>>1おつ〜
>>1乙!
曖昧3センチ
そりゃ
>>1乙ってコトかい?ちょっ!
【埼玉】アニメ〜の方にめっちゃ集まってるせいか、
こちらの勢いは落ち気味・・・
てか、勢い5500ってww
12 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 15:47:01 ID:Yi5D6yjn
>>1乙ってやつです。
初心者なんで(?)よろしくです。
(今よろしくを一発変換で夜露死苦になっt
>>12 E-mailのところに『sage』を入れると幸せになれますよ
15 :
ようやく:2007/12/02(日) 16:46:33 ID:gU3pRTom
2ちゃんねるに詳しい友達に聞いて大体のルールは覚えられました。
以前は皆さんに迷惑をかけましたが、今度こそはルールに則って投下します。
ゲーム発売したら
男×キャラ増えるかな?
増えると・・・いいな
「そういえばわたし達の出るゲームが延期したらしいわね」
「うん、ネタ盛り込みすぎて開発に遅れがーとか言ってたけど、
リアルタイムで某2525ネタとか取り込んでるとしたら、いつまで経っても完成しないよね」
「わたしは発売延期してちょっとほっとしたかも〜」
「なんでよ?まぁ、今までと違って恋愛要素アリだし、わたしもちょっと覚悟必要だったけど」
「だって〜、予約特典でわたし達の格闘ゲームがついてくるんでしょ?皆とけんかしたくないもん」
「そういやそんなのもついてくるねぇ……大丈夫大丈夫、どうせネタバトルだからそんな痛いものじゃ……」
「脱ぎますよね?」
「……み、みゆき?」
「対応機種はPC。しかも、特典は年齢制限のチェックを逃れることが出来るそうです。
これは間違いなく負けた人は脱ぎますよね?」
「ゆ、ゆきちゃん落ち着いて……」
「ちょっとV.Gで修行してきます」
「……みゆきさんの背後に脱衣の波動が見えた……」
脱衣の波動?
某ぬぐー波と申したか?
>>17 脱がしたいのか
脱がされたいのか
それとも脱ぎたいのか
それが問題だ
>>19 脱ぎたいってw
いやぁ面白い人ばかりで。
さすが、みゆきさん。桐箪笥研究会会長なだけある。
>>17 特典は年齢制限関係ないのか……
だとしたら本編健全、特典18禁という某AVみたいなゲームが山ほど出そうなんだがw
ゲーム発売されたらゲームのオリジナル男キャラと絡むSSが増えてしまいそうな気が・・・
俺は個人的には嫌だな orz
>>1乙です
えっと、今って投下大丈夫でしょうか
新スレ一発目を飾れるほどのネタじゃないんですけど
私は気にしないでGO!
やっちゃってくださいな
27 :
23-49:2007/12/02(日) 21:11:27 ID:fb6Vzl3O
ありがとうございます
それでは投下させていただきます
ゆたみさ三部作の続編、みなみのみなみによる誰かのための物語、です
ひとまず前後編(或いは前中後編)の前編まで
・みなみ&ゆたみさ(分類で言うとみなゆた?)
・みなみ視点
・エロ無し
・7レス使用
私の名前は、岩崎みなみ。
埼玉県の私立陵桜学園に通う高校一年生。
……面白味のない自己紹介でごめんなさい。
けど私には、こういう話し方しかできない。昔から口下手で、無愛想で、また身長が必要以上に
伸びてしまったこともあり、よく人から怖がられていた。
お向かいに住んでる、二つ年上の高良みゆきさんは優しくしてくれたし、家で飼っている犬の
チェリーと遊ぶのも楽しかったけど、中学校以前までは、対等な友だちと言える人はいなかった。
でも今は、いる。
親友と呼べる人たちが、いる。
−−−−−−−−−−−−
二等辺三角形
−−−−−−−−−−−−
「――ミナミ? ドゥかしマシタか?」
不意の声に、時計に向けていた目を、その人物に移す。
パトリシア=マーティンさん。クラスメイトの、名前から分かるとおり、アメリカからの留学生。庭の
緑を背景に、プラチナブロンドの髪と、マリンブルーの瞳がよく映える。
「ううん……別に……」
「そうデスか? ココロココニアラズ、に見えマシタ」
とても勉強熱心なパトリシアさんは、難しい日本語もよく知っている。今日、これから開かれること
になっている勉強会も、彼女の発案によるものだ。参加者は、私とパトリシアさんと、あと二人。
そのうちの一人――
「よーしよしよしよしよし、怖くない怖くない。怖くないよぉー? 怖くないからねぇー?」
「バウッ!」
「ひぃっ!!」
私たちがいる部屋の目の前の庭で、我が家の愛犬、チェリーと対峙しているのが、田村ひよりさん。
額の真ん中で分けた長い黒髪と、眼鏡が特徴的な女の子。
チェリーは、普段はあまり吼えもしない大人しい子なのだけど、なぜか彼女にだけは懐かない。
田村さんとパトリシアさんが、約束の時間よりかなり早くに来た理由が、そこにある。
「ウゥゥ〜〜……」
「ま、マンボっ」
「バウバウッ! バウッ!」
「ひゃああああ! ごめんなさいごめんなさいぃ〜!」
まんぼ……?
ともかく、二人が到着してから既に三十分近く、ああして仲良くなろうと頑張っているのだけど、
上手く行く気配すらない。チェリーがこんなにも人に懐かないのを見るのは初めてで、私にもどう
すればいいのかわからない。
それに……田村さんには悪いけど、今は別のことの方が気になってしまっている。
「ユタカのコトが、心配デスか?」
「!」
考えていたことをそのまま言われて、驚く。
慌てて顔を向けると、パトリシアさんは時計の方を見ていた。つられる形で、私も再度、目を戻す。
約束の時間を一分ほど過ぎている。
「メズラシイですよネ」
「……うん」
小早川ゆたか。
今日の勉強会参加者の中で、未だこの場に姿を現さない最後の一人。わずかに一分と言えども、
真面目で頑張り屋な彼女が時間に遅れるのは珍しい。
……いや、珍しくはない。
ゆたかは身体が弱く、特に暑さには中てられやすい。途中で体調を崩し、待ち合わせや学校に
遅れたり、来られなくなったりしたことも何度かあった。
つまり、遅れているということは、何かあったと考えた方がいいということ。
……本当は、そんなこと考えたくないのだけど。
「Hum? ……迎えニいきマスか?」
おもむろに立ち上がった私に、パトリシアさんが言った。頷きを返す。
彼女の方は、座ったままだ。
「I see。イッテラッシャイ。ワタシはミハリバンしてマス」
「……お留守番?」
「No、ミハリバン、デス。ヒヨリと Cherry をフタリキリにするわけにはマイリマセン。サァ! ここは
ワタシに任せて早く行くのデス!」
「……わかった」
どこか芝居がかった口調と裏腹に、にこやかにひらひらと手を振るだけのパトリシアさんに、私も
手を挙げて返し、そのまま玄関に向かう。扉を開けると、賑やかな声が再び耳に届いた。
「ごめんごめんごめんごめん! ごめんって! もうしないから許してー!」
「バウッ! バウバウバウッ! バウッ!」
何をしたの、田村さん……
――いや、彼女もチェリーに危害を食えるような真似はしないだろう。パトリシアさんも「任せろ」と
言ってくれたのだし、ここは二人を信じよう。
・
・
・
幸いと言うべきか、ゆたかはすぐに見つかった。
自宅の門をくぐって駅の方向へ歩き、二つ目の角を曲がったところ。道行く先に、危惧していた
通り、座り込んでいる。
しかし状況はそれだけに留まらない。最悪といっても過言ではなかった。
格好からして、男性。
その誰とも知れない何者かが、覆いかぶさるようにしてゆたかに抱きついていたのだ。
「――ゆたかっ!!」
一瞬で真っ白になった頭が、知らず上げていた自分の声で意識を取り戻す。同時に男が顔を
上げ、ゆたかも首だけで振り向いた。共に驚いた表情。
「……だれ?」
男が呟くように言うが、それは私の台詞だ。貴方が誰…………え?
思わず眉が寄る。
この声……それに顔……女性――いや、女の子? それも、どこか見覚えのある……
「みなみちゃん……?」
呆けたような、ゆたかの声。
そうだ。ゆたか。
女の子だろうが関係ない。どうあれ放置できる状況ではない。具合を悪くしたゆたかを介抱して
いただとか、好意的な解釈ができる体勢にはとても見えない。
「――離れてください。ゆたかから」
足早に歩み寄りながら声をかける。
語調は抑えたが、口調が固くなるのは止められなかった。
「えっ? あ、はい」
そのせいか、相手は思ったよりも素直に、ゆたかに回していた手をほどく。ゆたかの視線が、
戸惑った様子で彼女と私とを数度往復し、私の方で止まった。
「み、みなみちゃん? どうしたの?」
「ゆたかを迎えに来た。時間になっても、来ないから……」
とりあえず私も、一旦女の子のことは脇に置き、この場に来た理由のみを伝える。ゆたかが
「えっ」と驚いて右手首の腕時計に目を落とし、再び私と背後の女の子を見比べて、それから
思い出したように立ち上がると、言った。
「ご、ごめんね。気付かなかった」
「……いいの。大丈夫なら」
見たところ顔色も悪くないようで、まずは一安心。
しかし、ということは――
「うっ」
まだ座り込んだままでいる女の子に視線を移すと、短いうめき声が上がった。少し涙目にも
なっていて、怯えている様子だ。睨んだつもりはないのだが。
さておき、この人と話でもしていて、それで時間が経ってしまったということだろうか。
「あ、この人は――って、大丈夫ですか、センパイ? 立てます?」
私の視線に気付いたゆたかも女の子に向き直り、手を貸して立ち上がらせる。
先輩?
ということは、同じ学校の人?
恐らく、そういうことだろう。見覚えがある気がしたのもそのせいか。
「う、うん。……んで、えっと、その」
立ち上がりながら、ちらちらと私のことを窺うその目には、やはりどこか怯えが見える。
……慣れてることとはいえ、最近ではあまりなかったせいもあるだろう。少し胸が痛んだ。
そんな私を余所に、ゆたかが明るい声を出す。
「あ、はい。紹介しますね。こちら、クラスメイトの岩崎みなみちゃんです」
「はぁ、どぉも……ってクラスメイト? え? ってことは同い年?」
「あうっ! ……やっぱり、見えませんか?」
「ぜんぜん」
「むぅ〜〜」
「いや、ゴメンゴメン」
「もうっ」
「ゴメンって。てゆーか年上かと思ったし。あたしより」
「ああ……それは、あるかも」
そしてそのまま二人で喋りだしてしまった。
なんだか……置いてきぼりにされてる?
「でもそうだよねっ。ね? みなみちゃん?」
と思ったら唐突に水を向けられた。
戸惑いながらも反射的に頷きを返す。
女の子……先輩の人は、「ほぇ〜」と感心したような声を上げながらしげしげと私を眺めると、
視線はそのまま、ゆたかの耳元に口を寄せて囁いた。
「……なんかさ、なんかさ。すんごい美人さんじゃない?」
「……あ、やっぱり思います?」
ゆたかも笑って、同じく囁きで答える。
「……うんうん、なんかスラーってしてるしさ。モデルみたい」
「……ふふっ。スポーツも勉強も得意なんですよ?」
「……ふぇー。いるモンなんだなぁ、そーゆぅの」
そしてまた置いてきぼり。
けれど先ほどのような疎外感ではなく、気恥ずかしさが込み上げる。
というか、聞こえてます。思いっきり。
「……びっくりですよね?」
「……うんうん。もうさ、すんごいモテるんじゃね?」
「……うーん……それが、こう見えてもけっこう恥ずかしがり屋さんで」
「……ありゃりゃ、もったいない」
どうすればいいのだろう。
暑さのせいではなく、頬が熱を持つのを自覚する。私の方が倒れそうだ。堪らなくなって
目を逸らすと、ゆたかがようやく気付いてくれた。
「あ、あっ。ごめんねみなみちゃん。えっと、こちら、日下部みさおさん。さっきそこでちょっと
会って」
同時にその人――日下部先輩も、ゆたかの隣に並び出て、自ら名乗る。
「おう。日下部みさお、三年だ。――って陵桜なんだよな? よろしく、えっと……岩崎さん」
「はあ……よろしくお願いします」
軽く気圧されながらも頭を下げ、上げると、日下部先輩は再び私を凝視していた。親指と
人差し指をあごに添えていて、何かを考えているようにも見える。
かと思うと、不意にゆたかの方に向き直り、
「ふーむ……な、小早川。ちょっと並んでみてくんない?」
こちらを指差す形に手を移動させながら、よく分からないことを言う。
ゆたかも不思議そうに小首を傾げつつも、素直に頷き、言われたとおり、私の隣に並んだ。
「……」
なんとなく、その手を握る。
ゆたかは、ちらりと私を見上げると、微笑んで、優しく握り返してくれた。
「ありがとう」
そして何故だかお礼を言われた。
「あー……うーん……うんうん」
そんな私たちに、何かを納得したのか、それとも気にしていないのか、日下部先輩は一人で
しきりに頷いている。
「うん。言われてみればー……なんとなく見覚えあるよ。ガッコでもよくそうやって一緒に
いるよな? なんか、セットって感じで、印象? 残ってるかも」
……なるほど。
それを確認するために並ばせたというわけか。
ただ、学校でこうして手を繋ぐことは、あまりないように思う。
というか、どうして私は今、ゆたかの手を取ったのだろう。……なんだか恥ずかしくなって
きた。離すべきだろうか。
「あ、そうだ」
迷っていると、ゆたかの方から離されてしまった。そして両手を、ぽん、と胸の前で打ち
合わせ、嬉しそうな笑顔で私を見上げてくる。
「センパイはね、かがみさんのお友だちなんだ。ほら、みなみちゃんも見たことあるでしょ?」
「……あぁ」
言われてみれば。
指先に残る感触を、なんとなく名残惜しく思いながら、記憶を探る。
かがみさん――柊かがみ先輩。
ゆたかのお従姉さんである泉先輩とよく一緒にいる人。もう一人の柊、つかさ先輩と
双子だという話で、こちらがお姉さん。長い髪を、ゆたかと同じツーテールに結んでいる。
……確かに。
その人と、この日下部先輩と、あと長い栗色の髪をカチューシャでまとめた優しそうな人。
その三人が学校の廊下や学食などで一緒にいるところを、何度か見たことがある。
などと思い返している間に、当の日下部先輩は目まぐるしく表情を変えていた。
まず、ゆたかの発言に少し驚いたような反応を見せ、次にゆっくりと嬉しそうな笑みを
浮かべ、今はやや真剣な、何かを決意したような顔付きになっている。
どうしたのだろう?
疑問にも思うが、それ以上に、ころころとよく変わる表情に感心する。そして気付けば、
最初に感じた怯えの色は、もう跡形もなく消えていた。
「それでね、向こうのバス停のところで休んでたら声をかけてくれて、せっかくだからって送って
もらったんだ」
「や、ヒマだっただけだって」
続くゆたかの説明に、先輩がなんでもないことのように合いの手を入れる。
二人とも笑っているけど――ちょっと待って。
「ゆたか、具合が悪かったの?」
「え? ううん、違うよ? 休んでたって言っても、具合が悪くなる前にって、座ってただけだから」
「そう……」
確かに、顔色も悪くないし、足元もしっかりしている――と安心しかけたところに、日下部先輩が
とんでもないことを言った。
「でも倒れたじゃん、さっき」
「そうなの?!」
「た、倒れてないからっ。大丈夫だって。――もうっ、先輩もそう言ったじゃないですか」
「そだっけ?」
「そうですよ。――ちょっと立ちくらみを起こしただけだから、もう大丈夫だよ」
……なら、いいのだけど。
どちらにしても、早く涼しい場所で休ませた方がいいだろう。
そんな私の考えを察してくれたのか、それとも偶然か、先輩が話題を変えた。
「あ、そーいやさ小早川。行き先の友だちの家の、その友だちって、この岩崎さん?」
「そうですよ? ――って、そうだ大変! 時間!」
「大丈夫。ゆたか、落ち着いて」
「そーそー。また目ぇ回すぞ?」
慌てだすゆたかを、私と日下部先輩でなだめる。
「で、でも……そうだ! 田村さんとパティちゃんは? もう来てるの?」
「来てる。でも、待ってくれてるから」
「あ、他にもいるんだ。じゃあまぁ、こんなトコで慌ててるより、早く行った方がいーよな」
「そ、そうですね。それじゃあ先輩、」
「ああ、またな 「行きましょ――――……え?」」
そして、先輩とゆたかの、まったく逆の言葉が重なり、そのまま固まった。先輩の方と同じつもり
でいた私も、お辞儀をしようと下げかけた頭を中途半端な位置で止める。
「……」
「……」
「……」
最初に我に返ったのは、日下部先輩だった。
「いや、さ。あたしはここまで、だろ?」
「どうして、ですか?」
ゆたかの、寂しそうな声が続く。
私は何も言えない。
「だって、送るってアレで、だけだし。岩崎さん来たから……任務完了?」
「それは……でもっ」
「でも?」
……日下部先輩の言うとおり、ではある。
先輩がここまで来た理由が、ゆたかを私の家まで送り届けるためだというのなら、私がやって
きた時点でそれは終わったことになる。
しかし、ゆたかがこれに異を唱えるのにも、一理ある。そう思った。
「あの……もし良かったら、寄ってらしてください」
「へ?」
「みなみちゃん……」
戸惑う先輩と、喜ぶゆたか。
私がどちらの味方をするかなんて、決まってる。
「冷たい飲み物でも、どうぞ。ゆたかがお世話になった、お礼に」
それに、しっかりと役目を果たしてくれた人を労うのは、当然のこと。
「ええっ? いいってそんな、別に何もしてないし。どっちかってーとコッチのが世話んなった
ぐらいだし」
「そんなことないですよっ」
よく分からないことを言う先輩に、ゆたかが食い下がる。
「わたしの方がいっぱいお世話になりました。お礼させてください。せめて、休んでいってください」
「ん〜……あ、でもベンキョすんだろ? あたしうるさいからジャマんなるよ」
「大丈夫ですよ。いつも、ちょっとおしゃべりとかしてから始めますから。――だよね、みなみちゃん」
不意に同意を求められた。
事実なので頷いて返す。別に、そうしようと決めているわけではないけれど、だいたいいつも
そうなるのは確かだ。皆の意識が勉強に向ききる前段階で、誰からともなく雑談が始まる。
切り上げてくれるのは、田村さんであることが多い。
切り上げるというか、不意に何もない場所に目を止めて黙り込むので、指摘すると、「なんでも
ない、始めよう」と言うのだ。何故かいつも、少し焦った様子で。
「そっかー……」
「はいっ。ですから」
「でもなー……」
「だめ……ですか?」
それにしても、ゆたかがいつになく熱心だ。相当この人に懐いているらしい。
……何か、複雑な気分。
微笑ましいような、もどかしいような。
もどかしいと言えば、先輩の態度も煮え切らない。
「んやぁ、ダメってわけじゃねんだけど」
「お忙しいんですか、やっぱり?」
「ん? 別に。時間はあんだけど……なんつーか」
「だったらいいじゃないですか」
いや待て。三年生といえば、受験生。
ここでこのまま何もせず別れるのも不義理だが、相手の事情を無視するわけにもいかない。
「ゆたか……あまり、無理に誘うのも……」
「みなみちゃん、でも…………そっか。そうですよね……ごめんなさい、迷惑ですよね」
悲しそうな顔。
そんな顔しないで。残念なのは私も一緒だから。
「ってぇ! ちがうちっがうっ! そんなじゃ――そんな顔すんなって!」
そこに先輩が、ひどく慌てた様子で割り込んだ。
「そーじゃなくって……なんてゆーのかな? 自分でもよくわっかんねんだけど、とにかく迷惑とか
じゃないんだよ。どっちかってっと行きたいし。暑いし、ヒマだし。ただその……恥ずかしい?
ってゆーか……」
「恥ずかしい……?」
オウム返しにゆたかが尋ねる。私も内心で首をひねった。何がどう恥ずかしいというのか。
当の先輩は、言葉とは裏腹に恥ずかしげな様子は特に見せることなく、私たちの疑問を余所に
一人で頷いている。
「あー……うん。うん、そんな感じ。たぶんソレが一番近い。さっきのアレ引きずってんのかも」
「はあ……」
ゆたかが、分かったような分からないような声をもらす。……さっきの? 何かあっただろうか。
それとも、私が来る前のことだろうか。
そういえば、私が来たとき、先輩はゆたかに抱きついていた。理由はまだ、聞いてない。
気になる。
「……何か、あったんですか?」
「えっ!? あ、あーいやぁ、ちょっとなっ。大したことじゃねぇんだけど、さっきちょっと、小早川に
みっともないとこ見せちまって、さ」
私から訊かれたことが意外だったのか、そこで初めて先輩は頬を染めると、両手をぱたぱたと
振りながら焦った声で言った。
……気になる。
視線をゆたかに転じると、こちらはこちらで困ったように苦笑い。先輩がさらに慌てだす。
「ちょっ、言うな! 言うなよ!? あと笑うな!」
「あ、ごめんなさい。言いませんから。でも……ごめんなさい。ふふふっ」
「笑うなって! おまえ分かるって言ったじゃん! なんで今さら笑うんだよ!」
「ち、ちがうんですっ。そうじゃなくて……くすっ。そ、それを笑ってるんじゃ、なくてっ」
「じゃーなんなんだよっ! あーもぅとにかく笑うなーっ!!」
すまなそうにしながらも笑いが収まらないゆたかと、顔を真っ赤にして声を張り上げる先輩。
つまり……どういうこと?
二人揃っての急すぎる変化に、ついていけない。完全に置いて行かれてしまった。だけど質問の
できる状況じゃないし、できたとしても答えは期待できそうにない。待つしかなさそうだ。
できればゆたかのことは早く休ませたいのだけど……
「……まったく、どこが身体弱いってんだよ。めちゃくちゃ元気に笑いやがって」
「そ、そんなこと、ないですよ。たまたまです」
「そー思いてぇよ。ってか身体の方は知んないけど、気持ちが元気だって言ってんの。……そー
だよ。差がデカすぎんだよ。だから倒れんじゃねぇの?」
「へっ?」
え?
「うん、きっとそーだ。つまりアレだ。オーバーヒート、オーバーヒート」
人差し指を立てて、目を閉じて。どこか誇らしげに。しかし頬はまだ少し赤く染まったままで、明ら
かな照れ隠しだ。
いや、そんなことより。
今の言葉は、一理あるような……
「……そうかも、知れませんね。――ふふっ」
ゆたかの、笑いの質が変わった。
それを受けて、先輩の照れた様子も、隠すまでもなく消える。
「なんだかな、もう……まいーや。じゃ、行こうぜ。友だち待ってんだろ?」
「え?」
え?
「だから、行こって」
「い、いいんですか!?」
「今さらだろ。なんかもぉどーでもいーし。めんどくさいのはもぉいーよ」
……よく分からない人だ、やっぱり。
今さっき受けた気がする感銘のようなものも、どこか曖昧になってしまった。
何だったのだろう。
……何なのだろう。
会ったばかりだし、短い間に色々な面を見せられすぎて、本当によく分からない。
「あ。――そうですよね。ただお話しするだけ、ですもんね?」
「ははっ。ま、そーゆーコトな」
だけど、良い人。
ゆたかがこれだけ慕っているのだから、それだけは確かなこと。
「そんじゃ岩崎さん」
「あ……はい」
「そんなわけなんで、お邪魔してもいっかな?」
なのに、何故だろう。
「……はい。ぜひ」
向けられた笑顔に、胸が痛んだ。
35 :
23-49:2007/12/02(日) 21:21:08 ID:fb6Vzl3O
以上です
ありがとうございました
文体というか、書式? 少し変えてみたんですけど、どうでしょうか?
読みにくくなってなければいいんですが
ってゆーか、なんでまだ着かないんでしょ・・・・・
GJ!このシリーズが現行で一番気になってます。
み、みなみの誤解と不安が膨れ上がっていく――――!!
ステータス欄の爆弾アイコンが怖いっスw
38 :
田村ひより:2007/12/02(日) 22:12:17 ID:M15y8pOC
な、何っスか何っスか!?
突如、理想的百合カップル(独断)への闖入者っすか!?
そして恋はトライアングル、
バミューダよりも深遠なる複雑怪奇へと、
見るものをいざなうっスね!
そして疾風怒濤の次号をまて!
くぅ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!
パティ「鼻血でてますヨ、ひよりん^^
ア、言い忘れてましタ
>>35サン、Good Jobデスネ☆」
>>35 みなみちゃんの描き方がめちゃくちゃうまい!
早速パク……いや、ラーニンg……もとい参考にさせて頂きますっ!
というか、本当にこのシリーズは、みさおとゆたかが輝いてて大好きです。
原作やアニメではどれだけ接点あったっけという二人なのに、
ここまで違和感ない、おまけに見てて楽しくなれる、その文才ウラヤマシスGJっ
>>35 GJ!
新スレ早々こんな作品が投下されるとは嬉しい限り
>>35 みさおとゆたか、みなみの性格に全く違和感が無いのがすごい
SSレベルじゃない。小説読んでるみたいだ
>>35 GJ!
心の動きが細やかに描かれていて、すごく切なくなりますな。
問題なければ、投下したいと思います。
43 :
23-251:2007/12/02(日) 23:10:57 ID:U4ySXjmE
「星に願いを」 第12話
・こなかが入れ替わり
・続き物
・エロ注意
12.
「こなちゃん。くすぐったいよお」
私のフトモモの間に、こなちゃんの足が入り込んで、あのっ。
大事なところにちょっとあたっていたりして。
こなちゃんは、恥ずかしいけど…… 私のパジャマの中に指を
もぐりこませて、さわってきたの。
顔から火がでるほど恥ずかしいよ。
「つかさって、えっちしたことないよね」
「ないよ…… 」
「でも、あそこがぬれているよ」
「あ、あそこって? 」
「つかさ。知っててとぼけているの? それとも本当に知らない? 」
こなちゃんは問いに私はつまった。
確かに、女の子がえっちな気分になると大切な部分が濡れる……
ことは知っているけど。保健の授業で習ったしね。
でもなんだか、言葉にするのは恥ずかしいよ。
「つかさは嘘がつけない子だねえ」
「ううっ、こなちゃんのいじわるっ」
こなちゃんの体温がダイレクトに伝わってきて、ひどく熱い。
「こなちゃん…… 」
「なあに、つかさ」
目と鼻の先の距離の『お姉ちゃん』の顔をしたこなちゃんに囁く。
「私、やっぱりがまんできないよぅ」
こなちゃんと唇に触れたいという欲求は大きくなるばかり。
「もうちょっと、じらしたんだけどね」
こなちゃんはふくみ笑いをしながら囁いた。
「つかさのご両親や、『お姉さんたち』が見たらなんていうかな…… 」
「こなちゃん、ひどいよっ」
私は頬を膨らまして叫んだ。でも、もし誰かが私の部屋に
入ってきたらどうしよう。鍵かけてたか覚えてないし。
「私は見つかってもいいけどね」
にやりと笑ったまま、私の唇に覆いかぶさる。
「…… んっ」
こなちゃんの唇はとってもぷりぷりとして柔らかい。
微かに吐息をもらしながら、口付けを続ける。
しばらくは、唇だけでちゅっちゅって感じの軽いキスを続けて
いたのだけど、満足できなくなったようで……
こなちゃんは舌をいれてきたんだ。
「んん…… 」
私は、小さな声をもらし続ける。
こなちゃんの舌の動きは凄くえっちで、私の歯茎や頬の裏を
丁寧になめていって、唾液も喉に伝わってきたの。
こなちゃんの唾液は熱くてほんの少しだけ甘い。
初めてだから良く分からないけど、こなちゃんのキスは物凄く
上手なんだと思う。
体の奥がじんじんと火照るような激しいキスで、耳まで
赤くなっちゃう。
「ん…… んむう 」
くぐもった声を漏らしながら、『お姉ちゃん』の身体に
必死にしがみつく。
こなちゃんはディープなキスと同時に下着の上から、
指先で私の大切なところを、擦るように触ってくる。
「ん…… んはぁ」
頭が真っ白になって、大きくあえぐ。
あそこが焼けるように熱くなって、どうにもたまらない。
(こなちゃん…… じらさないでよ)
私は、ふとももをすり合わせて、もじもじとさせた。
こなちゃんの愛撫は優しすぎて…… 物足りない。
「どしたのかな、つかさ」
「あのね。もっと強く…… してほしいの」
「もっと? 」
こなちゃんは、明らかにからかいを含んだ笑みを浮かべている。
ひどいよ。私をじらして喜ぶなんて。
「こなちゃん。分かっているくせに…… 」
「つかさは本当に可愛いねえ」
こなちゃんは、深い口付けを終えた後、私の首筋をなめてくる。
「ひゃうっ」
私の身体がびくんと震える。
「キスもいいけど…… つかさの感じるところは他にも
たくさんありそうだね」
こなちゃんは舌を首筋から鎖骨、そして、私の乳房にゆっくりと
這わしてきたの。唾液の跡が肌に残ってとってもいやらしく感じる。
「ひゃ、ひゃう! 」
遂に、乳首まで舌端が届いて、私は声をあげた。
「こ、こなちゃんっ」
私は、こなちゃんの舌が私の、小さめの胸の先をつついている姿に
狼狽して叫んだ。
「すごく恥ずかしいよ」
「ん…… なにが? 」
「ん、くう」
「わ。わかってるくせにー 」
ブラ越しに、こなちゃんの舌が私の乳首にあたっている。
それでね。ブラの先がへこんで、胸の形が変わっちゃうの。
「そう。もっとして、としか聞こえないけど」
「うひゃうっ」
いきなり、あそこを強くひっかかれて、悲鳴をあげてしまう。
まずいよ。お姉ちゃんたちに気づかれちゃう!
私は懸命に声を押し殺した。視線の隅に入った時計の針はまだ9時半を
指している。当然、家族で寝ている人なんかいない。
こなちゃんは、私のアソコの中に突っ込んだ指を私の目の前に
かざしてみせる。
「くさっ」
言ってから自分の頬が、かあって熱くなる。
馬鹿、私の馬鹿、これは私のアソコの匂いだよぅ。
「つかさの反応って面白いねえ」
「えっ、どういうこと?」
私は、あたふたとする。こなちゃんは濡れた指先を見ながら続ける。
「アソコがぐっしょりになってるほど、感じちゃっていること」
「あ、あうう。でもっ」
「つかさが恥ずかしいって言っても、『身体』は十分に愉しんでいるんだよ」
動揺する私を包み込むような口調で、こなちゃんが話した。
「でも、こなちゃん。やっぱり恥ずかしいよぉ」
えっと自慰っていうのかな。おなにーっていうと刺激的すぎるけど。
そういう事をしたことはあるんだけど。こんなにアソコが濡れるなんて
信じられなかった。
こなちゃんは、私のブラのホックを外した。
私も、こなちゃんのブラを外そうと思う。最初から最後までこなちゃんの
なすがままっていうのはちょっと駄目だと思うし。
ふたりのブラが外れると、私と『お姉ちゃん』の乳首がはっきり見えた。
双子だからかは知らないけど、色と形はそっくりだ。
「流石、つかさとかがみだねえ」
こなちゃんも、感心してじっくりと見比べている。
「遺伝子のせいなのかも」
こなちゃんは私と『お姉ちゃん』の胸を見比べた後、二人の乳首を
くっつけてしまう。
「な、なにするの? 」
驚いている私を尻目に、こなちゃんは重ね合わせた乳首を擦るように
動かしていく。
「ん…… ふあああっ」
はしたない嬌声が、私とこなちゃんの口元から漏れる。
こなちゃんの声は、『お姉ちゃん』の声だから、すごく淫らだ。
「んんっ、んああ」
今は、上半身が裸の私と、こなちゃんがお互いに乳首を擦り合わせるって
ことになるわけで…… はうぅ、まつりお姉ちゃんに見られたら
どうなっちゃうんだろう。
「こなちゃん、おかしくなっちゃうよう」
「つかさには、もっと変になってもらうよ」
こなちゃんは何気ない口調で、とんでもないことを言ってくる。
乳首を擦り合わせながら、こなちゃんは再びキスを求める。
「んあっ、ふあああっ」
頭の芯まで蕩けるような熱いキス。頭がくらくらしてしまう。
(こなちゃん…… こなちゃん……)
同時、下半身の、あ、あそこの膨らんでいるところを
こなちゃんの指がこすってくる。
「んああああっ、こなちゃんのえっち! 」
「何を、今更いっているのかなあ」
でも、今までの私と違うんだよ。こなちゃん。
私は懸命になって、自分の手をこなちゃんの下着の中に
もぐりこませる。
(うわあ、こなちゃんもぐっしょりだ)
こなちゃんも『感じている』ことが嬉しくなって、無我夢中になって
こなちゃんの大切なところをもみ始める。
「うおっ、つかさ」
こなちゃん、凄く驚いてるよ。
私は、反応に手ごたえを感じて、こなちゃんのアソコをかき回す。
こなちゃんも私に負けじと強く刺激してきて、頭がぼーとなってくる。
「こなちゃん、こなちゃん」
快楽の波がどんどん押し寄せる。必死で我慢しないとすぐにでも
いってしまいそうだ。
「つ、つかさっ」
こなちゃんが眉を歪めて叫んで、身体をびくびくと痙攣させている。
「こなちゃん…… 一緒にいこうっ」
「んんっ、つかさあああっ」
何度目かのディープキスをこなちゃんと交わしながら、私より
いくらか成熟した『お姉ちゃんの』の身体の下半身をまさぐる。
こなちゃんも必死になって快楽の頂きに導こうと、大事なところを
緩急をつけながら擦りつけ、揉みしだいてくる。
「こなちゃん。いっちゃうよ。私、いっちゃう」
体中から汗が大量に噴き出して、白いシーツもぐっしょりと
濡れている。
「んあっ、つかさっ、がまんできないっ」
こなちゃんも、声を何度もあげる。
「イク、いっちゃう。ふああああっ、ああっ」
「もう駄目、こなちゃん。もうだめっ! 」
私と、こなちゃんはほとんど同時に悦楽の頂点に達して、
お互いをぎゅっと抱きしめた。
「はあっ、はああっ」
こなちゃんの額にはびっしりと汗が浮かび上がって、髪がはりついている。
荒い息をつきながら、こなちゃんは私に優しくキスを交わしてくれる。
快楽の山を越えた後、弛緩の波に身をゆだねながら、こなちゃんの
限りなく優しくて甘いキスを受け入れる。
「ねえ、こなちゃん…… 」
「なあに、つかさ」
私はちょっと迷ったけど言った。
「私たちって、えっちの相性いいのかな」
こなちゃんが固まった。
「あの純情なつかさが…… 」
私は苦笑いをしながらこなちゃんの顔を睨む。
「あのね。私だってえっちなことをたくさん考えるんだよ。こなちゃんの
思っている私とだいぶ違うんだ」
「うーん。イメージが崩れるなあ。つかさは天然ボケキャラが
基本スペックかと思っていたんだけど」
こなちゃんはぽりぽりと頭をかきながら、深いため息をついた。
「こなちゃんだってね。えっちが大好きな子だなんて印象なかったよ」
「確かにそだね」
私と、こなちゃんは笑いあった。心底からさっぱりとした気持ちになる。
「こなちゃん」
「なに。つかさ」
私は、きっぱりと言うことにする。
「私ね。お姉ちゃんとこなちゃんが元に戻っても、こなちゃんを
あきらめないよ」
「つかさ…… 」
こなちゃんは少し困った顔をする。
「ごめんね。こなちゃんの一番がお姉ちゃんってことは分かってる。
でも私、がんばって、こなちゃんを振り向かせるような女の子になるんだ」
こなちゃんの瞳をしっかりと見据えながら、言葉を紡いでいく。
「いつも、お姉ちゃんの後ろを歩くのじゃなくて、自分で
歩いていくの。すぐには変われないかも知れなけれど」
こなちゃんは暫く本当に驚いた、という顔で見つめて、そして
小さい声で呟いた。
「つかさって、強いんだ」
「そ…… かな」
「うん。私が言うのもなんだけど。私やかがみよりも、芯っていうのかな。
そこがしっかりしているから、簡単に折れたりしないんだね」
「ありがと」
私は微笑んで、もう一つだけ甘えることにした。
「こなちゃん。一緒に寝よう」
「分かったよ。でもその前に…… シャワー浴びようか」
「うん」
私とこなちゃんは汗で濡れた身体を清めてから、濡れたシーツも
取り替える。そして、こなちゃんと一緒にベッドにもぐりこむ。
「こなちゃん…… あったかいよ」
「うん。つかさもね」
「えへへ…… 」
素敵な一夜をくれたこなちゃんに軽く口付けすると、私はゆっくりと
夢の世界に向けてまどろみはじめた。
52 :
23-251:2007/12/02(日) 23:24:07 ID:U4ySXjmE
感想を頂けた方々に改めて感謝を。
そして、新スレ乙彼様です。
スレが賑やかに、楽しく進行していきますように。
つかさ編はここでひと区切りとなります。
最終コーナーまであと一息となりますが、今後とも
よろしくお願いします。
>>52 リアルタイムGJ。一夜だけの関係というのも、切なくて萌えますな。美味美味。
クライマックス、お待ちしておりますです。
>>52 つかさの新しい魅力に気付いてしまったんだゾ。
しぶといなー(良い意味で)つかさ。GJです!!
月食のこなかが本番に期待w
>>52 GJです!
クライマックスまでがんがってください。
>>52 GJ!
こなたが小悪魔に見えて仕方ない…が、
見るべきところはつかさの強さだと思った今日この頃。
最後まで応援してますぜー!
前スレ埋めてきましたー!
昨日茶屋行った人、お疲れ様でしたー!
>>57 埋めSSナーイス!
その頃のこなた
「う〜〜、私は英語からっきしなのにフランス語講座だなんて、どーすりゃいいんだよぉ〜〜ぅorz
私も神社でハルヒコスで接客したーいっ!!」
59 :
4-243 ◆X9xLTlcDnY :2007/12/03(月) 19:31:01 ID:iYmMiE5I
★私信>ぶーわさん
まとめサイトのコメント欄で
www7b.biglobe.ne.jp/~administrator/upload10000271395.wmv
↑を上げてくださったのは、僕とは別の方です(^^)
なんかコメントが僕に向けられていたようなので、念のため…
上記の方は、ウチに上げた
www.geocities.jp/extream_noise/rakisutaep/bu-wa_san/hitosode_ed.wmv
より早くうpして頂いたみたいですね。
sage忘れましたorz
61 :
ぶーわ:2007/12/03(月) 19:41:45 ID:eFkdwtVU
あら 勘違い失礼
これから投下します。たぶん3レスほど。
エロあり。
カップリングは……なんて言えばいいんだろ?
『やさしくしてね……』
ゲームも中盤にさしかかって、ようやく目当てのキャラのエッチシーンに辿り着いた。
ふう、ここまで長かったヨ。苦労しただけに感動もひとしおだね。
『こなたくんの、大きい……』
かわいい女の子が、男の子のアレを恥ずかしそうに見つめてる。まだCGに入ってないから、
そこは脳内補完ってやつ。こなたくんっていうのはもちろん、主人公の名前を私にしたもの。
このキャラはすごく恥ずかしがりやさんだから、絶対この時点で真っ赤になってる。
んでもって、本当は目を逸らしたいんだけど、『私』のために頑張って見つめてるんだ。
『うんっ……あむっ……』
いきなりフェラ? そんなの気にしない。純情そうな娘がやるから萌えるんだから。
「き、気持ちいいよ」
主人公が声を出さない代わりに、なんとなく呟いてみた。私にアレはないけど、きっと
物凄く気持ちいいんだ。こんな可愛い女の子が、『私』を気持ちよくしてくれてるんだ。
画面の中では、女の子が懸命に主人公のアレを頬張ってた。
見るからにウブな娘が男の子のアレをくわえてる。
これって基本だけど物凄く興奮するシチュエーションだよ?
『んんっ……あんっ……ぴちゃ……ちゅ……』
ヤバイくらいエロいよ。だって、アレくわえてるんだよ?
たとえば、つかさがこんなことやったらって考えたら、もうたまんないね。
だって、つかさだよ? ただでさえ萌えるつかさがあんなことしたら、もう……
『こなたくんの、ビクンビクンってなってる……』
このキャラって、天然ボケでドジっ子で、なんとなくつかさに似てるんだよね。
恥ずかしいの我慢して、頑張ってやってくれるんだよ。つかさも、きっとそう。
それで、気持ちよくなってくれてるか不安になって、上目遣いで見つめてくるんだ。
『ねえ、気持ちいい……? わたし、こんなことやったことないから……』
そんなふうに言われちゃって、私は出そうになるくらい気持ちよくなるんだ。
つかさがやってくれるんだよ。絶対すぐに出したくなっちゃうに決まってる。
あんまり気持ちいいから私は、思わず口の中に出しちゃって、ごめんって謝るんだけど、
つかさはちょっと咳き込みながら『こなちゃん、ひどいよぉ……』とか言って軽く抗議
してきて、でもそんなつかさが愛しくなって思わず押し倒しちゃう。
「つかさ……」
名前を優しく囁くと、つかさは私を潤んだ瞳で見つめてきて、もう一度『優しくしてね』
って言ってくるんだ。でも私は優しくなんてできないネ。つかさとエッチできるんだよ?
抑えられるわけないじゃん。
つかさの中に入れると、ちょっと苦しそうな声をあげるんだけど、すぐによさそうな
声に変わるんだ。
「んっ……はぁ、はぁっ……」
つかさの中で締め付けられて、私はすぐに出しそうになっちゃうけど、そこは堪える。
すぐに出したらもったいないよ。我慢しながらゆっくり入れたり出したりすると、つかさは
『こなちゃん、こなちゃん』って、私を切なそうに呼ぶんだ。
「つかさの中、すごく、締まってる」
少し余裕が出てきた私は、そんなこと言ってつかさを恥ずかしがらせる。『私のがつかさの
中を出たり入ったりしてるんだよ』とか『つかさの○○○が私の×××を欲しいって言って
離さないんだ』とか、つかさが恥ずかしがりそうなことはなんでも言ってやる。
やっぱり、つかさの萌えポイントは純情なとこでしょ。
で、しばらくたつと、そのつかさもイきそうになって、エロい顔するんだ。
「つかさ……あっ……好きだよっ」
そう囁くと、『こなちゃん、私もすきぃ!』とか、必死になって言ってくるんだ。そのうち
ロレツが回らなくなって『しゅきい!』とかエロい言い方になっちゃって、私もイきそうに
なっちゃう。
「つかさ……あん、んんっ、つかさ、私、イっちゃいそうっ……」
最後の力を振り絞って思いっきりヤると、つかさはめちゃくちゃ叫んじゃうんだ。
もう、恥も外聞もなく、脇目も振らずイきまくっちゃうよ。普段の能天気ぶりが嘘みたいに
激しくイっちゃうんだよ。で、私もそれを見て思いっきりイっちゃうんだ。
「つかさ、私、もうイく、イク、イっちゃう、あっ、んっ、んっ、んんんんっ……!」
――――。
…………あー…………えーっと…………。
いま、私、つかさでイっちゃった……?
何の言い訳のしようもなく、左手が濡れてる。ぱんつ脱がずにやったから、ひどいことに
なってる……。
エロゲーのエッチシーンでイくならともかく――いや、それでもダメだけどさ――
さっきの想像の中の女の子は、完全につかさで、しかもその相手は私だった。
その証拠というべきか、画面の中のシーンでは、まだ入れてすらいなかった。
私は、間違いなく、自分とつかさのエッチシーンを想像してオナニーしたんだ。
……どうしよう。
次の日。
カシャッ
「ちょっとこなた、今の何よ?」
「何って、携帯で写真撮った音」
カシャッっていうのはシャッター音ね。
「そうじゃなくて、勝手に撮らないでって言ってるの!」
「大丈夫だよ。ほら、倫理的に無害な写真だから」
その画面を見せてやる。実際、何の変哲もない写真だから、かがみも文句は言わなかった。
「友達の写真が入ってても、いいよネ」
「まあいいけど……変なことに使わないでよ」
「大丈夫だよ」
ごめんうそ。変なことに使います。
その夜。私は部屋の鍵を閉めてベッドに寝て、携帯にかがみの画像を表示した。
「かがみは……」
かがみは、部屋で二人きりになっても、ずっと反抗してなかなかエッチさせてくれないんだ。
それでも強引に食い下がってると、『変なことしたら承知しないんだからね!』って言って
ようやく脱いでくれるんだ。フェラしてって頼んでも『なんで私がそんなこと……!』って、
また粘ることになる。みゆきさんなら案外簡単に許してくれるかも。経験なくてもいろんな
知識を持ってて、特殊なプレイでも物怖じしないでやっちゃうんだ。『泉さんを喜ばせて
あげたいですから』とか言ってパイズリとかもやってくれるんだよ。すっごく柔らかくって
私はあっというまに……。
……いや、みゆきさんはまた明日だ。
昨日はつかさでイった。つかさのことは好きだけど、つかさだけでイくのも不公平だから、
私は二人でもオナニーすることにした。みゆきさんは明日にさせてもらって、今日はかがみ
とのエッチに集中する。
かがみは、アレを手で握ってもらうだけでも一苦労で、でもそんな仕草が可愛くって
たまらないんだ。だから、私もつい強引に迫っちゃう。
それでね、いよいよ入れるっていう時になるとね、『あなたに初めてをあげるんだから、
優しくしなさいよね!』とか、声が震えてるくせに強がっちゃうんだ。
「かがみ、かがみぃ……」
かがみに入れると、本当は辛いのに平気なフリして涙を堪えながら耐えてるんだ。
それでもすこしずつ気持ちよくなってきて、あと少しでイきそうって時に私は動きを止めて
焦らしてやるんだ。何も言わないでずっとずっと焦らしてやって、そうすると恥ずかしがり
ながら『お願いだから、もうイかせてぇ!』とか懇願してくるんだ。
そんなこと言われたらもう私は耐えらんないネ。
腰を動かしまくってアッというまにフィニッシュだよ。
「かがみ、可愛いよかがみ、かがみ、かがみぃ!!」
…………。
……またやっちゃったよ。しかも今度はもののはずみじゃなくて、はっきりと確信犯で。
つかさのときもそうだった。かがみのこと考えながらだと、エロゲーでオナニーするより、
ずっと気持ちよかったんだ……。
なんかヤバイよ私。友達でオナニーして、しかもそれが気持ちいいって。
でもしょうがないよね……つかさとかがみって萌えるんだもん。そこらのキャラなんか
メじゃないよ。私が男だったら絶対放っておかない。
……あれ? 私って同性趣味なかったはずだよね?
いやいや、それでいいんだよ。『私が男だったら』なんだから。
うんうん。私が男だったら。そういう前提があるんだ。
私が男だったら……もう、毎日エッチしまくっちゃうネ。ちゃんとフラグを立てたら3P
とかやっちゃう。『二人一緒じゃ、ダメですか?』とか言わせちゃうよ。
あ、また身体が疼いてきた……。
……みゆきさん、やっぱり今日、みゆきさんで妄想させてもらいます。
みゆきさんとヤるなら、やっぱりパイズリだよね。あの胸で挟まれながらすぐに出し
ちゃって、眼鏡にガンシャしちゃうんだ。
「はぁっ……はぁっ……」
みゆきさんとやるときは、騎乗位だよね。胸が思いっきり揺れちゃうんだ。
それで、その胸を揉みながら――
−おわり−
66 :
3-283:2007/12/03(月) 20:08:50 ID:+/rSP8kH
念のため申し上げておきますが、「確信犯」の誤りはわざとです。
でもネットユーザーのこなたなら確信犯の正しい意味は知ってるかな?
こなたはエロゲーでしかその手の知識を仕入れていないという
マイ設定で書いてみました。
このエロエロ大王…いやエロエロ女王め。こなたエロいよこなた。
エロいのに不覚にも噴いてしまったwwww
>>66 GJ!!
なんというエロこなた。これはGJといわざるを得ない。
>>66 ゆーちゃんにいつ覗かれるんだろうとハラハラして見守ってしまったぜ
エロゲに影響されたとすると、百合メインのゲームやらせまくればリアルで目覚めるかもわからんね
エロ可愛かったぜ、GJ
>>69さんって人には悪いけど……
そのネタ、頂きぃぃぃ!!!
>>70さんは大変なものを盗んでいきました
貴方の……パンツです
>>69-70 実はこなたはゆーちゃんがこっそり覗いているのに気付いてやってるのです( ´∀`)b
そしてそんなモジモジゆーちゃんを陰からこっそり覗くそうじろう…
…をこっそり覗くかな…もとい、ゴッドさん
なんとか今年中に完成しました。
今年の初めに前スレに投下させてもらい先月に現スレに再投下させて貰った拙作『塩基の鎖』の
続編というか補完物です。
拙い出来ではありますがどうか御笑覧ください。
・エロ有り
・潦親娘モノ
です。近親モノですので苦手な方はスルーしてくださいませ。
にしても某所では二卵性双子モノばかり投下してたりと近親百合モノ好きだなぁ俺。
すいません。誤爆しました。
その某所に投下してどうするよ。
ニヤニヤ
ああ、特定した
見てる層って結構被ってるもんなんだな……
とりあえずあの人かな、と見当をつけてみたw
おまwww
つか×みゆを原作とかアニメになるべく近い形で
なーんか絡ませてるSSを書きたいんだが・・・
いい描写がなくてお手上げです
>>72 こなたがそんな隙を見せるとは、昔ならあったかもしれんが
今はないかもしれんw
ゆうちゃんにはわざと隙をみせるかもしれんけど・・・
父親がそれを覗こうとした場合・・・
「山突き」→「カウロイ」→「鳥牛擺頭」→「朽木倒し」の
コンボをお見舞いされることにwwwwww
>>72 美少女ゲームにはまって、こなたの居ない隙にのめり込む
ゆーちゃん……
かきてーw
保管してくださった方乙です!
現在の作品数:933
82 :
7-896:2007/12/04(火) 01:37:43 ID:t06KLJhh
そうじろう「私のおじいさんがくれた、初めてのキャンディー。
それはヴェ○タース・オリジナルで、私は四歳でした。
その味は甘くてクリーミーで、こんな素晴らしいキャンディーを貰える私は、
きっと特別な存在なのだと感じました。今では、私がお父さん。
娘にあげるのは勿論ヴェル○ース・オリジナル。
何故なら、彼女もまた、特別な存在だからです」
こなた「私そのキャンディーあんまり好きじゃないや。お父さん食べていいよ」
そうじろう「特別な存在だからです」
=======================================================
こなた「聞いたよかがみ。子供の頃、ヨーグルト掻き混ぜて『パン工場』ってのやったんだってね〜(=ω=.)ニヨニヨ」
かがみ「ヨーグルト いいえ、ケフィアです」
=======================================================
なんとなくやってみたくなったCMネタを……
あ、ごめんなさい、石を投げないでください。
84 :
高良みゆき:2007/12/04(火) 02:03:21 ID:nNLFFTkG
>>83 どこを自重なさったのでしょうか。
私には自重をした箇所がみあたりません。
私のセンサー故障中でしょうか、それとも認識装置にも異常。
あ、体液(赤)が漏れ出しています。
あ、また壊れた。おっかしいなあ、毎日メンテナンスは欠かさないのに・・・。
あ、ブルースクリーンだ('A`)
どれどれ、エラーメッセージ、と・・・ えっと・・・"Good Job"?
>>82 なんとなくで俺の腹筋破壊すんなwwwwww
さて、SS書く作業にもどるんだ
>>83 なんてここの絵師さん達は素晴らしいんだw
で、どこが自重部分なのかと小一時間……
87 :
ぶーわ:2007/12/04(火) 03:06:29 ID:Otp7bMD2
どーも、相変わらずパラレルすぎて不評のぶーわです。
0から始めよう! の続き投下させてもらいますね。
注意!
・この作品は過度のパラレルを含みます。
・今回は特に酷いです。失禁ものです。
・パラレルはちょっと……って人はスルーでよろしく。
・さらにオリキャラあり どんだけー
……本当、今回のは 自分でもやっちゃったと思いました!
↓9レス拝借します。
初めてこの体で過ごした一夜は、あまり良いものではなかった。
あの後あの馬鹿天使がオオサンショウウオの不気味な人形を弄ってなぎ倒すし。
その物音であの子も目を覚ますし。
もっかい追い出されるし……結局また屋根の上で一晩過ごしたってわけ。
まぁ私自身は熱い寒いとかってのは感じないけど、やっぱ気持ち的には寒いわよね。
天使から衣装もぎ取って布団代わりにしたから少しはマシだったけど。
とりあえず浮いたまま寝るのは意外と心地良かったかな。
「おはようございます」
「ん、おはよ」
体を伸ばし、自分の体の感覚を確かめる。
まぁ、体がないのに変な話だけど。
「よく眠れましたか?」
「ええ、おかげさまでね」
布団代わりにしていた布切れを投げ返す。
「うぅ、相変わらず敬ってませんね」
渋り顔でそれを受け取る。
まぁそうね、少しくらいはまぁ……感謝してるわよ。
絶対言ってやらないけど、調子に乗りそうだから。
「あの子は?」
「まだ寝てるみたいですね、いつも昼ぐらいまで寝てるそうです」
はぁ……自堕落なヤツ。
じゃあどうしようかな、ヘタに起こしてまた機嫌悪いと面倒よね。
「少し散歩でもしましょうか?」
「でも、あんまりあの子から離れたらいけないんでしょ?」
「ええと、ちょっと待ってくださいね」
と、また『子供用天使入門初級編(イラスト付き)』をパラパラとめくり出す。
……これがなきゃなぁ。
「『宿主から5m以上離れる場合、24時間以内に戻ってこなければいけません』」
距離で制約があるわけか。
あの子を中心に5mだから、すっぽりこの家ぐらいかな。
「24時間か、結構あるじゃない」
「ええ、どこか行きたい場所はありますか?」
行きたい場所ね……。
病院に行ってまた、皆の顔でも見ようかな。
でも、機材に繋がれた自分を見るのはちょっと気が引ける。
そうね、じゃあ……。
キーンコーン、と間の抜けた音が耳に届く。
今のは予鈴かな、ホームルームが始まる前ぐらいには到着できたみたい。
ここは学校。
陵桜学園高等部……まぁ所謂、私の母校ね。
そこの2年の校舎の、E組。
所謂そう、つかさとあの子のクラス。
「ほな、HR始めるで〜」
中では担任の黒井先生がいつもの調子で教壇に立っていた。
そこから視線を滑らし、クラスを見渡す。
「……来てませんね」
「まぁ、予想はしてたわ」
つかさの席は、空席だった。
もう一つ見える誰も居ない席が多分、あの子の席なのだろう。
「さすがに昨日の今日じゃ、出てこないわよね」
分かってたけど、確認して落ち込む。
大丈夫かな、つかさ……泣いてそう、あの子。
「あ、か、かがみのクラスにも行ってみましょうよ」
そこで慌てて天使が思い立ったように声を漏らす。
……また気を遣わせちゃったみたい。
「そう、ね」
私のクラスか。
そういやあのコンビは元気にしてっかな……って昨日別れたばっかりだけど。
「こっちよ」
そう言って、壁から壁に抜けた先のことだった。
そこは私のクラス。
教壇に立つのは、私の良く知る担任。
クラスの皆も、覚えのある位置にそのままだ……私の空白の席を覗いて。
本当に丁度。
丁度私がそこに辿り着いた時……私の事故が、担任から宣告された。
ざわつくクラスメイトたちを咳払いで黙らせると、またHRを続ける。
少しその雑踏が……煩わしかった。
「あ、あのっ。かがみ」
「……大丈夫よ、いちいち気を回さなくていいわ」
ちょっと、きつい言い方だった。
だってそりゃ自分のことだもん……ショックじゃないわけない。
皆が席につく中で、その間を縦断するのは不思議な気分。
丁度私の席についた頃には、ホームルームは終わっていた。
さっきの私の一括を気にしてか、天使は黙ったままだった。
はぁ……駄目だな、私って。
「柊ちゃん、大丈夫かな?」
その席に二人ほど、近づいてくる。
聞き覚えのある声に顔を上げると、見覚えのある顔が二つ。
まぁ、予想はしていたコンビがそこには居た。
「……お友達ですか?」
「まぁね、峰岸と日下部」
対照的だけど、幼馴染なんだっけ二人とも。
ああ、峰岸の心配そうな表情は見ていて辛い。
こんな時「気にしないでいいわ」ぐらい、笑って肩を叩けたら……。
「おいおいあやの、暗い顔すんなってば!」
その時だ。
今にも泣きそうな峰岸の肩を、思いっきり日下部が叩く。
「あの柊だぜぇ〜? 象が踏んだって死なねーよぅ」
「みさちゃん……」
その日下部の笑いに、峰岸も少し笑顔が戻る。
「そうね、柊ちゃんのためにノートとっててあげなくちゃ!」
「うんうん、あっ後で私にも見せてなー」
「みさちゃんは自分でやらなきゃ駄ー目っ」
日下部の笑い声がしめやかだったクラスにも溢れ、少し空気が和らぐ。
私も、同じ。
ありがとね……日下部。
「良い、友人ですね」
「ふふっ……でしょ?」
「さぁー体育だ体育だ、遊ぶぞぉー!」
……人がかっこよく不敵に笑ってるんだから、水を差さないで欲しいな。
ってこらこら、まだ教室に男子が居るのに体操着に着替え始めるな。ハ○ヒかお前は。
ええと。あのひきこもりが起きるのはいつも昼、って言ってたっけ?
じゃあそれまでもう少し居ようかな。
24時間もあるわけだし、のんびりしましょ。
たまには日下部でも観察してみるのも、いいかもしれない。
……ちなみに今回の主役は私でも今しがた活躍した日下部でも、間抜けな天使でもない。
そこで急いで男子を外に追い出してる……峰岸だ。
・現在のTP:−294TP(−)
「飯だ飯ー!」
日下部の声が響き、丁度午後十二時を報せる。
結局ずっと日下部の横に居たわけだけど、結構楽しかったな。
特にこいつの集中力のないことったら、授業中なんか必見ものね。
「では、そろそろ戻りましょうか?」
「んーそうね」
天使に声をかけられる。
結構のんびりしちゃったかな。
まぁでも楽しかったからいいか、また来ようかな。
「みさちゃん今日のご飯はどうするの?」
「ああそれが弁当忘れちまってさぁー、食堂行こっかなーって」
そう日下部が体を伸ばしていた時。
私も帰ろうかとしていた時だ。
声が聞こえた。
「おーい、みさお」
「んあ?」
声に気がつき、日下部が振り向く。
その瞬間微妙に……峰岸の顔が強張った気がした。
「弁当、忘れてたぞ」
「お、アニキー! センキュー!」
突然現れた男性に、日下部が飛びつく。
アニキ? ああそういや居るような事言ってたっけ。
話には聞いてたけど、会うのは始めてかも。
……ってか名前も知らないや。
まぁでも意外といい男ね。……ヤサ男だけど。
「ああ、あやのちゃんも」
「こっこんにちわ」
……ん?
今なんか、声が上擦ってなかった?
いつも大人しい峰岸にしては珍しいかも。
「アニキも一緒に食べようぜー」
と男性の腕に引っ付き、離れない。
結構ブラコンなのか……それは知らなかった。
「あはは、分かった分かった。一緒していいかな? あやのちゃん」
「ぇっ?」
その時峰岸から素っ頓狂な声が漏れる。
顔は真っ赤だし、視線は覚束無いし……これはまさか。
「嫌いなんでしょうか? この人のこと」
ってなんでそーなる!
てめー一応天使だろーが!
「馬鹿ね、逆よ。逆」
「逆……ああ!」
ポンッと拍手を打つ。ようやく理解したか……本当に天使かよこいつ。
なるほどなるほど、そういや峰岸のそういう噂は聞かないわよね。
結構美人だし引く手数多かと思えば……そういう事ね。
「じゃあジュース買ってくるわー、すぐ戻ってくっから」
「あ、み、みさちゃん!」
席を寄せ合ったところで、日下部が空気を読んでか読まないでか席を外す。
それを呼び止めるのにも失敗し、峰岸がお兄さんと二人に。
「あのー……帰らないんですか?」
馬鹿野郎! 今いいとこなんだよ!
おお、慌ててる慌ててる。耳まで真っ赤だよ。
「みさおのヤツ、何かあったのかな?」
「えっ? ど、どうしてですか?」
そんな状態にありながらもちゃんと返事をするあたりはさすが。
まぁ、声が裏返ってるわけですが。
「何か……妙に無理してはしゃいでる気がする。あいつ、辛い時は妙にはしゃぐ癖があるだろ?」
「あ……」
その言葉に、峰岸も顔を強張らせる。……私も。
……そういや、今日の日下部はいつもよりハイテンションだったかも。
ずっと隣りに居たのに、全然分からなかった。
あれはじゃあ……空元気だったってわけ?
「じゃあみさちゃん。やっぱり柊ちゃんのこと……」
私はもっと日下部を知ってるつもりだったけど……まだまだだったみたい。
また私は、知らぬ間に気を遣われていたらしい。
「私ずっと一緒にいたのに……自分のことばっかり」
峰岸が落ち込む。
峰岸と日下部は幼馴染。だからそういう細かい癖だって知ってたはずだ。
でも、峰岸に非があるわけじゃない。
峰岸は峰岸で、私の事を心配してくれていたんだから。
「まぁ大丈夫さ、あいつももう高校二年生なんだし」
「!」
落ち込んだ峰岸の顔が、一気に火を噴いた。
お兄さんの手が……峰岸の頭を、撫でたから。
……。
にーにー!
「ただいまー、おーどったんだあやのー。顔がトマトだぞー?」
「……っ! ……っ!!」
何か言ってるみたいだけどもう超音波で聞こえないな。
顔は本当にトマトだよトマト。
なんか二人の意外な一面を見た気がする。
分からないものね……ずっと友達やってても。
ん? 何よ天使、何でそんな膨れっ面なの?
「正直他人の色恋沙汰とか、どうでもいいですよねー」
お前天使だろ!
「ちなみに何かないの、そういう系統のポイント」
「ああそういやありましたねどっか、確か……『恋の成就:3000TP』」
おざなりにハウトゥー本を開き、表から探す。
……ん?
「3000!? 凄いじゃない!」
ひきこもりに次ぐレベル! 合わせれば8000! やった第三部完!
「確かにポイントは高いです……でも、すっごい面倒ですよ?」
「? どういう事?」
まぁそりゃ、人間関係ほど難しいものはないけどさ。
見るからに峰岸はお兄さんにベタボレ。
お兄さんだって悪くは思ってないんじゃない? こんな可愛い子に想われるなんてさ。
「大丈夫よ、これでも恋愛小説は読み倒してるんだから!」
ラノベだけどね! あと少女漫画!
「まぁ……止めはしませんが」
まだ不満そうにしてる。
いいのいいの、やるだけやる……それだけよ!
そうね、まずは整理しましょう……えっと日下部と峰岸は幼馴染なのよね?
ってことはそのお兄さんともって考えていいから、お互いのことはよく知ってると。
じゃああとは峰岸が告白でもすれば……って今こんな状況じゃ無理か。
それとも逆? お兄さんのほうが峰岸に……ううむ、難しい。
いや、ようはきっかけよ!
意識するようになればいいじゃない!
そしたらあとは自然にくっつくって算段よ!
えっと、じゃあどうしよっかな。
そうね日下部を上手くそそのかしてお兄さんに……。
「あの」
「何? 今ちょっと忙しいから後にしてくれると嬉しいんだけど」
って何書いてるの? その紙に。
えっと何々……。
「宿主が法律を犯す……−80TP!?」
思わず読み上げちまったよ!
「だから早く帰りましょうって言ったのに……」
そういうのは全部言わないと分かんねーんだよ!
ってんな場合じゃねえ!
あのひきこもり、またエロゲかよ!
ああもう気の利かない天使を締め上げてる場合じゃない、急いで帰るわよ!
・現在のTP:−374TP(↓)
「……また出た」
「人をゴキブリみたいに言わないで欲しいわね」
息を切らして戻ってきてみれば案の定、パソコンの前に座っている少女と目が合う。
画面にはまたロクでもないモザイクが並列し、色魔天使を欲情させる。
「色魔て!」
今忙しいから黙ってろ!
「何、また説得にでも来たの?」
視線を私からパソコンに戻し、またマウスをクリックしていく。そりゃ冷たいか……昨日の私の失言を考えれば。
「やっ……えと、昨日はちょっと言い過ぎたから、謝ろうと思ってさ」
「……ふぅん」
カチ、カチッという音とともに聞こえるのは、画面から漏れる喘ぎ声。
ああもう耳障りだなぁ……いいや、とりあえず謝ろう。
「昨日はその……軽率だったわ、ごめんなさい」
「……」
頭を下げれるだけ下げる。
でも、聞こえてくるのはマウスと喘ぎ声……って人が謝ってるんだからエロゲ辞めろや!
っとと、駄目だ慌てるな。一応非は全面的にこっちにあるんだから。
「それだけ?」
「えっ? えっ、ええ。まぁ」
こちらを見もしないまま、言葉が返ってくる。
「じゃあもういいよね、とっとと出てってよ」
不機嫌なのが感覚を通して伝わってくる。
「だ、だから言ったでしょ? あんたにとり憑いた以上、あんたと一緒に居ないといけないの!」
少し語尾を強めに。一応こっちも生死がかかってるんだからそこは引けないわ。
「……」
間が開く。いつのまにか、パソコンの喘ぎ声も止まっていた。
「勝手にすれば?」
「ほ、本当っ!?」
右クリックからメニューを開き、画面にSAVEの文字が現れる。
それをクリックした後にパソコンの買えから立ち上がる、
こっ、これは一歩前進じゃない?
だって私の存在を認めてくれたんだもんね。
そうよ、仲良くなるんだ仲良くっ!
「ま、まだ名前言ってなかったわよね? 私……ひいら」
「別にいい」
言葉を遮られる。
……へっ?
「興味ないから」
冷たく言い放つと、唖然とする私を置いてそのまま部屋を出て行く。
それを慌てて追いかけ、少し後ろからついていく。
興味ない? い、いや考えるのは後にしよう。今は追いかけなきゃね。
そして着いたのは台所。
ヤカンに水を入れると、そのまま火につける。
これはもしかして……朝食? ってもう昼だよ!
「カップラーメン食べるの? 体に悪いわよ、そんなの」
「……」
返事もしないまま、近くの箱から取り出したカップラーメンの蓋を開ける。
ゴミ箱に突っ込まれたそれの山を見るに、どうやらそれが主食らしい。
「お父さんとは、一緒に食べないの?」
確か小説家とかって言ってたっけ? 家で仕事してるはずよね。
ああ、でもお腹が空いたら勝手に食べるって言ってたっけ。
「……」
「ね、ねぇ聞いてる?」
声が届いてないはずないわよね。
こちとら50TPも支払ってるんだから。
ん? なんだろ。妙な感覚が体から伝わってくる。
もしかしてこの子……イライラしてる?
「五月蝿い」
「へっ?」
ようやく漏れた声に、目を丸くする。そのまま戸惑う私をその目で、睨む。
「居るのは勝手だけど、話しかけないで」
「なっ……」
思わず言葉を失う。
「耳障りだから」
そう冷たく言い放つと、沸いたお湯を先程のカップラーメンに注ぐ。
あとはもう、声もかけられなかった。
どうやらこいつは……私の事を見て見ぬフリをするらしい。はぁ……一歩前進どころか、予防線張られるとは。
出て行かなくても良いから話しかけるなって……そんなんじゃ、居ないのと一緒よ! ああ、さすがにガードは固いみたい。
「おや、こなた?」
「!」
その時だ、私の体に稲妻が走る……と言っても私のものじゃない。
この偏屈っ子が感じたのを、私も共有しただけ。
「今から食事かい? 父さんもようやく一段落ついてね」
と、彼女の隣りにまで歩きカップラーメンを漁る。
そして一つを取り上げると、娘に笑顔を見せる。その度に私の胸がきしむ音を感じる。
「良かったら一緒に食べ……」
「私、部屋で食べるからっ」
その言葉を最後まで聞かず、自分のお湯を注いだカップを手に取る。
ぬおっ、熱っ! ちょっと、手にこぼしてるわよ!
「あっ、こなたっ」
そのまま部屋に戻っていく姿を呼び止めることも出来ず、そのまま肩を落とす。
はぁ……情けないわね、父親のくせに。
もっと威厳ってもんがあればねぇ……ガツンと言ってやってよ、あのひきこもりに!
「どうやら、あまり親子の仲は良くないみたいですね」
あら、あんた居たの? 喋らないから忘れてたわ。
「そうね……でも父親のほうは結構娘に甘そうに見えるけど」
肩を落としたままカップラーメンにお湯を注ぐ姿は痛々しい。
見る限りでは一方的に嫌われてるって感じよね。
「母親が死ぬまでは、あまり娘のことを好きではなかったようです」
「あー、まぁ分からないでもないわ」
男ってそうなのよね、特に父親。
母親のほうは自分がお腹を痛めて産んだ子なんだから、そりゃ大事に愛情を注ぐわよ。
でも父親のほうはそれがない。しかもDNA鑑定でもしない限り、それが本当に自分の子供かすら分からない。
……まぁ、ちょっと極端か。
だから特に父親とその子供……特に女の子の仲ってのは、そうそう良いものじゃないわけよ。
愛情が自分より子供に注がれて、餅でも焼いたんでしょ。それが一般的よ。
「それで、奥さんが死んで娘の大事さに気がついたって?」
「まぁ、そうなりますね」
ふぅん……大分見えてきたわね、この家族が。
父親は娘に対してようやく心が開けたわけだ、皮肉にも奥さんが死んだ所為で。
時期が悪かったわね。もっと娘が幼ければ……って人の生死をそんな風に言うもんじゃないな。
となるとあとは娘のほう、か。
「やっぱり、お父さんのこと嫌ってるんでしょうか?」
「それはちょっと、違うんじゃないかしら」
確かにはたから見ればそう見える……でもさっき伝わったわ、あの子から。
そういう気持ちだって共有出来るのよ、舐めないで欲しいわね。
「あの子も本当は……父親と仲良くしたいのかも」
父親があの子の隣りに歩いてきたとき、私の胸には不思議な感情が伝わってきた。
それは多分、戸惑い。彼女はまだ向き合えていない。母親の死に……父親に。
まぁ……ひきこもってる負い目もあるだろうけど、もう一つ。
多分慣れてないんだ……父親の愛情ってやつに。今まで蔑ろにされてたなら尚更ね。
……ふむ。まぁ、一つの材料ではあるわね。
「ひきこもりより先に、そっちを治さないといけないみたいね」
そうよ、少しずつって決めたのは私だっけ。
やっぱり大事だものね……家族って。
私もこの体になって、初めて思い知らされたわ。その大切さを。
あの子にもそれを……。
「あの」
「ん?」
何よ人が意気込んでまとめに入ってるのに。話の最後って難しいんだから。
……って何メモしてるのよ、その紙に。
ええと何々……はて、どこかデジャビュ。
「宿主が法律を犯す……−80TP!?」
……。
同じオチかよ!
・現在のTP:−474TP(↓)
97 :
ぶーわ:2007/12/04(火) 03:28:32 ID:Otp7bMD2
相変わらずのパラレル&オリジっぷりですんまそん
というわけでみさお兄もオリジ設定で出させてもらいました
設定としては高3、まだあやのとは付き合ってない程度
らめぇ、もうそれオリジとか言っちゃらめぇええ
ちなみにみさお兄の設定は
ttp://www.uploda.org/uporg1142597.png こんな夢を見たので決めました
これぞ天啓? みさおはブラコンだと思います
>>97 乙です。
まさにもう一つの世界ですね。
この世界の場合、Lucky Starの題名は付かなさそうだw
さーて、かがみの明日は?
99 :
久留里:2007/12/04(火) 12:42:24 ID:zIdF78sK
こんにちは、E231-1116改め久留里です。
今回からこのコテを使わさせて頂きます。
今朝の実体験を元ネタにSSを思いついたので投下します。
・みさお兄メイン
・日常ネタ
・日下部家が団地住民であるのは仕様
・みさお兄が某ブレーキメーカ社員であるのは仕様
・4レス頂きます。
では、いきます。
100 :
久留里:2007/12/04(火) 12:45:21 ID:zIdF78sK
アクセス規制喰らいました。
会社の回線だと連続投下は難しいようです。
先に保管庫へ投下いたします。お騒がせ致しました。
105 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/04(火) 18:32:36 ID:3sB7pdl0
>>97 GJです ! 自分はオリジナル大好きです !
段々かがみのポイントが減っていってるのが笑えますw
やっぱり後半で、どどーんと大逆転するのでしょうか? にしても、本当に魅せかたが上手いですね
あ
107 :
ぶーわ:2007/12/04(火) 19:21:04 ID:Otp7bMD2
「大変です!認識青『こな☆フェチ』が3体同時に出現しました!」
ガガミエル
ユキエル
バルサミエル
立木「問題ない。
>>109GJだ」
>>109 開いてびっくりw
自重してないwww
光速で壁紙n(ry
GJっす!
>>109 拡大版をDLして気づく。
もしや、みるく機能まで標準装備ですか? お胸をちゅっちゅするとぼにうが出てきちゃいますか!? ウヒョー!!
……えーと、とにかくぐっじょぶでした。
「かもすよー」ワロスwww
>>97 グッジョブですよ
規制に巻き込まれた〜
で
>>94の
『パソコンの買えから立ち上がる、』
は
『パソコンの前から立ち上がる。』
ですか?
携帯からなんで、手短ですんません
120 :
ぶーわ:2007/12/04(火) 23:01:45 ID:Otp7bMD2
>>119 うは、訂正あり
wikiに保管する時に直しておきます
三日開けたらこんなに!?神作品ばっかり!?うわああ
とにかく絵も作品もGJ!とりあえず空気は読めた!いきます!
こなつー「動いてよ!今動かないとみんな(こなつー達)犯られちゃうよ!だから動い・・・」
「こなつー活動停止!侵食(性的な意味で)されています!」
122 :
112:2007/12/04(火) 23:20:34 ID:nNLFFTkG
>>115 ちょwwwww
あんたはなんてことをしてくれるんだwwwww
ネタ振った側としてはこれほどの喜びはないwwwwww
懲りずにまたネタを振るとするかフヒヒサーセンwwwwwww
>>120 いつも楽しく読ませてもらってます
実はぶーわ氏の誤植?突っ込むの二回目だったり
袖触れwikiの指摘も…
いや、それだけしっかり読ませていただいてます
全裸で(ry
全板規制はつらすぎっす(;_;)
124 :
2-390:2007/12/04(火) 23:41:04 ID:SLHi/2nK
ちょっと通りますよ
『残し物-6』を投下
・こなた&かがみ
・社会人かがみ視点
・パラレル
・鬱展開を予定
ムリポな人はスルー推奨
125 :
残し物-6:2007/12/04(火) 23:42:26 ID:SLHi/2nK
近頃は寒くなってか、こなたが時折咳込むようになった。
2〜3度鳴らせば収まる程度なので、軽い風邪を拗らせているのだろう。
一応塩梅を尋ねたが、本人もまるで平気との事。
そればかりは流石に止めるのも聞かず、さっさと買い物に出掛けてしまった。
こなたが行ってしまったため、私は久しく一人になった。
部屋にはベッドに転がる私と、唸りをあげる石油ストーブが存在を示す。
ポカポカと暖かい室内とは対照に、心持ちは何処か空風が吹いているようであり
出所の分からない虚しさを感じて、息継ぎの如く寝返りをうった。
「………。」
これは所謂、暇という奴だろうか。
何もしないでいる今の時間が、ひどく物足りなく、又 惜しいと感じる。
だが観賞対象のこなたを欠いてしまい、全くの手持ちぶさたになった私には
まるで成す術なく、不服を募らせるだけだった。
「………。」
外は冬の雲一色に覆われていて、それが窓の向こうに伺える。
枯れ木の枝先が揺れたかと思えば、窓は小さく音をたてた。
酷寒であろうあの外の世界に、小さな少女が出掛けたのだと思えば
彼女に大きく被せたコートでさえ、ふと頼りないものに感じていた。
「……やっぱり、私もついてけばよかったわね」
所詮同行した所で、冬のこの寒さがどうなる訳ではないが
独りで歩くこなたを想像すると、押してでも側にありたいという衝動が湧く。
無論に暇を潰せる利点でもあるのだが
彼女の事を慈悲する今では、二の次以下に成り下がっていた。
これ程に甘くなってしまう理由は、風邪気味の彼女に気を配っているという事にしておきたい。
126 :
残し物-6:2007/12/04(火) 23:43:20 ID:SLHi/2nK
『──ピンポーン』
若干悶々とする私を余所に、玄関の呼び鈴が空気を割った。
一瞬不覚にも心が跳ねてしまったが、よく考えればこなたではない。
彼女にはスペアキーを与えてあるので、今では確認なしに敷居を跨ぐ。
とすれば来客、悪しくは悪戯となり
やれやれと、さも億劫げにベッドを降りた。
……………
「はいはい、どちらさま?」
ため息を交えてインターホンを前にする
画面は外の色に馴染んで灰っぽくて、横に薄くノイズがかかる。
中心に型どる人影があり、訪問者の存在を示していた。
確かに見慣れないそれは、何処か優しげな色を持った声を聞かせた。
『泉、そうじろうと申す者ですがー…。』
─────
しんと静かな空気の中では、ストーブの唸りもすっかり霞んだ。
逆に時計の針の音だけが独占して、私ともう一人存在する部屋を満たしている。
小さなテーブルを隔てて向かい合い、黙然と座るだけの両者には
緊迫の空気が張り巡っていると、少なくとも私は感じていた。
泉そうじろうと名乗ったこの男
青い髪をして泣きボクロ。
さらにその姓が決定づけて、こなたの親御さんだと了解させた。
私はかくして、非常にまずい事態だ。
どう捻ってもそうとしか感じない。
冷や汗でも流れそうな私の心境を、察する事は至極造作もない筈だ。
127 :
残し物-6:2007/12/04(火) 23:44:22 ID:SLHi/2nK
〜〜〜〜〜
『君か、うちの娘をたぶらかしてくれたのは!』
『半年間も部屋に連れ込むとはどういう了見だ!』
『あれやこれやと幼い身体をいたぶったに違いない』
『警察だ警察、国家権力様にしょっぴいてもらおう!』
〜〜〜〜〜
私の震えは収まる時期を知らない。
状態は所謂ガクブルだ。
つい先程に思い知った事だが、こなたにも当然家庭があったのだ。
わざわざお父様が心配してお越しくださる辺り、家出といっても彼女の一方的な行動だろう。
親御さんが追い出した訳ではないのだから、必死に行方を探すのは当然で。
その本人の彼からすれば、私は拉致犯罪者に変わりないのだ。
未だ腕を組み、黙り込む父。
目はすっと閉じて、考えに耽っているのだろうか。
動きを見せない現状に堪えかねて、私は恐る恐るに口を開いた。
「あ、あの──
「……こなたは、外に?」
やや後出しで彼が口をきくと、私は飛び退くように切り替えて頷いた。
重い扉はようやく開けて、会話が始まろうとしている。
情けない話だが、ここで私はどうにかお許しを請うしかない。
その最良となるタイミングを逃さまいと、重心を前において座り直した。
「そうか…丁度よかったよ」
「………。」
「アイツに顔を会わせると、多分また逃げられちゃうからなぁ」
控え目に苦笑いをして、指先で頬元を軽く掻く。
その様子や声色からして、私に腹を立ててないと伺えて先ずは安心した。
見た目相応に穏やかな性格なのか、私やこなたすら責めようとする気を感じない。
彼の顎骨に沿った無精髭が、指に擦られて音を鳴らした。
「こなたに…、お会いにならないんですか?」
目前の湯飲みに両手を添えて腕の居場所をつくると、自然とテーブルに体重が乗る。
ぎし……と細かな音を残して、無事に身体を支えきった。
「君の所ではうまくやってるんだろう?
それを俺が荒立てる事もないさ」
加えて、迷惑をかけてすまないとも仰った。
とんでもないと手のひらを振ったが、その隙間に見える彼の表情は些か不思議だった。
相変わらずの苦笑いを作る口元に、幾分儚げに縁取る目元。
こなたに会わないと言うそのワケを語るようで、口から直接には聞けなかった。
128 :
残し物-6:2007/12/04(火) 23:44:59 ID:SLHi/2nK
一時間近くに及んだだろうか。
私は出来る限り、彼に半年間のこなたの様子を伝えた。
野宿をしていた事、無愛想な事。
枕を投げてくる事、海に連れていった事。
私の利己的とも言える節介の、せめてもの罪滅ぼしと感謝の意を込め。
相づちをうつ彼が時折笑みを見せると、私の心も救われた気がした。
─────
外は夕焼けの変わりに一層煤けて、窓から射す光もとうに無くなった。
代わりに数枚の葉が飛び交って、未だ吹き付ける木枯らしを教えている。
彼女と鉢合わせる前にはと、その腰を上げた泉そうじろうに
私は乗じて、とうとう最後に伺った。
「…こなた、どうして家出しちゃったんですか?」
彼はすっと立ち上がったまま、テーブルに備わる私を見下ろしている。
その姿は歳故の、柔らかな哀愁を帯びていて。
しかし目はやはり愁いに染まっていて、端から見れば涙を流さないのが不思議だった。
ふと窓から薄い光が射し、彼の背後を仄かに照らした。
「…犬や猫は、なついていても
突然主人の前から姿を消してしまう事があるらしいね」
「………」
「そういう事なんじゃないかと、俺は思ってるんだ。」
出来れば娘と、これからも宜しくしてくれると有難い。
それと何度かの礼を残して、彼は玄関の戸を閉めた。
129 :
2-390:2007/12/04(火) 23:51:06 ID:SLHi/2nK
つづく
急に遅筆になった言い訳をすると、最近腰を抜かす程に忙しくなった。
(現にぎっくり腰)
こんなペースが続くかも知れんので、もし読んでくれてる人がいたら申し訳ないす。
>>129 リアルタイムGJ!
個人的に今一番楽しみにしてるシリーズですw
無理なさらずにまったりとどうぞ
そのペースで遅筆とか言ってたら俺の立場が(ry
>>129 嗚呼……やはりそういうフラグだったのですか。
どこまでも穏やかなそうじろうさんが、「その時」を感じさせて切ないです。GJ。
>>129 GJ!!
こなたとそうじろうの間に何があったのか激しく気になる!!!!
しかしここはホントに中毒性の高い神作品が多すぎるな……
もう新作が楽しみで楽しみで(;〓ω〓.)
>>129 GJっす。
うーん、娘を心配する父親って良いな…
うらやましい、というか…
そうあらためて思いました。
そうじろうさんが最初憤慨してたのが目に浮かびますw
すみません、言葉がうまくでてきません…
あと筆が遅いとか言われるとおぉぉ
エロいシーンが浮かばないよぉぉ
>>129 GJ!
楽しみにしてたんで嬉しいっス
続きは気長に待ってるんでどうか無理なさらずに
135 :
久留里:2007/12/05(水) 00:53:03 ID:2gTzkyCf
E231-1116改め久留里です。
>>99で投下しようとしたら会社の回線に嫌われてしまいましたorz。
今、自宅におりますが、投下して良いでしょうか?
元ネタは今朝の実体験。
・みさお兄メイン
・日常ネタ
・日下部家が団地住民であるのは仕様
・みさお兄が羽生の某ブレーキメーカ社員であるのは仕様
・4レス頂きます。
・自宅もアクセス規制中のため、1レス投下ごとに2〜3分掛かります。
>>129 待ってましたよGJ!
続けてくれるだけでありがたいのです
137 :
2-390:2007/12/05(水) 00:57:13 ID:JVnmWjU/
>>127 ここのそうじろうが激怒している描写はかがみの妄想です。
読み返してみたら分かりづらかったので。サーセン。
>>135 ドゾー
では、投下いたします。
*****
「うわぁぁぁああああ寝坊したぁぁぁああああ!!!!!!」
築35年3DKの公団住宅に奇声が響き渡る。
両親はとっくに起きていたが、まだおれと同じ部屋で寝ていた妹のみさおは、この声で目を覚ます。
恥ずかしながら、この奇声の主はおれだ。
母親が迷惑そうな顔でおれを見る。
「一体朝から何なの?騒々しい。」
「まだ早いんじゃないのか?」
「せ、説明しているヒマは無いよ!!」
「……むにゃむにゃ、おあよ、あさからうるせーよなんだよアホ兄k…うわっ
すまん、急いでいるあまりにみさおをどついてしまった。帰ったらご機嫌取りに忙しいなぁ。
おれが勤めている会社は作業着なので、会社までは私服で出勤。それが救われた。
3分で支度を終えたおれはバッグ背負って家を飛び出す。
「いってきまーす!!」
「「「行ってらっしゃーい…」」」
家族はのんきなもんだ。てか、みさおも早く行かないと遅刻するぞ
「いや、まだ早えーから……って行っちまった」
「あの子があんなに慌てるのも珍しいねえ。最近はみさおの方が遅いのに」
「みゅ〜部活引退する前は早起きだったんだぜ」
通勤用のタルタルーガ(自転車)に跨り、ペダル鬼漕ぎでわし宮団地を出る。
家から会社まではおれの自転車で1時間。今日はどうも間に合いそうにない。
車は免許を持っていないので運転出来ず、仕方がないので途中から電車で行くことにした。
駅前の交差点を右折して、駅前ロータリに入る。近場の有料駐輪場に自転車を止め、鷲宮駅の階段を登る。
そこで、おれはとんでもない勘違いをしていたことに、やっと気が付いた。
「あれ…??」
改札口を通り、電光掲示板を確認する。
そこに表示されている列車の時刻は、どれも7時台だ。会社の始業時間は9時。普通に間に合う。
だから父親は「まだ早いんじゃないのか」と訊いたのか。
「参ったなぁ。取り敢えず行くとするか」
よくよく考えたら陽の高さがいつもより低い。
おれはとぼとぼとホームへの階段を下りた。
東武電車はいつもおれが1時間半(信号待ち含む)かけて走っている区間を、わずか15分で走ってしまった。各駅停車とはいえ、やっぱり電車は速い。
下り列車なので車内は比較的空いている。
会社の最寄り駅に着いた。ここから会社までは歩いて10分。
つい最近新しい駅舎が出来たばかりの小さな駅。こう見えても地方私鉄と接続するターミナル駅であり、この街の中心でもある。
駅前にカフェなどといった洒落た店は無いので、おれは会社の前にあるコンビニで朝食を買い、会社へ向かう。
おれが勤めている会社は、埼玉県内にある某大手ブレーキメーカの子会社。従業員30人の町工場で、社屋は親会社の敷地内にある。
親会社の方は有名デザイナが設計したガラス張りの立派な建物だが、こちらは鉄骨2階建ての古い建物。
断熱材が無いので、この時期は達磨ストーブをフル稼働させても尚寒い。
おれはこの小さな会社で技術開発をしている。技術開発部はわずか5名。いつも親会社のメンバと共同で仕事をしている。
つまり、おれの仕事場は、実は親会社だったりする。
「おはようございまーす」
しーん。
案の定、うちの会社の社内には誰もいない。
タイムカードを切ってまずは更衣室へ向かい、作業服に着替える。
更衣室は人がいても暖房は無いので、一日中冷凍庫の様な寒さだ。
着替えを済ませて技術開発室に向かう。現在、おれの机は2箇所ある。
1箇所はここで、もう1箇所は親会社の方にある。普段は向こうで仕事をしているため、
こちらにはノートパソコンが1台置かれているだけだ。
暇だ。暇過ぎる。
一服したいとこだが、おれは生憎煙草は吸わない。
書類の整理も昨日帰る前にやっておいたのですることがない。
うーん、何をしよう。取り敢えず、席に着こう。
……………
…………
………
……
…
───かべ、日下部ー!!
ん?声がする。
「おい、日下部起きろ。予鈴鳴ったぞ」
うわっ、
同僚に起こされ、慌てて顔を上げる。今の時間は……8時57分。
どうも机に突っ伏したまま寝てしまったようだ。
眠たい目をこすりながら部署ごとにやっている朝礼に出て、朝イチの会議に出る。
いつもより早く来たせいか、なんだか調子が狂う。
でも、こういう日があっても悪くないと思った。明日からはこの時間に出勤しようかな?
何よりも、始業前の時間に余裕が持てるからね。
*****
夕方。いつもよりも早いペースで仕事を終えたおれは、珍しく定時に退社した。
(現場の装置が吹っ飛ばなかったのがせめてもの救いだ)
慣れない上り列車を降りて、駐輪場に停めていた自転車を出す。
良かった、持って行かれなくて。
手に持っていた荷物を確認する。良かった、お土産は無事だ。
何となく買った家族で食べられるケーキ。東武ストアで買った安物だが、買いたくなってしまったので買ってしまった。
「ひゃーはっはっはっは、兄貴ホントドジだなぁ〜、ひゃーはっはっはっは、
あっはっはっはっは、げほっ、あっはっはっはっはっは」
むせるほど笑うな。おれだってドジ踏む事くらいはある。
おれのお土産のケーキを頬張りながら、みさおは大爆笑する。
さて、こいつの頭のネジは一体何処へ飛んでいったんだ?
「でも兄貴、1時間『後』じゃなくて良かったな。マジでアウトになるんだぜ」
「うー、そうだな。あまりこういうこと話すなよ。恥ずかしいから」
「えー、あやのと柊と柊妹とチビっ子とその従姉くらいなら話してもいーだろ?」
「さて、この前ぶっこわしてくれた自転車の件がまだ片づいていないんだが」
「うぅ………わ、わかったよ、黙ってるよぉ」
その翌日──────
「あっにきー!!起きろー!!」
折角の心地よい夢が、大音量のハスキー声でかき消される。
せっかくあやのといい雰囲気になれると思ったのに何てことしやがるんだ!!
「遅れるぞ〜!!もう昼だけど」ニヤニヤ
昼?……ってまさか?
「!!!!!」
最後の一言で飛び起きる。時間は?今何時だ?まだ間に合うのか?
「『あれ?日下部さんは何処だ?』『あー遅刻か、あいつはクビだな』」
上司を創造して物真似をするみさお。リアルだったら最悪だ。
おれは2段ベッドの上から下へ飛び降り………
「う、うそ、ちょ、待て、うわっ!!」
がたーん
一瞬宙に浮いたかと思いきや、一気に視界がぐるりとまわり、おれの身体は四畳半の畳に叩きつけられる。
つまり、慌てて飛び降りようとしたらそのまま下に転落したという訳だ。
幸い床は畳なので怪我をせずに済んだのだが、正直、痛い。
みさおは間抜けな格好で畳の上でひっくり返るおれを見て、けらけらと笑っている。
お前、少しは兄貴を心配しろよ。ってそんな場合じゃない!!
「きゃはははははっ、やーい引っ掛かった引っ掛かった〜♪」
「え?!」
「引っ掛かった引っ掛かった〜♪今日は祝日なんだぜ」
「……あ、そうか」
部屋のカレンダを確認する。今日は確かに金曜日だが、「23」と書かれた数字は日曜日と同じ赤色だ。
全く、朝っぱらから(もう昼か)心臓が止まるかと思った。
いつもの事だけどな。
洗面台はお湯が出ないので、風呂場で顔を洗い、朝食を済ませる。
*
さて、今日は久しぶりにみさおと出掛けるか。
古着屋に行きたいと言っていたから、今日は柏まで行くとしよう。
あの、みさおさん、二番街の梅林堂だけはあやのと行きましょうね。
店の外で待ってるだけでも凄く恥ずかしかったぞ////
でもまぁ、ヨーカドーの裏で買って2人で食べた今川焼きが美味しかったので、これはこれで良しとしよう。
以上でございます。
みなさん、寝坊だけはくれぐれもご注意を。
業務連絡: 保管庫の管理人さま
「Birthday」が「E231-1116」名義で登録されていますが、
作者名を「久留里」に変更願います。
すっげぇほのぼのする兄妹だなぁ・・・・
その歳で二人で仲良くでかけている日下部sが、すごい仲がいいと思ったぜ。
最後ら辺り見て、兄妹仲良くデートするのも見てみたくなった。
GJ!!
144 :
おでこさん:2007/12/05(水) 02:28:47 ID:KfD0KDmh
でえとですって?^^
そんなのゆるしませんよ?^^
みさお「あ、あやのぉ・・・ことばのあや・・・ってやつじゃん・・・」
>>144 おでこさんはひどいだろ……
菓子折り使い でどうだ!?
146 :
久留里:2007/12/05(水) 15:18:02 ID:o/q2ps/J
>>143-145 漏れのクリスマスフラグがお亡くなりになったので、
次の次スレあたりの兄妹ネタを書こうかしらねぇ。
DS版の世界なら、あやのと兄は交際していないし。
みさお兄流行ってるなw
あやのと付き合うぐらいならイケメンじゃないと認めない!
漏れの中のみさお兄のイメージ:
こ「みさきちのお兄さんってどんな人?」
み「えーっと、そうだな。
技術屋で超不器用で鈍感でアホでスケベで兄バカで……」
あ「そ、そんなことないよう」
み「でも、優しくて面倒見が良くていい兄貴だぜ。
自転車ぶっこわしても許してくれたし」
兄「いや、許した覚えは無いんだけど」
み「げ、なんでここに居んだよ」
兄「お前の声がさっきから聞こえて気になったからだよ。悪かったな。
どうせおれは超不器用で鈍感でアホでスケベで兄バカだよ!!」
み「お、ついに認めたかぁ、ひっひっひ。
そういえば兄貴がこの前さぁ…」
兄「そ、それは言うな!!」
み「まだ何も言ってねーよ」
兄「何言おうとしているか大体想像が付く」
み「うるせーな」
兄「五月蠅いのはお前だろ」
み「やるか?」
兄「上等だ!!」
こ「あーあ、また始まった」
あ「こら、二人ともやめなさーい!!」
みなゆたのエロを書こうと思って参考にアニメとか原作を見返してるんだけど、
二人のシーンを見れば見るほど二人の仲の良さがひしひしと感じられて
とてもじゃないけどエロなんて書けないような心境になってしまった。
なんかこの二人は汚しちゃいけないような、変な背徳感が…。
なるほど、久留里氏のは所謂主人公タイプ
ぶーわ氏のは二枚目タイプってわけですな
>>149 よくあることなんだぜ・・・
かがこな大好きな自分だけども一回くらいエロに挑戦してみるか、
って思っても非エロばっかし書いてる所為か全然筆が進まないorz
>>148 >鈍感でアホでスケベで
なおかつ髪の毛はみさおと同じ色
それなんて圭一
落ち着け、KOOLになれ
そうだ。惨劇は……回避出来るんだ!
自重www
こんばんは
ちょっと遅めですが、コンプH'sの連載開始記念SSを投下します
*本編2レス、おまけ1レス
*ひかげ&ひなた 非エロです
159 :
(1/2):2007/12/05(水) 22:01:45 ID:wRryD5Uv
――さあ、現在の時刻は七時四十五分。今年も残り少なくなってまいりました。
会場は熱気であふれています! みなさーん、そろそろ準備はOKですか?
……はーい、もうそろそろだそうです。こちらは準備が終わり次第開始です。
ではそれまで、一旦スタジオにお返ししま――――
わずかに静電気を残して、電源を落とされたブラウン管は沈黙した。
リモコンを置く乾いた音と、秒針の刻むリズムが部屋に響く。
独りで見る年末特番は面白くない。
笑いを共有できる人がそばにいないと、内容の華やかさと自分の気持ちが反比例してしまう。
見ていても意味がないと判断したひかげは、電気代の節約のためにもテレビを消した。
しかし消したことで、このような暇をもてあますという結果になってしまった。
天井を見上げたり、壁にかかった時計を眺めたり、玄関の方角を向いたり。
足をばたつかせてみても、伸びをしてみても、コタツに突っ伏してみても、なにも起きない。
「お姉ちゃんまだかな……」
ひなたは自ら戦地へと赴いていった。
今日は大晦日であり、いわゆる「三日目」でもある。
一日目・二日目もさることながら、この日も有明が賑わう。
会場では危険が伴うため、ひかげは家で留守番をすることにしたのだった。
「あんな人ごみの中に毎年毎年行って何が楽しいんだか」
頬杖をついて、ことあるごとに増えていく同人誌の山につぶやく。
このうち、いくつかは高値で取引されているらしい。
中にはプレミアがついて元の倍以上、一桁繰り上がっているものも。
それが、これだけの量あるので……フランス料理のフルコースを朝昼晩と頼めるだろう。
「はぁ……」
しかし、どれほどの価値があろうと紙は食べられない。
今必要なのは宝の山ではなく食品なのだ。
大の字に寝転がり、空腹を忘れようと目を閉じる。
秒針とおなかの奏でる不協和音が物悲しく鳴る。
カッ……カッ……ぎゅうぅぅ……カッ……カッ……
と、そこへ、淀んだ空気に終止符をうつ蝶番の音が。
ひなたが戦から帰ってきたのだ。
「遅くなってごめんね〜。撤収のお手伝いに時間かかっちゃった」
両手に提げた戦利品を床に降ろし、ふう、とため息をつく。
ひかげは起き上がり、そっと歩み寄る。
「おかえりお姉ちゃん。もう待ちくたびれておなかペコペコだよ」
言うと同時に、おなかが一段と大きく鳴った。
そこでひかげは力尽き、崩れ落ちた。
「あらあら、じゃあ急いでお夕飯にしましょう。おそばでいいかしら」
コートを脱ぎ、手早くエプロンを身に着ける。
戦利品の紙袋にまぎれて影の薄くなっていたビニル袋から、食材を取り出す。
「うん、いいよ。……でも、何そばにするの? かけそば?」
「今日はお肉も買ってきたから、いつもより豪華に肉南蛮そばよ」
そう言って、竹の皮に包まれた豚肉を取り出す。
「――え?」
空白の数秒の後、脳が言葉の意味を理解すると、ひかげの目が輝きに満ちた。
「ど、どうしちゃったの、それ! いつもは同人誌の買いすぎで年末の食費大変なのに」
「たまにはひかげちゃんにも美味しい物を、って思ってね」
振り向いて、いつもの笑顔を見せる。
「お姉ちゃん……」
「……本当のことを言うと、今回は原稿を落としちゃった所が多くて、お金に余裕ができたからなんだけど」
ちょっと苦笑の混じった表情に変わるが、ひかげは気にしていない。
「理由なんて今はどっちでもいいよ。ありがとう!」
「ふふ、そう言ってくれると嬉しいわ」
前を向きなおし、材料の下ごしらえに取り掛かった。
160 :
(2/2):2007/12/05(水) 22:02:45 ID:wRryD5Uv
――はい、ありがとうございます。スタジオから加藤アナでしたー。
こちら、芋煮の特設会場では、多くの方々が『年越し芋煮』に参加してくださっています!
この記録は、参加人数によってはギネスに認定されるかもしれません。
大釜には沢山の芋煮がありますので、是非、いらっしゃってください!
一旦CMとなりますが、番組はまだまだ続きます――――
再び活動しだしたブラウン管は、局のある臨海副都心の様子を中継していた。
電波はどの家庭にも等しく情報を運ぶ。
会場の人々の表情を運び、おいしそうな料理の映像を運び、そしておいしそうな匂いまで……。
「ん、いい匂い〜。お姉ちゃん、まだぁ?」
「もう少し待って〜」
さすがに、匂いの出所は台所だった。
部屋の中いっぱいに、つゆとネギの香りがひろがる。
鍋からそばを二人前に分け、つゆを注ぎ、煮て味のしみたネギと豚肉をのせる。
丼をコタツの上へ運び、二人が向かい合う。
「さ、いただきましょうか」
「いただきまーす」
待ちに待った夕食――今年最後の食事が始まる。
「はぁ、久しぶりのお肉……お〜い〜し〜い〜」
これぞ至福のひとときと言わんばかりに破顔する。
その顔がなんともおかしくて、かわいくて、ひなたも笑う。
「あわてなくても、お肉は逃げないわよ」
「でも、日付が変わる前に食べきらないといけないんだよね?」
「まだ三時間以上もあるから大丈夫。落ち着いて」
「はーい」
丼に箸のあたる音が響く。
「……あ、そうだ。七味も入れてみよ」
ひかげは台所に行って、小さなガラス瓶を取った。
コタツへ戻ってくる途中、紙袋の隣に一冊のコピー本が落ちていることに気付く。
「お姉ちゃんこれは?」
「ええと、原稿を落としちゃったサークルの売り子さんが、お詫びにくれたものだったかしら」
「ふうん」
一ページ目をめくってみる。
「なになに、
『ごめんなさい、とうとう原稿を落としてしまいました。
わざわざ遠くからいらした方、無駄足踏ませてしまって申し訳ないっス……。
お詫びといってはなんですが、あるあるネタ四コマ漫画を。
すぺしゃるさんくす:H.T.先輩
“みかんを食べ過ぎると、手とか黄色くなっちゃうよね〜”』
……手が黄色くなるまでみかん食べたことないからわかんないよ」
コピー本を紙袋へ戻して、コタツの中へ。
「そうそう、そういえば知り合いのサークルの方からたくさんみかんを頂いたの」
「本当!?」
「宅急便で送ってくれるから今はないんだけど、お正月はみかんに困らない生活になるわ」
「じゃあ、みかんを食べ過ぎて手が黄色くなるってネタも……」
「試せるかも」
「やったー! お正月が楽しみだね」
「ふふ、ひかげちゃんったら」
二人の笑い声は、今年の終了を知らせる百八つの鐘の音が鳴り終わるまで続いた。
161 :
(3/2):2007/12/05(水) 22:03:45 ID:wRryD5Uv
*** *** ***
時は戻って数日前の夜。
「うわぁブルースクリーン――!!」
あわててリブートを試みるも、作業中のデータはすっかり消えていた。
「嘘だといってよ、バーニィ。また、いちから、やりなおし……?」
額から破裂した水道管のように汗が吹き出る。
「プロットはまだ頭の中にあるからいいとして、PCで描くのに一ページ何分かかると思ってるんスか」
消えたページ数と、自分の作業効率を計算して、計算して、計算して……。
死ぬ気でやって奇跡が起きて時間が巻き戻ってくれないと間に合わない。
「こうなりゃ自棄っス! 機械に頼るからダメなんっス! アナログでいくっス!」
ペンタブ、キーボード、マウスをガァーッ!! っと端に寄せる。
原稿用紙とペンとインク瓶を用意して、ネームもなしに一発本番。
さあ瓶のキャップを開けようとしたとき、神様は些細なイタズラをした。
「ぬひょおぉおお!! こぼれた!」
瓶はひっくり返り、すべての原稿用紙に黒い染みをつけた。
「予備、予備は! 切らして、たんだっけ……。
……もう泣いてもいいっスか。いいっスよね」
誰に言うでもなく、自嘲する。
そして一筋の涙を流して、後片付けを開始した。
「かくなる上は……」
ひよりは机の抽斗を開ける。
奥のほうに、大切にしまっておいたノートを取り出す。
「先輩、とうとうこのネタが日の目を見る日がキタっスよ……ひひ」
禁断のネタ帳を前にして、少々ためらいもあった。
しかし、この機会を逃すともう後がない。
意を決して、コピー用紙にネタを描き写す。
「みかんを食べ過ぎると、手とか黄色くなっちゃうよね〜……」
162 :
3-402:2007/12/05(水) 22:04:46 ID:wRryD5Uv BE:83979465-2BP(3159)
以上です
記念にしては発売日より遅く、大晦日ネタにしてはちょっと早いという
なんとも中途半端な投下となってしまったことをお詫びします
SS内の芋煮は、クリスマスの設定だったものを変更したなごりです
実際に今年の大晦日に芋煮会を開催する局は(多分)ないと思いますのであしからず
gjwwwwww
GJ、これはいい年末だ。
コミケなんてもう七、八年いってないけど、たまにはいってみようかな。
っていうかこうやって改めてみると、普通にひなたって酷い人間だよなぁ…。
つかさのネタが使われるときがww
> 「こうなりゃ自棄っス! 機械に頼るからダメなんっス! アナログでいくっス!」
> ペンタブ、キーボード、マウスをガァーッ!! っと端に寄せる。
> さあ瓶のキャップを開けようとしたとき、神様は些細なイタズラをした。
>「ぬひょおぉおお!! こぼれた!」
ぬひょおぉおお!ひよりんは俺か!www
167 :
16-187:2007/12/05(水) 23:21:38 ID:TPzlT67k
すいません、あんまり間が
あいてなくて恐縮ですが、投下させていただきます。
『4seasons』の続きです。
■かが→こなです。
■エロなしです。
4レスになります。
§プロローグ
窓枠の花が揺れている。
窓の外は、夏の陽射しに白く輝いていた。
窓枠に置かれた花も、逆光に晒されて黒く陰となって佇んでいる。
まだ爽やかさの残る七月の風が、さわさわと私の髪をくすぐれば、花もおじぎをするように
ゆうらりゆらりと揺れていく。
少し桜色がかったマーガレット。それは想い人からもらった大切な花。
指先でちょんとつついて、その人のことを考えた。
あいつは、今どうしているだろう。暑くてへばっているかな。冷房の効いた部屋でゲーム
でもしているのかもしれない。まさか勉強をしているなんてことはないだろう。
汗ばむ陽気。青い空。見上げる白い入道雲は、まるで建造物のような重厚な存在感をもって
空に浮かんでいる。
――また、夏が始まる。暑い暑い夏が、始まる。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
4 s e a s o n s
夏 / 窓 枠 の 花
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
§1
風薫る五月。
冬服では少し汗ばむくらいの陽気。弾む心。新しい教室にも慣れてきて、つい二年生の
昇降口に向かってしまうことも少なくなってきた。机についたへこみや傷をみて、これが
自分の机なのだと思える程度の愛着。中間考査は悲喜こもごもで。誕生日に贈った腕時計を
あいつがつけてくれていて、嬉しかった。
五月、私はこなたに恋をしていた。
泣き濡れて六月。
糊の利いた夏服。じめじめと降る雨。しめった心。想うのはこなたのことばかりで。
そして涙の似合う梅雨。三階の教室に通じる西翼の階段は、雨に濡れると滑りやすいと身を
もって知った。家で勉強会を開けば、こなたのことばかり見ている自分がいる。笑ってくれる
だけで嬉しい。そばにいるだけで嬉しい。眺めているだけで嬉しい。庭で紫陽花が咲き誇る。
花言葉は“辛抱強い愛情”。
六月、私はこなたに恋をしていた。
そして七月。私はこなたに恋をしている。
初恋だった。
人を好きになるということが、こんなに世界を輝かせるとは思いもしなかった。
こなたがいるだけでどきどきする。こなたを見るだけでわくわくする。
その細く閉じた目。いつもぴんと立ったアホ毛。へにょへにょした声。甘ったるい匂い。
細いうなじ。横着して上履きのかかとを踏んで歩くその脚の形。好きなアニメの話をしている
ときのキラキラした表情。他人の表情をみて話題を変えるそのバランス感覚。引き締まった
身体。体育のときに見せる躍動感。グロスも塗ってないのに艶めいて光る唇。たまに見せる
寂しそうな顔。夏が近づくにつれだらしなくなっていく部屋着。ちらちらと見える仄かな膨らみ。
ゆたかちゃんにだけ向ける優しそうな微笑み。猫みたいな口。たまにへそを曲げてすねるときの
眉毛の下がり具合。シャーペンをクルクルと回すときの指先の動き。不思議そうにかしげるときの
首の角度。宿題を写すときの真面目そうな顔。私を弄るときの小悪魔めいた顔。私に話しかけて
くれるときの嬉しそうにも見える顔。私に笑いかけてくれるときの顔。
どうして、今までそれに気づかないでいられたのだろう。
これまでの二年間、どうして気づかないで過ごせたのだろう。
今思えば、始めからずっと好きだった。桜の樹の下で出会ったあの日から。
その思いを抑えこんできたのは、常識という固定観念だったろうか。それとも好きという感情は
そういうもので、今好きになったことで始めてあの当時の感情を名付けることができた、そういう
ものなのかもしれない。
つかさと夏物を買いに出かけたときも、見る物全てに目移りして困った。
こなたはこういう服好きだろうか。こなたが喜んでくれそうな、ツンデレっぽいファッションって
どういうものだろう。この服は私よりもむしろこなたに似合いそうだ。
そんなことを考えているうちになにを買えばいいのかわからなくなって、結局つかさに全部
決めてもらった。
つかさは目を白黒させて困惑していたけれど、頑張って可愛い着こなしを考えてくれた。
ツイードのミニスカートがお気に入り。サテン地のリボンにひらひらフレアーも可愛らしく、
けれど黒系のモノトーンで大人らしくもあった。
組み合わせで買ったタイ付きカットソーともよく似合う。つかさ、私がタイ好きなのも考えて
くれたのかな。そう思うとなんだか嬉しかった。
部屋の鏡の前で合わせると、モノトーンで纏まりすぎてほんの少し地味な印象を受けた。
靴下とバッグを派手めにすれば上手くポイントになるかもしれない。
くるりとその場で回るとミニスカートがひるがえる。もう少しで見えてしまいそうだ。
ちょっと不安だけど、そのくらいが可愛いのだとも思った。
そう、やはり恋といったらミニスカートだ。
それにプラネタリウム。そしてヨハン・シュトラウス。ピカソ。アルプス。すべての美しい
ものに出会うということ。
これはなんだっけ――そうそう、谷川俊太郎の詩だ。
中学の国語の教科書に載っていた詩で、一目見て強烈な印象を受けたことを覚えている。
“生”を詠った詩だったけれど、なぜだか私はそれが恋の詩だと感じた。思えば私がよく本を
読むようになったのもあの頃からだ。
そんなことを考えながらメイクの練習をする。
ツンデレっぽい部分といえばやはり釣り目なのだろう。ライトブラウンのアイラインを
引いて、マスカラでまつげもしっかりと。
ファンデーションは止めどきが難しいので最近は敬遠気味だ。チークで頬を染めれば
デレっぽさもアップするかもしれない。
リップを伸ばしてグロスを塗って、しっかり誘うような唇になっているだろうか。
鏡を見直しても悪くないと思う。ちゃんと可愛く見えるけど、どうかな? こなたもそう
思ってくれるかな? 喜んでくれるかな?
これなら私のことも、好きになってくれるかな?
――いや、そんなはずがない。
そもそもあいつも女じゃないか。女が女に可愛らしさを見せつけられたからといって、
女のことを好きになるはずがない。
それに気がついたとき、紅潮した頬から血の気が引いて、チークでは隠せないほど青ざめていく。
あいつが“可愛い”と云ってくれるのは、あくまでツンデレな性格だけのこと。女の子
としての可愛らしさを求めているわけではない。メイクをして可愛い服を着て可愛い仕草を
して、それでこなたが振り向いてくれるはずもないのだ。
こなたがレズビアンなら話は別だろうけれど、生憎そうとは限らない。いや、確率的に
云えば、たまたま想い人がレズビアンである可能性なんて、無視できるほど低い。
そう思うと、自分がやっていることがバカバカしくなって、その無意味さが可笑しくなって、
声を出して笑った。
笑って笑って、目尻に涙が浮かぶほど笑う。
気がついたらちっとも可笑しくなくなっていた。
けれど涙は止めどなく流れ落ちてくる。
嗚咽は止めようもなく、こなたを愛しく思う気持ちも抑えようもなく、ただベッドに突っ伏して
泣いて泣いて泣き続けた。
どうすればいいのかわからない。
どうすれば振り向いてくれるのかわからない。
振り向いてくれたところで、その先に何があるのかもわからない。
私はなんという恋をしてしまったのだろう。先もなく、なんの望みもなく、ただ無為に
焦がれて我が身を引き裂くような、そんな恋だった。
人を好きになるということが、こんなに辛く哀しいことだとは思いもしなかった。
いっそ打ち明けてしまえば楽になれるかもしれない。
何度そう思ったことだろう。
けれど親友としてのこなたを失うことが怖くて、いつも二の足を踏んでしまう。
自惚れではなく、こなたと私は親友同士なのだと思っている。いつも私にひっついてくるし、
つかさやみゆきには余り振らないオタクな話題も楽しそうに持ち出してくる。宿題を忘れたときは
いつも最初に私のところにくるし、私もB組に行ったときは最初にこなたに声を掛ける。
誰が見ても仲がいい親友同士だ。自分でもそう思う。
だからこそ辛かった。だからこそ想いを告げることはできなかった。
親友だからと打ち明けてくれた恥ずかしい過去もあっただろう。
同性だからと安心して見せた恥ずかしい所もあっただろう。
それを今更好きだなんて、恋人になりたいだなんて。
そう告げたらこなたはどう思うだろう。気持ち悪いと思うだろうか、ショックを受けるだろうか。
裏切られたと、そう思うだろうか。
それを思うと、告白するなどということは、到底できなかった。
――どうして友達になってしまったのだろう。
どうして、なんの心構えもなくずるずると惹かれていってしまったのだろう。
どうして、あんなに楽しい二年間を共に過ごしてしまったのだろう。
せめて友達にならなければよかったのに。
そうすれば、悩んだ末に清水の舞台から飛び降りるつもりで告白して、振られて、しばらく
涙で枕を濡らして、そうしていつの日か立ち直ることもできようものなのに。
今更そんな無責任なことはできなかった。
捨て去るにはあまりに多くの時間を共有してきてしまった。
無くすにはあまりに大切な友達になってしまった。
だから私は、今日もこの想いを胸に秘めてむせび泣くのだ。
涙に滲んだ視界の中、見上げれば窓枠の花が揺れている。
惑う私をからかうように揺れている。
それはこなたがくれたマーガレット。
泉家にはちょっとした庭があって、そこで家庭菜園やガーデニングを営んでいる。
この五月、つかさとみゆきと一緒にこなたの家にいったとき、ふとつかさが花言葉の話を
始めたことが切っ掛けだった。
泉家の庭を見せてもらって、あれやこれや話しているうちに、みんなで泉家自慢の
マーガレットを株分けしてもらうという流れになったのだ。
“お母さんから引き継いできた花壇なんだよ”こなたは遠い目をしてそういった。
あの日、桜の樹の下でしていたような表情をして。
泉家からの帰り道、つかさはずっとニコニコしていた。その喜色満面の笑みを不思議に
思って訊ねると、妹は云った。
“こなちゃん、ほんと素直じゃないよね〜”
“そりゃ知ってるけど、なんの話だ?”
“マーガレットだよ。花言葉の話してたでしょ? マーガレットの花言葉『真実の友情』なんだよ〜”
そのときはすごく嬉しかった。私たち四人は真実の友情に包まれて、これからもずっと
一緒なのだと、素直に思えた。
今はその想いが重荷に感じる。
窓枠に揺れるマーガレットは私の友情を監視しているようだった。恋心を抑えこもうと
しているようだった。
涙も枯れ果てた私を見下ろしているそれは、想い人からもらった大切な花。
少し桜色がかったマーガレット。
それは、まるで私を呪うかのように揺れていた。
172 :
16-187:2007/12/05(水) 23:25:37 ID:TPzlT67k
以上です。ちょっと短いですが、ここで切っておきたいと
思いまして。読んでくださった方、ありがとうございます。
引き強っww
gjwwwwwwwwwwwww
神すぐるw
gj!
>>172 凄いな…かがみの気持ちの強さが凄くよく伝わってくるよ
もうなんて言ったらいいのかわからないくらいGJ!
かがみの気持ちが報われますように…。
>>172 これはやばい。
>私はなんという恋を の所から入り込んでコーヒー冷めちまった。
小道具が無理なく効果的でテンポも良く、いやもうやヴァいとしか言いようないGJです。
177 :
泉こなた:2007/12/06(木) 00:12:59 ID:DyY2Uq5B
>>172 かがみんの想いの深さ、重さが
じんじんとつたわってくるよ・・・
かがみん萌え!萌えまくり!!!
そしてじれったあああああああああああああい!
かがみ様〜早く告白してえぇえぇぇ!
そしたらもう、キスして舌入れて色んなとこ触ってそれから・・・
かがみ「ぞくっ・・・なんか寒気が・・・風邪でもひいたかしら・・・」
>>172 マーガレットのくだりがうますぎる
悩みの描写が迫真すぎて読んでてつらくなる
>>172 GJと言うのが、ためらわれるくらいGJだ。
こういうのを、神というのか。
>>172 かがみの想いがこっちにまで伝わってくる…
願わくば、かがみの初恋が成就しますように…
GJでは足りないけど俺からはこれしかできないので。
本当にGJ!
投下します
ゆたか→こなた
非エロ
『そして歯車は狂い出す』の続きです
6レスor7レス使用します
どんどん暗くなっていきます
こなたも多分病んできてます
ダメな人は飛ばしてください
自分が薄っぺらい存在に思える。
ゆーちゃんからの好意を認識しながらも受け止めれずに、そのまま体を素通りしている感覚がするから。
無意識ではなく意識的に、だけど。
それでも好意をくれるゆーちゃんは強いと思うし……
でも言葉にはしないゆーちゃんをとても脆く感じる。
私はどうしたいんだろう?
何がしたいんだろう?
そんな簡単な事すら分からない。
でも太陽は昇ってくる。時間は進む。空は雨を降らしている。
思いつきで、いつもの起床時間より早い時間を指している目覚まし時計の針を逆回転させた。
ちょうど二週させたところで、自分がバカバカしくなって止める。
この時計の時間は一日戻ったけど、こんな事をしたって時間は遡れないのに。
昨日に戻れたって、ゆーちゃんの感情がどうなると言う訳じゃない。
私にタイムリープは無理だ。事態が悪くなるだけに決まってる。
それに現実に起こった事を……
ゆーちゃんが私に向けてくれている感情をなかった事にするなんて考えがおこがましいんだ。
悩み過ぎで頭の中が沸騰しそうになり、切り換える為に毛布をはね退けてベッドから跳び起きた。
床が足に噛み付いてるような冷たさに少しだけ頭がしゃんとする。
顔を洗おうと洗面所に向かう途中、すでに制服に着替えたゆーちゃんが家を出ようとしていた。
「あれ、ゆーちゃん?」
自分でも驚くほど、いつもと変わらない声だった。
でも悩んでいる姿なんて姉として見せたくないから普通の対応が出来たのはいい事だ。
ゆーちゃんはこっちを振り向いて少しだけ間があった気がするけど「おはよう」と普通に挨拶してくれた。
「……行ってきます」
でもすぐに前を向きなおし玄関を開けた。
開いた玄関から雨の音が家の中に侵入してくる。
たいした雨じゃないけど、ゆーちゃんが傘も持たずにそのまま学校へ行こうとしたから慌てて追いかけた。
「ゆ、ゆーちゃん!! 傘忘れてる!!」
傘立てから咄嗟に取ったのは白いビニール傘。
家を出た瞬間に湿った冷たい空気が纏わりついてきた。寒い。
慌てすぎて靴も引っ掛けずに家を出たから足が痛い。
寒すぎてなのか、小石のせいかも分からない。
ゆーちゃんに傘を手渡す。触れた手の温度は私よりずっと冷たかった。
「……ごめんね、お姉ちゃん。ありがと」
雨が降っているせいで、朝だけど辺りは暗い。だからゆーちゃんの顔がはっきりと見えない。
顔を近づけて顔色を確かめようとしたけれど、手をぎゅっと握り締められて動きが止まってしまった。
その間に手を離され、目の前で傘を開かれてゆーちゃんの顔が見えなくなる。
白いのじゃなくて透明の渡せばよかったと思っても遅い。
顔色をちゃんと確かめる事は出来なかったけど「具合悪い?」と尋ねた。
聞かなくたって分かったけど、どんな返事がくるか分かってたけど尋ねた。
「大丈夫、だから」
予想通りの返事の後、ゆーちゃんは私の返事も聞かずに早足で家から離れていく。
止めるべきだと、姉としての私が叫んだ。
確実にゆーちゃんは無理してる。今日は大丈夫だとしても、休ませなかったら絶対明日熱を出す。
この予想は自信があった。自信と言うより確信に近い。
でも呼び止められなかった。いや、動こうと思えば今から走ってゆーちゃんに追いつけるだろう。
無理矢理連れて帰ってきて寝かせる事だって出来る。
なのにどうして私は動けない?動かない?
だって、ゆーちゃんが望んでいるのは姉としての心配じゃないから
ゆーちゃんの事が好きなら、もしくはゆーちゃをが言葉にしてくれたら覚悟を決める事が出来る。
一人で覚悟を決める事が出来ない臆病な私は、家に入って玄関を閉めた。
カチャ、と開けたのはゆーちゃんの部屋。
ここに入るのも久しぶりだ。えっと、最後に入ったのは夏休み前だ。
部屋のレイアウトは変わる筈もないけど、一点だけ変わっているところがあった。
ベッドの上に座っているウサギのぬいぐるみ。
夏休み前に入った時はこんなのなかった。多分押し入れに入れてたんだろうけど。
何か懐かしい気がするなと思ってぬいぐるみを持ち上げた。
……ああ、これは私が何年も前にゆーちゃんにあげたぬいぐるみだ。
一人でゲーセンに行って、UFOキャッチャーで取ってゆーちゃんに渡しに行ったっけ。
そうした理由なんて全然ない。ただ、見た瞬間に渡したいと思ったから。
ゆーちゃんは絶対に気に入ってくれると思ったから。
「まだ持ってくれてたんだ……」
気に入ってくれるとは思っていた。でも、こんなに長い間持ってくれるなんて思ってなかった。
実家に置いてたっていいだろうに。ここにまで持ってくる物じゃないはずなのに。
持ってきてくれた理由は……私があげた物だからだろうか。
これを渡した時から、ゆーちゃんは私の事を……好きだったん、だろうか。
「なんで、私なのさ」
表現しがたい感情が浮かんできて、叫びたくなって。
衝動を抑えるためにぬいぐるみを抱きしめて、呟いた。
数秒息を止めて、ただ抱きしめる。
ゆーちゃんを受け入れて、こんな風にゆーちゃんを抱きしめたら何もかも丸く収まるのに。
それが出来ない今の私はぬいぐるみを抱きしめた。
「おはよ、お父さん」
「今日は早いな。……お、ゆーちゃんは?」
確かにゆーちゃんより私の方が先にお父さんに挨拶するなんてあまりないけど。
いきなりそれを聞かれて、鋭い何かが胸に刺さる。
「先に行ったよ」
痛みは無視して、トーストが置いてある場所に座る。
早く食べて学校に行こう。
「え、早過ぎないか?」
「……みなみちゃんと一緒に行く約束してたんだって」
嘘をついてしまった。
胸だけじゃなくて、嘘を言ってしまった喉も針で突付かれているような痛みがする。
その痛みを中和するためにトーストを飲み込んだ。
お父さんはこっちの心内は知らずに相槌を打って何かを用意している。
「そうだ。今回は締め切り前に原稿書き終わったから、ちょっと自分から担当さんに渡してくる。
遅くなるかもしれないから晩飯はいらん。こなたとゆーちゃんの分だけでいいぞ」
「……そっか」
何でこうタイミングがばっちりなのかな。普段締め切りに追われるのに。
でも行かないでほしいとか言えずに頷いた。
胃に朝食を詰め込んで、バタバタと用意をする。
お父さんも忙しそうだったから深い会話をせずにすんだ。
その点はラッキーだったのかもしれない。
「行ってきまーす」
学校でかがみ、つかさ、みゆきさんと話すのがすごく楽だった。
別の私が話しているような変な感覚があったけど、難しい事を考えなくてすんでいる気がした。
昼休み、買って来たチョココロネをぱくつきながら三人の会話を聞く。
「ゆきちゃん、風邪は大丈夫なの?」
「ええ。少しだるいのは残ってますが。それよりも母が心配です」
「みゆきのお母さん、うつっちゃったの?」
「看病してくれていたんですが、その時に多分……」
「今日お見舞い行こうかってこなちゃんと話してたんだよ。ね、こなちゃん」
……こなちゃん?
つかさの声だ。
あ、私呼ばれてるんだ。
「うん。お見舞い行くよ」
「ありがとうございます。でもみなみさんのお母さんが様子を見に来てくれているので大丈夫ですよ。
学校が終わったらみなみさんも来てくれると言っていましたから。それより、泉さん……」
気が付けば、みんな私の方を向いていた。
何でそんな心配そうな表情で見てるのさ。
こっちみんな……って言ってもかがみぐらいにしかネタ通じないだろうなぁ。
「こなた、大丈夫? 何か今日駅であった時から変よ?」
「そうかな。ただの寝不足だよ」
私は心配される必要はない。
その心配はゆーちゃんにかけるべきなんだ。私なんかじゃなくて。
「こなちゃん、何かあった?」
つかさは二人とは少し違う視線だった。事情を知ってるからかな。
真剣な表情にありがたさと罪悪感を感じる。
そんな事はないだろうけど、責められているような気がして。
「……ねぇ、みんなに聞きたい事があるんだ」
チョココロネを袋に入れなおす。
ちょっと食欲湧かないや。
「聞きたい事?」
「うん。大切な人が崖から落ちそうになってる。でも、その人は助けを求めない。
私が手を貸したとしても、一緒に落ちる事は明白。
もし落ちてしまえばそこは海で……死にはしないけどどこか遠いところに流されてしまう。
そんな場合どうすればいい?
助けを求められてないから見捨てる? それとも一緒に落ちる事を受け入れる?」
もちろん『遠い所』と言うのは比喩表現。
気持ちと言うか、何と言うか。
言い方は正しくないかもしれないけど、正常な一本道から外れた所。
今居る道を反れるわけじゃない。
本来の場所から道一本分ずれた一本道。
そこに居場所が移動するだけ、ただそれだけの事なんだけども。
同性の血縁者との恋愛をこんな表現するなんて、私は酷いのかもしれない。……今更な事だ。
「それは当然助けるんじゃないの?」
かがみが卵焼きを箸で挟んだまま答えてくれた。
「海に落ちるとしても?」
「だって大切な人でしょ? 頭で考えるより行動しない?」
「かがみは、優しいね」
「はぁっ!?」
私のセリフに驚いたかがみが弁当箱の中に卵焼きを落とした。
いやいや、正直な気持ちだよ。前から思ってるよ。
顔赤くする必要はないと思う。
「泉さん、自分も落ちずに助ける方法はないんですか?」
「あるかもしれないけど……思いつかないだけ」
みゆきさんなら思いつくのかな。私とは頭の回転の速さ違うし。
だけど、何かみんな思いの外真剣に考えてくれてる。
なにそれ? って反応でも良かったのに。
「ごめんごめん、昼休み終わっちゃうから早く食べよ!」
チョコの甘さをお茶で流し込む。
私の変わり身を不思議に思いながらも、かがみとみゆきさんは再び弁当を食べ始めた。
つかさの表情だけが、ずっと変わらなかった。
「それじゃ、私クラスに戻るから」
「待ったねーかがみ」
後何分かで昼休み終了という時間になった。
かがみが教室に戻って、みゆきさんも席に戻る。
つかさだけが残っていた。
私のさっきの表現で何かを感じ取ったのかも知れない。
「こなちゃん」
「何?」
「こなちゃんは……どこかに行ったりしないよね?」
「どうして?」
つかさはじっとこっちを見ていた視線を下へ外した。
言葉を探しているように、何度も瞬きをする。
「さっきの話を聞いて、不安になったから」
凄く真剣に心配してくれてるのは分かった。
私だってつかさから相談されたら心配するけど。
でも、友達だからってここまで……泣きそうになるまで心配してくれるのかな。
って言うのは考えすぎかな。
「うん。行かないよ」
「本当に?」
嫌に念押しをしてくるつかさに、私は出来るだけ笑顔で頷いた。
段々と強くなっている雨の音を聞きながら、私をここまで心配してくれる友達に最大限の笑顔で。
「どこにも行かない」
今はまだ、そのつもりはない。
以上です
暗くてごめん
>>188 続きがきたー!GJですよ
当然だとは思うけど、こなたも相当迷ってる…というか混乱してるというか。
そんな感じがする。
最後の「今はまだ」っていうのはゆーちゃんの行動次第って意味なのかな…
なんだかこのままだと二人とも壊れちゃいそうで不安になるですよ…でも続きが気になるのです。
>>188 こなたの心理状態の移り変わりが良い!
この話、今一番楽しみにしてる!
191 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/06(木) 10:00:50 ID:CRAN74M1
tes
きたぁ!
この作品大好きです!
朝から幸せw
193 :
18-490:2007/12/06(木) 17:31:36 ID:KmMKaF7b
>>188 混乱するこなたの心情がすんげぇ綺麗に書かれていてマジGJです。
続編期待してます!!!
こんな神SSの後にオレなんかが投下するのは恐れおおいのですが、空気よまず投下します。
前スレ、『黄昏と私』の続編、ハッピーエンドVer.です。
タイトル『月夜の君』
かが×こな←つかさ
非エロ
5レスお借りします。
194 :
月夜の君:2007/12/06(木) 17:33:31 ID:KmMKaF7b
「こういうことだよ」
そう言って立ちつくすつかさを私はただ茫然として見上げる。
私の後ろにあった夕日は完璧に西に沈んだのか、辺りは人工的な明かりがポツポツと付き始めていた。
「お姉ちゃん」
周りの静寂を裂くように私を呼ぶつかさ。
地面にへたりこんでいるこなたを支えていた私は、こなたを抱きかかえるようにしてなんとか立ち上がった。
一方、こなたは何がなんだかんだか分からないらしく、困惑と不安を浮かべた表情で私を見上げていた。
「つかさ…どういうつもり?」
困惑と疑問が私の頭の中でグルグルと駆け回っているせいか、語尾が震えている。
何故、生まれてから今までずっと一緒にいた片割れが、私の恋人にキスをしたのか。
小刻みに震えているこなたの肩を抱き締めて、もう一度つかさを見据えた。
「お姉ちゃん、私ね…」
いつもの笑顔に少し悲しそうな表情を浮かべながら私を見つめるつかさ。
「ずっと前から、こなちゃんが好きなの」
「……っ」
つかさの言葉に、私の着ていたパーカーを握り締めていた手を緩め、下を向いていたこなたが顔を上げる。
ニコッと生まれたての赤子に微笑むように笑顔を向けるつかさを見て、こなたがぐっと私の服の裾を握った。
その行動にやっと状況を把握し始めた私は、すぐさま目の前にいる片割れに口を開いた。
「だから…って、あんな事していいって理由には、ならないじゃない」
声の震え抑えるように裾を握るこなたの手をとり、強く握る。
「…そうだね」
「じゃあ、なんで…」
私達から視線を外して、とっくに暗くなった空を見上げながら呟くつかさに、再び疑問を投げ掛けた。
―――月夜の君―――
195 :
月夜の君:2007/12/06(木) 17:35:02 ID:KmMKaF7b
つかさがこなたの事を好きだということは双子の姉として失格かもしれないけど、全く気付かなかった。
4人姉妹の末っ子であるつかさは、世の中のイメージするわがままな末っ子とは違い、自分の欲しいものや自分の意見を強く相手に求めたり、出したりしない子だ。
だから小さい頃から我慢していることが多かった。
『つかさは何か欲しいものとかないの?』
数ヶ月前の誕生日につかさへ聞いた質問を思い出してみる。
毎年誕生日プレゼントを交換し合っていた私達は、例年の如くお互いの欲しいものを尋ね合っていた。
「欲しいものかぁ、うーん…」
人差し指を左頬に乗せて欲しいモノを探しているような仕草をするつかさ。
「つかさってホントに無欲よね、私なんか欲しいモノありすぎて困っちゃうわよ」
小顔マッサージでしょ、ビリーのDVDでしょ、ラノベの新刊、あ、そういえばミニストップで新商品のパフェが出たって言ってたわね。
「あはは、お姉ちゃんらしいね。私の欲しい…ものは、手に入りそうにないから」
「あれ、欲しいものあるの?」
へへっと私の質問に笑顔で返すつかさを見て、なんだか分からないけどこれ以上聞いちゃいけないような気がして、そのまま聞けずにいた。
今から考えると、つかさの欲しいもの…いや欲しい人はこなただったんじゃ…
あの時と同じように何かを諦めるように笑うつかさを見て、ギュウと胸が押し潰される。
『私達付き合う事になったんだ〜』
私がこなたの告白を受け入れた次の日、つかさとみゆきに報告しようと言うこなたに連れられ、昼休みに交際発表した私達に、
「それはおめでとうございます」
と言うみゆきに少し遅れて「…そっか」と呟いたつかさを思い出す。
あの時のつかさはどんな表情をしてたんだっけ。
笑ってた?
いや、違う。笑ってたけど、笑ってなかった。
今みたく泣きそうな顔で笑っていた。
196 :
月夜の君:2007/12/06(木) 17:36:52 ID:KmMKaF7b
「お姉ちゃん…」
何かを求めるような声でつかさが呟く。
それがなにを意味しているのか分かっているんだけど…分かりたくない。
私はこなたを好きだと気付いてしまったから。
「かがみが好き」
告白の時みたいな予測形じゃなくて、私を好きだと言ってくれたこなた。
手を繋ぐにも、二人きりで話す時にもいちいち赤くなるこなたがどうしようもなく好きだと気付いてしまった。
「私は、こなたが好き」
ピクっと肩を揺らしたこなたの手を強く握る。
「だから、つかさには渡せない」
「…うん」
私の答えを分かっていたように、小さく頷くつかさ。
「こなちゃんにも、同じ事言われたよ」
「へ?」
「『私はかがみが好きだから』ってね」
繋いでいる小さな手から感じる体温が微妙に上がった気がして、私の少し下で俯いてるこなたを見ると髪の隙間から見える耳が真っ赤になっていた。
可愛いなぁ、と意味を込めてギュッと手を握り締めて、溜め息を一つ。
私より先にこの子はこなたの事が好きだったのだろう。
その気持ちを押し殺して、我慢して、どれだけ辛い思いをしたのか昔の私には想像がつかなかった。
でも今はどうだろう。
もし、私が今みたくこなたが好きで…
でもこなたがつかさを好きだったら?
そう思うだけで胸の奥がチクリと痛む。
つかさはこの思いをどれだけ経験していたのだろう。
でも…
私はこなたが好きで誰にも譲る気はない。
それだけは、はっきり言えることだ。
それが私の片割れのつかさであっても。
「つかさ」
いつもの私の声帯に戻っていることに安堵し、つかさに近付きながらつかさを呼んだ。
197 :
月夜の君:2007/12/06(木) 17:38:34 ID:KmMKaF7b
「やっぱり私はこなたを譲る事は出来ない」
「うん」
「つかさがどれだけこなたの事を好きだったか、なんて私には分からない」
「…うん」
近付く私から避けるように、下を向くつかさに私の思いを伝える。
手を繋いでいるので、私の手に引っ張られるようにこなたもゆっくりではあるけど歩いている。
「でも、あんたがどんだけこなたを好きかってことは分かったわよ」
「…え」
怒られると思っていたのか、体を強張らせていたつかさがゆっくりと私を見上げた。
「だから…」
つかさが妹だから、双子だからなんて本当に関係ない。
だけど、私もつかさもこなたが好きな気持ちは一緒だ。
だから…
「奪ってみなさいよ」
いつもこなたを弄る時みたく少し意地悪な顔をして、つかさの胸に手で作った銃を向ける。
「「えっ…」」
ハッピーアイスクリーム。
なんてちょっと古いネタを思い出させるほど、私の前後にいる人間から綺麗にハモった声が聞こえた。
つかさとこなたの表情を伺うと、つかさは心底驚いた顔、こなたは「何言ってんの?」とでも言いたそうな顔。
何って、そのままの意味よ。
「意味は、分かるけど…いや、やっぱり分からない」
いつもの半開きの目を更に細めて私を見つめながらこなたが言う。
「だから、私もつかさもアンタが好きなんだって」
「い、いや…それは、分かるけど…」
モジモジと恥かしそうに下を向くこなたから視線を外してつかさを見ると、まだ驚いた表情をしていた。
「で、どうなの、つかさ。」
私は絶対に譲らない。
そしてつかさもこなたを諦めないというなら…
「…うん、分かった。
ありがとう、お姉ちゃん」
どっちがどれだけこなたを好きか、勝負。よね?
198 :
月夜の君:2007/12/06(木) 17:39:29 ID:KmMKaF7b
「ちょ、ちょっと待ってよっ!その、あの…えーっと、私はどうすれば…」
いつもギャルゲやらエロゲやらやってるくせに。
あーいう主人公って、こうやって無造作にモテるんじゃないの?
「いや、あれはゲームであって……」
慌てているこなたを抱き締めたい衝動に駆られたけど、
「その前に…」
私にはまだやる事がある。
こなたと繋いでいた手をゆっくり離し、つかさに近付く。
「?」を浮かべているつかさに唇が触れる寸前まで顔を近付けると、さすがに驚いたのか、つかさが後ろに下がろうとした腕を掴む。
「こなたのキス、返してね」
「え…ちょ、おね…」
逃げようとするつかさの腕を引っ張り、つかさの唇にキスをした。
あーなんだっけ、こういうの。
近親相姦?
ゆっくりと唇を離すと、蒸気しているつかさが目に入った。
アンタさっき、こなたに同じことしてたじゃない。
「ちょ、かがみっ!何やって…」
一部始終を傍観していたこなたがグッと私のパーカーのフードを引っ張った。
「何って、アンタのキスを奪い返した」
「奪っ…え、ちょ…えぇ?!」
テンパるこなたを優しく抱き締めると、茫然と立ち尽くすつかさを向き、告げる。
「今日の事はこれでチャラ。で、いいわよね、こなた?」
「えぇ、拒否権ないの?!」
「こなちゃん、私、諦めないから!」
「えぇ、こっちも拒否権ないの?!」
小動物みたく慌てるこなたが可愛くて、ギュと抱き締めている手を強めると同時に電波でも受信する如く、閃いた名案。
「こなた、今日私の家に泊まっていく?」
さっきの夕日の変わりに照らされた満月の下。
愛しい、愛しいこなたに尋ねる。
つかさ、こなたは絶対渡さないわよ。
心の中で呟いて、月光に照らされるこなたの答えを待った。
以上です。
これがオレの精一杯のハッピーエンドですorz
鬱Ver.も書いてるのですが…需要あるのかな。壁|ω`)コソ
読んで下さった方、ありじゃとじぇしたー。
>>199 GJですぞー。
鬱verは…興味はあれど読みたいようなそうでないような、
すげー複雑な気持ちですw
とりあえず、かがみかっこよすぎです。
どんなエロでも鬱でも構わない
このSSを見逃すもんか
真っ赤なGJ!!!!!!!
つまり鬱版もwktk
なぁ、こなフェチ病の皆の中で、こなたが○○フェチ病だったらどうなるんだろ?
こなた:かがフェチ
かがみが書いたラノベを、こなたが同人ゲーム化する。そしてメル○ラを通り越す大ヒット。
こなた:つかフェチ
バルサミコ酢を広める為に巫女服で布教。全世界こなフェチ病+バルサフェチ病に。
こなた:みゆフェチ
もはや外道
こなた:ゆたフェチ
洋服屋を設立、こなたは専属モデルでゆたかが基本デザイン担当。
こなた:みなフェチ
ここで私の妄想は途切れた。(かがみ風)
ボード版人生ゲームでこなたが結婚した途端、自分の車の駒から棒を抜いてこなたの車の駒に挿すかがみ達という電波や、人間国宝に指定されるこなた、今までのこな☆フェチは実は予防接種みたいなもので真のこな☆フェチウィルスはもっと凄まじいという電波を受信した。
206 :
久留里:2007/12/06(木) 19:52:58 ID:w2ANrrvV
久留里です。
>>135の続きではありませんが、
休日のストーリーを思いついたので書いてみました。
・みさお×みさお兄・みさお視点
・非エロ
・4レス使用
・日下部家が団地住まいなのは仕様です。
・みさお兄が羽生の某ブレーキメーカ社員であるのも仕様です。
・みさお兄が自転車好きな24歳B型であるのも仕様です。
「おどろけー!!あさぜよー!!」
「ふがっ」
おー起きた起きた。
「…ってまだ6時半じゃないか。てか、お前、何処の人だよ」
「おあよ☆ いやぁ、さっきまでコレやってたからさぁ」
私はそういうと、まだ寝惚けている兄貴に画面が2つ付いた携帯ゲーム機を見せつける。
さっきまでちょっと変わった『脳トレ』をやっていたのだ。
『おどろけー!!あさぜよー!!』はその脳トレの方言ドリルで出てきた問題だ。
「たまにはバリエーション変えてみるのもいーだろ?
兄貴、休みの日は中々起きてくんねーかんな」
「休みの日くらい昼まで寝かせてくれ。おれは眠い」
「今日は新しい家見に行くんじゃなかったんだっけ?」
「うわっ忘れてた」
慌てて起きる兄貴。まだまだ時間はあると思うけどな。
きっしっしし、兄貴はいつもからかう甲斐があっていーな。けけけけけ。
兄貴と一緒に朝ご飯を食べる。おかずは夕飯の残りの煮物だ。
新居(になる予定の家)の内覧は昼からだと兄貴が言うので、私は大人しく学校の宿題にとりかかる。
数学なんかやりたくねーけど、宿題だから仕方がない。
兄貴はカラーボックスとベニヤ板で出来た机に向かい、林檎印のパソコンでなにやら調べている。
そうか、兄貴が家を出ると、今みたいに一緒にいられなくなるんだよな。
寂しくなるな。
兄貴が家を出ると言ったのはひと月前のことだった。
当然、私も父ちゃんも母ちゃんも驚いた。
元々兄貴は就職する時に家を出るつもりでいたんだけど、
母ちゃんが「まだ早い」と言って、ずっと反対してきていた。。
多分、母ちゃんは兄貴が家から出ていってほしくないのだろう。
そういや兄貴が都内の国立高専に通ってた時も、早イチの電車で通学してたな。
しかし、我が家の物理的容量を考えると、現代の家族4人が生活するにはちょっと厳しい状態であり、
兄貴は必然的に家を出なければならない事態となっていた。
それは、母ちゃんも気付いていた。私も同じで、いつまでも家に居て欲しいと思ってるんだろうな。
だからといって、我が家の経済状況を考えると、
家賃4万5000円・築36年・52平米の3DKの公団住宅(情報源:兄貴)から
広いマンションや庭付き戸建てに住むことは無理かも知れない。
しかし、家が貧乏なのは私が私立高校に通っているからであり、
我が家の家計について文句を言う筋合いは私にはない。
全然関係ねーけど、この前行ったチビっ子の家はすげーデカかったなぁ。
うちと交換してくんねーかなぁ。
一番の問題は兄貴の趣味だ。
悪い趣味じゃねーけど、我が家、特に子供部屋ではちょっとマズい問題になっている。
兄貴は大の自転車好きで、様々な部品やフレームが部屋の至る所に転がっている。
私は兄貴の趣味には肯定的なので、部屋が自転車だらけになっているコトには文句は無い。
でも、最近は二段ベッドにまで侵食して来ており、さすがにこれは何とかして欲しいな。
そうか、兄貴が家を出たら、子供部屋はガラガラになるのか。
それはそれで寂しいな。
11時。難関の数学を見事に攻略した私はさっさと問題集とノートを片付ける。
どうだ参ったか! 私だって問題集くらいは何とか解けるんだぜ。半分兄貴に助けてもらったけど。
筆記具を通学カバンにしまったところで、兄貴から声が掛かった。
「終わった?」
「終わった!」
「そろそろ行くぞ」
その言い方だと私も付いていっていいのかな?
「嫌なら別にいいけど」
行くっ、絶対行くっ!!
「それじゃぁ決まりだね。よし、行くぞ」
「うん」
というワケで、私は兄貴の新居予定地の内覧に付いていくことにした。
兄貴は昼は外で食べることを伝えて、一緒に家を出る。
「あれ?自転車出さなくていいの?」
「うーん、ここから歩ける範囲だからいいや。5階まで持って帰るのも大変だし」
まぁ、確かにそうだ。なんだ近所か。驚いたぜ。…というコトは新居(予定)は鷲宮町内か。
兄貴と一緒に階段を下りて外に出る。
冬の鷲宮は一日中吹き付ける空っ風で、テレ玉の天気予報の気温よりもずっとずっと低く感じる。
あれ?兄貴ー、そっちだと団地の外に出れねーぞ?
何故か団地の外に出ない兄貴。私は頭に「?」マークを浮かべながらも兎に角後を付いて行く。
兄貴の新居候補地は一体何処にあるんだ?
「着いたよ」
「え?!」
私は思わず兄貴の顔と新居(予定)を交互に見た。
もしかして、もしかすると?
「ここだったら家も近いから、いつでもみさおに会えるだろ?」
「え……?!」
今ここに鏡(柊の方じゃねーぞ)があったら自分の顔を確かめたい。
たぶん驚きながら照れているに違いない。
自分で言うのもアレだけど、私も結構『お兄ちゃん子』なんだなぁ。
「さて、中を確かめてみますか」
兄貴の声でハッとする。
「どうした?大丈夫か?」
「お、おう!! い、行くぞ!!」
何とかいつものテンションに戻す。
向かった先は我が家と同じUR(旧公団)わし宮団地。同じ第二街区で間取りが違う。
兄貴は申し込みの時に借りた鍵でシリンダ錠を開ける。
鉄製の薄っぺらな扉がぎぃと開く。
「おおーすげー」
何がすげーのか具体的に言えと言われるとちょっと困るけど、何となくすげーと思った。
新居(予定)はペンキの臭いと張り直した壁紙の糊の臭いがほのかに残っていた。
当たり前だけど、家の中は人も家具も何もない。
家の中は恐ろしいくらい静かだった。静か過ぎて不気味だった。
兄貴が持っている間取り図によると、新居(予定)は41平米の2DK。
家族4人で過ごすには狭すぎるけど、1人なら十分過ぎる広さだ。
「うぉー、ここがおれの家になる(かもしれない)のか」
「うぉー、ここが兄貴の家になるのか」
二人して全く同じタイミングで感動する。血はちゃんと繋がっているようだ。
兄貴は家の中を一通りチェックしている。
私はその様子を観察しつつ、一緒になって家の中をチェックしてみる。
間取りは2DKで、団地なので形は所謂「田の字」形。
南側に台所兼ダイニングと六畳間が、
北側にお風呂とトイレ、洗面台がひとまとめになっていて、その先に四畳半がある。
この辺はウチとよく似ている。
家の中は全体的にリフォームされているみたいで、壁紙や畳、襖は全部新品だった。
ちなみにウチは壁紙が貼られていない。
木で出来た部分もクリーム色に塗ってあり、さながら洋室のような雰囲気だ。
電気のスイッチやコンセントも新品に交換してあるし、インターホンも最初から付いている。
「これ見たら母ちゃんが住みたがるだろうなぁ」
新居(予定)の最大のポイントは台所。
ウチの台所は見るからに『昭和』の香りが漂っているが、
こっちのはあやのの家にあるような立派なやつに変わっている。
さて、兄貴がここで作るご飯のお味はどんなものだろうか?
そういや兄貴は…うぉっ、隣にいたよ!
何で台所見てニヤニヤしてんだ?気持ち悪ぃな。
「いやあ、おれの将来の花嫁さんがここでご飯を作ってるシーンを想像しちゃってさぁ」
はいはいそこで一生やってろ。一人でな。
「冗談冗談、マイケルジョーダン!!」えへっ
何がえへっだアホか。冗談に聞こえねーよさみーよ古いよアホ兄貴。
やっぱり血というものは繋がっているもんなんだなー。
「みさおがウチに来たら毎日ミートボール定食だな」
「ハンバーグもね!!」
「何なら里芋と蒟蒻の煮物も作るぞ」
「それはいやだ」
兄貴が兄バカであることは言うまでもない。嬉しいけどちょっと恥ずかしい///
もし兄貴がこっちに引っ越すんなら、私も一緒について行こうかな?
内覧が終わり、兄貴は鍵をかける。
部屋を隅々までチェックし、巻き尺であちこち測っていたところをみると、
どうやらここに住むことに決めたようだ。
兄貴が持っていた資料によると、わし宮団地の2DKは他にもゴロゴロあるそうだが、
兄貴がやたら拘っていた「2階」にあるのはここだけ。多分、あの大量の自転車を出し入れするのに最適だと思ったんだろうな。
1階だと泥棒に狙われそうだし、5階だと運ぶのが大変だし。
(例えフルカーボンの高級車でも5階まで持って行くのはすんげー大変だよ><)
お昼は団地センターの洋食屋へ。
この店は私が小さい時から、両親や兄貴に連れて行ってもらっているとこで、
店のおばさんともすっかり顔なじみだ。
店に入ろうとしたところで、あやのと会った。
「よう、あやの」
「みさちゃん、こんにち…あ、こ、こんにちは」
あやのは、私に挨拶をしかけたところで兄貴もいることに気付き、改まって私たちに挨拶をする。
ニコニコしながらも顔が茹で蛸状態のあやのは、見ていて可愛いけど、それがなんだか切ない。
数日後、兄貴はこの家に住むことを決めた。
あれだけ反対していた母ちゃんも、兄貴が一人暮らしを始めることにOKを出した。
ちょっと寂しそうだったけどな。
半年後、兄貴の家が全面的に自転車置き場になっていることを想像した。
さて、私も兄貴の家に引っ越す準備をするとしよう。
以上でございます。
思いついたネタはすぐに書き上がるのに、
じっくりあれこれ考えたネタが書き上がらないのは何故だろう?
みさお自重ww兄貴とあやのの愛の巣に住み込む気かww
GJでした
みさおが男っぽいのは、やっぱりアニキのせいじゃないかと。
みさお×兄、いいですな。自分も間もなく投下予定
じっくり考えたネタがちっとも書きあがらないの同意
塩漬け作品がいくつも……
>>211 GJ。
みさおが「らしく」描かれてて、兄貴の設定がよく練りこんであって、
背景、人物背景の描写も雰囲気よく、顛末もいい感じ(引越し先のことね)で、
楽しく読ませてもらった。
こなた「家がでかいですとな?当然ですよみさきち、
うちのおとーさんはあんなんでも一応流行作家ですから」
みさお「自慢してんのかけなしてんのかわかんねーなそれ・・・
ていうか、後ろでおじさんがいじけてっぞ・・・」
皆様の作品を読んでるうちに自分でも書きたくなってしまった
どこまで近づけるかわからないけど、頑張ってみようと思います
という訳で初投下
まだまだおかしな点が多いかもですが平にご容赦を
指摘や感想など頂ければ幸いです
・「こな→ゆた」でハッピーエンドのつもり
・エロ無し
・2レス使用
「リアルで同性に興味ない」なんて言ってたのはいつの事だろう?
そう、今私はリアルで同性に恋してる
悩みと言えばこれしかない
相手はごく身近な妹のような女の子
いつから好きになってたかなんてわからない
気づいたら好きになってた
こんなのはドラマやマンガだけの話かと思ってた
まぁ世間体を気にするならいけない事なんだろうけど
好きになっちゃったものはしょうがないよね
でも向こうはどうなんだろう?
同性を恋愛対象に見れるのかな?
私が好きと言ったら、受け入れてくれるかな?
まぁ受け入れられない事の方が可能性は高いけどね
でも嫌われたり変な目で見られるのはやだな
一言聞いてしまえばそれで決着はつく
でも、今の私にその勇気はない
だから、この想いは私だけの秘密
夏休みのある日の事。
朝起きると体が異様にだるく、夏だというのに寒気もした。
風邪かなぁ?なんて思いながらも喉が渇いていたのでとりあえず台所に向かうと、おはようの挨拶をする私を見て、先に起きていたゆーちゃんとお父さんが驚いていた。
そんなに驚かなくても、と思うんだけどゆーちゃんに部屋に連れ戻され、お父さんの持って来た体温計で体温を測ると何と39℃。よっぽど顔色が悪かったようだ。鏡を見てないからわからなかったよ。
夕べあまりに暑かったものだから、クーラーを強めにしたまま寝たのが原因だろう。
そんな訳で今日は家で大人しくしてるよう厳命されてしまった。
本当ならかがみ達と勉強会をするはずだったんだけど、さすがの私でも今日は無理だ。
ゆーちゃんに作ってもらったおかゆを少しだけ食べ、薬を飲んでからかがみにメールを送る。
案の定きついお叱りの言葉をいただいた後、早く治すよう優しい言葉もくれた。
ゆーちゃんとお父さんの看病と薬のおかげでお昼過ぎには幾らか体調もよくなったものの、まだ動くのは億劫だった。
そういえば今日はゆーちゃんもみなみちゃんの家で勉強会だったはずだとぼんやりした頭で思い出すと、ちょうど様子を見に来たゆーちゃんに声を掛けた。
「ねぇゆーちゃん。今日は勉強会じゃなかったっけ?」
「そんな場合じゃないでしょ、お姉ちゃん。私よりも自分の心配しようよ。」
なんて珍しく強めに言われた。普段自分が体調崩すから、それだけ人の事になると一生懸命になるのかな?
「いやいや、朝に比べればだいぶよくなったって。それにお父さんもいるから大丈夫だよ。」
「でも……」
「こんな時くらいはお父さんにも父親らしいことしてもらわないとねー。」
「こなたー、それはいくらなんでもひどいぞ〜。お父さん悲しくて泣いちゃうぞ?」
「んふふ〜、冗談だってば。でも、こんな時はお父さんの仕事が自宅作業でよかったと思うよ。」
「まぁな。そういう訳だからゆーちゃんは心配しないで……って言っても無理か。まぁこなたの事は俺がちゃんと看ておくから行っておいで。」
「……本当に大丈夫、お姉ちゃん?」
「へーきへーき。その代わりおいしいお土産期待してるからさ。」
「じゃあ……行ってくるけど、ちゃんと寝てること!無茶したらダメだよ?おじさんの言うことちゃんと聞くんだよ?」
「これじゃあどっちがお姉さんかわからないな、こなた?」
「むぅ、確かに。こんなにしっかりしたゆーちゃんは初めて見るね。いつもの歩く萌え要素なゆーちゃんもいいけど、こーいうのも新鮮でいいね。」
「えっと……も、萌え?」
「はっはっは、まぁこれだけ話せるなら大丈夫だろ。ほら、ゆーちゃん。そろそろ時間じゃないのか?」
「あ、本当だ。じゃあ……行ってくるけど、お土産は何がいい?」
「ゆーちゃんに任せるよ。できれば甘いのがいいなー。」
「うん、わかった。えっと……じゃあいい子にしてるんだよ?」
なんて言って頭を撫でてから部屋を出るゆーちゃん。いつもと違ってお姉さんぶる姿に思わずドキリとする。
少しして、ゆーちゃんのことを見送ってたお父さんが部屋に戻ってきた。ベットの横に椅子を持って来て座ると、私のことをしばらくじっと見てから口を開いた。
「なぁこなた。何か悩みでもあるのか?」
「へ?……悩み、なんてないよ。まぁ強いて言えば進路くらいかなぁ?私の頭じゃ大学は無理っぽいけどね〜。」
なるべく明るく言うけど多分ばれてると思う。
「本当にそうならいいけどな。もう一つ、ゆーちゃんと何かあったのか?何だかぎこちないと言うかよそよそしいと言うか。ゆーちゃんもそろそろ気づくと思うぞ。」
ほらね。だってお父さんはずっと私のことを見てくれてるから。普段はああでも、家族の事を本当に大事にしてくれるのを知ってる。
だから私も思い切って聞いてみる。
「……ねぇお父さん。女の子同士で好きになったらおかしいかな?」
「なるほど、そういう事か。……まぁ世間一般では認められてないが、本人同士が納得してるならいいんじゃないか?周りがどう言ってもお父さんは応援するぞ。」
「そっか……」
「あぁ、俺はこなたの事を信じてるからな。そのこなたが選んだ相手なら間違いないだろ。」
不意に目頭が熱くなる。見られたくないから背を向けて布団をかぶって、その中から震える声で、
「ありがと、お父さん。」
と、それだけ告げる。
「何だ。随分と素直じゃないか。」
「んー、なんとなく。」
「まぁ話はそれだけだ。とりあえず寝ておこうな。ゆーちゃんが帰ってきて熱が上がってた、なんていったらまた心配掛けちまうからな。」
「ん、わかった。じゃあおやすみ、お父さん。」
「おぅ、おやすみ。」
そう言ってお父さんは部屋を出て行った。
でもお父さん、やっぱり言葉にするのは怖いよ。
どうしても最悪の結果ばかり考えてしまう。
熱と睡魔に襲われた頭ではここまでが限界だった。
そのまま私はゆっくりと眠りに落ちていった。
「…な…ぇちゃん……」
かすかな声とともに、おでこにあったかい何かが触れた、気がする。
ぼんやりと目を開けると、そこにはゆーちゃんの姿があった。
もしかして、今のっておでこにキスされたのかな?
あれ?確かお出掛けしてたはず……ってことは夢だね、これは。
夢ならゆーちゃんはここにいても全然変じゃないし、キスもしてくれるんだ。
でも夢だというならおでこよりも唇の方がいいな。
それに現実なら言えない事でも、夢の中なら言っちゃっていいよね。
「ゆーちゃん、好きだよ〜……」
そう言って目の前にいるゆーちゃんを抱き寄せて唇を重ねる。
「っ!んっ……んん!」
あは、びっくりしてる。よぅし、もっと驚かせちゃおう。
唇を合わせたまま舌をゆーちゃんの口の中へ差し入れて、2人の舌を絡め合わせる。
「んっ?!んんっ!」
びっくりしたゆーちゃんに舌を噛まれた。割と強めに。
「っ!いたっ!ゆ、ゆーちゃん。舌噛んだら痛いってば!」
「あっ!ご、ごめんね。お姉ちゃん大丈夫?」
……痛い?あれぇ?夢って痛くないんじゃ……
体を起こして時計を見る。お父さんと話をしてから30分も経ってないよ。
「えーっと。なんでゆーちゃんがここにいるのかな?」
「なんでって……お姉ちゃんが甘いものが食べたいって言ったから、ほらこれ。」
そう言って掲げて見せてくれたのは、よく学校帰りに買ってくるお菓子屋の袋。
「いや、だってみなみちゃんのところに行ったんじゃないの?」
「うん……でもやっぱり心配だったから。今日の集まりは断っちゃった。それに行っても多分勉強なんか手につかなかったしね。」
「……そ、そっか〜。ところでゆーちゃん。私何か寝言とか言っちゃったりしなかったかな〜?」
「私のことが好きって言ってくれたこと?」
うぁ〜〜、やっぱりあれって夢じゃなかったのか〜〜〜!
頭を抱える私を不思議そうに見つめるゆーちゃんが両手で私のほっぺを挟んで。
びっくりしてゆーちゃんを見上げると、今度はゆーちゃんに唇を奪われた。
しかも仕返しとばかりに舌まで入れてきて……今度は私がびっくりする番だった。
時間にして1分も経ってないのに、随分とそうしていた気がする。
「は、ふぁ……えっと。ゆーちゃん、なにをしちゃってるのかな?」
「何ってさっきの仕返し。と言うかお礼かな。」
にっこりと、お日様のような笑顔と一緒に抱きしめられた。
「私もお姉ちゃんの事が好きだよ。恋愛感情でね。」
随分とあっさり言うね、ゆーちゃん……あれ、今『も』って言ったのかな?
「最近ずっと避けられてて寂しかったんだよ?だからずっと看病で一緒にいられると思ったのに、私の事を出掛けさせようとしてたから……ちょっとびっくりさせようと思って。」
ぺろっと可愛らしく舌を出すゆーちゃん。
お父さん、ばっちり気づかれてました。しかも私の悩みはどうやら取り越し苦労だったようです。
いやまぁ嬉しい誤算だから、それはそれでいいんだけど。
ゆーちゃんは優しく抱きしめたまま、頭を撫でてくれる。
どっちがお姉さんか本当にわからないや。
「ところでお姉ちゃん?」
「ん?なに、ゆーちゃん?」
「私はお姉ちゃんの事を好きだって言ったよ?」
そう言って私の目をじっと見つめてくる。
あぁ、そうか。まだ私は自分の気持ちをちゃんと伝えてなかったっけ。
ぎゅっと強くゆーちゃんを抱きしめて、
「私もゆーちゃんの事が大好き!」
飛びっきりの笑顔と一緒に唇にキスをした……
翌日
「風邪は人にうつすと治るって言うのは本当なんだね〜……」
ここはゆーちゃんの部屋。
目の前にはおでこに冷えピタをくっつけたゆーちゃんが布団の中からこっちを見つめてる。
というか睨んでないかね、ゆーちゃん?
「私もマンガの中だけの話だと思ってたよ……ケホッケホッ」
ご覧の通り私の風邪は一晩寝たら完全に治っていた。
代わりに今度はゆーちゃんがダウン……
「ねぇお姉ちゃん、またキスしない?」
「ちょっと待って。そんな潤んだ目で言われるとグラッと来るんだけど。って、私にうつす気満々だね、ゆーちゃん?」
いや本当に、これは反則なくらい破壊力がある。
まぁキスの代わりに風邪うつされるならいいかなぁなんて思っちゃうが、ここは我慢。
「それでゆーちゃんが治るならいいかなって思うけど。出来れば早く治しちゃって、2人でどっか出掛けたいな〜なんて思ってるんだけど。それでもキスしてほしい?」
「ぅ〜ん……じゃあ我慢する。」
「素直でよろしい。じゃあ早く治るよう精一杯看病させてもらいますか。何か食べたいものとかある?」
「今はいいよ。でも……」
「でも、なに?」
「……手、ぎゅってしててくれる?」
「それくらいお安い御用ですよ。」
お望み通りに手を握ってあげながら、ほっぺにちゅっとキス。
すると安心したのか、穏やかな寝息が聞こえ始める。
さーて。治ったらどこに行こうか、ゆーちゃん?
うぁ、倍の4レス使ってしまった……申し訳ないです><
何ヶ所か手直し出来そうでしたが、これ以上の校正が思いつかなかったので投下しちゃいましたが如何でしたでしょうか?
これに懲りずにまた投下すると思いますが、その時もよろしくです。
最後に読んで下さった皆様、ありがとうございましたm(_ _)m
>>220 いえいえ、最初の作品でこの出来ならすごく良いと思いますよ。とりあえずGJ!
初投下GJでした。
多少荒削りのところもありますが、これからどんどん書いてもっと上手くなってください。
って、何俺偉そうに言ってるんだろう
223 :
STRM:2007/12/06(木) 22:25:57 ID:OyX+xcPd
はじめまして。STRMデス。
皆さんの作品を読んで私も投下したくなったので、
どこまでやれるかわかりせんが、せーいっばい頑張りマス。
メール欄にsageと入れると幸せになれます
225 :
STRM:2007/12/06(木) 22:37:47 ID:OyX+xcPd
タイトル「すたでぃ〜タイム」
こなxかがxみさ
3レス前後使わしてもらいマス。
多少エロあり。
微妙なペースで投下されると困る
投下するならある程度まとめてから投下してくれ
30分も間置かれると読むのも次待ってるのも辛い
>>226が今いい突込みをいれた。
他人が書き込めなくなる状況を作るのはいろんな意味で嫌われるので注意。
悪いけど、23:30までに投下なかったら先に投下させてもらうよ
明日仕事だから早く寝たいんだ……
そして「人大杉で書き込めないんですよ」→「専ブラ入れろ」展開に戻る
>>228 いくらなんでも、もういいんじゃないか?
やっぱりテンプレ改正案出しますかね
メ欄のsageと書きながらの投下を避けることと専ブラ入れること
投下前の10数分は恥さらしせずに誤字を直せる最後の瞬間だったりする
もう何回か誤字チェックするんで後10分
233 :
STRM:2007/12/06(木) 23:26:51 ID:OyX+xcPd
ジリリリリリリ。
「あ〜もう、うるさいわね。」ふとんから手を出して目覚まし時計のスイッチを押す。
一瞬静かになったが、すぐに私は飛び起きた。
いそいで着替えたらボタンが一段ずつずれた。まぁいっか、
下に降りるとつかさがいた。休みの日に早く起きるなんて
おまえは子供か、まぁつかさらしいと言えばそうかもしれないけどね。
「おねえちゃん今日って、こなちゃんたちがくる日だよね?」
「ん?そうだけど。なんで?」
「実は今日みんながきたらゆきちゃんと峰岸さんといっしょに
ケーキ屋さんめぐりしようってことになってるんだけど。いい?」
成実さんじゃないけどびっくりだ!
「えっ?それマジなの?」きつくにらんでみる。
「う、うん。」珍しくねばってるわね。しょうがないか、
「あ〜わかったわかったいいわよ行ってきて。」
私って甘いのかなぁ〜?それともつかさが甘えじょうずなのかしら?
ちなみに今日はみんなで勉強会の予定だった。あ、もう過去形ね。
今日は珍しく家には親も姉さんたちもいないだからウチになったんだけどネ。
もうすぐあいつらがくる時間だ。
ああっ、もう
投下ってのはこうやるんだ。見てろ
お久しぶりです。
仕事始まったらぜんぜんSSを書けず
仕事の合間に過去の塩漬け作品を仕上げたのでどうぞ。
☆六レス消費 エロなし
☆みさお×アニキ×あやの です
☆後編もあるけど書く余裕あるか……
「まってー、みさちゃん」
「早く来いよ、あやの。置いてかれるだろ」
野山を駆け回るのに不向きな、でも女の子らしいかわいらしい服を着て私を追いかけるあやの。
その前を走るのは、真っ黒に日焼けしてまるで男の子のような格好をした私。
小さい頃から私とあやのはよく遊んでいた。
いや、私とあやのだけじゃない。
ここにはもう一人、私たちと小さい頃からずっと遊んでいた人。
「おーい、アニキ。どこいった?」
がさがさと木々の枝が擦れる音。
上を見上げれば木立の間から漏れる夏の日差し。
その間からパラパラと上から降ってきた小枝を慌てて避ける。
「あ、アニキ。危ないてっば」
「みさお、そんなことより早く網、網」
アニキに言われるままに網をアニキのほうへ伸ばす私。
アニキは何かを網の中に放り込む。
「はぁ、はぁ……みさちゃん。やっと追いついた……何か捕まえたの?」
「おぉ〜、すげえ。みてよ、あやの」
網の中にはカブトムシが二匹。オスとメス。
「わぁ、カブトムシ」
「あやの、虫かごに入れるぞ。それにしてもすげーな、アニキ」
「だろ、ここは俺たちの秘密の場所だからな。絶対誰にも教えちゃだめだぞ」
木の上からするすると降りてきたアニキに、こくこくと頷く私とあやの。
何でも知っていて、スポーツも万能で。
そんなアニキは私たちの憧れだった。
「なーなーアニキ。このカブトムシ、もらっていいのか?」
「ああ、俺はまた取りにこれるしな。二人にやるよ」
「やりー。じゃあ私はオスのほうな。あやの、どっちが強いか戦わせようぜ」
「えっと、みさちゃん。オスとメスは戦わないと思うけど……」
三人で野山を駆け回る毎日。
あの頃は三人が三人とも友達で、そんな関係がずっと続くと思っていた。
ずっとずっと……
さすがに中学生にもなると三人で野山を駆け回ることはなくなったけれど、
帰るときもいつも三人一緒、この頃になっても私たちは仲良し三人組だった。
そんな私たちの関係が変わり始めたのは12月も終わりに近づいたころ。
あやのとは、いつ知り合ったかすら覚えていないぐらい小さい頃からの友達だけれど、
最近のあやのはいつもとはちょっと違っていた。
いつもよりもぼーっとする事が多くなっていたし、真面目あやのには珍しくよそ見をしていて授業中怒られることもあった。
特に変なのは、アニキと一緒のとき。うまく説明できないけれど、
ずっと昔からあやのと一緒だった私にしか分からない、ちょっとした違和感。
「ねえ、みさちゃん。みさちゃんは、好きな人……いる?」
学校からの帰り道。
突然のあやのの言葉に私は飲みかけのホットのウーロン茶を吹き出した。
「み、みさちゃん。汚いよ……」
「げ、げほっ、あ、あやの、どうかしたのか?」
もじもじと恥ずかしそうに指をあわせるあやの。
昔から女の子らしいあやのだけれど、ここのところはさらに輪をかけて女の子らしい。
「も、もしかしてアレか、す、好きな人ができたとか、ま、マジでなのか?」
あやのは恥ずかしそうにこくりと頷く。
「で、で、だ、誰なんだよ。あやのの好きな人って……」
「え、えっと、あのね、みさちゃんのお兄さん……」
ああ、うちのアニキ?
高校三年のアニキの受験勉強が忙しくなって、そういや最近遊んでいないよな。
で、うちのアニキ……
「……って、ちょっと、え!! もしかして!!」
あやのは恥ずかしそうに、こくりと頷く。
その顔はもう真っ赤で反則的にかわいらしいのだけれど、
って、マジ? もしかして、本当にうちのアニキ?
「来年でお兄さん中学卒業しちゃうでしょ? 最近、受験勉強が忙しくてあんまり会えないくて、
このままお兄さんが他の高校へ行ったら、私、もうお兄さんに逢えなくなっちゃう気がして……」
あ〜、確かにな。
小さい頃からずっと遊んできた私たち。
ずっと当然の事だと思ってきたけれど、でも変わらない関係なんてない。
いや、普通だったら小学生ぐらいから男の子は男の子、女の子は女の子で遊ぶようになっていくのに、
ずっと関係が変わらない私たちのほうが異常だったのかもしれない。
私たちもあの頃みたいに無邪気に遊べるような年頃じゃなくなった。
アニキのように中学を卒業すれば、地元から離れた高校に通うようになるのはあたりまえになる。
そして、私たちの年頃になれば、あやののように恋をすることだって……
「よし、分かった」
自信満々に私は胸を叩く。
「私に任せろよ。あやの。自分の兄貴と大の親友が付き合うんだしな。応援しないわけないだろ」
私はあやのが大好きだし、もちろん兄貴も好きだ。
だから、私の好きな二人がもっと仲良くなってくれたら、私も嬉しい。
「あ……」
あやのの目から、ポロリと涙がこぼれた。
や、ヤバイ。私なんかまずい事言ったっけ……
「あ、あやの? 私、何かまずい事言った?」
あやのは涙をこぼしながらふるふると首を振る。
「ち、違うの。ただ、その……嬉しくて……」
久しぶりのあやのの泣き顔。
小さい頃は私がよくあやのにイタズラをして、それで泣かせてたことは多かったと思うんだけれど、
でも、中学になってから泣いているあやのを見るなんて久しぶりだった。
「だ、だぁぁ、な、泣くなよ、あやの」
泣いているあやのにどうしたらいいかわからず、私はあやのの頭をくしゃしゃかき回す。
あやのにイタズラをして泣かせてしまったとき、いつもこうやってごまかしていた。
「うん、うん、ありがとうね、みさちゃん」
昔と一緒でいくら頭をかき回してもあやのは泣きやまなかったけれど、
昔と違ってあやのは泣きながら感謝の言葉を続けていた。
238 :
ひとり、ふたり、さんにん3/6:2007/12/06(木) 23:33:13 ID:gcu9yRKM
私の隣のアニキの部屋。
こっそり覗いたアニキの後姿は勉強中。
うん、おかしいところはない。勉強中の兄に差し入れを持っていくんだから。
「ア、アニキ〜」
「お、なんだ、みさおか。何か用か?」
「そろそろ疲れてきた頃かと思ってさ。お菓子でも食べない?」
お盆の上にはクッキーとコーヒー。
インスタントコーヒーだけれども、私やアニキのような庶民にとってはこの香りでも充分いい香り。
「お、みさおにしては珍しく気が利いているな」
「珍しくは余計だよ。ほれ、砂糖とミルクは?」
「ん、いる」
砂糖二個とミルクを入れるアニキ。
見た目は大人っぽいのに、味覚は子供なんだよな。
「どう、勉強は進んでる?」
「あ〜、まあ、ぼちぼちってか。模試の結果も上々だし」
アニキが目指しているのはこのあたりじゃちょっとレベルの高い高校。
高校受験なんてずっと先のことのように思えるけれど、再来年には自分もこうしてるんだろーな。
「おっ、このクッキーうまいじゃん」
アニキが指でつまんでいるクッキー。
「だろ〜、これ、あやのが持ってきてくれたんだぜ」
「お、そりゃ美味い訳だ。どうだ、最近あやのは元気にしているか?」
「うん、いつも通りだけれどさ、最近アニキが遊んでくれないから寂しそうでさ」
「あ〜、そうだよなぁ……最近お前らとも遊んでやっていないしな」
「それでだ、アニキ」
ぴら、と二枚のチケットを取り出す。
ちょっと離れた街にある遊園地のチケットの前売券。
「友達から行けないってもらったんだけどさ、私、来週部活が入っちゃって。
あやのとアニキ二人で行ってこない?」
「なんだ、みさおは行かないのか。再来週でもいいんだぞ」
「このチケット、有効期限が来週だから。早く行かないと間に合わないんだぜ」
もちろん、今の話には嘘が混じっている。
このチケットはわざわざ大宮まで出向いて金券ショップで買ってきたもの。
あらかじめ有効期限が私の部活の日にバッティングしているものを選んで買ってきた。
「最近、アニキも机にかじりつきっぱなしだろ。たまには太陽を浴びないとモヤシのなっちまうぞ」
「なんだよ、人をニートみたいに言うな。でも、ちょっとは息抜きも必要かもな」
私の手からチケットをとり、眺めるアニキ。
「じゃ、悪いけどあやのと二人で行ってくるよ。ありがとな、みさお」
「おう、お土産忘れないでくれよな」
飲み終わったコーヒーカップを重ね、そそくさを部屋を出る。
後ろ手でドアを閉め、小さくガッツポーズ。
あとはあやの、お前しだいだかんな!!
日曜日はカンと見事に晴れた青空。
冬の冷たい空気に負けないように、私は念入りにストレッチを繰り返す。
腿の裏側、ふくらはぎ、アキレス腱。ぎゅっと腱が伸びる感触。
凝り固まった筋肉が柔らかくなり、動き出すのを待ちわびている。
アニキたち、今頃何しているのかな。
あやの、うまくやっているのかな。
自分も送り出した身であって……あ〜、私もついていけばよかったか?
でも、やっぱりアニキと二人っきりの方が……
「おーい、一年。何サボってるんだ。さっさとアップ始めるぞ」
「あ、はーい。すみません」
いけないいけない。よそ事考えすぎてたぜ。
数列に並んで立っている最後尾に自分も滑り込む。
五十メートルダッシュ十本か。
さっきもほぐした筋肉をもう一度念入りにほぐす。
ぎゅっぎゅっと引き伸ばされた筋肉は準備万端。
「次っ、よーいスタート」
コーチの声に私は駆け出す。
流れる視界と風を切る体。
冬のちょっと冷たい空気が体を掠めていく。
陸上を始めたのもアニキの勧めだっけ。
アニキに置いていかれないよう一生懸命走っているうちに、いつしか私は走る事が好きになっていた。
いつも私の走っていく先にはアニキがいて……
「ふぅ……」
50メートルのラインを過ぎて、私はゆっくりとスピードを落とす。
今、アニキとあやのは遊園地にいる。
私の目指す先にはずっとアニキがいたけれど……
「アニキ、大丈夫かなぁ……」
火照る体を心地よく冷ましてくれる冷たい風。
この風が届くところで、アニキたちはうまくやってるのかな……
「みさちゃんみさちゃん、聞いて聞いて……」
部活が終わった頃にかかってきた電話。
もちろん発信はあやのから。
「おー、家に帰ったか。どうだった、あやの」
「うん、それがね……オッケーだって……」
そう言うあやのの声は、もうほとんど涙声になっている。
どうやらアニキもあやのも予想以上にうまくやっててくれたみたいだ。
ほっと胸をなでおろす。
「おう、よかったな、あやの」
「うん、これもみさちゃんのお陰だよ。ありがとう、みさちゃん……」
「だーっ、そんなに泣くなって。いいよ、次もおいしいクッキー焼いてきてくれれば」
「うん、ありがとう。本当に、ありがとう……」
泣きながらありがとうを続けるあやのを宥めるのも大変だった。
このぐらい、当然だろ。私はあやのの親友なんだから。
それからずっと、あやのは何度もありがとうを繰り返していた。
歩きながら電話をかけてたんで、パチンと折りたたみの携帯電話をたたむ頃にはもう家のすぐ側まで来ていた。
こくり、と唾を飲み込む音。
この家にいるのはアニキであって、アニキでない。
あいつはあやのの恋人。
ちょっぴり緊張しながら、玄関のドアを開けた。
「ただいま〜、アニキ」
恐る恐る居間を覗く。
繰り返し聞こえる笑い声は、テレビのバラエティ番組のもの。
「アニキ?」
ソファーに座ったアニキはぼーっとテレビを見ているようで、その焦点はあっていない。
アニキの耳の側に口を寄せて……
「ただいま、アニキ!!」
「うおっ、お、おかえり、みさお」
驚いてソファーからずり落ちるアニキ。
おーい、アニキ。ぼーっとしすぎだ。
「で、どうだった? 遊園地は」
アニキの隣に座り、菓子に手を伸ばす。
柿の種……ぽりぽり。
「なぁ、みさお……」
「ん?」
「……ありがとな」
アニキは恥ずかしそうに鼻の頭をぽりぽりかきながら呟いた。
何について……ってのは、聞かないほうがいいだろ。私だってそれぐらい空気読めるってば。
あやのの気持ちにちっとも気づかなかったアニキでも、
さすがに私がこの舞台を用意したことくらいは分かったみたい。
「まーね。この埋め合わせは……そーだな。今度は三人で遊園地行くか。アニキのおごりで」
「たは〜、小遣いの残り、厳しいんだが」
「年明けでいいよ。お年玉入るだろ?」
「うへっ、抜け目ねーなー。お前」
そのまま続く世間話も次第に話のネタが尽きてきて、
兄妹二人並んだソファーには少しの沈黙が流れた。
いつしか番組は恋愛ドラマに変わっている。
最近話題の二人が、画面の向こうで幸せそうに微笑んでいる。
いままで私たちには関係ない、ずっと遠くの星のことと思ってた恋愛。
けれども、すぐ隣にいるアニキも、ずっと親友のあやのも、そっちの世界に行っちまったんだよな。
そう考えると、私一人取り残されたみたいで……寂しい。
「なぁ、アニキ」
「ん、なんだ」
隣にいるアニキも、産まれた時からずっと一緒だったアニキなのに、どこか違って見えて、
ずっと一緒にいたアニキが、何だか離れていくような気がして。でも……
「あやのと、ずっと仲良くな」
そんなありふれた言葉しか、出なかった。
アニキは何も言わずに、私の頭にポンと手を置く。
小さい頃、よくしてくれたみたいに。くしゃくしゃと頭を撫でるアニキ。
でもその手はもう私のアニキのものじゃなくて、あやのの恋人のものなんだなって思ってしまった。
以上です。
みさおはやっぱりお兄ちゃんっ娘であって欲しいな……
割り込み失礼。
でも、さすがに30分間隔で投下は長すぎやしないかい?
これくらいのSSでもまとめて投下すれば5分程度で投下できるし
さて、みさお繋がりで「すたでぃ〜タイム」期待してます
読むの明日だけど……おやすみです。
>>242 ぐっじょぶ!いろんな意味でぐっじょぶ!
>>242 リアルタイムGJ☆
みさおが、みさおが切ない…
なんか胸がきゅんきゅんいうのはどうすれば良いんだ…!
続き期待してます!
>>242 リアルタイムGJ!!!!
みさおの兄貴を扱ったSSが最近増えてるなぁ〜と実感する今日この頃
ジャンルが増えるのはいいことだ
あと誤字(?)発見したので
「もやしのなっちまうぞ」になってた
>>242 激しくぐっじょぶ!
分かる、みさおは兄貴にベタベタしてて欲しい
ぶーわ氏の絵ぐらいそれはもうベタベタに!
247 :
STRM:2007/12/07(金) 00:12:32 ID:A1uYMZAp
ピンポーンピンポーン
きたな、ガラガラっ「やふーかがみん」
「おっす柊」
「こんにちわ柊ちゃん」
「こんにちわかがみさん」
一斉にみんなが入ってきた。順番はわかるわよね?
上からこなた、日下部、峰岸、みゆきの順ね。
そしたら後ろからつかさがばたばた走ってきた。
「それじゃあお姉ちゃんいってくるね。行こうゆきちゃん、峰岸さん。」
二人の手をひっぱってとっとこいっちゃった。って私はハム太郎か!
唐突にこなたが、「なんか悲しくなってこない?」
それにあわせるように日下部も「ちびっ子もか?」なんて言うのだ。
「まあまあ、とりあえず部屋にいきましょ。」慰めながら部屋にいれると案の定
二人いっしょに出しっぱなしになっていたふとんにたおれこんだ。
こいつらは、何のために今日集まったのよ!て言うか二人とも寝ちゃったよ!
まあ私も少しねよっかな。体を横にするとすぐ寝れた。
「・・みん・・お・わいー」なんだろ、
「な・ちび・子・いまの・・にひ・・・のから・・あ・そば・い?」うまく聞こえない
「おっ・ね〜じゃあさっさく、どこから攻める?」へ?
「やっぱ胸からじゃね〜?」やばいやばいやばい〜!?
>>242 リアルタイムGJ
なんか最近、みさお兄人気あるな
あと、
>>237でみさお兄の学年が高三になってる場所がちょいと気になりましたがもう一度GJです!
アゲンナカス (1943〜2006) ウィシーフランス
みさおの兄であやのの恋人というなんという美味しいポジション
ロムッテロ兄弟
ハントシー・ロムッテロ ハンツキー・ロムッテロ
1952〜 アメリカ 1955〜 アメリカ
252 :
251:2007/12/07(金) 00:34:28 ID:Of3FmOsC
あ、一応言っておきますが、人の話を聞かない
ageっ子さんへのコメントです。
どうして
>>1くらい読めないのかすごく不思議なんだけど。
前にも居たよね、こんな奴。
携帯からのんびり打っているような気がしてならない。
まあ、この話題をいつまでも引きずるのもアレなので…
>>242 GJでございます。
少しほのぼのとしましたね。
ここに投下したくて、仕方なくロム続けてる自分がバカらしくなってきた。
という、愚痴。スマソ
っと、GJ忘れた;
>>242 GJです。
みさおはやっぱお兄ちゃん娘だよね。
もっと小さい頃とか、お兄ちゃんの真似して「オレ」とか言ってそうな気がしてならないw
あやのと兄を結び付けたものの、なんとなくそのことに違和感なのか、後悔を感じるみさおの可愛らしさがよかったです。
最期にもう一回GJです!
257 :
STRM:2007/12/07(金) 00:48:14 ID:A1uYMZAp
ガバッ!どうやら間にあったみたいね。「げっ」「うわっ」
「おはようございます。こんなに悲しい目覚め方うまれてはじめてよ!」
「かがみん落ち着いて!」「そうだ、はなせばわかるって!」「問答無用!!」
とその瞬間私の視界からこなたが消えたと思ったらいきなりアソコをおもっきり触られた
振り向くとこなたがいた。こなたは私の腕を近くにおいといたリボンで縛った。
「ちびっ子よくやったな!」日下部が褒めたたえ、
「いやいやうまく成功してよかったよ。」こなたは得意げに言っている。
「こ〜な〜た〜」やっとのおもいで立ったけどこなたに足払いされてしまい、ふとんにむかって倒れた。
こなたが上にのっかってきた。まさかと思ったけど思ったとうり
キスしちゃった。それも何回も何回も途中日下部が何か言ったけど気にしない。
「んっ、んんあ、んー!」「ん、んふ、んっっ」
やばい、これは気持ちいい。
えっ?!バタン、!
「かがみん!」「ひいらぎ!」
あー、俺もどうかしてた、スマン('A`)
簡単にキれるような俺に気にせず、みんなはいつものこのスレで頼む。
俺はもうロムるから。
>>242 あやのとあにきに、一つの意味の別れをつげたみさおの
切なさがよーけつたわりました。GJでごわす。
↑先にこれを言わねばいかんのだ俺、情けねえ('A`)
>>242 GJなのですよー。
うーん…まさかとは思うけど書きながら投下してたんかな…?
まぁ、気にしないでおこう…。
>>261 ハルヒのキャラソンのピッチを上げたやつ
みさおに聞こえる? とか聞こえないとか
ニコ動モバイルじゃ音が悪くて
みさおというより小6ハルヒにしか聴こえなかった俺はきっと心が荒んでいるんですね
聞こえる所もあるけど全体的に少し無理あるな…
265 :
18-19:2007/12/07(金) 04:08:41 ID:H7PNE4JW
「…………」
やはり、というべきか。
私の脳味噌は、この状況でつかさをうまく追い返すような言葉を弾き出してくれるほど優秀ではなかったようだ。
「おねぇ……ちゃん……」
落ち着け、私。ひとまず状況を整理しよう。落ち着けば打開策は見つかるはずだ。えーっと……
つかさが私の部屋に入ると、机で自慰に耽る私と目が合った。以上。
……どうにかなる訳ないじゃない!
でもこれはまずい。なにか言うべきよ、黙ったままなのは非常にまずい。
「……ノックくらい、しなさいよ」
なんだそれ。
それを聞いたつかさは、どういう訳か部屋に上がり、
「お姉ちゃんが扉に鍵をしてれば良かったんじゃない?」
こんな風に、と言って鍵を閉めて。
相好を崩した。
─ かがみん☆スランプ(後編) ─
「つか、さ……?」
あれ、と思う。なにかおかしい、と。
私の知ってるつかさなら、こんな反応はしないはずだ。
当の本人である私が言うのもなんだけど、つかさは姉のこんな場面に出くわしてしまったら、まず参考書を床に落として「ご、ごごごめんなさいっ」とか言って、
扉をバタンと閉めて凄い勢いで走り去り、残していった参考書をどうするべきかで悩ませるような子のはずだ。
まさか、部屋に上がり込んで鍵を閉め、ゆっくりと歩みを進めながら、嫌な笑みを浮かべるような子ではないはずだ。
その、はずなのに。
「お姉ちゃんも、そういうこと、するんだ?」
「ち、違うのよ? これは、その……」
つかさの頬がほんのりと朱に染まっているのが、卓上スタンドの明かりでわかる。
とすっ、とつかさが私の机に参考書を置いて、私に向き直る。その瞳は無言で話の続きを促していた。
「えっとね? これは──」
顔の横で両手を振りながら、次に言うべき言葉を探していると、唐突に左手を掴まれる。
「ちょっと、つかさ──?」
つかさは、掴んだ私の左手を顔に近付け、その人差し指を口に含んだ。
あまりのことに声が出ない。左手の人差し指に、つかさの歯の硬さと、舌の柔らかさと、唾液の温度を感じて「指を舐められている」と理解した瞬間、
私の体温が急上昇するのがわかった。
「つか、さ……」
ちゅぽっ、と卑猥な音を立てて口から私の指を抜いたつかさは、えへへ、と小さく笑い、
「お姉ちゃんの味がするよ?」
と、薄い笑みを浮かべる。
なんのことかわからず、きょとんとしていた私の耳許に唇を寄せて、つかさが囁く。
「この指で、お姉ちゃんのここ、触ってたんだよね?」
「え? ……ひゃあっ」
聞き返そうとした矢先、私がさっきまで弄っていたそこに異物を感じて、声を上げてしまった。見ると、つかさの手が下着の上から
そこを撫で上げている。
その行為と、言葉の意味に、私は言い様もない恥ずかしさを覚える。
「お姉ちゃん、私が続き、してあげるね」
つかさが私の頬に手を添えた。
気付くと私はベッドの上にいた。どうやってここまで移動したのか、いつ上着を剥ぎ取られたのか、わからない。
無理も無いか。こうやってつかさが私に覆い被さり濃厚な口付けを交わしている今でさえ、この状況が信じられないのだから。
つかさの舌に、オレンジのような甘酸っぱさと、僅かなアルコールの香りを感じて、私は少し動揺した。
どうにかつかさの唇から逃れ、口を開く。
「つか、さ……あんたもしかして、お酒入ってんの?」
つかさは赤い頬でえへへ、と笑い、
「下でね、お姉ちゃん達が二人でお酒飲んでたの。つかさもどう? って言われちゃって」
どうやらあの姉どもがつかさに一山盛りやがったようだ。
普段全然出てこないくせにこういうときだけでしゃばりやがって!
一杯だけだよ? と呟いて、つかさは再び唇を重ねてくる。
つかさの舌が動くその度に、理性とかリアリティ、姉の尊厳……その他いろんな大事なものが、根刮ぎ絡め盗られていく。
つかさの口内に僅かに残るアルコールに導かれるように、私は何かに溺れていって。
ちゅぷ、と音を立ててつかさが唇を離したとき、そこにいたのは……
ただその続きを静かに待つ、従順な飼い犬のような私だった。
つかさはそんな私の顔を見て、満足そうに口角を吊り上げる。
「お姉ちゃん……」
ちゅうっ、と音を立てて、つかさが私の乳房の頂点、既に固くなっていたそこに吸い付いた。
「あっ……んぁっ」
ちゅばっ、くちゅ……ちゅうっ。
文字にしてみれば間抜けな音も、私の羞恥心を煽るには絶大な効力を発揮していた。
「つか、さぁっ……音、立てないでぇ」
私の言葉に、つかさは視線だけを私に向けた。その唇は未だに私の胸の先を啄んでいる。
ぢゅるるるっ。
一際大きく吸い上げた後、つかさは顔を上げて満足気に私を一瞥して、言う。
「……口答えされるの、嫌いだなぁ」
荒い呼吸を繰り返す事しかできない私にも、その言葉の意味を理解することだけはなんとか、できた。
口答えすると、もっとヒドイことしちゃうからね、お姉ちゃん。
小悪魔のような笑顔が静かに、そう語りかけている。
つかさが私の下着に手をかけて、ゆっくりと下ろす。
「あ、だめ、そこは」
そんな訴えも華麗に無視をされ、下着は呆気なく剥ぎ取られて。
「うわ、もうぐっしょりだね、お姉ちゃん」
その歌うような声に、体温が急上昇する。
「あんまり生えてないんだよね。私と一緒だね」
恥ずかしい……。
「ヒクヒクしてるよ、お姉ちゃん」
言わないで。
「ああそっか、さっきはちゃんとイケなかったんだよね」
やめて、お願いだから。
「あ、私のせいだよね。ごめんね?」
きっと私の顔は熟した林檎のように赤くなっているはずだ。入るべき穴を探すがそんなものは無かった。
「じゃあ、お詫び」
そう呟いて、つかさが私の股の間に顔を埋める。
「ぁあっ、ひゃ、んんっ!」
指とは違う、柔らかくて温かいものが、私のそこを這っている。
それがつかさの舌であると気付くのに少しの時間が必要な程、私の脳味噌の働きは鈍っているようだ。
「つか……んぁあ! つか、さ……そこぉ、だ……ああっ、めぇっ」
「おねぇひゃんもほほ、よわひんら」
つかさが一旦、顔を上げて「私と一緒だね」と笑ったが、生憎、双子の共通点にシンパシーを覚え、それを喜ぶような余裕は無かった。
再び私のそこに口を付け、舌で愛撫を始める。さっきの自慰で発見した私のキモチイイトコロを執拗に舐め続けられて。
一旦退いていた快感の津波が、また押し寄せてくるのを感じる。
「つかさぁ、わたし、もぉ……」
今度こそ、本当にどうにでもなればいい。
「イっちゃう──」
ぴたり、と津波が止まる。
つかさは愛撫をやめて、いじめっ子のような顔を私に向けていた。
「え? なんで……」
なんで止めるの? 最後までシてよ。
お願い、イかせて。
そんな淫靡な台詞が喉まで出てきた、その時。
「お姉ちゃん、ひとりでイっちゃ嫌だよ?」
とつかさが言うのが聞こえた。
私がつかさの下着を脱がして、私と同様に濡れているそこに触れたのは。
私自身、早く絶頂に達したかったからに他ならない。
私を制する冷静なところなんて、既に少しも残ってなどいなかった。
つかさのそこが、私のそこより熱かったのは、アルコールのせいだろうか。
妹の割れ目に指を這わせるように動かしながら、ぼんやりと考える。
つかさの息遣いが下から聞こえる。吐息が私のそこに当たって、もどかしい。
この体勢はなんていうんだっけ。つかさが下で私が上の……思い出した、シックスナイン。
ちゅくちゅくと、淫らな水音が聞こえる。これはさっきまでとは違い、私が立てている音。
つかさはちろちろと舌の先で微かに舐めてくれるだけで、物足りない。
もっと気持ちよくなってくれればいいのかな。さっきみたいにしてくれるかな……
「お姉ちゃん……」
上擦った声が聞こえる。その声に答えようと、顔を上げかけたが、
「指だけじゃ、気持ちよくないよ?」
後頭部に何かが当たり、私の顔がつかさのそこに押し付けられる。
「んんっ!?」
「舐めて、おねぇちゃん」
その声に素直に従い、舌を動かしてみる。舌の先に感じるつかさの味と、甘酸っぱいような匂いに、頭がくらくらする。
ああ、そういえば、つかさもここがよわいっていってたっけ。
小さな突起を唇に挟み、舌を小刻みに動かして刺激する。つかさの喘ぐ声が聞こえた。
──かんじてくれてる。かわいい。
「おねぇちゃ、ん……いいよ、そこぉっ」
「つかさ、わたしのも、なめて」
つかさは素直に、私のそこの愛撫を再開してくれた。むしゃぶりつく、という表現がぴったり合う。
じゅる、ちゅぱっ。くちゅ……ちゅっ、じゅぷ。
「つかさっ、もぉわたし、ほんとにだめっ」
「おねぇちゃん、わたしも、もうだめだよぅ」
つかさの舌の動きが速さを増す。お返しにと、私もつかさの熱くてびしょ濡れなそこを、舌で掻き乱す。
「あっ、イく、イっちゃう──」
「おねえちゃん、いっしょに、イこぉ──」
津波。ああ、今度こそ。
どうにでもなれ──……
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「……ああー。やっちゃった……」
爽やかさとは無縁の朝。
目覚めてまず、裸の妹が隣に寝ていることと、私も同様に裸であること、それから昨晩の出来事を思い出せば、そりゃ陰鬱にもなるだろう。
つかさが目を覚ましたらまずなんと声をかけようか、と考える一方、私は昨日なんとどうでもいいことで悩んでいたのだと笑いたい気になってくる。
解決策、というか何らかの答え、そういったものが導き出せた訳ではない。なんといったらいいものか……
「一発ヤったら、どうでも良くなった」
なんとまあいい加減な物言いだと、ツッコミたい気にもなるが、事実そうなのだから仕方ない。その点ではつかさに──
つかさに酒を勧めた姉に、感謝してやってもいい。
それに……もし、生涯の伴侶とやらが現れなかった暁には──
隣のつかさがもぞもぞと動き、目を擦りながら身体を起こした。
さてなんと言おう。「昨晩はお楽しみでしたね」とでも言ってやろうか。DQネタは通じるのか?
「おはよう、つかさ」
「おはよぉ。うー、頭痛いよぉ……あれ?」
一杯で二日酔いですか。弱い、弱すぎる。
「お、お姉ちゃん、なんでは、裸なの? ってあれ、わたしも裸だよ!?」
「え、あんたまさか覚えてないの?」
随分都合のいい脳味噌してんな、うちの妹は。
ダメダメな妹に昨夜の出来事を説明してやりながら私は、この子と一生一緒にいるのもいいかもな、と考えていた。
うん、まあ先のことは置いといて。
昨日、私の事を好きに蹂躙してくれといて、それを一切覚えてないつかさには「お仕置き」が必要よね。
(おわり)
272 :
18-19:2007/12/07(金) 04:21:49 ID:H7PNE4JW
以上です。
使用レス数書いてなかったよ。ごめんね!
不必要につかさが黒くてびっくりしました。
前編書いたときは甘々糖分100%を予定してたのに……
あと、前編の前半、全く必要ないよね。これね。
短くまとめる能力が無いんでしょうね。どうにかしてください。
なにぶん初めてガチエロを書いたもので、お見苦しい点があったと思いますがありがとうございました。
っていうかほんとにエロいのかこれ?
GJでした
酒が入ると黒化するつかさ……激しくいい!!
そして相手が強気に出ると何もできないかがみ
双子でというのはエロくていいですな
274 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/07(金) 06:29:18 ID:gp8AxUJe
ミスった。4-320です
>>272 読んでてなんだかドキドキしました。もちろん性的な意味で。GJ!
朝っぱらからちんぽ立った
どうしてくれる!
278 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/07(金) 11:37:23 ID:F6eaoSb2
>>272 GJ!
御心配なく、十分エロいですよw
前編リアルタイムで読んでたので、悶々とした気持ちが残っておりましたが、
それも今、消化できましたwww
お姉ちゃんから妹への「お仕置き」も期待したい!
ごめん、下げ忘れ;
『sageろカス』
『書き終わってから投下すれ』
「おれにも苦情が殺到した時期がありました。
初めて名無しで投下した時だったな」
「うわっ、兄貴それすっげー迷惑」
「悪かったな。あの時はここの常識が分からなくてな。
最初は『sageろ』の意味が分からなかった」
「確か『E-Mail』の欄に『sage』って書けばいいんだっけ?」
「そう。ただ、一般的なWEBブラウザや携帯だと、書き忘れる人も多い。
それに、ここはいつも人が多いから、アクセス規制で投下に時間が掛かる」
「だからみんな専用ブラウザ使ってんのか。これなら自動的にsageられるし、
アクセス規制の影響も小さくなるんだな」
「それにしても」
「なんだ?」
「専用ブラウザを『専ブラ』って略すと、何だか卑猥なイメージが…」
「………………」
「あ、あれ?ドン引きですか?」
「知ーらね、あやの、あんなエロ兄貴放っておいて遊ぼーぜ」
>>272 GJ!
いや十分エロかったですw
言葉責め中の真っ黒なつかさに惚れました
>>277 「抜いちゃえばいいと思うよ」
「ちょ、つかさなに言ってんの」
「違うよお姉ちゃん、そんな変態さんな(ピー)は引っこ抜いちゃえばいいって意味だよ♪」
「あぁー…っておい!」
くろ☆つか
全キャラ性別入れ換えらき☆すた見てええええええええええええええええ!
いやさ、さっきニコニコで「すた☆らき」と言う物を見てさ。
とりあえず性別入れ換え時のスペックとしては
こな太―――身長デカイ。スポーツ万能。オタク
かがみ―――ツンデレ少年。テンションの高いキョン。
つかさ―――純朴美少年系。中華一番とか焼き立てジャパンとか。
みゆき―――好青年。なぜか韓流風味。
いやさ、場違いなのは解ってるんだが妄想が膨らんでな。
というか、
「こなたが男ならハーレム…」
というのは既存だが、いっそ
「こなた以外が男なら…」
という想像をしてみないかね?
やっぱりかがみTSに関しては、おなじような妄想するんだなw
>>282 さぁ、早くそれを形にする作業に戻るんだ
BLは・・・勘弁だぜ orz
>>282 >こなた以外が男なら
みんなでこなたの取り合いかw でも、現状とあまり変わらない気がw
こなた以外男ってちょっと前にネタとして出てなかったっけ
みゆき兄さんイケメンすぎるw
>>286 無理なお願いとは思うが
全キャラ性転換してほしい…
あ、スレ違い?すまんごゆっくりぃ
>>272 つかかがどころか、かがつか分までもゲージをMAXにされてしまったぜ
自分もスランプから抜け出せそうGJ!!
男みゆきは昔の車田正美の漫画に出てきそうだ
あるいは金剛番長あたり
そしてウホスレへ
294 :
STRM:2007/12/07(金) 22:10:46 ID:A1uYMZAp
気がつくと二人は勉強してた。「あ、おはようかがみ。」「柊起きたか。」
って謝りもなしかよ!まあ勉強してるみたいだしゆるしてやるか、
でもあいかわらず間違いだらけね、「こなた、これの答えちがうわよ。あとこっちも。」
「え?あほんとだ。」「さすが柊やるな、」
「あたり前よ!て言うか、なにあんた答えみてるのよ。」「あ、ばれちった?」
はぁーこいつらは本当に将来大丈夫か?「じゃあこの問題の答えは?」
簡単な問題を出してみる<<聞いてない!!>>
「まじめにやれー」
fin
295 :
STRM:2007/12/07(金) 22:11:26 ID:A1uYMZAp
以上デス。
すいません。やっぱり上手く
できませんでした。
次回はもっと頑張りマス。
>>295 約21時間空き投下とは、これは新記録。
アカン…突っ込みドコロ満載や…っ……!
おもしろかったです
投下時間的な意味で
お前ら「大人は黙ってNG」って言葉忘れたのか
301 :
STRM:2007/12/07(金) 22:21:15 ID:A1uYMZAp
なにぶん学生なので時間の都合上
厳しいんデス
>>295 とりあえず、最低限のルールを飲み込めるまでROMってろ
クズ
>>301 クズは言いすぎだと思うが、半世紀ここに書き込まないで見るだけにしてほしい
>>301 学生?
「中」の文字を書き忘れてませんか
時間が無いからマナーを守らなくていいなんてことはない
せめて高校を卒業してマナーを身に付けてから来てください
こなた「みんなもちついて!スルーだよスルー!」
かがみ「まずはあんたが落ちつけ!もちついてどうする!?」
とりあえずあれだな、今でも新参の人はそれなりにいるようだし、その度にまたピリピリするのも
嫌だから、「メ欄にsage」「書きながら投下はしない(wordとかの有効活用)」くらいはそろそろ
テンプレに追加すべきだな。
ここって意外とスルーできない低脳多いんだな
らき豚なんてこんなもんか
皆さん落ち着いてください。
まずは、こなたさんの所有権を学力テスト順に決める、という事をしませんか?
今までとは質が違うよな
これじゃ一種の荒らしだ
>>309 学力テスト?!
そんな不公平なことはやめて、
50m先にちびっこをおいて争奪戦なんだってヴぁ!
>>301 前回注意されたにも関わらずサゲてない(理解してない)辺り、ろくにROMった事もないんだろう。
あと何、時間の都合上?
だったら直接書き込まず、空いた時間使って何らかにメモして
書き上がったらコピって貼ればいいだけの事。
時間云々よりも知能が足りない。
殺伐としてきたのう
誰か、お客様の中に心暖まるSSを投下できる方はいらっしゃいますでしょうか!?
お前ら落ち着け
もうすぐ冬休みだ
そういった手合いが湧く季節になったんだよ。
こなた「それじゃあ、私たちもそういう候補に含まれるってことだよねー♪( =_,_,=.)」
かがみ「なっ・・・!Σ(゚Д゚)」
>>311 料理のうまい順、っていうのはどうかなぁ?
昔、ニフティーサーブっていうパソコン通信があってだな、アニメなどのSSを書くための
フォーラムってのがあったんだ。
初めてSSを投稿しようと思ったとき、改めてその会議室を読んで、投稿する際のタイトルの
書き方や投稿の作法はどういうものか確認したあとに投稿したものだ。
無論、メモ帳に一通り書き上げて内容を確認してから投稿するのだよ。
投稿した後に間違いを見つけても直せないし、ちまちまあげてたら周りにも迷惑がかかるからね。
昔はそういうことを言われなくても自然に皆がしていたものだが、最近ときたらそれができない
人が多すぎる。
そんなことよりこんなにROMってる人がいたことに衝撃を隠しきれません
>>316 それは常時接続じゃなかったってのもあったんじゃないか?w
>>307 24〜25あたりを見返してまとめてみたのだが、こんな感じでいいだろうか
■みゆきさんの一言メモ
・投稿の際に、メール欄に半角英数でsageと入力すると、スレッドを上げずに書き込めます
『sage』では有効になりませんので、全角・半角を確認してください
・スレッドの閲覧・書き込みは、絶対ではありませんが専用ブラウザの使用を推奨します
これにより『人大杉』のエラーが回避できます
・SS投下は、一度メモ帳やワードパッドなどで書き上げてからまとめて投下してください
投下間隔があくと、他の方がレスできなくなってしまいます
このスレはROM多いよきっと
つか普段ROMってます
320 :
7-896:2007/12/07(金) 23:21:53 ID:8ceqAAMO
>>313 温まるというわけではありませんが
こういうときのために壊れネタを少しキープしてあるのです。
ところが運悪く規制に……
>>315 胸の……小さい順……が、いい
よく考えたんだけど、そこの透明くんみたいなKYは
テンプレに注意書き書いといても読むわけがないだろ
やはりIDNGに限る
>>320 txtファイルどこのロダにあげて携帯からアド貼ったらどう?
今回の規制長引いてるとこ多いから
規制の人向けに、したらばとかyykakikoとか何処か借りて避難所を作ってみるとかは?
どうもocnのほうは永久規制に入っちゃったみたいだから……
ロダに上げるより保管庫に上げてもらったほうが携帯厨に優しいです
>>323 永久規制は回避したって話は聞いたけど
それでも解除時期未定のようだが
専ブラと携帯からなので規制を知らないんだが
>>320 白石「胸…?じゃ僕が優勝ですね!僕が貰って行きますね!」
>>318 いい感じなのではないかと
…といっても、俺一人で決めるようなことではないが
>>321 読まない奴は読まないかもしれんが、それでも何もしないよりはいいんでは
ないかと思うがな。
初心者は、何も言われなければageとかsageなんてわからなくね?(自分の経験より)
>>326 そうじろう「それは、絶対ダメーっ!彼氏なんて認めましぇーん!
大体、胸の小ささだったら俺だって…」
規制食らってたけど解除されたかな?
sage云々はやり方載せればいいと思う。
ただ、書き込みに関してはキツい言い方だが、テンプレに書かなきゃ分からないようなら、最初から書かないで欲しい。
俺も書き手だから言わせてもらうけど、書き手っていうのは、自分の書きたいもの書いて、載せて、時には批判も受けたりするけど、GJ言われれば満足なはずなんだ。
だからこそ、書く側も、読む側もマナーを守る。っていうか、時間割いて自分のSS読んでもらってるんだから、こっちがキチンとマナー守るべきだろう。
最近、そういうのを分からずに、(乱暴な言い方すれば)自分勝手にSSを投下する奴がいるからホント情けない。
…まあ、そんな俺も以前、「先の時間に予告しすぎ」と怒られたんだけどなorz
長文ごめん。スルーも出来なくてごめん。言わずにはいられなかった。続き書く作業に戻るわノシ
>>326 はあっ!?あんたごときがナマ言ってんじゃないわよ!年齢の低い順でしょうが!
ではエロの練習のつもりで書いた切れ端でも・・・・・
・こなかが
・3レス
すみません
話し合いの途中でしたね
失礼しました
SSスレではSSが最優先。
投下しても問題ないぜ
正直、壊れネタ=こなフェチ病隔離用に避難所を・・・
だめだ、そんなことしなくたって勝手にバイオハザードなんだし。
338 :
330:2007/12/08(土) 00:08:50 ID:w+M3EcR+
俺が悪かった。だから、ガンガンいってくれ
>>332
随分スレが伸びていると思えば……(省略されました)
それはそうと、
>>332は投下しないのかしらん?
340 :
331:2007/12/08(土) 00:10:42 ID:ivGgkV1d
すみません、日記書いてました
それじゃあ行かせていただきます
寒さが本格化しつつある、ある日の冬。
かがみは泉家を訪れた。
「おーっす。寒いねー」
「いらしゃーい。さ、上がって上がってー」
セーターの上に半纏を重ねたこなたにうなずいて返し、階段へと進みかけるが、
「あ、和室行っててよ。コタツつけてるから」
「あ、うん」
台所に向かうこなたに制され、思い出した。
今日は彼女以外に誰もいないのだった。
勝手知ったる人の家。迷うことなく廊下を歩き、目的の部屋のふすまを開けて中へと入る。
エアコンでほどよく暖められた空気が、冷えた身体を包み込む。
「――ふぅ」
ほっと一息。
上着を脱いで、ハンガー等はないので適当に丸めて荷物とともに床に置く。
コタツに入って足を伸ばし、座り心地を確かめるように軽く身じろぎ。正座の姿勢で落ち着いた。
「うー、あったか……」
ぺたり、天板に頬を預けてつぶやく。
しばらくそのままぼんやりしていたが、聞こえてきた足音に反応して身を起こす。
「ふあー、台所は寒っむいねぇー」
開け放しておいたふすまを抜けてこなたが姿を現した。
両手に抱えたおぼんには、みかんの入ったかごと二人分の湯呑み。
「悪いわね」
「いやいや」
おぼんをコタツの上に載せ、ふすまを閉じるとこなたもいそいそと潜り込む。
かがみの向かいではなく左隣。
部屋の角に置かれたテレビを二人で眺める形だ。スイッチは入っていないが。
「生き返るねぇー」
先ほどのかがみと同じように、天板に顔を押し付けるこなた。
見事に平らに潰れたほっぺたが柔らかさを主張している。
緩んだ顔といい、丸められた背中といい、本当に猫のようだ。
ぴこぴこと揺れるアホ毛は、さながら尻尾か。
「……、もらうわね」
なんとなく生まれた気恥ずかしさをごまかすように、湯呑みに手を伸ばし取り寄せる。
緑茶。残念ながら茶柱は立っていない。
湯気を立てるそれに息を吹きかけ、一口。
「ほぅ……」
まろやかな渋みとほのかな甘みが喉を通り抜け、じんわりとした熱が胃の奥を中心に広がる。
かがみは思わず頬を緩めた。
それを見て、こなたはかすかに目を細める。
「かがみはさ、」
「ん?」
「冬は好き?」
唐突かつ脈絡のない質問にも、もう慣れた。
ん、と湯飲みを置き、少し考えて口を開く。
「そうねえ……寒いのは苦手かな」
「夏生まれだから?」
「ああ、そうかも」
ふーん、と、姿勢をそのままみかんに手を伸ばすこなたに、かがみは逆に問いかける。
「あんたは? 冬と夏」
「冬」
即答したこなたは、みかんの皮を剥くでもなく、手の中でもてあそんでいる。
「……ちょっと、意外ね」
「いや〜、クーラーが人類の至宝だっていうのに異論はないんだけど、
やっぱコタツの魔力には敵わないっしょ」
ようやくにして頭を起こし、こなたは無駄に力説する。どこからクーラーが出てきたのか。ため息。
「また何かのアニメネタか?」
「コタツ形式の冷房ってできないのかな」
「暑苦しいだけだろ」
やれやれ、とお茶をもう一口。
湯呑みを置いて、吐息で笑う。
「……ま、私もコタツは好きだけどね」
「でしょー」
くふくふと笑い、こなたはみかんを剥き始めた。
かがみもかごに手を伸ばしかけたが、なんとなくやめて、代わりにコタツの中へと引っ込める。
「そうね。コタツにストーブ。鍋料理とか、焚き火に焼き芋とか、あとお風呂もかな。
暖かいものが楽しめるって考えると、冬もいいかなって思うわ」
「人肌もね」
皮を剥き終えたみかんをそのまま置いて、こなたがつぶやく。
「え……」
いつの間にかコタツの中に滑り込んでいたその手が、かがみの左手を取った。
果物を触っていたためか、少しひんやりとしている。
「あったかいよ」
こなたからは、そうであろう。かがみの方は熱い湯呑みに触れていたのだし。
「ちょっと……」
「な〜に?」
笑いを含んだ疑問符とともに、もう一方の手も伸びてきて、やわやわと揉んでくる。
かがみの背筋に何かが走った。
「冬は、好き?」
「……まぁ」
「コタツは?」
「……好き、だけど」
「あったかいもんね」
「……うん」
いつしか冷たい感覚は消えうせ、むずがゆい暖かさに指先が包まれている。
むずがゆいが、不快ではない。
「あったかいの、好き?」
「…………ん」
「……私の手、あったかい?」
暖かい。
だがコタツの外で空気に触れている頬の方が、今は熱い。顔を背ける。
「こっち見てよ」
「っ……!」
妥協案として、目線だけを戻す。
こなたはいつものニヤニヤ笑いではない、優しい微笑を浮かべていた。
かがみの頬が熱を増す。
「みかん……」
「ん?」
「……食べないの?」
耐え切れなくなりそうで、話題を変える。が、
「みかんと緑茶ってっさ、あんまり相性よくないよね。あったかくないし」
「あんた、自分で出しといて――」
「だからさ、」
かがみの言葉を遮って、こなたは顔を近づける。
「今はまだ、だいじょうぶ」
「なに、が……」
分かってはいる。なら聞くなというのは、かがみには無理な注文だ。
少しだけ視線を下げると、はい正解、とばかりに猫口から赤い舌先がちろりと顔を覗かせ、
引っ込んだ。
「あったかいと思うよ?」
「……」
「あったかいの……好き?」
もはや顔全体が熱い。耳にまで及んでいる。
だから熱はもう十分――そうは、思わなかった。思えなかった。
「…………す、き」
「んふっ?」
蕩けたように微笑むこなたの顔がさらに近づき、目を閉じた。かがみも閉じる。
そして温もりが訪れた。
以上です
ありがとうございました
・・・・・エロになってねえorz
ってか書きかけのシリーズを早く仕上げろと
>>343 いやいや、ほのかにエロいよ!
こんなのもいいねえ。
GJ!
>>343 ち、ちくしょう…顔がニヤニヤしやがる……GJ!
>>343 味わいがある、温もりがある、ほんのり色香まである。いいねえ。ぐっじょぶ。
>>343 GJ!
ほんのりとした甘酸っぱさが堪らないw
>>330 「私がもらっていいのかな……?」
「だぁめ、ここは平等にこなたちゃんの絵を誰がうまくかけるかにしましょうよぉ」
ほのぼのするなぁ。GJ!
>>347 「あたし…。今までにないほど、やる気になってるッス!」
まさかのアンカ忘れorz
上の方は
>>343宛ね…。
ほんわかエロを久々に見た気がするGJ!
>>330 あれ?あきら様はなんでここにいるんですか?
ここは18歳未満はダメなはずですよ?
はいはい、おこちゃまは帰りましょうねー♪
ま、料理もそれなりにできますし…血は繋がってないほうが後々良いですからね!
感想ありがとうございます
まとめてですみません
えっと、最初に書いたとおり練習の切れ端なので
保管庫への掲載は遠慮させてください
キス以降の本番とか、ちゃんと書き上げてから改めて発表できましたら、
ということで、勝手ですがよろしくお願いします
ども、前回「春夏秋冬」を投下させてもらったものです。
だれも投下の予定が無いようであれば、数レスお借りしたいのですが。
3時まで待って、それから投下いたしますね。
3時になったので、投下しますね。
・今回で2回目の投下です。よろしくお願いします。
・約5レスほどお借りします。
・こなたとかなた
・非エロ
・もしも、かなたではなく、そうじろうがいなかったら……
・上記に伴い、原作と設定の違う部分がいくつかあります。
――――彼方まで愛を込めて――――
そう君、今日はあなたの誕生日。
あなたがいなくなってから今年で17回目の、誕生日。
出会ってから数えるともう、何回目になるのかしら?
赤ん坊だったこなたも、もう18になったのよ?
時の流れは早いよね。
あなたにも見せてあげたいな、私達の大事な娘の姿を……。
ずっと小説家になることだけを志して必死に生きていた、そう君。私の大事な旦那様。
私は時に優しく、時に厳しくあの人を守ってきたつもりだ。
だけど、貧困な生活はそれなりに長く、食生活の貧しさからか、知らないうちに、そう君の身体は病に侵されていた。
19年前。大きな賞を貰って、出版が決まった。あの時のそう君のはしゃぎかたったらなかったよね?
もう、本当に小さな子供みたいに飛び跳ねて。ふふふ、私も一緒になって飛び跳ねたんだけどね。
その年の内に私は赤ちゃんを授かって、何もかもが上手くいくと思ってた。
けれど、そう君の身体を蝕んでいた病魔は、私達の幸福を奪い去っていく。
それでも、そう君は必死になって小説を書いていた。
「俺は小説家だ。小説には印税ってのがある。お前達に迷惑をかけないためにも、
俺は腕を動かすことが出来なくなるまで、何本でも書き続ける」
春になって、柔らかな風と共にこなたはやってきた。
名前は、私の名前「かなた」と対を成すようにって、そう君が決めたんだよね。
同じ総合病院で家族そろって一緒に入院なんて、笑い話にもならないよね?
だけど、それはそれでよかったのかもしれない。
そう君は自分の病室を抜け出して、私とこなたを毎日、抱きしめてくれた。
それからすぐに私とこなたは退院して、今度は私達二人がそう君を抱きしめるため、毎日病院へと通った。
家族三人が共に過ごしたのはそれからたったの1年間だけ。
こなたの身体の調子が悪いとき以外は必ず、お見舞いに行った。
辛くって、悲しくってどうしようもなかったけど、少しでもあなたと一緒にいたかったから。
春になってすぐに、そう君は還らぬ人となった。
お医者様の見立てでは予想されていた死期よりも1年以上存えたのだと言う。
ずっと分かっていたことだから、泣かないと思ってた。
覚悟していたから、泣かないように我慢した。
私達は、ほぼ駆け落ち同然でここまで来たよね。
私の両親はそう君の事を毛嫌いしていたから、とても話をする気にはなれなかった。
けれど、そう君は知らないうちに田舎のご両親に連絡を取ってくれていたらしく、その日の内にお義父さんが病院にやってきた。
お義父さんは何度も私に頭を下げて謝ってくれる。でも、別にお義父さんが悪いわけじゃない。不幸な女とも思われたくない。
少なくとも私にとって、そう君と過ごした時間はとても幸せだったよ。
その後、通夜や葬儀の話、今後の話。それから、実際の通夜とか、親戚への挨拶とか……。
正直、その辺は覚えてないのよね。ずっと、コップいっぱいに注いだ水のように、いつ零れてしまうかも分からない、そんな状態だったから……。
全てが終わって、何日かぶりに我が家へ帰った日のこと。
そこは、そう君との思い出がいっぱい染みこんでいて……。
ついにコップの水は溢れ出してしまった。
疲労や不安、そして悲しさや悔しさが綯い交ぜになって溢れてきたよ。
私は泣いた。一晩中、泣いた。こなたもつられて泣いた。
泣いてるこなたを抱きしめて、涙を流すことを止めた夜。
翌朝、気がつくと、こなたは私の頭を優しく撫でてくれていた。
私はそう君のためにも、きっとこの子を立派に育ててみせる。そう強く誓った。
生活自体はそう君のおかげで安定していたよ。そう君の出版したいくつかの小説の印税が主な収入源。
それに私のパートのお給料を足せば、こなたと二人、なんとか暮らしていけた。
そう君は二人で実家に戻れって言ってたよね?
だから、怒られちゃうかもしれないけど、その時の私は誰にも頼りたくないと思ってたの。
天国で私達を見守ってくれてるはずのそう君に心配をかけたくなくて、一番不安な方法をとってしまった。
バカだね、私。
それから私は、アパートと保育園とパート先を行ったり来たりする日々がずっと続いた。
こなたはそう君によく似て、なんにでも興味を示す、好奇心旺盛な子だったの。
保育園の帰り道には、その日の出来事を一生懸命に話してくれるあの子が微笑ましくて、
それを見るだけで、辛さや悲しさはどこかに消えていった。
そう君譲りの泣き黒子も癒しの一つだったわね。
数年が経ち、こなたも小学生になった。
前と比べると、なんとなく笑顔が減った気がしたけど、とても強い子だなって思ったよ。
お父さんがいないことを寂しく思わず、強く育ってくれてた。
私はそれに安心したのもあるけど、大きくなっていろいろ入り用なものも増えたし、
パートの量を少しずつ増やしていった。
中学に入り、こう、個性が出てきたっていうのかな?
私としては不満だったけど、あなたと同じで、ゲームやアニメにハマり始めたみたい。
「みたい」っていうのは……。
その頃から、こなたと私は会話が減っていったから……。
笑顔を見ることも徐々に無くなっていった……。
こなたが3年生になった頃、ついに私達の間の会話は消滅した。
あの頃の私はいつもこなたの部屋を開けることが出来なかった。
毎日、毎日こなたに怯えながら生きていた。
無表情で無感動で何を考えているのか分からない。
できる限りのことはしたつもり。
パートが終わり、帰宅するのはいつも夜9時ごろ。
アパートの前で部屋を見上げると、ウチだけが真っ暗だった。
唯一、あの子の部屋のディスプレイだけがぼんやりと淡い光を外に放っていた。
私は、それを見るたびに深いため息を吐き出す。
「ただいま〜。こなたー、今帰ったわよー」
「おかえり」の声は、いつも無い。
静まり返る部屋に私の声が吸い込まれていく。それがとてつもなく、悲しかった。
パート先で貰った、残り物の惣菜をおかずに、一人遅い晩御飯を食べる。
時折トイレに向かうこなたを見かける以外、何の接触もとることは無かった。
こなたが話してくれなかったことは寂しかった。
こなたが笑ってくれないことが悲しかった。
そう君がここにいないことが、何よりも辛かった。
そして、一眠りして朝を迎えれば、また同じ日常が始まる。
私は必死に働く、こなたを守るために。
お金が無くちゃ、生活できない。お金が無くちゃ、何も出来ない。
お金さえあれば、そう君は……。お金さえあれば……こんな思いする必要はなかったのに……。
ある日、パート中に体調を崩して急遽、帰宅したことがあった。
家に帰ると、カギが開いている。
不思議に思った私は玄関を恐る恐る開いて、中を確かめる。
すると、そこにはある筈のないこなたの靴が脱ぎ散らかしてあった。
正午を少し回ったくらいの時間。
本来なら学校にある筈のこなたの靴が目の前にある。
私はこの状況をしっかりと理解できないまま、自分の身体の調子も忘れてこなたの部屋へと走る。
「こなた!」
電気の消えた部屋はカーテンで閉め切られ、薄暗い。
その中にディスプレイの灯りで顔を照らされたこなたが、ぽつんと座っていた。
「なあに? おかあさん?」
「あなた……、学校は……?」
沈黙。カタカタとキーボードを叩き続けるこなた。
「つまんないから……、帰ってきたんだよ……」
気のない、感情のない返事。
うっすらと見える横顔には生気のかけらも無く、こちらに向く様子もない。
表情からは何も伝わってこない。
視線を下ろすことなく手だけがカタカタと音を立てて動いている。
私の中に何か分からない感情が生まれた。
いや、最初からそこにあったのだと思う。
それが、今、膨れ上がり、破裂した。
頭に血が上り、体温が上がる。吐き気に襲われ、汗がにじみ出る。
――――パシーン
パソコンとキーボードを叩く音が小さく流れる部屋の中に、大きな破裂音が響く。
私はその日、初めてこなたを、叩いた。
「痛いよ、おかあ……」
「なんで分かってくれないの!お母さんこんなにがんばってるじゃない!?」
頬に手を当て、言葉を言いかけた娘を遮り、私は続ける。
「お父さんがいなくて辛い思いもさせた。そのために私が働きに出て寂しい思いもさせた。
だけど、生活に不自由をさせたことは無いし、なんでも与えてあげたじゃない!
あなたには立派に生きていって欲しいから、立派な大人になって欲しいから……。
だから、私こんなにがんばってるじゃない!なんで、分かってくれないのぉ!?」
私は思うままのことを吐き出し、その場に蹲った。
涙が溢れてくる。
自分の苦労が伝わらない悔しさ。
女手一つで育ててきた疲れ。
若さゆえに、遊びたい時もある。それさえも押し殺してきたストレス。
その全てが綯い交ぜになり、一気に押し寄せる。
醜かった。自分で自分の事が嫌になり、とてつもなく醜く感じた。
そう君、ねぇそう君!あなたは何で逝ってしまったの?
なんで、私を残して、逝ってしまったの?
「ばか――――」
パソコンから漏れ出るファンモーターの音が耳に残る、この虚無的な空間に、こなたの声が響く。
はっとして顔を上げる私。
「ばか……、ばか……、ばか、ばか! お母さんのばかー!」
こなたが泣いてる。
ずっと、無表情で、何の感情も見せなかったこなたが、泣いてる……。
「私、一度でもお父さんが欲しいって言ったことあったかなぁ!?
私、一度でもお母さんにそんなわがまま、言ったことあったかなぁ?」
こなたは小さな肩を震わしながら、私に近づいてくる。
計算間違いです。後4レスほど頂きますorz
「ねぇ、お母さん。私は、私だよ? 泉こなただよ?
お母さん、いつになったら私のこと見てくれるのさー!?」
――――えっ!?
「ちゃんと見て、私を見てよ、おかあさん! 私はお父さんの替りじゃないんだよ!?
私はお母さんの子供なんだよ!? 泉こなたなんだよ!?」
小さいと思っていたその両手は、いつの間にか私と同じくらいの大きさになり、
掴まれてる肩に入れられた力も、もう子供のものじゃない。
この子はちゃんと育ってる。こなたは立派に育ってる。
なんで、気がつかなかったんだろう、そんなことに。
何の為に私はがんばっていたんだろう……。
私はいつ、この子を置き去りにしてしまったんだろう?
そんな疑問と後悔が湧き上がり、再び涙が溢れ出す。
こなたの腕を払いのけて、今度は私が抱きしめる。
うん。育ってる。大きくなってる。
でも、まだまだ小さいこなた。こんなに小さいこなたは、こんなにたくさんの不安を抱えていた。
知らず知らずのうちに私が植えつけていった不安。
頬を寄せ合い、互いに嗚咽する。
涙と涙が混じりあう。それはとても暖かい。
あの人がいなくなってから14年間、感じたことの無かった暖かさ。
ごめんね、そう君。私、ダメな母親だったわ。
あなたがいなくちゃ何も出来ない、ダメな母親だわ。
でも……、でもね、そう君。
これからはきっと大丈夫。私にはこなたが、いるから。
あなたの残してくれた……ううん、あなたと私の大事な子供。こなたがいるから、大丈夫。
私達二人、きっとうまくやっていける。そうだよね?そう君。
「ごめんね」
ようやく出すことの出来た言葉はたったのそれだけ。
でも、こなたは何度も何度も頷き、私にしがみついていた。
その日、私はこなたと一緒に寝ることにした。
床に布団を敷き、枕を三つ並べて、真ん中にこなたをその横に私。
反対側は……言わなくても分かるよね。
こなたは初めて学校のことを話してくれた。
友達は少ないみたいだけど、決してさびしくは無いって。
学校をサボってよく先生に怒られるって。
でも、その先生は優しくしてくれるって。
そういえば、中学になってから一度も学校へ行ったことが無かった。
今度、お礼代わりにあいさつに行かなきゃ。
取り留めの無い話をしているうちに、こなたは私にしがみついたまま眠ってしまった。
私はこなたの為に生きていかなきゃ、こなたの為にがんばらなきゃ。
そう君じゃない。一人の人間として、私の大切な娘、泉こなたを守っていかなきゃ。
その為なら、助けてくれるよね、そう君――――
「お母さん! 大根がぁー!」
「へ?」
こなたの声にびっくりして飛び起きる。
鍋を覗くとお湯は蒸発し、大根は絶体絶命のピンチ。
うそ!? いつの間に眠っちゃってたんだろう!
「あ、ああっ! どうしようっ!? み、みずーっ! こなた、みずちょうだーい!」
寸でのところで、大根は無事、救出された。
こなたは呆れ顔で、お母さんには任せられないって必死に仕上げをしている。
私は、テーブルに軟禁され、そう君の書いた本を開く。
台所に立つあの子を見てると、さっきまで考えていたことが嘘のように思えてくる。
いまだに、アニメやゲームは大好きだけど、家の中はいつも会話と笑顔で満ち溢れている。
こんなにも私を暖かくしてくれているのはこなたのおかげ。
そんなことを考えて、後姿を眺めていたら、こなたは急に振り返って、私に問いかけてきた。
「ねえ、お母さん。お父さんってどんな人だったの?」
私はその言葉に、心臓が飛び出るかと思うほど驚いた。
そうだった、この子には何も聞かせてなかった、そう君の事を……。
私は何も言わなかった。言うと、余計にこの子は寂しがってしまう、そう勝手に思い込んでいた。
それに、本人から聞いてくることも無かった。だから、なんとなく有耶無耶にしてしまっていた。
だけど、やっぱりそれは違うね。教えてあげなきゃいけないんだよね?
ねぇ、そう君。そう君の事、何から話したらいいかな?
「私、お父さんが手羽大根を好きなこと以外、何も知らないのは、ちょっと寂しいよ〜」
「ふふふ、そうねぇ〜……」
こなたにそう君のことを話す前に、お誕生日おめでとう。
今年も、私とこなたの笑顔を受け取ってね。
了
エピローグ
「ねえ、こなた」
「ん? なあに? お母さん?」
食器を洗いながら頭だけでこちらを向く。
こちらに振り向いて、結い上げた髪の毛がふわりと揺れる。
「そんなに邪魔なら、切っちゃえばいいんじゃない?その髪」
人のこと、言えた義理じゃないんだけどね。
でも、あの子は何もいわず、ずっとあの髪型のまま。
私と同じ青い髪を、長く長く伸ばしてる。
「あはは、なんでだろうね?」
いたずらっぽい微笑をして、空いたほうの手で髪をくしゃくしゃと触ってみせる。
そしてまた、こなたは黙って洗い物を再開した。
「え?教えてくれないの?」
「あはは、教えないよ〜」
「なによ、けちんぼ!」
「お、お母さん、それ、禁則事項……」
こなたが猫口で頬を掻く。私はそんな顔できないわ。
「……これはね、お母さんとずっと一緒にいられるおまじないだよ」
片づけを終え、タオルで手を拭くと、こなたが降りてくる。
頬を赤らめて、手を後ろに回した。
リボンを解くと、真っ青にきらめく長い髪が舞い散る花びらのように広がった。
恥ずかしいわね、そんな嬉しいこといきなり言うもんじゃないわ。
「それと……」
「え?まだあるの?」
ゆっくりとこなたが窓の外に視線を動かす。
私もつられてその方向を見つめる。
「お母さん、今、幸せ? お父さんいないけど、幸せだよね?」
「え? うん、そうね、幸せ、だね……」
「だから、伸ばすの……」
その瞬間、少しだけこなたが大人っぽく見えた。
親バカじゃなく、とってもきれいな横顔……。
「空の上からでも、私が分かりますように……。
いつか、お母さんとお父さんみたいな、素敵な出逢いに、巡りあえますように……」
こなたの横に立ち、肩を引き寄せる。
二人で窓の外を眺めながら、星を探す。
こつんと頭を寄せてくる、こなた。
此方から愛を込めて。届いていますか? そう君?
彼方まで愛を込めて。届いているよね? そう君――――
終
ああ、本当にすみません。大幅にレス数オーバーした挙句、
途中から名前欄が空白にorz
またROM生活に戻ります……。
ストーリーとしては、かなたではなく、そうじろうがいなかったら、こなたはどうなったのか?
という疑問からの発展です。
こういうのは鬱系統になるんでしょうかね?
ちょっと暗めですが、こなたとかなたの二人が絡むとこうじゃないかな〜と思い書いてみました。
それでは、また ノシ
リアルタイム遭遇!GJです!次回も楽しみにしとりますよ〜
>>354 なんという清涼感。
GJであります。
すみません、初めての投稿したいのですが、規制受けているのとUPの容易さから、
HPのスペースにテキストファイルをUPしてurl貼り付けしてもよろしいでしょうか?
大佐(住民の方々)、指示をくれ! 下さいorz
(当方、規制中なので携帯からのアクセスです)
>>343 甘いしほのかな色気も漂い…ニヤニヤが止まらないじゃないか!
GJ!!
>>364 なんというか…素直にいい話だと思ったのですよ。
>>358から目頭が熱くなっちゃってなっちゃって…。
GJ!
GJ
ところで手羽大根って前に他のSSでも出てたけど
公式設定にあるの?それとも偶然?
このスレに慣れてしまうと他のスレが遅く感じるのはなんでなんだぜ?
>>364 やべえ、これ見た後「幸せ願う彼方から」を聴いてたらじんわり涙出てきた
どう責任取ってくれる!!
めちゃくちゃGJです
>>366 とりあえず、専ブラ入れて投下が推奨
無理ならその手段も可
思い切って初めからwiki投下もありかななんて思ったり。
専ブラが使えない人への投稿に関しても決めたほうがいいかも
>>368 手羽大根の初出は"てけてけかなたさん"でいいのかな?
自分の脳内では公式設定化されているけど
ちなみに、公式設定ではみゆきさんは鼻血吹きません
おはようございます!
うわーなんか、こんなにたくさんのGJありがとうございます!
まとめてで申し訳ありませんが、本当に読んでいただきありがとうございます!
で、あとがきに書き忘れたのですが、
「手羽大根」は
>>371さんの言われるとおり、「てけてけかなたさん」からの引用です。
勝手に引用させて頂き申し訳ありませんでした。
感動と衝撃の大きさのあまり、自分も脳内公式設定になってますwww
それでは、また ノシ
>>369 GJっす!
双子具合が特にGJっす!
>>364 そういう展開で来たかー!GJ!
>>369 ちょっと加工してエヴァのOPみたいにしたくなったw
貴方とゆー人は真っ昼間からなんちゅーモンを!!!!!
ぐっ…じょぶ… (バタッ
ちょwなんつー兵器をwww
しかもゆーちゃんが端っこにwww
ヽ(゚∀゚ )ノ ひゃお〜♪スバラシー!サイコー!!!
こなたの恍惚とした表情
かがみの股間に伸びる手
つかさのトロンとした目
みゆきの柔らかそうなオッパイ
そしてさり気にいるゆーちゃんw
萌エロ要素満載ですな。感服。
>>366です
>>371 ダーウィン使っているのですが、規制に対して有効な●を買う必要がありそうなので、
近いうちにカード作るつもりですが、書き込む予定がここだけなので揺れています。
とりあえず、出来たものを溜めておくと体に異常をきたしそうなので、今回はurl貼り付けでご容赦を。
あらためまして、風見鶏と申します。
真面目に文章を書くのは初めてですので、見苦しい点も多いと思いますがどうか御勘弁さい。
上手な方のように美しい百合の表現は出来ませんが、
自分なりにらき☆すたにおける『だいすき!』を込めてみました。
・こなたとかがみ、そしてつかさのお話です。
・自分の性癖を吐き出したけど、これは……エロになるのかなぁ……
・ある意味病んでいるかもしれないのでダメな人はスルーして頂けると助かります。
・お前は病気って罵られると喜ぶ勢いで。
『もっと! キスしよう!』
http://www4.ocn.ne.jp/~mikomoe/temp/mottokisusiyou.txt
>>371 今全鯖でocn規制がされてるんだけど、これは専ブラ入れても回避できないですよ(人大杉には対抗できるけど)
規制中に書き込もうと思ったら●買わなきゃいけないんでそこまで求めるのは酷かと
100円/年で規制回避できるp2というものもありますよ
ttp://p2.2ch.net/ 10モリタポ=1円で、モリタポは自分で買うことはもちろん他人から貰うこともできる
>>379 なんというGJ
つかさのエロさに全俺がくるいもだえるのだ、悦びでな!
383 :
22−468:2007/12/08(土) 14:49:02 ID:XBwKbZf4
>>379 めっちゃGJです。
最後のハンガーにこなたのズボンが掛っているシーンには吹きました。
(今、PCの画面を拭いています)
こんにちは。22−468です。
前スレで「ナンパなこなた」を投下させていただいた者です。
続きが出来上がったので投下させていただきます。
注意事項など
・こなた&かがみでつかさが割り込んでます。
・6レス使わせて頂きます。
・エロ無しです。
※前スレの続きになりますので、御覧になっていない方はスルーして頂いた方が良いかもしれません。
こなたを追いかけて、つかさと一緒に泉家へ向かっている途中、私は違和感を覚えた。
「おかしいわ」
「何が?」
「こなたの様子よ。つかさやまつり姉さんに、あんな事言うなんて有り得ないわ」
「う〜ん・・・」
隣でうんうん唸っているつかさも、様子が変だったのよね。
まるで私を挑発しているみたいだったわ。
普段のつかさなら、挑発するなんて事は絶対にしない。
「ねえ、つかさ。こなたが迫ってきた時の状況を詳しく聞かせて」
「あのね、こなちゃんが近寄って来た時、甘〜い香りがして。そしたら気が遠くなったの。
まるで夢を見ているみたいに。気が付いた時にはお姉ちゃんと一緒に玄関に向かってた」
つまり、こなたと一緒に居た時だけ記憶が曖昧って事よね。
原因はこなた?
でも私は平気だったわ。平気だったわよ・・・たぶん・・・おそらく。
ちょっと取り乱しちゃったかもしれないけど。
いや、今は私の事なんかどうでも良いわ。
それで、こなたが原因なら一体何が起こったのかしら。
つかさが言ってた『甘い香り』っていうのも気になるのよね。
匂い付きの睡眠薬をつかさに嗅がせた?
でもそんな事をされたら、さすがのつかさでも分かるわよね。
匂いって言えば、こなたは昨日のお香を処分したのかしら。
「お姉ちゃん。着いたよ?」
「へ?」
本当だ。いつの間にか、こなたの家の前だわ。
“ピンポーン”
『はい、泉です』
「あ、こなた?私だけど入っても良い?」
『うん、カギ掛かってないから勝手に入ってきて良いよ』
物騒だな。
そんな事を思いながら泉家の玄関に入ってみると、靴が一足だけしか置いてないのに気付いた。
おじさんとゆたかちゃんは出掛けてるみたいね。
「こなたー、入るわよ」
こなたの部屋に入った途端、立ち込めてきた匂い。
忘れもしない、脳天に直撃するほどの匂い。
「臭!ちょっとこなた。お香捨てなさいって言ったでしょ!」
「え〜、だって勿体ないじゃん。良い匂いなのに」
「そうだよ、お姉ちゃん。甘い匂いがして私は好きだよ」
あんたは黙ってなさい。
「勿体ないとか、そういう問題じゃないでしょ!」
机の上で『これでもか!』と言わんばかりに煙を発しているお香へ、都合良く脇に置いてあったペットボトルの水をブっ掛けてやった。
絨毯が濡れてしまったのは御愛嬌。
「お香を消しても部屋の中が・・・こなた。ファブリー○とか持って・・・」
「こなちゃん♡」
「つかさ♡」
えーと、ちょっと待って。私は冷静よ、私は冷静。
振り返ったらこなたとつかさが抱き合ってて、ウットりとした瞳でお互いを見つめ合ってて、私なんか蚊帳の外に居るみたいだけど。
でも、私は冷静よ。
「こなちゃん、好きだよ」
“ピクッ”
つかさも冗談が上手いわね。それは私に対する当て付けなのかしら?
「嬉しいよ、つかさ」
“ピクピクッ”
こなたまで一緒になって。冗談が過ぎると酷い目に会うわよ?
いくら私でも、そろそろヤバいんだからね!
「私も、つかさの事が好きだから」
“ブチッ!”
いい加減にしなさいよ、二人とも!
黙って見てれば、やりたい放題。私も混ぜないさいよ、って違う!何考えてるのよ。
兎にも角にも二人を引き剥がさなきゃ。
二人の傍に移動しようとしたら、足もとに置いてあった箱を蹴ってしまった。
「何だろ?」
拾い上げた箱には『泡妞香』と書いてある。これって、お香の箱よね。
お香?
お香を嗅いだ時、つかさは『甘い匂い』と言って、こなたは『良い匂い』と言ったわよね。
つかさは、お香を嗅ぐまでは普通だったわ。
まさか、このお香が原因かしら。
「お香の説明は・・・箱に書いてあるけど中国語だから読めない」
でも、こういう物って和訳された説明書が何処かにあるハズよね。
箱の中を探してみると、やっぱり有った。和訳された説明書。
「えーと、なになに」
『このお香は嗅いだ時の感じ方で効能が分かれます
@臭いと感じた場合、特に効き目は有りません
A気持ち悪いと感じた場合、天の邪鬼になってしまいます
B良い匂いと感じた場合、ナンパ野郎になります』
そうだったのね。だからこなたは、つかさやまつり姉さんをナンパしてたのね。って、納得している場合じゃ無いわ。
お香の効能を無効化する方法は・・・あった。
『水を掛ければ治ります』
水を掛ければ良いのね。
「こなた、つかさ。治す方法が分かっt」
私はそれ以上、言葉を発することが出来なかった。
こなたがつかさをベッドの上に押し倒して、二人の唇が今にも触れ合いそうだったから。
だから私は、何かを言う前に体が動いていた。
「ダ、ダメー!」
“ドシン!”
「ふぎゃっ」
そして、こなたを思いっきり突き飛ばしてしまったけど不可効力よね。
「こなちゃん、大丈夫?」
「こなたなら大丈夫でしょ。格闘経験者だから」
「でも、白目むいてるよ」
「あー、大丈夫でしょ・・・たぶん」
後で謝らないといけないわね。
「そうだ!こんな時はキスすれば目覚めるかも」
はあ?何を言い出すのよ、この子は。
「こなちゃん。目を覚まさせてあげるね」
あんたがするのかよ。って、つっこんでる場合じゃないわ。つかさもお香が利いてるのよね。
私は風呂場でバケツに水を入れて、それをこなたとつかさ目掛けて勢いよく掛けてやった。
その姿はまるで消火活動をしているようで、他人の家でやる事では無いけど、
今はそんな事に構っていられないし、なにより心の中がスッキリしたから良しとしましょう。
「冷た!」
「ひゃぁ」
ビショ濡れになった二人が、呆けた瞳で私を見てくるあたり、状況が理解できていないようね。
「目ぇ覚めた!?」
「かがみ?何がどうなって?っていうか何でベッドとか濡れてるの?」
「お姉ちゃん。何で私、服とか濡れてるの?」
やっぱり説明しなければならないようね。
私はお香の所為でこなたが女好きのナンパ野郎になってしまった事を成るべく簡単に説明してあげた。
「そんなマンガみたいな事、有るわけないよ〜」
「いや、現に有ったんだけど」
いつも漫画とかゲームとか二次元に引き籠ってる割には信じないわね。
「お姉ちゃん。私も?」
「うん、まあ。そうよ」
「そっかー」
安心したような残念なような溜息交じりに話すつかさを見て一抹の不安がよぎった、が
「あーーー!」
こなたの悲鳴で、そんな思考もぶっ飛んでしまった。
「どうしたのよ、こなた」
「VistaにしたばっかりのPCが、PS2が、ビデオが、TVが・・・水まみれに」
ヤバい。
「ほ、ほら。それは、ね!こなたを正気に戻す為だったんだから。その・・・ごめん」
「・・・そうだよね。かがみは私の為を思って、やってくれたんだよね」
あれ、怒ってない?
「私達だけに水を掛ける事も可能だったけど」
うっ(汗)
「一番遠いTVに掛ってるのも謎だけど」
ううっ(汗々)
「何よりDドライブのデータが飛んでる事が一番きついけど、かがみは私たちの事を思ってやってくれたんだよね」
うううっ(大汗)
相当、怒ってるわね。仕方が無い
「分かったわ。こなたの願い事を一つだけ叶えてあげるわよ」
「ほんとう!」
もう機嫌が治ってる。
「ただし、水が掛った物を買い直せとかは無理よ」
「そんな事、言わないよ」
『クフフ』と笑うこなたを見て、とんでもない事を言ってしまったと気付いたが、時既に遅し。
「こっち来て、かがみ」
「何よ?」
手招きするこなたに近寄った次の瞬間。濡れた手の平が私の頬に充てられて、こなたの顔が近寄って来た。
『こなたにキスされる!』と分かり
『キスする時は目を瞑るんだっけ?』とか
『私もこなたの頬に手を当てた方が良いかな?』とか
『最初はフレンチキスで、徐々に・・・』とか
1秒にも満たない間に考えられるキスの作法(?)を思い浮かべ、こなたの唇の感触を待っていたが、
感じた感触は無機質な冷たさで、目の前にはこなたの顔ではなく週刊テレ○ジョンが私の瞳に映っていた。
つまり何者かの手によって、キスする直前だった私とこなたの顔の間に雑誌が滑り込んできた。
結論から言うと私のファーストキスはお預けとなったのよね。
そして『何者か』が誰かというと、勿論つかさしか居ないわ。
「つかさ?」
私の心情を読み取ってくれたこなたが、つかさを疑問形で呼びかけた。
「えっとね、あの。こういう事は二人っきりの時に・・・えっと、ごめんね」
何故つかさが謝るのか分からないけど、私もつかさの意見には同感だわ。
「そうよ、こなた。つかさが居るんだしデリカシーの無い行動は止めてよね」
「つまり二人っきりの時だったら何しても良いってことかね?かがみんや」
「ちっ・・・ちがーう!」
真っ赤になった私に絡みついてくるこなたを引き剥がそうとするが、全く離れない。
だって、全然力を込めてないもの。
「それより、こなた。お香は捨てなさいよ」
「そうだね〜、このお香には酷い目にあったから。今度はアキバで買った謎のアロマテラピーを試してみるよ」
「いい加減にしなさい!」
夕日の中、家に帰るため駅に向かって歩いている途中、私は泡妞香の説明書をつかさにバレない様に除き見た。
それは何度見ても変わらない説明文。お香の効能についての説明が書かれていた。
『C甘い匂いと感じた場合、秘めた恋心を相手に伝えたくなります』
それって、つかさはこなたの事が好きってことになるのよね。
「今日は色々あったね、お姉ちゃん」
「そ、そうね」
「今が夏で良かった。歩いているうちに服が乾いたから」
「そうね」
ねえ、つかさ
つかさもこなたの事が本当に好きなの?
もし、つかさもこなたの事が好きなら
私は、どうしたら良いのかな?
つかさの気持ちに気付いていない振りをして、こなたと付き合い続ける?
無理よ、そんなの
つかさの事だから、私達を気遣って絶対に自分の想いを打ち明ける事はしない
そして、私とこなたが深く愛し合えば、つかさの心は深く傷付いていく
私は、どうしたら良いのかな?
390 :
22−468:2007/12/08(土) 14:56:49 ID:XBwKbZf4
以上で完結しました。
読んで下さった方、ありがとうございます。
前スレから時間が経ってしまい、もっと早く投下できれば良かったのですが・・・
>>390 GJ-U!
こなかが+つかさと言う大好物が連続で読めるとは……
続編を希望せざるを得ない
>390
激しくGJです。
この3人のお話は大好きです。
軽妙なコメディを楽しませていただきました。
最後は一転して…… ここでぐっと締まったような感じがします。
他の方で投下予定がなければ、投入いたします。
393 :
23-251:2007/12/08(土) 15:55:39 ID:qwixpDCe
「星に願いを」
第13話
・こなかが入れ替わり(かがみ視点)
・続き物
・エロなし
13.
窓から眩いばかりの日差しが瞼に飛び込み、小鳥のさえずりが
微かに耳朶を叩く。
時計を見ると7時20分を指している。
パジャマ越しに伝わる、ぬくもりに気がついて隣を見ると、
小早川ゆたかちゃんが静かに寝息をたてて眠っている。
抱きしめたくなってしまうくらい、愛らしい寝顔だ。思わず
食べたくなりそう、いや―― 食べちゃったか。
眠気の残滓を振り払い、身体を起こしながら、未だ寝ている
ゆたかちゃんを揺り起こすと、瞼を何度も瞬かせてから、『こなた』
の姿になっている私の顔を見上げた。
「あ、こなたお姉ちゃん!? 」
「おはよう」
「あっ、ごめんなさい。かがみ先輩」
ゆたかちゃんは、私とこなたが入れ替わっていることに気がつくと
顔を真っ赤にした。
「あ、あの、昨日は…… 」
しばらくもじもじしながら俯いて、蚊の鳴くような声で言った。
「ご、ごめんなさい」
「ゆたかちゃん! 」
私はちょっと口調を強める。
「入れ替わったことは謝らないでね。結構、面白い経験なんだから」
「は、はあ」
「あと、夜は激しかったわよ」
ゆたかちゃんに向けてウインクひとつ。
羞恥で顔を赤らめながらも、ゆたかちゃんはコクリと頷いた。
朝食をとってから外に出ると、雲ひとつ無い青い空が頭上に広がっている。
風がほとんど無い為か、寒さはさほど感じない。吐き出す息が白くなる
季節はもう少し後になるだろう。
私が『こなた』になっても、こなたが『私』になっても、地上の営みは
何ら変わらない。
校舎でゆたかちゃんと別れてから、こなたの教室に足を踏み入れる。
座席を見渡すと、みゆきがいて、つかさがいる。
「おはよ」
「おはよう。『こなちゃん』」
つかさの顔を見ただけで、私は驚いた。
昨日と打って変わって、底抜けに明るい。表情に確固とした自信が
満ち溢れているようにみえる。
「泉さん。おはようございます」
一方、みゆきは、いつもと変わらぬ穏やかな笑みを浮かべている。
こなた達と一緒のクラスになりたいと思ったのは、一番大切な
親友達がいるからだ。
お昼休みになると、『私』の姿をしたこなたが教室に入ってきて、
4人でお弁当を広げる。
昨日とは異なり会話が弾んだ。
理由は、つかさが弾丸のように話題を振ってくるからだ。授業のこと、
テレビ番組のこと、近くのケーキ屋さんのこと。一つ一つをとても
楽しそうに話す。
しかし、昨日との違いぶりに落差がありすぎて、私は聞かざるを
得なかった。
「つかさ。どうしたの? 」
「なあに、『こなちゃん』」
「いやね。昨日と雰囲気が違うから」
「ごめんね。ちょっと『あの日』だったから」
「ぶっ」
隣で玉子焼きを摘んでいたこなたが、噴き出していた。
「つかさ! 」
「えへへ。う・そ」
「あのねえ…… 」
私が言葉に窮していると、つかさはいきなり真顔になって、
「ごめんね。昨日は変なこといっちゃって」
と、謝ってきた。
「気にしなくていいよ」
「そうそう」
「ええ。誰にも気分が優れない日はありますから」
私と、こなた、そしてみゆきは、それぞれの言葉で返した。
「ありがとう」
向日葵というより、真夏の太陽みたいな満面の笑み。
「まあ…… つかさが元気になったからいいわ」
「今日の『こなた』はツンデレだね」
こなたは含み笑いをしながら近寄ってきて、私にだけ
聞こえるような小さな声で囁く。
頼むから、『私』の顔でツンデレとかいわないでくれ。
「つかささん。何か良い事があったのですか? 」
穏やかに微笑みを向けながら、みゆきは尋ねる。
「あはは」
つかさは、からからと笑うと、こなたの腕を愛しげにとる。
「こなちゃんと昨日ね 」
「うおっ、つかさっ…… それはまずいって」
こなたが明らかに狼狽している。
「ふふ。内緒だよ♪ 」
「はぁ―― 」
こなたが大きくため息をつくなんて、あまりみられない。
「でも、つかささんがいつもの明るさを取り戻してくれて、
とても嬉しいです」
「ありがと。ゆきちゃん」
しかし、次の行動は私の予測をはるかに飛び越えていた。
つかさは、みゆきの頬にキスをしていた。
「つかさ? 」
目を白黒している私とこなたを見ながら、つかさは微笑んだ。
「どうしたの? 」
「あの、つかささん。こういう場所では、少しお控えに
なったほうが…… 」
みゆきは顔を真っ赤になりながら、辛うじて声を出す。
「だって、ゆきちゃんが、とっても可愛かったから」
「あっけらかんと言うなあ! 」
「泉さん? 」
みゆきがまじまじと見つめる。しまった。地声を出してしまった。
「あはは、ごめんね」
私は手を振ってごまかしたけど、みゆきの視線は鋭いままだった。
放課後、私はこなたを誘った。
鮮やかな黄色に染め上げられた銀杏の樹が並ぶ街を歩き、ちょっと洒落た
カフェの入り口をくぐる。
外で話をするにはそろそろ寒い季節だ。
飲み物の注文を済ませてから、私は、こなたに『入れ替わり』の
原因について話した。但し、私とゆたかちゃんのエッチについては伏せてある。
「ゆーちゃんが? 」
こなたは難しい顔をして考え込んでしまった。
まさか、あんなに素直な性格をしている(と皆から思われている)従姉妹が
『入れ替わり』の真犯人だなんて、とても信じられないのだろう。
「本人の口から聞いただけだから」
敢えて、断定を避けた言葉を添えてみるが、こなたは首を横に振った。
「かがみが嘘を言うわけないから」
こなたが信じてくれるのは嬉しいけれど、何故か胸が痛む。
「私が言うのもなんだけど、ゆたかちゃんを責めないで。
あの子は、こなたの事が好きでやったことだから」
こなたはストローの端をくわえながら考え込んでいる。
私も、返事を急がせるつもりはない。こなたにも考える時間が必要だ。
暫く気詰まりな沈黙が続いた後――
「なんか。最近、いろいろありすぎだね」
こなたは、深いため息をつくと、私の顔をじっと見ながら言った。
「脳みそがミルク粥になってしまいそうだよ」
こなたの言葉に、私は、昔読んだライトノベルの一節を思い出したが、
題名は浮かんでこなかった。
少し話題を変えることにする。
「つかさのことだけど。今日、弾けるほど元気だったけど何かあったの? 」
明らかにはしゃぎ過ぎていた、つかさのことを聞くと、こなたは
何故か顔を赤らめて黙っていた。
絶対隠しているな……
「教えなさいよ」
確信を持って強く答えを迫ると、こなたはあきらめたように
首を振ってから、何故か腕をまっすぐに伸ばして親指を立てて
片目を瞑ってから、とんでもないことを言い放った。
「やっちゃったZE」
「やっちゃったじゃねえっ! 」
私は絶叫した。まさか、つかさとこなたがあんなことを
していたなんて。
「もう。信じられない! 」
「そーゆーかがみはどうなの? 」
「えっ」
予想されたはずのこなたの反撃に、あからさまに動揺してしまい、
じりじりと後ずさる。
「ま・さ・か、ゆーちゃんと、あーんな事やこーんな事してないよネ! 」
ここぞとばかり顔を寄せられる。どこかに逃げたいぞ。
「え、えっと」
「図星? ねえ、図星? 」
コイツ、むかつく!
私はぷいっと横を向くけど、猫口(これもやめてくれ)で指呼の間まで
迫られて、決して視線を外さない。ついに私は、観念して口を割ってしまった。
「わ、悪かったわねっ」
「こんな時でもツンデレな、かがみんに萌え」
「やかましい! 」
こなたにしてやられるのは悔しいけど、『入れ替わり』なんて
非日常的な経験をすると、たわいもないやり取りをしている日常が
とても大切なんだと改めて気づかされる。
「でもさ。私とかがみって…… 」
「な、なによ」
「ある意味『最低』だね」
「う…… 」
後悔の念が強くよぎる。
いくら不可抗力な流れとはいえ、私はこなたが好きなのに、
ゆたかちゃんと『えっち』をしてしまったのだ。
既に、ファーストキスを誰にあげるなんていう、女の子らしい
淡い想いなんて、銀河系の彼方にまでふっとんでいるのには、
ただ苦笑するしかない。
「過去を振り返っても仕方ないわ」
罪悪感を振り払うかのような強気な言葉に、こなたも頷いた。
「確かにね。でも、これからどうするの? 」
「決まっているじゃない。ゆたかちゃんの召還魔法を解くには、
私とこなたが月食の時に…… 」
「えっちをするって。それってなんてエロゲ? 」
「しっ、声が大きい」
私は注意すると、こなたに近寄って小声で続ける。
「仕方がないじゃない。ゆたかちゃんの話を信じるしかないんだから。
わ、わたしだってね。好きで言っているわけじゃないのよっ」
「かがみん。私の事キライなの? 」
途端に、こなたが寂しそうな顔になる。反則だからその表情は
やめてくれ。
「そんな訳ないでしょ。私が一番好きなのはこなたなんだから! 」
「今の…… 告白だよね」
「う、うん。そうね」
気まずい沈黙が二人を包む。
私は無意味にポケットから取り出したハンカチを何度も畳んだり、
開いたりを繰り返す。それでも時間ばかりたってしまい、ついに
耐え切れなくなって尋ねた。
「あのさ。返事を聞かしてほしいんだけど」
「そ、そだね」
こなたは、なおも少しの間ためらっていたが、ようやく想いを
はっきりと言葉にしてくれた。
「私も、かがみのこと好きだよ」
珍しく顔を赤くして照れている。
目の前にいるこなたは『私』の姿をしているので、自分が
もじもじしている姿を見ているのは、無性に恥ずかしくなってしまうが……
正直、嬉しかった。
それにしても、ずいぶんと遠回りをしてしまった感じだ。
なにしろ、告白より前にエッチの話をしていたのだから。
私は、苦笑交じりに言った。
「両想いだって分かっていたのに、はっきりとは言わなかったね」
「かがみんがツンデレだから」
「アンタがいつもちゃかすからよ」
私達は噴き出した。
さっきまで悩んでいたのが嘘のように心が晴れてくる。
「ねえ。こなた。土曜日の昼って予定ある? 」
私は暫く逡巡していたが、思い切って尋ねることにする。
「何もないけど? 」
「もし良かったら、土曜日、遊園地いこっか? 」
「いわゆる…… 初デートかな」
「そ、そうね」
私は、こなたの瞳から視線を離さない。鼓動がひどく大きくなり、
ペースが速まる。
「うん。いいよ」
こなたは、この上ない魅力的な微笑みを浮かべて首を縦に振ってくれた。
402 :
23-251:2007/12/08(土) 16:09:47 ID:qwixpDCe
感想を頂いた方に感謝をいたします。
今回は、久しぶりの投下になりました。
日常的な話にするつもりでしたが、何気に大事なシーンも
入っていたりします。
>>402 激しくGJ
次はかが×こなでエロになるのでしょうか?
続き楽しみにしてます
>>402 GJ!なんだか不思議と穏やかな気持ちになれるなぁ…
次も楽しみにしてますよー
>>402 GJ ! 次回作へのwktkが止まらないw
406 :
18-230:2007/12/09(日) 00:05:44 ID:dyJ0ZVOt
皆様お久しぶりです
今から投下しても大丈夫でしょうか?
>>406 ぬおおおおおっ、萌撃に備えワクテカしつつ待機っ!!
408 :
18-230:2007/12/09(日) 00:25:11 ID:dyJ0ZVOt
ありがとうございます
それでは久々に投下させていただきます
もうね、遅すぎるにも程があるという(ry
では以下注意事項です
・みさお&白石
・エロ無し
・多分9レスです
・受け付けない方はスルーで
あと携帯からなので文体がおかしいかもしれません
では
ようやくバイトが終わった頃には、空はすっかり夜の闇に包まれていた。
その暗闇の中、俺は家路を急いでいた。
……しかし。
「まさか夕飯作るの忘れるとはな……」
出る前のゴタゴタですっかり忘れていた。
今ごろ日下部は腹を空かせて待ってるだろうか。
そんなことを考えているうちに部屋の前へと辿り着いた。
「鍵は……かかってないな」
まあこんな時間だし、仕事が終わっているのは当然といえば当然か。
ガチャリ、とドアを開ける。
「ただいまー」
「「お帰りー」」
「ふう、今日はお互いお疲れっておうあ!」
部屋の真ん中に辿り着いた瞬間心臓が止まるかと思った。
部屋には日下部と、そしてあきら様がいたからだ。
「な、なんであきら様がここに!?」
「みさおさんを送るついでについでに遊びに来たのよ」
「そーいうことだ」
どういうことだ。
「みさお……ゲフン。えーみさおさん、あきら様に迷惑はかけませんでしたよね?」
「ん、へーきへーき。ってゆーか今日のアレは仕事っつーより――」
「ストーップ!みさおさん、あれは言っちゃ駄目だって言ったでしょ?」
「あーそうだったそうだった」
そんな感じで俺をおいてきぼりにしたまま勝手に納得する二人。
その二人の様子から、今日の仕事で何かあったらしいことは明白だった。
「すみません。今日の仕事で何が……?」
するとあきら様はこちらにウインクをしながらこう言ってきた。
「それはー……乙女のヒ・ミ・ツ☆」
「さぶっ」
あ、やば。
と気付いたときにはもう遅い。
「白石さーん?今何か言いましたかー?」
「いいえ!何でもありません!」
「ふーん……。ところで白石」
「は、はい」
ガクガク震えながら次に来る制裁に備える。
「敬語」
「へ?」
想定して無かった言葉に思わず気の抜けた返事をしてしまう。
「みさおさんには敬語じゃなくていいわよ。別に仕事場じゃないんだし、まだ仕事やってる気分になるから」
「す、すみません」
素直に謝る。
俺の気遣いが足りなかったのか。
……とりあえず一安心した。
「それでは、お言葉に甘えて……。日下部、あきら様に迷惑かけなかったか?」
「だからへーきだっつーの。なあ小神?」
あきら様に同意を求める日下部。
「うん。みさおさんはよくやってくれたわよ。白石の代わりにアシスタントやって欲しいぐらいに」
「そ、そうですか」
「……何よ、自分から聞いておいてその反応は」
「いや、ちょっと思うところがありまして……」
……正直怖い。
あきら様がそういうことを言うと、本当にそうなるかもしれないから怖い。
この前の樹海だって――
いや、やめておこう。わざわざ自分のトラウマを掘り返すのは。
「ところで」
あきら様は俺を見て、
「みさおさんと一緒に住むって本当?」
まだ俺と日下部の二人しか知らないはずのことを口にした。
「あ、あきら様。一体どこからその話を?」
「みさおさんから」
反射的に日下部を睨みつける。
「……日下部?」
「だ、だって、白石から言うなって言われてないし……」
少しカチンと来たので、日下部の前に歩き、両手で少し頬をつねってみる。
「そんな非常識な事を言うのはこの口か?ん?」
「い、いひゃいいひゃい!そほ、くちひゃない!」
「次からこういう事はしないって約束出来るよな?」
ブンブン、と頭を上下に思い切り振る日下部。
ちなみにつねったままなので、頬が上に下にと伸縮した時、少し吹き出しそうになった。
「よし」
パッと手を離す。
日下部は涙目になって頬をさすった。
「いてて……。ったく、こんなことぐらいで怒るなよなー」
「『こんなこと』だから怒ったんだけどな」
「それにさー、女の子に暴力振っちゃいけないんだぞー」
「自分で『女の子』って言ってる時点で女の子じゃないけどな。っていうか、お前本当に女か?」
「なんだよ。私はれっきとした女だぞー!」
「だったら、女だったら、それっぽいことしてみろよ」
「……ごめん。次からは気をつける」
うむ、素直でよろしい。
っていうか自分の女の子っぽさに自信無いのかよ。
そしてふと、自分の喉の奥が張り付くのを感じた。
バイトで大声を出したのと、今少し喋ったせいだろう。
台所のほうに歩く。
冷蔵庫を開け、ペットボトルに入ったミネラルウォーターを喉に流し込んだ。
と。
「いやー、まさかあんたが恋人と同棲とはねー。何が起こるか分からないもんだわ」
「ブハッ!」
今まで俺たちを眺めていたあきら様の、突飛もない発言に口に含んでいた飲み物を吐き出してしまった。
「ゴホッゴホッ……。急に何を言うんですか、あきら様」
「え?だってそうなんでしょ?」
「違いますよ!日下部は恋人じゃありませんし、それに同棲じゃなくて同居です!」
「どっちも似たようなもんじゃない」
「どこをどうしたら似るんですか!」
「そんな細かい事気にしてたらこの先、生きていけないわよ。ねえみさおさん?」
「そうだぞー」
いや、お前は気にしろよ。
と、その時。
「そうだ!」
急にダン、と机を叩くあきら様。
「今度はなんですか!?」
「名前よ名前」
「は?」
また気の抜けた返事をする俺。
「だーかーらー。みさおさんの事、名前で呼んでないじゃない。なんか違和感あったと思ったらこれだったのねー」
「それが……どうかされましたか?」
「どうしたもこうしたも無いわよ。同じ部屋に住むんだし、名前で呼ぶのが普通でしょうが」
「別にそういう決まりがあるわけじゃ……」
「いいの。私が今決めたんだから」
「ジャイ○ンですかあなたは!それに日下部はいいんですか、日下部は!?」
「いい」
「それじゃあ僕も」
「あんたは駄目」
これは酷い。扱いがまるで違う。
そしてまた反論を述べようとしたとき、突然携帯の着信音が鳴った。
「あ、電話」
あきら様はスカートのポケットから携帯を取り出してそれに出る。
「もしもし。あ、マネージャー?どうしたのよ――」
電話をしながらあきら様は後ろを向いた。
……今がチャンスか?
「日下部。今日の仕事は何だったんだ」
「だから教えらんねーって」
「頼む。今後の為にどういう内容だったか知っておきたいからさ」
あきら様の場合、一つ一つの収録でとんでもないことを口にする。
今日俺がいない間に『今日お仕事を休んだ白石さんには罰として――』なんてことも十分あり得るだろうし。
「うーん。あ、そうだ」
何かひらめいたらしい日下部はあきら様みたいに片目をウインクしながらこう言ってきた。
「それはー……乙女のヒ・ミ・ツ☆」
一瞬の沈黙。
そして時は動き出す。
「……なんかさ」
「うん」
「お前がやるとキモイな」
「……」
日下部は急に黙りこんだ後、
「……うっ」
泣いた。
……泣いた!?
「ちょ、何で泣くんだよ!」
「だってさ……そんなストレートに言うことないじゃんかよー……」
「だったらそういう事言うなよ!」
「だって、お前がさっき『女ならそれっぽいことしてみろよ』って言ったんだろ……?」
「だからってな、」
この台詞は無いだろ。という喉から出かかった台詞を飲み込む。
今はこいつをなだめるほうが先決だ。
「まあとにかく泣くなよ、な?」
「……謝罪の言葉が無い……」
「謝罪、必要か?」
「……ううっ」
また涙を滲ませる日下部。
もう俺のほうが泣きたい。
すると、電話が終わったあきら様がこちらに向き直った。
「ごめんなさい。急に電話が――」
と、そこで当然のようにあきら様は固まった。
そしてため息を一つついて、
「スキャンダルは芸能人にとってアウトだから気をつけなさいよ。それじゃあバイバーイ」
「何そのまま帰ろうとしてるんですか!あきら様も冷やかさないで手伝って下さいよ!」
「え?私、今お邪魔じゃないの?」
「そういうのいいですから!早く!」
「はいはい、仕方ないわね」
そしてあきら様の手を借りてようやく日下部を落ち着かせることに成功した。
「んで、さっきの電話って誰からだったんだ?」
さっきの泣き顔はどこへやら、いつもと変わらない表情で日下部は質問した。
「ああ、あれはお迎えの電話よ」
「お迎え……。マネージャーさんですか」
「もうこんな時間だしね。ママも心配してるらしいし」
時計を見ると、もう夜中の10時を少し過ぎていた。
あきら様が立ち上がる。
「それじゃあみさおさん。今日はありがとう」
「おう」
「あと白石さん」
「は、はい」
俺は少し背筋を伸ばして返答する。
さっきみたいに敬語で俺に話しかけるのは、なにか恨み言があるからだ。
「もう今日みたいに他人に仕事押し付けちゃ駄目ですよー。もし、またやったら――」
「だだだ大丈夫ですよ!僕を信用して下さい!」
「……信用してたらこういうことにも対応出来たんだけどねぇ?」
「ぐっ」
また痛いところを突かれた。
相変わらずあきら様は容赦無いな……。
「ま、いいわ。今日は時間無いし」
「時間があったら何かやったんですか……」
「……何か言った?」
「い、いえいえ。何でもありませんよ」
「そ」
あきら様はただそう言うと、玄関のほうに歩いてドアノブを回した。
「それじゃあ二人共、またねー」
「じゃあなー」
「お疲れ様です、あきら様!」
ガチャン、とドアを閉じる音と
パタン、と日下部が床に寝転ぶ音が重なった。
「どうした日下部。気分悪いのか?」
「さっき騒ぎ過ぎて体力がー……」
「自業自得だな」
「それは……お前にも……責任があるっての……」
日下部の口から漏れる言葉に力が感じられない。
顔を覗いてみると、天井を見上げる目が段々と細くなっていくのが分かった。
「おやすみー……」
「寝るなよ。大体夕飯はどうするんだ」
「夕飯?んー……肉で……いいや」
さりげに贅沢な頼みをして、日下部はそのまま目を閉じた。
「おーい。日下部ー」
「……」
へんじがない ただただのしかばね――じゃなくて、本当に寝てしまったようだ。
目を閉じてから5秒も無かったぞ?
「……さて」
とりあえず次にやるべきことを考える。
この後夕飯作って、それからこいつを起こして、それから……と、次々とやるべきことが思いつく。
だがその前に。一応、労いの言葉ぐらいはかけたほうがいいだろう。
「お疲れ、日下部」
投下終了です
1レスオーバーしてしまいました……すみませんorz
もうちょっと続きそう
付き合って頂ければ幸いです
いや、もう少し早めに続き書ければいんですけどね……
すみません、頑張ります
え?みさおとあきらの仕事の日の話?
なななな何言ってるんですかそんなの書けるハズがないじゃないデスカー(棒読み)
あと遅ればせながら
>>402さん、GJです!
これは続きが楽しみですよ〜
では
>>419 GJです!みさおとあきら様の仕事風景?
メチャクチャ気になる!
続き待ってますよいつまでもッ!
>>419 GJ!
みさお&白石とはめずらしい組み合わせですな
続きも楽しみにしてますよ!
>419
GJ!
日下部、みのるは普段考えられない取り合わせだけに、
新鮮で面白いですね。
続きをとても楽しみに待っていますよ。
>>419 GJです!!
この、みさ×みのは大好きですよ〜…
また、楽しみ続き待ってマス
>>419 ほわー!GJです!
なんだか
みさお×みのる←あきら様
になってるのは気のせいでしょか
続きが気になるところ…
もいちどGJ!
>>419 お疲れ様ですー
先が読めない分、どうなるかが非常に楽しみですね!
続きの作成も頑張ってくださいー
さて、空いているうちに自分も投下したいと思うのですが…
ちょっと量が問題で、30レス程の投下になるんですよね。
一気に投下あうるのは流石にきついですかね…?
もし駄目でしたら、半分ずつ位に分けて投下したいと思います。
ご意見をお願い致しますー
>>402 遅ればせながら超GJ!!!
このシリーズ大好きだ
続き期待してるぜ
>>425 過去に35レスぐらいの爆弾を投下した人もいるから問題ないんじゃないかな?
>>425 30レス…すげぇ
自分はどっちでもいいと思うけど(結論部)、連投規制とかの詳しいことは知らないので…。
1レスあたりの分量によっては、もっと1レスに詰めこんでレス数を減らせるかも。
もしくは途中に話の大きな区切りがあれば、そこで投下を分割するという手もあるかと。
ただ、過去には投下レス量34レスとかいうのもあったみたいではある。(ソース:19-495氏)
>>425 導入部だけ投下して、続きはまとめwikiに直接って言うのはどう?
>>425 一気に投下する準備が出来てるならいいんじゃないかな
431 :
25-176:2007/12/09(日) 11:04:54 ID:0Z9FgDq6
>>427-430 了解しました。
それじゃ、とりあえず全て投下します。
途中切りをやるにはちょっと微妙なので、一気に投下しますね。
■こなた中心
■非エロ
■約30レス程
■出血表現が少しだけあり(not残虐)
もし規制に引っかかった場合、途中で無理やり区切る可能性がある事を断っておきます。
では、いきますね。
秋真っ只中、紅葉(もみじ)が色付き始める時期。
今年も文化祭が近付いてきている。
陵桜学園の生徒は、その準備に向けて日々作業を行っていた。
開催までもう数日というところ。
作業を終えたいつもの四人組は、楽しく喋りながら帰路に着いていた。
「結局今日も遅くなっちゃったねー」
「今日はちゃんとビデオ録画できてるかな…昨日は臨時ニュースに割り込まれちゃったし。」
「あんたは本当にそればっかりだな…もう少し準備にも力入れろよ。」
「まあまあ、今の時期は仕方が無いですよ。」
文化祭の話題も出てはいるが、やはり普段と変わらない内容で盛り上がる四人。
「これが終わったら、後はテストばっかりで今年度も終わるのねー
来年は受験生になるわけだし、大変になるわね。」
「あぅ…お姉ちゃん、今はその話題は無しにしようよー」
「そうだよかがみ、今は文化祭の準備に集中しないと!」
「さっきまでビデオ録画がどうこう言ってた奴に言われたくないわ!」
「ふふ、まあそれが泉さんらしいといえばらしいですね。」
「な、何かみゆきさんの言葉が…」
いつもと同じ、和やかな雰囲気。
だが、それは『ある一言』によって破られることになった。
「そういえば、こなたのおじさんってまた来るつもりなの?」
「多分ねー…今回はカメラはやめてねって言っておいたんだけど。」
「…去年、カメラ持ってきてたんだ…」
苦笑する三人。
みゆきだけ、何の事だろうという顔で聞いていた。
「親が来るなんて、高校に入ってからは無いしねー」
「そうですねぇ…」
「中学の授業参観が最後だったよね、親が来るのって。」
「そうですね、小学校の頃は妙に張り切って手を上げたりしましたねー」
「へえ、みゆきって昔はそういう面もあったのねー」
「あ、いえ、その…」
顔を赤くするみゆき。
その表情を見て、くすりと笑うかがみとつかさ。
そして、赤くなったみゆきをからかうこなた…
が、いない。
「あれ?こなたは?」
急に姿を消したこなた。
道路の向かい側にはいない。
ならば、後ろか…と振り向く三人。
…そこには道の端で立ち止まり、うつむいているこなたがいた。
「…こなた?何急に止まってるのよー、置いていくわよー」
少し大声でかがみが呼ぶ。
しかし、こなたはその呼びかけにも応じない。
「おかしいね、こなちゃんどうしたんだろう?」
「ちょっと行ってくるわ、待ってて。」
かがみがこなたの所へ駆け出そうとした、その時だった。
「……ぅ……ぁ……ぁ……ぅ……」
こなたが妙な呻き声を出し始めた。
…明らかに様子がおかしい。
この声を聞いた三人は、すぐにこなたの下へと走った。
「ちょっとこなた、大丈夫?」
「どうしたの、こなちゃん?」
「泉さん…?」
みゆきがこなたの顔を覗き込んだところ、その表情は半分青ざめていた。
…しかも、その目には涙が溜まっていた。
「い、泉さん!?どうしたんですか!?」
焦りながらこなたの体を揺すり、呼び続けるみゆき。
だが、やはり呼びかけには反応しない。
その直後だった。
「ぁ……ぅ……ぁぁああううあ…」
「ちょっと、こな…!?」
「うあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」
泣き出すと同時にこなたの足が崩れ、前のめりに倒れこむ。
すぐにかがみが支えたが、こなたが泣き止む様子は無い。
「こ、こなた!?ちょっと、どうしたのよ!?」
「ぁあああぁあぁぁぅぅぅぅ…ぅううぁぁぁあああああ…」
こんなこなたを見たのは、三人共初めてだった。
つかさはおろおろし続け、みゆきとかがみはこなたを何とか落ち着かせようとする。
だがその甲斐空しく、こなたはかがみの胸で泣き続けた…
◆
どの位の時間が経っただろうか。
こなたはようやく落ち着きを取り戻し、赤い目をこすりながら立っていた。
「泉さん…大丈夫ですか?」
「うん、もう平気…皆ごめんね、いきなり変な感じになっちゃって。」
いつもと違い、深々と頭を下げるこなた。
その様子を見た三人は、戸惑いを隠しきれない。
「い、いや…別にそれはかまわないわよ。
それより、一体どうしたのよ…」
「何か、私達が変なことを言っちゃったかな…?」
その質問に、こなたが少し気まずそうに答える。
「い、いやー、特に何にも。
気にしない気にしない、あははは…」
明らかに無理をしているこなた。
まだ涙の跡が残っている顔を無理やり笑顔にしているのが、はっきりとわかる。
そんなこなたを見て、かがみは一つの質問をぶつけた。
「…あんた、もしかして何か昔の嫌な事を思い出したりした?」
「えっ…!?」
実は、これは探りを入れるための適当な質問だった。
しかし、この問いに対してこなたは動揺を見せた。
…どうやら、核心を突いてしまったらしい。
「その…えと…」
「…話しちゃいなよ。
秘密は絶対守るし、こなたの心の支えになってあげられるかもしれないからさ。
…あ、いや、無理に…とは言わないけど。」
「……」
しばらく黙りこむこなた。
少し間があいた後、顔を上げて三人を見つめた。
「うん…そうだね、皆になら話せるかな。
というより…聞いてもらいたいかも。
そんな気分。」
「わかったわ…
ここじゃ何でしょ、そこにある公園に行きましょ。」
「そうですね、ここで立ちながら聞くというのは厳しいですし。」
そのまま公園へ移動する四人。
手ごろなベンチを探して、そこに皆で座った。
こなたの顔からは、いつもの軽い雰囲気が消えていた。
その様子に多少戸惑う三人。
そんな中、こなたがゆっくりと喋りだした。
「さっき、授業参観の話題が出たじゃない?
あれで、ちょっと急に思い出しちゃった事があってね…
あの事と感情は、克服できていたつもりだったんだけど…」
「授業参観…え!?
じゃあ、私の出した話題のせいで…?」
半分パニックになったつかさ。
それを慌ててこなたが取り繕う。
「い、いやいや、偶然思い出しちゃっただけだからつかさは関係ないよ。
何だろうね、その…バックラッシュとかいうやつだと思う。」
「それを言うならフラッシュバックでしょ。
…っていうか、そんなフラッシュバックが起こるほどきつい経験があったの?」
「う…ん、個人的にきつかった事なんだ。
小さい頃からの積み重ねが爆発しちゃったというか…」
遠くを見つめるこなた。
そして、静かに『過去にあった事』を話し始めた…
◆
十三年前、こなたが幼稚園に通っていた頃。
こなたは、他の皆を見て不思議に思う事があった。
それを最初に感じたのは、迎えの時間の時。
幼稚園の一日の課程が終わり、親が迎えに来てくれる。
そこに来るのは、皆殆どが母親だった。
「わーい、おかーさーん!」
「ママ、きょうはすなばでねー」
「おかあさん、おんぶー」
クラスメイトの皆は、大体母親と一緒に帰っていった。
一方、こなたは…
「こなた、遅れてごめんなー
ちょっと編集部の方へ行ってたから…」
こなたの送り迎えをするのは、父親であるそうじろうしかいなかった。
最初、こなたは親がそうじろうだけ…という事を当たり前に思っていた。
しかし、幼稚園に入ってからはある事を疑問に思い始めた。
何故皆は女の人が迎えに来るんだろう?
何で皆の所にはお母さんという人がいるんだろう?
ある日、こなたはそうじろうに聞いてみた。
「おとうさん、なんでうちにはおかあさんがいないの?」
「え…?」
一瞬、そうじろうの表情が固まった。
いずれ来るだろうと思った、この質問。
しかし、これほど早く来るとは思っていなかった。
そうじろうはしばらく考えたが、結局定番ともいえる答えしか返せなかった。
「…お母さんはな、今はお空の向こうにいるんだ。
会うことは出来ないけど…こなたをいつも見てくれているんだよ。」
「おかあさん、『今は』お空にいるの?」
「…ああ…」
『今は』という言葉が、そうじろうの胸に突き刺さる。
そうじろうは、なるべくこなたに『母親が死んだ』という事実を認識させないようにしていた。
それは同時に『来るべき日』を遅らせようと、無意識に考えていたのかもしれない。
だが、この質問が来たということは…その日が確実に近付いている事だった。
その時、こなたが空を見上げて、急に声を発した。
「おかあさーん、みてるー?
おうちでまってるから、はやくきてねー!」
空に向かって、手を振りながら見えない母へと叫ぶこなた。
それを見て、そうじろうは胸がきつく締められる思いだった…
その二年後、こなたは幼稚園を卒園した。
それと同時に、そうじろうはこなたに全てを話した。
母親はもうこの世にいない事。
逝去したのは、こなたがまだ非常に小さかった時だということ。
…そして、母親は二度とここには戻ってこれないという事。
その話の全てを、こなたは黙って聞いていた。
その時の彼女の心には、様々な感情が渦巻いていた。
いつかは会えると思っていた母親が、実は既に帰らぬ人となっていた。
理解ができなかった。
父親が何を言っていたのか、はっきりと飲み込めなかった。
しかし、はっきりとわかったのは『母親と会うことは不可能』という事…
こなたの中に、言葉では言い表せない様々な感情が渦巻いていた。
これは悲しみなのだろうか、絶望というものなのか。
今までそれを隠していた、父親への小さな怒りなのだろうか。
もしかしたら、どれでもないのかもしれない。
全てを話し終わったそうじろうに、こなたは一言だけ返した。
「わかったよ。
…ぜんぶおしえてくれてありがとう、おとうさん。」
こなたはゆっくりとその場を立ち、居間から離れていく。
寝室へ入った後、そのまま自分の布団の上に突っ伏した。
…そして、こなたは泣いた。
こなた自身も薄々感付いていたのだった。
『自分には親が一人しかいない・他の皆の環境とは違う』という事を。
…ただ、認めたくなかったのだ。
だから、今の今までそうじろうが言っていた言葉を信じていたのだった。
『今は』別の場所にいるだけだ、という事を。
いつか戻ってきて、母という存在に会うことができるんだと。
だが、その淡く儚い希望は、先程のそうじろうから伝えられた『真実』によって打ち砕かれた。
数十分後、こなたは泣き疲れて眠っていた。
小学校への入学が、間近に迫っていた。
◆
春になり、こなたは小学校に入学した。
幼稚園とは違う、全く新しい環境。
こなたは持ち前の明るさで、すぐにクラスに馴染んだ。
父親の影響で読んでいた本の話題が一番役に立ったのも、多分この時だろう。
そして、ある日…
「さて、来週は授業参観ですよ。
皆、お父さんお母さんにプリントを渡しておいてねー」
授業参観の日が近付いて来た。
こなたは家に帰った後、そうじろうに案内のプリントを渡す。
この時、こなたは授業参観をとても楽しみにしていた。
そうじろう自身も、特に大きな心配はしてはいなかった。
だが当日の『ある出来事』が、後々一つの火種を作ってしまうことになる…
そして授業参観当日。
この学校では三時間目と四時間目、二コマに渡っての参観が行われる。
三時間目の授業自体は、特に何も起こらずに進んだのだが…
それは、四時間目前の休み時間に雑談をしている時に起きた。
机を挟んで、クラスメイトと話すこなた。
内容は、先程の参観授業についてだった。
「うーん、何だか緊張したよー
こなたちゃんはどうだった?」
「私はいつも通りだったかなー
そんなんじゃ、次の授業かちかちになっちゃうんじゃない?」
「うー、でも見られていると緊張するし…」
もじもじするクラスメイト。
しかし、こなたはいつもの調子で話し続ける。
「まあ、うちはお父さんがあんな感じだから気楽なのかも。
どうもさっきから、私以外も見ているみたいだし…」
「あはは…そういえばこなたちゃんの家、お父さんしか来ていないんだね。
お母さんはお仕事とかで来られないの?」
やはりその疑問が来たか。
そう思いながら、こなたは返事をする。
「あ、うちはお母さんいないんだ。
私が赤ちゃんの頃に死んじゃったんだって。」
「え、そうなんだ!?
うーん、こなたちゃん…ちょっと『可哀想』だね。」
「…え?」
可哀想だね…
私は可哀想なの?
何で?
そんな考えが、こなたの頭の中を一瞬駆け巡る。
次の瞬間、こなたはクラスメートに聞き返していた。
「私、何で可哀想なの?」
「え、だってお母さんいないんでしょ?
お父さんしかいないんじゃ、寂しいじゃない。
ご飯も、お母さんがいないんじゃ作れないでしょ?」
まだ『食事は母がつくるもの』等の思い込みがある、幼年期らしい答えだった。
だが、この言葉はこなたの心に突き刺さった。
家では父親が食事を作り、基本的には二人だけの生活だ。
たまに従姉妹のゆい、そして叔母さんであるゆきが遊びに来るが、一緒に暮らしている訳ではない。
母がいないという事。
それは、やはり周りから見れば特殊なのだろうか。
ここで、こなたは他人に対して初めて『無理』をした。
「…いやー、特に寂しくはないよ?
うちのお父さん、とっても賑やかで楽しいし、ご飯だってばっちり作れるんだよ?
それに、親戚のゆき叔母さんやゆい姉さんもよく来るしねー」
「そっかー、それなら毎日楽しいねー」
「うん、あははは…は……」
顔は笑っていたが、心の中では笑っていなかった。
結局この言葉がこなたの心を駆け巡り、この日の授業はあまり耳に入らなかった。
帰りはそうじろうと一緒に下校をしたが、こなたはどこか固い表情のまま帰宅した。
家に戻った後、こなたはしばらく部屋で考え込んでいた。
…そして、一つの結論を出した。
母親がいない事は、何ら恥じることは無い。
むしろ、その事について何か言われようとも、逆にネタにしてやる位の勢いで行こうと。
半分開き直りと取られてもかまわない。
…そうとでも考えなければ、こなたは自らの心を抑える事ができなかったのだ。
(そうだよ、私は可哀想じゃない。
だって、こんなに毎日が楽しいんだもん…)
自らに言い聞かせるように、何度も決めたことを反芻する。
そして、こなたはようやく落ち着きを取り戻した。
その後クラス替え等の度に、こなたは何度か両親の事について聞かれることがあった。
その度に、努めて明るく振舞いながら説明をしてきた。
何人かはその事でからかう者もいたが、こなたは軽く受け流すようにして過ごした。
だが、自らにとって辛い思いというものは蓄積するもの。
数年後、その辛さを塞き止めていたものが決壊する日が来たのだった。
◆
時は流れ、小学校五年生の冬。
ある日、こなたはクラスの男子と些細なことで喧嘩した。
「んだよ!これのどこが悪いってんだよ!
これ以外考えられないだろうがよ!」
「君もわからないねぇ!
その方法だと詰めの手順の時にここが余っちゃうんだよー!
ほら、実際に試してみるとわかるでしょー?」
何のことは無い、ゲームの攻略法でもめているだけだ。
とはいえ、腕や戦略で言えばこなたの方が断然上。
周りにいたクラスメイト達も『また泉さんが論破しそう』と、こっそり笑いながら様子を見ていた。
反論ができなくなった男子は、全く関係ない事を引き合いに出して言葉攻めを始めた。
「う…うるっせぇな!
お前は親が一人しかいないから、親の目を盗んでそこまでゲームをやりこめてるんだろ!?
そんなゲームバカの相手なんかしてられっかよ!」
「あれあれ、逃げるのかネ?
自分が間違っていたことを棚に上げて、そんな今と関係ない言葉を発するのは良くないなー
しかも、そっちだって私に負けない位やりこんでるよね?
ほれ、自分が間違っていたと認めんかい!」
ここぞとばかりに攻め返すこなた。
そんな時、相手の男子からこんな言葉をぶつけられた。
「うるせー、うるせー!
お前みたいな片親の可哀想な奴なんかにあれこれ言われたくねーや!
バーカバーカ!」
その言葉を聞いた瞬間だった。
こなたの中で何かが壊れた。
それと同時に、抑えきれない感情が一気にこなたに押し寄せ、体が勝手に動き始める。
ゆっくりと男子に近付くこなた。
その表情は冷たいものとなり、しっかりと握った手は震えていた。
「…ん、んだよ。
怒ったのかよ、いっちょまえに!」
普段と違う様子のこなたにたじろぐ男子。
その言葉が聞こえていないのか、こなたは何かをつぶやきながらゆっくりと歩き続ける。
「……しは……い…」
「…はぁ?」
その直後だった。
こなたはすぐ近くにあった椅子を持ち上げ、思い切り男子に投げつけた。
教室中に、凄まじい打撃音が響く。
椅子を顔面にぶつけられた男子は、そのまま床へと倒れこんだ。
教室は騒然となった。
「わ、悪かったよ泉!
だから許してくれよ、な!な!お願いだ!」
必死に許しを請う男子。
だが、その言葉はこなたの耳に全く届いていなかった。
「私は…私……は……!」
再びこなたは近くにあった椅子を掴んだかと思うと、すぐにまた目の前に倒れている男子に投げつけた。
教室に二回目の打撃音が鳴り響く。
同じ箇所に椅子をぶつけられた男子の顔からは、血が流れ始めていた。
「やめて泉さん!それ以上はまずいよ!」
「泉やめろ!いくらなんでも、それはやりすぎだぞ!」
その修羅場を見た周りのクラスメイトは、何とかこなたを止めようとする。
しかし、その剣幕に押されてか、実力で止めようとする者は現れなかった。
こなたは、さらに暴走を続けた。
「私は……可哀想なんかじゃない!
お母さんがいないことを、寂しいなんて思ってない!!」
周りにあった椅子・机・ランドセルや筆記用具…
とにかく、手近にあったありとあらゆる物を、感情に任せて男子に投げつけた。
泣きじゃくって許しを請い続ける男子。
しかし、こなたの感情は収まる様子が無かった。
そのまま男子の近くへと移動し、胸ぐらを掴む。
…と、そこでこなたの動きが止まった。
同時に、嗚咽交じりの声が聞こえてくる。
こなたは男子の服を掴んだまま、下を向いて震えていた。
「寂しいなんて……私は…寂しい…なん……て……」
その瞬間だった。
こなたがその場に崩れ落ち、大声で泣き出したのだ。
「寂……し………ぁ……ぅぁ……あ……ぅぁあああああああああぁぁぁあああっ!!!!!」
それは、今まで心の底に封印していたものが、一気に流れ出た事が原因だった。
今まで押し殺していた、母親がいないことへの寂しさ。
その事について、何度かからかわれた時の見えない怒り。
それらの感情を塞き止めていたものが、先程の男子の言葉によって決壊したのだった。
その様子を見て、クラスメイトは何も言葉を発することができなかった。
こなたを止めようとしていた者、ただ見ていただけの者、そしてやられていた男子…
誰一人例外なく、こなたの泣き叫ぶ姿を無言で見つめていた。
その姿を見て、クラスメイト達の心にはどのような思いがあったのだろうか。
担任の先生が戻ってくるまで、クラス内の時が止まったような状態は続いた…
この事がきっかけで、こなたの友達は大きく減った。
事情を昔から知っている友人以外、殆どが離れてしまったのだ。
こなたはクラスで半孤立状態となってしまい、それに伴うかのように性格も暗くなっていった。
そして二年後、こなたは中学校に入学する。
…そこには、こなたを闇から救い出す一筋の光があった。
◆
中学校に入り、新しい学生生活が始まった。
しかし小学校に入学した時の様な、明るいこなたはいなかった。
クラスの中の誰かに話しかけるという事もなく、ただ自分の机でじっとしている毎日。
暇な時は鉛筆をいじりながら、窓の外をぼんやりと見ているといった具合だ。
四月も終わりが近付いたある日、いつものようにぼんやりと外を見ながら席に座っていたこなた。
そんなこなたに、クラスメイトである一人の女の子が話しかけてきた。
「ねえ、これFメタの下敷きでしょ?
あなたもFメタ好きなんだー」
「…え?」
急に声を掛けられて驚くこなた。
どうやら、机の上に出しっぱなしだったFメタの下敷きを見て声を掛けてきたらしい。
予想外の方向から話題を振られたので、頭の整理がつかない。
仕方が無いので、適当に返答をした。
「あ…うん。
といっても、アニメしか見てないけどね。」
「え、ということはあなたの家って衛星放送入るんだ!?
いいなー、私の家は入らないから、いつも友達に録画してもらってるんだよー」
自己紹介も無しに、いきなりアニメの話題に走る彼女。
こなたは、そんな彼女の行動に戸惑いを隠せなかった。
(一体何なの、この人…)
不思議な人だなと思いつつも、こなたは一応会話を続けていく。
この話題なら、十分に話すことができるからだ。
「いや、私の家も入らないんだよ。
あなたと同じで、知り合いに録画してもらったのを見てるんだ。」
無論、録画を頼んでいる先は小早川家だ。
従姉妹が結構な頻度で家に遊びに来るので、その都度ビデオを持ってきてもらっている。
ある意味、従姉妹にとって迷惑だとは思うが…
「あ、そうなんだ。
あれ、衛星放送だけなんてひどいよねー
普通のチャンネルでも放送してくれればいいのにねえ。」
「そ、そうだね…って、ちょっと待って…あなた、一体誰なの?」
「え、入学式の次の日に皆で自己紹介したじゃないー
私の名前、覚えてないの?」
「だって、これだけ人いるから一々覚えきれないし…
漫画のキャラ名とかなら、すぐ頭に入るんだけどね…」
…何を見ず知らずの人に言ってるんだ、私は。
そんな考えがこなたの頭に浮かぶ。
だが、その直後に目の前の女の子から思いがけない言葉が出てきた。
「あ、私もそうなんだよー
何で漫画とかゲームのキャラって、すんなり頭の中に入るんだろうね。」
この言葉には、こなたも驚いた。
…もしかしてこの人、私と同じようなタイプの人間なんじゃないだろうか。
そんな事を考えていた矢先に、更に彼女から言葉をかけられる。
「でも、あなたの名前は覚えてるよ。
泉こなたさん、だよね?」
「…!」
笑顔でこなたに語りかける少女。
その瞬間だった。
何だか懐かしいような感覚。
それでいて、長く忘れていた暖かい気持ち…
こなたの心に、その二つが流れ込んできたのだ。
小学校五年のあの日以来、こなたは同年代の人間から、こういった言葉を掛けられる事が無くなった。
あいつは危険だ、関わらない方がいい、喋りづらい奴だ…
そんな態度を取られ続け、厳しい目で見つめられてきた。
その対処法として、こなたは自分自身を押さえ込んだのだった。
じっとしていればいい。
動かなければ、嫌な思いをする事も無いし、させる事も無い。
たとえ、周りから誰にも声を掛けられなくなったとしても…
私は『皆と違う』んだから、と。
その固まった心、そして思い込みを抱えたまま中学に上がったこなたは、新しい環境をも拒絶していた。
その結果、気軽に声を掛けられる筈だった皆からも避けられるようになってしまった。
…だが、この女の子は違った。
「…何で、私の名前は覚えててくれたの?」
「え、だって長くて綺麗な髪だし、てっぺんに可愛い毛がちょこんと立ってるし、
泣き黒子も良い感じだし、ちまっとしてて何だか萌えるしー」
「へ?」
想像した斜め上からの答えが返ってきて、こなたは少しだけ固まった。
が、すぐに後から笑いが込み上げてきた。
「くっ……あははは!何それー!どういう覚え方してるの?」
「だってちんまりした長髪っ娘って萌えるんだもんー
一番最初に名前覚えちゃったんだよ?
だからこそ、是非とも友達になりたかったしね。」
「あはは………何だか変だけど、ありがと。」
笑いながら、こなたは言葉を返す。
「…やっと笑ったね、泉さん。」
「あっ…!?」
その言葉を言われて、こなた自身も気がついた。
あの日以来、今日までこうやって『人と話して』笑う事は殆ど無かった。
もちろん中学に上がってからも、どちらかというと無愛想な態度を通していた。
しかし今…こうして、同級生と話して自然な笑いが出た。
しばらく忘れていた表情、そして感情。
それは、こなたが今まで篭っていた殻の皮が一枚剥がれた証拠でもあった。
改めて彼女の顔を見るこなた。
「…ありがとう、これからよろしくね。
えーと……?」
「あ、そういえば私の名前覚えていないんだったね。
私の名前は――――――」
…そしてこなたは、中学での一番の友を見つけた。
そしてその後、更にその友情は深いものとなる。
◆
彼女と親密になって二ヵ月後、こなたは彼女と一緒に下校していた。
歩きながら話す内容は、相変わらず趣味関係の事ばかりだが。
「何だかんだ言って、原作はどうも手が出なくってねぇ。」
「ライトノベルとは言っても、やっぱり文字ばかりだと読み辛いよねー」
大分明るさを取り戻してきたこなた。
クラスメイトとも少しずつ打ち解けてきて、以前のような楽しい学生生活を取り戻しつつあった。
自分から出す話題がディープ系寄りな為、常に行動を共にする友人はあまりできなかったが…
ライトノベルの話題が終わりそうになった時、こなたが彼女にある提案を出した。
「ねえ、今度家の方に遊びに行ってもいい?」
「え、私の家?
構わないけど…多分泉さんと私だけになるよ?
静かだし、きちんとおもてなしできるかわからないけど…それでもいいなら。」
「あ、親はどっちもお昼いないの?共働き?」
こなたがそう聞くと、彼女は少しだけ下を向いた。
そして、ゆっくりとした口調で返事をした。
「あのね…うち、お父さんしかいないんだ。
お母さんが…私が小さい頃に死んじゃって……その……」
「あ……」
こなたは何も言えなくなった。
まさか、彼女も自分と同じ境遇だったなんて…
まずい事を聞いてしまったかな、と思ったのだが…
「…あはは、何だか湿っぽくなっちゃってごめん。
来るのは歓迎だから、是非来てよ!」
「う、うん…」
こなたはある事を彼女に聞きたくなった。
彼女の境遇は、自分と同じだったはず。
なのに、自分と違ってこんなにも明るい。
心が強い。
どうして、そんなに心が強く持てるんだろう。
気がついたら、こなたはそれを彼女に聞いていた。
「…実はね、私もお母さんがいないんだ。
私が一歳位の時に死んじゃって…今はお父さんと二人暮らしなんだよ。」
この言葉に、彼女は驚いたように反応する。
「…え、泉さんもなの!?
そうか…私達、同じ境遇なんだね。」
「…いや、私と違うところが一つあるよ。」
「…え?」
こなたは、意を決して話し始めた。
「四月の時、私かなり暗かったでしょ?
あれ、お母さんがいない寂しさや、それをからかわれた事が積み重なってなっちゃったんだ。
でも…あなたは違う。
どこから見ても、そんな事を微塵も感じさせなかった…」
こなたは彼女の顔を真剣な眼差しで見つめ、聞きたいことを一気にぶつけた。
「どうしてそんなに心が強いの?
同い年で、全く同じ境遇で、なのにどうしてそんなに笑顔を保ち続けられるの?
あの状況に押し潰されそうだった自分が…何だか……」
「…私の心は、強くなんかないよ。」
「…え……?」
こなたにとって、意外な言葉が返ってきた。
さらに彼女は、言葉を続ける。
「むしろ弱い方だと思うな。
お母さんがいない事は凄く寂しかったし、お母さんがいない事をからかわれた事もあった。
辛くなった時は、家で思い切り泣いてたんだよ。」
「じゃあ…どうして…」
「…お父さんとお母さんに励ましてもらったり、優しく包み込んでもらったからかも。」
「…え…え?」
こなたは、その言葉の意味がわからなかった。
死んでいるはずのお母さんに励ましてもらったり、包み込んでもらった…?
それは一体、どういう事なのだろうか…?
「…え、お母さんはもう死んじゃってるんだよね?
お母さんにも励ましてもらったとか…どういう事なの?」
「…生き物ってさ、死んじゃったら自然に還るんだよね。
もちろん、私達も例外じゃないと思うんだ。」
彼女がふと空を見上げる。
「自然に還ったなら、お母さんはこの自然の中から私を見守ってくれているはず。
木になって、風になって、土になって…
どこかで、私を優しく見てくれていると思うんだ。」
それを聞いて、こなたはふと言葉を漏らす。
「…でも、それってさ…」
「非科学的・空想の世界じゃないかって?…確かにそうかもしれないね。」
彼女が視線を下ろし、再びこなたの方へ振り向く。
「でも、目を閉じて感じてみて。
日の光を、木の音を、風を…
何だか不思議だけど、そうしていると大きな安心感が来るんだよ。
まるで…お母さんがすぐそばにいるみたいに。」
「………」
こなたは、言われた通りに目を閉じて身を任せてみた。
暖かい日の光。
優しい木々の音。
体を包む柔らかな風。
そして、体全体に感じる…
「あ…」
気のせいだったかもしれない。
でも、こなたは感じた。
とても優しい、体全体を包み込むようなぬくもりを。
「…泉さん、ぬくもり…感じた?」
「…うん、感じたよ…確かに…」
気付けば、こなたの目からは少し涙が出ていた。
こなたも彼女と同じように、ゆっくりと空を見上げる。
「確かに…私たちの事、見守ってくれてるのかもね。」
「うん、きっと…そうだよ。」
どこまでも広がる青い空。
そこには小さな雲が二つ、微笑みかけるように浮かんでいた。
こなたを深い闇から助け出してくれた『かけがえのない存在』の彼女。
その彼女の心はとても繊細で、とても強いものだった…
....
..
.
◆
「…そんな事があったのですか。」
こなたの話を聞き終え、みゆきが声を掛ける。
同時に、かがみとつかさもこなたの方へと姿勢を向けなおす。
「そういえばあんた去年、『中学の時に仲の良い友達がいた』って言ってたわよね。
将来の夢が魔法使いとか言ってた…それが…その人なの?」
「うん、そうだよ。」
「最近連絡してないとか言ってたけど…いいの?しなくて。」
こなたはその言葉を受け、少し間を置いてから話し始める。
「あの後、携帯に電話をかけてみたんだ。
今は引っ越して大阪にいるんだって。
また近いうちに会いたいねって話になって終わったよ。」
「そっか…元気そうでよかったじゃない。」
「うん、そうだねー」
少しの間沈黙が流れる。
しばらくして、その沈黙を破ってつかさが話し始める。
「それにしても、フラッシュバックって怖いね。
完全に立ち直ったと思っても、ふとした事でトラウマを掘り返されちゃうんだから…」
「…そうですね、でも…」
「ええ、もしまた今日みたいな事になっても大丈夫よ、こなた。
私達がいるから…ね。」
笑顔でこなたを見つめる三人。
それを見てこなたが少し嬉しそうに、しかし恥ずかしそうでもある表情になる。
「あ…ありがとう、みんな…」
「当たり前でしょ。
全てをひっくるめて、私達はこなたの事を気に入ってるんだから。
だからこその友達じゃない。」
「そうですよ、だから…」
「これからもよろしくね、こなちゃん。」
「…うん、よろしく!」
その時、柔らかい風が吹き、四人を包み込んだ。
その風は優しくて、暖かくて…
まるで四人の友情を祝福しているかのようだった。
もしかしたら、その風は…
こなたの母、かなたが起こした風だったのかもしれない。
461 :
25-176:2007/12/09(日) 11:39:43 ID:0Z9FgDq6
以上です。
作業が詰まった時の時間つぶしで書いていたら、何だか微妙に長く…
長い時間投下して、すみませんでした。
後、ブラストドーザーは神ゲーです。
お目汚し失礼致しました。
さて、曲作成に戻ろう…orz
>>461 リアルタイム遭遇に感激
そしてGJ&乙
全部投下したのは正解っす(一気に読めたから)
>>461 魔法使いちゃん(仮名)いい子だよ魔法使いちゃん(仮名)。
旧友と親友と、それぞれの絆にGJ。
てか、大阪での再会編(かがみ・つかさ・みゆき同行)も希望してみる。
おおお、GJ!
しかし、バックラッシュ(歯車の隙間)なんて単語を知ってるなんて、なかなかやるなこなた。
ブラストドーザー知らないんで、そっちのネタだったらアレだけどorz
これ読んだ後に、「よにもしあわせな、ブルーデイ」や
「さよなら魔法使い」を読むと哀しくなるな……
回想でもいいから、原作でも登場しないかね〜
魔法使いちゃん(仮名)
>>461 ・・・・・感動した。いやマジで。
もうGJ以外の言葉は要らないっすねー。
俺もこーゆー風に書けたら・・・と思いました。
>>465 サリー「呼んだ?」
こなた「ぬおっ!横山光輝大先生原作の初代少女魔法使いktkr!?!?!?」
サリー「
>>461さん、GJ!」
こなた「さりげなく私の台詞とるし・・・」
こんにちは
初めてSSを書いてみましたので投下させてもらいます
多分10レスくらい借ります
>>461 GJ!
長さが全然気にならないくらい読み入ってたよ…
うん、やっぱり友達って大事だよね…。
泉こなたは母性愛というものが分らなかった
母親が子供に与える愛情のことで、長い時間をかけて自然と感じるようなもので
目に見えるものではないので、「分かる」という言葉は適当ではないかもしれない
父親は目一杯の愛情を注いできたし
こなたも父親のことは大好きだった
それでもたまにふと考えることがある
「お母さん」ってどんなものなのだろう?と
――――――――『奇跡のかけらの指輪を探してる』―――――――-
「こなちゃん何してるの?」
「あぁこれ?これはコンプの懸賞だよ〜。今回はかなり気合入ってるからね」
「だからこんなにたくさん同じハガキがあるんだね?」
「ふふふ、ひとえに・・・愛だよ!」
「そ、そうなんだ」
夏休みもあと少しなのに補講があるのはめんどくさい。
まぁこうやって友達に会えるのはちょっと楽しみだったりするだけど。
「ねぇお姉ちゃん?「マハリクマハリタ」って何処で切ればいいの?」
「「マハリク」「マハリタ」じゃないの?」
「いやいや、歌詞的には「マハリ」「熊針田」ではなかろーか?」
「「熊針田」って何よ?」
「いや、AT○Kで変換したら出たんだヨ」
「「マハリクマハリタ」はどうでもいいですが、カブはサリーの弟ではなく、国王の家来なんですよ。」
「どうでもいいのかよ」
「あんたはまた、毎回すごいわねぇ・・・」
「か、かがみんいつの間に?」
「ホントにあんたの情熱には感心するわ」
かがみがあきれ顔で聞いてくる。
大分オタクっぽくなってきとはいえまだ理解されない領域なのかな?
「私の愛情は常に全力で同じ方向に向けられているのだよ」
ちらっとかがみの方へ目を向ける。
「その前に現実に目を向けなさいよ」
つれないなぁ、かがみん。ん、―――現実?
「あんたこの前計画的にやるとか言ってたけど、大丈夫なんでしょうね?」
何のことだろう?みんなで遊びに行く計画のことかな? 勉強のせいで遊んでくれないので
「みんなで集まれたらどこへ行こうか」
なんてことを考えたこともあったけどかがみには言ってないし。
「あの、かがみ?なんのことかさっぱり分らないんだけど」
「こなた、本当に言ってんのか?宿題のことよ。しゅ、く、だ、い」
「宿題・・・だと・・・!?」
「死神代行かあんたは!!もう。」
「いやぁ、ネトゲに夢中になってたらすっかり忘れててね。手もつけてない」
ホントはもうひとつ理由があるんだけどね。それは言えない。
「終わってないとは思ってたけどさ。いつも助ける方の身にもなりなさいよ」
「あ、あの。お姉ちゃん」
「どうしたの、つかさ?」
つかさの瞳が、心なしか潤んでいるような。
「私も、まだ宿題やってないの・・・」
>>461 激しくGJ!!
ていうかアナタはエスパーですか!!
今こっちは「ひかげ×こなた」で似たような展開の奴を書いている最中なのに、
こなたの部分が(ry
GJです。私もさっさと仕上げて投下します。
「全く!こなたはともかく、つかさは一緒に宿題やってたじゃないの」
「最初は難しい所を飛ばしてやれる所だけやってたんだけどね」
「空欄ばっかりで気づいたら全然終わってなかった、てことね」
「うん。数学なんて2ページくらいしか終わって無くて」
「つかさはドジだなぁ、私なんて最初から分んないからノート開いてすらないよ」
「こなたはもっとダメでしょ!!」
「あぅ」
「あぅ」
ふたりして落ち込んでいるのを見かねてか、最初からのそのつもりだったのか
かがみが救いの手を差し伸べた。私たちは、すぐさまそれに飛びついた。
「でもやっぱかがみんは優しいねぇ。なんだかんだ言ってこうやって宿題見せてくれるんだからさぁ」
「た、ただあんた達ふたりが留年しかけたらもっと困るだけよ。
特にこなた、お前はホントに留年しかねん。こうやって見ててあげないとどーせやらないだろうし」
「さすがツンデレ。無意識ながらもお手本のような答えのかがみ萌え」
「な、なによ。そんなこと言ってると全部自力でやることになるわよ」
「か、かがみ様それだけはご勘弁を」
「じゃあふざけてないで始めなさいよ。もう」
かがみの優しさは、すごく心地がいい。気兼ねなく甘えることを許してくれる。
そこには見返りを求めるようないやらしさも、だらしない自分への憐れみもない。
友達としての優しさだけがある。心の中で感謝を告げて、真っ白なノートへ向かった。
「かがみー、つかさー。紅茶入ったわよー」
「あ、お母さんだ。私手伝ってこようかな?」
「あんたはいいって。勉強してな?私が行ってくるからさ。あぁ、こなた。」
「ん?な〜にかがみん」
「紅茶レモンとミルクどっちにする?」
「ミルクで。勉強の時にはミルクティーという恐ろしい掟があるのだよ」
私の怪奇的な発言を華麗にスルーして、かがみはみきおばさんを手伝いに部屋を出た。
みきおばさんは四人も子供を産んだとは思えないほど若々しくてスタイルもいい。
かがみがは将来あんな素敵な大人になるのかと考えると、羨ましいと思う反面
そんなかがみをからかうのもいいなぁ、とニヤニヤしてしまう。
「ふふふ・・・」
「こ、こなちゃん?」
あ、つかさがいたんだった。
さすがに勉強中に妄想してニヤけてました、とは言えない。
「そ、そう言えばさ。つかさはみきおばさんによく抱っこされてたんだよね」
「前そんな話したねぇ。私ぎゅうってしてもらうの大好きだったなぁ。」
「つかさは甘えんぼさんっぽいもんね。かがみと比べると大違いだ」
「えへへ。お母さんってキレイだし優しいし、私だーいすき」
「そっか。つかさは愛されて育ったんだねぇ」
「こなちゃんのお父さんもすっごく優しそうだったよ」
「そうだね。お父さんは未だにぎゅうってしてくるからね」
「それは・・・凄いね」
何とかニヤけ顔はごまかせたみたいだ。でも抱っこされるってどんな感じだろう。
お父さんには【抱っこさせてあげてる】って感じだから今一ピンとこない。
私もつかさみたいにお母さんに抱っこしてもらうのが好きだったのかな?
三人で写ってる写真で、私は確かに抱っこされてる。その中で私は微笑んでいた。
今となってはその時の気持は分らない。ねえ昔の私、ちょっとでいいから教えてよ。
冷房が効きすぎている気がする。
「うわっ、もうこんな時間じゃない」
「集中するとけっこう時が経つのって早いよね。つかさ?」
「ん、こなちゃん・・・あじゃぱー?」
「あんたはもう眠かったみたいね、つかさ」
「う、そうみたい」
「じゃあお風呂にしますか」
「・・・・・・ね、ふたりとも知ってる?夜中お風呂に入ってて寒気を感じたら、
それは幽霊がそばを通ったってことなんだって。水のある場所は幽霊の通り道らしいよ」
「ちょっと今からお風呂入るって時にそんなこと言わないでよ」
「まぁ、本当かどうかは知らないけどね」
「あのさ、お風呂はみんなで入るんだよね?」
「さすがに三人は狭くないか?いつも一人で使ってるし」
「どったの、つかさ?私の話聞いて怖くなったの?」
「だってオバケなんて、Qちゃんでも怖いのに」
しまった、この子はこういうの苦手だったんだ。
でも怖い話ってなぜか人に言いたくなるんだよね、困ったことに。
寒くもないのにつかさは毛布をかぶりはじめた。
「もうこなた、あんた先にお風呂入ってて。私はつかさが落ち着いてから二人で入るわ」
「ういー」
「あ、みきおばさん。お湯あじゅじゅしたー」
「いえいえ、かがみ達は?」
「私と入れ替わりでお風呂に入ってます」
「そう、こなたちゃん何か飲む?」
「はい、ありがとうございます」
前から挨拶くらいはしてたけどちゃんと話すのは初めてだ。
かがみの雰囲気をもっと丸くして、指通よくした感じ。春みたいな匂いがする。
ツンとした瞳がみきさんの柔らかさを際立たせていて、見つめられるとなんだか心の糸が解けてしまいそうだった。
「つかさが、言ってました」
「ん?」
「みきさんのこと、優しくて大好きだって」
「あら、うれしいわね」
「ぎゅってされるのが大好きだったって」
「うふふ、あの子らしいわね」
「みきさんも、かがみやつかさのこと大好きですか?」
「もちろんよ。みんな大切で、いい子だもの。こなたちゃんみたいな友達もいるしね」
「そんな。私は助けてもらってばかりだし」
「こなたちゃんのお母さんもこなたちゃんのこと大事にしてくれてるでしょ?」
「私、お母さんいないから」
「おばさん変なこと聞いちゃって。ごめんなさい」
「いや、私は気にしてないんでいいです。でも・・・」
「でも?」
「お母さんにぎゅってされた記憶がないのは少し残念。かがみやつかさが羨ましいなぁ」
「そうなの。
―――こなたちゃん、目をつむってお母さんの姿を思い浮かべてみて」
「え、なんで?急にそんなこと」
「いいから、ね?」
「はい。」
私はみきさんの言うとおりにした。みきさんの瞳がそうさせた。
ぎゅっ
「あ・・・」
「お母さんもこうやってこなたちゃんを抱きしめてくれたんだと思うよ
こどもを想う母親の気持ちはみんな同じじゃないかな?」
涙が、勝手に流れてきた。これは何?なんで泣いてるの、ねぇお母さん?
みきさんは胸元でなにかをささやいている。
聞き取れないけど、みきさんもそれを分かってるみたいだ。
「おばさん、余計なことしちゃったかしら?」
「いや、おばさん―――じゃなくてみきさん。嬉しかった」
「あら、こなたちゃん。泣いてるじゃない、大丈夫?」
「いや、これはその自分でもなんで出てきたか分からなくてですね
みきさんのせいじゃないと思います。多分」
「きっとそうね。いつかその涙のわけが分かる時が来るわ」
「あの、みきさん。ありがとうございました」
「私も久しぶりに抱っこできて嬉しかったわよ。
もうすぐかがみたちが出てくるんじゃないかしら?私も部屋に戻るわね」
「おやすみなさい」
「はい、おやすみなさい」
「あれ、さっきからこなたなんか機嫌良いじゃない。どうしたのよ?」
「そうだね、鼻歌なんか歌って」
「まぁ簡単に説明すると
ひとえに・・・愛だよ!!」
以上です
初めてSSを書くに辺り、何を書こうか迷っていましたが
「みきさんに抱っこされてえええええええええええ」
という衝動が降ってきたので、こんな話になりました
気になった点を指摘していただけるとありがたいです
前の投下から時間たってない時にぶっこんでしまったので
レスが挟まったことは反省してます
一応直前までリロードしたのですが
もう少し余裕を見れるといいなとおもいました
481 :
471:2007/12/09(日) 14:39:48 ID:fFFo7ujg
>>480 割り込んでしまったゴメンorz
そしてGJ!!
>>480 いらっしゃいませこんにちは
アニメが終わって過疎になるんじゃないかと思っていたが
こうしてまた新たに書き手さんが現れてくれる
すばらしいね
GJです
気になった点は、シリア語ブラクラのような改行かな
もうすこし詰めておけば、レス数も少なくなって纏まるし、
割り込まれる可能性も少なくなるかと
これからも頑張ってくださいな
「
>>480さんぐっじょーぶ! てか、恥ずかしいトコ見せちゃったね私」
「いいぢゃん、可愛かったぜちびっ子〜」
「ふぉ!?読んでたのっ、みさきち!?」
「ニヤニヤ。 ……でもさ、あれなんぢゃね? ここ数時間の書き手さんは、小説とゆーよりドラマを書いてる感じなんぢゃねーかな」
「なんかよくわかんない表現だね、みさきち」
「んー、なんつーのかなぁ。 ほら、ドラマをそのまま書き起こそうとしたらさ、『間』とかが大切になるわけぢゃん?」
「んむ」
「そーなると、『行間』ってのが意味を持ってくるわけよ」
「なるほど、一行空けと二行空けとでは、作者の中では違う意味を持ってるってわけかぁ」
「でも、小説の場合ってそーゆーコトしないよなー」
「そういやそだね〜」
「そのへんは読み手の感覚に任せる、ってことなんぢゃねーかな、って思うんだZE」
「まあ、スタイルの違いではあるネ」
「良し悪しはよくわかんねーけど、今のうちから小説の書き方に慣れといたほうが、あとあと役にたつよーな気がすんだよな〜。 作家デビューとか」
「比喩とかでもそーだけど、隠された表現を読み取るのは読み手側の楽しみ、ってことなのかもしんないね〜」
「そこまでする人は少ないだろけどな。 ……でも、ま、ネタを仕込むほうにしたら、わかって欲しいって考える気持ちもわかるんだけどな」
「伝えたいコトを片っ端から詰め込もうとして、やたらと説明口調になっちゃう書き手さんもいるけどね」
「今までの作品も、じっくり読み返してみると作者の隠された意図が見つかったりしておもしろいんだZE☆」
「そういえば、短編詩に本編以上の注釈をつけてしまった詩人の方も実在しておられるようですね」
「あーみゆきさん、おはよん」
「おーっす、こなた」
「おはよん、かがみ〜」
「……ところでさー、日下部。今の話って、私が先週話したやつのまんま受け売りじゃないの?」
「ぎくうっ!? ……イ、イヤケッシテソンナワケデハッ;;」
駄目だしありがとうございます
今回はみきさんの口調が1番大変でした
なにせこなたとのからみが無いので
多分こんな感じだろうって想像してキャラを崩さないようにしたつもりでしたが
いかんせん自分の中でみきさんは奇跡的なほど美しい女性になってまして
好きすぎるキャラを使うってのはハードルが高かったかもしれませんね
今度は短めの(2、3レスくらいの)話で
ちょっとでも読むに値するものを書けたらいいなと思ってます
485 :
6-748:2007/12/09(日) 15:41:20 ID:vMFCB3Yz
お初にお目に掛かります、6-748と言います
皆様の素晴らしい作品に感化され自分もSSを書いてみました
投稿よろしいでしょうか?
>485
投稿、お願いします。
今日は投下が多いなぁ
wktkしつつ待機してます
6-748という名なのに、初とはこれ如何に?
とりあえず、投下待ってます。
>>480 GJ!なんというか、母親って偉大だなぁ…
こういうのに弱いから目頭が・・・っ!
490 :
6-748:2007/12/09(日) 16:04:15 ID:vMFCB3Yz
それじゃ投下しますね
・かがみ視点
・かがみ→こなた
・エロ有り(自慰)
・4レスほどお借りします
時間ってものは実際に過ごしてみると実に早く感じるものだ。
楽しかった三年間の高校生活も残すところ半年ほどとなった頃。
私の心には色々な感情が膨れ上がり渦巻いていた。
近くて遠い
沈み掛けた茜色の夕日に染められた教室で、私は最後の書類を纏め終わる。
「やっと終わったわぁ」
伸びをして呟く。
教室の壁掛け時計で現在の時刻を確認すると、既に五時を回ろうとしていた。下校時刻は刻々と迫っており、窓からグラウンドを見渡しても殆どの運動部は片付けを始めている。
委員会の仕事がすっかり長引いちゃったわね。
机の上に積み重なったプリントを見遣りながら思う。
部活動に所属していない私達がこんな時間まで学校に居る事は珍しい。
それだけ、滅多に見る事の出来ない教室からの太陽は綺麗で印象的だった。
私の他にもう一人、この教室に居る人にも見せてあげたかった。
「こなた、終わったわよー」
私が振り返ると、こなたは後ろの席で眠っていた。
『悪い、今日は委員会で遅くなりそうだから先に帰ってて』
『あー、私待ってるよ。どうせ暇だし』
授業が全て終了してから交わした会話が私の頭の中に蘇る。
帰って勉強でもしてなさいと言ったら、期末試験の日が近付いている事を思い出したつかさは帰路に着いたのだが、こなたはそれでも待つと言ってくれた。
普段のこなたの性分から推測すれば、試験の日程を覚えていないか一夜漬けをするかのだちらかだ。今日勉強する事は恐らくないだろう。
それでも、どんな理由にせよ待っていると言ってくれた事が嬉しかった。
こなたの優しさを感じながら、私は安らかな寝息をたてているこなたの寝顔を覗き込んだ。
万有引力に対抗している一本のアホ毛、長い睫毛、穏やかで小さな子供みたいな顔。
最初は写メでも取ってやろうかと考えていたが、実際には考える事もなくこなたの表情に見入っていた。
「う〜ん……」
こなたの小さな唸り声で、私は現実の世界に引き戻された。すっかり見入ってたわ。
「……ずっと俺のターン……」
どんな夢見てんだよ。
もう少し私の声に気付かず睡眠を続けるこなたを見ていたかったが、ずっとこうしているわけにもいかないので起こす事にする。
「おーい、起きろー」
耳元で言って右肩を数回叩いた。
「う〜……後五分……」
多少予想していた台詞が返ってきた。こなたは机に突っ伏したまま顔を下に向けた。完全にまだ寝るつもりらしい。
ああもう!これじゃあこなたの顔が見れないじゃない!
って違うだろ私。
やましい雑念を振り払ってこなたをどうやって起こそうかと思案したが、私は教師から仕上げたプリントを職員室まで持ってくるよう言われた事を思い出す。
「こなた、私先生にプリント提出してくるから後五分で起きるのよ」
「うあーい……」
本当に分かったのか疑ってしまうような返答を確認すると、少し心配になったが私は完成した書類をクリアファイルに入れて教室を出る。
「ちゃんと起きとくのよー」
扉を完全に閉める前にもう一度言ってみた。こなたが何も反応しない事からまだ起きていないのだろう。
私は溜息をつきながらドアを閉め、職員室までの最短ルートを脳内に描き始めた。
ストーブを使っているからだろう、職員室は教室よりも遥かに温度が高かった。長居したい衝動に駆られたが、こなたをいつまでも待たせる事はなるべく避けたかったのでさっさと用事を済ますべく私は担任の机に向かう。
「はいご苦労様」
頼まれたものを渡してミッションコンプリート。
「失礼しました」
出る時に型に嵌った台詞を言い暖かい職員室のドアを閉める。途端に風も吹いていないのに寒気に襲われた。
身を縮こまらせながら冷たい床の廊下を歩く。これならまだ夕焼けに映える教室の方が幾分か暖かい。
私はこなたが起きている事を祈りながら来た道をそのまま戻り始めた。
寒さの所為だろう、自然的に早足になってしまい普段より道程が短く感じられる。こなたを待たせるのも悪いと思ってるしね。
二つの理由の相乗効果で私はあっという間に教室へ戻ってきた。
「お待たせー……ってあれ?」
私はドアを開けながらそう言ったが、室内の何処にもこなたの姿は見当たらなかった。
「こなた?」
つい先程まで夢の世界に旅立っていた人の名前を呼ぶ。しかしその声が静まり返った教室で反響するだけで、目当ての人の返事は聞こえない。
取り敢えずこなたが寝ていた席に行ってみると鞄は掛かっていた。前の席にもちゃんと私の鞄がある。つまりまだ校内にはいるはずなのだ。
だがこなたがこの状況で行きそうな場所が思い付かない。強いて挙げるとしたらトイレぐらいだ。
急に尿意でも催して便所に駆け込む友人の姿を思い浮かべながら私は中途半端に戻された椅子を引いて腰を下ろした。
「まさかこっちが待たされるとは思わなかったわ……」
そんな事を考えながら気長にこなたを待つ。トイレではないにしても荷物を教室に置いているのだから戻ってくるには違いないだろう。
「ん……?」
何をして待っていようか考える私は、椅子と密接している部分を通して伝わってくるあるものに気付いた。
それは職員室の暖房器具よりも私の心に暖かさをくれる、こなたの温もり。
「……暖かい」
正直な感想を短い言葉にする。
人工的に作り出されたものとは明らかに違う、心に染みていくような暖かさは私がこなたを好きだという事を再認識させた。
こなたと時間を共にする事でいつのまにか芽生えていた感情。
心の奥から湧き上がってきて止まらない想いが私を支配していった。
机に額をぶつけるような体勢を取る。窓から見える美しい夕焼けの風景が真っ暗な世界へと変わっていった。
「はぁ……」
正直に言うと、辛い。
私はこんなにもこなたの事を想っているのにこなたは振り向いてくれない。
神様は何と残酷な運命を用意してくれたのだろうか。
「こなたぁ……」
闇に染まる光のない空間。
まるでその暗闇は不安、光明は希望を象徴しているかのようだった。
もう少しで終わりを迎える楽しかった唯一無二の高校生活。
卒業すれば私達はそれぞれの進路を選ぶだろう。偶に連絡を取り合う事はあっても、会う機会は激減するのは目に見えている。
その内お互い忙しくなって、話す事もメールをする事も減ってしまって―――
胸に秘めている想いが消えてしまうのではないだろうか。
私はそれが怖かった。
この気持ちを伝える事が出来たらどんなに楽だろう。
だが、ありとあらゆるしがらみやらが私をそうさせてくれない。
女同士だなんて周りからどんな目で見られるか分かったものではない。
同性間の結婚が許されない日本で、両親は納得してくれるのだろうか。
―――そしてこなたは私を受け入れてくれるのだろうか。
不安な事はこんなにも見付かるのに、それに相応した希望は用意されていない。
それだけで挫けそうになる。私の望み通りになる確率なんてもしかしたらないかもしれない。
想いをぶつけたとしてもその先どうなるかは誰にも分からない。後悔しない、こなたを後悔させないなんて言い切れない。
それでも―――
私の中に諦めるという選択肢は存在しないのだ。
「こなた……好き……」
誰も居ないのに、誰にも聞こえないように呟いた。
聞かれてはいけない事ではないのに……むしろ伝えたい想いなのに。
溢れ出す気持ちと涙は留まる術を知らず、私の心をこなた一色にしていく。
そしてその想いは―――
「んっ……」
私の右手を下半身の大切な部分へと移動させた。
指を這わせると、其処は涙とは違う液体で濡れているのが下着越しでもはっきりと分かった。
「誰も来ないよね……」
室内を見渡し確認するように呟いた。
教室に私以外の人物は居なかったがこなたの荷物はある。
普通に考えて誰も来ないとは言えないのだが、それでも私は見付かるかもしれない状況下での自慰行為を止めようとは思わなかった。
最愛の人の温もりに触れれば、求めずにはいられない。
私は上履きを脱ぎ捨てて両の足を椅子の上に乗っけた。大股を開いて背凭れに背中を預けると、邪魔なスカートを捲り上げる。
腰を浮かせて淡い桃色のお気に入りのショーツに手を掛ける。太股の辺りを通過させて足先まで移動させると、微かな水気で光る秘肉が割れ目を形作っている自らの秘所が露わになった。
愛液を纏っている湿った部分と丸まって足首へと抜かれた下着との間には透明な糸が引いている。それが私の視界に入ってくるのとほぼ同時に独特の匂いが私の鼻を擽った。
「ん……はぁ……」
直接触れると、下着を介している時とは比べ物にならないほどの甘い痺れが私の身体に迸った。それが合図になったかのように喘ぎ声が口から漏れて身体が震える。
今までは静寂を漂わせていた放課後の教室が私の立てるいやらしい水音で充満していく。
「はっ……はぁん……」
快楽を求めひたすらに己の秘所に愛撫を続ける。溢れ出てくる愛液と興奮は増加する一方だ。
ベトベトになった中指で割れ目を探ると、その場所を発見した私の一指は吸い込まれるように沈み込んでいった。
「ひゃうっ!」
より一層強い刺激が触っている箇所を起点に駆け巡る。それが全身に伝わりきる前に快感の虜となった私の身体が撥ね上がった。
ああ、そろそろ止めないと……こなたが来ちゃう……!
思えば思うほど指の動きは激しさを増していった。
「も〜、かがみんはえっちだなぁ」
人間の想像力とは実に偉大なものだ。私の中で形成された、こんなにも淫らで貪欲な私を受け入れてくれる、理想郷の住人のこなたが自慰に耽る現実の私に話し掛けてきた。
目を瞑ってこなたと私だけの世界を暗闇の一部に作り出す。
「しょ、しょうがないじゃない……んあっ」
「かがみのあそこ、こんなに濡れてるよ」
こなたは私の快楽を得る為の原点を覗き込んで呟いた。悪戯が好きそうな子供みたいな表情でじっと見られている私の大事な部分は、その事実に興奮を覚え蜜を滲ませている。
「ああっ……そんなに見ないでぇ……」
悩ましげに訴える空想上の世界の私。その姿を現実の私とシンクロさせる。
「ああん……ああっ……」
錯覚や妄想と言われればそれまでなのだが、こなたに見られていると思い込むだけで私はますます興奮していった。
その時、こなたが私の右手を掴んで動きを制止した。
「こ、こなた?」
「最後は私がイかせてあげるよ」
そう言ったこなたはもう一人の私の秘所に顔を近付けると舌を這わせた。
「はあぁ……!ああん!」
今までよりも大きな音量で嬌声が漏れた。
それは現実世界の私にも影響を及ぼす。
「ああっ!こなた……!こなたぁ!」
想像上で小さな舌を使って割れ目を舐め上げていく愛しの人。
その人の名前を叫びながら私は近付きつつある絶頂の時を迎えようとしていた。
「ああっ……!私、もうっ……!」
「遠慮しなくて良いんだよ?」
その台詞を聞いた瞬間、私の中で何かの糸が切れた。
そして―――
「んんっ……んはぁ……!ふあぁぁ!!」
ついに達した。
痙攣する身体は大きく仰け反り、愛液が間歇泉のように勢い良く湧き出てくる。
「はぁ……はぁ……」
こういうのをうっとりとした表情と言うのだろうか、私は目を細めて事後の感慨に耽っていた。
ただあまりのんびりしている暇はなかった。いつこなたが、はたまた他の誰かがこの教室にやってくるか分からないのだ。私はポケットティッシュを取り出して後始末を始めた。
自分の秘所を綺麗にしてから中途半端な所に留まっていたショーツをはき、椅子や床に散った白濁色の液を拭き取る。それを教室のゴミ箱に捨てる事は躊躇われたので新しいもので更に包みポケットに入れた。
自分が座っていたこなたの席の周囲と自分の服装を丹念にチェックする。急きながらやったにもかかわらずそれらは殆ど数分前の状態に変わりなく戻っていた。
「あー、ごめんごめん。待った?」
教室の片方の扉が動いて生じる音と共に、先程まで私の気持ちを高ぶらせていた声が聞こえる。私の欲望が付け足した艶やかな声調ではなく、のんびりとした感じで。
「もー、何処行ってたのよー」
私は本心の表情を急造した仮面を被って隠した。今はまだ伝える事の出来ない恋心をも覆い隠す、冷たく脆い仮面。
「いやー、ちょっとトイレにねー」
頭を掻きながら説明するこなたを愛しく感じると同時に、負の感情もまた心の中で禍々しい渦を巻き始める。
「まぁ良いわ、帰りましょう」
私は机に掛けてあったこなたの鞄を手に取り微笑んで手渡す。
「アイアイサー」
こなたはそれを笑顔で受け取ると室外へ向けて歩き出した。私もその後を追う。
向けられた小さな背中に私は不安を覚えた。
それはすぐにでも触れられそうなほど近く、分厚い壁を隔てたあまりにも遠い存在だったから。
495 :
6-748:2007/12/09(日) 16:14:20 ID:vMFCB3Yz
以上です、お粗末様でした
SSは初めてだったので皆様の素晴らしき作品には
遠く及びませんがね
続きの執筆も予定してます
アドバイス等々頂けたら泣いて喜びます
497 :
496:2007/12/09(日) 16:35:06 ID:0T5XX1EK
間違えた
GJだった
>>495 GJ!個人的にはこなた視点のものも軽く見てみたいかも。なんて思いました。
こなたが席を外してた間、実はこなたも…なんて妄想もしちゃったんだぜ。
GJでした!
GF……グランドフィナーレ?
おほーGJ!
最近は新人さんのクオリティも上がってますね!
休日名物新作ラッシュ、まだまだ続く?
今日は続々とすばらしい作品の投下が続いていますね。
私も、勢いにのって投下いたします。
502 :
23-251:2007/12/09(日) 17:06:30 ID:f/3U9YWf
「星に願いを」 第14話
・こなかが入れ替わり
・続き物
・エロなし
14.
私とこなたが入れ替わってから1週間が過ぎ、いよいよ
『入れ替わり』が解けるチャンスがある土曜日を迎える。
「おっす。こなた」
「おはよー かがみ」
11時ジャストに、待ち合わせ場所とした駅の構内で、『私』の姿を
したこなたと会う。
遅刻癖のあるこなただが、今日は時間通りに姿をみせてくれた。
いよいよ今日は、決戦の日だ。
新聞の朝刊で月食の詳しい時間は、チェックしてあるし、
ゆたかちゃんからは、召還魔法の解除方法を詳しく聞いてある。
入れ替わった人格を元に戻すには、完全に皆既月食となる
8時47分から、9時38分まで、約50分の間で、こなたと「えっち」
をして、二人が絶頂を迎えることが必要だ。
即ち、「イク」ことが元に戻る方法である。そして、忘れてはいけない
重要な条件がもう一つある。
必ず月が見えている位置でエッチをしないといけない。
その為に、事前にこなたの部屋の間取りはチェックしてある。
こなたの部屋の窓からは、東から天頂へと上っていく月を望むことが
できるけど、ベッドの位置だけは東の窓際に移さざるを得なかった。
人格の入れ替わりという壮大な『召還魔法』に対して、解除方法は
あまりにも馬鹿馬鹿しい程、俗なものであることには苦笑を禁じえない。
私とこなたは、私鉄で都内に向かう。土曜日だけあって、
乗車客には、家族連れやカップルが目立っている。
終点の巨大なターミナル駅から他社線に乗り換え、更に20分ほど乗ると、
遊園地の大観覧車が視界に入ってくる。
マジカルランド。開館から既に5年以上経つが、アトラクションが
豊富で非常に人気がある遊園地だ。今日は休日だけあって、
多くの人が来場している。
「すごい人だねえ」
私より頭一つ分だけ『背が高い』こなたが、周囲を眺めながら言った。
「アトラクションは、待ち時間かかるかも」
私は、ちょっとため息をついた。
園内の中心部にそびえ立つ大時計を見上げると、ちょうど正午を指している。
帰りの時間を考慮すると、遅くとも5時には遊園地を後にしなければならない。
あまり遊ぶ時間がないのは、ちょっと残念だ。
私が日中のデートを提案した理由は、やっぱり会って即エッチでは、
あまりにも味気ないということであって、『入れ替わり』の解除とは
何も関係はない。でも、ほら、ムードというのは大切だと思うわけで。
それならば、集合時刻を早めればいいじゃない、といわれそうだが、
超夜型なこなたに早起きさせるのには、流石にためらいがあった。
ちなみに、こなたは、柊家のPCから毎夜オンラインゲームに
興じているそうだ。
黒井先生からなんでIPアドレス変わっているのとか突っ込まれていて
慌てたと、数日前に話していたことを思い出す。
園内に入ると、やっぱり魔法関係のアトラクションが多いが、どこにでもある
スタンダードなものも、取り揃えてある。
マジカルランドに人気のある理由は、従業員の来場客の捌き方が上手いと
いうこともあるかもしれない。
客が多い割には流れはスムーズで、ジェットコースターで歓声をあげたり、
メリーゴーランドで写メを乗ったり、マジカルパニックと呼ばれる鏡だらけの部屋で、
きゃあきゃあ言いながら迷ったりして、思いっきり楽しめたと思う。
しかし、秋の日は短い。午後4時半を回る頃には、空は暮色に包まれている。
空を見上げても雲はない。携帯から見た天気情報でも今夜の天気の
崩れはないということだ。
雲がかかって、月光が届かないと『入れ替わり』を解除できないと
ゆたかちゃんから聞いており、祈るような思いだったが、どうやらその点は
安心できそうだ。
「こなた」
「なにかな。かがみん」
帰路に急ぐ人と、夜のイベントに参加するために交錯する大勢の来場者を
眺めながら、私はこなたに話しかけた。
「最後に、観覧車乗っていかない? 」
私の提案に、こなたは肩を竦めている。
「かがみって、結構ロマンチストだねえ」
「だって、遊園地の最後の相場はコレでしょ」
私が両腕を腰にあて、頬を膨らませて強く主張すると、こなたは舌を
少しだけ出して笑った。
「はいはい。わかりましたよ」
既に空が暗くなりかけていることもあって、待ち時間もなくあっさりと
観覧車に入ることができた。
係りの人が扉を開けてくれた小部屋に乗り込み、こなたと隣同士で座ると、
重心がずれて、ほんの少しだけ室内が傾く。
扉を閉められると室内は静寂に包まれる。
「疲れたー」
流石に、一日歩き回った疲れが出たのか、こなたが私の肩によりかかってくる。
「こなた。これからが本番よ」
「まあ、そうなんだけどね」
『私』の姿をしたこなたの体温を感じながら、窓の外をのぞくと、視界が一瞬
ごとに広がっていき、遊園地の全容が把握できるようになってくる。
観覧車が4分の1を回った頃。私に寄りかかっていたこなたが窓の外を
眺めながら、
「かがみ〜 見て」
と、感嘆の声をあげた。
西の淵に日差しの僅かな残滓―― 濃い山吹色がみえる。しかし、
ほとんどは深い濃紺色になっており、いくつかの既に明るい星が瞬いている。
地上を見下ろすと、数え切れない程の光の粒が毎に数を増しながら、
光の渦へと形作っていく。
「綺麗…… 」
私は思わず息を呑んだ。光の道は東に伸びるにしたがって密度を増して、
新宿周辺の超高層ビルから、奥の都心部にかけて、もっとも明るく輝いている。
観覧車の高度が最高点に達する頃には、眼下の街並みの輝きは幻想的と
いえるものになっていた。
「ねえ。かがみ」
霞むような表情を浮かべながら、こなたが私の瞳を覗き込む。
「うん…… 」
「キスして」
瞳を閉じたこなたが、心持ち唇をあげる。
私は―― 吸い込まれるように、少女の唇を塞いだ。
「ん…… 」
唇だけを触れ合わせる軽いキス。柔らかい感触が私を包む。
誰よりも優しくて甘いこなたの口付け。
「本番はお預けね」
暫く、フレンチなキスを楽しんだ後、私は悪戯っぽく笑いながら唇を離す。
「かがみのけちー 」
こなたは頬を膨らましたけど、密室とは到底言えない観覧車の中では
これが限界だろう。
「ねえ。こなた」
「私達って、ずっと一緒にいられるのかな」
静かに降下を続ける観覧車の中で、私は尋ねた。
しかし、すぐには答えは返ってこない。
張りつめたような無言の沈黙が続いた後――
「ずっと、一緒にいたいとは思う」
こなたは、慎重に言葉を選びながら答えた。
普段はおちゃらけているけど、肝心な時には、物事をとても
深く考える。
「でも、先のことなんて分からない」
「そっか」
こなたの言うとおり、女性同士の恋愛は何かと障害が大きい。
周囲の理解を得られることは、あまり期待できない。こなたの
お父さんは笑って許してくれるかもしれないが、私のお父さんは
正直言って分からない。
性格はごく穏やかで、酷く怒られた記憶はあまりない。
しかし、神主という職業に偏見をもっているのかもしれないが、
性に関しては、ごくノーマルな考えをもっているように思える。
友達はどうなんだろう。みゆきは分かってくれると確信しているし、
峰岸や日下部はほとんど気にしなさそうだ。
ただ、田村ひよりちゃんの同人誌に掲載されるのは勘弁願いたい。
そして、先生方の意向も気になる。黒井先生や桜庭先生は理解して
くれるだろうか。
いずれにせよ、こなたと付き合うからには、ある程度、好奇と
嫌悪の視線は覚悟しないといけないのだろう。
無論、自分から公言する訳ではないけど、こそこそと人目を忍んで
逢い引きをするというような発想は、私にはない。
堂々と付き合いたいというのも理由の一つだが、こういう話は
隠していても、自然と分かってしまうものでもあるからだ。
また、肝心のこなたの気持ちが、向き続けてくれるとは限らない。
私とこなたの間に割り込む、強力なライバル達がいることも
忘れてはならない。
妹のつかさと、小早川ゆたかちゃんは、違う意味で私の脅威となる。
つかさは、私達が両想いだと知ってからも、こなたにアタックを
かけ続けている。失恋を経験してなお、へこたれない精神的なタフさが
つかさにはある。
人懐っこい笑顔で何かとひっついてくるつかさに、こなたも
悪い気分はしていないようで、それが私の嫉妬心を抱く原因に
なっている。
それにつかさには私には無い強力な武器がある。言うまでもなく
料理だ。
つかさの腕は、明らかに家庭料理の域を超えつつある。
お昼休みにつかさ作成のお弁当を美味しそうに食べるこなたを
見ているのは、猛烈に悔しい。
しかし一方で、自分の料理の下手さ加減は十分に自覚しているから、
こなたには美味しいものを食べて欲しいという気持ちもあり、
かなり複雑なところである。
元に戻ったら、料理教室に通うことを真剣に検討しなくては
いけないかもしれない。
そして、今回の事件の原因を作ったゆたかちゃん。彼女は極めて
危なっかしい。
下手に触れると壊れてしまいそうなガラス細工のような繊細さと、
心の底にある深い闇が同居していることを、現在は知ってしまった。
それに、彼女にはこなたと同居しているという、大きな
アドバンテージがある。もし再び、彼女の心がダークサイドに
落ちたらと思うと、身震いを禁じえない。
事情を白状させたあの日以降は、「普段」のゆたかちゃんに
戻っているようだけど。
もっとも、こなたの恋人の座を虎視眈々と狙っているふたりの
気持ちは理解できなくはない。
いくら趣味がおたくといわれていても、こなたには、ひとに
好かれてしまう要素がたくさんあるのだ。
小さな身体からあふれ出す、はちきれんばかりのパワーと、
底抜けに明るい性格。
それにやられてしまった者が、他ならぬ自分なわけで。
「かがみ。何考えているのかな? 」
ふと気がつくと、こなたが私の瞳を覗き込んでいた。
「あんたが浮気しないか心配してるのよ」
「やきもち? ねえ、やきもち? 」
「あー もうっ」
がっくりと肩を落とした時に、ドアが係員によって
開かれた。一周15分の小旅行は、唐突に終わりを告げた。
観覧車から降りると私は大きく伸びをした。外の空気は
かなり冷たくなっている。
それから、こなたの隣によりそって、腕を伸ばして掌を握る。
こなたは驚いたように私の顔をみたが、握った手は離さずに、
そのまま歩き始めた。
私がこなたの恋人になったんだなと、心の底から感じることが
できた瞬間かもしれない。
既に日がすっかり暮れている。私達はリズミカルだがどこか
もの哀しげに聞こえるマーチを耳にしながら、遊園地のゲートを
くぐって外にでた。
帰りの電車の中で、半日遊びまくった反動が出たこなたは、
私の横にしなだれかかって寝息をたてている。
『私』の寝顔はとても無防備で、なんだか、とても恥ずかしく
なってしまう。
こなたの体温だけを感じながらも、流れるように過ぎ去る
街の光をぼんやりと眺めていた。
電車から降りて、駅前からほど近い料理店で、少しだけ奮発した
夕食をとった後、泉家にたどり着いた。
時計の針は午後7時30分を過ぎており、月食は既に始まっていた。
「ただいま〜」と、言いながら鍵をあけるけど、家の中には誰もいない。
こなたのお父さんは、出版社が主催する慰労パーティに出ており、
帰りがかなり遅くなる…… 少なくとも夜10時を回ることを聞いている。
ゆたかちゃんは、明らかに私達に気を遣って、彼女の親友である
岩崎みなみちゃんの家に泊まりに行っている。
つまり、月食の間は私とこなたと二人だけ。何やら図ったような
シチュエーションだ。
居間でお茶を飲んだ後、こなたの部屋に入って東の空を眺めると、
既に月は普段ではありえない形で欠け始めている。
例えるならば、お腹の空いている子供に差し出して、顔の一部が
欠けたアンパンマンといったところか。
少しずつ形を変えていく月を眺めていると、後ろからこなたが
声をかけてきた。
「かがみ…… 月、欠けてるね」
「うん」
「この一週間、かがみの家にいたけど。やっぱり自分の部屋は落ち着くよ」
東の空からゆっくりと高度をあげつつある月を見上げながら。
話しかけてきた。私は、こなたの傍に寄り添いながら言葉を返す。
「家のことが分からなくて、大変だったでしょ」
しかし、こなたはゆっくりと首を横に振った。
「ううん。つかさがいつもフォローしてくれたから助かったよ」
「そう…… なの」
私は、ほっと胸を撫で下ろした。
「つかさ。いつも私にくっついてね。かがみのご両親や、お姉さんたちとの
会話を全部フォローしてくれたんだ。小声で教えてくれたり、会話に
混ざってくれたりしてね」
「そっか」
つかさの献身的な努力があったから、一週間、こなたはぼろを
出なかったのだ。
私はつかさに感謝しつつも、同時に動揺してしまう。
「こなた…… 」
「うん? 」
「つかさを恋人として好きにならないよね」
「え…… なんでそんなこと? 」
こなたは目をぱちくりさせていたが、やがて、にんまりと微笑んだ。
「もしかして、また焼きもち? 」
「う、うるさいっ」
頬を朱に染めた私を、こなたはぎゅっと抱きしめた。
「心配しないでよ。かがみ」
「こなた…… 私、不安なの。つかさは本当にいい娘だから」
私は、正直に自分の気持ちを打ち明けた。そして、こなたは――
「大丈夫だって、私の一番はかがみだよ」
優しく囁いて、私の肩に手を置いて再び空を見上げた。
刻、一刻とやせ細っていく月。
つい先程までは、薄い影ができるほど強かった月光が急速に弱まり、
無数の星たちが、己の存在を主張し始めている。
三日月のような形になった月が、更に痩せて細くなり、ついに
完全に闇にとけこんで……
午後8時47分が過ぎ、赤銅色の月が暗闇に浮かびあがる。
私とこなたにとって、最大の戦いが無言のうちに幕を開けた。
512 :
23-251:2007/12/09(日) 17:25:59 ID:f/3U9YWf
まずは、温かいレスをいただいた方に深い感謝を。
励みになります。
今回は、かがみの独白と、状況の再把握という形で
ベッドシーンまで持ってこれませんでした。
ちなみにマジカルランドは、少し昔の、萌え4コマのはしりともいわれる
漫画(アニメ)から借用しております。
>495
GJです。
かがみのどうしようもなく切ない気持ちが、強く伝わってきました。
>>512 GJ!!
これからどうなるのか楽しみでしょうがないです
>>512 GJ!!寸止めとは…!この焦らし上手め!!w
次回wktkでぜんらたいきしてますっ!
>>512 GJです
かがみの心情を上手く表現できる貴方の文才に感服しました。
特につかさとゆーちゃんに対して、気遣いを見せるかがみが意地らしい。
話は変わりまして投下予定の方がいなければ
投下しようかと考えているのですが宜しいでしょうか?
※時間を開けなくて申し訳ないです
レスが無ければ投下したいと思います
>>515 1時間は経ってるから大丈夫かと
全裸待機してます!
517 :
22-468:2007/12/09(日) 18:44:50 ID:xmvLPT7G
>>515 ありがとうござます。
お言葉に甘えて投下いたします
タイトル「IFから始まるStory 序章」
注意事項など
・かがみ視点
・かがみ&つかさ
・パラレル物
↑苦手な方はスルーして下さい
※設定は柊姉妹が中学校を卒業する辺りです
私が覚えていたのは、今にも雪に変わるのではないかと思う程の冷たい雨が降りしきる中、
隣で嗚咽を漏らすつかさに掛ける言葉が何も思いつかず、
唖然と立ち尽くしていた事だけだった。
2月の中旬。私とつかさは稜桜学園から届いた2通の封筒を受け取った。
片方は分厚くて重くタブロイド紙でも入っているのではないかと思ってしまう程だが、
片方は薄くて軽く風が吹けば儚くも消えてしまいそう。
私は『柊かがみ様』と書かれた封筒を両手で持ち、
つかさは封筒を利き手だけで握りしめながら、
冷たい雨に入り混じる様な嗚咽を漏らしていた。
2005年3月のとある平日
「つかさー、用意できた?」
「もう少し待って、お姉ちゃん」
今日は良く晴れた冬晴れで、縁側で日向ぼっこでもしたら気持ち良さそうね。
私はそんな事を思いながら、今日という日が来なければ良いのにと何十回
ううん、何百回も思ったことか。
「おまたせ、お姉ちゃん」
そんな叶わない思いを浮かべていたら今日も笑顔がチャームポイントのつかさが、
にこやかに話しかけてくる。
「ほら、早く行くわよ」
「そ、そんなに慌てなくても」
「何言ってるのよ。中学校に行くのは今日で最後なのよ。最後くらいは早く行きたいじゃない」
今日で町内の中学校に通う私達のライフスタイルにピリオドが打たれ、
桜が満開を迎える頃には新たな生活がスタートする。
それは雪が解ければ水になる位に自然な事だけど、
私はその『自然な事』を受け入れられる自信が無い。
永遠に続けば良いのにと思う通学路を歩いていると、
どこか遠くを見ていたつかさが私を見ないで呟いてくる。
「ねえ、お姉ちゃん」
「なに?」
「今日で最後なんだね。一緒に学校へ行けるのが」
「そうよ」
だから10分でも1分でも1秒でも、つかさと一緒に居る時間が欲しかった。
視線を真正面から45度くらい上に向けると、視界一面にディープブルーが広がる。
飲み込まれそうな青空を見つめていると、また思い出してしまう。
私とつかさのターニングポイントとなった、あの日の事を。
『つかさ・・・風邪ひくから家に入ろ』
『ぐす・・・ぐす・・・』
『ねえ、つかさ・・・』
『・・・ごめんね、お姉ちゃん』
『え?』
『わたし・・・稜桜学園、落ちちゃった』
『な、なんでつかさが謝るのよ!』
『だって・・・だって約束したから。お姉ちゃんと一緒の高校に行こうって』
『その事なら大丈夫よ』
『ふえ?』
『私と一緒に他の高校も受けてるでしょ。私はつかさが合格した高校に行けば良いのよ』
『ダ、ダメー!絶対ダメ!! お姉ちゃんは将来の夢を叶える為に稜桜学園を本命にしたんでしょ。
もし稜桜学園を断ったら、私は本気で怒るよ』
つかさと一緒に居て15年が過ぎたけど、あんなに声を荒げたのは初めてだったわね。
「あ、お姉ちゃん。見て見て」
さっきまでの憂いを帯びた雰囲気は消え去り、
普段通りの無邪気なつかさが真っ青な空に一点だけ現れた雲を指さす。
私も憂鬱な気分を引きずっていられないわ。
「なに?」
「あの雲、チョココロネみたいだね」
「本当ね。でも、なんでチョココロネ?」
「う〜ん、なんとなく」
9年間続いた登校途中の他愛もない会話も今日で最後と思うと、目頭が熱くなってくる。
でも私は泣かない。つかさの前では泣いちゃ駄目。
それは、つかさに余計な心配を掛けたくないという姉心と
つかさの前でみっともない姿を晒せたくないという姉の威厳からくる虚勢だった。
卒業式も恙無く終り、お気に入りの先輩が卒業した事で涙を見せる在校生や
新たな生活への期待と不安で一杯になっている卒業生を尻目に、
私は日の当らない校舎裏へ足を進めていた。
「まだ来てないか・・・」
返事をしてくれる相手が居るわけでも無いのに、私は反射的に呟いていた。
呟いていないと一人だけ取り残された気持ちにさせられる不思議な力が
此処には有るのかもしれないが、所詮は強がりなだけ。
「あ、早かったね。お姉ちゃん」
私に遅れること数分。眼尻が赤くなっているつかさが現れたのを見て、
気温よりも寒く感じていた私の心が一気に温もりを取り戻してくる。
つかさが居ればいつだって感じられる温もりも今日で終わり。
だから私は、つかさに伝えたい事がある。
15年間つかさと一緒に過ごしてきた日常が過去の出来事になってしまう前に
ただ一言だけ「ありがとう」と
「ねえ、お姉ちゃん・・・今までありがとう」
気持の整理が出来る前につかさは飛びっきりの笑顔で私を見ながら、
一言一言を選んで話を続けてくる。
まるで日本語を覚えたての外国人みたいで滑稽だけど、
私の鼓膜を震えさせるには十分すぎる言葉。
「今日でお姉ちゃんと一緒に過ごす日々が終わるけど・・・
一生離れ離れになる訳じゃないから
違う学校に行っても私はお姉ちゃんの妹で
お姉ちゃんは私のお姉ちゃんだから
だから・・・
だから、お姉ちゃんは自分の道を進んでね」
垂れ目な瞳から零れ落ちる雫の存在に、
本人は気付いていないような笑顔で私を見つめるつかさの顔が、
徐々にぼやけてくる。
「あはは・・・お姉ちゃんでも泣くんだ」
「つかさだって」
姉の威厳や妹を思う姉の心なんか、今は関係ない。
私達は双子なのよ
生まれた時からずっと一緒に過ごしてきた
幼稚園も小学校も中学校も
どんな時も一緒で
私の心を温かくしてくれた
「今まで私を支えてくれてありがとう・・・つかさ」
これからは自分の道を進んで行くわ
522 :
22-468:2007/12/09(日) 18:50:45 ID:xmvLPT7G
読んで頂きありがとうございます
そして最初にレス数を書かなくて申し訳ありません。
今更ながら4レス使わせていただきました
パラレル物を初めて書いてみましたが難しいですね
523 :
22-468:2007/12/09(日) 18:54:17 ID:xmvLPT7G
>>522 foooooo! 自分はパラレル大好きですから、超GJ!!
一人稜桜に進んだかがみが、どうやってこなたと出会うのか気になります!
続きwktkしときます!
「こなたはわたさあああああん!」
って叫びながらそうじろうが機関銃撃ってる夢見た。
何やってんだ自分orz
バイトから帰ってきたらこんなにも作品が!みなさんGJですぜ
>>480 みきさんの口調は難しいよね、資料少ないし。
と、みきさんが出てる某作品の続きが停滞中の俺が言って見る
…明後日ぐらいにはようやく長かった修羅場が終わる見込みだから、早く執筆に戻りたいところ
>>495 これはいいエロ
いっそこなたに見られてたら…なんて言ってみる
>>512 マジカルランドの元ネタはやっぱりそれだったか
(15話でゆーちゃんがネタにしたあれだな?)
>>522 かがみは…こなたと出会えるのか?続きに期待
>>522 こ、これは!!
一話完結でも充分なレベルなのに、続きがあるとは。ドキドキ
つかさの一生懸命な言葉がいいですな。
これからもハイクォリティな作品期待しています。
216〜219で『風邪の特効薬?』を書いた者です
前作のその後の話を思いついたので、再びお邪魔します
神の如きSSの中で些か恐縮ですが、息抜き程度にでも楽しんでいただければと思いますw
・こな&ゆた
・ちょっとだけエロ有
・多分2レスで収まるはず……
では投下開始
ゆーちゃんと晴れて恋人同士になっってから変わった事と言えば、やっぱり一緒にいる時間がだいぶ増えた事。
今は夏だからあまり長い時間出歩かないもののちょっとした買物に2人で行く事もあるし、この前は地元のお祭にも顔を出した
りした。花火大会の時にも見たけど、ゆーちゃんの浴衣姿を独り占め出来たのはちょっと嬉しかった。
あとはまぁ……恋人らしく大人のスキンシップとかもたまにしちゃったりもした。とは言え、まだ少し恥ずかしいのとゆーちゃ
んの体が心配なのとであまり激しくはしてないけど。
こんな感じでかなり充実した夏休みを送っていたある夜。
いつも通りネトゲに繋ぐと嫁も繋いでいるのに気づいた。ここ最近私は繋いでもゆーちゃんとの事でまともに手につかなかった
り、向こうは向こうで色々忙しかったようですれ違う事も多く、狩りに出掛けてお喋りしてと言うのは本当に久し振りだった。
狩りも一区切りしてまったり話してると嫁が「せっかく会えたんだし、久し振りにする?」と声を掛けてきた。
私達はたまに夫婦の営みと称してチャットHをする事がある。最初はどんなものかと好奇心からしたのだけど、これがけっこう
楽しくてこれまでにも何度かやっていた。最もソレが目当てじゃなかったし、「Hな事をする」というよりは「RPを楽しむ」と
いうのがしっくり来るかな。
そんな訳で嫁といい感じになってきた時に不意に首筋にあったかい何かが触れた。
「うひゃぅ!ちょ、なにごと?!」
振り向けばニコニコと笑顔のゆーちゃんがぎゅっと抱きついてきた。どうやらヘッドホンで近づいてるのに気づかなかったらし
い。
「って、ゆーちゃんか〜〜。ビックリさせないでよ。こんな時間にどうしたのさ?」
と、ヘッドホンをはずして聞いてもニコニコしたまま何も言ってくれない。代わりに、抱き締める力が少し強くなった。
「もしかしてタイプの音がうるさかった?」
「お姉ちゃん、いいの?お嫁さんほったらかしだよ?」
とニコニコ……あの、ゆーちゃん、本当にどうしちゃったのかな?笑顔が何だか怖いですよ?
モニターに向き直るとログには嫁から『もしかして寝ちゃった?』などと聞かれてるし。慌てて返事を返してると今度は耳を甘
噛みされた。
「んっ、ゆーちゃ……本当に、どうしちゃった、の?」
「首筋を舐めたり、耳にキスしたり……あとは何だっけ?こう、おっぱいを弄ったりするのかな?」
「ひゃぅっ!んっ……ちょ、ちょっとゆーちゃんてば!」
「お姉ちゃん可愛い……ここ、先っぽが硬くなってるよ?クスクス♪」
なおも言葉に合わせて体のあちこちを弄ばれる。その度に体は反応し、甘ったるい声を上げてしまう。
ゆーちゃんの責めに耐えながら、辛うじて嫁の方にはお別れを告げてログアウトする。その時ふと閃いた。ゆーちゃんの責めっ
て、私が嫁にしてた事?
「あ、消しちゃったんだ。そのまま続けててもいいのに……」
「そんなに、残念そうに言わ、なくても。んっ……こんな状態じゃ、はぅ、無理だって、ば……」
「じゃあ私もこれでおしまい。」
「ねぇ……もしかして、さっきの、真似してたの?」
「うん、そうだよ。」
って、あっさり肯定された。よくよくチャットの内容を思い出してみると、確かにゆーちゃんにされたような事をした覚えがあ
る……って、ちょっと待って。ある疑問が湧いてくる、それもかなりヤバイと言うか恥ずかしいのが。
「ゆーちゃん。いつからここにいたのかな?まさかとは思うけど「割と初めの方からじゃないかな?」初めの……ってマジっすか
?」
「お姉ちゃんってば、読んでも全然気づかないんだもん。一体何してるのかな、って気になっちゃって……そしたらえっちな事し
始めちゃうでしょ?声掛けられなくなっちゃったの。」
抱き締められたまま、あっけらかんと言葉を紡ぐゆーちゃん。確かに呼ばれた事には気づかなかった。けど、何で?こんな風に
する理由に思いつけない。
頭の中で「?」マークが飛び交う中、ゆーちゃんが離れたかと思うと椅子ごと向きを変えられ、お互いが向き合うようにされた
。
「ちょ、まっ!あぶな……」
危ない、と言う抗議の声はゆーちゃんによって止められた。唇を重ねられる事で……
「すごく変な、いけない事したなってわかってる。でも、お姉ちゃんがそういう事するのってなんかやなの……『ゲームだから』
って言えばそれまでなのに、どうしても割り切れなくて……そしたら、頭の中がぐるぐるして、もやもやした気持ちになって。お
姉ちゃんにしてもらうのは私だけ、してあげるのも私だけじゃダメ?」
泣きそうな声で訴えてくるゆーちゃんを見てやっと理解した。と同時にようやく余裕が少し出てくる。いつものネコ口で誰かさ
んを真似て茶化すように言ってみる。
「くふふふ、ゆーちゃんってば思ったより独占欲が強いんだね〜。お姉ちゃんビックリだよ〜。もしかして嫉妬って奴かな〜?」
ビクッとしてこちらを見上げると、小さく頷くゆーちゃん。私のセリフに怒られたような気でもしたのか、少しおどおどして見
つめてる。
まぁこれ以上からかうのはかわいそうだね。椅子から下りるとさっきしてくれたようにぎゅっと抱き締め、そのままベットに押
し倒すように倒れ込む。
「えっ?あれ?おねえ、ちゃん?」
「んっふっふっふ〜。いくらあんな嬉しい事言ってくれても、イタズラされたんじゃーお仕置きが必要だよねぇ?」
「えと、うれしいって?だって私、勝手な事ばっか……」
「嫉妬しちゃうほど私を好きでいてくれるんでしょ?まぁそれで犯罪に走られちゃあ困るけどね。それに辛かった気持ちも多分わ
かるしね〜。」
何せ告白しちゃうまではゆーちゃんとみなみちゃんのことがお似合いのカップルと思って悶々としてたしね。
「ではでは。ゆーちゃん以外の子が目に入らなくなるように、ゆーちゃんの可愛い姿をいっぱい見せてもらいましょーかね?ちな
みに一応『お仕置き』だから拒否権はないよ〜〜♪」
「ふぇぇ?あ、あの!お、お姉ちゃん!?」
「出来るだけ優しくするから安心してね〜。まずはその可愛い口からふさいじゃおうか?」
「ちょっ!……ん、んん・・・・ふぁ……」
「大丈夫だよ。世界中で一つになりたいのはゆーちゃんだけだし、他の誰にもさせないから、ね。」
夜はまだまだ長い……よね?
後日。
嫁の中の人が男だとゆーちゃんに教えたところ、とても混乱してくれました。見てるこっちが楽しいほどに……普通はそうなる
よね。
それと嫁の方にはもうチャットHはしない事を告げると、向こうもあっさりと了解してくれた。どっかのジャム作りのうまいお
ばさん並の早さだったよ。まぁお互い興味本位で始めた事だったし、そこまでのめり込んだ訳でもないしね。ちなみに、嫁とはそ
の後も仲のいい相方として遊んでいる。
く……1レスおーばー><
如何でしたでしょうか?
自分的には展開が今一つ強引だったかな、とも思いますが……
皆様の客観的な指摘や感想お待ちしてますね
>532
リアルタイム遭遇!
こなゆたは大好物です。
SSの中身も甘々で好きなんですけど、改行が上手くいっていないです。
(文の途中で1行空いた形になっています)
直すのは簡単なんで、次回作があるのでしたら、楽しみに待っていますよ。
皆さんGJです!
この勢い・・・・ええい!
このスレの職人さんは化け物か!?
もちろん良い意味で。
535 :
473:2007/12/09(日) 23:41:59 ID:Hw0Eak6c
>>480 割り込んですみません。
自ら存在をあぼーんしてきますorz
そしてGJ!!
>>495 GJ!!
かがみんいいよかがみん。
それにしてもやってる最中に白石が忘れ物取りに来なくてよかったねぇ。
>>512 おっとついにクライマックスか。
次回は全裸待機してまっせ。しかも暖房OFFの状態で。
GJ!!
ほかのみなさんもGJです!!
こちらも起承転結で言えば「転」まで来ましたが、まだまだ時間が掛かりそうです。
てか、レス数が無駄に多くなりそうorz
>>512 まずはGJ!を贈らせて頂く。
やっと元ネタ分かった。
でもアレを俺が読んだ時の感想は、むしろ「シュール」だったんだ…
少なくとも「萌え」じゃなかったよ…
萌え4コマが急激に増えたのは
「スーパーメイドちるみさん」のヒットに気を良くした某社が調子に乗って
同人作家や他誌で燻ってた作家を拾って
大量にその手の雑誌を作ったからなんだよ…
土台作りをやらかしたのは、ももせたまみだけどな。
「せんせいのお時間」のメディア展開見ると、凄いぜ…
そろそろ黙るぜ、どこまでもズレそうなんでな。
次回、楽しみにしてます〜
えーと。
前スレで『えす☆えふ』を描いたところ、「こなつーが不憫すぎる」というご指摘をいただきましたので、
フォローがてら一枚ざくっと描きました。
仲良くやってます、ってことで。
つ【
ttp://freedeai.com/up/src/up5653.jpg】
……もはや、どうみてもオリキャラに片足以上つっこんでるので、このへんで自重しときます。
SSのネタもあるけど、万一書いたとしてもテキストでどっかのうpろだに上げるかどうか、そんな感じで。
>>537 こいつはすばらしい
例の3名は、あまりのすばらしい光景に、
近づくだけで死ぬため、草葉の陰から覗くしかないのです、アーメン
かがみ「納得いかねえGJ!」
つかさ「GJうにょ〜ん」
みゆき「GだばだばJだばだば」
>>537 GJ!だぜ。
かがみんの本音が、そのまま俺らの本音だな
>>537 くはっ、可愛ええ! さながら柊姉妹ならぬ泉姉妹か。
猫アル○ばりにすっ飛ぶみゆきさん含めてぐっじょぶ!
あと、さりげなく美味しいポジションに陣取っているつかさは俺と替わるように(自爆
541 :
2-390:2007/12/10(月) 01:15:39 ID:e2SttoU4
数々の作品にGJを送りつつ、『残し物-7』を投下。
・こなた&かがみ
・社会人かがみ視点(一部第三者)
・オリ設定
・鬱のターン
苦手な人はスルーを。
542 :
残し物-7:2007/12/10(月) 01:16:54 ID:e2SttoU4
「っ……コホ、コホ……」
暖房に熱され乾いた部屋に、時折こなたの咳き込む声が聞こえた。
子供ながらの軽い音をしていて、二三払うと息をついている。
文庫本のページを読み進める私は気になって、ちらちらとその様子を伺ってみる。
テレビに見入ったままの彼女は、肩を小さく上下させていた。
「…風邪、いよいよ酷くなってきたんじゃない?」
私は寝そべっていたベッドに手をついて、小一時間動かさずにいた身体を起こす。
読みかけの文庫本は開いたまま傍に伏せて、長い青髪を纏った背中に話しかけてみた。
少女は然したる反応も示さずにいて、テレビの画面と平行を保っている。
だが不意にもう一つ咳を払うと、ようやく顔を僅かに振り向かせた。
「……そうかな」
昨日の晩辺りからだろうか、こなたは以前に増して咳をするようになった。
時折苦しげに小さな身体を震わせて、吐き出す息は喉を蝕んでいた。
熱っぽい様子は伺えないものの、肩で呼吸を調える様はやはり痛々しく。
また、身体を弱らせた猫のようでもあり、不謹慎にも私の注目を奪っていた。
「何なら私と病院行く? 多分平日は空いてるわよ。」
「い…いいよ、これたぶん風邪じゃないから」
と言って、ふいと前に向き直ってしまう。
小さく2回の咳をついて、むっとテレビの画面を見上げた。
風邪じゃないなら何だと言うのだろう。
とくに医学をかじった事も無い私に、これぞと思いのあたる当てはなかった。
543 :
残し物-7:2007/12/10(月) 01:17:38 ID:e2SttoU4
「………。」
代わりにふと、私はある事を推測した。
風邪をひいた事実を隠ぺいし、また否定しようとする幼きこなたの心境を。
これに確信をもつ私は、ほくそ笑まずにはいられない。
ベッドから降りると、ちんまりと座るこなたに這い寄った。
「ねぇ、こなた…。」
「………?」
振り向きもしないこなたの背後につくと、その小さく狭い首元に両腕を通し
頼りもない子供の背中に抱きつき、のし掛かるようにして凭れてやった。
「ひょっとして、病院行くのが怖いのかぁ?」
「……!」
私と頬を隣り合わせるこなたの顔が、ひとたまりもなくカッと赤くなる。
それは図星だからか、身体を密接しているのが恥ずかしいのか。
「ふぇ……ち、ちがうよ……。」
湯気を昇らせてしまいそうなそれは、最早私もテレビも視界から逸れていた。
「じゃあ、どうして嘘までついて病院に行こうとしないのかなー。」
すぐ傍で赤くなった頬をつついてやると、その度に小さく唸って鳴いた。
勿論にゃーと鳴く訳ではないが、戸惑いむくれる猫のようで可愛らしい。
「む……だって、風邪じゃないもん…」
それならと、わめくにゃんこに咳の事を尋ねる。
「米…そだ、米粒が喉にひっかかってるんだよ。」
だとすれば、その米粒はもう腐っているのではないだろうか。
544 :
残し物-7:2007/12/10(月) 01:18:44 ID:e2SttoU4
─────
「とりあえず、暫くは安静にしておきなさいよ」
「……むぅ。」
半ば無理矢理ではあったが、無事こなたをベッドに寝かしつけた。
顎の辺りまで布団を被せ、さながら生き埋め状態である。
変わらず部屋は暖房器具が活躍を見せているし、これなら身体が冷える事も無いだろう。
唯一私にとっては、ジト目で見上げてくるこなたの視線が冷ややかだった。
横になったついでに体温を計ったのだが、数値は平熱を若干下回っていた。
熱に苦しむ様子はないように、彼女は発熱しないタイプなのかも知れない。
それでも風邪である以上、対処するに越した事はないだろう。
私はこなたの額を軽く撫でると、何ヵ月かぶりに台所へ向かった。
……………
「えーっと、雑炊…雑炊……」
まな板と包丁を前にしておいて、そっちのけで携帯電話を操作する。
料理らしい料理を手掛けた事も無いので、今更にレシピを検索しているのだ。
とは言え、流石に雑炊も作れないとは我ながら情けない。
我が父や母が知ろうものなら、たちどころに涙してしまうだろう。
「……と、これね。」
材料と、大まかな作り方を掲載したページに辿り着くと
画面を開いたままにして、まな板の傍に置いておく。
私は箇条書きにされたごく数種類の食材を引っ張り出し、調理の準備を整えた。
「………よし。」
グッと包丁の柄を握るその手は、きっと武者震いをしているに違いない。
545 :
残し物-7:2007/12/10(月) 01:22:35 ID:e2SttoU4
……………
石油のストーブが、煌々としたオレンジの火を揺らし
充満する暖かな空気は、布団越しにも伝わっていた。
窓の外では小鳥がさえずる。外の寒さを嘆いているのか。
部屋はまるで冬らしからぬ、何とも穏やかな空気が流れていた。
「すぅ……すぅ……」
泉こなたは布団に埋もれ、辛うじて外に出た小さな口で寝息をたてている。
幼い寝顔は安息に満ちていて、さながら部屋の平和を象徴していた。
時折窓から淡い日が射し、彼女の顔を照らしてみれば
霞んだ瞳をうっすらと覗かせ、またふと閉ざして眠りに落ちるのだ。
時間は平穏に経過していた。
ゆるりとした雰囲気、暖かで静かな部屋。
病を患い、床に伏せる少女でさえ恩恵を受け
その様子は柔らかなタッチで描かれている。
『ガッシャーン!!』
けたたましい騒音に、キャンバスは呆気なく破れてしまった。
546 :
残し物-7:2007/12/10(月) 01:23:19 ID:e2SttoU4
「ふゎ…!」
驚いて目を覚ましたこなたは、すぐさま音のした台所の方角に目をやった。
生憎木製のドアに隔たれているが、事態は逐一伝わる事となる。
『しまったぁー、お皿落としちゃったわ…。』
「………。」
暫くして、カシャカシャと細かな音が聞こえる。
恐らくは食器の破片を片付けているのだろう。
少女は暫く呆気に取られていたが、やがて小さくため息をついた。
…ボコッ!
『うわぁっ、雑炊が爆発した!』
「……え?」
バコォッ!
『ど、土鍋が真っ二つに!』
ゴォォォ…!
『コンロが、コンロの火がぁ!』
ガッシャーン!!
『だから何で落ちるんだってぇー!!』
耳に入る情報から、台所はさながら地獄絵図と化しているに違いない。
泉こなたは頭まで布団を被り、震える術しか持ち合わせていなかった。
……………
数時間して、ようやくに完成した雑炊をこなたに振る舞った。
苦労してレシピを忠実に再現しただけあって、味見した分にはなかなかの出来だ。
これだけうまく作れたのだ、死んでいった食器たちも報われるだろう。
蓮華を口に運ぶ際、こなたは小さく震えていた。
547 :
残し物-7:2007/12/10(月) 01:23:59 ID:e2SttoU4
─────
──昼の4時を過ぎた頃だ。
今は暖かな陽射しも薄らいで、ストーブの熱だけを頼りにしている。
上半身をベッドに寄りかからせていて、敷いた腕に突っ伏した状態で目を覚ました私。
知らずと眠っていた事に、疲労の程を思い知った。
「ん………」
霞んだ視界を指の背で擦ると、目前にこなたの寝顔が映し出された。
横になった寝顔がこちらを向いていて、すやすやと寝息をたてている。
気持ち良さそうな柔らかい表情が、再び私を眠りに誘いそうだ。
未だぼうっとする頭で手を伸ばして、その頬をそっとつついてみた。
「……むぅ…。」
「………」
この子の生み出す、まどろむような空気が好きになっていた。
ふにふにとしたその表情は、ムッとしていても何処か愛らしく
絶えず私は影響されていて、どうにも感情の緩みを制御できないでいる。
それが幾分楽しくもあり、こうして彼女に構ってしまうのだ。
「すぅ……すぅ……」
頬をつつきながら、私はまた腕の枕に顎を落とす。
いよいよ、二度寝への抵抗力を失ってきたのだ。
だんだんと目蓋が下がるのに任せて、私は意識を曖昧にしていく。
今度はとても、心地よい眠りになると思う。
願わくは、こんな毎日の永遠だった。
548 :
残し物-7:2007/12/10(月) 01:25:23 ID:e2SttoU4
─────
仕事を終えて帰る途中、珍しい人物と出くわした。
男勝りなボックスカーから顔を覗かせたのは、桃色の髪が上品にウェーブする高良みゆきだ。
彼女も出張先からの帰りであって、珍しくこの辺りを通ったのだ、との事。
立ち話もそれなりに、「宜しければ」といって助手席のドアを開けた。
「悪いわね、こっちだと遠回りになっちゃうけど」
「構いませんよ、私もかがみさんとお話がしたかったものですから。」
そう言って、涼やかな笑顔で私のマンションへと車を走らせる。
紳士で頼れる高良みゆきは、とても男前に映って仕方がなかった。
……………
然して長くない道程の間、私もみゆきも世間話に口数を費やした。
挨拶代わりの時事問題に始まって、仕事のことやこなたの事。
みゆきは8割方聞く側に回り、節目を見つけて「〜といえば」と話題を広げた。
気のおけない友の見本となるような存在であり、私はとても落ち着くのを感じていた。
次第に建物がまばらになってきた辺りで、みゆきは何度目かの話の切り替えをした。
「そう言えば、岩崎みなみさんを憶えていらっしゃいますか?」
人影もない道路を見据えたままで、横顔に街灯の明かりが走っていた。
「確か……私達の2つ下の娘よね。」
みゆきは小さく「はい」と頷いた。
「でしたら、彼女の実家で犬を飼っていた事はご存知ですよね」
言われれば、そんな話を高校時代にした気がする。
確かシベリアンハスキーとか言う大型犬で、彼女…岩崎みなみにひどくなついているとか。
普段クールな彼女がその飼い犬を枕に寝ていた所、みゆきのおばさんが目撃して……何とも懐かしい話だ。
「その犬がどうかしたの?」
私は再び、あくまで運転に集中するみゆきを見る。
少し見通しのよい道路に入ると、みゆきはチェンジレバーを一つ上げた。
「……実は、先月から行方が分からなくなっているんです」
トーンの落ちた声は、軽いエンジン音とは対照的だった。
549 :
残し物-7:2007/12/10(月) 01:26:47 ID:e2SttoU4
「あ……そう、なんだ」
私も何処か目の下がる思いで、自然と前に向き直った。
みゆき程に交流があった訳ではないけど、やはりそういった類いの話は他人事でも気が沈む。
無表情に近い彼女の顔が歪む所は、あまり想像したくはなかった。
「老犬でしたので、悟る所があったのかも知れませんね…」
みゆきが、そうポツリと呟いた。
曰く、衰えゆく身体に己の死期を悟ったのではと言いたいのだろう。
飼い主を悲しませないよう、朽ちる様を見せまいと姿を眩ませる。
時たまに聞く、しかし俄に信じがたくもある話だった。
〜〜〜〜〜
『…犬や猫は、なついていても
突然主人の前から姿を消してしまう事があるらしいね』
『………』
『そういう事なんじゃないかと、俺は思ってるんだ。』
〜〜〜〜〜
「………」
幾本の街灯をくぐり抜ける車は、ゆらゆらと背中の色を変えた。
─────
部屋に帰ると、こなたは朦朧(もうろう)としていた。
咳も、息を荒げる様子も
昨日より目に見えて酷くなっている。
ベッドのシーツを握り締めて、力なく離してしまった痕がある。
布団も被らずに仰向けで、額に腕をあて熱い吐息を漏らしていた。
「待ってなさいよ、今救急車呼──」
携帯を耳元にかざそうとした腕を、精一杯伸ばした手によって掴まれた。
「……お願…い、へーき……だから……」
声を絞り出し、必死に訴えてくる少女。
憶測に過ぎない事を、私は今度こそ確信しようとしていた。
550 :
2-390:2007/12/10(月) 01:30:23 ID:e2SttoU4
つづく
鍋底とおこげの間の空気が膨張して破裂する
なんて事は現実に無くもないようで。
>>536 ももせたまみ→師走冬子・・・
それは俺が辿った道のことかああああああああああああああああああああああ!!!
確かにお時間のメディアミックスは異常。CD25枚そろえるの大変だったぜ・・・
>>550 うああああああああああ
そういえば、らき☆すたを見始めたきっかけはこなた病死MADだったなぁ……
553 :
536:2007/12/10(月) 01:43:41 ID:UbY0C7Xj
>>551 アニメ化したせいで、更に4枚(ドラマ2枚・ボーカル集1枚・サントラ1枚)あるんだぜ…
ももシス関連でもCD揃えたから、あの人にいくら貢いだか…
想像したくないわ。
ちなみに、ちるみさんもドラマCD1枚出てるぜ、頑張ってくれ。
当然、らきすたでもCD買い揃えてる。
…いい客だな、俺
>>2-390氏
つい先日、15年飼ってた猫が病死したんで、胸に刺さる物があったぜ…
キッチリ看取ってやれたのが、救いだった。
こんな風にいなくなられていたら…想像したくないな
こなたは普段がコア変人という風に捉えられてるが
あくまでそれは原作における普段の言動が全てだしなあ。
見た目や体、そして境遇などは、実にそうでない要素、
いやむしろ儚げな要素がたっぷり煮詰まってる
(蒼い長髪、小さな体、泣きぼくろ、マジの時の顔、母なし)
こういうギャップに萌えを感じるのが、
こなた好きの大多数なんでしょうなあ。
だからこそ、自殺MADといい、鬱系といい、
こなたを鬱展開に持ち込むと異様にマッチするのは、
そのせいなんだなあ、と思いますです。
こなた「というわけで、儚い私を守ってかがみ様〜」
かがみ「言いたいことはそれだけか、黙ってとっとと宿題やれ」
こなた「うぐぅ」
>>512 いよいよ大詰めですねー。
無事元に戻れるのかな。続きを全裸待機するしか。
>>520 つかさが同じ学校にいないとすると…
かがみとこなたとの出会いとなる接点がほとんどなくなってしまうことになるね
だからこそ逆にどうやって出会い、知り合っていくかが気になるなー
>>550 うぅん…やはり前回のオヤジの言ってたことはこういうことだったか…
なんとか助かってほしいな…
>>553 残念だが、アニメ版のCDも2枚持ってるぜ。
あと、ちるみさんに至ってはCDどころか作者の単行本フルコンプした上に川崎、コミケ、SCCも行った。重度の信者をなめんなよw
これ以上はスレ違いになるから抑える。
557 :
ぶーわ:2007/12/10(月) 03:56:41 ID:BVCxjlVv
ども、絵で誤魔化してるのがばれてきたぶーわです。
0から始めよう! の続き投下させてもらいますね。
・パラレル注意 苦手な方はスルーでよろしく
↓12レス拝借します
ズルズルと、麺をすすっていく音が部屋に無駄に響く。
その後に味だけ、喉の奥のほうが勝手に感じる。
ああ、そうだったわね。
味覚も共有するようなこと言ってたっけ。
しかしこの体になって初めての食事が、カップラーメンとは情けない。
ちなみにさっきから数回話しかけてるけど、返事はなし。
どうやらガン無視を決め込んだらしい。
「お腹が空いたら食べる、眠くなったら寝る……こりゃ重症ね」
「ですね、体を壊さなければいいんですが」
さらに起きてるときはエロゲ三昧、と。
……本当に女か? こいつ。
高校生の皮を被ったおっさんじゃあるまいな。
『こなた君……好き』
パソコンから漏れたフルボイスに、頭が痛くなる。
普通男キャラに自分の名前をつけるか? いや、普通はつけるのか?
そしてその告白した女の子が画面に映る……全裸で。
……展開的にどうかと思います。
ああ、またこのエロガキは興奮してきたし。
こっちも変な気分になるから辞めて欲しいんだけど!
ってゆーかそれ以前にエロゲやめろ!
「……」
カップラーメンを汁まで食べつくすと、一度マウスを動かす手を止める。
伝わってくるのは……憤り。
うっ、このムラムラは覚えがある。
ってかあんな嫌な思い出忘れやしない。
妙な羞恥心がそれと一緒に蘇り、鳥肌。
そのまま立ち上がった彼女を追いかけるように、後を追う。
「……トイレに行くだけ、いちいちついて来ないでよ」
そこでようやく私に声を投げかけてくる。
好感度は良くて0、棘のある言葉が私を貫く。
で、でも負けないんだから!
「まっまたどうせ、変な事するつもりなんでしょ?」
「変な事?」
うう、わ、私に言わせるわけ?
「そ、その……」
「?」
Hの一歩手前(G)というか魚編に尊ぶというか。
うああ、そんな単語私に言わせんな!
「ああそっか。言ってたね、カンカクをキョーユーだっけ?」
まるで子供が新しい玩具を見つけたように、私を見る。
「そ、そうだけど……」
「ふぅん」
興味深そうな、というか舐め回すような視線。
「じゃあ、こういうこと?」
「えっ……ひゃぅっ!」
その時、体を衝撃が襲った。
それと共に溢れた声に、少女が反応する。
「へぇ、本当なんだ」
何時の間にかベッドに座った彼女の手はその小さな体を這っていき、その下着に侵入していく。
その感覚が私の体を襲い、淡い快楽が体に走っていく。
それは昨日体に走った感覚と同じ。
「や、やめっ……んんぅっ!」
「あれ、乳首弱いね」
その小さな手がまるで私の体を這うような気分。
その刺激に体が仰け反る。
「ふ……くっ、ひうぅ! ……んあぅう!」
少女の口からも喘ぎ声が漏れ、私のそれと重なる。
いつしかその小さな両手は、彼女の……私の恥部を責め立てていく。
「貴方のここも、こんなになってる?」
「やっ……はっ、ぁ」
いつしか彼女の下半身は露出していた。
そのまま足を両側に開くと、挑発的に私を見る。
それに反応する事も出来ないくらい私の体は……快楽が支配していた。
どうしよう。
私は今……こんな女の子に、犯されてるようなものなのに。
ただどうしようもなく……キモチいい。
「ほら」
「やぅっ!」
その人差し指が、膣にゆっくりと挿入される感覚に体をさらに仰け反らせる。
下半身の異物感まで生々しく伝わり、おかしくなりそうなくらいに脳が痺れていく。
その快楽が足の先から髪の毛の先にまで行き渡り、手足の感覚をなくしていく。
性器を襲う感覚にただ、身を悶えさせるしかない。
「ん……ぅう」
「だ、駄目っ……やめっ」
長い間、私の喘ぎ声だけが部屋に響き続ける。
それが少女の耳にも届いているのかと思うと、さらに脳が麻痺していく。
「あっ……もう、イクねっ」
「や、やぁぁああっ!」
数分は続いたその快楽も、ようやく終焉を向かえる。
みっともない声と共に、私は絶頂を向かえた。
少女と……一緒に。
また私は、少女の思うままに蹂躙されたんだ。
「ん……なんか、新鮮かも」
と、ベッドに仰向けに寝転がり恍惚に呆ける。
……。
うん、何ていうのかな。ええと。
少しまだ頭がぼうっとしてる。
けど、湧き上がる感情は一つ。
「あ、あのかがみっ。し、自然現象という言葉もありますから、そのえっと」
天使のフォローも右から左へ。
この野郎、黙って見てやがったな。
……。
いや、今はそれもどうでもいい。
「ポイント」
「へっ?」
「使うわ……触れるようにして」
「でっ、ですからこの子も悪気があったわけじゃ」
「触れるようにして」
「……はぅ」
睨んだら言う事を聞いた。
うん、良い子良い子。
ふぅ……少し深呼吸。
あとは狙いを定めて……せぇの!
「せい!」
「ぬぎゃぁっ!」
ベッドに寝転がる顔に思いっきり一撃を決めてやった。
ぐはっ、私の頭にも激痛が。
それがさらに私を苛立たせる。
「んなっ、何すんのさ! ってか触った? オバケじゃないの!?」
誰がオバケじゃい!
「よくも人の体弄んでくれたわね……このエロガキッ!」
「知らないよ! 勝手に共有してるんでしょ? こっちはいい迷惑なんだから!」
「だっ、だからって恥を知りなさい! 人前であんな事!」
「なぁっ!」
顔の熱が伝わってくる。
ムラムラした熱が取れてようやく冷静になったか。
さぁ皆も人前で自慰する想像をしてみよう!
まぁそうよね、ムラムラしてたら自分を忘れてそれぐらい……ねーよ!!!
「そっ、そんな事言って気持ち良かったんでしょ!? 変な声出しちゃってさ!」
「ああああんたが変なことしたからでしょ!?」
「何さ!」
「何よ!」
食料を奪い合う獣のようにお互いを威嚇する。
目を離したほうが負け、一触即発!
「あ、あのーかがみ? 少し冷静になったほうが……」
「こなたー? どうかしたのかー?」
天使の声と扉から父親の声が同時に聞こえる。
「「五月蝿い!!」」
二人の声が重なる。
それがまぁ、初めて息が会った瞬間だったらしい。
……どうでもいい事だけどね。
・現在のTP:−479TP(↓)
「ねぇ」
「何さ、オバケ」
パソコンに向かう彼女に話しかけると、棘のある言葉が返ってくる。
さっきの喧嘩で少しは打ち解けたのか、話しかけても返事はしてくれるようになった。
進展というには程遠いが、無視されなくなっただけよしとしよう。
まぁ、話しかけるだけで不機嫌なのが伝わってくるわけだけど。
いや今は、それより……。
「晩御飯、またカップラーメンにする気?」
そろそろ日も暮れてくる時間。
個人的には昼も夜もカップラーメンを続けられるのはきつい。
「そうだよ、それが?」
ふんっ、と鼻息荒くパソコンの画面を見ながら返事をする。
結局こいつは起きてからずっとエロゲしてやがったよ!
まぁ天使がポイント引くのは起動した時だけだから、点けっぱなしならいいけど。
「体に悪いじゃない、もっと栄養のあるもの食べないと」
「うっさいなぁ、どうでもいいじゃん」
はぁ……頑固だ。
というか物臭ね。
髪だってえらい長く伸ばしてる癖に、全然手入れしてないからボサボサだし。
多分ロクに風呂も入ってないな、女汗臭い。
まぁ、ひきこもりらしいといえばらしいわね。
ちゃんと手入れとかして女の子らしくすればそれなりに……つっても身長がなぁ。
「でもたまにはほらっ、何か料理とかしてもいいんじゃない?」
「どうせ食材なんてないよ」
うっ……それは確かに。
まだ一回ぐらいしか見てないけど、台所はカップラーメンの山。
あとは洗ってない食器でハザードした流しとか、散らばったゴミぐらい。
「そ、それならほらっ。買い物に行けば……」
「嫌」
私の声を遮るように、少女の声が響く。
一気に彼女から嫌悪感が伝わる。
いつもの不機嫌とは違い、もうこれは拒絶のレベル。
「外は……嫌」
空気が一気に悪くなる。
そこまで突き放されると、説得のしようもない。
でも妙な感覚……妙に『外』という言葉に反応された。
何か、そこにあるわけ?
うっ……でもこの流れはやばい。
また口を滑らせそう。
それでいつも酷い目にあうんだ。
「じゃ、じゃあ在り合わせでもいいから! 冷蔵庫見るだけでも!」
「……ああもぅ、仕方ないなぁ」
するとようやく重い腰を上げてくれる。
向こうも、その話を続けられたくなかったのかもしれない。
あとはじゃあ、冷蔵庫が空じゃない事を祈るだけか。
「あ……お米はあるみたい」
台所に移動し、色々漁る。
白米かぁ……まさかそれの食感が恋しくなる日が来るなんてね。
でも、それだけじゃ味気ない。
おかずよ、お・か・ず!
「れ、冷蔵庫は?」
ゆっくりと少女が冷蔵庫を開く。
そこには……ビールの山。
「お父さんのだね」
「はぁ……そっか。そうよね」
少しは期待してたんだけどなぁ。
食べ物を全部カップラーメンで済ませるなら飲み物だけ買えばいいわよね。
ああ、お米だけ……はぅ。
「……在り合わせで、いいんでしょ?」
「へっ?」
落ち込む私を見てか見ずか、適当に冷蔵庫を漁りだす。
「調味料ぐらいはあるし、卵も数個はあるからあとは……ん、あった」
テキパキとその小さな体に数少ない食材を抱えると、それを散らかった机の上に広げる。
卵数個と、あとは缶詰。
散らかってる机の上だとそれを奥だけでもう一杯ね。
「お米洗っとくからこれ割っといて、触れるんでしょ?」
「へっ? えっ?」
まだついていけない私に卵を5〜6個と空のボールを差し出すと、少女は流しのほうに。
割っとけったって……。
いやそりゃ、触れるには触れるわよ?
……ポイント使えば、ね。
「つ、使うんですか? 卵に?」
「……はぁ、そうね。じゃあお願い」
まさかの出費……まぁ私から言い出したから何も言えないけど。
問題は、というと。
「私……割ったことないのよね、卵って」
そういうのはつかさの方が上手いからなぁ……。
いやでも、見たことぐらいはあるわ。
確かこうボールの角に叩きつけるのよね。
……。
えいっ。
「あぁ……」
天使の声が漏れるのも当たり前だ。
見事に破砕された卵は殻ごとボールの中に突っ込んでいった。
「だっ、大丈夫ですよ。殻を取り除けばいいんですから」
「そ、そうよねっ。じゃあもう一回……」
グシャ
と、見事にもう一つ粉微塵になったところでようやく少女が戻ってくる。
「どう、出来た?」
「やっ……え、と」
隠す前にボールを取り上げられる。
り、りろんは知ってたんだけどね。
何ていうかこう、力加減がというか。
「……」
ボールの中は黄身……だったもの。あと、破砕された卵の殻ね。
う、お、怒ってる?
ってそりゃ怒るわよね。
うう、卵すら割れないなんて。
「ご、ごめんっ。初めてだったからっ……え、ええとっ」
「ぷっ……」
平謝りで頭を下げる。
だけど、少女の口からは怒りの言葉は漏れなかった。
伝わってくるこの感情は……。
「あはははっ! なっ何、これ卵っ?」
「あ……」
彼女の顔が……緩んだ。
口から漏れた笑い声は、初めて聞く声。
そして、始めて見る……笑顔。
そういえば会ってからずっと、不機嫌な表情だった。
こんな風に……笑うんだ。
「しょうがないなぁ、後ろで見ててっ」
もうご飯を炊く準備は出来たのか、箸で器用に卵の殻を取り除いていく。
余程ツボだったのか、ときたま思い出したかのように噴き出し笑い出す。
その度に私の顔から火が噴くわけで……。
で、でもいくらなんでも笑いすぎよ!
誰だって得意不得意があるんだから!
……と、怒鳴ろうかと思ったけどやめておいた。
初めて見る笑顔をもう少し……見ていたかったのかもしれない。
理由?
そんなの……分かんないや。
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「すぐ出来るから、待ってて」
炊飯器からご飯が炊き上がる音が聞こえる。
それを聞くと、ようやく殻を取り除いた卵にツナの缶詰をぶちまける。
あとは醤油やらで適当に味付けをして混ぜると、油を引いたフライパンに軽く投入する。
その卵が薄い膜を作ったところで端によせ、もう一度卵を投入。
それを繰り返していくと……見事な玉子焼きの完成。
「上手い、のね」
「……教わったんだ」
誰に、とは彼女は告げなかった。
でも胸から少し漏れた悲しみが伝わり、自分の失言を恥じる。
またやるところだった……というかまたやったわけね。
どうしてかな、気を遣ってるはずなんだけど……拗れちゃう。
「これでいいよね? 食べよ」
ご飯が炊き上がるまでの間に、汚かった食卓は一応片づけが済んでいた。
と言っても邪魔なのを別の場所にやっただけなんだけどね。
そこにご飯をよそうと、並べる。
……二つ。
「ああ、食べられないんだっけ」
皿を並べたところで、ようやく彼女が思い出す。
食卓に並んでいるのは、大きな皿に乗った巨大な玉子焼き。
あとはお箸が二膳に、ご飯が二つ。
それと妙に具の少ないお味噌汁……何時の間にか味噌を見つけて作ったヤツね。
それも勿論、二つ。
「もう、二度手間じゃん。言ってよ」
「あ、あははっ。ゴメンすっかり忘れてたわ」
……。
もちろん、嘘。
だから用意するときに黙ってたのは、認めよう。
こ、ここからが大事よ。
さっき味噌汁作り始めた時に思いついた作戦。
それを成功させるには……うう、演技って苦手なんだけどな。
「あ、そ、そうだー」
「?」
出した食器を片付けようとした彼女を呼び止める。
棒読みで私の口から台詞が続く。
「せっかく二人分作ったんだし……お父さんも呼べば?」
「えっ」
彼女の手が、止まる。
私を見る目と沈黙が、痛かった。
「……何、それ」
不機嫌なオーラが少しずつ滲みでる。
伝わってくるのは苛立ち。
その後に大きく、食器を叩きつける音が台所に響く。
「やっ、えと。あの」
「……」
「うっ……」
少女に睨まれ、言い訳が続かない。
「嘘だったんだ。食べたいとか言って」
「そ、そんなつもりは……」
なかった……というのは嘘になるか。
あわよくば父親と仲良く食事できれば、という願望もあった。
今まさにそれを見抜かれたわけで……。
「……もういいよ、少しでも同情した私が馬鹿だった」
きつく言い捨てると、そのまま踵を返す。
「あっ、ま、待っ……」
「!」
少女の足が止まる。
だけどそれは、私の声を聞いたからじゃない。
彼女が扉を開けるその前に、それが自然に開いたからだ。
「ん、こなた?」
「……っ」
そこから現れた男性……父親を目の前にして、またあの感情が伝わる。
それは戸惑い。
今日二度目だから良く分かる。
その奥にもう一つ……不思議な感情が見え隠れしている。
それが多分、原因。
親子の間に入る、邪魔な感情。
これは……畏怖?
「おや、晩御飯作ってくれたのかいっ?」
食卓の様子に父親も気がつき、少し顔を緩ませる。
でもその表情にまた、心が揺れる。
なんだろう……彼女は何かを恐れてる。
父親を求める感情と相反したそれが、親子の間を拗れさせる。
「そっか、じゃあ一緒に食べようか」
「わ、私は……いいよ」
「何言ってるんだ、二人分用意してあるじゃないか」
「それはっ」
と、言いかけて言うのを止める。
まぁ幽霊なんて言ったら頭がおかしいと思われるわよね。
「とにかく、いいっ!」
そしてまた、彼女は逃げた。
これじゃあまるで、昼間の再現ね。
今度はまぁ……私の所為なんだけど。
でも材料がもう一つ……彼女が恐れる『何か』。
多分それが分からないと、父親との和解は難しいかもしれない。
……ってそんな場合じゃないか。
「あ、あの……えっと」
おずおずと部屋の扉を通り抜け、彼女の部屋に戻る。
中には彼女が居た。
ベッドの上で膝を抱え、座り込んだまま動かない。
だけど声だけは聞こえたのか、顔を上げて私を睨む。
「……満足した?」
その声に、心が跳ねる。
「良かったね、良い事したんでしょ? 善行ってやつを積んだんでしょ!? さぁ、とっとと出て行きなよ!」
皮肉の混じった言葉に貫かれ、言い返す事も出来ない。
私がしたのは善行でもなんでもない。
自分勝手で自己満足な……蛮行。
それを今更思い知らされて、恥ずかしさと申し訳なさで死にそうになる。
……もう死んでるけど。
「もう私に……関わらないで」
そのまままた俯き、膝に顔を埋める。
また私は、傷つけてしまった。
伝わってくる悲哀と辛さに、言葉も出ない。
どうして拗れてしまうんだろう。
私はただ、この子と仲良くしたいだけなのに。
なのに傷つけて……悲しませてしまう。
「……行きましょう」
「で、でもっ。かがみっ」
天使にも声をかける。
先程から慌てっぱなしだったが、私に声をかけるタイミングをことごとく逃していたらしい。
「また駄目だったみたい、これ以上は……一緒には居られないわ」
「宿主は彼女なんですよ? 一緒に居ないと貴方は……」
「そんなの……分かってるわよ」
24時間だっけ? それ以上この子から離れると……私は消える。
成仏するんだっけ?
じゃあ、それまでにまた戻ってくればいいわ。
この子に見つからないように、ね。
それを繰り返せば……何とかなるでしょ。
幸いこんな体だし、野宿したって誰が気にするわけじゃない。
あとは地道に、ポイントでも貯めましょ……まぁこの子がエロゲ続ければ水の泡だけど。
「それでも、一緒には居られない……またきっと、傷つけちゃうもの」
「それは、逃げです」
……。
珍しく、真摯な顔つきで私を見る。
へぇ、そんな顔も出来るのね。
「傷つけたくないんじゃない……傷つきたくないから、でしょう?」
「……何よ、分かったような口聞くじゃない」
そうだったわね……あんた、天使だったっけ。こんなんでも。
でもそんな顔じゃ天使とは言えないかも。
神々しさまで感じるその表情は……ははっ、馬鹿なこと考えるようになったわ私も。
「そうよ、悪い?」
少女を見るのが、辛い。
私が傷つけた彼女を見るのが、どうしようにもなく辛い。
だって、それは私の所為。
他の誰でもない、私の責任。
「あんまり私に押し付けないで……知ってるでしょ? 私って、弱いの。凄く、酷く……」
「いいえ」
私の言葉を抑えるように、強い口調で言う。
そして表情を変えて、私を見る。
慈しむような……素敵な笑顔で。
「かがみ……私は知っています。貴方は、誰よりも強い心を持っていますよ」
あんたに何が、と言いかけて言葉が詰まる。
彼女の妙に荘厳な笑顔の前では、そんな言葉すら返せない。
「ここで彼女を見捨てれば……貴方はきっと後悔する。いいえ、きっと後悔することすら気がつけない」
何よそれ、矛盾してるじゃない。
後悔する事に気がつかないくらいに、後悔するって?
そんなわけないでしょ、あの子とはまだ会って一日目。
別れを惜しむ、なんてレベルじゃないわよ。
「今日は妙に突っかかるわね、いつもは傍観者気取ってるくせに」
「……」
少し天使の表情が変わる。
憂いを帯びた、哀しそうな表情。
それから「そうでしたね」と、無理に笑顔を見せた。
……また、やったみたい。
いいや、後で謝ろう。
「こなた? 居るかい?」
「!」
その時だ。
部屋に、男性の声が響く。
外に出ようとしていた私の耳にもそれが聞こえ、思わず体を止める。
「お父さん……」
そしてあの、アンビバレンスな感情が一気に伝わる。
相反する二つのそれが渦を巻き、彼女の心を黒く染めていく。
だけど。
その暗闇に……一瞬だけ、光が差した。
「玉子焼き、美味しかったよ。母さんの味にそっくりだった」
「えっ……」
扉の向こうから聞こえた言葉に、心の闇が反転する。
僅かばかり刺した光を求めるように、少女の胸から暖かい何かが溢れていく。
「また、作ってくれるかい?」
それはまるで、天から降りた蜘蛛の糸。
手を伸ばせば届くのに、地獄の亡者がそれを許さない。
その糸がお父さんなら……地獄の亡者は、彼女自身。
自分自身との、葛藤。
その、口から必死に言葉を漏らそうとする少女の姿が、見ていられなかった。
だから。
……いや、だからってのはおかしい。
自然に、彼女の傍まで体が動いていた。
そしてその震える小さな手に……触れた。
「あ……」
触れた感触に、彼女が視線をあげる。
涙混じりの瞳と視線が合い、掴んだ手を少し強く握ってあげる。
「大丈夫よ、ゆっくり……言えばいいから」
「……」
蜘蛛の糸は脆くて、彼女一人の体重は支えきれない。
だから、私に出来るのはそれを支えることだけ。
……知らないの? オバケって浮いてるもんよ!
「じゃあお腹が空いたらお前も食べるんだよ」
「あ、お、お父……さんっ!」
扉の向こうから消えそうになった父の姿を、呼び止める。
ようやく漏れた声とともに、彼女の手が私のそれを握り締める。
「次はもっと……美味しいの作るからっ。もっと……お母さんのより、美味しいのっ!」
つたなく紡いだ言葉は緊張で、上擦っていた。
それでも、ゆっくりと。
少しずつ蜘蛛の糸を登っていく。
「だからまた……食べて、ね」
「……」
返事のない、沈黙が続く。
向こうもきっと驚いているのだろう、初めて返ってきた言葉に。
そしてその喜びを確かめるように、大きな声が部屋を劈いた。
「ああ、もちろんだっ」
暖かいそれからは、父親の愛情を確かに感じる。
彼が部屋の前から消えてからも、少女はその余韻に浸っていた。
少し呆けたように扉を見つめたまま、無言。
その心があまりにも空虚すぎて、何も伝わってこない。
それが不安で、私の心まで焦らせる。
「あっ、ご、ごめんっ」
掴んだ手を慌てて離す。
なんで謝ったのかは不明。
触れたのは多分、天使が気を利かせたからだと思う。
私の顔が熱いのも、不明。
……ああ、何で慌ててるんだろう私。
「じゃ、じゃあ私……行くねっ」
そっそうだ、私はさっき出て行けと言われたんだ。
それがちょっと、勝手に体が動いたというか何というか。
ああもうだから何に言い訳してるんだ私は!
「……待って」
「えっ……」
慌てて出て行こうとした体が、また止まる。
彼女が、微かな声で私を呼び止めたから。それにまた、心臓が跳ねる。忙しいなぁ、私。
「な、何?」
「……」
沈黙が辛い。うう、呼び止めたなら早く言って欲しい。
「……まえ」
微かに聞こえた声。
それと共に、また感情が伝わってくる。
顔が熱いのは、私のだけじゃない。彼女のそれも、共有してるんだ。
「名前、まだ……聞いてない」
「な、名前?」
そうだったっけ? ああ、そういや興味ないって跳ね除けられたんだっけ。
じゃあ今は……興味なくない、のかな。うう、余計なこと考えるな!
「か、かがみ。柊……かがみ」
自分の名前を言うだけなのに、何所か照れくさい。
顔の熱はきっと、彼女の。全部。うん、きっとそう! 絶対そう! ああもう滅茶苦茶だ。
「変な名前」
お互い様だろ! とも言えずに、彼女と視線が合う。妙に……心が安らいだ気がした。
「……ありがと、『かがみ』」
初めて呼ばれた名前は……何所か照れくさくて、恥ずかしかった。
向こうから伝わってくる顔の熱だけで精一杯で、自分の感情なんてよく分かんない。
「それに、ごめん……ちょっと、きつく当たってた」
「そ、それはお互い様だったし……私も、ごめん」
勝手なこと言って、勝手なことして……結果、彼女を何度も傷つけてしまった。
「じゃあ」
すると、手を前に差し出す。
少女が……ううん、『こなた』が。
「仲直りの、しるし」
「え……」
差し出された手を前に、少し戸惑う。
「これからはその、少しぐらいなら……手伝っても、いいから」
彼女が恥ずかしそうな表情を必死に隠しながらも、私に手を伸ばす。
……そう、だ。
彼女はやっと、認めてくれたんだ。
私という、存在を。
「うん……ありがと」
差し出された手に私のそれを伸ばすと、二つの手が繋がった。
天使がまた気を遣ったらしい。
なんだ……読めるのね、空気。
「ちなみにさっきのもあわせて−10TPですよ」
読めなかった!
……まぁ、いいわ。
あんたの説教も、今なら少し分かるから。
今回は特別、許してあげよっかな。
・現在のTP:−499TP(↓)
570 :
ぶーわ:2007/12/10(月) 04:39:11 ID:BVCxjlVv
続きます。
手が悴んで、投下が遅くてすんまそん。
ゆるいギャグもの書こうと思っても、何か逸れちゃうものですね
そろそろ鬱な展開にしたくなる病気が 発症しそうです!
>>570 リアルタイム遭遇、GJ!!
続きが気になって寝る時間が延びた…!
そんくらい楽しみにしてます、頑張ってください!
GJです
ぶーわさんの量産性能は伊達じゃない……
やっと一歩前進の二人のこれからが楽しみです
あと、wikiの広告が『借金問題でお困りの方へ!』でワロタ
さすがにこの借金は行政書士でも無理か
さて、次は六時ごろに投下予告
土日のあいだに仕上げました。
みさお×みさお兄×あやの三角関係モノの続きです。
前編は
>>235-242にあります。
☆10レス消費。
☆エロあり。といっても最初の一レス分だけなので、必要ない人は読み飛ばしてください。
☆実の兄妹で……というソフ倫違反のSSが苦手な方はご遠慮ください。
「みさお……」
アニキの太い腕が、私のTシャツを捲り上げる。
飾り気のないブラにアニキの手が伸びて、パチンとフロントホックを外す。
「あ、アニキ、やめて……」
私の唇から漏れる拒絶の言葉にも力がこもらない。
アニキの顔が近づいて、小さな突起にそっと口付ける。
「ひゃん……」
体に電気が走ったように痺れる。
アニキの舌は私の先端をくりくりと押しつぶし、舌で弾いたり。
その度に私は今まで経験した事のなかったような感覚におそわれる。
びくっびくっ、と痙攣を繰りかえす体に力が入らなくなってくる。
アニキの指が私の下の茂みに伸びる。
薄い若草の中はすでに湿り気を帯びている。
くちゅり、アニキの指が私の中に沈み込む。
「ふみゅっ……あ、アニキ……、ダメだよ。私達はきょうd……」
言いかけた唇がアニキの唇に塞がれる。
唇を重ねるというより、唇を奪われるというのに近い、濃厚なキス。
私の口の中に入ってくるアニキの舌。
下を攻め続けるアニキの指。
そして、快楽に翻弄されつづける私。
アニキの唇が離れる。
私とアニキの間を名残を惜しむように唾液の橋が架かる。
アニキの股間にいきり立ったそれ。
ゆっくりと私の大事なところへ近づいてくる。
「んっ、あにきぃ……」
ろれつさえも回らないくらいになってしまった私。
そのままアニキのモノが私のところに近づいていき……
「ひゃわわわっっ!!」
びくっと体を跳ねさせて目を開ければ、そこはいつも通りの私の部屋。
ベッドから半身を起こしたまま、体を覆う妙な感覚に肩を押さえる。
目覚まし時計はまだ鳴っていない。部屋の空気も冷たくて、カーテンの向こうは幾分薄暗い。
そして、下半身のいつのとは違う感触。
パジャマの下に手を差し入れ、そろりそろりと股間に手を這わせる。
「うわっ……」
指先に感じた湿った感触。
ぬたりと指先にまとわりつくもの。
「ひゃうっ……」
指先が敏感なところに触れて、私の体がびくっと震える。
恐る恐る、大切なところに触れないように手を抜き出す。
パジャマの中から取り出した手はとろりとした粘液で濡れている。
うう、なんつー夢見ちゃったんだ。
よりによってアニキと、アニキとだぜ。
あ゛ーっ、何考えてるんだ、私。
とにかく顔洗って、さっぱりするのが一番だぜ。
ティッシュで手を拭って、一階への階段を駆け下りる。
私の部屋から洗面所へ行くには居間を通らなければ行けない。
あんまり、今の状況で誰にも顔を合わせたくないんだけれど……
「お、おはよう、みさお」
一足先に居間にいたアニキ。
その一言で鼓動がドクンと高鳴り、頬が高潮する。
いつも通り、一足先に起きていたアニキ。一番顔を合わせたくなかった相手。
アニキの夢……アニキの指が、舌が、私を、私を……
「? どうした、みさお。体調悪いのか?」
「な、なんでもないっ。顔洗ってくる!!」
慌てて洗面所に駆け込む。
パタンと扉を閉めて、息をつく。
冷たい水を思いっきり出して、火照った頬をバシャバシャと洗った。
冬の冷たい水に冷やされて熱くなった頬がきゅっと引き締まる。
何考えてたんだろ。アニキはアニキで、そんであやのの彼氏だろ?
ああっ、もうっ。あんな変な夢見たのはなんかの間違いだって。
どーせすぐ忘れるって、こんな夢。
「おーい、みさお。パン焼けたぜ」
「あ、はーい。すぐ行く」
頬を勢いよく叩いて気合を入れる。
そうだ、何にもない、いつも通りの私。
そう自分に言い聞かせて、ドアを開ける。
待ち合わせのいつもの角。
電柱にもたれかかるようにして立っていたあやのは、私たちの姿を見ると表情がぱぁっと花のように輝く。
いや、私たちを見てじゃない。アニキを見て……なんだろう。
「お、おはようございます。お兄さん、みさちゃん」
「お、おはよう、あやの……」
昨日の告白を思い出してか、赤くなっているアニキ。
あやのの方もガチガチになっている。
まあ、昨日告白したばっかりだし、ドキドキして話づらいのかな。
ここは私が……
「えいっ!!」
アニキの後ろのほうへこっそり回って、あやののほうに突き飛ばす。
私が押した勢いでアニキは二、三歩よろけ、あやのを抱きかかえるような感じへ倒れこむ。
「うおっ、ち、ちょっとみさお」
「わわ、きゃっ!!」
よっしゃ、狙い通り。
抱き合うような感じになった二人はぼうっとお互いの事を見つめている。
「あ、あのさ、そろそろ」
「え、ええ。行きましょう」
そのままいい感じの雰囲気で歩き出す二人を、
さっきよりも緊張がほぐれたみたいで、昨日の話なんかをしながら二人は歩いてゆく。
私は五メートルくらい離れ、二人の邪魔にならないようにそれを見守りながら歩く。
そうだよね、これが、一番だよね。
そう思いつつも、心の奥ではずっととげが刺さったように痛みを感じていた。
心の奥の痛み。
最初の頃は気のせいだと思い込もうとした痛み。
でも、それはちくちくと私の心を突き刺していた。
たとえば教室で、たとえば通学路で、たとえば家で。
あやのの窓の外を眺めている視線の先に誰がいるか気づいたとき。
あやのが楽しそうにアニキの事を話すとき。
アニキが、あやのと電話で話しているとき。
アニキが家であやののことを楽しそうに話すとき。
ずっとずっと胸が苦しくて、でもその理由が分からなくて……
いや、理由なら分かっていた。
でも、認めたくなかった。
なんで、どうして今更。
アニキの事が好きって、兄妹としての好きだろ?
あやのに嫉妬するなんて、おかしいのに。
でも、澱んだ気持ちの風船は、少しづつ、少しづつ膨らんでいった。
私自身も気づかないくらいゆっくりと。
そして、それは突然、破裂する。
昨日はクリスマスイヴ。
アニキの帰りが遅いと思ったら、やっぱりあやのとデートしていたみたいだ。
いつもは家族全員で囲んでいたクリスマスイヴの食卓。
大好きなハンバーグもミートボールも、アニキがいないから独り占めだったけれど、
でも私の気持ちは晴れなかった。
アニキのいない食卓はとても寂しくって、
せっかくのクリスマスだっていうのに私はずっと沈んだ気分だった。
なのに、帰り道を一緒に歩くあやのは、楽しそうに昨日の出来事を話す。
「でね、昨日は一緒にあの遊園地に行ってね。ついこの間ここで告白したばっかりだから、
何だか恥ずかしくなっちゃってね、それからそれから……」
アニキのことを話すあやのは、この上ないほど幸せそうな顔。
あやの、あやのが昨日楽しくアニキと過ごしている間、私がどんな気持ちでいたのか知ってるか?
「それでね、今日もお兄さんがレストランに連れていってくれるの。どんなところか楽しみでね、それでね……:
「うるさい……」
ポロリと口からこぼれ落ちた言葉は、私のものとは思えないくらい重く、低い声だった。
突然の事に理解できないあやのは、目をぱちくりさせている。
その仕草が、やけにムカついた。
あれだけアニキを奪っておいて、あやのは罪悪感のかけらも感じてないのか?
「お兄さん、お兄さんって、アニキは私のアニキなんだぞ。何で、何であやのばっかり……」
言葉と涙が、自分だも押さえきらずにぼろぼろこぼれてくる。
自分でも何を言っているのか分からない。
あふれ出る暴言をあやのにぶつけているだけ。
「イヴのアニキを奪っておいて、今日まで私からアニキを奪うのか?
返せ、返せよ。アニキは私のアニキなんだぞ!!」
駄々っ子のように訳のわからないことを繰り返す私。
「みさちゃん……」
そんな私を宥めようとして差し伸べられた手。
それを反射的に叩いてしまった。
「あ……」
そこのできた、決定的な溝。
私はあやのに背を向けて、早足で歩きはじめた。
後ろから聞こえてきた、あやののすすり泣く声。
いつもはあやのが泣いていれば何も考えずに飛び出していた自分。
でも、私は振り返りもしないで、
あやのとの距離が離れていった。
家に帰るなり、私はそのままベッドに倒れこんだ。
ぼふっと体が跳ね返り、沈みこむ。
制服が皺になってしまうけれど、そんなの気にしていられない。
あやのに酷い事をいってしまった罪悪感が、今更ながら胸に押し寄せてくる。
あんな事言っても、あやのは悪くないのに……
でも、それと同じくらい胸を苦しく締め付けるアニキへの思い。
アニキのことを思うだけで、こんなにも胸がぎゅっと痛くなる。
あやのも、これぐらい苦しかったのかな。
でも何で私に相談したんだよぉ……
コツコツ。扉を叩く音がする。
「なぁ、みさお。……ちょっといいか」
扉の向こうの、アニキの声。
返事はしない。
「入るぞ。ダメなら返事してくれ」
そう言いながら扉をあけるアニキ。
乙女の部屋なんだから、もうちょっと気を使ってくれよな、アニキ。
「あのな、さっきあやのから電話があった」
ベッドにうつ伏せに倒れこむ体がびくっと震える。
気づかれてはいるだろうけれど、そのまま私は寝たふりを続ける。
「『みさちゃんとケンカしちゃった』てさ、涙混じりの声でな。
何を言っても私が悪いの一点張りでさ。何も教えてくれなかった」
あやのは優しいからな。きっと何も言わずに自分を責め続けるだろう。
ちょっと前だったらいい気味だと思うのだろうけれど、今は罪悪感しかない。
「なあ、みさお。どうしたんだよ。お前達には仲良くしていて欲しいからさ。
俺にできることなら何でも言ってくれ」
そう、そこまで言うのなら私だって考えがある。
もぞもぞとベッドから起き上がり、腰掛ける。
ベッドの側に立っていたアニキは、私の隣に座って目線を合わせてくれる。
「アニキ。どうしてこんなことになっちゃったのか教えてあげてもいい。
でもね、一つだけ条件があるんだ。アニキ、いい?」
私の言葉にこくりと頷くアニキ。
私がこれから何をするか気づいていない、無防備な顔。
「アニキ。目、瞑ってくれない?」
アニキは首を傾げつつも言われたとおりに目を瞑る。
幼い頃から、ずっと見てきたアニキの顔。
こくり、と小さく喉を鳴らす。
私のこれからすることは、間違いかもしれない。
でも私は、これ以上我慢する事ができない。
ゴメン、アニキ……
私は彼の首の後ろに手を回し、唇を重ねた。
「!!!!???!!?」
驚きに目の前のアニキの目が見開かれる。
私の肩を掴んで必死に引きはなそうとするアニキの手。
時々唇が離れながらも、それでも必死にアニキにしがみつき、唇を求める。
引き離されても唇の感触に少しでも触れようと、舌を伸ばしその唇に触れる。
「やめ……てくれ!!」
それでも年上の男の力には敵わなかった。
私の肩を押し戻したアニキは、荒い息をついて私を見る。
「なんで、どうして……」
あは、そうだよな。
実の妹に、急にキスされたんだからアニキは混乱している。
でも、もう、押さえ切れないから。
アニキのこと想ったまま、何もしないでいることに疲れたから。
「好き……だから」
呟くように、私の唇から言葉が漏れる。
「好きだったんだから。アニキのこと。自分で押さえようと思っても、どうしようもなくって、
だって、アニキはアニキなのに、アニキはあやのの彼氏なのに、それなのに、私……」
どうしようもなく涙がこぼれ落ちる。
アニキに言いたい事がいっぱいあったはずなのに、どれもこれもが言葉として出てこない。
熱い涙が頬をぽろぽろとこぼれ落ちて、喉がひくひくして言葉が出ない。
私、最悪だ。
自分のアニキに、それも親友の彼氏に、無理やりキスをするなんて。
どうしようもなくて重ねてしまった唇。でもその後に押し寄せるのは後悔。
親友の、あやのの顔が浮かんだ。
小さい頃からずっと私の友達でいてくれたあやの。私を頼ってアニキの相談をしてくれたあやの。
その親友を、私は裏切ったんだ。
「みさお……」
突き放された体が、同じ腕でぎゅっと抱きしめられる。
さっきは唇を目指した顔が、アニキの胸板に着地する。
小さい頃からずっと遊んでくれた、太陽みたいなアニキの香り。
でも、アニキは……
「ごめん……」
私を抱きしめた大きな体から、声が響いた。
ぎゅっと熱くなる目。分かっていたのに、絶対受け入れてもらえるはずないと分かっていたのに……
「みさお……泣いてるのか」
アニキの胸に顔を埋めたまま、首を横に振る。
アニキが気づいていないはずはない。
でも……優しくしないでよ、アニキぃ……
「ごめん、ごめんな……みさお」
「なんで謝るんだよ、アニキ。私、あんなに酷い事したんだぞ」
何言ってるんだよ、アニキの気持ちも考えないで、勝手にキスしたんだよ。
こんなのが妹でがっかりしたでしょ。ねぇ、アニキ!!
「アニキ。謝らないでよ。私を怒ってよ、罵ってよ。
お前の顔なんて二度と見たくないって、私のことを突き放してよ!!」
結ばれる事がないなら、いっそ突き放してくれた方がマシだ。
アニキに嫌われて、顔も見たくないって言われて。
そこまで突き放されたら、いっそのこと諦められるのに。
そんなに優しくされたら、好きだって思っちゃうじゃないか……
「アニキが、アニキが悪いんだかんね。だって、そんな優しいから、
アニキ、はっきりしてくれよ。私とあやの、どっちの方が好きなんだよ!!
あやののほうが好きなら、私のことなんて無視してよ。私のこと嫌いになってよ」
「バカヤロウ……」
大きな胸から響いてくるアニキの声は、一生懸命涙を押し殺していた。
「お前の事、嫌いになれるわけないだろ。あやのとお前、どっちを選ぶなんてこと、俺にはできねえよ。
あやのは世界で一番好きだけど、お前だって、世界でたった一人の俺の妹なんだぞ」
ぎゅっと私を抱きしめる大きな腕。
小さい頃から、ずっと私を支えてくれた、アニキの腕。
ああ、やっと私は気づいた。
私はどうあがいても、あやのと同じ所には立てないんだということを。
そして、あやのもどうあがいても私と同じ所に立てないんだというところを。
「うあ……」
どうしようもなくこぼれてくる涙が止まらなくって、
私は幼子のようにアニキの腕の中で泣きじゃくった。
アニキの腕の中は、幼い頃泣いたときのままだった。
「ねぇ、アニキ……」
アニキの胸から上げた顔は涙でぐちゃぐちゃに濡れた、きっととっても酷いものだろう。
でも、そんな私の頭をアニキは優しく撫でてくれる。
「アニキ、お願いがあるんだけれど……」
「さっきみたいなのじゃなければ。あとは、俺にできる範囲なら何でも」
「私と一緒に……寝てくれる?」
一瞬、狐につままれたような顔をして、それから赤くなるアニキ。
「バ、バカ。お前何言ってんだよ!!」
「あれ、アニキ何勘違いしているの? 私がしたいのは……」
アニキの肩を押して、彼をベッドに寝そべらせる。
驚いているアニキをよそに、私はその腕に頭を預ける。
ごつごつと筋張った、でもあったかいアニキの腕。
「昔さ、三人でこうやって寝たよね。みんなで走り回って疲れたときにさ、丘の草むらの上で」
「……そうだったな。右腕にみさお、左腕にあやのってな」
「そうやってみんなでお昼寝するの、私はとっても好きだったんだ。
みんなで走り回るのも好きだけれど、アニキと、あやのと、青空に浮かんだ雲をぼんやり眺めるのも好きだった」
「腕、結構しびれるんだけれどな、コレ」
「ははは、妹を泣かせたバツなんだからさ。ちょっとぐらい我慢しなよ。アニキ」
蛍光灯を見上げていた視線を横に移す。
精悍なアニキの顔。ずっと大好きだった、アニキの顔。
「なぁ、アニキ」
「……なんだ」
「あやのを……幸せにしてやってくれよな」
アニキは目を細める。
その目じりに少しだけ涙が浮かんでいる事に、私は気づいた。
アニキの大きな手が、くしゃりと私の頭を撫でる。
「ああ、もちろん。お前もな」
それが、お前も人を好きになって幸せになれよという意味か、
アニキとして幸せにしてやるよという意味かは、分からない。
こうして、私の初恋は……終わった。
「やっぱ峰岸と日下部ってクリスマス一緒だったりするの?」
それは高校三年のとある日の昼休み。
あやのがアニキと付き合い始めてから翌年の新学期から同じクラスの、
そういえば結構長い付き合いになる柊が聞いてきた。
「あ、うん。一緒に遊ぼうと誘ったんだけどね――」
あの時以来、クリスマスは三人で一緒に過ごしていた。
三人で過ごすクリスマス。それだけじゃなくて、遊びに行くときも一緒。
小さい頃のような、三人一緒の時間。でも……
「いや、今年は慎んで遠慮させて貰ったんだよ」
「おー、何だ、用事か? あやしいなー」
「いやだって、邪魔しちゃ悪いじゃん。高校最後なのに」
高校最後のクリスマス。いつも通りに遊びに誘ってくれたあやのを、私は断った。
三人で一緒に過ごす日々の中、私の気持ちは少しづつ変わっていった。
アニキと、その横で微笑むあやの。
それは、この上なくお似合いのカップル。
何年もかけて嫉妬ではない、心からの祝福の気持ちへと変わっていった。
「と、言う事でひいらぎぃ。ひいらぎも彼氏いないし、クリスマスはどうせ暇だろ。昼間どっかに行かないか?」
「そこ、強調して言わないで……でもまあ、いいわ、付き合ってあげる」
今年からは、また二人っきりのクリスマスを過ごせるようにしてあげる。
甲斐性なしのアニキだからさ、あやのを迎えられるようになるにはもう少しかかるだろうけど、
アニキのこと、愛想尽かさずに一緒にいてくれよな。
でもな、あやの。もしあやのがアニキと結婚しても、私はずっとアニキの妹だから。
覚悟しておいてくれよな。お義姉さん。
以上です。
最後のところは原作4巻のP82より。
口調でみさおらしさを出すのは難しいですね。
>>570 GJ!やっぱりこの天使はゴッドかなたさん…?
いい話で終わるはずが天使のせいでオチがついてしまったwww
に、20時間(昨日11時〜今日7時)で9作品だとっ!?
なんという勢い……みなさんGJ!
587 :
最早:2007/12/10(月) 11:21:27 ID:aJQ1pVHj
投下しるならいまのうち……
みんなすっかり忘れているであろうFateパロSS投下。(SSと言えるかという短さだが
注※
・本作品はFateのパロディSSとなっています
・まだまだ非エロ
・柊神社でのお話
・分かりにくい所は脳内保管してね
それらが駄目なら「最早」をスルーで。
588 :
最早:2007/12/10(月) 11:22:41 ID:aJQ1pVHj
『Raki/sta ynight 監督、柊神主』
こなた達は柊神社に向かう道すがら、お互いの知っている事について話し合った。
かがみは聖杯戦争の成り立ちや、魔術についてのある程度の説明、こなたは自分の知っている事全て……言ってしまえば、某型月のゲームの事を話した。
そのゲームとの近似点にかがみは驚いた。
「凄いんだよ〜、聖杯戦争とかネーミングやシステムまんまだし、魔術士とか出て来るし、も〜そっくりでね?」
「へぇー、そんな偶然ってあるのね〜…しっかし、ここまで似てると見たことあるんじゃないかと思うぐらいだわ…」
かがみはため息混じりにそう呟く。
「で?そのゲームの結末は?やったんでしょ、最後まで。」
「ん〜…実を言うとさ、最後までやってないんだよね〜…
あ、いや、Fateルートのギルが出てきたとこまではやったんデスヨ!?
気になってマンガとか買ったんデスヨ!?」
「知らないわよ、そんなの…まぁつまりはどうなるかは知らないって事ね…」
「うぅ…面目ない…」
「謝る事じゃないわよ、結末を知っていたとしてもその通りになる訳じゃないんだし…」
あと、余談ではあるが、こなたは一応かがみの“弟子”というポジションになった。
聖杯戦争に参加するにあたり、こなたは魔術を知っておかねばならない。その指南役として、こなたはかなたと相談して、かがみに白羽の矢を立てた、という訳である。
まぁかがみも弟子、という存在には前々から興味があったので、渋々ながらも受け入れた。……内心はニヤニヤしていたが。
こうしてかがみがこなたの『師匠』になって初めての教えは令呪、と呼ばれるものについてだった。
「いい?そのあんたの左手にある“令呪”はサーヴァントへの三回の『絶対命令権』なの。
使えばサーヴァントの意思に関係なく命令は行なわれるし、サーヴァントの能力を越えた命令もこなす事が出来るけど、三回の令呪全て使ってしまえば、現世との繋がりが消え失せて、サーヴァントではなくなってしまう…
だから使い所をよ〜く考えて使う事!
あと、命令はクラス名でしなきゃダメだからね?あんたの場合は『お母さん』を『セイバー』って置き換えて命令するのよ?分かった?」
「ほ〜い!」
「ほいじゃなくてはい!あと伸ばさない!」
「は、はい…」
……師匠は少々厳しいお人の様だ。
あと、この講義の後にこなたが「でもなんだかんだで心配してくれてるツンデレかがみ萌え〜♪」と言ったらこなたの頭に大きなたんこぶが出来た。痛い。
589 :
最早:2007/12/10(月) 11:23:28 ID:aJQ1pVHj
そうして出来たたんこぶをこさえたこなたがいたた…と頭を片手に抱えていると、目に入ったのはサーヴァントになった母の姿。
写真で見た自分に似た髪や顔に背丈。
そのフォルム全てが、やはり自分の母なのだと思わせる形で……
「…?どうかしたのこなた?
…あ、やっぱりこのコートおかしい?」
自分を見ていたこなたに問いかけるかなた。
鎧姿では目立つという事で、かなたには家に残っていたぶかぶかのそうじろうのフード付きコートを着せている。
そのコートをひらりと翻しながらくるり、と一回転。
「あ、ううん、大丈夫。変じゃない。」
「そう?少しだるだるになっている感じだけど…」
そう言ってかなたは言った通りのだぶついた袖口をひらひらさせた。
「いやいや、そこがいいんじゃん!女の子が服なくて男物着てみたんだけど袖とかだぶだぶ〜、ってのが!」
「くすくす…だるだるな方がいいなんて、こなたおかしい事言うのねぇ〜、やっぱりきちんとしてたほうがいいじゃない。」
そこは17年の『この世離れ』のブランク、萌えなぞ分かるはずもなく、こなたの言葉にくすり、と穏やかに笑うかなた。
「……ねぇこなた、」
かなたが不意に口を開く。
「……驚いて…ない?
ほら、魔術士とか、聖杯戦争とか、……私、とか……」
不安げに聞くかなた。
…かなたが心配するのも無理はない。いきなり魔術士達の戦争に巻き込まれ、死んだはずの自分が目の前に現れたのだから。
「ん〜…うん。スっゴく驚いてる。」
言葉とは裏腹に落ち着いた口調で話すこなた。
「そう?そんな風には見えないけど…」
「あ、やっぱり変かな?ちょっと馴れ馴れしい?」
「ううん、そんな事ないわ。…ただ、あまりに落ち着いてたもんだから…」
「あー、いやさ、今更あーだこーだ騒いだってマスターの権利とかどうにもならないしね。
こうやって余裕持ってた方が何となくいいじゃん?」
「こなた……」
ぽん。
思わずかなたは頭に手をおいてこなたの頭を撫でていた。
「ん?どしたのお母さん?」
「ふふ……こなた、大きくなったなぁ…って…」
「そ、そうかな?かなり幼児体型だと思うけど……」
「そんな事ない。おっきくなったわよ……」
本当に、本当に大きくなった。
一一かなたは心からの我が子の成長をひしと感じながら、二人のマスターの後をてくてくとついていくのであった。
590 :
最早:2007/12/10(月) 11:26:26 ID:aJQ1pVHj
こなたはかがみの家には何度か行ったことがあるが、柊神社はお正月にしか、ましてや、本殿の中なんて近所の神社でも入った事はない。
「……お邪魔しま〜す……」
何だか口調が改まってしまうのも無理はない。
「やぁ、いらっしゃい。かがみから話は聞いているよ。」
だからその柔らかい声を聞いた瞬間に違和感を一一この空間には似合わない、異様なまでの似合わない声に、こなたは、喉が小骨に引っ掛かる様な、妙な感覚を覚えた。
「顔は知ってるかも知れないけど、紹介するわね。私の父親で今回の聖杯戦争監督役の……」
「柊ただおだ。よろしく。さっき電話で聞いたけど名前はこなた……だったかな、マスターさん?」
本殿の中央に墨染の神主の衣を纏った男一一かがみとつかさの父、柊ただおが立っていた。
「あ、はぃ、泉こなたです……」
妙な違和感のせいで答えが少し緊張したようになってしまったのだろう、ただおは少し笑ってこなたを落ち着かせようとする。
「ははは、緊張する事はないよ。落ち着いて落ち着いて……」
ただおが薄い笑いを浮かべて手をぱたぱたさせている。
……やはりゲームとは違う。あのマーボーとはなんかこう…雰囲気が殺伐としてなくて…柔らかい。
しかしその柔らかさが一一何とも言えないむず痒さが、こなたの不信感をますます強めていった。
「じゃあ改めて聖杯戦争の事について話そうか。」
改まってただおはこなたの目を見ると、静かに語り出した。
「……今から数百年前、魔術士の三つの大家が協力し合い、魔術士の目標の一つである『第三魔法』に到達するため、『聖杯』と呼ばれる“何でも願いを叶える”存在を造り上げた。
この聖杯で魔術士達は目標の第三魔法に到達するはずだったのだが……あるイレギュラーが起こった。
一一魔術士には“悪い人”もいるからね一一魔術士達の中のひとりが……正確に言えば行動に起こした者以外の魔術士も……聖杯の能力を自己の欲望のために使おうとしたんだ。
そのせいで仲間割れが起こり一一」
「魔術士達は全滅。
魔術を管理する“魔術協会”はそれを受けて今後聖杯の顕現の際には一人の監督を付け、ある一定のルール内でなら争い合う事を許可した一一これが聖杯戦争の始まりって訳。」
「その通り。……でもかがみ、人が話している時に話の間に入り込んでくるのはいけない事だよ?」
591 :
最早:2007/12/10(月) 11:28:32 ID:aJQ1pVHj
最後のセリフを娘に奪われたただおはたしなめるように呟いたあと、こほん、と一つ咳払いをして、
「さて……君には二つの選択がある。」
こなたの顔を覗き込みながらまた、話し始める。顔を近付けられたこなたは思わず体を仰け反らす。
「マスターとして戦うか……マスターの権利を放棄して、魔術協会に保護されるか……どちらかえらんで欲しい。
かがみから聞いた話だと、君は偶然なったマスターらしいね……
魔術の知識を持たない人間が聖杯戦争に参加するのは、はっきり言って危険だよ?いくら“殺してはならない”というルールがあるとはいえ一一現にランサーのマスターは殺害を強要しているらしいし一一君にとって、心理的外傷……“トラウマ”を背負いかねない。
……もし君が望むなら一一マスター権を放棄して、協会に助けを求めるなら一一協会は君を全力で保護するよ。まあ参加する、というのなら君には関係のない話だけどね。」
ただおは最後まで薄笑いを崩す事無く言い終えると、
「かがみからは参加する……という事らしいけど、君の口からそれを聞きたくてね、呼んだんだ。」
近付けていた顔を戻すと、
「一一聞こう」
先ほどとは違う口調でこなたに最後の確認をする。
「一一汝、聖杯を欲し、それを得たいと思うか
一一そのために戦うか
一一聖杯戦争に、参加するか」
こなたの耳にその声は届く。
「私は一一」
こなたは言葉を紡ぐ。
「聖杯戦争に、参加します。」
「……ほう」
ただおは感嘆の声を漏らす。
「……何の為にだい?」
また柔らかい口調に戻ったただおが問う。
「君は何の為に一一危険を承知してまで一一聖杯戦争に参加するんだい?何か…叶えたい夢でも?」
592 :
最早:2007/12/10(月) 11:29:09 ID:aJQ1pVHj
「……少しでも“お母さん”といっしょにいたいのかもしれないです。聖杯戦争に出てないと、お母さんに会えないから…
多分、それが1番大きな理由。」
「……そうか。」
ただおは目を閉じてこくこくと頷く。
「まぁ色々あるだろうけど、とりあえずは頑張って。
もし保護して欲しければいつでもここにくるんだよ。
……かがみ、もう夜も遅いから彼女を家まで。」
「分かった。…さ、帰るわよこなた。」
「あ、うん……」
こなたはかがみに促され、本殿を後にした。
「……君の“お母さん”によろしく…」
そのただおの言葉を後にして。
「“お母さん”、ねぇ……」
ひとり本殿の中でただおは呟く。
「僕が生き残ったように…“彼女”も生き残ったか…?」
ただおはしばし考察に耽っていたが、
「…ふふ…くくく……」
感情を押さえる事が出来ずに、思わず薄笑いを浮かべていた顔にはっきりとした笑みが浮かぶ。
一一どうしたヒイラギ、やけに嬉しそうじゃあないか一一
「いやね、懐かしい人を思い出していてね。」
一一ほう。して、そいつにはどんな思い入れがある?
お前が思わず笑いだすような奴だ、お前にとってさも嬉しい事なのだろうな一一
「ふふ、これで……17年前の因縁の決着をつける事が出来るよ…
ああ勿論君にも大いに働いてもらおうか…」
一一了解だ、“マスター”一一
「ああ、よろしく…
…ふふ…」
また笑いを漏らすと、ただおは呟いた。
「……喜ぼう、私の願いはようやく叶う……」
本殿に差し込む月光が、ただおを怪しく照らしていた。
593 :
最早:2007/12/10(月) 11:31:24 ID:aJQ1pVHj
以上。
……長い事かきこんでいない間にぶーわ氏の人袖振が「始まって終わった」とかね……
もっと頻繁に書き込むようにしよ…
>>593 そしてなお、0始がはじまっているという。
なんというスペックか!
自分はフェイト知らないですけど楽しめました
エロシーンまで全裸待機!
>>570 おおう…二人の距離がぐっと近づいた感じ。
続きも待ってます〜GJ!
ここは量ガ多くてすごいな……
GJです
さて、もう445KBなわけだが
しかも、さっき前スレが落ちたばかりなのよね。
さあ、このスレはいつ頃埋まるか!?
初投下ですが、こなた視点のこなた×かがみを投下させて頂きます。
3レス消費です。
599 :
こなたの策略:2007/12/10(月) 15:02:43 ID:isXvKH6H
「か〜がみ〜ん♪」
「こっ、こなた!いきなり抱きつかないでよ!」
「そんな冷たいこと言わないでよ〜、私とかがみんの仲じゃないか〜」
「ちょっ、どこ触って・・・ふわっ!?」
突然だけど、最近の私は少しおかしいかもしれない。
とにかくかがみと離れたくない。
かがみに触りたい。
かがみとキスしたい。
かがみとセッ(ry
・・・こういうのを「かがみ分が足りない」って言うのだろうかな?
なんかかがみがすぐ近くに居ないと落ちつかないんだよね〜。
「いいかげんにしなさい!」
考え事をしている間もかがみを弄り回してた手を払われてしまった・・・残念。
まあ、真っ赤になったかがみの顔も存分に見れたし、とりあえず満足かな?
今はアニメイトの帰り道。
いつものようにかがみを誘い、いつものように2人で買い物して、いつものように2人っきりで歩いている。
でも、今日はここからがいつもとは違うんだ・・・!
「か、かがみっ!」
うわ、緊張して声がちょっと裏返っちゃったよ・・・き、気付かれないよね?
「ん?いきなりどうしたのよ、変な声出したりして」
「きょ、今日家に誰もいないんだ!よかったら遊びに来ない?」
「えっ、今から?う〜んもう結構遅い時間だし・・・。ってゆーかなんでそんなに必死なの?」
うぐ、マズイ。ここで断られては計画が実行出来ない・・・こういう時は・・・!
600 :
こなたの策略:2007/12/10(月) 15:04:08 ID:isXvKH6H
「だって、1人で家に居るのって寂しいし・・・。かがみが一緒に居てくれたら、その、嬉しいなって・・・」
「こ、こなた・・・」
よし、決まったーーーーっ!
練習した甲斐があったね!凄く健気だよ、今の私!
・・・さあ、かがみんの反応は!?
「こなた・・・わかった、寄らせてもらうわ」
よし、まさに計画通り!
ふっふっふ、今の私の頭脳は新世界の神になれるほどだね!
さあ、覚悟してよね、かがみん・・・!
「お邪魔しまーす、って本当に誰もいないわね」
「お父さんは編集の人と泊りがけでどっか行っちゃったし、ゆーちゃんは今日みなみちゃんの家でお泊り会らしいよ?あっ、飲み物持って
くるから先に部屋に行ってて」
「ん、そうさせてもらうわね」
私の部屋へ向かうかがみ。
よし、いよいよこれからが本番だ・・・!
ずっと前から考えてた計画を、ついに実行する時が来た。
そう、かがみに私の思いを伝え、そのままなし崩し的に百合イベントへ突入させる計画を・・・!
エロゲで鍛えたテクニックでかがみを虜にしてみせる!
そのためにまずはこれを飲ませて・・・。
「お待たせ〜」
「やっと来たか・・・。ずいぶん遅かったわね?」
「いや〜なかなか飲み物が見つかんなくてさ〜。ちょっと変わったやつだけど、まあ気にしないでよ」
そう言ってかがみに手渡したそれは、結構強めのカクテル。
ちなみに私はただのジュース。
年齢制限はきちんと守らないとね!
「ふ〜ん。あっ、結構おいしいかも」
「気に入ってくれてよかったよ。さあ、ゲームでもしよーよ」
「そうね・・・って格ゲーかよ。ちょっとは手加減しなさいよ」
そしてそのまま、2人でゲームに没頭した。
「う〜ん・・・な、なんかフラフラするわね・・・」
1時間後、私の前には顔を真っ赤にしたかがみがいた。
ゲームで連敗したかがみは次第にボルテージが上がっていき、カクテルを大量に飲んだからね。
ここまで来たら後には引けない。
計画は最終段階だ!
601 :
こなたの策略:2007/12/10(月) 15:05:30 ID:isXvKH6H
「かがみ」
私はいつものネコ口を止め、かがみを見据えた。
「な、なによ。真剣な顔しちゃって・・・」
「私はかがみのことが、好き」
・・・ついに言ってやった。
かがみは私の言葉を聞いた瞬間に俯いてしまったけど、お酒で赤くなった顔が、さらに耳まで赤くなったのを私は見逃さなかった。
「かがみは私のこと、どう思っているの・・・?」
そう言って私は黙り込んだ。
かがみの返事を聞くために。
・・・と言っても、大体この後のことはわかる。
重度のツンデレであるかがみは、
「な、何言ってんのよ!わ、私もこなたのことは好きだけど、そ、それは友達としてで・・・。だ、大体女同士でそういうのは・・・」
とか言い出すに違いない。
そこで私が強引に迫って、かがみの『デレ』を解き放つのさ!
さあ来いかがみん・・・!
飛びっきりのツン台詞を期待してるよ!
しかしかがみは、私の予想の斜め上の行動を起こした!
「こなた〜〜〜〜〜っ!」
と叫んで、私をいきなり押し倒したんだ!
「ちょっ、ちょっとかがみ!?」
私は慌ててかがみを止めようとした。
こんなのは計算外だ!第一私は攻め希望なんだ!
しかし、私の願いも空しく、かがみを押しのけることは出来なかった。
「こなたが悪いんだからね・・・!」
そう言ってかがみは私の服の中に手を差込み、色々なところを触り始めた。
「ちょっ、そこは・・・!んんっ、んひゃっ!どこ触ってえ・・・!」
「こなた〜〜〜〜〜〜〜♪ああ、もうっ!可愛い〜〜〜〜♪」
「うひゃ!?そこダメ、ホントダメ!んくっ、ああっ、もうっ・・・!ふにゃあああああああああああっ!」
どうやら私はかがみのリミッターを解除してしまったらしい。
結局一晩中、私はかがみに攻め続けられた・・・。
うう、作戦失敗だよお・・・。
602 :
598:2007/12/10(月) 15:08:16 ID:isXvKH6H
以上です。
突発的に書いたので、不自然な点や誤字・脱字があると思いますが、ご容赦を。
「こういうのを、『策士、策に溺れる』というわけでぶっはぁ!」
「さっすがゆきちゃん、頭いいn(気絶)」
>>603 こ、久々のこなかが☆フェチktkrwwwww
>>602 話の流れもテンポもよくてニヤニヤさせられるしGJでしたぜb
607 :
19-190:2007/12/10(月) 20:13:12 ID:gDJ66oBy
どうもお久しぶりです。
神SSの嵐でコメント書くと米だけで1レス作れそうだっ・・・!
まぁそんな訳でコメントは割愛さs(ry
決して面倒とかそういうことじゃなくて皆上手すぎて
コメントできないってことですからね!
んで本題。誰も居ないようなので
とりあえず仕上がったものを投下しようと思います。
『CARNIVAL DAY』
・一応序章という形です
・特にカプは無し・・・後で作るかもですが
・某漫画を参考にしています
・その漫画の話をらき☆すたキャラでやってみました
・某漫画が分かると先の展開も分かってしまうかも・・・
・多少出血表現とかはあり
・6レスほどになりそうです
「私の願いは私のもの、例え作者にだって侵せやしないよ─────」
そう言ってこなたが私たちから離反した翌日、私たちは放課後の誰も
居ない教室に集まって、話し合いをしていた。無論、こなたの離反に関して。
面子はかがみ、つかさ、みゆき、みさお、あやの、みのる。最初に口火を切ったのはみさお。
「まさか、あのちびっこがなー」
「まぁ・・・ね」
と気の乗らない感じでかがみが答える。
皆、あまり口を開かないのは今までに起きたいろいろなことに戸惑っているからだろう。
そして、全員今まで起きたことについて思いを巡らせていた。
その日、みさおとあやのは街を歩いていた。休日で久々に二人が暇だったので
出かけることにしたのだった。目的の買い物も終わり帰る道を歩いていた時、不意に後ろから声をかけられた。
「休日デートかい?進んでるねー、みさきちにあやのん」
二人が振り向くと、そこには泉こなたが居た。
「・・・何の用だよ、ちびっこ」
柊からこなたが離反した、ということは聞かされていたので警戒しつつ答える。
そして大して態度を変えずに、
「楽しい休日にもめごとは無しだよー」
「泉ちゃんは何をしてるの?」
「いつものようにマンガの新刊をねー、とりあえず一冊」
と手に提げている袋を示す。それを見て二人はため息をついて、聞いた。
「ちびっこ、本気なのか?」
「作者の操り人形に過ぎないって分かってても?」
その言葉を受けて腕を組み少し考えた後、軽いため息と共に、
「いくら作者と言えども全能って訳じゃないよ」
そしてその言葉に続けて言った。
「私の願いは私のもの、例え作者にだって侵せやしない───誰かに操られて皆を裏切るほど、私は愚かじゃないよ───」
風に長く蒼い髪を靡かせながら、こなたは去っていった。
「・・・・・」
沈黙は未だに教室を取り巻き支配している。しかし、それに耐え切れなくなったのかみさおが口を開く。
「でも目的がさっぱり分からないんだぜ」
みさおが言っているのはおそらくこなたが言った台詞についてだろう。
「あー・・・・・確かにね・・・・・」
「でもこなちゃんらしいんじゃない?」
「泉さんらしいと言えばらしいですね」
とそれぞれに意見を述べる。だが感心している場合じゃない。
そもそもはこなたが言った台詞に問題があった。いつもの面子で昼食をとっていた昼休みに、
「みんな・・・っていうかこの学校は萌えが足りないんだよー!」
なんて突然言い出したのだから。その日を境にこなたは私たちから離反した。
かがみはその台詞とこなたの性格からいろいろと推理していた。近い内に行動に出るだろうことを。
だからこの集まりを企画したのだった。こなたを私たちで止めるために。
ここで一人話に取り残されていたみのるが、
「で、これからどうするんです?」
と遠慮がちに聞いてきた。その一言で我に返ったかがみは、
「・・・そうね、そろそろ始めましょうか」
そう言って皆に適当に座るように促した。
「んじゃみゆき、とりあえず出してくれない?」
その言葉に頷き、カバンから何かを出して机に並べた。出された物を見て4人は絶句する。
サブマシンガン・エアガンに手榴弾。まぁ当然の反応だろう。
「・・・・・柊、マジでこれ使うのか?ってかそもそもどっから手に入れたんだぜ」
少しして呆れた顔をしつつみさおが言う。
「そりゃ、あのこなたが相手だからね・・・・・向こうも本物持ち出してくるだろうし、
エアガンじゃ心許ないからね。それもこれも、みゆきに頼んどいたんだからみゆきのお陰よ」
それに頷いて答えてみゆきは、
「説明しますね、このサブマシンガンは装弾数20発、オートであれば数秒ほどで
全弾撃ち尽くせるそうです。弾は小型なので急所にでも当たらない限り問題は
無いと思います。スペアマガジンも多めに用意しておきました。次はこのエアガンですが、
実銃をモデルにして作られた麻酔銃だそうです。構造上、
一発撃つごとにスライドを引く必要があるのが難点ですが・・・・・手榴弾は本物と偽物の2種類があります」
一息に話したみゆきの後を続けて、
「・・・・・基本戦術は、サブマシンガンで牽制して隙を突いて麻酔銃で無力化する。
これ以上は不確定要素が多すぎるから、実際に起きた後に決めよう」
「手榴弾はどうするの?」あやのの最もな質問。
「それは牽制用ね。こなたの運動能力を考えれば、爆発させずに処理出来ると思う。
それに、本物かダミーかは判別出来ないからそれでも隙を作れると思う」
一通りの説明が終わると、つかさが銃を手にして立ち上がり、
壁に狙いをつけ引き金を引いた。パンッ!という小気味良い音を立てて弾が床に落ちる。
「へー、おもちゃにしては大した出来だね、お姉ちゃん」
「・・・つかさ、何だかやる気みたいねー」
「えへへ、そうかなー」
こんな時でも呑気な会話をする二人。
「とりあえず、麻酔銃だけは試し撃ちしておいて下さいね。マシンガンはさすがに出来ませんが・・・。
手榴弾のほうは、表面にデコボコのあるほうが本物で、栓を抜いて5秒後に爆発します。
ダミーのほうで一応練習をしておいて下さい。エアガンは二丁、マシンガンは一丁、手榴弾は二個ずつ、
麻酔弾のスペアとマシンガンのスペアマガジンを5本ずつ。これが一人の持ち物になります」
この言葉に皆頷き、それぞれが慣れるために練習をした。一通りの練習が終わった後、
「いつでも使えるように安全装置かけて持ち歩いておいてね。いつ動くか分からないから」
その日はそれで解散となった。皆、こなたがすぐに動き出すことは無いと
考えていたが、予想に反して事件は起こる。事が起きるのは、話し合いの翌日。
───翌日。かがみは風邪で体調が悪いとのことで学校を休んでいた。
昼休みにはつかさとみゆき2人で食堂に来ていた。それぞれトレイを持ってきて、
話をしながら食事をしていた。少し後に、2人は不意に後ろから声をかけられた。
「同席してもいいかな、お二人さん」
少し前までは毎日聴かない日など無かった声。いたずらっぽくて少し子供っぽさを残したその声の主───
───泉こなたがいた。一瞬身構えたが、気取られないように平静を装う。
「・・・・・歓迎は出来ませんね」
「まぁまぁ、わたしとみんなの仲じゃない」
そんなことを言いながら席に座る。警戒しながらつかさは聞いた。
「・・・こなちゃんは何をしにきたの?」
んー、と少し迷ったような顔をして、
「少し話をしておこうと思ってねー」
紅茶を少し口に含み、続ける。
「わたしは一応小さい頃から一通りの格闘術を習ってきてる。ちなみに、
銃の扱い方もね。時には誰かに狙われたりもして、そいつら全員の口を封じたり殺す寸前までにして倒してきた───」
また紅茶を一口すすり、話を続ける。
「その気になればこの食堂にいる人全員を30秒以内に動けなくすることも出来るよ」
と言い切って、また紅茶を口に含む。みゆきは視線を周囲に泳がせた後、言った。
「自慢は・・・・・終わりですか?」
「別に自慢をしたつもりじゃないよ。ただ、そんなわたしを相手にみんなが
何を出来るかってことなんだよね。みんな殴りあいのケンカですらしたことないでしょ?」
みゆきは憮然とした表情で、
「暴力は野蛮です、私たちには必要ありません」
こんなやりとりを聞いてつかさはこんなことを思っていた。
(というか、私たちみんな女の子なんだけど・・・・・なんかいろいろおかしいなぁ)
つかさが思考を巡らせているのをよそに、話は進んでいた。
「なら、どうやってわたしと戦うのかな?」
「論理に基づく作戦です。突き詰めれば相手を負かすことも可能ですよ」
と言うみゆきの表情には自信と誇りが浮かんでいた。しかし、半分は強気から言わせたことだった。
「───じゃあ、一ついいことを教えてあげるよ」
とそれに答えて立ち上がった。
「圧倒的な暴力は───論理に勝るってことをね」
その一言で時が止まったようだった。立ち上がった後つかさに歩み寄り、
襟首を掴んで立ち上がらせ、膝を入れてその後すぐに蹴り飛ばした。
まさに一瞬の出来事だった。がたーん・・・という音で時が戻ったかのように、ざわめきが広がる。
「な・・・いきなり何をするんで」
「動かないでね、みゆきさん」
言い終わらないうちにみゆきの台詞は遮られた。
突きつけられたその手には、黒い小銃。つかさのほうへ目をやると動いているのが見えた。
空いているテーブルと椅子に突っ込んだようなので、どうやら無事らしかった。
「・・・こんなところで本物を出すなんて、とうとう狂ってしまいましたか?」
「わたしは正気だよ。狂ってたら手加減出来ないから、今頃つかさは血を吐いて転がってる」
みゆきと周りを牽制しつつ、つかさに近づいた。もちろん誰も動こうとはしなかった。
口の端についた血をぬぐってポケットの麻酔銃を取り出し安全装置を外しつつ、つかさは体勢を立て直した。
「・・・何を考えてるの?こなちゃん。こんなところで本物を出しちゃったら、言い訳なんて通用しないよ」
「やってみる?その麻酔銃でわたしを無力化できれば、みんなの勝ちだよ」
そう言って両手を上に挙げて一言。
「先に構えさせてあげるよ」
(やるしか、ないかな───)
一瞬考えて銃口を向けて引き金を引こうとした時───
「遅いよ」
ドンッ!という破裂音と共に左肩口に痛みが走り、意識が飛んだ。
つかさが撃つよりも早くにこなたは銃口を向け引き金を引いていた。
泣き叫ぶ生徒、目を背ける生徒、更に女子生徒の悲鳴が食堂を包んだ。
その中でこなたはつかさに近づき、天井に向けて一発銃を放った。
「さ、カーニバルを始めよっか」
613 :
19-190:2007/12/10(月) 20:21:05 ID:gDJ66oBy
〜序章あとがき 舞台裏?〜
「ふぅ、投下終了っと・・・・・」
「これってこなたが行動起こした理由に無理があるんじゃないの?」
「う・・・・・それは突っ込んじゃいけないんだぜ」
「・・・ところで、前回音ゲーネタで暴走したからリベンジとか言ってなかったっけ?
それに普通のカップリングとかその・・・えっちネタに挑戦するとかなんとか」
と、頬を染めながらかがみ。
「あー、いやまぁそんなことも言った覚えが無いでは無いけど・・・あはははは」
内心冷や汗が出るのを抑えながら作者が言う。
「あははじゃないわよあははじゃ!いつになったら私主役のSSを書いてくれる訳!?」
「んー、今は話の筋を考える段階でだなー」
「要するにまだ書いてないって訳ね?」
「一応流れと話を作るためのネタは確保出来てるんだから期待しといてくれよ」
「はいはい、とりあえず変なの書いたら承知しないわよ。
あ、さすがに今回は音ゲーネタは入れてないわよね?」
「いや、話で重要なキーを担ってるから少し入れたけど」
「結局自重しなかったんかい!」
「・・・全く、こっちは忙しいってのにわがままなやつだ」
そう呟いてすぐこなた・つかさ・みゆきに囲まれた。
「ところでさぁ、わたしの出番はどうなってるのかな?」
「何か今回肩撃たれてるけどまさかこのまま放置じゃないよねー?」
「かがみさんや泉さんの出番は多くて私の出番が少ない気がするんですが・・・」
かがみを回避したら次はこっちか。
「あーもう!今回のSSで全員出る訳だから我慢してくれよ!
それにこなたはかがこな書いてるんだから文句言うのは勘弁してくれ・・・」
どうやら作者の忙しさは苛烈を極めそうである。
614 :
19-190:2007/12/10(月) 20:23:02 ID:gDJ66oBy
以上です。あとがきは完全に即興です。
神SSの後だと自分の作品が霞んで見えるなぁorz
>>614 今回の題名はギタドラからですか。
一寸どういう前提で話が構築されているのかが、わかり難いかも…
何はともあれ、続きに期待。
やべえ、
>>614みたら、GJすぎてつい、
あのキャラ達をアヴァロンの世界にご案内したくなったじゃねえか。
こなた:戦士:FAL
かがみ:戦士:M1
みゆき:僧正:AK
つかさ:魔法使い:RPG
かなた:狙撃手:ドラグノフ
黒井先生:大鴉
ごめんなさい、自粛しますorz
こなたが盗賊ってのは超ハマリだが
みゆきさんが戦士、かがみが魔法使いってのは意外とはまるね
つかさ「ほえ?わたしはぁ!?」
こなた「バルサミコ酢製造屋さん、じゃんじゃんMP回復薬製造ヨロ」
つかさ「なんじゃそりゃあ!?!?」
かがみをの髪を金髪、肌を黒くするとトリエラになるよな…
と妄想したけどキノッピオに目を潰されるかがみは書きたくないのでSSにはしません
>>614 GJ。あれか、こなたは肋骨が片方欠けているのか。
622 :
23-49:2007/12/10(月) 22:26:19 ID:PX30DXGJ
どうも、今スレ初っ端ぶりです
23-49です
二等辺三角形、後編・・・・と言いたいところですが、
長くなってしまったので二回に分けます
つまり中編
投下させてください
・みなみ&ゆたみさ
・エロなし
・内容暗め?
・7レス使用
街路樹の枝葉と夏の眩しい太陽が、道に塀に複雑な網目模様を描き出す。
この季節特有の強いコントラストをさらに強調するように、蝉の合唱が遠くに近くに鳴り響く。
小さなころから見慣れた風景。
歩き慣れた、近所の並木道。
しかし、私にとってはそうでも、初めての人には珍しく映るようで。
「なんかさ〜……さっきから思ってたんだけど、でっかい家ばっかじゃねえ?」
日下部先輩は、先ほどからしきりに周囲を見回している。
「岩崎さんちもさ、こんな感じ?」
「はい。みなみちゃんのお家、お金持ちなんです」
かと思うと、ゆたかの言葉に反応して私のことを上から下までしげしげと眺め回したり。
「なるほどぉ……お嬢様ってヤツですかってうおっ?! ――っと、とと……へへ」
余所見のしすぎで何かに躓いて転びかけたり。
「わ、大丈夫ですか?」
「あっはは。ごめんごめん」
賑やかな人だ。
私はもともと、申し訳ないのだけれど、こういったタイプの人は得意ではない。しかしこの
日下部先輩には、何故だか通常以上の苦手意識が働いている気がする。ゆたかが慕って
いる相手だし、普段お世話になっている先輩の友人でもあるのだから、そんなことではいけ
ないとは思うのだけど。
「あ、そだ」
と、照れ笑いから何かに気付いた顔になった先輩が、ゆたかを振り返って言った。
「な、小早川。ヒザとか擦ってない?」
「はい?」
ゆたかが首を傾げる。
私も分からない。転びかけたのは先輩だし、しかも実際には転ばなかったのだし。一応
目を向けてみたが、ゆたかの足にも歩き方にも特に異常は見られない。
「ほら、さっきの。あたしは大丈夫だったんだけど、そっちはどーかなって」
「……ああ。いえ、大丈夫です」
「そっか。ならいーんだ」
しかしゆたかは何かに思い当たったようだ。
……「さっきの」か。
「っと、それと、も一つ。ついでに思い出したんだけど、また忘れる前に言っとくよ」
「あ――はい……」
答えながら、ゆたかはちらりと私を見上げた。
『いいのかな?』――そう言っている。どうしようか――しかし逡巡しているうちに、先輩は
気にすることなく話し始めてしまう。
「協力してくれるって言っただろ? やっぱアレ、いいわ」
また、ちらり、と見上げてくるゆたか。私は――とりあえず小さく頷いた。特に意味は込めて
いない。他に動くに動けないだけだ。
「いえ、その――えっと。やっぱり、生意気でしたか……?」
「ううん、そじゃなくて。自分で言うよ、あたしが。だからいい」
「はあ……」
先輩は、少し上を向いた頭の後ろで手を組んで、口元は薄く微笑んでいて。だけど目だけは、
先ほどゆたかに紹介を受けたときに見せた、決意の色を湛えていた。
「やっぱさ、自分で言わねーとなって思うんだよ。あたしの問題なんだし」
「……わかりました。頑張ってください」
「ん。あんがと」
「いえ」
……終わった、かな。
どうやら離れなくても大丈夫だったらしい。
それにしても、話の内容は理解できなかったけど、意外としっかりとした考え方の持ち主の
ようだ。見直した。
などと失礼なことを思っていると、
「……」
「……」
目が合った。少し焦る。
けれど先輩の方も焦っている様子なのは何故だろう。
「え、えっと……わかんなかった、よな?」
「……。……はい」
今の、ゆたかとのやりとりの意味なら、確かに分からなかった。が、まさか――私のことは、
気にしていなかったのではなく、気が回っていなかっただけ、ということなのだろうか。
「そか。ならいいんだ。あ、訊くのはナシで……」
「……はい。わかってます」
「ごめんね、みなみちゃん」
「……気にしないで」
気にはなるけど。またさっきみたいになられても困るから。
……あとで、ゆたかだけに訊いてみよう。
・
・
・
「あ、着きましたよセンパイ。ここです」
間もなく私の家に到着した。
ゆたかが弾んだ声で言いながら指差し、先輩がそちらに顔を向ける。
「おー…………はぁ〜……」
感動しているのか、呆れているのか。歓声とため息の中間みたいな声。隣でゆたかが苦笑いを
しているのにも気付いていない。
「……すげートコ住んでんだなぁ」
「……いえ、まぁ……」
率直な感想を受け、曖昧に言葉を濁す。
こういった反応をされるのは初めてではないけれど、どうしても上手に返せない。すごいのは
家だけで、あるいは私の両親で。その下に生まれたというだけの私では、否定するのも肯定
するのも間違っている気がするから。
誤魔化すように、門扉に手をかける。
「えっ。は、入るの?」
手が止まる。
……はい?
「どうかしたんですか、センパイ?」
「あっ、いや――ごめん、小早川。岩崎さんも。ちょっと、き、緊張……」
確かに。背筋が伸びきってしまっている。
さすがにここまでの反応は初めてだ。
「……開けて、いいですか?」
「う、うんっ。――あっ! でもいいのかなっ! あたし、こんなカッコだし……」
「……」
ええっと……
とりあえず、高級ホテルでも、パーティー会場でもないのですが……
「あ、あはは……確かにちょっと、緊張しちゃいますよね……」
思わずゆたかに視線を向けると、苦笑いをしながらフォローを入れてくれた。
「でもほら、わたしも普段着ですし。ってゆーか大きいけど普通の、みなみちゃんの家ですから」
「や、でも、おまえのソレ、かわいいじゃん」
「そ、そんな……普通ですよ」
「でもあたしそんな服持ってねーし。どこで買うんだ?」
「えっと……どこって言われても……普通のお店ですけど」
しかしそのまま二人で喋り始めてしまう。ゆたかが相手だと先輩も緊張しないでいられるようだ。
私はまだ、怖がられているのだろうか。そういえば、私だけ「さん」付けで呼ばれている。
「――あっ。ご、ごめんねみなみちゃん。つい……」
「うあっと! そうだ、ごめん」
二人が、慌てた様子でこちらに向き直る。
……顔に出てしまっただろうか。
「……いえ、大丈夫ですから……開けていいですか?」
「う、うんっ」
ぎこちない頷き。
ごくり、と唾を飲み込む音。
暑さのためではない汗を背中に感じた。
……いつのまにか私まで緊張してしまっている。必要以上に慎重な動きで門扉の留め金を外し、
心なしかいつもより固い手ごたえを感じながら押し開けた。
「……どうぞ」
「うん。――行きましょ、センパイ」
「お、おじゃまします」
私とゆたかに続き、被っていた野球帽を脱ぎながら、先輩も門をくぐる。
まだ、庭ですが……
「……うわ……ひろっ」
第一声は、比較的予想内。しかし、
「おおっ、パラソルだ。すげー……うあっ! 芝生? ホンモノだー……いちにぃ、二階建てか……
あっ!? あれ――ってなんだっけ。バルコニー? すっげー、ジュリエットだ。初めて見た」
そんなものにまで? と思うほどの、ありとあらゆる感嘆の声が次々と挙がる。まさに手当たり
次第といった感じ。……ジュリエット?
ともかく、物心ついたころから見続けて、見慣れているものにこれだけ驚かれると、自分の方が
おかしいのではと思えてくる。
「すっごく喜んでるね、日下部センパイ」
口に手を添えながら、ゆたか。
先ほどまでの苦笑いが、普通の、楽しそうな笑顔に変わっている。
「うふふ、ジュリエットだって。やっぱり女の子だよね?」
「…………あぁ」
『ロミオとジュリエット』か。なるほど。言われてみれば、真っ先に思い浮かぶのは、バルコニー
でジュリエットが苦悩するあのシーン。
「わたしは、『タイタニック』かな。どっちかって言うと」
言って、ゆたかは軽くかかとを上げて爪先立ちになり、両腕を伸ばして目を閉じる。その姿勢
で船の舳先――この場合は、あのバルコニーか。そこに立つ彼女を、日下部先輩が後ろから
支える光景が脳裏をよぎった。
……どうして自分ではないのだろう。
「あれ?」
と、元の姿勢に戻ったゆたかが何かに気付いた声を上げる。
――何を考えているんだ私は!
失礼じゃないか。ゆたかにも、先輩にも。
おかしい。今日の私はどこかおかしい。
「みなみちゃん、チェリーちゃんは?」
「ちぇりぃ?」
いつの間にか先輩までそばに来ていた。焦りが加速する。
「え、えっと……」
「あ、犬です。みなみちゃんの。可愛いんですよ?」
「へーえ。犬まで飼ってんだ」
「は、はい。えっと……」
濁した言葉で答えながら、逃げるように顔を巡らせる。しかし――そういえば、静かだ。チェリー
の鳴き声も、田村さんの声も聞こえない。私が出ている間に諦めた……もとい、仲良くなれたの
だろうか。
「……たぶん、裏の方……さっきも、いたから」
意外と冷静な声を出せたことに、言ってから気が付いた。意識が一旦余所に向いたおかげか。
だけど、まだ少し、二人を見るのは恥ずかしい。だから目は合わさずに告げる。
「……上がりましょう」
返事は待たなかった。
ゆたかと、先輩も、今度は畏まることなくついてくる。代わりに声を潜めた話し声が届いた。
「……怒らせたかな? 騒いで」
「……それは、ないと思います」
そう。怒ってはいない。
ただ……
「……ただ、ちょっと照れて困ってるかもです」
「……うぅ、そっか。ごめん。気をつけるよ」
ありがとう、ゆたか。
でも、さっきの変な想像までは見抜いていないよね……?
ドアを開け、玄関をくぐる。
靴を脱ぎながら様子を窺い見てみると、先輩は敷居を跨ぐ直前で、脱いでいた帽子を被りなおし、
入りながらまた取っていた。
「お、おじゃまします」
「おじゃまします」
「……ただいま」
……礼儀正しく振舞おうとしている、のだろうか。悪い人ではないとは思うのだが、やはりよく分か
らない。
そのあとも、大きな声を出すことはなかったけれど、
「はぁっ……涼し……
天井たけー……
やっぱ絵とかあるんだ……
うわっ、高そぅ……
え? なにコレ……?
へえー……はぁー……
――って玄関まで冷房してんの?」
田村さんとパトリシアさんの待っている部屋に至るまで、ほとんど休むことなく続く囁き声と
ため息。並んで歩く二人を先導しているという形のせいもあって、実に落ち着かない。なるべく
意識しないよう心掛けつつ、目的のドアの前に立ち、ノックする。
「――ぁ、はいっスー」
田村さんのものと思われる声。やはりチェリーへの挑戦は、結果はさておき終わったようだ。
ドアを開けると、彼女はゆっくりとソファーから起き上がるところだった。
……あれ、今……
「あ、岩崎さん、おかえりー」
「おかえりなさいデス。Oh、ユタカ、無事デシタか」
「こんにちは、田村さん、パティちゃん。ごめんね、遅くなっちゃって」
「……ただいま」
とりあえず挨拶を交わす。
しかしそれよりも、私は別のことに気を取られていた。
「ブジならモゥマンタイです。気にしないキニシナイ」
「そうだよー? ちょっと心配しちゃったから」
「ごめんね、ありがとう」
今の田村さんの動きから考えると、起き上がる前、その頭は隣に座っているパトリシアさんの
膝の上に乗っていた計算になる。要するに膝枕。私の家に来てからずっと、長時間庭でチェリー
の相手をしていたから、体調を崩したのかも知れない。
しかし、膝枕か。
先日、皆で花火大会に行ったとき、人ごみに酔ったゆたかにしてあげたことを思い出す。
「……」
……ちょっと待って。
どうして、浮かんだ映像の中で、ゆたかの頭を膝に乗せているのが、私ではなく――
「Hum? ドナタですカ?」
「え? あれ、日下部先輩じゃないっスか」
!?
私、いま――今度は、何を……!
「え? おー、あんた確かちびっ子の……って、え? ガイジンっ?」
「せ、センパイ……。――そっか、田村さんは知ってたんだ」
「うん。泉先輩から、ちょくちょくね。直接話したことは……あったかな?」
「Oh、コナタのお友だちデスか。――ドゥも、Patricia Martin デース♪」
「えっ!? ちょっ、まっ! あ、あたし英語は……」
「イヤイヤ、日本語っスよ先輩。てゆーか、だからどうしてここに?」
「あ、え、あ、えっと……」
「あはは……来る途中で会ってね。少しお話して……えっと、もう少しお話したかったから、来て
もらったの。あ、それと。かがみさんの、お友だちだよ?」
「お……おう、そうだぜ。あんなちびっ子と一緒にすんな」
「What? ドゥイゥことでショウ?」
「えっ、あ、だっ、だから――あ、あい、あむ……」
「……良いリアクションっスねぇ」
会話が弾んでいる。
妙に遠くに聞こえる。ほとんど頭に入らない。だめだ。しっかり――しっかりしないと――
「みなみちゃん? どうしたの?」
「っ!?」
ゆたかが振り向いた。
続いて全員の視線が向けられて、思わず一歩、後ずさる。
「岩崎さん?」
「ミナミ?」
不審なものを見るような、視線、視線、視線。
「あ――……の、飲み物、入れてくるっ」
ほとんど叫ぶように言い捨てて、私はそのまま廊下に飛び出した。
・
・
・
揺れるガスコンロの炎と、熱に濁った鈍い銀色をぼんやりと眺めながら、曖昧な頭で考える。
おかしい。
今日の私は明らかにおかしい。どうして変な想像ばかりしてしまうのだろう。どうして、逃げ出し
たりしたのだろう。
逃げた?
そう、逃げた。
こうしてお湯を沸かしているのも、たぶん少しでも時間を稼ぐため。冷蔵庫には先ほど田村さん
とパトリシアさんに出したグレープフルーツのジュースがあるし、お湯だって新たに沸かさなくても
電気ポットに入っている。
なのにこうして、私は逃げている。
みんなから。ゆたかから。日下部先輩から。
日下部先輩。
そう。
正確には、彼女に会ってから、だ。おかしくなったのは。それまでは普通だったように思う。
彼女のせいにはしたくない。
悪い人ではないし、何よりゆたかが慕っている。彼女のことを悪く思えば、きっとゆたかは悲し
むだろう。それだけはしてはいけない。
だけど――
「――あ、いたいた」
「!」
不意の声に、弾かれるように振り返る。
視線は、水平。
「せん、ぱい……」
「おう。やっぱ広いな、ここ。迷うかと思ったぜ」
今まさに頭に浮かべていた人物、日下部先輩が立っていた。
その顔に滲んだ、どこか気まずそうな微笑みに、何故だか心が冷えるのを感じた。
「……なんでしょう」
「あ、うん。コレ」
そう言って先輩が差し出したのは、両手に持った二つのグラス。腕の動きにあわせて、溶け
残った氷がくるりと回る。
「メガネの一年とガイジンの。ついでにな。あ、手伝いに来たついでな? 五人分だし」
「……」
自主的に来たのだろうか。それとも誰かに言われたのだろうか。
言われたとすれば、それは誰にだろう。
「……いえ、大丈夫です」
疑問を押し殺した、愛想のない返事。
グラスを受け取り、シンク脇の食器洗浄器へと仕舞いながら、横目で調理台を流し見る。
トレイに乗せられた新しいグラスが五つ。ガムシロップ、ミルクとレモンリキッドも添えてある。
隣にはティーポットと砂時計。茶葉もすでに投入済み。
……ああ、ストローがまだだ。
「あー……紅茶? アイスティー」
こくり、頷く。
ヤカンが湯気を噴き始めた。火を止め、沸きたてのお湯をポットに注ぐ。
「そうなんだ……はは……」
「……」
我ながら、思う。もう少し愛想よくできないのかと。相手は先輩だというのに。ただ年が上だと
いうだけではなく、良い人だと分かってもいるのに。現にこうして手伝いに来てくれたし、グラスも
持ってきてくれた。なのに、どうして。
「えっと……ごめんな? 騒がしくしちまって。やっぱ来ない方がよかったかな」
「いえ……」
ヤカンをコンロに置きなおし、砂時計をひっくり返す。
そして首を左右に。
「ゆたかは、喜んでいます」
「うん……や、でも、小早川はよくてもさ、やっぱ岩崎さんちだし」
「……」
「んー、まあ……そんじゃ、それ。紅茶。飲んだら帰るよ」
「……すみません」
目を伏せて謝る。
それはつまり、肯定だ。私は先輩を引き留めようとはしていない。
「……」
「……」
「……ははっ」
笑い声がした。先輩の。
愛想笑い、ではなかった。顔を上げる。
「なんか、そーゆうトコ、似てるよな」
「似てる……?」
「小早川と」
……なんだって?
似てる? 私とゆたかが?
「よくわかんないトコで謝ったりとか。あと、笑ったりしたときの……フンイキ? 最初はちょっと
おっかないと思ったんだけどさ、笑うと、なんかすっげえ優しい感じになんだよな」
羨ましいよ、と先輩は笑った。
確かに、先輩の笑顔は「優しい」というより「元気な」感じだけど、それだって十分に魅力的だ。
それに、そもそも私がゆたかのように笑えるわけがない。
「じゃ、あたし戻るよ。なんかいても役に立たねっぽいし」
「え……」
言うが早いか、先輩は逃げるように廊下の奥へと消えてしまった。さっき部屋を飛び出した私も、
あんなふうに見えたのだろうか。それを見て、皆はどう思ったのだろうか。
私は、どう思っているのだろうか。
先輩のことを、どう思えばいいのだろうか。
……分からない。
気が付くと、砂時計が止まっていた。
630 :
23-49:2007/12/10(月) 22:37:45 ID:PX30DXGJ
以上です
ありがとうございました
残り半分も既に書きあがっていますので、最終的なチェックが済み次第、
早ければ明日か明後日にでも
イイヨイイヨー
みなみんの揺れ動く心情の動きが、
全体的な展開のじれったさと共に見事に描かれていると思うですよー
後半に続くと思うともう、ハナヂブーもんっす
パティ「もうでてますよ、ひよりん」
>630
心の動きが凄く細やかに書かれていて、興味深く読まさせていただきました。
みなみと、みさおの二人の会話だと、やっぱりこうなるのかなあ。
みさおは空回転しそうだし、みなみは無愛想になってしまいそうだし。
ゆたかを巡っての修羅場になるのか否かは、作者さんのみ知ることですが、
後編の展開に激しく期待しております。
それにしても…… 1週間ちょっとで1スレってどんだけ速いんだw
>>632 本当にここは高速回転してますよね……
もう480KB超えちゃったのですが、テンプレはどうしましょう?
そのままか、
>>318氏の案を追加か、新たにテンプレ案をつくるか
つかさ「論理の旋律は必ず真実を奏でる」
かがみ(にあわねー…)
635 :
23-251:2007/12/10(月) 23:36:29 ID:4FXPFTPB
>633
個人的には、前回と同じで良いと考えています。
(発言者を明確にする為にレス番を表示します)
理由としては、規則を増やすと新規参入者に対して敷居が高くなることと、
スレが硬直化する、即ち、規則を守らせることを重要視するあまり、スレを楽しもうとする
雰囲気が損なわれる恐れがある為です。
多少、投稿に手間取っても、間違ってageてしまっても寛容なスレであってほしいと思います。
>>633 自分は
>>318必要だと思う。
まぁたまたまageるのは仕方ないにしても、
21時間間隔投下騒動もあったことだし、
これは入れるべきだと思います。
とりあえず、sage義務じゃなく、sage推奨はあいかわらずで。
んで、投下間隔をあまりあけないってのは、推奨として
テンプレに入れたほうがいいとは思う。
みんながなが〜〜〜い間かけなくなる状況というのは、
やった人にもやられた周りにも微妙で険悪な空気を生みかねないので・・・。
>>318に書いてあることはローカルルールというより
場の流れを読めていれば自ずとできることだと思います。
他のスレのテンプレにこういったことが書いてないのは、
そもそも書く必要のない常識だからでしょう。
ですから、それを明文化したところで「敷居が高くなる」
ことはないと思います。
テンプレてのはスレの状況に合わせて改編されていくべきだと思うので
追加すればいいんじゃないかな?
いくら常識常識といっても、新規参入者には判らない事もあるだろうし。
「書いた所で見ないだろ」という意見はあるかもですが、そもそも
テンプレを見ないで参加ってのはマナー以前の問題だしね。
こなた「全ての人間が常に賢明に生きれるなら、
法律なんて紙くずに等しいしねえ」
かがみ「さり気に暴言吐いてんじゃないよ」
みゆき「賢明に生き、賢明に考えるからこそ
自らを律する法律を、という考えもありますよ」
こな・かが「おーーーーー」
「私の前では、全てが平等ですよ」
天使かなたさん自重
「世界が平等なんて嘘です!人の命は平等なんかじゃありませーん!!
びいぃぃぃあぁぁぁるつぅぅぅぅぅ!!!!」
ひかる先生自重
油断してたら前スレのラスト5レス取り損ねたorz
>>640 さりげにこな×かが
みゆき「そうです、こな×かがです
自らを律し、皆が賢明に生きれるようにする
最適な手段とは、すなわち愛なのです」
つかさ「人類の真理こな×かがうにょ〜ん」
こな・かが「わかったからこっち見ながら
鼻血噴かないで、気絶しないで・・・」
647 :
久留里:2007/12/11(火) 01:45:19 ID:0um9HlQi
「あの、次回限りってのはどうかな?かな?」
「兄貴、『かな?かな?』はやめよーぜ?きしょいぜ」
「えーい、お前は黙っとれ」「ぷーっ」
「ごほん。えーっと、
おれも似たようなことをみさお萌えスレでやらかして文句言われた身だけど、
sage進行は2ちゃんねるやPINKちゃんねるでのマナーだし、
いわゆる『ながら投稿』は他の人にも迷惑がかかるから、
この辺りはきちんとしておかないとダメだと想うんだ。
Part 27だけでいい。Part 27だけでいいから、
確認の意味も込めて書いたらどうかな?
あー、すまん、何て言えばいいのかな、えーっと…」
「もー兄貴はだらしねぇな。あやのにフラれっぞ。
えーっとだ。兄貴が言いたいのは、
『sage進行でお願いします』
『下記ながらの投下はやめましょう(スレを占有することになってしまいます)』
をPart27にだけ記載するってのはどうよ?と言いたいみたいなんだ。
私は柊や兄貴みたいにカタい事言われるのは嫌だから、無くてもいいんだけど」
「カタくて悪かったな。
でも、Part 27だけでいいからこの二言を書いておけば、
後々面倒にならんで済むと思うんだ。
折角荒れないで続いてきたスレなんだ。再認識の意味も込めて載せて貰いたい」
ということで27限定で載せてはどうでしょうか?
あやの「みさちゃん、『下記ながら』ってなあに?」
みさお「ゲゲッ!『書きながら』な。
み、みんなそんくれぇわかんだろ、な、な」
かがみ「プ、そりゃあ次に書いていくわけだから『下記』はなるねえウププwww
(パン工場の逆襲らしい)」
みさお「うゅ〜ひぃらぎがいぢめるぅ〜T△T」
(でも久しぶりにかがみに突っ込まれてうれしいみさおであった)
>>646 このスレのせいで「かが×こな」しか受け入れられなくなった俺涙目
こなたがこんなに総受けが似合うとは、このスレに出会うまでは気付かなかった
あ、流れぶった切ってスマソ
それはひとえに
>>554に尽きると思うのです。
加えて、そんな儚げ萌え要素たっぷりのくせに、
原作でアクティブな責めキャラとして振舞ってるゆえに、
責められると萌えるのはそのためなのですっ!
こなた「だからもっと責めてかがみ様〜ん☆」
かがみ「わかったわ。
宿題写しにくるな勉強は自分でやれ。
運動できんだから少しは体を動かせパソばっかやってんじゃないわよ」
こなた「(´・ω・`)カガミサマ、ココゾッテトキニ、クウキヨマナイ・・・デモソコガ、モエナンダヨネ・・・」
かがみ「……まあ、最初はできる範囲でかまわないから」
こなた「つ、ツンデレ関白宣言っ!?」
652 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/11(火) 04:00:52 ID:lUWaeMnH
653 :
7-896:2007/12/11(火) 04:03:17 ID:r6c7Pqi3
654 :
7-896:2007/12/11(火) 04:05:57 ID:r6c7Pqi3
言い忘れました。
壊れネタ注意です。
>>654 事なきを得てない! ぜんぜん事なきを得てないよ!
さすが本家こなフェチ、頭悪さのグレードが一段違うぜ。ぐっじょぶ。
656 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/11(火) 07:00:40 ID:8xoTCGMb
>>654 もはや本編には皆が賞賛するからあえて触れず、
絵に一言。
みゆきはもうそれがデフォなのだろうか・・・
むしろ今回はつかさに大いに吹かせて頂いた。
もう、いろんな意味で完成されてしまった、やばい
飛べるし。
かがみ、おまえさんも飛べるようになりなさい、ツインテで。
あげてもたorz
>>654 ちょwアッー!w
ええい、トイレ内で起こったことを、音だけでもいいから記録した者はおらんのか!w
「その発言、端から見るとかなり危険だって……」
結局新スレはまだ立ってないよね?
>>633 (307(318みたいなの追加すべきと言った本人)の俺が言うのもなんだが)
「(追加すると)敷居が高くなる」という意見もあるが、現状が
【明文化してないだけでルール自体は存在して、住人の間では当たり前になっている。
で、それを大きく外れたことをした人に対して不快感をおぼえる】
てな感じなのだろうし、それならいっそ、明文化してしまったほうが新参の人にも
わかりやすくていいのではなかろうか。
>>656 かがみ「空を自由に飛びたいな」
こなた「は、はい、デレコプター」
かがみ「こなたぁぁぁぁ〜」
こなた「あ、あんアンあンッ!★」
>>659 つかさ「おねえちゃんの癖になまいきだよ
ママぁ、わたしにもこなちゃん買って〜」
みゆき「かがみさんの泉さんは私の泉さん、
私の泉さんは私の泉さんです。
あ、近々リサイタルします。
曲目は『わかれうた』『空と君のあいだに』です。
こないとどうなるかお分かりですねウフフフフ」
>>654 ぐっはあ、やはり本家は壊れっぷりがハンパないなw
ふゆき先生がなにげにツボ。 さぁ!
>>660 俺はみwiki 委員長
天下無敵の巨乳だZE☆
かがみつかさはメじゃないよ
664 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/11(火) 09:18:01 ID:aAByGvbY
>>554 あなたはなんでそんなに面白いんですか?
最後の言葉のリフレインで死亡wwwwwwww
みのる「あの、あきら様…」
あきら「なによ」
みのる「書いてる人は投下しないんですかね?」
あきら「あー、これ書いてる人は、続きを書かなきゃならないのが2本あるのと、
また電波が来たからなに書こうか迷ってるらしいのよ。」
みのる「1スレ1ネタが目標だったらしいんですけどね…」
あきら「挫折か…この人らしいわ…」
みのる「で、あの、次スレは…」
あきら「あぁ?!あんたが建てれば良いじゃない!!」
みのる「今僕は建てられない状況なんです!(携帯だし!)」あきら「ほー、ここはすぐにたてられるくせに?」
みのる「ちょ、あ、あきらさまっ…だめぇ…」
ということで。
結局次スレは……?
あっ!まじでそろそろ次スレの季節か…。早いなぁ。
667 :
19-190:2007/12/11(火) 14:00:19 ID:304sQRGb
>>615 あー、理由とかに関しては続きで書く予定に・・・
と思ってたんですがやっぱし分かりにくいですかねー。
反省点として覚えておきます。
>>621 >>634 分かる人がいて嬉しい限りです。
いないだろうなーと予想して書いたんですが意外。
例の姉弟をこなた・ゆたかにするかかがみ・つかさにするかで
相当迷ったんですが、結局こういう形になりました。
容量やばいので、今回は
>>318案を追加という形で立てようかと思います
もし15分以内に次スレの報告がなければ、立てられなかったということで
誰か代わりにスレ立てお願いします
671 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/11(火) 16:15:18 ID:VIVcWQtw
さあ埋めるザマスよ
いくでガンス
フンガー!
埋めるでガンス
675 :
7-896:2007/12/11(火) 18:12:42 ID:r6c7Pqi3
676 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/11(火) 18:22:51 ID:242H1CuE
埋めネタ
何の脈略も必然性もないのですが、各キャラクターの同一スペックの
コピーが100人一箇所に群れる事を仮想しました。
こなた100人→最初は取り留めのない各種のネタ論議を互いに熱く語り合っっているが、
話題が出たとたんに、冬のコミケ全ブース攻略の水も漏らさない作戦会議を始める
。
かがみ100人→お互いに相手の出方を待っているのが何となくわかるので、
恥ずかしくてなかなか会話を始められない。
つかさ100人→全員「あれーっ???」状態で、「お姉ちゃんか、こなちゃんか、
ゆきちゃんが来るまで寝てよ、おやすみなさぁい〜。zzz」
みゆき100人→原因と元に戻る対策を効率的に検討すべく、
4人ずつの25班に分かれて話を始める。
ゆたか100人→みなみちゃんやこなたお姉ちゃんも100人に
なっていれば寂しくないのになと思う。
みなみ100人→ゆたかが100人になっているかもという発想はなく、
お互いに自分を抑えてゆたかのところに行くのを譲り合う。
パティ100人→8時間後の集合場所を決めて各自個人行動。
ひより100人→作家とアシスタントの分担作業を始めるかと思いきや、
全員賛成で100プロットの作品の同時進行の量産を選ぶ。
みさお100人→じっとしてられなくて、
自分同士でいろんな種目の試合を始める。
あやの100人→淡々と人手が集まらないと出来ない料理を始める。
ゆい100人→いつのまにか、酒盛り。
ななこ100人→さすがにPC100台を用意できないのでネトゲも
無理となると…想像出来ませんので終わり。
>>676 >ななこ100人→さすがにPC100台を用意できないのでネトゲも
交代で授業を受け持つので、残りの99人はネトゲやったり酒飲んだり逆ナンに出たりする。
しかし横の連絡ができてないので、頻繁に実力テストやらされたりして生徒が泣く。
白石100人→100人居てもモブ。そのうち何人かはC○C○壱でバイト
作家一人当たり100人→このスレが「数分で1スレ消費」に変わる
絵師一人当たり100人→全てのSSに挿絵が付く
ROM一人当たり100人→特に変化なし
679 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/11(火) 19:33:12 ID:VIVcWQtw
675>>
ROM一人当たり100人→特に変化なし
いえ24時間、人大杉でしょう。
次(27)スレのテンプレのみゆきさんが、専用ブラウザ 必須です! とひきつります。
>>680の訂正、正しくは
>>678 ROM一人当たり100人→特に変化なし
いえ24時間、人大杉でしょう。
次(27)スレのテンプレのみゆきさんが、専用ブラウザ 必須です!
とひきつります。
>>676-677 俺が思うに、マリンスタジアムが大変な事になるんじゃなかろうか。
黒井先生99人からなる、「私設応援団」で、な。
無論、試合のある祝日は100人全員揃う。
誰かかなた100人を
>>682 浦和なら先生だけで三塁側が埋まるね
相手チームビビらすのにうってつけ
>>683 かなたが100人いたら、そうじろうが萌え死する。
ゴッドかなたさんは普通に分裂しそうだ
>>686 かなた「ひ……ひどいですっ! 人をキングギドラみたいに……ううっ……」
こなた「おかーさん、それ何か違う……」
こなつー、こなすりー……と、こなひゃくまで作る。
Co-1からCo-100まで型番があったりするのか?
らすとかな?
691 :
ぶーわ:2007/12/11(火) 21:47:49 ID:NY5n4WvS
>>681 各店に1人ずつ、これも100人に分裂した白石がバイトしてそう
白石001<いらっしゃいませー
白石002<空いてる席へどうぞー
白石003<ご注文をどうぞー
白石004<お待たせ致しましたー
白石005<ありがとうございますー
あきら「………うぜぇ」
>>691 GJ!
さっそく壁紙にした。もちろん並べてw
698 :
とある神様:2007/12/11(火) 22:17:18 ID:1pWZ8noV
ずっと、見守っていますよ
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