■零総合 玖■

このエントリーをはてなブックマークに追加
199長いかも30:2008/05/21(水) 09:06:58 ID:yU/BS2lX
「ごめんね…お姉さん、ごめんね。私、お姉さんの中
に入りたい」
「ダメ…茜、ちゃん。ダメだよ。正気に…んあ!」
「ウルサイナァ。折角茜ガソノ気ニナッタノニ。アナ
タハ黙ッテテ! サァ茜、オイデ」
 薊は膣内に人指し指と中指を差し込み膣口を拡げる。
 膣壁はまるで何かを欲する様にヒクヒクと震えていた。
 それに誘われる様に茜は澪の目の前に来ると、硬く
そそり立つ淫茎を膣口に押し当てた。
 冷たい感触に驚く。が、それを考える前に少女の淫
茎は澪の膣内にねじ込まれた。
 指とは違う圧倒的な感覚に澪の視界は白く弾けた。
「あはぁ! 気持良いよ! お姉さんの膣内気持ち良
いよぉ!」
 茜はとろけきった顔で喘ぎ声を上げる。一方澪の方
も予想以上の気持ち良さに我を忘れていた。
「んあぁぁ! イイ! 私も気持ち良い! こんな…
凄すぎて私死んじゃう! どうにかなって死んじゃう
よぉ!」
 涎を垂らし、涙を流しながら二人は交じり合った。
それを見て薊は何処か面白く無い様に呟いた。
「茜…私ヨリソノ女ガイイノ? …許セナイ。ソンナ
ノ許セナイ!」
 薊は澪を突き飛ばし倒した。それでも二人は構う事
なく交わり続けている。
 四ん這いの様な格好の澪。その腰を掴むと薊は自分
の腰辺りに引き寄せた。その直後澪の背中は弧を描く
ように退け反った。
「人形ノ分際デ茜ヲ一人締メスルンジャナイワヨ」
 澪は一瞬何が起きたか分からなかった。ただ、快楽
の中で苦痛を感じた。それは確かだった。
「お姉さんの膣内、急にきつく…それに、私のに何か
当たるよぉ!」
 澪が苦しむ反面、茜は更に快感が増したのかより一
層強く突き上げてきた。
 苦痛よりも快感が勝ってくる。と、その時又も澪を
苦痛が襲った。そしてそれを何度も繰り返される。そ
の何回目かで苦痛の正体に気付いた。
 本来入れてはいけない場所に何かが入っている。し
かし、友人に色々聞かされて耳年増になった澪も流石
に知識がなかった。そう、後ろの穴だ。
200名無しさん@ピンキー:2008/05/21(水) 09:12:28 ID:yU/BS2lX
今更だが、後ろの穴系駄目な人いるかな?
勿論トロ系無しで
ゲーム中の六ノ刻七ノ刻が一番エロ入れやすいなぁって
思ってて、色々詰め込もうとしたんだが、後ろは行きすぎかな?
 ダメなら…てかもう一部突入してるが、何とか回避するよ。
201名無しさん@ピンキー:2008/05/21(水) 18:07:08 ID:3kox5Uky
>>200
大丈夫、大好物です。
202名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 23:41:02 ID:TtG+5/V+
>>201
ノシ 同じく
203名無しさん@ピンキー:2008/05/23(金) 05:20:22 ID:ZI+SLzy1
とりあえず一日待ってみた。
反対は特に無さそうなのでこのままいくよ
つか、実は後ろのある無しで後半のストーリーを
変えるつもりだったから良かった
204名無しさん@ピンキー:2008/05/23(金) 08:22:59 ID:Lqp9isjs
>>203
マルチエンディング!?
あんたどこまで神なのよ
205長いかも31:2008/05/23(金) 21:38:05 ID:ZI+SLzy1
子宮を押し上げられる感覚と、腸内を削られる様な感覚。
一方は快楽を生み一方は苦痛を生んでいた。だが、天
秤に乗せた様な相反する二つの感覚は、澪の中で徐々
に一つになろうとしていた。そして、本人も気付かな
い内に気付いたのは他でもない薊だった。
「…何デダロウネ? オ尻ノ穴滑リガヨクナッテキタヨ」
 薊はそう言うと、奥まで挿し込んだモノをゆっくり
とギリギリまで抜く。と、勢いよく奥まで挿し込んだ。
 排泄感と圧迫感を交互に送り込まれる。確かに薊の
モノは抵抗なく出入りを繰り返していた。
 未知の感覚で思考が麻痺していく澪。そんな澪に追
い討ちを掛けるかの様に膣内で暴れ回る茜の淫茎。二
人の責めに澪は白眼を剥き口をパクパクと言葉なく動かす。
「あ、やぁ! イッちゃうよぉ! お姉さん、茜イッ
ちゃうぅ! お姉さんの膣内にどくどく流し込んじゃ
うよ? ねぇ、良いよね? お姉さんの膣内に出して
良いよね? うぁん、もう、我慢できないぃ!」
 茜は泣き叫びながら澪の膣内で果てた。流し込まれ
た精子を子宮で感じながら何度目かの絶頂に達した。
 もう死ぬ…。澪は過ぎた快楽に意識を焼き尽されそ
うになりながら、そんな事を考えていた。そしてそれ
を見越したかの様に、残った薊はへばっている澪の腰
を掴み強引に揺さぶる。膣内に入っている時ほど大き
な音は立たないが、後ろの穴も粘り気のある音を立て
ていた。
 排泄をする時、肝臓から腸に内に滑りを良くする為
に分泌液が出される。今薊のモノを受け入れられてい
るのはこれのお陰だった。だが、これは本来生理的な
物だ。他に腸液が出る理由は…。
「ヘェー、コッチデモ気持チ良クナレルンダァ。面白イ」
 薊は初めておもちゃを貰った子供の様にはしゃいで
いた。その間にも容赦無く後ろの穴に挿し込まれるモノ。
 四ん這いで犯され続けている澪に、少しずつ変化が
現れ始めていた。
206長いかも32:2008/05/24(土) 07:25:14 ID:5DKGyiIQ
「……ぁ……ぃぃ……ぉ」 非常にか細い声で澪は何か呟いた。だが、そんな声
も聞こえる筈もなく、薊は腰を動かし続けていた。そ
してその直後…。
「……あっ!」
 首と背を反らせて澪は体を震わせた。そう、達した
のだ。後ろの、排泄する穴で。
「アハハ! 何? イッチャッタンダ? キャハハハ!
ドコマデ変態ナノ?」
 薊は笑いながら力無く伏せっていた澪を持ち上げる。
背面座位の形に持って行くと、ばてていた茜に見せ付
ける様に澪を揺さぶった。すると、先程茜が出した精
液が愛液と混ざり合いゴポッと音を立てて溢れてきた。
それを見ていた茜の陰茎は見る見る内にそそり立って行く。
「一回デ終ワリジャナイデショ? 思ウ存分出シチャ
イナヨ」
 茜は戸惑いながらも再び澪のもとへ。そして小さく
謝るとキスをしながら腰を前に押し出した。口を塞が
れている為くぐもった声が辺りに響く。
「ん、ちゅ…お姉さぁ、んぅ。気持ち良い、よぉ。あ
むん…っはぁ、お姉さんはぁ、どう? 気持ち良い?」
 少女の顔ではなく、女の顔で茜はとろけた声で聞い
てくる。だが、澪にはそんな事は既にどうでも良かった。
ドロドロになった膣内を掻き混ぜられ、後ろの穴をえ
ぐられ体の隅々に快感が行き渡っている様だった。
 ゆっくり薊に出し入れをされジラされたかと思えば、
膣内を茜が強く突き上げる。逆に茜がゆっくりとした
ら薊が激しくと息がぴったりだった。既に澪の体は言
う事を聞かず、一回ずつ突かれる度にビクンビクンと
体を痙攣させる。その姿は正に糸の切れかかった吊り
人形の様だった。
「お姉さん、ずっと一緒にいよう? こうしてずっと
一緒に…」
 茜の艶がかった声が澪の頭の中に響く。そしてそれ
はいつしか薄れ行く意識の中で、昔に繭と交した大事
な約束を思い出させるのだった。
207名無しさん@ピンキー:2008/05/25(日) 12:04:06 ID:egEyzuMg
 
208長いかも33:2008/05/25(日) 17:11:47 ID:fDl3aGmX
 いつの間に眠っていたのか、澪は薄暗い部屋で目を
覚ました。辺りを見回し、自分の体のダルさを感じて
今の状況を思い出す。
「私…何て事を」
 気を失なう直前の事を思い出し、自己嫌悪と恥ずか
しさで眩暈を覚えた。
 幾ら高ぶっていたとはいえ相手は子供。それを相手
に思い出す事さえ躊躇う言葉を連呼していた。
「私、最低だ…謝らないと、お姉ちゃんに。そして約
束を…」
 ふらつく足取りで部屋の戸まで歩く。たかが歩くだ
けと思うかもしれないが、今の澪にとってはその普通
の動作すら重労働だった。何より今の澪は全身が敏感
になっており、着ていた着物が体を撫でる度に澪は呼
吸とも喘ぎ声ともとれる様な声を漏らしていた。一歩
歩く度に力が抜けていく。
 そんな状況でも何とか戸の前まで来た澪。一呼吸置
いてから手を掛ける。
 …だが、無情にも戸が開く事はなかった。
 しかし澪はそれに動揺する事無かった。
 そう、何と無くだが自分の運命を半分受け入れていたのだった。
209長いかも34:2008/05/26(月) 19:35:02 ID:5duHaZsH
 残りの半分は…やはり姉、繭との決別にあった。昔
の約束を破り、繭を一人残して置いてきた。だが、澪
には許せなかったのだ。自分一人の性欲を満たすため
の行為を繭はした。澪が寝てる隙を狙い悪戯を繰り返
した。そう思っていた…いや、思おうとしていた。
「今なら分かる…お姉ちゃんの気持ちが」
 そう、気付いてしまった。ここに来てから澪は色々
な経験をした。だからこそ気付いてしまった。愛のあ
る行為と無い行為の違いを。
 ――澪は今までの事を思い返す。一人でした時、人
形の少女にされた時、少女と人形にされた時。そのど
れもが気が遠退く様な快感だった。しかし、この村に
来た時に繭とした時や、家にいた頃の時の方が澪は気
持ちが良かった。体だけではない。心まで溶けていく
ような感覚さえあった。そしてそれは二人だから、繭
の気持ちが込もっていたからに他ならなかった。それ
に気付いたからこそ、澪は何処かで諦めきれていなかった。
「私、やっばりここを出ないと!」
 諦めきれない半分が勝った瞬間、澪の眼に再び光が宿る。
 ――お帰りなさい、澪さん。
「え?」
 名前を呼ばれ慌てて振り返る、が誰もいない。そこ
でようやく奇妙な同居人の存在を思い出した。
「八重、さん? ごめんね…今まで忘れてて。って、
あれ?」
 そこまで言ってふと違和感を覚えた。そう、八重は
澪が意図的に切り替わるか弱っている時でないと出て
来れないほど魂が弱っている筈だ。
 ――気付いて、いますか?
 八重の呼び掛けが何を示しているのか…澪は気付い
てしまった。
210名無しさん@ピンキー:2008/05/29(木) 00:02:42 ID:6ad/YoIf
焦らし上手な神だ(*´Д`)
続き激しく待ってます
211長いかも35:2008/05/29(木) 09:15:24 ID:SIpmvbTm
「あ、あはは…私、本当に?」
 動揺を隠せない様子で、渇いた笑い声を出す澪。八
重はそんな澪に宣告する。
 ――澪さん、あなたは霊と交わり過ぎた。霊と交わ
ると言う事は魂をも侵蝕されると言う事。澪さんの魂
は衰弱しきっています。これ以上交わると澪さんの魂
は消えてしまいます。
 八重の言葉を聞いて一瞬怯む。だが、直後にはそこ
にいつもの澪がいた。
「私はね…八重さん。お姉ちゃんに謝らないといけな
いの。だから、行かなきゃ! それに八重さんも紗重
さん…だっけ? に会わなきゃいけないんでしょ?」
 澪はにっこりと微笑むと閉じていた戸に手を掛ける。
 勿論開かない事は分かっていた。だが、何かしなけ
れば何も起こらない。たったそれだけの単純な理由で
澪は動いていた。
「あはは、どーしよう、やっぱり開かないみたい」
 流石にびくともしない戸に途方に暮れ始めた。と、
そんな時だった。突然戸が開いたではないか。
 澪は予想外な出来事に呆気に取られていると、開い
た戸から茜が現れた。
「お姉さん…行っちゃうの?」
「…うん、ごめんね。本当ならずっとここに居ても良
いかと思ったんだけど、私お姉ちゃんに謝りに行かな
いと…きゃあ!」
 澪が言い掛けた時、茜は突然飛び掛って来た。身構
えようかとしたが、茜の様子が変だったので考え直す。
「お姉さん。行っちゃヤだよ。ここに居てよぉ」
 茜は泣いていた。澪の意思が少しふらつく。だが…
「ごめんね。戸を開けてくれてありがとう」
 澪は振り切って立ち上がると開いた戸へと向かう。
しかし、寸手の所で戸は閉まってしまった……。
212長いかも36:2008/05/30(金) 07:27:58 ID:3CO6qb9Q
「茜…ちゃん?」
 びくともしない戸。振り返るとそこにはうつ向いた
まま動かない茜がいた。
 ゆっくりと射影機を構える澪…だが、ブツブツと聞
こえてくる声にスッと下ろした。
「ダメ…そっちは、ダメ」
「茜ちゃん…お願い開けて? 行かないと…」
「だからダメなの!」
 澪は再び構えた。が…
「…あっちは、薊が居るから」
 茜の一言に澪は笑みをこぼす。どうやら助けてくれ
様としていただけらしい。
「でも、この部屋に閉じ籠っている訳にも…」
「こっち…」
 茜は澪を部屋に置いてあった二体の人形の元に誘導
する。だが、何の変哲もない人形に見える。澪が不思
議そうに眺めていると茜は大きな木箱を何やらいじり
回し始めた。すると驚く事に二体の人形はギリギリと
音を立てて回り始めたではないか。呆気に取られてい
る澪をよそに、人形を回し続ける茜。すると…
「出来た!」
 茜が叫ぶのとほぼ同時に、木箱が迫り上がり始めた。
何と木箱の下から現れたのは梯子であった。
「さぁ、ここから早く!」
「でも、私はこの家に鍵を取りに」
 そう言い掛けた時、突然紅い蝶が現れ数ある雛人形
の中から一体の周りを飛び始めた。澪がその人形を調
べると、服の中から札鍵が見つかった。喜ぶ澪…だが
そんな喜びも束の間、突然戸が激しく揺れだした。茜に「早く」と促され慌てて梯子に走る澪。そして…
「見ツケタ…人形ノ癖ニ逃ゲル何テ良イ度胸ネ」
 薊と目が合っただけで萎縮してしまう澪。一歩一歩
近付いて来る度に心臓が激しく脈打つ。そして、薊は
目の前まで来た……。
213長いかも37:2008/05/30(金) 08:42:35 ID:3CO6qb9Q
「逃げてぇ!」
 茜の叫び声で我に返る澪。だがその反動で梯子を掴
んでいた手を離してしまう。
 薊の視界から澪が消えるのと木箱が下りるのは同時
だった。
「茜ッ! アンタハ!」
「もう止めて! 薊はもう居ないの! 分かったの!
…私が、悪かったの」
「ナ、何言ッテルノ? 薊ハ私ジャナイ」
 動揺した様子を見せながら一歩踏み出す薊。
「違う。私が悪いの……認められなかったから」
 一歩下がる茜。
「何言ッテ……私ハココニイルジャナイ。ネェ、茜!」
「ごめんね、薊。居るんでしょ? 出てきてぇ!」
「ダ……ダマレェ!」



「いたた……怪我は……してないみたいね」
 上を見上げるが暗くて分からない。が、中々の高さ
ではありそうだ。良く無事だったなと自分で感心して
頷く。だが、立ち上がろうとした時に右足首に違和感
を感じた。痛みはないが少し捻ったようだ。
 ――澪さん大丈夫?
「え? あぁ、平気平気♪ さ、行きましょう」
 立ち上がると平気そうに歩き出した。しかしやはり
無意識にかばうのか、何処かぎこちない歩き方になる。
「それにしても広いね……」
 ――此処は深道と言って、村の中でも重要な場所な
んです。
「へぇー。あ、でもそれならこのまま黒何とかとか言
う家には行けないの? 重要な場所なら続いてそうだ
けど」
 ――でも、どうやら塞がっているみたいですね。道
が崩れてしまったみたいです。
 八重にそう言われて辺りを見回す澪。言う通り重要
な場所なのだろう。ピリピリとした刺すような冷気と
重い空気が入り混じっていて息苦しかった。
 ……と、ある一点で澪の視線が止まる。幻かと思う
が違う。目を擦っても消えない。
「……だれ?」
 ――紗重!
 八重が頭の中でそう叫ぶのと、血濡れた着物を着た
女が動くのは同時だった。
「え、ちょっ! ど、どうするの? ねぇ?」
 澪は慌てて呼び掛けるが八重からは何の反応もない。
仕方なく射影機を構える澪。だがその視界の中には女
は居なかった。首を傾げながら射影機を下ろした……
その次の瞬間だった。女は目の前まで来ていたのだ。
 跳び退いた目の前に女の腕がすり抜けていく。
 ――逃げて! 紗重は正気じゃない。
 八重の言う通りに走る澪。だが…
「っ!」
 足首の痛みで体勢を崩し転倒してしまう……。
214長いかも38:2008/05/30(金) 09:41:11 ID:3CO6qb9Q
「つぅ〜! あ、足首が……」
 仰向けに倒れた澪の視界の中で女が迫ってきた。
 澪は怪我していない方の足で地を蹴り体を反転させ
て立ち上がる。そして、右足をかばいながらも必死に
走った。薄暗い道の為何度か転びそうになりながらも
懸命に走る。と、ようやく視界に梯子が現れた。澪は
それに飛び付くと片足だけで器用に上っていく。が、
踏み外してしまい二段程ずり落ちてしまう。そしてその直後……
「あぅ! な、に……?」
 足に冷たい感触を覚えて下を見る。するとそこには
紗重……ではなく、繭の姿があった。抵抗しようとし
ていた動きが止まる。
「おね……ちゃ……ん?」
 会いたかった。謝りたかった……澪の頭の中はそん
な想いで一杯に、なる筈だった。だが、今澪の頭の中
は紗重は何処? 何でこんなに手が冷たいの? と言
う考えで一杯になっていた。
「ねぇ澪。何処に行くの? 約束したじゃない。一緒
に居るって、ずっと一緒だって……なのに、何処に行
クの? 私を置イて行くノ? マタ……私ヲ置イテ行
クノ?」
 澪の視界の先が歪み、繭だったモノが紗重に変わっ
ていく。
「お、お姉ちゃんが……!」
 ――ごめんね紗重。必ずあなたに会いに行くから。
 八重はそう言って紗重の手を振り払うと梯子を上っ
ていった。
 静まり返る深道。そこで呆然と立ち尽くす紗重。
「逃げられたじゃない。澪…澪を返してよ! 誰よあの女!」
 血濡れの着物を着たまま繭は叫ぶ。その直後ふっと
雰囲気が代わった。
「マサカ、村ニハ居ルト思ッタケド……フフフ、偶然、
ジャナイワヨネ?」
 紗重はそう呟くと闇の中に溶けていった……。
215長いかも39:2008/05/30(金) 10:57:52 ID:3CO6qb9Q
「それにしても、ここ何処?」
 何とか逃げ切れた澪は物置の様な場所に出た。
 澪が物置と言ったら八重からは「納戸って言うんです」
と注意された。
 ……と言う事で納戸に出たらしい澪。家から家に移
動しただけらしい。八重がこの家が立花家と言う事も
教えてくれた。そして、もうひとつの鍵もここにある
かもしれない、と。
 とりあえず適当に歩き周って見る。所々崩壊に差は
あるがもう片方の家と造りは大体同じ様だった。
「凄いねこの家。でもあんまり壊れてない……ん?」
 もの珍しそうに家の中を見回していると、廊下の奥
から鈴の音が聞こえてきた。澪は気になって音のする
方へと歩いて行く。廊下を曲がった所で紅い着物の裾
がチラッと見えた。見覚えのあるその着物に澪は追い
掛ける事にした。
 紅い着物の少女……一瞬見えた背格好も同じ位だ。
 確信した澪は足音を殺しながら走る。曲がり角で先
を確認すると、確かにあの少女だった。
 少女は頻りに後ろを気にしながら、高床式の座敷の
下に潜り込んだ。それを確認した澪は再び足音を殺し
ながら近付き、そこの戸を開いた。
「い、いやぁー!」
 驚きからか泣き出してしまう少女。
「え、あ……ごめんね、あの、脅かすつもりはなくて、
その……えっと、泣きやんでほしいな」
 怖がられて逃げられない様にしたつもりが、全く逆
効果になってしまった様だ。澪がその後も謝り続ける
と、少女はようやく泣きやんだ。
「あの……本当にごめんね。私は澪って言うの、あな
たは?」
「……ぁぅ」
 恥ずかしそうにうつ向いてしまう少女に澪は困った
様子だ。会話が成立しない為かれこれ十分辺りもこう
している始末だ。そんな時八重が助け舟を出してくれた。
 ――その子は千歳。ここの子よ。
「へぇ、あなた千歳って言うの?」
 澪の問掛けに目を丸くして驚く千歳。翌々見ると人
形の様に整った顔立ちをしている。澪は素直に可愛い
な、と思った。
216長いかも40:2008/06/02(月) 22:17:45 ID:6gCt4uMT
「何で、知ってるの? お姉ちゃん。私会った事無い…
よね?」
 少し警戒した様子で千歳は澪を見つめる。澪はしまっ
たと気付いたがもう遅かった。
 千歳の心が閉じて行くのが目に見えて分かる。
 ――ど、どうしよう? 八重さん。
 ――どうしよう、と言われても……私はこの子に嫌
われているから出る訳にはいかないし。
 ――え? そうなんだ……。
 何とかしようと頭の中で会話をする二人。だがそれ
は逆効果だった。千歳から見れば問掛けに無言で立ち
尽くしているのだ。無理は無いだろう。
「あの、お姉ちゃん? どうしたの?」
「ふぇ!? あ、ごめんね。えと、えっと……そう!
男の人に聞いたの! え〜樹月って言う人!」
 澪はこれしかない。と言う様にそう告げる。だが、
あまりに焦り過ぎて八重の「駄目!」と言う声に気付
かなかった。
「…樹月、お兄ちゃんに? 会ったんだ…」
 見た目とは掛け離れた声に澪も流石に気付く。今ま
での愛くるしい顔は何処へやら、見る見る険しい顔付
きになって行く。
「お兄ちゃんは蔵に閉じ込められたんだ! 会えるの
は村の人だけか……それかお姉ちゃん……ううん、お
前達だ! 八重!」
 千歳はそう言うと澪に跳び掛って来る。それをとっ
さにかわし射影機を構える澪。だがシャッターをきる
事が出来なかった。あの愛くるしい顔が脳裏にちらつく。
 ――澪さん?
「で、出来ないよ……。あの子は、本当は悪い子じゃ
ない気がする。何とか説得出来ないかな?」
 ――な! 気持ちは分かります。私は以前の千歳ちゃ
んを知ってるから……でも、今はもう障気に侵されて
以前の千歳ちゃんじゃ……。
「なら、戻しましょう! そうすれば……」
 ――無理です。今までの霊はどうでしたか? 消え
たでしょう? 澪さんが思っている様な希望は、此処
には無いんです……。
 八重の言う事は分かっていた。だが、今あえて突き
付けられて、澪は思い知らされたのだった……。希望
はない。と……。
217長いかも41:2008/06/04(水) 01:39:57 ID:OyLIW/xP
 澪が迷っている間にも千歳は立ち上がり再び跳び掛っ
て来ようとしている。
 戦いを避けたい澪は少しずつ後退する。だが千歳も
どんどんと距離を縮めて行く。既に外見での優劣の差
はなく、端から見れば肉食獣と草食獣。捕食する側と
される側の様であった。
「お願い……千歳ちゃん、正気に戻って!」
「うるさい! お前達何かかばったせいでお兄ちゃん
は……信じてたのに、私はおねえ……八重の事信じて
たんだよ!?」
 千歳の言葉に衝撃を受ける八重。澪は八重に主導権
を譲る。
 ――頑張ってね!
 澪からの激励に後押しされ、八重は大きく頷くと千
歳に歩み寄った。
「な、何のつもり? 私だってやっつけられるんだよ!
そ、それ以上近付いたら……ちか、近付くなぁ!」
 千歳が叫んだ直後辺りは闇に閉ざされた。目の前の
物ですらぼやけて見える程に濃い闇。だが……。
「大丈夫だよ。怖がらなくて良いから」
 八重は迷わず千歳を抱き締めた。見えてはいない筈
だったがその伸ばした腕に迷いはなかった。
「なん、で?」
「当たり前だよ。千歳の事なら何でも分かるよ?」
「あぅ? い、い今更そんな事言ったってし、信じな
い……んだ、から」
 否定の言葉……。だが、語尾はどんどんと小さくなっ
ていく。
 暗闇の中で千歳を抱き締める腕に力がこもる。
「あ、苦しいよ。やぇ……おね、ちゃん」
「ふふふ、やっとお姉ちゃんって呼んでくれたね」
「だって、色々教えてくれるって言ったのに逃げたっ
て聞いて……お兄ちゃんも居なくなって一人ぼっちで」
「……寂しかった?」
 千歳は小さく頷く。それを見て更に腕の力を込める。
 ――な、何か妖しい雰囲気何ですけど……仲良いん
ですね?
「え? そうですねぇ……まぁ、仲は良いですよ?
ね、千歳?」
「ふぇ? 何? どうしたのお姉ちゃ……ん!」
 ――……え?
 自分の体を通して見た光景に、澪は唖然とした。
218長いかも42:2008/06/04(水) 08:23:20 ID:OyLIW/xP
 ――ちょ……ちょっと八重さん!?
 目の前の光景に戸惑う澪。それはそうだろう、八重
が突然千歳にキスしだしたのだ。
「んふ……ぅん、ちゅ……ぁん、はぁっんむぅ」
 わざと音を立てるように舌を絡ませ口内に出し入れ
をする。千歳は苦しそうに逃げようとするのだが、す
かさず八重は背中に手を回し抱き寄せる。始めは身を
よじり抵抗していたが、次第にその抵抗は弱まって行
く……そして遂には千歳の方から首に腕を絡ませてきた。
 それを八重の視線で見ている澪はドキドキしっぱな
しだった。
 目の前にとろけた少女の顔がある。そしてそれは自
分がさせている様にも見えてとても背徳的だった。
「おね、ちゃあん……」
「あらあら、どうしたの? この程度で音を上げる何
て……久しぶりだから?」
「ご、ごめんなさぁい……お姉ちゃんのキス久しぶり
だったから、驚いちゃって」
「駄目じゃない。これじゃあお勉強し直しね? でも
……ふふふ」
「お姉ちゃん?」
「初めの頃の千歳を思い出してね。中々新鮮だわ」
 八重にそう言われて恥ずかしがりながらうつ向く千歳。
 ――て言うか八重さん!? あなたこんな小さな子
に何て事してるんですか!「だって、可愛いと思わない?」
 ――思わない? って、性格代わってますよ? もっ
と真面目な人かと……。
「可愛い物に目がないだけよ」
 まるで二重人格の様な性格の代わり振りに、軽い眩
暈を覚える澪。そして、ふと考えて繭もこんな感じだっ
たのかと思うと、眩暈は更に激しくなった。
「そんな風に言うけど、澪さんも直ぐに分かるわよ。
千歳の本当に可愛い所」
 八重はそう言うと突然千歳の膝の裏側を掴み転がす
様に持ち上げた。
 この格好を見て、桐生家での事を思い出した。澪も
させられた格好である。
「んやぁ! お、お姉ちゃん……こんな格好恥ずかし
いよぉ!」
 千歳の言う事はよく分かった。無防備で相手に自分
の恥ずかしい所を晒け出すのだ。知らない相手なら屈
辱感を、知っている相手ならば羞恥心を煽る姿だ。だ
 が……もう一つ気付いた事があった。それは……。
219長いかも43:2008/06/04(水) 21:17:59 ID:OyLIW/xP
「ねぇ澪さん。可愛いでしょう?」
 八重が魅せる世界に、澪は不思議な感覚を覚え始め
ていた。感じた事の無い感覚に戸惑う。しかし、それ
を素直に受け入れ始めもしていた。
「ほら、此処何てプニプニしてて……」
 未だ開ききっていない秘部を指でつついて見せる。
確かにマシュマロの様だった。
 ――柔らかい……気持ち良い感触。これが、女の子の?
 今までされる側だった澪にとって、それは正に未知
の領域だった。
 八重は更に行為を進める。両手で白く丸い臀部を掴
み左右の親指で千歳の淫唇を拡げた。中から現れたの
はイヤらしくひくつくピンク色をした膣口だった。
指一本でさえ入るか怪しい小さな穴がヒクヒクと動い
ている。それを見ていると、再びあの感覚が胸の奥に
沸々と沸き上がってくる。
「あぁ……恥ずかしいよぅ。お姉ちゃん、こんな格好
嫌だよぅ」
 涙を眼に溜めて千歳は懇願する。だが八重は聞かな
い振りをして膣口に口付けをする。軽く、小鳥がさえ
ずる様な音を立てながら、それを何度も何度も繰り返す。
千歳の体はそのさえずりに合わせる様にピクンピクン
と小さく跳ねた。
「はっあっんんっ! あっうぅん、くぅ! はぁ、や、
あぁ!」
 澪は千歳の反応全てが理解できた。快楽に耐える姿。
跳ねる体。押さえきれず出てしまう声……。素直にな
れば気持ち良くなれるのに……。そう思いながら澪は
千歳を見ていた。いつか自分がそうであった様に。
「こんなに体を跳ねさせて……いけない子ね」
「だ、だってぇ……お姉ちゃんが……ひゃあ!」
「わらひあろうひあっえ?」
「んんぅ! だめぇ! そんなままで喋らないでぇ!」
 八重は舌を千歳の淫肉に押し当てたまま喋り続ける。
喋る度に微妙に動く舌が千歳の淫核膣口全てを刺激する。
「あん、あぁ、あう! ぅやぁ! はぁん! あぁ、
らめなのぉ!」
 ――私も、してみたい。 澪はいつの間にかそんな事を口にしていた。
220ちょっと休憩:2008/06/04(水) 21:30:14 ID:OyLIW/xP
何か知らんがクソみたいに忙しく中々書き進められなくてスマソ
恐らくこれが最後の質問何だ
前の話での澪の行動で

1 欲望に流される
2 思い止まる

のどっちが良いか?
何だが……又忙しくて2、3日書けないから
ついでに聞いてみようかと……
まぁ、気が向いたらで良いんで
221:2008/06/05(木) 22:05:14 ID:AfsTw2B0
2かな
222名無しさん@ピンキー:2008/06/06(金) 08:07:15 ID:GdZT8rds
なら1で
223名無しさん@ピンキー:2008/06/06(金) 12:56:23 ID:7pZJ9O1y
3 俺たちの戦いはこれからだ! 〜完〜
224名無しさん@ピンキー:2008/06/06(金) 21:59:45 ID:KaVgaxhF
2がよいな
225名無しさん@ピンキー:2008/06/08(日) 01:10:58 ID:ZexVRyD6
おぉ! みんな思ったよりも良識的w
あ、回答ありがとう
実は多少のアレンジ掛けて終わらせて刺青に繋げるか
澪を壊れ気味にして完結させるか……悩んでたんだよね
あぁ勿論いきなり続きは書かないけどね。
ずいぶん長い間占拠した形になったし、他の神が降臨し辛くなってるだろうし

さてっ! 終わらせますか!
……出来るだけ早くw
226長いかも44:2008/06/10(火) 21:33:52 ID:0IGT3PVi
 ――違う。こんなの違うよ! 私、こんな事考えて
ない!
 泥沼に嵌った様な気持悪さを感じ、澪はふと我に返る。
 何かが食い違った世界。八重の豹変振りも気になった。
「何なの? 私は……」
「お姉ちゃん……止めないで」
「澪さんも……ね? してみたいんでしょう? ほら
素直になって?」
「違う……違う違う違う違う違う! こんなの違うの!」
 目を瞑り全てを否定する澪。
 ――こんなのは違う。嫌だ。助けて……お姉ちゃん!



 自分でも都合が良いと思った。否定して、逃げた相
手に助けを求めるなど……。ただ、本当に困った時は
いつも繭が助けてくれた。あの時から澪が居なければ
駄目な姉。周りからそう見られていた。だが、本当に
困った時……誰にも言えず一人で苦しんでいる時……
いつも繭が助けてくれた。
「もう……心配したんだから。大丈夫?」
 穏やかな声。次に澪が眼を開けた時、目の前には繭
が居た。
 ――あぁ、夢かな? これは馬鹿な私の都合の良い
夢……。
「……夢じゃないよ。私はここにいる」
 澪はまだはっきりしない意識の中、目の前の繭にそっ
と手を伸ばす。
 触れた指に感じる温かい温もり。それを確認して飛
び起きる澪。
「お、お姉ちゃん!? な、ななな何で!?」
 澪の慌て様にも繭は静かに
「帰り道捜してたらここに着いたの」
 と、一言。そのゆったりとした空気に脱力してしま
う澪。
「来た道も塞がってて、仕方ないから私も村に下りたの。
いろんな家に行ったけど誰もいなくて、途方に暮れて
たら蔵に人が居て」
 どうやら繭も樹月に会ったらしい。そこで同じ様に
鍵の事を聞き、歩いていたら紅い蝶がとある家に入っ
ていった。付いて行ったら紅い着物を着た少女が居て
鍵をくれた。らしい……。
「紅い着物を着た少女……千歳ちゃん」
「え? 澪知ってるの?」
「あ、うん……一応」
 意識を失う前の事を思い出す。しかし、何故こんな
所に居るのか分からなかった。
「でも、澪何で着物着てるの?」
 そう指摘され、どう説明しようか悩む澪だった。
227長いかも45:2008/06/11(水) 03:47:58 ID:bNeEAUfK
「えっと、実は私も鍵を捜してて……家捜ししてたら
服破れちゃったんだ。そしたら丁度着物が」
 流石に苦しいかと繭の様子を伺う。すると驚いた顔
をしたかと思ったら突然笑いだした。
「あはは、もう! 澪ってば……ふふ、駄目だよ勝手に」
 予想外にウケた様だ。澪も釣られて笑いながらまぁ
良いか、と思った。
「そう言えば、澪はどこからここに? この梯子上は
開かないし」
「あぁ、一方通行なんだよ。て、あれ? そっちは違
うの?」
「え? あぁ! うん。そうだよ。だからここに戻っ
て来る時大変だったよ」
 慌てる様な素振りを見せる繭。少し不思議に思いな
がらも、澪はあまり気にしなかった。幾つかの矛盾に
も気付かずに……。
「戻って来たって、何でこんな所に?」
「うんと……ほ、ほら! 鍵二つあるらしいから、私
見付けずに梯子降りたら戻れなくなっちゃって、でも
結局見付からずに又……そしたら澪が倒れてるんだもん、
びっくりしたよ」
 繭の言葉に苦笑いで反し辺りを見回す。桐生家から
逃げ出した時に通った地下道だ。そして……。
 澪はその時の事を思い出し背筋に冷たいものを感じた。
 ――あの、八重さん?
 八重に問掛けてみる。が返答はない。居なくなって
はいない事は何と無くだが分かった。ただ、反応がか
なり微弱だった。どうやらかなり弱っているらしい。
 ――どうして? まさかあの時の?
 ついあの時の二人を思い出し、顔を赤くする澪。咳
払いを一つして改めて考える。
 一つ、あれは夢か何かだったのか?
 二つ、あの時の逃走劇は何だったのか?
 最後に、何であんな事があったのに繭は至って普通
の反応なのか?
 どうも眼を覚ましてから記憶が混乱していた。
228長いかも46:2008/06/12(木) 07:56:00 ID:2At8tKqj
「ねぇ、お姉ちゃん……あの、わた……し」
 繭は何も言わずに抱き締め、まるで子供をあやす様
に背中をゆっくりと叩く。澪は許された気がした。
「澪……ごめんね。あんな事して」
「お姉ちゃん……もう気にしてないよ。それに、私の
方こそ謝らないと」
 手を離した繭はゆっくりと首を振る。
「気にしないで、私は澪と一緒に居れたらそれで良い
から……さぁ、ここから出よう?」
 ようやくの和解。二人は立花家へと向かうのだった。

 ――私達ハ、必ズ儀式ヲスル……ヒトツニナロウ?


 二度目の立花家。どうしても前回の事を思い出して
しまう。そして、やはり会い辛かった。別に澪が何か
した訳ではないが、あんな場面を目の前にしたのだ。
普通と言う訳には行かないだろう。
「でも澪が向こうの鍵を見付けてくれたお陰で、後は
ここから出るだけだね」
「あ、うん。早く出ないとね」
 何と無く顔を合わせ辛く思い、脱出と言う案に賛成
する。とは言え、やはり何処か気にはなっていた。と
そんな時だった。
「……あ」
「鈴の音?」
 二人で辺りを見回すが何処にも姿はなかった。鈴の
音は遠くから聞こえているのだから、当然と言えば当
然だろう。だが澪には居場所が何と無く分かった。
 ――あの子は今も床の下の小さなとこに隠れてるのかな。
 澪はそんな事を思う。
「ねぇお姉ちゃん。迎えに行ってあげない?」
「ダメっ!」
 澪の提案を大声で掻き消すように拒否をする。びっ
くりした妹の様子に繭はうつ向き視線を外した。そん
な姉の思いがけない反応につい「ごめん」と謝ってし
まう澪だった。
229長いかも47:2008/06/13(金) 22:34:27 ID:QhnFwD10
「さ、澪……出よう」
 笑顔で手を差し出してくる繭。澪は頷くとその手を
取った。
 二人は家の縁側へと向かう。崩れているが、辛うじ
て通り抜けられそうだ。繭を先にやり、澪はそれを手
助けする。悪戦苦闘しながらも何とか抜け、後は澪が
通るだけ。そんな時だった。
「お兄ちゃんを返せ!」
 澪の背後から聞き覚えのある声が聞こえてくる。恐
る恐る振り返るとそこにはあの千歳が居た。
「八重! お兄ちゃんを返せ!」
「千歳ちゃん。あのね、私……」
「澪! 早く!」
 背後から繭に、前からは千歳に挟まれる形で固まる澪。
どちらを優先させれば良いのか澪は悩む。本当なら繭
なのだが、あんな事をした――本当は八重だが……。
手前このまま逃げる様な事はしたくなかった。
「八重のせいで、八重をかばったせいでお兄ちゃんは
……おに、い」
 澪は改めて千歳を見て気付いた。千歳は震えている。
どんな理由かは分からないが千歳は震えていた。それ
に気付いた澪は千歳を放って置く事が出来なかった。
「千歳ちゃん!」
 澪は精一杯抱き締めた。気を抜くとすり抜けてしま
いそうになる。そうならない様にきつく抱き締めた。
「や……え、お姉……ふぇ……うわぁぁん! 怖かっ
たよぉ! 寂しかったよぉ! 皆居なくなって、私一
人ぼっちになって、どうして良いか分からなくて、ず
っとずっと……」
「うん、うん、頑張ったね、偉かったね。」
 泣き続ける千歳をあやす。
「私がいるから、ここを出よう?」
 澪の申し出に首を振る千歳。意外な答えに驚いた顔
をする。
「ダメなの。私、ここから出られないから……」
「そんな!」
「……お願い。逃げるならお兄ちゃんも連れてって」
 千歳はそう言うと足首に結んであった鈴付きの紐を
澪に手渡してきた。手に取ると先に鍵がついている。
「蔵の、鍵。少しでも悪かったと思ってるなら、これ
で……」
 黙って頷く。千歳はそれを見て照れながら小さくあ
りがとう。と呟いた。
「じゃあ、行くね」
 澪がそう言って後ろを向いた。その時だった。
「ソノ鍵ヲ渡シナサイ!」
 そこには繭の姿はなく。あの血濡れた着物を着た紗
重が立っていた……。
230長いかも48:2008/06/14(土) 03:46:50 ID:9sEjRXy5
「渡シナサイ!」
「だ……ダメ!」
 震えている小さな手を握る。渡さない。千歳にそう
無言で返す。とは言え、唯一の出口は紗重に塞がれて
いる。澪は射影機を構えるが紗重は写らない。焦る澪
……そんな時千歳が服を引っ張ってきた。前を警戒し
ながら千歳の方を向くと小声で「付いてきて」と呟く。
このままではどうしようもない。澪は千歳の案に乗った。
 千歳が先に走り出す。澪はそのあとに続いた。



「この部屋だよ。早く!」
 千歳に連れて来られたのは二階の千歳が隠れていた
場所だった。そこの近くにある扉に飛込む二人。妙に
入り組んでいる部屋を抜けると、小さな人形が乗った
台の目の前に着いた。見た事がある。桐生家で澪が逃
げる時茜が操作して居た物に酷似している。
 千歳はそれを操作し始める。すると人形が向かい合
うと同時に、脇に有った扉の鍵が開く音がする。
「早く逃げて……お兄ちゃんを、お願い」
「でも、千歳ちゃんは?」
「私は、出れないから」
 寂しそうな笑顔……。澪は胸が締め付けられ潰れそ
うになる。抱き締めてあげたい。そんな衝動に駆られる。
と、そんな時千歳の背後の扉が開いていくのが見えた。
千歳も気付いたのか、視線が扉に引き付けられている
澪を外へ突き飛ばした。渡り廊下の様な場所に出た澪。
閉まって行く扉の向こうに見えたのは、穏やかに笑う
千歳と怒りを顔に表した紗重だった……。



 ――お兄ちゃん……遅くなったけど、私鍵渡せたよ。
 胸の前で手を合わせ、まるで祈る様な姿勢で目を瞑
る千歳。
「ヤッテクレタワネ。折角アノ子二幻ヲ見セテ、アナ
タニ会イ辛イ様二シタト言ウノニ……裏目二出タワ。
サテト……悪イ子二ハオ仕置シナイトネ?」
 暗い笑いを浮かばせながら紗重は千歳を引き倒した。
「八重なら……ううん、あのお姉ちゃんならお兄ちゃ
んを助けてくれる。あなたを、紗重を倒してくれる!」
「口ノ減ラナイクソガキネ! イイワヨ、思イ知ラセ
テ上ゲル!」
231長いかも49:2008/06/14(土) 07:52:26 ID:9sEjRXy5
「千歳ちゃん! 千歳ちゃん! ……そんな、何で」
 うなだれる澪は少しの間扉の前を離れられなかった。
 仕方なかった。だが結果的に見捨てた形だ。澪は自
分を責めた……そんな時、手元で鈴の音が鳴る。
 ――お兄ちゃんを助けて。
 千歳の言葉が胸に刺さる。
 ――そうだ。こんな所で落ち込んで何て居られない!
 澪は決意し、そして足は動き出した。



「サテト……アノ子ハ行ッタミタイネ。ドウ? ソロ
ソロ声ヲ出シテモ良インジャナイ? アァ、ソレモ無
理ミタイネ」
そう言う紗重の足下には見るも無惨な姿で千歳が横た
わっていた。死んでいる訳ではない。
「はぁ……はぁ……うっ!」
 千歳に乗し掛る様に男が居る。その男が動く度に千
歳はうめき声を上げた。
「ホラ、モット動キナサイ! 昔カラアンタガコノ子
ヲ狙ッタノ知ッテルンダカラ。嬉シイデショウ?」
「へ、へい! そりゃもう、天にも昇る気分ですよ」
 男は醜く肥大したそれを千歳の膣内に埋め込んでいた。
 少女の体に合わぬ大きさの物に、千歳は小さく息を
吸い痛みに耐えるのみだった。
「フフフ、可愛イワヨ。ソノ顔ナンテ可愛イ過ギテ殺
シテ上ゲタクナッチャウモノ」
 そう言うと両手で千歳の顔に爪を立てる。白い頬に
は鮮やかな紅い線が走っていた。
「ネェ、苦シイ? 辛イ? ……私二服従シナサイ。
ソウスレバコノ苦痛カラ解キ放ッテ上ゲル」
 驚く程優しく、そして穏やかに囁く。だが、千歳は
必死に首を振る。それを見た直後紗重の形相は険しい
ものに変貌した。
「何デヨッ! 何デ分カラナイノカシラコノガキハ!」
 紗重は千歳の首を絞める。ミシミシと音がしてきそ
うな程その手には力が込められていた。
「かはっ! ぐっぁ……」
「うおぉぉ! し、締まるぅ!」
 男は急に増した快感に我を忘れて腰を振り出した。
 下腹部からは激痛が、更に首を絞められ苦しさに襲
われ、少女の意識でそれらを堪えるのは困難だった。
 ――私、死ぬのかな? 又……一人ぼっちで……で
もね、今度は千歳泣かなかったよ? お兄ちゃんを困
らせたくないから……だから、もう良いよね? お兄
ちゃん……」
232長いかも50:2008/06/14(土) 08:51:50 ID:9sEjRXy5
「ソウ簡単二楽二何テサセナイワヨ? コレカラタッ
プリ可愛イガッテアゲル……サァ、モウ良イワヨ。好
キニナサイ」
「へへへ、待ってました」
 男は両手で千歳の顔を押さえると、強引にキスをし
てきた。口の中に入ってくる舌に嫌悪感で一杯になる。
だが、先程からの苦痛に意識が薄れ抵抗など出来なかった。
良いように口内を蹂躙され、千歳は両手を投げ出して
いた。なすがままの千歳に気を良くした男の次の目標
は……膨らみ始めてもいない胸だった。興奮気味に目
を血走らせ男は小さな蕾にむしゃぶり付く。勿論快感
など無い。有るのは肌を舐められていると言う気持ち
悪さだった。
「んん! 美味い、美味いぞ」
 口の周りを男の涎だらけで天井を見つめる。その目
は虚ろだった。
「ぁ、ぅ……ん、ぁ」
 言葉に成らない声を上げながら、良いようにされる
少女……。本来ならば犯罪であるその光景は、人にも
因るだろうが何よりも淫美な物なのかもしれない。
「あぁ、最高だよ! 千歳……お前は俺の物だ!」
 狂った様に叫ぶ男。しかしそんな言葉にも反応は無い。
ただ揺さぶられ、千歳は人形の様に横たわっていた。
「……見ルニ堪エナイ。私ハ行クカラ、後ハ好キニ楽
シンデ」
 取り残された千歳。無反応だった千歳に、ある変化
が起き始めていた……。



「はぁはぁはぁ……つ、着いた!」
 あれから全速力で走り続け、ようやく蔵の前に着いた。
 荒い呼吸を整え、蔵の扉に掛けられた錠前を手に取る。
ズシリと重みを感じた。澪は慎重に鍵を差し込むとゆ
っくりと捻った。跳ね上がる錠前に一瞬驚きながらも
錠前を外す。重みのある扉を開いて行った。中は座敷
牢が広がっていた。鍵は掛っていない様だ。澪は息を
飲みゆっくりと座敷牢の扉を開く。中に一つの人影が
あった。
「八重……何で戻って来たんだ?」
 透き通った声。銀色の髪が月明かりに照らされ幻想
的な雰囲気に包まれている。
「さぁ、起きて」
233名無しさん@ピンキー:2008/06/17(火) 18:44:54 ID:m6JB1QKF
234長いかも51:2008/06/17(火) 22:37:12 ID:AAN8/ada
 ――八重さん起きて。多分私じゃダメなの
 必死に心の中に呼び掛ける。
 澪が自分の体の軽さに気付いたのは、立花家から走っ
て蔵まで来た時だった。魂が弱っていると言われたそ
の時辺りから体が重かった。体を動かすにも付いて来
なかった。疲れていると思い込んでいたが、今は理解
している。体の支配が稀薄だったのだ。と……。
 魂と体を繋ぐ何かが澪の中にあり、そして魂が弱る
事により体を支配する力も弱くなっていった。そして
今の状態から考えれば……。
 ――八重さんのお陰で、私の魂は……只でさえ弱っ
ていたのに、ごめんなさい。だから、今だけ……。
「……八重? 大丈夫かい? 八重」
「あれ……樹月、くん? 私……どうして」
「君が、蔵の鍵を開けて入ってきたかと思ったら突然
倒れたんだよ。でも驚いたよ……千歳、君の事をよく
思ってなかっただろう? 良く鍵を貰ったね」
「え? えぇ、大丈夫……大丈夫だったよ」
 そうか……と返して、二人の間に沈黙が走る。
 ――澪さん。何で私に体を?
 明け渡された体に戸惑う八重。更に暗く静まり返っ
た部屋に二人きり。今まで意識していなかった分、余
計に緊張してしまう。
「八重……あの、僕……」
「え? 何かい……きゃあ!」
 突然目まぐるしく世界が動く。気付けば見えるのは
天井と樹月だけだった。横を向くと両手はしっかりと
押さえられていた。再び正面を向く。少し緊張した面
持ちの樹月が真剣な眼差しを八重に向けてきていた。
「あの、樹月……君?」
 何処かで見た様な光景とシチュエーション。生前、
何処かで……。
「あの、突然ごめん。ただどうしても伝えたかったん
だ。好きだって……こんな時に言う事じゃ無いのは分
かってるんだ。でも、今を逃したらもう会えない気が
して……」
「あの、分かったから離して貰えると……」
「八重の……八重の気持ちを聞かせてくれ!」
「私は……」
 そこで八重は生前の記憶を思い出した。夫と娘が居
た事を……。
235長いかも52:2008/06/18(水) 09:51:54 ID:WYXnYBhk
「ごめんなさい。私……」
 記憶の無い別人格と言っても良い時とは言え、確か
に夫を、娘を愛したのは事実だ。その思いも覚えている。
だからこそ、八重は樹月の想いを受け入れる訳には、
資格が無いと思った。だが……。
「そんなに、あいつが良いのか! 確かにあいつは学
者を目指す様な奴さ、正直凄いと思う……けど、僕だ
って君の事を!」
「え……い、いやぁ!」
 樹月は八重の着物を乱暴に脱がす。多少抵抗するが
力の差か無惨にも八重の肌は露出して行く。結局抵抗
虚しく帯紐だけ残し完全に着物ははだけてしまった。
「綺麗だよ、八重……」
「ぃ、やぁ……」
 体を隠したくても、再び手を押さえられていた為全
てを晒していた。実際は澪の体だが自分が見られてい
る事に変わりはない。恥ずかしさで死にそうだった。
「八重……好きだ。八重、八重」
「やぁ……いやんむぅ! んん! んんぅう!」
 泣きながら嫌がる八重の口を強引なキスで塞ぐ。抵
抗しようと舌を使うが全くの逆効果だった。まるで自
分から絡めに行く形になる。
「むぅ、ぁ……らめぇ! ぁん……ちゅ、んん」
 首を振って逃げてもすぐに捕まってしまう。あまり
の荒々しさに息も苦しくなってくる。酸素が足りない
のか、頭がボーッとしてきた。
「八重……八重……」
 熱にうなされた様に繰り返す樹月。八重もいつしか
体に力が入らなくなっていく。それが、その理由も分
からないまま……。
236長いかも53:2008/06/18(水) 22:43:43 ID:WYXnYBhk
 抵抗の弱まった八重の口から挿し込んでいた舌を抜く。
二人の唾液が絡み粘り気のある音が聞こえてきそうだ。
 ようやく呼吸困難から解放された八重は胸を上下さ
せ荒い呼吸を繰り返す。樹月の視線はその胸へと注が
れていた。
「はぁ……はぁ……はぁ……あっ!」
 突然胸に走る刺激にビクッと肩を震わせる。視線を
下ろすと樹月が八重の乳房を揉んでいた。白く柔らか
そうな双丘がイヤらしく形を変える。そして形を変え
る度に八重の体に電流が走った。久しく遠ざかってい
た感覚に八重は戸惑ってしまう。昔にあった蜜月……
思い出してしまったが故の快楽の解放は八重をどんど
んと追い詰めていく。
「ん……は……はぁ! んん! やぁ」
「柔らかくて……気持ち良いよ」
 樹月は恍惚とした表情をして八重の乳房を揉みしだ
いていた。
 指が乳首をかすめる度に一際強い電流が八重思考を
焼いていく。体に走る痺れに翻弄されながら、八重は
樹月を見つめる。確かに強引だ。しかし、樹月の瞳の
奥には八重に対する愛情が見えた。何かされる度に快
楽だけではない何かを八重は感じていた。
「あん! はぁ……樹月君、どうして? んぅ! ど
うしてこんな……」
「ずっと、ずっと好きだった。睦月も僕も君の事を…
…ただ、儀式の存在を知った時僕は身を退く事を決め
たんだ……短い間でも幸せになって貰おうと、なのに
君は因りによってアイツを選んだ。僕は、諦めきれな
かったんだよ! 君が好きなんだ……八重」
「樹月君……それは違うよ。村に来た彼を、村の外を
知っていた彼に興味を惹かれたのは確かよ? けどそ
れは好きとは違う。私が好きだったのは樹月君……だ
けだから」
「え……? 嘘だ、でも……」
「嘘じゃないよ。だって樹月君約束してくれたじゃな
い。大きくなったら結婚しようって」
「や、え……」
237長いかも54:2008/06/20(金) 22:23:54 ID:Oxf0K56G
「八重……覚えて?」
 静かに頷く八重。だが、未だに記憶の混在が八重の
思考を混乱させていた。このままで良いのか? そん
な事を思う。生前の八重が愛した者と昔の、今の八重
が愛している相手は違うのだ。当然と言えば当然である。
「八重……」
 樹月は八重の体を愛しそうに触れる。くすぐったさ
と快感をない混ぜにした感覚が八重を高ぶらせていく。
「ふ……んっ! あぁ、ぁん」
「気持ち良いの? 八重」
 耳元で囁かれ背筋がゾクゾクと震える。それに気付
いた樹月は耳を重点的に攻め始めた。
「ひゃあ! はっ! ふぅん……ぅん、あぁ! ダメ
耳は……あん! ダメェ!」
 嫌がる素振りを見せる八重の顔を耳元で抑え、樹月
は舌を耳に挿しこんだ。その途端八重の体が跳ねる。
耳に加わる刺激と、塞ぎたくても塞げない耳に直接響
く水音。これがイヤらしさを倍増させる。
「だめぇ……そんな、いやらしくぅ、舐めちゃだめぇ
……ふぁん!」
 左手と口で耳を責めながら残った右手で胸を愛撫する。
下腹部が熱を持ち遂には体の中で破裂する。その瞬間
八重の視界は白く弾けた。
「んぁ……ああぁぁぁ! あ、あぁ。……ふっあぁ、
はぁ、はぁ」
 腹の奥から痙攣する八重。体の中心から指先まで余
韻に浸る。
 ――すごい……あの人と、良蔵さんとじゃこんなの
なった事無い……。
 初めて絶頂を迎えて正に茫然自失となっていた。
 ――ごめんなさいあなた……私このままじゃあなた
以外の人と……でも、もう拒めない。
 生前の記憶……妻としての八重は不義理をした事へ
の罪悪感で一杯になっていた。
「嬉しいよ八重。感じてくれたんだね僕で……」
「……ごめん……さい、良蔵……さん」
「なっ! 何で、何で今宗方の事を……僕の事を、好
きって言ったじゃないかぁ!」
 本来の人格である八重は絶頂を迎えた事で意思が弱
まってしまった。今表に出ているのは生前の記憶の方
だった……。
238長いかも55:2008/06/24(火) 07:43:56 ID:oflr38N5
「やめて、下さい。私には夫も娘もいるんです……お
願いします」
 泣きながら懇願してくる八重に樹月は混乱していた。
 夫に娘……何かの冗談としか思えなかった。
「八重……君は、八重だろう?」
「そうです。私は宗方八重……でも、私は貴方なんて
しりません!」
「むな……かた? 嘘だ。君が……君は黒澤八重だろう!?」
「きゃあ! や、違います! 私は黒澤何かじゃ……
あん!」
 認めたくなかった。聞きたくなかった。樹月は再び
八重を組み敷くと、荒々しく八重の体をまさぐる。

形の良い乳房が歪み、淫唇を掻き分け腟内に抵抗も無
く滑り込む人指し指と中指。そして出し入れをする度
に親指が淫核を擦り上げる。
 八重は同時に受ける快楽の波に翻弄され、体を大き
く痙攣させる。
「んくぅ! ぅう、嫌なのにぃ……あぁ! 何で、私
こんなぁ……はぁん!」
 感じている様子の八重を見て、樹月は自然と笑みを
浮かべていた。好きな異性を征服する喜び、それを感
じていたからだ。
「どうしたんだい? 八重。あいつに操を立てたんだ
ろう? なのにそんなに感じている何て……。まさか
君がそんなにイヤらしいとはね」
 耳元で嘲り罵る。八重は否定しようとしている様子
だが、樹月と目が合うと悔しそうに視線をそらした。
その時樹月は確信した。自分の方が優位に立ったと言
う事を……。
239長いかも56:2008/06/25(水) 02:34:35 ID:1hlk3zGj
「ほら、聞こえるかい八重? 君のココからこんなに
音が聞こえてくる」
 樹月は腟内の浅い部分をわざと音を立てる様に掻き回す。
送り込まれてくる音と快感に身をよじりささやかな抵抗
を試みる。だが直ぐに樹月に抑えられ再び快楽を送り込
まれる。
 八重は既に何度か達していた。が態度にだけは出さず
必死に堪えていた。が……。
「八重……この白いのはなんだい?」
 樹月は右手を八重に見せる。その手には白くねばつく
液体が付いていた。それを見た直後八重は顔を真っ赤に
した。
 達していた事は隠せていた。そう思っていた。だが、
樹月が誇らしげに見せているそれはそんな努力を嘲笑う
かの様な物だった。そして樹月はそれをゆっくりと舐め
とって行く。
「や……やめて!」
「どうしたんだい八重……別に恥ずかしがる事は無いさ。
これはごく自然な事さ」
 樹月はそう言うと八重の胸の尖端を指先で擦る様にゆっ
くりと触れる。じれったい感覚が染み込む様に八重の脳
を犯して行く。
「は……ぁ……ふぅ」
 くすぐられる様な感覚。大きな声を耐えるのではなく
出せない。それは想像以上に八重の理性を蝕んで行った。
「ぅ……んっ……はぁ、はぁ……だめ、だ、めぇ」
 今まで受けていた強い快感とのギャップ。しかもあれ
から下の方へは触れられていない。痒い所を掻いて貰っ
ている時、丁度痒い部分だけ外している様なじれったさ
を今八重は感じていた。
 ――そこじゃない……。
 そう思う度に駄目だと自分を戒める。だが、ひたすら
じらされて行く内、八重は再び堕ちかける。快楽に流さ
れてしまいたい。そんな事を思い始める様になっていた。
「何でだろうね? コッチはイジって無いんだけどね。
こんなに濡れてる……それに呼吸してるみたいにパクパ
ク動いてるよ?」
「あぁ……いやぁ、もぅいやぁ……こんなに辱めを受け
るなら死んだ方がましです」
「そう……死ぬ気なら君はもう何も考えなくて良いよ。
これからは君は僕の人形になるんだ……」
240名無しさん@ピンキー:2008/07/04(金) 00:05:35 ID:4kHn9oHR
こんな間あくと心配でつ

続き楽しみに待ってるよ
241長いかもの人:2008/07/04(金) 19:52:07 ID:LIEpIYKd
すまんかった。
携帯洗濯してアボンしてたorz
俺のデータがァ……!
242:2008/07/09(水) 20:08:00 ID:ctHfHbuW
あげ
243名無しさん@ピンキー:2008/07/14(月) 09:32:01 ID:v49OIFCq
>>長い人
洗濯その後大丈夫ですか

続きマダー?
244長いかも57:2008/07/15(火) 02:39:28 ID:R2IIUIQ3
 樹月はゆっくりと八重に覆い被さる。八重は樹月の言葉に
戸惑い抵抗出来ないでいた。
 怯えた表情をした八重の顔を両手で掴む。
「い、いや……」
 かすれた声で呟くがそれを気に止めた様子もなく、樹月は
八重の唇を塞いだ。本来ならば抵抗の一つもするのだろうが
ゆっくりと落ち着いた動作の為に、何故か抵抗して良いのか
考えてしまった。
「んん、はむぅ……んぅ」
 気持ちを確かめ合う様なゆっくりとしたキス。始めの頃の
貪る様であった強引な物では無いソレに、八重の戸惑いは大
きくなって行くばかりだった。
 ――確かに私はこの村の近くで目を覚ました。その頃には
記憶も無くなっていた。私はこの村に居たの? ここに居て
本当にこの人と?
 そんな事を考えて居ると樹月はそっと唇を離した。静かに
見つめ合う二人。先に口を開いたのは樹月だった。
「……八重。余計な事は考えないで。僕に意識をむけて」
「私は、貴方に……」
「もう、良いんだ。君が宗方を好きなら仕方がない。でも、
今だけで良いんだ。今だけは僕の物で居てくれ。無理矢理は
虚しいだけだから……」
「貴方は……うっ!!」
 突然頭を抑えうめく八重。樹月は心配そうに八重を抱き寄
せる。
「八重! 大丈夫かい?」
「……うん。ごめんね樹月君違う私のせいで困らせちゃった
ねぇ」
「え……八重? 君は……」
 八重は小さく頷くと樹月に説明した。その間樹月は目を白
黒させていたが、最後には信じた様子だ。
「そうか、大償いでこの村は……僕の、せいかな? でも、
二人には……君には生きて欲しかった。後悔ばかりな人生だ
けど、こんな事になってしまったけど、僕は君に普通に生き
て欲しかった!」
「樹月君……」
 力強く抱き締めて来る樹月の腕は震えていた。八重はその
腕へ愛しそうに手を添える。
「ありがとう……でも樹月君のせいじゃないよ。儀式から逃
げたのは私……紗重を置いて逃げたのも私」
「でも……いや、そうだな。じゃあ僕達は似たもの同士だ」
 罪悪感を受け入れて切なく笑う樹月。八重は樹月を強く抱
き締めると耳元で囁いた。
「遅くなったけど昔の約束……する?」
 八重にそう言われた樹月の顔は、きっと誰が見ても笑って
しまう様な顔だった。
245長いかも58:2008/07/15(火) 09:05:50 ID:R2IIUIQ3
「や、八重? い、いきなり何を言って」
「……しないの? したくないなら良いけど」
「し、したくない訳無い! けど……良いのかい?」
「あんな事しておいて、今更気にするの?」
 八重は首を傾げながら樹月を見つめる。その何気無い仕草
と表情に樹月はクラッと来た。
「八重!」
 気が付いていたら無意識の内に押し倒していた。口をパク
パクとさせながら樹月は固まっていた。そして一言……ごめ
んと呟いた。その申し訳無さそうな表情に八重は優しく微笑
み掛け、樹月を子供の様に優しく抱き締めた。
「大丈夫だから、樹月君のしたい様にして? まぁ、乱暴な
のよりは優しい方が良いけど」
 今度は悪戯する子供の様な表情を見せる。そんなコロコロ
変わる表情を見て、樹月はおかしくて笑ってしまう。
そしてそのお陰かいつの間にか緊張は解けていた。
 ――そうだ、焦る必要なんて無い。僕は八重が好き何だ。
そして八重も受け入れてくれた。チャンスをくれたんだ。も
う一度初めから伝えよう。この気持ちを……。
 樹月は一言好きだ。と呟くと八重にキスをする。先程と同
じゆっくりとした落ち着いたキスを……ただ先程と違うのは
心が篭っていた。いたわり、慈しみ……相手を思う全てが込
められていた。
「う、ん……む、はぁんぅ……ちゅ、んふ」
 そしてそれは次第に激しさを増す。だが、ただ荒くなって
いるのでは無い。八重の様子を見て、強弱をつけていた。
 激しい時には唾液が混じり合い舌が絡む度にイヤらしい音
が辺りに響いていた。
 粘り気のある唾液が絡んだ舌が八重の口から抜かれる。
「もう……激しすぎ。でも、伝わってきたよ? 樹月君の気
持ち……」
「うん……」
「ふふ……嬉しかったよ」
「……うん」
「もう、うんだけ?」
「うん……あ、いや! 何かボーッとしちゃって、気持ちが
篭るとこんなに違うんだね」
「そうだね……気持ちが篭っていた方が、気持ち良いよね」
「うん……あ」
「ふふふ……続き、しよう?」
246長いかも59:2008/07/15(火) 21:53:40 ID:R2IIUIQ3
 改めて樹月は八重の全身を見る。成熟していない中にもそ
の体は確かに女を秘めていた。
 そっと胸に手を添える。張りのある感触。だが、それ以上
に手の中で柔らかく形を変える。樹月は荒くならない様気を
使いながらその不思議な感触を楽しむ様に揉みしだいた。
遊ぶかの様な樹月の愛撫だったが、八重はそれにも敏感に反
応している様で指を噛みながら声を殺していた。樹月はそれ
を見ながら、今度は舌を乳房に這わせた。ゆっくりと……。
まるでナメクジの様にゆっくりと舐めていく。微弱だが絶え
ず感じる胸への刺激に八重の声も次第に漏れ始めていた。
「んん……ふぅ……ぁあ、はぁ」
 舌は乳房を上っていき、そして乳首に触れる直前にその動
きを止めた。そのまま乳輪の縁に沿う様に回り出す。焦れっ
たさに上半身が自然と動くが樹月は上手く動きに合わせる為
八重の焦れったさは次第に募っていく。
「は……んぅ! いつ、き君……もぅ、して」
「……何をだい?」
「うぅ……もぅ! 意地悪ね! ……その、ち、ちく」
「ん? どこ?」
「うぅ〜! 先っぽ! もう良いでしょ? これ以上意地悪
するなら止めるんだから!」
 目に涙を溜めながら樹月を睨みつける八重。その様子に樹
月は八重を抱き締める。
「ごめんね。八重が堪らなく可愛いくて……」
「なっ! ……うぅ、もぅ! 良いよ。許して上げる」
 樹月は笑いながらありがとうと言うと再び胸への愛撫を開
始する。
 左手で胸を揉みながら舌を乳首に押し当てるとグルリと周
りを舐め回す。待ちこがれた刺激に八重の体は大きく跳ねた。
「んん〜っ! はぁん……んぁ! ふぁ、ひゃん!」
 樹月が舌を動かす度に八重は鳴き踊る。無理矢理ではない
自分の手で奏でている楽器の音色に、樹月は酔いしれていた。
247名無しさん@ピンキー:2008/07/16(水) 20:52:08 ID:e90MGpXo
お帰りなさい!!長い人!!
待ってました!!
248名無しさん@ピンキー