スクールデイズの分岐ルートを考えるスレ part2

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367病床の言葉
言葉の家庭訪問の続編です。
病床の言葉。

誠と言葉のマンションにて。

「ごめんなさいねいたるちゃん、ご迷惑をおかけしちゃって。」
「いいのよ、お姉さんにはいつも面倒かけてるし。」
「でも・・ハァハァ・・。」
「ほら、ちゃんと寝ててよ!無理しなくてもいいから。」
言葉は熱のせいで少しやつれた表情で黙って頷いた。
いたるはそんな言葉の額に濡らしたタオルを置いて
言葉が寝付くまで側についていた。

何故こんな事になったかというと
いつも通り遊びに来たいたるが部屋に入ると言葉がリビングで倒れていた。
額に手を当てると熱かったのですぐに寝巻きに着替えさせて往診を頼んだ。
医者からインフルエンザとの診断を受けたので相応の処置をしてもらい
ようやく落ち着かせたのだ。
いたるが電話で誠を呼ぼうとしたら言葉に必死に止められたので心にだけ知らせた。
誠は真奈美に連れられて泊まりで取引先に行っているそうなのだ。

『可哀想に、お兄ちゃんに心配かけたくないから辛くても言い出せなかったんだね。』
寝入った言葉の額に浮いた汗を拭きとりながらいたるはそう思った。
368病床の言葉:2008/01/29(火) 18:41:24 ID:zLskGNLz
それから何時間か経って言葉は目が覚めた。
「うーん、大分熱が治まったみたいだね。」
いたるが言葉の額に手を置いてほっとした感じでそう言った。
「本当にすみません。」
「そんなのいいって、所でお姉さんお腹すいた?」
「ええ何か作らなきゃ。」
「お姉さんは寝てて、さっき牡蠣雑炊作ったから持って来るね。」
いたるがお盆に載せてきた雑炊は確かにおいしそうだった。
「フーフー、はいあーん。」
いたるが蓮華にすくった雑炊を言葉に差し出した。
「い・いたるちゃん・・・自分で食べられますから・・・」
「いいから、こんな時くらいお世話させてよ。」
言葉は照れながらも雑炊を口に含んだ。
「美味しいです。」
「良かった、日頃から自炊してるからちょっとは自信あったんだ。」
そんな調子でいたるに食べさせてもらって言葉は雑炊を食べきった。

「お姉さん全身に汗かいてるから後は体を拭くのと着替えだね。」
いたるは言葉が寝ている間に大き目の洗面器やら着替えやら用意しておいたようだ。
「じ・自分で出来ます。」
言葉はこれは更に恥かしいようで体に毛布を巻きつけて嫌がった。
「ほらほら観念して、いつもお風呂一緒に入ってるし
 さっきだって寝巻きを着せたのは私なんだから。」
「お風呂とここでは違います!」
結局言葉はいたるに全て脱がされて体を拭かれて着替えさせられた。
「今日は恥かしい事ばかりです。」
言葉は布団を頭まで被ってさすがに恥かしそうにしている。
「じゃあお兄ちゃんにやってもらった方が良かった?」
「それはそれで嫌です。」
369病床の言葉:2008/01/29(火) 18:42:07 ID:zLskGNLz
「そりゃそうだよ、誠お兄ちゃんがやったら服を脱がした時点で看病にならないだろうし。」
いつの間にか心が部屋に入ってきていた。
「心お姉ちゃん。」
「心、またそのまま入ってきたの?!」
心の突然の登場に驚いた言葉がそう言って上半身を起こした。
「そんな事言っていいの?
 私たちが合鍵持ってたからお姉ちゃんは大事に至らなかったんだよ。」
「それはそうだけど・・」
「とにかく今日は寝ててよお姉さん。」
「そうそう私たちが交代で面倒見てあげるから。」
「でも二人とも用事があるんじゃ・・」
「はいはい病人は大人しくして。
 私は卯月ちゃんにちゃんと理由を話したから大丈夫。」
「私は最初からお姉さんに会いに来たようなもんだし大丈夫。」
そう言って二人がかりで言葉を布団に押し込んでしまった。
370病床の言葉:2008/01/29(火) 18:42:40 ID:zLskGNLz
翌日の夕方。

心といたるの二人に家事一切を任せて寝ていた言葉だったが
今日の夕方には誠が帰ってくる。
起きて出迎えようとしたら案の定心といたるに止められた。
「ぶり返したらどうすんの!お姉ちゃん!」
「でも誠君が帰ってくるのに私が寝たままなんて。」
「お姉さんそんなのいいからそのままでいてよ。」
「ただいまー。」
どうやら誠が帰宅したようだ。
言葉の代わりに玄関まで心が迎えに行って数秒後誠が部屋に飛び込んできた。
「言葉大丈夫か?ごめんよ気付いてやれなくて・・」
誠はベッドの上で上半身を起こしていた言葉を抱きしめて謝った。
「ま・誠君二人が見てます。」
「気にしなくていいよ、お邪魔虫は帰るから。」
「そうだね心お姉ちゃん。
 お兄ちゃん、お姉さんの看病をちゃんとするんだよ。
 お水とご飯だけじゃなくて
 お姉さんが汗かいてたらちゃんと着替えさせて体も拭いてあげるんだよ。」
「い・いたるちゃん・・」
「その時に変な事をするのは無しだよ。
 お姉ちゃんまだ体調不十分なんだから。
 でもそういうシチュエーションって燃えるって卯月ちゃんが言ってたなあ。」
「心!!」
「二人ともありがとう、俺が責任を持って言葉の看病をするから。」
誠に抱きしめられたままそう言われて言葉は照れながらも幸せそうだった。
『本当に昨日今日と恥かしい事ばかりです。
 でも何故か嬉しいです。』
371病床の言葉:2008/01/29(火) 18:43:08 ID:zLskGNLz
帰り道で

「いたるちゃんありがとね。」
「ん?」
「お姉ちゃんの事。」
「いいよそんなの、いつもは私がお世話になってるんだし。」
「よーし御礼も兼ねて晩御飯奢っちゃう!何がいい?」
「ありがとう心お姉ちゃん!うーんとね、ハンバーグがいいな。」
「もっと高いものでも良いんだよ?」
「小さいころに心お姉ちゃんと食べたやつもう一回食べたいんだけどダメ?」
「あの店かあ、いいよ行こうか。」
「うん。」
End