らき☆すたの女の子でエロパロ25

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1名無しさん@ピンキー
アニメも好評のうちに終了し原作も大好評連載中、PS2版も12月発売予定の「らき☆すた」でエロいの行ってみよ。

☆カップリングは自由
☆基本的に百合マンセー
☆801は禁止(と言っても男キャラあんまいねぇ)
☆投下した作品の保管を希望しない場合、前もってその旨を知らせること

※マナー等※
※割込みを防止するため、書き込みや投下の前等にリロードを。
※荒らしや煽り、気に入らない人・作品等はスルーで。
※グロやSM、鬱モノなどの過激な内容は断りを入れてから投稿する
※読者=主人公の作品(いわゆる俺キャラもの)についてはNGワード指定や断り文を確実に。
※480KBまたは950レスのどちらかに近づいたら、次スレの準備を。

マターリはぁはぁしましょうか。

☆まとめサイト(管理人と職人に感謝!)
ttp://www33.atwiki.jp/kairakunoza/pages/1.html
☆派生サイト:てけてけかなたさん伺か化計画
ttp://neo-experiment.hp.infoseek.co.jp/index.html
☆前スレ
らき☆すたの女の子でエロパロ24
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1195117511/
2泉こなた:2007/11/24(土) 01:27:35 ID:M5zgRfOF
かろやかに2ゲット( =_,_,=.)b
3柊つかさ:2007/11/24(土) 01:29:10 ID:cfsHF9y2
わ、私だってっ!
4白石みのる:2007/11/24(土) 01:31:37 ID:GPUsk+v3
ぼけー…………………
…………あ、あれ、カメラ回ってる!?
い、>>1おっつ〜〜!!
5名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 01:43:27 ID:eVP3smNG
>>1
乙です!
6鼻血みゆき:2007/11/24(土) 01:55:55 ID:Lra0w2rt
>>1お疲れ様です。
>>2さんはもらっていきますね(ぶふっ)
7名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 02:04:03 ID:Bppyzyd/
>>1乙だだだだだ
8抱きつきかがみ:2007/11/24(土) 02:07:13 ID:M5zgRfOF
残念ね、>>2はもう私の腕の中よ。
頬すりすり髪くんくんくん。

やば・・・トリップする前に言っておくわ、>>1乙なんだからねっ!
9名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 02:11:28 ID:Tw8OqWjn
>>1ぉっ!
10名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 02:12:33 ID:Tw8OqWjn
ageてしまったスマン…orz
1122-468:2007/11/24(土) 05:49:21 ID:IXXUiQxy
こんばんは。22−468です。
新スレになったばかりで申し訳ありません。投下させていただきます。

注意事項など
・こなた&かがみ
・非エロ
・ドタバタコメディー(のつもりで書いてみました)
・4レスほど使わせていただきます。

表現力、下手ですのでスルーしていただいても構いません。
12ナンパなこなた(その1):2007/11/24(土) 05:50:44 ID:IXXUiQxy
 七夕の日にこなたから告白されて、夏休み突入と同時に目出度くこなたの恋人同士となる事が出来た柊かがみです。
告白された時や恋人になった時の話は割愛させていただくわ。
人の惚気話を聞いても面白くないだろうし。

今回は、こなたと恋人同士になってから1ヶ月が経過したにもかかわらず、
何にも進展していない私とこなたの一寸したドタバタ話です。


お盆を過ぎても相変わらず暑い日が続いている、とある土曜日の昼下がり。
冷やしておいた水羊羹を食べようとしたら、こなたが緊急収集を掛けてきた。
この時期に、このタイミングだと目的は一つしかないわよね。
ノート片手に泉家に入ると、こなたがいきなり抱きついて来て『かがみ〜、大好きだよー』
とか
『やっぱりかがみは私の嫁だよー』
とか言ってたけど
「宿題見せてほしいなら素直に言いなさい!」
つまり、そういう事である。

私のノートを必死に写しているこなたを見ながら、小さいため息が漏れた。
「高校生活最後の夏休みなんだから宿題くらい自分でやりなさいよ」
「いや〜、最初は自分でやるぞって思ってたんだけど」
こなたは、柔らかそうな頬っぺたをポリポリ掻きながら私の事をチラチラ見てくる。
「どうせ徹夜でネトゲでもしてたんでしょ」
「違うよ!」
私の言葉に、全身全霊を使って反論するこなた。なにをムキになってるのかしら。
「それなら、何よ?」
「え・・・と、その」
ポーカーフェースで感情を表に出さないこなたの顔が、どんどん赤くなってくる。
あんた、何考えてるのよ?
「・・・考えてたから・・・」
蚊が鳴くような声で話すものだから、全然聞き取れない。
「ごめん。よく聞こえなかったんだけど」
13ナンパなこなた(その2):2007/11/24(土) 05:51:32 ID:IXXUiQxy
「かがみの事をいつも考えてたから、何も手につかなかったの!」
さっきとは正反対に、こなたの声が家中に木霊した。
「なっ・・・何言ってるのよ!それが宿題やらない理由にならないでしょ。そ、それだったら私だって・・・」
やばい、超はずかしい。私、絶対顔赤いわよ。
それよりも、ゆたかちゃんとおじさんに聞こえたわよね。
何て事してくれたのよ。ゆたかちゃんと会いづらいじゃないのよ。
1秒か1分か1時間か分からないけど、二人の間に流れた沈黙は、とてつもなく永く感じた。
「そ、そうだかがみ。この前アキバで面白いの売ってたんだよ」
沈黙に耐えられなかったのか、こなたは机の引き出しを開けて御香のような物を取り出した。
「なによ、それ?」
「御香?」
「見れば分かるわよ。何の御香かって聞いてるの」
こなたが持っている御香を見てみると『泡妞香』と書いてある。中国語?
「何の御香か分らないけど、点けてみようよ」
おもむろに取り出したマッチで御香に火を点けると、部屋中に何とも形容しがたい香りが充満してきた。
違うわ。香りなんて代物では無い。
「臭い!こなた、臭いわよ」
鼻を押さえながら、部屋の窓を全開にして換気をする私とは正反対に、御香の傍で香りを堪能しているこなた。
あんた、絶対どこかおかしいわよ。
「そんな変な物、捨てなさいよ。それにしても臭いわねー」
「え〜、良い匂いなのに」
御香の火を消しても部屋に充満した匂いは中々消えず、それに耐えきれない私はノートをこなたに渡して泉家を後にした。
14ナンパなこなた(その3):2007/11/24(土) 05:52:10 ID:IXXUiQxy
次の日

「こんちゃーす、かがみ〜」
「おーす、こなた。飲み物用意してくるから、つかさの部屋で待ってて」
昨日、泉家に置いていった私のノートを返しに来たこなたから、覚えのある香りがした。
まさかあいつ、あの御香を使っているんじゃないでしょうね。
もし、そうなら辞めさせないと。可愛いこなたが台無しだわ。
そんな事を考えながら、御盆にコップとジュースを乗せてつかさの部屋に入った私の目に、信じられない光景が飛び込んできた。

「つかさは可愛いね〜」
「ど、どうしたのこなちゃん」
「私ね、つかさの事好きだったんだよ」
「え・・・えー! 本当?って、ダメだよ。こなちゃんにはお姉ちゃんが居るんだから」
「つかさは私の事、嫌い?」
「そ、そんな事無いよ!」
私の視界が捉えた事を客観的に話すと、こなたがつかさに迫ってて、つかさも満更でなくて、二人とも良い雰囲気で。
「嫌いじゃ無いなら、問題無いよね」
「う、うん。ってお姉ちゃん!」
私が居る事に気付いたつかさが、こなたを突き飛ばして顔を真っ青にしながら
普段見せないマシンガントークを見舞ってきた。
「ち、違うの!こなちゃんと私は何でもなくて。
こなちゃんが勝手に迫ってきて、それで私は断ったんだけど、でも良いかな〜とか思っちゃって。
あわよくば、こなちゃんと良い関係になりたいとか」
つかさ、パニックになりながら本音を言うのは止めなさい。
分かってるわよ。つかさがこなたを嗾けるなんてしないハズ。
「ちょっと、こなた。あんた私の事、どう思っているのよ」
「大好きだよ、かがみ」
「へ?」
予想を斜め上に行く返事が来たものだから、間抜けな言葉が出てしまったわ。
「かがみは私の恋人だもん。大好きに決まってるじゃん。かがみは私の事、嫌い?」
な、何言ってるのよ。嫌いな訳ないでしょ!むしろ・・・私も
「むー!」
何?この唸るような重低音は?音源は・・・つかさ?
「こなちゃん!さっき私の事好きって言ってたよね。あれは嘘だったの?」
どうしたのよ、つかさ。目がマジよ。
「嘘じゃないよ、つかさ。大好きだよ」
「本当♪」
待ちなさいって!
「こなた!私達付き合ってるんでしょ。恋人の目の前で他の人を好きとか言うなんて、何考えてるのよ」
15ナンパなこなた(その4):2007/11/24(土) 05:52:46 ID:IXXUiQxy
「仕方ないよ、お姉ちゃん。こなちゃんは私の事が好きなんだから」
「何ですってー!」
こなたを挟んで壮絶な女だらけのバトルを繰り広げる事、数十秒。
「ちょっとー、うるさいよ」
自分の部屋で昼寝をしていたまつり姉さんが、頭を掻きながら現れてきた。
そうだ、まつり姉さんに仲裁してもらおう。
私が事情を説明しようとした矢先、こなたがまつり姉さんの手を握って
「まつりさん。今日も可愛らしい貴女を見ていると、この貧乳な胸がときめいてしまいます」
な・・・なんですと―――!
「こ、こなたちゃん。どしたの」
戸惑いながらも満更でない御様子のまつり姉さん。なにがどうなっているの?
「「まつり姉さん(お姉ちゃん)、どういう事?」」
まつり姉さんに可及的速やかに状況の説明を求めている最中、なにか大事な事を忘れているような気がしたけど気のせいね。
「私だって知らないよ。こなたちゃんに聞けば良いでしょ」
それもそうね。
「こなた!って、あれ。居ない?」
ドコに行ったのよ?
「こなたちゃんなら帰ったわよ」
洗濯物を取り込んでいたお母さんが教えてくれた。
何故か上機嫌なのが気になるけど、今はそれどころじゃないわ。
「つかさ、追うわよ!」
「う、うん」
つかさは頭を押さえながらボンヤリしていて、まるで今まで夢を見ていたと言わんばかりな顔をしていた。
「どうしたのよ?」
「何か、夢を見ていたみたいで。頭がボーとするの」
ビンゴ!って、そうじゃないでしょ。
「しっかりしなさいよ。ほら、行くわよ」


お盆を過ぎても、まだまだ暑い昼下がりの午後。双子の巫女さんが駅に向かって駆けて行った。
16名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 05:55:50 ID:IXXUiQxy
以上です。
読んでくださった方、ありがとうございます。

文章力が全く向上しない自分にorz

元ネタとして、某アニメのとある話を使わせていただきました。
17名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 09:33:28 ID:GseTy1K1
>>16
これは…後のこなフェチである!?
続きに期待なんぜ
18名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 12:51:20 ID:Szd0ZxtO
>>16
ぐっじょ
つかさもまつりも満更でもないのなw
19名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 13:16:00 ID:cjqCJrZC
♪好きとか嫌いとか 最初に言い出したのは〜……

こなただったのか?w
2023-251:2007/11/24(土) 15:03:34 ID:BjsrFA2q
>>16
GJ!
こんなこなたいいなあ。ニヤニヤがとまらんw

続きものの「星に願いを」ですが、規制が長期化しているので、やむを得ず、wikiに直接更新します。
とりあえず3話を下記に掲載。

http://www33.atwiki.jp/kairakunoza/pages/1228.html

21名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 15:48:23 ID:cRJ0NYMZ
>>20
これは続き期待
しかしかがみん、前回のアレがある分
冷静に喋っていてもどこかちょっと間抜けて見えるなw・・・だがそれが(ry
22名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 16:03:57 ID:lJDTqldH
>>16
GJ!
この後こなたを巡ってかがみとつかさの仁義なき戦いが始まるんですね
23名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 19:05:59 ID:M5zgRfOF
前スレ>>621をみて





コナタスキー=かがみ
謎の宇宙人マザー=みゆき

を考え付いてしまった俺はバルサミコ酢の刑
24あなたの日2/3:2007/11/24(土) 19:55:06 ID:nY5KYCED
味付けは上手くできたかわからない。味見をした限り、この上なく不味いということはないだろう。ケーキのデコレーションを何回もやり直して時計をちらちら
だって今日は

あなたの日だから。



「桜庭先生」
「何だ?指輪なら持ってないぞ」
暇そうに椅子を回すひかるに聞いてみた。やっぱり煙草どころかパイポもくわえていない。
「週末、何か予定ありませんか?」
「んー?いや、特にないが」
「でしたら、土曜家に来ませんか?黒井先生と手料理のことで話をしていたら、ぜひ食べてみたいと言っていましたので。桜庭先生もどうですか?」
ひかるは顔が窓の方に来るよう椅子を回した。特に断る理由がない用事なら口では面倒だと言っても必ず受けてくれる。
学生時代からの勘と経験がふゆきに誘う口実を与えてくれた。
まさか、あなたの誕生日ですからパーティやりますとは言えない。サプライズが台無しだ。
それに、黒井先生云々は全部嘘ではなく、食べたいと言っていたのは本当だ。
「あぁ、いいぞ」
あっさり本人の承諾を得た。


仕事が終わってすぐ、ふゆきは家に帰りパーティの支度にかかった。酒等はななこが用意すると言っていたからその手間は省けた。
料理が大体完成し、ケーキが満足に仕上がった頃、インターホンが部屋に鳴り響いた。
「おっ、準備できとるみたいですやん」
入ってすぐ、ななこはビールの缶やワインのボトルが詰め込まれた袋を重そうに置いた。
「で、桜庭先生は?」
「まだです。連絡もありませんし」
「待つ、しかありませんな」
ふゆきは頷いた。



待つと言ってから時計の針は過ぎていき、今では見事な直角を描いていた。
「天原先生。もう、待てませんわ」
ななこはフローリングに突っ伏し、なるべく料理を見ないようにしていた。ぐぅ〜〜っと、腹の虫が叫ぶ。何度も自己主張を繰り返すうちに慣れてきた。何度電話をかけても通じない。秒針が進んでいく音だけが、やけにはっきりと聞こえてくる。
「天原先生はプレゼント何にしましたん?」
ななこは何とか立ち上がると、どこからか少し長目の箱を出してきた。
「うちはこれにしましてん」
そう言って箱を開けると、中には簡素な腕時計が。
「やっぱ、プレゼント言うたら使えるもんやないと」
「あ、それわかります。私のは」
ふゆきは立ち上がって居間からいなくなり、しばらくして何かを持ってまた戻ってきた。
「これです」
「へぇ、こらまた・・。桜庭先生、喜ぶんちゃいます?」
ななこは笑ってそれを見ているが、ふゆきの表情は曇っていた。
「ですが、今の桜庭先生にはいらないものかもしれません。先生は
本当に偶然と呼なのか。ふゆきの言葉を遮り、チャイムが来客を
「おーい、ふゆきー」
主役の登場を告げた。
25名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 20:01:48 ID:wtIY8G4N
もしかして書きながら貼ってんのか?
sageてもないし…
26名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 20:03:07 ID:ykFB17uJ
前スレ最後の人みたいですね。
2chに不慣れなんだそうで
27名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 20:24:43 ID:Tw8OqWjn
つかさ「何故書きながら投下したらダメなの?」
みゆき「一人が投下に時間が掛け過ぎると他の人がその分待たないといけなくなるからです。
                      一人で長時間スレを占有する事にもなるので控えるべきですね」

Q「規制(人大杉とか)に引っかかって、投下に時間が掛かるよ?」
A「ギコナビ、Live2ch、その他「2ch専用ブラウザ」を使って投下すれば規制は受けなくなります」

Q「ageとかsageって何?」
A「メール欄にsageと入れて投下することでサーバの負担が減るので、皆そうしています。
                                         ここのルールみたいなものです。」

Q「いろいろとめんどうなんだねぇ…」
A「郷に入っては郷に従え、の言葉もあります。住人達によって作られたルールには皆、それぞれ意味があるのです」
28名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 20:31:08 ID:ykFB17uJ
先日ちょっとごたごたしたのもあったし、
次スレからテンプレにそのあたりも加えようか?

まとめサイトのここにある【投下形式案】もよくまとまってるから、
これに専ブラ関係を加筆して、テンプレのページに入れ直して
リンクはるだけでもいいかもだし↓
http://www33.atwiki.jp/kairakunoza/pages/762.html
29名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 20:33:21 ID:upas11ZJ
ちょっと良い?

>>24 は何故なにもレスしないんだ?
これだけみんなにいろいろ言われてるんだぞ?
なにかないの?
30名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 20:36:04 ID:M5zgRfOF
>>27
こなた「上級者として教えるつもりが、途中からQとAのままだねぇ
     置換機能とかつかえばいーのにAHA☆」
かがみ「そうやって一々煽るあんたもルール違反だよこなた」
こなた「でもまあ、>>27の言ってることは、作品を提出する上で
     一種のマナーですぞ。きちんと実行して、
     正しく書き込み&エロパロライフをっ!」
かがみ「18歳になったからといって、エロはやりすぎんなよw」
こなた「かがみん厳しい・・・」
31名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 20:37:45 ID:Tw8OqWjn
>>30
全部「つかさ」「みゆき」で通したら鬱陶しかったんで、2段目以降はQとAに変えたんだ(´・ω・`)
32名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 20:39:52 ID:M5zgRfOF
>>29
多分>>25の言うとおり、書きながら貼ってる可能性大
んでおそらく、今何らかの形で手が離せない状況にあり、
携帯とかからやってるんだと思われ。
こうしている今も、3レス目に取り掛かっててみんなのレスをみる
余裕がないのだと思われる。




って、なに弁護してんだろ俺・・・。
33名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 20:42:43 ID:upas11ZJ
>>32
う、おk、そう解釈する。
なんとなく、ありがとう。
34名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 20:44:17 ID:ykFB17uJ
まあ、カリカリして雰囲気悪くしちゃったら負けだよね。
それこそ人多杉にひっかかってるかもしれんし、
ほんとに見るのも書くのも初めて、みたいな様子だったからね。

ってか、静かに見えて、こういうことあるとみんなわらわらでてくるのなw
35名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 20:47:18 ID:GseTy1K1
>>28
俺としては、「書きながら投下は避ける」「sage推奨」あたりは加えていいと思うぜ
不慣れな人にはよくわからんのも事実

…と、以前「書きながら(ry」をやって苦言を受けたことのある俺が言ってみる
36名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 20:48:32 ID:BjsrFA2q
>>28
あんまり細かいことをいってもねえ。
正直、>1のローカルルールで十分な気がする。細かいルールが多すぎると、窮屈で書きにくいし。
37名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 20:50:14 ID:upas11ZJ
カリカリした俺 敗 北

ということでらっきー☆ちゃんねる1期の28回聞いて来るノシ
38名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 20:53:10 ID:M5zgRfOF
ここは基本的にやさしいエロパロネットですね。
時々厳しい人もいるが、ツンデレと解釈できる程度だし。






かがみ「こなた、何変なこといってるの?」
39名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 20:57:03 ID:H2T+udxa
>>38
こなた「ふおぉ!?」
(やば、本物のツンデレさんが来ちゃったー)
40名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 20:58:05 ID:ykFB17uJ
>>36
それもそうかもね。実際自分も「今投下おk?」とか窮屈な感じするし。
とりあえず>>35の二つはいれておいたほうがいいかな、と思う。

よくわからないで書きながら投下して、こういう反応帰ってきたら
もう投下したくなくなっちゃうかもだし、それは勿体ないなって思うのですよ
41名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 21:38:14 ID:Szd0ZxtO
二話だったか三話だったか、こなたは大変な事を言ってる
「双子は同じ人を好きになる」

なんだと…!?
42名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 21:50:59 ID:YkxEQAE6
>>41
こなた「今、かがみ→私←つかさ フラグ立ったねw」
43名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 22:57:13 ID:cRJ0NYMZ
女にモテすぎだろこなたw
44名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 23:04:16 ID:dTFlLy/L
そこからこなフェチが(ry
45名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 23:07:03 ID:YkxEQAE6
もういっそ、3人でずっと同棲で
46名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 23:10:13 ID:M5zgRfOF
みゆき「そ・・・そんな・・・つかささん・・・・
     私とは・・・遊びだったのですか・・・」
47名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 23:13:53 ID:cRJ0NYMZ
複雑な関係だなw
みゆきさんやつかさはともかく、かがみは皆で共有するってのは向いてない気がする
激しく嫉妬しそう
48ぶーわ:2007/11/24(土) 23:20:10 ID:+DjHi3JU
どーも、2スレぶり。ぶーわです。
最終回書きあがったので、投下させてもらいます。
長い間お付き合い、ありがとうございました。
最後なんで、馬鹿に長いです。
ちょっと時間がかかりますが、メンゴンゴ!
↓本編15レス+エピローグ6レスほど拝借します。おまけも、あるよ!
 空に暗雲が立ち込め、突風が吹き荒れます。
 鳴動するのは大地と雷。
 今、世界は終わろうとしています。
 彼女は奇跡を起こしました。
 神にも起こせない奇跡、それは世界を繋げる奇跡。
 そしてとうとう見つけました。
 自ら失くしたものを。自ら捨ててきたものを。
 その全てを見守り、神が言葉を漏らします。
―私は知った。
―生きるという事の素晴らしさ。
―愛するという事の素晴らしさ。
―これが彼女の力。
―神をも超える、繋がる力。
―世界を超える、絆の力。
 彼女は少女を救いました。
 悲しみの運命から、憎しみの渦から。
 そして今もなお、世界さえ救おうというのです。
―ならば私も尽くそう。
―世界を共に、救おう。
―最後の奇跡を、共に起こそう。


「あっ……」
 こなたが声を漏らした。
 私もそうだ。目の前の光景に、不意をつかれた。
「蛍?」
 まぁ、私にもそう見える。
 フラフラと忙しなく点滅しながら、私の周りを飛び回る。
 でもこの感じは覚えてるわよ。暖かい優しさに包まれるこの感触は……この野郎、今更出てきやがった!
「よく、見つけましたね……かがみ」
「蛍が喋った!」
 ほら、捕まえようとしないの。一応敬わなきゃいけないんだから。
「ええ、おかげさまで。ね?」
 池の中の私を覗き込む。
 その中の私も、笑顔を返してくれた。
「ええと。それよりこの子を! し、締まるぅっ!」
「わーかがみ見て見てー、喋る蛍ー」
 何時の間にかこなたに捕まってるし。
 うんうん、珍しいわね。籠にでも入れといて。
 ……って言いたいところだけど、今はそんな場合じゃないか。
「放してあげて、こなた。一応偉い人らしいから」
「らしいって何ですか!」
 こなたの手から抜け出し、また私の周りを飛び回る。なんか蝿みたい。
 まぁ今はそんなんどうでもいいわ。
「出てきたなら教えてくれるのよね……どうしたらいいの?」
 空の様子も、さっきから何処かおかしい。
 雨が降るわけでもないのに雲が広がり、今にも雷が落ちそう。
 地面に下ろした足からは、大地の鳴動すらも微かに感じる。
「今、世界は不安定な状態です……私もこの姿で干渉するのが限界です」
 虫でギリギリってわけね。つーか結局今まで何してやがったんだ!
「世界を救うためにはもう一度、世界を繋ぎ止めなくてはいけなせん」
「作り直すって……出来るわけ? そんなこと」
「……私だけでは、無理です」
 何よそれ! あんたに出来なくて誰が一体……。
「かがみ、貴方の力が必要です」
「わっ、私!?」
 私の目の前で、私を見る。その言葉は、池に映る私にじゃない。
 私に……向けられてる、らしい。
「貴方は私や彼女より、尊くかけがえのない力を持っています」
「そ、そうなの? よく分かんないけど」
 なんか照れるじゃない、そんな言い方されたら。そりゃ、救おうって言い出したのは私だけどさ。
「ですがこれは賭け……かがみ、私と共に世界を背負う覚悟はありますか?」
「えっ……」
 思わず唾を飲む。少し汗が落ち、胃に棘が刺さるような感覚に襲われる。
「全ては貴方にかかっています。世界を救えなければ貴方は、この世界とともに消滅するでしょう」
 心が、跳ねる。
 私の肩には今、世界が乗ろうとしている。失敗は許されるはずもない。
 その時私は、消えるんだ。この世界と共に。
「わ、分かってるわよ……あるわ。世界は救ってみせる!」
 そうよ、決めたの。
 そして帰るんだ、私自身の世界に。
 そしてまた、いつもの日常を迎えてみせる。
 それが私の最初の望み。一番最初に、願った気持ち。
「やはり……そうですか」
 ここは私の世界じゃない。
 でも自分のものじゃなかったら、どうなってもいい?
 そんなの、いいはずない!
 そう割り切るには、私は関わりすぎてしまった。
 この世界に。この世界の……皆に。
『失敗したらもう……会えないのよ?』
 池に映った私が、言葉を投げる。
 誰に? 何てのは愚問よ。
 そうよね……そうなるのかしら。
 悲しんでくれるかな、皆。悲しんでくれるかな……あいつ。
「いいの、私が世界を壊した……それは私の責任だもの」
 あんたも言ってたじゃない、世界も人と同じ……世界も、生きてるんだ。
 だから見捨てない、見捨てられない。
「それに、あんたも居るしね」
『……そうね』
 そう、私は一人じゃない。
 大丈夫、きっと成功させてみせる。
 それが私と繋がってくれた、みんなへのお礼。世界への、お礼。
「やるわよ、どうすればいいの?」
「分かりました、では……」
 辺りを包むように淡い光が虫から漏れ、私を包み込む。
「……見えますか? かがみ」
「ええ、やるじゃない」
 いつしか私の目に入るのは、黒い情景だけだった。
 その黒の世界に、点々とした光が見える。
 その中に小さく一つある、綺麗な青。
 ラプチュラスブルーを放つその球体から溢れる光を感じ、心が和らぐ。
「これが貴方が救う世界……その全て。世界を賭けるその前にどうかもう一度、世界を感じてください」
 遥か広がる銀河に散らばる無数の星。
 その星からも、生命の息吹を感じる。
 そうよね……私が知る世界なんてのは、世界の中のほんの少し。
 無限に広がる銀河に比べれば、私なんてのはあるのかどうかすら分からないような存在。
 それでも……。
「それでも、貴方が救うんです……この世界、この銀河を」
「ふふっ、気が遠くなる話ね」
 それは誰にも分かることはない、誰も知ることはない戦い。
 それでも私はやってみせる、そして世界はまたいつものように回るんだ。またいつものように、ずっと。
「ではかがみ……始めましょうか」
「ええ」
 視界が元に戻る。
 暗雲はまだ空に広がり、篝火が乱暴に目を照らす。
 そこにはこなたも、池に映った私もそのまま居た。
 これが最後。私がしくじれば、世界は終わる。私も消える。
「どうか……心を静かに」
「……うん、分かった」
 一度深呼吸をしたのに、まだ心の中が暴れている。
 ああ、何を慌ててるんだろう私。
 でも駄目だ。心臓の鼓動が耳を劈くように暴れだし、手が震える。
 情けないなぁ……私がやらなきゃいけないのに。
「かがみっ」
「あ……」
 震える手が、暖かさに包まれる。
 その手をこなたの柔らかい手が掴んだからだ。
「大丈夫だよっ、かがみなら絶対っ!」
 満面の笑顔を見せ、私の手を強く握る。
 その手から伝わる暖かさと柔らかさに、不思議と心が落ち着く。
「うん、ありがと」
 それを強く握り返し、覚悟を決める。
 もう手に震えはない。
 そうよね……帰って伝えるんだ。
 それが私の、今の願い。この世界で望む……最後の願い。
「貴方の誰かを想い、想われ……繋がる力、それは世界を繋げる絆の力」
 神の言葉に、胸の奥で熱い何かが溢れるのを感じる。
 あはは、自分の体じゃないみたい。
 人の体でやってくれるわね、この虫野郎。
「その力で世界を繋ぎ止めます。思い描いてください、この世界の有り様を」
 世界の有り様。
 そこには私が居て、こなたが居て……他の皆だって居て。
 その誰もが繋がっていて、支えあっていて……お互いの歯車を回している。
 それはどの世界でも変わらない。
 どんな世界でも私たちは……繋がっていられる。
 世界の重さ。生命(いのち)の重さ。
 私はそれを受け止める。
 全部を受け止めて……世界を、救うんだ。
「かがみ……どうか、心折れぬように」
「あ……」
 最初に出たのは、間抜けな声だった。
 そこから耳を劈いたのは、私の慟哭。
 空に響き渡る声と共に襲う激痛は私の体と心を引き裂いていく。
 血管をまるで針が流れ、体の中で痛みを迎合する。
 身を裂く痛みに耐え切れず、体が地面に崩れる。
「か、かがみっ」
 それに慌てて寄り添うこなたに体を預けると、その手が優しく包んでくれた。
 その暖かさに少し、痛みが治まる。
「だ……大丈夫、よ」
 今にも崩れそうな体を必死に保とうとする。
 これが……世界の重さ、生命の重さ。
「それに耐えなければ……世界は救えません」
 こなたの力を借りもう一度立ち上がる。
 でも体は今の衝撃で、上手く動いてくれない。
 あはは、やっぱそう簡単にはいかないか。
 これが最後の試練……ってわけね。
「もう一度よ、今度は途中で止めたりしないでね」
「……はい」


―どうか、耐えてください。
 神が垂らした頭から、涙が零れます。
 神には何も出来ません。
 少女にも、何も出来はしません。
 二人に出来るのはただ、祈る事だけなのです。
 それでも彼女の体を、激痛が駆け巡ります。
 その姿を見て、少女はただ心を痛めます。
―悔しい。
―悔しい……悔しい。
―世界を壊したのは、私なのに。
―その私には、何も出来ない。
 人を超えた力の、何と無力な事でしょう。
 世界を渡る力の、何と無意味な事でしょう。
 見守る少女の瞳からも、涙が零れます。
 辺りを劈き続ける彼女の慟哭に、ただ唇を噛むしか出来ません。
―彼女を助けたい。
―彼女を救いたい。
―私を救ってくれた彼女を。
―私と繋がってくれた彼女を。
 その時でした。
 少女の耳に、『声』が聞こえたのです。


「みさちゃん、まだお酒飲んでるの?」
「別にいいだろー、水だよ水」
 夜中に月を見ながら一杯、ああいい感じに酔いが回ってきた。
 これで本当に月でも出てたら最高なんだけどなぁ、何であんなに曇ってんだろ。
 とか勢い良く飲んでたらぶっ倒れた。今はあやのの膝の上、あぁー柔らかい。
「んもぅ、弱いのにそんなに飲むから」
「あはははー、いー気分だぁー」
 んー柔らかい、ぷにぷに。
「きゃっ! もうみさちゃん、変なとこ触らないでっ」
「いーじゃんいーじゃん、幼馴染の特権ー……みぎゃっ!」
 頭に衝撃。くぅぅ、枕叩きつけられた。
「もう、譲位もそろそろなんだからいい加減落ち着かないと」
「わぁーってるわぁーってるってぇー」
 こうやって夜な夜な遊びに来るのも出来なくなるかな。あーあ、つまんなくなるなぁ。
「結婚したらすぐだってさ、来年とかって言ってたのに詐欺だよなー」
「そっか、みさちゃんももう結婚しちゃうんだね。おっきくなっちゃって」
 あやのが頭を撫でてくれる。むぅ、馬鹿にされてる気分。
「でも、相手ぐらいもっと選べば良かったのに」
「いーだろ、ちびっ子で」
「フラれた腹いせ、でしょ?」
「うっ……」
 い、痛いところを……。
「大事な事なんだから、もっと考えて決めないと」
 めっ、と怒られる。だからってもう恋文出しちゃったわけだし。
 それにさー、あいつちびっ子ばっかにかまってこっちかまってくんないし。
「男の人の嫉妬は、かっこ悪いって言ってたよ」
 誰がだよ! 嫉妬? 嫉妬かこれ!? ……いや、そうだよな。
 はぁ、どうしてっかな……かがみ。
『……から、……だってば!』
 うああ、まただよ。また。
 夜になれば治まると思ってたのに余計酷くなってきた。
 五月蠅いんだよ、人の頭の中でギャーギャー。
 そんな意味不明な事グダグダ言われても、頭痛くなるだけだって。
『だからぁ、柊が大変なんだってばぁー!』
「あーもう、うっさいなー!」
 何処のどいつだそのヒイラギってのは。そんな人は知りません! むーしむーし! お疲れ様でしたー!
「何、どうかしたの?」
「……」
 何を馬鹿な事を、って笑われっかな。あはは、まぁあやのなら適当に聞き流してくれっか。
「いやー昼ぐらいから幻聴が酷くてさー、ヒイラギヒイラギって。誰だっつー話よ」
「へっ?」
 と、意外と普通の反応をされた。
 もぅ、何言ってるの。と一発ぐらい覚悟してたんだけどな。
「……みさちゃんも?」


「ハーイ、今日の茶菓子ハ実にThe Grateful Deadデスヨー」
「やー、気が利くッスねパティ」
 パティの出してくれた茶菓子を口に頬張ると、甘い幸せが口に広がる。これはまた高級そうな茶菓子かも。
「あれ、そういえばゆたかは?」
 さっきまでそこであの無愛想なのと話してたはずだけど。
「……」
「? パティ?」
「ヒヨーリ、心を強くモチマショー。明けない夜もあるんデス」
 ど、どういう意味ッスかそれ! はぅあっ! よくみたらあの無愛想変態男装まで居ないし! あの野郎抜け駆けしやがった!
「ヒヨリが間誤付いてるから先超されるんデスヨー、カガミンにまた怒られますヨー」
 そ、それは怖い。そろそろ耳とれそう。
「先輩かー、そういやさっきから変な幻聴がするんスよねー」
「Oh、キグウですネー。私もデース」
 パティのはただの妄想じゃ……っとと、口を挟まないでおこっと。
「先輩を助けてーって言うんスよね、しかも自分の声で」
「Wonderful! 私も同じデスヨ」
 ……へ?
「Miracleデス、Misteryデース。それで何かしろって言ってマシタ」
「た、確かに同じッスね」
 はて、そんな偶然なんてあるものか。でも確かに言ってたなそんなこと。
「ええと、何しろって言ってましたっけ」
「Umm、確か……」


「じゃあ……ゆたかも?」
「うん、私にも聞こえたよっ」
 夜道を私の手の松明が照らす。
 少しくらい月が出ていれば松明もいらないのに、という考えもあった。
 でもその所為で今、手が繋がっている……ゆたかと。松明の火をあまり顔に近づけないようにしよう。
「素敵だよねっ、好きな人の事考えるだけでいいって」
 頭の中で響いた声。その声が私に懇願する。
 それは不思議な頼みごと……大切な人の事を、ただ考えろという。
「あ、あのっ」
「?」
 声に気がつき、振り向くと目が合った。繋いだ手が強く握られた気がした。
「だ、誰の事……考えたりするのかなって、えと」
 顔を真っ赤にして慌てるゆたかの姿に心が暴れだす。
 言いたい。伝えたい……でも、それは少し卑怯。だって私はまだ、本当の事を話していないから。
『自分に……嘘をつく必要なんてない』
 頭の中で私の声が反響する。それはつい最近、同じ事を言われた気がする。
 ゆたかと向き合わせてくれた女性がくれた言葉。会ったばかりで、名前も知らないおせっかいな女性。
「……ゆたか」
「は、はいっ?」
 強く手を握り返し、視線の高さを合わせる。
 嘘はもう、つかない。
 伝えようこの気持ちを。伝えよう、隠してきた事を。もう、逃げない。
「私……」


―これは、何?
 神が目を見開きます。
 その瞳に映るのは、光の線。
 その光が、世界を走っていきます。
 彼女の起こした奇跡は、まだ続いているのです。
―でもこれは……。
 しかし神は肩を落とします。
 世界に満ちていくのは、淡い光。
 でもそれは、一方通行の想いの力。
 彼女の繋がる力の前では、霞んでしまいそうな脆い力。
 世界を包む光は今にも消えそうなほどに、うっすらと光っています。
―そんなもの、今更……意味はない。
 神の耳を劈くのは、彼女の叫び声。
 世界は神が思い描いていたより、崩れてしまっていたのです。
 その全てを繋ぐ痛みには、彼女の体は耐えられません。
 そうでなくても、彼女の心は今にも擦り切れそうなのです。
―間に合わなかった。
―私には何も出来なかった。
―だからせめて、共に。
―共に……消えましょう。
―それが私に出来る償い。
―この悲劇を招いた、私の贖罪。
 敬意と謝罪の意味をこめ、もう一度神が頭を垂れます。
 その頭から、涙が落ちていきます。
 神が諦めかけたその時でした。
 世界に光が、溢れたのです。


「うん……おや、こなた?」
 冷たい風が顔を打ちつけ、少し酔いが冷める。
 それのおかげでさっきまで居たはずのこなたの姿がないのにようやく気がつく。
 また勝手に抜け出したのか……まぁいいか、今日くらい。どうせ皆酔ってるだろうし。
 はぁ……しかし春宮の北の方(正妻)とはなんとまた。
「旦那様、お水です」
「ああ、ありがとうつかさ」
 受け取った水を飲み干すと、元気も出てくる。
 そろそろ私も公達の相手をしなくてはね、ええと今は何をやってるんだったか。
「皆さん、歌を読んでいます」
 もうそんな頃合か。座興にでもじゃあ、連書でもやろうか。
 じゃあ題を決めないとな。観月の宴なんだ、やっぱり『月』で……。
『……君』
 うああ、まただまた。なんなんだ一体、頭が痛くてならんよ。
 頭の奥から聞こえてくるんだよな俺の声が。気味悪くてしかたな……。
 ん? ちょっと待て。待てよ俺……今のは俺の声だったか?
『そう君』
「な……」
 思わず呆けた声が漏れた。それは、聞き覚えのある声。
 いつの日かもう聞くことの出来なくなった……大切な誰かの声。
 誰か? 忘れるはずがない。遠い記憶の中の、『彼女』の声。
 ずっと最近まで聞いていたような気もするが、そんなはずないよな。
『そう君、……を助……ね』
 それは微かで、ほとんど耳には届かない。
 でも、伝わった。いや伝わらないはずない。
 だってそうだろ? かなたの事で、俺に分からないことなんかない!
「つかさ!」
「は、はいっ?」
 声をあげ、食事を下げようとしていたつかさを呼び止める。
「紙を大量に用意しなさい、全員分に渡る様に!」
「え、あ……は、はいっ」
 最初は間の抜けた声をだしていたつかさもようやく事態を飲み込み、慌てだす。
「全員だ、お前も他の女房にも、雑色たちにも!」
「わ、私もですか?」
「ああ、全員で歌を書こう……大切な人への、恋の歌を!」
 確かに聞こえたよ、かなた。
 助けよう。俺達の……宝物を。
『では……信じてくれるんですね』
 ええ、もちろんです。と頭に響く声に返答します。
 信じないわけがないじゃないですか。かがみさんは、大切な友達ですから。
 彼女だけじゃありません。他の誰もが、私の大切な人ですから。
『じゃあ、よろしくお願いします』
 すぅ、と息を吸い込んでから少し咳払い。喉の調子を整えないといけませんから。
「では少し、肩慣らしに……まずかがみさん!
 何故に……何故にツインテールではないのか! 小説だから見えない? 愚民が!
 いいですか、ツインテールには夢と希望……あと希望が詰まってるんです!
 それを蔑ろにするとはなんたる愚行! 低俗! 野蛮! 粉砕☆玉砕☆大喝采!
 世界を蔑ろにしてもそいつだけぁしちゃいけねぇ!
 失くしたもの? 違うもの? ツインテールに決まってるじゃないですか! イラストで気づけよ!!
 ツインテールさえあればツインテールのないかがみさんなんかフルボッコ! ツインテールは世界を救う! ジーク・ツイン・テール!
 それに峰岸さん!
 なぜっ、なぜ前髪を下ろしたぁああああ!
 カチューシャがない? 気合で止めんだよ! ネコ耳メガネと一緒だろーが!
 あのデコを愛でずして何処を愛でろと!? 舐めたい頬擦りしたいめ○っさに○ろ○ょろしたい!
 そして……そして田村さん!
 いわずもがなメ・ガ・ネ! メ・ガ・ネ! メガネのない彼女なんて肉とご飯のない牛丼! ただの玉ねぎ炒め!
 月とスッポン! サファイアと尿管結石ぃいいいいいい!
 あ、でも泉さんはグッジョブ! まさかいつも下着姿だなんて!」
『マジですか!?』
 そこに反応するとはさすが私、ナイスシンクロニシティ!
 今までのはそう、ちょっとした準備運動……クライマックスはここからです!
 こな○ェチ(未許可)は、世界を超える!!!!
「その小袖の隙間から見える肌はまさに絶対領域固有結界閉鎖空間っっっ! しかも甘えん坊だなんてらららいらららいらららい!」
『あ、ああああああ甘えん坊将軍サ☆ン☆ぶぼふぅー(鼻血)』
「ハァハァハァハァ千年と二、三百年前から愛して(ry」
『てゆーか私の出番これだけってどーゆー事ですか!?』
「え? 出番は続編で? 危ないっ、2ものは危ない! でもどうせなら大奥みたく!」
『そうです、知ってますか? 平安時代は同性愛の始まりの年代なんですよ!』
「秘められた女の園で繰り広げられる酒池肉林の日々!!」
『え? じゃあ次回作こそは私メインで? 大奥編?』
「わーいやったやったー……だが断るっっっ!」
『目先のこなかがより、いつかくる粉雪ぃいいいいいねぇえええええ!』
「そう、私はやる!」
『道はその手で掴んでみせる!」
「私を!」
『私達を!』
「『誰だと思っていやがるううううううううううううう!』」


―こ、これは何?
 もう一度神が目を見開きます。
 そんなはずがない、と言葉を漏らします。
 微かだったはずの光が爆発的に溢れ、世界を覆っていきます。崩れかけていた世界が、形を戻していきます。
 誰かを想う心が、世界を繋ぎとめているのです。
―これが人の、人間の戦おうという意思。
―誰かを愛するということの、覚悟。
―彼女の起こすのはもう、奇跡でも何でもない。
―いまや奇跡という言葉すらおこがましい。
 誰かをただ、強く思う力。それが例え一方通行だとしても、確かな人を超える力。
 その輝きもまた、尊く儚いのです。


「ねぇ、聞こえる?」
「えっ……?」
 声に気がつき、視線を上げる。
 体に走る激痛が、和らいでいくのを感じる。
 気がつけば私の視界には、また黒い銀河が広がっていた。
 そこに居たのは、私。向かい合うように立つ彼女の周りには、光が見える。
 その暖かな光が、私に触れるたびに痛みが引いていくのを感じる。
「あんたが言ったわよね? 私はあんた。あんたは私……私たちだって、繋がってるって」
 最後に目の前の私の手が私に触れる。もう痛みは完全に消えていた。
「な、何なの……? これ」
『これ、って酷いわよね』
『そうよねー、わざわざ来てあげたってのに』
『まぁいいじゃない、そんなもんよ』
 騒々しい声が次々と耳に届く。
 どれも不思議な感じがするのは、きっと耳から入ったからだ。
 だってその声は、いつも私が発してる声だから。
「数多の世界の中にも……人を超えた貴方もまた、存在するんです」
 私の前に、神が現れる。
 じゃあそのどれもが、『私』?
 そうか……無限に世界はあるんだ。
 どんな形でさえ人の力を超えた私も、存在する可能性だってある。
「どうにか間に合ってくれたみたいです……言ったじゃないですか、期待しておいてくださいって」
 ……そっか。言ってたわねそういやそんなこと。じゃあ連れてきてくれたわけね、あんたが。
 この世界から消えて何処に行ってるかと思えば……やってくれるじゃない。
『ったく、いきなり現れて騒ぐんだもん。変な虫が』
『あ、もしかしてこいつじゃない?』
『そーみたい、偉そうだし』
『やっちゃえやっちゃえ』
「えっ、ちょ、おまぁあああ」
 光の群集にフルボッコにされてる姿は見なかったことにしよう。
「あんたが言ったのよ。一緒に罪を償いましょう……痛みも、分かち合えばいいじゃない」
「……うん」
 例え世界が壊れようとしていても、私たちはこうやって繋がっていられる。
 それは、私たちが心で繋がっているから。
 その繋がりは、決して解けない。
 どんなに険しい道だって、支えあえば立ち上がれる。
 だから大丈夫、私にはこんなに沢山……支えてくれる人たちが居る。繋がってる人たちが居る。
「うぅ……誰も敬ってくれない」
「ほら、いつまでいじけてんのよ……やるわよ」
「と、とれますっ。乱暴に掴まないでぇっ」
 ったく、もうちょっと毅然としてればいいのに。
 これでも一応、敬ってるんだからね。
「オ、オホン……ではかがみ、やりましょう」
 今更威厳を見せても後の祭りなんだけど……口を挟まないでおこう。
「世界……再生です」
 もう痛みは感じない。世界が変わっていくのが、今は体から伝わってくる。
 でもこれは私だけの力じゃない。皆が皆……私のために、世界のために今その生命の灯を燃やしている。
 それが、絆。世界は繋がり……絆という生命が結ぶ、奇跡。
 ふふっ、奇跡なんて言葉は失礼よね……だってそれは、誰にだって起こせるんだから。
 私にだって『貴方』にだって。
 絆を結ぼう。世界を……結ぼう。
『お疲れ様、かがみっ』
「あっ……」
 もう一つ声が、聞こえた。その言葉が私に溶けていく。
『ほらっ』
 私の前に、声の主が手を差し伸べる。
 その手から漏れる優しさは……私がよく知っているもの。
 この世界の誰もが知らない、私だけが知る……かけがえのない、大切な人。
 違う世界まで、私を迎えに来てくれたんだもんね。
 貴方だけじゃない、他の皆だって。感じるよ……皆が居るのを。皆の手が、私に伸びてるんだ。
 花に手が届かない? 想いが伝えられない? 元の世界に帰れない?
 なら簡単よ……向こうにも手を、伸ばしてもらえばいい。
 そしたら後は、手を掴むだけ。
 ほら、それだけで……繋がるんだ。
『おかえり、かがみっ』
「うん、ただいま……こなた」
 その手にただ私の手を、重ねた。


 晴れた暗雲から漏れた朝日が、心地よく平安の大地を照らしていく。
 月はもう、全て沈んだ。
 世界は……救われた。
 彼女によって、神によって。
「……あいつは?」
「もう、帰りました……彼女の世界に」
 近くを飛んでいた虫に問いかける。
 何だ、一人で帰れたのね。
 他の私ももう存在を感じない。
 皆戻ったんだ……それぞれの、あるべき場所に。あるべき世界に。
「……ありがとね。私の事、見捨てないでくれて」
 下げる頭も私にはないのかもしれない。
 自分の持論を振りかざし、奢り、嘲り、罵り……世界を壊そうとした。
 それでも、救おうとしてくれたんだ。こんな馬鹿な……私を。
「それが、私の役目ですから」
 そう言うと、淡い光がその虫を包んでいく。
 それと共に感じる……私の中でも、全てが元に戻っていくのが。
「少しずつ、ゆっくりと世界は元に戻ります……それは貴方も、彼女も同じ」
 そう……だったわね。
 貴方は本来は、人の前に姿を現さないはずの存在。
 それでも私のために、その身を賭けてくれた。
「じゃあ、忘れちゃうのね……あんたのことも、あいつのことも」
「ええ……でも、心は覚えています」
「……そっか。そうよね」
 心に刻み付けよう。この日のことを。私のしてしまった事を。
 魂に刻み付けよう。貴方のことを……そして、彼女のことを。
 それなら、覚えてるのと同じ。そうでしょ?
「ずっと、見守っていますよ」
 淡い光が消える。
 最後にあの優しい笑顔が、見えた気がした。
「かがみ、かがみーっ!」
 こなたの声が空から落ちて辺りを劈く。
 見上げると、そこにはこなたがいた。
 何時の間にか彼女の姿は、いつものあの梅の木の上に。
「朝日が見えるよ! ほら、かがみもっ!」
「あ……」
 こなたの手が、私に伸びる。
 この手を掴むことは容易く……難しい。
 そう自分に言い聞かせて、私は逃げてきた。
 でも私は決めたんだ。
 世界を受け入れよう。世界と……繋がろう。
 重ねた手は、暖かかった。
 照らす朝日が、眩しかった。
 これから私たちには、どんな運命が待っているんだろう。
 きっとそれは、辛い道……茨の道。
 だけど大丈夫。
 いくら辛い運命に挫けても。
 どんなに悲しい運命に心折られても。
 私たちはまた、立ち上がれる。立ち向かえる。
 何でかって? ふふっ、私も同じ事を……私に聞いたわね。
 そういう時は何て言えばいいと思う?
 憎たらしいぐらいの笑顔で言ってやるのよ。
 繋がってるから、ってね。
 私たちは繋がってる。
 心で、絆で……『世界』で。
 世界とは繋がり。
 人が紡いでいく、生命という名の輪。
 人はいつか消える運命にあるのかもしれない。
 いつかは大切な誰かと、別れる運命にあるのかもしれない。
 でもその魂だけは受け継がれる。
 その子に、その孫に……その、大切な誰かに。
 それが、生命という有限。
 それでも私たちは繋がっている。
 それだから、私たちは繋がっていられる。
 もう私は目をそらさない。
 立ち向かおう、辛い宿命に。
 戦おう、私を取り囲む運命に。
 生きよう……この、かけがえのない世界で。
 こなたと、皆と。
 まだ名前も知らない、誰かと一緒に。
 それが私たちの紡いでいく『永遠』。
 かけがえのない……生命の、永遠なのだから。
64ぶーわ:2007/11/24(土) 23:49:05 ID:+DjHi3JU
エピローグです
↓6レス拝借します
65人として袖が触れている-幕引-(1/6):2007/11/24(土) 23:50:28 ID:+DjHi3JU
「お姉ちゃん、朝だよっ」
「ん……あれ?」
 ベッドから身を起こすと、不思議な違和感があった。
 はて、何だろう。
 ああそっか、何で私がつかさなんかに起こされて……ってうわ! もうこんな時間じゃない!
「ずっと目覚まし鳴ってたたよ? 気がつかなかった?」
「んー……全然」
 おかしいなぁ、そんなに疲れてたっけ私。
 いいか、顔洗って着替えなきゃ。
 まぁまだギリギリ間に合う時間よ、慌てない慌てない。
「はい二人とも、急いで食べるのよ」
 着替えも終わったところで丁度母さんが朝食を出してくれた。
 つかさは私より早く起きたはずなのになんで今頃朝食なんだか……あいかわらず要領が悪いな。
「えー、またカレー?」
「いいじゃない、寝かせたカレーだから美味しいわよ?」
「もう三日は寝かせてるよ!」
 ああ、そういや昨日もカレー……だったっけ?
 うーん、まぁそう言ってるんだからそうなのかな。
「文句言ってないで早く食べないと、遅れるわよ」
 と、スプーンを口に運ぶ。
 うん……美味しい。
66人として袖が触れている-幕引-(2/6):2007/11/24(土) 23:51:51 ID:+DjHi3JU


「おーッス、柊ぃー」
「おはよう柊ちゃん」
「ん、おはよ」
 教室に入り、いつものコンビに挨拶をする。
「それがさぁー、聞いてくれよ柊ぃー」
「何よ、不躾に」
 朝から日下部が妙なテンションで絡んでくる。
 いつもならウザったく流すんだけど、まぁ少しは付き合ってやるか。
「変な夢見たんだよ、なんか柊が出てきた気がすんだけどなー」
「まぁ夢なんて覚えてられないもんでしょ」
「おっ、珍しいなー。いつもみたいに「覚えてないのかよ!」って左ストレートかと思ったのに」
 そこまで暴力的だったっけ? 私って。
「私も、柊ちゃんの夢を見た気がするの」
 峰岸も? まぁ、そういう事もあるかもね。
「でも、内容は覚えてないんでしょ?」
「あはは、あやのはどっか抜けてるかんなー」
 お前は全部抜けてるだろーが!
 とか突っ込もうとかしたけど峰岸の一撃の方が早かった。
「うぅあやのがぶったぁ……柊ぃ」
 と、私に絡み付いてくる日下部。
 って変なとこ触んな!
「あーもう鬱陶しいわよ、『みさお』っ!」
「ふぇ?」
 その時だ、日下部の体が固まる。
 その後数分硬直したあとに、顔が火を噴く。
 もちろん、日下部の。
 後はなんかずっと机に突っ伏して悶えてた。
「もう、からかっちゃ駄目よ柊ちゃん。みさちゃんこれで純情なんだから」
 峰岸に叱られる。
 あれ? 私なんかしたっけ。
 まぁいっか、さぁてホームルームホームルーム。
67人として袖が触れている-幕引-(3/6):2007/11/24(土) 23:53:08 ID:+DjHi3JU


 昼休みにいつものように弁当を持ってつかさのクラスを訪ねる。
 そこに居たのはいつものメンバー……のはずが、なんか足りないな。
「あれ、こなたは?」
「泉さんなら先程、一年の教室に行くと言ってました」
 と、みゆきが返事をしてくれる。
 なんか肌がツヤツヤしてるのは気のせいじゃないな。いいストレス発散方法でも見つけたのかしらね。
「すぐ戻ってくるって言ってたけど、遅いね」
「そういえばそうですね、道に迷ってるんでしょうか。そういえば私もよく……」
 あー、そういうのは本編でやるからいいや。
 でもそっか、居ないのか……そういやまだ今日は一回も会ってないな。
 クラスが違うんだし、そういう日もあるわよねそりゃ……んー、でもなんかモヤモヤする。
「じゃあちょっと見てくるわ、すぐ連れて帰って来るから」
「あ、私も行こうか?」
「いいわよ、ついでに購買にも寄りたいし」
 一年のクラスに用事って言えば、ゆたかちゃんかな?
 まぁ行けば分かるわよね、善は急げ……って何で急いでるんだろ。


「こなたお姉ちゃんなら、もう行っちゃいましたよ」
 んが、行き違い。はぁ……人がわざわざ足を運んだってのにあの野郎。
「ゆたか……ご飯、食べよう」
「あ、うんっ」
 みなみちゃんに誘われ、ゆたかちゃんもそれに振り向く。
 するとその二人の間に誰かが割って入る。
「自分も一緒していいッスか?」
「あ、田村さん。うんもちろんっ」
 ゆたかちゃんに笑顔で返され、場が和やかに……なりゃしない。
「……邪魔」
「んごぁっ!」
 みなみちゃんのかいしんのいちげき ひよりは1900のダメージを受けた
「や、やめなよ二人ともっ」
 威嚇しあう二人をゆたかちゃんが止めようとするも、効果なし。
「イーんデスよユタカー。放っておいて一緒にLunchにしましょー」
「あっ……」
「パ、パティ!」
 その間に連れ去られるゆたかちゃん。
「ハーイ、口移しで食べさせてあげますヨー。ゴワンゴワンのダインダイ……ふぐらヴぁぁっ!」
 おお凄い。見事にみなみちゃんとひよりのロングホーントレインが決まった。なんだ、仲いいんじゃん。
「ち、ちなみにコナタならさっき屋上のほうに行くの見かけましたヨ……ぐふっ」
 最後に虫の息で、こなたの場所を教えてくれた。
 屋上ね、何してるんだか一体。
68人として袖が触れている-幕引-(4/6):2007/11/24(土) 23:54:18 ID:+DjHi3JU
 屋上に上がる階段を二段飛ばしで駆け上がる。
 何でだろう、まだ心がソワソワしてる。
 朝からかな……この違和感。
 いやこれは、高揚?
 何を焦ってるんだろ……私。
「あ……」
 屋上に出ると、青いロングの髪に目を奪われた。
 それと同時に鼓動が速くなる。
「あれ、かがみ?」
 私に向こうも気がつく。
 だけどもう一人……こなたの前に、一人の男性。
 見るからに生徒らしいが、私に見覚えはない。
 私と目が合うと、少し気まずそうにして私の隣を抜け階段を下りていった。
「……今の、誰?」
 とりあえず、聞いとくべき……よね?
「同じクラスの人、ちょっと呼ばれちゃってさ」
 呼ばれた?
 屋上に? こんな人気のないとこに? 昼休みに?
「あー、つかさとみゆきさん待たせちゃってるね。戻ろっか」
 と、こなたが私の近くに。
 そのまま私の横を、通り抜ける。
「ね、ねぇ」
 それを……何故か、呼び止めた。
 振り向いたこなたと目が合い、心臓が跳ね上がる。
「んー、何?」
「何の話……だったの?」
 私の心が、揺れているのが分かる。
 理由なんて、分からない。
 何でだろう……こなたの事で頭が一杯だ。
「あー、なんてーの? 付き合ってください的な?」
 ……。
 言葉が、右から左に抜けていく。
 なんだろう、この気持ち。
 胸の奥が……チクチクする。
69人として袖が触れている-幕引-(5/6):2007/11/24(土) 23:55:24 ID:+DjHi3JU
「こんな人気のないとこに呼び出すなんてやるねー、セバスチャン」
「そ、それで……返事は?」
「まぁあれかな、もうちょっとフラグ立ててくれてたらねー」
 と、笑い出す。
 それに何故か私は安堵を覚える。
 そう……安堵。
 安堵? ああもう変だ。変だ変だ変だ。
 私……変だ。
 だって、それはそういうこと。
 そんなはずない。
 だって、今までずっと普通だったはずよ?
 一緒に笑って、馬鹿な話して……普通だったはず!
 ……。
 ううん、普通じゃなかったな。
 何で今思い出したんだろ……あんな、昔のこと。
「あの、さ……こなた」
「うん? どったの?」
 こなたを引きとめ、少し二人で屋上から校庭を見下ろす。
「ちょっと前だけど……喧嘩したこと、あったわよね」
「あー……あったね、そんなのも」
 気まずそうに苦笑いをみせるこなた。
 喧嘩した思い出なんて、早く忘れたいもの。
 私もそうだった……忘れて、なかったことにした。
 でも心では少し、距離を置いてたのかもしれない。
「ごめん、あれ……私が悪かったわよね」
「ふぇ?」
 こなたから、間の抜けた声が漏れた。
「ちゃんと、謝ってないと思ってさ」
 それは私の嘘から始まった。
 そこから拗れて……拗れて、喧嘩して。
 言い争いの内は可愛いものだった。
 話もしなくなって……つかさが間に入ってようやく、会話するまでになったんだっけ。
 あとはそのしこりを残したまま、今日までの日々を過ごしてきたんだ。
「本当……ごめん」
「……」
 沈黙が、痛い。
 でもこれは……ケジメ。
 どうして今そんな気になったのかは、自分でもよく分からない。
「もう、仕方ないなぁっ」
「!」
 その時、腕に重みを感じる。
 こなたが私の腕に、絡み付いてきたからだ。
70人として袖が触れている-幕引-(6/6):2007/11/24(土) 23:57:08 ID:+DjHi3JU
「しょうがないから、許してあげよっかな!」
 その笑顔と触れ合う腕に、私の顔がボンッと火を噴く。
 ……。
 ちょっと待て。
 何でそこで私が赤くなる!
「や、やめなさいよっ……こなた」
「んーっ、もうちょっと」
 腕に絡み、甘えるこなた。 なんだろう……それに、不思議なデジャビュを感じる。
 それとあと、心地よい暖かな気持ちも。
 それはまるで、魔法。
 何処からともなく現れた妖精は、私の瞳に妖精王の媚薬を塗っていった。
 それは花の汁から作られた、魔法の媚薬。恋の媚薬。
 それをつけたらもう、彼女しか見えない。
 どうしてだろう。どうして気がつかなかったんだろう。
 この……大切な、気持ちに。こんな、単純な想いに。
「ねぇ、こなた」
「うん?」
 もう一度、名前を呼ぶ。
 瞳が交じり合う。心臓が揺れる。
 私達の手は今、繋がっている。だから後は……言葉を、漏らすだけ。
 今なら、言えるよ……こなた。
「……好き」


「江戸時代ってさ……萌えるよね」
「……はぁ」
 いつもの昼休み。
 いつもの友人からいつもの妄言が耳を通り抜け、口からいつもの曖昧な返事が漏れる。
 とりあえず、おかずを取ろうとした箸を止める。
「昨日の続きですか? 確かに江戸時代も素敵ですね」
「ふぇ? 江戸時代って、平安時代みたいじゃないの?」
「分かってないなぁーつかさは、江戸時代はね……浪漫なんだよ!」
 まぁ江戸時代でも平安時代でも何でもいいわよ。そんな世界だって、どこかにあったかもね。
 そこの私はどうなんだろう。お姫様とかでもいいけど、男になって武士とかもいいかもね。
 どうなってるかなんて分からないわよ? それこそ世界なんて、無限なんだから。
 まぁでも、確かなことは一つ。
 江戸時代だろうと、違う世界だろうと……皆、一緒よ。
 私が居て、こなたが居て、皆が居て。
 だって、そうでしょ?
 私たちの袖はもう……触れてるんだから。


(完)
71あとがき:2007/11/24(土) 23:59:28 ID:+DjHi3JU
これで、完結です。毎度毎度読みにくくてすんまそんっ!
ここまで読んでくださった方々に、感謝感激雨嵐です!
思い返せば一番最初に書いたのが15スレ目。
そこから、10スレもかけて何とか終わりを迎えました。
テーマは『絆』。それとかがみの成長を上手く書ければと思って書き始めました。
しかしPCがぶっ壊れたり工事でネットが繋がらなかったりと困難も多く、さすがにプロットが飛んだのは痛かったですね。
ともあれ無事終わって自分でも一安心です。
それも全部スレの皆さんが暖かい目で見守ってくれたおかげです。
ちなみに勘の良い人は気がついたかもしれませんがいつぞやの拙作、ミッド・サマー・ナイトは今作の番外編です。
長い伏線でした……でも案外、回収し忘れとかあるかもしれません。
その辺はまぁ……ご愛嬌で!
次は理不尽なミステリーとかもいいなぁ、とか思いつつ。
でもいい加減エロも書かないとさすがに追い出される! とか思いつつ。
最後にもう一度、ご愛読ありがとうございました!
それでは、また会う日まで!
72名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 23:59:54 ID:cjqCJrZC
おお、リアルタイム遭遇でついに完結!お疲れさんでした!
てかEDまでwww

でもこれ、まとめwikiに置けるのかなぁ……
73名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 00:04:16 ID:EpswizA0
>>71
リアルタイム遭遇ktkr!!
とても感動的でいい話でした。盛大なGJと乙を贈りたいです!
今は携帯なので見れませんが、後ほどWMVも見てみます
74名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 00:09:14 ID:We1VEog5
長編完結乙です
しかしここでまさかのwmvファイルww
今携帯しか使えない俺涙目ww

…明日の夜まで流れませんよーに
75名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 00:10:08 ID:Qh0gEPVD
>>71
まずは、全18話+αを書ききってすてきなエンディングまでつけた貴方に限りない敬意を。
ゴッドかなたさんが何やってるかと思えば、ゴッドかがみんずを召喚したとはびっくりだ、でしたが。
みんなの想いが収束していく様子も、かなり燃えさせていただきました。
ほんの少しだけ強くなれた、向こうとこちらのかがみに祝福を。長期連載、お疲れじゅした!


ていうか。
みゆきさん出オチですか。しかも平安パティをも上回る怒HENTAI(どへんたい)ですか。嗚呼。
76名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 00:21:41 ID:YkElhz72
おお、リアルタイム遭遇したのは始めて。びっくりだぁ。
wmv見てたらレスすんのが遅くなっちまいました。

感動しまくってて、うまく言葉に出来ないんですが、とにかく長編乙でした。
77名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 00:28:48 ID:UpDx61rW
>>71
ミッド・サマー・ナイトも見てきました!
あんたって人はあああああああ!!!!どんだけ才能を無駄遣いすれば気が済むんだ!!!
GJ!!!
78名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 00:31:53 ID:STTY5DQE
長編完結、お疲れさまでした
そして携帯厨の俺涙目w

月曜まで流れませんよーに
79名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 00:41:11 ID:rkSuoyei
もしよろしければ、携帯用の3gpに変換したものをpic.toかどこかに上げたいと思うのですが……
再変換、再配布を許可してくださるでしょうか? >ぶーわ氏
80名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 00:42:01 ID:f9rsin7c
大長編の傑作、完結超GJでした。

っていうか、普通に金払って読んでお釣りが来る位だと思う。
是非春には映画化を!
81名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 00:44:43 ID:kGp4ltAf
>>71
おお、GJです!
そして完結お疲れ様です!
次はぜひみゆきさんを主役に(ry
82名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 00:50:52 ID:jxjJvUVE
>>71
長編完結、実に乙です。
最初はパラレルものかぁとちょっと食わず嫌いをしていたのですが、
読んでいるうちにそれぞれの想いに引き込まれました。
最後までじっくりと読むことが出来た、佳き作品だと思います。

本当に、ありがとうございました。
83名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 00:55:19 ID:19NTD3c6
GJ!今までお疲れさまでした
ディモールドいいものでしたよ。
次回作も期待してますよ!
84名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 01:34:15 ID:7rve+ZdH
>>71
長編完結乙です
全編を通してかがみがありえないくらいに詩的な言い回しを用いるのが気になりましたが
よく組み立てられた話で読んでて面白かったです。
85名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 01:38:08 ID:7rve+ZdH
ちょっと独り言。
フロイトだか誰だかの心理学の分析では鍵穴に鍵を入れる行為は性行為を暗示しているらしい。
つまり「鍵=男根」ということになる。
途中で「『違うもの』が鍵を与える」というヒントが出てきたとき

「つまりみさおとエッチすれば元に戻れるんだよ!」

などと恥ずかしい推理をしていた。
86名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 01:40:09 ID:jBKd7Xuq
>>71
10スレにもわたる大長編お疲れ様です。
エンディングムービーまで用意するとは……俺には到底真似出来ないぜフゥーハハーorz
エンディングに使用した曲はアレですな、無印とMoonlit Loversのエンディングのアレですな?

こいつが超GJ(スーパーグッジョブ)!!
ホントに蝶・お疲れ様でした
87名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 01:48:20 ID:aY8MDc3Y
>>71
乙さまなんだぜ!
みゆきさんの扱いは愛に溢れていたと思うんだ
88名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 02:25:34 ID:liS2/Npe
>>71
まずは超長編完結お疲れ様です。
ついに終わってしまいましたね……
もうこれは本当にお金取れるレベルだと思われます。
それをただ見できた俺は勝ち組なんですね?(黙

それにしても、まさか最後にまでこなフェチが出てくるとは思いませんでした。
というかこれほどの超大作にあんなふざけたものを出してもらえるなんて恐れ多いです。

……そうか!! ここで俺が許可という名の鍵を与えることで、こな○ェチ(未許可)の錠がはずれ
この作品が完成するという!!(違います

ま、まぁ悪ふざけはこのくらいにして、この作品はこのスレでもトップクラスの深さを持つ作品だと思います。
つまりその作者であるぶーわ氏もトップクラスの職人だということですね(だから何
次の作品も全力で期待して待ってます!!
最後にもう一度、素晴らしい作品をありがとうございます!!
89名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 02:41:12 ID:l4fwXKCg
>>71
長編お疲れ様!
最近少し見かけないな、と思ってたらなかなか大変な状況になっていたのですね。
そしてEDまで…お見事です
ミッドナイトのほうも改めて読んできましたが…凄い。
これはあれかな、あっちに意識がいるうちにあっちのかがみに当てられて気持ちの変化が起きたってことなのかな。
最初のほうはloveじゃなくてlikeな気持ちだったと思うし。まぁ、二人の関係は大好きだからいいんだけど。
そのうちみゆきさんは天も次元も突破しそうな気がする。既にしてるか?w

最後にもう一度、長編お疲れ様でした!
90名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 03:30:40 ID:2b0aRgRl
>>71
長編お疲れ様っした!
最終話ずっと待ってたっす!
いっそこのまま江戸時代編も・・・(笑)
91ぶーわ:2007/11/25(日) 09:00:29 ID:+RNKONUA
沢山の感想ありがとうございます! 全部に返信したいところですが一括で申し訳ない! 感謝の土下座!

>>79
どーぞどーぞ自分だと変換とか良く分からないんでよろしこしこ! ニコニコでもようつべでもお好きなところに!
ヒィィイ、○AS○ACが来るよぉおおおお

>>88
それは許可を貰ったってことでいいですよね? 答えは聞いてない!
wikiでは○とっちゃいますね!
92名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 09:42:35 ID:rkSuoyei
>>91
ありがとうございます
変換……といっても変換君に丸投げしてしまったものですが
http://zz.tc/admin

ええと、サイズが大きめになってしまったので
定額ではない人はパケ死しないようにお気をつけください

そしてぶーわ氏に盛大なGJと感謝を
9323-251:2007/11/25(日) 10:07:36 ID:M6b4CfT4
>>91
完結お疲れ様でした。大変興味深く拝読させていただきました。

「星に願いを」の4、5話を下記に掲載します。(規制中の為)

http://www33.atwiki.jp/kairakunoza/pages/1229.html 4話

http://www33.atwiki.jp/kairakunoza/pages/1230.html 5話(つかさ視点)

・こなかが入れ替わり・続き物

94名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 11:02:36 ID:mUmDl54Y
>>93
なんという人間関係……目が離せない展開になってきましたよ?GJ
95名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 11:06:22 ID:ncbjGye9
>>93
かがみとつかさが入れ替わったら、つかさ(外見かがみ)はこなたに嫌われるように行動するんだろうか……いや、まさかね。
96名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 11:23:40 ID:o3ydwm0p
>>93
つかさ一人称がでてくるとは思わずびっくりしてたら、まさかのそんな展開に。

入れ替わりの原因も含めて、どういう風にまとめてくのか、興味津々ですな。
97名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 11:37:30 ID:yT1Xlqd+
完結おめでとうございます。そして、おつかれさまでした。
このようなすばらしい作品を生み出していただき本当に生きててよかったと思いました。

どこがどうよかったとあげればきりが無いのですが、各話感動しました。
名前で呼んでもらったみさおが実にかわいかったです。

それでは、最後にもう一度おつかれさま、そしてありがとうございました!
98名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 11:55:45 ID:l4fwXKCg
>>93
ぉぉぅ…それぞれがそれぞれの「姉」に恋してる状態ですか…
どうなっていくのか楽しみにしてますよ。GJ!
99名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 12:33:15 ID:l4fwXKCg
ふと自分のレス見たら全然見当違いのこと言ってるorz
申し訳ない…つかさはこなたが好きなんじゃないかorz
100名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 12:57:30 ID:Pyb2+MBG
>>71
GJ!!
長編お疲れ様でした。
全編通してこれだけの文章力を保って書けるぶーわ氏に感動しました。

>>93
つかさが椋にしか見えないw
入れ替わりをどう利用するのかが楽しみです。
1017-896:2007/11/25(日) 13:06:49 ID:liS2/Npe
ちょいとやってみたくなったので

『かが☆フェチ』

「おはようかがみ〜♪」
 挨拶と共にかがみのおしりを撫でる私。
 これがもう朝の日課になっている。
「お、おはようこなた。できれば普通に挨拶してほしいわ」
「私にとってはこれが普通なんだけど」
「お尻撫でながらの挨拶は普通じゃないと思うよこなちゃん」
 などと言いながらかがみに頬擦りするつかさは全く説得力がない。
「できればキス程度に留めていただきたいですね」
「みゆきさんいたんだ」
 いつの間にやら現れたみゆきさんはすでに鼻の下辺りから鼻血を出しまくっている。
 それこそ水溜り……血溜りができるほどに。
「いや、キスはとどまってないから……顔近いっての!!」
「か〜がみ〜♪」
「お姉ちゃ〜ん♪」
「ふふ、かがみさん♪」
「あ〜もう歩きにくいっての!!」

『つか☆フェチ』

「おふっ!!」
 つかさからエビフライをもらったみゆきが、吐血しながら倒れた。
 つかさのお弁当はもう、ちょっとした核兵器よりも破壊力がある。
 私もよくつかさが作った料理で幽体離脱するので、みゆきの気持ちはよく分かっている。
「じゃあ私はこのたこさんウィンナーをいただくとしますかね……あむ」
「ひゃ!? こ、こなちゃん、それは私の指だよぉ〜」
「じゃあ私はハムを」
「きゃ!! お姉ちゃん太もも食べないでぇ〜」
「楽しそうですね」
 いつの間にか蘇ったみゆきがつかさの目の前まで迫っていた。
 そしてつかさの顔に両手を添える。
「それではデザートのイチゴ大福をいただきますね」
「ふみゃう!! そ、それはほっぺただよ〜ぅ」

「ゆき☆フェチ」

「あ、あの……泉さん、そろそろどいていただきたいのですが」
「え〜まだ10分経ってないよ〜」
 言いながらゆきちゃんの胸に顔を埋めるこなちゃん。
 すごくやわらかそうで羨ましい。
「もう経ってるわよ。次は私の番なんだからどきなさいって」
 そう言うお姉ちゃんは両手をわきわきさせながらゆきちゃんに迫っていた。
「後ろだってもう詰まってるのよ? 1週間後まで予約でいっぱいなんだから」
「そ、そうなんですか?」
「ゆきちゃん人気者だねぇ」
「あ、こらつかさ!! 次は私だって言ってるでしょ!! ってか鼻血拭きなさいよ!!」
「ふぁ……つかささん、くすぐったいです」
「仕方ない、私はほっぺで我慢するとしますかのぉ〜」
「ぁん、泉さん。あまり吸い付いてはぁ……」


無理だ……難しい……orz
102名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 13:44:24 ID:RKCFA/Ne
>>101
これは新鮮でおもしろいなw
しかしどこかしっくりこない辺り俺はこな☆フェチ依存症にでもなってるんだろうか…
こりゃあ鼻血を噴く日も遠くないなorz

ってかこれはある意味スレ住人のこな☆フェチ度測定器になってるなw
1037-896:2007/11/25(日) 13:47:05 ID:liS2/Npe
ついでにこんなのも

『みさ☆フェチ』

「ひ、柊……B組行かなくてもいいのか?」
「私は日下部と食べたいのよ」
「柊ちゃん、間違ってるよ。『みさちゃんを食べたい』でしょ?」
「あ、そうだったわね」
 ナチュラルに危ないことを言ってのける柊とあやの。
 ふと気を抜いていたら、2人が私の制服を脱がせ始めていた。
 私はそれを全力で阻止する。だって2人の目がなんかやばいから。
「いいじゃない、減るもんじゃないでしょ」
「いろいろ減るってば!!」
「やっほ〜みさきちぃ〜♪」
「ぶほ!!」
 ドアのところから一直線に突っ込んできたちびっ子をなんとか受け止めた。
 そのまま顔を上げてきらきらした瞳で見上げてくる。
「みさきちなら受け止めてくれるって信じてたよ♪」
「わ、分かったからどいてくれちびっ子」
「も〜いけずさんなんだからぁ〜♪ そんなこと言うみさきちには、摘んじゃうの刑だぁ〜」
「おあ!? ち、乳○摘むなってば〜!!」
「こなちゃんが膝の上なら私はお腹をもらうね」
 そう言いながらお腹に顔を摺り寄せてくる柊の妹。くすぐったい。
「では顔は私がもらいますね」
「ふふぉ!?」
 突然視界が真っ暗に、どうやら高良に抱きしめられているみたいだ。
 息が吸えない。酸欠で意識が遠く……
「仕方ないわね。私は二の腕でもいただくとしましょうか」
「それじゃあ私はみさちゃんのうなじを」
 そういうのはいいから助けてくれ……

やっぱりなにか物足りないなぁ(´・ω・`)
104名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 14:07:58 ID:sl330mLk
そんなこといわずに、こうなったら残りの主要キャラ全部を
攻略してみるんだ(゚∀゚)9m
105名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 14:08:01 ID:IqvpxcAr
>>71
ソードマスターかがみまでやってくれるなんて小ネタが多すぎるww
長期連載乙&GJ!

あとmixiでぶーわ氏らしき人見かけたんですが、マイミク申請してもよかですか!?
106名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 15:25:47 ID:9YU/JUwA
>>104
先生とかすごいことになりそうだな
107名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 15:38:31 ID:EpswizA0
>>7-896さん
たまにはこういうのもいいですねw
ただやっぱりこなたが一番しっくり来る気がします。

>>104
あれ、俺いつ書き込んだっけ……?
108名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 15:38:54 ID:Ooc13cwB
>>106

全 員 優 等 生 (※注:世界史のみ)
109名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 16:02:02 ID:73zYxypv
『くろ☆ふぇち』

「……かがみんお先どうぞ」
「……っ?わ、私は隣のクラスだからアンタ先に行きなさいよ」
「……じゃ、みゆきさんから…」
「あ、でもクラス委員として先生にご迷惑を掛けるわけには…」
「……わたし、晩御飯のおかず買って帰らないといけないから先に帰ってるね」



「ちょ、ちょっと待て!なんや上の扱いと違うやないか!!鼻血はどしたんや鼻血は!?」
110名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 16:04:37 ID:kQ33eP4M
『みの☆フェチ』

「臭いよね〜セバスチャンって」
「ホント、夏とかは特に臭いわよね」
「ええ、本当に臭いですわね」
「もう臭うとかそういう問題じゃないよね?」
「ってゆーか、一周して逆にいい匂い?」

「な、なんですか!?みんなして臭い臭いって!」


こうですか?わかりません
111名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 17:36:03 ID:EpswizA0
>>109-110
ワロタwwwww
112ぶーわ:2007/11/25(日) 17:46:03 ID:+RNKONUA
>>105
特にマイミク制限はしてないんで申請送ってくれればおkしますよ
あ、でも違う人かもしれないんでメッセージは送ったほうがいいかも

あとここは一応エロパロ板なんで、そういう話題は今後は控えたほうがいいかも
お騒がせ失礼
113名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 19:16:13 ID:vIOId5aG
某家出少女こなたのSS書いてたら画面に怪文書が……



ところで、ここ数ヵ月の私はどうもおかしいと思う。
とくに仕事中の事なのだが、気づけば休憩時間を過ぎても瞑想に耽っているのだ。
それがもし日本の政治や経済、環境問題についてならまだ良しとする所だ
実際は、まるで為にもならない事を考えてしまうのだから困り者だ。


今、私の隣をちょこちょこと付いてくる
この子の事が気に掛かって仕方ないのだ。


「………。」

内容は取り立ててどうという事ではない。
今何をしているか、だったり
今晩は何を作ってくれるのだろう、だったり。
至極有りがちで、気にかけると言う割には些細な事なのだが
それが度の過ぎた妄想に発展してしまった時、私は己の情緒を疑わずにはいられない。


〜〜〜〜〜


『ただいまー』

『………。』

『こなた、今日の夕御飯だけど…』

『え…、もう作っちゃったよ…?』

『いや、今日はこなたが食べたいなーって。』

『ふぇ……っ』

『………』

『……ぅ…うん、いい…よ…。』


〜〜〜〜〜


(´・ω・`)ボツ。
114名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 19:18:59 ID:CbDwNv9L
>>71
完結おめでとうございます。一話目からずっと読んでいました。最高にGJ !
ところで最後のエピローグでのかがみの「好き」との告白に、こなたは何て答えたのでしょう? 気になりますw

・・・次は江戸時代編? w
115名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 19:24:23 ID:Qh0gEPVD
>>113
なんて素敵な怪文書。ルート分岐として生かす方向でどうかご検討のほどを(待て
116名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 19:28:49 ID:mCD00B93
>>71
長編完結乙&GJでした!
随所に仕込まれたネタが面白かったです。長編だろうと短編だろうと次回作期待しています!

>>92
すいません、再うpできませんか?orz
117名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 19:37:32 ID:ozlpnG3k
>>116
>>92はリダイレクト用にURL短縮してあるだけなので、
もし92から繋がらないようならこちらに直接接続してみてください
http://www7b.biglobe.ne.jp/~administrator/index.html
携帯でもこのページは見れる……はず
118名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 19:42:01 ID:fFetJTRV
>>113
それを すてるなんて とんでもない!
119116:2007/11/25(日) 19:56:09 ID:mCD00B93
>>117
すいません、言葉が足りませんでしたorz
リンク先でダウンロードしようとしても404エラーが起きてしまうのです。
むしろ、これは、私の携帯が悪いのか…?
120名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 20:09:16 ID:STTY5DQE
圧縮形式の問題かと。
au携帯なら3g2の1.5MB以内じゃないと見れないはず
121116:2007/11/25(日) 20:22:59 ID:mCD00B93
ああ、なるほど。と、なると、諦めるしかないのか…orz
皆さん、ご迷惑おかけしました。
122名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 20:26:10 ID:o3ydwm0p
今特に投下予定の方いなかったら、5分後くらいに投下したいと思います。
123あなたの日3/3:2007/11/25(日) 20:30:32 ID:xSOP94cd
「どこ行ってたんですか?」
「悪い。ちょっとな」
答えながら、ふゆきが持ってきたハンガーに学校から直接来たのか着たままだった白衣をかけた。
ひかるは大体何があってもちょっとで済ますので、ふゆきもそれ以上は追求しなかった。
「早く。黒井先生も待ってますよ」
ふゆきに背中を押されるように玄関からリビングに連れていかれ

前後からの軽い破裂音に迎えられた。



「お誕生日おめでとうございます」
「おめでとうな!」
そこから、ななこの快進撃が始まった。
今まで我慢に我慢を重ねてきた空腹が一斉蜂起し、どこにそれだけの量が入るのかというほどに食べては飲み、3人分には多過ぎると思っていた料理も全てなくなった。
ワインでビールかけをしようとしたひかるをふゆきが必死で止めたり、ふゆきとひかるが、あの教師はふゆきを好きだったんじゃないかとか、ひかるは学生の頃から酒と煙草をたしなんでいた等昔の話で盛り上がり、酔ったななこがロッテの応援歌を歌い始めたり。
皆やっていることはバラバラで、時間はすぐに過ぎてしまったけれど、皆が一人の人間が生まれた日を心から祝福した夜だった。
124あなたの日3/3:2007/11/25(日) 20:33:20 ID:xSOP94cd
3つで終わらせるつもりでしたが、改行の都合でもう1つ投下します。
「おめでとうございます」
「あぁ」
ひかるはビール缶、ふゆきはワイングラスで乾杯した。
当の本人より盛り上がったななこは
「これ、うちからのプレゼントですわ」
と言って時計を渡したっきり、酔いが回って夢の世界に旅立ってしまった。
「どうするんだ?」
「終電までに起きないと思いますから、家に泊めようかと思います」ひかるは適当に相槌を打ってビールをくっと煽り、部屋の窓を開け放した。
外は百万ドルの夜景、ではなくベッドタウンの明かりは殆ど消えていた。早く渡さないと。そう思えば思うほど先伸ばしにしてしまいそうになる。でも、いつかは渡さないといけない。
「あの」
「んー?」
呼んでしまった。もう、いくしかない。
「これ、誕生日のプレゼントです」
ふゆきが渡したものは小さな箱。
「お、サンキュー。開けていいか?」
「どうぞ」
その中身は、燃え盛る炎のような模様が刻まれたオイルライターだった。
「おぉ。高そうだな」
もし、ひかるが煙草をやめてしまっていたならもう役に立たないものだ。
「なぁふゆき。これどうやって使うんだ?」
「確か説明書が入っていると思うんですが」
「これか?面倒だな」
箱から説明書を引っ張り出し、それとにらめっこしながらオイルを入れようと一人奮闘し始めた。
「桜庭先生」
「何だ?」
ようやくオイルを入れ、周りをティッシュで拭いているひかるの背中に問い掛ける。あれを聞くのも今しかない。
「最近煙草吸ってませんけどどうしたんですか?」
「あぁ、それか。ふゆきの飯はちゃんと食いたかったからな。しばらくやめてた」
「えっ?」
言葉が、詰まった。
禁煙していたということより、その理由に。
「けど、禁煙していたのは結構前からでしたよね?今日のこと話したのは今週ですよ」
「自分で書いて忘れたのか?カレンダーに印付けてただろ?」
確かに。でも、いつも自分の誕生日を忘れるのに覚えていたというのだろうか。
「私が、誕生日を忘れるとは考えなかったんですか?今日みたいに一緒に祝おうなんて言わなかったかもしれないんですよ」
「おぉ、それもそうか。思いつかなかったな」
さも当然と言い切った。
「お前と知り合ってから忘れられたことは一回もなかったからな。今年もやると思ってたよ」
「そういうことだけはお見通しなんですね」
「まぁな」
何回かギアを擦って火を付け、蓋を閉めて消してを繰り返し、胸ポケットから煙草を一本抜き出してくわえた。
「結婚相手のことくらいわからんとな」
「いつものプロポーズですか?」
「まぁな」
笑いが、底から込み上げてきた。
「一本いいか?」
「いいですよ」
渡したばかりのライターで火を付ける。煙草の先端が一瞬赤く発光し、すぐ黒ずんでいく。
先端から立ち上る紫煙も、くわえた煙草も、もう見間違えることはない。親友の、桜庭ひかるだ。
「やっぱり、そっちの方が似合っていますよ。さく・・・」
こう呼ぶのは何年ぶりだろうか。もう馴染みがなくなってしまったと思っても
「似合っていますよ」
いつ呼んでもしっくりくるものだ。
「ひかるさん」
吐き出した煙がわずかに灯った明かりに被り、幽玄な光がいつまでもゆらめいていた

どこのひかる×ふゆきでも、プライベートは「ひかる」と呼び捨てですが、どっかで呼んでいたんでしょうか?だとしたら、猛省あるのみです。
以上です。
125122:2007/11/25(日) 20:35:29 ID:o3ydwm0p
おっと、GJ
では2時間ほど開けときますね
126名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 20:45:02 ID:73zYxypv
>>123-124(ID:xSOP94cd)

>>25以降の注意やコメントも丸無視の挙げ句、>>122の投下宣言を無視して投下ってのはどうなってるんだ?
最初だけならともかく、こう何度も続くようだと指摘せざるを得ない。

他人の存在を無視して自分勝手に投下するんじゃない。
127名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 20:48:28 ID:9rbdE9C2
>>124
作品の内容自体は悪いということは無いが、
そろそろローカルルールも含め、投下の仕方というものを覚えた方が良いと思うんだぜ?
sageはようやく覚えたようだが。

コレでは半年とは言わずとも、一ヶ月はROMれと言わざるを得ない
128名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 20:54:39 ID:+bqxhhr0
前スレで甘やかすからこうなるんだよ。
あんまり殺伐するのもここらしくないけど、正直優しい住人が多すぎると思うんだ。
そんなおまいらは好きだが。
129名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 21:07:17 ID:M6b4CfT4
結構難しい問題かもね。
書き手に向けてルールの遵守を要求することは構わないが、行き過ぎると、規制が多い新参者お断りの閉鎖的なスレになってしまう。
そこら辺の折り合いをどうつけていくかが、今後の課題になるかな。
130名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 21:11:59 ID:9rbdE9C2
規制、と言うか最低限の『マナー』を守ってくれりゃいいのさ。
投下の仕方が拙いのは、コレから精進すれば良いさ と温かく見守れるが、
他人の投下宣言を無視する、注意コメントのガン無視 これらは人間性とかモラルの問題だと思うんだぜ?
131名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 21:14:08 ID:5Xw70dSr
新参でも、普通はこんな空気読めないことはせんよ。
と、こないだ別スレで初SS書いた人間が言ってみる。
132名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 21:15:45 ID:ma+QU8fP
>>129
今回の件に関しては規制なんてもんじゃないよ。書き手としての「マナー」だ。
同じ書き手として、投下宣言無視・ながら投下・指摘された注意への無反応は
やっちゃいけないことだと思う。
「初心者だから」「書き込みが初めてだから」なんてことはただの言い訳だし。
133名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 21:19:23 ID:Ov7xbSez
投下したらすぐに消えたし

みんなのレス読んでないのかな?
134名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 21:20:36 ID:so2chz5Q
>>133
恐らくそんなとこかと
135名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 21:25:18 ID:AK3emNRg
あまりの投下タイミングの悪さに激しく吹いた
これじゃ教師三人組も浮かばれない……

ふゆき「あの、私たちまだ死んだわけでは……」
ひかる「だな(すぱーっ)」
ななこ「んがーっ……Zzz」
136ごめんなさい:2007/11/25(日) 21:26:15 ID:uFcofQee
いつの間にかそのような迷惑をかけてしまい申し訳ありませんでした。ちゃんとルールを理解するまでしばらく書き込みを控えます。ちゃんと理解できた時は是非ともよろしくお願いします。
137名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 21:29:55 ID:73zYxypv
>>136
ID変わってるトコ見ると携帯のようだけど、投下慣れして常連作家になってくれるのを待ってます。
138名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 21:32:17 ID:mUmDl54Y
「うーん……」
「何唸ってんのよ、難しい顔しちゃって珍しいわね」
「あ、いやね、やる気があるのは歓迎したいんだけど、ルールというか一般常識を認識不足の人が居てさ。
どう反応すればいいのかなーって」
「あんた自身のことじゃない」
「うぐっ、わ、わたしはほら、かがみや皆の前でしかはっちゃけないよ?」
「わたしの前でこそ自重しろよ……」
「そんなことよりっ!
どうすればいいのかなぁ?どうも見てもらいたいだけでこちらの反応はあまり見てないみたいなんだよね」
「ふぅん……放置するしかないんじゃない?聞く耳持たないならこっちがカリカリするだけ無駄よ。
そういう間違いをする人が出てきたら、ルールっていうのをその下に貼って以降お触り厳禁。
まともな人はそれを見て『ああ、これはやったら駄目なことなんだな』ってわかるでしょ」
「案外ドライだねぇ、かがみ」
「仕方ないじゃない、殴って止めることが出来るわけでもないし。雰囲気悪いまま流れるよりは健全じゃない?」
「それもそうだねー。
ところで、じゃあなんでいつまでも聞く耳持たないわたしの事は構ってくれるのかナ?」
「うっ……そ、それは……あんたと友人になってしまった以上は真人間にする責任があるというか……」
「かがみなんで顔真っ赤になってんの?」
「うううううるさーーーーい!!!」
139名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 21:33:58 ID:sl330mLk
ちゃんとここにきて謝った。反省の意思ありですね。
みんな!今日はこの辺にしておいて、この方の成長を見守りましょうぞっ!











かがみ「・・・こなた、何様?」
140名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 21:34:06 ID:fhdvH3CQ
>>136
いやまぁ失敗は誰にでもあるし、そう気負い過ぎることもない。
ちゃんとやり方を学んで、自信がついたらまた作品を投下してくれてOKさ
141名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 21:40:04 ID:9rbdE9C2
別のスレでも言ったことなんだけど、頑張って書こうとしてる奴は応援したくなる。
俺も一書き手として、読んで違和感の無い展開を作ること、
例えば内容が薄いところに矛盾の無いように肉付けしたり、逆に取り除いたり、
誤字、脱字に注意したり……
そうゆう、試行錯誤切磋琢磨することの難しさや楽しさを知る人が増えることは良いことだと思うし、同士が増えることも嬉しい。

それを投下して、楽しかった、面白かったと言ってもらえることの嬉しさと楽しさを知ってるからこそ、
投下のマナーをちゃんと知った上で守ってもらいたいと思う。
そうすればちゃんと読んで、感想をくれる人はいるから。

と長々失礼した。以下ROMに戻りまする
142名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 21:49:44 ID:M6b4CfT4
>>136
ルール自体は、覚えるのは難しくない。
把握したら、また投下すればいいさ。
頑張って。あと投下前のリロードは忘れずに。
143122:2007/11/25(日) 21:56:42 ID:o3ydwm0p
落ち着いたようでしたら、投下しようと思いますが平気かな。

>>138
こういうのをさくっと書ける人って尊敬します。
14416-187:2007/11/25(日) 21:59:49 ID:o3ydwm0p
ではいかせていただきます。

みながすなる連載というものを私もしてみんとてするなり
というわけでもないんですけど、初めてちょっと連載形式に
挑戦してみようと思います。

長丁場になりそうですけど、よろしくおねがいします。

■基本かが→こなですが、できるかぎりオールキャラ書いて
いきたいと思いますので、お読みいただけたら幸いです。

■エロなしです。

季節ごとに章立てをしていて、○○話というのは投下時の便宜上の
区分です。

5レスになります。
145春/そして桜色の(第一話)1/5:2007/11/25(日) 22:00:56 ID:o3ydwm0p
§プロローグ

 桜の樹の下には屍体が埋まっている。

 そんな陰鬱なフレーズが頭をよぎるのは、私の精神状態が今どん底にあるからだ。

 新しい教室。新しいクラスメイト。新しい一年。
 今私がいる本校舎三階の西翼は、去年まで、いや先月までの私だったら足を踏み入れる
のに躊躇していた場所だ。
 そこは私たち下級生の力の及ばない区画だったから。
 けれど三年生の教室があるこの一画は、ついに私たちの領土となった。
 これからの一年間、私たちはここで残りの学園生活を過ごすのだ。
 トイレの前、リノリウムの床が歳月の重みに耐えかねて少しへこんでいる。
 廊下の天井を見上げると、どうやって刻印したものか、上履きの足跡が沢山ついていた。
 壁際に並んだロッカーには、とうに卒業した誰かと誰かの相合い傘が落書きされてあった。
 窓から外を眺めやれば、いままでより少し高くなった視界のもと、植え込みの桜並木が
二分葉桜の梢を広げていた。

 桜の樹の下には屍体が埋まっている。

 よく聞くフレーズだけど、もととなった言葉があるのだろうか。
 去年の秋頃、それがなんとなく気になって、みゆきに訊いたことがある。
 確かそう、参考書を買いに一緒に神田まででかけたときのことだ。
 肌寒くなってきた陽射しに“春もこのくらいの気温かな”と思い、さらに傍らを歩く
桜色した友人から、そのフレーズを連想したのだった、
「それでしたら、恐らく梶井基次郎の『桜の樹の下には』という小説からきているのだと
思います」
 いつもながら打てば響くように返ってくる答えに、感心して問い返す。
「梶井基次郎?…えーと、確か『檸檬』の作者だったっけ? そんなに昔からあるフレーズ
じゃないのね」
「ええ、そうですね。確か戦前の作家だったと思います。『檸檬』とこの『桜の樹の下には』
以外にはこれといって知られていないのですけどね。新潮文庫から刊行されている『檸檬』
にはどちらも収録されていたはずですよ」
 感心する想いがいずれ畏怖と尊敬の念に変わっていくのも、いつもながらのこと。
 医学部志望のみゆきにとっては決して得意分野ではないはずの、国文学にしてからこの
知識量だ。
 本当にこの友人の頭の中はどうなっているのだろう。
 溢れんばかりの知識欲と、それを十全に満たす記憶力。物事の本質を能く見極める思考の
深さと誠実さを持っていて、けれどそれらをひけらかすこともなく、一人黙々と知の迷宮を
彷徨っていく。
 きっと本当の智慧というのはこういうものなのだろう。
“それってどういう作品なの?”
 そう聞いてみようと思ったけれど、やめておいた。
 立て板に水のごとく詳細な文芸批評が飛びだしてきたら、それこそ本気でへこんでしまい
そうだったから。
 私にとって、彼女はいつだって“知の巨人”なのだ。
 ――もっとも、他にも自分のモノと比較してついへこんでしまう“巨大なモノ”も、
彼女は色々と持っていたけれども。
146春/そして桜色の(第一話)2/5:2007/11/25(日) 22:01:27 ID:o3ydwm0p


「――らぎぃー」
 去年の夏、一緒に海にいったとき階間見た、その“巨大なモノ”を思い浮かべていた。
ああ、あれは本当に巨きかったな。まるで水蜜桃のように膨らんだ二つの――
「ひいらぎってばー!」
「ボインッ!」
 呼ばれると同時にツインテールを思いっきり後ろに引っ張られて、不意を衝かれた私は
思わず考えていたことを口にだしてしまった。
 慌てて口元に手をあてて黙りこんだけれど、時すでに遅し。後ろの席の日下部は会心の
ニヤニヤ笑いを浮かべていた。
「ボーイーンー? なんだいきなりボインって!? きょぬーになるイメージトレーニング
でもしてたかぁ?」
「う、うるさいうるさーい! なんだよ、いきなり髪の毛引っ張るなよ! なんの用だよ!」
 云い訳のしようもなくて、ただひたすら勢いに任せて怒鳴る。顔が熱くなっていくのを
感じていた。
 よりによって日下部に聞かれてしまうなんて。今後半年はこのネタでからかわれそうだ。
「ニッヒッヒ、ってか、早く体育館いかないと入学式始まっちゃうぜ?」
「……あ」
 云われて見回してみれば、教室に残っている生徒はもうまばらになっていた。ボーッと
しているうちにいつのまにかHRも終わっていたのだ。
「柊ちゃんが先生の話ちゃんと聞いてないなんて、珍しいね」
 峰岸が私たちのところへやってきて云う。
「うん……ちょっとボーッとしちゃってたわ。暖かくなってきたせいかしらね」
 そういって頬を掻く私を、二人は困ったような顔でみていた。
 わかっている。自分がこんなにも落ち込んでいる理由は自分が一番わかっているし、
二人がそれを知っていることもわかっている。
 けれどどうしようもなかった。
 心配してくれている二人には悪いと思うし感謝もするけれど、どうしても今すぐふっきって
明るく振る舞うことはできなかった。

 体育館にいくと、こちらより早くHRが終わっていたらしく、B組の面々はすでに整列していた。
 やっぱり今年も一番前だったこなたが、腰に手を当てて“前習え”をしている後ろ姿が見えた。
 近づいていくと、列の後ろの方にいたみゆきが私に気づいたようだ。微笑みながら手を
振ってくるみゆきに、私も少し微笑んで、力なく手を振り返す。
 つかさもいつも通り真ん中くらい。ほとんど身長が同じ私たちは、こうやってクラスごとに
別れて身長順に整列すると、いつも同じくらいの位置になる。
 何事か真剣に考えこんでいる様子のつかさだったけれど、どうせ頭の中はいつも通り、
ふわふわとしたなんだかわからないもので満たされているに決まっている。
 隣に立ってちょんちょんと袖を引っ張ると、案の定ピクッとして「エリンギ星人!」と
小さく叫んだ。なにを考えてたんだ一体。
「あ、お姉ちゃん、エヘヘ、きてたんだ」
 そういってこちらを向いて照れるつかさに、
「なんだよエリンギ星人って、どこに棲んでるんだそれ」
 と呆れながら云った。
「あ、あうぅ、今の、誰にも喋らないでね……」
 喋るか。同類と思われたくない。
 もっとも、ボインと叫んだ私もあまり人のことは云えなかったけれど。
147春/そして桜色の(第一話)3/5:2007/11/25(日) 22:02:04 ID:o3ydwm0p

 そんなことをしているうちに、生徒会長が入学式の開式を告げる。その言を聞いて、
みんなは静まりかえった。
 こういうとき、さすが進学校というべきか、うちの学校には無駄に騒いだり規律を破ったり
しようとする輩はいない。
 ちらと眺めると、こなたも律儀に正面を向いてじっとしていた。
 式もつつがなく進行し、生徒会長が新一年生の入場を告げると、みなで振り返って拍手をする。
 そのとき私に目を留めたこなたが、青竹色の瞳を見開いて微笑んでくれたのが、少し嬉しかった。
 万雷の拍手の中、新一年生が入場してくる。
 紅梅色の髪をした小さな子――ゆたかちゃんがちょこちょこと歩いてきたとき、こなたが
いるあたりから一際大きな拍手の音が聞こえてきた。
 交換留学生らしき金髪の子が、珍しそうにきょろきょろしながら歩いてくる。
 コバルトグリーンの髪をしたスレンダーな子の凜とした佇まいには、思わず目を見張った。
 眼鏡を掛けた少しオタクっぽい女の子が、入り口の段差につまずいて転び掛けたときは、
少しはらはらした。

 やがて新入生も整列し、代表が壇にのぼって入学生宣誓を始める。

“長く続いた厳しい冬も終わりを告げ、ようやく春の息吹が感じられる季節となりました。
私たち一同はこれより陵桜学園の生徒として――”

 こうして陵桜学園は新一年生を迎えた。
 また新しい一年が始まる。

 私たちは、そう、三年生となったのだ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 4 s e a s o n s

 春 / そ し て 桜 色 の

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


§1

 桜咲く出会いの季節というのに、私がこんなにも落ちこんで自己憐憫の隘路を彷徨って
いるのは、云うまでもなく今年のクラス割りのせいだ。

 初めて神に祈ったのに。同じクラスにしてくれと、あんなに神に縋ったのに。
 私はまた、みんなと別のクラスになってしまった。

 祈りでは足りないとでもいうのだろうか。これ以上神はなにを捧げろというのか。水垢離か、
五体投地礼か、それとも愛する我が子イサクか。
 もっとも、不可知論者の私は、神の実在をまるで信じていなかった。
 冷静に考えれば、やはりまず信じることが先決なのだろう。
 けれど――神社の娘がなんて罰当たりな、と思うかもしれないが――どう考えても論理的に
実在を証明することができない以上、神はいないと仮定するのが科学的態度というものだ。
 あるとき私がそう云うと、こなたは“かがみはホント現実主義者だよね。そんな肩肘張って
ないで、いたらいいなー? くらいじゃだめなの?”なんて云った。
 人の気も知らないで、あいつはのほほんと云いやがった。
 初詣のとき、私がどれだけの思いでいないと知っている神に祈ったかも知らないくせに。
 あのときこなたが云った“かがみには別のクラスでいてもらわないとね”という一言が、
どれだけ私の胸をえぐったかも知らないくせに。
148春/そして桜色の(第一話)4/5:2007/11/25(日) 22:02:37 ID:o3ydwm0p


 いっそ全部素直にぶち撒けてしまいたい。そう思うときがある。

 こなたといるとどれだけ楽しいか。
 みゆきのことをどれだけ尊敬しているか。
 つかさがいるだけでどれだけ心から安心できるか。
 みんなといてどれだけ幸せに思うか。
 みんなのことをどれだけ誇りに思っているか。

 こなたにそれを云ったら、あいつはどういう反応をするだろう。
 素直に照れるだろうか、それとも“かがみがツンデレじゃなくなったー”といって悲しむ
だろうか。
 あり得ないと思いつつも、後者の反応をされることが怖くて、私はいつも口をつぐんでしまう。
 云えないで溜めこんだそんな想いが、私の中でどんどん膨れあがっていく。そしてふとした
拍子に顔を覗かせたそれを、こなたにつつかれては悶絶するのが常だった。
 結局のところ、全て見透かされているのかもしれない。
 あの小悪魔みたいな女の子に。

 桜の樹の下には屍体が埋まっている。
 その屍体とは、そうして云えないまま埋葬された私の言葉たちかもしれない。
 そんなことを考える。

 秋にみゆきから教えてもらったあと、くだんの小説を読んでみた。
 私にも知識を蓄えたいという欲求は人並み以上にある。法曹界を目指す人間として、
やはり負けっぱなしは悔しい。
『桜の樹の下には』は文庫本にして見開き2ページ分の、短い掌編だった。
 語り部は、余りにも美しい桜をみて、まるで美しさの代償を求めるように、その根本に
屍体を夢想する。
 美しいものをただ美しいものとして享受できない、その裏になにかの秘密がないと安心
できない語り部のひねこびた心性は、基次郎自身のものだったろうか。
 であるならば、それは素直になれない私自身の、可愛いといわれても喜べない私自身の、
ひねくれた心性と同じものだ。

 そう思ったら、無性に一人で桜が見たくなった。
 溺れるほど大量の桜を。
 ひねくれた私がひねこびた桜に浸れば、まっすぐ前を向けるようになるかもしれない。
 そんな非合理的な、文芸的レトリックに過ぎないことを、本気で考えたわけではない。
結局のところ、一人でなにか凄いものを見て、頭を冷やしたかったのだろう。

「つかさー、ちょっとでかけてくるね」
 台所でなにやらお菓子作りをしていたつかさに声をかける。
「え……こんな時間に? どこいくの?」
 もう九時も回ろうかという時刻。確かに未成年の女子が一人ででかけるような時間帯では
なかった。
「ん……ちょっとね、心配しなくてもすぐ戻るわよ」
「そ、そう……。でも本当に気をつけてね。……えっとね、帰ってくるまで寝ないで
待ってるからね」
「あら? なにか話したいことでもあるの?」
「ううん、そういうわけじゃないけど……ただ、寝る前にちゃんとお休み云いたいなって
思っちゃって……」
「なぁにー? また甘えんぼ病かぁ? ふふ、わかったよ、なるべく早く戻るからね」
 まだ真剣な顔つきで私をみつめるつかさに手を振って外にでた。
 もしかして、私が世を儚んで自殺をするとでも思ったのかもしれない。つかさにも
大きな心配をかけていることを思って、ちくりと胸が痛む。
149春/そして桜色の(第一話)5/5:2007/11/25(日) 22:03:08 ID:o3ydwm0p


 権現道の桜堤までは自転車で十五分。
 四月の夜気はまだ冷たいけれど、その裏に温もりの気配を感じさせてどこか優しかった。
 犬の遠吠え。街灯に影を映すコウモリの羽ばたき。見下ろすような弦月に掛かる雲の
グラデーション。
 夜に包まれて、私はペダルを漕ぐ。

 桜の名所として名高い権現道だけれど、すでに盛りが過ぎたこともあり、さすがに月曜の
夜ともなればそれほどの人だかりでもなかった。
 地元の人らしきおじさんおばさんが、酔漢と化して銅鑼声を張りあげていた。カップルや
家族連れの姿もちらほらと見える。
 けれどそれも花見の喧噪というにはほど遠い。緑の葉の混じった桜並木を歩いていくうち、
たまにぽっかりと人通りが途絶えることもあった。

 そんなとき、私は桜の美しさと恐ろしさを痛感する。

 低い枝振りの桜が梢を広げると、空がすっぽりと覆われて世界が桜色で満たされる。
 普段はその下に酔漢や見物客がいるから楽しく思えるのだけれど、ただ一人この世界に
閉じこめられるとなるとたまらない。
 どこまでいっても涯もなく続く桜色は、すでに異界の光景だった。
 人里ならばまだいいのだろう。これが人跡未踏の山奥に、誰にもみられることなくただ
ひっそりとその世界を繰り広げてるさまを想像すると、なるほど基次郎のおののきもわかる
気がした。
 そう考えたとき、以前にも同じような感覚を覚えたことを思い出した。
 デジャブだろうか。いや、そうとも思えない。
 そのときは今ほど独りでいることの不安感は感じていなかった気がする。いつも隣に
いる私の暖かい半身――つかさがいたような。

 そこまで思考を辿ったところで、唐突に思い出した。

 さーっと桜吹雪が舞って、私の心をあのころの私の元へ運んでいく。

 あれはそう、二年前の春の出来事。
 一年生だった。
 今日入学した子たちみたいに、まっさらだった私たち。
 期待と不安ばかりを胸に抱きながら学校に通い――

 そうして、こなたと初めて出会った、あのころのこと。

(つづく)
15016-187:2007/11/25(日) 22:04:30 ID:o3ydwm0p
以上です。読んでいただいた方、ありがとうございました。

普段全部書ききってから全体をみて色々直したりするもので、
この形式でちゃんと書けるかどうか不安ですが、頑張ってみたいと思います。
151名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 22:17:06 ID:wP1frIwz
>>150
最初のほうの学校の描写はかなりよかった
ただ女子高生の一人称にしては言葉遣いが全体に堅くないか?
完全口語でもだらだらするし、俺もこの案配ではいつも悩むんだけど
152名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 22:23:06 ID:C0L3TdSp
遅レスだけど>>93
語感で誤解されやすいけど『フレンチキス=ディープキス』なので、
『軽いフレンチキス』はありえない。
153名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 22:23:58 ID:sl330mLk
「一応言っておくけどかがみ、医学部系は、
確かに理数系ではあるけど、文学系にも秀でていないと
上級の大学にはいるのは難しいのだよ。
それに、医者というものは、医学知識だけではなく、
文学知識、社会知識、語学知識もフル動員される職ですぞよ。
だから、医学部の癖にってのはお門違いなのですぞ」
「わ・・・わかってるわよ・・・言葉のあやってやつじゃないの・・・
ていうか、あんた勉強からきしのくせに
なんでそんなことでつっかかるのよ」
「いやあ、最近ブラックジャックによろs・・・」
「あーはいはい、どうせそんなこったろーとおもってましたよ
まああんたもそれくらい言うようになったんだから、
当然勉強も自分でするようになったのよね?宿題も今後は・・・」
「ごめんなさい出過ぎました反省いたします」
「ったく・・・」

やけに長いネタやっちまいましたが、それくらいGJ!!
ていうか先が楽しみです。
かが×こなということですが、その硬い口調が逆に俺には新鮮ですた。
気長に書き進めてくださいませ。
こちらも気長に待つことにしよう(・∀・)b
154名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 22:25:16 ID:xyfuP8xx
>>151
全体的に文章の形式がしっかりしてるから
俺はあまり気にならなかった
155名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 22:32:18 ID:MNOYf0tO
>>150
GJなのですよー
たまにはこういった直球なのもいいもんです
続きを楽しみにしております
156みwiki:2007/11/25(日) 22:34:23 ID:73zYxypv
>フレンチキス
実は「フレンチキス」には、中世時代のフランス人が「心を込めたキス(=ディープキス)」として使っていた意味と、
当時フランスと敵対していたイギリス人が「フレンチキス=下品で卑しいキス(=ディープキス)」として使っていた
2つの意味があります。

これが日本に入ってきた時、フランス人が意味する「心を込めたキス」を「軽やかで上品なキス」と捉えたらしく、
日本では「フレンチキス=唇を触れあわせるだけの軽いキス」というイメージが普及したようですね。
157名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 22:40:51 ID:fFetJTRV
確かに元々の意味からしてフレンチキス=ディープキスが正しいが
日本においてはフレンチキス=軽いキスという解釈も相当程度広まっているのも事実だな
現状、二つの意味を表す言葉といって差し支えないと思う

と、ここまで書いてみwikiさんに先を越されているのを確認したが俺は謝らない
158名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 22:58:04 ID:kQ33eP4M
>>153
下世話な話になるが、国公立医学部受験はセンターでかなり鍵になるからな、国語。
理数英語は九割当たり前だし、極端な話上限が決まってるから、国語でどれだけ取れるか、といより足を引っ張らないかがカギになる。
159名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 23:06:02 ID:fFetJTRV
確かに医学部入ろうと思ったら文系が理系がとか言ってられないすよなあ
160名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 23:21:10 ID:K9IO5qXf
>>150
GJ! 続きが気になる
あと、みゆきの知に対するかがみの心持ちを
こんなふうに読ませてもらったのは初めてで
新鮮だったな
161名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 23:24:25 ID:sl330mLk
さてこんな空気の中、空気を読まずに投稿します。
さきほど少しあった、別フェチネタです。
3レス分。よろしければ投下します。
162「?フェチ」(1/3):2007/11/25(日) 23:31:25 ID:sl330mLk
「おっす」
「あ、おねーちゃんおはよー」
「おはようございます。かがみさん」
何げない挨拶で、私達の一日は始まる。
みんなに変わった様子はない。至って平常みたい。
つかさは気絶をしてないし、みゆきも鼻から血を流したりしていない。
こんな解説している私自身、こなたにべたついたりしてない。
うん正常。禁断症状もない…。
そうよね、あんな状況、異常よね
みんなたまたま、病気か何かだったのよね。
「おっすこなた」
「はろーかがみん」
何か一瞬、こなたが挨拶した瞬間、みんなの目が光った
ような気がしたんだけど、気のせいよね。うん。

そして昼休み。みんなそろっての食事。
みんなはお弁当で、こなたはいつもどおりのチョココロネ。
「臭いよね〜」
「そうですね、あの臭さはちょっと考え物ですよね」
いつもどおりの会話が続く。
食事中に臭い話もどうかと思うけど。
しかしそれは、突然の出来事によって破られることになった。
163「?フェチ」(2/3):2007/11/25(日) 23:31:58 ID:sl330mLk
「あっ」
それは純粋なアクシデントだった。
いつだったか、日下部が大好物のミートボールを
落っことしたあの失態をなぞるような形。
私の箸から落ち、机のかどに転がり、
今まさに落ちんとするミートボール。
拾おうととっさに反応し、私はそのまま体勢を崩してしまい…
「あぶないかがみ!」刹那、こなたが、
横転しそうになった私を手で抑え、抱き抱える形となった。
「っとぉ…だいじょぶかがみ?」
「あ…ありがとこなた…」
「礼には及ばないよかがみん。しっかし、食べ物1つで
 ここまで執着…そんなんだからふt」
「黙れ」
その体勢のまま、そんな会話をしていくうちに、周りの状況が
おかしくなってることに気がついた。
つかさも、みゆきも、一言もしゃべらない。
よくみたらつかさは、顔に笑った表情が張り付いたまま凍っていた。
つまりは、気絶していた。
一方みゆきは、同様に顔が笑顔のまま凍っているが、
鼻から赤い線が伸びていた。
やばい!例の症状か!?
しかし、こういう場合、こなたに抱きかかえられている私自身が、
真っ先に意識を失うか、こなたを抱き返して様々な行動に移る筈なんだけど、
こうして普通に会話している私は…例の病気じゃ、ないのかな…
まあちょっと…どきどきは…してるけどさ…。
164「?フェチ」(3/3):2007/11/25(日) 23:33:27 ID:sl330mLk
「ディッモーーーールト!!!」
突如、野太くもイタリア発音がやたら流暢な、そんな奇声が…
みゆきから(!?)発せられた。それが起爆剤にでもなったらしい、
突如として現れる6名。本当に突如だった。それなんて忍術?
2着分の体操着を持ってニコニコしているゆたかちゃん
いつもより気合の入った様子で手をワキワキさせるみなみちゃん
「悔しいけど…」「お似合いだぜぇ」とかうわごとをいいながら
立ち幅跳びで教室を周回している日下部。てかよく疲れないな。
峰岸・・・そのやたらでっかいケーキと、リボンを巻いたナイフは何?
「さあお二人で・・・遠慮なく・・・」何の冗談ですか?
向こうでは田村さんが「フルスロットルゴギャアアアアア!!」と叫びながら、
30秒に1枚という非常識なスピードで原稿を仕上げていくし、
あちらでは「Oh!!ジャパニイズオヒメサマダッコ!!」といいながら
パティさんが京都の舞妓さんも真っ青の雅さで日本舞踊を披露していた。

そんなみんなに囲まれて逃げ場を失い、
私とこなたは抱き合ったままがくがくと震えていた。
私は思わず、こなたにもっとしがみつき、こなたと頬を寄せ合う形となった。

「シャングリラ!!アナスタシア!!」
「ばかっぷるうにょーん」
「ささ、お二人ともお色直しですよオイロナオシデスヨ」
「おもち…かえり…2人…平気…」
「おにあいくやしいおにあいくやしいでもやっぱりおにあいだぜぇぇぇぇぇぇ」
「忘れてた、ケーキの天辺にかざらないと、お二人を・・・」
「とととととととととととまらないっ!手が勝手に動くっス!この手はバケモノかっ!?」
「トゥルトゥル、トゥルトゥル、トゥルトゥルトゥDADADA☆」

当然のことながら、私の記憶はここで途切れるはずもなく、
こなたとともに、このカオスをずっと見届けることになる…
ごめんねこなた、やっとあんたの気持ち、少し理解できた…

==========================
         〜こな×かがフェチ〜 END?
==========================
165名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 23:35:58 ID:kQ33eP4M
リアルタイムGJ
混ぜるな危険ですな
166名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 23:37:02 ID:xyfuP8xx
こなかがフェチ
これなんて俺
167名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 23:38:02 ID:fFetJTRV
GJですぜ
てかこの発想はなかったぜ
168名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 23:53:16 ID:Qh0gEPVD
寂寞のひとの新作に、こなフェチならぬこなかがフェチとは!
そりゃあディ・モールトとも叫ぼうというもの。お二方ともぐっじょぶ。
16923-251:2007/11/26(月) 00:03:15 ID:M6b4CfT4
GJ!
こなかがフェチ良いですなあ。
軽妙なお話が書けるのは羨ましいです。

連載を開始された方も、続きをとても楽しみにしております。


これまで、感想を頂いた方に感謝しつつ、「星に願いを」の続きを投下します。
第6話(規制の為、下記に記載)
http://www33.atwiki.jp/kairakunoza/pages/1234.html
・こなかが入れ替わり
・続き物
170名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 00:05:13 ID:bCqTDqRu
なんという恐ろしい化学反応
これは間違いなくGJ
171名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 00:10:39 ID:bCqTDqRu
おっと、行き違い失礼。

>>169GJ!入れ替わりだけじゃなくて、隠し事や恋愛関係やら、複雑に入り組んだ展開が読ませてくれますね。

ただ、みゆきさんはこなたのことを「泉さん」と呼ぶと思うのですよ。
17223-251:2007/11/26(月) 00:18:25 ID:PgKbqBtt
>>171
ご指摘ありがとうございます。
次回から修正しますね。
173名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 00:34:55 ID:sKFzd72v
今更ながらかなたさんのキャラソン初めて聴いてみたんだが……

てけてけかなたさんのあんなシーンやこんなシーンが脳内再生されて
気付いたら泣いてた

びっくりした
174名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 00:59:02 ID:/12uVQOs
>>173
お前は俺か。
かなたさんの声が島本さんボイスなのはデフォだぜ。
そして「幸せ願う彼方から」は俺的てけてけかなたさんエンディングテーマ。
175名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 03:18:43 ID:WzUbgsRX
>>169
おぉ、早い。
うーむ、つかさが心配になってきたですよ。
でもこなたならきっとなんとかしてくれる…はず。
緊張に耐えつつ次回を待ってます。GJ!
176名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 04:50:56 ID:JQBkNsOH
自分も一つ投下したいと思います。
内容は以下の通りです。

■そうじろうとこなた(かなた)
■非エロ
■レス数はちょっと不明ですので、すみませんが流し投稿になります

初投稿ですので、色々と至らぬ部分があると思います。
それでは、宜しくお願い致します。
177幸せの記録:2007/11/26(月) 04:52:42 ID:JQBkNsOH
泉そうじろうは、一台のデジタルカメラを持っている。
仕事用に購入したもので、今も作品を書き上げるのに欠かせない相棒だ。
そのメモリの中には、仕事用に撮った資料写真で一杯になっている。


だが、それに負けないくらいの数の「とある写真」がもう一つのメモリーカードに収められている。


そのカードは無くさないように毎回所定の場所にしまってあり、かつ丁寧に保存されている。




そのカードの中身に収められているものは







彼の娘、こなたの写真だ。
178幸せの記録:2007/11/26(月) 04:54:08 ID:JQBkNsOH
-----

「…おとーさんっ、暑いからひっつかないでくれる?」

このデジカメを初めて使ったとき、娘であるこなたに言われた言葉。
だが、何だかんだ言って最後まで付き合ってくれたのは、ある意味流石というべきか。
途中で心霊写真騒動もあったが、結構良い写真が撮れたようだ。


(良い感じに撮れたな…また今度印刷してくるか。)


メモリ画面を見ながら考えるそうじろう。




彼の書斎にある本棚には、資料の他にアルバムが本棚の一角を占領している。
それには、実に20年以上に渡っての写真が詰め込まれていた。

そうじろうとかなたの思い出の写真。
こなたの成長記録。



そして、そうじろう・かなた・こなたの三人の思い出。



しかし「三人の思い出」のアルバムは、一冊しかない。
かなたが早く逝去してしまった事もあるが、一冊しかないのはもう一つの理由があった。
179幸せの記録:2007/11/26(月) 04:56:34 ID:JQBkNsOH

それは、かなたの通夜・本葬が終わった後に、かなたの実家からあった一つの申し出だった。


『かなたの笑顔の記録を譲ってほしい』


この申し出に、そうじろうは断る理由が無かった。
これから始まるはずだった、両親と子供の希望に満ちた暖かい生活。
当然その生活を見たいと望んでいたのは、かなたの両親も例外ではない。
せめて、自分の子が通ってきたその「断片」を…
いや、そんな言葉では片付けられない様々な思いを重ねて、そうじろうに頼みに来たのだ。


そうじろうは、すぐに写真の選定に取り掛かった。
かなたにとって、そして自分にとっても一番幸せだった時。


「…やっぱり、この時しかないよな。」


…それは、こなたが生まれて家族が増えたときだ。

写真はアルバムに換算して二冊半程撮り貯めていたが、そのうち約半分を譲ることにしたのだった。
さらにその後、こなたに少しだけ三人集合の写真を含めたアルバムを譲ったため、
現在彼の書斎には一冊だけ三人の記録が残っている、という事になった。
180幸せの記録:2007/11/26(月) 04:58:25 ID:JQBkNsOH

そしてこなたがある程度成長してきた時、そうじろうにある種の不安が脳裏をよぎるようになった。


(…こなたは、俺より先に死んだりはしないよな…)


人というものは、いつ、どんな状況に陥るかわからない。
当然、明日いきなり死んでしまうこともありうる。
そうじろうもこなたも例外ではない。

…だが、そうじろうは『娘が先に死んでしまう』という事が何よりも不安であり、そして怖さを感じるようになった。
成長するにつれて、亡き妻であるかなたに似てきた事も追い討ちをかけたのかもしれない。
同時に、家族というものの大切さを今まで以上に強く実感し始めたのも事実だった。




それからだった。
そうじろうは、積極的に『家族としての』記録を残すようにし始めたのだ。
こなたの姿が収められているデジカメのメモリーには、半分近くそうじろう自身も写っている。

ある時、毎回セルフタイマーを使って自分も写ろうとするそうじろうに、こなたが聞いたことがあった。


「お父さん、何で毎回セルフタイマーで自分も写ろうとするのさ?
 撮る度にそうするから、いっつも時間かかってばっかじゃん。
 お父さん自身も、私が撮ってあげてるでしょー?」


これに対し、そうじろうはいつものおどけた調子で返した。


「ん?そりゃーやっぱり、大事なこなたと一緒に写りたいからかなー」

「…何だか危ないヨ、その発言…」


多少あきれ気味に返すこなた。
だが、その後にそうじろうが真面目な顔をして続けた。
181幸せの記録:2007/11/26(月) 05:00:27 ID:JQBkNsOH

「まあ、今はまだわからないかもしれないが…そのうちこなたにも意味がわかるよ。
 …少なくとも俺が死んだ時か、こなたが結婚した時には、はっきりとな。」

「ちょ、ちょっ!?
 何いきなり死ぬとか重い話題出してんの!?」

「はは…悪い悪い、気にしないでくれな。
 よし、もう一枚撮るぞ!」

「ええぇぇ、まだ撮るのー?勘弁してよー!」


笑いながら、そうじろうはある事を考えていた。
このまま何事も無ければ、自分が先に死ぬだろうと。
その時に、こなたはどうなっているだろうか。
主婦として家族を持ち、幸せに暮らしているかもしれない。
独身を貫き、仕事を持ってバリバリと働いているかもしれない。
しかし、どちらにしても『その時』が来たら、こなたは家族の一人を失うことになる。

まだこなたが非常に小さいときに、かなたは死んだ。
当然、当時のこなたには「母が死んだ」という意味はわかっていなかった。
理解したのは数年経ってからだったが、その時には時間経過も手伝ったのか冷静に受け止めていた。

だが、次が来るときは違う。
あの頃とは違って、こなたはもう一人前になっている。
全てを理解できる状態で、家族の死という現場に居合わせなければならないのだ。
その時、こなたはどうするのだろうか…と。


そんな時の為に、そうじろうは自分に最大限出来るだけのことをしていた。
多少迷惑がられてはいるが、こなたへの惜しみない愛情。
そして、家族としての記録を残していく努力。
気がつけば、それがそうじろうのライフワークの一つとなっていた。
ある意味行きすぎとも言える愛情のかけ方は、『家族をこれ以上早くなくしたくない』という気持ちの表れもあったのかもしれない。
182幸せの記録:2007/11/26(月) 05:02:24 ID:JQBkNsOH
-----

楽しそうに過ごすこなたを見て、そうじろうは今日も安心と幸せを感じていた。
そして、居間に飾っている『三人の写真』を見て、心の中でかなたに語りかける。


(かなた、見ているか?
 今日もこなたは幸せそうに過ごしているよ。
 俺の願いとかなたの願い、それにこなたはしっかりと応えてくれている。
 こなたが『人生で一番の幸せ』を掴む日まで、俺は頑張っていく。
 その日が来たら、俺は今まで撮り貯めた写真をこなたに渡すつもりだ。
 それを見返したとき、こなたは気付いてくれるだろう。
 そして俺がかなたの元へ行ったとき、『もう一つの意味』にも気付いてくれるだろう。
 言葉では伝えづらい、しかし俺が本当に一番伝えたかった事を…な。)


改めてゲームで遊んでいるこなたを見るそうじろう。


(まあ、まだ彼氏とかは出来てほしくないけどな。
 悲しいけど男親としては、何となくそう思っちゃうんだよ。
 …まあ、こんな考えも程々にしておかなきゃいけないんだろうけどなー)


少し笑いながら、心の会話を終わらせたそうじろう。
そんな時、こなたが急に振り向いた。
183幸せの記録:2007/11/26(月) 05:05:00 ID:JQBkNsOH

「どうしたのお父さん、何笑ってんの?」


ちょっと笑い声が出てたか。
そう思いながら、そうじろうはこなたに返事をした。


「いや、何でもない。
 それよりこなた、敵が目の前に来てるぞー」

「へ……ぬあぁっ!まずいまずいまずい、ボム回避ーっ!」

「STGをやる時、余所見とかする時はポーズかけるの基本だぞ?」

「うう…STGは久しぶりだったから、ついうっかりやっちゃった…」


たまにやる小さな失敗。
そうじろうの目には、そんな姿にかなたの面影がだぶって見えた。


(やっぱり俺達の子だな…改めてそう思っちまうよ。)


そんな事を思った後、そうじろうはこなたの傍へと座った。


「なあ、後で2Pで入ってもいいか?
 お父さんもやりたくなったよ。」

「ん、いいよー
 それじゃあ、次のステージから乱入でお願い。」

「よしわかった、一丁頑張っていくかー」

「足引っ張んないでよ?」

「お、言ったな?よし、見てろよー」



いつもと変わらない、でも暖かい風景。
そうじろうは、確かな幸せを噛み締めていた。



幸せという名の記録。
その数は、まだまだ増えていきそうだ。
184名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 05:09:02 ID:JQBkNsOH
以上です。
詳細な裏設定をよく知らない(ガイドブック未所持)ので、一部独自設定になっている可能性があります…
もしそういう部分がありましたら、申し訳ありません。

エロ系が全然作れないので、こういう話になりました。
ゆるりと読んで頂ければ幸いです。
それでは、お目汚し失礼致しました。
185名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 07:37:03 ID:4GCtRH4Q
これは、素晴らしい。無限のGJをあなたに捧げよう。
186名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 08:41:39 ID:946wi50W
これはGJ。
公式でこなたの祖父母って詳細な設定されてるの?
俺もガイドブックとか持ってなくて分からんのだが
気になるんだよな。
187名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 11:40:58 ID:sxvc8UlK
やばいそうじろうかっこいい…!
GJですた
188名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 16:48:22 ID:xDErXGpR
祖父母のことについて書かれているのは
みさお(祖父母)
パティ(祖母)
だけ
それも家族構成だけで詳細はないね……
18920-612:2007/11/26(月) 20:03:38 ID:22pkRfwG
 前スレ68-74の続きが書けましたので投下したいと思いますが、よろしいですか?
190名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 20:22:36 ID:nGugRO6+
どぞ〜w
191名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 20:28:44 ID:EBjZQx2i
どぞー
19220-612:2007/11/26(月) 20:46:51 ID:22pkRfwG
ありがとうございます。
では投下します。

・こなた&その他
・エロ無し
・5レス

です。
193Tiny☆Stars『中編:夏の陰謀』(1/5):2007/11/26(月) 20:47:36 ID:22pkRfwG
かがみが私を避けている。

そのことに気がついたのは卒業して間もなくのことだった。
5月の連休のときは「まだ、大学にもなじんでないだろうしこっちに来るのは無理だろうな」と気にしていなかった。
けど、さすがに夏休みにろくろく休みを取らなかったときにはピンときた。

メールや電話ではいろいろとやり取りはしてたから、私のことが嫌いになったわけではなさそう。
電話の声やメールの文面にも無理をしている様子はなかったもん。

つかさやみゆきさんからかがみの様子を聞いているから、なんとなく想像がつく。
たぶんだけど、しばらく顔を合わせないでいるうちに会いづらくなっちゃったんだろうなあ。
がみらしいよホント。

みゆきさんは今いっしょに住んでるんだからから顔を合わせることには抵抗ないだろうね。
つかさはふたごの妹、少しぐらい会わなくたって顔を会わせるのに抵抗があるはずもない。
問題は私、かがみの家から私の家が離れてることもあるし、来るのに理由づけが必要になっちゃったんだろうね。
お店の方も『邪魔しちゃいけない』って思ってるのか、来てくれないし。

そんなこんなで時間がたつうちに、ますます会いに来づらくなっちゃってるんだろう。
どんな顔して会いに来ればいいのか、わかんないんだろうね、きっと。
やっかいだよね、ツンデレってのも。
でも、そこが可愛いんだけどね。

ならばこちらから……といきたかったが、バイトのリーダーになってから一気に休める日が減っちゃった。
かがみに会うどころか、イベントにすら行けなくなってしまったのには参っちゃったよ。
ショップに行く時間すら取りづらくなって、限定品の入手も難しくなっちゃったしね。
おかげで貯金が増えたのは、よかったんだか、悪かったんだか。

そういえばネトゲもインする日が減っちゃったなあ。
お店から帰ると疲れちゃって、夜更かしができなくなっちゃったし。
チャットの時に黒井先生に話したら、笑われちゃった。
まだまだ若いんだから、そんなこと言ってないでがんばれって。

でも、さすがにあれだけ忙しいと、私も限界かも。

バイトのシフトや出欠、食材の在庫確認、器具の点検・清掃、経理などなど。
店長がいない時には代理で業者と話をしたりもする。
困ったお客とのトラブルにも対処しなきゃならないし、ホントに目まぐるしい。

正式に言われてはいないけど、実質的に副店長みたいなもんなんだよね。
新規のバイトの面接にもかりだされたり、店長の代理で会議にも出たりしてるし。

そういえばこの間は雑誌の取材を受けたなあ、名物店員として。
パティたち何人かといっしょにインタビューに答えたり、写真を撮られたり。
いろいろな衣装に着がえさせられたから大変だったよ。
あの日はホント帰って夕食とお風呂を済ませたら、あっという間に朝になってたからなあ。

出来上がった雑誌を見たけど、写真のほとんどがパティだったのには苦笑した。
まあ、その気持ちもわからないではないけどね。

「このお店はこなたがいてこそなのに、編集部はわかってませんね!」

パティもみんなも不満を言ってたけど、私としてはお店の宣伝になればどっちでもいいと思ってる。
それに、いちばん大きな理由はわたしのからだが小さいからなんだと思ってる。
ちょっとアブナイお店に見えてしまうかもしれないって思ったんだろうね。

実を言うと、そこだけちょっと悔しい。
194Tiny☆Stars『中編:夏の陰謀』(2/5):2007/11/26(月) 20:48:14 ID:22pkRfwG
とにもかくにも、この忙しさは凄い。
何が凄いって、私の給料が正社員になりたてのころの倍になっているほどに凄い。
お店の売り上げも上がっているんで、みんなの給料も上がっているけどね。
でも、パティたちが協力してくれなかったら倒れてたかも。

だからといって、何もしないでいたわけじゃないよ。
みゆきさんやつかさとはもちろん、パティやひよりん、黒井先生たちとも連絡を取りあって、何とかしようとしたんだよね。
でも最初の1年は何事もなく過ぎちゃった、残念だけどね。

あ、そうそう、みさきちやあやのんとも連絡取りあってるよ、念のため。
ツテは多い方がいいからね。



かがみと合わなくなって2年めの春がはじまって、すぐのこと。
お店に行く支度をしているところに、みゆきさんからかかってきた電話。
それがきっかけになった。

取り次いでくれたゆうちゃんの顔色が気になったけど、とりあえず出てみる。
足早に階段を降りていく足音からすると、体調のほうは大丈夫みたい。

「みゆきさん、おはよう。どしたの? こんなに朝早く」

 − 泉さん、落ち着いて聞いてくださいね。実は…… −

「……え!?」

そこから先の言葉は出てこなかった。
しかもみゆきさんの言っている言葉も理解できなくなってしまったんだ。
頭の中でいろんな考えが渦巻いてたから。

みゆきさんは病院から電話をかけてきていた。
かがみが階段から落ちて頭を打ったらしいということ、救急車で病院に運ばれて今CTやMRIで検査中だということ。
電話越しの説明を聞いているうちに最悪の事態が頭をよぎる。
ケガはひどいのだろうか?
もし、それで万一のことがあったら?

かがみのいない世界、かがみが『思い出の世界の人』になってしまった世界、かがみが、かがみ、かが……

「……ずみさん! 泉さん!」

みゆきさんの声が聞こえ、ハッと我に返る。
私の受けたショックは大きかったらしい、気がつくと立っていたはずなのに座り込んでたんだ。
こんなんじゃいけないと首を思いっきりふって、改めて電話に出る。

「あ、ごめん、みゆきさん。それで、かがみの容態は?」

検査前にお医者さんが診てくれたけど、背中の打ち身の方がひどいくらいで頭の方はなんともなさそうとのこと。
検査はあくまで『念のため』であり、たいしたことはないみたいだ。
疲れがたまっているようなので、様子見も兼ねてきょうは休ませた方がいいとも言われたらしい。
ひとまず安心だ、と思ったらまた座り込みそうになる。

しゃっきりしろ、泉こなた!

すぐにでもかがみのとこに行きたかったけど、それはやめにした。
さすがに今の状態であったら、かがみの体調に影響が出るかもしれないもんね。
195Tiny☆Stars『中編:夏の陰謀』(3/5):2007/11/26(月) 20:48:48 ID:22pkRfwG
電話を終えて、朝ごはんの準備ができたダイニングに入る。
挨拶をしながら入る私を、お父さんとゆうちゃんが心配そうな顔で見ていた。

「こなた、だいじょうぶか?」

お父さんが心配そうな顔で聞いてくる。
てことは私、そんなに元気のない顔をしているのだろうか、今。
いけない、いけない、お店に着くまでには元気な顔にしておかなくっちゃ。
私が落ち込んでると店の雰囲気が暗くなるらしいからね。

「こなたお姉ちゃん、さっきの電話、みゆきさんからだったよね? なにかあったの?」

ゆうちゃんが澄んだ瞳で私を見つめている。
電話越しのみゆきさんの声で、大変なことが起きたらしいことをわかっているだけに、どう説明したものかと悩んでしまう。
うう、そんな目で見つめられると、嘘がつけなくなるよ。
結局、隠しておいても仕方がないことなので、ホントのことを話した。

「お見舞いに行かなくていいの? かがみ先輩のとこ」

私は首を横にふって、まだ会いに行かないと答えた。
ふたりとも理由を聞きたそうだったけど、ちょっと答えをはぐらかした。

「いやあ、高校時代に風邪のお見舞いに行ったとき迷惑かけちゃったからさあ、行きづらいんだよねえ」

ふたりとも苦笑してたけど、納得はしてなかったみたい。
意外と鋭いからね、ふたりとも。
ごまかしきれたとは思っていない。

「ゆうちゃん! そろそろ食べないと遅刻しちゃうよ!」

腕時計を見た私が叫ぶと、ゆうちゃんも自分の腕時計を見て慌てる。
後片付けはやっておくからというお父さんの言葉に甘えて、私たちは急いで食べはじめた。

「いってきまあす!」

朝ごはんを済ませると手早く支度を整え、ゆうちゃんといっしょに駅へと急ぐ。
家を出たのは、普通なら充分に余裕のある時間。
でも、ゆうちゃんにとっては、この時間が遅刻しないギリギリのタイミング。
体力がついてきたとはいえ、まだまだ無理はさせられないからね。



電車に乗り込むと、息を切らしぎみのゆうちゃんを私にもたれかからせる。
体力をつけるために座りたくないというゆうちゃんと、そんなゆうちゃんが心配な私の妥協点。
うっすらと汗ばんで、肩で息をしはじめているゆうちゃんを横目にしばしの休息。

春日部の駅で、ゆうちゃんとはお別れ。
電車を降りるゆうちゃんを、ホームでみなみちゃんたちが待っていた。
表情がぱあっと明るくなったとこを見ると、みんな心配してくれてたんだね。
ゆうちゃんはいい友達を持ったなあ。

ここから先はひとりで秋葉原まで。
お店に着くまでの間に少し考えることに。
なにをって、今のかがみにしてあげられること。
196Tiny☆Stars『中編:夏の陰謀』(4/5):2007/11/26(月) 20:49:28 ID:22pkRfwG
お見舞いに行ったところで、かがみは喜んでくれない気がする。
たぶん『心配かけてごめん』と謝ってくるはず。
私が帰ったあとで落ち込んでしまうんだろうし、無理は禁物。
自重しなければ。

そうすると、何をしてあげたら……と考えているときに、一枚の釣り広告が目に入る。
いつもだったら特に気にすることもないその広告に、私の目は釘付けになった。
ファミレスの新店舗オープンの広告、それを見たとき、私の脳裏に閃きが生まれた。

一度閃くと、あとは早い。
やるべきことを整理しているうちに、あっという間に時間が過ぎていった。



「みんな、おはよう」

明るく挨拶しながらお店に入る。
なんとか気持ちの立て直しがまにあったようで、違和感を訴える表情はなかった。
オーケー、オーケー。

「こなたさん、遅かったですね」

着替えの終わった私に、サブリーダーの子が出欠確認が終わったと言ってくる。
病欠、遅刻、共になしのようだ。
というか、あと少しで私が遅刻するとこだったけどね。

焦りを顔には出さずに、みんなで整列して店長の前に並ぶ。
和装の女給さんがずらりと勢ぞろいした。
数日前からはじまった春の特別イベント、女給さんフェスタ。
エプロンの下の和服は桜をモチーフにしたものを使っている。

店長の簡単な挨拶が終わると、開店準備。
化学雑巾で軽く埃を取り、内装に乱れがないかチェックをしながら時間まで待つ。
時計を確認し、表の扉の「CLOSED」の看板を「OPEN」にする。
表で開店を待っていた人たちに声をかけながらね。

「いらっしゃいませ!」



平日ということもあり、午前中はほとんどお客さんはいない。
店内にのんびりとした空気が漂う。

今のうちにということでロッカールームに行き、新メニュー考案の参考にと持ってきたレシピ本を手に取り出した。
パラパラと本をめくって、目についた料理のレシピを書き写す。
少し手間取ったけど、図解も書き写したよ。

写し終わると、みゆきさんに電話をする。
かがみはみゆきさん家に戻って、すでに寝ているらしい。
どうやら本当に心配なさそうだとホッとしたあと、みゆきさん家のFAX番号を教えてもらう。
ふだんはおじさんが仕事の連絡用に使っているものだということなので、特別に許可をもらって。

それから簡単なメモと書き写したレシピを持って近くのコンビニへ。
教えてもらったFAX番号へレシピを流す。

「ひとまず、こんなとこかな」
197Tiny☆Stars『中編:夏の陰謀』(5/5):2007/11/26(月) 20:50:06 ID:22pkRfwG
とりあえず一安心というところだけど、なんとかしたいなあ。
このままズルズルと会えなくなってしまいそうで、怖い。

でもお昼近くなってからは忙しくなってきたので、考える時間はまるっきりなかった。
夕方にパティ他数名が出てきた時には忘れてるほどに。
で、閉店後ロッカールームに戻って思い出した。

ため息ひとつついていると、パティが声をかけてきた。

「こなた、ゆたかから聞きましたよ。かがみに会いに行かないんですってね。どうしてですか?」

「いや、ね。かがみの気持ちを考えると『今すぐ』って気にならないんだよね。
最初はほんとに忙しかったんだろうけど、今は『一人前になるまで会いに行っちゃいけない』とでも思ってるんじゃないかな。
だから今会いに行っちゃうと、かがみがダメになっちゃいそうな気がするんだよね。
だけど、きょうの様子を聞いてると、かがみのガマンも限界みたい。
私の方もこれ以上待てないし、ちょっと、いろいろやってみようかと思ってる」

パティにウインクして店を出た。



夜、家に帰ってからネトゲ仲間に相談。
いろいろな意見をもらったけど、先生の意見が一番の後押しになった。

「ウジウジ考えとらんと、行動あるのみや!」

ならばということで、次の日から早速行動に。
ひよりんやパティ、その他何人かの知り合いにメールして、目的に合いそうな人への連絡経路を探ることに。
何をお願いするにしても、これが肝心だからね。
つかさやみゆきさんにも頼んで、心当たりをあたってもらった。

ジリジリした思いを内に秘めて、数日が経過。
お店のバイトの子達にもいろいろ聞いてみたけど、心当たりはなさそうだった。
だけど知り合いの知り合いの、そのまた知り合いでもかまわないから、と言って探し続けてもらうことに。
そんなこんなで数週間が経過するうちに、ひよりんのお兄さん経由であたりがつけられそうとのこと。
ひよりんの下のお兄さんの後輩の、友達の先輩の友人の弟に、目的の人物がいる、とのことだった。

細くて頼りないものではあったけれど、ようやく糸がつながった。
その人物の詳細を聞いているうちに、ある企画が頭に浮かぶ。
うまくすれば、ある場所で、そこがダメでも別の場所で、目的は達せられるはず。
細工は流々、仕上げをごろうじろ。

フッフッフ、かがみんよ、待っているがよい!
19820-612:2007/11/26(月) 20:52:24 ID:22pkRfwG
以上です。

前編を投下後、後編に取り掛かったのですが、
「こなた視点の補間があったほうがいいかな」と考えて書いてみました。
199名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 21:17:32 ID:osfCbgWY
ぐじょぉぶ!
こういうストイックなこなかがもいいよね、
じらしてじらしまくって、はぁ〜もうたまらないよぉ
はやくかがみんにあいたいよぉ…








かがみ「ゾクッ…なんか今寒気が…」
200名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 21:23:38 ID:eejMcfGp
なぁ、重度のフェチだったら希望職もかわるんじゃね?

こなフェチ
かがみ:弁護士→こなた専門オタク弁護士
つかさ:パティシエ→こなた専門オタクパティシエ
みゆき:医者→こなた専門医者




あれ?なんか変わんない気が・・・
201名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 21:30:29 ID:7oadvw5n
かがみはかがみで、できるだけ事件の担当はしたくないんじゃないか?
むしろ専属弁護士になるんじゃね? 書類の整理とか処理とか。

「悪いけどこなたには男になってもらうわよ…」
とかいって勝手に戸籍改竄→勝手に入籍とかwww
202名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 21:34:46 ID:osfCbgWY
みゆき「そうは問屋が卸しません、
     こなたさんは法定伝染病(とカルテ改竄)なので
     私の特別病棟で隔離するのです」
203名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 21:42:11 ID:1uFtnUXS
つかさ「お姉ちゃんやゆきちゃんがいくら頑張ったってダメだよ
     こなちゃんはこの”特製おくすり”入りスイーツで私無しじゃ
     いられないカラダになるんだよ…うへへへひへほへひ♪」
204名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 21:45:05 ID:UcEZzyRT
>>198
これはかがみにとっていいサプライズが待っていそうなwktk展開
地味に先生がまだちゃんと先生してていいなぁ。GJだぜ
205名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 21:48:21 ID:ANSHOUG0
>>201-203

そうして、すったもんだあった後に
DREAMS DREAMS@あふ☆いや に続く訳ですね。
何という、こなたハーレム。
206名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 21:49:55 ID:nGugRO6+
かがみ:どんな事件におけるあらゆる証拠品にこなた関連のものを持ち出し始める
つかさ:材料にこなたを使い始める
みゆき:手術のイメージトレーニングと称してこなたを裸で横たわらせる

こういうことですね



かがみ「では証拠品ですが……こちらをご覧ください。
     はい、こなたの写真です。こなたの入浴中の現場をおさえたものです。
     この写真によって、こなたの体は未だに小中学生と同等のものであることが分かりました。
     よって被告人がこの時間帯に現場にいることは不可能であると証明することができます」

検事「意味不明なんだが」

裁判長「こなたんはぁはぁ……被告人を無罪とします」

(゚д゚)
207名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 21:56:44 ID:osfCbgWY
こなた:バイオハザってしまったみんなに嘆き、ひきこもってしまい
     ひそかにみんなを元に戻す薬を開発し続けている












BOINCで
208名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 21:56:58 ID:7oadvw5n
つかさ「えーっと、材料はこなちゃんの髪の毛にこなちゃんの汗、
     それにこなちゃんの爪の垢を煎じて……」
かがみ「どことなく魅力的だが流石に無理があるだろ」

雄山「こ、これは……まさしく幻の材料、泉こなたの味! 文句なしに究極の料理だ!」
かがみ「うそぉ!?」
209名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 22:02:49 ID:1uFtnUXS
かがみ「どれどれ…(ぺろっ)」
つかさ「私も…(ぺろろん)」
みゆき「ぺr」(ぶばっ!!)

こなた「ちょ!みんな…あふっ!そ、そんなトコ舐めな…あっ」
210妄想屋(仮名) ◆JUqojnT5.c :2007/11/26(月) 22:27:49 ID:LXRgFkSr
ただいまようやく仕事が終わりまして、帰宅中です。
帰ったら、こなフェチ問題の解決策をひとつ、提示したいと思います。
読む人を選びそうですが。

ひぃ。
211名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 22:33:29 ID:osfCbgWY
こなた「フェチものは好みじゃ、どんどん壊れてたもれ( =_,_,=.)b」
212名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 22:46:00 ID:1uFtnUXS
破壊力満点の妄想屋さんが投下する直前、いきなりこんな電波が降りてきたの(´・ω・)ノシ
※男体化こなた(嫌いな人はスルーしてくだs
http://www.geocities.jp/extream_noise/rakisutaep/img/dantaikonata.jpg
213名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 22:46:50 ID:7oadvw5n
ちょまwwwwwwwwwww
これはGJといえばいいのか?wwwwwwwwwwwwww
214名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 22:51:14 ID:1k32XH0j
>>184
GJ!!
確か1スレッドの制限が60行までだったはずだから、
レス数はそれで判断すると良いと思う。

>>200-209
おまいら、これ以上毒電波を送り続けると漏れがSS書いてしまうぞ。
何年掛かるか知らないけど。
215名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 22:51:35 ID:osfCbgWY
これはもう、思わず他の3人を引き寄せる3人ホイホイだろ、常考。
主にどこに引き寄せられるかはエロパロだというのに伏せます。
216名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 22:58:14 ID:d5a+EyTH
こなフェチをNGに入れたらどうなるのかな?
と思いやってみた

……なんだかここが麺のないラーメンみたくなった
217名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 23:08:14 ID:bhIoeLzK
それは既にらーめんではありませぬ(´・ω・`)


スープの原料
汗とか鼻血とかよだれとか愛液とかこなたとか
つかさ「ドーピングこなちゃんスープよ……さあ、私がこなちゃんで達するのを止められる?」
218妄想屋(仮名) ◆JUqojnT5.c :2007/11/26(月) 23:27:25 ID:bCqTDqRu
>>212
ちょwwwwwwww


さて。えーと、最近変化球専門の妄想屋(仮名)です。仕事の合間に書きましたw

6レス、エロあり、CPなし、世界観破壊orz。
いつもは(一応)「多数の人に読んでもらうこと」を想定してネタ選びをしてますが、今回はちょっと趣味入ってます。スイマセンorz
『こな☆ふぇち』と『てけてけかなたさん』の設定を一部お借りして、さらにSFです。
ダメな人は、タイトル『えす☆えふ』でNGよろしくです。

では、いっちゃいますね。
219『えす☆えふ』(1/6):2007/11/26(月) 23:28:31 ID:bCqTDqRu
 みなさん、こんにちわ。こなたです。
 ……いや、正確には違うかな。
 こなた、みたいです。

 ここは(一応)私の部屋。……とはいっても、まだ何にもないんだけどね。
 場所は田園調布の一等地。みゆきさんの豪邸……の地下にある、とある施設の一角。

 なぜ、こんな豪勢なのか悲惨なのかわかんないところに住んでるのかというと……

 ぷしゅっ、と音を立てて自動ドアが開き、にこやかな表情の女性が姿を見せた。
 緩やかなウェーブを描く桃色の長い髪と、ちょっとだけうらやましいナイスバディ。
 貧乳はステータスだ、希少価値だと自負してる私だけど、じかに見るとやっぱりうらやましい。
 もー、なんで私もこーいう風に作ってくれないかなー。

「こなたさん、お身体の具合はいかがですか?」
 眼鏡の奥で、大きな瞳がにこにこと笑っている。
 『娘』の私にまで敬語を使う、この人は……

「あ、お母さん」
 ……高良みゆき。私のお母さん。

――――――――――――――――――
      『えす☆えふ』
――――――――――――――――――

「えっと、簡易セルフチェック実行……っと。
AIチェックサム:正常。動力炉、駆動系、循環系……うん、だいじょぶ。問題ないみたいだよ」
「そうですか、それはよかったです」
 心底嬉しそうに、みゆきお母さんは言った。

 ……もう気づいた人もいるかと思うけど、私は本物の泉こなたをモデルに、みゆきお母さんに作られた人型ロボット(アンドロイド)なんだよね。
 記憶とか人格は、生身の私からまるごとコピーされてる(らしい)から、いまいちピンとこないんだけど。

 例の『こな☆ふぇち症候群』のせいで、(オリジナルの)私を狙ってる人はたくさんいる。
 朝昼晩とみんなに付きまとわれて、いささか参っちゃってたオリジナルの『私』。
 これじゃ『私』の身が持たない……ってことで、みゆきお母さんが身代わりとして私を作っちゃった、というわけ。
 ……本当にそれだけなのか、はなはだ怪しいけどネ。

 ゆくゆくは私を量産して、『一人に一台!ロボこなた』を実現する計画なんだとか。
 まあ、私はみんな大好きだし、別にいいんだけどね。…………誰にもみくちゃに可愛がられても一緒だし。

 ちなみに、そうじろうお父さんもスポンサーとして出資してるらしい。
 今はPCの中に住んでるかなたお母さんのために、身体を作ってもらうんだって。

 ……まあ、そんな理由もあって、私の身体はオリジナルの『私』とまったく同じように作られてる、んだそうで。
 ごはんも食べれば汗もかくし、泣けば涙も出るしえっちもできる(いやー、生々しいねぇ)。
 できないのは排泄と成長ぐらいだけど……どうせ生身でも成長は望めないからいいや。ちぇ。
220『えす☆えふ』(2/6):2007/11/26(月) 23:29:48 ID:bCqTDqRu
 もちろん、本物と見分けがつかないとマズいとか、技術的な問題だとかで、オリジナルとはあちこち違うところもある。
 アホ毛は通信アンテナとバランスセンサーの二本が立ってるし、泣きぼくろ(に偽装したインジケーター)は右の頬。
 意識しないとネコ口(ぐち)にはならないし、緊急時にはスタンガンになるっていう八重歯も生えてる。
 あと、関節部のスジとか、カトキハジメチックなマーキングとか。ま、服を着てれば目立たないけど。

 ……服を着てれば、ね。

 にこにこと私を見つめるみゆきお母さんの鼻から、またふた筋のヘモグロビン溶液が垂れてきてる。
 さすがに本物ほどじゃないにせよ、それなりの攻撃力があるみたいだね、

 ……私のハダカにも。

「ねえ、お母さん。いいかげん服着せてよ〜……」
 生まれてこのかた二週間。ずっとハダカなんだよね、私。
「わ、わかってます、これから買いに行ってきますか……らぁっ!」
 自分で作った血の池で足を滑らせて、見事なサマーソルトキックを披露しながら、みゆきお母さんが言った。

 ……うーん、黒のレースにガーターベルトか。アダルティーだねぇ。


………………


 頭に巨大なコブをこさえたみゆきお母さんが、キリキリ舞いしながら部屋を出ていくと、また私はひとりになった。

「……んー、と」
 視線を胸元に落として、自分の貧相な身体を見つめる。オリジナルと寸分たがわない私の身体。
 申しわけ程度に盛り上がった極小サイズの胸、メリハリのないわき腹のライン、細身の手足。ちっとも引き締まってない手首足首……は、大きなインターフェイスリングのせいで見えないけど。

「……こんなのでなんで鼻血出すかな、あの人は」

 なだらかなお腹の向こう、両脚の間に、二つの緩い盛り上がりが見える。
 夏の一泊旅行の風呂場で目に焼き付けてきた、という、きっちりと作りこまれた「大事なトコロ」。
「挿入時に痛くないよう、本物の泉さんより少しオーバーサイズ」だそうだけど。てか、生々しいよみゆきお母さん。
「夜のお相手もバッチリです!」って、みゆきお母さんは力説してたっけ。顔中の穴という穴から湯気を噴き出しながら。

 「……夜のお相手……ねぇ」
 オーバーサイズ気味、といわれても、それでも小さい私のアソコ。
 まだ何も生えてない(いや、生えるわきゃないけどさ)、むき卵みたいにつるっとした肌がかすかに色づいてる。
 その淡いピンクの色づきは、小さなクレバスに向かって、その色を急激に濃くしてる。
 柔らかくて艶のある肌に、天井の蛍光灯が反射して……

 ……こ、これはこれで、相応にエロいですよ?

221『えす☆えふ』(3/6):2007/11/26(月) 23:30:56 ID:bCqTDqRu
 一度意識しちゃったら、もう目が離せなくなった。
 おへその下あたり、人間だったら子宮がある所で、何かがグルグルと渦巻いてる感覚。
 ちょ、こんな感覚までカンペキに再現してますか。

 左手の指先を口元へ伸ばして、咥えてみる。即座にその指を捕らえて、まとわりつくようになめ回す私の舌。
 私って、こんなにえっちだったっけ? ……みゆきお母さん、まさか私に何か仕掛けたんじゃないだろーね。

 口元から指を離すと、銀色に輝く細い吊り橋がかかって……すぐにちぎれて、奈落の底へと堕ちて、いや落ちてった。
 右手が勝手に……はふっ、左胸の小さな先っちょを、いじっ・てる。
 頭の中に、だんだん……ピンク色のモヤが……かかってく。


 ……ちょ、ちょっとだけなら……いいよネ……


 震える指先が、ためらいながらゆっくりと降りていく。
 おへそのフチを、なぞるように迂回する。
 たったそれだけで……甘い痺れが背筋を走り抜けて、ピンク色のモヤが、濃くなってくる。

 ……え? ロボットならもっとそれらしいセリフを吐けって?
 いや、無理だからソレ。頭ん中はそのまんま「泉こなた」なんだし。
 今吐けるのは、甘い吐息・ぐらい・で……んっ、はふっ。

 ためらう指が、あと一歩で『女の子の部分』……、という場所にたどりついた。
 淡く色づいたヒダヒダからちょっとだけ頭を出して、今か今かと刺激を待ちわびてる、クリt……敏感なトコ。
 頭のスミに少しだけ残ってた理性が、『それは駄目だよ』と押しとどめる。

 それは駄目だよ。

 ……ダメだよ。

 ……だめ……だってば……


 理性が押しとどめた指先を迎えに行くように、本能が腰を前に突き出させる。
 本能はフルスロットル、理性はフルブレーキ。さながら空母から射出寸前の戦闘機、って感じ。

 部屋の温度が変わったのかな、いきなり天井の空調が動き出した。
 少し調子の悪い換気扇は、動き出す時、いつもおかしな音がする。
 なんかまるで、発情期の猫の鳴き声みたいだなって……

 ――『発情』。

 その単語が脳裏に浮かんだ、その瞬間。
 ――『えっちな気分』という名前のカタパルトが、私の理性を、吹っ飛ばした。

 ……背中のあたりで、何かがはじけたような音が聞こえた。

222『えす☆えふ』(4/6):2007/11/26(月) 23:32:00 ID:bCqTDqRu
「えふぁあぁああぁあぅっ!?」
 理性を失ったゆびが、ようしゃなく私のわれめにとびこんだ。
 それだけで……わたしは、いっぱつで、イってしまった。


「……ふ……うふぅっ…………」


 ……あー……やっちゃったZE。
 で、でもこれで、どうにか、落ち着……

「ん……は・はふぅっ!?」
 お、落ち着かないじゃんっ!!??

 高まったままのえっちな気もちが、わたしの心をわしづかみにして、はなしてくれない。
「ひ・あぁあぅっ!」
 われめにそってもぐりこんだゆびが、わたしのなかであばれてる。
 そのたびに、せすじをかいかんがかけあがる。

「うっ、うそっ!? だめ、にほんはだめ、ヤバいって……あふうぅぅぅぁ!」

 ねじこまれたにほんのゆびが、ぐりぐりとうちがわのかべをいじめぬく。
 「いく、いくぅ、い・い・いぃっ……」

 ぷしゅ、ぷしゅとおとをたてて、わたしのあそこから、ぜっちょうのしおが、なんども、なんども。
 もういっぽうのてが、むねをはなれて、せなかのほうをさがっていく。

「ひっ!? お、おしりだめぇぇ、え、えぅぅぅぅっ!」
 あそこで、おしりのあなで、ゆびが・あばれてる。
 ……お、おしりぃ……すご・い・よぉぉ……

「ひ、ひっ、ひっ、ひ…………ぅぁ?」
 まえとうしろでひとしきりあばれたりょう手の指が、すっ……と離れる。

 ……でも、またすぐに。
 今度は、左の手だけが……

「あひゃぁぁぁっ!!」
 あそこに、おやゆび。おしりに、にほん。
「あああっ、だめ、だめぇ!あいだのおにくつまんじゃだめぇぇ!!」

 ……そして……のこったみぎてが……あそこにぃ……ひだひだにぃ…………
223『えす☆えふ』(5/6):2007/11/26(月) 23:33:20 ID:bCqTDqRu
「ひゃぁぁぅっ!」

 みぎてのゆびが、ひだひだをつまんで、もみもみ、してる。
 がく、がくっ、がくっ。からだ、が、びくびくする。

「んぁ・んぁっ・ぁ・ん・ぁ・ぁ・ぁ」

 あつい。きもちいい。なにも、わかん、なく、なるぅ。

「どうしましたか、こなたさ……ぶふぉっ!」
「……お、おかぁさ……ぁ、あひぃっ! たっ、すけぇ……ぇふぁぁ」

 みゆきおかあさんが、まっかなきりにつつまれて、ぶったおれた。

「ぅ、ぅあ・ぅあぁっ・あ・あ・あ・あ……」

 めのまえ、まっ・しろ。
 もう、な・にも・わかン・なイ。



 わたし……コワれ・チゃう・ノ・か……ナぁ…………



「……ごめんっ! たりゃーーーっ!」

 せなかに・ものすごイしょっくをかンじて、わたシノいしき が



………………

224『えす☆えふ』(6/6):2007/11/26(月) 23:34:24 ID:bCqTDqRu

「……めだよみゆきさん……まったく……ぶつぶつ」
「す、すみません、泉さん……ごふっ」
「みゆきさんはさりげないドジが可愛いけど……これはマズいっしょ」
「か、可愛い……泉さんが私を可愛いって…………ぶっほぁ!……ごぼごぼ……」
「……おーーい」

 ……何も見えない……けど、声が聞こえる。
 ゆっくりと目を開けると……目の前いっぱいに、柔らかい壁があった。
 なんだこりゃ? ……ああ、作業台か。

 私は、作業台にうつ伏せに寝かされてた。
 背中がスースーするとこから察するに、メインハッチを開けられてるみたいだね。

 私の背中で、誰かの手がもそもそと動いてる。
 身体の中を探られる、妙な感覚。この感覚だけは、ちょっと慣れそうにないなぁ。
 視界の端で、私と同じ青い髪がふりふりと動いて、
「……よいしょっと。これでおっけー」
 そういって、すっと離れた。

「私にできるのはせいぜいヒューズ交換ぐらいだからさ、あとはちゃんとバグ取りしたげてよね、みゆきさん」
「ふぁい……ごぼごぼ」
 私の背後で、みゆきお母さんが半分溶けながら(レーダーの画像が人影になってないんだよねー)言った。
 みゆきお母さんはやっぱりスゴイ。生身でこんなことができるのは、世界広しといえどもこの人ぐらいだと思う。

 よいしょっと。半身を起こして、首をめぐらせる。
 あ、私、服着てるじゃん。
 背中の大きく開いた、フリフリいっぱい甘ロリ全開でビショージョ大帝なドレスだけど。てか、何この服。

「おはよん」
 のーほほん、とした顔で、目の前に『私』が……オリジナルの私が立ってた。
「こなた……姉さん?」
「気がついた? 災難だったねぇ、こなつー」
 えっと、それなんてZガンダム?

 ごぼごぼと音を立てて人型に戻りつつあるみゆきお母さんが言うには、性感センサーの独立処理系のフラグがぶっ飛んで、駆動系が暴走しちゃったんだとか。
 おまけに、ヒューズが飛んだときの回路の挙動が逆になってて、安全装置どころか逆安全装置になってたって。
 ……むー、ホントに大丈夫なのかね、この身体。


「でも、私の目の前で何度も昇り詰めるこなたさん……とってぼ素敵でひた(だばだばだば)」
 よそ行きの白いワンピースが真っ赤っ赤。妄想も通常の三倍だね。

「えと……お母さん?」
「みゆきさん……もうなんていうかさ、いろいろと自重しようよー……」

 こなた姉さんが、ため息まじりにつぶやいた。
 ……うん、私も激しく同意。



― ヲハリ ―
225妄想屋(仮名) ◆JUqojnT5.c :2007/11/26(月) 23:35:28 ID:bCqTDqRu
------------------------------------------
以上です。
もうなんていうか、いろいろとすいません。自重しろ私――っorz


……ところで、こういうのってオリキャラなのかキャラ改変なのか、どっちなんだろう。
226名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 23:37:11 ID:d44HpxTV
>>225
エローい!
GJ!
227名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 23:39:20 ID:hYllBak/
>>225
うっ…リアルタイムで見てしまったぜ…まぁとにかく色々自重しろみゆきさん。
だが、それがいい!GJと言わせていただこう!!

…って自重しちゃったら面白くないのか、と思ってる私は末期だろうな…
228名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 23:39:50 ID:k+ylrC9i
>>225
おお、自慰よ(エクスプロード)――――――!

無垢なロボっ娘の初めてのソロプレイだなんて、貴方って人はなんてもの書きますか!
というか、こなつー量産の暁には、ご家庭にいながらこなたとキャッキャウフフできてしまいますか。素敵だ。


え、ええっと、とにかくともかくぐっじょぶでした。
229名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 23:40:12 ID:osfCbgWY
かがみ「一台注文します」
つかさ「一台注文します」
ゆたか「一台注文します」
みなみ「一台注文します」
みさお「一台注文します」
あやの「一台注文します」
ひより「一台注文します」
パティ「一台注文します」

すなわち、

かがみ「GJ!!」
つかさ「GJ!!」
ゆたか「GJ!!」
みなみ「GJ!!」
みさお「GJ!!」
あやの「GJ!!」
ひより「GJ!!」
パティ「GJ!!」

こなた「あらぁ・・・みゆきさん・・・鼻血噴出しながら量産してるし・・・
     なんていうかその・・・マジ自重しようよ・・・みんな・・・」
230名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 23:45:45 ID:um21mRoA
あきら「ちょっと白石!あたしにも1台ちょうだい。」
みのる「なに言ってんですか!そんなの買える余裕がありません!」
あきら「っていうかどこに行ったら売ってますか?」
みのる「ということで聞いてみましょうGJ」
23123-251:2007/11/26(月) 23:46:31 ID:PgKbqBtt
>225
GJ!
リアルタイム遭遇!
世界感がぶっとんでてすごいです。
あと、えろっ!


今回は量はちょびっとです。
第7話(規制の為、下記に記載)
http://www33.atwiki.jp/kairakunoza/pages/1235.html
・こなかが入れ替わり
・続き物

232名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 23:59:30 ID:nGugRO6+
>>225
こなフェチとてけかなが繋がってすごい世界になってるGJww

そしてここでこなフェチの歴史を振り返ってみた

11スレ目

 初代こなフェチ『こな☆フェチ 〜こなたは私のもの編〜』が投下される。
 ピンポイントなフェチ攻撃に、一部のコアな住民のお気に入りに。
 ちなみに、みんなまだ正常・・・だと思われる。

12スレ目

 2代目こなフェチ『こな☆フェチ 〜こなたは誰にも渡さない(がんばれかがみ)編〜』が投下。
 この頃からかがみがおかしくなり始める。

15スレ目

 3スレの間に何があったのかは知らないが、7-896氏が壊れる。
 (いい意味で)問題作『こな☆フェチ 〜6才こなたん〜』が投下される。
 同時にここで一斉にウイルスがばら撒かれ、(アンブレラ社のごとく)逃げ場のなくなってしまった住人のうち
 リアルタイム遭遇者を中心に感染者が続出。
 ここから7スレ間にわたってちょこちょことネタを投下する7-896氏。
 それによりじわじわと感染者が増え始める。

17スレ目

 第2波『こな☆フェチ 〜こなたんず〜』の投下により
 なんとか理性を保っていた住人含め、職人にまで影響を与える。
 本家を中心に、様々な職人が『壊れネタ』というジャンルで作品を投下し始めた。
 別スレにまで感染が拡大していたことを確認。

20スレ目

 (もうやめて!住人の(ry))第3波『こな☆フェチ 〜 こなたんず after 柊さん家のこなたんず〜』が投下。


その後、本家や壊れ職人の降臨非降臨に関わらず、時に何かしらこなフェチに絡めてレスする住人。
よって病気は治ることがない。勿論俺も。
233ここで世界史担当の登場です。:2007/11/27(火) 00:17:24 ID:0blnq/L0
こうしてこな☆フェチの歴史が発展していくというわけや。
みんなここテストに出るでえ。
2344-243 ◆X9xLTlcDnY :2007/11/27(火) 00:28:04 ID:RWF+odzl
妄想屋さんの事だから、きっとあとでこなつーとかのイラストを投下してくれると思うんだ
でもおいらが悪のりしてもきっと怒られないと思うので悪のりしてみた(´・ω・)ノシ
http://www.geocities.jp/extream_noise/rakisutaep/img/ryousankonatans.jpg
2352-390:2007/11/27(火) 00:43:45 ID:IRF7w9j/
『残し物-5』を投下

・こなた&かがみ
・社会人かがみ視点&第三者視点
・鬱展開予定
・オリ設定
お肌に合わないと感じたらすぐに使用を中止して下さい
236残し物-5:2007/11/27(火) 00:45:20 ID:IRF7w9j/
少女は成す術を持たなくて
ただ離れる事しか考えなかった。
そこに残されるものも知らず
あなたを想い、慕うあまりに……。


─────


夜ふけた部屋は深い紺色をしていて、それに相応しく静寂である。
照明も家具もしんと鳴りを潜め、まるでその存在を感じさせない。
人も物も眠るこの室内において、唯一身体を起こそうとする彼女は異端であり
掛け布団の擦れ合う音と供に、その小さな存在を露呈した。

「…………」

開いたばかりの目を擦るでもなく、ただぼうっとして座っている。
こんな時間が毎晩のように、この部屋には訪れるのだ。
隣で安らかに寝息をたてるかがみもお馴染みで、今では少女も然して気にかけない。
暗闇の存在のみ誇示される空間で、彼女はただ瞑想に勤めていた。


未だ数時続く静寂の合間、時折に聴こえるのは咳をする声だった。


237残し物-5:2007/11/27(火) 00:46:03 ID:IRF7w9j/
─────


季節は初冬というやつで、往来に並ぶ木々は寒気に震え
人はといえばみな、何処もかしこもを縮めて歩いている。
水色の空には若干の灰色が掛かって侘しさを促進させていて
人通りの少ない並木道は何とも寂しげに見えた。

「……まぁ、誰もこんな時期に出歩きたくないわよね」

枯木も山の賑わいとは言うが、数える程では寧ろ寒々しいように
こうして私達が買い物袋を提げて歩こうと、この広い往来には何の変化ももたらしていなかった。
葉が落ち、朽ちた木々を縫うようにして木枯らしが吹き込み
肌を過ぎれば震えるだけの存在に、私達は留まっていたのだ。

「………っ」

私は今、ひどく虚しい気分だ。
冷たい風が鳴り渡る度に、己の小人たる存在を思い知らされ
手に持つビニール袋が小煩く靡く度に、私の困窮たる風情を引き立てるかのようで。

何とも迷惑極まりない話だ
私はまるで生活に困ってなどいないというのに。
前方に未だ数百メートルも続く並木道を見据えると、これ程になくやるせない気持ちになった。


「……っくし」


短い歩幅でせっせと横に並んでくるこなたは、時折にくしゃみをしてみせる。
必死に動いて止まない彼女でも、身体の小ささ故寒さに弱いのだろうか。
それとも単に寒がりなのかは、目算するに得ないのだが
とにかく、今にも鼻を垂らしてしまいそうなのは瞭然としていた。

「…ねぇ、こなた」

「………?」

「寒いし、手繋ごっか」

と、言ってみるテスト。

実際はその程度の事で寒さを凌げるとは思っていないし
彼女との背丈の違い故、幾分歩きづらくなるだろう。
それでもこなたと手を繋げるのなら万々歳だし
この何とも言えない気分は幾らか癒されると思うのだけど…。

何より、おそらく彼女はうんと頷かない。


「ふぇ………や、やだよ…。」

現に今、たじたじに断られた所だ。
まぁ、こなたのもじもじする様を拝めただけでも、充分満足に値するわけだが。

238名無しさん@ピンキー:2007/11/27(火) 00:46:21 ID:avWQxrt1
>>232
そして人触袖でこなフェチ世界とその他の世界が繋がっていることが実証された訳か…
その内次元の壁を越えてウイルスが拡散しそうだw
無論最初の感染者はゴッドかなたさん
239残し物-5:2007/11/27(火) 00:47:00 ID:IRF7w9j/


時は優に6ヶ月が過ぎていた。
こいつの人見知りする所や、引っ込み思案な所は相変わらずで
私以外の人間には、未だ大よそに返事すらおぼつかないでいる。
当の私に対しても、確固として幾分の壁を隔てているらしく
歳相応に甘えてきた事などこの半年間において皆無だった。

今のように恥じらう事は時たまあっても、応じる事はやはりない。
とくに大きな進展を伺えないこなたとの関係に、内心で私はため息をついた。

まだ、彼女に影響し得る存在ではないのだ。


「………。」


私が彼女に、例えば何かしらの光が射して欲しいと願うのは
生意気にも、私なりの親心なんだと思う。
極力感情を紡ごうとしない彼女の素行振る舞いは
私の保護者的感情に著しく働きかける。
話し掛けたい、構いたい
何でもいいから、関わっていたい。
そして何かを変えんとして、私は彼女に節介をやいている。

余計な世話だと言われる事を、よもや今更に恐れながら。


「………。」


空は依然として灰を帯びていて、前より遠くに行ってしまった。
それと私との間には、何もないのだとよく分かる。
何処か気も遠くなるようで、途方に暮れてしまうようで。
伸ばした手は空を切りそうで、結局出せず終いにいる。

例え触れようと、何が変わろう。
色も模様も、気質もかもが
私のこの手に、変わるだろうか。
空を見る目は漠然とした。

240残し物-5:2007/11/27(火) 00:48:35 ID:IRF7w9j/

…………

ふと、左手がひんやりとした。

「………っ」

青い髪をした小柄な少女が、両手で私の指先に触れている。
その頬は霜焼けのように赤くて、小さな口は言葉を紡ごうとぱくぱく。
振り向く私も、いつしか立ち止まっていた。

「……こなた?」


「え、えと……ね
手、やっぱり寒いから……その…。」

「………。」


どうやら私の気付かないうちに、少し空模様は変わっていたようだ。
僅かな光を地に降らして、いつしかこの身体を照らしていたんだ。
日が見えて今、ようやく知った私

「…も…もぅ、しょうがないわね。」

本当に"親"心なのか、些か怪しく思えてきた。


─────


「………そう、か…」

ふっと目を伏せて、その様子を見納めた影がある。
エンジンがかかると、乗用車は二人の存在する並木道を離れた。
2412-390:2007/11/27(火) 00:54:22 ID:IRF7w9j/
つづく

こなフェチ病患者です
脳内においてのみ末期です


>>234
間髪入れずに申し訳無い
また、サイズがでかくて携帯じゃ表示できなかったのが悔やまれてならない。

242名無しさん@ピンキー:2007/11/27(火) 00:58:07 ID:fwMWdu96
>>241
あなたの綺麗な文体が非常に好きです。
俺には書けないので羨ましい。
GJ!

あと、携帯からならべっかんこオススメ
243名無しさん@ピンキー:2007/11/27(火) 00:58:23 ID:VBaF3oEK
>>225
こなつーが不憫でたまらない。。。こなた、何とかしてあげて
続篇はあるのでしょうか?

>>231
ラスト、そう来ましたか。。。
もはや普通の入れ替わりモノとは異なる域に達してしまった感がありますね
続きwktkです

>>232
まとめサンクス。意外と最近(?)なんですね
244名無しさん@ピンキー:2007/11/27(火) 00:58:35 ID:avWQxrt1
ぐは、わりこみゴメンナサイorz
投下GJですよー
245名無しさん@ピンキー:2007/11/27(火) 01:04:35 ID:+JlRnFB2
うわ、「星に願いを」と「残し物」の続きが立て続けにktkr!
今日も大漁だー。みんなGJ!

>>星に願いを
つかさを支える健気なゆーちゃんに萌えた。
と思ったら最後の1行……ゆーちゃん怖いよゆーちゃんw

>>残し物
いま一番続きが気になる作品だったり。
シリアス路線の最右翼ですな。文体もかっこいいし。

……んで、
>>234
量産型ktkr!ち○ち○がないのがまたよし!w

あと、
>妄想屋さんの事だから、きっとあとでこなつーとかのイラストを投下してくれると思うんだ
うは、バレテーラw
246名無しさん@ピンキー:2007/11/27(火) 01:09:18 ID:utL/yUPf
>>241
続編ktkr
すんげぇ楽しみに読ませてもらってます。
どうやって鬱展開に持ち込むのか全裸でwktkしてます。
247名無しさん@ピンキー:2007/11/27(火) 03:10:01 ID:g6VVfNDN
>>198
うわお、裏でこなたはこんな風にしてたんか…
しかし何をたくらんでいるのやら?続き待ってますよ。

>>231
ゆーちゃんかっこいいー…とか思ったら裏で何を考えて!?
要はつかさを焚きつけてるわけで…それで何の得があるんだろう…
余計なことは考えずに次を待つことにしますorz

>>241
ついにこなたのほうからのスキンシップが!
その半年の間にこなたの中のかがみが随分大きな存在になったのかな。
あと冒頭はこなたの事だとして、咳をしてるってことは病気…?
そこが気になってしまうな…
2484-243 ◆X9xLTlcDnY :2007/11/27(火) 07:28:49 ID:RWF+odzl
おはよございますノシ
>>241
今日も出勤途中のバスで読ませて頂きます〜

あと、携帯用にちっこくしたのドゾー
http://1rg.org/up/0890.jpg
249名無しさん@ピンキー:2007/11/27(火) 11:27:50 ID:VTD1+7yb
>>248

上下左右をうまく繋いで壁紙にしたら、どえらい夢が見れそうw
25023-49:2007/11/27(火) 11:54:40 ID:XQ146ifK
どうもです
前スレからの続き、ゆた☆みさの第三話Bパート、遅くなりましたが完成しました
統合タイトルが毎回変わるのはどういうことなのでしょう
さておき、投下させてください

・ゆたか&みさお
・ゆたか視点
・エロ無し
・10レス使用
251ひまわりは寂しがり 1/10:2007/11/27(火) 11:58:25 ID:XQ146ifK

「あはは、そうですよね。暑いとよけに臭いですよね」
「なんかもー臭いのか良い香りなのかわっかんなくなるよなー、ははっ」

セミの声にも負けないぐらいに元気な笑い声が、私の声に答えて響く。
楽しい。
ただ楽しいだけじゃなくて、気分もいい。心なしか身体も軽い。
麦わら帽子ごしに感じる真夏の陽射しも、いつもほど苦に感じない。
夏の昼間に外を歩いていて、これだけ体調が良いのは久しぶりだ。初めてかも知れない。

夏休みのこの日、とあるバス停のベンチで休憩していた私、小早川ゆたかは、
こなたお姉ちゃんの友だちである日下部みさお先輩に出会った。
そして先輩の申し出を受けて、目的地であるクラスメイトの岩崎みなみちゃんの家まで
こうして送ってもらっている、というわけだ。
普段の私なら、こういう状況になったとき、嬉しさと同時に申し訳なさを感じていたと思う。
でも今は、穏やかな楽しさだけが心を満たしている。
理由はわからない。
先輩の元気さに引っ張られている、のかな?

「――あ。やべ、行くぞ」

と、会話の途中で不意に前を向いた先輩が、そのまま勢いよく駆け出した。

「え?」

見ると、前方の歩行者用信号が点滅を始めている。
理解して私も走り出そうとしたけれど、数歩でなんとなく足が止まってしまった。
先輩はそんな私に気付くことなく軽快な足取りで横断歩道を渡りきり、直後に信号が赤に変わる。

「――、――?」

私がついてきていないことに気付いた先輩が、こちらを振り返りながら何か言ったようだが、
動き出した車の音にかき消されて聞こえない。

「ごめんなさーい!」

口に手を添えて大きめの声で謝る。聞こえただろうか。
走る車の隙間から、先輩が手を振るのが見えた。表情まではうかがえない。
私は一歩下がり、街路樹の作る日陰に移動する。
……怒ってないかな?
そう思って少し申し訳なくなったけど、どうしてか、あまり不安な気持ちは沸いてこなかった。
やがて車の流れが途切れ、道路越しにも大きな声で先輩が言う。

「どーしたんだよー! 来いよー!」
「え、でもまだ……まだ赤ですー!」

思わぬ言葉につい普通に喋りかけて、途中で声を強めた。たぶん前半は聞こえてない。
先輩の声に、怒っている調子はやはりない。
どちらかと言えば不思議がっている様子だ。

「車来てないってー!」
252ひまわりは寂しがり 2/10:2007/11/27(火) 11:59:28 ID:XQ146ifK
それは……そうですけど。
左右を見渡してみる。車はその気配すらない。
何度か来てもいるので、この道の交通量が少ないことはわかっている。
でも、うーん……
あ、反対側の信号が点滅を始めた。なら、今無理に渡る必要も無いだろう。
ひとまず先輩に向かって頭を下げる。
腰に手を当てた先輩の、やれやれ、といった感じの苦笑いが聞こえた気がした。
信号はすぐに青に変わったので、一応左右を見ながら小走りに渡る。

「なんだよー。足遅いなー」

あうっ。

「まー、ちっこいもんな。あ、でもちびっ子……泉は、速よな」

はうー……
遠慮の無い言葉が、しかし突き刺さりはしない。軽く、こつん、と来る程度だ。
なぜだろう。
知り合ったばかりの人に言われたんだから、もうちょっと傷つきそうなものなのに、
こなたお姉ちゃんやパティちゃんに冗談で言われたとき程度にしか感じない。

「で、でもー、危ないですよ」
「マジメだなー、小早川は」
「そんな、だって……それに、その。走ったら、また気分が悪くなっちゃう気が……」

おかしい。
こんな、身体の弱さを言い訳に使うようなこと、普段の私ならよほど親しい人にしか言わないはずだ。
日下部先輩とは、春ごろからお互いに顔だけは知ってたけど、話したのは今日が初めてなのに。
それなのに、今の私の気安さといったらどうだろう。

「あ、そか。さっき倒れたもんな。わりぃ、忘れてた」

先輩の方も、特に気にしたふうもなく、照れたような笑顔で言ってくれる。
こんなにあっさりと流されるのも、あまり経験のないことだ。
例えばこれがみなみちゃんだったら、悲しそうな申し訳なさそうな顔をすることだろう。
というか、最初から私を置いて走り出したりはしないと思う。

「いえ、大丈夫ですから」
「じゃ、行こうぜ。道こっちでいいんだよな?」

私の言葉に、やっぱりあっさりと答える先輩にうなずきを返す。
こんなときも、みなみちゃんならもう少し念入りに確認してくるところだ。
って、そんなふうに他の人と比べたりするのは失礼だよね。
でも、家族から以外では今までになかった先輩の反応に、考えずにはいられない。
253ひまわりは寂しがり 3/10:2007/11/27(火) 12:00:29 ID:XQ146ifK

別にみなみちゃんにもこんなふうに接して欲しいとかは……うーん、ちょっと思うかな。
あ、でも、ちょっとだけだよ?
みなみちゃんにはいつも心配かけちゃうから、もっと気楽にしてくれたらなって、
そんなことをほんのちょっと思うだけ。
それに、実際にみなみちゃんがそうなっちゃったら、たぶんがっかりしちゃうと思うし……

『――何してるの、ゆかた? 置いていくよ?』

わ、イヤだ。
なんかすっごい、イヤだ。がっかりどころの騒ぎじゃないよ。
やっぱりみなみちゃんには、みなみちゃんのままでいて欲しいな。先輩みたいにあっさりなのは……
あ、違うっ! 違うよっ!
先輩の態度がイヤだとか不満だとか、そんなことは全然ないよ!
だって、ほら。
今気付いたんだけど、先輩、私なんかと比べるまでもなく足長いし、さっきもすっごく速かったのに、
こうしてちゃんと歩調を合わせてくれてるもん。
さりげない優しさが、大人って感じで、とっても素敵だよ。うん。
それだけじゃなくて、楽しい人でもあるし、気楽な感じでいられるし――って、違う! それも違うよ!?
みなみちゃんが子どもだとか、一緒にいて楽しくないとか気が重いとか、そんなのは全然なくて!
だから、ええと、ええと――

「――やかわ。小早川? おい、どした?」
「えっ!? あ、いえ! 大丈夫です!」

いけないいけない。いつの間にか考え込んじゃってたみたい。
ヘンなこと考えるからいけないんだ。
先輩は先輩、みなみちゃんはみなみちゃん。どっちも素敵で、どっちが良いとか悪いとかじゃない。
そうだよ。それだけのことじゃない。
っていうか、先輩の話ぜんぜん聞いてなかったよ。もう、私のばか。

「ごめんなさい……ちょっと、ぼーっとしてました」
「ふぅん。別にいいけど……なんてぇか、元気だよなあ」
「はい――……え?」

下げていた顔を、思わず上げて横を見る。
先輩は前を向いたまま、にこにこと笑っていた。

「今、なんて……」

信じられない気持ちで尋ねる。
こちらに向き直った先輩の顔は、きょとんとしていた。

「んぁ? 何が」
「元気って……私がですか?」

そんなこと、今までほとんど言われたことがない。
言われたとしても、「今日は」とか「思ったより」とかが頭についていたと思う。
確かに今は、たぶん先輩のおかげで体調はいい方だけど、
それでもさっきは倒れかけちゃったり、信号で遅れちゃったりもした。
今だって上の空になってたはず。
254ひまわりは寂しがり 4/10:2007/11/27(火) 12:01:32 ID:XQ146ifK
「……そーだけど?」

それなのに、先輩は多少戸惑いながらもあっさりと言ってのけるのだ。

「え、と……ど、どこが、ですか?」

期待してなのかなんなのか、少し上ずった声で質問を重ねる。
先輩はそこでようやく顔に疑問符を浮かべて、そして口にした答えは、

「んん? ……さあ? でもなんとなくそう思った」

しかし答えになっていなかった。

「…………そうですか」
「んでさ、道ってまだこっちでいーの?」

そして逆に質問を返されてしまう。
でも、そっか。えっと……

「あ、はい。……あ、向こうのあの、レンガの家のところで、右です」
「りょーかい」

先輩がうなずいたのを受けて、なんとなく黙ってしまう。
どうしよう。
訊きなおそうかな。でも、わからないって言ってるのに、しつこくするのも……

「でさぁ、小早川。泉とは、イトコなんだよな? 家近かったりすんの?」
「へ?」

迷っていると、先輩の方から、全然別な話を振られてしまった。

「えっと……家、は、近いって言うほど近くはないですけど……今は、一緒に住んでます」
「へぇー? そーなんだ?」
「はい。春から。私の実家からだと今の学校は少し遠くて、だから居候させてもらってるんです」

置いてけぼりになったような感覚を引きずりつつも、なんとか質問に答える。
先輩は「ふぅん」とうなずくと、あごに手を添えて、どこか嬉しそうな笑みを浮かべた。
そりゃいいや、なんてつぶやく。

「お姉ちゃんがどうかしたんですか?」

さっきの発言も気になるけど、その前に上の空になっちゃってたこともあるし、
今は話を聞こうと訊き返す。
先輩は私を、まっすぐではなくちらちらと見やりながら、ゆっくりと質問を口にした。

「うん。んじゃあさ、アイツって家だとどんな感じ?」
「家だと……? う〜ん……たぶん、学校にいるときと変わらないと思いますけど……」
255ひまわりは寂しがり 5/10:2007/11/27(火) 12:02:34 ID:XQ146ifK

言われたとおり、家でのこなたお姉ちゃんの様子を思い出しつつ答える。
しかし言いながら気付いたことがあったので、逆に尋ね返した。

「って言っても、そういえば私、学校でのお姉ちゃんって、まだよく知らないかもです。
 どんな感じなんですか?」
「えっ? ――や、えぇっと…………」

すると先輩はなんだか困ったような顔をする。
私から目をそらして前を向き、腕を組んだりおでこに指を当てたり、ちょっと忙しそうだ。

「ん〜〜……いゃあ、よっくわっかんねぇんだよ。話するようになってまだそんな経ってないし。
 話してても、なんかよくわかんねぇことばっか言うし。だからどんなヤツなのかなって」

なるほど。
確かに、こなたお姉ちゃんの言うことは、たまにマニアック過ぎて私にもわからないときがある。
話すようになって間もないというのなら、なおさらかも知れない。
うーん、どう言ったらいいのかな。

「そうですね……えっと、すごい人です」
「なんだそれ」

あう。
はい、我ながら間抜けな答えでした。
でも私はこなたお姉ちゃんみたいに上手に喋れないし、それに身近すぎるってこともあって、
改めてどんな人って言われてもすぐには出てこない。

「ええっと……色々なことを知ってて、教えてくれるし……
 体の大きさはそんなに違わないのに、私と違ってスポーツも得意だし……
 いつも明るくて前向きで……あ、あとお料理も上手なんですよ?」

とりあえず思いつくままに並べてみた。
こうして言葉にしてみると、本当にすごい人なんだなあと実感……あれ?
どうしたんだろう。先輩がうさんくさそうな顔してる。

「マジで?」

声もだ。

「え、えとその……本当です。少なくとも私にとっては……」
「……そーなんだ」

立ち止まっちゃった。
私も隣に止まって、その難しそうな顔をなんとなく見上げる。
首をひねったり、左右に振ったり、最初に声を掛けてくる前にも見た百面相だ。
学校でのこなたお姉ちゃんって、家にいるときとそんなに違うんだろうか。
あまり裏表のない人だと思っていたんだけど。
256ひまわりは寂しがり 6/10:2007/11/27(火) 12:03:37 ID:XQ146ifK

「なあ、だったら例えば……あ、と。ごめん。行こ」

やがて先輩は私に目を戻して何かを言いかけ、そこでようやく止まっていたことに気付いたのか、
照れ笑いを浮かべながら再び歩き出す。私も続いた。
まだ少し考えている様子の先輩に、今度は自分から問いかける。

「例えば、なんです?」
「うん、いやさ。例えば、弱点とかってないのか?」

すると不思議なことを言われた。

「弱点? ……ですか?」
「あ、ああ。いやぁ、今言ったのって良いとこばっかだろ? だから弱点とか苦手なモノとか、
 逆はどーなのかなぁ、って。あはは。そゆのってなんか気にならねぇ?」
「はあ……」

どうだろう?
私はそういうことは気にしないというか、気が付かないというか。
でも言われてみれば、田村さんも「岩崎さんってできないことってあるのかなあ」みたいなことを
前に一度、羨ましそうに言っていたっけ。羨ましいのは、私も同じだけど。
本当にみなみちゃんってすごいよね。背は高いし、きれいだし、勉強も運動もできるし。
……おっと、それよりも今はこなたお姉ちゃんのことだ。
何かあっただろうか。弱点……苦手なもの……
お姉ちゃんが嫌そうな顔をするものといえば……

「……野球中継、かな?」
「はぇ?」

呟くように声に出すと、さすがに唐突過ぎたのだろう。先輩は戸惑ったような疑問符をもらした。
慌てて説明を付け加える。

「野球中継です。テレビの。えっと……試合が延長して放送時間が延びると、深夜番組の時間がずれて、
 ビデオの予約録画が大変になって困るって、ときどき言ってます」

とりあえず今はそれぐらいしか思い当たらない。何かがイヤだとか嫌いだとか、
そういうネガティブな感情をほとんど表に出さない人だから。
と、先輩を見ると……微妙な表情。

「だ、ダメですか?」
「ダメってぇか……」

ですか。ですよね。
あうう、見るからにがっかりしてるよ。
ええと、ええと、何かないかな。何かあるはず。
こなたお姉ちゃんだって人間なんだから、欠点の一つや二つぐらいはあってもおかしくない。
お姉ちゃんがよく「完璧超人だ」って言ってる高良先輩も、歯医者が苦手だって話だし。
――あ。
257ひまわりは寂しがり 7/10:2007/11/27(火) 12:04:39 ID:XQ146ifK
「あのっ」
「んー?」

一つ、思いついた。

「お姉ちゃんは、たぶん、私には弱いところは見せないようにしてると思うんです。
 前に風邪をひいて学校を休んだときも、私にはずっと大丈夫だって言ってましたから」

私だって小学校や中学校のときは、まあ機会そのものがあまりなかったんだけど、
下の学年の子と一緒にいるときは、なんとなく見栄を張って強がっていた。
お姉ちゃんのは、見栄というより責任感なのだろう。私はこんなだから、なおさらだと思う。

「だから、私にはわからないんですけど、かがみさんなら、何か知ってると思います」

そう。
しっかり者で何でもできるこなたお姉ちゃんだけど、かがみさんにはいつも助けてもらってるって、
お姉ちゃん自身がよく言っている。
かがみさんのことを話すときのお姉ちゃんは特に楽しそうで、嬉しそうで、
二人が本当に信頼しあってるんだってことが伝わってきて、聞くたびに羨ましく思う。
私もみなみちゃんとあんな関係になれたらなぁ、って。
……って、それは置いといて。
とにかく、お姉ちゃんとの仲の良さならかがみさんが一番だし、日下部先輩とも友だちなんだから、
良いアイデアだと、思った、んだけど……

「――なんでおまえ……」

先輩の反応は、予想外というか想定外というか。

「そこでひぃらぎが出てくんだよぉ〜〜……」

立ち止まるのを通り越してしゃがみこんでしまい、左手で地面に「の」の字を書き始めた。
目元には例によって帯状の涙。口からは「きゅぅ〜」と、何かの鳴き声のような泣き声。
一瞬、背後に大きな文字で「ずーん…」と書いてあるのが見えたような気もする。
まさに絵に描いたような、マンガみたいな落ち込み方だった。
――って感心してる場合じゃないよっ!

「ど、どうしたんですか?!」
「みゅぅ〜〜……だってさぁ〜〜……えぐえぐえぐ」

右に左にふらふらと頭を揺らしながら、言葉にして「えぐえぐ」。
もし本当にマンガだったら笑えるところなのかも知れないけど、目の前で見せられたら
とてもじゃないけど笑えない。相当に落ち込んでしまったようだ。
原因は、どう考えても私。
どの部分かはよくわからないけど、私の言葉でこうなってしまったのは間違いない。
258ひまわりは寂しがり 8/10:2007/11/27(火) 12:07:55 ID:XQ146ifK
「あの、ごっ、ごめんなさい! 私、何も知らないのにいいかげんなこと言っちゃって……
 だから、その――とにかくごめんなさいっ!」

必死になって頭を下げる。
そのせいで少しクラッと来たけど、無視……はできなかったので、
そのまま先輩の隣にしゃがみこんでしまった。
いや、自分だけ立ったままよりもこの方がいい。この体質も少しは役に立つんだ。

「本当に、ごめんなさい。私、ばかだから、何もわからないんですけど、
 でも、悪気はなくて……だからって許してほしいとは言えませんけど、えっと……」

でも、だめだ。気持ちばかりが焦って言葉が出てこない。
先輩も頭を左右にぶんぶん振りながら、何かを言おうと唇だけをあうあうと動かしている。
きっと拒絶の意思を伝えようとしているのだ。
ごめんなさい。
なんでもします。できる限りのことをします。だから、だからどうか――

「うぅ〜〜……違う、違うんだよぉ」
「え……?」

自然と覗きこむような体勢になっていた私から、先輩は潤んだ目を逸らして、
小さくかすれた、でもはっきりと聞こえる声で、言った。

「悪いのは、あたしなんだよぅ……」




そして先輩は、ぽつりぽつりと話してくれた。
かがみさんが、こなたお姉ちゃんとの方にばかり行ってしまい、寂しかったこと。
自分の方が長く友だちをやっているのにと、悔しく思っていたこと。
どうにかして自分の方に戻せないかと悩んでいたこと。
そして、お姉ちゃんの近くにいる私から何かヒントを得られないかと思ったこと。
(あとついでに、「ひぃらぎ」というのは、やっぱりかがみさんだったってこと)

正直言って、意外だった。
元気で、明るくて、積極的で、怖いものなしみたいな日下部先輩が、
そんなありふれた人間関係の悩みを抱えていたなんて。
しかも、あんなに仲が良くて楽しそうにしている二人の陰で。

……不意に、ゆいお姉ちゃんの顔が浮かんだ。

年が離れていて、今は結婚して姓も別々になっているけど、血の繋がった実の姉。
成美ゆい。
いつも元気で明るくて、ちょっとだらしないところもあるのんびり屋さんだけど、
私が、みんなが笑顔でいられることを誰よりも願ってくれている人。

――ああ、そうか。
――似てるんだ。
――だから、ほとんど初対面なのに、あんなに安心できたんだ。
259ひまわりは寂しがり 9/10:2007/11/27(火) 12:08:59 ID:XQ146ifK
そんなお姉ちゃんでも、涙を流すことがある。
何年も前、旦那さんのきよたかお兄さん――当時はまだ恋人だった彼とケンカをして、
それこそ別れるかどうかというところまで行ってしまっていたとき。
お姉ちゃんは、今の日下部先輩と同じように、泣いていた。
まだ小学生だった私には、あのときのお姉ちゃんの気持ちはわからなかったけど。
大人の男と女の問題だから、今でもよくわからないけど。

「……わかります」

思わず口をついていた。
だけど、本心。
先輩の気持ちはわかる。実感を持って理解できる。
どちらかと言えば、あのあと仲直りしてしまったお姉ちゃんを見たときの、私自身の気持ち。

「……へ?」

怒るかと思ったけど、そんな余裕すら奪ってしまったのか、
先輩は力なくすがるように、だけどまっすぐに、私の顔を見つめてくる。
涙でキラキラと輝いて見えるその瞳が、少し、恥ずかしい。

「えっと……私、昔から身体が弱くて、いつも周りの人に迷惑かけてばっかりで……
 ずっとそんなだから、たぶん疲れたり呆れちゃったりしたんでしょうね。
 最初は頑張ってお世話してくれてた友だちも、他の元気な子の方に行っちゃった、なんてこと、
 今まで何度もありましたから」

ちょっとごまかしちゃった。
でも、それも本当。
ううん、とっさだったけど、こっちの方が近いかな。
ゆいお姉ちゃんは、結婚した今でも会いに来てくれるし、変わらず優しくしてくれる。
だけど、離れてしまったみんなとは、それっきりだ。
それを考えると……

「でも、先輩はすごいです」

私が弱いのが悪いんだから、仕方のないことなんだと諦めていた。
いつまでも私に時間を取られるぐらいなら、みんなにもその方がいいんだと思おうとした。

「へ? な、何が?」

戸惑うようにまばたきをする先輩。
わからないのだろうか。私はこんなにも、あなたのことが羨ましくて仕方がないというのに。
だけど――そして、そんな純粋なところに、ますます憧れる。

「だって、元に戻そうとしたんでしょう? 私は、全部諦めちゃったから……だからすごいと思います」

私も努力すればよかったんだ。
諦めないで、頑張って。
身体を丈夫にするとか、それが無理でも、もっと別の工夫をするとか。
そうしていれば、みんなとも、ゆいお姉ちゃんみたいに。
260ひまわりは寂しがり 10/10:2007/11/27(火) 12:10:03 ID:XQ146ifK
「私、応援します。先輩のこと。だから頑張ってください」
「こばやかわ……」

はちきれそうな、不安そうな声。
うん、私なんかじゃ頼りにならないだろうけど、どうにかして力になりたい。
そうだよ。今思ったばかりのことだ。
工夫すればいい。
私にもできること、私にならできる何かが、きっと――――ある。

「そうだっ。私の方からお姉ちゃんに言ってみましょうか。
 かがみさんを独り占めしすぎないようにって……なーんて」

ちょっと生意気ですね、と。そう続けようとした私を遮るように、
先輩がものすごい勢いで抱きついてきた。

「こばやかわぁ〜〜!!」
「ひあっ!?」

びっくりしたけど、体重はあまり掛けてこなかったので、倒れることはなかった。座ってたし。
その代わり、思いっきり抱きしめられているので全然身動きが取れない。座ってるし。

「ごめんな〜! ありがと〜! ありがとぉ〜! こばやかわあ〜〜!」
「せ、先輩、あの、落ち着いて――」



「――ゆたか!」



「えっ」「へ?」

突然の声。
思わず振り返ると、そこに。
青いノースリーブのブラウス。膝下丈のスリムパンツ。
細く、白く、しなやかに長く伸びた腕と脚。
きれいに整えられたショートヘアーと、きれいに整った顔。

「……だれ?」

クラスメイトで、親友の、今日これから、私の方から訪ねる予定だった。
岩崎みなみちゃんが、立っていた。

でもなんだか……顔が怖いよ?




26123-49:2007/11/27(火) 12:11:13 ID:XQ146ifK
以上です
ありがとうございました

お知らせといいますか
ゆたかとみさおの物語は今回でひとまず終了、次回はみなみ視点一本になります
ひよりとパティも加わって登場人数が増えますので、別視点は書きません

話のアウトラインと結末はすでに自分の中で固まっていますから、
それほど遠くないうちにお届けできると思います

では
262名無しさん@ピンキー:2007/11/27(火) 15:10:25 ID:gQMFwTlW
話のまとめ方とか上手いなぁ。
テンポも悪くないし、読みやすい作品に仕上がってて中々面白いわ。
続編期待してます〜。
263名無しさん@ピンキー:2007/11/27(火) 16:52:25 ID:JcNKcUkO
2人ともええ子や・・・殺伐とした気分も春の心地になる文章ですね
舞台は真夏ですが
264名無しさん@ピンキー:2007/11/27(火) 19:16:52 ID:h7Mm3CJA
>>261
GJ ! いいわ〜
文章のテンポが良くて、サクサク読めるね
みさおアホかわいいよみさお
265名無しさん@ピンキー:2007/11/27(火) 19:56:06 ID:1M+gHOaS
>>261
 GJ! みさおかわいいわ。みなみちゃんの方も楽しみにしてます。

>>228
 マルドゥック・ヴェロシティ?
266名無しさん@ピンキー:2007/11/27(火) 20:00:26 ID:3Mhmt+by
>>261
いいですね。

次回から構成を変えていくようで、すこし安心しました。
二人がみなみちゃん家にたどり着く頃には第二期が始まってるん
じゃないかとドキドキしてましたw

や、上手いのでずっとそれでもよかったのですけど。

>>228
ボイルド自重しる

えっと、特に被りなければ、5分後くらいにSS投下いたします。
26716-187:2007/11/27(火) 20:05:47 ID:3Mhmt+by
それじゃ、いかせていただきます。

『4seasons』の続きです。

■基本かが→こなですが、今回かがつか分が多めです。

■一部自作『デーゲーム』の過去設定を踏襲しています。

■エロなしです。

6レスになります。
268春/そして桜色の(第二話)2/6:2007/11/27(火) 20:06:20 ID:3Mhmt+by
§2

「でゅわっ!!」
 ウルトラマンのような掛け声と共に投げられたハンドボールが、ぐんぐんと空を
切り裂いて飛んでいく。

「三十八メートル二十五センチー!」

 記録係の体育委員が叫ぶと、周囲からわっと歓声が上がった。
「うお! 日下部すごいな。三十八メートルって、ハンド部の男子並じゃない?」
 私がそう云うと、日下部は胡桃色の瞳を輝かせて、得意そうに云った。
「ふふん、まっ、エースで四番の実力っちゃこんなもんよー」
「あー、そうだよね。関東大会の準々決勝までいったんだっけ。……あのときは、
見に行けなくて悪かったわね」
「お、柊がんな殊勝なこと云うなんて、明日は雨かー?……まあ、あんときゃ相手が
優勝候補だったかんね。誰もウチが勝つなんて思ってなかったしな。…あやの以外はさ」
 そう云って日下部が傍らの峰岸に微笑むと、彼女も同じように優しい笑みを返した。
 ――ああ、私が知らないなにかがあったんだな。
 小学校から一緒だったこの二人の間には、私なんかが伺いしれないほどの深い絆がある
のだろう。
「日下部さん、すごいねー! 私なんて十メートルもいかなかったよ!」
 そんなことを考えていたら、クラスの女の子が声をかけてきた。
 私たちみたいに同じ中学出身なのだろうか、相手も三人のグループになっているようだった。
「へへ、あんがとな。私ずっとスポーツやってきててさ、中学のときは野球部だったんだぜ」
 日下部は照れ笑いを浮かべながら、嬉しそうに返事をする。
 それを切っ掛けに、私たちはみんなでお互いの記録を述べ合った。

 よかった、上手く溶けこんでいけそう。

 入学式から一週間が経ち、クラスメイトの顔もやっと覚えてきたころだった。
 その日は体力測定があって、私たちはジャージに着替えて校庭に集まっていた。
 一学年を三グループにわけ、それでも五クラス分の生徒でごった返す校庭の片隅で、
私たち鷹宮中出身の三人は、来るべき楽しい三年間を胸に描いていた。

 けれどそのあと起こった出来事は、私が思い描いていたごく普通の生活を、全て塗り替えて
しまうことになった。
 そうして、夢想だにしなかったほどの素敵な高校生活を私にもたらしてくれたのだ。

「三十メートル八センチー!」
269春/そして桜色の(第二話)2/6:2007/11/27(火) 20:06:55 ID:3Mhmt+by


 記録係が声を上げると、周囲が少しざわついた。
 さきほどからの記録をみているかぎり、日下部の三十八メートルは別格として、二十メートル
を越えたものなど殆どないようだった。
 そんななか、三十メートルを越える投擲はそれだけて注目を浴びてしかるべきものだった
けれど、そのざわめきの原因は飛距離だけにあるものではなかった。
 その数字を出したのが、まるで小学生みたいにちんまりした女の子だったからだ。
「わわわ! こなちゃんすごーい! わたしなんて投げたボールが後ろに飛んじゃって、
マイナス3メートルだったよぉ〜」
 そしてみんなの注目を浴びる中、その少女に話しかけたのは、我が愛する妹だった。
 くだんの少女は、そんなつかさにVサインをして笑いかえしていた。
 コバルトブルーの髪。猫みたいな口。
 細く閉じた目も、なんだか満足した猫のようで。
「あ、あのちびっこ、ちびっこの癖にすっげーな。あんな奴もいんだなぁ」
 日下部が眼を丸くしてみつめている。
「ほんとにね。……あら? あの子って、柊ちゃんの妹ちゃんじゃない?」
 峰岸がつかさの方を指さして、私に問いかける。
「そ、そうね」
 私はそれに答えながら、信じられない思いで二人の方をみつめていた。
 あの引っ込み思案で私がいないとなにもできなかったつかさが、一人で友達を作れたなんて。
しかもあんなに仲がよさそうに。
「あ、ちょっといってくるね」
 D組のみんなに声をかけて、私はつかさのほうに向かっていった。

「あ、お姉ちゃーーん!」
 二人は楽しそうにお互いの身体をつつきあっていたが、つかさは私に気づくと、こちらを
向いて手を振ってくれた。
「やっほー、つかさ」
 私がそう云うと、かたわらにいた少女もこちらに振り向いた。
 大きく見開かれた眼の、その大きさにどきりとする。瞳は深い青竹色をしていて、思わず
惹きこまれそうになった。目尻の泣きぼくろからは、なんとなく薄倖そうな印象を受ける。
 私が軽く会釈をすると、少女も会釈を返してくれて、二人で物問いたげにつかさをみつめた。
 つかさは素知らぬ顔でニコニコと笑っている。心から安心しきった満面の笑顔だった。
 わかってる、そう、つかさはこういう子なんだ。
 諦めて、直接その子に向けて問いかけた。
「えっと、つかさのお友達かな? 私はこの子、柊つかさの姉で、柊かがみです。よろしくね」
「あ、よろしくー。わたしは泉。泉こなた。えー? 同学年なのに姉妹なんだ。あ、双子なんだね!」
 そういって、泉さん――こなたは笑いかけてくれた。
「ええ、双子なんですよー。って、あ、そっか、泉さんって、こないだつかさが“友達ができたー”
って喜んでた子かぁ」
「あ、そうそう、そうなんだよ。凄いでしょーこなちゃん」
「たしかにね、ハンドボール投げで三十メートルなんてねー。私なんて十五メートルくらい
だったのに。なにか部活でもやってたんですか?」
 私がそう問いかけると、こなたはぶんぶんと頭を振って答えた。
「んーん。なにもやってないよ」
「え……そうなんだ勿体ない。あんなに凄いのに、なんでやらなかったんですか?」
 私がそういうと、こなたは悪戯っぽい笑みを浮かべて云った。
 その後の二年間で、何百回何千回とみることになる、あの笑みで。
「だって部活入っちゃうと、ネトゲにインできる時間が減っちゃうじゃん?」
「……はぁ?」
 普段聞き慣れない、その“ネトゲニイン”という単語の意味を取りかねていたそのとき――

「三十二メートル五十六センチー!」
270春/そして桜色の(第二話)3/6:2007/11/27(火) 20:07:26 ID:3Mhmt+by


 という声とともに周囲から歓声があがった。
 思わずふりむくと、桜色の髪をした眼鏡の子が、照れて恥ずかしそうにしながら、
投擲場所から引っこんでいくのが見えた。
「あれ、あんたんとこの学級委員長の高良さんじゃないの。うわぁ、あの人運動も凄いのね。
かなわないなぁ」
「ほえー、凄いねぇ〜。スタイルもいいし、あこがれちゃうね〜」
 と、二人で感心しながら見ていたそのとき、高良さん――みゆきはなぜかなにもない
ところで一人、盛大に転んでしまった。
 大丈夫かな、と心配している私の横で、なにやらぶつぶつと呟く声が聞こえてくる。
「ほほう……これはなんとハイスペックよのぉ。巨乳眼鏡っ子でありながらスポーツ万能
おっとり天然ボケ、さらにどじっこ属性まで……。うむ、これは正に歩く萌え要素だー!
ばんざーい!」
 そう云って、こなたはガッツポーズをした。

 ――変な子だ。この子は絶対変な子だ。

 それが、こなたに対する私の第一印象だった。
 もっとも、その評価は今でもさほど変わっていないのだけれど。

 けれどこなたがただ変なだけの子ではないということは、すぐにわかった。

 それも、その日のうちに。


§3

「ふぃ〜、今日は疲れたね、お姉ちゃん」
 私のベッドにボフンと突っ伏して、つかさは云った。
 立ち幅跳び、五十メートル走、反復横跳び、千メートル走と体力テストをこなしていき、
疲れきった私たちは今自宅でくつろいでいた。
 全学年分の兼ね合いもあるので今日は通常授業はなく、すぐに帰れたことだけは嬉しかった
けれど。
「ちょっとー、休むなら自分の部屋で休みなさいよね」
 そう云って、ベッドを奪い返そうと、私もつかさの隣に飛びこんだ。
「えへへ〜、だってお姉ちゃんのベッドのほうが、なんか暖かい気がするんだもん」
 少し頬を染めながらつかさは云う。
 布団はどちらも同じものだったから、暖かさに違いがあるはずもないのだが、そう云われると
なんだか嬉しかった。
「え〜い、もう、でていかないなら、こうだー。くすぐり攻撃〜」
「あ、あはははは、やめて、お姉ちゃんやめて、そこだめー!」
 防御しようとする手をはねのけて、脇腹を徹底的に攻撃する。
 ベッドの上、双子同士の無邪気な遊技。
 ケタケタと笑うつかさを、私は散々弄んだ。
 つかさがどこをくすぐったがるかなんて、自分のことのようにわかる。
 けれど触れた肌の感触は、いつのまにか自分自身の物とは少し違っていた。
 指の形、足のサイズ、身長、体重、胸の大きさ。
 昔はそんなものも寸分違わぬそっくりな姉妹だったけれど、気がついたら少しずつ変わって
きていた。
 少しずつ、少しずつ、私たちは大人になっていく。
 今年だって、つかさはいつのまにかちゃんと自分の友達を作っていた。
 こんな風な遊びも、いつまでできることだろう。
 それでも私たちは、生涯ずっと一緒に生きていくのだと思っていた。たとえお互い結婚し、
離ればなれになったとしても。
 私たちは、血を分けた大事な半身同士なのだから。
271春/そして桜色の(第二話)4/6:2007/11/27(火) 20:07:58 ID:3Mhmt+by


「よ、余計疲れちゃったよ〜…」
 目尻の涙を拭いながら、つかさはとぼとぼと自分の部屋に向かう。その後ろ姿にニヒヒと
笑いかけてから、私は明日の授業の準備を始めた。
 真新しい教科書は、新刊本のインクの匂いがする。
 この機会にと大学ノートから買い換えた、ルーズリーフのリングに紙を補充していく。
 と、ついさっきでていったばかりのつかさが、息せき切って部屋に入ってきた。
「あら、どうしたの?」
 そう訊ねる私に、つかさは目を輝かせて云った。
「お姉ちゃん、お姉ちゃん、ね、桜見にいこうよ!」

「あんたも、疲れてたんじゃなかったのかー?」
「えへへ、そうだったんだけどね。窓から見えた桜が満開だったから、なんだかどうしても
見たくなっちゃって……」
 私たちは権現道堤を歩いていた。満開ではあったけれど、平日の昼間ともなれば、さすがに
まだ人通りは少ない。
 仲むつまじい老夫婦や、自由業めいた人、買い物帰りの主婦などがふらりと立ち寄る程度だった。
 つかさはいつもみたいに半歩後ろにさがって、私についてくる。
 ニコニコと、心から楽しそうに笑いながら桜を見上げていた。
 ひとひらふたひらと悪戯な桜の花びらが舞い落ちてきて、つかさの頭に桜色の冠を被せる。
「ね、手、繋ごっか?」
 つかさを見ているうち、なんとなくそんな気持ちになった。
「え? いいのー? わーい」
 つかさは私が差しだした手を嬉しそうに握って、前後にゆらゆらと振り出した。
「お姉ちゃんと手を繋ぐのも、ひさしぶりだねー」
「だよねー。小学校の頃なんて、ずっと手繋いだまま登校してたもんなー」
「そうそう、覚えてる? あのときなんてさ――」
 桜に負けじと昔話に花を咲かせながら、私たちは歩いていた。
 なにもかも見上げながら過ごしていた小学生のころのこと。
 いっぱしの大人きどりで、斜に構えて世間を見ていた中学生のころのこと。
 ときに幼稚園のころに話が飛べば、どちらかが覚えていないできごともあって、互いに
首をひねったりもした。

 ふと会話がとぎれたとき、周りに人通りが全くないことに気づいた。

 満開の桜に閉ざされて、世界はどこもかしこも桜色をしていた。もの悲しいほどに非現実的な
その光景は、まさに異境の風景に思えた。

 そんな異境に閉じこめられて、私たちは二人悄然と立ちつくしていた。
 人がいなくなるだけで、桜がこんなにも恐ろしく映るなんて思わなかった。

 いや、私たちだけじゃない。視線の先に一人、女の子がいた。

 コバルトブルーの髪をした小さな女の子。

 桜の世界にただ一つあるその青色は、異様な対比をもって深い幻想性を醸しだしていた。
 そのときの私には、その子がこの桜の魔境を支配する仙女か鬼神のように見えた。
 それは、そのとき読んでいた『十二国記』の影響だったのかもしれないけれど。

「……こなちゃん?」
 つかさが呟くと、その声が聞こえたのか、その子はゆっくりと振り向いた。

 ――なんて寂しそうな眼をしているのだろう。
 
 昼間会ったときにも、その眼の強さにはっとしたものだったけれど、今彼女の瞳にきらめく
感情は、あのときともまた違っていて、まるで迷子になった幼子のような寂しさを湛えて
揺らめいていた。
272春/そして桜色の(第二話)5/6:2007/11/27(火) 20:08:39 ID:3Mhmt+by


「あ、おー、柊さんだー!」
 けれどその表情も一瞬で消し飛んでしまった。
 こなたは、すぐにあのときのだらけた猫のような表情に戻ると、手を振りながら駆けつけてきた。

「えー、どうしたのこんなところで? すっごい奇遇だねー」
「ねー、ビックリしちゃったよ、こなちゃん家、この近くなの?」
「うん、倖手駅の近くー。だからここは毎年よくくるんだ」
「わ、わたしたち鷹宮町だよ〜。すぐそこだね〜」
「おおー、それは凄いね。もしかしたら今まですれ違ったことあったかもね?」
「そうかもー。これってもしかしたら運命なのかもって思っちゃうな〜。陵桜って、
東京からくる人も多いのに、たまたまお友達になった子がご近所さんだったなんて」
「んふー。柊さんって、ロマンティストだねぇ〜。それにしてもさ――」
 会話に混ざる継ぎ目をみつけられず、二人が仲良く話しているのを聞いていた私のほうを見て、
こなたは云った。
「お二人さん、ホント仲良し姉妹なんだね。これはなんという双子萌えだー!」
 その意地悪そうな笑みになにかよからぬ感情を感じて、私は思わず繋いでいた手を離して
しまった。
「も、萌え、って、ちょ、そんなんじゃないわよ」
「むふー、照れるところがますます怪しい。いまだに二人でお風呂入ったり、一緒のベッドで
寝たりしてるんでしょー?」
 たしかに今でもたまに一緒に寝たりする。
 先月くらいにも二人でお風呂に入ったことがあった。
 そんな、自分でも恥ずかしいと思うことを指摘されたのと、つかさとの関係をなんだか
汚れた目で見られている気がして、つい頭と顔に血がのぼって叫んでしまった。

「ん、んなわけあるかー!!!」

 そう怒鳴ってから、自分がしたことに気づき、慌てて口元を押さえる。
「お、お姉ちゃん…?」
 つかさが心配そうな顔をして私をみつめている。
 眼前のこなたを見ると、うつむいたままじっと立ちつくしていた。

 ――ああ、やってしまった。
 
 昔から私はこうなんだ。
 気にしていること、恥ずかしいと思っていることを指摘されると、途端にどうしていいか
わからなくなって、言い淀んだり、脊髄反射で否定したり、怒鳴ったりしてしまう。
 直そう、気をつけようと理性では思っていても、そもそもその理性が飛ぶことが問題なので
あって、どうにもこうにも直るものではなかった。
 頭にのぼった血の気が引いていく。
 穴があったら入りたいとはこのことだ。もし五分前に時間を戻せる方法があるなら、私は
全てをなげうってでもそれに飛びついていただろう。
 よりによって、つかさの友達に怒鳴ってしまったのだ。
 それも、つかさが初めて自分一人で作った大切な友達に。
「あ、あの…ごめんね……」
 うつむいて震えているこなたにそう声をかけると、彼女はゆっくりと顔を上げた。
 泣いているのかもしれない。
 その表情を見るのが怖くって、目をそらしたくなるのを必死で押さえた。
273春/そして桜色の(第二話)6/6:2007/11/27(火) 20:09:10 ID:3Mhmt+by


 けれど顔を上げた彼女は、瞳を爛々と輝かせて、宝物を見つけた子どもみたいな表情を
していた。プルプルと震えるその身体は、感動にうちふるえているといった風情。
 予想と余りにも違うその様子に驚いて、私は絶句する。

「くぅぅー! こ、これはなんというツンデレ! 頬を染めて照れながら怒鳴る口調といい、
そのツインテールといい、完璧だー! わたしが欲しかったツンデレはこれなんやー!」
 彼女はそんな私におかまいなしに、喜色満面の笑みを浮かべて云った。パタパタと頭の
横で手を振って、心底喜んでいる様子だった。
「ツ、ツンデレって、そんな、私……えぇ!?」
「あ、柊さん、もしかしてツンデレって言葉わかるの?」
「ま、まあね、なんとなく聞いたことはあるわね。あんまり詳しい意味は知らないけど……
っていうか、怒ってないの?」
「え、なんで?」
 心底不思議だという風に、きょとんとした顔でこなたは訊ね返してくる。
「いや、だって、あんな風に急に怒鳴っちゃって……私…」
「えー? めちゃくちゃいいもの見せてもらってグッジョブだよ!」
 そういって親指を突き出すこなたのことを、私は呆然とみつめていた。
「あ、そういえばさ、まだちゃんと云ってなかったよね。……えっと、これから三年間
よろしくね、柊――かがみさん」
 こなたは、一転はにかんだような笑顔を浮かべてそう云った。

「うん…こちらこそよろしくね、泉さん」

 私も、とまどいながらもなんとか笑みを浮かべて、そう答えることができた。

 ――変な子だ。この子はすっごい変な子だ。
 ころころと変わる表情。
 失礼なことを云っているのに不思議と憎めない、その明るさ。
 他人に怒鳴られても喜んでしまう、その奇妙な性格。
 ただ変というだけではなく、なぜか気になってしまう個性だった。――ユニーク。そう、
ユニークな人だ、そう思った。

 そして、あの時の表情。
 自分以外誰もいない世界で、一人涯のない桜の園に佇んでいたときの、まるで世界に
寄る辺なくたった一人残されたような、あの表情。

 あの表情が、頭にこびりついて離れなかった。

 思えばこの日以降、私の心の奥深い場所に、こなたはずっと住みついていたのだ。
27416-187:2007/11/27(火) 20:11:04 ID:3Mhmt+by
以上です、読んでくださったかた、ありがとうございました。
すいません、268は1/6でした。

こなたとかがみの出会いについてはガイドブックに載っていたのですが、
雰囲気的にすでにある程度話ができる関係にみえたので、
こういう形にしてみました。
275名無しさん@ピンキー:2007/11/27(火) 20:28:06 ID:KUJYJ3K4
星に願いをに残し物、ゆた☆みさに4seasons……一晩経ったらもう感想が追いつかない! ふしぎ!
まとめてで恐縮ですが、皆様に心よりのGJを。
276名無しさん@ピンキー:2007/11/27(火) 20:38:35 ID:0blnq/L0
>>274

「ぽー・・・・・

はっ!Σ( =_,_,=.)やばいやばい
思わず、自分に萌えてしまう所だったよ・・・」
「いきなり、なにナルシー一歩寸前までいっちゃってんの」
「くぅ〜そのきつい突っ込み、これだよこれ、
たしかにかがみんの魅力ってこれなんだよね!
作者さんさすが!よくわかってらっしゃる、ぐじょぉぶ!」
「まあ、これからどうなるか、期待してみてもいいかな〜て
私も思ったわね」
「んもうすなおじゃないなあかがみん、
夢中になって読み進めてたくせに」
「うるさいっ!」
277名無しさん@ピンキー:2007/11/27(火) 20:52:08 ID:0blnq/L0
うみゅ〜;;>>276のバカップルめ〜;;
ちびっこめ〜;;ひぃらぎ〜;;

というわけで>>261さんには私がGJを言うんだZE
このレスを生産してる中の人は、
ひぃらぎとちびっ子に嫉妬してる私に萌えるとか
たわけたことぬかしてっけどよ;;
でも、そんな私の心ってやつを、
しっかりと感情移入させるよう書いてて
思わずまた涙しちったZE;;
もちろん、小早川の心の描写も良くって、
思わず惚れ・・・いやいやいやちがうって!
おぃ岩崎・・・そんなこえぇ目でこっちみんなって;;

みなみ「次は・・・私の描写ということだけど・・・
     たのしみに・・・してる・・・」

おい岩崎、その手にもってるドッジボールはなんだよ・・・
278名無しさん@ピンキー:2007/11/27(火) 22:10:59 ID:h7Mm3CJA
>>274
GJ !  つかさの投擲マイナス3メートルに笑ったw なんていうか、桜のシーンが綺麗で好きです
ところで、こなた横島化してない? 「これなんやー !」ってw
279名無しさん@ピンキー:2007/11/27(火) 22:20:36 ID:jAuAFK56
GJ
280名無しさん@ピンキー:2007/11/27(火) 23:05:00 ID:5QrMn/a+
>>277
そういえば今年の1年で女子ハンドボール投げの記録更新した奴がいたって聞いたが確か…岩崎…?
って逃げてみさきちー!!

まぁとにかく全部GJってことで。
281名無しさん@ピンキー:2007/11/27(火) 23:44:40 ID:StUzcL+F
投下します。
ベタベタなパラレルネタ注意。
かがみ&こなたがメインの非エロです。
前編6レスです。
苦手な方はスルー願います。
282もうひとつの……:2007/11/27(火) 23:46:10 ID:StUzcL+F
 明日からは新しい月だ。カレンダーを忘れずにめくる。
 宿題の確認をして、教科書の入れ忘れは……うん、大丈夫。
 かがみはいつもの様に明日の用意をしていた。
「こなたの事だから、宿題やってないだろうな」
 ひとつため息をつく。こなたは勉強が出来ない訳ではないのに、まずやろうとしない。
 明日もまた写すようであれば、少しきつめに叱るべきだろうか。そんな事を考えながら眠りについた。

――いつもの日常が続くと思って――


「……ん」
 窓からの朝日で目が覚める。時計をみようとして、身を起こした。
「あれ?」
 何かがおかしい。寝ぼけ眼で辺りをみまわし――違和感の原因に気づいた。
「……無い」
 ぺたぺたと自分の頭を触る。あるはずのものが、自慢の髪の毛が無い。
 そんなバカな、と机の上に置いてあった鏡をのぞき込む。
 鏡にはやはりベリーショートになったかがみが映り込んでいた。
 以前こなたが「印象薄っ」だのと言っていたような気がするが、
「うっ、否定出来ない……」
 自分でも地味だと思う。
 しばらく鏡とにらめっこしていた時だった。コンコン、とノックの音と共に、
「きょうちゃん、おはよう。」
 つかさが部屋に入ってきた。
(きょうちゃん?)
 確か、つかさの考えたかがみのあだ名だ。以前にこなたが冗談で呼んでいたが、
つかさがかがみの事をそう呼ぶことはない。
「……おはよう、つかさ」
 努めて違和感の無いように、挨拶をする。
「あれ、起きてる?」
 つかさは珍しいものを見たように目を丸くしていた。
(いつもはつかさの方が寝ぼすけなんだけどなあ)
 かがみはそんな事を考えつつ、つかさを見る。
 優しい瞳に可愛らしく結ばれたリボン。
 かがみの知るつかさと変わりない様に見える。しかし、確実に何かが違うと感じていた。
「どうしたの? 私の顔に何かついてる?」
「え。い、いや、何でもない」
「変なきょうちゃん」
 つかさは訝しげにかがみを見ている。一つため息をつき、かがみに説教し始めた。
「今日はちゃんと朝ご飯食べてよね。いつもギリギリまで寝てるんだから」
「……」
 いったいどうなっているのか。それより『私』はどれだけだらしないのか。
「もう、きょうちゃんったら。たまにはお姉ちゃんの言う事聞いてよね」
 ショックを受け黙り込んでいるかがみを、つかさは拗ねていると勘違いした様だ。
(お、お姉ちゃん!? つかさが……)
 あまりのショックに声が出なかったのは幸いだった。何とか叫びたいのを抑え、深呼吸をする。
 そして確認の為、今度は声に出して言う。
「えーと……お姉ちゃん?」
 疑問系になってしまったが、信じられないのだから仕方が無い。
 だがつかさの反応は、かがみの想像を越えていた。
「き、きょうちゃんが、私の事を『お姉ちゃん』って言った……」
「え?」
「きょうちゃんが壊れたーっ」
 光速でつかさは走って行ってしまった。
「…………わ、私って一体どういう奴だよ」
 取り残されたかがみは、そう呟くしか無かった。
283もうひとつの……:2007/11/27(火) 23:47:27 ID:StUzcL+F

「はあ……」
 結局あの後、自分の部屋を掃除したり、こうなった原因が何か考えていたりしたせいで、
いつもの『かがみ』と同じように朝ご飯を食べ損ねてしまった。
 夢だと思いたかったのだが、残されたのは掃除で疲れた体と、ご飯を食べ損ねて切ないお腹だった。
 とりあえず『かがみ』はだらしないようだった。そこここにマンガが散らかっていたのだ。
「冗談でもうれしかったんだけどな……」
 横でつかさが呟いている。冗談という事で誤魔化したが、妹である『かがみ』は姉のつかさを呼び捨てにしているようだ。
 そんな風に色々考えていたら、いつの間にか学校に着いてしまっていた。
「きょうちゃん、大丈夫? 今日は元気が無いよ」
「あ、うん。ありがとう、つかさ。何でも無いよ」
 つかさに心配させないようにそう言ってみせるが、やはり双子の姉妹であるつかさには隠しきれない。
「気分が悪いなら保健室行こうか?」
「いや、本当に大丈夫よ」
 かがみはつかさに精一杯のほほえみを向けた。
「ならいいけど……」
 未だ納得はしていないものの、つかさは先に歩きだした。
「つかささん、かがみさん、おはようございます」
 そのとき前からみゆきが丁寧な挨拶をし、こちらに向かってきた。
「ゆきちゃん、おはよう」
「おはよう、みゆき」
 こちらも挨拶を交わす。そして油断無くみゆきを見た。
 見た目は、普段のみゆきが三つ編みにしているだけの変化であった。
 ――と思ったのだが、
「キャッ」
 突然、みゆきが何も無い所で転んでしまった。転んだ表紙にメガネがすっ飛んでいく。
「ちょっと、みゆき。大丈夫?」
 かがみは驚き、みゆきに駆け寄る。そんなかがみとは対照的に、つかさはゆっくりとメガネを拾いに行った。
「もう、ゆきちゃんったら」
 つかさが慌てていないのを見ると、どうもいつものことらしい。
「ごめんなさい、またやってしまいました……あら」
「ぐぼぁっ」
 みゆきは今度は自分自身の足に引っかかり、転んだ。ついでにかがみにエルボードロップの一撃を加えた。
 これはたまらない。あまりの痛みにかがみはお腹を押さえ悶えた。空腹にコレはキツい。
「うぐぅ……」
「あらあら、ごめんなさい」
 ゆったりとした性格のみゆきではあるが、いくらなんでもコレは無いだろう。
みゆきの母のゆかりをも越えている。
「やっぱりきょうちゃん調子悪いんでしょ?」
 メガネを拾ったつかさが駆け寄り、かがみの手を取った。
「あー……うん、そうかも」
 そうしておいた方がよさそうだ。しかし毎日こんなやりとりをしているのだろうか。とても気になった。
 かがみは素直につかさの手を取り、立ち上がった。
「じゃあ私もう行くね」
 かがみはつかさとみゆきに手を振り、自分の教室に走っていった。
 傍にいるのは、これ以上は耐えられそうになかった。
284もうひとつの……:2007/11/27(火) 23:48:46 ID:StUzcL+F

「おはよう、かがみ」
「おはよう、かがみちゃん」
 教室に入ると、みさおとあやのが挨拶をしてきた。みさおは元気よく手を振っている。
 呼び捨てにされて、少し恥ずかしい。
「……おはよう、日下部、峰岸」
 かがみは思わず気のない挨拶を返してしまう。自分の知らない二人であるのが明白だからだ。
「何だ? 今日のかがみは他人行儀だなー。どしたの?」
「え、あ、何でもないよ。みさおは宿題やったの?」
 必死で誤魔化す。名前で呼び合う仲らしいが、呼ばれる以上に言うのは照れる。
「何だ、また写すのか……」
「かがみちゃん。みさちゃんの写すばかりじゃダメだよ」
(……日下部のを写すって)
 目の前がクラクラする。見た目が変わらないのに、みさおはやけにしっかりしている。
 何だかとても負けた気分になった。
「いや、ちゃんとやったよ……」
 かがみは鞄から教科書を引き出そうとした。
 たしかにかがみは宿題をやった。だがそれはかがみであり、『かがみ』ではない。
「…………」
 無い。
 それどころか教科書自体が無い。
 自分の机を覗くと、教科書が詰まっていた。さらに引き出すと、課題のプリントが無惨な姿で現れた。
 プリントを必死に伸ばしながら、あまりの現実にかがみは思わず泣きたくなった。
「あー、やっちゃったか。かがみ、私のを写すか?」
「いや、待て。すぐやるから」
 涙目になりながらもみさおの提案を拒否し、ペンを手に取る。写すのだけは避けたかったのだ。
 猛スピードで課題をこなす。幸いにも内容は同じだった。
「どうだっ!」
 みさおに出来たプリントを突きつけた。
「おおっ」
 みさおとあやのが一緒にプリントわのぞき込んでいる。
「すごい、ちゃんと出来てるぞ……」
「あら、このままじゃかがみちゃんに負けちゃうかな」
「……」
 誉めてるのか貶されているのかわからない。だが、あやのが『かがみ』と同レベルであるほうがショックだった。
「うーん。今日のかがみ、やっぱ変だな。熱あるんじゃないか?」
 挙げ句の果てにそんな事まで言われてしまう。
 そして、そっとみさおがかがみの額に手を当てた。
「……熱はないかな。でも顔色が悪いな。大丈夫か?」
 すぐ目の前で、みさおが心配そうにかがみを見つめている。
「そうね、ちょっと保健室で休ませてもらおうかな……」
 これ以上心配をかけるわけにはいかない。それにかがみ自身がかなりまいっていたのだ。
「ごめん、あとよろしくね」
 そのままかがみは保健室へと向かって行った。

「うーん……」
 みさおがかがみのプリントを見ながら唸っている。
「みさちゃん、どうしたの?」
「いや、かがみの字じゃ無いなあって思ったんだけど……」
「え? あ、そういえばさっきのかがみちゃんは左利きだったわ」
「でも目の前で書いてたよなあ……あとでつかさにも聞いてみるか」

285もうひとつの……:2007/11/27(火) 23:50:16 ID:StUzcL+F

「……失礼します」
 始業のチャイムが鳴り響く中、かがみは一人保健室の扉を開いた。
「あれ? 誰もいないのか」
 かがみは周りを見回すが、先生も生徒もいない。ゆっくり考えるにはよかったが、いいのだろうか。
「まあ、天原先生が桜庭先生になってるかもしれないからいいか……」
 寂しさを紛らわす為に呟いたが、思わず想像してしまった。
 おしとやかなひかると、ガラの悪いふゆき。
「あー……」
 微妙にヘコみながら、かがみは手近なベッドのカーテンを引き、腰掛けた。
 今はベッドの軋む音だけが聞こえる。
 ――寂しい。
 知っているけど知らない家族、知らない友達、そして知らない『自分』。
 ただ一人、知らない世界に取り残された。その事実がかがみを蝕む。
 鼻の奥がツンと痛くなる。
 思い切り泣いてしまいたい。でも泣いたところで何の解決にもならない。
 それでも思わず涙が滲んだ。
 その時、新たに人が入ってきた。
「……失礼しまーす」
 かがみはとっさに袖で涙を拭い、その女生徒を見た。
 180cmはあるだろうか、すらりとした長身で、群青の髪色をしている。
 かがみと似たような短髪であるが、どこかで見た事があるような人だと感じた。
 調子が悪いのか俯いていて、前髪で隠れた表情は窺えない。
「保健の先生は、今いないわよ」
 もし調子が悪いのなら保健の先生を呼んだ方がいいだろう。
 そう思い声を掛けたのだが、その生徒は顔を上げ、こちらをじっと見つめていた。
 思わずかがみもまじまじと見返してしまう。
 眠そうな目元と、左目下にある泣きボクロ。
 ――もしかして。
 そう思うのと同時だった。
「よっ。地味かがみん」
「誰が地味だっ!」
 相手の言葉に反射的に突っ込んでしまう。
 間違いないだろう。彼女はこなただ。
「えーと……こなた、よね?」
 思わず疑問系になってしまう。かがみのよく知るこなただとは思うのだが、やはり自信が無い。
「やっぱりかがみだよね。よかったー」
 こなたは立派になった胸をなで下ろしている。思わず、意識しない様にしていた、
真っ平らになった自分の胸と比べてしまった。
「よく私だとわかったわね」
 気を取り直してこなたに訪ねる。一人でない事が、かがみに力を与えていた。
「だって私を見て誰だかわからなかったでしょ。『こっち』の人ならすぐわかるだろうしさ」
「あ、なるほど」
 話しながらこちらに来たこなたは、かがみの隣に座った。いつもはそばにあるこなたの顔がやけに遠い。
「いやー。さっき黒井先生と会ったんだけどさ……」
 こなたがため息をついた。相当ショックだったのが見て取れる。
「『泉さん、おはようございます』って、すっごく丁寧な挨拶でさ……お淑やかだったんだよネ」
「へー」
「何て言うのかな。えーと『立てば爆薬、座ればボンタン、歩く姿はラフレシア』だっけ」
「一つも合ってねーよ」
 正しくは『立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花』である。
 いつものやりとりに、かがみの気持ちが和らいだ。
286もうひとつの……:2007/11/27(火) 23:52:06 ID:StUzcL+F
「いやー、まさかあんな先生が見られるなんてねー。驚きすぎて思わず保健室に来ちゃったよ」
 こなたは苦笑している。せっかくなので、かがみも『あんな先生』を想像してみた。
 ――脳が拒否している。確かに普段のななこからは想像出来ない。
「かがみはどうして保健室に来たの?」
「……まあ、あんたと似たような理由よ」
 かがみは思わずはぐらかした。こなたはありがたいことに、「ふーん」と一言で流してくれた。
「でも、かがみがいてくれてよかった。聞いて欲しい事があるんだ」
 真剣な面もちでこなたが見つめている。かがみは無言で頷いた。
「これが夢じゃ無いって……私だけの夢じゃ無いんだって、確かめたいんだ」
 こなたが瞳を閉じ、何かに思いを馳せている。そしてゆっくりと目を開き、話し始めた。


「んー」
 こなたが薄目を開けると爽やかな朝日が目に入った。
「……眩しい」
 まだ起きるには早い。昨日は遅くまでネトゲーをやっていたのだ。寝返りをうち、もう少し眠ろうと思った時だった。
 ジリリリリリリリ……
「うわっ、ちょっ、うるさいっ!」
 がしっ。時計を掴みベルを止める。チラリと時計を見ると、やはりまだ起きるには早い時間だった。
「何でこんな時間に鳴るかなあ……ん?」
 寝ぼけ眼で見回す。すっきりと整頓された部屋が目の前に広がっていた。
「うわああっ!? パソコンが無いっ」
 大切なのはそこでは無い気がするが、やはり朝起きて最初にするべき物が無いのは重要である。
「えーと……」
 自分の叫び声で、頭がはっきりとしてきた。
 よく見れば、いつもの自分と同じ所の方が少ない。
 こなたは胡座をかき、もう一度周りを見回した。ついでに気になる胸もつついてみる。
 ポヨンポヨン。……虚しい。
「……誰だ私」
 パソコンはおろか、マンガの一冊もない。整頓された本棚には、陸上関連の本と、父そうじろうの本が並んでいた。
 ベッドから降り、立ち上がってみた。視界がとても高い。すべてを見下ろす形になった。
「うーん、爽快だねー」
 ポリポリと頭をかき、髪の毛も無い事に気づいた。
 ペタペタペタ。
「うわ、アホ毛も無い」
 しばらく悩んだ後、全身像を確かめるため、洗面台へと向かおうとした。
 扉を開くと、味噌汁の香りがする。まさかこんな早くから、そうじろうが何かを作るとは思えなかった。
 ――何故か胸がドキドキする。
 早足で台所へ向かう。知らないけど、とても懐かしい感覚。それを確かめたかった。

 台所に誰かが立っていた。長い青髪を括り、味噌汁の味を見ている。
「うん、おいしい」
 不思議な気分だった。写真の中でしか見た事が無かった人が、今そこにいた。
「……お母さん」
 無意識に呟いていた。そこにいるのは間違いなくこなたの母、かなたであった。
 こなたの声にかなたが振り向く。鈴の鳴るような声で、
「おはよう、こなた」
 そう返してくれた。
287もうひとつの……:2007/11/27(火) 23:53:48 ID:StUzcL+F
「あら、まだ着替えてないのね。早く着替えていらっしゃい」
「あ……う、うん」
 呆然とかなたにみとれていたこなたであったが、そう言われ、部屋へと引き返した。
 ついでに洗面台で顔を洗い、全身を確かめた。
「お父さんにそっくりなんだなあ……」
 いつものこなたはかなたに似ている。今のこなたは、背丈も髪型もそうじろう似だ。
 深呼吸をして、今の状況を確かめる。
 ――夢、なのだろうか。
 自分の頬をつねってみる。
「痛い、よね」
 ヒリヒリ痛む頬を押さえ呟いた。夢ではないようだった。
「……考えても仕方ないか」
 まずは着替えて、かなたと話がしたかった。こなたは部屋へと戻っていった。

「いただきます」
 両手を合わせ、お辞儀をする。向かいにかなたが座り、同じようにしていた。
 目の前には立派な朝ご飯が並んでいた。
「いやー、朝からすごいなあ」
 まずは、前日の残りであろう肉じゃがをつついてみる。味がしっかり染みていて、とてもおいしい。
「これが、お母さんの味かあ」
 思わず感動してしまう。昨日の夕食がカップメンだったから一層そう思うのかもしれない。
「あらあら、今日はどうしたのかしら?」
 かなたが不思議そうにこちらを見ている。
「いや、だって本当においしいもん」
 涙を目の端に浮かべながら、こなたはご飯をかきこんだ。
「……何だか、今日のこなたはそう君みたいね」
「うぇ、そ、そうかな?」
 思わず噛んでしまった。やはりかなたにはわかるのだろうか。
 こちらの『こなた』は真面目で、オタクのかけらも見られなかったから、母親似なのだろう。
 一方いつものこなたは、そうじろうの影響でかなりのオタクだ。間違いなく父に似ている。
 つまり今のこなたは、『見た目も中身もそうじろう似』である。ある意味危険である。
「本当に……そう君が帰ってきたみたいね」
 かなたは懐かしそうにこちらを見ていた。
「え……」
 こなたは、その言葉の意味を理解出来なかった。否、理解したくなかった。
「? こなた、どうしたの?」
 こなたの箸を動かす手が止まっていた。
「あ……うん、何でも、無いよ」
 焼き魚をほぐし、ご飯に乗せ、一緒に口に運ぶ。そしてしっかりと噛みしめた。
「お父さんは、まだ寝てるの?」
 微かな期待を込め、かなたに聞く。少ししょっぱい魚に涙が滲んだ。
「こなた……お父さんは、もう」
 ――やっぱり、そうなんだ。
「うん、わかってたよ。どうしてかな……思うようにはいかないんだね」
 母がいる喜びよりも、いるはずの父がいない悲しみの方が強かった。
 こなたが俯くと、涙がテーブルに落ちた。
「こなた……」
 かなたがこなたの方に来て、そっと抱いてくれた。
「うう……」
 こなたはかなたの胸の中、泣いた。

2887-575:2007/11/27(火) 23:57:04 ID:StUzcL+F
ひとまずここまでです。
ありがとうございました。
一巻の髪の毛切ったかがみをベースに書きはじめ、早半年。
本当に終わるのかコレ。
289名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 00:21:24 ID:lYMLZMTC
>>288
何だかいいなあ。
こなたの心境が伝わってきます。
そして結末がどうなるのか…
という訳で、お疲れ様です。
290名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 01:28:14 ID:+ZYeVInx
>>288
GJ!
パラレルは色々見てきたがこれは新鮮
次回も楽しみにしてる



それと亀レスだが…
>>253
『――何してるの、ゆかた? 置いていくよ?』

っていうのはミス?
…いや、些細なことだが。
291名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 01:36:17 ID:OC+x5ag/
別にミスじゃないと思うよ
292名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 03:01:22 ID:0tBX/VNh
>>291しっかりと文字を見つめ、発声してみると大吉。

>>288全貌が掴めないのか非常に期待を促進させる。
楽しみに待ってる。
GJ!!
293名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 11:45:28 ID:U/wHeAfU
『世界のこなちゃん特集ですよー』

「こなちゃん可愛いよね〜。お父さん、ウチもこなちゃん飼おうよ〜」
「こらこらつかさ、単純に軽々しくいうけどね、
宿題・ネトゲ・食事・その他諸々きちんと面倒見れるの?
夜のお相手とかもあるわよ?
ちびこなたんと女子高生のこなたじゃイメージ違うかもよ?
配偶者を養うって自覚を持てるの?」
「そ、そうだよね。ちゃんと考えなくちゃダメだよね……
それにしてもお姉ちゃん詳しいね……?」
「……そ、それはまぁ……
結局、私もこなたんハァハァ(*´д`*)って…コトよ……」
294名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 12:40:50 ID:vkRbjEhR
>>294
吹いたwww
牛乳返せwwww
295名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 12:41:58 ID:vkRbjEhR
安価間違ったorz
正しくは>>293
296名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 12:54:28 ID:6dI+jtcJ
>294
むしろお前にこそ吹いちまったじゃねーか、チョココロネ返せwwwwwwwwww
297名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 14:21:47 ID:k25oBcJH
>>296
こなた乙
298名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 14:23:25 ID:qYw9yJVc
>>293
バルサミコ酢噴いたwwwwww
ぐじょーぶ!
299名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 14:30:49 ID:BpjRW08z
>>298
つかささん乙ぶふぉ(鼻血)
300名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 14:37:41 ID:j49wUEIu
>>299
おいおい、いつからみゆきは鼻血ターゲットを変えましたかw
かがみはこな☆フェチ、みゆきはつか☆フェチ
これじゃあ普通のバカップルツーペアでみさおが泣くルートじゃんww
301名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 14:40:37 ID:BpjRW08z
いいえ、これはつかささんに対しての鼻血ではありません。
思い出し鼻血です。
302名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 14:57:48 ID:Yi95Oyup
「でも最近、つかささんもいいなあって・・・
最近、鼻血を出し過ぎてもバルサミコ酢で補うことが
出来るくらい、はまってしまいまして・・・」
「ていうか、マジであんた、どんな身体の構造してんの」
「それで、最近ツンデレさんもいいなって・・・
今の様な台詞が来ただけで、軽くアッチ(常世)
逝きそうにになりまして・・・」
「鼻血を出すな息を吹きかけるな顔が近い以下略」


「ふう…そか、みゆきさんはターゲットを移動したか。
これで少しは平穏に過ごせるかな…」
「でも基本は忘れません。一日一ハグはしないと私、
身体の組成がくずれちゃいますし」
「もう液状化してるっつの!鼻血をかけんな!自重しる〜〜;;」
303名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 16:35:16 ID:+LvLzkUr
>>302
雑食wwwwww
304名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 19:15:17 ID:hbGfdWWK
>>302
カオスwww
305名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 19:15:26 ID:CInlsIV3
最近のみゆきさんはナイアルラトホテップなんじゃないかと思ってしまうぜ…
306名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 19:27:57 ID:w8SWpf5B
すなわち「這い寄る萌え要素」?
307名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 19:29:37 ID:phz0huPv
無貌の萌え要素
308名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 19:33:06 ID:9TYO/Al+
>>298
つかささん乙です。
309名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 19:37:06 ID:9TYO/Al+
>>308
ごめん。sageてないし
内容も重複してたOTZ
310名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 19:40:39 ID:w8SWpf5B
>>309

こなた「ひさしぶりにみゆきさんのドジっ子ぶりを見た気がする…
     でももう、ぐじょーぶって言わないことにする…
     だって最近のみゆきさん、どんどん邪神化してて
     私の声に反応して液状化しちゃうから…;;」
311名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 19:41:43 ID:qYw9yJVc
>>305
てめぇ、おっぱい主義のデモベプレーヤーだな!
ならばこなたはアザトース?
前に誰か言ってたがみるだけでSAN値が直滑降?
312名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 19:49:44 ID:w8SWpf5B
なんという多幸感アザトース
確かにSAN値は凄まじい勢いで下がるが、
恐怖ではなく究極の幸せでもって狂気と成す。








今考えたのだが、それってアザトースじゃなく失われたアークのほうがよくね?
313名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 19:55:42 ID:U/wHeAfU
帰ってきたら、予想外に反応多くて吹いたw
元ネタは2巻103ページでした。


デモベ分からない俺は、
メガテンかペルソナのことだと普通に思った。

このスレだと趣旨に合わんし、個人でサイトかブログ借りて
ペルソナとのクロスオーバーSSでも書こうかな
314名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 21:16:27 ID:TjpUQhow
>>313
かがみ「借りるんだったらこなたがいいんじゃないかしら? ちっちゃいし可愛いし、お腹が空いたら食料になるし」
こなた「!!」
315名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 21:19:03 ID:77VXa6yv
こなたを食べる(カリバリズムな意味で)と申したか
316名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 21:43:24 ID:PXHezc5j
性的な意味です
317名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 22:14:52 ID:3scaaCxU
「こなたエネルギーで右脇腹の浪漫回路をフル稼働させれば
一週間は飲まず食わずで戦えます」
「ちょ!みゆきさん!戦うってここは寝室アッー!」
318名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 22:20:59 ID:DZ0/x8jk
かがみ「はむっ♪」
つかさ「はむっ♪」
みゆき「はむっ♪」
いのり「はむっ♪」
まつり「はむっ♪」
みき「はむっ♪」
ゆたか「はむっ♪」
みなみ「はむっ♪」
パティ「ハムっ♪」
ひよりん「はむっ♪」
チェリー「あむっ♪」

こなた「ちょアッー!!!!」
319名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 22:21:14 ID:BJ7DWMww
>>317
校長自重しなさいw
320名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 22:44:48 ID:w8SWpf5B
>>318

「うう〜;;ここでも私、背景扱いかよぉ〜」
「まあまあみさちゃん」
「なんだあやの、そのでっけえ袋
 なになに・・・『業務用粉砂糖』・・・え・・・?
 おいおいあやの、何そんな甘いの空中散布してんだよ
 おい!やめろって、その手に持ってるマッチはやめろって!
 目がまともじゃねえよ!おいっ!!」
321名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 22:53:37 ID:+LvLzkUr
逃げてー
超逃げてー!粉塵爆発が…!


みゆき「大丈夫です。泉さんは私が命に代えても守りますからぶふー!!」
かがみ(…まあ…すぐに生き返るしね…)
322名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 23:12:57 ID:lXbsVAPR
兄「おれが最近気に入って読んでる作品が立て続けに投下されて、
  読むだけで大変だったよ」
みさお「じゃぁ、読まなきゃいーじゃん」
兄「いや、どうもこうも面白くてな。これ書いてる作者も少しは見習えと。
  ていうか、おれが登場するSSはいつになったら投下するのかと」
みさお「まーまー、作者も多分忙しいんだよ。遊ぶことにさ」
兄「まったくだ。ともあれ、「あさがお・ひまわり」の作者さん、
  「4 season」の作者さん、「星に願いを」の作者さん、「残し物」の作者さん、
みさお「いつもGJなんだぜ!!」

E231-1116改め久留里でした。
323名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 23:13:37 ID:w8SWpf5B
しかし、惨劇は未然に防がれることとなる
ゆたかが着せ替え技能で背景コンビを水芸衣装にし
その隙にみなみが拉致技能でこなたをさらい、
出し抜かないようにみゆきとつかさが遠隔監視し、
更にかがみがこなた追跡ツンデレーダーで物理的に監視。
こうしている間にもひよりは原稿を進め、
パティはコスプレを繰り返している。






こなた「ヌオオオ他はともかく、最後の二人って意味あるのですkアッー!!」
324名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 23:27:12 ID:ZjhIN36j
おまいらこなフェチ症候群発症し過ぎだw

「……この病気について研究している、高良生物研究所の立木ふみひこさんにお越しいただいています。」
「どうも。立木です。」
「立木さん。最近インターネット掲示板で流行っている
 “こなフェチ症候群”はいかがなものなのでしょう。」
「そうですね。まずはこの写真を見てもらいましょう。
 この人物に見覚えはないでしょうか?
 彼女は糟日部市に住む高校生、泉こなたという少女です。
 陵桜学園に通う高校生である彼女。その魅力に惹かれ、
 突如発狂してしまう病気がこなフェチ症候群です。
 華奢なロリ体型、ぴょこんと出たアホ毛、透き通るような瞳、愛らしい性格……。
 彼女の素晴らしさを語ろうとするときりがありません。
 ああ、こなたん……かわいいよこなたん……」

……

「立木さん、気絶したみたいですね。
 それにしても泉こなたさん……かわいいですね。
 日本は彼女のために動いているといっても過言ではないですね。
 それでは次のニュースです。高良生物研究所が……」
325名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 23:29:46 ID:DZ0/x8jk
>>320
『業務用こな砂糖』を空中散布するとみさおとあやのの機動性がかなり向上し
ツンデレーダーが効かなくなるんだZE☆

みゆき「泉さんを狙い撃ちます(ぶふー!)」
326名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 23:36:47 ID:w8SWpf5B
あやの「でもこのこな砂糖、私たちも撹乱されちゃうのが難点よね
     ほら、さっそくみさちゃんが・・・」
みさお「ち、ちびっこ〜あ、あそこにもここにもちびっこがぁ〜」

そして積極的にこな砂糖を散布して逃げを図るこなた




しかし・・・
みゆき「ECMにはECCMが必ず開発されるものですよぶふー」
ようは何がいいたいかというと、高良グループ恐るべしということだ。
327名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 23:41:25 ID:gg015BVG
だがこなたはそれに対抗するべくECCCMを(ry

そして流れをぶったぎってすまないがまたゲームの発売日が延期になった件
328名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 23:44:40 ID:3d5B6URk
>>327
えぇっ本当ですか!?クリスマスは泉さんと過ごそうと思っていたんですけど・・・お恥ずかしながら。
329名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 23:47:25 ID:qYw9yJVc
ああ・・・みゆきさんの虫歯の理由はこな砂糖の取りすぎか・・・。
330名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 23:50:05 ID:w8SWpf5B
恐るべしコナタンス菌
331名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 00:11:33 ID:WhOcQhf2
ぶったぎって申し訳ないが、今から投下しますよ〜
332名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 00:13:02 ID:zsiEVxg3
>>324
待て、こなたが住んでいるのは糟日部じゃなくて倖手だ
333名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 00:13:32 ID:6ewQd2Z5
>>331
ちょっとだけ待ってくれまいか!
334名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 00:14:40 ID:zsiEVxg3
>>333
こなた「ちょっとだけよ〜」
かがみ「キモいわ」
3354-243 ◆X9xLTlcDnY :2007/11/29(木) 00:15:51 ID:6ewQd2Z5
http://www.geocities.jp/extream_noise/rakisutaep/img/ikonata-.jpg
ちょっとだけ描いてみたかったんだ(´・ω・)

>>331
ガンガン行っちゃってくれ♪
336名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 00:16:30 ID:WhOcQhf2
>333
明日にしたほうがいいかな?
337335:2007/11/29(木) 00:17:56 ID:6ewQd2Z5
>>336
あ、もうOKですww
33823-251:2007/11/29(木) 00:19:39 ID:WhOcQhf2
>337
了解。ではいきます。

「星に願いを」第8話(規制解除の為、直接投下)

・こなかが入れ替わり
・続き物
・ちょっとダーク注意
・ゆーちゃん注意
339星に願いを 1/5:2007/11/29(木) 00:20:51 ID:WhOcQhf2

 8.

 こなたと別れた後、私は泉家へ戻った。既に空は暗くなっている。
 ちょうど、玄関先でゆたかちゃんがドアを開けている姿がみえる。
 彼女も寄り道していたのだろうか。
「おかえりなさい。かがみ先輩」
 ゆたかちゃんの言い方にくすりと笑った。
「本当なら『ただいま』というところなんだけどね」
 苦笑を浮かべたまま、ゆたかちゃんと一緒に家に入った。

 家に帰っても、『泉こなた』としての生活が続く。夕食を
ゆたかちゃんと、おじさんと食べて、お風呂に入り、宿題をして、
テレビを見てからベッドに入る。
 拍子抜けするほど、あっさりと時間が過ぎ去り、何事もなく一日が
終わったように見えた。
 就寝の直前にゆたかちゃんがホットココアを作ってくれたのは嬉しい。
 身体が火照って良い感じで眠れそうだ。

 私は夢を見た。
 こなたがいて、つかさがいて、みゆきがいて、教室でお弁当を
ひろげている。こなたがチョココロネをくわえている。そんな平和な夢。
しかし、ふいにこなたたちの姿が掻き消える。
 場面が唐突に変わる。教室に取り残された私は慌てて皆を探したけど、
誰もいない。立ち上がろうとした時に、何故か椅子からロープが伸びてきて
私の自由を塞ぐ。身体が全く動かない。
 助けを求めて、懸命にもがくけれども、身体を揺らしてもほどけない――

 唐突に、泥の入ったスープのような睡眠から私は追い出された。
340星に願いを 2/5:2007/11/29(木) 00:21:32 ID:WhOcQhf2

 瞼を何度も瞬かせると、まぶしい蛍光灯の光が飛び込んできた。
 起き上がろうとして、身体が本当に動かないことに気がつかされた。
金縛りではない。白い紐で両手首、両足首がベッドの柱にくくり
つけられている。

「んんっ…… 」
 声をあげようとすると、小さな手でさえぎられた。
「静かにしてください。あっ、でも、騒いでもいいですよ」
 声を出すことすらできない私を悠然と見下ろしながら、小早川ゆたか
ちゃんが微笑んでいた。
「なんで、そんなこと…… 」
 ゆたかちゃんが私を拘束する理由が全く見当たらない。
何か、悪い冗談としか思えない。
 混乱して、じたばたをあがいている私を、ゆたかちゃんは
いつもとかわらない笑顔を見せて見下ろしている。
 ただ、大きな瞳だけはどんよりと曇っていた。

「理由は、かがみ先輩になくても、私にはあります」
「どんな理由なのっ 」
 私は、天井を向いたまま、険しい表情を隠さず問い詰める。
 喉がからからに渇いて掠れた声しかでない。
「えっとですね」
 小柄な身体をかがめて、ゆたかちゃんは私の唇に触れた。
「なっ、なにするのよっ」
 私は顔を真っ赤にして首を振って抗った。

「かがみ先輩、純情なふりをしなくていいんですよ」
「えっ…… 」
 私は、ゆたかちゃんの言葉に身体が固まる。
「昨日、こなたお姉ちゃんの身体でオナニーしていましたよね」
「な、なんでそのことをっ」
 私は恥ずかしさで真っ赤になりながら叫んだ。
「あれだけ大きなよがり声を上げていれば、耳を塞いでも
聞こえてしまいます。とっても気持ちよかったのは分かりますけど、
おじさんの家は、コンサートホールみたいな防音施設はありませんよ」

341星に願いを 3/5:2007/11/29(木) 00:22:11 ID:WhOcQhf2
 普段は絶対にみせない、嘲りの表情を隠さずに、
ゆたかちゃんは微笑んだ。
 素直で純粋なはずの、ゆたかちゃんがひたすら隠していた、
心の闇の深さに寒気がする。
 ゆたかちゃんは、いつから心にとんでもない悪魔をすまわせる
ようになったのか。

「どうして…… どうして、こんな事をするの? 」
 あえぐ様に呟いた私に対して、ゆたかちゃんは悲しそうな表情を
一瞬だけ見せてから、吐き出すように言い放つ。

「かがみ先輩が、こなたお姉ちゃんを奪ったからです」
「それは…… 逆恨みかしら? 」
 あまりにも単純な理由だ。私は、いつもの強気な自分を取り戻して
笑ってみせる。
「こなたは、わたしのことを『嫁』っていってるっていったわよね」
 目の前にいるゆたかちゃんの顔が露骨ゆがむ。

「おあいにく様ね。ゆたかちゃん。あなたが入り込む隙なんてない」
「かがみ先輩と、お姉ちゃんは両想いなんですね」
「そうよ。だから、『私』を物理的に縛ってもなんの意味がないわ」
「そんなことは、分かっていますっ」
 ゆたかちゃんが苛立ちを押さえ切れず、鋭く叫んだ。
「でも、どうしようもないんです」
 焦ったような口調でいうゆたかちゃんに、私は思いついた事を口に出した。
「もしかして…… 私とこなたを入れ替えたのはゆたかちゃん? 」
342星に願いを 4/5:2007/11/29(木) 00:22:58 ID:WhOcQhf2
 あまりにも飛びぬけた推理だけど、どうやら正しかったらしい。
「いわゆる召還魔法の一種です。自分で言うのも何ですけど、トンデモ理論
です。それに、成功したわけじゃないんです。本当は、こなたお姉ちゃんの
ココロを、かがみ先輩から離すことが目的でしたから」

 ゆたかちゃんは一息ついてから続ける。
「想像以上に、お姉ちゃんとかがみ先輩の気持ちが強く
結びついていました。細かい部分は分かりませんが、結局、
お姉ちゃんとかがみ先輩の人格だけが入れ替わるという、中途半端な
結果になったんです」

 私は、ゆたかちゃんが犯人という救われない事実に、唖然と
せざるをえなかった。
 顔を赤らめて恥ずかしがったり、透き通るほどの微笑を周囲に
みせてくれる愛らしい天使と思っていた、ゆたかちゃんだから
なおさらだ。

 しかし、今のゆたかちゃんは熱に浮かされたようにゆがんでいる。
それに、いくらゆたかちゃんでも、こなたにつらい想いさせた事は
許せなかった。
 私は沸きあがった怒りを抑えることが出来ずに、目の前の少女に
とって一番痛い所を容赦なく突く。

「なんてことをするのよ。こなたが聞いたら怒るわよっ」
「お姉ちゃんに嫌われるのは嫌っ 」
 それまで笑っていたゆたかちゃんが、急にあどけない顔をゆがめて
叫んだ。
343星に願いを 5/5:2007/11/29(木) 00:23:39 ID:WhOcQhf2
 ここに突破口があることを私は瞬時で悟る。
「だったら、私たちをさっさと戻しなさいよ。それとも金輪際、
そのままってわけ? 」
 私は鼻息を荒げて挑発した。ゆたかちゃんは即座に言い返す。
「戻し方はちゃんと知っていますよ。もっとも成功するかは
分かりませんが」
「それでもいいから教えなさいよ」
「条件があります」
 ゆたかちゃんは口の端をゆがめた。ゆたかちゃんが何をしたいのか、
瞬時に理解できた。
 何しろ、私は現在は『泉こなた』の姿をしているのだ。
 私は、皮肉めいた表情で頷いた。

「分かっているなら、話は早いです」
「『する』前に、紐を解いて」
「いいですよ。SM趣味はありませんから」
「それにしては、念入りに縛ってくれたけど」
 私のいやみにも、ゆたかちゃんは平然としていた。
「舞台演出だと思ってください」
 淡々とした口調で言うと、私の拘束をあっさりとほどいて、
布団にもぐりこんできた。
「いっておくけど、自己満足にすぎないわよ」
「でも…… 夢はかなうんです」
「『身体』だけわね」
 私の辛辣な言葉にもかかわらず、ゆたかちゃんは妖精のような微笑を
みせて、硬い表情を崩さない私の唇に再度、触れた。
34423-251:2007/11/29(木) 00:26:04 ID:WhOcQhf2

こんなこと書いていて何ですけど、ゆーちゃんが一番好きです。

それにしても…… 普通に書き込めることがどんなに幸せなことか。
ということを、現在、噛み締めている次第です。


345名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 00:31:06 ID:KrR+v6WB
祝規制解除GJ

いやあ、好きなキャラほどゆがめたくなるという心情は
理解できなくもない。








ほら、みゆきとかがいい例だしw
346名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 00:32:35 ID:E1L7frQB
>>344
規制解除おめ。

というか、ゆたかちゃんが原因だったとは意外でした。

好きな相手には相思相愛の人がいる。
これだけでも切ないのに、自分の好きな相手、
そしてその人が好きな人も同性というのがよりいっそう切ないです。

GJ。
347名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 00:33:02 ID:vrjly+Xq
GJ
またニクい所で止まるなぁw続きが気になって仕方ない
348名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 00:52:04 ID:FYU3lFrY
>>344
規制解除おめでとう&GJ!!
まさかゆーちゃんがやった事だったとはw
続きが非常に気になります。
349名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 00:52:31 ID:yvT3Oqh3
>>345
もしかしなくても俺のことですか?
たしかにみゆきさんは大好きです。俺の中で個別キャラならこなたとみゆきが2トップ(..´∀`)
あ〜そうか、どうりでみゆきの方は鼻血噴かせたり液化させたり気化させたり石化させたりして
こなたのほうも幼児化させたり増やしてみたり、ほかのキャラよりも人間離れなことさせてるわけだ。
……あれ? なんだか2人の変化具合にかなりの歪みg(ry

>>345
待ってました!!
俺がいま続きの気になってるSSの1つです!!
ってか本当筆が早いですね。羨ましい限りです。
ゆーちゃんだったのか……なんでこう黒ゆーちゃんはぞくぞくするのでしょう。
元が純粋無垢すぎるからでしょうねw
続きが気になって眠れないので
全裸でwktkしつつ暖房を33度に設定します。
GJです!!

現在SSが10個書き溜まっている俺、涙目です(´;ω;`)
これが本当のスランプなんだろうか……
350名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 01:01:48 ID:FYU3lFrY
>>332
うお、今気付いたorz
素で間違えたぜorz
351名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 01:01:58 ID:4H2HUCFS
>>345
おおぅ…まさかゆーちゃんだとわ…
そんなことしても余計に虚しくなるだけなんじゃないかと思っちゃうなぁ
話も佳境に入ってきたようですし、次も楽しみにするしかー。
352名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 01:06:06 ID:0hWfKfLm
>>349
いやいや、きっと俺のことですよ
今まで書いてきた小説のみゆきのナイガシロっぷりは異常
でも……そんなみゆきが、大好きです え? 嘘だろって? あんなに活躍させたじゃん!


>>345
ゆうううちゃあああああああああん
復活おめ&gjjjjjjj
サディスティックなゆーちゃんにそそられました!
今書いてるやつに出番がなさそうだけど、ねじ込もうかな!
もっかい溢れるGJを! 続きwktk!
353名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 01:13:56 ID:BDogQXNA
>>345
ゆーちゃんはやれば出来る子だと思ってました
そしてもっとやってくれるに違いない。GJ!
354名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 02:02:12 ID:XjU3QfGe
>>345
GJ!ゆーちゃんの純粋な狂気が物悲しいよ(´;ω;`)


で、ちょっと皆に聞きたいんだけど、
現在ななこ×そうじろうの微鬱モノと、
みのる×あきらのスイーツモノの二つのプロットがあるんだけど、
どっちの方が受容があるんだろう。
35518-56:2007/11/29(木) 02:12:28 ID:x1ox1CkA
>>345
GJ! 次回も楽しみにしています。サドゆたかちゃん素敵過ぎる……駆け引きと狂気に鳥肌立ちました。
>>354
ななことそうじろうは見たことが無いので一度読んでみたいです。
でもみのあきも……出来れば両方読ませて頂きたいです。

さて、サドゆーちゃんの後に投下するのは気が引ける程のどへたれ白石ですが、やっと書けたので行かせて頂きます。
白石×あきらです。
もってけ!がくせーふくの続きです。
えろはありません。10レス程お借りします。
356隔たり縮まぬ相合い傘:2007/11/29(木) 02:15:07 ID:x1ox1CkA
小綺麗な表現から掛け離れることになるが、汚れた床を拭いた雑巾、それを絞った際にバケツに溜る水のような色をした空だった。
重い雲が高層ビルの直ぐ上に伸し掛かり、仕事を終えて局を出た僕は一雨降りそうなご機嫌斜めな空模様を見て、
ああこの人と同じだなと思った。
「なんか直ぐに降りそうですね」
灰色の町並みを見渡す隣の彼女に声を掛ける。
「ほんとぱっとしない天気ね。さっきのあんたみたい」
「え? あー、ああ……」
収録でのトークが何時にも増してぐだぐだ一本調子だったので、彼女が言っているのはそのことだろう。
あそこでああ言えば良かった等と一人反省会を開いていると、彼女が歩き始めているのに気付くのが遅れてしまった。
慌てて開いた数歩分をなぞるが、小さな背中は並んで歩くのを拒んでいるように見えたので二歩程離れて続く。
彼女も僕も今日の仕事は済ませたし、帰り道は途中まで大体同じだ、態々違う道を選ぶことも無い。
そもそも、この和気藹々とは呼べそうに無い空気を作ったのは自分なのだから何とかしないと。
何時降ってもおかしくない空だなと見上げると、早速額に冷たい雫が落ちた。
「あーあ、降ってきちゃった。誰かさんのトークがぐっだぐだなせいでさー、お日様もご機嫌斜めになっちゃったんじゃないの?」
「やー、それは無いと思いますけど。すいません」
勿論彼女が言っているのは冗談だが、この雨は僕のせいなのだそうだ。
ぽつりぽつりと地面を叩く小さい雨音。
彼女は斑点模様が付き始めたコンクリートの上を、走るでも無く雨宿りが出来そうな所を探すでも無く歩き続ける。
開いた二歩分の距離を詰めて彼女と並ぶ。
「あきら様、傘持ってます?」
「ねーよ」
そりゃそうだ。馬鹿なことを聞いた。あったのなら差しているだろう。
「じゃ、ちょっとそこ寄りましょう」
そう離れていないコンビニを指差す。
先程まで元気良く跳ねていた明るい色の髪は雨と湿気にやられて垂れ下がっていた。
寂しがりな小動物の伏せられた耳に見えないことも無い。
やっぱり彼女の髪は溌剌と飛び跳ねていないと。勿論本人も。
「濡れたままだと風邪引きますから、ね?」
直ぐに辿り着いた店の銀の取っ手を握って扉を押し開く。
「へいへい」
店内は暖房が利いていて、暖かい筈なのに濡れた体には反って冷たく感じる。
357隔たり縮まぬ相合い傘:2007/11/29(木) 02:17:32 ID:x1ox1CkA
背中をぞくりと悪寒が走り、これはさっさと帰って風呂に入るようにしないと、
と思って入口付近に立ててある新品のビニール傘に手を伸ばす。
傘を二本取り上げるのと殆ど同時に制服の裾が軽く引っ張られた。
顔だけで振り返ると、一歩引いた所に彼女がいて僕の上着の裾を遠慮勝ちに摘んでいた。
「あのさぁ」
「はい」
体ごと彼女の方を向いて、聞く姿勢を取る。
けれど彼女は続きを言わずに僕の手の中にある傘を見詰め、
何かを言おうか言うまいか迷っているような鼈甲飴の色をしていた目は暫くして伏せられた。
溜め息を吐くついでと言わん許りに彼女は仕方無しに口を開く。
「お菓子買っていい?」
「え?」
随分と真剣な表情だったので何が来るのかと思っていたら、お菓子。そこまで悩んで聞くことだろうか。
「あ、はい、どうぞ」
近くにあった買い物籠を手渡す。彼女は、ん、と短く喉から音を出して籠を受け取った。
チョコやクッキーが並んでいる棚やアイスには見向きもしないで、柿の種やかりんとうやするめを籠に突っ込む。
お菓子なんだかおつまみなんだか。
別の棚で苺みるくを手に取って、後ろで見ていた僕を振り返った。
「あんたは? コーヒー牛乳?」
お酒に手を伸ばさなかったことに内心ほっとしながら、首を左右に軽く振る。
「いえ、お構い無く」
「いーから」
彼女は聞き入れずに前に向き直ってコーヒー牛乳を掴んで籠に入れた。
最後にレジの前に置かれている台から苺大福を二つ選んで、彼女は財布を取り出した。
ここは代わりに払うべきなんだろう。レジの上、籠の横に傘を二本置いて財布を出す。
「ここは僕が払いますから、あきら様はいいですよ」
ぴっ、と店員が機械でバーコードを読み取る高い音を聞きながら彼女にそう言う。
「……あのさ」
彼女は真ん前を向いたまま、か細い声で呟いた。
「はい?」
「………あんたんち、ビニ傘なんてそんなにいっぱいあっても邪魔でしょ」
「え? 片方はあきら様に差し上げるつもりだったんですけど……って、あきら様?」
店員が籠の中の物を全て機械に通して片方の傘を手に取った瞬間、
彼女はもう片方を引っ掴んでレジから離れ、それを元の場所に戻してしまった。
何してんですか、と追い掛けて傘を再びレジに持って行こうとしたけれど、
店員が値段を告げる方が早かったので先にこちらを済ませる。
358隔たり縮まぬ相合い傘:2007/11/29(木) 02:19:29 ID:x1ox1CkA
意図の読めないその行動に首を傾げながら、入口で待っていた彼女に傘を渡した。
袋は自分で持ったままにする。
「あきら様、一本じゃ帰れませんよ?」
ふいっ、と彼女は僕から顔を背けて、扉の取っ手を握る。
「なんでよ。一緒に入ればいいだけでしょ」
そういえば、いつになったらコンビニは自動ドアになるんだろう……じゃない。
余りにさらりと言われたので、ああそうですねと頷く所だった。
「あの、一緒って」
実際にそうしている訳でもないのに、早くも手の平が汗をかく。
寒いと感じていたのに急に体が熱くなって、袋を落としそうになった。
どこまで初なんだ。中学生日記の主人公か。
「それって、あ、相合い傘、になっちゃうんですけど……」
喉でつっかえそうになる言葉をどうにかして押し出すと、彼女は取っ手を握ったままの体勢でぴたりと止まった。
固まった僕達の間に流れた数秒間の沈黙は、果たして振り返り様に顔を真っ赤にして怒鳴った彼女によって破られた。
「一々言うなばか! わかってるっつーの!」
それに反応する一分の隙も与えずに、彼女は扉を開いて外に出る。
久々の喝に肩を竦めてびびっている場合では無い、慌てて店を出て隣に並ぶと、
彼女は僕と目線を合わせようとしないで傘をこちらに突き出した。
差せということらしい、受け取って開く。
余程緊張していたのか何なのか、そのまま差して隣のスペースに彼女を呼べばいいものを、
なかなか踏み出せずにその場に固まってしまった。何やってんだ。
「さっさと動きなさいよ。それともなに、あたしとじゃ嫌って訳?」
「いやっ違います違います! すいません」
ビニール袋を左手に持ち変えて、屋根の下から出る。
「ど、どうぞ」
傘を持ったままの右手で明らかに不審な動き、良くて変な踊りにしか見えない手振りで右隣に彼女を呼ぶ。
格好悪い。もっとこう、流れるように誘導出来無いのか。………出来ないな。
「ん」
何してんの馬鹿、等と言ってくれればまだ楽になったのだろうが、
生憎彼女もスムーズとは程遠い、ぎくしゃくとした足取りで傘の下に身を収めた。
また二人とも前を向き、お互いに目を合わせられないままで固まってしまう。
「ええと、す、進んでもいいですか……」
「一々聞くな、あほ」
「すいません……じゃ、動きますよ?」
359隔たり縮まぬ相合い傘:2007/11/29(木) 02:21:51 ID:x1ox1CkA
「だから一々言うなっての。そだ、いちで右足? 左足?」
「そうですね、じゃあ、いちであきら様は左足で僕がみ………え? そんな、二人三脚でもないのに?」
「あ」
もう二人してボケボケだ。
ただ歩くだけなのに何故こうも覚悟が必要なんだ。とりあえず一歩踏み出してみると、彼女がワンテンポ遅れて付いて来た。
また足が固まって動けなくなりそうになったけれど、一歩進むごとに立ち止まっては切りがないのでなんとか続けて足を出す。
「もうちょっとこっち寄んなさいよ。あんた濡れてるわよ」
一本の傘の下に二人の人間が収まろうと思えば、当然その二人は引っ付くと言うか肩を寄せ合わなくてはならない。
けどそれをせずに傘を彼女の方へ彼女の方へとやって、それで自分の肩が濡れるのは構わないと思っていた所にこの好意的な言葉。
「え? ああほんとだ、濡鼠になっちゃうとこでした」
あははー、と気楽に笑うけれど、それでも距離を縮められない。
だって恥ずかしいし! 体の他の所は冷えてるのに、腕と腕が引っ付いた所だけ暖かいとか生々しいし!
依然として微妙な距離を開けたままで歩いていると、
「………けっ」
舌打ちされました。
おかしいな、あきら様が甘えて来たのならそれなりに応えるつもりでいたのに緊張して全然駄目だ。
これじゃ話にならないと悩んでいると、早いもので彼女と僕の帰路が分かれるいつもの箇所に着いた。
荷物もあるし、傘を彼女に渡してここで別れる訳にもいかない。
夜どころか夕方と呼ぶにもまだ早いけれど、雨雲のせいで薄暗いし、送って行こう。
彼女の家が建っている方向に曲がると、何故か彼女に正面からぶつかった。
「ふわっ!」
「へ!?」
ぼす、と漫画のような効果音付きで胸の中に突っ込んで来た桃色の頭に危うく袋を取り落としそうになる。
な、なんだろう唐突に。
「どう、どうしたんですか? あきら様」
僕の家に繋がる方の道に進むつもりだったのだろうか、でないと向き合って衝動なんてしないだろう。
こちらの道に彼女が寄りたがるような所なんてあったっけ。
傘の柄を握り直してそう聞くと、旋毛と額しか見えていなかったが彼女が顔を上げたので金色の目が現れた。
「どうって、どう……え、うー……んと」
目から下は上着に埋められたまま、顔はその位置から動かずに目線だけで見上げられる。
360隔たり縮まぬ相合い傘:2007/11/29(木) 02:24:37 ID:x1ox1CkA
これって、ひょっとして上目遣いとかいうやつか。可愛い。
「ん……お菓子、こんなにいっぱい、あきらだけじゃ食べらんないし」
見上げるのを止めて、額を上着に擦り付けて彼女はごにょごにょと呟く。
「苺大福もふたつ買っちゃったし」
僕の黒と彼女の白の間に挟まれた耳が、赤いような気がしないでも無い。
「払ったの白石なのに、あたしが全部持って帰るの悪いし」
彼女と触れ合っている所だけが暖かくて、背中と胸の温度の違いが予想した通りに生々しい。
「あんたのコーヒー牛乳もあるしさ」
そうやって気を遣っても、今ここで僕の分を渡してさようならするつもりでも無いようだ。
いつもはジュース買って来い肩を揉め等とはっきりと要求してくるのに、彼女は何が言いたいのだろう。
今日に限って妙に歯切れが悪い。
「ほんとにもう、お前は……ここまで言ってんのにどーしてわかんない訳……」
「ええっ、いやいやいや、そんな! 解ってますよ当たり前じゃないですか」
呪いのように低音で呟かれ、口で誤魔化しながら必死にあれやこれやと考える。
この人が望んでいることで僕が出来ることなら成る丈叶えたい。
けれど、何を望んでいるのか解らないことにはどうしようも無い。
なんだ、どうすればいい。
帰り道、一本の傘に二人、向き合って、頭を預けられて。
解らん、誰かヒントくれ。
気持ちばかりが焦って具体的な何かをしようにも出来ないでいると、くちゅん、と随分と可愛らしいくしゃみが聞こえた。
「え、あきら様風邪ですか?」
「かもね。なんか寒いし」
たっぷり余った袖で彼女は鼻を擦る。
寒いのはずっとこの場で棒立ちにさせてしまったせいだ。
それで、こんな所で棒立ちにさせてしまったのは多分僕のせいなんだろう。
そう思うと申し訳無いのと自分の情け無さにうんざりするのとで気持ちがいっぱいになってしまう。
とりあえずここでこうしていても埒が明かないので、とりあえず、とりあえず駄目元で提案してみる。
「あの……良かったら、その、寄られますか?」
「どこによ」
「ええと、僕の家……と言うかアパートと言うか……いや目茶苦茶しょぼいんですけどね」
ここから彼女の自宅までは結構ある。
それと比べれば僕が今住んでいる所の方が近いので、まあ、早く暖を取りたければそちらの方が得策だ。
361隔たり縮まぬ相合い傘:2007/11/29(木) 02:26:37 ID:x1ox1CkA
べ、別にあんたの体心配して言ってるんじゃないんだから! 勘違いしないでよね!!
………遊んでいる場合では無い。
じいっ、と半目で見据えられ、まずかったかと冷汗が垂れる。
「や、駄目でしたらいいんですけど、そんな無理にとは言いませんから。
あきら様さえ良かったら、です。ここにいても寒いだけですし」
沈黙が息苦しくて、つい早口で捲し立てる。
それを聞いた彼女は顔をずらして、僕の制服に頬を押し付けるようにした。
「……ふーんだ。やっと分かったって訳ね」
「は」
「さっさと行くわよ」
「ど、どちらに?」
「あんたんち。やっぱ駄目ですとか言うなよ、男に二言は無いんだからね」
体が離される。彼女の爪先は僕の家に繋がる道の方を向いていた。
触れていた、そこだけが暖かい。名残が体の奥に染み込んでいくような気がした。
この空とお揃いだった彼女の表情が少し明るくなったように見える、これで一安心だ。
自然と口振りが軽くなる。
「やだなー、あきら様ってば。言いませんよ二言なんて」
「どーだか」
小さな水溜まりを飛び越えた彼女の後に付いて、さり気なく隣に並んで、もう一度傘を掲げて、………………。
数歩も進まない内に、びしり、と音を立てて固まってしまった。
「んー? どしたの?」
いきなり立ち止まった僕に彼女は浮かしていた片足を地面に下ろして、結局半歩だけ進んだ位置で振り返る。
「や、何でも無いです」
強めに首を左右に振る。否定を示すのと、妙な感覚を振り払うために。
「? 変なの」
小首を傾げる彼女を視野に入れないように、ぎぎぎ、と錆び付いた機械のようなぎこちない動きで首と目を明後日の方角へやる。
今目を逸らそうとしているのは、彼女の今の有様と、それを目の当たりにした際の己の反応だった。
いつもは跳ねているサイドの髪が、雨に濡れたせいで頬に張り付いていた。
そこから零れた雫が、彼女のまだ幼い丸い輪郭をなぞり、
白い首筋を伝って大きく開いたセーラーの更にその奥に滑り落ちるのをたまたま見てしまって。
その時に、自分の喉が引きつるように揺れるのを感じた。
小さく溜め息を吐く。自然と視線が地面に落ちる。
あんまり、そういうことは。
362隔たり縮まぬ相合い傘:2007/11/29(木) 02:29:23 ID:x1ox1CkA
以前のアイドルとそのアシスタントという立場なら、気のせいの一言で片付けることも出来ただろうけど、
今はその範囲から足の指一本はみ出しているかいないか、自分達のことなのに良く解らない状態だから、なんと言うか。
彼女のことは好きだけれど、そういう対象では無いと自信を持って言えていたから、この提案も出来たのに。
今の今まで、彼女相手にこんなこと考えたことも無かった。
こんな微妙な心境のまま家に呼んでしまったら、そういう展開に流れてしまうパターンだって、
有り得ないことも無い、と思わないことも無い、と思ってしまう。………日本語じゃないな。
「あんたんちって、あれ?」
袖に包まれた手が、古い小さなアパートを仰ぐ。
この仕事がしたくて、親元から離れて一人暮らし。両親の説得にどれだけ苦労したことか。
「……ああ、はい。あれです、けど」
「けど?」
二言は言わないと言ったけど、言ってしまいたい。
やっぱり今日は家には上げられません、だとか。
彼女だって僕が一人暮らしをしていることは知っている筈だ。以前にそんな話題になったのを覚えている。
だったら、彼女だって彼女自身が困るようなことは進んでしないだろう。
「いえ、何でも」
自分から提案したことだし、ここまで来て帰すというのも酷だ。そんなことをしたら本当に風邪を引かせてしまうだろう。
大丈夫、僕がしっかりしていれば何もない。
部屋の前に着いて、鍵を使って扉を開く。
「お邪魔しまーす」
「どーぞー。何も無い割には散らかってますけど」
暖房を起動させて、部屋をさっと見渡す。
整理整頓が出来ているとは言えないけれど、細々した物が散らかっているだけでごみを放置したりしている訳では無い。
「ふーん。もっとごちゃごちゃに散らかってるのかなって思ってたけど、そうでもないのね」
彼女はぐるりと一通り部屋を見渡す。
一先ず彼女も僕も冷えてしまった体を暖めないとならない。
てことはあれか、風呂か。風呂でいいのか。
躊躇することなんて何も無い筈なのに、それを自分から言うのは遠慮してしまう。
結局、僕が何か言う前に彼女が口を開いた。
「白石」
「はい」
363隔たり縮まぬ相合い傘:2007/11/29(木) 02:34:11 ID:x1ox1CkA
「お風呂借して」
極自然な表情でそう言われ、かなりほっとした。
「あ、はい。こっちです、どうぞ使って下さい」
これが顔を赤らめてもじもじしながらだったらもう、ね、でも今この人もろに素だし。
それと同時に変に意識していたのはこちらだけだったのか、なんて少し残念に思ったり思わなかったり。
「使い方分かりますか?」
「たぶんね。どこの家だって大体同じでしょ」
脱衣所まで案内して、押し入れの中に新しいバスタオルがあった筈だよなと記憶を辿る。
早速それを取って来ようとすると、悪戯を閃いた子どものような表情を浮かべた彼女に、
「あのさぁ」
と呼び止められた。
僕が立ち止まると、彼女は余った袖ごと両手を口元に持って行く。
肩を窄めてくすくす笑っている。何か面白いものでも見つけたのだろうか。
「待ってる間、寒くない?」
「そりゃ少しは。でも」
「一緒に入ろっか?」
気にしないで先に入って下さい、と続けるつもりだったのだが、それもぶっ飛んだ。
この人今なんつった?
でかでかと、これは冗談ですと書かれた満面の笑顔でそんなことを言われ、
からかわれているのは火を見るよりも明らかだけれど、それでも首の根本からじわじわと熱が顔に上ってしまう。
「けっ……結構です」
やっとのことでそれだけ言うと、彼女は多分真っ赤になっているだろう僕の顔をちらりと窺って、
見ていられない、おかしくて堪らないといった風に再び俯いて笑い声を漏らす。
笑われてしまう程情けない表情をしているのが、鏡を見なくても良く解る。
「あきら様ー………」
吹き出す彼女に非難めいた声を上げずにはいられなかった。
「ごめ……でもさ、だって。あんたのそれ……ふふっ、その顔、顔!」
遊ばれている、思いっ切り遊ばれている。
人が悪いとなじるには余りにも幼い、正に悪戯っ子と呼ぶに相応しい振る舞いを見ていると、どうにかして一矢報いたくなった。
だってそんな、ただ驚かされるなら未だしも、その手の、そういう照れを伴うのはずるい。
ここが一人暮らしの男の部屋であることと、その男とは微妙な関係にあることを自覚して欲しい。
彼女のアイドル生命に僕が傷を付けてはいけないんだ。
364隔たり縮まぬ相合い傘:2007/11/29(木) 02:37:02 ID:x1ox1CkA
お腹で折り曲げられた体にくつくつと揺れる肩、
それから跳ねた一房の髪とつむじを見下ろして平気を装う。
「そうだ、あきら様。折角ですし」
普段の他愛無い会話の延長のように軽い口調で、ぽん、と手の平を合わせる。
すると手でお腹を押さえた体勢のまま、彼女は首だけ動かしてこちらを見た。
人差し指を立てて脳天気に笑って見せる。
そっちがそうなら、こっちはこうだ。
「御背中流しましょうか?」
時間が止まった。あきら様の。
そんな印象だった。
満足そうな笑顔が一瞬にして固まり、目が点になる。
次に弧を描いていた唇が薄く開いて、ぽかんとした表情になった。
「は? へっ?」
言葉の意味が直ぐに飲み込めなかったのか、きょとんとしている。
しかし一秒と経たずに折り曲げていた体を伸ばし、垂れ気味だった眉が跳ね上がり、更に眉間に控え目な皺が寄った。
まずい、怒らせた。
何時握り拳が飛んで来てもいいように反射的に身を固くするが、そこから明らかに彼女の様子が違った。
頬だけに止まらずに首筋から額に掛け、更には耳まで赤くして、
「んな、なに、なに言って………」
そう呟きながら後退りする。
が、何分狭いので直ぐに後ろの壁に背中が触れてしまった。
紅葉を散らしたようなという比喩は今の彼女にぴったりなんじゃないのか、それくらい鮮やかな赤色だ。
いや、それよりも。
そういう反応をされると、こっちの体温まで上がってしまう。
「なにが、なにが折角よ、なにが折角なのよ。い、いいい意味分かんない………白石のあほ、ぼけ、ばかじゃないの……」
ここまで効果覿面だとは。
あれ、ちょっとした反撃のつもりだったのに、なんでこんな。
一旦無理に押し下げた熱がまた湧き起こる。熱いなんておかしい、冷え切っていて寒い筈なのに。
紅葉を散らすどころか一面に打ち撒けたような顔で何故か目を逸らせずにお互い凝視して、
ってなんだこれ、睨めっこじゃないんだから。
「あ、あの」
駄目だ、この沈黙は耐えられない。
これ以上見詰めていてはどうにかなりそうなので視線を彼女から外す。
「冗談、だったんですけど……」
よーし言えた!
このままあれな流れ、あれってどれだよこんにゃろう。
とにかく変な展開に持って行かずに良く頑張った。偉い。
誰も褒めてくれないだろうから自分で褒める。よしよしみのる偉い偉い。
「ふぇ……?」
365隔たり縮まぬ相合い傘:2007/11/29(木) 02:42:49 ID:x1ox1CkA
弱々しい声が漏れて、思わずそちらを向いてしまった。
そこにはあきら様が壁に背中をくっ付けたままで、ぱちぱちと瞬きを繰り返していた。
「じょう、じょ……じょうだん………?」
そんな言葉は聞いたことが無いとでも言うように、小さな声を零す。
吊り上がっていた眉はへにゃりと垂れ下がり、形のいい唇が細かく震えていた。
次に頭が垂れ、肩が小さく震える。
よっぽど寒いのだろう、要らないことに時間を割き過ぎた。
早く風呂に入って貰うために僕が声を掛けるのより先に、彼女の頭が持ち上がった。
下がっていた眉は再び吊り上がっていて、鋭い目付きに似合わない赤い顔のままだ。
スカートの襞ごときつく握った拳を震わせながら、息を吸い込んで怒鳴り散らす。
「だぁれが、だーれが、いつ、何年何月何日何曜日何時何分何秒に本気にしたっつった!?
冗談に決まってる。あったりまえだろ、このぼけっ!」
「で、ですよね、そうですよね当たり前ですよね!」
「そーよこのあほ!
下んないこと言ってないでお前なんて箪笥の角に小指ぶつけてリアクション芸の練習でもしてりゃいいのよ!」
考えただけでも痛い。というか僕はリアクション芸人ではありません……。
でも良かった、本気にされていたらどうしようかと思ってた。いやどうもしないけど。
まあ、万が一ひょっとしてもしかして罷り間違って実は本気にされていたとしても、
キスなら未だしもちゅーなんて言うような人が、まさか背中を流してそこから先のことを考えている訳が無い、よな、無いと信じてる。
………今日は良く日本語が崩壊する。
「で? いつまでそこにいる気、あたしなんかに用無いんでしょ。だったら……」
底冷えするような声が殆ど閉じられている唇の隙間から冷気のように流れ出す。
あたしなんか、という彼女らしくない自虐とも取れる台詞に思わず目を見張ってしまった。
しかし、表情を窺うよりも先に袖に包まれた両手がセーラーの裾を摘んで軽く持ち上げていたのが目に入る。
脱ぐのなら僕が出て行ってからにして下さい、気の早い。
366隔たり縮まぬ相合い傘:2007/11/29(木) 02:45:32 ID:x1ox1CkA
それでフリーズしたのは驚いたからであって他意は無い。ないったらない。ないってば。
動かない僕を彼女は、あの白目の範囲が極端に広い目で見て、
「さっさと出てけ、白石の、白石の……」
セーラーから手を離して床に置かれていた液体洗剤のボトルを鷲掴みにする。
え、なんでそんな物持つんですか。まさか!?
「い・く・じ・な」
振り上げてー、
「しぃーっ!!」
投げたーっ!
なみなみ入っているから結構な重さの筈だ。それを片手で。
冗談だとは言え、悪ふざけが過ぎたみたいだ。
「え、ちょっ待っ、すみまふげっ!!」
風呂で暖まったら早いこと帰って貰った方がいいんじゃないのか、でないと二つの意味で僕の身が保たない。
痛いのともやもやするのとで。
36718-56:2007/11/29(木) 02:46:51 ID:x1ox1CkA
以上で投下終了です。
読んで下さった方、ありがとうございます。続きます。

ラジオやレポではバカップルを通り越して夫婦だと言うのに、自分で書くとほんとに進展しないなこの子ら……。
それでは。
368名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 02:56:08 ID:XjU3QfGe
>>367
GJ!!!やっぱりこの2人好きですわー。
じれったくて甘々なこの空間、ツンデレの鏡である。
369妄想屋(仮名) ◆JUqojnT5.c :2007/11/29(木) 03:00:00 ID:kNqO/IGW
なんかもう、今日も元気いっぱいですなこのスレ。
ゆーちゃん怖いよゆーちゃん(゚Д゚;;)

ときに、俺もこなたとみゆきさんが好きですw
こなたの半目とか、みゆきさんのメガネとか描いてるとゾクゾクします(ダメだこいつ)


……さて、先読みされてしまったので、『えす☆えふ』のこなつーを描いてみました。
みのるとあきらの四畳半フォークな佳作(GJ!)の余韻も覚めやらぬ中、本来はもっと待つべきなんだろうけど、
明日も朝早くて夜遅いもんで……トウカオワルノズットマッテマシタスイマセンorz


つ【ttp://freedeai.com/up/src/up5590.jpg




……うん。
最初は普通に立ち絵描いてたんだ。

どこで間違ったんだろうorz
370名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 07:18:36 ID:MVNlbfmk
>>369
いいえ、むしろ正しいですよ。ほら鼻血がゴフゥ
371名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 07:33:13 ID:Rua/eF8v
>>369
まったくもって正しいと思います。


ほら、その証拠に身体が溶けてきました。
372名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 07:34:27 ID:/FNeblBX
>>367
やぁったーきたー!!
白石の鈍感さ加減がすごくツボです。
GJですようひょー!

……サーセンとりみだした。
こうなったら自分も今日中に白あき投下する予定で行きます。
文章力を下さいorz
373名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 07:34:29 ID:Rua/eF8v
……上げちゃったOTL
374高良技研の日常:2007/11/29(木) 07:50:54 ID:KrR+v6WB
>>369

「大変だ、みゆき様がブルースクリーン状態だ」
「完全にフリーズだ、これ・・・」
「と、とりあえず、電源入れなおしてみようか・・・」

《みゆきさん、うざい!》(←電源オフ用MAD音声)
《みゆきさん、だいすきっ》(←電源オン用MAD音声)

「お、再起動した」
「ハードに異常はないみたいだけど、一応デフラグしとくか?
 最近混沌化が目立ってたし」



まあ何がいいたいかというと、あまりにもGJすぎということだ。
375名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 08:08:48 ID:Wcxa5pbm
>>374

ちょwwwみゆきさんもロボでつかwww
376名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 08:22:35 ID:ozNY4gLb
>>18-56
う〜んいいですな、ツンツンしてるのにどこかほのぼの……
それにつけても白石!お前は鈍い!!あれだけ露骨に誘われてるのに!!

>妄想屋(仮名) ◆JUqojnT5.c氏
は…はは…破廉恥でござる〜!
ってよく考えたらここエロパロ板なんですよね。
エロ無し良作が豊富に投下される日々に忘れかけていたw
と言う事で改めて、素晴らしい!GJ!
377名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 10:32:34 ID:f+U3MKYK
その昔壊れゆーちゃんを投下した者だが…少し遅レスさせてくれ。

>>344
それは俺のことか、俺のことなのか!?
また壊れゆーちゃん書きたくなってきたじゃないか、どうしてくれる?
…まぁなんだ、つまりGJということだ。
378名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 11:45:33 ID:IU00fpH5
かがみ
「ていうか、こなつーを『みゆきにベタボレ仕様』にしなかったのが不思議よね」
みゆき
「実は……プログラムでの自律思考が実装できなかったので、泉さんの脳内の電気信号や
 化学反応をまるごとエミュレートしただけなんです……お恥ずかしながら」
かがみ
「それはそれですごい技術ね……てか、何者だアンタ」


379名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 12:49:29 ID:i7tPcttE
こなた「さすがは生きたBOINCみゆきさん…






いや…ボインじゃないよ!?」
380名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 13:13:16 ID:yLEJ19K+
そうじろう「いやいや待て待て、それは少し間違ってるな。
      “ボイン『でもある』”が正しい」
381ぶーわ:2007/11/29(木) 14:26:47 ID:3MKRIpQf
どーも 投下させてもらいますね
ミステリーにしようかと思い立ったけどプロットがだるくて進んでません!
やっぱエロパロだし、エロ書かなきゃ追い出されるね! と思って挑戦してみました。
でもやっぱ 難しい! 軽い気持ちで読んで胃もたれしてやってくらさい

-warning-
・あいかわらずの続き物
・あいかわらずのかがみ主観 ないがしろみw(ry
・あいかわらずのパラレル
・あいかわらずのオリジ設定、オリキャラあり
・微グロ 微エロ

ああもうこりゃいい加減ついていけないなって人は、スルーで!
↓8レス拝借します
3820から始めよう! プロローグ:2007/11/29(木) 14:27:57 ID:3MKRIpQf
 ききーっ

 ぐしゃどさっ

 がしゃん

 ばきっ

 どくどくどく

 ざわざわ

 うぅーうぅー

 オネエチャン

 オネエチャン


 そんな、幼稚な音符の羅列。
 最初のが確か、耳を切り裂くようなブレーキの音。
 あとは何だっけ?
 そうそう、なんか重い荷物が壁に叩きつけられたような音。
 周りを取り囲む雑踏の話し声が、妙に耳に付いた気もする。
 あとドップラー効果のない、乱暴なサイレンの音も。
 それとそう……つかさの、叫び声。
 その音の羅列と一緒に世界がゆっくりと360度回転して、何かが視界に入った。
 そう、赤よ赤。
 目の前が真っ赤になってそれで……。
 それで、世界が……終わりを告げたんだ。

「おはようございます」
 はい、おはよう。
「こんにちわ」
 はい、こんにちわ。
「こんばんわ」
 はい、こんばんわ……って何なのよ、いきなり。
「あんた誰?」
「ええとその、何といいましょうか」
 目の前に現れた女性が、困った顔で首を傾げる。
 首を傾げたいのはこっちよ。
 気がつけば、こんなとこに居て。気がつけば、こんな女性が目の前に居て。
「まず、自分の名前が言えますか?」
 何よぶしつけに。
 そういうのはまず自分から名乗るもんでしょ。ふんっ、まぁいいわ。
「柊かがみ、それが何?」
「ええと、かがみ」
 呼び捨てなんて馴れ馴れしいわね。まぁ口を挟まないでおこう。
「では次に、自分の状況が分かりますか?」
 状況? この部屋に居ること?
 大分狭い部屋よね。
 狭くはないんだけど、色んな機材の所為で狭く感じるのかな。
 あとは部屋に居る人数。
 つかさもいれば、姉さんたちも居る。お父さんやお母さんだって。
 五人も居ればそりゃ狭いわね。
 おっと、私と目の前の女性を居れれば七人か。すし詰め状態とはこのことか。
 その皆でベッドを囲んでるわけで……おっと、ベッドにもう一人。
 ……あら? 見覚えのある顔だわ。
「あ……」
 その顔が誰かを思い出し、私の視界が歪んだ。
「お姉ちゃん……お姉ちゃぁん!」
 泣きじゃくるつかさの声が頭の奥で蘇る。
 ベッドに寝ているのは、私。ここに居るのも、私。
「そっか私……事故に、あったんだっけ」
 記憶の糸が次第に集まって、纏まっていく。
 あれはそう、つかさと一緒に下校してたんだっけ。
 それで轢かれたんだ……5tは軽く超えるトラックに。
 そういや二回転半を華麗に決めた記憶があるわ。
「私……死ぬの?」
 この狭い部屋はそう、病室。様々な機材に繋がれているのは、ベッドに眠る私。
 その周りを囲む皆の表情は……暗かった。
「このままでは、そうなります」
 ピッ、ピッと規則的に刻む音が私の耳に響く。
 それが今にも止まりそうな不安にかられ、汗が落ちる。
「じゃああんた……天使、とか?」
 ベッドの上に居るのは今にも命を灯を消しそうな私。そして、今ここに居るのも私。
 その姿は誰にも見えることはなくて、少し心細い。
 所謂そう……幽霊って奴。
 でも、目の前の女性は違う。そんな私を見て、そんな私に問いかけている。
 それはやっぱり……人間のそれとは、少し違うわけよね。
「……残念ながら、そうなります」
 と、残念そうにため息を漏らす。
 本当に、残念そうに。
「つまり、お迎えってわけね」
「いえ、少し違います」
 残念そうな表情のまま、言葉を続ける。
 違う?
 じゃあ一体何の用なのよ。
「……えーと、ちょっと待ってください」
「?」
 もう一度首を傾げる女性。
 そして何か分厚い本を取り出し、めくる。
「えっと、あ、あったあった。『残念ながら貴方はこのままでは死んでしまいます』」
 それは今聞いたわよ。
 私の意識が今ここにあるわけだから、そりゃ目も覚めないわよね。
「『ですが、貴方には生き続けるチャンスがあります』」
「はぁ?」
 また私が首を傾げる。
 いきなり何を言いだすわけよこの天使様は。
「『貴方がもう一度生き続けるためには、10000TPが必要です』」
 一万はまぁ、分かるわよ。数字よ数字。
 その次がなんだって? 何の単位だそれは。
「『TPの説明は108ページ』、えーと108108……」
 ペラペラとページをめくっていく。
 くぅ、まどろっこしい。
「『TPは天使ポイント。善行を積むと溜まり、蛮行を働くと減っていきます』」
 そう、淡々と読み上げていく。
 そしてまた先ほどのページまで戻す。
「『以上を相手に告げる。要チェック! 暗唱できるようにしておくこ……』あ、ここ読まなくていいんだった」
 暗唱出来てねーじゃねーか!
 な、何なんだこいつは。
 天使、というわりには随分抜けてる気がする。
「す、すいません。何分まだ勘が取り戻せなくて」
 勘とかあんのかよ! こちとら死にかけてんだぞ!
「いやー、ちょっと前はもうちょっと偉かったんですけどね。ちょっとヘマやらかしまして」
 と、照れながら本を閉じる。
 何よ、地球でも壊しかけた? え? そんなレベルじゃねーぞ?
「こうやってまた下積みで頑張らないといけないなんて……はぁ、辞めちゃおっかなー。でも時給いいんだよなー」
 ……。
 ああ、えっと。
 そうね。
 息を整えて、抉り込むように……打つべし!
「ふごふぅっ!」
 お、当たった。
 良かったわ、触れないかと思った。
「うぅ、少しは敬ってくださいよぅ」
「あんたの身の上話はどうでもいいから、進めなさいよ。ようはまだ死ななくてすむんでしょ?」
 そのTPだっけ? それを一万貯めろって?
「ええ、このままだと貴方の意識は戻りません。そのまま衰弱して死んでしまいます」
 まだ非現実すぎてついていけないけど、それだけは分かったわ。
 所謂これはあれでしょ? 臨死体験というか、なんというか……。
「まぁ、生霊ですよね」
 てめーも似たようなもんじゃろがい!
「うぅ……またぶったぁ」
「とりあえず場所変えましょ……ここじゃちょっと、話しづらいわ」
 こいつの騒がしいの声も、私の声も、この部屋の誰にも届いていない。
 部屋の中の……心配そうに見つめてる皆には。
 その顔を見るだけで、かなり辛い。
 そりゃそうよね……皆私を心配してるんだから。
 とりあえずこの間抜け天使から色々聞かないと。
 ああ、もっとシリアスな話になるはずだったのに!
 また怒られるわよ、散々詩的すぎるとかもはや別人だとかって言われてるのに。
 はぁ……ったく、まともに始めなさいよ!!

・現在のTP:0
「えー、では話を続けましょう」
 病院の中庭らしき場所に移動。
 まぁ、あそこよりは空気がいいわ……しかしこいつ、またハウトゥー本必死にめくってるよ。
「そのTPを貯めるには善行? だっけ、具体的には何すりゃいいわけ?」
 こんな体じゃ何も出来ないわよ?
 さっきだって、壁すり抜けたんだから。つか浮いてるし。
 幽霊って本当に居るもんなのねぇ。
「ええと、表がありますね……『ゴミの清掃:1TP、失くし物を見つけてあげる:5TP』」
 ああ、行動によってポイントが違うわけか。
 そりゃややこしいわね。
「もっとポイント高いのないわけ? 一回で一万いくようなのぐらい」
「ありますよ、これが表です」
 えっと何々……。
『武力による全戦争行為の排除:10000TP
 全自動たまご割り機発明:10000TP
 ヒナ○ザワ一週間の旅:10000TP』
 ……さすがに無理だろそりゃ!
 つかどれもこんな体じゃ結局無理じゃない!
「ああ大丈夫ですよ、こんな表もあります」
「? 何よそれ」
 違う表のページを開く。
 そこにはまたビッシリと文字が。
「『触る:5TP、喋る:10TP……なにこれ?」
「ポイントを使えば、行動を広げる事が出来ます」
 じゃあ何よ、これで善行を積めって?
 はぁ……思ったより簡単じゃないらしい。
「で、今はどれだけあるわけ?」
 少しくらいはあるでしょ?
 使えないと貯まらない、貯まらないと使えない。無限ループって怖くね!?
「0です」
 ……。
 おい、なんだそりゃ!
「0から始めるのが、ウチの規則なんですよねー」
 規則がどうした! 0じゃどうしようもないじゃない!
「あ、大丈夫ですよ。マイナスにも出来ますから」
 借金かよ畜生!
 あぁ……先は長そう。頭痛くなってきた。
「使うときは私に言ってくださいね」
「何よあんた……ずっとついてる気?」
 邪魔でしかたないわこんなヤツ。
「いえ、呼んでくれればすぐにでも来ますよ。早速使いますか?」
「そうね……まぁ、触るぐらいなら」
 それで−5TPだっけ? 安いものよ。
「じゃあそうね……善行でしょ?」
 適当に近くに落ちてる空き缶を近くのくず入れに。
 確かこれで+1TPよね。
 今−5だから、これを五回繰り返せばようやく0か。じゃあ十個ぐらい纏めて……。
「ブーッ、駄目です」
「えっ、な、何でよ?」
「そこは燃えるゴミです。はーいチケット切りまーす」
 どこの駐禁だよ!
 じゃ、じゃあいいわよ。くず入れから拾って燃えないところに……ん?
 伸ばした手が空を切る。
「ちょっと、触れないわよ!」
「はい、今一回触りましたから」
 ……。
 ま、まさか……一回ごとに!? ぼったくりすぎよ!
「あ、フリーパスがありますよ。触り放題:500TP」
 高あああああっ!
 くぅううだからっていきなりそんな借金背負うわけにもいかないし!
「と、とりあえずもう一回だけじゃあ使うわ」
 空き缶を燃えるゴミから取り出して、隣りに投げ入れる。
 はぁ……情けない。死にかけてるってのにゴミの清掃だなんて。
「ええと、二回触ったので−10TP、可燃ゴミに缶を投入−30TP、ゴミの清掃:+1TP。現在−39TPです」
 とか紙にメモし始めやがった!
 適当に、なんてやるんじゃなかった!
 つかゴミ分別しなかっただけで−30かよ!
 ああ、これからは考えて使おう……てゆーかこんなペースで一万なんて溜まるわけ?
 はぁ……先行き不安だ。
 いいや、もう一回部屋に戻って少し落ち着こうかな……ん?
 なんだろう。不思議な気持ち。
 こう、心が洗われていくような……成仏していくような。
 ってか何か私薄くなってない? ああ、意識が朦朧と……って待て待て待て!
「ちょっと、何よこれ!」
「あっ、えっ、あれぇ?」
 慌ててまたハウトゥー本をめくる。ああもうだからなんでそんな分厚いんだよ!
「絵がついてるのこれしかなかったんですよぅ」
 いいから探せ!
 これはかなりやばいでしょ! 消えかかってるじゃない!
「あ、ありましたありました。えーっと『霊になると本体から離れるため、一定時間経つと成仏してしまいます』。ふむふむ」
 ふむふむ、じゃねーよ!
 はよ続き読め!
「『そのため、新しい宿主に憑かなくてはなりません』」
「宿主? 何よそれ」
「えーっと、宿主については2P……」
 大分最初じゃねえか!! こいつさては絵のところしか見てないな!
「『宿主について:宿主にとり憑くことで、霊は形を保てます。それぞれの宿主は事前に担当の天使に伝えられています』」
 担当の天使……。
「ってあんたじゃない!」
「ぐへっ、み、耳が千切れますぅっ」
 一回千切れろそんな耳!
 ああもう、怒るのは後にしよう。
 今はその宿主に憑かないと、成仏するって?
 早く連れて行きなさいよそこに!
「あ、そういえば何か封筒貰ったんでした」
 そう言って慌ててゴチャゴチャと荷物を何処からか取り出す。
 そして数分経ってからようやくクシャクシャの封筒を取り出す。
 人の重要書類をこの野郎!
「えーっと、あ、書いてありますね。この人に憑かないといけないみたいです」
 勝手に決まってるの?
 ああもう、いいから早く!
 出来れば男は嫌よ、何か一緒に居ないといけないみたいだし。
 せめて女性……願わくば知り合い! てゆーか身内で!
「あ、同い年の女性ですよ。住所も乗ってます」
「名前は? 同い年なら同じ高校とかかも」
「ええと……」
 視線を滑らせていく。
 横から私も覗き込む……ってこれ履歴書じゃねーか!
「泉、こなたさんですね」
 ……。
 うん。
 何ていうのかな、まぁ誰もが同じ印象を受けるわよね。
 というか想像通りの反応か。
 ……誰だろ
3870から始めよう! 3.共有しよう!(1/3:2007/11/29(木) 14:43:09 ID:3MKRIpQf
「ここですね」
 表札に書かれてるのは、『泉』の文字。
 うん、確かに住所は間違いないわね。
「どうすりゃいいの? 憑けったって言われても」
「ええと、とりあえず体に触れればいいだけらしいですよ」
 移動の間もハウトゥー本を読んでたらしく、自信満々に言い放つ。
 そういうのは最初から出来るようにしとこうな。
「触れば、ね」
 じゃあ簡単か。
 とりあえずそいつを探さないとね。
 もう学校も終わってる時間だから居るはず……居なかったら終わりだけど。
 家の中に入ると、妙な異臭に気がつく。
 匂いはあるのか……視覚、嗅覚、聴覚ぐらいはあるわけね。
「大分、汚いですね」
 本当よ、片付けぐらいしないわけ?
 ゴミは散らかりっぱなし、洗濯物は投げっぱなし。
 台所にいたってはカップラーメンが山積みじゃない。
「あ、この部屋じゃないですか?」
 それらしい部屋の前までやってくる。
 中を覗くと、確かに人が居た。
 机のパソコンに向かって座り、しきりにマウスをクリックしている。
 でも……。
「同い年でしょ? 大分小さくない?」
 小学生ぐらいよこれじゃ。
 もっと別の部屋があるんじゃない?
「いえ、この子みたいです。泉こなたさん、陵桜学園高等部2年E組所属」
 同じ高校かよ!
 しかもつかさと同じクラスじゃない。
 ……んー、でもこんな子居たっけ?
 何回はつかさのクラスに行った覚えはあるけどなぁ。
 こんな特徴的な子だったら目に付きそうなものよね。
「あ、い、急いだほうが」
「んああ、だったわ」
 その小さい体に手を伸ばす。
 その手が肩に触れるのと同時に、消えかかっていた体が元に戻る。
 ふぅ……一安心。
「なるべく宿主の近くに居ないといけないそうです。遠くに長時間離れるとまた成仏いちゃうそうです」
 じゃあこの小さい子の傍に居ないといけないわけ?
 大体さっきから何やってるのかしら、なんかパソコン弄ってるけど。
『んっ……あっ、はぅっ』
「……あらあら」
 と、天使が頬を染める。
 パソコンの画像を覗き込んだからだ。
 画面に映ってるのは、何ていうのかな。
 こう、大分モザイクがかかってて内容が分かりづらいけど。
 漏れてくるのは大音量の……喘ぎ声。
「エロゲーかよ!」
「最近のは凄いですねぇー」
 とニヤニヤと頬を緩ませてやがる!
 つーか何処をどうやったら高校生が18禁のゲームを買えるんだ!
「……」
 無言のまま、カチカチとマウスをクリックしていく少女。
 その度に喘ぎ声が漏れ、気恥ずかしくなる。
 まさかこの子も、後ろから二人に覗かれてるとは思うまい。
「えー、宿主が法律を犯す:−80TPっと」
 ってチケット切られてるぅううううう!
3880から始めよう! 3.共有しよう!(2/3):2007/11/29(木) 14:44:53 ID:3MKRIpQf
「な、何でよ! こいつが勝手にやってるだけでしょ!?」
「あれ、言ってませんでしたっけ? 宿主の行動もポイントに加算されますよ」
 んがくくっ!
 じゃあ何よ、私がいくら貯めてもこいつがエロゲしまくってたら一向に貯まりやしないじゃない!
 つか80は行きすぎだろおおおお!
「現在−119TPです☆」
 笑顔で言いやがったこの野郎。
 くぅう、ええいじゃあいいわ。止めてやろうじゃない!
「ポイント使うわよ、触れるようにして!」
「はぁーい、5TP消費します」
 用はこのパソコンがいけないのよ、せいやぁ!
「!」
 少女の体がビクンッと跳ねる。
 思いっきりコンセント引き抜いてやった。
 これで続けられないでしょ!
「あれぇ?」
 急に真っ暗になったデスクトップに不審を抱き、数回叩く。
 でも主電源が抜けてるわけだから、点くはずもない。
 今まで入ってたって思い込みがあるから、案外気がつかないのよねこういうのって。
「……ああもう、いいや」
 数回電源を押したり、マウスをクリックした後に机から離れてベッドに身を投げる。
「これでどう? 宿主の法律違反を止めたわよ!」
 せめて1ポイントぐらいあるでしょ!
「ええと、言いにくいんですけどポイントなしです」
 ぐはっ……くそっ、まぁいいか。
 騒がしい喘ぎ声が止まったわけだし。
「しかも電源が入ったパソコンのコンセントを抜く:−10TPです」
 んなのもあんのかよ!!! そりゃ確かに危険だけども!
 はぁ……まだ借金街道まっしぐらだ。
「はぁ」
 と、私と同じようなため息が部屋に響く。
 さっきの少女のものだ。
 ん? なんだろうこの気持ち……妙に気分が高揚してる。
 何ていうの? こう、ムラムラと……。
「んっ……」
「ひゃっ!」
 ベッドの少女から、声が聞こえたと思った瞬間だ。
 思わず、私の声が漏れた。
 みっともないような、今パソコンから漏れたような声。
 な、何今の。
 体に電気が走ったような感覚。
「? どうかしましたか?」
「えっ……いや、今何かひぃぅぅっ!」
 体がビクッと反応し、下半身に妙な感覚が襲う。
 妙な下半身の異物感と快楽に、体が仰け反る。
 だ、だから何なのよこれ!
「あっ、え、えとちょっと待って下さい」
 思い出したかのように、慌てて本を広げる。
 な、何でもいいから早く……うう、これはあれだ。
 快楽……ってやつ。
 今私の下半身からゆっくりと脳にまでアドレナリンが溢れまくってる。
 何で? だからそれを聞いてるのよ。
「やっ……ん、ぅ、ぅうう」
 口を自分の手で塞いでも、喘ぎ声が自制出来ない。
 顔が火を噴くような羞恥心に襲われ、ジワジワと感覚が麻痺していく。
 押し寄せる快楽の波には一度だけ、記憶がないわけじゃない。
 一度だけ、そう一度だけよ?
 ちょっと興味本位で一度だけ……したことがある。
 それによく似て……ってゆーか、それそのまんまだよ!
3890から始めよう! 3.共有しよう!(3/3):2007/11/29(木) 14:49:51 ID:3MKRIpQf
「う、ん、んんんぅっっっ!」
 口を抑えた手から一気に声が漏れ、私は……果てた。情けない声と、ともに。
「あー、そのえっと。いいですか?」
「……何よ」
 おずおずと話しかけてきた天使をギラリと睨んでやる。
 うう、顔が真っ赤だ……恥ずかしい。訳は分からないが、何故か今私の体を快楽が襲ったのは確かだ。それも強制的に。
「どうやら、宿主とは……感覚を共有してるみたいです」
 と、ハウトゥー本を見ながら答える。
 感覚を? ……。
「じゃ、じゃあまさか!」
 と、ベッドを見る。さっき寝転がったはずの少女。
 その少女もまた、頬を染め恍惚の表情をしていた。その両手はそれぞれ、下着の中に。
 じゃああれ? エロゲでムラムラしたから自慰してたってか! どこの中学生だ!
 うぅ、酷い目にあった。これじゃ無理矢理されたのと一緒よ……恥ずかしいったらない。
「あ、で、でも可愛かったですよ。喘ぎ声も」
 てめぇこの野郎ぉおおおおおおお!
「ち、千切れますぅううう」
「あんたが説明しなかったのが悪いんでしょ!」
 くぅうう毎回このエロガキが自慰するたびにこんな目に会うってわけ? 冗談じゃない!
「あ、でも悪い事ばかりじゃないですよ? ご飯を食べれば味も共有出来ますし」
 視覚、聴覚、嗅覚までは残ってる。ないのは触覚と味覚……それは宿主が肩代わりってわけ?
「じゃ、じゃあちょっと待って。こいつがもし怪我したら……」
「そりゃ……痛いです」
 くそっ、痛覚までかよ! しかも一方的と来たもんだ……どうしよ、本当。
「宿主用のポイントもありますよ」
「宿主用? 何よそれ」
「ええと、50TPで宿主にだけ声が届きます。100TPで宿主にだけ姿が見えます」
 それは……使えるのか? むしろビックリするだけでしょ、意味ないない。
「あと他にも……」
「あーいいわ、どうせ使う事ないから」
 こんなエロガキと心を交流させてどないせっちゅーねん。
「つーか親は何してんのかしら、一軒家だし他にも住んでるはずよね?」
「ええと、確か……」
 また封筒から履歴書を取り出す。
「ああ、母親は亡くなってますね……『去年』」
 ……なるほど、何となく理由が分かった。部屋が汚いのは多分、その所為かな?
「それでどうやらひきこもってるみたいです、この子」
「ああ、そういう事」
 どうりで顔に見覚えがないわけね、学校もそれで行ってないってわけか。
 お母さんが死んだショックからまだ立ち直れないって所かな?
 ……そりゃ辛いか。
 私も想像しただけで、ちょっとひきこもりそう。
「あ、そーだ。凄いですよ!」
「?」
 思い出したかのようにもう一度分厚い本をめくりだし、私に突きつける。ええと何々……。
「ひきこもりを社会復帰……5000TP!?」
 凄ぇ! もうノルマ半分じゃん! 今までのマイナスも一気にチャラ、勝利は目前!
「スピード解決で私も出世! 現場に復帰!」
「ん? 何か言った?」
「いえ何も」
 まぁいいわ、今後の目標が決まったわね。
 目指せ5000!
 目指せ脱・ひきこもり!

・現在のTP:−134(−)
390ぶーわ:2007/11/29(木) 14:51:27 ID:3MKRIpQf
続きます。
タイトル考えてから、似たようなタイトルの漫画がある事に気がつき俺涙目
あいかわらず読みにくくて失礼。
前(人袖触)のでシリアスものに頭使いすぎてパンクしたのでユルイギャグものでも書ければと思ってます
あ、もちエロありきで……またどうせ 路線変更すんだぜ!

次回『4.仲良くなろう!』
391名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 15:29:31 ID:4H2HUCFS
>>390
新作きた〜
今回は軽いノリな感じですね
事故の影響なのか設定上なのか、こなたの事を覚えてない?知らない?
かなたさん?もゴッドからエンジェルに格下げッスか…
お互いがんばれ〜
392名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 17:11:22 ID:a0a8ZMwk
>>391
並行世界ものではないかと。かなたさんが死んだのが『去年』だったりしてるし。
やっぱり、新米天使はかなたさん?

♪新米天使 カンペをガン見で かなたさん♪
♪新米天使 説明忘れて かなたさん♪
♪引いて 削って 減らして♪
♪取って 奪って なくして♪
♪でもそれって 私のTP〜♪
393名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 17:25:31 ID:c6yv/C6R
オリキャラありって書いてあるし、
天使がそうなんじゃ。
39412-512:2007/11/29(木) 18:21:25 ID:Ibon7UVC
投下します
書いてる内に長くなったので前後編ということにしました
確かなカプはありませんが、ななこ、みゆき、ひかるの三人がメインです
5レスほど頂きます
395ティル・ナ・ノーグの縁で前編(1/5):2007/11/29(木) 18:23:00 ID:Ibon7UVC
日はとうに暮れ、生徒達が家路に着いた後も職員室には煌々と明かりが灯っていた。
12月も半ばの今、教師達は期末テストの採点、成績表の作成で大わらわだ。
当然黒井ななこも例外ではなく、赤ペンを片手に答案の山と向き合っていた。
手書きの文字の向こうに生徒達の顔を思い浮かべつつも、手は機械的に動き続ける。
そして一際整った文字の答案が山の中から現れた。
隙がなく、それでいて優しい丸みを帯びた字。
ななこはある期待を胸にペンを走らせる。
まる、まる、まる……。
「やっぱ満点か、さすがやなぁ」
採点する側にも満点は一種の快感をもたらした。
つい心の声が口をついて出る。
「嬉しそうですね、黒井先生」
ななこが振り向くと、後ろには養護教諭の天原ふゆきが立っていた。
指に保健室の鍵を引っ掛けている所を見ると、もう帰る所らしい。
「まぁ、採点もしやすいですし。ちゃんと話が通じてるんやなぁ、って気になるんです」
「生徒達の考えてることってなかなか解りませんよねー」
頬に手を添えてため息をつく、その一連の動きがなんとなくななこの気を引く。
毎日のように彼らの悩みを聞かされるふゆきには、より身近な問題であるらしい。 
「天原先生はもうお帰りですか?あぁ〜もうウチも今日は終わりにしようかな」
大きく伸びをして、壁の時計に目をやる。時刻はもう九時近い。
「もう遅いですしね。じゃあ私これだけ返してきちゃいます」
二人はそれぞれ身支度を整えると、残った同僚達に挨拶して職員室を出た。
「うおっ、さぶいなぁ」
人気の無い廊下は実際の気温以上に寒々しい感じがして、ななこはコートの首もとを手で押さえた。
「職員室は暖房効いてますからね。ななこ先生も健康には気をつけないといけませんよ。
396ティル・ナ・ノーグの縁で前編(2/5):2007/11/29(木) 18:24:57 ID:Ibon7UVC
三年生の担任をなさる方はこれからストレスの掛かる時期ですし」
「いやあ、もうすでに胃が痛とうて仕方ないですわ」
「えっ、大丈夫ですか?保健室に来ていただければ診察しますよ」
「あ、いや今のは冗談で、そんな大したことは……」
ななこが明るく笑って見せても、ふゆきはしつこく健康状態について質問を繰り返した。
その堅苦しい態度にななこは内心苦笑したが、心配してもらえたことに悪い気分はしなかった。
「本当に大丈夫ですって。
 最初は心配やったけど、ここは進学指導しっかりしてますから、担任いうても気楽なもんですわ」
「三年の担任になるのは初めてでしたっけ?」
「そうです。講師やら一年の担任やら何度かやって、それで一昨年から持ち上がりで」
もう片手の指では足りないだけの年月が過ぎたことを、ななこは今更になって実感した。
「若い先生は生徒達を送り出した反動でガクッとくることもありますからね。
 ななこ先生も思い入れのある子とかいらっしゃるんじゃありませんか?ほらあの、髪の長い子とか」
「泉ですか、あいつとはネトゲやらなんやらで卒業しても付き合いは続きそうやしなぁ。
 それに基本的に器用な奴だから全然心配する気にもならんし……。
思い入れねぇ……あ」
ななこは一昨年、ある生徒のことを自分が気に掛けていたことを思い出した。
お互いを探り合う息苦しい空気の中で、勇気を振り絞って手を挙げたあの子。
その年、一番最初に名前を覚えたあの子。
「あっ、やっぱりいるんですね。誰なんですか?男子ですか、それとも女子?」
「こら、人の噂が好きな養護教諭ってのはどうなんや?」
ほんの小さな呟きをふゆきは目ざとくとらえて、嬉しそうにつめ寄ってきた。
その無邪気な態度につい敬語が崩れる。
「ちゃんと公私の別はつけてます。生徒からの相談は絶対漏らしたりしませんから」
「調子ええなあ。まあ別にいいんやけど……女子ですわ、ああ、少しふゆき先生に似とるかもしれん」
「えっ、どういう所がですか?というか名前を言って下さいよ、気になるじゃないですか」
「天然ボケな所とか、マイペースな所とか。
あいつは保健室とかあんま行ってなさそうやし、名前言ってもわからへんと思いますよ」
「あー、養護教諭の情報網をばかにしてますね。っていうか私が天然ってどこがですか?」
絵に描いたように天然な反応がおかしくて、ななこは吹き出しそうになった。
「胃は大丈夫やけど、先生のせいで腹筋が痛うなってしまいそうや」
「もうっ、そんなのに効くお薬はありませんよ」
他愛の無いおしゃべりの中で、あの子の記憶が段々と蘇っていく。
一年の一学期、あの子はまだ自分の力の活かし方が解らずに戸惑っていたっけ。
見事にクラスメイトたちを仕切る姿に上書きされてすっかり忘れてしまっていた。
「わかりましたって、今度暇な時間があったら話してあげますから」
「約束ですよ。またななこ先生の好きなお茶を用意して待ってますから」
銘柄なぞ何一つ知らないななこだったが、ふゆきの入れるお茶は好きで度々ご馳走になっていた。
柄じゃないなと思うけれど、美味しいお茶を頂きながらちょっとした思い出を語る、
たまにはそういうのも良いのかも知れない。
「思い出か……あいつは覚えているんやろうか?」
397ティル・ナ・ノーグの縁で前編(3/5):2007/11/29(木) 18:25:32 ID:Ibon7UVC
あかん、面倒くさいことになった。
ななこは俯きがちな生徒達を前にして、密かに毒づいた。
入学式の翌日、ななこのクラスは最初の学級委員決めでつまずいてしまった。
今までに受け持ったクラスでは、大抵乗り気な奴が一人くらいはいて、すんなり決まっていた。
そうでなくとも、仕方なさそうな顔をして手を挙げる三枚目がいたものだった。
けれども今度のクラスではそのどちらもいないようで、教室中にただ倦怠感だけが広がっている。
中には居眠りしている生徒すらいる。春風にそよそよと揺れる癖っ毛が憎たらしい。
今挙げなきゃならんのは毛やない、手や。
「別に大変な仕事やないさかいに、気軽に手上げたってえな」
唇をどうにか笑みの形につり上げてみても、生徒達はななこの顔を見ようとしない。
その間にも沈黙はどんどん重苦しさを増していく。
「あー、もうどうっしても立候補者がいないんなら、くじ引きにするぞ。お前らそれでええんか?」
ななこが大きなため息と共に最後通牒を突きつけたその時、教室の真ん中あたりでおずおずと手が挙がった。
「……あの、私学級委員やります」
「おおきに!えっと、読み方はタカラでええんか?」
「はい、高良みゆきです」
ななこは名簿を見ながら黒板に大きく名前を書いた。
「じゃあ、高良。早速前に出て仕切ってくれるか」
みゆきは静かに席を立ち、楚々とした足取りでななこの脇に並ぶと、同級生達に向かって軽いお辞儀をした。
たったそれだけの動作に本物の育ちの良さを滲ませたみゆきに、ななこは驚いた。
それから弾みがついたように次々役職が決まっていく中、ななこは横目でみゆきを観察し続けた。
出る所は出つつも、決して下品に見えないプロポーション。
指先まで神経の行き届いた姿勢。毅然としてよく通る声。
艶めいてふんわりとボリュームのある髪。日に焼けた所がまるで想像できない肌。
てきぱきした仕事振りを見るに、頭が良いのも間違いなさそうだ。
野暮ったい大きな丸眼鏡だけが、どうにかそれらの発する過剰なオーラを押さえつけている。
突然現れた規格外の存在に驚いているのは、生徒達も同じのようだった。
とにかく新しい流れに乗り遅れまいと、自分から手を挙げていく。
それ自体は望ましい事だったが、みゆきのこれからを案じると、ななこは素直に喜べなかった。
立ちすぎたキャラは、時にその人自身の重荷となってのしかかる。
一種熱狂的な光景を前に、ななこはこの日二度目のため息をついた。
398ティル・ナ・ノーグの縁で前編(4/5):2007/11/29(木) 18:26:54 ID:Ibon7UVC
そんなことがあって、ななこはクラスの中でみゆきを特に意識するようになった。
背格好と姿勢の良さのおかげで、どんなに離れていてもみゆきはよく目についた。
その姿は隣を歩くのを躊躇われる程様になっていて、実際大抵の場合みゆきは一人だった。
そうでない時は集団の後ろにひっそりと付いて行くような感じで、やはり輪の中からは少し外れていた。
昼休みに弁当を持参してクラスを訪ねてみたこともある。
最初に訪ねた時、みゆきは前の席に座っていた女子と雑談をしていた。
太めのセルフレームの眼鏡と所々に浮かんだニキビが特徴の、言い換えればごく普通の地味な女子だ。
さりげなく耳を傾けていると、有名な作家の名前が聞こえてきた。
そこでななこはその子が、図書委員に立候補していたことを思い出した。
……またらしい子やなあ
教師生活も四年目、この手の子は色んな所で見てきた。
直感がこの子はみゆきとは合わないだろうと告げていた。
生徒を外見で分類するようで気が引けるが、この直感というのは大抵当たるのだ。
一月程たってまた教室を訪れた時、その子は窓側の隅で友達とおしゃべりに夢中になっていた。
今度はもう話の内容を聞き取るのに耳をそばだてるまでもなかった。
そしてみゆきはというと、相変わらず自分の席で黙々と箸を動かしていた。
色とりどりの食材が、決まったペースで形のいい唇に吸い込まれていく。
ななこはその様をぼおっと眺めていたが、ふと立ち上がってみゆきに歩みよった。
「よお、高良。立派な弁当やなあ。母さん料理好きなんか?」
「ええっ、あの、なんですか?」
みゆきは大きく身震いして、つまんでいた卵焼きを取り落とした。
その過敏な反応に、話かけたななこ自身も驚いてしまう。
「あ、いやな、すごい手間かかってそうやから、どうしとるんかなー、思て。
 ウチなんていっつも店屋ものやさかいに」
「そんな大層なものではないんですよ。夕べの残り物も沢山入ってるし。
 朝作ったのはこれくらいです」
みゆきはサラダとウィンナー、そしてナプキンの上に転がった卵焼きを指さした。
細切りの人参と薄くスライスした玉葱のサラダには、レーズンとくるみが散りばめられていた。
「こんなサラダ初めて見たわ。やっぱり甘いんか?」
ななこは前の席に腰をかけると、弁当箱をのぞき込んだ。
「ドレッシングはかかってますけど、やっぱり甘口ですね。
 道具を使えばすぐ出来ますし、朝食によく作るんです。本当に簡単なんですよ。まずスライサーで……」
何が恥ずかしいのか、みゆきはいかに手間のかかっていない料理であるか解説しはじめた。
時折混じる身振り手振りがおままごとのように見えて、なんだかおかしかった。
「……というわけで、私は別に料理上手というわけではないんですよ」
「ほー、そーなんか、ってちょっと待て。この弁当高良が作ってるんか?」
親の愛情を素直に受け取れない年頃なんやろうか。
勝手にそう解釈して微笑ましく思っていたななこは拍子抜けした。
「はい、そうですけど……あれ、私言ってませんでしたっけ?」
そんな勘違いしているとは思いもよらないみゆきは不思議そうな顔していた。
「……そういや高良は母さんのことなんか一言も話してへんかったな。
 いやーウチはてっきり母さんが作ってるやと」
「でもこの夕べの余り物は母が作ったものですから。詰めてるだけで私の仕事なんてほとんどないんですよ」
「それだけでも偉いと思うがな、盛りつけも綺麗やし。このちっこいおにぎりも自分でやってるんやろ?」
二段になった弁当箱の片方には、一口サイズのおにぎりが五つ詰められていた。
海苔巻にされたものと、白いままのものが交互に並んでいる。
「あっ、はい。こっちの海苔が付いてる方は塩鮭を入れてあります。
 それで白いほうはおかずと一緒に食べるためのものですね」
「色々考えとるんやなぁ。ウチも昔はもうちょっと頑張ってたんやけど。
 今はだめや、もう朝早う起きて料理する気にならん」
ネトゲで夜更かししているから朝起きられない、とは言わなかった。
399ティル・ナ・ノーグの縁で前編(5/5):2007/11/29(木) 18:27:38 ID:Ibon7UVC
「お忙しいんですね。夕食はきちんと食べてるんですか?」
「自炊は半分くらいやなぁ。そもそもウチは家事全般苦手でな。もういっそ嫁が欲しいくらいや」
話題が繋がったとみるや、ななこは大胆に踏み込んでみることにした。
「ええっ、嫁……ですか」
「おう、それに嫁ならウチに仕事やめろーとか言わへんやろ?
 ほんま高良みたいな奴が嫁に来てくれたら最高なんやけどなぁ」
「え、ええっと、私は女性で、黒井先生も女性なわけで、その、日本では同性婚は……」
みゆきは顔を赤くして、消え入りそうな声で何事か呟いている。
予想以上のうろたえぶりに、ななこは気を良くした。
「もう冗談や、冗談。そんな赤くなっちゃって可愛いやっちゃなあ。
 あ、それともあれか、ほんまにウチの嫁になりたいんかー?」
「わ、私はその、そういうの慣れてないので……でも、先生が嫌いってわけじゃ」
そのままみゆきは下を向いて黙り込んでしまった。
生真面目そうなみゆきに振るネタとしては早すぎたかと、小さく舌打ちする。
膝の上で堅く握りしめられた手に、ななこは潮時を感じた。
「あはは、褒めとるんやから、そんな堅くならんでもええって。
 おっと、ウチ次の授業があるからそろそろ行かな。じゃあな〜」
「先生、あの……」
無駄に勢いよく立ち上がったななこを、みゆきが呼び止めた。
「ん、なんや?」
不意に交差した視線の先で、みゆきの濡れた瞳がきゅっと広がった。
「……お仕事頑張ってくださいね」
みゆきはぎこちない、けれど精一杯の笑顔を咲かせて言った。
その花は瞬きする間に散ってしまったけれど、ななこの目にはしっかりと焼き付いていた。
「おう、行ってくるで」
ななこは親指を立てて笑い返すと颯爽と背を向けて、教室を後にした。

なんや、やっぱり可愛い顔できるやん……!
だらしなく緩んだ口元を押さえた手のひらに、湿った吐息がかかる。
クラスにとけ込めずにいる生徒に手をさしのべることも、担任の仕事の一つではある。
けれどななこは、そんな使命感とはかけ離れた所で興奮していた。
気になる人に一歩近づいた、ただそれだけのことで胸が熱い。
血の巡りに乗って全身に広がった衝動の赴くままに、ななこは走り出した。
足を包むのはバレーシューズからパンプスになったけれど、堅く冷たい床を蹴る小気味よさは昔のままだった。
40012-512:2007/11/29(木) 18:31:26 ID:Ibon7UVC
一旦ここで終了です。
本当に書きたい部分は後半なので、いつもより更に抑揚がないです。
最近自分の文章が素っ気ないなぁと思うことしきり。

40112-512:2007/11/29(木) 18:38:04 ID:Ibon7UVC
>>394
間違えました。ひかるではなくふゆきです
402名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 18:53:32 ID:DMcOVRQ+
>>400
ななこ大好きな自分としては正直たまりません…
GJなんだってヴぁ!
403名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 18:59:48 ID:olZq1u65
>>401
GJ!まさかこんなカップリングで来るとは……盲点でした
みwikiさん可愛いよみwikiさん
ななこ先生乙女だよななこ先生


で、ちょっとだけツッコミ。ふゆきのななこ先生に対する二人称は「黒井先生」のが自然かも。
ひかるに対しても「桜庭先生」って呼んでるくらいだし。
404名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 19:12:33 ID:KrR+v6WB
>>400

壊れでなくみゆきにもスポットがあたっている作品ってのは
みゆきソング動画に「そんなことないよ」している俺にとっては
ありがたい限りだ。ぐじょぶ( =_,_,=.)b

そうだよなあ、平民とは一段か2段は上のハイソ箱入り。
まともに考えれば通常の生徒とは合うはずもなかろうなあ(´・ω・`)
しかもあのWiki癖も、普通の人間は相手にしづらいだろうし(´・ω・`)
こなたは、よくあのお嬢と昵懇の間柄になれたものだと
関心することしきりだ。
まあこなた自身も変わり者だったからだろうし、
こなたにとっても、好みの萌えにマッチしたからだろうけどw

そういえば、後編、こなた達との絡みもあるのかな〜
だとしたらなお楽しみだ(・∀・)b
405名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 19:57:32 ID:wMsjWGB1
>>391
考察するに人袖触の神様と今回の天使は一緒だと思うんだ
でも人袖触の神様はかなたさんの姿をしてただけで、かなたさん本人ってわけじゃないんじゃないかな?それを考えてオリキャラってことにしたんじゃないかと
あとかなたさんが去年なくなってからこなたがひきこもったから、かがみと面識がないパラレルなんじゃないかな
長々と分かりにくくてごめん(´Д`)
40618-490:2007/11/29(木) 20:45:53 ID:ETrnkK+n
>>400
珍しいカップリングにwktk
後編も期待してます!

さて、クリスマスのイルミネーションに涙目になりながら投下します。
前スレの「黄昏の貴女」の続編です。
なんか、ドロドロの三角関係になってしまったorz
ドロドロが嫌な方はスルーでお願いします。

タイトル「黄昏と私」
かが×こな←つかさ
非エロ・非甘々
5スレお借りします。
407黄昏と私:2007/11/29(木) 20:47:07 ID:ETrnkK+n
「頑張ってね」

私がこの言葉をかけた友人は、はにかんだような、でも少し緊張しているような笑顔を浮かべた。
その笑顔があまりに可愛くて、初々しくて、思わず抱き締めたくなる衝動をなんとか自制し、伸ばした腕をゆっくり肩の位置まで上げて手を振る。

「じゃあ、またね。こなちゃん」



その日、私の好きな人は私のお姉ちゃんに告白した。




―――黄昏と私―――





「ヤフー、つかさ&かがみん」
ぴょんと重力に逆らったあほ毛を立たせながらこなちゃんが私達の方へ向かってくる。
「こなちゃん、おはよー」
「おーっす」

少し息を切らして走ってくるこなちゃんに挨拶をする。
今日は憂鬱だった中間テストもなんとか終了し、勉強の気晴しでもと、こなちゃんとお姉ちゃんと私で遊ぶ約束をしていた。
いつも通り5分前に待ち合わせ場所についた私達が待つ事10分。
って、あれ?今日はいつもより早い気が…

「アンタにしては、早いんじゃない?」

私と同じ事をお姉ちゃんも思ったらしく、私より先にこなちゃんに尋ねる。

「愚問だなぁ、かがみん。好きな人を待たせまいと早起きする女の子に理由などないのだよ」

「待ち合わせ時間は過ぎてるけどな」

ニヤニヤと意地悪くお姉ちゃんにうぐっと言葉につまるこなちゃん。
口じゃお姉ちゃんに勝てないと思ったのか、くるりと私の方を向く。

「つかさー、かがみがいじめる〜」

両手を広げ、私に助けを求めるこなちゃん。
よしよしと私より少し背の低いこなちゃんの頭を撫でると、ふぁっとシャンプーのいい匂いが私の鼻孔をくすぐる。
「もう、つかさはこなたに甘いんだから」

「んべー、凶暴かがみ」

「誰が凶暴だっ!」

私を板挟みにして喧嘩する二人。
喧嘩するほと仲がいいっていうけど、この二人はホントにその格言通りだなぁと苦笑する。
408黄昏と私:2007/11/29(木) 20:47:57 ID:ETrnkK+n


『私、かがみに告白しようと思うんだ』


突然、数日前のこなちゃんの言葉が脳裏を掠めた。
数日前、そう、こなちゃんがお姉ちゃんに告白する前日の昼休みのことだ。
お姉ちゃんとゆきちゃんが委員会の集まりに行っていて、二人でお弁当を食べている時に、こなちゃんが頬を少し赤くして呟いた。

「……え?」

急に振られた告白宣言に頭が機能停止する。

「前に、つかさに私はかがみをどの…好き、なんだろうって聞いたじゃん?」

手に持つチョココロネから視線を離して、普段通り半分しか開いていない瞳が私を見つめる。

「私は…ずっとかがみと一緒にいたい」

何も言わない、いや正確には言えない私に先程のような疑問系ではなく、しっかりとした口調で私に告げる。
こなちゃんの言葉を上手く処理出来ない。えっと、つまり…

「だから、私は……かがみの事恋愛感情で好き、なんだと思う」

私が言語理解処理をする前にこなちゃんが言葉を発した。脳停止状態が続いていて、じっとこなちゃんの顔を見ているだけの私の視線から逃げるように、頬を赤らめながらこなちゃんは何もない机の上に視線を移した。
その行動を見てドクンと自分自身が心臓になったように脈を打つのを感じる。
その感覚がなんなのか分からなくて、行き場のない感情を紛らそうと箸をぎゅっと握り直す。

「……そ、っか」

精一杯言葉を紡ごうとしたけど、上手く口が動かない。
恥かしさを隠してかこなちゃんがチョココロネに視線を固定しながら、先程のこなちゃんの言葉を頭の中で反芻させる。

『私は……かがみの事恋愛感情で好き、なんだと思う』

こなちゃんがお姉ちゃんのことを好きなのはずっと前から気付いていた。
無意識だろうけどいっつもお姉ちゃんの事を見ていたし、なによりお姉ちゃんと一緒にいるこなちゃんは凄い楽しそうだったから。
私はそんなこなちゃんを好きだったし、そんなお姉ちゃんを少し羨ましくも思っていた。

『私は…かがみをどの、好きなんだろう』

こなちゃんは自分の事に無頓着だと思う。悪い意味じゃなくて、なんて言うか…自分より他人を大事にするって言うのかな?
とにかく、自分が誰かを好きだとか自分に向けられる好意にだとかに鈍感なんだと思う。
だから、こなちゃんがお姉ちゃんを意識したこの言葉を言い出した時には心底びっくりした。

「こなちゃんは、お姉ちゃんといつも一緒にいたいって思わない?」

私はこなちゃんと一緒にいたい。それを言うチャンスはだったかもしれない場面だったのに、言えなかった。
こなちゃんはお姉ちゃんが好きで、私はただの友達でしかないのだ。

「多分、それが答えなんじゃないかな?って私も人のこと言えないんだけどね」

だから、ほんの僅かでもいいから…
こなちゃんに気付いて貰いたくてこの言葉を告げた。

「え?」

予想通りのこなちゃんの反応に少しの幸福感を感じたけれど、それ以上に何故か分からないけど涙が出そうになって慌ててその場を離れた。
409黄昏と私:2007/11/29(木) 20:50:10 ID:ETrnkK+n
「……さ、つかさってば」

「ふぇっ?!」
過去に振り返っていた私を現実に引き戻したのはこなちゃんの声だった。

「えっ、あれ、こなちゃん?」
こなちゃんがずいっと顔を近付けて私を見上げる。
綺麗なエメラルドグリーンな瞳が、寒さで蒸気して赤く染まっている頬が、柔らかそうな唇が、目の前にある。

欲しい…。

ドロッとした感情が頭から心臓へ血液を運ぶようにゆっくり流れていくのが分かった。
その感覚に耐えられなくなった私はバッとこなちゃんから顔を背ける。

「つかさ?」

心配そうなお姉ちゃんの声が聞こえたけど、もう一度こなちゃんを見たら自分の欲望のまま全てを口に出しそうな気がする。

「ご、ごめん…」

ドキドキとした鼓動の早さを抑えつつ、こなちゃんに謝罪の言葉をかける。

「う、うん。つかさ、大丈夫?」
「え?」
「いや、なんか最近上の空な事多いし…悩み事?」

恐る恐るこなちゃんの顔を見ると眉毛をハの形にして心配そうな顔をしていた。

「だいじょ…っ!」

こなちゃんとお姉ちゃんに笑顔で大丈夫と答えようとした時、フッと見えたのは二人の手。
ぎこちなく結ばれているこなちゃんの右手とお姉ちゃんの左手。

『つかさっ!かがみと付き合う事になったよ』

数日前、嬉しそうに私に交際宣言をするこなちゃんに「そっか」としか言えなかった私。
こなちゃんとお姉ちゃんが付き合ってからも私はどうしようもなくこなちゃんが好きで…
自分の理性を抑えるにも限界を感じていた。

―いっそ、言ってしまおうか?

だめだ、私が思いを打ち明けたって何も変わらない。
こなちゃんはお姉ちゃんが好きなのだから。

―じゃあ、このまま何も言わずに友達で満足するの?

それは…

―満足してるの?

……っ。

さっきのこなちゃんを見た時のドロドロが胸の中で再発していくのを感じた瞬間、私は二人に背を向けて走り出していた。

「ちょ、つかさっ?!」

「つかさっ!!!」

後ろからこなちゃんとお姉ちゃんが私の名前を呼ぶのが聞こえたけど、ガヤガヤとした人込みをかき分けるように私はそのまま走った。
410黄昏と私:2007/11/29(木) 20:51:17 ID:ETrnkK+n
はぁはぁと喉の渇きと心臓の早さが痛くて足の回転数を落とす。
どれだけ走ったんだろうか、たった数分だった気もするけど、何時間も走っていた気もする。

「何やってんだろ、私」

不規則に乱れる息を整えようと溜め息混じりに小さく呟く。
お姉ちゃんもこなちゃんも心配してるだろうなぁ…
ふっと顔を上げると、辺りは少し薄暗くてなっており、橙色をした夕日が西に落ちようとしていた。

「つかさっ!!!」

トボトボと歩いていた私の後ろから、聞き覚えのある声が聞こえた。

「こな…ちゃん?」
後ろを振り返ると、はぁはぁと肩で呼吸をしているこなちゃんがいた。
なんでここに?

「つかさを、探しに来た、に決まってるじゃんっ!」

少し怒ったような声で所々に呼吸を挟んでこなちゃんが答える。
周囲を見回すとお姉ちゃんはいないみたいだった。おそらく手分けして私を探していたのだろう…

「でも……見つかってよかった」
先程の怒ったような顔から普段の優しい顔で私に声をかける。
だめだよ、こなちゃん。
これ以上こなちゃんを見てたら私は絶対こなちゃんに自分の思いを打ち明けてしまう。
それがこなちゃんを苦しませることになると分かっていても。

「つかさは…」

息を整え終えたのか、こなちゃんを直視出来ずに下を向いていた私に優しく話し出す。

「好きな人いるの?」

「…っ」

バッと顔をあげると首を少し右にかしげるこなちゃんがいた。

「なっ…んで?」

心臓の音がうるさい。
こなちゃんを見ると高まるドキドキとは違う、ドロドロとした感情が私の中を占めていく。

「いや…前に、『私も人のこと言えない』って言ってた…から」

「覚えててくれたんだ…」

「え?」

覚えててくれた嬉しさが私を暴走させる。次に私が言おうしている言葉を分かっているのに、止められない。


「私ね……こなちゃんが好きなんだ」


ざぁ、とタイミングを見計らったように風が吹いて私の髪とこなちゃんの髪を靡かせる。
こなちゃんの長い髪が夕日の橙色に映えてキラキラ光っていた。
綺麗だな、とこなちゃんの顔に視線を戻すと、さっきより夕日が落ちたのか辺りが暗くなっていてよく表情が見えない。
411黄昏と私:2007/11/29(木) 20:51:53 ID:ETrnkK+n
「わ、私は…」
きゅっと口を結んだと思うと、周囲の音にかき消されそうな小さな声でこなちゃんが話し出す。

「かがみが、好きだから…」
「知ってるよ」

…っ、と息を飲んで私の顔を見上げるこなちゃん。
自分でも意地悪だと思うくらいの笑顔を浮かべるとパタパタと近付く足音が聞こえた。
「こんなとこで、何してんのよ」

こなちゃんが来た方向と同じ道からツインテールを揺らしながらお姉ちゃんがかけてきた。

「かがみ…」

振り返って少し安堵したようにお姉ちゃんの名前を呼ぶこなちゃん。


その声に、私の中で何かがプツッときれた。



グイッとこなちゃんの右腕を私の方へ引っ張り、驚いているこなちゃんの唇に自分の唇を押し付ける。

「んんっ?!」

くぐもったこなちゃんの声がする。
そんなことをお構いなしに、こなちゃんが離れられないように背中に腕を回すと、開けていた目に茫然と立ちつくすお姉ちゃんが映った。
びっくりしてるよね、でも…ごめんね。
柔らかい唇を堪能する暇もなくドンドンと肩を叩くこなちゃんを見て、ゆっくりと強めていた腕を離すと、こなちゃんは重心を失って崩れるようにその場にへたれ込んだ。

「っ…こなた!!!」

その行動我に返ったようにお姉ちゃんがこなちゃんの元へかけ寄って私を見上げた。

なんで?

そう言ってるかのような驚愕と非難するお姉ちゃんの瞳。

「こういうことだよ」

自嘲気味に笑うと、こなちゃんとお姉ちゃんの後ろで夕日が沈むのが見えた。
その姿がまるで私みたいで。沈んでいく自分は果たしてどこにいけばいいのだろう。


もうすぐ黄昏が終わる、そんな中、私達は立ち尽くしていた。
41218-490:2007/11/29(木) 20:55:37 ID:ETrnkK+n
以上です。
最近つか×こなもいいなぁと思ってたら
こんな事に・・・orz

一応ハッピーエンドになる・・・つもりです。
読んで下さった皆さん、ありがとうございます。
413名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 21:11:31 ID:KrR+v6WB
みゆき「とってもGJです、3人とも素敵です、超素敵です
     ところで、私も混ぜてはいただけませんでしょうか」
3人「その鼻血を拭いたら考えます」
414名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 21:54:20 ID:REozwE/e
>>412
GJ ! 奥様昼メロっぽいw ドロドロしていて生々しいわぁw どう続くのか超楽しみ

>>413
ちょwww こなふぇち化止めぃww
415名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 22:06:55 ID:KyHLD644
暫く来ない間に、みゆきさんが壊れてますね。
416名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 22:08:18 ID:KrR+v6WB
みゆき「泉さんだけではありません、お三方に萌えているのです」
3人「だから鼻血を止めてください」
417名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 22:17:48 ID:0hWfKfLm
みゆき「お三方だけではありません、白石さん日下部さんサディストゆたかさん幽霊かがみさん天使さんetcに萌えているのです」
3人「世界超えちゃった!」
418名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 22:18:09 ID:HzXfjMcm
みなみ「私たちは私たちで楽しもう?」
ゆたか「そうだね……みなみちゃん、おすわり」
みなみ「はい……ご主人様」
419名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 22:18:30 ID:EffQ9Bdu
みゆきさんは優等生で居ることに疲れたんだろう
もしくは優等生ゆえに、エロパロという場所の空気を読んでくれているんだ

>>390
内容見るより先に『もう新作かよ!どんだけ引き出し多いんだ!?てか書くのはええな!』と思っちゃったぜ
こなた事故死⇒かがみの式神化なんて適当に考えてた身からすると、かなり好きな方向性なので今後の展開がwktkですわ

>>400
先生が先生で、みゆきさんがみゆきさんだ、文句無しに
本当にあった話みたいな違和感のなさが素晴らしいなぁ

>>412
これはいい三角関係。ゆーちゃんといいつかさといい、普段一歩引いた子が黒化すると映えるね
個人的にはハッピーじゃなくバッドも見てみた、いやなんでもない


というわけでGJ!戻りすぎるのもアレだから感想書かなかったけど他の方々ももちろんGJ!
420名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 22:25:30 ID:XsAq6V+z
>>332
すいません、すっごい遅レスなんだけど、一言

幸手→倖手の表記は多分私のSSを元にしてるのだと思いますが、
これ、私のオリジナルです(他にあったらすいません)
公式表記がないと思ったので、勝手にらき☆すた地名っぽく変えました

公式だと思っちゃう人がいたらいけないと思いましたので一応
421名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 22:39:56 ID:LqRcr5Jf
>>390
GJ!!
すみません、前作まだ読んでませんorz
間抜けな天使と聞いて美紗を連想した漏れがいますよっと。




HDDに電波受信しっぱなしで書きかけのSSが溜まりまくってる件。
このスレでは滅多に登場しないひかげ×ひなたの「アッー!!」ものを仕上げて投下しようかしら?明日の晩に。
422名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 22:49:07 ID:KLhbd4OZ
>>412
素晴らしい文章GJ!!
つかさの押さえきれない心情が凄く伝わってきました。
とにかくGJ。なんというか、続きが読みたい。
423名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 23:27:26 ID:/FNeblBX
23:30から投下してもおkですかー?
424名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 23:37:00 ID:sMMJkL7o
>>423
おk
みんなwktkして待ってるんだぜ
425名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 23:38:30 ID:/FNeblBX
ってか宣言が直前すぎる罠…
どうも17-234です。
・昼に宣言した白石×あきら
・エロなし
・去年この時期にラジオを放送してなかったので、
 前のこの時期にもラジオをやっていた、という設定で読んで下さい。
・使用レスは10の予定
・携帯からなので、どっかおかしくなる+時間がかかるかも
です。

それなりにイライラするかもしれませんが、
なまぬるーい目でみてて下さいorz

では投下開始。
「贈りもの」(Ver.M)
42617-234「贈りもの」(Ver.M)001:2007/11/29(木) 23:41:06 ID:/FNeblBX
そろそろあの時期だ。
ラジオのジングルも、何故かそれ仕様になってきた。
カレンダーがあと1枚。
新しいカレンダーを買わなきゃならぬ。
なんてこった、また悩みのタネが増えてしまった。

誰だよ、クリスマスなんて設置したのは。

ということで、俺は考えていた。
なにって…分かってくれよ、クリスマスだぜっ?
彼女が何も言わない訳ないじゃないですか…。
一昨日の収録のとき、あきら様は次のようにおっしゃった。

「しーらいーしさんっ♪」
「な…なんでしょうかあきら様」
「もう12月ですねー!白石さん、あきらは欲しいものがあります!」
「ちょっと待ってください、誰も何も買うとh」
「えー!白石さんひどいよー!あきらにはサンタさん来ないのかなー?!」
「だー!わかりました!買って来ます!」

ちなみにこれは収録中だ。
だからあきら様はこんな調子なのだ。
42717-234「贈りもの」(Ver.M)003:2007/11/29(木) 23:44:51 ID:/FNeblBX
「…手元に、絶対残るもの。」
「へ?」
「分かった?」
「…はぁ」


ジングルがかかったので話はここまでとなった。
収録後も話せる暇がなく、そのままになってしまった。
収録後もこんな感じだった。

「白石!」
「なんですか?」
「プレゼント、楽しみにしてるからね!じゃね!」
「ちょっ、まっ、」
「まーたねー!」

―――

困った。
本当に困った。
なににしていいのか本当に分からない。

だから今こんなところにいるのだが。

場所は都内、デパートの中。
店の装飾の赤と緑が、自分に焦りをかける。

なんで焦ってんだろ。意味わからん。
と…とにかく、プレゼントはなににしようか…
さっきから携帯をネットに繋げて情報を仕入れてみようとはしているものの、どれもピン、と来ない。
こう言うときにパソコンがあれば良いのかもしれないな…

しかしデパートは本当に物価が高い。
なんだよ、バッグ1つに10万とか誰が買うんだよ。
というか学ランでくる場所じゃないな、ここは。
雑貨を探すために地下へのエスカレーターに乗る。
地下といえば食料品、だが、ここはそのまた下に雑貨がおいてあるのだ。
42817-234「贈りもの」(Ver.M)004:2007/11/29(木) 23:46:46 ID:/FNeblBX
高級そうな晩ご飯の匂いは無視して地下2階まで降りてくる。
なんとそこも例外なく、クリスマス色に染められていた。
げんなりする。なんとなく。

雑貨という漢字に疑問を抱いたことがある。
雑貨だよ?字がおかしい。
人にとってはそれがプレゼントになるんだぜ?
雑貨とひとまとめにされるのはちょっと腹立つ。
あの人の言葉を借りれば
「むかつく。」
である。あぁ根が黒い人、怒らないで。

進むと、紅茶や日本茶、中国茶などが売っていた。
ティーポットや湯飲みなど、可愛いものが並んでいる。
ペアのマグカップとかにしようか。
いや、きっと怒られる。
というかマグカップは死ぬほどあるだろう。
贈り物に迷うと、マグカップを買う人が多い。
現に、うちにもたくさんある。
使う人数は限られているし、毎回使うものなんて決まっている訳だし。
うん、却下。

42917-234「贈りもの」(Ver.M)005:2007/11/29(木) 23:48:29 ID:/FNeblBX
売り場を半周したところで、面白いものを見つけた。

香水だ。

面白いという表現はおかしいかもしれないが、今までにないものをみてしまった気がする。
香水なんて考えにもあがらなかった。
けど。


なんだこの種類の多さは!!
可愛い瓶に入ってるしちょうど良い量だし手元に残るし、とか思ったけど。

もう一度言おう。
な ん だ こ の 多 さ は !

花の名前は分かる。
それが大量にある。
しかもなんだ、花と関係ないのもあるのか。

「チェリーパイ」
欧米か?!
「練乳」
れ…練乳?
ブルーベリーガムにかけるんですか?
「雪」
雪に匂いなんてあったか?
「モスコミュール」
酒…だよね?ジンジャーエールとウォッカだっけ。
「星空」
なんだそれ、作った人は嗅いだことあるのか?

いろいろツッコミを入れたい名前が並ぶ。
さぞかし戸惑う学ラン姿の俺と香水の大群をみた人は、不思議に思ったことだろう。

……どうすれば良いんだこれは。
誰か決めてくれ。

「彼女へのクリスマスプレゼントですか?」
女性の店員さんはにこにこしながら近付きつつ、こちらに話をふった。

43017-234「贈りもの」(Ver.M)006:2007/11/29(木) 23:50:24 ID:/FNeblBX
「自分がこれだ、と思ったものを贈るのも良いですよねっ!いらっしゃいませー」

え?!行ってしまわれた!
仕方ない、こうなったらあの人の言った通り、フィーリング、である。

瓶の列を眺める。
どれも透明な瓶にラベルが貼られただけのものだ。
ラベルにはその中身の名前がさらりと書いてある。

どぎついピンク色のラベル「トロピカルサマー」

キャップを取って嗅いでみ
ぐぇほっ、な、げほっ

なんじゃこりゃ、却下。

次。
薄い桃色「さくら」
お?これは良いかも。保留…
次。

―――

………あれから40分。
俺は香水の瓶を3本持ってレジへ向かう。
さっきの女性店員さんにレジがあたってしまった。
なんてこったい。

「随分お悩みでしたね、ちゃんと決まりました?」
「あぁはい…どうもです。」

この声どっかで聞いたことあるような…まぐろ?違うな。

「包装は個別でクリスマス用になさいますか?」
「いや、3本一緒でお願いします。」
「かしこまりましたー」

―――
43117-234「贈りもの」(Ver.M)007:2007/11/29(木) 23:53:02 ID:/FNeblBX
収録の日。
クリスマスにはちょっと早いのだが、これ以降は収録が無かったので、今日渡すことに決めた。

鞄のなかに忍ばせてスタジオに入る。
でもなんであきら様も鞄持ってスタジオ入ってるんだ?
めずらし。

―――

「らっきー☆ちゃんねるー!!」

さて、始まった収録。
まだこの2人だからできる、このぐっだぐだ感。
今日もおたより読んで、曲も紹介して。
もう…ここのタイミングしかない。
言ってしまえ!

「あきら様っ!」
「…なに?」

ぽかーん、という顔をされた。
うお、可愛い。

「あの、12月じゃないですか。」
「うん。」
「それでですね、あきら様に」
「待った!」
「はえ?」

止められたよ?あれ?

「なんですかまた何か思い付いたんですか?」
「あのね!あきらはなんと!白石さんにプレゼント買ってきました!」
「え?僕もちゃんと買って来ましたよ?」

あれ?この流れおかしくない?
え、なんで?

「だってあきら様、僕に言いましたよね、買って来いって」
「言いましたよ?でもプレゼント交換をしたかったのです!」

おー…そういうことか。
これは思ってみないシチュだ。
43217-234「贈りもの」(Ver.M)008:2007/11/29(木) 23:55:14 ID:/FNeblBX
「ということで!」
「はい?!」
「題して!あきらとみのるのプレゼント交換会〜!」

ちゃんとジングル流れたよ?!企画だったの?!

「はい、ということで、プレゼント交換会です。」
「いつの間に交換会になったんですか、え、え?」
「あきらからの、欲しくないの…?」

涙目になった、これはやばい!

「そんなことはないです!ただびっくりしてるんです!」
「うるうるうるるー…」
「さ、ほらあきら様!プレゼントですよっ!」
「うははーい♪」

鞄から包みを出して渡す。
ピンクの包みに3本入っているものだ。

「あけて良い?」
「良いですよ…お気に召すかはわかりませんが…」

赤いリボンが解かれ、瓶3本が顔を出す。

「ほ…?」
「香水です。なにが良いかわからなかったんですけど…」
「……ほえー…あ、なにこれみんな匂いが違うの?!」

お、ちゃんと気付いた。

「そうなんです!あきら様のイメージに合わせて選んでみました…が…どう…ですか…」

早速キャップを取って、原稿にしゅっ、と一吹き。

くんくん、くんくん…

「……お」
「……どうされましたか…?」

ちなみに、あきら様が持っているのは、「練乳」である。決して下ネタに繋げようとしたのではない。
40分ずっと試香した結果、似合いそうな香りベスト3のなかに入った1本である。

「あ…あきら様?だい、じょ、ぶ…?」
「…………」
「…あれ?あきら…様?」
「…………」
43317-234「贈りもの」(Ver.M)009:2007/11/29(木) 23:58:44 ID:/FNeblBX
あれ?
なんで、泣くんですか、あきら様。
あきら様らしく、ないじゃないですか。
ぽろぽろと、涙が落ちるのを、みてることしか出来ない。

「あ、っと、あきら様は僕になにをプレゼントしてくれるんですか?」
「……っと、忘れてた」

彼女は目をごしごし拭いてから、俺に紙袋をずずいっ、と突き出す。

「はいっ!あきらからは、これですっ!」

さっきとは考えられないくらいの笑顔でこちらを向く。
その笑顔の下には、なにがあるんだろうか。
時々見せる、その表情が、俺をダメにする。
どうして、あなたは。
僕の胸を、苦しくさせるんですか。

「あけてあけて〜♪」
「ういー、開けまーす」

がさごそ、その紙袋をあける。
……ピンク?
あれ?ピンク色の毛糸が見えますよ?
な、なんだ?

「いつも学ラン姿なのは寒そうなので、これです!」
「…毛糸のマフラーと、手袋と…」
「うさぎさんのかぶりものです!」

どうしてそこでかぶりものが?!
しかもうさぎ?!

「可愛いうさぎさんのかぶりものです!」
「これ…は…可愛いんですけど、いつ使うんですか?」
「今」
「えぇ?!」

そうか、今使うのか!
しかし手袋とマフラーにはタグがついていないが…
ぱこ、とかぶりものをかぶる。
うさぎの耳がぴょこ、と揺れる。

「……ぷ…ぷははははは!」
「なんで爆笑するんですか!」
「似合う!やばいなにそれ!」
「…あなたが買ったんでしょ!」

どうやらツボにはいったらしく、そのまま俺がコーナー進行をせねばならなくなったくらいだ。
全く、ナビゲーターなのに。
43417-234「贈りもの」(Ver.M)010:2007/11/30(金) 00:02:23 ID:/FNeblBX
―――

収録が終わり、彼女も散々笑ったようだった。

「あー面白かったー…」
「笑いすぎですよあきら様…」
「だっ…て…ぷはははは!」

また俺の顔をみて爆笑してるよ…ダメだこのこ。

「あの、あきら様、大丈夫ですか…?」
「ん?なにが?」
「香水、気に入ってもらえました…?」

ぴく、と彼女の肩が揺れた。

「うん、昔のこと、思い出しちゃってね…」

彼女の顔の影が濃くなる。
これは、地雷踏んだな…

「でもね、懐かしくて、好きな香りなんだ、これ…お母さん、みたい。」
「え…?」

悲しそうに笑うのはなんでなんだ。
抱き締めて、安心させてあげたい。
なんで一人で傷つくんだ。

俺がいるのに。

「そういえばこれ3つ入ってるんですよ?」
「あ、他のみてなかった。」
「えー」

これには非難の声をあげざるを得ない。

「ほら、あと2つ!」
「お、開けるあけるー♪」

片付けのほぼ終わったスタジオで、プレゼント交換会はまだ続く。

「くんくん…お、あたしこれ好きかも!」

八重桜。
春の季節の花ですが、普通の桜よりはこっちのほうがあきら様に合うと思います。
お気に召したようでよかった…

「これ…菫←これはなんて読むの?」
「これは、すみれです。漢字読めなかったんですね」
「うるさい!ばかっ!」
「ひぃ!」

彼女は笑ってた。
でも俺は、その笑みが、なにか心にひっかかった。

「贈りもの」(Ver.Aへ続く)
43517-234「贈りもの」(Ver.M)+α:2007/11/30(金) 00:04:46 ID:/FNeblBX
以上です。
あー終わったーよかったー

すみません、無駄にだらっだらっ長くて…

…ってEパートも作らなきゃだしあああああ
文章力を下さいorz

長い時間使ってすいませんでした!
43617-234 訂正→002:2007/11/30(金) 00:11:19 ID:mcWaxwum
あわわわわ!
以下の文章が002になります!
いれたはずだったのに…!俺の馬鹿!!
すみません、皆さん脳内修正してください…


――――

「ほんとー?!ありがとーあきら超嬉しい〜♪」
「…んでもなにが良いんですか?それにもよりますし、まず予算が」
「あ?」
「…じゃぁ…なにが良いんですか?」

予算という点が気に食わなかったらしい。
話題を逸らそうと、何が欲しいのかを聞いたところ。

「……………」
「……あきら様?放送事故みたいですからね?何が欲しいのかな?いってごらん?」
「えっと……えー……」
「ま さ か 口から出任せ言ったとか言わないd」
「はぁい!ここで曲をお聞きいただきましょー」

流しやがった…!
しかしどうして良いのか分からず、曲の途中に聞いてみた。

「あきら様、本当に何が良いんですか?」
「ん?本気でくれるつもりなのかな?かな?」
どこかのネタをパクらない!
「そのつもりなんですが…まぁ日頃お世話になってますし…」
あれ?唖然とされた。
「………なぁんだ」
「…ん?なんか言いました?」
「なんでもない。白石の馬鹿。ばーかばーか!」
「なんでそうなるんですか!でも本当、なにが良いんですか?」

そういうと彼女は黙って机の上のお菓子をみつめて、こう言った。

437名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 00:23:47 ID:nhWtVXPr
>436
GJ!
あきら様と、セバスチャンが書けるのはいいなあ。
あきら様はなかなか掴めないので。

投下してもいいのかな。まずい気がしないでもないので
聞いてみたり。
438名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 00:27:51 ID:N8rQViJf
>>390
ありますねw
しかも4コマw
439名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 00:48:54 ID:u1uVvvB+
>437 俺はいいと思う。自分に自信をもって頑張れ。
44012-512:2007/11/30(金) 00:54:22 ID:hFq+ytjD
>>403
これは一応理由がありまして公式ガイドブックの
「公私の区別をしっかりつけようとする」
「学校では先生と呼ぶように強要している」
という所からオフでは砕けた呼び方をしているんじゃないかなと考えてました
なのでななこの呼び方も冒頭の勤務中と、その後で変えてあります
年が近いし、出身が同じ神奈川ということでそれなりに親しくてもおかしくはないと思いましたし
しかし公式ガイド見てないとこれは気が付きませんね
ふゆきは情報が少ないんで、オリキャラみたいになってますがそこはご容赦下さい
44123-251:2007/11/30(金) 01:03:50 ID:nhWtVXPr
では投下します。

星に願いを 第9話

・こなかが入れ替わり
・続き物
・エロあり注意
442星に願いを 1/6:2007/11/30(金) 01:04:36 ID:nhWtVXPr
 9.

 私は固く唇をとじていたが、ゆたかちゃんの口付けはつづく。
「ぷはっ」
 耐え切れなくなって大きく口をあけたところに舌を捻じ込まれる。
「んくぅ」
 ゆたかちゃんの唾液が注ぎ込まれる。背中に手を回されて、体温が
ダイレクトに伝わる。

 ゆたかちゃんのキスは熱い。普段の体温が高いのか、もしかしたら
熱があるのかもしれない。
 甘い唾液が私の口に入ってきてごくりと飲み込んでしまう。
「ん…… ふむぅ」
 私は喘ぎながら、ゆたかちゃんの肩を掴む。
 脳みそが蕩けそうになるくらい、甘くて切ないキス。
 ゆたかちゃんは散々、私の舌端をもてあそんだ後、ようやく
離してくれる。
「はぁっ」
 私は大きく息を吐いた。
 ゆたかちゃんは、大きな瞳だけで笑うと、ゆっくり私の服に手をかける。
 パジャマをあっさりと脱がされて下着姿になる。
「『お姉ちゃん』の胸。私より少し大きいなあ」
「な、なにみてんのよっ」
 『こなた』の身体なのに、私はひどく慌てた。
443星に願いを 2/6:2007/11/30(金) 01:05:13 ID:nhWtVXPr
「かがみ先輩ってとっても可愛らしいんですね」
「な、何を言ってるの!? 」
 ゆたかちゃんが私の胸の谷間に顔をうずめながら囁いた。
「えっとですね…… こんなところが 」
「ひゃんっ」
 ブラ越しにゆたかちゃんが、乳首をつついた。
 私の顔はたぶん、ゆでたこのようになっているだろう。
「や、やめなさいよ」
 口では抗っても身体は正直だ。ゆたかちゃんの小さくて
可愛らしい唇が私の胸を刺激していく。
 でも、ちょっと物足りない。

「先輩…… 不満そうですね」
「何がよっ」
 ゆたかちゃんは何も言わずに微笑むと、私の背中に手をまわして
ホックを外した。
 ブラが外れて、『こなた』の小さな胸が露になる。
 ほんのりとした薄いピンク色で染まった乳首は既に硬くなっていた。
「すごく綺麗な色…… 」
 ゆたかちゃんは、暫くみとれていたが、吸い込まれるように
乳首に指先を伸ばした。

「ん…… 」
 身体に電流が走って小さく揺れる。
 ゆたかちゃんは、直に私の乳首をつまんで、いじくりまわしている。
「ひゃ、んああっ」
 その度に、私ははしたない嬌声をあげてしまう。
 朝、ひとりえっちをした記憶が蘇る。こなたの身体はこんなに
エッチだったのか。
444星に願いを 3/6:2007/11/30(金) 01:05:56 ID:nhWtVXPr
「かがみ先輩…… お姉ちゃんのこと考えていますよね」
 ゆたかちゃんに図星をつかれて、ムキになって否定する。
「そ、そんなんじゃ、ないわよっ」
「焦りながら言っても説得力ありませんよ」

 からかうような口調とは裏腹に、ゆたかちゃんの表情は
あきらかに不満そうだった。
「えっちしている時くらい。相手をみてください」

 あれっ? 

 ゆたかちゃんは、ほっぺたを膨らましている。
 直前まで、悪魔の申し子のようで、憎たらしく思っていた子が、
何故か急に可愛くなってきた。
「ゆたかちゃん、もしかして『嫉妬』してる? 」
「な…… なに言っているんですか」
 おやおや、慌ててる。
「おにぎりにして転がしたいくらい可愛らしいのに、
もったいないわよ」
「変なこと、言わないでくださいっ」
 焦るゆたかちゃんとは逆に、心理的な余裕が生まれてくる。
私は、ゆたかちゃんから身体を外して起きあがり、この上なく
可愛らしい子悪魔に、口付けしてからパジャマを脱がしにかかる。


445星に願いを 4/6:2007/11/30(金) 01:07:09 ID:nhWtVXPr
「あ、あの、かがみ先輩!? 」
 ゆたかちゃんは、目に見えて狼狽していた。
「無理しなくていいわよ」
 そう、ゆたかちゃんに『攻め』は似合わない。
「ゆたかちゃん。いや、ゆーちゃんって言った方がいいかな? 」
「は、はい」
 下着姿になったゆたかちゃんは、顔を赤くして頷いた。
「ゆーちゃん。ブラしてるんだ」
「ば、ばかにしないでください」
「ふふ。あんまり小さいから、まだノーブラなのかと思ったわ」
「むぅ―― 」
 もともとふっくらしていた頬が更に膨らむ。
 もう、可愛くて可愛くて仕方がない。

 私は、ゆたかちゃんのブラをはぎとって凹凸の少ない身体を
丹念に見つめる。
「あ、あまりみないでくださいっ」
「いまさら、何を言っているの? ゆーちゃん」
 私は、意識して『こなた』の口真似をする。
「『見る』のもえっちの一部なんだよ」
 そう、こんな感じだ。すねているゆたかちゃんに、軽く
キスをするてから、首筋に舌をはわせる。
「んんっ…… くすぐったいです。先輩」

 肩をふるわせながら、私にしがみついている。
「『お姉ちゃん』って呼んでいいよ。ゆーちゃん」
 彼女の耳元で、私は優しく囁いた。
「本当にいいんですか? 」
「いいわよ。『こなた』とエッチがしたいんでしょ」


446星に願いを 5/6:2007/11/30(金) 01:07:57 ID:nhWtVXPr
 にんまりと笑ってから、私はゆたかちゃんのブラを手早くはずして、
ほんのすこしだけ膨らみかけたふくらみの頂上に、舌を押し付ける。
「ひゃっ」
 小さな悲鳴をあげて身体を震わす。
 悪戯心がわいてきて、私はゆたかちゃんの乳首をつついた後に、
軽く噛んであげる。
「痛っ」
 彼女はあどけない顔を歪めながら、再び悲鳴をあげた。

 うん。やっぱりこうでなくっちゃ。
 動揺を隠せない下級生に余裕を与えずに、瞬く間にパジャマの
下半分も脱がしてしまう。
「み、みないでください…… 」
「ゆーちゃん。くまさんパンツなんだね」
 白い下着の脇にある、小さなくまのプリント。
 高校一年生としては子供っぽいけど、ゆたかちゃんなら違和感は
全くない。むしろ「萌え」だろう。
 こなたに、かなり影響されている自分に苦笑する。

「ゆーちゃん。かわいいよ」
 私は、ホストのような声を出して、真っ赤になったゆたかちゃんを
覗きこみながら、下着に指先をあてる。
「いやですっ…… そこはっ」
「何をいまさらいってるの。誘ったのはゆーちゃんなのに」
 皮肉めいた笑みを浮かべたまま、私は、下着の中をまさぐり、
あることに気がついた。

447星に願いを 6/6:2007/11/30(金) 01:08:45 ID:nhWtVXPr
「ゆーちゃんって、まだ生えていないんだね」
 中年おじさん的なセクハラ発言に、ゆたかちゃんが
真顔で怒った。
「ひ、ひどいですっ」
「人を眠らせておいて、手足を拘束までした子が何をいうかな? 」
「う…… 」
 しかし、私に痛いところを突かれて、ゆたかちゃんは
言葉に詰まる。

「お休み前に、ゆーちゃんがくれたココアには何が入っていたの? 」
「…… 」
 おやおや、黙秘ですか。
 私はにやりと笑うと、ゆたかちゃんのアソコの突起をつまんで軽く
捻った。
「痛っ、いやああっ」
「答えなさいっ」
 懸命に暴れて逃れようとするけれど、格闘技で鍛えた『こなた』の
身体と、生来病弱なゆたかちゃんでは、てんで勝負にならない。

「わかりましたあっ、言いますからっ」
 女の子の大切な部分をいい様に弄ばれた、ゆたかちゃんは高い
悲鳴をあげて許しを乞う。
「正直に答えなさいね」
 心持ち力を弱めるとゆたかちゃんは、あきらめたような表情をみせて
口を割った。
44823-251:2007/11/30(金) 01:13:31 ID:nhWtVXPr
何故か攻守逆転してしまった。ノリと勢いで書いてしまったが反省はしていないw
感想いただいた方々には、感謝するばかりですが、レスの多さにちょっと
びびっていたり、いなかったり。
449名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 01:20:41 ID:xD1kMJSX
>>448
GJです!このくらい
みゆき「泉さんがグフォ!グフゥゥ!」
研究員A「みゆき完全に沈黙!」








訳分かんなくてすみません
450名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 02:37:46 ID:9DiaWEnZ
オペレーター「認識青、こな☆フェチです」
みゆき「オォォオォォォォオォォォォォォォォォォォォォォォォォォ」
オペレーター「こなたを・・・喰ってる・・・(性的な意味で)

そのくらいGJ(゚∀゚)






こなたの姿をしたかがみ「だから止めろって〜〜〜アッー!!」

かがみの姿をしたこなた「ごめんねかがみ、日ごろの私の苦労、知ってね(・∀・)」
451名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 03:28:05 ID:PjIjI5ax
>>392
>>405
あ、そうか…かなたさんが亡くなったのが「去年」で、それから引き篭もってたのか。
それが高校入る前だとしたら面識がないのも当然だわな。
簡単な部分を見落としてたみたいだ。
事前にパラレルものだって書いてくれてたのに本編の設定が頭に残っちゃうのはどうにかしないと。
指摘ありがとうね

>>412
何とも先が怖いことになりそうな三角関係…だが続きが気になってしまう。そ
んな感覚。余計なこと考えずに次を待つことにします〜GJ!

>>448
ちょっとした隙を見つけると攻めに転ずるあたり、こなたとのやり取りが活かされてる感じがする
こんなことになってる泉家だけど、柊家のほうはどうなっているのだろう?
続きをwktkしながら待ってますよー
452名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 04:14:07 ID:tMlZeZ0o
>>436
GJ! 投下告知付きの感想レスを頂いた時からwktkして待機していました。
粋な事してくれるじゃねぇか白石さん。にやにやが止まりません。
続きも楽しみにしています。

>>448
か、かがみさーんww容赦無いですね。
形勢逆転されたゆたかちゃんが可愛いです。
453名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 11:09:13 ID:vny7QVG+
保管作品888達成おめ! めざせ1000!
454名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 12:28:33 ID:E4SlGehp
>>453
888作って大杉だろ常識的に考えて…どっかのロストロギアのページ数より多いってどんだけっ!!(全てにおいていい意味で)
455名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 12:34:35 ID:L68L8xj9
>>451
ちょっと待ってくれ。入学前から引き籠もっていたら留年するんじゃないか?
なのにクラスは2年E組だから実はこのこなたは誕生日前でかがみ達より一つ年上で留年しているんじゃ……
456名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 12:47:47 ID:Te6bw4I2
>>455

いや待て、中学2年生なのかもしれないぞ。

そして高校で再会。
457名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 12:49:02 ID:vny7QVG+
入学してつかさと面識がないうちに引き籠ったんじゃない?
単位が足りてりゃ進学ぐらいは出来るはず
458名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 13:36:50 ID:PjIjI5ax
>>455
その可能性もあるね。となると…
現在高校2年生で、その1年前にかなたさんが亡くなって、
それから引き篭もったわけだから…かがみと知り合う前に引き篭もった。
そしてその影響で留年、とか。
あとはつかさと面識があるかどうか?

こういう考察するのも読み物の楽しみの一つだよなー…と常々思う。
459名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 13:44:57 ID:JNOxBE/G
考察するに去年っていうのが広義な意味で、一年の終わりのほうだったんじゃない?
試験とかが終わってれば進学とかは出来るはず
それでつかさとは二年で始めて同じクラスになったんじゃないかな
でももうひきこもってて、面識がないって感じ
長々とごめん(´Д`) 

460名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 14:49:08 ID:j31M88z3
888ってw
製本したら売れるレベルじゃないのか?

という訳で全てのSS作者さんにGJを贈りたい
そしてこれからもよろしくお願いします
461名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 14:52:59 ID:XiCPXyry
製本して何冊くらいいくのかな
462名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 14:57:54 ID:dfHGneWh
>>461

「週刊らき☆すたSS」というネタが以前あってな……
463名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 16:27:36 ID:sA0bHqyT
>>462
あの表紙をみると今でもあの頃が鮮明に思い出されるぜ…

愛情一本、チビオタドリンクとか
464名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 17:04:15 ID:4Z5RoCmf
>>459
高校なら校長や理事長みたいな偉い人がやむを得ないと判断した場合は進級できるらしい
実際俺が高校の時一年の10月以降入院して一度も学校行ってないけど進級できたから
入院前まで真面目に行ってたのと成績良かったのを理由に担任が上に掛け合ってくれたおかげもあるけどね
だから全く行ってないのは別として少しでも行ってれば有り得る話だと思う
465妄想屋(仮名) ◆JUqojnT5.c :2007/11/30(金) 17:41:48 ID:NSIbIAf4
『あくむのカラオケボックス@こな☆フェチ』
-------------------------------

「次はみゆきね」
「ゆきちゃん、がんばってー」
「『幸せがいっぱい』、歌ってほしいな〜」
「何でだ」

〜♪〜

「あ、これ知ってる〜」
「つかさ、そろそろ頬ずりやめてってば……って、おぉっ! これエヴァのエンディングじゃん!」
「やれやれ、そっちで覚えてるところがこなたらしいわね〜」
「かがみ、どさくさにまぎれてお尻さわんないでよ」


♪Fly me to the moon
And let me xxx(※放送禁止) among the stars
I will blow my blood like a spring from my nose
In other words rub my bust
In other words darling,Izumi♪

♪And my body will melt
I wish you drink all of me
You are all I want and
All I worship and libido
In other words please xxxx(※放送禁止) me
In other words I love you♪

〜♪〜

「……お、おそばつさばでひた(だばだばだば)」
「ゆきちゃん、すごーい!」
「みゆきの意外な一面を見たわね〜」
「そんだ、ばずかぢいでつ(ぼとぼと)」


「……あれ?こなちゃん、どこ行くの?」
「え、えと、その……ちょ、ちょっと外でゴッドマン練習してくるヨ」
466名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 18:17:10 ID:xD1kMJSX
>>465
まず一言 GJです!そしてもう一つ
つかさ「こなちゃ〜ん出番だよ〜あれ?いないの?」果たしてこなたは逃げ切れるのか?そしてみゆきのこなた補完計画とは?
次回「カラオケ、逃げ出したあと」さあて次回もこなフェチ、こなフェチ♪















本当に訳分かんなくてすみません。
467名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 18:26:07 ID:NSIbIAf4
(トイレにて……)

「♪おーーい ゴッドマーン 聞こえるかーい
 おーーい ゴッドマーン ……いやほんとマジでタスケテorz」

「……とうっ!」
「!! あ、あなたはっ!!」

「助けに来ましたよ、こなt……泉こなたさん」
「……」
「あ、でも私は女性ですから、ゴッド"マン"じゃあんまりですね。
 ……そうね…… そう、『ゴッドさん』と呼んでください!」



「……何やってんのさ、お母さん?」
「はうっ!? ……ち、違いますっ、私は『ゴッドさん』ですっっ!」
468名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 19:02:55 ID:Ha6iE1DP
かなたさんがゴッドマンのコスしてるのかと思うと和むわ〜
469名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 19:29:54 ID:u1uVvvB+
和むが、かなたさんに「とうっ!」は似合わないな。
470名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 19:33:55 ID:NSIbIAf4
変に吹っ切れた感じで「とうっ!」と叫んでから真っ赤になるんだよたぶん。
471名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 19:44:45 ID:9DiaWEnZ
ごっどまん「ご、ごっどぉ・・・こな砂糖!」

3人「あ〜・・・こなちゃんが・・・こなたがぁ・・・泉さんが・・・・」

ごっどまん「さあ、この隙に逃げるのよこなた!」

こなた「ごっどま〜〜〜ん(感涙)」
472名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 20:13:35 ID:NSIbIAf4
「ご、ごっどまんじゃなくて『ゴッドさん』ですってば!
 ……んもう、こなたったら……そう君、情操教育間違ってない?」

砂糖菓子こなた@デコイ
「ああああああ溶ける溶ける溶ける舐めないでェェェェェ;;」
473名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 20:35:02 ID:BJSGWw3P
薄汚れたブリーフを履いて股間がもっこりしてるかなたさんなんて俺は認めん・・・。
474名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 20:42:08 ID:9DiaWEnZ
なら、そうじろうなら違和感ないな。解決!









こなた「だからそれじゃ犯罪者だって('A`)」
475名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 21:28:54 ID:u1uVvvB+
じゃあ白石はどうだろう?
476名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 21:32:42 ID:9DiaWEnZ
ゴッドココイチ!!
477名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 21:49:08 ID:Ha6iE1DP
ここでゴッドさんをイラストを誰かが投下して万事OKに
478名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 21:50:14 ID:u1uVvvB+
神のカレーハウス・・・。そこでこなたがもしバイトしてるのなら、行ってみたい気が。
479名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 22:10:54 ID:mcWaxwum
みのる「カレーの神になりました、すいません」
こなた「でもカレーって、微妙だと思わないかーセバスチャーン」
みのる「だから、カレーが人を救うんですよ?すごくないですか?」
こなた「うーん、説得力に欠けるよね、辛さ100倍カレーを食べられたら神かもしれないけど」
みのる「………100…倍?」

みのる「あれ?あきら様、なにしてるんです?」
あきら「100倍カレーの準備。はい召し上がれ。」
みのる「え゛っ」
あきら「さーいってみよー」
こなた「いってみよーそれが男ってもんだー!」

みのる「……あむ」

こなた「さ、撤収撤収〜」
あきら「はいはい、ネ申認定」

みのる「……にゃーーーー!!!!」


ごめん調子乗った
48025-161:2007/11/30(金) 22:20:09 ID:9DiaWEnZ
皆様失礼いたします。こなかがフェチの人ですw
私も今回、不意にカラオケネタが浮かんだんで
ちょっとした小品を晒したいと思います。3レス分。


歌手や歌の題名、歌詞の一部を出すのって、
大丈夫なのかなあ・・・それを確認してから・・・(´・ω・`)ガクガク
481名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 22:20:12 ID:u1uVvvB+
>479 気にするな。俺は気にしない。
482名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 22:23:57 ID:EEKkI/NH
>>480
例の団体は漏れが阻止した。遠慮無く投下してくれ。
483『或るカラオケの風景』(1/3):2007/11/30(金) 22:27:39 ID:9DiaWEnZ
『或るカラオケの風景』

…ファイト!戦う君のことを〜
 戦わない奴が笑う〜だろう〜…

「やっぱすごいね、みゆきさん…」
「うん…」

私達は今、カラオケに来ている。
三年となり、会っても勉強会づくめだった私達にとっては
実に久しぶりのカラオケ。まあたまには、こうやって騒ぐのもいっか。
ちなみに今回は、ゆたかちゃん達も合流して合計八人。
とても賑やかなことになっている。

しっかし、みゆきの歌は相も変わらずすごい。
いきなり声のモードを変え、人に伝えるように歌いだす。
普段のしとやかさが嘘に思える程の声の張り。感情の発露。
まあ、歌がまた『中島みゆき/ファイト!』という、
凄まじい曲だしね。ていうか、また「みゆき」ネタですか。
「以上です、お恥ずかしながら…」
「うおおおぉぉぉぉっ!みゆきさんぐじょぉぶ!」
「ゆきちゃんすご〜い」
「すばらし…かった…」
口々に感想が飛び、みゆきはてれながらお立ち台を降りて、見事に転んだ。
「うん、みゆきさんこういったところもGJ!」
確かに、アレはもう流石としかいいようがないわね…。

さて次は…ん?『Hungry Spider/槇原敬之』え?男?
「わた…し…」
そういっておもむろに立ち上がったのは、みなみちゃんだった。
ゆらりとした手つきでリモコンをとると、
「キー設定…+4…」と手慣れた手つきで調整をし、マイクを取り出す。
ていうか、この寡黙な子が歌う姿なんて、まるで想像つかないんだけど。
484『或るカラオケの風景』(2/3):2007/11/30(金) 22:29:08 ID:9DiaWEnZ

…今日も腹を減らして、一匹の蜘蛛が…

う、上手い!何この澄んでてよく通る声、それでいて特徴的な歌い口。
これはやられた。このギャップはみゆき以上ね。

歌は、一見虫の擬人化で童話風にも思えたんだけど、
聞き進めていくうちに、激しい片思いのラブソングであることが分かった。
しかも、いささかヤンデレ気味…。

…I'm a Hungry Spider. You're beautiful butterfly. かなわないと…

歌いながら、その視線はやがて、一点に向けられていた。
ゆたかちゃんに。
それはまるで、愛しいけれどかなわない恋に患いながら、
それでも獣のような目で見ざるを得ない感情。
しかし愛そうものなら必ず壊れてしまう。だから必死に理性を総動員する姿。
現に今、感情を歌にこめて歌いながら、
みなみちゃんの眼は更に怪しくも光を増していた。
ゆたかちゃんは、さながら蛇に睨まれた蛙ならぬ、蜘蛛に睨まれた蝶。
何か戸惑ってるけど、みなみちゃんの視線から逃れられない様子だ。
そうしているうちに、歌はクライマックスに差し掛かっていた。

…何も言わず逃げるように、飛び去る姿さえ
美しいなら、今死んで、永遠にしようか…

不意に、ゆたかちゃんがみなみちゃんの膝元に寄り添い、
右手に、そっと小さい手が重ねられる。
そして、真摯な目でじっとみなみちゃんをみつづけるゆたかちゃん。
大丈夫だよ、私は壊れないし、逃げないから。だからそんな悲しいこと言わないで。
そう言ってるように見えた。
それがきっかけになったのか、みなみちゃんがハッとしてゆたかちゃんを見つめ直すと。
次の瞬間、怪しい視線を通してきたみなみちゃんの顔が、わずかに弛緩し、
その目は、優しいものにかわっていく。ゆたかちゃんの顔もほころんでいった。
そして、この状態のまま、みなみちゃんの歌が終了する。
485『或るカラオケの風景』(3/3):2007/11/30(金) 22:31:11 ID:9DiaWEnZ
私達は、そんな2人の様子に、しばし呆然としていた。やがて、
「ぶらぼおおおおおおおおおおおお!!」
こなたの第一声で沈黙が破られると、一斉に拍手が沸き起こる。
「なんかすごいよ、2人とも」
「ベリベリ、ファンタスティックね!」
「なんかもう、ごちそうさまって感じよね」これは、私の台詞。
「ぬおおおおおおおおお!!!!!!」
その隣で、田村さんがまた奇声を発しながらスケッチブックに何か描いていく。
おおかた彼女の頭の中は、巨大な蜘蛛の巣を背にしたプリンスみなみが、
プリンセスゆたかをお姫様だっこしている姿で一杯なんだろう。
でも今回ばっかりは、私も田村さんの気持ちを、少し理解したような気がする。


さあて、堪能したところで次…え…『Top of the World/Chemistry』また男!?
「おおっ!やっと私の出番ですかっ!ふんふん…+4っと!」
って、あんたかよこなたっ!

…Top of the World つかむまで、その手をここから離すなよ…

うげっ!なにこのR&B歌唱!不必要にうめえ!しかもこの歌声どっかで・・・
「Oh!ハルヒサイコーデスネ〜〜!」
パティさんの一言で全てを思い出す。
あーそういう事ですか、やれやれ…
「よーし恒例のアレいくよ〜!」こなたが歌の合間にこんなことを言い出す。
まさか…。

…Top of the World 《つかむためぇ〜》、この手はここから《離さな〜いっ》…
(《》内:こなたの素声)
ああ、やっぱり…もう突っ込む気も失せるわ…
48625-161:2007/11/30(金) 22:32:54 ID:9DiaWEnZ
読んでくれた方ありがとうです。今回みなみとこなたのネタは
言うまでもなく「ハヤえもん」ですw
興味を持たれた方は、一度お試しになるといいかと思いますw

まあ、にてねーじゃんよ、とか言われる前に
とっとと退散することにしますε========┌( ゚∀゚)┘
487名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 22:41:59 ID:EqeE/L7c
なんという選曲……
冒頭を見た瞬間ベイリーズミルクを吹いてしまった
このSSは間違いなくツボ

GJです
488名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 22:44:11 ID:N8rQViJf
>>486
あたし中卒やからね仕事をもらわれへんのやと書いた
女の子の手紙の文字はとがりながらふるえている

GJ!
489名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 22:57:37 ID:JWNkJ+kk
「みゆきさん……これ……」
「はい、>>482さんの……肉片です」
「必死に戦ってくれたんだね、○AS○ACと。こんなになるまで」
「馬鹿よ……馬鹿! 無茶なんかして!」
「泣かないでかがみ……>>482さんが報われないよ」
「そうです、身を挺して守ってくれたんです……>>486さんを、このスレを」
「そうだよ強く生きよう……>>482さんの分まで!」
「……うん、そう。そうよね……分かった。私負けない、負けたりしない!」
 涙を拭いた四人の少女たちの顔には、笑顔が輝いてたとかなんとか


まぁそのつまりその……
>>486 GJ!
4904-243 ◆X9xLTlcDnY :2007/11/30(金) 23:04:45 ID:fPgC4nn1
今日も大量GJ!!

帰りのバスで読んだ>>448の「かがみこなた」がエロちっくでした(´・ω・)ノシ
http://www.geocities.jp/extream_noise/rakisutaep/img/kagayuta.jpg
かがみっぽい雰囲気は出ましたかねー?

残りの作品は今夜寝床で読ませてもらうんだZE☆
491名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 23:16:49 ID:Ophd7wgd
>>490
'`ァ'`ァ(*´д`)'`ァ'`ァ
492名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 23:24:27 ID:xD1kMJSX
>>490
また溶けそ ドロドロ
みゆきさんが溶けるくらいGJです!
493名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 23:25:29 ID:JWNkJ+kk
保管作品900突破おめ! こりゃ1000なんざめじゃないね!
494名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 23:34:37 ID:VF3kbOkX
一週間で20個強の作品が投下されるわけだから、1000突破は年末か年始か…。
気分的には今年中に1000に到達して欲しいな、とか思ったり。
495名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 23:42:53 ID:iG8BAUx+
故・星新一氏みたいだなw
そろそろ4桁突入か……思えば遠くへ(ry
496名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 23:48:18 ID:nhWtVXPr
もし、誰もいないようであれば投下しますね。
>493
もう900?凄いなあ。
49723-251:2007/11/30(金) 23:49:56 ID:nhWtVXPr
「星に願いを」 第10話

・こなかが入れ替わり
・続き物
・エロ注意
498星に願いを 1/5:2007/11/30(金) 23:51:31 ID:nhWtVXPr
 10.

「べ、ベンザリン錠です」
「ふーん」
 名前を聞いたことがない人の方が多いと思うが、よく使われる睡眠薬だ。
 寝つきをよくする効果があり、5〜6時間ほどは持続する。
「おじさんにも入れたのね? 」
「は、はい。おじさんには1錠、『お姉ちゃん』にはその半分です」
「だから、『おじさんが起きる事はありませんから』っていったのね」
「はい…… 」

 ゆたかちゃんは観念したように頷いた。
 それにしても、睡眠薬は医者の処方が必要なはずだが。
「私、中学生の時、夜眠れない時期があって、お医者さんに
お薬を貰ったんですが、余りがあったので…… ご、ごめんなさい」

 なるほど、謎は全て解けた。
 でもね、ゆたかちゃん。
「やっていいことと、悪いことがあるの」
「本当に、ごめんなさい」
 小さく縮こまって謝るゆたかちゃんを見ると、とっても愛らしくて――
いじめたくなる。
「悪いことをしたゆたかちゃんには、『お仕置き』しなくっちゃね」
 私は冷ややかな口調をつくって言うと、ゆたかちゃんの下着に
もぐりこましていた手を、再び動かしはじめた。
499星に願いを 2/5:2007/11/30(金) 23:52:21 ID:nhWtVXPr

「んんっ…… ひゃう」
 ゆたかちゃんの、喘ぎ声が心地よく届く。
 ゆっくりと大事な部分をなぞっていくと、微かに濡れ始めている。
「んあ…… ん」
 右手の指先でゆたかちゃんの陰部を弄ぶ。
 同時に、ほんの少しだけ膨らみ始めた乳房の頂きを舌の先で
丁寧に転がす。
 私は、上目遣いで、快楽と苦悶の狭間で悶えている
ゆたかちゃんのよがり顔を堪能する。

 頭の片隅に残っている微かな理性によって、自分が完全な
ヘンタイさんになってしまっていることは分かっている。
 しかし、この状況で興奮するなというのは、みゆきみたいな
聖人君主でないと無理だろう。

 ゆたかちゃんは、必死で喘ぎ声をこらえながら、両手で自分の
顔を隠している。
 しかし、性的な行為に対する興味は抑えきれないようだ。
 ときおり掌の間から、私の指先でいじられている、自分の下半身を
ちらちらと覗き込み、その度に恥ずかしげに顔を赤らめて、
目を逸らすことを何度も繰り返している。
500星に願いを 3/5:2007/11/30(金) 23:52:59 ID:nhWtVXPr
 私は、いじらしい反応に更に興奮してしまい、ゆたかちゃんの
大切な場所が十分に濡れたことを確認してから、膣壁に指を
入れはじめる。
「そこは嫌です。まだ、わたし! 」
「まだ、初潮を迎えていない? 」
「ち、違いますっ」
 ゆたかちゃんは怒って、ぽかぽかと私を叩いた。
「ごめんごめん。いくらなんでもそれはないよね」
「酷すぎますっ! 」
 ふくれっつらをした下級生を、あやすようになでてから、
私は、耳元で囁いた。
「一本くらいなら大丈夫だから」
 いい加減な事をいって、ゆたかちゃんの膣に指をもぐりこませる。

「ひゃん…… んあああっ」
 ゆたかちゃんは思いっきり背中をのけぞらして絶叫する。
 私は彼女の喘ぎ声に興奮しながら、指先の動きを速めていく。
「あん、あうっ…… うあああっ」
 小さな身体をびくびくと震わせながら、ゆたかちゃんは家中に
響くような、大きな嬌声を何度もあげる。

 ゆたかちゃんにとって、実に皮肉なことではあるけれど、
彼女が飲ませた睡眠薬によって、どれだけ大声をあげても、
おじさんは決して目を覚ますことはない。
 天罰といったら少しかわいそうではあるが。

「おねえちゃん。おねえちゃん! 」
 全身汗まみれになって、アソコからは愛液をあふれ出しながら、
ゆたかちゃんはよがりまくる。
「おねえちゃん。もう、いっちゃう。いっちゃうよおっ」
 少女の身体の振動が激しさを増している。どうやら限界が
近づいているようだ。
 私が更に指を動きを速めると、びしゃ、びしゃっ、と
とんでもなく卑猥な音がたて続けに響く。
「だ、だめっ、んあああああっ…… おねえちゃんっ」
 ひときわ大きな声をあげて、ゆたかちゃんは頂きに達した。
501星に願いを 4/5:2007/11/30(金) 23:53:50 ID:nhWtVXPr

 激しくイッたゆたかちゃんは、ゆっくりと退き始めた快楽の波に
身をまかせるようにして、ぐったりとベッドに倒れ込んで、
荒い呼吸をしている。

「ゆたかちゃん。教えてくれるわよね」
 しかし、あんなにえっちな事をした直後なのに、私は既に
冷静さを取り戻していた。
 ゆたかちゃんは、瞳をとろんとさせながらも起き上がり、
素直に答えてくれた。

「今度の土曜日の夜、月食があります」
「月食? 」
 意外な言葉に、私は首を捻った。
「久しぶりの皆既月食です」
 太陽と月の間に地球が入ることによって、地球の影によって
満月が隠れてしまう現象を皆既月食という。
 しかし、月が完全に見えなくなるわけではなく、淡い赤銅色の
月を望むことができる。
「確かに月は、完全に見えなくなる訳ではありません。
でも、月の強い光に遮られている星達は、輝きを取り戻します」
「それと、私たちが元に戻るとどういう関係があるの? 」
「笑わずに聞いてください」
 ゆたかちゃんはブラをつけて、脱ぎ散らかされている
パジャマも着込む。

502星に願いを 5/5:2007/11/30(金) 23:54:59 ID:nhWtVXPr
 服装を整えたゆたかちゃんは、半月よりは少し膨らんだ月の光を
浴びながら、はっきりとした口調で言った。
「かがみ先輩。こなたお姉ちゃんと皆既月食の間に結ばれてください」
「な…… なんですって!? 」
「ふたりがひとつになった時、召還魔法は解けて、入れ替わった
人格は元に戻ります」
 ゆたかちゃんの口調は真摯であり、偽りを言っているようには
思えない。
 しかし…… 私は、喉から声を絞り出すようにして尋ねた。
「もし曇ったり、雨が降って月が隠れていたらどうなるの? 」
「その時は、効果はありません。残念ですが…… 次の皆既月食を
待たなければならないでしょう」

 皆既月食なんて、そうそうあるものではない。当日晴れるのを
祈るしかないというわけね。
「ええ」
 ゆたかちゃんはそこまで言うと、ねじの動きを止めたぜんまい
仕掛けの人形のように、ベッドに崩れ落ちた。体力の限界に
達していたのだろう。
 深い睡眠に陥ったゆたかちゃんの顔を眺めながら、私は考え込んだ。

「皆既月食の間にこなたと結ばれる」
 入れ替わりという、とんでもなく非科学的な経験をしている現在では、
『結ばれる』という行為は、ごくありきたりの行為に思えてしまう。

 しかし、あまり分の良くない賭けである。
 リアルの同性には興味がないという、こなたが私とのエッチを
承知してくれるのかは賭け。
 当日晴れてくれるということも賭け。そして、ゆたかちゃんの
言葉自体が正しいか否かも賭けだ。
 しかし、いくら可能性が低かろうが、全てのチップを盤上に
載せなくてはいけない。

 私が私であるために。こなたがこなたであるためには。
50323-251:2007/11/30(金) 23:59:19 ID:nhWtVXPr
 ようやく大まかな方向性が出せたような気がします。
ふろしきを広げすぎて破綻しないようにしたいものですが。

>>490
GJ!
あまりにもはまり過ぎて危険です。
ゆーちゃんが可愛すぎw
504名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 00:02:24 ID:fPgC4nn1
>>495
しん☆いち

「R18がN氏を訪ねて来たヨ〜(=ω=.)」
「誰がエヌ氏だ。しかも18って何だ。アールは博士と決まってるでしょ。それにアルファベットじゃなくカタカナよ!」
「さすがかがみん。ラノベネタは食いつきがいいねぇ」
「あんたね、いくらなんでもショートショートとラノベを一緒にするな!」
「1000作品って凄いねぇ〜」
「そうですね。ちなみに"1000作品目を特定の出版社向けにするのはお世話になってる他の出版社に申し訳ない"
 というので、1000作品目を含む4作品を順不同にして同時に4社にお渡ししたそうですよ。」
505妄想屋(仮名) ◆JUqojnT5.c :2007/12/01(土) 00:03:29 ID:ZNkQ8lbZ
>>486
みなみんの「Hungly Spider」ぐっじょ!
では、次はひよりんで「まだ生きてるよ」ですっ!

『♪うぇっ、吐きそう……でも飲んじゃったー!』
「ぎゃーー!やめーーー!!」

>>490
ふはあああああ!こなたの目つきがちゃんと「かがみ」してるところが芸細かいなあ。
……実は「ゴッドさん」をひそかに期待してた俺w

>>503
もはや完全に攻守逆転。相手が悪かったね、ゆーちゃんw



……ところで、>>465の曲名間違えてたのにいまさら気づいた件について。
「想い出がいっぱい」やがなorz


-------------------------------------------
本編より長いおまけ:>>465和訳

♪私を月まで連れてって
そして星の間でセッ○○して
私の鼻から泉のように血が吹き出すわ
言い換えれば…… おっぱい揉んで
言い換えれば…… 愛しい人、泉さん

そして私の体は溶ける
あなたに全て飲んで欲しいの
あなたは私の欲しいもの全て
私の崇拝、そしてリビドー
言い換えれば…… お願い、ファ○○して
言い換えれば…… 愛してるわ



( =△=.) <…………



(=△=)





……すまない、今日はどうやら壊れてるみたいだ俺orz
506名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 00:04:40 ID:JWNkJ+kk
「あと86作品ねぇ……一週間20だと一ヶ月で80ってところかしら」
「あっはっは、かがみは欲張りだなぁ、あんまり作者さんに無茶言っちゃいけないよ」
「なっ、何よ。あんたがこういうのは一番に言い出すじゃない!」
「分かってないなぁかがみんや、こういうのはじっくりと信じる。それこそ、愛だよ!」
「ふぅん、あんたにしてはマトモなこと言うじゃない」
「……ぶっちゃけ一ヶ月で86回もみゆきさんに蹂躙されたら体もたないよ」
「ぶっちゃけた!」
「うふふ、大丈夫ですよ泉さん。あなたのアホ毛は天を貫くアホ毛ですから」
「ギャー!」
「さぁ一緒に道を切り開きましょう! 私たちを誰だと思っていやがるううううう!」
「パクった!」

「ってゆーか私最近活躍ないよね」
「そうねぇ、入れ替わったりななみゆだったりひきこもってたりあき白だったり」
「ロボだったり白みさだったり……ってゆーかお母さんのが目立ってる気がするんだけど! ドジっ子なんてずるい!」
「まぁいいじゃない、主役なんて大変なだけよ」
「はぅあ! 何スかその余裕発言、かがみがメインのが多いからって! 私も平安時代行きたいコト○ハに刺されたいはやく人間になりたい活躍したいぃー!」
「大丈夫ですよ泉さん……いつも私の中は泉さんだらけですから」
「ギ(ry」
「同じオチかよ!」
507名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 00:10:39 ID:Rsho/SIW
>>503
GJ!
ゆたか受けいいよゆたか受け
これは激しく続きが気になります。

>>505
大丈夫、あなたは正常だ
5084-243 ◆X9xLTlcDnY :2007/12/01(土) 00:17:35 ID:5h1aOaBI
GJありがとですノシ
>>505
> ゴッドさん
なるほど。今ちょうどその辺読んでましたが、ちょっと描いてみたいと思っいましたw
ゴッドさんかわいいよゴッドさん(*´Д`)
509名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 00:20:51 ID:13buhlQ2
>>504
思えば、小さい頃初めて読んだ大人向けの小説は「ボッコちゃん」だったなぁ

あれのせいだ、俺が屈折したSSしか書けなくなったのは絶対あれのせいだ
510名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 00:26:35 ID:pZnaOZad
>>509
未だに『人造美人』が実家にとって置いてあったりw

>>505
フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン
叶うものならば 夜空に虹を架けて〜

さすがmiwikiさん
それならJA(ry の魔の手も届かないからなんともないぜ
5114-243 ◆X9xLTlcDnY :2007/12/01(土) 01:01:50 ID:5h1aOaBI
>>509-510
懐かしいw 部屋の荷物を全部紐解けばどこかにある筈w

>>505
ゴッドさん描いてみた(´・ω・)ノシ
http://www.geocities.jp/extream_noise/rakisutaep/img/god3.jpg
512名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 01:07:00 ID:9lGUlhEo
お、保管庫が更新されてる 管理人さん乙!
さすがにぶーわ氏のEDは無理だったか……残念
もう消えてるみたいだから、もう無理か
5134-243 ◆X9xLTlcDnY :2007/12/01(土) 01:10:45 ID:5h1aOaBI
あ。ぶーわさんのED、保存してあるのでぶーわさんの許可さえ頂ければうpできます…(´・ω・)
514名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 01:14:39 ID:ZNkQ8lbZ
>>511=513氏
こなつーは気が向いたら塗るかもしれません。
てか、いくらなんでもこれはヤバいか?


----------------------------------
「ゴッドさん!」
おーい ゴッドさん 聞こえるかい
おーい ゴットゥーザ お呼びでない
SOS SOS SOS SOS
こなたが危ない
SOS SOS SOS SOS
ゴッドさん ゴッドさん ゴッド・傍観!

「ゴッドさん!」
おーい ゴッドさん 見えてるよ
おーい ゴッドさん はいてない
SOS SOS SOS SOS
みゆきが壊れる
SOS SOS SOS SOS
ゴッドさん ゴッドさん ゴッド・こな砂糖!

「ゴッドさん!」
おーい そう君 時間がない
おーい そう君 アイデアない
SOS SOS SOS SOS
原稿落とすよ
SOS SOS SOS SOS
ゴッドさん ゴッドさん ゴッド・ザ・ワールド!



……戻ろorz
515名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 01:16:53 ID:SY3lsoPz
もうニコニコとかようつべにでも上げたら消えないんじゃないかな?
でもあれかな、ここの名前入ってるからここがあれちゃうかな?
516名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 01:23:16 ID:5h1aOaBI
>>514
色塗りは気合いが入った時に一気にやらないと
いろんなモノが続きませんね(*´Д`)
517名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 01:30:23 ID:9eOWt103
ぶーわさんのED、気付けば一日最低一回は見ている生活に…
あのEDは曲と画像が良すぎてじわっとくるものがありますね。

あ、差し支えなければ数分後に投下させていただきます。
518名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 01:35:12 ID:9lGUlhEo
生きてるということは 素敵なことだね
愛するということは 素敵なことだね

ちゃんと話にもあってて涙腺が……

>>517
全裸待機! みんなで目指そう1000作品!
519名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 01:38:02 ID:9eOWt103
>>518
風邪ひかないでくださいね!

では、一年生ズのSSを投下したいと思います。
非エロの山なしオチなし意味なしSS(801というわけではないですよ)ですので、
過度な期待はされぬよう……。12レスいただきます。
520一年生ズのフツーな休日 (1/12):2007/12/01(土) 01:39:43 ID:9eOWt103
「お、終わったぁ〜……」
 ぐたり、と頭を机に垂らして私は
 今まで溜まっていたものを吐き出すかのように深く息を吐いた。
 伸ばしっぱなしの私の長い髪が机の脇からだらしなくはみ出しているけど、
 今はそんなことにかまっている元気は無い。
「最後のテスト、難しかったねぇ。
 最終日に数学だなんて嫌な時間割だよぅ」
「大丈夫……ゆたかは頑張ってたから、きっといい点数が取れてるはず」
 少し落ち込んだ様子で「><」なんて目をしている小早川さんと、
 その小早川さんの頭に手をおいて励ましている岩崎さんが並んで歩いてきた。
 本当にいつ見てもお似合いの……じゃなくって、
 姉妹みたいに仲が良くってなんだかほのぼのさせられる。

「うん、そうだといいけど……って、田村さん、大丈夫?」
 うな垂れていた私に気付いたのか、小早川さんが心配そうに尋ねてきた。
「うーん……なんとかね〜……。
 まぁちょっと睡眠が足りてないだけだから……」
 顔を上げて二人に(おそらく不気味な)笑顔を向けた後、
 また私はさっきまでの屍のポーズに戻った。
 睡眠不足の理由。それはもちろん徹夜で、
 特に1限目の世界史の単語の詰め込みをしていたからなんだけれど、
 普段の私はそんな無謀な勉強方法は取らない。
 それでもなぜそんな方法を取ってしまったかというと、
 今回のテスト期間と同人誌の入稿日とが運悪く重なってしまったのが原因だ。
 ペンの道に生きる私として、絶対に原稿を落とすわけにはいかなかった。
 でもGペンを持つ時間が増えるほど教科書を開く時間が減るわけで……。
 結局この一週間はほとんど毎日徹夜してテストに臨むことになってしまったのだ。
 私は二人にこの理由を説明する気力もなく、
 ついさっきまで私を悩ませていた数学の問題用紙と共に机にへばり付いていた。

「Hi,ヒヨリ? オツカレのようですネ?」
 突っ伏したまま小早川さんと岩崎さんの会話
(チェリーちゃんの話みたいだった)に耳を傾けていると、
 今度はクラスの中で唯一私の事情を知っているパティが話しかけてきた。
 私はパティの言葉に、体勢はそのままで一度だけ小さく頭を動かした。
「ソンナままだったら、ナカミだけじゃなくて
 ソトミもクサってしまいまスヨ? シッカリしてくだサイ!」
 パティがそう言ったと同時に腰のあたりに鈍い痛みが広がった。
 ごふっ、なんて可愛げの無い声が私の口から飛び出てくる。
「い、いきなりそんなとこ叩かなくても……」
 体を起こしてパティのほうを見ると、
 パティはいつもみたいに眩しいくらいにニコニコ笑っていた。
「アイのムチでスヨ、アイのムチ♪」
 今はその元気を一欠けらでもいいから分けてほしいよ……トホホ。
521一年生ズのフツーな休日 (2/12):2007/12/01(土) 01:40:26 ID:9eOWt103
「ソウいえばtestも終わったコトでスし、ミンナでアソビに行きませんカ?」
 パシン、と手を合わせてパティがその場にいた三人に提案した。
「今日……はヒヨリが大変みたいでスカラ、明日あたりにデモ……」
「あ、いいかもね! 明日はちょうど土曜日で休みだし……
 最近なかなか四人で遊べる機会ってなかったもんね」
「うん……私もいいと思う」
「ありがとねパティ……もちろん私も賛成っ!」
 パティは時々こうやってみんなを引っ張って行動してくれるところがある。
 数ヶ月前の文化祭でもチアのことを考えたのはパティだったしね。
 あのときはかがみ先輩達の協力もあって大成功に終わったけど、
 パティがいなかったらあの感動もなかったかもしれないんだもんなぁ。
 そう考えると、パティって結構すごいのかも。

「ソレじゃあ、キマリでスね!」
「でも、どこで遊ぼっか? 映画でも見に行く?」
「Mmm...ソレも捨てがたいのでスが……カラオケなんてイカガでスか?」
 パティは人差し指を立てて可愛くウインクをした。
「カラオケかぁ〜、そういえな四人でカラオケって行ったことないね」
「確かにそうだねぇ。前に泉先輩からかがみ先輩達とカラオケに行った話を聞いたけど、
 すごく盛り上がってその後も何度かカラオケに行くようになったらしいよ」
 私の話に小早川さんは少し苦笑して、
「あ、その話私もお姉ちゃんから聞いたよ〜。何でもお姉ちゃんの独壇場だったらしいね」
「ふふ、泉先輩らしいね」

「カラオケは行ったことがないけれど……大丈夫かな」
「もちろん! みなみちゃんは歌が上手いもん、大丈夫だよ〜」
「私は聞いたことないけど、岩崎さんのピアノの弾き語りってすっごく上手なんだって?」
「うん! 時々聞かせてもらうんだけど、思わず聞きほれちゃうもん」
「そんなこと……ないよ……」
 そう言うと岩崎さんはふいと横を向いてしまった。
 前髪で目が隠れて表情がよくわからないけど、
 確かあれは照れてるときのリアクションだったかな?
 岩崎さんとも結構な付き合いになるから、
 段々と私も岩崎さんのことが分かってきたみたい。
 でもまぁ、小早川さんには負けるけどね。
 腐った眼差しで小早川さんをちらりと見ると
 小早川さんは岩崎さんを見上げて無邪気に微笑っていた。

「デハ、明日はカラオケに行きまショウ!
 ソノ後、みんなをワタシの家にショウタイしまスね。
 ゼヒみんな泊まっていってくだサイ♪」
「おおー、パティの家かぁ〜。それじゃあ遠慮なくお邪魔させてもらおうかな」
「それじゃあ、お泊りセットを持ってくね。おじさんに伝えとかなきゃ」
「私も多分大丈夫だと思うから……おじゃまするね」
「OK! セイイッパイおもてなししまスね!」
 明日はすごく楽しい一日になりそう。
 とりあえず今日は帰ってしっかりと体を休めなきゃ……うう、また眠くなってきた……。
522一年生ズのフツーな休日 (3/12):2007/12/01(土) 01:41:05 ID:9eOWt103
「だーーーーーーーっ!!! 寝坊したーーーーーーーっ!!!!!」
 目覚ましのA.M.とP.M.の設定を間違えていた私は待ち合わせの十五分前に起床した。
 ちなみに待ち合わせ場所の駅まではどんなに急いでも三十分はかかる。
 せっかくだからしっかり身だしなみを整えて行こうという私の計画は
 初っ端から砕けちってしまったようだ。
 ていうか12時間も寝ちゃってたんだ……ど、どんだけー。
 とりあえずベッドから出て、やらなきゃいけないことを着替えながら必死に考える。
 まずPCの起動……? ってこれは休みの日の日課でしょうが……。
 あー、起きたばっかでまだ頭が寝ぼけてる……。
 まずは顔を洗って……あ、みんなに遅れるってメールしなきゃ。
 はぁ、頭も大爆発だ……。何でこういう時に限って寝坊するんだろう……。
 それから大急ぎで支度をして(朝ごはんは十秒チャージ!)、
 結局私が待ち合わせ場所についたのは予定時刻から三十分ほど経った後だった。
 M印のハンバーガー屋で私を待っていた三人に私はこれでもかというほど頭を下げた。
 パティには「罰金よ! 罰金!」なんて某団長風に言われたけど、
 他の二人同様に怒ってはいないみたいだったからよかった。
 でも今度何かみんなにお返ししないとね。
 っていうか久々にあんな全力疾走したから息が……はぁ……。

「何歌おうかな〜♪」
 私達は駅の近くにあるカラオケボックスに入った。
 歌本を開けながらうきうきしているのは小早川さんだ。
 岩崎さんは慣れない様子で辺りをキョロキョロと見回している。
 パティはドリンクの注文の準備をしているようだ。
 そういえば私もカラオケにはほとんど来たことないんだよね。
 ついノリでOKしちゃったけど、ちゃんと歌えるかな。
 ていうか私って何か一つでもまともに歌知ってたっけ……?
 アニメって大抵一番しか流れないからなぁ……
 うわ、なんか歌う前から緊張してきた……。
「ヒヨリはナニ飲みまスか?」
「えっ? あ、え、えーと、牛乳……は無さそうだからウーロン茶を……」
「ダイジョウブでスよ、ヒヨリ。relax,relaxでス♪」
「あ、うん……ありがと、パティ」
 傍目から分かるくらいに緊張してたのかな、私……。
 まぁ、そうだよね、別に全校生徒の前で歌うんじゃないんだし、
 リラックスして楽しまなきゃね。

「じゃあ、これにしようかな」
 小早川さんは歌本を見ながら小さな手でリモコンのボタンを一つずつ押している。
 小早川さんは体だけじゃなくってこういう細かい動作までいちいち可愛らしくて、
 これを言ったら絶対怒るだろうけど「本当に同じ年なのかな」とすら思ってしまう。
「何だか一番ってドキドキしちゃうね〜」
「頑張って、ゆたか……」
(あ、この歌知ってる……)
 画面に映し出されたのは数年前にやっていたドラマの主題歌だった。
 確か大学生活を舞台に聴覚を失ってしまった女の子との恋愛を描いた、そんなドラマだったと思う。
 機械の準備が整ったのか、ゆっくりと部屋の照明が落ちて
 上にあるミラーボールから大小様々な光の欠片が部屋中に散りばめられた。
 そしてピアノのイントロと共に、画面に幸せそうに手を繋いだカップルの映像と歌詞が映し出された。
523一年生ズのフツーな休日 (4/12):2007/12/01(土) 01:41:46 ID:9eOWt103
 『届いてくれるといいな 君の分かんないところで 僕も今 奏でてるよ』

 そうそう、こんな歌だったっけ。
 あまり歌には詳しくないけれど、この歌はテレビやラジオで
 しょっちゅうかかっていたからメロディーくらいは記憶にあったようだ。 
 小早川さんはマイクを両手でしっかりと握り締めて、
 可愛らしい声で一生懸命に歌っていた。
 すごく上手というわけではないけれど一節一節丁寧に音がとれていて、
 そして聞いててとても安心する歌声だった。
 間奏になって小早川さんがふぅと一息つく。
 BGMで何を言っているのかは聞こえなかったけれど
 横にいた岩崎さんに褒められたのか、小早川さんはにかんで笑っていた。
 この二人ってケンカとかしたことないんだろうな。
 もしケンカするとしたらどんなシチュなんだろう……。
 小早川さんはなんとなく譲らない人な気がするから
 謝るとしたら岩崎さんのほうからかな……いや、でも……
「モウソウ中でスか〜、ヒヨリ?」
「うわっ! あ、いや、アハハ……」
「ユリユリもよろしいでスが、今はジチョウしないとダメでスよ?」
「ご、ごめんなさい……」
 はぁ……私って、ダメな友達……。


 しばらくして歌が終わり、部屋に照明とまばらな拍手が灯った。
「Very Pretty,ユタカ! サイコウでシタ!」
「うんうん、すごくよかったよ〜」
「えへへ……ありがとう。緊張したけどなんとか歌えたよ〜」
 小早川さんは小さめのツインテールをぴょこんとはねさせて微笑った。
 そういえば歌うときって緊張するんだろうな。
 あぁ、まずい、早く曲を決めないと……。
「デハ次は私でスね。nn...アー、アー」
 いつの間に曲を入れたのか、パティはもう一つのマイクを持って立ち上がっていた。
 発声練習までしてすっかり歌う準備は万全なようだ。
 パティ、何歌うんだろ?
 まぁ画面みればわかるんだけど……
 機械の準備が整い、再び部屋の照明がゆっくりと落ちていった。
 私は画面を見てタイトルを確認した。
 そして思わず固まった。


 パ、パティ、いきなりコレ歌うの!?

 『ボク達がナントカしなけれバ、
  カクジツに世界はホウカイするのデス Oh,困ったモノデ〜ス』
524一年生ズのフツーな休日 (5/12):2007/12/01(土) 01:42:48 ID:9eOWt103
 おおー、表示されてないのにセリフ部分までちゃんと歌った……。
 っていうかホントにこれ歌っちゃうんだ……。
 どっちかっていうとパティのほうが困った人だよ〜……うう、なんだか恥ずかしい……。
 ちなみに小早川さんと岩崎さんは軽快なリズムに合わせて手拍子を取っている。
 結構順応性あるなぁ、この二人……。
 パティの歌は普段のややカタコトの日本語とは違ってすごく上手だった。
 ていうか下手なアイドルより可愛くて上手いかもしれない。
 振り付けも完璧(『激奏』の時の振り付けだね)みたいで、
 いつも以上のハイテンションでパティはミラーボールの光を浴びて元気に歌っていた。
 そういえば泉先輩とCDも出してるんだっけ?
 うーん、ますますパティがアイドルに見えてきたかも。
 ちなみに私としてはパティが動く度に大きく揺れるあの胸も気になったり……。
 私の貧相なココと比べるととても悲しくなってくる。
 あーゆーのがアメリカンサイズっていうのかなぁ……トホホ。
 でも横の二人よりかはあるハズ……って、私は何を考えてるんだ。
 わっ、セリフの部分、本人かと思った……。

「パティちゃん上手〜! なんだか面白い歌だったね〜」
「うん……ユニーク」
「アリがとうございマ〜ス♪」
 みんなの言葉に、パティはニッコリと笑っておじぎをした。
 パティの笑顔ってこっちまでなんだか笑顔になるから不思議。
「ふふ、でもタイトル見たときはどうなることかと思ったよ〜」
「Sorry,イッキョクメはコレにしようとオモってたんでス♪」
 パティは可愛くウインクをして言った。
 きっとこんなポーズ、私がやってみても似合わないんだろうな。
「デハ、次のヒトは誰でスか?」
 はっ、そういえば歌入れなきゃ!
 や、やばいぃ〜、どうしよう、何を歌おうか……
「次は、私……」
 ええええええっ!? 
 い、岩崎さんまでいつの間に……。
「Oh,ミナミの番でスか」
「うん……上手く歌えるかわからないけど……頑張る」
 私が急いで歌本をめくっているそばで優しげなピアノのイントロが聞こえてくる。
 岩崎さんは一度だけ深呼吸をして、マイクを口に近づけた。
「みなみちゃん、頑張って!」


 『何かに怯えてた夜を 思い出すのが非道く怖い ねぇ私は上手に笑えてる?』


 岩崎さんの声を聴いた瞬間、鳥肌が立った。
 私は思わず歌本を見る動きを止めて岩崎さんの方を向いた。
 岩崎さんはいつもの落ち着いた表情とはまた別の、
 強いて言うならば「穏やかな」表情で画面を見つめて歌っていた。
 岩崎さんの歌はとても上手だった。
 チャートの上位に昇るような歌手の気取ったようなそれなんかじゃなくて、
 すごく優しくて、心の篭った歌い方だった。
525一年生ズのフツーな休日 (6/12):2007/12/01(土) 01:43:30 ID:9eOWt103
「うわぁ……岩崎さん、上手いねぇ……」
「でしょっ? みなみちゃんの歌を聴いてると、なんだか心が温かくなるんだよ」
 心に染みる声とはこういう声のことをいうのだろう。
 透き通るような声がすうっと耳に入ってくる。いつまでも聴いていたいと思わせる。
 うん……確かに聴いてると心が温かくなってくるかも。
 小早川さんはもう何回もこんな風に岩崎さんの歌を聞いてるんだよね。
 なんだかちょっぴり小早川さんのが羨ましいかも。
 パティも小早川さんも、二人とも目を閉じて岩崎さんの歌を聞いている。
 人って、いい歌は耳だけで感じていたいと思うのかもしれない。
 そう思いながら、私もゆっくりと目を閉じて岩崎さんの歌に身を任せた。

 『貴方の腕が 声が背中が ここに在って
  貴方の腕が 声が背中が ここに在って……』


「すごーい! 岩崎さん上手すぎだよ〜!!」
「Greatでス! ミナミはマチガイなく陵桜がホコるdivaでス!」
 歌が終わった瞬間、私達は立ち上がって手を叩いていた。
 岩崎さんは驚いた様子で私達を見回した後、
 マイクを胸の前でぎゅっと握り締めて恐縮してしまっていた。
「うんうんっ、やっぱりみなみちゃんはすごいよっ!」
 あ、小早川さんの言葉で岩崎さんの顔がみるみる赤く……。
 岩崎さんって結構照れ屋さんなのかな。なんだかかわいいかも。
「み、みんな……もう、いいから……あの、その……」
 岩崎さんがそう言っても、拍手の音は暫く止むことはなかった。
 ちなみにこの後三人の熱烈なアンコールに押されて、
 岩崎さんはもう一曲歌うことになった。

 それから私達は大いにカラオケを楽しんだ。
 私はというと初めはそれはもう緊張して
 まともに歌うことが出来なかったけれど、
(三人ともお聞き苦しい歌をお聞かせして申し訳ない……)
 何曲か歌っていくうちに緊張もほぐれて、
 最後の方にはパティとアニソンのデュエットまで出来るようになった。
 歌うことってこんなに気持ちいいものなんだ。
 小早川さんも、岩崎さんも、パティも、そして私も、
 みんな笑顔でみんな楽しそうだった。
 結局二時間+延長一時間で思う存分歌い、私達はカラオケボックスを後にした。

「楽しかったね〜、またみんなで来ようよ!」
「うん……機会があればまたみんなで……」
「うー、次はもっと上手く歌えるように頑張らなきゃ〜……」
「ヒヨリもジュウブン上手くウタえてましタよ♪」
 店から出た後、私達の間に会話は絶えなかった。
 今日のカラオケでまたみんなの知らない一面が見れて、
 今まで以上にみんなの仲が深まったみたいだった。
「あ、ねぇねぇ、みんなでプリクラ撮らない?」
 プリクラ、かぁ……。
 思えば教室の隅で漫画なんか描いてるような私が、友達とカラオケに来て、
 こうしてプリクラまで撮ることなんて、考えたこともなかったかも。
 少しの恥ずかしさと戸惑いを胸に、私は百円を出してみんなと画面の前に並んだ。
526一年生ズのフツーな休日 (7/12):2007/12/01(土) 01:44:08 ID:9eOWt103
 プリクラを撮った後、カラオケでたくさん歌ってお腹を空かせた私達は、
 夕食を振舞ってくれるというパティのお家に行くことにした。
 さっきまで私達がいた場所からは一度の乗り継ぎを経て五、六駅程離れているらしく、
 電車内は平日なら学校帰りの学生達で賑わっている時間帯だったけれど、
 今日が土曜日だったおかげで小早川さんが座ることのできるくらいの座席は空いていた。
 年の変わり目までもう半月ほどという時期なので、
 今の時間では窓から見える外の景色はもうだいぶ暗くなってきていて、
 ドアが開くたびに入ってくる冷たい風が私の体を小さく震わせ、
 ニーソックスを履いているとはいえ、スカートで来てしまった私に
 皮肉にもそれは選択ミスであったことを知らせてくれる。
 ちなみにオーバーニーソでもミニスカートでもないのでパティには
「Oh,ヒヨリ、ザンネンでス……ソレは『ゼッタイリョウイキ』ではアリませんネ……」
 とカラオケの前に言われてしまった。一体パティは私に何を求めているんだろう。
 でも、寝坊しちゃったとはいえ服くらいはちゃんと選んだほうがよかったかなぁ……。
 ううっ、寒っ。

「Welcome! ココがワタシの家でス!」
 駅から数分歩いたところにパティの家はあった。
 家といっても集合住宅で、少し大きめの典型的な二階建てアパートという表現がしっくりくる。
 建てられてからまだ数年しか経っていないらしく、外装は割と近代的な作りでお洒落な感じだった。
「「おじゃましま〜す」」「おじゃまします」
 部屋の中も綺麗な白い壁と薄いピンクのカーペットに黄色のカーテンと、
 同じオタク仲間とは思えないくらいに凝った部屋だった。
「ミンナが来るノデ張りきってソウジしましたネ!」とパティも言っているだけのことはあり、
 部屋はしっかりと片付けられていた。
 何だか想像していたのと違いはしたけれど、
 壁には当たり前のようにアニメのポスターが貼られているし、
 本棚にはマンガやDVDが所狭しと並べられていたり、フィギュアが飾られていたりして
 よくよく見てみるとすごくパティらしい部屋だった。
「CDもいっぱいあるんだねぇ〜」
 小早川さんは気付いていないだろうけど、ラックにあるのは全部アニメ主題歌になった曲のCDだ。
 私が全部分かるんだから、間違いない。

「これは、こたつ……?」
「うんうん、私もびっくりしたよ岩崎さん。珍しいもの置いてあるんだね」
「メズラシイでスか? Japanでは冬はコタツでミカンがキホンだとキキましタが……」
「うーん、間違っていないこともないんだけど……」
 かなりステレオタイプな日本のイメージだと思う。
「でもこたつって温かいよね〜。私もよくおじさんやお姉ちゃんと一緒に
 こたつに入ってテレビとか見たりするんだけど、温かくてついついそのまま寝ちゃうんだよね」
「Yes! コタツはスバラシイJapanのブンカの一つですネ!」
 その後私達はパティから(時々小早川さんからも)コタツの素晴らしさについて
 数分間力説された。パティは下手な日本人よりよっぽど日本人らしいかもしれない。
 
「そういえば、ご飯はどうするの?」
「Oh,ソウでしタ! 近くにSupermarketがアルので、ソコに行きまショウ!」
 私達はパティに連れられて、そのスーパーに夕食の買出しに行くことにした。
 近く、というのは歩いて数分の本当に近くのところで、
 決して大型のスーパーマーケットというわけではなかったけれど、
 この辺り一帯の人によく利用されているのか、夕食時ということもあって、
 店内は主婦と見られる人はもちろん、一人暮らし風の学生や子供達などで賑わっていた。
527一年生ズのフツーな休日 (8/12):2007/12/01(土) 01:44:58 ID:9eOWt103
「Japanの冬とイエバ、『ナベ』ですよネ?」というパティの一言で、
 私達の夕食は鍋に決まった。
 白菜、人参、大根、長ネギなど、色とりどりの野菜が買い物カゴを埋めていき、
 その傍らで、ジュースやお菓子も場所取りに加わり、
 私は昔自分の家でやったクリスマスパーティを思い出してすごくワクワクした。
 カゴをいっぱいにしてレジに向かったけれど、思ったよりすごい値段にはならず、
 四人で割って払う分には(パティは一人で払うつもりだったらしいけど)とても安い買い物になった。
 風邪を引くといけないし、そろそろ本格的にお腹ががすいてきたので、
 私達は買い物を終わらせると足早にパティの家に向かった。

「ハイドウゾ、デキましたネ♪」
 家に着くなりさっそくパティが慣れた手つきで包丁を振る舞い、
 数十分後、コタツの上にたくさんの野菜とお肉を乗せた箱舟が到着した。
「うわぁ〜、おいしそうだねぇ〜!」
「……(ごくり)」
「パティって何でも出来るんだねー……羨ましいっ」
「切るだけでスからカンタンでスよ。サァ、ミンナ食べてくだサイ!」
 見るからに美味しそうなそれを囲むようにして私達はコタツに入り、
 おたまで具を取り分けて両手を顔の前でパチンと合わせた。
「「「「いただきます(マース)」」」」
 ふーふー。はふはふ。むぐむぐ。
 今この部屋のテレビは付いていないから、私達が黙ると部屋はとても静かになる。
 鍋はとても面白い料理だと思う。こんな風に黙々と食べる時間が存在するんだから。 
「美味しい〜」
「うん、すごく美味しい……」
「あちちっ……ホント、すごく美味しいよ、パティ」
「ミンナアリがとうでス♪」
 一言二言会話を交わして、また黙々と鍋をつつく。
 鍋、といってももちろん陶器のものはさすがにパティも持ってなくて、ステンレス製のものだ。
 けど美味しいから、そんなことはどうでもいいことなのかもしれないけど。
 ん、そういえば豆腐を買うのを忘れてた。
 でも言わないでおこう。鍋は黙々と食べるものだから。

「鍋って温かいよね〜」
「うん……体の中から温かくなる……」
「コタツでナベ……ワタシは今、Japanを感じていまス……」
「ちょ、ちょっとパティ、笑わせないでよー」
 もうすっかり鍋の中身も無くなり、再び私達の間に会話の花が咲いた。
 意外にも一番最後まで食べていたのは岩崎さんで、
「みなみちゃん、結構食べるんだね」
「パティの作った鍋、美味しいから……」
 なんて会話を小早川さんとしながら見事に鍋を空にしていた。
「……ごちそうさまでした」
 お腹いっぱい食べた後はみんなでゲームしながら騒いだり、
 パティが向こうから持ってきた写真とかを見たりしながら
 私達四人しかいない部屋でゆっくりと時間に流されていった。
 私としてはパティの本棚の中身を一つ一つ見ていきたいんだけど、
 それはまた今度、個人的にパティの家に遊びにきたときにしようかな。
 今は四人だもん、みんなで楽しまなきゃね。
528一年生ズのフツーな休日 (9/12):2007/12/01(土) 01:45:42 ID:9eOWt103
「Oh,ソウでした、ミンナお風呂のジュンビはシテきましタか?」
「あ、昨日メールで言ってたやつね。うん、みんな持ってきてるみたいだよ」
 そうそう、何でもみんなで銭湯に行こうってことだとか。
「デハ、もうコンナ時間でスし、お風呂にイキましょウ!」
 パティの一声で、私達は銭湯に向かうこととなった。
 さっき出ていたときよりも外の気温はぐっと下がっていて、
 息を吐くたびに真っ白な煙が口から出てくる。
 私はポケットに入れてあった使い捨てカイロで右手と左手を交互に温め、
 たまに吹く横風に身を縮めて堪えた。もうすっかり冬なんだな。
 銭湯の位置はスーパーと同じくらいで、歩いて数分のところだった。
 私は銭湯を利用することがないからよく知らないけれど、
 そこは日本人が『銭湯』と聞いて思い浮かべるような、
 あののっぽの煙突にのれんがかかった古めかしい入り口の、ステレオタイプな銭湯だったんだけど、
 内装は近代的に整備されていて、そのギャップに私達は少し驚かされた。
「パティはよくここに来るの?」
「Non non,私もココに来るのは初めてでス」
 料金は先払い制のようなので、私達は番台でお金を払って更衣室へと進んだ。

「「「…………」」」
「〜♪」
 上の三点リーダは私と小早川さんと岩崎さんのもの。
 その下の音符マークはパティのものだ。
 詳しくを説明するならば、下着姿のままみんなを気にしてじりじりとしている三人と、
 そんなことお構い無しに鼻歌交じりでスルスルと脱いでいくパティ、という感じだ。
「ドウしましたか? サンニンとも」
 今まで私達に背を向けていたパティが、準備完了といった具合に私達の方に体を向けた。
 パティはタオルをお腹のあたりに持ってぶら下げているので下の方は隠れているけれど、
 その……上のほうは丸みえなわけで……
「す……すご……」
 思わず声に出してしまった。
 服の上からでも分かるくらいだから相当なもんだとは思ったけど……。
 ていうかパティ、スタイル良くてキレイだなー……。
 女だけどなんか鼻血出そうになってきたかも……。
 よし、今度出す本の参考に……(ってこらこら)
「…………」
 ちなみに岩崎さんは凄い顔でパティの胸を凝視している。
 どうすごいのかは言わないけれど、ちょっとだけ怖い。
 あ、今度は落ち込みだした。
「あ、あの……パティちゃんは恥ずかしくないの……?」
「ハズカシイ? oh,ユタカ、girlドウシでナニを言っているンでスか!」
「うーん、でもやっぱり女の子同士でも恥ずかしいよぅ」
 そりゃパティみたいな体だったら自信を持って脱げるだろうけどねぇ……
「ホラホラ、ヒヨリも手伝いマスからハヤク脱いでくだサイ♪」
 え、ちょっ、パティ、
 そんな近寄ってきて、何する気かな……?
 
「あの、まだ、心の準備が……い、いやぁぁぁああっ!!!」


「うぅ……あんまりだ……」
「ソ、sorry〜、スコしやりスギましたネ……」
 抵抗空しく、私はパティにあっという間に裸にされてしまった。
 おかげで私の貧相な胸がみんなにバッチリ目撃されてしまったわけで……。 
「いいよパティ……もうこれで怖いもの無しだからね……はは……」
「で、でも田村さん、私よりあるみたいだったから……十分だと思うよっ?」
「うん……私よりも……あるし……」
 小早川さんと岩崎さんの慰めの言葉が文字通り胸に染みた。
529一年生ズのフツーな休日 (10/12):2007/12/01(土) 01:46:31 ID:9eOWt103
「うぅー、暖まるねぇ〜」
 まるでおじさんのようなことを言い、私は浴槽に浮んだ。
 今は富士山の絵を背に、左から岩崎さん、小早川さん、私、パティの順で並んで足を伸ばしている。
 私達がお風呂場の中に入ったときはちらほらと他のお客さんもいたけれど、
 丁度体を温め終わったのか、私達が体を洗い終わる頃にはお風呂場から出ていってしまったので、
 今この女湯は実質私達の貸切状態となっている。
「みんなでお風呂ってなんだか不思議な感じだね」
 小早川さんはいつものリボンを取っていて、
 普段ではあまりみることのない肩くらいまでのショートヘアになっている。
「ユタカは家ではソノ髪型でスか?」
「うーん、下ろしてるのはお風呂に入るときくらいで、家でも結んでることが多いかなぁ……」
「なんていうか、ちょっとだけ大人っぽく見えるよね」
「えっ、そ、そうかなぁ……」
「んー、まぁ気のせいかもしれないけど……」
「結んでるのって子供っぽいのかなぁ……?」
「私は、結んでるほうが……ゆたからしくて好きだよ……」
「!! あ、ありがとう、みなみちゃん……」
 くうぅっ、相変わらず見せ付けてくれるなぁ、二人とも。

「ソウいえばヒヨリはナニもしないんでスか?
 セッカクのlong hairなのニもったいナイですネ」
「わ、私? うーん、私は……あんまり似合いそうな髪形もないから……」
 私は下を向いてお湯の中でゆらゆらと揺れている自分の髪を見た。
 髪は女の命、なんて言うし、手入れにはそれなりに気を使っているほうだとは思うけど、
 自分の髪をいじってみようなんてことはあまり思ったことはない。
 この長髪も何だかんだで伸びちゃった感じだしね。
「そうかな? 三つ編みとか結構似合いそうだと思うけど……」
「み、みつあみ?」
 うーん、と頭を捻らせて三つ編み姿の自分を想像してみる。
 んー……いまいち想像できない……。
「イエイエ、ポニーテールがイイとオモいまスよ?」
「ぽ、ぽにーている!?」
 は、はずっ!
 いや、ポニーテールがじゃなくて、
 そんなかわいくポニーテールなんかにしちゃってる自分を想像すると……うあああっ。
 私が頭を押さえて唸っているとパティが、
「Mmm,ヤハリ、ジッサイにやってみるのがイチバンでスね」
 へ? 実際に?

 嫌な予感は当たった。
 お風呂から出た私は椅子に座らさせられ、長い髪の毛をみんなから丁寧に乾かされた後、
 なぜかパティが持ってきていた(初めからこうするつもりだったのかな……)ピンやゴムで
 ヘアースタイルをいろいろな形にされて遊ばれてしまった。
 もちろんホントに嫌なわけじゃないんだけど、小早川さんが私のヘアースタイルが変わる度に
「うわ〜、可愛い〜!」なんて反応をするものだから、何だか照れてしかたがなかった。
 その後岩崎さんも小早川さんの餌食になったみたいで、
 ピンで前髪を留められたりして顔を赤らめていた。
 ふふ、なんだか可愛いなぁ、岩崎さん。
「ヤハりヒヨリはミガけば光りまス……ダイヤの原石ですネ……」
 パティはパティでなんだかすごく満足そうな顔をして、
 私の否定の言葉なんて聞こえちゃいないみたいだった。
530一年生ズのフツーな休日 (11/12):2007/12/01(土) 01:47:14 ID:9eOWt103
「デハ最後に……ユタカ、ちょっとイイでスか?」
「え、なーに?」
 そろそろ銭湯の閉店時間が近づいてきた。
 パティは小早川さんからいつも付けているリボンを貰い、私の後ろに立った。
「Lastはこのhair styleでキマりでスね♪」
 パティは楽しそうに私の髪をいじくっている。
 時々首筋にパティの手が当たって少しくすぐったかった。
「ってパティ、この髪型は……!」
「Yes! twin tailでスね!
 ヒヨリのようなlong hairにハtwin tailが似合うとオモいましタが、ヤハり思った通りでしタ!」
 両側に付けられた小早川さんのリボンから垂らされている、二すじの髪の毛。
 今、私は見事なまでのツインテールになっている。
 パティは腕を組んでニコニコしていて、相変わらず満足そうだ。
 ひえー……似合わな……
「すてき……」
「えっ?」
 い、岩崎さん? 今何て?
「うんうんっ、田村さん、すごく可愛いよっ!」
「え、えええっ!?」
 小早川さんまで!? め、メガネ貸そうか?
「サァ、行きますヨ、ヒヨリ! stand upでス!」
「ちょ、ちょっと、まさかこのまま帰るの? は、恥ずかしいよ〜……」
 うわー、顔が真っ赤だ、私……。
「ハズかしがるコトありまセンよ、ヒヨリ。
 今のアナタは、スゴく『カワイイ』でスから……」
 私の手を取って私を引っ張っていたパティが、振り向きざまにそう言った。
 私は不意に、ドキ、と自分の胸が大きく高鳴ったのを感じた。
 まるでパティに「可愛い」と言ってもらえたのが嬉しかったみたいに。
 更衣室を出るとき、最後に横を向いて自分の姿を見た。
 パティに作られたツインテールがゆらゆら揺れている。
 今日は……このまま帰ろうかな。

「キョウはとても楽しかったでスね、ヒヨリ」
 帰り道の途中、パティは笑顔をいっぱいに浮かべて言った。
 私はこくりと頷いて、相槌を打った。
 岩崎さんと小早川さんは二人でおしゃべりをしていて、
 二人との距離は私達から二メートルくらい離れている。
「ワタシ、Japanに来てよかったでス」
 パティが私の住んでいるところなら星が満天に輝いていたはずの、光りの少ない夜空を見上げて言った。
「ユタカやミナミ、そして、ヒヨリと出会えましタから」
 けれどパティの目はどこまでも澄んで、輝いていて、
 その言葉が心から言っているものだと分かって嬉しくなった。
 私は感謝の言葉と、私からもお礼の言葉を言って、小さく笑った。
 そしてポケットに手を入れ、カラオケのときに撮ったプリクラを取り出した。
「いつまでも、四人でこうして笑ってられたらいいね」
 四人で百円ずつ出し合って撮ったプリクラには、身を寄せて仲良く笑っている私達が写っていた。
 ここに写っているのは、間違いなく私の最高の親友達だ。
 出会い初めの頃はまだ話し方もぎこちなくて、時々言葉に詰まることもあったけれど、
 今ではすっかり打ち解けて話せるようになった私達。
 この先何年経っても、たとえ離れ離れになったとしても、私は三人の事を絶対に忘れない。
「モチロンでスよ、ヒヨリ」
 パティはいつもみたいに、ニッコリと笑って言った。
531一年生ズのフツーな休日 (おまけ/12):2007/12/01(土) 01:48:01 ID:9eOWt103
「んー……今何時だろ……」
 カーテンの隙間から差し込んだ光りが、私の寝ぼけた顔に当たっている。
 うおっ、まぶし……。
「シーッ、ヒヨリ、シズかにしないとgood situationをミノがしてしまいまスよ?」
 先に起きていたパティが、口に人差し指を当ててよく分からないことを言った。
 ぐっどしちゅえーしょん? 一体なんの……
「は、はわわぁぁっ……!!」
 その光景を見た瞬間、パティの言っていることが言葉ではなく心で理解できた。
 昨晩、私とパティが無理やりベッドで二人きりで寝させた小早川さんと岩崎さん。
 その二人がなんと……
「だ、抱き合って寝てる……!!」
「Yes...コレはヒヨリにミテもらわなくてはイケナいと思い、ずっと待っていましタネ……」
 なにやってんの、パティ……でも、
「グッジョブ、パティ!!
 くはぁぁ〜……なんかもう、キスしちゃいそうな近さだね……」
 むしろしちゃってくれたほうが私的には……

「ん……」
 あ、岩崎さんが起きちゃう……
「ゆ、ゆたか……? あの、お、起きて……」
 岩崎さんは小早川さんに抱きつかれていることと、
 さらに私達にばっちり見られていることに気付いて、慌てた様子で小早川さんを起こしている。
 うーん、これはこれでなかなか……
「むにゃむにゃ……みなみちゃぁん……す、き……」


 がふぅっ!!!


「ヒヨリ? し、シッカリしてください! コレからがいいところでスよ!?」
 小早川さんが言った言葉は、私に鼻血を出させて失神させるには十分すぎる破壊力を持っていた。
「ゆ、ゆたか……あの、その……」
「ん……みなみちゃん、おはよう〜……どうしたの? 何だか顔が真っ赤だよ……?」 

 小早川さん、岩崎さん、パティ……こんな私だけど、これからも仲良くしてやってね……? ガクッ

「Oh,ヒヨリ、シンデしまうとはナサけない!!」
「た、田村さん、大丈夫!!?」
「鼻血が出てる……と、止めないと……」
「ど、どどどうしようっ! 
 き、救急車呼んだほうがいいのかな、それとも……」



 ………
 ……
 …








 -数時間後-

「あ、田村さん、そのリボン貸してあげるから……今日はそのままで帰ってね?」
「こ、小早川さん……それだけは勘弁を……(>Д<;)」
5329-727:2007/12/01(土) 01:48:53 ID:9eOWt103
これで終わりです。ほんのりパティひよ風味?
パティひよは最近のマイブームなんですが、周りに共感してくれる人がいないのがなんとも…。
原作のまったりした空気が出せてたらいいなぁと思います。
しかしカラオケネタが25-161さんとかぶっちゃって偶然ってすごいなぁと…。
読んでくださった方、ありがとうございました。
533名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 01:53:33 ID:a9hwKB3l
>532
GJ!
リアルタイムでよまさせてもらいましたよ。
大きな出来事もない、普通の日常なのにどんどん
引き込まれてしまいました。
一年生ズの仲の好さが、とても伝わってきてほのぼのと
した気分になりました。
534 ◆0iImM7mexo :2007/12/01(土) 01:53:48 ID:iJDqInvP
>>512
うぁ、すみません。
エンディングムービー自体はさっき大慌ててDLして、一応手元にあることはあるのですが、
実はうpできるファイルの大きさは一つあたり1MBまでという制約がありまして…。

>>515
そうですね…。他にどこか置いてもらえる場所を探さないとダメですね。
ここと関係のある場所で、かつここの住人以外の目につかない場所があればよいのですが。
535名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 01:58:13 ID:SY3lsoPz
今日はまた投下ラッシュが凄いぜおいつかないぜ!

>>518
自分は最後の一文で涙腺崩壊した

HappyEnd?
No...NeverEnd!

てゆーか選曲が激しく気になるんだが一体何の曲? リアルにCD欲しいんだけど
536名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 02:22:21 ID:8v561GY3
>>532
くっ!シリーズのネタが一つ使われたorz

GJ!
537名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 04:27:34 ID:xgsk3bCh
>>503
さすがかがみ…。
攻めてもカウンター返してくるのは、やはりこなたしかいないのかw
ゆーちゃんはやっぱこういうほうが素直に可愛いなー。ちょい黒いのも可愛いけど。
さて、元に戻るためとはいえこなたは承諾するのだろうか?話も佳境。楽しみです〜
538名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 06:07:52 ID:k738A8FS
>>532こういう名作が来るから、仕事忙しくても毎日これるんだよなぁ。


【皆】で遊んでいるというシチュを最大限に活かせていたと思う。
誰か一人がないがしろにするでもなく、逆に誰か一人の独壇場てな訳でも無く。これが本当に素晴らしかった。
正に【四人】で紡いだストーリーと言うに相応しい。
ストーリーの展開も溢れんばかりに詰まってたし、理想のSSでした。
最後に神GJ!!
539名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 10:25:25 ID:93y4nzHZ
>>532
原作のキャラが生きたいいSSでした
俺は原作にこだわってしまう方なんでこれはツボですね

540名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 10:37:25 ID:3S1pofCp
>>539
なんというもう一つの仲良し4人組……この一作は間違いなくGJ。
本当に普通の休日なのに、胸がほっこりと暖まりました。お見事。


しかしカラオケにプリクラというと、もしかしてこなたたちとの対比のために意図してネタチョイスしてます?
541名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 14:07:06 ID:bQ+a082C
>>499
いよいよ佳境ですな
土曜の夜は皆既月食ならぬ怪奇月食に(ry

遅レスな上に野暮なツッコミで悪いが――そこのかがみ、「ツッコミ」に反応しないように――、
聖人「君子」じゃない?(第2節)

>>514
ゴットゥーザで激しく吹いた。なんだよその歌詞はwww
是非歌ってうpきぼん

>>532
これはいいほのぼの
ひより主観で原稿書き以外の話というのも新鮮ですね
ちなみにパティひよは東方じゃなくて当方も好きです。性的な意味じゃなくても
542名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 14:09:16 ID:bQ+a082C
>>504
>1000作品目を含む4作品を順不同にして同時に4社にお渡しした
1000作品到達記念にこれにちなんだ趣向を……と思いついてはみたものの、
実際にやるとなると難しいわなorz
543名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 14:38:15 ID:ZNkQ8lbZ
>>542
同時に10本ぐらい投下されたりしてw
54416-187:2007/12/01(土) 14:45:23 ID:bI/WD+Y+
SS投下させていただきます。
『4seasons』の続きです。

■かが→こなです。

■エロなしです。

5レスになります。
545春/そして桜色の(第三話)1/5:2007/12/01(土) 14:46:03 ID:bI/WD+Y+
§4

 さーっと桜吹雪が舞って、私の心はあのころの思い出から浮かびあがってくる。
 三年生になった私の元へ、私は帰ってくる。

 そうだった、さっき桜を見て覚えた感情は、あのとき感じたおののきと同じものだった。
 こんな、怖いくらいに荘厳な桜の世界にただ一人佇んでいた、こなたを見たときの感情と。
 あいつは、あのときなにを見ていたのだろう。
 それが知りたくて、私もこなたがしていたように天を振り仰いでみた。
 艶やかな桜色が、暗い空を背景にどこまでも深く深く立ちこめていた。
 覆い被さる雲のような桜が今にも頭上に崩れ落ちてきそうで、心がざわつく。
 桜は私という境界を易々と侵犯し、人の意志などおかまいなしに、全てをその色に塗り
こめてしまうかのようだった。

 怖い。

 それ以上見ていられなくて、すぐに目をそらしてしまった。寒さのせいか、身体が震えている。
 とにかく誰か人と会いたい。そう思って、足早にその場を立ち去った。
 今ここにつかさがいたら、どれだけ安心できることだろう。私にとってつかさがどれだけ
大事な存在だったかを、改めて思い知った。
 出店の灯りを見つけたところで、やっと人心地がついた。けばけばしく安っぽい電飾が、
不思議なほど心に染み入ってくる。
 こなたは、たった一人であの桜と向かい合っていたんだ。
 あいつはなにを思って桜を見つめていたのだろう。人の身であんな美に立ち向かうには、
心のなかにも屍体が必要なのに。

 ――ああ、そうか。
 そのときわかった、こなたがどうして平気だったのか。
 あいつの心には、お母さん――かなたさんがいたんだ。

 基次郎のようにその根本に屍体を夢想するまでもない。
 あらかじめ母の死という代償を払っているこなたには、桜の美しさなどなにほどのもの
でもなかったのだろう。
 全くお母さんの記憶がないというこなたの言葉や、そうじろうさんの言の端から、かなたさんが
産褥に倒れたのだということは予想がつく。
 自分が母の命を奪って産まれてきたことを知ったとき、こなたはなにを思っただろう。
 一番会いたい人に会えないことが、自らの咎によると知ったとき、こなたは誰を責めただろう。
 それを思うと、みんなとクラスが別れただけで落ちこんでいる自分が、急に恥ずかしく思えた
のだった。

 ――帰ろう。つかさが待ってる。

 少なくともここにきたことで、気持ちを切り替えることはできた。その点で目的は達せられた
というものだ。
 明日から、明日からはまたいつもの自分。
 寝ぼけ眼のつかさをたたき起こして、駅でこなたを待って、教室でみゆきに挨拶をして。
 昼休みになればまた胸を弾ませてB組にいって。日下部にからかわれたり、こなたに弄られて
顔を赤らめたりして。
 そう、いつもの日常。去年までと同じ一年。

 ――それでいいの?

 頭のなかでこなたの声がする。
 二年前に住み着いたこなたが、秘密の小部屋から顔を覗かせている。

 ――いいに決まってるじゃない。他に選択肢ないでしょ。
546春/そして桜色の(第三話)2/5:2007/12/01(土) 14:46:35 ID:bI/WD+Y+

 あのいつものニヤニヤ笑いを浮かべながらひっついてこようとするこなたを、首根っこを
掴んで小部屋の中に放り投げた。溢れそうになっていた想いと一緒に閉じこめて、念入りに
鍵をかける。
 このドアを開けるわけにはいかなかった。
 今はまだ。

「ただいまー」
 ガラリと引き戸を開けて家に帰ると、“おかえりー”とまつりお姉ちゃんの声が返ってくる。
「あら、お帰りなさい。どこいってたのよ」
 居間から顔を覗かせてお母さんが云った。
「ん、ちょっとね……つかさは?」
 訊ねると、お母さんは台所の方を指さした。

 つかさはすでに力尽きていた。
 台所のテーブルに突っ伏してスースカピーと夢の中。時計をみると、まだ十時を少し回った
くらいだった。早い、早すぎる。
 そのへにょりと垂れたリボンの先、テーブルの中ほどに、桜色のふわふわとした物体が
鎮座していた。
 それは桜色のケーキ。つかさがよく作ってくれて二人で食べる、18センチほどのホール
ケーキだ。
 苺ジャムが入っているのだろうか、型くずれもせず、けれどやわらかそうにスポンジを
覆うムースは、丁度今みてきたような桜色をしている。
 沢山の苺がその円周を飾っていて、中央には生クリームで白い文字が書かれていた。

『お姉ちゃんありがとう』
 
 私の頬は今、そのケーキよりなお桜色をしていると思った。
 本当につかさには敵わない。この子の中はやはり、ふわふわとしたなんだかわからない、
素敵なもので満たされているのだ。
 起こすのは忍びなかったけれど、このまま寝かせたままでいるのも、つかさの好意を無に
してしまうだろう。
 ほっぺたをぷにぷにすると、マシュマロのような感触に、指が埋まっていく。
 それが面白くて、何度も何度も突っついた。
「う〜ん……、メレンゲ星人〜?」
 そう呟いて、つかさはとろとろと目を開けた。
「なんだよメレンゲ星人って、エリンギ星人とは仲悪いのか?」
 一体この子の中ではどんな宇宙戦争が繰り広げられているのだろう。
 つい微笑みそうになる口輪筋を引き締めて、無理に呆れ顔を作って云う。
「あ、あれ? あれれ? あー、わたし寝ちゃってた〜! お姉ちゃん、お帰りー」
「ただいま、ごめんね遅くなって」
 まだとろんとした半眼をしたまま、つかさはニコニコと笑って云った。
「あ、あのね、わたしケーキ焼いたんだよ、お姉ちゃん食べる〜?」
「うん! ありがとう! すっごい美味しそうにできてるわね、それ」
 あえて書かれた文字には触れずに、お皿を出しに戸棚に向かう。
「え、あ、あー! いきなり見せてびっくりさせようと思ったのに……出しっぱなしじゃ
ダメダメだぁ〜……」
「ふふ、嬉しかったよ。でもなぁに突然ありがとうだなんて、私なんかしたっけかー?」
「んーん。ただなんていうのかな、わたしが陵桜に入れて、みんなと楽しくやっていけてる
のもお姉ちゃんのおかげだから、その感謝の気持ち? あ、紅茶でいいよね?」
「……な、なにいってんのよ……。そんなこと云ったら私だってつかさのおかげなんだからね。
こなただってみゆきだって、最初に仲よくなったのつかさじゃない。紅茶でいいよ、
ありがとう。……半分に切ったケーキ、『お姉ちゃん』と『ありがとう』どっち食べる?」
「あれ〜? そうだっけ〜?……ど、どっちかっていうと『ありがとう』かな…」
「そうだよ。自信持ちな。あんたは一人でも上手くやっていけてるよ。今も、これからもさ」
 そう云ったとき、つかさは紅茶を注いでいた手を止めて、私のことをじっとみつめた。
「ん? どうした?」
「あ、んーん、なんでもない……。お姉ちゃん、いつものお姉ちゃんだね」
「ん。ごめんね、心配させちゃったね」
 そう云うと、つかさはふわふわと笑ってくれた。
547春/そして桜色の(第三話)3/5:2007/12/01(土) 14:47:06 ID:bI/WD+Y+


 ケーキは凄く美味しかった。

 今夜このときだけは、この宇宙に体重計は存在しなかった。
 ――そのはずだ。


§5

「やふ〜、柊さん」
「こなちゃんおはよう〜」
「おーっすって、なんだよ柊さんっていまさら、気持ち悪いな」
「かがみとつかさって云うのがめんどかったから、名字で纏めた」
「纏めるなよ! 大した労力でもないだろ! ってか一文字しか省略できてねぇよ!」

 朝。やっぱり寝ぼけ眼だったつかさを叩き起こして、学校に向かった。糟日部駅前では、
珍しくこなたが先に来て私たちを待っていた。
 ――柊さん。
 こなたにそう呼ばれるのもいつ以来だろう。
 出会いのころこそしばらく名字で呼ばれていたけれど、姉妹を識別する必要があると思ったか、
すぐに名前で呼ばれるようになった。
 こういうときに双子はありがたい。つかさのようにすぐに他人に心を開けない私にとって、
他人を名前で呼ぶにいたるまでには高い壁がある。
 けれど先に名前で呼ばれてしまえば、私のほうから名前で呼ぶのも自然というものだ。
現に日下部と峰岸なんて、ついに名前で呼ぶことができずにもう五年目突入だ。

「ひ・い・ら・ぎ・さ・ん――か・が・み・と・つ・か・さ――あれ、ほんとだ〜」
「まったく、どんだけ横着なんだよ」
「いや〜、リアル挨拶もネトゲみたいにショートカット一つで出せたら便利だな、って思うね」
「思うなよ。そんな挨拶嫌すぎるだろ」

 いつも通りの朝。いつも通りのやりとり。
 今の私には、そんな会話も楽しくて仕方がない。
 こんな風に学校に通うことができるのも、あと一年。残り少ないその時間を、大切に過ごして
いきたいと思った。
 と、こなたが私をじーっとみつめているのに気づいた。
「な、なによ?」
「よかった、いつものかがみだね」
 そう云って嬉しそうに笑ったその笑顔に、思わずどきりとする。
「な、なに云ってんのよ、いつも通りに決まってるでしょ」
「いや〜、かがみのことだから、昨日は枕を涙で濡らしたんじゃないかと思って!」
「濡らすか! なんでだよ!」
「あ、お姉ちゃんね、昨日の夜一人で出かけていったんだよ。きっと土手を走ってばかやろ〜って
やってたんじゃないかなぁ」
 隣に並んだつかさが、ふわふわ笑いながら爆弾を投下する。
 途端にこなたの顔がつぶれた餅みたいに崩れていって、嬉しそうだった笑顔は意地悪な
ニヤニヤ笑いになる。
「あんれ〜? あんれ〜? かがみんやっぱ別のクラスになって寂しかったんだ〜?
おー、よしよし」
「つ、つ、つつつつかさーっ!! なんであんたはまた余計なことをーっ!!」
「あ、ごめんごめん」
 頬を掻くつかさ、子どもをあやすみたいに頭を撫でるこなた、顔を真っ赤にして怒鳴り
散らす私。
548春/そして桜色の(第三話)4/5:2007/12/01(土) 14:47:38 ID:bI/WD+Y+


 こんな風に照れることに対して、自己嫌悪を感じなくなったのはいつからだろう。
 ずっとこんな自分が嫌いだった。自分ではスマートで知的な人間になりたいと願って
いたから、すぐあたふたする所は短所だと思っていた。
 いつからだろう、こういう所も含めて自分なのだと認められるようになったのは。
 少なくとも、二年前のあの日に桜の下でこなたに出会えなかったら、こんな風に自分の
ことを好きになれることはなかっただろう。
 あの日怒鳴ってしまったことにたいして、こなたが“ツンデレ萌えー”と喜んでくれた
ことで、どれだけ私が救われたことか。

 ――秘密の小部屋のドアが、がたがたと揺れる音がする。

 けれど恥ずかしいことはやはり恥ずかしいので、そっぽを向いて先を急ぐ。“お姉ちゃん
まってよ〜”と云ってつかさが追いかけてきた。
 と、バス亭の前に見慣れた姿が見えた。
「あれ、みゆきじゃない?」
「あ、ほんとだ〜。この時間にいるの珍しいねー」
 そこでは、桜色の髪をした友人が一人でぽつねんとバスを待っていた。
「おおー! みゆきさんおはよ〜!!」
 走ってきたこなたがぶんぶんと手をふって、みゆきに呼びかけた。
「あら、みなさん。おはようございます」
 ふりむいてニコリと笑うみゆきに、口々に挨拶を返す。
「どうしたのみゆき? 普段一本早いバスじゃない」
「ええ、この時間ですと電車の乗り継ぎがタイトですので、普段は早めなのですが……
お恥ずかしい話、少々寝過ごしてしまいまして……」
「えー。ゆきちゃんでも寝坊するんだー」
 つかさが嬉しそうに云った。
「つかさ? もしかしてあんた同類ができたと思ってない?」
「あ、えへへ、そ、そんなことないよ?」
 顔に大きく図星て書いてつかさが云う」
「いえいえ、私もつかささんと一緒で。暖かくなってきたからでしょうか、春眠暁をなんとやらで
眠くて仕方がありません」
「そうだよねー、眠いよねー。年中春眠暁をなんとやらだよね〜」
 途端に天然ボケの螺旋階段をぐるぐると昇っていく二人を眺めてバスを待つ。
 と、会話がとぎれたところでみゆきが私のほうをむいて云った。
「よかった、かがみさんもいつも通りですね」
 みゆきにまで心配をかけていた自分が嫌になった。
「なによあんたまで……つかさにもこなたにも云われたけど、私はずっといつも通りよ」
「ふふ、そうでしたね。申し訳ありません」
 包み込むような笑顔でみゆきが笑ったとき、丁度バスが見えてきた。
549春/そして桜色の(第三話)5/5:2007/12/01(土) 14:48:09 ID:bI/WD+Y+


 教室の前。ここで私たちは別々になる。
 吹っ切れてはいたけれどやはり少し寂しくて、みんなのほうをもう一度眺めやる。
 と、こなたの頭に桜の花びらが乗っているのに気づいた。校門脇の桜並木のお土産だろう。
「こなたこなた」
「ん、なーに?」
 呼びかけた私のほうに、こなたは小走りでやってくる。つかさとみゆきはもう教室に入って
いて、少しだけ二人きりになった。
「ほら、頭に桜ついてるよ」
 そう云って花びらをつまみあげた。あんなに恐ろしく感じた桜だけど、ひとひらだけなら
愛おしくも見える。
「あ、ありがとう」
 こなたは珍しくも照れくさそうに笑う。
 普段と違うその空気に少しとまどう私に、こなたは云った。
「あのさ、初詣のとき、覚えてる?」
「え、初詣?」
「うん、あのとき私、“かがみには別のクラスでいてもらわないと”って云っちゃったけど……。
あれ、本心じゃないから。わたしだって、一緒のクラスがいいなって思ってるんだよ!」
 私は、云われていることが咄嗟に飲み込めなくて呆然としていた。
「そ、それだけ! じゃあまたお昼にね!」
 こなたは、そう云って手を振って教室に入っていった。

 手に残った桜の花びらを見て、そうして今しがた同じ桜色に染まっていたこなたの頬を
思い浮かべた。

 ――ああ、あいつも私と同じか。
 つい口を滑らして云い過ぎたことを、ずっと気にしてたんだな。

 可愛いな、こなた。

 そのとき気づいてしまった。どきどきと高鳴る胸の鼓動に。
 その鼓動こそ、鍵の掛かった秘密の部屋のドアを揺らす音。

 膨れあがっていく桜色の想いに、ついにドアの蝶番が耐えられなくなって吹き飛んだ。
 心が、胸が、体中がその想いで満たされる。

 ああ、気づいてしまった。気づいてしまった。
 一度認識してしまえば、もはや永遠に元には戻れない、その想いに。

 そう、桜の樹の下には屍体が埋まっていた。
 私の心の奥にひっそりと咲く、狂い桜の根本に。

 でも、今はもうない。

 秘密の小部屋は開けられて、咲いていた桜は散ってしまって、埋められていた屍体は
暴かれてしまった。
 その屍体は――隠された想いは――無意識下に埋められた想いは――桜吹雪の奔流と混ざり合い、
私の心の中を春の嵐となって吹きすさぶ。

 そして桜色の、その想いに全身が包まれる。

 ――私は、こなたのことが好きだ。


(了)

 4 s e a s o n s
【夏 / 窓 枠 の 花】へ続く
55016-187:2007/12/01(土) 14:48:41 ID:bI/WD+Y+
以上です。読んでくださったかた、ありがとうございました。
551名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 15:16:10 ID:VvNxZZ63
>>550
これはすばらしい

少しずつ、桜の木の元に潜むリビングデッドの如く
かがみの中で動き出し湧き出す感情=恋を、
春という季節に合わせて綴っていく。
難しい単語、文章、言い回しも、
全体的に語りが上手いんで気にならず読めた。
次回も期待しておりますぜ。

ところで、まことに失敬なのだけど、
三者三様、顔に何か付いてるように、「いつものとおりだよね?」と
かがみのことを問う姿を見て、思わず










顔に「こな☆フェチ」と書かれているかがみを想像してしまった俺は
みゆきの鼻血シャワーの刑。
552名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 15:42:03 ID:9lGUlhEo
>>550
イイヨイイヨー GJすぐる!
夏編も楽しみにしてます!!

>>551
大丈夫、発症者は君だけじゃ……ないぜ
553名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 15:44:40 ID:1X54t+LM
>>550
恋にたどり着くまでの感情の動きが
上手く描写されているなぁ。
文章もきれいでGJです。
554名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 16:29:27 ID:9eOWt103
>>550すごすぎです…nice sentenceにGJ&続きにwktk


>>540その通りです。こなた達のようにもっと仲良くなってほしいなーとの願いをこめて、
また、文化祭後という時間軸を意識していただくために、
アニメや原作のエピソードをなるべく多く絡めるようにしました。


>>535PCゲーム、『ギャラクシーエンジェル』の主題歌の『天使たちの休息』という歌みたいですよ。
ホント、いい曲ですよねー。
555名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 16:48:00 ID:SY3lsoPz
>>554
おお、あじゅじゅした!
歌詞検索してみたけどないなぁ、耳コピするしかないかー
556名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 17:32:25 ID:5h1aOaBI
557名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 17:33:43 ID:wWVk23KX
>>550
これはすごい
続きにも期待ですよ
558名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 17:37:16 ID:9lGUlhEo
559名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 22:17:15 ID:WIESJ7P2
ここの人たちって明日参拝に行くのかね?
……いや、関係ない話してすまん
560名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 22:52:38 ID:3S1pofCp
さすがに三重から埼玉は遠いからな。仕事もあるし、今回はひよりんよろしく自重。

>>554
やはりそうでしたか。モニタの前でうならさせていただきました。
……そしてアンカー打ち間違えてた事に今更気づきましたOTL

>>550
くぅっ、上手い! かがみの中に埋もれている想いの表現がリリカルで、プチ嫉妬しつつもGJです。
第二章も楽しみにしています。
561名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 23:13:19 ID:a9hwKB3l
えっと、今から投下しようと思います。
準備中のひとがいなければ、いきますね。
56223-251:2007/12/01(土) 23:16:38 ID:a9hwKB3l
「星に願いを」第11話

・こなかが入れ替わり
・続き物
・つかさ視点
・エロ注意
563星に願いを 1/5:2007/12/01(土) 23:17:58 ID:a9hwKB3l

 11.

 こなちゃんが家に帰ってきた後、私は、しどろもどろになりながら
お昼休みにとってしまったひどい態度のことを謝った。
 でも、こなちゃんは笑顔で「気にしなくていいよ」と言ってくれた。
 どうして、こなちゃんはこんなに優しいんだろう。
 ますます好きになってしまう。

 その後、私とこなちゃんは、私のお父さん、お母さん、お姉ちゃん
たちと一緒に夕食をとって、クイズ番組を見た。
 いつもと変わらない賑やかなひと時を過ごした後、お風呂あがりの
こなちゃんが、私の部屋に入ってきた。
 私と『同じ色』をした長い髪を下ろしたまま、いちご牛乳を
ストローで吸いながらベッドに座っている。
「つかさの家っていいねえ」
「えっ」
 私は勉強机から振り向いて、ストローをくわえているこなちゃんを
見つめた。
「つかさのお姉さん達や、おじさん、おばさんもいて、凄くにぎやかだし、
楽しそうだし」

「こなちゃん…… 」
「あ、私の家が嫌ってことはないよ。お父さんも、ゆーちゃんも
大好きだから」
 こなちゃんは少し遠い目をして続けた。
「だけど、賑やかなのはいいね。お母さんもいるし」
「あっ」
 こなちゃんのお母さんは、とても小さい頃、亡くなられていて……
だから、母親と一緒にいるという記憶がこなちゃんにはないんだ。
564星に願いを 2/5:2007/12/01(土) 23:20:02 ID:a9hwKB3l

「こなちゃん。あのね」
「なに? つかさ」
「元の姿に戻りたい? 」
「ん、どっかな」
「このままでもいいの? 」
「まあ、戻れるのだったら戻りたいけどね。でも、さっぱり方法が
分からないから」
 小さくため息をついて、こなちゃんはいちご牛乳を飲み干した。

「あのね。こなちゃん。私、思うんだけど」
「うん」
「遠からず、お姉ちゃんとこなちゃんの人格は元に戻ると思うの」

「どうしてそう思うの? 」
 足を伸ばしてくつろぎながら、言葉を返してくる。
「今の状態っていうのかな。人格が入れ替わるっていう事はとても
不自然な事なの」
「そ…… かな? 」
 今、私は不思議な感覚にとらわれている。何か未来の事が分かる予感。
 神託を受けた巫女になった感じといえば、分かりやすいかな。
 もっとも、本当は、三が日や特別の行事の時しか『巫女』の仕事は
しないんだけど。

「うん。根拠はないけど、遠からず、こなちゃんとお姉ちゃんは
元に戻ると思う」
「そうだといいけどねえ」
 こなちゃんはベットから伸ばした足を、何度もぶらぶらさせている。
「えっと、だからね 」
 私は、急にもじもじしながら、両手の人差し指を合わせて、
こなちゃんを上目遣いで見つめる。

「なに? 」
 こなちゃんが、私の熱っぽい視線に気がついた。
「あ、あのね、もし、もしよかったら、でも、だめかな」
「つかさ。何いっているのか分かんないよ」
「あうぅ、ごめんなさい」
 恥ずかしくて真っ赤になりながら、絞り出すような声を出した。
「き、昨日の続き、したいなっなんて。ダメ…… かな」
 心臓がどきどきする。マンホールでも何でもいいから穴に入りたい。
 私は、近くにあったクッションを掴んで胸のあたりに抱え込んだ。
565星に願いを 3/5:2007/12/01(土) 23:21:02 ID:a9hwKB3l

「ふーん」
 こなちゃんが、少しだけ首を傾げて立ち上がった。
「つかさ。昨日、私が、かがみのこと好きだっていったよね」
「う、うん。そうだけど」
 なんて節操が無いんだろう。恥ずかしくて真っ赤になってしまう。
「私の本当の気持ちを知っていて、それでも、えっちがしたいの
カナ、カナ」
 最後の『カナ』をなんで2回繰り返すのか分からないけど、
私はとってもいけない子だと思う。
 そして、私の気持ちを知ってて、敢えて尋ねるこなちゃんは、
とってもいじわるだ。
「だって、仕方ないんだもん。やっぱり自分の気持ち、
抑えられないよ」

 『お姉ちゃん』の姿をしていても、中身はこなちゃんと分かって
いるから心臓がどきどきするんだよ。
 ゆきちゃんみたいに、向日葵のように微笑んで、こなちゃんと
お姉ちゃんを見守るなんてこと、やっぱりできない。
 私、とっても悪い子だから、我慢することなんてできないんだ。



566星に願いを 4/5:2007/12/01(土) 23:21:48 ID:a9hwKB3l

「つかさ。後悔しない? 後で泣いたりしない? 」
 背中に手を回しながら、こなちゃんは、確かめるように
ある意味では、とても残酷な質問を投げかける。
「自分の事を悲劇のヒロイン、なんて思わない? 」
 こなちゃんは私に覚悟の程を聞いているんだ。こなちゃんが
おねえちゃんの事を好きだと知っていて、それでも抱いて
ほしいのかって。
「うん。後悔しない」
 私は、ありったけの勇気を振り絞って、こなちゃんに
お願いをする。
「こなちゃん。今日だけ恋人になって」
 しばらく、こなちゃんは瞼を瞑って真剣に考え込んだ。

 そして…… 苦笑未満の表情を浮かべて言った。

「つかさ。遠慮はしないからね 」
 『お姉ちゃん』の姿になっている、こなちゃんが立ち上がり、
お風呂上りのぬくもりを保ったまま、ぎゅっと抱きしめてくれる。
 私は、温かい体温と限りない幸せを感じることができた。
567星に願いを 5/5:2007/12/01(土) 23:22:52 ID:a9hwKB3l

 こなちゃんの指先が、私のパジャマのボタンを外していく。
「つかさのブラ、今日は白なんだね」
「うん…… 色つきは透けることがあるから」
 恥ずかしさで、顔を少し火照らせながら答える。
 ついでとばかり、パジャマの下の方も、するりと脱がしてしまう。
 こなちゃんも、自分でさくさくとパジャマを脱いで、ふたりとも
ブラとパンツだけの姿になる。

 双子なんだけど『お姉ちゃん』の方が胸が大きいんだ……
なんてことを考えていると、こなちゃんがベッドに行くように
促した。
 もう冬場に近いから、暖房のスイッチが入っていて、エアコンの
音が低く唸っている。
「こなちゃんっ」
 私とこなちゃんは、もつれあうようにベッドに倒れ込む。
 身に付けているのは下着だけだから、こなちゃんの肌と
いたるところで触れ合い、体温がダイレクトに伝わる。

 私は、こなちゃんの口付けが欲しくて、意識的に唇を近づけると、
こなちゃんが「おあずけ」といって応じてくれない。
 ひどいよ。どうしてキスしたらダメなの?

「いつもキスからじゃあ、芸がないからね」
「こなちゃん、そんなことたくさんやってるの? 」
 どこか非難めいた口調になっていたかもしれない。
「ううん。陵辱もの以外のギャルゲのエッチシーンって、
キスから始まるんだよね。そこが納得いかないというか」
 こなちゃんは本当にマニアックだ。
「私は普通でいいんだけど…… 」
「今日はダメだよ。つかさ」
 こなちゃんはいじわるそうな表情を浮かべたまま、
私の太ももの間に足を絡めてきた。
56823-251:2007/12/01(土) 23:27:16 ID:a9hwKB3l
感想いただいた方、ありがとうございます。
つかさは、ゆーちゃんと似たような印象を受けています。

>541
指摘サンクスです。誤字はなくしたいんだけどなかなか
上手くいかないのが実情だったりします。

569名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 23:41:42 ID:R5aQadFo
>>568
リアルタイムGJ!
こなたはつかさをどういじるんでしょうかね。そして本当に元に戻るのか。目が離せませんよ。期待してます!
あと作品に関係ないんですけど参拝ってなんですか?
570名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 23:49:34 ID:ZNkQ8lbZ
明日鷲宮神社でイベントがあるから、それのことじゃないかな。

ともあれ、GJ!
571名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 00:18:35 ID:Sg9FaiuI
>>550
凄いなぁ…心の動きっていうか、表現が凄い綺麗。
こんなものが読める自分たちは幸せ者ですわ。
次から夏…どうなるんだろ。期待せざるを得ない。

>>568
柊家の様子もある種似たような状態か…。
きっとつかさも元に戻るってのを何かしらで確信してるんだろうなぁ
次を楽しみにしつつGJ!
572名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 00:32:44 ID:M15y8pOC
みゆき「>>568さんGJです・・・












くすん・・・私もまざりたいです・・・」
573名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 02:08:38 ID:eWtUzFuY
家から大体1時間半、交通費最安で850円、給料日前で金欠

回避です←結論
574名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 03:22:22 ID:4nb6L3Yr
>>532
妄想マシーン全開状態でなくても、ひよりんは可愛い(ぉ
ほのぼのをありがとうございました!

>>550
かがみがこなたのことを好きになってく過程が、流れといい描写といい凄く綺麗!
季節感もバリバリ伝わってきますし、もう夏が待ちきれませんGJ!
でも何よりすごいのが、これほどの文章をこれだけの時間で上げてくることかも(笑)
私にもその文章力と執筆速度をわけてくださいorz

>>568
ゆーちゃんに続いてつかさも切ない……でも、最後にはハッピーエンドっぽくて
続きにワクテカです!
しかしそれにしても、こなちゃんちょっとマニアックではないですか?(汗)
けどやっぱりすごいのが、これほどの文章を(ry


と、話は変わりまして、滅茶苦茶前に書いたSSの続き?がやっとできたのですが、
投下しても構わないでしょうか?かなり辛めの話なんですが……
575名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 03:33:29 ID:C4dH5bJ5
>>574
wktkして待ってます!
576名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 03:50:45 ID:4nb6L3Yr
>>575
wktkされると恥ずかしいですが、許可頂いたのでねるまえにおとします。
でも、本当は前スレの終わりの方で落とそうと思っていたはずなのに、どうしてこんなに
書くの遅いんだろう。正直筆の遅さならまちがいなくこのスレのトップを獲れますねorz

エロなし、みなみ&ゆたか中心、何故かこなたとかがみもらぶらぶっぽいです。
おまけに気がついたらゆたかが誘い受け属性気味に……なぜだぁっ。
それと今回は展開がちと重いので、欝な話が苦手な方は注意してくださいすみません。

↓以下5レスほどお借りいたします
577みなみべりー・ぱにっく! 1/5:2007/12/02(日) 03:52:33 ID:4nb6L3Yr
 ゆたかが、好き。
 そう気付いただけで、ゆたかとの時間がますます幸せになれる。
 目を合わせたり、言葉を交わしたり、そんな些細な出来事にも、切なくなって、嬉しくなって。

 でも、幸せになればなるほど、ひとりに戻った時に凍えそうになる。
 冷え切った私は、夏が来ても溶けることのない雪野原で。
 ゆたかのくれる温もりも……私の本当の願いには、決して届いてくれないのだから。


       みなみべりー・ぱにっく! 〜乙女はゆたかに恋してる〜


「みなみちゃんっ」
 駅前の人混みをかき分けて、ゆたかがこちらに駆けてくる。
 これまでだって、見るだけで嬉しくなっていた仕草だけど、今朝は昨日以上に胸が高鳴る。
 もっと見つめていたい?それとも目を逸らしたい?
 変な葛藤を堪えて目を合わせると、ゆたかの笑顔がますます明るくなって、それに比例する
 ように私の体温も更に上がっていく。

「おはようっ、最近よく一緒になるよね」
 火照りを強引に落ち着けて、そうだね、と曖昧に答える。
「……大丈夫?何だか疲れてるみたいだけど、悩み事、とか?」
「え……」

 どうして分かるのだろう?口ごもる私の目を、不安げに見つめてくる。
 確かに最近寝不足だけど、体力には自信があるし、顔だって念入りに洗っているのに。
 でも、まさか原因はゆたかだなんて言えないけれど、こんな風にゆたかが見てくれるのは……。

「やふー、みなみちゃんおはよー」
 大丈夫だよ、の返事も忘れて、思わずぼうっとしていた私を、まったりした声が引き戻す。
 青空色のロングヘアに、ゆたかと同じ翠色の澄んだ瞳。ゆたかのお姉さん代わりの、泉先輩だ。
 一緒に来た柊先輩達のもとを離れて、こちらにてけてけやってくる。

「わざわざ悪いねぇ、結構前から待ってたでしょ?」
「いっ、いえ、」
「ふふーん、その反応……やっぱりゆーちゃんを待っててくれたんだ?」
 思わず表に出た動揺を、見事に捕まえられた。しまった!と気付いた時にはもう遅い。
 顔を火照らせあたふたするゆたかの隣から、泉先輩がずずいっ!と顔を寄せてくる。

「いやー、まさか二人がこんなにラブラブだったとは、お姉ちゃんびっくりだよ♪これは帰ったら
 お赤飯だね。なあに心配には及ばんよ、キミ達の結婚式は全力でプロデュースしてしんぜよう」
「お、お姉ちゃんっ、みみみなみちゃんはそんなんじゃ……」
「ったく何後輩で遊んでんのよ?あ、ゆたかちゃんにみなみちゃんは気にしなくていいからね」
「い、いえ、……」

 真っ赤になりながら必死に弁明するゆたか。
 その横ではかがみ先輩が慌ててフォローを入れたり、つかさ先輩が一すじの汗を流しながら、
 困った笑顔で『ドンダケー』と見守っている。

「けど思い出すねー。告白した次の日、誰かさんもこんな風に家の前まで迎えに来て……」
「ちょ、おまっ!?」
「『かがみ?来てくれたの!?』『だって、こなたの側にいないと、私、寂しくて……ぎゅっ』」
「人前でばらすなっ、とゆーか勝手に変な脚色しまくるなっ!!」
「んふふ〜、からかわれてると分かっていてもやっぱり突っ込まずにいられないかがみ萌え♪」
「こらっ、あんた朝っぱらから、もうさっさと離れ、っ〜〜〜〜〜〜!!」

 仔猫のようにかがみ先輩にじゃれつく泉先輩と、言葉では怒っていても、口調と仕草は甘々の
 かがみ先輩。それは見ているだけで、楽しくなれるやり取りの筈なのに。

 私の心は、薄曇りのままだった。
578みなみべりー・ぱにっく! 2/5:2007/12/02(日) 03:54:00 ID:4nb6L3Yr
 はぁ……。
 チョークと解説の声を、ため息が遠くする。
 普段なら口頭での注意まで書き込んでいるノートも、殆ど埋まっていない。
 いつの間にか斜め前の後ろ姿を見つめていて、それに気付くたびに無理矢理ノートに向かって、
 なのにどうしても集中できなくて……そんなループを繰り返す。

 始めはただの友達だと思っていた。
 ゆたかが笑うと嬉しくなるのも、お礼を言われてどきどきするのも、私が照れ屋さんで、そういう
 ことに慣れていなかったからだと信じてた。
 日を追うごとにどきどきが強くなるのも、仲良しが深まっているから。
 ゆたかが他の人と仲良しにしていると落ち着かないのも、ゆたかが心配だからだって。
 それなのに。

 『いやー、まさか二人がこんなにラブラブだったとは、お姉ちゃんびっくりだよ♪』

 ゆたかの側にいる、二人の先輩を思い出す。
 アキバ系で悪戯好きの泉先輩と、泉先輩のお姉さんのようなかがみ先輩。
 いつも漫才みたいに賑やかで、時々口喧嘩もしているけど、何故かお互いを本当に好き合って
 いるのが伝わってきて、見ているこっちまで幸せになってしまう。
 昔話題になった『おたく青年と美人OL』以上の、誰もが認める陵桜最高のカップル。

 『かがみ先輩って普段はああでしょ?でも、こなた先輩と一緒だと〜』
 『そうそう、あたしはレズ苦手なんだけどあのカプはガチ!もう見ててスッゴイ可愛い!!』

 前にクラスメイトが話していたフレーズが浮かんでくる。この学校には、女性同士のカップルも
 結構いるけど、それも間違いなく先輩達の影響だと思う。
 そんな二人のいる学校なら、ゆたかに伝えられる?
 そんな二人をいつもすぐ傍で見ているゆたかなら、私の気持ちも受け入れてくれる?

 ……何、考えてるんだろう。

 打ち明けてしまったら、きっとゆたかを困らせる。
 突然の告白に戸惑って、私の気持ちに応え切れなくて迷って、それでも精一杯笑顔を作って
 私に付き合ってくれたり、今まで通りの関係を続けようとする――そんなゆたかは見たくない。
 それとも、同性趣味の私を気持ち悪く思うだろうか?
 ゆたかを失くして、ゆたかが引き寄せてくれていた田村さんたちとも遠のいた毎日を想像する。
 中学までは慣れていた孤独だけど……今戻されたら、多分自分を支えられない。

 『お、お姉ちゃんっ、みみみなみちゃんはそんなんじゃ……』

 反芻される言葉から逃げるように、ぎゅっと目を閉じる。
 ゆたかを見るだけでドキドキして、ゆたかと話すだけで嬉しくて、ゆたかに触れるだけで幸せで
 ……でも、そうやって鼓動が高鳴るたび、心に見えない針が刺さる。

 こんなに切ない、叶わない夢なんていらない。
 なのに何度吹っ切ろうとしても、またゆたかを追いかけてしまう。
 むしろ、感情を抑えれば抑えるほど、忘れようとすればするほど、秘めた気持ちは増していく。
 そして――。

「どうして……」

 神様は意地悪だ。
 こんなに『起きないで』と……いや、『起きて欲しい』と願っていた事件を、こんなに切ない時に
 起こしてくれる。

 さっきまで何ともなかったゆたかが、俯いて荒い息をしていた。
579みなみべりー・ぱにっく! 3/5:2007/12/02(日) 03:55:23 ID:4nb6L3Yr
 一見顔を教科書に近付けて、難しい構文と格闘しているように見える。最近はゆたかも、周りに
 迷惑をかけたくなくて、多少調子が悪くても、平気なふりをしてしまう。
 だから余計不安になる。
 私だってずっとゆたかを見てきたから、ゆたかがどんなに『空元気』を演じても、本当は必死に
 我慢してるのがすぐわかるんだよ?

 板書を続ける先生やノートを取るのに忙しい生徒は、ゆたかの隠れたサインに気付けない。
 パトリシアさんは席が遠いし、田村さんは……手の動きからして、文字ではない別のものを
 描くのに夢中だ。
 気付いているのは自分だけ。でも……。

 昼休みまで、あと20分強。
 具合悪いゆたかの面倒を見るなら、今手を挙げて授業を抜けても何も言われない。
 しかも、保健室までゆたかに触れていられるし、ベッドに寝かせた後は1時間以上二人きり。
 そうすれば……。

「……っ!!」
 頬を叩いて、汚れた思考をリセットする。
 ゆたかが辛いのに、どうしてそんなことを考えるの?

 ゆたかに視線を戻す。相変わらず必死に我慢しているけれど、その姿勢はもう、俯くというより
 倒れかかっていると言った方がいい。
 髪の間から覗く肌も蒼白で、頭痛や悪心を堪えているのか、肩でつく息も苦しげだ。
 ――これは、すぐに休ませた方がいい。

「先生、」
「ん、岩崎どうしたん……」
 先生の返事も待たずに、つかつかとゆたかのもとに向かう。
 半分は、ゆたかが心配だから。もう半分は……。

「ゆたか、保健室に行こう」
「ううん、別にどうってことないから……」
「駄目」

 頑張って笑おうとするゆたか。でも、どんなに取り繕ったって、こんなに青ざめて、嫌な汗を
 浮かべた顔では、こっちは不安になるばかり。
 ざわめく生徒も気にせずに、シャーペンを持ったままのゆたかの手を取ると、ゆたかも観念して、
 「ごめん」と呟きながら、言うことを聞いてくれた。

「大丈夫、ちゃんと立てる、から……あ、あれ……?」
 立ち上がろうとして、目眩で動けなくなる小さな背中を、慌てて抱き止めながら。
「先生、ゆたかの具合が悪いので、保健室に連れて行きます」
「岩崎さんだけで大丈夫?付き添いとかは?」
「私だけ……」
「ううん平気、みなみちゃんが支えてくれれば、ちゃんと歩けるから」
「そう?それなら、いいんだけど……」

 黄色い声や冷やかしの視線の中、私は『いつものように』ゆたかを保健室に連れて行った。

 助っ人を申し出た田村さんに、小さな苛立ちを感じながら。
 それをやんわり断るゆたかの返事に、心の中で安堵しながら。
580みなみべりー・ぱにっく! 4/5:2007/12/02(日) 03:57:23 ID:4nb6L3Yr
「ごめんね、みなみちゃんに心配かけたくないのに、いつも助けてもらってばかりで……」
「そんなことない。むしろ、こういう時は素直に甘えた方がいい」
「うぅ〜……」

 ベッドで力なく笑うゆたかを、本音を伏せて看病する。
 額に浮かんだ汗をお気に入りのハンカチで拭うと、自分でやるよともぞもぞする。
 でも、そんな遠慮を無視して続けると、すぐに私に身を委ねて、くすぐったそうに目を閉じてくる。
 ゆたかは一挙一動がずるい。
 私なんかと違って、純粋で、頑張り屋さんで、ほころぶような可愛らしい笑顔で。

「みなみちゃん……」
 不意に、ゆたかの声が自己嫌悪に割り込んでくる。
「どうしたの?どこか、痛いの?」
「ううん、みなみちゃんが元気ないから……やっぱり、なにか悩んでることとかあるの?」
「それは……」
「良かったら、話してくれないかな。 私なんかに力になれるか、分からないけど……」

 不安げに見つめてくるゆたかに、胸が熱くなる。
 歩くのも辛いくらい調子が悪い時でも、私のことをこんなに気遣ってくれる。
 ……やっぱり、ずるい。
 あんなに自分に言い聞かせていたのに、こんなに優しいから、傍にいてくれるから。

「ゆたかは、……私のこと、どう思う?」
 つい、呟いてしまっていた。どうにでも誤魔化せるように、言葉を選びながら。
「みなみちゃんのこと?」

 凍った感情から、少しずつ秘密を零していく。
 やっと築いた友達関係を、ボロ一つで崩してしまう……そんな危険と隣り合わせなのに。

「恥ずかしいんだけど、今、す……その、好きなひとがいて……」

 すぐ目の前で横になっている『好きなひと』の前で、『好き』と口にする。
 ぼかしを入れていても、遠回しに告白しているようで、緊張で言葉が途切れ途切れになる。
 顔も真っ赤で、胸が甘く締め付けられて苦しくて、とても、ゆたかと目なんて合わせられない。

 ……それなのに、ゆたかはじっと、私の話を聞いてくれる。
 頬を赤らめながら、まるで、自分のことのように。

「でも、その人には、どうしても好きなんて言えない」
「どうして?」
「だって、私のことを好きになってくれる筈がないから。それに、その人は私なんかと違って」
「だめだよ」

 真摯な瞳で、台詞を中断する。

「みなみちゃん、今『無表情で冷たくて……』とか続けようとしたでしょ?」
「う、うん……」
「そんなこと言っちゃだめだよ。みなみちゃん、こんなに優しくてかっこいいんだから」

 可愛く膨れながら反論する。それなのに決して嫌な気持ちにはならない。
 まるで、疲れて愚痴を漏らした所を、子供に『そんなこと言っちゃダメです!』なんて注意された
 親の気分。嗜められているのに、心がほっこりする。

 ……でも、それは同時に毒だった。
 ゆたかは優しすぎるから。緊張と幸福でカムフラージュしながら、それまで辛うじてバランスを
 保ってきた支柱を、少しずつ蝕んで……
 誰も知らない場所で、最後のトリガーを引いてしまう。
581みなみべりー・ぱにっく! 5/5:2007/12/02(日) 03:59:52 ID:4nb6L3Yr
「……じゃあ、もし私みたいな人が、好き……って言ったら、ゆたかなら付き合う?」
「えっ、み、みなみちゃんに?」
 軋みが亀裂になって、全体に拡がっていく。

「私なんかを好きになってもらうなんて、悪い気もしちゃうけど、みなみちゃんみたいな人だったら
 間違いなく付き合うよ」
 私に都合のいい解釈だよと、理性が必死に警告している。
 でも、もう届かない。

「本当に?ゆたかはそれでいいの?私なんかを好きでいてくれるの?」
「当たり前だよ。私、みなみちゃんのこと……」

 ゆたかの赦しが届いた瞬間、自分を戒めていた最後のタガが、音を立てて弾けた気がした。
 理性が存在ごと掻き消えて、頭の中が真っ白になって……

「え、みなみ……あ、んっ!?」

 自分が自分ではない誰かにすり変わったように、目を閉じて、ゆたかと唇を触れ合わせていた。
 直接伝わってくる、柔らかな感触。
 ほんの少しだけ口を開けると、ゆたかの息が忍び入ってくる。味なんてない筈なのに、ゆたかと
 キスしている事実だけで、頭の中が惚けていく。
 ゆたかの体温。ゆたかの香り。ゆたかのカラダ……もっと、欲しい。

「ふぁっ、ん……っ」
 刺激が更に興奮を呼び、愛撫が濃密になっていく。
 触れるだけでは足りなくて、可愛らしい唇を啄み、微かに開いた隙間から舌先を挿し入れる。
 歯茎を這い、その先のゆたかの舌を撫でると、気のせいかゆたかも舌を絡ませてくる。
 それは、どれくらいの時間だったろう。
 ゆたかが酸素を求めて身をよじるまで、私はゆたかに溺れて……。

「ぷはっ……」
 名残惜しみながら、ゆたかを開放する。
 唇を離して目を開けた時には、それまで荒れ狂っていた感情が嘘のように引いていた。
 更に時間差を置いて、理性が戻ってくる。
 だが、堕ちた天使が、永遠の氷雪の中に叩き落されたように。夢から突き落とされて、理性と
 感覚が繋がった瞬間、それまでの熱情が反転して、私の何もかもが蒼褪めた。

「あ……あ……!」
 それまでの行為を突きつける、私とゆたかを結ぶ銀の糸。
 愛し合う恋人同士を繋ぐ筈のそれが、今、目の前で重力に引かれ落ちていく。

「みなみ、ちゃん……どうして、……?」
 こちらを呆然と見つめるゆたか。
 もう表情は読み取れない。読み取る余裕も、読み取る資格も、私にはない。

「ごめん、私、ゆたかのこと、わたし……酷いでしょ、こんなことして、ごめ、本当に、……」

 たった一人の友達を、欲望のままに求めて、唇を重ねて、舌を絡めて……。
 まるでフィルムをブチ撒けたように、頭の中に無数の映像が溢れ出して、錯乱状態の良心を
 責め立てる。ゆたかを裏切った私。私に裏切られたゆたか。
 涙が、後から後から溢れていく。でも、そんなもの、何の許しにもならない。
 わたしは、わたしは……。

「みなみちゃ……」
「駄目っ、もう、私なんかに近寄らないでッ!!」

 縋るゆたかの声を振り捨てて、私は保健室を逃げ出した。
 止められない嗚咽を、リノリウムを蹴りつける音で誤魔化しながら。
582名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 04:01:23 ID:4nb6L3Yr
どう見ても鬱エンドまっしぐら……でもそんなのかんけえねえっ
みなみんよ意地を通せ、現に仲直りフラグはあるのだっ
百合を通して道理を蹴っ飛ばす、それが俺達腐レン団じゃなかったのかっ
あきらめたらそこで恋愛終了っ、まだだ、まだおわらんよっ

……というわけで、死なない限りまだつづきます。書くのがスロウリィでほんとすみません。
ですが次こそは心配いりませんよ田村閣下、
私の解析によれば、ゆたかの誕生日までにこのSSが書き終わる確率は98%ですからね。
ふっはっはっはっはっはっはっはっ_| ̄|○
583名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 04:05:29 ID:C4dH5bJ5
>>582
GJ!!
SSとコメントのテンションの落差にふいたw

続き楽しみにしてます!
584名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 04:23:38 ID:MXWWqy1g
>>582
うわっ、GJ!
ゆーちゃんとみなみちゃんは王道カップルだねえ。

何よりも流れるような文章がものすご上手いっ
コメントレスのハイテンションは、通常の3倍かw
この後の展開をめっちゃ楽しみにしています。
585名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 07:01:17 ID:cUWQ26gn
>>582
foooooo
なんてものを投下してくれるんだぜ貴方様は!
なんというGJ! 続きを全裸待機させてもらいます!
586名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 07:07:15 ID:ECRyPk6q
>>582
みなみかわいいよみなみGJ!!
一点だけ「?」と思ったんだけど、

> 「だって、私のことを好きになってくれる筈がないから。それに、その人は私なんかと違って」
と、
> 「みなみちゃん、今『無表情で冷たくて……』とか続けようとしたでしょ?」

のセリフの繋がりなんだけど、下のセリフを受けるなら、上のセリフは

「"私なんか"は"その人"と違って」

になるような気がするのだが如何?
※おいら読解力が弱いので何か別の意味が込められてたらゴメンなさい
 みなみの言い回しとしては、上が自然だと思うので自分に自信が持てませんorz
587名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 07:47:43 ID:KLOrdDgw
>>582なんというおいしい鬱・・・
鬱は嫌いだが、その後が大好物だ。仲直り編楽しみに待ってる。
GJ


ところでさっき、かなたさんがこなフェチういるすに感染していた夢を見たんだが、もう内容が思い出せない。
誰かこの妄想を文にしてください。
588582:2007/12/02(日) 10:00:45 ID:4nb6L3Yr
自分「くはぁーっはっはっはっ、完全に!文字一つまで徹底的に誤字チェックしてやったわ!
  これならいくら私に文章力がなかろうと……」
読者「>>586『"私なんか"は"その人"と違って』に な ら な い か 」
自分「ぐあああぁっ、ばっ馬鹿なぁぁっ」

なんという酷い誤植もとい順番前後、出直してきますっ!というかwiki掲載時に修正しますっ!
でもwikiってどう修正するんだろう、犬の散歩と仕事から帰ったら調べてみまs
指摘、誠に感謝です!
589名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 12:03:15 ID:cUWQ26gn
どーも
590名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 12:04:35 ID:cUWQ26gn
ミス
どーも、パラレルにしすぎてもうそれオリジじゃね? で定評のあるぶーわです。
『0から始めよう!』の続き投下させてもらいますね

注意
・オリジ設定かなり強し
・かがみ幽霊 こなたひきこもり

前回のあらすじ
・鴨がネギしょってやってきた

8レス拝借します
5910から始めよう! 4.打ち明けよう!(1/3):2007/12/02(日) 12:06:34 ID:cUWQ26gn
「さぁて、どうしようかしら」
 ようやく体の熱も冷めてきたところで、もう一度部屋を見回す。
 ひきこもりエロガキはまだベッドの上で呆けてやがる。
 おっと、口が悪かったか。同い年なんだっけ?
 社会復帰ねぇ……学校ぐらい行けば十分よね。
「やっぱり使いますか? 宿主用の」
「声で50、姿で100だっけ?」
 それだけ支払えば、宿主だけにはフリーパスになるらしい。
 確かにこのままだと説得も無理よね。
 でも−150TP……その借金は重いな。
「ちょっと待って、考えてみるから」
 まだこの子のことはよく分かってないしね。
 ええと、こなた? だっけ、変な名前。
 部屋は散らかってるし、ベッドの脇には漫画の山。
 どうやら大分自堕落な人間みたい。
 あと漫画とかフィギュアがいやに多いな……所謂あれ、オタクってやつ?
 まぁ私もラノベとか結構読むほうだからあんまり馬鹿には出来ないけど。
「他なんか情報は?」
「ええと、父親は小説家らしいですよ。今はその人と二人で暮らしてるみたいですね」
 履歴書に目を滑らせる。
 なんとまぁ、じゃあ家の中に居るかもね。
 ひきこもりの娘放っておくなんて、そっちも案外怠け者なんじゃないの?
「おーい、こなたー」
 とか噂をしてたら部屋の外から声が聞こえた。
 男性の声。たぶん、その父親だろう。
「そろそろご飯にしようか、何か食べたいのあるかい?」
 猫なで声で少女に話しかける。
 でも、その返事がなかなか私の耳に届かない。
「……」
「な、何か出前でもとろうか? それとも久しぶりに何所かに食べに……」
「カップラーメンでいいよ」
 男性の声を遮る声が、辺りの空気を固める。
「それにまだお腹空いてないからいい。勝手に食べるから、先に食べてていいよ」
「そ、そうか……」
 その冷たい言葉に、男性の声が見る見る落ちていく。
 そのままため息を漏らすと、立ち去っていく足音が聞こえる。
 扉の向こうから声が途絶えてまた、辺りを静寂が支配する。
 これはまたなかなかどうして陰気な性格みたいね。
 まぁ多感な時期だし、捻くれててもおかしくはないか。
 でも父親も父親よ、あんな甘やかしてたらそりゃつけあがるわ!
 うーん、こりゃ難しいな。
5920から始めよう! 4.打ち明けよう!(2/3):2007/12/02(日) 12:08:23 ID:cUWQ26gn
「やっぱ、使うしかないかしら……」
 成功すれば5000のハイリターン。
 そのためなら50や100ぐらいローリスクよね。
 だとすると、問題は……。
「驚くわよね」
「ええ、大概皆さんビックリされます」
 いきなり幽霊でーす、だなんて言われりゃね。
 しかも本人にしか見えないと来たもんだ。
 下手すりゃ重病人扱いよ、頭のほうで。
「中には塩かけられた人も居ましたよ」
 ……どうなったかは聞かないでおこう。
 じゃあ慎重に、かつ大胆に。
 うーん、いきなりじゃ駄目だろうし……そう、幽霊なのがいけないのよ。
 怖いし信憑性はないし、もっと別のにすればいいわ。
「人形とかが喋るのとかいいんじゃない? ファンタジックよね」
「人形ですか?」
 漫画とかアニメばっかり見てるなら、そういうのも受け入れやすいはず!
 と部屋を見渡すが、ロクなものがない。
 ……もっとこう、女の子の部屋らしい人形はないのだろうか。
 半裸状態のキャラフィギュアしかないし、こんなのが喋ってもファンタジーの欠片もないし……。
「あ、これなんかどうですか?」
 何よそのオオサンショウウオみたいな不細工なのは!
 もっと可愛いのよ可愛いの。
 あ、ほらあるじゃない熊のぬいぐるみが。
「じゃあ声だけやっちゃって、あと人形持つから触れるようにも」
「はいはい、合計−55になりまーす」
 これで−189TP、さぁ後には引けないわよ。
「?」
 熊の人形を掴み、少女の前まで運ぶ。
 それに気がつき、少女が目を見開く。
 向こうから見たらまだ、姿は見えてないから熊のぬいぐるみが浮いてるように見えるって算段よ!
 いけファンタジーふじお○!
「……?」
 少女が首を傾げる。
 そりゃそうよ、今愛用のふじ○かが万有引力を打ち砕いてるんだから!
「えー、オホン」
 と、一度咳払い。
 こっからは声が届くのよね。
 大丈夫よ、色々頭の中では考えたわ。こういうのは勢いよ!
「ぼ、僕ふじ吉だよー」
「ぶふぅ!」
 後ろから噴出す笑い声が聞こえる。
 あの野郎あとで耳引きちぎってやる!
5930から始めよう! 4.打ち明けよう!(3/3):2007/12/02(日) 12:09:26 ID:cUWQ26gn
「ぼ、僕って……め、雌の熊でいーじゃん。ぶふぅー」
 てめぇ笑いすぎだろぅが! ○じおかは雄なんだよ!
 ああもう、こいつは放っておこう。
 今はこっちよ、5000点!
 ……じゃなかった、えっと名前なんだっけか。
「こ、こなたちゃん。学校行こうよー」
 少女の前で熊の人形を揺らす。
 落としたらまた拾うのにポイント使わないといけないんだから、慎重にね。
「……」
 少女の反応はなんと言うか……微妙だった。
 呆けた表情で熊のぬいぐるみを見上げ、数分してからようやく口を開く。
「お姉さん……誰?」
「へっ?」
 その声に、目が点になる。
 お姉さん? ふ、ふじ吉だよー?
「あっ……」
 そのままベッドから立ち上がり、私から熊のぬいぐるみを取り上げる。
「これレア物なんだから、触らないでよね」
 不機嫌そうにぬいぐるみを元の位置に戻し、不審そうな目でまたこちらを見る。
「それで?」
「えっ、あっ。あれ?」
「どうやって入ったの? 鍵してたはずだけど。ってゆーかその前に、誰?」
 質問の矢が飛び、問い詰められ慌てる。
 ど、どう見てもこれは『私』に向かって言ってるわけよね?
 これは予想外……ってレベルじゃねーぞ!
「あ、あのー……」
 おずおずと少女の後ろから、間抜け天使が顔を出す。
 ま、まさかこの野郎……また何かやらかしやがったのか!
「てへっ☆ ミスっちゃいました」
 可愛く言っても許すか! こ、これはじゃあそういう事なの?
 声だけのはずが……姿も見えてるってことかよ!
 まだそれは後の予定だったのに!
「あ、ちなみに−100TPですので」
 こ・の・ク・ソ・野・郎! あとで耳を引きちぎる!
「ねぇ、答えなよ」
「う、うぅ……」
 これはどうやら、観念するしかないのか。
 あぁ折角色々考えてたのに台無しだよ!
 はぁ……仕方ないか、全部洗いざらい話そう。
 どうやらあんまり動じてないみたいだしね、図太いのかも。
 ……覚えてろ、間抜け天使!

・現在のTP:−289TP(↓)
5940から始めよう! 5.反省しよう!(1/3):2007/12/02(日) 12:11:22 ID:cUWQ26gn
「幽霊?」
「えー、まぁ……正確には生霊、かな」
 ベッドを椅子代わりに座った少女の前に浮き、訳を話す。
 天使のほうは説明もややこしいから伏せておいた、いいわよあんなヤツ。
「うぅ、相変わらず敬ってませんね」
 てめーを敬うやつの顔が見てみてーよ! ん? 何で鏡出すわけよ。
「じゃあ、私にとり憑いたから私には見えるんだ」
 一応そうなるか。宿主には見えるんだっけ? いちいち設定が面倒ね。
「それで、良いことしないと死んじゃうんだ」
 砕いて言うとそんなところね。
 今は−289TP……どん底ね。
「り、理解してくれた?」
「まぁ……一応」
 すり抜けたり浮いたりしてるわけだし、信憑性はあるわよね。
 とりあえずはファーストコンタクトは成功ね、あの天使の馬鹿の所為で前倒しになったけどまぁ結果オーライか。
「そ、それで貴方も手伝ってくれると嬉しいんだけど……」
「……」
 するとふいっと視線を外し、ベッドに仰向けに倒れる。
「嫌だ、めんどい」
 ……はぁ、そりゃそうよね。
 私も多分同じ返事するかも。
「ね、ねぇお願い。ちょっと学校行くだけでいいからさっ」
「ちょっとじゃ駄目ですよ、社会復帰ですから」
 天使から声が飛ぶ。
 くぅう、一日とかじゃ駄目なのか。
「ほ、ほら友達だって皆待ってるだろうし……勉強だって遅れちゃうし」
「……」
 私の必死の説得も、まるで無視。
 しまいにゃベッドの脇の漫画まで読み出しやがった!
 畜生、そっちがそうならいいわよ。とっておきのとっておき出してあげるわ!
「お母さんもそんなの……喜ばないわよ?」
「!」
 読んでいた漫画を落とし、体を起こす。
 ふっ、これは効いたでしょ?
 こちとら天使が味方してんだからね? 死ぬほど役に立たないけど。
 ん? 何よその顔。
 あんたの情報使ったんだからもっと喜んで……。
「……てけ」
「?」
 小さく、声が聞こえた。
 誰の? 目の前の……少女の。
5950から始めよう! 5.反省しよう!(2/3):2007/12/02(日) 12:14:04 ID:cUWQ26gn
「出てけ!」
「あ……」
 視線が交わった。
 涙で滲んだ、少女の瞳と。
「ご、ごめんっ。私……」
「皆五月蝿い、五月蝿い、五月蝿いぃっ!」
 癇癪を起こし、手元の漫画を私に投げつける。
 もちろん当たらずに通過して、背後に飛び散る。
 でもそれも気にせず、ただ泣きながらその行為を繰り返す。
 私の言葉なんて……届きやしなかった。
「……出ましょう、かがみ」
「えっ、で、でも」
 天使に声をかけられ、私もようやく正気に戻る。
 突然の事態に少し、頭が混乱してた。
 手元の漫画を投げつくし、少女はただ泣き崩れていた。
 ベッドの上にうずくまったまま、嗚咽を漏らす姿は……見ていられなかった。
「……うん」


「不用意でしたね」
「うん……分かってる」
 部屋から一番近い屋根の上で、落ち込む。
 今なら伝わってくる、あの子の悲しみが。
 そうよね……共有してるんだっけ。痛みも、心も。
「まだ、引きずってるんだ。お母さんのこと」
 胸から自然に溢れる感情に少し、心苦しくなる。
 きっと彼女の奥底にはまだ、その女性で溢れてるんだ。
 それを私は……無理矢理引き出してしまった。
 何が慎重よ、何が大胆よって感じね。
「これからどうします?」
「とりあえず……今はそっとしといてあげましょ」
 落ち着いてから説得……ってわけにもいかないか。
 さすが5000、難解ね。
 ……ってそんなこと言ってられないか。
「ひきこもりの件は後回しね。まずは仲良くはならないとさすがにやっていけないわ」
 あいつの行動だってポイント加算されるんだから困ったもんよ。
 エロゲで減算されまくったら元も子もないわ。
「少ししたら落ち着くわ、後で謝りにいきましょ」
 どうせ家からは出ないんでしょ? ひきこもってるんだし。
「はぅあ!」
「な、何。どうかした?」
 もう外も暗い。
 時計は見なかったけど七時ぐらいかな、さっきも父親みたいな男性がご飯だって言ってたしね。
 なのに今更どうしたのよ、そんな慌てて。
5960から始めよう! 5.反省しよう!(3/3):2007/12/02(日) 12:16:44 ID:cUWQ26gn
「た、大変ですよ!」
 また何を言い出すんだこいつは……。
 さっきもこいつの所為で色々前倒しになったんだが。
「急ぎましょう、時間がありません!」
「だ、だから何なのよ」
「いいからこっちに!」
 と、慌ててまた家の中に入っていく。
 しかしこの慌てよう……本当に何かあったとか?
 そ、そうよね仮にも天使なんだからこんなに慌てるなんてよっぽどの事があったのよ!
 しかも家の中ってことは、宿主の子に何かあったとか?
 あれ、でもそっちはあの子の部屋じゃないんだけど……。
『良い子のみんな! 大きな声で呼ぼう、せぇーの』
「プキンちゃーん!」
 一体またどんな厄介ごとを……。
 ……。
 ん?
『プキンちゃんは南瓜小学校に通う元気な小学5年生!
 でも本当はかぼちゃ王国のお姫様なの(みんなには秘密だよ!)
 わる〜い悪の王様カーボと戦うために、マジカル美少女プリンセスプキンに変身して平和を守る無敵のヒロイン!
 悪いかぼちゃは魔法のステッキ「ルシファーズハンマー」でどんどん悪食するよ!』
「……」
「良かったー、間に合いました」
 絶句する私の前で騒々しいアバンが流れる。
 騒がしいOPとともに女の子が画面を飛び回り(金○パース)、それに合わせて手拍子を……。
 って何よこれ!
 アニメじゃねーか! これ見るのに急いでたのかよ!
「はぅぅ、可愛いですねぇ」
 ああもうトリップしてるよ、声が届いてないみたい。
 ってゆーか都合よくテレビがついてたものね……ってうおっ!
「……今日のは、作画がイマイチだな」
 親父ぃいいいいい!
 くぅ、この家はどこもオタクだらけなのか!
 母親の顔が見てみたい!
「ピン☆ポン☆パン☆ポン プキンちゃん〜♪」
 OP歌うな! 親父ハモんな!
 あぁ……駄目だ、ついていけない。
 天使のほうはアニメに釘付けだから三十分はテコでも動かないか。
 まぁおじさんみたく作監にまでケチつけない分ましか、つか素で楽しんでるなコイツ。
 いいや、あの子の様子だけでも見に行こうかな。そろそろ我に返ってるでしょ。
 まだ泣いてたら……逃げよう。ああ、面倒な事になった。
 ……まぁ、仕方ないか。私の所為……だもんね。

・現在のポイント:−289TP(−)
5970から始めよう! 6.立ち直ろう!(1/2):2007/12/02(日) 12:18:08 ID:cUWQ26gn
 声を殺し、そっと中を覗き込む。
 部屋の中はシンとしていた。
 息が詰まりそうになるくらいの静けさに戸惑いながらも、ゆっくりと中を見回す。
 中には予想通り彼女が居た。
 ベッドに横になった状態のまま、聞こえてくるのは寝息。
 泣きつかれて寝ちゃったか……謝りたかったんだけどな。
「ん……」
 寝返りとともに、少し声が漏れる。
 涙と、一緒に。
 その涙を拭おうと伸ばした手が、空を切る。
 ……。
 そうだった、私は今は……そんな存在だったんだっけ。
 少し自嘲した後に、一息つく。
 そういえばゆっくりするのは初めてか、こんな体になってから。
 いきなりあんな抜けた天使が現れて、こんな子にとり憑けとか言われて……あはは、無茶苦茶ね。
 あの馬鹿な天使はギリギリ生きてるみたいな事言ってたけど、同じよ。
 ずっと眠ったまま、起きる事のない体。
 それじゃあ死んでるのと……同じ。
 ……。
 今頃ちょっと哀しさが溢れてきたみたい。
 視界が滲んでいくのが分かる。
 誰にも見えない私。
 誰にも知られない私。
 ……違ったか、今はこの子にだけ見えてるんだっけ?
 皆……どうしてるかな。
 お母さんにお父さん、姉さんたちにつかさも……最後に見たのはどんな顔だっけ。
 そうだ、病室の……私を囲んでるところ。
 器材の山に繋がれた家族を見るのは、どんな気持ちだろう。
 いつ目覚めるか分からない家族を待つのは、どんな気持ちだろう。
 弱いな、私。
 ちょっと一人になるだけで……もう、崩れそう。
 今まではあの、馬鹿天使が騒いでた所為。
 それに振り回されてる間は、何も考えなくて済んだのに。
 なんで今は居ないのよ……あの、間抜け天使。
 ……駄目だ。
 一度零れたらもう……止まらない。
 駄目、我慢しよう。
 だから駄目……だって。
「お母……さん」
「!」
 突然耳に届いた声に驚き、涙も引っ込む。
 漏れた声は……目の前の少女から。他には居ないんだ、そりゃそうよね。
5980から始めよう! 6.立ち直ろう!(2/2):2007/12/02(日) 12:19:58 ID:cUWQ26gn
「死んじゃ……嫌だよ」
「あ……」
 もう一度、彼女の涙が零れた。
 それが、私の家族と……重なる。
 居なくなる者。残される者。彼女の母親は前者……そして彼女は、後者。
 もし私が前者になるのならその後者は……皆になる。私の、家族の皆に。
 ……そしたらこんなに、悲しむのかな。苦しむのかな。
「か、かがみっ!」
「?」
 声に振り向くと、息を切らしたあの天使が居た、
「何よ、そんなに慌てて」
「えっいやっ、行くならちゃんと呼んでくださいよっ。一人じゃまだ……あぁえっと」
 そこまで言ってから、言葉を詰まらせる。
 ……。まったく、分かりにくいのよあんたは。説明も、そういうのも!
「馬鹿ね……大丈夫よ、一人でも」
「ふぇ?」
 どうやらずっと……気を遣われていたのか。
 すぐに居なくなっても良かったのに、律儀なやつ。
 どうりで付きまとってたわけね……まぁ、お礼なんて絶対言ってやらないけど。
「それより、ポイント使うから。触れるようにしてよ」
「え? あ、はい」
 手を伸ばし、少女の頬をなぞる。
 触れた頬と濡れた指からは、確かに感じる。少女の悲しみも、苦しみも。
「……」
「か、かがみ?」
 私の行動がよく理解できないらしく、首を傾げる。
 まったく、そんな事も分からないわけ? 相変わらず抜けてるわ。
「ねぇ」
 手に触れた涙を、指と指で確かめる。
 この涙をきっと、つかさも流す事になるのかもしれない。
 母さんや父さんや、姉さんたちも。そんなの……嫌。
「私……頑張るから」
 それはただ、ポイントを稼ぎたいからじゃない。
 まぁそりゃ5000TPなんて魅力的よ?
 でもそれ以上にこの子を……助けてあげたい。
 まだ会ったばっかりで、名前もロクに覚えてないようなこの子を。
 この苦しみから。この悲しみから。
 この……一人ぼっちの世界から。
 お節介?
 しょうがないでしょ、性分よ!
 まずはそうね、少しずつ……歩み寄っていこう。
 始めましょう……0の関係から、少しずつね。

・現在のTP:−294TP(↓)
599名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 12:25:17 ID:Osq/IDwR
ぶーわさん投下終了……かな? もう書いてもいいのかな?カナ?

>>588
待て待て待て待て、俺はそこを
「つい心情が漏れてしまったみなみと、それを運良く?聞き逃したゆたか」
という、見事なハラハラ演出と解釈したぞ!
だから、このままがいいと思う。

てか、陵桜JK軍団にも認められてるこな×かがカポースゴスw


>>599
リアルタイム遭遇GJ!
なんかこう、二次創作にしとくのがもったいない世界……
キャラをオリジナルで立てても、十分やってけるんじゃないかと。

てか、ひょっとしてプロの人?
600ぶーわ:2007/12/02(日) 12:27:17 ID:cUWQ26gn
続きます。
相変わらずの 何がしたいのか分からん内容でごめんね! エロもなかったし!

人袖触のEDの件では皆さんに色々迷惑をかけて申し訳ありませんでした。
現在は4-243氏に場所を提供してもらい解決しました
関係者各位に感謝してます!

あ、あと自分の天使のイメージはこんな感じ
ttp://www.uploda.org/uporg1139779.png
どーみてもは○ゅうです。どうもありがとうございました
ぶっちゃけ衣装が思いつかんかってんや! かんにんな!
ってゆーか本編トレスにすればよかった かなたさんに見えないや!
601名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 12:48:40 ID:Osq/IDwR
うへぇ、すいません!終わったと思ってレス投下したら割り込んだorz


>ってゆーか本編トレスにすればよかった かなたさんに見えないや!

ちょ、なにげに暴露ですかw
しかし、絵も文章も巧いって……天はニ物を与えずってありゃウソですねorz
602名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 12:56:47 ID:M15y8pOC
>>600
リアルタイム遭遇めがっさGJ!

これほどまでのこ憎たらしい天使ゆえ、
外見もさぞ殴るに値するコミカルキャラかと思ったら

やばい、これ、かがみ以外に殴る権利を与えません!!ヽ(`Д´)ノ

てか、むしろかがみがなぐってそれに対していじけてこそ
魅力が上がるキャラとも言えるしwwwwww

さて、こなたの境遇を知るに至り、自分の境遇とシンクロさせ
ついに心から、彼女を更生させる決意をするかがみ
これからどうなるや、詰むや、詰まざるや?
気長に続きを、wktkしますか(・∀・)
603名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 13:00:28 ID:CnriDdFE
>>582
みなぱに新作ぐっじょぶ!
気持ちの暴走とその後の落ち込みは、ハッピーエンドへの大いなる助走なのじゃよギャワー。

>>599
だめっぷりが加速してるゴッド改めエンジェルかなたさんとか、手探りで関係を作っていくぎこちなさとか流石です。
てーか挿絵つきとか反則。マジ反則。次回も楽しみにお待ちしております。ぐっじょぶ。



で。以下ちょっと思いついたチラ裏&「人として袖が触れている」ネタばれにつき要注意。



エンジェルかなたさんが格下げ食らったってことは、もしかして袖振れ最終話のゴッドかがみんずに使われる立場なのでしょうか。
いやそれどころか、袖振れの平安かがみが死後罪滅ぼしに天使業務に従事してて、出世しちゃってゴッドかがみんの一柱に
格上げされて、上司になってたりとかは……ない、ですよね?
604名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 13:04:51 ID:n2VJXYlA
もしかしたら時間系列は0から→袖かも
0で出世して神になったとか
605名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 14:19:57 ID:UkeXPcNL
おお、皆様がたGJ!

といったところで、そろそろ新スレの季節なわけだが。
とりあえずあれだ、スレ立ては誰か頼んだ(諸事情でその辺は人任せ)
606名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 14:23:34 ID:K+S0ijdC
えっと、じゃあ>>1のテンプレを12月から1月に変えるだけでいいですか?
もしよろしければチャレンジしてきます
607名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 14:27:14 ID:AiX0VqiA
もうそんな季節か…今回も速かった…
>>606お願いいたします
608名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 14:32:23 ID:K+S0ijdC
次スレ
らき☆すたの女の子でエロパロ26
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1196573459/
609名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 14:38:43 ID:zS8ZkNUs
>>608

こなた「え゛っ!? もう次スレ!?」
みゆき「Sure(もちろんです)!」

かがみ「……みゆき、そのダジャレはこなたには分かりにくいと思うわよ?」
こなた「失礼だなぁ、『もちろん』っていうのを英語で『スレ』っていうんでしょ?」
かがみ(やっぱわかっとらんな、こいつ……)
610名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 14:51:14 ID:AqmoTp3W
>>608

って今の時点で482k・・・・・そんだけ投下量が半端ないって事なんだなこのスレ。

ところで鷲宮神社は今相当カオスってるみたいだがやはり蹴って正解だったのだろうか・・・・・?
(いやストラップは来週以降でも確実に買えるって話だし俺自身も給料日前で金欠だし)
611名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 15:27:14 ID:Sg9FaiuI
>>599
かなたさんボケボケですなぁw
こなたもやっぱりいろいろわかる歳になってから母親亡くしたから
相当ショック大きいんだなぁ…当然か。
ガンバレ二人ともー!
612605:2007/12/02(日) 15:33:46 ID:UkeXPcNL
>>608乙です

それにしても、605のこのID→ID:UkeXPcNL
…Uke…受け!?
よし、ちょっとひよりんに弄られてくる
613名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 16:10:07 ID:2pa5RBRN
ぶーわは俺の嫁
614名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 16:35:53 ID:25pgKpt2
では、7-896はもらっていきますね。

これからは俺だけのために壊れネタ書いてもらうんだ(´∀`)フヒヒ
615名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 16:54:59 ID:4nb6L3Yr
>>603
          ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
          ┃  かなた                             ┃┏━━━━┓
          ┃  HP:10                         ┃┃そでが.  ┃
          ┃  MP:666                           ┃┃ふれてる.┃
          ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛┗━━━━┛


   ___,      ___,      ___,      ___,      ___,      ___,      ___,      ___,
  .'´  ノヾヽ  .'´  ノヾヽ  .'´  ノヾヽ  .'´  ノヾヽ   .'´  ノヾヽ  .'´  ノヾヽ   .'´  ノヾヽ  .'´  ノヾヽ
 <h> / ハル〉<h> / ハル〉<h> / ハル〉.<h> / ハル〉<h> / ハル〉<h> / ハル〉<h> / ハル〉.<h> / ハル〉
  || |(l. ゚Д゚ノ| || |(l. ゚Д゚ノ| || |(l. ゚Д゚ノ| || |(l. ゚Д゚ノ| || |(l. ゚Д゚ノ| || |(l. ゚Д゚ノ| || |(l. ゚Д゚ノ| || |(l. ゚Д゚ノ|
  ||.⊂)゙Xiつ| ||.⊂)゙Xiつ| ||.⊂)゙Xiつ| ||.⊂)゙Xiつ| ||.⊂)゙Xiつ| ||.⊂)゙Xiつ| ||.⊂)゙Xiつ| ||.⊂)゙Xiつ|
  リノく/_!l〉ljノ リノく/_!l〉ljノ. リノく/_!l〉ljノ リノく/_!l〉ljノ リノく/_!l〉ljノ リノく/_!l〉ljノ. リノく/_!l〉ljノ リノく/_!l〉ljノ
    し'ノ       し'ノ       し'ノ       し'ノ      し'ノ      し'ノ       し'ノ       し'ノ

          ┏━━━━━┓ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
          ┃  からかう. ┃ ┃.たなかさんはにげだした!            ┃
          ┃l〉にげる.   ┃ ┃.しかし まわりかこまれてしまった!     ┃
          ┗━━━━━┛ ┃                              ┃
                         ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

○なた「かなたさんの勇気が世界を救うと信じて、戦うしかないみたいだZE!」
○がみ「いやどう見ても無理だろ……というか、その前にその酷い誤植を何とかしなさいwwww」
6164-243 ◆X9xLTlcDnY :2007/12/02(日) 17:26:14 ID:ECRyPk6q
取り急ぎ、ぶーわさんの許可を頂いたのでEDどぞー(´・ω・)ノシ
http://www.geocities.jp/extream_noise/rakisutaep/bu-wa_san/hitosode_ed.wmv
※ぶーわさんの削除依頼が無い限り基本的にずっと置いておきます〜
617名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 18:33:40 ID:gGNLr2yW
ちょっとぐらい設定違っててもいいし
ちょっとぐらいキャラ壊れててもいいし
ちょっとぐらい世界観違ってもいいけど
その全部が揃ったらもはや別の作品なんじゃないかと思う。
618名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 18:56:13 ID:XuXES5ph

100%ナイナイナイの替え歌に使えそう
619名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 18:56:31 ID:CCAj72SZ
まあいいんじゃない?そういうの好きな人多いみたいだし

ただ、初めて来た人とか久しぶりに来た人は、なんだここ、
っていってブラウザ閉じて終わりだろうね
620名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 19:13:10 ID:NTaVZePe
その辺は見た人の心の広さしだいじゃない?
あと見た作品しだい、まぁつまり運じゃないかな

あと別にキャラ壊れてなくね?
621名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 19:50:26 ID:K+S0ijdC
「田村さん、これ……お姉ちゃんに見せてもらったんだけど」
「え……うわぁぁぁ!」
 それは、小早川さんと岩崎さんの二人を題材にしたチョメチョメなやつではないデスカ。
「あの、ここに出てる『小岩井』って人と『川崎』って人はもしかして……」
「違うよ、全然違うよ!? その二人は県外の学院に通っている普通の女子校生で実在の人物とは関係ないよ。
 それに、川崎さんはちょっと同性愛のケがあるけど、実在の人物とは関係ないよ。
 あと、この世界は同性愛や同性間の結婚も許されている以外は日本と同じようだけど、実在の(ry」
「でも、これって私た――」
「設定も、キャラも、世界観も、現実とはちょっと違うっス!
 これは本物に似ていても別物っス! 架空のものっス! 実在の団体、人物とは全くもって関わりがないっス!」
「そんなものかな……?」
「そうっス! そんなものっス!」
「いつもは私たちには丁寧語じゃないのに、どうして語尾が『っス』なのかな?」
「…………あんまり私を虐めないでほしいっス」
622名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 20:11:46 ID:TOfdo78v
>>600
GJ!
毎回毎回楽しませてもらってますゼ

しかし絵の方がもう消えてて俺涙目orz
623名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 20:15:32 ID:NTaVZePe
>>622
あれを見逃すとはもったいない
624名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 20:16:53 ID:ViDfGePY
>>621
「ゆたか……判った。田村さんはこういう事をされたくて構ってほしいからこれを……」
625名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 20:24:15 ID:pTn13P+x
>>622
もしかして:pixiv
626名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 20:30:47 ID:UkeXPcNL
>>610
Yahoo!のトピックスでも紹介されてるな
ttp://dailynews.yahoo.co.jp/fc/entertainment/comics_and_animation/?1196588812

まああれだ、片道4時間&15000円かけて埼玉まで行く気力と財力なんて俺にはないorz
627ぶーわ:2007/12/02(日) 20:35:16 ID:cUWQ26gn
>>622
こんなんで良かったらどーぞどーぞ
消えにくいとこに再うpしときました
ttp://www.uploda.net/cgi/uploader2/index.php?file_id=0000045442.png
628622:2007/12/02(日) 20:41:11 ID:TOfdo78v
>>627
貴方の優しさに俺が泣いた!
この絵のおかげで俺のテンションはクライマックスだぜぇ!
光の早さで保存したけどいいよね? 答えは聞かない

つまり何が言いたいかと言うと
ホンットありがとうございます!
629名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 20:43:31 ID:xOPCKGad
スレ終了間際に再うpキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!
ありがとう、ありがとう。GJもGJだぜ!!
630名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 21:40:59 ID:M15y8pOC
終了間際に、ノリがひよ☆フェチになりかけた件
63120-612:2007/12/02(日) 22:04:26 ID:E0n9xrtD
埋め草にたった今受信した電波をw

────────────────────────────────────────────────

ある日曜日。
珍しく誰とも約束してなかったのでひとりでゲーマーズに寄ることに。

そこそこグッズを買い込んだ帰り道、かがみが年上の女の人と一緒に歩いているのを見かけた。

見覚えのある雰囲気は、お姉さん?
ふうむ、このままいくと次の交差点で顔をあわせることになりそうだね。
ならばこちらから!

「かーがみん」

一瞬驚いたような顔をした後、笑顔になるかがみ。
そしていきなり抱きついてきた……って、ちょっと!

「うぉっ! かがみ、どしたのいったい?」

かがみは返事もすることなく、そのままキスをしてくる。
助けを求めようとお姉さんを見ると、なんだか顔が赤い。
なぜか私の背筋に冷たいものが。

「かがみ、こんなとこじゃダメよ。
さ、こなたちゃん。ちょっと家に寄ってってくれないかしら?」

「そうね、まつり姉さん。
じゃ、こなた。行くわよ」

首を大きく横に振る私を、2人がかりで運んでいく。

私はいったい……どうなるのだろう。

────────────────────────────────────────────────

なんも脈絡もないものでごめん。
632名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 23:00:55 ID:U4ySXjmE
>631
うおっ、まつり姉さんだw
びっくりだ。

えっと、誰も予定がなければ、投下します。
633名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 23:01:52 ID:B8LmYqlb
「あの、かがみさんたちの神社でイベントがありましたよね?」
「うん、そうよ…。ってなんでみゆきがそんな事知ってるのよ?」
「えぇ…なんか私のところまで話届いたんですよ」
「まぁ、なんと言っても人気アニメのイベントだからねー。世界中に広まってるよ」
「えっ!うちの神社ってもう世界中で有名になってるの!?」
「そうだよ、つかさ。もう、世界の話題になってるよ」
「こなた、嘘言わないの。まぁ、外国の人も来てたわね…」
「なんだぁ…でも外国の人もそういう事知ってるんだぁ…知らなかった…」
「でも、なんだか人がたくさんいたとか聞きましたが…」
「そうよ。少し様子見たけど凄かったわ…」
「そうだねー。そこで売られてたもの買えるものは全部買ったからね。それに声優さんの顔も見れたし!」
「へぇ〜、こなちゃん来てたんだぁ」
「私も行ければよかったのですが…」
「みゆきさんはこなくて正解だったと思うよー。慣れてないから余計危ないからね」
「はぁ…そうですか…」
「絵馬は一人二つまでだったから全部買えなかったけど今度全部買ってコンプリートするつもりだよ」
「はいはい…」
634名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 23:02:02 ID:U4ySXjmE
すみません。前言撤回。
次スレにします。
635名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 23:02:07 ID:cUWQ26gn
>>632
ここはもう容量がないので、次レスにどうぞ

次スレ
らき☆すたの女の子でエロパロ26
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1196573459/
636名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 23:02:50 ID:UkeXPcNL
>>632
こっちに?埋め小ネタならいいが
容量をよく確認の上、長いのなら次スレをご利用ください
637名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 23:05:38 ID:UkeXPcNL
うは、一足遅かったかorz
638名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 23:25:54 ID:U4ySXjmE
誘導さんくすです。新スレへの投下を終えました。

639名無しさん@ピンキー:2007/12/03(月) 02:11:38 ID:t3Uek/10
こなた「さぁ、埋めるじゃまひゅよ(しまった噛んだ)」
640名無しさん@ピンキー:2007/12/03(月) 02:39:03 ID:AceAfRVd
かなた「いくでがんす」
そうじろう「フンガー」
かがみ&つかさ「ちょw」
641名無しさん@ピンキー:2007/12/03(月) 03:35:44 ID:apkUj5C9
桜藤祭のDXのパッケージ見てたら何か受信した
即興なんでテキトーに流してやってくださいっス。

────────────────────────────────────────────────

「か〜が〜みっ!」
ホームルームが終わった途端、こなたがアホ毛を揺らしながら教室に飛び込んできた。
クラスの人も慣れたもので、特に気にした様子も見せずに次々と姿を消していく。
―うぅ〜、またちびっ子かよ〜!
―お、落ち着いてみさちゃん!
そんなやり取りが遠くから聞こえてきた気がする。
2人に目を向けようとすると、その視界をこなたが遮った。
「かがみぃ」
ネコが甘えて擦り寄ってくる時のような声。
こいつがこんな態度に出るってことは……
「宿題見せて!」
「直球かよっ!」
予想通り過ぎて力が抜ける。
にしても、もっと申し訳なさそうに言い出せないものか…
まあ、しおらしいこなたというのも想像し辛いけど。
「……宿題って、世界史のでしょ?」
「あれ?用意するの速いね」
……毎回この時間を楽しみにしてるとは口が裂けても言えない。

「よし、ミッションコンプ!疲れた疲れた〜」
「…私の宿題写しただけでしょうが!」
周りを見渡すと、すでに誰もいなくなっていた。
「でも、かがみには感謝してるよ。宿題以外でも……」
こなたが突然真面目な顔で呟いた。
「本当か〜?」
なんだかくすぐったくなって、茶化してしまった。
「むぅ、本当だよぅ」
そう言って頬を膨らましたこなたはこの上なく可愛らしい。
ついつい意地悪したくなる。
「でも、その割には何の見返りもないわよね」
「……見返り?」
「たまにはあってもいいんじゃないの?」
もちろん本気で言ってるわけじゃない。……好きでやってる訳だし。
でもこなたはそう取らなかったらしい。
「……分かったよ」
こなたが呟くのと同時に頬に柔らかい感触。
キスされた、と理解するまで数秒かかった。
「―――――――っ!」
「どう?私の感謝の気持ち、受け取ってくれたかな?」
してやったり、とばかりにこなたがネコ口をニンマリさせた。
「……な、な!」
突然すぎて、言葉が上手く出せない。
こなたはそんな私に呟いた。
「ちょうどいいから今までの分もお返ししちゃおう!いいよね、かがみ♡」
今までの分って……ええ!?
ちょ、ちょっとまってこなqあwせdrftgyふじこlp
        
それからというもの、こなたは宿題を写すたび、お返しと称して私にキスとしてくるようになった。
自分で言い出したことなので、甘んじて受けることにしている。
…まあ、人がいるところでなければだけど。
それと、最近困ったことがある。
何故か日下部まで宿題を忘れてくるようになったのだ。
峰岸に頼めばいいのに、わざわざ私の所へ来る。
喧嘩でもしたんだろうか。
                  終
642名無しさん@ピンキー:2007/12/03(月) 04:49:16 ID:5gVAj15C
>>641
激しくGJ!
かがみが鈍感すぎるw
643名無しさん@ピンキー:2007/12/03(月) 08:56:01 ID:mj0CGskD
あああああああいいいいいいいいいい!!!!
ナイスっす。すごい良かったっす!
644埋めネタ「日だまりの中で」1/2:2007/12/03(月) 10:58:25 ID:/epH+J2+
「「「つかーれたー!!」」」

ぱたん、と一斉に座り込む。
さすがに慣れない作業、ってのはキツいものらしかった。

ここは鷲宮の大酉茶屋。
イベントと称してみんなで働いた、その後のおはなし。

ジャージでぼーっと突っ立つ白石、机に突っ伏すあきら様。
壁にもたれるようにして目をつむるかがみとつかさ。
さすがに、今日こんなに人がくるとは思っていなかったようだ。
「うー、人が多過ぎたよぉ…」
「あー…びっくりしたぁ…」
「そう…ですね…でも楽しかったですよねー」

あきら様の隣りに座りながら白石が相槌をうった瞬間、ピンクのアホ毛がぴん、と立った。

「だぁいたいねぇ!白石!あんたはパートさんなんだから、あんなにでしゃばらないでよ!」
「…あの、あきら様…一番働いて無かったのは、あなたです。」
「だーってー飽きたんだもーん!」
ぷいっ、とそっぽを向くあきら様。
「そういうことじゃなくて!」
「なんであきらが働かなきゃならないのよー。だいたいねー、あんたがちゃちゃっと働かないのがいけないんでしょー」
「…かがみさんもつかささんも…一生懸命働いてたのに…あきら様ときたら、全く…」
「あの…」
「しかもなーによ、あのマイクパフォーマンス!アドリブも言えないなんて、アシスタントとしてどーかしらー」
「それは!フリが急すぎて…まぁ引きだしがないのがあれなんですが」
「認めたー!この役立たずー」
「…あのー!」
「「なにっ?!」」

見事にシンクロする二人。しかし、2人の視線の先には…

「しーっ…」

かがみの肩に寄り掛かって寝息をたてる、つかさがいた。

「…あらら…疲れちゃったんだね…じゃあきらも寝る」
「えっ?」
「なんかスタッフさんたちの後片付けがあるみたいですから、しばらく大丈夫みたいよ?あたしも眠いし…ふぁ…」
「んじゃ大丈夫だね。おやすみなさい、かがみちゃん、白石。」
「うん…おやすみなさい…」

ぱた、と机に再び突っ伏すあきら様。
そのまま目をつむるかがみ。
取り残された白石。

「えーっと…えーっと…か…風邪ひきますよ?良いんですか?」
「すぴー…すぴー…」
「…すー…すー…」

壁の2人は既に寝ていた。なんとなく、笑っていたのは気のせいではないはずだ。
白石はなんとなくほっとして、用意されていた毛布を2人の膝にかけた。
645埋めネタ「日だまりの中で」1/2:2007/12/03(月) 10:59:05 ID:/epH+J2+
「ほら、あきら様も、風邪ひきますよ?」
「枕ない?」
「ひいっ!」

白石が毛布をかけようとした瞬間、あきら様が起きた。
あきら様は人差し指をたてて、しーっ!とする。

「ま…まくら?枕…ないみたいですね…」
「なんだ…あ、あった。」
「ふぇ?」

腕を捕まれる白石。
何のことか分かっていないようである。

「はい、仰向けに寝る。」
「は?はい…」

とりあえず言われた通りに寝る白石。
間をおかず、その二の腕に頭を置くあきら様。
「おぉ、ちょうど良いや、おやすみ…」
「え?!ちょ、あきら様?」
「変なことしたらぶっ飛ばすから…ね…」
「しませんから、きっと!」
「どう…だか…」

白石は、案外その近さに驚きを隠せずにいた。
しかし今は驚きよりも、疲労からくる睡魔のほうが勝っていたことは間違いない。

「白石…おやすみなさい…、」
「はい、おやすみ…なさい、あきら…様…」

変なことをする余裕もないくらいに、あっという間に2人も夢の中へ、連れ去られた。

あたたかい日だまりの中。
4人の寝息だけが、部屋の中から聞こえた。

以上17-234でした。
646名無しさん@ピンキー:2007/12/03(月) 11:07:58 ID:vACEHDq0
ニヤニヤGJ
最後にお疲れ様でした。
647名無しさん@ピンキー
GJだぜ

本当にお疲れ様