【痴女】淫乱な女の子でエロパロ【絶倫】

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476名無しさん@ピンキー:2009/02/28(土) 04:21:52 ID:ofwMvPVD
今書いてるけど、意外と自由度が高くて悩むな
477名無しさん@ピンキー:2009/03/02(月) 23:23:18 ID:mAqLh1yw
テラ期待
478名無しさん@ピンキー:2009/03/05(木) 15:13:47 ID:6jscgNdW
ほし
479四時五時 ◆P7woR/uQWc :2009/03/07(土) 21:57:19 ID:xGJAlx7E
投下します
今回凌辱シーンがありますので

あと投下の途中で次スレになると思います……
480序章:2009/03/07(土) 22:01:14 ID:xGJAlx7E
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ここファルセリオン神皇国は、
北方ファル大陸を支配する、歴史ある国としてそれなりに栄えていた。
寒冷の地で土地は痩せており、
耕すにも石ころと交じりの土が大半で、
せいぜい麦と僅かな放牧、漁によって成り立つ。
だが天は良くしてくれたもので、鉱石や貴金属の産出に優れ、
その加工、細工の腕は遠く海山を隔てた国まで鳴り響いていた。
剣を作れば甲冑をも両断し、落下する髪の毛すら二つに分かれるというもの。
美術的価値があり、純度の優れた金貨は万国共通の貨幣信用力を発揮し、
金細工装飾品はもちろんのこと、他国への王冠作成の受注まで抜群の技術を誇っていた。

そんな中でもこの国が長く平和であったのは、
ひとえに南は大海によって隔てられており、
北へ行けば獣も住むのも不可能な不毛の凍土、
東西は山脈と広大な森林が風雪とともに立ちふさがっている環境のためだった。
交易のためには難所を渡る必要があるため、持ち帰った品は各国で法外な値段になってるとも言われていた。

基本的に敵対国がないのが、いまの皇国の現状である。
何しろ、どの国からも遠く隔てており、
地政学上どうあがいても紛争地にならないのだ。
幸い王制からの緩やかな統治の下、内乱もなく民衆は暮らしていた。
歴史上省みても、内乱の原因の最もたるは貧困、そして他国からの干渉。
国民は現状に満足するだけの裕福さはあり、
長い歴史と職人気質の誇りがそれを支えていた。
人心が安定すれば、そもそも世の中をひっくり返そうななどと考える者は袋叩きにあうのがオチである。

481序章:2009/03/07(土) 22:03:41 ID:xGJAlx7E
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南海を見渡せる灯台の上、警備兵は不審者がいないか見張っていた。
とは言え正直なところ、その職務は怠慢の一言につきる。
長年の平和に、日々これといったことのない繰り返し。
加えて初冬、流氷に囲まれ始めた今は訓練もなし。
この雪混じりの嵐に航海するものは海の藻屑となるのが運命だ。
ごく近海での漁は営まれているが、
その場合は喧嘩騒ぎが出たら止めにいく程度がせいぜい。
たまに遠海へと流されるものがいるが、それはごく稀なできごと。
そんなことになれば、下手すれば命を落としかねないと誰もが注意を払っている。

そんな中、兵士の一人が奇妙なものを発見した。
肉眼でも確認できるそれは、流氷と共に荒波に翻弄されながらも必死で耐える小船に見えた。

「おい……何か漂流してるぞ」
「どれ……お、本当だ。この時期に無謀だな。何をそんなに欲しがるんだ?」

望遠鏡を覗き込みながら嵐に揉まれる小船を確認した。
大抵皇国に用事があると言えば交易しかない。
だが今の時期にくるのは、どう考えても割に合わない行為だ。
普通命を分の悪い天秤に預ける奴はいない。
海流に飲まれて漂流してきたとしか思えないが、ここまで流れてくることはまずない。

今はここ、陸からは沖合いには手出しできない。
速度と小回り重視の警備艇では、自分たちまで難破するのが目に見える。

「どうする?」
「まあ救出するにしても、上に連絡して裁可を仰ごう。
どの道、うちら警備班だけでは無理だしな」
「まあ軍船、砕氷装備の哨戒用くらいは必須だな」

一気に慌ただしくなったものの、皆悪い気はしなかった。
人の不幸を喜ぶつもりはないが、やはり暇なのよりは人様の役に立てて、
なおかつ感謝されればそれにこしたことはないのであった。
相手が商人なら結構な報酬になるかもしれない、という欲もあったが。

数人を状況把握のために灯台を任せ、
もう一方は散開しただちに軍船の使用許可をもらうと同時に、
必要な人手を集めて救出への準備をする。
まだ流氷は厚くないからそれ程手間もかからないはず。

この手際のよさは特筆に価した。
冬の海の中、冷たいしぶきに当てられながらも、
無事助けられたのは、ひとえに早期発見とその後の行動の早さにあった。
乗員四名は全員無事であった。
ただ、本船には他に何人か居たらしいが、
沈む帆船の中、小船に乗り移れたのはこの四名だけだったらしい。
482名無しさん@ピンキー:2009/03/07(土) 22:05:42 ID:/VqgS/QU
モットモットー
483序章:2009/03/07(土) 22:08:37 ID:xGJAlx7E
********************

現在の国王、チュルハン王は謁見の間にて漂流者報告を受け、
まず最初に無事救出した警備隊へのねぎらいの言葉をかける。

一週間前に起こった出来事は、漂流した当事者による体力の回復が待たれ、
ようやく今こうして行事にのぞむことができるようになった。
並べられた人物を見て、皆一様に驚く。
どこから見ても肌の色が褐色であること、
髪の色も漆黒に染められていた。
最初は単なる汚れかと思われていたが、洗い擦っても落ちないことから、
これが地肌に髪の色だと納得することと相成った。

「さて、そなたらのはどこから来たのか、名はなんと言うのかな?」

異国人たちはあちこちを巡る商人らしく、
万国共通語で会話が可能だった。
源流を同じくする皇国の言葉とは、方言程度の違いはあれど充分に通用する。

「はっ。まずはこの場をお借りしまして、簡単ではありますが礼をさせてもらいたいと思います。
このたびは船が沈没し生死をさまよう中、
九死に一生を得られたこと、まことに感謝いたします。
私たちは遥か南にありますザムーラ国で様々な物を取り扱う商人です。
その中で私はこの商団長を務めていますパザン・シウと申します」

まず漂流を助けてもらった礼を述べた後、質問に答える。
ここから王じきじきの言葉ではなく、側近からの質疑となる
ざわざわと騒がしいのは、やはり特異な色の物珍しさからだった。
皇国の人間は白い肌に金髪か銀髪、まれに赤毛。
まるで異国人たちが絹にインクを垂らした染みのように感じられた。

「ふむ。なぜ漂流などしたのだ」
「それが……どうやら風向きと海流に異変があったらしく、
当初より北側へと航路が逸れていたところに嵐に遭い、氷塊に衝突し浸水してしまったようで」
「難儀であったのう。だが……。
そなたらの髪、肌の色は何故黒いのだ。今回の嵐にも関係しているのではないか」
「そうそう、大方神事かもしれぬぞ。穢れたものをこの地に触れさせんとする」
「そんなことは関係ありません。我々は様々な国を渡り歩きますが、
神は常に平等を説いています。それに心やましきことなど何一つ」

ザムーラ人の代表するように、生き残りのリーダー、パザンは朗々と答える。
幾つかの国でも似たような話は聞いていたため、こういう反応もさして驚くに値はしない。
だがやり取りを続けてる内に感じるのは、どうも芳しくないということ。
質疑応答の中、半数ほどはその肌、髪の色の不吉さから忌み嫌う空気が漂っていた。
もともと閉鎖的なお国柄か、パザンは徐々に旗色の悪さを感じていた。
追放程度ならまだしも、幽閉、処刑となる可能性も捨てきれない。
なぜならわざわざ費用をかけて追放するくらいなら、
後腐れのない、もっとも簡単な方法選ぶだろう。
人道や道義がどの程度なのかも国によって大きく違うため、事の成り行きが読めない。

それでもパザンは美髯をなでながら精悍な表情を保つ。
もともと楽観こそ美徳とする気風の国の育ち。
強く一歩前へ踏み出し注目を集め、両手を大きく上げた。
少々芝居がかっていたが、大人数相手へ訴えるに大事なのは勢いである。
484序章:2009/03/07(土) 22:10:54 ID:xGJAlx7E
「王よ。直々にお伺いしたい。我々に何の非があると!
皆もわかっているはずです。
海の女神はときどき気まぐれであること。
心当たりなど何も無く災難に見舞われることなど、
一度や二度ではないでしょう」
「ふむ。シェシングよ。どうかな」

末席で傍聴していた海軍海洋警備班隊長のシェシングは、
王に呼びかけられ立ち上がって一礼する。

「はい。我々は何度も哨戒のため海を回りますが、
確かに高波や嵐に見舞われることは何度もあります。
また、それ故に航海や整備、操舵技術の鍛錬になることも確かです。
これは海の上は人知の及ばぬところ、いつ何時なにが起こってもおかしいものではありません」
「ふむ、それもそうよのう」

助けた相手が不吉な存在などと烙印を押されても彼らに得は無く、
また嵐に見舞われるたびに徳も無しなどと言われればたまったものではなかろう。
形は違えど、同じ海と船を生業とするところのシンパシーもあった。

パザンは思わぬ所からの助けに喜ぶ。
ただ異質なものに難癖をつけたいだけなのが、嫌疑派の本質である。
それを身内から正論でもって反論してくれたのは僥倖とも言うべき。
あとは一押し。

「いえ、ただ海の女神はたいへん嫉妬深いともお聞きします。
本来なら女人禁制の船上ですが、今回訳あって女を連れていました。
姿を隠してたとは言え、その正体は女神にはお見通しだったのやもしれません。……さっ」

そうパザンが述べた後、後ろに控えていた一人が前に出た。
頭からベールに包まれていたその者はするすると身にまとった薄布を取り払う。
周囲から、おおっと感嘆の声が漏れる。

「サウラ・ガリィと申します」

姿を現した女は恭しく礼をする。
それだけで氷と大理石に包まれた無味無臭の宮殿にふわりと草花の香りがするようだった。
火がたかれているとはいえ、
この寒さの中、滑らかな褐色の肌を惜しげもなく晒す扇情的な衣装。
背丈に似合う、艶やかな漆黒の長い髪。
肌の色のせいかもしれないが、その引き締まった身体にすらりと伸びる繊細な手足。
だが弱々しさなど皆無であり、溢れんばかりの眩しい太陽光の力を感じさせた。
それは皇国の女性には無い魅力だった。

「ぜひ命を助けてもらった礼として、滞留の間サウラを王に献上したく思いますが」

どこか妖艶で淫猥な雰囲気を纏いながら、
けして下品ではないのは清楚さも感じられたからだろう。
装飾とは対照的な美麗な顔つきは知性をも匂わせ、
誰が見ても超高級娼婦とわかるその美しさに、場が静まり返っていた。

あとはただ彼らには『嵐を受けるに値する』別の理由を差し出せばお終いである。
サウラにはその理由として有り余るほどであった。
男なら我が物へと、女なら嫉みの対象か諦めの溜め息をせずにはいられまい。

王の下、パザンたちは賓客として扱われることとなった。
485序章:2009/03/07(土) 22:15:16 ID:xGJAlx7E
********************

「シェシング殿には感謝してもしきれんな」
「彼らもいちいち業務に口出しされては面白くないでしょうから」

客室に設けられたテーブルにパザン以下二名がかこむ。
一人は筋骨隆々とした、名はグーリーと言う無口な男。
もう一人はシーフゥと言う少年で、こちらが主に話の相手をした。

「これからどうしますか?」
「そうだな……。うっ」

ごく小さな器に注がれた液体を口にするが、思わずむせ返る。
この国特有の蒸留酒は喉を通らなかったようだ。

「ゲホッ、くぅ何だこの酒は?」
「噂には聞いていましたが、火酒ですね。
この極寒の地では、身体を温めるには必須なのでしょう」
「ふうぅ、まったく……。
とりあえずは滞在を甘んじる他はあるまい。
どちらにせよ、これから海は氷に覆われ春までは帰れんそうだ。
本当にサウラのおかげで助かったよ」

もう一度パザンは器に入った酒を、今度は一気にあおった。
飲み干した後、アルコールくさい息を吐きながら声を荒げる。

「だが、このまま帰れん。
船は沈み、品々も海の藻屑となりはてた。
無一文のまま、このままおめおめと国に帰ったところで落ちぶれるだけよ」

ここから声を落として、室内の人間だけ聞こえるように呟く。
謁見での出来事は、彼らに慎重さを植えつけていた。
母国語で話しているとはいえ、まだまだ油断はできず、
どこかで見張りがいる可能性も否定できない。

「だが流れ着いたのが噂に聞きしファルセリオン神皇国とは、俺もまだまだついている。
まったく、この金の器を持って帰るだけで一財産だぞ。
俺の見立てだとこの一揃えだけで金貨五十枚分はくだらん。
サウラ一人でも仕上げは上々だが、我々もすることを成さねばな。
あの謁見の状況だと、先々を考えて手を打たねばならぬだろう。
お前たちにも協力してもらうぞ」

二人は同時に頷いた。
486序章:2009/03/07(土) 22:20:27 ID:xGJAlx7E
********************

瀟洒な天蓋つきのベッドにふわりと転がり、長い脚を組む。
サウラの今の姿を見たら、男なら大枚はたいても惜しくなかろう。

謁見の時は王の立場上、サウラの親展を丁重にお断りしなければならなかった。
勿論ここに呼ぶためにもそれ相応の身分や手続きがいるのだが、
チュルハン王はそんなものは完全にすっ飛ばしていた。

「はあはあ、いやらしくて、おかしくなりそうだよ」
「ふふ、一国の主たる君が、女一人に惑わされてはいけませんわ。
さあ、たっぷり味わって、免疫をつけませんこと」

伏せたまま手を伸ばして妖しく誘う。
相手が一国の王とて、することは変わらない。
自信に満ち溢れたどこか挑発的な表情、磨きぬかれたこの身体で身も心も蕩かす。
王は手を取ってベッドに上がり、その豊満な胸に顔を埋めた。
片手で後ろの結び目を解きながら、熱いベーゼを交わす。
実に手馴れた様子にサウラは微笑したが、負けずに小高く盛り上がる部分に触れる。

「ここがもう……こんなに熱いですわ」
「くふ、お前を見てるだけでもうこんなだよ」

そこは歳に似合わず、すでにがちがちになっていた。
どれほど求めているのか、サウラには見るまでもなく理解できる。
胸当てが落ち、外気に当たる豊満な乳房が生暖かい感触に包まれた。
ずるずると舌なめずりの音と、女の艶かしい吐息が重なる。

「ん、じゅる……ちゅるちゅる」
「はあぁ……おっぱい食べられてますの」

揉んで舐め、吸い付いて離れる。
唇が外れると形の良い美乳がぷるんと動くのが妖しい魅力を匂わせる。
その間も手は服を脱がしていき、そう数などないサウラはほとんど全裸になった。
王は花芯が潤ってるのに気付くと、サウラの身体を小脇に抱えてうつ伏せにした。
性急ではあったが、我慢が効かなかった。

「ふふ、このまま後ろからしたいのですか」
「そうだ。普段とは違う女ならば、普段とは違う趣向を味わいたくてな」

サウラは進んで四つんばいに這い、尻を上げる。
そうなれば後は尻を掴み、男根を宛がって挿入するのみだった。
膣口を押し付けられると、徐々に挿入へと前進する。
鞘に納まれば、一気に走るように力いっぱい打ち込んだ。

「ふぁああ、熱いですわ。中の奥っ……奥まで当たってますぅ!」

サウラは両手をベッドにつき、上半身を支えたまま、
腰から迫り来る獣のごとき交わりに声を上げた。
背後からたわわな胸を揉まれつつ、ぴったりと腰が密着するたびにその甘美な痺れがお互いを侵食する。
雄渾な牡器官が長さを活かしたストロークで、絶え間ない快楽を送り込まれる。

「どうか、ふふ。国の男より良いかな?」
「や、はあ、はあ、ダメぇ! そんなこと……ああぁ!!」

喉を見せてむせび泣く牝を支配する。
亀頭が抜けるぎりぎりまで引き抜き、
そして勢いとともに膣奥まで念入りに犯す。
その侵入に反応して肉襞は抵抗はおろか、まるで吸い付くように愛撫でもって歓待した。
487序章:2009/03/07(土) 22:23:57 ID:xGJAlx7E
「ほら、ほら言わんか。くく、お前の故郷の男より良いのだろ、んん」
「あふあぁ! ひぁ、そ、そうですわ。王の太いチンポにサウラは最高の心地です!
もう……もう国に帰れませんわ」

にんまりと王は口元を歪める。
くびれた曲線美の中心を抱え、子宮口まで埋め込んだまま巧みに抉った。
褐色の肌に珠のような汗が浮かび、滑らかに照り輝く。

「あっ、あぁ」
「くく、認めたな。本当は誰の一物でもよがるくせに、この淫売が。
一体どれだけの男に揉まれたんだ、このでかい胸は?」
「ひゃぁあ、おっぱいそんなに強く……」

元は娼婦の身であることをチュルハン王は熟知していた。
下賎なものに触れる禁忌の快楽も、甘く美味なるもの。

「わかっているのだぞ。だが汝のその罪を赦してやろう。
わしの子種でもって、すみずみまで浄化してやる。よいかな」
「あはぁ……はあはあ、はい」

頷いたそばからくる激しい突き上げに、サウラは顔を伏せてソファーを掴む。
性欲の塊が硬い肉棒から、今度は体液に乗せて迸った。
限界を超えた絶頂の連続が、筒の内側を駆け抜ける快楽は何事にも代えがたい。
それが最高の女へと注ぐならもはや別格だ。
尻肉を掴み、膣口が見えるほど開いて、なおも突き入れてはぐりぐりと押し込む。

「ぐぅ!! ふっ! はあはあ」
「あ! アぁ……それっ! きちゃう」

子宮口へと熱烈な愛撫と、そこから容赦なく支配をひろげる子種が全身を染める。
ドクンドクンと密着する性器の間から互いの息遣いか聞こえそうなほど、
射精は多量で、長く長く続いた。
サウラは崩れ落ちそうになる全身をしっかりと支え、
結合しやすい体勢を保ったまま進んで牡汁を向かい入れた。

「ああぁ……出てます。私の中に王の神聖な子種が……」

領外の女へと種付けするには有り余る量だった。
王は射精し続ける間、膣口までぴったりと陰嚢を付ける。
こちらから動かなくとも胸を愛撫すると、
サウラが感極まったように腰をよじり、襞の隅々まで精子をすりこんでいく。
結合部からはグチュリと淫猥な音を鳴らしながら、泡だった粘液が垂れていった。

「ふううぅい。サウラよ、そなたたちが滞在の間、最高のもてなしをしよう」
「あふん、はあはあ……はい、光栄ですわ」

********************
488二章:2009/03/07(土) 22:28:59 ID:xGJAlx7E
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王の寵愛を受けて、ひと月ほどたったある日。
サウラは今日もまた夜のお勤めを終えて、専用に用意された自室へと戻った。
客室ながら、扉は一室ごとに異なる玉壁をはめ込み区別をしている。
豪華といよりも、色と形の方が見分けがつくだろうという親切心らしい。
その豪勢な扉の取手に触れると、妙な違和感があった。

「あら? ……ふうん」

サウラは扉を開けた瞬間、一目見て異変に気付いた。
普通の人間にはわからない色彩の妙とも言うべき違い、
空気の香りから人の気配が残像のように見えている。
特に棚の中に入れていた私物、
指輪や首飾りの位置が微妙に違っていたのは決定的だった。

「さて、面白くなったわね。ふふ」

問題なのはどんな目的なのかではなく、誰の仕業か、差し金か、であった。
それにしても、それなりに気を配って探っていたのはわかるが、
技術としてはあくまで素人の範疇だ。
プロの手口ならここまで痕跡は残すまい。
サウラは備え付けの鈴を鳴らす。
しばらくして専属の侍従が扉をノックした。

「入って」
「失礼します」

侍従は礼をして室内へ入る。

「誰かこの部屋に来たかしら?」
「い、いえ。誰も入ってませんが」

訪ねてきたのか、という意味の問いに対して、
わざわざ入ったかどうか答えるのは変である。
まあ答えをもらったようなものだが。

「あら、そうかしら」
「はい」
「ふーん……まあいいわ。行きなさい」

サウラは扇で回れ右をするよう指示をした。
多少むっとする顔をしたが、しったことではなかった。

さてさてと、サウラはベッドに腰掛け思案する。
簡単に考えて、不在の間を狙ったとなれば、自分の行動が掴める立場の人間なのは間違いない。
つまり不定期な王の夜伽を知っている者。
それだけでも大分対象を搾れそうだったが、まだ王宮の内情を把握していない。
さすがに特定は無理だ。
おまけに連絡係が話を漏らす可能性を考慮すれば際限がない。
アウェーのつらさもあって、協力者も身内に限られれば対策も難しい上、
パザンたちも忙しいらしく、協力を頼んで時間を割くのは好ましくない。

「まあねぇ……」

頼れるのが己のみとなれば、罠を張ることにした。
罠と呼ぶほどの物ではなく、単純な情報撹乱だが、
とりあえず現場を押さえればどうとでもなる自信があった。
489二章:2009/03/07(土) 22:33:06 ID:xGJAlx7E
*****************

今宵は狩りにおあつらえ向きな満月だった。
風の強さが窓を揺らすが、同時に雲も流してくれる。
サウラは月明かりが差す中、物音をたてぬようよっくりと扉を開いた。

「ふふ、どうなさいました」

中に居た者は、いたずらをしかられた子犬のように飛び跳ねた。
だが獲物を逃すつもりはない。
さり気なく出入り口が隠れるよう直線上にして近づく。
全体の明かりを灯し、お互いの顔が見えた。

「あっ……、サウラさん」
「そうです。お見知りのようで光栄ですわ、セドル殿下」
「こっ、これが物珍しくて。サウラさんの国の物ですか?」

奇妙な形をした置物に目を引かれたのだが、
本当はそんなことよりも別の目的で探していたのだろう。
好奇心旺盛なのは良いことだが、間者がその調子ではまずかろうに。
サウラくすくすと楽しそうな笑顔を見せる。

推測の通り、素人の興味本位混じりの行動だと思ったが、まさに予想通りだった。
後は王とのやりとりを手早く済ませれば、こうして現場を押さえることも出来た。
だが王家の一粒種、セドル王子だったとは意外の一言につきる。

「それは香炉ですわ」

パザンの品だったが借りてきた物だ。
台座ごと中央のテーブルに置くと、セドルを手招きして座らせた。
素直に言うことを聞く様子にサウラは微笑する。
臨機応変に作戦を変えたというより、
単に相手のペースに飲み込まれているだけだったのが
面白いように表情に出ていたためだった。

「荷物のほとんどは海に沈んでしまいましたが、
幸い密封した香料と炉は水に浮いて無事でした」
「それは良かったですね」
「本当です。ふふ、何故だか緊張なさってるようですわね」
「そ、そうですか」

どことなく居心地の悪さがあったのは確かだ。
無断で女性の部屋に入った挙句物色していたのに、
そのことについては何も触れてこない。
どこか含むところがあるのだろうが、
それはお互いさまなのが痛いほどわかる腹の探りあいだった。

「さ、殿下も少々かいでみてください。
緊張がほぐれ、リラックスいたいますから」
「確かに良い香りです……」
「深く息を吸って……吐いて……香炉の中心を見つめてください」

セドルは香炉の奥に仄かに燈る火をじっと見つめた。
すっとする爽やかな香りに、
ふわっと浮き上がるような感覚に包まれる。
490二章:2009/03/07(土) 22:37:57 ID:xGJAlx7E
「それで、私の部屋で何をなさってましたか?」
「……えっと……」

サウラは反応を窺うが、うまく思考回路がつながらないらしい。
香炉の吹き出し口を調整して香りを少し弱める。
風通しの良さを重視するザムーラと建物の造りが違い、
寒さで部屋の密閉性が重視されているおかげで効きが良いようだ。

「ええっと、そう……私はサウラさんのこととても綺麗で素敵な人だと思ってるけど……」
「まあまあ、嬉しいですわ殿下。
でもそれなのに何故、私の部屋で盗人の真似事などを?」

少し節目がちにして話す。

「サウラは悲しいです」
「あっ……ごめんなさい。どうしてもってお願いさらえて」

微妙に舌が回っていない。
すこぶる良い反応だ。あせって弁解すればするほど術中にはまる。

「何をお探しで?」
「さ、サウラさん、黒い肌で……その、悪魔だって言う人がいて……。
私はそんなこと全然思わないんだけど……そう言う人がいて……。
証拠になりそうな物を探して来てほしいって言われたんです」
「ふふ、誰の差し金でしたか?」
「はあっ、はあっ、それは……」

サウラは立ち上がって横に座るが、セドルの目線は彼女を追わず香炉の一点を見つめる。
火と香料を使った簡単な催眠だったが、相手が純粋な分あっさりとかかっていた。

「大丈夫です。本当は私、全て知っているのですよ」

セドルの両頬に手のひらを添えて耳元で囁いた。

「そうなの……あぁ」
「そうです。だから安心して答えてください」

耳の裏から舌でくすぐり胸を撫でて、
服の上から乳首をさするだけでピクリと身体が跳ねる。

「さ、誰の差し金でした。心置きなく答えてください」
「くぁ、は、あ、アズメイラ……王妃です……」

やはりとは思ったものの、腑に落ちない点もあった。
サウラが曲りなりとはいえ、王の寵愛を一身に受けているのが気に入らなかったのだろう。
だがなぜお抱えの家臣ではなく王子に探らせたのか不思議だった。
王子なら何かあっても荒事になるまいという楽観からか。
確かにそうだが、そもそもこちらに荒事を起こそうなどと企んでも人がいない上、
立場上弱い者ため後工作も儘ならず露見、処断されるのが関の山だ。
微妙に不可解であったが、
どうであれ王子のような重要人物が網に掛かったのは、僥倖であることに変わりはない。
それに労を惜しむ必要もないほど美味しそうなのだ。
丁寧に整えられた薄い色の金髪、碧の玉のごとき瞳がある愛らし目元、
鼻梁から口元まで爽やかな好青年であること慎ましやかに主張していた。
眉目秀麗とはよく言ったものだと感心する。
491二章:2009/03/07(土) 22:45:45 ID:xGJAlx7E
「あら? ここをこんなにして、恥ずかしくありませんか」

催眠状態で理性が緩んでいるためだろう、
間近で触れあうことだけで、男の象徴部は膨らみを形成していた。

「ふふ、可愛い殿下。さっ……ん」
「ん……ちゅ、ん。やっ……ああぁ! そんな強くしたら」

セドルの口腔へと舌を入れ、股間へ手を伸ばした。
同時に香炉の蓋を全部閉め、外気を遮断し自然鎮火させる。
ここから先は徐々に目を覚ましてもらわなくてはならない。
もうすでに痛いほど勃起しているのが布越しにわかる。

「ん、はあっ! サ、サウラさん」
「いいですか殿下、段々とサウラを犯したくなる。さ、言ってみてください」
「はあ、はあ。段々と……サウラを犯したく……なる」
「そうですわ。ふふ、一回私の口に射精いたします。
だけど殿下はもっとしたくて私を求めてきます。けれど私はそれ以上許しません」

そのまま脱がし、露わになる男根を握った。
怯えか期待か、がくがくと身体を震わせる。
初々しい反応を察するに、女性経験はほとんど無いか、もしかして皆無なのかもしれない。

「あ、はあ……くっ」
「でも殿下は止まりません。いいですか、無理矢理にでもサウラを犯します。
サウラがダメって言っても止まってはいけません。わかりましたか」

セドルは夢うつつのまま頷いた。
それよりも早く処理して欲しい。そのことで頭がいっぱいだった。
サウラもこれ以上待たす気はない。
上下にしごく先っぽへと舌で触れる。
雄々しく先走りに溢れ、口の中に塩味が広がる。

「んん、ちゅ、ちゅるる……んふ、はあ、じゅ、んっんん」

口腔いっぱいに含み、喉奥まで咥えた。
若い男の戸惑いが伝わるようで、ついついサービスしたくなる。
限界が早々と迫っているため、サウラはこのまま絶頂へと導く動作に入った。
唇ではさみ、顔を上下に振ってしごきあげる。
唾液をたっぷりと絡ませ、零れ落ちるのもかまわずに頬張った。

「ん、ん、はふ。さあ、遠慮なく出してください。じゅるる、ちゅ、んん」
「あっ、あはあぁ! もう……出る! 出る!!」」

飛び跳ねる肉棒をしっかりと押さえ、舌下に噴出して広がる濃厚な粘液を味わう。
脈動とともに跳ねる勢いもさることながら、量も尋常ではない。
長いこと何も処理していなかったのか、サウラは若い男の溜めた精液に恍惚となる。
舌先ではずむその感触、塊を成して崩れない弾力性。
香りを楽しむため口を開けて指で捏ねくると、今度は引き伸ばして粘度を見定め、
やはりうっとりした眼差しを精液そのものと元の持ち主に注いだ。
そのまま指先から伝い口腔内へ戻し、舌なめずりをしつつ唾液と絡めて攪拌する。
鼻腔いっぱいに広がる青臭い風味が絶品だった。
もっと堪能したかったが、襲い掛かるセドルによって中断させられてしまった。

「はあっ、はあっ! サウラさん……もっとサウラさんが欲しい!」
「あっ、はあん」

胸元に飛びつき、服を捲り上げて形の良い乳房をへと愛撫されて堪らず喘いだ。
本当なら進んで股を開きたかったが、ここはぐっと我慢する。
我ながら損な役割などと、サウラは真実思っていた。
492二章:2009/03/07(土) 22:51:18 ID:xGJAlx7E
「ダメ……ダメですわ殿下。あん、そんなところ……や」

腰にある下着の結び目は、あっけなく解けおちる。
早々とさらけ出された秘裂はてらてらと光っていた。
膝を押えて強引に脚を開き、ひっぱられる陰部が姿を晒す。
セドルは妖しさを秘める性器への誘惑に頭がくらくらした。

「はあっ! はあっ!」
「ああぁ……殿下、それ以上はご無体を」
「ダメなものか! 最初に誘ったのはサウラさんだし、それにここをこんなにして」

まったくもって正論だった。
案の定、甘い蜜を滲ませる秘所は、ずりゅるっと吸い込むように入っていく。
そのくせ中は狭く、締め付けながらも手厚く迎えられているみたいだった。
押し分けられ、ふっくらと盛り上がる恥丘を見ると、
自分の生殖器がはっきり挿入されているのを意識し、
牡が牝を従えてる支配欲を満たす。

「暖かいよ、サウラさんの中……まるで春の日差しみたい」

少しだけ抜いて、そしてすぐにも腰を打ち付ける。
そんな簡単な動作だけでも、肉襞とのむつみに痺れるような快感をもたらした。
溢れんばかりの性欲をそのままに、サウラの膣内へと何度も行き来する。

「やっ、そこ……ああぁ!」

熱い吐息すら、覚えたての青年には過激な燃料だ。
セドルは両脚を押さえつけ、結合した部位を眺めながら腰を打ち下ろす。
魔女の鉄槌ともいうべき、
一切の手心を加えない強烈な責めにサウラはたちまち昇りつめる。

「は、はは。最高だよ! 世の中にこんな……こんなすばらしいことがあったなんて」
「あん! 硬いのおくぅぅ! ひゃん、やぁ!」
「出る! もう……すぐ」

肉竿の付け根から出口を求めて迫り来る圧力が、
我慢の限界を超えて今にも決壊しそうだった。
少しでも長く味わいたい思いに合わせて、
一突きごとに渦巻く熱が濃縮されていく。

「中は……ダメですわ。そんな、はあはあ、さっきみたいな濃いの出したら……ああぁっ!」

セドルは行為でもって反論を封殺する。
子宮口まで硬く張ったエラが挿入されれば、
女性器は意に背けるはずもなく従属の愛を交わすだけだった。
それは本当に愛おしく、血管を浮き立たせた怒張をしごき上げる。
そうすれば更に大きくなり、待ち望んだ牡の精を受け取れるためだ。

「ひぃ、ん……はあ、やあ……んあぁ! あああぁあぁああ!!」

高らかな声は絶頂の証だった。
身体ごと押さえつけられながらも豊満な女体はびくびくと震え、
全身の筋肉が収縮する。
だが肉の隘路に挟まれながらも、
飛び散る蜜に誘われるまま全力で腰を前後させ交合した。
もう我慢は臨界点を突破していた。
493二章:2009/03/07(土) 22:57:08 ID:xGJAlx7E
「はあ、ん! くあぁ! で、出る!!」

そう宣言すると同時に、男根が膣内で一際大きな鼓動を鳴らした。

「あはぁ。ら、らめぇぇ……ん、中は……」

最奥まで男根を挿入すると、ぐいぐいと飲み込まれるような蠢動に背筋を反らした。
脳髄まで痺れる衝撃に、陰嚢に溜められた熱源が開放される。
原初の獣のごとく咆哮を上げ、女を孕ませるべく管を通って子袋へと精を注入した。
粒化状のまま鈴口から飛び出す射精の気持ち良さに、すべての意識が真っ白になる。
若さ故の勢いそのままに、よく粘る白濁とした精液が子宮内へと注がれていった。
量も濃さも、最初と変わらぬどころか、それ以上と言っても過言ではない。

「くぅうぅ……はアぁああ!」
「ああん……出てるぅ……。すっごいたくさん熱いの、びくびくって中で出てる……」

細い奥への隧道は、前もって存分に先走りが練りこまれ、
生殖行為を邪魔立てすることなく友好的に通行を許す。
ほとんど固形状の精液は粘膜に張り付き、
言葉とは裏腹に期待に震えていた胎内は密度の濃い子種を堪能する。
何度も突き、抉り、脈動をしては最奥で射精し、
彼なりのやり方で優秀な相手を褒め称え、包み込む感触に満足した。

「はあ、はあ……ふあぁ」
「あふぅん。殿下ったら、本当にいけませんわ」
「はあはあ、あ……わあぁ! っご、ごめんなさい!!」

セドルは出す物を出し、完全に催眠が解けて冷静になると、
今更ながらとんでもないことをしてしまったことに気付く。
サウラに公式な肩書きは単に用意されていないだけで、
父である国王の実質上愛妾に手を出してしまった。

(い、いや大丈夫か?)

非常に苦しいが、彼女はまだ客分扱い。
言い逃れができなくもない。

「まさか言い逃れしようと考えてますか?」
「はは……は」
「あらあら、サウラのここをこんなにしたのは……」

そう言って、サウラは身を起こし片膝を立てる。
隠す物などなく露わになった秘洞からは、白い粘液が垂れ落ちた。

「殿下ですのに」
「その通りですぅぅ」
「その男らしさ、サウラは嫌いではありませんわ」
「えっ、あっ」

しどろもどろになるセドルに比べ、サウラはにんまりと笑顔を浮かべる。
494名無しさん@ピンキー:2009/03/07(土) 22:57:14 ID:JnqyUg4L
支援
495二章:2009/03/07(土) 23:00:45 ID:xGJAlx7E
「私のここに、殿下のものを無理矢理入れられたとき、
本当は嬉しかったんですわ。あんながちがちに硬く勃起させたペニスで……」

二本の指で秘裂を開き、まるで犯される一面を再現するように自ら中指を沈める。
あの指にまとわりつく、肉襞の気持ちよさは先ほど体験済みだ。
思い出すだけで、セドルははっきりと一物がいきり立つのを感じた。

「こういう風に逞しいもので、サウラも夢のような心地を……。
はあぁ、ん……ああぁ、こんなふうに」
「ん……あ、はあはあ」

うつ伏せになり、下半身はおろか尻をセドルに向けてオナニーする。
指から伝うように零れ落ちるのは愛液と、先ほど中で思う存分出した精液。
荒い息遣いが聞こえる中、目が膣口に釘付けのまま放せなかった。
出てくるなら、またその分入れなければならない。
強い使命感を持って、腰の括れを掴み、
サウラが自ら待ち遠しく開く肉孔へと牡生殖器を埋め込んでいった。
それだけでびくびくと張り詰める膣の感触に、再び彼女を同意の上で犯しはじめる。

「う、ふあぁ……さっき弄ってたけど気持いい。ここのぷっくりしてるところ。
はあはあ、サウラも感じてほしいんだ」
「あ、あっ! そこ、ひゃん!」

セドルは肉芽を愛撫するたびにのたうつサウラが楽しく、
そして吸い上げてくるような膣の動きに誘われるまま腰を前後させる。
手入れの行き届いた抜群の肉体が悶える様は興奮をもたらす。
結合部での濃密な饗宴に加えて、
背後から覆いかぶさりながらうなじを舐めてくすぐり、その髪の匂いを吸い込んだ。

「あは、良い匂い。泥の匂いなんて全然しないよ」

どこの誰だったか忘れたが、滑らかな褐色の肌を見て、
きっと泥くさいに違いないと言った奴は馬鹿に違いない。
髪からは良い香りが漂い、肌に浮かぶ汗の匂いは官能的である。
その風味を確かめ背中から脇まで舌を絶えず這わせつつも、腰は律動することを止めない。
全身にむしゃぶりつく責めに、サウラは背筋を反らして喘ぐ。

「殿下ぁ、ああん。もうサウラは……」
「ねえ、セドルって名前で呼んでよ」
「セドル! セドルさまのものでサウラは最高の心地です」
「いくよ、もうすぐまたサウラの中にいくよ!」
496二章:2009/03/07(土) 23:11:23 ID:xGJAlx7E
尻を奪い、ぎりぎりまで抜かれた肉竿が一気に女性器へと挿入される。
何度も繰り返された行為であっても千変万化にうねり、
抵抗をもたらす牝孔に牡の生殖器は着々と準備を進めた。
ぐちゅっと卑猥な音を鳴らして飛沫を飛ばし、
また新鮮なザーメンを注ごうと躍起になるのを柔らかな尻肉が受け止める

「出して! サウラの中、射精して! セドルさまの子種で真っ白に」

痛いほどの締め付けも、簡単に快楽に変換される。
限界まで高められた欲望が、一気に弾けた。
尿道を粘液が助走し、次々と肉炉へぶちまけていく。

「はあああぁ! サウラの中、熱くて気持ちよくて、止まらない」

喜悦に満ちあふれた性行為は膣内射精という最高の儀を迎える。
先端に口付けする子宮への通り道、
そこにぴったりと宛がい子種を仕込んでいった。
サウラは達した身体のまま、容赦ない剛直からの白い間欠泉を胎内に浴びる。
若い牡特有の圧迫感に連打されて、すでに意識は宙を彷徨っていた。

「やっ、はああ! まだ……イってるのに、はあん!
熱い、セドル様の子種汁が、こんなに愛情いっぱいに中で出されたらきっと受精……しますわ」
「はあはあ、そうだよ。私が……受精させるんだ!」

柔らかな尻に指を食い込ませて固定し、
狂おしいほどの欲求を乗せて腰を前後させ、
サウラは高貴な遺伝子情報を獣の体位で注がれる。
あいつぐ子宮口との接吻はサウラの精神を虜にし、妊娠を望む身体へと最適化されていた。
その上若者の活きの良い精子を二回も注がれれば、実を結ぶ確率は低くなかろう。

「はあ、はあ……」
「セドルさま……満足されましたか?」
「サウラは太陽みたいだよ」
「ふふ、ではまたいつかお会いできますね」

まだまだ腰を密着させながら、セドルは何度も頷いた。
それは希望という段階だったが。

「ん……れろ、ちゅっ……んん」
「ああぁ……サウラ……」

お互いに抱きしめて深いキスをした。
この国で太陽に形容されることが、
最大級の賛辞だとサウラが気付くのは後の話。

********************
497三章:2009/03/07(土) 23:17:50 ID:xGJAlx7E
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パザンと部下のグーリーは港で海洋警備隊と混じり、一緒に業務を行う。
客分扱いのため、働く必要はないのだが、
御礼と情報収集を兼ねた実益のためだった。
第一部屋にこもりきりでは評判もよろしくない。

外は雪こそは降らないものの、冷たい風が吹き付けていた。
もともと南国育ちの二人にはきついことこの上ないのだが、
我慢に我慢を重ね、帆の揚げ降ろしから点検、甲板清掃まで精力的に従事する。
ほとんど全身を防寒衣で包むため、一見して外観は異国人とは気付かない。
だが動き方が明らかに違うため、一目瞭然であった。
周囲に比べ変によく動く。することが無くとも動く。
寒さによってじっとしているのが耐えられない。

「さっ・・・さむい」
「ははは、パザン殿もグーリー殿も無理されるな。
客人に風邪をひかせたとあっては、私が陛下に怒られてしまう」

シェシング隊長はあまりに寒そうな二人に気を利かせる。
そもそも今の時期は地元の人間だってつらい上、それほど業務も多くない。
こう言われては、パザンも無理に固辞することはできなかった。

「すっ・・・すまぬ」

ただ単に口を開けるだけでも、体温が逃げていく。
したがって口数も自然と少なくなる。
そんな中でもシェシングは大口を開けて、てきぱきと部下に指示を与える。

グーリーはまだまだ頑張れるが、パザンには無理だった。
シェシングらに関心しながらも、無言のまま港に上がり駐屯所へと戻った。
498三章:2009/03/07(土) 23:23:32 ID:xGJAlx7E
********************

雑然とした居酒屋で卓を囲むのはシェシングとその部下数人に、
客人ことパザンとグーリーであった。

「さて、皆よいかな。今日の糧と神のご加護に感謝を、乾杯」

まずは杯を掲げ、一斉に飲み干す。
喉を通り、胃を焼く感覚こそ、地獄のような寒さから生還した証。
なるほど、これは効くとパザンは思った。

彼らシェシングのような職業軍人は非常に珍しい。
国が交易の全てを担っているため
国民のほとんどが農夫、職工、鉱山夫である。
ならば貿易によって国庫は金が唸っているかと思えば、話を聞くとそうでもないらしい。
利益は形を変えて、うまく分配されているらしい。
その形が、いま目の前に並べられていた。

「うむ、美味い」

豆とニンジンを煮込んだシチューに舌鼓をうつ。
他にもパンにポテトとチーズを乗せて焼いたものや、
魚の身をすり潰し、団子状にして蒸したもの、
そして意外にも果物があった。
まだ凍っているので、鮮度は保たれているらしい。
はるばる海山を渡って輸入されるそうだった。
勿論その代価は充分に見合うものだと聞く。
平たく言えば、市場価格よりはるかに高く売れるとパザンも知っていた。
そしてそれを国が安く払い下げるという、
まあなんとも儲からないどころか損をする商売を国が担っていた。

「しかしこのままだと先行きは暗いぞ。明らかに無理のある交換はゆがみが生じる。
それに万一金鉱山が掘りつくされると、この国に待っているのは飢えと寒さだ」

恩になった手前、パザンが商人の見地からの意見を馬鹿正直に述べた。

最初彼らは手に職を持たないあぶれ者かと思っていたが、それは完全に違っていた。
シェシングを始め、彼らは難関を突破したエリートなのだ。
こういう話題も充分に通じる。
良くも悪くも長年の平和が軍隊を形骸化させ、
庶民から警察組織での栄達、もしくは高級官僚への架け橋として機能していた。

「うむ、まああと百年先は大丈夫だろうが、その先ともなればわからんだろうな」
「だがまあ、いつかは工船技術が発達して、風に頼らなくても航海できるさ。
さしあたりパザン殿が投資して開発を心みてはどうかな」
「そうそう、そうなれば流氷さえなければすぐにでも帰れるし、荷を積んで来ることもできる」
499三章:2009/03/07(土) 23:28:09 ID:xGJAlx7E
山脈を渡るのは野党山賊遭難ありの難所だから、
海路のほうが安全かといえば確かにそうなのだが、
季節風が吹く限られた時期しか出航もままなず、流氷に完全に囲まれれば入港も無理であった。
難破したパザンたちは運と救助のプロによる人手、両方に恵まれていた。
さすがは何百年と侵入もなければ侵攻も無い天然の要塞国家。
おまけに寒すぎて、外からの人間ならここに居座ろうとは思うまい。
本音を言えば、パザンも最初の威勢はどこへやら、さっさと帰りたかった。
サウラ経由でくる給金だけで、たくらむ必要も無いくらい一財産が出来上がるが、
商人としては実に張り合いが無い。

酒が進むと真面目な話は退場となり、お上と女、
つまりはサウラの話で持ちきりになった。
歴史ある血族だが、醜聞はご法度かと思えば真逆だ。
むしろ格好の話題となって、町を席巻していた

「ふはは、パザン。実際のところどこまで進んだんだ」
「あの時のチュルハンの顔は今でも思い出せるぞ」
「好色親父は王妃に飽き足らず、サウラどのまで……だからなあ。
ああ、羨ましい。せめて女房もあれくらいの色気があれば家も華やぐのに」

とまれ、自らの雇い主兼最高権力者をこの扱いである。

「まあ王妃にはいい薬だろう」
「まったく。まあこれで良いかと言われれば、そうではないが」
「ははは、だからいいんじゃねえか。
奪った男が奪われる。まあ王もたいした奴じゃないからさまにならんがな」

話が見えないパザンはどういうことか聞き返す。

現王妃アズメイラの年は22歳、つまりセドル王子の実の母ではない。
国母たるセドルの母は出産後に体調を崩し、長期にわたり床に付していた。
国務に耐えられないということで、何年か前に辞して新たな王妃を迎えることとなった。
だが当初は条件として、国母自ら推薦する者に限るという話だったのだが、
アズメイラはこれに該当しなかった。
しかしそんなことを気にするタマではなかったのは現王妃。
自らを積極的に動き、働きかけた。
結果として前王妃の約束ははごにされた。
これが市井の評判よろしくなく、現王妃と国王の関係にも微妙な影響を及ぼしていた。
言ってしまえば、隙間風となって少し冷えてしまった。
500三章:2009/03/07(土) 23:33:05 ID:xGJAlx7E
*********************

「あら、それは可哀そうな王妃さま。
私が気に入られたから、なおさら立場無いわね〜」

などと全然気の毒がってないのは、サウラの台詞だった。

「わ、笑いごとにならない。王妃自らお前を追放させようとしてるってことか!」

セドル王子にプレゼントされた指輪に金のネックレスを身に付け、
一段と豪華になったサウラの装飾品。
それを見て理由を聞いてみれば、王子と関係を持ったとのこと。
そこまでならまだ良いかもしれないが、その経緯を問えば、
王妃の差し金で部屋を探っていたとのこと。

「大丈夫大丈夫。私、殿下もめろめろにしちゃったから。
いやぁ、思い出すだけですごかったわよ。もう若さ溢れるって言うかさ。うふふ」

余裕綽々かつご満悦の様子に、パザンは頭が痛くなりそうだった。
好き好んで王宮内の情勢に一石を投じないで欲しい。
飽きられない程度に王だけの関心を買っていればよいものを、
いつのまにか事態が少しずつややこしくなっている。

「サウラよ、お前に何かあったら我々も一蓮托生なのを忘れるなよ」
「わーかってるわよ。ふふ、そんなに心配なら王妃も落しちゃえば」
「はあ?」
「つまり今、身も心も寂しい王妃さまの隙間を埋めて差し上げればいいのよ。
文字通り、身も、心もね」
「……俺は無理だぞ」

パザンは嫌な予感がした。

「あんたみたいな親父とむさい筋肉ダルマなんて、お断りに決まってるじゃない」

筋肉ダルマことグーリーは黙っている。
もともと無口な男である。

「シーフゥならね」
「ダメだダメだ。あいつはまだ15だぞ」
「丁度いいじゃない」
「それにそんな男娼まがいのことをさせられるか。兄から頼まれて連れてきた身だ」
501三章:2009/03/07(土) 23:37:08 ID:xGJAlx7E
シーフゥはパザンの甥。
見聞と修行のため、パザンの下働きへと連れて行くこととなった秘蔵っ子だ。

「あらあら、このままいくと春を待たず、私たちは投げ出されるんだわ。
いえ、もしかしたら王妃さまが食事に毒を盛ったり、刺客を差し向けたり、
無実の罪を被せてきたりして追放されちゃう。
異国の地で露と消える私たち、悲劇よね〜」

今更ながら、弱い立場だと痛感させられる。
サウラが例に上げた以外にも、向こうはやりようなどいくらでもあるのだ。
そのきっかけとして、ちょっとした証拠、
たとえそれが普段何気なく使ってる物でも、でっち上げれば充分こと足りる。
案外に、部屋を探られたのは危険かつ深刻である。

「……しかし、シーフゥには無理だろう。
あの性格だと、とても向いているとは思えんぞ」

サウラの目が光る。
パザンは人買いとしての選別眼は女相手には申し分はないとサウラも思っているが、
(自分を買ったのは合格だと自負している)
男相手は身内ともあって曇っている風に見えた。
サウラには娼館で見て習った経験が、シーフゥは合格だと告げている。
ちらりと見た男娼の容姿だけでの判断だったが、
性格なんて、後からいくらでも調教、矯正できるというものだ。

「あはは、大丈夫。わ・た・し・が、教育してあげるわ」
「…………」
「決まりね」

有無を言わさぬ自信に満ちていた。
遠い地にいる兄夫婦に謝る、苦労人のパザンだった。
502三章:2009/03/07(土) 23:44:08 ID:xGJAlx7E
**********************

話は少々巻き戻り、そのシーフゥ・ルオが普段なにをしているかというと、
侍従や下女たちと一緒に宮殿内のもろもろの雑事をこなしていた。
パザンが外、愛嬌と親しみ溢れるシーフゥは内という役割で情報収集にあたる。
普段の生活に溶け込んでしまえば差別意識も薄れ、
不利益をこうむるのを避けられる、まさに一石二鳥であった。

シーフゥは学者になるのが夢で、いつも読書と講義に勉強熱心な少年だった。
だが両親は息子が世間を学ぶこと、さらには見聞を広める必要があると考え、
弟のパザンに今回の旅に同行させるよう頼んだ。
最初はいやいや付いて来たが、広い海原とあちこちと立ち寄る異国の地に、
もともと好奇心旺盛なシーフゥは次第に楽しさを覚える。
船が難破したのは残念だったが、こうして無事に生活できれば小間使いとして働くのも楽しかった。
宮殿内とはいえ、周りにいる者は身分の低い者たちで、
一緒になって真面目に働くシーフゥは歓迎されるべき者である。
下々で働く者に肌や髪の色など意に介する者など誰もいなかったのは、
お互いにとって幸いだった。


セドルがサウラと交わってしまった少し後の頃、
王妃から頼まれた内調で、シーフゥにも会わなければならないと考えていた。

「ええっと、宮殿内で働いてるザムーラ人の男子、名前をなんていったっけ?」

王子のために侍女はお茶をカップに注ぎながら思い出す。

「シーフゥ・ルオといいますわ」
「そうそう、そのシーフゥを呼んできてくれるかな。少し話がしたいけど」

セドル王子の命に、侍女は緩やかに頷いき、カップをもう一つ増やす。
曲がりなりにも彼らは王の客人である。
たとえ同じ職場で働こうが、王子の招きがあれば同様にもてなすのは当然であった。
いや、当然と思えるほど、彼は品格のある青年という印象が強かった。

少し間が空き、ドアがノックされた。

「どうぞ、入っていいよ」
「失礼します」

セドルは入室した青年を見て少し驚く。
まず格好が面白い。
今シーフゥは侍従としての格好をしているのだが、それは当然皇国標準の侍従衣。
白いシャツに黒いズボン、首に赤いチョーカーを巻き、
その上に礼装用のゆったりとした黒衣をまとう。
これが異国人とのアンバランスの妙をかもし出し、
普段見慣れているにかかわらずスタイリッシュであった。
そしてザムーラ国の習慣で、成人ではない証に髪を伸ばしているのも物珍しい。
今は多少邪魔なのだろう、後ろに結わえているが、
これも独特な中性的魅力があり、密かに女性陣の間で評判になっていた。

「初めてお目にかかるね。僕はセドル・レイ・ファルセリオン。
近い歳だし、君は父のお客さんだから、気軽にセドルって呼んでいいよ」
「初めまして。セドル殿下」

人を魅了するのが悪魔の十八番なら、
間違いなくサウラも、そしてシーフゥも小悪魔だろう。
503三章:2009/03/07(土) 23:50:01 ID:xGJAlx7E
アズメイラ王妃の願いを受け、こうして彼ら一行の調査をしているが、
セドルは今思った自分の発想に自画自賛したくなるくらい適切な表現だった。
少年から抜けきらぬ整った容貌に、伸びやかな肢体が正装と相まって、
どこに出しても恥ずかしくないくらいに格好良い。

シーフゥ自身も今回の旅と難事によって、
一回りも大きくなったと自負している。
その自信は表情は勿論のこと、どことなく風格にも表れていた。

「今日はお話をしたかったんだ。
堅苦しいことは抜きにして、まあ座って」
「はい」
「一杯どうぞ。はるか東の国からの紅茶だって」

風味優れる暖かい飲み物を味わい、冷えていた身体が温まっていく。
シーフゥは強張った筋肉がほぐれ、人心地をついた。
厨房はともかく、廊下や使われていない広間はやはり寒い。

セドルはそんなシーフゥの様子をつぶさに観察した。
カップはわざわざ銀製を持ちいり、今飲ませた紅茶にも特別な香り付けがされていた。
全て魔除けの類いに使われる代物だったが、
意に介する様子はまったく見受けられなかった。

我ながら苦笑する、第一己がまったく信じていない。
万が一、彼がこれで正体を現したら、自分は殺されてしまうのではないか。
子供じみた考えにセドルは可笑しくなる。
いっそのこと、火酒でも入れた方が正体を見れる気もした。
それは正体と言うのかどうかはともかくとして。

「どうされました? なに分この国での礼儀作法を知らぬもの。
不調法があれば言ってください」

シーフゥの怪訝な表情に、あわてて顔を引き締める。
まずは仲良くなるのが先決だった。

「いやいや何でもない。それより毎日ご苦労様。
ただでさえ住む人に比べてれば広い宮殿で大変だろうに」
「とんでもございません。さすがは歴史に名高いファルセリオン神皇国です。
あちこちで見られる装飾は黄金の国にふさわしく豪華、
古代からの文様や彫像などこの目で見れるとは思っても見ませんでした」
「それはそれは、光栄だね。
確かに歴史ある国家だって言われるけど、そこまで私も良く見てなかったな」
「あっ、すみません。しっかりと仕事もこなすのですが、つい見入ってしまいまして」
「いやいや。本来ならそんな必要もないのだから、こちらからお礼を言っても良いくらいだよ。
でも詳しいんだね。何か面白いものでもあったのかい」
「はい。彫刻を見て思ったのですが、北方民族の共通点が神話によくありますが、
やはり皇国においても神像を見た限りでは確認できました。
月を主題として語られることが多いですが、主神の持つ剣に――」

この後も博覧強記ぶりを示す感想に考証が続き、
当のセドルも詳細まで知らぬ皇国の神話から歴史を学ぶはめになった。
まったく、彼らを悪魔だの蛮族だの言う奴はここに連れてくれば良かったと思った。
楽しく熱弁をふるうシーフゥを眺め、
後で城下施設図書館へ案内してあげようと思いつつ、ゆっくりと紅茶を飲む。
お互いのカップにつぎ足すとき、面白半分少しばかり火酒を入れた。

そのおかげか後日の感想として、とても和やかに楽しく話ができた思い出が残った。
宮殿内では歳の近いこともあり、あまり身分関係を気にしない良い友人になれた二人だった。
翌日の公務、仕事に差しつかえたのはご愛嬌ともいうべきだろう。
504三章:2009/03/07(土) 23:55:14 ID:xGJAlx7E
********************

話は戻り、
シーフゥはサウラの後姿を眺めながら付いて行く。
どこへ連れられるのか、不安と期待がないまぜであった。
長い付き合いがあるわけではないが、それでも一年ほどは一緒に旅をしたわけである。
ある程度はどういう性格かわかっている

(読めない、食えない、普通じゃない……程度だけど)

普通あるじである叔父のパザンに対して恭しい態度をとるものだろうが、
そんな様子はとんとお目にかかったことはない。
叔父は叔父で気にもしないで、さも当然のように対等で話をする。
こうして自分を付き従えて歩けるのも当然と思っている節があるが、
違和感が無い上に正しい認識として成り立っている気がした。

「さあ、裸になって入りなさい」
「……はぁ?」

今居る場所はとても暖かい。
いつのまにか浴場の手前、脱衣場に入ってきていたことに気付く。
気付いたら気付いたで戸惑った。
当然だ。すぐそばにサウラがいる。

「あんたは服を着たまま風呂に入るの?」
「い、いえ」

サウラはガウンを外し、背中と腰にある衣の結び目を解いた。
重力に従い、さらりと衣擦れの音の後に下に落ちる音。
もはや戸惑うどころの話ではなかった。

「サ、サウラさん?」
「なにかしら」
「いったい何を……」
「四の五の言わないで、来なさい」
505三章:2009/03/07(土) 23:59:10 ID:xGJAlx7E
********************

シーフゥは緊張と羞恥のあまり、がちがちになりながら、
石鹸水に浸したタオルを軽く絞り、サウラの背中へと触れる。
これは罰ゲームだろうか。とびきり強烈な。
布越しとは言え、女性の素肌に触れるのは初めてだ。
指先から感じる女体はどこもかしこも柔らかく、そしてしなやかだった。

「お手を拝借します」

二の腕を添えるように持ち、
陶磁器を磨く丁重さそのままに拭いて行く。

「ど、どうですか」
「後ろばっかりじゃなくて、前もからもしてね」
「う、うぅ。シツレイします」

覚悟を決めて、正面に向かい合う。
ここは腹をくくって、しかと目に焼き付ける気持ちでいた。
相手が見ろと言うのだ、見て何が悪い、といった感じである。

「……は」

少しの間、意識が飛ぶ。
慌てて手を動かし身体を拭く。
胸の辺りも、下腹も、そして水をたたえる薄い茂みも。
跪いて太腿から膝裏まで丹念に拭く。
一切無駄の無い肢体は邪な心すら吹き飛ばすほど、造形と美の女神の祝福に輝いていた。

一通り終わると、サウラは椅子に座る。

「お顔を……」

と、シーフゥは言って目をつぶらせ、
今度はよくタオルを絞り、美しさ溢れる尊顔に触れる。
近くで見れば見るほど、本当に惚れ惚れする。
自前の物かと疑ってしまうほど長く整った睫毛に、すっきりと通った小鼻。
自然かつ美しい、頬から描く輪郭に艶やかで花のような唇。
じっと見れば、この唇に吸い寄せられそうになる。

「はあ……はあ」

強烈な欲求だった。
唇を重ね、舌を伸ばし唾液を絡ませて飲みたい、飲ませたい。
息を吸うのを忘れるくらいに、貪りつくしたい。

「……シーフゥ」
「は、はい」
「合格とまではいかないけど、
きちんと最後まで自制して奉仕できたのはまずまず良かったわ。
男娼としての心構えは、熱くなる自分と冷静な自分、
この二つをきちんと使い分けてこそよ」
「ダンショウ?」
「そ、不満?」
「もしかして売られるんですか!?」
「安心しなさい。売られたら私が一番高値で買ってあげるわ」

それは安心していいのだろうか。
シーフゥは内心首をかしげる。
506三章:2009/03/08(日) 00:02:53 ID:oQzZqGHh
「ふふ、あのね――」

サウラはこれまでの経緯をかいつまんで説明する。

「む、無理です。絶対」
「あら? とっても簡単よ。男は男の武器を使って女を従えればいいのよ」
「……」
「まずは優しく形から入って慰め、癒すのが先決だけど、
いざとなれば薬とか、道具も使っていいし、一人がダメなら二人や三人とかね。
三日三晩続ければ、大抵の女は音を上げるわよ」

何かさらりと恐ろしいことを言っている気がする。

「それは犯罪ですよね」
「まだまだお子様ね。世の中成立してしまえば、万事問題なしなのよ」
「それは犯罪ですよね。さすがに加担できませんけど」
「青いこと言っててもダメよ。
明日を切り開くためなら、どんな手段でも講じなければならないのよ」

聞き分けの無い子供を諭す口調にシーフゥは憤慨した。
いつまでも子供扱いするなよ、といったところである。

「話になりません! そんな子供じみた理論で正当化しないでください」
「あら? 私は世の中の真理をうたってるつもりだけど」
「どこが?」

サウラはシーフゥにもたれかかり、股間をまさぐる。

「あっ! な、なにを」
「丁度いいわ。それもついでに教えてあげる。世の中の真理のひとつ」
「やっ、そんなところ……うっ」

お互い丸裸のままサウラは擦り寄りながら、
手軽に勃起した肉棒を付け根からマッサージする。

「ふふ、子供扱いされたくないかしら?」
「はあぁ……くぅぅ」
「まずは我慢しなさい。男娼なんだから、女より先にイったら興ざめしちゃうでしょ。
それに男は女と違って、そう何度も達することもできないしね」

歯をくいしばって、必死に我慢するシーフゥをサウラなりのやり方で可愛がる。
先端から汁が溢れてるのを指先ですくい、肉幹へと擦り付ける。
頃合を見て、ぺろりと舌先で愛撫しはじめた。

「んん……ちゅるる。ふあ、まだ出さないこと」

睾丸の付け根から吸い上げられるような、得体の知れない快楽を必死に我慢する。
出したら何されるかわからない怖さと、失望を買う恐怖がかろうじて限界の一線を保っていた。

「ふふ、本当はそんな必死なそぶりも表に出してはダメ。冷静な自分を保つのよ」
「そ、そんなぁ。無理だよ」
「可愛いシーフゥ、簡単よ。
快楽を感じている自分、感じていない自分、二人に分かれて使いこなすのよ。
同様に冷静な自分、熱くたぎる自分も。それほど難しい話ではないわ」

シーフゥには、まるで雲を掴むような話に聞こえた。
507三章:2009/03/08(日) 00:05:47 ID:oQzZqGHh
「どうすればそんな風にできるのか、見当もつかないけど……」
「そうかしら。人は誰しも良い感情と悪い感情、言い換えれば天使と悪魔を住まわせてるもの。
そうね……たとえば乞食を見て自分が優越感を持ち、汚らわしいと排除したくなる気持ち。
そして可哀想と同情してお金を恵みたくなる気持ち。
相反してるけど本来感情は色々と混じっているものよ。
本当は人は一人だからどちらかが勝り、奥底にしまわれたり打ち消されたりするけど、
これを二人に引き裂き両方持ち合わせてしまえばいいの」

今まで聞いたことも、読んだ本にも無い奇抜な理論だとシーフゥは思った。

「ふふ、今は実践してる途中だから、わからないのも無理はないよね。
さっ、今は冷静に感じてみて……んん……」
「はあ、はあぁ……ふうぅ」

じっくりと息を吐いて、努めて冷静になる。
敏感な亀頭を撫でる舌の感触に背筋を反らしながら、
意識してもう一つの自分にその快楽を委託する。
快楽が強ければ強いほど、神経が引き裂かれそうになる。

「むちゅぅ……ん、はあぁ、ん、ん、ぷはぁ……気持ちいい?」
「ふうぅ。はい……気持ちいい」

よく保てるものだと、シーフゥ自身が思っていた。
はじめにサウラの裸体を見ただけで天を仰いだ一物も、
こうして望みどおり彼女に弄ばれている。
もともとこういうことを生業とする女性だけに、想像しなかったわけではない。
だがその行為は想像以上だ。

「しっかりしてる。今度はね……」
「ふぅ、ふうう」

ようやく解放された男根が外気に触れ、ぬらぬらと唾液の跡が光る。
サウラは少し身を乗り出し、肉竿を胸の谷間に収めた。
見事なその乳房の柔らかな感触は、先ほどまでの吸い取られる感じとは違い緩やかで暖かみがある。
それでもふるふると上下に揺すり、擦れるたびに刺激が走る。
先端から走り汁が流れ、水とは違う粘着質な音も浴室に響いていた。

「おっぱいでするなんて……エッチな感じ」
「もう出していいわよ。我慢に我慢した分、たっぷりと」
「くっ、はあはあ」

跪き、胸で奉仕するサウラ。
力を強め、時々亀頭を舐めていたずらする。
倒錯的であり、ごく自然な位置関係にも感じる。
シーフゥが見下ろしながら髪を撫でると、愛撫にも熱がこもっていくように思えた。
乳房のいただき、朱色の突起が肌に触れると、硬くしこって立っているのがわかる。
サウラも同様に感じているのだとわかると一層興奮する。

「ふうぅ……、んちゅ。さあ……ん、ん、じゅちゅぅ」
「はああっ! もう……あああぁぁ!!」
508三章:2009/03/08(日) 00:09:13 ID:oQzZqGHh
柔肌に袋ごと包み込まれ、しごかれればひとたまりも無かった。
一気に駆け上がるものがサウラの顔へ飛び掛る。
褐色の美貌に、白いどころか黄濁の粘液でもって汚していく。
満を持して発射しただけに、その量も濃度も尋常ではなかった。

「ああぁ、すごい。どろどろでこってり」

シーフゥは腰を震わせながら次々と射精する。
止むことを知らない牡の獣液が優美な目元を覆い、
鼻先から滴り落ちるのをサウラは舌で受け止めた。
顎から垂れた分は胸の谷間に溜まり、尿道の残滓と共に青臭い匂いを発する。

「こんなに出して。ふふ、顔がべとべとよ」

シーフゥは内心いい気味だと思った。
ここまで散々いたぶったお礼には、まだ足りないくらいだ。

「……舐めてよ」

まだ鈴口から盛り上がる精液をサウラの口にもっていく。
脳裏が熱く、どくんと血流を感じた。
朦朧とする意識の中、熱い自分を冷静な自分でつきつける。
なんだろうかこれは、すごく愉快で楽しい。

「ふう、まだ熱いわ。ん……じゅるる、んちゅる、るる……あぁふ」

汚液のこびりついた男根を、サウラは言われるまま咥えて舐める。
そのまま唾液に絡めて嚥下する瞬間を見たとき、
シーフゥの中に形容しがたい感情が渦巻いた。
嬉しく、楽しく、喜びに溢れ、差別的な優越感と卑しいものを蔑む心、
表に出るのは愛しくもあり侮蔑の目。
日ごろ温厚な彼であっても、
ふつふつと湧き上がるマグマのような感情を抑えることはできなかった。

「どんな味? 美味しい?」
「ん……。ええ、とってもね。
若さでぷるぷるな子種が舌の上で踊るのよ。
青臭くって苦い、でも濃厚な味」

サウラは妖艶に微笑んだ。

「シーフゥの精の味。今度はどこで教えてくれるのかしら」
509三章:2009/03/08(日) 00:13:48 ID:oQzZqGHh
******************

セドルは赤い絨毯が敷かれた廊下を歩く。
基本的に宮殿内は不必要に広く作られてない。
容積が大きくなれば、それだけ暖めるのに苦労するからだが、
部屋の間をつなぐ廊下は、そもそも暖かくすること事態が放棄されてるため非常に寒い。

「うぅ……。こっちで見かけたって話だけど」

シーフゥを探しているのだが見つからない。
二週間後に催される王妃の23歳の誕生日祝いに、
シーフゥもゲストとして一緒に出席してもらおうと伝えるつもりだった。
とにかく百聞は一見、王妃も実際に間近で見て、できることなら会話すればいいのだ。
おそらくサウラも二次会からなら出られるはず。
両者に遠まわしな確執があっても、それほど悪い結果にはならないような気がしていた。

「うん? 昼間から風呂? 風邪でもひいたのかな」

皇国では風邪をひいた場合、
海草を煮出したお湯を大量に飲んで風呂に入り、汗を流すのが一般的なやり方。
掃除をしてるのかと思ったが使用中だ。
ここで待つには寒すぎる。
使用中の札が掛けられてる扉を開け、脱衣場で待つことにした。

「失礼、ごめんよ……えっと……サウラさん?」

独特の、身体に巻きつけて結んだり金具を留めるタイプの服はサウラのものだ。
そしてそれがここにある。
シーフゥのものらしき侍従の服も同様だった。
耳を澄ませば、二人の声も微かに聞こえる。
セドルは迷った。ここで引き返すべきか、それとも中へ足を踏み入れるか。
いや、後者はない。
ならばさっさと引き返すべきなのだが、足が踏みとどまることを選んでる。
あの濃厚なひと時が、シーフゥとの間で起こっているのなら羨ましい。
仄暗い嫉妬の念すら湧く。

(どうなんだろ。本当に……。でも実は姉弟とか……)

好奇心と期待、いけないと思っても両者が歯車となってセドルを前に動かす。
最後まで迷ったが、少しだけ戸を開けて覗いた。
510三章:2009/03/08(日) 00:21:21 ID:oQzZqGHh
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シーフゥは腕に力をこめサウラを抱き、口いっぱいに乳房をほおばる。
女性の豊かさの象徴は男を誘惑する先鞭を果たしていた。
次第に滑るように先端のつぼみに吸い付く。
腕の中のサウラが震える反応に、
舌を巻きつけ、また吸い付くのを交互に繰り返した。

「ああん、あふぁ……」
「ちゅうぅ、んん。はあはあ、美味しい。なんでこんなに甘いんだろう」

舌では飽き足らず、たまに甘く噛んだり指先でつねったりする。
サウラは好奇心旺盛な愛撫に感じながら、自らも抱き寄せて催促をした。
何もせずとも誘惑せずにはいられない乳房だ。

「もう、赤ちゃんみたいね。ほら、胸だけじゃなくてね」

シーフゥの耳を甘噛みしながら囁きかける。
サウラの手に導かれるまま、下半身の熱く湿った箇所へと指を沈める。

「あふぁ……そこ」
「ここがすごく熱いよ。うねってる」
「そこに……今度はシーフゥの、あん!」

すでに屹立とした男根を宛がったが上手く入らず上滑りした。

「ここに、僕のを……いいんだね」
「ふふ、焦らない。今のあなたは男娼よ。まだ……あぁそれ、たっぷり感じさせて」

堪らない熱情に、乳を舐めながら性器へと指で開き、
中をかき回し、ぬらつく蜜の濃度を高めていく。
指に感じる熱さが増すたびの、己の股間も同調するのだった。
硬く芽を出した突起を弄ると、一際高い声で喘ぐ。

「サウラのここも……気持ちいいんだね」
「はあっ、あぅんん……」

本当なら挿入したくてたまらない。
入れて、突いて、掻き回して、自分自身を注ぎ込みたい。
だがそれは彼女の許しがあってこそ。

「このまま……湯船に入りましょう」

シーフゥはうなずき、サウラの腰を抱いて一緒に湯へつかる。
何度もキスをして、今度は腰を浮かべて性器に接吻した。
身を捩じらせ、ふちへと這い上がるサウラを追うように捕まえ、舌をねじ込んでいく。


セドルは隠れながらそれを覗いていた。
サウラの甘い声が聞こえる度に、溜まった唾を飲み込み実体のない愉悦に身体をくねらせる。
反響音となって木霊するのは声だけではない。
水の跳ねる音、すする舌の音、そして音が止むとゆっくりと湯をかき分けていく音がした。
もう愛撫は終わり、今にも本格的な性行為の始まりが待っていた。
飢えた牡が獲物をモノにする瞬間だった。
511三章:2009/03/08(日) 00:24:58 ID:oQzZqGHh
シーフゥはお湯とは違う、ぬめりと暖かさを味わいつつ、腰を跳ね上げた。
仰け反る背中に手を回して支え、眼前に揺れる乳房を眺めながら深く浅く結合する。
お湯の浮力が重力を適度に殺し、補助してくれる。
力こそないもの、勢い有り余るシーフゥには最適な状況だった。

「はあはあ、こんなに……」
「やぁん……んん、はあっ、激しいわ」

サウラの方から優しく接吻した。
唇を合わせたままゆっくりと双方の舌を味わう。
じゅるじゅると唾液を絡めて、粘膜を溶け合わせるように。

「ん……ふぅ、言ったでしょ。まずは優しく。そして自分を見失わないこと。
うふふ、初めてのシーフゥには難しい注文だったかしら」
「くっ……そうですよ。 難しい注文です」

至近距離にいながら、顔を見合わせることも出来ないほど恥ずかしく、
俯いてしまった。

「大事なのは相手と一緒に感じること。独りよがりは厳禁よ」
「う、うん」

今度は自制しながら、動きも一辺倒にならないよう腰を動かす。
膣内で肉棒が擦れるだけでも、シーフゥにとっては充分すぎるほど快感だった。
それでもサウラの反応を伺いつつ、締め付ける箇所を探って突くのは楽しい。
抱き合いながら密着し、徐々に奥へ奥へと進入を試みる。
奥へと刺激しながら、男根を強く主張するように襞に擦りつけた。

「はっ、はあっ。ん……うんそう、いいよそれ」

確かに美しいが、普段は気取って小生意気にしか思わないサウラが、
何故こんなにも愛しく思えるのか。
楽しそうに、気持ちよさそうな顔をするのを見て、
単なる快楽とは別種の温かみを感じる。
そこには一切の邪気がなく、純粋に求めるままに躍動する。


教育のため性行為についてレクチャーしているのだが、
離れて見るセドルの目には、仲むつまじく慰めあう二人に見えた。
遠く異国の地で寂しさを募らせたのか、
などどと見当違いもはなはだしいことを考えていた。
自分の時は壮絶なまでに淫らで官能的だったのに、
どこかゆったりとした温かみのある二人に妙な寂寥感を持ったのだった。

「いかんなあ……」

我が身を振り返り、このまま覗くのは悪いと考えた。
とりあえずこのまま居るのはまずい、
貴重なサウラの裸体を見ていたく思ったが、身体ごと剥がすようにして引き返した。
512三章:2009/03/08(日) 00:32:02 ID:oQzZqGHh
サウラは外にあった人の気配が消えたことを察知した。
足取りからして、おおよそ誰であったかもわかっていた。

「ん……ねえ、最後はシーフゥの好きにしていいわよ」
「はあっ、はあ……。はい」

冷静な心を取り払ってみるこの瞬間にぞくぞくする。
殻にちょっとひびを入れてみるだけで、自ら割って出るような熱い魂。
自分を焼き焦がすものが何か知るのは重要だ。
シーフゥがサウラの脚を抱えて大きく股を開かせる。
このまま最後までするつもりで、強い律動を始めた。

「はあん、はあぁ……アん!!」
「もう、ふう、イきそうです」
「ひゃん、いいわよ。好きにして……」

眼前で上下に揺れる美乳、きつく締め付ける蜜壷。
淫らさと愛しさが渾然一体となって欲情の炎を燃え上がらせた。
次第に小刻みに動き、やがて大きく挿入して射精した。
シーフゥにしてみれば初めての体験だった。
空恐ろしいほどの勢いで鈴口から迸る精液。

「サ、サウラさん……」
「うん、あぁぁ……出てるのがわかるわ」

罪悪感に苛まれながらも、この快楽には勝てない。
膣内で留まりながら尚も突き上げ、胎内へと精を注いだ。
ようやく終わったのを感じ、いそいそと腰を引いて結合を解いた。
お湯にぽたぽたと白いものが垂れて落ちるのを見て、
何かよくわからない敗北感がじわじわと湧く。

「ふふ、たくさん出したわね。でも相手の許可なしに、中に出してはダメよ」
「はあぁ、はい……」
「まあ今日はこんなところ。技術的なことは追々と知っていきなさい」
「はうぅ……」

シーフゥは恥ずかしくて、顔までお湯に沈めた。
513三章:2009/03/08(日) 00:37:22 ID:oQzZqGHh
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サウラは鏡の前に座って、シーフゥが髪を梳くのをじっとしていた。
中々手際よく、かつ気持ちもよい。

「ふんふん、さすがね。自分も手入れしてるからかしら」
「いえ、前に湯浴み場で小遣い稼ぎをしていたので」
「ふーん、意外に苦労してるわね。あなたの家ってそんなに貧乏だったかしら?」

パザンの羽振りは良い方だったし、確か兄も私塾経営兼講師という、
金持ちでもなければ出来ないようなことをしていたはず。

「貧乏ですよ……。実際月謝を払ってる人はほとんどいないそうですし。
僕が叔父さんの下で働いてるのも、もしかしたら支援の見返りかもしれません。
でも父が楽しそうにしているのを見ると、叔父さんは何も言えないそうです。
町の皆が読み書き計算できるのは自分のおかげと豪語してますし、
感謝されてるところは本当に嬉しそうですから、わかる気もします」
「ふふ、それならなおのこと篭絡して、進んで貢がせるくらいにさせてやりなさいよ」
「あはは……」

今の話を聞いて、そういう発想しかわかないサウラに、
シーフゥはただ乾いた笑いをするしかなかった。

「シーフゥ、先に行って今日はもう休みなさい」
「はい。そうします……」

正直、ゆっくりと眠りたい気分だった。

シーフゥが去り、サウラも自室に戻ると侍従から手紙を渡された。
読むまでもなく、別棟の王室が住むところへと赴く。
セドルが何をしていたか、サウラにはわかっていた。
扉のそばに控えていた侍従に来訪の旨を伝え、許可が下りると続く通りから室内に入る。
セドルが椅子から立ち上がるのを見て、サウラも一礼をした。

「サウラさん。ゆっくりされているところをお呼びしてすみません」
「いえ、殿下のお呼びとあれば、いつでもはせ参じますわ」
514三章:2009/03/08(日) 00:40:11 ID:oQzZqGHh
セドルは社交辞令にも関わらず、嬉しさと期待を感じざるにはいられず、
そんな自分を恥じて顔が熱くなる。
なぜなら彼女を呼ぶということは、即物的に言えば伽の時に通ずるからだ。
サウラもその反応がわかったらしく、妖しく微笑んだ。

「相談なのですが、2週間後にアズメイラ王妃の誕生会があります。
それで相互理解のため、今度はシーフゥくんを王妃に謁見をしてもらおうかと思います。
勿論私も全面的に協力いたしますが、サウラさんから見て何か問題ないかとお聞きしたのですが」
「あらっ、そういうことですの……」

手紙を受け取った時点から身体を要求するものだと思っていたため、
覗きをしていたわりには、一線を守る我慢強い性格だと感じた。
とは言え、表情の裏では微妙に面白くなく少しばかり傷ついたサウラだった。
まあ予想とは違っていたが、それはこちらにとって好都合な提案である。

「問題なんてありませんわ。
私もシーフゥを社交の場に出せないかと思ってましたところ。
殿下のご協力、痛み入ります。
それで私からも、少々申し上げにくいご相談なのですが……」
「どうぞお気になさらず言ってみてください」
「はい。どうせならシーフゥを王妃に売り込めないかと思いまして。
小姓でも男娼でもよろしいので、傍で世話をさせてやってほしいですわ」

これ以上ないストレートな要求に目が点になったセドルだった。

「ははは、それは面白いです。
さすがに難しいでしょうが、
仲良くなれればチャンスはあるかもしれませんね」

嫌っている一派を傍に置くなど、王妃の性格からして絶対に考えられない。
険悪感を解消するのも難しいのに、あるわけがないという笑いだった。
515三章:2009/03/08(日) 00:41:49 ID:oQzZqGHh
********************

その晩、疲れて安らかに眠るシーフゥの邪魔にならぬ場所で、
パザンとサウラは話し合う。

「よっぽどお楽しみだったようだな」
「まあね。素質あるわよ、あの子」

言われた方はかなり渋い顔をする。

「そんなこと言われても嬉しくないがな」
「あら、甥っ子の隠れた才能を引き出してあげたのよ。感謝なさい」

もう少し経験と年月があれば、最高の女たらしになることも可能だろう。
本人が望む可能性は低いが。

「そうそう、セドル王子も協力してくれるようよ」
「もしかして話したのか?」
「話したわよ。苦笑いしてたけど、別に構わない様子だったわ。
まあ実の母親ではないのだから、どうでもいいんじゃないかしら」

だいたいセドルは本気で狙っているとは夢にも思っていない同意だった。
もう少しサウラの性格を知れば、大真面目に言っていると理解でき、
なおかつ勝算があるとすら思っているのがわかる。
そして長年付き合いがあるパザンにはわかっていた。

「信じられんな。罠じゃないのか?」
「王子が私を裏切る可能性はないわね」

本当はシーフゥを裏切る可能性も加味してだが、
サウラのプライドがそれをあえて無視した。

「だが仮にも王家たる人間がなあ……」
「ふふ、パザン」
「なんだ」
「私たちって一蓮托生だったわよね」

パザンはがっくりとうなだれた。
516三章:2009/03/08(日) 00:47:12 ID:oQzZqGHh
**********************

翌日パザンたちは部屋を整えた。
失礼があってはならない相手だが、サウラはのんびりお茶をしていた。

準備が整い、指定された時間きっちりに扉をノックされた。

「ようこそセドル王子。歓迎します」
とパザンが挨拶すれば、
「歓迎も何も、この部屋も殿下のものでしょ」
とサウラが茶々をいれ、
「あはは……、あまり気にしなくてもよいですよ」
とセドルがフォローした。

一人渋い顔なのはシーフゥ、
なぜなら今日の議題はいかにシーフゥを王妃に売り込むか、であった。

「僕はどう考えても無理だと思うけど」
「なーに弱気なことを言ってるのよ。
殿下も協力してくれるのだし、大船にのったつもりで行きなさいよ」

セドルは苦笑いをする。
ここに来た理由は、確かに協力することだが、
そもそもの目的はサウラと異なる。

「あの、サウラさん。私はシーフゥを……その、男娼として云々ではなくて、
単に毛嫌いと誤解を解くために、まずは仲良くしてみましょうってことなんですが」
「ですよね! ですよね王子!! ああ、本当に話がわかる人が居て良かった」
「嫌疑派の最たる人が、今はアズメイラ王妃ですから、
今回の誕生会は絶好の機会です。
向こうも失敗はできませんから、多少なり乗って来ざるをえません」

こんどはサウラが渋い顔をする番だった。

「なに甘っちょろいこと言ってるのよ。王妃を堕として金銀財宝を持って凱旋す――ぐ」
「はははは、サウラも面白いことをいうなぁ」

パザンは慌ててサウラの口を塞いでいた。
まず間違いなく、国家の準最高責任者を目の前にして言う言葉ではない。
だが終わりまで聞かなくても趣旨は理解できるに充分な情報量だ。
おそるおそるセドルを見るのだが、笑顔のままだった。

「いやあ、サウラさんって本当にすごいですね。感心します」

本当に楽しそうに破顔するセドルを見て、サウラを除く三者は複雑な顔をする。

「さ、左様ですか」(変わった王子だ)
「ある意味、同意します」(ある意味、まったく同意しません)
「……」(大物だ)
「ぷはぁ……。もう、苦しいじゃない」

ようやく解放されたサウラは新鮮な空気を吸う。
そして自分を褒めてくれた相手に、腰に手を当て人指し指を向けた。

「セドル王子、あんたはそれでいいの」
「へっ?」

突然の言い草にセドルは驚く。
517三章:2009/03/08(日) 00:51:10 ID:oQzZqGHh
「だってお母さんは、今の王妃によって望まない退位にされたようなものじゃない。
悔しいとか一泡吹かせたいとか、復讐したいとか思わないの」
「……私は」

正直なところ、思ってもみなかった言葉だった。
言われてみて、ああそういう考えもあるのだな、と気付くくらいに。
セドルは指先から視線を外し、外の風景、穏やかなというより、とても弱々しい日の光を眺める。
まだまだ春は先だが、それでも冬将軍からの安息はありがたい。

「別に悔しいとか、そういう思いはありません。
むしろ病弱な母が、公務などの煩わしい行事から解放されたのは良いことだと思います」

笑いの種類にもいくつかあるが、今のセドルは明らかに楽しい笑みではなかった。

「公式の場で、二人そろって出られないのは、やはりさまになりませんよ。
薄情とお思いですか? でもたまに見舞いに行くんです。
床についたまま立ち上がれない母を見るのは、正直気がめいりますね。
会話するたびにわかるんです。母は私をとても愛していること。
そして父へも……まあ口では悪口を言ってますが、その実私と変わらぬものを持っています。
そのつど考えるのは……どうして私を産んだのか、父は産ませたのかって……。
これが王族の勤めとはいえ、運命はむごいものかと疑問抱かずにはいられません。
せめてもの救いが、母がまだ生きていることです。だけど――」
「あ〜はい、そこまで」

ぱちんと両手を打ち合わせて話を打ち切った。
少しばかりばつが悪いサウラは、髪を指先でくるくるといじくる。
薄々感じていた、この王子が単なるお人好しという訳ではない、
我慢強いこと、弱者に対しても分け隔てのない柔軟な心を持っていること、その裏を垣間見れた。
だがそれは聞いていてあまり気分のいい独白ではない。
おそらくセドル自身も、内に抱えたまま誰にも言うことの無かった気持ちだったのだろう。
誰にも吐くことを許されぬ重荷は、目に見えぬところで少しずつゆっくりと心を押し殺す。
お互い気安く、そして所詮は外部の人間だから、ぽろりと零れ落ちた言葉だった。

「でもそれなら、なぜ私たちに仲良くさせようとしてるの。王妃と」

サウラは単に王妃に対して嫌がらせをしたいものだと軽く考えていた。
発想がすでに根本からズレている。

「……本当は皆嫉妬してるだけなんですよ。
だからそんな醜い心を払拭して欲しい。
またそんなつまらない理由で、せっかくの客人を迫害しようなんて言語道断です。
私は純粋に羨ましいと思いましたが」
「ふふん、当然よね。私の美貌を見れば」

扇を顎に添えて、さりげなくサウラは流し目を送る。
誰もが心を蕩かされる視線だろうが、今のセドルにはある種の感心をする勘違いだった。

「えっと、水を差すようで悪いですけど、そういう意味ではなくて。
いえ、言ってることは間違いではない……とも思いますけど」

シーフゥとの風呂場での一件は、間違いなく嫉妬も含んでいたが、それはそれ。
こほんと咳払いをしてセドルは仕切りなおしをしたが、
ザムーラ人一同はほぼサウラと似た意味に捉えていたため怪訝な顔をする。

「何と言うか、太陽の寵愛を受けてるのが羨ましいのです。
これはきっと、皇国の人間なら絶対に感じることだと思います」

白皙の頬を朱に染め力説した。
この国にとって、太陽とは外にあるのではなく、内に秘める熱い思いこそに使われる言葉だ。
それが外見からして発散されているザムーラ人は、皇国の人間には嫉妬するに充分な理由だった。
518三章:2009/03/08(日) 00:55:51 ID:oQzZqGHh
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セドルは今や押しも押されぬ、時期国王である。
見目麗しく温厚で人情豊か、聡明で才覚もなかなか光るものがある。
異才など不要の平和なこの時代、将来の担い手としては充分な素質で誰も異論はない。
そのことを誰よりも誇りに思っているのは、
慎ましやかなベッドに横たわる国母、ティーサだったかもしれない。

「わざわざ見舞いに来なくともよろしいのですよ。多忙でしょうに」

ティーサはそっと明かりが陰るのを感じて、そう述べた。
もはや目は光の強弱を感じるだけで、物を見ることはかなわなかった。
だが今時分この部屋に来るのは息子、セドルくらいだ。

「残念でした。セドル王子ではございませんわ」
「おや? どなたですかな」

付き添いのものを除けば、おいそれとこの部屋に入ることはできない。

「そうですね……死神さんってことでどうでしょうか」

女の声で朗らかに物騒なことを言った。
だがティーサには死神など、馴染みの存在だ。
思わずくすくすと笑ってしまう。

「あらら、何が可笑しかったですか」
「お気に触ったのなら謝ります。
今の私にはただ死を待つばかりの存在、
それなのにわざわざ来てくださってご苦労なことだと思いまして」
「おやおや、生きていたくはないのですか」
「勿論生きていたいですこと。せめて息子が立派な姿で……。
いえ失礼しました。今の私には目が見えません。はあ……」

魂が抜けるような大きなため息をついた。
519三章:2009/03/08(日) 00:57:57 ID:oQzZqGHh

「そうでしたわ。一目見ることも叶わぬとは……。
これでは生きていても何か意味があるのでしょうか」
「悲嘆なさるものではありませんわ。私が枕元に立ったのも何かの縁」
「はて、縁などとおっしゃりますが、死を待つ身には必然のような気もします」

ティーサは気丈に会話のボールを投げたが返事が来ない。
しばらく沈黙が続いたが、どうやら考えことをしてるらしかった。
目的は何だろうか、死を待つ身には不思議だった。

「いいえ、やはり何かの縁なのです。本当に不思議ですから。
私という存在が、わざわざ風と海の偶然でこの地に来たこと。
たまたま会った人の中に、神に近い古い血脈が今も残っていたこと。
そうして関わりを持ち、私が望まぬ力が戻りつつあること。
その解放の場が、都合よく用意されていること。
ここまでくれば、人ならざる私ですら、全ては運命の輪の中か……と思ってしまいます」

女はティーサの手を取り、両手で包み込む。

「もしもあなたが春までご存命なら、私は去ります」
「それは……」
「ふふ、あなたに春の日差しが照らすとき、死の影も払われるでしょう」
「どういう意味で……」

影の女はそっと囁く。

「強く生きたいと望むことです。人が、人であるからこその力。
それは神も、精霊も、自然も、全てを凌駕するような強い望みを持つことができること。
希望、渇望、時として狂気にすら置き換わる欲望、
それを悪魔の仕業だと言うものもいますが、私は一概にそうとは思いません。
まずは生きること、あなたがそれを望みとして持てるのなら、
それはきっと心の内に花を咲かせることができると……そう強く信じてください」

女はそっと手を放した。
だが人肌の温もりは不思議と消えない。

「それではまた、春にお会いできると信じてますよ」

手に伝わるぬくもりが全身へと広がっていく。
すると自然と眠くなった。
普段から横になってる所為もあって、普通眠気など有って無いようなもの。
欲求に従うまま、ティーサは熟睡した。
眠ったまま目を覚まさない恐怖に怯えることもない、深い眠りだった。

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520四章:2009/03/08(日) 01:02:24 ID:oQzZqGHh
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華やかな飾り付けされた広間、だが長年商人貿易商しか立ち寄らない不毛の国。
もし他国の者がパーティーに招かれたらどう思うだろうか。
おそらく初の異国人が、セドル王子の横で立ちすくむシーフゥだった。

とりあえず生誕の祭典行事は一通り終え、立食と社交の場だ。
セドル王子は取り巻きに対して挨拶し、紆余曲折しながら主賓へと向かう。
当然シーフゥも付いて行くが、行く先々で好奇の目を向けられ神経をすり減らされていた。

「ほら、来なよ」
「……王子は偉いですね」
「なにが?」
「僕は檻の中にいる動物の気分で……」
「ははは、金銀財宝を持って凱旋するんだろ。これからが正念場じゃないか」
「それはサウラさんだけですって……」

シーフゥが思うに、豪華絢爛すぎて逆にそんな気にならない。
この広間は黄金と灯り、そして紅玉を中心に飾り付けされた、
通称太陽の間、であった。
シーフゥにしてみれば太陽などタダで、当たり前すぎるほど存在する物。
この広間は名前の通り、金銀財宝が当たり前すぎるほど存在し、
ありがたみそのものが薄れている感すらある。

「ほら次の番だよ。しっかりしてね」
「は、はい」

次に王妃に謁見するのは自分たちとわかり、シーフゥは気を引き締める。
521四章:2009/03/08(日) 01:06:10 ID:oQzZqGHh
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アズメイラ王妃は座って、次から次へと来る祝辞を聞き、お礼を述べる。
全員の顔と名前を一致させ、ちょっとした近況を混じえた返答を考えなければならない。

チュルハン王は最初に顔を出しただけで、そそくさと去っていった。
サウラにかかりきりで、アズメイラに対して興味を失っているとまことしやかに囁かれていた。

「あら、お子様は5歳になられたとか。お元気でいられるかな?」
「はい。王妃の覚えもよろしく、今も部屋の中を駆け回ってます」
「それはそれは。この寒い中、逞しくてなにより。だが風邪をひかぬように」

たがが祝辞だが大勢の手前、お互いの無難に済ませなければならない。
意外に難儀で気を遣うものである。


「ふぅ。次は」
「はい。セドル王太子に……えっと……」
「どうした?」

アズメイラは口ごもる侍女に問い返した。
侍女のメモには官職名が書かれていない。

「シーフゥ・ルオ……特別侍従……です」
「はあ?」

それはなにと言おうと思ったら、二人が歩み寄って来る。
一人は金髪碧眼白皙の肌に、白で統一された礼服に、王族ならではの赤い肩掛けで締める。
もう一人は長い黒髪をストレートに下ろし、
黒い目に褐色の肌を黒衣で統一した礼服で参じた。

「……ほぅ」

感嘆のため息を漏らしたのは侍女だった。
さもありなん、タイプの異なる美男子二人そろっての登場だった。
二人がそろって礼をした後、シーフゥは跪き、セドルが一歩前へ出て挨拶を述べる。

「このたびは、つつがなく生誕の日を向かえられたこと、お祝い申し上げます」
「ありがとう。セドルも健勝でなにより。それで……その者は」
「はい、このたびは私の友人を是非王妃にも紹介したいと思いまして」

シーフゥは面を上げ、初めてアズメイラ王妃を間近で拝見した。

(はぁ……綺麗だなぁ。でも……王妃というより……)

一目見て思うのは、まず間違いなく美人であったこと。
さすがは自ら討って出て、王妃の座を射止めただけはある。
豪奢なプラチナブロンドを黄金の髪飾りで散りばめ、まるで高価なドールのようだ。
そう、お人形のよう。言い換えれば小さい。150cmもないか。
厳かな口調とは裏腹に、その小ささと愛らしい容姿から、
アズメイラは10年若く見られてもおかしくない。

(お姫さまだよなぁ……)

王子は英才教育もあって、公式の場での立ち振る舞いには申し分ない。
そのセドルが畏まっているので、王妃としての尊厳は周囲にも伝わっているが、
知らぬものが見たらさぞ滑稽だろう。
兄が聞き分けのない妹に一芝居打っている風にも感じられる。
522四章:2009/03/08(日) 01:13:15 ID:oQzZqGHh
「おぬしは、シーフゥ・ルオといったか」
「はい」
「ふむ……」

アズメイラは特に語らず、じろじろと無遠慮な視線を投げかける。
シーフゥはシーフゥで、本当に10近くも歳が上かと王妃を見る。
お互いの視線は交錯するが、思惑はまったく違う。

「お、王妃……?」

侍女が控えめな声をかけた。

「どうしたか」
「ええっと……」

それは自分の台詞なのだが、と侍女は思った。
勿論声には出せないが。

「ふむぅ……。歳はいくつかな」
「セドル王子の一つ下、18であります」

本当は四つ下だが、あらかじめ用意した嘘をつく。
あんまり子供と思われても困るという作戦だった。
年齢不詳なのはお互い様なため、
そこら辺でちょっとした親近感を持ってもらえればと思うが、
王妃はその台詞を聞いて唇の端を吊り上げた。

「ふふ……わざわざ難儀よのう。
皇国に流されたおかげで、私にまで媚を売らねばならぬと見える」

シーフゥはセドルと一緒に立てた計画を脳裏に展開する。
敵を知り、己を知ればなんとやら。
一番可能性が高いパターンにきた。

「いえ、このような試練もまた、将来省みれば良いものと思うことでしょう。
今のこの身ですら、けっして悪いことばかりではありません。
皆に一命を助けられ、恩返しにと微力ながらお力添えするのは嬉しくもあり楽しくもあります。
また、不相応ながらアズメイラ王妃のお目にかかれて、このような身に余る大変な光栄です。
長であるパザンに代わりまして、数々のご助力にお礼申し上げます」

歯の浮くような台詞だったが、嘘偽りを言ったわけでもない。
だが王妃には効果が薄いようだった。
冷笑を浮かべながら頬杖をつく。

「そうであったの。
だが助けられた身、その身体でもって礼をするとはさぞかし蛮族の考えそうな事よ」

シーフゥは軽い怒りを覚えた。
サウラを揶揄しての台詞だろうが、そういうことをなりわいとする者はどこにだって居る。
今まで交易のために色々な国を渡った上での経験、世界の実情を知るシーフゥにとっては、
この閉ざされた国を一歩出ないで、その所業を蛮族とは何を、と言いたい。
皇国だってきっと身体を売る女性は居るはずである。
それをもって決め付けるのなら、自身もまた野蛮な者の一味であるとは王妃にも言えるはずだ。
523四章:2009/03/08(日) 01:19:08 ID:oQzZqGHh
「今は何も持たぬ身です。
せめてそれぞれ立ち寄った国の特産など持ってこれれば良かったのですが、
なにぶん不慮の事態になって、海の底に沈んでしまいました。
交易で得た他国の情報など、一歩も出ることが叶わぬ皇国には不要でしょうし」

ここでシーフゥはわざとらしく溜め息をつく。

「たがが情報ですが、信用あるものにとっては多額の取引にもなるのです。
たとえば小麦が豊作なら安くなるのは目に見えるため、買うのを控えておくよう助言したり、
戦争が起こりそうな地域では追いはぎも増えますから避けるよう、輸送団に売ったりと、
様々なところで生き物のように変化するからこそ貴重なもの。
黄金に勝るとも劣らない価値があります」

あなたの知らない世界を知っている自分を、
蛮族と言えるのかとばかりにシーフゥは次々とまくし立てる。
帳簿の管理も勉強しただけに、
採算という概念を知ってからは取引にはうるさくなった自信がある。
寄る先々での必要物資の補充は、最近シーフゥの受け持ちになっていた。
引いては交渉、弁舌の鍛錬にもなる。

それでも王妃は冷笑を絶やさない。
所詮は雛のさえずりといったところか。
シーフゥは心の中でこのロリババァと毒づく。

「アズメイラ王妃」
「なにか?」

話が一段落したところで、セドルはにっこりと王妃に呼びかけた。
アズメイラも王子が意外に紙一重な性格と知っているだけに、
この笑顔にも油断はしなかった。
普段は協力関係にあるように見えるのは王族としての一種の協定であり、
今は間違いなく協定外の事項だった。

「私はですね、シーフゥと仲良くなって将来の国益への布石になればと思っております。
ですからここは友好の証として、広間にてシーフゥとダンスを踊ってもらえませんか」
「はあ?」
「お、王子?」

突然の提案に当事者二人は驚く。
今の雰囲気をどうとれば友好的になるのかと。

「王妃、シーフゥは陛下の客人であり、国賓であるのですよ」
「……」
「将来かの国との交易の道が開ければ、きっと国益になります。
そこでまず特待ではありますが、王妃が率先して皆のお手本と」
「わかった」

アズメイラはこれ以上聞いてられないと、セドルの口上を断ち切った。
さぞ座り心地のよさそうな椅子から立ち、シーフゥへと近づいていく。
自分が王妃としての務めが重要視されているのは、
セドルの勤勉振りからも、ある種の物差しとして計られているの感じていた。
ここで国益を持ち出されては、逃げるわけには行かない。

アズメイラが息のかかりそうな距離で、シーフゥの顔をまじまじと凝視する。
なんだかんだ言っても、相手は高貴な身分だ、
シーフゥは硬直しながら、その視線を甘んじて受け入れた。
さらには鼻をくんくんと鳴らして、匂いを嗅ぐ。
524四章:2009/03/08(日) 01:21:37 ID:oQzZqGHh
「ふうむ。意外に良い匂いがするぞ……ふふ、日の光のような……」

どうしてこの人はこんな笑い方しかしないのだろうか。
面白ければ、もっと大きな口を開けて笑えばいいのに。

「よかろう。さっ」

アズメイラは左手を掲げた。
シーフゥはその手を取り、恭しく跪いて接吻をする。
基本的な礼儀作法はセドルによって叩き込まれていた。
エスコートをするシーフゥを、今度は広間全ての衆目を集めることとなった。
どこか高揚する気分とは裏腹に、
冷静な心がゆっくりと薪をくべ、慎重にふいごを吹く。

シーフゥは最初、良くしてくれるセドル王子に対して恥をかかせないようにとしか考えていなかった。
だが今は違う。
そんなことは全て吹き飛び、嘲り冷笑を浮かべ蔑むこの女を、
どんな手を使ってでも羨望なり尊敬の眼差しを自分に向けさせてやる、などと考えていた。
そのためにはベッドに連れ込んででも、と半分本気だった。
それは間違いなく罪であるが、知ったことではない。
サウラが言ったとおり、成立してしまえば問題ないのである。

中央に来ると、シーフゥは一礼した。
音楽が鳴り始め、双方が型どおりのステップを踏む。
アズメイラはファーストレディの名に恥じぬ、一部のすきも無い足運びに体捌きだった。
対してシーフゥも軽やかに踊り、ときとして先導する。
誰もがたった一週間程度での成果とは思うまい。

奇妙すぎる取り合わせだが、肩書き上の格を見ればなんとか釣り合う。
そう意識してシーフゥは気後れのないよう、堂々と大胆にリードをした。
時折身体を抱き寄せて密着するが、意外にもアズメイラは抵抗せず嫌がるそぶりも見せない。
ひらひらとスカートをはためかせ、気持ちよさそうに踊る。
もともと一たび火がつけば高炉のような情熱的な性格の持ち主だが、
シーフゥもまた南国の生まれ育ち特有の情熱を持つ。
タイプは違えど、次第にその熱情に感化されていく。

暖房も不要になりそうなほど汗ばむ。
観衆も我知らず胸をときめかせ鼓動を強くさせる、
破綻の一歩手前でぎりぎり保つようなスリリングなせめぎあいが生じていた。
アズメイラは本来シーフゥを蹴落とす気分で踊り始めたが、
意外に粘り強く、次第にリードさえおぼつかない状況になっていたし、
シーフゥは一矢を報いるというレベルで事を済ますつもりはまったくなくなっていた。
二人の思惑はまったく相反していたが、それが返って甲をそうした形だった。
意地と感情の凌ぎ、せめぎあいが芸術の火花を散らしていた。

メロディとリズムとを一つにして身体を動かせば、
自然と心も通わせられるものだとセドルは思っていた。
少なくとも傍目から見る分には、成功への一歩のように感じられた。

「はっ、はあ……ふぅ」
「どうした、息を切らしおって」
「それはお互い様ですよ、アズメイラさま。
ステップの足がたまにもつれているようですが、お年を召されましたか」

身分を知れば恐ろしくて言えないようなことをさらりと口にした。
525四章
「ふん。まったく口だけは達者と見える」
「ほほう、つまり私は口先だけだと」
「その通りだ。シーフゥ・ルオ、15歳。
本当はセドルより4つ下のくせに何故歳を偽ったのだ」

シーフゥはぎくりとして少しリズムを崩したが、すぐに持ち直す。
音楽は最終楽章へと入った。
ここで失敗しては全てが水泡と化す。

「ふふ、どうした。なぜわかったかそんなに不思議か」

別にバレたからといって、たいしたことではない。
己に言い聞かせながらステップを踏む。
お互い見つめあい、観衆からは良い雰囲気にも見えることだろう。

「なぜならサウラが教えてくれたからな」
「……はあ?」

予想だにしなかった名前が飛び出し、今度こそ完璧にリズムを崩した。
足と足を絡ませて、アズメイラがしりもちをついたが、
どちらが失敗したか一目瞭然だった。

「す、すみません」

相手の策にはまったとはいえ、己の失敗を痛感しているだけに、
これまで持っていた気概やくやしさも吹き飛び素直に謝った。
考えようによっては充分相手に責任があるのだが、
これまで築き上げた有意義な数分を瓦解させたのは本意ではなかった。
音楽が最高潮を迎える中、アズメイラに向けて手を差し出す。
濁りのない黒い瞳に見つめられ、義務を重んじる気高い心の持ち主は顔を背けた。

「……」
「まだ音楽は終わっていませんよ」
「……ふん、まったく。二度目はないぞ」

アズメイラは渋々シーフゥの手を取り、再び踊り始める。
今度は静かに、そしてやはり情熱的に。
残り短い時間だったが無事に最後まで踊り終え、観衆からは自然と拍手が起こった。

だがそれを苦々しく思っている一派もいた。
褐色の青年にご苦労だったと声をかけるアズメイラ王妃の顔は、
誰が見ても楽しく満たされた表情のためだった。