【総合】新ジャンルでエロパロpart4【混沌】

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1名無しさん@ピンキー
「クトゥルー」「見てるだけ」「ツ・ンデレ」「あまかみ 」
などの世間一般的ではない新ジャンルの総合・混沌的なエロSSスレです
大元の新ジャンルスレでは投下したいけど出来ない、そんなエロSSカモン
勿論、今までにないさっき自分で思いついたキャラやシチュでも構いません

大元の新ジャンルスレが現在進行形であるなら、向こうで宣伝するなどの迷惑をかけないように
基本的にどんな新ジャンルでもおk
嫌いな新ジャンル・シチュはスルーなどしての大人な態度で
職人さんは随時募集中。迷うより投下
保管庫への収録の協力者も募集中です


新ジャンルでエロパロ@ウィキ(まとめサイト)
ttp://www37.atwiki.jp/wixi/pages/1.html

「新ジャンルまとめ@wiki」(参考サイト)
ttp://www12.atwiki.jp/new-genre/pages/1.html


過去ログ
【総合】新ジャンルでエロパロpart3【混沌】
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1190506464/
【総合】新ジャンルでエロパロpart2【混沌】
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1185291735/
【総合】新ジャンルでエロパロ【混沌】
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1157732209/
2特別な君と、平凡な日々を(1/14):2007/11/29(木) 07:37:44 ID:lgtDLFtC

「午後六時、化学室で待つ…て言われてもなぁ……」

あれはまだ夏が続くといってもいいほどの猛暑が続いていた夏休み明けのこと。
口ではぶつくさ言いながらもしっかりと文化祭で行う演劇の雑用でこき使われていた夏樹は、
クラスメイトに呼び出されて人気のない化学室の扉を開けていた。

「なんなんだ……?」

暗い。

夕日がわずかに差し込むだけのこの特別教室は、確かに鍵は開いていたものの中に誰もおらず、
しかも電気も点いていなかった。
ただ、そこにはがらんとした空間だけが広がっている。

「三田嵐、いないのか」

響く声にも返事はない。
呼び出したのは向こうなのだから、てっきり既に待ち構えているものだと思っていた夏樹は少し拍子抜けした。
………拍子抜けには、ちょっとだけ、安堵も入っているというのが正直なところだろう。

三田嵐 庵(みたらし いおり)は学園でも有名な変人だ。
背が低く、かなりの美人であるにもかかわらず、誰にも感心を持たないその姿勢は当初こそ何かと構われていたが、
やがてそれが出来合いのポーズではなく地のものらしいということにみんな気付き始め、
距離を取ってあまり関わらないようになっていた。
同じ小学校・中学校出身のヤツの話では彼女はずっとそうだったそうで、友達らしい友達もいないのだとか。
何やら本ばっかり読んでる謎の女の子、というのが夏樹の印象である。
ただ、いつも涼しげなその目つきは少し気に入っていたけど。

だって、少し恰好いいじゃないか。

夏樹のような平々凡々の普通人からすれば、
ああいう少し浮いている―――あるいは沈んでいる?人間はミステリアスに映るものである。

「……いない、みたいだけど………鍵開いてたよな………」

化学室に限らず、音楽室やパソコン室―――いわゆる特別教室は
授業以外ではしっかりと施錠するのが決まりになっている。
特にここは重要な実験器具が保管してあり、
すぐ隣は危険な薬品も陳列している化学実験室なのだから戸締りもより厳重な筈。
その扉が開いていたということは、三田嵐は既にここに来ているということだが―――。
………トイレかな?
3特別な君と、平凡な日々を(2/14):2007/11/29(木) 07:38:35 ID:lgtDLFtC
「……仕方ない。待つか」

このまま帰ってしまうなんて頭の端にも掠めない辺り、夏樹はお人よしである。
それにすっぽかした場合あの三田嵐に何されるかわかったもんじゃないし。
基本的に夏樹は頼まれればNOと言えない日本人、典型的なテキツクラナイ主義なのである。

とにかく暗いので、手探りで蛍光灯のスイッチを入れようとして、

「きてくれて、ありがと」

そこにいた白く小さい影に仰天して思わず大声を出しそうになった。
あまりにもじっと動かないのでヒトだと思わなかったのだが、
ああ、教卓上の明かりに照らされたその姿は―――。

「み、三田嵐。いたのか」
「うん」

コクンと頷く小さな女の子。
いつもの涼しげな眼で夏樹をじっと見つめる彼女は、間違いなく件の変人・三田嵐 庵である。
影が白かったのは白衣を着ていたからだ。
学校指定の地味なセーラー服の上に翻る白衣は、なんだかこの小さな少女に恐ろしく似合っていた。
まさにその姿、若くして数々の論文を発表し世界に注目される天才美少女のよう。

「――――――で、で?一体何の用?」

馬鹿な妄想をブンブンと振り払い、どもりながらも夏樹は訊ねる。
三田嵐は手に持っていた試験管を掲げた。
そこにはこれまた怪しげな、透き通った桃色の液体が入っている。

………。
……いまいち、意図が掴めない。

「あの、それが何か」
「―――――――――ン」

三田嵐は試験管をくいっとあおると、

―――夏樹に、唇を、重ねた。
4特別な君と、平凡な日々を(3/14):2007/11/29(木) 07:39:55 ID:lgtDLFtC


加賀美 夏樹(かがみ なつき)と三田嵐 庵はいわゆるひとつの恋人同士というヤツである。
付き合い始めて早いもので三ヶ月近くなろうか。お互い異性と交際するのはまったく初めての経験なので、
イロイロ手探りながらもバラ色の学園生活を送っていた。
………いや、バラ色かどうかは微妙だが。
なんせ彼女であるところの三田嵐 庵は校内でも有名な変人であるからして。

身長140ほどのチビ助である彼女は、その実天才的な頭脳の持ち主だ。
なんでも実家が江戸時代から続く科学者の家計らしく、
彼女の部屋に通された時そのあまりに女の子らしくない装いに仰天したものである。
……いや仰天はしなかったか。だいたい予想通りだったし。
同世代の友達は一人もいないらしく(彼女曰く、夏樹は友達ではなく彼氏らしいので)、
小学生の頃からずっと休み時間は小難しい論文や新書を読んで過ごしてきたとか。
そういう周りから外れた人間は―――特に子供だと―――なにかと、ちょっかいを出されやすくなるものだが、
彼女の場合異様すぎてイジメの対象にすらならなかったというから筋金入りの偏屈者である。

だからこそ夏樹は彼女に惹かれているのだろうし、
庵も夏樹が無味無臭の凡人だから好きになったのかも知れないと分析している。
………夏樹はコクコク頷く庵に悟られないよう、そっと涙を拭いたものだ。

「いい天気だなぁ」
「ん」

空は青く青くどこまでも澄み渡り、冬に相応しく突き抜けるように高かった。
時は12時50分。昼ご飯である幕の内庵スペシャルも食べ終わり、
誰もいない屋上でまったりと過ごしているひと時だ。
ちなみに誰もいないのには訳がある。

「……しかし、いいのかなぁ。立ち入り禁止だろ、屋上」
「禁止だね」
「なんでその鍵を庵が当然のように持ってるのかスゲー謎」
「二人きりがいいから」

……ということらしい。

「でも、寒くない?」

暖冬とはいえ、冬だ。
日差しは暖かくても吹く風はピュウと冷たい。
寒がりな彼女には堪えるはずだが。

「平気だよ」
5特別な君と、平凡な日々を(4/14):2007/11/29(木) 07:40:44 ID:lgtDLFtC
夏樹の足の間にすっぽりと収まってピッタリと身体をくっつけていた。
なるほど、これなら確かに二人の体温が伝わって温かい。
それに周りに他の人間がいる場所では、警戒心の強い彼女はここまでベタベタに甘えてこないだろう。

「………」
「…」

それっきり、会話は途切れてしまった。
別に重苦しいものじゃない。
もとより夏樹は自ら進んでお喋りができるタチじゃないし、庵に至っては木や石と同じくらい無口な女の子だ。
このような沈黙はごく自然なものだった。
はじめは息苦しく感じていた夏樹だが、今ではこの静けさが結構気に入っている。
こうやって自然に佇んでいられる相手は今までいなかったし、多分、これからもそう出会えるものじゃないだろう。

「庵」
「ん?」

顔を上げた庵に、夏樹はそっと唇を重ねた。



「――――――――――!!!!?」

夏樹は目をぱちぱちと瞬かせ、そして驚愕に見開き、さらにボン、と音が出る勢いで真っ赤になった。
な、な、な。
なななななななな、
なにをーーーーーーーー!!!?

しかもそれだけではない。
三田嵐の口から温かいものが流れ込み、夏樹の喉へ流されていく。
ひどく鼻に掛かる甘さのそれを思わず飲み下し―――そこで、やっと三田嵐は唇を離した。

夏樹に流し込まれた液体は試験管の中身のもの。
隙だらけの夏樹の頭をホールドし、爪先立ちになっての一瞬の出来事であった。

それでも……夏樹にとってはファーストキスである。

「なななな、なにするんだよ!!?」
6特別な君と、平凡な日々を(5/14):2007/11/29(木) 07:41:36 ID:lgtDLFtC

慌てて三田嵐と距離をとる。
三田嵐の方はというと、何やら唇をしきりに触っている。
そしていつもの涼しげな顔で、

「キス」

とか言うのだった。
あまりにもあんまりな言葉に、夏樹は絶句するしかない。

「………キス、て」
「必要なことだから」

さっぱりわかりません。
しかし三田嵐の方は何かわかっているようで、てこてこと夏樹に接近する。
逃げたかったが、後ずさった拍子に椅子につまずいて盛大にスッ転んだ。

「大丈夫?」

三田嵐は心配なのか言ってるだけなのか判り辛い半目のポーカーフェイスで夏樹の顔を覗き込み、
―――そのまま、完全に夏樹に覆いかぶさってしまっていた。
丁度ひっくりかえっている夏樹のお腹の上に乗っかっている恰好である。
ええと、これなんてお父さんを起こす日曜日の娘?

ではなく。

「え、ちょ、みた、三田嵐!?」

わたわたと無意味に空をかき混ぜる手を取って、またキスをされた。
一回だけではない。何度も何度も、重ねては離し、離しては重ねると繰り返す。
まるで子猫が、ミルクをぺろぺろと舐めるかのように。
ピッタリとくっついたその身体は幼い体型ながらも柔らかで、火傷しそうなくらいの熱を持っていた。
どくどくと鼓動が伝わる。
いや、これは自分の心臓の音か。
突然起きた事態にもう頭がパンク寸前である。

「三田嵐!!」

肩を掴んで、なんとか彼女を引き離すことに成功した。
間に合った。
あのままキスをされ続けていたなら、夏樹は酸素が足りず目を回していただろう。
7特別な君と、平凡な日々を(6/14):2007/11/29(木) 07:42:27 ID:lgtDLFtC

「いきなり、なんだよ!?」

とりあえずはそこである。
三田嵐が夏樹にした行為―――は、キスに間違いない。多分。
キスというと、恋人同士が愛情を確かめ合ったりすることだ。外国じゃ挨拶にもなっているらしいけど
流石に唇にダイレクトアタックはしないだろう。
で、なんで三田嵐は夏樹を呼び出してキスなんぞブチかましたのか。
三田嵐は夏樹の恋人ではない。
いくら三田嵐だって、ただのクラスメイトにこんなことはしない……と、思う。
なら、何故?

「せっくすするから」

――――――夏樹の思考回路は完全に凍結した。



「せっくす、する?」

長い長い口付けを終え、二人がやっと唇を離すと、唾液が銀の糸となってつぅっと橋を作った。
庵はぺろりと唇を舐め、夏樹の下腹部に指を這わせる。
柔らかく撫で上げた夏樹の男性は、スラックスを突き破らんばかりに大きく固くなっていた。

「だって、お前すごく柔らかくていい匂い」
「そうかな?」

くんくんと鼻を鳴らす庵。それから、柔らかく微笑んだ。

「なーくんの匂いがする」

普段はすましているので、庵が笑うとそれはとても可愛い。
夏樹が、思わず抱きしめてしまうほどに。
庵が屋上にあがると言い出した時はまたこのコは妙なことを言い出したなぁと思ったものだが、
こうやって可愛い庵を見られるのなら何度でも喜んで屋上のドアを蹴破ろう。いや合鍵あるけど。

「でも、流石に脱いだら寒くないか?」
「下だけ脱げば大丈夫」

などと言いながら立ち上がり、するすると下着を脱いでいく。
今日の庵のショーツは女の子らしい、水色と白のボーダー柄である。
夏樹と付き合う前はそれこそ味も素っ気も色気もない、デパートでまとめて千円、
てなものだったが今はこうやって可愛いものをと気にしているようだ。
周りの人間なんてみんなじゃがいも、という知り合う以前から比べたら大した進歩である。
8特別な君と、平凡な日々を(7/14):2007/11/29(木) 07:43:22 ID:lgtDLFtC

「むー」

そう口にしたら、ちょっとだけ睨まれた。
他人から見ればガン付け以外の何物でもないこれも、今の夏樹にはわかる。
これは別に怒っているわけじゃない。照れているのだ。
だがにやにやしているのを見られるとますます庵は剥れてしまうだろう。
夏樹は口元がむずむずしているのを、目の前にある庵の下腹部に顔を埋めることによって隠した。
勿論そのままじっとはしていない。
鼻先を擦り付けるようにして頬ずりし、スカートを少し下ろしてお腹に唇をつける。

「あ」

そのままショーツのゴム跡に舌を這わせ、そのちいさな臍の下にちゅ、ちゅうっと吸い付いた。
唇を離すと、そこには赤くポッチが残っている。
庵の白いお腹に残るそれは、彼女が夏樹のモノであることの証明だ。
彼女がもぞもぞとくすぐったそうにしているのが可笑しくなって、
何度も何度もキスをしてそのマークを刻み付けた。
さてキスの位置を性器まで下げようとして、ふと思いつく。

「なあ庵、スカート持ってて」

庵は頬を染めながら、とろんとした目を瞬かせた。
よくわかってないらしい。

「脱いだ方がしやすい」
「いやそりゃそうだけども。いいから」

庵は小首を傾げたが、素直にスカートの裾を摘んで持ち上げる。
おお、これぞたくし上げ。
愛撫を受ける女の子が自らその身をさらし、下半身を露出させることによって
男の子におねだりするという無敵の型である。

「………?」

庵はまだよくわかってないようだが。

(まあ、庵はいつもそうだったよな……)

既に有名大学の教授に目をつけられているという程の優れた頭脳を持ちながら、
庵の世間とのズレっぷりは半端じゃないものがある。
特に自分の魅力の見せ方や年頃の女の子が男に甘えるときどうすればいいのか、
ということについては完全に守備範囲から外れていたらしく、
庵と夏樹はまだまっとうにデートもしていない。
9特別な君と、平凡な日々を(8/14):2007/11/29(木) 07:44:05 ID:lgtDLFtC

しかし夏樹を屋上に誘い、さっきのようにぴったりくっついてきたりと庵は庵で自然に甘えてくれるので、
世の女の子たちがするような流し目などされたら夏樹は逆に寂しい思いをしそうな気もする。
それより問題なのは自分がどれだけ可愛いか庵に自覚がないことで、
彼女がお洒落をしたらクラスメイトたちは残らず庵にめろめろになることは確実だ。
そんなことになっては困る一方、こんなに可愛い彼女を自慢したい気もする。

………まあ、庵の一番可愛いここは絶対に絶対に誰にも譲る気などないが。

毛のまったく生えていない、しっとりと汗ばみながらもぴったりと閉ざされた未成熟な性器。
触るとぴくんと震え、女の子も持つ独特の匂いが鼻腔をくすぐった。
庵の標準よりかなり小さな身体は幾度か身体を重ねている今もあまり行為に馴染んでいない。
行為の前には、よくほぐしておく必要があるのだ。

「触るよ、庵」
「……ん」

ぷにぷにと弾力のあるそこを、筋に沿って擦り、撫ぜる。

「ふ、ぁあ……」

庵の甘い声をBGMに少女のクレバスをさらに強く摩り、割れ目を開いて充血したそこにつぷっ、と侵入した。
幼い中心はまだ夏樹の指を異物として拒んでいる。きゅうきゅうと締め付けるそこはまだまだ狭く、
かつて本当にここが夏樹の男性を受け入れたのかと疑ってしまうほどだ。
それでも、小さな恋人は夏樹を必死に感じてくれているのがわかった。
普段は眠そうな調子でしか喋らない彼女が甘く高く鳴いている。
それが夏樹を落胆させないための演技ではないことは、やわやわと緩み、
汗とはまた別の体液で湿ってきた性器を見れば一目瞭然だ。

「庵。庵、いおり、いおり、可愛いよ。いおり―――」

囁きながら指を離し、つ、と糸を引く愛液をひと舐めする。
舌の上に広がる雌の味に、たまらずに直に秘裂に口をつけ、大きく啜りこんだ。
庵が嬌声をあげるも、夏樹にはほとんど聞こえない。
がくがくと震え、今にも崩れ落ちそうな庵の腰を抱き寄せて無理矢理支えてやる。
下半身が痛い。夏樹の怒張は今真っ赤に腫れ上がってるだろう。
そのくせ、まだスラックスから出してやっていないのだから痛みを覚えて当然だ。
10特別な君と、平凡な日々を(9/14):2007/11/29(木) 07:44:43 ID:lgtDLFtC

「なーくん、なーくん。わたし、もぉ……」
「準備、大丈夫か?」
「うん、だいじょぶ……」

夏樹は自分のブレザーを脱ぐと、コンクリートに敷いた。
固くて冷たい屋上に直に座ってはいくらなんでもお尻が痛くなってしまう。
夏樹はびん、と空を指す強張りをなんとか解放し、その上にあぐらをかくと手を広げた。

「ほら、自分で入れてみな。庵」
「………ん」

庵は夏樹のそれを調整しながら、ゆっくりと腰を下ろしていった。



「――――――く、ぁあッッ!!」

放心していた夏樹は下半身、それも股間に発生した猛烈な快楽にはっと我に返った。

「な、何やってんだよ三田嵐!?」

三田嵐が腰を下ろしたのは間違いない、自分の性器がツイている場所そこピンポイントである。
ということは、ということは、ということはああ、その部分は三田嵐のスカートに隠れて見えないが、
もしかするともしかしなくてもまさか自分は今まさにロストチェリー?

「せ、せっくす……する……ぐ、ぁ………」

真っ赤な顔をして、がちがちと震えながら三田嵐が答える。

「――――――いや、お前」

セックスしている!?この、ほとんど喋ったこともない変人クラスメイトと?
なんでそんなことに!?

痛いくらいに締め付けられ、というか実際痛みさえ伴うこの行為は
色々な媒体で手に入れた夏樹の性の知識とは少し外れている。
女性ならともかく、男である夏樹はもっとこう……気持ちいい『だけ』だと思っていたのだが。
いや、気持ちいいにはいいんだけど―――って、待て。
11特別な君と、平凡な日々を(10/14):2007/11/29(木) 07:45:22 ID:lgtDLFtC

「ぐ、ぁあ、ぁ……、ぅ………ぅ」

三田嵐の様子が尋常じゃない。
歯を食いしばり、汗を玉のように浮かばせている。
いつもの能面のようなポーカーフェイスからは考えられない表情だ。
まるで、激痛に耐えているかのような―――。

「………って、お前!初めてかよ!?」
「……、ん……」

こくん、と頷く三田嵐に夏樹はどう返していいのかわからない。

「いぁ……」

夏樹が動いたからか、三田嵐はまた顔を歪めて歯を食いしばった。
その様子からだけでも、彼女が相当な痛みを覚えているのがわかる。
それはそうだろう、夏樹のモノは三田嵐にとって異物そのものだ。
夏樹と彼女では体格差がありすぎる。
それを碌な前戯も無しに無理矢理捻じ込んだのだ、たとえ処女でなくても激痛が走って当然というもの。

「バカ、何やってんだお前!抜けってば!」

夏樹は三田嵐の身体を支えようとして、しかし途中で力が抜けてがくんと手をついた。

「あ、れ……?」
「加賀美くんは、気持ちよく、ない……?」
「い、いや……気持ちいい、けど………」
「そう……………よかった……」

瞳の端に涙を浮かべ、痛みを堪えて微笑む。
その少女に―――夏樹は、いい様のない感覚を覚えた。
胸が締め付けられるような、どこかの奥から湧き上がる想い。
それは口どころか言葉にさえできないもので、つまり、夏樹が今までに体験したことのないものだった。
だが今はそれに思考を巡らせている場合ではない。
力が入らない。
その上、気持ちいい。
きつすぎる締め付けも、慣れてくれば一人で処理するのとはケタの違う快楽に変わってた。
まだ三田嵐は全然動いていないのに射精してしまいそうになる。
とくん、とくんと伝わってくる鼓動は三田嵐のものか、それとも夏樹自身のものか。
あるいは二人の心臓のリズムが溶け合って、同調しているのか。


これが、セックス。


なるほど、これは、確かに腰が抜けそうなほど気持ちいい―――!!
12特別な君と、平凡な日々を(11/14):2007/11/29(木) 07:46:16 ID:lgtDLFtC

……って、本当に身体が弛緩して腰が抜けたように動けないのだが。

「三田嵐、お前何か盛ったろ」
「……く、ぅん、ん……オリジナルの、媚薬を、……ぁ」

痛みの下で三田嵐が答える。
媚薬―――いや確かに尋常じゃない気持ちよさだが―――って、オリジナル!?

「わたしが、調合したの。……わたし、得意だから。そういうの」

それはまあ、信じられないこともない。何せ三田嵐 庵だ。学園でも有名な変人。
噂では大鍋に入った緑色の液体をぐつぐつ煮込んでいるようなイメージだが、
まさか本当にそうだったとは思わなかった。
でも、それでも解せないことがある。
何故?
何故、三田嵐はわざわざ媚薬まで用意して夏樹を襲うのか?
こんな、平々凡々で普遍的男子を絵に書いたら佳作にも引っかからなかったような加賀美夏樹を……。

「すきだから」
「はい?」

夏樹は一瞬、快楽も身体も痺れも何もかも忘れた。

「加賀美くんが、好きだから。理由なんか知らない。一目見たときから、ずっと好きだった。
 でもわからないから、わたし。女の子のやり方なんて、わたし、全然知らなかったから。
 どうすればいいかわからなくって、怖くて、それで―――」

強攻策に出た、と。
ぽろぽろ流れ出す涙は、きっと痛みからくるだけのものじゃないに違いない。
そう、思いたかった。
変人?
アホか。
女の子のやり方を知らない?
何を世迷言を。
こんなに女の子にドキドキしたのは、生まれて初めてだよコンチクショウ……………!!

「………ひく、っく、すん」
「三田嵐」
「ふぇ?」
13特別な君と、平凡な日々を(12/14):2007/11/29(木) 07:48:17 ID:lgtDLFtC
倦怠で動かすのも億劫な身体を根性で持ち上げ、泣きじゃくる三田嵐の身体を押し倒す。
スカートが捲くれ上がって二人の結合部が見えた。
初めて見る、しかしそれでもびっくりするほど小さく幼い三田嵐の秘部に、夏樹の凶悪なものが刺さっていた。
そしてそこからは、
血が、
一筋、流れ出ている。

「………………」
「あ、の。加賀美くん……?」
「動くから。俺も初めてだから……多分、すぐ、終わる」
「あ、ぇ……?」

目を瞬かせる三田嵐の小さな身体に、夏樹は一息吸い込むと、自分の腰を打ちつけた。


「あ―――は、くぁ、はいってる……!なーくんの、いちばん、おくまでぇ……っ!!」

彼女の小さな身体が踊る。まだ痛みは感じているようだけど、
夏樹のことを必死で受け入れてくれている姿が愛おしくて、
何度も何度も、呼吸が間に合わなくなるくらいにキスをした。

「三田嵐、三田嵐―――、可愛いよ、お前、すごく、可愛い――――――!!」

壊れてしまいそうなくらい強く抱きしめて……抱きしめられているのは夏樹の方だろうか?
この背中に回されているのは彼女の腕か。
荒れ狂う嵐に、放り出されないよう船体にしがみつくクルーのよう。
もっと上手くできるのならいいのだろうが、媚薬の効果か―――いや、そんなことは関係あるまい。
腰から下が、臍から上が、指先が、唇が、鼓膜が、鼻腔が、眼球が、心臓が、脳髄が。
まるでけだものになってしまったかのように言うことを聞かない。
いや、そもそも命令系統が完全にショートしている。
今はただ、この愛しい少女に想いの猛りをぶつけるだけ。

「だいすき、だいすきだよぅ、加賀美くん、加賀美くん―――!」

「庵、俺も、好きだ!大好きだ!世界で一番、庵が好きだ!!」

「嬉しい、わたし、なーくんのことぉ、あ、ひぁ、すごいよぉ……!」

「三田嵐……!」
14特別な君と、平凡な日々を(13/14):2007/11/29(木) 07:49:09 ID:lgtDLFtC

精が解き放たれる。
終わりを忘れたような長い射精は少女の膣に残らず注ぎ込まれ、
子宮まで貫くように彼女の身体を満たしていった。
結合を解くべくペニスを引き抜くと、穿たれたそこから白濁がこぽりと流れ出す。
少女は自らの膣内から流れ出た液体をぬら、と掬い。

「こんなに、たくさん―――嬉しい……」

――――――柔らかく、微笑むのだった。



「授業、始まってるなぁ」
「ん」

校庭から、サッカーの授業だろうか、青春してる若い声が聞こえてきていた。
夏樹は庵を抱えるようにして、庵は夏樹の足の間にすっぽりと入り込むようにして、
二人してぺたんと座り込みまったりしていた。

「何か俺たち、まともな場所でしてないなぁ」
「わたしの部屋でしたよ?」
「あれはまともじゃない。まともな部屋にビーカーやらアルコールランプやらメスシリンダーは置いてない。
 結局なんだったんだよ、あの馬鹿でかい機械は」
「製氷機」
「エメット・ブラウン博士かお前は」

庵は夏樹と付き合い出した今でも、このように変人である。
でも、随分変わったとクラスメイトたちは言う。
表情が優しくなった、と。
いっつも無表情なのに変わりないのに、何故か話しかけやすくなったというのだ。
それに、ちゃんとそれに答えてやっているようだし。
彼女の変化が自分をきっかけにしているのなら、それはどれほど幸せなことだろう。
夏樹は、心からそう思っていた。

「……なーくんは、やっぱり普通の方がいいの?」
「少なくともえっちの場所に関してはそうだな。尻が痛い」
「痔?刺す?」
「違うよ!何をだよ!真顔で怖いこと言うな!」
「……冗談」
15特別な君と、平凡な日々を(14/14):2007/11/29(木) 07:50:08 ID:lgtDLFtC

夏樹だって相変わらず平凡である。
秀でたところは何もない、自分の短所はパッパと思いつくのに
長所となるとさて、何が自分の特徴なのかわからない。
全国男子を足してその数で割ったような男を、相変わらず続けている。
それでも、ひとつ自慢できるとすれば、庵の無表情を読み解くことができるようになってきたことだろうか。
無論以心伝心には程遠いし、エスパーじゃないんだから庵の心の中を察知するなんて無理だ。
でもどうすれば庵が喜ぶのか、嫌がるのか、何が好きで何が嫌いなのか。
それを知っている。
うん、これは自慢できることなんじゃないだろうか。


あのとき、放課後の化学室で、彼女の気持ちに答えた夏樹に庵がどんな顔をしたのか。
それを、きっと夏樹は一生忘れない。

―――恋を、している。

この先、どんなに二人が変わろうとも。
そこだけはきっと、変わらない。
二人が二人でいる限り、きっと。


「ところで、なーくん」
「―――ん?どした、庵」
「わたし、さっきね……イっちゃった」
「………」
「実は初めてだったんだ。……わたしの身体、えっちになってるのかな」
「……………」


………この小さな彼女に参ってしまっているのも、きっとこの先……変わらないだろうと思う。



                 特別なきみと、平凡な日々を〜新ジャンル「理系さん」妖艶伝〜 完
16名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 07:51:49 ID:lgtDLFtC
という訳で景気付けに一本投下。
4スレ目も、どうか幸(SS)多からんことを!
17名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 08:05:55 ID:cwf4G2en
「か、勘違いしないでよね、あなたのためにやったんだからね!」

「あんた何か大好きよ!」

「・・ゴメン、あなたのこと死ぬほど嫌い、あ、いやそうじゃなくって・・・クスン」

新ジャンル「ツンデレ天の邪鬼ちゃん」
18名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 08:42:19 ID:4xTQucSV
>>1
スレ立て乙です!


>>2-16
GJ!だぜぃ
今スレもよろしくお願いします

19名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 12:27:02 ID:3NdCkRzK
まずは>>1に感謝の乙を。
そして職人さんに労いの乙を。
最後にこのスレも今まで以上のネタと投下と混沌で賑わいますように祈りの言葉を。


『WKTK!』

新ジャンル「祈り」

20名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 16:23:42 ID:lgtDLFtC
>>17
一周して素直になってるじゃねーかww
もうそのままでいいじゃん
21Wise Quagmira:2007/11/30(金) 02:24:02 ID:GwB6GNtR
「脱走した?真逆」
「事実の様です」
「何故そんな事が…」
「お聞きで無いのですか?」
「そんな事はさっぱり…って言うか互い連絡取っていませんから」
「上からは『見つけ次第捕らえよ』、と」
「私達で?無理でしょう、それは」
「場合によっては…殺してでも構わぬと」
「…こっちに向かってるですか?」
「可能性はあります」
「エンブリオの事を知って?」
「その可能性は低いと思われます」
「なら何故ここに?」
「渾沌を求めて移動している様です、恐らくはここの…」
「…光を隠すのに闇を纏わせたのが裏目に出ましたね…」
「如何致します?」
「…間違っただけだろうけど…今二人を遭わせる訳には行かなし…
「では…」
「しょうがないでしょう」
「御意」
「"ドロゼア"を"ディアドラ"にする訳にはいきませんから」



〜英雄伝〜「外伝」

Wise Quagmira "序"
22Wise Quagmira(2):2007/11/30(金) 02:24:44 ID:GwB6GNtR
ぺろり
ぺろり
少女の白い首から肩、鎖骨と、蒼い獣は創女の身体を舐めていく。
冷たく「浄化」した舌は少女の身体から熱を奪い、汗をなめとる。

-タンヒーリング-

魔力が生き物すべてに備わる「生きる力」なら、その力を利用して身体の異常を整えてやればいい。
これがマッサージによる療法の考え方だ。
東方で言うところの内勁による経絡の整調、そして彼はそれを舌で行っているのだった。
だがそれだけで少女の胸の染める無気味な染みは無くなるのだろうか?
明らかに体調が崩れて起きる現象では無い。
だが、
少女の胸のぬうねうねと蠢く影の様な染み、それを獣は舐め取るように舌を這わせる。
いや実際舐め取っているのだ。
如何なる作用が彼と彼女の間に働くのか、長い舌がベロリと痣を舐めるとそれは少女の白く薄い
胸から獣の長い舌に写しとられて行く、時にはびきびきとその黒い影が蛇か蟲の様に獣の口から
はみ出て跳ねたりもするが、それらはズッと獣の口に吸い込まれ、咀嚼される。
瘴気を食う蒼い獣、その姿は東方の国-ヒイズル-の者が見たらこう呼んだだろう。

『コマイヌ』と。

少年は物心ついた時から少女と一緒だった。
そしてその時から少年は少女の「従者」だった
小さな可愛い主人は時には暴君となった。
閉口はしたが嫌ではなかった、彼なりに誇りをもって仕えていたつもりだった。

二人が居たのは黒い森に囲まれた広大な農園の中心にある屋敷だった。
屋敷には彼等の他に「大奥様」と「大旦那様」がいた。
少女の「おばあちゃん」と「おじいちゃん」。

大旦那様は毎日農園にでて畑の世話をしているらしく夕餉の時に会うくらいだった。
寡黙な人物で殆ど言葉を交した事はない。
大奥様は屋敷の中で家事の他に農園で出来たものを使って薬や食べ物を作っていた。
こちらは明るく饒舌な方で、よく少女に色々な話しを聞かせていた。
どちらも典型的な農家の老夫婦、と言った風情だった、今にして思えば。

あとは農園で大旦那様を手伝う「若いの」やお屋敷の家事を手伝う「娘さん」が数人いたが、
彼はソレ等と話した事は無い、「若いの」に関しては遠くにいるのを見ただけでだ。
大抵用事は、大奥様かお嬢様-少女-から言い付けられたのでその必要も無かったからだ。

屋敷と農園、それが少女と少年の世界の全てだった。
黒い森を越える事は出来ない、少女がそこに入ることが出来無いからだ。
一度何かを追い掛けて足を踏み入れた時、少女は倒れ悶え苦しんだ。

その時始めて少年は自分の本来の姿と己の能力を知った。
23Wise Quagmira(3):2007/11/30(金) 02:26:13 ID:GwB6GNtR
それから少女に仕える少年に新たな仕事が増える事となった。
特に暑い日など、少女が身体を舐めることを望む様になったからだ。
布より感触のいい彼の舌、宝珠による「浄化」作用のひんやりとした冷気を彼女が好んだ。
体のいいシャワーであるが嫌悪感は感じなかった、彼は自分の役割を理解していたから。
何度か少女の身体に舌を這わすうちに、彼女の体調が舌の感触や味を通して分る様になる事や、
少女の白い肌や細い身体を見ることはちょとした楽しみと成って行ったから。
幼い突起や秘裂に舌を這わした時の少女の僅かな表情の変化見ることが喜びに成っていったから。
発情期を迎えていない幼生の彼ではあったが、それ等は彼の心をときめかすにの十分だった。

あの日もそうだった。
暑い日の朝、少女は寝汗を舐め取る様に命じた。
幼い身体を舐めあげ、着替えを済ませた後、少女は彼にいつものように言ったのだ。
「さぁて、今日は何しようか?」
「そうですね-」
少女のキラキラとかがやく瞳を見ながら少年もいつもの様に答えるはずだったのだ、

だが。

「今日はこれからお出かけするんだよ、用意おし」

声の方を振りむくと大奥様が立っていた。
いつも陽気な顔は幾分険しい表情になっていた。

「どこへ」とか「どうして」とか少女は問わない。
「一を聞いて十を知る」、彼女はそう言うところが有った。
その時もどちらかと言えば我が侭な少女が、母の言う通りにてきぱきと旅支度を始めたのだった。

「お前もだよ、用意しておいたからね、服はこれに着替えな」
彼もいつもと違う大奥様の様子に気圧される形で指示従った。
「ちょとおまち、尻をお出し」
ズボンを脱いだ時女主人にそう言われた。
「こうですか?」
尻を向ける
「ちょっと痛いけど我慢するんだよ」
ジョキ
金属が擦れあう音と共に彼の背中に鋭い痛みが走った。
思わず振り向くと大奥様が鋏と彼の尻尾を持っていた。
「あんたのこれは外じゃ目立つからね。
大丈夫、止血と治癒、麻痺の呪文を掛けておいたからね。さぁ着替えな。」
有無を言わさぬ口調に従うしかなかった。
24Wise Quagmira(4):2007/11/30(金) 02:26:53 ID:GwB6GNtR
二人の支度が済むと屋敷の裏手に連れられた。
裏の畑の真ん中に納屋があった。
廻りの麦畑の麦が奇妙な感じにねじ倒されている。どうやら納屋を中心に丸く倒れている様だ。

「気分はどうだい?」
それまで黙っていた大奥様が少女に尋ねる。
「うん?大丈夫だよ?」
「そうかい…」
と言った後「やっぱりね」と呟くのが少年の耳に聞こえた。

「さぁてと、ドリィ、あんたにはちょとお使いに行ってもらうからね。これを…」
と、懐から小さな水晶玉を出す。
「『あの人』に渡すんだよ」
「『あの人』って、いつもおばぁちゃんが言ってる『山よりも高い、海よりも深く広い』の人?」
「そうだよ」
「どっちに、山?海?」
「どっちでもいいんだよ、先に会えた方で。無くすといけないからこれはこの…革袋に入れて
あんたの首に…こう掛けておけば大丈夫だろう?」
「うん」
「山に道しるべがあるよ、そいつに路を聞くといい。でも安請け合いするんじゃないよ、
最初は気の無い返事をするんだよ」
「うん」
「それから焼けた家の中には薬缶があるかもしれない、そいつは磨けばまた使えるから持って行きな。
いいね」
「うん」
「迷い猫がいたら連れて行ってやんな、猫の爪でも役に立つからね」
「うん」

この二人はこんな謎掛けの様な会話をよくする、端で聞いてても何を言っているのか分らない。
この時も少年には取りあえずどこかに行く事が分かっただけだ。
しかしどうやって?
森を少女は抜ける事はできない、しかも今居るのは土地の真ん中の畑の又真ん中だ。
そんな事を少年が考えていた時、

ドドドドドドドドドドドドド
突然の轟音が響いた。
25Wise Quagmira(5):2007/11/30(金) 02:27:42 ID:GwB6GNtR
ゴオオオオオオオオオオッ
風が鳴る

ガタガタガタガタガタガタ
屋敷の窓や扉が震えた

「おじいちゃん…」
遥か畑のむこうに黒煙が上がる、少女がその方向いて呟いた。

(森が?燃えてる!)まさか、と思い少年は年嵩の女主人を見上げる
「お、大奥様?い、一体何が?!大旦那様は?!」

「もう森を抜けたのかい…ドリィ、こっちにおいで」
老婦人は少年の問いには答えず少女に語りかけていた。
「…おばぁちゃん…」
「何を頼り無い顔してるんだい、大丈夫、おばぁもおじぃも大丈夫だよ…」
そういいながら老婦人は跪くと少女をぎゅうっと抱き締める
「…うん」
少女も「おばぁちゃん」にしがみつつ答える。

何なんだこれは、まるで…
少年の胸に暗い靄がひろがる、何なのだ、一体何が起ころうと、何が始まろうとしているのか。
目の前の二人はまるで今生の別れの風情である。

「ふっふあっ!おばぁちゃ…イタッ!イタイ!」
「お嬢様?」
「大丈夫、大丈夫だよ…」
突然少女が祖母の腕の中で悶えだす、それを祖母は優しく灘めながら抱き締める。
「痛…」
始まりと同じ様に少女の声は急に途切れた、と、同時に少女の身体から力が抜ける。

「トト、その小屋の扉を開けておくれ」
不安にかられながら様子をみていた少年に女主人が声をかける。
「はい…え?」
「大丈夫だよ、ちょと眠っって貰ったのさ」
そう言いながら彼女は少女を小屋の中の干し藁の上に横たえさせた。
「お別れですね…こんな風になるとは残念ですが…」
横たわる少女の衣装や前髪を整えながら愛おしそうにそう言う。
「さ、お前も入っておいで。後は宜しく頼みます」
いつの間にか女主人の声が変わっている。
26Wise Quagmira(6):2007/11/30(金) 02:28:23 ID:GwB6GNtR
「…大奥様…?」
「それももうおしまい、この子が目が覚めたら痛みは収まってますよ。」
そう言いながら少年の方に立ち上がる「おばぁちゃん」の姿はみるみる若返って行く。
「あ…あ…」
驚きのあまり声も出ない少年手を取って中に導く頃には、その姿は妙齢の女性に変わっていた。
「あ、ああの!大奥様?!…僕は…一体…」
「貴方は今迄通りこの子に付いてあげて下さい。この子には如何なる呪術も魔法も薬も効果は有りません、
若し何か有った時は貴方のタンヒーリングしか効き目が無いのです」
「一体何が!何かが襲って来たのですか?それにお、奥様の姿は…あ、大旦那様は!?」
「襲って…、まぁそうね…。来たのは女神の最高傑作、この姿はわたしの本当の姿、あの者は私達の護衛、
でももうその役目も終わったかもしれません」

「え?…」

分らない、彼女の言う事がさっぱり理解できない、只一つ分かった事は今は別れの時だと言う事。
この女性と、今迄の生活と。
何を質問したらいいかも分らない彼を制するように手をかざし、彼女は続けた
「急がないと、今は理解は出来ないでしょうね、ごめんなさい。質問に答える時間は無いの。
でも必要な事はその子が知っています。外の世界で必要な物はその行李に。
さぁその子のそばに,しっかり抱いてあげていて下さい、さぁ、早く!」
言われるまま少女の身体を抱き締める。

「今からこの小屋ごと外に飛ばします」

そして彼女はその小屋の扉を閉ざした。
小屋の中が闇に閉ざされ-

暗転

少年が覚えているのはそこまでであった。

"Wise Quagmira" #4 "valet"

END

continued on "THE BRAVE"
27Wise Quagmira(7):2007/11/30(金) 02:29:00 ID:GwB6GNtR
湖である。


湖水は鏡のように穏やかである、そこに一艘の船が水面を割って進んでいる。
小さな船、漁船だろうか船は白い線を引いて湖面を進んでいる。


湖の郷、ハァチメン、その市街に至る坂の上から青年は湖面を観ていた。
「随分と早い船ダナ」
目を細める、どうも帆は張っていないようにも見える。
更に目をこらすとキラリと何か船上で光った。いやキラキラとなにか反射している
甲冑の男が船を漕いでる?
「ふうん?」

が、如何せん遠方である。よくは見えない。
「まぁ、どうでもいいか、どうせついでの用事ダシナ」
青年はそう呟くと身に纏った黒く長い外套を翻し坂を下っていった。
彼の足なら街まで直ぐだろう。

それは彼にとってはほんのついでの寄り道だったのだ。

〜英雄伝〜「外伝」

Wise Quagmira" #5


橋が落ちたのだと言う。

それはいい、だが

「船が出ない?ナンデ?」
「山の橋が落ちたからでさ」
「関係ないだろう?むしろ橋が落ちたから船がいるんじゃネェノ?」
「へぇ、なにせあれだけの橋が崩れておちたでがす、沢の方が大変でさぁ」
「それで船が要るのか?で、出払ってる、ト?」
「へぇ、そうでがす」

沢の流れがどうとか谷に破片がどうとか漁の網がどうとか。
兎に角今日は渡船はでねぇでがす、と親父は言うばかりである。
埒も無い。

まぁ船が出るまで精々この街を観て行きなせぇ、宿でも飲み屋でもあるでがすよ。
と言う無責任な親父の言葉を背に受け、青年は船着き場を出た。
足留めである。
急ぐ旅ではない、しかし重要な用事でもないのでさっさと済ませたかったのだ。
向こうに行くにはここで船の乗るか、それとも彼が降りてきた山の方を廻って、谷の-

-橋が落ちたのだ-

とりあえず宿でも探すか。
28Wise Quagmira(8):2007/11/30(金) 02:29:59 ID:GwB6GNtR
ここは親父の言う通り街をぶらぶら観るしかない、幸いここは交通の要の大きめの街だ、
宿に困ることも有るまい。

一しきり大きな通りで主要な建物を観てまわり、頭の中の地図と山の坂から見下ろした
町並みとを一致させる。
大体の街の様子を御頭に入れると路上のオープンカフェに腰を下ろした。
街の通りを歩く間にも「彼」の事に気が付いた人間はいたようだ。
中にはそそくさとその姿を隠した奴もいた。
-ああそうしてくれ-
と、彼は思う。
ここでどうこうする積もりは元より無い。
「ちったぁゆっくりさせてクレヨ」
ここんとこ忙しかったからな。

頼んだ茶が出て一口啜る。
渋い
まったく黒も紅も白も緑も一緒くたにしやがる、これだから田舎者は。
眉を顰めながら横の卓を見ると薄茶色の紙が見えた。
そこにいた客が忘れて行ったのだろう、ブラウンペーパーがあった。
新聞で夕刊紙、つまりは所謂三流、ゴシップ紙、あまり聞かない紙名だから地方紙だろう。
「ふうん?」
手に取りバサバサと広げて紙面に目を走らせる。
どこそこの姫嬢が家出したとか、どこそこの男爵様と女優がデキてるとかーetc.etc...
どうでもいい記事が並ぶ。
ホントウにどうでもイイナー
こりゃぁ捨てて行くな、と、彼も前人に倣おうとした時に、ふとある文字が目にとまった

 『勇者』

勇者がー
どうかしたのかと記事に目を走らせる。

違った。

勇者とー、と記事は続く。

勇者と

美女軍団
29Wise Quagmira(9):2007/11/30(金) 02:30:33 ID:GwB6GNtR
はい?
思わず「は」の形に口を開けたまま固まる。
ナンジャそりゃ?
紙面が紙面である、ゴシップが売りの夕刊紙だからそれは禄でもない記事で埋まっている。
しかし美女軍団とは。
思わず紙面の文字を追う
内容はやはり具にもつかないものだった、要約すると、「幾人かの女性と勇者が同行して-
いる『らしい』」

その『らしい』というソースも不確かな情報を元に、枝葉は妄想し放題。
そういった記事…では無くコラムである。
その勇者が誰であるかは書かれていないが、一地方紙に勇者の文字が出るのは珍しい事だ。
そんな記事が出る以上、勇者の「誰か」がこの地方に来ているのか。
少し興味が涌いて関連の記事を探してみる…と、他の小さな記事に勇者の文字があった。

〜勇者は先日フォート教会の壁画の壁面を破壊した犯人を追ってモンヒエイザ方面に〜

再び目がとまる。
フォート教会?壁画を破壊?…おいおい聞いてネェゾ

開いてた口がも思わず締まる。
何しろそこは彼が向かっている場所、ついでの用事の舞台だからだ。

聖導ヒコカッツェ教会、通称「フォート」、その名の通り古代魔法帝国の城跡(フォート)
を利用して建っている教会である。
最近その「フォート」の壁画を巡り、領主や住民と教会が揉めているらしいのだ。
元々フォートの土地権にイザコザが有った処に、教会側が自分の主張を押し進める為
勝手に壁画を書かせたらしい。
それはいい、世事的な事は彼の関与する処では無い。
だが、それを巡って人死にが出るとか、教会に逆らった者は壁画の魔物に喰い殺される、
などと言う噂になっていると話しは別だ。

元々その教会のネロンガ師は教会内部でもいい評判が無い男だ、だから地方に赴任させ
られたとも聞く。
反面殺人などの大それた事ができる男でも無いらしい、所謂小悪党なのだ。
まぁどうせ大した事は無いだろうが、その噂の真贋を確かめ、ちょっとお灸をすえてこい、
…程の事だったのだが。
その壁画が消えてしまったらしい、つまり揉め事の元は消えてしまったのだ
30Wise Quagmira(10):2007/11/30(金) 02:31:23 ID:GwB6GNtR
「なぁ」
女給を呼ぶ
「ここ最近の新聞ナイ?」
この件に関するほかの報道をざっと目に通す、概ねの論調は教会に対し、いやどちらかと
言うとネロンガ師に対して批判的で、どことなく「ざまぁみろ」的な物が多かった。
「文化財を破壊した!」と教会は重罪人としての指名手配を主張したが、領主は只の
器物破損犯としての手配をしただけらしい、捕まっても罰金刑である。
ネロンガ師にはそれこそ「お灸」だろう。

それはそれでいいのだが
問題は、その城壁を「破壊」したと書いてある事だ。
どの記事にも深くは触れては無いが、古い物とはいえ城壁を破壊するなど只者では無い。
その「美女軍団(笑)」連れた勇者もそう思って追って行ったのだろう。
仮にも古代魔法帝国の城跡である、今は失われた建築法によるものだ、堅牢さは桁違いである。
只の遺跡を壊すのとは訳が違うのだ。
破壊の程度にもよるがそんな事が出来るは、

魔物か
勇者か

面白れぇ

思わず口元がニィと綻び歪む。
どうせ「ついで」の用事は消えてしまったのだ、むしろそいつが消してくれたのだ、
そいつに会うのも一興だろう。
もう一度新聞紙面を探る、犯人は…少女を連れた甲冑を着た大男らしい。
モンヒエイザに逃げたのなら青年が来た方角である。
そんな目に付く男が居たら気が付くはずである。それともまだそこまで来ていないのか?
だが日数的に言うと谷の橋を渡ってくればすぐに…

ああ、

橋は落ちているのだ。

いや落したのか、普通は追っ手を巻くためにそうするだろう。
ならばやはり山廻りに来た事になる、それなら何故犯人と出会わなかったのか?
いやまて、
落しておいてそちらに向かったと言う印象を持たせる為に…と言う手も無い訳では無い。
そして本人は谷を抜けて湖畔の街に、そこから船で…いやしかし船は出ないと…
船?

船で
甲冑の大男
『勇者一行はモンヒエイザに』

魔物か
勇者か


「釣りは要らねぇ!」

そう言って彼、レイジュ-ランディスは席を立った。


Wise Quagmira" #5 "THE BRAVE"
END
continued on "GLITTY"
31名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 02:33:14 ID:GwB6GNtR
以上であります。
すいません引っ張ってばっかりで。
32名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 03:23:44 ID:LqFuFJge
ひょぉわはぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!

色んな話がリンクしてルーーーーー!!とか
そっかー俺ァてっきり符術の人のお嬢がアレなのかなーと思ってたけど本命は犬っこだったのかーとか
タンヒーリングやたらエロくね?とか
ちょwww勇者集結してるwwwwwwwとか色々思ったあげく出てくるのはたった一言GJ!!!!
これから仲間たちの正体とか能力とかが色々バレてくるのかと思うとGJ!!








……GJ!!

33名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 23:46:28 ID:43TbTx3Y
>>32
恐縮至極。
はいエロ要素はペロペロだけです...最初はもっと克明に書いてましたがながすぐるので切りました。
しかしよく見たつもりでしたがやっぱり誤字脱字が有りますねぇ..精進しないと。
ちなみに時間はリューVSローラの前日としてあります。
賢者一行vsレイジュの次ぎの夜に対岸の街で天に雷が昇った事になります。
つまり集結しつつもお互い出会ず…って感じかなぁと。
34名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 00:32:20 ID:9Qmml4WV
にゃーん
35名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 06:32:43 ID:9Qmml4WV
女 「フフフ、今日こそは男とにゃんにゃんしてやるぜ!!」
女友「頑張って女!いい?あんたは女の子なんだからねっ!?おしとやかに、ね!?」
女 「おうともよ!覚悟しやがれ男!目に物見せてやるぜ!!」
女友(……だめそう!)

男 「〜〜♪〜〜〜♪」
女 「男!!」
男 「あ、女さん。おはよう」
女 「王 覇庸……古代中国の武将か。流石は男、心構えはできているようだな!!」
男 「ほへ?」
女 「男、わたしと……ハッ!!」

女友『いい?おしとやかよ。女の子の武器はおしとやか。大和なでしこよ』

女 「んんっ!お、男くん?わたしと交尾してくださらない?」
男 「ん?」
女 「あ、いや違う。違いますわ。わたしが言いたいのはそういうことでなくて……」
男 「どうしたの女さん。様子が変だよ?」
女 「あ、うぅ……」
男 「元気だして。僕はいつもの女さんが好きだな」
女 「あ、あぁぁぁああ、ぁぁぁあああぁぁぁあああああああああ!!!!」

ビリバリー

男 「身体から発する波動で服が破れた!!」
女 「男!惚れた!抱くぞ!!」
男 「なんて男らしい……」ポッ

女友「……これはこれでいいのか……?」


新ジャンル『脳みそ筋肉』
36名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 06:55:34 ID:9Qmml4WV
健人「九音さーん……さっきから何読んでるの?」
九音「あ、健人くん。これだよ。ジョジョの奇妙な冒険」
健人「あー、僕は四部が好きだなぁ」
九音「わたしはダントツで一部かな」
健人「へぇ。……なんとなく理由はわかるけど一応聞くよ。なんで?」
九音「だって……

   わたしは『ただのクラスメイト』をやめるぞ!健人ー!

   ………なんちゃって」
健人「やっぱり」

………翌日

九音「おはよー健人くん」
健人(仮面がジャキーンてなってる……)


新ジャンル「石仮面」
37名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 07:10:26 ID:9Qmml4WV
男「あー卒論って半年単位で用意しなきゃならないくらい沢山書くのかぁ。
  今から気分が滅入ってくるなぁ……」
女「そうかな?あたし長文書くの得意だから別に苦にならないけどな」
男「お前はな。いいよなー……なあ、なんでそんなに書くの得意なの?
  何か秘訣があるとか?」
女「えっ……そ、それは……///」
男「お!やっぱり何かあるんだな?頼むよー教えてくれよ助けると思ってさー」
女「か、書くことに慣れること……かな……///」
男「畜生普通だよー。これだから秀才は。な、いつも何書いてるの?同人小説?」
女「違うよぅ…///」

女(男くんに出すラブレターの総量が気が付いたら広辞苑くらいの厚さになってたなんて……
  恥ずかしくて言えないよぅ)


新ジャンル「卒論」
38名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 07:22:06 ID:9Qmml4WV
女「男、お弁当作りすぎちゃったからアンタにあげるわ」
男「マジ!?やったぁぁぁぁああ!!女、マジ最高!良し、これで飯代が浮くぜ!!」
女「勘違いしないでよねっ!余っただけなんだからっ!」
男「イイ!それでもイイ!あぁ、ご恩は一生かけて返させてもらうぜ!」
女「ぇ……///
  ふ、ふん!そうしてもらいたいところねっ!」
男「うめぇ!マジうめぇ!!嫁にしたいくらいうめぇ!!」
女「よ、よよ、よよ嫁!!?」
男「はー……女って料理できたんだなー。あー嫁にしてぇ。女、結婚してくれ!」
女「!!!!?」
男「ごっそさん!サンキュな!あ、男友ーUNOしようぜー」

女「…………………」
女「………………」
女「……はうぅ」


新ジャンル「ツンデレの天敵は天然男だろ常識的にかんがみて……」
39名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 08:36:50 ID:9Qmml4WV
女1「やべーよあたし負けだよー」
女2「はい罰ゲーム決定ー!」
女3「ぎゃはははは!はい、愛の告白行ってきなー!」

女1「なんか、好きなんだけどぉーアタシィー男のことぉー」
男 「えっ……///
   う、嬉しいです……ボクも、女1さんのこと……」
女1「えっ……///」
男 「女1さんて美人だし、気が強いっていうけど芯がしっかりしてるし、
   曲がったことはしないっていうか……憧れてたんです!」
女1「……う、うるせーばーかばーか!ウソに決まってるじゃんこんなん!
  罰ゲームだってのよ!フツーに考えたらわかるでしょ
  何マジになっちゃってんのチョーウケるんですけどキモーイ!」
男 「そ、そんな……」
女1「っつーわけだしそんじゃーね!!」

女1(顔が赤いのは走ってるせい顔が赤いのは走ってるせい……///)


新ジャンル「釣り失敗」
40名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 09:07:51 ID:X/necVhe
>>38-39
萌えたW

ショタの人こないな…
41名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 16:11:57 ID:Gy7/3TP2
>>1乙!

>>2-15
世間知らずの娘が一生懸命愛してくれるってのはいいよなぁ

>>21-30
続き待ってたぜ!!
少女と少年の名前もわかり、過去も一部がわかり
より一層深みが出てきたなぁ
続きwktkして待ってるぜ

>>37
広辞苑とおなじぐらいとかどんだけだよwww
42名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 20:39:50 ID:GcXNJnDD
>>2-15
読んでるこっちが恥ずかしいくらいのデレ乙!
そしてバックトゥザフーチャー吹いたwww
九音さんみたくちょくちょく出てきて欲しいぜ

>>21-30
なにやらまた新しい用語が出てきてwktk
序章のアレはテイリーの脱走だよなぁ・・・ということは
お嬢は神族の関係者?なのかな?
43名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 23:26:02 ID:TaHNYF3W
新ジャンルシリーズ、大好きだw
44名無しさん@ピンキー:2007/12/03(月) 10:29:46 ID:N5deC9pO
>>43
そ、そんなこと言ったって、何も出ないんだからねっ!
45&BASTARD(1/13):2007/12/03(月) 10:33:57 ID:N5deC9pO

据付の文字盤の上を、細くしなやかな指が踊っていた。
それは鍵盤を叩くピアノ演奏者のようで、この作業に慣れているものであることは明らかである。
というか、何故仲間たちの誰もここを使おうと言い出さないのかというのは彼にとってずっと疑問だったことだ。

それは、教会に属する国なら必ずある『情報局』という施設で誰でも使うことが出来る情報端末である。
聖堂教会の膝元、ナルヴィタートを筆頭に世界各国の技術の粋を集めて開発された画期的な情報通信型魔道具。
名を『E.D.E.N.』というそれは民衆にとってはまだ値の張るものかも知れないが、
彼ら勇者にとっては実質無料で世界中の情報を集めることができるこの上なく便利なシステムである。

大地を走るマナの流れ、俗に龍脈と呼ばれるそれを利用した通信方法は
風の魔法に働きかけていた従来の技術を大きく上回る広範囲にその情報網を敷くことになった。
術師を介さねばならず、風の流れが悪ければろくに通信もできなかった従来型と違い、
『E.D.E.N.』は魔力を充填すれば誰でも扱うことができ、
さらに大気に満ちたマナそのものを媒体にすることによって
中継さえあれば世界の端から端まで一瞬で接続可能となる夢の技術なのである。
もしこれが転移魔法に応用できれば、世界はひとつに統一されるといってもいい。
『E.D.E.N.』は、名の通り世界を楽園に変える未来を握っているのだ。

………という素晴らしいものなのだが、それを理解できているものは一行の中でたった一人だけのようだった。

「……俺、そういうの苦手なんだよ」
「そうなんですか?」
「使い方もよくわからないし。
正直、昔からそういうカラクリじみたものは、どうも性にあわない」

世界を『救う』ことを公式に許可された者たち、『七人の勇者』の中でも最も魔学技術に長けた者、
ラルティーグの勇者ジョン・ディ・フルカネリの力説に答えたのは同じく勇者であるヒガシ・ヒロトである。
普段から仏頂面の多いヒロトだが、こういう苦虫を噛み潰したような表情は
滅多に見せなかったりする。本当に苦手なのだろう。
世界最強を謳われ、無双の怪力を誇る割にはやけに器用でなんでもソツなくこなすヒロトには意外な事実だ。

「俺のは全部修練や長旅の経験で身についた技術だ。実際は俺は不器用な方だぞ」
「そうですわよね。生徒としては覚えが悪い方でしたし、
……私のプレゼントした銀時計も、たった数分で壊したくらいですし」
「う」
46&BASTARD(2/13):2007/12/03(月) 10:34:31 ID:N5deC9pO

ひょこっとヒロトの後ろから顔を出した金髪ツインロールの少女はローラ。
勇者ヒロトを追って国を飛び出した彼女はなんと大国ヴェラシーラの王女、
ローラ・レクス・ヴェラシーラその人だ。
ヒロトとは幼馴染みで、教養の師であり剣の弟子でもある間柄である。
もっとも、彼女はそれ以上になりたいと願っているようだが。

「いつの話だ、それは。そんな昔の話をねちねちといつまでも。底の浅い女よの」

ヒロトの上にさらに乗っかる形で参戦してきたのは炎のような朱い髪が目に映える少女だった。

「貴方には関係ないことです」
「ほう、そうか。しかしそも、ヒロトは時計なんぞ必要としないだろうに。
持っていても使いようのない贈り物なぞ迷惑なだけであろう?
そんなこともわからぬ者がよくもまぁ知った顔をできたものだ」
「……ふん。ヒロト様にプレゼントを贈ったことがないことに気付いて、
実はちょっぴり悔しがってる人に言われたくありませんわ」
「な、な、ななな!?」
「あら図星?図星ですか?図星ですわね?くすくすくすくす」
「き、貴様……!」

……なにやら頭上で闇と稲妻がせめぎあっているようだがここは勇者二人、華麗にスルーである。
この二人の喧嘩は獅子の子がじゃれあうようなものなのでいちいち気にかけていられないのだ。
第一、戦闘になったらこの街は一瞬でまっ平らの焼け野原になってしまう。
なにせこの赤髪の少女、リュリルライアはあらゆる魔と闇の王、魔王であるからして。
彼女が本気で暴れだしたら止めることができるのは世界でも唯一人、ヒロトだけだと言えるだろう。
戦闘力的にも、乙女ちっくハート的にも。

「でさぁ、結局いつ終わるのさ?その、ケンサクってのは」

一人だけ少し離れた場所でうだうだしているのは緑髪の少女、リオルである。
いかにもつまらなさそうに顎を机につけて半目になっているその様は逆に彼女の活発さを表していた。
無論彼女も、このメンバーの一人であるということからわかる通り普通の女の子ではない。
彼女の身体は仮初のもの。その正体はとある山に巣食っていた巨大な火炎龍なのだ。
今ではその『肉体』は死んでしまっているのでこうやって『命の恩人』たるジョンの相棒をやっている。

「検索自体はもう終わっています。ただ、該当件数が思ったより多くて」

『E.D.E.N.』によって集められた情報は地方都市のゴシップから
特定の人物にしか引き出せない極秘情報まで多岐に渡る。
勇者一行である彼らは特に、一般市民には出回らないはずの情報をも
特権によって手に入れることができるのでなおさらだ。
それを自動書記によって書き出しているのだが、その書類は既に山のように積みあがっていた。
47&BASTARD(3/13):2007/12/03(月) 10:35:45 ID:N5deC9pO

彼らが探し求める情報は神に選ばれし勇者、テイリー・パトロクロス・ピースアローの動向である。
魔族を人間の敵だと認識し、問答無用に排除しようとするあの少年は
魔族と人間の関係に調和を計ろうとするヒロトたちと対極を成す存在といえるだろう。
無論似たようなことをやっている冒険者はテイリーだけではないし、
このヒロトも『龍殺し』の異名を持つ魔獣退治の一人者であるのだが、
テイリー、つまり神に選ばれし勇者はそれらとはまた一線を画す存在であり、
放っておけば冗談なしに取り返しのつかない事態になりかねないのだ。

「秩序と混沌のバランスが崩れた時、この世界は崩壊する」

とは件の混沌を司る魔王・リューの言葉である。

「そもそもこの世界は闇の混沌、すなわち相異的不確定要素に対し光の秩序によって、
『観測』をされ初めて『存在』が成り立っている。
 例えるなら暗闇の中にグラスがあってもそれは誰の目にも見えない以上
『そこにはただ闇が広がっている』だけであって
 光がグラスにあたってその姿を認識できた時点で始めてそれは『存在している』といえ、
 つまり光と闇のバランスが崩れるということはこの世界の存在そのものに深刻なダメージを与えることであり、
 そもそも『グラスの隣にロマネコンティが存在しているという可能性』すら
 否定してしまいかねないという物理的脅威以上の死活問題であると言えるだろうな」

「……すまんリュー、さっぱりわからん」

頭の上に大きなハテナマークを乗せているのはヒロトだ。
ローラも微妙に口元を吊り上げている。やっぱりわかっていないのだろう。

「というと、かの魔王進攻ももしかして」
「ああ、アレは今回とは光と闇の立ち位置が逆だがな。
 闇が世界の全てを呑み込み、世界がただの『存在しているという可能性』に
 還りかけたというのが例の大戦の真相だ。
 その時秩序側が用意した『勇者』が再び均衡を崩そうというのだから笑えないな」
「なんてことだ……それが魔王と神の真実だったんですね……。
 有史以来凶悪なはずの魔王が一度も世界征服を仕掛けてこないのは、
 そもそもあれがイレギュラーだったから、と」

「すまんリューとジョン。さっぱりわからん」

頭の上に大きなハテナマークを乗せているのはヒロトである。

「………つまり、神に選ばれし勇者を放っておけば大変なことになる、ということさ」

リューが肩をすくめ、それでヒロトは納得したようだった。
ヒロトにとってテイリーは一度剣を交わした相手だ(『交わし』てはいなかったが)。
あれがどれくらい危険な相手かくらいはわかる。
ローラも厳しい顔つきになったヒロトを見てこれがどれほど重大なことか気付いたらしい。
山と積まれた書類の一枚を手に取り、鋭い目を向けた。
48&BASTARD(4/13):2007/12/03(月) 10:36:36 ID:N5deC9pO

「勿論相手は僕らと違い、正当なる勇者です。
 直接名を検索するような危険は避けるべきでしょうが、その分検索の範囲を広げなくちゃいけない。
 書き出した書類は持ち出し禁止ですし、二、三日はここに泊り込むつもりで頑張りましょう」
「ええ」
「そうだな」
「うむ」

………。
一つ、返事が足りない。

「リオレイア?」

きょろきょろと辺りを見回すも、個室の中にあの緑髪の少女の姿はなかった。
その代わり扉が半分ほど開いており、キイ、と小さく揺れていた。



情報局―――各国と教会によって運営されている公共施設からてこてこと抜け出す少女が一人。
言うまでもない、リオルである。
大きく伸びをして、書類に埋もれていた身体をぽきぽきと鳴らす。
………いや別にサボったとかそういうんじゃない。
彼女は彼女なりに気を使って、足手まといにならないように自粛したのである。

ジョンはフィールドワーク派とはいえ研究職でこういった作業には慣れているだろうし、
ローラは王族の教育を受けて育った身として字が読めないはずもなし、
そのローラの生徒であるヒロトも同じ。
リューに至ってはその人生の大半を書庫で過ごしたというからああいった作業は
むしろ呼吸と同じくらい得意に違いない。

そこに元・ドラゴンでありデスクワークに向かない性格スレイヤー火山代表であるリオルがいて何になろう。
無駄に作業の邪魔をするだけだということはリオル自身が一番よく知っていた。
そもそも彼女は字が読めないのであるからして。

「そんなあたしがあの場にいて、いったいなにができるというのかっ!
 あたしにできることはあえてあの場を離れ、この街で情報収集をすることのみなのです!」

ぐわっと叫んでみるも、お腹からきゅぅ、と可愛らしい音がして握り締めた拳から力が抜ける。

「……腹が減ってはなんとやら。まずはご飯食べに行こっと♪」

るんたるんたとスキップで繁華街へ向かうリオルの足取りからは、
情報収集という言葉は……どんなに目を凝らしても見当たらなかった。
49&BASTARD(5/13):2007/12/03(月) 10:37:26 ID:N5deC9pO


―――呪われた子、とセリカは呼ばれた。

悪魔の血を引く娘、化け物、生まれてきてはいけなかった存在……。
始めは、どうして自分がそう呼ばれているのかわからなかった。
何故自分と母親は逃げるように街から街へ移り住んでいるのか、わからなかった。
せっかくできた友達も、これではすぐに離れ離れになってしまう。
確かにセリカは他の子とは違った。
魔法の才能もあったし、姿だってその、少しだけ変えることができた。
それは披露すれば子供たちを驚かせ、尊敬を集めるセリカの必殺技だったのだが。

………どうも、それがいけなかったらしい。

セリカがそれをすると、決まって母親は烈火のごとく怒り出し、セリカを叩いてよくわからない暴言を吐き、
謝りながら涙目でセリカを抱きしめて、そしてその街から引っ越すのであった。

時には、住んでいた町の住人から追われることもあった。
いつもおまけをしてくれたパン屋のおばさんも、カフェで一日中ボードゲームをしていた老人も、
仲のいい友達の父親も、皆一様に怖い顔をして剣や斧を手に追いかけてくるのだ。

何故。

セリカには、それがわからなかった。


路地裏。
じめじめと日の当たらないそこは、都市には決して珍しいものではない危険区域だ。
治安のあまりよくない街で大通りから一歩でも足を踏み外せば、
途端にごろつきに囲まれるなんてこともざらである。
無論、治安の悪い街では大通りにいても命の危険があるというのだからここはまだましなほうなのだが。

「………やめてください」

セリカは感情の篭らない声で呟いた。
その細い肩には大きく固い、岩のような手が置かれている。
その力で壁に押し付けられ、セリカの足は宙に持ち上げられんばかりであった。
50&BASTARD(6/13):2007/12/03(月) 10:38:25 ID:N5deC9pO

「………痛い」
「嬢ちゃん、そりゃアンタが悪いよ。
 このゲルド様の前をのこのこ歩いてたらこうなるって母ちゃんに教わらなかったのかい?」
「………」

昏い瞳でその大男を見上げる。
スキンヘッドなのかただ単に禿げているのか、形の悪い頭部のラインにサングラス。
こめかみから頬、顎にかけて大きな傷跡がある。
手や足、腹など身体のパーツパーツが妙に大きく、なるほど、
狭い路地にたむろする取り巻きのちんぴらに比べればキャラが立っていた。

「助け呼んでも無駄だぜ。アニキはここいらじゃ『隕石魔神』って呼ばれてて、
 命が惜しくて神聖騎士団でも手は出さねぇんだ」

などと子分の説明が入る。
……魔神、か。
なるほど、喧嘩は確かに強そうではある。
だが……悲しいかな、セリカにとっては何の脅威にも感じられなかった。

――――――所詮、人間である。

「まぁ男なら声かける前に顔面潰してるところだが、あんたみたいなイイ女は別だ。
 俺様の相手をすれば通してやるよ。
 もっとも、俺様のデカマラをブチ込まれてまだ狂ってなかったらの話だがな」

ぎゃはは、と周りから笑い声があがった。
果たしてこの笑いの出所はなんだろう、と思いながら……まぁ、別に知ることでもないか、と思った。
面倒くさいのは嫌いなのだ。

セリカは自ら服の留め金を外すと、その上半身をはだけさせた。

ぱさ、と乾いた音がしてセリカの白い肌が露出される。
それは薄汚い路地裏で唯一、感動に値する美しさを放っていた。
さながら周りの穢れに朝霧の湖を合成したような、
そこだけ時間も空間も切り離されているような、現実味に欠ける光景だ。

「―――どうぞ」

ぽつり、とそれだけ呟く。
男たちはぽかんとした顔で、いきなり脱ぎだしたセリカを見つめている。

「するんでしょう?なら、さっさとして」
51&BASTARD(7/13):2007/12/03(月) 10:39:02 ID:N5deC9pO

端的な言葉を。
男たちが理解するのに、数秒を要した。

「ひ、ひひ。なんだ、売女かよ」
「にしちゃあ色気がねぇな」
「そーゆープレイなんだろ」

あまりにも動じないセリカの様子に何を勘違いしたのか、ちんぴらたちが勝手なことを言い始める。
セリカの眼には、そんな屈辱に塗れた言葉を受けても何の感情も浮かばない。
いや、彼女にはもうこれほどの仕打ちでも屈辱には思えないのだ。
ただ。少しだけ。

――――――気持ち悪い、と思った。


男たちの行為は、決して女を喜ばせるものではなかった。
当然だろう。彼らは数え切れないほど女を抱いてきたが、
一度たちとも愛を語らうための営みをしてこなかったのだから。
そもそも無抵抗の女を相手にすることさえ稀で、
そういう意味では、手間が省けたというより調子が狂うと面食らった者もいただろう。

セリカは行為の間中、眠っているようにぼんやりとしている。

ちなみに自ら脱いだのは服を破られないようにするためだ。
この手の男たちは後先を考えない。
白濁をかけるのも結構だが、あとあと残る匂いのことも考えて欲しいものだ。
路地裏の狭い空をぼんやりと見上げるも、腰を動かす一定のリズムで身体が動かされて視界がブレる。
快楽はない。
肉体の反応や喉から漏れる音は知らないが、
少なくとも抱かれてよかったと思うことは一度もなかったしこの先もないだろう。
世間一般の女の子はやっぱり、素敵な彼氏と行為を楽しむものなのだろうかと思い―――すぐ、思考が切れた。

自我を守るためか。
彼女は余計なことを考えない。
心は、母親を亡くした時一緒にどこかへ行ってしまったように思う。
それからはこうやって、できるだけ人目につかないように―――表に立たないように、
日に当たらないように―――こそこそと生きてきたのだ。
52&BASTARD(8/13):2007/12/03(月) 10:39:51 ID:N5deC9pO

白濁を浴び、眼に入らないように瞳を閉じて……病に臥す母の姿を幻視する。
母は、生きろと言った。
母は、こんな呪われた自分を最期まで手放そうとしなかった。
枯れ木のようになった手でセリカの頬を撫で、私の可愛い娘、と言ったのだ。

――――――その言葉が、存在が、セリカに呪いをかけた。

セリカは、死ねなくなった。
どんなに陵辱されても、死を望むことができなくなった。
望んだら、無駄になってしまう。
あの人が何を思って死んだのかはわからない。
でも、幼い自分を連れて女の身で世界を巡り、そして死んだ母親が―――生きろと言ったのだ。

………………………………それを、セリカは、心底恨む。

歯を食いしばろうとして、口に男のモノが入っていたことを思い出した。
すぐに顎の力を弱めるが、時は遅かったらしい。男は激痛に悲鳴をあげた。

「何しやがる!!」

どん、という衝撃が走った。
腹に蹴りを受けて壁に叩きつけられたのだ。肺を圧迫され、大きく咳き込んだ。

「おいおい、なんだよ」
「畜生この女!俺のアレを噛み切ろうとしやがった!!痛ぇ、血が出てやがる」

セリカは―――汚れた顔をあげた。
その眼は相変わらず虚ろで、激昂した男がナイフを取り出したのも見えているかどうか。

「おいマジかー?いいじゃねぇかお前のなんかあってもなくても同じだろうよ!」
「ふざけんな手前、抜いたからって人事かよ!俺ァ舐められたんだ!ブッ殺す!!」
「舐められたんじゃなくて噛まれたんだろ?」

ぎゃははは、と耳障りな音が鳴った。

口元をぬぐうと、酷い匂いの白濁がぬらり、と糸を引いた。
ぼんやりと汚れた手を眺めて。

それが。
何故だか。
耐え難く。
こみ上げてきた。

――――――ざわ、と肌がささくれ立つ。

「オラァ!!」

振り下ろされる刃物。
それに焦点を合わせるようにセリカの瞳がきゅうっ、と縦に細まり、
53&BASTARD(9/13):2007/12/03(月) 10:40:33 ID:N5deC9pO


「でぁりゃぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!」


男は、空から降ってきた何者かに踏み潰されて地面に叩きつけられていた。
セリカははっとして腕を押さえる。
ささくれは身を潜め、肌はいつもの白磁に戻っていた。

「な、なんだお前はっ!?」

男たちが色めき立つ。
空から降ってきた影は立ち上がると、男たちを睨みつけた。

「『なんだお前はっ!?』だとっ!?そんなありきたりな台詞吐くちんぴらに名乗る名などないってんだい!
 あたしの名はリオル!ストラート火山が元・主、灼炎龍リオレイアたぁあたしのことでぇぇいっ!!」

かん、かん、かかんッ!と大見得を切ってのける少女は―――辺りの空気をしばらく凍らせた。

「名乗ってるーーーッッ!!」
「そ、そういう日もあるっ!とにかく!うら若き乙女を強姦したあげく亡き者にしようなんて犬畜生にも劣る悪辣!
 そんな外道は、ジョンに代わってこのリオルが正義の炎で焼き尽くしてあげてもいいですか!?」
「知るかーーーッッ!!」

一斉に襲い掛かる男たち。
少女は適当っぽい構えをとってそれらを迎えうつ。
あっけにとられていたセリカだが、その光景には目を見開いた。
少女が、

――――――変身したのである。


短剣を腕で受け止め、驚愕する男を突き飛ばして壁に叩きつける。
その腕には傷ひとつない。鎧のような鱗に刃物は一切通らないのだ。
手を広げると、そこには鋭い爪が生えていた。
ぶん、と振り回すだけで空気すら切り裂かれ、衝撃波となって男たちに襲い掛かった。
背後から石を投げつけられるも、がん、と尻尾で弾いて逆に相手に打ち返してしまった。
パンチを躱し、その袖に噛み付いて放り投げる。
強靭な牙と顎は大の男を容易く空へ招待した。
頭から伸びた角……は何もしないのか。

「うぉぉぉ、必殺!隕石衝拳(メテオ・インパクト)ォォォオオオオ!!」

少女に影が落ちる。

名をなんと言ったか―――男たちのリーダーがその大きな拳を振り上げていた。
ちんぴらなりに魔法を齧っていたのか、その拳は炎に包まれている。
54&BASTARD(10/13):2007/12/03(月) 10:41:24 ID:N5deC9pO

「出たぜ!ゲルドのアニキのメテオインパクト!
 炎の魔法を拳に宿して全てを破壊するアニキの必殺技だぜー!!」
「ていうかアニキ、それしかできねぇけどな!」

その必殺拳を見て―――しかし、彼女『たち』は眉ひとつ動かさない。

「な………ッッ!!?」

当然、アニキの必殺技は少女にかすりもしない。
それどころか、少女の姿は路地裏から消え去っていた。

「ど、どこ行きやがった!?」

セリカは、ただ、空を見ていた。
拳を躱し、翼を広げて飛翔したその少女はセリカの視線の先にいる。
少女は口を大きく開けて、既にちんぴらたち全員を標的にしていた。

「と、飛んでやがる!」

男たちが指を指すも、もう遅い。

「控えめ必殺、火龍烈火吼(デラ・バーン)!!!!」

放たれた火球は男たちの中心で爆発炎上し、高らかに炎の柱をあげた。
爆風が晴れたあとには、もう男たちの中で動ける者はいない。
黒こげになって倒れ伏し、白目をむいてひっくり返っているだけだ。


「………」

セリカは―――絶句していた。

「正義は勝〜〜つ!!」

少女は路地裏に降りてきてVサインなんぞしている。
と、急にセリカを振り返ってたたたと駆け寄ってきた。
その顔は人懐っこそうな、ひとかけらの影もない満面の笑顔である。
55&BASTARD(11/13):2007/12/03(月) 10:42:01 ID:N5deC9pO

「大丈夫?ダメだよ〜?ヤバいやつに襲われちゃ……って遅かったのかぁあたし。
 でも助けたんだしチャラってことにしといてよ。ん?何?あたしの顔に何かついてる?
 だ〜め〜だ〜よ〜惚れちゃあ。あたしにはジョンっていうイイ人が……ってぁぁぁあああああああ!!!!」

突然大声をあげ、ぺたぺたと身体を触りだす謎の少女。

「へ、変身しちゃってるんですけどあたし〜〜ィ!!やばい、ジョンに怒られるよ!
 まずっ!ね、ごめん!あたしのことは見なかった方向でお願いできないかな?かな?
 んじゃ、そゆことでバイビー!」

謎の少女はめきめきと身体を元に戻すと、すったかたーと走っていってしまった。
と、思ったら戻ってきて瀕死の男たちから衣服を剥ぎ取り、セリカに押し付けてまたどこかへ去っていった。

………嵐のようだった。

「なんだったんだろ……」

ぽつり、と声が漏れた。
あの女の子は、間違いない。
人の姿と、異形の姿を持っていた。
自分と、同類だ。
なのに何故?
何故、あんな、こんな、ことを………。
意味が解らない。
こんな、堂々と。
引け目もなく……まるで、それが力であるとでもいうかのように。

――――――『妖人(あやかしびと)』。

呪われた血をその身に宿しながら、何故、あんなにも、背筋を伸ばして生きているのだろう……?

「なんだったんだろ……」

再び、呟く。

セリカには……わからなかった。
56&BASTARD(12/13):2007/12/03(月) 10:42:44 ID:N5deC9pO

「なんだってんださっきの爆発は……」
「げ!お、おいありゃあゲルドのアニキじゃねぇか!?」
「一体誰がこんなことを……おい、そこの女!何があったってんだ!?」

ちんぴらの仲間たちだろう。人の気配がしたが、セリカはただ、わからない、わからない、と呟き続けていた。

「てめ、無視してんじゃ―――」

その皮膚がささくれ立ち、身体に縞のような模様が走る。
額にみっつ、こめかみにひとつずつ切れ込みが入り、
ギョロリと見開くとそこに宝石のような翡翠色の眼が現れた。
ひ、とか細い悲鳴が声になる前に、その男は光速で伸びた何かに首を360度回転させられていた。
口元から一筋の血が伝い落ち、倒れこんでもう二度と動かない。

「………え?」

残った男たちは呆然とし、そして愕然とした。
少女の背から四本、槍が伸びている。
いや、槍ではない。
それは腕。
醜い、針のような毛がびっしりと生えた節足のアームである。

「う、うわぁぁぁああああッ!!?」

叫び、逃げ出そうとするも、それが敵わないことはもう誰の眼にもあきらかだった。
少女は押し殺した心を氾濫させ、それが静まる間、
大蜘蛛の怪物たる『アラクネ』の糸は人間への憎しみを惜しみなく巡らせる。

「……どうして、どうして………」

――――――路地裏から悲鳴が完全に消えるのに、そう時間はかからなかった。
57&BASTARD(13/13):2007/12/03(月) 10:44:33 ID:N5deC9pO


人でありながら魔獣であり、魔獣とも言えない人ならざるもの。

彼らは先ず、生まれ生きることが罪悪とされる。

どこにも居場所を持つことが許されず、どこに訪れることも許されない。

人も魔獣をも超える力を先天的に持つが故、その両者にもなることができないのだ。

故に彼らは常に呪いと共にある。

この世の全てから呪われ、この世の全てを呪って生きていく。


―――何故、生まれてきたのかと。
―――何故、生み落としたのかと。


「………どうして、こんな力を、使えるんだろう……?」

惨劇の路地裏。
ぴくぴくと痙攣する黒焦げの男たちと、原型を留めないぐちゃぐちゃの肉塊をあとに、
セリカはふらふらと歩き出した。

………………その背を、とある少年が遥か遠くから眺めているとも知らずに。



ちなみに。

情報局の一室では相変わらず億劫な山が積みあがっていた。
路地裏での惨劇を、彼らはまだ知る余地もない。
ただ資料を片っ端から片付けているだけである。
リオルはまだ帰ってこない。
一行は、とりあえず罰として今日の晩御飯抜きにしようと決めたようだった。


                 &BASTARD〜新ジャンル「鬱クール」英雄伝〜 完
58名無しさん@ピンキー:2007/12/03(月) 12:32:06 ID:SqdTKkdh
>>44
出てるー!↓いっぱい出てるーっ(w
>>45-57

そう来たか!新キャラ!
wktkと惜しみ無いGJを!
そしてこちらも負けじと今夜投下!(出来たらいいなぁ
59名無しさん@ピンキー:2007/12/03(月) 16:48:25 ID:efPgxrwH
控えめ必殺吹いたw
60名無しさん@ピンキー:2007/12/03(月) 20:38:14 ID:MG3XUa0+
新キャラもそうだが色んな新設定が出てきたな。
EDENとか量子論っぽい光と闇の役割とか妖人とか。
妖人は魔物と人間のハーフでおk?

>>58
全裸で正座して待つ
61名無しさん@ピンキー:2007/12/03(月) 20:39:06 ID:MG3XUa0+
すまんageてしまった・・・
62名無しさん@ピンキー:2007/12/04(火) 00:08:58 ID:VJFUlVY1
落すよー、7レス分
ええと『百合』『ふたなり』がNGのひとはスルーでお願いします。
63ヒコカッツェの夜はふけて(1/7):2007/12/04(火) 00:11:49 ID:VJFUlVY1
>>このフォート呼ばれる城壁はかっての王国の名残りとして知られており、白い聖獣
カッツェと共に地元の人々に愛されていました。
フォートにはそのカッツェを祭る社が有りましたが、馬鹿な教会が『邪教』として
取り壊し、あまつさえその上から教会の建物も建てるという暴挙にも程があ…

「ああ、だめだめ!もーこの自動書記タブレットって便利なんだかなんだか」

タブレットから手をはなし椅子の背もたれに身を預ける。
機械式のタイピングマシンーンより小さく、慣れれば早く書けるというので持ってきたのだが。
こうも「思ったまま」書かれてしまうと書き直しに時間をとられてしまう。

落ち着けけセトリア、これは教会の暴虐をあばく手記では無い、旅行ガイドなのだ。
つい教会と聞くと、攻撃的になってしまう自分を諌める。
しかし

矛盾している。

フォートは観光名所である、そこに観光客があつまれば領地は潤おう。
それはいいし、そうなって来れればまたこういう仕事が廻ってくる。
反面今は教会の地所となっているソコに人が集まるのは教会の宣伝に他ならない。
それが気に入らない。
だがらと言ってこの地方を書くのにこの「フォート」を書かない訳にはいかない。
良い記事でなければ仕事も来ない。
実際彼女のガイドレポの評判が良いのでこの取材旅行もなんとか続けていられるのだ。
マナビナの書くゴシップ記事だけではとうに干上がっている。
(その記事もセトリアが校正しているのだが)

割り切るしかないか…ああそうだ、あの壁画の件を入れてみるのもいいかもしれない。
調べて分かったのはあの一件は領民にとっては痛快な出来事だったらしい。
そう思いなおして再びタブレットに手をやる。

それにしても
「ったく、誰の所為でこんな苦労してると思ってるのよ」
64ヒコカッツェの夜はふけて(2/7):2007/12/04(火) 00:13:16 ID:VJFUlVY1
ザバァと水音がする、そして呑気な鼻歌。
バスのある部屋、それも二つも取るなんて…もう少し節約するべきである。
『記事が売れたから』と言うので贅沢しようとマナビナが言い出したのだ。
それほどの余裕は無い、だが一度言い出したら聞かないのが彼女である。
だからこうしてセトリアはタブレットを前にしているのだ。

>>現在は聖導教会の建物の一部がその城壁を利用して建てられており、地域の

しかし、彼女がそう言い出したのは記事が売れたからだけでは無いのでは無いか。
多分彼女は…そう多分そろそろ…

>>人々の新たな信仰の場所として毎朝人々がやって来…

風呂から上がったら、絶対彼女は…来る。

>>来…来るくるくるきたらどしようでもそうだよねそろそろくるころだもの

トクトクトクトク、胸の鼓動が早くなる。

>>ぜったいくるしきたらいやといえないかもいえないいえないよねいえない

じくっと身体の奥が疼く

>>どうしようああさきにふろにはいってればあたしきたないにおいとかあせくさ

誉められる事では無いのは分かってる、理性はそれを否定する。
でも身体はそれを肯定し始めている。
そうこれは

矛盾している。

はっと気が付くととタブレットは愚にも付かない文字を書き出している。
「やだ、わたし何を…」
「うふふぅ…なに書いてるのかなぁー」
突然耳もとで熱い吐息と共に湿った声で囁かれた。
65ヒコカッツェの夜はふけて(3/7):2007/12/04(火) 00:14:09 ID:VJFUlVY1
「うひゃあああ!」
背後から腕の上から抱きつかれている。
「もー何よぉもうちょと色っぽい声出しなよー」
「ああ、ま、マナ、何時の間にひやぁあああぁぁん」
じょろりと耳を舐め上げられ、ぎゅっと腕の上から胸の膨らみを掴まれる
「あ、馬鹿、駄目、だめだっって」
べろべろじゅくじゅくと耳のなかに舌が進入していく、ぐにぐにと豊かな乳房が
揉みしだかれる。
「マナ、マナ、マナビー!だめ、やぁあ、やめぇ」

>>いやいやいやいやいやいやいやいやいやいいいいいいややややややいいいいいいいい

手が部屋着の中に進入する、下着を付けていなかったので、難無く侵入者はセトリアの
敏感な部分に辿り着き弄び始めた。
「だ、だめ、だめぇいやん、いやぁゆび、ゆび入ってるるう、いやぁあん」

>>いいいやぁだめだめだめでもでもきもちいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい
>>いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい
>>いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい

「あ、あ、あ、おねがっあ、あんあ、あ、あ…ん…ああん、…いやぁ」

>>いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい
>>いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい

「ふふーん、じゃやめようかぁ?」
マナが突然彼女から身を放した、同時に高ぶっていた身体が中途半端に成る。
「ぁああん…もう!」

>>いいいいいいいいやぁんどうしてどうしてやめないでいやいやいやいやいやい

「もう!何するのよ!」
「あーイヤってやめちゃイヤって事なのねー♪もうセティーたらぁん」
「ば、ばか、何言ってるのよ」
「だーってほら」
バッとタブレットの下の紙を取られ、目の前に突き出される。
「あ…」
耳まで赤く成るのが分る。
66ヒコカッツェの夜はふけて(4/7):2007/12/04(火) 00:15:04 ID:VJFUlVY1
「イ・ン・ラ・ン」
耳もとで囁かれる
「ち、ちがっ」
取り上げようとしたが紙一重でかわされた。
「ふーん強情ねぇ、じゃぁこれメルチェやフェイリムに見せようか、何て言うかしらね?」
「そ、そんなのどうせあんたの悪戯と思われるだけよ!」
「そぉおお?メルは『やっぱり』て言うと思うよ、なんたって…」
「もう!よこしなさい!」
「おおっと、よっ」
おもわず飛びかかるが逆に身をかわされ、バスッとベッドに倒れこんでしまった。
『しまった』
と思ったが遅かった。
「あらぁ、そんなに待てないの?しょうがないなぁ」
身を躱して起き上がろうとした処をのし掛かられた。
「だ、誰が…」
と口をひらいたところに両手で顔を挟まれ唇を塞がれる、唇で。

「ん…んんっ…んはぁっ…ん…」
「ん…んちゅ…あぶっ…んん…」
じゅる、ぴちゃぴちゃと激しい音をたて口の中を蹂躙される。
唇が舐められえ、吸い付かれ、甘噛みされる。
舌も舐められえ、吸い付かれ、甘噛みされる。
理性が飛ぶ
何時の間にか自分も相手の唇を舐め、吸い付き、甘噛みしている。
舌と舌が抱きあう。
身体と身体が抱きあう。
手が身体を這い、掴み、揉み摩り…

「ふぁ、あぁ、マナ、マナ、あ、あ、ああ、いやぁ…あ…ん」
「んふ、ふ、ふふふ…んちゅ…どうなの?こんなに…んん…んあ…こんなになって…」
じゅくじゅくという音はもう口だけでは無い。
マナの唇がセトリアの豊かな胸に食い付き、先端を舌で刺激する。
指がセトリアの股間で激しく動く、セトリアは見る間に追い詰められる。
「あ、ああ、マナ、マナ、マナ、マナ、あ、あた、あたしっ!…あ…」

白くフラッシュバック
意識が飛ぶ
ビクッビクッとからだが跳ねる、そしてぎゅうと何かに耐える様に丸くなる。
息が上がっている。
67ヒコカッツェの夜はふけて(5/7):2007/12/04(火) 00:15:51 ID:VJFUlVY1
「イった?」
「…うん…」
「やっぱりイキたかったんでしょう?」
「……うん…」

恥ずかしい

「自分だけで?」
「…ううん…」
「でも先にイッちゃった…ズルいよね」
「…だ、だって…マナが…」
嘘だ
結局自分が求めていたのだ。
羞恥に思わずぎゅうっ目を閉じる
ぺろり
突然閉じた目の舐められる、涙を舐め取られたのだ
「うふふ、もう可愛いわね…セティーったら」
そう言って彼女は優しく口づけをする。
軽い口づけとゆるりとした抱擁、二人はしばらく抱き合っていた。
「さてと…」
やがてマナが身体を起こし、巻いていたタオルを落すとセトリアの上に跨がった。
「お願いしていい?」
「ん…」
マナがセトリアの頭側のベッドサイドに手を付き、身体を下げる。
自然セトリアの目前にマナの股間が降りて来る。
彼女の髪よりやや濃い色の茂み、その狭間の秘裂に舌を挿し入れる。
「ふ…ふ、ふん」
マナは軽く目を閉じ、セトリアの舌を味わう。
「ん…んちゅ…」
セトリアは貪る様にマナの中を味わう。
口の廻りの滑りが増え、舌に潮の香りを感じ、それを啜る。
やがてマナの腰がすこし引かれ、セトリアの口が突起を捕らえる。
れろれろと舌でその突起に廻りを舐め上げるとそれはみるみる硬く大きくなっていった。
つるんとした先をちゅんと吸いこみ、唇でそのうしろの柔らかい部分を甘噛み。
口の中の先端を舌でれろれろと嬲る。

「ふ…ふん…ん…」
マナの片手がゆっくりと上がり、自らの乳房を掴む。
人指し指で胸の先端をセトリアの舌の動きに合わす様に嬲る。

めきめき

めきめきとセトリアの口の中の突起が大きく突出して行く。
小指の頭程だったモノが指2本ほどの太さと長さになり、やがて3本、四本と太さと
長さが増して行く
68ヒコカッツェの夜はふけて(6/7):2007/12/04(火) 00:16:24 ID:VJFUlVY1
「ふん…ん…ん…」
セトリアもいつしか片手を乳房に、片手の股間に持っていって自らを昂らせている。
じゅぷっじゅぷっ
マナが腰を振り、今や成人男性の男根程になった陰核がセトリアの喉内を犯していく。
「…ねぇ…このまま出しちゃっていい?」
「ふ…んんん…」
口に含んだまま頭をふる
腰がずっと引かれ、ずぷんと一物が口から飛び出ると、ぷるんと跳ねてマナの下腹を打つ。
ふぁっと小さな声を出し、セトリアは口に居たモノを追うが届かない。
「そう…じゃどうしたらいい?」
「あ、…わたしの…に」
「なーに?どこにどうするの?」
「わたしの…中に……」
「中って?もっとちゃんと言わないと分らないよ?」
「わたしの…お…おま…んこの中に…マナのおちんちんを…下さい…」
「はい、よくできました、じゃぁー御褒美ね」
ニィとマナが笑う。
くりっとした目の彼女がにぃと笑うと昔話の笑う猫の様だ。
その顔がすうっと降りてきて優しく口づけする、そしてその直後
セトリアは身体を貫かれた。

そのまま二回貫かれたまま達し、そのあと後ろから一回貫かれて達した。

月に2度マナは狂う(いや普段もまともとは言い難いが)。
満月の日になると欲情(いや普段も貞淑とは言い難いが)するのだ。
そして股間に男根が生える。

血なのだと言う、昔の祖先に何かの血が混じっているのだと。
世の中には妖人(あやかしびと)と言う人がいる。
血に魔獸のそれが混じっていると言われているが…詳しくは知られていない。
『ようするにそれなのよ』と彼女は言うのだがー
『絶対それと違うと思う』とセトリアは思っている。

ともあれふとした事でマナの秘密を知ってしまったセトリアは、その日の内に
マナに手込めにされて…

現在に至るのである。

三度達したあと座位でお互いを貪り、最期にお互い口で奉仕し合った後になって
やっとマナの怒張は姿を消した。
へとへとになった二人は裸のまま抱き合って眠った。
69ヒコカッツェの夜はふけて(7/7):2007/12/04(火) 00:17:27 ID:VJFUlVY1
そして

>>現在は聖導教会の建物の一部がその城壁を利用して建てられており、地域の人々の
>>新たな信仰の場所として毎朝人々がやって来ます。
>>ここの城壁には最近聖獣の壁画が描かれてました、教会の宣伝to見栄ためdeth。
>>そreがこの前見ん事にぶつぶされざまぁあみ

「先輩!」
「ん」
「文章が」
「え?あ。」
朦朧とした頭を振るとセトリアはタブレットを滑らし、文字を消去する。
頭が重い、ガンガンする。
「先輩、生姜湯です」
「あ、有難う」
一口啜る、身体が暖まる
「あの、わたしが代わったほうが良くないですか?言って下されば書きますよ?」
見兼ねたフェイリムが声をかける
「うん…でもやっぱり自分で書かないと文章浮かばないし…有難う」
「でも…お二人ともなんで急に風邪をひいたんです?」
そりゃぁ…

「ねー卵酒まだー」
「はーい、ただいまー」
ベッドのマナにメルチェがあやしげな臭いのするマグを持って行く。
通りすがりざまにチラリとセトリアの方を見た。
『どうせ裸で寝てたんでしょう』そう言ってる様にもみえた。
『ああ、あの子にはバレてんだろうなぁ』
増々憂鬱になる、昨晩のアレですっかり忘れていたが原稿のしめきりは今日だったのだ。
鼻がずるずるし頭も痛い見事に寝冷えである。
「セティー、あんたも飲むー?卵酒」
「いらないわよ!原稿あげなきゃいけないのに!」
「そうかー大変だねー」

「ったく、誰の所為でこんな苦労してると思ってるのよ!」

〜英雄伝〜外伝の外伝

Four Minstrel Girls #2

新ジャンル
「狼男ならぬ娘男」
と思ったけどこれだと男娘じゃん!
70名無しさん@ピンキー:2007/12/04(火) 06:22:40 ID:VdaH5I0g
なんちゃって異世界モノの何がいいかっていうとこーゆーシチュが
普通に世界観的にアリっつーとこだな。ビバ不思議設定!!

でも『ヒコカッツェ〜』の何が一番キタかっていうと自動書記による脳内吐露。
ヤバイ。その発想はなかった。ほとんど言葉になってないトコもアレだけど
それを本人に突きつけるとかマナ鬼畜。マジマナ鬼畜。

他のメンバーの性格もしくは性癖はどうなのかな?
イイひとがいるのかな?それともマナにつまみ食いされてるのかな?かな?
71名無しさん@ピンキー:2007/12/05(水) 17:30:10 ID:C+sBq4jH
男 「このアホったれがぁぁぁ!!」
女 「え!?(アホったれ!?)」
男 「女ァァ、貴様なんだその恰好はァァァ!!」

スカート+ハーフパンツ

女 「なんだって……普通じゃない?」
男 「黙れこのゆとり女!貴様XX染色体の持ち主として恥ずかしくないのか!!」
女 「……いやそりゃ見栄えはよくないけどさー。寒いんだよスカートって。男にはわかんないだろーけど」
男 「だからってなんでハーフパンツなんだこの雌豚!!」
女 「(雌豚…orz)だ、だって他に穿くものないし……」
男 「 ス パ ッ ツ だ ! ! 」
女 「スパッツ……?」
男 「応とも!あれこそブルマに代わる日本女子の魂!ハーフパンツなんざ死ね!!」

??「待てぇぇぇい!!」

男 「何奴!?」
男友「お前は何もわかっていない……ブルマこそ至高!ブルマに代わるモノなど存在しない!!」
男 「時代が変わったんだ!もうブルマを求めるな!」
男友「うるさぁい!ゆとり教育だって見直されているんだ、ブルマだって…旧スクだって…」
男 「男友……お前は、そこまで……」

女 「寒いよぅ」
女友「カイロ貸す?」
女 「サンキュ。はあ、女子の制服もスラックスにならないかなー」


男・友「 断 固 反 対 ! ! ! ! 」


新ジャンル「ブルマVSスパッツ」
72名無しさん@ピンキー:2007/12/05(水) 17:45:49 ID:C+sBq4jH
男 「ところでさー」
男友「うん?」
男 「スパッツの上からスカート穿くだろ」
男友「俺はブルマ派だと何回言えば」
男 「まあそこは今回置いておこうや。穿くだろ。
   したら、スカートの裾からちょっとスパッツが見えるだろ」
男友「見えるな」
男 「何かに似てると思わないか」
男友「何かって?」
男 「オーバーニーとミニスカの合わせ技、絶対領域だよ……!!」
男友「………!!」
男 「僅かにふとももが見えるあちらに対し、
   こっちは僅かにスパッツが見えるという差異はあるが……
   どちらもチラリズムということに変わりはない!!
   いやむしろこれこそスパッツの真骨頂!!スパッツのみも捨てがたいが
   この絶対領域こそ、いや裏・絶対領域こそスパッツの真の魅力なのではあるまいか!」
男友「な、なるほど……」
男 「たとえばだぼだぼのtシャツ+スパッツ」
男友「ぐはっ!?あ、頭なでなでしてぇ!わはー!!」
男 「あーあ。女子の体育、スパッツになんねぇかなー」
男友「いやブルマだな。ここは譲れねぇ」
男 「まだ言うかてめぇ!!」
男友「ぶるまぁぁぁ!旧すくぅぅぅぅ!!」


新ジャンル「ブルマVSスパッツ」
73名無しさん@ピンキー:2007/12/05(水) 20:05:39 ID:Poweiu+a
謎「スラックス少女……ハァハァ」
男・友「!!??」


新ジャンル「第三勢力」
74名無しさん@ピンキー:2007/12/05(水) 21:12:26 ID:va0qNXJx
爺「みとめんぞぉぉおおお!スパッツなぞ!チラリズムだぁ?莫迦奴!
それなら体操服のすそから見えるブルマのにかなう物かぁ!」
メイド1「落ち着きください、大旦那様」
メイド2「大旦那様、お茶でございます」
爺「お、すまんな…遺憾儂としたことが年がいもなく興奮するなぞ…ん?」
メイド1「どうかなさりましたか?」
爺「貴様!その下に何を履いておるかぁ!」
メイド2「え”!わたしですか!?」
爺「貴様だ!そのスカートの下は何だと聞いておる!」
メイド2「あ、あの今日はハーフパンツを…」
爺「莫迦モォォォォォォオオン!メイドの猿股はドロワースと決まっておるだろうがぁああ!」
メイド2「ひぇええええ!お、お許しを!」
爺「ならぬ!貴様はクビだぁあ!」
メイド2「そ、そんなぁ」
メイド1「お待ち下さい!それならばわたしも同じ咎を!」
爺「ぬ、貴様は何を」
メイド1「ブ、ブルマを履いておりますう!この通り!」
バサァアア
爺「ぬ…!」
メイド1「如何です大旦那さま、わたし今日をもって暇を出されますか!」
爺「………………タラァ(鼻血)よい、許す」

新ジャンル「参戦しようとして失敗」
75名無しさん@ピンキー:2007/12/05(水) 21:55:23 ID:c0569w7v
男「ふざけんな糞爺ィィィ!メイドはべらせやがって何様のつもりだぁぁぁ!!」
爺「カッカッカ!!小僧風情が何かぴぃぴぃ鳴いておるわ!!」
男「泣いてないもんね!!必殺!女召喚!!」
女「……え?何?」
爺「な、なんと!現役女子高生じゃと!?」
男「これがアンタの馬鹿にした小僧の力だぜ!行け女!
  体操服の上からうっすら見えるブラ!」
爺「ごふぅッ!?や、やりおるわ小僧、だが!次はわしのターン!
  メイド召喚!チリンチリーン」
メ「お呼びでございますか大旦那さま」
男「がはッ!?お、俺も旦那様って呼ばれてぇ…!!」
爺「カッカッカ、どうじゃ?イギリスでは普通に職業として成り立っておるのじゃよ!」
男「だが……!まだ足りねぇなぁ……!!」
爺「なんと!?」
男「あいにく俺はまだ『大』旦那さまって歳じゃねぇんでな……!まだまだだぜ、爺ィ!」
爺「く、くく……久方ぶりにこの蒼き血が滾っておるわ、小僧!!」
男「うぉぉぉぉおおおお!!」
爺「かぁぁぁあああああ!!」

バキッ!ドガガッ!!ズガァァァァァン!

女「…あ、紅茶美味しーい」
メ「スコーンもございますよ?」


新ジャンル「メイドVS女子高生」
76名無しさん@ピンキー:2007/12/05(水) 22:21:59 ID:va0qNXJx
爺「ふ、ふうふふふふうふふう中々やるな小僧!」
男「爺ィも年の割にはやるじゃねぇか」
ふう、ふう、ふう、ふ、ふふふふふふふふううははははははっはっはははは!
爺「愉快じゃわい此れ程までに昂ることなどここ数十年なかったわい」
男「ははははっ俺も爺ィのことちょと見直してもいいかなーとかはははは」
爺「思えば女子高生もメイドも女子(おなご)を愛でると言う事では思いは同じ、」
男「優劣をつけるなぞ無駄ッ無駄ッ無駄ッ無駄ッ無駄ッ!」
爺「うむ、小僧!」
男「爺ぃ!」
ガシッ

〜ここに世代を越えた友情がうまれる〜

男「じゃぁちょっくらお茶とか御馳走になろうかなーとか」
爺「うむ、あやつの入れるお茶は格別じゃぞ」

メイド「あん!あんん!、ご、旦那様の太いのがぁ、あんあん」
女「あ、おじさまぁ!ああ、ダ、だめぇええ!ソ、そこダメェエエエ!」

爺&男「って誰か性的な意味で御馳走になってるー!」

親父「はははははは、バカオロカな親父様&我が息子よ、先に頂いているぞ!」
男「アホ親父!」
爺「莫迦息子!」
親父「はははは、ここをドコだと思っているのかねエロパロ板なのだよ、性的にならんで
どするのかねはははは」

新ジャンル「エロバカ一家」



77名無しさん@ピンキー:2007/12/06(木) 01:02:23 ID:MSHVg1/z
>>71-76
お前らW
78名無しさん@ピンキー:2007/12/06(木) 12:37:44 ID:74iR+NW4
>>70
感謝感激
あれですこの四人の基本キャラは奈良の4人と同じです(w
まぁ世界や関係が違うのでこれから変わってくると思いますが。
>>76
ごめん流れ切っちゃった....orz
79名無しさん@ピンキー:2007/12/06(木) 17:03:05 ID:CRrHirm6
俺さ……実はもっとヒロイン増やしたかったんだ……
80名無しさん@ピンキー:2007/12/06(木) 17:19:57 ID:e+5ckgbg

「…………暇ダ。」
モンヒエイザ中央に聳え立つ時計塔、街のシンボルでもあるこの塔の最上階に
大の字になり寝転がっている少年、レイジュ・ランディスがそこに居た。
(生まれてこの方千五百年位ダケド、ここまで暇だった事はネェ…)
リビングデット、グール、俗に言う不死者と呼ばれる存在達の頂点
不死者王(ノーライフキング)と恐れられ、神話では死神と呼ばれた
魔獣「リッチ・ザ・デス」の血を引く為、途方も無い時を生きたレイジュに
とっては戦争の無い世界と言うのは喜ばしい事でもあり同時に戦火の中で
生き続けた彼にとってはかつて無いほどに暇な事であった。
(教団からの任務は来ナイシ、ヒコカッツェ教会壊した勇者は見付からナイシ、
 随分と無い事ずくしダナ。今の俺…………)
と自己嫌悪に落ちていたその時

何処かで何かが落ちた轟音が聞こえた
常人には聞こえない程遠く離れた場所で起きた音を聞いたときレイジュは
新手の異教徒共のテロかと思ったがその考えは打ち消された
「『なんだお前はっ!?』だとっ!?そんなありきたりな台詞はくちんぴらに
名乗る名などないってんだい!
 あたしの名はリオル!ストラート火山が元・主、灼炎龍リオレイアたぁ
あたしのことでぇぇいっ!!」
それを遥か遠方から見ていたレイジュは一言
「寒ッ!!」
81名無しさん@ピンキー:2007/12/06(木) 17:30:32 ID:74iR+NW4
>>80
ええ?
えーと…レイジュがハァチマンに来る前の話し…じゃないな…
ええとね、「出会わない」のはヒロトと達と、って事で…
レイジュVSスリムとかレイジュVSグリッティーは一応有るんですが…




82名無しさん@ピンキー:2007/12/06(木) 18:20:15 ID:e+5ckgbg
まさかこのご時勢に時代劇の様な自己紹介をする年頃の少女が居るとは
思わなかったレイジュの思考は凍結した。
(何だあの娘ハ、いやそもそもアレは人なのか。今時『たぁ』やら
 『てやんでい』やら使う奴が居ルカ普通、そりゃ千年前なら山ほど居たよ
 『サムライ』とか『シノビ』が山程いた時代ダモノ。けど今はどっかの
 馬鹿野朗が「サムライは物語の中の生物です」とか言う迷言残した位ダゾ
 何処の時代錯誤者ダ、ヴォケェェェェェェェェェェェ!!!

 ハァハァ落ち着け俺、こんな時素数を数えれば良いって法皇陛下が言ってた
 カラナ、良し………………素数ってドンナンダッケ?………………………
 あんの糞爺ィィィィィィィィィィ!!素数分からん奴に素数数えろナンザ
 無理に決まってるだろうがァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!)
 全く関係の無い脳内会議(ちょ)を開いている間にリオルは男達を懲らしめ
 いき男達に囲まれていた別の少女が惨劇を引き起こしたのを知るのは
 暫く後の事……


 英雄伝 外伝
新ジャンル「暴走少年A」
83名無しさん@ピンキー:2007/12/06(木) 18:25:50 ID:74iR+NW4
>>80
>>82
ゴメン、死んでくるorz
84名無しさん@ピンキー:2007/12/06(木) 18:31:31 ID:e+5ckgbg
>>81目撃>面倒だから見なかった事に>そのまま何処かに行って華麗にすれ違い>終了 みたいな感じで繋げてみようかなと思いまして…誠に申し訳ございませんでした。
85名無しさん@ピンキー:2007/12/06(木) 18:46:46 ID:w2DK214S
>ヒコカッツェ教会壊した勇者は見付からナイシ
これを修正すればなんとかなるんじゃないかな

レイジュvs賢者一行
↓翌日
リューvsローラ
↓数日後
BASTARD

時間経過はこんな感じだから
レイジュが賢者との戦闘後最速で移動すればなんとか
86名無しさん@ピンキー:2007/12/06(木) 19:12:03 ID:CRrHirm6
>>85
いや、なんとか、じゃないっス。余裕っス

レイジュvs賢者一行
↓翌日
リューvsローラ
↓翌日
ククデレ
↓数日後
いつかのさんにん
↓数日後
渇きの国滞在(数日)
↓翌日(数日?)
真夜中のリューさんロラさん
↓数日後
&BASTARD

つまり時間経過的には結構間があるんですね
地味な移動時間ははしょってますから
むしろ修正してほしいかなって所は『サムライは〜』だったり。
主な物語の舞台となる地方では上級兵士は『騎士』ですが
ヒイヅルでは『侍』になるんじゃないかなぁ、と思ってみたりみなかったり。

最後のくだりは&BASTARDのラストで蜘蛛子を見てたのがレイジュってことでおk?
87名無しさん@ピンキー:2007/12/06(木) 19:38:18 ID:74iR+NW4
>>85
>>ヒコカッツェ教会壊した勇者は見付からナイシ
>これを修正すればなんとかなるんじゃないかな

ソレダ!

『対決したけどソレと気がつかなかった』とすれば!
ああでもグリッティーは勇者じゃな…ああだから勘違いしてたと!
これでおK!

>時間経過はこんな感じだから
>レイジュが賢者との戦闘後最速で移動すればなんとか

モンヒエイザは今賢者とレイジュが居る所の背後だからおK!

地理的には

    ヒコカッツェ
    ↓
  山←(渡ると)橋→わたらない
>ヒコカッツェ教会壊した勇者は見付からナイシ
これを修正すればなんとかなるんじゃないかな

レイジュvs賢者一行
↓翌日
リューvsローラ
↓数日後
BASTARD

時間経過はこんな感じだから
レイジュが賢者との戦闘後最速で移動すればなんとか


 場所は

ヒコカッツェ→橋→→→→(渡るとモンヒエイザに至る )→l乾きの国?→モン(rya
         ↓ ↑
         谷 (のぼるとモン方面ヒエイザ)
         ↓            ↑
リューVSローラの街→湖を渡る→ハァチマン→山

って感じです
88名無しさん@ピンキー:2007/12/06(木) 19:48:42 ID:CRrHirm6
おおー……な、なんか地図が!地図ができてるよ!?
いいなこーゆーの!いいな!
89名無しさん@ピンキー:2007/12/06(木) 20:23:43 ID:MSHVg1/z
>>87
地名については突っ込んだら負けなんか(笑)
90名無しさん@ピンキー:2007/12/06(木) 23:36:33 ID:CRrHirm6
女?「うおぉぉぉぉぉぉおぉ!!」

男 「女。朝っぱらから何を叫んでいるんだ」
女 「おはよぉぉぉぉあぉあぉあぁおぁああああ!!男!!誰だそいつはぁぁぁ!!」
男 「ナニッ!?女が二人?」

女?「ふはははははは!!よく気が付いたなぁぁぁあああ!!
   私は『素直シャウト』ォォ!!そこの女の首を取るために使わされた
   四天王が一人さぁぁぁぁあああ!!!!」

男 「新ジャンルとは内容がかぶってるものが多くある……ライバルを消すために
   今、バカヒートの元へ素直シャウトが送り込まれてきたのか……」
女 「な、なんだってぇぇぇぇぇえええ!!?」

女?「ハーッハッハッハ!驚くほど察しのいい男だな男よォォォォォオオ!!
   しかぁぁぁぁし!生きのこるのは私だぁぁぁぁあああ!!」

女 「なま……茸るだとォォォォ!?上等だ!!毒きのこと食べられるきのこを見分けるのは得意だ!!」

女?「違ぁぁぁぁぁぁぁぁうこのバカがぁぁ!!ハッ!しまった!!キャラを認めてしまったぁぁぁぁぁ!!」

男 「これは自らの『キャラの濃さ』を競う新ジャンルの戦い……
   相手のキャラを認めてしまった方が負けだというのか……!!」

女?「うぅ!!嫌だぁぁぁぁ!!消えるのは嫌なんだぁぁぁぁぁぁぁ!!」

男 「安心しろ、素直シャウト」

女?「……?」

男 「よく見ろ。お前の台詞、前後に行間が開いてるだろ?」
女 「………ほんとだ。男!これは……」
男 「お前のシャウトが読みにくいから開けなくちゃならなかったのさ。
   つまり、お前は立派にキャラを立てていたってことだ!」

女?「う、う、うぅ……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」


(こうして、最初の刺客、素直シャウトは去っていった。だが負けるな女&男。
 彼女は四天王最弱の女。戦いの火蓋は切って落とされたばかりなのだ!!)


新ジャンル「バカヒート☆入分(いれぶん)」
91名無しさん@ピンキー:2007/12/06(木) 23:55:19 ID:CRrHirm6
男 「しかし類似ジャンルでサバイバルか……とんでもない戦いになるだろうな」wkwkwkwk
女 「おぉぉ!!男がwkwkしているぅぅ!やったぁぁぁ!!」

女?「……」ジー

男 「よし女、激しい戦いに備えて特訓だ!まずはこのヒヨコ12ダースを全て鶏とアヒルに分けろ!」
女 「応!えーと、鶏!鶏!鶏!コイツは…鶏!鶏!鶏!饅頭!鶏!鶏!」

女?「………」ジー

女 「鶏!鶏!鶏!鶏!鶏!鶏!鶏!鶏!鶏!はぁはぁ……なんて厳しい特訓なんだ…鶏!鶏!鶏!」
男 「弱音を吐くな!それだからお前はまだ一人で風呂にも入れないんだ!もう16歳だろ!!」
女 「あぁっ!すまん男!こんなわたしをもっとぶってくれ!鶏!鶏!鶏!鶏!」
男 「ふっふっふ、気持ちイイんじゃ罰にはならないだろ……?」
女 「ご、ゴムたいな……鶏!鶏!雷おこし!鶏!饅頭!鶏!鶏!鶏!」

女?「……う、うぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!!!!」ダダダダダー

女 「ところで、さっきから見てたあの娘はなんだったんだ?鶏!鶏!鶏!」
男 「さぁ?」


(こうして、二番目の刺客、内気ヒートは敗れた。だが油断するな女&男。
 彼女は四天王最内気の女。戦いの幕はまだ終わらないのだ!!)

新ジャンル「バカヒート☆取武(とれるぶ)」
92天・使・降・臨(1/4):2007/12/07(金) 09:09:36 ID:qoV0g8lt

聖堂教会直下、ナルヴィタート第一情報局局員であるジェニィ・チェーンは思わず顔をあげた。

「………はい?」
「ですから!調べていただきたいことがあるであります!」

ジェニィは目を瞬かせた。
そこにいたのは女の子、それもどう見ても十代前半かそこらの少女だった。
白銀のおかっぱというちぐはぐな組み合わせが特徴的な、しかしかなり目を引く端正な顔つきをしている。
瞳には億千の星が瞬いているようだし、そっけない白い服も陽だまりのような暖かな光を放っているよう。
そんな神々しい雰囲気とは裏腹に、一目見ただけで健気な性格だとわかる程に、
一生懸命ジェニィを見つめていた。
こんな顔されたら、可愛いもの大好きな(性的な意味ではなく)ジェニィは
二つ返事で言うことを聞いてしまいそうになるのだが、
この少女の口にしたことには流石に聞き逃すわけにはいかなかった。

「………ええと、何を?」
「勇者サマの居場所であります!」
「………………………」

……犯罪者がそこにいた。

勇者とは不可侵なる者、個人がその動向について調べるのは立派な法律違反行為なのだ。
ミンストレス団体にしても、許可が下りるのはよほど名を上げた『探求者』か
もしくは大きなコネクションのあるもの者のみ。
無許可で取材するものも跡を絶たないが、真面目に申請すればえらく時間がかかるというシロモノである。

それを、国営施設である情報局で、堂々と犯すか……?

「ええと……」

ジェニィはこめかみを押さえた。
どうしたものか。
まあ、とりあえず説明から始めるのがいいだろう。
この子は、見た感じ『わかってない』ようだし。
たまにいるのだ。
生きる伝説・七人の勇者の話を聞きに何故か情報局にやってくる子供が。
もっとも、この子よりももっと小さな子供の話ではある。

……まあ、情報局の局員だからといって『E.D.E.N.』に気安く触れるわけでもなし、
一般市民と変わらない知識しか持ち合わせてはいないのだが。
93天・使・降・臨(2/4):2007/12/07(金) 09:10:19 ID:qoV0g8lt

「はぁ、そうなのでありますか」

そういうことはできないと懇切丁寧に説明した後、少女はわかっているのかいないのか、
不思議そうに二、三度目を瞬かせた。
多分わかっていないのだろう。

「しかし、自分はここで調べるよう言われてきたのでありますが」
「言われてきたって……」

誰に?

「フェルメス様であります」
「フェルメス?」

聞かない名だった。
しかしどこかで聞いたような。
なんだっけ。ああ、確か情報局の祭壇に奉ってある『そよ風に伝える神』が確かフェルメスと言っていたような。
でもまあ、それはないだろう。
何故って相手は神である。ならばその神に言付かってやってきたこの少女は神の使いということになる。
どうしてこんな場所に神の使いが来るのだ?
ああ、それはこの少女が言っていたか。

―――勇者の居場所を知りたい―――

………いやいやまさか。
よく見ると少女の背中に光の粒子が集まって羽のように広がっているが、いやいやまさか。
それが羽なら、何だ。すっぽりと被った帽子からはみ出しているのは光の輪か?
いやいや、まさか。

「あ、そうそう。お手紙を預かっていたのでありました。申し訳ないであります、うっかりであります」

嫌な汗を背中にびっしょりとかいたジェニィの前に、少女が鞄から取り出した封筒をぺち、と置いた。
震える手でそれを開け、それが『何処』の『誰』からの書類なのか確認する。


――――――『大聖城』セントレイ・ピアラ。
――――――『聖皇』ラルゲリュウス・ルイス・クリフォニア・ナルヴィタート。


ジェニィは絶叫した。
94天・使・降・臨(3/4):2007/12/07(金) 09:11:20 ID:qoV0g8lt



「………しっかし、天使様が一体勇者になんの用だろ」

銀髪の少女が去って約三十分。寿命が軽く三年ほど縮まったような顔をしていたジェニィは
ようやく干し柿のような状態から海岸に落ちているクラゲくらいのぷるぷる感にまで回復していた。

「わからん。しかも大聖城、聖皇様直々の署名を持参してだぞ」

ジェニィの同僚であり、恋人でもあるワッセがうんと苦いコーヒーをすすりながらぼそりと返事をする。

あれからは大変な騒ぎであった。
なにせ、天使である。
光の翼と輝きの輪を持つという天の御使いだ。
神との関係は魔王と魔族のそれである彼らは、しかし下級とはいえ神族であることに変わりはない。
聖教国とはいえこんな地上をうろうろしていいものでは無論なく、
普段は神と共に神殿で生活しているのだとか。
人間と神との橋渡しをし、天啓を与える役割をもっているということなのだが……。

かの少女、いや天使に限ってなのだろうか?
なんというか、あんま神々しくなかったような。

局長がやってきて長々と挨拶をすれば途中で少女は船を漕ぎ出し、
はっと目を覚ましたと思ったらいきなり「寝てませんであります!」と謝りだして全員目が点、
アハハと笑って誤魔化しながら出された最高級のお茶を一口すすれば熱かったらしく局長にぶちまけ、
パニックに陥った少女が手近なもので拭こうとしたらそれは聖皇直筆の署名。
さらに濡れた床で滑って転んだ拍子に局長のカツラを壁に叩きつけたという
別の意味で騒ぎをも起こしていったのだった。

………いや、ある意味さすが天使様ではあるか。

「あんな娘が天使様、かぁ。大丈夫かな?」
「それは俺らが心配することじゃないだろ。腐っても天使だぜ」
「腐ってもっていうな!メルちゃんはそんなんじゃありません!」
「メルちゃん?」
「あの天使様の名前」
「親しみすぎだろ。天使サマに対して」
「なんか応援したくなるんだよねー」

ジェニィはほわ、と吐息をついて肘をつき、顎を手に乗せた。
95天・使・降・臨(4/4):2007/12/07(金) 09:12:02 ID:qoV0g8lt

「天使メルエル様、か……」

だからこそ、心配になる。
あんな少女が、勇者に何の用なのかと。
何故。
何故聖皇の署名を持っていながら聖堂教会直属の『殉教者』ではなく、
わざわざかの『龍殺し』なのかと。
……いや、用があるのは彼女自身ではなくその上にいる者、すなわち『神』か。

神が、勇者に用件?

それこそわからない。
まるで、まるで、ああ、伝説の―――魔王侵攻の再来のようじゃないか。
世界が滅びる、前触れの――――――。

「ジェニィ?」
「え?」

はっとして背筋を伸ばすと、顔を覗き込んでいたらしいワッセと額がぶつかった。

「あいた」
「ご、ごめん!なんかボーっとしちゃって」
「いや、いいけど」

………考えすぎだ。
ジェニィはこの妙な胸騒ぎを忘れようと恋人に笑いかけ、そして……それ以上考えないように、
そういえば次のデートはどこに行こうか、と話しかけた。



「と、遠いであります……いっそワイバーンをレンタル……お金が足りないであります………。
……お菓子を買いすぎたであります…地上には誘惑が多いであります………」


神が勇者に何の用件なのか。
メルエルは無事勇者の元にまで辿りつけるのか。
これからの旅費を彼女はいったいどうするつもりなのか。

………それはまだ、大いなる謎に包まれていた。



                 天・使・降・臨〜新ジャンル「メッセンジャー」英雄外伝〜 完
96名無しさん@ピンキー:2007/12/07(金) 16:34:16 ID:qoV0g8lt
男「あー、メシどうしよっかなぁ……適当に出前でいいか」

プルルル……プルルル……ガチャ

男「はいもしもし?」
?『わたし、メリーさん。今あなたの家の前にいるの…』
男「え……。い、今親いないけど……いいの?」
?『………///』
男「………///」

新ジャンル「都市伝説」
97名無しさん@ピンキー:2007/12/07(金) 16:49:36 ID:qoV0g8lt
女「私の余命はあと半年……」
男「………」
女「あら、悲しんでくれないの?」
男「だってお前、蝉じゃん」
女「みーんみんみん」
男「長ぇよ」

男 「……それから、蝉のメス、鳴かないぞ」
女?「ドキッ!!」

新ジャンル「余命半年」
98名無しさん@ピンキー:2007/12/07(金) 21:06:32 ID:rj1ISbR0
リューが手下の魔物を操ってローラを陵辱する話はまだですか?
99名無しさん@ピンキー:2007/12/07(金) 22:11:43 ID:5+BchvhK
>>89
名前はメルはもろチェリーブロッサムでもう一人はムーンなんとかなんで
そうかなぁと思ってだけど地名は分からん。
八幡?
そしてレイジュの人キターーーーーーーーーーーーーーーー
ってちょWWWW見てるだけWWWWW
そして天然天使キターーーーーーーーーーーーーーーー
WKTK!
あ、でもエデンは「誰でも使える」んじゃ…
100名無しさん@ピンキー:2007/12/07(金) 23:35:41 ID:qoV0g8lt
>>98
ウチの魔王はヘタレだから…

>>99
そこはお前、ほらエデンはなんやかんやで高級設備だから。
だから「気安く触れない」んだヨ。そーゆーことにしておいてヨ。
101名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 00:03:55 ID:UU/sYTzF
>>89
>>99
えーとカッツェ(Katze)は独語でモン(mon)は仏語(の省略)です。
多分湖はラーゴビワーとか言うんじゃ…
>>100
あー、どっちかつーと『一般の人の人にも解放してるんだけど使い方が分らなくって税金のムダー』
みたいなお役所仕事だと思ってたよ。
実際ヒロトやリオルは使えない訳だし。
っていうかそういう設定の方がミンストレルスズ使えるので助かるーみたいな(w
(勿論公開制限は受ける訳ですが)
あ、
伝達の神がフェルメスなら知恵の女神はアールティナでいい?(w
102名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 00:55:42 ID:EcxA/3zo
>>101
なるー。

神様の名前それでおkおk
103名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 02:02:08 ID:gt89mOF1
>>101
ヒコニャンのことかーっ!(笑)
104名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 11:49:17 ID:UU/sYTzF
79 名前:名無しさん@ピンキー メェル:sage 投稿日:2007/12/06(木) 17:03:05 ID:CRrHirm6
俺さ……実はもっとヒロイン増やしたかったんだ……

Σ(゜ロ゜;)
そうか…そうだったのか…
そうとは知らず俺は…俺って奴は…_| ̄|○
と、言う訳で反省して修正してみた!

(前略)
〜ここに世代を越えた友情がうまれる〜

男「じゃぁちょっくらお茶とか御馳走になろうかなーとか」
爺「うむ、あやつの入れるお茶は格別じゃぞ」

女「ええー!すごーい、すごいですー。じゃ今度連れっって下さいよー」
親父「 ははは、いいともいいとも、君みたいな素敵なお嬢さんならいつでも大歓迎だよ」
女「いやん、おじさまったらぁん♪」
メイド「旦那様、お茶が入りました」
親父「うむ、…ん、良い香だ、君の煎れてくれる茶は格別だな」
メイド「…恐れ入ります(///)」

爺&男「って誰か御馳走になってるー!」 (少年誌用的変更)

親父「はははははは、バカオロカな親父様&我が息子よ、先に頂いているぞ!」
男「アホ親父!」
爺「莫迦息子!」
親父「はははは全くそろってオロカ者ですな!ではわたしのターン!」
ビー
秘書「お呼びですか社長」
男「きれいなおねぇえさん!眼鏡、スーツ!しかもはち切れんばかりな!パフパフされてぇ!」
爺「うむう、タイトミニに黒スト、黒パンプスじゃと!ふ…踏まれたい」

秘書「あの御茶受け買ってきました、みなさんでどうぞー」
女「わーすごーい美味しそう!」
メイド「お飲み物は何に」
秘書「あ、ええと…フォションのアールグレイあります?」
メイド「ええ御座いますよ」

新ジャンル「女子高生VSメイドVS秘書」
105名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 11:50:18 ID:UU/sYTzF
親父「はははっ!おおそうだ、すっかり忘れさられているそこのキミ!」
男友「え?俺…ですか」
親父「そうキミ!いつも息子がお世話になっています」
男友「あ、いえこちらこそ、お邪魔してます」
親父「そしてキミには絶望した!」
男友「えええー! Σ(´ロ`;)」
親父「このバカオロカ息子の『裏絶対領域』ナゾに心が揺らいだのには絶望した!」
男「なっなんだと!チラリズムのどこがいけないと」
親父「バカオロカ奴、いいか、体操服の裾をブルマを隠すかのように出しているとする」
女「そうそう、恥ずかしいのよねーあれ」
親父「うむ、当然そんなに長く無いからチラとブルマが見える訳だ、たとえばこう」

--------裾
 ▼  ←股上(チラデルタ)
 |

男友「それです、あのチラデルタがいいんですよ!」
男「チラリズムじゃねーか」
親父「(無視)…それにニーソを履いていたら…」


--------裾
 ▼  ←股上(チラデルタ)
 |  ←絶対漁期
---------←ニーソ

男友「うがぁあ!クリティカルヒットォォォオオ!」
爺「む…(タラリ」
男「うおおおおお!こ、これは…」

親父「ブルマだとチラデルタと絶対領域の合わせ技が発生する!」
男「くっ…」
親父「、これがスパッツで同じ事が出来るとでも?」
爺(…我が息子ながら容赦の無い、正に鬼!試練ぢゃ…我が孫よ、これを乗り越えてこそぢゃ!)


?「待て待てぇ!」
男「お、お前は」
?「立て!男ぉ!貴様はそれで終わる奴じゃない!」
女「あ、あれは」
男/女/男友「体育教師!」
教師「そう!俺だぁあああ!そして俺のターン!」
ピーッ
女体育教師「こら!何やってんの!」

男「うはぁ熟れた女のスパッツキターーーッ」
男友「バカなっ、ジャージじゃ無い?!」
爺「うむ、はちきれんばかりの尻と太腿…は、挟まれたい」
親父「いやむしろ半熟…明るさの中の仄かにおう大人の色香…ううむ」
男「ああ、薄っすら透けるバンティーライン、あれは!半分食い込みで半ケツ?」

女「あ、センセーこっちー!」
女体育教師「何やって…て、ナニこれすごいじゃない!うあー美味しそう!」
秘書「どうぞ御遠慮なく」
女体育教師「え?いいんですか?えーどれにしようかな…」
メイド「お飲物は何いたしましょう」
女体育教師「え?え、えーと何でもーエヘヘ」

新ジャンル「女子高生VSメイドVS秘書VS女体育教師」
106名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 11:51:41 ID:UU/sYTzF
ぐがぁああ!漁期 て何だよ俺ぇええええ!

とめるな!真でくる!
107名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 13:10:36 ID:EcxA/3zo
だが下半身タックル。
しかし!別ルートに突入したその意気や良し!
お前の粋(マニアック)な魂に感謝する!
108名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 13:28:51 ID:EcxA/3zo
男「だから無理だって言ってるだろ!」
友「離せー!やってみなくちゃわからないじゃないかー!」

女「………なにやってるの?二人とも」

男「おお、女!いいところに!このバカを止めてやってくれ!」
友「俺はー!旧スクを復活させるんだー!」
女「………………………………………えーと……」
男「こいつ、教育委員会に旧スク復活を直談判しに行くってきかないんだよ」
女「……へー。すごいね。じゃ」
男「待てェェェェェェい!!面倒臭いのはわかる!だが逃げるなァァ!!」ガッシィィィ!
女「はぅ!?(だ、抱きしめられ…!?)」
友「旧スクのどこが悪いんじゃあ!紺色なんだぞー!」
男「落ち着け!新型も紺色だ!」
友「男!お前にはわかるはずだ!旧スクは!こう…お腹に水の逃げる穴が開いてるんだ!」
男「へぇ」
友「そこに…こう……手を……もはぁぁぁ!!」
女「でもさぁ」
友・男「ん?」
女「友くん、着てくれる相手、いたっけ?」
友「………」
男「…………」
女「……………」
友「がふッ!!」
男「友ーーーーーー!!!!」


新ジャンル「旧スク」
109名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 13:50:25 ID:EcxA/3zo
友「新ジャンルなのに『旧』スクとはこれいかに」
男「……は?」
友「ファッション界ではよくあることさ。古いものが新しい」
男「なるなる」
友「ところで俺は先日女の言葉の暴力に屈したわけだが」
男「膝をな」
友「旧スク復活と俺に……か、かかかかか、彼女がいないことは関係ないと思うんだ」
男「旧スク着てくれる彼女なんてあんまりいないと思うぜ実際」
友「うるせぃ!旧スクはなぁ、股パーツと上パーツが分かれてるんだよ!」
男「うん」
友「それが、一見体操服を外に出した状態のチラぶるまに見えて好きなんだ!!!!」
男(俺はスパッツ派だがな)
友「胸から腰にかけてのY字ライン……胸元にはでっかい名札……無論ひらがな以外は認めんぞ女!!」

女「ふぇ!?な、何?」

男「気にするな。今カウンセリング中だ」
友「横文字の女の子がへったくそな字で自分の名前書きましたー的なのが俺的にジャスタウェイだな」
男「それはもう旧スク復活とあんま関係ないな」
友「それに比べて新スクはなんだ!あれじゃどこから手を突っ込めばいいのかわかりゃしねぇ!!」
男「俺はお前にどこからツッコみを入れればいいのかわかりゃしねぇ」
友「お前には!わかるだろう俺の気持ちが!あのイモいデザインに隠された真の機能美が!!!!」
男「いや、俺競泳水着派だし」
友「貴様ァァァァァァァァァァァァ!!!!」


新ジャンル「旧スク通」
110名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 17:55:03 ID:KsTY/zMl
>>107
大きく全角でトンクス!
下半身タックルにきゅんとキタ!いやぁんダメゆび入ってるぅう!
そして漢達の戦いもまた新たな火ぶたが切られていたぁ!
(じゃ分岐ルート→パラレル進行ってことで)

幼「ふふふふそろいもそろってみじゅくものでちゅね」
友「でちゅね!? 」
男「お、お前は!」
爺「おお我が孫!」
親父「む、マイサンその2!」
幼「まったく、デルタとかはんけつとかゲスすぐるでちゅよ、そしてボクチンのターン!」
ピロリロー
保母「あらあらどうちたのー」
友「ええ、ここにきてエプロンか?」
男「あれは…?いや違う!あの足下を見ろ!」
親父「おお!七分長け!なんと渋い」
爺「うむ…『ほらぁだってウチの職場動きまわらなきゃでしょう?大変なのよぉ。
おしゃれなんてしてられないもんもう機能重視よー』
とか言いながらもジャージは履かずに7分長け、それはまだ「若い」女子の意地!」
教師「むむうう、あの半分露になったふくらはぎの健康美…しかも履く人をスパッツ以上に選ぶ7分長けを
あそこまで履きこなすとは…このチョイス!この幼児、ただ者では無い!」

保母「すいません手ブラじゃなんですからこれ、実家からのつまらない物ですが」
メイド「御丁寧に有難う存じます。あら、これはいい野菜。
ちょっとキッチンに言ってなにか温かいモノを作らせますね」
女「わーい!ごはんー!」
女体育教師「wktk!」
秘書「こちらもよかったら召し上がってくださいね」
保母「うあーこれは豪華なスィーツですねーええと何にしようかしら」

新ジャンル「女子高生VSメイドVS秘書VS女体育教師VS保母」
111名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 21:56:26 ID:SBD2dLgK
バッキャロォォ!!!!!
何故ブルマやすくみずを語っていながら「くいっ」を話題にあげない!!?
あれこそ日本の国宝だろうがッ!!
112名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 22:04:16 ID:3iAi6azP
さて萌え語りに殴り込みますよ

従兄「けっ。甘いヤツらばかりだな…。絶対領域だのなんだの、視覚の話ばっかりしてやがるが、そんなモノは人間の五感の一つでしかない。」
従妹「じゃあ、何が良いのよ?お兄ちゃん。」
従兄「フッ。漢なら…タイツだ…。」
従妹「………ぇ?」
従兄「タイツなら視覚的に脚線美を楽しめる。…しかし、残り香が特に素晴らしい!!」
従妹「…………の、残り香?」
従兄「パンツにしても、靴下にしても、男心を大いに狂わせる禁断のアイテム…。タイツはその魔性の香りを併せ持つアイテムだぞ!!」
従妹「………………ひ、ひぃぃぃ!」
従兄「と、言う訳で妹よ…。コイツを履いて2時間ほど炬燵に入ってマッタリしたあと脱いで俺に返せ!(★ω★)」
従妹「い、いやぁぁぁぁぁっ!!犯されるぅぅぅぅぅ!!」
従兄「…と、思ったが。…やっぱお前じゃ無理だわ。」
従妹「…へ?え?何で?」
従兄「だってガキじゃんお前。…俺が求めてるのは小便臭さじゃなくってフェロモン臭であって…。ん?どうした?」
従妹「ううん…。別に…。(´;ω;`)」

新ジャンル「嗅覚」
113名無しさん@ピンキー:2007/12/09(日) 00:04:10 ID:R0RASs02

男「萌える視覚」
友「旧すく+セーラー服上だけ最強」
男「萌える匂い」
友「すれ違ったとき、ほのかに香るシャンプー」
男「萌える手触り」
友「マイクロビーンズふにょー」
男「萌える音」
友「くぱぁ」
男「萌える味」
友「………」
男「萌える味」
友「……ちょ、ちょっと甘い卵焼き」

男「………」
友「………」
男「……くぱぁ」
友「はきゅん!」


新ジャンル「萌え五感」
114名無しさん@ピンキー:2007/12/09(日) 00:36:38 ID:eZTY/ioP
男「そんなお前にコイツをやろう」
友「…ポ○カレモン100?しかも業務用?」
男「よく言われてるだろ?ファーストキスの味は…」
友「あ〜なるほど。で、俺にどうしろと?」
男「ファーストキスの味に興味ないか?」
友「ふっ、ふざけんな!!ナメるのも大概にしてくれ!!(スタスタ)」
男「アイツ、怒りながらもきっちり持ち帰って行ったな…。」


友「…ファーストキスの味か」

友「誰も見てないし…。ちょっとだけなら良いか(グビグビ)」

友「ぐはぁ!?………く、謀ったな男ぉぉぉぉぉぉぉ!! (ガクッ)」



女「ねぇ男。キスの味がカレー味というのはどうなのよ?」
男「あぁ悪い。…でも、お前だってソース焼きそば味じゃねぇか」

新ジャンル「キスの味」
115名無しさん@ピンキー:2007/12/09(日) 12:08:06 ID:39fj3vjU
やっぱ好きだわ、このスレw
116名無しさん@ピンキー:2007/12/10(月) 23:49:03 ID:Z6FIK4BO
>>115
ま、またそんなこと言ったって何もでないんだからねっ!!
117呪われし剣事件(1/15):2007/12/10(月) 23:50:35 ID:Z6FIK4BO

ローラは、不満だった。
原因はハッキリしている。
至極簡単、またもヒロトと別行動であるためだ。
ヒロトは別件で街に留まっているため、今回の資金稼ぎ―――鉱石発掘には参加していないのである。
何でも有名な道場主催の剣術大会が開かれるらしく、優勝すれば賞金が手に入るのだとか。
トロフィーも貰えるらしいが、まあこれはいらないので受け取った瞬間売っ払うことになるだろう。
もともとはこの大会、道場の門下生の実力を誇示するための舞台のようものらしい。
だが今回ばかりは謎の剣士の登場により道場の者たちは門弟から師範まで全員腰を抜かすに違いない。
一応変装はしていったほうがいいのではというジョンの提案により
謎の仮面の剣士ヒロトーダXとなった最強の勇者、ヒロトが参加しているのだから。
……試合用に刃を潰した練習剣とはいえ、死者が出ないことを祈ろう。

ローラは、それからリューも、ヒロトのちょくちょくありそうで滅多にない晴れ舞台を応援したいし、
試合の後差し入れのタオルや水筒を渡したりしたいのである。
恋する乙女にとっては是が非でもモノにしたいありそうでない美味しいシチュエーションなのだ。
なのに、なのに。

なして、自分は山の中で穴を掘っているのだろうか?


勇者といえど文無しで旅ができるわけではない。
料金を免除されるのはあくまで公共の施設のみであり、
教会のパンと薄いスープ、水だけの質素な食事が嫌ならちゃんとお金を稼ぐ必要がある。
行く街行く街でアルバイトを見つけ、そして働くのだ。

勇者を始めとする旅人によく依頼される仕事のうち、最も多いのは宅急便である。
街の外では魔獣や野党が出るため、遠い街や危険な道を通らなければならない場合は荷物が無事に届くことは難しい。
そこで、腕の立つ冒険者に荷物を運んでもらおうというわけだ。
これは荷物だけでなく人間も同じであり、安全に街々を移動するために用心棒を雇うものも少なくはない。
また冒険の途中で手に入れたものを売るのも重要な稼ぎとなる。
たとえば海辺の街で塩を手に入れた場合、それを山奥の町に持っていけば高値で買い取ってくれるのだ。
やっていることは商人とかわらない。いわゆる貿易というヤツである。
118呪われし剣事件(2/15):2007/12/10(月) 23:52:20 ID:Z6FIK4BO

さて、彼女たちがいるのは深い洞窟のダンジョンだ。
そこは美しく青い光を放つ宝石の採掘場所であり、これを鉱石店に持っていけば高値で買い取ってくれるのである。
メンバーの中で一番目を輝かせている少女のような少年、ジョンは魔工技師であるため、
これらを加工してアクセサリーを造ることも可能だったりする。
錬金術師としても珍しい鉱石は手に入れておきたいところだろう。

「あ、そこの塊はボクが後で処理しますんで触らないでくださいね!
 リオル、もう崩さなくていいから岩を適当な大きさに砕いておいて。
 ローラさんは磁気に反応があったものをより分けておいてくれませんか。
 リューさんは何でもいいですから魔力の強いものをどんどん荷台の中に放り込んで行ってください」

てきぱきと指示を出すジョンに、女性陣が元気一杯に答える。

「はーい!」
「……ですわー」
「……うむー」

元気一杯なのはリオルだけだった。
魔王と姫の二人は物憂げな表情でため息などをついていた。
ごりごりと石を削るその塊から、きらきらと宝石の欠片がこぼれていく。

「リューさーん。削りすぎ削りすぎ」
「二人ともテンションゲージ0だね」
「………ま、テンション低くても仕事はできますけど」
「ジョン、何気にクールだね」
「………………ですわー」

ばきん。

「ローラさん砕きすぎ」

だがリューはまだいい。
ヒロトの応援ができないだけ済むのだから。
だが、ローラはそれとはまた別の次元でローテンションだった。

剣術大会。剣術大会だ。剣術大会である。
そしてヒロトは剣士。なら自分は何なのだ?

姫。

いやいやそうじゃなくて。そうだけどそうじゃなくて。
自分は、ヒロトの弟子ではないのか?
ならば、ならば何故こんなところで穴掘っていなければならないのか。
弟子と師、二人が決勝で戦うことを誓い合って背を向ける。
そして決勝戦、敗れた弟子に手を差し伸べる師。

『……まだまだ、精進が足りないのですね』
『いや、ローラは強かったよ。俺もうかうかしていられないな』
『そんな。私は、ただ……』
『お前とはずっとお互いを高めあっていきたいものだな……人生のパートナーとして』
『え……』
『結婚しよう』

そして近づいていく二人の唇……。
119呪われし剣事件(3/15):2007/12/10(月) 23:53:40 ID:Z6FIK4BO

「……何をやっているローラ」

目を開けると、近づいているのはヒロトの唇ではなく岩だった。
岩を相手に頬を染めていたローラをリューたちは切なそうな目で見つめていた。
そこに含まれているのはドン引き、憐れみ、哀しみ等。
何より、(ほぼ)同じ境遇のはずのリューまでもがドン引きしているのがなんか一番胸にキた。

「う、う、う……」

下を向いてぷるぷる震えだすローラ。
泣いているのか?
王女というプライドがこの憂いを帯びた視線に耐え切れなかったのか?
いや違う。
少なくとも、決して短い付き合いではないリューたちはもうこれから何が起きるのかについてだいたい悟っていた。

「リューさん、すいません、その」
「わかっている。リオル、貴様も我の後ろに回れ」
「は〜い」

ばしッ、ばしッ!と辺りの岩や石ころが弾けはじめ、

「うきゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!」

そして、雷が落ちた。
奔る高電圧の龍が鉱石を砕き、岩盤を砕き、地面を砕いて暗い洞窟を閃光で染め上げる。
しかし勿論、至近距離にいたとしてもリューたちには焦げ目ひとつつかない。
リューの魔法障壁はいかなる攻撃も無効化する無敵の盾なのだ。
それでも、リューは少し驚いていた。

「……こやつ、こんな強かったか?」
「うわー……なんかすごいことになってるね」
「ローラさんも日々レベルアップしているんですよきっと。最近は特に色々ありましたから」

かつてないほどの稲妻の勢いに目を瞬かせる。
そこにジョンが訳知り顔でこくこくと頷くのだった。
でもまぁ、こんなことでそれが発揮される辺り、まだまだなのには違いない。
ヒロトがいれば強引に雷に突っ込んで行ってやめさせたのだろうが、
あいにくリューはそんな面倒なことをするつもりはなかった。
こんな全力疾走、そうそう長く続くはずもないのである。

………それが選択ミスだと気付いたのは、地の底からいやな音が響いてきた時だった。

何かがずれるような、とてつもないサイズの巨人が歯軋りしたような音。
磁気嵐にもまれて岩に含まれていた成分が変化を起こしたのだろうか?
リューたちの周りを、無数の罅があっという間に取り囲んでいった。
120呪われし剣事件(4/15):2007/12/10(月) 23:54:47 ID:Z6FIK4BO

「………あ、え?」

一瞬ぽかんとするも、すぐにまずいと気付く。
リューたちはいい。魔法障壁は全ての災厄から魔王を護ってくれる。

だが、
あの、バカ姫は……?

「おいバカ!やめろ!!」

言いかけたときには遅かった。
天井が崩れ、大岩が丁度ローラの脳天に落ちていく。

「――――――ええい!!」

リューは、魔力を解放した。



山の標高が少し低くなった。
と、思ったら瓦礫がもぞもぞと動き、中から巨大な龍が顔を覗かせる。
先程の稲妻で封印されし古代龍が甦ったのだろうか?
いや、驚いたことにそれの正体は龍ではない。
その灰色の巨龍は魔王の使役するゴーレム。クレイ・ドラゴンなのである。
クレイ・ドラゴンは首をにゅうっ、と伸ばして崩れていない場所に顔を近づけると、かぱ、と口を開けた。

「……まったく。何をやっておるのだ貴様は」

舌の上をカツカツと歩いているのはリューである。
そう。あの一瞬、リューはクレイ・ドラゴンを召喚して自分たちを飲み込ませたのだった。
崩れる洞窟、魔力波でその全てを消し飛ばしてしまうのは簡単だ。
しかし、それでは余波でローラたちまでも吹き飛んでしまう。
かといってローラはまだテンパっていたので魔法障壁の中に入れることもできず、
リューは0.2秒で頭のギアを回転させこのような手段をとったのだった。

……クレイ・ドラゴンが踏み潰したおかげで木々がぺちゃんこになってしまったが、
まあ仕方のない犠牲ですね。

「………面目ない、ですわ」

ローラも流石に今回は自分が悪いとわかっているのだろう、珍しくシュンとしていた。
121呪われし剣事件(5/15):2007/12/10(月) 23:55:57 ID:Z6FIK4BO

「まあまあ、こうして無事だったんですし」
「ふん、まあいいがな」
「宝石、回収しておいてよかったね」

リオルが担いでいた袋をがしゃんと置いた。
ローラが暴走する前に袋につめておいた鉱石だ。
もっともこれは一部であり、荷台に積んでいた鉱石はあの瓦礫の下敷きになってしまったのだが。

「ヒロトさんの賞金もありますし、旅費を稼ぐくらいでしたらこれでも充分ですよ。……きっと」

きっと、の貯めが何か不安だった。

「………リューさん、クレイ・ドラゴンのお腹のもの、全て出してくれません?」
「は?」
「私たちと一緒に飲み込まれた岩ですわ。少なくとも足しにはなるはず。私が全部やりますから」
「え、ああ……それは構わんが」

確かにローラの性格から言って、足手まといは耐えられないに違いない。
リューがぱちんと指を鳴らすと、クレイ・ドラゴンは次々と岩を吐き出していった。
小さなものは回収し損ねた処理済の宝石から、大きなものは納屋一軒はあろうかという巨岩まで。
確かにあの瓦礫に比べれば微々たるものだが、一人ではとても加工できそうもない量であるのは明白だった。
そこへ、ローラはずんずん近づいていって愛剣ボルテックに電撃を這わせてたりしている。

「ローラさーん。無理ですって。手伝いますって。みんなでやりましょうって」
「ジョン、やらせてやんなヨ。あれがローちゃんなりのけじめのつけ方なのサ……不器用な奴だゼ」
「あやつの心が決めたことだ。我らに止めることなどできはしまいよ」
「いや……ホント、別にひと袋あれば旅費は稼げる……っていうか最終的にチェックするの全部ボクなんですけど」

勝手にハードボイルドに決めているリューとリオルに、半目で冷や汗を流すジョンであった。
その間にもローラはやけくそのようにボルテックを振り回し、そして、

「あら?なんでしょう、これ」

………なにか見つけたらしい。
リューたちが見に行ってみると、切り刻まれた岩から滑り落ちたそれはどうやら宝箱のようだった。
宝箱?岩の中から?
122呪われし剣事件(6/15):2007/12/10(月) 23:57:43 ID:Z6FIK4BO

「見てください。ここ、岩の継ぎ目があるでしょう。
 これ、二つの岩が加工されて宝箱を閉じ込めるようにかみ合わされているんですよ。
 きっと、誰かがこの宝箱をここに隠したんですね。
 それをたまたま、崩れた洞窟の欠片としてクレイ・ドラゴンが飲み込んでしまった」
「誰か?」
「さあ……見た感じ、ざっと千年は経っているもののようですが」

だが、少なくともまっとうなものではないことは確かだろう。
採掘に誰の許可もとらなくていいようなこんな山の中で見つかった、千年前の宝箱。
盗賊の隠し財宝かなにかだろうか?
こういった予期せぬ発見も冒険者の醍醐味。これだからトレジャーハントはやめられないのだ。
中身はなんだろう?金貨の山か伝説の武具か。はたまた封印されし魔獣という手もあるかもしれない。

………ジョンが歴史的見地から岩をなぞっている隣で、女性陣が目をきらきらさせて宝箱を見つめていた。
女の子はヒカリモノが大好きなのだ。
いやいや、王族・魔王・龍。
女の子でなくともヒカリモノが好きそうな三人組ではあるか。

「いいですよ。開けても」
「やふー!!」

呆れたようにため息をつくジョンの許可を得て、三人はバンザイした。
錠は閉まっているようだが鍵はないし、それに千年のヴィンテージ物である。鍵があっても開くかどうか。

「と、いうワケで力ずくでこじ開けます」

がっし、とリオルが蓋に手を掛け、めきめきとその指を食い込ませていく。
いかに頑丈な宝箱といえど、千年の腐食と龍の力にあってはひとたまりもない。
めきめき、がばきばき、という破砕音に変わり、
鍵部分が壊れ固く閉じていた蓋が外れるまでにそう時間は掛からなかった。
そして、ついに宝箱の中身が千年ぶりに日にさらされる。

「こ、これは……!!」


剣、であった。
123呪われし剣事件(7/15):2007/12/10(月) 23:58:43 ID:Z6FIK4BO

剣……なのだろう。
なにやら紋様が刻まれた皮製の鞘に収められた一振りの剣である。
剣といっても短剣だ。長さはせいぜい20センチかそこらといったところ。
ひょいと何気なく鞘を外してみて、また訝しげに眉が寄った。

「………なんですの、これ?」

刃のない、円錐状の刀身の先に半円状の突起がついている。
傘の大きくないキノコ型といえばわかりやすいだろうか。
円錐状の剣というものは決して珍しいものではないが、これでは刺さるものも刺さらない。
棍棒にも見えないし、いずれにせよ、まっとうな戦闘で使うものではないことは確かなようだ。

「なんか、なーんだ、って感じなんだけど」
「右に同じですわね」

はぁ、と揃ってため息をつく。
まあ、宝箱なんてたいていはこんなものだ。むしろ怪物でなくてよかったというものだろう。
だが、リューは鋭い目でそれを見つめていた。

「微弱だが魔力を感じる。ローラ、それ、呪いのアイテムかも知れんぞ」
「ええ!?」
「呪いのアイテムが封印されていたってことですか?だったらあの岩の凝りようも納得ですね」

岩を調べていたジョンも顔を覗かせる。
研究職としての好奇心が働いたのだろう、ローラから剣を受け取り、じっとその刀身を見つめはじめた。
なるほど、魔王とはいえ魔具や武器の知識はないリューよりも、
魔工技師(エンチャンター)であるジョンのほうが詳しいに違いない。

「……それにしても、変な形の剣ですわね」
「キノコかなにかだろう。案外冗談の産物かもな」
「キノコっていうよりはアレっぽいけどなぁ」
「アレ?」
「おち○ちん」
「「にゃっ!?」」
「うん、大きさといい形といいイイ線いってるかも。言ってみたらソレにしか見えなく……」
「ばっ!バカなことを言うな!!なんでそんなものが宝箱に……」
「リュリルライア様、さっき冗談の産物っていったじゃないですか。
 ジョークグッズって意味ならそのまんまだったりして〜♪」
「……?…………ど、どういう意味ですの?」
「………………わ、わからん」
「はぁ、これだから処女は」
「「にゃっ!?」」
124呪われし剣事件(8/15):2007/12/10(月) 23:59:48 ID:Z6FIK4BO

三人寄ればかしましい、というヤツだろうか。
仲がいいのは結構なことだが、ちょっと静かにしていてほしい。
そう言おうとして、ジョンはやれやれと顔をあげた。
そして。

「………ッ!!?」

全身が燃え盛った。

「……ふ、ぁ……!?」

熱い。
身体の芯に火がついたのだろうか?
頭が霞がかったように不鮮明になり、喉が干上がり、腰から力が抜け落ちる。
心臓が口から飛び出さんまでに鼓動を早める。吐く息が生臭いのが自分でもわかる。
この感覚には。
経験がある。
これは欲望だ。
身体が求めている。
雌を。
たわわな果実と、金糸の髪を―――。

………いや待て。
なんで、なんで。

なんで、ローラさんなんだ?

――――――まずい!!

「リ、リオル!!」
「はい?」

ジョンは奇跡のような機転で悩ましげな形状の剣をリオルに手渡した。
途端、灼熱から解放される。
リオルはしばらくきょとんとしていたが、
やがて俯いてふるふると身体を震わせるとぐわばっと冬眠から目覚めた熊よろしく両手をあげてジョンに襲い掛かった。

「ジョーンー!!」
「“霊拳”!」

それを冷静に処分する。
リオルはなんか幸せそうな顔をして地に沈んだ。

「………どういうことですの?」
125呪われし剣事件(9/15):2007/12/11(火) 00:02:25 ID:ns0jIbV8

ローラが半目でジョンに説明を求める。
ジョンは溜息をつくと、

「………これは、どうやら魅了の効果を持った剣のようです」

と、そう言った。

「しかも普通の魅了じゃない。極めて指向性の高い、発動条件も特殊なシロモノ。
 おそらくは『相手に手渡すことで、その相手を自分のとりこにする』といったところでしょうか。
 さっきボクも強烈な………その、性的興奮に襲われましたが、その相手はローラさん一人でした。
 少なくとも他の人には目もくれなかった。リオルだっていたのに……」

ジョンは、戦慄を覚えた目で剣を見下ろした。
経験した本人だからわかる。すさまじい効果だった。
あの底の抜けるような興奮といい、その感覚をもう欠片も思い出せないことといい、特殊にすぎるアイテムである。

「災厄を呼ぶ『扇情剣ヤラナイカ』―――ここに封印する、か」

リューが鞘に書かれていたいにしえの字を読み上げる。
確かに封印するはずだ。これを知らずに持っていようものなら色んな意味で大変なことになりかねない。

「と、とにかく。これは危険です。再封印しましょう」

ジョンは壊れた宝箱をなんとか直そうとしているが、
リューは聞いているのかいないのかヤラナイカを拾い上げじっと見つめはじめた。
ローラも何やら考え込んだように腕を組み、視線をその剣に定めている。

「なあ、ジョンよ」
「はい?」

リューはするするとヤラナイカを鞘に収めた。それで、魔力の波動は消えてなくなる。
この鞘はヤラナイカの呪いを封じるために作られたものだったらしい。

「これはつまり、プレゼントした相手をめろめろにしてしまうアイテムというわけだな?」
「そうですよ!だらかまた埋めてしまわないと」

しかし、二人はヤラナイカをじっと見つめたまま動かない。

「………そうかそうか、めろめろに、ねぇ」
「………ですわー」

ジョンは、二人が何を企んでいるのかなんとなくわかった気がした。
126呪われし剣事件(10/15):2007/12/11(火) 00:03:00 ID:ns0jIbV8


圧倒的だった。

会場の全ての人間が、こんな結果になるとは思ってもいなかっただろう。
謎の仮面剣士ヒロトーダXは静かに一礼すると背を向けた。
その背後で道場師範の老人がゆっくりと倒れ伏す。
名のある剣士を数多く送り出し、王城のお抱えともなったこの道場。その看板は決して飾りなどではない。
ただ、この剣士が強すぎただけの話。
信じがたい豪剣の前になす術もなく。
他の出場者や門下生から師範代、この師範に至るまで全て謎の仮面剣士ヒロトーダXは一撃で叩き伏せていた。
これで真剣ならいったいどれほどの破壊力になるのか。
賞金の入った袋を担ぎ、会場を去ろうとする謎の仮面剣士ヒロトーダXを見送る者たちは戦慄とともにごくりと喉を鳴らす。
しかし、誰も思いもしないだろう。
謎の仮面剣士ヒロトーダXは、今回、一度もその“本領”を発揮していなかったのだ。

謎の仮面の剣士ヒロトーダX。
彼の正体はまったくの謎に包まれていた。


「いた!!」

人目につかない場所で謎の仮面剣士ヒロトーダXから勇者ヒロトに戻ろうとしていた青年は、
その聞きなれた声に振り返った。
はたしてそこには、彼の仲間であるところの赤髪の少女が息を切らしてこちらを―――睨み付けている。
睨み付けている……?いや、実際そう表現されてもおかしくはないほどのギラギラした形相だ。
いったいどうしたことだろう。

「なんだ、採掘につきあってたんじゃ―――」

ぎし、と身体が動かなくなった。
え?と見下ろすと、光の輪、“天輪”が謎の剣士ヒロトーダXの身体を拘束している。
性格的に彼女は滅多に使わないが、これは【緊縛】の魔法。
対象の自由を奪い、その場に磔にする呪いである。
動けない謎の剣士ヒロトーダXに、少女リューはずんずん迫ってきた。
血走った目と、異様な息づかいで。
127呪われし剣事件(11/15):2007/12/11(火) 00:03:49 ID:Z6FIK4BO

捕まえた。

ぜいぜいと肩で息をするリューは顎を伝う汗をぬぐった。
わき腹がたいそう痛い。
もともとこの魔王、げんこつを振り回すような肉体労働は苦手なのだ。
全力疾走25メートルくらいでもうへこたれる程のインドア派。
それをあの阿婆擦れに追いかけられながらずっと走りっぱなしだったのだから
心臓の回転が追いつかないというものである。
時折げほ、と咳き込みながらもここは譲るわけにはいかない。
『これ』の所有権は我にあるのだから。

「―――ッ!?」

はっと殺気を感じ取ったときには、もう稲妻は彼女に直撃していた。
魔法障壁に阻まれてリューにはいささかの痺れも感じないが、
爆煙が晴れたあと、そこには自慢のツインロールを帯電させた姫君が佇んでいる。

ご存知、ローラである。

「リューさん、私のものを返しなさい」

静かなトーンで、しかし薄皮一枚下には乱気流。そんな口調だった。

「貴様のもの、だと?」
「ええ、そうですとも。ソレは私が発見したもの。所有権は私にありますわ」
「は」

ローラの言葉に、リューは嗤った。

「何を言う。コレは我のクレイ・ドラゴンの腹にあったもの。つまり我のものであろう」
「強引な」
「魔王だからな」

ぎりぎりと歯軋りし、両者は睨み合う。
しばしの沈黙の後、なんだなんだと集まってきた野次馬の誰かがくしゅんとくしゃみをした。
それが合図。
リューはばっと手を突き出して【緊縛】を放つが、その瞬間にはローラはその空間から消え去っていた。
“雷刃”の電撃を足元に溜め、一気にそれを弾かせることによって神速を得る移動術『雷影』は、
短距離に限るが瞬間移動ともいえるスピードを生み出すローラの新必殺技である。
128呪われし剣事件(12/15):2007/12/11(火) 00:04:44 ID:ns0jIbV8

「そんな破廉恥な剣は、私が責任を持って―――ヒロト様にプレゼントしますわ!」
「ええい、最後まで保てよ建前を!」

闇と稲妻がぶつかり合う。
その衝撃に野次馬たちは目を伏せ、そして、顔を上げたときには既にもう、二人の少女はどこにもいなくなっていた。

「なにが起きているんだ、この街に―――」

謎の剣士といい、尋常ならざる二人の少女といい、何か計り知れないものの存在を彼らは感じていたという。
そして、戒めをされたままの謎の仮面剣士ヒロトーダXは。

「………何やってるんだ、アイツら?」

不思議そうに、小首を傾げていた。


無論、この上なくアホな争いである。

「だいたい貴方、ヒロト様に手は出さないって言ったではありませんか!」
「手など出さぬさ!我はコレをヒロトにプレゼントするだけの話よ!
 ―――ま、まあ、その後あやつが我をどうしようがあやつの勝手だがな」
「―――なんて、卑怯!」
「だって我魔王だし」

凄まじい勢いで攻防を繰り広げるリューとローラ。
その強烈さたるや、かつての廃墟の町での一戦を思い返させるほどだ。
嵐のようになった二人は馬小屋に突っ込んでは馬を無駄に興奮させ、
酒場に踊り入っては昼間からエールを傾ける老人たちの喝采を浴び、
銀行の扉を蹴破っては強盗を丸焼きにして名も名乗らず去っていった。

「何が起きているんだ、この街に……」

魔力波が辺りを薙ぎ払い、稲妻が全てを焼き尽くすその光景はさながら神話に伝えられる魔王侵攻の様か。
もはや野次馬だけの言葉ではない。
街の人間全てを巻き込んで嵐は拡大していく。

「これは……まさかついに魔王の侵攻が再び始まったのではないのか!?」
「いや、世界の終末!黙示録の始まりだ!」
「俺は一人の男を巡る仁義なき恋乙女の戦いだって聞いたぜ!?」
「んな馬鹿な!」
129呪われし剣事件(13/15):2007/12/11(火) 00:06:43 ID:ns0jIbV8

迸る闇と稲妻の前に、最早なす術はないのか。
頼りはこの街が誇る王城お抱えの道場の精鋭たちだが、何故かこの時に限って全員のびているのだという。
普段いばっていて、肝心なときに使えない。これほど役立たずの名に相応しいものがあろうか。
街の住人たちはすっかり絶望してしまった。

もう、世界は崩壊してしまうのか――――――。
誰か、誰か。
ああ、絶対的絶望を払ってくれる英雄がいてくれたら―――。

「そんなものに頼って!情けないと思わないのですか貴方は!」
「貴様こそ、こんな偽りの感情を植えつけるアイテムに縋るほど自分に自信がないのか!」
「それとこれとは話が別ですわ!いいから寄越しなさい!!」
「断る!ぜーったいに嫌だ!!」
「このわからずや!!」
「この強情っ張り!!」


「待てぇぇぇい!!!!」


………そして、奇跡のような救い主が現れる。
救世主?いや違う。彼はヒーロー。
仮面で顔を、正体を隠し、マントを翻してどこからともなく現れる。
少年よ、その名を呼べ。
悲しみの涙をに瞳に浮かべてではなく、輝く太陽のような笑顔を見せて。

「―――謎の仮面剣士、ヒロトーダX!!」

謎の仮面剣士ヒロトーダXは高いところから飛び降りたりも3分間だけ巨人になったりも
顔が濡れて力が出なくなったりもしなかった。
ただずんずんと人並みを掻き分け、荒れ狂う闇と稲妻をまるで羽虫の如く振り払い、
お互いのほっぺをつねり合っている少女たちの頭をぱかんと叩いて、それだけで事を鎮めてしまった。
そして、目を回している二人の首根っこを猫の子のように掴んで引きずり、またずんずんとどこかへと去っていった。

「―――う、うぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおッッッ!!!!」

何がなにやらぽかんとしていた住民たちが眠りから覚めたように一斉に喝采をあげる。
よくはわからないが、この街の、世界の平和は保たれたのだ。
ありがとう謎の仮面剣士ヒロトーダX。
君の事は決して忘れはしない!!
130呪われし剣事件(14/15):2007/12/11(火) 00:07:27 ID:ns0jIbV8


「―――じゃあ何か。コレを取り合って喧嘩してたってのか」

宿。
リューとローラは正座させられていた。
ヒロトがじろじろ眺め回しているのはくだんの扇情剣ヤラナイカである。
ちなみにこの剣、手から手へと渡されない限り効果はないらしく、
いったん机に置かれてから取り上げたヒロトはリューとローラ、どちらにも欲情していない。

「子供か、お前ら」
「う」
「ぐ」

心底呆れたように言うヒロトに、言葉を詰まらせるしかない。
これは相手の性欲を駆り立てる剣で、二人ともヒロトに術を掛けようとしていたのだからむしろオトナです。
とは言えない。
それを言ったらヒロトに告白しているようなものだからだ。
微妙なところで発揮されるのが乙女心なのである。

「喧嘩するのは、まあ別にいいとして。今回は暴れすぎだ。反省するように」
「はい……」
「うむ……」

怒られた子犬か仔猫よろしくシュンとする二人。
普段気丈なこの少女たちが気落ちしていたら、これはいかにヒロトといえどもう説教する気にはなれなくなるというものだ。
まあ、そろそろ足も痺れてくる頃だろうし、勘弁してやるか。

「でも、キノコの置物が好きなんて変わってるよな。お前ら」

ヒロトは肩をすくめると、手にしていたそれをひょいと二人の前に差し出した。

「はい。もう喧嘩するなよ」
「………」
「………」

目の前に扇情剣ヤラナイカ。
差し出したのは想い人、ヒロト。

リューとローラはゆっくりと顔を見合わせ、
そして顔を火照らせて、またゆっくりとそれに視線を戻した。
131呪われし剣事件(15/15):2007/12/11(火) 00:08:07 ID:ns0jIbV8


「結局ローラさんもリューさんも、鉱石置いて行っちゃうんだもんなぁ」

ジョンは珍しく愚痴っていた。
あの後、重い袋を担ぎ目を回しているリオルを引きずってえっちらおっちら街まで戻ってきたのである。
小柄で非力なジョンには辛い仕事だった。
さらに鉱石をまた加工しなければならないので工房を貸してくれそうな場所を巡り、
なにやら世界の終わりだ何だと騒ぐのを尻目にひたすら石を磨いていたのであった。

もう、疲れて何もする気になれない。
なのに、

「ジョン………やらないか」
「……………」

リオルはソファに座って服のボタンを開けているのであった。
なんだ、そのポーズは。
ジョンはツッコみたかったがその力もない。
ところが疲れナントカというヤツだろうか。
不思議なことにそんなネタじみた誘惑でもジョンの下半身は立派になっていた。

「……あんまり今日はボク、動けませんよ?」
「いいっす!それでいいっす!!」

そして、リオルは嬉しそうにジョンに飛び掛っていった。



                 呪われし剣事件〜新ジャンル「魔剣」英雄伝〜 完
132名無しさん@ピンキー:2007/12/11(火) 00:13:04 ID:ns0jIbV8
……あれ?最初がsageになってない。
おかしいな
133名無しさん@ピンキー:2007/12/11(火) 01:00:14 ID:9ErwFCn7
むう、あれが伝説のいい男アッベーの創りたもうた
魔剣だというのか?
恐るべし、ヤラナイカ―――
134名無しさん@ピンキー:2007/12/11(火) 02:03:45 ID:emOIwvlG
もうー眠いのにー
こんなHQ投下しやがってー思わず読んじゃたじゃないかー。

135名無しさん@ピンキー:2007/12/11(火) 18:38:16 ID:wBRodUZ9
というか、魔剣って新ジャンルなのかw

おもろかったw
136名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 08:04:44 ID:ylUfuAhI
>>135
俺に言えるのは唯ひとつ……
新ジャンルとは可能性ッ!
そこに新しい萌えの可能性があるのならッ!
森羅万象、全ては新ジャンルとなるのだァッ!!
137名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 10:31:05 ID:ylUfuAhI
男「でっきるかなっ♪でっきるかなっ♪」
女「わくてかさん、それテーマ違う」
男「わかってるよゴロ刂。いいじゃん、ファンなんだし」
女「あのね。一応ライバルなんだよ」
男「お前は硬いなぁ。ゴン夕さん見習えよなー」
女「どうせ私はガチガチです。悪かったわね」
男「またそうやってすぐスネる」
女「スネてません。いいからミーティング続けるよ。来週なに作るの?」
男「んー……あれは?映画」
女「もうやったでしょ。秋に。賞貰いにベルリン行ったじゃん」
男「あ、あれってそれだったの?」
女「知らなかったの?駿メッチャ睨んでたよ」
男「あー……そうだっけ」
女「わくてかさん、相変わらず作ったものには関心ないんだね。……だから不安になっちゃうんじゃない」
男「何か言った?」
女「………なんでもない」
男「んー?まぁ、いいか。じゃあ、球団」
女「もう作った。あ、あの球団買い取りたいってトコが」
男「ん、いいよその辺はお前に任すわ。あー、あれ作ってないよな?ロボ」
女「それは『人工知能』の時ついでに作ってたよ」
男「マジか。うーん、車」
女「ロケットエンジンはやりすぎだったと思うよ」
男「チョコケーキ」
女「私にちっともくれなかったじゃない」
男「指輪」
女「この指にあるのはなんだと思うの?」
男「だー、何だよぉ。作ってないの何かないのかよぉ」
女「………んー」
男「……子供」
女「ッ!!?」
男「―――子供、作ろうか」
女「……………大丈夫?」
男「何が」
女「作ったら、興味なくなったりしない?私と―――赤ちゃんのこと」
男「………………」
女「………………」
男「……映画も球団もロボも車も、作ったらそれでおしまい。あとは俺の手から離れるだけだ。でも」
女「……………………」
男「幸せな家庭を作るのは、一生の仕事……のような気がするんだ」
女「………!!」
男「………よ、よろしくな。これからも」
女「うん………!」


新ジャンル「わくてかさん」
138名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 19:01:55 ID:Mo+yEIZx
萌えwwwwwww

萌えなのに、語尾に草が自然に生えるwwwwww
139名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 20:31:59 ID:ylUfuAhI
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww(・ω・`))))モシャモシャ

wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww(・ω・`))))モシャモシャ

wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww(・ω・`))))モシャモシャ

wwwwwwwwwwwwwwwwww(゚ω゚;))))ウッ!

wwwwwwwwwwwwwwwwww(゚ω゚;)

wwwwwwwwwwwwwww(・ω・`))))モシャモシャ
140盾の国の物語(1/4):2007/12/13(木) 01:22:00 ID:7yPvp4xb
息があがる
身体がぐっしょりと濡れている、もう何時間こうしているだろうか?
もうただ機械的に身体を動かしているだけの樣な気がする。
この身体を濡らすのは汗か?それとも…

白い裸体が闇に浮かぶ
伏してもなお丸みを失わない豊かな乳房がたゆたゆと揺れる。
それを掴み捏ね上げる。
「ああっ、あふっ、ああっ!」
白い咽を仰け反らして女体が啼く。
弾けんばかりに膨れ上がった自身の怒張がぎゅうとしめつけられる。
「ふ、ふ、ふ、」
負けじと激しく突き上げる。
じゅぷじゅぷと音が激しくなる
ああ、ああ、と白身が啼く
あなた、あなた、と啼く
腕が空を掴む
抱きしめてやるとしがみつく
ああ、ああ、あなた、ああ、ああ、あなた、あああ、ああ、
足が腰に巻き付かれる
ああ、ああ、あなた、もう、ああ、ああ、もう、もう、ああ!

背中に爪が食い込むのを感じながら彼女の中で精を放つ。


「ブォォオオオオオ!」
黒い影が飛びかかるのを振り向き様に切り捨てる。
ザバァと返り血を浴びる。
それとも
それとも身体を濡らすのはこいつらの体液か?

「オぉォおおオオオ!」

今度は前から来た奴を袈裟がけに斬り倒し、返す刀で横のやつを叩き斬る。
きりがない。
何時迄続くのだろうか?
何時から始まっていたのだろうか?
このまま終わるのか?
否、
帰ってみせる。
あの場所に、あの家に、己の場所に。
141盾の国の物語(2/4):2007/12/13(木) 01:23:07 ID:7yPvp4xb
#2
「またとうさまはきらきらちゃんになるの?」
「ん?…そうだな」
「そう…」
「とうさまがきらきらちゃんになるのはいやかい?」
「ううん…きらきらちゃんのとうさまはかっこいいもん…でも」
「でも?」
「はやくかえってきてね」
「ああ、勿論だよ」
「とうさまがいないときのかぁさまは、とてもさびしそうだから…」
「ああ」
思わず抱き締める
「…きっと早く帰るからね、『お嬢ちゃん』」


「閣下!待ち伏せです!崖の上に敵が!」」
「陣営を立てなおせ!各隊に伝達!飛燕の陣にて正面突破!」
莫迦な
何故奴らがここに居る?
掃討作戦だったはずだ。
何故我々が追い込まれる?

『帰ってきたらお前には勇者の名が与えられよう』
いや、
「帰ってこれたら」と主は言ったのか?。

帰ってこれないだろうと?
何故そうと?

正面に突き立て、蹴り倒して刀を抜く、いや、抜けない。
相手の戦斧をもぎ取り、横からきた奴を薙ぎ払う。
ザバァと血が振り注がれる。
「閣下ぁ!」と部下の声がする、もう一匹切り倒して声の方を見る。
また一人部下を失った。
142盾の国の物語(3/4):2007/12/13(木) 01:24:57 ID:7yPvp4xb
「…行かないで下さい」
「そうは行くか、王の命令だ」
「でも…」
「おかしな事を言うな、いつもの事じゃないか」
「なにか胸騒ぎがして…最近のあの方は何か…」
「只の取越し苦労だ、王は我々によくして下さってるではないか」
「でもあの方は変わってしまいました…もう昔の一緒にいた頃のあの人じゃ無いわ」
「当たり前だろう、彼は王、俺は一軍を預かるとは言え只の将だ、家臣にすぎん」
「でもあの鎧は、前王はあなたに託されたのです。あの方ではなかった…あの方は
…今でもその事を…それにわたしも…あの方では無く…」
「莫迦な事を言うなっ」

もう何時間こうしているだろうか?
何時迄続くのだろうか?
何時から始まっていたのだろうか?
このまま終わるのか?
身体が重い
いや、鎧が重い
だが脱ぐ訳にはいかない。
託された思い、負うべき責、守るべき物、その象徴。
英雄の鎧、伝説の鎧
ザバァッザバァと返り血を浴びる。
この身体を濡らすのは汗か?
それとも

倒すべきは、討つべき敵は、国の敵。
ならば
帰る、必ず帰る、我が祖国に、あの場所に。
倒すべきは…

「はやくかえってきてね」
ああ、勿論だ、必ず帰る。
『お嬢ちゃん(Little Miss)』

この身体を濡らすのは奴等の血か
それとも
己の血か

討つべきは国の敵、亡国の輩。
その為には鬼にもなろう、心も悪魔にくれてやろう。
我こそは護国の鬼。

ザバァッザバァと返り血を浴びる
我こそは護国の鬼
救国の鎧、輝く鎧
その鎧の輝きも今は無く。

「ウオオォォォオオオォォォォォォオオオオオオオオオオオッ!!」

見よ、月夜に吠える粗の姿、それは

勇者か
魔物か
143盾の国の物語(4/4):2007/12/13(木) 01:30:06 ID:7yPvp4xb
「先輩、何書いてるんですか?」
「え?ああ、ちょと習作みたいなもんよ。昔話、わたしのおばあちゃんから聞いた話」
「どんな話しなんですか?」
「バカな王様の所為で国が滅びる話」
「へぇ?なんか先輩らしくない題材ですね」
「そう?…まぁそうかな?」
「見せてもらってもいいですか?」
「だーめ、まだ全然、殴り書きみたいなもんだからさ、いつかその内にね」
「そうですかー、じゃ、いつかきっと見せてくださいね」
「うん、いつかね」

いつか…
いつか、その場所を尋ねてみよう。
今はもう何もないかもしれないけど。
おばあちゃんが生まれた場所、確かにあった場所。
そこを隊かめてみよう。
そして
いつか、ちゃんとしたジェストにするからね、おばあちゃん…
そして曾おじいちゃんの名誉を取り戻します、わたしがミンネゼンガーになって。
必ず…

今は無き国、「栄光と盾の国」の物語
いまはもういない英雄の物語
愛する者と心を失った男の物語
144名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 08:21:16 ID:3OhOFM6O
>>140
GJ!
こういう話も良いな〜
歴史は常に勝者によって綴られる偽り……か
続きが楽しみです
145名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 14:45:11 ID:LM32nZZ9
リトルミスといったらどんぐりお嬢だけど
書いてるのはマナビーっぽいな
果たして「誰」の話なのか……ウムム

とかくGJ!っす
146名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 22:55:45 ID:vNWpG8Bm
>144-145
感謝感激_( )_
つかちょと説明不足過ぎました…orz
「誰」なのかは分ると思って付けなかったんですが、
最期にこれが付きます。

Wise Quagmira" #6 "GLITTY"
dawn

新ジャンル「冷血」〜英雄伝〜外伝


wikiにはこれを付けていただくとありが…
つかwiki又便利になってるー!!
ありがとーwikiの人ーーーーっ!
GJ!
147名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 03:57:35 ID:8sLoX/vc
男(………)コソコソ
男(…………)キョロキョロ
男「……………よし」

女「……なにがよし、なのかな?」

男「うわぁぁ!!お、おおお女!!?」
女「失敬なヤツだな。人の顔を見てそこまで大声を出すことはなかろうに」
男「あ、う………」
女「くっく、そのうろたえよう。まるで放課後の教室、想い人の縦笛を舐めているのを
  見られて、しかし糾弾せずに出て行ったクラスメイトに朝出会ってしまったようだな?」
男「う………」
女「おやどうした男。顔色が悪いぞ?具合が悪いのなら保健室まで付き合おうじゃないか。
  そら、肩を貸してやる。手を回すがいい」
男「あ、ちょ……む、胸が」
女「うん?どうした男。まさか私の肩では不満か?それは…… 残 念 だ な 」
男「い、いや!保健室までお願いします!!」
女「くっく、そうだ。言い忘れていたよ。男、 お は よ う 」
男「オハヨウゴザイマス……」
女「♪」

新ジャンル「ゆすりクール」
148名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 04:18:33 ID:8sLoX/vc
男「なぁ、もうやめようぜ」
女「何を言う。私はまだシラフも同然なのだが」
男「いや、口調はいつもと変わらないんだけどさ。顔真っ赤だしそれに」
女「それに?」
男「……素っ裸だし」
女「熱いのだからしょうがあるまい」グイー
男「ああ、また飲んで」
女「む。もう空なのか。仕方がない、コンビニで調達してくるか。いくぞ男」
男「あー!待った!!その恰好じゃ捕まる!ポリスメンに捕まる!!」
女「お?おろ?地面が歪んで……?」
男「女!」

ガッシィィ!!

女「……」
男「…………」
女「………………うら若き乙女を押し倒すとは、やるな男」
男「え?あ、あ!いや、これはそうじゃなくて」
女「君からアプローチしてくるとはな。
  酒の勢いで襲ってしまおうという計画からは多少外れるが、まあこちらの方が都合がいい。
  優しくしておくれ、男」
男「え?酒盛りに付き合えってそういう……ちょ、待、アッー」


新ジャンル「酔いどれクール」
149名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 08:31:55 ID:8sLoX/vc
女(我々が日頃最も求められている物……それは先を読むこと。
  先の先を読み、そこから勝利を確実に導き出す『一手』を指す……
  その時、すでに結果は出ずしてわたしの勝利―――すなわち彼の
  ハートは射止めることは約束されたも同然なのだッッ!!)

男「ふわぁ〜ぁ」テクテク

女「男ッ!!」

男「ん〜?ああ、女。おはよ」
女「くわっぱ!!!!」
男「………………」
女「…………」
男「……か、かわった挨拶だな……」
女「………」
男「じゃあ、先行くな」

女「………」
女「……………」
女「…………………君のハートに、王手(チェックメイト)…」


新ジャンル「棋士」
150名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 18:45:25 ID:pJIY2jB5
おもろいなぁw
151名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 00:11:41 ID:FCGXy3zM
女「ご主人様、散歩の時間だ」
男「あれ、もう10時?ちょっと待って。セーブするから」
女「無論だ。ご主人様の命あれば、雨が降ろうが槍が降ろうが待ってみせる」
男「その間、今日はどんな恰好で行くのか決めちゃっていいよ」
女「ふふん、この間ご主人様に新しく買ってもらった首輪と手綱だ。今日はこれだけで行こうと思う」
男「寒くない?」
女「馬鹿は風邪を引かないと言うだろう。私はま○こ馬鹿だからな。インフルエンザなどに屈するつもりはない」
男「見てる俺が寒くなってくるからコート着ていきな」
女「了解した。ご主人様の命令には絶対服従だ」
男「コンビニまででいい?食玩で欲しいのがあってさ」
女「いいとも。……は!わかったぞ。レジに商品を出すときコートの前を広げて
  『えっちな性奴隷の私を見てくださいプレイ』をするんだなっ!?」
男「いや、そんなことはしないよ」
女「そうか……ぬか喜びさせて私を精神的にいぢめるとはなんて高等テクニック。さすがご主人様だ」
男「あ、そうだ。ご主人様として命令する。コンビニから帰ったらこれのレベル上げやっといて」
女「はい!ご主人様!!」


新ジャンル「良い奴隷クール」
152メテオールの夜(1/12):2007/12/15(土) 10:08:33 ID:FCGXy3zM

ひとつ、ふたつ。
今日はよく星の降る日だ。
みっつ、よっつ。
俺こと、梶取 十郎(かんどり とおろう)はこの寒い中
何をトチ狂ったのか夜空を見上げて、ぼうっと煙草を咥えていた。
ゆらゆらと紫煙が揺れる。
煙草の銘柄はよく知らない。そもそも俺は煙草を吸わないし。
これはさっき居間に下りたときに頂戴したものだ。じいちゃんが忘れていったらしい。
それをただ、多分、雰囲気作りのためだけにこうして持っている。
青春してる自分に酔ってる馬鹿な若者丸出しで、自嘲に口元が緩んだ。
そしてうっかり煙を肺に入れてしまって、咳き込む。
まったく、恰好のつかないことである。

ちらり、と隣を見た。

ベランダの端から手を伸ばせば届きそうな距離に、その家はあった。
実際、その家には歩いて一歩。思い切り足を伸ばせば同じ作りをしたベランダに届いてしまう。
ガキの頃はそれでよくお互いの家を行き来したものだった。
もっともガキの身体ではコンパスが短いので、思い切りジャンプしなければならなかったが。

それに失敗して、俺がここから転落したのはいつの話だっけ。
なまじ家同士が近すぎるせいで俺は飛び移った勢いのまま壁に激突し、
一応あった塀に腹を打ち、面白い体勢で背中と頭を強打した。
この額にある傷はそれの面影だ。生え際にあるので将来が不安である。じいちゃん禿げてるし。

………なんだかヤな方向に思考が進んだので、小さくかぶりを振りながらまた空を見上げた。

まったく、アホのような星の数である。
夜中になるとコンビニも閉まるような田舎なので、夜を照らすものがあれくらいしかないってことだろう。
それが証拠に、明るい都市の夜空には星がないのだとか。

また、ひとつ。
星が、流れる。

結局、俺はここに残ることになった。
進学はせず、来年からはじいちゃんのとこで修行するのである。
もっとも今までの生活も充分修行じみていたので学校に行かなくなるだけの話かも知れない。
そう言ったらじいちゃんに怒られた。
でも、ばあちゃんはその通りだとも言っていた。
母さんは大学に行って欲しかったようだが、あいにく俺にはそんな頭はない。
あいつみたいに。


ここから、いなくなる。
それが、よく、わからなかった。
153メテオールの夜(2/12):2007/12/15(土) 10:09:26 ID:FCGXy3zM


「何やってんの」

不意に声が掛けられた。
俺は驚くでもなく、極めて自然に―――自然を装ってそっちに顔を向ける。思いのほかうまくできた。

「せーしゅん」
「ばか?」

俺渾身のギャグをバッサりと切り捨てる。
可愛くない女だ。
寝巻きに半纏のくせに。

すぐ隣のベランダから半目で呆れた視線を送ってくるその女は土井 七香(どい ななか)。
俺の、―――まあ、幼馴染みである。

「何だよ、お前こそ」
「星、見んの」
「は?」
「知らないの?今日、アレよ。流星群、見れるの」

知らなかった。道理でさっきからやたら星が流れると思った。
というかこいつもよく知らないんじゃあるまいか。
ここんところずっと部屋に篭って勉強ばっかりしてたし。
追い込み時期なので仕方ないが。
こんな寒空の下星なんぞ眺めていていいものか。
そう言ったら、

「たまには生き抜きした方がかえって効率がいいってものよ」

だそうだ。
秀才様は言うことが違う。

「………って、十郎、何吸ってんの」
「これは吸ってるんじゃねぇよ。ただ持ってるだけだ」
「何で?」

そう言われると辛い。
まさかなんとなくカッコいいからとは死んでも言えず、ちょっと困った。
その一瞬の逡巡を、この女が見逃すはずもなく。

「……まさかカッコいいとか思って、でも吸えないから持ってるだけ、とか?」

これですぐさま否定できないのが俺のさが。
七香は思い切り吹き出して、人を笑いものにしてくれた。

「やっぱ十郎、ばかだわ」
「るせぇ。さっさと引っ込んでベンキョーしてろ」
154メテオールの夜(3/12):2007/12/15(土) 10:10:12 ID:FCGXy3zM

七香はしばらくケラケラ笑っていた。
笑っている間流れた星でも数えてやろうかとも思ったが、やめた。情けないからだ。
七香は笑いつかれたのか目尻の涙をぬぐうと、俺の手にある煙草をじっと見つめてきた。
その目はいつか見たような好奇心の眼差し。
まさか、こいつ。

「ね、ちょっとあたしに吸わせてよ」

やっぱり。

「いいじゃない。どーせ吸わないんでしょ?」
「でも、火点けてから結構経ってるからもう短くなってるぞ」
「いいから」

七香は大きく足をあげてベランダを乗り越えた。
寝巻きでよかった。これでスカートだったらパンチラどころかお尻丸出しである。
……良かったのか残念なのか。

「そういえば十郎、ここから落ちて入院したことあったよねぇ」
「一泊だけだったけどな。俺、全然泣かなかったけどお前がすっごい勢いで泣いてたよな。
 死んじゃヤダ、とか言ってさ。死ぬかっての」
「えー、それ嘘だぁ」
「覚えてないのかよ。あーあ、あの頃は可愛かったのになぁ」
「親戚のオッさんかお前は」

などと軽口を叩きあいながら手を引いてやる。
しかしその必要もなかったのか、七香はひょいひょいと柵を乗り越えてきた。
身軽なヤツである。がり勉のくせに。

もう短くなってきていた煙草を手渡すと、七香はそれを思い切り吸い込んだ。
そして、案の定げほげほと咳き込む。
馬鹿か。あんなに思いっきり吸い込むヤツがあるか。

「うぇ〜何だよこれ」
「煙草」
「じいちゃんよくそんなの吸えるね」

さっきのとは真逆の意味で涙目になり、煙草を返してくる七香。
俺はそれを受け取り、すぐに落として踏みつけた。

「あ」
「さ、もういいだろ。早く帰らないと風邪ひくぞ」
「んー、もうちょっといる」
「お前な」

一応半纏を羽織っているとはいえ、この季節その恰好で外にいるのは無茶な話だ。

「じゃあさ」

七香はこつ、と俺の部屋をノックして、

「毛布、持ってきてよ」

そう言った。
155メテオールの夜(4/12):2007/12/15(土) 10:10:57 ID:FCGXy3zM


―――現在の七香の装備。

毛布。
半纏。
俺。

「あー、また流れたぁ」

俺の足の間にすっぽりと収まってい七香が空を指差して楽しそうにはしゃぐ。
俺も空を眺めて、やっぱりちょっと煙草の臭いがついたな、とか思っていた。
でも鼻腔をくすぐる大半は七香のシャンプーと石鹸の香りだ。
ぴったりと密着した状態で、色々くっついて柔らかかったりくすぐったかったり大変である。
俺が男の子だってことを七香は知らないのか?
男はオオカミさんなのよって教わらなかったのか?
馬鹿なのか?

「星、綺麗だねぇ」

どうも馬鹿なのは間違いないらしい。
七香は暢気に俺に体重をあずけてくる。
俺はといえば、この手を腕をどうしたものか、ベルトみたいに回してもいいのかどうか彷徨っている最中だ。
いくらガキの頃からの知り合いとはいえ、親しき中にも礼儀ありっていうし、
そういう意味でもこいつは完全に間違っている。もっと遠慮しろ。俺に。

「―――ねぇ、十郎」

そもそもこんな無防備で大丈夫なのかこいつは。
女一人の身で、これからやっていけるのだろうか。
こいつが毎日どれほど勉強しているのか、隣の家、いや隣の部屋にいる俺にはわかる。
こいつはきっと、数ヶ月もしたらここから出て行くだろう。
それで、それで―――大丈夫なのか。
こんな飛べない鳥みたいな女、ぽけっとしてたら速攻で食われるんじゃないのか。
明るい夜を行く肉食獣に。

「あたしさ」

しかし俺がなんと言えるだろう。
俺は隣の家に住んでるってだけだ。遊んでいたのだってガキの頃の話で、
お互い下に毛が生える頃には単なるお隣さん扱いだ。
俺はこいつにとって、きっと何者でもない。
そんな俺が七香に何か言う権利を有しているのかどうか―――それは、きっと明らかなはず。
七香がどうしようが、俺には関係のない話なのだ。なってしまっているのだ。
少し………気が沈む。
156メテオールの夜(5/12):2007/12/15(土) 10:11:40 ID:FCGXy3zM

「こないだの模試で0点、とったんだ」
「は!?」

くっだらない思考回路がブチ切られ、俺は夜中にもかかわらず大声を出してしまう。
だが、それほどのことをこいつは言った。
なんだって?0点?こいつが?

「な―――なんで?」
「問題は、わかったよ。ううん、きっと、今までで一番調子良かったと思う。
 パズルがピタピタ嵌っていくみたいにシャーペンが進んでさ。
 ああ、これは行けるな―――って思ったとき、怖くなったんだ」

何が?

「……ここから、いなくなるのが」

七香の顔は、後ろ姿のために、俺からは見えない。

「実感がさ、湧いたんだと思うんだよね。
 学校に受かって、ここを出て、知らないところで暮らすの。
 おかしいよね、ずっとこんな田舎、いつか抜け出してやるって勉強してきたのに。
 あたし、怖くなってさ。それから、全然動けなかった」

それで、残りのテストもその調子だったそうだ。
解答は自動的といってもいいほどに頭に浮かんでくる。
しかし、それを答案に書き写すことが、どうしても、できない―――。

「馬鹿、だよね。今になってこんなことに気付いて。
 先生とか、お父さんとかお母さんとか心配させて。
 でも、怖いんだ。
 もし受かったら、あたし」

そうして、七香は身体を返して、俺に抱きついた。
いや、しがみついた。

「十郎の傍から、離れなくちゃいけなくなるんだよ……!」

俺は、

「おかしいよね。自分で決めたことなのに。やりたいこと勉強しに行くのにさ。
 それが嫌だって、あたしどれだけ我が侭なんだって話だよね……!」

馬鹿だ。
157メテオールの夜(6/12):2007/12/15(土) 10:12:24 ID:FCGXy3zM

隣に住んでいたくせに、こんなにも―――七香が好きなくせに。
関係ない、だって?
落ち込んでいる場合か。
お前がそんなだから、七香は今、俺の腕の中でさえ震えているんだろうが……!!

「七香」

自然と、名を呼んだ。

「うぅ……」

どうすればいいのか、わからない。
七香は、ここからいなくなる。
俺は、ここに残る。
それは―――きっと、変わらない。
どんなに不安がろうと、どんなに拒絶しようと。
朝が来ればこの星が消えるように、その時はきっと、来る。

でも。

ならば―――その時、せめて今を思い返して安心できるように。
七香の、この涙を、止めてやろう。
それができるのは、俺しかいないのだから。
自惚れでも慢心でもなく、自然に、そう感じた。

「七香」

振るえる背中を、抱きしめる。

考えろ。
そうやったら七香が安心できる?
七香の不安が晴れるように、俺は―――。

「……セックスしよう」


「 そ れ は な い わ 」

「 俺 も そ う 思 う 」


……でも、まあいいか。
七香が、笑ってくれたから。
158メテオールの夜(7/12):2007/12/15(土) 10:13:09 ID:FCGXy3zM


「だいたい、もっとムードってものを考えなさいよね」
「馬鹿お前、アレ以上どうしようって言うんだよ。俺頑張ったよ?」
「あはは。まあねー」

下着姿の七香が布団の上でけらけら笑う。

七香は渋ったがシャワーは無し。
これから浴びていてはお互い家族に気付かれてしまう。
隠すようなことでもないような気がするけど、でも隠さなきゃならないような気もする。
それになんとかこの勢いに任せてしまいたい。

「え、と」
「ちょい待ち」

七香の細い肩に手を置き、押すと、鼻っ面に手のひらを向けられた。

「何をいきなり押し倒そうとしてんの。ムードを考えろって言ったところでしょ?」
「………?」

よくわからない。
目を瞬かせていると、業を煮やしたか七香は顎をツンとあげ、目を閉じた。
あ、そうか。
緊張してるな、俺。
これを忘れるところだった。

「ん」

その薄い唇に、自分のそれを重ねる。
でも触れ合うだけで精一杯だ。あまりの柔らかさに意識が飛びそう。
これ、舌を入れるなんて本当に可能なのか?
などと、これからもっととんでもないことをするくせに湯だった頭で考える。

「うわぁ」

唇を離すと、七香が変な声を出した。
顔が星明りでもわかるほど真っ赤だ。どうやら心境は同じらしい。

「照れるな」
「照れるね」

そして今度こそ、七香を布団の上に押し倒した。

「よろしく……お願いします」
「こ、こちらこそ」

なんて緊張をほぐす……のは無理だろうからせめて和らげるように挨拶して。
フロントホックというヤツだろうか、前部分で止めてあるブラを外す。
七香の形のいい胸が、ぷるんと揺れた気がした。
まあ、実際揺れるほどないけど。

「なんだよ」

睨まれた。
でも安心しろ。俺はお前の貧相な胸でもヤバイくらい興奮してるから。
159メテオールの夜(8/12):2007/12/15(土) 10:13:46 ID:FCGXy3zM

「………ホント?」

あ、なんか不安そうな顔をしている。しまった、気にしていたのか。
一応、七香の不安を解消してやるのが建前だっていうのに逆に不安がらせてどうする、俺。

俺は七香の胸の、小さな突起に舌を這わせた。
甘い。気がする。実際は少ししょっぱい、か?

「あ、ひぁ」

もう片方は手のひらで弄ぶことにした。
ボリュームはそれほどないけど、そこは驚くほどに柔らかい。
くにくにと色々形を変えるようにこね回すと、七香が鳴いた。

「ひゃふ」

押し殺したような。
でも、いつもとトーンの違う声。
この野郎、いっちょ前に感じているのか。

「気持ちいい?」
「そんなこと訊くな!」

図星らしい。
この女、存外えろいかも知れん。
俺は少し体勢を変え―――でも舌と手で弄くるのはやめずに―――身体を支えていた
もう片方の手を七香のショーツに、その中心に這わせた。

「ひゃ!」

七香は小さく、高い声をあげる。
そこは、しっかりと湿っていた。
この薄い布一枚向こうに女の子がある。
それが、俺の行為によって濡れている。
はしたなく求めている。
この、俺を。

それは、自然と口元が歪むくらいに興奮する事実だった。

「あ、こ、こら!」

聞く耳など持たなかった。
ショーツの中に手を突っ込んで、その部分をなぞり擦る。
何度も、何度も。
160メテオールの夜(9/12):2007/12/15(土) 10:14:30 ID:FCGXy3zM

無論胸への愛撫も続行中だ。
母乳よ出ろというくらいに吸い付いて、
元の形を忘れさせてしまうくらいにこねあげた。
七香の肢体が熱くなっているのがわかる。
苦しそうな、切ない声が鼓膜を震わせる。

感じているのか、七香。

ちゅくちゅくという淫音は嘘をつかない。
擦り、擦り、擦り、そして、片隅に残っていた理性が焼ききれると同時にある知識を思い返させる。
女の子が最も快感を得る場所のひとつが、そこにあると。

淫核。
すなわち、クリトリスである。

「は、―――ひゃぁぁぁあああっ!!?」

おそらくそこだろうというしこりをきゅ、と抓ってやると、どうやらビンゴだったらしい。
七香は大きく痙攣し、脚をぴんと伸ばして……かくん、と力を抜いた。

「はぁ―――は、あぁ……はふ」

虚ろに宙を彷徨う七香の眼を見て、俺ははっと気が付いた。
しまった。やりすぎたか。
ああ、でも俺のアレももう限界ですと言わんばかりだし、
ここまで来てしないのはちょっと勘弁して欲しいというか。

「おい、七香ー。七香―」
「ふぁ、は―――ぁ、はぁ」

目の前で(ぐちょぐちょな)手を振ってやると、一応こっちは向いてくれた。

「このままして、いい?」
「ぁ、う……?」

七香はまだ意識が朦朧としているようだけど、確かに頷いてくれた。嘘だけど。

とりあえず七香汁を吸って重さの変わってしまったショーツを引き剥がし、
七香のその部分を観察する。

………。
161メテオールの夜(10/12):2007/12/15(土) 10:15:17 ID:FCGXy3zM

えろい。
えろい。
えろいぞ、これは。
いいのか、こんなえろいものがこの世にあっていいのか!?
何考えてるんだ造形の神様!こんなもん作っていいと思っているのかGJ!!

俺は感激しながら、でもやっぱり我慢できないので自分の一部分を、っていうかちんこを七香のそこに当てた。
そして、ゆっくりを腰を推し進め―――。

「―――いぅう」

七香、復活。
七香は顔をしかめてやたら近くにある俺の顔を見たあと、
自分の下半身に俺のモノが突き刺さっているのを見て、
また俺の顔に視線を戻した。

「な、何やってんの?」
「そうにゅう」
「ばか!!」

罵倒された。

「だってお前寝てるし」
「そうしたのはどこのどいつよ!ぅう、なんでそうムードを大事にしないかなぁ?」
「すまん」
「せっかく初めてなのにさぁ……いろいろ考えてたのにさぁ」

下半身に俺が突き刺さっているままの七香がさめざめと涙している。
この状況でぼやけるとはそれはそれで大した女だ。
というか、さっき気になる発言を聞いたような。

「いろいろ考えてた?」
「う」

七香が顔を強張らせる。
さらに追求すると、七香はしぶしぶと白状し始めた。俺を下半身に突き刺したまま。

それによると、どうやら今日ベランダに出てきたのは俺を襲う算段を立てるためだったらしい。
一応は俺が落ちた場所であるため、夜中にベランダからベランダへ乗り移るのは可能か。
また部屋は開いているのか、どんな寝姿か、散らかっていないか、カーテンは開いているのか等。
本番は近日。
その時は月の綺麗な夜に、とっておきのネグリジェで、素敵だなと思えるような行為にしたかったのだとか。
162メテオールの夜(11/12):2007/12/15(土) 10:16:02 ID:FCGXy3zM

「………お前」
「し、仕方ないじゃない!十郎との思い出が欲しかったんだもん!」

まあ、その計画も十郎が外にいた時点でおじゃん。しかもなりゆきでこんなことになっちゃったけど、なんて。
七香はもじもじと身体をくねらせた。俺を下半身に突き刺したまま。

―――どく、どく、どくん。

はい、射精しました。

「 何 や っ て ん の ! ! 」

怒られた。

「仕方ないだろ!お前の膣内スッゲー気持ちいいんだぞ!!」
「う―――、そ、そりゃどうもだけど。だけど!もっとムードを考えろって何度も言ったでしょうが!!」
「ちんこに脳みそは無ェんだよ!!」
「大声でちんこ言うな!!」

最早ムードなんて言葉はしあさっての方向に飛び去っていた。
俺と七香は繋がったまま大声で―――と、七香がん?と眉根をひそめる。
そうして上体を起こし、その、接合部を見やると、

「……男の子って一回出したら小さくなるもんじゃないの?」

と、どこから仕入れた情報か小首を傾げた。
だが確かに俺のは一回射精をしたにも関わらず全くしぼんでしまう気配も見せず、
固く七香を貫いている。

「そういうお前も、痛くないの?」

ずるる、と少しだけ腰を引くと、純潔の証を突き破った跡がそこにこびりついていた。
さっき七香も自分で言っていた。確かに今夜がこいつにとっても初体験なのだ。
そして、処女というものは激しい痛みを感じるというのが俺の知識ではある。

「……あんまり。入ってるっていうのは、わかるけど」
「ほう。俺の方はまだ全然収まらないみたい」
「………」
「………」

顔を見合わせる。

「ムード、作る?」
「……もう、いい」

そうして、俺たちはどちらからともなく唇を重ねた。
163メテオールの夜(12/12):2007/12/15(土) 10:17:11 ID:FCGXy3zM


目が覚めたときには、もう昼になっていた。

「20点」

眉を吊り上げた七香の辛口採点である。
無論昨日の―――いや今日の行為のことだ。
俺の怒張は静まることを知らず、また七香のえろさもとどまることを知らず。
俺の白濁は七香の膣内を白く染め上げ、七香は初夜にして挿入で絶頂を迎えるという偉業を達成した。
ある意味思い出ができたと慰めたら殴られた。
コークスクリューで。

でも、実際七香は以前より確実にさっぱりとした顔をするようになった。
俺たちの凸凹な初夜はお世辞にも素敵とは言えなかったが、あれはあれで七香の迷いを振り切らせたらしい。

―――夏、帰ってきたときは絶対100点だからね。

そう言って、部屋に帰っていったから。
見送ったあとはなんだか今まで夢を見ていたようで、しかし足元の煙草の焦げ目が現実だと教えてくれる。
俺は大きく伸びをして、高い空を見上げた。

七香と見上げた星はそこにはない。
けど、見えないだけだ。
あの青の向こうには、変わらず星が広がっている。
それさえ知っていれば、きっと。
俺も、七香も、大丈夫。
同じ空の下で、頑張れると思う。

そうやって自然と微笑みながら、一階に降りた。



余談だが。

あれだけ大声出して、気付かれないほうがどうかしている。
はい、モロバレでした。
ぎゃふん。


                 メテオールの夜〜新ジャンル「田舎娘」妖艶伝〜 完
164名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 10:22:30 ID:FCGXy3zM
ジェバンニが一晩で書いてくれました。
というわけで双子座(だっけ?)流星記念に一本投下。

名前は梶取十郎(カントリーロード)と土井七香(ド田舎)で田舎繋がり。

ではー
165名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 19:09:25 ID:8BT34JcX
GJ!
166名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 22:00:35 ID:BnYjLdC4
しかしなんだなー、やっぱり新ジャンルちかセイシュンのtkmkは幼馴染みが基本のなのかなーとか。
やっぱり隣り合わせのベランダ(物干)は基本だよなーとか。
たいへん美味しく頂きました、GJ。
でもこんなに近い隣同士って、本当はカントリーつか下町だよね(笑。
167名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 23:30:09 ID:W6xUIRsB
ベランダや窓が近いかはともかく、下町なら距離的に一跨ぎで隣家だからな
168名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 00:59:47 ID:6gqaqg+e
だが!漢たちの戦いのドラマはまだまだ続いていたぁ!

「はい、こちらが『普通の萌えには興味ありません!輝け第1354684回全日本萌えフェチ選手』
の会場の模様ですお聞きください、この歓声!場内大変な熱気です!まだまだターンは続く!
まだまだ戦いは終わらない!まさにネバーエンディングウォー!
これぞ漢の戦い!これぞ日本のMATURI!
只今大変な事になっておりますそれではっこまでのエントリフィーを…え?は?おお遂に来たぁああ!
では!わたしのターン!現場の苗場さーん!」

(会場のヒトタチ)『おおおおおー!女子アナキターーーーーーーーッ!!』

女子アナ「はい!コチら会場ですーっ!ものすごい歓声と熱気ですーっキャーッ」

『なんか同じスーツなのになんかくだけたエロさが!』
『結構高学歴なのにそんな風に見えないフレンドリーな感じもイイイー』


女子アナ「ええとじゃぁわたしもいただいてよろしですかぁ?」
メイド「はい、どうぞ御遠慮なく」
ホテルのロビーのティールームのウェイトレス「お飲物は何に致しましょう?」
女子アナ「ええとぉ…うあぁ色々あって迷うわぁ」

新ジャンル「女子高生VSメイドVS秘書VS女体育教師VS保母VS校医(美梅)
VS看護婦VS化学部長(庵)VS理科学部(ソニー)VS剣道部VS弓道部VS殺し屋
(久音さん)VS布団女VSまんが家VS猫VS妹(祐衣)VS後輩(さくら)VS先輩
(マナビナ)VS甘ロリ(明日香)VSゴスロリ(瑠菜)VSロリパン(ドリィ)
VSムスカVSバニーVS猫耳(マオ)VS狐(キュウビ)VS雪女VS龍(リオル)VS
くのいち(クルミ)VS裁定者(シュナ)戦士(ブレイズ)VS歌姫(キアス)
VS女神(ルヴィシス)VS媛神(ウズメ)VS巫女(たから)VS尼さんVSシスター
VS大正ロマン女学生VSカフェ女給VSvs馬車道のウェイトレスVSケーニヒスクローネ
のウェイトレスVSホテルのロビーのティールームのウエィトレスVS南京街の
ウェイトレスVSベトナム料理のウェイトレスVSシンガポール航空のCAVS
ヴァージンALのCAVSラウンドガールVSキャンギャルVSチアガールVS
バトンガールVSコミケのコスガールVSゲームショウのMCVSアトラクショウの
おねーさんVS女子アナ」
169名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 01:05:13 ID:6gqaqg+e
そしてぇ!!ここで戦いは大きな局面を向かえるのだぁあああ!

首領『ええい物の分らぬ莫迦共奴!ここで儂のターン!出よ!女幹部!」
女幹部「この会場は我々ネオジャンルの支配下に入ったぁ!騒ぐな人間共!」

(会場のヒトタチ)『おおおおおー!女幹部キターーーーーーーーッ!!』
『あの衣装!子供番組なのに、なんという…フトモモ!』
『しかもあのスリット!あの場所に圧と言う事は…履いてナイ?!なんという!
なんというエロイデザイン!流石は出●っ!奴はわかっているぜ!』
『乳がぁ!乳がぁ!こぉ、たゆたゆとぉたゆたゆとぉおおお!』

女幹部「ではみなさんには我々の組織が拉致洗脳した3つ星レストランのシェフに腕を
ふるわせた和、洋、中の豪華フルコース&スイーツを御馳走しまぁす!」

(女子の皆さん)『キャーーーーーーーーッ(はぁと)』


新ジャンル「女子高生VSメイドVS秘書VS女体育教師VS保母VS校医(美梅)
VS看護婦VS化学部長(庵)VS理科学部(ソニー)VS剣道部VS弓道部VS殺し屋
(久音さん)VS布団女VSまんが家VS猫VS妹(祐衣)VS後輩(さくら)VS先輩
(マナビナ)VS甘ロリ(明日香)VSゴスロリ(瑠菜)VSロリパン(ドリィ)
VSムスカVSバニーVS猫耳(マオ)VS狐(キュウビ)VS雪女VS龍(リオル)VS
くのいち(クルミ)VS裁定者(シュナ)戦士(ブレイズ)VS歌姫(キアス)
VS女神(ルヴィシス)VS媛神(ウズメ)VS巫女(たから)VS尼さんVSシスター
VS大正ロマン女学生VSカフェ女給VSvs馬車道のウェイトレスVSケーニヒスクローネ
のウェイトレスVSホテルのロビーのティールームのウエィトレスVS南京街の
ウェイトレスVSベトナム料理のウェイトレスVSシンガポール航空のCAVS
ヴァージンALのCAVSラウンドガールVSキャンギャルVSチアガールVS
バトンガールVSコミケのコスガールVSゲームショウのMCVSアトラクショウの
おねーさんVS女子アナVS婦警さんVS女剣士(フェイリム)VSスーパーヒロイン
VS女幹部」
170名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 01:36:34 ID:FIufPwWI
「久々に来たらカオスだね」
「そうだな」


「まぁいいじゃないか!蓮華は暖かいな…」
「こら、焔、私も暖まらせろ」
「お布団の中で引っ付かないで欲しいです…」

「まず上に私が…」



ジャンル「冬、布団で密着」
171名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 02:21:46 ID:6gqaqg+e
世界のピンチだぁああああ!ココはこの漢のターンに期待するしか無いぞぉぉおお!
その漢の名はぁあ!
勇者ヒロトだぁあああああ!

勇者「え?俺…ですか?」

そうです!ここは貴方に締めていただかないと!

勇者「そうなのか?…ええ、俺の…?じゃぁ…」
魔王「ふはははは、真打ち登場というわけだ!な、ヒロト」
姫「バランスを考えればわたしの方が相応しいですわ、ねぇヒロト様」
魔王「笑止!ジャンルにも成っていないやつが何を言う!」
姫「馬鹿なことを、ここはやはりここはわたしが出てターンエンドですわ!」
魔王「何を!」
姫「何を!ですわ!」
魔王「ここは我であろうヒロト!」
姫「いいえ、わたくしですわね?ヒロト様!」
魔王「ヒロト!」
姫「ヒロト様!」

勇者「…ええい、煩い!俺のターン!」

そして

…そして



それは古から続く物語、終わらない、永遠にくり返される物語…
(連載時の聖闘士聖矢風に)


新ジャンル「
172名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 09:11:36 ID:1YFdft62
>>168-169
おいおい数撃ちゃ当たる作戦か〜?
だがその意気や良し!
そしてチョイスが妙に細かくてマニアックなのは一体なんなんだwwwww

>>171
で、ヒロトは結局どっちを選んだんでしょうね?
答えによっては世界のピンチどころか世界の崩壊を招きかねませんけどw

>>170
お久!です!!
きっとコタツの一角(蓮華がいるところ)はギュウギュウで狭くなってるに違いない……
173名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 10:01:40 ID:6gqaqg+e
>>172
「ヒロイン増やしたい」って言うからじゃないかぁ!
Σ(゜ロ゜;)
ち、ちがうのべ、べつにあんたの為にやったんじゃないんだからねっ!
ばかぁああああああっ!(脱兎
174名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 10:02:33 ID:1YFdft62
卓 球orビーチバレー
 卵 orスイカ
浴 衣or水 着
猥 談or泳ぎの特訓
旅 館or海の家
 猿 vs 蟹

…………
………
……

温 泉or 海 


勇者&魔王シリーズ、どっちを書くべきか迷っています
どちらにも連れて行ってやりたいが……ウムム
書きたいシーンが被るんだよなー主にヒロインの胸部的な意味で

姫 「あんまり虐めるのもあれですしね」
魔王「なっ、なんだその目は!!!!」

どっち読みたいとか、あります?
175名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 10:16:50 ID:6gqaqg+e
両方書けばいいと思うよ




あ、あなたの好きな方だったら何でも…(///)


176名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 11:49:32 ID:WK0xmiD8
海の近くの温泉という設定でいいんじゃね?
南紀の白浜温泉とか静岡の熱海温泉とか…
177名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 13:07:44 ID:ufd56sGL
新ジャンルなんだから全部混ぜるとか。
178名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 13:58:55 ID:UN4gmxuN
海底温泉ってどうだ?
179名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 22:32:59 ID:1YFdft62
みんなありがとう。
とりあえずできるだけ頑張ってみるよ…!
ワー。
180名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 22:10:54 ID:5aluoOp5
>>172
布団だよ布団。Not炬燵。

ちなみに、
蓮華を中心に左右に双子、蓮華の上にエレミーという構図。
181名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 21:44:04 ID:gnvfWCUk
女「シュシュッ!シュッ!!シュシュッ!」
男「精がでるな、女」
女「男!そうでもないさ。チャンピオンを倒すパンチ力を手に入れるには、こんなものでは!」
男「そうか……ならば、お前にこれを授けよう」
女「これは……卵?しかも生卵ビールジョッキ入り?キモッ!!」
男「キモいとか言うな!これはかの有名なボクサー映画でも飲んでいた東洋の神秘。
  これを飲めばお前は勝てる!」
女「マジで!?ていうかこれ飲むの!?生で!?」
男「それ飲めやれ飲め!」グイー
女「おぇえっ!ちょ、待、ぎゃぼー!!」
男「……フフフ、全部飲んだな」
女「気持ち悪い……コンディション最悪なんですけどウプ」
男「そんなお前にもっと精をつける秘薬をやろう!」
女「おえー、もう勘弁してよ。…………なんでズボン下ろすの?なんでパンツ下げんの?」
男「さあ、俺の注射器に口をつけるんだ!ここから精のつくおくすりが飛び出」
女「せい!」ゴッ


………こうして、後に世界を制す必殺の左が生まれたのだった。


新ジャンル「ロッキー」
182名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 22:03:07 ID:gnvfWCUk
女「べっ、別に男くんの気を引くために手首切ったんじゃありませんから!」
男「それはいいから、女さん止血して。スゲー血ィ出てる」
女「男くんに言いよる雌犬を夜道で襲ったのもわたしじゃありませんから!」
男「女さんじゃなかったのか……じゃあ犯人は誰なんだ一体」
女「男くんの赤ちゃんがお腹にいるっていうのもウソですからっ!」
男「そうだよね。別に俺女さんに何もしてないもんね」
女「こ、この髪の毛入りのお弁当だって髪の毛ちょっと切ろうとして失敗しちゃっただけですから!」
男「お弁当にする意味がわからないよ女さん」
女「これ……流れた血がもったいないから男くんに手紙書いただけですからっ!勘違いしないでくださいね!」
男「女さん、これ内容が書いてないよ。ていうか一面俺の名前だけって、怖いから。しかも血文字だし」
女「別に男くんなんて……好きじゃありませんからっ!」
男「じゃあこの手錠外してくれないかな?」


新ジャンル「ヤンツンデレ」
183名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 22:33:10 ID:gnvfWCUk
男「女さん……好きです!つ、付き合ってください!」
女「男くん、わたし、すごく嬉しいよ……!ハッ!でも駄目なの!」
男「えっ!?な、なんで……」
女「そ、それは……ご、ごめんなさい!!」ダッ!
男「お、女さーん!」


………なんやかんやで、付き合うことになりますた


男「お、女さん。キス、してもいいかな……?」
女「あ…う、うん……いいyハッ!だ、駄目だよそんなの!」
男「え?付き合ってるのに!?」
女「わ、わたしだって本当は……でも、ご、ごめんなさーい!!」ダッ!


………なんやかんやで、深い仲になっていきますた


男「避妊もした、ちゃんとしたホテルもとった……これなら大丈夫だろう」
女「男くん……好き……」
男「僕もだよ、女さん……」
女「……ハッ!だ、駄目駄目駄目!こんなの許される行為じゃないのよっ!」
男「え!?また?」
女「ごめんなさーい!!」ダッ!
男「女さーーーーーん!!」

男「………………………」
男「………………」
男「………」

男「……なんてミステリアスな人なんだ、女さんは」
友「ああ、そうかい」


新ジャンル「ワケアリ」
184名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 01:08:57 ID:D/SSMECW
女「ああー…正直なんで付き合ってるんだろーとか思うよ、別にイケメンでもないしな。
ちょとキュンとなただけなんだけどなぁ…まぁ無理に別れる事も無いとは思うけど、…でもなぁ」
男「お、女さん…」
女「お、男君!ち、ちがうの!こ、これは違うの!誤爆なの!あなたの事じゃないの!」
男「僕の事じゃ…無い?」
女「ち!ちがうの!違うのぉぉおおおおおおお!」(脱兎
男「女さん…」

新ジャンル「誤爆」

男友「…二股じゃん」
185名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 09:52:51 ID:26j20LUL
男「……ただいまー」
女「おっかえりなっさーいっ!!ひゃっほー!!男くんが帰って来たーっ!!
  わーい!わーーい!!はぁはぁはぁはぁ!!」
男「おーおー、スゲーテンション高いな。こらこら、飛びつくな舐めるな俺の尻の臭いを嗅ぐな」
女「男くーーん!!ホラ!おなか!おなか見ておなか!!はぁはぁはぁ!!」
男「はいはい転がるな。通れん。玄関から中に入らせろ」
女「ん!?ごはん?ごはん!?ごはん!ごはーん!!何々!?今日のごはん何?」
男「俺は弁当。お前はドックフードと……ミートボール、やるわ」
女「やったぁぁぁぁぁ!!!ミート!ミート!ミートボール!!」
男「俺食ってからな」
女「躾厳しいィーーっ!!でも待つ!見て!ほら!おなか!おなか!!」


新ジャンル「わんこ」
186名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 10:07:31 ID:26j20LUL
男「もっきゅもっきゅ……ぷは。ごちそーさまー」
女「はいなっ!」カポ
男「………」
女「残さず食べてね!」
男「………いや、僕ごちそうさまって……」
女「残さず食べてね!」
男「………」
女「………」
男「ぱく」
女「はいなっ!」カポ
男「………」
女「………」
男「ぱく」
女「はいなっ!」カポ


新ジャンル「わんこ」
187名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 18:10:17 ID:eMukigiP
わんことわんこ違いのわんこワラタw
おなかフェチにはたまらんなw

>>184
誤爆と自爆を同時に行うドジっ子、通称誤自っ子だな!
188名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 18:46:34 ID:K0jzLycf
>>184
狙って誤爆するスレ その8
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1195264621/

……ゴクリ
189名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 22:48:10 ID:xdRG1q3q
>>187
ああ!そういう事かぁ、わんこ!
言われるまで気が付かなかった...orzスマン>>185-186
>通称誤自っ子だな!
天才発見(w
>>188
あそこの読んでると自分の事かと思って鬱になるよ...。
190名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 01:49:27 ID:0qgdGQ6H
「ねーこはこたつでまるくなるー♪」


「蓮華、君は猫じゃない」
「猫耳ヘアバンド付けさせた人が何を言うのやらー♪」
「蓮華っ!外行こう外っ!」
「にゃんこだから動きませんー」


「…選び間違えたかな」
「「かもな」」

「あ、明日それ付けて学校な」
「えー?…りょーかいー」

新ジャンル「猫耳ショタっ子」
191名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 23:32:19 ID:cBjgjtPG
>>190
今度こそコタツだな?
コタツでみかん……でも猫ってみかん食えないんだよね関係ないけど
192名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 01:25:57 ID:3bbc9/9j
>>191

「みかんすっぱいきらい」

「「おっぱいは?」」
「何でハモるのか、そしてその質問の意義は何なのか」
193名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 21:44:24 ID:Tmq2ya+P
アップアップ
194名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 00:01:05 ID:Rpk9izSW
ξ*゚听)ξ「あっ、あんたなんか好きでもなんでもないんだから!」
ξ*゚听)ξ「何笑ってるのよ!ホントなんだからね!」
ξ*゚听)ξ「……も、もう帰るの?も……もうちょっといなさいよ……」
ξ*゚−゚)ξ「………ホントに帰っちゃった……あのバカ……」
ξ - -)ξ「………バカ」
ξ - -)ξ「………」スヤスヤ
ξ - -)ξ「……スキ」ムニャムニャ


新ジャンル「ツングースカ」
195名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 00:19:55 ID:Rpk9izSW
いやいや、参った。財布を忘れてしまうとは。これじゃ家に帰れない。
ツン、お邪魔しまーす再見!

ξ - -)ξ「………」クークー

………寝てやがる。おいツン、そんなところで寝てたら風邪引くぞ。

ξ - -)ξ「………」ムニャムニャ

起きない。仕方ない、寝室に運んでやるか。うわ、コイツ軽っ!もっと肉食えよなー。
………よし、あったかくして寝ないとな。しかし寝てる時は可愛いのに……コイツってヤツは。

ξ - -)ξ「………ダイスキ」

………!!

ξ - -)ξ「………」

………。

ξ*- -)ξ「………」

………ツン、俺もすk

ξ*゚听)ξ「……なっ!なんてね!あははは!騙されたー!!」

………。うっ、うわー寝たふりだったのかー。

ξ*゚听)ξ「そ、そうよ!………」

………。
………じゃ、じゃあ、帰るわ……俺。

ξ*゚听)ξ「ぁ……うん。じゃね」

………。ガチャ バタン

ξ*゚听)ξ「………」
ξ*゚听)ξ「………」
ξ T儺)ξ「………」

新ジャンル「ツングースカ」
196名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 00:32:45 ID:Rpk9izSW
ξ - -)ξ「………」スヤスヤスヤ!

………ツン、ツンってば。もう昼だよ?いくら不貞寝だからって寝すぎじゃない?
え?寝かせってやれって?でも机で寝てたら身体悪くするんじゃないかなー。
それにこの娘起こさなきゃずっと寝てるし。

ξ - -)ξ「………」ムニャムニャムニャ!

……本当、自棄になって寝てるわよね。チョーク当てられても寝てたし。
いい夢、見てればいいけど。

ξ*゚听)ξ「大好き!!!!」
ξ*゚听)ξ「………」
ξ*゚听)ξ「………」
ξ - -)ξ「………」ネムネム

………びっくりした。
え?今の?ああ、寝言よ。たまにね、ああなるの。
ホント、夢では素直になれるのにねー、ツン。

新ジャンル「ツングースカ」
197名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 01:06:26 ID:Rpk9izSW
ξ*゚−゚)ξ「あーあ、結局目が覚めたら放課後だったわ……休めばよかった」
ξ*゚−゚)ξ「でもでも、そんなことしてアイツに逃げたとか思われるの癪よね」
ξ*゚−゚)ξ「………なんて、さ。はぁ」
ξ*゚−゚)ξ「………素直になりたいなあ……」

キキーーーッッ!!

ξ*゚−゚)ξ「え?」

ドンッッッ!!!!

ξ ゚ ゚)ξ(………)
ξ ゚ ゚)ξ(………)
ξ ゚ ゚)ξ(………)ドサ
ξ ゚ ゚)ξ(………)
ξ ゚ ゚)ξ(………あれ?変なの。身体が動かない……。
     それに、あんなに寝たのに、すごく…眠……
     ………が…ま………)

ξ ゚ ゚)ξ


ξ - -)ξ

新ジャンル「ツングースカ」
198名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 01:12:46 ID:kpcgPZIJ
ぅわぁああぁぁああぁああ……っ!!!
199名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 02:00:12 ID:rG2f/DTW
>>198
煩ぇ
200名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 09:54:30 ID:Rpk9izSW
ξ - -)ξ「………」
ξ - ゚)ξ「………んぅ?」

………よお、やっと起きたのか

ξ*゚Д゚)ξ「わあ!!」
ξ*゚听)ξ「な……っ!あ、あんた、何して……っ!!」

ひざまくら。

ξ*゚Д゚)ξ「ひざ……っっ!!?」

なんだよ。お前がしろって言ったんだろ。

ξ*゚−゚)ξ「え?あー……ぅー…?」
ξ*゚−゚)ξ「………」
ξ////)ξ「そ、そりゃ言ったけど……」

ま、こっちはお前の寝顔を堪能できてよかったけどな。

ξ////)ξ「………」
ξ////)ξ「………ばか」

新ジャンル「ツングースカ」
201名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 10:09:15 ID:Rpk9izSW
怪我自体は、たいしたことはない。
車に轢かれたという事故からすれば、驚くほど軽症だった。
…ただ、頭を強く打ったようで。
ツンは、事故から三日たっても目覚めない。

ξ - -)ξ

……医者の先生が言ってたよ。いつ目が覚めてもおかしくはないって。
ただ、ずっと目を覚まさなくても、おかしくはないんだそうだ。
ようは、何故ツンが目を覚まさないのかわからないということ。
笑ってしまう。現代医学も大したことはないってことだよな。

ξ - -)ξ

頭に繋がっている吸盤は、ツンの脳波を診るためのもの。
それによると、ツンは時々夢を見ているらしい。
暢気なヤツ。人の気も知らないで、どれだけ寝れば気が済むんだ。

ξ - -)ξ

………いい加減起きろよ。ツン。

ξ - -)ξ

なあ、


         …ツン。


新ジャンル「ツングースカ」
202名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 18:44:47 ID:nu1rVC22
なんだ・・・なんだこれは・・・
203名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 23:39:47 ID:aGkpewIF
女「満州からロシア領のシベリア・極東にかけての北東アジア地域に住み、
ツングース諸語に属する言語を母語とする諸民族なんだからぁ!」。

男「女?...」

新ジャンル「ツングース」
204名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 23:40:27 ID:aGkpewIF
女「べ、別にロシアのシベリアを流れるエニセイ川右岸の支流とかなんだからね!」
男「...えーと」

新ジャンル「ポドカメンナヤ・ツングースカ川」
205名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 23:41:17 ID:aGkpewIF
女「女真」
男「...」
女「粛愼」
男「...」
女「勿吉」
男「...ごめん...ホントに分らん..orz」

新ジャンル「ツングース系諸民族」
206名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 23:42:22 ID:aGkpewIF
男「それにしても女、それだけ良く知ってるな..」
女「べ、別にアンタの為に調べたんじゃ無いんだからね!」

新ジャンル「ツンググった」
207名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 23:43:14 ID:aGkpewIF
快獣「べ、別に大ちゃんに会いたくて帰ってきたんじゃないからね!バラサバラサ!」
男「何言ってんだ」

新ジャンル「ツンブースカ」
208名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 23:44:24 ID:aGkpewIF
男「待て!貴様らの陰謀はお見通しだ!」
女「おのれ、また邪魔をするのか愛国戦隊!」

新ジャンル「ツングースキラー」
209名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 23:47:35 ID:nu1rVC22
「跪いて、命乞いして、小僧から石を取り戻したら、私のお嫁さんにしてあげるんだから!」


新ジャンル「ツンムスカ」
210名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 00:17:48 ID:AbphedZ1
「あ、ある朝、女がなにか気がかりな夢から目をさますと、
 自分が寝床の中で一人のツンデレに変わっているのを発見したんだからねっ!」

新ジャンル「ツンカフカ」
211名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 00:19:36 ID:4Gfk2xHt
女「ほら…なんだっけ夕方のテレビまんがの再放送でよくコマーシャルしてたでしょう?
あの自転車…アラレちゃんのツンさんの奥さんの名前の元ネタ…」
男「ちょっww女wwテレビまんが?!」

新ジャンル「♪ツン、ツン、ツノダのTU号」
212名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 00:20:45 ID:AbphedZ1
男「あー……お日様の匂いがするー………あ痛!?
  ……なんだ、木のトゲか。あー、布団あったけー……」

新ジャンル「ツンふかふか」
213名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 00:26:35 ID:oXP3pVDv
ガッちゃん「くぴうぴぱー」
あられちゃん「にゃはははははー」

新ジャンル「つんつん」
214名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 00:28:53 ID:4Gfk2xHt
女「時に昭和18年、アリューシャン列島のアッツ島守備隊が玉砕したからって、玉砕の危機に襲われた
守備隊五千名の救出を助けにいくんじゃないんだからね!」
川島中将「行くんだよ」

新ジャンル「ツンキスカ」
215名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 00:32:06 ID:AbphedZ1
女「アンタ、バカァ?」
男「………」

男(……あれ?普段と何も変わってない………)

新ジャンル「ツンアスカ」
216わたしの名前はマリア・ライヒェ:2007/12/23(日) 00:37:09 ID:4Gfk2xHt
女「もう!このあたりに道路とか作ったら承知しないんだからぁ!」

新ジャンル「ツンナスカ」
217名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 01:00:57 ID:+soWAz8J
女「あんたが悪いんだ。あんたが、裏切るからぁっ!」

男(性別が違う。)

【新ジャンル「ツンアスカ(別)」】
218名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 01:56:04 ID:AbphedZ1
女「ねーねー男くーん」
男「ん?どーした女」
女「あたしねー、明日からツンデレになるー」
男「そうか。がんばれ」
女「がんばるー」

男(無理そうだなぁ)
女「ふぁいとー」にぱー

新ジャンル「ツンアスカラ」
219名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 03:29:13 ID:iVZsU846
「子供のままじゃ、みっともないからと〜
 つま先で立つホントのガキだ」

「夕焼け空綺麗だと思う 心をどうか殺さないで
 そんな 心 バカ正直に 話す事をバカにしないで」


「蓮華…あの曲歌うと…」


キャーキャー
           キャピキャピ


「女の子が集まってくるのよね…なんで?」


ジャンル?「Bump熱唱ショタ」
220名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 07:53:51 ID:W4wfNwls
ムスカには不覚にも萌えた…WW
221名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 14:31:43 ID:AbphedZ1
こうして、またひとつ世界に新たな萌えが生まれた……
222名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 21:47:46 ID:W4wfNwls
人がゴミの様ね!
223名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 09:31:06 ID:N8Goy8eo
めりくり!
224名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 10:16:33 ID:N8Goy8eo
 ――――――夢でもし逢えたら 素敵なことね
     貴方に逢えるまで 眠り続けたい――――――


ξ - -)ξ

そういや、お前、一度寝るとなかなか起きないんだったよな。
でも一週間眠りっぱなしってのは流石にどうかと思うぜ?なぁ、そろそろ起きないと。
身体、どうかしちまうぞ。

ξ - -)ξ

いくら寝顔が可愛いっていってもな。
そんなもん、起きて笑ってるときの方が可愛いに決まってるだろうが。
そんくらいわかれ、お前。このまま寝てたら……俺が告白できないだろーが。

ξ - -)ξ

―――ああ、そうだよ。惚れてるよ。悪いか。
ずっと言いたかったけど、馬鹿だったし、なんか気まずくなるのが嫌だったし。
でも、知ってるぞ?お前もまんざらじゃないんだろ?
言っちゃえよ。もっとも、寝言になんか絶対返事してやらねぇけどな。

ξ - -)ξ

なあ………………ツン。俺さ、お前のこと――――――。

ξ*- -)ξ

新ジャンル「ツングースカ」
225名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 11:13:00 ID:N8Goy8eo
ξ*゚听)ξ「あーん」

あーん。はむ。

ξ*゚‐゚)ξ「ど、どうかな?」

うん。ンまい!

ξ*゚ー゚)ξ「えへへー。早起きして作ったんだから感謝してよねっ!」

ああ。ありがとな、ツン。こんないい彼女ができて俺は幸せ者だよ。

ξ*゚ー゚)ξ「あたしも、大好きだよ♪」
ξ*゚−゚)ξ「あーあ、素直になりたいなぁ」

そうだね。ツンはいっそ、寝ながら告白すればいいんじゃない?

ξ*゚−゚)ξ「……あのね、友。あたし超人?」

寝る前に男くんのこと考えてたら告白する夢で予行練習できるかもよ?
ツンは寝てるときは素直なんだから。

ξ////)ξ「………」

……まさか、いっつも男くんの夢見てるとか?

ξ*゚听)ξ「ちっ、違うもん!男が悪いんだもん!アイツがあたしの夢に出てくるから、その……」

はいはい、YOUとっとと告白しちゃいなYO。

ξ*゚听)ξ「だっ!だからそれがパッとできれば苦労はしないってば」
ξ*゚−゚)ξ「……はぁ。いっそ男の方から告白してくれないかなぁ……」

ツン。俺さ、お前のこと、好きだ。

ξ*゚‐゚)ξ

ξ*゚‐゚)ξ「えっ?」

ξ*゚‐゚)ξ
ξ*゚‐゚)ξ

ξ*゚ー゚)ξ「あたしも、大好きだよ♪」

新ジャンル「ツングースカ」
226名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 11:33:24 ID:N8Goy8eo

ξ*゚ー゚)ξ「あたしも、大好きだよ♪」

………………………。

ξ*゚ー゚)ξ「なによぅ、変な顔しちゃって。えへへー」

………………………ツン、お、お、お前。

ξ*゚ー゚)ξ「男、好き好きー」

目が覚めたのか!?やった!!あは、あははははは!!!!よかった!!ツン!よかった!!!!

ξ*゚ー゚)ξ「んぅー?何言って……」
ξ*゚ー゚)ξ

ξ ゚−゚)ξ

ξ - -)ξ

ξ ゚ ゚)ξ

ξ*゚д゚)ξ

ξ*゚Д゚)ξ「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

もしもし!おばさんですか!?ツンが!ツンが目を覚ましたんです!!!!
はい!!はい、よかった!!うぅ、俺、ぅう……っ!

ξ*゚Д゚)ξ「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

新ジャンル「ツングースカ」
227名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 13:06:34 ID:NbQSpePr
ホッとしたw
色んな意味でw
228名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 15:14:02 ID:N8Goy8eo
ξ*><)ξ「うー……」

なぁ、いい加減機嫌直せよ。
せっかく目、覚めたんだから。

ξ*><)ξ「うるさいうるさい!夢よ!これは夢!夢なの!!」

夢じゃない。
ツンはちゃんとここにいて、俺だってちゃんとここにいる。
それでいいんだ。ツン、それでいいんだよ。

ξ*゚−゚)ξ「………何よぅ。やけに余裕な顔しちゃってさ」

少し素直になっただけだよ。
―――もしお前が起きたら、ちゃんと好きだって言おうって決めたからな。

ξ*゚д゚)ξ 「なっ……」

好きだ。ツン。俺の彼女になってくれないか。

ξ////)ξ「………」

ξ////)ξ「………」

ξ////)ξ「………はい…」

新ジャンル「ツングースカ」
229名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 15:20:44 ID:N8Goy8eo
ξ////)ξ「ぁー…ぅー………」
ξ////)ξ「………ぇへ、えへへ…」
ξ*゚ー゚)ξ「てへへ…」

ξ*゚ー゚)ξ「それにしても、男ったら『もしお前が起きたら』なんて、まるで死亡フラグじゃない。
     ホント、センスないんだから」

ξ////)ξ「ぇへへ……彼女……♪」





キキー
           ドンッッ!!

新ジャンル「ツングースカ」
230名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 15:42:58 ID:N8Goy8eo
ξ*゚听)ξ「―――こ、―――とこ、男!」

ξ ゚ ゚)ξ「……なによ、なんなのよ。彼女のこと、無視するわけ?」

ξ*゚听)ξ「好きだって、言ったじゃない!だったら……返事くらいしなさいよ!
     寝たふりしたって、ダメなんだからねっ!!」










……うるさいな!静かにしろよ病院だぞ!!

ξ*゚听)ξ「アンタが無視するからでしょ!はい、食べなさい!アーン!」

だから、そんな恥ずかしいことできるかよ!

ξ*゚听)ξ「腕使えないくせに!彼女の言うことが聞けないってわけ?
     はい、冷めるわよアーン」

理不尽だ。なんでお前は昏睡で俺は両腕骨折なんだ?
俺にだって記憶喪失くらいのドラマはあってもいいだろう!
畜生、素直になった俺がバカだった………。

ξ*゚听)ξ「なに訳解んないこと言ってるの。
     いい加減にしないと口移しにするわよ!?」

……ぐうぐうぐう!

ξ*゚ー゚)ξ「寝たふりしてもダーメ!」

だいたい、なんでお前いきなりそんな素直になってるんだよ!
夢の中じゃないと素直になれないいつものツンはどうした?

ξ*゚ー゚)ξ「何言ってるの。あたしが素直になったのなんて、
     そんなの当たり前のことじゃない!」

なんでだよ!?


ξ*゚∀゚)ξ「――――――今、夢みたいに幸せだからよ!!!!」


新ジャンル「ツングースカ」fin.
231名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 16:09:44 ID:+zXwECl+
いいオチです。
GJ!
232名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 02:00:29 ID:n8BQLZJc
しゃんしゃんしゃんしゃん…
233誰が為に鈴は鳴る(1/14):2007/12/25(火) 02:01:48 ID:n8BQLZJc

12月某日。
街は瞬く照明で華やかに光り、行く人々もどこか顔をほころばせている。
ぼんやり眺めていると、家族連れやカップルの比率が普段より格段に高いのがわかった。
きっと家族連れはこれから暖かい家に帰って鶏足でも食うのだろうし、
カップルはどこぞのホテルにでも泊まって合体だ。
9月10月生まれの小さなお友達がまた増えることになることうけあいである。

聖なる夜。
クリスマス。

正確には今日はイブだが―――どちらにせよ、
今日この日を本気で有難がっているのはこの国では聖職者か、あるいは商売人しかいまい。
金が流れ込むイベント・デイ。
事の本質はすっかり歪み、ただのお祭りに成り果てた。
……この俺自身、クリスマスなんぞを敬う気はさらさらないし。

そもそも俺はクリスマスが嫌いなのだ。

「いいのかなぁ、そんなこと言って」

のし、と背中にふたつ、柔らかいものを感じた。
顔をあげなくてもわかる。
圧し掛かってきたのは仲居戸 赤葉(なかいど あかは)―――俺の同業者である。
女の子だけど。

「いいんだよ、別に。誰も聞いちゃいないんだから」
「あたし聞いたけどー?」
「お前、陰口叩いたらどーなるかわかってんだろうな?」

少し声を低くして脅してやるも、鈴はあははーといつも通り暢気に笑うだけだった。

「あたし、そんなことしないよ」
「……知ってるよ」

こいつとは一日二日の付き合いじゃないんだ。
年中顔を合わせてるわけでもないけど、
同じ地区担当ということで集会や訓練の時なんかはコンビを組まされることも多い。
お互い親の顔も知った仲であるし、陰口を叩いたりするのが苦手なヤツだと初めからわかっていた。
……そういえばコイツ、爺ちゃんにえらい気に入られていたっけ。
あの頑固爺をどうやって懐柔したのかは気になるところである。
まあコイツの能天気な顔を見ていたら爺ちゃんも怒る気無くすか。

「それに、クロだってあたしに酷いことはしないでしょ?」
「………あ?」
234誰が為に鈴は鳴る(2/14):2007/12/25(火) 02:03:09 ID:n8BQLZJc

赤葉がごく自然に口にした、その言葉に俺は少なからず驚いていた。
ガッコじゃいわゆるフダツキで通っていた俺である。
……いや別に目立ったことはしていないが、
目つきが悪いとその一点が気に食わなかったらしい先輩に絡まれ、
面倒くさかったが足腰立たないくらいにしてやったらいつの間にか俺が悪いことになっていたのだ。
その評判を赤葉は知らないだろうが、
お世辞にも上品とは言い難い俺を見て『酷いことしない』とは一体どういう了見か。
同業連中でも『らしくない』と言われている俺なのに。

「あはは。そんなの嘘。クロが優しい人だっていうのは、あのコたち見てたらわかるもん。
 クロのが一番毛並みもいいし、角だって立派じゃない。クロが頑張って世話してるからだよ」

能天気に笑う赤葉は―――相変わらずアホのようだった。

「自信持ちなよ。クロより向いてる人、そういないと思うよ?」
「………お前なぁ」

少しくらい動物の世話をするのが得意なくらいで太鼓判を押されてはたまらない。
それに、最初に言ったの聞いていたんだろうが。
俺は、俺たちの晴れ舞台となる今日、この夜―――クリスマスが嫌いなのだ。


それは、きっとなんてことのない。
ガキの頃からのトラウマである。
爺ちゃんも親父もお袋も―――家族全員がクリスマスに仕事で出払ってしまう俺の家は、
ずっと独りきりのこの日を過ごさざるを得ないのだった。
俺とはいえ、まだほんのガキだ。
友達の家の盛り上がりに比べ、胸に巣食うこの寂寥感は何だというのだろう。
でっかい鳥肉やケーキは一人で食べるには大きすぎたし、
TVをつけてもクリスマススペシャルしかやってなくて余計に気が滅入ったものだ。
さっさと寝てしまおうにも寝付けず、
朝になって目が覚めても―――枕元にプレゼントなんて置いてあるわけない。

そう、俺には一度もサンタクロースはやってこなかった。

いたのは、ただ、夜通し働いて帰って来た大人たちだけ。
俺はそんな、クリスマスの裏側というヤツを嫌ほど見てきた少年時代を過ごしたから。

文句は言わない。
軽蔑もしない。
理解はしている。
だから噛み殺すしかない。

そんな自分がまさかこのクリスマスを彩る張本人になっているなんて、
皮肉というか家柄には勝てないというか。
そもそもこの家に生まれてこなければこんな仕事に就くこともないだろうし、
また独りきりのクリスマスイブなんてものを三つの頃から体験せずに済んだろうが。
235誰が為に鈴は鳴る(3/14):2007/12/25(火) 02:04:28 ID:n8BQLZJc

「……そっか。クロんちはそうだったね」
「―――ま、同業じゃ珍しくもなんともない話だろ。
 俺だって今じゃ仕事だって割り切ってるしな。
 ただ、クリスマスを楽しんだことのない俺がこの仕事に向いてるなんて間違ってるってだけの話」
「………………」

俺は、きっと今すごく恰好悪い顔をしていると思う。
いじけて、不貞腐れた俺なんぞにプレゼントを貰ってもきっと喜ぶガキはいないだろうに。
しかしそれを言うなら、俺は心からメリークリスマスと言ったことが果たしてあるのかということで。
きらきら笑いながらプレゼントを受け取るガキは
真正面から見るには少し、俺には眩しすぎるのかも知れない。

………なんだか気が滅入ってきた。
仕事前だというのに。

「わかったら、お前も自分の控え室に戻るなりトナカイの様子見に行くなり、どっか行っちまえ。
 俺、機嫌直さなきゃ仕事できそうもないから」

そっぽを向いたままひらひらと手を振って、赤葉を追い出そうとし―――

突然、窓の外を眺めているその顔をがっしと掴まれたかと思うと、
強引に方向転換させられて、首の骨がいい音を立てていた。

「な、」

何をする、と言おうとした唇がふさがれる。
何が起きたのかよくわからない。
ただ、柔らかな感触と、赤葉の顔が異様に近くにあるのだけはわかった。

―――。
思考が停止する。

これは、もしやキスというものではあるまいか―――。

目を白黒させながら数十秒、やっと赤葉が唇を離したときにはもう、俺の顔は真っ赤っかになっていた。
と思う。
顔がやたら熱かったし、赤葉の顔も見たこと無いくらいに紅潮していたから。

「ぷは」

人様の唇を強奪した赤葉が大きく息をつく。
どうやら唇を付けている間、息を止めていたようだ。
俺はというと、もっと酷い。驚きのあまり呼吸を忘れてしまっている。
236誰が為に鈴は鳴る(4/14):2007/12/25(火) 02:05:41 ID:n8BQLZJc

「な、なに……?」

やっと搾り出せた言葉は、それだけだった。

「………クリスマス・プレゼント」

にへへ、と笑ってはいるが、その顔色は茹蛸もかくやといった感じである。
俺は何を言ってるんだと思い、それから数秒かけて、
もしかしてこれはこいつなりに俺を元気付けているのではあるまいか―――と、気付いた。

「……クリスマス・プレゼントって、お前」
「あ、ははは。ほら、サンタクロースは誰にだってプレゼントをあげるのです。
 クロには、その、乙女のキスをプレゼント」

明るく笑うが、それが照れ隠しだということは一目瞭然だった。
かっかと火照る身体の熱を逃がすためか、ぱたぱたとせわしなく動いている。
たかがキスくらいで照れすぎじゃないかとも思うが、
多分コイツだって経験豊富な方じゃないのだろう。もしかしたら初めてなのかも知れない。
赤葉のことだ、軽々しく男に何かできる性分じゃないことは明らかである。

そんな、こいつが―――

「わ」


―――なんだか、すごく愛しくなって、俺は気が付けば赤葉を抱きしめていた。


「わ、わ、わ」
「赤葉」

名前を囁くと、俺の腕の中で慌てていた赤葉が大人しくなる。

「な、なにかな?クロ」

何かな、ときた。何だろう。俺もよくわからない。
けど、せめて溢れてしまいそうな気持ちを伝えられるように。

赤葉の顎をあげ、さっきの赤葉と同じことを今度は俺から、した。
237誰が為に鈴は鳴る(5/14):2007/12/25(火) 02:06:46 ID:n8BQLZJc

赤葉も俺が何をしようとしたのかわかったようで、緊張しつつも驚いた様子はなく、
すっと瞼を閉じて俺の行為を受け入れた。
決してなまめかしいものではない、触れ合うだけの幼い口付けだ。
けど、それは俺の何かに大きな罅を入れるには充分な破壊力を持っていた。

「…………………」
「……………」

唇を離し、ぽーっとしている赤葉の胸にそっと触れる。

「ひ!?」

その素っ頓狂な声を聞いて、俺ははっと我に返った。
何をやっているんだ、俺は。
クリスマスだ何だと浮かれ騒いでこーゆー行為に及ぶ馬鹿な若者をさっきも鼻で笑っていたくせに。
赤葉だって不貞腐れている俺を見て哀れんだだけだろうに、スキあらばこれである。
けだものか、俺は。

「す、すまん!」

ぱっと赤葉を離し、すぐ後ろを向いた。
これ以上赤葉を見ていたら、本当に洒落にならないことをしてしまいそうだったからだ。
クリスマス・プレゼントは赤葉の唇。
それだけでじゃんじゃんお釣りが来そうなくらいなのに、他に何を求めるというのだろう。

「あー、つまり、そういうことだから。ま、まあさっきのは犬に噛まれたと思って忘れてくれ。
 ………く、クリスマス・プレゼント、ありがとな」

頭に血が上って自分でも何を言っているのかよくわからなかった。
赤葉が出て行ったら一足先に屋上に上がって煮立った頭を冷やさなければ―――。
かゆくもない頬をぽりぽり掻いていると、再び背中に柔らかいものがあたった。

「………………」

赤葉である。
俺の胸に回された細い腕の力は女の子そのもので、それを振り払うことはきっと雑作もないに違いない。
けれど、それができる男がいったいどこの世界にいるというのだろう。

「………く、クリスマス・プレゼント……」

不思議なものだ。蚊のなくような声なのに、耳元で囁かれたかのようにはっきり聞こえる。

「もっと……あげても、いいかな………?」

爆音が聞こえそうな鼓動は俺のものか、赤葉のものか。
……きっと、赤葉のものだろう。
何故って、俺の心臓はさっきからオーバーヒートして止まりかけているに違いないからだ。
238誰が為に鈴は鳴る(6/14):2007/12/25(火) 02:07:50 ID:n8BQLZJc


赤葉はベッドの上で身を固くしている。
心配そうな顔を見られたか、赤葉はあは、と少々無理矢理っぽく笑った。

「あ、いやいや、違うよ。無理はしてないよ。
 ただ、さ。―――緊張しちゃって。おかしいね、相手、クロなのに」

そんな信頼されても困る。
俺だってそう経験がある方じゃない―――いや正直に言おう。自主練がいいところなのだ。

「あ、そなの?あはは、一緒だ」

………なんということだ。俺は今から赤葉にとんでもないものを貰うらしい。

「そ、そんなことないよぅ」
「いや、そんなことあるだろ。ていうか本当に俺なんかでいいのか。赤葉だったら、もっと他に―――」
「クロがいい」

少し眉を吊り上げて、赤葉は俺の頭をぐいと引き寄せた。
そうして、少し顎を引いて、上目遣いに呟く。

「クロじゃなきゃ、やだ」
「――――――……」

この娘は。
何回俺の心臓を穿てば気が済むのか。
これを天然でやっているのなら、底知れない俺殺しである。
それともこれがクリスマスパワーか。恐るべしクリスマス。

「と、ところでね?クロ……」
「う、うん?」
「服、脱がせてくれないかな?あはは、やっぱ緊張してるみたいでさ」

………………………恐るべし、クリスマスパワー。


女の子の服を脱がすというのがこんなに神経を使うものだとは知らなかったが、
死ぬ思いも報われたか赤葉の身体を包んでいた真っ赤な仕事着は今、
ソファの上にきちんと折りたたまれている。
赤葉だけに裸でいさせる訳にはいかないので俺もチャームポイントである同じ柄の服を脱ぎ、
絵面としてはトランクスの男がショーツとブラだけの女の子を押し倒している恰好になった。

「………ところで赤葉。なんでニーソックスは脱がないんだ?」
239誰が為に鈴は鳴る(7/14):2007/12/25(火) 02:09:09 ID:n8BQLZJc
俺たちのユニフォームは基本的に同じだが女の子はズボンではなくスカートになる。
しかし冬空を飛ぶにはそれではいささか寒すぎるので、
太ももまである丈の長いニーソックスを穿いているのだ。
まあこの時期風俗店の前で呼び込みをしているお姉さんの恰好を
思い浮かべてもらったらわかりやすいと思う。

俺たちはパチもんじゃなく本職だけど。

「……え?クロ、この方が喜ぶと思って」

俺はいったい赤葉になんと思われているのだろう。
まあ、それは外れではないのでそれ以上突っ込むまいが。

「じゃ、さ、触るからな。痛かったり嫌だったら言えよ」
「あ、ちょっと待った」

柔らかそうな胸に顔を埋めようとした俺を赤葉の手が押し留める。

いきなりかい。

大分情けない顔をしただろう俺の下からもぞもぞと這い出て、赤葉は目を明後日に向けてくるくると髪を弄った。

「あたしからクロへのプレゼントなわけじゃない?だ、だからさ」
「?」
「先制はあたしからにさせて欲しいかな、なんて」
「………」

それがどんな意味を持つ言葉なのか、気が付いたのは赤葉が俺のしま柄のトランクスに手をかけた時だった。

「お、わい!」

口から漏れた奇声じみた静止も遅く、赤葉は下着を引き摺り下ろして俺のムスコを引きずり出す。
びょん、と飛び出したその元気さに、赤葉は目を丸くした。

「うわ。うわ。うわわわわ」

丸く、というより白黒させているといったほうが正しいか。
コイツも初めてだと言っていたし、勃起した男性器を見る機会なんてなかったろうし、面食らうのもわかる。
わかるからそうまじまじ見ないで欲しい。恥ずかしいから。

「だ、だって見ないとできないし!」
「やらんでいい!いくらクリスマスだからってお前、そりゃはしゃぎすぎだ!女の子だろ!」
「お、女の子だからクロに気持ちよくなって欲しいんでしょ!?」
240誰が為に鈴は鳴る(8/14):2007/12/25(火) 02:10:19 ID:n8BQLZJc

………。
ああ、そうか。なんて、一瞬納得してしまった。
だってこれが男だったら相当気持ち悪いし。

「はむっ!」
「―――って!おい!!」

なんて、隙を見せたのが悪かったか。
赤葉は俺の下半身に食らい付いた。

―――その感触に、腰が抜けそうになる。

赤葉が超絶テクニックを持っているというわけではない。
まだ舌も絡めていない、口に含んだだけだ。
ただ、驚いたのは。
自分以外から受ける快楽とは、こんなにも桁が違うのかということで。

熱く湿度の高い赤葉の口内に、俺は情けない声をあげていた。

「―――っひ」

そこへ、ぬらりとした刺激が襲う。
舌だ。
赤葉の舌が俺の竿の裏から敏感な先端へ向かって這っていったのだ。
赤葉の口に含まれているのは半分ほど。
大きさとしては決して平均の域を出ない俺だが、赤葉の口が小さいのか、やはり臆するところがあったのか、
赤葉はまだ含むというより咥えているといったほうがより近い。
……それが、まずい。
深く突っ込んでいるわけではないので、亀頭に刺激が掠めていくことになる。
それは直撃せずとも意識が吹っ飛ぶほどの衝撃であり、
脳髄の奥が痺れるほどの興奮とはまた別のベクトルを持つ感覚がぞわぞわと背筋を駆け抜けていく。
知らなかった。俗にフェラチオと呼ばれるこの行為はとんでもなく気持ち良く、そして

がり。

………スリル溢れるものだったとは。

「痛ッてぇぇぇぇええええ!!」
「え?あ、あれ?」

亀頭とはおよそ人体で―――男にしかないが―――最も防御力の低い場所のひとつだろう。
そしてもっとも攻撃力が高いのは言うまでもなく歯。顎。
そう、フェラチオとは、まかり間違えば違う意味の悶絶を生む薄氷の上を歩くが如き愛撫なのである……!!
241誰が為に鈴は鳴る(9/14):2007/12/25(火) 02:11:44 ID:n8BQLZJc
「く、クロ?」

ましてや赤葉は初心者も初心者だ。
慣れない行為に失敗はつきものというもの。

「だ、大丈夫………?」

大丈夫じゃない。
赤葉の歯は掠った程度だが、じんじんとした痛みはすぐ引くものではないだろう。
しかし赤葉の申し訳無さそうな顔を見てやせ我慢できないのは男じゃなく別の何かであり、
俺は歯を食いしばって親指を立てた。

「全然ヘーキ」
「全然平気そうじゃないけど」

全然、は否定。全然〜〜ではない、が正しい使い方なのだ。

「ごめんね、クロ」

―――コイツ、天然の狩人か。
それとも赤葉なりの介抱のつもりなのか。あろうことか今度は口に含むのではなく、
小さく舌を出して傷付けてしまった部分をチロチロと舐め始めたではないか。
繰り返すが赤葉の歯が当たったところはもっとも繊細な神経の通っている場所である。
腰から力の抜けるような刺激に俺はまたも情けない悲鳴をあげた。
しかし今度のは激痛ではなく快楽から。
思わぬ攻撃を受けたとはいえはち切れんばかりだったそこへの優しい愛撫に、
俺はとてもじゃないが耐えられなかった。

「―――赤葉…!顔、どけて……っ!」
「え?」

頭を掴んで押しのけるも間に合わない。
ぽかんとした赤葉の顔に、俺は白濁をぶちまけた。
額から鼻筋へ、そして口元へ。
とろりと流れ伝う精液で赤葉が穢されていく。
扇情的というにはあまりに罪深く、故に倒錯的とも呼べる興奮をもたらすものだった。

「……ん、変な味」

唇まで垂れたそれを舌で拭う。
決して美味しいものではないはずだ。実際味をみたことは勿論ないが、
ひどく生臭いその臭いだけでも充分想像はつく。
しかし赤葉はねっとりとそれを口の中で転がしたあと、目を細めて妖艶に微笑んだ。

「でも―――これがクロの味……かぁ」

くら、とよろけそうになる。
それは見たことも無いくらい妖しく、劣情を煽る仕草だった。
いつものほほんとしている赤葉の意外すぎる一面に
俺は二、三度まとめて心臓が止まりそうになり、そして。
242誰が為に鈴は鳴る(10/14):2007/12/25(火) 02:12:50 ID:n8BQLZJc

「赤葉」
「え?ひゃ!」

赤葉の顔が汚れているのをそのままに、小さな肩を掴んで押し倒していた。

「ま、待ってクロ。顔、拭かなきゃ」
「待たない」

待たない。
待ってなどやるものか。
クリスマスプレゼントは愛しい少女。
そう。これは、俺のだ。
俺のものにするのだ。

―――くちゅ。

赤葉の下半身に指を這わせると、そこから水音が聞こえた。
薄い茂みに覆われた秘泉からはすでに愛液が滲んでいるようだ―――何もしていないのに?
いや、まさか。

「お前、俺の咥えて興奮してたのか?」
「………うぅ」

顔を赤くして俯く赤葉。
なんて女だ。人を噛んでおいて、自分はこんなに淫らになっているなんて。
もじもじとしている赤葉にお返しとばかりに意地悪く追い討ちをかけようとして、

「………だって、クロの、すごくえっちな味だったんだもん」

逆にこっちの脳が揺さぶられた。
だから、こいつは―――なんで、こう天然なのか。

「………スマン、赤葉。俺、我慢できそうにない」
「あ……う、うん」

女の子がどれくらい濡れれば『入る』のか、そんな知識すら俺は持っていない。
でも赤葉のここはもう湿っているし、何より、俺が持ちそうになかった。
さっき赤葉の口淫で出したばかりの性器が全く衰えようとしていない。
まだ、自分の本領には至っていないと言わんばかりに。

「入れるぞ、赤葉」
「うん……きて、クロ」

指一本でもきつそうな赤葉の大切なところに、俺のモノが身を突き立てる。
信じられないほど柔らかで、しかし硬く異物を拒むその場所を―――強引に押しのけ、蹂躙していく。
243誰が為に鈴は鳴る(11/14):2007/12/25(火) 02:13:45 ID:n8BQLZJc

「あ、くぅ……っ!」
「う、あぁ……っ!」

俺は快楽から。赤葉は苦痛からだろう。喘ぎ声が重なった。

「赤葉……」
「大丈夫、わかるから……クロの入ってるの、わかるから……!」

背中に痛みを感じる。
破瓜の苦痛に翻弄される赤葉が、俺の背にしがみついて爪を立てているのだ。
それはぐいぐいと食い込み、皮膚を破って血が滲んでいる程かもしれない。
しかし、これは赤葉の痛みなのだった。
俺が貫こうとしている処女膜の、ほんの数割分の痛みであれ、今俺たちは同じ痛みを共有している。

「赤葉、貰うからな」
「うん……大事にしてね」

腕の中で、赤葉が涙を浮かべ―――微笑んだ。

それで、覚悟が決まった。

「あ、く、ぅぅぅうううッッ!!!!」

何かを破るような感覚。
俺は一気に腰を押し入れ、赤葉の膣内に侵入した。
腕の中の少女が苦しそうな呻き声をあげ、
背中に食い込む爪が肉を抉る―――それも、やがてゆるゆると力が抜けていった。
はぁはぁと荒い息をつく赤葉の汗を、犬のように舐めとってやる。

「入ったぞ、赤葉」
「うん……ね、クロ」
「うん?」

きゅ、と赤葉が背中を抱く腕の力を強める。
ただし、今度は痛みを共有するための爪ではなく、優しい指先で。

「――――――だいすき」

それで、俺は、赤葉を抱くにあたってまだ一言もその言葉を口にしていないことに気が付いた。
大馬鹿者である。
今さらだ。
しかし、こればかりはちゃんと言わなければならないことだった。

「――――――俺も、だいすきだ。赤葉」

ああ、よかった。
赤葉が、幸せそうに笑ってくれたから。
244誰が為に鈴は鳴る(12/14):2007/12/25(火) 02:15:36 ID:n8BQLZJc


腰を、引く。
赤い乙女の証を穢した欲棒がずるりと姿を現し、半分ほどで今度は逆ベクトルへ。
再び肉の洞に侵入を開始する。
赤葉の内部はまだ俺という異物を拒んでいる。
しかし拒絶し閉ざされようとする膣内は絶妙な締め付けを生み、
俺はその度に尻の穴に力を入れて射精を我慢しなければならなかった。
赤葉の反応はまだ痛みに満ちている。
そもそも、初めてである今回赤葉が少しでも快感を覚えてくれるかは疑問だ。
苦しそうな声を聞いて、しかし俺は謝罪の言葉を口にはしないと密かに誓った。
謝ることで許しを得るのは簡単だ。
でも、それは違う。
俺は間違った行為はしていない。
だから、こうやってキスをする。
何度も何度も、赤葉の唇を貪る。
せめて赤葉の気が痛みから逸れるように―――。
大丈夫か、と訊いたら幸せだ、と返ってきた。
大丈夫ではないらしい。
腰は止まらない。
もどかしいくらい緩慢だったはずの動きは、いつの間にか身体が弾ける音をたてるほどになっていた。
飛沫が飛び散る。
赤葉が切なそうな声をあげる。
支えていた細い身体を持ち上げ、思い切り抱きしめた。
膝の上に来た赤葉も四肢を俺に絡め、振り落とされないようしがみつく。
奥に、
当たる。
余裕はない。
尿道に熱いものがこみ上げるのがわかる。
一瞬、このままでは膣内に出してしまうと思い、
そして赤葉はおそらく、放してはくれないだろうと思った。
何故なら躊躇に動きを止めたその一瞬、しかし水気を多く含む淫音は止まっていなかったから。
赤葉が、望んでいる。
俺は思い切り、赤葉を突き上げた。

「赤葉、赤葉、赤葉、赤葉、赤葉、あかは――――――」
「クロ、クロ、クロ、くろ、九郎、くろう――――――」

お互い世界で最も愛おしい相手の名を呼びあい、そして。

――――――白濁の想いを、放つ。
245誰が為に鈴は鳴る(13/14):2007/12/25(火) 02:16:32 ID:n8BQLZJc


12月某日。
街は瞬く照明で華やかに光り、行く人々もどこか顔をほころばせている。
ぼんやり眺めていると、家族連れやカップルの比率が普段より格段に高いのがわかった。
きっと家族連れはこれから暖かい家に帰って鶏足でも食うのだろうし、
カップルはどこぞのホテルにでも泊まって合体だ。
9月10月生まれの小さなお友達がまた増えることになることうけあいである。

聖なる夜。
クリスマス。

正確には今日はイブだが―――どちらにせよ、
今日この日を本気で有難がっているのはこの国では聖職者か、あるいは商売人しかいまい。
金が流れ込むイベント・デイ。
事の本質はすっかり歪み、ただのお祭りに成り果てた。
……この俺自身、クリスマスなんぞを敬う気はさらさらないし。

―――しかし。
今の俺はどうしても、今日この日を嫌いにはなれないのであった。

「………大丈夫か、赤葉」
「へ、平気ー。……まだ何か挟まってるっぽいけど」

さっきまでとんでもないものが挟まっていたのだ。無理もない。

………そう、赤葉から極上にも勝るクリスマス・プレゼントを貰ってしまった以上、
クリスマスとやらを認めないわけにはいかないのだった。

「……そんなんで仕事できんのかよ。ガニマタのサンタガールなんて嫌だぞ」
「大丈夫じゃないかな?その分クロが頑張ればいいだけのことだし」

屋上から月や星は見えない。どうやら曇っているようだ。
………まさかとは思うが、雪が降るんじゃないだろうな?

「降るよー。降雪確率50%だってさ」
「マジか。勘弁してくれよ」
「なんでー。いいじゃない、ホワイト・クリスマスなんて絶好の仕事日和でしょ?」
「そりゃ見てる分にはな。でも実際飛ぶ側からしてみたら雪なんて邪魔なだけだろ」
246誰が為に鈴は鳴る(14/14):2007/12/25(火) 02:17:51 ID:n8BQLZJc

ぶつぶつ言いながらトナカイたちにリードをつけていく。
トナカイたちにとっても今夜は年に一度の仕事日だ。
はしゃぐのはいいが、噛むな。帽子のポンポンを噛むな。千切れたらどうする。

「―――もうそろそろ12時だね」
「ん」

袋も積んだ、リードも付けた。
あとは乗り込んで………後部席の赤葉は居心地が悪そうにもぞもぞしている。
……本当に大丈夫か、コイツ。

「時間だよ、クロ」
「ん」

まあ、赤葉のいう通り俺がその分働けばいいだけの話で。
ぴしゃんとリードを振るうと、トナカイたちが走り出した。
決して広くない屋上の滑走路を飛び出し、聖夜の空を蹴り、飛ぶ。

――――――さあ、仕事だ。

サンタクロースは空を往く。
しゃんしゃんと鈴の音を響かせて、空飛ぶトナカイの引くソリに乗って。

「―――そだ。ねぇ、クロ」
「どした、赤葉」

赤葉は身を乗り出して、俺の頬に軽く唇をつけた。

「メリークリスマス、クロ」

赤葉はいたずら好きの子供のようににこにこしている。
俺は少しの間目を丸くして、

「メリークリスマス、赤葉」

そう、微笑みを返した。



                 誰が為に鈴は鳴る〜新ジャンル「サンタ娘」妖艶伝〜 完
247名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 02:21:23 ID:n8BQLZJc
しゃんしゃんしゃんしゃん…(ドップラー効果)
248名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 03:21:48 ID:7IAO2qja
俺達の性夜はまだこれからだ!
終わるものか!!
GJ!!!
249名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 17:05:50 ID:4HvnFM6V
>ツングースカ
ものすごい爆発を起こすのかと思った。
250名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 00:16:19 ID:8TyVGLNy
>>249
ツングースカという単語をパッと思い出したけど、
そこで何があったのかよく知らなかったんだぜ

ツンがグースカ寝る話でいいかなぁ、と。
251名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 17:20:53 ID:oj9h7n7Z
ピンクの運営が2chの運営と揉めました。
そんでもって、現在Pinkちゃんねるは一切の規制がかかっていない状態にあります。

(以前の危機のように)いきなりピンクが消えるという心配はありませんが、
スクリプト爆撃で現行スレが流される可能性はあります。
(既に葉鍵板は壊滅しました)
252名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 18:13:20 ID:AUDJPsNf
あげ
253名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 23:27:44 ID:FNZ2Dy3h
今北産業
254名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 07:15:07 ID:UE5CAI1u
男「女さん……キス、したい」
女「えっ……だ、駄目です!わたしたちは、もっと健全な……」
男「え…で、でも、俺たち付き合ってるんだし、そのくらいは」
女「………」
男「………」
女「………ぐす」
男「……!わ、わかった!俺が悪かった!ごめん!泣かないで……」
女「………くすん」
男「………ぅう…」

新ジャンル「保守」
255名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 12:11:41 ID:y1Zw5pmM
ageてたほうがイイのか?
誰か状況説明してくれまいか
256名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 13:51:48 ID:UE5CAI1u
男「あ〜、女さんは良スレだなぁww」
女「そんな、男くんが職人としていてくれるからだよ……///」
男「そ、そうかな?へへ……ちょ、ちょっと俺飯食ってくるから!」
女「うん!私待ってるね!」

………………
…………
……

?「コックローチコックローチ。我ら無敵の荒らし屋本舗。大佐、エロパロ版に侵入した。
  今ここは完全にノーガード状態だ。どうぞ」
?「コックローチコックローチ。スネーク、よくやった。乱立を許可する。どうぞ」
?「コックローチコックローチ。了解。乱立を開始する」

ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!
ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!
ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!

女「…え!?な、何ですかあなたたち……ちょ、わわ、キャー!!助けて男くーん!」

ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!
ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!
ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!

女「あ〜〜れ〜〜〜」(遠ざかっていく悲鳴)

………………
…………
……

男「ただいま女さん。さあ投下するぞー……って、あれ?女さん?女さーん?」

……僕が戻ってきた頃には、もう女さんの姿はどこにもなかった。
以来女さんは二度と僕の前に姿は見せていない。
僕がちゃんと女さんをageてやれば、女さんが流されることもなかったのに……。

新ジャンル「状況説明」


………よくわかんないけど多分こんな感じじゃね?
257名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 22:12:31 ID:y1Zw5pmM
>>256
おK把握
よく分かった多分、GJです多分。

新ジャンル「大ザッパ」
258名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 16:26:41 ID:z0nwrnQj
……騒ぎは収まったようですね。
でも投下はまだできず。来年までには投下できればいいけど。
259名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 19:04:47 ID:ta/DPfCZ
年越しにここにいそうで怖いぜ
260名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 10:54:50 ID:HP28s4PN
ピンポンパンポン

女『業務連絡です。男さん、至急先日の告白のお返事をください。
  なお、お返事が芳しくなかった場合、私は自棄になって
  男さんの名前を連呼しながらマイクの前で自慰行為をしますのでそのつもりで。
  以上、放送を終わります』

パンポンピンポン

男「………」

ダッ!


新ジャンル「放送部」
261名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 11:11:43 ID:HP28s4PN
女「……ねぇ、男くん?昨日一緒に歩いてた女の子、誰?」
男「お、女さん!?あれは……その、あ、はは…嫌だなぁ、見間違いじゃ」
女「………」
男「ぅう……た、たまたま帰り道が一緒になっただけだって!何もやましいことは」
女「うそつき」
男「う……」
女「うそつきうそつき!うそつき!殺す、誰!?ねぇあの女誰!?
  わたしの男くんに!殺してやるわ!!」
男「女さん落ち着いてよ!だ、だいたい女さんだって、僕以外の人と付き合ってるんだろう!?」
女「………違うわ」
男「違うってなんだよ!何も違わないじゃないか!そんな女さんがつべこべ言わないでよ!」
女「………」

ピロロロ

女「失礼。はいもしもし。……あっ♪ユーくぅん?どーしたのよぅこんな時間にー♪
  えぇー、やだーぁ。買ってくれるってゆったじゃーん!もー、ユーくんなんか知らないんだからー!
  ………わかった。許してあげる。その代わり絶対絶対プレゼントしてよねっ!
  うん、大好き!ばいばーい」

男「………」

女「彼はサイフよ」
男「死ね」

新ジャンル「ヤンビッチ」
262名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 11:23:18 ID:HP28s4PN
アリーナ「あ♪勇者くーん、ちょっと手合わせしてくれな」
??  「メラ!!」

主人公 「……?」


ミネア 「勇者様、よ、よろしければその、う、占いを」
??  「ベギラマ!」

主人公 「………?」


シンシア「おかえr」
??  「イオナズン!!」

主人公 「…………?」


??  「これで邪魔者は全て消した……このアタシこそが勇者くんに相応しい!」
主人公 「あ、こんなところにいた。マーニャさーん、ルーラお願いできるかな?」
マーニャ「お安い御用だよっ♪」


新ジャンル「ヤンマーニ」
263名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 18:29:26 ID:ralnRywD
>>260
コメディだったら、男は全力で芳しくない返事をしそうだなw


>>262
クリフトカワイソスw
264名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 20:53:43 ID:9ru63Ple
学校にて。


「にゃー」





「先生、鼻血が止まりません」
「安心しろ、先生もだ」
「つか男女問わずクラス全員じゃねーかよ」
「蓮華…恐ろしい子…」

新ジャンル「猫耳ショタ」
265名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 21:51:23 ID:LKhzP/zf
弟「ただいまー、あれ兄さん、どうしたの?」
兄「お前…俺に何か言うことは無いか」
弟「え…何?何も無いと思うけど?」
兄「昨日一緒に居たのは誰だ…」
弟「え?…ああ、Eクン(注1)のこと?」
兄「俺と言うものが有りながら…あのロボなんかと一緒にいやがって!」
弟「何言ってるんだ兄さん!」
兄「クソ!破壊してやる!あんなポンコツ!、天気予報は俺とお前がいればいいんだ!」
弟「やめて!兄さん!」

新ジャンル「ヤン坊マー坊」

注1Eクン・・・そういのが最近出て来るみたいです、天気予報に
266名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 22:01:59 ID:LKhzP/zf
ごめん、EクンCMキャラだった...orz
267名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 01:09:56 ID:qU2w2nmL
コ、コントロールマインドキャラ……だと……
268名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 03:36:52 ID:Bw4fa7Zb
コマーシャルメッセージだろwwwwwww
269名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 10:58:00 ID:9VdVfo/z
弟「ああっ!嫌なのに、こんなのダメなのに、身体が勝手に…
あ、あ、あ、ああああ、らめぇええ」
ロボ「クククククチデハイヤダトイッテモからだはショウジキダナ…
サァテコンドハコレヲタメシテミヨウカ…」
ウィンゥインウィン
弟「ああ、そんなのだめぇ、壊れちゃう!」

新ジャ…

いや、これマインドコントロールじゃ無いよな…
270名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 12:30:42 ID:GyHVhDUO
ウィンゥインがティウンティウンに見えた俺は多分末期
271名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 15:57:02 ID:bR1jOTYO
年越し新ジャンル
272名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 17:47:21 ID:UYNdzHGC
普段
女「何? パンでお昼済ませるの!? そんなんじゃ、栄養のバランスが偏りまくりね!」
  ……ま、そんなんじゃ可哀想だから、私のお弁当恵んであげてもいいわよ?
  べ、別にアンタの為に多めに用意してきたとか、そんな事無いんだからね!」
男「……いや、お前の料理凄いからな、色んな意味で。遠慮しとくわ」
女「なっ………………男の馬鹿ぁっ!」
男「ひでぶっ!?」(女の投げたドカベン(not山田太郎)が眉間にヒット)
女「ああっ、男が気絶したっ!?」



今日
女「はい、男、おせち用の金時味見して?」
男「……いや、おせちには金時じゃなくて金団だろ常考」
女「あっ! 間違えちゃったぁ。てへ♪」
男「……なんか悪いもんでも食ったのか? 味見したとか」
女「ん? 私、何か変?」
男「変というか……気持ち悪い」
女「そっかな? ま、気にしない気にしない」
男「気にするって」
女「そんな事より、じゃあこっちの味見お願い」
男「なんだこの尖った……釘?」
女「違うわよ。その釘と釘の隙間に、ちゃんとあるでしょ、おせちの定番が」
男「……確かに黒豆煮る時には釘を入れろって言うが……釘多すぎだろ、常考」
女「細かい事は気にせず、召し上がれ♪」
男「………………ぱく」
女「どう? どう!?」
男「ひでぶっ!?」(女が大量投入した釘(1センチ)が内臓にヒット)
女「ああっ、男が気絶したっ!?」




新ジャンル「晦日デレwith破壊料理」
273名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 18:04:35 ID:bR1jOTYO
釘入りと見せかけて実はタバスコ……とかじゃないな、これはw

>味見したとか

男ひでぇww
274名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 23:59:54 ID:PcIvAWKm
行く新ジャンル
来る新ジャンル
275名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 00:06:11 ID:jQXEHbtA
あけまして新ジャンルおめでとー
ことしも新ジャンルでよろしくー
276名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 00:27:09 ID:qTjLYiEy
新ジャンル2008年
277名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 00:58:33 ID:qTjLYiEy
勇者「あけましておめでとう。今年もよろしくな」
魔王「ああ、あけましておめでとう。我こそよろしく頼む」
勇者「………」
魔王「……どうした?」
勇者「いや、なんか……いつもと違うなぁ、と」
魔王「そうか?……まあ、新年を祝うのも我としてははじめてのことだからな。
   それどころかこうやって新しい年を迎えるのも初めてだ。少しはしゃいでいるのかも知れん」
勇者「………そっか」
魔王「な、なんだその妙に優しげな目は」
勇者「いや、別に?」
魔王「むー」
勇者「まぁまぁ、なんか買ってやるから機嫌直せ」
魔王「む。そうか……なら、あれがいい」
勇者「ああ、いいな。あったまるし。……でも、お前確か……ま、いいか」
魔王「む?」

……
………
…………

魔王「ヒロトぉ〜もぉ少しだなぁ、我をおんなのことしてぇへ〜〜〜」
勇者「………甘酒で酔っ払うほど弱かったのか、お前」


新ジャンル「新年」
278名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 01:17:25 ID:qTjLYiEy
勇者「あけましておめでとう、ローラ」
姫君「新年明けましておめでとうございますわ。
   今年もよろしくお願いいたします」
勇者「……で、何持ってるの、お前」
姫君「バクチクですわ」
勇者「………………なんで?」
姫君「あら知りません?ある国のお正月では
   町中でバクチクを鳴らして新年を祝うのですわ」
勇者「うるさそうだな」
姫君「一度やってみたくて。いきますわよ!」

バチバチバチバチバチ!!

勇者「おおぅ!」
姫君「私の放電音と似ていますわ」
勇者「え?もう一回言ってくれ!バクチクの音で何言ってるのかさっぱりだ!」

バチバチバチバチバチバチ!!!

姫君「私の放電音と似ていますわ!」
勇者「あー!?」

バチバチバチバチバチバチバチバチ!!!!

姫君「ヒロト様大好き!!!!」
勇者「なんだってー?」

バチバチバチバチバチバチバチバチ…バチ!

姫君「ふう、何だかこういうのもいいものですわね」
勇者「何て言ってたんだ?結局」
姫君「ふふ、私の放電音と似ていると。それだけですわ」

バチバチッ!!

姫君「ほらね?」
勇者「ああ、なるほどね」
姫君「ええ。それだけですわ」
勇者「…そうだ。ローラ。今年もよろしくな」
姫君「………あ。はいっ!!」


新ジャンル「新年」
279名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 01:56:18 ID:kFuDPhiB
「あけまして」
「おめでとう!」
「ございます」
「本年もっ」
「よろしく〜」
「…御願いします」



新ジャンル「新年」

上から誰の台詞だか当ててみよう!
280名無しさん@ピンキー:2008/01/02(水) 02:38:49 ID:eekeVRhE
行者「レイジュ・ランディスと言いましたか、君は確か聖職者でしたな」
令樹「そうだケド?」
行者「某も同じ、これでも僧侶でしてな」
令樹「んーなには言いたいワケ?」
行者「つまりー和尚が二人で…」
娘「グリティー、かまわないからやっちゃってー」
冷血「うむ、心得た」

新ジャンル
「和尚がツ…やめrろなにをさwcrvtbyぬいも、;p。fぐぅじこ
281名無しさん@ピンキー:2008/01/02(水) 12:22:53 ID:XezFv5NM
   /⌒ヽ
  / ´_ゝ`)すいません、ちょっと投下しますよ……
  |    /
  | /| |
  // | |
 U  .U
282其の病はクシャスの湯でも・女湯にて(1/7):2008/01/02(水) 12:26:25 ID:XezFv5NM
古びたラケットの掠れたゴム面から、黄色い弾丸が放たれた。
しゅるしゅると回転しながら台の上を飛ぶそれは羽のように軽く、
また矢のような速さを以って敵陣に堕ちた。

弾ける。

それはさながら炎の中から飛び出した火花。
高速を凌駕する神速に、―――しかし少女の碧眼はそれを完璧に掴んでいた。

めき、と。
玉のカタチが楕円に変わる。
ラケットの真芯で捕らえたのだ。
そこから放たれるスマッシュは稲妻と呼んで差し支えあるまい。
金糸の髪が踊り、大振りに振りかぶられた腕に筋肉が隆起する。

一閃。

金色の少女が放った会心のショットは紅の少女の台に突き刺さり、
そしてまた金色の少女のコートに跳ね返っていた。

「―――え!?」

ローラが身体も返せずに声をあげる。
信じられない、あれを返されるとは―――。

「リュリルライア様10-8ローちゃん」

浴衣のリオルがカウントする。

「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいまし!」

ローラは慌てて抗議した。
当然だ。あれはローラの持てる中でもベストに近いスマッシュだった。
だが、ピンポン玉は真実ローラの後ろに転がっている。

「んー、あたしもよく見えなかったんだけど実際玉は跳ね返ってるわけだしなぁ」
「そうとも、往生際が悪いぞローラ」

リューが着崩れた浴衣を直し、ニヤリ笑ってしゅるるとガンマンのようにラケットを回して見せた。
ローラは歯噛みするも、納得がいかない。
リューに10点取られた?
この魔法以外はまるで能のないへっぽこ魔王であるリューに?
そもそもこの試合、途中まではローラが8点先制していたのである。
が、そのあと何故かリューがフィーバーモードに突入したのだ。
どこに撃っても返される、技能はないローラが、
それでも状況を打破するためにかけたスピンも返される。
そんな悪夢に、敗北という終止符まであと一点。
このラリーの中で解決の糸口を見つけなければ、ローラに勝ちはないのだ。

(とりあえず、スマッシュは控えて相手のミスを誘うのが得策か―――)

リューからは決して攻めてこない、ローラの放ったショットを
そのまま返す鏡のような戦法にはこのスタイルが一番有効と思われた。

(……ん?鏡?)

どこかひっかかるものもありながら、ローラはリューのサーブを待つ。
弱々しいサーブはローラよりも初心者丸出しだ。
このままスマッシュを打ってしまいたいくらいである。
だが、それではまた返されるかもしれないし―――。
283其の病はクシャスの湯でも・女湯にて(2/7):2008/01/02(水) 12:31:57 ID:XezFv5NM

「……なにやってんだ、お前ら」

だからだろうか、その声にビクッと反応して、つい手元が狂った。

「あ!」

ピンポン玉は大きく弧を描いてリューの後ろに飛んでいく。
これで11-8、リューの勝利なわけだ。

「……なにやってるって、卓球だ。見てわからんか?」

リューが肩をすくめた。
その先には浴衣に風呂桶を持ったヒロトと、同じ格好でコーヒー牛乳のビンを傾けているジョンがいる。
さっきまで温泉に入っていたためだろう、その身体からはまだほこほこと湯気が立ち上っていた。



―――温泉街クシャス。

モン・クシャスの麓にあるこの街は世界的に有名な名湯の地として知られている。
ここの住人はヒロトとリューがかつて立ち寄ったアルラウネの村のように、
モン・クシャスに住む『土地神』スクナを奉る異教徒たちであり、
しかもあまりに有名なため教会にも黙殺されているという変則っぷりだ。
無論ククと同じようにスクナもこの地のヌシであるため、顔を見にクシャスにやってきたというわけだ。
いや、クシャスの栄え振りを知るなら魔獣スクナが人間に対し友好的であるのは明らかであるわけで、
別にこんな『とんでもない迂回』をしてまで目指す必要はなかったといえよう。
ここに来たのはほとんど、ただの観光だった。

彼らが目指しているのは魔王城。
主であるリューや赴いたヒロトの先導でそこを目指しているのだ。
しかし、真っ直ぐに魔王城に向かっているのではない。
各地のボスである魔獣たちに会い、
暴れないよう説得して回っているためそのルートはかなりフラフラしていた。
それでも一応今までは一方に進んでいたものの、
今この道筋は矢を射って観客を貫くほどの暴投っぷりなのである。

無論、魔王城を最優先に目指すべきジョンはヒロトの都合にあわせる必要はない。
魔王リュリルライアの了解を得ている彼は本来なら、
ヒロトたちと別れてでも魔王城を目指すべきなのだが。

「………無茶言わないでくださいよ」

クシャスを目指す前、そう言うヒロトにジョンは困ったように笑った。

魔王城がどこにあるのか。
それは遥か北にある前人未踏の大地・『最果て(ネバーノゥズ)』のどこかだと言われている。
しかし『最果て』に挑み、無事に帰ってきた者はあまりにも少ない。
その中の一人が、神代の時代に天より使わされ、
世界を滅亡させようとしていた邪悪なる魔王を斃した『はじまりの勇者』である。
以来無数の冒険家たちが探索キャラバンを組んで
何度も何度もその大地に挑んでいるのだが、その深層に至った者は一人もいない。
284其の病はクシャスの湯でも・女湯にて(3/7):2008/01/02(水) 12:33:31 ID:XezFv5NM
いや正確にはたった一人、この勇者ヒロトこそがその偉業を達成しているか。
しかしそれはこのパーティのメンバーしか知らない事実であって、
『最果て』がどんな場所なのか、正確に知っている者は誰もいないのである。
……そんな土地にジョンが挑めば結果は見えていた。
毎年千人は『最果て』に挑むものの、帰ってきたものはいないという。
その千人が千とんで一人になるだけの話だろう。

だから、もしヒロトが寄り道をしたいといってもジョンにはヒロトたちと別れる選択肢など初めからない。

―――それに。

「ボクの目的は確かに魔王城の書庫に辿り着くことですけど、問題はありません。
 なにせ、当のリューさんと一緒に行動しているんですから、
 もうボクの目的は八割方終了しているんです」

『最果て』に挑むことができる仲間を探して、魔王城を見つけて、魔王に取り入って―――。
最低十年はかかると見込んでいた使命だ。
それをこんなにも早く達成の糸口が見えるなんて、とんでもない奇跡に違いない。

「それよりさ、バカ勇者こそいいの?温泉なんか行ってる場合じゃないんじゃない?」
「一応ヌシはいるんだし、鋭気を養うためにも休息は必要だろう。
 それに―――結局、急いで魔王城に行く必要はなくなったんだしな」

そう。

先日『E.D.E.N.』から得られた情報を総合的にまとめた結果、わかったことがあった。
それは、『わからない』ということである。
勇者権限を持つヒロトたちは一般人が知りえないかなり深い領域にある情報をも
『E.D.E.N.』から引き出すことができる。
それでも神に選ばれし勇者、そして全ての魔族を滅ぼすと宣言した狂刃、
―――テイリー・パトロクロス・ピースアローの動向はまったくわからなかったのだ。
いや、ヒロトと一戦を交えたあと幾度かそれらしい活躍は見せているのだが、
ある時期を境にぷっつりと姿を消しているのである。

「不自然なんですよ。それまでは宿も店も普通に使っているようなのに、ある日、突然それを止めている。
 何かあったのは間違いないのでしょうが……身を隠さなければならない何かが」
「そもそも、ヤツは神に選定された勇者だ。知り合いなんているはずないのに、
 なんでそんなことする必要があるんだ?」
「………っていうか、宿とか店とか誰が使ってるとか全部わかっちゃうわけ?コレって。怖ッ」
「勇者権限でリミットを外しましたからね。普通はここまで調べられませんよ」

姿を消すまでも『最果て』に向かっていた様子はないし、
そもそもくだんの狂刃が魔王城に向かっていると思っていたのはヒロトとリューの勝手な予想だった。
一応リューの魔王としての能力をフルで発揮できる魔王城を最終目的地点としているものの、
急いで魔王城に向かわなければならない理由がなくなってしまったのだ。

………というわけで、手詰まりとなった彼らの旅路、
せっかくだから温泉に行こうとヒロトが言い出したのだった。
285其の病はクシャスの湯でも・女湯にて(4/7):2008/01/02(水) 12:34:59 ID:XezFv5NM


「それにしても、意外だなぁ」

リオルがジョンからコーヒー牛乳を奪ってそれをごくごくやりながら呟いた。

「バカ勇者、休むとか遊ぶとか縁遠いタイプだと思ってたけど」
「そうですね。ボクも同感です」

確かに、ヒロトは見てきた限り、そして聞く限りに於いても
日々是精進、人生とは修行なりといった感じで、
いざ休むとなるとどうしていいのかわからず結局剣の素振りをして一日を終えてしまう典型例だろう。
ジョンも不思議に思っていたのだが、さっき一緒に風呂に入っていて、
ヒロトが本当は何をしたかったのかなんとなくわかったような気はした。
少なくとも彼は休みに来たんじゃない。
あれは、きっと―――。

「……で、ローラはなんで両手両膝をついているんだ?」

ヒロトが桶から取り出したいちご牛乳の蓋を開けながら不思議そうに訊く。

「ああ、あれはリュリルライア様に完膚なきまでの大敗北を喫した
 負け姫の姿だよ。あんま見ないでやって」
「……そうですわ。私は惨めな負けローラなのですわ。まさかリューさん如きに敗れるとは」
「落ち込んでてもムカつくなお前」

orzなローラと勝ち誇っているリューを交互に見やって、ヒロトは一口、いちご牛乳を啜った。

「………でも、さっきの魔法障壁だろ。ルール違反じゃないのか?」
「え?」
「う」

ピクンと顔を上げるローラ、そして同じく固まるリュー。
ローラはすぐさまリューを睨みつけ、リューは慌ててそっぽを向いた。

魔王リュリルライアが持つ天地最強の盾、魔法障壁。
それはリュリルライアを害する全てを拒絶する。
………ピンポン玉でも。

なんのことはない、リューは玉にあわせて適当に動いていただけで、
実質ローラに壁打ちピンポンをさせていたのだ。
そりゃあスマッシュ打てば致命的になるはずである。
実際にゲームをしていたローラは気付けなくても、岡目八目、
かつてその障壁を真正面から対決した勇者ヒロトは端から見て一瞬で悟ったのだった。

「リューさん!!」
「え、あ、いや、そのだな。とっさについ出てしまったのだ」
「11点分とっさに出てしまったというのですかっ!?」
「だ、だって貴様汚かろう。速いし曲がるし」
「ソレが勝負というものですわ!!」
「まぁまぁ、ローちゃん落ち着きなって」
「……主審、貴方も見ていたのではなくて?」
「………えー、あ、あはは。あたしはホラ、基本リュリルライア様の味方しなきゃだしぃ」
「イカサマー!!」

ぎゃあぎゃあ。
286其の病はクシャスの湯でも・女湯にて(5/7):2008/01/02(水) 12:35:53 ID:XezFv5NM

他の温泉客が迷惑そうな顔をしているのを尻目にまた喧嘩を始める三人娘。
しかし、その光景は……なんだか微笑ましく、仕方がないなぁ、と和んでしまう。

「……ま、楽しんでもらえているみたいじゃないですか」
「………ああ……そうだな」

ジョンが微笑みかけると、ヒロトは静かに、噛み締めるように呟いた。
それはやはり、いつもの調子ではなくて。

「………………」

―――ジョンは、心配そうにヒロトを見上げたのだった。



「………まったく、卑怯なことはやめて欲しいものですわね」

ローラはまだぶつくさ言っている。
結局勝負はリューの反則負け。温泉上がりのフルーツ牛乳はリューのおごりとなったのだった。
ちなみにご自慢のツインロールは下ろされ、まとめてタオルの中に収まっている。
ほんのり火照ったうなじがなんとも色っぽい雰囲気をかもし出していた。

「はー…ここじゃ狭くて泳げないよねー………スレイヤー火山の温泉湖じゃ潜水することもできたのにサ」

とは言うものの、リオルは顎まで湯に浸かってマッタリしている。
快楽主義者であるとともに活発な彼女にとって、こういう『静』の楽しみは新鮮なのだろう。
完全に脱力して、目を細める。
特徴的な緑髪が白い湯にふわりと広がった。

「………」

そして、何故かすみっこにいるのはリューだ。
顎までどころではない。蛙のように鼻先まで湯に浸かって、しかめっ面でローラやリオルを凝視していた。
さっきの勝負で罪悪感を感じているのであろうか?
確かにそれもあるだろう、しかし視線から察するに大半はそれではないようだ。

「そういえば、ひとつ気になったんですけど」

温泉の効果の説明書きを一通り読み終えたローラが、くるりと振りかえってぽつりと呟いた。

「………何故リューさん、お子様サイズなんですの?」
「………」

魔王リュリルライアは魔力を抑えることによって正体を隠し、普段よりずっと若い、
いや『幼い』姿になることができる。
もっとも普段は魔力を抑える必要なんて無いし、
長旅の生活にも支障が出るのでそんなことはしていない。一種裏技のようなものだ。
以前【蘇生】という世界の理をも超越した奇跡を行使しようとしたため魔力の大半を消費し、
回復までこの姿でいたこともあったが、もうそれも随分前の話だ。
今、この時、リューが何故わざわざお子様化しているのか理解できなかった。

「バカ勇者に叱られたのがそんなに堪えたんですか?」
「それはないで……いや、あるかもしれませんわね。どこか悪いんですの?」

心配そうに近づいてくるローラとリオル。
麗しい友情だが、今のリューはじーんとする余裕など皆無である。

「く、来るなっ!」

と、ますますすみっこで小さくなってしまった。

「?」

顔を見合わせるも、勿論リューの拒絶の理由がわからない。
とりあえず、近づいてみる。
逃げるリュー。
回り込むリオル。
進むローラ。
退がるリュー。
首を傾げるリオル。
目を瞬かせるローラ。
追い詰められたリュー。
迫るリオル。
迫るローラ。
たわわな胸。

「タオル巻け!!」

リューはついに叫んだ。
そんなこと言っても、湯船にタオルを入れてはならない決まりである。
女同士、別に気にすることもあるまいに。もしやリューはソッチのケがあったのか。

「違うわ馬鹿者!ただ貴様らの胸が理不尽なだけだ!!」

――――――。

そういうことだ。

その気になれば島ひとつを一瞬で消し飛ばせる程の魔力を有するリューだが、反面コンプレックスも多い。
というか、一皮剥けばコンプレックスの塊である。
料理は必ず爆発するし、50メートル全力で走れないし、恋愛小説を読みながら一人でニヤニヤしてるし、
そして―――あおむけにねてもたいらだし。

リオルもローラも平均以上、特にローラに至っては歩くたびに効果音が鳴りそうな勢いなのだ。
そんなものが迫ってくる恐怖、リューにとって計り知れないものであるのは想像に難くない。
そりゃあお子様サイズにもなるというものである。
この姿ならぺたん娘でも騙せるのだ。自分を。

「なーんだ、そういうことですかぁ」
「心配して損しましたわ」
「あっれー?珍しい。ローちゃんがリュリルライア様の心配だって」
「なっ!べっ、別に心配なんかしていませんわ!さっきのは言葉のあやというもので!!」
「あはは、そういうことにしておくよ」

リューはしばらく黙っていたが、やがてトプンと白濁の湯の中に姿を消した。
そしてもう一度顔を上げたその姿は、いつものリューのものに戻っている。
やっぱり薄いけど。

「うるさいな!」

何故か虚空を睨みつけるリュー。

「でも、ま。いいではないですか。ライバルに性的魅力が少ないというのは結構なことですし」
「それは貴様側の意見だろ!」
「大丈夫ですって、リュリルライア様。肝心なのはサイズより形です!
 まあ、ローちゃんは大きいくせに形も綺麗ですけど。すごいねー、重力に逆らってるねー」
「ふふ。ありがとうございます、ですわ」

余裕たっぷりに大きく伸びをし、ぷるんと張った二つの果実を際立たせる。
湯の水滴がなめらかな白い肌を伝い、大きく弧を描いておなかへと滑り落ちていく。
その艶めかしさには同性であるリューとリオルでさえ、息を飲むほどだ。

「はー、いいなー。ねー、どうしたらそんなに大きくなるの?」
「いえ、特に何かしたというわけでありませんわ」

それも純天然、特に何をしたわけでもなく、よく寝てよく食べてたらいつの間にか成長していたのである。
………信じられない話だが。

「世の中理不尽なものですよね、リュリルライア様」
「何故我に話を振る。それに義体である貴様と違って我には希望がある!……かも知れぬ!」

声を張り上げるリューだが、それが虚勢であることは一目瞭然だった。
ローラもリオルも哀れみの眼差しでその虚ろな胸元を見やる。
思わず“天輪”を展開しかけたが、そこは我慢だ。
ここには他の温泉客もいる。短絡で事件を起こしてしまってはまずいことになるのは見えていた。

………とりあえずあとで仕返しだな。
リューはそう、心のメモに書き込んだ。

「ところで、温泉といえば覗きだと思いません?」

と、リオルが何やらニヤニヤしながら露天を仕切る壁の向こう側をチョイチョイと指差している。
確かここの温泉の壁は特殊な結界で、透視や遠視をしようにもジャミングとなってそれを阻止するのだとか。
大昔ここがまだ街ではなかった頃、天然の温泉だったここに立ち寄った魔導師の一団が張ったものであり、
あまりに強力な為ここでは覗きは合法。ただし実行できたらの話だが。というおかしなルールができていた。
そのため朝になるとよく男湯では無謀チャレンジャーたちが魔力切れで気を失って湯に浮いているのだとか。
気絶するまで挑戦し続ける猛者たちは多いが、それでも開業以来一度も除き行為を許してはいないらしい。

「―――と、そこの看板に書いてあるが」
「でしょ?つまり合法ですよ合法!ここはチャレンジして損はないでしょ!」
「……そもそも、普通覗きとは殿方がすることではなくて?」
「そんなの、関係ないナイ!だってあたしローちゃん、バカ勇者の裸見たくないわけ?」

……………………。

二人は押し黙った。
こんなことをするのは馬鹿らしいというのもある。
それにあまり騒いだら怒られそうなのと、乙女の恥じらい。
それらが三位一体となって彼女らの中に渦巻き、伸るか反るかの書類にNOサインを書き込もうとする。
しかし。
温泉の湯気に紛れて、ピンク色のもやが湧き出していた。
それは勿論想像力の産物。
ちょっとイケナイ妄想をしたとき少女の脳みそが生むもやである。


………。
……………。
……………………。

(少女妄想中)


「………私は何をすればいいんですの?」
「―――は、何を言うか。黙ってみているがいい。我が魔力の奔流の前にかのような古壁など紙も同然」

恋する乙女は時にわかりやすいのだ。

ざわざわと。
温泉にさざなみが立つ。
リューを中心に、波紋が広がっていく。

「お?お?何々?お姉さんたち何始める気?」
「………ものすごい…妖力……何者………?」
「はいはい、近づいちゃ危ないよー」
「注意一秒怪我一生、ですわー」

集まってきたほかの温泉客はローラとリオルに誘導を任せ、リューは目の前の壁を睨み付けた。
確かに強力な結界だ。
この壁を作った魔導師は相当な使い手だったことは確かだろう。
おそらく、“湖”クラスの魔力の持ち主か。
しかし、それでもリューの前には妨げと為り得ない。

「―――出番だ。デ・ミ・ジャルグ」

プチ、と一本髪を引き抜き、それに魔力を通わせて真紅の槍とする。
それをぴた、と壁に突きたて、そのまま押し込んでいった。

「…………すごい…」

背後にいる温泉客から感嘆の声があがる。

今まで誰も破れなかったはずの強靭な結界は、まるで流砂のように槍の矛先を飲み込んでいった。
魔王の紅、デ・ミ・ジャルグ。
神槍さえ凌駕するそれは星さえ貫く最強の槍である。
男湯と女湯を隔てる結界など、この矛先の前にはあってないようなものなのだ。

「………よし」

デ・ミ・ジャルグを引き抜くと、そこには小さな穴が開いていた。
結界自体は壊さず、ただ穴を開けるに留まる。
それがどれほど研鑽された魔力を必要とするのか。
鉄板を細く、細く、針にするほどの行為ではあるのだが、
それを気にする者は彼女を含め仲間の中にはいなかった。

「ナイスですわリューさん!」
「さあ、レッツ覗き!」
「……いやお前は別にせんでいいだろう。ヒロトを見てどうするつもりだ」
「何言ってるんですか。あたしはジョンが目当てです!」

とは言うものの、この穴はリューのデ・ミ・ジャルグあってのもの。
覗きのトップバッターは当然、リューのものとなった。
ちなみに本音を言えばヒロトの入浴シーンを独占したいリューだったが、
見せてくれないとチクりますわよ的なローラの気迫に押され交代制となったである。

「三分、三分ですからね!」
「うるっさいなぁ。いいからあっちへ行ってリオルと順番でも争っていろ」
「ローちゃん、じゃんけん!じゃんけんだかんね!」

さて。

リューはドキドキしながら穴を覗き込んだ。
湯けむりに視界が霞む。人影がちらつき、そして目の前に飛び込んできたのは―――。

「ぶっ!!?」

……全裸のオッサンだった。
そう、除きである以上ターゲットのみを見つめることはできない。
この毛深いデカッ腹も視界に入ってきてしまうのだ。

「………ぐ、ぁあ…く」

とりあえずあとで呪っておこう。
呪法はやったことがないが、今のこの気持ちを魔力に乗せるだけで充分相手を呪えよう。
しかし、今は目当てを見つけて早く消毒、消毒。
お子様、戦士風のマッチョ、一瞬ヒロトと似た背格好の男を見つけるも、まあ違うだろう。
風呂なのに手裏剣持ってたし。
きょときょとと狭い視界を見渡して、―――いた!!

あれは見間違えるはずもない、ヒロトの横顔。
その隣にはジョンもいるようだが、今はそんなことはどうでもいい。
息が荒くなるのを自覚しながら、食い入るように見つめて―――なにか、喋っているようだ。
何を?

……リューたちのことだろうか?

そのことに思い至ったとき、リューは首筋まで真っ赤になった。
二人は真剣な顔をしている。
そも、ヒロトとジョンの話は風呂での会話でなくとも気になるところである。
旅のメンバーの中でお互い唯一の同性だからか、あるいは世界で七人しかいない勇者同士だからか、
彼には通じ合うものがあるらしく、リューやローラ、リオルにはしない話もいくらかしているのだという。
リューには、それが悔しかったりもするのだが。

………気になる。

リューは穴から目を離し、代わりに耳をつけた。
そして鼓膜に波紋を広げるイメージで、極小の“天輪”を展開する。
魔法水晶があれば音声どころか映像も、たちどころに感知することができるのだが―――まあ、
あれは城に置いてきてしまったし仕方がないだろう。

少しだけ良心が痛まないこともない。
しかしそれを言うならリオルの誘いに乗って覗きをしている時点で倫理的にはアウトなわけで、
つまり毒を食らわば皿までということだ。

「問題はできるかどうか、だが……」

集中する。
意識をヒロトに向け、神経を張り詰めさせ。

『……ヒロトさん、本気ですか?』
『ああ、それが多分、最良の手段だと思う』

意外とあっさり聞こえた。
流石に魔と闇の頂点、魔法に関しては天地隔たれて以来の類まれなる大天才といってもいいだろう。
やってることは盗聴だが。

―――最良の手段?何が?

胸が高鳴る。
リューはむずむずとした感覚を抑えきれずに口元に微笑みを浮かべ、
さらによく聴こうと瞳を閉じて―――。



『ヴェラシーラに帰って―――そして、ローラには俺の子を産んでもらう』



目を、見開いた。




                 其の病はクシャスの湯でも・女湯にて
〜「新ジャンル達が銭湯にやってきたようです」英雄伝〜 完
293名無しさん@ピンキー:2008/01/02(水) 23:12:20 ID:uH1V1tcm
なんというGJ。
リューの障壁にはクッション性があったのか。
294名無しさん@ピンキー:2008/01/03(木) 11:01:32 ID:jXC4W6WP
工エエェェ(´д`)ェェエエ工
なんというヒキ、聞き間違いオチじゃないよな?
295名無しさん@ピンキー:2008/01/03(木) 11:16:01 ID:T2Y3dyCL
あるところに、夫婦仲のとても悪い家族が住んでいた。
二人には子供がいたため、いつも口論止まりだったのだが、
ある日とうとう我慢できなくなり、夫は妻を殺してしまった。
焦った夫は妻の死体を庭に埋め、いつも通りを装って生活した。
しかし、子供はいなくなった母親のことをまったく父親に訊こうとしない。
不審に思った夫は、とうとう子供に尋ねてしまった。
どうして母親がいなくなったことを何も訊かないのか、と。
すると子供は不思議そうな顔をして、こう言った。

―――だって、お母さんはいつもお父さんの後ろにいるじゃない。


子「………以上の話を踏まえて、訊きたいことがあるんだ。父さん」
父「おう、なんだ?」
子「どうして、母さんをいつもおんぶしているの?」
父「………」
子「………」
母「………」
父「だってそれなら母さんといつもべたべたしていられるじゃないか」
母「ねー♪」
子(だめだこいつら……早くなんとかしないと)


新ジャンル「怪談」
296名無しさん@ピンキー:2008/01/03(木) 11:37:57 ID:T2Y3dyCL
男「………今日も今日とてボロアパート。あーあ、帰ったらお帰りなさいって言ってくれる
  可愛いメイドさんがいてくれないかなぁ………」

ガチャ

女「アイヤー、お帰りアルヨ我師父(ウォーシーフー)!」
男「………」
女「もとい、ご主人様!お風呂にするアルカ?満干全席にするアルカ?アイヤー、作るの大変ヨ!」
男「……誰?」
女「ウチはご主人様のメイドヨ!得意料理は違法薬物たっぷり鰻と新鮮野菜の農薬漬け!」
男「故郷へ帰れ!」
女「アイヤー、日本人冷たいヨ!こうなったらウチのないすばでぃーでメロメロにするしかあるまいヨ!」
男「お、おい!勝手にベッドに」
女「ハーイ、シャチョサン!カモン!レッドスネークカモンヨ!」
男「実は日本人ー!!?」


新ジャンル「メイドインチャイナ」
297名無しさん@ピンキー:2008/01/03(木) 11:48:22 ID:T2Y3dyCL
男「………今日も今日とてボロアパート。っていうか昨日のヘンな中国人はなんだったんだ……?」

ガチャ

女「お帰りなさいませ、ご主人様」
男「またお前か!」
女「……?なんのことでしょう?さあ、お召し物とお荷物をお持ちいたします」
男「え?あ、ああ……(今日はマトモだな)」
女「では私はお掃除をいたしますので少々騒がしくなりますがお許しください」
男「あ、うん………」
女「〜〜♪」
男(…なんなんだ、この娘。よく見たら結構可愛いし……)
女「〜〜♪」

ピコン ピコン ピコン

男「なんだ、この音」
女「時間です。帰らなくては」
男「え!?もう!?短ッ!!」
女「私は地球上では三分しか活動できないのです」
男「何その光の巨人!?」
女「では。シュワッチ!」

ガチャ…バタン

男「普通に帰った!」


新ジャンル「ミニッツメイド」
298名無しさん@ピンキー:2008/01/03(木) 11:52:40 ID:T2Y3dyCL
男「まったく、掃除の途中で帰るなよなぁ……」
男「………ん?机の下に何か入ってる」
男「カ、カ、カステラ!?なんで!?」
男「手紙だ。これは…」

女『お土産です。早めに食べてくださいね。あなたのメイドより』

男「………あいつからか。しかし、なんでカステラなんだ……?」


新ジャンル「メイドの土産」
299名無しさん@ピンキー:2008/01/03(木) 22:05:33 ID:t0bnYv0S
立て続けに爆撃ですな
っつうか怖いぞw
300名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 09:46:29 ID:7IZEZHEM
男「………今日も今日とてボロアパート。カステラなんて超久しぶりに食ったなぁ」

ガチャ

女「お帰り」フラフラ
男「ただいま。またお前か!どうやって入ってるんだいつも!」
女「コートとバッグ、モツ」フラフラ
男「なんで『持つ』の発音が内臓系なんだよ……っていうかバランス悪くない?」
女「そんなこと、ない」フラフラ
男「ねー…あるあるww……なんでバレエの靴履いてんの?」
女「バイカル湖は…世界一の深さと透明度を持った湖」
男「いきなり何を言ってるんだお前は」
女「窓、拭いておいた…」
男「おおぅ、スッゲェ綺麗!」
女「トウ・メイド……」
男「何か言った?」
女「なんでもない…とう!」シュバッ!
男「跳んだ!」

ガチャ…バタン

男「そして普通に帰った!」

男「……机の下には…今日はトマトか………」


新ジャンル「トウメイド」
301名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 12:44:43 ID:wnmFR7WG
ちょwwwオレのぜんざい返せwww
GJ
302名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 18:08:48 ID:covISGOU
>292
年明け早々GJ!!
ローラの特有スキルがある以上、今更バッドエンドになるとは思えんがそれでも続きが気になる所ww
…でも、全裸のオッサンはねーよwwww

>300
俺のお屠蘇も返せwwwww
例えカタカナ表記の〜メイドが無くなっても、maid〜や〜maidで当分引っ張れそうな予感ww
しかしググってる内にmaidにenを足すとmaidenになることを初めて知ったwww
303名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 18:09:40 ID:Qy7m5Kyf
>>295
最後の子の独白に吹いたw

メイドシリーズもいいね。
304名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 20:35:39 ID:D2a4jvZ9
>>300
まさかトメィトゥってか?w
305名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 21:20:02 ID:7IZEZHEM
ー-ニ _  _ヾV, --、丶、 し-、
ニ-‐'' // ヾソ 、 !ヽ  `ヽ ヽ
_/,.イ / /ミ;j〃゙〉 }U } ハ ヽ、}
..ノ /ハ  〔   ∠ノ乂 {ヽ ヾ丶ヽ    ヽ
 ノノ .>、_\ { j∠=, }、 l \ヽヽ ',  _ノ
ー-=ニ二ニ=一`'´__,.イ<::ヽリ j `、 ) \
{¨丶、___,. イ |{.  |::::ヽ( { 〈 (    〉 >>304
'|  |       小, |:::::::|:::l\i ', l   く  それだッ!!!!!
_|  |    `ヾ:フ |::::::::|:::|  } } |   )
、|  |    ∠ニニ} |:::::::::|/ / / /  /-‐-、
トl、 l   {⌒ヽr{ |:::::::::|,///        \/⌒\/⌒丶/´ ̄`
::\丶、   ヾ二ソ |:::::::/∠-''´
/\\.丶、 `''''''′!:::::::レ〈
   〉:: ̄::`'ァ--‐''゙:::::::/::::ヽ
\;/:::::::::::::/::/:::::::::::://:::::〉
::`ヽ:::ー-〇'´::::::::::::::::/-ニ::::(
           /    \
306名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 00:43:32 ID:GwAnyfKF
男「………今日も今日とてボロアパート。さて、今日はどんなメイドが飛び出すやら♪
  ハッ!き、気体なんかしてないんだからねっ!」

ガチャ

女「………」ニコ!
男「またお前か。……お帰りくらい言えよ。一応メイドなんだろ?」
女「………」シューン
男「もしかしてお前、喋れないのか?」
女「………」コクコク
男「そうか。だが安心しろ。偶然にも俺は読唇術が趣味なんだ」
女『マジですか!?』
男「マジですよ」
女『なんというご都合主義。でもそれに感謝します!ああ、でも歌えないことに変わりはない!』
男「歌?」
女『……はい。実はご主人様のところへ行ってもいい、その代わりお前の声をもらうよと悪い魔女に言われまして」
男(どっかで聞いたような話だな)
女『そして本当にご主人様のところへ勤めたくばご主人様の婚約者を殺さなくてはならないのです!』
男「え?いや、俺にそんなもんいないぞ?」
女『ガーン!それでは私は海のもずくに……』
男「酸っぱくなるのか」
女『さようなら、ご主人様。私は貴方をあ…い、して……いまし………』

ガチャ…バタン

男「さて、今日のお土産は……魚か」ビチビチ
男「っていうか今日、あいつメイドっぽいこと何もしてないよね」ビチビチ
男「生臭い…」ビチビチ


新ジャンル「マーメイド」
307名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 01:01:57 ID:GwAnyfKF
男「………今日も今日とてボロアパート。一応あいつ昨日死んだ設定だからな。今日は来てないかも」

ガチャ

女「もうかりまっか?」
男「ボチボチでんな。なんだ、今日は関西弁キャラか」
女「せやよ。ああ、ご主人帰ってくるまでに掃除とか全部終わらせといたし!」
男「おお、昨日何にもしなかった分今日は有能なんだな」
女「いややわー、このヒト。そんなん褒めてもお茶しか出ませんて」
男「出んのかよ」
女「本気出したら母乳出んで。出しまひょか?」
男「そんな危険なモンは出さんでいい。しまっとけ」
女「仕舞うとけ言うたかて去年もどうせ使わへんかったやん!もう捨てんで!」
男「何の話だよ!!」
女「あ、あかんわ。探偵ナイトスクープの時間や。ほなおおきにー」

ガチャ…バタン

男「お土産は…ビリケンさんか。怖ッ」
男「っていうか今日のアイツのテーマはなんだったんだろ?」


新ジャンル「maid」
308其の病はクシャスの湯でも・男湯にて(1/14):2008/01/05(土) 01:07:21 ID:GwAnyfKF

人は闇を恐れた。
そこに己の輪郭はなく、他者との距離をも無に帰す。
先が見えないという不安は希望のない明日に同じ。
獣の声に怯え、人は縮こまり、拠り所もなく膝を抱えていた。
それを打破したのは光の存在であるという。
人は光を手に入れ、かつて自らを不安に陥れた闇を排除してきた。
まるでソレは、恨みを晴らすかのように。
闇を悪性のものであると決め、自らの視界に一切の闇が入らぬように。

しかし、思う。

かつて、天地がまだひとところにあった時代。
光と闇にもまた、境はなかったのではないかと。
人が闇に怯えず、光に目を焼かれない時代もあったのではないかと。
少なくとも、彼には闇より出でる全てが邪悪だとは思えなくなっていた。
彼女と出会って、それは確信に変わる。
笑い、はしゃぐことができる闇の化身。
それは彼にとって闇どころか光でさえあった。

闇は、ただそこにあるもの。
それは決して、恐れ、憎まれるために存在しているのではない……。

―――それを、なんとかしたかった。



最初にその臭いに気付いたのはリオルだった。
卵が腐ったような、決していい香りとはいえないそれを鼻腔に感じて、
リオルはしかし、ぱっと顔を輝かせた。

「硫黄の臭いがする!」

長い山道を登るヒロトたちを追い越して、ぱたぱたと駆けていく。
無理もない。
彼女にとって、この臭いは故郷を思い起こさせる臭いでもあるのだから。
309其の病はクシャスの湯でも・男湯にて(2/14):2008/01/05(土) 01:08:56 ID:GwAnyfKF

「………ということは、いよいよですわね」
「うむ、ようやっと汗も流せるというものだな」

長い山道で流石に疲れた顔をしていたローラとリューもほう、と息を吐く。
そう、期待しているのは勿論、リオルだけではないのだ。
彼らが次に停泊する予定の町は世界的に有名な『温泉街』。
スパリゾート筆頭、クシャス・トゥなのだから。

「ほらほら見えたよ!」

大岩の上にリオルはガーゴイルのように座り込み、興奮したのか翼を広げて小さく火を吹く。

「リオル、到着はまだ先ですよ」

ともすればそのまま飛び立って行きそうな彼女を、ジョンが諌める。
ただ、最近は火龍の魂が少女の義体に馴染んできたため、
部分程度の変身については何のお咎めもなくなっていた。
それにジョンだってリオルの気持ちもわからなくはないのだ。
彼女の言うとおり、幾筋も煙の立ち上る町はすぐそこ。
小さく見える町並みがなんとなく霞んでいるのは決して気のせいではないだろう。
よく見ると転がっている岩にも黄色いものがこびりついている。
街はまだでも、ここは既に温泉脈の上というわけだ。

「懐かしいなぁ。スレイヤー火山でもよく入ったっけ。温泉」
「あそこそんなものあったのか?」

遠い目をするリオルに、ヒロトが追いついて訊いた。
かつてヒロトはリオルの巣食うモン・スレイヤーに単身乗り込み、そして制覇したことがあった。
ちなみにその時リオルの『元の身体』はヒロトの剣の一撃によって殺されている。
リオルにとってヒロトは紛れもなく憎き仇であり、その『命の怨敵』と
もう長い間共に旅をしているのだから妙な話だ。

「あったよ。あたしがねぐらにしてた洞窟のずっと奥に湖があってさ。その水が全部温泉だったの。
 でもアンタが火山噴火させた所為でもう埋まっちゃったんじゃないかな?」
「そっか……。惜しいことしたな」
「そうよ。加減しろっての」
310其の病はクシャスの湯でも・男湯にて(3/14):2008/01/05(土) 01:10:21 ID:GwAnyfKF

再開した始めの頃は牙を向いて襲い掛かっていったリオルだが、今ではこうやって軽口を叩くのみだ。
もともと明るい性格であるし、長いこと誰かを恨み続けることには向かないのだろう。
それに、ある意味ヒロトは最愛のジョンと引き合わせてくれた恩人なのである。

「………ん?リオル、駄目ですよ。それ、道標みたいです」
「うぇ?」

ジョンが眼鏡を押し上げ、リオルを大岩の上から引き摺り下ろした。
なるほど、よく見ると岩には紋様が刻み込まれ、足元には小銭が散らばっている。
この土地に住む民族の慣わしだ。
山は神聖なものであり、そこを通る道にはこうして標(しるべ)を置いて
土地神に通行を許可してもらっているのだという。
小銭はまあ、通行料のようなものか。

「土地神といっても魔獣であろう。この地のヌシであろうが、我のが偉いのに」
「国王より領主を敬え、という諺もありますからね。
 遠く離れた『最果て(ネバーノゥズ)』の魔王には義理もない、といったところじゃないでしょうか」
「……なんだか身につまされる話ですわね」
「はー、でもいいなぁ。あたしなんか同じ火山のヌシだったのに目の敵にされてたよ?」

はぁ、とわざとらしくため息をつく。
彼女がまだイグニスドランの身体を持っていた頃棲んでいたモン・スレイヤーは、
年中溶岩で真っ赤になっていたような荒々しい土地だ。
豊かな土を湛え温泉が湧くモン・クシャスとは似ても似つかない。
その辺りに両者の違いがあるのではないかとヒロトは思ったが、それは口にはせずに飲み込んでおいた。
リオル―――灼炎龍リオレイアの首を刎ねた張本人がそれを口にするのははばかられる。

「それがどーよ、この差。聖堂教会も認めてるんだっけ?異教徒の街なのに」
「認めてはいないみたいですよ。ただ、黙認しているだけで」
「ククの村と同じということか。そういえばあの村で採れる木材は世界でも有数のブランドだったな」
311其の病はクシャスの湯でも・男湯にて(4/14):2008/01/05(土) 01:11:27 ID:GwAnyfKF

………結局、利潤のあるところには目溢しをする、ということか。
異教徒というレッテルもようは聖堂教会に属さない人々を異端とした呼び方であり、
あからさまな言い方をすれば、属さないなら貢物を差し出せ、ということでもある。
それにすら抵抗する者たちには決して容赦せず、
聖堂教会が掲げる統和の妨げになる異分子として排除されるのみだ。
現に今このときでも聖堂騎士団(テンプルナイツ)が各地異教徒の国や街に攻め込んでいるし、
聖堂教会には専属の暗殺集団がいて、要人暗殺などを請け負っているという怪談じみた噂まであった。
ヒロトたち『勇者』にしても、聖堂教会から正式な『使命』が降りれば従わなくてはならないのである。
いつだったかの城壁破壊事件がいい例だ。
結局あとであれは取り消されたものの、たとえば教会に対する反乱軍の殲滅だとか、
異教徒が組する土地神―――ヌシの撃破だとか、そういう『使命』が発令されてもおかしくはない。
いや、聖堂教会直下のナルヴィタートの勇者はまさに『それ』を生業として動いているそうではないか。

―――結局のところ、いずれは対決しなければならないということか―――。

「………どうかしました?」

知らない間に難しい顔をしていたらしい。
ふと見ると、ジョンが心配そうにヒロトの顔を覗き込んでいた。

「いや、なんでもない。それより、急ごう。日が暮れると宿が取りにくくなるからな」

湯けむりで霞むクシャスの街並みに目を向ける。
温泉にでも浸かってゆっくり考えるのもいいだろう。
そのために、必要性が薄れたとはいえ魔王城へ向かうルートから外れてクシャスにまでやってきたのだ。
できるなら、決心ができるといいが―――。

「………………」

この湯は、胸のしこりにも効くのだろうか、と。
ヒロトはぼんやり考えていた。
312其の病はクシャスの湯でも・男湯にて(5/14):2008/01/05(土) 01:12:27 ID:GwAnyfKF


「おん!」
「せん!!」
「がーい!!!」

リュー、ローラ、リオルは人波の前でバンザイした。

「……テンション高いですねー」
「……こういう観光地には滅多に寄らないからな」

どうせなので奮発して高めの旅館にチェックインし、
クシャスの街に入るときに購入した浴衣に着替えて早速温泉街に繰り出したのだ。
この街では武器や防具の装備は認められない。
街行く人々は皆一様に浴衣姿、桶と手ぬぐいを持ってからころと下駄を鳴らしている。
徒手空拳のジョンやリオル、指をぱちんと弾くだけで山一つを平地にできる魔王リューはともかく、
いつも帯剣しているヒロトやローラは落ち着かない様子だった。
まあ、そのローラも今は楽しそうに土産物店を覗き込んでいるのだが。
女性陣の興味はすでに温泉街クシャス・トゥに奪われているのである。

「ヒロト!見ろ!これ!なんだこの三角!……た、タペストリー?
 買っていいか!?なあヒロト!これ、買っていいか!?」

リューが『根性』と刺繍されたタペストリーを掲げているかと思えば、

「魔紅石の湯、名湯華玉、ミルク風呂……サンダー・バブ!?電気刺激で全身をマッサージ。
 HP・MP全回復……興味深いですわね。お肌効果は……と」

ローラは何やら真剣な顔でグッズコーナーに並んだ入浴剤を手にとっているし、
リオルに至っては、

「ンまぁぁぁぁぁぁぁぁあああいッ!!!!」

いつの間にか温泉タマゴをぱくついている。巨大化してどこぞの城を破壊せんばかりの勢いだ。
313其の病はクシャスの湯でも・男湯にて(6/14):2008/01/05(土) 01:13:23 ID:GwAnyfKF

恐るべし温泉街。
温泉旅館だけではなく、土産ものや出店も充実している。
娯楽に乏しい旅を続けてきた少女たちはその華やかさに興味シンシンになってしまったのだ。
それはわかる。
わかるのだが。

「リュー、土産ものなんていったい何処に持っていくつもりだ。
 ローラ、HPとかMPとかよくわからない用語を使う商品には触らない方がいいぞ」
「リオル、タマゴ代はリオルのおこづかいから引いておきますからね」

女性陣があからさまに不満そうな顔をした。
興を削ぐような勇者たちの声色はいつもと変わらない。
安定しているといえば褒め言葉だが、ようはノリが悪いのである。
こちとら今をときめく花盛り。やはり潤いというものが欲しいのだ。主にお肌とかに。

「ヒロト様。せっかくの温泉街ですし、楽しもうではありませんか」
「そーだそーだ。大体、遊びに来たんでしょー?」
「………タペストリー……」

ヒロトとジョンは顔を見合わた。
ポリポリと後頭部を掻くヒロトに、ジョンは肩をすくめる。
ヒロトは少しだけ考えてから、やれやれと手を腰にやった。

「………わかった。自由行動でいいけど、遊ぶ金は自己負担、他のお客の迷惑になることはしないこと」
「はーい」

声を揃える少女たち。
その様子はどう見ても普通の女の子そのもので、
今の彼女たちを見てこの中の誰一人として只者ではないと気付ける人はいないだろう。
早速ぱたぱたと走り回っている彼女たちを見ていると―――。

「……………やれやれ、だな」
「ですね」

―――自然と、頬が緩んでしまうのだった。
314其の病はクシャスの湯でも・男湯にて(7/14):2008/01/05(土) 01:14:18 ID:GwAnyfKF


「―――ということは、ジョンは親無しなのか」

男湯。
色気も何もないそこで二人は肩を並べ、他愛のない話をしていた。

「ええ。実験中の事故で亡くなったと聞かされています。
 物心つくまえにお師匠に引き取られて、それ以来ずっと研究所に篭って暮らしていました。
 拳法はお師匠の趣味でね、東洋の健康法で毎朝一緒に体操してたら身についてたんですよ」
「それが“霊拳”のルーツってことか」
「ええ。ヒロトさんのお師匠はどんな人なんですか?」
「俺のは我流だよ。基本的な型を親父に教わったあと、あとは自分でやれ、とか言われてそれっきり。
 仕方ないからずっと一人で稽古してた。手合わせしてくれる相手もいなかったし」

ヒロトは湯を掬うようにして己の手のひらを見つめた。
白く濁った湯がこぼれ落ちたあと、そこには無骨な剣士の掌(て)が浮かび上がる。
それを、固く握り締めた。

「ローラさんは?」
「アイツは初め全然剣振れなかったからなぁ。
 もっとちゃんとした先生を呼べばよかったのに、俺にくっついて剣振り回すもんだから、
 仕方ないから俺が教えた。打ち込みができるくらいになったのはずっと後の話だ」

ローラ、いやヴェラシーラ王家の者はもともと魔導師の家系である。
剣の才能など無いに等しい彼女が今あそこまでの剣士に成長を遂げたのは、
ひとえにその時の努力の成果に違いない。
もっと言えばヒロトに認められるため、抱いた恋心が才能の壁をも破る原動力となっていたのだ。
そのローラにプロポーズされた今のヒロトはそれに気付いているはずだが、
その辺はどう思っているのだろう。
ジョンの立場から言えば、ローラには悪いが
リューが落ち込むような結果はできる限り回避したいところではある。
315其の病はクシャスの湯でも・男湯にて(8/14):2008/01/05(土) 01:15:03 ID:GwAnyfKF

「あいつには感謝してるよ。こんな俺を待ってるって言ってくれた。
 剣以外、何も持ってなかった俺に居場所を与えてくれたのはローラだから。
 その上、俺を好きだとも言ってくれた。だから―――」

ジョンはひやっとしたが、声の調子から考えてどうも色恋で浮かれた話ではないらしい。
ヒロトは、なんともいえない顔をしていた。
何かに耐えるような、奥歯を噛み締めているような、そんな表情だ。
耐える?何に?
それは罪悪感―――。

「悪いと思ってる」
「ローラさんなら気にしていないと思いますよ?むしろ楽しそうじゃないですか。
 リューさんやリオルっていう友達もできたことですし」
「……だと、いいけどな」

呟くヒロトの顔は、少しだけ緩んで見えた。


湯上りには牛乳を飲むものと相場が決まっているものだ。
特に、ただの牛乳ではなく甘く味付けされたコーヒー牛乳やいちご牛乳を
腰に手をやって飲むのが格別なのである。

「じゃあ、ボクはコーヒー牛乳を頂きます」
「俺も同じモノを」

ちゃりんと小銭を渡し、カウンターに置かれていたビンを取ろうとする、その手が何かによって払われた。

「ッ!?」

ヒロトの手を弾いてカウンターの上に落ちたそれは小銭である。
数枚のそれらが、ぱたぱたと重なって落ちていく。まるで手で揃えたかのような見事さだ。

「待ちな、兄さん。そのコーヒー牛乳は俺んだぜ」

振り返ると、そこにいたのは乱暴に刈り込んだような短髪の男だった。
見たところ体格も年齢も、だいたいヒロトと同じくらいだろうか。
顔つきもヒロトと同民族系であり、黒髪に黒い瞳を持っている。
しかし似ているかというと、なまじパーツパーツが同系なため逆に全く似ていない。
ヒロトが夜の湖畔を思わせるような静けさを湛えているのに対し、
この青年の猛禽類を思わせる眼光は鋭く、口元は好戦的に歪められているのだ。
浴衣姿であるところから見て、この青年も温泉客らしいが。
316其の病はクシャスの湯でも・男湯にて(9/14):2008/01/05(土) 01:16:25 ID:GwAnyfKF

「こっちが先ですよ」

ジョンはその殺気にも似た男の雰囲気に気付いていないらしく―――いや、
この男が気付かせていないのだ―――口を尖らせて抗議した。

「違うね。俺のが疾いね!」

青年は自慢げに手に持っていた何かを見せた。
それは―――。

コーヒー牛乳。

「え!?」
「……!」

いつの間に?
驚くヒロトとジョンにニヤリ笑ってコーヒー牛乳をあおる男。
いったい、あの距離からどうやって勇者二人に気付かれずカウンターのビンを取ったというのだろうか?
戦慄が二人の背を駆け上る。

と。

「なにやってるの」

これまたどこからともなく飛んできた桶が、カッコーンといい音を立てて男のこめかみに直撃していた。
そしてそれを投げつけたらしい無表情の少女が倒れた男の襟を引っ掴んでずるずると引き摺っていく。

「……なんだったんだ」
「さあ。観光地には色んな人が来ますからねー」

残されたヒロトとジョンは……結局いちご牛乳を買った。

さて、牛乳をあおりながらリューたちを探してみると、どうも据付の卓球で遊んでいたようだ。
しかもリューは魔法障壁でイカサマをしていたらしく、
目を三角にしたローラに噛み付かれてしどろもどろになっている。
助けを求めるような視線を送られたが、ヒロトは顔をしかめて首を横に振った。
リューが泣きそうな顔になる。

それが、なんだかとてもおかしかった。

「……ま、楽しんでもらえているみたいじゃないですか」
「ああ……そうだな」

微笑みかけるジョンに、ヒロトは静かに、噛み締めるように呟く。

ヒロトは基本的に面白みに欠ける人間だ。それは自分でもそう思う。
気付いてみれば、物心ついたときから、またはヴェラシーラ王城に暮らすようになってから、
勇者として長い旅に出てから―――およそ娯楽と呼べるものには手をつけてこなかった。
自分はそれでもいい。興味があればいつでもできたことだ。
それを遠ざけていたということは、自分には必要でなかったということである。
しかし、リューと出会ってからはどうだろう?
ヒロトがもしもう少しユーモラスな性格をしていれば、
リューはもっと早くに普通の―――妙な言い回しになるが、普通の女の子のように笑えていたのではないか。
そして、もっと早くにこうやって笑っているリューを見ることができたのではないだろうか。
そしてそれはローラとの稽古のさなかにも言えることだし、だからこそ、
ああやってじゃれあっている二人を愛おしく思うのだ。

―――できるなら、自分以外の前でも、いつか彼女たちと笑いあえるように。

「ヒロトさん、どうです?ひと勝負、ボクたちも」
「……ああ。でも、俺ルール知らないぞ」

そのためにはやはり、対決しなくてはならないのだ。

つまりは、簡単な話である。
人間の世の理は聖堂教会が握っているといってもいい。
だから、その聖堂教会をなんとかする。

教会が掲げる統一意思という理想郷、それを否定しようとは思わない。
だが、せめて、知って欲しい。
闇はヒトの敵ではない、と。
確かに友好的ではない魔族も沢山いた。
しかし、友好的な魔族もまた沢山いる。
同じなのだ。人間と。
ならば、わざわさ敵対する必要などどこにもないだろう。
時に歩み寄り、時に距離を置けば共に生きることもできる。
ヒロトは現にそういう例をいくつも見てきたし、今もその化身と旅をしているのだ。

しかし、聖堂教会は未だ怯えている。
かつての魔王進攻のトラウマ、世界が崩壊しかけた神話の時代を引き摺っているのだ。
ならば世界を変えるにはそれを壊してやらなければ。

―――どうやって?

「……何か難しいことを考えているんですか?」

顔を上げると、声の主はやはりジョンだった。
ヒロトと卓球で勝負したあと、リオルやローラと対決していた。
また温泉に入ってきたということは、やっと解放されたらしい。
華奢で可愛らしい容姿は相変わらず男湯には似合わない。
通り過ぎる他の温泉客がぎょっとしているのも頷ける話だ。
そのあと、思わず下半身に目をやってさらに驚愕するのが最早パターンになっているのだが、まあそれは別にいい。

「………いや、別に」
「ヒロトさん、仏頂面な割にわかりやすいんですよ。魔王城へ向かう道を外れて
 わざわざクシャスに来たのも、温泉に浸かってじっくり考えたいことがあったからじゃないですか?」
「………………………」

ヒロトはますます苦虫を噛み潰したような顔になった。
図星だったからである。

「……まあ、ちょっとな」

ヒロトは白状した。
放浪の旅の末に見つけたヒロト自身の使命、ヒロトの抱く理想の姿。
リューと、ローラと。
二人の少女が共に笑いあうのを見て、やはりこの願いは間違ってはいないと感じたこと。
そして、それにたいする問題、聖堂教会。
ヒトと闇の眷属がいがみ合う、この世界をどうにかしたければ巨大に過ぎる組織と対決しなければならないこと。
だが、なにせ相手は有史以前から存在する最古にして最大の組織である。
いくら勇者であろうとも、一個人にすぎないヒロトに何ができる?
しかもその時、彼の唯一の特技である剣は必要ではない。
さらにそもそも、まずは舞台に立たなくては話にすらならないときた。
今のままでは聖堂教会には声すら届かないに違いない。

「………まあ、そうですね。ヒロトさんなら強引に『大聖城』に侵入して
 聖皇と直接対談することもできなくはなさそうですが」
「それじゃ意味がないだろう。罪人扱いされて意見なんて聞いてもらえるわけがない」
「ですよね」

たとえ聖職者であろうとも、かの聖皇と話が出来るものなど極々少人数だ。
あるいは勇者であればその機会も設けられるかも―――いや、まずそんなことはないか。
魔王が再びこの世界を脅かそうというのならまた話は別だが、
それではますます聖堂教会は闇に対して警戒心を強めるだろう。
だいたい魔王リュリルライアはまず絶対にそんなことはしないだろうし。

「じゃあ、何か考えがあるんですか?」
「………………ああ」

そう。
ヒロトには、術があった。
以前、ローラに言われたことを思い返す。

『私の良人、ヴェラシーラ王になり、共に良き国を治めてはださいませんか?』

王。

聖堂教会の『聖皇』にも、一国の―――しかも『勇者』を
選出する資格を持つ国の王ならば、あるいはその声も届くだろう。
ましてや元・勇者であり、世界を巡った者の言葉である。

「………なるほど」

ジョンも神妙に頷いた。
何か言いたいが、うまく言葉にできない。そんな表情である。
ヒロトは続けた。

「でも、それはきっと、ローラに対するこの上ない裏切りだ。
 俺なんかを好きだって言ってくれた、その気持ちを利用しようっていうんだから―――」
「………リューさんはどうするんです?」

ジョンがまっすぐにヒロトの目を見て言う。
ヒロトは言葉に詰まった。

「リューには……とりあえず、魔王城にいてもらうしかないだろうな。
 聖堂教会に意見しようっていう王が魔王と繋がってるって知られたら、誰だって怪しむに決まってる」

途端に、ジョンの顔色が変わった。
人形のような冷たい無表情で、薄い唇をわずかに動かす。

「………ヒロトさん、本気ですか?」

それは決して肯定的な響きではなかった。
むしろ咎めるような、諌めるような、落胆したような声色であった。
本気で言っているのかと。
本気で、そんな馬鹿げたことを考えているのかと、この少年は言っている。

確かに。
自分から連れ出しておいて、自分でまたあの城に押し込めようというのだ。
こんな酷い話はそうそうないだろう。
だが、きっと―――。

「―――ああ。それが多分、最良の手段だと思う」

そしていつか、今度こそ。
彼女を、また迎えに行けるように。

「ヴェラシーラに帰って―――そして、ローラには俺の子を産んでもらう」

そう、はっきりと口にした。
歩むべきは王の道。
全ては己の理想のために。
そのために、ヒロトは―――。

ぱきん、と。

乾いた音が響いた。

「な……!?」

驚いて振り向いたそこには、さっきまであったはずの壁が―――男湯と女湯を隔てるはずの壁が消滅している。

「きゃぁぁぁああああああ!!」

女性たちの悲鳴が響いた。
男たちはとっさのことで反応できずにいるようだ。
慌てて前を隠すものもいれば、湯に飛び込むもの、逆に凝視する不埒者もいた。

砕け散った壁―――結界の欠片が崩れ、掻き消える。
そこにいたのはリューだった。
彼女も例によって一糸纏わぬ姿を衆目に晒しているが、今の彼女を見て劣情を抱く者はいまい。

其れは、魔王。

紅の魔力を纏わせて、紅の魔槍を携えて、こちらを。
―――ヒロトを、じっと見つめている。

「………………」
「………………」

温泉中がパニックになる中で、リューはただ、その瞳にヒロトを映していた。



                 其の病はクシャスの湯でも・男湯にて
〜「新ジャンル達が銭湯にやってきたようです」英雄伝〜 完
322名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 09:23:18 ID:tMIIleT0
勇者にメイドに何という弾幕www
GJ!!

…しかしmaidを毎度と読ませるとはww
俺のりんご牛乳返せwww
323名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 18:18:14 ID:Ix30eOpm
>>306
そう来る予感はしてたが、最後ら辺のもずくと男のツッコミで吹いたw

>>307
違うよ! それ読み方違うよ!w


>>316
いちご牛乳は、牛乳に唯一足りないビタミンを補った完全栄養食だってサモエド面した変態が言ってた。

あ、そんな事はどうでもいい・・・

しかし急転直下ですな。どうなる事やら。嫉妬は怖いですよ嫉妬は・・・いやホントに。
324名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 18:41:37 ID:GwAnyfKF
男「………今日も今日とてボロアパ……あぱぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?
  俺のアパートがNEEEEEEEEE!!!!」

女「お帰りなさいませご主人様」
男「 ま た お 前 か ! ! ! ! 」
女「また私です」
男「今回はやりすぎだ!アパート返せ!なんだこのでかい屋敷は!」
女「貴方は私がご主人様と見込んだお方。あんなみすぼらしいアパートに住んでいてはなりません。
  ここら一帯の土地と建物を全て買い取り、勝手ながら建て直させて頂きました」
男「えー、何その経済力。お前の方が金持ちじゃん完全に」
女「そうですよ?私、某米国の借金を一括で返せる位にはお金持ってますから」
男「なにその歩くインフレーション」
女「私の家は代々従者の家系でして。齢18になったら家を出て将来に見込みの有る人を探し出し、
  その方にお仕えしなければならないのです!」
男「そうだったのか……家に帰れェェェェェェェ!!そして家を返せェェェェェェ!!」
女「えー。もう屋敷建てちゃいましたしィ。それに」

ガションガションガション

男「………!?な、なんだこのロボ!?」
女「私が開発したメイド型汎用武装兵器、鋼鉄の侍女【アイアンメイド】。
  ご主人様がここから逃げ出さないように屋敷内に十体配置しています。
  ちなみに一体いればイージス艦を制圧することも可能です」
男「バカだろお前!お前バカだろ!!」
女「これからも宜しくお願いしますね、ご主人様♪」


新ジャンル「アイアンメイド園」
325名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 19:31:12 ID:Ix30eOpm
バカすぎるwww
326名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 23:58:16 ID:cTMBK5n3
くあーっペース早ぇ!
そしていつながらGJ&このバカ!(褒め言葉:笑
ううむこう急転直下だと追いつけるのか...年末年始も忙しくって全然ですわー
327名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 00:15:18 ID:lSP+t3Dh
ああ成程、アイアンメイド園→iron-maid-en→アイアンメイデン…
…メイドの園には処刑器具じゃなくって文字通りな鉄の処女がイパーイな訳ね
328名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 14:26:46 ID:fPCHOb5T
地味にまとめサイト更新されてるんだな
ページの先々にある新ジャンル「」はこのスレじゃ見ないな
管理人が書いてんのかw?
329名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 01:16:55 ID:GVahXmeS
そうだろうね。お疲れさぁーす!

>>326
それでも裸に靴下だけ履いて待つ俺
330名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 01:29:20 ID:zMudYipP
>>328
それがwikiの人クォリティ
いつもありがとうー!
>>319
なんとか言う監督かよ!
待っててくれてアリアトー!
(´・ω・`)ノシ
331名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 01:48:10 ID:U8TCP5Wo
Vipに面白悲しい新ジャンルがあるぜ…



紫「リーダー紫」
赤1「紅蓮の炎!赤!」
青1「蒼憐の氷、青」
赤2「烈火。赤」
青2「凍結。青」
黄「迅雷!黄」



蓮華「…毎度思うけど変ですよ。大体僕要らないですよ」
焔「んなこたーない!」
冷「私達のやる気大幅アップだ」
エレミー「大体装備品は凶悪じゃん」
蓮華「トンファーが?」

新ジャンル「戦隊物してみた」
332名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 02:52:27 ID:GVahXmeS
男「………今日も今日とて…はぁ、何度見てもでかい屋敷だな。
  なんだよこの門。ガンダムでも出撃するのかよ」
女「アイアンメイドは出撃しますよ?」
男「うわぁびっくりした!……っていうか何、なんか赤くない?全体的に」
女「真っ赤だなー♪真っ赤だなー♪メイド服の白い部分が真っ赤だなー♪」
男「歌うな。季節も違うし」
女「いやぁ、さっきお買い物に行ってきたらDQNに絡まれちゃって」
男「……!大丈夫だったのか!?」
女「ええ。たまたまアイアンメイド01号を連れてましたから♪」
男(それで絡んでくるヤツも相当だな)
女「地元じゃメイド・イン・ヘルの異名を持つ私もここじゃ新参者ですから。
  とりあえずヒエラルスキーのトップには君臨しておこうかな、と」
男「なんだヒエラルスキーって。ヒエラルキーだろ『ス』いらないだろ」
女「知り合いのロシア人男性です」
男「嘘だっ!!」

男「……ところで、何買ってきたの?」
女「おやつですよ。全然売ってなくて結局ヘリで取り寄せてもらいました。味噌ピー」
男「千葉・茨城県民!?」


新ジャンル「チメイド」
333名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 03:01:10 ID:GVahXmeS
てす
334其の病はクシャスの湯でも・湖畔にて(1/18):2008/01/07(月) 03:04:15 ID:GVahXmeS
続きが書けたので投下したいんだけど何故か投下できない。
書き込みはできるのに投下ができない。何故だ!?
335其の病はクシャスの湯でも・湖畔にて:2008/01/07(月) 12:16:20 ID:GVahXmeS
ヒロトは突然の事態に、流石に驚いて顔を赤くした。

「な、なにやってるんだよお前!」
「……………」

リューは答えない。
その眼には様々な感情が浮かんでは消え、そしてまた浮かび―――。
何をするでもなく、佇んでいる。それは確かにそこにいるはずなのに、
湯けむりに儚く掻き消えていくような、そんな危うい虚ろさを漂わせていた。

―――これは、ただごとではない。

ヒロトはとりあえず前を隠すと、急いでリューに駆け寄った。
一糸纏わぬ彼女の小さな肩を抱こうとし、

「どうした、何か」
「触るなッッ!!!!」

俯き、叫ぶその声に身を硬くした。

「な、なにを―――」

上目遣いに睨みつける、その瞳に……光るものが浮いていた。
しかしそれを見たのは幻かと思うほどに一瞬であり、ヒロトは絶句する暇も無く衝撃に吹き飛ばされていた。
現れた影は龍。
いや、大きさこそ小型ではあるが―――それでも普通のドラゴン程の
大きさではある―――魔王リュリルライアの使役するゴーレム、クレイ・ドラゴンである。
リューはクレイ・ドラゴンの背に乗り一度だけヒロトに目を向けると、
そのまま打つ上げられたようなスピードで飛び去っていった。
雲が切れるような速さに風が舞い、湯けむりが吹き飛ばされる。

「……聞かれていたようですね」
「……………」

ジョンが小さく呟いた。
ヒロトは何も言えずに呆然とリューが消えていった空の彼方を見上げている。
ヒロトにはわからない。
確かに城から無理に引き摺りだした本人がまた孤独の城に押し込めようというのだ。
リューが怒るのも無理はないとは思う。
が。
それでは、あの眼の説明がつかなかった。
怒りよりも切なさと哀しみが色濃く浮かぶ、あの涙の意味が―――。
336其の病はクシャスの湯でも・湖畔にて:2008/01/07(月) 12:17:10 ID:GVahXmeS
「……なんだってんだよ」

ヒロトは困りきった顔でくしゃりと前髪を掻き上げた。
その周りでは、

「なんださっきのドラゴン!?女の子を攫っていったぞ!」
「魔獣の襲撃じゃないのか?」
「馬鹿な、ここはスクナ様のお膝元だぞ!?」
「っていうか女湯が!女湯がぁぁぁああ!!」
「きゃぁぁぁああ!!こっち来るな変態!」
「な、なんだ!?真っ暗で何も見えないぞ!?」
「……リューマは、見ちゃだめ………」
「………ちょっと待って、あの男……まさか」

混乱で他の温泉客たちが騒いでいる。
伝説級の結界があっさり破られ、さらに直後ドラゴンまで現れたのだ。
ただでさえ異教徒の街で聖堂教会から目を付けられているであろうに、
この事態では最悪、聖堂騎士団が動き出しかねない。

「ヒロト様!」
「ちょ、バカ勇者何やったの?リュリルライア様飛んでっちゃったよ?全裸で!」

タオルを巻いたローラとリオルがぱたぱたと駆け寄ってくる。
おそらく今この場で最も混乱しているであろうヒロトに代わり、ジョンは冷静に言った。

「とりあえず、着替えて温泉を出ましょう。早くリューさんを探さないと」

ヒロトは唇を噛み締め、他の二人はこくりと頷いた。
リューは何だかんだと言っても破壊に関しては右に出るものは無い最強の魔王である。
それが、かつてのように自暴自棄になって暴れられたらどんな事態になるだろう?
ローラの時は人の住んでいない廃墟の町だったからよかったものの、
あの少女が一瞬で街ひとつを消し飛ばせる破壊力を有しているのは周知の事実。
とにかくどうにかして見つけ出して、落ち着かせないと―――。

「……待って。リューさんを探す前にあの娘が何を聞いたのか、教えてくださる?
 何かあったんでしょう?それもきっと、ヒロト様絡みで」
「………………」

ローラの厳しい声にヒロトは黙り込んだが、やがて背を向けた。
337其の病はクシャスの湯でも・湖畔にて:2008/01/07(月) 12:17:50 ID:GVahXmeS
「俺は、最良の手段を考えただけだ」
「……………ボクから、説明します。でも一度、外に出てから」

ローラは、眉根を吊り上げて、しかし一応頷いた。そしてきびすを返すと女湯に戻っていく。

「ボクらも行きましょう」
「………ああ」

混乱の温泉を駆け抜ける。
人波を横切り、その途中で―――。

「……参ったよこりゃ」

小さく、小さく。
誰にも聞こえないほどの声で。

「まさかこんな所で見つけるとはなぁ……」

ポツリと。
呟いた者がいた。

338其の病はクシャスの湯でも・湖畔にて:2008/01/07(月) 12:18:11 ID:GVahXmeS
クシャスを囲む外壁近く―――つまりは町外れにて、一同は集まった。
ジョンからの簡単な説明を受けて、リオルは眉根を寄せ、ローラはこめかみに手をあてた。
ヒロトは少し離れた場所で腕を組み、瞑想するように瞳を閉じている。

「……なるほどなー」

沈黙を破ったのはリオルだった。

「なんだ、ようは人間の側の意識を変えるために聖堂教会のボスと話がしたいんでしょ?
 その為にはローちゃんと結婚して、王様にならなきゃならない。
 でも魔王と仲良くしてる王様なんて聖堂教会に信用されるわけがないから、
 リュリルライア様には魔王城へ帰っていて欲しい、と。そういうわけ?」
「ええ。その話を聞いたリューさんはショックを受け、飛び去ってしまった。それが今の状況です」

ジョンが頷く。

「立派じゃん」

リオルの素直な感想だった。
確かに、ヒロトのやろうとしていることは―――理屈としては通っている。
リューを仲間に引き入れた時点で魔族側の問題は目処が付いたといってもいい。
人間の王と違い、魔王は魔族を本能のレベルで支配するもの。
頭を押さえたら、手足は従うしかないのである。
実質、あとは人間側の歩み寄りをどうするかが問題だったのだ。

「それを解決するために聖堂教会に訴えかける。それはわかりますわ」

ローラはこめかみの手を顎に移し、そして聞いた。

「でも、今続けている各地ヌシへの協力要請はどうしますの?それも必要ではなくて?」

ローラの声はさっきのジョンと同じ含みを持っていた。
少なくとも、ローラのプロポーズを受けてヴェラシーラに帰る、
彼女にとって喜ばしいはずの事態に関してはまったく触れていない。
339其の病はクシャスの湯でも・湖畔にて:2008/01/07(月) 12:18:40 ID:GVahXmeS
「それは―――」
「テイリー・パトロクロス・ピースアローとかいう謎の勇者は?
 こちらも放ってはおけない問題ではないのですか?」

何か言いかけたヒロトに、ローラはさらに言葉を重ねた。

「さらに、凱旋するには魔王を倒したという事実が必要ですわ。
 リューさんが健在である以上、それを証明するのは難しいと思いますわ。
 なにせ魔王は普通の女の子ですものね?
 ヴェラシーラ王城からはまったく期待されていなかった貴方が王になるには私の夫となるしかない、
 それはわかります。ええ、私が言い出したことですもの。でもね、ヒロト様」

畳み掛けるようなその声は、触れれば斬り裂かれる様に冷たい。
そうして、ローラは続けた。

「―――今の貴方を、夫とすることはできません」
「な……!」

ヒロトは思わず顔を上げた。
驚いていたのは勿論ヒロトだけではない。リオルはあんぐりと大きく口を開け、ジョンも目を瞬かせている。
ローラがどれほどヒロトに惚れ抜いているのか、その様子をずっと見てきたから。
いつも前を向いていたヒロトなんかよりもずっと、
彼の背中をローラがどういう眼で見つめてきたのか知っていたから。

そのローラが、ヒロトを拒絶した……?

「一度やりかけたことを投げ出すような、そんな無責任な人に王位を継がせるわけにはいきませんから」
「投げ出そうなんてしていない!俺はただ、お前やリューが、どこでだって笑っていられるように……!」
「ならば!」

ローラの強い言葉に、ヒロトは気押され口をつぐむ。
340其の病はクシャスの湯でも・湖畔にて:2008/01/07(月) 12:19:09 ID:GVahXmeS
その気迫はいつもの少女、ローラのものではなかった。
ジョンやリオルは知っている。
いつか渇きの国で兵士たちを一喝した王女―――ローラ・レクス・ヴェラシーラの王気。
いや、もっとローラの裡から溢れるような、切実な訴えであった。
ローラは少しの間口を閉ざすと、ヒロトに歩み寄ってそっとその頬を包み込む。

「―――ならば、どうして……!どうして、一人で決めてしまうのです……!」

ヒロトは、絶句した。

そんなつもりはなかった。しかし、記憶にない。
誰かに相談したり、助けてもらおうとしたことが。

いつも、一人だったから。
無心に剣を振るう。そこに他者はいなかった。
三つ子の魂とはよくいったものだ。
我は擦り切れ、執着を持つことも無く。
求めることを知らず、旅の果てに使命を見つけた。
己の為ではない。ただ、それで救われる者がいると思ったから。
魔王を殺さず仲間にしようとしたのも、必要だったから。
そこにあったのは何より効率を優先する鉄の心。
ただ他者を救う為に存在する、『勇者』の体現―――。

「俺は―――」

ただ。
自分に、できることを。

「出来ないでしょう!?だって貴方は一人ですもの!
 なんでもかんでも一人でこなそうなんて、ヒロト様にできるはずが無いでしょう?
 ひとつのことしかできないくせに!!

 それに、聖皇に直談判する?馬鹿いわないで。
 相手は何千年も続く組織の総帥。口下手なヒロト様が敵う相手だと思って?
 少し位剣の腕が立つからといって思い上がらないで頂戴。
 一人で世界を変えようなんて、そんな傲慢は聞いたことがありませんわ!!

 ねえ、ヒロト様。私たちがいるではありませんか。
 貴方の理想の礎となれるのなら、私は火の中にでも喜んで身を投げますわ。
 でも、今から貴方がやろうとしていることはそうじゃないでしょう?
 何でも独りで決めて、他の人がどういう想いでいるのか考えもしないで……!
 嫌なの!そういうのは!折角、折角ヒロト様の跡を追ってここまで来たというのに、
 私は貴方にちっとも近づけていない―――!」
341其の病はクシャスの湯でも・湖畔にて:2008/01/07(月) 12:19:43 ID:GVahXmeS
ローラは、ついに泣きだした。
ヒロトの胸にすがり付いて、泣きながらヒロトを責めていた。

「ローラ……」

その肩を、抱いた。
細い肩が震えている。

―――ああ、そうか。俺は、一人ではなかった。
あの時、裏庭で一人剣を振っていたヒロトに声を掛けてくれた少女が現れたときから―――。
ヒロトは、とっくに一人ではなくなっていたのだ。
ならば、これは自分が悪い。
それを忘れ、ないがしろにしたことで、この少女は涙を流しているのだから……。

「………あたしは、アンタのやろうとしてることが正しいのか正しくないのかわかんないけどさ」

リオルがポリポリと頬を掻きながら口を開いた。

「まあ、間違ってはいないと思うよ。でもさ。
 ―――リュリルライア様を一人にはしないで欲しいかな。だって、リュリルライア様は」
「リオル」

ジョンが、首を振ってリオルを止める。
それ以上は、他人が言っていいことではない。
リオルは、そっか、と呟いて言葉を切った。

ヒロトは―――。

「早く、探してきてあげてくださいまし。あの娘、拗ねると長いんだから」

ぐず、とすすり上げるローラに、小さく頷いた。
そして、三人にぺこ、と頭を下げる。
飛び去ったクレイドラゴンの衝撃波で切り裂かれた雲を辿り、
“豪剣”で神経を研ぎ澄ませば追跡することも可能だろう。
342其の病はクシャスの湯でも・湖畔にて:2008/01/07(月) 12:20:12 ID:GVahXmeS
「すまん。………リューに謝ってくる」

ヒロトは背を向けると、跳躍した。その姿は高い外壁を飛び越え、闇の中へ消えてゆく。
相変わらずとんでもない身体能力だった。
ローラはその姿が見えなくなると、大きくため息をついて涙を拭った。

「……よかったんですか?一人で行かせて」
「仕方がないでしょう」

大きく髪を掻きあげると、もうそれはいつもの気丈なローラに戻っていた。
腰に手をやってまた大きく息をつく。

「ここで邪魔をするということは、何よりヒロト様を穢すことになりますもの。
 何があろうと……それだけは、許されないでしょう?」

たいしたものだ。
ジョンはくつくつと笑った。

「ローちゃん、本当にバカ勇者のこと好きなんだね」

リオルも微笑んで、ジョンの心うちを代弁した。
当然。
ローラ・レクス・ヴェラシーラはヒロトを愛している。
だから、彼が間違った選択をしようとしたとき、それを正すのだ。
ヒロトには、王の誇りを捧げるに相応しい男性でなくては困る。

「なにせ、ヒロト様は将来の私の伴侶。ヴェラシーラ王となるべきお方なんですからね」

ジョンはしみじみと思った。

―――たいしたものである。本当に。

343其の病はクシャスの湯でも・湖畔にて:2008/01/07(月) 12:26:53 ID:GVahXmeS
「はぁ……」

どれほど飛んだだろうか。
月が映りこむ湖のほとりで、リューはクレイドラゴンの背に寝そべっていた。
素っ裸では流石に寒いので、その身体には適当に魔力で編みこんだ服を纏っている。
魔王の魔力で編まれたこの法衣、もし巷に出回れば伝説の防具クラスの
対魔力と防御力を兼ね備えているのだが、まあ今はそんなことはどうでもよく。
……このため息は何回目だろうか。もしため息に色がついていたなら、
この空はもうため息で覆い隠されていただろう。それほどには吐き出した気がする。
しかし気分は沈んだままだ。
かつてのリューなら嫉妬のままに暴れて破壊の限りを尽くしていたかもしれないが、
とてもそんな気分にはなれなかった。
無論、悔しい。妬ましい。
だがその一方で、どうしても攻撃的にはなれない自分がいる。
名を知らぬ感情が彼女の中でないまぜになって、あの場から逃げ出すことで精一杯だったのだ。

―――結局、ヒロトはローラを選んだということか。

そりゃあそうだろう。ヒロトは人間。同じ人間であるローラと結ばれるのが正しい結末なのだ。
背格好は人間と変わりなくても、所詮は魔族であるリューと添い遂げる選択肢などはじめからない。
わかりきったこととはいえ、今までそれを見てこなかった―――見ようとしなかった自分だ。
突然の現実は少々………身に沁みる。

円い月に手をかざす。
その肌は滑らかに白く、指は五本。指先には爪がついている。
関節を丁寧に折り曲げ、握る。
当然、月は掴めていない。

「せめて、この身が魔獣のそれであったならまだ諦めもついていようがな……」

リューはむくりと起き上がると、湖に足を浸けてぼんやりと水鏡に映った自分を見つめた。
そこにいたのは少女。
人間と変わらない、魔王の姿である。
でも―――ヒトではないのだ。
344其の病はクシャスの湯でも・湖畔にて:2008/01/07(月) 12:27:52 ID:GVahXmeS
ローラと添い遂げる決心をしたということは、リューはもういらないということなのだろうか?
ヴェラシーラに帰り、王となり、そして……そこで暮らす。
それがヒロトの選んだ道だというのなら、リューはどうすればいい?
本当にヒロトに必要とされなくなったら?
その身を刻まれるような寂しさに、くらっ、と目の前が揺れる。
思わず叫びだし、ありったけの魔力を解き放ってしまいたい。
しかし、それすら彼女には許されないのだ。
彼女は魔王。自暴自棄になって暴れれば、それだけで世界が滅んでしまいかねないのだから。

………その想いを受け止めてくれるたった一人の青年は、今リューから離れていこうとしていた。

「……確かに、それがヒロトの幸せなのだろうな」

人間の王というものがどういうものなのか、リューにはよくわからない。
しかし、少なくともあのがらんどうの魔王城よりは華やかな生活を送れるのだろうし、
根無し草の放浪生活よりは楽ができるに違いない。
何より、あのローラが傍にいるのだ。あの女ならば、
ヒロトが嫌がったって強制的に幸福にしてしまうだろう。
少なくとも、自分よりは、ずっと上手く。

「なら」

ああ、それなら。
ヒロトの為を思うなら、リューは、ここで、身を、引くべき、なのだ。
涙、流れるな。
祝福してやらなければ。
あの二人の前に立って、幸せにならなければ容赦はしないと。
笑って、言ってやらなければならないのに。
どうして―――こう、涙というものは、思い通りにならないのか。
345其の病はクシャスの湯でも・湖畔にて:2008/01/07(月) 12:28:16 ID:GVahXmeS
「ええい、みっともないぞ。魔王リュリルライア……!」

ぱしん、と自分の頬っ面を叩く。
しかし、涙は止まってくれない。ぽろぽろと零れ、足元に落ちていく。

「う、う、うぅ……うわぁぁぁぁあ……」

ああ。
ならいっそ、ここで全て流しきってしまおうか。
そうだ。今は、泣いていい。今は、誰も見ていないから。

「ひぐ、ぅう、ヒロトぉ…ヒロトぉ……うぅ、わぁぁぁぁぁぁぁああん」

泣いてしまえ。
そして、強くあろう。
今度、ヒロトたちの前に立ったとき、強く、笑顔でいられるように。

「ヒロト、ヒロト、ぐす、ヒロトぉ……」

泣くな、リュー。

「うるさいっ。だって、ヒロトが、ヒロトがぁ……」
「はぁ、はぁ、だから、謝りに来たんだ、って」
「はぇ?」

ぱちくりと目を瞬かせ、涙に濡れた顔をあげる。
そこにあったのは、見慣れた青年の見慣れぬ姿だった。
ヒロトである。ヒロトが、肩で息をしている。
“豪剣”という規格外の身体能力強化法を使うヒロトは、通常疲れるということがない。
筋繊維に魔力を通わせ、血液や血管さえ強化し、傷や疲労を端から回復していくため
自らの魔力が尽きるまで最高のコンディションで動き続けることができるのだ。
そのヒロトがここまで汗だくになっているということは、
つまり回復が追いつかない運動量をこなしたということ。

何故?

「決まってるだろ。リューを探してたんだよ」

自分を?
346其の病はクシャスの湯でも・湖畔にて:2008/01/07(月) 12:28:45 ID:GVahXmeS
……ああ、そうか。勝手に飛び出してきたのだ。そりゃあ、探しもするだろう。
だが、今はまだ気持ちの整理がついていないのだ。朝までには戻るから、少し一人にしていて欲しい。

そう言うと、ヒロトは首を振った。

「いや、こっちが先だ。リュー、すまなかった」

ヒロトは目を丸くしているリューの前で頭を下げた。
おざなりのものではない。きっちりと腰を90°に曲げている。

「何を―――」
「怒られたんだ、ローラに。勝手に決めるなって。
 俺はもう一人で旅をしているんじゃないんだから、お前たちに相談して決めるべきだった」

リューはごしごしと目元を拭って、背を向けた。
喉がつっかえてうまく言葉にはできないが、それを言っても仕方がないだろう。
謝られても、ヒロトはもう旅を終えると決めてしまった……。

「……いや、それも怒られた。途中で投げ出すなって。俺にはできることとできないことがあって、
 今からやろうとしていることは俺にはできないことなんだって。だから、俺は―――」
「は?」

リューの涙が止まった。
くるりと振り返ったその顔にはもう一切の感情と言うものがない。
口を真一文字に結んで、全くの無表情である。

「なんだと?」
「……少し考え直そうと思う。これは俺一人で解決できるような問題じゃない―――なにせ、
 世界を変えようって言うんだから。だから、俺は勝手にこんな半端な形で
 旅を終わらせちゃいけなかったんだ。聖堂教会のことは気になるけど、
 今は俺にしかできないことをやっていこうと思う。だからリュー、また俺と一緒に」
347其の病はクシャスの湯でも・湖畔にて:2008/01/07(月) 12:29:14 ID:GVahXmeS
何を、言っているのか。
この男は。
旅をやめるのをやめる?
ということは、ローラと結婚するためにヴェラシーラに戻ることも無く、
リューはまだヒロトと一緒にいてもいいということで。
また明日から、今度はどこのヌシが一番近いところに棲んでいるのかと
地図を眺める日々が始まるということか。

「……………こ、こ、こ、」

リューはヒロトの顔を見ていられなくなり、たまらず俯いた。
その声は震え、歯の根があわずがちがちと鳴る。
ああ、知っている。知っているとも。
この、腹の底から湧き上がってくる感情は、

―――怒りだ。

「このアホンダラがァァァーーーーーーッッッ!!!!」

爆発した。
怒髪天を突くとはこのことか。目を三角にして、リューはヒトロの胸元を殴りつけた。
何度も、何度も。

「貴様はッ!何を舌の根も乾かぬ内からッ!そんなたわけたことをッ!」
「痛い、痛い、なんだよ!?」

それは所詮は女の子の力。ぽかぽか、という擬音が似合うほどの些細なものだ。
歴戦の勇者ヒロトの前には文字通り蚊程のダメージも与えられないだろう。
しかし、それは今まで受けた攻撃の中でもとびきりの想いが込められているに違いなかった。

「我がッ!どんな想いでッ!貴様とローラをッ!祝福してやろうと努力したかッ!
 返せッ!我の流した涙を返せぇぇぇぇぇッッ!!!!
 だいたい貴様は勝手に過ぎる!一方的に人のことを惚れさせてからに、
 振り回されるこっちの身にもなってみろこの大馬鹿者!!」

何か言った。
348其の病はクシャスの湯でも・湖畔にて:2008/01/07(月) 12:29:52 ID:GVahXmeS
「………え?リュー、今なんて」
「ああ!?好きだといったのだ、貴様を!!やってられるか馬鹿馬鹿しい!
 もう知らん!我ももう勝手にやらせて……も、ら……」

リューは、そこで言葉を切った。
腕を組んでそっぽを向いていたその首が、ギギギと錆びた機械人形のようにヒロトを向く。
ヒロトは、ぽかんとしていた。
リューと目が合うと、頬に見る見る赤みがさしていく。
どう贔屓目に考えても、リューの突然の告白に仰天し、そして照れている反応だった。

リューは血の気が引いていく音を耳元で聞いた。
間違いなく、砂漠の底が抜けたようにざざぁ、と音を立てて青くなっていく。
そして次の瞬間には火を放たれたかのように真っ赤に染まる。
それはもう、頬どころか耳から首元、胸元まで一瞬にして。

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

リューは絶叫すると、逃げ出した。
しかし運動方面はからっきしのインドア魔王、湖畔の砂に足をとられてあっという間にすっ転ぶ。
べしゃ、と湖畔に顔型がついた。

「リ、リュー、大丈夫か?」
「来るな馬鹿者ぉぉぉぉぉぉ!!」

駆け寄ろうとするヒロトの前に魔法障壁が現れてそれ以上の接近を許さない。

「忘れろ!今言ったことは違うぞ、その、あれだぞ!」
「……あれってなんだよ」
「五月蠅い五月蠅い五月蠅い五月蠅い!」

ついに座り込んでしまう。
三角すわりで膝の間に顔を埋めるその恰好はなんだか妙にリューに似合っていた。
さすが魔王、こんな見晴らしのいいところで引きこもるとは常人にはできない神業である。

ヒロトは少し息をつくと、魔法障壁にそっと触れた。
そしてそのまま歩を進める。
魔王に近づくもの全てを拒むはずの絶対防御は、彼を拒絶することなく自然に侵入を許していく。
いつかのように障壁を砕いたわけではない。が、これは当然のことだ。
―――リューはいつだって、ヒロトを受け入れたいと願って止まなかったのだから。

「………………うー」
「………………………」
349其の病はクシャスの湯でも・湖畔にて:2008/01/07(月) 12:31:48 ID:GVahXmeS
しかし、ヒロトは何をするでもなくリューの隣に座り込んだ。

「……俺は、誰かを助けようと思ったことがない」

何をするのかとちらりとヒロトを見やったリューは、その意外な言葉に驚きを隠せなかった。
だって、それを言ったのはあの勇者ヒロトである。
いくつもの戦歴を持ち、旅の途中で人々を苦しめる魔獣を斃し続け、
さらにはそれにも疑問を抱いて世界の調和なんてものを計るこの男が、
誰も助けようと思ったことがないなんて。
信じられない、というよりは言っている意味がわからない。
こいつは現に、数え切れないほどの人間を救ってきたのではないのか?

「―――そんなものはただの結果だ。俺は、俺にできることを続けてきただけだった。
 助けを求められたから助けたし、おかしいと思ったから正そうとした。
 その過程で運よく何人かの人が楽になっただけだろう。別にその人たちのためにやったことじゃない」

「………………」

「それに、暇だったしな。たぶん、世界中で俺より暇な人間なんてそういないと思うよ。
 生まれもはっきりしていないし、物心ついたときには長旅の途中だった。
 やっと落ち着いたかと思えば、勇者なんてものに選定されて放浪生活だ。
 ……俺には、するべきことなんて一度も与えられなかったのさ」

それはきっと、今まで誰にも話してこなかったヒロト自身の物語。
リューは黙って、それを聞いていた。

「だから、せめてその暇な時間を誰かのために使おうと思った。
 何も持ってなかった俺が唯一沢山持ってたのが時間だったから。でも、それだけだ。
 俺は結局一度も、誰かを助けたことなんてなかった。
 目の前の敵を斬って、またどこかへ行って、同じことの繰り返しだ。
 それでもいいと思ってた。だって俺にはやるべきことなんて何もないんだから。
 でも―――」
350其の病はクシャスの湯でも・湖畔にて:2008/01/07(月) 12:32:16 ID:GVahXmeS
そうして、ヒロトはリューを見つめた。
リューは心臓が止まるかと思った。こんな風にヒロトに見つめられたことなんてなかったからだ。
少なくとも今この時までは、一度も。

「今は違う。
 助けたいと思ってるヤツがいる。
 そいつのために、世界を変えてやりたいと思ってるヤツが」

それは。

「それが、お前たちなんだ。リュー。お前たちが俺を変えてくれている。
 今回の件で骨身に沁みたよ。俺は、まだまだだ。お前たちの助けが必要なんだ、って。
 リュー、お前の力をまた貸して欲しい。頼む」

リューは、熱に浮かされているようだった。
ヒロトの言葉は、ああ、まるでプロポーズのようではないか。
その言葉のひとつひとつがリューの全身を愛撫し、骨抜きにする。
今ここでヒロトに覆い被されたら、リューはへなへなになってしまうに違いない。
が、何か引っかかる。

「待て。お前『たち』?」

ヒロトは実に邪気のない、不思議そうな顔をした。

「リューと、ローラ。俺にとって大切な二人だから」
「………………」

リューはしばらく黙り込んだあと、奇声をあげて魔力を解放した。


351其の病はクシャスの湯でも・湖畔にて:2008/01/07(月) 12:33:17 ID:GVahXmeS
―――クシャスに帰ってきたとき、すでに東の空は白んでいた。
湖だった場所はもうない。
魔王と勇者の宿命の戦いに巻き込まれて今ではクレーターが大口を開けているのみだ。
まあ、数日もすればまた水が染み出してもっと大きく深い湖になっているだろう。
二人ともへとへとになってしまったため、宿に辿り着いた途端にぐうぐうと折り重なって眠ってしまった。
ローラはあからさまに不機嫌そうな顔をし、リューの逆側、
ヒロトの腕の中に潜り込んで今は寝息を立てている。
まあ、無理もない。昨晩ローラは一睡もせずヒロトたちの帰りを待っていたのだから。
ちなみにジョンらは空に魔力波が幾筋も立ち上っていくのを確認したあと、
仲直りできたものと見てさっさと床についてしまったため目覚めはバッチリだ。

「うぅ、ん………痛てて…」
「………くぅ」
「ん…ヒロト様ぁ……」

二人にひっつかれてヒロトはかなり寝苦しそうだが、それも彼ららしいといえば彼ららしいか。


彼らは、一人だった。

ある者は王族であるが故に、
ある者は魔王であるが故に、
ある者は数奇な運命故に。

だが、彼らは出会った。
そして、想いあった。

それがどんな意味を持つのかはわからない。
しかし、それは決して不幸なものではないと。
彼らの在り方は、そう物語っていた。

352其の病はクシャスの湯でも・湖畔にて:2008/01/07(月) 12:34:22 ID:GVahXmeS
「―――困ったなぁ……」

クシャス温泉宿の一角、高い煙突の上に少女は座り込んでいた。
足元には目も眩むような景色が広がっている。
もしバランスを崩したら、彼女は真っ逆さまになって、
地面に叩きつけられるまでの間、走馬灯を二巡ほどできるだろう。
しかし、この竦み上がる高さに少女は毛ほども恐怖を感じていないようだった。

「他人の空似じゃなくて、完全に本人じゃん、あれ」

彼女は視ていた。
そこから幾重にも物陰を縫って、砂粒ほどになっている彼の寝顔を。
少女二人にしがみ付かれて、ちょっと寝苦しそうだ。

「―――どうした?フミナ」
「……なんで、そんなところ、登ってるの?」

遥か下から仲間たちが声を掛けてもまだなお、彼女はブツブツと呟き続けていた。

「王になる、とか言ってたっけ………最悪だよ。
 ―――ヒロト・アヅマ」

ゆらり、と立ち上がる。
そうして何事か胸の前で手を様々な形に組み合わせると、
彼女の姿は一陣の風に巻かれて消えていった。



                 其の病はクシャスの湯でも・湖畔にて
〜「新ジャンル達が銭湯にやってきたようです」英雄伝〜 完
353名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 12:42:45 ID:F+RwrG2g
リアタイムでいただきました。
GーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーJだコノヤロー!!

ああフミナだったのか(w
ちょとドキドキした。

忙しいけど頑張って追い付くよ俺..........
354名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 21:13:46 ID:SFdsHKHN
GJ!!!

しかしへっぽこな魔王さまの駄々っ子パンチが妙に可愛くて仕方ない件
355名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 21:47:28 ID:+h7204Qd
そうそう、俺もヒガシよりアズマの方が自然だと思ってたんだ、ずっと
(`・ω・´)
356名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 21:51:14 ID:Yr5AxnWv
しかしアヅマだと東じゃなくて吾妻になっちゃうんじゃ
357名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 22:42:30 ID:4e5C0xor
いや、アズマジョウて居るじゃん、東丈。
幻魔大戦の主人公。
あとアズマハチロウ 東八郎
エイトマン、コメディアンにもいたけど。

358名無しさん@ピンキー:2008/01/08(火) 00:06:14 ID:BMAkCn4f
東をあずまと読めないならあずまっくすはどうすんだ
359名無しさん@ピンキー:2008/01/08(火) 00:21:11 ID:eDX0R0L4
ところで新ジャンルって日本語に直すと何になるんだろ
学園モノやりたくなったんだが
360名無しさん@ピンキー:2008/01/08(火) 00:22:46 ID:eDX0R0L4
あ、勿論決まらないのは学園名な
361名無しさん@ピンキー:2008/01/08(火) 00:22:57 ID:HlzPhZzz
新種別学園
362名無しさん@ピンキー:2008/01/08(火) 00:23:23 ID:d05EIP3a
あえて新境地と言いたいが、普通に考えたら新分類か。
363名無しさん@ピンキー:2008/01/08(火) 00:23:56 ID:d05EIP3a
>>361
そっちのが適切か。
364名無しさん@ピンキー:2008/01/08(火) 00:26:23 ID:eDX0R0L4
びっくりした。みんな返事早ぇよww
365名無しさん@ピンキー:2008/01/08(火) 00:51:18 ID:rMPso06u
新種別だとなんだか体育会系ね(w
366名無しさん@ピンキー:2008/01/08(火) 12:27:10 ID:vV3B+xKP
だけど新ジャンルって基本学園物じゃね?
男と女って高校生みたいだし。
ドSとか九音さんシリーズもそうだろ?
新ジャンル学園ってのも有るし(笑)
むしろここは新たな舞台を加えてみるのはどうかな?かな?

たとえばー新ジャンル会社
社長がヤンデレ秘書が中二病…


だめかーorz
367名無しさん@ピンキー:2008/01/08(火) 21:32:45 ID:eDX0R0L4
九音「るんるん〜♪今日は帰り道、どんな話をしようかなぁ〜〜♪」

ピロロロ ピロロロ

九音「健人くんだ。はいもしもし?……え、一緒に帰れなくなっちゃったの?
   ………委員会の仕事。そんな、わたし待ってるよ!……遅くなりそうなの?
   ……うん。健人くんがそう言うなら、先に帰るね……」

九音「………………」

………………………
………………
………

後輩「すみません、先輩。無理に残ってもらっちゃって」
健人「……ううん、同じ担当なんだから。僕も手伝わないとね」
後輩「私がドジなばっかりに」
健人「いいって。それよりほら、早く終わらせちゃおう」
後輩「……終わらせたく、ないかもです」
健人「えっ?」

パサ

後輩「あ、落ちましたよ」
健人「あ」

触れ合う、手と手―――

後輩「………………」
健人「…………」
九音「……」

健人「誤解だ!!」
後輩「うわぁ!?な、なんですか!?」
健人「い、いや。ね、拾ってくれてありがとう。でも、それだから!それだけだから!!」
後輩「………………」

九音「………」


新ジャンル「気配はある」
368名無しさん@ピンキー:2008/01/08(火) 22:04:09 ID:eDX0R0L4
男「今日も今日とてなんかでかい屋敷。二人暮らしなのにこんなでかい家に住む必要があるんだろうか……?
  アイアンメイドは普段は格納庫にいるし」
女「お帰りなさいませご主人様」
男「ただいま。……アイアンメイドで思い出したけどあれ、メイド型ロボだよな?」
女「そうですが?」
男「詐欺だろ。どこがメイドなんだよ。なんか最近のモビルスーツみたいじゃんか」
女「装甲がドレスっぽいし、白黒じゃないですか」
男「パトレイバーに似てるんだよなぁ…」
女「……む。じゃあ、ご主人様は美少女メイド型汎用武装兵器が欲しいと、そう仰るのですね?」
男「汎用、から下はいらない。普通の美少女メイドロボな」
女「………美少女ならここにいるのに……」
男「え?なんか言った?」
女「なんでもないです。じゃあ、お望みどおり造ってさしあげます!メイドですから!」
男「……いや、それメイドの仕事じゃないだろどう考えても」

………………
…………
……

プシュゥゥゥ…

女「と、言うわけで完成しました美少女メイド型汎用武装兵器、剣ちゃんです!」
男「おお。金髪、アホ毛、青いドレス!そして……」

剣「貴方ガ私ノますたーカ」

男「………………………なあ、この死んだ軟体類みたいな顔はなんですか?」
女「参考にしたフィギュアがそんなんだったんですもん」
男「………………」
女「………………」
剣「貴方ガ私ノますたーカ」


新ジャンル「邪神メイド」
369名無しさん@ピンキー:2008/01/08(火) 23:17:07 ID:zfIAzoib
――『私立新醤油学園』

女「しん……しょう、ゆ?」
男「しりつしんじゃんる学園な。転校生?」
女「え、はい。でも何で?」
男「ウチの読み方を知らないから」
女「でも、どう見てもしょうゆですよね?」
男「……学園成立前のことだ。初代校長と教頭のあるやり取りがあってね」

教「では、私と校長を含め、集められた者達の総称を取ってこの『新ジャンル学園』という名前を採用という形で」
ロ「うん。しんじゃんゆがくえんね。いいなまえだねー」
教「……いえ、校長。しんじゃんゆではなく、新ジャンルです」
ロ「だから、しんじゃんゆでしょ」
教「新とジャンル。言えますか?」
ロ「ばかにしないでよー。しんとじゃんるでしょ」
教「新ジャンル」
ロ「しんじゃんゆ」
教「……」

先A「えぇ、この名前何ですかっ」
先B「新ジャンル学園で決まりの方向ではなかったのですか」
教「いえ、校長がうまく発音出来ないので、それをそのまま当てはめました」
先C「よりによってこの字ですか」
教「丁度いいじゃないですか」
先A「しかし、これは……ないでしょう」
教「この学園は校長を中心に回っています。そのことをお忘れなきように」
先A「……」
先B「……」

男「そして、この学園は新醤油学園に。せめてもの、ということで横に小さくnew-genreと書かれているわけ」
女「へー」
男「今じゃその校長も教頭もいないけど、生徒からは妙に気に入られて、そのまんま残されているんだ」
女「なるほどー。てっきり醸造の学校かと」
男「ははっ。あ、あともうひとつ残ってるものがあった」
女「なに?」

痴「諸君。わたしは公明正大でありたいと思う。嘘をつかず、隠し立てをせず、自分に正直でありたい」
女「そう何も隠さない」
ク「だから、この通り服も着ない。教壇で隠すような真似もしない。前の方の生徒はヘアーまでばっちり見えているだろう?」
|「後ろの方の生徒の為に私の隠さないま○こから何までスクリーンで、かつハイビジョンに克明に映し出している」
ル「じっくり見たまえ。興奮するか。ついでに今ここでオナニー実況もしてやろう。もうおもらししたみたいだろう」
校「そこの男、壇上に上がれ。ここでもわかるよ。そのままじゃ苦しいだろう。ヌイてやる。隣の女子、同じように上がって手伝いなさい。なに、こけしも用意してあるから退屈はさせないよ」
長「……おほん、諸君、わたしはここまで公明正大になった。今度は君達の番だ。さぁ脱げ。脱ぐんだ。校則を変えた。脱がないと即退学だ。さぁさぁさぁ!」

男「この学園は校長を中心にまわってるってとこ」
女「転校します」

新ジャンル「新醤油学園後期始業式」
370名無しさん@ピンキー:2008/01/08(火) 23:37:14 ID:eDX0R0L4
男「おいどうした。なんかやつれてないか?」
友「……浮気がばれた。男。嫁って怖いな……」
男「そうかな?」

男「……っていう話があったんだが、仲直りさせてやる方法はないかな?」
女「なるほどねー。でも男くん、その必要はないわ」
男「なんで?」

女「昔、仲のいい男たちで集まって自分が怖いと思うものを話あった。
  幽霊、雷、己の才能……そんな中、一人の男はこう言った。俺は饅頭が怖い。
  仲間たちは饅頭が怖いなんて、と面白がって男を倉に閉じ込め、沢山の饅頭を放り込んだ。
  しかし、期待された男の恐怖の叫び声は聞こえず、倉の中は静かなものだった。
  不思議に思った仲間たちが倉を開けてみると、そこには饅頭を美味しそうに食べる男の姿があった。
  男は饅頭をほおばりながら一言。『今度はお茶が一杯怖い』」

男「つまり……そうか、嫁が怖いっていうのは惚気話だったのか!!」


友「よ、嫁……勘弁してくれ。もう出ない、物理的にもう出ない…」
嫁「駄目!はい一本1000円のすっぽんドリンク!」
友「アッー」

ある意味正解でございます、と


新ジャンル「小噺」
371名無しさん@ピンキー:2008/01/08(火) 23:46:30 ID:eDX0R0L4
>>369
校長の回転率高そうだなw
372名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 00:13:39 ID:ryRVp8GD
>>370
おそまつー。
GJ。
373名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 01:01:26 ID:bnoSTHhU
女「元々は島だったそうですよ、御主人様」
男「?」
女「だから最初は亀島でした、でも時がたつにつれ土砂がたまって地続きになって、亀村になりました。
それから三丁目附近にあった臥龍梅庭の井戸「亀ヶ井」と混同されて…」
男「ちょと待て、お前が言いたいのはひょとして東京都江東区の地名じゃ無いのか?」
女「流石は我がマスター!イエス、マイロード」

新ジャンル「亀戸」
374名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 01:06:07 ID:dGNdumfK
>>369
恐ろしい子……!!

初代ロリ校長→現在の痴女クール校長の間にはどんな校長が…
375名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 00:15:02 ID:5+CTG15I
>>369
新醤油=しんじゃんゆ
に萌えた..orz
つかこのバカ!もう…ホントにバカ!W(褒め言葉

ところで流れトン切ってわるいが
しつもーん
ジョンの両親の名前と何年前に死んだか知りたいだけどだめ?
レイジュは1500才なの?
ラルゲリュウスが悪人なのか教会に組織が腐ってるのどっち?
まだヒミツならいいですw。
376名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 05:02:02 ID:+A57FzET
ジョンの両親については完全に思いつきなんですよね。だから超適当で。
一応、ジョンの物心つく前って言ってますんで死去したのは20年くらい前になるんじゃないでしょうか。
父、マルコ・ディ・フルカネリ。優秀、でもショタ。ちびまるこ。
母、サリー・テクマ・フルカネリ。明るい性格で町中に夢と笑いを振りまくのが趣味。


教会は別に悪の組織っていうわけではなくて、目標はマジメに世界平和だったりします。
ちなみにこの世界とはあくまで『人間の世界』であって、
別に魔族や、ひいては神族でさえどうなろうが知ったこっちゃありません。
超簡単な解説としては、

魔王によって世界が崩壊しかける(外敵に対してのトラウマ)
→神族登場、勇者を派遣(勇者が『人間の力の象徴』みたいになる)
→また同じことが起きたときでも大丈夫なように備えよう(勇者選定制度の維持)
→でも異教徒、言うこと聞かない。勝手なことされると困る(異教徒粛清)
→長い時を経て、理念をすっ飛ばして制度だけを重視する輩が増える(腐敗化)

……てなワケで巨大組織にありがちな問題を抱えているのが今の聖堂教会です。
ラルゲリュウスはどっちかっていうと敬虔な聖職者なんじゃないかなぁ?
ただ政治家でもあるので他の権力者の意見(大半は上手い言い回しの保身)もないがしろにできないし、
コロコロと教会の方針も変えられない。
しゃあない、裏でレイジュとか使って暗殺してもらうかー。みたいな?
377名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 07:43:07 ID:veWK4KS7
早速の解答トンですノシ
20年程前、おお丁度よかったじゃちょと使わせていただきます。
> 父、マルコ・ディ・フルカネリ。優秀、でもショタ。ちびまるこ。
>母、サリー・テクマ・フルカネリ。明るい性格で町中に夢と笑いを振りまくのが趣味。
ちょwwCX日曜18時代夫婦かよWWW
レイジュの人も見てたらお答えいただけると嬉しいです。
378名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 20:36:48 ID:CbliZRG0
wikiの方には18歳って書いてあるな
外見年齢が18で止まってるけど実年齢は1500歳ってことかな?
379名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 21:10:24 ID:/3VUwdno
>>376
つかジョン母は魔女っ子か(笑)
>>378
前の話だと見かけ18歳だと思うけど、1500年続く一族の、ってニュアンスともとれるかな?
380名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 00:34:03 ID:kSWn4G8R
「しんじゃんゆ〜がくえんのこうちょうです〜」

だめだ!!ロリ校長が頭から離れないorz
もしかして…「変」?
381名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 00:57:42 ID:W86WYjRi
胸を張れ。それは変だ
382名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 19:28:51 ID:NfDG5j+9
「戀」って言う奴居ないのか?
383名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 19:29:31 ID:Ol6EZjKg
懸かもしれない。
384名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 00:26:38 ID:75nRlXqs
・キリマンジャロ
婆言葉を使うロリ。高い山の頂きに住み、仙人と呼ばれている。

・トラジャ
虎柄ネコミミパーカーを着ている元気娘。下着も虎柄。虎柄ブラジャー。

・マンデリン
ものっすごいデレるお嬢様。でもどちかっていうとヤンデレ気味。

・グアテマラ
下ネタ好きの大女。よくあるお姉タイプだが、攻められると弱い。

・モカマタリ
縁側の備品と化しているほどのんびりや。今日も膝に猫を乗せて、ひがなまったり。

・ブルーマウンテン
ブルマ装備。常に『一位』と書かれた旗を持っている。スパッツ派のトラジャとは仲がすこぶる悪い。

・ブラジル
お金が無くて服が買えなず、同じ服を着まわしている貧乏娘。下着も替えが無いので生乾きで湿っている。ブラ汁。

・ハワイコナ
明るい関西人。ハワイに実家があり、よく友人を招待したがる。ハワイ来な!

新ジャンル「コーヒー」
385名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 00:59:58 ID:mZZN0HIX
今日初めて「今日も今日とて・・」シリーズを読んだ。
知り合いに薦めて回りたい。
でも自分がエロパロ板にいるって知られたくないw
386名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 01:52:01 ID:75nRlXqs
男「今日も今日とてスゲーでかい屋敷。ああ、隣の家の生活音丸聞こえだったあの頃が懐かしい……」
女「お帰りなさいませーご主人様ー!」
男「ただいま。最近キャラ変わらないな、お前」
女「迷走期は過ぎたよですしね。結局スタンダードに落ち着いたみたいですね」
男「……で、お前何やってるの?」
女「この間の剣ちゃんを参考に新しいメイド型汎用武装兵器を開発しているんですよ」
男「汎用から下は何とかならんのか。っていうかアレを参考にするな。頼むから」
女「今回はちっちゃくて可愛くて、フリフリの服とか着せたいなあ、なんて」
男「ほぉ……へぇ〜……」
女「な、なんですか?」
男「いや、お前も女の子っぽい顔するんだなぁって」
女「し、失礼な!私だって可愛いもの好きですよ!?」


男「………で、なんでできたのがまた死んだ軟体類みたいな顔なんだよ!」
女「可愛いじゃないですか。この虚ろな目がまた」
男「この顔でチビ人間とか言われたら殴るしかないな……」
女「まきますか?まきませんか?」
男「間引け」

新ジャンル「ローゼンメイド園」
387名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 02:00:47 ID:75nRlXqs
女「ご主人様、何をなさっているんです?ゲーム?」
男「おう。ウイニングイレブン。今日も今日とてウイニングイレブン」
女「なんだ、サッカーじゃないですか」
男「……なんか文句ありそうな言い方だなぁ」
女「サッカーってよくわからないんですもん。ルールとかややこしいし」
男「そうか?……まあ、オフサイドとか素人にはわかりにくいかもなぁ」
女「手で持ったら駄目なんでしたっけ?」
男「そこからか!」

新ジャンル「ハンドメイド」
388名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 16:46:47 ID:75nRlXqs
女「揉んでー洗ってー踏んでー叩いてー煮るー♪」
男「今日も今日とて何やってるんだ?」
女「ああ、ご主人様。染色ですよ」
男「染色?」
女「ええ。綺麗でしょ?マルベリー」
男「まるべ……何?」
女「マルベリー。桑の実ですよ。この深い紫がなんとも言えませんねー」
男「ふーん……(なんだよ、ちょっと女の子っぽいじゃんか……)」
女「ちなみにこれがかの有名なドドメ色です」
男「ふーん……」

新ジャンル「ドドメイド」


く、苦しい……誰かお題を……
389名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 18:06:14 ID:pEBtcLU6
ネタが無いならムリに書かない!
いいから頭を休めていなさい!
390名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 21:12:35 ID:B8Hdosks
そんなに苦しんでまで…
このお馬鹿さんwww (褒めこry

お題になるか知らんけど、こんな語彙もあったり
Maidos(トルコの地名)とかMaiduguri(ナイジェリアの地名)とかMaidstone(イギリスの地名)とか
Maidment(人名・姓)とかMaidu(ネイティブインディアンの部族名)とかMaida (人名)とか
391名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 21:23:47 ID:dI8dzBUa
メイドインヘヴンでメイドがイソフラボンを摂取するというネタは


駄目か。


新武術姪道を開発するというネタは


駄目だな。


何故かエジプトのメイドームに皆で行くというネタは


駄目だ駄目だ駄目だ。


男「というわけで、ここに枯れた井戸を用意してみた」
女「……あえてノーコメントでいいでしょうか?」

新ジャンル「ダメイド」
392名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 21:41:31 ID:RzHSSazm
めいどありがとう



「つまんないだじゃれですね わかりかねます」
「うわあああああん」
393名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 21:57:56 ID:B8Hdosks
>384を見て思いついた

・トウバンジャン
とても熱血、刺激的で攻撃的、そしてヒート。しかしシングルに向かない。テンメンジャンとのタッグは世界に名を轟かせる。

・テンメンジャン
甘さも辛さも備えた大人でクールな人。トウバンジャンとのユニット「マーボー」だけでなく、シングルで北京鴨と渡り合える実力者。

・チーマージャン
DQNっぽい名前だが、甘えるのも甘えられるのも好きだったりする。シングルでは棒々鶏との名勝負で有名だが、トウバンジャンのとタッグ「タンタン」も強力。

・エックスオージャン
エリートでゴージャス、でも最年少なロリ。万能な彼女は単独でこそ真価を発揮。トウバンジャンの妹。

しんじゃんゆ「新醤油学園:醤の四天王」

…でもヒロインっぽい転校生も出て行ったしロリ校長も教頭も居ない今、どう話を広げたものだろうね
394名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 22:04:01 ID:RzHSSazm
>>393

「オラァ!」

「がはっ…こ、コイツつえー!逃げろ!」
「うわああ!」

「ケッ、雑魚が…アンタ、大丈夫か?」

「…………」
「?」

「ありがとう〜♪怖かった」
「うお?!抱きつくな離れろ!」


こうして、喧嘩番長こと男とチーマージャン
395名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 22:05:38 ID:RzHSSazm
ああ、途中送信しねよ

「ありがとう〜♪怖かった」だきっ
「うお?!抱きつくな離れろ!」


こうして、喧嘩番長こと男とチーマージャンは出会ったのだ

後に、同じ学園の生徒だと判明する――――


PS3専用ソフト「喧嘩番長 新醤油学園戦乱絵巻」発売未定!!
396名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 22:22:08 ID:pEBtcLU6
PS3かぁ……PCエンジンなら……なんとか
397名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 23:39:49 ID:XrnaARgO
初代ロリ校長が成長して高校生(口調&体型ロリのまま)になって、教頭の息子とのコメディ路線はどうだろう?

ロリ「しんじゃんゆがくえん…久しぶりです」
教息「あ、こら。じゃりっ娘が来るんじゃねぇ」
ロリ「む〜」


新ジャンル「新醤油学園青春編 復活のロリ」

…駄目?
398名無しさん@ピンキー:2008/01/13(日) 02:00:18 ID:cc2+zO1C
だめじゃないっす!いいっす!
399393だが:2008/01/13(日) 09:13:47 ID:y95K8K3H
>369
>394-395
>397

えーとまとめると、
ロリ校長命名のしんじゃんゆがくえんは現在恥女クール校長の支配下にあって
生徒のトップには四天王が君臨する
で、その一人のチーマージャンは喧嘩番長こと男とのフラグを立て始めてる
さらに、学園を奪還するため成長した初代ロリ校長が舞い戻るが、そこで教頭の息子と巡り合う

で、おk? てかそもそもお主はなにを書きたかったのかね>359
400名無しさん@ピンキー:2008/01/13(日) 10:32:31 ID:kK5krbLG
>シングルで北京鴨と渡り合える実力者。
これに吹いたw
401名無しさん@ピンキー:2008/01/13(日) 10:46:24 ID:/WKQK9IE
>>369好評すぎて吹いたw
書き手としては冥利に尽きる

>>359はぜひ頑張ってくれ
402名無しさん@ピンキー:2008/01/13(日) 23:28:54 ID:cc2+zO1C
>>399
たいしたことじゃない。
剣道部部長・洋人(ヒロト)と副部長・巻(ローラ)、謎の転校生・璃羽(リュー)が織り成す
学園生活というネタを思いついただけだ。
というかバン○ーブレード見ててヒロトの剣道着の臭いに興奮するローラを思いついただけだ。
でも別にそのネタでわざわざスピンオフやんなくてもいいよなーっていうことに気付いてしまったから
別に頑張らないことにする
403名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 00:09:11 ID:aMKO/ZWW
なるほど
ならオリジナルな世界観でも描けるわな
しかし臭いフェチな姫君とはマニアックなww

…なんとなく小手あたりは臭いが凄そうな気がする
404名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 04:06:35 ID:Ph+htZ6k
>>402
実をいうとそれを奈良シリーズでやろうとしたのが東大寺浩斗なんですが
それを俺がやっちゃイカンだろってことで、人としてダメ教師の相手役にw
名前だけでまだ出てこない春日乃詩香はローラ役だったんですけどね。
チラウラスマ
405名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 10:34:25 ID:3RIiCEMZ
>>404
そうなのかー
ちょっと見る目変わるな
そっちもwktkるぜ

だが今は俺のターン
前やった妹モノはリリアン女学園的な義兄妹だったけど、
今回目指したのはガチで爛れた姉弟モノ

投下します
406おかえり ダメ姉さん(1/9):2008/01/14(月) 10:35:59 ID:3RIiCEMZ
 
ぼくの姉さんはいわゆるダメな大人である。
どれくらいダメかっていうと、お酒が大好きな癖にビールは炭酸だから飲めないし、
惚れっぽくて好きな男の人がコロコロ変わるし、
夜中に一人でトイレに行けないくらいダメな大人である。
一応社会人になったんだから独り暮らししたいなぁと口癖のようにいっているけど、
姉さんみたいなのが一人暮らしなんかしたら三日で干物になると思う。
なにせコールスローさえ満足に作れない姉さんだ。
そりゃあ付き合った男と端からフラれるってもんである。

まあ、ダメな人間は傍から見てて勉強になるからいいんだけど。反面教師的な意味で。

「まーくぅぅぅぅん」

姉さんが帰ってきたようだ。おかえり、ダメ姉さん。
この時間帯に帰ってくるってことは、どうやら新しい男とは別れたらしい。
七日か。まあ、平均だな。

「姉さんねぇ、彼氏に振られちゃったよぉぉう」
「見ればわかるよ姉さん。鼻水拭きなよ。汚いから」
「うぅ、ごめんねぇ……」

姉さんはティッシュを五、六枚引き抜くと、ズビビと豪快に鼻をかんだ。
姉さんは繊細に見えて意外とこういうところが男らしい。
そこがギャップとなってますますダメに見える。
逆なら萌えポイントなのにね。

「で?今回はなんて言ってフラれたの?」
「ギャフン!なんでまーくん、姉さんが振られたって知ってるの?」
「さっき姉さんが言ったんだろ」

姉さんは若年性痴呆症のケもあるようだ。今度病院に連れて行ってみよう。
あの頭の輪切り写真と撮る機械で視てみたら、案外脳みそが虫並みにしかないのかもしれない。
………虫に脳みそってあったっけ?
まあどっちでもいいけど、男を見れば恋に落ちる程惚れっぽい姉さんより
一応相手を選ぶセミとかの方が賢い気もする。
セミに謝れ、姉さん。

「………生まれてきてごめんなさい」

よろしい。
407おかえり ダメ姉さん(2/9):2008/01/14(月) 10:37:05 ID:3RIiCEMZ
 
「ねえまーくん、なんで今姉さん謝ったの?」
「生まれてきたからだろ」
「そっかー。ってまーくん酷い!!」

よーし、姉さんはとりあえず泣き止んだようだ。
これで事情が聞けるぞ。どうでもいいけど。

「はっ!もしかしてまーくん、姉さんを元気付けるためにわざと姉さんを罵ったというの!?」

その通りさ姉さん。

「さすがねまーくん!だから大好き!」

姉さんはダメな大人だ。
何かあるとすぐに抱きついてくる。よくこんなんで社会人が務まるもんだ。
姉さんの仕事は良く知らないけど、よっぽどやることない部署に違いない。

「ふーんだ。それはまーくんの前だけだもん。外では姉さん、結構ピシャッとしてるのよ?」
「……だったら家でもピシャッとしてなよ姉さん」
「やーですー。姉さんはまーくんに甘えるために生きているのですー」

歳が離れているせいだろうか、小さい頃から姉さんはよくぼくを構っていた。
そりゃあもう、昼も夜もないくらいに。
おかげでぼくはかなりの姉さんっ子であり、姉さんがいないとすぐ泣くようば少年だったそうな。
……それがはっきりと逆転したのはぼくが中学生に進学した頃だったと思う。
その頃から姉さんは以前から悪かった男癖がますます悪くなり、
しょっちゅうぼくに泣きつくようになった。
そして、それが起きたのだった。

「………ねえまーくん、慰めてくれないの?」

胸元にすがりついていた姉さんがぼくの首に腕を絡め、甘く囁く。
その唇は濡れ、息は熱い。頬はうっすらと紅をさしたように染まっている。
どうやらぼくの体臭を嗅いでいるうちにスイッチが入ったらしい。

―――そう、姉さんはとことんダメな大人なのだ。
なにせ、弟の身体を求めてくるんだから。

社会の常識も慎みもない、本当に救いようのない、ダメな姉さんなのである。
408おかえり ダメ姉さん(3/9):2008/01/14(月) 10:38:03 ID:3RIiCEMZ
 
「―――慰めるって、慰めてるじゃないか」

だから、ぼくは意地悪をする。
姉さんの頭を優しく撫でて、それで終わろうとする。
もちろん、ダメな姉さんはそれで泣きそうな顔をするのを知ってのことだ。

「違うの。まーくんの身体で、慰めて欲しいの」

―――懇願の言葉はひどく生臭く、濃厚な雌の匂いがした。

ぼくは嗜虐の笑みを自覚しながら、勿論すぐに姉さんの求めに応じるなんてことはしない。

「ダメだよ、姉さん。何をどうして欲しいのか、ちゃんと言わないとわからないよ?」

囁きながら姉さんの胸をまさぐり、すでにこりこりに硬くなっている乳首を捻る。
姉さんの喉から、反射のように小さく声が漏れた。そのまま背中に手を伸ばし、
下着の止め具を外すとゆっくり円を描くように腰の辺りを撫で、火照っていく熱を感じた。
姉さんは切なそうにしている。
ぼくの手は段々降下してゆき、尾てい骨にも届きそう。
でも、ここから先へは進まないことを姉さんは知っていた。
これはまだ愛撫とさえ言えないような触れ合いであり、そこから先どうするかは姉さんが決めることだ。
ぼくは近親相姦なんて人の理を外れた行為を甘受するつもりはない。
ただ、姉さんがあまりにも憐れに思えるからこそ、情けをかけてあげるのである。

「ああ、まーくん。まーくん」

姉さんは切なそうに腰を振り、ぼくの頭を包み込むようにして抱きかかえる。
すぐ傍で熱い息がかかり、少しくすぐったい。ぼくの耳を甘噛みして、何度も名前を呼ぶ。
懇願の声は語らずとも何を求めているのかわかるほどだ。
でも、ちゃんと口に出さないと伝わらないこともあると思うよ?ねえ、姉さん。

「お願い―――まーくんのおちんちんで姉さんのおまんこ、たくさん擦って気持ちよくしてほしいの……。
 姉さん、まーくんしかいないの……まーくんじゃなきゃダメなのぉ………」

ぞくぞくとした快楽が背筋を駆け上っていく。
ぼくの口元はきっと、三日月のようになっているに違いない。

弟であるぼくが言うのも何だが、姉さんは美人だ。
口を開けばダメ人間であることはすぐにわかってしまうけど、
黙っていたらなかなかのものだと思う。
でも、ぼくは知っている。
姉さんが一番綺麗に見えるのは、こうやって涙を浮かべてひざまづいて、
惨めな捨て犬のように媚びへつらう姿だということを。

―――ぼくだけが、知っている。
409おかえり ダメ姉さん(4/9):2008/01/14(月) 10:38:56 ID:3RIiCEMZ
 
「ああ、仕方が無いなぁ。姉さんは本当にダメなんだから」

柔らかい胸の感触を鼻っ面で楽しみながら、一点、硬く存在を主張している部分を口に含み、吸う。
そうして胸に意識を向けさせておいて、知られず背中に回していた手をつつっとスライドさせ、
不意打ちのような形で尻肉を鷲掴みにした。

「ひゃぅ」

愛撫は少し痛いくらいが丁度いい。姉さんはそれが一番興奮するのをぼくは知っていた。
それだけじゃない。姉さんの身体の嗜好なら、ぼくが一番よく知っている。
服は自分で脱ぐより脱がされるほうが好きだとか、脇の下、肋骨の辺りを舐めなぞられると弱いとか、
キスするときに呼吸が苦しくなるほど唾液を流し込まれるのが好きだとか。
さながら、ぼくはヴァイオリニストのようだ。
姉さんを巧みに扱い、鳴かせて、淫靡な調べを奏でていく。
でも―――こうやって姉さんを悦ばせるのも、
突き放したときに姉さんの情けない泣き顔を見るための下準備に過ぎないのだ。

「あ、はぁ、あン、まーくん、わたし、イく―――」

姉さんの声が一段高くなる、その瞬間にぼくは愛撫を止めた。
姉さんは思ったとおり極上の、嗜虐心をさらに加速させる顔でぼくを見る。
もう少しだったのに、ひどい―――そう言いたいのかい?姉さん。でも違うだろう?
一人だけで気持ちよくなろうなんて、姉さんのほうがよっぽど酷いと思わない?ん?

「ご、ごめんなさい、わたし―――」
「いいさ。姉さん、ぼくで感じてくれて嬉しいよ」

笑い出しそうになるのを堪えながら、細かく震えている姉さんの肩を抱き寄せる。
姉さんは安心したように微笑んで、やっぱりまーくんは優しい、なんてのたまった。


ああ、

本当に、

姉さんは可愛い。
410おかえり ダメ姉さん(5/9):2008/01/14(月) 10:39:56 ID:3RIiCEMZ
 
姉さんはお詫びにと、今度はぼくの身体全身にキスの雨を注いでいる。
ついばみ、跡を残す口付けなんてさせない。舐めるような奉仕だ。
てらてらと自らの唾液が糸を引く様子を見て満足そうに目を細め、
姉さんは味蕾で直接ぼくの身体を味わうように舌を蠢かせる。
そのおぞましさときたら、土砂降りの雨の中アスファルトの上を這いずる蚯蚓の方がまだ上品に感じるほど。
あまりの浅ましさにくらくらする。

姉さんは愛撫を下へ下へを進め、ついにその部分にたどり着いた。
求めるぼくの膨れ上がった部分に、姉さんは喉を鳴らす。
姉さんの痴態をさらに引き出す鉤は未だ下穿きの中に潜み、
しかしその存在は最早隠せないほどになっていた。

餌をねだる小動物のような目で姉さんが見上げてくる。
雄に媚びる雌の貌。
熱に浮かされたようにとろりと濁ったそれは、ぼくの好きな姉さんの表情のひとつだ。
ぼくがつま先で姉さんの茂みの奥をつつくと、
そこは案の定、既にしたたるかと思うほどにぐっしょりと濡れていた。

「―――なんだ、姉さん。まだちんこ食べてもないのに、
 こんなにびしょびしょになっちゃったのか。いやらしいなぁ、姉さんは」

くすくす笑うも、姉さんはもうぼくの言葉なんかほとんど耳に入っていない様子だった。
焦点は揺れ、口元はだらしなく開いて涎を垂らし、ひくひくと時折痙攣している。

「あ、は―――なの、だめ、な―――おちんちん、ないと、どうにか―――なっちゃうのぉ……!」

興奮しすぎてろれつも回らないのか。潮時だな。
これ以上焦らしたら、我を忘れた姉さんに組みしかれかねない。
ぼくはやれやれと肩をすくめると、ジーンズとトランクスを脱いで姉さんに向き直った。

「さあ、おあがり。姉さん―――」
「あ、あぁ……おちんちん、まーくんの―――おちん、ちん―――」

むわ、と解き放たれた熱気が濃厚な異臭となって姉さんの鼻腔を満たし、
その理性のひとかけらも残さずに砕いていくのが目に見えてわかる。
姉さんは飢えた獣のようにぼくの下半身にむしゃぶりついた。
そそり立つペニスに頬ずりするようにして根元から裏筋を舐め上げる。
恥垢を味わえないのが不満なのか、えら張った亀頭を転がし、口に含んで歯に軽く引っ掛け始めた。
舌とは違う硬い感触が心地いい。
411おかえり ダメ姉さん(6/9):2008/01/14(月) 10:40:46 ID:3RIiCEMZ
勿論ひとつ力加減を間違えればぼくは激痛に襲われることになり、
そんなことになれば姉さんには金輪際フェラチオをさせてあげないと脅してある。
その時の姉さんは真っ青になり、世にこんな絶望があるものか、と涙を浮かべて許しを乞うてきた。
大丈夫、ヘマをしなければまだ姉さんの相手をしてあげるから、と安心させるのもひと苦労な程に。
まったく、手間のかかるダメな姉さんだ。本当に。
まあ、そのおかげか、姉さんはフェラチオが格段に上手くなったのだけど。
じゅぽ、ぶぽぽ、と唾液とカウパー液のカクテルをすする姉さんにマナーなんてない。
あるのはただ、水では癒せない喉の渇きを潤そうとする色欲だけだ。
けだものを躾けるには罰―――それもフェラチオをさせないという罰は、
この精液中毒者にとって致死にも勝る罰則である。
そりゃあ神経も使うってものだろう。

―――射精感がこみ上げてきた。
姉さん曰く、射精の兆候は味変わるのでわかるようで、
全体を舐るのではなく亀頭のさらに先端、鈴口をちろちろと細かく刺激して白濁を催促する。

「欲しい、あ、あぁ、はぁっ!まーくん、欲しいのぉ、ぐぽ、精子、せいしぃいぃィ!!」
「出すよ―――たっぷり味わいな、姉さん―――!!」

びゅくるるっ!びゅるるっ!!

発射する直前、姉さんの喉の奥に自ら性器を突っ込んでスペルマを叩きつけた。
咽喉から食道へ、胃へ―――味わう間もなく直接臓腑に注ぎ込んでいく。
姉さんにしてみれば陸で溺れるような感覚だろう。肉体の反射として腹から内容物が逆流するのを、
それでも意思の力で吐き出すことなく、反芻して逆に味わい、飲み干す。
うん、それでいい―――自分から欲しがったものを吐き出すなんて失礼にも程があるからね、姉さん。

「げほ、ごほ、まーくん……おいしいよぉ」

咳き込み、苦しみながらも満足げに目を細める。
でも、まだその熱は醒めずにらんらんと瞳の奥で揺らめいていた。
そりゃあそうだろう、まだ姉さんのお願いをぼくは叶えていないのだから。
412おかえり ダメ姉さん(7/9):2008/01/14(月) 10:41:58 ID:3RIiCEMZ
 
『お願い―――まーくんのおちんちんで姉さんのおまんこ、たくさん擦って気持ちよくしてほしいの……』


―――なんて穢らわしい、ぼくの愛しいダメな姉さん。

胃袋では満たされない、そのもっと下。
子宮が満ちてこそ静まる欲望に身を焦がし、自制もきかずに股を開く。

雄を、求める。

馬鹿な女だ。貴方を満たせる男なんて、このぼく以外にいないのに。

……まあ、別にいいけどね。

「あの、まーくん。あのね、わたし……」
「わかってるよ。さあ、おいで。姉さん―――」

―――それを理解しているからこそ、ぼくは姉さんの男好きについて諌めようとはしない。
放っておいても、どうせすぐここへ帰ってくるとわかっているからだ。
ぼく自身、姉さん程抱き心地のある女を知らないし。
姉さん以外の女など、どいつもこいつも途中で腰が抜けてしまう話にならない肉袋だろう。
姉弟だからか。いや、姉弟なのに、というべきだろうか。
ぼくたちの相性は66億分の一の確立で出会うツガイのようにぴったりなのだった。
傍にいられる幸運に感謝するべきだろう。
とうに、結ばれない不幸などこの快楽の前には些細なものとなっている。
ああ、今おかしな言い方をしたな。
結ばれない?違うだろう。
ぼくたちは、今こうして結ばれているじゃないか―――。

「はいる、はいってくよぉ、まーくんっ!」
「いいよ、姉さん―――気持ちいい」
「まーくんも!?まーくんも!?嬉しい、わたしも―――姉さんも、気持ちイイよ!
 挿入(イ)れただけで、もぉ、ずっと、イッてるのぉぉ――――――!!」
413おかえり ダメ姉さん(8/9):2008/01/14(月) 10:43:26 ID:3RIiCEMZ
 
姉さんがぼくの上で跳ねる。
腰を動かすたび、ぱちゅん、ぱじゅん、と水音が弾けて飛沫が散る。
膣内の襞が肉棒を愛撫し、子宮口が亀頭とキスをしているのがわかる。
カリが愛液を掻き出し、もう下腹部の上はびしょびしょに濡れていた。
よく見ると、ストロークのたびに潮を吹いているらしい。
件の姉さんといえば、よがりすぎてほとんど何を言っているのかわからない。
上体を支えるだけの力がないのか、ぼくの上に覆いかぶさって、
それでも腰だけはがくがくと別の生き物のように止まらずにいた。

「は、ぐ、ぉあひ、気持ち、イ―――あ、まーくん、おまんこぉ、すご、ひぐぅぅぅっ!!?」

恥骨が砕け、火花が飛ぶ。

「いいのぉ、いいのぉ、コレ、が―――ぁぁああッ!?あ、ひぁ、一番―――あぁ、狂っちゃ、あ、ああッッ!!」

腰から下が融解して、離れなくなる。

「もぉらめッ!もぉらめッ!ひんじゃぅ、ひ、死んじゃ―――ン―――るぅ、くるぅうッ!
 来るの、来る、すごいの、狂ぅッッ!!」

もう腰を振っているのかがくがくと痙攣しているのかわからない。
しかし快楽を得られるのならそんなことは関係なく、
ただ、この肉壷を破壊するように抉る肉槍を貫き穿つ――――――!!

「あ」

そして、

奥に、

届き、

「あ、あ、ああぁぁぁぁぁぁぁああぁぁああああああああ――――――ッッッ!!!!」

放つ。

襞という襞が肉棒を絞り上げるように蠢き、ぼくは姉さんの子宮にたっぷりと精を注ぎ込んだ。
満たす悦び、満たされる悦びが重なる。
ぼくと姉さんはお互いを抱きしめあい―――しがみ付きあい。
やがて、くたりと力が抜けてずるずると倒れこんだ。
414おかえり ダメ姉さん(9/9):2008/01/14(月) 10:44:48 ID:3RIiCEMZ
  
「―――はぁ、はぁ―――出る……」
「え?」

脱力した姉さんがうわ言のように呟く。
と、まだ繋がっていた下半身に温かい感覚が広がっていった。
おもらしだ。
どうにもここ最近、姉さんに変な癖がついてしまったようで頭が痛い。
事の最中での粗相は興奮しないこともないけど、終わった後はちょっと困る。
後片付けが大変なのだ。
おまけに―――。

「姉さん、ちょっと」
「……ん、くぅ……」

姉さん寝るし。
ということは、ぼくが処理しなければならないということか。
まったく、姉さんのダメっぷりにはあきれ果てる。トイレもまともに行けないなんて、
オムツからやり直したほうがいいのではないか。
こんなでかい赤ん坊の面倒を見るなんてぼくはご免被るが。

「はやくいいパートナー見つけて、ぼくの手を煩わせないようにしてくれよ」

なんて、呟いてみる。

―――多分、そんなことにはならないだろうな、と思いながら。

すぅすぅと寝息を立てる姉さんが、んむ、と唸って寝返りをうった。


きっと、この関係に得られるものはなにもない。
倫理も禁忌も家族愛も情欲さえも、全ては圧倒的な悦楽に翻弄されくらげのように漂っている。
行為は性交というより、他者を使った自慰に等しい。
きっとお互い、異性として姉を、弟を見ていないのだから。
それがわかっているからこそ、姉さんもぼくも何も変わらずにいる。
姉さんはぼく以外のオトコを求め、ぼくは適当に彼女でも作って遊び呆けるだろう。
ただ、それで満足することもないに違いない。
禁断の果実は蕩けるほどに美味で、それに比べれば他の食べ物など砂にも等しいと感じてしまった。
ぼくらはきっと、そういう星の下に生まれてきたから。
ダメな弟はずっとここにいて、いつだってダメな姉を迎えるだろう。


―――おかえり、ダメ姉さん。

そう、静かに微笑みながら。


                 おかえり ダメ姉さん〜新ジャンル「姉」妖艶伝〜 完
415名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 14:22:56 ID:ogle0LEV
まったく朝から何てものを。
GJ!
416名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 16:00:11 ID:sBsoNApr
お陰で目がさめたぜ、GJ!
417名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 17:31:50 ID:tjdDan/7
エロくてイイ!んだが

>セミに謝れ、姉さん。

に吹いたWW
418名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 22:59:16 ID:bCye9kK9
(校門前)

ロ「わたしはしんじゃんゆがくえんこうのてんこうせいです」
教息「…じゃりっ娘じゃねえか。ここは高等部だっつーの。少等部は隣だよ」
ロ「むー。わたしはじょしこうせいー!!」




教息「…ったく。あれで本当に高校生かよ…
はぁ…疲れた」
ロ「あ、さっきのめつきとくちのわるいひと」
教息「…人を指差すな。あと案内してやったんだから、悪口で人を呼ぶんじゃねぇよ」
ロ「なまえしらないですし、とくちょうでよんだだけです」
教息「…じゃりっ娘、名前なんて言う?」
ロ「きくときはまずじぶんからなのるべきです」
教息「…」
ロ「…」



新ジャンル「君の名は」
新醤油学園 青春編



名前がないといまいち…

あ、番長と最初の転校生(♀)も名前ないよね?
419名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 23:03:00 ID:3RIiCEMZ
なんか新シリーズ始まったwwww

YOU勝手に名前付けちゃえYO!
420名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 23:24:21 ID:NSochYwP
そりゃ……真智子と春樹だろう
421名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 01:52:29 ID:Uxx2QZxQ
校長室に差し込む自然光を遮る分厚いカーテン。
薄暗い部屋に鮮やかな絨毯。その上に直立した4つの影と、これらに向かいあう1つの影が伸びている。

そして影の一つ、この部屋の主が口を開く。
恥女クール校長(以下恥) 「報告を。」

これに答える4つの影。
トウバンジャン(以下豆) 「はっ。本日0800時、ターゲットが監視レベル3の生徒と接触しました。」
四天王が筆頭、私立新醤油学園生徒会会長は答える。

テンメンジャン(以下甜) 「接触した生徒は初代教頭の子息です。…しかしターゲットも監視対象も互いの立場に気づいていない様子でした。」
四天王が一人、私立新醤油学園生徒会副会長も続ける。

チーマージャン(以下芝) 「………………………。」
四天王が一人、私立新醤油学園生徒会会計は顔を赤くしてモジモジしている。どこかの誰かを妄想してるらしく、上の空のようだ。
豆が振り下ろしたハリセンでこちら側には戻ってきたが、ちょっと涙目だったりする。

エックスオージャン(以下X)「………………………。」
四天王が一人、私立新醤油学園生徒会書記の立ち位置にはマネキンが立っている。
その手にはボイスレコーダが握られており、動作中であるランプが点灯している様子に甜は眉をしかめる。

どうやら仕事に対するモチベーションの個人差は大きいようだ。そんな様子の生徒会幹部に対し、校長が再度口を開く。
恥「すぐに私に逆らう様子はないか…。しかし監視は絶やすな。不穏な動きがあれば身柄を拘束してこい。」

豆 甜 芝「「「はっ!」」」
そして消える3つの影。マネキンが握っていたボイスレコーダーも共に姿を消していた。

そして手元の冊子に目を落とす校長。
恥「ふふふふ。不穏な動きがあった時はコレに役にたってもらうか。」
そのページにはSMグッズの品々。ギャグボールと手錠の項目に付箋が貼られていたりする。
おもむろに席を立ち、窓際のカーテンを開ける。視線を向けた先には一組の男女の姿があった。
恥「児童ポルノ法施行以来ご無沙汰だからな…ハァハァ。」

新ジャンル「わるだくみ」新醤油学園野望編
422名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 02:04:36 ID:E86FPm5l
その頃、喧嘩番長こと男は―――――


「た、助けてくれー!」
「折角だから俺は逃げるぜー!!」

「ハッ、この程度かよ…最近の族ってなァなっちゃいねーな、おい」

「っと…アンタ、大丈夫か?」
「…はい、ありがとうございます」
「気をつけな、あーいうのはこの辺ワンサカ居るんだ…じゃあな」


弱きを助け、強きを挫いておりました。
礼は勿論要りません。族が慰謝料代わりにお金とか置いてってくれますから。

新ジャンル「喧嘩番長」新醤油学園乃男の章
423名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 11:40:50 ID:dJUB5Vzn
>>388のメイドシリーズが来ないので勝手に二次をば…
気に入らなかったらスルー願う


男友「はぁ〜…男の奴には美少女メイド+豪邸が来たのに、俺には何もない…オンボロアパートでエロDVDでも見るとすっか…」
メ「お困りの様ですね、男友様」
男友「お、男のメイドさんではないですか」
メ「お願いがありますので…」
男友「???」



男友「こ、これは………
美少女メイドロボwithきよぬー!!しかも3体も!!」
メ「先日ご主人様にご依頼を受けて作った物ですが」
男友「…すげー」
メ「余りにも出来が良すぎまして…私の存在価値が霞んでしまう恐れが」
男友「…もらってもいいんですか?」
メ「是非お持ち帰りを」



男友「という訳でお持ち帰りさせてもらったが…起動スイッチはやはり」
(ぽちっとな)
メ1「ご主人様」
メ2「マスター」
メ3「男友様」

男友「うほー!オパーイがスイッチかよ!!お約束だね!!」

メ1「ご主人様、早速ですが…」
メ2「ご奉仕させて」
メ3「頂きますわ」

男友「うおー!正に男のロマンだぜ!」

新ジャンル
「SHIMAIDON」


「…というネタはどうだろうか?」
「ネタとしてはパクりの上、使い古し。洒落としては論外、ボツ」「あ〜もうOSHIMAID…」
「DAまれ」
424名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 13:10:07 ID:RvJQ5VYw
>>369にしろメイドにしろ勇者シリーズにしろ、自分の出したネタをまた別の人が拾って
話を広げてくれるってのはいいもんですねー

あ、でも醤油学園は本人さんかな?
425名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 22:03:36 ID:8xbXN3VG
>>423
ちょww姉妹丼wwwwwww
426名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 00:33:57 ID:chGODr9y
だが断る!w
427名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 11:31:07 ID:sz2p3XC7
教息「…今朝は変なのと関わったなぁ。お陰で朝からヘトヘトだぜ」

ガラッ

先生「こらー席につけ!!
…いつもの事ながら転校生を紹介する」
教息「ほんとこの学校転校生多いよな…」

ガラッ カツカツ

教息「!?」

ロ「こんど、てんこうしてきました『囲炉裏真智子(いろりまちこ)』ですー。よろしくおねがいします」



ロ「…まさかおなじくらすだとはおもいませんでした」
教息「…こっちもな。何か困った事有れば相談しな」
ロ「え?」
教息「知り合ったのも何かの縁だしな、仲良くしようや」
ロ「えーと…」
教息「青山春樹(あおやまはるき)だ。…よろしくな」
ロ「はるきくん、よろしくですー(ギュッ)」
教息「いきなり名前で呼ぶな。あと手を握るな!」
ロ「はるくんて、はずかしがりやさんですねー」
教息「あだ名に変えりゃ良いって訳じゃねぇ!(////)」



新醤油学園 青春編
「純情きらり」

く、苦しい…

>>424
私が書いてるのは「青春編」のみです。元ネタ及び野望編、男の章は他のかたが執筆されています。
428名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 12:18:34 ID:2Tiphl1O
>>427
よきかなーよきかなー
速攻懐かれてるはるくんいいなw
429名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 22:41:46 ID:4W1bTgF5
喧嘩番長編は俺な


「いいから蓮華の話も書け」
430隠密、推して参る[前編](1/10):2008/01/18(金) 01:06:12 ID:QbbYGUFp
 
さて、クシャスの街はちょっとした騒ぎになっていた。
昨夜突如現れた、それまで見たことも無い、灰色のドラゴンの強襲である。
そのドラゴンは古代の結界を食い破り、温泉を襲撃して一人の少女をかどわかし飛び去っていったという。
そんな龍が出没するとなれば聖堂教会は嬉々としてこの異教徒の街に介入するだろうし、
温泉街として築き上げてきたクシャスの信頼も地に落ちることとなる。
さらに警備隊の調べでは、少し離れたカルデラ湖が丸ごと消滅しているという
とんでもない事態になっていた。
いったい何が起きたというのか、というか何をどうすればこんな『根こそぎ』の破壊が可能だというのか。
クシャスの町の長は頭を抱えた。
こんな危険な魔獣が現れたとあってはもう気に食わないだの何だの言っていられない。
一刻も早く国なり聖堂教会なりに協力を要請して、
聖堂騎士団を―――いや『勇者』を派遣してもらわなければ。
あのカルデラ湖のように、クシャスがまっさらなクレーターになってからでは遅いのだ。

それに、その少女は今どれほど心細いだろう。
いや、状況から考えて生きているとは限らない。
あの少女の連れ添いの人たちは、今頃どんな気持ちでいるのだろう。
絶望と希望の狭間に置かれ、ごりごりとやすりで身を削られるような思いの中でただ祈っているに違いない。
しかし、現実は冷たく、残酷だ。
もし、などという言葉は圧倒的な現実の前には大時化に翻弄される小船のようなもの。
それが無事港に着く可能性は限りなく、低い―――。
ああ、ここで奇跡でも起きて、偶然にも勇者がこの街に滞在してくれていたら……。
この絶対的絶望の暗黒に、光が差し込むというものなのに。
おお、勇者よ。
君は今、何処にいる………?

「ここにいるぜッ!」

突然、ばがん、と町長室が蹴破られる。
悩めるクシャスの民の前に飛び込んできたのは短髪の男、小柄な少女、長身の女性のシルエットであった。
バサァ、と翻るマフラー。背には大きな十字手裏剣、バンダナには額当て。
白い歯がキラリと光を放つ、そう、彼らこそは誰が呼んだか異色の勇者。
その名は……!
431隠密、推して参る[前編](2/10):2008/01/18(金) 01:07:46 ID:QbbYGUFp
 

「………と、いうわけで、お客様の捜索には『勇者』リューマ・イシカワ様のご協力を頂ける事になりました」

呼び出された町長室。ドラゴン襲撃について察知できなかったことを謝罪され、
しかし幸運にも救いを求めるものには救いの手が差し伸べられるというか、
救出作戦は決行されると拳を握り締め熱く語られたヒロトとジョンは
揃ってアゲハ蝶の幼虫を噛み潰したような顔をした。

………なんか、大事になってる。

ドラゴン襲撃て。
まあ傍目にはそう見えたかも知れないが、あれはなんというか、
焦りとすれ違いと早とちりの三拍子揃った不幸から引き起こされた悲劇であり、
しかもとっくに解決して件のかどわかされた少女も宿に戻って今はくぅくぅと寝息を立てているのだ。

しかも勇者?
勇者ならここに二人もいますけど、なんでまた増えるんだ?

ジョンはこめかみを押さえた。
一箇所に勇者が三人も集結する、そんな事例は今まで何度あったことか。
しかも偶然。教会に召集をかけられたとかならまだわかるが、
何の打ち合わせも無くこんな温泉街で勇者が三人もフラフラしてるなんて、一体誰が思うだろう?
ちゃんと仕事しろ!
などと、自分たちのことは棚に上げて怒るジョン。

「………ええと、勇者…」
「リューマ様です」

リューマ・イシカワ。

ヒロトの出身国でもあるヒイヅルに選定された一人目の勇者だ。
なんでもかなりの気分屋で、風が吹いたから南に行こう、というようなマイペース至上主義らしい。
また極度の戦闘好きでもあり、本来勇者は参加できないはずの
闘技都市のコロシアムに飛び入り参加して優勝を掻っ攫い、
賞金はお客さんたちに!と派手なマイクパフォーマンスをして喝采を浴びたかと思えば
どこからか飛んできた苦無を後頭部に受け失神、
リングに上がってきた無表情の女の子に引き摺られ去っていったとかなんとか。
432隠密、推して参る[前編](3/10):2008/01/18(金) 01:08:48 ID:QbbYGUFp
 
勇者の義務であるところの各街にある教会巡礼もサボりがちで、
一時期行方不明どころか死亡扱いにさえなっていたという有名な不良である。
品行方正、マジメに勇者をやっているヒロトやジョンとは対極にいる存在とさえ言えた。

「……それでも、聞く限りでは実力は確かです。その神速は誰の目にも捉えられないとか」
「ううん、そりゃあね。俺にスピードで勝てる奴はそういないわなぁ」

ならば余計にタチが悪い。
だいたい、こっちも勇者だと知られたら戦闘狂のリューマのこと、嬉々として挑みかかられるに決まっている。
ジョンは武勲という点ではパッとしない研究職の勇者だからまだいいが、
ヒロトなんかは完全に戦士職。しかも『始まりの勇者』の再来とさえ謳われる『龍殺し』である。
きっと目を輝かせながら噂に聞く神速でどこまでも追いかけてくるに違いない。

………正直なところ、ヒイヅルの話には興味が尽きないがそれ以上にリスクが大きすぎる。
ここは丁重にお断りするのが吉だろう。

ジョンとヒロトは視線で会話し合い、頷いた。
短髪の男があからさまに不満そうな顔をする。
そんな顔をしても駄目だ。厄介事は煙に巻いてとっととドロンが一番なのである。

「―――って誰だ!?」

びっくりした。
いつの間にか会話に紛れ込んでいた、この軽薄そうな男。
黒髪に黒い瞳、ヒロトと同民族系の顔立ちだが、なまじパーツの造型が似ているため逆に全く似ていない。
こいつは確か昨日のコーヒー牛乳を奪っていった男ではあるまいか。

「リューマ・イシカワ。行方不明のお嬢さんは必ず俺が助けるぜ!」

ヒロトとジョンは顔を見合わせ、はあ、と溜息をついた。
433隠密、推して参る[前編](4/10):2008/01/18(金) 01:09:30 ID:QbbYGUFp
 

「―――で?結局そのリューマとやらと一緒に助けにいくことになったというのか。
 ………我を」

宿に戻った二人はとりあえず残っていた女性陣に事情を説明した。
昨日の一件が外でなにやら勝手に尾ひれはひれが付き、妄想の大洋を突き進んでいること。
間の悪いことにそこに勇者が居合わせて、騒動は収束するどころか後戻りできない領域に入ってしまったこと。
このままとんずらしてしまうのはどうにも難しそうだということ。

「考えてみたら、クレイドラゴンが本物の龍だと思われてるということは、
 このまま逃げたらこの土地のヌシに迷惑が掛かることになるしな」

ヌシとは地域ごとに生息する魔獣の管理人でもある。
クシャス一帯のエリアのヌシは岩猿スクナ・ハヌマーン・クシャス。
彼にとってはこの事件は正に寝耳に水だろうし、せっかく友好的な関係を築いているのに
人間の町にドラゴンをけしかけたのではと疑われるのも忍びない。

「良いではないか。ここはスクナに任せて行方をくらませてしまえば」
「………だから、関係ないヤツを巻き込むわけにはいかないだろう。
 それに元はといえば騒ぎを起こした俺たちが悪いんだしな」

部下に押し付ける気マンマンな魔王を半目で睨むヒロト。そこに、ローラが皮肉げに続ける。

「そうですとも。……というか、腹いせに湖を吹き飛ばすなんて何を考えていますの?
 廃墟街のときと成長がまるでないのではなくて?」
「違うわ馬鹿者!ヒロトが我の告白をスルーしたからだな!」

――――――。

つむじ風が一陣、どこからか葉っぱを運んでくるりと舞わせ、そして去っていった。
凍結。硬直。数秒たって、解凍。

『えぇぇぇぇぇえぇぇぇええええぇぇええ!!!?』

さらに絶叫。
リューは己の失言に気付いて真っ赤になり、ヒロトは眉根を押さえ―――
でも頬がちょっと染まっている―――ローラがビシィッ!とリューを指差す。
434隠密、推して参る[前編](5/10):2008/01/18(金) 01:10:25 ID:QbbYGUFp
 
「裏切り者!!」
「なんでだ!貴様、告白どころか求婚していたではないか!!」
「ねぇねぇ!リュリルライア様!なんて言って告白したんですか?ねぇ教えてくださいよぉ!」
「っていうかスルーですか。ヒロトさん、それはちょっと」
「……いや、スルーはしてないぞ。俺は思ったことを言っただけだが」
「なんだとこの天然スケコマシが!堂々と二股とはどんな身分だ!!」
「あら、王になるというお方なのですから妾の一人くらいかまいませんわ。無論、正妻はわたくしですが」
「ローラ貴様ァァァァアアアア!!!!」

リオルがきゃいきゃいとはしゃぎ、ジョンがそれに振り回され、
ローラが何故か勝ち誇り、リューがこめかみに血管を浮かび上がらせる。
ヒロトは―――。

「………リューマ・イシカワの対策はどうするんだ……?」

遠くを見つめていた。
それにしても。

「ヒイヅル、か……」

それはまだ見ぬ自分の故郷の名だ。
口にしてみると、そのなんと遠いことか。
実際の距離だけではない、それが自分の故郷だということが輪郭を持てずにいる。
おそらくはヒイヅルを訪ねたところで、それは自分にとって異国の地でしかないに違いない。
そんな場所に自分のルーツがあるとは、なんだかむず痒かった。
しかも始めて会ったヒイヅルの人間が自分と同じ勇者だとは。
数奇なものである。

「リュリルライア様を選べー!」

黄昏ていたヒロトの顔面に、リオルの投げた枕が直撃した。


第一次枕投げ大会はヒロトとリューの決着が付かないという結論に達した時点で中断された。
“天輪”vs.“豪剣”は幾度と無く繰り返された対決だが、
まさかエモノが枕になってまでぶつかるとはあきれ果てる。
といっても、リューの基礎体力はパーティ中最弱なので投げた枕は誰も仕留めることができず、
ただ魔法障壁に拠る絶対防御(反則)で最後まで音をあげなかっただけということは明記しておこう。
435隠密、推して参る[前編](6/10):2008/01/18(金) 01:11:07 ID:QbbYGUFp
 
「とりあえず、スクナに話を合わせてもらうことは必須だと思う」
「同感です」

煎餅布団を積み上げて作ったバリケードの上に腰掛けて、ヒロトはぴっと指を立てた。
それにジョンが頷く。

クシャスの民はスクナを土地神と崇めている。
いわゆる神族ではなく、この土地土着の信仰対象としての『神様』だ。
その信頼は今さら説明するまでもなく高い。
こちらにはその神様を従えることが出来る魔王様がいるのだから、
これを利用しない手はないというものである。
……といっても、極力巻き込むわけにはいかないので協力を得るのではなく、
無関係でいてもらうという方向ではあるが。
もしリューの姿を見て「魔王様!」などと叫ばれた日にはまた話がこんがらがること必至だからだ。
ドラゴン襲撃事件は首を突っ込まずに洞窟の奥でおとなしくしておいてください、なのである。

「で、ジョンとも話し合ったんだが話がここまで大きくなっている以上、
 いっそ本当にドラゴンはいるという腹で話を進めたほうがいいと思うんだ」
「え?」

生真面目なヒロトが積極的に他者を騙そうとする、その意外な姿勢にローラは声をあげた。
そこに、ジョンがボクの発案です、と続ける。

「……問題は、結界を壊したのがリューさんであるということです。クレイドラゴンを召喚したのもね。

あの程度、リューさんにとって手品レベルのことでしかないとボクらは知っていますが、
それを他者に説明しようとするとこれが大変に難しい。
結界を破壊し、あの精度を持つゴーレムを召喚して使役する。
それだけで既に“湖”の魔導師クラスのやることですから。

何故あの状況でそんな強大な魔力の要ることをしたのか―――普通はその場から走り去るだけのこと。
魔導師の名家でもないリューさんは一体何者なのか―――そもそも人間ですらないじゃないか。
カルデラ湖を消し飛ばしたのはいったい何者なのか―――地形を変えるほどの魔法を
痴話喧嘩で行使するなんてありえない。

………などなど、取り繕おうとも探られればボロが出ることは目に見えています。
ならいっそ、はじめっからドラゴン襲撃事件として片付けさせてしまえばいいのではと思いまして」
436隠密、推して参る[前編](7/10):2008/01/18(金) 01:11:58 ID:QbbYGUFp
 
なるほど、確かに後ろめたいことは何もないくせに
世間に隠しておいたほうがいい秘密はやたらあるのがこのパーティである。
それを見ず知らずの勇者にペラペラ明かしていいものかは、今さら考えるまでもないだろう。
バカ正直なヒロトもそこは納得したようで、うん、と頷き、

「と、いうわけでリューにはもう一度クレイドラゴンを召喚して
 こっそり普通のドラゴンとして振舞わせて欲しい。適当に退治したらリューマも納得するだろうし」
「いや、適当に退治したらって。一応アレ、そこらのヌシなんか話にならない位強いんだが。割と硬いし」

ちなみにクレイドラゴンは決して傷つかない金属ミスリルと同じ硬さを持っている。
以前ヒロトにバラバラにされたが。

「……それは貴様の規格外が問題だ。本来なら攻城弓(バリスタ)の直撃を受けても
 毛ほどの傷も付かぬというものを」
「と、いうわけでいざというときは俺がクレイドラゴンを仕留める。
 リューは適当にゴーレムを暴れさせていてくれ。
 クレイドラゴンをやっつけたら、適当に助けだされておしまいだ」
「………………了解」

リューはなにやら納得がいっていないようだったが、頷いた。
なんのかんのいっても惚れている相手の頼みだ。断るという選択はない。

「リオルはスクナのところまで飛んで事情を説明してきてくれますか。
 終わったらリューさんと合流してフォローに回ってください。
 リオルの体質を知られるとまた面倒なことになりかねませんから」
「いえすさー」
「ローラは……救助メンバーだな。
 口が回るから、できればリューマが何か気付きそうになったらかく乱してくれ。
 これはあくまでドラゴンにさらわれた女の子の救出劇、それで納得させるんだ」
「わかりましたわ」

てきぱきと指示を出す勇者二人。その辺のリーダーシップは流石というべきか。
昨日の説教が少しは効いているのかと思うと、ローラは少しおかしかった。

「さて、行くか。リューを助けに」
『おー!』

ヒロトが立ち上がり、一同が続く(リュー含む)。

平和な温泉街に突如現れた謎のドラゴン。その魔獣はうら若き乙女を襲い、連れ去ってしまった!
果たして少女の運命は!?捜索に繰り出した勇者たちは、見事少女を救い出すことができるのか!?
その答えはまだ、誰も知らない!!
437隠密、推して参る[前編](8/10):2008/01/18(金) 01:12:42 ID:QbbYGUFp
 

そして―――ローラがふと、部屋を出ようとする足を止めた。
リューがクレイドラゴンを召喚したのは結界を壊した後のことだ。
しかし、噂ではドラゴンが結界を壊したことになっているらしい。
口伝いに話を広げる過程でそう切り替わっていった、それは間違いないだろう―――しかし。

「……………?」

頭をよぎった違和感についてローラは考え込もうとしたが、
ヒロトの呼ぶ声がしたのでそれ以上は一旦中断せざるを得ない。
……もしその場にジョンがいたなら、こと民衆に関しては勘の働く
ヴェラシーラ王女のローラを知っている彼なら、
その違和感についてもっと考えるべきだと言っただろう。
しかしその時、彼はもう宿を出て、勇者リューマとの合流地点へ歩き始めている最中だったため、
彼女の違和感はやがて砂のように崩れ、散っていくことになる。



街の入り口、恐ろしい形相をした二匹の猿が向かい合う石像の上にリューマはいた。
黒い装束に口元まで隠れるマスク。鉢金―――というのだろうか、
額に金属のプレートをあしらった長い鉢巻を巻き、背には大きな十字手裏剣を背負っている。

「シノビスタイル、ですわね」

ほう、とローラがため息をついた。それは果たして、感動しているのか呆れているのか。
シノビはヒイヅルが生んだ独自の情報工作のスペシャリストである。
手裏剣や特殊なカタナなど特徴ある道具を使い、
忍術と呼ばれる『言霊を用いない』魔法を操る彼らは世界で最も有名なスパイだとされている。
しかし実在するかもあやふやであり、未だまともにその姿を見たものはいないようだ。
それが、今、ここにいる―――。

「忍べよ」

ヒロトのツッコみである。
438隠密、推して参る[前編](9/10):2008/01/18(金) 01:13:27 ID:QbbYGUFp
 
「お、きたきた」

ヒロトたちの姿を認めると、リューマは口元のマスクを顎まで下げて
ニカッと人懐っこそうな笑顔を浮かべた。
そうして跳躍すると、次の瞬間にはもうヒロトたちの前に現れている。
綿がふわりと落ちるように着地の時音を発しない、それはあきらかに闇夜に働くシノビの業だ。
それだけで見事と感じるほどだが、こうも目立った恰好をしていては台無しだと思うヒロトであった。

「うわぁぁ、リューマさんはシノビだったんですね!」
「そだよ。あんたたちは何、もう準備できたの?」

シノビに感動しているらしいジョンに親指をたてるリューマ。
ヒイヅルのことは良く知らないヒロトだが、シノビについては聞いたことがある。
シノビは一流の戦士としても有名なのだ。
主に絶対の忠誠を誓い、命令を遂行するためなら
死すら作戦の一部として扱う様は世界規模で見ても類のない冷徹さを持っているという。
だが、なんかイメージと違うなぁ、というのが正直な感想だった。
………シノビって、こんなに軽いものなのか?

「案外、ただのコスプレかも知れませんわね」

ローラが懐疑的な目を向けている。
確かに、リューマは相当なてだれであることは間違いないだろうが、
それが噂通りの強さかというとそうではない気がする。
なんだか拍子抜けした気分だった。

「おおぉ!美人がいる!!」
「はい?」

今ローラに気付いたらしいリューマは、両手両足をあげて大げさに驚いている。
じろじろと無遠慮にローラを見つめて、大きく頷いた。

「うむ、スリーサイズは上からきゅうj」

何かがリューマのこめかみに突き刺さり、リューマは満足そうな笑顔のまま
吹っ飛ばされて地面をズザザザザと転がっていった。
その何かはくるくると回転すると、音もなく着地する。
女の子だ。
リューマと同じ装束を着た小さな少女である。
長いバンダナがひらひらと舞い、ふわりと落ちた。
突然のことに一同は声も出ない。
なにより、あれほどの飛び蹴りだというのに、その気配を全く察知できなかったのが驚きだった。
敵か。
いや殺気は感じない。
なによりこの黒装束、もしかしなくとも。
439隠密、推して参る[前編](10/10):2008/01/18(金) 01:14:45 ID:QbbYGUFp
 
「な、なにすんだよクルミ!」

砂埃を振り払って憤るリューマ。やっぱり仲間だったか。
クルミと呼ばれた少女は感情の読み取れない半目でリューマを黙らせたあと、
ゆっくりとローラ、そしてジョンに視線を移していった。

「―――9回、6回」
「え?」
「……リューマがその気になったら………さっきまででそれだけ死んでる」

……なんというか、返答に困る言葉だった。
ヒロトたちが絶句していると、クルミはぷいとそっぽを向いた。

「……リューマは、弱く…ない」
「あ……」

どうやら、リューマの軽さを侮っていたことが気に食わなかったらしい。
いきなり蹴り飛ばすから何事かと思ったが、彼女は彼女でちゃんとリューマを信頼しているようだ。
それにしても『死んでる』とは物騒な。
と、ふと思い立つ。
回数は二人分。
向けられた視線から考えるに、ローラとジョンのことだろう。
では、ヒロトは?

「うぉぉぉぉい、何いってんの!?―――悪いな。こいつ人見知り激しくって。
 こいつはクルミ。俺の連れだ。お仲間探索に参加するってことになってたんだけど、
 なぁ、お前今までどこにいたん?」
「…………………」

ぐりぐりと頭を撫で付けられるクルミ。
彼女は答えず、じっとされるがままになっていたが、
やがて解放されるとそれまで一瞥もしなかったヒロトを真正面から見つめた。
ヒロトは、知らずに息を飲んでいた。
クルミは相変わらずの無表情。しかし、まぶたが下りていた半眼は今やぱっちりと見開いて、
爛々とした黒がヒロトを映している。

「あなたは―――」

それはまるで、予言のように。
薄い唇が、滑らかに動く。

「1回」



                 隠密、推して参る〜新ジャンル「暗殺者」英雄伝〜[前編] 完
440名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 02:11:52 ID:5IUdYbZP
>>430
一番槍GJ! しかしレベルの高そうな枕投げだことで…
ともかく続きwktk

>>427
また勝手に話を被せてみた

青山春樹と囲炉裏真智子が再び巡り合った教室。
幼女にじゃれつかれて狼狽する少年の姿を冷ややかに見つめる一対の瞳があった。
そして、彼女はおもむろにバースト通信を開始する。

甜「ブラボーよりビッチ。ターゲットと監視対象が再度の接触を開始した。」
恥「………(目下の人間から雌犬呼ばわりとは……濡れてきたな)」
甜「…ビッチ?聞いているのかビッチ!」
恥「………ああ、すまない。で、内容は把握できているのかね?」
甜「えーと…ターゲットが監視対象の腕を掴んだ状態で
  『■■■■て、はずかしがりやさんですねー』『●●●●●●●●●●●●●じゃねぇ!(////)』
  ともかく、ターゲットの言葉に監視対象が激しく狼狽しているようだ。」

恥「ほぅ……。あの幼女、初日から言葉責めとは過激な…(いかん、鼻血が止まらんな)。
  ともかく、監視を続行してくれ(どくどくどく)。う……………が…ま(昏倒)」
甜「何だ今の断末魔は?おい?どうしたビッチ!?応答しろ!!」

新ジャンル「MISSION FAILED」新醤油学園野望編
441名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 11:25:51 ID:pcXwg/Do
>>440
四天王はコードネーム?
それとも本名?クラスメートで甜を匂わす様な子を出してみたいんだが?


ロリ校長こと囲炉裏真智子が転校してきて1週間
夏休み後の実力テストが返却された

女1「すご〜い!真智子ちゃんて頭いいんだ!」
真「たまたまです」
女2「全教科95点以上なんて学年ベスト3よ…
たまたまで取れる点数じゃない」
女3「可愛くて頭いいなんて…はぅ〜お持ち帰りしたいよお」


真『はるくんに【できるおんな】をあぴーるするちゃんすですね』

男友「ハル…相も変わらず面白味のない点だな」
春「…悪いかよ」
真「(キュピーン)はるくん、てすとどうでしたか?」
男友「あ、囲炉裏さん。
見ない方がいい、面白味ないハルのなんか」
真「みせてください」
春「…ほれ」



(食堂)
女1「真智ちゃん…泣きながらカレーとA定、うどん三人前と焼きそばパン食べてる…」
女2「…一体何が?」
女3「あんなに食べても変わらなくて可愛いままなんて…はぅ〜お持ち帰りしたいよお」

真『ぜんぶひゃくてんなんて…どこのかんぺきちょうじんですか…!』


新醤油学園 青春編
「まんてん」
442名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 20:57:24 ID:QbbYGUFp
>>440
がまww
どうした校長、最期の瞬間にライバルの嫌な笑みでも見たのかwwwww

>>441
レナっ娘が気になる俺
443名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 21:13:24 ID:QbbYGUFp
女 「おっはよぉ〜〜男くぅ〜〜ん♪」
男 「……あ、ああ。女さん、おはよう」
女 「あっはぁぁああ♪憂鬱な朝だけど男くんのあいさつのおかげで便秘が治りそう!
   男くん、今日も大好きマジで!」
男 「………は、はぁ…。女さん、学校ではハグはその、やめようよ」
女 「だ〜め!あたしは男くん分が足りないと眼球がパーンて破裂するの!」
男 「怖いよ生々しいよ女さん!」
友 「ケッ!見せ付けやがって、勘弁しろよなぁ!」
後輩「女先輩、男先輩にあんなにくっついて……妬ましい!」


翌日、校内でも有名な別れさせ屋に依頼が舞い込んだ……さて、依頼主は誰でしょうか?

A 「女さんは嫌いじゃないけどちょっと距離を置きたいんだ……」
B 「あたしと男くんに足りないもの、それは障害よ!恋は障害が多ければ多いほど燃えるのよ!」
C 「だってあいつらウゼえんだもん」
D 「男先輩はわたしのです!」

貴方の回答で物語が変わる!


新ジャンル「別れさせ屋」
444名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 21:38:49 ID:QbbYGUFp
男「なー、どっか行かねー?のだめ全部読んじゃったよ」
女「やー。今日は家にいるー」

男(なんで今日に限って……しかも微妙にアンニュイだし……ハッ!まさかこれは
  今日は家にいたい→家でできる遊びがしたい→でも飽きた→オトナの遊び、しよ?→セクロス
  の流れではッッ!!?)
女(鳥が低く跳んでたから今日は雨だね……髪の毛くるくるになっちゃう)

男「じゃ、じゃ、じゃあ、俺ちょっとコンビニ行ってくるから(コンドーム買いに)」
女「えー。なんで?」
男「なんでって!つけなきゃダメだろ?俺、お前が大事だし……」
女「(ワックスかな……?)う、嬉しいけどコンビニにあんまりいいの売ってないよ?」
男「だからってないよかマシだろ!?」
女「だいじょーぶだよー。(家の)中から出なきゃ」
男「(膣内に出さなきゃ!?)え?そ、そうなの?そんなもんなの?え、でも、保健体育じゃ……アレ?」
女「(天然ウェーブの髪の毛のことなんて)保健体育でやるわけないでしょ」
男「ガーン!じゃあ経験か!経験からか学んだのか!!」
女「そーだよ?」
男「ガガガガーン!!!!」
女「どしたの、男くん」
男「このビッチが!!」
女「なんで!?」


新ジャンル「雨降りそう」
445隠密、推して参る[後編](1/13):2008/01/18(金) 22:09:19 ID:QbbYGUFp
 
ドラゴンは通常、獲物を狩るときはその場で首なり頭なりを噛み砕き、絶命させる。
その後その場で貪るなり、巣に持ち帰るなりをするのだが、
昨日リューが攫われた場合はそうではなかった。
ドラゴンは生きたままリューをかどわかしたのである。
資料によるとそういった前例は、実は多々あるようなのだ。
古い童話に、悪いドラゴンに連れ去られたお姫様が王子に助けられるというものがあるが、まさにそれ。
あるドラゴンには美しい少女を巣に連れ帰り、そのまま生かしておくという奇妙な習性があるらしい。
そのドラゴンに見初められた少女はそのまま巣に放り込まれ、
果物や肉などを食事として与えられ、殺されることはない。
それどころか、財宝を集めてプレゼントするというから驚きだ。
目的は不明だが、研究者たちはこれを『龍の異種求婚』と呼んでいる。

「―――つまり、お仲間はまだ助け出せるってことだな?」
「ええ。攫われたのが昨日ですから、食べられてしまっているということはまずないでしょう。
 あとはドラゴンを見つけて、リューさんを連れ戻すんです」

ジョンはもっともらしく説明している。
―――曰く、人を騙すときは、口にする全てが嘘ではいけないという。
多くの真実の中に数滴の偽りを混ぜることで、初めてそれは嘘をして機能するのだ。
もちろん、『龍の異種求婚』という不可思議な行動は存在する。
リューが生きていることも、連れ帰ることも本当だ。
ただ、昨日ドラゴンにリューが攫われたという大前提が間違っているだけの話。
リューは今頃先回りして元・湖の近くに潜み、クレイドラゴンと一緒にスタンバイしているに違いない。
昨日あれだけ大暴れして、まだなお何かしようというのだから
この地のヌシたるスクナはあからさまに嫌な顔をするだろうが、
そのためにリオルが黄金色の饅頭(クシャス名物温泉ひよこ饅頭)を持ってなだめに行っていた。

「………………」

半眼で無表情の少女クルミはあれ以来一度も喋っていない。
何を考えているのか、あるいは何も考えていないのか。その表情から思考を読み取ることはできなかった。
普通に考えればこのパーティは一日限り、それも偽りのものなのだからわざわざ気に掛けることではない。
だが、なんとなく気になる………。
446隠密、推して参る[後編](2/13):2008/01/18(金) 22:09:56 ID:QbbYGUFp
 
「……心配ですわね」
「え?」

不意にローラに声を掛けられて、ヒロトは我に返った。

「リューさんのことですわ。話ではまだ無事とのことですが、それでも………」
「―――あ、ああ。そうだな」

頷く。
そう、そういえばリューを助けに行くという名目なのだった。
心配そうにしていなければ怪しまれてしまうだろうというのももっともだ。
上の空だったことについて反省していると、ローラが半目で睨みつけてきた。
そしてぼそぼそと呟く。

「………昨夜のことを考えていたんですの?」

一瞬、何を言われているのかわからない。
リューに告白されたことを言っているのだ、と気付いたとき、
ヒロトは自分の中に苦いものがこみ上げてくるのを感じた。

―――俺は昨日のことを、極力思い出さないようにしている。

卑怯な。
リューは大切な人だ。それはまず、間違いない。
だがそれはリューが望むような『好き』なのだろうか?
どう接してやるのがいいのか、ヒロトには見当がつかないのだ。
ローラにしてもそうだ。
今はヴェラシーラに帰るわけにはいかないが、
ローラはそれでもなおこうやってヒロトの旅に付き合ってくれている。
それがどんな意味を持つのか、自分は今まで考えたことがあったろうか?
もっと、彼女たちが望むことをしなければ。
しかし、どうすればリューやローラが喜ぶのだろう?

それが、よく、わからない。

だから、いつも通りにするしかない―――なんて、情けない。

「ローラ、ごめんな」

そう言うと、ローラはにっこりと笑った。
447隠密、推して参る[後編](3/13):2008/01/18(金) 22:10:32 ID:QbbYGUFp
 
「嬉しいですわ」
「え?」
「ヒロト様が、そうやって心根を話してくれること―――それが、わたくしには、とても嬉しい。
 別に気負うことはありませんわ。
 わたくしたちは貴方を好きになったのだから、貴方は貴方以上のことをしなくとも良いのです。
 そもそも女の子の扱いが上手いヒロト様なんて不気味ですもの。
 ただ―――少しは、甘えさせてくださいね?」

ぱっちりとウィンクする。
ヒロトは目を丸くして、呼吸も忘れていた。
色恋についてはやはり疎いヒロトだが、これだけはわかる。
この少女の器は破格である、と。

「わたくしも、貴方を愛しています。あの娘には負けていなくてよ?」

そう挑むように笑って、ローラは小走りにヒロトから離れていった。

「………ああ、そうか」

しばらく呆然としたあと、天を仰いで息をつく。
なんだかとんでもない少女たちに惚れられたものだ、という嘆息だった。
しかし、わからない。リューもローラも、とても美しく、一所懸命で魅力的な女の子だと思う。
それが、なんで自分のような人間を好きになったのか。

……そこが、なんとなく腑に落ちなかった。
448隠密、推して参る[後編](4「/13):2008/01/18(金) 22:11:10 ID:QbbYGUFp
 
「………ところで兄さん、アンタただもんじゃないだろ」

はっと気が付くと、ローラと入れ替わるようにリューマが近づいてきていて、
ニカニカと明るい笑顔を浮かべていた。
ただもんじゃない。
まあ、そう言われてみれば確かにただもんではないのだろう。
少なくとも、世界に七人しかいない勇者という肩書きを持つ冒険者なのであるし。
ヒロト自身はそのことについて特に深く思うところを持っていないのだが、
一応、世界最強を謳われる剣士なのであるし。
―――しかし、それは勿論、このリューマには話していない。
名前を名乗ったときも、これはジョンの提案だが、偽名を使った。
ここにいるのはただの冒険者、その名もモョモトである。
……そう名乗ったとき、ローラとジョンがものすごい顔をしたのは言うまでもない。

「偽名だしな」

しかもバレていた。
突然鼻っ面をつつかれた蝦蟇蛙のような顔をするヒロトに、リューマが思わず吹き出す。
そうして、別に責めちゃいねーよ、と言った。

「名前を呼ぶとき一瞬反応が鈍る。『ああ、俺のことか』みたいなな。
 あんた、人を騙すのに向いてないんだ。その辺、あの嬢ちゃんは見事なもんだけど―――」

リューマが視線を送ったのはローラである。

「ま、そんなことはどーでもいい。
 ただ、ウチのクルミがあんたのこと気にしてるみたいだからちょっとな。
 ああ、アイツは俺のだから手ぇ出すなよなー」

クルミ、というとあの半目の無表情少女か。
ヒロトにはそうは見えなかったが、きっと仲間内で感じることもあるのだろう。
ヒロトがなんとなくクルミを気にするのは、クルミがヒロトを気にしているのを
なんとなく察していたからだろうか。
ひとつ言えることは、それはどうあれ決して色恋に通じるものではないということである。

……なんとなく、うなじの辺りがちりちりした。

449隠密、推して参る[後編](5/13):2008/01/18(金) 22:12:04 ID:QbbYGUFp
 
そんなこんなで、一同が湖までたどり着いたのは午後になってからだった。
いや、元・湖か。一応川の水が絶えず流れ込んでいるものの、
未だあちこちに空いたクレーターに溜まっているという状態だ。いわば少し大きな水溜り。
噂ではドラゴンはこの辺りに潜んでいることになっているので、
彼らはまず二手に分かれて、ドラゴンの巣を発見次第他のメンバーを呼ぶことにした。
またこれは一方がドラゴンを引き付けておいて、
もう一方がそのスキに囚われのリューを助け出すという二段階の作戦でもある。

………まぁ、そんなことは別にする必要もなかったのだが。

「いますね」
「いるなぁ」
「丸見えですわね」

元・湖であるところの大きな穴。
すっかり露出したごつごつした岩肌の上にそれはいた。

昨日クシャスを襲った(ことになっている)灰色の龍。
クレイ・ドラゴンである。

体長は尻尾を含めて大体10メートル程か。
ドラゴンとしての大きさは普通だが、リューの術であるクレイドラゴンとしては小型のそれは、
救助隊を待ち構えていたように腕を組んで大穴の底で仁王立ちをしている。
その脇には、なぜかモノリスのような形の岩に磔にされたリュー。
両手は【緊縛】の魔法で縛られ、ぐったりしている。

「………なにやってるの、あの娘」

ローラがぽつりと呟いた。
口にこそ出さないものの、ヒロトもジョンも同じ思いであった。
リューは弱々しく顔をあげると、悲痛な叫びをあげた。

「嗚呼、どうして来たのだ?我なんかのために!今すぐ帰れ!
 こやつは、貴様らが敵う相手ではない!」
450隠密、推して参る[後編](6/13):2008/01/18(金) 22:12:39 ID:QbbYGUFp
 
大根も大根、カイワレ並の安っぽい演技である。
ようするに、リューは気付いてしまったのだった。
今回の自分が、いわゆる囚われの美女的ポジションであることに。

城にいたころは魔道書以外ほとんど読まなかった彼女だが、
ヒロトと共に旅をするようになって好きな本のジャンルに少しだけ変化があった。
………ズバリ、恋愛小説である。
その中にはヒロインが怪物に攫われてしまい、
主人公が命をかけてヒロインを救い出すというものもあった。
それを思い出したのである。

あまりにべったべたな展開。しかしそれ故に、

『GRRRRRRROOOOOOOOOOOOOOWWWW!!!!』

クレイドラゴンの強さはやたらにリアルだった。
翼を広げ、一度羽ばたいたかと思うとその巨体は既にヒロトたちの目の前にまで迫っている。

「―――なにやってるのあの娘ォォォォォォオオ!!」

ローラの悲痛な叫び声は叩きつけられた尻尾の衝撃で最後まで聞き取れず、地面と一緒に砕け散った。
捲れ上がった岩盤に乗り上げて、バランスを崩しながらも電撃で反撃するが
ドラゴンはぶるんと身震いしただけでそれを跳ね除ける。
そしてローラに噛み付くと、ポーンと空中に放り投げた。

「ひぇぇぇえええええ!!?」

高い。
空を飛ぶ術を持たないローラはなす術もなく落下していく。
このまま地面に叩きつけられたら、死にこそすまいが骨の二、三本は覚悟しなければならないだろう。
―――それを、跳んで受け止める。

「あ、れ……?」

ヒロトがローラをその腕で受け止めていたのだった。
お姫様ダッコ。全国の乙女が憧れるダッコである。
451隠密、推して参る[後編](7/13):2008/01/18(金) 22:13:13 ID:QbbYGUFp
 
「あー!!」

何故か囚われのリューが声をあげた。
精神は繋がっているのか、ドラゴンが歯軋りして地団駄を踏む。なかなか面白い光景である。

「ジョン、ローラを頼む。……っていうかホント、何やってるんだリューは」
「ま、まぁだいたいわかりますが……いいんじゃないでしょうか。
 設定上このドラゴンは強いにこしたことはないというか」
「そうですわ。ナイス、リューさん!ナイス!!」

電撃の効かない相手と見て、ローラはさっさと戦線離脱。
また、クレイドラゴンには対生物攻撃である“霊拳”は効果を持たないのでジョンも撤退。
二人でリューの『救出』に向かった。
さて―――。

『VVVVRRRRRWWWWW!!!!』

クレイドラゴンの機嫌はすこぶる悪そうだった。
腹からこみ上げる憤りを示すように、尻尾をムチのように地面に叩きつけて頭を何度も振る。
―――その首が、ぎしっ、と止まった。

『GGRRR……ッ!?』

首周りに何事か呪刻が浮かび、クレイドラゴンの頭を固定していたのだ。
これはまぎれもない、【緊縛】の魔法。
いや呪文を用いず、手と指の組み合わせ『印』で術の発動を行う
ヒイヅルの魔術形式のひとつ、“忍法”である。
452隠密、推して参る[後編](8/13):2008/01/18(金) 22:13:47 ID:QbbYGUFp
 
「ナイス、クルミ!!」

クルミのサポートを受けて、リューマは跳んでいた。
背に負っていた巨大手裏剣。その刃をたたんでひとつにすると、その形状は紛れもない大剣。
それを、固定されたクレイドラゴンの脳天に叩き付けた。

『―――GRR……ッッ!?』

直撃を受けたクレイドラゴンがぐらりと揺れる―――が、倒れない。
【緊縛】に拘束されたまま、長い尾でリューマを払いのける。
しかしリューマも攻撃がたいして効いていないと見るやすぐに身体を捻り、
叩きつけられた尻尾に逆に自ら足をかけて大きく飛びのいていた。

「か、硬ぇ〜ッ!なんだありゃあ!?」
「リューマ、もう抑えきれない。………術、解く」

ぱきん、と軽い音を立てて刻印が砕ける。
龍の懐に飛び込んで一撃を見舞ったリューマもリューマなら、
そのサポートをし、短時間ながらもドラゴンを押さえ込んだクルミもまたかなりの実力者だった。
クレイドラゴンの方も、標的に足る相手と定めたのかギロリと黒曜の瞳を二人に向ける。

「うわー、おっかねー」
「……がんば」

次の瞬間にはシノビたちはもうそこにはいない。
奔り、跳び、高速で巨獣を翻弄する。
クレイドラゴンにしてみれば竜巻の中にいるようなものだろう。
傍から見ているヒロトでさえ眼で追うのがやっとの神速だ。
クレイドラゴンには―――リューには、なにが起きているのか認識できているのかも怪しい。
打撃を、斬撃を、魔法を、雨のように受けるクレイドラゴンはしかし、反撃すらままならない。
なにせ爪を振り回してもリューマにはかすりもせず、逆に背後からクルミの鎌鼬を浴びるのだ。
いかにクレイドラゴンが高いパワーを持とうとも、
触れられないスピードを前には意味すら持たないだろう。
クレイドラゴンにはなす術もなかった。
453隠密、推して参る[後編](9/13):2008/01/18(金) 22:14:30 ID:QbbYGUFp
 
(―――ええい、こんなはずではッ!)

リューにしてみれば、まったくの予想外の出来事である。
彼女にしてみれば、クレイドラゴンの相手ができるのはあくまでもヒロトだけであり、
リューマなど昨日食べたお刺身の上に乗っていたタンポポのようなものだったのだ。
ドラゴンを倒し、囚われのリューを助け出す王子様はヒロトだったはず。
なのに蓋を開けてみればクレイドラゴンはリューマとその連れの少女に翻弄され、
リューのところに駆けつけてくるのはにっくきローラと理屈屋のジョン。
きっと乙女のロマンなど理解しようともせずに説教をしてくるに違いない。
ああ、リオルならわかってくれるだろうが今彼女はきっとスクナと杯を交わしている最中だ。
そうなると、もうマジメに捕まっているのもバカらしい。
リューは手元の拘束を解除すると、カッカとした頭でクレイドラゴンにさらに魔力を注ぎ込んだ。


『GGSSSSYYYAAAAAAAAA!!!!』

クレイドラゴンの様子が変わった。
黒かった瞳が見る見るルビーのような紅になり、全身から放たれた魔力の波動で地面が隆起する。
それだけではない。大口を開けたクレイドラゴンの舌先が波紋のように歪み、
そこから超・高密度の魔力波が放たれたではないか。

――――――“天輪”!?

恋乙女の想いなどまるっきりわからないヒロトは仰天した。
魔力波は地面の上をなぞったかと思うと、一瞬の間を置いて大爆発を起こす。
山の頂上、カルデラ湖跡地の地形がまた少し変わった。
―――間違いない、リューはクレイドラゴンを強化したのだ。
なりは小型だが、こと性能に於いてはかつて魔王城で召喚されたそれを上回るかもしれない。
あんなものを作るとは、本当に邪悪なドラゴンでも演出するつもりか!?
もし手違いでリューマが死んでしまったらどんな最悪よりもなお悪い事態になってしまう。
勇者殺しの魔獣となると聖堂教会は威光を保つためにも総力をあげてこの地に押し寄せてくるだろう。
無論ヒロトやジョンを含む他の六人の勇者にも『使命』が下り、
勇者リューマを葬った邪龍の殲滅が行われる。
勿論、調査の過程でことの発端であるヒロトたちにも疑いの目がかかるに違いない。
そうなったら―――考えたくもない結果が待っている。
454隠密、推して参る[後編](10/13):2008/01/18(金) 22:15:11 ID:QbbYGUFp
 
「あいつ……ッ!」

ヒロトは、それまで傍観していた彼はついに剣を抜き、地を蹴った。
リューが本気でリューマを殺してしまおうとしているとは考えられない。
と、いうことはまた何かしらの理由で癇癪を起こしているということか。
クレイドラゴンを叩き斬ったら、また正座で説教してやらないと―――。
ヒロトは柄を握る手に力を込め、呼気を吐いた。

「覇ァァァァァァァァアアッッッ!!!!」

―――その隣を、高速で何かが駆けていく。

「悪いね、兄さん!」
「な………ッ!?」

リューマである。
ヒロトを追い越しながら、印を組む―――
―――『静かに』のジェスチャーのように立てた指をもう片手で握り、同じように指を立てる―――
その、クレイドラゴンを挟んだ反対側では彼の相棒が同じ印を組んでいた。

「「喝ッッ!!!!」」

声が重なり―――そして術が発動する。
地面に突き立てられた五本の苦無が共鳴し、りん、と涼やかな音を立てた。
描かれる五芒星。
東の地で編み出されたその図形はあらゆる魔を滅する祓えの刻印だ。
それは無論、洋の東西に関係はなく―――。

『GYAGGGOOOAAAAAAAAAA!!!!』

クレイドラゴンの身体に亀裂が走る。
神速の猛攻は苦無を地面に打ち込むためのブラフに過ぎない。
彼らは、最初の一撃が効かなかった時点ですぐに物理攻撃を捨て、
この術印による祓えに切り替えたのである。
果たして、クレイドラゴンは肉体に満ちた魔力を『祓』われて断末魔の叫びをあげた。
そしてミスリルの強度を持つ最高位の魔獣はただの粘土に戻ってぼろぼろと崩れ、土塊となって倒れ臥す。

―――ヒロトが出るまでも無かった。
455隠密、推して参る[後編](11/13):2008/01/18(金) 22:16:16 ID:QbbYGUFp
 
強い。
特殊な武具を使いこなす技術に以心伝心のコンビネーション、
鍛えられた技と相手を見切り、有効な攻撃手段に切り替える判断力。
そして何より、疾風のような身体能力。
そこまでに至るには巌を玉になるまで磨くような努力が必要だったに違いない。
ただただ、感服した。

しかし、それでも。
彼らはただ、『知識』という一点を欠いている。

『GGGRRRRRROOOOWWWW!!!!』

「―――な……!?」

破壊された肉体を再構成して、クレイドラゴンは立ち上がった。
そもそも魔王の傀儡であるクレイドラゴンに死という概念はない。
破壊はできるが、魔王が再び魔力を注げば元通りだ。
もし完全に消滅させたくば術者であるリューの魔力が枯渇するまで破壊し続けるしかないのである。
あるいは魔王城の時のように、彼女が再生するのを止めればそれまでだが―――。
わざわざ強化までしたクレイドラゴンが斃されたとあっては、
ますます頭に血が上っているだろうことは想像に難くない。


(―――喰らえぇぇぇぇぇぇぇいッッ!!!!)


収束する魔力に歪む空間。
直死の砲台である“天輪”が広がり、無防備なリューマの背を狙う。
彼の神速を持ってすれば直撃を免れることはできるだろう。
だが、地形を変えるほどの破壊そのものから逃れられるかといえば、それは―――。
456隠密、推して参る[後編](12/13):2008/01/18(金) 22:17:05 ID:QbbYGUFp
 
故に、ヒロトは踏み込んでいた。

「―――修……ッ!」

昇り一文字。地から天へ振り上げるように放たれた斬撃は魔力波を受け止め、
そのまま軌道を逸らして弾き返す。
スマッシュをカットで返すような滑らかな剣撃はかつてのように自身を傷付けることさえなく、
正確にクレイドラゴンの頭を吹き飛ばしていた。

『……………!!……!………』

首から先のなくなったクレイドラゴンはぐらりと揺れ、今度こそ地面に倒れこんで動かなくなる。
ヒロトが介入したことでリューも我に返ったのだろうか、
ギロリと睨みつけると、ばつが悪そうに目を逸らした。
それでも、駆けつけたローラを睨むほどの元気は残っていたようだが。
よっぽどお姫様ダッコされたローラが憎らしかったのだろうか。

「す、す、す」

―――ああ、そういえば。
ヒロトはひゅんと剣を一度振ると、鞘に収めた。

「すっげぇぇぇぇぇぇぇえええ!!!!何だ今の!なぁ、何だ今の!!」

リューマがきらきらした眼で駆けつける。
………まあ、一撃で地形を変えるような破壊光線を
剣一本で弾き返すなんて芸当をしたのだから当然のことか。
『強い者』が好きなリューマならばなおさらである。

「おいおいおいおい!兄さん!あんた何者?ただの冒険者じゃないとは思ってたけど
 まさかここまでとは―――もしかして、兄さん。俺と同業だったりしない!?」

………ヒロトは少しだけ考え、頬を緩めた。
知り合って僅かだが、少なくともリューマは警戒すべき人間ではない。
もし勝負を持ちかけられたら、その時は正々堂々と受けて立とう。
リューマは単純に戦いを好むタイプだ。
戦闘狂といっても、命のやりとりまで望むような狂戦士ではないことはわかる。
後先引くようなことはあるまい。
ヒロトは肩が軽くなったような調子で、改めて名乗った。

「―――ああ。翼と稲妻の国ヴェラシーラに選定されて勇者をやっている。ヒガシ・ヒロトだ」

騙してすまなかった、と。
ちっとも騙せてないくせに、ヒロトは続けた。―――続けようとした。



その身体がぎしっ、と動かなくなる。



「………え?」
457隠密、推して参る[後編](13/13):2008/01/18(金) 22:17:48 ID:QbbYGUFp
 
それは、誰の言葉だったろうか。
ヒロトか、不貞腐れながら歩を進めていたリューか、リューを連行していたローラか、
ジョンか、それともリューマか。


刻印が浮かんでいた。


それは先刻クレイドラゴンを縛り上げた【緊縛】の呪刻。
それがヒロトの首に、腕に、脚に。四肢に刻まれ、自由を奪っていたのだった。
無論、こんな術を使う人物はこの場に一人だけしかいない。

「―――五乗封印……!?クルミ、一体なにやって―――」

リューマが相棒をたしなめようと振り返った、その背後で音がする。
とつ、と。
何かが―――たとえば毒針が、ヒロトの首筋に突き刺さった音が。


それは、ヒロトにとってまったくの奇襲だった。

そもそも彼は、リューマたちのことをまったく知らないに等しい。
シノビとはリューマが異例中の異例であり、基本的に暗殺を生業とする者たちであることも。
気配どころか、姿すら消してしまう術を使うことも。
リューマの仲間がもう一人いることも。
その一人が、誰あろうヒロトを暗殺すべくヒイヅルから使わされたことも。
クルミに協力を要請し、リューマが知らずヒロトを懐柔したその瞬間を狙うよう指示したことも。

―――何故自分が命を狙われたているのかも、何も知らなかったのだから。


がくん、と膝から力が抜け、ヒロトはその場に倒れこんだ。
身体が痺れている。無理もない、一滴で鯨を殺すような猛毒なのだ。
ゆらり、と何もなかった虚空が蜃気楼のように揺れ、そこに毒針を放った少女が姿を現した。

リューマはその姿を認めると、彼には珍しい怒りに満ちた形相でその少女を睨みつける。

「―――どういうつもりだ、フミナ」
「………………………」

フミナと呼ばれた少女は答えず、ただ何かを堪えるように倒れたヒロトの身体に眼を落とした。



                 隠密、推して参る〜新ジャンル「暗殺者」英雄伝〜[後編] 完
458名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 22:56:48 ID:QbbYGUFp
男「………ハッ!ここはどこだ!?何で俺は目が覚めたら銀色の空間に縛られているんだ!?」
女「目が覚めましたか」
男「だ、誰だアンタ!アンタ誰だっていうかクラスメイトの女さん!?
  何やってんのこんなところでっていうかここどこ!?」
女「ここはわたしの家。宇宙船の中です」
男「……うちゅ……は?」
女「白状すると、わたしは地球人ではありません。金星からやってきた金星人なんです!」
男「ウソォ!!?」
女「……はい。実は嘘です。見栄張りました。本当はガニメデ出身です。田舎者で悪かったわね!」
男「知らねーよそんな宇宙事情!!いいから離してよ!っていうか宇宙人って!女さんもしかして電波の人?」
女「ガニメデビーム!」
男「ビーム出た!宇宙人だ!」
女「わたしは地球人の調査のためにやってきました。長い調査の末、ついに体液搾取によります実験に移りたいと思います!」
男「体液搾取?」
女「キャトルミューティレーションって知ってます?牛の血をカラッカラになるまで抜くってやつ」
男「……………まさか」
女「ま、それは関係ないんですけどね。カラッカラになるまで抜かせていただきます♪」
男「嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!」

女の調査書
 『ついに地球人との交配実験に移りました♪お相手はおなじみ、男くん!初めてだったけど上手くできたかな?
  試行錯誤してるうちになんやかんやで二桁イッちゃって、男くんは黄色い太陽が見えるとか言ってたけど大丈夫かな?
  コンビニで一本1000円の健康ドリンク買ってあげようっと♪』

女「主任、これ経費で落ちますかね?……あ、落ちない。んー…500円のにしよっと」


新ジャンル「未確認知的生命子」
459名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 23:09:34 ID:pcXwg/Do
時事ネタなんで外伝扱いです



真「…ん」

真「…ふー」

真「…こうですか?」

春「鏡の前でさっきから何やってんだ?」
真「あ、はるくん。あしたからせんたーしけんですよ」
春「ああ。でも俺達は再来年になるぞ」
真「ちがいます。ことしうけるかたのやるきをだすため、せくしーぽーずのけんきゅうちゅうなのです」
春「…ロリのセクシーポーズでやる気が出ても困るし、第一それは違う」
真「むー」
春「とはいえ、人の為にできるとは感心だ。
…ちょっと見直したぞ(なでなで)」
真「えへへ…じゅけんせいのみなさまが、べすとがだせますように…」


新醤油学園 青春編
外伝「ファイト」


という訳で受験生の皆様
ご武運を…
460名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 00:27:49 ID:xB+Dsoc1
>>458
そのタイミングは卑怯だろwww
461名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 01:30:04 ID:ILwKI6lA
>>443
ちょwwwおまい頑張りすぎwww
勇者に短編にGJ過ぎるが無茶だけはすんなwww

…あとBに一票

>>441
コードネームのつもりだが、名前どーしたものだかね
豆と芝とX(豆妹)の本名はなんとかなりそうだが甜だけは適当そうなのが思いつかんのよ
使って頂くのはもちろん、良い案があれば命名しちゃって下さいなww



目の前の現実(赤点)に、思わず燃え尽きそうになる。
しかし自分の心は灼熱…。この心が折れない限り、不死鳥の如く蘇る。
そして現実逃避に成功した女は廊下へ進み、任務を開始する。

豆「アルファよりビッチ!現在ターゲットと監視対象が接触してるぞ!!」
恥「了解した。そのまま監視を継続せよ。……(アホっぽい大声で雌犬呼ばわり。…コイツだと感じないな)」
豆「お!!何かターゲットが泣きながら飛び出して行ったぞ!!!」
恥「何だと?…すると『お前、もう俺に付きまとうなよ。』『酷い!!私の事、遊びだったの!?』
  とか、『堕ろせよ。…お前だって、無理な事ぐらい判るだろ?』『馬鹿っ!!私たちの子供なのよ!?』
  のような会話が交わされていたのか?」
豆「知るか!!…ともかく追跡する!!!」

そして数分後…
豆「アルファよりビッチ!!ターゲットは今食堂だ!!!」
恥「ほう。…で、何をしている?」
豆「やけ食い…だなアレは。しかしカレーに定食、うどんに焼きそばパン…(ぐきゅるるる)。
  おーいおばちゃん!!丼物を上から全部、あと単品でから揚げとシーザーサラダ、味噌と豚骨のラーメンな!!!」
恥「おい?どうしたアルファ?応答しろ。」

………………………………………………

恥「餌に釣られて任務放棄か…。…駄目だこいつ、早くなんとかしないと。」

新ジャンル「Food fight」新醤油学園野望編
462441:2008/01/19(土) 01:55:41 ID:e5reqqTM
>>443
内容及び執筆量、ともにGJ以外の何物でもない

ラブコメ派なんでDでお願いします


>>461
ありがとうございます
で女1〜3、或いは新キャラで登場させたいなと考えてます

そろそろネタが痛くなってきたんだけどさ…
463名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 00:54:45 ID:ep9crHNa
「………男くんってさ。やっぱりあたしのこと何とも思ってないのかな?」

女はぽつりと、小さくそう言った。
実際にはそれは聞こえるか聞こえないかの声だったろう。
しかし男にはそれは耳元で囁かれたようにはっきりと聞こえた。

「え?」

思わず聞き返す。

「………そうだよね。あたしなんてさ、色気もないしバカだし、女の子って見てもらってないよね」
「な、何言ってるんだよ女?」

男は女の顔を覗き込んで、息を飲んだ。
泣いている。
いつも陽気に笑っていた女が、ぼろぼろと涙を零していた。

「……あ、はは。ごめんね、変なこと言って。あたし、今日は変だ。だ、大丈夫。ちょっと寝たら治るから―――」

無理に笑うな。
俺こそ、無防備なお前に何度抱きしめたいと思ったかわからない。
でも、お前はただ無邪気なだけだからと、そう自分に言い聞かせて―――。
そう言いたかった。でも、言葉が出ない。

「ごめんね。あたしから無理に来てくれって頼んだのに……ごめん」

これが正しいのかわからないけど、男はこの少女を泣き止ませる方法を、ひとつだけ知っている気がした。

「女」
「―――え?ん……!?」

柔らかな唇を、とうとう、奪う。

「俺、女が好きだ。女に、……その、触りたい」

男は女の肩を抱いて、自分の心うちを正直に口にした。
ずっと言いたかったこと、ずっと言えなかったことを、やっと伝えられたのだ。
女はますます涙を滲ませて―――でも、これは嬉し涙だ―――俯き、言った。

「全てを読むにはここにワッフルワッフルと」
「そういうオチかよ!!」


新ジャンル「わっふる」
464名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 06:17:24 ID:CFw4mKqL
>>463
ワッフルワッフル!
465名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 08:50:13 ID:q/yLaR5J
>>463
ワッフルワッフルワッフルワッフルワッフルワッフル!
466腕に抱くもの 背に負うもの(1/14):2008/01/20(日) 15:11:31 ID:ep9crHNa
 
ヒロトが倒れ臥すのを見て、リューは空白となった。
眼球が理解するのを拒み、神経が理解するのを拒み、脳が理解するのを拒む。
彼女にとってヒロトとは絶対なるもの、恋愛を通り越して崇拝の対象ですらあった人物だ。
ヒロトを屠れるものがいるのならそれは他ならぬ自分以外にありえないと、そう確信していた。
それが、どうして、ぴくりとも動かないのだろう。
いきなり何もなかった空間から現れて、ヒロトを刺していた女は一体誰で。
ヒロトに、ヒロトに、ヒロトにヒロトに、一体何をしたのか。
何故ヒロトは倒れたまま動かないのか。

それが、わからない―――。


ローラは絶叫した。

「ヒロト様ぁぁッッッ!!!」

駆け寄る、躓く。それでも倒れず、走る。
ジョンも同じだ。ただし、こちらは拳を握り締めていた。

「―――ヒロトさんから離れろッ!」

ヒロトを刺した少女―――フミナは特に抵抗しようとせず、あっさりと退いた。
しかし逃がさず、リューマが立ちふさがる。

「答えろフミナ、なんのつもりだ!こいつが俺たちに何をしたってんだよ!」
「………………」

フミナは答えない。
その瞳は氷のようで、リューマが知る普段の明るく能天気な彼女とはまるで別人のようだった。
いや、リューマは確かに『この』彼女を知っている。
それは昔見たシノビとしての姉の貌。忠実に任務をこなす血も涙も無い裏社会に棲む者の貌である。

「フミナ、お前………」
「………そのひとは、ヒイヅルにとって危険なひとだから」

言葉を発したのはフミナではなく、クルミだった。
フミナの奇襲を【緊縛】でサポートした彼女は、勿論事前にこのことを知っていたのだろう。
しかし何故?
ヒイヅルにとって危険?
この、ヒガシ・ヒロトと名乗った剣士が、どうしてヒイヅルの危険因子になるのだろうか。
ヒガシ・ヒロトといえば知らぬものはいない、最強の勇者の名である。
リューマが最も手合わせしたかった人物の一人だ。
そして虚偽ではないということは、あのとんでもない剣技から見るに明らかだろう。
ヴェラシーラの勇者がヒイヅルの敵となる?なにがなんだか―――。
467腕に抱くもの 背に負うもの(2/14):2008/01/20(日) 15:12:18 ID:ep9crHNa
 
「説明はあとでするわ。一旦引く。リューマも来て」
「お、おい」

フミナは跳躍しようとする、その足元を稲妻が襲った。

「くっ!」
「―――させると思いまして?」

ローラがボルテックを抜き払い、憤怒と殺意の形相でフミナを―――フミナたちを睨みつけている。

「やってくれましたわね。おかしいとは思いましたわ。
 あの時、温泉にはあきらかに私たちとは別に、リューさんの魔力の強大さを認識している人物がいた。
 加えて極めて短時間で広まった事実と食い違いのある噂。
 わたくし一晩中ヒロト様たちの帰りを待って起きていましたけど、一度もそんな話は聞きませんでしたわ。
 もっと早くに気付くべきだった。ドラゴン襲撃という噂は、端から意図的に広められたものだということに。
 偽りの情報を流すのは諜報のお決まりですものね。
 初めから噂をダシにヒロト様に近づく―――そういう目論見だったのですね?」

「………………まぁね」

フミナは口元を歪めて呟いた。
まぁね、だと―――?
腹の底は煮えくり返っていても頭は努めて冷静でいようとしたローラだが、
こればかりはかっと視界が赤く染まった。

「こ、の―――!」

ローラは衝動のままに駆け出していた。
ヒロトを手にかけたこの女、とても許せるものではない。
見ていろ。今すぐその首に剣を突きたてて、ヒロト様にしたことを思い知らせてやる……!!

「――――――ッッ!!?」

しかしその途中で、ローラの疾走は止まった。
上っていた血が頭から音を立てて引き、紅潮していた顔が真っ青になる。
ばしっ、ばしっ、と足元の石ころが弾け砕けた。無論、ローラは何もしていない。
それどころかフミナも、リューマも、クルミもジョンも、
ただ彼女の波動の前に愕然と身体を硬直させていたのだった。
蛇を前にした蛙でもまだ余裕があるだろう。
それはまるで、認識した瞬間に発狂しそうなほど、深い絶望の具現だった。
468腕に抱くもの 背に負うもの(3/14):2008/01/20(日) 15:13:00 ID:ep9crHNa
 

リューが、

啼いていた。


「ア、あ、ぁあアあaぁあアアア、あァAaァアアああAあ―――!」


天が逆巻き、大地が堕ちる。
圧倒的な闇の力の前に世の全てを形作る理ががらがらと崩れていく。
魔王の咆哮に世界が共鳴しているのか。
そも、魔王とは混沌の化身である。
リュリルライアという人格は、言ってしまえばその混沌に張り付いた薄皮に過ぎないのだ。
リュリルライアは自らの意思を以って、その混沌から
わずかに魔力を汲み上げて操ることが出来る―――その『わずか』でさえ世界最強の“海”。
では、リュリルライアという『蓋』を無くした時、いったいどれほどのマナが荒れ狂うことになるのだろう?

そこに、意思も感情もない唯の暗黒が溢れようとしていた。

かつてヒトは一度だけ、それを経験している。
魔王侵攻。
勇者によって食い止められたその時もごく小規模ながらも同じことがおこったという。
万物が闇に溶け、存在する確立が変動して消滅するという世界の終わり。


すなわち―――事象崩壊である。


「リューさん!」

ようやっとジョンが叫ぶも、荒れ狂う轟風にかき消されて自分の耳にすら届かない。
ローラもフミナのことを忘れ、ひとまずリューを正気に戻そうと駆け寄ろうとする。
が、身体がぴくりとも動かない。
魔力に当てられて竦んだか?
いや違う。まるで身体がぴったりと収まる鋼鉄の箱に入っているような、
そんな閉塞感に肺が締め付けられるよう。
おお、なんということか。その戒めの正体は普段魔法障壁とよばれているものだった。
リュリルライアが闇の片鱗を以って自らに害を成す全てを拒絶する、
それが一帯に幾重にも幾重にも張り巡らされ、
空間を埋め尽くしてその場にいる全ての人間の行動を阻んでいたのである。

「ああァァアあ、Aぁあアああぁぁ、ああAaaああああァ――――――!!!!」

全員、心臓を動かすのがやっとの中で―――
しかし一人だけ、例外がいた。
469腕に抱くもの 背に負うもの(4/14):2008/01/20(日) 15:13:44 ID:ep9crHNa
 
症状を診ていたジョンの足元からゆらりと立ち上がり、
魔力圧で千切れそうな嵐の中を踏みしめ、リューの元へと歩み寄る。

「ひゅ、ひゅうっ……は、ぁっ―――」

ヒロトは血の気の失せた顔を歪め、それでも足を止めることなく、行く。

「嘘ぉ………」

絶句しているのは未だ動けずにいる全員、しかしフミナは愕然と呟いた。
信じられない。
フミナが毒針に使ったのは、かつて国ひとつを死の沼に変えたという
伝説の魔獣の牙から採取された史上最強の猛毒だ。
不死殺しとさえ言われるそれを直接体内に注入されてなお動くとは、あの男は何者だ?
―――と、いうより『何』だ!?

事象崩壊が止まり、荒れ狂う闇が静まり始める。
リューは目を見開いてヒロトを見つめていた。その両頬を、涙がつたう。

「ヒ、ロ……ト?」
「……なに、やってるんだ。………ばか……」

小さなその少女を抱きしめ、笑った。
自分は大丈夫だと。そう示して、ヒロトは改めて気を失った。

「ヒロト!」

―――どこかで、誰かが叫ぶ声がした。



………そもそも、ヒガシ・ヒロトなる人物は本来存在しない。
幼馴染みたるローラなら知っているだろうが、
ヒガシ・ヒロトとは読んで字の如く「東から来たヒロト」の意であり、
元々の彼は苗字となる家名を持っていなかった。
しかし仮にもヴェラシーラ王城に出入りするものとして
苗字がないのは不恰好だという意見からつけられた仮の名がヒガシなのである。
ヒロトはそれをそのまま外の世界でも名乗っているのだった。
だが、彼自身知らないのだろう。ヒロトの生まれと、本当の名を。
彼の出生を考えれば、父親がそれを知らせなかったのも頷ける話だった。

ヒロトの本名は―――いや、本来名乗るはずだった名はヒロト・アヅマ。
それは、現ヒイヅルを治める王朝アズマに仕える武家に生まれた子の名でもあった。
470腕に抱くもの 背に負うもの(5/14):2008/01/20(日) 15:14:56 ID:ep9crHNa
 
ヒイヅルは昔から内乱の絶えない国だった。―――いや、それはもう過去の話だが。
ヒイヅルは海に囲まれた島国であり、その国には世界でも類を見ないほどの多くの土地神が棲んでいる。
その数、一説には八百万とも言われているほどだ。
その中には高名な魔獣だけでなく、天使や神族なども入り混じり、
しかもそれが狭い土地の中共棲していたというからとんでもない話である。

有名なところで言えば天使と同種族であるテング、聖獣コマイヌ、水龍ヤマタノオロチ、
北の大地にコロポックルがいれば、南の島にはシーサーがいた。
灼熱龍リオレイアにも負けないほどの強力な魔獣もいれば、人より遥かに小さな下級神族まで、
ここまで多岐に渡る土地神を持つ国は他に例がない。

その中で、隣人や身内には寛容な反面、他の部族に厳しいヒイヅルの民はそれぞれの土地神に仕え、
自らの領地を広げようと争っていたのだった。
中には鬼神シュテンドウジのように自ら長として戦場を駆けた土地神もいるというから驚きである。

だがある時、海を越えやってきた聖堂教会の使者が介入し始めたことにより、
ヒイヅルの世界観は一変した。

聖堂教会のもたらした知識と技術は、
狭いクニで暮らしてきたヒイヅルの民にとって仰天することばかりだった。
たとえば、魔王侵攻と勇者の物語だとか。
神族が司る奇跡の業だとか。
自分たちにはない圧倒的な魔法技術、
遥か遠くの景色を観る水晶や空を飛ぶ箒などのマジックアイテムだとか。

世界の広さを、知ったのだ。

そうなればもう、狭い国で争っている場合ではない。
ヒイヅルの勢力図は見る見るうちに変わり、統合と分裂を繰り返し、強い国を作るのだと躍起になった。
そして最終的には最も力のあった一族が他の一族たちを取り仕切る形となり、
ひとつの王朝が生まれたのである。

―――それこそが、アズマ。

しかしヒイヅルを開かれた国にしようとするアズマに対し、
逆に国を外国の穢れから護るため、また仕えてきた神々のために
国を閉ざすべきだと考えるものたちも現れた。
サイと名乗る彼らは彼らでコミューンを作り、アズマに対するレジスタンス軍として対立を始めた。
これがヒイヅル最後の内戦といわれるセイホウの乱である。
アズマ軍は辛くもこの戦いに勝利を収め、統一を宣言したのだが、
サイはまだ各地でゲリラとして現れ、ヒイヅルの国政の悩みのタネとなっているのが現状だ。
それでも、彼らの中核となっていたサイの一族が絶えたことにより
彼らは事実上ただの烏合の衆となったのである。
471腕に抱くもの 背に負うもの(6/14):2008/01/20(日) 15:15:43 ID:ep9crHNa
 
が。

近年になってヒイヅルより大陸へ渡り、遥か、遥か西にある大国ヴェラシーラから
サイの血を引く者が、よりにもよって勇者として世界に解き放たれたことを知ることになった。

ヒロト・アヅマ。

アヅマ家の裏切り者キョウと、そしてサイ家の恥晒しユウの間に生まれた忌み子だった。



「………と、いうことは……」
「そう。キョウとユウはお互い結ばれない恋をし、そして生まれたヒロトくんを連れて外国に逃れた。
 そりゃあそうよね、ヒイヅルにいたら親子共々八つ裂きだもの」
「……………………」

クシャスの旅館にため息が満ちる。
あの後、リューは我に帰り、ジョンに説得されクレイドラゴンを再召喚して
クシャスの宿までひとっ飛び戻ってきたのだった。
フミナも放っておく手はないのだが、とにかく今はヒロトを安静にさせなければならない。
何を使われたのかわからないが、症状から診るにおそらく高位幻想種の神経毒だろう。
それはジョンの“霊拳”と同じく体内のマナに異常をきたす最悪の毒物である。
いわば『生命』そのものに毒を流し込まれたに等しいのだ。

ジョンが看病し、ヒロトがひとまず落ち着いたとき、
観念したように抵抗もせずついてきたフミナがとつとつと語り始めたのは歴史の話。
それが、ヒロトが命を狙われた理由。
ヒイヅルのシノビである彼女が知る、ヒロトの出生の秘密である。

「対立するふたつの家に生まれた子だから、命を狙われたのか!?そんな―――」
「……そう。でも、少し違うわ。重要なのは、ヒロトくんがサイの血を引いてるってことよ。
 さっきも言ったけどサイの一族は事実上、もう滅んでる。
 ヒロトくんはサイに生まれた最後の子ってこと。だから」
「サイの一族を根絶やしにするということか……何故、そこまで―――」
「………………」

悲痛な面持ちで俯くリュー。
それもあるだろう。だが、本質は違う。
それは、王族であるローラには予想が付くことだった。

「ヒイヅルが恐れているのは、ヒロト様がサイとしてレジスタンス軍を統率しようとすることでしょう?
 いえ、そうじゃない。サイの末裔が生き残っていると知ったことで
 レジスタンスの勢いが増すのではないかと懸念している。
 少なくとも、存在するだけで王朝を脅かしかねない存在だと……」
472腕に抱くもの 背に負うもの(7/14):2008/01/20(日) 15:16:29 ID:ep9crHNa
 
その冷静な口調に食って掛かったのはリューマであった。
その影にはクルミもいて、大人しくしている。

「は?なんだそりゃあ!?ヒロトにそんなつもりはねぇんだろ?だったら放っておいてやれよ!」
「ヒロトくんの意思は関係ないわ。レジスタンスがどう思うかだもの。
 それにわざわざ火の近くに油を置いておくような真似は見逃さない。それが古老たちってものよ」
「………………!!」

リューマは、覚えがあるのだろう。
ギシリ、と音がするほど奥歯を噛み締める。

「クソ爺どもが……!」
「同感。だから気が進まなかったんだけど……出会っちゃったからねー。本人に」

仕方ない、と肩をすくめるフミナ。
ローラは眉根を寄せた。
王族として、フミナの言うことはわかる。
ヒイヅルにとってヒロトは、居るだけで危険因子となりうることもわかる。
だが―――やはりわかるだけだ。ヒロトを殺そうとしたこの少女を許す気にはなれなかった。
それに、フミナは何も許してもらおうなどと微塵も思っていないだろう。
彼女は彼女で、シノビとしての筋を通そうとしただけだ。

「―――で?言い訳はそれだけか?」

だから、リューが紅の眼を向けても表情ひとつ変えないのである。

「貴様の事情、ヒイヅルの事情など知ったことか。
 ヒロトを殺そうとしたその報い、まさか受けずに逃げられるとは思っておるまい?」
「………まあね。あーあ、失敗したなぁ。焦らずに仲間のことも調べてから殺るんだった」
「貴方……!」

あまりに軽い物言いに、ローラのツインロールは怒りのままに帯電する。
リューも顔を歪め、漆黒のオーラを立ち上らせた。

「待ってくれ。フミナを殺そうっていうのなら、俺がそうはさせない。
 これは本来俺がやるべきことだったんだからな」
「……リューマ」

リューマはフミナを庇うように立ちふさがる。弟の広い背中を見て、フミナは目を丸くした。
473腕に抱くもの 背に負うもの(8/14):2008/01/20(日) 15:17:06 ID:ep9crHNa
 
「さっきの話でやっとわかった。なんでフミナが里を抜けた俺たちを連れ戻しに来たのか。
 里に必要ってことは、俺たちにしかできない任務があるってことだ。
 でもサイの力が衰えてる今じゃそんな任務、そうそうない。
 ……でも、世界最強の勇者の暗殺、とかなら話は通る」

フミナは息を飲んだ。図星だった。
フミナ本来の任務は暗殺の引継ぎ。そのために、ここまで来た―――。

「抜け忍っていっても俺は勇者として、クルミはその付き人としてちゃんと王朝に認められてるからな。
 今さら抜け忍だからどうのなんておかしいと思ったんだ」
「………………………」

リューマの隣に、寡黙な少女も立つ。

「クルミ、お前」
「……わたしも、暗殺に手を貸した………それに」

それに?

「相棒」

クルミは相変わらずの無表情―――ではない。
少し、ほんの少しだけ、微笑んでいる。
それで、覚悟は決まった。

「ってわけだ。俺たちは逃げる。どうやら任務は失敗したみたいだし、
 何よりお嬢さんたち、おっかないしな。女の子は笑ってる方が可愛いぜ?」

逃げる?
可能だろうか。
この少女たち―――いや、この燃えるような赤い髪の少女がとんでもない化物だということはさっき知った。
あれは敵うとか敵わないとかそういうレベルの存在ではない。
出会ってしまったが最期、生きるも死ぬも相手次第となってしまう絶対の捕食者である。
生き残るにはまず出会わないことが前提となり、そして状況は絶望だ。
彼女はここにいて、そしてリューマたちに殺気を放っているのだから。

………参ったな。

リューマは心の中で頭を掻いた。
この怪物少女の前では、捨て身でかかっても逃げる時間が稼げるかどうか。
それでも、命と技の全てを以って惚れた女とたった一人の肉親を護る。
ならば上等―――男冥利に尽きる死に様だろう。

リューマは身を低くして腰の忍者刀に手を添え、
リューは変わらず、構えもせずに王者の風格でシノビたちの死を見つめる。

両者の緊張が弓を引き絞るようにぎりぎりと高まっていき、そして―――。
474腕に抱くもの 背に負うもの(9/14):2008/01/20(日) 15:17:50 ID:ep9crHNa
 
「………よせ。リュー、ローラ」


静かな声が、緊迫した部屋に響く。

「ヒロトさん……!?」

医者として患者を護らんと傍で拳を固めていたジョンが、驚いてヒロトを見る。
はたしてヒロトは、おぼつかないながらも身を起こし、
押し殺した、しかし聴くものを制する声で二人の少女の怒りを静めていた。

「ヒロト、だが!」
「いいからやめてくれ。俺は、お前たちにそんなことはしてほしくないし、する必要もない。
 ―――俺は、生きてるんだから」

確かに、その顔色は悪いながらも死相は浮いていない。
呆れ果てた生命力である。完全な回復はまだ先だろう、しかしあの完璧な暗殺でも殺すことができないとなれば、
この青年を始末する術がいったいどこにあるというのか。

それにこの物言い。自分を殺そうとしたフミナたちを見逃すとでも言うつもりか?
力が全てと本能に刻み込まれている魔獣でもあるまいし、いったいどういう神経をしているのだろう。

「なんとでも言え。俺たちの仲間に一人そういうヤツがいてね。見習っただけだ」

リュー、ローラ、ジョンの脳裏にとあるドラゴン娘の顔が浮かんだ。
けらけらと明るく笑うその少女はご存知リオルである。
確かにリオルは過去ヒロトに殺されかけた、というか殺されたにもかかわらず
ヒロトと同じパーティで能天気に旅をしているが、
それはヒロトを許したわけじゃなくてジョンと一緒にいる間に
恨みつらみなんかどうでもよくなったというか、
そもそも状況が違いすぎるというか一緒にするなというか。
だいたい、リオルは初めの頃ヒロトに復讐しようとして襲い掛かっていなかったっけ?

「………とにかく、俺はフミナをどうこうする気はない。勿論、リューマやクルミもだ」

そういう、都合の悪い部分は全てすっ飛ばしてヒロトはそう言い切った。
お人良し、というのだろうか。こういうのも。
いやどっちかというと馬鹿とかアンポンタンとか土手南瓜とかそういう言い方のほうが合っている気がする。
とはいえ。

「参ったなー」
475腕に抱くもの 背に負うもの(10/14):2008/01/20(日) 15:18:36 ID:ep9crHNa
 
フミナはふっと笑った。
許されてしまっては敵わない。
元々気の乗らない任務であり、久方ぶりに弟と再会したテンションに任せて
抜け忍宣言までしたというのにそのターゲットがのこのこ現れたために観念して任務再開、
なんとか弟の手を汚さずに済んだと思ったら暗殺に失敗して、しかもターゲットには許される始末。
アズマ王朝お抱えの諜報機関、月影の里で名を馳せたフミナとあろうものがこの無様とは、
忍の矜持もボロボロではないか。
―――ま、それもいいか。
失敗してなんとなく気が晴れた。
肩の荷が下りたとはこのことだろう。
しかし任務が失敗、そして放棄したとなれば、この先フミナはどうなることやら。
やれやれである。でも、とりあえずなるようになるだろう。多分。

フミナはううん、と大きく伸びをするともそもそと座り込んでちゃぶ台のミカンを食べ始めた。
その余りにリラックスした行動に、リューたちはおろかリューマとクルミでさえ目を瞬かせている。

「お、おい貴様!何をくつろいでいる!?」

リューが激昂するも、フミナはひらひらと手を振って、

「んー?だってそっちの大将はあたしのこと許すんでしょ?だったらもうこの話は終わりじゃん」
「な!ヒロト様!あんなこと言っていますわよ!?」
「いいんじゃないか?その通りなんだし」

あんまりな態度にローラが抗議する。しかしヒロトは事も無げ。

「ローラ、ダメだこいつ!だいたい、放っておいたらまたヒロトを殺しに来る気だろう!」
「あはは、そんなことしないよ。だって虎の子のヒュドラの毒使っちゃったもん。
 アレで死なないんじゃ、あたしにゃヒロトくんを殺せる手段がないってことさね」
「ヒュド……なんですって!?」

その言葉にジョンが目を剥いた。

「知っているのかジョン?」
「ヒュドラですよ!
 かつて小国レルネに現れた伝説の大蛇で、
 あまりに強力な毒を持っていたためにレルネの地を死の沼に変えてしまったんです!
 その毒はヒュドラが倒されて500年たった今でも消えてなくて、
 レルネでは未だに草一本生えない不毛の大地が広がっているっていう!」
476腕に抱くもの 背に負うもの(11/14):2008/01/20(日) 15:19:13 ID:ep9crHNa
 
ヒイヅルではとうてい手に入らない、伝説級の猛毒だ。
これには流石のリューマも半目で冷や汗である。

「………フミナ、ヒロトにそんなもん使ったのか?」
「うん」
「殺す気か!」
「だーから、殺す気だったんだってば」
「ヒロト様ー!あんなこと言ってますわよ!?」
「落ち着け、ローラ」
「……お茶………飲む…?」
「あ、ありがとうございます」

いつの間にかクルミはお盆を持って働いていた。
よく気が付くいい娘だ。きっといい嫁さんになるだろう。

「すまない、俺にもお茶をくれないか」
「俺は酒がいいなぁ」
「くつろぎすぎだろ!で、貴様は何みかんの筋をスッゴイ丁寧に取ってるんだ!」
「フミナは…………意外と几帳面……」
「クルミちゃん『意外と』って何さ!?」
「あら、お茶美味しいですわ」
「………存外……几帳面……」
「言い直した!しかも意味同じだ!!」

ぎゃあぎゃあ。

とてもさっきまで息をするのも苦しいほどの殺気で満ちていたとは思えない。
一部ぷりぷりしている少女もいないこともないが、
もうここに殺意だとか決死だとかそういう物騒な単語とは縁遠い、ただの賑やかな空間になっていた。
その変わりようがなんだかおかしくて、ジョンは思わずぷっと吹き出した。
無論、彼の仲間で一番陽気なあの少女が山から帰ってきて
部屋の襖を蹴り飛ばして乱入するのはそう遠くないことであり、
今夜この部屋はほとんど宴会会場になるのだが。
477腕に抱くもの 背に負うもの(12/14):2008/01/20(日) 15:19:47 ID:ep9crHNa
 

騒がしかった彼らも疲れ果てたのかようやく静かになった頃、
空には大きな月が夜を煌々と照らしていた。
ここは旅館の屋根の上。
勇者たちはその天に浮いた杯を肴に、静かに酒を傾ける。

「……しかし、噂は本当だったんだな。最強の勇者ヒロト。ああ、この巡り合わせに感謝するぜ」
「感謝するのは俺の方だ。ヒイヅルの話、聞かせてくれてありがとう。不思議なもんだな。
 見たこともない、聞いただけの故郷を懐かしく思うのは」
「ん、感謝するならさー。俺とひと勝負」
「ダメです。ヒロトさんは、まだ全然本調子じゃないんですから」
「………主治医のセンセがそう言うなら仕方ねーけどさ」

男三人の酒盛りだった。
少女たちは寝静まったのか、それともひそひそと話しこんでいるのか。
まあ、こちらもお互い様なのだからどうあろうと知らん振り、である。

「ん。もう一杯いくかい」
「ああ、すまない」

清酒辛口、銘は奇しくも『魔王殺し』。
縁起でもない名前だが、実際にその魔王がひと舐めしただけで
目を回してひっくり返ってしまったと知ったら酒造の職人たちはどんな顔をするだろうか。
ヒロトは杯に満ちた酒をあおって、そんな想像に一人目を細めた。
そこへ、リューマが真面目な顔を向ける。

「ところでヒロト、あんたは本当にヒイヅルをどうこうする気はないんだな?」

その眼は鷹。
おちゃらけていたリューマのものとは違う真剣な眼差しは、
ヒロトの返答次第ではこの場での戦闘も辞さないと語っている。
たとえ相手の不調を突いての、彼の流儀から外れる戦いであったとしても。
それを受け止め、ヒロトは頷いた。

「ああ。俺はそんなことは望まない。サイを先導してアズマを潰すなんて―――俺には遠い話だ」

それを聞きながら、ジョンはずず、と酒を啜る。
478腕に抱くもの 背に負うもの(13/14):2008/01/20(日) 15:20:20 ID:ep9crHNa
 
実のところ、サイの思想とヒロトの願いは似ているのかも知れなかった。
ヒイヅルの民はもともと同じ土地に住む者とは結びつきが深い。
それはヒトに限らず、神族も魔族も関係なしだったという。
それが本当なら、まさにヒロトが望む世界そのものとも言えた。
ところがアズマがヒイヅルを統一してからはヒトは土地に棲む神々を遠ざけ始める。
聖堂教会の恩恵を受けるアズマは魔獣と神族を同格に崇めることはできなかったというわけだ。
土地神に仕えるサイにしてみればそれは純然たる裏切りである。
そこに、似たような思想を持つヒロトが介入したら―――。

……だが、ジョンは何も言わずに月を眺める。
ジョンも今日、はっきりと認識した。ヒロトはそんなことに心を砕いている場合ではない。
ヒロトの役割はとんでもなく重いのだ、と。

「……そうか。ま、あの娘の傍にいてやんなきゃいけないもんな」

リューマは酒徳利を逆さまにして振りながら、ぼそりと低い声で呟いた。
ヒロトの目がすっと細まる。

魔王リュリルライア。
その意味は彼らが知っているよりも―――おそらく、本人が自覚するよりも遥かに大きく深い。

なにせ、今日世界は滅びかけたのだから。

比喩でも誇張でもない、あのままリューが正気に戻らなかったら全ては無に帰っていた。
信じられない、しかし事実である。それを確信させるだけのことが起きたのだ。
この、たった一人の青年を喪っただけで、リューの心は簡単に闇を解放する。
おそらくはヒロトがリューを拒絶するだけで―――リューは世界を滅ぼすだろう。

この勇者の双肩に、世界の命運がかかっているのだった。

「………別の意味で、ですけどね」
「大丈夫だよ。俺はそんなことしないし、リューだって世界を滅ぼしたりなんかするもんか」
「するする。っつか、今日したろ」
「それはあれだ。ちょっとびっくりしただけだって」
「びっくりして世界が滅んでたまるか!」

ヒロトの暢気な言葉に目を三角にするリューマとジョン。
そのサウンドのツッコミに、杯に浮いた円い月がゆらっ、と揺れた。
479腕に抱くもの 背に負うもの(14/14):2008/01/20(日) 15:22:49 ID:ep9crHNa
 

――――――聖教国ナルヴィタート。
聖堂教会の総本山、大聖城セントレイ・ピアラの地下に、それはあった。

『聖域』。

そこは、薄い青に発光する魔法陣がびっしりと描かれた巨大ホールである。
その空間には、何もない。
中心に一本の柱―――いや、円柱状の水槽が高い天井まで伸びているのみだ。
およそ聖域などと大仰な名称に相応しくないただただ広い空間は、
一目見てそこがなんのために存在しているのか判断するのは難しい。
なにせ、扉すらないのだ。出入りは専用の転移用魔法陣で行われ、
そしてそこに入ることが許される人間はわずか三本の指で数えられるほどに過ぎなかった。

―――聖皇ラルゲリュウスもその一人である。

「………事象崩壊は」
「あれ以来確認されていないよ。警戒は続けなきゃ駄目だろうけど、
 とりあえずはもう眠ってもいいんじゃないかな」

重厚な法衣に身を包む、その老人の言葉に帰ってきたのは青年―――少年といってもいいほどの若い声だった。
聖皇といえば世界で最も力のある組織の、さらに最高権力者である。
いわば世界の頂点といってもいいその老人に、しかし声の主はまったく臆することはないようだ。

「……そうか。それはひとまず安心だが………混沌が再び不安定になっているのなら、
 我々の計画も急がねばなるまい。
 あれさえ実行できれば、もう終極に怯えることもないのだから」
「ヒトが為―――それならばぼくたちも協力を惜しまないよ、ラスゲリュウス聖下」
「………………………」

ラルゲリュウスは振り返る。
そこには蒼い光に浮かび上がる、一人の少年と一人の女性の姿があった。
少年―――天に選ばれし勇者テイリー・パトロクロス・ピースアローはにっこりと微笑み、
その背後に立つ戦女神ルヴィシス・アテニアは静かに目を伏せる。

「ああ。頼りにしている」

その背後では、液体で満たされた水槽に、ごぽ、とあぶくが浮いて―――そして、消えていった。



                 腕に抱くもの 背に負うもの〜新ジャンル「勇者」英雄伝〜 完
480名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 17:21:35 ID:HVSN+DuL
なんか……えらいことになってるなー
481名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 21:50:17 ID:q/yLaR5J
GJ!
これだけ短い期間でクオリティの高いものを次から次へと…

…しかしわっふるコールを要請しての放置プレイに思わず感じた
482名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 13:28:25 ID:5Cw1MjZ4
「ワッフル!」
「ワッフルワッフル!!」


>>463「ふふふ…ちょっとじらしてやるか。勇者シリーズ先に投下!!」



>>463「1レスしか反応がないなんてorz」



住人「負けないでネタを考えるぞ」

新ジャンル
「相互放置プレイ」

という流れ?
483名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 22:45:34 ID:o/PYT73h
やっとゆっくり読めるおゆになったとおもったらエライ事になってるー!
>>482
GJ!『僕は君が書き終わるまでGJをやめない!』くらいGJ!GJ!GJ!
そして華麗にヒガシ→アズマにトランスレートにワロタ、でもそれ含めてhGJ!
そして遅蒔きながら「ワッフルワッフル!」

「新じゃんゆ」の人もがんばってくれー、スレ的にイイ流れになってきましたなー。

コマイヌを聖獣にしてくれてありあとー(´・ω・`)ノ
でも「タンヒーリング」でやってることは性獣ですが(w
484482:2008/01/23(水) 01:59:16 ID:OIu2NrfQ
>>483
IDが卑猥だなw

醤油はネタ詰り中…
他スレの馬鹿ネタばかり思い付く俺の馬鹿orz
485璃羽のけだるい昼下がり(1/4):2008/01/23(水) 08:51:50 ID:K0yrO0RG
カーテンの隙間から日が差し込んでいた。
ちかちかとする感覚に重いまぶたを上げると、どうやら太陽はとっくに昇りきっているようで、
枕元に置いてある目覚まし時計を見ると既に昼の二時を過ぎている。
今日は日曜だ。予定もないので別にまだ眠っていても構わないが、くぅ、と腹が鳴った。

「………………」

炎のように鮮やかな赤い髪を持つ頭を乱暴に掻きながらもぞもぞと身を起こす。
ぼんやりした頭できょろきょろと辺りを見回した。
余計なもののない、というか必要なものもない殺風景な部屋。
璃羽(りう)はそこが自分の小憎たらしい恋人の部屋だと認識すると、
くぁ、と大きくあくびをしながらベッドをあとにした。
捲くれ上がった拍子にシーツに包まるようにして眠る
金糸の髪を持つ少女のあられもない裸体が現れる。

「うわ」

一瞬、ビックリした。
昨日は確か『自分の日』だった筈。
なんで巻(まき)が素っ裸で自分の隣に転がっているのか。

だるい。
寝ぼけているからだけではない。たっぷりと眠った筈なのに、まだ体力が戻らない感じ。
ああ、段々思い出してきた。
もう何度目かもわからない彼との契り、大時化の中にいるように揺さぶられ、
いいように鳴かされて、慰みもののようにして全身を愛されて―――、
途切れ途切れの意識の中、いつの間にか声をあげるのが自分だけではなくなっていた気がする。

―――あの馬鹿者め、我が失神したからと巻を呼んだのか……。

悔しい。
今日こそはヤツを独占してやろうと思っていたのに。
璃羽はまぶたがまだ半分しか開かないのを自覚しながら、
眉間に縦筋を作って口をへの字に曲げた。
とにかく、文句はあとだ。
昨日の今日で身体は汚れている。色々と。
昨夜―――いや今朝、かな?あのままオチてしまったせいだ。
璃羽はとりあえずその辺に落ちていた男物のTシャツを着込むと、
のしのしと荒い歩調でバスルームに向かった。
486璃羽のけだるい昼下がり(2/4):2008/01/23(水) 08:52:45 ID:K0yrO0RG
 
「ん。おはよ」

先客がいた。
今まさにバスルームを使おうとしていたのだろう、上着に手をかけて胸元まで捲し上げながら、
璃羽の―――璃羽『たち』の恋人たる洋人(ひろと)はいつものように挨拶した。

細身ながら逞しい身体、覗いたへそに璃羽は少し顔が赤くなってしまう。見慣れている筈なのに。
いや、その時はいつも璃羽側には恋人の肢体をじっくり観賞する余裕などないから、
見慣れてはいるものの慣れているとは言えないか。
むしろパブロフの犬的効果で認識しただけで性的快楽を覚えるようになるとか。
………恐ろしい。ありえる話である。

「なんだ、貴様も今起きたのか?」

このまま科学技術が発達して遺伝子操作で空飛ぶ豚が誕生するよりは
遥かに可能性の高い想像を普段通りの口調で誤魔化す。
少なくとも『あの』時には無条件で発情するくらいにはなってきているのだ。
そのうち洋人の顔をみただけで性交をせずにはいられないくらいになるのではあるまいか。
………悪い冗談にしても度が過ぎている。

「いや、朝には起きたよ。朝稽古して、買い物ついでにランニングして
 今帰ってきたところだ。少し汗かいたからシャワー浴びようと思って」
「……化物め」

いつも思うが、あれだけのことをしておいてなんでピンピンしていられるんだこいつは。
これも剣道で鍛えた無尽の体力と不動の精神の賜物か?
それを床の上でも発揮するって、どんだけ応用が利くんだ、剣道。
………まぁ、菜食主義者だった狼に肉の味を覚えさせたのは
他ならぬ璃羽(と巻)なのでこれは自業自得なのだが。

「巻は?」
「まだ寝ておる。というかお前、昨日は我の日だったろう。何故巻を呼んだ?」

じろり、と睨みつけるも効果はない。
洋人はそのまま黙々と服を脱ぎ続ける。

「そりゃ誤解だ。昨日は巻の方から部屋に来たんだよ。……だいたい、璃羽の日っていったって
 最近はどっちが先かだけの話じゃないか?二人ともすぐに失神するし」
「そ、それは………その、貴様が無茶するから………」

顔を赤くしてどもる璃羽。
確かに、繋がったまま連続で五回も六回も絶頂を迎えさせられては
『飛んだ』まま戻ってこれなくなるというものだ。
他にも前だの後ろだの前から後ろだの上から前だの交互にだの色々された(した)気がしたが
きっと気のせいだろうと思うというか思いたいがやっぱり気のせいではない気がする。
487璃羽のけだるい昼下がり(2/4):2008/01/23(水) 08:53:41 ID:K0yrO0RG
璃羽がもじもじしていると、洋人はふと何かに気付いたようにベルトにかけていた手を止め、
しゅんと憂いを帯びた表情になった。

「……そうだな。璃羽が悦んでくれると思っていたから、最近俺もちょっと調子に乗ってたみたいだ」
「え?」

璃羽は驚いて顔をあげた。
その唇を、優しく奪われる。
そっと触れるようなキスは、しかし毎夜修羅のような激しい行為で
彼女たちの意識を刈り取る青年のものであり、そのギャップに璃羽はすぐにくらりとなってしまった。

「悪い。璃羽が嫌なら、もう無茶しないよ。そうだな、俺、ちょっと自分勝手だったみたいだ。
いつだったか巻にも言われたっけ。無茶するならもっとできることとできないことを考えるべきだって」

ぽーっとした耳元でそんなことを囁く洋人。
そうなると、もう璃羽としては条件反射のごとくこう返すしかない。

「ち、違う!そうではなくて……その、これは我の我が侭なんだ……。
最近洋人を独占できなくって、つい………。本当は洋人に苛められるのもやぶさかではないし、
洋人がしたいことならどんなことだってしてあげたいと思っているん……」

ぼそぼそと呟き、言葉を切って、何かうなじ辺りに怖気がした。
それは、狼を前にした兎と同じ感覚だったのかも知れない。
わかっているのはもう逃げ場がないということ。
追うのを諦めたと見せかけて、実に的確に狩場におびき寄せられたのだ。
というか単純すぎるぞ自分。

果たして璃羽は、次の瞬間ひょいと洋人に抱え上げられてお持ち帰りモードになっていた。
………いや洋人の家はここだけど。
じたばたと暴れるも、鋏を使わなくてはポテトチップスの袋を開けられない非力な少女と
剣道の試合で相手の防具を砕く豪剣の剣士では力比べにもならない。
洋人の顔を見ると、さっきまでの影のある表情はどこへやら、にこにこしていた。
やたら爽やかなのがまた癇に障る。

「洋人ッ!貴様、謀ったな!」
「なんでだよ。いや、いいこと聞いた。そっかー、やっぱり苛められるの好きだったのかー」
「そ、それは……オイやっぱりってなんだ!ち、ちち違うぞ!ええい離せッ無礼者!」
「だって璃羽もシャワー浴びにきたんだろ?いいじゃないか、背中流すくらい」
488璃羽のけだるい昼下がり(4/4):2008/01/23(水) 08:54:17 ID:K0yrO0RG
 
絶対背中流すだけでは済まない。
璃羽はそう確信した。
他にも色々流される。理性とか尊厳とか無垢な自分とか。

「こらぁ!こッ、恋人同士でも強姦罪は通用するんだぞ!」
「騒ぐなってば。巻が起きる」

璃羽は静かになった。
巻はまだ寝ている。ということは、まさに今洋人を独占できるということではないか?
と、思ったときには既に浴室に放り込まれていた。
チェックメイト。あとは美味しく頂かれるのみということだ。

「お、おい!Tシャツ……」
「下着はつけてないんだろ?いいよそのままで。『透けT』もなかなかそそるもんだ」

妙にマニアックなことを言い出す洋人。
かつての試合中、睨んだだけで相手が泡を吹いて失神し、目覚めたとき
その日一日の記憶を失っていたという噂を持つほどの剣の鬼とはとても思えない。

「……………お前、性格変わったな」
「おかげさまで」

恨めしそうに睨み上げるがにこやかに微笑むこの青年の面の皮の前に効果は毛ほども無さそうである。

―――それでも、この笑顔には敵わない。

璃羽はため息をつくと、ピトリと洋人の胸に額をつけた。
洋人の腕が背中に回る。心臓の鼓動が響く。温かい。
じんわりと胸が熱くなる。同時に、下腹部にも熱が宿るのを感じた。

―――やれやれ、まったく。我も大概だな……。

先程の馬鹿な妄想が現実になるのを少しだけ恐れながら、
しかしもう璃羽はこの青年から離れることはできないだろうと確信していた。

「責任は取れよ?」
「……ん」

二人は熱いシャワーを浴びながらお互いを抱きしめあい、唇を重ねあう。
それが唾液のしたたる激しいものとなるまで、時間はかからなかった。



                 璃羽のけだるい昼下がり〜新ジャンル「パブロフ」英雄学園伝〜 完
489名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 09:22:04 ID:K0yrO0RG
人類の技術はついに新しい生物を生み出すまでに発達した……!!
生物にして食品、食品にして生物。その名も『お刺身少女』!!
これは生まれながらにしてすでにお腹に刺身が乗っているという画期的な人造生命体である!

「博士ー。食べ終わった後はどうするんですー?」
「そりゃあお前、食べるんだろ。違う意味で」

新ジャンル「食品」
490名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 09:32:02 ID:K0yrO0RG
卵子「絶対バーリア!」
精子「バリーン!突き破ったー!」
卵子「あー、ずっけぇ!今のなしな!」
精子「だめー」

新ジャンル「小二病」
491名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 09:43:03 ID:K0yrO0RG
女友「女ってさー、視力0.2無いんだって?」
女 「そだよー?」
女友「でも眼鏡してないよね。ってことは、コンタクト?」
女 「ううん。ラガン」
女友「(なんで某ドリルなロボットアニメっぽく言うんだろう……)不便じゃない?」
女 「んー……確かにね。でも、いいこともあるしさ」
女友「いいことって?」
女 「そりゃあ……あ、男くーん」タタタ

男 「よう女。………近ッ!顔近ッ!」
女 (と、こんな風に、自然に男くんに近づくことができるのよ!)

女友(不自然だ……っていうかアタシより早く男のこと発見する辺り、あの娘眼いいんじゃ……)

女 (ああ、あと少しでキスできそう!)
男 (……あ、鼻毛出てる)

新ジャンル「視力低いがあえて裸眼」
492名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 09:54:27 ID:K0yrO0RG
「ん〜、イイねイイねイイよ〜?も〜ちょっと開いてくれるかなアーいいねー!
 大丈夫だってみんなね、しちゃってるからさー?そ、そ。もうね、ガバーッて開いちゃおうよ
 そうそうそうそう、あー、そう!それでいいんだって!うわー、綺麗だねー。何、え?何!?
 まだ使ったことないの!?あー、そっかそっかー。初めてなんだー?
 え?ってことはコレ、あれ?ボクが膜取っちゃっていいの?ウッソ、マジ?
 えー、何?ちょっと、ここ立っちゃってるじゃん、もう!あー、反応初々しくていいねー。
 触るたび鳴いてくれるんだねー。え?いやね、前のヤツはさ、もうちょっと弄ったくらいじゃ
 鳴いてくれなかったんだよね。すぐ暗くなるし。いや俺がそう仕込んだんだけどさ。
 え?んー、どうかなぁ?俺にとって都合がよければ、キミもそうなっちゃうかも……なんてね!
 じゃ、さっそく撮っちゃおうか!え?先にかけて欲しい?へー、初めてなのにそういうのは知ってるんだ?
 わかった。じゃあ、まず膜、とっちゃおうか?」


新ジャンル「携帯厨」
493名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 17:48:25 ID:84CqHksN
>>492
待てコラwww
494名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 23:06:35 ID:xqIAUV0k
>>492の肩透かし具合は異常w
495名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 00:12:01 ID:CDyyALpD
>488
GJwww
魔王が普通にロリっ子になってしまう学園っていいな。
496名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 01:53:20 ID:ofKrZxJ8
>>488
ちょwwそっちも剛剣かwww
497名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 14:12:09 ID:+iHSXIPe
新醤油学園の状況は

・番長編(番&チーマー)
・野望編(痴女クール校長及び四天王)
・青春編(ロリ校長&教頭息子)
・英雄編(洋、巻、璃)
の四編で互いに少しずつリンクしてると。

学園規模が大きいのは分かるが、どんだけ生徒数がいて敷地は広いのかが気になる…

流石新ジャンル
498名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 19:58:27 ID:qeQhwPgr
>>495
リューはロリにもなれるけど基本大人サイズじゃなかったっけ?
499名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 21:25:27 ID:Nvtj8/b3
英雄編(洋、巻、璃) は学園じゃ無い様な気がするが。
洋人は青年なんだろ?
500名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 21:37:49 ID:Ygz/XdyZ
英雄編は新醤油の前から出てるぞ




――――番長と呼ばれし男が、今此処に二人、出会う―――

「オラァ!!」
「ガハッ…てんめぇぇ…覚えてろよ…!!」

「ったく…ふざけんじゃねぇよ。ウチの生徒に手ェ出しやがって…」
「助かりました…修吾先輩」
「おう。気をつけて帰るんだぞ」
「はいっ」

蔵覇 修吾…蓮華の通う「氷炎学園」の番長

「…アァ?そんなに死にてぇのかコラ」
「す、すいませんすいませんすいませーーん!」
「すいませんで済んだら警察要らねぇだろボケが!!」
「ギャアッ」

「…ば、番長、やりすぎじゃないッスか…?」
「このバカ…氷炎んトコの生徒に手出しやがったんだとよ」
「げ、蔵覇とかいうのgモギャー」
「呼び捨てんな!先輩か番長付けろ!」
「す、すんません…蔵覇番長のいらっしゃるトコっスか?」
「その通りだ。あそこの生徒には手出すんじゃねぇっていつも言ってんのによ…」

そして…新醤油学園番長

「謝りに行かねぇとな…」
「御供は?」
「要らねぇ。蔵覇は謝れば許してくれる、心の広い奴だからな」
「…何で知ってるんスか?」
「……色々あるんだよ、色々…」
「……そっスか」

「…じゃ、ちょっくら行って来るわ」
「お気をつけて!」


―――――実は、共闘した事もあるとかないとか――――
その辺は、別な所で。

新醤油学園 番長編 〜心強い仲間〜
501名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 21:49:08 ID:qeQhwPgr
>>499
どのくらいの歳から青年っていうのかは結構曖昧だけどな。
確かに醤油学園に入れちまったら「じゃあ四天王ってなにさ?」ってなるかも。ヒロトだし。
502名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 22:03:39 ID:P0+1Kc0Y
無理に一つの学園にしなくていいんじゃね?
それぞれ書きたい事もあるだろうしさ。
設定出しただけとか続きを渡した勇者シリーズとは違っていいと思うよ。
503497:2008/01/24(木) 22:28:03 ID:+iHSXIPe
そうですね
無理にまとめる必要もないみたいですし
了解しました
504名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 15:42:38 ID:kLy+rv84
誰もいない今のうちに…


男友「ふっふっふ…前回俺は男のメイドさんから、三体の巨乳メイドロボを頂き美味しく賞味した。と言うわけで俺は今幸せの中にいる!!」
メ1「ご説明ご苦労様でございます、ご主人様」
男友「…にしても」
メ1「何でしょう?」
男友「お前たちに名前をつけないとな、いつまでもメイド1とか2で数字で呼ぶのもなんだし」
メ1「お気遣いは不要です。家政婦でもメス奴隷でも好きな様に及び下さい」
男友「…後者は論外だが家政婦ってのも熟女女優を連想して萎えるな」
メ1「誰の事ですか?」
男友「ほら、母親役とか定年前の婦警役がハマリ役で…家政婦は見たの主役の人」
メ1「人名の出ないのは老化の始まりです」
男友「やかましい!!俺が若いって所を体に教えてやるぜ!!」
メ1「きゃあ(////)」


新ジャンル 「チメイド」


また人のネタパクってすみません
505名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 14:27:56 ID:uYGCKX90
そろそろ次スレかな
506名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 16:00:31 ID:/FX9kQrE
まだ早い気もする
長編投下されるんなら別だけど……な?
507名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 00:46:31 ID:4FScHWAz
未熟な肢体…。
囲炉裏真智子の体は、それ以上に的確な表現は思いつかなかった。

「ふふ。可愛いわね…。」
思わず零れるセリフと舌舐めずり。尋常ならざる気配に、真智子は息を飲む。
「な、なにをするきなのですか?」
しかし、彼女は俎上の鯉。手は拘束され、足も大きく押し広げられてる。
さらに、スカートの下で彼女の秘部を隠していた布きれも、既に剥ぎ取られていた。
「ふふふふ。 イ イ 事 よ 。」
女の舌は真智子の脛から膝、さらに太腿をなぞり足の付け根に行きつく。
「ひゃっ!だ、だめです!そ、そんなところ…」
「本当にダメなの?何だか感じてるみたいだけど。ほら、濡れてるでしょ?」
唾液とはちがう液体。指先ですくって少女の頬になでつける。
恥辱と絶望に涙を浮かべる少女。その様子に満足気に頷くと、女は男性器を模したオブジェを取りだす。
「さぁ。本番よ…。」


………………………………………………………………………………………………………………………………


豆「なぁ!校長、何いい顔してぶっ倒れてるんだ!?」
甜「あぁ。インフルエンザに感染したから、タ○フル飲んでたからかな?」
芝「感染してるなら学校に出てこなくていいのに…。」

新ジャンル「Tamiflu」新醤油学園野望編 外伝
508名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 23:07:08 ID:Jfytt9tk
女「男君、大丈夫?…
男「ウウ....」
女「すごい熱…」
男「ガクブル」
女「こんなに寒そうなのに…一体どうすれば…よし」
スルスル
男「あ…女さん来てくれt…何してるの!」
女「男君…わたしが…わたしが暖めてあげるね…」
男「だ、だめだよ女さん…君にもうつるよ…」
女「うん…ほらうつすと治るって言うじゃない…大丈夫、わたしが芯から暖めてあげる…」
男「あ、お、女さん…だ、めだよ…ああっ」
女「だから…芯から暖めて…ア、…う、うん…ッ…あん…」
男「ああ女さん…」
女「ああ、男くんの…熱い…」
男「女さん…」
女「どう…暖かい?」
男「ああ…あたたかい…女さんのなか、あたたかいよ」


新ジャンル「おみまい」
509名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 23:08:11 ID:Jfytt9tk
だがこれが、後に一万人に及ぶ死者を出す新型インフルエンザ蔓延の切っ掛けになろうとは…
この時この二人が知るよしもなかったのである…

ジャンル「バイオハザード」
510名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 18:46:21 ID:oEhHXg70
だからおまえ毎度毎度ちょっと待てとwww
511名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 21:31:25 ID:kQ7PfWXF
てす
512名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 21:31:53 ID:kQ7PfWXF
規制解除キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!
513名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 21:48:40 ID:kQ7PfWXF
ジャラジャラ……
ジャラジャラ……

A「おい、B。見ろよ、女さんだぜ」
B「うわ、本当だ。今日もすっげぇ鎖ジャラジャラさせてやがるぜ」
A「今時スケバンスタイルだもんな。でも、見かけに違わず喧嘩スッゲェ強いらしいぜ」
B「『ヘルズチェーン』の名は伊達じゃないってことか。テッカテカの金髪にドクロマスク……恐ろしいぜ……」
A「ああ………」

子分「姐さん!例のブツ、買ってきました!!」
女 「……ん、ありがとよ」

B「なんだ?近所の本屋の袋だぜ!?」
A「きっとバイク雑誌とか、ハードロックとかの音楽雑誌だぜ!」
B「恐ろしいぜ……」
A「ああ、恐ろしい……」


女 「サスケは攻めじゃなくて受けだろ……わかってねぇな!!」


新ジャンル「くさり」
514名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 22:06:07 ID:kQ7PfWXF
「あン、やだぁ……かけすぎだよぉ。ほら、こんなにぬるぬるでべたべたになっちゃったじゃん。
 え?ううん、怒ってないよ?ただ、焦らないでちゃんとあたしのこと味わってほしいから………なんてね。
 わ、わ、駄目だってば。こらぁ、どこつついて……やぁ、そこらめぇ、大事なところ、ほじっちゃヤダぁ……!
 ………う、うう……意地悪ぅ……。そうよ。本当は、嫌じゃない……もっとして欲しい……!
 熱くてとろとろになっちゃってるあたしのここ、あなたの白いのと絡めてほしい……!!
 こ、これでいい?いいよね?はやく、早くしてぇ!気が変になるのぉ!!
 あ、あふぅう……息かけないでぇ………!すごい、大事なところ、コリコリしてるの自分でもわかるぅ!!
 はやく、早く突き刺して!つまようじ刺してぇぇ!!」


新ジャンル「たこやき」
515名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 22:39:44 ID:9dgsm1QB
医師「ゲホッ」
看護婦「先生?」
医師「ゲホッ、ゲホッ、う、しまったゲホッ君、僕から離れろ!」
看護婦「まさか…先生!」
医師「早くこの部屋から出たまえ!ゲホゲホッこの研究棟を閉鎖す…うう、寒気が…」
看護婦「感染したのですか!せん…ああ、せんせぇ…」
スルスル
医師「ダメだ、早く!」
看護婦「うふふ、せんせい…寒いのでしょう?わたしが…あたためて・あ・げ・る」
カチャカチャ
医師「君!やめたま、あ!よせ、そこは…うっ!あっ!」
ジュルジュッポン


この年のインフルエンザの特徴は、まず男性に感染して強力なフェロモンを発生させ、
周囲10ートルの女性を発情させると言うものだった。
その結果行われる性行為によって確実に感染の広がりを速められた。

なん言うウィルスの罠!なんと言う生命の神秘!ああこんな感冒ならかかってみたい!


新ジャンル「バイオハザード痛(ツウ)」
516名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 22:43:50 ID:kQ7PfWXF
男「すまない、セリヌンティウス。この世にたった一人の妹の結婚式なんだ。
  わたしは必ず帰ってくる。だから、ここで待っていてくれ!」
友「いいとも。私と君の友情にかけて、この身代わり、引き受けようじゃないか!」

王「くっくっく、三日後の日没に間に合わなかったら大事なお友達を処刑してくれるわ!」

男「な、なんだと!?」
友「いいんだ、友よ!さあ、行ってくれ!妹さんが待っているんだろう!?」
男「くっ……すまない、行ってくる!!」

スタスタスタ

友「………………………」

スタスタスタ

男「必ず帰ってくるかんねー!」

スタスタスタ

友「………………………」
友「…………………」
友「走れ!メロス!!!!」


新ジャンル「メロス」
517エロエロ女子高生くんづほぐれつ:2008/01/29(火) 22:48:28 ID:9dgsm1QB
…そして新型インフエンザネオジャンルArPr型はとある高校にも
その魔の手を延ばしていたのだった!


ああ危うし女子高生!



男「ゲホゲホッ」
友「なんだよーお前、風邪かぁ、マスクなんかして」
男「ゲホゲホそーなんだよああだりぃ」
友2「なんで来んだよ、感染すなよ、おい」
男「うっせーなマスクしてんだからいいだろ大体テストあんのに休めんか」
男教師「そこ、静かにしろ!では小テストを始める」





男子校だった


新ジャンル「バイオハザード惨(さん)」
518名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 23:03:59 ID:kQ7PfWXF
>バイオハザード

なんとなく、某花粉少女のような光景を想像した。エロス!
でもインフルエンザは大変だぜ?マジ瀕死だぜ?
519名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 23:22:07 ID:9dgsm1QB
漢「うははははは!どーんと来い!新型!オレが全部引受けてやる!うははははっは!」

子「ねぇおかぁさん、あのおじさんはだk」
母「しっ、目を合わせちゃダメよ!」

漢「うはははっは!体力なら自信があるぞ!(うへへへへそしておねちゃんとやりたい放題だぜぇ!
ハーレムハーレム!)どーんと来いインフルエンザァ!」


しかし

馬鹿は風邪を引かないのだった。


新ジャンル「バイオハザード死(し)」


ついリアルに風邪ひいたんでやってしまった、後悔はちょとしている(´・ω・`)...
あとぶった切ってスマヌ..orz
520名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 03:59:36 ID:vJQg582T
お前らwww

俺もうインフルエンザワクチン打っちまったじゃねえか orz
521名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 09:34:44 ID:yR0Bcmiw
なんで凹んでるんだよww
522名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 19:58:27 ID:jEYMF8pp
そうか、俺が風邪をひいたのはこのスレッドのせいだったか・・・。
そうかそうか・・・ふふふ。
523名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 20:51:05 ID:yR0Bcmiw
女「遅刻遅刻〜!初日から遅刻なんてチョーヤバいって感じだよねー!」タタタ

男「!」
女「!!」

ドカーン

女「いったいなぁ!どこ見て歩いてるのよ!!」
男「こっちの台詞だ!前見て生きろバカ!」
女「なんですって!……っと、いけない!遅刻しちゃう!!」

タタタ

男「……行っちまった…って、あの制服、ウチの学校じゃねーか?」

………………………
………………
………

 「……と、いうわけで、転校生の女くんだ。ま、よろしくやってくれ。席は……メロスの隣が空いてるな。
  ん?アイツまだ来てないのか?仕方ない、逆隣の友。放課後、女に校内を案内してやってくれ」

女「よろしくね♪」
友「ああ、よろしくな!」

………
………………
………………………

男「まったく、なんなんだよあの女は…」

テクテクテク


新ジャンル「メロス」
524名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 21:09:03 ID:yR0Bcmiw
男「今日、ウチ……両親帰ってこないんだ」
女「!!」
男「そ、それで……俺、ちょっとコンビニ行ってくるから。もし、その……アレだったら、
  その間に帰っちゃっていいから。でも、よかったら……家で待っててくれないか」
女「え、あ……」
男「言ってる意味、わかるよな?」
女「う、うん……」
男「それじゃ、行ってくる」

ガチャ…バタン

女「……待ってろって、そういうことだよね。あぅぅ、ど、どうしよぉ……」
女「でも、なんでコンビニ……あ!コンド……はぅぅ……」
女「あ、あたし今日どんなぱんつ履いてきたっけ?あ、う、うん……及第点」
女「どうしよどうしよ、一応お母さんたちには遅くなるって言ってあるけど……」
女「あああ、コンビニってそんなに遠くないし、こうしてる間にもメロスくん帰ってきちゃうよぉ……!!」
女「……ん?あぁぁ!もうメロスくん下にいるぅ!!」
女「……………」
女「ん?………………あれ?あれって……」


男「…うぅ、寒ぅ〜」

スタスタスタ

女「走れ!メロス!!!!」


新ジャンル「メロス」
525名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 22:11:27 ID:CkN4XJ7w
wiki更新しないなー……忙しいのかな中の人
このスレ使い切っちゃっていいものかな?
526名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 01:23:30 ID:jZ0aqn0P
>>523-524
友(>>516)放置涙目wwwww
527彼薫る洋人(1/7):2008/02/01(金) 12:09:43 ID:C3TETdmn
張り詰めた空気がその場を支配していた。
放課後の剣道場、時刻は午後六時十分前。
部活が終わるその前に、彼らが剣を交えるのはすでに定例行事となってしまっている。
他の部員たちはおろか部活が早く終わった部活の連中、
さらには帰り際の教師たちまでもが剣道場に集まり、彼らの試合を固唾を飲んで見守るのだった。
―――いや、正確には彼ら、ではないか。
彼女を、と言うべきだろう。

「………………………」
「……………………………」

相手の剣先を注意深く読みながら、じりじりと身体を横にずらし
隙を伺う女子部員は剣道部副部長、2年C組出席番号15番、調辺 巻(しらべ まき)。
体力的に不利な女性でありながらその実力は剣道部2であり、
彼女の打ち込みは稲妻の如き速さを持つといわれている女丈夫なのだ。

観客たちは剣道部の姫君……否、学園の姫君とも謳われる彼女が目的で
剣道場にやってくる………………と、いうのは知らぬ者の誤解である。
実際はこの観客ども、本当に真面目に剣道を観に来ているのだから。
最初は麗しい女剣士である巻目当てに来る者も、彼らの勝負の前には手に汗が滲むというもの。
ああ、どんな素人にだってわかる。
巻は、強い。
しかし、勝てない―――と。

隙などない。それはもう、紙一枚入ることも出来ないほどに、無い。
打ち込めばそれで負けるのは確実だ。
だから巻は―――それでも、隙を伺うしかないのだった。
彼は泰山の如く不動。
巻は時計の針のようにくるくる回り、気声も虚しく静まり返った剣道場に響くのみだ。
だがこうしていても埒が明かず、だから仕方なく攻めるしかな――――――

ほら。踏み込んだ足が床板を叩く前に、もう竹刀が目の前にある。

――――――なんで。

「面ぇぇぇぇええぇぇえぇぇえぇんンンン!!!!」

面有り一本。
剣道部部長、東 洋人(あづま ひろと)の勝ち。
528彼薫る洋人(1/7):2008/02/01(金) 12:10:35 ID:C3TETdmn


「また手も足も出ませんでしたわ……」

帰宅後、巻はがっくりと肩を落としていた。
こたつに落ちてさらりと広がる天光の如く煌くブロンドロールは、
とても長く面に蒸れていた少女のものとは思えない。
しなやかでいて豊満なスタイル、金髪碧眼の端麗な容姿、文武両道を地で行く優秀さ。
どこをとっても一流であることから巻は所属するこの巨大な学園でも結構な有名人になっていた。
さぞやモテるであろうと思われる彼女だが、
そのハイスペックの割には表立って告白しようという輩は滅多にいない。
何故なら、巻が洋人にぞっこんであるというのは周知の事実であるからして。

「………貴様、洋人に敵うと思っていたのか?とんだ思い上がりだな。
 その無駄にでかい乳をそぎ落として詫びるがいい」
「言いすぎじゃありませんこと!?」

こたつの向こう側で鼻を鳴らすのは同居人の斗江流 璃羽(とえる りう)である。
炎のように鮮やかな赤い髪をくるくると弄り、紅玉色の瞳を半眼にして巻を睨んでいる。
彼女も巻に負けず劣らずの美少女であるが、いかんせんどことなく心許無い(胸元が)。
巻によくつっかかるのは、羨望の裏返しが多分に含まれているだろうことは明らかだった。
二人とも好戦的な性格であり、しょっちゅう喧嘩ばかりしていり彼女たちだが、
ではお互い嫌いあっているというとそうでもないのが人間の不思議なところ。

「しかし、実際我にはわからんな。洋人に挑んで貴様に何の利があるというのだ?
 聞くところに拠ると稽古ではなく、模擬戦のような形式らしいではないか。
 実力差がありすぎて鍛錬にもなるまい」

璃羽がぼりぼりとやりながら、齧りかけの胡麻煎餅をひらひらと振る。
もちろん、巻が弱いというわけではない。
ただ、洋人は生まれる時代を間違えた……というか、
生まれる『世界』を間違えたような常識離れした腕前の持ち主なのだ。
その太刀筋たるや、実家の道場に時々やってくるタツジンとかいう爺さんたちが
弟子に取りたいとやってくる程。

巻だって、勿論それはわかっている。
幼い頃より洋人の実家、東道場の門下生として世話になっていたのだ。
まだ素振りもおぼつかなかった巻の眼に、
既に大人顔負けの剣の腕を持っていた洋人がどう映ったのかは想像するまでもないだろう。
色々な意味で、洋人には巻では勝てっこない。そんなことはわかっているのだ。
それに実際は、勝ち負けとあまり関係なかったりする。
挑むことが重要……。いや、巻が洋人に無謀な挑戦を続ける真の意味、
それは洋人の練習のメニューを増やし、洋人の発汗をさらに促すことにあるのだった。
529彼薫る洋人(3/7):2008/02/01(金) 12:11:38 ID:C3TETdmn

「………は?」
「洋人様ほどになると、ちょっとやそっとの運動では息ひとつ乱しませんわ。
 そこでわたくしはメニューに模擬戦を組み込むことによって、
 洋人様に少しでもいい汗をかいていただこうとしていますのよ」

どうだ、とばかりに胸を張る巻。確かに胸は立派だが、意味がわからない。

「そりゃあ勿論、洋人様の香りをより堪能する為ですわ!汗をたっぷりと吸った胴着や防具の芳醇さ。
 嗚呼、どんなに高級なアロマよりも求めてやまないものですわ!!」

巻はなにやらウットリしている。
璃羽はお花畑でトリップしている巻をかなり引いた目つきで眺め、
二枚目の煎餅に手を伸ばした。

「………変態」
「失礼な。だいたい、貴方はどうなんです?貴方も洋人様のことを好いている筈。
 愛する殿方の香りに包まれたいとは思わないのですか?」
「ぐ」

思うところがあったのか、璃羽は煎餅を喉に詰まらせたような声を出した。
そう、璃羽も洋人のことが好きなのだ。巻にはよく分からないところで二人は出会い、
凶暴な猫のようだった璃羽は洋人にすっかり懐いてしまったのだとか。
知らないうちに洋人に近づいていた璃羽は巻にとって最も危険な存在といえよう。
言葉に詰まった璃羽に、巻は畳み掛けるように続ける。

「曰く殿方は視覚で恋をするといいますが、それなら我々は一体洋人様のどこに惹かれるのでしょう?
 ―――それは全て。そう、洋人様を構成する全ての要素ですわ。
 少なくとも私はそうですもの。
 洋人様の容姿を、声を、肌触りを、そして匂いを。
 五感を総て洋人様で満たすことこそ史上の悦びとしましてよ。
 なれば、それを際立たせようと努力することもひとつの愛の形ではなくて?」

立ち上がり、高らかに演説する巻。
その姿は、全校集会の壇上で自己をアピールする生徒会長候補生のようでもあった。
どこかの王族の如きオーラに気圧され、さすがの璃羽も二の句が継げない―――と、
それまで浴室にいたらしい洋人がひょっこりと顔を出した。

「なあ巻、璃羽。俺の手ぬぐい知らないか?」

上半身裸で、ほこほこと湯気がたっている。どうやら風呂上りのようだ。
年頃の乙女ならイヤンな声のひとつでも出るところだが、
璃羽が空き家の多い洋人の屋敷に転がり込み、
それに巻が便乗して三人で暮らし始めてからもう長い。
上半身くらいじゃ鼻血も出さない巻たちである。
530彼薫る洋人(4/7):2008/02/01(金) 12:12:17 ID:C3TETdmn

「てぬぐい?」
「ああ。部活で使ったヤツ。汗かいたから洗っておかないと臭うんだけどな」
「見つけて洗っておきますわ。お気になさらず」
「……ん。悪い」

洋人は引っ込んでいった。
ガラガラピシャンと閉じられた扉の向こうに洋人の姿が消えたのを、たっぷり十秒ほど見送ってから、
璃羽はゆっくりと首を回して巻に目を向けた。

「変態」
「愛の形ですわ」

愛イコール変態と璃羽は認識した。



「………まったく、巻の異常性癖にも困ったものだな」

深夜二時。
璃羽はぬぎぬぎと衣服を脱ぎ捨て、下着姿になっていた。
風呂のお湯はもうすっかり冷めてしまっているだろう。
これから追い焚きするのも面倒だし、シャワーをさっと浴びる程度でまぁいいか。

「しかし愚民どもめ、0.02秒差ってありえんだろう常考……」

Vipperにとって安価争奪とは戦争にも等しいのである。
それはもう、ベトナム戦争時最も激しい攻防戦が繰り広げられたというケサンの地を髣髴とさせるほどに。
みんな……だめ人間丸出しだった。

「…………………」

と、ふとブラを洗濯カゴの中に放り込もうとして、その手を止める。
こくん、と喉が鳴った。

――――――五感を総て洋人様で満たすことこそ――――――

逡巡、しかし躊躇う指先はゆっくりとカゴの中を漁っていた。
探り当てたのははたして、見覚えのあるTシャツである。
今日一日、洋人の素肌に触れていたものだ。
洋人の逞しい胸元を、広い背中を、滑らかなラインを描くわき腹を、お腹を、肩を、首元を―――。
くん、と匂いを嗅ぐ。
柔らかな布地の匂いとともに広がるのは、紛れもない。洋人の香り。
とくん、とくん、とくん、とくん。
心臓が早鐘のように打ち始める。
気が付いたら、Tシャツを抱きしめて顔をうずめていた。

変態。
531彼薫る洋人(5/7):2008/02/01(金) 12:12:52 ID:C3TETdmn

巻に向けて放った言葉が脳裏を掠める。
しかし掠めるだけだ。この、耐え難い欲求の前には大河を流れる木の葉よりもささやかな抵抗。
堰を切ったように溢れかえるこの想いを止めることなどできはしないのだ。
思い切り、深呼吸をした。

「………………ふぁ、」

鼻腔に満ちるその芳香に、思わず声が出た。
まるで洋人の胸に抱かれていると時のような―――。
どくん、と全身の脈打つ音が聞こえた。芯から火照り、自然と身をよじる。

「はふ、ふ、ぅあ―――」

息が荒くなる。そのたび、肺に―――洋人が入ってきて、おかしくなっていく。
それはそうだろう。愛おしい男の匂いに満たされ、侵されているのだ。平常でいられるわけがない。
鼻腔から気道を駆け抜け、肺に満ちて肺胞のひとつひとつに染み込んでいく。

「洋人、ああ、洋人……!」

腰から力が抜けて、へたり込んだ。
ぴたり、と布地が張り付く感覚がする。
辛うじて身につけていたショーツが愛液を吸ってしたたらんばかりに濡れそぼっているのだ。
璃羽は、その邪魔な布っきれをとってしまう。性交には無用の長物だ。
璃羽の手は、洋人の手。やや乱暴にショーツを脱ぎ捨て、
彼の指をびしょ濡れになっているそこに這わせる。

「〜〜〜〜っっ!!」

気持ちいい。
当然だ。
洋人に包まれているのだから、それが不快なわけがない。

器官から体内に侵入した彼の匂いは赤血球、ヘモグロビンと結合し、
血管を経由して璃羽の身体を内側から犯していく。
満たされていくとはこのことか。全ての臓腑が狂喜しているのがわかる。
心臓は普段の規則正しい真面目さを忘れ、壊れたエンジンのように乱れよがっていた。
全身に回った匂いは蛇の毒の如く璃羽の神経に絡みつき、
脳髄を麻痺させてたったひとつの信号だけを送り続ける。
曰く、狂えと。
愛する男に隷属せよと。
本人ですらない。
その者を構成するひとつの要素にさえ、はしたなく浅ましく屈服せよと。
璃羽は拒めない。
拒むという選択肢さえ見えていないだろう。
璃羽の目の前はとっくに色欲に染まってしまっていた。
532彼薫る洋人(6/7):2008/02/01(金) 12:13:33 ID:C3TETdmn

「洋人、洋人、洋人―――好き、ぁあ、好き、大好きぃい……!!
 や、そこ、どこを触って……ぁう、やだやだ、駄目ぇ、いじめるなぁ……!!
 は、ぁう―――好き、ン、キス、キスしてぇ……!ン、んぅ、あふ……。
 そこっ、やぁ、汚いから……!ううん、嫌じゃない。洋人なら、ああ、洋人、洋人ぉ……!
 はぁ、はぁあぅう……おひ、おひりぃ……!すき、好きぃ……!
 洋人にされるの、好きぃ……………!!あ、あ、ああ、あ……!
 いく、いく、洋人、我、もぉお………!!」


そして、少女は絶頂を迎える。
一心不乱に敏感なところをまさぐっていた璃羽は背を弓のようにしならせ、
くたくたとそのまま仰向けに倒れこんだ。

「はぁ、はぁ、は、ぁ――――――」

気だるい、心地いい倦怠に身を任せる。
ぼんやりとした頭で、もう巻のことをとやかく言えないな、なんて思ったりした。
Tシャツはもうどろどろのびしょびしょだ。
汗やら唾液やら愛液やら、とかく色んな汁を吸って重さまで変わっていそう。
勿論そこには既に洋人の匂いは残っておらず、代わりにむせ返るような雌の臭いに上書きされていた。

「………困ったな」

とりあえずこっそり洗濯するのは必須として、
しかし璃羽は洗濯機もろくに使えない駄目な娘さんなのであった。
未だ自慰の余韻を残す、生臭い息で大きくため息をついた。

「仕方ない、適当に手もみで洗って吊っておくか。どうせ風呂に入るし―――」

よっこいせ、と身を起こそうとして、

「んん……」

洗面所に入ってきた巻と対面した。

「………………………………」
「……………………………………」
「……………………………………………」
「……………………………………………………」

痛いほどの沈黙が流れる。
533彼薫る洋人(7/7):2008/02/01(金) 12:14:28 ID:C3TETdmn

―――現在、だいたい夜中の二時半といったところだろうか。
朝日とともに目覚め、身体を起こす為にランニングに出かけるような
健康的生活を送る巻には随分な夜更かしであった。

しかし、璃羽はあまり驚かなかった。

おそらく、それは巻の方も一緒だったろう。
なにせ璃羽は素っ裸でいろんな体液でデロデロになった洋人のTシャツを握り締め、
巻は巻で乱暴に羽織っただけというような異様に乱れたパジャマ姿で、
やはりデロデロになった洋人のものと思しき手ぬぐいを手にしていたのだから。

数秒ほど目を合わせただけで、少女たちは通じ合った。
普段はいがみあっている二人だが、そこは似たもの同士。
いざというときの以心伝心はサッカー日本代表を遥かに凌駕するレベルのものを持ち合わせている。
シンクロニティチェイン、成立。
つまり見なかったことにしたのだ。

「………………………………」
「……………………………………」

璃羽はTシャツを手にしたまま浴室へと入って行き、
巻はてぬぐいを持ったまま洗面台に水を張り始める。

「………………………………………………」
「……………………………………………………」

水音がざぶざぶと響く中、今度から早目はやめに目当てのモノは確保しておこう、
そう固く心に決める少女たちであった。



                 彼薫る洋人〜新ジャンル「くんくん」英雄学園伝〜 完
534名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 21:14:41 ID:xYnoxBQB
変態だーー!!(性的な意味でw)
535名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 22:47:57 ID:KrBK+nLH
だが、そ れ が 良 い !!















2次元のみ
536名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 23:40:27 ID:C3TETdmn
せんせい!SSは2次元にはいりますか?
537535:2008/02/02(土) 02:11:44 ID:Um+9PGMX
え?2次元だと思う…のだが。
平面上だし。
538名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 12:45:28 ID:92Le0MjB
…なんかキャラ的に勇者シリーズで越えられない一線をこっちで越えて鬱憤はらしてる稀瓦斯www
だがエロでGJだー!
こうなれば本編は禁断少女が出るくらいストイックに、こっちはこっちで抜かずに居られない
くらいにエロエロになってくれれば大変お宜しいかとw


つまり俺はこう言いたいのさ

「(もっと)走れ!エロス(方面に)」

御後がよr(rya
539名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 17:27:07 ID:RAn3aRTV
禁断少女って誰…w
540名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 18:27:16 ID:iXaCwu8g
だがそこはかとなくエロい響き……ww
541名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 19:26:02 ID:XHoeuBcU
>>539
検索してみ、スレが有るから。
すげーハードル高いから投下は少ないが
542名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 19:29:20 ID:YPRoFq27
543名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 20:29:00 ID:RAn3aRTV
行ってきた
確かにこれは知らんわ
しかしなかなかに…
544名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 22:09:39 ID:RZCKYnuH
ハイレベルすぎるな…



「…何見てるんですk」「みちゃダメ」

「はーなーしーてー」「ダメ」


新ジャンル「目隠し」
545名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 18:07:12 ID:sEk51ISW
次すれ
だれか
たのむ
546名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 18:22:58 ID:Gu8NZjV8
たててみた
次スレ
【総合】新ジャンルでエロパロpart5【混沌】
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1202030382/
547名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 19:52:20 ID:jko7Zzq+
>>546
乙っす
548名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 00:29:03 ID:p4yoJ8l6
埋める必要はあるのか
549名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 14:23:07 ID:Dl/oKRj1
女「えっ、このスペース使っても良いの?」
男「うん、ちょうど切り換えの時期だから。
ごめんね、ちょっとで」

女「ううん、凄く嬉しい!!やった〜!!!!!!!!!」

(小一時間後)
女「あー満足!!!!!!
ありがとう男君!!」

タッタッタッタッ

男「まだ微妙に余った…」

新ジャンル「中途半端」
550名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 00:01:25 ID:xiMyHfVE
「さて次スレですね」
「そうだな」
「どうしますかね」

「私達も行くんでしょう?」
「勿論だけどね…」
「まぁ、適当に使ってさっさと行こうか」


新ジャンル「適当な梅」
551名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 01:44:56 ID:uaKZEPQO
「え、もう?…そっかー。
そう、まぁ早かった、かな?
うん、聞いてた通りだったよ、沢山、ほんと一度にたくさんもっらたし、
いろいろひかっき回されたり…
え?
うん、たのしかった。

多分次ぎの子もこんな風に楽しい気持ちになるんだろうね。
でも
どうしてたのしい時間ってすぐ終わっちゃうんだろうね?
ううん、平気だよ。

何よ、何見て…
え?違うよ、
違うってば!
な、泣いてなんかないんだから!

イーっだ!

…バカ

えへへ

じゃ、バイバイ」

ジャンル「4スレ」
552名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 19:19:04 ID:83tDSqUB
まだ…梅られますか…?
梅られるんでしょうね…
梅てしまいましょうか…
553名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 20:32:38 ID:nQ0dybhX
554名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 22:02:39 ID:TmwNnK4N
555名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 00:26:56 ID:4o4/nuCD
有無
556名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 20:52:35 ID:hmcIdROF
うめうめ
557名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 21:01:58 ID:QwUd7AJO
埋め酒がデュワッと埋め酒
埋めトラマン
558名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 21:12:00 ID:g+BqTKLV
久々の書き込みが梅
559名無しさん@ピンキー
何か次スレ立ってたけど