Nice boat
これはカキコテストです。
なんだかその1しか投下されてないような?容量の問題でしょうか?
今度は区切りつつ再投下↓
× × ×
(メフィストーフェレス)
契約をなさい。そうしたら近いうちに、
私の術を面白くごらんにいれましょう。
どんな人間でも見た事のないようなやつを提供しますよ。
(ファウスト)
君のようなしがない悪魔が、何を見せてくれる気やら。
およそ崇高な努力にいそしむ人間の精神が、
君たちなどに理解されたためしがあるのかね。
ゲーテ『ファウスト』第一部より
彼――前原圭一くんと初めて出会ったのは、今から一ヶ月以上前。五月晴れが広がっていたのを思い出します。
東京から雛見沢に引っ越してきた彼は、御両親と一緒に、次の日から通うことになる分校の見学に来ていました。
「圭一、どうだ?この学校に馴染めそうか?」
「――ああ。父さん、母さん。俺、ここが気に入ったよ。ここなら――生まれ変われそうな気がする」
彼は御両親に、そう言って微笑んでいました。
――とても、朗らかな笑顔で。
その後、御両親は校舎を見学された後、お帰りになられました。校長先生も、興宮の学校へ教育委員会の方々との会合に出かけられました。
私と前原くんは、明日からの学校生活について話し合うため、職員室へ向かいました。
「…というスケジュールで、学習計画を立てたいと思います。よろしいですか、前原く…ん?」
――その時、彼は急に俯き、涙を浮かべていたのです。
「ど、どうしたんですか?どこか、具合でも悪くなったんですか?」
「…いえ、違うんです、先生…。ただ…思い出したんです」
「思い出した?…何をです?」
「…昔のことです。俺のやってしまったことを、急に思い出してしまって…。
俺はどうしようもないクズだった。取り返しの付かないことをした。なのに、ここで…この雛見沢で、本当にやり直せるんだろうか。
過去のあやまちから…目を背けて、逃げているだけなんじゃないかって」
彼はそう言って、顔を両手で覆いながら泣きじゃくっていました。
――彼の過去を、私は断片的ですが、転校時の資料から知っていました。東京で起きたという、モデルガンによる連続襲撃事件。
しかし、彼は良心の持ち主でした。自首したことが何よりの証であり――流れる涙は、過去の過ちを悔いているからに他なりません。
「――もう、そういう行いはしないと、心に誓ったのでしょう?ならば、それでいいのです」
私は彼の肩に手を置きつつ言いました。
「誰しも、過去のあやまちはあるものです。やり直したいこと、悔やんでも悔やみきれない失敗――でも、人間は過去に遡れません。
その代わりに、現在と未来があります。過去のあやまちを繰り返さぬように生きる――それが何よりの罪滅しでしょう?」
「…先生」
「前原くん。あなたはさっき、『ここなら生まれ変われそうな気がする』と御両親に伝えたばかりじゃありませんか。
その言葉通りなのです。この雛見沢で、新しく生まれ変わること。かつての前原くんを超えて、新しく素晴らしい人間として成長すること。
…そのために、あなたはこの雛見沢に来たんです。そして、私は、何よりもそれを願う者です。先生は誰よりも前原くんを信じます」
――この時の私は、慈しみの感情でいっぱいでした。彼を救いたいという気持ちでしか動いていませんでした。
――彼を思わず抱き締めてしまったのは、そういう気持ちの表れからでした。
「…先生…!せんせぇ…!うっく…く…くぅ…」
「大丈夫ですよ、前原くん。さぁ、もう涙を拭いて…」
「く…く…うっく…くくっ…っくっく…」
「…前原、くん…?」
「くくっ…くくく…くくくくくくくははははははははははッ!!!」
――突然の高笑いとともに、私は座っていたソファーに押し倒されたのです。
× × ×
(ファウスト)
私は目もくらむほどの体験に身をゆだねたいのだ、
悩みに満ちた享楽や、恋に盲(めし)いた憎悪や、気も晴れるほどの腹立などに。
ゲーテ『ファウスト』第一部より
「きゃあッ!!…ま、前原くんッ!!何を!?」
「くっくっくっくっく…まったく、呆れた先生だな。清楚なフリをしながら、初対面の生徒に抱きついてくるような淫乱だったとは。
…いや、そんな気はうすうすしてたけどな。あんたの目を見た時に分かった。…満足出来ていない目だ」
「な…何を言い出すんですッ!!?早く手をどきなさい…っく…」
「あんたは満足してない。今の状況に…今の自分に。まだまだ若くて情熱的だが、そのエネルギーをぶつけるには、この村は少々のんびりし過ぎてる。
野心はある。自信もある。だが、それを理解してくれる人は少ない。何より…張り合いが無いんだろ。人生に、な」
「――ッ」
両腕をねじ伏せられ、身動きも取れない私でしたが、彼の声だけは明瞭に聞こえました。
声を張り上げようと思えば出来たのでしょう。ですが――不思議なことに、その時の私は、彼の言葉を漏らさず聞き取ろうとしていたのです。
そして、彼の微笑と、その目に囚われていたのです。――深く、心の底を見通すような、彼の目に。
「辺鄙な村の一教師で終わる――それもまた、一つの生き方だろう。それはそれでいいと、自分を抑えることも出来る。
だが、本当にあんたはそれでいいのか?――違う世界を知り、違う人生の楽しみを、生き方を知ること。
自分の知らない世界を、誰かに教えてもらうこと。そういう気持ちを…捨ててはいないんだろ」
「…私、は」
恐怖を感じました。――それは、身の危険という意味ではありません。私の心を暴かれている――その洞察力、その言葉の魔力に。
そう、魔力――彼の言葉には魔力が備わっているようでした。さらに、彼の柔らかな微笑が、ある種の神聖さをも感じさせました。
彼は私の顎をくいと持ち上げ、顔を近付けて言いました。
「知恵留美子。あんたは何者だ」
「…私は、雛見沢分校の――」
「いいや…違うね。その前に――『女』だろう。あんたは一人の女だ。美しい女――」
そう言って唇を歪めて笑う彼の顔を見て、私はある存在に思いが至ったのです。
「自分を偽るな、知恵留美子。あんたは刺激を求めてる。退屈な日常を変える存在を。自分を満足させてくれる存在を。
ふふふ…『女』が満足するのに一番ふさわしい存在はだな、それは間違いなく――」
彼を――前原圭一を形容するのにふさわしい言葉。それは――
「…悪魔…」
慄然とした声で私が呟いたのを見て、彼は一瞬ポカンとした表情となりましたが――すぐに笑い出しました。
「ハハハハハッ!!『悪魔』か、そりゃあいいッ!!…ククッ、そうだな…確かに『悪魔』だ。
この世に飽きた学問の人を、めくるめく官能の世界に誘う――
『常に悪を欲して、しかも常に善を成す、あの力の一部。常に否定するところの霊』
――そう、まさに俺はそういう者だ」
自分はメフィストーフェレス――彼はそう言ったのです。悪魔という形容を、恐れない。悪を成す事に、ためらいもない。
「だがな、知恵――悪魔であると同時に、俺は一人の『男』なんだよ。…それを今から、味わわせてやろう」
私はもはや身体が動きませんでした。全身からは力が抜け、怯えるどころか、身を任せるような思いすらありました。
「もう俺無しでは生きられない身体にしてやろう。言わば、これは契約だ。
――前原圭一という悪魔と取り交わす契約。
――必要なのは、知恵――お前そのものだ…!」
この悪魔に魅入られてしまったからには、逃れる術はなく。
――天使のように甘く、優しい、悪魔の口付けに、私は脳の芯までとろけそうな恍惚を覚えました。
× × ×
女たち自身が、そのあらゆる個人的な虚栄心の裏に、
やはりまた非個人的な軽蔑を抱いている――<女>というものに対して。――
フリードリッヒ・ニーチェ『善悪の彼岸』「第四章 箴言と間奏曲」より
蹂躙される唇は唾液にまみれ、彼の舌と私の舌が絡まり合い。
服の上から胸を撫でられ、乳房が形を変える度に、私は甲高い声をあげて。
彼の舌は口から首筋へとぬめりながら動き、ぬるい吐息が私の肌に染み込むようで。
私の反応を楽しむ彼の笑み――玩具の様に弄びつつ、優しく優しく私を慈しむ。
「はぁ…んぅ…ひぁ…!」
「いいぞ、知恵…お前の唇、お前の肌。今までのどんな女より、最高だ」
「今まで…あぁ…どれだけの…人、と…こんな、んんっ…ことを…?」
「知りたいか?なら教えてやる…本当の『過去』を」
彼が犯してきた、本当の罪。モデルガン連続襲撃事件は隠れ蓑、その裏にある、前原君の真の過去。
何人もの女性を、その手に抱いて、弄んだこと。
でも、それは『罪』ではないという。なぜならば――
「俺は悔いていない。楽しかったぜ、どんな女とヤるのも。罪悪感などありえない、むしろ――もっと抱いていたい。女を、な」
「あなたは、おかしい」
「おかしい、だって?」
「何人もの女性に、酷いことをしておきながら、罪を感じないのですか」
「ともに快楽を尽くした、それのどこが非道なんだ」
「あなたが犯した女性たちは、心の底からあなたに服従していたとは思えない」
「服従していたさ。何度も俺に貫かれながら、あいつらはさらに俺を求めてきた――それがあいつらの本性だった。
俺は手助けしただけさ――本来の女の淫らさを、引きずり出してやっただけ。
それは俺の愛情に基づくことだ。――俺は愛した、全ての女を。そして愛された、全ての女に」
「信じない、私は乱れたりなどしない。淫らなことなど、望まない。あなたは私に屈しない…」
「それも言葉の上だけだ、倫理観などすぐに吹き飛ぶ。肉体が支配され、次いで心も変わる。お前が生まれ変わる瞬間を、見てやるよ」
彼が下着の中に手を入れて、私の秘部を責め始める。
他人に初めて触れられるそこは、異常なほどの熱を帯び、羞恥心と屈辱感で、私の心もズタズタにされそうで。
でもその一方で、彼の指がもたらす快楽で身を捩り、はしたなく喘ぎ声を叫ぶ私もいて。
それを上から見降ろす彼の顔は、ますます狂った笑みに彩られていく。
「ふぁぁッ!!…んんん、駄目ぇッ」
「嘘をつくなよ知恵、気持ち良くて仕方が無いんだろ」
「違う、違うッ!私は…はぁうッ、ひぁっ、んんはあぁぁッ!!」
「まだ指一本でこれだから、二本ならどうなるか…なッ!?」
「ひああぁぁぁッ!駄目、そんなに、あぁァあああッ!!」
「いいぞ、その反応だッ!!快楽、女の快楽、それが分かってきただろッ」
「やぁ…あんんんッ!!こんな、こんなこと…」
「頭で考えるのはもう止せ…。いや、止めさせてやるよ。知恵が『女』だってところ、直接見てやろう」
彼はその言葉とともに、私の下着をずらして、『そこ』に口付けた。
唇が触れた瞬間、私は今まで以上に、痺れるような刺激を身体に覚えた。
彼が舌を使ってさらに責め立て、その度に嬌声を上げ、身を震わせる。
――もう、耐えられない。身体が――いや、心も。
「あぁッ!!駄目、もう、駄目ぇ…」
「…くっくっく、そろそろイキそうか、知恵?なら存分にイっていいぞ、思う存分に」
「いや、こんなの、うあぁッ!!…くっ、来る、なにか来ちゃうのぉ…ッ」
「それでいい、そのままイっちまえ、知恵ッ!!」
彼の舌と指が、私の秘裂の中で蠢いて。
耐えようという最後の心が、思いが、頭の中にあったけれど。
それすらも――絶叫のような嬌声と、凄まじい恍惚感で、塗りつぶされた。
一瞬意識が途切れ、ソファーの上からずり落ちそうになった私は――彼の腕の中で抱きとめられていた。
胸と腕の温もりは、天使のようでもあり――唇を吊り上げたその笑みは、悪魔のよう。
いや、その両方なのだろう。天使は天使でも――堕天使。
ルシファーであり、メフィストーフェレスでもある前原くん。
そんな彼に、私は堕とされてしまっている――身も心も。
今まで、この純潔そのものだった私を、一瞬で変えてしまった彼。
私の本心は?偽りの無い、本心はどう言っている?
前原くんを――もっと知りたい。この子は、彼は何者?どこから来て、どこへ行くの?
あなたは、私を――どこへ導こうというの?
欲しい、その答えを。この先を、知りたい――そう思ってしまった。
× × ×
以上です…投下に不手際があってすみませんでした。
二日ほど開けて、続きを投下したいと思います。
ではまた(´・ω・`)ノシ
GJ
続き楽しみにしてるよー
ってことは、圭一とレナと魅音死ぬのか?
うわあびっくり。続きがますます気になるじゃねえか!
ともかく外伝GJ!!
最近知恵先生ものが増えてくれて嬉しいかぎり。
俺的には寝取らレナが堪りませんな。
あれを見てインスピレーションが二つ程浮かんだから、とりあえず今書いてるSSが終わったら・・・フヒヒwww
>>730 キモいから誘い受け自重
>>714 職人も、SS外での自己主張はウザいから独り言は自分のサイトでな
神は無口でいい。そうすりゃ今より賞賛が増えるぜ
とりあえず乙
732 :
sage:2008/02/10(日) 15:55:26 ID:/SCoQcjB
>>731 言いたいことはわからなくもないけど、言い方に気をつけような。
とりあえず、って何でそんな偉そうなんだよw
sage間違えた……ちょっと、鬼隠しに会ってくるorz
毎度毎度いい加減ウザいからだよsageさんよ
職人よりSSが投下された。
通りすがりの読み手は感謝する。
職人よ、予期せぬカップリングに感謝します。
お陰で我が旅路は退屈せずに済むのです。
職人は応えず次作を書く。
それでいい。神と職人は無口でいい。
Foolderica Bakastel
737 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 17:08:32 ID:JoJ+DVHf
Miwotsukushiと言う作品の作者です。
作者は無口が吉、の流れの中投稿するのは場違いなんですがご勘弁下さい。
やっとこさエロパロらしい内容まで書き終えましたので投稿したいのですが
過去ログに行った為どこまで投稿していたか忘却しました(´・ω・`)
もし分かる人が居ましたら、教えて頂けたらと思います(*_ _)
つか現在473kb
>>737がどれくらいの分量のss投下する気か知らんが、
もし長いなら次スレから投下したほうがいいかもね
739 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 17:34:43 ID:JoJ+DVHf
かなり長そうです。
ワードで書くと言う物書きには嫌われるアレなんですが、最悪30ページ。
結構書いたのが前で知っている人が少ないなら、全部投稿ってのもあるんですけど。
つsage
違和感はそれでしたかorz
申し訳ありません
じゃ、次スレ立つまで待ってくれ
一応そうなんですけど、勝手に加えたりしたので、こちらだけしか見ない方にはまったくもって理解できないのでは……と
次スレ立ててくる
うだうだ文句たれるな
投下したいなら勝手に投下しろ
>>743 普通に次スレに前回の続きから投下するといいと思う
嬉しいのぅww嬉しいのぅww
シャワー室で亡くなってる蔵臼見て朱志香涙目ww
容量オーバーまであと少し。
沙都子林間SSで埋めようか
ヤンデレ(を目指した)レナ
気がつくとレナが部屋の入り口に立っていた。
「圭一くん……」
「おわ!?」
一瞬体が固まって、その一瞬の間に名前を呼ばれた。
金縛りが解けると俺は素っ頓狂な叫び声を上げてしまった。
「れ、レナ!?」
もう夜の十時を過ぎている。親父とお袋は不在のため家には誰もいない。しかし今日は自炊をしたのだ。
誰の助けも借りていない。いや、借りたとしてもこんな時間まで部活メンバーの誰かがいたことはなかった。
そこに至って初めて、どうして今家に居るのかという疑問が頭を擡げてきた。
「どどどうしたんだよ、こんな夜中に」
「うん……」
レナの服はパジャマでより一層の違和感を抱かずにはいられなかった。
しおらしく俯く様子が琴線に触れないこともなかったがそれより大事な問題があった。
「というか、どうやって入ったんだよ」
「これ……」
呟いて右手を差し出す。掌には鍵が載っていた。
「俺ん家の鍵……?」
恐るおそるレナに確かめてみた。
「うん、落ちてたの」
「え、あ……」
そういえば帰ってきたとき鍵がないことに気づいて慌てて探したんだっけ。当然、玄関は閉まっていた
のだが、窓が開いていたので助かったのだ。田舎だからか外への警戒心が低くなっている気がする。それ
にしても。何だ、レナが持っていたのか。俺はほっと一安心する。鍵が見つかったことにではなかった。
「どこにあったんだ?」
「帰り道だよ」
そうか。今日はレナより先に下校したんだった。というのも部活の罰ゲームでメイドの格好をさせられ
ていたからだ。畑仕事をしていたばあさんと目が合ったときと同じ乾いた笑いがこぼれた。
「サンキュ。レナにも聞きに家まで行ったんだけどな。居なかったよな」
「お買い物に行ってたの」
満面の笑顔できっぱり答える。あれ? と何でだか分からないが俺は思い、一頻り会話が終わったこと
もあって、レナのことを考えた。インターフォンは鳴らなかった。俺はひとり読書をしていたが、家中に
響くあのチャイムを聞き逃すほどに、その暇つぶしには熱中しない。
すると、何だ? レナは勝手に扉の鍵を開け、下から声をかけることもなくここまで来たというのか?
無作法だなんだと考える前に寒気が走った。
「鍵閉め忘れてたよ、圭一くん」
「え? ……そ、そうだったか?」
顔を上げようとしたところに強い口調で声がかかる。いや、単に俺の言葉が弱々しいだけなのかもしれ
ない。確実に動揺している。なぜなら、施錠の不手際が黙って俺の部屋までやってくる理由になりえないからだ。
「あの、さ……」
「なにかな、かな?」
言いかけたが淀んで言葉にならない。追及を許してくれない重い声色だった。
レナは立ったままだった。か細い足首が目に入る。このとき、俺はなぜだかレナと宝探しに向かったこ
とを思い出し、そして、レナが鉈を持っていなくてよかった、と、そう、思ってしまった。
……ばかばかしい。
なにをこんなに怯えているというのだろう。きっとレナは、家の安全管理をしっかりとしていなかった
俺を戒めるつもりでこっそり上がってきたんだ。ついでに、鍵まで届けてくれたんだ。こんな夜遅く。そ
う、雛見沢じゃ誰も外を出歩かないような時間帯に……。
「はは……」
笑い声が喉をでかかったところで唾液に堰きとめられた。掌の鍵が、汗でべったりとした熱を持ってい
るのがわかる。……あれ?
「レナね……眠れないの……」
「は?」
「圭一くん、一緒に寝てくれないかな、かな……?」
真意の分からなかった訪問。レナ自身の口からその理由が明かされる。眠れない……。その原因は色々
考えられるが、レナの様子を見ているとどうも寂しいからといった感じに見える。
「それで俺のところに?」
「うん……」
そう言って俺が陣取る布団の脇に腰を下ろした。
正座をして、駄目かな……? という遠慮がちな視線を寄越してくる。悪い、と思っている心情が瞳を
通して伝わってきた。何も心を動かされるようなことはなかった。俺はただただ自分の考えを世間の常識
に当てはめ、何度も反芻していたからだ。
確かに俺の家はレナの家から近い。訪ね訪ねられは数え切れないほどあった。しかし、眠れないからと
いう理由でわざわざ人の家にくるものだろうか。散歩の途中に寄ったとしても、レナの雰囲気は最初から
そのためだけにここに来たという印象を持たせる。
おかしいだろ……。それが俺の結論だった。
最初から考えていたことだった。おかしい、と。
この鍵もそうだ。俺の鍵には、手作りのキーホルダーが付いていたはずだ。ところが手の上のそれはま
るきり裸の状態だ。制服のポケットに入れていたときの煩わしい重みとも一致しない。さらにだ。所々傷
はついているようだが全体的に新しく見えるのだ。それは傷自体も含めて。
かちっかちっ。
心臓が跳ねる。
部屋の電気が急に消えたのだ。慌てて電灯を見上げると、レナが紐を摘んだ状態でじっと立っていた。
橙色の電球が部屋を薄ら明るくして、影が覆いかぶさる。それを避けるように俺は後ずさった。
「未来ってこんな風に小さな明かりも見えないよね。希望が持てないって意味じゃなくてね。今、レナ
幸せだもん。大好きな圭一くんと毎日を過ごせてるから。……分からないから、誰にも先のことは予想できないから、真っ暗なんだよ」
言葉を切ってもう一度紐を引く。その直前のレナの笑みが瞼に焼き付いた。いつもの、無邪気で見る
ものを安らげてくれるようなものではなかった。時々レナはそんな風に笑うのだ。見覚えがある。そう、
有無を言わさせない時だ。向かい合っている相手の心臓を鷲づかみにし、呼吸を止める。そいつは空気
を吸いたくて喘ぐんだ。結果、頷く。レナは満足したように笑う。そのときは天真爛漫な笑顔に戻っているのだ。
俺もレナの言ったこととは一切関係なくただ頷くことだけをした。
「暗闇の中で感じるのって、自分だけなんだ。見えないもの触れないもの聞けないものを信じることな
んて、できっこないよね? 圭一くんのこと、大好きなのに。どうすればいいと思う? 自分だけしか
感じられない。そんな真っ暗な中で、それでもレナは圭一くんと繋がっていたいんだよ。ずっとずっと」
腰をゆっくりと下ろして、俺に迫ってくる。
「幸せな夢を見るんだ。今も十分幸せだけどね。レナの傍に圭一くんがいる。楽しく笑って過ごしてる。
とても現実的で日常的な事しか起こらない夢だけど、レナは満たされる。……そこにはね、いつも子ど
もが居るの。勿論レナと圭一くんの子どもだよ? 元気で手を焼いちゃう男の子と女の子」
ふふっと笑った後俺の肩に手をかける。驚くほど冷えていた。冷えすぎていてむしろ熱いと思った。
その手が流れるような動作でゆっくりと首筋に持っていかれると、俺は息を吐けなくなった。
「ねえ圭一くん……。圭一くんの赤ちゃん、欲しいな……」
一切物音がしない中で何か状況が変わってくれることを期待した。俺にはなす術もなかったから。翌
朝に設定した目覚まし時計が今鳴ってくれないかと思った。通りすがりの誰かが訪ねてきてくれないか
と思った。しかしどれも尽くレナに打ち消された。
俺は握り続けていた鍵を机の下に追いやった。
レナの顔が無駄だよ、と物語っているように見えた。
そのとき何故かあの女の子らしい可愛い部屋で、同じ鍵を嬉しそうに束ねるレナの姿が思い浮かんだ。
無駄なんだな、と俺が答えた瞬間だった。
抵抗は、できなかった。
埋め。
「はぁい、赤坂さんの負けです。
さあ、1位である私の命令にはちゃあんと従ってもらいますよぉ」
そういうと大石は自らのオットセイ☆を取り出して赤坂へと向ける。
「どうですかぁ? 私のオットセイはぁ?」
赤坂は驚愕した様子でいう。
「お、大石さん……これはどういう……?」
「いやあねえ、私はずっと赤坂さんの事が好きだったんです。
それなのに赤坂さんったらいつも梨花ちゃまばかり見て……。
寂しかったんですよぉ?」
そして大石は赤坂のズボンを脱がせ始める。
「ちょっと、大石さん……皆さん、ちょっと、止めてください……!」
「1位の命令には従わないといけないっすよ」
「男なら覚悟を決めんしゃい」
「そ、そんな……それなら、力ずくでも……。……え?」
「んっふっふ。やはりアレをしこんどいて正解でしたねぇ。
徹甲弾をだされてはたまりませんから」
すっかりズボンを脱がされ、されるがままに四つん這いとなった赤坂の菊門に
大石の立派なオットセイが迫...
(省略されました。続きはありません。というか、続かない方がいいでしょう)
【ひぐらし】07th総合part16【うみねこ】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1202635384/
スレ埋め立てに投下します。
悟史魅音詩音の姉妹丼です。あまり深く考えないで下さい。
― 秘密(仮) ―
北条悟史と園崎姉妹の関係は、始まる前から歪んでいた。
悟史と魅音の間に陰りを生み出した、ダム戦争における園崎家と北条家の確執と、公に存在を認められていない詩音が
悟史との面会を重ねるには、魅音として振舞うしかなかった、双子を忌まわしきものとする園崎の因習と。
様々な理由はあったにしろ、魅音と詩音の姉妹はあくまで『魅音』として、同じ人間として悟史と関わり続けていた。
ほんの少し安らげる空間を用意してくれていた、遠慮がちに自分たちを見つめる教室の『魅音』と、野球チームで
叱咤してくれていた、屈託なく接してくる興宮の『魅音』――『詩音』。
一歩引いて自分たち兄妹と接していた『魅音』が自分に心を開いてくれている嬉しさ、純粋に『詩音』の気遣いを
ありがたく思う喜び。二種類の感情が複雑に絡み合い、悟史にとって今や二人とそれに対する感情は、全く別の存在
だと頭で理解していても尚、切り離せないものになってしまっていた。
悟史にとって彼女たち姉妹は、二人で一つだった。
だからといって――こんな事態になるなんて、誰ひとり予想していなかった。
「っ……み、魅音……し、おん、さん……っ!」
悟史が表情を歪め、苦しげな声を漏らす。
椅子に座った彼の足元にひざまずく、上気した頬も妖艶な詩音の唇が彼の先端を咥え、吸い上げ、その隣で困惑と
羞恥で頬を赤らめる魅音、唾液と先走りの滴る肉棒を懸命にねぶる。
「くすくす……きもち、いい、ですか? 悟史くん……」
詩音の舌先が速度や緩急を変え、時には先っぽを柔らかくくすぐりながら、悟史のものを這う。
「し、詩音さんっ……」
瓜二つな顔をした姉妹たちの奉仕、特に詩音の巧妙な技によって、悟史のものがどんどん固く熱を持っていく。
「み、魅音……そ、そろそろ……」
悟史の手がポニーテールを結わえた頭に触れ、魅音がぴくりと肩を小さく震わせた。
「さとし……」
彼を見あげるのは、理性など消し飛んだようなとろんとした眼。それでも彼女は不安そうに傍らにいる双子の片割れを
ちらりと見やる。
「大丈夫ですよ。お姉がちゃーんといくまで、待っててあげますから」
「へ、変な言い方しないでよぅ……」
余裕をもった笑みで応える詩音に不平を零しながら、既に敷かれている布団の上で、魅音は悟史と向かい合う。
悟史の両手が、魅音のすらりとした太腿を掴む。その中心は既に濡れてひくひくと震えていた。
「じゃあ、いくね……?」
その入口に押し当てられた悟史のものが、ちゅくっ、と音を立てながら、魅音の中にゆっくりと飲み込まれていく。
「んぅ……」
ぎゅっと眉根を寄せて両手で口を塞いで、魅音は必死に恥ずかしい声を押し殺す。
頭の部分が見えなくなったところで、悟史が動きを止めた。
「……あ」
小さな声を漏らし、魅音は徐に口を塞いでいた両手を離して、悟史へ戸惑った視線を向ける。
「さ、悟史……あの……な、なんで……っ」
「どうしたの? 魅音」
悟史はいつものように微笑んで軽く腰を揺する。悟史のものの先端が、魅音の柔らかく浅い部分に擦れてくちゅくちゅと
粘着質な音を立てた。
その奥が物欲しそうにきゅうっと締まり、無数の襞が手招きするように蠢き始めるのがわかる。
「ど……どうしたの……って……それは……え……う、うぅ……」
最後の方はもう言葉にならず、魅音は全身を縮こませて肩を震わせた。
焦らされている体の熱を持て余す。早く最後まで入れて欲しいと叫びたい。そうでなければ、今にも自分から腰を振って
悟史のものを咥えこんでしまいそうだ。だがそんな恥ずかしい事は出来るわけがない。
これ以上ないほど真っ赤な顔をして半泣きになる魅音の様子に、悟史はくすくすと笑い、
「意地悪してごめんね、魅音」
固くなったものを奥まで一気に押し込む。
「ひぁああぁっ!」
急な刺激に魅音は甲高い悲鳴を上げた。満足そうに微笑んで彼女の頭を撫でて、悟史は動き始める。
「っ……! ん……あ、あ……んんっ……」
硬く目を閉じて、魅音は声が上がるのを必死で我慢する。それでも、悟史に揺さぶられる動きに合わせて、唇の端から
甘ったるい小さな喘ぎ声がどうしても零れていく。
そんな遠慮がちな様子と裏腹に、異物を受け入れる魅音の中は蜜で溢れ、いやらしく音を立てて締めつける。
「魅音、だいじょうぶ? 辛くない?」
「へ、平気……悟史の、好きにして、いいよ」
いつもそうするように、悟史は魅音の頭を撫でる。ぴくっと引き攣るように締まった襞を擦り上げるように、悟史は
そこを掻き回す。
「あ……あぁっ」
魅音が上半身を反らせる。腰を打ちつけて揺さぶる度に、ふるふると揺れる形のいい大きな胸に、悟史は手を這わせて
揉みしだく。まだ柔らかな薄い桃色の先端を指で転がし、爪を立ててくすぐると、あっという間に反応して固くなった。
「ひぁっ! そ、そこはいや……いや、だめぇっ」
固く尖った胸の先端を唇で咥え、舌で転がし、強く吸い上げる。
「……あ! ん、ぁ……」
電気でも流されたように敏感に跳ねる魅音の体に合わせて、膣壁が収縮して悟史のものを刺激し、奥の方が先端に吸い
ついてくる。別個の生き物のようにうねって、代わる代わる波打つように絡みついてくる肉厚の襞が肉棒の全体を刺激して
きて、実に気持ちがいい。
何度も何度も、抉り込むように魅音の中を突き上げる。
「っ、ふ……うぁ……あぁああぁっ!」
弱弱しい切羽詰まった嬌声を上げて、魅音は爪を立てないように気をつけながら悟史の体に縋りつく。普段の彼女を知る
誰がこんな姿を想像するだろう。悟史もまた強く腰を打ちつけて、魅音の背中に両腕を回し、細い体を抱き寄せた。
抱きしめあった悟史と魅音の体が同時に震える。
まだ少し脈打つものを魅音の中から引き抜くと、やや遅れて真っ白い蜜のような液体がとろとろと溢れた。
布団に横たわった魅音は、薄く桃色に染まった白い肌に光る玉の汗を浮かべて、仰向けになっても形の崩れない豊かな
胸と細い肩を揺らし、繰り返し熱い吐息を零す。
悟史は大きく息を吐き、あたりに散らばった魅音の長い髪を指で梳く。
んっ、と小さく身を捩る魅音の赤く染まった頬を見て、悟史はつい口を開いた。
「……気持ちよかった?」
答えの代わりに飛んできた枕を、悟史は顔面でキャッチする。その視線の先で、魅音がぷるぷる震えながら眦を吊り上げて
睨みつけていた。全裸で。
「変なこと訊くなぁ! おじさん、悟史をそんな子に育てた覚えはないよ?」
「ごめんごめん。そんな変な意味じゃないよ、ないってば」
布団の上で子供みたいにじゃれあう二人の間に詩音が割り込んでくる、全裸で。
「ぶぅー。ちょっと。二人とも、私のこと忘れてません?」
ぷうっと頬を膨らませる詩音。その可愛らしい仕草と裏腹に、秘所は太腿まで滴らんばかりに濡れていた。
「お姉と悟史くんがあんまり盛り上がるから……私のことも、満足させて下さいね?」
すいっと細められた詩音の瞳が、誘うようにとろりと光る。
「むぅ……う、うん、頑張るよ」
こくんと小さく息を呑み、悟史は背後から再び熱を持ち始めた分身を詩音の秘所にあてがう。
「――……ッ!!」
少しずつ、少しずつ悟史が自分の中に沈んでいく感覚に詩音は身震いする。
ふと、妖しげな笑みを浮かべた魅音がその正面に回り込み、ぺたんと座りこんだ。
「どうしました? お姉……っ」
「いっつもいつも、悟史も詩音も私のこといじめるんだから……私だって責めるのっ」
「お姉が? ……攻める?」
二人に挟まれているこの状況も忘れて、詩音は思わず、ぷっ、と吹き出す。
「む〜! 笑ってられるのも今のうちだからね!?」
それがいたく気に入らなかったようで、魅音はさっきの詩音とよく似た膨れっ面になった。
白い指を豊かな胸に触れさせ、細い指先でピンク色の先端を優しく摘む。
「……っ! く、ぁ……!?」
痺れるような刺激に詩音が声を上げる。
「ふふーん、詩音も、こうされるの好きなんだぁ……」
一度絶頂に飛ばされ、すっかり出来上がっているようで、魅音はうっとりと潤んだ眼で詩音の胸の先端を弄繰り回す。指先を
円を描くように転がして、指で挟んでひねったり。
「えへへー……詩音、気持ちい? とっても顔が赤いよぅ?」
普段の部活を取り仕切る長の顔をして、魅音が笑う。
「ちょ、お姉……ッ」
その度にきゅうきゅうと中が締まるらしく、時折悟史が快楽に顔を歪める。それでも、額に汗を浮かべて苦しげに息を荒げな
がらも、微笑む悟史には妙に余裕があった。
「あはは……珍しいね、詩音さんが、押されるの」
大人しそうな外見をしていても、雛見沢症候群L5を精神力でねじ伏せた男である。そう簡単に快楽には屈しない。
「な、何をっ……ぅあっ! あ、あうっ! あ、あぁー……ッ!」
いつも他人をからかう立場にいる詩音にとって、翻弄される立場に回されるのは実に面白くなかった。
だが、敏感な体の中や胸の突起を、弄られ、擦り上げられ、掻き回されて、否応がなしに体が快感に反応する。
魅音の指が詩音の豊かな胸を優しく揉み、撫でさすり、先端をなぶる。じゅくじゅくと音を立てて出し入れを繰り返す悟史が
膣襞の一つ一つをめくり上げる。秘部の隙間から溢れた愛液と先走りが混ざり合ったものが太腿を伝い落ちて、空気にさらされて
冷える感覚。
その全てが詩音の全身を奥底から焼き尽くす。
「ああ! も、もうっ……! あ、あぁあ……っ!」
四つん這いになった恥ずかしい格好のまま、詩音は腰を振り始める。振らずにはいられない。もっと、もっと悟史を感じたい。めちゃ
めちゃに掻き回されて快感を貪りたい。
蜜で満たされた壺を掻き回す水音に肉体がぶつかり合う音が混じる。
長い髪を乱して詩音が喘ぐ。
だらしなく開いた上唇から舌先に銀色の縦糸がかかる。
間近で、真正面で、魅音が愉悦の表情を浮かべてそれを眺めていた。
「あは……ぁ、すごい……すごいよぉ、お姉ちゃん……お姉、ちゃぁん……」
まるで詩音に同調したかのように、魅音もまたいよいよ理性を失いはじめる。
「さ、悟史の……ね、おっきいのが……お姉ちゃんの中、ん、出たり入ったりして……え、えっちな音立ててぇ……っ、お姉ちゃん
の体が、あ……ゆ、揺れてるの……ぁ……っあぁ……!」
目の前にいる詩音と悟史の痴態と自分自身が発する言葉に酔って、恍惚とした魅音の蕩けた甘い声が、毒薬みたいにやけに
鼓膜に響き、思考ごと脳が痺れる。詩音は思わず身震いした。
「おねえ……あんた……ッ、あ……っく……!」
悟史の吐き出した白濁と、魅音自身の蜜で濡れたそこに、ぐりっと指を突き立てて、調子に乗った『妹』にお仕置きする。
この私を責めようなんて百年は早いのだと。
「ひぁあ……っ」
体を震わせて魅音が啼く。その困ったような表情と声が、火のつき始めた詩音の反抗心やら加虐心やらに油を注ぐ。
「はあ、はぁ……ッ……わ、私と悟史くんを見て、こんなにしちゃうなんて……全く、いやらしい子ですね、あんたは……! ふふ、
さ……悟史くんも、こ、こんなに固くしちゃって……わ、わかりますよ……私の中で、びくびくしてるの……!」
次々と襲い来る快感に悶え、肩で息をしながらも詩音は反撃に出る。
たとえ大好きな人が相手でも、やられっぱなしなのは性に合わない。それは目の前にいる妹の役割だ。
同じ声、同じ顔、同じ身体をしていても、魅音と詩音――姉と妹の根本的な性質は全く異なっている。
姉のように、相手を翻弄して手玉に取って支配するような芸当は妹には出来ないし、また、相手の加虐心や征服欲をそそる、妹の
虐め甲斐のある表情や仕草は姉には出せないものだ。
けれど、数年前のあの時を境に、二人を表す名、二人を取り巻く環境は変わってしまう。
妹は誰かに屈することは許されない存在に、姉は人の目から隠されるべき存在に――入れ替わってしまった。
それは秘密。もしかしたらみんな気づいているのかもしれない、だからこそ、口にしないことそのものに意義がある、口にしない
ことで成り立つ秘密。
「あ、お、お姉ちゃ……ん……ぁ、あ……」
「……ふふ、詩音……ッ!」
我を忘れて互いを感じ合う、鏡のように瓜二つの姉妹は、その生涯の秘密を他者――悟史の前でぶちまける。悟史の前でだけ、本来
の姿に戻る。それこそが彼に対する服従の証であるかのように。
「魅音……魅音っ!」
詩音を責め立てながら、悟史が呼びかける。
悟史はどちらを呼んでいるのだろう。壊れるその寸前まで傍に寄り添い続けた魅音なのか、淡い偽りに包まれながらも穏やかな時を
過ごした『魅音』なのか。
魅音と詩音の表情が切なげに揺れる。けれど、そんなことはどうでもいいのかもしれない。彼女たちは元々ミオンであり、シオンでも
あるのだから。
いっそのこと自分が髪をポニーテールに結いあげて、この子に髪を下ろしてリボンを結ばせて、本来の姉妹としてプレイしてみようか。
ああ、それは面白いかもしれない。後で二人に提案してみよう。戯れに詩音は考える。
「ど、どうしたの……あ、お姉ちゃ……? ん、ぁ」
ぼうっと熱に浮かされた魅音の唇に軽く口づけをし、体を揺さぶられながらも詩音は気丈に微笑む。
「思いついたんです……ふふ、とっても、楽しい事を、ね……」
詩音は悟史以外の男に尽くすつもりはさらさら無いし、魅音も自分で恥じている弱虫で甘えたがりな一面を悟史以外の男には見せられない。
だから、詩音の奉仕を受け止めるのも、魅音を心ゆくままに責め立てるのも、北条悟史ただ一人だけに許された特権なのだ。
心にも体にも大きく違いを作ってしまったのに、生まれる前から共にいた姉妹は今もなお、二人で一人の存在であるかのように一人の
人を想う。
もはや説明の必要もないほど詩音は悟史に狂っている、彼女自身も自覚している。
そして魅音もまた。好きになってはいけないと思いこもうとして、忘れようと必死になって、いっそ他の男を追いかけてみても。結局は
悟史の手を振り切れない。
北条を差別する園崎の娘であるはずの魅音と共にあり続けた悟史。かつて詩音が凶行に及んだ際に叫んだ溢れんばかりの憎しみ、それでも
彼はぎりぎりまで魅音を手元に置き続けてきた。そして二人の意志はあの6月を越えた絆を紡ぎだす。
それこそ、何回同じことがあろうとも、何百年同じことを繰り返そうとも。
愛情と憎悪にまみれ、愛着と執着が交差し、美しいだけじゃない、だからこそ複雑で強固な二人を結ぶ絆。
詩音は多少と言わずに嫉妬を感じた。
でも、それは悟史と魅音も同じこと、と彼女は気を取り直す。
例えば、初めて悟史と詩音が一緒にいる光景を目にした時の――そう、『悟史の隣にいたのは私なのに。沙都子以外で悟史が頭を撫でるの
は私だけなのに』と、茫然自失となった魅音の顔が示すものとか。
飴玉一つ食べるにも自分のご機嫌を伺っていた幼いころと変わらない、この子の不安そうな媚びるような顔。それを初めて目の当たりにした
時の悟史の、いけない秘密を知ったような、照れたような、びっくりした顔とか。
こっちだって、誰も知らない悟史と魅音の顔を知っているのだ。
「ああっ! あぁん! お姉ちゃ……お姉ちゃあんっ!」
わざと大きな音が立つように、詩音は魅音の中を掻き回す。長いポニーテールや大きな胸を揺らしながら、魅音は焦点の定まらない瞳で
甘えた啼き声をあげる。魅音の痴態に悟史の分身が張り詰めていく。
指先に絡みつく魅音のぬかるんだ熱と、膣内を蹂躙する悟史のものに、詩音は否応がなしに昂ぶっていく己の全身を感じた。
悟史と『妹』――詩音がこの世で最も、そして唯一執着する男と女は、今もこれからもずっと、ずっと彼女だけのもの。
やがて三人は絶頂を目前に迎える。
狂っている、いや、狂わせられているのかもしれない。
溶け始めた思考の中、漠然と、唐突に詩音は思う。
それは本当に、本当に恐ろしいことだけど――思うのだ。
詩音が求めたままに彼女の想いを黙って受け入れ、魅音を赦し彼女の弱さを優しく包み込んだ悟史。
その穏やかな声、優しく頭を撫でる手が麻薬のように沁み渡り、姉妹の心を少しずつ溶かし、壊し、狂わせ――奪っていく。そうして姉妹は
堕ちて行った。
それを悟史は分かっていてやっているのではないか。
愛情に見せかけた罠を張って、自分たちを苦しめてきた園崎家の娘たちを意のままにすることが、彼の復讐なのではないか、と。
だが次の瞬間にその思いつきは波に浚われていく。
詩音の人物評価は大抵当たらない。これもまた彼女自身も自覚している。それにたとえ罠だとしてそれが何だというのだろう。その程度のこと、
彼と彼女らを引き離す要素には成り得ない。
取り返しがつかない程、互いに縛られきっている。それでいいと溺れている自分たちがいる。
だから、それは遥か高みに上り詰めると共に、あっけなく消えていった。
―――――
体を洗って休め、服を整える頃には、雲の隙間から月が覗いていた。
もっと暗くならないうちに終わらせなきゃ、と事が済んでからいつも揃って云い合っている割には、それが実現したことはない。お若い事で。
魅音と詩音は園崎家の門に並んで、帰宅する悟史の背中を見送る。
「さて。お姉、じゃあ今夜は二人で楽しみましょうか」
ぽん、と詩音の手が魅音の肩に置かれた。
「ふ、ふぇ?」
魅音はびっくりして後ずさるが、軽く置かれているように感じるはずの双子の片割れの手は、まるで磁石のように離れない。
「悟史くんをより悦ばせられるように、私と『特訓』しましょうね? お・ね・え☆」
戸惑う魅音に、詩音はとびっきりの微笑みを見せた。
そしてまた秘密は増えていく。
(了)
以上。お付き合い下さりありがとうございました。
>>761 GJすぎて笑えてきたw
個人的には全作品中最高と言っても差し支えなかったよ
いいもん読ましてくれてありがとうございました!
(・3・)
ξ(`・3・)<うぜぇぜ体操!!
| ヽノヽ
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ヽξ(`・3・)ノ
( へ)
く
うぜぇぜ! うぜぇぜ!
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