電脳コイルでエロパロ3

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571寸止め刑事
【アイ×P】その7 1/5

「…どうしよう」

その小さな布の切れ端を手に途方に暮れた。
今日一日平気だったからと言って、明日も一日下着を履かずに過ごす訳にはいかない。
多少躊躇はしたものの仕方なくそのTバックとやらを履いてみた。
うわぁ、やっぱり小さい!細い!
なんだか下着を履かずに過ごした時よりもずっと心細くて恥ずかしい…

「わぉ! Pちゃんセクシーっ!!」
「やだ、あんまり見ないで…」
「恥ずかしがる事無いわよ。似合ってるもの」

そう言われて喜ぶべきなのだろうか。
今自分がどんな格好をしているのか確かめたくて、眼鏡を掛けて壁に張られた姿見の前に立ってみた。
確かにきわどい部分は覆い隠されているけれど、本当に必要最小限と言った感じで
逆にこの部分が最も恥ずかしい部分ですよ!と強調されている様にも見える。
白い逆三角形の両端部分はもうほとんど紐状だ。
くるりと身を翻して背面を鏡に映す。
あぁ…もうこれは全裸でいる方が潔いんじゃないか?と思える程に剥き出しだ…
股上が浅く、ずり落ちるのを防ぐ為に腰に引っ掛けてあるのでT字というよりはY字の様になっていて
縦に走る紐は「はい、ここがお尻の割れ目ですよ!」と言わんばかりにクッキリと白く食い込んでいる。
なんだか見ているだけでも恥ずかしい。

「かはひひはよ」
「え?」

何を言ってるんだろう? と、アイコちゃんの方を振り向くと、
全裸のまま洗面台に向かい、かしかしと歯を磨きながら鏡越しに笑っていた。
歯ブラシの動きに合わせて形の良い胸がたゆんたゆんと揺れている。
女の私ですら鼻血が出そうな光景だった。
なんだかちっぽけな下着の事で恥ずかしがってる自分が馬鹿みたいに思えて来る。
そうよ、この上にパジャマ着るんだからそんなに恥ずかしがる事なかったんだ…
私も一緒に歯を磨こう。
着替えと一緒に持って来た歯ブラシセットを手に取ると、あいこちゃんの隣に並んだ。
うっかり手が滑って歯ブラシのカバーが床に落ちてカラカラと転がって行く。
慌てて拾おうと屈んだ瞬間グキっと腰が鳴った。あいたたた…
572寸止め刑事:2008/08/25(月) 06:50:54 ID:BI+TsHQ8
【アイ×P】その7 2/5

「Pちゃんって、もしかして体固い?」
「え? うん、まぁ柔らかくはない…かな?」

でも一応床には指は付く。はず…
自分でも確認してみたくなって、両膝を伸ばしたままぐっと体を折り曲げてみた。
ぎりぎりと体が軋んで膝の裏が攣りそうに痛むが、もう少しで指先が落としたカバーに届きそうだ。
あとちょっと、あとほんのちょっとで指が触れる…

「凄い格好よ?」

背後でアイコちゃんがそう呟いてお尻に食い込んだ紐をつぅっと撫でる。

「ひゃぁあっ!?」

慌てて両手でお尻を庇ってバランスが崩れ、そのまま前につんのめった。
あ。と思った時にはもう遅い。
床に手を突く事も出来ず、お尻を両手で抱えたまま床に頭を激突させた。
眼から火花が散って頭が両肩にめり込む。
ごんっ。と鈍い音に続けて「ぐぅ」と呻いてばったり倒れた。

「きゃぁ! ぴ、Pちゃん!!」

慌ててアイコちゃんが駆け寄って抱き起こしてくれた。

「ゴメンねゴメンねっ! わたしが悪戯した所為で…」
「あ、アイコちゃん。大丈夫、平気だから…」
「本当に大丈夫? コブ出来てない?」

頭のてっぺんをアイコちゃんが必死に撫でる。まだちょっと痛いけどコブも傷も無いみたい。
床が柔らかい板張りで助かった。コンクリートの床だったら危なかったかもしれない。

「良かった〜 Pちゃん死んじゃったかと思った…」

そう言ってアイコちゃんは私の頭を胸に抱えてぎゅーっと抱きしめた。
柔らかな胸に押し潰されそうになる。
見上げると可愛らしい顔を歪めてアイコちゃんは泣いていた。
あぁ私のドジの所為でアイコちゃんを悲しませてしまった…

「ありがとう、もう平気。ごめんなさい、私がドジだから…」
「頭の怪我は怖いのよ…頭痛とか目眩がしたら隠さないでちゃんと言うのよ? 救急車呼ぶから」

そんな大袈裟な…と思ったが、あんまりアイコちゃんが真剣に言うので頷いた。
なんでも親戚のおじさんが頭を打ってあっさり亡くなってしまったのだそうだ。
昨日まで元気だった人が突然亡くなる悲しさを、アイコちゃんは知っている。
しばらくアイコちゃんの胸に抱かれ、頭を優しく撫でられているうちに痛みも何処かへ消えてしまった。
ごめんね、ありがとうアイコちゃん…
573寸止め刑事:2008/08/25(月) 06:52:29 ID:BI+TsHQ8
【アイ×P】その7 3/5

ようやく立ち上がった後、二人並んで歯を磨いた。
口をすすいでタオルで拭いたとたんアイコちゃんにキスをされた。
歯磨き粉のミントの香りがする。

「きゃっ!?」
「ふふっ もうカレーの匂いしないでしょ?」

そう言いながらアイコちゃんは自分の着替えの中から何かを取り出し、誇らしげに掲げた。

「じゃーん!」
「あっ!」

それは私のものと色や形は多少違うけれど、間違いなくTバックだった。
やっぱり薄い桃色をしている。

「わたしだって何枚か持ってるのよ」
「アイコちゃんも間違って買ったの?」
「違うわよ、ちゃんと本来の用途で使ってるんだから」
「え? そもそもこれって何の為の下着なの?」
「Pちゃん… まさか、ただのセクシーな下着だと思ってた?」
「違うんだ…」
「和服とか薄手のパンツの下に履くのよ。下着のラインが浮き出ない様になってるの」
「あー! なるほど」
「と、言う訳で…」

アイコちゃんは今度は自分の着替えを手に取ると、もう一度同じ様に掲げた。

「じゃーん! 今日はこれを着て寝まーす!」
「あっ!」

芸の無い同じリアクションで驚きながら、アイコちゃんの掲げる物体を見つめる。
それは綺麗に畳まれた色違いの2着の浴衣。

「これも来客用なんだけどね。Pちゃんが買った下着見て思い付いたの」
「凄い…ますます旅館みたい…」
「無地だけど色が素敵でしょ? 草木染めなんだって」
「へー」
「こっちの黄色いのがPちゃん、わたしはもちろんこっちのピンク」

そう言ってアイコちゃんは、さっきまで泣いていたとは思えない程楽しそうに笑った。
574寸止め刑事:2008/08/25(月) 06:54:32 ID:BI+TsHQ8
【アイ×P】その7 4/5

受け取った浴衣は淡く落ち着いた黄色をしていた。山桃で染められているそうだ。
アイコちゃんの薄いサーモンピンクの様な色は西洋茜。

「山桃っていうわりには黄色なのよねー」
「ホントだ。うふふ」

袖を通すとしっかりノリの効いた生地が清々しい。
なんだか寝間着にしてしわくちゃにするのが申し訳ない気もする。
外着の浴衣と違い腰で折り返さないので丈は短めになっていて、帯も細めの短いものだった。
二人並んで鏡の前でくるくると回ってみる。

「わぁ…可愛い…」
「うん、Pちゃん似合ってるわよ」
「こんな素敵な浴衣、きっとどこの旅館にも置いてないわ」
「さて、では庭に行きましょ」
「え? 庭? なんで?」
「浴衣と言えば花火でしょ? Pちゃんがコンビニで下着探してる間に買っといたのよ
 サッチーの爆発炎上程派手なモノじゃないけどね。あははは」

あぁ…アイコちゃん。気が利き過ぎだよ…
もしこれが逆の立場で私の家にアイコちゃんが泊まりに来たとして
ここまで見事に持て成すことが出来るだろうか?
どうかアイコちゃんがうちに泊まりに来たいと言い出しませんように…

アイコちゃんが出してくれた下駄をからころと鳴らしながら、昼間洗濯物を干したあの庭に出る。
私がバケツに水を汲んでいる間、
アイコちゃんはメガネでセキュリティー会社に連絡し今から庭で花火をすると伝えていた。

「オッケー。これでばんばん火や煙が出ても消防車は飛んで来ないわ」
「ずいぶん手際が良いのね…」
「一回大騒ぎにしちゃったからね。あはははは」

過去に消防車が飛んで来た事があるらしい…
アイコちゃんが買った花火セットには色とりどりの紙で巻かれた何種類もの花火がぎっしり詰まっていた。

「さて…どれから始めましょうか? あ、線香花火はもちろんラストね」
「とりあえず…この中ぐらいの奴なんかどう?」
「いや、まずは一番太いので派手に行こうじゃないの」

付属のロウソクを立てて火を着けた。
一番太いものをお互いに一本ずつ手にして着火するとたちまち眩い火花が細く吹き出し、周囲を明るく照らし始めた。
575寸止め刑事:2008/08/25(月) 06:56:56 ID:BI+TsHQ8
【アイ×P】その7 5/5

「きゃあー!綺麗!」
「あれ? でも思ったより地味ね?」

太いからと言って派手な訳ではない様だ。そのかわり細く長く、段々と火花の色を変えながらキラキラと輝く。
消えかけるタイミングで次々と花火に火を着け、両手に持ったアイコちゃんが庭をくるくると舞った。
火花の軌跡が螺旋を描く様に残像を残し、庭をカラフルな光の渦で満たす。
私が最初に推した花火は、想像以上にド派手な火花をまき散らした。
白く輝く光の粒がパチパチと小さく砕けながら四方八方に散って行く。

「なんだーこっちの方がよっぽど派手じゃーん。あはははは」

もうもうと立ち込める煙に花火の明かりが滲んでこの世のものとは思えない幻想的な雰囲気を作り出している。
桃色に染まった煙の向こうからアイコちゃんが幻の様に現れた。

「Pちゃん。楽しんでくれてる?」
「うん! こんな楽しい夏休みは初めて!」
「そう、良かった!」

アイコちゃんは私の直ぐ目の前にまで近寄って来た。
花火で浴衣を焦がさない様に、お互い花火を持った手を横に伸ばして抱き合う。

「ずっと心配だったの… うちに来てPちゃんに喜んでもらえるだろうかって。毎日そればっかり考えてた…」
「アイコちゃん…」
「だからPちゃんが笑ってくれて、喜んでくれて。本当に良かった…」
「ありがとう…アイコちゃん」

どちらからともなく唇を重ねた。
やがて手にした花火の火が消え、辺りは闇に包まれる。
花火の燃えカスを地面に落とすとお互い両腕でしっかりと抱き合った。
涙がこぼれたのは煙が眼にしみた所為だけじゃない。
アイコちゃんが毎日ずっと私の事を考えてくれていた事が嬉しくて。
私の事でアイコちゃんが心配してくれたり喜んでくれたりする事がありがたくて。
これは嬉しい涙。
でも、だからこそ泣いている所は見ちゃ駄目。
涙が乾くまでもうちょっとこのまま抱きしめていて。
うちに泊まりに来ないでなんて思ってゴメンね。もし来てくれるなら命がけでお持て成しするからね。



━つづく━