らき☆すたの女の子でエロパロ34

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1名無しさん@ピンキー
アニメも好評のうちに終了し原作も大好評連載中、PS2版も08年1月発売予定の「らき☆すた」でエロいの行ってみよ。



☆カップリングは自由
☆基本的に百合マンセー
☆801は禁止(と言っても男キャラあんまいねぇ)
☆投下した作品の保管を希望しない場合、前もってその旨を知らせること



※マナー等※
※割込みを防止するため、書き込みや投下の前等にリロードを。
※荒らしや煽り、気に入らない人・作品等はスルーで。
※グロやSM、鬱モノなどの過激な内容は断りを入れてから投稿する
※読者=主人公の作品(いわゆる俺キャラもの)についてはNGワード指定や断り文を確実に。
※480KBまたは950レスのどちらかに近づいたら、次スレの準備を。



■みゆきさんの一言メモ

・投稿の際に、メール欄に半角英数でsageと入力すると、スレッドを上げずに書き込めます
 『sage』では有効になりませんので、全角・半角を確認してください

・スレッドの閲覧・書き込みは、絶対ではありませんが専用ブラウザの使用を推奨します
 これにより『人大杉』のエラーが回避できます

・SS投下は、一度メモ帳やワードパッドなどで書き上げてからまとめて投下してください
 投下間隔があくと、他の方がレスできなくなってしまいます



マターリはぁはぁしましょうか。



☆まとめサイト(管理人と職人に感謝!)(避難所の行方はここ参照)
ttp://www33.atwiki.jp/kairakunoza/pages/1.html
☆派生サイト:てけてけかなたさん伺か化計画
ttp://neo-experiment.hp.infoseek.co.jp/index.html
☆前スレ
らき☆すたの女の子でエロパロ33
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1200294732/
2書く人:2008/01/20(日) 21:42:28 ID:+TE0f8k7
お久しぶりです。実はちょっとネット環境と隔絶されてまして
というわけで、久しぶりに投下します。

エロなし
TS
やや鬱
3らき☆すた SEXCHANGE 虚実編:2008/01/20(日) 21:43:41 ID:+TE0f8k7
 恋とは素晴らしいもの。今朝まで高良三行はそう思っていた。
 昨日の学校帰りに、意中の人を同じくした親友の柊司と、こなたが想いを決めたらそれを尊重することと、
 たとえ自分たちの恋の結果がどうなろうとも友情は継続することを約束した時にも、恋の素晴らしさを再確認していた。
 しかし、その素晴らしさが恋の一面にしかすぎないことを―――恋には、素晴らしさと釣り合うだけの辛さが存在することを知ってしまった。
 それを三行に教えたのは、ばっさりと切られたこなたの髪だった。



「ふぅ……」
 昼休み。三行は食堂で食事をとった。珍しく一人。
 いつものカルテットではない。司とこなたは教室で、鏡は今日は自分の教室で弁当を広げている。
 もちろん、鏡と三行が昼食に誘われなかったのではない。二人とも用事があると辞退したのだ。
 そして三行の用事は、架空だった。
「おそらく…鏡君もでしょうね」
 ホットのペットボトル茶を一口飲んで、三行は呟く。
 最後の一口だった。時計を見ると、休み時間はまだだいぶ残っている。
 普段ならほぼ休み時間いっぱいかけてゆっくりとるのだが、今日はだいぶ早く平らげてしまった。
 会話という労役から、口が解放されていたからだろう。
「労役…」
 普段ならば、こなた達との昼食の会話に労など感じない。けれど、今日は違う。
 今日のこなたとの会話は辛い。
 こなたは、普段通りなのだ。
 普段通りの明るい、ゆったりとした、こちらも和んでしまいそうな雰囲気。
 けれども―――いや、だからこそ惑うのだ。
 襟に届く程度の、真っ直ぐな髪の断面が。
 理容師の手ではない。自分で、何か大きな刃物のようなもので切ったのだろう。
 髪に対するいたわりの欠片も見られない、自傷の様な切り口。

 ――どう?髪切ったんだ、似合う?――

 こなたはただそれだけ言った。日向でまどろんでいた猫が、少し面白いおもちゃを見つけたような風に。
 それ以外に髪に関して触れようとしないし、それとなく触れてみても避けられる。
 明らかに何かあったのに、けれどもそれを見せようとしない。
 その挙措動作から少しでも理由を透かし見ようとしても、全く分からない。
「いいえ…分からないのではなく、認めたくないだけですね」
 認めたくない、おそらく正解である理由。それは自分たち――三行と司のアピールだ。
 それこそがこなたが髪を切った要因だろう。だが、そこで一つ新たな疑問が浮上する。
「なぜ、それが髪を切るという行動につながったのでしょうか?」
 始点が分かっても、断髪と言う終点に辿り着くまでの経過―――直接的な動機が分からない。
 理解不能。
 それはおそらく、同じように戸惑った様子だった鏡も、そして一見していつもと変わらない様子でこなたに対応する司もそうだったのだろう。
「司君に…負けてますね」
 劣等を感じる対象は、いつも通りの司の態度。
4らき☆すた SEXCHANGE 虚実編:2008/01/20(日) 21:44:01 ID:+TE0f8k7
 おそらく司もまた、こなたの行動の間接的な理由が自分達であることは気付いているはずだ。
 けれども司は昨日のまま。
 それを傲慢や無神経と評するのは簡単だろう。けれど実行するのはどれだけ大変か?
 少なくとも三行にも鏡にもできなかった。
 こなたが、おそらくは司の様な対応をしてくれることを、自分たちに求めているにも関わらずに。
「そう言えば、鏡君もどこか様子が変だったような…」
 三行は鏡の様子にも奇妙さを感じていた。
 単にこなたが髪を切ったことによっての変調かもしれないが、どこか違うようにも思える。
 距離間、とでも言えばいいか?どうもこなたのみならず、司や三行と話す時のタイミングや間隔が、
まるで知り合ったばかりのようなぎこちなさを感じる。
「はぁ…」
 もう一口とペットボトルに口を付けて、それが空であることを思い出す。
 取り留めのない思考の流れが、没入する直前の記憶を押し流してしまっていたらしい。
 時計を見る。まだ秒針が一周しただけだ。
 どう時間をつぶすか?あるいは教室に戻るか?
 それを考えようとしていた時だった。
「三行さん…」
 囁くような、けれどよく通る声が掛けられた。よく知る声だった。
 近所に住む、後輩の少年である岩崎南の声だ。
 親愛なる後輩に対して、先輩として悩みに曇った表情を見せまいと、いつもの笑顔を作って対応しようとした三行だったが、
 その表情はすぐに曇る。理由は南の長身に、寄り添うように立った小柄な少女の表情だった。
 ゆたかだ。俯いた顔になるのは赤く腫らした目。その下には薄く隈が浮いている。
 一晩中泣き明かしたような表情だ。あるいは、本当に泣き明かしたのかもしれない。
「小早川さん、どうしたんですか?」
 問い詰めるような口調を極力抑え、促すように訊く。
 ゆたかは一瞬顔を挙げるが、再び自分のつま先を見つめ、逡巡の様子を見せる。
「ゆたか…」
 南の手が、ゆたかの背中を軽く押すようにそっと撫でる。
 ゆたかは、再び顔を挙げてもう一度、三行を見る。目は潤んでいた。
「私の……所為かも知れないんです…」
 蚊の鳴くような声。何がとは聞かない。急かしたくなかったし、予想がついたから。
 そして、続く言葉はそれほど待たなくてもやってきた。
「こなたお姉ちゃんが髪を切ったの……たぶん、私のせいなんです」





「二人でランチってもの久し振りだね」
5らき☆すた SEXCHANGE 虚実編:2008/01/20(日) 21:44:42 ID:+TE0f8k7
「そだねー」
 教室で司とこなたは食事を取っていた。
 取り留めのない会話の連続。
 けれど普段ほどのにぎやかさも華やかさも、半分以下だ。
 会話は人と人との間に生まれるものであり、それは図形の点と辺の関係に似ている。
 四角形で引ける線は対角線も含めて6本。しかし点が2つでは引けるのは1本だけ。
「鏡と三行君も冷たいなぁ。特に鏡!私とはいえ女の子がいる食卓に来ないとは同じオタクとして許し難い行為!
 フラグが折れたらどうする気かねぇ」
「フラグ?ハタハタ?」
「ぬぅ、かがみんの如く突っ込むべきか三行君の如くハタハタの解説に入るべきか…」
 普段とは違う、一対一の長時間のキャッチボール。
 こなたはそれに寂しさを感じながらも、同時に少しの安堵も感じていた。
 司は普段通りだ。
 様子が普段と明らかに違う鏡や三行に対してより、遙かに楽に『いつもの自分』を演じることができる。
 三行や司に迫られる前の、鏡への気持ちに気づく前の自分を―――。
 そんな安心と油断があったからだろう。
 会話の切れ目に投げられた不意の変化球に、こなたは対応できなかった。
「こなちゃん?話したいことがあるだけど、ちょっとでない」
 会話の延長のように告げられた言葉に、こなたの表情が強張った。




「はぁ…」
 ため気は幸運を逃がすという言い伝えがあるが、鏡はため息を止めるつもりはなかった。
 逃がすほどの幸運を、今の自分が持ち合わせているとは到底思えなかったからだ。
「なんなんだよ、あいつ…」
 廊下を放浪しながら、鏡はこなたのことを想う。
 いきなり髪を切ったこなた。
 けれどもその癖、それを大したことでもないように振舞い、以前―――つまり一昨日以前と同じように振舞おうとするこなた。
「司も三行も…どういうつもりなんだよ」
 こなたに合わせていつも通りを続ける司と、何があったのかを知ろうとそれとなく探りを入れる三行。
 この二人の昨日の行動こそが、こなたに髪を切らせた原因だろう。
 髪は女の命――とまでは鏡も思ってはいない。
 けれども少なくとも、あの長い髪には、こなたにだってそれなりの思い入れがあったのではないかと思っている。
 それを切った理由を作った2人に怒りを覚える反面…
「俺よりましか…」
6らき☆すた SEXCHANGE 虚実編:2008/01/20(日) 21:45:56 ID:+TE0f8k7
 少し冷静になってみれば、自分の怒りが、真っすぐこなたに想いをぶつけることができる位置に立つ二人への妬みで濁っているのが分かる。
 まして、二人とも方法は違えどこなたに向き合おうとしてる。
 それに対して自分はどうだ?
「かっこ悪いな…」
 昨日の夜に司に見透かされ、指摘されたことを気にして、こなたと目を合わせることもできない。
 それどころか三行や司に気後れを感じて上手く話せない始末だ。
「かっこ悪い…」
 溜息をもう一つ吐いて、そして、自分がいつの間にか自分の学年の教室がある廊下に来ていることに気付いた。
 結局のところ、いくら学校が広いとはいっても、最後に行き着くのはここしかないのだ。
 自嘲して―――その笑みが凍る。
 廊下の端。階段の方に見慣れた姿が消えていったのを見たから。
 司とこなた。2人きり。
 気がついたら、鏡は二人が消えた方に足を向けていた。




 屋上には出られない。扉はあるが鍵がかかっている。
 だから二人はその扉の前、埃っぽい踊り場で足を止めた。
 互いの距離は2歩と少し。歩み寄るか、両方から手を差し伸べないとふれあえない程度の距離。
 それが、今の二人の心理的な関係のように、こなたには思えた。
 階段の下からは昼休みの喧騒が聞こえる。
 直ぐ近くにいるはずの生徒達の足音や話し声は、けれどコンクリート製の階段で反響し、まるでずっと遠くから聞こえてくるように感じられる。
 日常の中にあって、日常から隔絶された空間。
 そこでこなたは司にこう問いかけられた。
「何で切ったの、その髪」
 直球だった。曲解もはぐらかしも効かない、真っすぐな言葉。
 なんとなく、などと言った適当な理由でごまかそうにも、視線が釘を刺す。
「……ごめんね」
 降りた沈黙に終止符を打ったのは、司だった。
 目に込められた力がゆるみ、言葉通り申し訳なさそうに眦を下げる。
「本当はユキ君みたいにそれとなく聞いたり、考えて分かってあげれればいいんだけど…僕、あまり頭良くないから…」
「謝る必要ないよ」
 慰めではなく、こなたは心から思って口にする。
 何も言わずに、今朝から今まで黙って待っていてくれたことにもそうだが、それ以上に……
「これ以上、ずるずる引きずるわけにもいかないもんね」
 覚悟を決める。司の表情を見てから、髪を切って軽くなった頭を、下げる。
「ごめん、やっぱ私、付き合えないよ」
7らき☆すた SEXCHANGE 虚実編:2008/01/20(日) 21:46:46 ID:+TE0f8k7
「……そっか」
 声は、こなたが想像していたものとは違い、随分と穏やかだった。
 けれども、こなたの心がそれによって軽くなるというものではない。
 司の想いを拒絶した。それは覆しようのない事実なのだから。
 顔を上げるこなた。それを待っていた司の表情は、少し困った時の照れ笑いに似ていた。。
 教科書を忘れて鏡に仮にいった時にこれと類似した表情を作る。あくまで、類似した。その細部は微妙に異なっていた。
 その表情の下では、どんな感情が隠れているのか?
 それを想像するのが辛く、そして怖くてこなたは目を逸らす。
「それで…ユキ君にはどう答えるの?」
「三行君にも、お断りする」
「……僕とユキ君の間に、差ができないように?」
 核心を突かれる。
 つかさは今度は心配と気遣いの表情でこなたの顔を覗き込んでくる。
「…昨日、お兄ちゃんから聞いたんだ。こなちゃんの…悩んでることとか」
 抽象的にぼやかした言葉だったが、その言葉端からこなたは、鏡が割と具体的なところまで話していることを察した。
「人の割とトラウマな所まであっさりしゃべっちゃうかね、かがみんは…」
「わ、悪気があったわけじゃないと思うよ!」
「…分かってるよ。けど、それなら話は早いよね」
 こなたの口調は努めて軽い。
 そうでもしなければ、心理的な重圧で押しつぶされ、言葉をつづけられなさそうだから。
「確かに、それもあるよ。私さ…司も三行君も、大切な友達だと思ってるんだ。
 どっちが大事とかじゃなくて、どっちも掛け替えのないって言うか…ほら!角と赤いカラーリングみたいなもんだよ。
 どっちかが掛けても専用機じゃない、みたいな。
 だから、どっちかと付き合って、どっちかを振るとかは、出来ないよ」
「……別に、どちらかを選んでもいいんだよ?
 僕もユキ君も約束したから。どっちをこなちゃんが選んでも、選ばれなかった方はそれを祝福して、友達を続けるって」
「……私が気にするんだよ。選ばなかった方を、傷つけちゃったって。
 自分で傷つけといて、身勝手な話だけどね」
「そんなことないよ。きっとそれ、こなちゃんが優しいからだよ」
「ありがとう…」
 振られて、傷ついているはずなのに、それでも自分を慰めてくれる司。
 その優しさを嬉しく、そしてほんの少し辛く思いながら、こなたは最初の問いに戻る。
 なぜ髪を切ったか?
 こなたはそれに対して、用意しておいた答えを言う。
「髪を切ったのはね、そのケジメなんだ」
「けじめ?」
「そ。やっぱさ、長い髪って女の子の象徴じゃん?
 だからズバッと切って、これからは女子を廃業して一オタクとして司や三行君と友達で居ようと思って
 ま、大げさに言えばあれだよ、女を捨てるってやつ?」
 答えながら、けれど心が重くなる。
「不本意ながら女の子な体型とは言えない私を女の子たらしめる記号が一つ消えるじゃん。
 そうすれば2人も…」
 心が重くなる理由。それは―――


「―――嘘はやめてよね?」


 ―――それが、嘘だから。


「どうして、そう思うのさ?」
8らき☆すた SEXCHANGE 虚実編:2008/01/20(日) 21:47:22 ID:+TE0f8k7
 動揺はほとんど出さなかった、とこなたは思いながら司の真剣な表情を見る。
 けれど見返す司の瞳には、自身の言葉に対する不安や疑いは無かった。
「だってさ、僕もユキ君も、こなちゃんが髪が長いから好きになったわけじゃないもん。
 こなちゃんの全部が好きだから、好きになったんだよ?」
「だから、あくまで象徴っていうか気持ちの問題って言うか…」
「それにね」
 こなたの反論を遮るように言って、司は一歩前に出た。
 距離が半分になる。一メートル未満。一方の意思だけで触れあうことも、抱きしめることもできる距離。
 至近で見上げる司の顔に、こなたの脳裏に一昨日の記憶がよみがえる。
 雨の音と、床の感触と、間近に感じる司の吐息の記憶。
 半ば無意識に一歩下がって距離を戻そうとするが、しかし肝心の体は竦んで動かない。
 伸ばされた司の手は、こなたに触れた。
 こなたの―――肩にかかった髪に。
 いたわるように指先で髪を撫でながら、司は反論を続ける。
「それにね、まだこの髪でも、十分女の子っぽいよ?
 本当に女の子として見られなくなかったら、もっと短く切ると思うけど?」
「―――っ」
 今度は、隠せなかった。
 こなたは叱られたように下唇を噛んで俯いた。
 切った髪は襟に届く程度。
 それは確かに今までのこなたの髪に比べれば格段に短い。
 しかし女性の平均として見れば、それは十分に長い。
 女を捨てる――そう言うにはあまりにも中途半端な長さ。
 もちろん、単に切りにくかったから、これ以上切ると見栄えが悪くなるからと言い逃れることはできるかもしれない。
 けれどこなたにとってこの中途半端な髪の長さは、本当の理由と、自分の迷いの象徴だった。
 髪を切った理由―――司に言ったのは、完全に嘘と言うわけではない。
 女を捨てる。そう言う意図が確かにあった。
 しかし、その意図の向ける理由は外ではなく、内側。
 司や三行の想いに対するけじめではなく、自分の鏡に対する想いへのけじめだったのだ。


 昨日の夜、剃刀を手に取った時。こなたはもっと短くしてしまおうと考えていた。
 うなじの半ば辺りからばっさりといく予定だった。
 しかし―――できなかった。
 もう少し、もう少し長くと考えてしまい、気づけば予定より3センチも長く残してしまっていた。
 曖昧な3センチ。それがこなたが持つ、自分の中の女の子の部分―――鏡にひかれる自分。
 切り捨てるべきと思いながらも、切り捨てられない物の象徴だった。
 

「言いたくないの?」
 司の問いに、こなたは頷いて答えた。
 声は出さない。出したら、きっとそれは嗚咽交じりのものになってしまう。
 もし自分が泣いたとしたら、優しい司のことだ。追及を引っ込め、疑問の形のままそっとしておくことだろう。
 たとえそれで司自身がが納得できないとしても。
 こなたはそれだけは嫌だった。
 さんざん傷つけ、そして優しくしてもらい、挙句嘘まで付いてしまった相手に、これ以上の重さを背負わせたくなかったからだ。
 けれども、司はやはり優しかった。
「そっか。ならいいよ、答えなくても」
9らき☆すた SEXCHANGE 虚実編:2008/01/20(日) 21:48:32 ID:+TE0f8k7
「納得できないんじゃないの?」
「理解はできないよ、こなちゃんが何を思ってるか、何を感じてるかは。
 けどね……」
 司は小さく息を吸う。そして、言葉を噛みしめるようにしながら
「けどね、今、すごく幸せな気分だから」
「しあ…わせ?」
 こなたには理解できなかった。司は、その反応を予想していたかのように、照れたような笑顔を浮かべて注釈を付ける。
「えへへ…変だよね?自分でもそう思うよ。
 こなちゃんに振られて悔しいのに、大好きなこなちゃんが泣くのを見るのが辛いのに…けれど、その辛さがとてもうれしいんだ。
 だって、それはこなちゃんが、僕と向かい合ってくれてるってことだから」
「私、だけど…嘘ついて……」
「その嘘は、僕やユキ君をふった理由とは関係ないでしょ?」
 司の確認に、こなたは少し考えてから頷く。
 仮に自分が鏡のことを好きでなかったとしても、たぶん自分は、二人の気持ちには応えなかったろうから。
「だったら、いいよ。言い訳のダシにされたのは、ちょっと悔しいけど」
「ごめん…」
 最後の、冗談めかしたところに本音が見えたような気がして、こなたは謝罪を口にした。
 司は沈黙でその謝罪の言葉を受け入れてから、
「もう一度だけ、聞くよ?」
 と断りを入れてから、尋ねる。目を、こなたの瞳に合わせながら
「こなちゃんのことが好きだよ。
 そして僕もユキ君も、たとえどちらが選ばれても、ずっとこなちゃんの友達でいるよ?
 だから―――僕と付き合ってくれませんか?」
 告白。
 司の心の底から告げられた、精一杯で、真剣で―――きっと、とても神聖な言葉。
 こなたはそれを暖かく思い、それを受け止めることに惹かれる。
 けれどもその言葉の真剣さ故に、真剣に受け答えなくてはならないことも、こなたは理解していた。
 だから――
「…ごめんなさい」
 だから鏡が、別の人がいる以上、受け取ることはできなかった。


「―――そっか」
 永い、本当に永い無言の後、司は零した。
 言葉と、そして涙を。
 司は笑顔を作ろうとして失敗する。
「くやしいなぁ……。覚悟は、してたつもりだったんだけど…なぁ…」
 くしゃくしゃに歪んだ顔。一般的に言えばみっともない顔なのかもしれないけれど、こなたにはとても奇麗に見えた。
 本気で誰かを想って、そのために流す涙。
 こなたの視線に気づき、司は慌てて袖で顔を隠す。
「ご、ごめん!すぐ、泣きやむから、あ、あまり気にしないで…」
 こんな時までこちらに気を使うのかと、司の優しさとそんな優しい人の気持ちに応えられなかったことの悲しさを、こなたは感じる。
 そして感情は、行動に結びついて。
 司の細い胴周りに腕をまわして、抱きしめた。
「こ、こなちゃん?」
「ハグだよハグ。友達同士のね」
 司の胸辺りに顔をうずめながら、こなたは考える。自分が傷つけてしまった親友に対し、どんな言葉を贈るべきか。
 考えて、考えて、考えて…気づいたら、自然とこんな言葉が出ていた。
「ありがとう」
 謝罪ではなく、感謝。
10らき☆すた SEXCHANGE 虚実編:2008/01/20(日) 21:50:21 ID:+TE0f8k7
「こんな私を、好きになってくれてありがとう、司」
 捉えようによっては、とても残酷な言葉だ。
 想いに応えなかったくせに、その想いに対して感謝するなんて。
 だがそれはこなたの偽らざる気持ちであり、そして偽らざる気持ちこそが司の心に一番届くものだった。
 司は、こなたの肩に手を置く。
「僕もこなちゃんを好きになって、本当に良かったよ」
 声音に、しゃくりあげはない。


 互いに大切に想いあい、それ故に互いに傷つけあって、だけどもその痛みを幸せに思いながら、二人は身を寄せ合っていた。


 だがそこに、誤解を誘うタイミングで、彼が現れた。


「こなた…?」
 呼ばれ、弾かれたように顔を上げるこなた。
 聞こえてきたのは階段の下の方。
 声からの予想と、見つけた姿は一致していた。
「鏡…」




 鏡が二人の姿を見つけたのは、そろそろ諦めて教室に帰ろうかとしている時だった。
 階段に行くのを見かけた後、鏡はこなた達を見失っていた。そもそも、登ったのか降りたのかも分からなかったからだ。
 本当は、そこで2人を探すのをやめても良かった。
 どうせこなたと会っても、何を話すべきか分からないだろうから。
 けれどどうせ他にやることもなかったし、それに……2人きりでどこかに行こうとしているというのが、気になった。
 一度一階に下りてから見回っていく。
 マンモス校というわけでもないので、教室だけに限定するならそれ程の手間でもなかった。
 けれども教室の全てを除いても二人の姿はなかった。
 結局、階段つながりということで、最後の心当たりとなった最上階―――屋上入口の前の踊り場に来て……
 抱き合うこなたとつかさを、鏡は見付けた。



 どういうことだと、鏡は戸惑う。
 こなたは、二人と付き合うつもりはなかったんじゃないか?
 なのに、どうして抱き合ってるんだ?
 事前情報と現状の乖離。
 二つのどちらを信じるべきかに迷った果てに、鏡は―――
「……へぇ、司の方を選んだのか」
 鏡は、眼の前の現実を真実と認識した。
 人気のないところで抱き合う二人。
 そうか、こなたは司のことを受け入れたのか。
 自分には、司も三行も恋愛対象ではないみたいなことを言っていたくせに。
「ち、違うよ、鏡!これは…!」
「はいはい、恥ずかしがらなくて結構ですよ」
 空かい半分で言うつもりだったセリフは、鏡自身が想像していたのより遙かに刺々しい調子を伴って口を出た。
11らき☆すた SEXCHANGE 虚実編:2008/01/20(日) 21:51:14 ID:+TE0f8k7
 だがそれでも良い。
 こなたは…こいつは、裏切ったんだ。
「あ〜あ!相談乗ったり悩んだりしたのが馬鹿みたいだ」
 そう、馬鹿みたいだ。涙にほだされ、自分の気持ちを押し込めてまで力になってやろうと思った次の日に、
助けてやろうとした相手はあっさりと前言を翻して告白された相手と抱き合っている。
 こなたへの不信と、裏切られたことへの怒りと、つかさへの嫉妬心と…様々な澱の様な感情が鏡の心に溜まり、責めるような言葉になって溢れ出る。
「ま、こっちにしてみれば厄介な問題が解決して清々したけどな」
「だ、だから違うって!聞いてよ、鏡!私…」
「うるさいな嘘つきが。昨日のだってどうせゲームか何かで見たネタを使ってからかっただけだろ。いい迷惑だ」
 聞く耳ももたず感情を吐き捨てる。こなたが傷ついたような表情で何かを言おうとするのを見るたびに良心が疼くが、感情の本流を止めるにはあまりにも些細だった。
「とにかく三行にはちゃんと謝っておけよ。お前じゃないけど、ぎすぎすするのは勘弁だからな。あ、それとも二股でも掛ける気か?」
「――お兄ちゃん!」
 こなたが何かを言う前に、司が叫んだ。
 コンクリートに反響する声で、鏡は一瞬我に帰る。
 少し冷めた頭で自分の放った言葉の酷さを再確認し、けれどだからと言ってどす黒い想いが消え去るものではない。
「……ハイハイ、邪魔したな」
 罪悪感と感情せめぎ合いは、逃げるという行為に落ち着いた。
 もうここにはいたくない。
 もう一緒にいる二人を―――いや、こなたが誰かと一緒にいるのを見たくない。
 背を向けて、階段を降りようとする鏡に、こなたが叫ぶ。
「待っ―――ぁっ!」
 不自然な声が気になって、つい振り向いてしまう鏡。
 鏡が見たのは、階段を踏み外し、バランスを崩してこちらに倒れて来ようとするこなたの体だった。
「―――とっ!?」
 とっさに、鏡は腰を落とす。
 ぶつかる直前に、軽く手を開くことにも成功した。
 受け止めた。
 こなたの小柄な体は見た目どおりに軽く、不安定な足場でも踏みとどまることが可能だった。
 抱き合うような位置同士で、自然と目が合う。
12らき☆すた SEXCHANGE 虚実編:2008/01/20(日) 21:53:59 ID:+TE0f8k7
 こなたの足が置かれている段は当然上であり、顔がいつもより近かった。
 昨日までなら、ただ嬉しかったことだろう。ただときめいていただけだろう。そんな状況。


「…離れろよ」


 けれど、今は辛さしか感じない。
「っ」
 目を逸らして言ったので、鏡はこなたの表情を見ることはできなかった。
 だが、息を呑む雰囲気は伝わった。
 次の瞬間、鏡は突き飛ばされた。
「あ、あぶな…っ!」
 階段を二歩、後ろ向きに下がる。急な危機に、冷汗は遅れてやってきた。
 何をするのかと怒鳴ろうとするが、こなたは鏡の横をすり抜けて階段を駆け下りていってしまった。
「…なんだっつんだよ」
「解らないだろうね」
 一人ごとに、司が言う。
 司が、鏡を見ていた。その視線にいつもの優しさも柔らかさも見当たらない。
 責めるような冷たい目だ。
 それに鏡は苛立ちを覚える。
 睨みつける鏡。
 司は目を逸らす。
 逃げた、のではない。相手にしていない、相手にする価値がないという意思表示。軽蔑という名の拒絶だ。
 いよいよ、キレた。
「――」
 隣を通り抜けようとする司の襟首を捕まえて、無理にでもこちらに向き合わせようして―――失敗した。
「放してよ」
 突飛ばされた。
 反撃されるという想像を、無意識のうちに除外していた鏡は手を離してしまう。
 一瞥だけ司は鏡に向けて
「今のお兄ちゃんは、最低だよ」
 そう残して、司は階段を下りて行った。
 その背中を鏡は見えなくなるまで睨みつけていたが、その姿が見えなくなると力なく階段に座り込んだ。
「何してんだろ?」
 今まで恨み事に満ちていた胸の内は、今はすっかり空虚になっていた。
 残っているのは口走ってしまったことや、してしまった行為に対する罪悪感だけ。
「かっこ悪い…」
 顔を上げる力もなく鏡は呟く。
 その日、鏡は初めて授業をサボった。

 つづく
13書く人:2008/01/20(日) 21:59:58 ID:+TE0f8k7
以上です。
とりあえずアンケートなんですがエロは必要ですか?
14名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 22:15:42 ID:N3ta4CCt
>>13
GJ !
俺はエロあってもなくてもどっちでもいい。一番困る答えだなw
エロ入れるかどうかは作者の貴方に任せるよ

このシリーズ久々に見て嬉しかった。未完のまま放置されたのではとハラハラしていた
TS書いてる作者は複数いるが、彼らに負けずにがんばって欲しい
とりあえず、鏡はそろそろこなたに男を見せてやってくれw
15名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 22:19:36 ID:hc3HT8TT
だね、ここで男を見せなかったら寸勁くらわすよかがみ(=ω=.)b
それはそうと>>13GJだよ。
できれば・・・かがみんとのHを・・・濃厚にだね・・・









鏡「はーっくしょーい!ゾク・・・なんか寒気が・・・いろんな意味で・・・」
司「風邪?今は寒波厳しいし、大丈夫?」
16名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 22:22:50 ID:GVNPfLoe
GJ。修羅場やね…
あと何気に
>曖昧な3センチ。
これにニヤリとしたw
17名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 22:38:44 ID:y/t/+nEY
TSはいいんだが、誰をそうしてるのかちゃんと書いてくれるとありがたい
1814-208:2008/01/20(日) 22:50:09 ID:Qk2g3pum
お久しぶりです。

最近こなかがスレばかりに投下していましたが、ちょっとこっちに投下してみたいネタが出来たんで投下して良いでしょうか?
11時ちょうどくらいに投下しますが、2レスで終わる短いネタです。
19名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 22:51:42 ID:CxR0Py8n
>>18
やっちまえ
2014-208:2008/01/20(日) 23:01:34 ID:Qk2g3pum
それでは少し早いですが投下します。

・カップリングは……と言うほど長く書きません(敢えて言うなら、こなかが・ゆたみなの非エロ)
・ちょっと天使なかなたさんの設定借りますm(_ _)m
・ネタが古めです(^^;)

それでは2レス投下。
2114-208:2008/01/20(日) 23:04:16 ID:Qk2g3pum
それは一見何の変哲もない一冊のノート。

ただし、そのノートを持った者は青髪の可愛らしい天使が見え、

「わ、私ですかっ!?(注:かなたです)」

一度そのノートに名前を書けば、その相手に必ずキスされる。

「柊かがみ……」

なお、条件を指定すれば書いた相手とその条件通りのキスが楽しめるのだ。

「柊かがみ……が、急に私の事以外何も考えられなくなって24時間悶々とした挙げ句、我慢出来ずに私を押し倒すようにキスをする、と」

「何書いてるのよ、こな……ヤベェ!」
「?」

「(うわーちょっと待て急にこなたが可愛くというか光輝いて見えるっていうかうわうわ唇とか凄い柔らかそうなんですけど!)」

「かがみ?」
「ちょ、ちょっと待って!

(キスしたい!
でもグッと我慢よ柊かがみ!
女の子同士でキスなんてうわ今こなたがこっち向いた可愛ぇぇぇぇぇっ!)」
「(上手くいったみたいだネ)」

自分がキスをするのが嫌なら、キスさせたい二人の名前を書いてみよう。

「岩崎みなみと小早川ゆたかが初々しいキスをする、と」

すると、その書いた二人がキスをするのだ。

「みなみちゃん!」
「ゆたか……」

「んしょ、んしょ……。
あれ? 背伸びしても上手くキスできないよぉ……」

「大丈夫、ゆたか。
(お姫様抱っこをしながら)こうすればゆたかにも届くから」
「みなみちゃん……」

そのノートを手にしたのは、とある一人のヲタ。

名前を、泉こなたという。



  『KISS NOTE』
2214-208:2008/01/20(日) 23:07:43 ID:Qk2g3pum
「うはー! これは売れるっスよ!」

「何が売れるって?」

「いや、この新刊っスよ!
今回は相当自信あるっス!
これはもう、自分で自分の才能に嫉妬せざるをえないっス!」

「へぇ〜、それは良かったわねぇ〜?」

「良かったっスよ!
これでもう、今年の夏の壁はいただいたも同ze……あれ?」


「ふぅ〜ん(=ω=.#)」

「こなたぁ〜? この腐ったの浄化してもいいかな? カナ?」
「かがみんクラッシャー、発動承認するよ」

「な、何スか?!
先輩二人してそんな怖い顔して!
ま、まさか二人して私を鬼畜攻m「光に、なぁれぇぇぇぇぇっ!」みぎゃあああああぁぁぁぁぁっ!
目が! 目があぁぁぁぁぁっ!」

そして、ひよりんの新刊『KISS NOTE』の発売は阻止された(昇華的な意味で)。

同日、天界にて。

「あら?」

ノートを落としたドジっ子天使が下界に舞い降りて来ることになるのだが、それはまた別の話だってヴぁ!
23名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 23:09:52 ID:+V+iEVvL
>>13
GJだよ
司がかっこいいよ
鏡、これからかっこよく成れるのか……
エロは無くても可、有っても可
>>14に賛成ですな
書く人氏が必要と思えば入れるし、必要ないと思えば入れない、でいいと思う
2414-208:2008/01/20(日) 23:11:12 ID:Qk2g3pum
以上です。
続きを実力は俺には無いですorz

設定とか沢山借りてスマソ……。
2514-208:2008/01/20(日) 23:12:54 ID:Qk2g3pum
>>24
続きを『書く』実力、です。
途中抜けてしまいました。
26名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 23:15:07 ID:+V+iEVvL
>>24
ドジッ子天使www
で、すまん……orz
ちょっと吊ってくる
274-243 ◆X9xLTlcDnY :2008/01/20(日) 23:32:59 ID:zKHtTDu1
新スレ&うpロダ設置記念!
前回のはアレはあまりにもアレだろうリベンジ(´・ω・)ノシ

ゴッドかなたさん
ttp://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0005.jpg

携帯な人向け
ttp://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0006.jpg

※専用ロダは"h"抜かなくてもいいのかな?
28名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 23:39:25 ID:Ker0Bka3
>27
かなたさん…… 宇宙遊泳w

新スレ乙彼様です。
準備されている方がいなければ投入します。
29名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 23:42:49 ID:hc3HT8TT
>>27
貴方という人は!しっかりストーリー路線も忘れない!
いつでも、ガイアを、みまもる、かなた・・・



しかし、この大小比・・・やっぱり・・・
『かなた様のドジで人類滅亡』となりかねん。

ドカッ!!
(ドリフ舞台撤収BGM)
「またかなたか・・・」
「またお母さんか・・・(=ω=.)」

『ちょっとーーっ!いい加減某動画サイトのノリはやめてーーー;;』
30名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 23:43:09 ID:CFw4mKqL
何ですか この投下祭り
>>1乙&GJ
投下祭りは、まだまだ続きます
どぞ↓
3123-251:2008/01/20(日) 23:51:11 ID:Ker0Bka3
「ガラスの壁」 第9話

・こなた×ゆたか(かがみ視点)

注意事項
・非エロ
・続き物
・シリアス
32ガラスの壁 1/7:2008/01/20(日) 23:53:19 ID:Ker0Bka3
 9.

 こなたは、私の姿を見た時、最初は信じられない、といった感じで瞼を大きくあけていたが、
やがてのんびりとした口調で言った。

「やあ、かがみん。奇遇だねえ」
 緊張感が卵の欠片ほどもない。
「奇遇じゃないわよ! 」
「じゃあ。かがみは何で、私たちがココに来ることを知っていたの? 」
「うっ…… 」
 私は言葉につまった。もちろん、偶然でこんな場所にいるはずがない。
 今日の夕方、買い物に出かけていたつかさから、携帯に電話があったのだ。
 ちょっと特別な食材を手に入れるために、わざわざ幸手市にある専門店まで
出かけていたらしい。

―― 『お、お姉ちゃんっ』
 つかさは、明らかにおろおろとしながら話してくる。
『あのね。こなちゃんと、ゆたかちゃんがね…… 』
 つかさが伝えた内容は『衝撃的』の一言だった。
 何しろ、こなたと、小早川ゆたかちゃんが、一緒にラブホテルに入っていったという話だったから。
『間違いないのね。つかさ』
『えっと。かなり暗かったから、はっきりとまでは分からなかったけど 』
 つかさが嘘をつくことはないけど、見間違えという可能性までは否定できない。
 電話を切った後、居ても立ってもいられなくなって、私は家を抜け出すことにした。

 つかさの教えてくれた場所まで自転車を走らせると、30分もしないうちにホテルがみえてくる。
 建物の外観は、本当に派手なお城としか言い様がない。
 私は、ホテルの出入り口から少し離れた場所で、張り込みをすることに決めた。

 北風が絶えず吹き込んできて、ひたすら寒い。
 コートの襟を立てて、歯の根をガチガチと鳴らしながら震えてしまうが、ひたすら我慢するしかない。
 その結果、私はホテルでいちゃいちゃしているであろう、追跡対象に対して、理不尽なほどの
憤りを抱くことになってしまっていた。

 腕時計を見ると既に9時を回っており、あきらめて帰ろうとして自転車に跨った時、
出入口から二人の女性が現れる。
 思い切って近寄ってみると、確かにこなたと小早川ゆたかちゃんだ。
 二人は幸せそうに寄り添っており、手を繋いで夜道を歩いている。

 私は夢中になって、二人の前に立ちふさがった――
33ガラスの壁 2/7:2008/01/20(日) 23:54:17 ID:Ker0Bka3
「もしかして、張り込みをしていたのかな? 」
 寒さで震えている私を見て、こなたが皮肉っぽい口調で尋ねてくる。
「う、うるさいわね。そんなの関係ないじゃない。そんなことより、高校生がこんなホテルなんて
行って良いと思っているの! 」
 話題を強引に変えて、怒りの声をあげる。
「…… 」
 私の激しい非難に、こなたは一転して黙り込んでしまった。
「こなた。あなたはいいかもしれないけどね。ゆたかちゃんはまだ高校1年生なのよ。
少しは場所をわきまえなさいよ」
 私がなじるように責める。

 しかし、反撃してきたのは、こなたではなくて、隣に立っているもっと小柄な少女だった。
「お姉ちゃんのせいじゃないんです」
「ゆーちゃん!」
 小さく叫ぶこなたを左手で制すると、ゆたかちゃんは一歩前にでた。
 小早川ゆたかちゃんは瞳に力をこめて、私を見上げる。
 今まで、彼女については病気がちで、こなたに似ずに素直で、とても可愛らしい一年生という
印象しかもっていなかった。しかし――

「私が、お姉ちゃんを強引に誘ってここに来たんです。責めるなら私を責めてください」
 ゆたかちゃんは、私が知らなかった烈しい一面をみせてくる。
 彼女の眼差しは強くて澄んでいて、それだけに、私の荒れた心を余計に苛立たせてしまう。

「ゆたかちゃん。よく聞いて。高校生はこんなところに行ってはいけないの。それくらいは分かるわよね」
 常識の仮面をつけて説教する自分が、酷く滑稽に思えるけれど、仕方がない。
「分かっています。でも、私、こなたお姉ちゃんが大好きなんです。
お姉ちゃんのこと、いっぱい知りたいんです」
 掌をぎゅっと握り締めて、大きな瞳を潤ませながら、とても恥ずかしい台詞を臆面もなく言い切った。
34ガラスの壁 3/7:2008/01/20(日) 23:55:03 ID:Ker0Bka3
(こなたが好きなのは、あなただけじゃないのよ…… )
 喉まで出掛かってくる言葉を懸命に抑える。
(どうして、こなたはゆたかちゃんを好きになっちゃったの? )
 私のココロが鋭い悲鳴をあげる。
 勇気がないから。こなたが好意を見せてくれることもあったのに怒ってばかりいたから。
 理性が、理由をいくつもあげてくるけど、感情としては断じて認めたくはなかった。
 こなたの一番近い位置にいるのは私であるはずで、ゆたかちゃんなんかじゃない!

「ゆたかちゃん。ワガママはいい加減にしなさい」
「かがみ…… 」
 気がつくと、こなたが暗い顔をしていた。今まで見たことも無い、憂鬱そうな表情だ。
 普段は眩しいほどに煌いている濃紺の瞳が、どんよりと濁っている。

「今日は、もう帰るからさ…… 」
 こなたは囁くように言って、私を睨んでいたゆたかちゃんの肩をぽんと叩くと、
背中を見せて歩き出した。後を追ったゆたかちゃんは、すぐにこなたに寄り添う。

 私は、呆然として二人を見送ることしかできなかった。

 何をやっていたのだろう?
 自転車のペダルを踏んで家に戻る間、絶えず自責の念が襲ってくる。
 ラブホテルに出入りする瞬間を抑えたからって、こなたがゆたかちゃんと
別れることなんてありえないのに。
 ストーカーみたいなことをして、こなたに好かれることなんかないのに……
35ガラスの壁 4/7:2008/01/20(日) 23:56:31 ID:Ker0Bka3
 明後日の火曜日には、こなたとゆたかちゃんの話は、3年C組でも噂になっていた。
「柊っ」
 昼休みに日下部が声をかけてくる。とても元気で、ちょっとおばかな、八重歯が特徴的なクラスメイトだ。
 5年連続で同じクラスだったけど、親しくなったのは最近のことである。
「ちびっこに恋人がいるって本当か? 」
 相変わらずデリカシーの欠片もない発言だが、噂好きの女子高生としては、ごく普通の話題に
すぎないのかもしれない。
「知らないわよ」
「え―― 柊はちびっこの友達だろ。話を聞いてないのか」
 あまりにも素直な反応に、思わず苦笑してしまう。
「みさちゃん…… 」
 いつものように日下部の隣に佇んでいた峰岸が、困ったような顔で首を左右に振る。
 峰岸は大和撫子という表現がぴったりと似合う、おしとやかだが芯の強い女性だ。

「あっ、ごめんな、聞いちゃいけない話だよな」
 素直に謝れる日下部が羨ましい。どうしても素直になれない私は、自ら好んで、
底の見えない深みに嵌ってしまっているのに。

「こなたの相手なら知っているわよ」
 私は本当にへそ曲がりだ。相手があっさりと引くと、逆の事をしてしまう。
「えっ、いいのか? 」
 日下部は、目をまるくしながら言ったが、どうせ、学校中にひろまっているんだから、
もう話しても構わないだろう。
「一年生の、小早川ゆたかちゃんよ」
「えっ、あの、チアで一緒にやった…… 更にちびっこい子か? 」
「ええ、そうよ」
 ほとんど自暴自棄になりながら、はっきりと頷く。
「あの子、女の子じゃね? 」
「その通りよ」
 日下部の質問の一つ一つに答えてあげる。意地になっているのかもしれない。
「だから言いにくかったのか。ごめんな。柊」
「いいの。気にしないで」
 私は、困った顔をした日下部に向けて言った。
 日下部と峰岸が自席に戻った後、寒気に襲われて、自分の身体を抱きしめた。
36ガラスの壁 5/7:2008/01/20(日) 23:57:30 ID:Ker0Bka3
 こなたが、生徒指導室に呼ばれたのは、その日の放課後だった。
 夕方、鞄に教科書を詰め込んでいた時、つかさが教室に飛び込んで、私に縋り付きながら、
悲鳴まじりの声をあげる。
「お姉ちゃん…… こなちゃんがっ」
 つかさの表情が蒼白になっていた。
 教室は人がまだ残っている為、廊下につかさを連れて行ってから、詳しい話を聞く。
 学校から帰ろうとしたこなたが、桜庭先生に呼ばれて生徒指導室に入ったとのことだ。
「桜庭先生? 黒井先生じゃなくて」

 何故こなたの担任の黒井先生が呼び出さないのか…… 私は不審を覚えて尋ねたが、
詳しい事情を知らないつかさは、首を横に振るだけだった。
「お姉ちゃん。やっぱり、ゆたかちゃんとの話なのかな」
「そうね」
 私はカバンを持ち上げながら頷いた。
「私、帰るね…… 」
「えっ!?」
 つかさは、戸惑った声をあげた。

 生徒指導室に連れられたこなたの事は、とても気になっている。
 しかし、今日の昼過ぎから身体が酷くだるくなっていて、
とても学校に長居はできそうになかった。
「お姉ちゃんは、こなちゃんのこと、心配じゃないの? 」
 つかさの不満そうな質問に答えようとした時、視界がぐらりと揺れる。
「お姉ちゃん? 」
 身体がふらついてしまい、つかさの表情が変わる。
 急速に視界が端の方から暗度を増し、目の前にいる妹の顔がおぼろげになる。
「おねえちゃんっ!? 」

 意識が暗転した。
37ガラスの壁 6/7:2008/01/20(日) 23:58:26 ID:Ker0Bka3
「柊さん。目が覚めたようですね 」
 瞼を開くと、天原ふゆき先生が穏やかに微笑んでいる。
 窓の外は既に暗くなっている。
「お姉ちゃん。良かったあ」
 顔を横にむけると、つかさがほっとしたような笑顔を浮かべている。
「私…… 」
 どうやって保健室に入ったのか、全く覚えていない。
 病院でなくて保健室ということは、つかさの助けを借りたにしろ、
歩いて保健室にたどり着いたということは確かなんだろうけど、思い出せない。

「過労からくる風邪だと思います」
 白衣姿の天原先生は静かに歩み寄ってきて、風邪薬と水の入ったコップを渡してくれる。
「柊さん。無理をしていませんでしたか? 」
「すみません…… 」
 冬空の下、ホテルの前で長い間、張り込みをしたツケが、今頃になって回ってきたのだろう。

 先生は、余った薬を戸棚に仕舞うと、穏やかな顔のまま伝えた。
「今から職員会議があるので席をはずします」
「は、はい」
 心が刺すように痛む。
「あっ…… あの、天原先生」
「なんでしょう」
 私は、少し躊躇ったけれど、敢えて尋ねてみた。
「もしかして、こなたの話なんでしょうか? 」
 私の言葉を聞いた時、先生はつらそうな表情に変わっていた。
38ガラスの壁 7/7:2008/01/20(日) 23:59:20 ID:Ker0Bka3
「それを、言うことはできないのです」
 天原先生はゆっくりと歩いて扉をあけると、振り返って言った。
「帰るときは、暖房を止めておいてくださいね」

 扉が閉まってから、小さな椅子に座っているつかさに尋ねる。
「つかさ。こなたはどうなったの? 」
 つかさは座ったまま首を振った。
「生徒指導室に入るとこまでしか見ていないけど。でも、もう学校を出ていると思うよ」
「そう」
 私は頷いて、小さく息を吐いた。
 生徒指導室での事情徴収が終わったことを受けて、職員会議が開かれるのだろう。
「お姉ちゃん。歩いて帰れる? もし駄目ならお父さんに電話しようか」
 つかさの言葉に私はかぶりを振った。
「ううん。大丈夫だから…… 心配させて悪かったわ」
「う…… うん」
 つかさの掌を借りてベッドから立ち上がり、乱れた制服を整える。

 すっかりと暗くなった通学路を妹と歩いていく。
 空は厚い雲に覆われており、今夜は冬の星座を臨むことはできない。
 服用した風邪薬の為に、頭がぼんやりとなりながら、こなたの顔を思い浮かべた。
 脳裏に浮かんだ小柄な想い人は、いつものように、少しだけ皮肉っぽい笑みを私に向けていた。
3923-251:2008/01/21(月) 00:03:23 ID:6Y1G7NL/
以上です。
読んでくれた人、ありがとうございました。
次回ないし次々回が、最終回になるかと思います。

かがみは、どんな事があっても、こなたを好きでいるような気がします。
素直に告白することは、なかなか難しそうですけど。

40名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 00:03:59 ID:tdiuiFSc
>>39
リアルタイムGJ!
41名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 00:08:45 ID:K9e4j7Rg
GJ
42名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 00:09:38 ID:HdnxJVI5
>>39
これはGJ
こなかが派の俺としてはつらい所だけど・・・w
ああいうシチュエーションになった場合のこなたの行動、
態度は実に的確だと思った。
そして・・・・
>かがみは、どんな事があっても、こなたを好きでいるような気がします。
コレに激しく同意した。

・・・となると、Elopeの後で、一旦あきらめても
再び単独で二人を追うことになりそうで・・・これはこれで怖い・・・(((゚Д゚;))))
43名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 00:12:18 ID:t0qsDhp0
リアルタイムGJ!
さっき書き忘れたけど>>22,>>24もGJっす。
44名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 00:33:12 ID:Zw0KtY2I
>>1乙!もう34かぁ・・・早いな

>>13
GJ!お久しぶりですな。
王道的な展開を迎えてきた感じですがー。司男前ー!
今回の鏡はダメダメ野郎だなぁ。状況的には仕方ないような気がするけど。
でもなんとかハッピーエンドになってほしいな。
エロ云々については>>14も言ってるけど、
作者さまが必要と思ったら入れればいいと思うし、そうでないと思ったなら入れなくていいと思うのです

>>39
GJ!今回も心臓によろしくないなぁ。いい意味で。
>>42と同じくこなかが派なので辛いけど、楽しませて読ませていただいておりまする。
だって引き込まれるんだもの!
確かにかがみは何があってもこなたのことを好きでいそうだなぁ…
告白して振られても気持ちは変わらなさそう…
45名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 02:34:55 ID:XSF9JDOb
最近このスレ&保管庫知って興奮しっぱなしなんだけど
その興奮の勢いで人様のSSの内容から勝手に妄想して勝手に落描きしたものって
うpろだに投下したりしてもいいのかな
46名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 02:43:13 ID:MgaIbp+z
ええんでないの。
それを必ずここに投下+何の作品を元にしたかを併記しておけば問題無いんじゃ?
47名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 02:50:58 ID:XSF9JDOb
>>46
了解です

んではお恥かしながら投下します
元作品:(23-49氏)ハニマスタード・ラプソティー(つかさ&パティ)
パティつか
ttp://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0007.jpg
48名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 02:57:56 ID:qdce0sLP
>>13
待ってました!GJです!!
うおおつかさかっこいいよこなた切ないよかがみあいかわらずだよ!
ぶーわ氏のでもそうだったけどやっぱかがみのポジションはそんななのかww
向こうのかがみも男を見せてくれたので、こちらも期待してます!
49名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 03:12:28 ID:qdce0sLP
>>47
GJ!その作品好きだから嬉しいかぎりです!
遠慮することなくどんどんやっちゃってください!
50こなた:2008/01/21(月) 03:13:57 ID:HdnxJVI5
むしろこっちのかがみも男を見せないってのはありえないです。
というわけで見せなかったときのために、勁をよく練っておきます。
フンッ!!(=ω=.) フンッ!!(=ω=.)






鏡「何か・・・謂れのないプレッシャーがさっきから・・・なんだ一体・・・」
51名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 03:22:57 ID:qdce0sLP
>>50
こうなったら『浴衣、似合ってるな』以上の男前っぷりを期待してしまう!

散々蔑ろにしたあとのあの言葉は悶絶した


鏡「あ、新しい髪型似合ってるな」
こなた「大顰蹙!!!」
52名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 03:36:45 ID:qdce0sLP
>>27
ゴッドかなたさん!ゴッドかなたさん!

らっつぁつぁなゴッドかなたさんもいいけどこっちもいい!宇宙から僕らを見守ってくれてるわけですね





このスレはゴッドかなたさんによって見守られています
53名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 04:17:21 ID:GqKREwHA
なぜだ…なぜこのPCでは専用うpロダを見れない…orz
そういや年末の騒ぎのときの避難所も表示不可だったなorz
54名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 05:43:05 ID:vS2xaoD9
どうでもいいがつかさだけが男化するという電波が飛んできたおかげで寝れぬ

……TSものの読みすぎかなぁ
55名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 07:32:05 ID:8UpCgwWw
>>54
そしてみゆきと結ばれる、か・・・いいなwww
どこぞの馬の骨とも分からぬ金持ち息子と、
みゆきをめぐって争い、ことごとく負かされるが、
みゆきのハートはゲットして大団円。という延長電波がきました。
だれかSSを・・・文才のない私にかわってぇ・・・(他力本願)
56名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 07:44:50 ID:biG32VMm
文才なんて単なる目安だ!あとは妄想で補えばいい!
57名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 07:47:19 ID:BOn8mKOP
数日後、そこには元気にSSを書く>>55の姿が……!

こうしてまた一人と職人が増えていくのだヨ(≡ω≡.)
58名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 08:01:40 ID:47AUuC17
>>47

うめえええええ!
ラフなんだけど、手慣れたものを感じる……
59名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 08:24:04 ID:KzoLGqL1
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1200842025/

またつか×かがのヤンデレか!
60名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 08:27:44 ID:6v2mpzoN
>>59のレスは不謹慎にも程があるのであぼーん推奨
61名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 08:57:30 ID:GwqFiUaG
>>55ー56
頼むぞ、妄者! ファーストライティング承認!
62名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 11:54:02 ID:qq1VcREF
>>13
おかえり&待ってました&GJ!

ヘタレヘタレと言われてる鏡、でもあの状況では仕方ない!と弁護www
今回の司と比較しちゃうからあれなんだろうなぁ…


他の人も言ってるけど、エロはどっちでもいいんじゃないかなー?
入れたくないけどみんなが入れた方がいいっていうから、で入れるとか(逆もまた然り)して話がおかしくなったらマズイし
63名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 17:42:59 ID:X0cpOK5L
>>55
なんでなんでもかんでもつかみゆにしたがるの?
64名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 18:11:56 ID:t0qsDhp0
>>63
ブームなのだよ(=ω=.)
それによく見れば
鏡×こな とか こな×ゆた とか 人袖のみさ×こな(?) とか色々あんぜ。
65名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 18:43:31 ID:qdce0sLP
人袖のみさこなに期待してるのは俺だけなんだろうな・・・
マイナーカプ好きでごめんなさい
66名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 19:01:22 ID:vyJpH12V
ここの所、神SSが多すぎて、
たまに誰がどんなSS書いてるか分からなくなることが。
アニキャラ個別のこなかがスレと合わせたら、もう訳ワカメ。
67名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 19:08:49 ID:1cUkMUo3
それはある。固有名称がある人ならまだ記憶にも残ってまとめサイトで調べやすいけど
名前が番号だけの人とか探すの大変。
まあ、代表作のタイトルから検索して…手のでもいいんだけどさ。
68名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 19:30:20 ID:dc0c9C1q
とりあえず、うpろだを最大20件までという設定にしました。
また、過去ログ倉庫に29-33スレまでのログを保存しました。

>>53
すいません、サーバーの設定を少々いじっていたため
一部のプロバイダでの閲覧が出来ない状態になっていました。
現在は解除してあります。
69名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 19:32:50 ID:fb+uV/Ep
√2=1.414213562…… を
「いよいよにいさんゴムつける」って覚えたように、
語呂合わせで覚えてみるといいかも
70名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 19:44:59 ID:yZt4qwSX
>>69
「ひとよひとよにひとみごろ」で覚えたけどなあ。
ちょっとそれはヒワイな気がw
71名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 19:51:24 ID:GqKREwHA
>>69
その語呂合わせは初めてだwwww

で、(みさおの)兄さんはいよいよゴムつけて、これからあやのと…って展開が浮かんだw
72背景の料理得意な側:2008/01/21(月) 20:19:50 ID:HdnxJVI5
みさちゃん…なんて覚え方してるの…^^#
73名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 20:40:21 ID:DQ2COQ7t
そういえばゴムをつけるひとがSSの中にあまり居ない件
74名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 21:01:46 ID:1cUkMUo3
少なくともこのスレにはつけるべき実体を持つキャラが一握りしかいないからなw
75名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 21:02:55 ID:sbhe5ejS
ゴムをつける描写が濡れ場の勢いを殺ぐからではなかろうか。


まあ単純に、中田氏の方がえろいからともいうが。
76名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 21:06:06 ID:VwRzUXYD
白石、そうじろう、ただおの三人だけか・・・
77名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 21:06:44 ID:UeR91lp0
つ チェリー
78名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 21:08:02 ID:HdnxJVI5
出来ないことにほっとする彼に不安になったという例もあるしなw




(=ω=.#)つ<`Д´)ノ)))) イデデデデゴメンナサイコナタサン
79名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 21:12:30 ID:RYJQYXL8
「最近は芸能人もポンポン出来ちゃった婚するけどさ〜」
「い、いきなり何よ(////)」
「ちゃんと責任持って避妊くらいできないのかね〜」
「そ、そうね。アンタにしてはマトモな意見ね」
「入れる前にちょっとゴム付けるだけでいいのにね」
「ストーップ!それ以上詳しい描写禁止ー!」
「でも、確かに簡単かつ一番信頼性の高い避妊方法と言えますね」
「み、みゆきまでマジメにコメントするな」
「ねーねーゆきちゃん?輪ゴムをどうするの?縛って出せないようにするの?」
「「「な、何に?何を??(///)」」」
80名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 21:20:04 ID:DQ2COQ7t
それもそうだが、投下作品中でゴムをつけた描写のある人少ないな、と。
8123-49:2008/01/21(月) 23:01:01 ID:uipKtZnm
>>47
これは・・・・氏ねる
もとい、これであと十年は戦える
今まで他の人たちの作品に挿絵が付くのをなんとなく「いーなー」と眺めていましたが
こんな全身に鳥肌が立つほど嬉しいモノだったとは・・・・・!
しかも表情とかイメージぴったりで・・・・・!
ありがとうございます! 神速で保存させていただきました!



えー、でわ
前作「栗色攻略戦」の続き、後編、完成しました
他にどなたもおられないようでしたら五分後ぐらいから投下させてください

・こなた&あやの
・こなた視点
・一部あやの視点あり
・エロ無し
・8レス使用
・峰岸さん注意


万一途中で投下できなくなった場合は wiki に直接上げ、避難所に報告します
PC以外の端末を持っていないのでこちらへのアナウンスはできません
不自然な間が空いた場合は wiki か避難所を参照してください
82栗色攻略戦 後編 1/8:2008/01/21(月) 23:05:35 ID:uipKtZnm
 
 夕日の差し込む教室――と、いきたいところだったけど、そんな都合のいい場所はなかった。
 まだけっこう人が残ってるし、今日は曇ってるし、そもそも日の入りまであと四、五時間はある。
 でも、コレはコレでいいもんだね。
 曇天下の屋上。
 最終ステージとしては、悪くない。

「――それで、泉ちゃん。何を調べるの?」

 峰岸さんが、一定の距離を保ったまま問いかけてくる。
 この場には今、私と彼女、二人だけ。
 その距離感は図書室で大机を挟んでいたときと変わらない。
「うん」
 私の方も、あえて、その距離を縮めようとはしない。
 今はまだ。
「まずは感想を聞きたいかな。さっきの、みさきちとの対決、“読者”として、どう思った?」
 ああ、早口になってるよ、私。
 緊張してるみたいだ。
「そうねえ……」
 峰岸さんの顔の向きが、私から微妙に外れる。そして一言。
「ハラハラしたわ」
「はらはら?」
 オウム返しに訊き返すと、視線だけが戻ってきた。
「ええ。みさちゃんったら、簡単に誘導されちゃうんだもの。しかも全然それに気付かないし」
 なるほど。みさきちの側に立ってると、そうなるわけか。面白い。
 ひよりんの気持ちが少し分かったかも。“創作活動”も悪くないもんだね。
 ってゆーか、
「それって、暗に『自分には効かない』って言ってる?」
「あら、そんなふうに聞こえちゃった?」
 にっこりと笑う峰岸さん。
 例の“多重笑顔”だ。威嚇されてる。
「気付いてないかもしれないけど、みさちゃんの勘の良さは半端じゃないのよ? 大人になって、
理屈で考えることを憶えちゃったから今は昔ほどじゃないけど、それでも普通なら誤魔化せないわ。
大したものよ、泉ちゃん」
「……そーなんだ」
 まあ、確かに野生の勘がどうたらってキャラしてるけど……ん?
 って話しすりかわってるじゃん! そもそも最初から否定してないし!
 まったく、油断もスキもありゃしない。
 睨んでやると、まるで毒気のない笑顔が返ってきた。手ごわい。
「あとは、そうね……」
 そしてまた、ふい、と視線が逸れる。
 狙ってやっているのか、考えながら話すときのクセなのか。
 そもそもその糸目の視線は本当に私から外れているのか。
「――対決、って言うけど、肝心の決着がついてないわよね? 泉ちゃんが一方的に情報を
得ただけで終わっちゃって」
「そう……なるね」
「ええ。だから今はまだ、それ以上のことは言えないわ。今後の展開に期待、って感じかしら」
 言い終えて、一拍置いて、そしてまたこちらを見据えてくる。
 慎重な態度だ。向こうもまた緊張しているのか。それともあくまで迎撃に徹する腹なのか。
 どっちにしても、それじゃ困るんだよね。
 私はもっと貴女が見たいんだから。
83栗色攻略戦 後編 2/8:2008/01/21(月) 23:06:36 ID:uipKtZnm
「それだけ?」
「そうよ?」
「もうちょっと何かあってもいいんじゃない? 例えば、次はこんなのが見てみたい、とか」
「そんなこと言われてもね……」
 困ったような笑顔を「見せる」峰岸さん。
 そうじゃない。
 そんな、わざと差し出されたもので満足するぐらいなら、最初からこんなマネはしてないんだよ。
「……みゆきさんが言ってたんだけどね」
 今度は私の方から目を逸らす。
 あ、喋りやすいねコレ。
「高良ちゃん?」
「うん。――自分は本とか読んで、一方的に受け取るばかりだから、作り手の手伝いができるなら
それは嬉しいことだ、って」
 でも、やっぱり見なきゃ。今は些細な変化も見逃したくない。
「そんなふうに思ったこと、ないかな?」
「う〜ん……ないなぁ」
「思ってみようとは、思わない?」
「思わない……というより、この場合、それは当てはまらないわよ」
「なんで?」
「だって手伝いと口出しは違うでしょ?」
 ……動かないね。
 こっちが焦れそう。
「じゃあ、特に希望はないわけだ。どんな展開でも黙って見てるだけなんだね」
「ええ? そうは言ってないわよ」
「なら、あるけど言わない?」
「そうね。そういうこと」
「なるほど。希望そのものはあるわけだ」
「……ふふ。なんだか誘導尋問みたいね」
「そんな上等なもんじゃないよ」
 くすくすとおかしそうに笑う峰岸さんに、肩をすくめて返す。
 いやホント。
 実際、何を喋ってるのか自分でもよく分からなくなってるし。焦れそうっていうか焦れてるよ既に。
 峰岸さんは笑いを収めると、小さく息をついた。
「……そこまで言うなら、言ってみようかな?」
 そして目を開く。
 全開ではなく、薄っすらとでもなく、ただ普通に。
 口元の微笑みもどこか冷たいものへと変わっている。
 初めて見る、攻めの表情。
 こちらの焦りを見て取ったか。

「みさちゃんを泣かせるような真似だけは……しないで欲しいな……」

 同時に一陣の風が吹きぬけて、その長い栗色の髪をなびかせた。
 ……タイミングよすぎだって。
 でも、やっぱりそこか。
 予想は――いや、ほとんど確信してたけど、やはりみさきちこそがこの人の逆鱗。
 ならもう、そこを突くしかないよね。
「……どうしよう、か――な……」
 だけど。
 温度が。
 それを口にした瞬間、急激に下がった。気がした。
84栗色攻略戦 後編 3/8:2008/01/21(月) 23:07:41 ID:uipKtZnm
「……やめてね?」

 あはははは。
 うっわぁ。
 なにコレ。
 ってゆーか、だれコレ。
 目の前の顔は、けど逆に普段の峰岸さんのそれに近い。目を細めていて、口元は薄く微笑んでいて。
 強いて言うなら、その目の細さは、糸ではなく針の鋭さ。
 形そのものはほとんど変わらないのに、ただその威力だけがこちらを突き刺す凶器と化している。
 本当に、ネタ抜きで、目の前に抜き身の刀を突きつけられているかのよう。
「こっ――」
 ノドがカラカラだ。ツバがつっかえる。
 無理だ。
 私には、無理だ。勝てっこない。
 みさきちやかがみは知っているんだろうか、彼女のこんな姿を。
「……怖いな」
 声が震えた。
 ヒザも震えてるし。
 この距離なら見えてるかな。どっちだろ。
 ま、どっちでもいーや。
「私には……泉ちゃんの方が、怖いけどな……」
「そういうトコロが怖いんだって。……ヤンデレの素質あるよ、峰岸さん」
「……? やんでれ……?」
 気力を総動員して軽口を叩くと、峰岸さんはゆっくりと首をかしげながらつぶやいた。
 さすがに知らないか。おとといはツンデレすら微妙に理解してなかったし。
「ん……例えば、鬼子母神、とかかな」
 半ば逃げの気持ちで、とりあえず一般人でも知ってそうなものを挙げてみる。
 我が子の飢えをしのぐため、他人の子をさらってその肉を喰らわせたという、伝説の鬼女。
 母子じゃないけど、近いものがあるよね。
 みさきちのためなら、特に守るためならどんなコトだってやりそうだ、この人は。

 ……ああ、そうか。

 自分で言って、自分で気付いた。うん。そりゃ勝てる気がしないわけだ。
 子を想う母の情念に、母親を知らない私が太刀打ちできるはずがない。
 知らないからこそ逆に、って考え方もあるかもだけど、
 私の場合は「母親」というものを神聖視しすぎてる向きがあるからね。どっちにしたって無理。
 そもそも最初から勝とうなんて思ってないし。

「――怒っていいのかしら」
「え?」
 あれ?
 峰岸さんがさらに恐ろしげな形相になっていらっしゃる。一体何が。
「――って! や! ちがう! ご、ごめん! ちょっと喩えが極端すぎた!」
 慌てて手を振る。首を振る。
 あれ、じゃないよ。
 ちょっとでもないし。
 鬼子母神の素質がありますねなんて言われたらそりゃ誰だって怒るでしょ。何考えてんの。
 そもそもヤンデレからして良い意味とは言えないし。一般人にとっては。
「や、ホントごめん。オタクの戯言だと思って忘れて?」
「……もう、泉ちゃんは」
 呆れていらっしゃる。
 てゆーか顔が元に戻ってる。……本気じゃなかったのか。
 まあいーや。もう十分。むしろ本気にならないでくれて助かった気分。情けないけどね。
 それに、そろそろいいだろう。本音を言えばもうちょっとカッコ良く行きたかったトコロだけど。
85栗色攻略戦 後編 4/8:2008/01/21(月) 23:09:24 ID:uipKtZnm
「それとね、安心していいよ」
 肩の力を抜いて、言う。
「え?」
「別にみさきちを泣かせたりとかしないから。ってゆーかさ、できっこないんだよね、そんなこと」
 普段のノリで喋ってるつもりだけど、できてるかな?
 峰岸さんの表情は、一言でいえば困惑している。戸惑い半分疑い半分、って感じ。
 空気を急に変えすぎたかも。
「わからないかな? みさきちは、最初から私をすっ飛ばしてかがみのところに行って、最後まで私を
介入させないまま終わらせた。だから今回のコレはかがみとみさきち二人の問題で、私は蚊帳の外
だった。今さら割って入ったって、何もできないんだよ」
「……そうかしら」
「そうだって。考えてもみてよ。例えば、仮にみさきちがさっき言ったみたいに中間テストでがんばって、
それでかがみが私を見直してくれたとして、どうなると思う?」
「…………、……!」
 そこまで言って、ようやく、峰岸さんの目に理解の色が浮かび上がる。
「わかった?」
「……ええ」
 そして指先を唇に当てて、ためらいがちに彼女はうなずいた。
 私はそんな峰岸さんに、にっこりと笑顔を向ける。

 そうなんだよね。
 みさきちは負けを認めるかもしれないけど、肝心のかがみがそんな判断をするわけがないんだ。
 それまでのみさきちの努力を無かったことにして前の状態に戻るだなんて、
 あの優しくて不器用なかがみにできるわけがない。
 かといって変な小細工で二人を引き離しなんかしたら、それこそ逆効果。
 そんなんじゃみさきちは負けを認めないだろうし、下手したらかがみにまで嫌われる。
 正攻法も搦め手も通用しない。
 まったく、確かに大した勘の良さだよ、ホント。
 こんなにも完璧で隙のない手を初っ端から使ってくるなんて、ね。無自覚なところがさらに恐ろしい。

「じゃあ、どうするの?」
 しかしまだどこか懐疑的な調子で、峰岸さんは言う。
 どうするかって?
 簡単だよ。勝てないなら、勝たなきゃいいんだ。
「だから、どうもしないってば」
「いいの? 泉ちゃんはそれで」
「そりゃ満足なんてしてないよ。正直悔しいし、かがみは私のヨメだって気持ちには変わりはないし。
でもいいんだ。妥協、って言ったらアレだけど、かがみの意思を尊重しようかな、って。」
「……」
 ありゃ、ますます固くなっちゃってる。
 遊びすぎたかな。
「だったらなんで、こんな回りくどいマネしたのか――って思ってる?」
「……」
 無言で、慎重なうなずき。
 思わず苦笑い。
「あの手紙が、みさきちはフェイクで、本命は峰岸さんだってことは分かってるよね?」
「……ええ」
「それが答えだよ」
「…………私の、何が狙いだっていうの?」
 ううん、どうやら本気で困惑してるね。表情を取りつくろうことすらやめちゃって。
 どっちかって言えばこういうことにこそ気の回る人だと思ってたんだけど。
 てか軽くヘコむよ。一体私はどんだけ危険視されてるんだろ。
 って人のコト言えないか。鬼子母神扱いとかしちゃったし。
 しょうがない。温度差を調整しなおそう。
86栗色攻略戦 後編 5/8:2008/01/21(月) 23:10:27 ID:uipKtZnm
 息を吐いて、
「本気にさせたかった」
 表情を消す。
「……本気?」
「そう」
 うなずいて、一拍。脳内パーソナリティーを入れ替える。
 配役は、長門でいいか。
「本気にさせて、かがみを中心とするこの状況に貴女を介入させること。それが私の目的。
そのために、貴女の大切な友人を騙して情報を得るような真似までして見せた。そうすれば
貴女は傍観者でいられなくなると思ったから。つまり――」
「……」
「全ては、“読者”に甘んじている貴女に、“ここ”まで降りてきてもらうため。その動機は――」
 再び肩から力を抜いて、
 表情と口調を、戻す。

「“読者”と“登場人物”じゃ、友だちになれないじゃん?」

「……え……」
 峰岸さんが呆然となった。
 ちょっと、いやかなり面白いかも。
「そっ、それだけ、なの?」
「そだよ」
 勝てないなら、勝たなきゃいい。
 つまり敵対しなければいいんだよ。
「え? でも、だって……え?」
 手と視線をあっちこっちにさまよわせて、軽くパニくる峰岸さん。
 さっきまでと違ってずいぶんと忙しそうだ。
 頃合いを見た私は、カバンを開いて用意しておいた切り札を取り出した。
 葉書きサイズの白い封筒。曇天下でもそれなりの光を集め、相手の注意を引きつける。
「な、なに?」
「友好の証、ってトコロかな」
 訝しげな問いに、答えて歩み寄る。一歩下がられたけど気にしない。
「はい」
 差し出すと、ぎこちない動きで受け取ってくれた。
 しかしそれ以上は動かず、顔全体で疑問を投げかけてくる。
「開けてみて」
 こればっかりはその目で確認して欲しい。だってせっかく二時間もかけて手作りしたんだから。
 やがて峰岸さんは観念したように封筒の口を開いた。
 出てきたのは、これまた葉書き大の、二つに折りたたまれたケント紙。
 裏面は白紙で、表には花模様の縁取りを施してある。
 その中央に印刷された文字を、峰岸さんが読み上げた。
「招待状……?」
 また私を見て、それからゆっくりと開く。
「……峰岸、あやの様……来たる九月十六日……岩崎みなみちゃんの……誕生日? ――を、
祝う会に、あなたを招待いたします……泉、こなた」
 英文を空で訳してるみたいな口調で、記された全ての文が音読される。
 ちょっと恥ずかしかも。
 てゆーか改めて耳で聞くと色気のない文章だね。丸一日考えた結果がコレか。
 決めたときは「シンプルイズベスト!」 とか思ったんだけどなあ。
「なに、これ?」
 峰岸さんが、いよいよ訳が分からないといった様子で私を見下ろしてきた。
 ちょっとした見ものかもね。
87栗色攻略戦 後編 6/8:2008/01/21(月) 23:11:29 ID:uipKtZnm
「見ての通りだよ」
「見ての、って……十六日って、明日、よね?」
「うん。ホントの誕生日は十二日なんだけどね。パーティーはその日。――予定あった?」
「ない、けど……」
「そか。よかった。それだけが心配だったんだ」
「……」
 もう困惑や混乱を通り越して、途方に暮れている。さすがに気の毒になってきた。
 半笑いのため息をついて、私は口を開いた。
「みなみちゃんのことは、知ってる? よね?」
「ええ……夏休みに……」
 戸惑いがちにうなずく峰岸さん。
 ああ、そっか。夏休みにゆーちゃんたちがみさきちと遊びに出かけたとき、彼女も一緒だったって
 ひよりんが言ってたっけ。なら私とゆーちゃんとみなみちゃん、三人の関係も知ってるはずだ。
 説明の手間が省けたね。
「うん。私のかわいいゆーちゃんの、大切な友だちだよ。その子が生まれた記念すべき日を、
ヘンな陰謀に利用したりなんかしない。――だからね、」
 そこで一旦言葉を区切り、目を伏せて胸に手を置いた。
「ゆーちゃんに誓って宣言する。私は、本当にただ貴女と友だちになりたいだけなんだ」
 これが切り札。
 これで信じてもらえなかったら、もう打つ手はない。


 顔を上げる。
 峰岸さんは少し茫然としていて、だけど私と目が合うと、その顔にゆっくりと笑みが浮かんだ。
「……負けたわ」
 そして小さくつぶやく。
 満足げな顔してよく言よ。ま、私も勝ったなんて思ってないけどね。
 あえて言うなら「逃げ切った」って感じかな。
 あるいは、チャンバラする気でいる相手をいきなり銃で撃った、とか。何かの映画でもあったね。
「じゃあ、来てくれるんだね?」
「いいえ」
「あり――」
 がとう、と言いかけて、固まった。そこに峰岸さんが招待状を突き返してくる。
「これは受け取れないわ」
「な、なんで!? 予定は空いてるんだよねっ?」
 愕然とする。
 逆にこっちが撃たれた気分だ。この流れで「だが断る」はないでしょ常識で考えて。
 慌てる私に、峰岸さんは申し訳なさそうに眉を下げた。
「だって泉ちゃん、みさちゃんには渡さなかったじゃない。私だけなんてイヤよ」
「あ……」
 ああ……なんだ。そんなコトか。
 びっくりしたぁ。
「そ、そっか。そりゃそーだよね。そーなるよね。ごめんごめん。でもだいじょぶだから」
 苦笑い。
 峰岸さんが首をかしげる。
「じゃあ、みさちゃんの分もあるの?」
「ん、ないけど。――じゃなくて、つまりね? 別に正式な招待状ってわけじゃないんだよ、ソレ。
このシーンのためだけに私が勝手に作った、ちょっとした演出の小道具みたいなモノだから。
みさきちのこともちゃんと誘うよ」
「でもみさちゃん、帰っちゃったわよ? 明日なんでしょ?」
「あ……」
 そうだった。
 やっちゃったZE。
 この人を相手にすることしか考えてなかったよ。策士策に溺れるとはこのことか。違うか。
88栗色攻略戦 後編 7/8:2008/01/21(月) 23:12:32 ID:uipKtZnm
「じゃ、じゃあ、峰岸さんから誘ってくれない?」
「もう……しょうがないんだから」
 呆れ果てた感じでため息を吐く峰岸さん。
 もう笑うしかないね。あっはっは。
「ご、ごめんね? お願いできるかな。ってゆーか、来てもらえるのかな?」
「ええ、行くわ。みさちゃんのことも任せて」
 もう一つため息。
「……最初から普通に誘ってくれればよかったのに」
「やっ、それはホラ、だから、だって、ね?」
「わかってるわよ。もう“読者”はやめます」
 そして峰岸さんの笑顔が、普段どおりの優しい笑顔にようやく戻った。
 普段どおり。
 そのはずなのに、私の記憶の中にあるものより何倍も綺麗に見えるのは、なんでだろう。
 修羅場をくぐり抜けたから、かな。
 ちょっとドキドキする。
「だから――これからは一緒に物語を作っていこうね、泉ちゃん」
「は、恥ずかしいセリフ、禁止」
「あらあら。役柄が変わっちゃったね」
 口元にこぶしを添えてくすくすと笑う峰岸さん。
「むぅ……でも、ありがと。あとゴメンね。なんか試すようなマネしちゃって」
「ううん、楽しかったよ」
 すっかり余裕を取り戻したそんな姿がなぜか悔しくて、ついちょっかいを出したくなる。
「そう? そーいやノリノリだったよね。おとといも、」
 ぴっ、と人差し指を一本立てて。
 ニヤリと意地悪く笑ってみせた。
「『じゃあ、ヒント』、とか言ってすっごい楽しそうだったし。実はけっこうこういうの好きだったりする?」
「ふふっ、そうかも」
 しかし峰岸さんは動じることなく。
「……またこんど、やってみる……?」
 再び鬼子母神の冷笑を浮かべながら、そんなことを言ってくる。
「ご、ご勘弁を……」
 冗談だとは分かるけど、それホント怖すぎるから。
 ああもう、やっぱ敵わないや。

 ひとしきり恐れおののいて、なんかコレばっかりだなぁなため息をついて、私は手を伸ばす。
「それじゃ、改めてよろしくね。峰岸さん」
「うん、よろしく。泉ちゃん」
 その手を優しく握り返しながら、峰岸さんもトゲの抜けた笑顔でうなずいてくれた。
 そしてふと小首をかしげて、
「……名前で呼んではくれないんだね?」
「これ以上みさきちにヤキモチ焼かれたくないからね」
「ちゃんと考えてくれてるんだ」
「あったりまえだよ。こう見えても友達のことは第一に考える主義なのさ」
 どんよりと曇った空の下で。
 それでも明るく笑いあいながら。
 こうして私たちは、友だちになった。

 栗色攻略、成功!
89栗色攻略戦 後編 8/8:2008/01/21(月) 23:13:37 ID:uipKtZnm
     ☆


 ……でもね、泉ちゃん。
 ちゃんと考えて、最善の選択をして。
 それだけじゃ足りないときもあるんだよ?
 言葉にして伝えるべきことを、伝えるべき相手に、手遅れになる前に、あなたは言えるのかしら……?


     ☆


「――何か言った? 峰岸さん」
 浮かれた気分で屋上の出入り口に向かう私の耳に、何かが届いた気がした。
 振り返ると、峰岸さんは、
「うん。これからみさちゃん誘って、岩崎ちゃんのプレゼント選びに行こうかなって」
 風に流れる髪を梳き上げながら微笑んで、そう言った。
「あ、そっか。……ごめんね? 急な話で」
「いいのよ。――あ、じゃあ泉ちゃん、付き合ってくれる?」
「ん、わかった。ってゆーかゼヒ!」
 自分の都合のために告知を直前にしてしまった罪悪感――否。
 もっと単純に、新しい友だちと遊びたいという気持ちから、私は勢いよくうなずく。
「私はもう買っちゃったけど、その分、全面的に手伝うよ」
「そう? ありがと。何を買ったの?」
「んっふっふ。見てのお楽しみさ♪」


 ……たぶん私は、浮かれていたんだと思う。
 いや、間違いなく浮かれていた。 
 浮かれていて、忘れていたんだ。
 携帯電話のことを。
 かがみから入っていた着信のことを、つい十数分前に目にしたはずのそれのことを。
 私は忘れていたんだ。



9023-49:2008/01/21(月) 23:15:13 ID:uipKtZnm
以上です
ありがとうございました


やりすぎた・・・・・・?
「喧嘩をやめて」ルート以外だとこっちの対決しかないとは言え・・・・黒くしすぎた感が
以前から、「こなたはあやのだけなんとなく苦手なんじゃないか」って印象自体は
あったんですけどね

さて次回
水面下の戦いになってしまったせいで地味に放置されてるかがみのターン
以前にお願いしたTS三人衆も出させていただきます
91名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 23:25:08 ID:81Odp2iW
こなた&あやの激しくツボ
独特の距離感を持ってるのがたまらん
かがみの動向も気になりつつGJ
92名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 23:42:51 ID:v6gX9JVF
あやの好きの自分としては、
ここまであやのを描いてくれてうれしいです。
背景なのに…、地味なのに…。
続き、期待してます!
93名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 23:56:18 ID:GuCc9aGu
>>90
凄く引き込まれました!
いやホント、自分のペースで読んでるだけなのに目が離せない気持ちになっちゃいましたよ。
生唾を飲み込みたくなるほどに緊迫した場面、堪能致しました。
続いてのかがみのターン、楽しみにしています。
94名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 00:12:26 ID:IRRtYg8P
>>90ほか

GぃぃぃぃぃぃJ!!!
何故か萌えドリルのバトルを思い出してしまった。
相手を回復させて浮かれている所をフルボッコする、あやのの『世話女房』と、
HPがほぼゼロに近くなる代わりに攻撃力が赤い彗s……げふんげふん、
通常の三倍に上がるこなたの『コミケ三日目』の恐ろしさは異常!!

この二人に何度ボコボコにされたことやらorz


それはさておき、
完全に怒らせて真っ黒になったあやのんも見てみたい気がする。
こんな感じで↓

バカマルコ「───────ま、おめーの大好きな『彼氏』もよォ、
 俺様に睨まれちゃァ小便垂らして逃げちまうだろーがよ、キーッヒッヒッヒッ」
あやの「(ニコニコニコ) そこのペンダントさん、ちょっとそこに直りなさいな。
 いくら悪気が無くても言って良いことと悪い事があるのよ、ふふふふふふふふふふふ」
バカマルコ「ちょ、待て、おまっ、な、何だその金槌は………、
 お、おい、まままままま待て、話せば分かる。そ、そうだ、は、話し合おう、な、な、
 だ、だだだだだだから万力に挟むのはや、やめ………ちょ…………うわっ、
 ぎゃぁぁぁあああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」

ガン!! バキっ!! ぱらぱらぱら…………、

あやの「ふふふふふふふ、ペンダントの分際で私を怒らせた貴方が悪いのよ。
 お兄さんとみさちゃんの悪口を言ったら、例え相手が人間であっても『こうなる』って覚えておいた方がいいわ。
 ふふふふふふふふふふ、ふふふふふふふふふふふ」





みさお兄「……………………」((((((゚Д゚)))ガクガクブルブル

95かがみ:2008/01/22(火) 00:25:24 ID:JI4/qki5
あんたのキャラ、どうやら定着したみたいだけど(・∀・)ニヨニヨ






「つかさのそばにもっと怖いサイヤ人がいるしね〜(=ω=.)」
96名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 00:56:55 ID:XmXyziwQ
>>90

のめりこんで読ませていただきました、押忍!
めちゃ怖いのに、目が離せないとはどういうことですか、押忍!!

「喧嘩をやめて」みたいな正攻法、言い替えれば「みさきち的のーてんき路線」しか思い浮かばない小生としては、
貴殿の描く心理劇に、一抹の嫉妬すら覚えつつ絶賛するものであります、押忍!!!
97名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 01:40:53 ID:Nk3Bk+AC
>>90
キタァ―――!
切れ(っていうより闇?)あやのんにGJ!! 惚 れ 直 し た !
9847:2008/01/22(火) 01:50:57 ID:6gPeebGn
>>81
ありがとです!そう言っていただけると、こちらとしても嬉しい限りです。
あと、10年戦えるのはこちらの台詞でさぁ!悶えながら読ませてもらってます
そしてGJ!
緊迫した雰囲気が伝わってきて、読みながらなんか緊張してしまいました。
にしてもやっぱ笑顔を絶やさない人って怒ったら際限なく怖くなるってイメージがありますな。
くわばらくわばら
99名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 01:54:16 ID:JI4/qki5
某はなぢさんのように・・・・
このスレでこそ、鼻血扱いだけど、

あの人も怒ると怖そうだ・・・。
100名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 02:25:54 ID:IRRtYg8P
>>95
あゆみ「うるさいうるさいうるさい!!」
101名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 03:46:11 ID:5SDdQ7Ws
ども、前スレ>>344でTSネタを投稿したものです。
数名の方に続編希望頂いたので、構成練り直してから、書き直してみました。
今出てるTSのSSは、どれも個人的には好きで、
別に自分が書く必要はないかなぁと思ったんですが、自重できませんでした、サーセンw
ということで、こんな時間から投下させていただきます。

【注意】
・TS(かがみ男性化)
・カップリングは今の所ありません
・続き物になる予定?
・TS苦手な方は、「気まぐれで、いたずらな神様」をNGワードに指定してください。
「みみ、み、ミラクルみっくるんるん〜♪」
夏休みに入ってからというものの、つかさが台所に立つ頻度は上がり、お母さんにも負けず劣らないおいしい料理を御馳走してくれる。
今日も楽しそうに歌いながら、料理に熱中してるつかさの背を、私は手に頬をついて眺めてるだけなのは言うまでもない。
私だって手伝いくらいはしたいとは思う。
でも、足を引っ張って調理時間を無駄にくうのだけなら、こうしてるほうがよほど効率的で。

しかも、今の“私”の姿だと尚更邪魔になるのは解りきっていた。
…身体の大きさの意味で。

── しっかし、何も吃りまで再現して歌わなくていいと思うのは私だけか…?
丁寧に伴奏まで鼻で歌ってるし。
それ以前に、アニソンを選曲してるのもどうなのかと、喉元まで出掛かっていた突っ込みを押し止めた。
ここまで楽しそうに料理してると、水を差すのは悪い気がしたし。
私も私で、つかさの歌ってる曲がアニメの歌だとわかった時点で人の事は言えない。
自分がそうであるように、双子の妹のつかさも、ヲタク少女で親友のこなたの影響を良くも悪くも受けているんだなぁと、シンパシーを感じつつ、余した暇を勉強にでも当てようかと席を立つ。

…すっかり短くなった髪の毛を掻きながら。

そして、つかさが口ずさんでいる歌がBメロに入った頃だった。
「涙を拭いて〜♪ 走りだっした、あぅ!!」
突如入ったアドリブと共に、ガシャンと何かを落とす音がした。
台所を出ようとしていた身体を音源へ向けると、楽しそうに歌ってたつかさの背が丸まっていて、足下にはお玉が転がっていた。
「つかさ!?」
心配になって駆け寄ると、つかさは左手を右手で押さえ、顔を歪めてた。
しかし、私が近づいてきた事に気づいたのか、辛いながらもすぐに笑顔を見せるのはつかさらしい。
「あ、あはは、やっちゃった」
そう言いながら、困った笑顔を浮かべてるつかさの左人差し指は赤くなっていて、『やっちゃった』の意味と状況がすぐに理解できた。

「ちょっとあんた、火傷してるじゃないの!」
「え、あ、あ、あの、お姉ちゃん!?」

蛇口を大きく捻って水を勢いよく出し、つかさの左手首を掴んで、赤くなった部分を水にさらす。

「まったく、楽しいのはわかるけど、気をつけないとだめよ?」
「う、うん…」
応急処置を怠るのもつかさらしいが、出来る事なら応急処置が必要になるようなこと自体を避けて欲しいと、姉としては思うわけで。
何か事を起こす度にこうして釘を刺してるのに。
こなた風に言えば“ドジっ子属性”を持つ、つかさには中々効果が表れない。
というか、17年間言い続けてるし、この分だとこの先もずっと言い続けそうな気がする。
── まぁ私の世話焼きな性格も、つかさありきなんだろうとは思うけどね。
つかさの手首を掴んだまま、そんな事を考えてたら、頬辺りに強い視線を感じた。
ハッとしてその視線に目を向けると、案の定つかさが私を見ていて。
「お姉ちゃん…」と、上気した顔でそう言った。
── やばっ…。
目視した途端、自分の手にも触覚が戻ってきた。
つかさの、“女の子特有”の肌の柔らかさが脳に伝わってきて、自覚できるくらい頬に熱くなっていく。
「ご、ごめん…つかさ!」
急いでつかさの手首を離して、顔ごと熱い視線から逃げる。

私自身、妹に対してそっちの気、アブノーマルな感情があるわけじゃない。
いつもの“私”が同じ行動を起こしてたら、私もつかさもこんな風にはならなかった。
でも、こうしてお互い赤面したりしてしまう原因は私に間違いなくある。

私が…私の“身体”が“異常”なのをすっかり失念していたからだ。

赤面した部分が落ち着いたのを見計らって、もう一度つかさへ向き直る。
つい数日前まで同じくらいだった身長は、今では私の方が頭一個分くらい高く。
下を向かなければ、つかさを見れないことを忘れてて少し焦ってしまった。
「つ、つかさ、頼むから、その反応やめてくれ…私も、その…反応に困るから…」
「ふぇ?あ、あぅ、ご、ごめん、お姉ちゃん!」
半音上がった私の指摘に、我に返る妹。
でも、つかさの反応はある意味、正常ではある。
元々身近な男性はお父さんしかいなくて、免疫がないのも確かにあるけど。
実の、しかも双子の姉が急激なこんな変化を経たら誰だってそうもなると思う。
…張本人の私でもこの“身体”には難儀してるしね。

── しかし、慣れないなぁ、この“身体”…。

私が指すこの“身体”は。
おおよそ175cmの身長。
色は同じでも、とてもツインテールなんか出来ない、すっかり短くなった髪。
堅い胸板に、筋肉が適度についた体格。
そして、本来ならついていないはずの“モノ”がついてる下半身…。

そう、数日前まで生物学上“女”そのものだった私の身体は。

…“男”になっていた。

気まぐれな神様のせいで ──
【気まぐれで、いたずらな神様- 柊かがみの受難/始まり】


数日前、こなたがうちに遊びにきた日。
つかさも交えて、居間でゲームをしてたときのことだ。

「えいっ!あ、そういえばさ、昨日から生理きちゃってさー」
「むむっ!ってまた、突飛的な。しかし、あんた生理きてたの」
「…かがみん、さり気にひどいこと言ってない?」
「お、お姉ちゃんそれはさすがに酷いよ」

女同士であれば生々しいこういった会話はよくするから、私も冗談混じりで対応した。
ちなみに、格闘ゲームの片手間にこんな会話してたこともあり、所々気合いを入れてる声が入ってるのは一切気にしないで欲しい。
…気合いを入れたところで、こなたに格闘ゲームで勝てるわけもなく、ここで勝敗はついてたんだけど。
こなたは「やたー」と勝利の余韻に浸りながらも、会話を続けた。

「別に重くもなんともないから、どうでもいいっちゃいいんだけど。
でも、なんだかんだ面倒くさいじゃん?」
「面倒くさいよねー…私は結構重いから、気分も沈むし、いい事なにもないなぁ」
「そこで共感するか、つかさ。まぁ、私も重い方だし、面倒だと思うけど、あと40年は確実に向き合っていくものなんだし、仕方のないことじゃない」
「むぅ、そう言われたら根も葉もないんだけどネ、かがみさん」

否定的な意見を口では言っていても、自分もそろそろ近いなぁなんて考えていて、
こなたはこなたで会話に集中することを選んだのか、すでにコントローラーを置いていた。
それは、この女の子事情の談義に続きがある事を意味していて、猫口笑顔をしてる辺り、また変な事を言い出すに違いないと予感させる。

「今回に限り、私もちょっち重くてさ。とある事を真面目に考えちゃったよ」
「何を?」
「都合のいい時だけ、男になりたいって」
「……はぁ?」

私の予感はまんまと的中した。予め答えを用意しといた分、即答に近かった私の返答に、こなたはより一層、にへらぁと笑った。
…たまに、こいつは意外とマゾなんじゃないかと思うときがある。

まぁそれはそうと。
── もしこなたやつかさが男の子だったらどんな感じなのかしら?
質問の意図を汲む前に、私の思考はこんな風に別へ回っていた。
つかさはあんまり変わらなそうだ。元々つかさはお父さん似のせいか、顔つきが優しい。簡単に言うと優男っぽい、そんな感じは絶対抜けないと思う。
── 嫌いじゃない…けど、好みじゃないわね。
では、こなたはどうなるだろうか。
今よりはもうちょっと身長が大きくて、父親の血筋が濃ければ、喋らなければ男前。
でも、母親の血筋であっても、優しい感じがあって意外とイケメンかもしれない。

「思った事ない? 何かをきっかけに男になりたいっておもった事」
「ん〜、そうだなぁ。私はないかな」
「まぁつかさはそうだよネ。かがみは?」

会話は聞こえてた。けど、向けれてるこなたの猫口笑顔に、別の事を当てはめてた私はすぐに反応できずにいた。
── …うん、好みのタイプかも。…って何を考えてるんだ私は!
頭を大きく振りかぶって、邪な思考を振り払ってるところ、ようやくこなたの声が耳に届き、意味を理解するまでに至った。
「おーい、かがみー?」
「へぇ!?」

呼ばれていた。
── 何聞かれてたんだっけ?
振り払ったのは邪な思考だけでなく、これまでの話の流れまで跳んでいた。
キョトンとした私の様子に、こなたは今まで以上に嫌らしい笑顔を浮かべて。
これは、からかわれる前兆なのは言うまでもない。

「あれ、あれ〜? なんで顔が赤いのかな?かな? 何考えてたの、かがみん♪」
「に、2回いうなぁ!な、なんでもないわよ!」

まさか、男版こなたやつかさを思い浮かべて、好みかどうか考えてました、とは言えるはずもなかった。
その後、『男になりたいと思った事があるかどうか?』の質問を改めてされ、『そもそも現実じゃあり得ない』と有耶無耶に返してその会話は終わりを告げた。


…今思えば、きっとこの会話がすべての発端だと思う。



その日の夕方、こなたが帰った後に私は机に向かっていた。
当然、夏休みの宿題をする為であって、他意はまったくもってない。
ちょっとだけ、男版こなたの妄想の続きをしてたなんてことは、断じてないはずだ。
そんなこんなで、2時間程机と向き合った所で、私の身体に異変が起こった。

下半身へ走る小さな痛みと微妙な重み。そして、急激な眠気。
それは間違いなく、生理前の兆しで。
個人差はあるが、私の場合は大体その2つが同時にきた翌日あたりに生理になることが多く、眠気の度合いによっては、ずれが生じる事もある。
眠気の度合いは最強レベルで、もしかしたら夜くらいにはくるかもしれないと内々では思った。
躙りよる睡魔に耐えながらも、携帯の時計を確認すると、デジタル時計は18時丁度を指している。
もうすぐ夕飯できるかなぁ、と考えてから、今日のノルマ9割を終えたノートの上にシャーペンを放り投げ、机に突っ伏して目を閉じた。
── ああ、また憂鬱な1週間が始まるんだなぁ。
こなたとの会話を思い出す。
『現実じゃあり得ない』と言ったものの、実際確実にくる憂鬱な日々を想像すると、自然と気分は沈んでいき、あり得もしないことを考えてしまうかもしれない。
むしろ、現在進行形で考えてる自分がいた。

── 男になりたい、か。なれるなら、生理の間だけでもなってみたいかも。

その思考の余韻はしばらく残りながらも、意識は深淵へと吸い込まれていった。
106名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 04:01:22 ID:5SDdQ7Ws
レス数書くの忘れましたごめんなさいorz
以上、一応続く予定…。
別のスレで投下してるSSの続きに詰まってて、考えてついた妄想がこれでした。
前者のSSの続きに着手したら、こっちは遅くなるかも…。
それでも、楽しみにしてくれる人がいるんだったら、頑張ろうと思います(´・ω・`)

ちなみに、シリアス路線には走らないつもりです。
別のがシリアスだから…ギャグに走りたいな、みたいなw
それでは、稚拙な文章でごめんなさい!
107名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 04:02:39 ID:Nk3Bk+AC
>>105GJ!!
かがみんはTSしても総受けきb(ry

鼻血ふいてきます
108名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 04:31:47 ID:fQjhUHQN
>>106
GJ!

……というか今書いてるSSと似ててorzな気分だったりw
109名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 04:36:05 ID:Ixjpiwvf
いいよいいよー

男性化も大好きだけど、こういうTSも大好物なんだぜ
110名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 05:43:44 ID:59gZu61+
>>90
おー、続きキタ!GJ!
なるほど、こなたの目的はそれかぁ
確かにこういう大物狙いでいたのなら、忘れてしまう事柄もあるだろう・・・けど
それは忘れちゃいかんだろうw
でも次回のかがみのターンが楽しみ。
111名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 07:21:37 ID:uoVAawN7
前スレが埋め終わったようですお疲れ様&GJでした

最後の埋めネタ、遊戯王知らないからよく分かんないんだけど、三体揃ったからなんなんだ?
112名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 08:06:47 ID:xfkwaW/Q
>>90
あやのが怖いけど、それがいいww
黒キャラは大好物なので、楽しめましたよGJ!
>>111
かがみが出そうとしてる「神」のカードを出す(召喚する)には、場のモンスターを3体生贄にする必要がある。
この場合、かがみの場にはパティ(牛肉)、あやの、みさおがいるので「神」のカードを召喚可能であるということ。
分かりにくかったらごめん。後、長々とスレチスマソ。
113名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 08:09:20 ID:MP6icuYp
>>90
本末転倒だよ、こなたん……。
vsあやのはさすがにお見事でしたけど、こなたにはこれからもいばらの道が続きそうで。
はらはらしつつ、ぐっじょぶです。

>>105
をー、そうきましたか!
慣れない男の身体に互いに戸惑うつかかがが良い感じですな。
次回は柊家の反応編かな? 続きを楽しみにしてます。

>>111
遊戯王で「神のカード」と呼ばれる最強カードの発動条件が、自分のモンスター3体を犠牲にすること、だったと思う。
そしてこのスレで神となぞらえられるのは当然……。(わかんなきゃ保管庫でぶーわさんの作品を読んでみよう)
114名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 08:35:28 ID:t6zNppmb
>>111
正確には遊戯王DMのモンスターの召喚条件に、生贄というのがあって星4つまでは生贄無し、5、6個は生贄一体、7個以上は2体を
場から捨てなきゃいかんのよ、要するに強いモンスターは召喚しにくいって事。であとは>>113の言うとおりだな。
さて、どんなKYな効果があるのやらあの人には・・・
115名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 08:41:22 ID:K/ZbXr5k
突然だが、

レギュラー10名の内、定期的にローテーションで1名
TSする…

または

レギュラー10名の内、定期的にローテーションで1名
フェチ対象となる…

そして

どちらのシチュエーションも、メンバー全員その状態を
認識している。

という電波を受信した。
116名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 09:09:18 ID:uoVAawN7
>>112,113,114
説明あり!
しかしつかさ涙目すぎるww
もう埋まっちゃったから続きは無理かな?
117名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 09:51:04 ID:aWd1a2g7
ゴッドかなたさん
神属性モンスター
星10
攻撃力なし守備力なし
効果・このカードを特殊召喚した場合そのプレイヤーはこのデュエルに敗北する。(ズルはいけませんよbyかなたさん)
このカードを通常召喚した場合、このカードを召喚したプレイヤーはデュエルに勝利するとともに対戦相手を嫁とする権利を得る。
その権利を行使する場合ただちにプロポーズを行い、対戦相手は必ず受け入れなくてはならない。


こんな感じかな…
118名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 12:01:40 ID:AT/OkV0r
前スレ>>558のネタが投下されるのに密かに期待
119名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 12:07:28 ID:uoVAawN7
同じく期待
547の続きも
120名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 13:45:01 ID:MP6icuYp
>>117
横から失礼、下二行はこうしてみたらどーだろう。
「このカードを通常召喚した場合、このカードを召喚したプレイヤーは対戦相手を嫁とする権利を得る。
 その権利を行使する場合ただちにプロポーズを行わなくてはならない。
 対戦相手がプロポーズを受け入れた場合、双方のプレイヤーがともに勝利する」

双方がともに勝利、っては某マ○ック・ザ・ギャ○リン○の「プロポーズ」から。
ゲームの作者が嫁さんにプロポーズするのに作ったカードだそうな。
121名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 14:15:52 ID:3fuGUWdl
「合体」
このカードを使うと味方プレイヤーと敵プレイヤーが合(殴
122名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 15:22:31 ID:f8DLw4Ge
「一万年と二千年前から」
「あry」
123名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 15:26:35 ID:e/Mv1p05
それはなにか?
4人が快楽にうちふるえながら合体するのか?

いや、3人がこなたに興奮しt…ってそれじゃいつも通りだなw
124名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 15:40:59 ID:CmdCx/KY
「分裂」
このカードを使うとこなたんずが(ry
125名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 15:43:33 ID:9X20l0iH
SSオリカスレになっとるww
126名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 17:07:54 ID:UYaoPRnh
>>124
そこで「増殖」ですよw
毎ターンこなたんずがフィールドを埋め尽くすw
1274-243 ◆X9xLTlcDnY :2008/01/22(火) 17:38:25 ID:3t3oa1TY
>>117>>120
遊戯王カードのフォーマットとか全然知らないおいらが
見よう見まねで作ってみましたよ(´・ω・)ノシ
※専門用語的な配置とか根本的に間違ってる可能性が高いけどw
http://www.geocities.jp/extream_noise/rakisutaep/img/god_kanata_yuugioh.jpg
128名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 18:34:57 ID:1wzxHfJf
>>127

ちょwww「受」てwww

よーし、じゃあおじさんも描いちゃうぞー?
129名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 18:36:36 ID:OYR+pERn
>>127
神属性wwwwww
130名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 18:49:59 ID:uoVAawN7
ゴッドかなたさん!ゴッドかなたさん!
氏とぶーわさんのコラボは卑怯だww
131名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 19:07:02 ID:qcccyCBZ
『みんなでひとり!?』
場の『こなたんず』のモンスターカードが2枚以上ある場合、互いのプレイヤーは『こなたんず』を一枚選び、
選んだ『こなたんず』以外の『こなたんず』をゲームから除外、
選んだ『こなたんず』の攻撃力と防御力に、除外した『こなたんず』の枚数×500ポイントをそれぞれ加算する。
ただし、互いのプレイヤーは、自分の場に『こなたんず』が2枚以上ない場合、
このカードの効果を受けない。また、『こなた』はこのカードの効果を受けない。



解説
つまり、
自分の場:ボーイッシュこなた,インテリこなた,ツンデレこなた
相手の場:クールこなた
の場合、このカードを使うと、
自分の場:ボーイッシュこなた(攻防:+1000)
相手の場:クールこなた
除外:インテリこなた,ツンデレこなた
になり、
自分の場:ボーイッシュこなた,インテリこなた,ツンデレこなた
相手の場:クールこなた,天才こなた
の場合、このカードを使うと、
自分の場:ボーイッシュこなた(攻防:+1500)
相手の場:クールこなた(攻防:+1500)
除外:インテリこなた,ツンデレこなた,天才こなた
となる。使い分けが重要となるぞ!




絵?そんなの職人任せd(殴
1324-243 ◆X9xLTlcDnY :2008/01/22(火) 19:14:26 ID:3t3oa1TY
わ、忘れてたワケじゃないんだからね(*・ω・)ノシ
http://www.geocities.jp/extream_noise/rakisutaep/img/konatans.jpg

完全に忘れてましたゴメンナサイorz
133名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 19:28:37 ID:TsCSNPo2
>>127
なんじゃこりゃwwww
134名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 19:36:53 ID:f8bftY5H
>>132

なお、完成のあかつきには金屏風となり、埼玉県の鷹宮神社に寄贈される予定です。
135名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 20:00:37 ID:JI4/qki5
>>132
鷹宮神社寄贈はともかく、金屏風風味は誰かフォトショで実現してみて欲しい所だw
136名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 20:07:55 ID:JI4/qki5
即効魔法『アーホーゲーソウル』
手札を全て捨て、効果発動
『こなたんず』以外のカードが出るまで、
何枚でもカードをドローし、墓地に捨てるカード
そしてその数だけ、攻撃力1500以下のカードは追加攻撃できる。

こな☆フェチを相手にする場合の最後の手段、まさに諸刃の刃。
137名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 20:18:23 ID:MP6icuYp
>>127 >>132
また貴方か! 嗚呼!
てか仕事速いな、相変わらず。毎度ながらにGJ。


というかこの流れを見て、「こなた王 デュエルらき☆すたーず」とか思い浮かんだのは内緒。
138名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 20:21:46 ID:yiyLxF6t
「もうやめて! こなちゃんフラグはとっくに皆成立済みだよ!」
「泉さんが1人、泉さんが2人……だばだば」

「こちらコナーク。魔法カード『ダンボール箱』の使用許可を全力で要請する!( =ω=.)」
1394-243 ◆X9xLTlcDnY :2008/01/22(火) 20:23:01 ID:3t3oa1TY
>>134-135
完成してないけど金屏風
http://www.geocities.jp/extream_noise/rakisutaep/img/kinbyoubu.jpg

…結婚式に連れてこられた子供が落描きしたみたいになっちゃったよorz
140名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 20:29:18 ID:C7GAy3JL
>>139
だから、アンタの仕事の早さは異常過ぎるってwww
思考の早さで作成ってどんだけーw
141名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 20:32:20 ID:uoVAawN7
>>137
というか前スレの547がまさにそれだよなww
これは一大ブームの予感
火付け役は誰だろ、埋めネタだからロム専の人?
142名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 20:36:45 ID:3fuGUWdl
永続罠カード「結婚式」
このカードを場に出すと、味方プレイヤーと敵プレイヤーが結婚する。
このカードの効果により、敵プレイヤーを自分の嫁にする事が出来る。
なお、このカードの効果はデュエル終了後も有効である。
143覚悟しろよ、このフェチ野郎!:2008/01/22(火) 20:41:05 ID:JI4/qki5
>>138
「教えてみゆきさん!約束でしょ!かがみはどこ!?」
「泉さん泉さんだばだば・・・」
「無駄よこなちゃん、ゆきちゃんの魂はこなちゃんフェチに奪われたの」
「かがみんはどこだあああああああああああ!」
「かわいそうなこなちゃん・・・」
「ちょっとつかさ、どさくさにまぎれて抱きつかないでよ」
144名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 20:41:12 ID:C7GAy3JL
>>127
ああ、てけてけかなたさんをビジュアル化した人だったのかw
道理で萌える筈だ
145名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 21:23:27 ID:WW/rir8y
4-243さん、ぐっじょぶ!

このスレを見るようになってから
こなたによる柊姉妹丼が三日に四回は夢に出るようになりました。

女房……泣いてるだろうなぁ……。

146名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 21:26:32 ID:ATu34Bsf
いつの間にか新ブーム到来かw
何はともあれGJなのですよ

流れをぶった切って申し訳ないが投下おk?
147名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 21:28:13 ID:fDfyoz88
>>146
いつでも来い!…いや来て下さいおながいします
14826-485:2008/01/22(火) 21:30:58 ID:ATu34Bsf
では投下します

・「伝わらない想い」の続編
・みなみ→ゆたか
・みなみ視点

6レス拝借します
149偽れない気持ち(1/6):2008/01/22(火) 21:31:29 ID:ATu34Bsf
 内気で感情表現の苦手な私は人とのコミュニケーションが上手く出来なかった。
 それでも高校生になってからは今までよりも沢山の友達に出会えた。
 全ては入試の時出会った、底抜けに明るい小柄な少女のおかげ。





 偽れない気持ち





 人を夢の世界から現代へと呼び戻す時計の音が鳴り響いた。
 手を伸ばしてその音を止める。毛布からはみ出した腕が部屋の寒さと羽毛の温かさを、布団の中にいる身体の体温と対比して教えてくれる。
 こんな気温だと起き上がるのは億劫だが、学校に行く支度をするべく私は身にしみる寒さを覚悟しベッドから背中を浮かせた。
 当たり前といえばそうなのだが、窓から見える景色は普段と何ら変わりない。何処からか小鳥のさえずりが聞こえて、私はいつも通りの朝を実感する。
 リビングへ足を運ぶと、既に朝食が作られてテーブルの上に置かれてあった。炊き立てのご飯に香り立つお味噌汁が食欲をそそる。
「おはようみなみ」
 台所からエプロンを外しながらお母さんが姿を現す。
「おはよう」
「朝ご飯にしましょう」
 私は頷いて、促されるままに椅子を引いて着席した。両手を合わせてこれから私の栄養となる食物に感謝の意を告げて、朝食の時間は始まった。
 箸を手に取り黙々と食べ進める。時間がないわけじゃないけど特に喋る事もないわけで、我が家の食卓は大体いつもこんな感じだ。時たま会話を交わすけど、私から話題を振る事は殆どない。
 普段はそうなんだけど、今日は違った。私は食事の手を止めてお母さんの方を向く。
「お母さん、今日もしかしたら帰りが遅くなるかもしれない」
「何かあるの?」
 部活動に所属していない私が放課後外で時間を使うのは珍しいと思ったのだろう、お母さんは尋ねてきた。私は昨日の夜から考えていた事を話す。
「もしゆたかが良くなってたら……気晴らしに遊びにいこうと思って……」
「まぁ、良い事ね」
 お母さんは優しげな微笑みを浮かべた。
「けどあまり遅くなっちゃダメよ」
「うん、分かってる」
 忠告に了解を示して、私は再び箸を持った手を動かし始めた。
 豆腐を口に入れようとしたところで、私はお母さんがまだにこにこと私を見つめているのに気づく。
「……何?」
 何か言いたげな表情に問いかける。
「ううん、別に」
 しかしお母さんはそう答えて食事を再開した。本当に何もなくただ見ていただけなのか、私の思ったとおり言いたい事があるけどあえて言わなかったのか。
 後者の可能性を疑ったが、隠す理由が見当たらないし何か考えがあっての事だろうから私はそれ以上の詮索を止める事にした。
150偽れない気持ち(2/6):2008/01/22(火) 21:32:00 ID:ATu34Bsf
 もうすっかり通い慣れた通学路もやはりいつもと変わらず、多くの学生や社会人で賑わっていた。
 寒さに身を縮こまらせひたすら歩く人、友達と楽しげに喋りながら目的地を目指す人、防寒対策完璧に自転車で風を切りかっ飛ばしている人。
 真冬の冷たい風に吹かれるこの街の一角は、私の知らない多様な人々でいっぱいだった。
 整えられた歩道を歩いていくと学校が見え始めた。校門では先生や委員会の人が挨拶の声を飛ばしている。
 私は軽く会釈をして門を潜り抜けると、下駄箱へと向かった。こんなに寒いのに、朝早くから始業寸前まで外にいるのは偉いと思うけど、どうしても見知らぬ人には挨拶を返し辛かった。
 自分の靴を下足入れに、代わりに上履きを取り出して履き替える。教室までの最短ルートを脳内に描き歩みを進めた。
 最も短いと言っても、それは平日何回も往復している道程。改まった確認の必要は全くないのだけれど。
 少しくすんだ箇所が見られる廊下は外と同じくらい冷え込んでいた。所々から寒いとの天候に関する不満の声を聞きながら、私は足を自分のクラスへと進める。
 階段を一定の歩調で上ってまた暫く歩くと、廊下の端に位置している扉が閉まった教室に辿り着いた。
 恐らく寒さの所為で窓も閉め切られていている事だろう。そんな想像をしながら教室の中に入る。
 引き戸が開かれる音に幾人かの生徒が振り返ったが、特に何の反応も示さずに各々がしていた事に意識を戻していった。
 普段から友好的な態度を見せないから仕方のない事だ。私は脇目も触れずに自分の机を目指す。
「あ、おはようみなみちゃん」
 自分の机のフックに鞄を掛け椅子に座ると、隣の席で朝からノートにペンを走らせていた田村さんが声を掛けてきた。
「おはよう」
「いやー今日も寒いねー」
 白い息を利き手に吐き掛ける田村さん。本日の気温について感想を漏らしたとおり、田村さんの頬と耳は淡い紅色に染まっていた。
「おかげで手が悴んじゃってねー、上手く絵が描けないよ」
 本人は頭を掻きながらそう言っているものの、ちらりと帳面に目線を移すとそこには私の目には十分上手に映る女の子の絵があった。
「そう、なんだ……私にはとても上手に見えるけど……」
 やはり素人と玄人は見方からして違うのだろう。それとも書き手の拘りという奴だろうか。
「そう思ってくれるのは有り難いけどね、自分が満足出来る絵を描かないと」
 田村さんはそう言って拳を強く握った。私には分からない世界だけれど、一生懸命さはひしひしと伝わってくる。
「そう……頑張って」
「うん、ありがとねみなみちゃん」
 田村さんは微笑んで作業に戻った。
「あ、田村さん……放課後時間ある?」
 邪魔になっては悪いとは思ったが、私はゆたかと遊ぶ事について相談する事にした。
「うん暇だよ」
「実は今日ゆたかの気晴らしにと思って皆で遊ぼうかと思うんだけど……」
 私の提案を田村さんは快く承諾してくれた。
「良いね、私もご一緒させて貰おうかな」
「うん」
 後はパトリシアさんとゆたかに了解を得て―――
「それにしても珍しいね、みなみちゃんが遊びに誘うなんて」
 私の思考をぶった切るように田村さんが言った。
「ゆーちゃん絡みだからかな?」
 無邪気な笑顔を浮かべて聞いてくる。
「……うん」
 私は少し考えた後肯定した。
 確かに少し前までの私なら積極的に遊ぼうなんて事は言わなかっただろう。
 私は心の中で、少しだけ自分を変えてくれたゆたかにお礼を言った。
151偽れない気持ち(3/6):2008/01/22(火) 21:32:31 ID:ATu34Bsf
「え?今日皆で遊びに?」
 私の提案を聞いたゆたかがポカンと口を開けた。私はこくりと首を縦に振る。
「勿論良いよ!」
 途端に向日葵のような笑顔になって答えるゆたか。その表情を見て、私はゆたかが元気な事を知って安堵した。
 ゆたかは自分の健康状態を熟知しているからか、無理をするような事はあまりなかった。気分が少しでも優れなくなったらすぐに私に言ってくれる。
 そのおかげで私はゆたかの様態が悪化する前に保健室まで連れて行く事が出来る。
 それは自分の気持ちを伝えるのが不得意な、私が唯一確実にゆたかを助けてあげられる事。
 私がゆたかにしてあげられる事はそう多くない。
 だから、私はこれからもゆたかの為に保健委員の仕事をし続けよう。
 ゆたかの親友として。
「みなみちゃん?」
 ゆたかの私の名を呼ぶ声が、私を現実へと引き戻す。はっと気づいたらゆたかの顔が私の目の前に迫っていた。
 長い睫毛に大きな瞳、白桃のような肌に少し濡れた唇。
 私とは違って、可愛いという言葉がとても似合うその容姿に一瞬、頬が紅潮する感覚を覚えた。
「どうかしたの?」
「な、何でもない」
 小首を傾げるゆたかを見ていると更に顔が熱くなってしまいそうだった。私は慌てて誤魔化してゆたかから目を背ける。
 普段は非常に落ち着いている心臓の鼓動の音が、ゆたかに見つめられただけで煩いくらい高鳴っている。
 こんな感覚、初めてだった。
 何なんだろうこの感じは―――
「グッドモーニングミナミ」
 胸に手を当てて考えていると、背後から陽気な声がした。
「お、おはよう」
 声の主パトリシアさんは私の様子が少しおかしい事に気づいたのか、ちょっぴり眉を八の字にした。
「どうしマシタ?顔が真っ赤デスヨ?」
「な……何でも、ない……」
 明らかに何でもない事ない態度で偽る。パトリシアさんはまだ腑に落ちないといった感じで私を見たが、深く追求するのは良くないと思ったのかそれ以上は何も言ってこなかった。
「あ、パティちゃんおはよう」
「ユタカ、グッドモーニング」
 そこへゆたかが現れて、パトリシアさんと朝の挨拶を爽やかに交わした。
「パティちゃん、今日の放課後の事なんだけどね……」
 説明不能、って程ではないけど、何故か頭がいっぱいいっぱいの私に代わってゆたかがパトリシアさんを誘ってくれた。
「モチロンワタシもトゥギャザーしマス!ミンナで楽しくショッピングしまショウ!」
 いつにも増して明るくなったパトリシアさんに、ゆたかがにこりと笑う。
 もしかしたらバイトがあるかもしれないと危惧していたが、どうやら無駄な心配に終わったようだ。
 けれどまだ本人の口から今日は休みだっていう情報を聞いていない。
「大丈夫デスヨ。今日はシフト入ってマセンカラ」
 念には念を入れて確認すると、パトリシアさんはそう答えた。
「なら安心だねっ」
 それを聞いたゆたかが本当に気掛かりがなさそうな笑顔で呟く。
 その表情に私は心が反応するのを、確かに感じた。
 そして、それを無意識の内に隠しておこうとする事も。
152偽れない気持ち(4/6):2008/01/22(火) 21:33:03 ID:ATu34Bsf
 授業を聞いて昼食を取って、また授業を聞いて。案外時間というものはあっという間に過ぎるもので、もう最後の授業の終了を知らせるチャイムが鳴ってしまった。
 持参物を鞄の中に戻し、帰り支度を整えていると、ゆたかが待ちきれないと言わんばかりの雰囲気で私の机に駆け寄ってきた。
「みなみちゃん早く早くっ」
 私の制服の袖を子供みたいに引っ張るゆたか。
 純粋無垢に私を急かすゆたかに、私の心はまたしても反応を示す。音にすると、ドキッといった感じだろうか。
 また、頬が赤い。
「わ、分かったから、そんなに引っ張らないで……」
 込み上げてきた恥ずかしさを掩蔽するように俯くと、ゆたかはゆっくりと手を離した。
 その顔が少しだけ名残惜しそうに揺れた気がしたが、私は速さを増す一方の脈動に気をとられてそれどころではなかった。
 私は単に恥ずかしいだけなのだろうか。自分に問い掛けてみるものの、当然答えは返ってこない。
 誰かに誉められたり、感心されたりした時とは少し違う、初体験の気持ち。そこにちょっとの気恥ずかしさはあるかもしれないけど、何かが異なっている。
 分からない事は山積みだけど、いつまでも皆を待たせるわけにはいかないので、止めていた手を動かし始める。勉強道具を詰め込んで、鞄の口を閉め手に持つ。
「お待たせ……行こうか」
 近くで待っていたゆたかに声を掛ける。
「うんっ」
 ゆたかは笑顔を取り戻して、歩き出した。
「二人とも行くよー」
 教室の出口で田村さんが私達を呼んでいる。隣にいるパトリシアさんも合わせて待たせてしまったようだ。私は少し急ぎ足に教室の出口に向かった。
「さて、どうしようか」
 田村さんが丁度下駄箱に着いた頃に言い出した。どうするとはこの後の予定の事だろう。
「ゆたかは……何処が良い?」
 私は自分の靴を出しながらゆたかの方を向いた。ついでにゆたかの靴も取って渡してあげる。
「私が決めて良いの?」
 ゆたかは小さな手で受け取りながら聞き返してきた。
 私は他の二人を見回す。その感じからして異論はないようだ。
 私は再びゆたかに向き直る。
「うん……」
 爪先を地に着けたり浮かしたりして靴を履いていたゆたかは、私の声を聞いて手を口元に宛がった。
「特に行きたい場所はないけど……商店街をぶらぶらしたいかな」
「ソレでいきマショウ」
 ゆたかの提案にパトリシアさんが賛成した。私も田村さんも異議は唱えない。
 他に行く宛もなかったし、何よりゆたかの意見を尊重したかった。
 ゆたかの為に私が出来る細やかな事なのだから。
「じゃあ行こっか!」
 そう言うとゆたかは極自然に、私の手を握って走り出した。
 ふわりと、ゆたかの甘い香りが鼻腔をくすぐる。
 田村さんやパトリシアさん、それに他の下校途中の生徒達も私達を見ている。それでもゆたかは形振り構わなかった。
 死ぬほど恥ずかしかったけど、離してとは言えなかった。
 ゆたかの手が、冷え込む空の下の私には温か過ぎたから。
 二人とも置いて来てないかな……大してスピード出してないからすぐに追いつけるだろうけど。
「ちょっと〜!ゆーちゃんいつからそんな大胆にっ!?」
「ビバ無邪気責めデスネ!やはりジャパンの発想はエクセレント!」
 後ろから私達を追いかけているであろう二人の声がする。良く聞き取れなかったが、恐らくは私達を呼んでいるのだろう。
 後方を確認しようとしたが、私はゆたかの背中から目が離せなかった。
153偽れない気持ち(5/6):2008/01/22(火) 21:33:32 ID:ATu34Bsf
「う〜、寒い〜」
 太陽が役目を終え、暗闇を纏い始める空の下は急速な冷え込みを見せていた。吹きつける夕風は神経を麻痺させるかのように身体を冷やす。
「大丈夫……?」
 凍えるゆたかの方を向いて心配する。病み上がりなのに、長い時間外を連れ回すのはまずかったかもしれないと今頃悔やんでしまう。
「うん、大丈夫」
 そう言うゆたかだったけど、私はまだ合点が行かなかった。
 どうしてかゆたかが無理をしているように見える。本人が平気だと言っているのだからその通りなのだろうけれど、無性に気掛かりな自分がいた。
 いつもの私なら素直にゆたかの言葉を信じる事が出来ただろうに、一体どうしてしまったのだろうか。
「寒くなったら、言って……」
 一人悩んでいても仕方がないから、私は考えるのを止めてゆたかにそう伝えた。
「うん」
 そう答えるゆたかの姿も、何処か元気がなさそうだった。
 微妙な態度の変化ををおかしく思ったが、それは私にもまた言える事であった。
 今までなら、健康な事を示すゆたかをここまで憂える事はなかったはずだ。
 私は何故ここまでゆたかに構いたがるのだろうか。
 友達だから?本気で心配だから?ゆたかの元気な姿がみたいから?
 どれも今の心情を表す理由としては不適切で、私は良く分からないといった結論に至る他なかった。
 正体を知りたいがしかし、それは言葉では表し難いもの。考えれば考えるほど、底のない沼にのめり込んでしまうようだった。
 何なんだろうこの気持ち―――
「じゃあさ、何か温かいものでも買ってく?」
 そう申し出る田村さんの指差す先には、電灯が目映いコンビニが立地していた。自分の事もあるだろうけど、寒さで震えるゆたかを気遣っての事だろう。
「イイデスネ」
「じゃあそうしようかな」
 当然反対の声を上げる者はおらず、私達は髪を靡かせながら自動ドアを潜った。
 店員の型に嵌った歓迎の言葉を受け、店内に入ると暖房が効いている屋内が天国のように思えた。少しでも長居したいと思ったけど、そうもいかないから私はさっさと物色を始める。
 弁当類が置いてある場所に近くに位置する、ホットドリンクが並べられている棚に目線の先を移す。多種多様の温められた飲料は、さながら寒空に覆われた外界の希望だ。
 そんな事すら思えるほどの飲み物の群れを羨望の眼差しで吟味する。どれにも個々の魅力があり、つい選ぶのに時間を掛けてしまう。
 暫しの間脳内で討論を繰り広げた結果、私はココアの缶を手に取った。冷たい以外の感覚を忘れていた手が温もりを取り戻す。
 会計を済ませるべくレジへ移動すると、ゆたかが困った様子でコートのポケットや手荷物の中を探っていた。その少し焦った感じに店員は訝しげな表情を見せている。
 その手にビニールの袋が握られている事から、いざお金を払う段階になって財布が見つからない、といったところだろうか。
「会計を……一緒にお願いします」
「!みなみちゃん」
 私が割って入って商品を差し出すと、店員はほっとしたようにレジを打ち直した。
 私は提示された金額を支払って購入した物品を受け取る。
「はい、これはゆたかの」
 私は微笑んで一方のレジ袋をゆたかに手渡した。
「あ、ありがとう……」
 ゆたかは居た堪れなくなったのか、顔を朱に染め逃げるようにコンビニを後にした。
154偽れない気持ち(6/6):2008/01/22(火) 21:34:04 ID:ATu34Bsf
 私はゆたかの後を追うように扉を通り抜ける。
 ゆたかは夕闇が広がりを見せる、ほの暗い空を見上げていた。
 寒気に赤みをつけられる頬、薄暗がりに映える白く輝く息、風に舞うツインテールとそれを縛る黒のリボン。
 その姿はまるで、儚く揺れる崖の縁の心弱い一輪の花のよう。
 私の視線に気づいたのか、ゆたかが私の方に目線を移した。
「ごめんねみなみちゃん」
 ゆたかの口から吐息と共に謝罪の言葉が漏れた。
「いっつも迷惑掛けてばっかりで……」
 心の底から申し訳なく思っている―――ゆたかは瞳を潤ませながら俯いて、私にそんなイメージを植え付けた。
 どうやらゆたかは先程の件だけでなく、普段から頻繁に具合を悪くし、その都度私が保健室まで連れて行く事が私にとって迷惑だと思い込んでいるらしい。
 そんなわけは決してないのに。
「そんな事ない」
 自分が出した声じゃないと思ってしまうぐらい流れるように口から言葉が発せられる。その所為かゆたかも少しだけ驚き顔を上げた。
「全然迷惑なんかじゃない」
 目を逸らす事なく、続ける。
「私がしたくてしているんだから」
 風が吹き抜けた。
 それは沈黙を運んできたかのようで、二人は時を止められたかのようにお互いを見つめ合っていた。
 会話は全くないのに、苦痛な一時ではなかった。
「……ありがと」
 黙する空間を最初に破ったのは、静かに微笑んだゆたか。それにつられて私も自然と笑みが零れる。
「田村さんとパティちゃんは?」
「まだ……買い物をしてる」
 ゆたかの問い掛けに、私は明るみでその便利な存在を誇示するコンビニに向き直って答えた。
「そっか。冷めると美味しくなくなるし、もう食べちゃおうかな」
 そう呟きながら、手に持った袋に手を入れるゆたか。中身を捜し求める手とビニールが擦れる音が響く。
「何買ったの?」
「肉まんだよ」
 私が聞くとゆたかは証明しようとせんばかりに、湯気を上方に放つ肉饅頭を見せた。お腹がそれを欲して空腹を音で知らせるけど、我慢する。
 膨らんだ小麦粉の皮、漂ってくる美味しそうな香り。視覚と嗅覚の両面から攻められるものの、全ては小腹が空く事を見越して食べ物を購入しなかった私が悪い。
 そんな私を気にせずゆたかは肉まんに齧りついた。
「みなみちゃんが買ってくれた肉まん、美味しいよっ」
 満面の笑みで感想を述べるゆたか。
 その屈託のない笑顔を見て、やっと私は求めていた理由を自覚した。
 私がゆたかの為に保健委員に就任したのは、友達だからでも心配だからでもない。
 子供のようなあどけないゆたかの笑顔が―――
 ゆたかの事が、好きだから。
「みなみちゃん。どうかした?」
 もうこの気持ちに嘘をつく事など出来そうにもなかった。
 しかし私達は女同士。
 本当はずっと前からゆたかに恋愛感情を抱いていたのに、数々のわたし」に纏いつく要因が恋に変わりそうだった気持ちを封印していた。
 ゆたかを困らせたくないなら隠しておかなければいけないと。
 認めてはいけないと。
「何でもない……」
 激しさを増す心臓が全身に血液を送る音が私に近づくゆたかに聞こえないように、ゆたかにこの気持ちを悟られないように、私はぶっきらぼうに背中を向けた。
 込み上げる欲求を紛らわせようと、私は缶のプルタブを引いて口内に液体を流し込む。
 味は全く分からなかった。
15526-485:2008/01/22(火) 21:36:29 ID:ATu34Bsf
今回の作品のテーマはスレ違い……
じゃなかったすれ違い
まだ二人の心情を拙く描写しただけで
大して面白くはないと思いますが
頑張って続きを書きたいと思います
次回ゆたか視点に続く
156名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 21:46:28 ID:t6zNppmb
ツンデレ巫女柊かがみ
光 星5 効果モンスター
ATK:2300
DEF:1500
巫女族・デュアル
このカードは墓地またはフィールド上に表側表示で存在する場合、このモンスターは通常モンスターとして扱う。
フィールド上に表側表示で存在するこのカードを通常召喚扱いで再度召喚することで以下の効果を得る。
●フィールド上、または墓地に「こなた」「つかさ」「みゆき」と名の付くカード一枚につき攻撃力300ポイントアップする。

おとぼけ巫女柊つかさ
光 星5 効果モンスター
ATK:1500
DEF:1000
巫女族・効果
このカードがフィールド上にある時、手札から1枚カードを捨てることでライフポイントを1000回復する。
この効果は自分ターン中1回しか使えない。
フィールド上に「かがみ」と名の付くカードが表側表示で存在する場合、このカードに対する攻撃をフィールド上の「かがみ」と名の付くカード
に対象を移す事ができる。

ガチで書いたので、意味分かんない所があったらスイマセン・・・

>>155
GJ!です!
157名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 21:54:07 ID:3t3oa1TY
>>155
これはなんという可愛いみなゆた(*゚∀゚)=3
この二人はホント癒し系だなーと思いまする

一点気になったのが、「私の思考をぶった切るように」ですが、
みなみ視点なら「私の思考をさえぎるように」くらいの方が違和感ないかも

あと、これは個人的に質問ですが、ひより→みなみへの呼称って
「みなみちゃん」?「岩崎さん」?
おいらアニメメインだったので、後者かな?と思いましたが
原作やゲーム等ではみなみちゃんなのかな?
158名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 21:56:59 ID:ucknDfzf
デュエルモンスターズのことはさっぱりわからないからブームになられても話についていけねえ
159名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 22:06:51 ID:IRRtYg8P
>>158
漏れも世代的に知らないから分からんwww



だから黙々とSSの続きを書いているんだぜ。
16026-485:2008/01/22(火) 22:18:38 ID:ATu34Bsf
>>157
確かアニメでも20話ぐらいから
「みなみちゃん」になってるかと
間違ってたらごめんなさい
161名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 22:24:20 ID:3t3oa1TY
>>160
ぬお!なんというにわかファンorz
修行しなおします(ノД`)
162名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 22:24:50 ID:uoVAawN7
みなみんとかって呼ぶんだことなかったっけ
163名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 22:34:56 ID:4v4nUw+s
22話で「みなりん」と呼んでいたな。
164名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 22:35:16 ID:JI4/qki5
なるほど、ゆたか視点だけではなく交互視点か
これはまたお互い互いの一人相撲同士、
実にすばらしい百合デュエル




と、ひよりんが申しております。
>>162
ちなみに、『みなりん』な
165名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 22:43:46 ID:uoVAawN7
ごめん 吊ってくるわ・・・
166名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 22:45:25 ID:gSTAQS69
じゃあ俺は>>165を止めてきますよ
167名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 22:52:36 ID:JI4/qki5
_                             ||
\\                           ||
  \\                         ||
   \\     −−―――─――─────────…‥
     \\                          ||
      \\                       ∧||∧
        \ 〆> ∧_∧             (  ⌒ ヽ>>165
        ∠/⊂(ω=.  )              ∪  ノ
            ヽ(イ`  )ゝ           ∪∪
             (_\ \
                (__)
 ↑レバ剣
168名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 22:55:22 ID:JI4/qki5
ちょっと改変w
_                             ||
\\                           ||
  \\                         ||
   \\     −−―――─――─────────…‥
     \\                          ||
      \\                       ∧||∧
        \ 〆>   (               (  ⌒ ヽ>>165
        ∠/⊂(ω=. )                ∪  ノ
            ヽ(イ`  )ゝ           ∪∪
             (_\ \
                (__)
 ↑レバ剣
169名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 23:00:35 ID:9kxJUHgm
>>168が一瞬、某波平さんに見えてしまった俺はちょっとレバ剣で斬られてくる
170名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 00:19:13 ID:rdyZg9rc
才能のなさに絶望したので釣ってくるお
マジ凹みだーわかってたけどー
171名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 00:22:11 ID:26kktEUO
レバ剣と聞くとアニメ本編よりむしろ、あのネトゲのSSを思い出す
いいお話だった
1727-896:2008/01/23(水) 00:33:47 ID:BqaJLHG8
前回、次はSSをとか言ってたくせに、有言不実行で申し訳ないです。
でもどうしても描きたくなったので描いてしまいました。
SSはちゃんと完成させます!

http://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0008.jpg
173名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 00:34:35 ID:Uf3NLtY/
>>172
ぎゃあああああああああああ
174名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 00:36:59 ID:PZpHSf2s
_                             ||
\\                           ||
  \\ ←レバ剣                 ∧||∧
   \\                     ( ⌒ />>169,170
     \\                     ∪/ヽ
      \\                    /  ノ
        \ 〆>   )            /  ∪∪
        ∠/⊂(ω=.; )           
            ヽ(イ`  )ゝ        
             (_\ \  <ア、ヤッチッターヨ
                (__)
 


>>172
こうして、かなたは、ますこっとに、なった
「かなーん」
175名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 00:40:35 ID:mb7qC3Yv
>>156

>このカードがフィールド上にある時、手札から1枚カードを捨てることでライフポイントを1000回復する。

食材にしちゃったのかwww


176名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 00:45:09 ID:zMJAMkhr
>>172
「お、緑色のGainerとは渋い!」とか連想した自分はバカですね。
そもそもそんなカラーリング無いし…

しかし、何というマスコットだ。
17726−598:2008/01/23(水) 01:20:08 ID:VgJjetWb
どうも、かなり久々にやって来た26-598です。
流れを切るようで申し訳ないですが、かがみ&こなたものを投下します。
178こなたの正夢:2008/01/23(水) 01:21:12 ID:VgJjetWb
「あれ?ここどこだろう?」
気がつくと私は、辺り一面が真っ白である見たこともない場所にいた。
「んー、よくわかんないけど…とりあえず歩き回ってみよっかな」
そう思い、歩き出してみた。

「…なたー……」
「ふえ?今、誰か私のこと呼んだ?」
「こなたー……」
やっぱり誰かが私のことを呼んでるみたい。
というか、この声はたぶん…。

「もしかして、かがみん?」
「こなた…」
私の予想は正しかったようだ。
声のするほうへ歩いていくと、すぐにかがみを見つけることができた。
変な場所で一人ぼっちにされて少し淋しい思いをしていた私は、早速かがみに話しかけた。

「かがみ〜ん、寂しかったよ〜。ここって一体どこなんだろね?」
「こなた…」
「ひょっとして、ここは私とかがみの2人だけの世界、とかいう展開なのかな?」
「こなた…」
「…えーと。さっきから会話が成立してないような気がするんだけど…」
「こなた…」

…なんでかがみはさっきから「こなた」としか発言しないのだろうか。
何か、何か嫌な予感がする。
「こなた…」
大体、なんでこんなにかがみは私に近づいてくるのだろうか?
すでにキス出来そうな位密着しちゃってますよ!?
179こなたの正夢:2008/01/23(水) 01:21:40 ID:VgJjetWb
「か、かがみ、一体どうしたの?言いたいことがあるならちゃんと言おうよ、ね!?」
私は必死になってかがみに呼びかける。
さらにかがみとの距離を離そうとしてみるが、何故か抱きしめられて失敗した。
なんなのさこの展開はっ!?

「こなた…。私ね、やっと気づいたの…」
「な、何に?ってゆーか苦しいんだけど…」
やっとかがみが普通に喋ってくれたよ…。
でも、なんで抱きしめる力がどんどん強くなっていくんだろ…?
疑問を抱く私をよそに、一呼吸置いたかがみは真剣な目で私を見つめている。
私はその瞳に絡めとられ、身じろぎすることもできない。

「こなたのことが、好き…。友達としてじゃなくて、恋愛対象として…」
「うええっ!?」
か、かがみに…告白された?
「えっ、あの、そのう…、だから!ええっと…!」
うわっ、私もの凄く慌てちゃってるよ…。
でも、かがみの告白はすごくうれしい。
私もずっと、かがみのことが好きだったから。
この想いは、叶うことがないって、諦めかけてたから…。

「か、かがみ!実は私も…」
焦る気持ちを抑えて、私の気持ちを伝えようとする。
これで私とかがみんは両想いだよ〜♪
しかし、
「いいわっ、こなた!アンタの気持ちはよく分かってる!」
「ふえっ?」
かがみに遮られてしまった…ってゆーか私の気持ち悟られてたの?

「しょせん私とこなたは女同士…。私の想いはアンタには届かない…!」
……はい?
ちょっ、ぜんぜん私の気持ちに気づけてないよー!?
「でもね、私思ったの…。それで諦めていいのか、って…」
「あ、あのー、かがみん?」
「私の可愛いこなたんが、どこの馬の骨とも知れない男とくっついてもいいのかって!」
私の言葉を完全に無視して話し続けるかがみ。
ちなみに力強く私を抱きしめたままだ。
180こなたの正夢:2008/01/23(水) 01:22:10 ID:VgJjetWb
「だから私ね、こなたに百合の素晴らしさを体に教え込んであげようって思いついたの♪」
「………え?」
耳がおかしくなったのかなー?
体に教え込む?
そんなエロゲ的展開が私に?
しかも、あのかがみが?
はっはっは、そんな馬鹿な〜。

「さあ、始めるわよ〜♪」
「ちょっと待ってかがみ、だから私はそんなことしなくても…うにゃああああっ!?」
軽い現実逃避を行った私に、かがみが襲い掛かってきた!
「や、やめてよ、服脱がさないでえ…!んむっ!?」
「んんっ、ちゅっ、こなた、可愛い…」
キスされてしまい、舌まで入れられて力が抜けてしまう。
気づくと私は裸になっていた。
…展開が速すぎてついていけない。

「んひゃっ、あううう!?そこダメぇ…ひゃううううううっ!」
「ふふっ、こなたったら凄く感じやすいのね…」
体中の敏感な所を弄られ、声を抑えることができない。
うう、かがみん上手すぎ…。
「さ〜てこなた、ここからが本番よ?それじゃ、いただきま〜す♪」
「か、かがみん、それ以上は…!にゃああああああああああああああっ!?」

…嫌な予感が的中しちゃったなー。
純愛フラグが立ったと思ったら、まさか強制18禁イベント発動とはね…。
ギャルゲーやエロゲを極めた私でも気づかなかったよ、ははは…。
薄れ行く意識の中で、私はそんなことを考えていた…。
181こなたの正夢:2008/01/23(水) 01:24:13 ID:VgJjetWb
「こなたー、朝だぞー」
「うう〜ん、かがみ〜、ダメぇ…あれ?」
目を開けると、お父さんの顔がどアップで映った。
もしかしてさっきのは、全部…夢?
あ、あはは、そうだよね、かがみがあんなことするはずないよね!
少しだけ残念に思いつつも、私は自分にそう言い聞かせた。

今日はかがみが家に来ることになっている。
とりあえず「お父さんキモい!」というセリフでお父さんを部屋から追い出し、準備をしておく。
うあ…、今かがみの顔見たら絶対おかしくなっちゃうな…。
注意しとかないとね!
ピンポーン
「は〜い、今行くよ〜、かがみ〜ん♪」

「おっす、こなた」
「ヤフ〜、今日も可愛いね、かがみんは♪」
「ば、ばか。何言ってんのよ」
いつも通りじゃれあう私たち。
しかしこのときの私は、あの夢の出来事が現実におこるとは思っていなかった…。
18226−598:2008/01/23(水) 01:27:55 ID:VgJjetWb
以上です。
誤字・脱字等があるかと思いますが、ご容赦を。
しかし最近ネタが思い浮かんできにくいですね…。
ハイペースで投下されてる方々を見習いたいものです。
183名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 01:34:53 ID:PZpHSf2s
・・・あ、あれ?
続きは?(=ω=. Ξ =ω=.)
現実編は??

と、こういう風に、続きを所望したくなるGJ
184名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 01:38:58 ID:ADYZY7dj
GJ!是非とも現実編をお願いします!
185名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 01:40:17 ID:Uf3NLtY/
テスト勉強に疲れて現実逃避するついでにもう何枚か・・・

暴走婦警成実ゆい
光 星6 効果モンスター
ATK:2000
DEF:1800
交通安全課族・効果
このカードは墓地にある「ゆたか」と名前がついたカード1枚につき攻撃力300ポイントアップする。

E-KK3 スバル・ヴィヴィオRX-R
地 星5 通常モンスター
ATK:2000
DEF:2000
機械族
軽自動車だが、ラリーベースに使われるほどの戦闘力を持つ

爆走天使成実ゆい
光 星8 融合モンスター
ATK:2750
DEF:2000
交通安全課族・融合/効果
暴走婦警成実ゆい+E-KK3 スバル・ヴィヴィオRX-R
このモンスターはバトルフェイズごとに2回攻撃ができる。
このカードは墓地にある「ゆたか」と名前がついたカード1枚につき攻撃力300ポイントアップする。

壊れカードになってんな・・・

>>182
かがみやべーwww
つづきのwktkしながら待ってます!
186名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 01:44:12 ID:JK4IzVja
>>182
続きを書くしかないようですな
俺からもお願いですw

>>185
デュエルモンスターズネタはもういいよ
ついてこれない人のほうが多いし
187名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 01:49:30 ID:w1R4x64w
>>186
一方的にもういいとか言うのはどうかと
188こういう局面では萌えKYなみゆき:2008/01/23(水) 02:01:58 ID:PZpHSf2s
では、同じカードなのですから、百人一首などはいかがでしょう。

あきのこぬ いずみのかおの ほほをさわり
     わがはなあなは ちにてぬれつつ
                           天智御幸





……
紙敷や 古きダンボール 忍ぶにも
  猶あまりある あほげなりけり
                           泉徳院
189名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 02:14:45 ID:7vvIPVMe
>>187
とはいえこのスレでやるようなことか?という気はする
190名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 02:15:14 ID:0sXPhhmE
>>185
> E-KK3 スバル・ヴィヴィオRX-R
で別の百合を連想したから
ちょっと なのはスレ逝ってくる
191名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 02:34:18 ID:oA5IFEBA
>>186-187>>189
俺もついて行けてない一人だが、そもそもらき☆すた自体
他作品のパロを売りにしてる面があるので、判る人が盛り上がってるなら
それはそれでいいんじゃないかと思う

>>186にしろ>>189にしろ、自分の好きな作品のネタで盛り上がってたら
わざわざ止めたりはしない筈。
割と近いトコでは、スネークネタが結構続いてたと思うし。

もちろん本来SSスレなので、SSを投下する人は小ネタに遠慮することなく
投下すればいいし、それを妨げてまで小ネタで盛り上がるならマナー違反と思う。
192名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 02:37:22 ID:JK4IzVja
マイノリティが盛り上がりすぎるネタで盛り上がって
わからない多数が書き込みにくい環境ができることが何より危険なのでは
それに気付いたらたとえ俺だって自重するよ
193185:2008/01/23(水) 02:37:53 ID:Uf3NLtY/
>>186>>189
さすがにはしゃぎ過ぎた、謝罪する。
言い訳はしない。
194名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 02:54:54 ID:PZpHSf2s
う〜ん、でも私としては>>191の認識で正解なんじゃないかなと
ネタで多少盛り上がりすぎるくらいのほうが、
スレに活気を与え続けるという意味においては、悪いはずじゃないし。
多少くらいなら、脱線してもいいし、その脱線、ノリ、勢いが
新たなる作品を生み出したなんてこともあったし。
第一ね、前々からもいってるけど、
私はこのスレ住人のTPOを信じてるから。
紳士なるひよりんぞろいのこのスレなら(=ω=.)b

た・だ・し、>>191でもいってるとおり、ここはあくまでSSスレ。
SSが第一優先なのです。
今からSS投下しますよー、という人を妨げるのは確かにマナー違反。
そういう声がかかったら。「よし、やっちまえ」の一言でもいい。
声をかけて投下を促し、あとはじゃまをしない。
そのくらいのくらいの配慮は、もはやスレ住人の義務ですぞよ。
・・・って、これも、このスレの住人ならデフォルトだよね?(=ω=.)b

なお、SS投下を妨げる人がいたら、
お母さんがエスカリボルグ食らわせるとかいってた((=ω=.)))
195名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 04:29:45 ID:wAObgdWb
さすがこなかが→こな☆フェチ→TSを経験してきた俺
今さら新しく付いていけない話題が出てきても、びくともしないゼッ!
196名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 08:35:12 ID:/OLLUQaT
全く個人的な話なんだけど
あんまりにもデュエルネタとかやられると
ここが本当に21……いや、今では18……禁の板なのか疑わしくなってくる。
個人の趣味にいちゃもんつけたくはないけどね。
197名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 09:03:20 ID:kyd+zWnT
>>195
そんなについていけないネタあると、なんかつまんなくないか?w
3つでこのスレの半分以上は占めてると思うんだが
俺には堪えられる自信がない・・・おまえすごいな
198名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 10:21:06 ID:IX5+ikY0
流れとゆーのは、水が同じ方向に動くから生まれるのだヨ。
その勢いが強かったり、量が多かったら流れは速くなるよネ。
逆流すれば波しぶきが立つし、流れに板を立てても泡がたっちゃうよね。

物理法則に反して逆流する(=ローカルルール違反)なんてのは論外だけど、
流れができてる以上、板を立てるのってのはどーなのかな。
いい機会なんだし上流(=元ネタ)を見に行ってみるとか、隣に別の流れを作るとかすればいいじゃん。

って、私は思うわけだよ、ががみん。
ありがとじゅしたー。
199名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 12:31:25 ID:roCQe8Wo
>>192
個人的にはその意見に同意

第一ここの板の主旨はあくまで「エロパロ」なんだしね
(まぁ非エロ作品も多く投下されてるけど…)
200ぶ−わ:2008/01/23(水) 12:51:55 ID:IUvflTe0
どうも、前スレで遊戯王埋めネタ書いたものです
というかぶーわです。毎度毎度お騒がせしてすみません
今回は自分の埋めネタの所為でスレを乱して申し訳ありませんでした
今はネットが繋がらない状況なので、謝罪が遅れた件についてもお詫びします

以下いつものまたりとしたエロパロスレをお楽しみください
201名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 13:16:05 ID:88uNTLD6
>>200
おらあ別にええのになあ。
良くも悪くも、スレに新しい風を与えたわけだし。
らき☆すたを逸脱しない限り、そしてSS投下が
妨害されない限り、
基本的にネタの暴走は好ましいこと
なんじゃないかなあと思う俺壊れフェチ中毒症。

むしろネタを強引に中断させられたとき場の空気も凍る
方が俺にとっては怖い。


ただ…ネタを引き延ばす際には場の空気と
ネタの質にかかっていることにも気をつけた方が
いいとはおもうけどねw
202みゆつか愛してる:2008/01/23(水) 13:22:53 ID:ZRhhltPM
個人的にはわからないネタであまり盛り上がり過ぎていると
話題に関係無い書き込みをしてしまったらKY扱いになりそうで怖いです。
話題も引き際が肝心ということでしょうか。

みゆきさんはたまにこなたに浮気してしまうみたいですけれど
み ゆ き は つ か さ の 嫁 というわけで話題を変えるためにも
久々に名前通りにみゆつかものを投下させていただきたいと思います。
「みゆき×つかさ(前中後編)」の続き的な位置作品ですが、
前作を読んでなくても読める作品にしました。前中後編ではなく一話完結です。

・みゆき×つかさ(つかさ視点)
・エロ注意
・9レス拝借

では、他に投下宣言がないようでしたら、落とさせていただきます。
203名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 13:27:05 ID:WX5EcQNu
埋めネタがここまで大きくなるなんて予想できないし仕方ないですよ


ともあれネット不通ですか
氏の続き物がどれも気になるので早い復活を全裸待機しております

特にTSもの(ボソッ
204ふたりの願い・1:2008/01/23(水) 13:28:25 ID:ZRhhltPM
「は……」
ゆきちゃんの背中に手を回して、その身体にギュッとしがみついていた私。
少しづつ、身体中に込められていた力が抜けていって……ふわふわと浮いていくような気分が残る。
私の恥ずかしいところから、ゆきちゃんの指がすっと抜かれていく。最近、ようやく一本入るようになった。
「大丈夫ですか?」
「うん……ふぅ……」
髪をかきあげられるようにショートヘアを手櫛されて、私の額からたらりと汗が流れる。
頭はぼーっとしていて、目の前にいる大好きな人の顔もぼんやりとしたままだった。
「可愛かったですよ、つかささん」
そういうと、ゆきちゃんは私のほっぺたに優しく口付けた。
それに返すように背中に回していた手をゆきちゃんの首に回すと、私はぼんやりとしたままゆっくりと上半身を起こして、
そっとゆきちゃんのほっぺたに口付ける。お互いの身体を舐めあう猫のように、私達は少しづつ頬に唇を這わせる。
「疲れましたか?」
「うん、ちょっとだけ……えへへ、久しぶりだったからカナ?」
ゆきちゃんから身体を離して、私は気恥ずかしそうにぽりぽりと頬を掻く。ゆきちゃんも顔を赤くしている。
傍らにあるティッシュボックスから4,5枚引き抜くと、それを私に手渡すゆきちゃん。
私はこれが毎回恥ずかしかった。なんだか、トイレの処理を見られているのと同じ感覚がするから……。
ゆきちゃんも私に気を使ってか、私のそんな姿から目を逸らしてくれる。ゆきちゃんもやっぱり恥ずかしいのかな?
……って、私達がなんでこんなことしちゃってるのかというと……私とゆきちゃんは、実は恋人同士なんです。
付き合い始めたのは四ヶ月くらい前。互いの気持ちがわからないままの両思いだった私達は、どちらかともなく告白して、
今こうして、こんなことをしちゃうような関係になっちゃったんだケド……ちょっと早かったかなって気もするんだけれどね。
「でもよかったです。つかささんとは最近学校でしかお会いできませんでしたから……私のほうが色々忙しくて。
 こうして久しぶりにお泊りに来ていただいて、柄にもなく遅くまでおしゃべりをしてしまって……気が付けばこんな時間」
たしかにゆきちゃんがいつも寝る時間と比べたらおしゃべりでの夜更かしだけど……そ、それ以外も今あったよね。
「私も〜。学校でのおしゃべりも楽しいケド、二人きりのときもすっごい楽しいよ。それにね」
「それに、なんですか?」
「ゆきちゃんに触れられなくて……さ、寂しかったカラ……」
私が恥ずかしさを隠してそう言うと、ゆきちゃんは「はうっ」と言って吹き飛びかけた。
それは本当だった。ゆきちゃんの家がちょっとバタバタしていたという理由で、私達は1ヶ月、キスもしていなかった。
一応メールで連絡を取り合う事もあったけれど、電話までは時間の都合がなかなかつかなかった。
おうちで露骨に寂しそうな顔をして、私とゆきちゃんが付き合っている事を知っているお姉ちゃんから指摘されることもあった。
そんなお姉ちゃんもこなちゃんと付き合っていて、相手に会えないときは寂しさが隠そうとしても滲み出てるんだけどね。
「わ、私も寂しかったですよ? 目を閉じるといつでもつかささんの姿が浮かんでくるんです」
「ほ、ほんと? 私も、授業中とかちらちらゆきちゃんのこと……」
「そ、そうなんですか? 私も、恥ずかしながら体育のときはつかささんの姿を目で追ってしまって……」
「お姉ちゃんやこなちゃんと食事してるときも、『これ、ゆきちゃんに食べさせてあげたいな』とか考えて……」
「本当は夜は11時には寝るようにしているんですけれど、ここ1ヶ月はつかささんの姿が頭から離れずに……」
「あのね、ゆきちゃんに今度食べてもらおうって、新しいレシピ研究したんだ。明日一緒に材料買って……」
私達の間には少しくすぐったい、和やかなムードが流れる。お互いに裸だったのが残念なくらい……。
205ふたりの願い・2:2008/01/23(水) 13:29:36 ID:ZRhhltPM
私達は女の子同士。普通の恋愛じゃなかった。もっと不安を抱いたり、怖がったりしてもいいはずなんだけど……。
私には何故か、そういった不安や迷いみたいなものはなかった。それは、私が鈍感だからっていうのもありかもしれないけど、
相手のゆきちゃん自身が、私にそんな弱い部分を見せないから、というのが一番大きかったのかもしれなかった。
ゆきちゃん自身、実際どう思ってるのかはわからなかったけれど、いつでも私に弱点を見せないゆきちゃんの姿が私に、
安心と自信を与えてくれるのかもしれなかった。だから私はついつい、ゆきちゃんに甘えがちになる。
(だって、ゆきちゃんって私と違って、頭もいいし、すごく優しいし、なんでもできるし……)
「つかささん、どうしました?」
「ううん……なんでもないよ」
ゆきちゃんの目にもそう見えているのかな? 私が何の迷いも不安も抱いていないかのように見えるかな?
まあ、抱いてないっていえばそうなんだケド、それはゆきちゃんのおかげで……ゆきちゃんがいるなら関係ないって気持ちで。
「それじゃつかささん、服……着ましょうか?」
「え……うーん……今日は着たくないかな?」
「?」
私はシーツに身体を滑り込ませると、シーツに身体を包んだままのゆきちゃんの胸に寄り添って、
「今日はこうして寝ていたいな」
ゆきちゃん、二度目の「はうっ」。また、私の寂しがり屋がでちゃったみたい……。
でも仕方ないよね? 1ヶ月もゆきちゃんに触れなかったんだし、お姉ちゃんはそうそう甘えられないし……。
それに、私の中にはまだ不満があった。それは私自身に対しての不満だったんだけれど。
「それにね、ゆきちゃん……まだ終わってないよ?」
「まだ、ですか? ……まさかもう一回」
「今日はね……ゆきちゃんを気持ち良くしたいの」
「私をですか?」
「うん……いつもゆきちゃんが私を気持ち良くして終わりでしょ? だから……」
私の言葉に、目をぱちくりとさせるゆきちゃん。そんなに意外なこと、言っちゃったかな……。
さっきも言ったように、私はゆきちゃんに甘えっぱなしの頼りっぱなしだった。何の不安も抱かないのはゆきちゃんのおかげ。
だからこそ今のように身体を重ねたときも、私はゆきちゃんのリードするままに身を任せて、それはとっても優しくて、安心で、
すごく気持ちがいいんだけど、ゆきちゃんは私を満足させようとするあまり、自分が何かをしてもらうことはなかった。
というか、私が何もできないっていうか、ゆきちゃんに優しく気持ち良くしてもらってるうちに、甘えながら寝ちゃうっていうか……。
「それは……大丈夫ですよ。ありがとうございます、つかささん」
「だ、大丈夫じゃないよ……いつも私ばっかりだし。ゆきちゃんに悪いよ……」
「つかささんは何も心配しなくていいんですよ。つかささんが気持ちいいと、私も気持ちいいんです」
いつもの優しい笑顔で私にそう言ってくれるゆきちゃん。そんなに優しいから、私は甘えちゃうんだよ……。
こんなところにまで、ゆきちゃん任せにするのは、付き合ってるって言えない。片方だけ気持ちいいなんておかしい。
よくかわらないケド、そんな気がする。私だって、ゆきちゃんに喜んでほしいんだから。
「私、やりかたとかよくわかんないケド……ゆきちゃんが教えてくれれば言う通りにするから」
「あの……私はつかささんが傍にいてくれたら、それだけでいいんですよ?」
そう言って、ゆきちゃんは私を抱き寄せた。ダメだよ……そうされると、私はまた離れられなくなるんだから。
「つかささんは気にしなくていいんです。私はこれだけで、すごく幸せなんです」
私も幸せだよ。でも、幸せを与えられているだけなのは、すごく不幸なようにも思えるんだ。
せめてこのくらいゆきちゃんの役に立てれば……そんなことを思っていたのに。
206ふたりの願い・3:2008/01/23(水) 13:31:49 ID:ZRhhltPM
******

「つかさ……今なんていったのカナ?」
大粒の汗をたらりと流して、こなちゃんは苦笑いを浮かべていた。
放課後。私はこなちゃんと二人だけで帰り道を歩いていた。そのために、お姉ちゃんにかなり謝ったんだケド……。
「え、えっとね……だから……」
私からこなちゃんと二人きりになるのをお願いしたくせに、それは何度も言えない、とても言いづらい中身だった。
せっかく勇気を出して口にした言葉を、また言わなきゃならないなんて……私は諦めたように、もう一度口にする。
「ゆきちゃんをね……? 気持ち良くしてあげたいの……」
「それは性的な意味で?」
「せ、性的? あの……え、えっちのとき、なんだケド……」
私の声が少しづつ小さくなる。この手の話題をゆきちゃん以外の人とするのは初めてだった。しかも自分から。
さすがのこなちゃんも驚いたみたいで、はあ……ってため息なんか吐いて。それは困っちゃうよね……。
「しかし、どうして私に?」
「こなちゃんとお姉ちゃんも、私達と一緒で女の子同士でしょ? だから……」
「期待しないほうがいいヨ? 私達もこないだようやく初めてを終わらせたばかりだしネ」
「えっ! そ、そうなんだ……」
「それよりも、みゆきさんとつかさはもうそんなところまでいってたんだ〜?」
「はうぅ……」
こなちゃんとお姉ちゃんはもう何度も済ませちゃってるものかと思っていた。やっぱり私達が早かったのかな……。
からかうようにネコ口を見せて私とゆきちゃんをいじるこなちゃん。お願いだから本題に入って……。
「……で、なんでそんなこと考えたの? みゆきさん、気持ち良くないって言った?」
「う、ううん! ゆきちゃん、そんな事言わないよ!」
「じゃあ、みゆきさん濡れないんだ?」
「ぬっ……ううん、ゆきちゃんも一応……」
「そうかあ。まあ、攻めてても濡れるしネ。じゃあ二人のエッチのこと、詳しく教えて?」
「うん……」
それから私は顔を真っ赤にしながら、私達がどんなふうにするのかを話した。
その間、こなちゃんは真剣な表情で「うんうん」と頷いていたけれど、私が話し終えると私の肩をポンポンと叩いて、
「ねえ、つかさ」
「なあに?」
「何もそんなに正直に、すみずみまで全部話してくれなくてもいいんだけど」
「えっ!」
「いや、つかさの口から生々しくも壮絶なエロバナを聞けたのはかなりおいしかったんだけどネ」
「ひっ、ひどいよこなちゃん!」
「どのみち聞かなきゃわからないんだからよかったじゃん」
「……どんだけ〜」
意地悪な笑みを浮かべるこなちゃんを、恨めしそうに軽く睨む私。
207ふたりの願い・4:2008/01/23(水) 13:33:14 ID:ZRhhltPM
「そっかそっか。つまり、二人が乳繰りあっているうちにみゆきさんがつかさを指でイカせて終わりなんだね?」
「イカせてって……う、うん」
「攻めるだけで十分って……みゆきさんって、Sだったっけ。あ、相手が気持ちいいと満足するならMなのかな?」
「?」
「つかさ側から何かアクションは起こさないの?」
「しようとは思うんだけど、やり方がわからなくて……それに、ゆきちゃんに任せているうちに流されちゃうっていうか……」
「つかさはそういうの疎いからね。私みたいにエロゲでもやってれば勉強になったんだろうけれど。ならないか」
「やっぱりこなちゃんって……そういうことたくさん知ってるの?」
「経験はほとんどないけどネ」
「お姉ちゃんはどうなのかな?」
「かがみもかがみで知識だけはそこそこにね。性欲だけは私よりもあるみたいだけど」
「そ、そうなんだ……」
「それよりもみゆきさんとつかさのエッチって、想像するだけでエロすぎるんだケド」
「や、やめてよ〜……」
恥ずかしい内容のはずだけど、慣れれば割とぽんぽんと話す事ができた。私ってこんなにはしたない子だったっけ……。
「みゆきさんは現状に不満を漏らしてないんでしょ?」
「うん……でも、私のほうに不満が残っちゃうっていうか」
「たしかに。つかさだけが終わってるのにみゆきさんのムラムラはどう納まってるかも気になるところだけどネ」
ゆきちゃんと身体を重ねる瞬間を思い返すたび、私の中の申し訳無さが少しづつ大きくなっていった。
私はたくさんの喜びと安心を与えてもらっているのに、私からは何もゆきちゃんに捧げられない。それが悔しかった。
ゆきちゃんの優しい指で、優しい言葉で、えっちなことをされると……何も恐れずに素直に気持ち良くなれる。
こんな私を抱いてもらっているのに、ゆきちゃんを気持ちよくできないなんて、心からごめんなさいと謝りたい。
私に与えられるものはないから、せめてこういう形でもゆきちゃんのためになりたい。そんなことを考えていたんだけど……。
「だめだよ? 好きな人に身体で奉仕することでイーブンにしようなんて考えちゃ。それは悲しいだけだからね?」
「えっ?」
こなちゃんは居抜くような厳しい目で、私の顔を見つめている。そこに、からかうような気持ちは微塵も感じなかった。
「恋人の優しさをそんな形で返すのは失礼だよ。みゆきさんだってそんなこと、少しも望んでないと思うよ。
 無償の愛情は、つかさも愛情で返さなきゃ。身体で返すだけなら簡単だけど、好きな人にはそんなことしちゃダメ。
 つかさがみゆきさんに愛情を返そうと思ってくれているだけでも、みゆきさんは嬉しいだろうし、多分いらないと思う」
「こなちゃん……」
私、まだ何も言ってないのに……その言葉は胸に秘めた。それよりも、こなちゃんの言葉に私は激しくと戸惑った。
身体で返すのはいけない……そうだったんだ。愛情をもって気持ち良くすれば、それでいいものじゃなかったんだ。
一方的な愛情の向け方をしちゃいけないってことなのかな。でも、だとしたら私はどう返せばいいんだろう。
私がそんな気持ちでゆきちゃんにしてあげても、ゆきちゃんは気持ちよくないのかな。どうすれば気持ちよくなるの?
「……結局、答えがわかんないよ〜」
「今度はつかさがみゆきさんを攻めるっていうのはどうかな? つかさからリードする感じで」
「……たぶん無理」
「だよね」
やっぱり私には無理なのかな……日の暮れかけた空に大きなため息を吐いて、大好きなゆきちゃんの顔を多い浮かべる。
「ねえ、つかさ。今日は時間ある?」
「えっ、あるケド……」
「OK、じゃあ今から私の家にいこっか。大丈夫、帰りはお父さんに送ってもらえば」
208ふたりの願い・5:2008/01/23(水) 13:34:46 ID:ZRhhltPM
******

その週末、ゆきちゃんが私の家に泊まることになった。
お泊まりの場所は初めて二人だけで朝を迎えた日から、お互いの部屋で交代制になっている。
「みゆきちゃん、遠慮しないでどんどん食べてね」
「そうよ。この日のためにつかさったら、この料理ずっと勉強してたんだから」
「お、お姉ちゃん! そんなこと言わないでいいよ〜……」
「まあ……つかささん、ありがとうございます」
食卓には私が一生懸命レシピを覚えた、まぐろのかぶと焼きが並んでいた。
「ゆきちゃん、この目の部分美味しいんだよ。食べて食べて〜」
「まぐろの目の周辺はコラーゲンが豊富ですからね。すごくお肌にいいんですよ」
「あら、じゃあ私が食べちゃおうかしら」
「だめ〜ゆきちゃんに食べてもらうんだから」
「はいはい。つかさは本当にみゆきちゃんが好きねえ」
私とゆきちゃんは顔を真っ赤にしたまま押し黙った。お姉ちゃんもお姉ちゃんで気まずそうにしている。
食事を終えて、私が先にお風呂、次いでゆきちゃんがお風呂に入った。その間、私は自分の部屋でごそごそと。
準備するなら今。相談を持ちかけたあの日、こなちゃん宅で聞いたこなちゃんの言葉が、私の頭によぎる。
『それじゃあ、みゆきさんが奉仕してもらいたいって思うような雰囲気にすればいいんだヨ』
そう言うと、私に紙袋を渡したこなちゃん。中身の使い方をひとつずつ教えてもらって……。
『成果が出たら教えてよ。かがみにも試してみるからさ』
こなちゃんは不適な笑みを浮かべていた。お姉ちゃんも、色々大変みたい。
そうしているうちに、廊下の方から足音が聞こえてきた。ゆきちゃんが部屋に来る。私は最後の確認をした。
それから間もなく、私の部屋の扉が開いて……。
「つかささん、お風呂いただきまし」
「おかえりなさいませ、お嬢さま!」
私はゆきちゃんに向かって満面の笑みを浮かべて、何度も鏡の前で練習したそのセリフを口にした。
時が止まった。部屋の中に流れる、一瞬の沈黙――。ゆきちゃんはぽかーんとしたまま、呆気にとられたように私を見る。
「……つ、つかささん」
「な、なあに?」
「そ、その格好はなんなのでしょうか?」
ゆきちゃんは反応に困ったような顔をしている。私は自分の来ている服を、指でひらひらと動かしている。
こなちゃんから借りたのは、こなちゃんがアルバイト先で着ているメイド服だった。もちろん、私は着るのは初めて。
ピンクの生地に白いフリルのついたそれは、こなちゃんサイズだから私にはちょっと短くて、ミニスカートになっていた。
「メ、メイドさんだけど……変だったかな?」
「い、いえ……すごく可愛らしいのですが……なぜでしょうか?」
「え、うーん……あっ」
私は紙袋をがさがさと漁ると、それを取り出して頭に装着した。
「ゆきちゃん」
「はい、なんでしょう」
「わんわん」
私の頭には、こなちゃんがアルバイト先でたまにつけるらしい犬耳がついていた。
もう一度沈黙。そして、ゆきちゃんの戸惑う笑み。
『犬耳はご奉仕の必須アイテムだよ。ネコ耳だと逆に奉仕させる側になるんだよネ』
209ふたりの願い・6:2008/01/23(水) 13:36:04 ID:ZRhhltPM
(――絶対ゆきちゃんに頭の弱い子だと思われちゃった……)
私はベッドに飛び込むと、枕に顔を押し付けてゴロゴロと身をよじる。ゆきちゃんの顔が見れない……!
「つ、つかささん? どうしたんですか?」
「ごめんね、おバカでごめんね」
「はあ……? あの、顔をみせてください、つかささん」
「うう……変な格好でごめんね?」
「いえ、とてもとても可愛いですよ」
ゆきちゃんはいつもの笑みを私に見せてくれた。よかった……拒絶はされてないみたい。ちょっと救われた。
「……お手」
「……わん」
差し出されたゆきちゃんの手に、私はぽんと手を乗せる。それからゆきちゃんは、私の頭を優しく撫でてくれた。
二人でベッドに腰掛けて、私はメイド服と犬耳のまま、ゆきちゃんの肩に頭を預ける。
「それはどうしたんですか?」
「こなちゃんから借りたんだ。ゆきちゃんに喜んでもらおうって思って……」
「私にですか? ありがとうございます……それにしても、どうして急にそんなことを……」
私はゆきちゃんに身体を預けたまま、ゆきちゃんの手をぎゅっと握った。指を絡ませるようにして、少し手持ち無沙汰なように。
「あのね……私、ゆきちゃんにご奉仕してあげたくて。ゆきちゃんの言う通りにね、その……」
「……」
「き、気持ち良くしてあげたくって……」
私のその言葉を聞いて、ゆきちゃんは何かを思い出したような顔をした。きっと、前のお泊りを思い出したんだ。
ゆきちゃん自身から私にご奉仕させるように仕向けたかったのに、やっぱり上手くいかなかった。
それは結局、ゆきちゃんに余計な気を使わせることになっちゃうんだし、またゆきちゃんに負担を負わせることになる。
……どうしてこんなに空回っちゃうんだろう。ゆきちゃんはまた、困っているに決まってる。
「……つかささん」
「う……はい」
ゆきちゃんの手が私の頭に伸びて……犬耳をそっと外した。
「そんなことしなくても私は……普段のつかささんのままが好きですよ」
「で、でも……」
私が何か言い終える前にゆきちゃんは、私のおでこにそっとキスをした。小鳥が啄ばむように何度も口付けていく。
「ゆ、ゆきちゃん……?」
「ごめんなさい、つかささん。まだ早い時間ですけど、その……」
「……うん」
今度はおでこじゃなくて、唇同士でキスをして、しばらくお互いの口を楽しんだ後、私達は服を脱がせあった。
こなちゃんから借りたメイド服がたくさんの皺をつくって床に放り出される。ゆきちゃんの前に肌をさらすのはもう慣れていた。
(今日も……私は何もできないのかな)
いつもはゆきちゃんと身体を重ねるときに、恥ずかしがることはあっても気分が重くなる事はなかった。
だけど今日は、このまま身体を任せる事に気が進まない。ゆきちゃんが気持ちよくしてくれるとわかっていると尚更だった。
「あの、つかささん」
「な、なあに?」
私は背を向けたまま答える。
「私の……胸を触っていただけますか?」
210ふたりの願い・7:2008/01/23(水) 13:37:15 ID:ZRhhltPM
「……えっ?」
下着姿の私がその言葉に驚いて振り向くとゆきちゃんはすでにブラを外していた。
もう見慣れていた大きな乳房が、私の前に曝け出されていた。ゆきちゃんは恥ずかしそうに床に視線を落としていた。
「ゆきちゃん……いいの?」
「はい……つかささんに触ってほしいんです」
私はそっと、ゆきちゃんの胸に手を伸ばした。それに触れると、吸いつくように力強くて、跳ね返すような弾力があった。
「そのまま……円を描くように触っていただけますか?」
「うん……やっぱり、ゆきちゃんのおっきい……それにすごく跳ね返してくるし、手のひらに収まらないよ」
私は正直に感想を述べる。でもそれがゆきちゃんにはすごく恥ずかしかったらしくて……顔を頭のてっぺんまで真っ赤にしていた。
「あの……もうちょっと強めでも大丈夫ですよ?」
私が少し力を入れると、丸々としていた胸がぐにゃぐにゃと形を変える。その度に、ゆきちゃんは微かな声を漏らしている。
私のと全然違う……今までゆきちゃんの身体に触れるときには、自分で触られて恥ずかしい場所には触れないようにしていた。
ゆきちゃんに触られるときは安心して任せていられるけど、私は自分が触っていいのかなと悩んでしまうから。
「ゆきちゃん、気持ちいい?」
「は、はい……その、すごく」
ゆきちゃんの目が潤んでいる。その表情は私が今までに見たことないくらい、蕩けるような顔をしていた。
(ゆきちゃん可愛い……もうちょっと、気持ちいいことしていいよね?)
私は自分がゆきちゃんにされていたことを思い出しながら、できるだけそれを再現しようと思った。
「はあ……つかささ、んっ」
私はゆきちゃんの唇を塞いだ。ゆきちゃんは貪欲に舌を絡ませてきて、私の口の中で暴れ回ろうとしていた。
私達はお互いに聞こえるようにわざと音を立てて唇を吸いあって、ゆっくりと唾液を交換していく。
頭の中が蕩けてきて、もっとおバカになっちゃいそうだった。手のひらにある柔らかい胸の感触が、さらに私を興奮させた。
「ふっ、んむぅ……ぷはっ、ゆきちゃんのおっぱい、もらうね」
「えっ……あっ! あああ……」
唇と唇を離して、私はキスの標的にゆきちゃんの乳首に定めた。固くなっていたそれを、赤ちゃんのように吸っている。
ただ、気持ちよくなれ、気持ちよくなれとだけ考えながら、乳首に強く吸いつく。感触も味わいたくて、舌も動かてみる。
「あっ……はあっ……うう、くぅ……!」
ゆきちゃんは切ない声を出して、胸に顔を押し付けている私の頭に両手を回して、ぎゅっと抱きついていた。
ゆきちゃんがこんなに甘い声を出すなんて、知らなかった。私もゆきちゃんにされているときは出してるんだろうけど……。
私は歯を立てて、痛くならない程度にゆきちゃんの乳首を甘噛みした。ゆきちゃんが一層大きな声を出していた。
「ああっ……だめ、つかささん、だめです……つかささんっ……」
カタカタと音が鳴った。気持ち良さを堪えているゆきちゃんが、歯を鳴らしている。よかった……そんなに感じてくれていたんだ。
ふと、私は自分の身体の変化に気付いた。ゆきちゃんに触られたわけでもないのに、下着が汚れている。
(そういえばこなちゃん、攻めるほうも濡れるって言ってたっけ……)
ゆきちゃんはさらに腕の力を強めてきた。さすがに苦しい。私は少しだけもがいて、ゆきちゃんの胸から顔を離した。
「ぷはっ」
「あ……ご、ごめんなさい、つかささん……」
謝ってはいたけど、ゆきちゃんはうっとりとした表情で、でも物足りなさそうな顔で私を見ていた。
「ゆきちゃん、胸をいじられるのが好きなの?」
「は、はい。とはいっても、誰かにされるのは初めてでしたけれど……」
「誰かにされるのはって……じゃあ自分でも」
「う。は、はい……」
211ふたりの願い・8:2008/01/23(水) 13:38:22 ID:ZRhhltPM
私達はまた熱いキスをして、ゆきちゃんはベッドにゆっくりと身体を倒した。いつもは、私が倒されているところだった。
「ゆきちゃん……下着、さげるね」
ゆきちゃんは何も答えない。私に見られるのは初めてじゃないはずなのに、恥ずかしさに耐えるように顔を隠していた。
大きな染みができている下着を外すと、ゆきちゃんの恥ずかしい部分が露わになった。
私はそっと指で触れて、溢れているものを掬い取ると、口に含んで舐め取った。自分でも大胆なことをしてると思う。
「ゆきちゃん、いっぱい濡れてるよ」
「は、恥ずかしいです、つかささん」
開かれた足に顔を挟むようにして、私はその部分に舌を這わせた。溢れてくるものはどれだけ舐め取っても止まらなくて……。
私は普段される側だからわかるケド、これって恥ずかしい半面すごく気持ちいいんだよね。
「あっ、つかささん……あっ、んっ」
(う、どうしよう)
ゆきちゃんは逃げるように腰をくねくねと動かしていた。助けを求めるような、泣き出しそうな声を漏らしながら。
その声を聞いていると、私の中でもっと聞いていたい、もっと出してほしいっていう願望が生まれてきた。
(ゆきちゃんを攻めるのって……結構楽しいかも〜……?)
私って、こんなに意地悪な性格だったっけ……それとも、ご奉仕するのが好きなだけなのかな。
しばらく舌でゆきちゃんを気持ちよくしていると、ゆきちゃんの吐息が急に強く荒れ出した。
「どっ、どうしたの? ゆきちゃん」
「い、いえ……あの、つかささん……」
「なあに?」
「そろそろ……一緒に気持ち良くなりたいです……」
ゆきちゃんの言葉に頷いた私はゆきちゃんの横に寝転ぶと、シーツの中で抱き合って三度目のキスを交わした。
そのまま、お互いの恥ずかしいところに指を這わせて擦りあげていく。
ゆきちゃんの濡れ方もすごかったけれど、私もさっきから疼いていて、いつもよりも敏感になっていた。
「ゆきちゃん……」
「はい……」
「好きだよ」
「私もです……」
触れるのも触れられるのも、ゆきちゃんが相手ならどっちも幸せなんだ。私はそれを感じながら、意識が飛ぶのを感じていた。

******

「これは口止めされていたんですけれど……実は私、泉さんから言われていたんです」
私達はシーツに包まったまま、抱き合うように寄り添っていた。
ゆきちゃんからは甘い香りがする。シャンプーの匂いに紛れても隠せない、私の大好きなゆきちゃんの香り。
「つかささんが、私のことを、その……気持ちよくするために悩んでくれているって」
「そうなんだ……」
「まさかメイド服や犬耳を用意しているとまでは思いませんでしたけれど……」
こなちゃんの含み笑いが思い浮かばれる。もしかしてあの服は、ただ面白いと思って貸しただけ?
「それから、きちんと考えました。自分の考えだけじゃなくて、つかささん自身がどう考えるか、とか」
「ゆきちゃん……」
212ふたりの願い・9:2008/01/23(水) 13:40:35 ID:ZRhhltPM
「私は、申し訳なかったんです。こんなに可愛いつかささんに、私なんかに尽くしてもらうことが、申し訳なかったんです。
 私の身体の汚いところまでつかささんに触らせたり、私だけが気持ちよくなったりなんて、つかささんにさせたくなくて」
「そんな……ゆきちゃんの身体で、イヤなところなんてどこにもないよ?」
私はぎゅっとゆきちゃんにしがみついた。ゆきちゃんは私の頭を優しく撫でてくれている。
「ありがとうございます……結局、私のわがままだったんです。ただ単に、つかささんに触れられるのが怖かっただけで。
 好きな人にもっと触れたいって思うのは、つかささんも同じなのに……私ばかりがつかささんに触れて、勝手に満足して」
「私も……ゆきちゃんにしてもらうばっかりで、それがすごくゆきちゃんに悪いなって思ってて。何かお返ししたくて。
 どうして私に触らせてくれないのかな、やっぱり私じゃまだ、ゆきちゃんを触るにはダメなのかなって、悪いように考えて」
「そんなことは……」
「でも……お互いに心配性だっただけみたいだね。だって、二人とも本当はお互いに、触りたいし、触りたがってる」
「そう……そうですね」
「だって、二人とも相手に対して、申し訳ないって思ってた。お互いを気遣いすぎて、遠慮しあって悩んでいたなんて、
 なんだかおかしな話みたいだケド、それってすごく素敵なことだと思う。ゆきちゃんとそんな風になれて、私は嬉しいよ」
「はい、私もですよ。ありがとうございます、つかささん」
「……? なんでありがとうなの?}
ゆきちゃんはにこっと微笑んで、私のおでこにキスしてくれた。実はベッドの上でしてもらうおでこキスって、一番好きなんだ。
「今日はゆきちゃんと……できてよかった」
「は、はい。いつもと違うのも、楽しいですね」
「それに……ゆきちゃんって、すっごく可愛かったし」
「え? わ、私がですか?」
「うん……えっちな声出してるときとか、すごく。それで、途中から楽しくなっちゃって」
ゆきちゃんは顔を真っ赤にして、口をぱくぱくさせていた。ここまで恥ずかしがらせるつもりはなかったんだけど……。
「わ、私も実は」
シーツを頭からかぶると、ゆきちゃんは上目遣いで恐る恐る口にした。
「つかささんにされるのも、悪くないかも、なんて……」

******

「お姉ちゃん、いいもの貸してあげるね!」
私は紙袋をお姉ちゃんに差し出した。疑心暗鬼で中身を確認したお姉ちゃんは、ちょっと呆れた顔をしている。
「……あんた、これなんなのよ」
「これね、使ったらゆきちゃんとすっごい仲良くなったの! お姉ちゃんにも使ってほしいって思って」
「すっ、すっごい仲良く?」
お姉ちゃんは顔を真っ赤にして、紙袋の中身を何度もちらちらと確認していた。
「……し、しょうがないわね。どうせ使わないけど、もらっておいてあげるわよ。妹からのプレゼントだしね」
「わーい。あのね、これ使い方はね……」

******

「おっ、おかえりなさいませ! お嬢さま。ご奉仕いたしますわん!」
「……な、なにやってんのかがみ。頭でも打った?」
「……」
213みゆつか愛してる:2008/01/23(水) 13:41:58 ID:ZRhhltPM
投下は以上です。読んでくださった方ありがとうございました。
誤字脱字ありましたら申し訳ありません。
みゆつかは今後もバンバン投下させていただきますが、
私はエロが苦手だとわかったのでしばらくはエロ抜きでいきます。
(エロパロなのにすみません)

次回は要望のあったおと×ひよのエロものを投下したいと思います。
では、保管庫で他職人さんの甘々SSに砂糖を吐く作業に戻ります。
214名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 13:59:12 ID:UpqY3Mok
>>213
甘! 甘! 甘!(『鮫! 鮫! 鮫!』みたいな感じで読もう!)

いやもう。脳内でアニメ化されちゃったじゃないですか。
個人的には苦手といわず、この調子でいちゃいちゃえろえろしていただきたい所存。
色々な意味でご馳走様でした。嗚呼。


そして貴方んとこのかがみは今回もオチ担当ですか。合掌。
215名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 14:01:37 ID:GriQMoCE
>>213
二人の甘々さにこっちが恥ずかしくなるぜ
いわゆるGJ
最後のかがみの「ご奉仕いたしますわん」で噴いた〜
そして、想像して萌えたっ
216名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 14:47:42 ID:NTqAqfyw
>>213
エロ投下ktkr!!!
いえいえすばらしいエロでございました。やめるなんてもったいない。
つかさのせつない願いと、エロの見事なコラボに
体中からメープルシロップが駄々漏れですwwwwwww
ひよりと●●君のエロもあるということで、
引き続きそちらも全裸…はこの寒波の中では死ぬのでw
たっぷり着こんでwお待ちしております。

↓以下、動物衣装と奉仕ネタw
「わかってないなあかがみんは」
「いきなり何よ」
「かがみが着るべきは、これでしょっ!」
ウサギの衣装…
「(着る)こ…こう?」
「や…やばいかがみ…可愛すぎ…(よだれ鼻血ハァハァ)」
「ちょ…こなた興奮しすぎ…目が何か光ってるし…」
「か が み さ まー(ルパンダイブ)」
「アッーーー!」

「コンコン、ごしゅじんさむぁー、ご奉仕ご奉仕」
「こなため!そんな恰好して私をどんだけ狂わせる気!?」
「か…かがみ?そりゃ狙ってたけどさ…
 いくらなんでも切り替わるの早すぎじゃない…?」
「問答無用!いたずらする悪ィゴハイネガア(ルパンダイブ)」
「アッーーーーーー!」
217名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 15:34:22 ID:dxVPNAhe
例えばかがみが男性化してその状態で
かが☆フェチ的なものが発動したらかがみは常に逆レイプの恐怖におびえるのかな
218名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 15:45:17 ID:yCbbhXyz
>>217
『〜愛しの彼が振り向かない』シリーズかw

『鏡ですが3B教室の空気が最悪です』
219名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 19:54:39 ID:pbRs1xsM
>>213
ものすごい勢いでぐっじょー
つかみゆいいよつかみゆ
220名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 19:55:17 ID:yqQXgzYX
>>186
無責任な発言のお陰ですっかり場が冷めちゃったじゃないか
責任もって皆が楽しめるSSなりネタ提供を頼むぜ
221名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 19:59:01 ID:JK4IzVja
・・・は?
222名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 20:02:23 ID:PZpHSf2s
そこまでいうほど場が冷めたっけ?('ω`)
ネタ暴走賛成派の俺が首かしげちまったぜ
223名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 20:03:23 ID:3CXthm5V
寒いのは雪が降ってたからだよ
きっと、そうだよ
224名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 22:01:19 ID:yw21Yww9
>213
ぐっじょぶ。
つかさの描写が凄く巧みだねえ。
引き込まれるように読みましたよ〜

それと…… えろが苦手なんて嘘だw
225名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 22:13:31 ID:35gJOWgC
忙しくて23スレから全スレログ保存だけして5%ほどしかつまみ読みしかできてない
しかし投下作品多すぎて趣味じゃないものが混じっててヤダなんて
1スレ目とかから考えたら贅沢すぎる悩みなんだぜ
226名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 22:24:09 ID:yw21Yww9
>225
そのスレから参加してたから、ほぼ確実に読まれていないなw

ここは、700スレ前後ある板の中でも、最も書き込みが多いスレのうちの一つに入っているから、
いろんな形の表現があって当然だと思う。
全体のバランスをみながら、他者の価値観を尊重していけば、それほど大きな問題にはなりえないと思われ。
227かみさま:2008/01/23(水) 22:40:08 ID:PZpHSf2s
もちろん、らきすたから逸脱したらオシオキするわよ^^
228名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 22:55:47 ID:pXAI6/vA
>>226
確かに色々あるよなぁ…
俺なんか最後に投下したのが20スレ以上前で、それから長いことROMもしてなかったから
久しぶりに見に来たときは浦島太郎状態だったぜ…
229名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 23:16:37 ID:CcGONKtV
嫌いなものは読まないでいいと思うけど
あれは嫌いだとかどーだこーだ批判してもね・・・・
230名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 23:22:17 ID:dw3/9o9B
SS初投下準備
・ひより&つかさ
・非エロ
・2レス使用
他に宣言なければいきます〜
231笑顔な先輩・1:2008/01/23(水) 23:27:16 ID:dw3/9o9B
その日の帰り道私は悩んでいた。
具体的に言えば、ネタ不足である。
ここのところ、これといって目新しいことがあるわけでもなく、ただただ普通の日常が繰り返されている。
客観的に見れば、それは平和でいいことなのだが…
「やばいッス…」
私にとっては、とてつもなく不都合なのである。
最近は自分のお気に入りの漫画やアニメなどの話が停滞気味であり、ネタを絞り出すには今一つな感じである。
かといって創作系にいこうにもこの平和な日々ではネタも何もあったものではない。
現在、原稿は汚れ一つ無き『白』であった。
「はぁ…」
憂鬱になりながら、溜息を一つついていると
「あれ、そこにいるのは…ひよりちゃん?」
のほほんとした声が聞こえてきた。
「?」
声がする方に振り返ると
「やっぱりひよりちゃんだ。どうしたの?」
つかさ先輩がいた。
「あ、どうもッス。いや〜どうもこうも最近ネタ不足で頭を抱えていまして…はぁ」
とりあえず悩みを打ち明けたところでもう一つ溜息。
「ネタっていうと…漫画の、だよね」
「そうッス…最近はどの漫画も話をズルズルと伸ばすだけで展開が止まっているし、インフレや三角関係は当たり前、更には長期休
載なんかもあるしでぜんっぜん面白くないわでというかなんであそこでお前が出てきて話ややこしくするかなあれはあのままいっち
ゃってよかったんじゃないのかっていうか絶対そのほうg…」
ttp://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0009.jpg
と、ここまで捲くし立てて気づく。
(し、しまったッス!つい熱くなってしまったッスぅぅぅ)
つかさは漫画を読みこそすれ、自分ほど深い知識を持っているわけではない。
いきなりこんな風に言われても、困ってしまうだろう。
「え、えっと…今のは…その」
少し戸惑いながらつかさの顔色を伺う。
「……?どうしたの?急に黙っちゃって。続きは?」
当の本人はニコニコしていた。
「い、いやその…」
(…なんで先輩はこんな笑顔でいられるんだろう)
不思議だった。
もし自分だったら、興味の無い話をされても、あからさまな表情はしないまでもこんなに楽しそうな顔はしない。
というかできない。
なんて考え込んでいると
「ひよりちゃん?大丈夫?」
気がついたら、先輩の顔が目の前にあった。
「え?あ、ひゃわぁ!?」
びっくりして大きな声をあげてしまった。
「わわっ!」

どさっ

私の声に驚いて先輩は尻餅をついてしまう。
232笑顔な先輩・2:2008/01/23(水) 23:29:13 ID:dw3/9o9B
「ご、ごめんなさい!大丈夫ッスか?」
「あいたた…うん、平気」
慌てて手を差し伸べる。
「ありがとう♪」
また笑顔。
…気になった私は、聞いてみることにした。
「あの、つかさ先輩」
「なぁに?」
「どうしていつも笑顔でいられるんですか?」
…我ながら直球な質問だったと思う。
「え?」
予想通り、先輩の頭の上には?マークが浮かんでいた。
なので助け船
「え〜っと、さっきの私の話…先輩はつまんなくなかったですか?」
あんまり自分でこう言うのもどうかと思ったが、まぁ気にしないでおく。
「そんなことないよ!」
あっさり返された。
しかも何故か強めに
「で、でも!だって先輩は…分からないッスよね?さっきの話のこと。内容がどうとかっていうのも…!」
私もつられて強めに返してしまう。
「確かにひよりちゃんの言っている漫画の事を知っているわけじゃないけど…」
つかさ先輩の表情が少し曇る。
(やっぱり…)
そう思って俯くと、まだ話は続いた。
「でもね」
「え…?」
顔を上げると、そこにはいつものつかさ先輩の笑顔があった。
「もし私が好きな漫画がそうなったら嫌だなって思うし、こんなに熱心に話してくれるその漫画はきっと、とっても面白いんだろう
なって思うの。それにね、ひよりちゃんなんだかんだ言いながらも、お話してるとき楽しそうだったよ?」
そして、言った。
「だから、私もついつられて笑顔になっちゃうの♪」
「あ…」
自分の心が、暖かく満たされていくのを感じた。
あぁ、この人はなんて優しくて…そして暖かい人なのだろう…そう思った。

きっとつかさ先輩は誰に対しても、この優しさを向けるのだろう。
だけど今は、今この時だけは…
私だけに向けられたその優しさが素直に嬉しかった。

先輩と別れて帰宅後…
気がついたら私は真っ白だったその原稿に、つかさ先輩を描いていた。
233笑顔な先輩あとがき:2008/01/23(水) 23:33:30 ID:dw3/9o9B
以上です。
ただお気に入りの二人を絡ませたかったがために書いた
後悔はしていない
途中挿絵入れたけど間に改行はさむの忘れてめっちゃ気づきにくい&見にくくなってしまった…
情熱が続けば、この話の続き書きたいな〜なんて思ってます。
以上
234名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 23:37:58 ID:ok8jiYnN
GJ!
自分も、この二人好きなのでよかったですよ
もっと続け!いや、続いて欲しいw
235名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 23:39:53 ID:oA5IFEBA
>>233
リアルタイム&初投下GJ!
ひよりもつかさも全く違和感無く、やりとりがオリジナルそのまま過ぎて和んだ( ´∀`)
絵師さんと思ってたらSS書きさんだったとは…
最近は両刀使いさん(超GJ的な意味で)が増えて来て嬉しい限り
236名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 23:57:50 ID:r+ZoKFIW
>>233
GJGJ!!
いやぁ、絵描きさんだと思っていたらSS書きさんでしたか。
どっちも出来るという方は羨ましいですな。二人のキャラが好きだって気持ちがよく伝わるお話でした。
是非とも続きをば。
237名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 00:11:24 ID:VitekU8U
ぶーわ氏・7-896氏・妄想氏
そしてこれで両刀使いさんが4人になったね・・・四天n(ry

まあそれはいいとして
>>233ぐっじょ!!
ぜひ続き書いてほしい!!
それからあなたのマジ絵も見てみたいなぁなんて・・・
238名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 00:23:15 ID:/UUgm0+x
おばんです。
「カケラ」の続きがようやっと書けましたので、投下します。

・こなた×かなた/こなた視点
・今のところ非エロ
・6レスほど使用
・シリアス/タイムリープ/鬱展開あり/微妙な戦闘シーンあり
・オリジナルキャラが登場します。
・オリジナル設定が多いのは仕様です。
・物語の性格上、鉄分が濃いです。
239名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 00:24:04 ID:VuKLjcda
>>233
GJなのですよ。
つかさの笑顔は最高の癒しですな。
ほのぼのしてて、心が温まる話でした。

続きがあれば楽しみにしております。
240カケラ 11-1/6:2008/01/24(木) 00:24:10 ID:/UUgm0+x
11.

「『星のカケラ』?」
「そう」
「昔々……といってもそれほど前の事ではないけれど、
 私の住んでいる村のお社に『星』の形をした不思議な『石』があったらしいの」

特急「北越」号に乗った私とかなたさんは、今、共に北陸の地を目指している。
かなたさんは終点の金沢へ、私は手前の富山まで行く予定だ。
私はかなたさんと会話を楽しみつつ、一方で『現代』へ帰る方法を考えていた。
今のところ特にコレといった手掛かりはない。
その代わり、私は偶然(かなたさんは偶然など無いと言うが)にも、生前の自分の母親と乗り合わせた。
青森で私に乗車券を渡した『何となく若い頃のお父さんに良く似た学生』が言っていた『近しい人』とは、私の未来の母親であり、今は高校生である『かなたさん』の事だろう。
正直、とても嬉しかった。

そして私は、未来の母親からようやっと『手掛かり』を手にする事になる。
勿論タダではなかった。

「私達はその『石』を五芒星(☆)の形にちなんで『星の石』って呼んでいた───」
あんまり語呂良くないね……。
「その『石』は透き通った黄色で、たまに暗いところでぼんやりと光る事があるそうよ」
「その『星の石』ってやつは、何か特別な『力』とかあったの? 神社に保管してあったそうだけど」
「そうね、私は直接聞かされた訳じゃないけれど、その『星の石』には不思議な『チカラ』があったそうよ」
意外にあっさりと答えたので拍子抜けしてしまう。
「ただ、その『石』の『チカラ』がどういうものかはみんな分からなかったの。
 その『石』が災いをもたらす事も無かったし、ある日突然村が(経済的に)恵まれる事も無かった。
 でも、色々な噂は流れていたわ」
「例えばどんな?」
「えっと……、常人では絶対出来ないこと。『超能力』って言えばいいのかな?
 その『石』を使って亡くなった人とお話をしたり出来るとか、空を跳べるとか、火の玉を出したりとか、
 大きな力…物理的な力の事ね、を出すことが出来たりとか………。
 ただ、それらはあくまで『噂』であって、それが真実とは限らないわ」
確かにそうだ。
ただ、得体の知れない石を手に持つと、何か特別な事を出来るんじゃないかと思ってしまうのが人間というもの。
「次第にその『石』の噂が広まってきて、ある時、その石の話が大阪の新聞社の耳に入ったらしいの。
 それ以来、その石を狙おうとして悪そうな人達が村に出入りしたわ」
一息置いて、
「ここまでが5年前の話」
と、一旦話を区切る。

要は、「『星の石』はどんな力を秘めているかは謎だけど、色々な噂が流れていて石に興味を持った人に狙われていた」という事だ。
241カケラ 11-2/6:2008/01/24(木) 00:24:38 ID:/UUgm0+x
「あれは一昨年だったかしら?
  私『達』が高校に通うようになった最初の夏に、病気が流行したの。
 幸いこの病気の直接的な影響で死んだ人は居なかったけれども、そう君がこの病気に掛かって大変だったの」
聴いたことがある。質の悪い風邪の様なものだが、一度発症すると半年は高熱と吐き気と下痢に苦しむという病気だ。
詳しい事は『現代』に帰ってからみゆきさんに聴くとして、お父さんはあれで一度死にかけたらしい。
「その頃から『星の石』を狙いに来た人達がその帰りに事故に遭ったり、家族や知人が突然行方不明になったり、
 中には精神不安定になって自殺したという人も居たらしいわ。
 それでね、村中で今度は『星の石の祟りだ』という噂が流れて、
 ある一人の人……名前は知っているけど敢えて伏せておくわね……が、夜中にその『星の石』を壊して海に捨てようとしたの。
 その時に………」
ごくり。
思わず生唾を飲み込む。
「石が突然強く光ったらしいの。その光は天の方を向いて真っ直ぐに延びていたのを私も見たわ。
 すぐに大騒ぎになって、男の人達が神主さまと一緒にお社に行ってみたら……………」
「行ってみたら………??」
いよいよ核心に迫る……………が、


「その話、もっと詳しく聞かせて貰おうか」


かなたさんとは違う、別の『女の人』の声が7時の方向から聞こえた。
気配から察するに、どうも私達に用があるようだ。そして、その用は私達にとって非常に都合が悪そう。
(かなたさんはここに居て)
(分かったわ)
かなたさんに小声でそう言い終える前に、私めがけて一発目の攻撃が入る。
小柄な身体を利用して、滑り落ちるようにして座席の隙間に入り込む。
辛うじて挨拶代わりのカウンタは避けられた。
そのまま通路まで一回転して、二発目の蹴りをバック転でかわす。

座席3列分の距離を置いて、車内の狭い通路上で私と『女』は対峙する。
相手は20代半ばくらいで、際どいスリットの入った赤いチャイナ服を身に着けている。
私が今着ている服よりも場違いな恰好だ。
すらりとした長い手足で構えのポーズをとる。
私も真似して空手の『構え』のポーズをとる。
「初対面の人にいきなり殴りかかってくるなんて、失礼なんじゃない?」
「いきなり? いきなりはやっていないさ。最初に言ったろう? 『その話、もっと詳しく聞かせて貰おうか』と」
さっき言った台詞を一字一句違わずに再生する。ある意味凄いかも知れないね。
この恰好、普段なら「萌え〜」の対象なんだけどね。『お姉さん』何気に綺麗だし。中国人っぽいけど。
しかし、それどころでは無さそうだ。
242カケラ 11-3/6:2008/01/24(木) 00:24:59 ID:/UUgm0+x
実はこのお姉さんの気配はもっと前から気付いていた。かなたさんが『星の石』の話を始めた時かな。
ずっと警戒していりしてたんだけど、まぁ大丈夫かなぁと思った矢先、さっきの一発が飛んできたワケだ。
「それで、その話の事だが」
「だが断る」
「ならば、お前がその内に秘めている『モノ』を差し出せ」
「それも断る」
それ以前に、私の内に秘められている『ヲタク魂』をそうやすやすと差し出すわけにはいかない。
てか、お姉さんもソレ、欲しいの?
「ならば、この場にて消えて貰おう」
真っ平らな胸の内で訊いた問いには答えてくれず、代わりに強硬手段に出ることを宣言された。
「それも断る」
「黙れ小娘、大人しくその身を差し出せ」
「それも断る♪」
ちょっと巫山戯て言ってみる。思わず「ぷっ」と嘲(わら)ってしまった。
「何が可笑しい?」
「べーつに」
相手の殺気がどんどん高まっていく。それでも私はあくまで『平静』に戯(おど)ける。
「許さぬ。今すぐこの場で死ぬが良い!!」
お姉さんの怒りが最大値に達したのか、ついに右足に込めていた力を爆発させ、私目掛けて一直線に飛んで来る。

明らかに、私を殺そうとしている。

「だからさ、嫌だって言ってるでしょ?」

相手をギリギリまで引き寄せ、スライディングで低空飛行を避ける。
雪の日のノリウムの床はとてもよく滑る。
お姉さんは「ちっ」と軽く舌打ちし、右手を床について一回転、元の構えの体勢に戻る。
刹那、再び私目掛けて飛びかかる。それにしても不思議だ。
地を一蹴りしただけで、15メートルはあろう細長い通路を端から端まで飛べるのだから。
今度はスライディングで避けられない、地に着くスレスレの高さで低く飛ぶ。
彼女の右手には不思議と光の弾らしきモノが見える……様な気がした。多分錯覚だろう。
今度はジャンプで斜めに避ける。
座席の背もたれに左手をつき、左腕を軸に跳びながら身体を一回転させ────
「あれ?」
───ようとした。
一回転したのは座席の方だった。
どうやらこの列車の座席は、背もたれを前に倒すと座席が回転するらしい。
思わぬトラップにハマり、危うく座席と座席との間に頭から落ちる所だった。
窓の柱を強く蹴って、通路に降りる。
ハタから見れば滑稽なこの動作にも、彼女は表情何一つ変えなかった。
何か腹立つな。
私の事、馬鹿にしてるのか?
243カケラ 11-4/6:2008/01/24(木) 00:26:12 ID:/UUgm0+x
「お遊びはそこまでにして貰おうか」
遊んでなんかいない。勝手に回ったのは座席の方だ。

正直、私はこんな所で闘いたくはなかった。
実戦経験は無いして、そもそも私は争いを好む変わり者ではない。
どちらかと言えば、自分が何をしなくても平穏に過ごせる『平和な世界』を望んでいる側だ。
かなたさんは最後列の座席でハラハラしながら私達を見守っている。
どうやら自分への危険よりも、私が『最悪の事態』を迎える事を憂えているようだ。
「私を退屈させるな」
一生退屈してろ!!
私が考え事をしている最中に、次の攻撃が入る。
連続かつ不規則に入る拳と蹴りを避けつつ、彼女の狙いを考察してみる。

彼女の狙いは、少なくとも『星の石』に関する事のようである。
私自身も話の核心に触れていないので『石』がどうなったかは予測出来ないけど、
おそらく、何か大きな事件が村で起こった事は確定しても良いだろう。

ぴた。

一歩ずつ下がりながら攻撃を避けていたら、客室の扉に背中が当たってしまった。
右足が私の顔面に高速で向かってくる。
彼女の身長は170cmほどもあり、日本(それとも中国?)の女性にしては長身である。
この高さで飛び越えるほど脚力は無いし、右に避ければ身を丸めているのでかなたさんが巻き込まれる危険がある。
逃げ道は私から見て左側しか無い。
しかし、背もたれの高さまで跳ぶ余裕がもう無い。
(イチかバチかだ)
そう思った私は跳んできた硬そうで平たい靴底を紙一重で避け、足に目一杯力を込めて、そして、
「えいっ」
跳んだ。
その時、不思議な事が起こった。
左足が何らかの『力』を爆発させたような感触を覚えた。
途端、私はあり得ない速度で彼女の胸元を目掛けて一直線に跳んでいた。
彼女の右足がまだ扉に固定されているうちに、思いっきり力を込めてパンチを送る。
腕が何となく萌えた……いやいや、『燃えた』ような錯覚に囚われる。
腹に命中した。
「───っ!!」
正直驚いた。私の方が。
彼女は10メートルほど飛んで、頭から床に落ちた。脳震盪を起こしたようで、すぐには立ち上がらない。
4時の方向から声がした。

今、私は何をやったのだろう。
四肢には不思議と『力』が沸いてくる。
殆ど稼働していない脳味噌も何となく、普段以上に回転している……様な気がする。
「お…………おのれぇぇぇぇえええええ!!!!!」
怒りを露わにした、チャイナドレスの般若が再び攻撃態勢に入る。
右手に持っているのは、向こうの客室扉の脇にあって、それを強引に剥ぎ取った、握り棒。
要するに、鉄パイプだ。
それを孫悟空(ドラゴンボールの方じゃないよ)の如意棒の様にぶんぶんと振り回し、襲いかかってくる。

えっと、何考えていたんだっけ?
あ、そうだ、思い出した。
彼女は『星の石』に興味があるらしい。
244カケラ 11-5/6:2008/01/24(木) 00:26:41 ID:/UUgm0+x
扇風機の様に高速回転する鉄パイプを避け、後側にまわって、
「破ッ!!!!」
背中に一発蹴りをお見舞いする。
彼女を死なせる気は更々無い。さっさと退散するか、暫く眠って貰えればそれで良いのである。
不必要な攻撃は、むしろ己の『弱さ』を表に出す行為に繋がるし(私は自分が強いとは思っていないけど)、
何よりも体力と時間の無駄になる。こんな事をしている位なら、家帰ってエロゲの続きを楽しむ方がよっぽど良い。
まぁ、今は簡単に言えに帰れないんだけどね。

それで、だ。
今、彼女は『星の石』の話を知っているかなたさんを襲わず、何故か私を攻撃している。
『石』の話が聞きたければ、私など無視してさっさとかなたさんを脅して聞き出せば良いのに。
まぁ、私がその前に止めるけどね。
………あ、そうか。だから私をさっさと始末して、ゆっくり聞き出すつもりなのか。
やっぱり私のCPUは、どこかしら断線しているようだ………。

荷物棚に掴まって頭に蹴りを入れる。しかし、見事にかわされてしまう。
「ぐはッ?!」
鉄塊が私のお腹に喰い込んだ。口の中が血の味で満たされる。
「────っつ!!!」
背中が後方の客室扉に叩き付けられる。一瞬、頭の中が真っ白になった。
ぼんやりする意識の中、鉄パイプの衝撃が全身に走る。耳にはかなたさんの悲鳴が。
「!!!!!」
今、『脳』に甚大な衝撃が走った。
ダメだ、視界がぼやけて目標(=お姉さん)が何処にあるかが分からない。
─────私はこのまま、この時代で母親よりも短い生涯を終える事になるのか。

嫌だ、嫌だ、
嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、
嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、
嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、…………………、



「嫌だぁぁぁぁああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」



私が力を振り絞って叫んでから数分の間。
私は自分の周りで何が起こったか、全く覚えていない。
気付けば客室内は滅茶滅茶に破壊され、チャイナドレスのお姉さんは座席「だった」モノに寄りかかるようにして倒れていた。
顔面血まみれだったが、『気配』を感じたのでまだ生きている。
私の後には、白いコートを羽織ったかなたさんの姿が。
ご覧の通りの惨状であるにも拘わらず、彼女は意外にも冷静で、しかし、色の抜けた表情で私をじっと見ていた。
客室の窓ガラスのうち何枚かに罅(ひび)が走り、そのうちの何枚かは割れており、
走行風によって加速された白い冷気が容赦なく客室内を氷の世界へと変えようとしている。
しかし、私の身体は熱い炎の様なモノで包まれていた。
炎の色は、私の瞳と同じ常磐(ときわ)色。
理科の実験でやったような嘘くさい炎が、私を優しく包んでいた。

足下のモータの轟音が虚しく響く。
私は一体全体何が起きたのかサッパリ分からず、酷く動揺していた。
245カケラ 11-6/6:2008/01/24(木) 00:27:13 ID:/UUgm0+x
かなたさんは、さきの騒動がまるで何も無かったかのように、『例の』話を続けた。
「村のある人は、その『星の石』を壊そうとしてお社に行ったの。
 すると、その『石』は急に強く光って、5つに割れて、飛び散った。
 その『石』は矢波山よりも高く浮いていたから、結構遠くへ飛んだと思うわ。
 その後、村がどうなったかと言うと、特にこれといって何も起こらなかった。
 それがかえって不安になって、『星の祟りによって、近いうちに村ごと海の底に沈む』
 と言うデマまで流れて、みんな次から次へと村を出て行ってしまった。
 そして、『石』を壊そうとしたある人も、原因不明の病気に掛かって一週間後に亡くなった……。」
「……………」
「そして、昨日の夜。
 私は夢の中で『「泉こなた」という女の子と逢うだろう』と神さまに言われたの」
「……………」
「神さまはさらにこう言った。
 『その子は30年後の世界から「星のチカラ」によってこの世界にやって来る。
  それは、彼女が「星の石」を必要としているからだ。
  だから、彼女に「星のカケラ」を集めさせ、ある条件を満たすようにと伝えなさい』と」
「……………」
「私は戸惑ったわ。
 『星の石』は結果的に矢波の人間にとっては危険な存在だったし、
 その『石』の『チカラ』は『事件』から2年経った今でも正確に分かっていない。
 それ以前に、私の未来の子が本当に来るなんて信じにくい事だったし、本当にあなたに逢えるまで、
 実は少しだけ、あなたが来る事を疑っていた」
「……………」
「でも、あなたに本当に逢えた時、分かった。
 『星の石』は『あなたの手の元にあるべきモノ』であるのだと」
「……………」
「ところで、『星の石』の噂話の他に、村の言い伝えでこんなお話があるの。
 『星のチカラ』と呼ばれる不思議なチカラがこの世界には存在するそうで、
 それを使う『使い手』の人達は、その自身の力を使ってこの世界のバランスを保っているそうなの。
 漫画で言えば『魔法』のようなモノかしら?
 ただ、魔法とは違って、『星のチカラ』の源はその使い手の胸の内にある『炎』によるもので、
 そのチカラは使い手の特性によって様々で、それを戦いのために使う人も居れば、怪我の治癒に使う人も居るそうよ。
 何が言いたいのかと言うとね、今、あなたは常磐色の『炎』に包まれている。
 その炎はあなたの胸の内にあるものが顕現したものであって、あなたもその『星のチカラ』の使い手であるという証し。
 これは私の推測に過ぎないけれども─────」
「もういいよ」
「───多分、『星のチカラ』と─────」
「もういいって」
「───『星の石』とは…………」
「もういいってば!!」
「……………。ごめんなさい」
私を包む常磐色の炎はいつしか消え、窓ガラスの割れた客室内は冷凍庫のように冷えていた。
もう、訳が分からなくなってしまっていた。
私はこの時代に飛ばされ、かなたさんに逢うまで『ただの人間』だと思っていた。
でも、私は今さっき、無意識のうちに『星のチカラ』とやらを使って車内の今の惨状に変えてしまっていた。
「私って…………何なの……?」

うっ、うっ、…………うっ…………………、
涙が列車の振動でパラパラと散る。車内に悲しく響いていた嗚咽は、次第にハッキリとした鳴き声と化す。

うわぁぁぁあああぁぁぁぁあああ─────

私は、大声で泣いた。

自分が、『恐かった』からである。

246久留里:2008/01/24(木) 00:30:16 ID:/UUgm0+x
以上でございます。


「ところでよォ、俺らが最近出てねーよーな気が……」
「ホントねぇ。私達も背景の仲間入りかしらね」
「おいおい、あいつらと一緒にするなよ。我が悩み多き脇役者・ヒーラギカガミ?」
247名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 00:35:45 ID:VuKLjcda
>246
リアルタイムぐっじょぶ。あと投下宣言後に割り込みレスをいれてしまい、すみません。

戦闘シーンは迫力ありますなあ。4時の方向は、鉄分というより軍関係っぽいですがw
「星のチカラ」と「星の石」の関係について、興味を抱きつつ、続きをまっております。
248名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 00:41:56 ID:oWKr8MBU
>>246
五つに分かれて飛び散るとは、数は違えど何と言うドラゴンb(殴
これまた壮大なパラレルワールドになってきましたね。
続きに期待!
249久留里:2008/01/24(木) 00:54:35 ID:/UUgm0+x
大事な事を忘れていた。

皆さんGJです!!
>>213
一度だけ「みさお×兄」のエロネタを考えてみたが、結局ボツにしたんですぜ。
理由は何故かって? 「恋愛経験ゼロ」という言葉からお察し下さい。

>>231
つかひよ最高ですっ。
ところでイラストのつかさとひより、何だか実在してそうなほどリアリティがありますな。
さては本物のつかさとひよりを……だばだばだば
つまりGJ!! もっと書いてけっしゃれ!!




そして、自分で考えたキャラが気に入り過ぎて、毎晩「つかあゆ」で妄想している漏れは性犯罪者予備軍orz
250名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 01:19:31 ID:VitekU8U
そういや7-896氏のオリキャラにあゆむって子がいたな
いやだからどうしただけど・・・思い出しただけですすんません
個人的にあの作品好きだったよ
オリキャラ視点なのに進め方がうまくて
251名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 01:36:18 ID:YiZCZbUE
「かがみんのことかあああああああ!」
ごす・・・
「だから痛いってかがみ・・・(〒ω〒.)
 それはそうと>>246はGJだよ
 ようやく核心の1つにたどり着いたようですな。
 しかしまだまだ先は長そうだねえかがみん
 何気に、私の格闘設定が生かされてるし♪」
「まあねえ、しっかし、こんな壮大物語、
 本当に演繹法で作ってるの?マジしんじらんない・・・」
「作ってるうちに、設定と背景が作られてくるとか、
 小説家志望(かな?)としてはうらやましいかぎりだねェ(=ω=.)」
「とりあえずだ、先が楽しみだねぇひひゃひゃひゃ」
「しっかし、私だけパートナーがこれとか・・・('A`)」
「めげるなめげるな(=ω=.)」
252名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 01:39:31 ID:hXaNlq5W
>>246
星の石にそのかけら、ときましたか。あゆこなは確定として、残り3人が誰なのか……。
次回も心待ちにしてます。ぐっじょぶ。


そして。あゆこなが力の使い手と聞いてこんな電波が。

こなた「うなれ、嵐のジュニアブラ!」
あゆみ「も、萌えろ炎のスポーツブラ!」
こなた「しなれ、疾風のワイヤーブラ!」
あゆみ「さ…叫べ雷(いかづち)のパッドブラ!」

『荒ぶるナイチチにすべてを賭けた! 不動頻丹生陣(ふどう・ひんにゅうじん)!』



……ごめんなさいorz
253名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 02:10:58 ID:UzyijCQK
>>246
なんというフレ○ムヘイズ。コレは続きが気になるw
あゆみちゃんの炎の色は空色だっけか、となると空裏の裂きt(サックコート
254名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 02:20:54 ID:jXfyB++4
>>246
うーむ。またいろいろ気になる展開に…。
かなたさんもただの人?ではなかったと。
はてさて・・・?何はともあれGJ!
255名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 03:26:16 ID:TSgfRSKY
>>246これは急展開ですな。今まで謎だった不思議な力はこれか・・・

そして星のカケラで某ピンク球体を思い出したのは内緒。
この後もまだまだ不思議な事が起こりそうですな。楽しみに全裸で待ってる。
GJ!
256名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 03:48:38 ID:Cp7jUA49
職人さん方、まとめてごめんなさい。GJです!

ちなみに、>>102-105書いたものです。
自分の拙作にたくさんの感想ありがとございました!
続きは、牛歩ながらも作成中です。

あと、人の絵見ると描きたくなるよね…?
ってことで、>>233氏の絵に触発されて、>>102-105のイメージ描いてみました(´・ω・`)
【TS注意!】http://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0011.jpg
男版かがみを描くと、どうしてもクラ○ドの岡崎ちっくになる罠。
257名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 04:59:17 ID:FycaRAhV
>>246
なんという急展開。次回も期待してます。


ときわ色?クリームと濃い青? とか思ってしまった鉄ヲタの漏れ涙目。
ググってみたら、緑系の色でしたorz
自分の中で、緩行線より中電のイメージの方が強かったが敗因ですな。


久留里氏に限らず、SS書きの皆様って語彙力凄いですねぇ。感心します。
258名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 07:56:42 ID:Z1bY99nR
某書き手ですが質問をば
自サイトに保管庫の自身の作者ページを載せることは大丈夫でしょうか?
以前転載騒動などがあったので、確認の必要があると思いましたので
もちろん載せるのは自分の作者ページだけで、コンテンツのひとつの中に設置するだけです
259258:2008/01/24(木) 11:04:49 ID:Z1bY99nR
すみません追記です
もしそれがいけないようであれば自分のSSだけ自サイトに載せても構わないでしょうか?
260kt:2008/01/24(木) 11:06:37 ID:ZcBJ/9bX
どうも〜
ktです。
Wikiの小ネタの項に保管していただいて本当にありがとうございます!
うん、精進しないとなぁ…

では、
タイトル『パティ職人への道!』
投下してもよろしいでしょうか?
・ひよりんが壊れネタ、そしてパティネタ
・登場人物:ひよりんとオリジナルの関西弁店長さん
・3レスほど…
・最近のひよりんのSS作品達と違うベクトルへと逝っております
261ひよりん、パティ職人への道!:2008/01/24(木) 11:07:52 ID:ZcBJ/9bX
○月○日 土曜 朝09:00
某バーガーショップにて

「おはようございます! 短期で勤めることになった田村ひよりっス! よろしくお願いしますっス! 」

ひよりん、パティ職人への道!

「おぅ! よろしゅうな〜、、ん〜とここじゃ揚げ物を調理したり・バーガー類を作ったり、パテ
ィを焼いたりその他もろもろs」
「え?!? ここにパティがいるんスか?!」
「? 、この業界じゃパン、、バンズに挟む物をパティちゅうんや、何でそんな呼び方なんかと
か知らへんけど、、パティいうんは友達なんか?」
「あっハイ、、そんな感じっス…」
「んじゃぁ、まず基本の肉パティからや」
(肉パティ…な、なんか―)
「エロい響きっスね(ひよりんのイメージ画像でお楽しみください。この画像を観るにはパ))ry」
(しししshししまったッアァァァァーーーー!こんなとこで友達の名前を聞いて理性が画がG画がが)
「ななななななんでもないッス!」
「…  まずハンバーグパティの〜」
(うう…やヤバイってレベルじゃないッス…あ、メモ出しとかないと)
「〜んで、この冷蔵庫の中の箱には入っとるパティを…そうやな12枚焼いとくか」
(…冷蔵庫…箱…出し入れ…パティ…12人…裸?…)
「…監禁(引き続きひよりんのイメージ画像d)ry)」
「……」
262ひよりん、パティ職人への道!:2008/01/24(木) 11:09:04 ID:ZcBJ/9bX
「…ってふぇっ?」
(ヤッやっヤッちまたァァァァァァァア!1!じ自分の妄想が口から!口からァァ〜〜ッッ!!)
「…ほんでデコボコしとる方を下にして鉄板の上に置いてタイマーを押すんや」
(…デコボコ…裸…裸パティ…下)
「…うつぶせ…胸が押さえつけられてハミ出る感じで…布団に…ぶつぶつぶつぶつ(ひよりんのイメーj)ry)」
(な、なに言うとるんやこの子…何やらメモに書いとるけど…)
「も、もういいですか?」
「…ぶつぶつ…、、あっハイ!」
「タイマーが鳴ったらこの重しで数秒ずつ流れるように押して行くんや、こんときに油がよう飛ぶから注意してな」
(裸パティ…油…いや汁…液?)
「ぶつぶつ…ぶつぶつ…ウヘヘ(ひよりんn)ry)」
「…もしもし?」
「…うを!?!ハイッス!!!」
(どどどどどどどどどどうしたのよ!今日の私ィィィィッ!!いつもは自重でき照るのにィィィィィィ!!!!!)
「……次のタイマーが鳴ったらこのへらでパティをひっくり返すんや、そんでシーズニングで味付けして…」
(うを〜パティから油がじゅわ〜っていって……大量の油?いいえ、液d)ry…それを…かける!?
…何を?…シーズニング?…ぶっかけ…s)
「…感じずにはいられない()ry)」
「…あのなぁ」
「はぁはぁ、、、続けてくださいっス!!」
「…自分、ここに何しに来たんや?」
「もろちんッ!マンガのネタ探しのためっス!!」
「あんたもう今すぐ上がれ」
263ひよりん、パティ職人への道!:2008/01/24(木) 11:10:08 ID:ZcBJ/9bX
「うわああぁあァァァ〜〜!」
「…ハァ…ハァハァ…夢?」
そう言って自室を見回すひより
「ふふ、そーっスよね〜!いくらバイト先という思わぬ所で友達の名前を聞いたからって自重でき
なくなって初日にクビになるなんてね〜!!、ハハッ…」
「でもリアルな夢だったな〜……忘れない内に描いとこっ、、って寒っ!」
布団を抜け出し机に座るひより、机の上に放り投げてあったメモ帳を取る
「あるぇー?もう描いてある…む〜ん、、描いた覚えがないっスねー…しかしこれ…いつもの同人誌
より気合は入ってるな〜この絵、肉感的だし…カラーだし…これはエロいと言わざるを得ないっス!」
「…昨日描いたのかな〜…?、あれ?昨日の記憶がないような…今日…何日だったかな…」
カレンダーを見ようとするが暗くて見えない
「…ケータイ、ケータイっと」

『○/○(日)1:58』

「あ……あれ…?」


264kt:2008/01/24(木) 11:11:40 ID:ZcBJ/9bX
これにて終了です、
ありがとうございました。
いかがでしょうか?…最近、ひよりん良作SSが連発されたのでこんなもん投下していいのかと思ってましたが
…やってしまいましたw

2レス目の最後の方の「もろちん」はわざとですw
…誰かひよりんイメージの妄想絵を描いてくれるh)ry

そういえば皆さんの初夢って何ですか?
僕はこのSSでした
265久留里:2008/01/24(木) 12:22:13 ID:k848t5VW
>>264
GJ!!
てか、パティ違いですわwwww>ひよりん

>>257
私も同じく常磐色を常磐線の色(青orエメラルドグリーン)だと思ってしまいますよ。
なんせ、常磐線ユーザだったもんで。
そう言えば、あゆみのピアスの色は(ry
266名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 13:17:03 ID:MYDRa3Hp
>>258
多分大丈夫なんじゃないでしょうか。
ぶーわ氏も自身のサイトから氏の作者ページに直リンされていますが
今のところ何も問題はないようですし。


>>264
普通に笑ってしまいましたw最近のパティの扱いは完全に肉キャラ(?)ですね。

ちなみに私の初夢はアンタッチャブルの山崎ともってけ!セーラーふくを歌うというものでした。
富士も鷹もへったくれもないシュールな夢に起きたら首を傾げたものです。
267名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 17:01:37 ID:L8hd97FM
誰もいない
投下するなら今のうち

というわけで、どなたも予定がなければ
5分後くらいから投下させていただきます
26828-538:2008/01/24(木) 17:07:33 ID:L8hd97FM
それでは投下させていただきます

・こな×かが
・こなた視点
・微々々エロあり
・5レス+おまけ1レス


タイトル・風邪の功名
269風邪の功名(1/5):2008/01/24(木) 17:08:44 ID:L8hd97FM
 澄みきった青空に一筋の飛行機雲。空気は冷たく乾燥気味。
 でも、お日様の光に暖かさを感じて、なぜかほっとする。
 こんな天気の日には、散歩でもしてのんびりしてたら、最高に気持ちがいいだろうな。
 私の今の状況は、ベッドに横たわり、布団をしっかりと被り、頭には氷枕という完全装備。
 そう、風邪を引いて熱が出てるんですよ。
 最悪なのは、今日に限っておとうさんは取材で一日外出。ゆーちゃんは、みなみちゃんの家にお泊り。
 熱があるのに気付いたときには、お父さんは既に出かけていた。
 取りあえず薬は飲んだし、寝ておこう。
 あ、バイト先に休むって電話入れとかなきゃ。


 熱い。髪が額に張り付いて気持ちが悪い。
 再び目が覚めたときには、日が沈み始めていた。時計の針は五時を過ぎていることを示している。
 この場にお父さんがいないとこを見ると、まだ帰ってきてないのかな。
 いたら、起きた瞬間に「大丈夫かこなた」とか言いながら抱きついてくるはずだもんね。

「ピンポーン」
 お父さんもゆーちゃんも鍵は持ってるから、どうせ宅配便か勧誘かでしょ。
 誰もいませんよー、なんて心の中で言っておこう。
「――ピンポーン」
 しつこいなあ。だから、誰もいないってば。
 チャイムが鳴り止んだと思ったら、今度は枕元で携帯が動き出した。
 またマナーモードにしっぱなしだったよ。
 携帯を開くと、かがみからの着信を知らせていた。
 しまった。かがみからの着信は、特別お気に入りの曲にしてたのに。

「もしもし〜、どうしたのかがみ〜」
『あんたのバイト先行ったら、風邪で休みだって聞いたから』
「お〜、さすが私の嫁。わざわざバイト先に会いに行ったうえに、お見舞いに来てくれるとは」
『そんなことより声が変よ。かなり体調悪いんじゃないの?』
 かがみが突っ込みをいれずに言うくらいだから、よほど体調が悪そうな声をしてるんだろうな。
 実際、寝る前より体調が悪い気がするんだよね。
「ん〜、熱があって動くのもだるい」
『じゃあ動けないわけじゃないのね。だったら玄関開けてくれない。今、家の前にいるのよ』
 さっきのチャイムはかがみだったのか。わざわざ心配して来てくれたんだ。
「わかった〜。すぐ開けるよ〜」

 何とか起き出して玄関を開けると、かがみが寒そうにしながら立っていた。
 すぐに上がってもらい、私の部屋へ移動する。
 本当はあったいお茶でも出してあげたいんだけど、玄関まで出て行っただけで脚がふらつくから無理。
 部屋に戻るなり、私は布団に潜り込もうとする。
「こなた、おじさんやゆたかちゃんは?」
「お父さんは取材。ゆーちゃんはみなみちゃんの家に泊まりに行ってる」
 開いたままにしてあった携帯を閉じようとして、ふとディスプレイを見ると不在着信が一件。
「ありゃ、お父さんから電話が入ってた。ごめんちょっと掛けるね」
 かがみは置いてあった氷枕を触ると、それを手に取り確認している。
「じゃあ、これに氷いれてくるわね」
 お父さんに電話をしている間に、かがみは氷枕を手に部屋から出て行った。
270風邪の功名(2/5):2008/01/24(木) 17:09:30 ID:L8hd97FM
 お父さんとの電話が終わって、布団に潜り込むとかがみが戻ってきた。
 たったそれだけのことなのに、なんかほっとした。
「こなた、はいこれ。おじさんはなんだって?」
 氷枕を受け取りながら、お父さんが今日は帰れないと言ったのを伝えるべきか考える。
 言えばかがみは泊まっていってくれるんじゃないかな。
 それを期待する私と、迷惑だから言わないほうが良いと思う私が、心の中で殴りあう。
 その間、どうしてもかがみを気にして、ちらちらと見てしまう。
「はっきり言いなさいよ。私は迷惑だなんて言わないから」
 かがみの一言で、心の争いに決着が付いた。レバ剣を持っていたのは、甘い期待をする私だったようだ。
「う、あの、お父さんが今日は帰れないって。私の声を聞いて心配してくれたんだけどね……
 かがみが来てくれてるからって、泊まっていってくれるから大丈夫って言っちゃった」
 お父さんにはそんなこと言ってない。一人だと心細いから、かがみにいてほしいから思わず嘘をついた。
 ごめんね、かがみ。
 かがみは一つため息をつくと、「やっぱりね」とつぶやいたみたい。
「なにが?」
「なんでもないわよっ。ちょっと家に戻って着替え取ってくるわね。ついでに買い物もしてくるわ。
 晩御飯はインスタントで我慢してよね」
 かがみは料理が苦手だからね。つかさなら美味しい料理を作ってくれるんだろうけど、
かがみがいてくれることのほうが何倍も嬉しいよ。
 でも、そんな気持ちを悟られないようにしないとね。
「えー、かがみが作ってくれないの」
 ちょっとした冗談。いつものようにツンデレを見せてくれたまえ。
「仕方ないでしょ。どこに何が在るか分からないし、なべを爆発させたら大変だし」
 かがみから意外な返しがきたもんだから、思わず笑っちゃったよ。
「ぷっ。もうかがみってばー。ごめんね、気ぃ使わせちゃって」
 本当にかがみは優しいよね。だから私は――



「ただいまー。こなた大丈夫?」
「げほっげほっ。すまないねぇ、私がこんな体じゃなけりゃ」
「そんな冗談言ってる場合か。どれどれ」
 かがみの手が伸びてきて、私のおでこに当てられる。
 ひんやりして気持ちいいし、なんだか落ち着く。けど、ちょっと恥ずかしいな。
「ところで、なんでただいまって言ったの?」
「いや、それはその〜、ほら、ここを出てから戻ってきたからつい……」
 なんか、随分あわててるけどどうしてだろ。
 考えてたら、かがみの手がおでこから離された。
「しっかり熱があるわね。それよりこなた、すごい汗かいてるわね。ちょっとタオル借りるわよ」
 そう言ってかがみは部屋を小走りで出て行っちゃった。

 わざわざタオルを持ってきてくれるなんて、気が利くねかがみは。
 あれ?タオルを「持ってくる」じゃなくて「借りる」って言った?
 部屋に戻ってきたかがみは、洗面器とタオルを二枚持っている。
「かがみ、何してるの?」
「あんたの体を拭いてあげるの」
 はい?なんですと?いや、えっ?
「ちょ、かがみ。自分でするから。やっ、ほんとに」
 声は出るけど、体に力が入らない。
 寝巻きの釦を外そうとするかがみの手を止めようとしたけど、簡単に押さえ込まれた。
271風邪の功名(3/5):2008/01/24(木) 17:10:08 ID:L8hd97FM
「ほら、暴れない。私が帰ってきたときだって起きれないくらいなんだから。
 それに、このままだと気持ち悪いでしょ」
 釦を全部外されて、前から抱きかかえるように上半身を起こされて、上着を取り除かれる。
 昼起きたときに、胸が締め付けられて苦しかったから、ブラは外してた。
 要するに、上半身は既に裸。
 かがみは、私をもう一度寝かせると今度はズボンを脱がせようとしてる。
 エロゲではよくあるシチュだけど、自分がされると恥ずかしすぎませんか、これ。

 結局、一枚を残して全て剥ぎ取られた私は、胸の前で腕を組みベッドに寝ている。いや、寝かされている。
 自分で拭くからと言って立ち上がろうとしたら、かがみに押さえ込まれて怒られたんだよ。
 そのかがみは今、お湯でタオルを湿らせている。
「寝巻きが汗でぐちゃぐちゃじゃない。よくこれで平気だったわね」
「いや、平気じゃなかったんだけど。着替えるのもきついというか、面倒くさいと言うか」
 湿らせたタオルと乾いたタオルを持って、かがみが近づいてくる。
 すごく恥ずかしくて、心臓の鼓動が耳元でなっているような気がする。
「なんかかがみ、すっごく慣れてない?」
「小さい頃、姉妹が熱出したときによくやってたし、やられてたからね。
 それよりほら、手をどけないと拭けないわよ」
 私が素直に手を両脇に下ろすと、体を拭き始めるかがみ。
 湿ったタオルで一度拭き、乾いたタオルで残った水分を拭き取る。
 顔から首、肩から腕と丁寧にしっかりと拭いてくれる。わずかに暖かく、なんだか落ち着く気持ちよさ。
 そして、前から抱きかかえられるような格好で、背中を拭いてくれる。
 かがみに寄りかかるように少しだけ体重を掛けて、頭を肩に乗せるといい匂いがする。
「かがみ、いい匂いがするね」
 熱のせいかな、言葉が素直に出てくる。
「な、何言ってるのよ。汗かいてるんだしそんなわけ無いでしょっ」
「ん〜、でもかがみのいい匂いがする」
 かがみの傍で、いつまでもこうしていたいな。
 でも、背中を拭き終わるとベッドに寝かされた。当然のことなんだけど、残念だな。
 そして、かがみが体を拭き始めると、さっきまでとは違う気持ちよさが体を襲ってきた。
 腋から胸にかけて、さっきまでとは違い力を入れすぎず優しく拭いてくれる。
 くすぐったいような、しびれるような感じ。
 胸の頂がそれに反応し、自己主張を始めるのが分かる。
 そして、そこにタオルが触れた瞬間思わず声が漏れた。
「んっ…」
「どうしたの。痛かった?」
「いや。大丈夫だよ」
 できるだけ平静を装いながら返事をしたつもりだけど、気付かれちゃったかな。
 再び、かがみが私の体を拭き始めると、また、さっきと同じ感覚が体を支配する。
 駄目だよ、かがみはそんなつもりで体を拭いてくれてるわけじゃない。
 かがみが拭く手を休め、タオルをお湯で湿らせようとして立ち上がる。
「ちょっと、お湯変えてくるわね」
 かがみはこっちを向かずに部屋から出て行ったけど、ちょっとだけ見えた横顔は赤く染まってた気がする。
 その間に何とか落ち着こうと思ったけど、頭に浮かんでくるのはエロゲならこの後どうなるか、なんてこと。
 そして、登場人物を自分に置き換えてる。当然、相手はかがみに――
272風邪の功名(4/5):2008/01/24(木) 17:10:55 ID:L8hd97FM
「おまたせ。さて、さっさと拭いちゃいますか」
 かがみは何事もなかったように、体を拭いてくれている。
 途中までだった胸からお腹へとタオルを滑らす。
 タオル越しだけど、かがみの手を感じて気分が高揚する。
 目をきつく閉じて、声が出そうになるのを我慢しながら拭き終わるのを待つ。
 上半身が終わったら、お湯をもうちょっとぬるめにして、とか頼んで部屋から一回出てもらおう。

 ようやく上半身が終り、声を掛けようとしたときには、かがみは脚を拭き始めてた。
「あんっ。んんっ…… ちょっ、かがみ」
 突然私が声を出したもんだから、かがみは驚いて私の顔を見ようとする。
 その視線が途中で止まった。その先にあるのは、私のショーツ。
 見られた……
 そこには、大きなしみができている。
 さっきまでは小さなしみだったはず。
 でも、足を拭くときに私の一番敏感な場所にタオルがわずかに触れた。
 たったそれだけだったけど、かがみへの気持ちを溢れさせるには十分な刺激だった。
 そして、罪悪感、羞恥心、それよりも強く恐怖を感じた。

 嫌われる――

 そんな、絶望的な考えが頭を支配する。
 言葉を捜すけど、何も言っても言い訳にしかならない。
 目の前にある現実を否定することなんかできやしない。
 結局何もできずに、手で顔を覆いかがみの言葉を待つ。
 私に待っているのは闇の世界だと思った。

「こなた、感じちゃったんだ。どこが一番気持ちよかったの?」
 聞こえてきた言葉は、まったく予想していなかった言葉だった。
 かがみの真意は分からない。
 熱のある私を一人にできないと思うから?
 それとも、私が傷つかないように気を使ってくれているから?
 どちらにしても、今はかがみの優しさに甘えよう。
 だから、いつもと同じようにからかうような感じで言葉を紡ぐ。
「う〜ん、胸かなぁ。でも、かがみに触られてるって思ったら全部気持ちよかったよ〜」
 一瞬の間をおいてかがみは話す。そのわずかな時間も、今は永遠のように感じる。
「私だからか。じゃあ、また今度触ってあげるわよ」
 明らかにいつものかがみじゃない。
 冗談に付き合ってくれている感じなんだけど、なんだか雰囲気が変だ。
 やっぱり、嫌われたんだろうな。
 目に熱いものがこみ上げてくるのを、必死に耐えながら私は話しかける。
「え〜、今日じゃないの〜」
 表情もいつもと同じようにできてると思う。でも、かがみの目を見ることだけはできなかった。
 そこには、嫌悪、拒絶、そういった私を闇に落とすものが見えてしまいそうだったから。
 それに、見てしまうと涙をこらえきれなくなりそうだから。
「何言ってるのよ。こなたの体調がこれ以上悪くなったらどうするのよ」
 そう言って、かがみは体を拭き続けてくれた。
273風邪の功名(5/5):2008/01/24(木) 17:11:49 ID:L8hd97FM
 体を拭き終えて、洗面器とタオルを持ってかがみは部屋を出て行った。
 その間に着替えをして、再び横になる。

「こなた、やっぱり今日は帰るわ…… 」
 部屋に戻ってきたかがみはそう言って、部屋の入口に立っている。
 それは、半ば予想していたこと。やっぱり嫌われちゃったね。
 どうせ嫌われたなら、私の気持ちをちゃんと伝えておこう。
 それが私のけじめ。これでかがみとはお仕舞い。
「ねえ、かがみ。何も言わなくてもいい、答えなくてもいいから私の話を聞いて」
 かがみの返事を待たずに話を続ける。
「私ね、出会ってからずっとかがみの事が好きだった。最初は友達としての好き。
 でもね、みんなでコンサートに行ったとき、途中で場所変わってくれたよね。
 私の前に大きな人がいて、ステージが見えなくってさ。嬉しかったよ。
 そのとき、かがみに対する気持ちが分からなくなったんだ。本当に友達の好きなのかどうかが。
 かがみは優しくて、強くて、私のことを気にしてくれて……
 ごめんね、かがみ。女同士だし嫌だよね」
 涙が溢れて、言葉が詰まる。
「かがみ、どうせ嫌われるなら気持ちを伝えたい。
 そんな私のわがままで、辛い思いさせてごめんね。
 私はかがみが大好き。でも、無理だよね。
 今日は…… 今までありがとうかがみ」
 あとは泣くしかできなかった。 
 初めての親友とこんな別れ方をするなんて思わなかった。
 そのことがとても辛かった。

 どれくらい時間がたったのだろう。五分、十分。もしかすると、ほんの数秒かもしれない。
 ただ泣くことしかできない私に、かがみの声が聞こえてきた。
「ちょっとこなたっ。何一人で終わらせてるのよ。
 私の気持ちは関係ないのかっ。いいかげんにしなさいよっ」
 寂しさに押しつぶされそうな私は、かがみの言ってることが理解できなかった。
 何とか顔を上げてかがみを見る。
 かがみも泣いている。なんで?
 そうだ、私が辛い思いをさせて、泣かしてるんだ。
「ごめん、ごめんね、かがみ―― 」
 私は俯いて、何度も同じ言葉を繰り返した。

 突然、体が温かく包まれる。
 何が起きてるのか分からなかった。
 耳元で聞こえるかがみの声で、抱きしめられてることを理解した。
「謝らないでよ、こなた。あんたはさっき私が強いって言ったけどそんなことない。
 私は。私もずっとこなたが好きだった。
 いつでも私の傍にいてほしい。いつでも笑っていてほしい。
 でも、告白して、もし嫌われて今の関係が終わるくらいなら、ずっと友達でいいと思ってた。
 自分の気持ちから、逃げてたのよ。だから、私は強くなんてない」

 ああ、かがみも同じだったんだ。
 だったら、今度は笑って伝えよう。
 お互い、辛い思いをしなくていいように。逃げなくていいように。
 抱きしめてるかがみの体を両手で押して、少しだけ離してかがみを見つめる。
「私はかがみのこと、大好きだよ」
 少し。ほんの少しの間があってかがみも答えてくれた。
「私もこなたが好き。大好きよ」
 涙を流しながら笑顔を見せるかがみ。
 私も泣きながら笑顔を見せていた。
 そして、どちらからともなく自然と近づき、初めてのキスをした。


(おわり)
274風邪の功名(おまけ):2008/01/24(木) 17:12:37 ID:L8hd97FM
「ねぇかがみ。さっきの続きしない」
 さっきは、私が勝手に感じてただけだし。
 それに、私だけ裸を見られて、一方的に触られただけじゃ不公平だ。
「なっ、何よ。さっきの続きって」
 顔を真っ赤にしながら顔を背ける。やっぱりかがみは可愛いね。
「もう、分かってるくせに。また今度触ってくれるって言ったのにい」
「あっ、あれは―― 」
「私が感じてたのみて、かがみも喜んでたくせに」
「なっ、気付いてたのっ」
 やっぱりそうだったんだ。
「いや、かまかけてみただけだよ」
「…… 」
 ちょっといじめすぎちゃったかな。
「でも、それ聞けてよかったよ。かがみが流されて、好きだって言ったんじゃ無いって分かったから」
「だって、こなたの全てを知りたい。そう思うくらい好きだから。
 私の手で感じてくれたって思ったら、すごく嬉しかった」
「じゃあさ、続き――」
「それは駄目。まずは風邪を治すこと」
 むう、今日はいくらお願いしても駄目っぽいな。
「ぶぅ、かがみのいけず〜」
「はいはい、もう寝ましょうね」
「わかったよ。寝るよ」
 って、かがみの布団用意して無い。
「その代わり、一緒に寝てあげるから」
 布団に入ってきたかがみに、後から抱きしめられた。
 かがみの体は柔らかくて、温かくて、とても落ち着けた。
「ありがと、かがみ」
「どういたしまして、こなた」
27528-538:2008/01/24(木) 17:14:29 ID:L8hd97FM
以上です

相変わらずわけわかめなタイトルですんません
思いつかないんですよね
ダレカカンガエテクレナイカナ
276名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 17:37:52 ID:zCZpyybs
>>275
展開、タイトル共に申し分無しでさぁ!
GJ!
277名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 17:42:41 ID:Zoamq7Vi
>>264
おお、まさかの続きがw GJです
ひよりん可愛いよひよりん

>>275
こなかがGJ!
前半甘くて後半切なくてものっそ楽しめました!
278名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 18:03:02 ID:acSMNX6n
>>275
ほんのり甘い感じですねー
ちょこっと切なさが出ているのが、また良い感じですね。
いや、GJでした。

そんな甘い空気を消すような物を今から投下しようと思いますが、よろしいでしょうか?
もう少し待って、何も無いようでしたら投下しますね。
27925-176:2008/01/24(木) 18:10:42 ID:acSMNX6n
では、今から投下します。
以下注意事項。

■19レス前後使用
■非エロ
■???→かがみ(先に書くとネタバレなので)
■誰かが思い切り暗い方向に壊れます
■出血表現・薬品使用あり(とはいえ、薬漬けのような酷いものではありません)

それでは、よろしくお願い致します。
280狂愛 -壊れた護る心-:2008/01/24(木) 18:14:06 ID:acSMNX6n
少しずつずれてしまった日常。
それは、ある段階になるまで誰にも気付かれる事はなかった。
例え、一番近しい者でさえ…

「おはよー、かがみにつかさ」
「おはようございます、かがみさん、つかささん」
「おはよ、こなたにみゆき」
「こなちゃん、ゆきちゃん、おはよう」

こなた達が三年になってから、約一ヶ月。
受験へ向けての強化された学校カリキュラムにも慣れてきた頃だった。
もっとも、こなたとつかさはあまり変わっていなかったが…

「それにしても、三年になったら授業が色々難しくなってきちゃったねー」
「そうだねぇ、わからない内容が多くなってきて、ますます眠く…」
「こなたはいつもと変わらないでしょうが…つかさももう少し頑張りなさいよ」

溜息をつきながら、呆れ気味にかがみが喋る。
そんな様子のかがみを見逃すはずもなく、こなたがいつものようにからかう。

「でも、かがみは優しいから後でしっかり教えてくれるよねー」
「馬鹿言ってんじゃないわよ、復習位しっかり自分でやんなさい」
「そんな事言って、結局はいつも教えてくれてるじゃーん」
「うっ……それは、その…」

にやにやしながらかがみに絡むこなた。
そんな二人を見て、つかさとみゆきが珍しくこなたのからかいに乗った。

「かがみさんは、泉さんの事をきちんと考えてあげているんですね」
「そういえばお姉ちゃん、何だかんだ言ってこなちゃんの面倒見ること多いよね」
「な、何よ、みゆきまで!
 いやそりゃ…だって、大事な友達だし…その…」
「んふふ、かがみは本当にツンデレだねぇ」
「ツンデレって言うなっ!」

顔を真っ赤にしつつ、必死に取り繕うとするかがみ。
そんなかがみを見て、他の三人は軽く笑いあう。
いつもの微笑ましい光景ではあったのだが…既にこの時から、変化は始まっていたのだった。
281狂愛 -壊れた護る心-:2008/01/24(木) 18:14:57 ID:acSMNX6n


「なー柊ぃ、今日あたり勉強会やらねーかぁ?」

二時間目が終わった後の休み時間、能天気な声でみさおがかがみに話しかけてきた。
五年間も一緒にいるのに、まだ普通の友人止まりなのが少し悲しいところだろうか。
そう考えると、高校で知り合ったばかりのかがみとこなた達との友情の深まり方は、ある意味凄いと言えるだろう…

「勉強会をやるのは別にかまわないけど、宿題写しにくる目的なら却下よ」
「うっ…そ、そんなんじゃないってば!
 あたしは純粋に、柊やあやのと一緒に勉強したいと思ってて…」
「目が泳いでるわよ…」

どうやら勉強会という名目にかこつけて、宿題を写そうとしていたらしい。
こなたもよく使う方法なので、かがみはこの事に慣れっこになっていた。
しかし、こなたに対する返答とみさおに対する反応の違いは…

「結局は宿題を写すことが最大の目的なんじゃない。
 そんな理由なら、勉強会には付き合わないわよ」
「そ、そんな事言わないでくれよぅ…
 あの宿題の提出期限って明後日だろ?
 あたしの頭じゃ、どんなに頑張ってもあの量が片付くとは思えないんだよー…」
「普段勉強していないからでしょ、自業自得よ」

この通り。
こなたには最終的に甘い顔を見せてしまうが、みさおに対してはかなりドライなかがみ。
それでもみさおは、何とかして食いつこうとする。

「そんな事言わないで、お願いだからさあ…なあなあなあ」
「べたべたひっつくな!駄目ったら駄目!」
「うぅ…あやの〜、ひいらぎが〜」

結局いつも通り、みさおがあやのに泣きついて終了した。
どちらかといえば、これもいつも通りな出来事だった。
…だが、今回だけは違う結末が待っていた。
これだけで終了、とはならなかったのだ。
282狂愛 -壊れた護る心-:2008/01/24(木) 18:16:55 ID:acSMNX6n


次の日の昼休み、みさおとあやのが並んで歩きながら雑談をしていた。
あやのが所属する茶道部関係の古道具を屋上倉庫へ運ぶ仕事を、みさおが手伝った帰りの時だった。
昨日の宿題騒動はどこへやら、いつものような軽い話題で盛り上がっている。

「でさー、それ1700円もしたんだぜ?
 どう考えてもぼったくりとしか思えない金額なんだよなー」
「そんなお店があるんだー
 そんなにあからさまで、そのお店やっていけるのかしらね?」

談笑しつつ、下り階段へと向かった二人。
だが、その時に悲劇が起こった。
二人が階段を下り始めた直後、あやのに異変が起こったのだ。

あやのの背中に、何かで叩かれたような強烈な衝撃が来る。

「えっ…?」

ドンという鈍い音と共に、あやのがバランスを崩した。
あやのは何があったかわからないといった顔のまま、一気に前方へ倒れこみ始める。
それに気付いたみさおは、あやのを支えようと動き出す。

「あや…っ!」

あやのに手を差し伸べようとしたその時だった。
みさおの足に物凄い衝撃がかかる。
棒で殴られたような、切れのあるキックを入れられた時のような…
完全に不意をつかれたみさおは、その衝撃に耐え切れず足を崩してしまった。
そのままみさおは、斜め上前方を向いた状態のまま後頭部を階段の角に強打。
その衝撃で一気に下へとずり落ちていく。
あやのは前方へと倒れたリカバリーに失敗し、そのまま顔面を強打。
みさおと同じく、そのまま階段の下へと転げ落ちていった。
283狂愛 -壊れた護る心-:2008/01/24(木) 18:17:54 ID:acSMNX6n
階段周辺に、物凄い音が鳴り響く。
それに気付いた近くの生徒が駆け寄り、目の前の惨事に唖然とした。
少しの間だけ場の時が止まった後、それを破るように一人の生徒が叫ぶ。

「…せ、先生を呼んで!先生を!
 これ、急がないとまずいぞ!早く!」

無理もない。
みさおは後頭部を連続で強打したショックでそのまま気を失ってしまい、泡を吹いていた。
あやのは顔面から落ちた上にそのまま下まで転落したため、顔面からの出血が酷い状態だった。
周囲は大騒ぎとなってしまい、野次馬に来た生徒も含めて混乱を始めていた。
その中には、みさおとあやのが階段から落ちたという報を聞いて駆けつけた、いつもの四人の姿もあった。

「く、日下部…峰岸…!」
「お、お姉ちゃん…」
「これは……酷い事が起きてしまいましたね…」
「………」

四人全員が、その惨事に言葉を失う。
ある者は、血溜りに顔を沈めたあやのをみて貧血を起こしそうになっていた。
ある者は、友人の事故を見て頭の中が白くなっていた。
…だが、この四人の中で一人だけ、その光景をみて小さく笑みを浮かべた者がいた。
もしこの時点で誰かがその表情の違いに気が付いていれば、後々の出来事が変わったのかもしれない。
だが、その表情の変化に気が付く者は誰一人としていなかった。

その後、みさおとあやのの二人は救急車によって病院へと運ばれていった。
あやのが鼻骨を骨折している上、二人とも意識が戻っていない。
到底保健室での処置では追いつかないため、病院で処置してもらった方がいいという判断だった。

「…明日、帰りに病院へ寄っていこうよ。
 日下部も峰岸も、きっとすぐ良くなると思うし…」
「そうですね、今日は治療云々で面会ができないかもしれませんし…」
「私、お見舞いにお菓子焼いていこう」
「明日はバイトがあるんだけど、休めるように店長に頼んでみるよ」

友人の唐突な事故。
そのあまりの凄まじい光景に、皆から元気が無くなっていた。
…演技をしている、ただ一人を除いて。
284狂愛 -壊れた護る心-:2008/01/24(木) 18:18:56 ID:acSMNX6n
その夜、柊家。
かがみは明日のお見舞いのことを考えつつ、宿題を片付けていた。
明日の提出まで間に合わせようと頑張っているが、どうしても事故の光景が頭から消えない。
血まみれになったあやの、白目を剥いたみさお。
少し気を抜くと、その光景が脳裏に浮かんでくる。
それと同時に、かがみはある事が気になっていた。

(…何で二人同時に、しかも違う落ち方をしていたんだろう…
 見た感じ日下部は前側に怪我は無かったし、峰岸はその全く逆。
 何だか…ちょっと不自然な気もするけど…)

宿題を進める手が止まると同時に、色々考えてしまう。
片方が助けようとして一緒に転げ落ちたなら、多少その事がわかるような体勢になっている筈。
でも、もしかしたら本当に同時に落ちただけかもしれない。
…あれこれ考えているうちに、かがみの頭の中がごちゃごちゃになってきた。

「いや、今は宿題を解く事に集中!
 あの状態は、別に偶然だったとしてもおかしくないもんね」

単に深読みしすぎただけだと自分に言い聞かせつつ、宿題を片付けるかがみ。
全ての課題を終わらせた時には、既に夜十時半をまわっていた。
とはいえ、寝るにはまだ早い時間。
かがみはベッドの上に寝転がり、本棚から適当なライトノベルを取り出して読み始めた。
と、その時かがみの部屋のドアがノックされる。

「お姉ちゃん、入っていい?」
「つかさ?いいわよ、入って」

枕を持ちながら、つかさがかがみの部屋に入ってきた。
いつもならつかさは寝ている時間なのだが、この時間まで起きているのは珍しい。
枕を持って入ってきたという事は、大抵何か怖いものを見た後と相場が決まっているのだが…
285狂愛 -壊れた護る心-:2008/01/24(木) 18:19:58 ID:acSMNX6n
「どうしたのよ、枕持って入ってくるなんて何年ぶり?
 また何か怖い番組でも見ちゃったの?」
「そ、そうじゃなくて…その…お昼休みにあった、あの事故が頭から離れなくて…」
「…つかさもなの?」
「うん…それでその…眠れなくなっちゃったから、一緒に寝てくれないかなと思って…」

確かに、あの場面はつかさにとって衝撃だった。
それだけならまだしも、自分がよく知っている人間が病院へ運ばれるほどの騒ぎになったのだ。
元々こういう事に耐性の無いつかさにとって、精神にかなり来るものがあったのだろう。
そんなつかさの心中をすぐに察したかがみは、その申し入れを受け入れた。

「いいわよ、今日は一緒に寝てあげる」
「あ、ありがとう…お姉ちゃん…」

かがみは持っていたライトノベルを元の場所にしまい、つかさと一緒にベッドで横になった。
電気を消すと同時に、つかさがかがみに抱きついてくる。
その抱きついた体は、微妙に震えていた。

「…お姉ちゃん」
「ん、何?」
「日下部さんに峰岸さん…二人とも、すぐによくなるよね」
「もちろんよ、特に日下部は元気だけがとりえな奴だから、明日にはぴんぴんしてるんじゃないかしら?」
「そうだといいね…」

やはり、どうしても話題は事故の事になってしまう。
かがみはつかさのフォローにまわる事だけを考え、あまり深い話はしないようにした。
こうしてつかさを安心させようとしているかがみだが、実はかがみ自身もつかさと一緒にいる事で安堵していた。
…実は、かがみもつかさと同じような心境だったのだ。
クラス内で一番よく話す友人が、あんな状況に陥ってしまった。
そして、その結果の光景…血にまみれたあやの、白目のみさおがしつこく脳裏にまとわりついている。
つかさがかがみに抱きついて安心している事と同じように、かがみもまたつかさと一緒にいる事で安心していたのだった。
その日、二人はほぼ同時に眠りについた。
明日、友人二人が元気な姿を見せてくれることを信じて…
286狂愛 -壊れた護る心-:2008/01/24(木) 18:20:59 ID:acSMNX6n


次の日、四人はみさおとあやのが入っている病院へと向かった。
二人が入っている病室に入ると、元気な声が揃って聞こえてきた。

「おー、柊のお二人にちびっ子、それに高良さん!来てくれてありがとなー」
「みんな来てくれてありがとう。私たちは何とか大丈夫だったよ」

あやのは鼻骨、みさおは右腕を固定されていた。
どうやらみさおは、落ちた時に右腕を同時に折ってしまったらしい。

「日下部、あんた腕もやっちゃってたんだ…大丈夫?」
「あー、落ちたときに右腕を巻き込んじゃったみたいでなー
 でも、利き腕を折らなかった分マシだなと思ったよ」

本当に事故にあった後なのかと思うほどの元気さを見せるみさお。
その様子を見て、かがみが安堵の色を見せる。

「その元気さを見て安心したわよ。
 峰岸も鼻の骨を折っただけで済んだの?」
「うん、私は鼻以外どこも折れたりしていないみたい。
 とはいえ、私もみさちゃんもしばらく病院にいることになりそうなんだけどね」
「骨がそれなりにくっつくまで無理だもんなー
 それにあたしの場合、頭の後ろをガンガン打ったから後遺症が出ないかが心配らしいんだよ」
「日下部なら大丈夫でしょ、多分」
「…ひーらぎぃ、どういう意味だよぅ…」
「あっははは…」

少しだけ、病室内に笑い声が響く。
二人とも骨折してしまっているが、その元気そうな姿に皆安心していた。
笑いも収まった後、かがみが事故の事についてさりげなく二人に聞いてみた。
やはり、ふと感じた不自然な点が気になっていたのだろう。

「それにしても、災難だったわねー
 二人とも、まさか一緒に足を滑らせたとか?」
「…あー、その事なんだけどな…」

みさおの表情が一瞬曇る。
あやのがその表情の変化を見て、言葉を発した。

「…実はね、さっきその事でみさちゃんと話していたんだけど…
 私達、どっちも誰かに後ろから押されてバランスを崩したのよ」
「…え!?」

その言葉に、その場にいる全員が驚きの表情を隠せなかった。
驚いている暇もなく、みさおが説明を続ける。
287狂愛 -壊れた護る心-:2008/01/24(木) 18:21:55 ID:acSMNX6n
「正確に言うと、あやのは背中。
 そしてあたしは両足を後ろから思い切り何かで殴られたって感じだったんだよ。
 最初にあやのがバランスを崩して、助けようとしたら…あたしが足をやられて…」
「それで、二人ともそのまま階段を落ちちゃったのよ。
 …悪戯にしても、ちょっとやりすぎよね…誰かが私たちに恨みでも持っていたとか…?」

二人の説明を無言で聞く四人。
この話の通りだとすると、みさおとあやのの二人は誰かに突き落とされた事になる。
しかも悪戯にしては、確かにやり口が酷すぎる。
ならば一体、誰が、どうして二人に…
そんな考えが、かがみ達の脳内を駆け巡った。

「…まあ、こうして無事だったし、今はそういう事を考えるのはやめよーぜ。
 とりあえずあたし達は、しっかり骨を治して出てくるのが先決だかんな!」

重くなった空気を吹き飛ばすように、みさおが声を発した。
それは、みさおなりのかがみ達への思いやりでもあった。
最も、本人がこういう空気が苦手という理由もあったのだが。

「…ポジティブねー、あんたは…
 ま、まあとりあえず元気だって事はわかったし、ゆっくり休んでしっかり治してね」
「本当に骨折で済んでよかったですね…お大事に」
「今度何かお菓子を持ってくるから、早く良くなってね」
「ありがとう、みんな」
「おう、すぐに復帰してやるかんなー!」

深々と頭を下げるあやのと、親指を立てて元気さをアピールするみさお。
そこには、怪我をする前と変わりのない二人の表情があった。

「みさきち、はしゃぎすぎて出てくるのが遅くならないようにネ。
 うっかり右腕を振り回して、また骨が離れちゃったとかやりそうだし」
「なんだとー!?」

こなたがみさおを、いつものようにからかう。
その光景を見て、また病室内に笑い声が広がった。
そして病院からの帰り道…
288狂愛 -壊れた護る心-:2008/01/24(木) 18:23:04 ID:acSMNX6n
「それにしても、二人とも元気そうでよかったね」
「完治にはまだかかりそうですが…どうやら骨折だけで済んだようで、何よりです」

二人がそれぞれ無事な事がわかり、皆の顔に安心の色が戻る。
だが、全員どこか安心しきっていない表情でもあった。
それは、やはり先程の二人から伝えられた内容のせいだろう。
しかし、その事について語ろうとする者は一人もいなかった。
あの重い空気にまた戻したくない、という思いがそれぞれの心にあったからだろう。

その時、後ろの方で何かが落ちたような音がした。
全員がその音の方向へ振り向くと、キーホルダーが歩道の端に落ちていた。
それは、つかさがいつも携帯しているマスコット付きキーホルダーだった。

「あ、私のキーホルダー…」
「つかさ、きちんと付けておかなかったの?相変わらずドジだねぇ」
「おかしいなあ、ちゃんと鞄に付けておいた筈なんだけど…」
「駅も近いし、先に行ってるわよ。ホームで待ってるから、早く来てね」

つかさを除く三人は駅の方向へ向かい、つかさは慌ててキーホルダーを小走りで拾いに行く。
…その時、全員がまさかと思う事態が起こった。

「えっ…」

キーホルダーまで後30cmもない位置まで近付いたとき、つかさが急にバランスを崩した。
勢いあまってガードレールにぶつかり、そのまま前方へ転倒するつかさ。
道路にそのまま転げ落ちてしまったつかさは、急いで元の場所に戻ろうとするが…
そこに、車が突っ込んできた。

「ひっ……うあぁぁっっ!!」

叫んだのも束の間、強烈なブレーキ音が辺りにこだまする。
ドンという鈍い音と共につかさの体は宙に浮いた。
この音に気付き、後ろを向いた三人は、丁度つかさが地面に落下するところを目撃する。
時が一瞬止まった。
一瞬何が起こっているのか、かがみ達は理解ができなかった。
そして十数秒後、三人はその事態をようやく全て理解した。
289狂愛 -壊れた護る心-:2008/01/24(木) 18:24:05 ID:acSMNX6n
「つっ…」
「つか…」
「つかさあああぁぁぁぁっっ!!!!」

いの一番に飛び出したのは、こなた。
それに続き、かがみとみゆきが後を追うように走り出す。
つかさの元へ辿り着くと、そこには昨日の事故のような光景が広がっていた。
止まっている車の前に、手にキーホルダーを持ったつかさが倒れている。
つかさは半目を開いた状態で、全く微動だにしていなかった。
そしてその体は、道路をバウンドした関係で至る所に怪我をしていた。
焦った口調で警察と救急車を呼んでいる車の運転手を横目に、三人はつかさの傍へと駆け寄る。

「つかさ、つかさ!?しっかりしてよ、つかさ!」

かがみがつかさのすぐ傍に寄り、つかさの意識回復を試みる。
だが、つかさは全く反応しなかった。
言葉を返さず、微動だにしないつかさを再確認したかがみは、いつの間にか涙をその目に溜めていた。

「つかさ……つかさ…っ……つか……っ…!!」

もはやつかさの名前を叫ぶ事しかできないかがみ。
妹が目の前で事故に遭ってしまった事で、その衝撃を隠せないのだろう。
そんなかがみを見て、みゆきが落ち着かせるように声をかける。

「落ち着いてください、かがみさん。
 まずは意識回復に努めつつ、救急車が来るのを待ちましょう。
 病院に運ばれれば、後はお医者様が適切な処置をしてくださいます。
 ですから…落ち着いてください。
 こういう時にパニックになってしまうのが、一番危険なんですよ」
「うっ……ひっ…うくっ……!」

かがみが泣き止んだ頃に救急車が到着し、つかさは先程かがみ達が足を運んだ病院へと運ばれていった。
幸い病院まではそう遠くなかったので、かがみ達も一度病院へと戻る。
連続で続く事故。
どうして自分達のまわりばかり、こんな事が起こるのか…
かがみの心に、そんな思いが湧き上がった。
290狂愛 -壊れた護る心-:2008/01/24(木) 18:25:03 ID:acSMNX6n
病院に着くと、つかさは集中治療室へ運ばれていた。
少し遅く到着したかがみ達三人は、治療室の前でつかさの無事を祈るように待っていた。
待っている時間が果てしなく長い。
今までの人生で、これだけ辛く長い時間を待ったことがあるだろうか…
何よりも、それを一番感じていたのはかがみだった。
運ばれてから二十分後、かがみが耐え切れなくなって声を漏らす。

「つかさ…大丈夫よね……つかさは…きっと…」

その言葉を受けて、みゆきがかがみを優しく包み込む。
そのすぐ後に、こなたもかがみの手を優しく包み込んだ。

「大丈夫ですよ、つかささんは元気に戻ってきます…絶対」
「そうだよかがみ、つかさは普段ぼんやりしてるけど根は強いから…
 絶対に元気になるって、心配ないよ」
「…二人とも…」

二人の言葉によって、少しだけ心が落ち着いたかがみ。
友人のかけてくれる言葉というのは、これだけの力があるものなのか…
そんな事を、かがみは友人達の思いやりを噛み締めながら思った。
…そして更に数十分後、集中治療室から医者が出てきた。

「どうですか、つかさの具合は…!」
「意識は回復しました。
 右腕を骨折していますが、臓器などに問題は無いので安心してください」
「…よ…良かった…!」

医者の言葉を聞き終わった瞬間、かがみの体から力が抜けていく。
その場に座り込んでしまったかがに、こなたとみゆきが声をかけた。

「ほら、かがみ大丈夫?良かったじゃない、つかさが無事で」
「異常が無くて良かったですね。
 骨折は仕方がないかもしれませんが、後遺症が残るよりは全然いいですよ」
「うん…うん、ありがとう…二人とも…」

しばらくして、柊家の皆が病院に到着した。
家族全員、つかさが無事だった事を聞いてほっと胸をなで下ろす。
こなたとみゆきは家族の邪魔にならないよう、先に病院を後にした。
291狂愛 -壊れた護る心-:2008/01/24(木) 18:25:57 ID:acSMNX6n


「それにしても、無事で良かったですね。
 最近連日で事故が起きましたが、どれも大事には至ってないようですし」
「そうだね」

病院からの帰り道、こなたとみゆきはゆっくり話しながら歩いていた。
この二日間、こなた達のまわりには刺激的すぎる事が連続で起きた。
みゆきの言う通り、どれも後遺症が残ったり死亡するという事態にまで発展していないのが幸いか…
そんなとき、みゆきの口からつかさの事故についての話題が出てきた。

「それにしても、つかささんはどうしてあんな場所で転んだんでしょう?
 それに確か、転ぶときに疑問系のような声が聞こえた気がしたのですが…」
「…そうだね…あれはいつものつかさのドジかなと思っていたんだけど…」
「ちょっと気になりますね…」

みゆきが何かを考え込むような表情になる。
やはり流石というべきか、彼女は細かいところを見逃していない。
それを見て、こなたは重くなりそうな流れを変えようとする。

「まあ、今は考えても仕方がないよ。
 私たちが見たのはつかさが倒れてからだし、ちょっと推理しにくいしさ」
「しかし…」
「みさきちの話もあるし、確かに考え込んじゃうのはわかるよ。
 でも、今日は色々ありすぎたし…明日また、考えようよ」
「…そうですね、ちょっと今日は気が滅入る事が多かったですし…」

何とか重くなりそうな流れを回避したこなた。
…しかし、その後の会話が続かない。
確かに、この状態で軽い話題で話そうとしても無理なものがある。
結局この後は終始無言のまま、駅に辿り着いた。
丁度着いたときは中途半端な時間だった為、駅にはこなた達以外に利用客がいなかった。

「じゃあみゆきさん、また明日ね」
「お疲れ様でした、泉さん」

帰る方向が違うので、それぞれの階段手前で挨拶を交わす二人。
こなたは下り方面、みゆきは上り方面への階段をそれぞれ下っていく。
…が、ここでまた悲劇が起こる。
階段を下っているみゆきの背中に、急に何かで殴られたような強烈な衝撃が来たのだ。
292狂愛 -壊れた護る心-:2008/01/24(木) 18:27:07 ID:acSMNX6n
(な…!?)

何とか衝撃に耐えようとするみゆき。
だがその力はあまりにも強く、みゆきの力では耐えることができなかった。
みゆきはそのまま前方へと倒れ、うつ伏せのまま一気に下へと転落していった。
顔面や頭部を階段に打ちつけられ、凄まじい音をさせながらホームへと転落したみゆき。
…その落ちていくさまを、階段の上からある人物が見ていた。
みゆきが下まで落ちたことを確認し、その人影はその場から消えていく。
その直後、こなたが息を切らせて上りホームへと走ってきた。

「みゆきさん、どうし……み、みゆきさん!?」

そこには、血を流しながら完全に気を失ったみゆきが横たわっていた。
その光景を見たこなたは、大声で駅員を呼んだ。

「駅員さん、早く来てください!階段から人が…人が落ちましたあぁぁっ!!!」

必死な声で駅員を呼ぶこなた。
その声に気付き、駅員がみゆきの元へと駆けつける。
みゆきは見た様子では骨等は折れていないようだが、その分出血が酷い。
落ちている時に唇と口内を大きく切ってしまったため、特に口からの出血量が凄まじい事になっていた。
駅員がとりあえずの止血作業をした後、すぐに担架が用意される。
意識がはっきりしていないみゆきは、すぐさま病院へと運ばれていった。
心配そうに運ばれていくみゆきを見つめるこなた。
…しかしこの時、こなたは担架で運ばれるみゆきを見て一言呟いていた。

『…シバラクオヤスミナサイ、ミユキサン…』

それは、こなたの裏の顔。
みゆきが完全に視界から消えたことを確認すると、その顔には笑みが浮かんでいた。
その笑顔は、普段のこなたからは想像もできないような暗い笑いだった…
293狂愛 -壊れた護る心-:2008/01/24(木) 18:27:59 ID:acSMNX6n


次の日、二日連続でみさお、あやの、つかさ、みゆきの四人が事故に遭ったという話が学校中にまわっていた。
それと同時に、かがみにとって辛い噂が立ち始めたのだ。

(聞いたか?柊と一緒にいると、必ず事故に遭うって話…)
(おいおい、何言ってんだよお前…柊に迷惑だろうが)
(でもさ、今回事故に遭った四人って、柊と仲が良かった連中ばっかだろ?
 それに、これまでにも柊と一緒にいて事故に遭った奴が数人いたらしいぜ)
(は、マジか…?でももしそれが本当でもさ、あまり妙に噂を大きくしない方が…)
(そんな事言っても、もう遅いよ…クラス中の噂になってんだから)

誰が流したのか不明だが、かがみと一緒に行動すると事故に遭うという噂が立ってしまったようだ。
しかも、過去にも事故に遭った友人がいるという尾ひれまで付いていた。
その噂は瞬く間に大きくなり、普段よく話す友人さえもかがみを避けるようになってしまった。

「…何で…どうして、こんな噂が立ってるのよ………誰なのよ…こんな噂流したの…」

頭を抱えるかがみ。
根も葉もない噂を流され、一番精神的なダメージを受けていた。
友人達が次々に事故に遭った事だけでもきつかったのに、更にこんな噂まで流されるとは…
かがみは普段強がってはいるが、その本質はとても弱い。
落ち込みが更に深くなろうとした、その時…こなたが遊びに来た。

「かがみ、おはよー」
「…こなた…駄目よ、今は私と一緒にいちゃ…変な目で見られる事になるわよ……」

完全に気落ちしているかがみ。
そんなかがみに、こなたは励ましの言葉をかけた。

「そんなの関係ないよ、私はかがみの友達なんだから。
 私も例の噂を聞いたけど…あんなの、最初から信じてない。
 私は絶対にかがみの事を見捨てたりはしないよ……『絶対』に」

力のこもった言葉でかがみに話しかける。
その言葉を聞いて、かがみの目に少しではあるが、輝きが戻った。
この状況下で、こなたの言葉がどれだけの救いになっただろうか。

「…ありがとう、こなた。
 そうよね…こんな事にいちいち反応してたら、身が持たないしね。
 やっぱり私は…いい友達を持ったなって思うわ。」

かがみの目には、こなたが救世主に見えた。
友人の事故と噂のダブルパンチを受けた後だったので、尚更だろう。
そんな完全に気を緩ませているかがみに、こなたが誘いをかける。
だがそれは、かがみにとって絶望へと落とされる誘いだった…

「気晴らしに、今日うちに来ない?
 こういう時はぱーっと遊んで、嫌なことを忘れようよ」
「…そうね、それじゃあ遠慮なく。
 たまにはこなたの家で思い切り遊ぶのもいいわね」
「それじゃあ、待ってるねー」

遊ぶ約束を交わした後、こなたは教室を出て行った。
…また、小さな声で一言呟きながら。

『…準備シナキャネ、カガミノタメニ…』
294狂愛 -壊れた護る心-:2008/01/24(木) 18:29:00 ID:acSMNX6n


その日の夕方、かがみはこなたの家を訪れた。

「来たわよ、こなたー」
「いらっしゃい、上がってよかがみー」

こなたはいつも通りの笑顔で応対し、かがみを自分の部屋へと通す。
その後、こなたはジュースを持ってくると言って台所へと消えた。
丁度今は、ゆたかもそうじろうも留守。
つまり、今泉家にはこなたとかがみしかいない状況となっている。
かがみは部屋で待っている間、こなたの部屋を色々と眺めていた。

「こなたの奴、少しだけ部屋の感じを変えたのかしら…
 以前よりアニメのポスターとかが少なくなってるわね」

微妙な部屋の変化を気にしていると、かがみの目にとある物が入った。
それは、こなたの机の上にあったポータブルCDプレーヤーだった。

「へえ、あいつ最近音楽聴いているのかしら。
 どんなの聴いているんだろ…ちょっと聴いてやろっと。」

CDプレーヤーの窓から見ると、中に入っていたのは明らかにCD-Rだった。
ちょっとした悪戯心で、曲の収録内容についてこなたをからかってやろうと考えていたのだが…
イヤホンを着け、CDプレーヤーをスタートさせるかがみ。
だがこの直後、かがみの耳に信じられない音が流れてきた。

『こなた大好き。わたしはこなたを愛してる。断然こなたが一番ね!世界一こなたが好き。私もこなたが好き。こなたが…』

それは、かがみが『こなたが好き』という言葉を延々と言い続けている音源だった。
これを聴いた直後、かがみの体中に嫌な汗が吹き出てきた。
無理もない、自分が言った覚えの無いこなたへの愛の言葉が延々と流れているのだから…

「…な…何…これ…?
 私……こなたに対してこんな言葉を言った事ないのに…
 でも…でも……確かにこれは、私の声…」

かがみは怖さに耐えつつ、もう一度よく音声を聴いてみた。
すると、途中で微妙なノイズや音の流れがおかしい部分があった。
どうやら、これはかがみの声を録音したものを継ぎ接ぎして作ったものらしい。

「これ…まさか…こなたが作った…の…?」

嫌な汗が止まらない。
ふと情報ウィンドウに目をやると、そのCDには他にもトラックが収められていた。
…聴くのが怖い。
だが、かがみは不思議な誘惑に耐え切れず、2トラック目以降を再生した。
295狂愛 -壊れた護る心-:2008/01/24(木) 18:30:12 ID:acSMNX6n
『べ、別にそういう訳じゃないんだから!』
『こなたもちょっと服装を考えれば可愛くなりそうよねー』
『わ…私はただ、こなたが最近落ち込んでいるんじゃないかなって思ったから…その…』
『こなたー、一緒に帰ろうー!』
『早くFメタの新刊出ないかなー』

そこには、かがみの日常の声が収録されていた。
しかし、これは明らかに盗聴音源だった。
学校での会話だけではなく、何と自分の家で呟いた言葉まで録音されていたからだった。

「何で…何でこんなものまでこなたが持っているの…?
 まさか、こなた…うちに盗聴器を仕掛けて……そんな、いつの間に……」

かがみはイヤホンを外し、そのままふらふらと元の座っていた場所へ戻った。
全てを信じたくなかった。
まさか友人である…いや、親友の間柄であるこなたが、自分に対してこんな事をしていただなんて。
かがみの頭は完全に混乱していた。

(何かの間違いよ……うん、絶対そうに決まってる…これは何かの…!)

と、その時だった。
ドアが開いて、ジュースを持ったこなたが入ってきた。

「お待たせ、かがみ」
「あ、あ…うん、ありがと、こなた…」

動揺を隠せないかがみ。
目の前に置かれたジュースを見ると、かがみは一気にそれを飲み干した。
その様子を見て、こなたがかがみに声をかける。

「…聴いてくれた?あのCD…」
「…えっ…!?」

この部屋ですぐに聴けるCDといったら、一つしかない。
そう、さっきかがみが聴いた声だけのCDだ。
かがみはその答えをどうするか迷ったが、自分を守る意味合いも含めて嘘をついた。

「…CD?何のこと…?」
「嘘ついちゃ駄目だよかがみ、さっきちゃんと私のCDプレーヤーを使って聴いてたでしょ?」

だが、その嘘はすぐに看破された。
悪寒がかがみの体中を駆け巡る。
こなたは、さらに言葉を続けた。
296狂愛 -壊れた護る心-:2008/01/24(木) 18:31:00 ID:acSMNX6n
「今だから言うけどね、かがみ…
 みさきち達やつかさやみゆきさんを怪我させたのはね、全部私なんだ」
「え……えっ…!?」

信じられない告白だった。
あまりの衝撃に、その場に固まるかがみ。
そんな様子のかがみに構わず、こなたは話を続ける。

「私はね、かがみの事が好きになっちゃったんだ。
 私の中で、かがみはとても大事な存在になったんだよ…
 だからまず、かがみの事をいろいろな事から守ってあげようと思ったんだ」
「…あ、あんた、言ってることがおかしいわよ!?
 それに…私を守るって、どういう事よ!
 日下部や峰岸、つかさにみゆきをあんな状態にして…あれが私を守った結果だと言いたいわけ!?」

混乱しながらも、この事については流石に怒りを隠せなかったかがみ。
その問いに、こなたはさも当然というように答える。

「もちろんだよ。
 以前かがみ、みさきちに対して『べたべたひっつくな』って言ってたでしょ?
 だから、べたべたできないようにしてあげただけ。
 峰岸さんはみさきちの注意を引く為に、ちょっと犠牲になってもらったけどね」

呆気にとられるかがみ。
更にこなたは、つかさとみゆきの事故について話し続ける。

「つかさは一昨日の夜、かがみにベッドの中で抱きついてたでしょ?
 それに、みゆきさんは私を差し置いてかがみを抱きしめちゃったし。
 このままつかさやかがみとの仲が進んじゃったら、かがみにとっても不幸だからね。
 だから、二人にもしばらく動けなくなってもらったんだよ」

恐ろしい事を笑顔でさらりと話すこなた。
しかしそれは、いつもの笑顔とは違うどこか狂気じみた笑顔だった。
かがみはそれだけでも背筋が凍りそうだったが、もう一つ不思議な点に気が付いた。
…何故、一昨日自分がつかさと一緒に寝たことを知っているか、という事だ。

「…ちょ、ちょっと待ってよ…
 あんた、何で一昨日に私とつかさが一緒に寝たことを知ってるの…!?」
「え…?言ったじゃない、私はかがみを守りたいって。
 私はね、いつでもかがみの事を見守ってるんだよ?」

その言葉に、かがみは更に恐怖を覚えた。
『いつでも』かがみの事を見守っている…その言葉の真実は、すぐに目の前に現れた。
こなたが自分の机にあるPCを起動し、とあるプログラムを起動する。
そこに出てきた画面には…かがみの部屋、学校のかがみの席、柊家の風呂場等…
かがみが普段よく使っている場所が映し出されていたのだった。
しかも、よく見ると常時録画されている事がわかるマークも表示されていた。
297狂愛 -壊れた護る心-:2008/01/24(木) 18:32:00 ID:acSMNX6n
「嘘…嘘……っ!」
「…でもね、やっているうちに気が付いたんだ。
 どんなにこうして外から見守っても、かがみを完全に守ることは無理だって。
 なら…私が絶対に守れるようにすればいいんだって、ようやく気が付いたんだよね」

次々と信じられない事実を突きつけられる。
かがみは、もう精神的に限界が来ていた。

「あの噂は、私が流したものじゃないんだけど…いい具合に広まってくれたよ。
 おかげで邪魔が入らず、こうしてかがみと二人きりになれたんだからね」

こなたは完全に狂ってしまっていた。
一途な心というものは、一度道から外れてしまうとここまで恐ろしい事になるものなのか。
かがみは、こなたの狂気に心から恐怖していた。
PCの電源を落とし、かがみに近付くこなた。
かがみは近付くこなたから逃げるように、部屋の端へと移動する。

(どうしよう…どうしよう…どうしよう…!)

頭が混乱していて、状況を打破する方法を全く考えられないかがみ。
そして遂に、部屋の端まで追い詰められてしまった。
かがみは部屋の壁に背中をもたれ掛け、そのまま壁に沿って崩れるように座りこんでしまう。
…その時だった。
背中の方で何かが破けた音がした。
その音を皮切りに、天井の方でもビリリと音が鳴った。
そしてその直後、天井から白い紙が大量に落ちてきたのだ。

「…!?
 な…何……一体、何が起こったの!?」

部屋に舞う白い紙の束。
舞い散る紙が全て落ちきった時、かがみの目に異常な光景が入ってきた。

「……な………な……っ!?」

それは目を疑いたくなるような光景。
こなたの部屋の壁という壁、そして天井に隙間無くかがみの写真が貼ってあったのだ。
いつ撮ったのかわからないような写真。
そしてさらに、柊家で撮られたと思われる写真まであった。
落ちてきた白い紙は、かがみが先程まで部屋の壁紙だと思っていたもの。
この紙は、後ろにあるこれらの写真を隠すために貼ってあったものだったのだ。

「………あ……ぁ…………ぁ………」

あまりにも強烈過ぎる光景に、かがみは声が一瞬出なくなった。
もはやパニックという域を通り越してしまったかがみ。
そこに追い討ちをするように、こなたが目の前に座り込む。
298狂愛 -壊れた護る心-:2008/01/24(木) 18:33:03 ID:acSMNX6n
「…かがみ、私がこれからもずっと守ってあげるよ…ダ、カ、ラ…」

こなたがかがみの腕を掴もうと手を伸ばす。
その瞬間、かがみの悲鳴が部屋中に響いた。

「いやあああぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!!」

かがみはついに限界に来てしまった。
そのまま目の前のこなたを押し退け、一気に部屋から出ようとするかがみ。
…しかし、扉が開かない。

「な、何で開かないの!?
 出して、ここから出してよおぉぉっ!」

ドアをがむしゃらに叩き、泣き叫ぶかがみ。
そんなかがみの手が、急にこなたに掴まれる。

「どうして逃げるの?逃げる必要なんて無いんだよ。
 これからかがみは、私にずっと守られるんだからさ…」
「いやぁぁぁっ!出して、お願いよ、守らなくていいから…ここから出してえぇぇっ!!!」

その瞬間、かがみの体の自由が急にきかなくなった。
ドアを叩こうとしても、こなたの手を振り払おうとしても、全く体を動かせない。
かがみは、ますます混乱した。

「な、何…何で、何で体が動かないの…っ!!」
「あー、やっと効いてきたかあ。
 ちょっと予定より遅かったけど、効いたなら問題ないね」
「効いたって…あんた…まさか、ジュースに何か…!?」
「準備にちょっと必要だったからねー
 それじゃあかがみ、後はこれを使えば…私がずっと守れるようになるよ」

こなたがそれを言った瞬間、かがみの腕に激痛が走った。
それと同時に、かがみの思考能力が急速に低下していく。

「こ…な…っ!な……に……を…………し……」
「…最近のネットって便利だよね、こういうモノも簡単に手に入っちゃうんだから」
「……ま……さ…か………そ…れ…………って………!」

こなたはかがみの腕に、注射器を刺していた。
その中には、一般人には知る事のない薬品が入っていた。
それを注射されたかがみは、あっという間に力尽き、ドアにもたれるようにして座り込んでしまった。
その様子を見て、こなたは狂気に満ちた笑みを浮かべる。

『コレデ…ワタシトカガミハズットイッショダネ…
 アンシンシテ、ズットマモッテアゲルカラ…ズットネ……』

薄れゆく意識の中で、かがみは心の中で叫び続けた。
来るわけがない、誰かの助けを求めて…

(お願い……誰か……誰でもいいから………助けて………
 お父さん…お母さん……つかさ………みゆ…き………)
29925-176:2008/01/24(木) 18:37:34 ID:acSMNX6n
以上です。
という訳で、前回の狂愛がかがみ→こなたな図だったので、
今回はこなた→かがみな感じにしてみました。
こなたはPC関係が得意かなと思ったので、それをちょこっと活用してみました。
挿絵も描こうかと思ったんですが、ちょっと暗すぎるので止めました。

それにしても、二連続で暗いもの書いちゃいましたねー
もう次の物を書いているんですが、こちらはいつも通りなほっこり話です。
またのんびりな感じに戻るので、よろしくお願い致しますー

ところで前回の「狂愛」、書き直したものをwikiに上げようかなと思っています。
流石にあの形式は慣れていなかったので…
300名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 18:45:09 ID:Zoamq7Vi
リアルタイムGJ!
ヤンデレ!ヤンデレ!
黒こなたいいよ黒こなた
こういうこなかがも、ありですね
301名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 18:58:09 ID:jXfyB++4
>>275
GJ!前半後半の差がいい感じですな。
これはいいものなのです
302名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 19:10:54 ID:Zoamq7Vi
というか挿絵もぜひ見てみたいです!
機会があったらぜひ!
303名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 19:17:53 ID:JIbUNbjw
すごく・・・病んでます
GJでした!
そして同じく挿絵見てみたいです
304名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 19:18:50 ID:jXfyB++4
>>299
うぅむ…つかさあたりからもしかしてーとは思ってたけど大当たり。
こなた怖いよめっちゃ怖いよ!
行き過ぎた愛ってホント怖いなぁ・・・
305ぶーわ:2008/01/24(木) 19:34:58 ID:Zoamq7Vi
ども、ネット不通でなかなか話が進まないぶーわです
「0から始めよう!」の続き投下させてもらいます
*鬱展開注意 今回は、酷いです
*パラレルもの注意
*10レス使用します
3060から始めよう! 23.現実を知ろう!(1/10):2008/01/24(木) 19:37:42 ID:Zoamq7Vi
 私たちは双子だった。
 それは、誰かに決められた事じゃない。
 もしそんな誰かが居るとしたら、それはきっと神様。
 神様が悪戯に分けた、生命の芽。
 世界が例え壊れても。
 世界がもしも、鈍色でも。
 それだけは……決して変わらない。

『ねぇ、お姉ちゃん』

 いつかのつかさの言葉が淡く蘇る。
 私は笑って曖昧に返事をしたけど……つかさは本気だった。

『私ね』

 その時のつかさの笑顔が、色褪せる。
 ああ、なんだっけ。
 その時つかさは、何て言ってたんだっけ。
 今はもう……思い出せない。




 こなたの唾を飲む感触が、私の喉に響く。
 耳に反響する病院の静寂さも、鼻をつく薬品の香りも。
 全てが邪魔に感じるくらいに今は、神経が高ぶっていた。
「こなた、お願い」
「……うん」
 こなたが小声で私に言ってから、扉を数回叩く。
 そして、中から声。
 聞き覚えのある……懐かしい声。
「どうぞ」
 その声に反応してから、病室の引き戸にこなたが手をかける。
 心臓の音が五月蝿い。
 汗が滴り落ち、妙に肌を刺激する。
「……失礼します」
 こなたが開けた扉から、連続した機械の音が漏れる。
 ピッピッと定期的に聞こえるそれは、他の誰でもない。
 私の、命の音。
 それが耳に届いて……もう一度唾を飲む。
 そこには居た……『私』が。
 無味の色に包まれたベッドの上に居る私を包むのは、包帯。
 そして体から伸びる管が機械に繋がり、私が生きている証拠を掻き鳴らす。
 まるで眠っているようなその体は、何度見ても気持ちの良いものではない。
「泉さん、来てくださったんですね」
 横に視線を滑らせると、みゆきの笑顔が視界に入った。
 そして……『もう一人』も。
「こんにちわ……泉さん」
「あ、こ、んちわ」
 対人恐怖症の所為か、視線を逸らすこなた。
3070から始めよう! 23.現実を知ろう!(2/10):2008/01/24(木) 19:39:18 ID:Zoamq7Vi
 それでも、確かに目の前には居る。
 私の妹……つかさが。
「ゆきちゃんから聞いたよ、ごめんね。わざわざ寄ってもらって」
「う、ううん。いいよ」
 そのままつかさが用意してくれた椅子に座る。
 そこから寝ている顔を覗き込み、横目で浮いている私を見る。
 ……私も少し、不思議な気分だ。
 目の前に自分が居るんだ。
 こなたからすれば私が二人居るようなもの。
「具合のほうは?」
「今日精密検査の結果が出るんだって、お母さんが今聞きに行ってるんだ」
 視線を逸らしながら質問するこなたに、つかさが笑顔を見せる。
 だけど無理な笑顔が続くはずもなく、少し俯く。
「きっと大丈夫ですよ、つかささん」
 それを見かねて、みゆきが励ます。
 私も声をかけたかったけど、何も伝えられないのが辛い。
 それをこなたが悟ったのか、つかさのほうに座りなおす。
「そだよ、かがみは強い子だもん。すぐに元気になるよっ」
「?」
 その言葉に、つかさが眼を丸くする。
 みゆきも何処か、意外といったような感じだ。
「泉さん……お姉ちゃんの事、知ってるの?」
 ……その理由は、つかさのこの一言で分かった。
 そっか、そうだったわね。
 私とこなたは、学校では知り合わなかったんだっけ。
 知り合ったのは、そう……間抜けな天使の、気まぐれかな。
「ん、まぁね……腐れ縁、っていうのかな」
 言いえて妙だな、とか勝手に思った。
 そう、これは不思議な縁。
 本当は、あるはずのない……縁。
 運命? あはは、そういう言葉も嫌いじゃないわ。
「かがみはずっと閉じこもってた私を励ましてくれた、叱ってくれた……凄く、感謝してるんだ」
 こなたが言葉を絞る。
 顔は、こっちを向いていなかったけど……分かる。
 これは……私に言ってるって。
「そう、なんだ」
 すると、少しつかさが笑う。
 さっきの無理をした笑顔じゃない。
 暖かい、笑顔。
「やっぱりお姉ちゃんは、凄いな」
 その笑顔が私を包む。
 ああそうだ……つかさって、こんな顔して笑うんだっけ。
 やっぱり、違うよ。
 つかさなわけ、ない。
 つかさがそんな事するわけ……ないよ。
「あの、さ」
「うん?」
 こなたが声を絞り出す。
 私の気持ちが、伝わったらしい。
3080から始めよう! 23.現実を知ろう!(3/10):2008/01/24(木) 19:41:34 ID:Zoamq7Vi
 うん、大丈夫。
 心は決まった……だからこなた、お願い。
 ……言って。
「かがみの……事故の日の事、聞いてもいい?」
「い、泉さんっ」
 つかさの表情が強張ったのを察し、みゆきが間に入る。
 その顔は少し……怒ってる。
 クラスで見たあの表情と同じだ。
「貴方も、信じてるんですか? あんな噂……」
「噂なんか知らないよ、学校なんか言ってないもん」
 こなたが語尾を強くして、みゆきを睨む。
 少し空気が、固まる。
 こなたにそんな噂の話はしていない。
 全部私から聞いた情報だけだ。
「それでもかがみを突き飛ばした誰かがいるのは確か……それは、知ってるよね?」
 その証言を、つかさが知らないはずがない。
 表情を強張らせているのが、その証拠だ。
「確かに、それを見たって人が居るってね……でも、嘘だよ。それ」
「……っ」
 つかさの言葉に、こなたが少し苛立つ。
 大切ないとこの言葉を否定された事への怒りが、伝わってくる。
「その人はかがみとは無縁の人だった……嘘をつく理由はないよ」
「詳しいんだね、泉さん……でも、嘘は嘘だよ」
 二人の間の空気が張り詰める。
 つかさの言い分も分かる。
 ゆたかちゃんの証言を認める事。
 それは、自らの破滅に繋がる。
「お姉ちゃんが突き飛ばされたなんて、嘘……『私が振り返った時、誰も傍には居なかった』もん」
 誰も居なかった。
 でもそれはおかしいんだ。
 だって、『私が誰かに突き飛ばされた』のは確か。
 それだけが、微かにある……私の記憶。
 つかさはやっぱり、嘘をついてる。
 何かを……『隠してる』?
「じゃあ、どうしてかがみは轢かれたの?」
「そんなの分かんないよ、躓いたんじゃない?」
 曖昧に答えるつかさ。
 つまりつかさは、私の事故の瞬間を見ていなかった?
「『振り返った』って言ったよね?」
「うん、大きな音がしてね」」
「『一緒に帰ってた』のに?」
 つかさの表情が、少し強張ったのが分かる。
 こなたが言った『位置』の不自然。
 一緒に帰っていたはずの私とつかさ。
 だけど事故の瞬間、つかさは私より前方に居た。
「そう、だよ……お姉ちゃんは横断歩道より後ろに居た。私は前に居た……それだけ」
「そこのところ、詳しく聞いていいかな」
「……」
 少し黙った後に、つかさがようやく口を開いた。
3090から始めよう! 23.現実を知ろう!(4/10):2008/01/24(木) 19:44:21 ID:Zoamq7Vi
「信号が変わりそうになったから二人で『走った』んだ、それで私は『先に横断歩道の向こう側についた』」
 初めて聞く情報を頭に叩き込む。
 つかさは言う。
 私と二人で帰っていた。
 その途中信号が変わりそうになった横断歩道を駆けて、私より先に向こう側についた。
 そして息を整えているうちに、背後で大きな音がした。
 だから、私の事故の瞬間は見ていない。
「これで……満足したかな?」
 つかさがこなたを見る。
 筋は通っている。
 それなら、こなたが言う位置がおかしかった説明もつく。
 でも……ゆたかちゃんが見たものとは、やっぱり違う光景。
「……」
 するとこなたが立ち上がった。
 それに驚き、二人が少し身構える。
「ちょっと、ジュース買ってくるね。喉渇いちゃった」
 そう言って、踵を返し扉に向かう。
 その際に私を見たので、私もそれについて行く。
 つかさやみゆきは声をかけようとした様だが、かける言葉も見つからなかったようだ。
 いきなり引き篭もりのクラスメイトがやってきてこんな事を言うのだ……そりゃ驚いただろう。
 そしてこなたが病室の扉に手をかけようとした時だった。
「あっ……」
「あら」
 その扉が自動的に開き、女性が現れる。
 見覚えのあるその顔。
 視界が……滲んだ気がした。
「あ、お母さん……」
「つかさのお友達? こんにちわ」
 久しく見た母の顔はやっぱり……いつものように優しかった。
 でも、その視線は何処か疲れていて。
 何処か……暗かった。
 それでも、精一杯にこなたに笑顔を見せる。
「うん。クラスメイトの子」
「そう、お見舞いにきてくれたのね……ありがとう」
「……」
 その笑顔に少し動揺したのか、そのまま軽く頭を下げるとその横を抜けていく。
 だけど私は、それに遅れる。
 お母さんが居る……それだけで私の後ろ髪が引かれ、上手く体が前に動いてくれない。
「もう帰っちゃうって?」
「ううん、ちょっと飲み物買ってくるって」
 でも、その視線が私に向けられることはない。
 そのまま私をすり抜けて、つかさの傍に。
 ねぇ、お母さん。
 私、ここに……居るよ?
 ここに……居るからね。
3100から始めよう! 23.現実を知ろう!(5/10):2008/01/24(木) 19:46:03 ID:Zoamq7Vi
「あのね、つかさ」
 母さんの声が聞こえる。
 ううん、駄目だ。
 今は甘える時じゃない……行こう、こなたの所に。
「大事な話があるの……」
 そのお母さんの声を最後まで聞かずに、私は部屋を出た。
 こなたの後を追うために、部屋の外へ。
 それだけで精一杯だった。

 だから、聞けなかった。
 母さんの言葉を。
 だから……忘れてた。
 母さんが、何処に行ってたのかを。




「ごめんね、かがみ」
 一階の廊下の自販機で適当な炭酸を買い、ロビーの椅子に腰を下ろす。
 冷たく弾ける感触が喉を襲い、少し頭が冷える。
「……何が?」
「お母さんともう少し、居たかったんでしょ?」
 答えが分かってる質問を、投げかけてくる。
 それに少し甘えそうになった自分を奮い立たせ、無理に笑う。
「大丈夫よ、平気」
「……意地っ張り」
 どっちがよ、とは言ってやらなかった。
 こなたにもきっと伝わってるんだ。
 お母さんへの愛情が……未練が。
 それは彼女が一番、分かってるものだから。
「本当に平気よ、そういうのは全部……後で考える事にしたわ」
「後って?」
「生き返ってから、ってこと」
 そうだ。
 泣くのも、落ち込むのも、全部後回し。
 今は目の前の問題だけに集中しなきゃね。
 そうだ、生き返ったら最初にお母さんに抱きつこう。
 その手で、その体で。
 次はお父さん、次はお姉ちゃん、またお姉ちゃん。
 そして、つかさ。
 あはは駄目よ、一番下は最後って決まってるんだから。
 その代り……一番強く抱きしめてあげるから。
 皆の体を、その手で感じよう。
 それで一杯泣いて、その後に笑おう。
 そう思えば大丈夫……今は、我慢出来る。
「どう思った? つかさの言ってる事」
「……」
 こなたがまた炭酸を口に運ぶ。
「嘘は言ってないと思う、一緒に帰ってたってのは本当じゃないかな」
 つかさは現場に居た。
3110から始めよう! 23.現実を知ろう!(6/10):2008/01/24(木) 19:49:56 ID:Zoamq7Vi
 それは私の記憶からも確か。
「でも、本当の事は言ってない……そんな気がする」
 つかさの証言だけだったら、それを信じるだけで簡単な話だ。
 でもそこにゆたかちゃんの証言が入るから……訳が分からない。
 やっぱり……会いに行かなきゃいけない、ゆたかちゃんにも。
「戻ろっか、お母さんに挨拶して帰ろ」
「……そうね」
 空になったペットボトルをごみ箱に捨て、こなたが立ち上がる。
 そのまま帰っても支障はないと思いが、多分私に気を遣ったんだろう。
 ゆたかちゃんのお見舞いも済んだ、つかさの話も聞けた。
 そりゃ、全部が分かった訳じゃない。
 それでも欲張りはいけないわね……戦果はあったんだし。
 とりあえずゆたかちゃんの事件については、つかさには無理だって成美さんは言ってた。
 それだけで今日のところは十分よ。
 あとはだから……ゆたかちゃんの見たもの。
 それを確かめるために、もう一度あの家に行こう……みなみちゃんの家に。
 あとあの間の抜けた天使でも殴ってストレス発散してやろうかな。
「ふぅ……」
 階段を上がり、もう一度私の病室まで戻ってくる。
 そして一度深呼吸してから、こなたが再び扉に手をかける。

 私は正直なところ、浮かれていた。
 お母さんに会えた喜びで、安心していたのかもしれない。
 ゆたかちゃんの事件は、つかさには無理だった。
 それだけでも分かったのが、嬉しかった。
 大丈夫だ、と自分に言い聞かせる。
 つかさを信じようと、心を奮い立たせる。
 それに呼応するように、こなたがゆっくりと開いた。

 ……絶望の、扉を。

「嘘ッッッ!!!!」
「!」
 開きかけた扉から、声が漏れる。
 聞き覚えのある声は、私が長年傍で聞き続けてきたもの。
 つかさの……声。
 そして何かがこなたを突き飛ばし、部屋から出て行った。
 何か? ……つかさだ。
「つかささんっ!」
 次に響いたのは、みゆきの声。
 まだ私はその突然の状況に対応できず、狼狽する。
 今の一瞬の状況が、頭の中でリピートされる。
 つかさがこなたを押しのけて、部屋を出て行った。
 その眼には……涙。
 一瞬だけど、それだけは見逃さなかった。
 そのまま、つかさは駆けて行った。
 それを追うように、みゆきも慌てて部屋を出て行く。
 状況がまるで掴めない。
 それでも、つかさが泣いてるのだけは……分かった。
「こ、こなたっ。私たちもっ!」
「えっ、う……うん」
3120から始めよう! 23.現実を知ろう!(7/10):2008/01/24(木) 19:54:01 ID:Zoamq7Vi
 突き飛ばされ尻もちをついていたこなたも、慌てて立ち上がる。
 すぐに曲り角で姿を見失ったが、その先の階段を上っていく音だけは聞こえていた。
 この階はもう、最上階。
 二人を追いかけ、その更に上にある扉を開くと……空が広がっていた。
 雲を纏った灰色の空。
 そこに並べられた白いシーツが、空を黒く印象付ける。
 その奥に、つかさが居た。
 誰も居ない屋上に……一人。
「つかささん……」
 みゆきにようやく追いついたこなたも、急いで上がった階段に息を切らしている。
 そしてみゆきが、つかさにゆっくりと近づいていく。
「来な……いで」
「……っ」
 だけど、足を止める。
 つかさがそれを、制止したからだ。
「ゆきちゃんも聞いたでしょ? お姉ちゃんの事」
 背を向けたまま、つかさが空を見ている。
 屋上の低いフェンスに手をかけ、ただ空を。
 その表情は、泣いてるのかも分からない。
「ど、どういう事? かがみの事って……」
「……」
 こなたの不安そうな声が、辺りに響く。
 みゆきは返事をしない。
 だけどその表情は、いつもの優しい笑顔ではなかった。
「お姉ちゃんね」
 代わりに聞こえたのは、つかさの声。
 そして、振り返った。
 その眼には涙。
 ……だけど。
 だけど……笑っていた。
「もう、死んでるんだって」
「……つかささんっ!」
 みゆきの声が響く。
 言葉を上手く、租借出来ない。
 喉を通る唾がいやにひっかかる。
 今……何て?
「そんな事ありません……かがみさんはまだ、生きています」
「一緒だよ、あはははっ」
 つかさが笑う。
 嘲笑う。
 声をあげて、空を仰いで。
 それは何を笑っているんだろう。
「あんなのもう、肉の塊と一緒」
「……そんな言い方、やめてください」
 つかさの言葉に、みゆきの語彙が強くなる。
 だけどつかさの笑い声は止まらない。
「……ど、どういう……事?」
 取り残されたこなたが、質問を繰り返す。
 それにゆっくりと、みゆきが答えた。
「……かがみさん、は」
 震えるようなか細い声を、みゆきが振り絞る。
 その頬から……涙が零れた。
3130から始めよう! 23.現実を知ろう!(8/10):2008/01/24(木) 19:56:31 ID:Zoamq7Vi
 その言葉がゆっくりと、私の耳に入って溶けていく。
 静かに、ただ……ゆっくりと。
「目が覚めてももう……喋る事も、動く事も出来ないそうです」
 汗が流れる部分が、敏感に反応する。
 震える体が、その言葉を必死に否定していく。
「全身不随……恐らくは一生を、ベッドの上で過ごすでしょう」
「ほら、私の言った意味……分かるでしょ? そんなの肉の塊だよ? 死んでるのと一緒だよ? あはっ、あはははははっ!」
 狂ったような笑い声が、耳に届く。
 涙を流しながら、つかさが笑う。
 その笑い声が。
 その言葉が。
 私にゆっくりと、突き刺さっていく。
 死んでる?
 私が?
 もう、動けない?
 なにそれ。
 何、ソレ……。
「やめてよっ、そんな言い方」
 こなたが、つかさの笑いを制する。
 零れかけた涙が、その言葉で止まった気がした。
「なんで? だって可笑しいよ、泉さんもそう思わない? 生きてるのに死んでるんだよ? アハハハハハハッ」
「思わない」
 強い口調で、言葉を投げかける。
「かがみだって、そんな事思ってない」
「……何、それ」
 笑い声が収まり、つかさがこなたを睨む。
 私の名前を出したのが、不愉快だったらしい。
「お姉ちゃんが思ってない? あはは、何それナニソレ。引き篭もってて頭おかしくなった?」
 笑いながら、それでも言葉は尖っていた。
「どうせ、思ってるんでしょ? 泉さんだって」
「……何が?」
 そして、ずっと貯め続けていた言葉を……吐き出した。
「どうせ……私が殺したんだって」
 お前が殺したんだと、周りの誰もが言う。
 指を刺し蔑む。罵倒する。
 それの繰り返しは、いつか終わるはずだった。
 私が眼を覚ましてそれを言えばいい。
 でも……それももう、叶わない。
 だから彼女は笑う。
 彼女を覆う絶望を、嘲笑う。
 どうしようも出来ない残酷な現実に押しつぶされて、つかさの心は……壊れてしまった。
「思ってない、かがみが……」
「お姉ちゃんが、そう思ってるから?」
 今度はつかさが声でこなたを制す。
 そして、睨んだ。
「どうせ……どうせ信じない。いくら奇麗事を並べても、『あんな事』信じるわけない!!」
3140から始めよう! 23.現実を知ろう!(9/10):2008/01/24(木) 19:59:23 ID:Zoamq7Vi
「つ、つかささんっ! それはっ!」
 その時、みゆきが初めて二人の間に割って入った。
 まるでつかさの言葉に、反応したかのように。
「どういう……事?」
 こなたがみゆきを見る。
 その表情は、どこか曇っていた。
 まるで今の空に広がる景色を、そこに張り付けたような……そんな表情。
「じゃあ嘘なの? ……事故の話」
「ううん、本当だよ。でもね、ゆきちゃんが全部は言うなって言うの」
「!」
 こなたが驚き、眼を見開く。
 みゆき……が?
「……」
 こなたに視線を向けられても、みゆきは何も言わなかった。
 それを代弁するように、つかさが言葉を綴る。
「あの日ね、私たち……一緒に帰ってたんだ。『三人』で」
 三人。
 その単語は、何処か不思議だ。
 つかさの証言にも、ゆたかちゃんの証言にも該当しない。
 私と、つかさ。そして……『もう一人』。
「信号が変わろうとして急いだのも本当……私は一番に横断歩道を渡った」
 鼓動が速くなっていく。
 彼女に今、嘘を取り繕う余裕なんてあるはずがない。
 今喋っている事は全て……あったことなんだ。
「そして振り返ったらね」
 つかさの顔がまた、歪む。
 不気味に笑いだして、屋上のフェンスに身を任せる。
 そのまま空を仰ぎながら、奇妙に笑い続ける。
「アハハハハハッ、『ありえない』よ。あんな事……絶対、ありえない」
 つかさが、顔を上げることはない。
 フェンスを背に、ただ高々と笑うだけ。
「お願い、教えてよ! ……何を、見たの?」
 こなたが勇気を出して、核心を聞く。
 それがつかさが、隠していた事?
 ゆたかちゃんが見た、何か?
 私が求める……答えなの?
「……」
 その言葉に、笑い声が止まる。
 それに該当する返事は、ない。
 仰け反ったまま空を仰ぎ、何かを見つめる。
 そこにあるのは、曇った空?
 ううん、つかさは見たかったんだ。
 空に広がってるはずの、青空を。
「……私と、お姉ちゃんってね」
 つかさが語る。
 その姉という単語に、私の心臓が反応する。
「あんまり似てないんだ。双子なのにね」
 つかさの言葉が、辺りに染み込んでいく。
 こなたに、みゆきに。
 ……私に。
「お姉ちゃんは私と違ってしっかり者で、いつも私の事助けてくれて……大好きだった」
 過去形になった単語が、私の心を締め付けていく。
「だけど、もう……会えない」
 つかさが空を仰ぐ。
 灰色の、鈍い暗雲の渦巻く空を。
「会えたってそれはもう、お姉ちゃんじゃない……もう、お姉ちゃんの声も聞けない。だからもう、いいんだ」
 ドクン、と心臓が跳ねた。
 ねぇ、つかさ。
 どうして空を見てるの?
 どうしてそんなに……フェンスに寄りかかるの?
 危ないよ?
 だって。
 だって……だって!
「だからもう……全部、いい」
「……つかさっ!」
 私の声が響いた。
 私の口から飛び出た声。
 誰にも聞こえない……声。
 私の手が伸びた。
 つかさの元に……彼女の手に。
 それが、触れることもなく……つかさの体が反転した。
 ゆっくりと流れるその世界の中で……つかさの視線が私と、交わった。
 ううん、見えるはずがない。
 だからそれはきっと、私じゃない私。
 でも……私を見てたんだと、思う。
『ねぇ、お姉ちゃん』
 つかさの口がゆっくりと言葉を紡ぐ。
 スローモーションの世界の中で、その言葉が私に届いた。

 私たちは双子だった。
 それは、誰かに決められた事じゃない。
 もしそんな誰かが居るとしたら、それはきっと神様。
 神様が悪戯に分けた、生命の芽。
 世界が例え壊れても。
 世界がもしも、鈍色でも。
 それだけは変わらない。

『私ね』

 みゆきの叫び声が聞こえた気がした。
 こなたの悲鳴が聞こえた気がした。
 暗雲の渦巻く音が聞こえた気がした。

『生まれ変わっても、お姉ちゃんの妹がいいな』

 グシャリ、と。
 音が聞こえた気がした。
 私の淡い希望を全て打ち砕く……鈍い音だった。

(続)
316ぶーわ:2008/01/24(木) 20:01:32 ID:Zoamq7Vi
続きます
全国のつかさスキーさんに 土下座!!!!
おわびにこれを……
ttp://www.geocities.jp/je104049/tume.JPG
って左端空気読め!!!!!
317名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 20:06:06 ID:/yyGxFsb
久々にぶーわさんの作品で壊れて死ぬ系の展開を見たような。
ついでに途中まで読んでいて、かがみは脳死かなーと思ったんですが…
全身不随でしたか。
兎にも角にも、続きに期待です。
318名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 20:06:41 ID:dambPqZp
こんなハードな展開になるとは予想しなかった…
真相&結末が気になって仕方が無いですな。

あと、それお詫びになってねぇっ!w
319名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 20:17:34 ID:hXaNlq5W
>>316
うーーーわーーーー。


つかさ……もしかしなくても死亡確認!? かがみ事実上死亡宣告!?
貴方という人はいくら爆弾を落とす気ですか。
そして状況証拠は出揃いつつあるとはいうものの、犯人の動機が何なのか……。


震えて待ちたいと思います。ぐっじょぶ。
320名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 20:26:23 ID:rRa7yOas
つ…つかさが……


……嘘だッッッッ!
321名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 20:30:00 ID:Mf0UftZr
うわぁ・・・・
322名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 20:36:56 ID:VitekU8U
>>316
ぐっじょ
なんかもう気になることがありすぎて
続きを待つしかないんだぜ

ってか0始は最初のギャグっぷりが嘘のように獄鬱になってきたな・・・


ヤンデレこなた含め
鬱→鬱
ときて、俺のピュアハートがブロークンしそうだ・・・
誰か・・・か・・軽めの話を・・・
323名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 20:39:14 ID:EZGLNX3J
よし、タイトルもまだ決まってないやつ投下してやる!
324名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 20:44:09 ID:jXfyB++4
>>316
…うぉぅ…これは…でもあれだ!音が聞こえた気がしたって言ってるだけで、
つかさが死んだと確定したわけじゃ・・・!!
しかし3人目…?つかさ、かがみと一緒に下校するような…?
と、なると事故現場にはその3人とゆーちゃんがいたことになる。
未だ容疑者としてみゆきさんはいるけど…何となく日下部や峰岸も容疑者に上がってくるような予感
325名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 20:47:46 ID:EZGLNX3J
それでは、タイトルが即興で決まりましたが投下してもよろしいですか?
というか、もう少し待ちます
理由はらき☆ばとを楽しみたいからですw

遅れましたが、ぶーわ氏乙!そしてGJ!
この後は…一体どうなるのか…すごく気になりますね…
326名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 20:53:22 ID:Z1bY99nR
>>266
ありがとうございます
では遠慮なく自ページを載せさせていただきます
それと職人さん方々、GJです
個別にレスできずすみません
327名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 20:56:05 ID:JIbUNbjw
>>316
GJ!
こ、こここんな時こそ本家本元ゴッドかなたさん!!!
たまには活躍させてあげてください!
328名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 21:07:23 ID:YiZCZbUE
>>299
ただでさえこのスレ、こなたのアクティブモードが少ない所にもってきて、
ヤンデレ!この2つのレアパターンを見事に融合させたGJ!
そう、こなたが暗黒に落ちるとまさにああなるんだなあと思った。
行き過ぎて狂ってる愛、しかしあくまで冷静に、的確に
周囲を突き崩し、状況を操作し、最高の状態にまでもっていく。
そして、正体を現したときの、物語のものすごいモードチェンジに、
思わず怖いとかなんとかいうよりも、一種のカタルシスすら感じたwwww



「いやぁ〜やっぱ私って天賦の仕掛け人?」
「…言ってろ…」
「…状況を開始する…」
「何あんた?東京に擬似戦争でも起こす気?」
「その台詞が何か分かるなんて、つくづくかがみんて
 私と、ど・う・る・いだねっ♪」
「や…やかましいっ!!」

>>316
いや!そんなはずはない!
私は信じるぞ!奇跡ってやつをね!

「へーちょ、呼んだ?」

・・・やっぱ不安になってきた・・・・゚・(ノД`)・゚・。
329名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 21:07:53 ID:JIbUNbjw
というかぶーわ氏の投下はやっぱ凄いな
一気にスレが活性化したwwww

今日はみんなゲームで沈静化してると思ってたぜ
330名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 21:38:54 ID:vZ9tb5px
ちょいと小ネタ。月が綺麗だと思ったんで思わず

「もしもしかがみんかがみんよ」
「変な歌を歌うな。こんな時間に電話かけていきなりそれかい」
「ごめんごめん。月が綺麗だからさ、なんとなくかがみに電話をかけたくなって」
「こなたが珍しく携帯にかけてきたと思ったら……確かに綺麗ね」
「いつもより月が輝いて見えるんだよね。流れ星もそうだけど、こういうの見ると得した気にならない?
何かいいことがありそうな感じ」
「いつもは黄色い月が白に近い色ね。冬は空気が澄んでるからかしら」
「ロマンがないねぇ、かがみは」
「うるさいわね。なんでロマンがない私になんかかけたのよ」
「綺麗な月だから自分だけじゃ勿体無いって思ってね。それに、月を見たらなんとなく
かがみのことを思い出したから」
「昔は月も鏡と同じように光を映すものって考えられていたものね」
「そんなことじゃなくてさ、綺麗で輝いてるからかがみのこと思い出したんだよ」
「ばっ、ばか、何言ってんのよ!」
「ついでに丸いからね。かがみもそろそろ冬眠の準備を」
「切るぞ」
33114-319:2008/01/24(木) 21:42:36 ID:EZGLNX3J
そろそろ投下に踏み切りたいと思います

以下、注意とかとか
全体的に見てかがみ&つかさ
自分的に見て7レスほど使用
住人的に見て非エロ
例の如く1回では終わりません

「気になること」の続きではありません。
おそらくこちらの方は、明日ぐらいに……
332頼り:2008/01/24(木) 21:45:21 ID:EZGLNX3J
<nanakon> : おい、泉
<konakona> : なんでしょう、先生?
<nanakon> : ウチはもうそろそろ落ちるな
<konakona> : そうですか、それじゃあまた明日〜ノシ

 ふと時計を見ると短い針の先にあったものは縦の棒が一本と、楕円形の縦丸が並んだところだった。

<nanakon> : それとな、落ちる前に聞いておくが宿題はちゃんとやったか?
<konakona> : 大丈夫ですよ。心配しなくてもきちんとやりましたから
<nanakon> : そかそか。それならいいんや。もしやってなくても困るのは泉なんやし。自業自得や

 もちろん、私は宿題なんかやっていなかった。
 でもまぁ、かがみかみゆきさんに見せてもらう予定だし大丈夫大丈夫。安心安心クラシアン。

<nanakon> : また明日な。最後に言って置くが早く寝ろよ。よい子じゃなくてもな。
<konakona> : ばいに〜

<GameMaster> : 【nanakon】がログアウトしました

 さて、何時までやろっか……

………

「お姉ちゃんおはよー」
「ゆーちゃんか、おはよー」
 さぁ…もう既にゆーちゃんも起きてきて朝なわけだが…どうしたものか。

 どうするったって普通に朝食を作って食べて学校に行く準備をして
 あとはただ登校するだけしか選択はないんだけどね。
 ま、徹夜した日の学校は寝る時間のためにあるようなものだからね。

 登校途中の私だけど最近は毎日のように遅刻するかしないかギリギリのところで玄関を出ていた。
 そのせいか通学路にみんなの姿を見ることは少ない。
 ちなみにゆーちゃんは私より早く外に出て行く。

 そうこうしているうちに気がついたら私が平日の日に目的としてるところに着いていた。
 すぐにいつものとこからその建物の中に入って靴を履き替える。
 靴を履き替え終えたら家以外の私の第二の居場所であるドアの前に立ち、扉をスライドさせた……

キーンコーンカーンコーン―――
 瞬間、チャイムも一緒に鳴った。
333頼り:2008/01/24(木) 21:46:53 ID:EZGLNX3J
 鐘の音と同時にドアが開いたもんだから、
 びっくりした様子のつかさ、みゆきさん含むクラスメイト全員が私の方に目を向けていた。まさしくあの顔文字みたいに。
 こっちみんな。

 ドアを開けた正体が私だと判断したみたいで、みんなはその後視線を元の場所に戻した。
 私もみんなと同じように椅子に腰を下ろす。
 その後は先生が来て簡単なHRを終え、休み時間になった。

 眠い……。
 よし、宿題のプリントをやったらさっさと寝よう。

「さて……と」
 立ち上がって隣のクラスに行こうとしたら誰かに呼び止められた。
 けど、声の持ち主はすぐに分かった。
「つかさ?つかさも宿題のプリント見せに貰いに行く?」
「えっと、その事なんだけど……私、昨日お姉ちゃんに教えてもらったから良かったら私のを見る?」
「じゃ、遠慮しないで見せてもらおっかな。あっち行くのだるいし」
「うん!ちょっと私のとこまで来てね」
 私は連れられてつかさの机にやってくる。
 つかさは自分の鞄から宿題のプリントを取り出して私に渡してくる。
「はい、こなちゃん」
「ありがと〜、すぐ返すね」
 受け取った後、自分の席に座り私も宿題のプリントを取り出して一緒に並べる。
 ペンを片手に持ちプリントの答えをさっさと写してく。

 途中、つかさから貸してもらったプリントに間違いを発見した。
 真面目に授業を受けてない私でも分かるぐらいのミスだった。
 珍しいもんだねぇ、かがみが間違えるなんて。
 と、そんなことを考えながら宿題を写し終える。
 あと、余計なお世話だろうけどついでにつかさの宿題のプリントも直して置いてあげる。

 私が見せて貰ったプリントを返す時に、つかさは
 こなちゃん、はやいねー。ほんとにすぐ終わったね。と言い、
 私はへへーん、すごいでしょ。と自慢にならない自慢をした。

 ま、よくよく考えてみれば宿題の提出は午後だから、早いと言えば早かった。
 とにかく、昼の時間までは居眠りの授業だからすぐに来るだろう。
 どうせ午後からもお昼寝タイムなんだけどね。
 最近は寝てても先生からお咎めを食らうようなことはあまりなくなったし。
 じゃ、おやすみ。 

―――
334名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 21:48:06 ID:RkqOs/0R
なんという鬱展開。今最初の方のを見たら別作品のように見えそうだ。
だが、それが良いww
次回も楽しみにしております。

蛇足になるかもしれませんが、『こんにちわ』ではなく『こんにちは』なのでは? その辺りが少し気になってしまいました。
335頼り:2008/01/24(木) 21:49:58 ID:EZGLNX3J
「……こなちゃ〜ん」
 耳に入る誰かの声。
 夢か。もう夢の中か……。
「あ、こなちゃん。おはよう」
 目を開いてまず脳に信号が送られた姿はつかさ。
「あ、つかさちょうど良かった。ここって夢の中?」
「違うよ〜」
「じゃ天国!」
「ううん」
「じゃあ…あれだ!地獄!」
「うぅ…えっと……」
「泉さん、お昼ですよ」
 私とのやりとりに困惑してるつかさの後ろからみゆきさんがやってきた。
「もうお昼だったか。やっぱ早いなぁ」
「うん、じゃあお弁当食べようっか」
「あっ、そうだ。誰かいないと思ったら、かがみんは?」
「そういえば今日は一度もこちらにこられていませんね」
「つかさ、何か知ってる?」
「えっと……たしかね、今日から用事があるって忙しくなるって言ってたよ」
「へぇ、そっか……それで、その用事ってどんなの?」
「え……とね、それがお姉ちゃんなんも言ってくれないの…」
「…どうしたもんかねぇ……」
「泉さん、つかささん、それよりお昼をいただきましょう。」
「うん、まずは食べよっか」
「それでは、いただきます」

「いただきま――あれ、つかさどうしたの?」
 つかさの方に目をやると、そこには弁当の箱を開けたままどことなく悲しそうな顔をしているつかさがいた。

 みゆきさんが私の声に反応し、つかさの方に視線を向けた。
 そして、つかさは私とみゆきさん、二人の視線に気がついてすぐに笑顔に戻った。
「あ…ううん、なんでもないよ、気にしないで」
「気にしないで。って言ったらやっぱり気にしちゃうよねぇ…。ね、みゆきさん」
「はい、確かに…少し気になりますが…」
「そっ…それより早く食べようよ。時間無くなっちゃうよ」
 同じようなやりとりがここで終わり、私達三人はやっと弁当を食べ始める。
 しかし、さっきのつかさの表情のこととか、気になる事が多かった。
336頼り:2008/01/24(木) 21:51:45 ID:EZGLNX3J
 お昼の終了の合図を告げても、ずっと気になってしょうがなかった。
 まず、つかさが悲しそうな顔をしてたことから考える。
 つかさはいつも笑顔。それが今日はいつもと違った。
 周りに笑顔を振り撒いて私達を和ませる笑顔が無くなっていた。
 その原因はなんなのか―――なんだろう?
 単純に…かがみのきまぐれ?つかさが吐いた嘘?
「……みぃ!」 
 ―喧嘩?あんなに仲良い二人が喧嘩するとこなんて想像できない。
 ほんとに喧嘩してたとして、つかさが嘘をつく必要がない。
 それじゃ、風邪とかの病気?だったら、これも嘘を吐く必要がなさすぎる。
「い……ぃ!」
 私はつかさの事を信用していないわけではない。
 ただ、あんな顔を見せられては友達としても気になるものだった。
 それであとは―――
「泉!!」

 どうやら先生はさっきから自分のことを呼んでいたようだった。
「なんですか?」
「いや、お前さっきからずっとボーっとしてたからな。宿題のプリントをはよだせ」
「はいは〜い、今出します」
 そう言い私は鞄からプリントを取り出して教卓まで行き先生に渡す。
「お、ちゃんと宿題やってきとるな」
「さすがの私でも宿題ぐらいはやりますよ〜」
 渡し終えたら後は席に戻るだけだった。
 …あれ?さっきどこまで考えてたんだっけ……?
 ここに来てまさかのど忘れ……あるあるネタの漫画に使えるじゃないか……。ひよりんに提供してみよっかな。
 てかもうネタにしてるよね。あるあるすぎて。
 って、そんなことはどうでもいい。
 もう…先生のせいだ。先生の馬鹿やろー!
「ん、誰か馬鹿って言いおったろ?」
 おっと、あぶねえあぶねえ。

 えーっと……とりあえずまとめ。
 つかさがしてたあの表情は、かがみがこなくて寂しかった。ということかな。←結論
 ほんとにかがみは忙しいのかな?後で確かめてみよう。
 それじゃ、みなさんおやすみなさ〜い。

………
337頼り:2008/01/24(木) 21:53:09 ID:EZGLNX3J
「こなちゃん今日はよく眠るね」
 周りを見ると帰りの準備をしてる者、友達と喋ってる者、いまさっきの私と同じように机に突っ伏してる者、
 廊下に出る者、廊下で歩いてる者、教室に入ってくる者、人それぞれなことをしていた。
 要約したら、今日の授業はすべて終了した。という事だった。
「もう帰りの時間ですよ、泉さん」
「そっかぁ、やっぱつかさが入れた睡眠薬はよく効くね」
「えっ…私そんな物入れた覚えはないよ?」
「午前中、私が寝ている間に弁当箱の中に入れたでしょ?ご飯食べた後からとても眠くなったんだよ?」
「あっ……えっと…ごめんね……」
 つかさ……悪いけどやっぱりからかい甲斐があるね。
 冗談のつもりだったのになぁ……謝れると困るよ。

「つかさ、冗談を冗談と見抜けない人は(私を)扱うのは難しいよ?分かった?」
「うん、わかった〜」
「なるほど。たしかにそういうことですね」
 みゆきさんには伝わったみたいだが、つかさには伝わっては居ないだろう。つかさだし。
「つかさってやっぱからかい甲斐があるね」
「ふふっ、そうですね」
「もう、ゆきちゃんまで〜……」

 私が含まれてる状態で言うのもなんだけど、このトリオ誰か止めてください。

「黒井先生、どうかされましたか?」
 みゆきさんが私の後ろを見ながら声をあげる。
「泉にちょっとばかし注意しようと思ってな。いつものことやけど」
「なんの御用でしょうか?ネトゲ?」
「ネトゲのことやない。けど一部含まれてるけどな。
 泉、どうやら今日の授業ほとんど眠っておったらしいな。
 ウチの授業でも寝ておったが、まさか全部寝てたとはな……」
 ため息を大きく吐いてまた話し始める。
「きのう、ウチが落ちた後いつまでやってたんや?」
「先生…怒らないで落ち着いてCoolになって聞いてくださいよ」
「なんや。はよいえ」
「実は、昨日一睡もしてないんですよ」
 その瞬間、沈黙が周囲半径3mほど包んだ。まさに曖昧3m。メートルじゃない、センチだ。
 とりあえずそんなことはどうでもいい。
338頼り:2008/01/24(木) 21:55:01 ID:EZGLNX3J
「はぁ、怒りを通り越して呆れたわ……」
「こなちゃん寝てなかったんだ」
「あれほど早く寝ろと注意したはずなのにな。柊も高良も泉が寝てたら注意せえ」
 先生の言葉を聴いて二人は返事をした。
 けど、おそらく授業中に起こしてくることはないだろう。
「次からは気をつけま〜す」
「だといいんやけどな……。それよりHR始めるから柊と高良、席に戻れ」

「じゃ、また後でねこなちゃん」
「泉さん、それでは」
 先生が教室内での先生の居場所に向かった後、つかさとみゆきさんはそれぞれの場所に戻っていった。 

 後は、先生の話を聞き流して帰るだけだ。
 しかし、また宿題があるみたいなんだよねぇ…。
 来週辺りに提出らしいのでそれも一緒に適当に頭の片隅においておく。
 思ったことは、よく真面目に宿題を出来るなぁと思う。
 期限などにとらわれず、好きなことをする楽しみをみんなに分けてあげたいなぁと思った。全部はあげないけど。

「今日はここまで。おまえらまた明日な」
 号令とともにクラスメイトたちは二つのドアから外に出て行く。
「こなちゃん、また明日ね。私は一人で帰るから」
「一人で?かがみと一緒じゃないの?」
「うん、お姉ちゃん忙しいみたいだし迷惑かけるわけにもいかないから」
 それだけを言ってつかさもドアに向かって行く。
 あっ、そうだ。かがみが忙しい理由について聞いてみよっかな。
 と、その前にみゆきさんにも帰りの挨拶をしようと思って教室を探したが、すでに帰ってしまったみたいだった。
「ま、いいや」
 それだけの独り言を漏らしてとなりのクラスへ足を動かす。

 教室の中を覗いてみるが、中学校からずっとクラスが同じだと言う三人の姿は見えなかった。
 中にいたのは、ごく普通の男子生徒A,B,C,D,E,Fと女子生徒A,B,C,Dと
 机と椅子の数十セットと掃除用具ロッカーと教卓ぐらいだった。
 あとは男と女でもない人とか、ましてや人間以外の動物とかはいなかった。
 長くなったけど、教室には数人程度の生徒しかいなかったみたいだ。

 どうしたのかな?ほんとに忙しかったりして?
 それともほんとは三人で遊びたかったり?
 様々な理由が挙がるが、どれも不確定なものばかりだった。 

 学校でやることがなくなったなら、後は家に帰るだけか……。
 うん、帰ろ帰ろ。今日はアキバに行く予定とかないし、バイトもないし。



 かがみが、休み時間に来なくなりはじめた週はもう今日で終わりか…。
 でも、その間あれから何も変わらなかった。
 つかさは、毎回昼の時間にお弁当の箱を開けた時にどこか悲しい顔をするし、
 どんなことか知らないが、忙しい用事が入ってるならしばらくすれば来るようになるだろう。
 肝心のつかさも、どんなことか教えてもらってないみだいだからね。
 やっぱちょっとは気になるけど、現状維持で様子見かな。
339名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 21:57:05 ID:EZGLNX3J
こんなとこでいったん終わります
6レス使用でしたね

ぼのぼのまたーり、ふつーならき☆すたを書こうとしたら
どこで間違ったのかなんだかどっか別の方向に向かってるんだよなぁ……
340名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 22:02:20 ID:JIbUNbjw
>>317
最近でいうと鈍色プライオリティとかそうじゃなかったっけ
グロ平気ならWikiで読んでみるといいかも

ちなみに俺はトラウマになりました
341名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 22:04:00 ID:RkqOs/0R
途中で割り込んでしまって本当に申し訳ない。
心から反省してます。

謝罪と……GJ!
34228-538:2008/01/24(木) 22:06:41 ID:jAS3COcQ
>>276-278,301
どもー、ありがとうございます
毎回(と言っても三回目ですが)投下後はスレを見るのが怖いっすね
で、見たときにレスがついてると、単純な性格なんですっごく舞い上がってます
逆に、何もないと凹んで悩みまくってしまいますがw

>>299
こなたヤンデレきたーっ、GJ
こなたが、こなたが壊れたー
そして、実はこの後どうなったかがすっごい気になるんですが

>>316
ぶーわ氏あんたって人は…… 恐ろしい人だ(いい意味で)
GJです
かがみとつかさを一緒にどん底に突き落とすなんて思いもよらなかった
そして、お詫びではなく伏線のような気がしてならない絵が
真相も気になるけど、かがみ、つかさ、ゆーちゃんのこれからが気になるっ
続きをまた〜り待ってます

>>339
こなたがこなたらしくっていいです、GJ
かがみが出てない…… かがみが出てないよっ
いや、すんません
そこが、とてつもなく気になったんだ
色々と想像をしながら、次をwktkしながら待ってます
343名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 22:45:35 ID:a+2KnzhW
空気をぶった切る感じかも知れんがななこ先生もので1つ書いてみた。

*オリキャラ(男)がいる
*思いっきり妄想

そんな感じだが投下してみる……。
文才あまり無いが。
344名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 23:03:42 ID:aiPr/lAS
支援
男オリキャラ大好き
345名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 23:15:07 ID:JIbUNbjw
来ないな 規制さるたかな?

支援します

時にふたなりななこ先生とかって電波がきた どうだろう
346名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 23:16:19 ID:1O04aNe7
保管庫とこのスレのお陰で、田園都市線の渋谷のバス待ちも苦にならなかった
改めて書き手さんたちにお礼を言いたい
ありがとうございました
347名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 23:27:52 ID:/lZ8W1dT
20スレ近くROMってましたが初めて投下してみます。

・ひかる×かがみ←こなた
・続き物
・シリアスを予定
・今回はエロ無し
348名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 23:30:03 ID:/UUgm0+x
>>347
使用するレス数の目安も書いておくれ。
その後で全員纏めてGJするから。
349手錠・1:2008/01/24(木) 23:30:07 ID:/lZ8W1dT
「それじゃあ今日はこれで終わりだ。また明日な〜」
本来のホームルーム終了時刻を10分も残して、我がクラスの担任・桜庭ひかるがだるそうに呟いた。
学級委員の私が号令をかけると、クラスメイトがそれに習い帰りのあいさつをする。
いつものように今日一日が終わった。
受験モードまっさかりな12月。部活も引退した生徒たちは塾へと、あるいは自習のために図書室へと各自散らばって行く。
「あ、柊はこの後生徒指導室へ来てくれ」
「え?はい」
私も帰ろうと鞄に教科書を詰め込んでいると、後ろから桜庭先生が声をかけてきた。先生は私の返事を確認するとこれまただるそうに教室を出て行った。
「なーんだぁ、柊ぃ。説教か〜?」
「あんたじゃないんだから」
からかう日下部を軽く流し、私は先生の後を追うように生徒指導室へ向かった。
学級委員である私が先生に呼び出されるのは珍しい事ではない。
ほとんどクラスの事を私に任せっきりな先生は、結構な頻度で私を呼び出しては、最近のクラスの状況などを聞いてくる。
そんなにクラスの事が気になるならもっと介入してくればいいのに、と思うが、担任として燃える桜庭先生を想像するのは難しい。
でもなんだかんだ言って桜庭先生は、普段はクラスを傍観しておいて、問題が発生したときにだるそうに解決へと導いてくれる。私はそんな先生が嫌いじゃない。
350手錠・2:2008/01/24(木) 23:31:46 ID:/lZ8W1dT
「失礼します」
「そこに座れ」
毎回生徒指導室に入るたびにここは先生の部屋?と思ってしまう。
基本的に真面目な生徒が通うこの高校での生徒指導の出番は少ないだろう。同時にこの部屋もあまり役目を果たしていない。
ほかの教師が訪れる事もなければ、好き好んで近づく生徒もいない。
その結果、この部屋は完全に桜庭先生の私物で溢れかえっている。
ぎっしりと並んだ本棚に目をやれば、ところどころおかしなタイトルの本が見受けられる。そういえばこなたから先生の趣味の一つにBL系の読み物がある、という事を聞いたのを思い出した。…こんど貸してもら……いやなんでもない。
私は先生に渡されたパイプ椅子に腰かける。人が訪れないこの部屋では、おそらくこの椅子も私専用なはずだ。
桜庭先生は煙草に火をつけながら、毎度お馴染みの質問を投げかけてくる。
「最近のうちのクラスの様子は」
「問題ないです。受験が近いためか自習の時間も静かにこなしていますし、授業も皆集中していると思います。」
「そうか。まぁーな、この時期に問題があったら大変だろう」
「ですね。では……」
先生の言葉と、煙草の煙たさに苦笑いをしながら、一通りのやり取りを終えた私は席をたとうとした。
351手錠・3:2008/01/24(木) 23:33:51 ID:/lZ8W1dT
「柊」
「はい?」
「受験勉強のほうはどうだ。」
半腰になった私は、先生の質問を受けて又椅子に座りなおす。
「私個人の…ですか?」
「そうだ。」
「…苦手だった数学2も序々に理解してきました。
模試の結果も第一志望がB判定になりましたし
…なかなか上手くいってるかな…なんて」
正直先生がこんな質問をしてくるなんて驚いた。
他人にあまり興味がないと思い込んでいたからだ。
実際、三年の付き合いになるが三者面談以外で先生が委員長としての業務連絡ではないことを聞いてきたのはこれが始めてだった。ズボラだということ以外、未だにいまいちつかめない人だ。
「なら安心だな。柊はまぁ努力家だから心配はいらないかもな」
先生はそう言いながら立ち上がり、カーテンを閉めた。そして、ドアの鍵を閉めた。……閉めた?
「あの…先生?」
352手錠・4:2008/01/24(木) 23:35:20 ID:/lZ8W1dT
「お前、仲いい奴等と結局一度も同じクラスになれなかったな。」
「…は?こなたやみゆき、つかさのことですか?」
話が飛躍しすぎだ。先程まで受験勉強の話をしていたのに。
こなたたちが一体今の話に何の関係があるのだろう。
「なぜ三年もクラスが別だったかわかるか?」
…この人は一体何が言いたいのだろう。私そんな大きな理由があるなんて思えない。ただ運が悪かっただけとかそういう事じゃない…のか?
私は怪訝な目で桜庭先生を見たが、先生はまったく変わらない表情をしながら煙草に指を這わせている。
私が答えないでいると、先生は少しこちらを見て、また目をそらした。
「…私がおまえを手放したくないからだ。」
手…手放したくない?
どういう意味だろう。いきなりの先生の言葉にうろたえながら、わたしは必死に頭を回転させた。
「私が委員長として使い勝手がいいから…ですか?」
「ちがうよ馬鹿」
先生は呆れた顔をしながら私に近づいてきた。そしてそのまま近づいてきて先生の手が頬に触れたかと思うと…いつのまにか、私と先生の唇が合わさっていた。
353名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 23:37:51 ID:/lZ8W1dT
とっ、とりあえず今回はここで…
なんか細かくきりすぎた
はじめてでテンパってたよ…ゴメンナサイorz

>>348
了解。次からそうします
ありがとう
354名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 23:57:37 ID:tt2ZAdwi
>>316

ああああああああああああorz
もしかして、ゴッドかなたさんって……あのドジっぷりといい……むむむ?


>>322
軽めの話……ほぼできてるんだけど会社に忘れてきたorz
自分にメールするの忘れてたよ……
355名無しさん@ピンキー:2008/01/25(金) 00:11:16 ID:0ROGTPMU
>>353
おお、新種の組み合わせ。続きにwktk
356久留里:2008/01/25(金) 01:04:56 ID:ohpBpS8z
みなさんGJなのであります。

>>275
あからさまなエロでない所が逆に「かが×こな」の味をより一層引き出していますな。
萌えすぎてこのままぶっ倒れるとこですた。

>>299
この手のモノだと、つかさやみwikiさんが黒くなる事が多いのですが、
まさかこなたがヤンデレになるとは………。恐すぎてとても良かったです(謎)

>>316
そしてこの作品。
まさかつかさが飛び降りるとは、想像してませんでした。
も、もしかして事件の鍵を握っているのは…………みwikiさん?!



最近、長編が複数投下されているから、話の前後がたまにごっちゃになるorz
職人さん方、たまに頓珍漢な感想を書いているかと思いますが、どうかお許しを…。
357名無しさん@ピンキー:2008/01/25(金) 01:30:05 ID:mFZlSNPM
ヤヴァイ
男×ななこ先生って聞いたら妄想マシーンになって
一本書きたくなってキタ――ヽ(・∀・)ノ――!!!!
358名無しさん@ピンキー:2008/01/25(金) 01:31:48 ID:kyf1j5yp
>>357
描き(書き)まーくーれー!
359名無しさん@ピンキー:2008/01/25(金) 01:41:41 ID:iEB81S+F
こうしてこの職人の連鎖は続いていくのですね…なんて恐ろしいスレ!
>>353氏のような新しい職人さんも増えて、嬉しい限りでございます。続きにwktk

私めも一本いかせていただきます。ちょっと準備してきますね。
3609-727:2008/01/25(金) 01:48:14 ID:iEB81S+F
前スレでみゆつか愛してる氏に触発されたものでございます。
あれから数日、無事におと×ひよが完成致しました!
ああっ、ごめんなさい、こんなマイナー作者のほうが先で><
でも頑張って愛情込めて書いたので、よろしければ読んでやって下さい。

↓以下注意書き
・男オリキャラ注意(「――君」と表記してあります)
・エロ有りというかエロメインです
・13レス使用します
・誤字脱字等ありましたら申し訳ありません
・懲りずにシャワーシーンとか入れてます
・ひよりんの乙女度があがっていますが恋する乙女補正ということで…

では、いきます。
361Girl/Boy Song (1/13):2008/01/25(金) 01:49:23 ID:iEB81S+F
  

 手を繋いでいこう。――ずっと、この人と。


「ふぅ……、まいっちゃったね、突然降りだすんだもん」
 私と『彼』との下校中、降水確率10%の空は無情にも私達の体を雨に濡らした。
 降りしきる雨から逃げるように走り、一番近かった私の家に二人で駆け込んだ。
 今日は本当なら彼の家に行くつもりだったんだけど、
 それが私の家になっただけだから、まぁ問題ないかといえば問題はない。
「ただいまー……ってそうか、今日は誰もいないんだ……」
 いつもの調子で帰宅の挨拶をしてしまったけど、今日はお母さんが町内会の集まり、
 お兄ちゃん達も声優のイベントがあるとかで夜まで誰もいないんだった。
 ドアだって、さっき自分がお母さんから朝渡された家のカギで開けたばかりだっていうのに。
「ごめんね、ひよりさん。そんなときにおじゃましちゃって」
「ううん、大丈夫。それより、随分濡れちゃったね。シャワー浴びてって」
 私がそういうと、彼は少し慌てたように、
「い、いいよいいよ、大丈夫。タオルかなんか貰えればいいからさ」
「ダメだよっ、風邪引いたりしたら大変だから。今は誰もいないからさ、遠慮しないで」
 まだ雪こそ降ってはいないけど、今はそれなりに寒さが厳しい季節だから。
 もし彼に風邪を引かれたら、私は心配でいてもたってもいられなくなってしまう。
 彼は少し考えるような素振をして、
「ひよりさんがそういうなら、遠慮なく使わせてもらおうかな」
 と微笑み、靴を脱いで廊下へ上がった。
(彼の笑顔、何度見ても素敵だなぁ……)
 私はその笑顔にしばらく惚けたようになってしまって、
 彼に「どうしたの? ひよりさん」と言われるまで玄関で靴も脱がずに立っていたままだった。

 彼がシャワーを浴びている間、私はヤカンを火にかけ、温かいお茶の準備をした。
 そしてソファーに腰かけ、雨に濡れてすっかり重くなってしまった私の髪をタオルで拭いた。
(私も彼が出たら、シャワーを浴びようかな)
 笑顔が眩しい、優しさで包まれそうになる彼。
 そんな彼のことを考えると、自然と髪を拭いている手が止まってしまう。
『チアをやっている私を見て、一目惚れした』なんて言ってくれたときは、本当に嬉しかった。
 嬉しすぎて、夢なんじゃないかとか、騙されてるんじゃないかとか思った。
 けれど、彼は真剣だった。だから、私も全てを打ち明けた。
 趣味のこと、部活のこと、決して一般向けとは言えない漫画を描いていること――。
 正直、引かれるのを覚悟だった。でも、いずれ分かることだから。
 それなら最初に拒絶されるほうが、まだマシだと思ったから。
 けれど、彼は私を受け入れてくれた。
 今はまだお互い分からないことだらけだから、これから知っていけばいいと、
 いきなり私の趣味のことが知れて嬉しいと、彼は言ってくれた。
 彼の言葉の後、私はいつの間にか涙を流していた。彼は私が今まで会った男の人の中で、誰よりも優しかった。
 彼は戸惑っていたけど、私には彼のその優しさが、何よりも嬉しかったから。
 だから、これからこの人と、『ずっと手を繋いでいこう』って、決めたんだ。
362Girl/Boy Song (2/13):2008/01/25(金) 01:50:31 ID:iEB81S+F
「それにしてもこの状況って……」
 今まで特に意識してなかったけど、親も誰もいない家で二人っきりなんて……
 こ、こんなシチュエーション、漫画でしか見たことないよ……
 しかも「シャワー浴びてって」だなんて……あああっ、どおりで彼もちょっと慌ててたわけだ……
「しまったぁ……完全に失言だ……」
 変なこと考えてると思われたかな……?
 どうしよう、否定したいけど、でも自分から言い出すのもまたわざとらしいし……けど、
「もう私達、付き合ってからそれなりに経つんだよね」
 そう、だからもし『そういうこと』になったとしても、それはある意味自然なことなわけで……
「でも、私達、まだキスまでしかしたことないしっ……!」
 とタオルを握り締めてソファーでごろごろ体を転がしていると、
 まるで神様が叱ってくれたみたいに、ソファーの固いところにごつりと頭がぶつかった。
「あいててて……ま、そんなことは、妄想の中だけに留めておこうかな」
 頭を打った衝撃で少し目が覚めた私は、ヤカンの火を止め、タオルを持ってお風呂場へと向かった。

「――君、タオルここに置いとくね」
 私は曇りガラスの向こうにぼんやりと姿が見える彼に声をかけた。
「うん、ありがとう、田村さん」
「じゃあ、私は制服を乾かしておくからね」
 そういって私がまたリビングへ戻ろうとした時、
「待って、田村さん」
 と、予期せぬタイミングで彼に呼び止められた。
「どうしたの? ――君」
 私は何気なく彼に聞き返し、そして、
「ひよりさんも、一緒に入らない?」
 彼の言葉に、私の頭は一瞬真っ白にさせられた。
「えっ、ええええええっ! だ、ダメだよっ、そんなことっ!」
 さっき『そういうこと』をちらっと考えていた私は、
 彼の提案をたいした理由も考えることもなくすぐに却下していた。
 いざ直面するとこうして逃げ腰になってしまうのは、いかにもヘタレな私らしい。
「でも、ひよりさんも雨に当たってたし、そのままだと風邪を引いちゃうよ」
「わ、私は――君が出てから入らせてもらうから……」
 う、うん、そうそう。何も一緒に入ることなんてないんだから、ね。
 そういう言い訳を考えていたのに、考えていたのに――
「ひよりさんは、僕と一緒に入りたくない……?」
 そんなこと言われたら、「NO」だなんて言えなくなっちゃうよ……。

「おじゃましまーす……あ、あんまり見ないでほしいかな……」
 私は大きめのタオルを纏って彼の居るお風呂場へ入った。
 もちろん彼も腰に私の渡したタオルを巻いている。
「ごめんごめん、そんなつもりはなかったんだけど。
 でも、言い出したのは自分なのに、やっぱり恥ずかしかったかな」
 彼はそういって少しはにかんだ。
「ごめんね、ひよりさん。無理に付きあわせちゃって」
「ううん、ちょっと恥ずかしいけど、嫌じゃなかったから……
 それに、あんな聞き方されちゃ、入るしかなかったしね」
「ふふ、確かに少し意地悪だったかな」
 私達は顔を見合わせて、お風呂場に小さな笑い声を響かせた。
363Girl/Boy Song (3/13):2008/01/25(金) 01:51:37 ID:iEB81S+F
「ひよりさんって、綺麗な肌してるよね」
 とシャワーを持って後ろから私を流しながら、彼は言った。
「そ、そんなことないよっ……」
「ううん、少なくとも僕は、真っ白ですごく綺麗だと思うよ」
「白いのは……その、外に出てないってだけで……
 漫画ばっかり描いてるから日に焼ける機会もほとんどないし……」
「それでも、僕にとってはすごく……その……魅力的、だよ」
 そう言って彼は少し微笑って、
「ふふ、やっぱり、こういうこと言うのって難しいね。なかなかさらっと口から出てくれないや」
「無理にお世辞とか言わなくてもいいんだよ?」
「お世辞なんかじゃないよ。僕がどれだけひよりさんのことを好きか、どうにか言葉で伝えたくて。
 まだひよりさんには、僕の気持ちが半分も伝わってない気がするから、
 だからこうして一緒にいる時ほど、言わなきゃなって、そう思うんだ」
「――君……」
 でも、そう言ってくれているときにも、もちろん何も話していないときでも、
 彼からはすごく温かなものを感じる。ノロケてるだけだって思われるかもしれないけど、
 私は、それは彼から私に向けられてる「愛情」なんじゃないかなって思う。
 彼にはちゃんと伝わってるかな。私からの、愛が。
「私からも、月並みの言葉だけど言わせて」
「うん」
「……大好き」
 私は少し見上げて彼の目を見つめ、目を閉じた。

 湯気でほのかに湿った私達の唇が、触れ合った。


「ごめんね、私だけ着替えちゃって」
「ううん、濡れたのは運良く上の制服だけだったからね。僕はカッターシャツだけでも大丈夫だよ」
 シャワーから上がった後、私達は温めておいたお茶を飲んで、私の部屋に入った。
「エアコンも付けたし、タオルで良く拭いたからすぐに乾くと思うよ」
 と、私は壁にかけられた彼の制服を見上げた。
「それにしても……散らかっててごめんね〜……。
 まさか、きゅーにこっちにくることになるなんて思ってなかったから……」
 もし彼が私の部屋に来ることがわかっていたなら、昨日の晩、私は宿題をほっぽり出してでも
 部屋の片付けをやっていたのだろうけど、運命とは皮肉なもので、
 私は彼に「いつも通り」の漫画や原稿用紙が散乱した部屋を見せることになってしまった。
「ふふ、でも、もしこれがひよりさんの部屋の普段の状態だとしたら、結構片付いてるほうだと思うよ」
「この部屋が?」
「うん。僕なんか、いっつもひどいからね。服とかも脱ぎっぱなしにすることが多いし」
「ええーっ! 私が行くときはいつもすっごく片付いてるのに……」
「あれは……ひよりさんが来るとき用の部屋、かな」
「ひどーい! 騙してたのねっ!」
 私はいかにもわざとらしく怒った振りをして言った。けれど、
「でもこの様子だと、ひよりさんも今日は僕用の部屋を用意し忘れたみたいだね」
 という彼の言葉で、すぐに墓穴を掘ったことに気付いた。
「あっ、あー……それはその……」
「ふふ、僕らは似たもの同士ってことかな」
「ふふふ、そうかもね」
 小さな笑い声が、雨の音と共にまた私達の周りを満たした。
364Girl/Boy Song (4/13):2008/01/25(金) 01:52:45 ID:iEB81S+F
「これ、ひよりさんが描いたやつ?」
 彼が机の上に出しっぱなしにしてあった原稿を拾い上げて言った。
「うん。でもあんまり見られると……恥ずかしいかな」
 普段の私なら慌てて彼から原稿を取り上げているところかもしれないけど、今回の場合は特別だった。
「この男の子……もしかして、僕、かな?」
「うん……」
「そしてこの女の子はもしかして、ひよりさん?」
 だってこの漫画は……自分のため、そして彼のために描いたものだから。
 私達以外の人には決して見せることのない、二人のことを綴った、二人だけのストーリー。
「うん……でもまだ全然ページ数はないんだけどね」 
「じゃあ、これからたくさん増えていくのかな」
 と微笑って彼はベッドに腰掛け、原稿を見ていく。
「もちろんだよ。きっと、ずっと増えてく。そうだといいな」
 私も特に何をするわけでもないけど彼の横に座り、それを眺めていた。
 主人公の女の子が男の子から告白されて、付き合うようになって、
 一緒に帰るようになって、男の子の部屋で初めてのキスをして……
 たった十数枚の、たったそれだけのストーリーを、彼はとても真剣に見てくれた。
 まるで一つ一つ、丁寧に何かを思い出しているみたいに。
「今日でまたページは増えそう?」
 と最後のページを見終わって彼は言った。
「うん、もちろんだよ」
 彼が帰ったら、早速ペンを持とうかな。
 ちょっと恥ずかしいけど、一緒にシャワー浴びたことも描かなきゃね。
「これからもっと、ページを増やさないとね」
「うん、願わくば幸せな物語に」
 そう言って彼は丁寧に私の原稿を机に置き、ふいに私達は目が合った。
 そのまま私達は数秒見つめあった後、どちらからというでもなく、唇を重ねあった。

 口先から彼の体温が伝わり、心地よい時間が流れる。
 このままずっと、そう思った矢先に彼の唇が離れ、私は少し物足りない気持ちになる。
「ひよりさん……」
 彼は私の名前を呼んだ後、少しして腕を私の後ろにまわして、抱きしめるようにまた私に口付けた。
(こういうの、なんかいいかも……)
 情熱的な、普段と違う彼のキスに、私の胸は高鳴った。
 けど、普段と違うことはそれだけじゃなかった。
 私は気付けば、彼と私の口の中で舌を絡ませあっていた。
(わっ……なんか、すご……)
 彼の舌が私の中に入ってきたとき、突然頭にずしんとパンチでもくらったような衝撃が走って、
 一気に意識が朦朧となった。頭がぼんやりとして、くらくらとして、けど、全然嫌じゃなくて。
 不思議な感覚だった。今までキスでこんな風にはなったことがなかったから、少し驚いた。
(ディープキスって、こんな気持ちいいんだ……)
 お互いを確かめ合うように舌が絡まりあって、動く度に頭が揺さぶられて、
「……ふぅ……んん」
(うわっ……私、声出ちゃってる……)
 けれどその感覚がどうしようもなく心地良くて、いつまでも彼を求めてしまう。
「ぷは……はぁ……はぁ」
 唇が離された後もくらくらは治まらなくて、呼吸も上手くできなかった。
「……ごめん、ひよりさん、突然こんなこと……」
「ううん、嫌じゃないから……だから」
 私は彼に寄り添って、今度は私から彼に抱きついて、
「もっと……しよ?」
 きっと顔を赤くしながら、私は彼に言った。
365Girl/Boy Song (5/13):2008/01/25(金) 01:53:53 ID:iEB81S+F
 再び彼から口付けられて、今度はすぐに彼の温かな舌が入ってきて、
 そしてまた重りでも乗せられたみたいに、頭がずしんと重くなった。
「……ん……ふ……んん……」
 水の中に潜ってるときのように体がふわふわして、座っているのに重心が定まらなかった。
 くちゅりと彼と私の唾液が混ざる音がして、それがさらに私の気持ちを昂らせた。
 もっと、もっとと彼を求めるうちに、私達の交わりは激しくなっていって、
 でも体の力はどんどん抜けていくみたいで、まるで彼に全部持ってかれていくようだった。
(わっ……)
 突然、体がぐらっと傾いたと思ったら、私は彼に覆いかぶされるように、
 けれど優しくベッドに押し倒されていた。
 私は驚いて手を彼から離してしまったけど、すぐに彼の手が私の手を握ってくれた。
 ベッドの端から少し足をはみ出させて、私は彼とキスを続けた。
 普段と違う積極的な彼に、私は何故か安心感さえ感じていた。

「んー……ふぅぅぅ……んん〜……」
 彼に押し倒された後、私はさっきと同じことをしてるはずなのに、
 口から漏れる声がどんどん大きくなっていって、心臓もばくばくいってるのが分かった。
 彼に握られる手にもぎゅっと力が入って、どうしようもなく興奮した。
(ふぁ……だめ、気持ちいい……)
 体中がぞわぞわして、ぐわーって熱くなって、彼とキスすること以外はなにも考えられなかった。
「んふぅぅぅ……んんっ……ん〜……!」
 そのうちに私は耐えられなくなちゃって、彼から口を一旦離した。
「はぁっ……はぁぁっ……ん、はぁっ……」
 肩で息をして、口の中のどっちのものかも分かんない唾液を飲み込んで、ぼやけた目で彼を見上げた。
(力……入んないや……)
 彼は真っ直ぐに私を見つめていて、ちょっと乱れた呼吸をしていた。

「――君……」
 私が彼の名前を呼び終わったのと同じくらいに、また私は口を塞がれた。
 彼の舌は優しく私を撫でてくれる。
「ん……んんっ……!」
 けど、もう私にはそれを受け入れるだけの余裕もなくて、すぐに彼から口を離してしまった。
「はぁっ……だめ、――君……ちょっと、体が……追いつかない、かも」
 私はマラソンの後みたいに上手く喋れずに、切れ切れに彼に伝えた。
 もっと彼とキスしていたいんだけど、これ以上したらどうにかなってしまいそうで。
 口の中にはまだ彼の感触がほのかにのこっていて、
 それが今は何だか、すごく恋しかった。
 彼は何も言わず、ただ少し迷うような表情を浮かべていた。
 部屋に静かな雨音だけが響く時間が過ぎて、
 そして彼は決意したように口を開き、少し目線をそらして、かすかに不安そうに
「ひよりさん……」
 と私の名前を呼び、そして、
「……いい、かな」
 と私の目を見つめて、聞いた。
(何が、って聞くのは……野暮だよね)
 私も彼の目を見て、一言だけ、
「……うん」
 と小さい声で、けれどしっかり意思を込めて彼に伝えた。
 きっとそれが、私の望んでいることだから。
 この人なら……私の全部をあげてもいいと思ったから。
366Girl/Boy Song (6/13):2008/01/25(金) 01:55:13 ID:iEB81S+F
 彼は安心したような柔らかな表情になって、私に軽く一度だけキスをした。
(ホントに『そういうこと』になっちゃった……)
 私はあれだけ激しいキスをしたのに、まだこれからすることに現実味を感じられなくて、
 でも彼の手が、ブラウスのボタンを一つ一つ外していくたびに胸が大きく高鳴って、
 期待とか、不安とかいうよりもまず、恥ずかしさが先行した。
 それはブラウスのボタンを全て外されて、キャミソールの姿になったときには既に頂点に達していて、
「あ、あの……カーテン、閉めてくれると嬉しいかな……」
 私はたまらずに彼にそうお願いした。
「ごめんね。ちょっと焦りすぎちゃったかな」
 彼は苦笑いを浮かべ、カーテンを少し、かすかな光りが入るくらいに隙間を残して閉めた。
 その間に私はブラウスを脱いで、ベッドの下に適当に置いた。
 部屋が薄暗くなるとさっきよりもかえって「そういう」雰囲気が出てしまって、
 自分で言ったにも関わらず、恥ずかしい気持ちは治まらないままだった。
「寒くない? ひよりさん」
「うん、暖房も効いてるし、大丈夫」
 けど、私の心は不安とか恐れだとか、そういうマイナスの感情は一切無くて、
 それはきっと彼の優しさのせいじゃないかな、と私は思った。

 カーテンを閉め終わった彼が戻ってきて、私はまたキスをされた。
 その間、彼の手が私の脇腹のあたりをそっと撫でて、薄着になっていることもあって
 私はそのダイレクトな刺激に体がちょっとぴくっとなった。
(こんなとこ触られてもなんともないはずなのに……なんだか変な気持ち)
 好きな人にこういうことをしてもらうって、こんなにドキドキすることなんだ。
 恥ずかしいけど、嬉しいな。
「……!!」
 彼はキスしていた私の口から顔をずらして、私の首筋に口を這わせた。
 くすぐったくて、でも悪い気はしなくて、ぞくぞくした。
 キャミソールに彼の手が入ってきて、少しずつ裸にされていく。
 私は心臓の音が彼に聞こえちゃうんじゃないかっていうくらい、ドキドキしていた。
 ブラの下くらいまで肌が露になって、彼は体を起こして両手でキャミを上げていき、
 小さな膨らみを超えた首の下あたりで手を止めた。
 今、私はほとんど着ていないに等しいキャミと、ブラ一枚と、スカート。上半身は、ほとんど彼に丸見えだ。
 私は自分でも分かるくらいに顔が赤くなっていくのを感じた。
(ブラも取る……んだよね。胸なんてここ最近誰にも見られたことなんてないから、恥ずかしいな……)

「綺麗だよ、ひよりさん」
 彼は手を私の背中に回しながら言った。
「い、言わなくてもいいよっ、そんなこと……」
 私はたまらなく恥ずかしくなって、手で顔を覆った。
 彼は私のブラのホックに手をかけ、見えてないからか少し詰まったけれど、上手にホックを外した。
(うわぁっ……見られちゃう、のかな……)
 彼の手がおなかのほうにまわって、ブラに触った。
「だ、だめっ……」
 私は顔を手で隠したまま言った。
「ひよりさん……?」
「恥ずかしいから……み、見ないでほしい、な……」
 我ながら肝が小さいな、と思うけど、羞恥心には勝てなかった。
 同人誌を見られるくらい、ひょっとしたらそれ以上だったかもしれない。
「うん……わかった、今日はやめておくね」
(今日はってことは、いつかは見られるんだよね……ということはこれからもこういうことをするってことで……)
 私はそんなことを考えて、頭を爆発させそうになった。
367Girl/Boy Song (7/13):2008/01/25(金) 01:56:39 ID:iEB81S+F
(あぅっ……)
 彼はブラを私の胸に被さったままにして、その隙間から右手を滑り込ませた。
 彼の手の温もりが、左の胸に伝わっている。
 そして彼は左手で私の髪を撫でて、私に近づき、
「ひよりさん、すごくドキドキしてる」
 と言って私にキスをし、包み込んでいた私の胸をくにっと揉んだ。
(ふぁ……触られちゃってる……)
「小さくて……ごめんね」
 私は照れ隠しにそう言った。
「ううん、そんなことないよ。
 僕も他の人のを見たことは無いけど……ひよりさんは十分ある、と思うよ」
 彼は優しい顔でそう返してくれた。
 それが私は、すごく嬉しかった。ちょっとドキドキが治まった気がした。
 彼はおなかのところに口付けをして、それから口でブラを押し上げて、私の右の胸を口に含んだ。

「……っ!! は、ぁっ……」
 同時に右手もさっきまでとは違ってちょっと激しく動かされ、
 私は突然の刺激に一瞬対応できなかった。
(うぁ……すご……)
 片方はこねるように、そして時おり丸めるようにくりくり動かされて、
 片方は舐めるように、吸い付くように刺激されている。
 そして「彼にされている」という感覚が、一層私を気持ちよくさせた。
「ふっ……あっ……」
(やば……感じちゃってる……)
 パンツのあたりがしくんとなって、もじもじする。
 そういう漫画をみたときみたいな、えっちな気分。
 その気分に今私は、彼の手と口によってさせられている。
(上手すぎだよ、――君……)
 さっき「他の人のを見たことがない」って言ってたってことは、彼も初めてってことなんだろうけど、
 私にはそうは思えないほど、彼はすごく上手にしてくれていた。

「ふぁっ……」
「気持ちいい……? ひよりさん」
「うん……すごく上手……」
「そう言ってくれると、嬉しいな」
 彼は手を口とを入れ替えて、また愛撫を始めた。
「ん……ふっ……」
 頭の中がじんじんする。
 あそこのあたりがまたむずむずとして足を動かすと、冷たい感じがした。
(濡れちゃってる……なんか恥ずかしいな……)
 こういうことをされれば当然のことかもしれないけど、
 私は彼の愛情に対して、欲望が丸出しになっているみたいで、なんだか後ろめたかった。
 けれど彼の愛撫が続けば続くほど、そんな欲望はどんどん強くなっていった。
368Girl/Boy Song (8/13):2008/01/25(金) 01:57:55 ID:iEB81S+F
 彼はまた口を外して、私の口に重ねた。
 さっき胸にしたような、唇を愛撫する、激しめのキス。
 そして、もちろん舌への愛撫も忘れてくれない。
 数分前の初めてのときよりも、さらに上手くなっているような気がした。
「ひよりさん……大丈夫?」
 彼は私のそこに手を触れて言った。
 私が小さく頷くと、彼の指で優しくなぞられ、じゅく、とパンツに染みが広がったような気がした。
 そのまま彼は上へ下へとゆっくり指を動かして、
 時々爪で軽く擦るようにしながら、私のそこを愛撫してくれた。
(はぅ……なんかもうすっごく気持ちいいかも……)
 私はそれだけでとろけそうなほど感じてしまっていた。
(自分でするときなんかと、全然違うよ……)
 パンツの上からなのに、まるで直に触られてるみたいに気持ちいい。
 これが「愛される」ってことなのかな。
「ひよりさん、なんだか可愛いな」
「ふぇっ?」
 彼の愛撫で完全にどこかに飛んでいた私は、彼の言葉に気の抜けた言葉を出してしまった。
「ほ、褒めてくれてるんだよね、それは?」
「ふふ、もちろん」
 彼にそう言われて、私はまた顔が赤くなっていくのを感じた。
(もう、すぐそういうこと言うんだから……でもやっぱり、嬉しいな)
 彼の優しい言葉は、私の心を解きほぐしてくれるようだった。

「あっ……ふぁっ」
 そんなことを考えていると、突然、今までと違うタイプの快感が私を突き抜けた。
「ここ、気持ちいい……?」
「んぅ、あっ、だ、だめっ……」
 彼はその「気持ちいい」ポイントを攻めてきた。
 一人でするときにも、よく触るところ。すごく敏感な場所。
「はぅ、んくぅっ……だめだって、――君っ……」
 彼はそこを見つけると、指をその周りに這わせて重点的に愛撫した。
 今までのだけでも十分だったのに、ギアが変わったみたいに、急速に快感が高まってきて、
 彼の指がそこにあたる度にびくっと体が強く反応してしまう。
「んっ、んっ、あっ、はぁぁっ……」
(だめ、声、止まんないよぅ……)
 押されるように声が出てきて、それが彼に聞かれていると思うとすごく恥ずかしかったけど、
 止められるはずもなくて、もちろん彼の愛撫も止めてほしくなかったから、
 私は壊れたCDのように、途切れ途切れなよがり声をあげていた。
「――君……脱がせて、ほしいな……」
 と、そろそろパンツの冷たさがひどくなってきたので私はそう言った。
 でも、ひょっとしたら、直接してほしいって気持ちも少しはあったかもしれない。
 彼は何も言わずに、両手を私のパンツに掛け、ゆっくりと下ろしていった。
 私は彼の愛撫が止まったからか、急に彼のことが恋しくなって、
「キス、してほしい……」
 とつぶやくように言っていた。
369Girl/Boy Song (9/13):2008/01/25(金) 01:59:25 ID:iEB81S+F
「んむ……ちゅく……」
 彼はそっと口付けてくれたけど、私はそれだけじゃ治まらなくて、
 彼がしてくれたみたいな激しいキスを、今度は彼の首に両手を回して私からしていた。
 けれどすっかり力が抜けてしまっていて、私はすぐに口を離すことになってしまった。
「ん……」
 彼がまた手を私のそこにあてがうと、
 さっきのえっちな気分がまた火山のように沸きあがってきた。
 指でなぞられるとぴちゃぴちゃと音がして、それだけ濡れてしまっていることを示していた。
「はぁぅ、んふ、あぁっ」
 彼に触られてしまうと、私じゃないみたいにいろんな声が出てくる。
 抑えたくても抑えられない、すごくえっちな声。
 それは彼の愛情に対する、証なのかもしれない。
(気持ちよすぎだよ……ちょっとやばいかも……)
 私はまださっきの気持ちいいところを触られてもいないのに、もう臨界点間近だった。

「やっ、み、見ないでよぅ」
 彼は口を離したときからずっと私を見ていたみたいで、私は枕で顔を隠した。けど、
「だめ。ひよりさんの顔が見たいから」
 と彼はそれを許してくれず、枕を取り上げられてしまった。
 そして彼の指がさっきの場所に触れ、
「んぅっ……あ、はぁあぅっ……!」
 一気に数倍の快感が全身を駆け巡った。
 彼は撫でたり、挟んだりして、私の扱いをよく知っているかのように丁寧に触ってくれた。
「あ、あっ、んぅっ、あぁああっ……」
 ぐちゅぐちゅと水が混ぜられるような音がして、あそこがどんどん熱くなってくる。
 じっとしたままじゃいられなくなって、体がうずうずと勝手に動いてしまう。
 体の中のほうから泉が沸いてくるのが分かったけど、止めたくても止められるものじゃなくて、何度も溢れさせた。
(うぁ……だめ、きもちぃ……)
 耐えるように私は下に敷いてある毛布を掴んだ。
「んぁ……ふ、二ついっぺんはだめっ……」
 でも彼はそれを許さずに、私の胸を空いてる片手で愛撫して、もっと私を気持ちよくさせた。
 胸から来る快感とあそこから来る快感が混ざり合って渦になって、
 私の理性とか羞恥心とか、そういうものを巻き込んで消してしまうみたいだった。
(やば……も、だめっぽぃ……)
 喘ぐことしか出来ない人形のようになった私は、わずかに残った意識で自分の限界が来ていることを感じた。
「ふぁ、――君、私、もぅ……」
 そう私が言い終わるのと同じくらいに、今まで私を支えていた一本の糸のようなものがぷちんと切れ、
 きゅぅうっと中が締め付けられるような感覚になった。
 そして一気に決壊を起こしたダムみたいに快感が押し寄せて、
「んぅ、ふぁっ、あ、あ、あっあぁっ、あぁあっぁああっ――!!」
 とみっともないくらい大きな声をあげて、私は背を仰け反らせた。
 びくっ、びくって体が跳ねて、手で掴んでいた毛布がしわくちゃになった。
 目をぎゅっと瞑って、堪えるように指を噛んで、飛んじゃわないように必死でしがみ付いた。
 けどどれだけ経っても気持ちいいのは治まってくれなくて、いつまでも私の中で渦巻いていた。

 どれくらい経った後だったか、ようやく波が引いたころには、私はぐったりとしてしまっていて、
 口は半開きのまま荒く息をしていて、目はぼんやりと開いたまま宙を見つめていた。
(イッちゃった……ううん、イかされちゃったんだ……)
 体中がゆるんで、あそこの辺りからつつ、と愛液がおしりのほうに垂れていった。
 スカートも脱いでおけばよかったかな、とちらりと思ったけれど、すぐにどうでもよくなった。
「大丈夫……? ひよりさん」
 と彼は窺うように聞いた。
「うん……ちょっと気持ちよすぎた、かな……でも」
 私は彼の目を見て、
「これからまだしなくちゃいけないし、ね」
 と、頼りなく笑った。
370Girl/Boy Song (10/13):2008/01/25(金) 02:00:39 ID:iEB81S+F
 お互いの服を脱ぎあって、何も纏っていない、生まれたままの姿の二人が、ベッドに居た。
 裸を見られることの恥ずかしさはもうどこかへ消えてしまっていて、
 どちらかと言うと彼のほうがまだ慣れていないみたいで、
「少しひよりさんの気持ちがわかったよ」
 と、照れたように言っていた。
(わ……おっきぃな……)
 暗くてはっきりとは分からないけれど、避妊具を付けた彼のそれは一目で分かるくらいにすごいことになっていて、
 もちろんそういう漫画とかでは見たことあるんだけど、私はつい釘付けになってしまった。
「緊張してないかい……?」
「うん……多分、大丈夫」
 彼は膝をついて、私の足の下に滑り込ませた。
 両手を胸の横あたりに置いて、いわゆる「押し倒されている」という構図になっている。
「可愛いよ、ひよりさん」
 彼はそう言って私にキスをした。
「痛かったりしたら、言ってね」
 彼のそれが、私のそこに当てられる感触がする。
(わっ……ホントに、入っちゃう……)
 そう思うと、リラックスしていたつもりだけどちょっと体が強張ってしまった。
 彼はそれに気付いたのか、
「きっと、大丈夫だから。力を抜いて、ひよりさん」
 と言ってまた私にキスをしてくれた。
 舌の絡まない、触れるくらいのキスに、私は付き合い始めの頃を思い出した。
(なんだかとても安心する……)
 私は気付けば自然に力を抜くことができていた。

「んっ……は、入った……?」
「まだ少しだけ……大丈夫?」
「うん、今のところは……」
「リラックスしてね。きっと、大丈夫だよ」
 優しく声をかけてくれながら、少しづつ、少しづつ彼は私の中へと挿入していった。
 骨が軋むような感覚に私は何度か体を緊張させたりしたけれど、そのたびに彼は私にキスをしたり、
 体を触ってくれたりして、彼の心を感じさせてくれた。
 体の繋がりよりももっと大きい心の繋がりが、私はすごく嬉しかった。
「もう結構入ったけれど……痛くない……?」
「ちょっとじんじんするけど、大丈夫。我慢できないくらいじゃないから……」
「無理しないでね、ひよりさん」
「うん。今は――君と最後までしたいから……続けて、お願い」
 何度もキスを繰り返しながら、何度もお互いの愛を確かめあいながら、私達は一つになろうとしていた。

「んっ……んんっ……!」
「大丈夫?」
「うんっ……平気……。これでお終い……?」
「うん……もう全部みたい」
「もう少し、このままで居て……まだちょっと、慣れないから……」
 彼は私の頭に手をまわして、私を優しく抱いてくれた。私も彼の体に手を伸ばし、彼の体温を感じた。
(――君、すごくドキドキしてる……)
 今までで一番近くに、一番好きな人が居る。それだけで、ひどく心が落ち着いた。
371Girl/Boy Song (11/13):2008/01/25(金) 02:01:44 ID:iEB81S+F
「ちゅぷ……あむ……」
 今日で何度目か分からない、彼とのキス。けれど、何度しても決して飽きたりはしない。
 ひょっとしたら、手をつなぐ回数よりも多くなるんじゃないかな、と思った。
「少し……動いてみて、――君」
「うん」
 彼は腰をゆっくりと引いた。中でそれが引き抜かれる感触がした。
「大丈夫そう……?」
「うん、多分……」
「というか、僕のほうが大丈夫じゃないかも」
「えっ、痛いとか?」
「いや、そうじゃなくて……その、ひよりさんの中って……気持ちよくって……」
(それってつまり……)
「……!! え、えっ、あの、あはは、なんか恥ずかしいな、それ……」
「ふふ、ごめんね」
「でも……また出来るんだし、私はもう終わっても大丈夫だよ」
「そうだね……って、なんだかかっこ悪いなぁ、僕」
「うふふ、気にしないで」
 彼は自嘲気味に笑って、それからまた私の中へ入っていった。
 ゆっくり、ゆっくりと前後の運動を繰り返して、その間、私達はずっと見つめあっていた。
 もう痛みはほとんど引いていて、内側が擦られることに気持ちよさにも似た感覚も表れ始めていた。
「ひよりさん、ごめん、もう……」
「いいよ、大丈夫」
 さっきたくさん彼に言ってもらった言葉をかけて、私は彼を抱きしめた。
(うぁっ……どくどくいってる……)
 中で彼のそれが脈打っているのが、内側を通って私にも伝わってきた。
 彼は私に抱かれながら、たくさん私に愛を吐き出した。
「これで、おあいこだね」
 数秒だったか、数十秒だったかが経った後、私達は目を合わせて、またキスをした。



「私ね」
「うん」
「嬉しかった。――君とこういうことが出来て」
 ベッドの上に二人で寝転んで、私達は手をつないだ。
 雨はいつのまにか止んでいて、部屋には私達以外の声は、なにも聞こえなかった。
「こういうことって、心の繋がりがすごく大切なんだと思う。
 今日、されてるときに、――君に、『大丈夫だよ』とか、『可愛いよ』とか、
 そういうことをたくさん言ってもらえて、すごく安心した。すごく――君の優しさを感じた。
 私って、愛されてるなって、大切に思われてるんだなって思った。
 だから、――君のことも、当たり前みたいにすんなり受け入れられた。
 ……私、趣味がこういうのだから、そういう話の同人誌も持ってたりするけど、
 そこに描かれてたりするのって、大抵行為に重点が置かれてたりして、
 まぁ、当たり前なんだけど、見せるためだけのえっちしか、してないんだよね。
 もしかしたら私も、そういう話、描いちゃってたかもしれない。……ううん、描いてた。
 けど、本当に必要なのって、心の繋がりなんだね。
 きっとそれは、漫画の世界でも同じ。愛がなくちゃ、本当のえっちって言えないんだと思う。
 ……まぁ、そんな本、売れるかどうか分かんないけどね」
「ふふ……。それじゃあ、僕の気持ちはひよりさんに伝わったってことでいいのかな」
「うん。いっぱい、いっぱーい伝わった。ありがとね、――君」
「どういたしまして。でも僕はまだまだ、ひよりさんには伝えたりてないと思ってる。
 だからこれから……どれだけかかるか分からないけど、
 ずっとひよりさんに伝えていきたい。……付き合ってくれるかな?」
「もちろんだよ。私からも、たくさん伝えなきゃ」
 繋いだ手が、ぎゅっと固くなった。
 いつも、どんなときでもお互いを感じられるような。そんな関係になれたらいいな。
372Girl/Boy Song (12/13):2008/01/25(金) 02:02:57 ID:iEB81S+F
「ねぇ、――君。もう一回、してみない……?」
「ひよりさんは、大丈夫なの?」
「うん、もうしばらく経ったし……それに、まだ――君と繋がってたいんだ」
「ひよりさん……。僕も、今日はひよりさんと、もっとずっと一緒に居たいな」
 心の繋がりと体の繋がり。それは表裏の関係なのかもしれない。
 どちらが欠けても、きっと駄目なんだ。少なくとも私には、そう思えた。
 彼は体を起こして、私の唇に触れた。


「また痛かったりしたら言ってね」
 と私に覆いかぶさるようにして、彼。
「うん。そういえばそれ、二つも持ってたんだ」
 と床に落とされた封の切れた包みを見て、私。
「ふふ、万が一の時もあるかと思ってね」
「なぁに、万が一の時って、ふふふっ」
「こういう時、かな」
 そして目を見つめて、私達は笑いあった。
 きっと、今日一日で昨日よりもずっと仲良くなれた。
「じゃあ、いくよ……」
「ん……うぁぁっ……」
 数十分前に受け入れた彼のそれが、また私の中へと入ってきた。
 でもさっきのような痛みは感じなくて、むしろ、
(気持ちいい、かも……)
「ひよりさん、大丈夫?」
「うん、平気みたい。動いてみて……いいよ」
 それから彼はゆっくりと抜いたり、出したりを繰り返した。
 きゅうって中が締め付けられるように熱くなって、
 そのせいで彼の形とか、大きさとかが、生々しく感じられた。
「ふぇぁ……んっ、んぅっ……」
 触られてるときなんかと違う突き上げられる快感に、
 私は慣れていないからか、彼が少し動いただけでも声を出してしまっていた。
「気持ちいい……?」
「うん……すごく、気持ちいい……あぅっ……。
 もっと、動いてもいいよ……駄目だったら言うから……」
「うん、分かった」
 そう言うと彼は頃合を見て、段々と速度をつけてきた。
(わっ、わっ、何これ……)
 彼に一突きされる度に、快感がポンプで押し上げられていくみたいに蓄積されていく。
 ぐじゅぐじゅって水がかき回される音がして、ベッドがガタガタ軋む音がして、
「んっ、んっ、んっ、んく、ふぁあっ」
 私の口から意識してないのにやらしい声が出て、彼の口から乱れた吐息が聞こえて、
 彼に掴まれている腰から、彼の体温が伝わって、私の小さな胸が上下に揺れているのが分かって、
 そんな全てのことが、私には今すごく官能的で、
 ただ中を刺激されているだけじゃない、もっと大きな快感が、私を満たしていった。
373Girl/Boy Song (13/13):2008/01/25(金) 02:04:02 ID:iEB81S+F
「ひよりさん、痛くない?」
「うんっ、だいじょう、ぶ、んっ、はぁっ」
 本当言うと完全に痛くないわけじゃないけれど、小指で掻かれているような小さなもので、
 今はそれ以上に気持ちいいって感覚のほうが、何十倍も強かった。
(おかしくなりそ……やばいなぁ……)
 暖房がついているのが煩わしくなるほどに体中が熱くなってくる。
 乾いた空気中に、私達の肌がぶつかり合う音が規則的に響いていた。
「ん、んはっ、あ、あ、――君っ……」
「ひより、さんっ……」
 同じタイミングで顔を近づけあって、舌を絡ませた。
 そのまま胸を密着させて、私は頭を包まれるように強く抱かれた。
「うっ、くぅ、すご、ああぁっ」
 体勢が変わり、さっきまでと突かれるところも変わった。
 奥までぐいぐい入ってきて、そこから入り口のほうまでぞわっとなぞられて。
 それの繰り返しで、頭がくらくらするほど感じてしまって。
 彼にしがみつくことで、なんとか自分を保てているようだった。
「ひよりさん、もう、だめ、かも……」
「うん、私も、ちょっと、んぅ、耐えられないからっ、お願いっ……」
 そうして彼は一気にピストン運動を早めた。
 そして私の名前を呼んで、私の腕の中でにわかに脱力した。
(すご……さっきよりもいっぱい……)
 どくどくと彼は私の中で大きく跳ねた。
 それは彼の愛してくれた証なんだと思うと、私は堪らなく幸せな気持ちになった。
「また、しようね、――君」
 私は彼に口付けをした。とびっきりの、愛を込めて。



 最後のキスから数十分後、服を着た私は、
「今日で一気に全年齢向けじゃなくなっちゃったね、この話」
 と机に置かれた原稿を持って言った。
「まぁ、無理に書かなくてもいいんじゃないかな」
 と彼はいつもの微笑を浮かべた。
「ううん、きっと描いてみせるっ! なんてったって、私と――君との思い出だもん。
 そしてゆくゆくは次の新刊に……って、だめだめ! つい私の悪いクセが……」
「ふふ……じゃあ、出来たら見せてくれるかな。ひより先生の、一番のファンとして」
「うん、もちろんっ!」
 私は親指を立てて、彼にウインクをした。




 この物語は、どんな話になるか分からないけれど、きっと、どこまでも続いていくんだと思う。


 私が彼と手を繋ぎ続ける限り、ずっと。




 The story is over. But they'll be together, forever...
3749-727:2008/01/25(金) 02:07:13 ID:iEB81S+F
これで終わりです。いかがでしたでしょうか。
初々しい感じがだせてたらなーと思います。
え、男君が早い?それはね、初めてだからだヨ、きっと(=ω=.
受け手視点のエロは久々だったので、書いてて面白かったです。
でも語彙不足のため同じ語をなんども使ってしまってもう大変でした。文って難しいです。
それと最近私の過去の作品にレスを下さった方、ありがとうございます、励みになります><
読んでいただいた方も、ありがとうございました。
375名無しさん@ピンキー:2008/01/25(金) 02:16:14 ID:FZfyDSaf
>>374
うむ、エロい。そして男君が紳士だ……
書くと何故かメインキャラが変態化する俺とは大違いだぜ
GJ!
376名無しさん@ピンキー:2008/01/25(金) 02:17:10 ID:5RUnkFT7
なんとすばらしいエロエロひよりん!!!!
パティの泣き声が聞こえてくるくらいGJ!!(=ω=.)
377名無しさん@ピンキー:2008/01/25(金) 04:35:28 ID:0ROGTPMU
なんという素晴らしさ。
GJ!
378名無しさん@ピンキー:2008/01/25(金) 07:54:03 ID:tNzOrpmv
嗚呼、口からとめどなくブランデー混じりのブラウンシュガーが溢れていくよ。


可愛くてえろくて頬が緩みまくりました。ぐっじょぶ。
379みゆつか愛してる:2008/01/25(金) 10:02:35 ID:mFZlSNPM
>>374
激しくGJJJJJJJJ!!!
いちひよりんファンとして激しくGJを送らせていただきます!
もう自分がひよりんになったかのような気持ちで乙女分を吸収させてもらいました。
前半のひよりんが頭をぶつけるシーンのようなささやかな味付けも真似したいものです。
後半に関してはあまりの甘さにひよりんと一緒に骨抜きになりました。
胸のキュンキュンが止まらなんだでしたよ!
この素晴らしい作品の後におとひよを投下するのはかなりの度胸がいりますねw
38026-485:2008/01/25(金) 16:05:47 ID:pnou+xCy
誰も予定がないようなら投下します

・「偽れない気持ち」の続編
・ゆたか→みなみ
・ゆたか視点
・4スレ拝借
・ちょっと暗め
381優しすぎて痛い(1/4):2008/01/25(金) 16:06:27 ID:pnou+xCy
 細やかな事にまで気を配れるみなみちゃん。
 その優しさに私はきっと惹かれたのだろう。
 そう、思っていた。





 優しすぎて痛い





「ただいまー」
 私の他に誰もいない静寂を被る玄関に、訪問を知らせるチャイムの後に私の声が反響する。
「お帰りゆーちゃん」
 そのどちらかを聞いてかは分からないけど、お姉ちゃんが私を出迎えに来てくれた。
「ただいまお姉ちゃん」
 私は靴を脱ぎながら先に帰っていて私服に着替えていたお姉ちゃんと、帰宅の際の儀礼的な言葉を取り交わした。
 置いていた鞄を再度掴み家に上がる。
「今日は遅かったね」
 私に続いてリビングへと居場所を移すお姉ちゃんの声が私の背中に降り掛かった。
「うん。皆と遊んでたから」
「みなみちゃんやひよりんやパティと?」
「うんそうだよ」
 居間を歩きながら今日の放課後の事についての会話を交わす。
 制服のリボンを解き荷物と一緒にソファーの上に置く。一旦自室に行こうかとも思案したが、リビングで一番大きな机には既に今晩の食事が並べられてあった。
 私の帰りを二人して何も食べずに待っていてくれたのだろう。そう思うとこれ以上待たせるのは自然と憚られ、私は食卓へついた。
「やあゆーちゃん、お帰り」
「おじさんただいま」
 今日の食事当番である、料理を盛りつけた皿を運ぶおじさんと椅子を座りやすいように動かしながら一言交わす。
 まだ忙しなく働くおじさんを見て、もしかしたら出来上がって間もなかったのかなと考えながら、私はおじさんが戻ってくるのを座って待つ事にした。
 本日の献立は野菜炒めに白米、秋刀魚の塩焼き。やはり出来立てらしく、その事実を明示するように蒸気が立ち上っている。
 程なくしておじさんが食器類を持ってきて、私達は三人揃って夕食を取り始めた。
「いただきまーす」
 合唱の声が一致して響く。
 箸を使って、一口の大きさに切られて味つけされた人参を口に入れると、口内に温かさが広がっていった。外がとても寒かったからだろう、いつにも増して美味しく感じる。
 ご飯を噛んでいたお姉ちゃんが、口の中のものを嚥下して私に言った。
「ゆーちゃん、楽しかった?」
 その質問には主語が見当たらなかったが、食事前に話した事から今日皆と遊んだ事を聞いているのだろうと読み取る。
「うん、楽しかったよ」
 私も食事の手を止めて答えると、お姉ちゃんは優しげに笑った。
 私がつられるとおじさんも嬉しそうにうんうんと頷く。微笑ましい光景だとか思っているのだろうか。
 まだきっと、ばれていない。
 私は和やかな雰囲気の中、そう悟った。
382優しすぎて痛い(2/4):2008/01/25(金) 16:07:00 ID:pnou+xCy
「お姉ちゃん、お風呂空いたよー」
「ほーい」
 リビングでくつろいでいたお姉ちゃんに入浴を済ませた事を伝える。返事をした後お姉ちゃんはクッションに沈めていた身体を起こして、ゆったりとした歩みで扉の方に向かった。
 台所ではおじさんが夕食の後片付けをしている。私が浴室に向かう前からやっていたからもうすぐ終わる頃だろう。
「部屋に行こうかな……」
 濡れた髪を首の後ろに回して肩に掛けたタオルで拭きながら呟く。特にする事はなかったが、それは此処にいても同じ事だった。
 冷えきった廊下に私の階段を上る足音が響く。現在地と先程の浴室の温度差に、私は次第に急ぎ足になって自室に入った。
 ファンヒーターのコンセントを差して電源を入れる。点火するまではまだ時間が必要だ。
 だが特に有効な暇つぶしの手段を心得ているわけはなく、ただその時を待つしかない私は椅子を引いて腰を下ろした。
 ふと机に目を移すと、そこには昨日おねえちゃんから借りた本。昨夜からずっと、いけない感じの表紙を大っぴらにして置きっぱなしだったらしい。
 おじさんに見つかったら色々と言われるだろうし、お姉ちゃんに返そうかな……
 そうとも考えたが、私はそのまま目線を外した。
 まだこの本の架空の人物を羨ましく思っているのだろうか。
 叶うはずもない願望を未練がましく抱き続けているのだろうか。
 私は立ち上がってベッドに移動すると仰向けに寝転んだ。
 発光する蛍光灯に僅かに目を刺激され、目を細める。主に視界の上方の明度が弱まり、感じる光の量が減少した。
「疲れたなぁ……」
 精神的な気だるさを感じながら、私はおでこに手の甲を宛がう。
 思い返せば色々とあった、というか自分が起こした一日だった。
 みなみちゃんが一緒に遊ぼうって言ってくれた時、とても嬉しかった。
 そして今日、私はみなみちゃんに触れる機会が多かった。意識はしてなかったのに、必然のようにみなみちゃんを求めていった。
 頭ではこの想いを伝えてはいけないと理解しているのに、それよりも愛しい気持ちの方が強くなっているのだ。
 そんな私に、みなみちゃんは顔を赤くしてそっぽを向くだけであった。
 どうしてそこまで過剰なスキンシップをするのか分からない、とでも言うように。
 みなみちゃんが赤面したのは、恥ずかしがっているからだろう。
 それはただ単にみなみちゃんが極度の照れ屋だからで、別に私じゃなくても、田村さんでもパティちゃんでも同じ反応をするだろう。決して私だけに見せる姿ではない。
 ―――つまりみなみちゃんは、私の事を恋愛感情では何とも思っていない。
「…………」
 とっくの昔に分かっていた事のはずなのに、改めて思い直すと残酷な現実に打ちひしがれてしまいそうだった。
 でもそれは当然の事と言えば当然の事。現実は仮想の物語みたいに必ずしも幸せな結末が待っているわけではない。
 このまま叶わぬ恋の相手に想いを寄せ続けても辛いだけだ。
 けれど、諦められない。止めようとは思わない。
 みなみちゃんを好きになった事自体は、後悔していないのだから。
 けれど、この気持ちを伝えなかった時と、想いを押しつけて今の関係を壊してしまった時と―――
 どちらの方が、後悔が大きいのだろうか。
 しんとした私の部屋に、ファンヒーターが仕事を始める合図が広がった。
 私が後悔しないと思える道は、どちらなのだろうか。
383優しすぎて痛い(3/4):2008/01/25(金) 16:07:30 ID:pnou+xCy
「う〜、この寒いのに体育なんて……」
 学校から指定されたジャージの袖に腕を通しながら田村さんがぶつくさ文句を言う。私は苦笑い混じりに愚痴を聞いていた。
 今日は一時限目に体育の授業が予定されている。冬の朝の異常なほどの寒さがまだ続く中、寒風吹き荒れるグラウンドで持久走を行うとなるとほぼ全員の生徒が憂鬱だろう。
「ゆーちゃん、身体は大丈夫なの?」
 ファスナーを限界近くまで引き上げている田村さんが聞いてきた。
「うん、大丈夫だよ」
 その問い掛けに私は、嘘をつく。と言っても多少疲れ気味なだけで、立っているのがやっとといったような状態ではないのだけれど。悪いか悪くないかどちらか選べと言われたら、渋々前者を選択するぐらいの体調だ。
 ごめんね田村さん。私の我儘の所為で必要ない嘘ついちゃって―――
「お待たせシマシタ」
 心の中で謝罪していると、パティちゃんの声がした。その方を向くとパティちゃんとみなみちゃんが体育着に着替えて立っていた。
「じゃ、行こっか」
 私はそう言って自ら先陣を切った。その後に皆が続く。
 外と大して気温が変わらないであろう廊下を、息を白くしながら歩く。背後から田村さんとパティちゃんの楽しげな笑い声が聞こえる。
 別にこんな事したくてしているわけじゃない。いつもみたいにもっとみなみちゃんと話したり笑ったりしたい。
 でも私には、そのいつもを演じれる自信がなかった。
 みなみちゃんを見ているだけで、心が騒ぎ出す。
 寒さに上気した顔、長身でスレンダーな体型、鋭くも時に優しく見つめる瞳。
 みなみちゃんの全てが私の脈動を、募る一方の想いと共に加速させる。
 その想いが私のキャパシティーを超えて、零れてしまうのなら。
 みなみちゃんにバレて、大事なものを傷つけてしまうのなら―――
「ゆたか」
 私のネガティブな思考の迷宮に手を差し伸べたのは、みなみちゃんの声だった。闇を切り裂いて現れた救いの手を掴み、私は現実世界へと戻って来る。
「何?みなみちゃん」
 なるべく優しい微笑のまま受け答えする。幾ら普段を装えないといっても、あからさまに避けていては逆に不審に思われてしまうから。
「今日は体育やるみたいだけど……体調はどう?」
 半ば予想していた質問だ。想定していたなら当然答えも考えているわけで、私予め用意していた返答を一字一句変えずに伝えた。
「平気だよ、最近調子良いから」
「そう……」
「もしかして悪そうに見えた?」
 聞き返すと、みなみちゃんは少し考える様を見せた後、静かに頷いた。
「ちょっと寒そうに見えたから……」
「そっか。でも大丈夫だよ」
 歩きながら拳を握る。
 始業まで後数分といったところで、私達はグラウンドに着いた。
 当然の事なのだが、外は室内よりも格段に寒く、あまり長い事運動するのは危険な気もしてきた。実際体調も万全ではないのだし、今事実を告げて保健室へ直行するという手もある。
 けれど、その選択肢は絶対に選ばない。
「体調が悪くなったら、遠慮なく言って」
 そう、気遣いの言葉をくれるみなみちゃんに―――
「うん、分かったよ」
 私は素直に頷いた。
 しかし、実際に言う事はないだろう。
384優しすぎて痛い(4/4):2008/01/25(金) 16:08:01 ID:pnou+xCy
 みなみちゃんは優しい。
 自身の感情や気持ちの表現が苦手で、表情もそんなに豊かじゃないから初見の人には誤解される事が多いみたいだけど、本当は胸の内に穏やかな情を秘めた女の子。
 高校生になってその事を最初に知ったのは、多分私。
 心の中に詰まった沢山の友愛の気持ちを、私は分けて貰った。
 私にはないものを持っているみなみちゃんに対する感情が、一方的に大きく深くなっていくのにそんなに時間は掛からなかった。
 そして今その想いは、許容量を超えてしまいそうになっている。私はいつの間にか片道の恋をし続けて、慕う気持ちを募らせていった。
 でも、気づいてしまったんだ。正確に言えば再認識させられてしまったんだ。
 みなみちゃんが私の世話を焼いてくれるのは、親友だからだって。
 親切で心配性な性格のみなみちゃんは、身体の弱い私を放ってはおけないのだろう。
 ただ、それだけ。
 みなみちゃんがくれる優しさは、あくまで友達としてのものでしかないのだ。
 それが幸せだった時もあった。
 でも今は違う。
 みなみちゃんが好きで好きでしょうがない今は。
 私はこんなにも想いを抑えるのに必死なのに。
 私はこんなにもみなみちゃんと結ばれたいと思っているのに。
 みなみちゃんの惜しみない友達としての思い遣りが、私の胸を締めつける。
 本来は嬉しいはずの友情なのに、胸が痛い。心が悲痛な叫び声を上げている。
 虚弱な私は、この苦しみにいつかは耐えられなくなってしまうだろう。
 想いが伝わらない辛さと、それなのに優しくされる辛さ。
 二重の苦痛に耐え切る自信は、ない。
 そう思うと、多少の体調不良は我慢出来る。
 心に突き刺さる激痛に比べれば、大した事はない。
 少しでも無理した方が、みなみちゃんにも手間を掛けさせずに済む。
 その方が、私も辛くないしみなみちゃんも迷惑しない。
「はあっ……はあっ……」
 そうは言ったものの、日常で殆ど運動をしない私の体力はたかが知れている。私は息を荒げて列の最後尾を走っていた。
 肺は焼けるように熱く全身は鉛のように重たい。私に襲い来る全ての感覚が走る事を止めろと訴えているようだった。
 今までの私ならリタイアしていたかもしれない。だが私は走り続ける事を選んだ。
 私の為、そしてみなみちゃんの為、心配をさせるわけにはいかないから。
 遥か前方を軽やかに疾走するみなみちゃんの迷惑になるような事をしてはいけないから。
 私はトップを独走するみなみちゃんに追いすがるように、軋む足を懸命に動かす。しかし差は開く一方だった。
 競争しているわけじゃないんだけど、私達の距離が徐々に離れていくのが怖くて。
 このままみなみちゃんが何処かへ行ってしまいそうで、私はまだ走り続ける。

 結局私とみなみちゃんのタイムは雲泥の差だった。元々の体力に違いがありすぎるから当然の結果なのだけれど。
 その前に私は何を張り合おうとしていたのだろうか。呼吸を整えながら考える。
 そもそも勝てる見込みは皆無だったのだし、負けたからといって何かあるわけでもない。
 開いた距離は心の遠さではないのに。物理的な空白でしかないのに。
 みなみちゃんが私から離れるなんて事は恐らくないだろう。これからも、私達は共に過ごし助け合っていく。
 本当の気持ちを隠したまま―――かけがえのない親友同士として。
 頭に浮かんできた考えを振り払うように頭を振る。途端にずきずきと痛み出した。
 少し無茶をしてしまったらしい、身体はふらつき視界に闇が広がり始めている。
 倒れそうなほど重症だったのに、私は驚くほど冷静だった。
「ゆたか……大丈夫?」
 霞む視界にみなみちゃんが現れる。
「あまり無理しない方が・・・…」
 いつものように、私を気遣ってくれている。
 でもねみなみちゃん、私は―――
「!ゆたかっ」
 薄れゆく意識の中、私はみなみちゃんの温もりを感じた。
 ふわりと抱き留められるように、とても温かかった。
38526-485:2008/01/25(金) 16:10:16 ID:pnou+xCy
激甘SSの後にこんな話でごめんなさい
これから更に暗めな方向に向かってしまう予定なのですが……
伝わりにくい部分もあるかもしれませんが
脳内補完よろしくです
みなみ視点に続きます
386343:2008/01/25(金) 16:31:01 ID:lhb6wwFN
昨晩は申し訳無かった。
投下しようとしたらタイミングが悪かったのか人大杉のエラーが連続で出て来た;

1つ1つが短いけど数は多くなるかも
387343:2008/01/25(金) 16:40:12 ID:lhb6wwFN
【KISSは少しだけ背伸びして】


*この作品はななこ先生が何故結婚しないのかという疑問を勝手に真面目に妄想した奴です。
 オリキャラが出て来ます。非百合です。エロ要素はあまり無し。


 こんな時期に転校なんて、とは本当によくも言ったものだ。
 着慣れない制服に袖を通し、自転車をひたすら漕いで学校へ。
 どうやら遅刻せずに済みそうだ………俺がそう安心した、その時だった―――――。

 盛大な金属音と共に、最高速度28km/mを記録していた自転車のチェーンが切れ、一気に減速。
 ブレーキを掛けて急停止、だが足をつくには遅すぎて、俺は地面に転ぶ羽目になった。
「いっでぇ!」
 どうやら今日は厄日らしい。俺って悲惨。

 そんな俺の元へ、2人の人影が近寄ってきた。
「大丈夫? 随分盛大な音立てて転んだけど」
「どこも、怪我してない? 大丈夫なの?」
 髪形は違えど、髪の色は一緒。片方は勝ち気そうなツインテール。もう片方はボンヤリとしてそうな顔だ。
「あ、ああ……大丈夫。怪我してない」
 俺がそう答えると、2人は「良かった」という風に顔を綻ばせた。
「怪我無くて良かったぁ……」
「怪我は無いからいいとしても……自転車、これだね……」
 ツインテールの方が俺の自転車を指さした。はうぁ、愛車のチャリ助6号のチェーンがブチ切れている。
「うぉぉ、俺のチャリ助6号!」
「って………なんて名前付けとるんかい!」
 む、そんな突っ込みは無いだろう。俺の愛車だぞ。
「あはは……お姉ちゃん、そんな事言っちゃ雷斗君かわいそうだよ」
 ツインテールの方は姉で、もう片方は妹。あれ?どうして俺の名前を?
「自転車に書いてあるからそれ見たんだよ、篠崎雷斗君」
 む、それは失念していた。ところで、貴方は?
「私は柊つかさ。こっちは私のお姉ちゃんの……」
「柊かがみよ。よろしくね」
 つかさとかがみ、と。脳内でメモしとこ。
「……ところで、学校はいいの? 時間ヤバくない?」
「「あ」」
 2人は慌てて気付いたのか、俺を「早く早く」と急かし始めた。
 別に慌てなくても学校は逃げないがそれでも急がない事には始まらない。
 まぁ、もっとも俺は転校初日だけどな……。

388343:2008/01/25(金) 17:12:19 ID:lhb6wwFN
「どうにか間に合ったねぇ………」
 かがみがため息をつき、つかさも荒い息を吐いた。
「うん、ホントだよぉ……雷斗君、自転車押してるのに割と早いし……」
「まぁ、色々あって鍛えられたんだよ」
 俺がそう答えると、かがみが急に顔を上げた。
「ところであんた、クラスは?」
「ああ、俺、今日からここに転校してきたから……今から職員室行くんだよ」
「じゃ、学年だけでも」
「俺? 俺は1年生」
 俺の返答に、かがみもつかさも急に停止した。あれ?俺、なんか悪い事言ったかなぁ?
「じゃ、後輩だったんだ……」
「ホントだよぉ……自然だったからつい……」
 後輩って……まさか……この2人は俺より年上!?
 慌てて学年章を見てみると、2人のつけているものは3年生を表していた。
「す、すんません柊先輩! もろタメ口利いてスミマセン!」
 なんてこったい。ついつい自然で話したからだろうか。
 まぁ、同年代の女子とあまり話した事が無かったからかも知れないけれど。女の子の年って解りにくい……。
「あはは、いいっていいって。私は気にしないよ」
「そうよ雷斗君。学校にいれば、会う事もあるだろうし」
 かがみさんとつかささんとはそこで別れ、俺は職員室へと向かった。
 この学校にも慣れないといけないなと思いつつ、少しだけ俺は2人の事を思いだした。
「(でも、頼れる先輩って………いいかもな……って、いかんいかん。何を考えているんだ俺は)」
 そう、俺にはちゃんと心に決めた人がいるのだ。そう、ちゃんと俺には……。

 職員室に辿り着き、担任の先生と少しだけ話した。
 割と明るい人だったので、どうやら落ち着いた学校生活が過ごせそうだ。
「ところで、俺のクラスって?」
「1年D組。ちゃんと覚えといて」
 1年D組、と。クラスの場所も忘れないようにしないとな。
 俺はそんな事を考えつつ、担任の先生の後に続いて教室へと入った。
「だ・か・ら・何でパティは解ってくれないッスかぁ〜!!!」
 教室に入った瞬間、少女の叫び声が耳に飛び込んできた。
「Non Non! ひよりコソ、解ってないデスよぉ〜!!!」
 どうやら口論が発生しているらしい………元気が良いのはいい事だけど、何だかなぁ……。
 口論の原因は……と、俺が視線を机の上に送るとそこにはちょっと男子には困る物体が幾つかあった。
 簡単に言えば腐女子が好きな本だよ、そう、男同士で禁則事項してる奴。それが原因か。
「ああ…………神よこの迷える子羊にどうすれば良いんだと……」
 パティと呼ばれた少女相手に舌戦を展開していた眼鏡の少女は俺の方を見てそう呟いた。
 待て、そこで何故俺を見る!?
「あ、あんた誰」
 転校生ですが何か。
 後、1つ言うけど人の趣味は人それぞれだから自分の趣味を押し付けさえしなければ後は独自の世界を築くのは素晴らしい
事だと思うぜ。
「あ、なる程」
389343:2008/01/25(金) 17:15:02 ID:lhb6wwFN
さっきの少女たちの口論に介入(?)した事が切っ掛けで、俺はその子とその友人達と次の休み時間迄には仲良くなっていた。
 まず、口論していた片方で、眼鏡をかけた少女は田村ひよりというらしい。趣味はさっきのを見たので多いに解った。
 口論していた相手の外人っぽい女の子は本当に外人でパトリシアという名前だがパティと呼ばれてるのでそれで通っている。
 2人の側にいたペアの小さな子は小早川ゆたか。正直な話、目線を合わせるのが大変だ。身長差とは怖いもの。
 そしてもう片方の背の高い無口な女の子は岩崎みなみ。一見クールかと思えば、単に口下手なだけらしい。でも、悪くない。
 女の子ばかり4人と仲良くなるとは転校初日から随分と好印象じゃないだろうか。
「いやー、雷斗君はぶっちゃけどんなのに萌えるっスか?」
 ひよりさん、そういうのは男子に向かってダイレクトに聞くものでは無い気がします。
「エエ? 私は気になりマスね」
 まさか、パティは日本語をアニメとか漫画で覚えたクチ? あながち間違いじゃないけどさ。
「うーん……萌えっていうか好みのタイプは………」
 もっとも、俺の脳裏に出て来るのはあの人しかいない訳だが。
「明るい人、かな? 明るい人だと、何か楽しい気分になって来るじゃない?」
 俺がそう言った時、ゆたかちゃんとみなみさんが少しだけ俯きかけた。ヤバい、フォローしないと!
「あ、べ、別にそれは好みの人であってな。別に恋人にしたいとかそういうんじゃなくて、なんつーか、そのッ!」
「雷斗君って面白いっスねー。青臭さが萌えっスよ」
「いや、だからひよりさん、俺も萌え要員なのかよ!?」
 そうだとしたら世の中の人間の大多数が萌え要員になるってーの。

 昼休み、ひよりさん曰く頼れる先輩、ゆたかちゃん曰くお姉ちゃん、を紹介したいというので3年エリアに移動する事になった。
「雷斗君が好きな明るい人も結構いるっスよー」
 ひよりさん、いつまでも俺をからかわないでくれって。ゆたかちゃんが困ってるぞ。
「まぁまぁ、いいじゃないっスか。先輩、こんにちはっス」
 ひよりさんがそう口を開くと、教室の真ん中辺りで弁当を食べていた1団が振り向いた。
「おう、ひよりん。来たかい」
「今日は多いのね、って……あ、今朝の」
「あ、かがみさんにつかささん」
 どうやらかがみさんやつかささんはこのクラスなのか。
 しかし、ひよりさんやゆたかちゃんが紹介したいのは柊先輩達ではなく……。
「あ、君が転校生か。や、どもども、私は泉こなた」
「あ、どうも。篠崎雷斗です、よろしくお願いします」
 俺がそう言ってこなた先輩や他の人にも改めて挨拶をした時だった。

 その時、気付く筈が無かった。
 その人の接近に。

「おぅ、高良いるかぁ? この前の……」
 扉が勢い良く開き、教室の中に入ろうとしたその声の主は。
 俺を見て、ゆっくりと……。
390343:2008/01/25(金) 17:16:19 ID:lhb6wwFN
 ゆっくりと………口を開いた。
「………あんた、もしかして、ライトか?」
 俺の事を、その名で呼ぶ人は俺の人生の中で1人しかいなかった。
「……ななこさん、ですよね?」
 俺も、そう返答した。
 その場にいた誰もが、黙り込んで、俺とななこさんのやり取りに注目していた。
「……何であんたが此処におるん?」
「転校してきたからです」
 少しだけ、声が震えた。
 話したい事なんて山ほどある筈なのに。ずっとずっと、会いたいと願っていた筈なのに。
「………また今度な……」
「……ななこさん?」
 ななこさんは踵を返すと、そのまま行ってしまった。
 俺が何て言えば良いか解らず、困っているとこなた先輩のみならず、他の誰もが俺に注目していた。
「…………あんた、ななこ先生と何かあったの?」
 こなた先輩が口を開いた。
 思わず、自分の顔色が真っ青になったのを感じた。そりゃそうだ。
 言えない。言えないよ。俺の初恋の人があの人だなんて言えない。
 あの人が大好きだった人は俺じゃなかったけれど、それでも俺に近い人だったなんて言えない。
 そして今でも……俺は……。
「追い掛ければ、間に合うかもよ?」
 こなた先輩が更に口を開いた。そう、追い掛ければ、まだ間に合う。だけど―――――。
「………………」
 後悔したくない、という気持ちと。嫌われたくない、という気持ちが。
 混ざり合って、どうしようもなく。
 俺は、頭を抱える事しか出来なかった。

 生徒達が見ているというのに、随分と間抜けな事をしたと思った。
 でも、それ位驚いていたのは事実だ。
「……何やっとんのや、うち……」
 転校生があったとは知ってた。だけど、まさか彼とは思わなかった。

 彼はきっと忘れてない。彼の大切な家族を、自分の不注意が奪った事を、忘れてない。
 あんなに祝福してくれたのに。あんなに懐いてくれたのに。
 どうして、自分は………彼だけには、優しくなれないのだろうか。
「………神様がいるとしたら、エラい意地悪やな……」
 自分の呟きなのに、悪態をつきたくなった。どうしようもない程に。

391343:2008/01/25(金) 17:17:47 ID:lhb6wwFN
あほみたく時間がかかって申し訳ない;pcの調子が悪くて;
第一話はこれで投下完了。
続きは今がんばって書いてる……
392名無しさん@ピンキー:2008/01/25(金) 19:46:46 ID:3z/0oj1l
ちょいと短編投下。
393和三盆:2008/01/25(金) 19:47:23 ID:3z/0oj1l
和三盆



 二時限目の後の休み時間。
 私はつかさと何げのない会話をしていた。
 かがみがこっちに来るのはあと二時限後。
 意識しちゃうと時間は遅いなぁ。
「…でね、こなちゃん。やっぱり和三盆の甘さはもうクセになっちゃうんだ〜」
 つかさが両手でほっぺを包んで、幸せそうに首をかしげている。
 ああ、きっと和三盆の味を思い出して幸せ気分になって居るんだろうな。
 まったくいつもながら可愛いねえ。
「へー、和三盆かぁ。言葉ではたまに聞くけど、実際はどんな味なんだろうね?」
 そこらで売っているお団子やおはぎじゃそんなものは到底巡り会える筈はない。
 やっぱ最低デパ地下とかの名品を探さないとダメかな。
「和三盆ですか? 元々和三盆は…」
「そう言えば、全然違う筈なのになんとなく和三盆の味に似ているなーって思ったのがあったんだけど…なんだっけ?」
「和三盆に似ている砂糖なんてそうそう無いと思うけどな」
「うん、だから全然違うものなの。本当に。でも…うーん…気分的…かな? 和三盆…より美味しかったような…」
 目をごま粒にして一生懸命それを思い出そうとしているつかさ。期待していないけどがんばれ。
「…という訳で砂糖の中では一番高級なのです」
「へー」
 あ、授業が始まる。

「さーお昼だお昼だー」
 さて、待望のお昼休み。
 私はかがみを待つ。
 今日のコロネはちょっと嗜好を変えて生クリームコロネ。かがみにも食べさせてあげるからね。
 わくわく。
「…遅い」
 遅いよぉ。かがみ、どったの?
「こなちゃん、まだチャイムが鳴って十秒も経ってないよ」
「あれ? そう?」
 おかしいな。もう五分くらい経った気がするんだけど?
 と思ったけど、同じ教室のつかさが今やっと私の机の前に来たんだからもしかしてそうなのかな?
「…お昼休み終わっちゃう」
「あの、泉さん、まだ30秒しか…」
 もしかしてまた日下部さんに捕まっているなんて事は無いよね?
 ちゃんと拳と拳で語り明かした末の協定で奇数の週は四日こっち一日あっち。
 偶数の週はその逆って決めたんだから。
 ……。
 不安と苛立ちとやるせなさと愛しさと切なさが入り交じった気分になってきた私が我慢しきれず立ち上がろうとした時、教室の扉が開いてかがみが顔を見せてくれた。
「かが…」
 言いかけて声が止まる。
「そんじゃ柊ぃ、また後でー」
 日下部さんが、教室に入る直前までかがみと一緒だった。
 一瞬目が合い、日下部さんはにやりとした表情で、ここまでなら協定違反じゃないってヴぁ。と瞳で語っていた。
 …今度、境界線についても熱く語る必要がありそう。
「おーっす。こなた、何仁王像みたいな顔してんの?」
「え? あ、何でもないよ何でも。か、かがみこそなんか日下部さんとどしたの?」
「え? あいつが学食に行くからって、そこまで一緒だっただけよ?」
「あ、そう…」
 大慌てしてしまった。
 いけないいけない。
 日下部さんとの協定は誰にも言っちゃいけない機密事項なのだよ。
394和三盆:2008/01/25(金) 19:48:20 ID:3z/0oj1l
 恥ずかしいじゃん、かがみの取り合いで日にち決めてます、なん…。
「それにしてもあんた、日下部となに変な協定結んでる訳?」
「ぶふぉっっ!」
「きゃあああっ!」
「ひゃあああっ!」
「あらあら」
 だああっ! しまったっ! 口にコロネくわえたまま咽せたら、コロネの芯のクリームがコロネから飛び出したぁっ!
 あわわ、机の上がクリームだらけ!
 み、みんながお弁当広げる前で良かったぁ…。
「……」
 かがみ? 静かになってどっ…ふんぎゃ!
「お姉ちゃん、顔にクリーム付いちゃったね」
 あわわわ。よ、よりによって鑑の顔にクリームが…。
「ご、ゴメンね。ま、まぁ古代はクリームを顔に塗って化粧品にしていた時代もある事だし…」
「それはバターだ」
 かがみの声のトーンが下がっているぅ…。
「お姉ちゃん、顔みせて」
「あ、うん。ん」
 つかさが珍しくてきぱきとかがみの顔のクリームをティッシュで拭いている。
 こういう時の二人の呼吸は羨ましいぐらいにぴったり。
 幸い掛かった量はちょっとだからほっぺと鼻を拭いてあとは口だけ。
 私は、本当は自分がやりたいけどかがみはつかさに任せて机のクリームを拭く。
 とほほ、自業自得だけど、コロネがただの穴あきパンになっちゃったよ。
「…って、ちょっとまったかがみ!」
「何よー」
 今度は何? とかがみが私を見る。
 いえ、文句なんかじゃないよ、ええと…そう!
「か、かがみ? さっき協定って…」
「あ、それ? なんか最近日下部が妙にきっちりとお昼一緒に食べる日を決めているから、変だなーって思ったのよ。まぁ日下部の
お弁当作りやすいからいいんだけど。それで聞いてみたの。そしたらちびっことの約束で…って言ってから大あわてで口塞いじゃう
から、あとはそのまま問いつめたら全部吐いたわ」
 く、日下部さん弱っ! 人の事言えないかも知れないけど弱っっ!
「…そうかぁ、それじゃまぁ仕方な…え?」
 協定の事はいつかばれるかもと思っていたからまだいいけど、もう一つ見逃せないキーワードが出たのを忘れてはいけない。
「今度は何よ」
「お、おべん…?」
 自分でも分かるくらい負のオーラを醸し出しつつ問いかける。
「ん? お弁当の事?」
 き、聞きたい! でも聞きたくない! でも聞きたい! あああああどうする私!
「たまに作るのよ。日下部のお弁当」
 一番聞きたくない方向の答えキターーー!
「なななななナンデデスカ?」
「んー、何かね、とにかく私が作ったお弁当を食べたいんだって。大した物作れないっていったんだけど、かがみの料理ならなんでもいいってう゛ァ! とか言って尻尾振るから、まぁいいやって時々作って上げる事にしたの」
「あ、そう言えばお姉ちゃんときどきそうしているよね」
「そう、それそれ」
 つつつつかさぁぁァァァっっっ! 知っていたなら言わんかいいいっ!
 わた、私だってかがみにお弁当作ってもらった事無いのに…日下部さんは、日下部さんはっっっ!
「それよりお姉ちゃん、顔顔」
「あ、そうね」
 おいおい。
 私の悶絶をよそにかがみの顔ふきを再開しましたよこの小娘は。
 でも正直早く拭いてあげて。
 周囲のケダモノ男子のかがみを見る目がちょっとおかしい気がするし。
 …デスノートどっかに落ちてないかな?
 ……。
 あ〜。何かどっと疲れた。
 これこそ気が抜けたっていうのかな…。
 どうしよう…。
 おべんと作って。
 これ、言えるかなぁ…。
395和三盆:2008/01/25(金) 19:49:31 ID:3z/0oj1l
「はい、だいたい取れたよ。お姉ちゃん」
「ありがと」
「あ、口元に…」
「どこ?」
 ふと、つかさがそれを見て、何故か急にティッシュを丸めてしまう。
 あれ? 口元の…。
「つか…うぇ!?」
 今日は驚いてばかりだ。
 つかさは、急にかがみの口に付いているクリームを指でちょい、と拭き取ると、それをぺろりとなめてしまった。
 あの、周りの男子がちょっと挙動不審になってるんですけど?
「つかさ?」
 かがみもちょっとだけ驚いている。
「…あ、思い出した」
「え?」
 かがみがつかさの顔をのぞき込む。
 その首のかしげ方かわいいよかがみん。かがみんかわいいよ。
「おねえちゃんのちゅーが和三盆っぽいって思ったんだ」

 ………………。

 いつからつかさはザ・ワールドを使える様になりましたか?
「つ、つかさっ!」
 一番最初に動き出したのはかがみ。
 つかさはあれ? みたいな顔で今頃真っ赤になっていた。
 て言うか私も真っ赤だよ多分! みゆきさんすらゆでだこだもん!
 あああ、周囲の男子って言うかクラスメイト全員が赤くなったり顔を背けたりで私達いろんな意味で浮きまくっていますYO!
「き、今日は屋上とかで食べない? ね? とにかく何処か別の場所で!」
 私は大あわてでみんなを教室から連れ出し、人のない屋上に移動して、ようやく落ち着いて昼食を始める。
 …疲れた。コロネは穴あきパンだし。
「…つかさ、あんたさっきはいきなり何言ってんのよ」
 途中、かがみが意を決した顔でつかさに聞く。
 かがみ、まだ顔が赤い。
「え? さっきの…あ、ちゅーの事?」
 私も聞きたいけど、あんまりちゅーって言わないで。舌っ足らずっぽい声でちゅーって言うとなんかエロいから。
「そうよ。一体何の話?」
「ええと…そのまんまだよ」
 きょとんとした顔で言う。
「分からないわよ」
 私も分かりません。
「だからね、お姉ちゃんとときどきちゅーするでしょ? その時、なんとなくあまーく感じるの。それがね、いつか食べた和三盆の
味に似ていたなーって思ったの」
「…かがみ、つかさとちゅーしているの?」
 しかも時々? けっこうしているって事?
 私は思わず身を乗り出していた。
「ちょ、変な意味じゃないわよ。ふ、双子だし…時々つかさと一緒に寝る時に、なんとなく…ちゅって…」
 真っ赤になったかがみがぼそぼそと告白。
「ちゅっじゃなくてちゅーだよ、お姉ちゃん。絶対に一回十秒以上はしているもん」
「あんたは黙ってなさい!」
 かがみの頭から蒸気が噴き出し、みゆきさんは眼鏡に無数のヒビを入れて鼻から二本の赤線を垂らして気絶している。
 私もそれを想像して意識が飛びそうになったけど…。
「しし、している…の?」
「え…て、ちょ、顔が近いわよ!」
 鑑の大きな瞳に私が写っていた。
「したんだ」
「…そ、そうよ…。いいでしょ? 双子なんだもん」
 双子だからという理由は正しいとは思えないけど…何というか今日は色々頭を混乱させる事が多すぎる。
396和三盆:2008/01/25(金) 19:52:07 ID:3z/0oj1l
 だから。
「…私にもして」
「はい?」
 きっと考えずにその言葉を言っていた。
「私にも、和三盆」
「こ、こなた?」
「和三盆! 私にも和三盆ちょうだいっ!」
「ちょちょ、こなた! 落ち着いて! お、押し倒すのやめなさい! こら! ち、力強いってば!」
「私も和三盆ほしいー! 和三盆和三盆ーーー!」
「私は和三盆じゃないっ! つ、つかさ! こなたを止めてよ! や、やだ! スカートめくれてる! めくれてるっ!」
「え、えーと…」
「なんで悩むのよ! ちょ! こなた! 顔近い近い!」
「かがみぃ…!」
「こら! 切ない声で鳴くなっ!」
「えと…してあげたら?」
「はいっ!?」
 つかさの声が私には聞こえた。
 あなたが神か!」
「馬鹿な事言ってないで助けなさい!」
「で、でも…こなちゃん、きっと本当におねえちゃんとちゅーしたいんだと思うの」
 Yes! Yes! Yes! Yes! Yes!!!!!!
「だからって!」
「こなちゃん、さっきからとっても切なそうな顔していたの」
 つかさ、意外に人をちゃんと見ているね。これはもう貰ったも同然!
「だから…こなちゃんにちょっと貸してあげても…」
「私をつかさのもの見たいに言うなー!」
 そうそう、かがみは私の物だから。
「かがみ…」
「こ、こなた…ちょ…」
「そんなのずるいってう゛ァーーーー!」
 その時、突然屋上扉が大きな音を立てて勢いよく開く。
 そしてそこには日下部さんが息を切らせて経っていた。
「く、日下部! たすけ…ずる…い?」
 救世主を見ている目立ったかがみが、日下部さんの声の内容を思い出して血の気を失ってゆく。
「私だって柊とちゅーしたいよぉっ! ちびっこだけなんてずるいってう゛ァ!」
「あ、あんたもかーっっ!」
 かがみが絶望の叫びを青空に木霊させる。

 …そして、私は仰向けにされて二人、こなたと日下部からがっしりと押さえつけられている…。
 なんで…なんでこうなるのよ…。
 ちょ、ちょっと! 二人とも息が! 息が荒いわよ!
「だって…落ち着くなんて…」
「そんなのムリだってう゛ァ…」
「こ、こんなのおかしいと思わない? ねぇ? おかしいですよ? カテジナさん?」
「ふふふ、一生懸命ガンネタで返してくれるのは嬉しいけどおかしくもなんともないのだよ。かがみんや」
「そうそう、和三盆は食べられるためにあるんだよ、柊ぃ。いや、あえて言おう。かがみんと!」
「和三盆じゃないってば! だ、第一学校の昼休みに、こう、屋上で女の子を女の子が押さえつけてキスするなん
て本当に異常じゃない? ね? ね?」
「「ぜんぜーん」」
 ああ、こんな時ばっかりこの二人はハモりますか…。
「「いただきまーす」」
「あふ…んむ…!」

 こうしてあの日、私は真っ昼間の屋上で女の子二人から冗談みたいに濃厚なキスで口の中を嘗め回されまくってしまった…。
 ああ…今思い出しても恥ずかしいというか何というか…。
 しかも、途中からつかさとみゆきも加わった気がするんだけど気のせいよね?
 気のせいよねっっっっ!
397和三盆:2008/01/25(金) 19:52:41 ID:3z/0oj1l
 こんこん。
 部屋をノックする音。
「お姉ちゃん」
「…何?」
「一緒に寝るのは暫く無しだからね?」
「こなちゃんと日下部さんとみゆきちゃんがお泊まり会しますって、来たよ」
「決定かいっっっっっ!」
 その日の夜の事は…。

 思い出したくないっ!



おわり
398名無しさん@ピンキー:2008/01/25(金) 19:53:11 ID:3z/0oj1l
以上。
おそまつ。
399名無しさん@ピンキー:2008/01/25(金) 20:03:46 ID:DT96hDCM
萌えたwwwww


完全に天然で暴露するつかさ萌え
だだっ子こなた萌え
やきもちみさお萌え
さりげなく参加してるみゆき萌えw
400名無しさん@ピンキー:2008/01/25(金) 20:10:45 ID:5RUnkFT7
キタ━━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━━ッ!!

かがみんの時代キタ━━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━━ッ!!

かが☆フェチキタ━━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━━ッ!!

みゆき「やっぱりツンデレは最高ですだばだば
     泉さんと日下部さんの昼ドラばりの泥沼っぷりも
     興奮しますだばだば」
401名無しさん@ピンキー:2008/01/25(金) 20:15:30 ID:cHwtuIzY
>>398
キャラの呼称で気になるところがあったけど、
非常に面白うございました。
402名無しさん@ピンキー:2008/01/25(金) 20:29:38 ID:tNzOrpmv
>>398
嗚呼。身体が和三盆になって崩れてゆく。これがかがみ受けの威力か。


ていうかデフォルトで双子百合なんて萌えすぎて命がいくつあっても足りないってヴぁ!
さすが関東最古のお社に祭られる、世界最新の女神というところか(違
何はともあれぐっじょぶでした。次回は是非、ピンク色の嵐が吹き荒れたであろうお泊り会についても詳細にお伺いしたく。
403名無しさん@ピンキー:2008/01/25(金) 20:59:30 ID:g8SrnyyA
>>398
かがみ総受GJ!!
突っ込みどころ満載で面白かったんだぜww
404名無しさん@ピンキー:2008/01/25(金) 22:11:36 ID:CNUkPu1y
>>391
黒井先生大好きな俺は全裸待機!
ん?明日の最高気温が氷点下2度?
でもそんなの関係ねぇっ!

>>398
とりあえず、こなたのクラスの男子のその晩のおかずは和三盆で確定ですね?GJ
405名無しさん@ピンキー:2008/01/25(金) 23:50:47 ID:t6XYYDO0
>>385
シリアス入ってきましたねー
更に暗めと言う事ですが、決着ルートは暗い方か?それとも明るいのか?
つづきwktk

>>391
ななこ先生は結婚出来ない(干物的な意味で)ではなく、
結婚しない(トラウマ的な意味で)という感じなのかな?

387の
>最高速度28km/m
ん?分速?すなわち1,680km/h??!何という速s(揚げ足取りスマソ
結構自転車はスピードが出るので、45km/h辺りが丁度良いかと。

>>398
ちょwこれなんてかが☆フェチww
もっとやれもっと(和三盆糖の山に隠れて見えない

呼称等で気になったのは
こなた→日下部:みさきち
鑑:かがみ
つかさ→みゆき:ゆきちゃん
つかさ→日下部:……そんなのあったっけ?(みさちゃんと推定されるがあやのの呼び方とカブるな…
406名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 00:07:16 ID:/w7d8nGI
>>405
通学用だとそれくらいが妥当じゃね?
オレのは6速のMTBでMAX35km/hだが・・・
407名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 00:21:46 ID:mSguRuaa
>>405
つかさはC組の2人とはそれほど親しくないはず。
なので名字に『さん』付けじゃないかと思う。

だから『日下部さん』でいいんじゃないかな。
408久留里:2008/01/26(土) 00:30:07 ID:TqhFRP5B
>>406
ヘタレな漏れは、27速マニュアルのMTBで30km/h(オフロードタイヤ)ないし45km/h(スリックタイヤ)、
8速マニュアルの通勤用自転車は平地で28km/hが精一杯。


あ、下り坂ならMTBで70km/h近く出したけど、それ以上は恐くて無理だった。
通勤用も油圧ディスクブレーキに換装したらチャレンジしてみるか。








みさお「兄貴、絶対いつか死ぬぞ」
409名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 00:37:28 ID:/w7d8nGI
>>408
間違えた、18速だわ
410名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 00:37:41 ID:ReG8Srfw
確か自転車って道路交通法で制限速度60km/hまでじゃありませんでしたっけ……?
久留里さん逃げてーw
411名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 00:51:41 ID:lZjUNQ93
久留里さん逃げてぇぇぇ!
法定速度を遵守しつつ頭文字D的テクニックで
ゆいねーさんがおいかけてくるよおおおおヽ(`Д´)ノ
412名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 00:52:52 ID:mBD5YqlK
なんかさ、今ゆいねーさんが物凄い速度で飛び出ていったんだが……
なにかあったのかな…?
413名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 00:54:43 ID:/w7d8nGI
>>412
「何!?よっしゃ、いくで!シンデレラ城のミステリーツアー出発!シートベルトしめつけとくんやで」
「ちょっ!え――――!!!」
414名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 01:01:45 ID:Nxxxuq/0
>>413

ゆい
「ガードレールにフレンチキス!(がっしゃーん!!)」

みゆき
「日本で『フレンチキス』というと、軽いキスのことを指すようですが、本来の意味は『ディープキス』のことなんです。
 ガードレールにフレンチキスなんてしたら、大変なことになガクッ」

かがみ
「わーーーっ!みゆきーーーっ!?」

415名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 01:02:33 ID:/w7d8nGI
>>414
みゆきさんコーナー3つで失神事件!!
416最高速度 - wikipediaより転載:2008/01/26(土) 01:14:27 ID:ZYt0RBk8
>>410
>なお、自転車を含む軽車両については法定最高速度が規定されていない事から、
>標識や標示によって最高速度(指定最高速度)が指定されていない区間においては、
>最高速度が無制限であるとする解釈も可能ではある(これを盾に取ったクイズも存在する)。
>しかし、レース参加中でない自転車等が一般道で60km/hを越える高速度を出す事は、
>少なくとも法令上は予定されていないとも言え、実際に30km/hを超える速度で進行する
>自転車については、民事上の過失割合について加算要素とするのが標準的となっている。

自転車に制限はないわよっ!
そもそも30km/hすら普通出さないわ。
417名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 01:14:46 ID:0CVoyhmj
>>930
待ってたぜ。乙。
なんか言ってるよくわからんヤツは無視してくれよな。
418名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 01:17:53 ID:0CVoyhmj
あっ!
ごめ。
ごばく。
419名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 01:19:24 ID:/w7d8nGI
このスレに900番台がくるのか?
420名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 01:20:13 ID:/w7d8nGI
>>416
ある程度の距離の直線なら普通出すだろ?
421名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 01:20:17 ID:lZjUNQ93
>>415
そ し て め ざ め る

みゆき「貴方のドリフトテクニックに目覚めましただばだば
     今度は秋名を2人で攻略しましょうだばだば」
ゆい「お・・・おねえさんびっくりだぁぁ・・・
   え・・・おーい3人とも〜なんで離れるんだい?
   み・・・みゆきちゃん・・・気持ちはうれしいけど・・・
   鼻血だして迫るのはおねえさんどうかと・・・
   ひゃあああああきよたかさんたすけアッーーーー!!!」
422名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 01:21:51 ID:0CVoyhmj
>>419
いや、ココじゃない。
某キャラスレ。
スレを何個か開けてて素でやってもーたの。
423名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 01:22:37 ID:/w7d8nGI
>>422
ドンマイ
424名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 01:24:33 ID:/w7d8nGI
みゆきさんは何乗るのかな?
エボとかインプだったらヤダw
425名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 01:27:31 ID:0CVoyhmj
>>424
トン…

みゆきさんねぇ…
唐突にバイパーが思い浮かんでしまった。
426名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 01:27:59 ID:9GN+DB2H
>>398
途中でいきなり視点が変わるのが気になった。
427名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 01:28:19 ID:/w7d8nGI
>>425
外車はわからん・・・
428名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 01:33:47 ID:Nxxxuq/0
俺的には、みゆきさんは現行MINIかなあ。車体が赤で屋根が白。
429名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 01:34:56 ID:0CVoyhmj
大柄でグラマラスなバディー
実は俊足で万能にあらゆる事をそつなくこなす…

国産ならV35GT-Rか?


ごめん、なぜか国産だとGTOが浮かんでしまった。
430名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 01:35:19 ID:/w7d8nGI
オレ的にはヴィッツRSかな?
431名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 01:35:27 ID:j8yGrnzg
>>422
かなたさんのスレか?w
432名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 01:35:40 ID:/w7d8nGI
>>429
スモーキー乙
433名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 01:41:40 ID:0CVoyhmj
>>431
しーっ
>>432
w
434名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 02:11:50 ID:DmWBtnPh
ビートルに乗って欲しいな
ミニクーパーでもいいかな
435名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 02:37:09 ID:/w7d8nGI
じゃあ、あえてvivioの前モデルのレックスで
436名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 03:06:50 ID:drRoeQW5
かなたさんはシトロエン2CVで逃げ回って欲しい…
437名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 04:03:05 ID:hvKT53V8
みゆきさんの車ねぇ
なんといっても、こなたステッカー貼りまくりの痛車でしょう
438名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 05:27:49 ID:cZCHeJdd
いつからここは車スレになったのw
どんな話題が出ても盛り上がれるのが、ここの凄いところだなあ…
と、妙な部分で感心してしまった。
439343:2008/01/26(土) 09:20:12 ID:CyCfbbpU
>>404-410
なぬぅ!?そ、そう言えば単位が毎分になってるぅ!?
何という大歩危をかましてしまった……orz
自分もMTBで時速20km/h台を出した事があったから書いたんだけど;
でも、ゆい姉さんが怖い;
あと、ママチャリで30km/h台出すとリアルにチェーンが切れる可能性有り;

>>398
遅れたけどなんというGJ!
かがみん総受け……つーか、つかさにまでチューされるとはなかなか……
こ、これは萌!

>>405
そんな感じで書いてる。主人公の名前決めてあったのもそれが原因なんだけど;
まぁ、あくまでも……その……ななこ先生のSSであって………メインはななこ先生もあるのよ?
440久留里:2008/01/26(土) 10:34:38 ID:TqhFRP5B
>>438
みんなでネタを出し合っているところです。
で、SS化はだr(ry
441名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 11:57:39 ID:CJqZtj4h
学園祭のせいでSSが全く進みません
442久留里:2008/01/26(土) 12:34:36 ID:TqhFRP5B
皆さん忙しそうなので、先に投下します。
「カケラ」の続きです。

・かがみ視点
・今のところ非エロ
・7レスほど使用
・シリアス/タイムリープ/平行世界/鬱展開
・オリジナルキャラが登場します。
・オリジナル設定が多いのは仕様です。
・物語の性格上、鉄分が濃いです。
443カケラ 12-1/7:2008/01/26(土) 12:35:03 ID:TqhFRP5B
12.

「全く、一体何処にあるのよ!!」
「ヒーッヒッヒッヒッヒ!! そう慌てんな、あんま焦ってっと、『正解』を見逃しちまうぜ!!
 我が焦燥感にかられし美少女、ヒーラギカガミ?」
この馬鹿に『美少女』呼ばわりされると何か腹が立つ。特に、こういう糞忙しい時は尚更だ。
「一々五月蠅いわね!! アンタが本の形をしていたら百発ほど殴りたいくらいよ」
「おーおーおーおー、変な小説にハマるのも程々にしておいた方がいーぜ? 我が───」
「あー、もう!! うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!!!!!!!!!
 いいからアンタは黙ってて!!!!!」
首からぶら下がるペンダントに向かって大声で怒鳴る。
しかし、その直後、私の頬は朱に染まる。
思い切り恥ずかしい事をしてしまった。
『な、なんやこの子、いきなり叫んでん』
『あのいとはん、何してん?』
『そんなん気にゃせんとき。ほな行くで』
私の怒鳴り声で立ち止まってしまった多くの通行人が、私に可哀相な『モノ』を見る目でジロジロ見てくる。
流石に「何見てんのよ!」と通行人にまで怒鳴り散らすつもりは無かった。
種を蒔いたのは私なのだから。

私は今、名古屋で拾った『オマケ』と共に米原駅のとあるロッカールームに居る。
列車を降りてからしばらくプラットホームをうろうろしつつ、着信を待っていたのだが、
すぐに改札を出たのはバカマルコが突然「『気配』がする」と言い出したからだ。
「そういうのはさっさと言いなさいよね」
「言おうと思ってたけど、おめーがギャーギャーうるせーから黙ってたんだよ!! 我が怒れる増幅器・ヒーラギカガミ」
誰が増幅器(アンプ)だ。

あの時、私が小田原駅の第三ロッカーで見付けたのは、乗車券の入った封筒と、一つの鍵だった。
その鍵は明らかにコインロッカーで使われている物であり、乗車券が「米原」となっていた事から、
この鍵は米原駅のロッカーのものだと推測していた。
しかし、この鍵、一つだけ問題があった。

何とこの鍵、肝心な番号札が付いていない。
これだと、何処のロッカーを開ければいいのかが分からない。
だから、私は鍵が刺さっていないロッカーの鍵穴に片っ端から鍵を突っ込んで、『当たり』を探していた。
バカマルコが少しは役に立つかと思ったら、この手の魔法は使えないという。
それどころか、「俺は魔法なんか使えねぇ」の一辺倒で、全く役に立たない。
「ホント、肝心な時には役に立たないのね」
「ヒッヒッヒ!! 無駄口叩いてねーでさっさと探そうぜ? 我が貪欲なる探求者・ヒーラギカガミ?」
「誰が探求者だ!!」
私は自ら進んで探しているのではない。そりゃ確かに私は『現代』へ帰るための『鍵』を探しているけれどね。
444カケラ 12-2/7:2008/01/26(土) 12:35:25 ID:TqhFRP5B
ふぅ。

「ここで最後ね」
「だな」
駅舎、在来線改札口、新幹線改札口、近江鉄道改札口、裏通り、全てのロッカールームの鍵穴をチェックした。
しかし、今のところこの鍵で開けられるロッカーは無い。
駅の中は全滅。仕方なく、私は西口のバスターミナルをうろうろしてみる。
そこでやっと見付けたのが、この、最後のロッカールームだ。
早速、鍵の刺さっていない穴を探す。が………、

そのロッカールームはバスターミナルの外れにあり、あまりにも存在感が薄い。
場所もあまりに中途半端で、利用者は殆ど居ないようだ。
つまり、どの扉も鍵は刺さったままだっ……………………ん?
「おい、カガミ、一番下」
「な、何?」
某小説に登場する『コキュートス』に良く似たペンダントから響く声を聞き、私は一番下、中央よりやや右手の扉に注目する。

鍵は刺さっていない。
つまり、中に『何か』が入っている。

静かに鍵を差し込む。今までとは違って、鍵は奥まで入った。
「あ、開けるわよ……」
「お、おう。どーんとやっちまえ」
「うん。せ、せ、」
せーの!!

カチャ。

乾いた金属音が解錠の合図をする。
すると─────────、

「わーーーーーーーっ!!!!!!!」

「きゃぁぁぁああああ……………って、この馬鹿!!」
「ヒャーッハッハッハッハッハ、ヒヒャーッハッハッハッハ………げほっげほっ、
 やーっぱカガミはからかい甲斐があるなぁ、ヒーッヒッヒッヒッヒ」
「お、お、驚かさないでよ!! し、しししし心臓止まったらどうすんの!?」
胸の鼓動がアップテンポを刻む。今ユーロビートの曲を流したら夕方まで踊れるかしら?
バカマルコの明らかに度を超えた悪戯のせいで、私は何をしようとしていたのか危うく忘れるとこだった。

「アンタ、次やったら(現代へ帰った後に)金槌で粉にしてあげっから」
仕返しも兼ねてバカマルコを脅してから、一度深呼吸をして、それからロッカーの中身を確認する。
445カケラ 12-3/7:2008/01/26(土) 12:36:12 ID:TqhFRP5B
ロッカーの中には白い巾着袋が入っていた。この大きさといい、袋の質感といい、小学校の時の給食当番を思い出す。
が、やけに『重い』。
中身は何だろう?
おそるおそる、巾着袋の口を開けて、その『中身』を取り出す。中身は更に風呂敷で包まれていた。
風呂敷を解いて広げると、やたら『物騒』なモノが入っていた!!
「ちょっ………『コレ』で何しろって言うのよ?」
「おー、こいつは凄ぇや。いいモン貰ったな? 幸運に恵まれし銃騎士・ヒーラギカガミ?」
「で、でも……………」
私は戸惑いを隠せずにいる。
バカマルコの変な称号からも分かる通り、中に入っていたのは拳銃だった。
が、造りはかなり雑で、どうやら『本物』では無さそうだ。
「で、アンタ、何でそんなに驚いてるの?」
私が『凄ぇ』と叫んだペンダントに訊いてみる。不気味に光る赤い宝石が、キラキラと輝きを増している様に見える。
「おう、コイツはなぁ、俺が持ってる『チカラ』を使って攻撃出来る、特殊な銃なんだぜ。名前は忘れたけどよぉ」
忘れたのかよ。何となく『トリガー○ッピー』に似ている様な似ていない様な。
「まぁ、持っていて不自由はねぇ。『もしも』の事があったら役に立つかも知れねーぜ? ヒッヒ」
相変わらず巫山戯ているのか本気で言っているのか分からない。
その『もしも』の時ってどういう時よ?
「ヒッヒッヒ、その時が来たら教えるぜ? 好奇心旺盛なチンピラ・ヒーラギカガミ?」
誰がチンピラだ。
おそらく『拳銃』というキーワードから『そのスジの人』を連想したのだろうが、あまりにもベタ過ぎるからもう少しヒネりなさいよ。
「取り敢えず、後々役立ちそうだから持って行く事にするわね」
私は手に持ったおもちゃ(の様に見える)拳銃を裸のまま巾着袋に入れ、その巾着袋をトートバッグの中に入れた。

「あら? 奥にまだ何か入っているみたいね」
ロッカーの奥にはまだ何か入っていた。
一番下にあるロッカーだったから、巾着袋を出した時には全く気が付かなかった。
『それ』は、部分的に欠けている、角の取れた三角形をした『石』だった。
「うほっ」
ゴリラか。
「呆気無く見付かったな。我が美しき時の旅人・ヒーラギカガミ?」
「えっ?」
初め、コイツの言っている意味がさっぱり分からなかった。
が、すぐに理解した。
「も、もしかして…………」
「『鍵』だ」
あっさりと答えやがった。
446カケラ 12-4/7:2008/01/26(土) 12:36:38 ID:TqhFRP5B
私はあまりにも呆気ない展開に泡を喰らった。
何と、私が『現代』へ戻るための『鍵』がいきなり出てきた。
『鍵』と言ってもロッカーや扉に付いている「鍵」ではない。『手掛かり』という意味での『鍵』だ。
「喜ぶのはまだ早ぇぜ? 歓喜に囚われし美少女・ヒーラギカガミ」
私の感情は、まだ喜びには達していない。驚きを隠せず、動揺している。
その『石』は黄色くすぅっと透き通っていて、とても綺麗な石だった。
手のひらに収まる程の小さな『カケラ』。
何となくだけど、その小さな『カケラ』にとても底知れぬ強大な『チカラ』が込められて………いるような気がした。
「マルコシアス」
「あいあいよー」
「これで私、『現代』へ帰れるのね?」
「だからまだ『喜ぶのは早ぇ』っつったろ? ヒヒッ」
あ、確かにそう言ったわね。
「『鍵』ってのは、ここでは『条件』みたいなモンだ。その『カケラ』だけじゃあ『現代』へ帰るだけの『チカラ』が足りねーぜ?
 人間じゃぜってー出来ねー事すンだから、多寡が知れた『チカラ』じゃ帰れる訳ねーだろ? 分かるか?」
「分かってるわよ。つまり、他にも条件を揃える必要がある、って事でしょ?」
「おう、分かってるな。我が長けき賢者・ヒーラギカガミ」
どうでもいいけど、さっきからコロコロコロコロ私の称号が変わるわね。
「条件は『物』だけじゃねぇ。『者』も必要だ」
「声だけじゃ同訓異字の区別はつかないわよ」
「俺よりも数億倍賢い頭は眠ったままか? 『者』つまり『人』が要るって事を言ってんだぜ。ヒヒャッ」
「そ、それくらい分かってるわよ。アンタねぇ、人がボケたらツッコミなさいよ」
「おめーはどちらかと言うとツッコミの方がお似合いだぜ? 我が美しき漫才師・ヒーラギカガミ」
「あー、もう!! うるさいうるさいうるさい!!」
「そっくりそのままお返しするぜ? 我がブッ壊れたアンプ・ヒーラギカガミ」
「お前絶対何時か潰す」
「ヒヒャッハー!! 上等だ、何時でも殺ってやんぜ? ヒヒッ!!」
私とペンダントは、通行人の危険物を見る視線を完全に無視しつつ、ロッカールームの前で言い合っていた。

そろそろ行こうかと思った矢先、携帯電話がブルブルと震える。
「おほっ、次は何だ?」
「待ちなさいよ。今出すから」
そう言って私は銃と『石』の入ったトートバッグと、変な漫画本がギッシリ詰まった紙袋を持ってトイレへ向かう。
本というのは意外と重いモノで、今回の『旅』で一番大変なのは、この紙袋を持ち運ぶ事だった。
ポケットから携帯電話を取り出し、サイドボタンを押して開ける。
どうでもいいけど、このサイドボタン、左手で操作する私には使い辛いのよねぇ。
またしても、メールの送り主は無記名であった。そのメールの内容は、

『東口のロッカー、47番の扉を開けよ』

多分、また乗車券と『鍵』が入っているのだろう。
そう思った私は用を済ませたフリをしてトイレを出て、東口の改札口へ向かった。


またしても駅の移動は大変だった。
米原駅は幸手駅の様に反対側へ行く通路が駅構内に無く、改札を通ってから跨線橋を渡るか、
駅から離れたところにある踏切を渡らなければならない。
非常に不親切な設計だ。

───────幸手駅?
はて、どうしてこの駅が頭に思い浮かんだのだろう?
「おーおー、どーした? 今日の空は晴れてんぜ? 陰雲に巻かれし少女・ヒーラギカガミ?」
「……………行くわよ」
「お…………おう」
ペンダントが始めて『口』を閉じた。口無いけど。
447カケラ 12-5/7:2008/01/26(土) 12:38:54 ID:TqhFRP5B
ロッカーに入っていたのはやはり乗車券だった。
区間は「米原→岡山」となっており、何故か赤穂線経由となっている。
どうせ入れるのなら巾着袋と『石』の中に入れておけば良かったのに。
反対側まで行って、また戻るの、結構大変だったんだからねっ。
何で私を走らせるのかしらねぇ。

ああ、個人的には西ノ宮(現:西宮)で阪急に乗り換えて甲陽園に行きたいわね。
え、何の話かって? べ、別にいいじゃない。

〈ヒャッハー!! あの姉ちゃん乳でけぇ!! うほっ、こりゃたまらん〉
〈恥ずかしいから私の脳内で興奮するな。バカマルコ〉
私と奴にしか通じない声。私が名付けたペンダント・マルコシアスの持つ『チカラ』の一つ。
ただ……………。
〈何だおめー、餅妬いてんのかぁ? おめーだってガキの割には『ある』と思うぜ? 貧相な容姿の持ち主・ヒーラギカガミ〉
〈五月蠅い。〉

今私達が今乗っているのは、姫路行きの普通列車。緑とオレンジの塗装は『あの』大垣夜行を連想させるので気分が良くない。
車内は昔の宇都宮線や東海道本線の電車と良く似ていて、車内はボックスシートで、扉付近だけベンチタイプのシートとなっていた。
やけに天井が高いなぁと思ったら、車内に冷房は付いていない様で、冷風ダクトが無い代わりに扇風機が一列に並んでいた。
電車は4両編成を2つ繋ぎ合わせた恰好で、私が乗っている車両は緑とオレンジだけど、後の4両は白にブルーのラインが入っていた。

垂直で狭いボックスシートに知らぬ顔と向かい合わせに座る。進行方向後ろ向きはどうも気分が悪い。
そして、私の首からぶら下がっている、ハタから見れば私には不似合いな程お洒落なペンダントは、
先ほどから斜向かいに座っている女性を『見て』、やたらとハイテンションになっている。
(顔は見えないけど、きっとニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべているに違いない)
そのバカマルコが見ている女性は、私よりも少し上、つまり20代半ばくらいの人で、これまたエラい美人だった。
おまけに、(現代の基準でも)スタイルが良く、何故かお腹の方に贅肉が付いてしまう私は少し分けて貰えないかと思ってしまった。
〈んだよ。おめーだって一生懸命祈ってりゃ、『出る』べきトコも『出る』様になんぜ。
 ま、おめーのナイスバデェなんか誰も見やしねーけどな、ヒャッヒャッ〉
〈何が言いたい?〉
〈カガミの場合、お望みの所に『肉』が付く時は、全身がセキトリみてぇになってる時だからな!! キーッヒッヒッヒッ!!〉
〈マルコぉ? ちょっとバッグの中に入ろうか?〉
今のはホントにムカついた。お前、それ、セクハラだって事、分かって言ってんだよな?!
〈おー、恐ぇ恐ぇ、人間に「やめろ」と言われたぐれぇで俺が素直に「はい、そうします」何て言うと思ってんのか?
 悪い冗談はよせよ。ヒッヒッヒッぶふぉ?!〉
バッグの内ポケットに入れて、思いっ切りぶっ叩いてやった。

例え『ヒト』の形をしていないくても、『男』というモノはこんなにもだらしがないのかと思うと、
別に『恋』なんてしなくてもいいや、と思ってしまう。
そりゃ私だって『女』だから、男の子の事は人並みに気にしてるわよ。ウチのクラスの男子はどれも頼り無いけど、顔は悪くないのよねぇ。
ふと、峰岸の幸せそうな笑顔が思い浮かぶ。私も彼氏が出来たら、やっぱりあんな風になるのかしらねぇ。
でも、今はいいわ。


普通列車は順調に東海道本線を下り、いつの間にか琵琶湖の脇を通り抜けて山科駅に到着していた。
「彦根」「近江八幡」「野洲(やす)」「草津」「膳所(ぜぜ)」といった聞き慣れない駅名が続く。
路線の名前も走っている車両も同じだけど、雰囲気が全然違う。
東海道本線の路線の長さを実感しつつ、「今、私は旅をしているんだなぁ」と心中で語った。
一方、自身の体力の消耗は非常に激しく、某RPGに例えれば4桁あったHPが今30位にまで減っている。
無理もない。私は昨日の朝からずっと起きっぱなし(飛ばされる時に意識を失ったけど)で、一睡もしていない。
車内は足下の暖房のほか、私の座っている窓側席は光の暖房まで効いているのでむしろ暑い。
ああ、だんだん頭がぼうーっとしてきたわ………………。

………………
…………
………
448カケラ 12-6/7:2008/01/26(土) 12:39:23 ID:TqhFRP5B
『次は、新大阪、新大阪だす。新幹線広島・博多方面はお乗り換えだす』

〈カガミ、カガミ〉
「っん〜〜〜〜〜」
突然脳内に届いた『声』に反応して、大きく伸びをする。
どうやら途中で居眠りをしていたようだ。

〈大丈夫か? 今日はどっかで休んだ方がいいな。ヒヒッ〉
コイツは人をからかっているのか、本当に心配しているのか、たまに分からなくなる。
〈だ、大丈夫……岡山まではまだ時間あるんでしょ?〉
〈さぁな、俺も行った事ねーから分かんねー、ヒヒッ〉
〈ところで、今、何処?〉
〈新大阪だ〉
って事は、そんなに寝ていないのね。

私が寝惚け眼で車内を見渡す。乗客が何人か入れ替わっており、バカマルコがニヤニヤしていた女の人も途中駅で降りたようだ。
時間帯が時間帯のせいか、車内はそれ程混雑していない。
かといって車内が静かであるという訳でもない。関東と違ってこっちの車内はどこもかしこも会話で盛り上がってる。
しかし、迷惑にならない程度なので、それほど気にならない。

列車は高架橋の下に入り、新大阪駅に到着した。この高架橋は、おそらく新幹線のものだろう。
〈この列車じゃ時間掛かってしょーがねーから、でっけー駅に着いたらもっと早ぇ奴に乗ろうぜ? 全国各駅停車のトラベラー・ヒーラギカガミ〉
普通列車よりも速い列車と言ったら、思い浮かぶのは新幹線と伊勢崎線の急行くらいしか思いつかない。
てか、なんだその称号は? 私は鉄道オタクではない。

『次は、東淀川、東淀川だす』
大阪訛りの車内放送が静かな車内に響く。
449カケラ 12-7/7:2008/01/26(土) 12:42:00 ID:TqhFRP5B
そこへ、何やら騒がしい連中が隣の車両からやって来た。
一番関わりたくない人種、いわゆるヤンキーが2人………だけでなく、落ち着いた雰囲気の高校生も1人居た。
時間帯を考えると、学校が休みなのか、サボっているのかどちらかだろう。私も人の事言えたクチじゃないけど。

「ほんでな、その時のタダやんがな、何やこう、手ぇを相手に向けたらな、向こうがドバッっていきなし倒れてん。エラい驚いたわ」
「ハハハ、そらまたエラい話やなぁ」
「い、いや、僕、何も……」
「なんや、タダやん超能力者か。ワシも何か使えへんかなぁ。こうやって、こう……」
「でけへんでけへん、お前は補習でもやっとれ」
「何や、タダやんエラい人気もんやなぁ。
 すまん! 『東』のモンと聞いて、初めは勝手に好かん奴って思うてん。『きじ』のお好み奢るさかい、許したって」
「アホか、ほんなんで許す訳あれへんやろ。たこ焼きも付けい」
「あー、ワシ、たこ焼けへん」
「うわー、おったわー、たこ焼けん奴がおったわー」
「別に僕は気にしていないよ。実は僕もたこ焼きの作り方知らないし、家にたこ焼き器も無い」
「あー、このアホは気にせんでええわ。タダやん大阪来たばっかりさかい、道具屋筋にでも行って買えばええ」
「そんなん梅田でも買えるわ」
「喧しいっ、たこ焼けん大阪人は黙っとれ」
「しゃーないやん、うちオカンがたこを……ってあいたたたたたたた」
「そないな事言うんはこのクチかぁ?」
「あいたたたたたた、堪忍したってぇや。口延びたらどないすんねん」
「もうええわ」

いきなり車内が賑やかになった。
〈カガミ〉
〈何?〉
〈次で降りるぞ〉
〈へ? 岡山はまだまだ先よ?〉
〈『気配』がする〉
〈分かった〉
『気配』の一言で何を言いたいのかが分かった。マルコシアスは『鍵』の気配を感じたのだ。

『次は、大阪、大阪だす。神戸方面へおいでのお客はんは、先発の新快速にお乗り換え出来ます』

不思議な(何となくそう思った)3人組の漫才をボックスシートで聞いていると、『タダやん』と呼ばれた優しそうな人と目が合った。
450久留里:2008/01/26(土) 12:44:35 ID:TqhFRP5B
以上で御座います。
大阪弁に関しては大阪弁に詳しいサイトを参考にさして貰いました。

今回でこなた・つかさ・かがみが4回ずつ登場したことになります。
以降、原則として「こなた→つかさ→かがみ」の順で進めさせて頂きます。




みさお「私らの出番が全くない件について」
作者「時系列的な理由につき、もうしばらくお待ち下さい」
451名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 13:26:01 ID:PrBDAdVm
>>450
なに、かがみの次の目的地は岡山!? 岡山在住の俺歓喜
しかしなぜ赤穂線…

ところで、新大阪と東淀川、順番が逆なような…
(京都← 吹田ー東淀川ー新大阪ー大阪 →神戸)
452妄想屋(仮名) ◆JUqojnT5.c :2008/01/26(土) 13:26:06 ID:Nxxxuq/0
>>450
GJ!近所の地名が出てくるのが嬉しい大阪在住。
拳銃はやっぱトカレフ?

さて、時間も空いたので、こちらも一作行かせていただきやす。

============================================
・タイトル:
 『えす☆えふ』外伝 〜新機動奥様・かなたさんW〜
・ジャンル:
 そうxかな(ガチエロ)、その他(非エロ・ギャグというか悪ふざけ)
・サイズ:
 約850行、35KB
・注意事項:
 オリキャラ?あり(こなつー他)
 カオス注意、壊れあり
 ※『こな☆フェチ』と『てけてけかなたさん』の設定を一部お借りしています。
============================================

連投に不安があるので、またtxt投稿ですいません。それではどぞ。
つ【ttp://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0013.txt
453妄想屋(仮名) ◆JUqojnT5.c :2008/01/26(土) 13:28:23 ID:Nxxxuq/0
----------------------------------------------
(あとがき)
以上です。もうむちゃくちゃorz
なお、何かとネタが古いのは仕様です。

パトラッシュ……僕は自分が何を書きたかったのかわからないんだ……

最後に、ぶーわさんにいただいた『Wかなたさん』を貼らせていただきますね(もちろん承諾済み)
つ【ttp://www.geocities.jp/je104049/wing.PNG
ありがとじゅしたー。
454名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 14:27:39 ID:0ljXjv1j
>450 >453
お二方ともGJです。
準備される方がいなければ、投下します。
45523-251:2008/01/26(土) 14:31:53 ID:0ljXjv1j
「ガラスの壁」 第10話 (最終話)

こなた×ゆたか(こなた視点)

注意事項
・続き物
・シリアス
・非エロ
456ガラスの壁 1/7:2008/01/26(土) 14:32:54 ID:0ljXjv1j
 10.

 終業式の前日、授業が終わって帰宅すると、家の前に見覚えがある白い乗用車がとまっていた。
 胸騒ぎがして玄関のドアを開けると、中から絹を裂くような声が聞こえてきた。
「いやっ…… いやぁあああ! 」
 ゆーちゃんの悲鳴だ。
 驚いて、声があがった場所に駆けつける。

 居間で、おじさん―― ゆーちゃんのお父さんが、悲鳴をあげてもがく、
ゆーちゃんの腕を掴んでいた。
 ゆきおばさんが、すぐ隣に立って悲しそうな顔を浮かべている。

 あまりにも異様な光景に、声をあげることも出来ずに立ち竦んでしまう。
「こなたおねえちゃん。助けて! 」
 ゆーちゃんは、誘拐犯にでも攫われるような悲鳴をあげている。
 でも、ゆーちゃんの両親は、とても優しい人ということを知っているので、
強引に助けに行くことができない。

 彫像のように固まっている私に気づいたおじさんが、話しかけてくる。
「ゆたかは家に戻すことにしたよ」
 やっぱりそうか…… 
「いやあ! こなたお姉ちゃんから離れたくないっ」
 おじさんは、愛娘の抗議を無視して言葉を続ける。
「こなたちゃん。理由は分かるね」
 私は、一言もいえなかった。
 反論が無いことを確かめると、眉間に皺をよせた重苦しい表情のまま、絶望的な一言を放った。
「すまないが、ゆたかには会わないで欲しい」

 一昨日、生徒指導室に呼ばれた時から、ゆーちゃんと離れ離れになってしまう事態は
十分に起こることは予測していた。
 しかし、非情な現実を目の当たりにすると、やはり衝撃は大きい。

 人の気配がして後ろを向くと、お父さんが居間に入ってきた。
 私の肩に手をおくと、何も言わずに、数度首を横に振っただけだった。
 ゆーちゃんは、なおも必死に抵抗を続けていたけれど、小柄で体力がない為に、
おじさんに簡単に動きを封じ込まれて、そのまま車に乗せられてしまった。
「お姉ちゃん! お姉ちゃん! 」
 玄関を出ると、ゆーちゃんが車の窓ガラスを内側からどんどんと叩きながら、泣き叫んでいる。
「ゆーちゃん! 」
 車に手を伸ばそうとした時、アクセルが踏まれてみるみるうちに遠ざかり、視界から消え去った。
457ガラスの壁 2/7:2008/01/26(土) 14:33:35 ID:0ljXjv1j
 恋人を奪われてしまった私は、呆然としたまま部屋に戻り、何もかもが億劫になって、
崩れるようにベッドに倒れ込んだ。
「どうして…… こうなっちゃったのかな? 」
 ゆーちゃんと一緒になっては駄目?
 私とゆーちゃんが他の誰に迷惑をかけた?
 女の子同士で好きになっちゃいけないのかな?

 ひどく悶々としたまま身体を捩ると、ベッドの端に挟まれていた本に指先が触れる。
 かなり前に、かがみが押し付けるように貸してくれた本だ。
 普段は本を読むのは苦手なんだけど、今日は引き込まれるように文字を追うことができた。
 二人の登場人物の境遇が、現在の私とゆーちゃんに似ていたからかもしれない。

 物語のラストに近づく頃、携帯が震えた。
 手を伸ばして引き寄せると、画面に表示された番号が見える。ゆーちゃんだ。
 私は、携帯を耳元に押し付けて叫んだ。

「ゆーちゃん! 」
『お姉ちゃん! 私、わたしっ』
 かなり切羽詰まった声が鼓膜に響く。
「落ち着いて、ゆーちゃん」
『お姉ちゃん。わたし、悪い子なの? 』
 問いかけられる言葉が、胸が刺すようで痛い。
「ううん。ゆーちゃんは悪いことなんか何もしていないよ」
『そうだよね。こんな目に遭うのはおかしいよね』
「う…… うん」
 ゆーちゃんの言い方に、私は微妙な違和感を覚えた。

『だから…… 私、決めたんだ。もう人に運命を左右されるのは嫌なの』
「ゆ、ゆーちゃん? 」
 異様な迫力におされて、うろたえる私に、超特大の爆弾が落とされた。

『お姉ちゃん。駆け落ちしようっ』
458ガラスの壁 3/7:2008/01/26(土) 14:34:17 ID:0ljXjv1j
「駆け落ち? 」
『こなたお姉ちゃんと二人だけで遠くに行きたいの』
 あまりにも無計画で、無謀だ。
「駆け落ちなんて簡単に出来るものじゃないよ。お金もないし、眠る場所さえないんだから」
『それでもいいのっ、私、お姉ちゃんのいない世界だったら存在する意味がないの! 』
 ゆーちゃんの強烈な決意に眩暈がした。
 存在する意味がないという事は言い換えれば、生きていく意味がない、となってしまう。
「本気なの? 」
『こなたお姉ちゃんは、今のままでいいの? だって、私たち何もおかしなことしていない。
こんなの絶対おかしいよっ 』

「ゆーちゃん…… 」
 ゆーちゃんの考えは、私達の側から見れば正しい。
 しかし、世の中は二人だけで構成されている訳ではない。
 他の人から見れば、私達の関係は、明らかに逸脱したものになるだろう。

 しかし、ゆーちゃんの心は既に、修復が困難な程の深い傷を負ってしまっている。
 ゆーちゃんは、時間をかけて心の傷を癒すことよりも、分厚い殻を身に纏って、
私以外の他者を拒絶する道を選ぼうとしている。

 そして、私は―― 追い詰められた少女の気持ちを誰よりも共感することができた。

 長い沈黙の後、私は努めて冷静な声をだした。
「ゆーちゃん。駆け落ちしても、辛いことの方が多いよ? 」
 一呼吸を置いた後で、答えが返ってくる。
『覚悟、してるから』
「お父さんも、お母さんもいないし、ゆい姉さんもいない。みなみちゃんやひよりん、パティもいない。
周囲の人間関係を、全部捨てることに耐えられる? 」
『大丈夫だよ。だって、その人たちの誰かが私達を陥れたのだから。一緒にいる方が苦痛だよ』
 私は、深いため息をついて言った。
「分かった。明日まで待って…… 考えがある」
『ありがとう。お姉ちゃん…… 』
 電話口から、安堵の声が聞こえてきた。

「ゆーちゃん。明日学校に行くよね」
『うん。通知表をもらいにいかないといけないから』
「ホームルームが終わったら講堂に来てくれる? 」
『もちろん行くよ。こなたお姉ちゃん』
 とても嬉しそうな返事を聞いてから、私は電話を切った。
459ガラスの壁 4/7:2008/01/26(土) 14:34:59 ID:0ljXjv1j
 さてと。急に忙しくなった。
 手元に置いた小説を放り投げると、PCを立ち上げて、オンラインゲームにアクセスする。
 仮想世界に舞い降り、キャラクターの待合室というべき場所に行くと、さほど時間をかけずに、
『嫁』をみつけることができた。
 声をかけて、すぐに専用チャットに誘導する。
 ここなら雑音は入らない。

『どうしたの? 』
 有無をいわざず連れてこられて、『嫁』は戸惑いの声をあげた。
「できれば、リアルな宿を貸して欲しいのだけど」
 単刀直入に切り出す。
『いきなりだね…… とりあえず、事情を説明してくれない? 』
「もちろん。そのつもりだよ」
 私は、包み隠さずに正直に語った。かなり無茶な頼みごとをするからには、
少なくとも誠実な態度でありたかった。

『驚きだよ』
 全ての事情を話した後に、短い感想が打ち込まれた。
 文字からは、深いため息が伝わってくるような気がする。
「無茶なお願いってことは、言うまでもないけれど」
 長い沈黙に耐えられなくなって、焦りながらキーボードを叩く。
『君にとっては好都合だけど、私にとっては不都合かな』
 やっぱり駄目か―― 私は肩を落とした。
『勘違いしないで。他ならぬ『旦那』のお願いを断るほど、野暮じゃないよ』
460ガラスの壁 5/7:2008/01/26(土) 14:36:01 ID:0ljXjv1j
「えっ…… いいの? 」
『幸か不幸か、明後日から海外旅行に行く。
せっかく『旦那』に会えるというのに、ほとんどすれ違いになることが私の不都合だよ。
でも君にとっては、とりあえずの駆け落ち先が見つかって好都合だ。
つまり―― 私の部屋を自由に使ってくれて構わないよ』

「ありがとう」
 嬉しさのあまり、涙を零しそうになりながら、感謝の言葉を打ち込む。
『住所をメールで送るから、添付したファイルを見て』
 早速ファイルを開くと、印が着いた地図が現れる。
 場所は、愛知県名古屋市だ。埼玉からは遠く離れている。

『明後日の朝9時までに家に来てね。面と向かって鍵を渡したいから』
「うん…… 分かった」
『あと、名古屋に着いたら携帯に電話を入れてほしい…… でもね』
 暫く沈黙してから、ディスプレイに文字が表示される。
『本当のことを言うなら、君達には来て欲しくはない』

「え…… 」
 吸い込んだ息が、肺につまって酷く苦しい。
『駆け落ちをしないですむなら、それにこしたことはないから』
「それは…… そうだよね」
『それでは幸運を祈るよ。おやすみなさい』
 『嫁』がログアウトした画面を、小さく息を吐きながら見つめていると、
足元から寒気が忍び寄ってきて身体が震える。
 本格的な冬はもう到来していた。
461ガラスの壁 6/7:2008/01/26(土) 14:37:05 ID:0ljXjv1j
 日付が変わり、運命の金曜日がやってくる。
 終業式に出て、ホームルームで通知表を貰った後、講堂にかけつけると、既にゆーちゃんが待っていた。
「こなたお姉ちゃんっ」
 私の顔をみた途端に抱きついてくる。一日ぶりだというのにひどく懐かしい。
 華奢な身体から、仄かなぬくもりと強い想いが伝わってきて、理性が吹き飛びそうになる。

 しかし、今日は時間は無い。
 駆け落ちの実行方法を手早く伝えてから、陵桜学園の校門をくぐり外に出る。
 JRに接続している駅まで足を伸ばして、『みどりの窓口』で5枚綴りの『青春18きっぷ』と、
東京発大垣行きの夜行列車『ムーンライトながら』の指定席券を購入する。
 この列車は人気があり、満席なことも珍しくないけれど、キャンセルがあったのか、
幸運なことに席を取ることができた。
 ちなみに『ながら』の乗車に必要な510円の指定席料金と、『青春18きっぷ』を組み合わせれば、
東京までの運賃を含めても、3000円程度で名古屋まで行くことができる。
 お金がない高校生にとってはこれ以上ないほどに、ありがたい存在だ。

 この駅で実家に戻されているゆーちゃんとは、一旦別れる。
「午後11時に、東京駅の10番線で待っているから」
 ゆーちゃんは拳を固く握り締めて頷いた。
「うん」
 最初は、学校からそのまま駆け落ちすることも考えた。
 しかし、しっかりと準備をして欲しかったし、何より、ゆーちゃんの決心が揺らがないことを
確認したかったので、一度、家に帰ってもらうことにした。
 寂しさが募る夜に、自宅から抜け出すことはかなりの勇気がいる。
 ゆーちゃんが心変わりしてあきらめてくれれば、先の見えない駆け落ちはしなくてもすむ。

「お姉ちゃん。私、必ず行くからね」
 別れ際に、ゆーちゃんが人目をはばからずに、再び抱きついてくる。
 白いリボンで結ばれた髪を撫でてから、愛しい人の唇に触れた。
 無言のまま、キスが続き…… そして離れる。
「じゃあね。ゆーちゃん」
「こなたお姉ちゃん…… 」
 私は片手をあげてから、雑踏の中に姿を消した。
462ガラスの壁 7/7:2008/01/26(土) 14:38:06 ID:0ljXjv1j
 午後9時前に、いよいよ家を出る。
 もう、2度と帰ることができないと思うと、全身が震える。
 お父さんは、駆け落ちをしてしまう親不孝な娘を、玄関先まで見送ってくれる。
 酷く憔悴している姿が痛々しい。

「ゆーちゃんを幸せにしてやってくれ」
 嗚咽を堪えながら、キャッシュカードを渡してくれる。
 どこまでも娘に甘くて、大好きなお父さん。
 私は、お父さんの胸元で少し泣いた。

「ごめんなさい。お父さん」
「いや…… いい」
 お父さんは2度、軽く背中を叩いた。
「いってきます」
 ゆっくりと身体を離すと、後ろを振り返ることなく冬の夜道を歩き出した。

 駅は閑散としており、到着した上り列車では難なく座ることができた。
 レールの継ぎ目を通るたびに聞こえる規則的な振動音をBGMにしながら、
窓を流れる光を追い続ける。
 電車が荒川を渡り、都心に近づくと光の量は加速度的に増えていく。

 ターミナル駅で山手線に乗り換えると、一転して、家路を急ぐ大勢の通勤客に揉まれる。
 東京駅で降りて、10番線の近くのベンチに腰掛ける。
 まだ10時30分を過ぎたばかりだから、少し待たないといけない。
「ゆーちゃん。来るかな…… 」
 自動販売機で買ったコーヒーで身体を温めながらひとりごちる。

「かがみ、怒っているだろうな」
 脳裏に、ツインテールの少女の姿が浮かぶ。
 私が、ゆーちゃんと駆け落ちしたことを知ったらどうするんだろう? 
 思わず苦笑してしまう。
 もしも、駆け落ちしたことを知らせてある黒井先生が漏らしたら、
血相を変えて追ってくるのかなあ。
 受験も近いことだし、そんな暇はないと思うけどね。

 つかさはどうなのかな。
 高校で最初に仲良くなった子だから悲しんでくれると思うのは、うぬぼれかな?
 そして、みゆきさんはどうだろう……

 とりとめのない事を考えていたら、時計の針は午後11時に近づいてくる。
夜行電車の発車時刻は、午後11時10分だ。
 ゆーちゃんが来るか来ないかはもうすぐ分かる。

 午後10時55分―― 持ってきたポケット時刻表を閉じて視線をあげると、
大きな荷物をかかえた小柄な女の子が、笑顔をみせながら駆け寄ってきた。


 (了) 『Elope』へ続く
46323-251:2008/01/26(土) 14:47:49 ID:0ljXjv1j
読んでいただいた方、温かい感想を頂いた方、ありがとうございました。

何とか終了までもっていくことができて、ほっとしています。
結末が予め分かっている話を書くことは、予想以上に難しかったです。

こなたは3年生を、ゆたかは1年生を引き付けていますから、
二人が「閉じられた世界」に入ると、大きな悲劇になってしまうのでしょうね。
464名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 15:00:51 ID:QMXwTANf
>>453
GJ!
エロありギャグありで最高でした!
そっか、ゴッドかなたさんは記憶喪失だったのか
しかしぶーわ氏とのコラボだなんて、ずるすぎます!(良い意味で


こう設定が繋がってたりするとなんだか面白いよな、二次創作ならではってかんじで
465名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 15:06:25 ID:LjZo7UaT
>>453
な、何からつっこめばいいのかわからないっ…!!w
とりあえず、いい意味での「おバカっぷり」がたまりませんでした。
マトリックスばりの殺陣も無駄にかっこいいし、最後が爆発で終わるところとかとかもうww


>>463
おつかれさまです。ゆーちゃんの叫びがとても心痛かったです。
結末を知っているとさらに切ないですね…。
466名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 15:24:14 ID:uLWq3MJX
>>450
かがみとバカマルコのやり取りは読んでて楽しいですね
今のところ派手さは無いけど、かがみが一番苦労してる気がする
そして、タダやんとはやはりあの人か
続きを楽しみに待ってます
GJですた

>>453
ついにかなたさんまで……
読んでて顔がによによしちまった。GJ

>>463
GJ&お疲れ様でした
ゆーちゃんを守るために、自分の周りの人と別れることを決断するこなた
強いなぁ。で、切なかったっす
467名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 15:25:08 ID:lZjUNQ93
>>453
なんだこのカオスドリフは!?
次から次!畳み掛けるようなカオス!アビス!ドリフ!ついでにミクの連発!
これがカナタウィングの力か・・・ええい!泉家のレプリカントはバケモノか!
そしてぶーわ氏とのコラボもまた
・・・もうあれだ、2人でカオス物語長編プロジェクトでもやっちまえ(杉田)

>>463
おつかれさまでした。切なくも悲しい物語GJ。
こなたの最後の、みんなを想ってる台詞が、
結末を知ってるゆえに痛かった。
468名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 15:27:11 ID:iX4V22la
>>453
わけわかんねー!!(褒めてます
いやもう。このスレをそのまま煮詰めたようなごった煮っぷりですっかりおなか一杯です。
しかも、そう×かなとかつき×つーとかエロス分も抜かりないし。まさにお祭りSS、ありがとじゅしたー!

>>463
ついにこの日までたどり着きましたか。elopeで起こることを思い返すだに、切なさが身にしみます。
シリーズ完結、どうもお疲れ様でした。
469名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 16:44:18 ID:Nxxxuq/0
>>463
完結ぐっじょぶ!こなたを送り出すそうじろうが切なすぎるorz
>こなたは3年生を、ゆたかは1年生を引き付けていますから、
>二人が「閉じられた世界」に入ると、大きな悲劇になってしまうのでしょうね。
この言葉、重いなぁ……

>>464
コラボはさせていただきましたが、『えす☆えふ』はあくまでも三次創作でありまして、
元ネタ各位の世界とは並行世界であります。そこんとこよろすくです。
てか、ぶーわさんがCG描いてくれた時はびっくりして鼻血でましたよ、ええ。
470名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 16:50:10 ID:Nxxxuq/0
補足すいませんorz

CGはいただきましたが、物語はまったくのノーチェックです。てか、CG見ながら描きましたw

ゴッドかなたさん誕生のくだりも、俺の勝手な妄想にすぎませんので、なにとぞご了承のほど……。orz


↓以下何事もなかったかのように再開
471名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 18:00:04 ID:csU/iy+R
>>453
なんというカオス。だがそれがいいwww
やー、楽しかったですわ。GJ!

>>463
完結お疲れ様。
やっぱりつらいなぁ…終わりがわかってるだけ余計に…
472名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 19:53:59 ID:yuDK+Ymj
>>463
完結お疲れ様です。涙出てくる……。


>>461にちょこっとツッコませていただくと、
>5枚綴りの『青春18きっぷ』
今の18きっぷ、5日(人)分で1枚っス。

文章の他の部分から察するに、そのことを把握した上であえて書かれたような感じですが、一応。
板違いのヲタがでしゃばってすいませんでした。
473名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 21:43:11 ID:lZjUNQ93
>>472
「よーし5人で限定というなら、5人でおでかけしよー」
「名古屋かあ、距離的に微妙だけど、たまにはちょっとした旅行もいいわね」
「みそにこみー、えびふりゃー、だぎゃー」
「海外や日本の端には良く行きましたが、名古屋は初めてですね」
「1人分あまったけど…どしよっかな…
 むっ!そうだっ!おーい、ゆーちゃん」
「え、私?」
「たまにはみんなで旅行とかどかな?(=ω=.)」
「え、いいの?それなら…お言葉にあまえよっかな」
「うんうん、流石は私の妹っ!」
「……」
「おわっ!みなみちゃんいつの間に!」
「……;;………;;」
「そ、そんな涙目で…えっと、わ、チケ人数MAXっ…どしよ…」
「…おねえちゃんごめんね、やっぱり私いいよ、お姉ちゃんたちだけでいってきて」
「あー…なるほど、了解…って、かがみまで何…その複雑そうな顔…
 もーみんな良質悲劇に感化されすぎだっての(=ω=.;)
 さーて、あまった1人分…誰に使おっかな…」
474名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 22:24:32 ID:Nxxxuq/0
>>473

そうじろう
「こなたー、これ持ってけ」

つ【もう1セット】

そうじろう
「これで全員いけるだろ?一年組、三年組、あと背景のあの子たち……名前なんだっけ?」
みさお
「ヴ、ヴぁ!? ひでーよおじさーん!」
475名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 22:56:35 ID:PrBDAdVm
>>473
東京組はまだともかく、宇都宮線(埼玉県内・大宮より北)〜名古屋の18きっぷでの
日帰り往復って、かなりきつくないか(時間的・体力的な意味で)…?
日付変更地点的な意味で「ながら」も使いにくいし(現在は小田原・大磯)。
下手すりゃゆーちゃんあたり途中で倒れるぜ?
4767-896:2008/01/26(土) 23:02:25 ID:OM2YkE4A
>>352の妄想氏に捧げるこなつーです。

たぶんこなつー(アレンジが多々)
ttp://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0014.jpg

収拾がつかなくなった場合に発動するようです。
くらった患者は粉雪のようn(ry
命名はもちろんみy(ry
装備のモチーフは通学鞄です。見えないけれど(´・ω・`)
装備を作ったのもみy(ry
477名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 23:03:56 ID:OM2YkE4A
間違いましたorz
>>476>>352ではなく>>452宛です。
478名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 23:08:54 ID:ReG8Srfw
>>475
いざとなったら神奈川にあるという黒井さんちにお世話になれば……
479名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 23:25:53 ID:lZjUNQ93
>>475
「大丈夫・・・私が・・・看病する・・・」
「みみみみみみなみちゃんっ!気合はいりすぎだって!
 大丈夫だって、まかせるから、
 その陰オーラと泣きそうな目をやめてっ(〒ω〒.;)
「よろしくね、みなみちゃん^^」

>>476
やべえ・・・異様にかっこいい・・・
天は人に煮物・・・いや二物を与えないって絶対うそだーーヽ(`Д´)ノ
480妄想屋(仮名) ◆JUqojnT5.c :2008/01/27(日) 00:20:27 ID:yEimGDNE
>>476

キィ━━━━━━(゚∀゚)トゥワ━━━━━━ !!


か、かっこよすぐる……
481久留里:2008/01/27(日) 00:29:43 ID:JDdkePiF
>>451
うゎぁぁあああああ間違えたぁぁぁぁああああorz
東海道線ユーザ(但しJR東日本)として、心よりお詫び申し上げます。
wikiに保管され次第、修正致します。

>>463
GJなのであります!!
こうして「Elope」に繋がったとは……。その後の話を知ってしまっているので、とても切ないです。

>>475
「ながら」は神奈川県民の漏れですら小田原までは別に運賃が掛かるんだぜ。

*******

どうでもいいけど、「旅行の計画を立てるのが趣味」なひかげは、
そこらのヲタや駅員よりも時刻表や切符、格安航空券に詳しそう。
482名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 00:56:40 ID:O4RoosmT
>>475
東京〜名古屋間を普通列車の場合、接続がめちゃくちゃ良くて6時間ちょいッス。
泉家・柊家から東京まで、乗り換え時間を含めると約1時間くらいかな?

朝6時に外出して名古屋滞在2時間としると、帰宅が22時…。
うーむ。ゆーちゃんどころか、他のみんなにとってもかなりキツそう。
Elope 4話の連れ戻し隊(追跡者?)ご一行様のように新幹線を使うのがベストでしょうね。


>>481
正直、駅員はちょっと詳しい一般人より頼りにならない気が……。
483名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 01:41:47 ID:yEimGDNE
>>482

なあに、全員でこなたの嫁@名古屋のところに押しかけて一泊すればおk(はて迷惑な)
484名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 01:48:16 ID:3U/FBL/e
「ていうか、いつ日帰りという話になったのかな、カナ?
 うちら普通に宿泊の予定なんすが・・・(=ω=.;)」
485名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 01:55:33 ID:/Ihry4pJ
>>484
宿泊したら(日付が変わったら)18きっぷがもう一日分(10人なら10日(人)分=2枚)必要になるから。
これ18きっぷの真理ネ。
486名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 02:01:22 ID:JDdkePiF
>>484
18きっぷではよくあること
487名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 02:03:04 ID:3U/FBL/e
なるほど、それでは日帰り名古屋行脚に耐えられそうな面子を構成してみるか

こなた、かがみ、みさお、ひより、みゆき

何この理想的泥沼←大興奮観戦な構図はwwwwww
4884-243 ◆X9xLTlcDnY :2008/01/27(日) 02:17:22 ID:ZecsYfi/
流れに乗っておいらもこなつー描いてみたら
いつのまにか18切符な流れになってた…(´・ω・)ノシ
http://www.geocities.jp/extream_noise/rakisutaep/img/kona2.jpg
489名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 02:18:57 ID:pbfxB489
つかさは実は密かに結構体力あるんでは説もあるんですけどね
(チア踊り終わった後、肩で息してない方)


……と書いたはいいが、眠いの駄目な子だということに気がついた
490名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 02:31:23 ID:7A2jqKIM
>>488
ぶーわ氏7-896氏に続いて貴方までGJ!
こなつー可愛いよこなつー
そして本家もそのうち動きだすにちがいない!
491名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 02:31:51 ID:yEimGDNE
>>488
うわーい!またキター!

こなつーも18きっぷで追いかければおkw
4924-243 ◆X9xLTlcDnY :2008/01/27(日) 02:41:47 ID:ZecsYfi/
493名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 02:45:14 ID:RP5Bk5Nj
18切符で昼間、埼玉に行ったことがあるけど、静岡県内がしんどかったなあ。

>492
ちょっ、こなつー轢かれちゃうw
494名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 02:45:16 ID:3U/FBL/e
うはwwwwwwwwwwwあんたってひとはwwwwwwwwwww
495名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 03:04:30 ID:yEimGDNE
>>492
ちょww仕事速ぇwww
こんなところに電車が走ってきたら……


電 車 が 危 な い !w
4964-243 ◆X9xLTlcDnY :2008/01/27(日) 03:15:00 ID:ZecsYfi/
>>493-495
ちゃんと逃げるよ(´・ω・)ノシ
http://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0015.jpg

かにゃたさんとか、人様のキャラで遊びすぎ自重orz
497名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 03:56:01 ID:3U/FBL/e
ちょwwwwwwwwwwなんてギリな逃げwwwww

『…線路内に人が立ち入った関係で電車が遅れており…』
「(な!なんだってんだYOこれは!
 こんな夜遅くに線路内に入るとかどんだけDQNだYO!
 ちくしょお…はええとここの電車から降りてえ…
 他の連中はもう明日に備えて寝ちまってるし…
 しかも…

 あーもー!よりによってなんでひぃらぎ!
 ちびっ子と寄り添って寝てやがんだ!
 そりゃ、席取りに負けた私もわりいんだけどさ…
 うぐっ、ひぃらぎ…あんなに幸せそうな顔しやがって…
 うがああああ!寝れねえ寝れねえええええ(〒△〒))」

「(チラ、泉先輩の大須見物ツアーについてきてみれば
 最高のこな×かが構図!!!!!
 これは早速眼福ものが見られて幸せッス♪)」

「(なんというすばらしい構図でしょう
 泉さんとかがみさんのお美しい構図と、
 それを見て悲しみにくれていらっしゃる日下部さんのお美しい姿を、
 両方拝見出来るなんて、これはもう至上の快楽です。
 おっといけません、鼻血が出てはばれてしまいます、
 我慢我慢・・・体が破裂しない程度に我慢しないと・・・)」
498名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 04:15:47 ID:yEimGDNE
>>497

こなた
「……んにゅ……みさきちも…………かも〜ん…………」


ぎゅ。




>>496
うはははは
自重不要っス!
499名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 04:24:10 ID:O4RoosmT
>>>496
これまた早い仕上げで。
というか、>>492で田舎(海外かな?)に居たのに、>>496では東京にw
こなつー、瞬間移動の能力を獲得!w


東京駅9番線、品川方(南)から神田方面(北)を見た構図…かな。
ちょっと前の写真で、「銀河」が神田方面から入線中…のはず。

どうでもいいですが、MLながらが消えたら、こなたとゆたかはElope出来ませんな。
あ、高速バスがあるか。


>>497
こんな時間になに書いてるんすかwww
入れ替え中(30km/h未満)だから、こなたの足なら逃げ切れる…かな?
500名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 06:03:59 ID:zomyWPTr
・・・・・・・・・・・正直、鉄道ネタがわからん俺にはおまいらの話がさっぱりだ
ずっとスルーしてきたがそろそろ疲れてきた
501名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 07:01:01 ID:28I3/Mex
>>496
大抵どこの電車でも、ホームの下に人が一人分逃げ込めるスペースが有りますよね?とかマジレスしてみる。

ところで、青春18きっぷって聞いて。

  性旬18禁きっぷ

とか頭に湧いて出た俺。
うん、ちょっと吊ってくるわ。

ところで>>500に禿しく同意。
男だけど車ネタとか全く分からないよ、俺。

性旬18禁きっぷネタ、浮かんだから下にちょっとだけ書いてみる(笑)
502名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 07:05:51 ID:28I3/Mex
>>501
書き忘れたけど、
こな×かが、微エロです。
503名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 07:07:05 ID:28I3/Mex
『性旬18禁きっぷの正しい使い方』

1、好きな相手に提示する。

「かがみ……はい、これ」
「〜〜〜〜〜〜っ!
わ、私でいいのかっ?!」

「うん……かがみじゃなきゃ、やだ」

2、にゃんにゃんする(笑)

「こ、こなたーーーーっ!」
「ちょ、かがみ!
まだ私服着てるヨ?!」

「じゃあばんざ〜いってやって、ばんざ〜いって。
脱がしてあげるからさ」
「……ば、ばんざーい……」

バサッ

「あ……」

「綺麗よ……こなた……」
「かがみ様ぁ……」

「こなたのクリ、小さくて可愛いな……」
「かがみ様……その」

「ん、どうかしたのこなた……レロ……チュパ……」
「ひゃううっ!
わ、わらひ、こういうの初めてなのぉ!」

「そ、そうなの?」
「う、うん……だからさ……。

優しく、シて……ね?」

「こ」
「こ?」

「こな☆ふぇちぃ♪」
「にゃああああああああ!?」
504名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 07:08:43 ID:28I3/Mex
3、5枚1綴り

かがみとの行為を終えたこなたは、快楽で震える手のまま机の上の券を引き寄せる。

――まだ4回分ある。

こなたは覚えたての妖艶な女性の笑みを浮かべながら、それを口にくわえる。
犬の絶対服従の姿勢みたい――仰向けにゴロンと寝転がってみせた。

かがみはこなたの上に覆い被さり、期待に震えるイヤラシイポストからきっぷを受け取った。
口と券との間に伸びる、銀色の筋。

――もったいない。

かがみは舌を伸ばし、その筋――こなたの唾液を舐めとってみせた。

羞恥心で顔を赤らめるこなた……可愛い。
かがみは舌舐めずりしながら、徐々に自分の唇とこなたの唇の距離を0にしていく……。

夜はまだ長い。
こなたとかがみの共艶は、まだ終わらない。

―――――――――――――
投下終了です。
505名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 07:33:01 ID:eX5wajti
>>504なんとエッチいかがみ様・・・
GJ!!

ところでその切符いくらでなら売ってもらえますか?全財産でよければ喜んで買いますが。
506名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 07:38:10 ID:xcgs1vDO
>>504
「覚えたての妖艶な笑み」とか書かれたら、俺はスレに鼻(血)咲く一輪のみゆきになるしかない訳で。


要約すればぐっじょぶ。
507名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 09:59:37 ID:E+JXsg8e
>>504
青春18きっぷに合わせるとすると、1回分=1日or1人、つまり一度に2回分使えば、
2人を同時に相手にする、というようなことも……!?


「じゃこれ、こなた相手に一度に全部使うわね。5人分として」
「え…、えと、それは……」
「私とつかさと、みゆきと、あとゆたかちゃんと田村さん。これで5人。いいでしょ?」
「さあ泉さん、観念してくださいだばだば」

 一回分の有効期限は、日付が変わるまで(0時になった時に行為の最中である場合は、
その行為の終了まで)。そして現在時刻、夜中の 0時20分。つまり…

(まる1日、この5人の相手をすることになるのか……)
508名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 11:01:44 ID:GxJDNyUs
ttp://www.kadokawa.co.jp/bunko/bk_detail.php?pcd=200710000048

[ 著者 ]
竹井10日
原作:美水かがみ イラスト:美水かがみ

[ 内容 ]
学園祭を巡ってななこ先生がオンラインRPGの対戦ゲームをけしかける。
挑むのはこなた=シーフ、かがみ=巫女、つかさ=巫女、みゆきさん=魔法使いって
全員、後衛!? 竹井10日が贈る小説版『らき☆すた』2弾


はてさて、今回はどうなることやら。
509名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 11:23:44 ID:eCXYR7Wg
パティってあんなに可愛かったっけ
510名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 12:58:31 ID:3U/FBL/e
>>507
「そ・・・そんな・・・ゆたか・・・私と一緒に・・・泉先輩を・・・」
「わわわわわそんな涙目で怒られるとなお怖いっす!!
 私ぬけるッス!私見てるだけでももう最高ッスから!
 ささささドゾドゾ!!!」

「というわけで」
「というわけでうにょーん」
「というわけでだばだば」
「というわけでクスクス」
「・・・というわけで・・・」

「あ・・・あのぉ・・・私これでも生身の体だからネ・・・・
 一度に5人は流石に体持たないから・・・正直鏡でもう限界だしネ(///
 だから・・・その・・・こなつーあとはまかせたっ!」

「え・・・姉さん?え?何何?どうしたのそんなダッシュで
 ああもうあんな米粒だぁよ・・・ってみんなどうしたの!?
 いやああああだから姉さんこういう役私に振るのやめtアッーーー!!」
511名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 13:13:45 ID:c8cLrEWL
こな・かが・つかの通学ルートって
糟日部駅前で落ち合う→路線バスで学園前へ
で合ってたっけ
512名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 15:21:27 ID:wfQ/rlVP
おk
51326-485:2008/01/27(日) 15:52:20 ID:xI2YaW5M
誰も投下されないようでしたら投下します

・「優しすぎて痛い」の続編
・みなみ→ゆたか
・みなみ視点
・4レス拝借
・シリアス

数分後程度にいきます
514もどかしすぎて辛い(1/4):2008/01/27(日) 15:55:22 ID:xI2YaW5M
 ゆたかの身体は驚くほど華奢だった。
 抱き締めたら壊れてしまいそうで。
 何よりとても温かかった。





 もどかしすぎて辛い





「ゆたか……」
 静かに目を閉じている少女の名前を、応答が返ってこないと分かっていても呼ぶ。
 壁には健康や医療にまつわる様々なポスター、ストーブで温められた室内には数々の器具や戸棚。
 中学生の頃は世話になる事がほぼなかった保健室だが、付き添う形でだが高校に入って随分と通うようになった。
 窓際に設置されたベッドに横たわるゆたかと、傍でパイプ椅子に腰掛けている私。
 先生は今重要な会議中らしく、私達が保健室に来るなり急いでいると出て行ってしまった。ベッドは貸してくれたので、先生が戻ってくるまで私がゆたかの様態を見る事にした。
 時刻は二時限目に差し掛かろうとしている。確か連続で体育の授業が入っていたはずだ。
 まだ皆は運動しているのだろうか。窓に目線を向けると、晴れ渡った外の景色が飛び込んできた。
 日は照ってはいるものの、気温は冬のそれ。暖房の効いた室内から見る限りは日中の気候のようなのだが、少し前まで私もそこで身にしみる寒風を受けていたから分かる。
 部屋にはゆたかの規則正しい寝息だけが響いている。
 薄らと汗ばんで前髪が張りついている額に、自分の手を当てて体温を確認する。正確な数値は分からないが、かなりの高熱だという事は伝わった。
 少しうなされているような寝顔、呼吸の度に僅かに揺れる身体が、ゆたかの状態の悪化を物語っている。
 胸に尖ったものが突き刺さる。
 目の前で大切な人が苦しんでいるのに、私は何もしてやれない。
 自分の無力さを思い知る。
「ゆたか……」
 呼び掛けても何の解決にもならないし、当然返事もない。
 話したい事は、伝えたい事は、いっぱいあるのに。
 真っ直ぐにゆたかを見つめる。
 聞こえるはずないけど、心の中で語り掛ける。
 ―――ねぇ、ゆたか。
 私はあなたから、色々な事を教わった。
 人の心を和ませる、笑顔の大切さ。
 何もしなくても、一緒にいる事の意味。
 人付き合いが苦手だった私に、恋をするという事。
 あなたのおかげで、色々な事が変わった。
 読書でしか過ごせなかった休み時間も、会話の花が咲くようになった。
 一人で帰っていた帰路も、多人数になるようになった。
 あまり使う事がなかった電話も、結構な頻度で私宛に掛かってくるようになった。
 全ては、あなたのおかげ。
 でも、私はどうなのだろう。
 ゆたか、あなたは今現に私の前でこんなにも苦しんでいる。
 それなのに、私は一人勝手に思いを連ねて自己満足して。
 伝える勇気もないくせに、ただ気持ちを増幅させて。
 言いたい事も言えずに、迷惑や心配ばかり掛けて。
 私はあなたに……何をしてあげられている?
515もどかしすぎて辛い(2/4):2008/01/27(日) 15:55:53 ID:xI2YaW5M
「ん……」
「!」
 不意に聞こえたゆたかの声に、私は慌てて目尻を拭う。少し涙腺が緩んでいたが、幸いにも濡れていた形跡はなかった。
「……みなみちゃん」
 完全に開ききっていない目のままゆたかが私を呼ぶ。
「ゆたか……大丈夫?」
 彷徨うように心の中で渦巻いていた考えを忘却の地へと追いやって、私は聞いた。
「うん……大分楽にはなった」
 力なく笑うゆたかがとても健気で、私はどうしようもない心の躍動を覚えてしまう。
 こんな状況でも、いや、こんな状況だからこそだろうか、ゆたかを愛しく思ってしまう。
 私を見据えて純粋な瞳で逃がさないゆたかを見ていると、自分の気持ちを打ち明けたくなってしまう。
 こんなにも、ゆたかが可愛い。
「そう……」
 だがそれを伝えて何になるのだろうか。
 今の私では、想いを伝えるのではなく押しつけてしまいそうだった。
 私がゆたかから貰った大切なものを全てなくしてしまいそうだった。
 ゆたかはまるで小さな子供のように、私に触れてくる。
 普通の友達同士が軽くスキンシップを楽しむ感じで。
 それなのに、私の胸はいちいち高鳴ってしまう。
 ゆたかを意識してしまう。
 それが紛れもない私が片想いをしているという証拠。
 ゆたかは私の事を友達としか見ていないのだ。
「みなみちゃん……どうかしたの?」
 ゆたかの目に心配の色が混じる。
「さっきから悲しそうにしてるけど……何かあった?」
 負の連鎖に巻き込まれていたからだろう、私は相当落ち込んだ顔をしていたらしい。
「いや……何でもない」
 私はふるふると首を左右に振った。
 病人に気を遣わせるなんて、私は何をやっているのだろうか。
 私がゆたかに何かしてあげるべきじゃないのか。
「みなみちゃん……ごめんね」
 すると、ゆたかが急に謝った。
「私、迷惑掛けてるよね」
 そう呟いて俯いてしまうゆたか。
 私は否定しようとしたけど、微かに涙を浮かべ目を伏せるゆたかに何も言えなかった。
 違う。
 そんな事ない。
 それはゆたかの誤解。
 心の中なら幾らでも言葉が浮かぶのに、そのどれもが喉を通過するのを拒否する。
 ゆたかは何も悪くないのに。
 何も謝る必要はないのに。
 迷惑を掛けているのは私の方なのに。
「迷惑なんかじゃ……ない」
 やっとの事で絞り出せた、蚊の鳴くような声。
 だが届かなかったのか、ゆたかは表情一つ変えずに私と目線を合わせなかった。
 慣れているはずの静けさが、今はこの上なく辛い。
 沈黙が、痛い。
 暫く時間が経った後、授業の終了を知らせるチャイムが校内に響いた。
「みなみちゃん、私は大丈夫だからもう行って良いよ」
 ゆたかが私の方を向いて言った。
「私の所為でみなみちゃんが授業を受けられないのは嫌だから」
 ゆたかの目には確固たる決意のようなものが秘められているような気がした。
「……分かった」
 ここで嫌だと首を振ってもゆたかを困らせるだけだ。
 私はゆっくりと立ち上がり出口へと一歩ずつ進んでいく。
「またね、みなみちゃん」
 扉に手を掛けたところで、私の背中にゆたかの声が掛かった。
「……じゃあね、ゆたか」
516もどかしすぎて辛い(3/4):2008/01/27(日) 15:56:23 ID:xI2YaW5M
 保健室の温度と廊下の温度とではかなりの差があった。今まで暖かい場所にいたから余計に寒く感じる。
 けれど、不思議と急ぐ気にはなれなかった。
 教室も同じぐらいの気温だから、とかではない。
 振り返る。
 私が先程閉めたばかりの保健室へと続くドアが見えた。
 あの中で、ゆたかは何をしているのだろうか。
 何を考えているのだろうか。
「あれ、みなみちゃん?」
 ゆたかではない、けれど聞き慣れた声が私を呼んでいる。
 その声の発信源に向き直ると、田村さんが立っていた。
「ゆーちゃんは?」
 どうやらゆたかの様態を心配して、長くない休み時間を使って見に来たらしい。
「大分良くなったみたい。もう大丈夫だって」
「そうなんだ」
 簡潔にゆたかの状態を伝えると、田村さんは数度頷いた。
「まぁもう授業始まるし、みなみちゃんが言ってるんだから平気だよね」
 最後に私達も戻ろっかと付け足して、踵を返す田村さん。
 ―――私が言うから、か……
 私はゆたかの良き理解者のような目で見られているのだろうか。
 ゆたかの気持ちも考えられなくて、色々と不要な心配をさせた私が。
 私はゆたかの大切な事は、何一つ分かっていないというのに。
 そんな事を考えながら、手を擦り合わせながら前方を歩く田村さんの背中を追いかける。
「それにしても……」
 田村さんが顔を斜め上に向けて呟くように言った。
「何でゆーちゃんあんなに無理したんだろう」
 体育の授業の事を言っているのだろう。私も気になっていた事だ。
「いつもは体調が悪かったらすぐに言うのにね」
「そう、だよね……」
 相槌を打つと、田村さんは腕を組み考え込んでしまった。
 私もゆたかを見ている時から考えてはいたが、答えは出てこないままだった。
 どうしてゆたかは自身の不調を隠してまで走ろうと考えたのだろうか。
「あのさ……」
 私が思考の螺旋に嵌っていると、田村さんが真剣な表情で私を見ずに尋ねてきた。
「今日のゆーちゃん、何だか辛そうじゃなかった?」
「!」
 田村さんがもう一つの気に掛かっていた事を指摘して、私の方を向く。
「それは、体育をする前の事……?」
「うん」
 一応確認の為問うてみたが、田村さんはあっさりと肯定した。
 そう、私も不審に思っていた。
 ゆたかは何処となく身体の調子が悪いような気はしていたのだ。
 私だけじゃなくて田村さんも気づいていたのだから、見間違いなどでは決してないだろう。
 だがゆたかは大丈夫だと言った。
 だから私はその言葉を信じて、頭に浮かんだ疑惑をいつの間にか消し去っていた。
「私も……同じように感じた」
「だよね……謎は深まるばかりね」
 今の言葉で思い知らされた。
 いかに私が、上辺だけの感情しか持ち合わせていなかったを。
517もどかしすぎて辛い(4/4):2008/01/27(日) 15:56:54 ID:xI2YaW5M
 私は一人自分の世界で思い悩んでいた。
 ゆたかが私に具合が優れない事を言わなかった理由ではない。
 私がゆたかに何をしてあげられるかという事でもない。
 どうして私は、物言いがはっきりしないのだろうか。
 人見知りが激しく、言いたい事を言えない正確だという事は重々承知している。
 変える事は難しいだろうし、今まで特に粗相もなかったから良いと思っていた。
 でも今日、その性分の所為でゆたかを苦しめてしまった。
 ゆたかがだるそうにしていたのは何となくだけど分かっていた。
 それは他の人の目から見ても理解出来るほど表れていた。
 その時私は、保健委員は、ゆたかの親友は何をやっていたのだろうか。
 気分が悪い生徒の面倒を見るのが、私に与えられた役割ではないのか。
 その事が、私に出来る確実にゆたかのためになる事じゃなかったのか。
 ゆたかが私に体調を偽った理由なんてどうでも良い。
 あの時―――私がゆたかの状態に少しでも異変を感じた時。
 ちょっと強引になってもゆたかを問い質して、保健室まで連れて行っていたら―――
 私が自分の意見をもっとはっきり言えていたら―――
 ゆたかがあんなに苦しむ事はなかったのに。
 ベッドで汗ばみ顔を火照らせるゆたかの姿が脳裏に浮かぶ。
 私の行動力の欠如が、ゆたかを無駄に労させているのだ。
 言いたい事どころか、言うべき事すら言葉に出来なかったのだ。
 ゆたかは、こんな私にいつも優しく微笑んでくれた、掛け替えのない親友。
 なら何で、私は親友を気遣ってやれなかった?
 何故、何もしてやれなかった?
「…………」
 何を一人浮かれて想いを募らせていたのだろうか。
 こんな事ではたとえ想いが通じ合ったとしても、上手くやっていけるわけがない。
 女同士の恋愛なんて、修羅の道になるに決まっている。
 今以上に、ゆたかに苦痛を覚えさせる結果となってしまう。
 ただでさえ辛い思いをさせているのに。
 そして、私は悟った。
 ゆたかは私に大切なものをくれた。
 それはゆたかにしか出来ない事。
 けど、今まで私がゆたかの為に頑張ってきた事は、誰にでも出来る事。
 保健委員は、私じゃなくても良いんだ。
 内気な私なんかより、もっと優しくて気の利いた適任者がいるはずだ。
「みなみちゃん!みなみちゃーん!」
 肩を数回叩かれて、私はやっとの事で現実世界へと意識を戻せた。
 顔を上げると、田村さんが立っていた。
「ゆーちゃん早退するって。それで荷物を持ってきて欲しいって事なんだけど……」
 ―――ほら、やっぱりそうだ。
 私がいなくても、田村さんやパトリシアさん、それに私の知らないゆたかの友人。
 沢山の人々が、ゆたかを心配している。
 私がいなくとも、ゆたかは大丈夫なんだ。
「みなみちゃん……大丈夫?」
 私という存在が、人格が、ゆたかを苦しめるものでしかないのなら―――
 お互いに辛さを感じるぐらいなら―――
 いつか想いが溢れてゆたかを困らせてしまうぐらいなら―――
「ごめん。これから用事があって……田村さん、代わりに行ってくれない、かな」
 私はゆたかからの離別を選ぶ。
 私の身体に満ちるこの感情も、初めからなかったかのように扱う。
 私よりも明るく気配り上手な人に、ゆたかを幸せにしてくれるよう願う。
「え?う、うん、良いよ」
 寂しくないと言えば嘘になるけれど、ゆたかが傷つくぐらいなら―――
 私は喜んで惜別を受け入れる。
 それが私に出来る、一番のゆたかの為になる事なら―――
 私は喜んで己の身に刺を突き入れる。
 ゆたかの荷物を持って教室を出て行く田村さんの後姿を、保健委員は静かに見送った。
51826-485:2008/01/27(日) 15:59:49 ID:xI2YaW5M
以上です
俺はみなみもゆたかも儚げというか何というか
自分の中で色々と抱え込んでしまうようなイメージがありますね
それですれ違いが起こるっていうのかな
つか終わり方どうしよう……
Happy EndにするかBad Endにするか……
ゆたか視点に続きます
519名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 17:02:01 ID:71pY5AEk
ぐじょーぶ
読んでる方ももどかしいぜ
520名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 17:04:05 ID:6Ha1jGyb
>>518
GJ!ゆたか視点待ってます!!
521名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 17:08:41 ID:GG9K/pnp
>>510
こなつーです……
最近なんか、『不遇キャラ』のポジションが定着しつつある気がするとです……
こなつーです……
こなつーです……

>>518
おや、こちらもなんだか不遇な香りが。
あまり思い悩まなくても、ありのままの自分でいいんだよ、岩崎さん。
522名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 17:18:21 ID:7i9uQNF8
>>518
GJ

なにエンドが決まらない?じゃあこんなの
っ Elope (ぉぃ





ってか分岐して両方書いてしまえばインジャネ?
523名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 18:32:29 ID:c8cLrEWL
>>518
コレは確かにもどかしすぎて辛い
実は両想いだってわかってる読者としては、実にやきもきさせられますな
GJ

>>512
thx
524名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 18:36:01 ID:mgtyfN+I
>>518
もどかしい…もどかしすぎるZE☆
続編wktk。


>>522
全オレが肯定した。
525名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 18:50:24 ID:xcgs1vDO
>>518
想いあうがゆえにすれ違う、切ないなあ。ぐっじょぶ。


あと522、それはこなゆた以上に悲劇的になりそうだからやめれ(汗
526名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 19:22:14 ID:RP5Bk5Nj
>518
GJなのです。

繊細な描写によって、みなみの辛さが痛いほどに伝わってきます。
ふたりの想いがすれ違ったままなのか、それとも共有できるのか
続きを楽しみに待っています。
527名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 19:58:51 ID:jsq3RKHP
>>518
みなみちゃん、がんばれ〜
おもわず応援したくなるな
心理描写が抜群ですGJ
で、>>517
>言いたい事を言えない正確
性格ですね
続きを楽しみに待ってます
528妄想屋(仮名) ◆JUqojnT5.c :2008/01/27(日) 21:29:47 ID:yEimGDNE
>>490

こなつー
「……うっひゃー、やーっと追いついたよーーーっ!!」
かがみ
「!! ちょ、おまっ、今時速100キロ……えぇぇぇぇぇっ!?」

つ【ttp://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0016.jpg
(BGM:もってけ!セーラーふく【メタボ対策MIX】)



せつなさブレイカースマソ
てか、結局桜藤祭いまだ手つかず……orz
529名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 21:44:17 ID:eCXYR7Wg
ゲームネタで一番最初にSS投下をするのは果たして誰かな
530名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 21:46:59 ID:ywPsxufe
自分だ!
それは嘘ですけどまだネタも浮かんでないし…

その前にさっさとおととい投下予定だったSS完成させなきゃな……
531名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 21:58:54 ID:pF/JtJmx
>>528
www
速っw
532名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 22:13:39 ID:weZkS03S
質問なんですが、白石の利き手って右ですよね?
533名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 22:14:11 ID:ZecsYfi/
>>528
本家キタ━(゚∀゚)━!!
追いついたって事は150km/hくらいは出てるわけですねw
534名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 22:19:03 ID:7A2jqKIM
ゲームネタはまだ早いんじゃ?
こなかがスレでもまだ自重しようとかって話になってたよ
ネタバレとか嫌いな人いるだろうし
535名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 22:42:18 ID:vWGUWVH8
ゲームネタっていうと・・・
新約いずみけ「いずみけメモリアル」とか?
536名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 22:45:25 ID:3U/FBL/e
>>528
「さすがは高機動力ロボット、これくらいはお茶の子さいさいですか(=ω=.)」
「うっわー凄いッス!さすが泉先輩のレプリカントだけあって
 ハイパースペックなうえ萌えるッスね!!」
「…VA(なぜかこなつーが目立つときは背景と化すみさお)」
「期せずしてこのような所で機能テストが出来るとは僥倖ですねだばだば」
「うんうん、とにもかくにも、ぐじょお!(=ω=.)b」

こうして、一行を乗せた電車とこなつーは、一路名古屋へ・・・
537名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 22:51:36 ID:E+JXsg8e
>>533
いや、相手(電車組)は途中停車駅や乗換えがあるから、
ノンストップで追えば120km/hくらいでも追いつけるのではないかとw


じゅうぶん速いけどなw
538名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 23:06:25 ID:xcgs1vDO
>>533 >>537
どうせならもう一声、と横から言ってみる。

「不思議……はじめて知る世界なのに、もう何百回とこれをやってたような気がする…・…
 すごい衝撃……! これが、音速の壁……!! その向こう側にあるのが…………超音速!!」


……ごめん。「列車と併走する」と聞いて、ついうっかり。
539名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 23:23:36 ID:KNahJx4G
>>532
確か右です。
本人が右でご飯食べてました。
540名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 23:39:51 ID:mgtyfN+I
え?
らき☆すた〜桜藤祭〜って、全員がこな☆フェチになってこなたにあんなことやこんなことするゲームじゃないのwww?
541名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 23:45:23 ID:Q74AUZqP
>>540
俺が買ったのはそうだったけど違うのもあるらしい
542名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 23:49:57 ID:3U/FBL/e
かが☆フェチバージョンもあれば、みゆ☆フェチバージョンも有ると聞いたが?
543名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 23:55:50 ID:EHRXcNzi
ひよりが主人公で百合カップルを
くっつけまくるっていうゲームでしょ。

……昔、このスレで出したネタだけど。
544名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 23:59:28 ID:3U/FBL/e
>>543
接点がなくて、つうより他の接点のほうが強力で
難易度が高い組み合わせって何だっけw
545名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 00:00:23 ID:g4b1GsI4
>>543
予約しそこねた
546名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 00:01:51 ID:h2VljjZI
>>543
そいつをよこせ、おれはかみになるんだ!
547名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 00:12:05 ID:Yda9BgWH
>>532
最終回でも右手でマイク持ってたね
548名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 00:13:47 ID:LnOwLl53
>>554
こなた×みなみ
かがみ×ゆたか
つかさ×ひかげ
みゆき×ひより
549名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 00:14:52 ID:sMWA3X1r
>>554に期待
550名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 00:21:27 ID:g4b1GsI4
>>549
IDがSM、WAWAWA(WA×3)に見えたのはオレだけでいい。
551名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 00:26:26 ID:I7R+x3qy
>>548
かがみ×ゆたかはぶーわ氏の0から始めで期待してたのに欝展開になってしまった・・・
かがみがゆたかに悪戯してみなみと一緒にアハーンとか期待してたのにな
誰か代わりに、かがゆたを!
552名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 00:45:00 ID:eZZ1Jlj1
>>551
っ 言い出しっぺの法則
てなわけで全裸待機!!
553名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 00:56:16 ID:I7R+x3qy
感覚リンクに性的興奮を覚えるのは、俺だけだろうか
554名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 00:56:42 ID:nZ1f4Z4Z
こなた×みなみ
「みなみちゃんってゆーちゃんのこと好きなんだよね?」
「そんな、私は……」
「隠さなくてもいいって。バレバレなんだから。素直に認めるんならいいこと教えるんだけどなぁ」
「いいこと?」
「ゆーちゃんの感じるところ」
「なっ……先輩、いきなりそんなところを……んっ……」
「ゆーちゃんはここが弱いんだよ。ちゃんと覚えて感じさせてあげてね」
「やめてください、ゆたか以外にされるなんて……」

かがみ×ゆたか
「ぶっちゃけこなたってどう? ちゃんとお姉さんやってる?」
「大丈夫ですよ。ときどき変なこと言うけど、いつも優しくしてくれます。いろいろ教えてもらってますし」
「いろいろ?」
「はい。女の子同士のえっちのやりかたとか」
「な、なに教えてのよあいつは!」
「かがみ先輩との実戦で鍛えたって言ってました。先輩も教えてくれませんか?」
「ちょっと、自分の言ってること分かってるの?」
「今頃お姉ちゃんもみなみちゃんに教えてるはずです。先輩にもしてもらわないと不公平です」
「そ、その上目遣いやめなさいよ……そんな目で見られたら……」

つかさ×ひかげ
「うちビンボーだから美味しいもの食べさせてもらえないんだ」
「そうなんだ……私、料理が得意だから食べさせてあげてもいいよ」
「そんな、タダで食べさせてもらうなんて」
「タダじゃダメっていうんなら、私も食べさせてもらいたいな」
「食べさせるって何をですか?」
「ひかげちゃんを」
「私をって、どういう、な、なんで服を」
「まずはここのサクランボを食べちゃうよ」
「食べるって、やっ、なにこの感じ……」

みゆき×ひより
「田村さん、この本はどういうことでしょう? 私にはみなみさんと小早川さんに見えるのですが」
「いや、そのですね……」
「私はみなみさんを妹のように思ってきたのです。このようなことは許せませんね」
「す……すいません! つい出来心で!」
「みなみさんと小早川さんが恋人になるなんて。なぜ相手が私ではないのですか?」
「へ?」
「私の淫らな姿が想像できないというのなら、お見せしましょう。田村さんを相手に」
「ちょ、ちょっと待ってくださいっス! 私はそっちの趣味は」
「ならば尚更ですね。経験してみればいい作品を描けますよ」
(む、胸がでかいっス……目を逸らせないっス……)
555名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 01:04:58 ID:+UEsui52
>>554
あえて言おう!

ネ申降臨!
556名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 01:06:21 ID:bZoRtw09
律儀だね、>554もA型に見えてきた
557名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 01:06:35 ID:yL8NBghz
やっと追いついたww

最近、スレの速さ異常wwwwwwwww
558名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 01:06:57 ID:Q/V7QBiP
>>554
GJだ!
もうGJしかないっ!
559名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 01:09:14 ID:yL8NBghz
>>554
二重スマソ

つかさ×ひかげは新しかったわw
560名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 01:18:32 ID:U35vj3/L
>>554
なんつー神
というか>>553との時間差がw
561名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 01:28:17 ID:jOlHKUrr
百合ゲームかあ、他難易度高そうなのをチョイスしてみたw
みさお×みなみ
ゆたか×あやの
つかさ×ひより
みゆき×こう




「Oh No!ひよりん!私のカップリングが1つもないのは
 どういうことデスカ!私に何か恨みでもあるデスカ;;;;」
562名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 02:01:11 ID:4Jb3LC4A
こうちゃん先輩絡みは結構難しそう…
逆にこなたって実は登場キャラの中で一番交友関係広い(知り合いが多い)から、
誰とでもいけるっていえばいけるんだよね。
いつだったか(確かかなり前に)こなた総受けのSSもあったし、
こな☆フェチだってこなたの交友関係のなせる業(?)なわけですし。

「だからってダンボール生活はこりごりだヨ……;(ガクブル)」
563名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 02:16:06 ID:Fjqo37+4
パティとひよりで頑張って妄想膨らませても
友情やコメディ以上の百合が見い出せない悲しみ
564名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 02:22:18 ID:bkfM5St5
>>562
理解ある仲間(類友ともいう)に恵まれたというのもあるけど、
天賦の才が開花したというか……

中学時代が微妙だった(っぽい)ところから見て、その頃にいろいろと学んだのかもしれないな。

>>563
BL同士だからなぁ……百合にはなりにくいのもいたしかたないのかもしれない。
565双子の兄:2008/01/28(月) 02:27:53 ID:FQJ+BRGS
 話の腰を折るようで申し訳ないですが、SS投下させてもらってもよろしいでしょうか。
566双子の兄:2008/01/28(月) 02:33:44 ID:FQJ+BRGS
『報われない恋』

・かがみ→←つかさ
・非エロ
・シリアス
567報われない恋:2008/01/28(月) 02:39:45 ID:FQJ+BRGS
 移り行く季節は時を感じさせるには充分な変化を見せてくれる。色んな季節を見る度に、私の望みは霞み、想いは大きくなり続けていた。何処で間違えたのだろう。そんな反比例な私の心は、私には辛すぎた。




     一線を踏み越えて




 最初の変化に気付いたのは高校三年になったばかりの春の事だった。淡い
桃色の花を満開に咲かせる桜の木の下で私達は向かい合って微笑み合う。「
桜、綺麗だね」、そんな取り留めのない会話を肴にこれから迎える高校生活最
後の年に思いを馳せた。
 一枚、桜の花弁が舞う度にこれまで過ごして来た思い出が走馬灯のように頭
の中を過ぎ去って、少し切なくなるけれど、これからまだまだ沢山の良い思い出
が出来て行くのだろう、と楽しみにもなった。まだ少しだけ肌に痛い風は、春と言
う季節を裏切らずに爽やかな空気を運んで行って、受験と言う最大の不安も今
だけは何処か遠い彼方へと吹き飛ばしてくれた。
「お姉ちゃん」
 不意に、桜に眼を奪われていた私に掛かる、嬉しそうな、何処か物哀しそうな、
そんな声。上に向けていた視線をすぐ隣へと移動すると、そこには私の実の妹
であるつかさが微笑を称えながら私の眼を見つめていた。紫苑の、キラキラと
輝くその眼に、私も釘付けとなる。毎日見ているはずなのに、今は春だからか
不思議な魔法にでも掛かってしまったのだろうか。
「どうしたの?」
 暫く、滑稽な話ではあるけれど二人で見つめ合って、私は尋ねる。周りには
誰も居ない。満開の桜の木の下、私とつかさの二人きり。吹きすさぶ桜の花弁
は優雅に私達の間を通り抜け、青一色の天へと舞い上がる。見上げてみれば
、蒼いキャンバスの中には描かれるようにして桜の花弁が映っていた。
568報われない恋:2008/01/28(月) 02:41:18 ID:FQJ+BRGS
「私達、ずっと一緒だよね」
 先ほどと同じ、おっとりとした微笑はそのままに、けれど先ほどよりも真剣な眼差しで。
つかさは私の眼を一直線に射抜いてきた。普段とは違う、真面目そうなつかさに多少驚
いて、けれども尋ねられた質問の答えは当然のように一つしかなく。私はつかさと同じよ
うに真剣な眼差しで視線を返す。
 一際強い春風が私達の間を通り過ぎて、私は一回深呼吸すると、乱れてしまった髪の
毛を片手で抑え付けてから言葉を紡ぐ。それは確かな拒絶であったのかもしれない。け
れど、教えてあげないといけないと思った。ずっと一緒にはいられない、これから先、私
達の人生の分岐点は無限に増え続けるのだ。これまでみたいにずっと一緒には居られ
ない。
「無理、よ。つかさにはつかさの人生があって、私には私の人生がある。ずっと一緒なん
て、きっと無理」
 そうだ。
 私の言った事は正しい事であるはずなのだ。これまではたまたま人生という列車が走る
線路が同じ方向に進んで来たからこそ一緒に居られた。スタート地点でさえ同じ場所、同
じ時、であったのだからそれはある種の必然と言えるのかもしれない。
 けれど、それは必然に見えるだけの偶然に他ならなくて、実際には色んな可能性が結
びついて結果的に同じ道を歩んで来ただけだ。これからは違う。私達には多くの選択肢
が突き付けられ、そして私達という人間が確立しているからこそ同じ道を歩むだなんてロ
マンチストな事は不可能だ。
 だから、言った。後悔はしていない。間違ったとも思っていない。つかさの為を思うなら
、そして何より私が私として前に進むためには、言った方が良い。言葉にしなくては伝わ
らない、それは私の覚悟の一つの表れだったのかも知れなかった。
「そっか……そうだよね」
 つかさは数度そう呟いて、足元に散らばる桜の花弁を少しだけ見つめて、自嘲するよう
な笑みを零した後で、勢い良く顔を上げた。一点の曇りも無い、つかさらしい無邪気な笑
顔。それも、或いは――覚悟、だったのかもしれない。「桜、綺麗だね」、再びそう漏らし
たつかさの声はとても明るくて、向けられた笑顔は眩しいほどに綺麗に見えて。
 私は心臓が一瞬跳ねた気がした。ドクン、と大きく脈打って、それはまるで“気付け”と
私を責める声のように。「そうね」返すと同時に強い風が私達の間を通り抜ける。爽やか
な陽気を纏った風は、桜の花弁と一緒に私の大切な想いを盗って、隠してしまった――。
569報われない恋:2008/01/28(月) 02:43:05 ID:FQJ+BRGS
 夏、全てを曝け出そうとしているかのように照り付けるお天道様の光がアスファルトを焦
がし、熱した鉄板のような熱気が気温を容赦なく上げていた。薄手のノースリーブの襟元
をパタパタと団扇の代わりにしながら、私は目の前に散らばる課題のノートを見て、嘆息
した。
 夏休みに入って、私は適度に遊び、予定通りに課題をこなし、そろそろ中盤に差し掛か
った長い休日の一時の中で机に向かわなければならない事に憂鬱な気分にさせられて
いた。すぐに課題をやる気にはならず、私は椅子を引いてそこに座り、頬杖をついて窓の
外を見遣る。
 遠くの空で、白く大きい入道雲が影を降ろしている。ゆっくりと流れる雲に感化させられ
たのか、私まで時の進みが遅く感じられる。それに合わせて降りかかる蝉時雨に耳を澄
ましてみれば、子供の頃に感じた懐かしい思い出が波となって私に押し寄せて来た。



 小学五年生の頃、つかさが中々家に帰って来なくなった日があった。昼間に家を出て、
友達と遊びに行って来る、と言って家を出たつかさを見送ったのは私で、その時私は、私
を置いてつかさが一人で誰かと遊びに行くのが面白くなくて、素気なくつかさを送り出した。
 それから太陽が夕陽の淡い赤を迸らせる時間になってもつかさは帰って来なかった。何
時もは暗くなる前には必ず帰って来るつかさがこの時間に帰って来ないのはかなり意外

事で、それでももう少ししたら何事も無かったかのように帰って来るのだろう、と家族全員
がそう思っていた。
 けれど、予想に反してつかさは日が完全に地平線に沈んでも帰って来る気配を見せな
かった。流石に心配になった両親とお姉ちゃん達はそわそわしていて、後五分して帰って
来なかったら警察を呼ぼう、と話していた事も覚えている。切欠は、一つだった。
 警察、という単語が出て、誰よりもつかさを心配していた私は居ても立ってもいられなく
なった。気付いた時には蒸し暑い外へと飛び出して、街灯だけが提供してくれる頼りない
光を道標に走り出していた。後ろから聞こえていた制止の声も、まるで届いていなかった。
 走り続けた。行く先も分からないのに不安だけを胸に抱えて、一心不乱につかさの名前
を叫びながら走り続けた。途中、小石に躓いて膝を擦り剥いても、何処からか聞こえて来
る犬の遠吠えに怯えても、すぐに私の声がつかさに届くと信じて叫び、走った。
 どれぐらいの間駆けずり回ったのか、見当も付かなくなった時、私はある川の土手に座
り込んだ。漆黒の闇に包まれた川辺からは不気味なせせらぎの音が永続的に流れてい
て、まだまだ幼かった私は怖くて仕方がなかった。
 幾ら探してもつかさが見つからない。幾ら叫んでもつかさの声が返って来ない。自分が
やっているのは不毛なことなのだろうか、つかさはもしかして無事ではないのだろうか、そ
う思う度に涙が頬を伝った。何であんなに冷たくつかさを送り出したのだろう、と悔恨の念
に心が押し潰されそうになっていた。そんな時、川のせせらぎに混じって聞こえた音があった。
 何かを探しているのか、土手に茂る草を掻き分けているような、そんな音。それに混じっ
て、無いなー、と言う呟きが。私が聞きたくて仕方がなかった優しい声が、確かに川のせ
せらぎと一緒に聞こえた。
 私は叫んだ。そこに居るのがつかさだと、信じて叫んだ。夜の闇に負けないように、私の
声を遮る川のせせらぎを超えられるように、全力で叫んだ。不意に、土手の上に一台の自
動車が止まって、その車のライトのお陰で暗闇に包まれた川辺の土手は明るく照らし出
されて、込み上げて来る涙を必死に抑え付けながら私はあちこちに首を振ってつかさを探
した。
570報われない恋:2008/01/28(月) 02:44:39 ID:FQJ+BRGS
「お姉ちゃん……?」
 私の不安を全て杞憂に終わらせてくれるような能天気な声は、意外にも私のすぐ下の
方から聞こえた。草のクッションに膝を付いて、着ている服を泥で汚して、キョトンと私を
見るつかさがすぐ近くに居た。
 私は声も出す事が出来ず、込み上げて来る涙に耐える事も出来ず、それらを抑え付け
るようにしてつかさの体を強く抱き締めた。え、え、と何が起こっているのか分からない様
子のつかさを無視して、私は嗚咽と一緒につかさの名前を呼び続けた。存在の証明が欲
しくて、ただ一心に。
 どうやら、土手の上に車を止めたのは警察だったらしい。私達の事を保護した旨を、報
告しているのが聞こえた。私は自分が落ち着くと、漸くつかさを腕の中から解放して、涙
のフィルターが掛かった視界でつかさを見つめた。ちょっと怒気を示して、ちょっと嬉しさ
を滲ませて。
「あ、お姉ちゃんの為にこれ作ってたんだよ。はい、プレゼント」
 それなのにつかさはお気楽な声音で手に持った何かを私に差し出して、嬉しそうに微笑
んだ。自分がやった事がどれだけ私に心配を掛けたか、まだ分かっていない様子のつか
さに説教をしてやろうとも思ったけれど、当時私はまだまだ幼くて、おまけに心配ばかりか
ける妹から離れられなくて、だから手渡された物を見て自然と顔が綻んでしまうのも必然
で。
 見れば、それは何処にでもあるような花を集めて作られた花輪が私の手の中にあった
。形は歪だし、一目見て不器用なつかさが作ってくれた物なんだな、と分かってしまう物。
決して綺麗とは言える代物ではなかったけれど、子供心につかさが話した理由は嬉しす
ぎた。
「お姉ちゃん、今日は元気無さそうだったから……元気になってくれるかな、って思って。
ちょっと失敗しちゃったけど」
 エヘヘ、と恥ずかしそうに笑うつかさを見て、私はもう一度つかさの体を思い切り抱き締
めた。暖かい温もりと、つかさの香りを私は一番近くで受け止めた。人目なんか気にしな
い、ずっと一緒だと思って疑わなかった、幼い頃の思い出――。



 一人、感傷に浸っていると、遥か遠い位置にあると思っていた入道雲は少しだけこちら
に近付いていて、真正面に見る事が出来る夕陽の光に当てられて真っ白な色を赤く染
めていた。ゆっくりと流れる時に合わせて鳴いていた蝉達の合唱は徐々に沈静化を始め
ている。
 ふと、視線を机の上に落してみれば、そこには手の付けられていない白紙の課題。そ
ういえば何もやっていなかった、何時もなら此処で自己嫌悪する私だけど、久し振りに思
い出した懐かしい思い出の所為で辿り着いた結果ならば、後悔なんてするはずもない。
 そろそろ蚊が入ってくる時間かな、と私は網戸を閉める。それが終わると同時に私の部
屋の扉が開けられた。振り返らなくても誰かなんてすぐに分かる。やがて、その人物は声
を出した。
「宿題で分からない所があって……」
 控え目に尋ねているから、きっと私の勉強を邪魔していないかどうか怯えているのだろ
う。つかさは優しいから、何を考えているのかなんて手に取るように分かった。
「数学?」
 私は振り返らない。確認する為に、質問する。
 つかさは私の機嫌が悪いとでも思ったのか、躊躇いがちにうん、と言った。それを聞い
て、私は椅子を回してつかさの方に向き直る。手には未だ手つかずの数学の課題を持っ
て。
「私もやってないから、一緒にやろっか」
 私が舌を出しておどけるのを見て、つかさは表情を一気に明るくさせた。そして、今度は
喜色満面の笑みと一緒にうん、と頷いた。

571双子の兄:2008/01/28(月) 03:04:14 ID:FQJ+BRGS
申し訳ないが、既に480KBに近い所為か書き込みが出来なくなった。
次スレで改めて投下し直したいのだが、それでも良いですか?
572名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 03:27:53 ID:bFZikGFL
ウハッw
いいところで 生 殺 し
そしてスレ立てできない俺 orz
新スレと投下に全裸待機してます。
573双子の兄:2008/01/28(月) 03:34:19 ID:FQJ+BRGS
俺も立てられないから誰かお願いしますw
そしたら出来る限りの速攻で投下するんで。
574名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 03:55:04 ID:qqR4LURr
立てられるか挑戦してみようか。
テンプレはどうすればいいのか!
575名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 03:59:42 ID:qqR4LURr
お、立てられた。
次スレ:らき☆すたの女の子でエロパロ35
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1201460300/
576名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 06:26:02 ID:eWiO8oj+
>>538
こなつー燃え尽きるんじゃないか?
577名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 10:04:31 ID:xfRLEzUH
8日深夜からPCの前を離れていてようやく帰還、
そのあと延々溜まっていたSSを読んでいたらすっかり寝不足でどうしてくれる。
というわけで、出かける前に貼ろうと思ってたら結局時間なくて貼れなかった埋めネタを
今更5レスほど使って書き込んでみる。

ttp://www33.atwiki.jp/kairakunoza/pages/1568.htmlの最後の方の埋めネタの続きです
 キャラが原型留めていない危険、一部パク……オマージュあり注意
578埋めネタ 1/4:2008/01/28(月) 10:06:42 ID:xfRLEzUH
「とりあえず、一番気になるのは『赤ちゃん』という発言っスね」
『おっぱいと甘噛み、それに大きくなるという言葉ハ、豊胸マッサージと考えて間違いアリマセン』
「……そうか……謎は全て解けたっス!つまり二人は、生まれてくる子供のために、
 授乳に備えてトレーニングをしている、これに間違いないっス!」
『ナルホド!』
「そうっスそうっス!体の弱いゆーちゃんの代わりに、みなみちゃんが子供を作るつもりっス!
 だから、ゆーちゃんより胸が……なみなみちゃんのために、二人で協力して……。
 ビデオというのも、新しい命を記録するためのものに間違いないっス!」
『Yes!ソレなら全てのツジツマが合いマス!!さすがヒヨーク、よく突き止めマシタ!!』
「そうっス、全てはぺったん――はっ、気のせいか今、どこからか鷹のような視線が……」

 都心を目指す電車の中で、自重すべき大予言を続ける、パティ大佐と田村ヒヨーク。
 だが、川越を過ぎ草加を過ぎ……『ある駅』に到達した所で、事態は大きく動き出した。


             ひよりぎあ・そりっど――みっしょん2


「大佐、北千住にて二人が動いたっス!現在2階に向かうエスカレーターにて手を繋いで移動中、
 日比谷線に乗り換えるつもりっス!」
『日比谷……はっ、まさかヒヨーク、二人は、あ、あの場所に向かうのデスカ!?』

 あの場所。
 もはや語るまでもない、偉大なる大日本の二次元産業を支える三大聖地の筆頭である。
 諭吉や一葉を生贄に捧げることで、夢や嫁を召還できる、始まりにして終わりの街。
 ひより達ヲタクエリートにとっては、その空気さえアロマテラピーと同等の効果をもつ。
 だがしかし。

「話が違うっス、どうして純粋無垢で穢れを知らない二人が、あんな魔界を目指すんスかっ!?」
『ヒヨーク、私にだって、分からないことくらい……アリマス……』
「……」

 人々の怨念と思念が入り混じるアキバは、常時名状し難い『力場』で覆われている。
 時に車両の進入すら拒絶するその『障壁』のため、清く正しい18歳未満の一般人は、精神的
 斥力を受けて、中に進入することさえ難しい。
 よしんば無理矢理進入しても、そこはこの世の歩いてはいけない隣、
 次元の揺らぎや時間軸の断層、得意店やディラックの海が生まれては消える異空間が拡がる。
 うかつに飛び込めば、最悪二度と元の世界に戻れない。
 実際少し前にも、そこから脱出しようとした初心者が30年前の鹿児島に飛ばされたとか、
 伝説の少女が天国の母親を見かけたという都市伝説が、まことしやかに語られていたという。

 ……そんな選択的通過性ATフィールドを、あの二人が突破できるのか?
 いや、万一ゆたかが、その身に宿す『泉の遺伝子』に目覚めて突き抜けたとしても、その後一体
 何がどうなるというのか?

「まさかヅカ喫茶からの流れで、二人が何かいけないことに目覚めたんスか?」
『Yes, 二人はア○メイトに、マリ○てを大人買いしに逝く気デス。恐らく帰りの電車デハ、
 一冊の本を二人デ開くsituationガ……』
「イヤイヤもしかしたら、『私達はまた恋に落ちる』とか、『ゆたかが好きなんどす』な路線も」
『いや、わかったぞヒヨーク!二人は『ダレカ』の出したユタ×ミナ本を求メテ……』
「な、なんだってーーーーーーーーー!!」


「あれ?今聞き覚えの……」
「平気、きっと目の錯覚。それよりほら、もうすぐ着くよ、ゆたか」
「うん、ちょっと待ってて、今メール送っちゃうから。それから……」
 
579埋めネタ 2/4:2008/01/28(月) 10:10:03 ID:xfRLEzUH
 駅が近づいて、立ち上がろうとするゆたかに手を差し出すみなみ……
 だがこの行動は、尾行を続けていたヒヨーク達に衝撃を与えた。
 しかし、その『衝撃』の原因は、決して二人の甘々ぶりによる精神的ダメージだけではない。

「なぬぃっ!?」
『ヒヨーク、何があったんデスカ!?』
「ふ、二人が……二人が電車を降りたっス!!」
『What!? まだまだアキバに着くヨウナ時間じゃないハズですヨ!?』
「それが……降りたのはアキバじゃなくて、逆から読むとノエルになる駅っス!!」

 別に、その場所に不慣れなわけではない。むしろその駅から秋葉原にかけての一帯もまた、
 ヒヨーク達にとっては中庭のようなものだ。
 付近のカラオケで夏&冬の聖戦の後に絶唱しまくった経験もあるし、親に頼まれた謎食材を
 アメ横で仕入れさせられた過去もある。聖戦の後アニメイトやゲマズで消耗戦を続け、
 そのまま天神さまに初詣に行った、そんな時代もあったねと笑って話すことも可能である。
 まあでも一番驚いたのは、『極秘任務』で博物館に潜入した時、楽茶碗展目当てでやってきた
 みゆきと偶然エンカウントした時だったとされているが……。

『ソンなバナナ、私達の完壁な推理が……ヒヨーク、二人の進路ワ?』
「4〜8番出口に向かって移動中っス、速度3.73km未満。後方からの観察のため詳細は不明
 ながら、手を繋いで笑顔な所からして、恐らく甘い甘〜いラブラブ会話中っスオーアールゼット」
『了解シマシタ。その界隈は人通りも多いデス。見失わないよう最新ノ注意を払って下サイ!』
「心配無用、私は有明の混沌ですら、狙ったコスプレを逃さないプロっスから♪」

 さすがは不可能を可能にする乙女。
 この長い直線の地下通路で、パティ大佐と連絡を取りながらも、道ゆくおじさんの背後や
 ベビーカーの影等、僅かな死角を巧みに利用しながら、前方20mの二人を追う。
 突然真横に出現した影に赤ちゃんが泣き出したり、背後を取られた坊やが真っ青になりながら
 『おとうさんそれそこにまおうのむすめ(ry』とか絶叫している気もするが、
 尾行自体は順調そのものだ。だが、ヒヨークの顔には迷いが浮かんでいた。

 二人の『行動』が絞れない……。

 何でもある駅であるがゆえに、選択肢が余りに広過ぎる。
 お陰で二人の動きを確定予想して先手を打つことができない。
 すぐに欲望番外地なのか、それともその前にデートか、はたまた腹ごなしか……。

 5mまで接近できれば、会話から意図を探れるのだが、相手は特殊部隊の精鋭。
 鷹並みの感知能力と用心深さを兼ね備えた強敵だ。
 いかにこの人ごみ、いかに背後からの接近でも、軽率な行動は即ゲームオーバーに繋がる。
 唇の動きを読める角度に回り込むのもボツ。回り込むこと自体至難だし、地上に出て道路の
 反対等から監視しようものなら、信号に妨害されて泣きを見るのは必定。

 一方、そんなヒヨークが物陰で苦悩しているのをよそに、ゆたか&みなみは、
 幸せな笑顔とオーラを振りまいて周囲の男女の頬を発熱させながら7番出口を上がっていく。

「くぁぁぁぁ〜〜〜っ、きっと今頃は、
 『ゆたか、階段辛くない?エスカレーターから上がる?』
 『ううん平気。それに、私もこうやって、みなみちゃんと二人並んで歩きたかったし……』
 『ゆたか……(ぽっ)』
 『みなみちゃん……(きらきらっ)』
 みたいな会話が繰り広げられてるに違いないっス!実況できないのが悲しすぎるっス!!」
『落ち着けヒヨーク、パーティーの中でも、特殊部隊はクールでいなければナラネェ!』

 人ごみの中、ゆたかに歩幅を合わせながら、みなみは線路下をくぐっていく。
 気のせいか通常より周囲を警戒する――見方によっては『人目に照れている』ように見えなくも
 ないが――とにかくそういう回数が多い。
 ヒヨークも、通行人や信号待ちの車の影に身を潜めたり、手持ちのバッグの中に入っていた
 ゲマズのチラシで顔を隠しながら、紙一重の所でそれを追う。
 だが、どうしても決定的な距離まで詰められない。
580埋めネタ 2/4:2008/01/28(月) 10:13:10 ID:xfRLEzUH
「こちらヒヨーク、二人は信号を渡り、上野公園に向かっているっス」
『公園デスカ!?』
「そうっス、進行方向等からして間違いないっス……けど何故上野公園……」

 ゴミゴミした飲食店の看板の陰で、ひよりは思わず唇を噛む。
 電車の中で聞いた会話からして、二人の目的は最強ゆたみな計画であることは明白。
 だが、あんな公園で『こ・づ・く・り・しま(ry』だの『こんなこと、ゆたかにしか頼め(ry』を実行する
 ことなどできようか、いや、できない(反語)。

 一体二人の目的は何なのか、大いに気になる。
 だが何度も言うように、雑踏と監視位置の問題で、二人の会話が聞こえないのが痛過ぎる。
 結局どうにもならないのか……と、そんな時。
 
「――――おおっ、アレわ!!」
『ドウしたんだヒヨーク!?』
 パティ大佐の声も無視して、ヒヨークは追跡をちょっぴり中断し……。


「さあ、俺の人形劇で大いに藁ってくれ」
 どこかのホームレスだろうか。遊歩道の片隅で煤けていたその青年は、私と目が合うや否や、
 犬(のように見える何か)と共に怪しい人形劇を開始した。

 青年が指差すままに、羽の生えたその人形が呪術のように引き攣り動く。
 糸がない所を見ると、今や失われた方術か。劇自体はヤマもオチもイミもないが、その光景は
 どこかのエロg……ギャルゲーっぽくて、無性に目を惹きつける。
 劇に誘われてか、連れの犬のような何かも、妙な擬音を立てながら不思議な踊りを始めた。
 気のせいか今首が720度……それに今の関節の動きはラーマ・ヨガ……。

「こんな奇妙な生き物も、まだ日本にいるんスねぇ……」

 思わず呟く。だが、方術見物や謎生物の生態解明以上に重要な任務を抱えるヒヨークが、
 真に必要としているのは古ぼけた人形やケサランパサランではない。
 踊る人形の下、人外魔境生物の背後にある、舞台兼布団・座布団代わりに使われていると
 思われる『ソレ』だ。
 サイズも強度も申し分なし!あれこそは、あの伝説の宝具は……!!

「あ、すみません」
「おう、何だ?見物料を払ってくれるのか?」
「いえ、そうじゃないんスけど……」

 早速交渉開始。20秒後商談成立。
 非常食のコッペパン・ベリーメロン味と、3週間前に購入した衝撃のヒトデブレッド、それに
 最高の値段(縄跳びと濃厚ピーチとラーメンセットが買える小銭)で『ソレ』を買収し――――


『Wow!ダンボール箱を見つけましたカ!』
「そうっス!ねんがんの最高装備っス!」
 そう、これこそかつてサンシャインや都産貿でも活躍した最強兵装。
 これを身に纏うことによって周囲の風景に溶け込み、こちらの気配を完全に隠匿する。
『ラシクなってきましたねヒヨーク、いつものように、それで敵を欺くんデース♪』
「了解っス!このまま遠慮なく二人に急接近っス!」

 慣れた動作で素早くダンボールを被ると、ヒヨークは視界から消えようとしている二人を
 全力で追いかけ始めた。
581埋めネタ 4/4:2008/01/28(月) 10:16:15 ID:xfRLEzUH
 


 ……一方、その頃。

「ほほう、ひよりんが……」
 電気街カオスの片隅に、何気なく置かれているダンボールの山。
 その中の一つから、突然平野綾に酷似した声が漏れる。
 送られてきたメールを見て、アホ毛長髪幼児体型貧乳で猫口泣きボクロが特徴的な何者かが、
 不敵な笑みを浮かべていた。

「私は運がいい……うまく利用すれば、長かったダンボール生活にさよならできるかもね?」

 彼女は疲労していた。
 世界を赤く染めたウイルスが、黒い変異を起こしてはや一週間。
 大好きな友達も、大切な妹も、かけがえのない恋人もみんな感染し、かつての面影は最早ない。
 感染してナイス暴徒と化した彼女達は、今やどこまでも『目標』を追い続ける、
 終わらない鬼ごっこの相手だ。

 ……だが、いつまでも逃げてばかりの彼女ではない。
 深い淵に身を潜め、時を得て天に昇る竜のように――――
「てなわけでひよりんには悪いけど、『オペレーション大ブレイク』、スタートさせてもらうZE!」

 戦いの号砲となるメールの送信ボタンを押しながら、路地裏を埋めていたダンボールの山を
 吹き飛ばし。
 ビルの隙間から差し込む光の中、一万分と二千秒ぶりに姿を見せた少女の姿は……
 次の瞬間、一陣の風と共に消えていた。

 
582名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 10:20:26 ID:xfRLEzUH
ついに動き出した一人の少女。
一方ゆたかとみなみは、彼女達の手の平の上で追跡を続けるヒヨークをよそに
上野公園を進んでいく。
果たして二人の向かう先は?そして少女が発動した恐るべき計画の全容とは?

次回ひよりぎあそりっどは……もしかしたら続くかもしれないけど書きあがるのはいつだろう?
以上、折角のこなつー談義をぶちこわし、とてつもなく空気読めない文章しつれいしました
というわけでちょっくら出かけたり野球やったりしてくる
583名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 10:45:03 ID:QRVH1xk0
>>582
GJ!あああ゛ああ゛ああ!!!!
気になるうううう!!
続き!続き!!
584名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 11:52:07 ID:Yda9BgWH
>>561

みさお×みなみ
「なー岩崎ー、陸上部入ってくれよー」
「……お断り、したはずです」
「そー言わずにさー。あんだけ足速いんだしさー、もったいないってば」
「……ですから……」
「むぅ……だったらこーだ! うりゃっ!」
「っ! せ……先輩っ、なにを……っ!」
「うっわ、まじでぺったんこ。でもだいじょぶだぜー。走んのにムネなんかジャマだから」
「やっ、やめ――」
「陸上部入ってくれたらやめてやる。ほーれほれほれ、どーするー?」
「んっ……! お、お断り、しま――や、くぅう……っ!」
「だったら続けるぜー」
「やっ! はぁっ……ぅああああっ!」


ゆたか×あやの
「最近のみさちゃん、岩崎ちゃんに掛かりっぱなしよねえ。ねえ、小早川ちゃん」
「……みなみちゃん、陸上部に入っちゃうんでしょうか……」
「どうかしらね。でもそうなっちゃったら私たち、置いてきぼりよね?」
「……」
「まあ、それはそれで、小早川ちゃんをいただけちゃうのかな? ふふっ、それもいいかもね」
「本当ですか?」
「え?」
「私、先輩に慰めてもらっても、いいんですか?」
「あ、あの、小早川ちゃん? なんか、顔が、近いけど……」
「先輩……髪、サラサラですね……良いニオイ……」
「こ、こば――んむぅ……っ!」


つかさ×ひより
「ねぇねぇひよりちゃん、この間のアイデア、使ってくれた?」
「え? あ、アレっスか。いやー、それがそのー……」
「あ。それ原稿だよね? 見せてっ」
「え? ちょ、ちょまっ!? なんでこんなときだけ機敏なんスか!?」
「…………これ……私と、こなちゃん?」
「いえ、あの、その……この物語はフィクションであって実在の人物とは」
「酷いよっ! 私がお姉ちゃんのために身を引いたって知っててこんな!」
「へぇえっ!? 知らない! 知らないっスよそんなの!」
「…………にん」
「は、はい? なんて言ったっスか?」
「責任、取って」
「はいいいいいっ!? な、なんでそうなるんスか、ってアッーーーー!」


みゆき×こう
「あの……なんですか会長、お話って」
「はい。この間お預かりした会誌の原稿のことです」
「え? ……何か問題ありましたか?」
「大有りです。――これです」
「へ? ――なぁ!? これはひよりんの! なんでこんなのが混じって?!」
「言い訳はけっこうです」
「ちっ、違います! これは無関係――」
「言い訳は、けっこうだと、言っているんです」
「ぅ…………あの、これ、先生には……?」
「まだ見せてはいません。ですが――それも貴女次第です、八坂さん」
「へ? それってどういう……ってちょっとちょっとちょっと! なんでタイ外してるんですかっ!」
「貴女次第だと、そう言ったはずですよ……?」
585名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 11:57:09 ID:NTbe8uXx
>>584
すげぇ・・・GJ
よく思いつきますな〜

ゆたか×あやのは今後も推していきたい
586名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 12:07:28 ID:fJYSeVjX
じゃおいらは、みさ×みなを全力で推していきたい
587名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 12:09:00 ID:OjNSe9tI
実は常識人のこうが実は非常識人のみゆきさんに色々されるのは正直性欲をもてあます
588名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 12:52:05 ID:HkHsUhiW
age
589名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 16:04:54 ID:eZZ1Jlj1
埋めネタには勿体無いネタの数々…マジでGJ!



みゆ×こういいよみゆ×こう
590名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 18:17:09 ID:FlHbXA/x
「カケラ」最初は楽しんでたのに、バカマルコがウザすぎて見るの嫌になった。
591名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 18:28:18 ID:S8C08Vg0
「飛べねえ豚はただの豚さ」
「バカ……!」
592名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 18:31:20 ID:Fjqo37+4
やっぱりみゆきさんは最高だわ
593名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 18:48:08 ID:I7R+x3qy
視点がコロコロ変わる作品はどうも苦手だな、三人称にすればいいのにと思ってしまう
もしくはそれぞれの主観で別の話にするとか
594名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 18:52:01 ID:8U3wFPdv
まとめwiki見てきたんだけど
トップ3人の閲覧数がおかしいw
595名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 19:02:04 ID:R9B+K9Vz
>>590
俺もカケラは最初すごい楽しんでたけど、オリキャラがどんどん増えていくのと戦闘と星のカケラで読まなくなった
原因不明に過去に飛ばされた三人が、現代に帰るために奮闘するミステリーものかと思ってたら、SF寄りなんだもんなぁ……
596名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 19:05:05 ID:fJYSeVjX
気に入らない作品はスルーが原則なんだし、読まなくなった作品をいちいち書き込まなくてもいいんだよ?
597名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 19:08:47 ID:Fjqo37+4
まとめにある中の男オリキャラものでオススメ教えてくれ
ジャンルがジャンルだけに全部はなかなか手が出せない
598名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 19:17:28 ID:I7R+x3qy
>>594
ぶーわ氏がいつのまにか作品数トップタイで吹いたw
というかアクセス数でいえばトップか、パラレルものとか人を選びそうなのが多いのに凄いな
599名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 19:34:25 ID:8U3wFPdv
>>598
ぶーわ氏の閲覧数はもう少しで3万超えそうだもんなw
すごすぎというか流石というかw

そしてもう1つ驚いたのが、7-896氏の作品へのコメント率
コメントされてない作品が1〜2つしか見当たらなかったw
コメントも笑えるコメントばかりだったしw
600名無しさん@ピンキー
                                  /     ハ
                             {         }、
                    ,. - 、          ,ゝ.,_______, イ::::\
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