
「おねえさまったら、コレでお尻でオナニーしてるのね。
お尻で張形でオナニーで感じるなんてとんでもないへんたいさんなのね。きゅいきゅい」
言いながらシルフィードはタバサの肛門に突き刺した張形をゆっくり引き抜く。
ぶじゅじゅじゅじゅじゅ…。
肉を巻き込む音をさせ、才人の一物に張形の振動とタバサの脈動が伝わる。
感じなれた異物の排泄感と脈打つ牡の快感に、タバサの意識が強制的に覚醒する。
絶頂の嵐が、タバサを襲っていた。
「やぁ!らめぇ!こわれっ、こわれ、ちゃうっ!」
タバサの中で、乱暴な快楽が弾け、才人を締め付ける。
同時に括約筋もぎゅうぎゅうと締まり、才人そっくりの張形を締め上げる。
「ぎちぎちなのねー?おねえさまひょっとしてイきまくってるー?」
「あ、ひ、や、めぇ…はっ、あっ、もっ、らめえ…!」
「突く、たんびに、逝ってる、みたいだなっ?シャルロットっ?」
前後からの言葉責めにさらに絶頂しながら、タバサの肉体は意識を引き戻し、手放す。
そして、その責めは、才人の開放によって終焉を迎える。
「よ、よし、逝くよ、シャルロット、逝くよ───────っ!」
「いいのねサイト!おねえさまの中でいっぱい出しちゃえー!きゅいきゅい!」
どくどくどくどくっ!
「き、ひ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
最奥で牡の迸りを受け止め、最後の絶頂を迎えたタバサは、ことり、と才人の上で事切れたのだった。
そして才人とアホ竜のコンビは、気絶したタバサを寝巻きに着替えさせ、体を拭いて、ベッドの上に寝かせて、タバサの部屋から立ち去った。
「さーてサイト、最後の『呪印』捜しにいくのねー!」
「…なあシルフィード、シャルロットにあんな酷い事してお前」
「明日は明日の風が吹く!なーのねー!」
冷や汗ダラダラのシルフィードの中に、静かに燃えるタバサの怒りが伝わってきた。
…シルフィ。帰ってきたらお仕置きだから…。
シルフィードは心に響くその声に、後の事は考えない後の事は考えない後の事は考えない後の事は考えない後の事は考えない後の事は考えない、と何度も自分に言い聞かせる。
そんなシルフィードの中に、もう一度、今度は少し優しい声が響いた。
…でも、ちょっとはキモチよかったから…。
やっぱり、このご主人へんたいさんなのね、と思わず考えるシルフィードだった。
…半殺しでカンベンしてあげる。
「鬼!悪魔!変態ーっ!きゅいきゅい!」
「わ、いきなりなんなんだよシルフィード?アホの子みたいだぞ!」
廊下の真ん中でいきなり叫んだアホ竜に、思わず突っ込む才人だった。
はい以上。
こんだけ伸ばしといてこの内容ってどんだけぇー。
期待してた皆様にはがっかりをプレゼントだ!(ぁ
んじゃアホ担当はスマブラでアホしにいってきますノシ
ブラボー…おお、ブラボー!
おねえさまに、オシリで張子でおなにーさせちゃうなんて
へんたいさんはやっぱりすごいへんたいさんなのね。きゅいきゅい
そして相変わらずアホ竜の扱いには愛を感じますね。
>>508家まで読むの我慢しといてよかったwwwwwww
ニヤけがとまらんwwwwwwwwwww
GJ!!
513 :
370:2008/02/11(月) 17:18:35 ID:XsOUDO3m
これは乙と言わざるをえない
>>513 乙は乙だが・・・データほとんどからじゃん。
雛形作っただけか?
>順次、過去の投稿作品を整理していこうと思う。
って書いてあるじゃん。
現行保管庫の管理人とは別人だろうから、今の場所のデータをそのまま
移せば済む、というわけでもないでしょ。
一応確認しておきたいんだけど、
「消滅したら新保管庫移行」であって、
今のままで問題ないようだったら現状維持ってことでいいんだよな?
>>517 しかし現保管庫は規約違反である
それが心残り
現保管庫管理人氏には非常に感謝しているし使いやすいんだが、
規約違反のままほっとくのはちょっとまずいよな。
タダでさえエロパロなんだし、せめてそっちの筋は通しておきたいとこだな。
でも新保管庫にページビュー(だっけ?)がないのは寂しいな。
編集にログイン必要なのもちょっと面倒だがこれはしょうがないか。
>>508 きゅいきゅいワラタw
続き楽しみにしとります
俺間抜けなことに厨が湧いて騒ぎになるまで、現保管庫が規約違反だってこと知らなかったわ。
>522
規約違反っていうことは、管理人の意向とは関係なく、ある日突然業者にアカウントを
停止されて保管庫がいきなり消える、ということもありうるわけだよな……。
>>522 俺も知らなかったよ
管理人が18禁可のところ探して作ったんだと思ってたからなぁ…
新保管庫もダメなのかよ
どっかにエロOKなwikiってないもんか?
そこ気にしてたらほとんどの保管庫が引っかかると思うがね。気にせず使い続けても妙な粘着に気に入られたみたいだし、気まぐれで通報されればしゅうりょー
撤収も止む無しでは?
それか、いっそあちこちに保管庫作りまくり、リスク分散?
どうしてもというならFC2のアダルトの方でも借りてSS投稿用掲示板設置するとかね
管理人の負担がすごそうだが・・・
つかエロSS程度で消された保管庫なんて見た事無い
何年も放置されてるところがいくつでも有る
2chにいるような人達がそこまで良い子ちゃんだとは思わなかった
むしろガイドライン的に候補を募って此処ダメなら次の候補ね みたいに
身内が重大犯罪犯して家族が国内を転々とするフィクション小説みたいな状態にしちゃえばいいんじゃね?
利用していた痕を残さず回収して、常に月一か3ヶ月に一回ペースで全datをZIP化して
ルイズスレのどこかにアップするとか。(スレ住人に迷惑がない程度に)
全体的に今何MBなんだろうか?
>526 が言うOKなサイトって、国内じゃ無理かなとか思ってる自分がいる。
過激な性描写って、どこまでを過激かなんて向こうの裁量次第だからキスもダメになるとか思うと、
今までのままでもいいとか、脳内乞食が申しております。
>529
>いいこちゃん
それは違う(自分的に)。
けされて、移転して、移転先を検索できなくて、みつからない。⇒むかつく!!!
になるから嫌がってるだけだと思うのだけど?
どこのサイトも行きつけなら報告ナシに移転されると探すの面倒ジャマイカ。つまりそういうことだと思う。
え? 俺だけ?
>>531 ごめんちょっと意味が分からない
移転したところでこのスレにリンクは貼られるでしょ?
俺が気になるのは規制とかでこのスレに書き込めない作者の直接投稿だけだ
究極言えばログがあれば個人でまとめられるんだから保管庫の意義って↑だと思うんだけどね
>>532 スレから保管庫に行く正統派だなw
たまにしかスレに来ない奴は、保管庫覗いて最新スレ見るんじゃないか?
ここ、早いから毎日追ってるとかでもないかぎり、保管庫はそういう使い方も出来る。
ヒント:規約にかこつける、24時過ぎるとIDが変わる
とりあえずみんな落ち着こうか
535 :
205:2008/02/12(火) 00:54:09 ID:vwJ03ORz
そんな中で投下する俺。
「不幸せな友人たち」の続きです。
季節は移ろい、時は流れていく。
ティファニアがこの地で暮らすようになってから、ちょうど十年の月日が経過していた。
デルフリンガー男爵領の外では、何やら不穏な空気が漂い始めている。
近年、平民優遇の政策を推し進めてきたアンリエッタ女王が、その路線をますます拡大させている
とのことで、これに反対する貴族たちと日夜苛烈な闘争を繰り広げているらしい。幸いまだ武力によ
るぶつかり合いにまでは発展していないとのことで、デルフリンガー男爵領の中ではあまり話題にも
上らないらしい。
ティファニアの生活は、ほとんど変化がない。相変わらず最低限のことだけをして、後はただひた
すらじっと押し黙る生活を続けている。毎夜のように繰り返す悪夢も終わらず、日を追うごとに罪悪
感はますます深くなっていく。
変化と言えば、長櫃の中に収められた手紙の山がどんどん高く、大きくなっていくことだけだ。そ
れは、ティファニアが才人の振りをして送った手紙に対する、ルイズの返事だった。
――怪我をしたり、病気にかかったりしていませんか。
――あなたのしていることは立派だと思うけれど、あまり無理はしないで。
――お体に気をつけて。愛しています。
涙と吐き気と胸の痛みを堪えながらそれを読み、ティファニアはまた新たな手紙をしたためる。手
紙の文面は、最初に書いたときと変わりなく、ほとんど悩むこともなくすらすらと書きあがる。
ルイズは全く疑う様子を見せないという。
「ひょっとしたら、あの魔法には、教えた嘘を信じやすくさせる作用もあるのかもしれませんね」
シエスタがそんな風に推測していたが、真偽の程は分からなかった。
また、彼女の話によると、最近領民の間で「男爵様は気が狂っているのではないか」と噂されるこ
とが多くなってきたそうだ。
「仕方ありませんね。適当に理由をつけて、出来る限りミス・ヴァリエールと他人との接触は防いで
いますけど、完全にというのは逆に怪しまれますし、領民と話をすれば、真の領主……サイトさんの
ことを話したくなるというのも分かりますし」
彼女はこのことについてはあまり心配していないようだった。
「仮にミス・ヴァリエールが真実に気付いてしまったとしても、また忘れてもらえばいいだけですもの」
淡々とした口調でシエスタがそう言うのを聞いたとき、ティファニアは悪寒に身を震わせた。
(この人は、本当にサイトの願い以外はどうでもいいのね)
ルイズを、幸せに――。
才人が最後に言い残した言葉を思い返すたび、ティファニアは分からなくなる。
(才人は、こんなことを望んでいたんじゃない……でもきっと、ルイズさんが自分を追って死ぬことも、
願わなかったはず)
何が正しい選択だったのか、未だに答えは出ない。
懐かしい青髪の少女がやって来たのは、そんな頃のことだった。
タバサが小屋に来るというのは、事前に飛んできたシルフィードの言で分かっていた。
「お姉さまはルイズと話してらっしゃいますわ。シルフィは口を滑らせたらいけないから、あなたに
言伝したらどこかに行ってろって言われましたの」
不満げにそう伝えたあと、シルフィードは言葉どおりどこかへ飛んで行った。やたらと低空飛行で
何度も木にぶつかっていたのは、万一にも見つからないようにという彼女なりの配慮だったのだろうか。
「タバサさんが、来る」
テーブルの前に座って呟くと、胸中に複雑な感情が湧き上がってきた。
十年前、ルイズの記憶を奪ったとき、明確に反対の立場に立ったのは彼女だけである。結局、
「じゃあミス・ヴァリエールが死んだ方がいいと仰るんですね」というシエスタの言葉に反論できず
に記憶の改竄を許容する結果になったが、最後まで協力はしなかった。
――こんなことが許されるはずがない。
タバサの言葉が脳裏に蘇る。
――わたしたちは、いつかこの罪にふさわしい罰を受けることになる。
彼女は、今も同じ気持ちでいるのだろうか。
そのとき、誰かが小屋のドアを控え目にノックした。ティファニアははっと顔を上げ、無言で扉に
近づく。耳障りな音を響かせながら扉を開くと、そこに小柄な人影が立っていた。
暮れ始めた日の光に、艶を失った長く青い髪が透けて見える。ほとんど手入れもしていないようで、
伸ばしていると言うよりは放っておいたら勝手に伸びたという感じである。身に纏うマントは薄汚れ
ている上に裾がボロボロになっていて、かなり長い間交換していないのが分かる。その下に隠れてい
る服も、やはり汚れたり継ぎがあてられたりしている様子だった。小さな顔は、服に比べると綺麗で
汚れていない。カサカサした唇は真一文字に引き結ばれ、眼鏡の奥の瞳は以前よりも深く、思いつめ
た色を帯びている。その手に握られている、小柄な体格にはずいぶん大きな杖のみが、ほぼ唯一変わ
らない点だった。
ティファニアは驚き、問いかける。
「タバサさん、ですか?」
女は無言で頷いた。にこりともせずに、呟くように言う。
「久しぶり、ティファニア」
彼女の変貌振りにしばし呆然としたあと、ティファニアは気を取り直して家の中を示した。
「とりあえず、入ってください。何もお出しできませんけど」
「構わない」
短く答えて、タバサが後に続く。ティファニアは彼女に椅子を勧めて、自分もテーブルを挟んで向
かい側に座った。
鎧戸の押し上げられた窓から、鳥の鳴く声や木々のざわめきが聞こえてくる。二人とも無言だった。
タバサは何も言わないし、ティファニアも何を言っていいのか分からない。
ただ、一つだけ、確信できることがあった。
(この人は、何も変わっていない……わたしと同じ気持ちを抱いて、今まで生きてきたんだわ)
人間味というものをほとんど感じさせない今のタバサを見ていると、自然とそう思える。
「ルイズさんは」
半ば沈黙に耐え切れぬ気持ちで、ティファニアは切り出した。
「どんな、様子でしたか」
タバサが瞬きもせずにこちらを見つめた。
「幸せそうだった。とても」
タバサは小さく首を巡らせて、小屋の中を見回した。
「あなたは」
ぽつりと言う。
「後悔と罪の意識を抱いて、ここにいるの」
問いかけというよりは、確認という口調だった。その静かな視線は、部屋の隅に置いてある長櫃に
じっと注がれている。ティファニアは頷き、問いかけた。
「あなたも、そうなんでしょう?」
タバサは一度口を開きかけて、ためらうように閉じた。答えはない。
そうして、また沈黙が訪れた。獣の走る足音、鳥の羽音。
「あのとき」
不意に、苦しげな呟きが漏れ出した。こんな静寂の中にあっても、その声は消え入りそうなほどに
小さい。タバサの肩は小刻みに震えていた。
「あのときの選択は、間違いだった」
急に肺が圧迫されたように、呼吸が苦しくなる。テーブルの向側で、タバサが唇を噛んだ。
「わたしたちは、ルイズを死なせてあげるべきだった」
ティファニアは短く息を吸った。体が震えているのが分かった。
「死を選ぶことが、ルイズの意志……サイトに対する彼女の愛情の証だったのなら」
不意に、キュルケの寂しげな微笑が頭に浮かんだ。
「それを、死んだサイトが望まなかったとしても、ですか?」
自然に言葉が出る。タバサはゆっくりと頷いた。
「確かに、サイトはルイズが死ぬことを望んでいなかった。でもきっと、彼女が自分の意志で死を選
んだのなら、許してはくれたと思う」
「そうかも、しれませんね」
「でも」
タバサの声が大きく震えた。
「わたしたちは、ルイズの意志を無視した……!」
吐息と共に言葉が吐き出される。
「自分勝手な理屈を押し付けて、彼女の愛情を踏みにじって、偽物の幸せの中に押し込めてしまっ
た! わたしも、それが間違ったことだと、絶対に許してはいけないことだと知っていながら、自分
の身勝手な感情に流されてしまった……!」
絞り出すような叫びのあとで、タバサは肩を落とした。
「あの選択は、間違いだった」
「そうですね」
ティファニアも自然と頷いていた。向側のタバサは、入ってきたときよりもずっと小さく見える。一瞬、駆け寄ってその肩を抱いて慰めてやりたい衝動に駆られたが、ぎりぎりのところで堪えた。彼女がそれを望まないであろうことは、自分自身の経験からもよく分かったからだ。
(この人とわたしは、よく似ている)
改めてそう思う。
タバサの風評は、他の者たちと違ってここ数年ほとんど聞こえていなかった。シエスタは様々な手段で情報を集めていたが、それでもタバサのことはあまり聞かなかったのだ。
「たまに、ガリア辺境に現れては人に仇名す怪物なんかをほぼ無報酬で退治している、青い髪の女性のことを聞くことがありますけど……それが、彼女なんでしょうね」
一度、そんな風に聞いたぐらいである。
(きっと、そうやって進んで苦しいことばかりやってきて、楽しいことなんか少しもない生活を続けてきたのね、この人は。だからこんなにもボロボロなんだわ)
幾夜もの眠れぬ夜を戦い、厳しく自分を律してきたのだろう。聞かなくとも、ティファニアにはそのことが分かった。
そのとき、不意にタバサが顔を上げた。眼鏡の奥の瞳が、静かな光を放つ。
「わたしは今日、ある決意を抱いて、ルイズに会った」
そう言って、彼女はマントの中に腕を差し入れる。
「彼女を」
一度言葉を切り、腕を出す。細かく震える手に、一振りのナイフが握られていた。それを鞘から取り出し、テーブルの上に置く。タバサは再び声を絞り出した。
「彼女を、殺すつもりだった」
ティファニアは息を飲んだ。ナイフとタバサの顔を交互に見比べる。どちらも同じぐらい鋭い光を放っている。窓の外から獣の悲鳴が聞こえてきた。
「それは」
喉が痛いほどに乾くのを自覚しながら、ティファニアは問いかけた。
「ルイズさんの本当の願いを、叶えてあげるためですか」
タバサは俯き、小さく頷いた。
「そのつもりだった。歪み、狂った偽りの生を終わらせ、本人の意思どおり、彼女を愛しいサイトの
ところへ行かせてやろうと……彼女の意志をわたしが代行しようと、そう思っていた。それが、あの
とき間違った選択をしてしまったことへの償いになると、それが唯一残された責任の取り方なんだと、
そう思っていた」
償い、責任、という言葉は、ティファニアに大きな衝撃を与えた。頭の芯が痺れるほどに、強烈な
誘惑を持った言葉だった。間違った選択をやり直し、改めて正しい選択肢を選び直す。ルイズの、本
来の意志を、代行する。
(なんて、聞こえのいい言葉……! でも)
ティファニアはテーブルの上に目を落とす。
ナイフは冷たい光を放っている。人の手で鍛え抜かれた鋭い輝き。
血は一滴もついていない。
タバサに目を戻す。彼女は俯いていて、表情は見えなかった。
「でも、そうしなかったんですね?」
涙の雫が一粒落ちた。タバサが鼻を啜り上げる
「出来なかった。それが正しいことなんだと、いくら自分に言い聞かせても。目の前で、何も知らず
に微笑んでいるルイズを見ていると、どうしても。サイトのことを愛しているって、会えなくてもい
つでも心はそばにいるって、嬉しそうに話してくれた彼女を見ていると、自分のすることが正しいな
んて、とても思えなくなってしまった。こんなのは間違ってる、今目の前にいる彼女の幸福は偽物な
んだって、分かっていたのに。それで、気付いた」
タバサの声はもうほとんど泣き声になっており、その上くぐもっていてかなり聞き取り辛かった。それで
も、ティファニアには、彼女が言っていることが全て理解できた。
「わたしは、また自分勝手な感情を優先しようとしていた。正しいことをしよう、責任を取ろうだな
んて、全部嘘。本当は、ただ逃げたかっただけ。ルイズが母様と同じように他人の手で心を狂わされ
たのに、その残酷さは分かっていたはずなのに、それを見過ごしてしまった自分を、なかったことに
してしまいたかっただけだった……!」
ティファニアは椅子を蹴って立ち上がり、タバサに駆け寄ってその頼りない体を抱きしめた。腕の
中で泣き続ける女は、昔よりも華奢で、今にも折れそうなほどか細く思える。
「ずっと、逃げていたの」
しゃくり上げながら、タバサは必死に言う。
「何が正しいのか知っていたのに、わたしは間違ったことを止めもせずに、ただ他人にだけ責任を押
し付けて、言い訳ばかりして……!」
「もういいです、もういいですから……!」
ティファニアは自分を責め続けるタバサの唇を塞ぐように、彼女の体をさらに強く抱きしめた。泣
き声は止まない。ここからずっと離れているにも関わらず、城にいるルイズに聞こえはしまいかと、
本気で心配になるほどに大きく、痛々しい泣き声だった。
(この人は、とても意志が強い人なんだ)
黙って彼女の体を抱きしめながら、ティファニアは強く唇を噛む。
タバサが言っていることは、あまりにも自分に厳しすぎるのではないかと思えた。彼女がこの十年
間、己の罪に向き合おうとして必死に生きてきたことは、その姿を見れば嫌でも理解できる。彼女が
自分で言うように、逃げたとか他人にだけ責任を押し付けたというようには、とても思えなかった。
彼女はちゃんと、自分の罪に責めさいなまれて、苦しんできたのだ。決して卑怯な臆病者などではない。
(もしもあの雨の日、彼女がわたしだったとしたら、ただ黙って、ルイズさんが振り下ろした剣をこ
の身に受けた。彼女の憎しみを受けるのを恐れて、もう一度記憶を消そうだなんて、思わなかったに
違いない)
そう考えると、ティファニアの胸はまた重くなる。だが、その重みを受けて沈黙し続けることは出
来なかった。腕の中で震え続ける人に、声をかけなければいけないから。
「聞いてください、タバサさん」
ティファニアの胸の間から、タバサが顔を上げる。少しずれた眼鏡が、涙で濡れていた。
「タバサさんが言うように、わたしも、あのときの選択は間違っていたと思います。わたしたちは、
ルイズさんの意志どおり、彼女を黙って見送ってあげるべきでした」
タバサがまた顔を伏せてしまう前に、ティファニアは「でも」と言葉を続けた。
「だからと言って、あのときのタバサさんの気持ちまで間違いだったとは、思いません」
「それは」
違う、とタバサが続ける前に、ティファニアは言った。
「タバサさんは、ルイズさんに死んでほしかったんですか?」
眼鏡の奥で、タバサが目を見開く。「それは……だけど」と、次の言葉はなかなか出てこない。そ
の顔が苦しげに歪んだ。
「わたし、思うんです。あのときのタバサさんは、何が正しい道なのか、誰よりもよく知っていたっ
て。でも、その道は選ばなかった……選べるはずがなかった。だって、タバサさんは、サイトとルイ
ズさんのことが、好きだったから。たとえ何が正しくたって、好きな人の死を迷いなく選べる人なん
て、いません。出来れば生きてほしいと思うのが当然のことです」
ゆっくりと語りかけながら、ティファニアは唇を噛み締めていた。
もしもタバサが無表情な見かけどおりに冷酷で、情に薄い性格だったとしたら、ここまで悩むこと
はなかったはずだ。これほどまでに追い求め、選べなかったばかりに心を苦しめ続けている「正しい
道」を、迷いなく選ぶことができたはずだ。
(友達への好意が……愛情が、強い意志を持つこの人にすら、間違った道を選ばせてしまった)
そして、彼女は今も、体が震えるほどに苦しみ続けている。
「いいんですよ」
ティファニアは、タバサの背中をそっと撫でた。
「タバサさんは、十分苦しんだじゃないですか。もう」
脳裏に、暖かい炎のような髪が翻った。
「もう、自分を許してあげてもいいんです。あなたの中の罪悪感と同じように、あなたの中の愛情も、
大事にしてあげてください」
タバサはただじっとティファニアの言葉を聞いていた。その口が開きかけて、何も言えずに閉じた。
震える睫毛の下、青い瞳から、涙が一粒零れ落ちる。
咄嗟にポケットを探って、ハンカチを取り出した。キュルケからもらったハンカチで、タバサの涙
をそっと拭ってやった。
涙は止まらず、無言のままに流れ続ける。ティファニアはずっと無言のまま、タバサの涙を拭い続けた。
泣き止んだタバサと共に、家の外に出る。
「ありがとう」
まだ赤い目で言いながら、タバサは少しだけ文句ありげにこちらを見た。
「息苦しかった」
その視線を辿ると、自分の胸に行き着く。こんな会話をするのは物凄く久しぶりのことだ。懐かし
さと共に気恥ずかしさを覚えて、ティファニアは「すみません」と、とりあえず謝る。タバサはほん
の少しだけ笑ったような気がしたが、暗くてよく見えなかった。
気付くと周囲は夕暮れの光で赤く染まっている。
ティファニアは目を細めて、暗い森の向こうに視線を注ぐ。
(ああ、五年前も、こんな景色を見たな)
脳裏に赤く長い髪が浮かぶ。笑って手を振りながら去っていくキュルケ。再会を約束しながら、彼
女はもう二度と戻ってこなかった。
(ひょっとして、この人も……?)
不穏な予感が、胸の中で膨れ上がる。それを見透かしたかのように、タバサが厳かに言った。
「多分、もうここには戻ってこない」
彼女を見ると、その横顔には厳しい無表情が戻っていた。乾いた風が吹いて、長く水気のない青い
髪が、かすかに揺れる。
「戻ってこられない、と言った方がいいかもしれない」
「どうしてですか」
問うと、タバサは表情を変えないまま語り出した。
「数日前、ガリア辺境にある小さな村が壊滅した」
「壊滅、って言うと」
「村の広場には、元は村人だと思われる肉片が、山のように積み重ねられていた」
背筋に悪寒が走った。
「一体、何が……?」
「……邪竜が現れたと、報告があった。村人の中で唯一生き残った男が、その竜の伝言を伝えてきた。
『私は、前王の恨みを晴らす』と」
前王、と言われても、ティファニアには誰のことだか分からなかった。すぐにそれに気付いたらし
く、タバサが説明する。
「前王というのは、ガリアの前王ジョゼフのこと。わたしの叔父で、仇だった男」
仇だった、という言葉を聞いて、ティファニアは大体の事情が分かったような気がした。タバサは
わずかに顔を俯かせる。
「邪竜は多分、ジョゼフの使い魔だったミョズニトニルン。何かのマジックアイテムで、自分の姿を
竜に変えたんだと思う。主人が死んだことで、何も影響を受けていないのかどうかは知らないけど…
…とにかく、主人を殺した人間を恨んで、復讐を果たそうとしている」
「主人を殺した人間、というのは……」
「わたしや……サイトに、ルイズ」
ティファニアは息を飲む。タバサは小さく頷いた。
「そう。このまま放っておけば、ルイズにも害が及ぶかもしれない。王宮の方からも邪竜退治の命令
が出たけれど、命令されなくても、わたしは行くつもりだった」
そう言って、タバサは悔いるように眉根を寄せた。
「だから、その前に、あのナイフで責任を取ろうと思ってた。もしかしたら、勝てないかもしれないから」
「じゃあ、今からその邪竜を倒しに行くのも、間違った選択をしてしまったことの、責任を取るつも
りだからですか?」
問いが口を突いて出る。タバサは一瞬迷うような間を置いてから、首を横に振った。
「違う、と思いたい。今は……上手く言えないけど、あなたの言葉を信じて、自分が友達を守るため
に行くんだと思いたい」
タバサは、そっと自分の胸に手を置いた。
「あなたの言うとおり、この身勝手な心の中に、少しでも暖かい感情が存在していると信じてみる」
「タバサさんの心は、身勝手なんかじゃ」
「それなら、あなたもそう」
タバサが鋭く遮った。青い瞳が、じっとこちらを見つめる。ティファニアは視線をそらした。
「わたしは、タバサさんと違って、本当に醜い人間ですから」
ルイズの怒りに滾る瞳が、頭の中に蘇る。
「わたしも、自分のことを同じように考えている」
タバサが静かにそう言って、ティファニアは何も言い返せなくなってしまった。
そうして、また沈黙の中でわずかな時間が過ぎ去り、周囲はいよいよ暗くなってきた。そのとき、
頭上から大きな羽音が聞こえてきた。見上げると、薄闇の中を一頭の青い竜が飛んでいる。
「お姉さま、お迎えに上がりましたわ、きゅいきゅい」
シルフィードの能天気な声が降ってくる。その巨体が窮屈そうに降りてくるのをじっと見つめなが
ら、タバサは言う。
「わたしは、行かなくてはならない」
「もう会えないんですか?」
「多分」
「そう、ですか」
ティファニアは何も言えない。行くな、というのはもちろん、生きて帰ってきて、とも。
「一つだけ」
不意に、タバサが思いつめたような声で言った。
「一つだけ、あなたにお願いしたいことがある。わたしと同じ後悔を抱く、あなたに」
タバサは両手を伸ばして、ティファニアの手を握り締めた。青い瞳が、切実な光を宿して、こちら
を見上げている。ティファニアは困惑して問うた。
「お願い……わたしに出来ることですか?」
「あなたにしか出来ないこと」
「それは」
「いつか、ルイズに本当のことを教えてあげてほしい」
ティファニアは目を見開いた。「そんな」と、慌てて手を振り解こうとしたが、タバサは絶対に逃
がさないとでも言うように、両手に強い力を込める。振りほどけなかった。
「こんなこと頼む資格がないのは分かってる。無責任だ、偽善だと罵られてもいい。でも、お願い。
いつか、ルイズに本当のことを教えてあげて。いつか彼女に、自分の意志で選択させてあげて。わた
しには出来なかったことを、あなたが……」
タバサは瞬きもせずこちらを見つめ続ける。視線をそらすことが出来ない。ティファニアは迷った
末に、きつく目を閉じて言った。
「約束は、出来ません」
「それでいい」
タバサがほっと息をつくように言って、手を離した。目を開くと、彼女の口元には淡い微笑みが浮
かんでいた。
「きっとあなたは、今度こそ正しい道を選んでくれるはずだから」
何も言えないティファニアに深く頭を下げ、タバサはシルフィードに飛び乗った。以前の彼女と変
わらぬ、軽やかな跳躍だった。
「何もかも押し付けていくようで、本当にごめんなさい。もしも生きて帰れたら、必ずわたしも一緒に行く」
ティファニアは顔を上げて問いかけた。
「じゃあ、最初から死ぬつもりで行くのではないんですね?」
「それは、間違った選択だから。また逃げることだから。あなたと同じで、約束は出来ないけど、最
後まで諦めずに頑張ってみる。ああ、それと」
タバサの腕が、小屋の中を指差した。
「あれは、あなたに預けておく。愚かな女の過ちの証として。選択に迷うことがあったら、あれを手
に取って。逃げてしまいそうになったり、間違った道を選びそうになったら、あれを見てもう一度考
え直して。間違った選択を、もう二度と積み重ねないように!」
そう言って、タバサは顔を上げた。
「ありがとう。あなたがかけてくれた言葉のおかげで、わたしはきっと、最後まで頑張ることが出来
る。間違った責任の取り方ではなく、正しい想いを抱いて」
その姿は、暗闇に隠されて、少しも見えないはずだった。
だがそのとき、ティファニアの目にははっきりと見えた。
真っ直ぐに夕闇の空を見つめるタバサの顔に、力強い笑みが浮かんでいる。青い瞳が、自分の行く
べき方向を迷いなく見つめている。
その像が、脳裏に強く焼き付けられる。
そして、最後に声が響いた。
「わたしは行く。今度こそ、友達のために」
力強い羽ばたきと共に、タバサを乗せた竜が大きく空に舞い上がる。その翼が巻き起こす風に倒さ
れそうになりながら、ティファニアは彼女たちが見えなくなってしまうまで、じっとその場に立ち尽
くしていた。友人たちを見送るために。
一人で小屋に戻り、ランプに明りを灯す。テーブルの上で何かが鋭く光った。
それは、一振りのナイフだった。タバサが残していった唯一のもの。
手に取り、眺めてみる。誰も切らなかったナイフだ。誰も切れなかったナイフだ。
――いつか、ルイズに本当のことを――
(わたしに、出来るんだろうか)
あの雨の日のことを思い出すたび、ティファニアの体は今も芯まで震えてしまう。
ナイフをぎゅっと握り締めてみても、やはりそれは変わらなかった。
タバサもまた、キュルケと同じように、ティファニアの元に帰ってくることはなかった。
赤い髪の友人がずいぶんと世間を騒がせたのに対し、青い髪の友人は、最後までひっそりと奮闘し、
ひっそりと死んでいったものらしい。
実際には、彼女が本当に死んでしまったのかどうかも分からなかった。
だが、邪竜が人里に下りて甚大な被害をもたらしたという噂を聞くことはなく、もちろん、デルフ
リンガー男爵領が、そういった怪物の襲撃におびやかされることもなかった。
かなり時間が経って……全てが終わったあとに、ティファニアはタバサの足跡を探してガリアに入った。
元王都や各都市、辺境の村々に至るまで、様々な場所を巡って、たくさんの人々に話を聞いて回っ
たが、「青い髪の騎士」のことを覚えている人間は、誰一人としていなかった。
ある村で会った老婆が、たった一人だけ、青い髪の騎士のことを覚えていた。
その人とは、村外れの雪原で会ったらしい。深く傷ついていたが、手当てされるのは拒んだ。
そのとき、ほんのニ、三言だけ、彼女と言葉を交わしたらしい。
「お姉ちゃんは、こんなところでボロボロになって、何をしているの?」
苦しげで、何か思いつめるような雰囲気を纏っていた騎士の顔が、そのときだけ不意に和らいだそうだ。
「わたしは、友達のために戦っているの」
「友達?」
「そう。大切な、友達のために」
そのとき、騎士の笑みがほんの少しだけ、自嘲めいたものに変わった。
「嘘かもしれないけど、そう信じているの。だから、まだ立てる」
それだけ言い残して、彼女は立ち上がった。服はボロボロで体は傷だらけ。それでも、その瞳は
真っ直ぐに雪原の向こうを睨み据えていた。その方向へ、彼女は一人で歩いていった。
ティファニアが友人に関して得られた、唯一の証言だった。
教えてくれた老婆は大層高齢だったが、そのときのことをはっきりと覚えていた。
周囲の白さに溶け込むことを拒むような、青く長い髪がやけに記憶に残っていて、「青い髪の騎
士」と言われたとき、すぐに彼女のことを思い出したという。
ティファニアは老婆が騎士と会ったという村外れに赴き、雪原に向かって目を凝らしてみた。
だが結局、そこに青いものを見つけることは出来なかったのである。
こうして二人目の友人も帰ることはなく、ティファニアの手には過ちの証だけが残った。
彼女は何度もそのナイフを手に取り見つめ、深い葛藤の中に沈んだが、結局ルイズに本当のことを
教えられないまま、ただ時だけが過ぎていった。
次に彼女のもとを友人が訪れたのは、タバサと別れてさらに五年の年月が過ぎてからのことである。
544 :
205:2008/02/12(火) 01:06:56 ID:vwJ03ORz
以上。読んでくださってありがとうございました!
サブタイトルは「タバサ」ですと書き忘れてすみません。
途中で改行忘れてて文章がダラーッとなって読みにくくなっててすみません。
そうでなくても読みにくくてすみま(ry
……保管庫入れるときに調整します、はい。
ノボル神が「タバサ、がんばる」とか後書きに書かれてましたが、
個人的に彼女は頑張りすぎだと思います。もうちょっと力抜けよ、みたいな。
そういう根っから真面目なイメージがあった彼女を上手く書けたかどうかと言うと全く自信が(ry
ご意見いただけると大変嬉しいです……
545 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 02:48:56 ID:43KmCE7v
アンタの書く小説はすばらしい。涙が出る、マジで。
大抵の保管庫はエロOKの鯖を借りて作ってる。
wikiでやりたいならエロOKの鯖に自分で設置するしかない。
自分で設置する知識が無いなら、html形式のサイトにして全部を自分で更新するしかない。
>>544 涙腺崩壊だ。GJ。
才人が死ぬってかなりの罪作りだなあと思った。
みんな不幸せになりすぎだ……。
>>546 つかエロOKの鯖でphp使えるとこにpukiwiki設置すればどうよ?
ぐるぐると同じ場所を廻っている様で、少しずつ何かが動き始めているようですね。
毎度gjです
550 :
バレット:2008/02/12(火) 12:28:22 ID:XEEmjiNc
感動に水差す感じで済まんが、続きトゥーカいきやす。
「あー死ぬかと思った」
どこぞの煩悩霊能者みたいな事を漏らしながらベッドへダイブ。
イザベラやシャルロットやティファニア、その他の生徒同様大型竜籠(物資・人員輸送用タイプ)で宮殿から運んできたものだ。
この世界に来て以来のサイトの愛用品である。
もちろん、ジョゼフから与えられた超高級品だ。これ1つで下級貴族の1年の支給金並みとか。
金はある所には掃いて捨てるほどゴロゴロ転がっているのである。ごくごく普通の異世界の中級階級出身の才人には実感わかないけど。
マチルダに追い回され、結果入学式を兼ねた晩餐会に出れず夕食にありつけぬままぶっ倒れたサイト。
実戦や訓練でそれなり以上に鍛えられてる上に伝説の盾補正も加わってちょっとやそっとじゃバテやしない。
それでも腹を空かしたまま散々追い掛け回されれば、部屋に戻った途端ベッドに飛び込みたくなるぐらいには誰だって消耗するのだった。
「厨房行きゃ少しは分けてもらえるかな・・・」
しかし腹は文句つけても足が動いてくれない。
ガンダールヴによる身体強化は、解除後強化した分しっぺ返しが来るのである。
疲れてるししょうがないからこのまま寝るか、とサイトは瞼を落とし。
コンコン
すぐにまた開いた。
「開いてるぞー」
やや気だるげな声で扉の向こうに声を掛ける。
ゆっくりと、扉が開いた。
まず目に飛び込んできたのはランプの光を反射する金色の髪・・・
なんて在り来たりなもんではなく、こんなの在り来たりだったらこの世はパライソか!?と言いたくなる1対の超特大弾頭でした。
「お、お兄様?大丈夫?」
「あー、へーきへーき。ちょっと疲れたけどな」
心底心配そうなティファニアに、サイトは苦笑交じりに答えた。
心配性なのは相変わらずだなぁ、何て思いながら。
サイトとティファニア・オブ・ロードとの出会いは、3年前に遡る。
サイトがガンダールヴと分かり、従ってジョゼフの系統が虚無と発覚してからしばらく経ってからの話だ。
始祖ブリミルの伝承とやらから、他国にも虚無の系統が居るかもしれないと推測したジョゼフは密かに他国の彼方此方に人を送り込んだ。
いわゆる間諜、スパイである。
別にサイトの世界のどこぞの7号さんみたいに、単独で陰謀をぶっ壊すようなド派手な物じゃない。
しかし、いつどの世界であっても正確な情報を早く手に入れた者こそが有利に経てるのはここでも常識と言えた。
その過程で偶然にも発覚したのが、アルビオン王家の一員、ロード大公の愛人のエルフとその娘、ティファニアの存在だ。
エルフは、ハルケギニアの人間にとっては天敵といえる存在。
人肉を食らうだの何だのと明らかに眉唾な――でも実際オーク鬼みたいに人を食べるような種族も居るお陰で何気に信憑性が低くなかったりするけど――
噂もあるが、それでもこの世界の大半の人間は吸血鬼と同等以上に恐れていた。
実際、平民の10倍以上の能力を持つメイジの100倍は強いと言われてるんだから、しょうがないっちゃしょうがないのかもしれない。
そんなエルフが貴族、しかも王家のかなり上位の存在の愛人でしかも間に子供も居るとなれば―――その衝撃はとんでもない。
アルビオン王家にとっては核爆弾級のスキャンダル。
しかしジョゼフがむしろこの事態をチャンスだと受け止めたのは、国と政治の為なら親の敵とでも手を組まなければならない政治家の頂点に立つ者ゆえか。
人とエルフの間に子供が居る。
それはつまり、例え天敵であっても友好関係を結べる何よりの証拠といえた。
更に、よくよく調べてみるとそのハーフエルフの娘にいたっては虚無の使い手かもしれない可能性があると言うではないか。
上手くすればアルビオン王家と友好関係を結べるか、もしくは弱みを握れるか。
はたまた彼らをガリアに連れてくれば虚無の使い手をガリアの物に出来るし、更に更に愛人と娘を使えば、もしかするとあのエルフとの間でも友好関係を結べるかも・・・
どっちにしたってまずは、アルビオン王家より早く3人を確保する可能性がある。
こんなスキャンダル、漏れれば確実に3人ともども証拠を消そうとアルビオン王家が躍起になるのは間違いないからだ。
それを防ぐ為に、ガリアから密かにアルビオンへと派遣された人員の中に・・・既にガリアではジョゼフの切り札として有名なサイトも居たのだった。
とりあえず本人は当初、半ば空に浮かぶ大陸への観光旅行のノリだったり。
「あれだよな、確か俺達がマチルダさんの屋敷に向かった時、テファのお母さんが杖向けられててギリギリ俺が飛び込んで間に合ったんだっけ」
部屋に居た10人以上のメイジを一瞬でなぎ倒したのがこの男である。
それは、無抵抗の彼女の母親の言葉を受け入れようとせずに殺そうとしたメイジ達を見て瞬時にサイトが切れた結果なのだが。
「あの時のお兄様、まるでお母様やマチルダ姉さんがよくお話してくれた勇者様そっくりだったわ」
「そ、そうか?」
謙遜した風に頭を掻く。
召喚されてからこっち、ガンダールヴといっても歴戦の兵士やメイジやとんでもない化け物相手に戦いを繰り広げてきたサイトである。
最近はともかく最初は訓練で相手(スクウェアクラスだったりたぜいに)無勢だったり)にボコボコにされるのはしょっちゅうだ。
身体能力や武器の扱いが上手くたって、長年の実戦経験にはおいそれとは敵わない。
それを文字通り心身ともに叩き込まれたお陰でこのサイト、普段はお調子者な部分が幾分抜けている。
「その後お兄様、ガリアの特使って事になって、叔父のジェームズ一世様とお話する事になって・・・」
「あー、それであいつらの言ってる事につい頭に来ちゃってケンカ売ったんだっけ、俺」
一緒に居たカステルモールがあんまり緊張しすぎてぶっ倒れたんだっけなー。
修羅場を潜り抜けたといっても、基本的にサイトの根が単純なのは変わらない。
だから納得のいかない事にはハッキリと『No!』というタイプで―――
ついでに問答無用でティファニア達を罰しようとするアルビオン王族のあまりの横暴さを目の前に堪忍袋の緒が切れて、ガンダールヴ全開でその場に居た彼らに襲い掛かったのは未だに語り草だ。
『貴族が何だ!王様が何だ!こんな小さい子まで話も聞かずに殺すような奴がそんなに偉いのかよ!』
『ふざけんな!そんなんならな、問答無用でこの世界に呼び出したあの髭親父の方がよっぽどいい奴じゃねえか!』
『認めねえ、俺は絶対認めねえ!そこまであの子達を殺したいんなら、俺が相手になってやる!!』
『上等だ、王家だろうがなんだろうが――――お前らは俺の敵だ!!』
とどのつまり、サイトはティファニア達を守る為にその場で王家に宣戦布告したのである。
サイト自身大国ガリアからの使いという事で国際問題に発展、下手すりゃ国家間戦争がおっぱじまるキューバ危機ノリだったわけだが、
しかしサイトの言い分もある意味正しく、しかもジョゼフ直々にガリアからあれこれ圧力――主に大陸間の補給路の封鎖――
など、3割の謝罪の7割の脅迫で結果、サイトもティファニアもお咎め無し、という事になった。
その後アルビオンとガリアが合同でティファニア達を足がかりにエルフ達との国交を結ぶプロジェクト立ち上げられ、
遂に去年、プロジェクト設立から僅か2年で、厳しい条件付ながらサハラとの貿易が始まった。
これにはティファニア達以外にも、異世界出身で魔法の使えなかったサイトと親しいお陰で階級や種族云々を気にしなくなったジョゼフの尽力がある。
ガリア=アルビオン=サハラの平和裏な3国?協定が結ばれ、エルフとの積極的な国交によりガリアとアルビオンの勢力増強は著しい。
そうしてロード大帝は投獄から一転、国王ジェームズ一世並みもしくはそれ以上の権力者となり、ティファニアとその母親も王家に認められる存在として正式な妻と子供とされ。
サイトは(表向き)平民でありつつもガリア王家と関わりの深い人間でありながら、
アルビオン王家に宣戦布告した挙句エルフとの国交に一役買った人物として、アルビオンでも有名人となった。
そしてこの事がきっかけで『シュヴァリエ』の位を与えられ、ガリアでは初の平民出身貴族となったのが3年前の顛末である。
・・・ガリアに戻った直後、あまりの心配が転じて怒り狂った妹分2人のヘクサゴンスペル+ジョゼフの虚無にぶっ飛ばされたのは置いとこう。過ぎた事だ。
それはともかく、2人の馴れ初めはこんな感じだ。
マチルダと顔見知りなのもその関係である。宣戦布告後ほとぼりが冷めるまで、マチルダの屋敷で3人揃って軟禁状態にあったのだから。
さて、シリアスっぽいのはここまで。
文章には出てこなかったが実はサイト、ティファニアが部屋に入ってきた時から視線はある一点に固定済みだったりする。
胸。そう、胸。
学生服の白いシャツから突き出たあまりにも圧倒的な存在感に、彼女の言ってる事どころか自分の言ってる事すらもほとんど頭の中に入っちゃいない。
入学式の最中も遠巻きに彼女を見ていたギャラリー(主に男子)の視線は、尖った耳よりもその特大桃りんごに集中していたのをサイトは知らない。
ついでにお忍びで偽名を使わずわざわざアルビオン王家である事をアピールしているのも、彼女がエルフの血をひいている事への周囲の軋轢を和らげる為だ。
イザベラとシャルロットもその関係で偽名を使っていない。友好関係をアピールする為に。
自動運転で口を動かしつつ、サイトはティファニアの胸の感触ってどんな感じだろうと、妹分兼未来の正妻&側妻の2人の感触を思い出してイメージし。
ぴょこっ
・・・・・おもわず股間の相棒が先走って反応した。
ヤバイ。考えただけで反応ってどれだけ単純だよ俺!
あああ、しかもテファの見ててどんどんおっきくなってるし!何でか目離したくても離せないし!
こうなりゃ脱出だ!リジェクトリジェクト!!
「ごめん、晩飯食ってないし腹減ったからちょっと厨房行って来る!・・・・・・のわっ!?」
「きゃっ!?」
慌ててベッドから降りて走ろうとしたのがいけなかった。
酷使された膝がカクッと力を失い、前のめりのままバランスを崩した先は―――
ティファニアの胸の中である。
むにょん(サイトの顔がティファニアの胸の間に埋まった)
どさっ(2人して床に倒れた)
ぷちぷちっ!(その衝撃でシャツのボタンが弾け飛んだ)
「・・・・・・・・」
「んっ、お、お兄様っ!?」
なぜ、俺は、テファの胸に、直で、埋まってるんでせうか?
A:キャミソールじゃティファニアの胸が収まりきらないので、素肌に直接シャツを着ていた為。
ハイ、息子が完全覚醒しましたありがとうございました。
全速で脱出。全力で後頭部ベッドに強打。サイト悶絶。
ダメだこりゃ。どっかのおっさんの声が聞こえた気がした。
ひとしきり転げまわってから、ふとティファニアの視線がまじまじとまっすぐこっちに向けられているのに気付いた。
正確には、足の先を彼女に彼女に向ける形になった為、良く見えるようになったズボンに張られたテントを。
見られた!見られちゃったよ俺!
前のイザベラみたいに問答無用で魔法をぶっ放してくる事はありえないだろうけど、それでも生理的反応とはいえ女の子に見せるような代物でもなく。
ビンタの一発でも覚悟していたサイトだったが、しかし。
「あ、あの、サイトお兄様?」
「え、えっと、何?」
「その、えっと、それ・・・辛いんですよね?」
「あー、まーうん、辛いっちゃ辛いな。うん」
バカ正直にそう答えてしまい。
「な、なら、私が治してあげるから!」
瞬間、素早く動いたティファニアによってズボンが引き下ろされていた。下着ごとずらされ愚息が勢い良く剥き出しになる。
そして。
ぱく
咥えられた。
温かい咥内の感触に思わず腰が跳ねるが、すぐに我に返って少女を止める。
「ストップ!ストーップ!テファ、いきなり何してんだよ!?」
「あのね、何度かお母様がお父様にこんな風にしてあげてるのを見た事があって、それでお父様が気持ち良さそうにしてたからお兄様もきっと」
「いや、確かに気持ちいいけどさ!幾らなんでもあっさりしちゃダメって!
・・こういうのはさ、好きな男の人にシてあげる事だからさ、だから俺なんかじゃなくて―――」
「そ、それなら大丈夫!私が好きな男の人はサイトお兄様だから!」
何ですと?
「って再開しちゃダメー!」
サイトの絶叫にもティファニアは止まらず、記憶の通りにサイトの先端を咥えるとぎこちなく頭を上下に動かし始めた。
イザベラやシャルロットとはまた違うつたない動きではあるが、一生懸命頑張ってますな表情からその熱心さが伝わってくる。
それでもこのまま流される訳にもいかず、何とか逃げたくても咥えられたままではそういう訳にもいかず。
どうすべきか考えあぐねていると、第2派が襲い掛かった。
唾液を満遍なく塗された愚息を、ボタンが飛んで剥き出しになったティファニアの胸が挟み込んだ。
否、呑み込んだ。先端まで包み込まれる。
むにゅむにゅくちゅくちゅ
先っぽから根元まで、膣内とは違う柔らかさと弾力性に満ち溢れた快感。
唾液に塗れたお陰でスムーズに上下左右に滑らかにこねくり回される感触に腰が浮く。
もしかしてこれも、彼女の両親の睦言を見て覚えたんだろーか。
―――GJ。お二方。
遥か彼方、比喩抜きでお空の上に居る彼女の両親に心の中でグッとサムズアップを贈った瞬間。
一瞬気を抜いたその時、限界は訪れた。
間欠泉のように胸の間から噴出した白い液体が、ティファニアの顔に降り注ぐ。
「んくっ・・・」
谷間に生み出された水溜りならぬ精液黙りを彼女は、胸を持ち上げる事で啜り取った。
喉を小さく鳴らして飲みこむ度、細く白い喉が蠢く。その様子が何ともあどけなく、色っぽかった。
「えへへ・・・お兄様の全部飲んじゃった」
初めて見る、悪戯っ子の様な少女の笑み。
サイトが見とれたまま、ティファニアは膝立ちになるとパラリと丈の短いスカートをめくって見せた。
薄い白の下着は分泌液で既に濡れ濡れで、薄い金色の毛がハッキリ透けて見える。
「あのね、お母様は、ここがこんな風に熱くてムズムズする時は、お父様のさっきの白いのをここに注射してもらえば直ってたみたいなの。
だから・・・私のここに、サイトお兄様の、お注射、下さい」
分かって言ってんのか、テファ?
・・・分かってないんだろーなー。テファって純粋だもんなー。
なんかもう微笑ましいものまで感じ始めた、その時。
扉が、開いた。
そこに、立っていたのは。
「あ」
「・・・・・・何・・・・・やってんだい」
イザベラだった。
イザベラで、あってしまった。
次の瞬間、イザベラの表情がクシャクシャに歪んでしまった。ボロボロと、滂沱の涙が床に落ちていく。
「酷いじゃないか・・・やっぱり、私だけじゃ満足できないのかい・・・」
「いや、違うんだイザベラ、これは、その・・・・・」
「・・・・ひっく・・・ふえっ、ふえええええぇぇぇぇぇん!!!」
泣き出した。思いっきり泣き出した。
大音量である。しかもここは夜の男子寮である。
何事かと部屋から首を突き出した男子生徒達はまず子供の様に泣きじゃくるイザベラを見、次に慌てた様子で慰めようとするサイトを見、そしてしまい忘れて剥き出しなご立派な物を見てしまい。
そして制服のまま胸を肌蹴させたティファニアを見て、即座に悟った。
―――――コイツは女の、そして、大多数の男の、敵だ。
『天誅〜〜〜〜〜〜〜!!!!!』
「で、殿中でござる〜〜〜〜〜!!!!!」
第2回チキチキリアル鬼ごっこ、勃発。
第4話はこれで終了。次回、修羅場?
・・・シリアス一直線の傑作のすぐ後にこんなの投下してどうするよ、俺。
とりあえず今晩、専門学校の試験で散ってきます。さらば。
>>557 オチがwwww
このシリーズ大好きなんだぜ。GJ
オチがいいw
試験頑張れ
560 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 17:45:46 ID:0VMGGJqA
>>557 いつも楽しく拝見させて頂いてます。
ええいGJだ!
相変わらずの癒し系エロをありがとうございます
上で出てたsukiwikiはだめなの?
バレット氏GJ!
うーん、エロはだめと言う話があるがラノベでも過激な描写があってスルー?なのに(本番まで言ってないが)
なぜネット(二次創作とはいえ)じゃ駄目なんだろうか、不思議
>>560 マルチポスト荒らし、踏んだらひどい目にあいそうじゃ
過激とは言っても全年齢の範疇を逸脱していないから。
ネットじゃ18禁とか21禁と表示しても完全にゾーニングできるわけじゃない。
男女がセックスする話を書いておいてエロじゃないなんて言い訳が通じると?
ノボルが12巻で限界に挑戦していたが w
あれよりイッちゃったら、18禁かと思われ
ラグナロクEXだと本番までアリマシタヨ
関係ないかもしれないが確か文字だけの作品って18禁規制の対象外じゃなかった?
官能小説も18禁マーク入って無いでしょ
マーク付いてるのは絵が規制にかかってるはず
だからどうだとは言わないが
イコノはなんとなくラインギリギリを踏んでる感じだった。
・・・やっぱりはみ出てるかな。
とりあえず規約を読め
何が禁止されてるか把握しろ
>>570 法律に引っかかってないならいいよな、自主規制だろうとは思うが
じゃあ法改正になる前に原作のルイズとサイトをさっさとセクロスさせてもらわねば
>>572 えっと規約は把握してます、その上でのレスです
>>574 じゃあ3Pで、・・・発禁処分になる確率が上がってしまうが
もうその話はいい加減にしようぜ。
現管理人は、一応18禁が黙認されている所へ引越しをした。
それでも不安を感じた住人が、自分達で別の保管庫を作った。
それでも気に入らないのなら、自分達で勝手に作ればいいじゃないか
「頑張った自分を褒めて貰いたい」のじゃ無ければ、テンプレに入れて
もらえなくてもかまわないだろう?
俺達が今語らなければならないのは、桃りんごと良イザベラの素晴らしさについてじゃないのか!?
まあ、現管理人は荒らしへの対応でDQNだということがわかってしまった上に
引っ越した先の規約も読んでないんじゃないかという有様だから仕方なかろうよ。
この際だから膿は出し切ってしまったほうがいいんじゃない?
正直、直接投稿の作者神の作品をどうするかという話さえクリアすれば
作りたい奴がどこでも借りて勝手に作ればいいじゃないかと言いたいところだが(現管理人云々関係なしに)
現管理人のような輩のことだなw
とりあえず、現保管庫にある作品をZIPか何かに纏めてもらえると助かる。
万が一ってことがあるし。
粘着きもいな
あんま煽るなよ。逆上してまとめ消すかもしれないとひやひやしてるんだが
俺始め、住民の大方は心情的には現管理人さん及び現保管庫の方に愛着があると思うんだよな。
ちょっと失敗したからすぐ切り捨てようなんて、あまりにも不義理すぎる。
やたら彼を叩いてる人たちが何をしたいのかは分からんが、
俺、このままだと連鎖的に新保管庫まで嫌いになりそうだ……
管理人自演乙
悪いが、俺は切り捨てる方に賛成だ
住民の大方←根拠をしめせよ?
いままで、規約なんて見てなかったのに、急に規約規約言い出す単発ID見てもね
きゅいきゅい!せ、先住魔法『スルー』発動なのねっ!!
>>586 いや、証拠も何も……
それとも、普通の人はネット上のこととは言え、割と長い間苦楽を共にしてきた人を
一度の失敗で手の平返したように叩きまくってけなすものなのか?
いやまあ、それが普通で俺の感覚がおかしいっていうならそれまでなんだけど……
>>589 何度注意しても暴走した結果、愛想を尽かされたんだぜ、あの管理人
所詮、ここは便所の書き込みなんですよ。
そんなところで偽善的正義(?)を振りかざしてどうするのですかね。
ここで規約なんてものを守るのはただの馬鹿です。
この板のスレのまとめサイト(wiki)の大半が規約を守ってません。
それに、R指定がおkのサイト(wiki)はなかなか良いのがありません。
R指定がおkなサイトは、「広告がいっぱいのサイト」やら「年間維持費が必要なサイト」など、
色々と面倒な点が多いのが現状です。
第一、SSをまとめる人間(まとめサイト創設者たち)がいる事自体が良的環境ですよ。
ごたごた言っている奴はちゃんとそう言う事を含めてちゃんと理解しているのですか?
と、ノボルの中の人が言ってました。
593 :
挿してみた。:2008/02/12(火) 23:53:52 ID:JiHsa0yA
>593
自作?
エロいアン様が最高にGJだぜ
他のSSのアン様も見てみたいな
595 :
挿してみた。:2008/02/12(火) 23:58:31 ID:JiHsa0yA
>>594 おうよ。茶っ葉は他の人の畑から無断で摘んだんできたんで
摘発されても文句は言えんが(汗
596 :
挿してみた。:2008/02/13(水) 00:01:07 ID:0EVRcyNV
×摘んだんできたんで
○摘んできたんで
「ん、なかなか美味しいわね」
初めて作ったとはいえ、上出来である。シエスタの助けの効果もあっただろうが、それでもこの美味しさは自画自賛したくなる。
指に絡みつくねっとりとした黒い物体を舌で舐め、幸せそうにため息をつく。
「さすがわたしね。初めて作ったチョコがこんなに美味しいなんて」
シエスタが作ったチョコレートが美味しかったのでなんとなく作ってみたのだが、予想以上の出来である。
「サイトにもあげようかしら」
サイト、どんな反応するかしら。
驚くかな。それとも、喜んでくれるかな。
サイトの反応を想像して、一人で笑ってしまうルイズ。チョコを片手に一人で笑っているその姿は、まるで恋人にサプライズでプレゼントを渡す彼女のようだ。
クスクスと一人で笑いながら、完成したチョコを手に取り、ルイズはサイトのいる自室を目指して歩き始めた。
サイトはふと望郷の念に駆られ、久しぶりにノートパソコンを開いた。少々埃が積もっていたのは使っていない証拠である。
「久しぶりだなぁ」
なんてことを呟いて、電源を起動させる。そして、なんとなくパソコンの画面の右下を見て、カーソルを合わせると、サイトはパソコンを閉じた。
2月14日
それが現れた日付である。
泣きたくなった。
悲しくなった。
寂しくなった。
苦しくなった。
何故、こんな思いをしなければならないのだろう。
何故、こんなに苦しまなければならないのだろう。
こんなに苦しいのなら、バレンタインなんて消えてしまえばいい。
そっとパソコンをしまい、サイトは泣いた。
異世界にバレンタインという風習があるかどうかなど、どうでもいい。
ただ、泣きたかった。寂しさを、紛らわせたかった。悲しさを紛らわせたかった。
そんな風にして泣いていたものだから、部屋の主が帰ってきたのにも気がつかなかった。
わたしが自分の部屋の前に来ると、中からサイトの声が聞こえてきた。
「畜生! 消えてなくなっちまえ!」
叫んでいるサイト。わたしは、思わずその場に固まってしまった。
何でサイトが叫んでいるのか、わからない。でも、聞こえてきた声は、明らかに強烈な拒絶の声。
もしかしたら、わたしに向けての?
そう思ったら、わたしの身体は動かなくなってしまった。
怖い。サイトから拒絶されるのが、とてつもなく怖い。
何だかんだ言いながらわたしの言うことを聞いてくれるサイトだけど、もしかしたら心の中ではわたしのことを恨んでいたのかもしれない。
そんな……わたし……サイトに恨まれて……。
涙が出てきた。涙があふれて、その場に蹲ってしまいたくなった。
でも、こんなことをしていても何も解決しない。恨まれてるんだったら、その原因を解決してやる。
涙を拭って、わたしは扉に手をかける。ドクンドクンと心臓が大きく脈打っているのがわかる。
覚悟を決めて思い切り扉を開ける。バンッ、という大きな音と共に、わたしのベッドを思い切り叩いてるサイトの姿が見えた。
……馬鹿らしくなった。
さっきまでの涙はなんだったんだろう。とりあえず、わたしのベッドを叩いているのは納得できない。納得できないからわたしは怒って、サイトに詰め寄る。
「サイト? いいかしら?」
「サイト? いいかしら?」
その声を聞いた瞬間、サイトの動きはピタリと止まった。まるで氷を入れられたようなに冷たく、小刻みに震える背中。振り向くことすら出来ない、強烈なプレッシャー。
サイトは、自らの行動を後悔した。
「こっち向きなさい」
恐る恐る振り向くと、ルイズが立っていた。右手を腰に当て、左手に何かを持って。
「どうしてわたしのベッドを叩いてたのよ」
先ほどの声から感じたほどではない怒りに、サイトは安堵した。怒ってはいるが、それ以上にサイトに疑問を持っているようだ。
すなわち、サイトの行動への疑問である。
部屋に入ったら、いきなり使い魔が叫んでベッドを叩いている。疑問を持つには十分すぎる光景である。
どう説明しようか。まさか、元の世界のイベントを呪っているなんて言えないし。
そんな風にサイトが困っていると、ふと、甘い匂いがサイトの鼻に漂ってきた。それは、元の世界でもよく嗅いだ匂い。この時期になると、街中ではそれが宣伝されている。
そう、あの甘い、女の子が大好きなお菓子。チョコレートである。
今日はバレンタイン。そしてルイズが持ってきたのはチョコレート。異世界だというのも忘れて、サイトは泣いた。
「ルイズ」
「なによ?」
「ありがとう!」
言い終わるや否や、サイトはルイズに抱きつき、おいおいと声を上げて泣き始めた。わけがわからず、とりあえず何で泣いているのか事情を聞くルイズ。そしてサイトが説明をすると、ルイズは盛大にため息をついた。
「あんた、そんなことで騒いでたの?」
「ごめんなさい」
冷静になって考えてみると、かなり恥ずかしかったらしい。サイトは耳まで真っ赤にしている。そして、説明を受けたルイズはというと。
「……」
サイトと同じく顔を真っ赤に染めて、俯いていた。しかし、怒っているのではなく、それは恥ずかしさによるものだ。まさか、今日がサイトの世界で、恋人にチョコレートを贈る日など知らなかったのだ。
そんな日にチョコレートをプレゼントする。これではまるで、恋人ではないか。
こここ、恋人だなんて! サイトとわたしが恋人だなんて! 違うんだからね! わたしとサイトはご主人様と使い魔! それ以外のなにものでもないのよ!
誰に言うでもなく内心で言い訳を始めるルイズ。いきなり恋人同士のイベントの日と知らされたので、テンパっているのである。
「まあいいわ」
ため息をついてから、無言でサイトにチョコレートを差し出すルイズ。顔は明後日の方向を向いているが、その顔が真っ赤になっているのは明白である。
「あげるわよ。ご主人様からの労いのチョコよ。言っておくけど、労いのためなんだからね、それ以上でもそれ以下でもないんだから」
きっかり五秒、サイトはポカーンとしていた。そして、満面の笑みで、こう言った。
「ありがとう」
その言葉を聞いたルイズが、サイトに背を向ける。完全に表情が見えなくなったが、髪の間から僅かに見える耳は、真っ赤に赤い。先ほどよりも、さらにだ。
そんなご主人様の様子を微笑ましく、しかし愛おしく見つめながら、サイトはチョコをぱくりと齧った。
601 :
29Q:2008/02/13(水) 00:09:41 ID:QS8PJh0g
暴走すんのはもはやデフォ。
そして完璧にネタがなくなった。
なんとなく
ガンダールヴは武器(魔力なし)を操る。
ヴィンダールヴは獣(人以外)を操る。
ミョズニトニルンはマジックアイテム(魔力ありの武器?)を操る。
じゃあ四体目は人(獣以外?)を操る?
とかなんとか寝る前に考えてみた。
テファは記憶を消す=人の一部を操るを操るだしちょうどいいんじゃね、とか思ったり。
風呂に入りつつネタ考えてきます。
602 :
挿してみた。:2008/02/13(水) 00:10:33 ID:0EVRcyNV
>>594 言い忘れたがありがとよー
また描くわー^^
おわり?もうGJして大丈夫?
ほのぼのとしていて、すごく和みました。
フェロモン
採取元云々より、基準値を大幅に上回る濃度の科学物質が検出されて摘発されそう
あ。
最後は>593あてなのね
605 :
205:2008/02/13(水) 01:51:49 ID:GBbXR0SX
昨日今日のスレの書き込みを見ていたら、とてもさみしい気持ちになりました。
そんなもんなんですかねえ……そんなもんなのかな……
「不幸せな友人たち」の続きを投下します。
サブタイトルは「ギーシュ」で。
ガリアに消えたタバサとの約束を果たせぬまま、さらに五年の年月が流れた。
東方から帰還して十五年も経つと、外界の状況も多かれ少なかれ変化してくるものである。
今、トリステインは激動の時代を迎えている。
世の中がひっくり返る、という言葉が、そのまま当てはまるような状況である。
アンリエッタ女王は以前から平民優遇の政策を推し進めてきたが、それは大抵、国政の癌とも言う
べき、不正を働く貴族たちへの牽制であると捉えられてきた。
その認識を国民の多くが改めることになったのは、断頭台という処刑装置が登場してからのことである。
落下する巨大な刃の重みによりスパンと軽やかに首を落とすこの画期的な装置は、既に十数人もの
貴族を餌食にしたらしい。それはみな、不正を働いて国家に害を与えた罪人に対する処罰であった。
にも関わらず、平民は首が落ちるたびに熱狂的な歓声を上げた。
罪人に対する処罰というのは建前で、その実特定の貴族に対する粛清が始まっているのだ、という
のが、ほとんど暗黙の了解になっているらしい。
特定の貴族というのがアンリエッタの政敵であることは、もちろん言うまでもない。さすがに表
立って王権に刃向かう者はいないが、裏ではかなり激烈な闘争が繰り広げられており、既に死者も多
数出ている……というのが専らの噂だった。
そういった根拠の薄い噂は別にしても、アンリエッタが本格的な粛清に乗り出したことは、誰の目
にも明らかだった。対立派の貴族達もまた、秘密裏に連絡を取り合って陰謀の準備に余念がないそうである。
こういった情報は、シエスタを経由してティファニアの耳にも入ってきていた。だが彼女には、王
都の状況など半ばどうでもいいことである。それによりこの地方の情勢が変わったり、ルイズの心身
に影響が及ぶと言うのなら話は別だが、そうでない限りは何もできないし、するつもりもない。
しかし、女王排斥派とまで呼ばれるようになった貴族たちの首魁の名を知ると、さすがにそこまで
無関心ではいられなくなった。
その人物の名は、ギーシュ・ド・グラモン。
十五年前に別れたきりの友人であり、今は史上最年少の元帥として王軍を預かる男でもある。
そんな彼が、常日頃から声高に貴族の名誉や権利を主張し、アンリエッタの平民優遇政策に不満を
唱えているらしいのだ。
「あの方は一体何を考えてらっしゃるんでしょう。そんなことがミス・ヴァリエールの耳に入りでも
したら、ずいぶん面倒なことになりますのに」
シエスタは不満げにそう言っていた。
ギーシュの考えていることは、もちろんティファニアにも分からなかった。確かに気障な少年では
あったが、同時にずいぶん間抜けな人だったとも記憶している。そんな彼が日夜物騒な秘密会議を開
き、陰謀を練るのに熱中しているというのは、どうも想像できなかったのだ。
(彼は、ルイズさんのことをすっかり忘れてしまったのかしら)
そうとしか思えなかった。十五年前、ルイズを取り巻く偽りの幸せを守るため、アンリエッタに協
力を申し出たりと、かなり協力的だった人間である。覚えているのなら、ルイズに悪い影響が及ぶこ
とをするとは思えない。
十五年の月日が流れ、あのとき一緒にいたメンバーもそれぞれの生活を送っている。
忙しさの中で、ルイズや才人のことが記憶の隅に忘れ去れてしまったのかもしれない。
(もしかしたら、彼も罪の意識に耐えかねて、逃げているのかもしれない)
そんな風にも考えた。ギーシュには気弱で臆病な部分もあった。自分の罪深さを忘れるため、危険
な権力闘争に没頭していった可能性もある。
王都から遠く離れたデルフリンガー男爵領にいる彼女には、どちらが正しいのかは判断がつかなかった。
結果から言うと、どちらも正しくなかった。
ティファニアが彼の真意を知ることができたのは、他ならぬギーシュ自身と会話する機会を、最後
に得たからだった。
草を踏みしめ枯れ枝を踏み砕く音が聞こえてきたとき、ティファニアは森の中にいた。暖炉に火を
灯すための木材などを調達している最中だった。小屋から見て、少し城寄りの場所である。そんな場
所で、しかも城がある方向から誰かの足音が聞こえてきたものだから、慌ててしまった。
(まさか、ルイズさん? でも、シエスタさんが見張っているはずだし……)
迷いながらも、一旦集めた枯れ枝を捨てて、木の影に隠れる。ルイズだとしたら、見つかるわけに
はいかない。自分がここにいることが知れたら、頭のいいルイズは記憶を取り戻さずとも事の真相に
気付いてしまうかもしれない。そうなるとまた記憶の改竄を行わなければいけない。出来るなら、そ
れは避けたかった。
隠れている内に、足音はだんだんと近づいてきた。早足だが、走ってはいない。この森に慣れた人
間ではないらしい。そのとき、鬱蒼とした木々の向こうから、金色の髪が垣間見えた。
(あれは、ひょっとして)
胸が高鳴るのを感じながら待っていると、その人物はティファニアが隠れている木のすぐ近くで立
ち止まった。
長い金髪の女性だった。羽織っているマントやその下に見えている衣服は、遠目にも非常に上質な
布地で仕立てられていることが分かる。明らかに高い身分の人間である。そして、彼女の顔立ちには
見覚えがあった。
(もしも違ったら……ううん、間違いないわ)
ティファニアは意を決して、木の影から歩み出た。向こうもすぐこちらに気付いた。
「……お久しぶりです、モンモランシーさん」
「……ティファニア、あなたなの?」
驚き、呆然とした彼女の目には、痛々しい涙の跡があった。
「何もお出しできなくて、すみません」
他の友人たちを迎え入れたときと同じことを言いながら、ティファニアはモンモランシーに椅子を
勧める。彼女は無言でそこに座った。
あれから、立ち話もなんだからとモンモランシーを誘って、小屋に招きいれたところである。
その間、彼女はずっと何か思いつめた様子で黙り込んでいた。椅子に座った今も、やはり言葉を発
しない。少々険を感じてしまうほどに勝気な顔立ちは以前と変わりないようだったが、今その美貌に
は深い憂いの色がある。
「こちらにいらしていたなんて、知りませんでした」
彼女の沈んだ様子に戸惑いながらも、ティファニアは声をかけた。モンモランシーは小さく息をつく。
「でしょうね。影武者まで仕立てて、念入りに身を隠してここまで来たんだもの。ルイズだって」
一瞬、声が詰まった。
「ルイズだって、わたしたちが何の連絡もなしに来たから、ずいぶん驚いてたわ」
「わたしたち、って言うと、ギーシュさんもご一緒なんですね?」
「ええ。夫婦だからね」
その言葉には驚かなかった。東方から帰還して程なく、ギーシュとモンモランシーが結婚したとい
うことは、やはりシエスタから伝え聞いていた。幼い子供も三人ほどいるそうだ。
「夫婦のはずなんだけどね、一応」
そう付け加えた声音には、隠しきれない苦渋の色がある。そのことについて聞くべきかどうか迷っ
ていると、モンモランシーは不意に頭痛を感じたように、広い額を片手で押さえた。
「なのに、何の相談もなしに……本当に、もう」
ため息と共に、涙の粒が零れ落ちる。彼女は慌ててそれを拭った。
「ごめんなさい。あの馬鹿のこともそうだけど、ルイズのことも……いろいろとごちゃごちゃになっ
ちゃって、自分でも気持ちの整理が上手くつけられないの」
「いえ、お気になさらないでください。ルイズさんと、会われたんですね?」
モンモランシーは頷いた。
「今しがた、会ってきたこと。楽しくお喋りしてたんだけど、ね。途中で耐えられなくなって、飛び
出してきちゃったわ。あの子があんまり幸せそうに、サイトのことを語るものだから」
モンモランシーの表情が苦しげに歪む。潤んだ瞳が痛みを堪えるように細められた。
「なんだか、夢を見ているような気がしたの。本当はあんなひどいことは起こらなくて、サイトは元
気に生きていて……そんなはずないのに、あの子の幸せそうな顔を見ていたら、そう信じそうになっ
た。でも次の瞬間にはすぐ冷静さを取り戻していて、あの子の言うことは全部嘘だってことが分かっ
て……そしたら、とてもあの場所にはいられなかったわ」
「気持ちは、分かると思います」
「ありがとう」
憂鬱な口調でそう言ったきり、モンモランシーはまた押し黙ってしまう。何か、深く思い悩んでい
る様子だった。
(やっぱり、あのことと関係があるのかしら)
女王に仇名す年若い元帥、という、王都でのギーシュの評判を思い出す。
ひょっとしたらそのことで悩み、精神的に参ってしまっているのかもしれないと思ったが、訊ねる
のは躊躇われた。
「あいつね」
小さな呟きが聞こえた。
「あいつ、また一人で格好つけてるのよ。わたしの気持ちも考えないで」
「どういうことですか?」
モンモランシーは首を振った。
「わたしの口からはとても言えないわ……話してる内に耐えられなくなりそうだから。本当に、あの
バカ……一人で覚悟決めて、臆病者のくせに逃げ出す素振りも見せないで……」
また、彼女の頬を涙が伝った。
「本当に、馬鹿なんだから」
そのとき、不意に小屋の扉がノックされた。少々品に欠けた、慌てたようなリズム。
「どなたですか」
怪訝に思いながら声をかけると、一拍ほどの間を置いて驚いたような声が返ってきた。
「やあ、ティファニアか。君の声は少しも変わらず美しいね」
鼓動が早くなる。声と口調から、扉の向こうにいるのがギーシュだと分かった。思わずモンモラン
シーを見ると、彼女は素早く涙を拭い、椅子の上で背筋を伸ばしてそっぽを向いた。実に自然な所作
だ。そういう風に体裁を取り繕うのは慣れているらしかった。
「不躾で申し訳ないが、入れてもらってもいいかね?」
ティファニアは迷った。モンモランシーの様子からして、ギーシュとの間があまり良好でないこと
は予想がついたし、何よりも、ティファニア自身の心の準備が出来ていない。
(ギーシュさんは、一体どんな風になっているんだろう)
扉の向こうから聞こえる声は、以前とあまり変わらないように思える。だが、王都での風評を聞く
限り、彼が全く変わっていないとはとても思えない。変わってしまった彼と向き合うのは、何故かと
ても怖かった。
かと言って、返事もせずに立たせておくわけにはいかなかった。ティファニアは結局、「どうぞ」
と言って彼を小屋の中に招き入れる。扉がゆっくりと開いて、外から背の高い男が姿を現した。
金髪を丁寧に撫で付けた、伊達男という形容がよく似合う美男子である。齢は三十前半のはずだが、
二十代と言っても十分に通用するほど若々しく見える。背は昔よりも一回りほど大きくなっており、
彼の持つ男性的な魅力に一役買っている。
そんな風に、目の前の男は予想通り様変わりして見えた。しかし、驚いたことに、彼の顔に浮かぶ、
どことなく間抜けな悪戯っぽい微笑は昔のままであった。
彼はその表情のまま、大袈裟に両腕を広げてみせる。
「やあ、久しぶりだねティファニア。やはり君は以前と変わらず美しいね。その艶やかできめ細やか
な絹糸のごとき金髪に、どれほどの時を経ても全く衰えぬ美貌、まさにこの辺境に降り立った女神と
も言うべき……おや」
長ったらしい口上の途中で、彼は何かに気付いたように片眉を上げた。視線を辿って肩越しに振り
向くと、椅子に座ってそっぽを向いているモンモランシーに行き着く。また視線を戻すと、目の前の
男の顔一杯に、嬉しそうな笑みが広がっていた。
「やあ、我が愛しい妻、モンモランシーじゃないかね! やっぱりここにいたんだね、いやあ、君が
突然出て行くものだから、僕がどれほど心配したか……無事で本当に良かったよ」
「あのねあんた」
モンモランシーが、冷たい瞳でじろりと男を睨む。
「その愛しい妻の目の前で他の女口説いておいて、『どれほど心配したか』はないんじゃないの?」
「何を言うんだいモンモランシー、あんなのは所詮挨拶代わりじゃあないか。僕の心はこの世で最も
愛しい女性のものだとも。つまりは君のことさ、愛しのモンモランシー! なんなら、この熱く燃え
盛る証として、さっきの十倍熱烈な賛美を君に捧げてもいい!」
「死ぬまでやってなさいよバカ」
にべもない返事に、男は大袈裟に肩を竦めてみせる。ティファニアの胸がじわりと温かくなった。
(ああ、やっぱり、この人はギーシュさんなんだ。笑っちゃうぐらい、何も変わってない)
ふと、甘く懐かしい香りが鼻腔をくすぐる。モンモランシーの香水だ。今まで気付かなかったが、
彼女の香水の香りもまた、十五年前と何ら変わっていない。
懐かしい声と香りに包まれて、彼女は一瞬、自分が十五年前に戻ったのではないかと錯覚した。
今にキュルケやコルベール、タバサ、シエスタとルイズ、それに才人が小屋に駆け込んできて、大
騒ぎが始まるのではないかと、半ば本気で期待しかけた。
「しかしまあ、なんだね」
ギーシュがどこか難癖つけるように呟いたので、ティファニアは現実に引き戻された。彼は少々気
難しい顔をして、狭苦しい小屋の中を見回していた。
「この小屋は君のように美しい女性が一人暮らしをするのには、全く似つかわしくないね! いや、
それはそれで俗世から切り離された神秘的な趣がなくもないが。まあそれはそれとしても」
ギーシュは不意に視線を下に落とした。ちょうど、ティファニアの胸の辺りである。
「相変わらず見事な」
彼がそこまで言いかけたとき、後ろから椅子を蹴る音が聞こえてきた。咄嗟に脇に避けると、荒々
しい足音と共に歩いてきたモンモランシーがギーシュの頬を思いっきり張り飛ばした。
「せめて一分でいいから自分で言ったとおりの行動が取れないの、あんたは!?」
「いやしかしだねモンモランシー」
「うるさいバカ! そんなに喋りたいなら一人で喋ってりゃいいのよ!」
丸っきり以前と変わらぬ口調で怒鳴りつけて、足音高く小屋を出て行ってしまう。ティファニアは
慌てて外に出たが、モンモランシーは振り返る素振りすら見せずに歩いていく。
本当に、以前と変わらぬやり取りだ。久しぶりに、少しだけ楽しい気分になる。
(これで、小屋の中に戻ると、ギーシュさんが情けない顔で肩を竦めていて)
だが、その気分も長くは持たなかった。
小屋の中に戻ると、先程までの和やかな雰囲気は少しもなくなっていて、椅子に座ったギーシュも
何か思いつめたような雰囲気を纏っていたのだ。
立ちすくむティファニアの背後で、扉がばたりと閉まった。小屋の中が少し暗くなる。
「すまなかったね」
ギーシュがため息混じりに言った。
「ああいう風にしないと、どうも気まずくなってしまうのでね……不快な気分にさせてしまったら、
申し訳ない」
「いえそんな、謝らないでください。そんなの」
――全然、ギーシュさんらしくないです。
言いかけた言葉を、ティファニアは飲み込んだ。ギーシュの顔には、以前の彼からは想像もつかな
いほど憂いを帯びた表情が浮かんでいる。
テーブルを挟んで、ギーシュの向側に腰掛ける。こんな風に友人を見るのも、これで三度目だ。
「さっき、ルイズに会ってきたんだが」
ギーシュはどこか苦味のある微笑を浮かべた。
「とても幸せそうだったね。王都にいるサイトが近況を手紙で報せてくれると、嬉しそうに話してい
たよ。彼は僕に協力して、兵を鍛えてくれているそうだ」
「すみません、シエスタさんと相談して、そういう内容の手紙を」
「ああいや、責めているわけではないんだよ。むしろ感謝している」
ギーシュはじっとティファニアを見つめた。
「君の手紙のおかげでね、ほんの少しの間だけ、いい夢を見られた気がするんだ。ありがとう」
ギーシュが深々と頭を下げる。ティファニアは慌てて立ち上がった。
「やめてください、わたし、そんな風に」
「感謝される資格はない、かな?」
ティファニアははっとした。ギーシュの瞳が、上目遣いにこちらを見上げている。
「この小屋の中の様子からも、予想はついていたが」
顔を上げたギーシュの視線が、小屋の中を一巡りして、ティファニアに戻ってきた。
「ティファニア、君はやはり、あのときのことを後悔して生き続けてきたんだね」
問いかけには答えず、俯き、座る。返事が必要だとは思わなかった。
「聞かせてもらいたいんだが」
ベッドの方に目を向けながら、ギーシュが目を細める。そこには、キュルケからもらったハンカチ
と、タバサが残していったナイフが置いてあった。いつも、枕元において眠るからだ。
「あのときあの場所にいたメンバーの中で、ここに来たのは僕が最初かな?」
首を横に振ると、ギーシュはテーブルに肘を突いて、わずかに身を乗り出した。
「出来れば、話してくれないかな。彼女たちが、君に何を残していったのかを」
ティファニアは頷き、五年前と十年前の記憶、友人たちと交わした会話を、思い出せる限り正確に
語った。ギーシュは黙って微笑んだまま、ときどき頷きながら話を聞いていた。
語り終えたあとしばらくは、二人とも黙ったままだった。
「サイトの遺志、というがね」
不意に、ギーシュが言った。苦笑いめいたものが口元に浮かんでいた。
「僕はどうも、この言葉には違和感を覚えてしまうな」
「違和感、って言うと……?」
「ルイズに偽りの幸せの中で生きてもらうのが、本当にサイトの遺志なのかってことさ」
ギーシュは淡々と語り出した。
「ルイズの幸せを守ることが才人の遺志だ、というがね。彼が本当にそういい残したかどうかは誰に
も分からないんだよ。僕らが聞いたのは、『ルイズを、幸せに』という呟きだけだ。それは確かに
『ルイズを幸せにしてやってくれ』という頼みだったのかもしれないが、ひょっとしたら単に『ルイ
ズを幸せにしてやりたかった』という悔恨の言葉に過ぎなかったのかもしれない。だから、『わたし
たちはサイトの遺志を守っている』というのは、単なる自己欺瞞に過ぎないのさ」
ギーシュは目を瞑り、静かに断言した。
「僕らはただ僕らの意思で、この方がルイズのためになると判断して、彼女の記憶を奪い続けている」
「では」
ティファニアは拳を握り締めた。
「では、やはりあなたも、ルイズさんの記憶を奪ったのは間違ったことだと?」
「少し違うな」
ギーシュは考え深げに顎を撫でた。
「僕は、選択することが結果に直結するとは考えてない。選択肢と言うものは、選んだ時点では最上
にも最悪にもならないんだ。重要なのは、選択した後にどれだけの努力をするかだ」
「努力、ですか」
「そう。その選択を、よりよい結果へと導くための努力さ。努力次第で、最上の選択が最悪の結果に
つながり、最悪の選択が最上の結果に繋がることもあり得るだろう」
彼は遠くを見るように目を細める。
「僕は、シエスタがルイズの記憶を消すことを提案したとき、結局最後まで迷ったままだった。ルイ
ズを殺しても、ルイズの記憶を消しても、どちらにしても後悔は残るだろうと。そして結局、自分で
はどちらの意見も支持できないまま、ルイズの記憶は消されてしまった」
ギーシュはまた、そっと目を閉じる。
「だから、そのとき決意したんだ。どちらも選べなかったからこそ、現状に不満を言うのも、別の選
択肢を選べなかったことを後悔するのも止めようと。ただひたすら、今のルイズの幸せが少しでも長
く保たれるように努力しようと、決めたんだ。それが、何も選べなかったものの務めだと思ったからね」
口元に柔和な微笑が浮かんだ。
「そして、今日、ルイズを見た。心の底から幸せそうな彼女をね。正直に言って、複雑な気持ちだよ。
確かに嘘に塗れたものではあるが、彼女が感じている幸せは本物だ。正しいとも間違っているとも断
言できない。どちらも選べない。僕は、今でも昔と少しも変わっていないようだよ」
自嘲めいた笑みは、すぐに決然とした表情に変わった。
「だからせめて、この幸せが外界の無粋な連中のせいで壊れてしまわないように、努力するつもりだ」
ティファニアは身を固くした。ついに、彼の真意を知るときが来た。
「ギーシュさん。それは、あなたが王都で権力闘争に没頭していることと、何か関係があるんですか?」
単刀直入に問いかける。回りくどい言い回しは不要だと思った。ギーシュも特に気を悪くした様子
はなく、「ああ、大いにあるよ」と前置いたあと、何でもないことのように言った。
「僕は近々、女王陛下に不満を持つ者たちを秘密裏に集めて、大規模な集会を開くつもりだ。何が話
し合われると思う?」
「分かりません」
「女王陛下を暗殺する計画さ」
ティファニアは目を見開く。ギーシュは人差し指を立てた。
「祖国を憂う愛国精神に溢れた貴族の集まりでね。念の入ったことだよ、なにせもう具体的な計画は
もちろん、この救国会議メンバーによる血判状まで仕上がっているんだから。連中の頭は、陛下亡き
あとの混乱状態で、いかに自分の権力を確保するかで一杯なはずだ。しかしね」
とっておきの悪戯の計画を打ち明けるように、にやりと笑う。
「実を言うと、その動きは優秀なアニエス近衛隊長に察知されているんだよ」
一瞬何を言われているのか飲み込めなかったが、すぐにとんでもないことだと理解できた。「それ
じゃあ」と慌てて言いかけると、ギーシュは愉快そうに頷いた。
「そう。君の考えるとおりさ。反乱を企てる貴族達はこれで一斉に捕縛される。何せ、恐れ多くも女
王陛下をその手にかけようとしたんだ。家柄も何も関係ない。間違いなく全員処刑されるだろうね」
「そんなことをしたら、あなたまで」
「その通りだ。僕はギロチン送りになるだろう。やれやれ、この首を取り合ってどれだけの女性が争
うことになるかと思うと、少々心が重くなるよ」
冗談めかした口調だったが、冗談でないことは明らかである。ギーシュがあまりに落ち着いた様子
なので、かえってティファニアの方がもどかしくなった。
「どうにかならないんですか。女王様と対立してる貴族を捕えるにしても、何か、他の方法は」
「ない」
ギーシュは即答した。
「精一杯努力はしているんだが、不満を抱く貴族たちを抑えるのも、そろそろ限界なんだ。彼らの筆
頭である僕が何か具体的な動きを起こさなければ、勝手気ままに挙兵したり、知らないところで策謀
を企てたりする輩が出てくることだろう。そうなったらもうお終いだ。反乱は全土に飛び火し、近衛
だけで静めるのは不可能になる。だからこそ、今だ。今、待ちきれなくなった反乱分子を集めて、一
挙に叩かせる。そうすれば反乱の芽は摘まれ、あとは陛下が上手く事を運んでくださるだろう。王政
は平和裏に幕を下ろし、最小限の反乱だけを経て、平民の世がやってくる。この地でも、特に騒ぎは
起こらないはずだ。ルイズの幸せが壊されることもない。そういう約束になっているのさ」
「約束?」
「こんな若造が元帥だなんて、おかしな話だとは思わなかったかい? 秘密の取引をしたのさ。陛下
の思惑が実現するように命を賭けて協力する代わりに、こちらの願いも叶えてくれ、ってね」
ギーシュはじっとティファニアを見つめた。
「分かるかい。これはルイズを守るためにはどうしても必要なことなんだよ。遠い昔、ある剣士が
たった一人で七万の大群に突撃したときのようにね」
ギーシュは懐かしむように目を細めた。
「ずっと、彼のようになりたいと思っていた。貴族よりも強く、誇らしかった男。結局彼には追いつ
けそうもないが、ルイズの幸せを守る代役ぐらいは果たせそうだ」
そう言って苦笑する。
「サイトの遺志は分からない、なんて言ったばかりでなんだがね。やはり、彼が生きていたら全力で
彼女を守っただろうと思うからね。死んだ彼の分まで頑張らないと」
ギーシュの声音に迷いはない。もう、とうに覚悟を決めているらしかった。
だが、ティファニアには一つだけ納得しかねるものがあった。
「モンモランシーさんはどうするんですか。お子さんだっていらっしゃるんでしょう」
彼女の涙を思い浮かべながら問うと、ギーシュは深く息を吐き出しながら答えた。
「モンモランシーはもう納得済みだよ……無理を言って納得してもらった、と言う方が正しいが。僕
が死んだ後どうするかも、全て彼女に委ねてある。女王陛下には、なんとか妻子を見逃してもらえる
ように頼んであるからね。大人しく陛下に従って生きながらえるのも、僕を追って死ぬのも、全ては
彼女の判断さ」
満足げで、誇らしげな口調だった。
「僕は、その選択にケチをつけるつもりはない。なに、彼女は昔と変わらず、僕なんかよりずっと聡
明だ。きっと、選んだ選択肢が最上の結果に繋がるよう、努力していけるはずだよ」
それだけ言って、ギーシュは沈黙する。ティファニアは何も言えなかった。彼ら夫妻は、もう幾度
も言葉を重ねているはずだ。今さら、部外者の自分が口を挟めることなど一つもない。
「ああそうだ」
不意に、ギーシュが指を鳴らした。
「忘れていたよ。君に贈り物があるんだ」
そう言って、どこに仕舞いこんでいたものか、小さな木箱を一つ取り出し、テーブルの上に置く。
「開けてみてくれたまえ。きっと、気に入ってもらえると思う」
ティファニアは困惑しながらも木箱の蓋を開ける。中には、何か鈍い色の金属が入っている。手を
差し入れて取り出してみると、それは、青銅で作られた飾り物だった。両手に収まる程度の大きさな
がら、息を飲むほどに緻密な作品である。
それは、十五年前、才人が死ぬ前の彼らを鮮明に象った置物だった。
シエスタと口喧嘩するルイズ。
それを笑って眺めているキュルケと、傍らで苦笑するコルベール。
興味なさげに本を読みつつ、視線はさり気なく騒ぎの方に向いているタバサ。
ティファニアはルイズとシエスタの喧嘩を止めようとおろおろし、呆れてため息を吐くモンモラン
シーの横では、ギーシュが愉快そうに笑っている。
そして中心には、彼がいた。ルイズとシエスタに挟まれて、深々とため息を吐いている才人。
ティファニアは唇を噛んで、必死に涙を堪えた。
今彼女の手の中にあるのは、もう二度と戻ってこない風景だった。才人がいなくなってしまっただ
けで、バラバラに砕け散ってしまった幸せ。
今は嘘に塗れた記憶が才人の代わりに居座り、歪な形で偽物の幸せを保ち続けるだけだ。
「僕はね」
涙を堪え続けるティファニアを見つめて、ギーシュが言う。穏やかな口調だった。
「あのルイズを見ていると、何もかも嘘のような気がしてくるんだ。本当にサイトが生きていて、今
も僕らは昔と変わらずに楽しく過ごしていると、そんな風に思えてくる。無論、それが幻に過ぎない
ということを自覚しながらね。そう思わせてくれるぐらい、ルイズは幸せに生きている。だから」
ギーシュがティファニアの傍らに膝を突き、俯く彼女の顔を覗きこみながら言った。
「だから、いいじゃないか。君はよくやっているよ。そんな風に、自分を責めながら生きることはない」
ティファニアは青銅の置物をテーブルの上に置いた。急いで手を膝の上に持っていき、思い切り自
分の体を握り締める。その痛みがなければ、間違いなく涙を零していただろう。喉が震えるのを自覚
しながら、ティファニアは口を開く。
「わたしには、そんなことを言ってもらう資格はないんです」
ギーシュはただ「そうか」と呟いたきり、後は何も言わなかった。
小屋の周囲は、既に夕陽の光で赤く色づいていた。
こうして友人を送り出すのは、これでもう三度目になると、ティファニアは思った。
(でも、キュルケさんもタバサさんも、生きて帰ってくる望みはあった)
だが、今回は違う。ここでギーシュを行かせてしまえば、間違いなくこれが今生の別れになる。
だというのに、少なくとも見かけだけは、ギーシュは全くの無頓着だった。
「さて、ではそろそろお暇させてもらうよ。町で待ってくれているであろう我が愛しい妻を、あまり
待たせすぎてはいけないからね」
夕陽の中、向こうを向いているギーシュの背中が、昔と違ってやけに大きく見える。やけに胸が痛
んだ。彼だって、こんなことになりさえしなければ、ただの間抜けでお調子者の少年のまま、気まま
に暮らしていけただろうに。
「本当はね」
不意に、ギーシュが肩越しに少しだけ振り返った。
「君のことも、助けられるなら助けようと思っていたんだ」
寂しげな苦笑が、横顔に浮かぶ。
「だが、思いあがりだったかな。やはり、サイトみたいには出来ないようだ」
ティファニアの胸に、大きな焦燥が生まれた。
(このまま、この人を行かせてしまっていいの? こんなに優しい人を、こんなにも寂しそうな表情
のまま見送るなんて)
「さて、それじゃあ今日はありがとう。どうか、元気で暮らしてくれたまえ」
ギーシュが一歩、二歩と歩き出す。ティファニアは思わず彼を呼び止めていた。
「ギーシュさん!」
「ん?」
夕暮れの光を背に浴びて、彼が怪訝そうに振り返る。何を言うべきか、ティファニアは必死で考え
た。頭に浮かんだのは、モンモランシーの涙だった。
「あなたは、モンモランシーさんのこの後を、彼女自身の選択に委ねると仰いましたけど」
「ああ。それが、何か?」
面食らったようなギーシュの顔を見たとき、ティファニアは自分が何を聞きたかったのか、ようや
く分かった気がした。その想いを、彼に向かって投げかける。
「あなた自身はどう思っているんですか。彼女に生きて欲しいんですか、それとも、自分と一緒に死
んでほしいんですか」
ギーシュは少しの間目を瞬いていたが、やがておかしそうに笑い出した。
「なんだ、そんなことかい」
悪戯っぽく、片目を瞑る。
「そんなもの、生きていてほしいに決まっているじゃないか。彼女を失うことは、この世界にとって
重大すぎる美の損失だよ、君」
昔と変わらぬ、お調子者の表情。「そうですね」と言って、ティファニアもようやく自然に微笑む
ことができた。
そして、二人は大きく手を振りながら別れた。
昔のままのギーシュの顔が夕闇にとけて見えなくなるまで、ティファニアはずっと、手を振り続けていた。
彼女がギーシュを見たのは、やはりこれが最後となった。
一月ほど後、王都にて大規模な反乱計画が事前に阻止され、主だった者たちが捕えられて全員処刑
されたという報が、彼女の耳にも届けられた。
この事件により、王権に対立できるほど有力で、なおかつ反抗的だった貴族はほとんど一掃され、
トリステインは障害なく新たな時代に向かって突き進んでいくことになる。
ギーシュ・ド・グラモンの妻モンモランシーは、その後女王アンリエッタの命に従い、家名や財産
を全て王家に返上した。
その後は市井の一未亡人として三人の子供を育て、様々な苦労を負いながらも立派に天命を全うした。
存命中、彼女は幾度も夫ギーシュ・ド・グラモンに対する不名誉な謗りを受けることとなったが、
一度としてそれに反論することも、同意することもなかったという。
そうしてギーシュの真意は誰にも知られることなく、彼の名誉が回復されるまでにはさらに長い年
月が必要となった。
全てが明かされた後、彼らの墓は子孫たちの手によって旧グラモン家領の片隅に移された。
自由の礎となった英雄の墓は、毎年、多くの人々の献花を受けているそうである。
ギーシュがくれた置物を眺めるたび、ティファニアは痛みと共に思い出す。
今の幸せは、本来あるべき形とは全く違ってしまっているのだと。
だが同時に、それを全力で守ろうとした人たちがいたことも事実だ。
タバサとの約束を果たすことが出来ないまま、時はまた無常に流れていった。
614 :
205:2008/02/13(水) 02:01:12 ID:GBbXR0SX
以上。読んでくださってありがとうございました!
次回のサブタイトルは「アニエス」です。
自分の中でギーシュは「覚醒してないポップ」の位置づけです。
血統は申し分ないし、変に動じないッスからね、彼。
成長すればスゲー男になりそうな感じもするんですが……原作では今後どうなるでしょう。
ではまた次回もよろしくお願いします。
前回も書いたけど・・・アンタはホントにエエ話を描くな・・
毎回泣きそうになる(涙
そのシリーズが終わったら、無理かもしれないけどなんとか救ってやってほしいよ。彼らを。
>>205 GJ! いつも濃い文章に感動してます。
で、ところで、205氏も他の方も食傷してるところに申し訳ないし、
完全に遅出しになってしまったんだが……、アダルト用鯖に手動設置でwiki作ったぞ。
前保管庫のwikiと似た使い勝手まで持っていけるはずだ。エロ用だから規約も問題なし。
http://zerokan.digital-ark.com/ まだ一部文字化けしてたりするけど今日も仕事だし、そこは少し待って……
もう編集は可能になってるので触ってみてくれ。
617 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 03:43:50 ID:lZYhu3dP
>>614 GJ! ギージュ…不器用だけど漢だな
タバサ編とキュルケ編を読み返してみて思ったんだけど考え方が対称ですね
両方ともルイズを大切に思っているのは同じなんだけど
タバサは大切に思うからこそルイズの意志を守ろうとし
キュルケは逆に意志を無視して生存を願ったわけだな
ギージュやモンモランシーは決断できなかったから現状維持に力を尽くした
やはりこの話は切ない
あ、サイトの名前は決まってるのか。勘違いした。ごめん。
622 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 09:24:53 ID:7ymdYvGc
>>616 GJ
ところで、次からのまとめは
>>616の方にした方がいいのか?
現行のほうに上げてっても仕方ないんだし。
>>370や、現行保管庫管理人が用意したのは使わないの?
>>625 規約に抵触しているのが難。
今回みたいに荒らしが出た時、こちら側に負い目があると報告するのに気が引ける。
せっかくだから全部使えばいいんじゃね?
誘導されてもまだやってるやつらは、
職人のことなんかどうでもいいと思ってるのかね。
>>614 。゚(゚´Д`゚)゜。ギーーーーーーーーシュウウウウウウウ
ここはエロパロ板だ
>不幸な友人達
ギーシュが生きるか後を追うかをモンモンに選ばせたのはルイズの事があるから
だろうな・・・。その戒めか。
出来れば生きていて欲しいって事をモンモンにあえて伝えていない可能性もありそうだ。
ギーシュ・・・
ちょっと仕事とか結婚式とかで忙しくて書けてませんでした。
ようやく時間空いたので、大急ぎで短編を書き上げたものを投下させて頂きます。
突貫工事なので粗が目立ちますが…
忘れられてそうですけどね…_| ̄|○|||
夕方の時間、沢山の学生で賑わうトリステイン学院の食堂。
給仕達がせっせと料理を運ぶ中、貴族である魔法使いの生徒達は優雅に歓談しながら食事をしている者が殆どだった。
そんな喧騒の中、私は食堂の端の方に陣取り食事を取っている。
だが、お気に入りのはずのハシバミ草のサラダも今日はあまり美味しく感じられない。
フォークを握り、食事に手はつけているものの一向に口に運ぶ余裕も無く、時折ギュッと両手を握り体を震わせる。
そんな様子を傍から見られれば、体調でも悪いのかと思われても仕方ないのかもしれない。
現に何人かの給仕や、数少ない友人の1人キュルケにも「体調でも悪いの?」と聞かれてしまった。
その度に私は声も出せぬまま、真っ赤になりながら顔をブンブンと左右に振った。
声を掛けた者達が去っていくと同時に私はホッと溜息を吐くが、それを見計らったように来る快感に私は声を上げそうになる。
私は自分にしか聞こえないぐらい小さな声で、最愛の人の名前を何度も囁きながらずっと体を震わせていた。
きっかけは彼に愛されるようになってから暫くした時の事、二人で私のベッドで寝ている時に言われた事だった。
「シャルロットが嫌じゃなかったら、その、シャルロットを…ち、調教して、みたいんだけどさ…」
私は断る理由も無いので、二つ返事で良いよと言った。
それ以来、私は彼のペットになった…。
時には人目を忍びながら、或いは図書館や教室で。シルフィに乗ってる時なんて事もあったし、トリスタニアの街中、裏路地でも一杯された。
そんな事を続けてから既に3週間ぐらいが経過したこの日、彼は騎士隊の任務で丸一日遠出をするとの事だった。
今日はどんな事をされるのだろうなんて、期待半分怖さ半分で彼に尋ねようとした出鼻を挫かれてしまった私は少し不機嫌になる。
そんな私の様子を見た彼は1つの命令をしてきた。
「じゃあ、俺が帰ってくるまで、今から渡すのを付けてるんだ。帰ってくるまで誰にもばれなかったらご褒美をあげる。どうかな?」
以前にも似たような命令があった。
その時のご褒美の快感を私の身体は忠実に覚えていて、耳元で囁かれただけで私のアソコはじわっと愛液を零れさせる。
「する…」
即決したものの、彼が差し出した物を見て、私は早まってしまったかもしれない、などと思ってしまった。
彼が持っていたのは以前私に使った物とは少し違う物だった。前の物は彼のペニスと同じぐらいの擬似ペニスだったが、これは2回りほど細い。
「これ…入れるの…?」
正直なところ、これぐらいの物だったら耐えれると私は高を括っていた。でも、その望みはあっさりと崩されてしまう。
「あぁ、ただし後ろに、な。それに、触れてる相手の魔力を感知して動くらしいから、気持ちよくなれるよ?」
「――っ!?」
そういう事をしたことが無いわけじゃない…。最初は少し抵抗もあったけれど、少しずつ慣らされていき、今では後ろでも感じれるようにはなってきた。
すっかり嗜虐される喜びを知っている私の身体は、ソレを入れられたらどんな風に感じるのかを想像し、昂ぶっていく。
起き抜けにお手洗いに行っていて良かった、なんて少し的外れなことを考えている自分が少し可笑しく感じられる。
「じゃあ、壁に手をついて、お尻をこっちに突き出して、そうそう」
私は彼に言われるまま、彼に向かってお尻を突き出した。もうすぐ容赦なく襲い掛かるであろう快感に期待するように全身がぶるっと震える。
お尻が突き出されたのを確認すると、彼はマントをずらし、スカートをたくし上げていく。
「ひゃっ!んふぅん…」
彼は私のお尻をショーツごといきなり揉んできた。突然の快感に私はお尻を引っ込めてしまう。
「コラ、駄目だろ?お仕置きだな」
ピシャン、とお尻を叩かれた。そんな痛みも私の神経は快感と認識し、昂ぶらせていく。
「あっ!ご、めんなさぁ――あぁぁっ!」
ピシャン、ピシャンと容赦なく彼はお尻を叩いていく。
「やっ、あぁぁっ!そんなにっ、たたかれたらあ!ふあっあっ!やらああっ!」
十数回叩かれながらも、私は何とか最初の姿勢に戻った。
「あぁ…、はぁはぁ…」
「シャルット、お尻叩かれて感じちゃったんだ?」
その言葉を聞いて、私は自分のアソコが一目見れば分かるぐらいに濡れているのに気付いた。
身をよじらせるとグチュリと愛液の溢れる音がする。
「そ、んなこと…な、い…」
私は羞恥で真っ赤になりながらぷいっと顔を背けた。
「ふーん…、じゃあこれは何かな?」
「っ!くああああぁぁぁぁっっ!」
ショーツがきゅっと引っ張り上げられ、私のアソコを容赦なく擦り上げていく。
私は突然の強い刺激に声を抑えるのも忘れ、淫らな嬌声を上げてしまった。
ポタポタと愛液が滴り落ち、床に水溜りを作っていく。
「こんなに濡らしてるんだったら、十分かな?」
そう言って彼は手に持った擬似ペニスを私の愛液を塗りたくるように押し付けながら擦ってきた。
さっきに比べると些細な快感だったけれど、それでもじわりじわりと私の快感を底上げしていく。
「んふうっ…はぁ…あぁぁ…そ、こお、こすっちゃ…」
自分でも驚くぐらいの蕩けきった甘い声が出てしまい、凄く恥ずかしい。
「もう十分かな。入れてあげるから自分で広げて」
「ん…、こう?」
私は言われるまま自分のお尻を掴み、広げていく。にちゃ、と粘液質の音がして彼の眼前に私の秘部が露わになった。
「もうたっぷり濡れてるね。前も後ろも欲しい欲しいってがっついてるみたいにひくひくしてるよ?」
「や…言わないでぇ…」
「じゃあ、入れるから力抜いて」
「ん…はぁ…はぁ…、こう、かな…?」
私は彼の言葉に従順に従うように大きく深呼吸しながらお尻の力を抜いていく。
お尻を叩かれて感じていた私は、力が上手く入らずに震えている足を、何とか身体を壁に押し付け踏ん張らせながら耐えた。
「うん。それじゃあ入れるよ」
「ん…」
彼の言葉に私は頷き、お尻を目一杯広げる。
すぐにクチュリと音がして、私の菊門に固い物が当てられる。
自分でも呆れるぐらい敏感な身体はそんな些細な刺激でも快感を感じ、私を責めたてていく。
「んくううっ、ひあっ、うううううう…」
まるでズブズブと入っていく光景が見えるかのような強い刺激と少しの痛みを伴いながら、私の菊門は擬似ペニスを飲み込んでいく。
酷くゆっくりとした挿入に、私の頭の中まで掻き回されているような快感を感じた。
「シャルロット、全部入ったよ」
「んはぁぁ、はぁはぁ…、私の、お尻…に…はぁんっ!」
私はすっかり蕩けた声で振り向きながら、少しお尻を押さえる。はっきりと感じる異物感と少し動いただけで膣内に響いてくる刺激に身悶えた。
「少し大きいかと思ったんだけど、大丈夫そうだね。ほら」
彼は私のお尻を開くと、菊門から少しだけ頭を出している擬似ペニスをコンコンとノックするように押してきた。
「ふああっ、それぇ、奥まで、ひびくのっ!らめぇぇっ!ひああっ!!」
ノックされる度に私は膣と腸内を掻き回されているような刺激を感じ、何とか踏ん張っていた足の力を抜いてしまう。
でも、それがまずかった。
「――っ!?んふあああああああああああっ!!!」
床にペタンとお尻をついた瞬間、少しだけ出ていた部分が私の身体の重みで一気に奥まで捻じ込まれてしまった。
そんな事になると予想もしていなかった私は、その身体を貫く容赦ない快感に絶頂へと昇った。
身体を支える事も出来なかった私は、そのまま横向きに倒れこむ。
「はーー、はーー…、ん、ふぁ…、はぁはぁ…、んっく…」
全身がビクンビクンと痙攣するように震え、力を入れることさえ出来ない。
このまま意識を手放したいぐらいの強烈な快感だった。でも、彼はそれを許してくれず。
「ほら、起きて」
私を抱き上げるように、彼は私の身体に手を回して起こした。
「はぁ…ん…、ふあ…」
ようやく快感の波が引いてきた私は、彼に抱きつくようにしながらなんとか立ち上がる。
「シャルロット、ショーツがもうベトベトだね」
そう言われてから初めて気付いた。
私のショーツはまるで洗濯したてのように水気を含んでおり、ぎゅっと絞れば愛液がぼとぼと零れるんじゃないかって言うぐらい濡れている。
それに、吸収しきれなくなった愛液が太ももを伝って踝の方まで垂れてしまっていた。
「あ、はぁ…、ねぇ…?履き替えても、いい…?」
「んー…、どうしようかな」
こんな下着を着けて授業とかに出てしまったら一発でバレてしまうのが目に見えているのが分かっていながら、彼はそんな事を言ってくる。
それに、私の恥ずかしがる反応を見て楽しんでるから余計に性質が悪い。
でも、彼の私のアソコを嬲るような視線でまた私は感じてしまう。本当に悪循環だった。
「ま、しょうがないか。こんな愛液でベトベトになったショーツ穿いていったらバレるだろうしね」
その言葉を聞いて私はほっと胸を撫で下ろした。
私がショーツを穿き替えようとクローゼットに向かった時、遠くから鐘の音が聞こえてきた。
「うわ、やっば!行かないと!じゃあシャルロット、夜まで頑張ってね!」
そう言うと彼は私の唇にちゅっとキスをしてから大慌てで出て行った。
彼が出て行くのを見届けてから、私はのろのろとクローゼットから新しいショーツを出して穿き替える。
足を動かすたび、腰を捻らせるたび、容赦なく後ろに入れられた物が私の快感を刺激していく。
今日は、下着何枚替えることになるのかな…。
想像して、私のアソコはきゅんと響いた。
短いですが以上です。
メイドの続きも書かないとなんですが、
引越しの際にHDDが壊れて、途中まで書いてあったものが消えたので
また最初からです・゜・(ノД`)・゜・
もう少々お待ち下さい…_| ̄|○|||
では、生存報告ついでの突発でした。
>>640 挿れるだけでそんなにキテると、もうダメなんじゃないかと思うんだ…
しかしこのシチュそそるなぁ(*´Д`)ハァハァ
GJ!!
いいよいいよ〜待ってるよ〜
ちと暗めですが、ひとつ。
643 :
1/7:2008/02/14(木) 01:05:31 ID:RwhNtM76
ここは…………どこ……だ?
見知らぬ天井、見覚えの無い室内、窓の外には見慣れない風景。
頭が……痛い?
酷く痛むと言うわけではないが、焦燥すら感じるほどの違和感に居てもたっても居られなくなる。
「大丈夫?」
静かな声に驚いてそちらを見ると、綺麗な女性が……
「エルフ!」
慌てて部屋の反対端まで距離を取ると、どこか傷ついた表情で俯いたエルフが黙って部屋を出る。
なんだ?
ここはどこなんだ?
どうして、エルフがここに居るんだ?
…………それより……俺は?
「誰……だ?」
言葉も分かる、今まで過ごしたこの国の名前も、一般常識も欠けてはいない。
が……自分の事も、ほんの5分前まで自分が何をしていたのかも思い出せない。
「なんだ? なんなんだよ? ……エルフか? さっきのエルフなのか?」
自分と関わった記憶は無いはずなのに、エルフという言葉に喚起される恐怖が自分の中に確かに存在した。
自分の中に存在するはずの、自分の過去。
失われるはずの無いそれが、どれだけ記憶を探ろうと見つからない。
何を信じたら良いのか分からない。
悪い夢を見ているような感覚、しかし俺は今間違いなく目覚めている。
気が狂ったのか?
どことも知れぬ場所で、これから先どうやって生きていく?
思わず叫びだしそうな自分を必死に押さえているその時、
「大丈夫ですか?」
何処かで聞いた事の有る声が俺を救う。
「あ……あなたは……じょ、女王へ……」
陛下、そう綴ろうとした俺の唇が、柔らかい指先で封じられる。
「アン、そう呼んで下さいまし、以前……そう言いましたよ? 使い魔さん……いいえ……サイトさん」
……俺の……名……なのか?
644 :
2/7:2008/02/14(木) 01:06:11 ID:RwhNtM76
「記憶は大丈夫ですか?」
優しい瞳がじっと俺を見つめるだけで、無意識のうちに膝が折れその場に跪く。
この人は女王陛下だ、間違いない。
穴だらけの俺の記憶、その中でも消えてなかった一般常識が、
この方の素性を俺に知らせる。
「……大丈夫なのですか?」
恐れ多くて声が出ない。
緊張で喋れない俺の頬に、軽く冷たい感触が触れる。
「じょ、女王陛下っ」
俺の頬に触れるのは、緊張に震える陛下の両手。
逃れようとする俺の頭が優しく抱きしめられ、何も考えられなくなった。
「良いのですよ、もう何も考えなくても良いのです。
帰れなくなってしまったのですもの、昔の事など忘れたい。
そう仰ったのは貴方自身です」
頭の奥が痺れるような、甘い衝動に身を任せたまま、
陛下の言葉を繰り返す。
「帰……る?」
「あぁ……忘れてしまったのですね。少し……長くなりますけれど、
わたくしが教えて差し上げますわ」
それは、とても信じられない話。
俺は異世界から無理矢理連れてこられたのだと、苦難の末に見つけた帰る方法は、
自らの主の手によって破壊され、最早俺はこの世界で暮らすしかなくなった。
悲嘆にくれる俺は、記憶を消すことの出来るメイジに、全ての過去を消し去るように頼んだと言う。
「あの……ど、どうして陛下……が?」
「貴方は、わたくしの英雄ですもの、
覚えていませんか? アルビオンかの地にて、貴方は7万の大軍を退けました。
思い出してください、貴方は彼女の為に…………それなのに……」
アルビオンの退却戦……聞いた事が……有る……あれは……俺が?
「ええ、貴方は英雄なのです。この国において、わたくしですら敬意を払う。
他に代えようも無い貴人です」
いつの間にか跪いた俺と陛下の視線が同じ位置に有った。
陛下が俺を抱きしめてくれる。
……俺は……英雄なんだ。
空っぽだった俺の中に、ゆっくりと自信が満ちていった。
645 :
3/7:2008/02/14(木) 01:06:33 ID:RwhNtM76
生きていくことすら困難に思えていたのに、『アン』の助力があるのなら。
ようやく一息吐き、周りを見回す。
……窓の外の景色を見慣れないのは当然で、ここは……
「王城?」
「ええ、そうですわ」
優雅な身のこなしで、音もなく立ち上がった『アン』がそっと俺を引き起こす。
恐る恐る立ち上がった俺は、『アン』と微笑を交わした。
「貴方にプレゼントが有るのです」
「プレゼント?」
王族から送られるもの……
想像もつかなかった。
「とーっても素敵なモノですわ」
『アン』が俺の手を引いて、人気の無い廊下を進む。
夕日に照らされた廊下を、二人きりで歩く。
「貴方を裏切ったモノを、用意しましたわ」
「うら……ぎり?」
「貴方の帰り道を奪った女です」
……俺の過去を捨てさせた原因。
「貴方のお好きになさってくださいましね」
『アン』が開いた扉の向こうには一つのベットが有って……
――髪の長い女が、拘束されていた。
「これが『ルイズ』です」
ルイズには聞こえない大きさで囁かれた声に押されるように部屋に滑り込んだ俺の脳裏には、
『貴方のお好きになさってくださいましね』
その言葉だけが響いていた。
646 :
4/7:2008/02/14(木) 01:07:08 ID:RwhNtM76
豪華なベットの上に目隠しの上からでも自分の好みだと分かる女が、黒い革紐で拘束されていた。
両手両足から一本づつそれぞれベットの四隅に伸びていて、大の字に寝かされたルイズ。
『貴方のお好きになさってくださいましね』
コレ……を……好き……に?
後ろを振り返ると、アンはもう居ない。
しかも扉もしっかりと閉じていた。
つまり、人目を気にする事も無い。
ふらふらとルイズに近寄る。
王城に相応しい、高価な絨毯が俺の足音を完璧に消し去っていた。
目隠しまでされたルイズは、俺がこんな側に居ても気付かない。
「お前が……悪いんだ」
だって、陛下がそう言ったから。
王の言葉に間違い等ある筈も無いのだから。
これからの自分の行動を正当化する言葉に、ベットの上のルイズは暴れだす。
「んっーーーー、んっんんんんっ」
……往生際の悪い女。
薄い高価そうな寝巻きを……
「ちっ……」
両手が拘束されていたら脱がせることが出来ない。
何か無いか? 周りを見回す俺の目に、サイドテーブルに乗せられた鋏が写る。
流石陛下、周到な事だ。
「これで……、楽しめそうだな」
「んっ……んんんっ! んんんっ」
ジタバタと暴れるルイズをよそに、薄い胸元から鋏を入れる。
ジャキジャキと響く音に、ルイズは身体を硬直させる。
「暴れたらどこが切れるか分からないな」
聞こえる様にそう呟いてから、冷たい鋏を直接身体に押し付ける。
「ひっ……」
たっぷりと時間かかけて、抵抗する気力を根こそぎ奪う。
楽しい。
記憶は無いと言うのに、どうすれば相手の心を砕けるのかを、
俺は十分に知っているらしい。
乳首を摘むように挟んで動きを殺したまま、空いている手を下着の中に滑り込ませる。
言葉で嬲りながら、温度と感触を楽しむうちに、我慢が……
「あぁ、そうか……我慢なんかしなくて良いんだっけ」
俺は好きにして良いんだ、何しろ俺は王すら敬意を払う英雄。
647 :
5/7:2008/02/14(木) 01:07:31 ID:RwhNtM76
――夜も更けてから学院に戻ると、ルイズさんとサイトがずっと待ってくれていた。
「おかえりなさい」
「おかえり、テファ」
二人のお出迎えがとっても嬉しい。
「ただいま、サイト、ルイズさん」
ルイズさんが目を細めながら、『サイトが先?』って言ってる……
次は気をつけよう。
「姫さま、何の用事だったんだ? テファ」
「うん、あのねサイト……」
この国の女王は、とても優しい人だと分かって、凄く嬉しかった。
わたしの魔法に、こんな使い方があるなんて、思いもしなかった。
「あのね、聞いてサイト、凄いの、わたしの魔法が自分の身を守る以外ではじめて役に立ったの」
陛下に引き合わされたのは、重犯罪者だっていう男の人だった。
『彼の罪を許すことは出来ませんが、やり直す機会を与えてあげたいのです』
そういって、その人の過去を全て消して欲しいと頼まれた。
悪い事をした人でも、過去のしがらみを切って、遠くで真面目に働かせてあげたいと。
どんな人でも、これからはやり直す機会を与えてあげられると、
『貴方のお陰ですね、ティファニア』
そう言ってくれた。
「この国の人たちはみんな幸せね」
そう言ったわたしの言葉に、サイトもルイズさんも、自分の事のように喜んで……
「姫様はいい人だよ」
「自慢の幼馴染ですもの」
優しい人ばかりのこの国が、わたしはまた一つ好きになった。
648 :
6/7:2008/02/14(木) 01:08:08 ID:RwhNtM76
『ルイズ』を十分に味わった俺は、ようやく少し落ち着いて部屋を見回す。
質素な部屋だった。
部屋に使われている素材は高価なのに、調度品が少ないのが妙だ。
『貴方のお好きになさってくださいましね』
そのあとどうすれば良いのか、陛下に聞くのを忘れていた。
まぁ……いいか。
なにしろ俺は英雄らしい、好きにさせても……
「貴様っ、何をしているっ!」
見慣れない服を着た女が、問答無用で切りかかってくる。
はっ、笑わせてくれる、7万の大軍と互する俺が……
容易く避けて見せたはずなのに、突き抜けるような衝撃に身動きが取れなくなる。
「誰かっ、誰か集まれっ、陛下の部屋に曲者だ!」
ちょっ、待てっ、俺は……俺はっ……
「お、俺は英雄だっ、サイトさまだっ、お前らっ、軽々しく俺にっ!!」
「嘘を吐けっ、サイトはもっと若い! この国の恩人を語るとはなんと不貞なっ!」
は?
アニエス隊長と呼ばれる女の言葉に、俺の思考は完全にストップする。
次々に集まってくる女達、どうやら彼女達は近衛らしい。
……俺が……サイトじゃ……な……い?
じゃあ、俺は誰なんだ?
不安で世界が壊れそうになる中、最後の希望が部屋に現れた。
――アンだ。
「何が有ったのですか? アニエス」
「申し訳有りません、陛下。陛下の部屋でこの者がメイドを……」
メ……イド?
部屋をゆっくりと見回したアンが、真っ直ぐに……
ベット……へ? あれ? ちょっと? ちょっと待ってくれ、俺は? 俺の所に来ないのかよ?
「かわいそうに……大丈夫?」
「へ、陛下……わ、わたし……わたし……」
ドレスが汚れるのにも構わず、優しく優しく傷ついた女を慰める陛下。
……ちょっとまてよ……まってくれよ、なんだよ? なんだよそれは?
「お前はこっちだ」
冷たい声で宣告され、ずるずると部屋から引きずり出される。
「へ、陛下……お洋服が……お洋服が……も、申し訳有りません」
「いいのです、わたくしの服も、わたくしも、貴方達国民の為に有るのですから」
遠くで話し声が聞こえる。
…………それで……俺は、いったい誰だったんだ?
649 :
7/7:2008/02/14(木) 01:08:42 ID:RwhNtM76
「奴は貴族の政治犯でした」
あの男は、幾つもの条件に適合する者のリストの中から、アニエスが自ら選んだ男。
「独房の中に居たはずなのですが、何者かの手引きで脱獄していたようです」
誰にも気付かれぬよう、証拠の一つも残さぬよう、慎重に連れ出したのはアニエス。
欲望が加速するようにと、記憶を奪う前に一服盛ったのも。
「彼の家の方はどうしましたか?」
「事の次第を説明の上、厳重な注意と……この件の『けじめ』について連絡しておきました」
全ては陛下の指示のまま。
「問題はそれだけでは有りませんよ、アニエス」
「はっ、場所が陛下の部屋である事から、今回の凶行の目標は陛下で有った可能性が高いと思われます」
既に貴族派の一部が、アニエス達に責任を取らせようと暗躍を始めていた。
「警備を……見直さねばなりませんね」
「その通りです陛下……例えば……」
「「信頼できる第三者によって、内部から問題点を指摘してもらう」」
貴族や近衛の息が掛かっていない者。
反対派の意見を封殺できるだけの、『名誉』を持つ者。
――女王が絶対的に信用できるもの。
つまり……
「「アルビオンの英雄」」
全ては彼を側に置くための……
無言で下がるアニエスを眺めながら、アンリエッタは強く自分を抱きしめる。
『早く……早くいらして下さいまし……』
王としての職務に、自らの心が砕き散らされる前の最後の希望。
――ひとりは、さみしいの、はやく、あいに、きて。
凍える季節ではないというのに、アンリエッタの身体は自然に震えだす。
貴方に会いたい。
はらはらと涙を零しながら、何時までもそこに立ち尽くした王は求めるものの到着を狂おしく待った。
全ての事は計画通りに流れ、哀れな犬が罠に落ちるまで、あとほんの数日。
王は望みのものを一撃で手に入れるための牙を、ただ砥ぎ続ける。
その肉を喰らい尽くす日を夢見て。
13巻出る前に書いていたのに、どうして今までHDDに眠っていたのでしょう>続き書くつもりだったから。
どーしよーもなくなさそうだから、やっぱやめで。
誰も不幸にならないお話がいいですねー。
ほら上のも、メインキャラ誰も酷い目に会ってないし。ではまた、近いうちに。
じゃあもってくんなよ
覗き見まだいんのかよ
とっとと出てけぼけ
>>650 乙
653 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/14(木) 02:56:18 ID:+o5Hr2DJ
乙〜
黒アン怖ぇ
お前ら今日何の日か覚えてる?
なんかあった気がするんだけど・・・
血のバレンタイン追悼慰霊祭
黒アン様は良いですねぇ
それはさておきバレンタインデーでアン様はどうするんだろ?
しっと団を結成するマリコヌルと課w
タバサならチョコ浣腸だろうが、アン様はどうかなぁ。
全身にチョコレート、とかなら、普通すぎて面白味が……。
夢の中でリング上にルイズが立ってて、ルイズに話しかけたら、チョコ上げるからしゃがんでって言われてしゃがんだら
ルイズにシャイニングウィザードをやられて、その後ロープの方に寄せられて、619をやられてダウンしたところにチョコ投げられた
これは本命チョコ?
>>601 >>じゃあ四体目は人(獣以外?)を操る? とかなんとか
人だったら、器物のデルフがあそこまで危惧するかな?
操るものはおのが肉体、一度発現すれば周囲の敵をむさぼりつつ、おぞましく巨大な姿に変貌していく、とか
それなんて不死のスタンド
大人は黙ってスルーする。
>650
久しぶりのヤンデレアン様分補給させて戴きました。
>>659 街で適当に若い女を拉致してチョコをぶっかけて才人に貢ぐ乱交パーティーとか・・
あれ?そんなビッチじゃないよね?アン様(^ω^ ;)
チョコを秘所に差し込み、「お受け取り下さいまし」とか言って自分ごと差し出す。
>>664 それはビッチじゃなくて鬼畜だろう
むしろ黒アン様がルイズ、シエスタ、アホ竜あたりをけしかけて何かするんでしょうよwww
だがアホ竜はそこで斜め上を行く行動をすうと予想
>659
>タバサならチョコ浣腸だろうが、アン様はどうかなぁ。
>全身にチョコレート、とかなら、普通すぎて面白味が……。
全然普通じゃねーよw
その発想は、このスレに毒されすぎだw
>>668 タバサチョコをサイトに食べてもらうSS希望・・・しません><
ルイズの胸にチョコ塗って、これが本当の板チョコっていうネt(ry
ルイズの体型についての議論があるたびに、カップサイズの問題を生み出す『体脂肪率』が非常に気になる。
それを言うなら、サイトに塗ってチョコバn(r
チョコ風呂ってのもあったな確かソー○で
>>672 それいいな。
サイトの全身にくまなくチョコレートを塗りたくり、その後女たちが一斉に
舐めまくって(ry
>>674 フニッシュのホワイトチョコレートを誰が一番先に食べるかでひと悶着
黒アン様が策を弄してゲットしそうになるが斜め上のアホ竜に掻っ攫われて涙目な展開が・・・
だめだ、俺、毒されすぎてる・・・・
>>676 調べたのかwww
ハルケギニアに雀卓が流れてきて、それを拾ったサイトがみんなに麻雀を教えて脱衣麻雀をするっていうのを
麻雀やってたら電波受信した
麻雀である必要あるのかそれw
野球拳でいいんじゃ…
でも、ハルケギニアの服だと枚数少なさそうだから早く決着着きそうな気がしないでもない
テファなんか上と下着の2枚だけ…
麻雀じゃなくていいなwww
ただ麻雀やってたら、ルイズだったらなかなか上がれなくて「な、なんで上がれないのよ」とか言うんだろうなって想像してたwww
イザベラと野球拳やってドレス脱がしたいかもwww
「やっぱり私は天才ね、それロンよ」
「おいルイズ、それフリテンだぞ」
それでルイズは
「フッ…フルチンですってぇぇぇ??!!!」とか勘違いして叫んでしまうわけだ
滑り込みセーフでバレンタインSSを投下させて頂きます。
家に帰ってきてから短時間で書いたので短いですが…
それは丁度2月になったばかりの頃だった。
私は図書館である本を探し回って色んな本棚を行ったり来たりしていた。
探し始めてからもうかれこれ3時間は経過しているが、一向に目的の本は見つからない。
そういう事に興味を持つ以前、というよりは彼とそういう仲になる以前に見つけて、その時はどうでも良いと捨て置いてしまったのが今になって悔やまれる。
「うー…、見つからない…」
誰かが既に持ち出してしまったのだろうか?もしそうだったら絶望的。
私は半ば諦めながら本棚に寄りかかる。その拍子に本棚がぐらりと揺れ、上から数冊の本が落ちてきた。
「いっ!ったぁぁ…」
そのうちの一冊が私の頭に直撃して私は頭を押さえながら少し悶絶してしまった。
片付けなきゃと思い、落ちてきた本に手を伸ばすが、取ろうとした本のタイトルを見て私は飛び上がりそうなほど嬉しくなった。
「あった…!」
これをちゃんと読めば、彼をきっと喜ばせれるはず。
私はその本を大事に抱えながら図書館をいそいそと出て行った。
「決戦は2週間後…」
彼から聞いた、女の子が意中の人に愛を囁く日。
そう、確か彼はバレンタインデーと呼んでいたはずだ。
準備は抜かりないように、彼と最高のバレンタインデーになるように、私の計画は始まった。
2月14日当日。空は晴れ渡り、とても気持ちの良い朝だった。
前日無事に約束を取り付け興奮しっぱなしだった私は、なかなか寝付けなかったものの、何とか空が明らむ前には寝れていたと思う。
ベッドから出てカーテンと窓を開けると、以前見かけた時と同じように彼は素振りをしていた。
彼も興奮して早く起きてしまったのだろうか?もしそうだとしたら私は嬉しい。
私は手早く何時もの服に着替え、杖とタオル持ち、前々から念入りに準備をしていた荷物をバスケットに積めて窓から飛び出した。
少し驚かせてみよう。そう企んだ私はすぐさま呪文を小声で唱える。
「レビテーション」
私の身体が重力に逆らうようにふわりと軽くなる。そのままふわふわと彼の元へ降りていった。
「サイト」
「ん?おわっ!?」
彼はふわふわと降りてくる私を見つけると素っ頓狂な声を上げた。
どうやら成功したようだ。
「いきなり上から降りてくるなよ…。それに…、パンツ見えてたぞ?」
彼の言葉に驚き、私は地面に着地しているにも拘らずスカートを抑えてしまった。
見られてたなんて…、ちょっと失敗…。
「サイト、約束覚えてる?」
「あー、あぁ…、覚えてるよ」
「じゃあ、今から出かける?」
彼は顎に手を置きながら、うーん、と悩んでいる。約束はしていたけれど、こんな早い時間からでは迷惑だっただろうか?
でも、出来れば彼と一分一秒でも長く一緒に居たい。
「…駄目?朝は何か予定ある…?」
「いや、ないよ。うーん…、分かった。行こうか」
そう言って彼は笑いながら私の頭を撫でてくれた。
きゅんと胸が震え、嬉しさと恥ずかしさ、色んな感情が溢れてくる。
私はやっぱり彼のことが本当に好きなんだと改めて実感しているような気持ちだった。
「それにしてもシャルロット、凄い荷物だな。中は何が入ってるんだ?」
彼は私が持っているバスケットが気になるのか覗き込もうとするが、私は背中にさっと隠す。
これを見られてしまっては今日の計画が頓挫してしまう。
「ん…、着くまで秘密」
「気になるなぁ…。それじゃあ、着くまで楽しみにするかね」
「じゃあ、シルフィ呼ぶね」
私は空に向かって口笛を吹いた。
すぐに聞き慣れた羽音を響かせながらシルフィードが降りてくる。
彼女にも今日の計画のことは話をしている。詳細を聞かせると、「お姉さまもやっぱり恋する乙女なのねー」なんて言いながら快く承諾してくれた。
「きゅいー。お姉さま、サイト、おはようなのー」
「あぁ、おはよう。朝からごめんな?」
「気にすることはないのねー。今度美味しいもの食べさせてくれればそれでいいのねー」
「大丈夫。ちゃんと用意する」
私とサイトはシルフィの背中に乗り込んだ。
シルフィはそれを確認するとすぐに上昇を始める。
「何時もの場所へ」
「はいなのねー」
以前に使ってから、サイトとの逢瀬の時には頻繁に利用する例の泉の場所まで向かってもらう。
私は何時も通り彼の膝の上に乗り、彼にもたれるようにして座った。
彼も慣れたもので、私が座ると胸の下に両手を回して抱き締める様に私を包んでくれる。この時が私の一番幸せな時。
素振りをしていたせいなのだろうか?少し彼の匂いが強いように感じる。
「ねぇ、サイト」
「ん?」
私が頭を上に向け、彼を見上げると、にっこりと微笑みながら私を見つめてくる。
「サイトの匂いがする…」
私は鼻先を彼の胸に擦り付ける様にしながら、胸一杯に彼の匂いを吸い込む。
「素振りしてたから、汗臭いだろ?」
「ううん…、そんな事ない。私は貴方の匂いが好き。こうして抱かれながら貴方の匂いを感じる事が出来て私は幸せ」
「はは、嬉しいやら恥ずかしいやら」
彼は困ったような笑顔で私の頭をまた撫でてくれる。照れくさいのか少し乱暴に、だけど優しさが伝わるような感触に私は目を細める。
「サイト…、私…、んっ!?…ちゅっ、ん、ふぁ…、んん…」
いきなりのキスに驚いたけれど、すぐに彼とのキスに没頭する。
彼は丹念に私の歯や歯茎まで嘗め回し、舌に吸い付いてくる。
私もそれに応えるように舌を絡ませていく。
「んふ…、ちゅ、んっ、んれろ、んちゅっ、ぢゅるる、んふあっ…、ちゅぅっ、ちゅるっ、んっ、ちゅっ…。」
そのまま彼とのキスは泉に着くまで続いた。
「じゃあ、ごゆっくりなのねー。サイトー、お姉さまの事よろしくなのねー」
「あぁ、分かってるよ」
2人が何かを話しているようだけど、私は長い時間のディープキスに頭の中まで掻き回されたようにとろとろになっていて、何を話しているのかあまり聞こえなかった。
「シャルロット、大丈夫か?」
地面にへたり込んでぼんやりとした表情をしながら荒い息をついている私を心配したのか、彼は私の傍まで来て覗き込んでくる。
「う、うん…、らい、じょうぶ…」
呂律が回っていないけれど、なんとか答えられた。
立ち上がろうと思ったが、足が震えて力が入らず、それも叶わなかった。
「サイト、そのバスケット取って…」
「ああ」
彼はバスケットを取ってくると私の前に置いてくれた。
「ちょっと、準備が、あるから、はぁはぁ…。サイト、こっち見ないで…」
「ん、分かったよ」
彼が少し離れ、私に背を向けるのを確認してから、私は着ている服を脱ぎ始める。
全裸になってからバスケットの中を開け、持ってきた物を取り出した。
彼の居た世界ではチョコレートという物を用意するらしいけれど、それがどんな物か私には分からなかった。
彼が言うには甘いお菓子という事なので、代用としてジャムを用意した。
それともう1つ、3メイルほどある真っ白なリボンを自分に巻きつけていく。
本に書いてあった事、私の身体をプレゼントとして用意し、彼にジャムを塗ってもらってそれを味わってもらう。
欲を言えばクリームとかを用意したかったけれど、そうもいかなかったので何種類かのジャムを用意した。
これならば、色んな味の私を味わってもらえる…。
何度か転びそうになりながらも何とか私は自分の身体にリボンを巻いた。
乳首とアソコにリボン当たって擦れるたびに声を上げそうになるが、声を上げてしまうと彼は確実にこっちを振り向くだろうと思い、必死に我慢する。
「ん…、っくぁ…、ひぅ…」
快感に負けないように、歯を食いしばりながらリボンを結んだ。
乳首は完全にぷっくりと硬くなって、溢れた愛液がリボンに染みを作っていく。
「サ、イト…、こっち向いていいよ…」
「ん、何やってたんだ?シャルロットおおおおーー!?」
彼が中庭で上げたような声と同じぐらいかそれ以上の声で驚いている。
「今日、バレンタインだけど、チョコレートって分からなかったから…。代わりに、このジャムで私をたくさん味わって…?」
何度も練習した台詞、何とか言えた…。
「シ、シャルロット…」
彼はぷるぷる震えながら私を見つめてくる。
もしかして、私は何か間違ってしまったのだろうか…?そんな不安が頭をよぎった。
「最高に嬉しいバレンタインのプレゼントだよ!!」
良かった。失敗じゃなかった…。
その後私は持ってきたジャムが無くなるまで彼に味わい尽くされた。
サイト、貴方を愛しています。
以上です。
流石に短時間だったのでエロ無し&短いです…
バレンタインという事で甘い話にしてみました
時間あれば加筆修正してエロ入れたい…
でも、時間がない_| ̄|○|||
というか、小説書いてるのがバレt(略
一番槍でGJ!です。
甘い!甘すぎる!!
まさに直球ド真ん中!gjです
GJです
タバサが麻雀やったら、四連刻やスーカンツとか九連宝燈などの役満狙いそう
役満狙うのはルイズかキュルケだと思われ。
むしろタバサは細かく上がってくるタイプだと思う。
リーチとかも異様にタイムリー……
その上で、狙えるときにはあっさり持ってくような
あぁ確かにその通りな気がするw
タバサは七対子が似合いそう
何かルイズは、国士無双狙ってサイトに「あんた、イーワン切りなさいよ」って言って、サイトが「お前わかりすぎとか言って」ルイズが切れそうw
つ 外伝2
本編の戦闘シーンでもその片鱗はうかがえるけどね
「きゅいきゅい。お姉さま、そんなあと一枚しか無い牌で待っててもきっと無駄なのねー」
「きゅいきゅい。お姉さま、緑ばっかりで眼に優しい役なのねー」
「きゅいきゅい。お姉さま、その役はサイトにぴったりなのねー。二人といない英雄なのね」
「(……コロス。今日こそはこのアホ竜、絶対コロス)」
>>688 考えちゃだめだ!!
書くんだ。書くしかない!!!
きゅいきゅいが引きだけで異常に強い、ってのどうよ? w
そーいやあの世界ってトランプもないんだな。
それに類するものはあるんだろうけど。
あの世界は魔法使うとインチキし放題なのが問題だよなぁ。
ティファニアは「リューイーソー」か「テンホー・チーホー・レンホー」が似合う気がするw
キュルケは赤いから九連宝燈かなw
某風呂覗きの時みたいに不正が許されない場所には
魔法探知の類が常識的に張られてるんじゃないかな
ルイズ「ロン!安い役だけど私のあがりよ」
サイト「・・・・?ルイズお前鳴いてるだろ」
ルイズ「それがどうしたのよ?」
タバサ「私たちはいつもクイタン無しでやってる・・・・・」
シエスタ「ミス・ヴァリエール、私たちとやるの今回が初めてだから・・」
ルイズ「(´・ω・`)」
喰いタン無しか
ワルドはイーハン役しか狙わなそうな感じがする
ちょ・・・なにこの「麻雀少女☆シャルロット」スレはw
>>679-680 野球拳よりもハルケギニアの世界観を考えると王様ゲームのが良い気がするw
アン様が参加すると女王様ゲームかw
最近SSが投下されてもあんまり感想つかない内にすぐ雑談にそれるな。
みんな飽きてきたのか?
各人が思うままに感想を書き綴ったらスレ足りねーよ
>>705 哭きの韻竜、ってツッコミ待ちだったのに w
「きゅいきゅぃ、おねーさま背中が煤けてるのねー」
すまん、いまは反省している orz
スレが足りないぐらい感想で溢れた方が、職人にとってはありがたいだろうけどな。むしろ天国だろ。
以前どっかで「投下直後の雑談は荒らしと以上に腹立たしい」とか書いてた人もいたし。
だからって雑談禁止ってのも息苦しいから、まあ空気読んでやるしかないよね。
そもそも、面白くもないもんにお義理でGJとか書く方が失礼だろ…
>710
その言い方だと作品がつまらないから雑談しているように感じちゃうだろ。
実際、SSの後2~3スレのGJでスレが止まってる時ってすげー投下しづらいんだぜ?
あと、雑談してると205さんあたりが即興で作品投下してくれたりするし。
いえ、催促ではアリマセンヨ??
とある場所に集まった、ルイズ、シエスタ、タバサ、アンリエッタ、ティファニア、エレオノール、カトレア、イザベラ達が
麻雀で一位になったらサイトを貰えるって事を知って麻雀勝負をするっていう電波受信したw
サイトはツモが多そう
>>712 ヒロインたちが死闘を繰り広げている間、サイトはシルフィに麻雀を教え込んでるわけだ。
お約束どおり、シルフィが最強に。
>>712 その面子じゃサイトが乾涸びてしまうwww
サイトが自分の貞操に危機感を抱き、某首相に弟子入りw
サイトのライジングサンが見てみたいwww
>>713 シルフィの存在忘れてたwww
>>714 国士無双十三面かwwwガンダールヴの力使えば出来るかな?
何か脱衣麻雀しなくても、脱いでって言ったらみんな脱ぎそうだよなwww
いや、むしろサイトは普段弱いけど女性陣相手に脱衣麻雀限定で最強になるんだろう。
タバサ辺りでも気付けないほどの裏技使いこなして点棒全部かっさらい、そしてお仕置きターイム。
・・・そして自分の肉棒と点棒を同時に使って全部の穴を纏めて責めるわけだ。
>>716 さすが種馬wwwありえそうだなw
タバサがあまりに強すぎて他の人が勝てないから、サイトがタバサを愛撫しながら麻雀させるとか
シエスタ「サイトさん、い〜い牌があるんですよぉ」
思いついた小ネタ
サイト「タバサのイーピン可愛いよな」ペロペロ
タバサ「ん・・そんなに舐めちゃ駄目///」
サイト「パーソーもこんなに濡らしちゃって」クチュクチュ
タバサ「もう駄目、サイトお願いそのパーピンで私のパーソーを突いて」
サイト「わかったよほら」タバサ「イクーー」
反省?何それ美味しいの?
俺も振られたネタに乗ったがお前ら悪乗りしすぎだろw
やっぱり、このスレはこうでないとな
良い意味でも悪い意味でも、どこまでも走り続けて徃く。
さすが変態紳士たちだぜ。
カトレアさんは強そう。あらあらうふふで大役揃えてサイトを搾り取りそうだ。
そして麻雀のルールが分からない俺涙目。
725 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/15(金) 19:00:58 ID:M2jAzkOc
>>724 想像出来るwww気付いたら役満出してそうだw
簡単に言えば、シュンツやコウツやトイツにすればいいんだよ
すまん、上げちゃったm(_ _)m
>>724 イ`
ルールわかんなくてもこのスレのことはよくわかってるじゃないか www
サイトが風邪をひいたとする訳だ。
たまたまルイズは出掛けていて、いない訳だ。
誰かにうつしたくないという理由で部屋に篭り、病状が悪化する訳だ。
風邪でふらつきながらも水を飲みに廊下に出る訳だ。
案の定倒れて、衝撃で口の中を切りパッと見血を吐いて倒れるサイトが出来上がる訳だ。
そこに【】が通りかかり、サイトを発見する……するとどうだ!
サイト赤玉出ちゃうだろ…。
>>729 ガンダールヴ補正で赤球がでる前に女性陣が撃沈されます
そうか、股間の波動砲も「武器」なのかww
サイト「俺の肉体はこれすべて武器!」
こうですか、わかりません!
サイトを景品にして麻雀大会開催。
鬼麻雀打ちのカトレアと、なぜかルイズが同点優勝。
むろんカトレアが一枚かんでいるのは言うまでも無い。わざと妹に有利な牌を流したりとか。
そんなわけで3Pに突入、妹の初体験を優しくサポートするのであった、
という展開は思いつくんだがなぁ。
734 :
バレット:2008/02/15(金) 23:47:44 ID:5T8dklA4
うん、そうなんだ。
実は麻雀ネタ話見てる内に何時の間にか番外編完成しちゃってたから投下させて欲しい。
735 :
バレット:2008/02/15(金) 23:49:12 ID:5T8dklA4
それはある日の事。
トリステイン魔法学院の男子量の1室に伝書鳩ならぬ小包ぶら下げた伝書梟が届いた。
包み紙に描かれているのはガリア王家の紋章。
大半の貴族の子女子息ならそれを見た瞬間に印籠見せ付けられた端役の如く平伏しかねないのだが、
しかし青年―――サイト・シュヴァリエ・ド・ヒラガはそれを見て無造作に包み紙を引っぺがすと中身を広げた。
同封してあった手紙の主はサイトのご主人様兼年の離れた悪友兼義父(予定)のジョゼフ王からである。
手紙の内容は要約してみると―――『これ、『東方』から来た物らしいけどどんな風に使うのか分からないから分かるなら教えてくれ』
中身を見た瞬間、サイトはがっくりと崩れ落ちた。
「こんな物までこの世界に飛ばされてんのかよ・・・」
中型の箱に詰まっていたのは4組の文字や記号が描かれた――いや彫りこまれた長方形の物体と細い棒のセット。
まごう事なき、大人の旅のお供の携帯麻雀セットである。
かつてパソコンのゲームやオンライン麻雀をやってきたのでルールややり方は知っているが、実物を見るにはサイトは初めてだったり。
「居るかいサイトー?・・・なんだいそりゃ?」
「これか?俺の居た世界のテーブルゲームで麻雀っていう奴だよ」
「まーじゃん?変な名前だね」
イザベラの呟きになんだか時空を超えたデジャヴを感じたが、それはこの先の展開にまったく関係ないから置いといて。
「サイト、アンタこれのやり方分かるのかい?」
「ああ、一通り知ってるけど?」
「それじゃあ私にも教えな。なんだか面白そうじゃないの」
「分かった。じゃあとりあえず2人麻雀でやってみるか――――」
半分うろ覚えと化した知識を辿る。
その時、ふとある考えが脳裏をよぎった。
・・・そういえば、わが故郷限定の有名なやり方がありましたなぁ。
これがまだ見ず知らずだったりする女の子ならともかく、目の前に居るのは既に行っちゃうとこまで行っちゃってる関係の少女。
ニヤリ、とサイトは獰猛な笑みをイザベラに見せないようにしつつ浮かべた。
それはまさしく哀れな獲物を前にした、凶暴な捕食者の顔――――!!
ルールや牌の組み合わせによる役を説明しつつ、試しに模擬戦を開始。
結果は都合のいいビギナーズラックなど起こらず、麻雀牌に障るのが初めてでもある程度ゲームなどで経験のあるサイトがあっさり上がった。
「ふん、勝負はまだこれからだよ!」
勢い込んでまた牌をかき混ぜようとしたイザベラだが、そこにサイトがちょっと待ったコール。
「ああイザベラ悪い、ひとつとっても重要な事を言い忘れてた」
「ハア?バカだねえ、一体何さ」
サイトは――表向き--バツの悪そうな顔をしてから、イザベラの着ている学生服を示す。
「・・・ロンやツモった場合、その牌を出した人は服を脱がなきゃならないんだ」
「なっ――――――!!!?」
イザベラ、瞬間沸騰。
「つーわけでほら、1枚脱いだ脱いだ」
「そ、そそそそ、そんなのできるわけ無いだろ!?何言ってんだいこの―――」
「しゃーねーだろ、れっきとしたルールなんだから。大体、やろうって言い始めたのはイザベラだろ?自分の言った事に責任持てよな」
「うううううううううう〜〜〜〜〜〜・・・」
唇を軽くかみ締めつつ頬を染めて上目遣いに睨んでくる姿にすぐにでも飛び掛りたいのを我慢しつつ、表面上つれなさを装って急かす。
躊躇いながらまず、イザベラはマントを外した。
「まだ途中だからな。半荘終わるまで終わらないぞ」
その言葉はイザベラにとって、まるで死刑宣告のように耳に響いた。
・・・・・・30分後。
見事に全裸の美少女の一丁上がり。
「あっはっは。見事なぐらいに負けてくれたなイザベラ」
「笑ってないでさっさと服を返しな!よ、よよよくもガリアの王女の私にこんな真似・・・」
「関係ねーよ。俺にとっちゃイザベラはただの大切な女の子なんだし、負けは負け、だろ?」
なすすべも無くイザベラ撃沈。
チャームポイントの広いおでこまで真っ赤にしながら、もじもじと何とか裸体を腕で自分の体を抱えるようにして隠そうと身をよじる。
しかし、本番はこれからである。
「さて、半荘と持たずにイザベラは点棒ももう無くなっちゃったし、脱ぐ物ももう何も無い訳だけど、半荘分持たずに終わった人には罰ゲームがあるんだよな」
手の中で点棒を玩びながら意地の悪い笑みを浮かべる。
対してイザベラは薄ら寒いものを感じて部屋から逃げ出したくなったが、しかし下着一枚すら身に纏っていない今この姿で飛び出せば・・・考えたくも無い。
一国の跡継ぎの王女が男子寮でストリーキングなんてスキャンダルは御免こうむる。
そんな想像をして思わず頭を振ったその隙に、
「で、その罰ゲームなんだけど」
何時の間にかすぐ隣へ接近していたサイトに軽々抱きかかえられると、ベッドの上に乗せられた。
そのままうつ伏せにされて腰を道上げられる。自然、両手をベッドにつく形になった。
「!は、恥ずかし・・・!」
「動くなよー、これはれっきとした『罰ゲーム』なんだからさー」
むき出しになった、張りのある尻の谷間にサイトは顔を近づける。
割れ目を入念に揉み解しつつ、少しずつ服を脱がされて挙句生まれたままの姿で扇情的な格好をとらされている羞恥からか。
早くも微かに湿って蠢いている窄まりを、サイトはぺろりと一舐めしてから舌を突き入れた。
「ひゃん!あんっ、んんっ!!」
ある程度分泌液とサイトの唾液で滑らかになった菊門。
そこにおもむろにサイトは玩んでいた点棒の1本を、ゆっくりと差し込んだ。
何度も体感したことのある指やサイト自身とは一味違う、冷たく硬い異物感。
「ん、んんんんっ!な、何、入れてっ・・・・!?」
「負けた相手には、こんな風にお仕置きするのがルールなの。我慢我慢〜♪」
「う、嘘っ!アンタ、絶対それ嘘ぉっ・・・!」
「はいはい、往生際の悪い奴にはもう1本追加な」
ごりゅ、と後ろに差し込まれた2本目が1本目と擦れ合う。
そのかすかな感触さえ、今のイザベラが声を漏らすには十分な刺激だ。
「〜〜〜〜〜!!」
「ほら、こっちにも追加〜」
前の秘裂にも1本。
点棒はサイトの予想よりも遙かにあっさり細い棒を飲み込む。
「ほーら、こうされたらどうだ?」
挿さった上下の点棒の先をつまんでぐりぐりと回す。
遠吠えに似た高い嬌声と一緒に、イザベラの背中がそのままぺっきり折れそうなくらい反り返ったかと思うと・・・
そのまま力なく、ぺたんと崩れ落ちた。
両方の穴から流れ出す粘液と、羞恥だけではここまで染まらないだろう顔の赤みにサイトは満足げに頷く――――が。
「ほら、ま〜だ罰ゲームは終わってないぞ〜」
嬉々としてサイトは、腰の落ちたイザベラの体を引っくり返すと、力の抜けたイザベラの太ももを押し開いて秘裂を再び露わにする。
ピョコピョコと突き刺さった点棒が動いていたが、サイトの注目している先はそこではない。
「こっちの穴は・・・どうかな?」
点棒を押し当てた先は。
膣内へと続く穴のすぐ上、男の性器とは違って一緒くたになっていない、小さい方の排泄の穴であった。
サイト――――お前はどこまで鬼畜なんだ・・・!
くちゅっ
尿口に挿し込まれたのは、点棒のほんの10分の1程度でしかない。
しかし、その効果は劇的で。
「ぃっ・・・あああぁぁぁぁぁぁぁ―――――!!」
今日特大の、甘いものが多分に混じった絶叫の後・・・イザベラは失禁しながら、意識を手放したのだった。
数日後――――
「さ、サイト?時間空いてるかい?」
「あー、しばらくは暇だけど。どーかしたか?」
「ま・・・・ま、また、あの『まーじゃん』のやり方を、アンタに教えて欲しいんだよ」
「・・・へー。そうなのか」
「な、なんだい!?せっかく私があ、ああアンタに教えを請ってやってんのにさ!」
「別にー。んじゃ、さっさと準備して始めるか」
「あ、ああ、そうだね・・・お願い、するよ・・・」
ぼそぼそとそう呟いてても、隠し切れず熱の篭った瞳をしたイザベラの様子を見ながら。
サイトはふと、思った。
――――――今度は、シャルロットも必ず誘おう、と。
「ロン。四暗刻。一発。裏ドラ」
「だーっ!ま、負けたーっ!!」
「お兄ちゃんの負け。脱ぐ服も無い・・・罰ゲーム」
「ちょ、ちょっとタンマ!ツーかなにその手!何でそんな待ちきれない感じでワキワキしてんの!その杖は何!?」
「ルールはルール」
「待ってくれシャルロット!せめてあともう1か・・・アッ―――――――!!」
740 :
バレット:2008/02/15(金) 23:59:05 ID:5T8dklA4
うい、投下完了でっす。
執筆時間2時間弱・・・俺って奴ぁ・・・OTZ
あ、後自分は麻雀殆ど分かりませんので、用語の使い方間違ってても勘弁して下さい(土下座)
GJだなもまいさん。
へんたいにも程があるぞ(褒言葉)
>>740
>>740 GJ。才人なんという鬼畜w
あ、四暗刻は役満なんで一発とかドラは関係ないっす。
リアルタイムGJですな、面白かったです最後のオチ
>>740 GJ!です。麻雀わかんないというわりに仕事早いね w
上の方の雑談で名前の出なかったイザベラを使うあたりがイイ!!
サイトがすげー重い手構えてげへへへって涎垂らしてるところを
しゃるしゃるがダマテンで二度といわず何度も刺す様子が浮かんだ
乙
GJすぎるwww
もう、点棒をみるとこれを思い出しそうだwww
追っかけリーチをすると先にリーチした人と両思いになれると誰かが言って、ヒロインみんながサイトのリーチ後に追っかけリーチをしようと必死な姿
っていう、電波受信しましたw
なにもしらないシエスタのリーチになにもしらないサイトがおっかけてルイズに睨まれるのか
いいえ。シエシエは全部判っててやっています。
さすが、シエシエ相変わらず黒いなwそれを見たルイズが切れるのかw
アン様に麻雀の役を教えてる途中に、
アン様「平和(ピンフ)ですか?いい言葉ですね」
サイト「いや、いい言葉ですけど麻雀だとイーハン役だから、低いですよ」
アン様「でもいい言葉ですね」
っていうのが想像出来たw
どうでもいいんだが、ルイズのZippoでタバコ吸うといつもより美味しくかんじるねwww
アホ竜は「なんか緑色ばっかで綺麗なのね〜きゅい!」
とか言いながら緑一色出しそうwwwwwww
タバサとシルフィはテレパシーで連絡しててシルフィがタバサの欲しい牌をまわしてる
シルフィ「(お姉さまに必要な牌は全部シルフィのところにあるのね、順にだすからどんどん鳴くのね、きゅい)」
タバサ「(これで私は常にトップ・・・)」
それ何て流し満貫?
>>750 単純なアホ竜だからやりそうだなwww
サイトを賭けて、サイトと一緒に麻雀やってるときに
ルイズ「(わ、私が勝ったら、サイトにヤられちゃうのかしら///初めてなんだからバカ犬 や、優しくいれてよね)」って思ってるときに
サイト「ロン、一気通貫だ」
ルイズ「い、一気通貫ですって!!!や、優しくしなさいって言ってるでしょ!!!」
って言って切れそうw
>>740 GJ! つーか麻雀ネタはいいな
もしこの世界に落ちたら多分麻雀ひろめるもん。
世界中見回してもこれ程おもろいゲームは無いしね。
上のほうでトランプはないんじゃ?ってレスあったけど
タバサの冒険2巻で出てきてるな
チェスもあるみたいだしな
ジョゼフに召還されたら将棋でもあげて平和に貢献しよう
軍人将棋とか大将棋とか極めるまでには数十年かかるだろうしな
囲碁持っていけば一生かかるぜ。
極めるって言うかルール覚えてまともに勝てるようになるまでだな
とりあえず大将棋なら相手に覚えさせたり普及させるまでの時間を考えたらブリミル平和賞ものだな
759 :
ボルボX:2008/02/16(土) 20:57:19 ID:18pCN0Si
お久しぶりです。遅れに遅れたクリスマス編まとめるのに時間がかかってました。
エロじゃなくてごめんなさい。
ハルケギニアの新年となるヤラの月。年明けから十日間続く降臨祭も、七日目。
トリステインの各市町村において、お祭りさわぎが繰りひろげられている。
村落を見おろす丘の上。領主の館の広大な庭。
庭の一角に高くそびえる鐘楼から、七つの鐘の音がひびき、正午の到来が告げられた。
厚くたれこむ雲が冬空をおおい、そこから幾万幾億もの白い花が降ってくる。
若い村役人は雪の舞う庭にたたずみながら、昼でもほの暗い空をあおいだ。
村役人が歯ぎしりをこらえたのは、にやにやしながら彼を見つめる眼前の男のためである。この地の領主であるカンシー伯爵の息子であり、彼の主筋だった。
(あの行商人、ついに間に合わなかった。てめえが被告だってのに)
正午の鐘を合図として、裁判がはじまるはずだった。
出廷義務のある者――領主の名代であるその息子と家令、提訴人である商人たち、村人からなる陪審団、村役人をふくむ証人……
領主の家臣である十数名のメイジ兵たちや、裁判とは直接関係ない剣の試合のための平民の剣士約三十名まで、庭には多くの者が集っていた。
被告である行商人のみが、出廷していない。
カンシー伯の家令である〈赤騎士〉が、赤い甲冑を鳴らして椅子から立ちあがり、愉悦まじりの毒をこめて言った。
ことさらに村役人のほうを見て。
「さて皆さん、街道の〈黒騎士〉からたったいま手紙で報告が入りました。街道において、被告の姿はついに見なかったとのことです。
つまり被告は出廷しないようです……欠席理由の申し立ては今日にいたるまで行われておりません。
これはカンシー伯の名でひらかれた法廷に対する、深刻な侮辱とみなしてよいでしょう。被告もしくはその家族は、後日罰金をこの法廷にたいして支払うように」
〈赤騎士〉の得々とした宣告とともに、その横でとつぜんの笑声がはじけ、不快と恐怖に村役人をつき落とした。
野外に運ばせたテーブルの上につっぷして、領主の跡継ぎが肩を震わせている。
カンシー伯爵の息子がこぶしでテーブルをたたくたびに、銀製の食器が揺れてがちゃがちゃと鳴った。
七面鳥の脂で唇をてらてらと光らせたその男は、勝ちほこるように笑いながら、端正だが酷薄そうな顔をあげた。
横の〈赤騎士〉と意味深長な笑みを交わしてから、並んだ人々を見渡して、領主の跡継ぎは宣告した。
「なあおい、だらだらとこの寒い中、わかりきった判決のために裁判を続ける必要があるか?
煩雑な手続きはうんざりだ、陪審団の名前読み上げなんぞ省略しちまえ。結論を言ってやる。
被告は逃げたんだ! これははっきりと、有罪の証に見えるぞ。『提訴人の訴えを認め、被告は逮捕さるべきであり、その財産は没収される』という判決を陪審団は下すべきだ」
(そんな無茶な)と思ったにしても、それを口に出して言った者はほとんどいなかった。
十二、三歳ほどの一人の娘以外には。
「待ってください、欠席の咎は罰金刑だけのはずです!
父さんは来ますから! 以前の手紙でちゃんと帰ってくると言っていました。もし、もし今日は来れなくても必ず後日には!
遅れているだけです、きっと雪で馬車が通れなくなって……」
「ほう? まあ、ありえないことじゃないな。この辺の雪は深いからな。
だが、それなら交通不能と見た時点で、欠席理由を記した手紙をメイジに頼んで、空の便で送ってもらえばすんだことだろう?
やはり逃げたんだよ。あるいは盗賊や狼に襲われて、永遠に来れなくなってるのかもしれないがな」
領主の跡継ぎの楽しむような声に、娘が赤ぎれになりかけているこぶしを握りしめて、小さな体を震わせた。
いまにも爆発しそうな激情が、その目の奥にちらちら見えた。
それを隣ではらはらしつつ見ながら、村役人は心中で何度もののしらずにはいられなかった。
ここ数年帰らないカンシー伯の名代として土地を統治し、ますます横暴をきわめる伯爵の息子と家令の〈赤騎士〉を。
裁判に間に合わず罪をかぶせられることになった、あのとんまな行商人を。
目をそらし耳をふさいで安全だけは確保しているはずだった自分を、こんなところに引っ張りだした行商人の娘を。
それを突っぱねられなかった、自分自身の馬鹿さ加減を。
(弁護の証人なんてやるんじゃなかった、これで俺の未来も終わったも同然だ。
あのどら息子は、俺が被告を弁護する側の証人として出廷したことを、自分に逆らったと見なしてるだろう。
今からでも「被告は素行不良の人格破綻者で、以前から有罪を確信していました」と口をきわめて罵る方向に転じようか。そうしたら見逃してくれるのなら試すべきだな)
それに、あの忌々しい行商人は実際に有罪なのである。「被告は商いにおいて禁制品を扱っていた」という訴えは、間違いなく事実だった。
――とはいえ、領主の跡継ぎも共犯者である。
父の名代として領主特権を利用し、被告となっている行商人をこれまでは保護して、その儲けの多くをおさめさせていた。
役目柄、領地の経営状況をかなりの程度知る村役人は、それに感づいていた。
提訴人たちのほうを見る。
訴えでた商人たちは、あからさまに喜色を面に出していた。
(ああ、儲けてた同業者を排斥できて満足だろうよ。
実はあんたらの目の前にいるそいつが、あんたらが妬んで訴えた奴をいままで働かせてたんだと知れば、どんな顔をするだろうか?)
村役人は皮肉をこめて内心そう考える。
だが、それをうっかり口にして言えば、今度は自分が危なくなるだろう。
横にたたずむ少女をちらりと見る。
(この小娘が助けてなんて泣きついたからだ。こいつら姉弟に面倒かけられるのはいつものことだったが、こんな厄介な話でまで頼ってくるんじゃない。
ああ、あの時しこたま酒をあおってさえいなければ、こんな馬鹿なことを引き受けなかったのになあ……)
ふとその小娘が村役人を見あげた。青年は黙って目をそらした。
見あげてくる目は、必死に彼にすがる色を捨てていなかったので。
もうできることは何もない、父親は救えないよ――とはとても言えなかった。
(おまえの親父が悪いんだぞ、あんな馬鹿貴族の口車にのって禁制品を扱ったりしたんだから。……切り捨てられたからってどうだってんだよ?)
そう念じようとはしても、村役人はやはり釈然としない思いを捨てきれないのだった。
ずっと人質がわりに村に住まわせられていた行商人の娘が、父親の弁護を頼んできた日も、それを思って鬱々とワイン二瓶を空けていたのである。
娘には「自分の知るかぎり、被告はそんなことをする人間ではなかった」とだけ裁判で言ってくれればいい、そう頼まれたのだ。
領地の裁判では、被告をよく知る証人がそう保証するだけで、かなり陪審団の抱く印象が左右される。村役人は村内のまとめ役であり、証言の重要性はさらに増す。
(……けどな、俺以外に弁護しようっていう証人が一人も出てこないんじゃ、話は別だぞ!
その反対の印象を語る証人は、提訴人側に山ほど並んでるんだ。同業者にこれほど恨まれてる馬鹿も珍しいよ。
いや、それどころか、陪審団ふくめ村人がまとめて骨抜きにされてるんなら、こんな裁判ほんとうに茶番でしかなかったぞ)
村役人は恨みをこめて、広場の一角の陪審団席を見やった。
おどおどと村出身の陪審員たちが視線をそらす。苦々しい思いが胸の奥から突きあげた。
(あの行商人はともかく、俺までずいぶんあっさり見捨てるんだな。村のみんなは、貴族の目の届かないところではぞんぶんに呪いを吐いていたのに)
それは仕方ないといえば仕方ないのだった。だれも自分たちの領主の跡継ぎににらまれたくはないのである。そんなことはわかっていたが……
(俺だって村役人なんてやりたくなかったんだぞ。あんたらが勝手に投票して、厄介な役目をまだ若造の俺に押しつけたんだろ。
そのくせ俺がお貴族さまに逆らったら即座に見て見ぬふりかよ。
こんな土地、いっそ捨ててしまおうか。それがいい、今日が無事に終わったら別の領地に逃げて……)
心の中で、陪審団のひとりひとりを先祖にさかのぼってまで罵り倒しながら、もうひとつの思考軸で彼はこの窮地を脱する方法をけんめいに探していた。
目立たないようにそっと周囲を確認する。
前方、領主の跡継ぎの周囲できらめくのは、数名のメイジ兵の全身をおおう甲冑と、杖を装飾する金銀の鎖。
カンシー伯の家臣、または跡継ぎ自身の子飼いである。当然、跡継ぎの命令にしたがうだろう。
後方には半端な鎧や鎖かたびらを身につけた、鋼の剣や戦用ハンマーを持った戦士が三十名ばかり。こちらは平民身分の者たちである。
この後もよおされる武芸試合のために集められた、傭兵出身の剣士や腕におぼえのあるならず者などである。かりに跡継ぎの命令をきく立場になくとも、見ず知らずの自分たちに加担して貴族にさからうような真似はまずするまい。
(この庭には人が多い。目をぬすんで逃げるのは無理、突破は論外だ……
……なぜ今すぐ逃げることなんて考えるんだ、俺は?)
村役人の脳裏になにか、不吉な予感が浮き上がってきていた。
領主の跡継ぎが口の端にあらたな笑みをきざむ。彼は村役人から目をそらして銀のフォークで、テーブルのそばに立っていた七、八歳ばかりの男の子の頬をつっついた。
「おい、めくらの坊主、おまえの親父はおまえたちを見捨てて逃げたのかな、それとも狼に食べられちゃったのかな。どう思う?」
目を閉じて、寒さと恐怖で震えていた男の子が、びくりとした後、べそべそと泣き出す。
それを見て、行商人の娘が「弟になにもしないで」と叫んだ。
領主の跡継ぎがそれを聞いて表情を消したときに、村役人は即座にその娘に向きなおって突きとばした。
本気に見えるほど力をこめて、ただし方向を選んで。
驚きの悲鳴とともに、娘が横手の厚く積もった雪のうえに倒れる。彼はその上から怒鳴った。
「若様になんていう口を利くんだ、小娘! 失礼いたしました若様、あとでよく叱っておきますんで。
この娘は、父親が犯罪人と決まりそうなんで気が動転しているんですよ。
あのう、ただもし、被告の馬鹿野郎の財産を没収して牢に入れるとなると、これらの子供たちはどうするんで? 来月にパンを食べていられる金のあてもこいつらには無いですが」
卑屈な笑みをうかべつつそう切りだした村役人に対し、領主の跡継ぎは疑わしげに眉をよせて彼を凝視していたが、少ししてそっけない口ぶりで答えた。
「だからこの坊主をうちで働かせてやるんじゃないか、うちの道化の一人として。
こいつは、自分から金が欲しいと言って館にやってきたんだぞ。たまたま、前の盲人が一人死んでしまってたんでな。
心配しなくても給金はちゃんと払うさ、これは立派な雇用だからな。その金をそこの姉に渡すのはこいつの勝手だ」
(なにが雇用だ)と村役人は内心毒づきながら、顔ではにこにこして言葉を続けた。
「ええ、まったくおっしゃるとおりで。しかし、この娘にしたら、それは弟が勝手に交わした契約ということでして、寝耳に水だったと……
その子はまだ小さいですし、こういうことは身内が納得するに越したことはないような」
必死に言いすがる村役人に、うるさそうに跡継ぎが手を振る。
「もういい。こいつはとうに、一生ぼくに仕えるということで契約したんだから、それを勝手にとりやめさせるというなら違約金を払え。
おまえも口先だけでどうにかなると考えている薄っぺらい人間だな。ぼくの慈悲につけこもうたって無駄だぞ、ぼくはそんな言葉で簡単に心を動かされるような弱い人間じゃない。
おまえら平民は、もっと自分で努力して道をひらくべきなんだよ。そうだな、今からの武芸試合に出て優勝してみろよ」
村役人は声をのんだ。
恐怖で一瞬、足元の地面が消えたような感覚をあじわう。詰まりかけたのどを無理に押しひらくように声を発した。
「武芸試合に? 剣をもって闘え、と?」
「そうとも、闘えばいいんだ。チャンスはいつでも転がっている。ぼくはそれを果敢につかもうとする人間を寛大に遇しているつもりだ。これから開催する試合に、飛び入りエントリーして出場することを許してやる。
優勝すれば被告が裁判に欠席した罰金、捕らえられたあとの保釈金、このめくらのガキの雇用契約を取り消すにじゅうぶんな金が、まとめて手に入るぞ。
……それどころか知ってのとおり一年間、わが家中で貴族のように扱ってさえやる。この平民どもだって、〈黒騎士〉の後釜に座るためにここに集まってるんだからな」
自分の考えがよほど気に入ったのか、ナイフとフォークでリズミカルに皿を叩きながら領主の跡継ぎは幾度もうなずいた。
「そうしよう、もうこの武芸試合で優勝した金以外は受け取らないぞ。血と汗で稼がれた尊い金なら、平民の手からでも気持ちよく受け取れそうだ。
自分で出るのが嫌なら、代わりに戦ってくれる奇特な奴を見つけろよ。ただし急ぐことだな。
ああそれと、この庭から出るなよ……目くら、おまえは館の中に戻っていい」
村役人はしばしの逡巡のあと、「わかりました」と承諾した。
また気まぐれに思いついた遊びであろうが、これを断れば領主の跡継ぎはいたく機嫌を損じるにちがいない。
そうなればどんなことになるか知れたものではない。
(畜生、どうしようもない。代役をたてることが出来るならまだましだ。
……ちょっと待てよ、代理といっても要するに、自分が闘って勝ちとった金を俺たちにくれるという役回りじゃないか。それになんの得があるんだよ。そんな聖人がこの剣士どもの中にいるわけないだろ?
くそ、とにかく、こいつの目の前から離れて考えよう)
呆然と雪の上にへたりこんでいる行商人の娘の腕をつかみ、雪まみれのその小さな体を引き起こす。
引きずるようにしてテーブルから離れながら、村役人は小声でささやいた。
「貴族に、とりわけあの男みたいな奴に『平民に生意気な口を利かれた』と思わせるんじゃない。
お前の父親のことも置いておけ、いま騒いだってどうにもならない。たのむから、弟と同じようにおとなしくしてろ」
ずっ、と鼻をすする音が聞こえた。かたわらを見下ろして、村役人は渋い顔になった。
こちらの子供も泣き出したのである。ずっとこらえていたものが溢れたのではあろうが。
「だって……あの子は目が見えないのに、あんな扱い……なんで、できるんですか……
父さんだって、あの子の目を治すのに、たくさんのお金と腕のいい医師への口利きがあればなんとかなるかもしれないって、あの人たちに言われたから……」
「それを人に決して言うなよ。口をすべらせば本当に殺されかねないんだぞ」
厳しくいましめてから、村役人は肩越しにテーブルのほうを見やった。
男の子は盲いた目をしょぼしょぼさせて涙をぬぐい、召使につきそわれて館のほうへ歩きだしたところである。
あの坊主はこの数日でそこそこひどい目にあわされたし、今さらちょっとくらい変わるかよ、と思いながらもげっそりため息をついた。
(坊主、助けてやりたくてもこの状況は俺にはちょっと荷が重すぎる。
余計なことを気に病むからだ。村内でちゃんと便宜をはかってやってただろうが)
「何だったんだ?」
第三者の声が自分に向けてかけられたと気づくまで、数瞬が必要だった。うつむいて娘を引っ張ったままその声をきき流して歩き、ぶつかりかけてはっと顔を上げる。
村役人の目の前に、二人の若い人間が立っていた。どちらも旅装で、防寒用の分厚いマントをまとっている。
問いかけてきたのは、剣を吊った凛々しい剣士のほうである。武芸試合に出るため集まってきた一人かもしれない。
どう答えればいいのか村役人がとまどっているうち、二人組のうち背の低いほうが、剣士のそでをひいて「ちょっと、そんな簡単に首をつっこんでいいの?」と咎めるように言った。
少しきつい印象があるが相当に整った面立ちの、桃色がかったブロンドの髪の少女である。
「いや、なんだかワケありのよう……」
「人様の領地にはね、いろいろあんの。
あんたは領地を持ってないからそのへん知らないんでしょうけど、貴族同士では、領地の統治には互いにノータッチが基本なの。
よけいなおせっかいは、下手すりゃ紛争や決闘に発展するのよ。呼ばれもしないわたしたちがこんなとこにまぎれこんでるだけでも、ほんとはあまり良くないんだからね」
その二人の話を聞きながら、(あまり良くないどころか、あのどら息子なら激怒するだろう)と村役人はぼんやり思った。
平民を集めての武芸試合はあの男にとって、最高権力者として君臨する楽しみを味わう場でもあるのだ。
「他の王様」になりうる、しかも自分がまねいた覚えのない貴族など、場に存在してほしくあるまい。
(だけど待てよ、これはチャンスじゃないか?)
どうやらこの桃色髪の少女は貴族らしい。服装は二人とも貴族のそれとは見えないが。
それならば領主の跡継ぎも、自分たち領民を扱うようにはけっして扱わないだろう(腹は立てても)。あたりまえの話だが、貴族は平民とは違うのだから……
急流にかけた水車のように思考が回転し、ひとつの打算をはじき出した。
「助けてくれ!」
恥も外聞もかなぐり捨て、小声ではあるが彼はそう叫んで、ぱっと地面にひざまずいた。
村役人に袖を引かれてうながされ、行商人の娘が同じように雪泥にひざをつき、手を組みあわせて祈りの姿勢をとる。
とつぜんの困惑は、こんどは剣士と桃色髪の少女の側にあった。
「な、なによいきなり……立ちなさいよちょっと、周りに見られるじゃない。やめてったら」
「助けてくれ! 俺たちは武芸試合に出ることを強要されてるんだ」
押し殺した声で、よどみなくぶちまけていく。
背中に、離れたところにいるはずの領主の跡継ぎの視線を感じるが、それも無視する。聞こえてはいないはずである。
場の「他の王様」に、つまりべつの貴族の庇護にすがる。それは、賭けるに値する道だった。
「聞いてくれ。この領地のいまの支配者であるあいつ、カンシー伯爵の息子であるあの若様は、なにかを闘わせるのが好きなんだ。
最初は猫で、犬で、山の獣で、それらを同種あるいは異種間で闘わせるのを好んでいた。それはここ数年で人間におよび、獣と人もしくは人同士を、競技というかたちで闘わせて楽しむようになった。
この武芸試合はその一環だ。一年に一度、腕に覚えがあるという平民の戦士を集めて、優勝が決まるまで戦わせ、優勝者には〈黒騎士〉という家中での称号と特権をあたえる仕組みだ」
「それは聞いてる。変わった嗜好だけど……他人の趣味だし、とやかく言える立場には」
「あいつはなんでも面白半分に闘わせて楽しもうとするんだ! 貴族間の決闘が禁止されていなければ、家臣のメイジ同士を闘わせるだろうよ!
この館には数人の盲人が雇われてる。めくらを数人、囲いの中に入れてから、殴りあわせるのはあいつの好みとするゲームのひとつだ。
目が見えないやつらが殴り合うから展開がどうなるかわからなくて、『最後に立ってられる奴は誰か』って賭けをすると面白いんだとさ」
村役人が吐き捨てた直後、隣にひざまずいている行商人の娘が顔をあげて、涙で曇った目で剣士を見た。
「おねがいです、助けてください、おにいさん。
うちの目の見えない弟が、あの若様に仕えなきゃならなくなってるんです」
ぼそぼそとつむがれる涙声はたぶん、同情を引くには最適だろうと村役人は思った。
まさしく貴族の同情こそ、いまの自分たちには必要なものである。
「あの子は自分が何の役にも立たないなんて気にしてて……わたしが、お金のことばかり話してたから……馬鹿なことに、自分からお屋敷に行って……
……弟はここ数日で、おなじ盲人だけどずっと体が大きい人たちと殴りあわされて、もう前歯を二本なくしました……でも、前歯だけならまだいいです。
あの若様は、囲いのなかに野豚を入れて、それを殴り殺すよう命じたことがあるそうです。その混乱で、盲人が一人死んだって」
言葉もない態で聞いている二人組が、目と目を見交わした。
話の途中から不快そうに眉をしかめていた剣士が、おもむろに発言する。
「……それで、『助けてくれ』とは? なにをしてほしいんだ?」
連れの剣士に桃色髪の少女はちらと目をむけたが、今度は制止しようとはしなかった。
…………………………
………………
……
雪の舞う庭、木の柵にかこまれた長方形の試合場。武芸試合への出場者がそこにつどっていた。
村役人は、行商人の娘と手を握ったまま、これから始まる予選試合を待っている。
彼らのために出場することを承諾してくれた剣士は、一本の木の棒のみを装備している。最初の試合ではみな棒を使わされるのだった。防具は自由だが。
その最初の試合は、全員参加の混戦である。
出場する全員が、首に赤い布を巻いていた。
他人の布を一枚だけ奪って柵の外に出れば合格である。自分の布を失えば失格、布を奪わないまま柵の外に逃げても失格だった。
最初のこの一戦で半数以上がふるいおとされる。混乱の中で、重傷を負うものも出るだろう。
「どうかあの方に、始祖の恩寵がありますように……」
行商人の娘が食い入るように試合場を見つめつつ、祈りをつぶやいている。
村役人は気まずくなった。本当なら、自分があの危険な場に立たされていたのだ。
(しょうがないだろ、俺はまっとうな生き方してるんだ。武器なんて振り回したことがないんだよ)
気炎をあげつつ試合場にむらがった戦士たちは、腕自慢の男たちとあって多くが体格に恵まれている。
村役人の代理として出場してくれた剣士は、そう大柄ではない。周囲とくらべて頼りなくさえ見えた――にもかかわらず、その剣士の闘志にみじんも曇りはないように見えた。
「遊びがすぎるわ」
村役人から少し離れて立っていた桃色髪の少女が、冷ややかな声で評した。
ぎくりとして彼は試合を見ることも忘れ、その貴族らしき少女にあわてて「申し訳ない」と謝る。彼女の機嫌をそこねてはおしまいなのだった。
うんざりしたようにその少女が首をふった。
「あなたたちのことじゃないわよ。この馬鹿馬鹿しいちゃんばらごっこ自体もそうだけど、あそこに立って妙に生き生きしてるあの人のことよ。
ほんともう……いつも姫さまに言いつかった仕事でさんざん剣を振ってるんだから、たまの非番でまでこういうことをしなくてもいいじゃない」
妙に不機嫌そうな声である。
首をちぢめるように聞いている村役人と行商人の娘に対し、少女は安堵させるように声をやわらげた。
「あなたたちを放り出したりしないわよ。
後からあらためて詳しく話を聞かせ――」
試合開始の鐘が鳴り、少女も口をつぐんだ。
…………………………
………………
……
「密集しての乱戦では、転んだらまず終わりなんだ」
剣士は短く、それだけ言った。
額の傷からたらりと一滴、血が流れた。
その頭に包帯を巻きながら、桃色髪の少女が怒鳴りつけた。
「心臓が縮んだわよ! なに一発もらってんのよ」
まったく心臓がちぢむ光景だった。村役人は慙愧の念にたえず頭をたれる。
乱戦の中で、やはり優位にたっていたのは、左右に薙ぐように棒をふりまわしていた数人の大男だった。
その猛威の陰でよく見えなかったが、どうやら剣士は最初は試合場の隅のほうに引っこんでいたらしく、転倒した者にすばやく駆け寄って頭部を一撃し、気絶した相手の布を奪ったようである。
しゃがんで相手の首から布をほどいていたときに他のだれかに攻撃されたと見えて、柵を身軽にとびこえて戻ってきたときには、額から鼻梁にかけて鮮血をしたたらせていたのである。
「そう心配するな、次から一対一だ。剣を持てるならこっちのものだ。
重傷者も除外して、残った勝ち抜き戦参加者は総勢十六名か。ちょうど四回勝ち抜けばいいわけだ。
ふむ、選手番号は十一番、と……」
ぎゃんぎゃん騒ぐ桃色髪の少女を軽くいなして、包帯を巻かれた剣士が立ち上がる。
言うとおり、このあとは一対一の試合である。くじ引きで対戦相手が決められ、勝ち抜き方式でただ一人が残るまで続けられるのだ。
領主の跡継ぎの意向により、飛び道具以外でおのおの得意な武器を使うことが認められる。真剣で殺しあうのと変わらず、剣呑このうえない。
「あの、なんといって感謝すればよいか……」
申し訳なさに消え入りそうな声で頭をさげた村役人に、剣士は手を振った。
「礼は勝ち残ったあとに言ってくれればいい。
そんなことより、もっとはっきり事情をつかんでおきたい」
詳しく話せ、と言われて村役人は言葉に詰まった。
思わずかたわらの行商人の娘を見下ろすと、こちらも動揺した表情である。
この娘にとっては、親の恥でもあるのだ。
うろたえる二人の様子を見ていた剣士が、「いや、やはり今はいい」と首を振った。
「とりあえず何戦か勝ってからにしよう。
事情を聞いておいて、初戦でいきなり負けたりしたら格好がつかないからな」
冗談めかしてそう剣士がそう言ったとき、「三番! 十一番! 試合場へ上がれ!」と〈赤騎士〉の声がひびいた。
自分の番号を呼ばれた剣士が舌打ちする。
「いきなり最初の戦いか。まあいい、なるべくさっさと決着をつけてくる。
……そうだ、連絡文をハトには仕込んでおいたからな。持ってきておいてよかった。
だれもが試合場に注目しているときに、気づかれないように飛ばすんだ。さいわい野良のハトもそこらにいるから、放つところさえ見られなければ目立つまい」
剣士が桃色髪の少女の耳元でささやき、自分のものらしい背嚢を渡した。
少女が「わかったわ」とうなずき、ごそごそと渡された背嚢をまさぐる。
村役人の耳に、気のせいかクルッポーと鳴き声が聞こえた。「えっとコレ?」「ばか、いま鳴かせるな!」
…………………………
………………
……
もう幾度目かに、熾烈に動きつづける両者の間合いが重なった。
対戦者の振り下ろしたハルバードが、剣士の頭上に剛猛な勢いでふりおろされ……紙一重でかわされた。
代理の剣士は、地面を噛んだハルバードの先端をすかさず踏みつけ、柄にそって滑らせるようにみずからの剣をはしらせる。
閃光のように鋭い、そして繊細な一撃をうけ、対戦者の右手の親指からわずかに血がとびちる。
剣士はとびのいて叫んだ。
「骨に届いたぞ、降参してはやく治療を受けろ!
後遺症がのこれば、得物をうまく握れなくなるぞ」
対戦者は剣士をにらみつけ、どくどくと血を雪泥の上にこぼす自分の手を見下ろし……ため息をついた。
その大柄な男から急速に敵意がしぼんでいくのが、村役人にも感じられた。
「そうしよう」とその男はつぶやき、背をむけてのっそりと試合場の柵の外に出る。メイジ兵に一人、水魔法で怪我を治療する役がいるのだ。
ただ、代理の剣士は治療してもらえない。
走りよってくるメイジたちは、代理の剣士だけには目さえ向けないのだ。間違いなく領主の跡継ぎの差し金にちがいなかった。
剣士もこだわらず、さっさと木の柵をこえて戻ってくる。
「なんて狭い了見なの、あいつら! 治療くらい受けさせてもらうべきよ、もう三人目抜いたんだから! 決勝の前に、
あんた最初の戦いの前に『さっさと決着をつける』とか楽勝そうなこと言っといて、もう四つも傷こさえてるじゃないの!」
「しょうがないだろう、槍やハルバードなんて使われては。これでも自分でも驚きなほどぎりぎりで、うまくかわしてきたんだぞ。
こんなのは全部かすり傷だ。出血にさえ気をつければいい」
苦笑する剣士の腕の傷に、服の上からかたく布を巻きながら、桃色髪の少女が怒りをまきちらしている。
はらはらさせられたのがよほど不機嫌なのか、「人の領地にはいろいろある」とか言っていたくせに矛先があっさり領主の跡継ぎに向いた。
「だいたいこんな武芸試合、おかしいわよ! 貴族主導のスポーツ大会開催はわりとあるし、『貴族同士の戦い以外なら決闘にあたらない』という屁理屈だってできるけど!
それにしたって普通は木剣とかでしょう!? この一対一でも何人か重傷者が出てるじゃないの、あの赤い髪のやつとか死んでるわよ間違いなく!
この地の領主は何やってるのよ、あんな馬鹿息子を野放しにして留守してるなんて!」
「まったくだな。だが実は、木剣より真剣の立会いのほうがこっちには有利だったりする。さっきみたいに小手先の技を存分にふるう余地があるからな」
受け答えのあいだも、剣士の傷口に巻いた白布にはじんわりと血がにじんでいく。
……いたたまれなくなり、村役人は何か言わざるをえない気分になった。
「領主さま、カンシー伯爵は数年前に、ゲルマニア方面へ長い旅に出たのだが、以来音沙汰がなくなってるんだ。すでに死んだと考えてる者も多い。
留守を任されたあの若様は、それまでは領主さまの顔色をうかがって大人しくしてたんだろうが……
数年待っても連絡が何もなかったからか、これで羽根を伸ばせるとばかりに好き放題するようになったんだ」
流される血を見つつ、やましさから口早に語りつづける。
「〈赤騎士〉と名乗る家令はいさめるどころか、これまた悪知恵を吹き込むときてる。
あの二人組は風車小屋とかの使用料をつりあげたりして、金を領民からしぼりとってた。それでも金が足りなくなるような遊び方をしてたらしいが」
若い貴族仲間をあつめての賭けトランプや丘の下にある歓楽街での遊蕩が、肝をつぶすような額の出費を強いたらしい。そのしわ寄せは領民にきた。
あのころは領民たちは、本気で集団での逃散を考えたほどにしぼりとられたのである。
が、領民にとっては幸いなことに、領主の跡継ぎはべつの金の卵を見つけたのである。それは親子連れの、ある旅人を利用することだった……
「被告にしたてられてる男は、もともと都市の商人だったらしい。
あるとき市の有力者の妻に迫られてことわったんだが、恥をかかされたと怒ったその女が『私を無理やり手ごめにしようとした』と夫に告げたため裁判沙汰、財産を没収されたうえに判決で都市から追放の刑をくらったという悲惨な奴でな。
娘と、目の見えない息子をかかえて流浪してたのが、この領地に物乞いにきた」
「ちょっと待て、そんないっぺんに早口で話すな。
たしかに何戦か勝ったら話せとは言ったが、いきなり素直にとうとうと話しだされるとちょっと不気味だ」
村役人は首をふった。
「あんたは、次は決勝というところまで戦ってくれたんだ。いまさら隠すことなんてない」
そこにこめた感謝は嘘ではなかった。ただ、それ以上に罪悪感と恥ずかしさが言わせた言葉ではあるが。
それに、どうせ頼るなら弱い腹を見せて、何もかもを投げ出してみせるほうが好感を与えられるという打算もある。
行商人の娘に「言うぞ」と彼は確認した。娘はしばし迷いを瞳にうかべてから、あきらめの色をそこに宿して閉じた。
「被告の罪科の焦点だったのは……媚薬の原料などの、一般での売買が禁じられている禁制品を密売したことだ。
そういったわずかでも高価な闇の品は、ここの近くにあるわりに大規模な都市で売りさばくことができる。あそこには歓楽街もあるからな。
正直に言うと、被告はここ以外の法廷でも有罪判決をくらうと思う。
だがおそらく、この話をもちかけたのは若様自身だ。ここの『裁判』は、茶番以外の何者でもない」
桃色髪の少女が、小さなあごに手をあててうなった。
「なるほど、たしかにね。
領主に特別に庇護されていれば、一般への禁制品だって買いつける道はある。一度この領地に入ってしまえば、積荷あらためも怖れることはない。
政府の役人にでも嗅ぎつけられれば別だけど、まず安泰だわ。当の領主……この場合は名代か……に切り捨てられないかぎりは」
そしてじっさいに切り捨てられたわけである。港町のほうに買い付けに行っている間に。
理由などいくらでも思いつく。あの商人は最近、あまり領主の跡継ぎに従順とはいえなかった。
また、長年一人の人間が特権を駆使して商にたずさわっていれば周囲の疑いをまねく。
切り捨て時、だったのだろう。
行商人の娘がこらえきれずに首をふって嘆く。
「父さんは、目の見えない弟をメイジの医師に診せて治してやりたいと……薬だけでも信じられないほど大金だと言われたからって」
「出まかせを言われたに決まってるでしょ。生まれつきの盲人なら無理よ、メイジのどんな薬でも」
気の毒そうに、しかし断固として桃色髪の少女が言った。娘が深くうなだれる。
そこに気づいたからあの商人は反抗的になっていたのかもしれない、と村役人はこめかみを揉む。
剣士が天をあおいで嘆息した。
「『領主の名代の横暴というだけなら、いざとなれば王政府に訴えればよかったではないか』と思っていたが、そういう裏があったか。
それはかなりまずいな、訴えられなかったのはわからなくもない」
禁制品の密売となると、塩の密売や貨幣の偽造ほどでなくとも王政府が看過できない罪である。
かりに王政府の役人がこれを知ったとして、領主の息子を牢にぶちこみたくなるのは当然だろうが、行商人ももちろん許されるわけにはいかないだろう。
たとえ利用されていただけとしても。
「厄介だな。あの領主の息子とやらは、そんな自分の弱みを知っている被告を自由にする気は絶対にないだろう……被告以外に知っている者も」
そう言うと、剣士はちらりと意味深に村役人を見る。
彼はぎくりとする。これまで、そのことは考えないようにしていたのだ。
だが先ほど「ここから出るな」と言い渡されたことといい、不安は急速に色濃くなっていくばかりだった。
べつの貴族の庇護さえあればどうにかなる、と思っていたが、それさえ跡継ぎの害意をとどめられないとすれば……
「決勝をはじめる。十一番、八番、試合場に上がれ!」
〈赤騎士〉の声がとどき、一同のつかの間の重苦しい沈黙はやぶれた。
だからといって、明るい気分にはむろんならない。
試合場に上がってきた最後の対戦者を見て、剣士が表情をひきしめた。
「やはり、まずすべて終わってから考えよう。
相手も剣か。けっこうだ、負けるものか」
…………………………
………………
……
流れるようなゆるりとした動きで対戦者が剣を繰りだすたびに、剣士がぱっと後ろに跳ぶ。あるいは村役人の目に、ゆっくり見えているだけかもしれなかった。
その対戦者、壮年の男は背も剣士とかわらず、目に見えて激しい攻めかたをしているわけでもない。
だが、おそらく相当に強いのだろう。代理の剣士がまったく表情に余裕を見せていない。開始数分だと言うのに、額に汗が流れている。
剣士が足をフルに使って、前後左右に跳びまわっているのに対し、対戦者は腰を落として重心が低い状態のままじりじりと進んでいた。
そうかと思えば、一瞬だけ前にとびだし剣をひらめかせてすぐ元の位置に戻ったりしている。
「剣なんてわたしも知らないけれど。
なんて言えばいいのか、相手は安定してるわ」
桃色髪の少女が、ためらいがちにそう批評した。
食い入るように試合場をみつめるその表情に、落ち着きをよそおっていても抑えかねる焦燥の色がある。
村役人は答えることはせず、黙って試合場を見ていた。代理の剣士が苦戦するさまを見て、心臓が絞りあげられるように痛い。
剣士は負けるかもしれない。傷をおわず負けることはないだろう。死ぬかもしれない。そのときは桃色髪の少女はともかく、自分たちも終わったも同然である。
(心臓を痛めてまで見てどうする? 俺が見てなくても、決着はかならずつくんだ)
それに俺に武芸などわからないんだ、と村役人は首をふる。
彼は剣さえ知らない平民であり、他人の力を利用して自分の身を守ることしかできない。
それでも、増すばかりの恐怖そして罪悪感に、目をそらすことはできなかった。ふと、横顔に視線を感じるまでは。
テーブルから領主の跡継ぎが村役人を見つめていた。
自分の靴にはいずっていた虫を見下ろすような冷酷な目で。
彼が唇をひらいた。距離は離れていたが、その声は雪ふる空間をとおしてはっきり伝わった。
「ほんとうに代理に出る物好きがいるとは思わなかったよ。
ぼくは本当はおまえが戦うのを見たかったんだが」
村役人はわれ知らず後じさった。
理屈以外のなにかがはっきり知らせたのである。
(やっぱりこいつ今日俺たちを、特に俺を殺す気だ)
彼は職分上、領主の跡継ぎがおこなっている不正に気づいていた。
領地の経営にかかわっている彼は、その気になれば領主の跡継ぎに不利な証拠を探しだすこともできる。
自分自身の命のために、それを告発する気などさらさらなかったが、すでにこの男に敵として認識されているなら……この男は、行商人に手をかけたように自分もこの機に殺すだろう。
(まずい、極めてまずい! ここから出るなとあいつは言った、ここはすでに火にかけられる前のフライパンの上だ。
そうと知っても、いまさら逃れるすべなどあるはずがない)
…………村役人の焦りをよそに、試合場では代理の剣士もまた苦吟している。
じりじりと距離をつめようとする対戦者に、わずかながら剣士は押されはじめていた。
先の試合での出血、そして今しがたつけられた新たな傷。体力は限界に達しつつある。
この対戦者は執拗に、剣士の手足を狙っていた。少しずつ、少しずつその剣が速くなっていく。
幾重にも分かれた蛇の舌のように剣の残像がおどり、剣士の手首、前に出ているほうの脚、鎖かたびらから露出したすべての無防備な部位を正確にねらった。
いまやはっきりと見える形でその男は、剣士を追いこむように前進しはじめている。クズリを思わせる執拗かつ獰猛な戦い方。
…………突然のラッパが鳴り響き、館の木造りの門が開け放たれた。
試合場であらそう二人をのぞき、群衆の視線のあつまる中を、二頭の馬が人をのせて門をくぐってくる。
村役人はほぞを噛み、(やはり来た)という思いでそれを見やった。
最悪にかぎりなく近い展開だった。
その者は馬をすすませ、領主の跡継ぎから二十歩という地点で止まった。あぶみに体重をかけて、重々しい動作で馬上から地面に身をうつす。
黒い鎧で全身をかため、黒い兜で頭部まですっぽりと覆った完全防備の甲冑姿の……剣士だった。騎士の格好だが、メイジではない。
その後ろでは、フードをかぶった従者らしき者もまた下馬している。
(こんちくしょう、やっぱり勝ち抜き戦の後にもう一試合して〈黒騎士〉を負かさなければ優勝はないわけか)
「カンシー伯爵の息子がやとってる平民の戦士って、あれがそうなの?」
桃色髪の少女が一瞬だけ試合場から目を放してその甲冑の男を見たあと、苦々しげに表情をこわばらせている村役人にたずねてきた。
村役人もはっと気づいたように少女を見かえして、うなずく。
「……ああ、この二年連続で〈黒騎士〉をつとめている奴だ。
年に一度の武芸試合で勝ちぬいた者は、〈黒騎士〉に挑戦する権利が与えられるんだ。あいつに勝てば優勝者となり、望めば新しい〈黒騎士〉になることができる。
今日を締めくくる試合のために、ここに来たんだろう」
村役人の見ている前で、黒い甲冑の剣士はがちゃがちゃと甲冑の音をたてながら歩き、テーブルの数歩手前にたたずんだ。
冷えかけた七面鳥の肉を切り分けている領主の跡継ぎが、ナイフを休みなく動かしながらちらとその姿を見て問いただす。
「どうだった?」
その質問に、数度咳ばらいしてから黒い甲冑の男は答えた。
「あなたの予想通りでした。今朝方、全部片付きました。
まったく寒い、動かないでいると鎧が氷のように冷たくなる……待っているうちに風邪をひいて、のどをやられてしまいましたよ」
「ご苦労だった」
にんまりと笑みをたたえて、領主の跡継ぎが称賛する。
違和感のある受け答えに、様子をうかがっていた村役人は眉をひそめる。
(なんだ? 待てよ、なにか……)
ことさらに考えようとしたわけでもないのに、さまざまな疑問が一瞬で頭をめぐった。
被告はついに来なかった。その娘には、帰ってくると約束していたはずなのに。
待機させられていた武芸試合の挑戦者たち。まるで領主の跡継ぎは、すぐ裁判が終わって試合を始められると確信していたようだった。
人がまばらな、つまり目撃者の少ない大雪の街道。「盗賊や狼」の脅し文句。どこかに出かけていた〈黒騎士〉。
突然にして、村役人は答えをつかんだ。
けっして難しい謎ではなかった。もともと、どこかでそうではないかと疑っていたのだ。
それでもやはり愕然と目をむいて立ち尽くす。
(あいつら、あの行商人の乗った馬車を襲ったんだ)
禁制品密売の罪を押しつけたうえで、余計なことをしゃべらないように裁判の前に口を封じる。
被告が裁判に出るためこちらに帰るこの日。どの街道を通るかを予測するのは簡単である。おそらく〈黒騎士〉は、命令を受けて襲うべく兵を伏せていたのだろう。
そこまでやるのか、と村役人は歯噛みした。
領内の通行安全を保障するはずの領主権が、本気でみずからの土地に罠をしかければ、その領地に踏みこんだ者はまず確実に逃れえない。
主君の命をうけた〈黒騎士〉が馬車を襲い、一人残らず殺したあとで、盗賊のしわざに見せかけることなど造作もないのだ。
いや、死体も馬車ものこさず隠蔽され、被告はそもそも来なかったように見せかけられているのかもしれない。
提訴人たちのほうを見る。
訴えでた商人たちは妙に居心地わるそうに庭の隅にかたまっていたが……一人が村役人の視線に気づいて、たちまち目をそらした。
(おまえらは裏の事情を知らず、儲けてる同僚をやっかんで訴えただけだ、と俺はさっきまで思っていた……でも、本当は違うんだな?
どら息子に話を持ちかけられて一芝居うったんだろう? あの行商人の後釜におさまって、新たに自分たちが庇護を受ける密約でも交わしたのか?
だがそうだとしたら、その貴族はあの行商人を計画的に使い捨てたように、いつかおまえらも捨てるんだぞ)
苦虫をかみつぶしながら、村役人は暗く目を落とした。
(だが俺たちはその前に、今日死にそうだな)
…………………………
………………
……
試合場の激闘は、まさにたけなわとなっていた。
とうとう試合場の隅、まだあまり踏みこまれていない雪原のある場所まで剣士は後退している。
これまでの対戦者の武器とはほとんど触れることもなかった剣が、火花を散らして敵の猛攻を受け、かろうじて食いとめていた。
踏み荒らされていく雪に赤い点がぽたぽたとついていた。代理の剣士が出血している、と一目で知れた。先の試合のものが開いたのか、新たな傷かはわからなかったが。
「まずいのかしら」
舞う雪より顔色が白くなっている桃色髪の少女が、ぽつりとつぶやいた。
銀光が繚乱する中、必死の形相で刺突をくいとめた剣士が、驚きの声をあげて体勢をくずした。氷のように硬くなっていた雪にすべったとみえる。
対戦者の剣がその頭上にきらめき、落ちかかった。
まともに受けようとしていればたぶん死なずとも重傷はまぬがれなかっただろうが、この刹那に剣士は地面に身をなげて転がっている。
幸いにして自分の剣でわれとわが身を傷つけることもなく、雪をけって剣士は距離をとることに成功した。
対戦者が淡々とそちら側に体の向きをかえる。
呼吸はこれ以上なく乱れ、体は雪まみれで血と汗に汚れていたが――代理の剣士の瞳からは不屈の闘志がいまなお見えた。
が、その瞳が対戦者の背後をみとめて、一瞬揺れたように見えた。その視線の先は、テーブルの方面である。
見るまに汗みどろのその顔が、不敵な笑みを浮かべて対戦者のほうに戻った。
「攻められるのは好かん。ムッシュ、そろそろこっちが攻めさせてもらおう」
体勢はともかく呼吸はそう簡単に治められないはずだが、油断なく構えを取った剣士の息が、荒いながらも一定のペースを急速にとりもどしていく。
じり、と再度距離をつめようとした対戦者が、ぎょっとしたように動きを止めた。
さきほどの対戦者顔負けの勢いで、剣士が苛烈に攻撃の剣をふるいはじめたからである。
相打ちを狙っているかと思われるほどの、捨て身にちかいやり方だった。
一剣を送ってまた一剣。
集中力を極限まで高めているらしく、手首をひるがえして送りだす刺突は、迅いながらも精密に対戦者の顔面や手首を狙っていく。
こんど必死に払いのけようとしているのは対戦者だった。
たとえ相手を殺しても、引き換えにこっちの目でも刺されてはたまらないとばかりに切羽つまった様子である。
対戦者は歯をくいしばり「この気ちがいめ」とでも罵りたそうな顔をしていた。
村役人もぼんやりと的外れなことを頭のどこかで考える。
(あんなに近寄って、刺されるのが怖くないんだろうか?)
剣士の手にある刃が激しく動きはじめ、雪の光を反射して鮮やかに銀の光芒をはなった。
孤をかいて円転し、その幻惑するような円の中から突きが繰り出される。その刺突がいよいよ速度と数をまし、必死で食い止める対戦者をたじたじと後退させてゆく。
ここが先途とばかりの猛烈な攻めは、尽きる前に火勢をもっとも激しくする炎のようだった。
力をふりしぼって攻め立てる剣士の、息もつかせぬ矢継ぎばやの刺突についに対処できなくなったのか、対戦者の男が一瞬ひるんだように動きを鈍らせた。
刹那、しゅっと送られた剣尖が、対戦者の手首をつらぬいて冷たさを伝え、「ぎッ」と激痛のうめき声をあげさせた。
とびすさった剣士の前で、勝ち抜き戦最後の対戦者が武器をとりおとし、手首をおさえてひざをつく。
とうとう代理の剣士が、武芸試合に出た者のうちでただ一人勝ち残ったことになる。
……ただし控え目に見ても、剣士は限界だった。
肺が破れそうなほど呼吸を荒げ、頭上からは湯気がたちのぼっている。
喝采を浴びせることも忘れて、村役人は立ち尽くしていた。
だが、この勝負が決まった次の瞬間に、すぐさま次の戦いを望む声が投げられていた。
「〈黒騎士〉、さっさとお前の役目を果たしてこい。
挑戦者が待っているだろ」
試合場にたった一人が残った時点で、領主の跡継ぎがそう命令を飛ばしたのである。
黒い甲冑の男は軽くうなずき、身をかえして試合場のほうへ歩いていく。
薄刃の大剣をすらりと抜き放って。
試合場でいまだ呼吸を整えている汗みずくの剣士が面をあげた。
甲冑の男の剣をまじまじとよく見つめてから、不敵な笑みがまたしてもその顔に浮かんだ。
そのとき村役人の横から、行商人の娘が涙声をはりあげた。
「不公平じゃないですか、あの方はさっきまで闘っていたんですよ!」
「黙れよ、娘。〈黒騎士〉だって今戻ってきたところだ。
……不平か? うん不平なのか? よし、もう少しおまえらに得な条件をつけてやろう。『決闘裁判』だ」
視線を行商人の娘にうつした領主の跡継ぎが、さらに面白いことを思いついたという表情になった。
朗々と言う。
「喜べ娘、父親の有罪無罪をかけてもう一度裁判をさせてやる。なんなら弟の身柄もつけてやるぞ。
決闘裁判、『始祖ブリミルの名にかけて戦われ、その恩寵あって勝ったほうの言い分が正しい』といういにしえの裁判だ。どうだ、わかりやすいだろ?
提訴人側の代理人には〈黒騎士〉を提供しよう。〈黒騎士〉が負ければ、優勝金を持って弟ともどもどこかに消えればいい。ただし負けたら多少、課される罰金に色がつくかもな」
口をあけて、行商人の娘は動きを止めた。破格といえなくもない条件に、逡巡の色が見える。
「惑わされるな」と村役人は大声で言ってやりたかった。
試合場の代理の剣士が勝ったところで、この目の前の残酷な貴族がそんな約束を守るわけがない。
(どうあってもこいつは俺たちを料理する気なんだよ。
いまは猫が捕らえたねずみに食いつく前に、いじくりまわして遊んでいるだけだ)
「面白い提案だな、おい。聞いたぞ。
まがりなりにも貴族なら、自分の言葉に責任を持つんだろうな」
試合場の剣士が、血と汗をぬぐいつつ声をテーブルのほうにかけた。
どうにか村役人は領主の跡継ぎから目をそらし、試合場のほうを見る。
剣士は傷がひらき、流れる血で体を朱に染めていた。呼吸も荒い。
(そうだ、それ以前にあんたが、〈黒騎士〉に勝てるとは思えないぞ。傍目からもわかるほど、あまりに疲労し、消耗しすぎているじゃないか。
〈黒騎士〉は一昨年の武芸試合でも昨年でも、対戦した相手の息の根をとめたんだぞ。それを見て、どら息子はことのほか喜んだから、今年もきっとそうするつもりだ……
だのにあんたは、なんでそんなに怖がってないんだよ? 挑発するようなことを言わなくてもいいじゃないか、ただでさえ死の際なのに)
頭では、そう考えていた。
だが彼の手足は、このとき思考と関係ないかのように動きだしている。
彼は先ほどのように、行商人の娘をひっぱっていた。強引な力に、娘が何か言っている。
立ちどまり、戸惑ったように見上げてくる娘の小さな肩を抱きよせて、その耳元に口をつける。娘が体を硬直させた。
村役人は、誰にも聞かれないよう密着した体勢のままささやく。
「もう少ししたら混乱になる、その間になんとか逃げろ。父親も弟もあきらめて一人で逃げるんだ。
村にはけっして寄らずすぐ他へいけ、できれば遠くの自由都市へ。そうでなければ、ここよりずっとましな貴族が治める領地へ」
それだけ言うと離れ、試合場の木の柵を乗りこえる。
行商人の娘が、横から叫びながら手をひっぱるのを振り払い、彼は試合場に降り立った。
剣士と黒い甲冑の男が対峙している試合場の中央まで、体をひきずるように近寄っていく。
恐怖と昂揚で、五体が麻痺したようだった。
目を丸くしている代理の剣士が、「……何しに来たんだ?」と声を発した。
村役人は、どうにか言葉を震える歯のすきまから押しだす。
「じゅうぶんだ、よ、よくやってくれた、あとは俺がやるから。も、もともと俺が、頼まれてたんだ。本来あんたらは、かか、関係ない。
剣をこっちに貸してくれ」
領主の跡継ぎをこれ以上刺激すれば、たとえ貴族でも消しかねない。
外壁にかこまれた庭にいるよそ者すべてを、家臣のメイジたちに命じて掃討させ、永遠に口を封じればよい。そんな粗暴で短絡的な判断をしかねない異常性が、あのカンシー伯の息子にはある。
「あ、あんたはさっき覚悟を見せてくれた。
平民だって、覚悟すれば戦えるよな。お、俺だってずっとこうするべきだと思ってたんだ」
領主の跡継ぎが行ってきた不正を、わが身かわいさに見てみぬふりをしてきたこと。
嘲笑されてもへつらって平伏し、自分の身を守るかわりに誇りを殺してきたこと。
たった今まで、「剣を知らないから」という理由で、自分の代わりに他人を闘わせていたこと。
それらが心をちくちくと刺していた。
なにをしても逃れられないのなら、もうこの剣士と桃色髪の少女を巻きこむ意味はない。
責任くらいは取っておくべきだった。
「そ、それにあんた、途中ではっきり気づいたけど女だろ。
戦わせといて、いまさらだけど、や、やっぱり男の俺が見てるだけで、女だけ戦わせるってのは違うよな。
だから、もういい、俺がやる」
心はようやく伴っている。だから剣さえ手に取れば。
そして試合場で〈黒騎士〉の攻撃に耐えながら、テーブルのほうに近寄ることが出来れば。
領主の跡継ぎは、間近で観戦するためにテーブルを試合場の柵ぎりぎりまで近づけている。剣を手にすれば、柵をとびこえて打ちかかれないことはない。
(どうせ最後なら、自分で猫に噛みついてやる。
剣を持ったら〈黒騎士〉に向かうふりをして、あのどら息子に打ちかかってやるぞ)
その輝くような金の短髪をもつ剣士は、意表をつかれたようにあごを引き、珍しい生き物でも見るかのような目で村役人を見た。
それから、年頃の娘とも思えないうなり声を発した。
村役人の覚悟を聞いて、領主の跡継ぎは疑いなく大喜びした。
ナイフとフォークをカンカンと鳴らして、その男ははしゃいだ笑みをこぼした。
「おう、選手交代は認めてやるぞ! 勇気には敬意を払おうじゃないか」
跡継ぎの歓声が聞こえた方向を、耳でしっかり確かめる。あえて目は向けない。
恐怖に目がくらみ、手が震える。この寒さの中、まだ激しく動いてもいないのに汗が背をつたう。
(どら息子を狙えば、混乱が起こるはずだ。あの娘が逃げられるくらいの騒動にしなくては。
最悪なら試合場から出た瞬間に魔法を食らう、最高に運がよければあの腐った頭を叩き割れる……ちっ、最高の結果でも俺が死ぬのは確実か)
剣士が小声で、ため息まじりに呼びかけてくる。
「やめておけ、馬鹿」
「いいから、は、はやく剣を渡して、柵の外に出ろってば!
ただ、できればあの娘だが、守って外に出し……」
「聞けよ。目の前のやつは味方だぞ」
「……えっ?」
村役人ののどから、間抜けな声がもれた。
やれやれと肩をすくめんばかりの剣士が、汗まみれの顔に笑みをにやりと浮かべ、「おい」と黒い甲冑の剣士に声を投げた。
「こいつはまともに戦えそうか? おまえの意見を述べてみろ」
村役人が呆然と聞いている中、答えはすぐさま返ってきた。
「無理でしょ、意気込みは買いますけどね。戦う決意をしても初めてではなかなか体がついていかないものです。まして死の危険があると思えばとくに」
「ああ。足から震えてる奴に、女は引っこんでろみたいなことを言われてもな。
お好きに殺してくださいとアピールしているようなものだ。おまえの言うとおり、意気込みだけは買ってやるべきだが。
……ところで、遅いぞサイト。そんなごてごてした鎧を着こむ暇があったら、さっさと駆けつけてこい」
「この甲冑であいつらの一味だと思わせてないと、門をすんなりくぐれませんでしたよ。
……アニエスさんが試合に出てるなんて知らなかったんだから、しかたないでしょうが」
〈黒騎士〉だと今の今まで思われていたその者が、すっぽり頭部をおおっていた兜を脱ぐ。
あらわれた顔は黒髪、黒目の若い男だった。むろん〈黒騎士〉ではない。
どう反応すればいいかわからず、サイトと呼ばれた少年をまじまじと見つめている村役人に、その少年はにっと唇をひいて笑いかけた。
「いい覚悟だったけど、モチはモチ屋というだろ。
剣の腕なんて一朝一夕でどうにかなるものじゃないんだから、この場合人に頼っても恥じゃないさ。
だから、あとは俺に任せてもらえねえかな。だいたいの事情はわかってるから」
「なにを偉そうに……
まあいい、後はおまえに任せる。万一にも不甲斐ない負けなど見せてくれるなよ」
剣士が少年に毒づきながらきびすを返し、試合場からおりようとする。
アニエスという名らしいその金髪の剣士に肩をつかまれ、村役人も急展開に追いつけないまま、引きずられるように柵の外に退場した。
その首を絞めるように腕をまわし、涙をためた行商人の娘がとびついた。
ぐったり息をついた金髪の剣士の肩を、桃色髪の少女がたたいて声をかけている。
「最後のはすごかったけど……ああいう戦い方は危なすぎない? 相打ち狙いに見えたわ」
「試合で戦う者は、たいていは経験をつむほど無茶な戦い方をしなくなる。
平民だと貴族ほど名誉にこだわりもないから、皮肉にも技量があるぶん命を大切にする傾向があるんだ。ああいった手合いにとっては、相打ちなんてもってのほかだな、そこにつけこんだ。
あとは、まあ、こっちの覚悟だな。二度とやりたくないが」
…………………………
………………
……
試合場に残った少年は、テーブルに座している領主の跡継ぎに向きなおり、剣先でその胸を指して宣告した。
「決闘で決めるんだろ? 代理も認めると、いま言ったよな?
それなら俺が、被告の擁護者になる。誰だろうと相手になってやる」
領主の跡継ぎも〈赤騎士〉こと家令も、村役人とおなじく予想外の事態にとまどいの表情を見せていたが、このとき泡を食ったような勢いで跡継ぎがたずねた。
「おい、〈黒騎士〉はどうした! それはぼくがあいつに与えた鎧だぞ」
「たまたま街道を通っていたら、馬車が襲われていたのを見たんでな。
あんたらに利用された商人は傷を負ってる。重くはないが念のため下の街に行かせて養生をすすめたよ。
で、盗賊まがいのあの連中なら縛って転がしておいた。もっとも、この鎧は俺のほうが盗賊よろしく拝借したんだけど」
「あの役たたずが!」
跡継ぎの罵声をよそに、〈赤騎士〉のほうは静かに目を細めている。
そのメイジは、確認するように慎重な声をだした。
「なるほど、〈黒騎士〉は自分の手で片づけたと言いたいのだな。それなりの腕はあると見ておこう。
声が違うことを怪しまれないよう、風邪でのどの調子うんぬんと言ったり小ざかしいことだ。
……決闘裁判を要求するとな? だが、あいにくこっちに平民の剣士はもういないんだ」
「誰だろうと相手になると言ったろ? メイジならそこに並んでる。
俺とそっちの貴族たちのうち誰かが一対一で戦い、俺が勝てば被告は無罪。
あんたらが勝てば、俺の身柄もふくめて全面的にそっちの好きにしていい」
これを聞いて、得たりとばかりに〈赤騎士〉が間髪いれずうなずいた。
「よし! その条件をのもうではないか。
だが、おぬしは本来まねかれざる客だ……こっちも条件をつけくわえさせてもらおう」
〈赤騎士〉は横むいてかがみこみ、領主の跡継ぎの耳元にささやいた。
怒りからか蒼白になっていた跡継ぎの顔に、たちまち血色が戻る。ナイフとフォークを皿に打ちつけて音を鳴らし、跡継ぎは声をはりあげた。
「一対一形式にはしてやる。ただし、おまえは本来ならいくつかの試合を勝ち抜いてそこに立つべきだった。
だから、最低でも四人に勝ち抜かねばならない。
それとその鎧はいますぐ脱げ、ぼくの物だからな」
柵の外にもどっていた村役人は、これを聞いて行商人の娘ともども真っ青になった。
(どれだけ腕がたつ剣士だろうと、メイジ一人に勝つことさえおぼつかない。
あの少年は死んだも同然じゃないか)
何と言えばいいのかわからないが、とにかく制止しようと声をあげかけたとき、村役人の袖をだれかが引いた。
見ると、灰色のフードをかぶって顔を隠している者がいた。〈黒騎士〉に扮していた黒髪の少年についてきた、従者らしき服装の者である。
その者は、静かに、というようなそぶりをしてみせた。
「そうとも、騒ぐことはない。見ていればいい」
淡々とつぶやきつつ、金髪の剣士がマントをはおった。
行商人の娘が前にでて、恥ずかしそうにうなだれた。
「すみません、おねえさまだったのに、わたしったら最初に『おにいさん』などと呼びかけてしまって。
……あのときは涙で目が曇っていて……そうでなければ、こんな美人なかたを見まちがえなかったのに」
「褒めてくれるのはありがたいがやめてくれ、私は武人だ。男と間違われても、過度に女あつかいを受けるよりましだ」
げっそりと金髪の剣士が手を振った。
と、村役人の前にいた従者が身を返し、金髪の剣士に近づいて何事かささやいた。
見るまに剣士が狼狽する。
「いえ、そうは言われますが……いえ、いえ、お言葉なれどそれは……待ってください、か、可愛い服など任務に必要ありません!
ああ、傷ですか? こんなものはかすり傷でございます。今はまだ治療の必要はないかと……
はい、事情はかくかくしかじかの次第で……」
離れたところでこそこそと小声で交わされている会話に、なんとなく耳をかたむけている村役人だったが、桃色髪の少女が間にたちふさがった。
「余計なことは知らないほうがいいわよ。というか懲りたら?」
「……そうだな」
…………………………
………………
……
風雪はいよいよ猛威をふるい、試合場は冷煙うずまく様を見せている。
衆人の注目のなか、黒髪の少年は篭手をはずし、胴鎧を脱いでいく。
甲冑に慣れていないのか、たどたどしい手つきだった。通常は人の手を借りて着脱する物だからでもあるだろうが。鎧の下から現れていくのは、村役人が見たこともない服である。
試合場に上がってきた〈赤騎士〉が、少年に嫌味っぽく声をかけた。
「そう慌てるな、待ってやる。もう少しゆっくり脱ぐといい」
「今はせっかちな気分なんだよ」
自分の体から黒い甲冑をおしげもなく取り去っていく黒髪の少年は、そう答えながらも油断なくしっかりと大剣を手につかんでいる。
〈赤騎士〉はふふんと鼻で笑い、言葉をつづけた。
「若様を安心させるためにああは言ったが、平民相手に貴族が四人も必要ないのはおまえでもわかるだろう?
私が家令を任されたのは、家中最強の騎士であったからだ。おまえの相手は最初の私で終わりだ。だからゆっくりこの命ある時間を味わうがいい、と言ってやったのだよ。
まったく、いくら腕に自信があるか知らないが、馬鹿なことを言ったものだな。
……一応訊いてやるが、若様に仕えてみる気はあるか? 今なら頭を地にすりつけて慈悲を乞えば許してもらえるかもしれんぞ」
「鐘が鳴ったら試合開始なんだよな?」
鉄靴を地面に放りだして、底に鋲を打ってあるらしき布の靴をはきながら、少年がそう確認を求めた。
長広舌を流されて鼻じろんだ〈赤騎士〉が「ああ」と答え、杖を引き抜いて準備に入る。
横からかん高い声が飛んだ。「無駄なおしゃべりはいらないぞ、さっさとその無礼者を刻むんだ」と。
すっかり冷えているであろう七面鳥の残りを切り分けている領主の跡継ぎが、いらだったように命令を飛ばしたのである。
「いや待て、街に隠したという被告の場所を吐かせるため生かしておくべきだな。だが腕や足はいらん、何本か切ってやれ。
さあ鐘を鳴らせ!」
その命令にこたえて、鐘楼の上で七つの鐘がいちどきに鳴らされた。
鐘が冬空をどよもしたその刹那に、雷電のような一撃で〈赤騎士〉は地面に斬りふせられている。
領主の跡継ぎの手が、ナイフとフォークを持ったまま凍りついた。
黒髪の少年がやったのは、雪を蹴立てて敵の前にとびこみながら袈裟がけに剣をふりおろす、それだけの単純きわまる動作である。
ただ、異常なほどに迅かった。
傍で見ていた者の目には、稲妻がひらめいたかと映っていた。
雪塵を巻いてふりおろされた一剣は、まさに魔法を放とうとしていた〈赤騎士〉の杖を途中から断ち切り、鎖骨のあたりを鎧の上から強打していた。
それによって〈赤騎士〉は、雪と泥のまじる地べたに這うことになっていた。
猛烈な斬撃の勢いによって叩きふせられた格好である。鎧にまもられていたため、直接の傷はついてはいないだろうが。
ほかの平民の見物人たちと同じく声も出ない村役人の横で、「あのしゃべる剣は頑丈だな、あんな乱暴な使い方をしてよく折れないもんだ」と金髪の剣士がぶつぶつ言っている。
先手必勝の模範例をしめした黒髪の少年は、信じがたいものを見る目で顔を起こした〈赤騎士〉の鼻先に剣をつきつけた。
「せっかちな気分だと、さっき言っただろ」
鐘はいまだに鳴っていた。
ひん曲げた唇を震わせている領主の跡継ぎが、テーブルの後ろでざわめいているメイジ兵たちをふりむいて怒鳴った。
「次の奴!」
…………………………
………………
……
四人目が下された。
それなりに善戦したばかりに他より重傷を負ったそのメイジが、もっとも不運といえた。杖をふった瞬間、光の矢をかわした少年にわき下の甲冑のすきまを突かれたのである。
軽く息をみだしながら、黒髪の少年は無造作に大剣をふりはらう。赤い血が点々と、それほど荒らされていない雪面に散った。
武芸試合で敗退したあと、見物していた平民の武芸者たちがわっと沸いた。
いっぽうで、領主の跡継ぎがかかえるメイジ兵たちは動揺のきわみに達しているようだった。
無理もない、と村役人は思う。剣士がメイジを、子供同然にあしらっているのだ。このような光景は常識にはずれている。
貴族の血にぬれた霜刃と、サイトと呼ばれた黒髪の少年が放つ鮮烈な気迫が、あきらかにメイジ兵たちをひるませている。
異様なほどに使い手自身の速度がきわだっている。範囲の狭い魔法ならやすやすと避けるのだ。
軽捷霊妙の剣さばきと、雷を秘めているような四肢。
古今に名だたるメイジ殺しの誰であれ、この黒髪の少年ほど恐怖の的になりはしないだろう。
最初の〈赤騎士〉戦の瞬殺は意表をついたゆえにしても、それ以降の三戦もあっけないほどすみやかに勝ってみせたのだ。
アニエスと呼ばれた金髪の剣士もじゅうぶんに強かったが、この少年の強さは根本のところから質が違った。
自分にしても夢を見ている気分で、たぶんあっち側の陣営は悪夢の気分だろう。
「こうして見るとサイトの奴、目立つな……」
金髪の剣士が感心したような、微妙に悔しがってもいるような声を出した。
なぜか得意げに薄い胸をそらしているのは桃色髪の少女である。
従者姿の、顔を隠した者がぱちぱち手をたたいた。こちらも喜んでいるらしい。
行商人の娘が呆然とした表情のまま、村役人の手をとってくるくる踊りはじめた。
振ってわいたような幸運に混乱し、踊りでもしないとどうやって困惑混じりの歓喜を表現していいかわからないのは村役人も同じである。
彼もとりあえずつきあって踊るのだった。
周囲に苦笑されつつちゃんちゃか続行されていたその踊りがストップしたのは、向こう側でどん、とテーブルを叩いた領主の跡継ぎが、四度目に怒号したからである。
「次だ!」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ、サイトは四人抜いたわよ!」
看過できないとばかりにこちら側の陣営から大声をはりあげたのは、桃色髪の少女だった。
ぎろりと血走った目が返る。
「最低でも四人、と言ったんだ。五人だろうと十人だろうと闘わせてやる。
できないというなら、ぼくが勝ったってことだ!」
殺気をこめて吐き捨てた跡継ぎが、振り向いて残ったメイジ兵たちに命じた。
「全員まとめて試合場に上がれ!」
「この、貴族の面汚し……!」
桃色髪の少女が激怒に眉をつりあげ……みずからの杖をひきぬいた。
…………………………
………………
……
「なあルイズ」
「な、何よ! わたし絶対悪くないからね!」
「いや、俺だって助かったわけだから、いいんだけどさ。
もう少し人目を気にして、エクスプロージョンの威力を抑えるとかだな……」
黒髪の少年がまじまじと、破壊されたテーブルの周辺を見た。
領主の跡継ぎ以下、そのあたりにいたメイジはそろって虚無に吹きとばされ、気絶して地面に転がっている。
テーブルの惨状はより正確に言うなら、木っ端微塵になっているのである。クレーター状に地面がえぐれていた。
「ラ・ヴァリエール殿の魔法を見ると思うのだが、これで直接の死者が出ないというのが信じられんな」
金髪の剣士が嘆息し、従者の格好をした者は苦笑をもらしたようである。
庭にいた残りの者は、苦笑どころではない。青くなって桃色髪の少女から距離をおいていた。
村役人も、正直ドン引きしている。
ルイズと呼ばれた桃色髪の少女が、うつむいた。
「存在自体が、貴族の理念を馬鹿にしてるような奴だったのよ……我慢できなくなって」
「それはわかるよ。よくわかるけど、ここまで来て爆発されたら、アニエスさんや俺の苦心は一体……まあ、ほんとはスッとしたけどな」
黒髪の少年が笑った。引きこまれそうな晴朗な笑顔に、桃色髪の少女が「……ふん」と横を向く。
一方、庭の隅では爆発に巻きこまれなかったメイジたち、〈赤騎士〉ならびに数名が顔を土気色にして立ち尽くしている。
「さて、後始末はどうしたものか?
すべてを表沙汰にするとなると、カンシー伯爵家の名に傷がつくのはもちろんだが、この娘の父親も結局は処罰されるな。
私の意見では、法は基本的には厳格であるべきだと思うが……」
金髪の剣士が首をひねりつつ、行商人の娘を見やった。娘は泣きそうな顔になったが、けっきょくは黙りこむ。
だれもが考えこんだが、その思案はすぐ中断された。
なぜなら、鐘楼の鐘が鳴らされたからである。
試合も終わり、もう響くことはあるまいと思われていたその音色が、またも大気をどよもしていた。
むろん何者かが鳴らしたのである。それはこの場の面々以外の、外から接近した者だった。
「開門!」
重々しくがなりたてるような先触れの声がそう伝わった。
まず最初に馬に乗り門をくぐって現れたのは、壮年の痩せた男である。今しがた死神の顔をのぞいてきたというような陰鬱な気配をただよわせていた。
その後に列となって続いた数名の騎士たちは、毛皮や分厚いウールの服を身につけている。いずれも旅の塵埃に汚れたみすぼらしい服で、統一性もない。
だがこのくたびれた外見の連中は、規律と危険さを周囲に感じさせていた。全員同じきらきらしい服にととのえたまま、地面に倒れている跡継ぎの護衛たちよりよほどに。
『先ほどの四人は、最初の奴以外ラインだったが』とつぜん黒髪の少年の持っていた剣が口をきく。『あれは全員トライアングル、それも歴戦だな』
少年もまた列を見てから、慎重にその剣に答えている。「あいつらが相手なら、二人以上とは同時に戦いたくねえな」
剣が持ち主と会話したことに、村役人はあまり驚かなかった。もっと驚くことがあったので。
「……あれは領主さまだ……カンシー伯爵だ。
帰ってきたのか?」
村役人の驚嘆の声をうけ、金髪の剣士が目をみはった。
「あれが? ほう、息子とぜんぜん違うな。
いやな奴には変わりなさそうだが、馬鹿には見えない」
陰々とした雰囲気をただよわせるその男は、馬をとめて馬上からあたりを睥睨した。
周囲を見渡していたその視線が一箇所でさだまる。倒れている者のなかから、みずからの跡継ぎを確認したようだった。
カンシー伯爵は、前触れもなく「私は帰ってきた」と宣言した。
領主は、緋の裏地のマントをひらめかせて馬からとびおり、侮蔑をこめているとはっきりわかる表情になった。
「わが領民であるなしに関わらず、最初に伝えておくことがある。
旅先でその愚か者の所業が耳に入ってきた。その時点で、そいつを跡継ぎから外すことを私は決意していた。
私は近々再婚する。ゲルマニアから花嫁を連れてきた。その女が、もう少しましな子供を産んでくれるだろう。
なお、当然ながら家令も罷免する。彼は息子ともども、私に恥を存分にかかせてくれた」
聞く側の耳が凍てつくような、冷酷な声である。
「お館さま……」
顔色を失ってたたずんでいる〈赤騎士〉が震え声を発した。
霜が降りたような顔でカンシー伯爵はその家令を見た。
「君にはたった一つ礼を言うべきだな。よくぞわが家を潰さないで残しておいてくれたものだ。
伝え聞いた乱脈ぶりでは、いつそうするのも簡単そうだと思われたが」
強烈な皮肉を言ったきり、〈赤騎士〉をもはや一瞥もせず、帰ってきた領主はふたたび歩き出した。
同じく馬からおりた護衛の兵たちが、その周囲をつつむように規律のとれた足並みで移動する。
試合場を横切るように歩き、その中央でぴたりと足をとめ、カンシー伯爵は向きなおった。
視線の先に、今度は黒髪の少年がいる。
「さきに斥候に出した使い魔の目で、今日開かれた裁判の一部始終は確認している。
わが領地で密売に関与したという商人を引き渡してもらおう。それとその娘、そして村役人の職にあるという若者はすみやかに名乗り出よ。
これは領主としての命令だ」
村役人の心臓が、のどから飛び出しそうになった。
サイトという少年が、あからさまに難色をしめす。
「ちょっと待ってくれねえかな。一部始終を確認したならわかるだろ、その件はさっき片がついたんだ」
「何も片づいてなどいない」
カンシー伯爵は、当然という表情で言ってのけた。
「この領地において裁判権を有するのは本来、カンシー伯爵である私のみであり、留守のあいだは指名した名代にそれを委任していたにすぎない。
さきほど言ったとおり、そこに倒れている男は今日の時点ですでにわが嫡子ではなく、〈赤騎士〉はわが家令ではなくなっていた。
どちらもとっくに、わが名代たる資格を失っている……したがって、今日行われたどんな種類の裁判も正式なものではなく、無効だ。裁きは後日にあらためて私がくだす」
これを聞いて村役人の顔は、たちまち血の気を失った。
(冗談じゃない! 領主さまは、禁制品の密売にカンシー伯家がかかわったという証拠を、可能な限りもみ消す気だ。
俺たちごとまとめて内々に始末しようとしているぞ。裁判なんかに応じればまた有罪、どころか牢内で暗殺されかねない)
家名を汚したかどで元・跡継ぎが父親からどんな酷烈な罰を受けようが、彼はざまあみろとしか思わない。だが、自分たちにも累がおよぶとなると願い下げである。
カンシー伯爵はその息子と違い、ことさらに残酷な統治者というわけではない。だが、温かい人物とも言えなかった。領民の命と家門の名誉では、後者をためらいなく優先させるだろう。
村役人たちに対してカンシー伯爵が押しつけるであろう運命は、その息子とは動機こそちがえ、結果は似たり寄ったりのものになるはずである。
(どうすれば……)
だが、このときも救いは訪れた。
黙っていた金髪の剣士が、村役人の横でふんと鼻をならした。
冷たい視線をそちらに向けたカンシー伯爵に、彼女ははっきりと言った。
「裁判権を有する大領主なら、ちゃんと同席していたよ。
トリステイン全土の、本来の領主が」
カンシー伯爵はじめ、意味をつかめず眉をひそめる者たちをよそに、彼女は振りかえって声をかけた。
「陛下」
……サイトという少年はここに来たとき〈黒騎士〉の甲冑を身に着けていた。そして従者の格好をした者を連れていた。
その、フードを目深にかぶっていた従者が、このときそれを払うように脱ぎ捨てた。
やわらかい栗色の髪が、白い風に逆巻いた。盲いたようなほの白い空の下、冷たく舞い散る雪華のなかで。
湖水のような青い瞳が、しずかにカンシー伯爵を見すえている。
「彼女」は、あっけにとられている多くの目のなか、庭の半ばまですすむと、その朱唇を開いた。
銀の鈴を転がすような声が名乗った。
「アンリエッタ・ド・トリステインです」
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ルイズをともなって女王が試合場に上がると、さっとアニエスがひざまずいた。才人がデルフリンガーを地面に刺すようにして待機の姿勢に入る。
カンシー伯爵は一瞬眼を見ひらいてからまばたきを何度かくりかえし、やがて眼を細めた。同時に、彼もひざを折っている。
聴衆は度肝を抜かれた様子で静まりかえっていた。
この日の変装は、貴族の子弟が身に着ける乗馬服のような衣装。
つねの公式の場での落ち着いた動作からは想像しにくい、おてんばなほど軽やかに動きまわるための格好。
けれどもこのときの彼女は、私人ではなく、女王としての威厳をおもてに出していた。
「女王つまりわたくしの保有する裁判権において、今しがた行われた決闘裁判とその結果を認可します。
言っておきますが、そのような重大な裁判を認めうる権利は本来、国王のみが有するはずです。あなたのご子息は王のみの権利を侵そうとしていました。
無罪となった被告、また当然のことながらその家族には指一本触れぬようお願いしますわ、カンシー伯爵」
ひざまずいて眼をふせていたカンシー伯爵が、ぴくりと反応した。
顔を上げずに彼は、トリステインの領主にして彼の主である、年端もゆかぬ女王に反論する。
「陛下……いかにも裁判権において、王権はすべての貴族の上位に位置します。
しかし陛下、国王裁判所、高等法院でもない場でそれを適用されるのですか?
ましてや決闘裁判は、とうの昔に王令によって廃止されております。まさかそれをご存じないわけでもありますまい」
「ええ、いろいろと強引ではありますが、今回はわたくしの独断で特例を認めることにいたします。
不服そうですね。ですが領主が跡継ぎを廃嫡し、家令を罷免するときも、まず王政府にその旨を届ける必要があるはずでは?
横紙やぶりを行っているという点で、あなたとわたくしは似たようなものですわ」
にこりと、アンリエッタは笑みをうかべた。
女王の皮肉に、カンシー伯爵は顔色を変えるでもない。
「これはおそれいります。確かに先ほどの宣告は、いささか拙速にすぎました。
……ですが、密売の罪をうやむやになされるつもりですか?」
「この件はうやむやにするとわたくしが決めたほうが、あなたの真意にも合致するのではありませんこと?
カンシー伯爵、わたくしはことを大げさにする気はないのです。
約束します。あなたの息子の関与した『禁制品密売』の犯罪を王政府が公に追及することはなく、あなたの家門にその咎をおわせることもないと。彼の処罰はあなたに一任します。
そのかわりあなたも、王の庇護下にはいった者に手出しは無用です」
アンリエッタのこの言葉は、たしかにカンシー伯爵にとっても願ったりかなったりだったろう。
カンシー伯家に王政府の咎めがなく、ことが決定的に表沙汰にならなければそれで彼には問題ないのだから。
彼は主君に頭をいっそう下げた。
「ではこの話は、もはや持ち出しますまい。
あの愚か者については、『王政府に逮捕されていたほうがましだった』と思うような目に合わせることを約束します、陛下」
冷え冷えとした声に、アンリエッタは寒気を覚えた。
この領主であれば、肉親の情けとは無縁と思われた。
…………………………
………………
……
館の庭を出て、雪の路上。
行商人の娘は、アンリエッタの顔を見るのさえ怖れおおいと思っているようだった。
がちがちに固まりながら、足元に視線を落としたまま顔をあげられないでいる。
村役人も相当に身をかたくしていたが、行商人の娘のあまりの緊張ぶりにかえって余裕を取り戻したらしい。
「しっかりしろよ。せっかくだからちゃんと女王陛下の顔を拝させていただけって」
その青年に背中を叩かれてひう、と声をもらし、ようやくおずおずと娘は顔をあげた。
アンリエッタはとりあえず安心させるように微笑んだ。とたんに娘は元通り下を向いてしまう。
今のアンリエッタは女王らしからぬ格好なのだが、それも娘にとっては「女王陛下と向き合っている」事態からくる緊張をやわらげる助けにはならないらしい。
アンリエッタはそっと話を切り出した。
「お父君を含めたあなたたち家族のことだけれど」
「は、はいっ」
「あなたがたにはこの国のどこにでも住む権利があります。ただ、この土地からは離れたほうがいいわね。王都などいかがでしょうか。
お父君は怪我を負いましたが、心配はいりません。二週もあれば完治して、その後は健康に働くことができます。
参考までに、王政府系列の銀行では事業をおこす元手を低金利で貸しつけるようにしていますから、いつでも利用なさって」
よどみなく言ったアンリエッタは、娘が上にあげた顔が呆然としているのを奇異に思った。
「どうしたの?」
「あの、女王陛下……それだけ、なのですか?
父さんの罪は咎められないのですか」
「……やむにやまれず、と聞いています。それにすでにこの件は丸ごと忘れる、とカンシー伯爵に言ってしまいましたから。
ただお父君のこれまで築いた財産のうち、法に背いて手に入れた部分は没収させていただきますが」
最初の一瞬だけアンリエッタは逡巡の色を見せたが、すぐ言葉をつむいだ。
すました表情を浮かべている。
「他にも。目の見えない弟君のことですが、よい環境を望むならトリスタニアの施療院に預けてみてはいかがかしら?
いえ、あなたが弟君と離れがたいというのなら、同じ施療院で看護婦になってみるという手もありますよ。
これもまた王政府肝いりの施療院で、従来の施設より質の向上をはかっています。人手はいくらでも欲しいの。あなたのような子が来てくれればと思うのだけれど。
トリスタニアはいいところよ」
「あ、はい、ええと、こ、この人が来てくれるなら行きます」
次から次へと突然の話に目をまわしかけている行商人の娘が、村役人の袖を引っぱってうろたえきった様子で口走った。
村役人の青年が冗談じゃないとばかりに目をむく。
「おいこら、なんで俺が関係あるんだ!? おまえは事あるごとに俺を巻きこむ癖でもついてるのか!」
アンリエッタのそばに来ていたアニエスが小さく、「サイト並みに鈍い奴もいたもんだ」と呆れ声でつぶやいた。
女王が「隊長殿」と呼ぶと、彼女は静かな目で主君に近寄り、耳になにかをささやいた。
アンリエッタの体が微妙にこわばる。銃士隊長はひとつうなずいて女王から離れ、一歩前に出た。
平民二人の肩を抱くようにして歩かせる。
「それでは、陛下のおおせでお前らをとりあえず村に送る。
あと貴様に言っておくが、この子くらいの年頃でもレディは侮るべからずだ……いや、説明はしてやらん」
背を向けて去っていく彼らを見送ったアンリエッタは、息を吐いた。
瞳を伏せる。
(アニエスには気づかれていた)
銃士隊長はこうささやいたのである。
『……陛下、あまりお気になさらぬよう。『法を厳格に』と私は申しましたが、あれはひとつの意見です。
厳格に法を適用することが、つねに最善とはかぎらないという事例を私はいくつも見てきました。現に目の前の二人は、陛下の判断で救われております。
あのときは治安をも考える者としての立場で、まず一応は申しあげたまでですから』
――今回は多くの者が、法を守っていなかった。
最後には女王である自分自身も。
それがアニエスの言うような「最善の判断」だったとしても、アンリエッタは知っている。自分は情に流されたのだということを。
見も知らないほとんどの民には、王の名の下に法を徹底させる。一方でたまたま縁があった者には情けをかける。それでいいのだろうか。
この行いは女王として、ほんとうに正しい行為だっただろうか?
よく悩むことではあるが、今もそれがアンリエッタの心に、一抹の影を落としていた。アニエスはそれを見抜いたのである。
(……もう考えないようにしましょう。わたくしには、他にもっとましな決着は思いつかなかったのだから。
関係者全員の罪を公にすれば、あの娘を泣かせ、カンシー伯爵の面目をつぶすことになったでしょう。それは「正しい理」ではあっても「賢明な政治」ではない、はず)
政治。この場合はカンシー伯爵のような、一筋縄ではいかない貴族たちを束ねる技術。
貴族にとって大切なのが「家門」と「名誉」である以上、そこに触れないと約束してやれば彼らとて、女王の不興を買うような真似をあえてすることはないのだ。
むろんこちらが強い立場である以上、ごり押しで全面的にこちらの言い分をのませることも出来ただろうが……やはり賢明な方法とはいえなかった。
(賢明、などと……)
アンリエッタはまたしても自己嫌悪を感じる。
政治的な駆け引きなどといっても、要するに恫喝と譲歩を組み合わせて、相手の妥協をひきだすだけではないか。
そんなことを覚えたかったわけでは、決してない。それでも覚えなければならなかった。
いつでも敢然と自らの正義をつらぬけるルイズがまぶしい、とアンリエッタはこのようなときに思う。
「姫さま」
呼びかけられて、びくっとアンリエッタは反応した。
当のルイズが数歩離れたところに立っている。
最近すっかり大人びてきた親友は、はっきりした声で述べた。
791 :
ボルボX:2008/02/16(土) 21:24:27 ID:18pCN0Si
うあ・・・あとほんの少しなのにスレ容量におさまりきらなかった・・・新スレが立つまで待ちます。
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