☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第46話☆

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1名無しさん@ピンキー
魔法少女、続いてます。

 ここは、 魔法少女リリカルなのはシリーズ のエロパロスレです。


『ローカル ルール』
1.リリカルあぷろだ等、他所でのネタを持ち込まないようにしましょう。
2.エロは無くても大丈夫です。
3.特殊な嗜好の作品(18禁を含む)は投稿前に必ず確認又は注意書きをお願いします。
  あと可能な限り、カップリングについても投稿前に注意書きをお願いします。
【補記】
1.また、以下の事柄を含む作品の場合も、注意書きまたは事前の相談をしたほうが無難です。
  ・オリキャラ
  ・原作の設定の改変
2.以下の事柄を含む作品の場合は、特に注意書きを絶対忘れないようにお願いします。
  ・凌辱あるいは鬱エンド(過去に殺人予告があったそうです)

『マナー』
【書き手】
1.割込み等を予防するためにも投稿前のリロードをオススメします。
  投稿前に注意書きも兼ねて、これから投下する旨を予告すると安全です。
2.スレッドに書き込みを行いながらSSを執筆するのはやめましょう。
  SSはワードやメモ帳などできちんと書きあげてから投下してください。
3.名前欄にタイトルまたはハンドルネームを入れましょう。
4.投下終了時に「続く」「ここまでです」などの一言を入れたり、あとがきを入れるか、
   「1/10」「2/10」…「10/10」といった風に全体の投下レス数がわかるような配慮をお願いします。

【読み手 & 全員】
1.書き手側には創作する自由・書きこむ自由があるのと同様に、
  読み手側には読む自由・読まない自由があります。
  読みたくないと感じた場合は、迷わず「読まない自由」を選ぶことが出来ます。
  書き手側・読み手側は双方の意思を尊重するよう心がけてください。
2.粗暴あるいは慇懃無礼な文体のレス、感情的・挑発的なレスは慎みましょう。
3.カプ・シチュ等の希望を出すのは構いませんが、度をわきまえましょう。
  頻度や書き方によっては「乞食」として嫌われます。
4.書き手が作品投下途中に、読み手が割り込んでコメントすることが多発しています。
  読み手もコメントする前に必ずリロードして確認しましょう。


リンクは>>2
2名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 11:16:33 ID:oaa2E+HB
『リンク』

【前スレ】
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第45話☆
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1199745831/

【クロスものはこちらに】
リリカルなのはクロスSSその36
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1199871422/

【書き手さん向け:マナー】
 読みやすいSSを書くために
 http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/5301/1126975768/

【参考資料】
・Nanoha Wiki
 http://nanoha.julynet.jp/
・アリサだもんっ!
 ttp://homepage3.nifty.com/damenahito2000/
・R&R
ttp://asagi-s.sakura.ne.jp/data_strikers.html
(キャラの一人称・他人への呼び方がまとめられてます)

☆魔法少女リリカルなのはエロ小説☆スレの保管庫
 ttp://red.ribbon.to/~lyrical/nanoha/index.html  (旧)
 ttp://wiki.livedoor.jp/raisingheartexcelion/d/  (wiki)
3名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 12:07:12 ID:N/sNheLu
                ⌒ヽ、
                   ))
            _, -‐ ─ -/イ、_
           /-‐、     -、ヘ`ニ=-、
           / i  {/ r   ヽ \`, \
         {/゙|   / l  i  | l i ヽl  ヽ
       _,,.d'l  l _」,.、/| /l ナト、 }l !、 l
      / ゙∧`l ,ィ´从 / lノ l/ひl !l i ノ
      'ィ´/ / | ヽl l |才ひ    廴ノレ'゙ l/   >>1乙かれ!家にきて鮫島をモフモフしていいわよ!
      从/ jl (| リ 弋_ノ      '''}  l    光栄に思いなさい!  
        /l  l l   |'''   ー ' イl   l
        / |  ! il   l≧=‐r、´ヽノハ   \
         / /  l,ノl   |\__}  l〉 ゝ、  ヽ
       / /  /-、ヽ、 \ \ l   |    \  l
    /  / /`、 \\  ヽ X=、l     )ノ
  /   //   ヽ \ヽ // |\j\
 /   /    , '   ヽ)ゞ='厂{  ヽ
/   /    ∠=、    /ノ/ ∧ 〉 /
{   |   , - ´  }ヽ\   / /Y∨/
ハ  ゝ-┬‐-、 / / \\/ }_厂
 ∨   ヽ  ,メ、〆、  |`´   {
      ノv'/   `¨´    \____
       /                \\
       ,'                     \l
        i                      l|
        !                    \
      l                        l\
        l                          | l
      l                       / l
       ト、                       /  /
      | \                  /  /
      ヽ  \             /  /ヽ
4名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 12:12:20 ID:2zIv9odZ
    l ハ ,/\         |  | |__| |    |      |   /  rV
    V V |/l\.     |  | | | |     |       l   / /V
         | /\_   |r‐' ノ ヽ`ー、  .!     l //V
         レ | /ヽヽ_}´ ̄ ̄ ̄`ヽ\|     l/| /
             レ  V Y r' ̄ ̄ヽ-、 |ノ     l "
                lコ{    ノ⌒ヽヽ       |       
             _/  `ー―'´   ', |     .|      ほら、言えよ
             |           |l __ j
             |     ____  ,j l|丁l 「ヽ!
             v´ ̄::::::::::::::::::::::: ̄`ヽ| | |-|l. |
              ` ヘ"::::::::::::::::::::::::""ノ   \ !
                /     """"       . :\
             /  . ; -‐  ̄ ̄ ̄ 丶、 : : : : : : : ヽ
              ,'  : /  イ ̄ ̄ ̄`丶、\ : : : : : : : ',  /}
               |. : ://:.:.:.:.:{.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\\ : : : : : :|/.::/
           {\| /:::::/:::/::::|::ヽ:::\::::::',::::ヽ:::ヽ ヽ: : : : j.::./
          N.::∨:::::,'|::::|l:::::|:::::::\::ヽ ::|: ::::|∨|⌒) : : ,'∠  
          ,ヘ:.:l :::/::|::::|l: ∧ヽ ::`ト-ヘ:|ヽ-|∧|_,人: :/ヽ ヾ
         /   '、|::::l::::|:::l|-孑ヘ:|\| 三三.Y:::::|、 ∨  ヽヽ
          |  / |::::|::::l:小.=彡     |  | l|:::::l::\ \  } |  >>1乙です……
          | /   |::∧:::V:ヘ | │ x.   |  | リ!:::|:/l:∧厂  }/
         | {   ヽ{ハ:::_:个ーtz‐r-r=彳_//ヽ ___//
       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
5 ◆6BmcNJgox2 :2008/01/14(月) 12:29:48 ID:Clu80AiI
>>1乙です

と言う事で少々短いお話を書かせていただきます。

・ユーノがちょっと変わった方法でなのはにプロポーズするお話
・非エロ

では…
6例えばこんなプロポーズ? 1 ◆6BmcNJgox2 :2008/01/14(月) 12:30:49 ID:Clu80AiI
なのはとユーノの二人は名実共に友達と言う関係を超えて本格的に付き合う様になった。
そしてその日、上手い具合に双方共に休みが取れた為、二人で出かけようと言う事になっていたのだが…

「ユーノ君! 今日は休日じゃなかったの!?」
「ごめん! ちょっと急な仕事が入ったんだ。けど直ぐに終わるからちょっと待っててくれないかな?」
なのはは呆れていた。確かに急な仕事が入ったと言うのは仕方の無い事だが、それでも
久し振りに二人で出かける事を楽しみにしていた分、なのはにとってのショックは大きかったのである。
まあユーノが言った通り、彼一人で十分直ぐに終わる仕事であったらしいのだが、それでも
なのはとユーノの二人で過ごすささやかな時間が減るのもまた事実。故になのははある事を買って出た。
「私も手伝うよ! そうすれば少しは短縮出来るでしょ!?」
少々怒り口調でユーノに近寄った。とにかく早く終わらせて出かけようと必死だったのである。
「わ…分かったよ…。じゃあこのメモに書かれた本を向こうの棚から取って来てくれないかな?」
ユーノは戸惑いながらもなのはに一枚のメモを渡した。そのメモに書かれた場所にある本が
今ユーノが行っている事に関して必要な物なのだろうとなのはは考える。
「分かったよ。直ぐに取ってくるからユーノ君も早く終わらせてね!」
そう力強く言ったなのはは多数の本の並ぶ本棚の奥へと向かって行った。

「あ〜あ〜。ユーノ君ったらこんな日まで仕事なんて…。ワーカーホリックって
ユーノ君みたいな人の事を言うんだろうな〜きっと…。」
メモ用紙を通して指定された本を探しながらなのははそう愚痴っていた。
「この様子じゃあ結婚はまだまだ先かな〜。」
自身のユーノに対する友達を越えた感情を自覚していたなのはは、恋人どころか
結婚する事だって構わないとさえ考えていた。しかし、肝心のユーノがこの
様子だとその想いは中々通じないのかな? となのはは半ば挫けそうになっていた。

「あ。これか…。」
なのはが本棚の中から見付けた本を引き出すが…その本に何か一枚の紙が張られていた。
「え? この紙は…。」
思わずその紙の存在が目に付いてしまったなのははだったが…その紙にはこう書かれていた。

『なのは…僕は君が好きだ。結婚しよう。
                  ユーノ=スクライア。』

「ユーノ君…。」
なのははユーノがまさかこんな形でプロポーズを行ってくるとは思わなかった。
しかし、冷静に考えてみるとユーノらしい…かな? そうなのはは考え…
ゆっくりとユーノの手紙を抱きしめたのである。なのはは嬉しかった。
ユーノは仕事第一に考えるワーカーホリックでは無かった。
きっと急な仕事が入ったと言うのも実はこういうシチュエーションでの
プロポーズを行う為の嘘だったのだろう。そう考えると…なのはは嬉しくて嬉しくて仕方が無かった。
7例えばこんなプロポーズ? 2 ◆6BmcNJgox2 :2008/01/14(月) 12:31:44 ID:Clu80AiI
「ユーノ君!」
手紙の返事をユーノに言う為になのはは駆け戻った。が…ユーノが仕事をしていた机に
ユーノの姿が見えないのである。一体何処に行ったのだろう。
「あれ? ユーノ君何処に行ったの?」
せっかく返事を言おうとしたと言うのにユーノがいないのでは意味が無い。
「もしかしてトイレの方に行ったのかな?」
なのはは困り顔で別の場所へユーノを探しに出かけたが…ユーノは机の奥に隠れていた。
フェレット形態に姿を変えて……。何故そうしていたのかと言うと……自分が恥かしかったのである。

なのはへのプロポーズに関して、こう言った作戦で行くと決めた当初は我ながら
格好良いな〜とユーノは気取っていた。しかし…後で冷静になって考えてみると…
「どうして自分の口で直接言ってくれないの? ユーノ君の意気地無し!」
と、逆になのはに嫌われてしまうのでは? と被害妄想を抱いてしまったのだ。
だからついつい机の中に隠れてしまっていた。

「はぁ…これはこれで情けないよ……もう僕はやっぱりダメな男だ……。」
なのはが部屋から姿を消してから一時して…ユーノは外に出てフェレット形態のまま
机の上まで登っていた。が…そこである物を見付けるのである。
「ん? これは…。」
それは一枚の紙。そしてこう書かれていた。

『ユーノ君、私もユーノ君の事大好き。だから…結婚しても良いよ。
                         高町なのは。』

「……………。」
ユーノは口をあんぐりと開けて声が出なかった。てっきりなのはに拒否されると
考えていただけに…良い意味で予想を裏切る展開に呆然としてしまったのだ。
だが…そこでユーノは背後に人の気配を感じた。
「あ……。」
ユーノがふり向くとそこにはなのはが立っていた。なのはは笑顔でなおもフェレット形態の
ままだったユーノを優しく抱き上げた。
「ユーノ君…ありがとう…。不束者だけど…これからもよろしくね?」
「こちらこそ…ありがとう………。」
これでユーノがフェレット形態で無く人間形態の状態ならば良い感じであったのだろうが…
やはりフェレット形態の状態だったのがプロポーズと言う感じを半減させていた。
だがそれでも良いだろう。なのはにとってフェレットの姿のユーノも立派なユーノなのだから…。

二人が本当に結婚するのはそれから間も無くの事であった。
                  おしまい
8 ◆6BmcNJgox2 :2008/01/14(月) 12:34:55 ID:Clu80AiI
実は現在もう一本話の用意が出来てるんですが…そちらは明日〜数日後に書かせていただきます。
9名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 12:36:52 ID:C2nxHxGq
ちょ、ユーノ恥ずかしいなら最初からやるなGJwwwww
10名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 13:13:31 ID:kcRZv33d
あるある、その場のテンションで最良だと思った事が実はただの遠回りだったりするんだよね
11( ゚Д゚) ◆kd.2f.1cKc :2008/01/14(月) 13:33:47 ID:Y9fpeoaO


それじゃ投下行きまーす。

注意事項
・捏造有り過ぎ
・レイジングハートの形状が(アニメ、リリちゃとも)違います。
・ついでに本編とレイジングハートの特性も違います。
・正直アリサ強杉。どこの跳躍系だ。
・非エロシリアス。
・あぼーんキーワードは「リリカルバイオレンス」
12リリカルバイオレンス 12-1/10 ◆kd.2f.1cKc :2008/01/14(月) 13:35:12 ID:Y9fpeoaO
 ゴゴゴゴゴゴゴ……
 振動がだんだんと強くなってくる。
 構造物が軋み、ヒビが入り、そこかしこで崩落し始める。まだ動いていた傀儡兵が、落
ちてきた瓦礫の下敷きになり、動きを止める。
「もう時間がそれほどないな」
 走る脚をいったん止め、周囲を見渡しながら、クロノは呟く。
「2手に分かれよう、動力炉と、プレシア本人だ。クイント、動力炉の方を頼めるか?」
 クロノはクイントの顔を見て、言う。
「了解しました。ですが、私の砲撃力では動力炉の破壊と封印には時間がかかりますが…
…」
「そうだな……」
 クロノは、僅かに考えたあと、視線の先を変える。
「なのは、頼んで良いか?」
「えっ」
 クロノが言うと、なのはは一瞬、キョトン、とするが、すぐに、こくん、と頷いた。
「うん、わかった」
「あたしはプレシアに会いに行くわよ」
 アリサはぴしゃりと言い切った。そうしてから、視線をクイントに向ける。
「クイント、なのはをお願いね」
「かしこまりました、お嬢さん」
 クイントはくすっ、と笑ってアリサに答えた。
「このすぐ奥が、エレベーターホールになってる」
 奥に続く通路を指差し、フェイトが言う。
「動力炉へはそこから上。母さんは、多分最下層の推進機室」
「よし」
 クロノが言い、一堂が深く頷いた。
「じゃあ、行くぞ」
 クロノが手を「行けっ、」と前に振る。

リリカルバイオレンス
 PHASE-12: The flame which burns vigorously of Magic user (後編)
13リリカルバイオレンス 12-2/10 ◆kd.2f.1cKc :2008/01/14(月) 13:39:07 ID:Y9fpeoaO

 ヴォオォォン……ゴォオォォォン……
 エレベーターは上昇を続けているが、不気味な軋みを立てる。
 なのはは、不安そうにキョロキョロと顔を見回し続ける。
「なのはさん」
 クイントは、その手で、なのはの頭に触れた。そっと撫でる。
「大丈夫ですよ」
 気休めに過ぎないと自分でも知りつつ、言う。
「は、はいっ……」
 クイントに心配されたのを恥じるかのように、なのはは、ぎゅ、とL4Uを握りなおし、
表情を引き締める。
 ────うちの娘と、そうね、ギンガと4つも違わないでしょうに。この子……
 クイントは心の中でなのはに感心しつつ、エレベーターの表示を見上げる。
 エレベーターの上昇は、酷く緩慢に感じた。
14リリカルバイオレンス 12-3/10 ◆kd.2f.1cKc :2008/01/14(月) 13:39:43 ID:Y9fpeoaO

 ビシリ……
 床にも亀裂が入り、パズルのピースのように欠けていく。
 エネルギーの余波を受けて、時空間の“無”が揺らぐ。そしてその揺らぎの中を蝕む癌
細胞のように、黒い斑点が踊る。
「足元気をつけて! 黒い斑点があるところ」
 先行するクロノが、軽く振り返って言う。
「なんなの?」
 アリサは踊る斑点に視線を向け、聞き返す。
 答えは、背後から来た。
「“無”さえも存在しないところ。魔力素もない、全ての魔法はキャンセルされる」
「飛行魔法もキャンセルされる、一度吸い込まれたら二度と戻ってこられないよ!」
 フェイトに続けるように、狼形態で駆けるアルフが言った。
「僕たちは、『虚数空間』って呼んでる」
 クロノが付け加える。
「じゃあ、次元断裂ってのが発生したら」
「これが広がって、時空間を引き裂く、下手したら世界ごと、飲み込まれる」
 アリサの問いに、クロノは息で区切るようにしつつ、答えた。
「あのバ……」
 バカ女、と言おうとして、フェイトがすぐ背後に居る事を思い出し、飲み込む。代わり
に、キッ、と表情を険しくした。
 ビシッ……バキッ……ゴゴゴゴゴゴゴ……
「うわっと」
「きゃっ」
 落下してきた瓦礫に、アリサは跳ねるように後退り、回避して前に戻る。
「ユーノ! アンタ肩に乗っててよ!」
 走りながら、アリサはユーノを振り返り、言った。
「えっ?」
 ユーノは足を止めずに、顔をキョトン、とさせて、聞き返す。
「足場がどんどん狭くなってるでしょ! 少しでも広くしたいのよ!」
「わかった、ごめんね」
 ユーノは言って、大きく飛び上がる。緑の光を纏い、フェレット形態に変わり、そのま
まアリサの肩に乗る。
「しっかりつかまってなさいよ!」
 アリサはそう言ってから、すう、と息を吸い込んだ。
「前方、来る!」
「来させないわよ!」
 クロノの声に、アリサは怒鳴り返す。
15リリカルバイオレンス 12-4/10 ◆kd.2f.1cKc :2008/01/14(月) 13:40:07 ID:Y9fpeoaO
「レイジングハート!」
『Devine Clasher』
『Stinger Snipe』
 オレンジ色と青白い色、2つの魔力光が矢となって迸る。前方に現われた、傀儡兵が複
数、撃ち抜かれ、機能を停止する。そのまま、崩れる床の下へと飲み込まれていった。
16リリカルバイオレンス 12-5/10 ◆kd.2f.1cKc :2008/01/14(月) 13:40:26 ID:Y9fpeoaO

 ガチン……
 エレベーターは、どうにかその役目を果たした。
 ギリギリと、扉が不気味な軋みを立てて、開く。
『Ray Lance, Multi Shot』
 GBF-T3の刀身に沿って現われた、魔力弾が、6、発射される。
『Sonic Move』
 ソニックキャリバーが高速駆動し、クイントはスピンをかけながらエレベーターから飛
び出す。
『Break Slash』
 レイ・ランスの着弾と同時に、手近な2体に斬り込む。沈黙させる。
『Protection』
 いくつかの砲撃をシールドで防ぎつつ、踊るように傀儡兵の攻撃をかわしていく。
「なのはさん! 傀儡兵は私が相手します、動力炉の封印を!」
 エレベーターホールの正面に動力炉。だが、その周りを、それこそ無数といって良い傀
儡兵が取り巻いている。
「でも!」
 L4Uを握りつつ、なのはは戸惑い、声を出す。
『Ray Lance, Multi Shot』
 手の届かない飛行型を射撃で落としつつ、魔力光の刃で、舞うように傀儡兵を裁いて行
く。
「私を心配するなら、早く!」
「は、はい」
 クイントの険しい声に、なのははL4Uを突き出す。
「お願い、L4U!」
『Yes, Ma’am. Sealing, Set up』
 L4Uのコアに、ひときわ眩い、桜色の魔力光が収束する。
『Axel Stinger』
「いっけぇぇぇぇぇっ」
 迸り、動力炉めがけて貫き、炉は桜色の魔力光に包まれる。
17リリカルバイオレンス 12-6/10 ◆kd.2f.1cKc :2008/01/14(月) 13:40:58 ID:Y9fpeoaO

「もう限界ね……」
 「時の庭園」最下層。
 並ぶ推進器が、異常な赤熱を見せている。コンディションを示すランプが、感覚的にも
異常である事を示し、狂ったように明滅している。
 そして、そのホールの中央に、プレシアは、アリシアの入ったポッドと共に、居た。
 その正面に向かい合って、9つのジュエルシードが、宙に浮かんでいる。既に発動状態
で、膨大な魔力エネルギーを放出し、推進器に干渉している。
 プレシアの立つ場所は、床がガラス張りになっており、空間が激しく揺らぐのが見て取
れた。
『プレシア! プレシア・テスタロッサ!』
 リンディの念話が、プレシアの思考を過ぎる。
『もう終わりです。次元震は、私がディストーションシールドで抑えています』
「その声……リンディ・ハラオウン?」
 プレシアは、声にして呟く。
『大魔導師とも呼ばれた貴女に名前を覚えていただけて光栄に存じます。そして貴女を犯
罪者として向かわなければならない事、残念に思います』
「ふ、管理局の提督らしい物言いね」
 リンディの硬い物言いに、嘲笑うようにプレシアは言う。
「でももうお終いよ。私達は旅立つの、忘れられた永遠の都、アルハザードに」
『アルハザード、今は御伽噺の世界ではないですか。貴女をそんなものを追い求めてどう
しようというのです、一体何をしようというのです』
 リンディが尋ねると、プレシアは、「アハハハハハハ!」と、高く哄笑を上げた。
「貴女にその答えを言う必要があるとは思わなかったわ。答えるまでもないでしょう?」
『!?』
 プレシアの言葉に、リンディは軽く動揺の様子を見せた。
「取り戻すのよ、私とアリシアの時間を、こんなはずじゃなかった過去と、現在(いま)
と、未来を!」
 ズドン!
 プレシアの背後で、轟音がする。埃が煙になって舞い上がる。
「まだそんな事言ってるの、アンタは」
 呆れと、怒りの交じり合った高い言葉が、投げかけられる。
 キィン
『Ready』
 右手に握られたレイジングハート。
「小娘……っ」
 アリサの姿を確認し、プレシアが憎しみの表情を向けた。
「お前に何が解る!! アリシアを失った私の悲しみを、苦しみを!」
18リリカルバイオレンス 12-7/10 ◆kd.2f.1cKc :2008/01/14(月) 13:41:25 ID:Y9fpeoaO
「わかんないわよ! わかんないから、巻き込まれるのなんて真っ平ごめんだわ!」
 プレシアの言葉に、アリサは即言い返す。少しお嬢様には相応しくない、手の指のジェ
スチャーがついた。
「世界は、いつだってこんなはずじゃなかった事ばっかりだよ。いつだって、誰だって」
 アリサの背後から、クロノが姿を現した。
「でも、自分の悲しみの為に他人を不幸にして良い理由なんか、無い!」
 そして、3人目。
「……何しにきたの? 消えろといったはずよ」
 2人より、さらに前に進もうとするフェイトに、アリサは、はっとして何か声をかけか
けた。だが、戸惑ったように手が宙を泳いだだけで、言葉が出なかった。ぎゅっと、悔し
そうに唇をかみ締める。
 肩のユーノも、俯いた。
「私は、貴女に産み出して貰いました」
 淡々とした口調で、フェイトが言う。
 アリサは、はっとしたように顔を上げた。
「私は、不完全な、人形なのかもしれません。でも、貴女に作られ、貴女の為に産まれま
した。貴女の為に、生きてきました」
 その場に居る全員が、固唾を飲み込んだ。
「だから、何?」
 一瞬の間をおいて、プレシアはフェイトを睨みつけつつ、言う。
「今更貴女を、娘だと思えと?」
「娘よ!」
 反射的に響く、声。
「アンタがどう思おうが、世界中の誰がどう思おうが、フェイトはアンタの娘よ! あた
しとしては、ムチャクチャ気分悪いけどね! 誰にも変えられない! 誰にも動かせな
い!」
「…………」
『…………』
 プレシアが目を見開いて、アリサを凝視する。
 アリサは、昂ぶった感情で目に涙が浮かびそうな顔をし、プレシアを睨みつけた。
 フェイトは、戸惑った表情でアリサを見てから、プレシアに視線を戻した。
 僅かに、沈黙。
 …………ヒュ……ン……
 推進器が次々停止する。
 ビシッ……メキッ……
 不気味な軋みが、推進器室を支配する。
「くぅ……」
 プレシアが、忌々しげな表情で、天井を、動力炉の方向を見る。
19リリカルバイオレンス 12-8/10 ◆kd.2f.1cKc :2008/01/14(月) 13:41:50 ID:Y9fpeoaO
『艦長! 庭園の崩壊状況、もう、限界です!』
 念話越しに、エイミィの声が響く。
『この規模の次元震なら、次元断裂は発生しません、艦に戻ってください! クロノ君達
も、脱出して、もう、持たないよ!』
 推進器室の床にも亀裂が入り、構造物が分解、崩落していく。
「母さん!」
「フェイト!」
 亀裂の入ったガラスの床に、平然と立ち続けるプレシア。崩壊が加速していくのを感じ、
フェイトがプレシアに向かって、そしてそのフェイトを追ってアリサが、前に出る。
「来るんじゃないッ!!」
 プレシアは、憎悪さえ感じさせる目で、近寄ってくるフェイトを睨む。
 フェイトは、一瞬たじろいだ様に足を止める。
 ゴゴゴゴゴゴゴ……
 プレシアの足元の床が崩壊する。プレシアと、アリシアのポッドがゆっくりと時空間に
落下を始める。
「母さん!」
 フェイトは飛び出し、断崖と化したガラスの床の端で、手を伸ばす。────僅かに、
プレシアに届かない────
 ガシッ
「!?」
 フェイトのすぐ脇、すり抜けるように伸びた手が、アリシアのポッドのハンドルを掴ん
だ。
「何をするの!? 離しなさい!」
 反対側のハンドルを、プレシアが掴む。プレシアは、ポッドを挟んで、アリサにぶら下
がる形になった。
『Axel fin』
「ぐ……く……は……離さ、……ないわよ!」
 アリサは歯を食いしばりながら、怒鳴る。
 バリアジャケットのスニーカーに生えた、鮮やかなオレンジ色の翼が、激しく、しかし
大振りに、羽ばたく。
「このまま、終わらせ、……ないって、いってるで……しょ!?」
「だから離せと言ってるの、私と、アリシアの為に!」
 歯を食いしばるアリサを、プレシアが憎々しげに見上げる。
『Pressure is unusually excessive!』
「えっ!?」
 突如、レイジングハートが悲鳴のような声を上げた。
『Emergency!! Put out』
 青白い光がレイジングハートを駆け、そして、その光が、アリシアのポッドに射す。
20リリカルバイオレンス 12-9/10 ◆kd.2f.1cKc :2008/01/14(月) 13:42:23 ID:Y9fpeoaO
「!」
 ────ごぼり。
「…………くくく……ははは……あっはっはっは、はははは、はーっはっはっはっ」
「!?」
「母さん!?」
 突如、プレシアは、狂ったように哄笑する。
「そう言う事……アルハザードの在処……そんな単純なものだったなんて!」
「へ!?」
 プレシアのいう意味が解らず、アリサはキョトンとするばかり。隣で這いつくばるよう
にして身を乗り出しているフェイトも、同じだ。
 その意味を説明する事も無く、プレシアは、ゆっくりとポッドのハンドルを手放した。
「母さん!?」
 フェイトが、目を円くして声を上げる。
「アリシア……フェイトと……仲良くするのよ、貴女の、妹だから────」
 プレシアの姿は、時空間に吸い出され、そして、黒い闇の中に消えていく。
「かあさーん!!」
 プレシアを追うように、フェイトの声が響き、そして吸い込まれていく。
 バキッ、メキッ……メシッ……
 崩壊が、俄かに酷くなってきた。
「フェイト! くっ……ユーノ!」
「うん!」
 ユーノは緑の光を帯び、人間形態へと変身する。そして、フェイトの反対側に回り、そ
の肩を掴んだ。
 アリサは、ポッドのハンドルを握りつつ、左肩を、放心状態のフェイトの肩の下に入れ
た。
「行くわよ」
「うん!」
『Axel fin, Maximum power』
 緑の光が包み込みつつ、オレンジ色の光の翼が羽ばたき、崩壊するガラスの床から舞い
上がる。
「フェイトぉぉっ」
 後ろから、人間形態のアルフが加わった。フェイトの背中を、そっと抱く。
「転移、するよ!」
「エイミィ、なのはとクイントは!?」
 アルフの紅い魔法陣が展開し始める。クロノが、エイミィに問いかけた。
『大丈夫、回収した』
「よかった」
 クロノが軽く苦笑して息をついたとき、6人は紅い光に包み込まれて、その場から消え
た。
21リリカルバイオレンス 12-10/10 ◆kd.2f.1cKc :2008/01/14(月) 13:43:00 ID:Y9fpeoaO

「アリサちゃん!」
 すずかが、艦橋のガラス越しに、悲鳴のような声を上げる。
 彼女は、アリサとフェイトの決戦から、成り行き「アースラ」に乗り込んでいた。
 標識灯がパニックのように明滅しながら、「時の庭園」は沈むように、崩れ落ちていく。
 研究施設から出火したのか、上部構造物は火炎に包まれながら、瓦礫へと帰していく。
 それは、“大魔導師”と呼ばれた彼女の、盛大な墓標のように、最後にその存在感を放
ちつつ、消えていった────
22リリカルバイオレンス 12-11/10 ◆kd.2f.1cKc :2008/01/14(月) 13:46:48 ID:Y9fpeoaO
>>12-21
今回は以上です。

多分次回が最後になります。

>>26-111
保管作業ご苦労様です。
10話で、こちらのトラブルでラップして書き込んでしまったものが、一部そのまま投下されてしまっていますので、修正お願いします。
お手数おかけします。
23漢たちの挽歌作者:2008/01/14(月) 14:38:49 ID:2EGhg1J2
>>6
 なんつう恥ずかしい!!だがそれがいい!!GJ
>>12
 次回が最後っすか。いや、余裕があればA's編も期待します。

さて、俺も投下いいデスか?漢たちの挽歌その11
今回はたぶん一番長いかも知れないです。
24名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 14:55:01 ID:kbhdSgfi
投下してくだされ
25漢たちの挽歌注意書き:2008/01/14(月) 14:58:00 ID:2EGhg1J2
では、まず注意
今回は
捏造あり、スルー推奨。戦闘描写甘め。辛党の人はお気をつけ下さい。
26漢たちの挽歌その11(1/10):2008/01/14(月) 14:58:32 ID:2EGhg1J2
新暦075年12月某日1300時   機動6課演習場


そうして、彼らは無事に6課の視察を終えた。グリフィスやヴァイス、エリオがいないのが気に
かかったが話を聞くと今日はOFFらしいので納得した。

「いや、済まないな。昼食までご馳走になってしまって」
「ええよええよ。いつもお世話になってるからちょっとしたお礼や」
「ねえ、はやて?ここがなのはの監修した演習場?」
「そうや、ちょっと見ていくか?」
「うんお願いするよ」

はやては嗤った。どうやって誘い込もうか迷っていたところにターゲットが自ら罠に突っ込んで
いってくれたのだから。

彼らが演習場の中心にたどり着いたとき、異変は起こった。
27漢たちの挽歌その11(2/10):2008/01/14(月) 14:59:24 ID:2EGhg1J2
突如周囲の風景が変化し異界となる。
瓦解したビル。あちこちで上がる火の手。あまりに唐突な変化。
しかし、彼らはこれでもそれなりに修羅場をくぐってきた人間だ。この程度で恐慌状態に陥るほ
どにやわではない。まず冷静に状況を確認する。しかる後にはやてを問いただそうとして
「おい、はやて。これは一体・・・・・・・はやて?」
「姉さんもシャッハもいない。これは・・・・」
はやて達女性3人の姿が掻き消えていたのだ。


そして何より彼らが驚くことが待っていた。
「ユーノ君久しぶりなの」
なのはが『闇の衣を纏いし大魔王』として降臨していた。
「ふふふふふ。クロノ?今日も遅いんだって?」
フェイトがザンバーを構えている。その姿はまさしく『金色夜叉』!
「なぁ、3人で今日はどこへ行くつもりやったん?」
はやては背なの羽を大きく開き男達を睥睨する。それは神々しくも恐怖をまとうオーラ。『堕天使』
の如き姿!

漢たちは悟った。
『ば、ばれてるーーーーー!!!!』
28漢たちの挽歌その11(3/10):2008/01/14(月) 14:59:54 ID:2EGhg1J2
ここで、なのはが提出したレポートに書かれていた内容について述べよう。
まずは、ユーノ・クロノ・ヴェロッサのランパブ通いの頻度。一度に使う金額。行っていた行為。
そのほかにもこの店を設立する承認を出した人物までも明記してあった。
そしてなによりも、次回の彼らの予約がこの日の夜だという事までも記載してあった。

クロノは家族にこう説明していた。
『ああ、今度の事後処理に関する会議の後は局の友人と少し出かけてくる。何?浮気?そんな
事するわけが無いじゃないか。僕にとっての女性はエイミィ。君だけだよ』


ユーノはこの日のなのはの誘いにこう答えた。
『いや、今度局の偉い人と会合があってね。無限書庫の運営にもかかわることだからちょっとは
ずせないんだ。ゴメンゴメン、今度は予定空けとくよ。・・・・うん、ヴィヴィオの学校のことだね。
僕でよければ保護者の一人にしてもらっても大丈夫だよ』
などと

そしてヴェロッサは・・・・・・
『ん、ちょっと仕事で帰れないかもしれないなぁ。いや、上層部のある人物の経費のほうに少し
不正が見られるって報告を受けたからその調査にね。いや忙しいかぎりだ』
と、家族に言っていた。
微妙にヴェロッサ君が寂しいとかは突っ込んではいけない。
29漢たちの挽歌その11(4/10):2008/01/14(月) 15:00:21 ID:2EGhg1J2
まあ、3人ともいいわけとしてはそこまで苦しくはない。確かにユーノ・ヴェロッサは友人だし、ク
ロノは局の偉いさん、クロノもユーノも確かに上層部と言っていいと思われる。しかし

『僕にとっての女性はエイミィ。君だけだよ』
とか
『無限書庫の運営にもかかわることだから』
とか
『忙しいかぎりだ』
のあたりは明らかにごまかしだろ?


そうして地獄の釜の蓋が開いた。


「クロノ。私はあなたを自分の奥さんを傷付けるような子に育てた覚えはないわよ?」
と、プレシア・テスタロッサが起こした次元震をも食い止めるほどの処理能力を誇るリンディ・ハラ
オウンの攻撃が走り、
「ふふふ、クロノ君ストレスが溜まるのは解らなくは無いけど嘘はいけないなぁ」
と、『魔王印のトラップ教導隊仕立て2〜そして伝説へ〜』を起動させるエイミィ・ハラオウンが言う。

「いや、嘘なんて・・・・」
クロノが弁解しようとすると轟音が響き渡り再びトラップが発動する。ああ、なるほど。これは伝説に
なりそうなくらいえげつない。下手に動くと周りのビルの残骸が頭上に落下し、動かなければ押収
したガジェットが動かざる得ないように近づいてくる。
「それがもう嘘でしょ!私だけを見てくれるって言ったのによりにもよってランパブ!?ふざけてる
の!!?」
「い、いや。ランパブくらい・・・・」
「くらいって!知らないと思ってるの!?クロノ君が楽しそうに女の子の肩に手を回してたのは知っ
てるんだからね!!」
「なぜそれを・・・・」
30漢たちの挽歌その11(4/10):2008/01/14(月) 15:00:49 ID:2EGhg1J2
クロノが驚愕に顔を染め上げるのと、黄金に輝く刀身が彼の前髪を軽く掠めるのは同時だった。
「クロノ・・・・。私はエイミィ見たくは言わない。おにいちゃんがどんな性癖を持っていても気にしない。
だけど、自分の行為を隠すために他人を巻き込むのは感心しないし、何よりも『私の』(←いや、だか
らフェイトさんにとってはここが一番重要なんですって)エリオに夜遊びを教えるなんて許すわけには
いかない!!!」
フェイトが再びザンバーを振りかぶる!クロノは愛機を起動させようと待機状態のカードを取り出す
が、
「くっ!デ、デュランダル!!」
『(デバイスの発言につき英語だと思ってください)大変申し訳ありませんが、本機は現在リンディ・ハ
ラオウン女史により使用制限がなされています』
リンディ総務統括官いつの間にやら制御を奪ってたようです。
「か、母さん!!」
「クロノ?いつの間にそんな遊びを覚えたのかしら?息抜きも大切とは思うけど家族を泣かせてまで
やることじゃないわよねぇ」

このときのエイミィとフェイトの見解は
『義母さんこわっ!!』
だったりする。


この後5時間に渡り生かさず殺さずの責め苦が彼を襲い続けた。
「いっそ楽にしてくれ!」
と叫ぶクロノに3人の女性はそろって
『駄目』
と答えたという。
31漢たちの挽歌その11(4/10):2008/01/14(月) 15:01:36 ID:2EGhg1J2
「ねえ、ユーノ君。私が今日ユーノ君を誘った時なんていったか覚えてる?」
「え、あ、その」
「覚えてないなら教えてあげるの
『いや、今度局の偉い人と会合があってね。無限書庫の運営にもかかわることだからちょっとは
ずせないんだ』
そういってたの。でもね、それだと嘘なの。普通ランパブでそんな会議はやらないの。ねえ、なんで
なのかな?何でうそついたのかな?」
アクセルシューターの雨の中、ユーノに問いかけるなのは。必死に回避と防御を繰り返しながらユ
ーノは答える。
「いや、その会議の二次会で・・・・うわっ」
ごまかそうとしたユーノの眼前にくすんだ桃色の魔力光の束が突き刺さる。なのはの主砲ディバイ
ンバスターだった。
「やっぱり嘘なの。アルフさんに聞いたら今日はユーノ君一日中オフで。そんな会議も入ってないっ
て言ってたの」
「ア、アルフーーーー!!」
意外な伏兵(密告者)に驚愕するユーノ。叫んだところで
「チェーンバインド!」
脇から飛んできた鎖に飛びのくそこにいたのは最近見慣れた子供形態から大人形態に戻っている
アルフだった。
32漢たちの挽歌その11(7/10):2008/01/14(月) 15:02:16 ID:2EGhg1J2
「アルフ。何で?ここに?」
「ユーノ。あんたはやっちゃいけない事をしたんだよ。よりにもよってなのはを怒らせるなんて」
「え゛?」
「あと、なんだって?お店の女の子の胸にチップを挟んだ?まんまエロ親父だね。この淫獣!」
「なぜそれを・・・・」
「それは、ひみつさ。さて、どう弁解するんだい?」
「あ、あっと・・えーっと」

何かがひしゃげる音がした。
ユーノの背後のビルが倒壊し瓦礫が降り注ぐ。
「ぐっ」
即座にスフィアプロテクションを発動し瓦礫の流れを食い止める。この処理能力に関しては膨大な
情報を処理し続ける無限書庫司書長ならではといったところか。しかしながら
「ハァッ!!」
瓦礫の落下がとまったところでアルフのバリアブレイクにあっさり貫通されそこに
「レストリクトロック」
なのはのバインドが決まる。

ユーノは見た。いつもは青空を舞う白い衣の彼女の姿が、立ち上るオーラで黒く染まっている。
そして、
「スターライトォ!ブレイカーーーー!!!!」
極大の魔力の奔流がユーノの姿を包み込む。


結論から言おう。彼は生きていた。SLBが直撃する瞬間あの、フェレットモードに変身して逃げたの
だ。
しかし、それはあくまで苦しみを引き伸ばすだけだったのだから。
その後、やはり5時間にわたり地獄をさまよい続けることとなる。
33漢たちの挽歌その11(8/10):2008/01/14(月) 15:02:41 ID:2EGhg1J2
ヴェロッサ・アコースは走っていた。ただもう怒れる姉とかシスターとかあと堕天使とかがひたすらに
こわかった。査察官として、それなりに修羅場は抜けてきた。しかし、これほどの恐怖があったろう
か?いや、無い!
無限の猟犬も意味を成さずシスターによって破壊され、姉が発動させるトラップは一瞬の油断も許
さない。
さすがは『教導官は違うなあ』とか考えていると氷結の息吹で身動きを封じられ、壁を抜けた
シスターの一撃が襲い掛かる。そのまま反対の壁に押さえつけられてしまった。
「いや、ちょっとまって。なんでこんなことに・・・・」
「ロッサ。あなたの部屋から多数の領収書が発見されました。ええ、如何わしいお店の。で、あの領
収書は経費として落とす気でいました?」
「あ、ああ。仕事で行ったんだよ。僕としては仕事はしっかりしないといけないと真面目に・・・・」
ドスッ!という音と共にロッサの首の脇を通りシュベルトクロイツが突き刺さる。
「へぇ。ロッサの仕事言うんは女の子を膝の上に座らせてお酌してもらうことなんかぁ。なんや、えら
い楽しそうなお仕事やなぁ。ん?」
「なぜそれを・・・・」
34漢たちの挽歌その11(9/10):2008/01/14(月) 15:03:18 ID:2EGhg1J2
やっぱりこの台詞。そこにカリムがやってきてその他の罪状を挙げていく
「ほかにも色々ありますね。まず、挨拶と称して女性の胸を揉みしだき、王さまゲームでイカサマし
女性に淫らな指示をだす。ほかにも色々ありますよ」
「あ、あ、ああ・・・・」
「ロッサ。あんたはそれだけや無くウチの部隊のグリフィスをその道に引っ張り込んだ。調べは付い
てるんや。クロノ君を止めるどころか煽ったそうやないか」
「ロッサ。仕事と偽って遊ぶだけならまだしも、その支出を経費で何とかしようなどとは言語道断」
「では、お仕置きと行きましょうか。覚悟はよろしいですか?」


彼はこの後、五時間に渡る逃走劇を繰り広げる。それはまるで御伽噺の・・・・・違った。戦術の教本
の如き逃げ方だったという。しかし、それも意味を成さず、結局彼はボロボロのズタボロになった。

35漢たちの挽歌その11(9/10):2008/01/14(月) 15:04:04 ID:2EGhg1J2
さて、ここで全員の逃走が5時間で統一されていることに気づいた方は多いのではなかろうか?
そう、『お仕置き』というには少々苛烈なこの時間。終焉は3人の元魔法少・・・・(ジャキン)・・・・失礼
3人の魔法少女によって引き起こされた。

「さて、じゃあそろそろいこうか。なのは、はやて準備はいい?」
ソニックフォームのフェイトの呼びかけに
「こっちはいいよフェイトちゃん。はやてちゃんは?」
いつのまにやら『白い大魔王』にまで戻ったなのはと
「こっちももんだいなしやいけるでぇ」
気合入りまくりのはやてが答えた。

「じゃあ行こう! 雷光一閃!!プラズマザンバァァァァァァァ!!!」
「全力全壊(←やっぱりまだ大魔王ではある)!!スタァライトォォォォ!!!」
「響け終焉の笛!!ラグナロクッッ!!!」

「あ、ああ」
「僕たちは一体どうしてこんなところ・・・・・」
「ユーノ、それ以上はストップだ。色々危ない」

『ブレイカァァァァァァァァ!!!!!』

『うぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁ!!!』


かくして、漢たちの最後の咆哮が轟き、地上に顕現せし地獄は終焉を迎えるのであった。
36漢たちの挽歌その11(9/10):2008/01/14(月) 15:07:10 ID:2EGhg1J2
はい、今回は以上です。
これ以上の激しいプレイは作者のキャパを軽くオーバーしてるのできついです。
次回でエピローグいけるかな?
エロい話は、どうしよう(汗)。いや、考えてなかった。勢いで書いてたし。
ま、まぁ前向きに善処します。
37漢たちの挽歌あとがき:2008/01/14(月) 15:09:56 ID:2EGhg1J2
いや、すいません。何度も何度も。分数やら何やら色々間違ってます。
そのあたりよろしくお願いします。
38名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 16:28:32 ID:jEfhtroP
>>37
GJを送りたい。こっちまで男たちの悲哀が伝わってくるようでした。

ただ、なんでここまでされなきゃいけないのか……。
いや、クロノがエイミィさんに天罰下されるのはまあ当然かもだけど、
ロッサとユーノは?
ユーノはなのはと付き合ってったっけ?
ロッサに対して義姉やシスターが何故怒る?
六課の連中を悪の道に引き込んだ罪は受けるべきだとは思うが、
さすがにリンディ、アルフ、カリム、シャッハはでしゃばりすぎだろ……。

なんとか、なんとか男たちが一矢報いることは出来ないのか!?(血涙)
39名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 17:01:15 ID:S9gFQkkK
>>37
GJ。どう締めるのか、楽しみです。

>>38
ロッサは遊びを経費で落とそうとしてたからじゃね? まあ公私混同ってことで罰の対象にはなると思う。
でも、遊びを怒られる理由にはならないよね。別に聖王教会がそこまで潔癖ってわけでもないだろし、ロッサが敬虔な信者だってわけでもなし。
ユーノは……何でだろ? アルフが怒る理由は全く分からないが、なのはさんが怒るのは誘いそっちのけで、嘘ついてまでそういう店に出入りしてたことが原因だろうけど。
でも、お仕置きされる理由にはならないな。ユーノだっていち個人なわけで。男女の付き合いがある上でそれなら言語道断だけど、フリーよね?

でもここまでやられても、ロッサは懲りないような気がする。逆にユーノはお仕置きが効き過ぎて女性不信になり、書庫に引きこもって誰にも会わなくなりそうだがw
40名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 17:04:01 ID:QEZBOhON
>>6
GJです。淫獣のヘタレっぷりがなんとも言えない。
でも良かったです。もう一本の投下も期待してます。

>>21
GJです。これから終局に入るんですね。

>>37
GJです。もはやこの世の地獄。続きを期待してます。

「バンド・オブ・ブラザーズ」と「プライベートライアン」をさっき見たんだが
レジアス職人、降臨してくんね〜かな?
41名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 17:07:10 ID:C2nxHxGq
>>39
淫獣が女性恐怖症で二次元依存症になると申したか
42名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 17:19:51 ID:zffE0/4z
女の理不尽な糾弾なんて小学校の帰りの会だけで十分だよ……(´;ω;`)
43名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 17:25:35 ID:fo3UDyju
>>39
前回「愛の鞭」って言ってたし、なのは流のプレイか調教なんじゃね?
ちなみになのはのキャラスレでは、砲撃受けると惚れるというのがもはや定説w
44名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 17:28:07 ID:gV1iB3pF
>>43
ザフィスレ住人の俺の中でも定説です
いやだってディエチもなのは砲の魅了効果食らったらしいし
45名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 17:52:08 ID:cqoxuvnx
>>43
>>44
ということは4番もかっ!?
46名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 18:15:08 ID:9DIZyiEE
レジィ職人氏のせいでゼス×レジィなんてものが読みたくなっちまった。
末期だな俺は…
47名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 18:18:53 ID:PqYQuZCU
>>46
ようこそ・・・・・・・『801の世界』へ・・・・・・・・
48名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 18:20:27 ID:3KAkz7Qo
>>22>>36
遅まきながらGGJ!

>>45
いいところに気づいたな。勿論だぜ
49名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 18:51:37 ID:iNCBR0V5
>>37
GJっす。
個人的にはきっと男達が女供の理不尽な糾弾に
仕返しする展開があると信じてますう……(´;ω;`)


女達だって男遊びの1つや2つくらい。とくにはやt(ちゅどおおおおおおん
50ザ・シガー:2008/01/14(月) 20:26:19 ID:UfIzXWhQ
>>37 是非とも次回は女達に淫らな復讐を!!

それではエロの時間という事でリンディさんメインのエロSS『甘党艦長〜』の第六話の投下良いですか?

今回もリンディさんやらシャマルさんがエロで天元突破する話なんですが。
51名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 20:28:01 ID:kRmh7MZm
無論である
52ザ・シガー:2008/01/14(月) 20:30:15 ID:UfIzXWhQ
それでは投下します。

なおこのSSはオリキャラの野郎が大変淫靡なリンディさんとシャマルさんに肉棒奉仕する話ですので、“オリキャラ嫌い”“エロ見たくない”という方はスルーしてください。
53ザ・シガー:2008/01/14(月) 20:31:11 ID:UfIzXWhQ
甘党艦長と俺物語6

故郷の父さん母さん、お元気でしょうか?
最近は再開発で町の人口も増え、実家のダイナー(食堂)も賑わっていると聞きます。
ところで俺は今猛烈に死にそうです、何故なら二人の淫魔が俺を喰い殺そうとしてるからです。

マジで容赦ないです、週18回くらいヤってます。
冗談抜きで棒から血が出ました。腹上死ってたぶん現実に起こります。
もしこの手紙が読まれているなら、俺はあの淫魔のどちらかの腹の上で死んでます。
ではさようなら。

ジョンより。





アースラ内部の女性用トイレの個室の一つ。そこで息を荒げる女が一人、それは時空管理局提督にしてアースラ艦長リンディ・ハラオウンである。

「んぅぅ…はぁ…はぁ」

リンディは声を殺しながら肌蹴た服の間から差し入れた手で胸をまさぐり股ぐらを弄り自分自身を慰めている。
乳房の頂点の綺麗な桃色をした乳首を捻りあげ、秘部のクリトリスを転がしながら膣壁を指で擦りあげる。
悲鳴の出そうな快感を狂ったように自分に与え続けるリンディだがその顔には明らかな不満があった。

リンディの求める快楽はこんな子供騙しものではない。
彼女の求める悦楽とは、憎らしい程に硬い肉棒で徹底的に膣内を蹂躙され、羞恥心を辱める言葉でなじられる、身も心も嬲り尽くされるようなオスとの契りなのだ。
だがそのような情事を許した唯一の男であるジョンはこの所リンディの欲求に応えてくれない、最近では身体を重ねる回数が半減し、リンディに狂おしい渇きを感じさせていた。

「ジョンったら…最近、全然相手してくれないから……んぅ…一人じゃ疼きが鎮まらないじゃない…」

リンディは自分の中に情欲の火を付けた若い愛人との情事に、憎いほどの恋慕を想い煩いながら何度も自慰で軽く絶頂に達する。
しかしその程度の快感では余計に子宮の疼きを高めていくだけだった。

「…ジョン……今夜はきっちり相手をしてもらいますよ…」

リンディは静かにそう呟くと、彼の与える陵辱を想いながらまた一段と激しい自慰行為に耽っていった。







アースラ内部の医務室、そこで今日もまた淫らな金髪のメス猫が男の与える快楽に陶酔しよがり鳴いていた。
医務室のベッドの上で男に組み伏せられたメス猫は正常位で彼と繋がって快感の悦びに目に涙を、口から唾液を垂れ流しながら淫らな表情を見せる。

メス猫は突き出される男根に膣内の性感帯をたっぷりと擦り上げられ、全身に流れる快楽の電流に脳髄を焼かれる。
そして狂ったように男の背中や腰に手足を回してしがみ付き、絶頂の波に身体を大きく痙攣させて震える。


淫蕩な欲に狂うメス猫の名はシャマル、そして彼女の肉欲に応える男の名はジョン。
シャマルの要求によりジョンは可能な限り彼女の肉欲を満たすべく交合を繰り広げている。
ジョンはリンディへの負い目を感じるが、シャマルに〔自分とリンディの情交を収めた映像データ〕という弱みを握られているだけに逆らう事ができない。

そしてリンディとはまた違うシャマルの魅力も呪縛の如くジョンを引き寄せる。
シャマルの肢体はボリュームでこそリンディに負けるが、程好い肉付きでよく絞まった身体は芸術品のように美しく、白磁の肌に映える輝く金髪は神秘的ですらある。
54ザ・シガー:2008/01/14(月) 20:31:55 ID:UfIzXWhQ
そんな彼女の吐く誘惑の甘い言葉はどこまでも逆らい難いのだ。



激しい契りに何度目かの絶頂を迎えたシャマルは身体を大きく震わせながら荒くなった息を整える。
絶頂の余韻にうっとりと潤んだ瞳、上気して赤く染まった頬、その頬に汗に濡れて張り付いた輝く金髪、その全てが彼女の美貌を淫らに飾り、浮かべた微笑に魔性すら宿す。

そしてシャマルはジョンの首に手を回して彼の顔を引き寄せると、舌を絡めた濃密な口付けを交わす。
シャマルはたっぷりと時間をかけてジョンとのキスを楽しむ、彼の口付けはリンディとの度重なる情交を経て女に無常の悦びを与える素晴らしいものへと昇華していたのだ。

そうしてまた淫らな色欲を高めるとジョンの耳元で甘く誘惑の言葉を囁く。


「ジョン君まだイってないでしょ? 私もまだ欲しいから…遠慮なんかしないで早く頂戴…」

ジョンはシャマルのその囁きに、言葉でなく力の限り突き出して蜜壷を抉る肉棒で答えた。
果汁の溢れた蜜壷を抉る湿った音が医務室全体に響き渡り、二人を乗せたベッドが軋みを上げる。

「あぁんっ…んぅっ!…すごい…激しいぃ…もっとぉ…もっと突いてぇ♪」

肉棒の与える快感にシャマルはだらしなく甘えた声で鳴く。
正確に性感帯を擦り上げる肉棒の動きには一切の容赦がなく、先ほど絶頂を迎えたばかりのシャマルに再び意識の飛びそうなくらいの快楽の高みを味合わせる。

そしてジョンもまた絶頂に近づき腰の動きをさらに加速させていく。
肉棒の激しい動きにシャマルの蜜壷からは愛液が飛沫となって飛び散り、ベッドのシーツを濡らしていく。

「くぅっ!…シャマルさん、そろそろ出しますよ。どこに出しますか?」
「あんっ……なかぁ…んぅっ!…なかにだしてぇ♪」

ジョンはシャマルのその言葉と同時にたっぷりとストロークをつけて肉棒を挿し込んだ。
最高の力を込めてシャマルの性感帯に亀頭が叩きつけられ、白濁とした精液が爆発的な勢いで注がれる。

「はあぁっ!! …イっくうぅぅ!」

その凄まじい快感にシャマルも高い絶頂の波に呑み込まれる。
シャマルは全身を嵐のように駆け巡る快楽の電流に意識を蕩かせて、体内に満ちる子種の熱に陶酔した。

「すごぉい…ザーメン……あつぅい」



互いに絶頂を迎えたジョンとシャマルはベッドの上でしばしの間、まどろむような性交後の倦怠感を味わい身体を寄せ合っていた。
自分の髪を優しく撫でるジョンの慣れた手つきにシャマルは苦笑しながら口を開く。

「こういうの慣れてるわね、もしかして結構遊んでるのかしら?」
「いえ、そんな事ないですよ。艦長はこうされるのが好きなもので……嫌でしたか?」
55ザ・シガー:2008/01/14(月) 20:33:06 ID:UfIzXWhQ
「全然、むしろもっとして欲しいわ。でもこのテクは全部リンディ提督仕込みなのね〜♪ つまみ食いしちゃって少し悪いかしら?」

シャマルはそう言うがまるで悪びれた様子はない。
その姿はまるで無邪気に人をからかう猫のようで、いつもの淑やかな彼女とは大違いだ。
きっとこの姿は隣で寝た男にしか見せないシャマルの本当の顔なのだろう、その事を考えるとジョンは少し優越感のようなものを感じるが同時にリンディを裏切っているような気がして罪悪感も抱く。

「っていうかシャマルさんは彼氏とかいないんですか?」
「いたらジョン君に頼まないわよ、私達守護騎士が管理局に入ったのは最近でしょ? まだそこまで親しい人はいないのよ、そこに運よくジョン君がいたって話ね」
「そ…そんな理由で…嗚呼、また腰が痛くなってきた」
「ごめんなさいね、どうしても我慢できなかったのよ。それにジョン君の“秘密”も握っちゃったしね♪」

気紛れなメス猫は少し舌を出しておどけた笑顔を見せる、自然な媚を宿したその笑顔にジョンは既に精神的に抵抗する術を失って溜息をつく。

「は〜……シャマルさんには敵いませんよ…」







アースラの通路を歩く一人の美女が物憂げに溜息を漏らす、それは先ほどトイレから出たアースラ艦長リンディ・ハラオウンであった。

「ふぅ…」

トイレで散々自分を慰めてなんとか火照る身体を無理矢理押さえつけたリンディだが、根本的な子宮の疼きは結局解消できなかった。
ジョンのデバイスにメールを送り、今夜たっぷり相手をしてもらう事で折り合いをつけて猛る性欲を自制したのだ。

そんなリンディの前に一人の女性が歩いてきた、金髪に白衣を羽織ったその女性はひどく満足気な表情で朗らかな笑みを浮かべている。
その女性とは夜天の守護騎士の一人、風の癒し手シャマルである。
先ほどまでジョンとの激しい情事をしていたシャマルは意気揚々とした足取りと満面の笑みを宿していたのだ。


「こんにちはシャマルさん」
「あっ! あらリンディ提督! こ、こんにちは」

リンディに声をかけられたシャマルは何故かひどく狼狽した、そんなシャマルの様子にリンディは不思議そうな顔をして首をかしげる。

「そ、それじゃあ失礼しますね」

シャマルは挨拶をすると慌ててリンディの横を駆けて行く、そしてその時シャマルの身体に付いたある“匂い”がリンディの鼻腔を刺激した。


それはリンディにとって嗅ぎ慣れたオスの匂い。
度重なる激しい情交で身体に染み込む程に浴びた若い精の匂い、ジョンの体臭と交合の残り香であった。
間違う筈の無い彼の匂いと、ここ最近の身体を重ねる回数が半減した事が一致して一つの答えへとリンディの思考を導く。

「なるほど…そういう事ですか……」

リンディはそう呟くと静かに微笑む、その笑みには慈愛も母性も情欲すら無い。
そこに込められたのは空気を歪めるかという錯覚を覚える程の怒り、そしてどす黒い憎悪の激情だった。







今日もシャマルさんに請われるままにヤってしまった、きっと今夜は艦長からのお誘いだ。
56ザ・シガー:2008/01/14(月) 20:34:00 ID:UfIzXWhQ
せめて1日でいいから俺の股間に休みをくれ……週1回じゃなくて良いから、月1回で良いから!!
最近は食生活もトンでもない事になってる。例、スッポン鍋、ウナギの蒲焼、にんにくスライス、レバニラ炒め、山芋、マ○ビンビン、etc …とにかくスタミナのつくものを食べまくってる。
っていうか、じゃないと死ぬからな…。

今俺はデスクワークを終えて仮眠室で横になり、手にしたデバイスで先ほど受け取ったメールを眺めている。
それは案の定、艦長からのお誘いのメールだったがいつもと少し違う内容に俺はちょっと驚いていた。

『ごきげんようジョン、今夜は海鳴の私の家に来て頂戴ね。
リンディ。』

艦長の家か……あんまり行ったこと無いな、確か今日はクロノ君もフェイトちゃんもアルフもいないから誰もいない家でたっぷりするのをご所望という訳か。
俺はせめて今だけはゆっくりしようと目を瞑って意識を闇に落とした。





海鳴のとあるアパートの1室、ハラオウン家の住まうそこに二人の男女が現われた。
アースラの転送ポートから転移魔法を使ってここまで移動したリンディとジョンである。

久しぶりにハラオウン家に来たジョンはキョロキョロと辺りを見回してからいつもの質問をリンディに投げかける。

「艦長の家に来るのも久しぶりな気がしますね、それじゃあ今日はどうやりますか?」

それは交合の際にいつもジョンがする問い掛け、彼はこうしてリンディの求めるままに従い責めの方針を決めるのだ。
しかしジョンの質問に対するリンディの答えは言葉ではなかった。

ジョンが言葉を言い切った直後にリンディは自分の口で彼の唇を塞ぎ、激しい口付けを交わす。
そしてリンディは彼の身体に腕を回しながら近くのソファに押し倒した。

淫らな水音を立てて舌を絡め唾液で口元を汚しながら情欲に火を付ける口付けで、ジョンの股間の肉根は早くも反応して徐々に硬くなり始める。
そのリンディの甘い唇は否応無くジョンの疲れ果てた筈の獣欲を滾らせていく。

さらに股間に伸ばされたリンディの手が器用にベルトを外し、ファスナーを下げて男根を取り出す。
口付けを交わしながらで、見てはいない筈なのだがその手早さは感嘆に値するものであった。
リンディは取り出したジョンの肉棒を、もはや習慣化した馴れた手付きでジョンの肉棒を撫で、擦り、扱いて十分な硬度を保たせる。
そうしてジョンの男根の準備が整うとリンディはそっと唇を離す、二人の唇の間には濃密な口付けにより唾液の透明な糸ができる。


「えっと艦…いやリンディさん……今日はリンディさんからですか?」

ジョンは突然のキスに狼狽してマヌケな声をあげる、いつもならリンディは彼の激しい陵辱を求めるのだが今日の彼女は少し様子がおかしかった。

「ええ、それに確かめたい事もありますから」
「確かめる?」
「気にしないで下さい」

リンディは一切の反論を許さないような微笑みでジョンの疑問を封じると、服の胸元をボタンが弾け飛びそうな勢いで開きたわわな乳房を露にする。
服から飛び出した反動で揺れる豊かな乳肉の誘惑に思わずジョンの手が伸びるが、リンディは彼の手を制して拒む。
そしてリンディは身体をジョンの下半身にずらして、彼の男根をその豊満な二つの胸の間に挟みこんだ。

「胸でされるの好きでしたよね?」
「は、はい…」

リンディはそうやって確認を取ると先ほどの口付けで溢れるほど出た自分の唾液を肉棒に垂らし始める。
手淫により先走り出した男根の液と唾液が混じり凄まじく淫靡に棒を濡らす。
57ザ・シガー:2008/01/14(月) 20:35:09 ID:UfIzXWhQ
そして肉根はしっかりと乳房の両側から力を込めて挟みこまれ、上下に激しく扱かれる。


「くうぅぅっ!!」

極上の柔らかさと温かさそしてボリュームを持つリンディの乳房で行われる乳淫は彼女の秘所に勝るとも劣らぬ快感をジョンに与える。
たっぷりとぬめり気を付けられた乳肉は、素晴らしい滑らかさで以って男根を挟み上下に激しく動く。
さらに亀頭の先端を舌が弄り、ときおり上目遣いに見上げてくるリンディの潤んだ瞳がジョンの絶頂を誘う。


「うあぁ……リンディさん…俺もうダメです!」

ジョンは呻くようにそう言うと絶頂を迎え白濁とした精液を肉棒から吐き出す。
リンディはそのタイミングを完璧に熟知していたのか、射精の瞬間に思い切り亀頭に吸い付き最高の刺激を与えて発射を促して精を全て口で受け止める。

リンディは吐き出された肉根のミルクを口いっぱいに満たして舌の上で転がしながら鼻を抜ける青臭い匂いをたっぷりと楽しんでから一気に飲み干した。
そしてジョンに聞こえない程度に小さく呟く。

「やっぱり……薄いですね…」

リンディの瞳には明らかに情欲とは違う熱が宿っていた、その熱の源は怒りそして黒い憎悪。



「リンディさん…どうしたんですか?」
「いいえ、何でも♪」
「そうですか、それじゃあそろそろ俺の番ですね…」

ジョンはそう言うとリンディの身体を床のフローリングの上に押し倒す。
そして同時に唇を奪い、両の乳房を力を込めて揉みしだく。

「んむぅっ! ぴちゃっ…ジョンゥ……ちゅぷ…んぅ」

ジョンはたっぷりと舌を絡めた口付けでリンディの口内の隅々を蹂躙し、豊満な胸を満遍なく揉みながら敏感な乳首を転がし、彼女の脳が蕩けるほどの快感を与える。
そして口を甘いリンディの唇から離すと左の乳房に移して今度は乳首を舌で責め始め、空いた右手はリンディの股ぐらに伸びてスカートをたくし上げて膣とクリトリスを弄りだす。

「んはぁ……すごい…きもちいい…」

リンディはどこまでも甘い吐息と声を吐いて、与えられる官能にあえぎ、身体を小刻みに震わせて何度も小さな絶頂を味わう。
するとジョンは乳首を吸い上げるのを止めて口を離す、そしてリンディの耳元に移すと耳たぶを甘噛みしながら優しいくらいの声で陵辱の言葉を吐く。

「そういえばリンディさんの家にお邪魔してるってクロノ君たちに言ってなかったですよね? やっぱりちゃんと言わなきゃダメですよねぇ?」
「んぅっ…ジョン? なにを言って…」

するとジョンは取り出したカード型の待機状態のデバイスでアースラに音声のみの通信を入れた。
相手はもちろん現在家に不在のハラオウン家の家族である。

「あ〜クロノ君、聞こえるかい?」
『ジョンか? 一体どうしたんだ?』
「いや〜実はちょっとクロノ君の家に来ててね」
『僕の家に? 何か用でもあるのか?』
「ちょっと海鳴に遊びに来たんだよ、それで艦長に夕食を頂いててね、そうですよね艦長?」

ジョンは目の前のリンディに話題を振るがもちろんリンディはそれに返事を出来る状態ではない。
それもその筈、ジョンはクロノとの会話の最中も容赦なく指でリンディの膣を抉り肉芽を転がして秘所を弄んでいた。
リンディは口に手を当てて声を上げるのを耐えていたのだが、話題を振られては答えるほかに無い。
そして口を押さえていた手を離してジョンの問いに応える。

「ええ…んぅっ…その通りよ」
58ザ・シガー:2008/01/14(月) 20:36:40 ID:UfIzXWhQ
『そうですか、でも母さんちょっと様子が変ですけど何かあったんですか?』
「はぅんっ!……何でも…ないわ…少し熱っぽいだけだから」
『はあ、そうですか。それじゃあこれで切りますよ』
「ええ…んぅっ!……それじゃあね」

そうして通信は切られ、やっとリンディは緊張から解放されるがジョンはその瞬間を狙い済ましたかのように指に力を込めて股ぐらの肉芽を弾いた。

「はぁんっ!!!」

一瞬で絶頂の高みを味合わせられたリンディは身体を痙攣させて快楽の電流に身体を震わせる。
ジョンはそのリンディの耳に舌を這わせながら恥辱を煽る言葉を囁く。

「リンディさん、クロノ君に通信入れてる間に何回イきました?」
「はぁ…はぁ……さ、3回です…」
「自分の息子に聞かれてるかもしれないのにイってたんですか?」
「…は、はい…」
「まったく本当に淫乱なんですね? それじゃあそろそろリンディさんの大好きな本番にいきますか。それじゃあ、いつものオネダリしてくださいよ?」
「は、はい……ド変態のメス豚リンディにたくさんオマンコしてくださいぃ」

リンディは卑猥な言葉を吐きながら羞恥心を蹂躙される悦びに瞳を潤ませ、頬を赤く染めて、情交に期待する。


そして硬く硬く隆起した肉棒がリンディのその期待に子応えるように力強く挿し込まれる。
肉棒の挿入に蜜壷から果汁がしとどに溢れ出し、膣壁がうねり、リンディの身体が強く痙攣して絶頂に達する。
リンディは絶頂の電流に脳を焼かれながら、待ちわびた肉棒の感触に涙を流して悦んだ。

「んはぁぁっ…すっごぉいぃ……もう…イっちゃたぁぁ」

そしてジョンは身体を震わせて絶頂の余韻に浸るリンディの唇に再び自分の口を重ねる。
さらに両手は乳房を揉みしだき乳首を転がして、リンディに正気を失いそうな程の快感を与えていく。

「んぅぅっ……ちゅぷっ…ジョンゥ…ぴちゃ」

舌の蕩けるような深い口付け、力強い乳房への刺激、そして何よりも膣を掻き回し激しく蹂躙して性感帯の全てを擦りあげる肉棒の激しい動きがリンディを無常の悦楽に溺れさせる。

そして素晴らしい締め付けに、男根に絡みつく無数のヒダを持つリンディの極上の名器にジョンにも絶頂が近づいてくる。
肉根の震えと速くなった腰の動きにジョンにも絶頂が近づいているのを感じたリンディは腰に力を込めてさらに男根を締め付けて彼の絶頂を促す。

「んぅっ……ちゅぷ…私も…もうイきそうだから…はぅんっ!……ジョンも早くだしてぇ」

絡めた舌の間から甘い声で誘うリンディの要求にジョンは痛いくらいに腰を打ち付けて応える。
そしてリンディに再び大きな絶頂の波が訪れ、全身を電流の濁流となり駆け巡り彼女の身体を大きく痙攣させる。

「ふあぁぁっ!! イっくうぅぅぅ!!!」
「リンディさん! 俺もっ!!!」

絶頂と同時に痙攣して強く締め付けてくるリンディの蜜壷にジョンも達し、白濁の精を発射して彼女の体内を白く染め上げた。

「はあぁぁ……すごい…あつぅい…」

リンディは激しい絶頂の余韻と体内に満ちる精の熱さに意識を朦朧とさせて蕩けるような心地良さに身も心も委ねる。


そして二人の狂宴は寝室のベッドへと場を移し、しばらくの間ハラオウン家には淫らな水音と女の甘い嬌声が響き渡った。




リンディの寝室のベッドの上で、何度も激しく身体を重ねた二人は情交の後のまどろみの中で身体を寄せ合っていた。
59ザ・シガー:2008/01/14(月) 20:38:34 ID:UfIzXWhQ
ジョンは慣れた手つきでリンディの髪や背中を優しく撫でる、リンディもまた彼の優しい手の感触に目を細めて後戯の心地良さに酔いしれる。

するとリンディは唐突に身を起こしてジョンの身体の上にのしかかるように抱きつき、唇を重ねてきた。
突然の事に驚くジョンだが、その口付けは情欲を滾らせるものとは違うと即座に悟る。
それはそっと唇を重ねるだけのキスだったが、契りの余韻を深める優しいものであり二人のまどろみに溶けるような快感を与える。


リンディは唇を離すとジョンの身体にしな垂れかかるように抱きつき、その柔らかく豊満な肢体を絡める。
そして彼の耳元に甘い言葉で囁いた。

「ねえジョン…私のこと好き?」

ジョンは一瞬目の前が白くなったような錯覚を覚える、リンディのその言葉にあるのは明らかに肯定されるのを前提とした問い掛け、愛を告げる言葉である。
リンディに対して単なる肉体関係以上の愛情を感じているジョンにとってはそれこそ天にも昇るような嬉しい言葉である。
故に彼はその問い掛けに即座に答えた。

「は、はい…その、俺は……リンディさんのこと…好きです」

真っ直ぐな嘘のないジョンの言葉にリンディは身体を起こして彼を見下ろしながら優しく微笑む。

「そう…嬉しい、私もジョンのこと大好きよ」

相思相愛である事を告げるリンディの言葉にジョンは思わず喜びの声を上げたくなったが、それはリンディの眼光に遮られる。
次の瞬間、リンディの目はジョンが今まで見たことのないカミソリのような鋭さを帯びていた。

「それじゃあ正直に答えてねジョン? あなた誰か別の女と寝たのかしら?」


その言葉にジョンは身も心も凍り付く、シャマルとの関係がどのように知れたのか憶測が数多と頭を過ぎるが凍りついた緩慢な思考は答えを導く事はできない。
そんなジョンにリンディは彼の首筋に指を這わせながら、ゆっくりとした口調で語りかける。

「今日も最初の精液がやたらと薄かったですよね?」

ジョンの首筋を撫でるリンディの指に込められた力が少しずつ強くなっていき、爪が立てられて赤い跡を残していく

「最近回数が減ってるのにおかしいですよね? それにジョンの身体から他の女の匂いがするんですよ?」

遂にリンディの爪がジョンの首筋の薄皮を裂き血が滲み始める。
だがジョンはリンディの発するあまりの気迫に完全に身動きを封じられているが故に、呻き声すら上げられない

「私のこと好きなんでしょ? 私もジョンのこと大好き、愛してるわ。だから正直に言ってね? 誰と寝たの?」

リンディはずっと笑顔のままだった、だがその笑みには嬉しさも喜びも情欲も無い。
あるのは空気を歪める程に溢れる怒りと憎悪だけだ。
60ザ・シガー:2008/01/14(月) 20:38:57 ID:UfIzXWhQ
そしてリンディは指に付いたジョンの血を美味しそうに舐める、それはまるで肉食獣が獲物を嬲り殺す仕草にも見えた。

「さあ教えてジョン? どこの誰と寝たのかしら?」
「そ、それは…」
「素直に言ってくれたら別にあなたを怒ったりしないから、ね? だから早く教えてちょうだい」


しばらくリンディの憎悪と怒りで濁った瞳を見つめていたジョンだが、一つ息をつくと意を決して口を開いた。

「それは言えません」
「…………あら…どうしてかしら?」
「言えば彼女に迷惑がかかります、それに抱いたのは俺の責任ですから」
「そう……」
「だから、許せないなら俺を…」
「なら良いのよジョン」
「えっ?」
「許してあげる、だからもう二度と他の女と寝ないでね?」
「は、はい」

リンディはそう言うといつもの温和な笑みに戻り、ジョンの胸板に頬を寄せて抱きついた。
ジョンはリンディの怒りが収まったと思い、シャマルに迷惑を掛けずに済んだと考えて安堵する。
だがそれは大きな間違いだった。

リンディはジョンが抱いた女に検討はついていたし、その女を許す気なんてまるでなかったのだから。
彼女の瞳には静かに憤怒と憎悪の黒い炎が燃えていた。

続く。
61ザ・シガー:2008/01/14(月) 20:42:49 ID:UfIzXWhQ
投下終了です。

次回は火遊びの過ぎたシャマルさんが……そしてリンディさん怒ると恐い、って話で。
エロもしっかり入れたい。
62名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 20:45:08 ID:1BUngOyX
理不尽とか文句付けたいのなら「あなたは自分の何?」とでも聞いてから弁解でもすればいいのに
自分たちの立ち位置を理解していない状況だったらな
というか今回の行為は、相手の気持ちをすでに男連中が皆承知の上でのやったことだろう。いわばキープ状態
それならこの処置に関して文句のつけどころは無く、まさに自業自得の状況。程度問題こそあれ、醜聞に発展するよりはマシ
「理不尽」だのという文句をつけるということは、「不倫は文化」だののたまうクズと同様、不貞行為の正当化に過ぎん
63名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 21:07:29 ID:C2nxHxGq
り、リンディさんこええええええええ!
これが俗に言うNice boat.ルートか。
ヤンデレリンディさんとか想像してしまった。
64名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 21:25:16 ID:AFUthXbC
>>61
GJ!!です。Sクラス魔導師を怒らせるとは・・・しかも権力者だぜ。死亡フラグだ。


>>62
クロノは論外として、ヴァイスとグリフィスは何かキープ状態をしている描写ってありましたっけ?
ユーノは微妙だな・・・黒に近いグレーなのかな。ただこちらも交際などはしていないが
デートには行く仲で、なのははユーノの事が好きと、そのことをユーノが知っていたなら制裁もしょうがない気もします。
ただ、非常に現実的な酷い考え方だと浮気しない代わりに風俗ぐらい良くない?今回のケースだと別に本番をしてるわけじゃないですし。
65名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 21:27:11 ID:SKYzxkDE
>>61
リンディさんKOEEEEEEEEEEEEEEEEE!
シュ・ラーバの香りがするぜ…。GJですた

>>62
とりあえずモチツケw 俺の大好きな豚骨ラーメンやるからよ
            ζζζ
      ∧,,∧   .____
     ( ´・ω・)つ\∽∽/
             └─┘
66名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 21:39:54 ID:wnyLxw/F
>>65
横からカレーにラーメンクマー
67名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 21:52:24 ID:1BUngOyX
>>64
スマソ、今回処刑された連中に関してだけの考察だった上、ロッサも勢いで同じ土俵に含めてた
68名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 21:53:44 ID:SKYzxkDE
>>66
■━⊂(#゚Д゚)ゴルァ!!彡 ガッ☆`Д´)ノ
69名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 21:57:14 ID:AFUthXbC
>>67
こちらも熱くなってすいません。
ただ、自分で稼いだ金をエロとかに使って何がいけないのッ!!(彼女なし)
といいたかったんです。
70名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 22:01:19 ID:KrxX1thE
お前ら、冷静に相手の立場になって考えてみろ。
親愛なる義姉や義妹がホストクラブとか通ってたら、どうよ?
哀しかったり情けなかったり理不尽に怒ったりしないか?
71名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 22:08:37 ID:AFUthXbC
怒るのはいいのです。ジワジワ追い詰めて怒るのは。
でも、力での一方的な制裁は・・・現にグリフィスやヴァイスが不憫で。
なぜか知りませんが面白いと感じるのに、男として理不尽だと思ってしまうんです。(彼女なしのキャラの場合)
7226-111:2008/01/14(月) 22:09:08 ID:kRmh7MZm
さて、何だか議論な流れをぶった切りますよ。と

>>37 43-154氏

GJ!結末の形がどうなるのか非常に気になる。楽しみにしています
しかし・・・貴兄はッ!!今ッ!!最高に美味しいネタをッ!!エロ展開に持ち込むための“フリ”を手にしているというのにッ!!
書きましょうよ書き殴ろうよ書いてくださいお願いします

>>ザ・シガー氏

GJ!是非カリムにも光を・・・!!

>> ( ゚Д゚) ◆kd.2f.1cKc 氏

修正しました。確認をお願いします



さてさて、保管庫から業務連絡です
45スレの保管が完了しました。執筆陣諸兄は確認をお願いします
・・・今度こそ、追い付けた。と言っても良いですかね

>>サイヒ氏

45スレに投下された作品のタイトルが、投下情報と本文中で違っています
「湯煙双煙」・「湯煙双景」←どっちでしょうか?

それでは
73名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 22:21:34 ID:kcRZv33d
なんていうかその、なんだ。おしおきならギャグっぽく一発
タイムボカン風にやればいいのにしつこく続けるからダレるんだとおもった。<挽歌
74サイヒ:2008/01/14(月) 22:24:11 ID:hLLYFvnF
どうもすいません。
「湯煙双景」が正しいです。
お手数かけてもうしわけありませんでした。


カリムか……。
ておあー氏のクリスマス話読んでから、カリム×フェイト×クロノが書きたくて仕方ない。
しかしエロシーンは妄想できても前振りが、前振りが思いつかないっ……!
75名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 22:26:11 ID:zbkg7IE6
>>74
うん、エロといえども前振りは大切だ。
でも、頑張って考えて、文章にして欲しいんだな。頑張ってくれっ!
76名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 22:32:35 ID:L6yxLiqu
>>73
ああ…確かに。
ランパブで見つかって説教された所で終わっておけばいいのに、とは思うな。
77名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 22:42:05 ID:mIPUQVQW
>>72

26-111様、
いつもながらご苦労様です。

拙作「History repeats itself」の修正、ありがとうございました。
擬音のカギ括弧も外していただきまして、本当に感謝に堪えません。


ところで、実はまた誤字等を見つけたので修正をお願いいたしたいのですが
よろしいでしょうか。

1) -Chapter-A 8行目
誤) 「Internal search completed. No surviver in this block
正) 「Internal search completed. No survivor in this block

2) -Chapter-E 230行目
 「バチ、バチバチ」
 ->バチ、バチバチ

再度お手数をかけさせて申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。m(_ _)m
78名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 22:43:06 ID:QEZBOhON
>>61
GJです。ほんとにnice アルカンシェルになってしまいそうな感じが・・・
79タピオカ:2008/01/14(月) 22:55:16 ID:WKHlCc/t
「シャマるときシャマれば」改めて、タピオカです。
26-111さん、今回わがままじみたお願いを聞いていただき、ありがとうございました。
そして、保管の追いつきおめでとうございます。というかGJ!

さて、議論に水を差すようなのですが、投下いいでしょうか?
80名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 22:56:05 ID:UfIzXWhQ
是非とも。
81名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 22:56:59 ID:2zIv9odZ
C'mooooooooon!!
82タピオカ:2008/01/14(月) 23:01:05 ID:WKHlCc/t
謝謝。
では注意書きです。

・非エロ
・公式の材料を全部把握していないので、内容が間違っているかもしれません。キチッと公式を踏まえたい人にひっかかるかもしれないです
・分かり切ったことを、ダラダラ書いてる部分もあるので、まだるっこしい
・味がクドイ
83タピオカ:2008/01/14(月) 23:02:09 ID:WKHlCc/t
「外の世界を、見たいと思うか?」 前編

薄ぼんやりとした視界いっぱいに、白。
たっぷり数秒を使って、それが天井であり、自分が仰向けであるのをゼストは理解した。
寝起きである事を置いておいても、異常なほど視力が明確になるのが遅い。

ここはどこだ

呟いたつもりでも、しっかり声にない。
いまだに夢の中のようにとろけている気分な頭脳で今、いったい自分がどんな状況かと考えながら身を起こそうとした。
身を起こそうと、したのだ。
しかし、動かない。
違う、動く。
動くが、遅い。鈍い。重い。つらい。
ひどく自分の四肢が衰えているのが理解できる。

「う…む…」

全力を使って、子供よりも稚拙で不器用に身を起こしてみれば笑えるほど時間がかかった。
途中でかけられたシーツが自分の眠っていたベッドから落ちていったが、それも拾えないほどに動けない。
散々体力を使ってみても、体のあちこちが痺れて言うことを聞いてくれないのだ。手足の指先といった、末端に至って生活に支障が出るほど不自由である。

上半身を起してようやく、そこが病室じみた清潔感ある一室であるのが把握できた。
把握して、ようやく自分がなぜここにいるのか脳みそをなぞれる余裕ができる。
ざっと、自分の事を思い出す。思い出せる。よく分る。
そして次に辿るのは、覚醒する前までの最後の記憶。

思い出したくない、と本能的な怯えが頭の片隅でささやく。嫌な事が、あった。間違いない。
が、そんな「思い出したくない」記憶も、騎士の精神は無意識に引っ張り出す。

「戦闘機人…」

その名が出てくれば、もう津波のように記憶が溢れかえってくる。
暗い施設、追っていた事件。逸った判断。光学迷彩を用いる奇妙な機械兵器。
クイントやメガーヌら部下たち。そして、レジアス。
目まぐるしく浮き上がる名と顔と場面。
最後の記憶にたどりつくまでに、何人もの部下が血飛沫に倒れたのを覚えている。
死んでいく。殺される。
俺が死なせた。ならば俺が殺した。
一人でも生かしたくて、一人でも殺したくなくて身を投げ打って戦った。
叩き壊した機械兵器の数も覚えていない。ただ、死んだ部下の顔と死んでいく部下の顔が鮮明に記憶に焼きつている。
致命傷にも至り得るダメージのまま、部下を守り続けた。それでも守れない。
殺される。
誰に?
戦闘機人。
血を失いすぎ、肉に穴を開けすぎた、とっくに動けなくなっておかしくない体でその一人へと突っ込んだ。
自讃でも何でもなく、生涯最高の一太刀を振るえた。その刃さえ届けば、きっと部下を救えたのだから。
届いた。
浅い。
あと一歩の踏み込みで、右目だけでなく頭を二つにできたはずだ。とっくに限界を超えていた。肝心な瞬間に足がイカれた。
戦闘機人の左目が、驚愕と恐怖に染まっていた。敵も、今の刃で死んだと思ったのだろう。
スローイングナイフが自分に投げられた。
避けようとしたのは体が覚えている。結局、避けられるほどの力は残っていなかったが。
それが、最後の記憶だ。
84タピオカ:2008/01/14(月) 23:02:59 ID:WKHlCc/t
「……俺は、生き残ったのか……」

呆然と、呟いた。
死んで当然な程のダメージがあった。それに加えて、あの爆裂する戦闘機人のナイフだ。死なない方がおかしいはずだ。
いや、それはいい。自分などはどうでも、いい。むしろ己は死んで当然な失態を犯した。
部下だ。
自分よりも、部下はどうなった。
全滅か?
壊滅か?
どうにか逃げ延びた者はいるのか?

「ここはどこだ……」

弱りきった体で、絞れるだけの気力で声を出す。

「あの後だ……あの後はどうなった…!」

震える手で体に勢いをつけた。
ベッドから降り、立とうとして足が利かずに倒れこむ。痙攣じみて震える足はほとんど使い物にならなかった。
這って進んだ。
命令通りに動かない指先で必死に床に力を入れて、部屋を出入するドアへとにじり寄る。
滑稽なほどののろのろとしスピードが最高速度。
ナメクジといい勝負が出来る今のゼストの全力でどうにかドアへと辿りつけば、壁に沿って立ち上がる。
何度も立ち上がろうとするが、途中で足の力が抜けてどうしても立てない。
どうにか壁に体重を預ける形で、立っているとは言えないような立ち方を確保する。ちょっとでも気をそらせば踏ん張りが利かず崩れてしまう。

「う…ぐ……」

まるで自分の体が自分の物ではないような不愉快さともどかしさの中で、備えられたキーを打ってドアを開こうとする。
だが震えて感覚さえない指先では何度やっても思い通りにキーが押せない。
最後の方は掌で叩いてキーを入力。乱暴な扱いに文句を言わずにドアが開く。
ドアの向こう側、つまり通路へと倒れこめば、最後の記憶で突入した施設に似た造りだった。
やはり、這いつくばって少しずつ、前に進んだ。

行先は、分らない。
とにかく、部下がどうなったのかを知りたかった。
誰でもいいし、何でもいいから、その回答にたどりつくために、まずは行動だ。
不快なほど動かない体を引きずって進んだ。
85タピオカ:2008/01/14(月) 23:04:05 ID:WKHlCc/t
「な!?」

しばらくすれば、上から声。驚きの声だ。
ゼストが息を荒げながら、床から見上げれば、カッと頭に血が昇る。

「貴様…!!」
「ロックをしていなかったと言え、その体で外へ出ようとするとはな…」

寸分違わぬ、最後の記憶と同じ顔。違うところと言えば、右目の眼帯ぐらいだろう。
這いつくばるゼストを見下ろすのは、チンクだった。

「随分と苦労したようだが、戻ってもらうぞ」
「何……」

抱き起こすようにチンクが這うゼストを持ち上げれば、彼が死力を振り絞った道筋を簡単に戻っていく。
暴れるようにゼストも反抗するが、戦闘機人相手には赤子が腕を振舞わしているに等しい。
あっけなく病室じみた一室へと連れ戻され、再びベッドへと寝かされればシーツをかけられた。
執念じみた炎を目に宿らせながら、ゼストは起き上がろうとするが、それもチンクに制される。

「大人しくしていろ。お前に危害を加えるつもりはない」
「ふざけ…るな! …なぜ…だ……なぜ…」

部下を殺戮した張本人を前に、少し頭が冷静に回らない。
混乱しかけの心でようやく口にした「なぜ」は続きが出てこなかった。

「こちらにも、事情はある。まずは、落ち着いてもらおうか」
「貴様が……シーマを…クアトロポルテを…コルトを…!」
「部下の事か……」

そっと、チンクがゼストから目をそらす。
一貫して無表情だが、伏せられた隻眼に複雑な感情がよぎったように見えた。

「……すまなかった」

小さく儚いチンクの漏らした声に、さらにゼストの血が頭に走る。
掴みかかろうとして、結局無様に腕が動いただけだった。

「…他の…他の…」
「他の部下…か?」

聞くまでもなかった。ゼストが「あれから」を聞きたがっているのは明白だ。
チンクが一拍を置く。ためらった、のだろうか?
86タピオカ:2008/01/14(月) 23:04:57 ID:WKHlCc/t
「……一人を残して、全員死―――!!?」

チンクの視界の端。ゼストの腕の震えがひどくなった。
視線を戻したそこにあるゼストの顔は、泣き出してしまいそうなもの。魂が抜けたような骸の目。
しかし涙は流れなかった。それが、ゼストの強さ故か、それとも弱さ故かは、分らない。

もう、チンクを見ていない。焦点は壁へと結ばれているだろうが、ゼストにはもう何も見えていなかった。
震える唇の奥で、歯が寒さに耐えるように微かに打ち鳴らされる。
情けなさに全身を包み込まれ、罪悪感に押しつぶされて、奈落のように冥い絶望にゼストの心が蝕まれていく。

「誰…だ…? 誰が…残った…」

ただ一点だけ。
一点だけ、心を支える言葉がチンクにあった。
残った一人。

「メガーヌ・アルピーノ…だが」

びくりと、ゼストが身をこわばらせた。
「だが」
その続きを、聞きたくない。
聞きたくなくても、騎士の精神が、それを聞かなければならぬと肉体に言うのだ。

「……完全に死んでいないというだけだ。意識が戻っていない。何年もな」

まるで、溺れてすがったワラが放されたよう。
灯のようだったゼストの心が吹き消された。

「おおお……」

決定的にゼストを崩したのを見て、チンクは痛みをこらえる様にぎゅっと拳を握り締めた。
ひきつった喉が潰れるかもしれないのも構わず、ゼストの慟哭が響く。

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

それをチンクは、うつむいたまま黙って聴きいた。
まるで、耳をふさいではいけないもののように。
87タピオカ:2008/01/14(月) 23:05:46 ID:WKHlCc/t


目覚めてから数日。ゼストはその一室での生活をさせられた。
ほぼ寝たきりに等しい日々を送るが、何度も這い出しては脱出を試みている。
まるで動いてくれない体を酷使してドアのロックを力づくで破ろうとするが、その都度チンクが入ってきてはゼストをベッドへ戻しにくる。
激しい時には叩きつけた額や肘に血が滲む時もあったが、部下の顔を思うとまだ流す血が足りないとさえ思えた。

「落ち着け。もう少しでドクターが帰ってくる。彼の話を聞くまで待ってくれ」

食事と脱出を妨害しに来るたびにチンクがそう言ってゼストをなだめるが、それでも収まるはずがなかった。
何度も何度も、「お前たちはなんだ」「なぜ俺を生かす」「今はいったい何時なのだ」と様々な質問を怒鳴るようにチンクへ投げたが、すべて「ドクターの帰還まで待て」と言われるだけ。

食事はすべてドリンクのような栄養溶液だったが、結局ゼストは出された全てに手をつけずにいた。
日に三度チンクが持ってやってくるが、そのたびに憎悪の限りを込めて睨みつける。
最初に淡々とした顔で食事がこのドリンクである事と、処理はベッド横にあるダストシュートにと注意を受けた。ほとんど腕は動かないが、ダストシュートに向けてカップを押しのけるようにすればいいだけのようで、今のゼストにもできるだろう。
加えて、自由に動けるようになるまで時間がかかるら無理をするなという気づかいの言葉と、気分はどうだ、などという質問だ。

「失せろ」

という怨念を込めた一言でチンクへ答えた。
無表情に「そうか」と返すチンクだったが、その隻眼に一抹のいたたまれなさが宿っているのにゼストは気付かない。
結局、栄養が足りなくなって意識が途切れたところで、無理やりチンクから口移しで栄養溶液を飲まされて生きながらえた。

ほとんどの時間を、後悔と苦悩で過ごした。
レジアスの遠回しな引き留めを聴き受けていれば、隊を全滅させる事などなかったはずだ。
振り返ってみると、この事についてレジアスは何か知っていたかもしれない風だったが、確かめる術はない。

それよりも自分の焦りが何人もを殺し、そして自分はこうして生きているという事態に魂が痛んだ。
どの部下も、死んで良いような者たちではない。
配偶者を、子を、親を、恋人を、誰もが大切なモノを持っていた。
クイントに至っては保護した機械の体を持つ姉妹を育てている。
メガーヌにも一人、娘がいた。
そんな、部下ひとりひとりについて、そのつながりを思い返せば目まいがするほどの罪の意識に押し潰されそうになる。
動けぬ体ゆえ、考えることしかできないのがまた、罪を直視せざるを得なくなり苦しんだ。

チンクが来る短い時間だけ、その後悔と苦悩が吹き飛び、呪いと憤怒に満ちた。
そんな瞬間だけが、ゼストの心の負担を少しだけ軽くし、「ドクター」とやらを待つ余裕になったのかもしれない。
「ドクター」の来訪まで、ゼストは自害だけはせずに悩み、苦しみ抜いた。
88タピオカ:2008/01/14(月) 23:06:39 ID:WKHlCc/t


「やぁ騎士ゼスト、気分はどうかな?」

虚空に部下たちの死の場面を幻視するゼストへと一組の男女が訪れた。
亡者のようなぎこちなさでそちらを見れば、次元犯罪者がいた。ジェイル・スカリエッティ。その横にいる秘書めいた美女は知らない。
戦闘機人の第一人者と言っていいのだ。資料を頭に叩き込んでいたゼストは割と詳しいところまでスカリエッティについて知っている。
チンクがドクターと口にして、まっさきにゼストが思い浮かんだのはこの男の顔だ。

「……貴様が事件の首謀者か」
「その通りだが、違うな」

意地悪問題を答える者でも見るようなスカリエッティの表情に、ゼストの神経が逆撫でられる。

「おっと、そう怖い顔をしないでもらいたいな。割と事情は複雑なのだよ……ウーノ、彼にデータを」
「はい」

一歩後ろで控えていた秘書じみた美女が一枚のカードを取り出した。
デバイスだ。戦闘用ではなく、資料を記憶させるデータカードの類いだろう。

「手を」
「……」

無言でゼストが手を出せばカードを掌に乗せられた。
まだ指は不自由だが、指などで操作するタイプではなく、触れて魔力さえ流せば起動し、あとは思考するだけで欲しいデータを閲覧できるタイプだ。
かなり精度がいい。軍部の物よりもである。
こういったインターフェイスについては、確かにスカリエッティの分野であり、彼は天才的だろう。
――‐それとも、自分が眠っている間に知らぬ技術が確立してるほどに時が流れたのか。

「およその事はそれで分るだろう。何分忙しいものでね、ゆっくりお茶をしながら語り合う時間はもう少し経ってから設けさせてもらうよ」
「……」

スカリエッティを見向きもせずに、ゼストはカード型デバイスを起動。
彼が見やすい位置にホログラフィ・ウィンドが起動していろいろと項目が現れる。

「申し訳ないが、人手が足りずにね、君とは因縁浅からぬチンクを世話役にしてしまった」

まるで『お前の部下を殺した者に世話を焼かれてどんな気分だ?』と聞かれたようだった。
あの戦闘機人がチンクという名であると、ゼストが認識した瞬間だが負の感情しか芽生えない顔に名がついただけだった。
黙して語らずに、ゼストは目の前のホログラムで書かれた情報に集中する。
しかしスカリエッティは口を閉じない。

「死人同士、いい組み合わせと思ってそのまま世話をさせたのだがね。女の子にはもう少し優しく接したまえ」
「……なに?」

よく理解できなかった。
死人。
誰が、死んだ?
ゼストが反応を見せたのにスカリエッティは薄く笑う。

「一時期、あの子は君のせいでとても自信を失くしてしまってね。『自分はあそこで殺された』と右目も治さないまま……つまり、自分は一度死んだと、右目で戒めているのだよ。責任の一つでも、感じてくれるかな?」
「……」
89タピオカ:2008/01/14(月) 23:07:30 ID:WKHlCc/t
ゼストを苛立たせるようなスカリエッティの饒舌だが、それでは死人『同士』につながらない。
つまり、自分も死人か? とゼストが考えたとき、

「君も死人だ」

スカリエッティの声が飛んだ。
訝しげに、ホログラムの文字からゼストが顔を上げた。スカリエッティの黄金の瞳と視線が絡む。

「どういう意味だ?」
「読めば分るよ」

それだけ言ってスカリエッティが踵を返した。
それにウーノが続く。

わけが分からない。
釈然としない様子でその背がドアの向うのを眺めながら、しかし引き留めはしなかった。
まずは目の前に出されたデータだろう。
しばらく、いくらかの思考をしたが、自分で悩むよりもひとまず渡されたデータを飲み込む事にした。



呆と、ゼストは虚ろな様子でベッドに腰かけていた。
傍らには、もう読むところのないデータカード。読みつくした。何度も何度も、眠りもせずにだ。
信じられない事実と、信じたくない事実と、頷かざるを得ない事実の秘められた一枚だった。
いくつものデータと資料に疑いを持ち、何時間も思考して自分の記憶や経験と照らし合わせれば結局事実だと思うしかないものばかり。
戦闘機人事件の全貌から、レリックとやらのロストロギアを用いた人造魔導師、スカリエッティを生み出した最高評議会。
あらゆる事に驚き、そして噛みしめて納得するという連続。
そして、人造魔導師や戦闘機人の開発の芯にいたレジアス。

あらゆる疑念が氷解するにつれて、ゼストの想いがレジアスへと集中していく。
部下を殺そうとして殺したのか、殺そうとせずに殺したのか。
間接的に戦闘機人事件から手を引かせようとしたのは邪魔だったから。それは間違いない。
邪魔だったから、殺したのか。
殺さぬように、任務から外そうとしたのか。
分からなかった。
レジアスが自分を裏切り隊を全滅させたのか、それともレジアスの制止が間に合わなかったのか。
分かる事はある。

「……俺が…殺した」

それだけは、目をそむけなかった。
レジアスの思惑も計画も、戦闘機人事件に最高評議会が絡んでいた事も、別だ。
間違いなく、自分は行動を逸って判断を誤り、部下たちを死地へ放り込んだ。
90タピオカ:2008/01/14(月) 23:08:51 ID:WKHlCc/t
レジアスの本心を知りたいと思う。戦闘機人についても、レジアスと語った理想に沿った想いが感じられるのだ。
戦闘機人を取り込めば、きっと平和への理想に、共に語った夢に手が届く。
あらゆる虚飾も権力も取り払い、腹を割って今のレジアスと語りたかった。
レジアスが歪んでいるのか。
レジアスが誤っているのか。
考えても考えても、結局は本人と面と面向かい合うしかないと言う思考にたどり着く。
だが、こんな体だ。
データではリハビリを重ねれば動けるようになるという。
レジアスと今一度まみえる為にどれほど時間と労力がかかろうと耐えるつもりだった。
リハビリのつらさに耐える耐えないの話ではなく、レジアスへの疑念を抱えて長い時間を歩く事に耐える覚悟だ。

その覚悟とはまた別に、一かけらだけ光のような希望もある。
メガーヌの復活だ。
自分が黄泉返ったことには、得心している。思い返せば死ぬしかないような怪我だ。
しかしそれでもこうして生きているのなら、レリックウェポンの項目で頷けた。
そして、今度こそ救うと誓う。
部下の死顔に、最後の一人だけは加えたくない。

震える指先をたどたどしく閉じ、開きする。
実に小さな一歩だが、少しずつ生前までの力を取り戻そうと。

「リハビリか? 殊勝な事だ」
「……」

いつものような栄養溶液ではなく、トレイに乗った食事を持ってきたチンクだった。
テーブルに置かれた食事を見やれば、さながら老人食のように食感を取り払ったものが多い。煮込んだ穀物やスープなどである。

「だがまずは食べることだ。ドクターの見立てでは、これくらい柔らかければ固形物も構わないらしい」

てきぱきと用意するチンクを眺めていると、ふとゼストはあれほどあった憎悪が湧かないのに気づく。
あるにはあるが、スカリエッティに渡されたデータを読む前と比べればまるで小さかった。

「食べれそうにないメニューはあるか?」
「……いや」

じっとトレイに乗せられた料理を見つめて首をゆるく振る。
昨日までならば聞くたびに怨念めいた眼で睨むだけのチンクの声も、穏やかな声での返事になった。
いつもと様子が違うことに、チンクも気づいたように隻眼を細めている。

「どうした?」

自分を見つめるチンクへと、思わず聞き返すゼスト。
チンクの方は不思議そうだ。

「それはこちらのセリフだ……私を嫌がらないのか?」
「……」

スープの湯気の向こうにある黄金の隻眼を、ゼストがしっかりと見据えた。
ゼスト自身、自分の瞳が戸惑いに揺らいでいるのが分かる。
こうして見つめあっていても、チンクに対する負の念は希薄だ。
91タピオカ:2008/01/14(月) 23:09:35 ID:WKHlCc/t
「……資料を、読んだ」
「ならば、なぜ? 余計に嫌悪が湧かないのか?」
「……お前たちが、友の夢の一つの形だからだ」
「……」

ゆるぎないのは、レジアスの結論に戦闘機人があった事。
それを理解した瞬間、あれほどに呪い、怒っていたチンクへの想いが潮のように引いた。
部下に直接的に手を加えたことに対して、何も思わないと言えば嘘だ。
だがレジアスの語った夢の一つの形が、このチンクであるのならばもう呪えない。怒れない。
きっとかつて自分も抱いていた理想の果ての一つなのだから。それが望んだものであろうとなかろうと、たどり着いたものなのだから。

やるせなさに、まるで胸に穴が開いた気分だった。
そして、その穴にも後悔がつもっていく。部下を死なせてしまった、後悔が。

「実際に部下を殺したのは……確かにお前たちだ。しかし、俺の責任だ」
「やめろ……お前はよく戦った」
「チンク…?」

無表情は変わらない。しかし明らかな感情を込めてチンクが慰めの言葉をかけた。
その事にゼストが驚くが、チンクも驚く。仇の名を呼んでくれるとは思わなかったのだろう。

「私の名を…?」
「ああ……名を呼んだのだな、今初めて。スカリエッティに聞いた」
「そ、そうか」

慌てたようにチンクが目をそらす。いつも冷静な顔しかしていないのと比べると、動揺しているのがよく分かる。

「それはともかく、食べておけ」
「ああ……すまん」

また、チンクが驚く顔になった。やはり、そんな言葉がゼストから出てくるとは思わなかったのだろう。
どぎまぎしながらチンクがスプーンでスープをすくうと、ゼストへ差し出した。

「さあ、口を開けろ」
「……待て」
92タピオカ:2008/01/14(月) 23:10:22 ID:WKHlCc/t
いわゆる「あーん」を所望するチンクへとゼストが制止の声をかけた。

「どうした、熱すぎるか?」
「いや、そうではない」

困ったようにスプーンに乗るスープにフーフーするチンクに、ゼストは焦るが当人は理解できない表情だ。

「……一人で食わせてくれ」
「まだ不自由なのだろう? 今しがた指の開閉に難儀していたではないか」
「……いや、しかし……」
「いいから、口を開けろ。せっかくドクターが作ってくれたのだ。冷めてしまってはいけない」
「スカリエッティが作ったのか?」
「そうだ。ドクターは、生命に関するエキスパートなのだから、命をつなぐ行為にも精通している。鍋を振るえば絶品しかあり得ない」
「そ、そうか……それはいいが、やはり一人で…」
「くどい。私はお前の世話役だ。これぐらい当然だろう」
「待て、しかし……」
「なぜ戸惑う?」
「当たり前だろう」
「だからなぜだ?」

とっても真面目なチンクちゃんに、一方ゼストも堅いのでかみ合わない。
結局、問答の末にチンクのスプーンを「あーん」するゼストの姿があった。

それをモニタで眺めながら、スカリエッティはクツクツと笑う。

「やはり、悪くない組み合わせのようだ」



93タピオカ:2008/01/14(月) 23:16:10 ID:WKHlCc/t
ここまでです。
ヤベ、注意書きに「ゼストとチンクです」を忘れてた。
次は……次こそはエロにつなぎたいのですが、妙に長くなったので分けます。
というか、今回のですでに長いですが。

前述の通り、レンタルとかしているんですが公式の通りの資料、全部集まっていないので間違っていても目をつむってもらえるとありがたいです。
ボーっとサウンドステージ聞いてたのが発端です。
お目汚し失礼しました。
再見。
94名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 23:23:08 ID:N/sNheLu
いやすばらしい、あなたにはGJすら生ぬるい。
旦那はstsの中でとりわけ好きな人物ですが、あまり伏線を回収されずに死んでしまって惜しいと思ってました。
この話で渋い旦那が活躍するのを楽しみにしています

さりげなくネタを入れるユーモアもすばらしい
95名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 00:01:50 ID:NvTWpEBj
>>93
ゼストとチンクとは……本当にこのスレの性欲は凄まじいな
続きを機体
96名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 00:16:18 ID:jNgmT+yc
そういやチンクがゼストベースで更にクイントとゼストが兄妹とかそんな話をどっかで聞いたんだが
97名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 00:26:09 ID:nLhrvBIL
>>96
チンクってゼストと戦ってるだろ・・・
98名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 00:52:39 ID:9IPS5Bn6
>>97
チンコでゼスト戦ってるだろ
と見えた


ちょっとアギトに燃やされて来る
99名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 00:52:47 ID:3pzbLl3p
ナンバーズってスカリエッティのことなんて呼んでたっけ?
100名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 01:02:07 ID:MIoVX7Gj
>>93
ゼストとチンクか……俺もサウンドステージ03とか聞いて
この組み合わせはかなり妄想とかしたなぁ。というか俺の脳内ではもう公式カプだったり。
まあ何が言いたいのかというと、GJです! 最初の殺伐とした感じとか、最後の方の微笑ましさとかが良い感じでした!
続きに期待しております!
101名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 01:33:50 ID:PC327ew3
>>99
「ドクター」じゃないか?
102ザ・シガー:2008/01/15(火) 02:04:32 ID:3Jhg7jOr
>>93 ゼスト×チンクでエロ………なんて犯罪臭の漂う素晴らしいアイディアだGJ!!

ゼストの逞しい男根を受け入れて涙目になってるチンクを想像して興奮してしまいましたよ。
基本的にある程度熟成した女キャラが好きなんだけどロリっ子も悪くないですね。
103名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 02:15:04 ID:q4X40U38
>>93
ふふふ……このカップリングを待っていたぁぁぁぁっ!!!GJです!!
ただゼストとは死に別れることが決まってるんだよなあ……
104名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 02:27:15 ID:I7kZFMjS
む、裸えぷろんチンクという電波が、いやいや圏外です
さて、夜もふけたところでちょっと投下させてくださいなー

そういえば、前スレ284さんの
>例えフェイトさんが柳生でもラップにくるまれてもスライムになっても

誰ですか、そんな無茶やってるの (∩゚Д゚)アーアー キコエナイ

いや、ここは逆に考えてみるのです、つまり、
愛があれば何をやらかしても、あ、痛い、物を投げないで

それはともかく、今回ちょっと毛色が変わって前後編です

なんかフェイトさんが朝刊に出張したりして忙しそうでしたので、
昨年から保留にしていた回を、少々手直しして出してみます

…いえ、要は捕食なのはさんがイケるなら、これもセーフかな、とか

微妙なベクトルのエロ大増量です、略せば微エロです
病みなのはさん 対 お馬鹿フェイトさん です
前編は、終始なのはさんのターンです

ほのぼの分が不足している気がしたので、付録を独立させて小話にしています
105或る執務官の不在 前編:2008/01/15(火) 02:28:46 ID:I7kZFMjS
いつのまにか、まわりに誰も居ない。

本日の教導は、いまいち出来が悪くて、かなりブルーな気分。
そんな状態で休暇に入ってしまった。

でも、せっかくフェイトちゃんが休暇をあわせてくれたのだからと、
なんとか気持ちを切り替えて、無理でも笑顔でうちへ帰ってみれば、

あれ………居ない。

しばらくしたら帰ってきたのだけれども、その時は居なかった。

なんでも、ユーノ君が時間休がとれたとかで、
二人で遊びに行っていたらしく、その時には居なかった。

そういえば、最後にユーノ君と会えたのは何週間前だろう。
楽しそうに話をしているフェイトちゃんが、何故だかとてもうざったい。

こんな日に限って、ヴィヴィオはザフィーラに攫われてお泊まりだし、
なんでだろう、誰も彼も、フェイトちゃんでさえも、遠い。

もやもやとした気持ちを抱えながら、表だけ笑顔で、お喋りしたり、
遊んだり、明日からの予定を立ててみたり、ご飯を食べたりして、

そして最後にいつものように、服を脱いで二人でベッドへと腰掛ける。
肩を寄せ合い、同じ目線で見詰め合う、綺麗、腹が立つほどに。

名を呼ばれ肩を掴まれて、唇を重ね、いつものように押し倒される、
はずだったのだけど、何故だか、平手が飛んでいて、

思ったよりも高い音がした。

106或る執務官の不在 前編:2008/01/15(火) 02:29:31 ID:I7kZFMjS
『或る執務官の不在 全力全壊編』



頬が鳴った。

少しして、平手で叩かれたのだと気がついた。
全裸でベッドに腰掛けた状態で、見つめあう。

「ねぇ、フェイトちゃん 何か勘違いしてない?」

ちょっと泣きそうな暗い顔をして、なのはが言った。
そして、無言で左足をぷらぷらさせる。

ああ、

「ごめん、なのは」

私はすぐに、ベッドから降りて床へと座り込んだ。
ぷらぷらさせている足に、身体を絡みつかせて、腰に手を回す。
太腿の付け根のあたりに、頬を擦り寄らせる。

なのはの匂いがする、むせかえるような、汗の。

「うん、叩いちゃってごめんね、フェイトちゃん」

優しく髪を撫でてくれた。

「いいんだ、痛くなかったから」

しばらくの間、縋りつく私を優しく撫でていてくれて、
107或る執務官の不在 前編:2008/01/15(火) 02:30:10 ID:I7kZFMjS
ふと、思いついたように

「そういえばさ、まだお風呂入ってなかったから汗臭いでしょ、私」
「うん、本音を言うと、少し」

何の感情もこもらない声で

「じゃ、綺麗にしてくれる?」

そう言ってなのはは、左足で私の身体を少し持ち上げた。
胸が潰され、足の甲が大事なところに押し込まれる。

おへその下辺りに顔を密着させる形になった私は、
言われるままに、素直に舌を伸ばす。

「ん…」

おへそを綺麗に舐めとった後、唇で周りの肌に痕をつけていく。
関節部分の皺の一本一本を、時間をかけて丹念に舐めあげる。

ザラザラとした感触の残る舌が、塩辛い。

そのまま太腿に舌を這わす、軽く足を持ち上げてもらって、
顔を埋めさせてもらうために、私はなのはの前に正座した。

頬を恥丘に押し当てて、太腿とお尻の境い目あたりに口を滑らせる。
そして、菊に似た花弁のひとつひとつを、舌をねじ込みながら味わっていく。

「フェ…イトちゃ…」

舌を動かすたびに、痺れたように身体を痙攣させていたなのはが、
私の髪を掴んで強く自分を押し付けてきた。

鼻先が、なのはの中に入り込んでいって、息が出来ない。

先ほどから湿り気のあったそこは、いつの間にかとても濃密で、
鼻で軽く突起を擦りながら、後ろから前へと舌で掬いとっていく。

嬌声を耳に聞きながら、肉襞も丁寧に舐めあげた。
108或る執務官の不在 前編:2008/01/15(火) 02:30:42 ID:I7kZFMjS
突き挿れ、音を立てて吸い、舌先で尿道を穿くりながら、
口の中に残る濃密な香りを嚥下する。

手持ち無沙汰な指が、いつのまにか自分のはしたない場所に伸び、
口と指のそれぞれの場所から、羞恥を煽る水音が響きはじめる。

突然に、なのはが立ち上がった。

髪を掴まれたままだったから、随分と不安定な姿勢にされてしまい、
バランスをとるために背後に両手をまわす、決して口は外さない。

「…今度は私が、フェイトちゃんを綺麗にしてあげるね」

言うなり、口の中に暖かい液体があふれ出した。
あわてて飲み込もうとする、しょっぱくて、痛い。

それでも必死に咽を鳴らして飲み込もうとする私の姿を見て、なのはが、
掴んだままの髪を引っ張って、私の口を自分から引き離す。

顔に金色の液体が浴びせかけられた、目に入って、痛い。

目が開けられない私の身体を、ベッドの横に乱暴に投げ倒して、
蹴り飛ばし、背中を踏みつけて、私の髪に、最後の一滴までを注ぎかけた。

頭皮に、肩に、髪を通って何かが通る感触に声が漏れる。
そんな私を気にも止めず、なのはは足で乱暴に髪の毛を梳いていく。

「うん、綺麗になったよ、フェイトちゃん」

そう言ってなのはがベッドに座り、倒れたままの私の顔を踏みつけた。

「でね、足が汚れちゃったんだ」
109或る執務官の不在 前編:2008/01/15(火) 02:31:26 ID:I7kZFMjS
急いで私は、なのはの足の裏に口をつける。

あいている方の足で、私の腕が蹴り飛ばされて、自分の太腿の間に叩き込まれる。

「して」

つまらなそうな音色の、お願いの形をとった命令。
逆らえるはずもなく、すみやかに私は、自分で自分を慰めはじめた。

火照る様が無様で、見苦しい自分を自覚して、背筋に震えが走る。
大事な場所から、何かが漏れているような感触が、悦楽を加速する。
両の手を身体に這わせ、肌を濡らす液体を、余すこと無く塗りこんでいく。

それと平行して、足の裏を、指を、なんとか綺麗にしようと

口をつけ、
舌を伸ばし、
涎を垂らし、

うまく、息が、できなくて、まるで、風景が、コマ送りのまま、
それは倍速で、スロー再生をしていったような、世界の中、

指を這わせ、濡れそぼっていたその場所に、突き入れて、舌を伸ばし、
足を啜り上げる音の中に、確かに私の喘ぎ声が混ざりはじめた。

「あはは、あははははははははははははははは」

なのはが哂っている。

「何、おしっこまみれになって、顔を踏まれて、それで悦んでるの?
 変態! フェイトちゃんの変態! 変態変態変態!!」

顔を強く踏まれる、頬を踏み抜かれる、耳を蹴り飛ばされる。
額に土踏まずを当てられ、体重をかけられる、後頭部が床で軋む。

酷い事をされるたびに、背骨に電流が流れたような衝撃があって、
自然と背中が浮いて、お尻のあたりの筋肉が、強く締まるのを自覚する。
110或る執務官の不在 前編:2008/01/15(火) 02:32:09 ID:I7kZFMjS
「イってるの? 踏みつけられてイってるの? 返事は!?」
「はひぃ、はいぃ…!」

踏まれながら、獣のように息をあらげて、私は絶頂へと達した事を報告した。
げらげらげらげらげらげらと、なのはが哂う。

すでに顔は涎や様々な液体でドロドロになり、股間からも色々と飛び散り続け、
それでも指を止めない、止めろと命令されてないから、涙がボロボロと溢れ出て、
口からは激しく、悲鳴にも似た叫びが上がり続けて、いつまでも、止めてくれない。

爪先で舌を捻られる、噛まないようにと必死に顎を開いて、呑み啜る、吐く、
指が止められない、あぎゃとか、えぎゅとか叫ぶ、指を止めさせてくれない。


もはや泣いているのか、吠えているのかわからないような状態の私に呆れたのか、
もういいよと声がかけられて、唐突に額から足がのけられた。

「………フェイトちゃん、すごい臭い」
「そ、そふゅかな」

なんとか息を整えようとする、たしかに馨しいとは言い難い、鼻が痛い。
両足はだらしなく開き、床に倒れ伏したまま舌を出して、肩で息をしている。

なのはがベッドから降り、そんな状態の私を抱き上げてくれた。

「髪、洗ってあげる、お風呂入ろ」

嬉しかった。

(続)
111なかがきー:2008/01/15(火) 02:33:00 ID:I7kZFMjS
なかがきー

後編は終始、お馬鹿フェイトさんのターンです、早めに投下できるといいなぁ

そういえば、ラムネの半分はシャマルさんの優しさで出来ています

その素晴らしき味わいは、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いであったと、
医務室のベッドの上で烈火の将がコメントしておりました

重曹とクエン酸を混ぜるだけで出来上がるのに、流石はシャマルさんです

では、年末年始にふと思いついた付録いきまーす
もう、裏タイトルは「或る執務官の初夢」でいいかなという感じで
112ざふぃふぇ!:2008/01/15(火) 02:33:50 ID:I7kZFMjS
奥様の名前はフェイト、そして、だんな様の名前はザフィーラ。
あまり普通でない二人は、あまり普通でない恋をして、ごく普通の結婚をしました。

でも、見ればわかるような気もしますが、だんな様は狼だったのです!



『ざふぃふぇ!』 第一幕 はだかえぷろん



「おかえりなさいザフィーラごはんにするおふろにするそれともわたし」

果てしなく棒読みだった。

お玉を抱えて正座して、折り目正しく座礼で夫を迎えるその姿は、眼が死んでいた。
西洋前掛け一枚のみを身に着けて、視線を彷徨わせながら、のの字を書いている。

あらわになった肩や腰には、けだるげに長い金髪が纏いつき、
翳のある表情と組み合わさり、どことなく淫靡な雰囲気を醸し出している。

たおやかな腰回りに括られた結び目のせいで、全体の布地が身体の芯に引きつけられ、
布越しに存在を主張する膨らみが、押さえつけられて、やや形が変わっていた。

「誰の入れ知恵かは聞かんが…何があった?」
「2分前、新聞屋さんが訪れました……………」

酸素と窒素の隙間に鉛を流し込んだような、沈痛な雰囲気が場を支配した。

「………良いものを見せてくれたお礼にと、洗剤を頂きました」
「とりあえず…夕餉にしよう」

肩を落として項垂れている新婚執務官に、守護獣が擦り寄って慰める。
フカフカの毛皮に多少は心が癒されたのか、表情を取り戻して涙を溢し、

「ザフィーラは、優しいですね」

前垂れを持ち上げて涙を拭いた。

相手によっては即死効果の付随する、極めて危険かつ高難度の技ではあったのだが、
残念ながら異種族の壁に阻まれて、効果はほとんど無かったと言う。

(続)
113ざふぃふぇ!:2008/01/15(火) 02:34:49 ID:I7kZFMjS
あとがきー

そういえばアルフの事を忘れていましたが、どうなっているのでしょう

A:アルフ・スクライアになっている
B:フェイトさんと一緒にザフィーラに貰われている
C:そのうち嫁入りして、クロノの娘になる方向

や、どれでもいいんですが
こっちは全三幕予定ー
114名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 02:45:23 ID:FZ6MQz9d
>>113
>病みなのはさん 対 お馬鹿フェイトさん
この前振りの軽さからギャグっぽいのを想像してたら、ガチな内容でびびったじゃまいか

なのはさんがドSでフェイトがM奴隷だってのはネタとしてはもはや定説な感がするが、
その関係をギャグじゃなしに、ちゃんとガチで描いたSSを見たのは久しぶりな気がするぜ
なのはさんのドSっぷり見てますますハァハァしてしまうのはフェイトと俺だけでいいw
GJ!続きも期待してる
115名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 02:45:33 ID:eub/YZpD
>>112
GJ!新聞屋で爆笑したwww
116名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 02:53:41 ID:gLZ64wmo
>>113
新聞屋さんよく斬られなかったなww
あ、Aでおねがいします
117名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 03:25:01 ID:aaeSXvb9
>>113
Aのなのはさんはシングルママ?
>>116
ほぼ、フェイトの自爆だからだろw

あと、前スレの最後の方に出てた書き込み失敗の話だが、
年末のあれからじゃないのか?
新しい規制スクリプト作ってるって言ってたしね
11839-362:2008/01/15(火) 03:56:45 ID:IKRphs6n
投下してもよろしいでしょうか?
119名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 04:07:08 ID:aaeSXvb9
>>118
何を躊躇うことがある!
どぞ〜
12039-362:2008/01/15(火) 04:16:53 ID:IKRphs6n
注意書きなど
・第五話からの続きとなります。また、END1とは別の内容となっておりまする。
・ユノフェですが、二人が会話しません。
・後で話が違うと言われてもアレなので先に言っておきますが、ハッピーエンドはEND3のみです。
 まぁ、人によってはEND1やらがハッピーとか言う人もいるかもしれませんが・・・
・暗い展開注意
・なのはさんが黒いかな?多分黒いかと。
・非エロです。先にエロな投下がありましたので、お茶漬けにドゾー
・26-111氏がとてもナイスに編集してくれたので、それに準拠して前編、中編、後編とします。


それでは、前編どうぞ
121A crossroads of Fate END2 前編:2008/01/15(火) 04:17:45 ID:IKRphs6n
「僕は……どうすればいいんだろうか。」
一人、部屋の電気もつけないまま、ベッドに寝転がる。
彼の悩みは一つ。
先程のなのはの告白であった。
「なのはは、僕やフェイトの考えていたような女の子じゃなかった。」
高町なのはは、普通の女の子だったのだ。
彼らの考えていたような、誰にでも愛を振りまく女性ではなく、
「僕のことを、ずっと、ずっと好きでいてくれたんだ。」
その事実に、胸が締め付けられる。
けれども、その彼女の告白を素直に受け入れることは出来ない。
「……今の僕には、フェイトがいる。あの、優しい子が。」
もし、フェイトとのことがなければ、悩む間もなくOKしていただろう。
ユーノだって、なのはのことが好きなのだから。
そう、今だって。
完全に彼女への思いを捨てきれない。
「僕は、なのはも、フェイトも好きなんだ。……最初は、フェイトのことは友達だったはずなのに。」
彼女へは、友人として以外の『好き』はなかった。
その、はずだった。
けれど、けれども。
この数ヶ月、彼女と一緒にいて。
甘えて甘えられて、彼女が些細なことで喜んで。
妙なところで落ち込んだり、泣いたり。
フェイトとの思い出が、彼を変えた。
フェイトは、ユーノにとって、かけがえのないものになりつつあった。
「じゃあ、僕は……どうすればいいのかな?」
もし、彼がフェイトとの関係の継続を望むのならば、なのはの告白を断ればいい。
もし、彼がなのはとの関係をやり直したいと望むのならば、なのはの告白を受ければいい。
かつて好きだったのは、高町なのは。
今の恋人は、フェイト・T・ハラオウン。
どちらかと付き合うという選択肢は、彼の中には最初から存在すらしなかったし、彼女らのどちらも幸せにはなりえない。
どちらかを傷つけてでも、どちらかを選ばなければならない。
「……なのはは、僕のことをずっと好きでいてくれた。」
それは本当なのだろう。彼女の性格からして、好きでもない相手に誰かに告白するということはありえない。
ずっと、恋人として思っていてくれたのだ。
「でも、フェイトの居場所でいるって、僕は言ったんだ。フェイトが…それを望んだから。」
けれど、フェイトはなのはと違い、付き合っている途中からユーノを好きになったのだろう。
そうとしか、彼には考えられなかった。
それまでの自分とフェイトの関係はただの協力者だったのだ。
彼女が告白したのは、単になのはのことを脈がないと諦めたからに違いない。
122A crossroads of Fate END2 前編:2008/01/15(火) 04:18:25 ID:IKRphs6n
「けど、そんなことはどうでもいいんだ。僕だって、あの時からフェイトのことが好きだったわけじゃない。彼女を責める権利はないんだ。」
彼は、思う。
フェイトは、今は自分の事を愛してくれているのだろうか、と。
答えなんて、悩むまでもなかった。
「フェイトは…前はどうであろうと、今は、僕を……確かに愛してくれてる。」
それに、フェイトの言うところの『恋人なら当然に当たり前に必然的にすること No.97』まで既にしてしまった自分としては、責任を取るしかないだろう。
「…………………………」
「…………………………」
「いや、ちょっと待て僕!今は、そんなことを考えてる場合じゃないだろう!?」
ぶんぶんと頭を振り、ユーノはそれまで考えていたことを頭から追い出す。
「……なのはには悪いけど、僕は、フェイトの居場所でいるって…そう、約束しちゃったからな。」
なのはの想いに気付かず、フェイトと恋人になった自分が一番悪い。
それはわかっている、だが、だからといってフェイトを振ることは出来ない。
「もう、僕のことを居場所だって、そう思ってくれてるんだもんな……」
フェイトの甘えるような態度、幸せそうな笑顔を思い出す。
きっと、彼女には自分だけの居場所が欲しかったのだ。
結果的には最初の目的の場所とは違ったとしても、それは彼女にとっての幸福に違いない。
だから、ユーノはフェイトを見捨てるわけにはいかなかった。
「なのは、ごめん。」
なのはは彼をずっと好きでいてくれた。でも。
「僕は、もう…なのはを、裏切ってしまった。」
それでもなのははユーノを好きでいてくれるのかもしれない。
けれども、だからといってもう、好意を寄せている相手を裏切ることはしたくない。
「それに…僕は、僕に手を差し伸べてくれた優しいあの子を、見捨てられない。」
ユーノは、覚悟を決める。
「なのはの告白……断ろう。」
それで、泣かれるかもしれない。
面罵されるだろう。
でも、受け入れなくてはならない。
フェイトを選ぶのは、彼自身の意思なのだから。







昨日と同じ時間、昨日と同じ場所。
訓練場の森の中、ユーノはぼんやりと佇む。
「昨日は……まさか、あんなことになるなんてな。」
ユーノは軽く苦笑する。
まさか、自分のことをなのはが好きだったなんて、思いもしなかった。
驚愕と、罪悪感。
そして、未だ消えないなのはへの想い。
それらの感情が彼を悩ませ続けていた。
だが、今は不思議なほど、心は穏やかだった。
「…………フェイトが僕を必要としている限り、僕はフェイトのそばにいる。そう、決めた。」
目を瞑り、軽く深呼吸。
「だから、今はなのはに、さよならを。」
なのはを傷つけてしまうだろう。
けれども、仕方がない。
自分では、どちらも傷付けない方法など、わかりはしないのだから。
そして、そんなあるかどうかもわからない方法に縋る気持ちもない。
やがて、足音。
おそらく走ってきているのだろう、はぁはぁという荒い息遣いも聞こえる。
123A crossroads of Fate END2 前編:2008/01/15(火) 04:19:01 ID:IKRphs6n
「ごめん、ちょっと…待たせちゃった?」
「いや、そんなに待ってないよ。……なのは。昨日はあんな返事でごめん。」
「……いいよ。ユーノ君もいきなりでびっくりしたと思うもん…で、聞かせてくれるんだよね?その、返事。」
うん。と頷き、彼は思い返す。
彼女を好きであった自分を。
彼女の想いがわからずに苦しんでいた自分を。
今は、振り返るためじゃなく、
ただ、断ち切るために。
「なのは、ごめん。僕は……なのはの想いには、応えられない。」
なのはの目をまっすぐ見ながら、言う。
それが彼に出来る誠意だと。そう信じて。
「………………どうして?」
なのはは、呆然とした面持ちで、呟く。
「ユーノ君は、わたしのこと、嫌い?違うよね?そうじゃないよね?」
「嫌いじゃない……けど……」
「じゃあ、どうして?どうして、ユーノ君はそんなこと言うの?」
詰め寄るように、なのはは感情を押し殺した声で尋ねる。
どうして、自分の想いに応えられないとユーノは言うのか。
まるで、わからないと。
「僕は、なのはの態度を見て、あの時の告白は、付き合おうってことじゃなくて……ずっと仲良くしようって、そういう意味だって思ってたんだ……」
ユーノは胸に迫る罪悪感を殺しながら、言葉を吐く。
フェイトを選ぶと決めても、この罪悪感、心の痛みだけは消しようもない。
「それは違うって…」
「だから、僕は、なのはと一緒にいることを、諦めたんだ。なのはの気持ちがわからないで…。だから、他の人と付き合うことにしたんだ。」
ユーノはなのはの言葉を遮り、ゆっくりと吐き出すように。
その彼の告白に。
なのはは、呆然としてユーノを見つめる。
その目には、何の感情も浮かんでいなかった。
―この場にあるべき、怒りや悲しみすらも。
「ねぇ、ユーノ君。わたしと一緒にいられない…わたしの想いに応えられない理由って、その人なのかな?」
「そう、だよ。僕は、彼女を……」
愛している、と続けようとしたところで、なのはが遮る。
「ねぇ、その人はさ……わたしの代用品じゃなかったの?代わりなんて、ホンモノがあれば要らないよね?」
その言葉に、ユーノは自嘲する。
確かに、最初の彼は、フェイトをそう見ていたかもしれない。
報われたいから、なのはでなくてもいいと。
「僕も、最初はそう思ってた。なのはが振り向いてくれないから、他の人でもいいやって、投げやりな気持ちで付き合い始めたんだ。」
彼女は、その言葉に、安心したかのように笑う。
「だったら……」
けれど、その先がある。
ユーノの気持ちは、変わっていったのだ。
もう、誰でもいいのではない。
フェイトだから、一緒にいたいと思っているのだ。
「でも、彼女と数ヶ月を過ごすうちに、僕は、彼女を好きになってた。……僕は、君と彼女の、両方を好きになってしまったんだ。」
なのはは、表情が微笑したまま、まったく変わらない。
「ねぇ?じゃあ、わたしを選んでくれなかったのはどうして?わたしも、好きなんだよね?」
その表情に、ユーノは違和感を感じた。
なにかが、おかしい気がすると。
だが、今はそれを気にする必要もないと思い、話を続ける。
「それでも、僕は…なのはより、彼女のそばにいたいって、そう思ったんだ。」
「ユーノ君にたくさん……そんなにたくさん愛されて幸せだね、その子。でも、その子はユーノ君のこと、好きなのかな?」
笑顔のなのは。
何かが、致命的に狂っている。
けれども、ユーノは気付くことが出来ない。
124A crossroads of Fate END2 前編:2008/01/15(火) 04:19:33 ID:IKRphs6n
「それは、それだけは間違いじゃないよ。彼女は僕を、愛してくれてる。」
「……騙されてるとか、思ったりしない?」
「そんな……そんなこと、ありえないよ。」
「あは……優しいね、ユーノ君は。でもね、ダメなんだよ?この世界にはね、優しさを喰い物にする悪ーい人たちがいるんだよ?」
ふふ、と軽く笑い、なのはは呟く。
その笑みは、崩れも、歪みもしない。
まるで、その表情しか存在していないかのように。
「なのは、そんなことを言わないでくれ。その子は、そんな子じゃない。」
「うん、わかってる。ユーノ君は優しいから……ユーノ君は悪くないんだよ。……ね、一つ聞かせてもらっていいかな?」
今までで、一番の笑顔。
周りの音が聞こえなくなっていく。
なのはの声以外の音が、消え失せたのかのようだ。
何故か、背筋が凍り、冷や汗が流れる。
それでも、彼女の問いが何なのか、聞かないわけにもいかない。
搾り出すような彼の声は、何故かしわがれたように。
「……何?」
「その女の子、名前はなんていうのかな?」
軽く、拍子抜けする。
どんなことを聞かれるかと思ったが、それほど大したことでもない。
後で必ず、なのはに言われなくとも言うつもりであったのだから。
「フェイト……フェイト・T・ハラオウン。」
ゆっくりと、噛み締めるように。
ユーノは、共に歩もうと思う彼女の名を、告げる。
「へぇ…。その子、フェイトちゃんだったんだ。全然気付かなかったな〜……ふふ、失敗しちゃったな。」
ふふふ、と。彼女は笑い続ける。
恐怖が、ユーノを侵しはじめた。
なのはが、おかしい。
笑うべき、笑顔でいるべきところじゃない。
どうして、笑っている?
どうして、怒らない?
何かが、おかしい。
だが、自分は怒鳴られたり、泣き崩れられたいのか?
いや、そうでない。なら、これでいいはずじゃないか。
そうは思っても、一度感じた恐怖は簡単には拭えない。
「ああ、ごめんユーノ君。わたし、休憩時間で来ちゃったから、もう戻らないと。」
思い出したように、腕時計を見て、ユーノに頭を下げる。
それにうろたえるユーノ。
「い、いや。僕の方こそ……せっかく、僕のことを好きでいてくれたのに、ごめん。」
その言葉に、なのははやはり笑顔を崩さない。
「ユーノ君、優しいもん、仕方ないよ。」
そう言って、なのはは元来た道をゆっくりと戻っていく。
ユーノは、その背中を見ながら、違和感と安堵を感じていた。
無論、違和感は先程から笑みを絶やさないなのはについてだった。
それについて気にはなったものの、彼女が笑顔で送り出してくれている、と思うことにした。
安堵はもちろん、なのはから罵倒を受けなかったこと、思ったよりも彼女があっさりとしていたことだった。
「なのはも、やっぱり成長したんだな…。こう言うのもなんだけど、フェイトじゃ…こうはいかなかっただろうな。」
苦笑しながら、ユーノは呟く。
フェイトを選ぶことは、やはり、最善だったのだと。
なのはの内心を思えば、胸が痛まないわけではなかったが、彼女がそれを表に出さなかったのが救いであった。
ただ、やはり、こう考えずにはいられなかった。

どうして、何故、なのはは笑っていたのだろうか?

と。

125A crossroads of Fate END2 前編:2008/01/15(火) 04:20:05 ID:IKRphs6n
その頃、食堂では、フェイトが一人で休憩をとっていた。
どうやら、最近は一人で仕事をすることが多くなり、休みもずれるようであった。
「………はぁ、会いたいな。」
ぽつり、とフェイトは呟く。
無論、会いたい存在と言うのはこの場合一人しか該当しない。
優しい彼のことだ、会いたいと連絡を取れば会ってくれるだろう。
でも、彼に迷惑がかかるかもしれない。
いや、確実にかかってしまうだろう。
それに、こっちの仕事が完全に終わったわけでもない。
理屈ではわかっている。
連絡が取れないわけでもないし、デートだってもうすぐなのだ。
だからこんなにも思い悩む必要など無いと。
しかし、彼女にとっては耐えがたいものであった。
ふぅ、溜息をつきながら、カップのコーヒーをちびちびとすする。
このコーヒーも、彼が好きで飲んでいるブレンドだと知って、飲み始めたものだった。
「はぁ、バルディッシュに愚痴でも言おうかな……」
ポケットを軽く手探りする。
そこにあるべき、硬質な感触がない。
「あれ?今日は忘れちゃったか。……まぁ、今日は事務仕事だけだし、いいかな。」
そういえば、なのはは、まだ帰ってこないのだろうか。
今日は珍しく、休憩時間が彼女と重なり、先程まで一緒にのんびりしていた。
だが、『大事な用事があるから、ちょっと待ってて。フェイトちゃんに報告したいこともあるし…』と言って、どこかに行ってしまった。
ふとそんなことを思いつつ、食堂の入り口を見ると、そこにはなのはが立っていた。
キョロキョロと、なのはは周囲を見渡している。
自分を探しているのだと思い、軽くなのはに向けて手を振る。
なのははフェイトを見つけると、笑顔を見せ、フェイトに近寄ってきた。
「……フェイトちゃん、今、時間あるかな?」
「ん?そうだね…。もうちょっとは大丈夫だけど……どうしたの?なのは。」
何か用でもあるのだろうか。
そこまで考えたところで、先程のなのはの言葉を思い出す。
「ちょっと、フェイトちゃんと話したいことがあって。」
「それって、さっき言ってたこと?」
「うーん……ちょっと違うんだけど…いいかな?」
とりあえず、今は休憩時間だ。
話し相手もいないし、丁度いいかもしれない。
「別にいいよ。……ところで、何の話?」
「ちょっとここじゃ話しにくいから……ちょっとついて来てくれないかな?」
笑顔で、なのはは席を立つようにフェイトを促す。
フェイトは残りのコーヒーを一気に飲み干すと、一瞬顔をしかめる。
いや、こんなことではダメだ。ユーノはブラックが美味しいと言っていたのだから、それもわかるようにならなくては。
紙コップをゴミ箱に捨てる。
「それじゃ、行こうか?」
うん、となのはは答え、先に歩いていく。
彼女の首元には、赤い宝玉が鈍く光っている。








12639-362:2008/01/15(火) 04:23:12 ID:IKRphs6n
次回、END1では直接対決しなかった、なのはとフェイトが………!
ユーノ君は、次回ほとんど出番ありません。

※アクションシーン等はございません、あくまで話し合いによる決着……話し合いか?





GONGの「今こそ〜」辺りを聞いてると「これってフェイトだよな…」って思いませんか?
127名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 04:31:23 ID:3pzbLl3p
GJ!!
ヤバイ・・・お話し合い怖い((ΩДΩ))

「稲妻の剣で〜♪」のとこと、「金色の翼で〜♪」
ってところはマジでフェイトですよな。
128名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 04:39:12 ID:aaeSXvb9
きたきたきたあぁぁぁぁGJ!!
あなたの作品を待っていた!
精神を追い詰められるフェイトが目に浮かぶ!
鬱な筈なのに何でテンション高いんだおれ?まあいいか
全部終わった後で良いんで、
恋人同士なら当然に当たり前に必然的にすることNO.97をkwsk!
ところで上三つ同じじぁね?まあいいか
あなたの作品好きだからホント期待してる!
129名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 04:45:02 ID:WL2NZfcD
>>126
GJです!はてさて、どのような『話し合い』になってしまうのか ・ ・ ・ ・ ゴクリ...
中編・後編もwktkしながらお待ちしております!!
130ゲリラ兵 ◆QCnUms2uBE :2008/01/15(火) 06:53:02 ID:GL+mIk+Q
D:同棲に気づいてまさに今から戦いを挑もうとしている(何


(レスとか。本気で長文失礼。スルー推奨)
おはようございますーw
わかりにくいですか……日本には可能性を予見でき得る事象を看過出来なかったら恥とする文化がありまして、
つまりもしシャーリーがクアットロが持っている可能性が高い事に気づいていれば話は変わった可能性があるとかなんとか、つまりIFなんですが
つーかそれがわかるように書かなきゃだめなんですよねしかもミッドのお話ですよね、ごめんなさいごめんなさい精進します...
前スレでレスを頂きましたが、わかりやすく面白い、は本当に最高の褒め言葉で嬉しい限りです。ありがとうございます
お話の方もやっと難しい所は抜けたので、そろそろ加速します

>36 自分は違和感ないけどな……
クロノは1人息子だからリンディさん本気で怒っても不思議はないし……
シャッハ&カリムは教育係で、ロッサは遅刻サボりが何年何回注意しても治らないとサウンドステージでかなりつつかれていたり
そしてシャッハはロッサが嫌がるぐらい口より先に手が出るタイプらしいですよ。それで経費で夜遊びした日にゃ切れられますよwこんなもんで済むと思ってなかった
ヴィンデルシャフトでぼっこぼこになるかと思ってたw(はやてはどっちかっていうと遊んで貰えなかった恨みの方がでかそうだけど)
ユーノは付き合っていなくてもなのはさん怒りそうだし、付き合ってても勿論怒るだろうからいいんじゃないかなー、とフォローしてみたり

>61 アウアウガタガタ……修羅場は難しいけど頑張って!キーワードは……奪い合い?(まんまじゃねーか)

>93 うほ、これはいいチンクゼスト。微笑ましいの大好きですよGJです!

>113 (冒頭参照)

>126 こわいよー・゚・(ノ∀`)・゚・。淡々と書いてあるから尚怖い……すごくSSって感じがいい……
朝刊?朝刊は……なんだろうね……とりあえず長いよね。うん、ごめんなさい⊂´⌒つ。Д。)つ


(注意書き)
[熱血魔法少女"恋愛"アクションSS〜ソラノカケラ〜第49回・under the red of death(1)][当分非エロ][多分シリアス]
シルバーカーテン、もといNG発動キーはタイトルで「ソラノカケラ」「ゲリラ兵」を指定すれば確実に消えるかと思われます

(今日の注意)
真偽は謎のままですがクア姉がどっかーんしちゃいます。ごめんなさい
お借りしているフェイトさんが忙しそうです。しかも1人だけ放置プレイ風味です。ごめんなさい
そして1レスです

では、朝刊〜
131〜ソラノカケラ〜(49)(1/2):2008/01/15(火) 06:54:37 ID:GL+mIk+Q
 航空機型ガジェット3機をハーケンフォームのバルディッシュで一瞬で細切れに変えたフェイトは、
とりあえず旋回し、その人のところへ抜ける空間を探すが、容易には見つかろうはずもない。
「馬鹿なことを――!」
そしてほぼ同時にはやてとなのはも、分隊したU型の射撃に対する応戦を余儀なくされる。
「あかん、ギンガ止めて!」
叫ばれて動こうとした彼女もまた目の前に別の1機が現れて、慌ててシールドで防ぐ。
そして力づくで止めようと追って上昇した妹達は、姉の威厳を伴った一喝で静止させられた。
「下がりなさい!」
そして同時に降下してきた複数のU型ガジェットが自爆し、煙幕となり姉妹達全員の視界を奪った。
さらにメインオペレータールームでは計器が明らかに異常な数値を示していて、こんな時にジャミング!?と3人娘も一斉に慌てた。
煙幕から退却して視界を取り戻したディードが姉の姿を探すと、煙の頂点部から飛び出す眼鏡の人の姿が見えた。
「クアットロお姉様!」
そして、ぴた、とフェイトとなのはのほぼ中間辺りに静止すると、高々とスイッチを掲げる。
「なのはちゃん、フェイトちゃん!腕落としてもかまわへん、止めて!」
はやての必死の叫びに、辛うじてU型の群れを突破した2人のエースがほぼ同時に頭の中で18番を起動させたが――
(レストリクト――)
(ソニック――)
その場に居た全員の頭の中に響いた、彼女の別れの言葉の方が一瞬、速かった。
(じゃ、お先に)
最期の言葉に、茶色いロングストレートの末っ子は叫んだ。
「やめて――――――――――――――――――――――!」
その叫びも空しく、かっ、と白い光に包まれ、圧縮された空間が解き放たれる。
瞬く間にフェイトの足元になす術もなく広がっていく、陽に煌いた小さな死の赤い光達。
「あ……あ……あ……!」
見渡す限り広がった赤い光の上で、彼女が手を伸ばしたその先には――無数の禍々しい赤い光。
赤。
赤。
赤。
透き通った地上を見下ろせる空間の只中に、無数の死の赤い光が見渡す限り漂っていた。
そして、そのかけら達が容赦なくゆっくりと静かに地上へと降下を始める。
何も知らないハの字の渡り鳥の群れがその中へと突っ込み、力を失って次から次へと地上へ向かって落下していった。
ほぼ同時に激しい吐き気を覚えて、フェイトは上空へと即座に身を引く。
「はやて、どうしよう!?」
半ば泣き声の通信で呼びかけた先の幼馴染の顔は苦渋に満ちていた。
「うちのミスや……灯台下暗し、基本中の基本やないか。これやからうちは二流指揮官なんや……けど、後悔しててもしゃーない!」
ぎっ、と金の錫杖を握りなおして、最後の手段を告げる。
「うちが、全部無効化する!」
「え?無効化って……できるの?!」
「うん、ベルカ式やけど魔法自体はあるよ。魔力消費量もそんなでもない」
「そんなでもないって、シャーリー!これ何キロ範囲!?」
通信で呼びかけた先の彼女の相棒は、辛酸を舐めたひどい表情であったが、優秀な彼女らしく即座に回答を返す。
「観測結果、でました。70km四方に広がってます。予測される人的被害は……約400万人……」
「はやて、70km四方の無効化魔法なんて無茶だよ!」
「せやかてやるしかないやろ!ほんの欠片でも残したら、例え死なへんでも一生苦しむ事になる。そんなもん絶対に許されへん」
「……わかった。でも私はどうすれば……」
赤い光で完全に分断されて転送も使えない為、地上に降りるにも回り込むしかないフェイトは、呆然と眼下に広がった赤い光を見つめた。
「フェイト執務官は、なんでもええから上で魔力弾をばら撒いてくれへんか?それに引かれて落下スピード落ちるはずやから」
「了解!いくよ、バルディッシュ!」
「Yes, Sir」
「アルカス・クルタス・エイギアス。疾風なりし天神、今導きのもと撃ちかかれ。バルエル・ザルエル・ブラウゼル」
38基のフォトンスフィアが金髪と白い外套の人の周りに生成されていく。
「フォトンランサ、ファランクスシフト!」
「Photon Lancer Phalanx Shift」
「打ち砕け、ファイア!」
ほぼ全方位に高速でばら撒かれていく黄色の魔力弾。
4秒後、1064発の射撃を打ち終えたフェイトであったが、足止めの効果としても不足しているのは明らかであった。
額に汗を浮かべながら、射出した魔力弾を維持したままデバイスに再度号令を放つ。
「もう1セットいくよ!」
「Yes, Sir. Recharge Start」
132〜ソラノカケラ〜(49)(2/2):2008/01/15(火) 06:55:10 ID:GL+mIk+Q
 眼鏡の姉が四散して消えてしまった空間を見つめて、ディードは唖然としていた。
「クアットロお姉様……」
だがこの場に留まれば、命が危ない。
ギンガから高度を下げる指令が即座に飛ぶ。
「みんな下がって!早く!」
ノーヴェとウェンディは即答する。
「了解!」
「了解っす!」
だが、ディードは呆けたまま動こうとしなかった為、ウェンディがボードで降下しながら双子の片割れに引っ張っていくよう叫んだ。
「オットー!ディードを連れて早く下がるっす!」
「ああ」
体ごと抱えられ、姉の居なくなった上空を見つめたまま呆然と呟く。
「クアットロお姉様……」
どんどん遠ざかっていく その赤に満ちた景色に彼女は思わず叫びながら手を伸ばした。
「クアットロお姉様――!」
133ゲリラ兵 ◆QCnUms2uBE :2008/01/15(火) 06:55:50 ID:GL+mIk+Q
ええ、はいりませんでしたごめんなさいごめんなさ...・゚・(ノ∀`)・゚・。
ではまた明日〜ノシ
134名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 07:55:17 ID:owMajp5G
>>133
朝刊乙です!!やっぱクワ姉自爆でいくんですかね?
相変わらずはやてに志望フラグが・・・
135名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 08:36:40 ID:jNgmT+yc
住民の避難状況ってどうなってるんだっけ?
136名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 09:04:50 ID:gRCvSUTo
遅レスだが、ターンA氏蝶GJ!!
戦闘シーンもティアナの天才ぶりが発揮されててとても引き付けられました
あの綿密な戦い方は天才じゃないと絶対にできないですよ。ティアGJ!
そしてエピローグがめちゃ気になります
死刑になったはずのスカリエッティ、さらなる事件の幕開け。先を期待せざるおえません
更に甘〜いエリオ夫婦の一時。実にもだえさせていただきました!2人(3人?)目がたのしみだw
137名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 14:33:13 ID:IGVWPDVd
>>126
読んでる最中、スクイズの挿入歌が脳内に流れた件


なのはが勝ってもフェイトが勝っても後味悪そうだ…
だがそんな話を待ち望んでいる俺がいる
138名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 14:33:44 ID:ZZOgyUx5
>>126
>>133
ぎゃぁぁー!一等楽しみにしてたSSたちが連続でキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
39-362氏、なのはさんのお話あいの結末や如何に?
それを思うと怖くて怖くて見たいような見たくないような…しかし続き待ってる!
ゲリラさん、やりやがったなコノヤロー!
手に汗に握る展開にドキドキハラハラしっぱなしだぜGJ!
139名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 14:42:01 ID:HSzTxKyU
>>126
きたぁぁぁ!
頭冷やすレベルじゃ済まない話し合いに大期待してます!
140名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 16:59:54 ID:TqQlyqHP
>>126
前回のと合わせて、このSSを読んでるとユノフェがどんどん好きになるのに反比例して、
なのはさんがどんどん悪人に見えてきますw
次回は殺し愛でしょうかw

>>133
やっぱ防げなかったのか…70km四方とか、どうすんだこれ。
地表に降り注ぐ前に街全体に結界とか張れば…(無理?)
この事件終わったらクア姉は確実に極刑ですよね、コレw
JS事件のすぐ後にこんなテロ起こしたら…
141名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 17:09:35 ID:y2FlXYYe
>>140
明確な描写はなかったと思うが、ミッドでは死刑は無いっぽいから、
懲役期間がバカみたく(懲役500年とか)伸びるだけじゃね?
142名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 17:29:49 ID:eAQKy4JI
>>140
まだあわあわわわわてるような時間じゃない
143名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 17:58:53 ID:7WQIxoMj
おおおおお落ち着けぇええええ!!!!
144名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 17:59:30 ID:wd2lM7yy
>>140
前回のあれはユーノ君の脳内なのはさんの声では…と思ってたんだが、
今回ので前回もマジでなのはさんが念話送ってたんじゃないかって気がしてきたw
145名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 19:27:07 ID:5b76Qpiq
慌てるなっ!!エロ小説読者は慌てないッ!!
146名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 20:14:14 ID:YyjgGiUC
>>145
「うろたえるな」じゃねぇのかよ!どういうことだよ!クソッ!クソッ!ボケがぁ!!
147名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 20:38:33 ID:5b76Qpiq
ごめんなさぁいッ!!素で間違えたぜ・・・もうジョジョ好きって言えない。
でも、逆に考えるんだッ!!慌てるなを応用した高度な返しだとッ!!
ごめんなさい・・・
148名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 21:05:57 ID:SPFhEzd4
>>142-147
ほんとにお前らおちつけw
しかし笑顔なところがまじでこええええ!
149名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 21:58:20 ID:FiyA8Iys
いやな…話し合い…だったね
150名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 21:59:22 ID:MXg4VZBY
コミックスが一巻、まだ見つかってないんだろ?
151名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 22:00:26 ID:5b76Qpiq
なのはからしたら泥棒猫、フェイトからしたら碌に相手にしていなかったのに
今更・・・もうピーしたんだからッ!!か。
152名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 22:13:17 ID:j4NoWjhz
ああ、つまり「話し合い」の現場でなのはにこう囁いてやればいい訳だなフェイトさんは。

「ユーノのフェレット(比喩表現)…おっきいよ」
153名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 22:17:14 ID:XlIaieZs
ヤバい雰囲気だってのに、おら、ワクワクしてきたぞ
154名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 22:36:27 ID:QGFet0Tq
空気読まずに投下良いですか?
155名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 22:37:25 ID:VyJpo2nH
>>126
このお話し合いはあれですな。
相当アグレッシヴなお話し合いになりそうですな。
はいはい。
156名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 22:39:12 ID:VyJpo2nH
リアルタイムktkr!どうぞいっちゃってください。
157名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 22:41:10 ID:3Jhg7jOr
おけー
158名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 22:48:03 ID:QGFet0Tq
それでは、投下させて頂きます

・クロなの長編
・主にシリアス、途中エロ要素有り予定
159名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 22:50:20 ID:QGFet0Tq
すいません、注意書きに追記です

・一応本編準拠
・スタートはなのは12歳、大怪我から復帰した直後という事でお願いします
160Interstice Days:2008/01/15(火) 22:51:13 ID:QGFet0Tq
[01/A's to A's 1st]

「レイジングハート!」
『Divine Shooter』
高く響く声に同調し、五発もの魔力弾が瞬時に発射される、
対象物を追いつつも掠めた擬似岩盤を軽く削り取る程の威力を保つその弾幕は
たった一人の術者によってコントロールされ、得物を追い広いフィールド内を疾走している。
「早い……なら」
当然得物も狩られるだけではない、例え力量差が有ろうと反撃をする権利は有る、
追われている男は一時的に加速し距離を離すと、その威力に似合わない桃色の弾幕に向かい、真正面から魔法陣を展開する、
『Stinger Snipe』
手にした杖――小型の槍に近いその白いデバイスを迫り来る弾に向け、その先端から魔力弾を飛ばす、
杖と同じく白い魔力の塊は一度に三つの魔力弾を撃ち落とし、主の元へと戻り螺旋状に上昇しながら残りの二つを弾く、
「スナイプショット!」
頭上まで登りきった弾に命令を下し、眼下で杖を構え直す魔導師に向けてデバイスを振り下ろす
指し示す先の標的に向けて加速する弾丸は、同じく下から加速して来た二つの桃色の魔力弾によって相殺された。
「……やるね」
この男にとって相手が格下であるという事は既に知っている、かといって決して手を抜いている訳ではない、
純粋に、より早く、より的確に行動を処理する相手への賛辞、
普段の正直な意見を述べるだけの彼を知っていれば、その言葉を言わせるだけの力量を相対する魔導師が持ち合わせている事が分かる。
「そりゃあ、いつまでも負けてばかりじゃ、いられないか――らっ!」
力強く声を上げ、白い魔導師が杖を構えて砲撃を放つ、
並の魔導師なら一撃で昏倒しかねない程の威力だが、男は逃げずシールドを展開して防御に入る
殆ど抜き撃ちにも係わらず重い砲撃に僅かに身を仰け反らせ、相殺し切ると同時に男の身体が地に撃ち落とされた、
辛うじて体勢を立て直して着地に成功するも、直後に叩き付けられるいくつもの魔力弾とバインドの内、いくつかをまともに受けてしまう。
無防備な身体を地に縛り付けられているという絶望的な状況の中、放たれた桃色の光のいくつかが飛び上がる、
バインドを繋ぐ魔力も解けて霧散するが、男が立ち上がる前に空に浮かぶ巨大な塊に気付いた。
「ディバイン―――――!!」
魔導師が巨大な砲撃魔法の構えを取る、
通常なら長いチャージタイムの必要なそれを、収束された魔力を加えた事によって、瞬時に発動可能な状態にまで持ち込んでいた。
残り数秒、だが今度は男は守りに入る事も回避に転じる事もせず、デバイスを持つ右手を魔導師に向ける、
左手も持て余す間も無く、瞬時に握られた黒い杖を振り上げ、白い杖と共に突き出す、
二本の杖の先端に圧縮される幾つかの小さな魔力弾、発動と同時にほぼ完成したその白い魔力弾を間髪入れずに魔導師に向ける。
彼の得意とするストレージデバイスによる戦闘と、その最大の長所である高速処理の追求、
二本のデバイスを並列に起動させ、詠唱速度を極限まで早めた、理論上では非常に高度な技術なのだが、
「ショット!」
彼は、それが当然であるかのようにやってのけた。
「――ッ、ああっ!!」
砲撃魔法が発動するより僅かに早く、男の放った魔法が攻撃に傾いていた魔導師の肩を射抜く、
本来発動されるべき防御魔法も、発動の瞬間まで砲撃に集中していた為魔導師もデバイスも間に合わなかった。
被弾した事によって崩れたバランスは圧縮した魔力の崩壊を招き、魔導師の目前で大きな爆発が発生、
強い衝撃がその身体を地面に勢い良く叩き付ける。
161Interstice Days:2008/01/15(火) 22:52:48 ID:QGFet0Tq
『そこまで』
魔導師の周囲に舞い上がる砂煙が晴れるか晴れないかの内に、機械を通して拡大された音声が響き渡る、
同時に周囲に張り巡らされていた結界が消え去り、本来の金属質な壁が姿を現した、
それにやや遅れて広がる拍手の音、僅か一分にも満たない瞬間の攻防に目を奪われた見学者達が我に返り、
華麗な戦闘を行った二人に対して惜しみない賞賛を送る。
『以上で、公開訓練を終了します』
最後の放送が終わると共に、見学者であるアースラの乗組員達が先程までの模擬戦を肴に、
盛大に話し合いながら訓練室を後にしていく。
その殆どが思い思いに散った頃、座り込んでる少女へと近寄り、手を差し出す
「大丈夫か?」
黒いバリアジャケットを身に纏い、二本のデバイスを持つ男、クロノ・ハラオウン。
差し出された手を取り、疲れた笑顔で立ち上がる
「う、うん、なんとか……」
白いバリアジャケットを身に纏い、長柄のデバイスを持つ少女、高町なのは。
二人して体勢を立て直すと、それぞれデバイスを待機状態に戻し、
なのははレイジングハートを首にかけ、クロノは黒と白の二枚のカードを仕舞い込む。
「とりあえず休憩したらどうだ、今日一日で大分疲れたんじゃないのか?」
「大丈夫大丈夫……あれ?」
部屋を出ようとするクロノに合わせて前に踏み出す足に力が入らず、膝から崩れ落ちるなのは、
「お、おい?」
クロノが倒れるなのはを抱き留めて肩を貸す様に立ち上がり、近くの休憩室まで歩き出す、
途中、すれ違った乗組員から口笛が吹かれたような気がしたが、クロノは聞かなかった事にしておいた。
人もまばらな休憩室まで何とか辿り着いて隅に陣取り、二人してソファーに腰掛けた所でなのはの身体が横に傾き、置いてあったクッションに身を埋める、
思考や魔力は普段通りでも落ちた体力では身体が追いつかない、元々体力の無いなのはは、尚更消耗が激しかった。
「全く、病み上がりに無茶するからだ」
「ご、ごめんなさい……」
呆れた様に呟くクロノと恥ずかしそうな表情で身を休めるなのは。
「それに、あれ程の大怪我から復帰した直後に模擬戦をしたいと言い出すなんて、馬鹿げてるとしか思えない」
「あ、あうぅ……」
今にも口をへの字に吊り上げそうなクロノの表情に、なのははクッションに身を埋めたまま益々小さくなる。
162Interstice Days:2008/01/15(火) 22:53:58 ID:QGFet0Tq
なのはが瀕死の重傷を負ってから僅か一年、その若い年齢も手伝ってか、比較的回復は早い方だったとは主治医の言葉である、
しかし、それでも退院してからまだ一月と経っていない、体力どころか戦闘技術さえ錆が見え始めているのは明らかだ、
「それに、もうすぐSランク試験の本番だろう、あまり無茶はしない方が良いと思うぞ」
その上、一月後にはSランクへの昇格試験も控えているなのはは、今回の合格は絶望視されている、
友人・同僚達は口を揃えて『運が悪かった』となのはに言うが、なのはにとっては何の励ましにも成っていなかった。
「……はっきり言って、今の君の状態だとかなり厳しいと思う、怪我から復帰した直後で大分反応速度も落ちているし同時展開もぎこちない」
先程の模擬戦で分かった事を次々と挙げ連ねていくクロノ、そのそれぞれは半年間のブランクを感じさせない程度だったが、
なのはの実力を考えると、試験にはギリギリ参加資格を得た魔導師と言った所だろうか、
その差は、小さく大きい。
「それに何より、フェイトも心配している」
勿論、この短期間で試験を受けるまでとなればそれなりの訓練を要する、それがなのはの身体にどれだけの負担を齎すか分からない、
なのはの事をずっと気遣い続けてきたフェイトにとっては許し難い事だった、事実、彼女はなのはからの模擬戦の依頼を幾度も断ってきている、
なのはの為を思ったフェイトの答えがそうさせていた、例え、なのは本人の希望では無かったとしても。
話を終えたクロノが一呼吸置くと、なのははクッションに顔まで埋めてしまう、
仄かに耳が赤くなっている、どうやら何かを堪えている様子だった。
暫く間を置いてなのはが身体を起こし、真剣な眼差しでクロノと向かい合う、
「……それでも、諦めていませんから」
あらゆる現状をを突きつけられて尚なのはに諦める素振りは無い、
一度決めた事は必ずやり遂げるというなのはの性格をクロノは母親であるリンディから聞いた事も有ったが、ここに来て改めて実感した。
「……仕方が無いな、僕に余裕が有る時ならなのはの訓練を手伝う、だけど、これはフェイトには内緒にする事」
なので、無理に言い争いを続けるよりは折れた方が良い結果に傾くと判断し、クロノが声を和らげる。
「本当!?」
「ただし、訓練でも模擬戦でもスターライトブレイカーは無しだ、それだけは覚えておいて欲しい」
クロノからしてみれば、最大限の譲歩と言える、
訓練でならともかく、一対一で行う模擬戦においてまず使用されない魔法だけを封印するという事は
実質、普段どおりどころか全力全開でも構わないという答えだった。
「く、クロノ君、どうしちゃったの?急に……」
あまりに理想的な条件を目の前に、逆に疑いを向けるなのは、
クロノは周囲を伺い、聞き耳を立てる者は居ない事を確認すると、なのはだけが聞き取れる程度の声で話し出す。
163Interstice Days:2008/01/15(火) 22:55:16 ID:QGFet0Tq
「……ありがとう、クロノ君」
予想外のクロノの言葉に、涙を目に溜めて笑顔を浮かべるなのは、
その姿に、純粋に笑いかけられる事にあまり慣れていないクロノは顔が一瞬にして赤くなり、その顔を隠す様に缶を手に取りその中身を喉に流し込む、
「私、クロノ君のそういう優しい所って好きだな」
続けて言われた言葉に、クロノが飲んでいた物をを盛大に噴出し、咽込む、
慌ててなのはがハンカチを差し出すも、クロノはそれを制止して自分のハンカチで全部拭き取った。
「ば、馬鹿な事を言うな!僕は優しくなんか!」
「にゃはは、私は嘘は言っていないと思うんだけどね」
「ッ――――!!」
クロノの言葉が詰まる、常に何にでも厳しくあるクロノにとって、褒められるという事は精神的に緩む為あまり好きではない、
その上、小悪魔みたいな笑顔の少女にいいように扱われている事が、非常に恥ずかしかった。
周囲に人が居なかった事がこれ程までに嬉しかった事は無いと、クロノは自分の運の良さに改めて感謝する、
「ともかく!簡単に人の事を優しいだとは言わないものなんだ!」
クロノが声を荒げて注意するも、なのははキョトンとしているだけであった、
その反応からクロノは自らの失言に気付くも、既に時は遅い。
「ま、まあそれは置いといて、今の自分の実力も把握出来ていない内から全力で来るのは関心しないな」
「あーっ!それならクロノ君だってデバイス二つ使ってたじゃない!」
「そ、それはだな……艦長として、部下の目の前で撃墜される訳にはいかないからだ」
「でもクロノ君、私一応怪我が治ったばかりなんだよ!?」
「都合の良い時だけ利用するなっ!」
結果はどうあれ、クロノは話を逸らす事に成功はした様だった。

結局クロノはそれから試験までの一月の間、休みや終業後、果ては休憩時間までも訓練時間に当てられる事になり、
時折無限書庫の休みを利用して手伝っているユーノと共に、エイミィに向かって小一時間愚痴を吐く事も有ったと言われている。
ユーノも、始めはなのはの行動を良くは思っていなかった、
しかし、彼女の無茶を最も近くで見ていた彼であるからこそ、なのはは自分の思いを告げ、ユーノはそれに納得し、
以降、主に模擬戦時の結界担当、防御魔法の指導を中心とし、予定が開いていれば常になのはのそばで指導を続けていた。
そして、訓練や戦技指導を行うその姿はアースラ艦内でも人通りの少ない場所や個人の部屋で時折見かけられており、
目立たないようにというクロノの希望はそれ程効果的では無かったと言える。
しかし、ただ一つ、クロノやなのは、ユーノ、そして艦の乗組員の皆が守り続けている事が有る、

『フェイトには何も伝えない事』

アースラの艦長でもあるクロノ直々の命令でもあり、乗組員は誰一人と逆らう事は無かった、
それに、去年のフェイトの姿を知る者なら、例え言われなくてもそうなるよう行動しているだろう。
幸か不幸か、フェイトは何も知らずに魔導師としての任をこなし、二度目の執務官試験に備えているだけであった。
164名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 22:56:58 ID:QGFet0Tq
今回はここまでです
出来るだけ本編の出来事と矛盾しないようにするつもりですが、
クロなのにする以上何処かで無理は出ますね。
中身入れ過ぎてごたごたしてますが、ご了承下さい
165名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 22:58:12 ID:flnixLWE
おや?>>162>>163の間で何か抜けたんじゃない?
166フォル:2008/01/15(火) 22:58:34 ID:QGFet0Tq
忘れてましたが一応名前入れてみました、
次回からはこの名前で投下します
167フォル:2008/01/15(火) 23:00:28 ID:QGFet0Tq
>>165
そこの内容は次回以降で入れようと思ってた所です、切りが良いので分けてました
紛らわしいのでしたらすみません
168名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 23:03:26 ID:flnixLWE
>>167
そうだったのか、失礼。
最近、長文投稿できないって話をよく聞くので、それに引っ掛かったのかなと思ったんだ。
貴重なクロなの分GJ!次回楽しみにしてるぜ
169名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 23:04:41 ID:cuF8hbWC
>>164
乙。
クロなのは落ち着くなあ…

しかし、アニメ版クロなのでなるべく改編少なめにってのは難しい試みだな。
頑張れ。
170名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 23:37:17 ID:08HO37C1
余所からきた書き手なんだが、なのはって語らんか、批評批判、最低高CQスレとかってあるのかい?
171名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 23:39:44 ID:ZnmRHusu
>>167
GJです。2.5期のSS読むの久しぶりだな〜。
172 ◆6BmcNJgox2 :2008/01/15(火) 23:59:21 ID:vXvf1DmM
そろそろ日付が変わる頃っぽいので日付が変わった後で書かせて頂きます。

・士郎×ユーノ
・士郎がユーノを抱いたり、一緒にお風呂に入ったり、一晩同じ布団で寝たりするお話
・非エロ
173名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 23:59:59 ID:flnixLWE
>>170
CQって何だ?少なくとも2ch外のSSを対象とした批評スレはなかったと思う。多分。
なのはクロススレ(>>2参照)は、クロススレに投下されたSS限定で語るスレを持っているようだけど。
何でだ?何か気になる?
174大嫌いだけど大好き 1 ◆6BmcNJgox2 :2008/01/16(水) 00:01:39 ID:2t/RQcIh
なのははユーノを連れて久し振りに故郷である97管理外世界の海鳴に帰って来た。
その理由はもういい加減二人で結婚しようと言う事になり、その報告の為である。
なのはの母・桃子は普通にOKしてくれそうであるが、問題は父・士郎である。
士郎はユーノの事を良く見てくれてはいない。やはりかつてフェレットに変身して…
と言う形で高町家を騙していたと言う所が気に入らなかった様子なのである。
「でも…ちゃんと話は付けないと不味いよね…。」
「うん…だからきちんと機嫌の良い所を見計らって話そう?」
なのはとユーノの二人はそう苦笑いしながらも、高町邸に到着した。

「お帰りなのは!」
「ただいま。」
事前に連絡を入れていた事もあって、既に待ち構えていたと思われる
士郎・桃子・美由希の三人は快くなのは達を出迎えてくれた。
「そう言えばお前が養子にしたって言うヴィヴィオって子はどうしたんだ?」
「ヴィヴィオは学校の行事のキャンプで山に行ってるからいないの。」
「そうか〜それは残念だな〜。」
養子とは言え、なのはが選んだ子供であるからとヴィヴィオに関して高町家の面々は
かなり気に入っていたのであるが、いないと知るや否やかなり残念そうな顔をしていた。
「あ、そう言えば君はどうしてここにいるのかな?」
「え……。」
遅れてユーノがなのはと一緒にいた事に気付いたらしく、士郎は
まるで突き放す様なそっけない態度でそう言い、なのはもユーノも気まずくなった。
やはり未だにユーノの事を根に持っていると悟ったのである。
「だがまあ良いか。せっかく来て貰ったんだ。上がりなさい。」
「(ほ…。)」
とは言え、追い返す様な事はしなかったのはせめてもの幸いだった。
故になのはとユーノはほっと胸を撫で下ろして玄関に入った。

「所でなのは、向こうでの仕事はどうなってるんだ?」
「JS事件が終わった後は特に大きな事件は無くてワリと平和だよ。」
「そうか〜。それは良かった。だが気を付けろよ。あの時みたいな大怪我だけは
もう絶対にしてくれるなよ…。」
居間でなのはの近況報告も兼ねた会話が行われていたのであるが、
やはり士郎はかなりなのはを心配している様子であった。と、そこでユーノが口を開く。
「ちなみに僕は…。」
「お前の話は聞いていない。」
「…………。」
が…この通り士郎に釘を刺されてしまった。これはユーノのみならずなのはも気まずくなる。
「(どうしよう…この調子じゃ…結婚するなんて言ったら…お父さん……。)」
「(これは……かなり苦戦しそうだね………。)」

それから一時して桃子は買い物に出かけ、なのはも久し振りの海鳴を見て回る事も兼ねて
付いていく事になって家を一度出ていたのであるが…そこで士郎がユーノに言った。
175名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 00:03:07 ID:3Jhg7jOr
>>172 はい!? BLですか!? 801ですか!? 薔薇ですか!?

なんかある意味気になるな。
176大嫌いだけど大好き 2 ◆6BmcNJgox2 :2008/01/16(水) 00:04:42 ID:2t/RQcIh
「ちょっと君……大切な話があるからこっちに来なさい。」
「はい何でしょうか?」
士郎に手招きされる形でユーノはある場所へと連れて行かれた。これから大変な事が起こるとも知らずに…

なのはが桃子と共に帰って来るのだが、そこで居間にユーノがいない事に気付いた。
「あれ? ユーノ君は何処に行ったの?」
「ああユーノならお父さんに連れられて道場の方に行ったけど?」
「ええ!?」
美由希の言葉になのはは嫌な予感を感じた。そしてある光景が脳裏に浮かぶのである。それは…

「お前みたいな軟弱な男に娘をやれると思ってるのか!? ああ!?」
「うわぁぁぁぁ! やめて下さいやめて下さい! お義父さん!!」
「お前にお義父さんと呼ばれる筋合いは無い!!」
道場で士郎がユーノを滅多打ちにする恐ろしい光景。それがまだ竹刀を使った物だと言うのなら
痛い程度で済むであろうが…士郎の責めはさらにエスカレートし、ついには木刀まで手に持ち…
「高町家は武門の家なんだよぉ! お前みたいなヒョロヒョロのインテリなんか
いらねぇんだよぉ!! 娘はどうせ中卒だよぉぉ!! 舐めるんじゃねぇよぉ!!」
と、まるで自虐めいた事を叫びながら木刀をユーノ目掛けて振り下ろし…
道場はユーノの血で真っ赤に染まり上がる事になる………

「そんなの嫌ぁぁぁ!! おねがいユーノ君死なないで!!」
なのはは涙目になりながら道場の方へ走った。

「ユーノ君!! ってあああ!!」
道場の戸を開き中を見たなのはは愕然とした! 何故ならば………
「おお可愛い可愛い。このフサフサの毛並みが柔らかくて温かくて気持ち良いな〜。」
「お父さん……何やってるの?」
道場ではフェレット形態のユーノを士郎が抱き、撫で回し、頬擦りまでしていると言う
光景が繰り広げられていた。あまりにも予想の斜め上を行く展開になのはも愕然せざるを得ない。
と言うか愕然しない方が不自然である。

夕食の際、士郎はあんなにユーノを嫌っていたと言うのに、フェレット形態に対しては
掌を返して可愛がっていた事に関しての話題で持ちきりだった。
「何だかんだ言ってお父さんユーノ君の事好きなんだね〜。」
「ち…違う! そんな事は無い! 俺はこんなヒョロヒョロで軟弱な男は大嫌いだ!」
士郎は顔を真っ赤にしながら箸片手にユーノを指差して叫ぶ。本当に恥かしい所を
見られてしまったのだから、もう背に腹は変えられないかの様に真正面から
ユーノの存在を否定するかのような発言を行っていたのだが………
「でも……こいつがフェレットの時は……可愛くて可愛くて仕方が無くて………。」
「お父さん………。」
士郎は一体どうすれば良いのか分からないと言った様な顔になっており、なのはも思わず苦笑いする。
と、そこで桃子が笑顔で口を開いた。
「それはそうと、なのはもユーノ君もお父さんに大切な話があるんじゃないかな?」
「何!? そうなのか!?」
桃子の言葉に士郎も思わず反応する。そして一斉になのはとユーノに注目するのだが…
二人は苦笑いしながら桃子の方を見つめていた。
177大嫌いだけど大好き 3 ◆6BmcNJgox2 :2008/01/16(水) 00:06:40 ID:2t/RQcIh
「あの…どうして分かったの?」
「二人の顔を見れば分かるわ。凄く大切な話があるって位。」
なおも笑顔の桃子になのはもユーノもちょっと敵わないな〜と言った風な顔になるが、
気を取り直して士郎の方を向いた。
「あの……お父さん……私…ユーノ君と…結婚したいんです。」
「ダメだ。」
「早!」
速攻で否定されて士郎を除く全員の顔が忽ち気まずくなった。
「だってそうだろ。こいつはフェレット詐欺をやらかした男だぞ!
可愛らしいフェレットさんに成りすまして娘に近付いた悪い虫なんだぞ!
こんな男がなのはを幸せに出来るわけがない!」
「そのフェレットさんを嬉しそうに可愛がっていたのは何処の何方かな?」
「……………。」
今度は士郎が気まずくなる。そして目から一粒の涙をこぼしながら…
「だって…だって可愛いんだもん…フェレットさん……。」
「まあまあ貴方…。」
士郎の隣に座っていた桃子が笑顔で背を摩りながら言った。
「でもねお父さん、なのはとユーノ君が結婚出来なかったら…
もう二度とフェレットさん可愛がる事は出来なくなっちゃうのよ。それでも良いの?」
「あ………!!」
普通になのはとユーノの結婚はOKと考える桃子は二人をフォローするつもりでそう言うが、
その直後士郎は物凄い形相で頭を抱え始めた。
「あああああああああああ!! お…俺は一体どうすれば良いんだぁぁぁぁぁ!!」
「ええ!? そこまで悩む様な事なの!?」
士郎の狼狽振りに皆は驚くが、桃子はさらに言った。
「じゃあもしもユーノ君がフェレットさんの姿でなのはを下さいって言ってきたらどうする?」
「え…………。」
桃子の一言に士郎は真っ青になった。そしてある光景が浮かぶのである。

「お義父さん! 貴方の娘さんを…僕に下さい!」
それは桃子が言った通り、ユーノがフェレットの姿でなのはと結婚する許可を
士郎に申し出て来る光景であった。

「うあああああああああああ!! 一体俺はどうしたら良いんだぁぁぁぁ!!」
「お父さん! お父さんしっかりして!!」
頭を抱えて大絶叫を始め、あろう事か壁に頭突きまで始めた士郎に桃子を除く全員が大慌て。
士郎は一体どうすれば良いのか分からなかった。人間のユーノは大嫌いだと言うのに…
フェレットのユーノはこの上無く大好き。その二つの矛盾した感情が
士郎を強く葛藤させていたのである!

夕食を終えて一時した後で風呂が沸いた。そこで士郎が立ち上がる。
「よし。じゃあまず俺が入ろう。」
と、そこまでは結構普通の光景だったのだが…その後で突然ユーノの後の襟を掴み上げたのだ。
178大嫌いだけど大好き 4 ◆6BmcNJgox2 :2008/01/16(水) 00:08:38 ID:2t/RQcIh
「おっとお前も入るんだよ。」
「ええ!?」
ユーノは戸惑い、他の皆も驚くが士郎は言った。
「何驚いてるんだよ。男同士で風呂に入るのは別に普通な事じゃないか。
銭湯とかだって男湯女湯で別れてるだろう!?」
「そ…それはそうだけど……。」
士郎の言っている事は確かに正論だけど…やはり自分からユーノと風呂に入ろうとする
行動がちとなのは達には理解し難い物があったが………
「お父さん…やっぱりユーノ君の事好きなんじゃない……。」
そう解釈するしか無かった。

脱衣所に到着した二人は服を脱ぎ始めた。そして士郎はユーノのスマートな裸体を見て言うのである。
「何だお前のそのヒョロヒョロな身体は! それに比べて俺の身体を見ろ!
例え現役は離れていても日々のトレーニングは欠かしていないつもりだぞ!」
と、士郎は自らの肉体をアピールする。確かに士郎の身体は良く鍛えられている事が分かる。
(股間の大きさでは負けていたけど、そこはあえて無視していた。)
しかし、ユーノにとっては筋肉がどうこうよりも士郎の身体に生々しく残った傷跡の方が目に付いた。
「(そう言えばなのはが言ってたっけ…。士郎さんは昔テロに遭って大怪我したって…。)」
ユーノは内心悲しげになっていたのだが…そこで士郎が突然ユーノの肩を掴んだ。
「という事で…早速フェレットに変身してもらおうか?」
「え……。」
これこそ士郎がユーノを連れ込んだ理由。フェレットのユーノと一緒に風呂に入りたかったのである。
もうこうなった以上ユーノも逆らう訳には行かない。
「分かりました…分かりましたよ…。」
ユーノは溜息を付きながら緑色の光を放ちながら小さなフェレットへと姿を変えた。その直後に…
「うわぁ! フェレットさん可愛いなぁ〜!」
「ああ! 痛い痛い!」
と士郎が強くユーノを抱き絞めて来るのだから苦しくて仕方が無い。と言うか、なのはの胸なら
まだしも、士郎の胸板に押し付けられても空しさしか感じない。何が悲しくて男に
抱かれなければならないのだろう。だがそんな事を言っても今の士郎には通じないだろう。
士郎は可愛らしいペットのフェレットを抱いて一緒に風呂に入ると言う認識しか無いのだから…
「ほらほら〜温かいだろう?」
士郎は笑顔で洗面器に入れた風呂の湯をゆっくり優しくユーノにかけてあげた。
ユーノが人間の時とは全く逆の対応。だが士郎はフェレット形態のユーノが好きで好きで
たまらなかったのである。人間形態のユーノは大嫌いだと言うのに……。
「それじゃあお前の身体を綺麗に洗ってやるかなら〜。」
士郎は石鹸を付けたスポンジを片手ににこやかな笑みを浮かべながらユーノの
身体を優しく磨き始めた。忽ちユーノのふさふさの毛並みの一つ一つが
泡だらけになり、その後で士郎がユーノにシャワーをかけて泡を流していた。
「次は俺が洗う番だからこっちでゆっくりしてな?」
士郎は洗面器一杯に湯を注ぐと、それをユーノの前に差し出した。
今のフェレット形態のユーノに対しては普通の湯船よりこちらの方が大きさ的に合うと言う事だろう。
「(そう言えば昔もこうやってなのはと一緒にお風呂に入ったな〜。)」
フェレット形態で風呂に入る事自体が久し振りのユーノは、かつてフェレットとして
高町家でお世話になっていた時になのはと風呂に入った時の事を思い出していた。
今冷静になって考えると……少なくとも野郎と入るのより遥かに良かった。

風呂から上がった後、士郎はなおも笑顔でユーノの毛並みを撫でながらバスタオルで
吹いてくれたが…やはり人間形態に戻ったら対応が正反対になっていた。
やはり人間としてのユーノの事は嫌いな様子である。

それから夜も遅くなり、就寝の時間となった。
なのはは高町邸に残っているなのはの部屋で寝る事になっていたのだが、
さてユーノはと言うと……
179大嫌いだけど大好き 5 ◆6BmcNJgox2 :2008/01/16(水) 00:10:49 ID:2t/RQcIh
「お前はこっちで寝るんだ!」
と、無理矢理士郎にある場所へ引っ張られてしまった。そして引っ張られた先は士郎の布団。
そしてまたも………
「さてフェレットに変身してもらおうか!」
「あ………。」
要するに士郎はフェレットのユーノと一緒に寝たいのだろう。もうユーノに拒否権は無い。
仕方なしに再びユーノはフェレットへ姿を変えた。
「おうおう。やっぱりフェレットさんは可愛いなぁ。」
ユーノがフェレットに変身するなり士郎の態度は代わり、優しく抱き上げて布団の中に入った。
こうなれば仕方が無い。今晩ユーノは士郎と共に眠りに付く事になった。

眠りに付いた士郎はある夢を見た。
「アハハハ〜! 待てよぉ〜!」
「キュー! キュー!」
それは地平線の彼方まで広がる広大な花畑の中を沢山のフェレットと駆け回る夢。
士郎は年甲斐も無く…と言うよりもむしろ童心に返って…フェレットと戯れる。そんな夢だった。
本当にフェレットが大好きで大好きでたまらなかったのである。

夜が明け、朝がやって来た。皆は起きて朝食を取っていたのだが…
再度なのはとユーノはあの本題を切り出して見る事にした。
「あの…お父さん…。」
「何だなのは?」
そして隣り合って席に付いていたなのはとユーノは真剣な顔で互いの手を握り合い…
「私達…。」
「僕達…。」
「結婚したいんです。」
「ダメだ。」
「やっぱダメなのぉ!?」
これはもうなのはとユーノだけの話では無い。桃子と美由希も思わず突っ込まざるを得ない物であった。が…
「っていくら俺が言っても結婚しちまうんだろ!? ええ!? この泥棒イタチがぁ!!」
と士郎が逆切れを始める始末。そして不貞腐れながら目の前の自分の分の食器に置かれた朝食を
やたらめったらに口の中に押し込みながら………
「でも……もうフェレットさんと遊べなくなっちゃうのは嫌だよぉぉ………。」
とか号泣し始める。一体どっちが本当の士郎なのか分からずに皆は戸惑うばかりだった。
「だからお願いだ。子供が出来たらその子にもフェレットに変身する魔法を覚えさせてくれぇ!」
「は……はぁ………。」
目から涙を滝のように流しながら訴える士郎になのはもユーノも呆れてしまっていた。
とりあえずは士郎のフェレットが好きと言う感情が人間のユーノを拒絶する感情に
勝った様子であり、何とか二人の結婚もOKと言う事なのだろう。
「で……こんな時に悪いんだけど…またフェレットになってくれないか?」
「は……ハイ………。」
元気無さそうに言う士郎にユーノも仕方なくフェレットに変身するが…
「うわぁ! やっぱりフェレットさんは可愛いなぁ!」
泣いた士郎がもう笑った。この上無い嬉しそうな顔でユーノを掴んで高々と掲げ上げたのであった。
「ほ〜ら! 高い高〜い!!」
「わ! わぁぁ!」
「お父さん……本当にユーノ君の事大好きなんだね…。」
驚いて脚をバタバタさせているフェレット形態のユーノと戯れる士郎に
苦笑いしながらなのははそう呟いていた。

とりあえず今言える事があるとするならば…これからも
こういう付き合いは続きそうであると言う事であろうか。
             おしまい
180名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 00:14:09 ID:aeU68B5s
>>173
ありがとう。
そうか、外部のSSを語る総合スレとかってないのか。
これからどこかに出来るのかな。
CQってのはもう死語だとおもうから、知らなくてもおkよ。
181 ◆6BmcNJgox2 :2008/01/16(水) 00:14:15 ID:2t/RQcIh
士郎とユーノの「アッー!」とか「ウホッ!」とかそういう展開を
期待した人には申し訳ありません。非エロですからね…
182名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 00:19:51 ID:k2p1yBMt
こいつ(士郎)駄目だ、早く何とかしないと…
183名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 00:25:36 ID:KrZp9ZZx
いつも通り
184名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 00:40:10 ID:3ffQpeDx
>>181
・・・微妙にその手の展開のような気もしなくないw
乙です!
185名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 00:50:06 ID:w4YIy8t/
>>181
GJ!

というかこの士郎はかなりだめだwwwwwww
186名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 00:59:22 ID:KUe8IqM6
187名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 01:31:56 ID:wrs/V2Yt
>>173
CQはエヴァSS界の用語で、SS作家のアレさ加減を表す度数のはず
型月関連でも使われてたから、そこらからのお客さんだろう
188名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 02:14:41 ID:dc/6OKPF
夜も更けたところで、さくさくと後編を投下させてくださいなー

期待を裏切ってしまうような気もしますが、いつものフェイトさんです
病みなのはさん 対 お馬鹿フェイトさん、フェイトさんのターンです

二人とも、S技能持ちのM属性な感じの前後編でした

フェ×なのです、微妙なベクトルのエロなのは諦めてください
ユーノが出てきます、お気をつけください
毎度内容はありません、キニシナイでください
189或る執務官の不在 後編:2008/01/16(水) 02:16:37 ID:dc/6OKPF
なのはがずっと、ごめんなさいと言い続けている。

髪を洗ってくれながら、身体を拭いてくれながら、二人で後片付けをしながら、
今もベッドの上で、服も着れず、私の胸に顔を埋めて、泣きながら、延々と謝り続けている。

「いや、あまり気にしなくてもいいと思うんだ」

まだ何か言おうとしている、その身体を抱きしめる。
ぷにぷにと、二人の胸が押し合って変形した。

どうにも泣き止みそうにない。

結局のところ、私が彼女を許しても、彼女は自分を許せない。
許せないままに、ぱたぱたと、思考のドミノが暗い方向へと倒れこみ続けて、

「…仕方無いね」

だからきっと、必要なのは優しい言葉ではなくて、贖いの手段。

少しだけ身体をずらして、なのはを片腕で抱える姿勢をとり、
おもむろに、振り上げた手の平で思い切り、お尻を叩いた。

部屋の中に、豪快な炸裂音が響く。

…えーと、ここまでやる気は無かったんだけど。

突然の痛み、というよりは音に驚いた様子の、潤んだ瞳を覗きこみ、
なんとなくお尻を撫でながら、優しく、笑顔で言ってのけてみた。

「悪い子なら、おしおきが必要だよね」
190或る執務官の不在 後編:2008/01/16(水) 02:17:24 ID:dc/6OKPF
言葉の意味を理解するまで、数瞬、眼を閉じ、身体を預け、
お尻を少し持ち上げて、おねだりをしてきたので、

間髪入れずに、叩く、叩く、叩く、撫でる、叩く。

「ひっ…あっ…ひぅっ…ぎゃ……」

とぎれとぎれの、嗚咽か悲鳴かわからないような声を聞き流し、突っ走れ、空を飛べ、
ブラックサタンを倒すまで、などと謎なテーマソングを心の中で歌いあげながら、

節にあわせて叩く、叩く、叩く。

一打擲ごとに背骨が反り返り、目を見開き、声無き叫びをあげて暴れる身体を、
押さえつけて、叩く、抱きしめて、叩く、叩く、叩く、とにかく、叩く。

こんな事もあろうかと、さりげなくベッドの傍に隠しておいた、
ヴィヴィオに見つかったらSLBされても文句を言えない道具類も取り出して、

その間も、叩く、叩く、叩く、指を入れてみる、撫でる、引っかく、撫でる。

既に内出血をおこして腫れあがっているお尻を手首で捻り、荒々しく嬲りつけながら、
とりあえず首を絞めていた方の腕で、器用にリード付き首輪をはめてみた。

「ふぇ、フェイト…ちゃん?」
191或る執務官の不在 後編:2008/01/16(水) 02:18:09 ID:dc/6OKPF
リードを引っ張って、無理な角度で顔をこちらに向けさせながら、聞いてみる。

「おしおき、やめる?」

指は止めない。

真っ赤に腫れあがったお尻が、指で引っかくたび、手首が触れるたび、
電気でも流したみたいに痙攣する、あ、そうだ、電気流そ、電ショック。

「なのはが嫌がる事をするのは、私はイヤだから」

ごめん、嘘。

「フェイトちゃん…」
「何? なのは」

中指を根元まで突きこんで、のんびり中を引っかきながら、返答を待ってみる。
あ、いい事思いついた、このまま親指をお尻の方に入れてみよう。

「私は…悪い子だから、もっとおしおき……してください」

泣きながら、せがんできたので、溢れるような笑顔で、応えてあげた。

早速、指先から体内に電流を流しつつ、そのために跳ねそうになった身体を、
力いっぱいリードを引いて気道を潰し、全身で抱きとめて、流す、締める、流す。

ロデオの馬身のように、全身を痙攣させながら、涙や涎がこぼれている表情の、
その、少し上のおでこのあたりに、軽い口付けをして、耳元で、囁く。

「大好きだよ、なのは」
「わ、わ…わたひぃも…ひぎぃ……ぎゃ…」

うふふふふ……って、あれ?

なんか本末が激しく転倒したような気がする。

まあ、せっかくなので、叩いて嬲って抉って弾いて、押さえつけて、唇を重ね、
考える事を諦めるまで、それを延々と繰り返し、笑顔にしてから寝かしつけた。
192或る執務官の不在 後編:2008/01/16(水) 02:18:51 ID:dc/6OKPF
『或る執務官の不在 光刃一閃編』



 あ、問答無用で攫って逃げるという手はどうでしょうって、
 痛いです、シグナムやめて、レバ刺しは痛いです、痛いです

(バルディッシュ・アサルト 記憶層に残る音声データより抽出)


江戸で評判ライオットザンバーで斬り込んでみたのだけれど、
ラウンドシールドで白刃取りをされてしまった早朝の無限書庫。

ああ、やっぱり泊り込みか、このワーカホリックフェレット。

「随分、と、気合入ってる、よ、ね、フェイトオォォ」
「安心して、い、いよ、ユーノ、峰打ち、だ、か、らああぁぁ!」
「どこがだああああああぁぁぁ!!」

やれやれ、ユーノは司書長さんなのに、なんで知らないんだろう。
ライオットザンバーはね、こっちの平べったいところで叩くモードなんだ。

「だから峰打ちいいいぃぃぃ!!」
「ゲゲェーッ! この馬鹿本気でそう思っていやがるぅぅ!!」

それにしても、このままでは千日戦争膠着状態、目的が果たせない。
でも大丈夫、実は既にこの展開は読んでいて、対策も打ってあるんだ。

「まあ、今回は少々事情があるからな、許せスクライア司書長」

後ろから気配を消して近寄っていたシグナムが、ユーノを殴り飛ばす。
浮いたところをすかさず、問答無用の魔力刃で切り捨てた。
193或る執務官の不在 後編:2008/01/16(水) 02:19:39 ID:dc/6OKPF
鮮やかな連携に、観戦していた司書さんたちから驚愕の声があがる。

−シグナムパンチ(技名)とライオットザンバーの合体技!?
−ゲェーッ! そ、そんな事が物理的に可能なのか!?
−あれでは通常のザンバーの2倍…いや10倍の破壊力になるぞ!!

司書さんたちの歓声に応えながら、本棚に突き刺さったユーノに近づく。
まさか前回の任務でスフィンクスの謎を解いた経験が、こんなにも早く役立つなんて。

「まきまきまきまき♪」
「テスタロッサ……それはもしかして、笑い声のつもりか?」

「まきまき?」
「人語を喋れ」

パッケージングが終了する頃には、
司書さんたちが各種手続きを終わらせていてくれていて、

−では、本日スクライア司書長は病欠という事で
−しっかり休ませてあげてくださいね

愛されているなぁと思ったが、それは口にせず、お礼を言って立ち去った。



その朝、やたら巨大な焼き芋に齧りつく夢を見ていた幸せな教導官は、
ミイラパッケージされた司書長の、断末魔の悲鳴で起こされたという。

「…フェイトちゃんがユーノ君に化けた!?」
「本人だよ!!」

喧騒にはじまり、久々に優しい気持ちで休日を過ごす事になる。

194或る執務官の不在 後編:2008/01/16(水) 02:20:14 ID:dc/6OKPF
そのころの執務官は八神家リビングで、フカフカ守護獣の背中に顔を埋めていた。
手足をピンと伸ばし、華麗に顔面から、エンドレスフカフカ。

ハラオウン家に伝わる48の殺人技のひとつである。
しかし、目を開けると毛が入ってしまうという諸刃の剣、リスキー。

それはそれとして、頬に幸せを感じながら、近くでくつろぐ烈火の将に声をかける。

「思いつきました…私だけのフェイバリットホールドを!」
「忘れろ」

冷たい。

もしかして、以前フェイトドライバーの実験台にした事を、
いまだに恨んで根にもっているのだろうか。

「あんまり冷たいと、テリー・ザ・シグナムとか呼びますよ」
「テスタロッサ、大人をからかっちゃいけないな」

あ、蹴らないで蹴らないで。

「…早朝からありがとうございます、シグナム」
「気にするな、貴様らが難儀なのはいつもの事だ」

昼にはヴィヴィオと帰ってやれ、とシグナムが言う。

「まあなんだ、次の任務の時はザフィーラを持って行ってもかまわんぞ」
「いえ、ヴィヴィオのためにも残しておかないと」

「…我に選択肢は無いのか」

おとなしく枕にされていたフカフカ守護獣が、呆れた風味に声をあげた。

「あのだな、ハラオウン執務官」
「オフだから、執務官じゃないんだ」

ビシッと言ってみる。

「…テスタロッサ嬢」
「その名で呼んで良いのは、今となってはシグナムだけです」

ズバッと言ってみた。

「あー、フェイト…?」
「なにかな、ザフィーラ」

幸せいっぱいの笑顔を向ける。

「………正直、この姿勢は足が痺れる、背中に乗れ」
「はい」

堪え切れずにシグナムが笑い出し、ザフィーラが憮然とする。
さて、ありふれた、それなりに幸せな一日をはじめよう。

(終)
195なかがきー:2008/01/16(水) 02:20:52 ID:dc/6OKPF
なかがきー

そんなわけで、数回前以降、壊れなのはさんが調教済な謎に迫ってみました(ヲイ

それでは、付録の続編いきまーす
196ざふぃふぇ!:2008/01/16(水) 02:22:32 ID:dc/6OKPF
奥様の名前はフェイト、そして、だんな様の名前はザフィーラ。
あまり普通でない二人は、あまり普通でない恋をして、ごく普通の結婚をしました。

でも、見ればわかるような気もしますが、だんな様は狼だったのです!



『ざふぃふぇ!』 第二幕 いぬのせいかつ



食卓の下、床の上に置かれた食事の皿に、青き狼が鼻先を差し込んでいる。
その横で、四つん這いで皿に顔を埋める裸エプロン執務官の姿があった。

「……いや、行儀が悪いだろう、それはさすがに」
「あ、すいません、まだ慣れていなくて」

床に落ちた金髪をかき上げ、背中に流す。

透けるような白い肌で構成された、常より存在を主張する柔らかな膨らみが、
かき上げるために上げた腕の隙間、腋の下よりこぼれ、ぶるりと揺れる。

「そこではない」

言われてしばらく考える素振りをしていたが、何事かに思い当たったのか、
ああ、と頷いて、おもむろに身につけていた布切れを取り外した。

「ザフィーラって、妥協しない人なんですね」
「何故にマッパかああああぁぁぁ!!」
197ざふぃふぇ!:2008/01/16(水) 02:23:07 ID:dc/6OKPF
たまりかねたザフィーラが、人間形態へと変身して、皿を持って椅子に座った。
服と姿勢と、どちらから注文をつけるべきかと、疲れた表情で嘆息して、語りかける。

「いいから座れ、せっかく机と椅子があるのだから、使わねば損だろう」
「はい」

そしてそのまま、ザフィーラの膝の上に腰掛ける。

「………………………………」
「……あ、これだと料理を食べにくいです」

良いアイデアが思いつかなかったらしく、両手をグーにしておろおろしていた。
ザフィーラもつられて拳を握り、目の前にあるこめかみにそっと押し当てて、

「いたいいたいいたいいたい、痛いですザフィーラ」

膝の上で身を捩る様は妖艶で、それなりに性的な魅力に溢れた媚態だったのだが、
やはり狼素体の守護獣には、微塵も効果が無かったと言う。

(終)
198ざふぃふぇ!:2008/01/16(水) 02:23:52 ID:dc/6OKPF
あとがきー

三幕(夜の営み編)は長めなので、そのうち単品で投下、できたらいいなー、とか
しかし、アルフはAかつDですか…つまり

アルフ:フェイトを傷物にして……覚悟は出来てんだろうねザフィーラ!

ユーノ:アルフ、帰るよー
アルフ:はーい(らぶらぶ) フェイト、また来るからね!

なのは:どんなに穢れても誰のものになっても、最後はこのなのはの側にいればよいの!
はやて:なのはちゃーん、諦めてこっちおいでやー
シャマル:一人身は気楽ですよー

シグナム:なんだか知らんが、私も参戦させてもらおう!
エリオ:フェイトさん、きっと貴女を振り向かせてみせます!
キャロ:そしてエリオ君を堕とせば…フェイトさんごと(ボソ
ギンガ:せ、せっかくだから私も立候補していいですか!?

ザフィーラ:いや、あきらかに一人愉快犯が混ざっているのだが…
フェイト:シグナム、あなたって人はー(ぺちぺち

こうですかわかりません(マテ
199名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 02:46:07 ID:szw+srSm
GJ!
「電スパンキング…」とか一人でクスリとしてたら普通に電ショックと明記されて吹いたww
他にも肉マンとかよぉ、ネタがグレイトに直撃だぜ…
どうあがいてもザフィーラが可愛いわぁ
200ゲリラ兵 ◆QCnUms2uBE :2008/01/16(水) 07:37:48 ID:8bQavdh+
おはようございますー
自爆?うん、まあ基本少女マンガですからええ。そんな感じでw
オチが納得いかねーって言われないように頑張ります……⊂´⌒つ。Д。)つ
ちなみに住民の避難どころか、上は何も決定すらしていないという果てしなく駄目駄目な状態です。そもそもそれがクア姉の狙いなので

>164 なのちゃーん、とか言っちゃ駄目よね……w

>181 明らかに士郎さんキャラ違うのに楽しくて面白いwwwいやむしろ違和感がな(薙旋

>198 珍しく間隔が短いと思ったら人語喋ってなかったwww
ところで……やっぱザフィフェだとフェイトさんの中からでてくるのはやっぱフカフ……いやなんでもないですw


(注意書き)
[熱血魔法少女"恋愛"アクションSS〜ソラノカケラ〜第50回・under the red of death(2)][当分非エロ][多分シリアス]
シルバーカーテン、もといNG発動キーはタイトルで「ソラノカケラ」「ゲリラ兵」を指定すれば確実に消えるかと思われます

(今日の注意)
はやてが無効化大魔法に挑戦します。何か厨っぽいきもしますが竜跨ぎとか極大消滅魔法とか大好きな人なんで……
それっぽくなくしたつもりですが、無理だったかもしれません。この手は以後プロットから外すかなあ;
そして詠唱は当然オリジナルであります。やめようかとも散々思いましたが、魔法の名前も含めてなのは世界に溶け込むよう一応頑張ってみました
詠唱の中身とか場違いな気もしますが、あまりキニシナイであげてください、恋愛SSなのでw

では、朝刊〜
201〜ソラノカケラ〜(50)(1/2):2008/01/16(水) 07:39:18 ID:8bQavdh+
 赤い光で埋め尽くされた圧迫感のある空を見上げつつ、はやてはシュベルトクロイツを構える。
なのはとリィンは不安げに見守っていたが、白い丸い帽子のその人は結婚前の彼女に避難するように促した。
「なのはちゃんは、ユーノ君とヴィヴィオの所へ戻って」
「え……」
茶色いツインテールでデバイスモードのレイジングハートを持ったその人は、そのデバイスを両手で持ちつつ協力を進言したが――
「ううん、私も手伝うよ。魔力供給だけでも」
「あかんて」
一発で却下されてしまった。
「で、でも……」
苦い笑いで誤魔化しつつ、少しだけ深めの吐息を吐いてから、理由を教える。
「無効化魔法はうちを中心に発生するから、かなりあれに近寄らなあかん。
だからなのはちゃんに手伝ってもらっても、ほとんどなのはちゃんを守る為に使い切ってまう」
「うう……」
「それにベルカ式やし合わせるのも大変やって。だから、な?」
「で、でも……」
少しだけ俯いて、じっと考えているようであったが、まだ諦めがつかなかったらしく、もう一度顔を上げた。
「でも、他に何かできる事があるかもしれないし、護衛ぐらいには――」
「あかんって。さっきも言ったやろ。クアットロの狙いはなのはちゃんなんやから。何があっても死んだらあかん」
「だ、だけど……」
「新婚前の花嫁さんやんか。ヴィヴィオを連れてベルカ領まで飛べば、大丈夫やから」
「う、うう、で、でも……」
それでもまだ逃げる事を自分の役割として受け入れず、躊躇っている彼女に対して、さすがのはやてもぎんっ、と眼差しを強めた。
「高町一等空尉!これは命令や!今すぐ、娘と未来の夫の所へ戻りなさい、今すぐや!」
幼馴染の気迫に、彼女もきっ、と即座に姿勢を正して踵を併せ敬礼を返す。
「はっ、失礼致しました!八神二佐!」
そしてもう一度心配そうな幼馴染の顔に戻って、一言だけ残した。
「……気をつけてね」
「うん」
そのまま、ぎゅん、と地上の娘の元へと向かう桜色の光を見送るが、はやてもそこでようやく自身を省みてみれば呟かずにはいられなかった。
「うちも、嫁入り前なんやけどなー」
「はやてちゃん……」
頭上の赤い光を見上げて、瞼を閉じれば、思い浮かぶのはまだ気持ちすら伝えられていないあの人の優しい横顔。
「こんなことになるんなら、さっさと素直に抱いてもらっとけばよかったな〜」
「はやてちゃん!な、な、な、何を言ってるんですか!こんなときにいくらなんでも不謹慎過ぎです!」
「あはは、ごめんな」
青くなったり赤くなったり忙しい、小さいばってんつきの人はそこで、自身で言った台詞の意味を反芻することに成功した。
「抱いて……?不謹慎……?」
彼女の中で、今までの目の前で繰り広げられてきた愛憎劇の一部始終が蘇り、色々な意味でその中身が繋がっていく。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああ!そういうことだったですか!?
つ、つまり、性行為、SEX、交尾、嫉妬でオスの取り合いで、それではやてちゃんとシャマルが喧嘩して?!あああああああ!?そういうことです!?」
「なんやリィン、今頃気がついたん?」
「はうぅ……はいです……」
がっくりと肩を落としつつ、ようやく家の中で自分の目の前で何が起こっていたかを把握するリィン。
「つまり、あれがいわいる修羅場と呼ばれるもので、はやてちゃんとシャマルがクライドさんを取り合ってたですね」
「うん、そういうことや。なんや改めて言われるとものごっつい恥ずかしいな」
場にそぐわない照れを主に浮かべられて、自身の理解不足も含めて末っ子は反応に困った。
「はうぅ……やっとわかったです。ごめんなさいです」
「いや、謝ることやあらへん。それより、今は目の前の事や」
「はい!」
改めて赤い光を見上げるが、その圧迫感は並ではなく絶望を感じさせるほどであった。
「でもはやてちゃん、単純計算でもはやてちゃんの魔力量だけじゃ70km四方の無効化は無理です」
「その為にリィンがおるんやないか」
「そうですけど、ユニゾンしてもできるかどうか……」
「あのな、リィン。できるか、じゃなくてやるんや。何があってもやり切るんや」
「で、でも可能性を考えたら……」
「あ、あんま弱気なこと言わんといてな、うちも怖いんやから」
「え……?」
202〜ソラノカケラ〜(50)(2/2):2008/01/16(水) 07:40:10 ID:8bQavdh+
よく見れば膝元が小さく震えていて、瞳も歳相応の女の子の強さしか持ち合わせて居なかった。
「なんせ、前衛がいないとなんもでけへん、お姫様マジシャンやからな」
「はやてちゃん……」
しかしそこでもう一度深く深呼吸すると、両手に持った愛杖をぎゅっと握りしめて意思を取り戻す。
「せやけどな、守らなあかん。オーリスはん、中将はんから預かった大切な地上や。こんなことで犠牲者を出すわけにはいかんやろ」
「はい……それはそうですけど。せめてヴィータちゃん達に手伝ってもらえば」
「練習なしぶっつけ本番で術式リンクせなあかんのやで?」
「あう……」
未だ踏み切れない八神家の末っ子に、もう少し諭す。
「うちらなんてちっぽけな――空の欠片みたいなもんやないか。ほんのわずかでも可能性があるなら、それを追いかけてええんとちゃうか?」
「はやてちゃん……」
「二代目祝福の風は、何があっても守ってくれるんやなかったんか?」
「いえ――」
リィンは自身の瞳から弱さを消して、青い瞳を主へと向けた。
「その通りです!何があってもはやてちゃんを最後まで守り通して見せるです!」
「うん、ほないくで」
「はいです!」
「ユニゾン」
「イン!」
はやての中に小さな祝福の風が溶け込むと、髪の色は薄く彼女の瞳の色も青く変わった。
そしてもう一度死の赤を見上げると、ゆっくりと杖を足元まで振り下ろし、湖の騎士を通信の画面で呼び出す。
「シャマル、悪いけど遠距離部分の調整、オペレーター陣と一緒にお願いしていいかな。うちは多分起動だけで一杯一杯やから」
「了解しました」
「それから……ごめんな」
「え?」
火事場での突然の謝罪に、さすがの参謀も戸惑いを隠せなかった。
「うちにもしものことがあったら、クライドはんのことよろしく頼むわ」
「な、何を言ってるんですか、はやてちゃん!はやてちゃんにはもっともっと幸せに――あ」
半ば殺し合いまでした湖の騎士にここにきて気遣われて、主は儚く微笑んだ。
「ほんまお人よしやな、シャマルは」
「うう……」
ただし、彼女の中にもあの人に対する想いがあることは当然疑いようもなかったが、それはお互いさまである。
「まあそれもこれも、全て生きて帰ってこそ、や。遠距離の制御渡すからお願いな」
「はい!」
「シャーリー達も準備ええか?」
3人娘の中央でまだ悔恨は尽きてはいなかったが、今は目の前の役割、と割り切って集中力を取り戻した彼女もはっきりと答える。
「遠距離座標指定準備完了してます。いつでもいけます!」
「よっしゃ、じゃ、いくで――リィン!」
(はいです!)
頭の中で答えた彼女と共に、巨大な無効化魔法を起動する。
赤い光の群れを再度見上げて、はやては懐かしい名前に祈った。
(お願いやリインフォース!うちとリィンと、地上のみんなを助けて!)
「我が元へと集え古の風!面映し我が心を光と為し届けよ!」
それと同時にはやての足元に展開される巨大な白い三角形の魔法陣。
一辺の長さがキロ単位に及ぼうかというほどの大きさで、端の部分が完全に構築しきれず、若干歪んでいる部分すらあった。
想像以上の負荷に、ぎりっと歯を食いしばりながら、しかしそれでも発動へと術を組み上げていく。
はやての中のリィンも、高速で口を動かしながら、両の手でそれぞれ白い三角形を制御し、必死で起動へと向かう。
シュベルトクロイツの先端に宿った光が、ようやく拳ほどの大きさになった時、はやてはその斜め下に向けた杖の先を、天高く振り上げた。
「輝く風――」
呼びしは古の名。
そして、その優しき風を解き放った。
「フォルセティ!」
キンッ、と杖の先から放たれた光の矢が赤い光の群れに突き刺さると、そこから何度も何度も水平に光の輪が広がっていく。
その光の輪の位置を通り過ぎた赤い光は、まるで雪のように白く変色し、無害な白い光となってゆっくりと舞い降り始めた。
203ゲリラ兵 ◆QCnUms2uBE :2008/01/16(水) 07:41:04 ID:8bQavdh+
ほいではまた〜ノシ
204名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 10:24:36 ID:qWuCuRHE
はやてに死亡フラグが…
205名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 11:14:24 ID:izUQMyWF
>>203
リインかわいいよリイン
206名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 12:33:44 ID:yyTtZ68U
某SSスレから転載

349 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/15(火) 23:09:36 ID:AXGSdz8x
ハルヒスレの天才より転載。
エラー表示無しってキツいな。



627 名無しさん@ピンキー sage 2008/01/15(火) 21:54:50 ID:x6K+J9Jh
あ、知らない新規制を発見したので、既出かもだけど報告。

一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えるそうです。
SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイみたい。
207ザ・シガー:2008/01/16(水) 16:09:34 ID:Hftkg3hV
それじゃあ、リンディさんメインヒロインなSS『甘党艦長〜』の第七話投下しますぜ? よろしいですかい?

オリキャラがリンディさんやシャマルさんとチョメチョメでニャンニャンする話ですので嫌いな方はスルーしてくださいね。

208ザ・シガー:2008/01/16(水) 16:14:52 ID:Hftkg3hV
それじゃあ投下します。オリキャラ出ますので注意!
今まで書き忘れていたので改めて書きますが時間軸はA'sです。

そして言わずもがなエロ! 断固エロ!! 絶対エロ!!!
209ザ・シガー:2008/01/16(水) 16:15:20 ID:Hftkg3hV
甘党艦長と俺物語7

最初はただ欲望にまかせて身体を任せただけだった、自分の要求通りに肉欲を満たしてくれるだけの気の良い部下、ただそれだけ。
でも身体を重ねる度に見せてくれる優しさや気遣いが少しずつ心に沁みていって、初めて口付けを交わした時にはもう引き返せないくらい深い情愛を宿していた。

だからこれは許せない。

それは彼が他の女を抱いた事ではない、だってちゃんと自分の気持ちを伝えていなかった私にも落ち度はあるのだからそこで怒るのは筋違いだ。
私が許せないのは互いに好きだと伝え合ったのに、彼があのメス猫を庇った事。

彼が私よりあの薄汚いベルカのメス猫の方を愛している? いいえ、そんな訳はない。
伊達に女を3×年やってはいないのだから、彼は基本的に嘘の付けないタイプで浮気を楽しむ程に軽薄でない事くらい分かる。
それに彼が私に言ってくれた言葉に嘘はない、彼は私を本気で愛してくれている。

彼があの女を庇ったのはきっと何か弱みを握られているからだ。第一そうでなければ彼が他の女に手を出す筈がない。
それに彼は優しいから、脅されていたとしても抱いた自分に責任を感じてあの女の事を気遣っていたのだろう。

その事を考えると溢れる怒りを抑えられなくなりそうだ、このままアルカンシェルを射出エネルギー調整して海鳴の八神家ごと“洗浄”してやりたくなるが、さすがにそれはやりすぎなので自戒する。

それに一瞬で終わる死など罰にはならない、あの女にはたっぷりと私自身の手で引導を渡さなければ気が済まないのだから。





「あの〜……艦長? どうしたんですか? さっきからいつもの3倍くらい砂糖入れてますけど…」

アースラのブリッジでエイミィは思わずリンディに声を掛ける。
それもその筈、常日頃から緑茶に夥しい砂糖を入れるリンディだが今日はいつもの比でないくらい緑茶に砂糖を投入していたのだ。
それはもう親の仇を殺すくらいの勢いで。
そのエイミィの言葉にリンディは緑茶に投入する砂糖はそのままに満面の笑顔で答える。

「ええ、ちょっとね。なにか嫌なことがあったらお砂糖欲しくなるでしょ?」
「嫌なこと…ですか?」
「少し近所の野良猫がね」
「はあ……そうなんですか…」

エイミィはそれ以上の言葉を挟むことが出来なかった、リンディはいつも通りの笑みを見せているがその身に纏うオーラが尋常でなかったのだ。
あえて言うなら悪鬼羅刹が乗り移ったというべきか、魔神悪魔の類の化身とでもいうべきか。
ともかく今のリンディは大気を歪める程の瘴気を全身から放っていたのだ、誰だろうと今の彼女に話しかけるのは躊躇うだろう。

そしてリンディは常の糖度3倍の緑茶を口に運びながら、ふと手にした一つのカードを見る。
それは長年仕舞っていた自分のデバイス、そしてそのデバイスの仕様用途を考えてまた笑みを浮かべる。

(これを使うのも久しぶりですね、それじゃあ首を洗って待っていてくださいねシャマルさん♪)

リンディは一人胸中で呟きながら手のデバイスを優しく撫でた。





俺はシャマルさんのいる医務室に来ている、別にエロイ事をしに来たんじゃない。
艦長に俺が別の女と寝た事がばれたので、ちゃんとシャマルさんにこれ以上は彼女を抱けない事を伝えなければならない。
210ザ・シガー:2008/01/16(水) 16:16:25 ID:Hftkg3hV
っていうか告白されたし、艦長に! そうだよ! 艦長に言われちゃったよ“好き”って!
これは恋人同士とでも言えばいいのか? 考えたら顔がにやけてきたぜ。
とにかくこういう関係になったからにはこれ以上不貞を働く訳にはいかないからな。
と言う訳で俺は医務室に入った。

「失礼します」
「あらジョン君? 今日は呼んだかしら? あっ! もしかしてジョン君からお誘い? もう、ジョン君ったらエッチなんだから。待っててね今準備するから…」
「ちょっ…シャマルさんストップ! 俺は別にそいうので来たんじゃありませんから!」
「へっ?」

俺はとりあえず脳内総ピンクの金髪美女に制止をかけた、この人のペースに乗ったらまた身体を貪る事になりかねないからな。
とにかくシャマルさんに近くの椅子に座ってもらい俺もその正面に腰掛ける。

「それで今日はどうしたのかしら?」
「はい、実は折り入ってお話が…」


そうして俺は事の成り行きを話して、これ以上は肉体関係を続けられない旨を告げた。
するとシャマルさんはこの世の終わりが来たみたいな顔で嘆き始める。

「そんなあああっ! それじゃあ私はこの火照った身体をどうすればいいの?」
「いや…俺に言われても……っていうか普通に彼氏とか作ってください」

シャマルさんはしばらく頭を抱えて喚いていたが唐突に俺に視線を移すと餓えた肉食獣よろしく襲い掛かって来た。

「のわああ! いったい何ですか!?」
「あと1回! 最後にあと1回だけエッチしてえええええ!!!!!」

シャマルさんは俺をベッドに押し倒すと、自分の服を脱ぎながら俺の服も凄まじい速さで剥いで行く。
その常軌を逸した素早さに一瞬度肝を抜かれるが、これ以上されるのは貞操観念上よろしくないので俺はシャマルさんの腕を掴んで制止する。

「タンマ! ストップ! 制止せよ! シャマルさん、俺の話聞いてました!? これ以上はダメっすよ!」
「え〜い。ケチケチしないで、あと1回くらいエッチさせなさい! 言う事聞かないとクロノ君にリンディ提督との濡れ場映像見せるわよ!」

脳裏に浮かぶのは俺が艦長を激しく責め立てる秘蔵濡れ場映像、あんな危険なブツを敏腕マザコン執務官が見た日には確実に俺の命が危ない。

「そ、そんな……あのマザコン執務官があんなモノ見たら…」
「分かったら、さっさと観念しなさい」
「鬼や…あんた鬼や…」
「鬼で良いわ、鬼らしいやり方でヤらせてもらうから!」

シャマルさんはそう言うと激しいキスをしながら、下ろしたファスナーから露出させた
俺のイチモツを弄りだした。
舌を絡めたキスと絶妙な手淫に俺の愚息は瞬く間に臨戦態勢を整える。
少しは堪えろマイサン!
シャマルさんはそんな俺の陰部を撫でながらキスから解放した口で楽しそうに語りかけてきた。

「ぷはぁっ。あら〜、口では嫌だと言っても身体は正直ね〜」
「シャマルさん……なんてエロゲーみたいなオヤジ臭い発言を……っていうか少しは自重してくださいよぉ」
「自重しない女、それが私! ……それにジョン君だって私の体を最後にもう1回くらい抱きたいでしょ? 我慢しないで良いのよ?」

シャマルさんは肌蹴た白衣からその綺麗な身体を晒しながら甘い言葉で誘惑してくる。
豊かな胸、くびれた腰、緩やかなラインを描く尻、輝く金髪、そしてまるでミルクでも溶かし込んだみたいな白い肌と全身から漂う甘い香り。
211ザ・シガー:2008/01/16(水) 16:17:26 ID:Hftkg3hV
俺はそれ以上抵抗できず、その甘い誘惑に屈した。




シャマルの甘言を受けたジョンはしばらく思案した後、身体を起こしてシャマルの唇を自分のそれで塞ぎ彼女の柔らかい肢体をベッドに押し倒した。

「んぅぅ…ぴちゃ…ちゅぷ」

舌をたっぷりと絡めて口内を蹂躙する激しい口付けに加えてジョンの手はシャマルの豊かな乳房を力を込めて揉みしだく。
唇を舐る舌の動きも、胸を揉みながら乳首を転がす手の動きも、ここしばらく交わし続けた情交ですっかり学習したジョンの手際にシャマルは瞬く間に意識を快感に支配される。

そしてジョンは右手を乳房から湿り気を帯びたシャマルの秘所に移すと愛撫を始める。
既にたっぷりと湿り気を帯びていたシャマルの蜜壷はその刺激に洪水かと思う程に果汁を垂れ流した。

「んぅっ!!」

敏感の秘所を手馴れた動きで弄られてシャマルは塞がれた唇から可愛らしい鳴き声を漏らし悶える。
ジョンの手は淫らな水音を響かせながらシャマルの蜜壷をかき乱し、肉の豆を擦り上げてシャマルに絶頂寸前の快楽を与えた。
だがシャマルが絶頂を迎える事は無かった、その直前にジョンの手が止まり口付けを交わしていた唇も離れていったのだ。
口からは唾液が、指からは愛液が糸を引きながらシャマルの身体から遠ざかり彼女を絶望的なまでに焦らす。


「やあぁぁ……止めないで…もっとしてぇ」

突然中断された快楽の刺激にシャマルは涙を流しながら潤んだ瞳と甘い吐息で哀願する。
ジョンはその様に嗜虐心を満たして黒い笑みを浮かべる、そして彼女の耳元で優しく囁いた。

「大丈夫ですよ……今からシャマルさんの大好きな本番の時間ですから」

ジョンはそう言うと同時に一気に自身の肉根でシャマルの蜜壷を穿つ。
凄まじい力を込めて突き出されたその一突きは悪魔染みた正確さでシャマルの中の性感帯に叩き付けられて彼女の身体を走る快楽の電流を一瞬で最大の高みまで昇らせる。

「んはあぁぁっ!! あぁぁ……すっごぉい……」

唐突に絶頂の高みを味合わせられたシャマルは背を反らせて全身を痙攣させて快楽の余韻に震える。
焦らされた分だけ肉棒によって与えられた快楽は凄まじく、シャマルに脳が蕩けるような錯覚すら感じさせる。
そして本気になったジョンの責めがこれくらいで終わる筈もない。

シャマルが絶頂の余韻に浸る暇もなく、ジョンの腰が激しく暴れまわり肉根が蜜壷を蹂躙した。
暴力的な責めによる快感にシャマルは悲鳴に近い鳴き声を発して悶える。

「はあああぁぁぁっ!! ……ま、まってぇ…わらひ…イったっばかりでまだ…」
「ダメですよ“止めないで”って言ったのはシャマルさんでしょ? それに俺はまだ一回も出してないんですから、ペース上げて行きますよ」
「んぅぅ…はぁんっ! そんなぁぁ…んむ!」

ジョンは快感に身体を震わせるシャマルの唇をキスで塞いで舌を絡ませて蹂躙しながら乳房にも手を回して与える悦楽をさらに深める。
容赦ない快楽の暴力に、シャマルは瞳から涙を流して再び絶頂の波に呑まれそうになる。
ジョンもまた素晴らしい締め付けで肉棒に絡みつくシャマルの蜜壷の快感に射精が近づいていく。
強く速くなる腰の動きと、硬度を増す肉棒の震えにジョンの絶頂を察したシャマルは腰に力を込めて膣を締め付けて彼の発射を促した。

「ぷはぁ…はぅんっ……ジョン君ぅ…私もまた…んぅ…イきそうだから…早く出してぇ」
「んぐぅ! はい…俺ももう出します!」

キスで塞がれた口から僅かに放たれたシャマルの誘いにジョンは呻くような言葉を漏らし、強く打ち付ける腰の動きと同時に白濁とした精をシャマルの体内に発射する。
212ザ・シガー:2008/01/16(水) 16:18:14 ID:Hftkg3hV
その衝撃が生み出す濁流の如き快楽にシャマルもまた一段と大きな絶頂の電流に脳髄を焼き尽くされた。

「んはああぁぁっ!! イっくぅぅ!!!」

ジョンの背中に回されたシャマルの手と腰に回された足が吐き出された精の熱さを貪ろうと彼の身体を強く抱き寄せる。

「ふあぁ…ジョン君…んむぅ……ぴちゃっ」

そしてジョンもまたそんなシャマルに応えようと彼女の細くくびれた腰に手を回して強く抱き寄せて激しく口付けた。
舌で口内を蹂躙され、シャマルは蕩けるような悦びに身も心も浸す。

そして二人の契りは互いの欲望が底を付くまで延々と続いた。




医務室から出て来る二つの影、それはシャマルとジョンの二人。
互いに何回したのか分からなくなるくらいに身体を重ねてようやく欲望の治まった二人は汚れた体と服を清めて永い行為を終えたのだ。

「は〜……ちょっとヤりすぎたわね、腰ガクガクしてるわ…」
「シャマルさん大丈夫ですか?」
「まあ、これくらいなら大丈夫よ。それよりも…」

シャマルは言葉を紡ぎながらジョンの首に腕を絡めて顔を寄せた。
突然の事に驚くジョンだがシャマルの妖しい眼差しに見つめられて動きを封じられる。
そしてシャマルは彼の耳元で甘く囁いた。

「…最後にあと1回、キスしてちょうだい?」
「ちょっ! それは…」
「これが本当に最後だから、ね? お願い」

うるんだ瞳で哀願するシャマルの姿に抵抗する術などとうに失っているジョンは小さく溜息を吐きながら彼女の要求を飲んだ。

「はあ〜……まったく本当に強引なんですねぇ」
「自重しない女ですから♪」

シャマルは舌を出して悪戯っぽく笑う。
ジョンは苦笑しながら彼女の顔を優しく抱き寄せてそっと唇を重ねる。
ただ触れるだけの口付けが心地良くて、二人はしばらく互いの唇の温かさに酔いしれた。
通路の陰から二人を見る瞳があることを知らずに。





初めて彼の口付けを受けた時の事を思い出す。
満点の星と輝く銀月の下、夜の海鳴の街で交わした優しいキスの味は少し辛かった。
その感触を思い出すだけで身体の芯が火照ってくる、でも今の私は身も心も別の熱で燃え上がっている。
それは怒りそして激しい憎悪。

何故なら目の前であの女が彼の口付けを受けているのだから。
通路の陰から除き見る私に気付きもしないであの泥棒猫は彼の唇を貪っている。

ねえシャマルさん、あなた誰の許可を得てそんなことしてるのかしら?
213ザ・シガー:2008/01/16(水) 16:18:46 ID:Hftkg3hV
分をわきまえない薄汚いメス猫にはうんとキツイお灸が必要ですよね?

これからじっくり教えてあげますよ、この世には絶対に手を出してはいけないものがあるという事を……






ジョンと別れたシャマルは唇を撫でながら彼と交わしたキスの感触に想いを馳せていた。
これが最後かと考えると彼のくれた快楽と温もりの心地良さが否が応でも脳裏を駆けていく。

「は〜…本当に惜しいわよね〜、床上手で優しいし、本気で勝負仕掛けようかしら? でもさすがにリンディ提督に喧嘩売るわけにはいかないし…」

そんな独り言を呟いていたシャマルの前に一人の女性が立っていた。それは完全無欠の満面の笑みを見せるリンディ・ハラオウンその人である。
そして満面の笑みとは裏腹に彼女の身体からはドス黒い瘴気とでも言うべき殺気が渦を巻いて立ち昇っていた。

あまりの威圧感にシャマルは一瞬自分が酸欠を起こしたような息苦しさを感じた。
そのシャマルにリンディは顔に貼り付けた笑みを一切崩さず一歩ずつ近づいていく。

膝が笑い、肩が震え、歯が耳障りなカチカチという音を立てて鳴り、シャマルの全身を凄まじい恐怖が駆け巡る。
だが目を逸らすことも背を向ける事もできない、何故なら本能的に理解できるからだ。

“もしそうすれば確実に死ぬ”という事が。

遂にシャマルの目の前まで来たリンディが優しいまでの声で話しかけた。


「それじゃあシャマルさん、心の準備は出来ましたか?」

次の瞬間二人の姿はアースラから消えていた、リンディの行使した強制転移魔法により誰の邪魔も入らない世界に移動したのだ。

これより制裁の宴が始まる。

続く。
214ザ・シガー:2008/01/16(水) 16:22:30 ID:Hftkg3hV
投下終了です。

次回は“オシオキだ〜べ〜”な話になりそうっすね、っていうか生きて帰れなさそうな気がするな。

シャマルさんの運命やいかに? 乞うご期待。
215名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 16:30:50 ID:thWvVlxo
王大人『シャマル死亡確認!!』
216名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 16:33:04 ID:SycYKKph
>>214
リンディさんにここまで愛されたい(Д`*)
GJニダwww
217名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 17:01:06 ID:XRKlSP4r
>>215
ということは、シャマルさんの命は補償されたようなもんだなwwwww
218名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 17:04:12 ID:DXjqBRSh
>214
乙……ああ、ダメだ、死んじゃってるよ。

【作者をつつきながら】
219名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 18:22:03 ID:w4YIy8t/
ここで、リンディ提督によるシャマルさんへの性的なお仕置きを期待した自分は
かなりダメ人間だと思うんだ。
いや、リンディさんのデバイスがアレの形になって、シャマルさんを快楽地獄に叩き落すとか
そんな展開を期待してるわけじゃないんだからねっ!
220名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 19:01:05 ID:KrZp9ZZx
これから繰り広げられるであろうえろーすなお仕置き展開は大いにwktkするが
浮かれて不覚を取ったとはいえ仮にも騎士であるシャマルウがこのまま終わるとは思えない
きっと第二、第三のシャマルウがry


何せ年の功ではいくらでも勝っ… あれ ? 胸から手
221名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 19:26:18 ID:szw+srSm
そうだな、シャマルルゥも参謀として何かしら策があっても……
いや、「ゲェー! リンディ!?」 ジャーンジャーン
になってる時点で駄目だ。例え備えあってもなんかわけわからん世界に飛ばされてるから無理だ。
さて、遅くなったが、 G J だ ! 
22226-111:2008/01/16(水) 22:33:09 ID:w6Cs4xF2
エロくない小ネタを一つ投下させていただきたいのですがOK?


223名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 22:35:01 ID:hPQtIV8I
おk
22426-111:2008/01/16(水) 22:39:58 ID:w6Cs4xF2
感謝
5スレぶりの投下が非エロの、しかも小ネタというのが本当に申し訳ない・・・

・メインはザフィーラ+六課メンバー。非エロ
・一レス完結ネタです
・台詞しか書いてないのは手抜きじゃないつもりです・・・うん、そのつもりなんです・・・
・使用レス数12レス。徐々に本編の時系列を追っています
・タイトルは、「巡回」。ピンと来た貴方は古株のザフィーラスレ住人

では、投下
225巡回:2008/01/16(水) 22:41:13 ID:w6Cs4xF2
夕焼けに染まる隊舎の外れ、ベンチに座って項垂れているエリオ

「・・・ハァ」
「エリオ」
「ぅわっ!?ざ、ザフィーラ?」
「・・・すまぬ、驚かせてしまったか」
「あ、ううん、いいよ。えっと、こんな所まで何を?」
「訓練も終わり、隊員一同が隊舎に入ったので付近一帯を巡回している」
「警備のお仕事?・・・偉いんだね。ザフィーラは」
「守護を司る者として当然の務めだ。我の事よりも、エリオ、お前はこんな所に一人で何をしている」
「・・・ちょっと、訓練で失敗しちゃって。落ち込んでたんだ」
「修行中の身ならば失敗は当然だ。それを糧に励めば良い。落ち込んでいても何も始まらん」
「うん、ザフィーラの言う通りなんだけどさ・・・・・『そんな腕前で騎士を名乗れるとでも思っているのか』って言われるのはね」
「・・・シグナムか」
「・・・うん」
「すまぬ。我らの将は見込みのある者には、少々厳しく接する節がある。あまり気に病まず、今後の訓練も励んでくれ」
「うん、ありがとう・・・ザフィーラ」
「・・・エリオ、槍を扱う騎士にとって最も必要なものとは何だと思う」
「え?えっと、魔力の収束技術とか、移動術式の効率的な組み立てとか?」
「そうではない。魔術など存在しなかった、古代の槍騎士にとって、だ」
「・・・技術?」
「それは二の次だな。槍を扱う騎士に最も求められるものとは“勇気”だ。貫くべき敵を目指して、怯まず、臆さず、真っ直ぐに駆ける勇気が無くては、槍騎士は名乗れん」
「勇気・・・僕には・・・」
「案ずるな。シグナムもその点に関しては認めていた。『あいつの踏み込みの鋭さは、時に私でさえ肝を冷やす』とな」
「本当に?」
「嘘など言わぬ・・・とは言え、攻めるばかりが能ではあるまい。ガードウィング、守護の翼よ。守護獣として、護りの術については我も語れることがある・・・
共に来るなら、道々話そう」
「うん・・・よろしく、お願いします。ザフィーラ」
「心得た、では参ろう」
226巡回:2008/01/16(水) 22:42:06 ID:w6Cs4xF2
夕焼けに染まる隊舎の外れ、ベンチに座って項垂れているキャロ

「・・・はふ・・・」
「キャロ」
「きゃっ!?ざ、ザフィーラ?」
「・・・すまぬ、驚かせてしまったか」
「ううん、いいの。ザフィーラは警備のお仕事?お疲れ様」
「疲れるような事では無い。守護を司る者として当然の務めだ。我の事よりも、キャロ、お前は何をしている。訓練で失敗でもしたか」
「え、ザフィーラ鋭い。何で分かったの?あ、私ってやっぱりそんな風に見えちゃう・・・?」
「・・・以前、エリオも同じように黄昏れていた事があった。そこからの推察だ」
「エリオ君も?エリオ君、訓練はいつも一生懸命頑張ってて、失敗なんかしてないのに・・・」
「・・・」
「私、フルバックとしてみんなを助けるのが役目なの。だから、傷だらけになって頑張ってるみんなを見てるだけの事が多くて、
それで、シャマル先生に教わって、治療系の魔法を練習してるんだけど・・・」
「うまく、行かぬのか」
「・・・・・うん・・・・・私、いつもみんなに守ってもらうばっかりなのに・・・」
「竜使役、補助系統、封印処理。その若さでこれだけの事ができれば十分すぎるほどだろう」
「それでも私は、もっとみんなの力にならないと!そうでないと、私は・・・・・」
「焦らずとも、お前ならば癒しの力はすぐに身に付く」
「え?・・・どうして?」
「癒しの術を扱わせて、シャマルの右に出る者は居ない。あれ以上に優秀な教師は居ない」
「・・・でも・・・」
「加えて、治療系魔法の効力は、他者を労る気持ちが根幹に無ければ働かない。キャロ、お前なら大丈夫だ」
「・・・うん、もっと頑張ってみる」
「シャマルならば医務室だろう。教えを乞うつもりなら訪ねてみると良い」
「うん、行ってみるね。ありがとう!ザフィーラ!」
(・・・・・そういう事になった。シャマル、後は頼む)
(はいはーい、みーっちり補習してあげないとね)
(明日も訓練を控えている身だ。出動の可能性もある。長引くようなら・・・)
(大丈夫。消灯時間にはちゃんと帰すわよ。フェイトちゃんに叱られちゃうし。ザフィーラも、巡回頑張ってね)
(心得ている)
227巡回:2008/01/16(水) 22:42:49 ID:w6Cs4xF2
夜の隊舎の外れ、月明かりの下でベンチに座っているシグナム

「・・・シグナム、こんな夜更けにどうした」
「あぁ、ザフィーラか・・・何、らしくなくも悩み事に頭を抱えていたところだ。つくづく、私は人に物事を教えるのに向いていないらしいと、改めて確認してしまってな」
「エリオにきつく当たったこともあるそうだな。また、か?」
「あぁ・・・エリオとキャロに、2対1での模擬戦をやっていてな。少々、力が入りすぎた」
「すぐに熱くなるのが、我らが将の唯一の欠点だな・・・できるようになりつつはあるが、彼らはまだ修行中の身だろう」
「そうなのだが・・・今日のアレは不覚だった。キャロの支援魔法を受けていたとは言え・・・」
「何があった?」
「・・・後ろを、取られた」
「・・・ヴォルケンリッター、烈火の将:シグナムともあろう者が、か?」
「あぁ、油断はしていなかったつもりだったが・・・あれはまるで昔のテスタロッサだな。手合わせの度に速くなる」
「俄には信じ難いが・・・そうか。なかなかやるものだな」
「それで私はつい、シュランゲで迎撃してしまった」
「お前は!・・・シグナム、それはやりすぎだ。修行中の者を再起不能にするつもりだったのか!?」
「そんなつもりは毛頭無かった!だが、結果としてエリオには軽くない傷を負わせてしまったし、
主はやてには叱責された上、テスタロッサには殴られた。当然の報いだがな・・・エリオの傷はシャマルが診たので今はもう回復しているのだが・・・」
「一手、剣を引くのが遅れていればエリオの命は無かったのかもしれん。少し風に当たって頭を冷やせ」
「あぁ、そうする・・・次からは事前に訓練の内容を吟味しなくては・・・高町にも相談せねばな」
「・・・向いていないと言いながらも、満更でも無いのか。シグナム」
「あぁ・・・ザフィーラ。私は最近、妙なことを考えるんだ」
「何だ?」
「我らは夜天の魔道書と主はやてから作り出された守護騎士システムの産物だ。この身体の血肉は全て仮初めの物にすぎん。
当然、“人間”とは作りの異なる我らには子を成すこともできん」
「・・・・・急に何を言い出す」
「楽しいんだよ。子を成すことができぬ我が身だが、こうして技術を教え、一人の人間を成長させていくというのは、
まるで子を育てているように思える。ヴィータが戦闘教官資格など取った時は正気を疑ったが、今ならその気持ちも理解できる」
「大変な母親ばかりが揃ったものだ・・・我はそろそろ行く。まだ巡回の途中なのでな」
「済まない。よろしく頼む。私はもう少し頭を冷やしていよう」
「・・・夜風に当たるのも良いが、ヴィータに指導教本などを借りて読むのも良いのではないか?教導の定石を学ぶ事も必要だろう」
「それもそうだな・・・よし、そうするとしよう」
228巡回:2008/01/16(水) 22:45:18 ID:w6Cs4xF2
夕焼けに染まる隊舎の外れ、ベンチに座ってグラーフアイゼンを握り締めているヴィータ

「・・・どうしたヴィータ。今日の戦闘のことか」
「あぁ・・・ギリギリ結果オーライ、って言えなくもねーんだけどさ・・・あのチビ召喚士、多分、アグスタのオークションの時に襲ってきたのもあいつだ。
レリック事件の首謀者:スカリエッティに繋がってる可能性もあった!そいつを、みすみす取り逃すなんて、畜生!!」
「ヴィータ」
「んだよ!」
「何があった?まさかお前ともあろう者が油断していたわけではあるまい。正直に言って我には信じられん」
「・・・変な能力者の救援が入ったんだよ。そいつの詳細はまだ掴めてねー」
「ストームレイダーへの長距離砲撃、航空型ガジェットへの幻術。そしてお前を出し抜いた能力者。一筋縄では行かぬ相手のようだな」
「はやてまで、限定解除して出てきてくれたのに、なのに何の成果も出せてねーじゃないかよ!!」
「・・・確かにな、主はやてまでもが出陣されたというのに、捕虜の一人も生け捕ることができなかった。まして、一度捕縛した者を取り逃すなど論外だ」
「!!・・・あぁそーだよ、ザフィーラの言う通りだよ」
「だが、お前が海上での演習から現場に急行したお陰で航空型ガジェットへの初動対応は迅速だった。地下で遭遇した召喚士との戦闘にもお前は間に合った。
レリックは2つとも回収でき、例の少女も無事に保護できた。ティアナの機転にも助けられたようだが、それが生きたのもお前がフォローに入れたからだ。
ヴィータ。お前は、良くやった。」
「だけど、だけどよ!!」
「召喚士の面も割れた。潜伏していれば見つけ出せる可能性もある。最善では無かったかもしれんが、それでも、最悪の結果を招かずに済んだ・・・ヴィータ」
「・・・・・何だよ」
「我は盾の守護獣だ。我には主と、主の愛する者、全てを護る責務がある」
「・・・」
「だから・・・これ以上、自分で自分を傷つけるな。それだけは、我は何もしてやれぬ」
「・・・・・わーったよ。今回の一件、取りあえず守んなきゃならないモノは全部守れたんだ。何も奪われずに済んだってことで、一応納得する。悔しいけど」
「そうか・・・ならば、我はそろそろ行こう」
「へ?何処へだよ?」
「巡回だ。お前も来るか?涙顔を新人達に見られたくないのなら付き合え」
「な、泣いてねーよ!バーカ!!・・・・・でも、まぁたまには散歩も連れてってやるぞ。っておぃ待てよ一人で先に行くな待てザフィーラ!!」

「こうやって歩いてると、海鳴に居た時みたいだな」
「ミッドチルダも海鳴市も、気候や風土にそう変わりはないからな」
「・・・あとはザフィーラが子犬フォームで首輪とリード付けてたら完璧なんだけどなー・・・って、待てコラ逃げんな!!」

229巡回:2008/01/16(水) 22:45:51 ID:w6Cs4xF2
月の明るい夜、隊舎の外れ、格納庫のベンチに腰掛けているヴァイス

「お、ザフィーラの旦那。お疲れさんです」
「・・・その呼び方を、改めるつもりは無いのだな」
「シグナム姐さんも同じ事言ってましたがね、今じゃすっかり諦めたみたいですよ」
「あれを根負けさせるか・・・大した男だ」
「へへ、そりゃどうも。旦那は巡回ですか?」
「あぁ」
「しかし、毎晩の巡回も楽じゃないでしょう。防衛設備はそこそこ充実してるんだし、そっちに任せても大丈夫なんじゃないです?」
「問題が敵襲だけとは限らん。それに、本当に敵襲があった場合、隊舎から出動していては間に合わない可能性もある。敵に幻術使いがいるなら尚更だ。
・・・まぁ、守護である我の役目が全て徒労に終わるのならそれが最も良い。お前も、そんな経験はあるだろう」
「え、何の事でしょう?」
「とぼけるな、深夜までスバルとティアナの特訓を見守っていたのは誰だ」
「み、見守る、ってか、覗いてた、って言うのが正解かもなんですけどね」
「わざわざ下衆な物言いをするな。何かあったときはすぐに医務室に担ぎ込めるよう、待機してやっていたのだろう」
「・・・買い被りですよ。俺は旦那ほど紳士じゃないもんで。夜中にこそこそやってる後輩が気になっただけですよ」
「木陰でこそこそとしている怪しい存在を察知した瞬間は、問答無用で飛び掛かろうかとも思ったがな」
「勘弁してください。もうしませんから・・・・・ま、新人共が無茶やってたのは、正直ちっと心配でしたよ。無茶して倒れでもしたら誰が困ると思ってたんだか」
「兄貴分も楽ではないな」
「まぁったく、こういう役目は旦那に変わって欲しいくらいで」
「謹んで辞退しよう。我はお前ほど器用ではない、これからもよろしく頼む」
「思春期のお嬢さん方のメンタルケアなんかよりも、ヘリの操縦の方がよっぽど楽で楽しいんですがね・・・」
「そう言うな・・・さて、長居をしてしまった。我はもう行くとしよう」
「ウス、お気を付けて。んじゃ、俺もボチボチ戻りますか」
「・・・ヴァイス、寮は向こう側の筈だが」
「あぁ、アルトの奴、今日夜勤なんですよ」
「・・・それがお前に何の関係があるのだ」
「コーヒーくらいは差し入れに行ってやっても罰は当たらんでしょう。じゃ、失礼しまっす」

「・・・抜け目の無い男だ」
230巡回:2008/01/16(水) 22:46:24 ID:w6Cs4xF2
念話を受けて部隊長室にやってきたザフィーラ。仕事中のはやて

「お呼びですか。主」
「ん。まぁ、何や用があって呼んだんちゃうけどな。今日は朝練だけでフォワードのみんなもデスクワークやし、
ヴィヴィオもなのはちゃんが定期検診に連れて行ってるし、ザフィーラたまには休んだらどないや?っちゅう相談や」
「・・・主はやて、お言葉はありがたいのですが、毎日教練に励むシグナム達に比べれば我はいつも休んでいるようなものです」
「せやかて、日中は隊舎とヴィヴィオの警護。夜は夜で毎晩、雨の日も風の日も巡回してるんやろ?たまには気ぃ抜いて休んで欲しいんよ」
「・・・」
「ほんなら、主として守護獣ザフィーラに命を下すで」
「何なりと」
「この部屋の警護しとって。のんびりな」
「・・・承りました。主の命とあらば」
「うん、のんびりで頼むな」

・・・・・

「そういや、ザフィーラ。最近ヴィータ達、何やえらいご機嫌さんなんやけど。何でか知らへん?
ここんとこあの3人、毎日食堂で難しい顔付き合わせてるけど。普段はえらいご機嫌なんよ」
「・・・以前、シグナムが言っていました。“子を成すことのできぬ我らでも、技術を教え、人を一人前に育てるのは楽しい。子を育てるのにも似ている”と」
「そっか、シグナムもヴィータも、えぇお母さんやな。でも、シャマルは何で?」
「シャマルはキャロに治療魔法の手解きをしています。上達の早い弟子に技術を教えるのが楽しいのでしょう」
「そっかそっか、みんな良ぇ子やもんな・・・ザフィーラはどないや?楽しいこと、嬉しいこと、あるか?」
「主にお仕えすることが我が喜び。それは、我が命果てるまで変わりはしません」
「真面目やなぁ、ザフィーラは。ヴィヴィオは普段どないしとるん?困ってることとかあらへんの?」
「・・・・・背中によじ登ってきたり、耳や尻尾を掴んで引っ張る程度です。困る、という程の事はありません。馬の鳴き真似を強いられた時は少々困りましたが・・・」
「あはは!ザフィーラも、えぇお父さんになれるで」
「・・・我が、ですか?」
「そやで。シグナムもヴィータもシャマルも良ぇお母さんで、ザフィーラも良ぇお父さんや」
「勿体ないお言葉です。我が主」
「もし将来、私に子供ができても、みんながおったら安心やな」
「・・・お任せ、ください・・・?で良いのか・・・?」
231巡回:2008/01/16(水) 22:47:02 ID:w6Cs4xF2
夕焼けに染まる隊舎の外れ、走り込みをしているスバル

「あ、ザフィーラ。今日も巡回?お疲れ様!」
「スバル。自主訓練は構わないが、オーバーワークはやめておく方が良い。出動に備えて昼間の消耗を回復しておくことも隊員の勤めだ」
「うん。でも、今はちょっと、身体を動かしたくって」
「・・・?」
「今日、久しぶりにギン姉と一対一の模擬戦やってね、やっぱりギン姉は強くって・・・負けちゃってさ。とにかく負けてられない頑張らなきゃ!って思って。
弟子としては、やっぱいつかは師匠を追い越さなきゃね!」
「・・・師匠?」
「うん。シューティングアーツはギン姉に習ったんだ。ナックルを半分こして、今はキャリバーズもお揃いだから、条件は本当に同じ。そんなギン姉に勝つにはー・・・」
「・・・」
「間違いなく小細工は通用しないから基礎と基本の繰り返し!当面は下半身の強化に重点を置いて防御能力の向上を目指します!で、どうかな?」
・・・・うむ、悪くはないだろう」
「えへへ、よっし!頑張ろっと!!」
「だが、程々にすることだ。また高町教導官に叱られるぞ」
「う、前みたいな無理はもうしないって・・・ね、ザフィーラ」
「・・・何だ?」
「ザフィーラにはさ、こう、宿命のライバル!みたいな人っていない?あたしの場合、ギン姉は師匠だけど、いつかは勝ちたい最高のライバルなんだ。
フェイト隊長とシグナム副隊長もきっとそうだよね、模擬戦してるの観た時はすっごい迫力だったんだから!」
「ふむ・・・宿敵、か」
「うん。宿敵、強敵、そう書いて『とも』!」
「・・・・・あぁ、一人だけ、いる。最後まで決着を付けることはできなかったが、あいつは我にとっての最高の宿敵だった」
「へー。強かった?」
「あぁ、強かった・・・我と同じ守護の獣。誇り高き紅い狼。だが今となっては、拳を交わすことはもうあるまい」
「そうなんだ・・・ちょっと寂しかったりする?」
「今のあいつに拳を向けることなどできはせぬ。あいつは我とは違う世界に、ある意味では“戦場”とも言える場所に立っているのだからな・・・我は最早敵うまい」
「うーん、すごい人なんだね・・・あ、ごめんね、ザフィーラ。巡回中だったのに」
「構わぬ。我の事よりもお前はどうするのだ。もう夕食まであまり時間も無いが」
「うん、もう一本だけ走ったら、今日は上がる。ザフィーラの話聞いてたら、もう少し頑張りたくなっちゃった。じゃね、ザフィーラ。いってきーす!」

「・・・今日の夕日は、お前と同じ色だな・・・お前の主の帰る場所、今でも護れているか?アルフ・・・」
232巡回:2008/01/16(水) 22:47:36 ID:w6Cs4xF2
食堂で夕食を終え、夜の巡回に出ようとしたところを、フェイトに呼び止められる

「あ、ザフィーラ。少し良いかな」
(ハラオウン執務官。失礼だが衆目を集めぬ為に念話での対話を願いたい)
(あ、ごめんなさい。不注意だったね。実は昨日、母さん達から手紙と写真が届いたんだ。良かったらザフィーラも一緒に見ない?アルフからメッセージもあるし)
(・・・巡回を控えているので、あまり長くは付き合えぬが・・・)
(良いよ。じゃぁ、少し席を移ろうか)

「前の出張の時に私達は会ったんだけど、ザフィーラは留守を守ってくれてたから・・・もう随分、アルフとも顔を合わせてはいないね」
「・・・あいつが4年前に一線退いて以来、一度も再会はしていないな」
「そっか、もうそんなにもなるんだっけ・・・ほら、見て。アルフの写真」
「相変わらずこの姿か・・・この二人の子供が、クロノ・ハラオウン提督のご子息・・・大きくなったものだ」
「うん、男の子の方がカレル。女の子の方がディエラ。二人とも元気が良いからアルフも大変だって」
「・・・この写真・・・何故あいつが全身泥まみれになって子供の手を引いているのだ・・・?」
「あぁ。その写真は、アルフが子供二人を連れて公園に遊びに行って帰ってきたときの写真。ディエラが水たまりで転びそうになった時、咄嗟に引っ張って助けたんだけど」
「・・・自分が水たまりの中に転んでしまった。と・・・?」
「うん。アルフは頭から足の先まで泥水色になっちゃったけど、リエラには泥の一跳ねも飛ばさなかったって大いばりだったそうだよ」
「・・・この写真では、管理局の制服を持ち出しているようだが・・・」
「それは、カレルと一緒に提督さんごっこの最中だね。ちなみに、着ている制服はクロノが昔着てた制服で、カレルが被ってる制帽も本物」
「・・・(パラパラ)・・・」
「・・・ザフィーラ、もしかして、呆れてる・・・?」
「いや、その様な事は決して・・・素直に、感心をしていた。守護とは何も警護することだけではないと、アルフに教えられたような気がする」
「ヴィヴィオのお世話、普段はすごく大変?私達が見てあげられたら良いんだけど、昼間はアイナさんとザフィーラに任せっきりだから・・・」
「寮母殿の言い付けを良く聞いて、大人しくしている。世話を焼かせることも無い。時にはエリオとキャロも遊び相手になってくれているので、我はほとんど何もしてはいない」
「そう・・・実はその事でアルフからメッセージが届いてるんだ」
「何と?」
「えっと、『お前もいよいよ子連れ狼か。今度ミッドに遊びに行ったときには徹底的に育児の心構えを叩き込んでやるから楽しみにしてろ。
お土産は肉で良いな。アタシはそれ以外認めない』だって・・・ヴィヴィオのお世話を、ザフィーラにもお願いしてるって言ったら、その、こんなメッセージが・・・」
「・・・我に、お前と同じような真似ができると思っているのか・・・アルフ・・・」
「き、きっと大丈夫。できるようになるよ、ザフィーラなら」
「・・・すまんが、少し風に当たってくる・・・我は守護獣、誇り高き蒼き狼・・・ブツブツ・・・」
233巡回:2008/01/16(水) 22:48:13 ID:w6Cs4xF2
夕焼けに染まる隊舎の外れ、ベンチに座っているマリエル

「アテンザ主任。ご休憩ですか」
「あら、ザフィーラ。えぇ、隊長さん達のデバイスの調整も終わったので、一休みしてたところなの」
「お疲れ様です」
「インテリジェントデバイスの子達は揃って複雑だから大変。
でも、シャーリーはすごいね。短期間でキャリバーとミラージュを実戦レベルに仕上げたんだから・・・技術の進歩とデキる後輩って怖いわね」
「・・・それならば、あまり疲れることも無いのでは?」
「んふふ。レイジングハートとバルディッシュにカートリッジシステムを組み込んでフレームの強化をしたのは私だからね。
あの2機の調整に関しては、シャーリーもまだまだ甘いところが多いから。あの子達にも細かい疲労が結構蓄積してて自己修復が少し効かなくなってた。ほんの少しのことだけどね」
「・・・10年前の闇の書事件、改良したのはあの時でしたか」
「うん、もう10年にもなるんだね・・・あの時は本当に吃驚した、絶対バグだって思ったわ。デバイスにも“意地”があるなんて、思ったこともなかったから」
「・・・」
「でも・・・10年経っても、レイジングハートもバルディッシュも変わらない。喜んで使われてるのが、調整してると良く分かる・・・マスターが好きなんだ、って。
不思議よね。デバイス達って」
「不思議?」
「そう。インテリジェントデバイスとマスターとの相性っていうのは単純に決まるものじゃないから。勿論、マスターに相応の実力が無いとデバイスに振り回されちゃうんだけどね。
最初から個人用に作られたインテリジェントデバイスでも、相性が合わない事って結構あるんだよ?不思議だよね、“そんな事になるようには作られていない”のに」
「主従の信頼とは、互いを認め合って初めて成立する物。一方的に押しつけた所で成り立つことは有り得ぬでしょう。それが例え、デバイスであっても」
「認め合うこと、かぁ・・・心、って複雑だよね。技術者としてはそこの仕組みをデジタルに解明するのが仕事なんだけど・・・そういうのって、ヤダな」
「不便が解消されるようにも思えますが」
「ロマンがないよザフィーラ。それって私達の立場に置き換えたら、洗脳と全然変わらないじゃない。実験の事例は色々あるんだけど、ほとんど失敗してるの。原因は不明。
知性、心が生まれる瞬間っていうのは何なんだろうね。赤ちゃんに自我が芽生えるのを同じ。時間を掛けて、愛情を持って付き合うのが大事、っていうのが私の持論なんだけど」
「・・・主に名を頂いた時に、我は我に、『ザフィーラ』になった・・・それは心の芽生えと言えるのか・・・?」
「む、名前ねぇ・・・その説も興味深いんだよね。“名付け親”って言う要素は、結構大きかったりするのかも・・・そういう認識は信頼の第一歩だから・・・
あ、ごめんね、何か変な話になっちゃった。私、こういう話になると止まらなくって・・・・・理屈っぽいの直さなきゃ」
「いえ、興味深く拝聴させていただきました・・・では、我は巡回がありますので、失礼を」
「はーい、頑張ってね」

「デバイスの心・・・か。我らもまた夜天の魔導書の守護騎士システムから生まれた、主の為の“デバイス”とも言える。
・・・主はやてに出会えた時にようやく、我らは我らになれたのかもしれぬ・・・祝福の風よ、貴女がそうであった様に・・・」
234巡回:2008/01/16(水) 22:48:53 ID:w6Cs4xF2
夕焼けに染まる隊舎の中庭。ベンチに座って教本を読んでいるティアナ

「あ、ザフィーラ。巡回お疲れ様」
「ティアナ、熱心なのは良いがじきに暗くなる。読書ならば部屋でもできるだろう・・・ふむ、指揮官養成教本・基礎。か」
「うっ、ちょ、ちょっとザフィーラ。この事は誰にも言わないでよ。特にうちのスバルには絶対に言わないでよね」
「何故だ?以前から高町教導官に指揮官訓練の受講を薦められていたのだろう。指揮官としての視野を身に付けることは決して悪い事ではない」
「そりゃ、そうなんだけどさ・・・とにかく秘密!絶対よ!」
「・・・わかった・・・しかし、独学で基礎を身に付けるよりは、正式に申請してはどうだ?」
「正式な指揮官養成訓練をいつかは受けるわよ。でも、今は公聴会まで日が無いし、なのはさん達もちょっとぴりぴりしてるしね。
だから、小隊指揮の基礎理論だけでも、少し勉強しておきたかったのよ。今度の公聴会が終わったら、なのはさんに相談してみる」
「・・・そうか」
「・・・・・なのはさんが言ってた“強さの意味”と私達の答え・・・自分だけの“強さ”を、もっと伸ばしたいって思って」
「ふむ」
「でも、まぁ・・・こうして勉強すればする程、私って指揮官向きじゃないように思えるんだけどね。薦めてくれたなのはさんには申し訳ないけど・・・正直、わかんないんだ」
「己の指揮官としての資質が、か?」
「うん。スバル達はしっかりやってくれる。無茶な指示でも聞いてくれるけど、これがもし他の部隊だったりしたら私の命令なんて聞いてくれるかどうか・・・」
「何故、そう思うのだ?自分の指揮に従わぬと」
「それは・・・私が、弱いからよ。魔力は並程度、経験だって浅い・・・なのはさんや八神部隊長みたいな立派な指揮官には憧れるけど・・・」
「ふむ・・・ティアナ。お前は“指揮官”という存在を少々勘違いしている」
「え?勘違い、って・・・?」
「ティアナ、お前が共に戦う仲間は、指示がなければ何もできない人形ばかりか?」
「そ、そんなこと無いけど・・・」
「大軍勢を率いるのならば、お前が言ったように強大な力や威厳は必要になろう。だが、我等はあくまで少数精鋭・・・求められる資質は力よりも、観察眼と機転だ。
そう言う意味では、ティアナ。お前の指揮官適正はかなり高い。高町教導官もそう評価しているだろう」
「・・・ザフィーラだったら、指揮官はどうあるべきだって思う?」
「揺らがぬ事、だな。小隊の指揮官でも、万の軍勢を率いる将軍でも、楽観が過ぎては足下を掬われる。悲観に呑まれては何も為せぬ」
「そっか・・・うん、ありがと。ザフィーラ。何だか、ちょっと解った気がする」
「そうか」
「ところで、ザフィーラは公聴会の警備に出てくるの?」
「いや、我は隊舎の留守を護る。滅多な事は無いと思うがな・・・では、我はそろそろ巡回に戻る。ティアナ、早めに自室に戻れ」
「わかったわ。それじゃ、お先に・・・それと、ありがとね。私なんかの愚痴に付き合ってくれて・・・」
「礼には及ばぬ、しっかりと身体を休めておけ」
235巡回:2008/01/16(水) 22:49:28 ID:w6Cs4xF2
病室のベッドに横たわっているザフィーラ。彼に念話で呼び掛けるシャマル。初めて、ザフィーラが応答を返した

「ザフィーラ・・・ザフィーラ!気が付いたのね!?」
(むぅ・・・ここは・・・?ぐぅっ!!?)
「駄目、まだ動かないで!」
(くっ、体中が痛むな・・・だが、我の事より、他の、あの時隊舎に残っていた連中の状態は?)
「ヴァイス君が重体・・・それ以外はみんな軽傷で済んでるけど・・・」
(何という体たらくだ・・・盾の守護獣とあろうものが・・・ッ!!)
「ザフィーラ、まだ動いちゃ駄目よ・・・それに、自分を責めないで・・・私がサポートをもっと上手くできていたら、きっと結果は違ったのよ・・・
あなたは、最後まで、隊舎と、中に避難していた職員達と、それに私も・・・みんなを護るために立っていてくれたんだから・・・恥ずべき事は、何も無いわ」
(だが、隊舎は完全に破壊され、職員に傷を許し、シャマル、お前も負傷した・・・何より、ヴィヴィオがスカリエッティの手に落ちた・・・
我は、何も護れなかったのだ・・・護るべき者達も、守護という己の役目さえも!・・・それを、恥じている・・・!!)
「違う!!ザフィーラの所為じゃない!!私が、私が、もっとしっかりしていたら・・・こんな事には・・・っ・・・くっ・・・」
(シャマル・・・)
「ごめんなさい・・・私は、いつも・・・私だって騎士なのに・・・」
(・・・シャマル・・・お前こそ、自分を責めるな)
「でも、悔しいのよ!私は、シグナムやヴィータちゃんやザフィーラみたいな強い騎士じゃない、それは分かってる。分かってるけど・・・!
私にだって護りたいものがある、命を賭けるくらいに大切なものがある!それを・・・私は・・・うっ・・くっ・・・!はやてちゃんが、必死で築いた夢の部隊なのに・・・っ!」
(・・・悔やむ気持ちは、我も同じだ・・・シャマル)
「・・・」
(だが、泣くな。まだ決着が着いたわけではないのだろう)
「えぇ・・・はやてちゃん達は、アースラを借り受けて臨時の6課本部にできるように交渉に行ってるわ」
(地上本部、6課隊舎を完膚無きまでに叩いておいて、それだけで済む筈が無い。済ませる相手ではない・・・必ず、近く動きがある)
「そうね・・・もう、これ以上は絶対に許さないわ」
(あぁ、勿論だ。泣いている暇は無いぞ)
「うん。ごめんね、ザフィーラ。お見舞いに来た私の方が励まされるなんて・・・」
(気にするな。シャマル、お前も決して軽傷で済んだわけでは無いのだからな。無理はするな)
「ありがとう・・・それじゃ、私はそろそろ行くわね」
(あぁ)
「とにかく、ザフィーラはゆっくり休んで、回復に努めて・・・無理を押して前線に出て、また怪我でもしたらはやてちゃんも悲しむから・・・無理はしないでね」
(何処を動かしても激痛が走る身だ・・・すまぬ、主達を頼む。我も動けるようになり次第、すぐに合流する)
「あ、ザフィーラ。一つ頼みたいことがあるの。ヴァイス君の事なんだけどね・・・
236巡回:2008/01/16(水) 22:50:04 ID:w6Cs4xF2
再建工事が進む隊舎の外れ。夕焼けに染まる訓練場、そこでコンソールを操作しているなのは

「あ、ザフィーラ。訓練場まで出てくるなんて珍しいね。どうかしたの?」
「あぁ、ヴィヴィオが探していたので呼びに来た」
「ありがとう。訓練場の再設定が終わったらすぐに行くね。でも・・・それだけじゃないんでしょう?」
「あぁ。念話で済ませず直接出向いた理由は別だ・・・高町教導官、我は、貴女に謝罪せねばならない」
「謝罪って・・・どうして?」
「我がヴィヴィオを護れなかった為に、先の事件は激化した・・・我はその責任を取らねばならない」
「うーん・・・責任とかそういうのは違うんじゃないかな?事件そのものはもう解決したんだし」
「主はやてもそう言った。だが、我にも守護獣としての矜恃がある・・・ヴィヴィオを護れず、二人を苦しませたのは我の責任だ」
「・・・じゃあ、どうするの?」
「撃ってくれ。その傷を戒めに、我は誇りを取り戻す」
「・・・ねぇ、ザフィーラ。きっとね、ザフィーラに何かあったら、ヴィヴィオは凄く悲しむと思うんだ」
「・・・」
「だって、ヴィヴィオにとって、ザフィーラは大好きな狼さんなんだよ。ずっと一緒にいてくれてたでしょう?
ずっとヴィヴィオの笑顔を守ってくれていたあなたが、たった一度、守護の役目を果たせなかっただけで、そんな風に責任を取らないといけないかな?」
「たった一度の失態・・・その為に、あの娘の命が失われていたとしても、貴女は我を責めぬと言うのか?ヴィヴィオの命は貴女にとってはその程度の重さでしかないのか?!」
「・・・」
「他人を責めても何も変わらぬ。それは正論だ。だが、我が守護の役目を全うできていたならば、此度の事件は決して世界を巻き込む惨事には至らなかった!
我の失態こそが発端なのだ・・・我を、許すな。高町教導官。その甘さは決して、誰の為にもならぬ」
「・・・はぁ・・・うん、分かった。それじゃあ、私は絶対にザフィーラを許さない」
「うむ」
「うん、許さないよ。絶対に許さないからね」
「・・・待て、高町教導官。それだけでは、許さないと言うだけでは何の意味も無いだろう!」
「ねぇ、ザフィーラ。私はね、あなたには凄く感謝してる。ヴィヴィオの保護責任者を引き受けていたけど、普段は一緒にいられなかったし、心配だった。
あの子が攫われた時だって、私は本部に行ってて、襲撃されてた六課に駆け付けることができなかった・・・ホント、保護者失格だよね」
「・・・そんなことは無いだろう。貴女は名実共にヴィヴィオの保護責任者だ」
「だったら、ザフィーラは私以上に、ヴィヴィオの保護者で守護者だよ。私の方がザフィーラに謝って、殴られなきゃけじめが付かないないくらいに」
「むぅ・・・しかし、高町教導官。貴女に何かあってはヴィヴィオが悲しむ・・・む?」
「あはは。ね、同じ所に辿り着くでしょ?ヴィヴィオの為にも、やめよう。こんなお話は」
「・・・あぁ・・・済まなかった。高町教導官。我は手前勝手な決着に逃げようとしていただけだったのだな・・・申し訳ない」
「私も・・・ごめんなさい、それと、ありがとうザフィーラ。ヴィヴィオの傍にいてくれて・・・できれば、これからもあの子の守護者で居て欲しいんだけど・・・?」
「・・・済まない、高町教導官。我は・・・」
「はぁ。流石にはやてちゃんには適わないかぁ。ごめんね、我が儘言って・・・でも、ザフィーラのそう言う一途なところ、私は好きだよ」
「・・・からかわないでいただきたい」
「ごめんごめん。よし、再設定完了・・・ヴィヴィオが探してたんだよね。戻ろうか」
「あぁ、行くとしよう」
23726-111:2008/01/16(水) 22:55:10 ID:w6Cs4xF2
駆け足で追う、機動六課の舞台裏、ザフィーラの話でした
この後、ヴィヴィオ編、アルフ編と繋げるつもりでいて、そこだけ先に書きたくなってしまい、できあがったのが、
拙作:「優しいオオカミさん」と「アルフとザフィーラは大変な夜にしてしまいました」だったりします
ザフィーラ喋りすぎ、というツッコミはどうか我慢してやってください

小出しにしようかと思っていましたが、小出しにするほど大層なネタでも無いかと思い直し、一気に投下しました
読みにくいかもしれませんが、お許しあれ

次に投下するなら・・・非エロ→エロの展開でお届けします。詳細は・・・現在、詰めています

それでは


238名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 23:01:34 ID:qB4X74Qp
リアルタイムで読んだが、GJ×1000!!

ザフィーラ男前やわぁ……某マスターでボスなアヌビス星人ぐらい男前! いっそ刀振り回そうぜって感じ。
俺このザフィーラなら掘られたっていい! でも、4足歩行なんだよな……
239名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 23:07:41 ID:DkINj6x4
ザッフィーかわいいよザッフィー
240名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 23:20:00 ID:szw+srSm
うん、いい。ザッフィーらしい。GJ!
ザッフィーすげぇ丁寧。イケメンとか、そういうレベルじゃない。
そして、ラストもなのはらしいなのはだと思えて嬉しい限り。
241B・A:2008/01/16(水) 23:27:37 ID:y2lgS8yf
>>237

GJ。漢としての格がダントツだ。
ずっとスーパーザッフィータイム(非戦闘)。


ところで、OCN規制のせいで長らく空いちゃいましたが、新作投下しておkですか?
242名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 23:29:08 ID:w6Cs4xF2
ok!
243名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 23:29:10 ID:+EF1S2dx
守護獣が漢らし過ぎて思わず鳥肌
GJじゃ足りないが、それしか思いを表す術を知らない
キャラクターの捉え方が見事としか言えない
244B・A:2008/01/16(水) 23:33:05 ID:y2lgS8yf
ではいきます。守護獣の後はどエロ兄妹のターン。


今回は久々に「フェイトの〜」シリーズの続きです。けどタイトルは「2人の記念日」。
保管庫に編集する際は他のSSとリンクさせずに独立した長編(または短編)として扱ってください。


注意事項
・クロノ20歳×フェイト15歳
・エロです。
・M女フェイトが好きな人、痴女なフェイトが嫌いな人にはややお勧めできません。
2452人の記念日@:2008/01/16(水) 23:37:25 ID:y2lgS8yf
「は〜る〜か〜空響いてる、祈〜りは〜き〜せ〜きに〜」
鼻歌を口ずさみながら、フェイトはクロノの部屋に掃除機をかけていた。
今日のフェイトは今朝からご機嫌だった。それもそのはず、今日は自分と義兄であるクロノが
晴れて恋人同士になって1ヶ月目の記念日(2日目)なのだ。
何故、2日目なのかというと、本当の記念日である昨日からリンディが仕事で家を空けているため、
2日かけてじっくりねっとりしっぽり記念日を祝おうとフェイトが提案したからだ。
ちなみに、お邪魔虫であるアルフとエイミィはそれぞれ八神家、高町家で昨日から世話になっている。
エイミィに至っては「同居していたら胸焼け起こすから、引っ越し先探そう」と自棄気味にぼやいていた。
一方、フェイトの愛しい旦那(予定)であるクロノはというと、どうしても出席しなければならない会議があるとかで
今朝から本局の方に赴いていた。ただ、それが終わったらすぐに帰ると言っていたので、昼過ぎには戻ってくるだろう。
「・・・よし、こんなところかな」
一通り掃除を終え、フェイトは部屋の真ん中でえへんと胸を張る。何てったってこの部屋は2人の愛の巣だ。
昨日だってそこのベッドでたっぷり楽しんだし、今日もクロノが戻ってきたら・・・・だ。
なのでいつクロノが戻ってきても良いように、この部屋はベストの状態でなければならない。
2462人の記念日A:2008/01/16(水) 23:40:33 ID:y2lgS8yf
「後は・・・そうだ、ベッドの下」
意外と忘れられがちなそこはかなり埃が溜まっているものだ。
ここを見逃すようでは未来の妻失格である。
『ありがとうフェイト、君はなんて気が利く娘なんだ』
『ううん、私はただクロノのためを思って』
『なんて健気なんだ。決めた、今すぐ結婚しよう』
『クロノ、私まだ中学生だよ・・・』
『構うものか』
「な、なんちゃって・・・・」
などと浮かれながら意気揚々と掃除機をベッドの下に突っ込む。
「あれ?」
手に伝わった奇妙な違和感に、フェイトは首を傾げる。掃除機が何かにぶつかったみたいだ。
訝しげながら、フェイトは掃除機を止めてベッドの下を覗いてみた。すると、ベッドの丁度真ん中辺りに
やや大きめの厚紙の箱があるのを発見した。
「なんだろ・・・・」
好奇心から、フェイトはその箱を引っ張り出した。かなり長い間放置されていたのか、箱の上には
かなりの量の埃が堆積していて、ほんのちょっと息を吹きかけただけで部屋に埃が舞った。
「ケホケホッ・・・もう、折角きれいにしたのに」
こんなになるまで、いったい何を隠していたのだろうか。男がベッドの下に隠すものといえば・・・・。
「ま、まさかね」
いくらなんでも、あの朴念仁のクロノがあんなものを隠しているわけがない。そう思いつつも、
フェイトの心は箱の中身へと傾いていく。そして、そのまま数分間逡巡した後、フェイトは思い切って箱の蓋に手をかけた。
2472人の記念日B:2008/01/16(水) 23:43:35 ID:y2lgS8yf
「きゃっ!?」
箱の中身は案の定、如何わしいエロ本の類だった。それも、かなりハードなものが多い。
「クロノ、こんなの読んでいるんだ・・・・・・」
フェイトは一番上にあった本を手に取ってみる。タイトルは『人妻・花満開姦淫縛り』。
その時点でフェイトにはもう何が何だかわからなかった。
「クロノ、本当に縛るのが好きなんだ」
思えばクロノは、嘱託試験でフェイトを、闇の書事件ではリーゼ姉妹をバインドで縛っている。
余所でも何かにつけて縛っているようだし、行為の度にフェイトも縛られることが増えてきている。
拘束魔クロノ・ハラオウンは立派な異名になりつつあるようだ。
だが、フェイトとしてはもっと違うプレイにも手を出してみたかった。その時点で何か間違っている気がするが、
生憎それを突っ込む人物は現在のハラオウン家から軒並み追い出されているため、フェイトの思考が止まることはない。
「あ、これ・・・・・・」
底の方にあった本を手に取り、フェイトは破顔する。これなら、今夜にでも実行できそうだ。
「クロノ、喜んでくれるかな?」
そうと決まれば後は早い。フェイトは本を元の場所に戻すと、さっさと掃除を終わらせて、ウキウキとした足取りで自宅を飛び出した。

そして・・・・・・・。
2482人の記念日C:2008/01/16(水) 23:47:09 ID:y2lgS8yf
「ただいま」
転送ゲートをくぐり、クロノは帰宅する。予想以上に会議が長引いてしまい、時計の針はもうすぐ5時を差そうとしていた。
時間があればフェイトと外に遊びに行こうかと思っていたが、さすがにこの時間から遊べる場所は限られてくる。
まあ、食事と夜景を楽しむくらいならできるだろうが。
「フェイト・・・・・フェイト?」
そこで、クロノは違和感に気づいた。いつもならすぐに抱きついてくるはずのフェイトが、何故か今日はいつまで経っても現れないのだ。
「フェイト?」
「ごめんクロノ、ちょっと手が放せなくて・・・・・」
リビングの方から、フェイトの声が聞こえる。心なし語尾が上ずっていたような気がしたが、何かあったのだろうか?
(あれでかなりのあがり症だからな。僕を喜ばせようと柄にもないこと考えているんじゃ・・・・・)
と考えながら、リビングに向かう。そこで待っていたのは・・・・・。
「お、お帰りなさい・・・ご主人さま」
紺色のメイド服に身を包んだフェイトだった。
「フェ、フェイト・・・・・」
「似合う、かな? すずかの家で使っている奴を借りたんだけど」
「いや、えっと・・・・・」
「あ、スカートはね、短く切ってみたんだ。その方がクロノ、好きかなって・・・・・・」
次の瞬間、フェイトはクロノに抱きしめられていた。
「く、クロノ?」
「ごめん、それは反則だ」
衣服越しに伝わるクロノの熱い欲望に、フェイトの顔が耳まで真っ赤に染まる。何度も自分の中に入れられたものだが、
やはり意識すると恥ずかしかった。
何だか、自分が凄くエッチになった気分になるのだ。
2492人の記念日D:2008/01/16(水) 23:49:11 ID:y2lgS8yf
「フェイト・・・帰ってきていきなりだけど・・・・良いかい?」
「ダメ・・・・・」
予想していなかった拒絶の言葉に、クロノは目を見開く。
そう、今日はされてはいけない。それでは、すずかからメイド服を借りてきた意味がなくなってしまう。
「今日は・・・・・ご奉仕させてください」
今日は、自分がしてあげようと決めたのだから。

ベッドの上にクロノを座らせ、フェイトはおずおずとその前に跪く。
「それじゃ・・・・・するね」
「あ、ああ」
何とも言えない緊張感が漂う。
既にクロノの肉棒は臨戦態勢を整えており、エラの張った亀頭は高々と反り返っていた。
その迫力に押されながらも、フェイトはそっとそれに舌を這わす。
「・・・・・・うぅっ」
「クロノ?」
「いや、大丈夫だ。続けてくれ」
「う、うん」
促され、フェイトは再び舌を這わす。ゆっくりと、丹念に、皮膚の弛みの裏側までを舐めとるように、じっくりと這わせていく。
「・・・うんっ・・・んふぅ・・・くちゅ・・・」
次第に、最初の抵抗感もなくなっていき、フェイトは段々と大胆な動きをするようになる。亀頭の裏を思いっきり舐め上げ、
先端を舌先で突き、根本の球にかぶりついてみる。全部、ベッドの下で見つけた本から得た知識だが、
口による奉仕が初体験であるクロノにとっては未知の快感だった。早くも登り詰めつつあるのが、足の震えから見て取れた。
(クロノ、感じてくれてるんだ)
自分の拙い舌技でも感じてくれている。
そう思うと、この黒くて大きな物体も何だか愛おしく思えてくる。
2502人の記念日E:2008/01/16(水) 23:52:55 ID:y2lgS8yf
フェイトは尚いっそう、丹念に舌を這わすと、不意に口を大きく開けて肉棒を咥えこんだ。
「フェイト!?」
「・・・・うぅん・・・・・んぁ・・・・ぷはぁ・・・美味しくない」
「そりゃ、そうだろう・・・・」
「けど、きっと好きになるかも」
苦くて変な味だが、これがクロノのものだと思えばそれも苦にならない。再びフェイトは肉棒にかぶりつき、
そのままグイグイと飲みこんでいく。
「んむ・・・んっ・・・んぅ・・・」
生半可ではない大きさに、フェイトの顎が外れそうになる。それでもフェイトは少しずつ飲みこんでいき、
何とか根元まで咥えこむことに成功する。
「ん・・・・・うぅん・・・・んぁ・・・・」
そのまま顔を上下に動かし、クロノの肉棒を刺激する。摩擦で唇が切れそうになるが、
徐々に高まりつつあるフェイトはそんなことも気にせずに拙いディープスロートを続ける。
咥えこむ時は思い切り頬張って先端を喉ちんこに当て、吐く時はストローを吸うように口を窄ませる。
堪らず、クロノは声にならない声を上げ、フェイトの口に熱い欲望を吐き出した。
「ん!? ごふっ・・・・・はぁぁぁ・・・・・・」
ゆっくりと肉棒が抜かれ、フェイトの口からダラリと白いものが零れる。
彼女も彼女で、初めて口で精を受け止めて放心状態にあるようだ。
「フェイト・・・その、良かったよ」
「うん・・・・・じゃ、横になって・・・・・」
「え?」
「して・・・あげるから」
半ば強引に、フェイトはクロノを押し倒す。そしてまだ固さを失っていない肉棒を
秘唇へと押しあて、強引に根元まで咥えこんだ。
「あぁああんっ!!」
「つぅっ・・・・・!」
まったく弄っていないにも関わらず、フェイトの膣は愛液でぐちょぐちょに濡れていた。
慣れ親しんだとはいえ、フェイトの感度と相性の良さにクロノの理性はどんどんこそげ落ちていく。
2512人の記念日E:2008/01/16(水) 23:57:16 ID:y2lgS8yf
「はぁ・・・・う、動くね」
細く途切れながら、フェイトは言う。
次の瞬間、強烈な上下運動がクロノの肉棒を締め上げた。
「がっ・・・フェイ・・・・」
「あ、あふぅ!・・・・・・クロノの、奥に当たって・・・・・はぁ、あぁぁ・・・・!」
加減なんて欠片もない容赦なしの動きに、クロノは成す術もなく追い詰められていく。
これでは、奉仕されているというよりも、まるで犯されているみたいだ。
実際、主導権はフェイトが握っていた。クロノはただ情けない声を上げながら、
辛うじて自由の利く手でささやかな反撃にでるだけだ。
「あぁ、いい・・・・乳首良い・・・揉んで、抓って・・・・・」
「フェイト・・・・フェイトぉぉ」
2人の嬌声と肉がぶつかり合う音が部屋に響き渡る。
ラストスパートとばかりにフェイトは腰を捻り、クロノはたわなな胸を鷲掴みにした。
「ふぁっ、来た・・・・気持ちいの来た・・・大きいの来たよ・・・!」
「あ、はあっ・・・ああ・・・っ!!」
視界の奥で火花が散る。同時にフェイトの膣で欲望が弾け、熱い迸りがフェイトの全身を駆け抜ける。
「はぁ・・・・はぁ・・・・・」
イかされた。
その事実がクロノの自尊心を粉々に打ち砕く。
自分の上に乗っかったままのフェイトをどかそうともせず、クロノは焦点の合わない目で天井を見つめていた。
「ん・・・・あぁ、また大きくなった」
膣の中で、肉棒が元の硬度を取り戻していく。忘我していても自分のことを愛そうとしてくれるクロノを愛おしく思いつつ、
フェイトは再び腰を動かし始めた。動く度に吐き出された精液が愛液とともに吹き出すが、構わず腰を動かす。
さっきよりも激しく、強く。
「いいよ、クロノのまた硬くなってる。そのまま出して、何度だって出させてあげるから」
返事は返ってこない。既にクロノに意識はなく、ただ機械的に体が快楽に反応しているだけだ。
「ひはぁぁあんっ!!」
再び熱い迸りを受けて、フェイトはアクメに達する。それでも腰の動きを止めようとしない。
汗と涙で顔をぐちゃぐちゃに汚しながら、フェイトは一心不乱に腰を打ち下ろした。
「またくる。大きいの・・・いく、いくよ。クロノ、すき、だいすき、ひゃうぅぅんっ!!」
力の限り膣を締め上げながら、フェイトは何度も絶頂に達した。

結局、フェイトは体力が続く限り腰を動かし続け、クロノはその夜に目覚めることはなかった。
2522人の記念日G:2008/01/17(木) 00:03:07 ID:y2lgS8yf
翌日、ソファにもたれながら、クロノは自己嫌悪に陥っていた。
昨日はある意味屈辱的な夜だった。終始主導権を奪われ、挙句に気絶したまま犯されてしまったのだ。
男としてこれほど情けないセックスはない。
一方、フェイトは昨日の記憶が途中から抜け落ちているらしい。どうも、興奮状態に陥って我を忘れていたようだ。
(次もああなっては、体がもたない・・・・・)
昨日だけで軽く一週間分は搾りとられた気がした。よく見ると頬もこけていて、何となく血色が悪い。
腹上死は男の浪漫と聞いたが、あまり気持ちのいいものではないのかもしれない。というか、まだ死にたくない。
「クロノ、朝ご飯できたよ」
「ああ、わかっ・・・・・フェイト!?」
思わず素っ頓狂な声を上げる。
何故なら、フェイトは素肌の上に直にエプロンを着ていたからだ。いわゆる、裸エプロンというやつである。
思春期特有の瑞々しさと熟し始めた豊満さを併せ持つフェイトにとって、それは昨日のメイド服以上の破壊力を有していた。
もちろん、これもクロノが秘蔵していたエロ本に載っていたものである。
「その・・・・変かな?」
「ううん、全然」
昨日のダメージも自己嫌悪も放り投げ、クロノはフェイトの腰に手を回す。
「クロノ、いきなり・・・・・」
「フェイトがそんな格好しているのが悪い」
「けど、時間が・・・・・・」
「すぐに済ます。昨日の借りも返さないとな」
朝っぱらから、ハラオウン家は男女の嬌声で満たされ、2人の記念日はロスタイムに突入した。
結局、この2人はどこまでも仲睦まじいバカップルなのである。

                                   fin
253名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 00:05:11 ID:IOQOCoXw
>>237
ずっとザフィーラのターン!

保管庫の方、お疲れ様でした。
ひさびさに作品読めて嬉しいです。

>>252
 クロフェ、GJ!
254B・A:2008/01/17(木) 00:05:55 ID:NAZJpzh7
以上です。

途中、番号を打ち間違えちゃって、Eが2つあります。もちろん、2つ目のEはFです。

書き始めた時はクロノがメイドフェイトにエロエロな命令をするというお話にするつもりだったのに、
何故かフェイトがクロノに跨るお話になってしまいました。初体験でクロノ押し倒させたのが
こんなところにまで響いてくるなんて。

次作は今までのSSと関係のない超どエロSS(のつもり)を予定しています。
結構長くなりそうなので、2回に分けて投下すると思います。
255名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 00:14:37 ID:twFDBuj5
>>237
1万年と2千年前からGJです!!
ザフィーラ分を10スレくらい吸収できた気がする。
渋カッコいいよザフィー

>>254
GJでした〜!!フェイトのご奉仕タイムktkr
クロノがすごくうらやましいぜ!

エロと非エロですが、ご両人ともホント職人技ですねw
256名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 01:19:38 ID:r+pGpE5l
>26-111氏
果てしなくGJ!
渋い!実に渋い!
まさに極渋な話よたったですw

てか、これが「アルフとザフィーラは大変な夜にしてしまいました」につながるんかいw
そう考えるとこれはまるで前菜www


>B・A氏
ダメだ、このバカップル。はやくなんとかしないとwwwwwwww
257名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 03:27:01 ID:tPWwjcnZ
>>237
GJ!! カッコイイよザッフィー

>>254
GJです。 描写の良い作品に出てくる男共のなんと羨ましいことか、と
色々やばげな思想になってるお頭に戦々恐々としながら楽しませてもらいました

やっぱこのスレは質・量ともに潤沢で楽しいな、自分はスキルが無くて読み専門ですが
258名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 05:29:02 ID:pVSWf1G0
>>237
GJ!
とっても「らしさ」が出てたよ。よいザフィーラをありがとう!
259ゲリラ兵 ◆QCnUms2uBE :2008/01/17(木) 07:38:39 ID:DxSUX2vS
やっと少し空気感が身についてきたようなゲリラ兵ですおはようございます⊂´⌒つ。Д。)つ
そろそろ注意以外は黙ってよさそうです。多分話の中身的に

>237も>254もGJです!
それにしても>214はあうあうつ∀`)

(注意書き)
[熱血魔法少女"恋愛"アクションSS〜ソラノカケラ〜第51回・under the red of death(3)][当分非エロ][多分シリアス]
シルバーカーテン、もといNG発動キーはタイトルで「ソラノカケラ」「ゲリラ兵」を指定すれば確実に消えるかと思われます

(今日の注意)
オットーが損な役回りです
モブキャラが3行恋愛とかやってたりします
やっぱりミリタリー系の言い回しは下手です
そして本格的な加速はこのへんからです。(なんとなくばれているようですが)
前置き長すぎとか石投げないで・゚・(ノ∀`)・゚・。

では、朝刊〜
260〜ソラノカケラ〜(51)(1/2):2008/01/17(木) 07:39:39 ID:DxSUX2vS
 同日、時刻午後4時47分――辺境部隊からの報告を受けつつ、慌しく広域魔法の修正を繰り返しているシャーリー。
「末端到着まであと10……3・2・1、到達」
ルキノからも明るい声が響く。
「B地点も到達しました!」
「順調、そうに見えるけど……」
シャーリーが見上げた先のメインスクリーンに映るはやては、なんとか魔法自体は維持しているものの、それだけで精一杯なのは明らかであった。
「アルト、全無効化予測時刻は?」
「約8分30秒後です」
「8分30秒……はやてさん、もつかな……」
彼女の不安げな呟きにさらに背後から聞こえてくる、不穏な報告。
近郊部隊からガジェットの動向を知らされた柔らかい栗毛の通信長の声も荒いだ。
「ガジェットが無差別破壊を始めた!?」
通信先の短い青髪の壮年の男性の部隊長らしき人物はさらに報告を続けた。
「あの空の赤い光が散布されてから、それこそ動いていようがいまいが、生き物であろうがなかろうが、無差別に破壊しはじめている。
今のところ人間を積極的に襲う気配はないが、防衛長官の指示をお願いしたい」
「う……」
シグナムの方へ視線を向けるが、彼女も小さく首を振るしかなかった。
「……今は防衛長官不在で、指示を仰げない。各自で判断されたし」
「了解した」
通信を切ると、改めてシグナムに問いかける通信長。
「どうしますか?暴走の理由はわかりませんが、このままでは民間の施設も破壊されてしまいますが」
「理由はわからんが……あの魔導物質が原因なことだけは確かだな」
「ですね……」
「まあそれ以前にそれを利用する人間が生き残れるかどうか……」
具体的な判断を出す前に、再び外部から通信が入る。
受けたオペレーターから陸士108部隊部隊長との伝達を受け、シグナムがそれを回してもらうと相変らず短い銀髪のゲンヤの姿が映し出される。
「よぉ、なにやら面倒なことになってるみてーだな」
「はい……」
「ガジェットが暴れまわってるみたいなんだが、どうしたらいい?あとあの赤い光はなんだ?」
「あの赤い光は致死性の毒物です。全ての物体を透過します。接地予想時刻は――」
そこでシグナムが言葉を区切ると、それを聞いていたアルトから短く15分との報告があり、それをそのまま伝える。
「約15分後です。そしてガジェットが暴れまわっているのはそれが原因です。今、主が無効化を試みています」
「ふむ……俺らはどうしたらいい?15分じゃ住民の避難も無理だぜ?」
「お任せします。……逃げても笑いませんよ?」
少しだけ皮肉っぽく将がそう言うと、がはは、とゲンヤは豪快に笑った。
「ばーろ。痩せても枯れても地上生まれの地上育ち。死ぬときも地上に決まってんだろうが」
「はい、失礼致しました」
「ま、八神が頑張ってんだろ?俺達が逃げるわけにはいかねえ。じゃな」
「はい、失礼致します」
通信が切れる直前に、いくぞ野郎共!と号令をかけたゲンヤの声とそれに答えた威勢のいい声が聞こえた。
「私達も地上本部の周りのは叩くか。ティアナ」
「はい!」
「ベルカ方面を頼む。反対側は上の連中に頼むとしよう」
「了解です!元フォワード面子貰っていきます!」
「ああ」
「スバル、エリオ、キャロ!」
「おう!」
「「はい!」」
4人が駆け出すと、チンクも雑貨屋で買ったような鉄製のカードを片手に広げつつ、許可を求めた。
「私らもいいか?」
「……好きにしろ」
その答えに、チンクがディエチとセインに目配せすると頷いたので、こちらも外へと飛び出して行った。
次にギンガに通信を入れベルカ方面の反対側の制圧を頼むと、了解、と短く返って来て通信は切れた。
そしてシグナムは再び通信長へと話を振る。
「女性局員は避難させますか?」
「ああ、はい」
261〜ソラノカケラ〜(51)(2/2):2008/01/17(木) 07:40:07 ID:DxSUX2vS
それから通信長が女性局員の名前をそれぞれ呼ぶと、男性達にそれぞれ後の業務を頼んでから、連れ立って部屋の外へと足早に移動を始めた。
だがその中で1人だけ、茶色い綺麗な髪を後ろでひとくくりにまとめた新人の女性局員が通信長の側を通り過ぎる直前に足を止めた。
実はこの2人、配属当初からそれとなく惹かれあうような雰囲気を醸し出しており、独身の通信長といつくっつくか、と
部下達が賭けの対象にしている程なのであったが、その予想を全て裏切るほど、なかなかお互いに切り出せずに今に至っていた。
通信長は優しく優秀なのであるが、ついでに女性を分け隔てなく公平に扱うことにも長けていて、
異性の側から見ればかなりとっつきにくく、あまりの進展のなさに周囲をいらいらさせ続けてはや半年、そろそろ甲斐性なしの烙印を押されかけていた。
女性局員が小さく、通信長、と呼んで、ん?と彼がいつもの優しい微笑みで返すと、彼女はおもむろに唇を重ねる。
ほんの数秒で離れて、部屋の出口まで逃げて振り返ると、真っ赤になりながら叫んだ。
「好きです!絶対死んじゃ駄目ですからね!」
彼女の姿が消えると、部下達が一斉に囃したてる。
「通信長いいっすねー」
「顔赤いですよ?」
「う、うるさい!死にたくなかったら、さっさとガジェットの分布を調べろ!」
「へいへーい」
「あー、あついあつい」
微笑んでその様子を見守っていたシグナムも、表情を引き締めなおし、自身の行動を決める。
「我らも出るか」
「およ、姐さんもっすか」
ヴァイスに行き先を尋ねられて、メインスクリーンのかなり苦しげな表情の主へと視線を移す。
「あの様子ではもつまい。我らの力が必要になる」
「命令違反っすよ?」
その言葉は、にやり、と笑ってから一蹴される。
「主火急の時に駆けつけずして何が騎士か。行くぞヴィータ!」
「おうよ!」
飛び出していく烈火の将と鉄槌の騎士に続いて、ゆっくりと歩き出すザフィーラ。
「ザフィーラの旦那はどこへ?」
「子供達が気になる。ベルカ側に出る。後は任せるぞ」
「了解しやした」
それから駆け出した守護の獣を見送ってから、ヴァイスははやての座っていた指揮官の席にに両の手をついてメインスクリーンを見上げる。
「頼みますよ八神二佐……!」

 無効化の大魔法陣から、少し高度を下げた位置ではやてを見上げているノーヴェとウェンディは、素直に感嘆していた。
「すっげーな」
「そうっすね。ダブルSランクってああいう意味だったっすね」
「だな……でも、なんかやばげじゃねーか?」
うさ耳の指摘通り、まだ無効化開始から1分も経っていないのに、魔法陣の中心の上に立っている人は遠くから見てもわかるほどいっぱいいっぱいであった。
「そうっすね。全部いけるっすかね?」
「わかんねーけど、いけなかったら全員死んじまうじゃねーか」
「それは困るっすけど……」
そんな会話の傍ら、ディードはといえば、オットーの肩に顔を伏せたまま、ひっく、ひっくと小さい声を漏らし先程から泣き止む気配がない。
そして通信を終えたギンガが、彼女達にもその内容を伝えると当然の如く快諾した。
「ガジェットが暴れてるみたい。ベルカ方面の反対側を抑える。地上に降りよう」
「了解!」
「了解っす!」
地上に向かって、青と黄色の道が伸び、ウェンディのボードも降下態勢に入ろうとするが、オットーが上空を見上げたまま動かない。
「オットー?いくっすよ?」
11番の赤いアップの髪の人の問いかけにも反応せず、9番の赤毛も怪訝そうに問いかける。
「オットー、どうした?」
ほんのわずかの後、その人から返って来た返答は念話であった。
(いいのか?)
(ん?)
(なにがっすか?)
(クアットロの最期の願い、叶えなくていいのか?)
262ゲリラ兵 ◆QCnUms2uBE :2008/01/17(木) 07:40:37 ID:DxSUX2vS
ほいではまたノシ
263名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 08:08:53 ID:Bc5H2u3a
朝刊お疲れ様&GJです。
オットーが裏切るのかどうか気になります。
そして、はやては最後まで持つのか
ワクワクが止まりません
で、フェイトさんはどうなった?
264名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 10:44:25 ID:DiNXNC1x
GJ!

クライドの出番まだー?
265( ゚Д゚) ◆kd.2f.1cKc :2008/01/17(木) 15:13:26 ID:rUELBcig
投下行きまーす。

注意事項
・捏造有り過ぎ
・非エロシリアス。
・あぼーんキーワードは「リリカルバイオレンス」
266リリカルバイオレンス Final-1/9 ◆kd.2f.1cKc :2008/01/17(木) 15:14:40 ID:rUELBcig
 忘れ去られた、伝説の都アルハザード。
 かつて、あらゆる不可能を可能にしたと言われている超高度技術を持つ世界は、今はた
だの伝説に過ぎない。
 既に滅亡したとも、次元断裂に飲み込まれて“消失”したとも言われているが、詳細は
明らかではない。ただ、“現在において、存在を確認できない”と言う事実だけがある。
「プレシア・テスタロッサは、そのアルハザードに行って、アリシアさんを復活させるつ
もりでいたのね」
 リンディが、沈痛な面持ちで言った。
 ──「アースラ」士官食堂。
 リンディ、クロノ、エイミィが並んで腰かけ、アリサ、ユーノ、なのは、すずかがそれ
に向かい合っている。
「けど、技術に携わる者なら誰だって理解してるはずだ」
 批難めいた口調で、クロノは言う。
「過去に戻る事、時間を戻す事は出来ない」
「でも、じゃあ、今、息しているアリシアは一体どういうことよ?」
 アリサは、椅子をがたりと言わせて立ち上がりかけ、クロノに言い返した。
「正直、僕達もジュエルシードにあれだけの力があるとは思わなかった。プレシアがアリ
シアの身体を丁寧に保存していたのもあるだろうが……」
 クロノは、気まずそうに視線を落として、言った。
「それに、あの女、最後に、アルハザードを見つけたような事を言ってた」
 アリサは、くぐもった声で、言う。
「心の中……じゃないかな」
 ポツリと、そんな声がよぎった。
 一堂の視線が、その声の主、────月村すずかに向けられた。
「どういう……ことだ?」
 クロノが、目を円くして、すずかに訊ねた。
「私、魔法の事わからないし、本当に、文学的な解釈なんですけど……」
 おずおず、と、すずかは言う。
「ジュエルシードは、人や生き物の願望を叶えようとする物だって聞きました。だから、
あの時、プレシアさんの強い想いに反応して、それが動いた」
「それは、確かにそうだと思う」
 すずかの言葉を、ユーノが肯定した。
 すずかは頷いてから、続ける。
「ジュエルシードの力があったけど、でも、不可能かもしれないもの、不可能だって思わ
れているものを、可能にする事、人の想い……それが、アルハザードの在処だって、プレ
シアさんは考えたんじゃないでしょうか」
「確かに、ひとつの考え方かもしれないわね」
 リンディは、苦笑気味に表情を崩し、穏やかにそう言った。
「でも、だったらなんであの女、わざわざ死んじゃったのよ!」
 アリサは、不快そうに、まるで自分の背中が内側からむず痒いかのような表情で、そう
声を荒げる。
267リリカルバイオレンス Final-2/9 ◆kd.2f.1cKc :2008/01/17(木) 15:15:14 ID:rUELBcig
「プレシアにはね、どの道、先が無かったの」
 答えたのは、エイミィだった。
「調査しててわかった。プレシアは失踪する直前、既に余命があとどれだけかわかってい
る状態だったんだって。今回、今になって、これだけの事件を起こしたのも、ある意味奇
跡かもしれない」
「プレシア自身が言ったろう、失われた過去を取り戻す、って。アリシアの復活だけじゃ
ない、そう言う意味も含まれてたんだ」
 エイミィの説明に、クロノが付け加えるように言った。
 バン!
 アリサは、食膳の載ったテーブルを、両手で勢いよく叩いた。
 その腕が震える。口元が口惜しそうに歯を食いしばっている。
「アリサ……」
 ユーノが、心配げに声をかけた。
「すずかさん、だったわね」
「あ、ハイ」
 リンディが、気付いたように口を開いた。
「すずかさんの言っている考え方が、もし正しいのだとしたら、アリシアの復活を可能に
したのは、アリサさんなのかもしれないわ」
「え?」
 言われたアリサを含め、ユーノ、なのはまでもが、キョトンとして、リンディを見る。
「アリサさんが言ったでしょう、プレシアに。『貴女は世界が思い通りにならなくて、
駄々を捏ねてるだけだ』って」
「え、と、あの時はカッとなってたから……正確に覚えていないかもしれませんが」
 アリサは、気まずそうに苦笑して視線を上に逸らし、頬をぽりぽりと掻いた。
「そして、こうも言ったわ。『貴女がどう思おうと、世界の誰がどう思おうと、フェイト
は貴女の娘だ』ってね」
 リンディはそこまで言って、区切るように苦笑交じりに微笑む。
「プレシアは世界が自分の思い通りにならないと思い込んでいた。あの時点でも、心の奥
では上手くいかないとどこかで諦めていたのかもしれない。それが、アリサさんの言葉で、
フェイトさんという“結果”を見つめる事が出来た。だからこそ、アリシアさんを復活さ
せたいという、自分の究極の思いに素直になれたのよ」
「艦長の言葉に具申するわけではありませんが、今となっては、どれも推測の域でしかな
いけどね」
 相変わらず硬い表情のクロノが、念を押すように付け加えた。

リリカルバイオレンス
 Last PHASE:Precious time
268リリカルバイオレンス Final-3/9 ◆kd.2f.1cKc :2008/01/17(木) 15:15:55 ID:rUELBcig

「それで、フェイトちゃんはどうなっちゃうんですか?」
 憂い気な表情で、なのはが言った。
 フェイトはこの場には居ない。アルフと共に身柄を拘束され、自由に動き回れない状況
にある。
「彼女は今回の事件の当事者の1人だからね。やったことの大きさからいえば、数百年の
幽閉処分になっても仕方が無いんだ、が……」
「ええっ!?」
 クロノの言葉に、なのはが悲痛な声を上げた。
「ちょっと待ちなさいよ! フェイトはほとんど何もしてない、ジュエルシードを集めて
ただけじゃない! それだって、目的を知ってたわけじゃなかったのよ!」
 下手すれば、クロノの胸倉をつかみかかりかねない勢いのアリサを、ユーノが肩を掴ん
で圧しとどめる。
「2人とも話は最後まで聞け!」
 クロノは、怒鳴り気味の口調でそう言った。
「アリサの言う通り、彼女はジュエルシードの使い道を知っていたわけじゃないし、母親
という絶対的な存在の命令で、半ば強要されていた被害者でもある。そんな人間を処罰す
るほど、管理局は血も涙も無い組織じゃないよ」
「そう……なの?」
 キョトン、と、さっきまでクロノを憎悪さえ滲む視線で睨んでいた表情が、いきなり緊
迫感の無いものに変わる。
「まったくの無罪というのも難しいだろうが、せいぜい、執行猶予付きの保護処分だろう
ね。彼女の性格からしたら、収監される事は無いと思うよ。立件すること自体、証人はほ
とんど『アースラ』の乗組員だけだしね」
「なんだぁ〜」
 なのはと一緒になって、ほっと胸を撫で下ろしてから、アリサは軽い口調で言う。
「そう言う事なら、早く良いなさいよねぇ〜」
 アリサがケラケラ笑いながら言う様子に、クロノは辟易したように仏頂面に汗を滲ませ
る。
「それに、フェイトさんとアリシアさんの身の振り方には、少し思うところがあるの」
 ニコニコと微笑みながら、リンディはそれだけ言った。
 アリサは何のことかわからず、なのはと顔を見合わせた。
「それと、そう、あなた達だけれど……」
 リンディは、身の振り方、で思い出して、そう言った。
「アリサさん達の世界へは、もうすぐ転移可能になるわ。あと1日もかからないんじゃな
いかしら」
 そこまで言って、リンディはすずかに視線を移す。
「すずかさんは、いきなり巻き込まれた形になってしまったでしょう、ご家族とか、きち
んと挨拶に行っておかないといけませんね」
269リリカルバイオレンス Final-4/9 ◆kd.2f.1cKc :2008/01/17(木) 15:16:27 ID:rUELBcig
「あ、いえ」
 リンディの言葉に、すずかは慌てたように、答える。
「うちは、普段、私とお姉ちゃんしかいませんから。大丈夫です、多分」
「あら、そうなの?」
 すずかの言葉に、リンディは今度は別の意味で憂うように、表情を曇らせた。
 それから、リンディは視線を、今度はユーノに移した。
「そう、それで、ミッドチルダ方面へは、まだ航路が安定するまで、しばらくかかりそう
なのよ。かなり大量の次元干渉エネルギーを撒き散らす結果になったから、そう、何ヶ月、
下手したら半年ぐらい、かかるかもしれないわ」
「あ、僕は大丈夫です。元々スクライアは流れみたいなも────」
「このままバニングスに婿入りですから!」
 笑顔で言いかけたユーノの言葉を、アリサはユーノの腕を抱きしめながら、大声で遮っ
た。
「ありゃー、もうアリサちゃん完全にユーノ君にお熱だねぇ」
 少し困惑気に苦笑しながら、しかし“他人事”の表情で、エイミィは2人を見た。
「アリサ、えっと……」
「何よ、文句あるの?」
 反論しかけたユーノを、アリサの視線がギロッ、と鋭く睨んだ。
「アリマセン」
 ユーノはそう言って、ガックリと肩を落とした。
「まぁ、これで正式には君たちとはお別れになるわけだが、何かあったらいつでも『アー
スラ』を訪ねてくると良い。巡航警備任務中は、暇をもてあましているからね」
 口元に笑みを浮かべて、クロノは言った。
「ほほう」
 その言葉を聞いて、エイミィが口元を猫のようにし、好奇心旺盛そうな瞳を輝かせる。
「管理局随一の堅物執務官殿が、こりゃまたどういう風の吹き回しですかなぁ」
「な、べ、別に他意はないぞ」
 ニヤニヤと笑うエイミィに、クロノは顔を赤らめつつ、視線を逸らしながらそう言った。
「なーに言わずもがなですってダンナ。ダンナのお目当てはなのはちゃんの方でがしょ
う?」
「エイミィ! 上官に向かってその態度は無いと思うんだが!?」
「あー、きったねー、卑怯だぞクロノ君!」
 エイミィはブーブーと、唇を尖らせる。
「君こそ、私的な理由で、階級と年齢差を使い分けるな!」
 エイミィとクロノの応酬が続く中、なのはは顔を真っ赤にして俯いてしまっている。
 もう1人、ユーノもアリサに腕に抱きつかれたまま、顔を紅くしている。
 そして、すずかはそんな様子を見ながら、くすくすと笑い、リンディは、
「若いって良いわねぇ」
 歳暮のような慈悲深き笑みを湛えながら、傍観者を決め込んでいた。
270リリカルバイオレンス Final-5/9 ◆kd.2f.1cKc :2008/01/17(木) 15:16:57 ID:rUELBcig

「じゃーねー」
「ばいばーい」
 数時間後。
 海鳴に戻ったアリサは、なのはやすずか達と別れ、まだ黎明の清々しい光の中、海岸沿
いの道路を歩く。
 その肩には、いつものように、フェレット形態のユーノが乗っていた。
「いろいろあったね、アリサ」
「うん」
 ユーノの声に、アリサは、何か考えるように視線を落としながら、言った。
「まだひと月ちょっとしか経ってないんなんて、信じられないくらいだよ」
「そうね。あたしも、なんか夢を見てたみたい」
「僕もだよ」
 アリサは、だんだんと気を落としていくかのように、とぼとぼと朝陽の中を、バニング
ス家へと向かって歩いていく。
「ねぇ、アリサ」
「なに?」
 ユーノは、少し心配げに、アリサに話しかけた。
「ひょっとして、気に病んでる? その、プレシアの事」
「ちょっとだけね」
 アリサは、口を尖らせて、不満そうな表情でそう言った。
「アリサ、今回は最善じゃなかったかもしれないけど、アリサはよく頑張ったよ。レイジ
ングハートを使いこなしたし、ジュエルシードの問題も解決したし、プレシアは助けられ
なかったけど、フェイトとアリシアは助けられたじゃないか」
「…………解ってる」
 暗く思い、しかしはっきりした声で、アリサは言った。
「けど、前にも、似たようなこと言ったわよね」
「そうやって納得しようとしてる自分が許せない、か……」
 こくん、アリサは頷いた。
「そうだね、そんな逃げ道作ってるのなんて、アリサらしくないもんね」
 こくこくと頷きを繰り返す。
 やがて、いつしかアリサの脚はバニングス家の門を跨ぎ、その大きな玄関の扉に手をか
けた。
 いつもと同じように、────学校や塾で失敗してしょげ気味の時のような様子で、し
かしつまりはそれだけ我が事のように背負ってしまいつつ、アリサは玄関の扉を開けた。
 そこに、見慣れた、しかし数日振りになる、穏やかな初老の男性の、笑顔があった。
「お帰りなさいませ、アリサお嬢様」
 鮫島執事長は、ニコリと微笑みながら、そう言ってアリサを出迎えた。
「…………ただいま」
271リリカルバイオレンス Final-6/9 ◆kd.2f.1cKc :2008/01/17(木) 15:17:24 ID:rUELBcig

 ────数日後。
 チャンチャカスチャチャカ スッチャッチャッ♪
 少し女子小学生としてもイギリス人としてもどうなのかと思う呼び出し音に、アリサは、
ベッドの脇の携帯電話を取り上げる。
「って、この番号……クロノ!?」
 フリップ外側のサブディスプレィを見ながら、アリサは目を円くした。
 慌ててフリップを開き、通話ボタンを押す。
「っはい、あたしです、あ、え、その……はい、はい」
 通話を終えると、アリサは慌てて身支度を始めた。
 数十分後。
「おまたせー、アリサちゃん」
 海鳴海浜公園。
 やや高台にある入り口で、少しイラついたようなアリサの下に、なのはが小走りにやっ
てきた。
「おそーい!」
 アリサは憤ったかのように、声を上げる。
「ごめん」
 えへへ、と、なのはの方もあまり悪びれた様子も無く、言う。
「なのはのことだからどうせまた寝てたんでしょ!?」
「えーっ、なんで解っちゃうの?」
 なのはを目を円くして、アリサを凝視した。
「わからいでかー!? この寝ぼすけなのはー!」
「ってアリサ! 怒るのはあとで良いでしょ」
 手をブンブンッと振り上げたアリサに、背後から人間形態のユーノが宥めにかかる。こ
れも、すっかりなれた光景だ。
 そう──この、僅か1ヶ月強の間に。
「クロノ達、もう着てるよ」
 ユーノの言葉に促され、3人で、遊歩道への階段を下りる。
 黒衣の執務官は、その階段を下りた正面で、アリサ達を待っていた。
「本当は異例のことなんだが、本局に戻れるまでしばらくかかるし、彼女の精神衛生面的
にも、少し言葉を交わしたほうが良いと思ってね」
 クロノは言い、3人を彼女達の待っている方向へと導くように歩き出す。
「ただ、あんまり時間は取れないよ。あくまで仮の措置だから」
「はい、ありがとうございます」
 ユーノが、微笑みながらクロノに例を言う。
 そして、3人の、年恰好のまちまちな女性。
272リリカルバイオレンス Final-7/9 ◆kd.2f.1cKc :2008/01/17(木) 15:17:54 ID:rUELBcig
 1人はアルフ。
 もう1人は、言わずもがな、フェイト。
 そして、もう1人は──フェイトをそのままそっくり幼くしたような少女。
「アンタは……」
「はじめまして、アリシア・テスタロッサです」
 アリサが問いかけかけると、少女は鈴を鳴らすような声で答えた。
「もう、起きて大丈夫なんだ」
 なのはが目を輝かせ、言いつつ、アリシアの目線にあわせるように、腰を屈める。
「ホントは、お医者さんには、まだ危ないって言われてるんだけど、今日だけ、特別」
 アリシアははにかみながら、なのはに向かってそう答えた。
「そっか」
 なのははそう言って、アリシアの頭を撫でる。
「む。子ども扱いしているな? 私の方がみんなよりずっとお姉さんなのにー」
 アリシアはそう言って、腕を組んでむくれる。
「あはは……そうだっけ、ごめんごめん」
 なのはは苦笑しながら、腰を上げた。
「私、高町なのは。よろしく、アリシアちゃん」
「アリサ・バニングスよ。こっちはユーノ・バニングス。よろしくね」
「よろしくね……ってアリサ! ドサクサ紛れに何言ってるの!?」
 ユーノも笑顔でアリシアに言いつつ、アリサの言葉に気がついて慌てて突っ込む。
「君には、改めてお礼を言った方がいいよね」
 ややトーンを落とした声質で、アリサに声がかけられた。
「フェイト」
 アリサは、視線を上げて、フェイトの顔を見た。
「べ、別にお礼を言われるような事なんて、あたしは何にもしてないわよ」
「でも、私じゃ多分、母さんに何もしてあげられなかった。アリシアも助けられなかった
と思う。だから……」
「プレシアのことなんか話題に出さないでよ!」
 アリサはそう言って、そっぽを向いてしまう。
「助けきれなかった人の事なんか、言わないでよ、辛くなるから……」
 震える声で、そう付け加えた。
「……でも、やっぱり私は、なんどでも君に言うよ。『ありがとう』って」
 フェイトは微かに苦笑しつつ、そう言った。
「……ま、まぁ、フェイトがそう言うんなら、何が何でも駄目、とは言わないけど」
 アリサは、不機嫌そうに言ってから、ふと何か気付いたように、ぱち、と目を見開いた。
「む」
 フェイトの顔に、まっすぐに視線を向ける。
「な、何かな?」
 フェイトは照れくさそうに視線を逸らしてしまいながら、訊ねる。
273リリカルバイオレンス Final-8/9 ◆kd.2f.1cKc :2008/01/17(木) 15:18:14 ID:rUELBcig
「そっか、どうも変だな、って思ってたら」
「え?」
 穏やかな顔で、納得したように言うアリサに、フェイトは小首を傾げる。
「“You”じゃなくて、アリサって呼んでよね」
 笑顔で言うアリサに、フェイトは少し戸惑ったような表情になる。
「これからは、友達なんだからさ、あたし達」
「え、っと……友達……」
 フェイトは戸惑ったようにしたまま、聞き返す。
「そうだよっ!」
 それまでアリシアとやりとりしていたなのはが、急に声を上げた。
「って、びっくりするわね、アンタは」
 アリサは抗議するように、なのはを見る。
「私も、アリサちゃんも、フェイトちゃんも、これからは、友達だよっ」
「コイツもそう言ってるし、そう言う事でいいでしょ?」
 アリサは苦笑気味に、なのはを親指で指して、そう言った。
 フェイトは困惑気なまま、2人の言葉に、やがて、ゆっくりと頷いた。
「OK、それじゃ、よろしくね、フェイト」
 アリサはそう言って、右手を差し出した。
 フェイトは戸惑い顔のまま、おずおずと右手を上げ、そして、アリサの手を握った。
「アリ、サ……」
「私もいるよっ」
 アリサとの握手が離れ、今度は、フェイトの手をなのはの右手が握る。
「なの、は……」
「うん、うん!」
 自分の名を呼ぶフェイトの声に、なのはは何度も頷いて見せた。
「よろしく、アリサ、なのは」
274リリカルバイオレンス Final-9/9 ◆kd.2f.1cKc :2008/01/17(木) 15:19:42 ID:qNWCKsA9

 あっという間の数十分。
 クロノの些か無粋な声で、ひと時の会合は終わり、フェイト達は「アースラ」へと戻っ
ていった。
 なのはは、よほど興奮した様子で、ニコニコ笑いながら、自宅へと帰って行った。
 そして、遊歩道には、2人。
「これで、全部終わったわね」
「え? うん……そうだね」
 アリサの言葉に、ユーノは、穏やかな顔で答える。
「ありがとう、アリサ。繰り返しになっちゃうけど、君のおかげで、全部終わらせられた」
「ま、あたしも退屈はしなかったから、いいけどね」
 澄ました顔で、アリサは言う。
「…………」
「…………」
 微妙に、気まずい沈黙が流れる。
「えっと、そうしたら……」
 ユーノは、照れくさそうにしながら、右手を差し出した。
「あらためて、よろしく、かな?」
 しかし、アリサは、すぐに手を握り返さず、ジロッ、とユーノを見た。
 ユーノは、その視線に、少したじろぐ。
「アンタ、その言葉の意味、わかってる?」
「うん、まぁ、一応。僕なりには考えているつもり」
 アリサの問いに、ユーノは苦笑しながら答える。
「僕もね、アリサと一緒だと、楽しいんだよ。正直言うと、少し、疲れるけど、でも、楽
しい」
「!?」
 ユーノの言葉に、アリサは顔を紅くする。
「後悔しても、知らないわよ?」
「後悔は先には出来ないでしょ?」
「っ……」
 アリサの言葉を、ユーノは苦笑交じりのまま、切り返す。
 アリサの手が、右手に伸びて────
 次の瞬間、ユーノはアリサに、唇を奪われていた。

 以上が、後に「プレシア・テスタロッサ事件」、
 あるいは非公式に「ユーノ・S・バニングス婿入り事件」と呼ばれる、
 一連の事件の、あらましである。
275名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 15:27:38 ID:LuZvRXJe

最初はいい設定と思ったけど、
なんかフェイト出てからは原作なぞった話をおっかけることに集中しすぎて微妙だった。
見てるこっちがむずがゆくなるような、すっげーうっふきゃきゃきゃをユーノとやると思ってた。
276名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 15:33:25 ID:wT5hBIzY
>>274

GJ!
これをA’sに繋げれば、クロノに2人も妹・・・いや、妹と年下の姉ができるのか。なんて羨ましい。
277リリカルバイオレンス Final-補填/9 ◆kd.2f.1cKc :2008/01/17(木) 15:33:27 ID:qNWCKsA9
>>266-274
以上。皆様、お付き合いありがとうございました。

補填事項をいくつか。

クイントさんのミッドチルダ式用ストレージデバイス「GBF-T3」
 Glory which Begins From "T360" (T360から始まる栄光)の省略。
 T360はホンダこと本田技研工業が最初に市販した4輪車です。
 ナカジマ家は娘たちはスバルこと富士重工よりですが、
 クイントさんはホンダ車の名前(インテグラの前身)なので。
 
月村家の家族構成
 物語の中ではぼかしましたが、とらハ寄りになってます。
 つまり月村家にはしのぶとすずか(+メイドズ)しかいないことになってます。
 ……いや、書き始めた段階ではA's SS03未聴だったんですけどネ……

バニングス家にあった車アラカルト
 リムジンは特に設定無し、バンはC120系バネットコーチ(ロングボディ)、トラックはSJ40Tジムニートラック。
 まぁ、どうでもいいところにこだわるもので……

アリサとフェイトの髪留め交換シーンは流れ的に端折る事に……orz

それでは、お付き合いいただいた皆様に感謝の意を表して、〆させていただきます。
278( ゚Д゚) ◆kd.2f.1cKc :2008/01/17(木) 15:35:15 ID:qNWCKsA9
>>275
(;゚Д゚)実は、これでもアリユーいちゃつきすぎじゃないかいと思ってた漏れ。
279名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 15:58:50 ID:CI3pdXrS
はやエリの話まだ完成してないよな・・・
完成させてホシス
280リリカルバイオレンス 補填の2 ◆kd.2f.1cKc :2008/01/17(木) 16:42:19 ID:qNWCKsA9
すみません。今更言い訳なのですが(不快な人はスルー推奨)、

>>275氏のように、「原作を追っかけるのに集中しすぎてる」という意見が度々あったので、
多少は気にしていたのですが……

ずーっとそう言われ続けた理由がやーっと分かりました。

実は第2話を書いた時点で、書きたいものが、

 「魔力に事欠かないフェイトを、アリサが努力と天性のヒラメキで実力差を覆す、最後はガチバトル」

 物になっちゃってたんですよ。

 ええ、その時点でエロパロのスレに投下してんなってことになってしまいますが。

皆様が期待しててくださった実はアリユーカップリングは、
実はそう決定したのも結構遅くて、第7話の時点だったりします。
それまでは、クロ×アリ前提の伏線張ってたんですよ。
(「イメージがなんとなく似ている」として恭也に失恋しているって言うのがそれでした)
ところが、7話のあのシーン以降、アリサが「ユーノが良い、ユーノ! ユーノ! ユーノ!」になってしまって。
(もちろん、その前からアリユーにも出来るように伏線は調整していましたが)
丁度クロノにはなのはもいるし、アリユー・クロなので決定してしまったのです。

それと、「原作を追っかけるのに集中しすぎてる」といわれたもうひとつの原因。
実は、原作を2話ずつ圧縮して7〜9話程度で収めるつもりだったんです。
しかし、その指摘があったことと、物理的に無理! という事が判明したので、
結局原作と同じ13話体制になってしまいました。
(といっても、第1話は半分ほどの尺ですけどね。その為に、2〜8話は原作との対応が細切れ状態になってしまっています)

で、たまに要望のあるA's編とStS編ですが……
A's編は、大まかな流れは同じですが、多分ストーリー展開はがらっと変わります。
若干の設定は出来ています。
ただ路線的には第1期分と同じになるかと思うので、エロパロスレ向きではないかもしれません。
それと、やるならメインタイトル改題。
「リリカルバイオレンス」は第1話の読みきりのつもりでつけたタイトルなので、
A's編やStS編をやるなら別のタイトルを付けたいと思ってます。

また、「闇の書」事件後、2年ほど経ったところでユーノとアリサが〜なこちらはこのスレ用の読みきり話も書いてみたいです。

StS編の構想もあるのですが、こちらはおもいっきし原作StSのアンチテーゼになってしまう
流れしか思いつかないので、無印編やA's編より読み手選ぶと思います。


以上、長々とみっともない良いわけを失礼いたしました。
281jdsjksdk:2008/01/17(木) 17:10:58 ID:oyBELkjw
で、A's編執筆はいつごろで?
正直すんごく楽しみで
282名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 17:14:59 ID:AAH2SRW7
>>280
超大作乙でした!
すずかの作品少ないから次は「Reload」の続きが読みたいぞっと…www
283名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 17:15:50 ID:hKvTNYSA
>>280
逆に考えるんだ。
アリユーのエロラヴSSを描く土台が出来上がったと……


そう、
全ての非エロSSはエロエロSSに通じっているんだッッ!!
ローマの道みたいな感じで
284名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 17:20:05 ID:mWLBNPvY
続編期待する声を書き込むのが悪いかどうか分からんが、控えんと職人さんに変なプレッシャーにならんか?

ともあれ、GJ!
確かに原作なぞってる感はあったが、それでもサプライズはさみ込んだり、最後まで書ききった情熱があったりと、きっちり面白かったと思う。
285名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 17:47:14 ID:ZLOwOENh
>>280
GJ!最後まで楽しませてもらった。アリサ格好いいよ。
「追っかけすぎ」って意見はそこまで気にせんでもいいと思うぜ。
少なくとも、俺は気にならなかった。

でもってA's編はすずかも参戦して、魔王戦隊なのレンジャーになるんでしょ?
286名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 18:12:52 ID:g1vZWnYB
>>280
長い間お疲れ様でした。
そしてよい作品に出会えたことへの感謝をw
287名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 19:11:46 ID:3nGrShp/
>>280
長編連載完結お疲れ様です。こういった再構成モノは完結することすらまれなのにこの短期間でやり遂げるなんて言葉もありません。
アリサ強すぎとありましたが、別にU1になったわけでも無し、そもそもなのはが元々強すぎですからね

A's、stsの構想もあるということなので楽しみにしています
A'sエピぐらいまでいけばエロも可能ですしね!
288名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 19:25:04 ID:xdsqFBsk
>>280
完結お疲れ様です。
どうでもいいことだけどクロノを煽ってある意味自分で自分の首を締めるエイミィに噴いた
289名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 19:29:26 ID:OvPSQepr
>>280
完結お疲れ様です。
アンチテーゼとは結末が変わってしまうという事ですか?
290名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 21:28:06 ID:QwtYr0bG
>>252
メイドのくせに逆レイプ風味……邪道、だがそれがいい!

>>280
GJ&乙でした!! 原作に沿った流れでありながら色々と差別化されており、その場その場で何度も唸らされました。
また時間があればまとめて再読したくなる作品だったと思います。
アリユーはあれだ、アリサが自分の手でユーノを勝ち取ったのですね。

>>289
「公式がそう来るなら俺的にはこういう結論を出してみるぜ」ってことじゃないかな。
まあ書かれるにしてもまだまだ先のことだろうから、変に急かすのはやめておこうぜ。
291名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 21:28:37 ID:XFD4HffB
ここで愚痴る事じゃないんだが、ネタはあるのになかなか筆が進まねえorz
292名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 21:47:02 ID:0G7muxri
>>291
俺は文体が決まらん。
自分独自の文体なんてないから最近読んだ本に影響されるんだが、そうするとハードボイルドになる。
ちなみに書こうとしてるのはシグヴァイラブコメ。
完成の気配は全くない。
293名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 21:51:22 ID:KKyP/7hu
>>291
あるあるw
俺も頭の中では色々なシーンが乱舞してるんだが、そこまで行くのに結構話数が必要で遣る瀬無い気持ちになったり
294名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 21:53:19 ID:MOxQhGK6
>>293
そういう時はだな、断片だけでも時系列順に書き連ねていくんだ。
その前後に肉付けしてたらいつの間にか繋がってるもんさ。
295名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 22:15:24 ID:mWLBNPvY
>>292
奇遇だな。俺も影響される。
そのせいでスカリエッティ108人のナンバーズを率いて腐った管理局に反旗をひるがえす物語が浮かんでは消える。
296名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 22:26:25 ID:fPiEWeA3
>>295
どうでもいいがそれはナンバーズが108人なのか
それともスカリエッティが108人なのか。
297名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 22:28:50 ID:0G7muxri
>>295
スカリエッティが108人ならそれはホラーと言うほか無いな
298名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 22:29:49 ID:ZHyLpJ8V
スカリエッティ「私のナンバーズは百八人までいるぞ」
299名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 22:31:09 ID:cHBCljmK
スカリエッティ「アンダーソン君!」
300名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 22:31:51 ID:pSBFUvxN
>>297
けどそれがショタからオジさんまで年代別のスカリエッティだったら・・・?
スカリエッティ達はみんなお兄ちゃんのことがだ〜い好きっ、だったら・・・?
301名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 22:36:54 ID:QTnhYc2W
短けーの投下しておk?
多分本体は1レスで終わる
302名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 22:41:27 ID:9/ZLQUKA
こいこい
303名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 22:41:46 ID:zZO2/28Q
短くてもいいさ
304鬼火 ◆RAM/mCfEUE :2008/01/17(木) 22:43:55 ID:QTnhYc2W
よ、よし。じゃいくぞゴルァ。ついでに鳥テスト

『リリカルバイオレンス』がステーキ定食だとすれば、当方のSSは食後のガムだぜゴルァ

微エロだゴルァ
305お願い、ご主人様:2008/01/17(木) 22:44:44 ID:QTnhYc2W
今日も私の穴に固くて太いアレを挿入し、ご主人様はにんまりした。
手つきは乱暴だが、ご主人様は優しく私に愛の言葉をささやきかける。
私がスゴクイイですって答えると、ご主人様はさらに笑みを深くする。
ご主人様のそんな表情を見ると、私は恐ろしさと同時に嬉しさをも感じる。
なぜなら、私の奉仕が、ご主人様を悦ばせていることがわかるから。
穴にねじ込まれた太すぎるモノから、熱く滾る塊が私の中に噴出される。
黒光りするソレは私を激しく突き上げ、私の最奥まで余すことなく満たす。
その熱量に私は打ち震え、あられもないものを大量に噴出しながら、嬌声をあげた。
一度、注ぎ込まれるともっとさらに欲しくなる。私がおねだりすると、
ご主人様は無言で応え、あれよあれよという間に、6発も私の中に送り込まれる。
だが、私はこんなにも熱く熱く火照っているのに、私のご主人様は至ってクールだ。
口の端は僅かに釣りあがってはいるが、目は真剣そのもの。
私がどんな反応をし、私がどんな声をあげ、私がどんなコトを欲しているのか、
全て見極めようと、ただ観察するのだ。ズルいひと…。
ああ。
貴方が好き。
貴方の瞳が好き。
空を駆ける巡航ミサイルのように煌めく瞳が好き。
お話を聞いてくれない人に向けるような生暖かい眼差しが好き。
刃向かってくる出来の悪い生徒を見るときのような冷たい眼差しも好き。
貴方の髪が好き。
空に舞うキノコ雲のようなフワフワの髪が好き。
貴方の口唇が好き。
無茶苦茶な命令をくれる 戦場の息吹を聴かせてくれる 口唇が好き。
貴方の声が好き。
少し低くて甘い 士気を向上させる 落ち着いた声が好き。
貴方の心が好き。
脆くて傷付きやすい でも どこまでも真直ぐで 折れることを知らない
決して屈せず 砲撃ひとつで全てを通す 雄々しさに満ちた魂が好き。
貴方と私とで 轟音と共に敵陣を 吹き飛ばすのを見るときなど 心が躍る。
でも 一番好きなのは貴方のリンカーコア。
汲めども汲めども尽きない 無窮の魔力源。――私の生きる糧。
好きよ。
大好き。
貴方の全てが愛おしくて堪らないの ご主人様。
貴方以外のマスターなんかもういらない。
ただ貴方だけが欲しいの。
貴方と私 二人だけの永遠の夜が。
なのに世界には余計なものばかり。
私達の間に図々しく割って入ってくる。
邪魔者ばかりだから だから消すの 全部ね。
さあ、ガツンと挿れて!その黒くて太くて固いのを!
あれ?ご主人様?どうしたの?
え?今日はこれくらいにしようかって…。
そんなっ!これからいいトコロなのにっ!!
ねぇ…どうしてなの…?
どうして止めるの……?
こんなに、こんなに興奮してるのにぃ!
これじゃ生殺しじゃない!
嫌よ!出させて!もっともっともっとぉ!
もっと気持ちよくなりたいのっ!ご主人様、お願いぃぃいいいいいいい!!




<<Please cartridge lord!!! Let's shoot it! >>
「だから今日の訓練はもう終わりだってば、レイジングハート… 」

                                  END
306名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 22:45:38 ID:QTnhYc2W
ラーメン食ってくるノシ
307名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 22:47:27 ID:wnvo4aeL
>>306

このレイハさんはもうダメだ…
308名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 22:49:41 ID:Tm6xWUHX
>>304
誰かと思えばレイジングハートかよ!GJ!!
309名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 22:51:13 ID:NAZJpzh7
本編で砲撃撃つシーンが全部エロく見えてくるじゃないか。
310名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 22:51:44 ID:pSBFUvxN
>>306
まじ抜けるわ・・・・・・
311名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 22:56:01 ID:0G7muxri
>>300
すまん。想像すればするほど恐怖しか感じないぜw
312名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 22:57:24 ID:gihKdlDd
やはりあのカートリッジは電子ドr(ry
313名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 23:00:35 ID:KKyP/7hu
もうこの杖は駄目だw

>>297
でも12体のスカクローンはいたんだよな……
314名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 23:05:54 ID:oLWDfsHH
12人のスカクローンは、みんなスカリエッティお兄ちゃんの事が大好きと申したか?
315名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 23:30:15 ID:mWLBNPvY
キノコ雲とかミサイルとか、兵器ならではの褒め方に脱帽。
これはいいレイジングハートですね。GJ!
316名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 23:43:07 ID:+iSdcoKE
GJ!!
確かにこのくらいドMじゃないとなのはさんの相手は難しいですねw
317名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 00:22:21 ID:WfedaukN
>クローン

あれはフェイトをキレさせて嫌がらせをしようという魂胆で考えた、
博士流のジョークを効かせたブラフと漏れは脳内補正しますた!

じゃないとエンディングで更正組みナンバーズのお腹の中のクローンを、
ナニをどうしたのか説明があっていいはず……

しかし人権問題を完璧にすっぽかしたエロゲーを造る都築のことだから、ひょっとしたらガチで(以下略
318タピオカ:2008/01/18(金) 00:41:33 ID:6X0dAzkJ
ちょとばっかり、投下したいのですが、大丈夫でしょうか?
大分、長くなってしまったので、規制が気になるのですが、慣行したく存じます。
319タピオカ:2008/01/18(金) 00:48:07 ID:6X0dAzkJ
人もいないようなので、こっそりと。
それでは注意書きです。

・ようやく、エロ 。
・公式の材料を全部把握していないので、内容が間違っているかもしれません。キチッと公式を踏まえたい人にひっかかるかもしれないです
・分かり切ったことを、ダラダラ書いてる部分もあるので、まだるっこしい。
・いい加減、似たような描写ばっかり詰め込んだ風味。味が単調。
320タピオカ:2008/01/18(金) 00:49:30 ID:6X0dAzkJ
「外の世界を、見たいと思うか?」 後編

データカードの内容をすべて把握してしばらくしても、ゼストの苦しみと悩みは続いた。
終わるはずがない。
レジアスの本心を知りえないのに知りたがり、部下たちの死も取り返しがつく事ではないのだから。

眠れぬ夜が何度もあった。
答えが出ない問題を考えているようなものでも、考えることしかできないのだ。それが睡魔さえも殺してしまう。
ただ体については徐々に回復しているのを実感できた。
きちんと食べ、できる範囲で動いてると緩やかながら力を取り戻しているのが分かる。

特に手の指はとにかくチンクが「あーん」をしないようになるくらい動くようにしたかったので、すげぇ速度で感覚が戻ってきている。
その事に、ちょっぴりチンクが残念そうな顔をしていたのが、ゼストは見えなかった。
憤怨に目が曇っていた時とはまた違い、単純に女性の機微に疎いのだ。
若かったころ、べらぼうにモテたけど全部気付かずにスルーしてたというイケメンである。

「やぁ騎士ゼスト、どうかな、私の料理は?」

その日、いつものように手の指先を繰り返し開閉しているとスカリエッティがやってきた。
やはり、傍らにはウーノを控えさせている。

「上手いものだな」
「ククク、ありがとう。何か好きなメニューがあれば参考に聞いておくが?」
「いや、食事は腹に収まればそれでいいと考えているのでな……特にない」
「人生を損しているな、君は」
「良く言われる。それで、用件はなんだ? 料理の評価ならもっと別の者に聞け」
「せっかちな事だね。まあ、いい。率直に聞こうか、君が完治した後の話だ」
「せっかちなのは、お前だろう」
「いや申し訳ないが、私も忙しくてね、先の事を少しでも多く把握しておきたいんだ」

そっと、ゼストが考える素振りをする。
振りをするだけだ。もうすでに腹は決まっていた。

「……レリックを、探す」
「そうか、ならば一つ私から頼みがある。ウーノ」
「はい」

見通しておきながら、スカリエッティはゼストの口から聞きたかったようだ。
スカリエッティがウーノを促せば、簡単なボード状の端末をいじってそれをゼストへ見せた。
割と密な個人データと画像がボードいっぱいに広がっている。
名はルーテシア・アルピーノ。
詳細欄にはスカリエッティ一派に保護された形をとっている。

「貴様…!」
「だから、そう怖い顔をしないでくれ。この子を君に預けたいという相談でね」
「何…?」
「今のところ、我々の施設で保護しているのは記述の通りだ。だが、本人の希望で母親を助けたいらしい」
「……」
「とはいえまだ成熟しきっていない。召喚魔法については稀有な才能を持っているので、それを今磨いている最中でね」

個人情報に目をやれば、メガーヌの使っていたデバイスを引き継いでるようだ。
練度もグラフにしてある。成程、優秀なようだ。心通わせる召喚対象も得ているらしい。

「半人前ぐらいになる事を、外に出る許可にしている。探したいようだ、レリックを」
「……レリックウェポン」
「その通り。残念ながら、メガーヌ・アルピーノ復活にはそれしかない」
「……」
「まだいくらか時間がかかるがね、この子が外に出る時、君も同行してもらえないだろうか?」
「……分かった」
321タピオカ:2008/01/18(金) 00:50:27 ID:6X0dAzkJ
むしろ、願ったりだ。少しでも、かすかでも部下を全滅させた事への罪滅ぼしが出来るのならば、間違いなくこのレリックを確保する事。
それに加えて、メガーヌの子を守ってやれるのならば黄泉返った意味もきっとある。

「…少し、意外だった」
「何?」
「てっきり、レジアス・ゲイズ中将のところへ突っ込んでしまうかと思ってね」
「………それも、頭にある。だが、俺の事よりもまずはメガーヌだ」
「判断を下して部下を殺したのは自分……そんな罪悪感かな?」
「そうだ」
「よしたまえ、君はよく戦ったよ、騎士ゼスト」
「だが、守れなかった」
「ククク、そう、自分を責めることもないと思うのだがね……さて、騎士ゼスト。数年先になるのだがね、少しばかり地上本部を賑わせる計画がある」
「……襲う気か、地上本部を?」
「人聞きの悪い。ちょっとしたデモンストレーションさ。その時ならば、きっとレジアス・ゲイズ中将との邂逅も簡単になるはずだ」
「俺は……」
「なに、君に暴れてもらいたいというわけではない。そんなイベントもある、と伝えたくてね」

おっと、そうだ、と思い出したかのようにスカリエッティがニヤリと笑った。
今思い出したのではなく、話題として出すつもりだったのだろう。

「チンクとずいぶんと仲が良くなったようだね」
「……」
「憎んでいたようだったが?」
「憎くないとは言っていない」
「しかし、嫌ってはいまい」
「………」
「正直な男だ」

黙り込むゼストをスカリエッティは低く笑った。

「あの子も君の世話を楽しみにしている」
「なに?」
「戦闘機人だからと言って、感情がないと思っていたかね?」
「いや……しかし、淡々としている」
「……朴念仁な事だ。さては女性との遊びにふけった事がないだろう」
「顧みれば、戦いばかりだ」
「呆れたものだな……いや、そういう君だから、チンクもああなったのかな」

よく分からなかった。出会った最初から現在までほとんどが無表情なのだ。スカリエッティの「ああ」というのがさっぱりだ。
スカリエッティの言うように、チンクが楽しんでいるようにはゼストに見えない。
困ったような顔をしているゼストを見て、スカリエッティは楽しげだ。それから、ウーノを伴って出て行った。
後に残されたゼストは、また悩みと苦しみの渦へと思考を沈める。
新しくルーテシアという要因も混じったが、やはり懺悔のような時間とレジアスへの疑念の時間しか彼にはやってこなかった。



「随分と、指が動くようになったな」

ゼストの食事を見ながら、チンクが呟く。
もうゼストは一人でスプーンもフォークも使えるに至った頃合い。固い物もちらほら見える食事内容に、ゼストの回復の度合いが計れる。
淋しさが殺されたような響きだったが、ゼストには無感情な呟きにしか聞こえない。ここらへんが鈍感だった。
322タピオカ:2008/01/18(金) 00:51:32 ID:6X0dAzkJ
「ああ、何かと世話をかけた」
「いや……回復しているのだから、喜ばしい事だ」

チンクが静かに目を伏せた。口元は小さな微笑みの形。
幼げな容姿だが、その淡やかに笑む雰囲気は十二分に大人だ。
思わず、ゼストが見惚れた。自覚こそしないが、食事の手を止めてチンクをじっと見つめたのだ。

「どうした?」
「……お前が笑んだのを見たのは始めてだ」
「む…今、笑っていたのか、私は?」
「ああ」

チンク自身無意識だったようで、少し照れた素振りでゼストから目をそらす。
思いのほか和やかな食事にありつけたゼストは満足げだ。

というか、毎日顔を合わせているチンクがいる時のみが、自分の安らげる時間だという事を、ゼストは認識していない。
スカリエッティもたびたびやってくるが、やはり警戒の念が心底にあった。
ゼストとしては、チンクに対しても同じように警戒心を持っているつもりだが、実はかなり薄らいでいる。
心を鎧っているつもりなのに、実は生の心でチンクと会っているのだ。それにゼストは気づいていなかった。

「ルーテシアお嬢様と一緒に行くのだな」
「先の話だ。まだ歩くのにも全力を使う」
「すぐに良くなる」

もうゼストはリハビリのいくつかを開始していた。
歩く事、掴む事、頷く事など簡単なものばかりだがまだまだゼストには難しい。
たいていはチンクがリハビリに付くが、そんな彼女の言葉の節々に淋しげな音がある。
それも気づかず、ゼストは飲み、食う。徐々に体力も戻っている。あとは動くだけだ。

「レリックの収集は、困難なのか?」
「一概にこうだと言い切れんな。厳重保管されたものから、遺跡に眠っているものもある。動けるようになったお前ならば、大丈夫だろう」
「地域や地方ごとに数字に偏りは?」
「ある事もある。ない事もある」
「……」
「我々も集めているのだ。目的の数字をこちらでも確保できるかもしれない」
「ああ」
「それよりも長く眠っていたお前や、まだ幼いルーテシアお嬢様が外に出る事が心配だ」
「……」

意外だ、と顔に書いてゼストがチンクを見た。
むっとしたような眉の寄せ方でチンクがじっとゼストを見返す。

「なんだ、その顔は」
「いや、お前から心配されるとは、思わなかった」
「世話をした、相手だ」
「……そうか。そうだな」

流石にもう一か月近くは世話を焼いてもらっている。
自分に対して情が移ったのかと、ゼストは思う。一応、スカリエッティからもチンクが楽しんでいるとの言葉を聞いた。
とはいえ、いつも冷静な顔なのだ。それが崩れた時をそれほど見ないので、本当にそうなのかとも思う。
ゼスト自身、チンクを掴みかねている、というのが一番近い。

「今の外についても、お前の方が詳しいか」
「そうは言っても、私はドクターや姉上方の指示に沿って動いているだけだ。そう広く知らん」
「そうなのか?」
「ああ。おおよそは、この基地で備えている」
「外の世界を、見たいと思うか?」
323タピオカ:2008/01/18(金) 00:52:23 ID:6X0dAzkJ
きょとん、とチンクが目を瞬かせた。
常日頃から顔色が変わらないチンクだが、表情が変化するときは想像や予想を超えて間の抜けた表情をする。
悪い意味ではなく、かわいらしい、とゼストは思っているのだが、やはりこれもゼスト自身自覚していない。

「考えたことも、なかったな」
「そうか…」
「考えたことも……なかった」

自失したように二度も呟くチンクは、自分が自分で不思議そうだった。
それほど変な問いかけをしたのかと、ゼストも首をかしげた。

「もう終わったのだが」
「あ、ああ……すまん」

食事を終えても、まだ悩んだような、呆としたような様子のチンクへ声をかける。



「どうかな騎士ゼスト、体の方は」

不定期的に現れるスカリエッティとウーノに、ゼストももう慣れたものだった。
目覚めてからもう随分と経った頃。
ゼストは少なくともたいていの運動ができるようになっていた。スカリエッティの予想していた期間の半分でここまで来た。
そもそも生前に培った鍛練を考えれば、そういった回復力も当然かもしれない。

「不自由ではなくなった」
「流石オーバーSランクだ。人間の底力には感心させられる」
「まだ反応が遅い」
「急ぎ足は身を滅ぼすよ」
「……」

言って悪い冗談の類いだ。ゼストは片眉を上げただけの反応。
それに、スカリエッティが低く笑う。

「用件は何だ」
「ルーテシアの成長報告さ。あと、3か月以内に及第点を取るだろう。探し物の、始まりだ」
「3か月か……」

ゼストとしては最低限の心技体を取り戻せるかどうか微妙な時間だ。
それとも、それも考慮してスカリエッティが調整したか。

「ウーノ」
「はい」

控えていたウーノが無骨な指輪をゼストに手渡す。
見紛うはずは、あり得なかった。長く愛用していた槍のデバイス。
アームドデバイス特有とも言える、その鋼の鼓動をしっかりと感じられる。
もしも語り合えるのならば、再び共に戦場を駆ける喜びの声を聞いただろう。

「それほどいじってはいないがね、処理も容量も以前より幾らか良くしている」
「……そうか」

久方ぶりに触れる相棒に、ゼストは気を引き締めた。
現状でゼストに、このアームドデバイスの性能全部を扱う力はない。それどころか振るうので精いっぱいだろう。
衰ている間、この鉄の相棒に恥ずかしい姿しか見せられないだろう。

「フルドライブは、止めたまえよ」
「……」
324タピオカ:2008/01/18(金) 00:53:19 ID:6X0dAzkJ
スカリエッティを見ず。
意思強そうに結ばれた口も開かれず。
そんなゼストを見て、スカリエッティが弾けるように笑った。

「クックックックッ、そうだな、私がどうこう言えるはずが、ないな」
「……すまん」
「謝る相手が、違うな」

まだ収まらぬ愉快さで笑いながらスカリエッティが踵を翻す。
ぼんやりと、ゼストはチンクに謝らねばならんのだろうかと考えた。



鳥のさえずりが聞こえた。
耳に届くそんな穏やかな音色に、ゼストが目を覚ます。
感じる固い感触。それが全身に押しつけられている。
気絶から目覚めたとゼストが理解した時、自分が地面に倒れているのだとようやく気付いた。
手の槍だけは、意識を失っていても固く握りしめたままだ。

(無茶をしすぎたか)

痙攣が治まらず力の入らない足は放っておいて、槍を支えに体を起こす。
途中で腕の支えも利かなくなっていき、起きるのを諦めて仰向けになるように再び倒れた。
蒼穹が見えた。もうあと数時間で夕色に染まる空だ。
遠い。
かつてはあの空で戦っていたのだと考えると、今倒れている場所からとても遠く感じた。

本格的に動く事を取り入れたリハビリに入り、今いる野外の訓練場を使ってから数週間ほどの頃。
日々を苛烈に過ごした。
チンクの注意も、スカリエッティの声も聞かずにこうやって倒れるまで槍を振り回す。
起きられるようになり、動けるようになれば、また動きまわる。そしてまた倒れるの繰り返し。

スカリエッティも最初の方にこそ無理をするなと言い含めてきたが、ここ最近はこまめに取った身体データを興味深そうに眺めて「もっと無茶していいよ」と笑いかけてくる。
望むところだった。
壊れるほどの限界は、生きてるうちに何度も触れている。それどころか死にもした。
生前ですでに己が傷む事を厭わなかったが、現在はそれに輪をかけて気にしないで済むようになった。

動き、倒れ、意識を失っている間はすべての疑念と苦悩から逃れられるからだろう。

今の今まで、ベッドの上で向き合わざるを得なかった事から目をそらせるからだろう。

自嘲気味に自己分析をすればそろそろ足の痙攣も引いてきた。まだまだ鈍い四肢に気力を漲らせて立ち上がる。
2、3度ふらつけば勘を取り戻したようにしっかりと直立できた。
泥の中の抵抗を受けているかのような遅さで右足を一歩、踏み出す。
しっかり踏みしめて、次は左足。
転びそうになる。
踏ん張った。
歯をくいしばってバランスが取れるまで待つ。いや、バランスを自力で取る。
どうにか安定してくれば、槍を小さく纏めて構えながら、一歩。たどたどしい。
突く、払う。それを、虚空へ。
何度も、何度も。前へ、前へ進みながら。
前に、前にいるゼストにしか見えないレジアスとメガーヌの後ろ姿を見据えながら。
後ろに、後ろに幽かな部下たちの気配を幻覚しながら。
325ココナッツミルクと合わせると至高で究極:2008/01/18(金) 00:54:20 ID:6X0dAzkJ
まるで不安定な体での演武だが、少しずつ、本当に少しずつ力強くなっていく。
徐々に、腕や肩の伸びが滑らかになっていく。足も、踏み込む強さと速さが大きくなる。
たとえこんな風に槍を握っていたとして、子供も倒せそうにない動き。そんな一人稽古だが、ゼストの体がゆっくりと楽になっていく。
ガラクタ同然となった体とて、元々は屈強。
ある境界線で、生前にあった力のほんの微かな量だけ使えるようになってくる。

しかし、そんな力を使うにはまだまだ体力が足りない。
もう一段鋭く踏み込んだつもりの斬り込みで、ゼストがつまずいた。
前のめり。槍で体を支えようとしたがそれも間に合わない。
ガクンと、横から支えられた。チンクだ。

「……すまん」
「もう、よせ」

汗まみれの体も嫌がらずに支え、チンクが冷たい声でゼストへささやいた。
しかし、ゼストは止めない。
優しくチンクをひきはがし、また一から速度と力強さを積み上げていく。
さっきよりも上手く長く槍を振るえたが、やはり途中で倒れ、またチンクに支えられる。
今度はゼストを手放さない。
ゆるやかにチンクを振りほどこうとするが、今のゼストではどうにもならなかった。
ただゼストはチンクを見ず、視線を前に。前にゼストにしか見えぬ、目をそらしてはいけない者たちの顔があるから。
チンクも、うつむいていた。

「……すまなかった」
「何がだ?」

抑揚のないチンクの謝罪。凍えて、震えているから。チンクの心が。
しかし、前を、前しか見ていないゼストにはそんなチンクの心は見えない。
ただいつも通り、冷静なチンクだとしか、思えない。思わない。

「お前の体をこんなにしたのは私だ」
「俺の体をここまで戻してくれたのもお前だ」

もう、日が落ちる。
茜色の中、二人はまるで抱き合っているよう。
静かだった。

「なぜ誰かの責任だと思えない」
「……何の話だ」
「最初の時のように、私を呪えば楽になる」
「お前は恩人だ」
「お前は馬鹿だ」
「……そうだな」

ぎゅっと、チンクが抱きしめる力を強くした。

「いつまでそうやって自分を慈しまないつもりだ?」
「死ぬまでだ」
「一度、死んだ」
「ならば、死人が死体をいたわる必要もあるまい」
「自分は良くやった、と思えないのか」
「何も、やっていないからな」
「お前は………よく戦った」
「まだ、戦わなければならない」
「………」
326タピオカ:2008/01/18(金) 00:55:06 ID:6X0dAzkJ
一瞬だけ、チンクの瞳が悲しみに沈む。
それを、ゼストは見ていない。

チンクが手を放した。
また、ゼストが動き出す。壊れたオモチャのように。
その背は、儚いほど弱々しい。しかし、きっと剛健さを取り戻すと、誰もが確信できるほど広かった。
その背中をチンクはずっと、じっと見つめた。眼はそらさない。ゼストがゼストである、姿だから。



ある眠れない夜の事だった。

動けぬ日々にて苦悩に浸かりながら、動けるようになった時、きっと心が軽くなると信じていた。
しかし実際は体の自由を取り戻すにつれて、疑念や後悔は濃くなっていく。
動けなくなるまで体を酷使しては、束の間の休息で死者たちの顔に思考が埋め尽くされる日々。

そんな思考の果てに、いつもレジアスの本心という見えないものが見たくなる。
今のゼストの、ただ一つの望みがそれだった。
そしてそんな衝動でさえ、自身のためではなく部下の鎮魂のためであり、レジアスと彼に掴んでほしい平和のためだ。
届かない親友の真意に、もう少しすれば届くための力も戻るのに、ゼストはその望みを心の奥に押し込めている。

メガーヌ。ルーテシア。
優先すべき、自分が出した犠牲者。
あとちょっとで、彼女ら2人に対する贖罪に移れる。
いや、たとえメガーヌ復活が叶ったとして、それで罪が償われたわけではない。
メガーヌ復活が終わりではなく、それが始まり。そこから、真にしなければならない事の、始まりだ。

自分を削り、その分を他人に足す。
自分を殺す。
ゼストには、もうそれしかできなかった。
チンクの言うとおり、きっと戦闘機人を呪い、スカリエッティに怒れば楽になれるのだろう。
しかしもう、ゼストの持つ怨嗟の炎は他人を焼かない。焼けない。だからその昏い炎が向うのは、自分しかいないのだ。

じっと、ベッドの縁に腰かけて夜が更けるまま、もはや日常となった苦悩と向き合っていた。

「起きていたか」

チンクが訪れる。
ここまで深夜に、やってくるのは初めてだった。

「ああ」
「……少し、構わないか?」
「ああ」

ちょこんと、チンクがゼストの横に腰かけた。
寄り添って。まるで親娘のようだ。

「驚いている。こんなに早く、ここまで動けるようになると思っていなかった」
「やらねばならん事があるのでな。寝てられん」
「そう聞いて、焦っているのだと思っていた」
「訓練の事か?」
「そうだ。やりすぎにしか見えなかった」
「もともと軍人だ。自分を追い込む事には慣れている」
「ドクターも興味深そうに回復の度合を見ていた。凄いものだな、人間というのは」
「ある時にとてつもない力を発揮するかもしれないし、ある時にまるで駄目になる事もある」
「私にも、そんなとてつもない力が発揮できるかな?」
「?」
327タピオカ:2008/01/18(金) 00:56:54 ID:6X0dAzkJ
どちらもどちらともを見ず、ぼんやり前を向いていたが、ここでゼストがチンクへ視線を落とした。
チンクはゼストがこちらを見ているのも気づかないように、まだ虚空を見つめたままだ。
まるで描いている夢を話しているような様子だった。

「力のふり幅は、心による。お前にも大切なものがあるのだろう?」
「ある」
「ならばそれを大切にする心が強いほど、きっと強く在れる」
「そうなのだろうか……」
「ああ。少なくとも、俺はそのつもりだ」

しばしの沈黙。
再びゼストも前を向いて。
ぼんやりとしているゼストの腕に、重みが加わった。
チンクだ。寄り添うような、もたれかかったような。

「どうした?」
「よく、ここまで自由に動けるようになった」
「お前のおかげだ。ずいぶんと、世話を焼かせていしまったな」
「私は、お前の世話役だ……だからな」

そっと、ゼストの腿にチンクの左手が触れた。小さな手だ。しかし、強く優しい手つき。
驚いたようにチンクから距離を取ろうとしたゼストだが、腕で腕を絡められて退けない。

「何をする?」
「こんな世話も、できるのだぞ?」

まさぐるように脚の付け根へと這うチンクの指に、ゼストが強張った。
優しくチンクの腕をほどこうとするが、ギュッと組んだ腕を放してくれない。

「待て」
「なぜ?」
「……必要ない」

見上げてくるチンクの瞳から目をそらし、ゼストが小さくそう言う。
寄りかかるチンクの肩が落ちるのを、接しているゼストははっきり感じた。

「やはり……私のような体では、ダメなのか」
「いや、そんな意味ではない」
「胸が大きい方が、やはり良いものなのか?」
「違う」
「もっと背が高く、豊満な肉づきの方が好みなのか?」
「だから、違う。そう言う意味ではない」

割と珍しく慌てるゼストに、一層強くチンクが体を押し付けてきた。
幼児体型の膨らみを、懸命にアピールするようにである。

「こっちを見てくれ」
「……」

チンクの言葉にも耳を貸さず、決してゼストは視線を合わせてくれようとしない。
さらに放そうとするゼストの手に、むっとし様に眉をひそめれば、チンクがゼストの片足へとまたがった。
逞しいそれを、チンクは両腿ではさんでは無理やりゼストへ覗き込む。
バツ悪そうなゼストの赤い顔があった。

「私では、ダメか?」
「よせ」
「……私では、ダメなのか?」

ギュッと、腿に力を込めてゼストの足を圧迫した。ボディスーツの上からだが、適度な弾力がゼストに伝わる。
ゼストが呻くように小さく口を開くが、声までは出なかった。
328タピオカ:2008/01/18(金) 00:58:37 ID:6X0dAzkJ
「この姿に罪悪感を抱く必要はないのだぞ?」
「……」
「それとも、私では食指が動かんか?」

繊細な手つきでゼストの頬を両手でふれ、こちらを向かせた。まだチンクを見ない。
腿をすりよせて、ゼストの胴へとちょっとずつ体を寄せながらチンクは切なげに言葉を続ける。

「私の事は、気にするな。私がしたいと思ってやっている事だ」
「……」
「拒否されるのは構わないから、私を見てくれ」

ぴたりと、チンクとゼストの前面がひっついた。
頬に触れていた両手はいつの間にかゼスト背に回っている。胸板から見上げてくるようなチンクに、なおゼストは答えない。

「ゼスト……」

名。
初めてだった。チンクが名で呼ぶのは。
ゼストが動揺するのを、抱きしめるチンクに良く伝わる。

「なあ、ゼスト。私はな、お前に少しでも楽になってもらいたいだけなんだ」
「……」
「ほんの少しでもいいから、私で楽になってもらいたい、だけなんだ……」
「……」
「ゼスト?」
「分かった」

潤んだ声。潤んだ瞳。
見上げるチンクの隻眼に、ようやくゼストは応えた。
鮮やかな笑顔が、チンクに咲いた。赤い顔でゼストがそれに魅入る。

もう、とっくに虜だった。きっと、ずっと前から。それでも、ずっと目をそらして前ばかり見ていたのだろう。
今、この瞬間だけ、ゼストは傍らを見る。ほんの少しの時間だけ。
この時間が終われば、きっともうチンクではなく前しか見ない。
だから、この幸福な気持ちも、この一時だけだと、この騎士は自分の本当の気持ちに気付かないまま。

それでも、この時間だけは。

「こんな未熟な体で、すまない」
「いや……最初に触れられた時から、情欲を抑えるのに苦労した」
「苦労を吐き出させるために、迫ったのに」
「……すまん」
「フフ、謝るな」

胸を、腹を強くすり寄せたまま、チンクが伸びてゼストへ口づける。
瑞々しく幼い唇。そんな唇なのに、キスは巧みだ。
ゼストの頭を両手を絡めて固定し、チンク自身は首を細かく動かし、尽くすようなキス。
ちゅ、ちゅ、とわざと音をたててチンクがゼストへ吸いついてくる。その片方で手早くゼストの衣服のボタンなどを外していく。
ゼストの逞しい上半身があらわに頃、ねっとりと口を放してチンクが少し引いた。

首回りと腰回り、そして足首のプロテクタをいじれば、ボディスーツが解けるように消えていく。
惜しげもなくその真白な裸身をさらせば、またチンクが体を触れ合わせてきた。

再びの口づけ。さっきよりも激しい。
柔らかなチンクの匂いを鼻腔に含みながら、ゼストが押し倒される。
さらりと髪が下りてくるが、チンクはそれも気にせずゼストの唇を貪った。
性感が否が応でも高ぶらされるチンクの攻めるようなキスに、ゼストも舌を差し入れる。
歓迎するように、チンクの口はゼストの舌を受け入れ、包み込む。
329タピオカ:2008/01/18(金) 01:00:21 ID:6X0dAzkJ
「ん…」

遊ぶように舌先が絡まり合い、刺激し合えば、とめどなく溢れる両者の唾液が下になるゼストの口腔へ落ちていく。
まるで躊躇なくそれを飲み干し、ゼストの喉が鳴った。

蹂躙しているのかされているのか分からないディープキスが自然と終わる。
たっぷりと楽しんだはずなのに、どちらも口が放れる時、物足りなげだった。
上にのっかかったまま、両手をゼストの胸につけてチンクが笑んだ。童女のような破顔なのに、月のように妖しい。
つと、チンクの指先が体の各所に点在する傷痕をなぞる。

「痕、たくさん残っているのだな」
「長く戦っていたからな」
「その割に、達者な接吻だった」
「………戦をする人間だ。春を買う機会は多かった」

ゼストへとしなだれるように、チンクが覆いかぶさった。そしてゼストの傷痕に口づけ、短い舌でなぞっていく。
丁寧に、まるで親猫が仔猫の毛を舐め繕っているようだった。
が、そんな和やかな雰囲気というわけではない。
胸、みぞおち、腹と下へ下へとチンクの舌は這って行く。じっくりと食むようにゼストの傷痕に口で奉仕していけば、唾液で艶やかに照っていく。
丹念で愛おしそうなチンクの唇と舌に、ゼストが何度か呻いた。昂っていく。
チンクの両足が、ゼストの股へと絡んできた。男根と片腿を、チンクが自分の両腿ではさんでこする。

「む…」

熱さを増していく男根にゼストが身をよじっても、チンクはさらに強く挟み込む腿を絞めた。
ズボン越しにゼストのそれが起立していくのが分かる。
チンクの手がズボンにかかった。口がゼストの体から離れていく。
軟らかで淫らな舌の快感から解放され、ゼストの体が弛緩する。それと対照的に、外気にさらされた男の証明は固く、漲っていた。

「立派じゃないか」

陶酔したような声色。上気したチンクの隻眼は色っぽすぎた。
即座に、その怒張へとチンクがまたがる。

「おい…」
「大丈夫だ」

容姿のイメージそのままに、ピタリと貝のように閉じたチンクの女陰。何もしないままでは、ゼストの大きな物なんて先も入りそうにない。
だのに、思いのほか柔軟なチンクの割れ目は、一息で無骨な男根をぱくりと頬張る。
生暖かく、適度にぬめった心地よい抵抗のチンクの中。えも言えぬ快感に、ゼストの身が強張り手が泳ぐ。
その手を、チンクがしっかり握った。
手と手を握り合ったまま、チンクがゆるく腰を前後させる。むっちりと肉襞に捕らわれた男根は、その動きに合わせて弄ばれる。

「ぐ…」
「構わん。好きな時に出せ」

円を描くような、淫らな腰つき。しかし耐えるように歯を食いしばるゼストへとかかる声は、慈母のように穏やかだ。
少し速度が上がった。前後、左右にくねるチンクの腰が乱暴になるにつれ、握りあう手の力が強くなる。
軽快なチンクの腰に、さらに捻りが加わった時、ゼストの体が少し浮いた。逃げるように、ゼストが動くがチンクの両足が胴をしっかり締めて逃がさない。
ドクン、と音が聞こえてきそうな精の吐出。
搾り取るように膣へ力を込め、チンクはゼストへより強い快感を叩きつける。
勢いのよい精に子宮口が叩かれるのがチンクに心地よかった。ゼストもチンクも、しっかり手を握り合ったまま。

しばらくチンクは、痙攣じみて精の快感に震えるゼストをうっとりと眺めていた。
つと、チンクから子種が溢れてくる。
330タピオカ:2008/01/18(金) 01:01:27 ID:6X0dAzkJ
「たくさん出たな」
「………溜まっては、いた」
「濃い精だ。熱い。元気な」
「……すまん」
「孕むかもな」

ピシリと、ゼストが固まった。本当に、快感もこんな行為にふける後ろめたさも忘却に押しやって、固まった。

「…………………………………………………………………………………………………子が、生せるのか?」
「できる」
「…………………………………………………………………………………………………」
「この精でできたら、どうする」
「…………………………………………………………………………………………………責任は、とる」
「産んでも、構わないのか?」
「…………………………………………………………………………………………………責任は、とる」

本気だった。騎士の眼の真剣さでよく分かる。
プッと、チンクが吹き出した。そのおかしそうな顔は幼い。

「冗談だ」
「……お前な」
「まだ、出るだろう?」

怒張は、収まっていない。一度では、足りないのだ。

「気が済むまで、放て。私の体は、気にするな」

また、チンクの腰がくねる。女陰が上下に昇り降りし、男根を舐めこすりあげては、そのたびに膣の精が溢れてくる。



散々の性交の果て。全身が鉛になったような倦怠感にゼストは仰向けのまま大きく息をつく。
その上では、チンクが裸身のまま体を重ねている。片手でゼストはチンクの長い髪を梳いてやっていた。

「もう、いいのか」
「ああ…」
「いつでも、私を使ってくれていいのだぞ?」
「……」

微かに、ゼストの頷く気配に自然とチンクの頬が綻んだ。
ゼストの胸に頭を預け、その鼓動を聞いているだけで安らげる。

「少し……聞いて欲しい話がるんだ」

まどろみに片足を突っ込んでいるゼストが、両手でチンクを抱き締めた。
ぬくもりを放したくないようなその包容に、チンクも一層強く体を摺り寄せる。
331タピオカ:2008/01/18(金) 01:02:42 ID:6X0dAzkJ
「本当はな、私も今日、眠れなかったんだ」
「……」
「お前に右目をやられた時、恐かった。見たこともない迫力が、すごく恐かったんだ」
「……」
「それから、右目で最後に見た刃の煌めきがちらつく時期があった」
「……」
「それで、そんな風になってから、戦いが恐くなった。任務にも失敗したし、駄目になりかけた」
「……」
「でもな、妹ができたんだ」
「……」
「戦いから外してもらったりして、いろいろ教えているうちに、こう……温かくなって、守ってやりたいと思った」
「……」
「思ったら、お前もこんな風に部下を守りたかったんだと、分った」
「……」
「分かったら、お前が恐くなくなった」
「……」
「そしたら、憧れた」
「……」
「私も、お前みたいになりたいと思ったんだ」
「……」
「それで……以前、外の世界について――‐」

ふと、気づく。
返事どころか、反応もない。

「…………寝てる」

この日の直後から、少しチンクがゼストに冷たくなった。その対応の落差の理由が、寝過ごしてしまったゼストには分からない。
だから数年後、チンクの事を「良く分からん。掴みかねてる」とルーテシアに評すのだが、掴み損ねたのは自業自得であったという。
332タピオカ:2008/01/18(金) 01:07:57 ID:6X0dAzkJ
よし、全部入った!
終わりです。
割と全力全開。これはきっと面白い! と思うけど、文章に起こすともっと面白いアイデアをこぼしてる気がします。
3割の力で美味いもの作れるようになれば一人前って陸十が言ってた。十割使っても、旨味を逃したり、エロもパンチが足りない、そもそも面白いかどうか疑わしいと、難しいものです。

この前後編に加えて、もう1つ、できれば2つこの話は続きますので、覚えていただければ幸いです。


再見!
333名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 01:10:20 ID:5dOajff/
GJ!
チンクかぁいいよチンク
334名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 01:10:36 ID:pjFIs8tB
GJ。

内容と全く関係ないが読んでる途中
「ギャラクシーエンジェルにタピオカとかココナッツミルクとかそんな名前のキャラいたよなー」
とかどうでもいいこと考えちまったw
335名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 01:12:32 ID:HiFpPwhX
ルーテシアとアギトを連れて、チンクにも手を出した旦那。どう見てもロリコンです本当に(ry)
それよりか>>325の名前欄…………
336名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 01:38:51 ID:p1FdTbo2
GJ!
もし孕んでたら犯罪にしか見えんなww
ドクターは笑ってそうだが姉妹から心身ともにフルボッコだろうなあ
337名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 01:58:04 ID:1OUvvs6v
GJ!!
六課が知ったら、キャロを最優先で逃がしますなw
338名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 01:58:53 ID:WfedaukN
リアルタイムで、ぐあああああ!

ゼスシグ派の俺が一気にゼスチン派に傾いてしまったでは無いかッッ!!


>タイオカ氏は責任を取って、
ゼストとチンクのハッピーエンドを書くべきだwww

あ、でもシグナムとチンク団結してがゼストに迫るていうシチュエーションもいいなぁ〜
339名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 02:14:54 ID:pJB0oHby
GJ!!!

なんともはや、ゼストもチンクも格好良くていいもんですな。
正直、ゼストのイメージはルーテシアやアギトの保護者としての感が強いんだが、やっぱゼストは大人だった……。
340名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 02:21:59 ID:6X0dAzkJ
>>334
ノ ヴァニラ信者。だから似てるチンクも大好物。
341B・A:2008/01/18(金) 02:59:08 ID:VgoXKVTJ
>>332

GJ! チンクがかわいい。どツボに嵌る。


さて、予告していたどエロSSの前篇(どうも、前・中・後の3つに分けることになりそうです)を
投下したいのですが、おkですか?
342名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 03:03:42 ID:pJB0oHby
>>341
おk。どんと来い。
343名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 03:06:22 ID:v/hZT9/g
>>341
ALL RIGHT!!
344B・A:2008/01/18(金) 03:10:19 ID:VgoXKVTJ
了承確認。
では、いきます。

注意事項
・とにかくエロい。
・エロいことしかしない。
・3人娘が淫獣と鬼畜ロノと緑色とくんずほぐれつ大ハッスル。
・以上の理由により、ストーリー性は皆無です。
・あと、ゆで卵が好物な人は避けた方が良いかも。
345エースたちの饗宴@:2008/01/18(金) 03:12:23 ID:VgoXKVTJ
クラナガン某所の高級ホテル。その中でも一際値の張るVIP御用達のスウィートルームに6人の男女が宿泊していた。
半円を描くように置かれたソファに座っているのは、左から順にユーノ・スクライア、クロノ・ハラオウン、
ヴェロッサ・アコース、いずれも時空管理局において重要な役職についている若きエリートたちばかりだ。
ただし、今は3人とも衣類は着用しておらず、日頃の威厳だとか知的さは微塵も感じさせなかった。
「んん んふ・・ふぁ・・んじゅ・・」
「んふぁ・・ん・・うぅ・・」
「ああ・・・・ふ・・・うぁ・・・・」
そして、3人の前にはいずれも劣らぬ美女たちが跪き、そそり立った肉棒を一心不乱に咥えこんでいた。
こちらは、ユーノたちと違って管理局指定の制服に身を包んでおり、それが返って卑猥さを醸し出すスパイスとなっていた。
高町なのは。
フェイト・T・ハラオウン。
八神はやて。
3人とも第一線で活躍するエース級魔導師であり、同時に彼らのペットでもあった。

346B・A:2008/01/18(金) 03:12:57 ID:VgoXKVTJ
あ、タイトル間違い。やり直します。
347エースたちの饗宴 前編@:2008/01/18(金) 03:14:07 ID:VgoXKVTJ
クラナガン某所の高級ホテル。その中でも一際値の張るVIP御用達のスウィートルームに6人の男女が宿泊していた。
半円を描くように置かれたソファに座っているのは、左から順にユーノ・スクライア、クロノ・ハラオウン、
ヴェロッサ・アコース、いずれも時空管理局において重要な役職についている若きエリートたちばかりだ。
ただし、今は3人とも衣類は着用しておらず、日頃の威厳だとか知的さは微塵も感じさせなかった。

「んん んふ・・ふぁ・・んじゅ・・」

「んふぁ・・ん・・うぅ・・」

「ああ・・・・ふ・・・うぁ・・・・」

そして、3人の前にはいずれも劣らぬ美女たちが跪き、そそり立った肉棒を一心不乱に咥えこんでいた。
こちらは、ユーノたちと違って管理局指定の制服に身を包んでおり、それが返って卑猥さを醸し出すスパイスとなっていた。
高町なのは。
フェイト・T・ハラオウン。
八神はやて。
3人とも第一線で活躍するエース級魔導師であり、同時に彼らのペットでもあった。

348エースたちの饗宴 前編A:2008/01/18(金) 03:16:43 ID:VgoXKVTJ
「・・・うっっく、・・・なのは、出すよ!」

「くっうっッ!?・・・んぅ・・ぐう・・」

なのはの後頭部を掴み、ユーノは思いっきり肉棒を喉の奥に叩きつける。
そして、そのまま自身の欲望をなのはの喉へと流し込む。

「ん・・・・・んっ、うぅぅん・・・・・」

喉の奥で炸裂する迸りに、なのはは一瞬恍惚とした表情を浮かべる。
こちらの都合など一切無視したイラマチオも従順に受け入れ、放たれた精液をごくんと嚥下した。

「やれやれ、もう根を上げるとはみっともない」

「勘弁してよ。なのはのフェラテクって容赦ないんだから」

「こんなところでも全力全開か。なのはらしい・・・・そう思わないか、フェイト?」

流れる義妹の金髪を撫でながら、クロノは言う。
急に話を振られたフェイトは困惑したような表情を浮かべた後、無言のまま頷いて義兄への奉仕に没頭した。
丹念に全体を舐めるその仕種は、まるで大好物を与えられた子どものようで、一片たりとも残すまいという気迫すら感じられた。

「邪魔するなだとさ。振られたみたいだよ」

「いやはや、お二人とも羨ましい限りだ。はやては彼女たちと違って、口の方はまだまだでね」

「うぅん・・・・か、堪忍な・・・・もっと、練習して上手くなるから」

他の2人を羨ましげに眺めるヴェロッサの言葉に、はやては必死になって肉棒をしゃぶる。
しかし、なのはやフェイトと違ってその技巧はとても拙く、思い通りに相手を
悦ばすことができないことにはやての焦りは募っていく。

「んんぅ・・・うぅぁ・・ふぁ・・んじゅ・・・」

「必死になって・・・可愛いよ、はやて」

「ほ、ほんまに?」

「うん。僕ははやてを見捨てたりしないから、これからも精一杯仕えてくれるね?」

「う、うん・・・・うち、頑張るから・・・ロッサが悦ぶこと、何でもしたるから・・・・・」

そう言って、はやてはさっきよりも貪欲にヴェロッサの肉棒を咥えこむ。
唾液の溜まった口内を肉棒が出し入れされる度に卑猥な音がくちゃくちゃと室内に響く。
349エースたちの饗宴 前編B:2008/01/18(金) 03:18:27 ID:VgoXKVTJ
「またお得意の口先三寸か。騎士カリムが聞いたら泣くぞ」

「おや? 誰も姉さんを蔑ろにしないとは言っていないよ。
ひょっとして、クロノくんは彼女に興味がおありなのかな?」

「冗談・・・・君と違って人間椅子の趣味はないし、僕はフェイト一人で十分満足している」

「やれやれ、一度座ると病みつきになるんだけどなぁ」

「僕も勘弁かな。人の上に座るっていうのは、ちょっと」

ヴェロッサの特殊な趣味に、他の2人はやや引き気味の笑みを浮かべる。興味と嫌悪が混じった独特の笑みだ。

「残念・・・では、代わりにそれぞれのペット自慢といかないかい?」

はやての顎を持ち上げ、嗜虐的な笑みを浮かべてヴェロッサは言う。その提案に、他の2人は一も二もなく賛成した。

350エースたちの饗宴 前編C:2008/01/18(金) 03:20:56 ID:VgoXKVTJ
5人に見守られながら、なのはは一枚一枚着ている服を脱ぎ捨てていく。見られていることに緊張しながらも、
その手つきに淀みはなく、それがもう何度もこの行為を繰り返してきたことを物語っていた。

「お・・・!?」

「へぇ・・・」

なのはがブラとショーツを脱ぎ捨てると、クロノとヴェロッサは感嘆の声を漏らした。
くぐもったような低い震動音が室内に響く。
それはなのはの乳首とクリトリスに張り付けられたローターの音だった。

「こんなものを普段からつけているのか?」

「まあね。ちょっと調教が行き過ぎちゃって、四六時中苛められていないと頭がおかしくなるんだって」

ローターをつけたまま教導任務につかせたり、わざと際どい格好で雑誌の取材を受けさせたりと、
ユーノは嬉々として日頃の痴態を語りだす。恥ずかしさのあまりなのはの頬は朱色に染まるが、
その表情はどこか陶酔しているようにも見えた。

(もっと見て・・・なのはを苛めて・・・・なのはを嗤って・・・・・。)

10年という長い年月をかけて調教されてきたなのはは、自分でも信じられないくらいの痴女へと変貌していた。
不躾な視線も嘲りの笑い声も彼女を悦ばせるスパイスでしかなく、見られていると感じただけで秘唇から愛液が滴り落ちてくる。

(もっと・・・もっとエッチになるよ・・・・なのははもっと変態になるから・・・・・なのはを苛めて・・・もっと苛めて・・・・)

半ば無意識に、なのはは濡れ始めた秘唇に手を伸ばす。

「はっ・・・あっ・あっ・・・ああっ・・・」

5人の視線を一身に受けながら、なのはは己の膣を乱暴にかき回す。
空いているもう片方の手はローターで揺れている胸を揉みしだき、
ローターごとぷっくらと膨らんだ乳首を押し潰した。

「み・・・見へ・・・・もっと・・・あ、あぁぁっ!!」

一際深く指が挿入されたかと思うと、なのはは勢いよくそれを引き抜いた。
直後、なのはは中腰のまま絶頂に達し、股間から間欠泉のように潮が噴き上がる。

「あ・あ・・・ひ・・・・ひもちい・・・」

恍惚とした表情を浮かべたまま、なのははその場にペタリと尻餅をついた。

351エースたちの饗宴 前編D:2008/01/18(金) 03:23:44 ID:VgoXKVTJ
放心しているなのはを脇にどけると、今度はフェイトが真ん中に立つ。緊張からか、肩が少し震えていた。

「ほ、ほんとにやるの?」

不安そうに、フェイトはクロノを見やる。独占欲と依存心の強いフェイトは、痴態を晒すのはクロノの前だけと決めていた。
心にもない変態行為は彼への愛の証なのだ。だが、クロノはそれを知りながらも首を振った。

「どうして・・・・私はクロノの・・・クロノだけの玩具だよ。クロノ以外の人に・・・・あんな・・・・・」

「フェイト」

有無を言わせぬクロノの声に、フェイトは押し黙る。やがて観念したのか、おずおずとショーツを脱ぐと、
クロノたちにお尻を向けて四つん這いになった。やや大きめのお尻は張りのある艶やかな色をしており、
否がおうにも男性陣の視線を釘づけにする。
3人の舐めるような視線に、自然とフェイトの体が強張る。

(見られてる・・・・ユーノに・・・アコース査察官に・・・・クロノに・・・
・・クロノ? クロノが見てる・・・クロノが・・・私を見てる)

クロノが見ている、それは魔法のような言葉だった。
自分で自分を洗脳するように、フェイトは頭の中でその言葉を繰り返した。

(クロノが見てるクロノが見てるクロノが見てるクロノがクロノが私を見てる見てる見て・・・・・・)

段々と込み上げてくる高揚感にフェイトは酔いしれた。もう、彼女の頭の中にユーノもヴェロッサもなのはもはやてもいない。
ただ、愛しいクロノだけが自分を見てくれている。

「う・・・・うぅ・・・・あぁ・・・」

フェイトは両手でお尻を広げ、思い切り力んだ。ピンク色の肛門が捲れあがり、まるで生き物のようにパクパクと開閉する。

「・・・あぁ・・・で、でる・・・・あ、あぁぁぁっ!!」

フェイトの肛門が最大まで開く。直腸を逆流する感覚に耐えきれず、フェイトは頬を床に擦りつけながら悶える。
やがて、ポンっという場違いな音とともに、何かがフェイトの肛門から飛び出した。
何が出てきたのかと、ユーノは何かが転がった方に首を回す。そこには、市販されているものよりも少し大きめのゆで卵が転がっていた。

「これは・・・・卵?」

「ここに来る前に入れてきた。ほら、ここからが見ものだぞ」

クロノの言葉に、ユーノは再び視線をフェイトに戻す。
二度目の決壊は、呆気なく訪れた。

「あ・・・あ・あ・で、とまら・・・あぁぁぁ・・・・・」

それが合図となって、次々とゆで卵がフェイトの肛門から零れ落ちる。伸び切った肉弁を擦られ、
羞恥と絶頂感に首を振りながら、フェイトは秘唇から愛液を迸らせた。

352エースたちの饗宴 前編E:2008/01/18(金) 03:26:44 ID:VgoXKVTJ
いよいよ自分の番となったはやては、ヴェロッサに促されるまま中央に立った。
そして、震える指で上着のボタンを外していく。
他の2人よりも、遙かに緊張していた。
自分は、なのはたちと違って調教されてまだ日が浅い。未だ口だけでヴェロッサをイかせることもできないし、
ましてやあの2人のように淫らな芸など持ち合わせていない。

「さて、お手並み拝見といきましょうか、アコース査察官」

気取った調子でクロノは言う。彼の膝にはグッタリとしたフェイトがもたれかかっていて、
クロノはまるで子猫でも愛でるように彼女の髪を撫でている。
隣では、意識を取り戻したなのはがユーノの頬に執拗なキス攻めを繰り返していた。
ユーノは苦笑しながらも空いている手でなのはの体を弄りながら、期待のこもった目ではやてを見ている。

「そう期待されると困るのだけどね。あの2人の後となると、うちのはやては派手さに欠ける」

上着を脱ぎ、スカートを外す。後はブラウスだけという状態で、はやては指を止めてしまった。
恥ずかしい。純粋な羞恥心がはやての体にブレーキをかけていた。

「ロッサ・・・・・」

「大丈夫だよ。自信を持って」

「そやけどぉ・・・・」

「嫌なら帰っても良いよ。その代わり、明日からは姉さんだけを可愛がろうかな?」

「ま、待って・・・脱ぐから・・・ちゃんと見せるから」

捨てられるという恐怖が恥ずかしさに勝り、はやてはブラウスに手をかける。
これが最後の一枚。ヴェロッサに抱かれた日から、下着は一切身につけていない。

「・・・・・・・・・・・」

恥ずかしさで目をつむりながら、はやては周囲の反応を待つ。

「へぇ・・・・」

「参った・・・こっちの路線できたか」

ユーノとクロノの感嘆の声。
目を開くと、満足そうに微笑むヴェロッサの顔があった。

「素晴らしい。やっぱり君は最高だよ、はやて」
353名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 03:27:58 ID:la3ll+t+
>>うち

で読むのをやめた
354エースたちの饗宴 前編F:2008/01/18(金) 03:28:20 ID:VgoXKVTJ
3人の視線の先にあったのは、まったく毛の生えていない、無毛地帯と化したはやての割れ目だった。
剃ったような跡もなく、まるで赤ん坊のような薄桃色の肌に真っ直ぐな縦筋が走っている。

「僕が毛深い女は嫌いだといったら、勝手に永久脱毛しちゃってね」

「ということは、はやてはずっとこのまま?」

「あそこだけじゃなくて、脇も脛も全部さ。髪の毛以外は二度と生えない」

ずっとこのまま。改めて突き付けられた現実がはやての心を蝕む。
こんな女を抱いてくれる男など他にいない。ヴェロッサに捨てられたら、自分はもう生きていくことができない。

「それじゃ、あれも見せてあげて」

「はい・・・・」

堕ちよう。
なのはやフェイトと一緒に。
覚悟を決め、はやては床に座って足をM字に開く。

『ロッサ専用』

『精液便所』

左右の内腿に、そのようなタトゥーが彫り込まれていた。

「植物性の特殊なインクを使っていて、数日から数週間で消えるタトゥーさ。
何度でも彫り直せるから、その度に違う言葉も書き込める。トリとしては少々地味かな?」

「ううん、十分だよ」

「どこで彫ってもらったんだ? できれば教えてもらいたいな」

3人の笑い声も、はやてには届かない。
これからどんな風に苛められるのだろう?
それだけが唯一の懸念であり、同時に楽しみでもあった。

                               つづく
355B・A:2008/01/18(金) 03:33:44 ID:VgoXKVTJ
以上です。

はやての一人称間違ってますね。

×「う、うん・・・・うち、頑張るから・・・
○「う、うん・・・・私、頑張るから・・・

某魔法使い貸出アニメとごっちゃになってたみたいです。
司書の方、保管庫に編集する際は手直しお願いできますか?
それとも、書きなおして投下し直した方がいいですか?
356名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 04:04:40 ID:NAN29H7s
>>355
……あんたすげーよ。GJ。
でもこれ、このまま行ったら交換とかあるのか?マジか?ジュルり。
でも交換なしの自慢大会でもやることは色々あるからなぁ。
散々自慢しといて交わるのはその組み合わせだけってのも中々……。
無しでも楽しめるなぁ。グフフ。
357名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 06:00:34 ID:KBvj4/r4
交換とか自慢とか所詮野郎空虚なの自己満足に過ぎないよな…
358ゲリラ兵 ◆QCnUms2uBE :2008/01/18(金) 06:53:39 ID:/qkRFo3V
おはようございます〜。わくわくしてもらえればもう本望です
こっからは完全に伏線回収モードで
クライドさん?次出てくるときは夕刊かなw

>306 どっからどう見ても教導の方ですね!レイハさん素敵!でもいいのかなw

>332 まだるっこしいなんてないですよ〜、というかこういう感じのが本来の小説かと……
朝刊なんてかなり異端ですよ……多分ですけど
そしてチンクが可愛い。ヴァニラとか澪とかアイリスとかキャロとか大好物な私には(ターン

>355 ん……?はやての一人称私、か……?もうかなり手遅れな気がしますよ……よ?
朝刊設定にしときますが、よっぽど評判悪かったら……どうしましょうね
某借金執事アニメのせいかもしれません


(注意書き)
[熱血魔法少女"恋愛"アクションSS〜ソラノカケラ〜第52回・under the red of death(4)][当分非エロ][多分シリアス]
シルバーカーテン、もといNG発動キーはタイトルで「ソラノカケラ」「ゲリラ兵」を指定すれば確実に消えるかと思われます

(今日の注意)
引き続きオットーが損な役回りです

では、朝刊
359〜ソラノカケラ〜(52)(1/2):2008/01/18(金) 06:55:16 ID:/qkRFo3V
突然の扇動に戸惑うノーヴェとウェンディ。
(な、なにいってんだ、オットー?)
(そうっすよ?もしあれが降りてきたらみんな死んじゃうっすよ?)
だがオットーの答えは、確固たる信念とはっきりとした意思が宿っていた。
(いいのか?もしあれが消されてしまえば、クアットロは無駄死にだ。
そしてドクターとナンバーズは完全な敗者として歴史に名を刻む事になる。それでもいいのか?)
うさ耳とボードに乗った人が表情を強張らせると、その不穏な空気に気づいたギンガも下から見上げつつ、怪訝そうな表情に変わった。
(負けっすか。そうっすよね。私らは負けたっすよね)
(気にいらねえな。あいつらに負けたまんま終わり?納得いかねえぜ)
(あの大きさの魔法陣、一発入れて一度崩せば、おそらくもう再起動はできない)
オットーの説得力に、気分屋と突撃屋は弔い合戦に乗じる事を決める。
(……やるっすか?)
(……ドゥーエ姉とクア姉だけじゃ地獄も寂しいよな)
(研修にも飽きたっすしここで終わるのもいいかもしれないっすね)
こくり、とオットーが頷くとノーヴェは利き腕に力を篭める。
(ギンガさんはこっちで抑える。ウェンディとオットーは上を)
(了解っす)
(了解)
そして――まさにノーヴェがギンガに振り向き、オットーとウェンディがはやてのところへ飛び上がろうとしたその時、
泣いていたディードが、オットーの服をしっかりと掴んで止めた。
3人の視線が集まった、その末っ子の茶色く長いロングストレートの赤いカチューシャの少女は、涙で頬を濡らしたまま少しずつ声を紡ぐ。
「――これ以上」
一番感情を知らなくて、一番無表情で何事にも冷たかったはずの彼女が、涙を浮かべたままの瞳で、叫んだ。
「これ以上、悲しみを増やさないで!」
双子の片割れの静止に、オットーが諦めたように力を抜くと、ノーヴェとウェンディも仕方なさそうに顔を見合わせる。
そしてその脇に高速で浮かび上がってきた鉄の伯爵を携えた戦闘服姿の紅の鉄騎が一瞬だけ速度を緩めて静止した。
「ああ、悲しみなんて」
「ヴィータさん!」
彼女が上空へ飛び去ると、今度は入れ代わりに炎の魔剣を携えた烈火の将がヴィータの居た反対側で髪をふわりと浮かせながら一瞬だけこちらも静止する。
「少ない方がいいに決まっている」
「シグナムさん!」
その桜色のポニーテールが続いて上空に向かうと、それを目線で追ったディードは、かなり黄色くなってきた陽の光が眩しくて少しだけ目を細めた。
見守っていたギンガも、何があったかは聡く察していたが声にすら出さず、ただ優しく微笑んでいた。
360〜ソラノカケラ〜(52)(2/2):2008/01/18(金) 06:55:51 ID:/qkRFo3V
 陽が少しずつ翳り始め、ベルカ方面の上空に浮かんだ大きな薄い青い月を背に、黄色い魔法陣とフォトンスフィアと無数の魔力弾を周囲に浮かべた
長い金髪の白い外套を纏った執務官――フェイト執務官は、大きく肩で息をしながら、もう一度愛杖にフォトンランサ発射の号令をかける。
「せめてもうちょっと寄せて上げないと……バルディッシュ!もう1セット!」
「Over Limit Near.(これ以上は無理です)」
「くっ……」
なんとか末端まで魔力スフィアを散布し、それなりの引き止め効果には成功した彼女であったが、さして精度は必要ないとはいえ
数万発の魔力弾の維持は自身の才気と優秀なデバイスを持ってしても、もう既に限界と呼べる状態であった。
「じゃあ、このまま維持で」
「Yes, Sir. Keep Mode」
(こっちはまだいい。でも無効化の方は……)
そこでフェイトが赤い光の群れの先に居る、巨大な白い魔法陣を展開した幼馴染の様子を伺ったが、遠くから見ても分かるほどかなり危険であった。
掲げた杖の先から伸びている白い光は今にも途絶えそうな上に、赤い光の降下速度に無効化が追いつかず、杖の先に下部の末端が触れそうな勢いで
挙句肝心の術者の手元がふらついているのだから、どっからどうみてももはや魔法の維持は不可能に見えて、彼女は念話で叫ぶ。
(はやて!もういいから逃げて!はやて!)
だがその呼びかけにすら返答はなく、徐々に魔法陣も薄れていく。
(はやて!返事して、はやて!)

 そして彼女の中に溶け込んでいる、二代目祝福の風、リィンもほぼ同時に同じ呼びかけをしていた。
(はやてちゃん?はやてちゃん!これ以上はもう無理です!はやてちゃん!?)
だが肝心の主はといえば、もう意識も視界も薄れぼんやりと自身の終焉を感じていた。
魔力はほぼ尽き、リンカーコアすら侵食されつつあるような状態で、もはや逃げる事すら叶わない。
(こないだ、ラグナロク空撃ちなんてしたからや……自業自得やな……)
朦朧とした意識の中で、道連れになってしまう末っ子に謝って、それから思い浮かぶのはあの人のこと。
(ごめん、ごめんなリィン。それから……クライド……もう一度、会いたかったな)
何度目か分からない融合騎が名前を呼ぶ声を聞きながら、完全に意識が途絶えようとしたその時であった。
361ゲリラ兵 ◆QCnUms2uBE :2008/01/18(金) 06:56:20 ID:/qkRFo3V
ほいではまた月曜に〜ノシ
362名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 07:20:29 ID:qPfvcQ+V
GJです。
ディードの成長は凄いですね。
精神的には姉妹の中でもかなり大人になってるし。
このまま月曜まで待つのか〜〜生殺しだw
朝刊お疲れ様です。
363名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 07:49:12 ID:ZyZrKtDL
>>362
GJです。やっぱはやてのバカ魔力は異常です。あとナンバーズ、
クワ姉との葛藤が難しいですね。全員生き残って欲しいです。
364名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 09:23:14 ID:vKMQ0UQ/
GJ!
なんという焦らしプレイ……月曜が待ち遠しいぜ
365名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 09:39:30 ID:WfedaukN
>>355
三人娘、同日に仲良く妊娠したら笑えるwww
つか、むしろそろで突き抜けてほしいハァハァ
(受精描写は詳細にウッ)

>>361
いつもはよ〜
月曜ってのは鬱で億劫でアイスクリーム舐めなて癒しているけどよ〜
月曜の朝が待ち遠しくなるぜ!

てっなにギリギリでかいてるんだ漏れはorz
ソレジャ
366名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 12:39:59 ID:la3ll+t+
>>「せめてもうちょっと寄せて上げないと……バルディッシュ!もう1セット!」
胸の話かと思ったじゃまいか
36726-111:2008/01/18(金) 12:42:42 ID:8JSEOoyv
「こんなこともあろうかと」
私としては、あんまり、好きな言葉じゃないです


>>B・A氏
了解、修正はこちらでします

>>どっかのゲリラ兵氏
一人称修正版、用意してありますよ。差し替えますか?ご検討を

それでは
368名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 15:10:59 ID:9VU5GxYA
>366
だっちゅーのポーズの擬人化バルディッシュ(♂)と申したか。

「ワンモアセッ!!」バルディッシュ・ブート・キャンプ?
>367
ええっ!?

「こんな事もあろうかと」は男のロマンですよ。
実際に使った時のカ・イ・カ・ン……♪
369ておあー:2008/01/18(金) 16:04:17 ID:HUh29MnV
男のロマンといえばドリル一択。綺麗なお姉さんにドリルが加われば倍率ドン、さらに倍。
前回レス下さった方、ありがとうございました。
前スレ>>323以降の意見を自分なりにまとめたところ

ヴァイスが闇の書の闇と合体して極太触手やら何やらでヴォルケンズやギンスバ、ロングアーチ、協会、ナンバーズなどを
陵辱しまくるがヴィヴィオに手を出した瞬間魔王が光臨して形勢逆転しみんなでフルボッコ。闇ヴァイスは消滅させられかけるが
シグナムの愛の力で奇跡的に人間に戻り二人は結婚、ラストは数年後子供の寝てる横で弟(か妹)作りに励むヴァイスパパと
シグナムママのラブラブエロで締め

という結論に達しました。無理です。

上記のように一度に色々混ぜすぎると危険なので、とりあえず小さな事からコツコツとやっていきます。
つーことで、まずはキーワード『触手』『陵辱』から行ってみようか。


今回の注意

・三期終了後の話、舞台はスプールス(六課の前にキャロがいた世界)です
・触手的生物にキャロが蹂躙されます、前も後ろも上もブチ込まれます
・暴力描写もあります、エロシーンも人によっては若干グロいと感じるかもです
・ストーリーなど無いも同然、『鬱で救いの無いバッドエンド』へリミットブレイクでテイクオフです
・エリオきゅんとフリードがほとんど空気です。なんでこうなったのか理由を端的に述べると作者にショタ&ケモノ属性が無いためです

注意のテンションがおかしいのはなぜか自分にダメージがフィードバックしてるせいです。
だめな方はオプティックハイドをお願いします。起動キーは『森は危険がいっぱいなの?』です。
370森は危険がいっぱいなの?:2008/01/18(金) 16:05:01 ID:HUh29MnV
「もう、エリオくんたらどこまで行っちゃったんだろうね」
「きゅくるー……」

 キャロ・ル・ルシエは森の中を歩きながら傍らの愛竜に話しかけた。


 機動六課が解散して約一ヶ月。
 キャロと六課時代の彼女の同僚であるエリオ・モンディアルは、キャロがかつて数年間を過ごした場所――第61管理世界
『スプールス』で自然保護官としての新たな日々を送っていた。
 勝手知ったる古巣への復帰であるキャロと違い、都会で生まれ育ったがゆえに戸惑う事が多かったエリオも、さすが男の子と
いうべきかすぐに自然に囲まれた保護隊の環境に適応し、今では空いた時間に一人で森を探検して回るほどになっていた。

「念話も通じないし……やっぱり私もついていけばよかったかな……」

 しかし本来は喜ばしいはずのエリオの活発さが、キャロや他の保護隊メンバーには少しだけ不安でもあった。


 都会育ちのエリオは、自然の本当の恐ろしさを知らない。

 信じられないかもしれないが、どんな魔法や、時にはロストロギアよりも危険な生物だって広い次元世界の自然には数多く存在
しているのだ。自分達が保護しているこの森林地帯でもそれは例外ではなく、それぞれの季節毎に現れる『人間にも危害を加える
可能性がある生物』達について十分に知り、一人で判別できるだけの知識を得るまでは、少なくとも一年は単独行動を控えてほしい
というのがキャロを含む先輩保護官達の偽らざる本音である。
 もっとも好奇心旺盛な少年に一年間の行動制限というのは酷な話だし、加えて彼はただの少年とは違いAAランク級の力を持つ
立派な騎士なのだ。ゆえにエリオが単独行動を取ったとしてもその事を誰も咎めはしなかったし、こうやって毎回探しに行くのは
キャロだけだった。

「もう帰ろうかな……今の時期はそんなに危ない生き物もいないし……あ、そうだ!」

 キャロは何かを思いつくと、愛用のデバイス『ケリュケイオン』を起動し、目を閉じて意識を集中させる。
 しばらくすると彼女の周囲に数個の魔力スフィアが発生し、森中に散らばっていった。

(南東の方角、魔力反応なし。次は……)

 エリアサーチ。
 六課にいた頃に高町なのはから教わった中距離探索魔法である。
 まだ練習中のため広範囲・長時間の探索はできないが、近くにエリオがいるならこれで見つけられるはずである。

『北東方向、200ヤード先に魔力反応があります』
「見つけたっ!」

 ケリュケイオンの音声が探し人の場所を告げる。キャロは探索が成功した喜びに小さな両の拳を握り締めた。

「うまくいった……でも結構魔力を使っちゃったし、やっぱりもっと練習が必要だよね……」

 額の汗を拭いながら反省する。
 帰ったらもう一度術式を見直してみよう、そんな風に考えながらキャロはフリードを伴い森の奥へと歩を進めていった。




『森は危険がいっぱいなの?』
371名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 16:05:58 ID:/TzgB3wk
クア姉生きてるに3000ペリカ…っ!
372森は危険がいっぱいなの?:2008/01/18(金) 16:06:40 ID:HUh29MnV
 起伏のある森をしばらく進むと、エリアサーチの結果通り探し人の姿が肉眼でもハッキリと確認できるようになった。しかし――


「あれ……? エリオ……くん?」

 
 初めのうち、キャロはエリオが植物の蔓か何かをロープ代わりにして遊んでいるのかと思った。
 しかしさらに数歩近づき目を凝らした瞬間、そうではない事に気づいた彼女はバリアジャケットを着装し駆け出す。


「フリードっ! ブラストフレアーっ!!」

 傍らの小さな飛竜に命じながら、自身も魔力弾を形成する。

「エリオくんを……放してっ!!」

 火炎弾と魔力弾が放たれる。
 標的はエリオの全身にぬめぬめとした緑色の触手を巻きつかせた異形の物体。
 二種類の攻撃を連続で受けたそれは、全身を身悶えさせながらもエリオの体を離そうとはしない。

「このおっ! 離せえぇーっ!!」
『Wing Shoot』
 キャロがさらに複数の魔力弾を放つ。
 狙いはエリオの体に巻きついている触手。現在のキャロが単独で使える最大威力攻撃である十数発の魔力弾一斉射撃は立て続けに
目標に着弾し、人の腕ほどの太さを持つ触手は根元から千切れ飛んだ。

「エリオくんっ!! しっかりしてエリオくんっ!!」

 キャロは地面に投げ出されたエリオに飛びつくと、未だ彼の体を縛る触手の先端を強引に引き剥がす。間近で彼の様子を観察した
キャロは、ぐったりとした彼の口元から垂れる粘液を見て、状況が予想以上に悪い事を悟った。

「いけない……!」


 エリオを襲っていたのはスプールスでもこの森にごく少数だけ生息する『ルクタンテ』という生物だった。
 この生物は分類上は植物だが行動は一部の動物に近く、大きな物では体長数メートルにまで成長する。
 外見は一見すると巨大な蕾のように見えるが、動物などの獲物が通りかかると『狩り』をするため板の様な四枚の花弁を開き真の
姿を現す。それはイソギンチャクのような形をしており、数十本の触手を素早く動かし獲物を絡め取る。そうして獲物を捕獲した
後は、再び花弁を閉じて完全に逃げられないようにしてからゆっくりと獲物の体液を吸い尽くしていくのだ。

(早くエリオくんをベースキャンプに連れて行かないと……)

「フリード! 竜魂召喚!!」
「ギャウウウウッ!!」

 キャロはフリードの真の姿を戻すと、その背にエリオを載せる。
 キャロもそのままフリードに手をかけたが、不意にある物に視線を奪われその手を離す。
373森は危険がいっぱいなの?:2008/01/18(金) 16:07:09 ID:HUh29MnV
(エリオくんの……ストラーダを!)

 
 キャロはうねり続けるルクタンテの横を駆け抜け、地面に転がっているパートナーのアームドデバイスに手を伸ばす。

「きゃあっ!?」

 不意に何かに足を取られ転んだ。足元に目をやると、ルクタンテから伸びた触手がしっかりと足首に巻き付いていた。

「い……やっ!」

 ストラーダを拾い触手に突き立てるが、触手は激しく蠢動しながらも巻きつく力を緩めようとはしない。ならばもう一度魔力弾で、
そう考えた時ストラーダを握っていた右手にも触手が絡みついた。

「しまったっ……!」

 エリオを救出した後すぐにその場を離れなかった事を後悔するが、反省している時間は無い。キャロは次々に自分に向かってくる
触手を視界に捉えながらフリードに命令する。

「フリードっ! 私の事はいいから、エリオ君をミラさん達のところへ!!」

 フリードは一瞬その場に留まる素振りを見せたが、竜使役の力には逆らえずキャロを森の中に残し上空へと羽ばたいてゆく。
 一人残されたキャロは三度魔力弾を形成し、目の前でうねる巨大生物に対峙した。


 実はルクタンテには養分として捕食する以外にもう一種類、捕獲した獲物の使い道が存在する。
 今回ルクタンテは捕獲したエリオを閉じ込めず、体液も吸っていないためおそらくそのもう一つの用途に彼を使ったと考えられるが、
キャロの推測が正しければエリオには一刻も早い処置をする必要がある。その為フリードを先に行かせた。


(……大丈夫……一人で乗り切れる!) 

 植物である以上、一定以上の距離がとれればこちらを攻撃する手段はない。距離を取るだけなら自分一人でもできる。
 それに……何より真の姿に戻ったフリードの炎では、威力が強すぎてルクタンテを『殺して』しまう。自然保護官としての義務感、
そして彼女生来の優しさ。そういったものがこの状況下においてなお、キャロに相手の事を気遣かわせていた。
 
 それが彼女にとって最悪の事態を呼ぶ事も知らずに。

(まずはこの触手を何とかしないと!)

 魔力弾をルクタンテの本体に向けて発射。着弾の瞬間ルクタンテが体を揺らし、キャロに向かって侵攻していた触手の動きが
止まる。あわよくば手足を縛る触手も緩めば……と思ったが締め付けは弱まらず、キャロは第二の手段に出る。

「ケリュケイオン!」
『Protection!』

 キャロの周囲に薄い桃色の障壁が発生する。同ランクの魔導師と比較しても強固なバリアだが、今の状態では新たな触手は防げても
既に絡みついている触手は外せない。ゆえにキャロはさらなる呪文を行使する。
374森は危険がいっぱいなの?:2008/01/18(金) 16:07:42 ID:HUh29MnV
「バリア……バースト!」
『Barrier Burst!』

 バリア表面の魔力を集束して爆発に変え、バリア付近の対象を弾き飛ばす攻性の防御魔法。
 この魔法もエリアサーチ同様練習中で、なのはと違い相手だけを吹き飛ばす事はできないが今回の場合自分も吹き飛んだ方が
確実に距離を取れる。 
 


 はずだった。


「くうっ!?」

 爆風を受け、浮き上がったキャロの体は後方に吹き飛ばぬまま何かに引き戻され地面に落ちる。
 目をやった先にあったのは触手。足首に絡んでいた方の触手が完全に千切れずほんの僅か、文字通り皮一枚分ほどだけ残って
キャロの離脱を阻んでいた。

(どうして!? ううん、今はそんな事よりも脱出を――)

 混乱する頭の中で、何とか触手を断とうとストラーダを構えるキャロだったが、ほんのコンマ数秒の遅れが、ルクタンテに反撃の
時間を与えてしまっていた。

「きゃあっ!」

 数本の触手がキャロの両足に絡みつき、その体を強引に引き摺る。
 何とかしなければ、と焦るキャロをさらに別の触手が縛り上げた。

「うぅっ、くううっ!」

 巨大な手で全身を握り締められるような痛みにキャロは苦悶の声をあげる。触手で創られた巨大な『腕』はそのままキャロの体を
高々と持ち上げると、加速をつけて地面に叩きつけた。


「か……はっ……!!」


 防御魔法を行使する時間は無かった。
 呼吸ができない。
 痛みに意識が寸断される間に、『腕』は今度は水平に振られ太い樹木に叩きつけられる。

「うああぁあっ!!」


 地面、地面、木、地面、木、地面……

 ルクタンテは触手を失った怒りをぶつけるかのように、キャロの体を滅茶苦茶に振り回し叩きつける。
 その度にキャロの鉄槌で打たれたかのような激痛に襲われ、小さな体の何処から出るのかと思えるほどの悲鳴が森に響く。

 薄れゆく意識の中で、キャロはなぜバリアバーストが失敗したのか考えていた。

 おそらく主な原因は、実戦で使い慣れていない呪文だったせいで魔力の集束がうまくいかなかったからだ。
 それに自分にもダメージが及ぶ事を恐れて、無意識に手加減してしまい十分な威力を得られなかった。
 自分が完全にバリアバーストを使いこなせていれば、こんな事にはならなかった。練度の低さゆえに有効だったはずの呪文が、
結果的に最悪の結果をもたらしてしまったのだ。
375森は危険がいっぱいなの?:2008/01/18(金) 16:08:06 ID:HUh29MnV
 バリアジャケットのマントが弾け、キャロの体を縛っていた触手が同時に爆散した。ジャケットのパージ、最後の防御手段だったが
地面に投げ出されたキャロに逃げるだけの力は残されていなかった。未だ半分近く残っている触手が彼女の体を組み敷き、四肢を
完全に拘束する。

「あ、ああぁ……」

 やがて、他の触手とは違う、黄土色の細い触手がゆっくりとキャロの体に伸びてゆく。
 この後自分が何をされるのかキャロは知っている。ルクタンテの『捕食以外、もう一つの獲物の用途』。


 それは、体内に自身の種を埋め込むこと。

 体中の穴から獲物の内に侵入した触手は体内にある種の神経毒、そして無数の種子を注入し獲物を開放する。
 開放された獲物は当然その場から離れるが、十分に距離をとった頃に種子と共に体内に注入した神経毒が回り始め、獲物の自由を
奪う。そして仮死状態になった獲物を養分に種はゆっくりと成長していくのだ。


「ふぐうっ!?」

 悲鳴を上げようとした口に触手が捻じ込まれる。
 他の触手よりは細いとはいえ、顎が外れかねないようなサイズである。キャロは首を振って必死に抵抗するが、触手は意に介さず
グングン内部に侵入していく。

「んん、んっ、んむっ、んんんーっ!!」

 息が出来ない。
 気持ち悪い。
 吐き出したい。

 呼吸の出来ない苦しさ、触手に蹂躙される屈辱、これから起こる事への恐怖……様々な感情が一度に押し寄せ、キャロの目から
涙が零れ落ちる。
 その時、喉の奥まで達していた触手が引き抜かれた。

「げほっ、ごほっ……ううっ、ううっぷっ……」
 
 脳が酸素を求めて激しく深呼吸するが、一方で胸の奥からは嘔吐感が湧き出てとにかく中の物を押し出そうとする。
 相反する二つの本能に苦しむキャロの口内に向けて再び触手が伸びた。

「んーっ! むうぅーっ!!」

 嫌だ。
 絶対に嫌だ。
 口を真一文字に閉じ、頭を滅茶苦茶に振り回して異物の侵入を阻む。
 その動きにまだ獲物が弱りきっていないと判断したのか、手足に巻きついた触手が勢い良くキャロを持ち上げると、そのまま地面に
叩きつけた。


「……が、はっ!!」
376森は危険がいっぱいなの?:2008/01/18(金) 16:08:39 ID:HUh29MnV
 背中を強く打ちつけ、キャロの動きが止まる。開いたままの口に再び触手が飛び込んだ。

「ごぼっ!?」

 触手は今度は無理に奥まで入り込むような事はしなかった。どうやら先程の行為は其処がこれから種子を注ぎ込む場所に適している
かどうか調べる為だったらしい。触手がぶる、と震えると、先端からどろりとした液体に包まれた無数の種が勢い良く放出され
キャロの体内に注がれる。


「が……! ごっ……! んっ……んむっ!! むぅ……っ!!」

 粘液の強い苦味が喉に溢れ、身体と脳が液を放出しようとする。
 口腔は完全に触手で塞がっているため、注ぎ込まれた種と液は嚥下するしかないのだが、それでもあまり量の多さに飲み干し
きれなかった分唇の端々から白い液が糸を引いて零れ落ちていった。

「……ぅ!! ……っ……」

 キャロの意識が遠くなる。
 窒息死、溺死の恐怖も頭の中から消え、狂ったように暴れていた――といっても手足は完全に固定されていたので腰を前後に
動かす、ある意味扇情的な光景でしかなかったのだが、その体からも力が抜けてゆく。
 涙に滲んだ視界が、ぬちゃぬちゃと触手同士が擦れ合う音を捉え続けている聴覚が、ツンと鼻をつく悪臭に慣れ始めた臭覚が、
相変わらずがっちりと両の手足を押さえ込んだ触手を感じる触覚が、それぞれ少しずつ失われてゆく。

 そして口の中いっぱいに広がる苦味さえも味覚の消滅によって感じなくなった頃、再び触手が引き抜かれた。


「……は……ぁ……げほっ……げぼぉ! ごぼぐぼぉっ!!」

 限界まで注ぎ込まれていた粘液が、栓代わりになっていた触手が抜けた事で勢いよく逆流する。
 キャロの口から流れ出した白い粘液と黒い粒状の種子がバリアジャケットをドロドロに汚した。

「ご、ぁはっ……ごほっ……お願い、もう……」

 呼吸を阻害する白濁を全て吐き出し、ようやく気道を確保したキャロが久々に言葉らしい言葉を呟く。
 しかし幼気な少女の心から懇願に対する返答は、さらなる触手からの陵辱だった。

「……い、いやっ……げほ……やめ……」

 一つ目の穴に『仕込み』を完了したルクタンテはさらに別の穴を求め数本の触手でキャロの体を撫で回す。邪魔なバリアジャケットは
あっさりと剥ぎ取られた。キャロの魔力が弱まっているからなのか、それとも触手の力が強いのか、或いはその両方か。理由は
何であれ、触手はバリアジャケットの上着を引き裂き、スカートを破り捨てる。最近つけ始めた可愛らしいピンクのブラとショーツは
素肌との間に滑り込んだ後豪快に千切り飛ばした。

「あ、あ……」
 
 一糸纏わぬ姿。
 ついに何も護るものが無くなった少女の肉体が緑の腕で撫で回されてゆく。敏感な胸はひと撫でされただけで通過していくが、
もう一つの敏感な箇所……下の口はそうはいかないだろう。

「やだよ……嫌だよ……そんなの……エリオくんにだって、まだなのに……」
377森は危険がいっぱいなの?:2008/01/18(金) 16:09:06 ID:HUh29MnV
 現実から逃れるかのように、脳裏に浮かんだのは優しい『パートナー』の姿だった。
 だが、彼は既に陵辱されている。恐らくは自分がされたのと同じように。彼を助けたのはキャロだった。

 だとしたら、自分は誰が助けに来てくれるのだろう。

 エリオはここにはいない。フリードもエリオと一緒だ。

 スバルやティアナ、六課の仲間? 今は皆別々の世界でそれぞれの道を進んでいる。
 きっと自分がこんな事になっているだなんて、夢にも思っていないだろう。

 そうだ。ルーテシアだって、なのはだって、フェイトだって……誰も私に気づいてくれない。きっと助けてくれない。


 触手が小さな割れ目を見つけた。
 まだ誰にも許した事のないその場所に、触手が照準を合わせ……勢い良く打ち込まれた。



「いっ……あぁあああぁぁあぁああぁっ!!」


 刹那の虚無の後、世界が白く染まった。
 まだ未成熟なそこに入ったのは、成人した女性でも受け入れられないサイズのモノ。
 止まらない絶叫の理由を示すかのように、赤い雫がつ、と一筋垂れた。

 破瓜の血だけではない。幼いキャロの体が股下から引き裂かれた証だった。

「うあああぁっ! ああっ、いやあああああああああああ!!」

 口内の時と同じように、触手は奥へ奥へと侵攻していく。しかしさすがに一気に押し込むのは無理があったらしく、一度引き抜くと
少し押しては引くといった具合に、前後運動を繰り返しながら少しずつキャロの膣内を押し広げていく。
 
「やっあっ、い、た、いぃいぃぃっ、うあ、あああああああぁっ!!」

 キャロに快感など無い。触手に多少のぬめりはあるが元々のサイズが不釣合いすぎる事もあって全く潤滑油の役目は果たしていない。
おかげで自分の内部が掻き回され、『改造』される痛みを直に味わい続ける事になる。

 誰か助けて。
 お願いだから早く終わって。

 そう願いながら触手が満足な出来になるまで、ひたすら耐える。

 やがて、引き抜きと最奥の行き来を繰り返していた触手が、膣の入り口辺りで動きを止めぶるりと震えた。


「ふあ、あああ、あああああああああああぁあうっ!!」

 
 膣への放出。

 植物であるルクタンテは、そこが人間が子を成す場所だと知るはずもない。それでも先程口内に放出したよりも遥かに多い種と液が
注がれキャロの幼い秘所を黒粒混じりの白に染めた。入りきらなかった粘液は紅い血と混じりあい、毒々しい桃色の泡となって
入り口から噴き出していた。


    ◆

378森は危険がいっぱいなの?:2008/01/18(金) 16:09:32 ID:HUh29MnV
 や……っ、と……お……わ……


 既に意識は半ば自分の物では無くなっていた。
  
 度重なる暴虐はキャロの精神に許容量を遥かに超えるダメージを与え、なおも触手はさらなる苗床を探して彼女の身体を這い回って
いる。疲労と苦痛の極限状態に置かれ、彼女はもう自分の身に起こった事を客観的に見つめる事で崩壊を防ぐしかなかった。


 触手が膣のすぐ近くにある、もう一つの穴の存在に気づいた。先二回と同じように、狙いを定め一切の躊躇無く貫く。


「ぎゃあぁあああああぁあああぁっ、ああっ、ああああああああーっ!!」


 何処かで……誰かが叫んでいる。いや、この声は私だ。

 痛いのかそうでないのかわからない、たぶん激痛だ……確かに感じる。

 これ以上……叫んだら、苦痛を……味わったら、きっと、私は、壊れてしまう。


 自分が壊れかけているのを感じながら、なぜ壊れかけの自分が自分で壊れかけているのがわかるのか少し思案に暮れた。


「ひあああああっ、も、う、やあああああああぁーっ!!」

 ああ、いけない。

 こんな事を考えている場合じゃなかった。

 私は酷い有様だ。このままだときっと完全に壊れてしまう。私には助けが必要だ。


 だけど私に助けは来ない。だったら、私が私を助けなければ。

 魔力はもう空っぽだ。フリードはいない。


 でも私には、もう一騎の竜がいる。


    ◆


379森は危険がいっぱいなの?:2008/01/18(金) 16:10:01 ID:HUh29MnV
「……ぐうっ! ……ああ、っ……ああぁぁぁあっー!!」


 それまで地面にキャロを磔にしていたルクタンテだったが、さすがに仰向けの状態で菊門への挿入はやりにくかったのか、一旦
完全に放出用の触手を抜き、手足を固定していた触手を持ち上げキャロの身体を地面に垂直に立たせる。そのまま空中で大の字に
固定すると改めて挿入、そして前二回と同様に調整の前後運動を繰り返す。

 衝撃にひたすら悲鳴を上げ続けていたキャロに変化があったのはそんな時だった。

「……ん、くあっ、てんち……つうっ……らぬ、くっ……あぁっ、いぃぁあっ! ご、うか、の、うあああああっ!! ほうっ! 
こうっ!! んくううぅーっ!!」


 意味を成さない絶叫の中に、確かな言葉が混じり始める。


「わ、が! もおぉっ、ああぁーっ!! とにっ! こ……よ!! んはあぁあっ!!」


 ルクタンテの先端から、さらに三本の放出用触手が伸びた。その内一本は膣に刺さり、前後二本の触手が壊れた玩具のように
キャロの肉体を振り回す。

「りゅう……うあっ! ぐうっ! はぁあっ!! しょ、う、らっ……あ、あ、ああああああぁあっ!?」

 残り二本のうち一本、他の触手とは何回りも小さな触手がそれまで見過ごされていた臍から体内に侵入した。同時に残った一本が
口に突き入れられ、キャロは合計四箇所に触手を挿入される。


    ◆


 困った……

 口を塞がれてしまうと……詠唱が……できない
 

「ん、むうっ、んんっ、く、ん、んんーっ!!」


 こんな……詠唱で……彼は来てくれる……だろうか……

 いや、きっと来る……詠唱など無くとも……私が望み……私が……その、名を……呼べば……きっと……私の危機に、彼は来、る……

 ……問……題は……それまで……わた……し……が……も……つ……か……


    ◆

380森は危険がいっぱいなの?:2008/01/18(金) 16:10:35 ID:HUh29MnV
「だから、魔導師の救援を頼むって言ってんの! 保護官が一人危険生物に襲われて、もう一人もヤバイんだよっ!!」

 同時刻。悲劇の現場となった森から少し離れた自然保護隊のベースキャンプに怒声が響き渡った。
 叫んでいるのはポニーテールの女性。そのすぐ横を眼鏡をかけた男性が通り過ぎ、ベッドに寝かされている少年に声をかけた。

「しっかりしろよエリオ……今助けが来るからな……」

「いい加減にしろよ! 次元犯罪者を追うのが大事だか知らないけど、その為に辺境の保護官一人は死んだって構わないって
こと!? Bランクの魔導師一人でいいの、私達じゃあの子を助けられないのよ! お願い……!!」

 怒声が涙声に変わった時、轟音と共にベースキャンプが揺れた。

 女性は通信機を持つ手を、男性は濡れタオルを絞る手を止めお互いの顔を見合わせる。

「なに、今の!?」
「見てくる!」

 男は部屋を飛び出し、建物の外に出て――そして見た。


 巨大な漆黒の怪物を。 
 
「化け物……いや、もしかしてアレは、いつかキャロが話してくれたチビ竜じゃないほうのもう一匹……?」

 その呟きに呼応するように、怪物が男の方を向き二個の巨大な火球を発生させる。

「……ちくしょう。森で何が起こったっていうんだよ……!」


 男の疑問は放たれた紅蓮の波に飲み込まれた。


    ◆


 ニュース速報


 ただいま入りましたニュースによりますと、第61管理世界『スプールス』の自然保護区画において大規模な火災が発生
しました。

 火災の原因は不明、延焼区域は半径数百キロに及び、史上稀に見る大火災に発展する恐れがあります。近隣住民はすぐに
避難し……


    ◆

381森は危険がいっぱいなの?:2008/01/18(金) 16:10:59 ID:HUh29MnV
 てっきり眠っていると思っていたが、フェイト・T・ハラオウンが病室を訪れると彼はベッドから半身を起こし笑顔で彼女を
出迎えてくれた。

「フェイトさん……来てくれたんですね」
「ごめんね……本当はすぐに駆けつけたかったんだけど、どうしてもやらないといけない事があったんだ……本当にごめんね。
エリオ……」
「いいですよ。ボクのせいでフェイトさんの仕事に支障が出る方が嫌ですから」

 そう言って、エリオはまた屈託の無い笑みを見せた。
 その笑顔はどこまでも彼女が知るエリオの笑顔で……フェイトは目の前の少年が数週間後には確実に死ぬ運命にある事を一瞬
忘れそうになった。

「身体のほうは、大丈夫?」
「まだ麻痺の程度は軽いですから、日常生活を送るくらいなら心配ないです。ただ……もう模擬戦はできないですね」
「シグナムが言ってたよ。普段からできないできないって思うと、本当にできなくなっちゃうって」
「あはは、シグナム副隊長らしいですね。じゃあ訂正します、しばらくは模擬戦はできそうにないです」
「そっか……じゃあ早く元気にならなくっちゃね」

 
 あの後。


 キャロが召喚した『漆黒の怪物』――ヴォルテールは、広大な自然保護区画のほとんどを殲滅砲撃で焼き尽くした。

 真竜クラスの竜の暴走も、それによって引き起こされた大規模な火災も人間に止める術はなかった。スプールスに向かった
救助隊ができたのは、壊滅したベースキャンプの跡地で奇跡的に生存していた一人の少年を保護する事だけ。そしてその少年も
また深刻な生命の危機に瀕していた。

 体内に埋め込まれたルクタンテの種子は、ほんの数時間で発芽し獲物の臓器や神経を急激に侵食していく。種を埋め込まれた者を
救うには、種子が発芽するまでの数時間以内に体内を洗浄し、種子を完全に排除してしまうしかない。
 しかし黒竜や火災の対策に追われ混乱していた局が人員を集めて救助隊を編成しスプールスに送り出した時には、既に少年の
タイムリミットは過ぎた後だったのだ。

 それでもまだ生存の可能性が完全に潰えたわけではなかった。侵食を受けた箇所を総て摘出し人工の代替品と交換する。勿論
拒絶反応の可能性も少なくないが、このままでは確実に死を迎えるという状況下では悪い賭けではないといえる。
 そう説得された少年が出した返答は……手術の拒否だった。


「……フェイトさん」

「なに? エリオ」
「最近、ボクのお腹の中で、何かが動いてるのをハッキリと感じるんです。お腹の中に赤ちゃんがいる女の人って、こんな感じ
なんでしょうか……?」
「うーん……私はまだ子供を産んだ事がないからちょっとわからないけど……もしかするとそうなのかもしれないね」
「そうですね……」

 先に見舞いに来ていたなのはから、エリオはまるで自分の体内で育つルクタンテについて子を慈しむ親のような表情で語ると
聞かされていた。今のエリオを見ると、ヴィヴィオという子を持つなのはがそう感じたのも当然かもしれないと、フェイトは思う。
382森は危険がいっぱいなの?:2008/01/18(金) 16:11:41 ID:HUh29MnV
 『スプールス大火災』と呼ばれるようになったあの大火は、森だけでなく其処に生息していた多くの希少生物も根こそぎ焼き尽くし
絶滅させてしまった。そうして消えた生物のうち、一種類でも絶滅を免れさせる事ができるというのであれば、自分の命などは
どうなっても構わない。
 
 それが手術の申し出に対しエリオが出した答えだった。

 彼が本気でそう思っているのか、それともキャロや保護隊の仲間を失って自棄になってしまったのかはフェイトにはわからない。
 ただ今も彼の中では無数のルクタンテが彼の命を削って成長し続けており、『親しい人達との別れの時間を持つ』という理由が
あったこれまでは薬で侵食を抑えていたが、最後の親しい人――フェイトがこうしてエリオと出会ってしまった以上、これから侵食は
加速度的に進行していくだろう。
 全身を侵食され、数週間かけてゆっくりと全てを絞り尽くされていき、そして最期には干からびた彼を突き破り、彼を襲ったのと
同じ姿のルクタンテとなって種の存続は果たされる。

「あ、そろそろ面会時間が終わります。早く行かないと、看護婦さんに怒られちゃいますよ」
 時計を見つめながらエリオが言う。

「そっか……じゃあまた来るよ」
 フェイトは立ち上がり、エリオの体を抱きしめた。

「待ってます。でも……もしその時に寝ちゃってたらごめんなさい」
「だいじょうぶ……その時は、エリオが目を覚ますまで待ってるから。ねえ、最後に一つだけ……聞かせてもらってもいい?」
「なんですか?」
「あの日、どうしてエリオは一人で森に行ってたの? その……もし話したくないなら構わないんだけど」
「……花です」


 花?


 はい。この季節にしか咲かない、とても綺麗な花があるってキャロから聞いたんです。
 でも凄く珍しくてめったに見つからないから、キャロも話に聞いただけでまだ見た事はないって……だからこっそりその花を
見つけて、彼女を喜ばせてあげたかったんです。あの時、見つけてたんですけどね……ルクタンテのすぐ側で咲いているのを……


    ◆

383森は危険がいっぱいなの?:2008/01/18(金) 16:12:03 ID:HUh29MnV
 フェイトはエリオを起こさないようにそっと病室のドアを閉める。

 廊下に人影が無い事を確かめると、ポケットから小瓶を取り出し、手に持っていたそれを入れた。


 数本の紅い髪の毛。
 彼の一部であり、そして将来、彼の全てになる重要な物だ。

 
 小瓶を少しだけ見つめた後ポケットに戻す。ゆっくりと廊下を歩き出すと、ポケットの中でもう一つの小瓶とぶつかり小さな音を
立てた。

 もうきっとここを訪れることは無いだろう。彼の温もりはしっかりと刻んだし、第一救えなかった彼に笑顔を向けられる権利など、
自分にはありはしないのだから。


「……なのはは怒るだろうな」
 そっと声に出して呟く。

 誰か自分を知る者がその声を耳にすれば自分を止めてくれるかもしれない、そんな風に考えながら。けれど相変わらず廊下は
静寂を保ったままで、彼女は迷いを振り切るように歩を早める。

 だけど、彼女は娘を護るためになら何時だって全てを賭ける。
 ならば私も同じだ。『母親』として子供達にしてあげられる事、もうこんな事しかないけれど――



 大丈夫だよ。エリオ、キャロ……私がちゃんと、創り直してあげるから。
 

384ておあー:2008/01/18(金) 16:13:00 ID:HUh29MnV
以上です。お付き合いくださった方、ありがとうございました……
標的を誰にするかは一寸悩んだのですが、とりあえず最近主役話がない気がするキャロにしました。スプールスが舞台なら
MHK(ミッド放送協会)製作の番組『いきもの次元紀行』とかで生態が紹介されてそうな変なナマモノも書けますし。
んで最初は「エリオくん……私汚れちゃった」→「大丈夫だよキャロ、ボクが綺麗に(ry」的な続編を書けそうな程度のラストに
しようと思ってたんですが、オベリスクの黒神竜出したら全部ぶっ飛ばされましたよああもう。キャラ選択は重要ですよね……
理論でなくて感覚でプロットを組むと作品に続編付加ならぬ続編不可効果がつくという話でした。


あとどうしてもレスしたかったので亀ですが

>>74
み…見たい! 刺激される…好奇心がツンツン刺激される…どうしても見てやりたくなるじゃあないか!
露伴先生ばりに完成を心よりお待ちしてます。しかし貴方のクロフェはガチすぎるのでカリムの入り込む余地がない気がw

>>237
復活ッ! 26-111氏復活ッ!!
リアルタイムで巡回ネタを見てた自分としては完全版が見れて感無量であります。次回作も期待しています。

ゼスト×チンクにざふぃふぇとマニアックカップリング好きの自分としては最近嬉しい流れだが自分で台無しにしてる感が
ある今日この頃。
385名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 17:19:40 ID:6003+/eV
フェイトさんとエリオが子作りをですね…
そしておめでたへと……
386名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 17:44:20 ID:WfedaukN
>ておあー氏
や、やりやがった!!
禁断の触手鬱展開プレイッッ!

しかもフェイトがプレシアママ化してさらにヘイト度が急上昇


しかし!
そこに痺れる、憧れるゥ!
(俺はちゃんとわかってるんだぜ……ておあー氏はこのあとエリキャロのラヴラヴでエロエロなSSを書いてくれるって……)
387名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 17:45:41 ID:AhlaMOs0
鬱分補給
ふぅ〜、スゲェーエロエロなものをみちまったぁぁ〜
しかしどうってことGJ
388名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 18:14:38 ID:RLgcd5wx
GJ。
触手分よりも、エリオの運命よりも、
何よりブラックに感じたのはフェイトだった…
確かにそれはなのはに怒られるわ…
389名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 19:38:12 ID:KBvj4/r4
…なんとも哀しい決意だな…
390名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 21:10:07 ID:28xxIWqs
プレシアフェイトのネタが手元にある身として改めて思う。
フェイトさんそれだけはらめええぇぇぇぇぇ!!!
391名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 21:35:04 ID:1OUvvs6v
GJ!!
スカ博士の技術があれば死者蘇生が出来るから困り者だぜw
392ておあー:2008/01/18(金) 22:02:04 ID:HUh29MnV
>>386
つまりこういうことか?
『俺はエリキャロのラブラブでエロエロなSSを書かないかぎり先へは進めない………』


393名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 22:05:18 ID:MOINlEDB
>ておあー氏
GJ・・・・・というか・・・なんというか・・・・・・
エリオ死亡後、なのはさんにプレシア化がバレて、無印11話以来のガチバトル・・・・・
というか、喧嘩が始まるのを妄想した私は間違い無くバトル厨
394名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 22:19:36 ID:S8FheLKG
>>384
ひぃぃっ…!触手+陵辱+鬱展開+フェイトのプレシア化
何だ、この凶悪なブラックコンボは!GJだ!
395:名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 22:20:53 ID:pFcPRWFY
>>355
   ∩               
   ( ⌒)       ∩ グッジョブ 
   /,. ノ      l 'uu      
  / /      / /"             
  / / _、_   / ノ    
 / / ,_ノ` )/ /      
(        /    
 ヽ      |     
396名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 22:26:17 ID:zTnXVGMB
フェイトだとクローンはクローンで尊重しつつアルハザード目指しそうだぜ。

プレシアより最悪な事態に。
397名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 22:29:22 ID:gIII5apF
>>392
『E x a c t l y (そのとおりでございます)』
398名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 22:30:49 ID:1OUvvs6v
スカ博士とか監獄から奪還しそうですよね。
399名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 22:38:03 ID:zTnXVGMB
ただしスカとクアは首輪に鎖付き
400名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 22:45:06 ID:1OUvvs6v
収監組みとライトニングで次元海賊兼便利屋をするしかないw
401名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 23:13:30 ID:6X0dAzkJ
スカリエッティ「大漁を!」
フェイト「あいよ!」
402名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 23:25:24 ID:RLgcd5wx
まぁいずれにせよなのはとの決戦は避けられそうに無いな…
403名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 23:40:10 ID:tLUQQWH2
>>402
つまり再生ライトニング+収監組VSスターズ+更生組のガチバトル、
八神家は戦後に何とかハッピーエンドに持っていく為の政治闘争ってわけだな。
404名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 23:48:53 ID:8n7Dsai8
八神家vsなのは家(ライトニングの2人はここ)vsナカジマ家(更生ナンバーズはここ)

これでガチバトルしたら何処が強いかな…
405名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 23:55:17 ID:ZCQusXCf
なのはのとこは聖王と超人兄姉がいるからな
406名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 23:56:55 ID:7lPb/xoE
>>404
イタチもどきと高町父兄姉を連れてきたら大分バランスが崩れる
407名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 00:00:59 ID:6X0dAzkJ
あかん、散々既出だろうがナカジマなんて単語でバトる話になると「野球やろうぜ!」に思えて仕方ない。
408名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 00:11:58 ID:tvrENdSB
>>404
何言っているんだ。更正ナンバーズ付きのナカジマ家は八神家に吸収合併されているに
決まってるじゃないか。だから性格には八神一族vs高町家となるのさ。
409名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 00:16:54 ID:jpZRDQYm
>>408
それはあれか、もしかしてはやてとゲンヤが結ry
410名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 00:25:39 ID:tvrENdSB
>>409
もしかしなくてもそうなのだがな・・・・・
母親役のボスが総合ssランクで、新しく融合デバイス手に入れたニート侍にヴォルケンズ。
AMF状況下では無敵な戦闘機人が7体+2(ナカジマ姉妹)。

・・・・・・・・・・あれだ、クーデター起こしても普通に成功しそうだな。



親友が邪魔しない限りは。
411名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 00:25:50 ID:TpgzQYVP
>>409
まあまて、
ひょっとしたらザフィーラがスバルかギンガかノーヴェと結婚してるかもしれない。

ホント確実にどうなるかわからないエンディングにしやがった都築には困ったものだ。



あと>>397GJw
412名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 00:29:43 ID:jpZRDQYm
>>411
どうなるかわからないからこそ俺らが妄想できるのさ。
ガチガチに固められたらキャラ動かしにくいしな。
まぁそんなわけで4期は別に無くてもいいかなーなんて思ったりする今日この頃。
413名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 00:57:40 ID:ocE2HUQN
誰か>>404の設定な模擬戦書いてくれんかな…
414名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 01:05:25 ID:rBa5+lQX
>>413

なんつうか、町の1個や2個は壊滅しそうだな、その模擬戦。
うっかり隊長陣がブレイカー級の魔法をぶつけあったら・・ぶるぶる。
415名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 01:06:58 ID:6fvDSsJd
下手な腕だと「ハイハイTUEETUEEEE」になるから半可通じゃむりぽ
416名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 01:22:14 ID:jpZRDQYm
しかもキャラ数がエラいことになりそうなんで、
誰が何をしてるのか把握することすら困難になりそうだ。
417名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 01:31:23 ID:S+i2hEhE
>>384
うぉっしゃあコラ!
触手と言えばやっぱり孕ませないとな!な俺には最強のSSだわ
実際孕んだのエリオきゅんで、しかもダークだけど好みすぎた、GJ!
41826-111:2008/01/19(土) 01:31:50 ID:4ZWvsCfI
ガチバトル希望の流れをぶった切りますよ。と

早速だが、昨日の発言を撤回します
非エロ→エロの展開で投下するって言ってたが・・・スマン、ありゃ嘘だ

何だか、エロ展開の電波が良い感じに入ってきたので、のっけからエロい話を一本行くぜ!

・メインはマリーさんとドゥーエ
・エロ
・使用レス数11レス
・タイトル:諜報者の暗躍

では、投下
419諜報者の暗躍:2008/01/19(土) 01:32:51 ID:4ZWvsCfI
ピッ・・・ピッ・・・ピッ・・・ピッ・・・ピッ・・・

規則的な電子音が響く、時空管理局地上本部附属施設:先端医療センターの薄暗い検査室で、

「ん〜〜〜・・・はぁ・・・」

現在の部屋の利用者、マリエル・アテンザ精密技術官は大きく背伸びをして凝り固まった身体を解していた
少し眠たげな垂れ目をモニターに向ければ、“検診”の結果がだらだらと吐き出されている
今日も今日とて異常無し。先日、出向の挨拶をした時に訓練風景を見学したときは、緊急メンテナンスの必要があるのではないかと冷や冷やしたものだったが、
どうやら、彼女達は自分の想像以上に頑丈なようだ

ギンガ・ナカジマ
スバル・ナカジマ

11年前、クイント・ナカジマ捜査官が保護した2人の少女 ――― “戦闘機人”
マリエルがこの姉妹の定期検診を受け持つようになって早数年。半人前だった自分を『信頼の置ける、腕の良い精密技術官』として、2人の母:クイント・ナカジマが認め、現在まで
彼女のギンガ達姉妹、ナカジマ家との繋がりは細く、長く、続いている

「・・・うん、主骨格フレームに異常無し。続いて、各臓器の検査、と・・・ふぁ・・・」

小さな欠伸が口から漏れ出てしまった
ここ数年、管理局員として毎日毎日過酷な日々を送っている筈の2人なのだが、成長するにつれて身体構造が強化されるのか、どんどん頑丈になっている
そして、2人のタフさ加減に反比例するように、マリエルの仕事は減ってゆく・・・3ヶ月に1度ある半日掛かりの定期検診も、ここ数回は暇で仕方が無い
勿論、怪我が無いのは良いことである。2人の専属医とも言える自分に仕事が無いことはむしろ歓迎すべきだ

なのだが、

「流石に・・・退屈ねぇ・・・ふあ・・・ぁ」

幾ら退屈だからと言って、この検査室に話し相手を引っ張り込むわけにはいかない。2人の身体のことを軽々しく他人に知らせることはできない
スバル達が話し相手になってくれればいいのだが、検査は麻酔で意識を落として行うので、それも叶わない
420諜報者の暗躍:2008/01/19(土) 01:33:31 ID:4ZWvsCfI
文庫本でも持ってくれば良かったと後悔するが、いかんいかんと頭を振って雑念と眠気を追い出す
ぺちぺち頬を叩いて意識を切り替えると、コンソールを操作してモニターを切り替えた
内臓機能の一覧がずらずら並び、その何処にも異常を示すサインが見受けられなかったことに安堵の溜息を吐くが、退屈な現状から救ってくれる要素は無いようだ

「・・・でも、2人とも大きくなったわねー」

検査中の2人の姿を幾つかのモニターに映し出して、マリエルはそんな感想を漏らした
初めての検診を担当した時の背丈は、自分の胸元に届かないくらいの小さな女の子だったが、今では自分と同じくらいに大きくなっていた
そして悔しいことに、背丈以外の部分は自分を追い越さんばかりの急成長を遂げている

毎日のトレーニングのお陰だろうか、引き締まった体型は思春期の少女らしからぬメリハリを見せていた
10代半ばにしては胸は大きいし、腰元はきゅっと締まっている。むちっとした太腿は筋肉質ながらもすらりとしたラインを保っており、がちがちの筋肉太りには見えない
スバルはどちらかと言えば、全体的にスレンダーな印象があったが、こうして裸身を見てみればそうでもない・・・はやてが「揉み頃」と言いたくなる気持ちも判る
ギンガはと言えば、完全にスバルのアップグレード版だ。引っ込むべき所は引っ込んだまま、その身体はより成熟したラインを描いている
はやてが「揉まいでか」と言った気持ちは痛いほどに良くわかる

それに引き替え、自分はどうだろうか・・・?
胸の大きさはそこそこ・・・だと思う。だが、あまり身体を鍛えていない自分のことだ。将来、垂れてしまいそうで何だか怖い
スバル達のお腹が「キュッ」としたお腹と称するなら、自分のお腹は「ぽて」という感じだろうか。擬音がひらがなになってしまう辺りが情けない
どこもかしこもぷにぷにした自分の身体をどうにかしようと一念発起した経験は何度もあるが・・・
年齢26歳。技術職という自分の運動能力は予想を遙かに超えてどん底であった

暗澹たる気持ちにどんよりした溜息を吐いてしまうマリエルである
20代半ば・・・まだ若者と言っても良い年齢な筈なのだが、こうして10代の瑞々しい肢体をじっくり眺めてしまうと、肌のハリまで衰えたような気がしてくる
自分の身体を制服の上から触ってみる・・・ぷにぷにした感触は胸や尻だけで良いのだが、お腹や二の腕までもがそんな返事を返して来るのが猛烈に悔しい

「・・・んっ」

きゅっと掴んだ胸から、ぴりっと電流に似た感覚が身体に走った
そう言えば、ここのところは技術部に缶詰でデバイスの点検を行っていた為、まともに寮にも戻っていないし、“こっち”の方も随分ご無沙汰だ
だが、こうして快感を感じ取ることができるということは、まだまだ自分の身体は“女”として捨てた者でも無いらしい
421諜報者の暗躍:2008/01/19(土) 01:34:03 ID:4ZWvsCfI
「ん・・・でも・・・どうしよう、かな・・・?」

ドアの方に視線を向けた・・・勿論、ガッチリ締まっているし、この検査室に入ってこれる人間はそう居ない。闖入者がやってくるとは思えない
時計に目をやれば、2人の検診が全て完了するまで、まだあと1時間以上もある

「・・・うん・・・なら、大丈夫・・・だよね・・・ん、あんっ・・・」

自分に向かってそう呟くと、マリエルは椅子の背もたれを軋ませながら、ベルトとジャケットのボタンを外し、タイを緩め、シャツの胸元をはだけさせた
色気も飾り気もないブラジャーを捲り上げるように、乳房に指先を這わせてゆく
医療センターの検査室の中だというのに、誰も来そうにないからと言ってこんなはしたない行為をしている自分が信じられないが、
想像の連鎖と、指先がもたらす快感に身体の芯がカッと熱くなる。

「やっ・・・ん、ひゃんっ!・・・ふ、ん、んっ・・・」

細い指先が、ブラジャーの中でぷくりと膨らみつつあった乳首を捉えた。親指と人差し指で挟み込み、きゅっと揉む。ボタンを押し込むように指先で押し潰す
段々と、胸が張り詰めてくるのが自分でも分かる。火照る体はしっとりと汗を帯び始め、久しぶりに味わう快楽の妙味に、マリエルは身震いしながら熱い溜息を長く吐き出している



ドアが微かに、細く開いていることに、彼女はまだ気付いていない



○諜報者の暗躍



自作した使用履歴の残らない、いけないカードキーをドアの脇のスリットに通し、ドアロックと共に本来は自動で開く筈の機構をも黙らせる
潜水艦のドアに使えそうな分厚いドアを細く開け、目の当たりにした光景はあまりにも予想外で、正直な感想を漏らせば、ドゥーエは内心呆れ返っていた
タイプゼロと呼ばれる二機の戦闘機人が定期的に本部附属の施設でメンテナンスを受けている・・・そのスケジュールを掴み、こうして侵入したのだが・・・

「・・・何やってるのよ。こんな所で・・・」
422諜報者の暗躍:2008/01/19(土) 01:34:36 ID:4ZWvsCfI
潜入工作員として、“女”を武器に使うこともあった彼女でさえも、思わず呆れてしまう情景が目の前にあった

――― 検査官らしい女が、何故か自慰に耽っている

思わず、自分のやるべき事を忘れそうになってしまったドゥーエである
タイプゼロが受けている検査の手順までは把握していなかった為、今回は偵察、という程度に考えていたが、どうやらメガネを掛けたあの検査官の痴態を見るに、意識は無いのだろう
尤も、あの検査官が人前で自慰に耽り、見られることで興奮する性癖がある、という可能性は決して捨てきれないが、事前に収集していた情報からすれば、
あの女・・・マリエル・アテンザ精密技術官にそんな変態的な為人とは思えない・・・ならば、

「どうしましょうか・・・ねぇ・・・?」

唇の端を吊り上げ、クアットロが見たら一目惚れしそうな酷薄な笑みを浮かべてドゥーエは思案した

――― 殺す、か?

あんな、隙だらけの一般人ならば、音も無く忍び寄って首を掻き落とすまで、5秒も要らない自信がある
タイプゼロが眠っているなら尚更簡単だ。そうしてからあの二機のデータを盗むこともできる・・・だが、遺体の始末をせねばならないのが少々面倒だ

ピアッシングネイルの指先を擦り合わせながら、ふむ、とドゥーエは考える

データの入手ができればあとはどうなっても良い・・・そういう状況ならば、とっととあのオナニー女の首を刎ねるのも悪くない
だが、自分に課せられた任務はまだ残っている・・・可能な限り、余計な騒動は起こしたくないし、そう思えば殺害はリスクの割にリターンが少ない下策だ
タイプゼロに関しては、データだけではなく、可能ならば機体も確保したい。スカリエッティがそう言っていた経緯もあるが、
意識の無い少女の身体を抱えて逃げるのは、あまりにも目立つ・・・しかし、この状況でただ手をこまねいて何もしないというのはあまりにも勿体無い

「なら・・・久しぶりに“こっち”の手管でいきましょうか・・・」

透明な液体が入った小瓶を取り出し、ネイルの先にその液体を軽く浸すと、ドゥーエはにやりと笑って得物を消し、ドアの隙間から身を滑り込ませた

視線の先では、未だに自分の存在に気付けていないらしいマリエルが、身体を揺すりながら自慰に耽っている・・・
423諜報者の暗躍:2008/01/19(土) 01:35:08 ID:4ZWvsCfI
「ん、あ、あんっ!ふ、く・・・はぁんっ!」

上気して桜色に染まった頬、ふっくらとした唇からは、熱く湿った吐息が、甘い喘ぎと共に漏れ聞こえてくる
丸いメガネの向こうにある、垂れた目尻の大きな瞳は今は閉じられている・・・瞼の裏で、どんな淫らな光景を夢想しているのかは不明だが
おっとりとした風貌に反して、彼女の指先は熟練のピアノ奏者の様な指使いで己の身体を弄んでいた。その辺りは、流石“精密”技術官と言ったところだろうか

「んっ、んぅ・・・ん、あ、あ、あぅぅっ・・・!!」

噛み殺しきれない嬌声が、規則的な電子音に混じって検査室に響いている
上着の胸元ははだけられ、胸を覆うブラジャーは捲り上げられており、意外に豊かな膨らみの上で、唾液がまぶれた細く器用な繊手が踊っている
乳房の膨らみ全体を撫で回し、薄い色の乳首を転がすように弄ぶ・・・その都度、身体は電流を流されているかのように小さく跳ねた
快楽に浮かされた、ぼんやりとした瞳を胸から更に下、じわりと熱い股間に注がれ・・・浅いスリットが入ってはいるものの、窮屈なタイトスカートの裾から指先を滑り込ませた

「は、ぁっ・・・ん・・・やぁっ・・・」

ショーツ越しでも分かる程に、秘部は熱く濡れそぼっていた・・・常々、こうして己の身体を慰めてはいるが、
こんな風に、これほどまでに、しとどに濡れた股間に触れるのは初めてである。何故だろう。医療センターの検査室で、という状況に興奮しているのだろうか

「く、う、ぅぅっ・・・はぁ・・・ん、んっ・・・気持ち、良ぃ・・・よぉ・・・」

クロッチから染み出るほどに愛液を溢れさせた己の股間をさする様に指先を往復させながら、マリエルはひっそりと恍惚の笑みを浮かべる
きっと、ショーツの奥では雄を誘うように、秘部ははしたない涎を垂らして咲いているのだろう
ショーツ越しに指先を小さく挿入すると、粘液まみれの布地がぷっくりと勃ち上がったクリトリスを押さえる
その度に、彼女は悲鳴のような嬌声を上げて、椅子を軋ませる程に身悶えした
絶頂が違い。閉じた瞼の裏がちかちかするような錯覚を感じる。彼女の耳にはもう、自分の喘ぎ声と、愛液を湛えた秘部を掻き混ぜる音しか聞こえない
規則的に響く電子音も、微かに空気を震わせている検査機器の駆動音も、律動的な靴音も、何も聞こえなかった

「も、ダメ・・・イく・・・イ、っ・・・ちゃ、ぅ・・・ん、んんんっ!!」

トドメを刺すように、彼女は膣に浅く挿し入れた指先を震わせ



「ア、アテンザ技術官。こんな所で何を!?」



突如、自分に向かって掛けられた言葉に、彼女の思考は漂白された
痴態を隠すことも、絶頂の高みに至ることもできず、ただ、彼女は血の気の引いた顔で、絶望に唇を戦慄かせている

期待通りのその姿に、ドゥーエは眉を顰めた驚愕の顔を作ったまま、内心では邪悪な笑みを浮かべていた
424諜報者の暗躍:2008/01/19(土) 01:35:41 ID:4ZWvsCfI
「う、あ、あ、あの、こ、これは・・・そ、その・・・」

狼狽しきったマリエルだったが、ようやく、今の自分の姿がとても他人に見せられた格好では無いと言うことに思い至ったらしい
白衣の前を掻き合わせると、そのまま闖入者である女性に背を向けた
その小さな背中が瘧の様に震えているのを見て、ドゥーエは小さく唇を舐めた。これ程に嗜虐心がそそられる相手はそういない・・・
メガネの奥の瞳が涙を湛えているのを見て、ドゥーエはその理由に思い至った

(あぁ、そう言えばクアットロも昔はこんな感じだったわね)

生まれて間もなかった頃の四女の“教育”を担当していた時、良く彼女は、今のマリエルのような顔をしていた・・・もっといじめたくなるような顔を

「アテンザ技術官、ここを何処だと思っているのですか?」
「・・・ご、ごめんなさい・・・」
「謝って済む話ではありません。何てふしだらな・・・」

斬り付けるような厳しい言葉を投げ付けながら、ドゥーエは震える背中につかつかと歩み寄った
斜め上から横顔を覗き込めば、きつく閉じた瞼の端から大粒の涙の珠がぱたぱたと零れ落ちていた・・・しかし、そんな殊勝な上半身に反して、
下半身の方は何やらもじもじと太腿を擦り合わせている・・・それはそうだろう。絶頂に至る直前の瞬間を見計らって声を掛けたのだから

「何をごそごそしているのですか。まさか・・・人前だというのに、何てはしたない・・・」
「ち、違いますっ!ぅ、ぅぅ・・・」

訝しむようなドゥーエの口調に、マリエルは真っ赤になった顔を上げて、大声で否定した。彼女の両手は、白衣を掻き合わせたまま、自分の身体を抱き締めている
この期に及んで、まだ自慰を続けているわけではない。そういう意味で、彼女は否定の声を上げた・・・しかし、身体の疼きまでは否定できない
勢い良く、絶頂まで駆け昇ろうとしていて、直前で止められた身体は、後一押しの刺激を求めて熱く疼いていた

「身の潔白を証明するのなら、こちらを向いて、両手を見せなさい」
「ぅ、えっ!?!」
「見せられないのですか?やはり、貴女は・・・」
「ま、待ってください!・・・ちゃんと、見せますから!」
425諜報者の暗躍:2008/01/19(土) 01:36:14 ID:4ZWvsCfI
彼女に、欠片程でも普段の理性が残っていたなら、せめて着衣を正してから振り向こうとしただろう
だが、混乱の最中に叩き落とされて、“医療機関内の検査室の中で、自慰に耽っていた変態”という烙印を押され掛けていた彼女は、慌てて立ち上がり、両手を上げた
“身の潔白”という言葉に縋り付こうとした結果なのだが、今の彼女の姿こそが、“医療機関内の検査室の中で、自慰に耽っていた変態”という事実を決定付けるというのに
ドゥーエは、あまりに素直なマリエルの態度に、思わず笑い出しそうになったが、理性を総動員してそれだけは我慢する

「・・・何故、着衣が乱れているのですか。説明しなさい」

その言葉に、マリエルの身体は打たれたようにびくりと震えた
涙に潤んだ瞳を向けられて、ドゥーエはサディスティックな笑みを浮かべたまま、腕を伸ばしてマリエルの乳首を抓り上げた

「いっ!?い、痛ぁっ!!」
「ちゃんと答えなさい。何故、胸をはだけているのですか。それに、スカートも・・・ショーツまでずれているのはどういうことです」
「やぁぁっ!や、やめてくださいっ!痛っ、痛いですっ!」

きつく抓り上げられた乳首からは痛みしか感じない。マリエルは小さな悲鳴を上げながら身を捩らせ、何とかドゥーエの手から逃れようとするが、
簡単に、こんな面白い獲物を逃すほど、ドゥーエは甘い人格をしてはいない

「事情を説明できたなら、この事は胸の裡にしまっておこうと思っていましたが・・・何をしていたのか証明できない以上、上に報告しなければなりませんね」
「そ、そんなっ!」
「“マリエル・アテンザ技術主任は当医療センターの検査室で、淫らな行為に及んでいた・・・その目的は不明。悪意の有るサボタージュの可能性も有る”
そんなところでしょうかね。本人が語らぬ以上、事は公の捜査に委託するのは当たり前のことでしょう」

自分が、検査室でオナニーをしていたことが、世間にバラされる

その可能性がある、という事実に顔色を失ったマリエルは、俯いて涙の珠を零し、蚊が鳴くような声音で呟いた

「わ、私は・・・・・」
「私は、何ですか?」
「・・・じ、じ、・・・自慰を・・・して、いました・・・っ!!」
「何故、この場所で?そんな行為は自室ででもすれば良いでしょう?」
「その・・・い、一ヶ月、ぶりで・・・が、我慢、できなかったんですっ・・・!!」
426諜報者の暗躍:2008/01/19(土) 01:36:54 ID:4ZWvsCfI
本音を言えば、今この瞬間でも、己の膣に指を突っ込んで掻き回したい衝動に襲われている
張り詰めた乳房の中心。堅く勃ち上がった乳首は、ドゥーエの視線を受けて尚、ピンと立って存在を主張していた
膝が、全身が震えているのは羞恥の為ばかりでは無い。今でも絶頂への一押しを求める身体が貪欲に快楽を求めているからだ

許されるのならば、今すぐ自慰を再開したい。そして思いッ切りイきたい
叶う筈の無い願いであることは承知の上だが



「はい、良く言えたわね」



叶った
ドゥーエは呆気に取られたままのマリエルの身体に抱き付くと、そのままデスクに浅く腰掛けるような格好を取らせた
後ろに両手を付いている為に、ぐぃっと張り出した胸を思う様揉みしだく

「えっ?え、ええっ!?あ、ふぁ、ひゃぁぁんっ!!」
「うふふ・・・随分可愛い声で鳴くのね。本当に、一月振りだったみたいね・・・?」
「うあぁぁっ!!ふぁっ、やぁ、いやぁぁっ!!ん、んっ!ふ、んむぅぅっ!!」

涙でぐしゃぐしゃになった顔に、酷薄な笑みを浮かべた顔を突き合わせて、ドゥーエはマリエルの唇を奪った
ざらり、と唇を舐め、吸い付き、舌を押し込み、舌を吸い出す。口の中で2人の舌は絡み合い、唇の端から涎が溢れて伝い落ちた
散々唇を弄ばれてようやく、マリエルは初めてのキスが同性から、しかも、こんな状況で奪われた事に涙を一筋落とした
その涙さえ、甘い唾液に濡れ光る舌に舐め取られる

「ほら、イきたいんでしょう?遠慮は要らないわよ?」
「んっ、んんーっ!くぅ、んっ・・・あぁぁぁっ!!!」

大きな悲鳴が甲高く響いた
マリエルの膝の間に割り込ませていたドゥーエの腿が、彼女の股間を擦り上げたからだ
427諜報者の暗躍:2008/01/19(土) 01:37:27 ID:4ZWvsCfI
愛液まみれのショーツの布地と、ドゥーエの腿に柔らかくクリトリスが押し潰されて、マリエルは悲鳴の様な嬌声を上げさせられた
膝が、上体が崩れ落ちそうになる。目が眩むような快楽の中で、マリエルはただ喘ぐばかりだった

「ほら、これで、どう、かし、らっ?」
「はあぁっ!ふぁっ、う、あっ、く、ぃ、やぁぁぁっ!!!」

掘り返すように、秘部に深く指を突き入れられて、マリエルは一際大きな絶叫と共に絶頂の高みに押し上げられた
ドゥーエは反り返って痙攣するマリエルの身体を抱き締めたまま、彼女の背中に回した右手にピアッシングネイルを構える
やがて、ぐったりと弛緩した背中に、浅く、ネイルの先を埋める

侵入する前に爪の先を浸した透明な液体・・・強力な麻酔はすぐにマリエルの全身に回り、彼女の意識は闇に沈んだ



「さて、下拵えは完了、と・・・後は・・・」





「うぁー・・・ふぅ・・・やっと終わったぁ・・・」
「スバルはいつもそう言うわね。眠っていたらやっとも何も無いじゃない」
「それでも、何だか、こう、ずっと同じ姿勢で、堅い検査台の上に寝てるのは、身体が凝るっていうかさぁ・・・んーっ」

下着姿のままストレッチを始める妹の姿に、ギンガは小さく溜息を吐いた。こちらは手早く衣服を身に着けている

「ほら、早く着替えなさい。置いていくわよ?」
「わわ、待って待って」

慌てて着替え始めるスバルと、タイを締めてジャケットを腕に掛けたギンガに、聞き慣れた声がスピーカーから聞こえてきた

『2人とも、お疲れ様ー』
428諜報者の暗躍:2008/01/19(土) 01:37:59 ID:4ZWvsCfI
「マリーさんも、お疲れ様でした」
『ううん、私は全然。今日の検査も異常無し。一応カルテを出すから、ちゃんと見ておいてね』
「はーい」

いつも通りのやりとりに、2人は笑顔を見せて検査室から退室してゆく
モニタールームでは、“マリエル”が2人の背中を見送っていた



彼女らしからぬ、酷薄な笑みを湛えて



センターの購買で、スバルはティアナと約束していたお土産のお菓子:チョコポッドを買い込んでいた
妹が出てくるのを、入り口の傍で待っていたギンガのもとに、大きなボストンバッグを抱えたマリエルがフラフラと歩いてきた

「あ、ギンガ。お待たせー」
「マリーさん・・・?あれ、その大荷物はどうしたんですか?」
「あ、あはは・・・実は、書類とか本とか、仮眠室に放置してた着替えとかが結構溜まってて・・・清掃員さんに怒られちゃったんだ。
一緒に六課の隊舎に戻る予定にしてたけど、ゴメン。私は一度本部の寮に戻ってから、隊舎に戻るようにするから・・・連絡、お願いできないかな?」
「そのくらい、構いませんよ」
「ごめんね、格好悪いところまで見せちゃって・・・ギンガかスバルが、お嫁に来てくれたら助かるんだけどねー」
「うふふ、それだと将来、もしかしたらおじさん呼ばわりされちゃいますよ?」
「それは勘弁・・・それじゃ、ホントにゴメンね。ギンガ。スバルにもそう伝えておいて」
「はい、お疲れ様でした」

ギンガは一礼して、マリエルの小さな背中を見送った
大きなボストンバッグを提げて、フラフラ歩く危なっかしい背中にクスッと微笑みを浮かべている



書類と本と着替えが入っている筈のボストンバッグの中身が、小さく、もぞり、と動いたことに彼女は気付けなかった
429諜報者の暗躍:2008/01/19(土) 01:38:32 ID:4ZWvsCfI
『・・・こちらドゥーエ。ウーノ姉さん、今、少し良いかしら?』
『定期連絡以外で通信を繋いでくるのも珍しいわね。何かあったの?』
『トラブルじゃないわ。むしろ吉報よ・・・タイプゼロのデータが手に入ったわ』
『本当に?・・・流石ね、ドゥーエ』
『ただ、私だけじゃ受け渡しに困るから、ルーテシアお嬢様に連絡を取って貰えないかしら?ガジェット頼みじゃ心配だし』
『分かったわ。すぐに手配しておく・・・ドクターもきっと喜ぶわ』
『あら。私としては、データだけで満足して欲しくないんだけど・・・うまく行けば、近日中にタイプゼロを確保できる手筈が整ったわ。
遅くとも、例の襲撃日程・・・地上本部の公開意見陳述会に間に合うタイミングで、一人は確保してみせる』
『・・・無茶はしないでよ、ドゥーエ。クアットロも心配しているわ』
『可愛い妹を泣かせたりはしないわよ・・・お嬢様との合流地点は、クラナガン市内の潜伏ポイントの・・・C−02で』
『了解。期待しているわよ』
『えぇ、それはもう期待していて。私も妹達に会うのに、大きなお土産ができそうで楽しみだわ・・・それじゃ、ドクター達によろしくね。ウーノ姉さん』



公開意見陳述会まで、あと7日





続く



43026-111:2008/01/19(土) 01:42:58 ID:4ZWvsCfI
続きます

うん、色々無理は承知です

保管庫の「マリエル」のタグをクリックして軽く絶望したのはここだけの秘密です
「ガリュー」のタグをクリックして物凄い敗北感を味わったのもここだけの秘密です

余談ながら・・・現在「マリエル」のタグが付いた唯一のタイトルは、私が埋め投下に落とした小ネタだったりします・・・

しかし、既に400kbに達しているというのはどういうわけですかね?
そろそろ保管の準備に入りますかなぁ・・・

それでは、スレ汚し失礼しました
43126-111:2008/01/19(土) 01:44:17 ID:4ZWvsCfI
最初に書くべき事を書き忘れていました
「諜報者の暗躍」のタイムテーブルは、本編15話の辺りに準拠しています
432名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 04:49:29 ID:TpgzQYVP
>26-111氏

うはwwww
これは意外な組み合わせキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
専属医だけあって今後姉妹たちとどんなふうに関係を結ぶのかwktkせざるをえないッッ!!


つかマリエル自重しろw
433タピオカ:2008/01/19(土) 05:09:39 ID:S+i2hEhE
ワオ、確かに、マリーとドゥーエとは奇抜な組み合わせ。しかし、弄られてるマリー可愛いな、これ。GJです! クアットロの師匠なら性格も良さそうですし、続き楽しみです。


と、感想だけにしておけばいいものの、ちょっとレス的に続いてしまいますけど投下失礼します。

人もいないようなので、こっそりと。
それでは注意書きです。

・非エロ
・公式の材料を全部把握していないので、内容が間違っているかもしれません。キチッと公式を踏まえたい人にひっかかるかもしれないです
・ちょっとチンク、ゼストに見えないわ、これ
434タピオカ:2008/01/19(土) 05:11:00 ID:S+i2hEhE
「外の世界を、見たいと思うか?」 回答編

バサリと、空気を叩く音。
放り投げられたそれをゼストが受け取れば、身の丈に合ったコートだ。
懐かしさを誘う色とデザイン。生前に纏っていたものとかなり似ている。

「これは…?」
「餞別だ」

出立の日。ルーテシアとの探し物の旅へ往くゼストへと、チンクのプレゼントだった。
感慨深げな様子でそのコートを眺めていれば、小さく頷き、袖を通す。
ぴたりと馴染む。

「……すまん」
「いや、お前を一目見た時から、その姿の印象が離れんのだ」
「良く俺のサイズがあったな」
「あれだけまぐわったのだ。サイズぐらい分かる」
「……お前が作ったのか?」
「そうだ」

しげしげと、自分の姿を見下ろし、ゼストが感心した様子。それを見ながら、なんともチンクは満足げだ。

「大切にしよう」
「ああ」

左のガントレットをコートの上から装着し、ゼストが薄く微笑んだ。

「そろそろ、出発だ」
「ああ」
「それではな」

優しく、チンクの肩に触れて言葉身近にゼストが退室しようとする。
ずいぶんと、心身共に取り戻しているのだ。もう外での旅も大丈夫だろう。この男ならばルーテシアを見守りながら探しものもできる。
だから、そんな事が問題ではない。

「待て」

肩に触れるゼストの手をチンクが掴んだ。床を踏みそこなった足のせいでゼストが少し傾く。

「どうした?」
「行ってきます、はどうした」

きちんとチンクへ向き直れば、真顔で幼いナンバーズが言った。
騎士は、難しい顔。
435タピオカ:2008/01/19(土) 05:12:30 ID:S+i2hEhE
「……………………言わねば、ならんのか?」

苦しそうに、ゼストがそう声を絞り出した。
照れてるのだ。行ってきます、などと言うのを。

「ああ」
「……なぜだ?」
「行ってらっしゃいと、私が言いたい。そして、未来にお前をお帰りと迎えたい」
「…………この基地は、俺たちが出発してから破棄すると聞いている」
「だから、私の処に帰って来い」
「………」

恥ずかしげもなく堂々と、無表情で語るチンクに、逆にゼストが恥ずかしそうだった。それが、最後の最後で厳しい眼をした。
戻ってこれるかなど、分らない。そんな時間と体があるのか、という自問に精神が沈む。

「………行ってくる」
「ああ、行ってらっしゃい。きっと、帰って来て欲しい」
「……」

『ただいま』と言う約束は、したくなかった。きっと、言えないだろうから。
どうにか、行ってきますと言うだけでチンクに満足してもらおうとしているのが態度に出ていた。
チンクの隻眼は、淋しそうな色。

「少し、かがんでくれ」
「ああ」

ゼストが膝を、折る。チンクの目線と高さが同じになった。
チンクが己の唇を、ゼストへと押しつけた。
軽い触れ合い。すぐに二人の重なりはほどける。

「私の処に、帰って来てくれ」
「………約束は、できない」
「約束だけで、いいんだ」
「意味がなかろう」
「ある」
「………」

心が重かった。ここでそんな約束をさせて、もう少しでも現世に執着させようとしているチンクの気持ちを、ゼストは理解している。
もうあまり、自分の心に他人を、他人の心に自分を刻みたくなかった。きっと辛くなるだけだろう。
だけど、

「分かった」
436タピオカ:2008/01/19(土) 05:13:12 ID:S+i2hEhE
それでも、ゼストは頷いた。いつも、そばにいた人だから。こんな絆も、良いのかもしれない。

「帰って来る。お前の処へ」
「……うん」
「……期待は、するな」
「それは無理だ」

ゆるく、チンクが頭を振った。その表情は、とても穏やかで、美しかった。
ゼストが悲しげに目をそらす。今のチンクに、魅入ってしまいそうだから。

「それではな」
「ああ」

今度こそ、ゼストが身を翻す。
その背を、しっかりとチンクは見送った。



さぁっと、吹く風にチンクが目を覚ました。
葉の間から降る細い日差しに、自分が木にもたれてるのを理解する。眠っていた、ようだ。

「起きた」

その隣では、同じように木にもたれかかったルーテシア。
遠くに、妹たちが見えた。中空にいる赤は、アギトだろう。

海上隔離施設は、穏やかだった。

「いい夢を、見てたの?」
「……どうして、そう思いますか?」
「とっても、優しい顔で眠ってた」
「………約束を守らない、嘘つきの夢を見ていました」
「ゼスト?」
「! どうして……?」

道中、ルーテシアともあまり約束を守らなかったのだろうかと、チンクが驚いた顔。
クスと、ルーテシアがおかしげそうに笑う。

「チンクがゼストの事を話す時、いつも右目が優しいもの」
「右…」

思わず、指先で触れた。眼帯は、ある。毀れた眼は、隠れたままだ。

「分かるよ、右目。ゼストの事を話している時は、きっと優しい目だって、分るの」
「そうですか……」

なぜだか自分でも、納得できた。
理屈じゃない。想い。
437タピオカ:2008/01/19(土) 05:14:28 ID:S+i2hEhE
「ゼスト、どんな約束を破ったの?」
「帰ってくると、約束しました」
「……そっか」
「はい」
「また会った時に、怒らなきゃ」
「フフ……そうですね」

遠くでルールーと呼ぶ声。ルーテシアがその呼びかけに駆けていく。行き先には、大小の赤い髪が並んでいる。
アギトとノーヴェだ。二人ともケンカや衝突が絶えないが、一緒に笑う時は底抜けに楽しそうだった。
仲が良いのだ。
そんな慕ってくれる妹も、何百年も前の人格と仲良くできるのだから、外に出てもきっと大丈夫だろう。
遠くにいるそんな姉妹たちを眺めて、そっと目をつむる。
そして、微笑んだ。ゼストの心さえ射止めた微笑みは、静かで、優しくて、あたたかい。

「なぁゼスト、妹たちはとても、良い子たちばかりなんだ。だから、そんな妹たちにな」

とても、穏やかな日。
とても、穏やかな声で誰もない傍らへと語る。いつも、自分の傍らにいた人だったのだから。

「外の世界を、見せたいと思うよ」





438タピオカ:2008/01/19(土) 05:21:14 ID:S+i2hEhE
ん、前後編に比べて短く、内容ペラペラスカスカですが、終わりです。
この回答編と、もう一つ最後のIFで解凍編を用意しています。終わりが2つあるパラレルですね。今回はその片方です。
と言っても、はっきり言って二つにする必要がないようなものですが、そこらへん完璧に自己満足ですね。
そもそも無口なはずのチンクやゼストがこんだけペラペラしゃべってる時点で自己満足ですが。
それでは。
再見!
439名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 05:34:38 ID:i9Ae0XmY
いやいやいやいや何を仰るうさぎさん、素敵じゃないですか
サウンドステージとかだと結構しゃべってますよ>チンク
いってらっしゃい、のやりとりとか凄く好きです。またお願いします
440名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 06:25:45 ID:dhki1e6p
>>438
いやいや、GJでした!!後半もまとまってて読みやすかったです。
441( ゚Д゚) ◆kd.2f.1cKc :2008/01/19(土) 07:09:00 ID:sUaQATfd
投下行きまーす。

注意事項
・捏造有り過ぎ
・非エロシリアス。
・あぼーんキーワードは「燃え上がる炎の魔法使い」
442燃え上がる炎の魔法使い Prolog 1/10 ◆kd.2f.1cKc :2008/01/19(土) 07:10:07 ID:sUaQATfd
 May.13.2005 0:00────日本国 東京都 海鳴市
 市中心部から僅かに離れた高級住宅街──月村家からも程近い──の1軒。
 壁一面に本棚が並べられ、びっしりと本の並ぶ部屋。書斎の様相を呈していたが、ベッ
ドや、学習机も置かれていた。
 そして、ベッドの上には、この部屋の主である、少女が、眠りにつこうとしているとこ
ろだった。
『Stiefel auf』
 光。
 本棚に置かれていた、古ぼけたハードカバーの本が、突然、人の手を借りる事も無く、
宙に浮き、そして、眩いばかりの光を放ち始めた。
「ん……んぅ……」
 あまりの眩しさに、寝入り端だった少女は、目を覚ます。
「なんや……?」
『Existenz eines Meisters wurde ?berpr?ft』
 本から、女性のそれのような声が響いてくる。
『Alle Systeme werden begonnen』
「へ……?」
 空中に、光の線が、三角形の頂点に円を組み合わせた紋様を浮かび上がらせる。
 少女は、わけがわからず、呆然と、その様子に見入ってしまった。逃げる事はしない。
いや、仮に怯えていたとしても、逃げる事は出来なかったのだが、この時は、それは少女
の本意ではなかった。
『Ein Schutzritter wird entdeckt』
 赤紫、赤、緑、青。同じような光の線の紋様が現われ、回転を始める────

燃え上がる炎の魔法使い〜Lyrical Violence + A's〜
 Prolog
443燃え上がる炎の魔法使い Prolog 2/10 ◆kd.2f.1cKc :2008/01/19(土) 07:13:14 ID:sUaQATfd

 Dec.11.2005 5:30
 和式刀術の板張りの道場の床に、場違い気味な、アングロサクスンの少女の姿があった。
和装ではなく、ジャージのズボンと、Tシャツと言う姿だったが、瞑想するように軽く目
を閉じ、正座している。本来なら背中の中ほどまで届く、ストレートの鮮やかなブロンド
は、今は高い位置でポニーテールにしている。
 そして、向かい合って、同じように正座している女性。まだ何とか少女と言える年恰好
ではあったが、ブロンドの少女よりはずっと年長だ。体つきはややグラマラスだが、それ
ほど大柄でもなく、掘りは深くないがやや幼く見える顔立ちと共に、ネィティブジャパニ
ーズの主要を構成する大和民族であることははっきりとわかる。
 やがて2人は、合図があるわけでもなく、ゆっくりと立ち上がる。
 ブロンドの少女──アリサ・バニングスは右手に小太刀の木刀を。
 相手の女性──高町美由希は、同じ物を両手に。
 2人は各々木刀を持って構え、相手に、睨むわけではなく、鋭い視線を向ける。
「ヒュウッ」
 …………シャッ
 呼吸が重なった瞬間、ほぼ同時に、どちらも前に飛び出していた。
 カンッ
 木刀のぶつかり合う、乾いた音が響く。
 カン、カカンッ
 美由希の切っ先が積極的にアリサを追うが、アリサは軽いステップでそれをかわして行
く。
 美由希もアリサも、跳ぶでは無く、足を床の上で躍らせるように動く。
 カン、カカンッ
 美由希が二刀による連続した打ち込みを行うが、アリサは退きつつ、木刀で受ける。
 ヒュッ
「え」
 美由希の顔に、狼狽が走った。
「もらった!」
 アリサの興奮したような声、そして、下から上へと振るわれる斬撃。
 カァン!
 …………カランカラン、と、木刀が床に転がった。
「ってて〜」
 果たして、アリサの右手に木刀は無く、それは床を転がっていた。
「勝負あった」
 静かに、しかしはっきりとした口調で、3人目の人物が言う。黒い髪に黒い瞳、やはり
典型的日本人の男性。高町恭也。高町美由希の兄である。
444燃え上がる炎の魔法使い Prolog 3/10 ◆kd.2f.1cKc :2008/01/19(土) 07:13:40 ID:sUaQATfd
「へっへー、まだ簡単には勝たせないよ〜」
「くぅ〜」
 美由希が悪戯っぽく笑顔を浮かべて、言う。アリサは悔しそうな表情をしながら、転が
った木刀を拾った。
「当たり前だ。アリサはまだ小学生だし、だいたい、基礎の型しか教えてないんだぞ。こ
れで負けるようなら、不破の継承者に関して考え直す必要有りだ」
 険しい表情で、美由希を軽く睨みつつ、恭也は言った。
「ぶぅ〜。恭ちゃんの意地悪」
 美由希は頬を膨らませて、むくれる。
「ところで、アリサ。今日もメシ食ってくのか?」
 恭也は呆れたように軽く溜息をついた後、視線をアリサに向けて、そう問いかけた。
「あ、えっと、迷惑じゃなければで良いんですけど」
 アリサは後頭部を掻く仕種をしながら、苦笑気味にそう言った。
「そうしなって。それに、ユーノ君も、待ってる間にお腹空かせちゃうわよ〜」
 美由希は言って、ニヤッと笑った。
「それじゃ、お言葉に甘えて」
445燃え上がる炎の魔法使い Prolog 4/10 ◆kd.2f.1cKc :2008/01/19(土) 07:14:22 ID:sUaQATfd

 アリサ・バニングスは、平凡──ではなかったが、まぁ人並みはずれた何かを持ってい
るわけでもない、小学3年生の女の子だった。
 しかし、半年前、とある事件をきっかけに、それはがらりと変わる。
 言葉を話すフェレット、ユーノ・スクライアと、魔法の力を与える“デバイス”、レイ
ジングハートとの出会い。
 海鳴の街に撒き散らされた、剣呑な力を持つ異世界の遺物ジュエルシード。そして、そ
れを求めてやってきた、魔導師フェイト・テスタロッサと、時空管理局巡航武装次元航行
艦「アースラ」の面々。
 某執務官曰く「出力へっぽこ・能力一流」。王道ではないが魔法使いとなったアリサは、
それによって紡がれた絆と共に、それを今でも続けている。
 そして、実は“本来の”人間の姿を持つ少年、ユーノ・スクライアを、「謀って自分と
寝食や入浴を共にした」と半ば因縁吹っかけて手篭め、もとい、婚約者にさせてから、半
年が経過していた。

 ちなみに、前述の台詞をその黒づくめの執務官が口にしたとき、ディバインクラッシャ
ーの零距離射撃で吹っ飛ばしたのは、純然たる事実である。

 海鳴市の、古くからある住宅街。
 バニングス家……ではなく、外観的には古風な日本建築の一戸建て、高町家である。
 改築で現代の洋風になっているLDKの、キッチンの方では、この家の主婦である高町桃
子が、鼻歌交じりに、朝食にその腕をふるっている。
 リビング部に置かれた自作のパソコン──この家の末娘の手によるものだったりするが、
まぁそれは別の話──の前に、アリサが陣取っている。
 その背後、斜め後ろに、本来は、蜂蜜色の髪と緑色の瞳を持つ、アリサと同年の少年で
あるユーノが、少し背中を屈めてパソコンを覗き込んでいる。興味深そうにジロジロと、
本体からディスプレィ、キーボードやマウスに至るまでを、見回す。まるで、1980年代末
期、パソコンが今ほど普及していなかった頃、それを見る少年のような顔だ。
「これは、アリサの持ってる奴と形がだいぶ違うよね」
 ユーノが言うと、光学ドライブに、DVD-Rのディスクを挿入しつつ、アリサはユーノ
に視線を移した。
「あれはノートパソコンだからね。本来はこっちが普通の形なのよ」
「サイズがだいぶ違うけど、機能は同じなの?」
 ミニタワーの筐体を指し、ユーノはアリサに訊ねる。
「大体はね。まぁ、小さくしてある分ノート型のほうが性能低かったり、値段が高かった
りするけど。あと、すずかに言わせると他にもいろいろ違うらしいけど、そのへんは良く
わかんない」
「ふーん」
 アリサの説明に、ユーノは納得の声を出しつつ、画面を覗き込む。
446燃え上がる炎の魔法使い Prolog 5/10 ◆kd.2f.1cKc :2008/01/19(土) 07:14:50 ID:sUaQATfd
「けど、ユーノがパソコン珍しがるなんて意外よね」
「だって! 凄いじゃないか。魔法を一切使わない、電力だけで動く高速演算装置なん
て!」
 アリサの言葉に、ユーノは興奮したように言う。
「それも一般家庭用のコンセントから取れる電気で動いて、しかもこんなに高性能。それ
にこんな小さな画面に、これだけの情報量を表示できるユーザーインターフェース! そ
れに、世界中を接続するネットワークがあって、それを数分以下の時間で参照しあう事が
出来るんだよ!? しかもユーザーの操作は簡単」
 アリサ達の世代にとっては、既に物心ついたときには、パソコンは自家用車やテレビの
同様に、空気のように存在しているものだったが、それを“外”の視点で見たユーノがそ
こまで絶賛──いくつかの単語はアリサには理解不能だったが──すると、なんだか目の
前の、型落ち部品の寄せ集めがトテモスゴイモノに見えてくる。
「この世界は確かに基礎技術じゃミッドチルダほど万能じゃないけど、それで実現してる
事は、凄い事ばかりだよ。この前乗った電車だって」
「あ、ああ……」
 アリサは、イヤなことを思い出したというように、少し苦い顔になった。
 “良いとこのお嬢様”であるアリサは、登下校時のバスを除けば、たいてい遠出は鮫島
執事長の運転するストレッチリムジンだ。
 なので、現在バニングス家で婚約者“候補”として居候中のユーノが、日本の鉄道に乗
ったのは、ほんのひと月前の事。
 海鳴市で鉄道といえば、市街地を貫く小田急電鉄本線である。停まるのは各停だけだが、
駅にいれば数分単位で、種別の違う列車が上下何本も通過する。それがユーノには信じら
れない光景に見えたと言うのだ。
 乗ってからも、高い曲線高速通過性能を誇る最新型ロマンスカー・VSEとすれ違ったと
きなど、トドメとばかりに卒倒しかけた。
 聞く所によると、ミッドチルダには、日本で言うモノレールに毛の生えたようなレール
ウェイが主流で、速度もロマンスカーの半分ほどしか出さないらしい。
 そして、「うぉー」とか、「ひぇぇっ」とか、興奮と悲鳴の入り混じった奇声を上げ続
けるユーノに、アリサは心底恥ずかしい思いをしつつ、いつか「のぞみ」か「はやて」に
乗せてやろうと悪巧みをしているのであった。
 …………閑話休題。
「たっだいまー」
 玄関の開閉する音を立てて、件の末娘、つまり恭也と美由希の妹であり、そして自他共
に認めるアリサの親友、高町なのはが、やがてLDKに現われた。
「あ、やっと帰ってきた」
 少し苦笑気味に言いつつ、アリサはOAチェアから立ち上がって、なのはを見た。
447燃え上がる炎の魔法使い Prolog 6/10 ◆kd.2f.1cKc :2008/01/19(土) 07:15:13 ID:sUaQATfd
「どう、なのはの調子は?」
「うん、なんとか上達上達」
 成り行きから、このなのはも、半年前の事件で魔法使いになっていた。
 それも、その素質だけで判断するなら、アリサよりもはるかに優れている。
「マイペースななのはのことだから、どれだけ上達してるのやら」
「あー、アリサちゃん、ひどいんだー」
 アリサが少し意地悪く笑って言うと、なのはは、自分の姉と同じようにむーっ、とむく
れた。
「ほら、これ、持ってきてあげたんだから」
 アリサはそう言って、DVD-Rのディスクケースを手に取り、振るようにしてなのはに
見せた。
「あーっ、そ、それってっ!」
 なのはが興奮して、顔を輝かせる。
 ディスクケースには、手書きで、「Fate & Alicia」と書かれている。そして、アリサの
ブロンドよりもさらに柔らかそうな、長い金髪を持つ、よく似た姉妹が、仲よさげにして
いる写真が貼られていた。
 実は幼く見える方が姉に当たる、とは普通は見えないだろうが。
 大きな“妹”がフェイト・テスタロッサ、幼い“姉”がアリシア・テスタロッサ。歳の
差を覗けば、鏡写しのようにそっくりなこの2人には、複雑な事情はあるものの、まぁ、
間違いなく姉妹である。
「ほれ、朝ごはん来る前にさっさと見ちゃいなって」
「うん!」
 そう言って、アリサはなのはとパソコンの前を入れ代った。
『フェイトちゃん、この先どうなるって?』
 なのはは、念話でアリサに訊ねてきた。
『クロノの話だと、もうすぐ裁判が終わるってことらしいわ。でも、主犯格は行方不明、
フェイトに関しては、特に問題がなければ略式のもので済むそうよ。クロノの言ってた通
りの結果でね』
『クロノ君かぁ』
 ここ数ヶ月会っていなかった人物の名前に、なのはは感慨深そうにする。
『クロノ君にも会いたいなぁ〜』
『おーおー、結構お熱ですなぁ』
 アリサは、ニヤッと笑って、茶化すように言う。
『べ、べつにそう言う意味じゃないよぉ』
 顔をぼっと紅くして、なのはは言った。
『顔真っ赤にして言ってても説得力ないわよ』
 アリサはニヤニヤと、意地悪く笑ったまま、言った。
『ま、ちょっと鈍くて頭固いところ除けば、割合良い男の子よね。ま、真面目さんでなの
はとはお似合いかも?』
 しかし、その言葉に、なのははむっとして、アリサを振り返った。
448燃え上がる炎の魔法使い Prolog 7/10 ◆kd.2f.1cKc :2008/01/19(土) 07:16:05 ID:sUaQATfd
『むー、それを言ったら、ユーノ君だって結構頑固だし、ニブチンじゃないかぁ』
『な、な、なんですってぇ』
 むきっ、と歯を剥いて、アリサはなのはに向き直る。
『ユーノはちゃんと優しいし気だって利くし、まぁすこし八方美人のところもあるけど、
そう言うところも含めてとにかく良いんだから! あのイヤミ執務官と一緒にするな』
『クロノ君のどこがイヤミなのよーっ!?』
『あいつはなのはにはねー……』
 念話での口喧嘩に夢中になっている2人は、ある事実をすっかり忘れていた。
「はい、朝ごはん出来たわよー。あら?」
 ダイニングから顔を出した桃子は、部屋の隅にいたユーノを見て、少し心配げに顔を覗
き込んだ。
「ユーノ君、顔、赤いわよ? 熱あるの? 大丈夫?」
449燃え上がる炎の魔法使い Prolog 8/10 ◆kd.2f.1cKc :2008/01/19(土) 07:16:33 ID:sUaQATfd

 同日──12:00
 海鳴市立・海鳴第三中学校地区図書館。
 その玄関口に、全体的に丸みがかった、少し以前のタイプの軽セダンが停まった。色は
赤で、側面に「GX-R」の文字が大きく書かれている。
 助手席のドアが開き、ウェーブのかかった、やや青みのかかった長髪を持つ少女、月村
すずかが降り立った。
「それじゃあ、私は買出ししてきますね」
 運転席から、月村家の小柄なメイド、ファリンが言う。さすがに運転する為、サーヴァ
ント服ではない。
「うん、私も少し時間かかると思うから、ゆっくりどうぞ」
「はいー」
 すずかがドアを閉めると、ファリンはマニュアルトランスミッションのギアをつなぎ、
軽自動車を発進させた。
 すずかは図書館の玄関をくぐろうとする。
 扉に手をかけた瞬間、背後から、急ブレーキをかけたようなタイヤのスキール音や、激
しいクラクションの音が聞こえたような気がしたが、すずかは、それは聞こえなかったこ
とにした。
 借りていた本を返却してから、すずかはまた、別の本を借りようと本棚の方へ進む。本
棚の並んでいる前で、少し逡巡してから、文学書の方へ足を進めた。
 タイトルを見ながら、時に本を手に取り、パラパラとめくる。
「あら?」
 何冊目かを戻したとき、すずかはそれに気付いた。
 車椅子に乗った少女が、上の方の段に、必死に手を伸ばしている。
 誰も助けない、というより、周囲に誰もおらず、閲覧机の方からは見通しが利かないの
だ。
「あっ?」
「えっと、これですか?」
 すずかは、彼女が手を伸ばしていた本を手に取ると、笑顔で、差し出した。
「ありがとう、助かりました」
 関西弁のイントネーションで、少女は言った。
「いいえ。どういたしまして」
 すずかは、満面の笑顔で言ってから、
「あの、良かったら、少しお話してもらえませんか?」
「お話……?」
 一瞬、キョトン、とした、車椅子の少女だったが、すぐに、
「ああ、ええですよ」
 と、にこっ、と笑って、彼女は答えた。
450燃え上がる炎の魔法使い Prolog 9/10 ◆kd.2f.1cKc :2008/01/19(土) 07:17:28 ID:sUaQATfd
 すずかは車椅子を押して、閲覧机の並ぶ方まで移動する。
「ここ、私達ぐらいの年の子、あまり来ないじゃないですか」
「そうなんよ。まぁ普通は学校の図書館ですますんかな。後は、マンガばっかやろうし」
 すずかの言葉に、少女も苦笑気味に答える。
「だから、前から何度か見かけてて、気になってたんです」
「あ、実を言うと、あたしもや」
「そうなんですか」
 そう言って、2人は、「あはは」と笑いあった。
「私、月村すずかって言います」
「あたしは、八神はやて。ひらがなで“はやて”や。なんか、女の子の名前らしゅうない
やろ?」
 車椅子の少女は、自己紹介しつつ、自嘲気味に苦笑して、そう言った。
「そんなことないですよ、良い名前です」
「そうか? おおきに」
 すずかの言葉に、はやてはにこっ、と満面の笑みを浮かべた。
 それから、数分間、言葉を交し合い、そして携帯電話のアドレスを交換した後、それぞ
れ、目当ての本の貸し出し手続きを終える。すずかは車椅子を押して、出入り口のほうへ
向かった。
 出入り口のところまで行くと、1人の女性が、はやてを待っていた。柔らかそうな金髪
を、ボブよりやや長めのセミロングにしている。穏やかな感じの持った、美女と呼んで差
し支えないだろう女性。
「シャマル、待たせたな」
「いえ、そんな」
 はやてが声をかけると、その女性は、優しげに笑った。
「すずかちゃんもありがとう、重かったやろ?」
「そんなことないよ、大丈夫だよ」
 そう言って、すずかははやての後ろ側から退く。代わりに、シャマルと呼ばれた女性が、
そのハンドルを握った。
 図書館の出入り口を出る。
「はやてちゃん、寒くありませんか?」
「ん、大丈夫や」
 シャマルの言葉に、はやては笑顔のまま、答える。
 その間に、すずかは、ファリンが待っている軽自動車を駐車場に見つけた。
「それじゃあ、はやてちゃん、私はここで失礼するね」
「うん、またあおなー」
「うん、ばいばーい」
 お互い、手を振る。
「お友達ですか?」
451燃え上がる炎の魔法使い Prolog 10/10 ◆kd.2f.1cKc :2008/01/19(土) 07:18:37 ID:QNBiFK2q
 シャマルが訊ねると、はやてはこくん、と頷いた。
「そうや。今日からお友達さんやて」
 と、嬉しそうに、満面の笑顔で答えた。
 赤い軽自動車がギクシャクと駐車場を出て行ったのと入れ代りに、別の女性が、はやて
達に近付いてきた。長髪をポニーテールにしている。長身だが、女性らしいプロポーショ
ンをしている。顔立ちはシャマルと対照的にきつめだが、やはり美女といって過言ではな
いだろう。
 その、ピンクがかった赤紫の髪は、彼女が、この世界の人間ではない事を示していた。
つまり────
「シグナムもお待たせや」
 はやては、長身の女性の名を呼び、労う様な声をかけた。
「いえ、今来たところですから」
 シグナムは微笑み混じりに言い、それから、シャマルと並んで、歩き始めた。
『シャマル、今の女の子は』
『はやてちゃんの友達、だそうよ』
 彼女らは、念話をしていた。
『妙なリンカーコアの持ち主だったな』
『ええ、なんだか、延びきった風船みたいで、本来の容量が出ていない感じ。あんなの、
はじめて見たわ』
 シャマルは、それを顔に出さないようにしつつ、怪訝そうに言う。
『まぁ、現状のあの出力では特に蒐集する必要もあるまい。だが、この国のことわざでは
ないが、力の持ち主の元には力の持ち主が集まるからな』
『ヴィータちゃんの言ってた、あの大きな魔力反応のことね?』
『そう言う事だ。この世界では魔法は近代文明と引き換えに廃れ、神秘の領域に入ってし
まったらしい。だが、もしその神秘を受け継ぐ者がいるなら、それぞれつながりがあるか
も知れん』
 シグナムは言いつつ、直進を続ける。
 彼女の推測は半分外れ、しかし、半分当たっていた。
『しかし、あの子と言い、我々の記憶にない、主そっくりの5騎目と言い、今回は、勝手
がだいぶ違う』
 シグナムはぼやくように言い、視線を空に上げた。
『そうね……でも、もう、今からは引き返せないわ』
 シャマルもやや沈んだ、しかし、どこか決意を秘めたような言葉を発し、そして、同じ
ように空を見る。


 海鳴の空は、まだ、晴れていた。
452燃え上がる炎の魔法使い Prolog 11/10 ◆kd.2f.1cKc :2008/01/19(土) 07:24:32 ID:/o3ZgU1E
>>442-451
今回は以上です。

訂正。>>442 13行目は

『Existenz eines Meisters wurde uberpruft』

です。ドイツ語がコピペできへん……


はい。やっちまいました。A's編です。
構成を考えていて、いきなりしょっぱないろいろ捏造しすぎです。


>>26-111
保管いつもありがとうございます。

「リリカルバイオレンス」PHASE-10で修正お願いします。

誤)
「レイジングハート!」
『はぁ、はぁ……はぁ……Ray Lance, Shoot Ready』

 ↓

正)
「はぁ、はぁ……はぁ……レイジングハート!」
『Ray Lance, Shoot Ready』

です。お手数おかけいたします。
453名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 07:28:47 ID:4e8WQhRG
GJ!んじゃセンター行ってくるわ!
SS見ないで悶々とするのはいやだったからなwww
454名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 08:42:10 ID:rBa5+lQX
>>452
5騎目? ヴォルケンズにはやてそっくりの番外っすか。
都築が気になる。
455名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 10:01:49 ID:HRzmWVnj
>>452
GJ! また貴方の作品が読めると思うと嬉しいぜ。
アリサアリシア以上にアニメとは違う展開になって嬉しいところ。これからも無理せずに投下して欲しい。
456名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 10:50:25 ID:94yLD1zZ
>452
乙。
>453
いや、試験前にネットしてるなよ。
457名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 11:59:25 ID:wiD2ykAs
>>452
こんな早くに続編登場!?
ギガ嬉しいですや!
無理せずマイペースでお願いだ。
458ておあー:2008/01/19(土) 12:52:53 ID:YKkFulVn
>>397
だが断る


と言いたいところだが…やれやれ…ジョジョ好きの要望は見殺しには……できねーぜ!
善処しまふ

>>430
お、俺のマリーさんが痴女になっちまったー!!
いいぞもっとやれー……あれ?

>>438
スカスカじゃないですよ……もう一つの回答編も楽しみにしています。

>>452
早くもA's編突入だ! 都築に期待ですよヒャッホーイ

レスばっかしてるのもあれなのでネタ振りを一つ……ドゥーエって男にも変身できるの?
いや別に司祭様を誘惑しようと思ったら男色だったんでふたなりで対抗するドゥーエを
想像したとかそんなんじゃないんだ。
459名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 13:25:32 ID:1BELpOVY
>>458
ふたなりは好物です

いや、公式で明言されてるかは知らんが
460名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 13:26:33 ID:94yLD1zZ
>458-459
ハッタリ仕事しろ。
461名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 17:24:51 ID:1BELpOVY
>>460
休憩時間くらい好きにさせてくれよ〜

妙な電波受信
書庫を調べ尽くしやる事が無くなったユーノ
たまたまスプールスでエリキャロが遺跡と思われるものが発見
ここぞとばかりに貯まった有給を使いまくり調査に乗り出すユーノ
何故かユーノにくっ付いていく三人娘+α

誰か書いてくれんかの〜
462名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 17:34:45 ID:6ovU/oST
>>461
キャラ大杉w
せめてエリキャロユノフェにしろよ…
463名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 17:55:44 ID:wO/Qhycd
欲求不満なカリムに食べられちゃうクロノとか
フォワード陣(ギンガ含)乱交とか
ギンガの策謀で更生組にいいようにされちゃうゲンヤとカルタスとか

珍しいキャラのエロSSが読みたいです。
464名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 18:10:59 ID:MewGm2Kx
>>463
書くのも存外楽しいもので
465名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 18:33:45 ID:u3u4gg1v
>>461
自重
そして糞して寝ろ
466名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 18:53:17 ID:TpgzQYVP
>タピオカ氏
ああ、ちくしょうッ!
チンクかわいいよチンク。・゚・(ノД`)・゚・。

>燃え上がる(ry
都築を期待せざるを得ない

>>458
善処を期待せざるを得ない!

>>453
戦果に期待せざるを得ない!!
467名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 18:53:59 ID:xMfjv3NL
>>465
二言目は余計だぞボーイ
468名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 18:58:54 ID:/FgccHTv
>>461
前にも似たような意見あったけど、本編終了後の事件を考えると、「敵」がないんだよね
自分で作らないと
・・・オリキャラ、好き?
469名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 19:36:45 ID:ksNvmSqt
誰かの電波を目にして、それが形になることもあるからな……ネタが尽きてる身としては、くれくれってのも、案外ばかにできない……ってのがいち書き手の意見だが……

>>461
本当にそういうのが読みたいなら、ここじゃなく、あっちのスレに落とせばよかったんだ。ここには名前見るのも嫌だって奴もいるんだから。
470名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 19:41:38 ID:HRzmWVnj
おかしな話だよな。なのは総合スレなのに特定のキャラだけダメってのも。
471名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 20:10:39 ID:d+O/hpT2
妙に厳しい人がいますね。ネタとして流せばいいのに。
472名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 20:18:40 ID:HM4gMib8
>>462
そこはユノなのだろ。

>>470
まったくだな。
スレチのキャラならまだしも、このキャラ嫌いだから出すななんて
ゆとり乙としか言いようが無い。
いやならスルー汁。
473名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 20:26:49 ID:x188QxXu
>>461
むしろそこは男衆+エリオについてきたキャロで
逆 ハ ー レ ム
をつくってみたり…流石にないか
474名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 20:27:38 ID:x188QxXu
スマン、上げちまった。
475名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 20:32:17 ID:xMfjv3NL
クロノがエロノで孕オウンになろうが
ヴェロッサがエロッサになって無限のバター犬しようが
ユーノが淫獣で淫汁撒き散らそうが
エリオがエロオで揉んでやるになろうがそれは妄想主の自由なんだぜ。
嫌いなカプならスルー汁
476名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 20:39:20 ID:MewGm2Kx
>>475
こう見ると男連中の扱いも大概酷いなw
477名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 20:41:00 ID:mcGYwa7C
こうして職人達のやる気が削がれていく……
478名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 21:30:11 ID:gII1fjei
じゃあユーノ×クロノでゆーののヘタレ攻めでも書いてくる
479名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 21:44:48 ID:6Gh7tKA0
>>478
そうです!それを待っていたのです!!
480名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 23:03:49 ID:OnJtwZ+g
シャ○さん自重
481暗愚丸:2008/01/19(土) 23:05:03 ID:Rla6gWYD
ながらくぶりで既に忘れ去られている気もしますが、お久し振りです。
ふたフェイ続編を投下します。
今回は、ふたなり、陵辱、乱交、多感症、ハラボコなどがあります。
苦手な方はNGをお願いします。
それでは、『FATE in The dark fate』投下します。
482『FATE in The dark fate』:2008/01/19(土) 23:06:11 ID:Rla6gWYD
 深夜のキッチン。
 フェイトは一人でボウルをかき混ぜていた。
 海鳴に越してきてから、なのは達といっしょに作ったクッキー。
 その作り方を思い出しながら、生地を混ぜていく。
「……これくらい、かな」
 ポツリと呟いて、フェイトは堅さを確かめる。
 以前作った物より少し堅めの状態を確認してから、視線をキッチンのテーブルに向けた。
 五つ、たっぷりと中に液体を溜め込んだゴムが、その上に乗っている。
 クロノの部屋にあった、ファーストストライクという名前の官給品ゴムの中身は、既に
少し減っていて。
 きっと、エイミィが来たときに使っているのだろうと、そう思う。
 もう、籍入れるのも決まってるのにきっちりしているあたり、本当にらしいと感じた。
 練った生地に、ゴムから絞り出した液体をかけていく。
 生臭い匂いが鼻を突くが、それも今は構わない。
 全部のゴムの中身を入れた生地をもう一度かき混ぜながら、フェイトは薄く笑う。
「これで、ヴォルケンのみんなも……」
 語尾を濁しながら呟いた言葉に、胸の奥が僅かに疼いた。
 けれど、フェイトはソレに意識を向けない。
 シグナムを、ヴィータを、シャマルを貪ったとき、どれほどの心地よさを覚えることが
出来るか。
 今はただ、そのことだけを考えていた。




 いつもより早めにフェイトは集合場所に向かっていた。
 焼き上げたクッキーはアルフに味見させて、思い通りの効果を発揮していて。
 あとは、みんなに食べさせればいいだけ。
 そんなことを考えながら到着したいつもの場所に、なぜかすずかの姿があった。
「あれ? すずか早いね」
「あ、フェイトちゃん、おはようございます」
 こちらが声をかけると同時に振り返ったすずかは、頬を赤らめて目を潤ませていた。
 なにか言うよりも早く、近づいてきたすずかが耳元に唇を寄せてくる。
「フェイトちゃん、今日は放課後、時間あります?」
 その甘い声音と股間に伸ばされた手に、背筋がぞくりと震えた。
 今すぐ人気のない所に連れ込んで犯したい。
 そう感じた自分に、ほんの少しなにかを間違えているような感覚を覚えながら、フェイ
トは平然とすずかに微笑み返す。
「ごめんね、今日は用事あるんだ。明日なら大丈夫だけど」
「そうなんですか?」
 上目遣いで見詰めてくるすずか。その媚びを含んだ視線に欲情を覚えて、唇を求めよう
と顔を寄せる。
 けれど、すずかはあくまで顔を逸らして、フェイトのキスを受け入れようとしない。
 既にキスよりも深い――汚い、フェラチオまでしていて、あくまでキスだけは嫌がるす
ずかに、苦笑が浮かんだ。
「やっぱり、キスはダメなんだ」
 呟きながら、その額に唇を押しつけた。
「……それは、その」
「それで、すずかが求めるキスの相手ってだれなの?」
 困ったような表情を浮かべるすずかに笑いながら問いかける。
 別段、キスしようがしまいがどうでも良いと思っているけど、もう心の底まで快楽付け
になっているのに、未だにその部分だけは守っているすずかに興味が湧いた。
「いわなきゃ、ダメですか?」
 目尻に涙を溜めて見詰めてくるすずか。
 フェイトは笑みを浮かべるだけで何も答えない。
「その、私は、アリサちゃんにして欲しいんです」
「へぇ、そうなんだ」
 流石に少し意外な答えに、フェイトは小首を傾げた。
 なのは達の出会いの話しは、フェイトも聞いている。
 アリサがすずかをいじめて、ソレを止めようとしたのがなのはだと言うことは。
483『FATE in The dark fate』:2008/01/19(土) 23:07:18 ID:Rla6gWYD
 こちらの浮かべた訝る表情に気付いたのだろう。
 すずかが苦笑を浮かべて見詰めてくる。
「はい。アリサちゃんは確かにいじめっ子でしたけど、なのはちゃんがソレを止めるとき
にケンカして、なんて言うか思ったんです。まるで私よりも小さな子供みたいだって」
 そう告げるときのすずかの目に、自分が知らないなのはとの思い出を持っているすずか
に、フェイトは僅かな嫉妬を覚える。
 けれど、ソレを表に出すこともなく飲み込む。
「だから、あの時初めて私は自分から行動したんです。二人を止めるために声を上げまし
た。……それから、少しずつ仲良くなっていって。確かに意地悪な所はあるけど、それで
も強くて優しいアリサちゃんに少しだけ特別な気持ちを持ったんです」
 真剣な表情ですずかの告白を聞きながら、フェイトは内心で嗤っていた。
 すずかの言う特別な気持ちが、本当は何なのか理解できたから。
 それは、愛情や恋情では無い。
 フェイトがなのはに抱いている、深く重く厚く暗い、痛みにも似た感覚を突き付けてく
るものとは全く違う。
 すずかの抱くそれは、あまりにもあからさまで明るささえ感じさせる、単なる憧れ。
 それはきっと与えられた快感が強すぎたせい。
 すずかが、自分の気持ちを勘違いしてねじ曲げてしまったのは。
 けれど、今のすずかにとっては、アリサへの欲情を催させる思いへと変わっている。
 ……だったら、アリサの相手はすずかにさせても良いか、とフェイトは嗤いを堪えて頷
く。
「そう、なんだ。今日は無理だけど、明日の放課後なら私は大丈夫だよ。すずかも大丈
夫?」
 平然とした表情でのこちらの問いかけに、すずかがうっとりとした表情で頷く。
 後は、明日の放課後までにアリサを呼び寄せる方法を考えるだけ。
「おはよ、あんたら何やってんの?」
 不意に背後から声をかけられて、フェイトはそっとすずかの体を押しやる。
 抵抗しようとせずにすずかの体が離れて、けれど少しうつむいてしまう。
「ん、おはようアリサ。すずかが、少し調子悪かったみたいだから、肩を貸してあげてい
たの」
 振り返りながら見たアリサの表情に、また心の中で嗤ってしまう。
 微妙で解りづらいけど、それでも確実に見て取れたのは嫉妬の情。
 それはつまり、アリサにとってのすずかが、フェイトにとってのなのはと同じものだと
――異性へ向けるのと変わらない愛情を向ける相手だと、理解できた。
 だから、すずかのことをいじめたのかも知れない。そんな事を思って、フェイトはまた
内心で嗤う。
 これなら上手くいくだろう、と。
「みんなおはよう!」
「おはよう、三人とも今日は早いんやね」
 横手から、なのはとはやての声が聞こえて。
 フェイトは挨拶を返しながら、愉悦に浸っていた。
 小さな棘が胸をこするような痛痒感は、無視して。




「いらっしゃい」
「それじゃ、お邪魔します」
「お邪魔しまーす」
 放課後。
 フェイトはアルフを連れて、八神家を訪れていた。
 玄関前に立つはやての、哀しげな表情に気付かないふりをしてリビングに向かう。
「あら、フェイトちゃんいらっしゃい」
「ふむ、珍しいな、テスタロッサ」
「テスタロッサにわんころかよ。二人で来るなんて珍しいな、なんかあったのか?」
 リビングに入るなりかけられた言葉に、苦笑を浮かべる。
 お茶の用意をしているシャマルと、時代小説を読んでいるシグナム、リモコンを動かし
て遊ぶゲームでゲートボールをしているヴィータの三人の様子があまりにも和やかで、今
から起きることとは相容れない感覚だったから。
484『FATE in The dark fate』:2008/01/19(土) 23:08:23 ID:Rla6gWYD
「クッキーを作ったから、お裾分けついでに遊びに来たの。最近、そっちも忙しかったか
ら、久しぶりにみんなと会いたいなって思って」
 呟きながら、持っていた袋を揺らしてみせる。
「あたしはザフィーラに会いに来たんだけど、あいつは?」
「ザフィーラ? 犬小屋で丸くなってら」
 ヴィータの言葉を受けて、アルフがじっと見上げてくる。
 何枚か取り出したクッキーを手渡して、微笑みかけた。
「ついでだから、ザフィーラにもあげておいて。はやて、お茶の用意手伝うね?」
 そのまま、とてとてと外に向かうアルフを見送って、フェイトは振り返りながらはやて
に声をかける。
「えぇよ、そんなん。シャマル、あと二人分は足らんやろ? 残りはあたしがやるから」
 キッチンに向かうはやての後に、フェイトは静かについて行く。
(……何を考えとるん、フェイトちゃん?)
(別に何も。ただ、みんなとも仲良くなりたいなって)
 はやての思念に、同じく思念で答えを返しながら、棚から皿を取り出していく。
「はやて、このお皿使っても良いよね?」(はやてだけ、仲間はずれは酷いかなって思っ
ただけ)
「うん、えぇよ」(あたしだけで物足りへんのっっ!)
 響いた思念の大きさに、一瞬眉をひそめてフェイトははやてに笑顔を向ける。
 僅かに顔をしかめたはやてが目に怒りを浮かべて見詰めてくるのを、平然と無視して取
り出した皿にクッキーを盛りつけた。
(そう言う訳じゃないよ。それとも、はやては約束破る気? 私の言うこと何でも聞いて
くれる約束だよね?)
(っ……、でも、でもみんなまで巻き込むなんて)
「クッキーだけだと、ちょっと物足りないかな? 翠屋でケーキ買った方が良かったかも
ね」(巻き込むわけじゃないよ。みんながその気にならないなら、無理矢理にする気はな
いから)
「あ、ケーキやったら冷蔵庫に入っとる奴適当に切り分けてえぇよ」(ほんまに?)
 はやての言葉に笑みを浮かべたフェイトは頷く。
 どうせ、皆が求めるのは分かり切ったことだから。
「翠屋のレアチーズケーキのホールだ。いつもはカットされてるのしか食べたこと無いん
だ、これ」
(……もし、無理矢理みんなに手ぇだしたら、絶対に許さへんよ)
 はやての冷たい思念に、気付かれないように苦笑した。
 ヴォルケンの皆が、はやてにとって家族だと言うことは昔から分かっていたけど、今の
やりとりは家族というよりも我が子を心配する母親の様な態度。
 レアチーズケーキに包丁を入れて、フェイトは笑う。
 はやての心を完全に折る良い機会だと感じられたから。
「お茶が出来るまでまだ掛かるよね? 先に向こう持って行っておくね」
 答えを待たずにリビング側に移動するフェイト。
 奇妙な居心地の悪さを、感じていた。




「へぇ、なかなか美味いじゃねえか」
「ふむ。良い味だな」
「フェイトちゃん、お菓子とかも作れるんですね、いいなぁ」
 リビングのソファにならんで座っているヴィータ、シグナム、シャマルが三者三様の反
応を見せてくれて、それが面白くてフェイトは笑みを浮かべた。
「ホントに美味しいです。フェイトさん凄いです」
 きらきらと目を輝かせたリインフォースUが感心したように、こちらを見詰めてくる。
 テーブルの上に置かれた専用の小さな椅子と机についたリインフォースUが、食器に置
かれたクッキーを抱えてあむっとかじりつく。
 その仕草は何となく小動物が頑張ってる様子を思い起こさせて、フェイトはくすりと小
さく笑った。
「うん、確かに美味しい」
 一つ頷いたはやてが次のクッキーに手を伸ばす。
 ソレを見ながら、フェイトはチーズケーキに手を付けた。
 あっという間に減っていくクッキーを見ながら、内心で嗤いを浮かべる。
485『FATE in The dark fate』:2008/01/19(土) 23:09:23 ID:Rla6gWYD
 そろそろ、効果が現れるころだろう、そう想いながらみんなを順に眺めていく。
 頬が赤く染まって、目が潤んでいるのが見て取れた。
「う〜ん、なにか暑いですねぇ」
「エアコンが壊れたんじゃねえのか。たしかになんか体がポカポカするけどよ」
「確かに、な。以前、グレアム殿にブランデーを飲まされたときと似たような状態だ。…
…テスタロッサ、コレにはアルコールでも使っているのか?」
 シャマルとヴィータがぽーっとした表情で呟き、シグナムが少し厳しい目つきで見詰め
てくる。
 その様子に苦笑を浮かべながら、ふるふると首を横に振ってみせた。
 予想通りの効果に、内心で笑みを浮かべる。
「はふぅ〜〜、良い気持ちですぅ」
 不意に呟いたリインフォースUが、ふわりと浮かび上がってそのままヴィータに近づく。
 そのまま、ヴィータの唇にサイズの合わない自分のソレを押し当てた。
「……な?」「リインちゃん?」
 シグナムとシャマルの呆然とした表情を見ても、何も思わない・思えない自分に奇妙な
感覚を憶えながら、リインフォースUとヴィータのキスを眺める。
「ちょ、こら! リイン、いきなり何するんだよ!」
 我に返ったヴィータの叫びに、凍り付いていた場が動き出した。
「まてリイン! そんなことをするな!」
 叫びながらソファから立ち上がったシグナムの膝が笑って、いきなりかくんっと腰を落
とす。
 一方のシャマルも呆然としたまま、動くに動けないといった様子でただ、ヴィータとリ
インフォースUを見詰めていた。
 そんな中、はやてが凄まじい形相で睨み付けてくる。
「フェイトちゃん」
(約束、破るんだ?)
 大きく息を吸い込んで、叫ぼうとしたはやてにその言葉を叩き付ける。
 それだけで、凍り付いたように動けなくなったはやてに苦笑を浮かべたまま、フェイト
はクッキーを口に含んだ。
(私は、守ってるよ? みんながその気にならなきゃ何もしないって。……でも、シグナ
ムもシャマルもヴィータも、欲しがってるみたいだけど?)
 こちらの思念に、悔しげに唇を噛みしめるはやて。
 その様子を見ながら、駄目押しの一言を放つ。
(はやても、約束守ってくれるよね?)
(フェイトちゃん、あたしは)
 ぎろっと睨み付けてくる目の冷たさに、ぞくりと背筋が粟立った。
 あの穏やかで淑やかで、けれど明るくて茶目っ気の強いはやてが向けてくる、紛れもな
い殺意の籠もる瞳に、それでも平然と無視したフェイトは笑いかける。
(シグナム、辛そうだね。はやてが慰めてあげた方が良いんじゃないかな? シグナムだ
って、はやてにされるなら喜ぶと思うけど)
 こちらの言葉に、はやてが何も言わずに顔を背ける。
 その向いた先は、シグナムの顔。
「ゴメンな、シグナム」
「あ、主? んっ!?」
 はやてがシグナムに唇を押しつける。
 隣では、リインフォースUがヴィータのシャツの胸元から入り込もうとするのが見えた。
 きっとそのまま胸を弄ぶ気なのだろう、そんなそれぞれの痴態を見ながら、一人残され
た形のシャマルに視線を向ける。
 呆然とした表情を浮かべるシャマルにそっと近寄っていくフェイト。
「みんな、なにしてるんです?」
 シャマルが声音に困惑を滲ませているのを感じながら、フェイトはその耳元に唇を寄せ
た。
「気持ちいいこと、だよ。シャマルも、気持ちよくなろ?」
 こちらの呟きに、潤んだ瞳を向けてきたシャマルが、いきなり抱きついてくる。
 こちらが反応するよりも早く、唇を奪われた。
「んっ……んふっ……」
 そのまま何度も唇を押しつけてきて、シャマルが舌を伸ばして唇を舐めてくる。
 何を求めているのかは、その仕草だけで分かっていたから。
 だから唇を開くと同時、シャマルの方から積極的に舌を差し込んできた。
「ちゅっ、ちゅぷ……じゅる…………ちゅぷ」
486『FATE in The dark fate』:2008/01/19(土) 23:10:12 ID:Rla6gWYD
「んっ、んちゅ……、ちゅっ、れろ……」
 シャマルの舌の動きに、ゾクゾクと背筋が震える。
 抱きついてきたシャマルの豊かな胸が押しつけられて、自分のソレを圧迫される。
 その感覚に心地よさを感じて、フェイトは一度シャマルから唇を離した。
「ぷはっ……はぁ、はぁ……、自分から求めるんだ?」
 苦笑しながらのこちらの問いかけに、シャマルが頬を僅かに赤らめる。
 それでも、僅かに楽しそうな微笑みを浮かべた。
「それはまあ、私だって女の子ですから。気持ちいいことをしたくなるときだってあるん
ですよ」
 女『の子』の部分に少し言いたいことはあったけれど、今はそんな些細なことを気にか
ける必要はないかと、思い直す。
「それに、はやてちゃんはシグナムとしていますし、ヴィータちゃんはリインちゃんとし
てますから。それに、フェイトちゃんも気持ちよくなりたいですよね?」
 呟いたシャマルがこちらの股間に手を伸ばしてきて、スカートをまくり上げてきた。
 何となく、シャマルに主導権を握られているのが悔しくて。
 フェイトは偽根が滾るのに身を任せた。
「っ!? フェ、フェイトちゃん!?」
 小さなパンツの布地を押し上げる怒張を、シャマルが目を丸くして見詰めてくる。
 やっと望んだ反応が見れて、フェイトは笑みを浮かべた。
「変身魔法の応用で作ったの……、これで、んっ!?」
 いきなり、股布をずらしたシャマルが偽根をぎゅっと握りしめてきたのだ。
 そのままこしゅこしゅと手を上下させるシャマル。
「ふふっ、結構大きいですね。こんなのはどうです?」
「んくっ! ふっ……ふぁっ!」
 その手つきがあまりにも手慣れていて、しかも、れろっと亀頭を舐め上げられて、フェ
イトは思わず腰を引いた。
「あら、もしかして刺激が強すぎたかしら」
「……い、いきなりでびっくりしただけ」
 くすくすと笑うシャマルに、少し苛立ちながら、フェイトは視線を向け直す。
「あ、案外、上手だね、シャマル。んっ……経験、あるんだ?」
「いいえ、直接には無いですよ。ただ、はやてちゃんが以前持ってたマンガで、こう言う
のがあったんです」
 意外な答えに、フェイトはシャマルに笑いかける。
 にちゅにちゅとこすり立てられるだけでも、かなり気持ちよくてすぐに出そうになるの
を抑えながら。
「はやて、Hなマンガなんて持ってたんだ」
「いえ、違いますよ」
「え? んっ」
 先端に口づけを受けて、びくっと肩が震えた。
 こちらの様子を無視して、にやりと笑みを浮かべるシャマル。
「はやてちゃんが持ってたのは普通のマンガで、ソレを元ネタにしたHなマンガが出てた
んです」
「それって、ん……、同人誌、って言うん、だっけ? ふくっ」
 こすり上げられながら舐め回される感覚よりも、受け身に回っている自分自身に快感を
覚えながら、フェイトはシャマルを見詰める。
 その顔に浮かぶ満面な笑みに、僅かな苛立ちを感じた。
「ええ、そうですよ……、ちゅっじゅちゅ……、フェイトちゃんももっと気持ちよくなっ
て下さいね」
 れろんっと舐め上げてから、嬉しそうに笑うシャマル。
 その表情を見たくなくて偽根が銜えられた瞬間、シャマルの頭を両手で押さえ込んだ。
 一瞬目を見開いたシャマルが上目遣いにこちらに視線を向けてくる。
 困ったような戸惑いを浮かべるシャマルに、口の端だけを上げた笑みを見せつけて。
 フェイトはそれ以上何も言わず激しく腰を動かした。
「んーーっ! んっんっ! ひゃ、はっへ、へいほはん んぐっ!」
 シャマルがなにか叫んでいる。
 その振動が余計に気持ち良さを増幅させて。
 思い切りシャマルの咽の奥にまで突き込んでいた。
 シャマルの唇が偽根の根本に触れて、偽根の先端が普通ならえづいてしまうほど奥にま
で飲み込まれている。
 シャマルの苦しげな表情に、ぞくりとフェイトの背中に虫が這った。
487『FATE in The dark fate』:2008/01/19(土) 23:11:00 ID:Rla6gWYD
 だから、だろう。
「んっっ…………、んぅ、ぅぐ」
「ふぁっ!?」
 シャマルが喉輪を締めて、飲み込んだ偽根の亀頭を刺激してきただけで、フェイトは声
を上げてしまった。
 通常なら届くはずのない処で、普通なら苦しくて抵抗できない筈のシャマルの反撃に、
ゾクゾクと全身が震えてしまう。
「んっ…………」
「ひっ! シャマル! そこだめ!」
 思わず悲鳴を上げるフェイト。
 ぴったりと吸い付いたままだったシャマルが手を伸ばしてきて、いきなりフェイトの菊
座と陰門に指を差し込んできたのだ。
 偽根と菊座と陰門、三カ所から同時にはい上がってくる快楽に、堪えることが出来なく
て。
「ん! っっ! んぶっっ!」
「いい、いいよ、いいよっっ!」
 シャマルの頭をしっかりと両手でつかんで、激しくピストン運動を繰り返す。
 頭がバカになりそうなくらい気持ちいい。
 そう思った瞬間。
「うそっ! ダメ、もうっ!」
 あっという間に込み上がってくる物を抑えきれなくて。
 フェイトは思いきりシャマルの頭を押さえ付けて、一番奥に飲み込ませた。
「イクっっっ!!」
「っ! っっ! うぶぅっっっっ!!」
 その最奥で、精を飛沫かせた。
 全身に痺れが走る。
 偽根から、ぶしゅっ、どくっ、と液体を吐き出していく。
 シャマルが喉を鳴らしてソレを飲み込みながら、ぐりっと菊座の指をかき回してきた。
「ひぁっっ! ダメ、それダメ!」
 そろそろ止まると思っていたのに、シャマルのその攻撃でまた頂きに上り詰めた。
 間髪入れず、精液がまた飛び出していく。
 まるで体の中の物が全て絞り出されていくような感覚に、フェイトは声も出せずに震え
ていた。
「……ぷはっ」
「んくっ!」
 やっとシャマルから解放されて、フェイトは荒い息を吐いた。
「……これ、おいしいんですね」
 とろんとした表情で、シャマルが見上げてくる。
 限界まで欲情しているその表情に、股間が勝手に震えた。
 萎える間もなく堅くそそり立つそれを見詰めるシャマルが、ニヤリと笑う。
「フェイトちゃん、まだ、できそうですね?」
 呟きながら、ソファに浅く腰掛け直すシャマル。
 そのままロングスカートをまくり上げた。
 下着の股布は限界まで濡れていて、アルフの線状の物やすずかやはやての様に慎ましや
かな形とは違う、綻んだ花びらを思わせるような卑猥な姿を露わにしていた。
 ごくりと、勝手に喉が鳴る。
「早く、早く欲しいです。オ○ンコにフェイトちゃんのチ○ポ入れて欲しい……」
 端整な表情を欲情に弛め、秀麗な唇から卑猥な単語をシャマルが吐き出す。
 その姿だけでもフェイトの昂奮を高めるのには十分で、なのに、シャマルが両足を引き
上げてM字状に構えたから。
 その卑猥な姿にひくんっと偽根が震える。
 シャマルが左右の膝裏を通した両手で股布を右にずらした後、ぱっくりと閉じた大陰唇
を割り開いた。
「ほら、見て下さい。フェイトちゃんのチ○ポが欲しいって、私の下のお口、ヨダレこん
なにたらしているんですよ。早く食べさせて下さい、ね?」
 にっこりと普段と変わらない優しい微笑みを浮かべるシャマル。
 けれど、その姿勢も仕草もあまりにも妖艶で、そのギャップにフェイトはまた喉を鳴ら
して膝立ちになる。
 シャマルの膣口と偽根の先端が触れ合って、ちゅっちゅっとまるでキスするように吸い
付いてくる。
488『FATE in The dark fate』:2008/01/19(土) 23:13:31 ID:Rla6gWYD
 リインフォースUが、ヴィータの股間で激しく体を揺らせて、舌足らずな嬌声を上げて
いることにも気付いていないシグナムに、ただ苦笑を浮かべることしかできなくて。
「止せっっ! テスっひゃんっ!」
 必死で言葉を放とうとするシグナムの陰門を貫いた瞬間、普段のキャラクターにそぐわ
ない愛らしい悲鳴を上げた。
 ぴくぴくと全身を細かく痙攣させる様子を見れば、ただ貫いただけなのにシグナムが絶
頂したことは簡単に読みとれて。
「ふふっ。シグナム、気持ちいいんだ?」
 こちらの問いかけに、顔を赤くしたシグナムが振り返ったまま睨み付けてくる。
「くっ! テスタロッサ! 何を考えている!?」
 怒りのままに声を荒らげつつ、シグナムはそれでも逃げる様子がない。
 それで、何となく、理解できた。
「何って、みんなで気持ちいいことがしたいだけ。シグナムも気持ちいいでしょ?」
 答えを返した瞬間、シグナムの耳朶に朱色が乗った。
 きっと、はやての相手をしたときから、気持ちよすぎて腰が抜けているのだろう。
 シグナムの反応が、それを裏打ちしていた。
「だ、だがっ! このような、あんっっ! ひゃふっっ! まっ、テスタロッサっっ! 
よせ、やめ、ひんっっ!」
 腰を軽く引いて押し出しただけなのに、あられもない声を上げるシグナム。
 何となく、その理由が理解できて。
 動きを止めたフェイトは、少しだけ上体を倒してシグナムの耳元に唇を近づけた。
「シグナム、可愛い」
「〜〜〜〜っっ!」
 ただ耳元でそう囁いただけ。
 なのに、シグナムの膣が面白いほどにフェイトを締め付けてくる。
 性感が信じられないほど敏感なのだと理解できて、多感症と、そんな言葉が脳裏に浮か
んだ。
「っ! ひぁっっっ! う、動くなっっ! よせ、やめろっっ! ひぅんっっ! よ、や、
やめっっ!」
 だから、一気にピストン運動を開始した。
 全力で思い切り突き込み、亀頭のくびれが小陰唇をかき回すほど一気に腰を引く。
「やっ! も、やめっってっっ!」
 聞いたこともないシグナムの女性的な悲鳴に、ゾクゾクと背筋から心地よさがはい上が
ってきた。
 だからフェイトは、更に激しく腰を動かしながらその大きすぎる胸を鷲掴みにした。
「ひぃっっ! いやっっっ! やめ、ふぁぁーーーーーっっっっっ!!」
 びくんびくんと全身を痙攣させて、激しく偽根を悔い締めてくるシグナム。
 その様子が楽しくて、フェイトは胸を揉みながら腰を叩き付ける。
「ひぐっ! ふぁっ! テ、テスタロッサ……、頼む、やめて、くれ。ひぃっっ!」
 息も絶え絶えに快楽で全身を震わせるシグナム。
 それが楽しくて、フェイトは腰を容赦なく動かしていく。
 シグナムも徐々に高まってきているのか、舌を突き出して激しく喘ぎ声を上げる。
「シグナム、気持ちいいんだ?」
「や、やめ、やめ……て」
 普段の凛々しさを忘れたように泣き叫ぶシグナム。
「ふふっ、嘘はいけないよ、シグナム」
 囁きながら乳首を軽くつねり上げた瞬間。
「かはっっ!?」
 大きく目を見開いたシグナムが、また全身を激しく痙攣させた。
 ただ突き入れて軽い愛撫をしながら動いてるだけ。
 なのに、幾度となく達しているシグナムに、フェイトは苦笑を浮かべた。
「やめ、や、やめろ、テスタ、ロッサっっ!」
 まだ素直にならないシグナムに苦笑を浮かべたまま、摘んだ乳首に爪を立てる。
 びくっっとシグナムの体が硬直した。
 フェイトから逃げ出すように上体を伸ばして、背筋を反らせるシグナム。
「こんなに、気持ちよくなってるのに? もっと気持ちよくなりたくないの?」
「や、やめ、おかしくっっっひゃふっっ! ひぁあっっ!」
 必死になって叫ぶシグナムの声に、体よりも精神的に心地よさを感じる。
 それだけではなく、シグナムが達するたびに激しく脈打ちながら強く締め付けてくる秘
処の感覚も快楽を倍増させる。
489『FATE in The dark fate』:2008/01/19(土) 23:14:32 ID:Rla6gWYD
「ひゃくっっ! や、やめ、許しひぁっっ! ダメ、やめ!」
 必死に抵抗するシグナムの背後から、首筋に舌を這わせてつっと舐め上げる。
「んくゅっっ!?」
 シグナムの声が奇妙に裏返って、また達する。
 此処まで気持ちよくなりやすいという事実に、フェイトはただ顔に嗤いを浮かべた。
 何をされても気持ちよくなる。
 それがどれほどの地獄なのか、フェイト自身よく分かっていたから。
 やめることなく、フェイトは動き続けた。


 横向けになっているシグナムの背後に、同じように横になりながらフェイトは腰を突き
上げた。
「ぅ……ぁ……」
 数え切れないほど達したせいか、シグナムの反応はどこか薄くて面白みが薄れていた。
 ぐっと腰を突き出すのと同時にシグナムの体がぴくりと震えて、偽根を強く締め付けて
くる。
 また、達したのだとは分かっても、正直、気持ちよさが感じられない。
「シグナム、聞こえてる?」
 問いかけに答えないシグナム。
 此処まで反応が薄くなってしまっては、これ以上かき回してもあまり面白くなさそうだ
と思えて。
 いい加減、フェイト自身も精を吐き出したくなっていたから、最後に激しくシグナムの
中をかき回していく。
「っ…………ふ………………わ、わた……しは……やめ、テス……タロッ……サ」
 辛うじて振り返ってシグナムがこちらを見詰めてくる。
 その目は快楽によどみ、口の周りはヨダレや鼻水で汚れきっていた。
 まともに考えることさえ出来なさそうな程に、追いつめられたシグナムの表情を見た瞬
間、フェイトの偽根が強く跳ねた。
 びくんっっとシグナムの体が震えて、だけどシグナムの口から声が出ることはなくて。
「ふふっ、大丈夫だよ。そろそろ、私も終わるから」
 呟いて。
 シグナムの秘豆を摘んだ。
「ひぁぁっっっ!」
 いきなり、シグナムが大きな声を上げた。
 それまで身じろぎ一つしなかったとは、思えないほど激しく痙攣しながらフェイトの手
に自身のそれを伸ばしてくるシグナム。
「や、やめっ! テスタロッサ! そこはっ! こわ、こわれ!! ぅあっっ!」
 さっきまでの惚けたような印象からは信じられないほど、シグナムが激しく叫びを上げ
る。
 同時に、シグナムの膣の締め付けがつよくなった。
「つっ! も、もう、もうっ!」
 本気で壊れそうになってる事は分かっていたけれど、指を外したりはしない。
 フェイト自身、信じられないほどの気持ちよさを感じているのだから。
 シグナムの締め付けが、何処までもきつくなっていて。
「イクよ」
 シグナムの耳元で囁いて、そのまま耳朶にしゃぶりついた。
 びくんっとシグナムの体が痙攣して、次の瞬間には凍り付く。
「シグナムも、イくんだよね?」
 それは、クリトリスを摘んでいた指を少し引いて、爪先で挟み込んだから。
 シグナムが泣き出しそうな表情で、振り返ってきて。
「や、やめっっっっっ! 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
 同時に思い切りクリトリスに爪を立てた。
 ぱくぱくと金魚のように口を開閉して、全身を強張らせるシグナム。
 その視線の先は何処を向いているのか分からなくて。
 けれど、もう止めることも出来ないまま、フェイトはシグナムの中に精液を放った。
「っ……」
 びくりと全身を痙攣させたシグナムが、虚ろな瞳のまま全身から力を抜く。
 流石に少しやりすぎたかも知れない。
 そんな風に考えながらフェイトはシグナムを見詰めながら、偽根を引き抜いた。
 そのまま、どさりとシグナムの体が床に転がる。
490『FATE in The dark fate』:2008/01/19(土) 23:15:20 ID:Rla6gWYD
「シグナム?」
 こちらの問いかけに答えず、ぐたりと床に身を横たえるシグナム。
 虚ろな瞳で浅い呼吸を繰り返しすシグナムの様子に、続きが出来ないことを読みとって、
小さく溜息を吐く。
 まだ、満足にはほど遠いものだから。
 またシャマルに手を出すか、はやてとするのも良いかも知れない。
 そんなことを考えながら頭を巡らして、激しく痙攣するヴィータの姿に気付いた。
 まるで陸に打ち上げられた魚のように体を震わせるヴィータ。
 その理由が見て取れて、フェイトは思わず笑みを零してしまう。
 ヴィータの股間にまるで座るような姿勢のリインフォースUがいた。
「シャマル、シグナムをお願い」
 はやてを蹂躙しているシャマルに声をかけてから、少し離れた場所に寝転がっているヴ
ィータの側に近づいていく。
「あ、フェイトさん、んくっ!」
「ぁ……」
 限界まで目と口を開けて、舌を突き出して声にならない声を上げるヴィータ。
 そんなヴィータを笑うような目で見ながら、フェイトは視線を声をかけてきたリインフ
ォースUに向けた。
 顔だけでなく全身をほんのりと赤く上気させて、薄く平らに近いなだらかな胸の先端を
限界まで張りつめているリインフォースUが、とろけた瞳をこちらに向けてくる。
「リインも気持ちいいんだ?」
 そう問いかけながら、フェイトはリインフォースUがヴィータの秘豆をくわえ込む膣口
に視線を向けた。
「はい、ヴィータちゃんのコレ、はやてちゃんよりもおっきくて、尖ってて、お腹の中一
杯ですぅ」
 口の端からヨダレを零しながら、叫ぶリインフォースUの姿に、ゾクゾクと震えが走る。
 八神家の中で一番幼いからこそ、純粋に快楽に身を任せているリインフォースU。
 純粋故に淫蕩なその姿に昂奮するのはむしろ当然のこと。
 想いながらも、今日の目的はヴォルケンリッターの皆に快楽を与えることが目的で、だ
からフェイトはその場で寝転がった。
「フェイトさん?」
「リイン、一緒にヴィータと遊ぼっか?」
 くすりと笑いながら、飛行魔法の応用でヴィータの体をふわりと浮き上がらせる。
 かくんと、体の動きについこれずに頭が後ろに仰け反るのを見ながら、フェイトはヴ
ィータの体を自分の上に移動させる。
「ん、ふぁっ! い、良いです、気持ちいいですぅ」
 舌足らずな言葉で甘い鳴き声を上げるリインフォースUと、声も出さずぴくぴくと体を
細かく痙攣させるだけのヴィータ。
 そのヴィータの股間からは漏らしたのかと思うほど、ぐちゃぬちゃに濡れそぼっていて、
ぽたりぽたりとフェイトの偽根にこぼれ落ちてくる様子にぞくりと背筋が粟立った。
 少しづつおろしたヴィータの大陰唇を偽根で割り開いて。
「うぁ……?」
 ヴィータがぴくりと震えて、少しだけ首を起こした。
 まだとろけた瞳のまま、こちらを見詰めてくる。
「テスタ……ロッサ?」
 不思議そうに呟いた瞬間。
 魔法をカットした。
「いっっ!!」
「ふぁっ!」
 ずぐんっと一気に子宮口まで貫く。
 それでも、まだ一掴みほど余っていて、少しだけイタズラ心が湧いた。
「いっ、なっ、何しやがるっっ! テスタロッサッッ!」
 顔を真っ赤にして怒るヴィータを見ながら、フェイトは薄く笑う。
 同時に、リインフォースUが締め付けたのか、びくんっヴィータが全身を痙攣させた。
「こ、コラッ、リイン! い、いい加減、はにゃっっ!?」
「いやです、ヴィータちゃんのクリトリス、お腹一杯で気持ちいいんですぅ、もっとこす
って欲しいです」
 くねくねと空中に浮かんだまま腰を揺らすリインフォースUの痴態を見ながら、フェイ
トは嗤いを浮かべてヴィータの腰に手を当てた。
「んぐっっ! なっ、何する気だっっ!」
491『FATE in The dark fate』:2008/01/19(土) 23:16:00 ID:Rla6gWYD
 ヴィータが快感に頬を赤らめながら見詰めてくる。
 リインフォースUが腰を揺らすたびに顔を赤くしながら、それでも普段と変わらないき
つい目つきで睨んでくるヴィータ。
 ぞくぞくと背筋が震えた。
「ふふっ、なんだろうね」
「んぎぃっっ! ひぐっ! む、無理! それ以上、入らないっっっ! ひにゅっっ!?
 り、リイン! やめ、ソコこするなっっ!」
「ふぁっ……あふっ…………ひゃんっ……ヴィータちゃん、気持ちいいですぅ。もっと、
もっとこすって欲しいですぅ」
 悲鳴と快楽の混ざった声を上げるヴィータの腰を押さえ付けながら、ぐりぐりと子宮口
を強く圧迫する。
 少しだけ、引っかかりが出来た。
「いぎっっ! こ、壊れっっ! やめ、テス、タロ、ッサ」
 ヴィータの悲痛な声を聞きながら。
 ずぐんっ、とヴィータの子宮の中に亀頭が入り込んで、フェイトの偽根が全てナカに収
まった。
「ふわぁ、ヴィータちゃんのお腹ぽっこりですぅ。フェイトさんのお○んちん、こんな深
くまで入ってるんですかぁ?」
「や、やめっ! さわるなぁっっ!」
 くっと体を起こしたリインフォースUが手を伸ばして、ヴィータのぼこりと膨らんだお
腹をさする。
 それがヴィータの性感を刺激したのか、フェイトの偽根が強く締め付けられた。
 ゾクゾクと気持ちよさに体が震えてくる。
「ふふっ、ヴィータ可愛い」
「うぐっっ! テスタロッサァァアアアアアッッッッッ!!」
 怒りと苦しさを目に浮かべて睨み付けてくるヴィータ。
 シグナムと違ってなかなか落ちないヴィータの仕草に苦笑を浮かべて、フェイトはヴ
ィータの腰を掴んで一気に雁首のあたりまで引き抜いた。
「ひにゃっっ!? やっ! やめ、ふぁっ!」
「はふぅ〜、ヴィータちゃん、お腹で暴れてますぅ」
 まるで、ワインのコルクを抜くときのように、強い手応えが帰ってきて。
 尋常でない締め付けにフェイトは息を呑んだ。
 ざわざわと、気持ちよさのあまり背筋に虫が這う。
 だからまた、一気にヴィータの体を押し込んだ。
「いぎぃっっっ!? ぐぅぅっっっっ! や、やめっっ! やめろっっ、この!! グ、
グラーフッ!」
「ダメですよ、ヴィータちゃんぅ……。折角、はふっ、気持ちいいのに、グラーフアイゼ
ン、なんて、ひゃんっ、どうする気、です?」
 大気フォルムのグラーフアイゼンに手を伸ばすヴィータに、リインフォースUが笑いか
けて、くくっと素早く腰を上下させた。
 途端に、ヴィータの体が大きく仰け反る。
「ひぐっ! いぎっっ!」
 間髪入れず、一気にヴィータの胎の奥に、偽根をたたき込む。
 痛みと快楽で目を瞠るヴィータ。
 その姿を見た瞬間、小さな違和感が胸の奥に小さく湧いた。
 自分は何をしているのだろう、そんな小さな違和感がなぜか消えることなくわだかまる。
 けれど、今は、ヴィータの膣内(ナカ)に精を吐き出すのが目的。
 そう。
 そうやって、皆を堕とすのは、なのはを手に入れるために必要なこと。
「ふぁっ! ひゃんっ! フェ、フェイトさん、激しいですぅ!」
「いぐっっ! あがっっ! ぎっ!? いっっ!? 気持ち! い゛!?」
 リインフォースUの声と同時に、ヴィータの反応が変わった。
 それまでの苦痛と快楽の両方に翻弄されていた表情が、快楽一色に染まっていた。
 だから、今は何も考えずヴィータの膣内を蹂躙する。
 周囲を見渡せば、はやてとシャマルが2人がかりでシグナムの相手をしているのが見え
て。
 お腹の上でヴィータが快楽に腰を動かしはじめて、同時にリインフォースUも甘い泣き
声を上げて。
 もう、堪えられないほどの快感に、違和感が押し流されていく。
「ひっ!? ゆる、許して! イク!? イクから、だから!」
492『FATE in The dark fate』:2008/01/19(土) 23:17:18 ID:Rla6gWYD
「ヴィータちゃん、私も、私もイきますぅ!」
「ん、私もイクよ、2人とも」
 甘い泣き声を上げるヴィータとリインフォースUの姿に、フェイトも我慢できなくなる。
「あ……あ゛? あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああああああっっっっっ!!」
「ふみゅぅんっっ!」
「ん、イクっっっ!」
 どくんっとヴィータのナカに全てを注ぎ込みながら、フェイトは暗い悦びに身を任せた。




 ……死屍累々。
 そんな言葉がぴったり来る程、リビング内は酷い状態だった。
 カーペットは愛液や精液、失禁や汗がしみて色が変わり、その元になった皆はぐったり
とした様子でそんなカーペットの上に寝転がっている。
 それを一人ソファに座りながら、フェイトは見詰めていた。
 時刻はそろそろ八時。
 四時間近くも乱交を繰り返せば、これほど疲れ切ってもおかしくない。
 それは分かっていても、自分だけがこんなに早く回復したことに、少しだけ奇妙な感じ
を覚えていた。
 それは、以前から思っていたこと。
 幾度出しても体力が減るどころか、むしろ相手を抱けば抱くほど体に力がみなぎってく
る気がするのだ。
「……ま、いいけど」
 今はそんな事はどうでも良いことで、何よりもただ思う存分に貪ることが出来た。
 それだけが心地よさとなって体の中に響いている。
 一番激しく抵抗していたヴィータも最後の方には自分から求めてきて、はやての相手に
忙しいこちらを見限ってシグナムと抱き合う程に、快楽に貪欲になっていた。
 他の2人も推して知るべしで、不意に背後に気配を感じて振り返るフェイト。
「フェイトぉ……」
「……テスタロッサ。これは」
 とろんとした目つきの大人モードのアルフが、同じく人間形態のザフィーラの首に縋り
付いて立っていた。
 何度もザフィーラの頬にキスをしたりほおずりしたりするアルフに、少しだけ苦笑を浮
かべる。
 やっぱり、アルフの特別はザフィーラだったんだと、訳もなく理解できた。
「みんなで、気持ちよくなってただけ。ザフィーラもアルフと気持ちいいことしてたんで
だよね」
 苦笑を浮かべたままの問いかけに、頬を赤らめることでザフィーラが堪える。
 その無骨な外観からは似合わない反応に、思わず笑みが浮かんで。
 アルフが、嬉しそうな笑顔を浮かべた。
「ザフィーラはさ、Hなことってなんも知らなくて、アタシが教えたんだよ。ザフィーラ
のってフェイトのより少し大きくてさ、上の口も下の口も、どっちでも銜えるの大変だっ
たんだから」
「アルフ……、そのようなことはみだりに他人に言うべき事ではない」
 ザフィーラの無表情なツッコミに苦笑を浮かべて、フェイトはもう一度視線をはやて達
に戻す。
「ザフィーラ。お風呂貸して貰える? それと、みんなを起こしておいてくれるかな?」
「ふむ、了承した。……だが、この姿はどうにかならないか」
 僅かに顔を赤らめて、視線を逸らすザフィーラ。
 アルフとしたことで意味が理解できたのだろう、女性の裸に対する羞恥や照れが見れる
だけでも面白くて。
「ゴメンね、みんな起きてこないから」
 わざとずれた返答を残して、ゆっくりと立ち上がる。
「アルフもおいで、一緒に入ろ?」
「うんっっ! あ、ザフィーラ。またHしようね」
 嬉しげに頷きながら、ザフィーラから離れたアルフがそんな言葉を口にして。
 耳まで真っ赤になったザフィーラが恨めしげにアルフを睨む。
「だから、そう言うことは……」
 そんな説教を聞き流してフェイトはアルフを連れて風呂に向かった。
493『FATE in The dark fate』:2008/01/19(土) 23:18:46 ID:Rla6gWYD
 ……こざっぱりとした状態でリビングに戻るフェイトの耳に、甘い泣き声が聞こえてく
る。
 それは、ある意味予想通りのこと。
「んと、フェイト、何アレ?」
 一緒に湯船に浸かるため、子供モードに戻っていたアルフに、ただ笑顔だけを向けてリ
ビングの中に入る。
「くっ! 止せ、シャマル。シグナムもヴィータも、正気に戻れ!」
「そんなこと言っても、オ○ンポバキバキにしてたら、説得力ないわよぉ」
「そ、そうだぞ、ザフィーラ。頼む、埋めてくれ、私のここにそれを埋めてくれ」
「いいよぉ、気持ちいいよぉ、もっと、ザフィーラもっとぉ」
「あはは、みんな仲良うてええね。リインもしといで」
「は〜い」
 床に大の字に拘束されたザフィーラにヴォルケンのみんなが、取りすがっていた。
 ひとりソファに座ってそれを眺めているはやての後ろにそっと立つ。
「はやて」
 声をかけて、振り返ってきたはやての表情に、一瞬我を忘れそうになった。
 嬉しげな優しい笑顔を、あのはやてが向けてきたのだ。
「フェイトちゃんのおかげで、みんなともっと仲良うなれた気がするわ。ありがとうな」
 そう言って浮かべる笑顔は、慈母のそれ。
 胸の奥に刺さった棘が、疼きを起こした。
「そう、喜んで貰えて嬉しいよ。それじゃ、私はそろそろ帰るけど……」
「ん、明日、学校でな」
 にっこりと満面の笑顔を浮かべるはやて。
 心を折ることが出来たのだと証す笑顔を見ながら、満足感と僅かな疼きを受けて、フェ
イトはバルディッシュを取り出す。
 ここから歩いて変える気分ではなかったから。
 明日は、アリサを堕とす。
 その決意を思って、なぜか小さな溜息が零れる。
「アルフ、帰るよ」
「うん。ザフィーラまた今度Hしようね〜」
 ぱたぱたと手を振るアルフに、ザフィーラがなにかを叫ぼうと口を開いて、ソコにヴ
ィータが唇を押しつける。
 ザフィーラの腰の上にシグナムが乗りかかり、シャマルがそんなシグナムやヴィータの
胸や股間に手を伸ばす。
 リインフォースUがシャマルのクリトリスを舐めしゃぶる光景に滾るモノを感じながら、
フェイトは転移魔法を発動させた。
494暗愚丸:2008/01/19(土) 23:23:56 ID:Rla6gWYD
前回レスくださった皆様、ありがとうございました。
メッチャ遅くなって、本当に申し訳ないです。
色々と無茶な方向に突っ走ってますが一応あと三回の予定なので、お暇な方はお付き合いください。
次回、アリサ編……か、間章のアルフ×ザフィーラでお会いできればいいなと思います。
いつになるか分かりませんが、それでは、また
495名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 23:39:39 ID:SPaHqfrQ
>>494
いーやっほぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!
貴方をずっと待ってましたぜ
ボルケンビッチがついに覚醒しましたねw

アリサとすずかの数少ないエロ補給分を期待してます

それとフェイ×シャマとフェイ×シグの間って抜けてませんか?気のせいだったらすいません
496名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 00:01:00 ID:Oc6UAxcd
次スレ立てたよ

☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第47話☆
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1200754790/l50

>>暗愚丸氏

GJ!続きも楽しみに待ってます!
497名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 00:19:33 ID:S1yQg6R3
>>496GJ
埋めにはまだ早いかもだけど小ネタ投下おk?
498名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 00:19:58 ID:wwQNbpQn
スレ立て乙

>>494
GJ! ふたなり好きなんでたまらんです。
でも487と488の間が抜けてるのは気のせい?
499名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 00:20:03 ID:OcYXd2cR
いいに決まってる
500名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 00:22:05 ID:/dLAEYEe
現在、476kb。どぞー
501名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 00:23:38 ID:fq8y4Hvp
>>497
502名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 00:24:13 ID:S1yQg6R3
ではありがたく
小ネタなのに警告
・メインはヴィヴィオ
・CMパロ
・すこしキャラの性格を崩しています
5031年A組 わんこ先生:2008/01/20(日) 00:25:30 ID:S1yQg6R3
わたし高町ヴィヴィオ!
ザンクト・ヒルデ魔法学院に通うふつうの女の子だよ!
え?普通じゃないだろって?
お前聖王になれるだろ?大きくなれるだろ?
……なにを言ってるの?大きくなんてなれるわけがナイジャナイ
ワタシガオオキクナッタラママノSLBガ……
SLBコワイSLBコワイSLBコワイSLBコワイエスエルビーコワイエスエルビーコワイ
エスエルビーコワイエスエルビーコワイスターライトブレイカーコワイコワイコワイコワイ!
タスケテイタイヨチョットジャナイヨタスケテイタイヨチョットジャナイヨタスケテタスケテ

(トラウマによる記憶障害のようです。落ち着くまでしばらくおまちください)

……というわけだからわたしはなにも覚えてない、もといシラナイデスヨ?

今週もわたしの学校のことを学校のことをみんなに教えちゃう!
古代ベルカ語の先生にザッフィー先生って人がいるんだけどね、
その先生の授業のようすを紹介するね?

「テオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァ!」
「「「……ておあ〜〜」」」
「いいぞ!いいぞ!テオアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァ!!!」
「「「ておあ〜ーー……」」」

……変わってるよね〜〜?
先生が言うにはあれが古代ベルカ語なんだって!
でも大声でさけぶのはちょっとはずかしいからわたしたちはいっつも小声でいっちゃうの!
先生にはナイショだよ?みんな先生のことがこわいみたいだから!
ちょっと目がするどくて体もおおきいからってみんなは言うけど、
わたしは好きだよ?なんかいつもいっしょにいるみたいで安心できるの!

あ、もうすぐママたちが帰ってくる時間だ!
毎週この日はザフィーラはどっか行ってて寂しいんだ!
ザフィーラが帰ってきたらいっぱいモフモフしてあげなきゃ!
みんな、またね!
5041年A組 わんこ先生:2008/01/20(日) 00:27:26 ID:S1yQg6R3
なんとなく前スレの埋め小ネタからシリーズ化してみた

……ああ!?トマトなげないで!ベチャベチャする!
505名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 00:28:50 ID:XY0coP2u
>>504
いや・・・なかなかのカオスっぷりで埋めには十分な効果だ。GJ?
506名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 00:41:52 ID:ykE1R4+1
なんというPTSD。ヴィヴィオ頑張れ、ザフィーラ頑張れ。
507暗愚丸:2008/01/20(日) 00:54:41 ID:zdwUBSAV
>>495 >>498
指摘ありがとうございます、確かに抜けてました。
普通に書き込めたって出てたから、気付いてませんでした。
と言うことで、抜けてた分を投下します。
508『FATE in The dark fate』:2008/01/20(日) 00:56:28 ID:zdwUBSAV
 シャマルが期待に目を輝かせるのを見て取って。
 フェイトは何も言わず、一気に最奥まで偽根をたたき込んだ。
「ふぁぁっっっ!」
 シャマルが甲高い声を上げるのを聞きながら、フェイトは一気に腰を激しく動かしてい
く。
「ひゃっ!? フェイトちゃんっ、そんなっ、いきなりっ!」
 びくびくと全身を震わせるシャマルが驚きを目に浮かべて見詰めてくる。
 ニヤリと口元を歪めて、ぐちゅぐちゅとイヤラシい音が鳴るのを聞きながしながら腰を
振るフェイト。
「ふぁっ! ふぁぁっっ! すご、すごいのぉ! フェイトちゃんのチ○ポ、おいしいの
ぉっ! もっと、奥まで奥までくださいぃ!」
 舌を突き出してあえぐシャマル。
 さっきまでの余裕が無くなったシャマルを嗤いながら、シャマルの膣内を抉りまくる。
 今まで貪った皆の中とは違う感触に、フェイトも口の端から唾液が零れるのを感じてい
た。
「ひゃふっ! ダメ、ダメダメダメェェェッッ!? も、もうイッちゃう!? フェイト
ちゃんのチ○ポで私のオ○ンコイク、もうイクもうイクもうイクゥゥ!」
 ぎゅっと膣が強く喰い締めてきて、シャマルが全身を痙攣させながら達する。
 それを強く感じながら、フェイトはそのままシャマルの最奥をノックしはじめる。
「まっっっっ! まって! フェイトちゃんっ! いま、イッてるの、イッてるから!」
 切羽詰まった声を上げるシャマルに笑いかけながら、フェイトは動き続けた。


「ひぁぁっっ! イクぅぅぅぅ!」
「私もイクよ」
 シャマルが3度目の絶頂を向かえるのと同時に、どくんっとシャマルの中に一気に精を
解き放った。
 幾度も繰り返して注ぎ込むたびに、シャマルが全身を痙攣させて。
「んっ……」
 フェイトは満足感を覚えながらシャマルから離れた。
 ちゅぽんっと音を立てて偽根が抜ける。
 まだ閉じきっていないシャマルの膣口から、ごぽりと白濁液が吐き出された。
「……ふぁっ……う、フェイトちゃん、凄い……」
 とろけた瞳でシャマルがじっとこちらを見詰めてくる。
 まだ続けて欲しい。
 目でそれを告げてくるシャマルに答えようとして、傍らから声が聞こえた。
「主……はぁはぁ……主」
「ごめんな……、シグナム、ゴメンな……」
 声の方向に目を向けて、とくんっと鼓動が早まった。
 床に仰向けになっているはやてと、その隣でぐったりとした様子で俯せになっているシ
グナムの一糸纏わぬ姿が視界に収まった。
 とろとろと、シグナムの秘処から愛蜜がこぼれ落ちている。
 今度はシグナムとしてみたい。
 そんな好奇心が胸に湧いて、シャマルから離れた。
「フェイト、ちゃん?」
「シャマルは、はやての相手をしたら?」
 そう呟きながら、シグナムの下半身の方に移動する。
 身じろぎしないシグナムの両足を広げて、膝立ちになるフェイト。
「ん……?」
 シグナムの朦朧とした声が耳朶を打つ。
 それを無視して、フェイトはシグナムの腰に両手を添えた。
 ぐっとそれを持ち上げた瞬間、我に返ったシグナムが驚きを浮かべてこちらを見詰めて
きた。
「なっ! よせ、テスタロッサ!」
 制止の声を上げるシグナムだったが、体を動かして逃げようとはしなくて、だからフェ
イトの口元に苦笑が浮かんだ。
 言葉だけで止まるような状況では、既にないことに気付いていないシグナムがただおか
しかった。
 シャマルがはやてを抱き起こして、唇を吸い上げていることにも。
509暗愚丸:2008/01/20(日) 01:00:46 ID:zdwUBSAV
投下ミスして、ごめんなさい。
>>487-488の間に、>>508が入ります。

書き込んだつもりだったんですが……orz
510名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 01:26:04 ID:wHtqCtwu
なんか板のスクリプト変更中かしらんけど色んなスレでエラー頻発してるからね…
ドンマイ。
511タピオカ:2008/01/20(日) 01:37:33 ID:kA3HrIVb
うわ、ギリギリ。だけど、これで最後なので、この板以内で完結したいから投下しちゃいます。

・非エロ
・公式の材料を全部把握していないので、内容が間違っているかもしれません。キチッと公式を踏まえたい人にひっかかるかもしれないです
・回答編のIF
512タピオカ:2008/01/20(日) 01:39:01 ID:kA3HrIVb
「外の世界を、見たいと思うか?」 解凍編

「解凍完了しました」
「御苦労さま。ああ、特に問題はないようだね。それじゃあ早速チンクに移植しようか。もう休みたまえ、ウーノ」
「いえ、手伝います」
「他のナンバーズも君がつきっきりだっただろう」
「やらせてください」
「……分かった」
「有難う御座います……しかし、どうしてこんな事を?」
「うん? そろそろ孫の顔が見たくてね」
「ドクター」
「ポットの中で眠って動けないチンクに、私のクローンを植える意味はあるまい」
「それは分かります。分りますが、ではどうしてこのタイミングでと言う事です」
「そりゃあ、次の作戦で私たちが全滅してしまっては、今以外にチンクに還してあげる事ができないだろう?」
「それでは、次の作戦は失敗するかもしれないとお考えなのですか?」
「いつも、どんな事にも失敗は有り得ると考えてるよ。今回は特にね。そうじゃなきゃ、ドゥーエと待ち合わせてまでチンク以外の全員に私のクローンを仕込まないさ」
「……」
「とは言え、敗けるつもりもないよ。全員、ゆりかごに集合だ」
「はい」
「クックックッ、チンクとゼストに事実を告げた時の顔を、見たいと思わないかい?」
「……そうですね。二人ともあまり表情を変えない。どんな顔になるのか」
「もちろん、ゼストの逃げ場も塞いでいる。あー……この音声データだったかな?」
『この精でできたら、どうする』
『…………………………………………………………………………………………………責任は、とる』
『産んでも、構わないのか?』
『…………………………………………………………………………………………………責任は、とる』
「録音? ドクター、あの二人の最初の夜を覗いていたのですか?」
「いや、プライベートなのでね、音声を聞いていただけだよ。映像はアウトしていた」
「悪趣味です」
「そう言う君はなぜ知っている?」
「あの時、起きていましたので共有動作データをチンクが消去する前に抽出しました」
「悪趣味な事だ」
「あなたの因子を一番濃く受けていますので」
「なんて素敵な女性だろうな、君は」

513タピオカ:2008/01/20(日) 01:39:40 ID:kA3HrIVb
さぁっと、吹く風にチンクが目を覚ました。
葉の間から降る細い日差しに、自分が木にもたれてるのを理解する。眠っていた、ようだ。

「起きた」

その隣では、同じように木にもたれかかったルーテシア。
遠くに、妹たちが見えた。中空にいる赤は、アギトだろう。

海上隔離施設は、穏やかだった。

「夢を、見てたの?」
「……はい」
「赤ちゃんの夢?」
「いえ……でも、その原因の夢、でしょうか」

また微かに風が吹く。隻眼が細った。チンクが無意識に髪と、大きくなったお腹を押さえる。
ルーテシアは、身を通り過ぎてゆく空気を一杯に吸い込んで晴れやかな顔だ。

「あとどのくらいで産まれるの?」
「3か月以内だったかな……」
「きちんと覚えておかなきゃ、ダメ」
「ええ」

微苦笑。多分、この施設内でもチンクの次に赤ちゃんの誕生を楽しみにしているのはルーテシアだ。
最後まで、今でも怒っているのはノーヴェだ。ゼスト殺すから生き返って責任を取れと、間違った事を叫んでいた。
身重なチンクが己のお腹をさするのを、ルーテシアが嬉しげで楽しげにじっと眺めていた。

「チンクが、一番お姉さんだよね?」
「はい。この中では、一番上です」
「他のナンバーズの妹を眺めてる時の左目と、赤ちゃんを撫でている時の左目、おんなじ。とっても優しい」
「……」
「私のお母さんも……そんな目で、私を撫でてくれるかな……」
「絶対に、してくれます。だって、お母さんですから」
「……そうかな?」
「はい」
「……」

得心しきれていないが、しかし心のどこかはチンクの言う事を疑いもしないと言う変な気持ち。
不思議そうな顔で、そんな気持ちを持て余すルーテシアの頭をチンクが撫でてやった。
甘えるように、ルーテシアがチンクの太ももを枕にして寝転ぶ。風も、陽も、柔らかな日だった。

すぐにルーテシアの寝息が聞こえてくる。
風に乗って、妹たちとアギトの声も耳に届く。セインやウェンディと一緒に、新しい花火を考案中だ。
いつも静かなオットーやディードも、その話には好奇心を持っているように聞き入っている。

「なぁゼスト、妹たちはな、何も変わらないんだ。外の人間とも、何も違わない。楽しむし、悲しむ。ただ、知らないだけ」

そんな、みんなの声に耳を傾けながら、そっと目をつむる。
自然と頬が緩んだ。生きていると、思えるから。
ルーテシアのぬくもりと、妹たちの声と、自分の中に宿る命に、心から生きていると思える。

「だから、そんな妹や、これから生まれてくるお前との子に」

その日、応えられなかった回答。
あの日、伝えられなかった回答。

「外の世界を、見せたいと思うよ」
514タピオカ:2008/01/20(日) 01:46:19 ID:kA3HrIVb
入った! 終わりです!
このタイトルが、これで終了です。
他の人みたく、巧さや発想、派手さ華やかさがないので、こんな風な話しか書けないですが、御容赦を。
いや、しかしながら、書いてて私は楽しかった。
それでは。
再見!
515名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 01:49:45 ID:rzkiYQLw
GJ!
さわやかな終わり方だなあ。チンクに宿る小さな命に幸あれ!
516名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 01:50:14 ID:wupxXu9z
チンク孕みキタアアアアア!!! マジで超GJだぜ!!

このシリーズはエロあり、和みあり、感動あり、ってもう何でもありじゃねえか! これでハードな戦闘が入ったらもう満館全席じゃねえんですかい?
517名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 02:16:08 ID:ILXaVZMv
>タピオカ氏

チンク妊娠!
チンク妊娠!
チンク妊娠!!
(CV海王)


いや、GJだ。
まさかこのようなラストに持っていくとはw
あとルーテシアとチンクの会話が良い……。
チンクの温かさが伝わってくる。
518名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 02:18:21 ID:+vmW2gkt
GJ!!
子供は中距離はナイフ投げ、近距離は槍で戦闘する戦士になる予感w
519名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 02:29:12 ID:z5vfT5dv
これからは孕ませ、妊娠SSブームの予感
520名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 02:30:13 ID:A5GxrbGY
チンクxゼストGJです!!!
とてもいい話でしたw
521名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 04:26:36 ID:kA3HrIVb
>>494
ヤベエエエエエ!!GGGGJJJJ!!
エロい。エロすぎる。まさにエロパロ。シャマルVSフェイトも、ヴィータVSリィン&フェイトも萌えたわ。
「やめ」とか「許して」とか、シグナムはこうでなきゃね。ザフィとシグがかわいすぎる。
522名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 04:41:07 ID:SnyocSYr
>ゼスト殺すから生き返って責任を取れ
いい、いいよ!こいうの大好きなんだwごっじょぶ!
523名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 05:03:29 ID:ILXaVZMv
>>522
連投ですまなんだが……

そうだ!
ゼストはたっ一回で終らせた!!
前戯をもっとこう、感じさせてから、そんで優しくチンクを抱いてあげるのを、
数千、いや数万回やってから死ぬべきだッッ!!
524名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 08:27:44 ID:b/xwQrUK
>>514
GJ
最高でした。なんかもう最高でした。
読んでいて温かい気持ちにさせられました、お疲れ様です。
525名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 08:52:10 ID:erxCUNBa
最近思うんだけどチンクって人気あるよね
出番ほとんど無かったのに姉属性でロリだからか?
526名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 14:55:00 ID:V8nuvjxa
埋める?
527名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 14:57:33 ID:ayVyi+Sa
>>526
GOGO
528名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 15:34:56 ID:MEf9x6qv
          、_           |\ ,. ‐:,.=―
       __  | \  ,. -――`-/:.:./-―‐-...、
     /:.:__:.:.:`丶Y|/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.三:_=、、\
.   /::/    ̄>/ニ:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\:.:.:.:\\
   /:.:/     /_,イ:.:ヽ:.:/:.:.:.:.:.:.:.l:.:.l:.:|:ト:.:!:.!:ヽ\:.:\ヽ
.  |:.:.|          l:.:.:.:./:/:./:.:./_|.-|‐N |:ト:|:|.:|!:.:.!:.:.:.Ν
.  |:.:.|        l:.:.:.:|:.|:.:|:.:'/ィ::f下  ,ォイ:.!/|:.:.|l:.:/
.  ヽ:.ヽ         ヽ:.:|ハ:|:.:| 代ュソ   |j|/|:.:|::/lj/
    \:\         ヽヽ.トヽ!  '' ''   ''}'/://:.:|
     \≦二     ∨|:.:.:|    ワ/イ´/:./
           ,. ‐<´ ヽ:.| ァ‐_--イ|:.|__|!/'´
           /.: : : : :\   ヽノ: :\ V/ l
         l|: : : : : : : :`\_{:,': : : ヽl  l
           !:|: : : :ヽ: ヽ|: :`: :〒: : /=l.  l
         l: |: : : : : \:|: : : :イト: /: : : ;l   l
          l: :|: : : : : : : :\: :L!ll」: : : ;ハ   l
         l: : |: : : : : : : : :〈: : ll:lリ\/、     l
         l: : : |__ノ「 ̄ ̄ト| /:ll'll    \_丿
次スレ
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529名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 15:35:17 ID:22xBhOOJ
┏どうぐ━━━┓
┃ .なのは . ┃
┃┏━すてる━━━━━━━┓
┃┃  E レイジングハート   ┃
┃┃  E バリアジャケット    ┃
┗┃  E ふしぜんなちち    ┃
  ┃  E はんにゃのめん    ┃
  ┃  しょうじょのこころ  .┏━━━━━━━━━━━━┓
  ┃  なまいきなぶか.   ┃Fさん(19) をすてますか?. ┃
  ┃→E Fさん(19)     ┃→  はい               ┃
  ┗━━━━━━━━━ ┃   いいえ           ┃
                 ┗━━━━━━━━━━━━┛
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ それをすてるなんて、とんでもない!             ┃
┃                                  .┃
┃                                  .┃
┃                                 ...┃
┃                  . .        ▼        ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛


【次スレ】
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530名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 15:36:03 ID:22xBhOOJ
     /   /   /               `ヽ、
    ,′  |   :/ / / /         ヽ \   `ーイ
    l   │  l | /  /   /|  |  l   |\ー 一'´
     |    /l   -| 十! /- イ /  |  |  ,'  j  ヽ       _         |  // _/__
     |    l |   W|_l_/| / |l ,'  / メ/|: /   /ハ: |     ()),, ̄),,       |\    /  /
     |  :/こ|   レ行にfヾ八{ /xく/ |/  /   | j        ̄ヾヽ  ,    |     /  /  ツ
     |  {{^ |   |!込,,ノ    イナノハトV  /   :/∨         `ヾ、 ;
     |   |ヽ.|   |   `      込,ソ/ /   /      
     |   l  |   |        ,  `ア7/ / j/                 ヽ、  なのはかわいいよなのは
     |   l  |   |     r- _   / レ/           ヾ、ヾ、 ー - ... ヾヽ _
    |.  l _/|   |\  `ー ´  イ │           ヾ、` lllllll` ー -==':::::::::>` ー - .. 、 _
    /  i::::::|   |` ヽ、_.  ∠ |  │            i`` ` ー - .. 、 _ `ー' ` ー - .. 、 _   
   /  ,ノ;;;;;;\/;;;;:ロ|二|;;;;;!iレl| \ /         /^ヾ`>ー - 、    ` ー - .. 、 _   
 /:::::イLl‐,.///:::8:::::ヾヽ\,..-一'´ ̄ ̄フ/::::::::::〃          ` ー - 、 _ニニフ ̄ > ー
/::;イLl//´⌒´ ̄^ ̄`ヽy'::::::::::::::::::::::::/./:::::::::::::/ i     =  、__  ! __[`ノ ,r'ー‐'
;イLl-//:::::::::;:::::::::::/⌒7´:::::::::::::::::::::::/./:::::::::::::::i  !     、  、   ̄! ̄ノ  ̄`ー‐'
イLl/::/::::::::∠::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/./:::::::::::::::::i  ヽ        `ー―‐〈


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531名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 15:39:02 ID:ayVyi+Sa
┏どうぐ━━━┓
┃ .なのは . ┃
┃┏━すてる━━━━━━━┓
┃┃  E レイジングハート   ┃
┃┃  E バリアジャケット    ┃
┗┃  E ふしぜんなちち    ┃
  ┃  E はんにゃのめん    ┃
  ┃  しょうじょのこころ  .┏━━━━━━━━━━━━┓
  ┃  なまいきなぶか.   ┃Fさん(19) をすてますか?. ┃
  ┃→E Fさん(19)     ┃→  はい               ┃
  ┗━━━━━━━━━ ┃   いいえ           ┃
                 ┗━━━━━━━━━━━━┛
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ それをすてるなんて、とんでもない!             ┃
┃                                  .┃
┃                                  .┃
┃                                 ...┃
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┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛


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532名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 15:39:33 ID:ayVyi+Sa
     /   /   /               `ヽ、
    ,′  |   :/ / / /         ヽ \   `ーイ
    l   │  l | /  /   /|  |  l   |\ー 一'´
     |    /l   -| 十! /- イ /  |  |  ,'  j  ヽ       _         |  // _/__
     |    l |   W|_l_/| / |l ,'  / メ/|: /   /ハ: |     ()),, ̄),,       |\    /  /
     |  :/こ|   レ行にfヾ八{ /xく/ |/  /   | j        ̄ヾヽ  ,    |     /  /  ツ
     |  {{^ |   |!込,,ノ    イナノハトV  /   :/∨         `ヾ、 ;
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     |   l  |   |        ,  `ア7/ / j/                 ヽ、  なのはかわいいよなのは
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533名無しさん@ピンキー
     /   /   /               `ヽ、
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