1 :
名無しさん@ピンキー:
無かったから立ててみた
井上の超人ぷりにワロタ
だがこのスレまでは守れないだろうな
4 :
名無しさん@ピンキー:2007/11/20(火) 21:27:01 ID:BnnEdOUk
いいと思う
このスレが生き残る確率を2%ぐらいにしてやるよ
とかってSS投下する職人テロリストぐらいいないとな
6 :
名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 19:13:43 ID:3CW/ybdo
ドラマ放送日age
殺伐とした感じの、井上×笹本なんてどうだろう。
「あー最近やってないな。井上、相手しろ」
「……いっすよ」
みたいな。
つまり笹本萌え。拘束されてる姿に禿萌えた。
「いい格好ですね、笹本さん。襲いたくなる」
「馬鹿言ってないで早くこれ外せ」
みたいな。
ドラマスペシャル?
9 :
名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 00:01:46 ID:3CW/ybdo
女は笹本しかにいないという。
>>7 「相手しろって言ったじゃないすか」
「ば…、冗談に決まっ……ん、何す…」
「血の味がする」
みたいな?
悪くないなそれ
>>10 禿萌えた! それいい。
自分は
「ちょ……笹本さん乱れすぎですけど」
「うる…さい! 焦らすな馬鹿っ」
「そんなテク持ってませんよ」
みたいな。
どっちかと言えば笹本がノリノリで、だけど終わっちゃえばサバサバと「お疲れ」だけ言って別れる二人を夢想していた。
自分は付き合い始めたばかりの男にSPであることがばれて
振られてやけ酒を飲む笹本がたまたま通りかかった井上に
「関鯖みたいな男見つけた」といって絡んで
「本気にしますよ」と言う井上みたいなのを考えてた
笹本の「こいつには借りがあったからちょうどいいわ」にゾクっときた
婦長に見られながら胸がんがん揉まれたりしてたり、うなじ舐められたりしてたらいいよ
笹本は井上をからかって、弄んでいてほしい
しかしあまりの勢いに負けて・・・ての萌え
>>15 いいね、そういうの
挑発的な笹本と天然でSな井上
でも終わるとさばさばした笹本に井上呆然みたいなの読みたいわ
17 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 20:14:56 ID:AJ2fWeZi
放送日age
18 :
大和:2007/12/02(日) 00:13:47 ID:R7pSK0rC
笹本が捕まってレイプみたいな…
19 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 00:22:26 ID:5glk7hH4
笹本さんSSよみてー
20 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 10:12:35 ID:Q4cBKyMU
とにかく岡田くんで
井上×笹本
一応できたんで投下します
>>10、
>>13、
>>16さんのネタをちょいちょいお借りしちゃって申し訳ないです
22 :
井上×笹本:2007/12/02(日) 19:08:13 ID:7PSenQAK
笹本絵里は自分の仕事に誇りを持っていた。あまり女らしい職業とは言えなかったが、恋愛だって積極的である。容姿にも自信はあったし、男に媚びるばかりが恋じゃないと思っていたから。
しかしその彼女は一人夜中にロッカールームのソファでなぜかやけ酒を飲んでいた。
「笹本さん!なにしてんすか!」
入って来て驚いたのは同僚の井上薫だった。長引いた仕事が終わったところらしい。
「見りゃわかんだろ。やけ酒」
「いやここ仕事場ですよ!誰かに見られたらヤバイですって」薫がとっさにドアの鍵を閉めるのに振り返った時、小さな声で絵里は言った。
「今日SPやってるって理由で男にフラれたんだ。あんな器の小さい男別にいいけどさ…なんか仕事バカにされたみたいで…最近事件続きだったしなんか疲れちゃって…」
「それでやけ酒ね」
「せきさば…」
「え?」
鍵をかけた薫は、とりあえず缶ビールを没収しにつかつかとやってきながら不思議そうな顔をする。
23 :
井上×笹本A:2007/12/02(日) 19:10:05 ID:7PSenQAK
「あんた、せきさばみたいに身がしまってんな…今まで気にしてなかったけど」
薫は缶ビールを取り上げ、そうっすか?と笑った。
しかし酔っている絵里の関心はビールから薫に移ったようだった。
「いいね…食べちゃいたい。井上、ちょっと慰めろよ」
そう言いながら絵里は細い指で薫の胸板をそっと撫でる。瞳はしっとりと濡れてけだるそうに井上を見た。
絵里の様子を見ていた薫は急に真顔になって言った。
「…いっすよ」
絵里の両手首をつかんで、唇の触れるギリギリのところまでゆっくりと顔を近づけてくる。そのまま睨み合うような体制で止まった。
「もういいよ井上、サンキュ…」
さすがに我に返った絵里が言いかけた瞬間、薫は開いたその唇を奪った。遠慮なく侵入してくる彼の舌に慌てて絵里はもがいた。
「…んっ…お前っ何すんだよ!」
「慰めろって言ったじゃないすか」
「冗談だよ!悪かったって、放せ」普段は男に負けるような彼女ではないが、なにせ酒が回っている。
「無理っすよ、もう止まんない…」
薫の切ない声が絵里を貫いた。おとなしくなった絵里を抱きしめると、薫はゆっくりと胸を触りはじめた。
24 :
井上×笹本B:2007/12/02(日) 19:11:27 ID:7PSenQAK
「あっ…お前結構っ…遊んで…」
「全然…やっぱ結婚前提を合コンで探すのは無理がありますかね」
「合コンでそんなこと言ったらもれなくドン引きだろ」
「そうかなぁ」
薫は事もなげに絵里のシャツのボタンを外していく。絵里が睨むと、片眉を上げてニッと笑った。
「笹本さん、すげぇ色っぽい」
「うっせ…んっ…」
ブラをたくし上げ、ピンと立った先端を舌でしつこく愛撫する。絵里が肩で息をしはじめ、薫は指を滑らせスーツのパンツを脱がせていく。
「やめ…やぁ…あっ…」
下着に手を入れ、指をゆっくり動かす。わずかに動かしただけでくちゃくちゃと音がした。
25 :
井上×笹本C:2007/12/02(日) 19:13:08 ID:7PSenQAK
「ソファ汚すとまずいしもう入れちゃいますね」
「えっ…お前本当に最後まで…」
「大丈夫、ゴム持ってますから」
「やっぱ遊んでんじゃねえか…」
自分も服を脱ぎ、絵里をソファに寝かせると薫は上に被さった。
「あぁっ」
「うっ…」
二人の声が重なって薫が腰を動かしはじめた。遠のきそうになる意識の中で、絵里が薫の背中にしがみついた。繋がっている場所がきゅうっと締まる。
「笹本さん…ちょ…締めすぎ…」
「誰のせいだよ…」
二人は一緒に快楽へと昇りつめていった。
「すみませんでした」
服を着る絵里に、もう身支度を整えた薫がポツリと言う。絵里はため息をつき、さっぱりした調子で言った。
「いいよ、もともとこっちが悪いんだ。じゃあ明日からもよろしくな」
薫の肩を軽く叩き、出ていく絵里を、どこかさびしそうな表情で薫は見送った。
終
神!
GJです!!
27 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 23:52:39 ID:raqfYO7F
神光臨age
GJ!!!まさに理想の二人だったぜ!
ho
29 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/06(木) 00:12:07 ID:CP8dyCS/
あげ
笹本ってテロリストもしくは内通者系な匂がして
好きになれなかったけど
>>22のはちょっと好きかも
GJです
尾形×井上がみたい
同じ部屋に宿泊してるということで
無意識のうちに笹本の部屋の前にきてしまった井上が、
ドアノブを握ろうとするのを無言で制止する尾形が頭に浮かんだ
同じ部屋ってのはおいしいな
我々に投下をしてください。
そうすれば私達はそれを糧としてこのスレを守ってみせます
>>34 を読んだら…
「井上」
「…はい?」
「どこに入ろうとしてる」
「…トイレっす」
「トイレはあっちだ」
「あー、あっちか!」
「……………………」
「……………………」
「……行かないのか」
「や、あの、あー…」
「…ノブから手を離せ」
「やー…」
「井上」
「…見逃して「駄目だ」
「………はい」
こんなのしか書けなくてスマソ…
>>36 井上かわいいな
スレチだけど萌えられるかと思って東京タワー借りたけど駄目だった
キャラに魅力が無いとかよく書かれてるけど井上がいいんだよね
そして笹本相手だから萌えられということもよくわかった
38 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/09(日) 19:41:28 ID:N1muURfL
こねた。
元総理警護終了後の妄想。
「お疲れ様です」
「うす」
「…」
「どうしたんだよ」
「や、あの、その…」
「はあ?」
「…拘束されてた時」
「あん時?それが何?」
「拘束されてたときの笹本さんが…そのー」
「…」
「…すげえ、エロかっ…」
ビシッ。
「う、…っ」
「あほか。どこ見てんだ変態。そんなじゃ結婚できねーよ」
「…ほんとなのに」
「何か言った…?」
「いえ、何も」
とか、今日改めて見て妄想してみた。
こんなでサーセンorz
sageるの忘れてた…orz
本当申し訳ない…
ageとsageの境界線の世界へようこそ
なぞなぞ大事典を経費にしちゃう井上かわいいww
でもエピソードVは井上と笹本の絡み少ないのが不満だ
素敵な小ネタを楽しみつつ投下お待ちしております
保守
43 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 01:53:45 ID:wKVlbmNS
hosyu
仮眠室(更衣室?)萌
肩のあたりがむっちり
45 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 22:14:50 ID:JCEj5EZn
なんだこの良スレ…
神降臨期待age
46 :
井上×笹本_1:2007/12/18(火) 01:02:56 ID:prq27RoD
当直は嫌いじゃない。
何か突発的な出動が起きるなんてまずないし、起きたら起きたで目が覚める、と考えている自分はとても不謹慎だ。
ちらりと時計を見やる。午前2時。交替の時間だ。
そろそろ仮眠室に笹本を起こしに行こうと、井上は席を立った。
仮眠の順番を決めるじゃんけんに勝ったのは自分だった。
だけど先に笹本を送り出したのは、単純にそんな早い時間に眠れないという理由だけだった。
笹本はいつでもどこでも寝れる。特技の一つだ、と大きな口を印象的に歪めてにかりと笑った。
反面井上は、寝付くのに時間がかかるし、眠りが浅い。
ほんの些細な物音で目が覚める。
例えば水道の蛇口からぽたんと垂れる水音一つで。
神経質すぎる、と精神科医に不本意な分析を受けたこともあるが今のところ問題はない。
ショートスリーパな体質は、SPという特殊な仕事をこなす上で大いに役に立っている。
仮眠室のノブに手をかける。
笹本と交代するのはいいが、まだ眠気は訪れない。
そもそも枕が変わると眠れないのだ。
明日は非番だし、帰宅をしてから慣れた気配のなかで穏やかに酒でも飲んでから眠る方が、よっぽど健全な気がした。
笹本を起さないままの勤務を続けるのもアリか、と一瞬思ったが、そんなことをしたら後で彼女が烈火の如く怒るのは目に見えていた。
何で起さなかった、と口と同時に手が出てヘッドロックがかまされるに違いない。
交わすのは簡単だが後が面倒だ。
厄介ごとは避けたい。
そうならば彼女を起こして、二人で眠気覚ましのおしゃべりか、最近ハマっているなぞなぞに興じるのも悪くない、と一瞬で判断して、そろりと音をたてないようにノブを回した。
潜むような行動に意味はない。ただの癖だ。
するりと身を滑らせた仮眠室は薄暗く、幾分暗闇に得意な自分でもしばらく目が利かない。
だけど慣れた動作で、足音を殺して笹本のベッドに近寄り、そっとカーテンをまくる。
死人のように横たわる笹本が、そこにいた。
薄い掛け布団がその薄い身体を覆っているため詳細は不明だが、たぶん直立の寝入ったままの姿勢を崩さずに眠る笹本の、伏せた瞼になぜか欲情をした。
――お前って、関鯖みたいだな。
いつか酔った笹本が、両の腕を井上の首に絡ませて、アルコール臭い吐息混じりにくちびるの間近でそう囁いた。
――なんスか、急に。
出来るだけ冷静を装った井上の返答に彼女は、面白くなさそうに眉根を寄せて、あっという間に身を引いた。
その後はいつもの潔癖とした距離を保ち、まるで男同士であるかのようなさばさばとしたその態度に好感を持ちつつも、
もう少し押してくれたら自分もそこに乗っかったのに、などと、井上は見苦しく思ったのだった。
47 :
井上×笹本_2:2007/12/18(火) 01:03:34 ID:prq27RoD
そっと、笹本の紅のないくちびるを人差し指で撫でた。
ぴくりとその形のいい眉が震えた。
たまらなくなって乾いたくちびるを重ねる。
軽く触れたそれを身を捩って笹本は嫌がって、もぞもぞと腕を抜き出してガードするかのように顔を覆い、もう片方の腕を枕に摺り寄せて身を丸めた。
その仕草に、また意味もなく欲情をする。
瞼を覆う、五分袖のブラウスから除いた細い前腕筋。
見なれた自分のものとはまるで違うその筋肉の付き方に、井上は興奮をする。
ただ細いだけではなく、形よく鍛えられた笹本のその身体こそが、まるで関鯖だと、それを食べたこともないのに井上は思った。
ふと、湧き出た悪戯ごころが抑えられなかった。
剥き出しになった手首を片方ずつ軽く捕らえると、珍しく腰にぶら下がった手錠を右の手首にかしゃんと巻きつけて、無機質なベッドのポールにチェーンをくぐらせたのちに左の手首も同じように拿捕してしまう。
そこでやっと、違和感に気がついた笹本が薄く眼を開く。
両の手を頭上に預け、寝起きのぼんやりとした大きな瞳で井上を見上げるその様はいっそ扇情的だった。
「…………いの、うえ?」
「笹本、サン……時間ですよ」
「……あー? ……うん、悪い、」
条件反射で身を起こそうとした笹本の両腕から伸びた鎖が、かしゃんと耳障りな金属音を立てた。
は、と一瞬にして意識を覚醒させた笹本の顔色がさっと変わる。
だけど笹本は、見事なまでに冷静だった。
「お前、なにしてんだ?」
「……あの、病院んとき、拘束されてた笹本さんが、すげえエロかったから再現してみました」
かっと今度はその顔を赤く染めて、蹴り上げた足首は、だけどその身を覆う掛け布団に衝撃を吸収されて井上にダメージを全くと言っていいほど与えなかった。
ばさりとその布団をベッドの足もとへ追いやると、悪人がするその表情を出来るだけ忠実に再現をして井上は笑いながら、靴を脱ぎ捨てて笹本の腰の上に跨る。
「おまっ……!」
「笹本さん。俺、関鯖じゃないですか」
「死ね、今すぐ死ね。……死ぬ前にこれ外せ」
「壮絶な矛盾っスね」
嘲笑を浮かべながら身をかがめて、笹本に口付けるべく顔を寄せる。
柔らかなくちびるに触れた瞬間に、下くちびるを、がりと強く噛まれて、井上は不快を露に顔をあげる。
「いって」
「お前、レイパーか? 同僚犯すほど溜まってんのかよ」
「出来たら和姦がいいんですけど」
「死ねよ、マジで死ね。こんなにも殺意を抱いたのは久々だ」
「……俺ってドMかもしんない。笹本さん、冗談じゃなくなってきました」
手を伸ばして笹本の首に触れる。
思いっきり顔を背けた笹本が、ぎゅっと目を閉じて下くちびるを噛んだ。
その口から洩れる声が聞きたくて、前触れもなく井上はその耳朶を口に含む。
「……く」
突然の刺激に驚いた笹本が、決して色っぽいとは言い辛い悲鳴を漏らす。
唾液を含んだ舌をぴちゃりと耳の穴に差し込むと、指先に触れる首筋がかっと熱くなった。
「こないだ、溜まってるって言ってたじゃないスか。俺も溜まってんですよね……相手、してもらえません?」
鋭いまなざしで井上を睨む笹本は、この上なく官能的だった。
48 :
井上×笹本_3:2007/12/18(火) 01:04:32 ID:prq27RoD
ぴぴぴぴぴ、と笹本の頭上で小型の時計が高い電子音を響かせる。
ああ、目覚ましか。
そうだ、普通に考えれば仮眠を取る人間は目覚ましぐらい用意している。
なぜ起こしに来なくてはいけない気がしたのか。起こせと頼まれていたわけでもないに。
答えは井上自身がよく知っている。
もうずっと、こうしたかったのだ。
笹本を、組み伏せて喘がせたかった。
あわよくば、とどこかで期待していた。
井上が手を伸ばしてアラームのスイッチをオフにしたと同時に、ぐっと寄せていた眉根を緩め、軽く眼を閉じて息を吐いた笹本は予想外にも、いいよ、と呟いた。
井上は両眼を見開いて、彼女のその大きな瞳を覗き込んだ。
「…………マジで?」
「マジだからこれ外してくれない?」
ああ、そういうことか。
「だめ。抵抗されるとやり辛いし」
井上は悦びに口元を歪めて、また嫌そうな表情をしてみせた彼女にキスをする。
いいよと言った手前なのか何なのか、今度は噛みつかれたりはしなかった。
固くこわばるそのくちびるをぺろりと舐めて強引に舌を割り入れると、その口内を思うままに蹂躙する。
逃げるように奥に丸まった舌を攫って絡めあう。
唾液を流し込んで笹本に嚥下させると、それだけで彼女を征服したような満ち足りた充足を得た。
くちびるを離す。
作りもののように整った小さい顔を間近で見つめた。
ガラス玉のごときその瞳に自分が写りこんでいた。
あまりに小さすぎて、その表情はうかがえないけれど、きっと獣のような顔をしているんだろう。
頬に口付けながら、ひとつずつブラウスのボタンを外す。
丁寧に、緩慢に、確実に。
くびすじに舌を這わせて熱を与える。
笹本の息が軽く乱れたようだ。
ボタンをすべて外し終えると、そっと前をはだける。
機能性を重視して色気のない下着に包まれた、笹本の迫力あるバストがそこに現れた。
「…………笹本さんって、やっぱでかいっすよね。スーツだと隠れちゃうからもったいないなぁ。……F、いやGかな」
「当てんな、変態」
「当たってんだ」
にやにやと意地悪く笑いながら、背に手を回してそっとホックを外してしまう。
浮いた下着をずり上げて、片手に有り余るそれをぐっと揉みしだいた。
「……ん、……」
笹本が小さく声を上げる。
手のひらに伝わる、温かくて柔らかなその感触と、色の含まれた声音に下肢が熱くなる。
ついで、とばかりに張りつめたそれを笹本の股間に押しつけると、彼女が余裕なく身を捩る。
「……あ……っ」
漏れた声をかき消すようにくちびるを噛む笹本を、乱れさせたいと井上は思った。
49 :
井上×笹本_4:2007/12/18(火) 01:05:08 ID:prq27RoD
ふるふると立ち上がりまるで彼を誘うようですらある乳首を口に含んできつく吸い上げた。
もう片方のそれもきゅっと指でつまむ。
その刺激に笹本が、言葉にならない高い声を上げる。
気を良くして執拗に攻め続けると、かしゃん、と耳障りな金属音を立てて笹本が身を捩る。
ふと見上げると、そのふわふわとした髪に包まれた頭頂が、無機質なポールにぶつかっている。
苦笑いを浮かべて、ずる、とその身体を引いた。
ついでにスラックスのボタンに手をかけて、素早く下着とともにはぎとってしまう。
抵抗は諦めたのか笹本は、素直に腰を浮かせてそれに助力する。
細い足を無理やりに開かせて、いきなりに濡れた秘所に舌を這わせた。
すでに溢れていた愛液を掬いあげるように舌を押しつけて、犬のようにぴちゃぴちゃと艶めかしい音を立てながら丁寧に溝をなぞる。
「……い、のうえ! や、いやだッ……やめろ!」
腕の中でばたばたと暴れる腰を、ぐっと抑えつけて攻め続ける。
真っ赤に充血した小さな尖りに吸いつくと、また止め処なく液がこぼれる。
余裕なく甘い声を漏らす笹本の頭上で、がちゃがちゃと鎖が触れ合う音が騒がしく響いていた。
「あ……ぁあ、い……っん!」
そのまま指を突き立てて、ゆるゆると抜き差しをするたびに笹本の口からは余裕のない嬌声が漏れ、内部からはとろとろと蜜があふれ出した。
ふと、己が服を着たままだと気がついて、身を起こした。
上着を脱ぎ捨て、腕のボタンに手をかける。
出来るだけ素早くシャツのボタンを外しながら、笹本を見やると彼女は潤んだ瞳で井上を睨みあげていた。
「…………なんすか?」
「お前、それ、わざとか? プレイか?」
「なにが」
「くっそ、後で覚えてろ……焦らすな」
「ふぅん?」
ばさりとシャツを足もとへ放りながら、薄暗い室内でもそれと判るほど赤く染まった笹本の顔を見つめた。
「じゃ、おねだりしてみせて」
「お前……っ!」
「このままでいい?」
「っ、…………」
息をのんだ笹本が、迷うように瞳をそらしたのち、また切なげに井上を見上げる。
その目線にどくん、と自身が張り詰めるのを自覚した。
「……さ、わって……」
「…………こう?」
「あっ! ぁあん!」
蜜をからめた指先を割れ目にスライドさせると、びくりと盛大に背を仰け反らせて笹本が喘ぐ。
普段自分の性を邪魔なもの、と言い切る笹本が、女であるが故の快楽に支配された甘い声を上げる。
どうしようもない興奮に捕らわれた。背中がぞくぞくする。
くちもとに浮かんだ笑みが上手く消せない。
ついでに、もっと彼女を泣かせたい、などと思ってしまった。
50 :
井上×笹本_5:2007/12/18(火) 01:06:15 ID:prq27RoD
身をかがめて再びそのはしたなく立ち上がる花芯に吸いつく。
「あ、……ッん! いや…ふっ……」
びく、と揺らした腰を、押しつけるように揺らして笹本が喘ぐ。
彼女が望むままに刺激を与え、やがてその身体が絶頂を迎えようとびくびくと震わせた頃にその動きを止める。
「……ん……?」
はあ、と息を吐きながら違和感に眉根を潜めた笹本に、睨まれた。
「……感じてます?」
「おま…っ、あっ!」
意地悪く問いながら、指だけは緩慢に笹本に快楽を与える。
「や……ぃや、ん……あ、ぁ……」
「笹本さん?」
ごつごつとした己の指に腰を擦りつけて絶頂を得ようとする笹本を巧みに交わしながら、井上は薄笑いを浮かべる。
激しく首を振って髪を乱していた笹本が、ついに諦めたような吐息混じりの囁く声音で言った。
「…………い、かせて……井上……」
「了解」
従順に懇願をして見せた笹本の望みどおりに、乱暴とも思える激しさで秘部を蹂躙する。
「あ、ああ、んっ……ぁ! いやだ、井上っ……やだ、やだぁ!」
名を呼ばれてかっと全身が熱くなる。
受け入れた井上の指をびくびくと締め付けながら笹本が、予想以上に可愛らしい声を洩らしつつ全身を硬直させた。
余韻に浸りながら、逃れるように腰を引いて井上の指をその内部から引き抜こうとした笹本に執拗に口付けた。
「…………ん、ぅんんっ……の、うえっ」
重なったくちびるの下から、喘ぎに混じって名を呼ばれる。
なんですか、と涙目の笹本を見下ろす。
「も、むり……入れ、ろ……」
ふてぶてしくも可愛らしい懇願に、井上は満足する。
いっすよ、とうきうきと返事をして、財布に常備していた避妊具を取り出して、スラックスと同時に下着を脱ぎ捨ててそれを装着する。
咎めるような目線を投げかける笹本と、目が合った。
「……なに?」
「遊び人かよ……常備してんのか」
「マナーですよ」
さらりと告げてキスを落とす。
大人しく受け入れる彼女を不思議に思いながらも、井上はその張りつめた欲望をどろどろに溶けた秘部に突き立てる。
引けた腰を抑えつけて、自らを突き立てる。
先端をめり込ませて、入り口で弄ぶように小さなストロークを繰り返すと、誘うように笹本のそこがひくひくと収縮を繰り返した。
まるでもっと、と井上を欲しているようだ。
愛液の助けを得て奥までぐっと腰を押しつけると、久々の快楽にほう、と思わず息が漏れた。
ぎりぎりまで引き抜いて、ずん、と再び突き上げて肉をぶつける。
「あ、く……ぅ…んん……」
深く浅く抽挿を繰り返すと、そのたびに衣服を纏わりつかせた豊満な乳房が揺れた。
最奥で動きを止めて、身をかがめて桜色に張り詰めた乳首にぎゅっと吸い付いた。
「ああっ!」
がしゃん、と一層大きな音が響いた。井上は顔をあげる。
ぐっと拳を握りこんだ笹本が、ぎりぎりとその手首を引いていた。
「……笹本さん、跡、残りますよ」
乱暴に首を振りながら、歯を食いしばった笹本がふるふると身を揺らす。
そっとその手首をなぞると、眼尻にうっすらと涙を溜めて笹本がくちびるを震わせた。
51 :
井上×笹本_7:2007/12/18(火) 01:08:06 ID:prq27RoD
「…………動けよ……お願い」
「ああ、可愛いっすね、笹本さん」
本心からぽつりと漏れて、急に恥ずかしくなった井上は誤魔化すように激しく腰を揺らす。
「あ、ぁあっ…く、んんっ! 井上っ……も…っと……!」
ひとつ井上が突き上げるたびに、笹本はこらえきれない鳴き声を漏らして小刻みに彼自身を締め付けながら快楽を貪る。
――楽しんでる。
井上はそう判断する。
心おきなく自分も、柔らかく溶けてすっかりと甘くなったその身体を貪る。
ぐい、と片足を大きく持ち上げると、更に深く繋がって奥をえぐる。
「あ……やだ、いやだ……っ、井上……あっああん!」
上り詰める。
早く吐きだしたいのに、永遠に今が続けばいいと、快感に白く濁った頭でも自覚できるほど矛盾した感情を抱きながら井上は、双方の絶頂に向かってぐいぐいと腰を押しつけた。
やがて精を吐きだして、はあ、と笹本のうっすらと汗ばむ大きな胸の谷間に顔をうずめて、熱い吐息を漏らす。
相変わらず両手を頭上に拘束された笹本も、熱い息を整えながら余韻を楽しんでいるようだ。
かしゃ、と小気味よく鎖を慣らしながら、肩甲骨のあたりを歪めてううんと伸びて、長く長く息を吐く。
ずるりと身を引き抜いて、手早く後始末をする井上の様子を、笹本のすっかりと理性を取り戻した瞳が観察するように見つめていた。
居心地の悪い視線を受け流しつつ、床に脱ぎ落とした自分のスラックスのポケットから鍵を取り出して、笹本の頭上に手を伸ばす。
かちり、とロックが外れて、その拘束を外す瞬間に、笹本の襲撃に備えて身を硬くしたが彼女は意外にも、気だるそうに上体を持ち上げて手首をさすっただけだった。
「…………痕、残りましたね。だから言ったのに」
沈黙に耐えかねて淡々と述べた彼をちらりと見やると、笹本はその濡れたくちびるで、井上、と場違いな爽やかさで彼を呼んだ。
「はい」
「お前、意外に上手いんだな。遊び人」
印象的な口元を豪快に歪めて、にや、と笑う。
その態度に面食らった。
「あーあ、2回もイかされた。屈辱だ」
「……じゃ、リベンジします?」
そうだなあ、と呟いて、両腕を後ろに回して下着のホックを器用に止めながら笹本が首を回す。
まんざらでもなさそうなら、と、井上の胸が身勝手な期待に高鳴った。
「また、相手してもらえます?」
調子に乗ってくちびるを寄せた頬を、笹本の白い手がぱちんと軽くはたいた。
「って」
「お前とはもうやんない。何がドMだ、可愛い顔してんのに極限性悪ドSかよ。信じらんねー」
生憎マゾじゃないからさ、といつものからかうような口調でからからと笑いながら、笹本は井上の目の前で大胆に衣服を身につけて整える。
まるで恥じらうそぶりがない彼女に、未だ全裸の自分のほうが恥ずかしくなる。
シャツがしわになったと小言を言いながら、ジャケットをばさりと羽織って笹本が、うし、と気合を入れるように腰の辺りで両手の握りこぶしを引いた。
「交代だろ? 井上寝てけよ。じゃな」
「笹本さん」
カーテンを握った笹本を呼び止めた。
52 :
井上×笹本_8:2007/12/18(火) 01:09:28 ID:prq27RoD
振り返らずに無言で足を止めた笹本に、あの、と言い訳じみた声音が漏れた。
彼女が震えているような気がした。
泣いているような気がした。
確かに泣かせたかったけど、見たかったのはこんな顔じゃない。
「…………俺、あの……」
「謝んなよ。謝ったら殴る。二度と口効かない」
「でも」
「勝手に被害者にすんな。今のは和姦だろ? ゴウイのウエでお互い楽しんだ。違うか?」
勢いよくこちらを向いた笹本が、欧米人のような大げさなジェスチュアで肩をすくめて片手を上げる。
「あたしは抵抗しなかった。やらせろと言われてOKを出した。関鯖なお前の身体に満足した。でも二度目はない。以上。OK? 井上?」
びし、と右手を銃の形にして、銃身に見立てた人差し指でこちらの眉間を狙う笹本をぼんやりと見上げた。
二度目はない。
その言葉が重く井上にのしかかる。
取り返しの付かないことをした。
常識的に考えて、順番を間違えた。
当たり前の手順をすっ飛ばしたけど、笹本なら許してくれる気が何故かした。
ふざけんなと口汚く井上を罵って、自分が許しを請い、笹本がそれを受け入れて元通り、あわよくば彼女の欲しがるオンリーワンに、などと繰り広げた酷い妄想は、見事こなごなに散った。
笹本は深く冷静に怒っている。泣いている。
背筋が冷えて、乾いたくちびるが震えた。
強い焦燥を覚えた。胸が痛い。締め付けられて息苦しい。
何か、何か言わなくては。
「笹本さん、好きです。だからもう一回やらせて」
「マジで死ね」
表情を変えないまま、ずどん、とくちびるで発砲をして、笹本は的確に井上の眉間を打ち抜いた。
「じゃな。ちゃんと服着て寝ろよ」
今度は止める暇もなく笹本がカーテンを捲り上げて出て行ってしまう。
馬鹿だ。知っていたけど、俺は馬鹿だ。
一人残された薄暗い仮眠室の無機質なベッドの上で、相変わらず間抜けに全裸のまま井上は深く深くため息を落とす。
まずかったのは好き、なのかやらせろ、なのか。
通常なら後者だろうが、笹本の性格からしてどちらかというと前者な気がする。
「……ほんとなのに」
好きなのも、やりたいのも、どちらもほんとうだ。前者だけは間違いなく信じてはもらえないけど。
「笹本さん………………好きです」
吐息とともに零れた馬鹿な男の独り言を、聞いてやるものは誰もいなかった。
*
以上です。
>>38さん、セリフをお借りしました。
当直ってあるのか? 等、捏造満載ですが、お付き合いありがとうございました。
GJ!!
超絶エロい体持ってるのに魂は男前な笹本がたまらんくいい
GJ!!!!!GJ過ぎて言葉にならない!!!!!!!
久々に来てみたら神がいた
GJ!!笹本最高に萌える。
「動けよ……お願い」が激しくツボッた 手錠プレイ最高
御馳走さんでした
で他の組み合わせとしては、尾形×笹本 山本×笹本?
>>56 尾形×笹本いいな。盲点だった。
敬愛する上司との秘密の関係な感じで、
他の誰にも見せない従順さで尽くしてくれそう。
尾形の大人な魅力に、笹本はたまにときめいてるといいな
で、それを感じ取った井上が山本あたりに八つ当たりすると。
>>58 それで尾形と井上は敵対するわけか…。
思想より女絡みの方が。理由としてしっくりくるなww
尾形×庶務課の人←井上 なんてマニア話はどう?w
61 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 21:26:49 ID:wUxfAf9c
ネ申だ!!!
また誰か頼む!
はひふへ
今日はSPの日
64 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 22:03:32 ID:ZbMdduHG
誰か・・・、頼む!
井上×笹本の続編みたいな奴が見たい!
>>64 もうちょっと具体的に書かないと、誰にも届かないと思うぜ…
さて放送日だ
>>57 たとえ何らかのほのかな感情があったとしても
もちろんどっちもそんなそぶりは毛ほども見せないんだけど
アクシデント的にそうせざるを得ないみたいな状況が萌え
さすがの笹本も腰が立たなくなるほど濃厚なやつをひとつ
抽象的でごめん
殺伐としたのも切ない系も好きだが仲のいい井上X笹本も読みたい
二人が付き合ってて会うのが大体仕事終わりなので普段は笹本の下着が
実用本位なベージュとかなんだけど井上が白好きだったなと思って
かわいめな白の下着をつけていく
そしてそれに喜んで下着を脱がさないでやっちゃう井上みたいな
つうか今日の放送見たら笹本の下着は黒のスポーツブラ?
69 :
55l:2007/12/23(日) 07:03:32 ID:GRY/ESrF
さぁ、ネ申は現れるか?
>>65 有難う また考えるよ・・・
笹本×井上
最高に好き
71 :
55l:2007/12/24(月) 15:06:17 ID:6iFdZnep
>>66 アクシデント的にていうと、
テロリストに二人とも拘束されて
「暇だからお前らヤれよ」みたいな命令されて、
笹本が尾形の上に跨って
「笹本!」
「係長…これも任務です」
みたいな?
ごめん発想が貧困
>>71 とりあえずメ欄にsageと入れて、名前欄に入ってる文字消そうか
話はそれからだ
何このネ申スレ
とりあえず笹本の中の人の乳は素晴らしい
必見
先に謝る。修羅場から逃げてきたんだ。ごめん。
その日井上は大学時代のゼミ仲間の結婚式に行った。
披露宴会場には、ゼミの友人が陣取っている。
「よう井上!どうだ、おまわりさんは。」
「ああ、まぁ・・・大変だよ。日本の平和を守るのは。」
口の端を挙げて言う井上の背中に、友人の容赦ない平手がかまされる。
「つか、ミニスカポリスとか紹介しろよ。」
「俺は部署が違うっつーの。」
「じゃ、お前の部署にいい女いないの?あれ、お前ドコだっけ?」
「いい女・・・いい女かぁ・・・。」
中空を見つめる井上が、あ。と小声で呟く。友人は空かさず尋ねた。
「いるのか!」
「いや・・・お前好みじゃないな。」
「どんな女だ?!」
「こう・・・ウェーブヘアーでさ、眼光鋭い感じで・・・強そう?」
「凛々しい女か。・・・うん・・・それで?」
「胸なんかドーンだよ、ドーン!」
井上が両手をお椀を持つ形にして、前に突き出した。
「ドーン!って・・・どれ位と見た?」
「んー。Gだな。」
「ぢっ・・・! EFGのGか・・・!」
「G以上・・・あるかなぁ? いやGだろうなぁ。基本
強そうなんだけど、ふかーっと柔らかそうでさぁ・・・。」
ウットリと呟く井上に、友人はゴクリと喉を鳴らす。
「そりゃあ・・・たまらんな。お前、行かないのか?」
「いやぁ・・・俺は相手にしてもらえねぇな。」
「何で。毎日同じ職場にいるんだろ?」
「俺、後輩に当たるからさ・・・ダメだな。」
「そうか・・・で、顔は?似てる芸能人とか。」
「えーっと・・・・・・どらえもん?」
>60を見て書いた。少し後悔している_| ̄|○
77 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 06:23:51 ID:WKu6jRlC
岡田の能力は都合良過ぎで萎える
>>72 有難う
初心者でよくわかんなかった
でしゃばってすまん
>>76 面白いよw
>>76 GJ
しかしドラえもんというより……ジャイアン?
そして尾形係長を見る目が怖かったんだよおおおおお
井上で我慢してくれ
80 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 23:28:12 ID:M+useQKk BE:206100735-2BP(1000)
hssh
保守
82 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 23:54:07 ID:wmgpswwJ
あげ
保守
今週は寂しい
寂しいな
4本一挙再放送でも見なされ
>>80 嵐の中乙ですた
いいなー。こっち再放送やんないんだよな。
>>80 保守ありがとうございました
何度見てもいい拘束だな。萌え。
笹本が他の誰かと一緒に捕まって「こいつの命が惜しければ……」
って感じて色々やられるの希望
89 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 08:37:39 ID:U8WmFX9d
突っ込み甲斐のあるドラマではある
あー。再放送見るの忘れたわ。
見ればよかった・・・
ちなみに広島・岡山・香川は深夜1:30〜だよ
再びネ申が降臨しますように…
>>87 禿堂
なんていい拘束…
腕をぎりぎりすんのがまたいい
>>76を見てから公式サイトの携帯電話をクリック。
ちょwwwどらえもん、何言ってんだよどらえもんwww
95 :
名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 23:18:50 ID:dfB08H1D
あげ
今夜関東再放送
>>46-52続き
尾形×笹本
NTR(寝取られ)表現若干有り。
苦手な方はトリでNG登録願います。
井上とヤった。
井上と、セックスをした。
ローヒールの踵が、無機質な廊下にかつかつと響く。カスタネットのようだ。
この音は嫌いじゃない。
時と場合によっては耳障りだけど、こういう風に廊下に反響をすれば自分が、デキる女になったような錯覚を抱ける。
その実、笹本は周りに評されるほど優秀な人間でないと自覚をしている。
乱暴にドアを開ける。夜間で誰もいないのをいいことに、盛大な音を立てて。
自分のデスクに腰をかける。
電話だけの、簡素で無愛想なその机上に腕を組んで、どか、と盛大に音を立てながら突っ伏した。
井上と、ヤってしまった。
同僚に犯された。
いや、被害者にするなと宣言をしたからには犯されたわけじゃない。
仮眠を取っていただけだった。
誰かが眠る己のくちびるを撫でた。
眼を開けた次の瞬間には、その瞳を堅く閉じた井上が自分のくちびるを塞いでいた。
身じろぎの抵抗しかできなかった。
なんの冗談かと、罵ることもできなかった。
早く離れろ。
心の中でそればかりを思った。
早く離れて、いつものその、人懐っこくて犬のような笑顔であたしを起こせ。
あたしは何も知らない。何も気が付かなかった。
ちょっと深く寝入り過ぎた。お前はそれをからかえ。それで、元通りだ。何もない。
だけど事態は、そう上手くは転がらない。知っていた。大抵の現実は思い描いた悪い方へと転がるものだと。
手錠で屈辱的な拘束を受けた。それでもまだ、抜け出すチャンスはあると思っていた。
計算外だったのは、快楽に溺れた自分だ。
情熱的なキスに酔った。
身体に似合わない大きな熱いてのひらが、身体を火照らせた。
器用な指先が、理性を奪った。
あまりに丁寧で確実な愛撫に、こいつはあたしが好きなのかと思い違いをしてしまいそうだった。
しばらく異性に触れていなかった身体が、言うことを効かず疼いてあっけなく絶頂を迎えた。
後輩を受け入れた。楽しんだ。
俗に言うインランだ。認めたくない事実だ。
「あたしは抵抗しなかった。やらせろと言われてOKを出した。関鯖なお前の身体に満足した。でも二度目はない。以上。OK? 井上?」
なんとか平静を装えた。語尾は震えたけれど、我ながらよくやった。
カンのいいあいつには、無理がばれていたかもしれない。でも目に見える涙という屈辱は流さずに済んだのだからそれでいい。
明日からはまたいつもどおりに振舞って、ただの同僚を続行する。
井上のことは肯定も否定もしてやらない。謝ることも許さない。
無関心は最大の苦痛だ。誰よりも知っている。
お前なんか嫌いだと言ってやれば、井上は救われたに違いない。
だからあえて笹本はそれをしなかった。
あいつが苦しめばいい。まったく、自分は性根が歪んでいる。
顔をあげて、だらりと邪魔くさく下がった前髪を乱暴に描きあげた。
手首に残る赤い痕が目に入る。
また面倒なことをしてくれた。
左手は時計で隠せるけど、右手はどうするか。
リストバンドなんて持ってないし、いきなりそんなものを嵌めては不自然だ。
長袖のブラウスをきっちりと着込むぐらいしか、解決法は思い浮かばない。
それでもこの痕はしばらくすれば何事もなかったかのように消えるだろう。
だけど身体を繋げた事実は消せない。きっと、あのひとには隠し通せない。
なにせ厄介なことに。
意識の奥深くで、笹本は、井上を欲した。
感情を殺しきれずに、もっと激しく貫かれたいと願ってしまい、あまつさえそれを口に出した。
これは、裏切りだ。不可抗力でもなんでもなく、ただの裏切り。
*
昨日の今日だ。
我ながら有り得ない。ほんとうに淫乱の称号をゲットできてしまうかもしれない。
「笹本?」
心地よいテノールで呼ばれ、グレイのつめたいドアを睨むように見つめていた笹本はびくりとシャワーの雫が残る身体を震わせた。
肩越しに声の主を見やり、彼が瞳に穏やかな温度をたたえて自分を見つめているこの瞬間に、幸福を実感する。
「係長」
ゆっくりと振り返り、目線をしっかり合わせる。
せっかくの逢瀬だ。ゆっくり二人で会うのは2か月ぶり、か。
正直、なぜこのタイミングで、と舌打ちをしたくなったが、断るなんて選択肢は笹本にはなかった。
この温度を今楽しまなければ、次がいつあるかも判らない。
そっと一歩を踏み出す。
書類を手にベッドに腰掛けた尾形が、目元だけで微笑んだようだ。
歩調を緩めないまま身体に巻いていた大判のバスタオルを床に落とした。空調の効いた室内は全裸でも問題ない。
やっと、彼に対峙する。笹本を見上げた尾形は、溜息が出るほど精悍だ。
身をかがめて、尾形に口付けた。
眼を閉じたその端正な顔が、笹本を否定せずに受け入れる。
ばさりと紙の音が響く。書類をテーブルに投げ出した大きな手が、ゆるりと背を撫でた。
触れるだけの口づけが、呼吸を奪うように激しさにやがて変わり、悦びに全身がしびれる。唯一、このときだけ女でよかったと思えるのだ。
しかしすぐに井上の、奪うようなキスが重なって慌てて身を引き離す。
犬のようなあいつの、キス。
だけど、ほんとうに笹本が欲しくて欲しくて仕方がないと錯覚させるに充分なキス。
ぶるると首を振ってそれを否定した笹本を、尾形が訝しげな視線で見つめていた。
「……笹本、」
「係長」
言葉を奪って、そっと首元から白い手を差し入れる。
バスローブの腰ひもを抜き取ると、前をはだけさせて肩からそれを抜き去る。
鍛えあげた胸板に頬を寄せて、存分にその肉感を楽しむように撫でまわした。
伏せたような瞳で、その様子を尾形がじっと見つめている。
身体中の血液が沸騰しそうに熱くなる。
――愛してる。
泣きそうに安っぽくそう思う。
だけど口に出すのは憚られた。そういう、重いのはごめんだ。
尾形と自分は恋人でも何でもない。
こんな職業に付く以上、大切なひとは絶対に作らないと尾形は常々言明をしている。
だから笹本もそれに従う。胸は痛むが不満はない。
この関係に名前をつけるのは、とっくの前に諦めた。重要なのはそこではない。
口で愛を囁く代わりに、舌をその胸板の頂に這わす。
尾形がぴくりと反応したような気も、相変わらずの無表情なような気もした。
開いた膝の間に身を置いて床に腰を下し、まじまじとその肉桂と対峙する。
鍛えられた身体に似つかわしい、その雄々しい彼自身が欲望を露に反り返る様子に、笹本は心底満足をした。
彼も興奮をしている。
右手でふわりと撫でる。
ぴくり、とそれが反応を返す。
喉の奥で小さく笑いながら、ためらいもなくぱくりと口に含んだ。
唾液を口内にたっぷりと溜めて、先端を舐めしゃぶる。
含みきれなかった部分は手で扱き、睾丸もやわやわと愛撫する。
先端から、苦味を含んだ先走りの液が垂れて唾液に混じった。
じゅく、と自らの内部からも熱い蜜が溢れたようだ。
気が急いて仕方がない。
早く、尾形と繋がりたい。早く、この熱い彼自身で深々と、奥の奥まで貫かれたい。
本当に自分はいやらしい。
欲しているのが尾形なのか男なのか、たまに判らなくなる。
この胸に激しく抱く情愛も、肉欲に支配されているが故なのか。
もう判らない。
ただただ、尾形が欲しくて欲しくて仕方がない。
「……笹本」
穏やかに名を呼ばれて顔を上げる。
もういい、とばかりに尾形が軽く首を振って、その指を笹本の顎に添えた。
伸びあがって口付けを受け取る。
肩に腕を回す。
熱い身体が密着して気持ちいい。でも今は、もっと欲しいものがある。
肩に乗せた手に力を込めて、尾形を押し倒す。
逆らわずに倒された彼の瞳は、監視をするように冷えて冷静だ。
いつものことだ。
笹本は眼を閉じてその目線から逃げる。
溺れるのは自分だけ。
まるっきりいつものことだ。
ベッドに仰向けに横たわった尾形の腹に両手をついて、そっと馬乗りになる。
秘部に彼自身をあてがった。
ぬるり、と先端が自分の内部に侵入をしてくる。
身体がかっと熱くなった。
もっと、もっと尾形を捕らえたい。
直接にこうやって尾形を感じるために、面倒な薬を毎日飲み続けているのだ。
ためらいもせず一気に腰を落とす。
潤いはなくはないが充分とは言えず、身を裂かれる錯覚にも似た痛みが、だけど甘く笹本の背を駆け抜けていく。
「あ……ッ、んん」
はしたなく嬌声が漏れる。
痛みさえも気持ちいい。
実は自分はマゾヒスト?
ばかばかしい自問は、すぐにはるか彼方へ追いやられる。
彼を咥えこんだ内部が熱くて仕方ない。
なのにまだ足りない。もっと、もっと熱が欲しい。
笹本は淫らに腰を振り始める。
一つ動くたびに、熱く張りつめた尾形が内壁をえぐり苦痛のような快感に目の前が白く濁る。
自覚できる程きつく彼を締め付けて、膣内でその形が把握できてしまうのではとふと思った。
「……い、ぁあ……んっ、いや……」
自らで貪る熱に浮かされて漏れる声は、まるで泣き声に聞こえる。
内部からとろとろと、とめどなく溢れる愛液は抽挿を助け、新たな快感を笹本に与えてくれる。
やがて熱にどろどろと溶けた身体中から力が抜けて、絶頂まであと一歩だと予想は出来るのに下肢が言うことをきかず動けない。
もどかしさに、眼尻に涙が浮かぶ。
それでも何とか腰を持ち上げて、ゆるゆるとまた奥へ奥へ尾形を誘うと、じっと彼女の様子を窺うだけだった尾形がずん、と腰を突き上げて刺激をよこす。
「ああっ!」
傾いた腰を、尾形の熱い手が掴んで支える。
数度追い上げられて、笹本はその鍛えられた身体をしなやかに反らせて、声もなく絶頂を迎える。
「――――ッ、は……あっ!」
びくびくと入口が収縮を繰り返す。
動きを止めた尾形が、相変わらずの無表情で笹本を見上げていた。
はしたなく簡単に乱れた自分が急に恥ずかしくなる。
「……あ、係…長……あたし、あんっ!」
言い訳をしようと口を開いたとたんに再びに突き上げられて、達して敏感になった内部が新たな快楽に悲鳴を上げる。
尾形の両手が、自分の手のひらを重ねるように握りこんだ。
ああ、これ恋人つなぎって言うんだっけ。
白く濁る意識の隅で、そんなことがよぎった。
だけど尾形は恋人じゃない。
こんなにも激しい情交の間でさえ、係長、以外に彼を呼ぶべき言葉が見つからない。
その呼称は大変に口触りが悪いので、結果、どれだけ苦しく喘いでも愛しいひとを笹本は呼べないのだ。
ぐ、と突き上げられて浮いた身体を、尾形が握った両手を強く引っ張って腰にぶつけさせる。
幾度もそれを繰り返されて、尾形の上で踊るように腰を揺らした。
逃れたくなるような強い快楽に、髪をぐちゃぐちゃに振り乱しながら笹本は耐える。
波に、呑み込まれてしまいそうだ。
突然、下方にではなく前方に手を引かれた笹本は上体のバランスを崩して、尾形の胸に倒れこんだ。
背中を抱かれて、くるりと器用に上下を入れ替えられる。
ぼやけた視界で懸命に尾形を見上げた。
額にうっすらと汗を浮かべた緒方は、眉根に皺をよせて何か難しい顔をしている。
彼の、この顔が好きだ。
「……いくぞ」
はい、としおらしく返事をするために開いた口から、すぐに別の悲鳴が漏れる。
「や、んぅ! ひぁ……か、ああっ、だめ、も…やだっ……ぅんん!」
ずんずんと深く突き上げられて、もう何もかもが判らなくなる。
ただ、与えられる熱を貪るべく笹本は喘ぐ。
最奥を付き当てられて、全身がびくびくとまた震える。
ぎゅっと締め付けた尾形が、内部でやはり同じようにどくどくと脈打って白濁液を吐き出した。
内部にじんわりとそれが広がって、笹本は、満たされていると錯覚する。
それは幸福な誤解だった。
荒い呼吸を繰り返す尾形の手が伸びてきて、そっと、眼尻の涙をぬぐい取られた。
そこで初めて、泣くほどよがっていたと気づかされる。
最近の自分は、欲望に素直になりすぎている。
だから井上の増長を許すことになったのだ。
両手を伸ばして、甘えるように包容を求める。
ぴくりと尾形の眉が動いた気がして、面倒に思われたかと不安になる。
だけど彼は、額を撫でながら笹本の要求に応えるように熱い身体を密着させて口付けをくれた。
瞳を閉じて、その夢見心地に浸る。
尾形のくちびるは冷たい。舌の熱さとのギャップにいつも驚かされる。
その射るような瞳にぴったりだ。
そう言えば井上は、くちびるも、舌も、身体も、何もかもが最初から最後まで熱かった。
あいつ、子供体温なのかな。
尾形が離れた。
うっすらと目を開いてその顔を確認した笹本は、自分が今誰のことを考えていたかを知り、浮かされた身体が急速に冷えた。
最悪だ。
裏切りだ。
例え尾形が笹本に何の感情を抱いていないとしても、自分だけは彼を敬愛し続けないといけないのに。
それが、この関係を続けるために己に言い聞かせた唯一の規則だったのに。
いつまでも見つめていたかったはずの顔は、もう見ていられなかった。
顔を背けた汗ばむ裸体を、緒方に抱きこまれた。
甘美なはずのその温度が、だけど今は罪悪の象徴でしかない。
なのにくびすじに尾形のつめたいくちびるが触れれば、それだけで冷めた身体がまた熱く疼く。
求められて、喜悦と空虚が同時にやってくる。気が遠くなりそうに胸の奥が鋭く痛む。
愛されたいのに、その方法が判らない。
これ以上の愛し方も判らないし、今まで根拠もなく抱いていた自信が音もなく崩れていく、と笹本は思った。
もう自分を騙すのは無理かもしれない。
熱い腕の中に閉じ込められて、笹本はぐったりと力を抜く。
*
前方のエレベータのドアが閉まりかけていたのを見て、隣を歩いていた笹本が走り出す。
ばん、と乱暴にボタンを押したが、生憎間に合わなかった。
4基のエレベータはどれも忙しく稼働中だ。
――別に走らなくてもいいのに。
せわしなく動く彼女は、小動物のようですらあり可愛らしい。
胸の内で苦笑をしながら、大人しく待つべく、階数表示を見上げた彼女の隣に立ち並んだ。
慣れた香りが改めて匂いたつ。
オリエンタルなイメージのその香りを、笹本が身にまとうのは珍しい。
最近は任務もなくごく平和だからか、それとも。
「…………笹本」
「はい」
「何か、あったか?」
「……何か? 何かってなんです?」
「…………例えば、井上と」
ちらりと片目で笹本を見下ろす。
反面、彼女はこちらを全くと言っていいほど見ない。
別にと告げるくちびるが震えているようにも思えた。
「どうして、そんなことを?」
「いや」
最近、仲がよさそうだから、なとどは口が裂けても言えそうになかった。
「何もないならいい」
語尾にかぶさるように、ちん、と軽々しい音をたててエレベータが到着をする。
右手をのばして、笹本がドアを開く。
「どうぞ」
低く促されて、軽く頷いて先に足を踏み入れた。
その右手の手首に、生々しく残る赤い痕を尾形は認めた。
つい先日の情事の時には、気が付かなかった。
彼の後に笹本が続く。
密室にほかに乗客はない。
上層フロア行きのこの箱は、2、3階で捕まらなければとりあえず13階までノンストップだ。
ドアが閉まると同時に、尾形は階数ボタンを押すその細い手首を握って、笹本の眼前まで持ち上げる。
「どうした?」
己の手首と尾形を交互に見つめ、笹本が息を呑む。
質問の意味を謀りかねているようでも、返答を迷っているようでもあった。
「…………病院のときの、ヘマの痕です。不名誉の証ですよ。もう、消えたと思ったんですけど」
上気した白い肉体に生々しく浮き上がるそれに、そっと口づける。
ここが社内だ、という意識はあった。
だけどそれ以上に、彼女に対しての罪悪感が胸に圧し掛かっていた。
部下を危険にさらした、笹本は女であるのに消えるとはいえ身体に傷を残させた己の責任を改めて痛感する。
たぶん、それを口に出したらお門違いだと責められるだろうけど。
「か……係長!」
驚いた笹本が身を引くが、構わずに強く抱きしめた。
腕の中で笹本が暴れる。
離れなければならないのに、柔らかく抱き心地のいい彼女の身体に珍しく理性が負けそうになった。
狭い密室の角奥に笹本を追い詰める。監視カメラの真下だ。
申し訳程度の死角には入れたはずだ。
くちびるを寄せる。
笹本は受け入れる。確信があった。唯一の共犯者なのだ。
だけど予想は盛大に裏切られる。
どん、と両手で強く胸を押された。
泣きそうな顔で、笹本が尾形を見上げる。
「………………ッか、り、長……あたし、あたしって、何ですか?」
今度は尾形が眉根を上げる。
質問の意図が見えない。
笹本が、どんな返答を求めているのか、尾形には測りかねる。
「……笹本だろう?」
「…………。ですよね、知ってます」
とん、と背中を壁に預けて、笹本が深く深くうつむいてしまう。
「係長にとって、何ですか?」
息を呑む。
「そんな風に、手を、伸ばして」
愛しく思うから、とは、やっぱり口にできなかった。
そっと伸ばした手が触れるより前に、笹本がくちびるを震わせて息を吐いた。
「……もう、やめませんか」
「笹本?」
「嫌なんです」
「笹本、その話は社外でしよう。今夜、時間を取る」
尾形の言葉は、だけど笹本には届いていないようだった。
子犬のように激しく首を左右に振って、いや、と子供の駄々のような声を出す。
ねだるような声音だったのに、ちっとも甘さを含まない。
拒絶の色のみだ。
「終わりにしてください。お願いです」
「……………………笹本が、そうしたいなら。そうしよう」
驚くほど冷えた声だった。
こんな、突き放すような声を部下に、笹本に向けられるとは思ってもみなかった。
ちん、と場違いな軽快さで、エレベータが15階に到着をする。
笹本は降りる気配を見せない。
閉じかけたドアを、手で差し止めて平淡に笹本を呼んだ。
顔を上げないまま彼女は、やはり淡々と答える。
「…………すいません、時間、ください。ロッカールームに、忘れものしたから」
「判った」
簡潔に告げて、身を滑らせてフロアに降り立つ。
ドアが無機質に閉まるその一瞬前に、笹本が足から力を抜いてずるりと床に座り込む様子が目に焼きついた。
彼女を乗せた箱は、再び階下へするすると降りていく。
眉根を寄せて尾形は、その階数表示を先程の笹本と同じように見上げた。
笹本がそうしたいなら。
解放をする。
惜しくないと言えば嘘になる。
笹本は頭がよく優秀で、空気に敏感だ。竹を割ったようなその性格も、豪快な笑い声も、心地が良かった。
何より尾形を大事に思っていた。だけど尾形にその重みを見せはしない。
大切な人など作らないと誓いを立てた己が、笹本を引きとめることなどできないのだ。
――それでもいいんです。
一度だけそう嘯いた笹本の心中を、勝手に思い描いたことがなかったわけではない。
男社会に呑まれまいと小柄な身体をはりねずみのように尖らせる彼女が、自分だけに見せるあの柔らかな笑顔を大切に思っていたけれど、その表情の意味を知りながら見ないふりをしていた。
必ず訪れる今日の為に。
溜息をひとつ。
一瞬だけ恋人を失ったただの男の面持ちを抱いた彼は、だけどすぐにいつもの尾形総一郎の顔を取り戻し、警備4係へと足を向ける。
*
おわり
うおー!
久々に覗きに来て良いもの見せてもらいました!
うお、マジで番外編の小説読んでるようだよ。
笹本尾形は本当にありそう
いいもん見せてもらいました!
笹本のいじらしさに泣けた。
係長、おまいどこまでクールなんだ。
泣いてすがって死ぬ気でひきとめろよ、Fカップだぞ!w
すげえ…神を見てしまった。
前回の投下で井上×笹本に萌えたんだが
今回は今回で笹本が健気でいとおしくて
係長に幸せにしてやって欲しいと思えてきた。
エロも勿論だけど話自体超GJ!
神よ、
ストーリーも深くて、エロい。ハァハァしました。
笹本の中の人が好きになってしまった。
ありがとう、できたら次回作を待ってる。
尾形×笹本来ましたね!
切なく終わる大人の関係、GJですた
尾形って総一郎さんだったのか……知らなんだ
ドラマに匹敵するリアリティと気持ちに来る萌えをありがとう!!
続編があるならぜひまた見せてください。
なんかね、SPネタってのを通り越して、この書き手さん(神!)の他の作品を見てみたいなぁ、
とまで思ってしまったよ。
>>110 同意同意
また是非読みたいよ。
笹本尾形はこれで本当に別れちゃったのかな?
じゃもう二人の話は終わり?そりゃ残念だ。また二人の話を是非読みたいんだが。
よりが戻るとか、なかなか別れ切れないとかでまた是非頼みます。
あ、さかのぼって笹本尾形の始まりの話でもいい。
どういったきっかけで二人が始まったのか、この書き手さんで是非読みたいと思った。
>>111にもちろん同意なんだけど
いろんな人の色んなカプ見たいって思うワシは欲張りかのう・・・?
井上と原川なんかも見たいぜw
あとこんな妄想した。
「井上、井上!ちょっと相談があるんだけど」
「何だよ山本」
「あのさ・・・笹本さんって・・・・・・なんていうか、めっちゃ俺に絡むじゃん?」
「あーうん」
「俺、一応彼女いるんだよな・・・最近会ってないけど」
「・・・ちっ(明日フられろ)」
「だからさ、困るんだよね・・・先輩だからさ、無下に断れないだろ?」
「・・・へー」
「あーっ告られたらどうしよ!」
「(あり得ねー)・・・告られてから考えれば?」
「それじゃ遅い!即答しないと失礼だろ!」
「そうかなあ」
「恋愛ってのはそういうもの。あーどうしよっ、いつ告られんだろ!最近そればっか気になって寝れないんだ」
「・・・・・・じゃあさ、笹本さんに「俺のこと好きなんですか」って聞いてくれば?
あの人プライド高いから自分からは言わないんじゃない」
「!!そうか!なるほど!!俺行ってくるわ!井上、助かった!」
「あ、ちょちょ・・・行っちゃった・・・冗談だったんだけど」
その後山本は、笹本にボコボコにされるのであった。
笹本ってすげー山本に絡むよね。井上の頭は、はたいたりしないのに。
>>112 吹いたw
石田×笹本も見てみたいと思う自分は異端?
いっそ笹本をみんなでリンカーンすればいいんじゃね?
>>112 GJ 可愛いぜ勘違い山本w
石田は一応独身だけど娘を溺愛してるイメージがね…
いっそ笹本が女王様でみんなを以下略
女王様に支配される警護課ww
IDがSPだ! 記念カキコ。
ついに今週末は放送日だぜ。待ちに待ったよ。
笹本の出番が多いといいな。
119 :
名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 19:39:44 ID:LYEfqg8n
つまらんレスは本スレになゆとり君
120 :
名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 00:13:03 ID:iwieU+yX
犯人(女)「笹本さんだっけ・・・人質の命が惜しければ私の前で下だけ脱いでオシッコしなさい」 笹本 「私が此処でオシッコしたら人質の一人を返してくれるのね・・・わかったわ」
「お疲れ」
帰社した尾形が、ぽん、と自分の肩を叩きがてらデスクへと向かって、上品な所作で席に着いた。
違和感に井上は眉を上げる。
「お帰りなさい…………笹本さんは?」
確か一緒に出掛けたはずだ。
よかったですね、と指名された彼女をからかったら、笹本は珍しく動揺をしていた。
いつもなら、ばーかとせせら笑うか、いいだろ、と自慢げに口元を吊り上げてみせるのに、今日はあの大きな両眼を見開いて井上を見つめたまま固まった。
何か言いたげにくちびるを震わせて、だけど尾形に行くぞと呼ばれた笹本は何も言わずにいつもの瞳の色を取り戻し、井上の視線から逃げた。
文字どおり、逃げた。
眼を細めて、彼女を見送った。何かが引っ掛かる。今だにその喉に刺さった小骨のような疑問は、溶けていはいない。
今のこれだって、連れだって戻らないこと自体が不自然なわけではない。
「ああ、ロッカールームに寄るそうだ」
ふぅん、と出来るだけ興味なさそうに頷いた。
ただ職務上の外出をしただけで、笹本の移り香が尾形に残るのはなぜなのか。
そこから導き出される結論を、井上はこの上なく面白くなく思う。
他にも抱く違和感の正体を見極めようと、じっと上司を観察するもののさすが、尾形がそんなボロを出すはずもなく。
尋問するなら笹本さんのほうかな、と井上は判断をする。たぶんそれは的確だ。
ただし、笹本が自分と向き合ってくれるならの話だけれど。
笹本は尾形を敬愛しすぎている。
それはそれは盲目的で、いっそ崇拝と言ってもいい。
万が一笹本が殉職するようなことがあれば、それは確実にマルタイのためではなく尾形のためだろう。
他人の感情に興味がない井上が判るほどなのだ。相当だ。
尾形は確かに完璧で理想的な上司だ。
笹本が心酔するのもよく判る。
男としてもおそらく尾形は完璧で、笹本など容易くまるまると包み込んでしまうんだろう。
まず対等の土俵にも乗せてもらえない自分は、ただ見苦しく嫉妬することしかできない。
胸の内で盛大に舌打ちをする。その音は、笹本がよく立てるものと酷似している、気がした。
尾形より20分遅れてデスクに戻った笹本は、その態度は平素となんら変わりなく不自然な点はまったく見当たらない。
その顔色が心なしか蒼く見えるものの、戻りましたとさらりと告げる声音もいつも通りに凛と澄んで耳触りが非常にいい。
「笹本さん」
井上のすぐ後ろのデスクに腰掛けようとした笹本の手首を握る。
身を固くした笹本が、なに、とゆっくり振り返る。
「これ」
その冷たい手の中に、かさりと飴玉を握らす。関西圏のおばちゃんのように。
「あげる」
ぎゅっとそのビニールごと彼女の手を握りこんで、笹本を見上げた。
見つめ合ったのは、ほんの2秒ほど。
一瞬だけ瞳を揺らした笹本はするりとその手を引き抜くと、さんきゅとおざなりに呟いて身を翻した。
「山本!」
豪快に呼ぶと、振り返った山本に、今井上が手渡したばかりのキャンディをぽいと放ってよこす。
「井上からのプレゼント」
あたしダイエット中だから、と爽やかに笑って、笹本はぎしと安っぽい音を立てる椅子に腰かける。
飴玉すらも受けとってもらえない。
ほんとに嫌われちゃったみたいだ。
デスクに向き直るその一瞬前に、笹本がちらりと片目だけで尾形を伺ったのを見逃さなかった。
尾形は、こちらの様子をいつもの無表情で眺めて、すぐに机上へ目線を落とす。二人の視線は絡み合わなかった。
――ふうん?
眉をあげて、井上は訝しく思う。
確かめてみたら、面白いことが判るかもしれない。
*
夜。
静寂と爆音が奇妙に同居する射撃訓練室に、そのひとはいた。
ばぁん。
耳をつんざく銃声が響く。
出来るだけ音を立てないように、人気のない訓練室の内部へと身を滑らす。
5メートルほど離れた後方に立ち位置を決め、彼女の、マニュアルにそのまま載せられそうな構えをじっと見つめた。
ばぁん。
さすがの腕前で笹本が銃を放つ。
腕組みをして、知らず知らずのうちにその様に見入っていた。
井上の気配に気がついた笹本が、腕を下した。
イヤホンとゴーグルを外すそのしぐさにすら、欲情しそうだ。
だめだ、相当やられている。
目の前の笹本は、その不機嫌さを隠そうともせずぶっきらぼうに口を開いた。
「……いま忙しいんだけど」
「二人っきりじゃないと、逃げられちゃうから」
「お前空気読めよ。思いっきり避けてんだからどっか行って」
「おっ、意識されてる?」
死ね、と口汚く履き捨てた笹本が、銃口を井上へと向ける。
その、完璧な射撃体勢にまた見惚れる。
笹本さんになら殺されてもいいかな、なんて、思った。
大きく一歩を踏み出して、彼女との距離をつめた。
銃口の照準が、ぴくりとぶれた。
「撃っていいっすよ」
「近づくな。マジで撃つ」
「どうぞ」
「やめろ、ばか」
「撃てば」
「いやだってば」
「笹本さん」
「頼むから、近寄らないで……」
弱々しくうつむいてしまった笹本が向ける、熱の残る銃身をぐっと握ってその本体を奪い取った。
笹本に身を寄せながら、銃をかたんとゴーグルの隣に置いてしまう。彼女は、再び手にとろうとはしなかった。
「なんで?」
問いかけただけで、ずる、と笹本が下半身から力を抜いて座り込んだ。
コンクリートのテーブルに背を預けて、空になった右手の指先を額に押しつけた。
「あんたなんか嫌い……」
「俺は好きですよ」
「…………簡単に好きとかいうやつは、嫌い」
「簡単じゃないんだけどな」
「お前が、好きとか言うから、苦しくって仕方ない……」
「だって好きだもん」
「あたしは包容力のある年上の男がいいんだ」
「係長っすか。だめですよ、相手にしてもらえてないでしょ」
「微妙に、そう」
ぽろ、と閉じた眼尻から涙が零れ落ちた。
す、と手を伸ばして、それをぬぐい取る。
形のいいくちびるから、吐息と共に泣きごとが漏れる。
「自惚れてたんだ。どこかで、自分は特別なんだって、信じてた。表の方では、違うって知ってますからって顔してたのに、」
「うん」
「想われてないのに、想い続けるのが辛くって、試すようなマネしたんだ」
サイアクだ、と笹本が、いつもの調子で己を罵倒する。
その辺の女と一緒になりたくなかったし、自分はそうじゃないと信じていた。
腕力の足りない女という性を持つ事実は認めざるを得ないけど、ならばせめて凛と背筋を伸ばして、見苦しくないそれでいようと、誓っていたのに。
好きなひとに好きになってもらうのは、どうしてこんなに難しいんだろう。
懺悔をするように笹本が一気に吐き出す。
「判りますよ」
指先を開いて、手のひら全体でそのつめたく濡れた頬を撫でた。
「俺にしときなよ。俺のこと好きになったら、めでたく相思相愛」
「……社内恋愛は、もうまっぴら」
「大丈夫、俺、上手くやるから。別に係長のこと好きなままでもいいですよ。簡単に忘れさせるから」
弾かれたように笹本が顔を上げる。
「………………お前って、案外器がでかいのな」
濡れた瞳を細めて泣きながら笑った笹本を、可愛いと思った。
ず、と鼻をすすって、折り曲げた人差し指で鼻の下を撫でるそのしぐさすらも、愛しい。
「笹本さん、キスしていい?」
「だめ」
「一回だけ」
「したら殺す」
「またまた。期待したでしょ」
「マジで空気読め……ッ!」
振り上げた右手の手首をぐっと握って引き寄せた。
柔らかい身体が密着をして、心臓がどくんと跳ね上がった。たぶん、笹本も同じなんだろう。身体中が強張っている。
「い、のうえ……」
弱々しく動いた笹本のくちびるを、さっと塞いでしまう。
身を硬くしていた笹本が、すぐに力を抜いて大人しくなった。
ぴちゃり、と唾液の絡まる艶っぽい音が響く。
抱き寄せた身体から、硝煙と混じってオリエンタルなあまやかさが匂いたつ。
笹本の香りだ。
執拗に舌を追いかけて吸い上げながら、ふぅんと井上は思った。
このひとも、強情だけどそれはただの強がりで、常に張り巡らせている神経は安らぎを求めているのかもしれない。
愛されたい、と笹本は願っていて、愛していると告げる井上を拒否しきれていないんだ。
やがて長い口付けを終えて、顔を引き離す。睨むように井上を見上げる笹本のその眼がほんとうに綺麗だ。
やっぱいい女だよな。
好みじゃないのに、どうしようもなく好きなんだよな。
自分を納得させるかのように、よし、と頷いた。
「笹本さん、仕事、終わってます?」
「……終わってるけど、なに?」
「よし、じゃあホテル行きましょう。今度こそゴウイのウエで一回やって、そのあとメシ」
ばちん、と派手な音をたてて笹本の手のひらが井上の頬に直撃をした。
音の割りには痛くはなかった。
「あれ、メシが先のほうがいい?」
「ばかっ冷静に考えろ! あっちがだめならすぐこっち、なんてビッチな女だと思ってんのっ?」
「思ってないですけど、落ちそうだったから押していかないと」
「落ちない、絶対に落ちない! お前には落ちない!」
「あっ、言ったな。後悔しますよ」
「しない」
「感じてたでしょ?」
「な、なにが」
「今のキス。あと仮眠室のときも。もっと気持ちいいことしてあげるから。どう?」
「お前やりたいだけだろっ」
「うん、やりたい。笹本さんとやりたい」
だから、ね、と笑うと、ついに根負けした笹本がはあ、と盛大なため息をついた。
「お腹、すいた。なんか食べながら考える」
じゃあ行きましょう、と手を引いて笹本を立たせながら、連れ出してしまえばたぶんこっちのものだ、と井上は嬉しく思った。
*
こういうのは勢いでしといたほうがいいって、大丈夫優しくするから、なんてひどく饒舌に、酒を飲ませた笹本を説き伏せてなんとかホテルに連れ込んだ。
飲んだからって酔ってくれるなんて思っていないけど、笹本は観念をしたようだ。しつこい井上に辟易をしただけかもしれない。
情熱的に舌を絡ませる現状に大いに満足をしている。
だけど、まだ足りない。
早く、早く笹本を乱れさせたい。
気が急いて乱暴にその胸を揉みしだいたら、抗議の声を上げた笹本が両腕を突っ張って身体を引き離した。
「……がっつかれると、引く。シャワーぐらい、」
「ごめん、無理。我慢できない」
ばか、と叫んだくちびるを塞いで、脱がせたジャケットをソファに放り投げた。
自分の上着も、その上に投げて重ねてしまう。
頬を両手で挟んで逃れられなくしてしまい、情熱的に、それはそれは情熱的にキスを重ねる。
井上、と呼ぶ隙も与えずに、隙間から差し込んだ舌を余裕なく蠢かせた。
「……ん、ぅんー……ふ……」
甘えたような声音が、重なったくちびるから響いてくる。
どくん、と自身が膨れ上がった。
もう一度くちびるを吸い上げて顔を引いて、笹本の瞳を覗き込んだ。
珍しく不安げに、その色が揺れている。
――へえ、こんな顔もするんだ。
嬉しくなった井上は、身を屈ませてひょいとその身体を抱き上げた。
「ちょっ……まて、降ろして、歩く!」
「暴れないでよ……すぐだから」
「やだ、降ろせ、井上っ!」
「おっけ、おっけー、降ろすよ」
お望みどおり、ぼす、と乱暴にベッドの上に笹本を投げ出した。
腕の中で暴れる笹本を持て余したところだったからちょうどいい。
その手荒さに抗議の声を上げようとしたその細い身体にのしかかって、また言葉を奪うべくくちびるを塞ぐ。
執拗に舌を絡めて、くちびるの潤いをすべて奪い取ってしまうようなキスを長い時間重ねて、笹本は案外それが上手くない、と気がついた井上は少し意外に思った。
エロいはずの笹本が、先ほどからこちらの舌を誘いこもうと舌を割りいれてくるものの、上手く絡め取れずに逆に井上に捕らわれて翻弄をされている。
その証拠に、かぷり、とぬるりとした舌を甘噛みをしてやると、重ねた身体の下でびく、と細くて豊満な肉体が揺れた。
笹本は簡単にキスに酔う。
ひとつ、いいことを発見した。
くちびるを開放して顔を覗き込む。
とろんとした目とは裏腹に、何か言いたげにくちびるが歪む。
従順なその瞳がおかしくて愛おしくて、にやにやと笑いながらなに、と聞いてやった。
「それ、」
舌をよこせ、と目だけで笹本が命ずる。
その先輩風を吹かせる様子が、好きだとまた思う。
「……ん?」
小さく呟いて、舌を差し出す。
素早くぱくりとそれに噛みついた笹本が、乱暴にキスをして見せた。
くちびるをすぼめて軽く歯を当て、まるで肉茎を扱くように舌を愛撫する。
幾度か往復をして、前歯のエッジが井上の舌を擦り、それを伝った唾液が笹本へと流れた。
堪え切れなくなり、乱暴に口内を犯す。
今日は、出来るだけ優しく時間をかけようとどこかで誓っていたのに、笹本はあっさりとそれを奪っていく。
笹本が、いけないのだ。こんなにも自分を夢中にさせて。
「んんっ、ぅんー!」
抗議のような声を笹本が上げる。頓着をせずに鼻に、頬に、閉じたまぶたにキスを落とす。
自分のネクタイを外してシャツのボタンを外しながら耳朶をぱくりと噛みついてやれば、笹本の身体が嫌がるように捩れた。
濡れた瞳で鋭く井上を睨み、脱いで、と掠れた声で囁く。
その様子がとてつもなく色っぽい。
従順にシャツとアンダーを脱ぎ捨てて、熱い肌を笹本に重ねた。
井上の下で、にやり、と笑った笹本が、急に足を井上の下肢にからめて、くるりと上下を入れ替える。
マウントポジションを奪い取った笹本がまた満足げに笑う。
「井上」
笹本が両手を封じて、くちびるを寄せてくる。
眼を閉じてそれを受け入れた。
こういうのもいいな、なんて嬉しくなる。
「よし」
なぜか気合いを入れた笹本が、絡めた両腕を井上の頭上に回す。
あれ、と呑気にその目の前に広がるはだけた胸元から除く谷間に目を奪われているうちに、鮮やかな手際で両の手首が謎の拘束具に捕らわれた。
その質感からして、たぶんさっき己が脱ぎ捨てたネクタイ。
「えーと、笹本さん? 何してんすか」
「リベンジ……っていうか、仕返し? 今日は好きにさせてもらうから」
それ動かさないで、と楽しそうにくちびるを歪めて、またキスをくれる。
井上がさっき笹本にそうして見せたように、頬を、こめかみを、眼尻を丁寧にくちびるで撫でて、耳朶にぱくりと噛みつかれた。
ぴくり、と思わず肩が揺れると、笹本が吐息を漏らして笑う。
耳の穴の中にその息が入り込んで、ますますくすぐったい。
薄明かりの中、鼻歌でも歌いだしそうな上機嫌さで、ベルトに手をかけて音を立てながら井上の衣服をはぎとっていく。
下肢のすべて脱ぎ落させてしまうと、泣くなよ、とさらりと述べて、ためらいもなく口に井上のものを含んでしまう。
「ちょっ」
突然のことに慌てて身を引くと、笹本がおもちゃを奪われたような顔をして井上を睨む。
「逃げんな」
「いやいやいや、それマズいっしょ」
「美味しくはないけど、マズくもない」
「そうじゃなくて…………笹本さんも気持よくなくっちゃ」
その言葉に、ん? というように笹本が小首を傾げる。
咥えられるのは気持ちいいけど、面白くない。
尾形に教え込まれたであろうそれで快感を得たくはないのだ。
笹本は不思議そうに右上を眺めながら何かを考えるそぶりを見せて、すぐに、ああ、と何を納得したのか大きく頷く。
男前にばっさばっさと自分の衣服を脱ぎ捨てると、ひょいと井上の頭上を通り越して枕元の避妊具に手を伸ばした。
ぺり、と控え目な音をたててその袋を破って、するすると若干危なげな手つきで井上にかぶせて行く。
待ってください、と言う暇も身を起こす隙も与えずに笹本が、それに手を添えて自らの秘部に先端を押しつける。
「まだ、ダメだって……!」
抗議虚しく、ずにゅりと自身が笹本の中に埋まっていく。
奪い取られそうな乱暴な快感に、全身の毛穴から汗が噴き出した。
やがて全てを埋め込んでしまうと、井上を見下ろしていた笹本が眉根を寄せながらにや、と笑った。
どうだ、と言いたげなその表情に、天の邪鬼め、流行りのツンデレかよと胸の内で悪態を吐く。
腰を揺らした笹本に、抗議を込めてずん、と突き上げると彼女は、簡単に甘い声を漏らして首を左右に振った。
「っ……今、あたしの番……!」
「ああ、もう!」
先ほどとは逆に今度は井上が下肢を絡める。
同時に、動かすなと命じられているひと塊りにされた両手も笹本の首に回して自由を奪うと、ぐるりと上下を入れ替えた。
あまりに唐突な井上の反撃に、笹本が驚いたあとにすぐ、やられた、と悔しそうに眉根を寄せる。
両腕に乗ったその顔を覗き込んで、まじまじと問いかける。
「…………笹本さんって」
「……なに?」
「尽くすタイプなの?」
「…………………………それは、面白くないギャクだ」
「じゃあ係長って変態なんだ?」
「おまっ!」
「だってそうじゃん? 相手イかせる前に突っ込むなんて、鬼畜すぎですよ」
「や、だっ……!」
急に、腕の中の笹本が暴れ始める。
井上の胸を押し返しつつ、腰をずらして逃れようとする。
抜けよ、と毒づく笹本をなんとか抑えこんで、くちびるを塞いだ。
並びのいい歯列をなぞって、舌の裏側をつついて、下のくちびるをかぷりと噛むとようやく笹本が大人しくなる。
顔を離すと、はぁ、と息を吐いた笹本が慌てて井上から顔を背けた。
「…………サイアク。空気読めよ……突っ込んどいて、あのひとの名前、出すなんて」
手の甲で口元を覆って、今にも泣き出しそうに笹本が表情を歪める。
空気が読めないのは自覚しているつもりだ。
だけど、笹本が何かするたびに尾形のあの、達観した、自分にはない余裕を含んだ、他人に安堵を与える笑顔が浮かび、どうにも胸がざわついて抑えられない。
「あっ! ……ん、ひ…や、だ、井上!」
笹本の抗議をまるっきり無視をして、腰を打ち付ける。
「笹本さんって」
息を弾ませながら、意地悪い声音で吐き捨てる。
「中で、イける人ですっけ?」
「ん、やだ……しらな……っは、ぁあん!」
「そんだけ、エロいのも、仕込みがよかった、から?」
「やだ、やだやだ……い…ぅえ! も……っやだ、抜いて!」
「どこがイイの? 教えてよ?」
ここ、と内壁をえぐりながら笹本の反応を窺う。
首を激しく左右に振りながら、抵抗を繰り返す笹本が、だけどある一か所で敏感に身を仰け反らせて明らかに快感に酔った声を上げる。
見つけた、と井上は冷笑を浮かべる。
ちらりとこちらを盗むように仰いだ笹本の目が、脅えたように歪んだ。
こんな顔を、するんだ、とまた思った。
尾形はこの顔を見ただろうか。
肘で笹本の肩を抑えつけて、先ほど見つけたあの場所を先端でつつく。
「や、やあっ…ん、んんっ、だめ、やだ! やだって、ぁんん!」
一方の手で必死に口元を塞いで声を抑えようと無駄な抵抗を試みながら、もう一方の手はぐっと井上の二の腕を握り締める。
その指の先にどんどんと力が込められていく。
指の痕が残りそうなぐらい握りしめられて、それが意外にも心地よくて律動にますます夢中になった。
「ん……むりっ、そこやだ! いや、いやあっ……」
「なんで、イヤなの?」
「やだ、ぅんっ! い…やっ」
「イきそう?」
「……っがう、ちがう…も、やだぁ!」
「違うの?」
笹本の内部から溢れる愛液が、薄いゴムを隔ててはいるが自身に絡み、ぐちゃぐちゃと卑猥な音を響かせる。
だけどその音も、すぐに笹本の嬌声に混じって掻き消される。
「んんぅっ! あっああっ、や、まってむりッ……は、ああ!」
全身を硬直させた笹本を慮って、動きを最奥で止める。
背を弓なりに反らせて、びくびくと、笹本が井上を小刻みに締め付けた。
その刺激に勢いで達しそうになっるが、なんとかこらえて、額を笹本にぶつけた。
「…………イっちゃった?」
熱い吐息を織り交ぜながら意地悪く問うと、笹本がちがう、と掠れた声で吐き捨てて両眼を固くつぶる。
「ふぅん」
ぐぐ、と腰を押しつけると、またびく、とその全身が揺れた。
「いや……も、早く……終わって…………こんなセックス、最低」
吐息のような小声でそれだけを言うと、両腕で自分の顔を覆い隠してしまう。
井上は笹本の首の下から両腕を引き抜くと、これ解いて、と低く告げた。
腕をのろのろとどけた笹本の瞳は薄闇でも判るほど充血をしていた。
力の抜け切った指先でもどかしく井上の拘束を解くと、すぐにぷいと顔を背けた。
お前なんか嫌いだ、と全身で物語るその様子に、挿れたままの自身が萎えそうになる。
「笹本さん」
自由になった手を伸ばしてこめかみを撫でる。
笹本が嫌そうに表情を歪める。
「………………動くか抜くか、どっちかにして」
ちりり、と胸が痛んだ。
あんなにも優しくする、と繰り返したのに、優しくしたいのは本心なのに、熱い身体とは裏腹にどんどん頭の中が冷えて行く。
幾度か陥るこの感覚。自分の中の残酷な部分を自覚する。
尾形に抱かれていた笹本を、許せなく思った。さっき、好きなままでいいと、宣言をしたのも本心だったはずなのに。
「あのさ、器でかいって言ってもらったけど撤回して。俺、すっげぇ係長に嫉妬してます。
エロい笹本さん知ってるの、俺だけならいいのに」
「……聞きたく、ない」
好き、と素早く伝えて、だけど言葉だけでは全然足りる気がしなくて、くちびるを塞いだ。
応えない口内を犯しながら、どうしてこんなに好きなんだろうと自問を繰り返す。
笹本は絶対に三歩下がって歩くタイプじゃない。
相手が尾形だったらそうかもしれないけど、自分には絶対に違う。そこがまた面白くない。
働き者だし、基本美人で時々可愛い、も二重マル。でも、いつも可愛くいてくれてもいいとも思う。
だけど、そんな形式的なことじゃなくて、魂が、笹本を欲して止まないのだ。
もっと単純に言えば、笹本に、こっちを見て欲しくてたまらない。
「好きなんだってば」
「……っ、もう、いい!」
「聞いて」
「やだっ」
「じゃあさ、何も考えずに気持よくなってよ」
身を折り曲げて、色づいた乳首を口に含む。
「んん!」
声を上げた笹本が、だけどそれを聞かせまいと手の甲でまた口を塞ぐ。
押さえつけようか、とも思ったけれど、それよりも先に笹本をとろけさせたかった。
ころころと舌先で蕾を転がしながら、たわわな果実を揉みしだき、空いた手はさらに下の、ひとつにつながる秘所へと延びる。
己の男根の位置近くの、尖る性器へ触れる。
びく、と笹本の裸体が震えると同時に、井上をぎゅっと締め付けた。
やっぱりこの身体はとてつもなくエロくて、気持ちいいことに従順なんだ。
元の性質なのかなんなのか知らないけど、上手く制御できてないんだ。
一人納得をする。
「ぃ…の、うえ! お願い、やだ!」
蕾を口に含んで前歯を立てたまま、意地悪くなんでと聞いてやる。
こぼれた吐息にも敏感に反応をして、笹本が身を捩る。
「んっ……くすぐった…い! ぁふっ……や!」
「またイけるの?」
「んっ! あ…………うん…い、きそうだから、やだっ……あん!」
「いいですよ、イっちゃってよ」
「やだ、やだってば……!」
「なんで嫌なの?」
問いかけても笹本は、いや、と首を振るだけだ。
ああ、そう、と目を細めて、井上は性器を嬲る親指に、ぐっと力を込める。
「あっ! ふ、井上、井上っ!」
「なに?」
「んんっ! や、も……や、だ……」
泣き濡れた瞳で、笹本が井上を見上げる。
「もぅ、くるし…………おねが……」
懇願を最後まで聞かず、井上は身を起こし、ぐいと両膝の裏に手を回して足を開かせる。
「やっ……あん!」
笹本は羞恥に身を固くしたけれど、腰を打ち付けるとすぐに甘い悲鳴をその口からこぼれさせた。
ふと、笹本は面倒になって演技を始めたのかなと脳裏によぎった。
女はときどき、そういうことをする、と誰かが言っていた。
だけどあいにく、額に汗を浮かべて切なげに喘ぐ笹本の本心は、女心にも、他人の感情にも興味がいない井上には読めはしない。
テロリストの思考は簡単にシュミレートできるのに、女とはなぜこうも複雑なのか。
「ああっ! ん、あ、あ、い…んっ!」
律動に合わせて笹本のあかいくちびるから嬌声が漏れる。
その声に、ますます思考が鈍くなり、本能が求めるままに快楽を貪ろうと身体が動く。
ぐっとクッションのカバーを握るその手を見ながら、もう縋り付いてくれないのかな、と残念に思った。
だけど気持とは裏腹に、井上の腰は絶頂を目指してまるで獣のようにみっともなく身体をぶつけるのだった。
*
井上が痛みを伴った射精を終えると同時に、笹本がぐったりと全身から力を抜いて目を閉じた。
いつまでたっても息が整わない彼女が心配になって顔を覗きこめば、案外にしっかりとした瞳を開いた笹本が、シャワー浴びたい、と平坦に言ってのけた。
その様子に、やっぱり演技されてたのかなと当て推量を一人呟く。
虚しい独り言は、シャワーの音色にかき消された。
水音が止まる。
身を丸めて、不貞寝の体勢を取った。
「井上……入る?」
笹本の澄んだ声が聞こえたが、狸寝入りを決め込んで出来るだけ息を潜める。
メトロノームのように正確にリズムを刻む足音が近づいてきた。
その音に迷いはない。
だから余計に判らなくなる。
ぎし、と控えめな音をたてて、ベッドが揺れた。
笹本が枕元に腰掛けたのだ。
同時に、香料がキツく安っぽい石鹸の香りが鼻につく。
彼女に、こんな下品な匂いは似合わないけれど、こんなところに連れ込んだのはそういえば自分だった。
尾形は。どこで笹本を抱いていたのだろうか。
細い手が伸びてきて、こめかみの生え際を撫でた。
過去。ものすごく遠い昔に、母親にそうされた時のような幸福が、胸の内から湧いてくる。
ああそうか、やっぱりこのひとは女なんだ。
快楽に酔って手を伸ばすのも、宥めるように身を任せるのも、あやすように頭を撫でるのも全部、女のすることだ。
「井上…………好き、だと思うから、さ……ちょっと待って」
くるんと指に井上の髪を巻きつけてはすぐに解き、手遊びを繰り返しながら笹本が、消え入りそうな声音で独りごちる。
井上が寝入っていると思っているのだろうか。
起きていると知っていて、そんなことを聞かせているのだろうか。
好き、だなんて、その響きのもつ甘さと痛みがどんなものか、笹本は知っているのだろうか。
「いいですけど」
前触れもなく白い手をぐっと握って、乱雑に引いた。
バスタオルを巻いた身体が腕の中に倒れこんでくる。
「井上!」
背中に回した手に力を込めて、ぐっと抱きしめた。
「待つって、なにを?」
「…………やっぱり、そんな急には切り替えらんない……」
井上の胸に埋めた顔を上げないのは、何か後ろ暗い思いでもあるからなのか。
「俺とヤったこと、後悔してるんですか?」
「……してない」
「ほんとに?」
「ほんと。……あんた、上手いし」
係長よりも? と聞きたくなって、慌てて打ち消した。
中途半端に開いたくちびるに、やっと井上の視線を受け止めた笹本が自分のそれを重ねてきた。
蓮っ葉な物言いは、もしかしてまた何か隠すためじゃないかと邪推をするが、ストレートに聞いたって笹本は何も言わないだろうなとも判っている。
じゃあ身体に聞いてみようか、なんて、アダルトビデオのようなありきたりなセリフが沸いてきて、井上は再びに笹本を組み敷いた。
初めは嫌だと抵抗を試みた笹本も、井上にやめる気がないと判るとすぐに大人しく全身から力を抜いて、服従の姿勢を取ってみせる。
その様子にまた井上は、笹本の真意を見失ってしまった。
*
以上です。お付き合いありがとうございました。
相変わらずGod Jobだなあ…続きが読めて嬉しいッス。
愛され慣れてない笹本が何とも不憫。誰か幸せにしてやってくれー!
ってことで続きもよろしく。
GJ!
でもやっぱり尾形とうまくいってほしいなぁ
笹本が不憫だ..
GJ!
今日放送日だし、新しいネタ入ってくるかなー。
今日の朝めざましテレビで特集やってたんだが、
笹本役の真木よう子さんって役中の性格と実際の性格殆ど変わらないんだなw
GJ過ぎます!神だ…
>>134 この前いいともで秋ドラが集まってなんか色々やってた再放送を見たんだが、俺も同じ事思ったわw
最後のヒロインのタイトルコール握力測定って奴で、うっかりタイトルコールを忘れてしまった真木よう子さんに萌えたwww
9話妄想。
「井上、合コン」
「トラウマだから。その話題出さないで」
「…………呪いか」
「笹本さんが?」
「馬鹿、山本だよ」
「…………ざーんねん。ヤキモチかと思ったのに」
「死ねよ、ほんと死ね! …………合コン、行く時点で死刑判定だけどな」
「だって笹本さんが相手してくれないんだもん」
「忙しーんだよ」
「飲みに行く暇はあるのに?」
「アンタは先輩の飲みの誘い断る暇程合コンに熱入れてんのに?」
「…………ヤなかんじ。ハッキリいったら? 合コン行くなって」
「行くなって言ったら行かないのかよ」
「行きませんよ。笹本さんが俺の愛を受け入れてくれるんならね」
「……………………それは、面倒そうだから合コン行け。今度必勝法伝授してやるよ」
「セッティングしてくれるんですか?」
「しない。死んでもしない」
みたいな…。
ちょっと不憫な井上に萌えると思う。
あと笹本の下着はやっぱり黒か? ブラというか、アンダーな感じだな。透けるのがエロス。
妄想垂れ流すと、だれか書いてくれるんじゃないかと期待しつつ。
>>136 小ネタGJ
今回笹本のブラの色異様に目立ってたなあ
スポーツブラっぽいのにあの突き出し方
まさか……防弾ブラ?
つーかむしろおっぱいがロケットパンチな訳だが
流れは笹本vs井上なのか
是非笹本vs尾形も希望
VSって…
戦いかよww
防弾ブラ、ワラタw
完全に笹本仕様ですな。
おちゃめだな。
VSでなしに、せめて×(掛ける)にしようよw
VSって言うからさ。こういうことかと思った。
「…笹本、ちょっと」
「はい?」
「その、言いにくいんだが、あー…透けているぞ」
「え?ああ、キャミソールですよ」
「ああ、そうか。すまない」
「しかも防弾仕様です」
「!!そんなものがあるのか」
「ありますよ。でもサイズないから、特別注文なんですよね。原川さんに怒られてます」
「サイズ………」
「……………係長、見すぎ。セクハラですか?」
あの胸が目の前にあったら殴られてでもガン見するよ・・・
苦悩の表情でサイズを考える係長萌え。
小ネタ投下。エロなし不真面目。
145 :
それいけ4係:2008/01/15(火) 02:21:29 ID:yoKcRMBc
ある日。
「ねえねえ山本」
「何すか」
「あたし今日これから合コンなの」
「へえー。珍しいっすね」
べしっ。
「へえじゃなくて、祈ってよ。あたし、あんたの祈りの能力だけは認めてるから」
「…何を祈るんすか?」
「いい男が来るようにだよ。決まってんじゃん。男子は年下らしいからイキのいい奴を
期待してるんだ」
「ああ…」
「間違っても呪うなよ」
「いやいや、実はオレも今日久々の飲みで。ダブルで好運を祈りますよ」
「よし。……アフリカにでも生まれてたら最強だったろうにな、お前は」
「やだなあ、そんなに誉めないで下さいよ」
「誉めてないっつの」
「いいなあ合コン。お声がかかる内が花だよな」
「いや、単なる同期のつきあいなんですけどね。…あ、石田さん、これから?」
「そ。お仕事」
「あ、じゃあついでに石田さんの無事も祈っておきますよ」
「ついでかよ」
次の日。
「…山本ッ!……よくも、呪いやがって…!」
「の、呪ってなんかないですって!」
「じゃあ何であんたたちと合コンになるわけ?!あり得ないんだけど!」
「オレだって聞いてませんでしたよ。いきなり帰るから大変だったんすよあの後」
「残ったら暴れてたわよ。撃たなかっただけマシだと思え」
「ちょっとぉ…。ねえどう思います、石田さん?」
「よく分からんが、お前が悪いだろう、山本」
「ほら見ろ」
ぼこっ。
「珍しく笹本が荒れてるな。何かあったのか」
「さあ?…アレなんじゃないすか」
「……………。お前、そんなことまで分かるのか…」
「……………。やだな尾形さん、…ただの……ダジャレっすよ」
「…分かるんだな」
「やめて下さいって、原川さんとかに聞かれたらオレいびり殺され」
「あたしはここだけど、何か?」
The End
コーヒー吹いた!
GJだよ!みんなGJだよ!
笹本と井上のただならぬ様子を感じ取った係長は
きっと苦虫噛み潰したような表情なんだろうなw
いつもそんな顔してるけど
豚切りすまんが、続きものじゃないやつ投下する。
病院占拠のときのパロディ。
ガチャガチャ。
室内に金属音がこだまする。
笹本は手錠をかけられた両手を必死に引っ張る。手錠の鎖は浴槽の取っ手に絡められていて、笹本を嘲笑うかのように音を鳴らしている。取っ手は笹本の努力の甲斐も虚しく全然取れそうにもない。
あの忌々しいテロリストの顔を思い出す。あの豚野郎あとできっちりお返ししてやる。
笹本は辺りを見回してすぐに頭をがっくりと垂れる。いっそのことナイフでもなんでも使って両手を切り落としてしまおうか、と考えるが刃物は見当たらないし例え見つけたとしても届かないと意味がない。
笹本は何十回目になる試みを始め、すると両手首が痛み出して顔をしかめる。酷い腫れだ。女の体にこんな跡を残させやがって、やっぱ殺す。なぶり殺す。
しばらく手を休めているとドアが開く音がした。
あいつ戻って来やがった、とドアの方に目を向けたら、婦長と医者が誰かを運んで入ってきたのが見えた。
驚いたことにその医者は井上だった。それに井上たちが運んでいるのはテロリストの一人だった。
「何やってんだ」
白衣にきっちり身を固め、眼鏡もかけて髪型だって七三だ。山本かよ。
「任務を遂行しているんすよ」
井上の答えにまぁそうだよなと思う。
婦長が大丈夫ですかと近づいてきた。
「鍵はそこの椅子にあるから」
テロリストを適当な場所に置いた井上は鍵に気づいて手に取った。
婦長の方に投げようと腕をあげようとするが、
ポーズをとるとすぐに腕を下ろして手中の鍵をじーっと見つめた。
「井上?」
不思議な行動に笹本は声をかけた。すると井上は顔をあげて、真顔ですみませんと言った。
「婦長さん、少し出てもらえませんか」
えっと婦長は驚きの声をあげ、笹本もはぁ?と言いたげに眉間にシワを寄せた。
「20分くらいで済みます」
でも、と婦長は笹本に目を落とした。
笹本は井上の真意がわからず不安を覚えたが、婦長に頷いてみせた。
婦長は了承の意味に取り、井上の脇を通り過ぎて部屋を出た。
「それで?」
笹本は井上を見上げた。井上は笹本の傍に行き、膝をついた。
鍵を持った手を手錠に伸ばす。
なんだ鍵を外すなら婦長にさせればよかったのに、と不思議に思うとチャリンという音が耳に入った。
間違いなく鍵を外した音ではない。まるで浴槽に落ちた音のようだ。
笹本は後ろの方に頭を回そうしたときに井上の顔が不自然に近いところにあると気づいた。
何、と言おうとしたとき不意に口が塞がれる。笹本は驚きで目を開いて頭が真っ白になった。
半開きの口に井上の舌が滑り込んで笹本と絡み合う。
何が何だかわからなくなって井上に抵抗せず好きなようにさせていたが、
はっと正気に戻り、怒りがカチンと頭を叩いた。
笹本が井上の舌を噛もうと歯を下ろしたのと井上がするりと中から抜け出したのはほぼ同時で、
勢い余って笹本は歯をガチっと鳴らした。
「お前…何のつもりだ」
井上は目をパチクリとさせる。
「あれ、笹本さんやったことないんすか」
「舐めてんのかやったことあ…じゃねーよさっさと外せ」
ガチャガチャと金属音を鳴らすが、井上は手錠に一瞥もくれず笹本を見ていた。
「嫌です」
嫌ですって何だふざけてんのかという抗議は
井上の左手がスラックスからワイシャツを出しそこから入り込んだせいで発せられなかった。
「おい井上!」
叫びに躊躇せず手は胸に到達した。
「思った通り…でかいっすね」
笹本の抗議は胸をもみ出した手に遮られた。
井上は笹本の耳に顔を寄せ甘く噛んだ。笹本の体はビクンと一瞬跳ねた。
「ちょ…っ今何してんのかわかってんのか」
「セックス」
「っ!正気、か!テロに占拠されてんだぞ」
「もちろんわかっていますよ。だから」
20分で済ませないと。
笹本はさきほどの婦長と井上の会話を思い出した。
サァッと血の気が引いていく。
「冗談だろ」
笹本は信じられないと思った。
「本気ですよ。俺、過去最短記録は13分なんで大丈夫です」
誰もそんなこと聞いてねぇよ早漏野郎。
少し肌寒く感じたと思えば、いつの間にかシャツのボタンは全部外されていて
キャミソールが胸の上まで捲り上げられた。ブラジャーの留め具も器用に外される。
「井上、いい加減にしろ…任務中だ」
「それ以外ならいいんすか」
「お前とはもう無理」
じゃあやっぱ今しかないっすねーと井上は呑気に呟いた。
「井上…ほんっと、ふざ、け、ん、な」
頭突きを食らわそうにもあまりダメージはなさそうだし体の自由もきかず力も上手く入らないから、
あと位置も悪いし井上の股間を蹴り上げられない。
「だって、ねぇ考えて下さいよ。こんな楽しい状況滅多にないっすよ」
医者のコスプレに手錠、テロ占拠による緊張状態。
いつ目覚めるかわからないテロリストが一人と外で待つ婦長。
今日は厄日なんてもんじゃない、笹本は怒りを通り越してあきれ果てた。
「一生のお願いだ。死ね」
「笹本さんの中でなら喜んで」
何でそう前向きに捉えるんだこの男は。
井上はガブリと笹本の首筋を噛んだ。
「っ!」痛みに顔が歪む。
「時間ないし始めますよ」
最高に最低で最悪だ。
笹本はこのときばかりは殺人罪の判決を喜んで受けてもいいと思った。
****とりあえず終わり
放っとくと続き書きそうにないから投下。
>>152 乙でした!
なんかレイプ?っぽいのが多いね
たまには甘いのも読んでみたいなー
>>152 乙!
良かったよ
レイプ系自分は好きだ
井上が天然でドSだから、多少無理やりは致し方ない!しかしこれは「嫌よ嫌よも」の範囲内だと思う。
テロリスト×笹本、のレイープを妄想したら救いがなかったぞ!
>>153you甘いの書いちゃいなよ。
今日8話見直してたら、石田と笹本の身長差に萌えた。
笹本を見下ろす石田。
「笹本……お前って小さいんだな。」
「…………標準です。石田さんがデカすぎるんです。ケンカ売ってますか?」
「いや、そうじゃないんだが。」
「子供のころから大きかったんですか?」
「まあ、そうだな。」
「じゃあ昔のあだ名はノッポさん?」
「…………………いや……………ぼぅ」
「は?」
「でくのぼうだった……。」
「……………………………………………………」
「……………………………………………………」
「あっ!石田さんこれから暇ですか?の、飲みに行きません?」
「お、いいな。いくか。おい、山本、飲みに行くか!」
「いいっすね!」
「え、ちょ、山本は……っ!」
「鳥が喰いたいんですよねっ!」
「お、いいねぇ。井上、今日合コンは?」
「ないっす。俺も行きます。」
「笹本は?何が食べたい?」
「………………何でも、いいです。」
石田さんと二人っきりがよかったのに、とうなだれる笹本であった。
>>155 萌で吐きそうになった。GJ!
石田さんかわいそすwwwww
雨の匂いの残る夜。
ヘッドライトとテールランプが、濡れた路面に反射して少し眩しい。
黒塗りの公用車の赤いランプが、大仰な門に吸い込まれていく。
電動のそれがすべて閉じてしまうと尾形は、一歩後ろに直立していた笹本を振り返った。
「任務終了だ。お疲れ」
「お疲れ様です」
ぺこんと軽く下げた頭を起こしたのち、笹本がほう、と息を抜く。
ちらりと腕の時計を見やった。
19:04。
予定よりも一時間も早い。だが行動予定表には直帰と書いてきた。
このまま解散、で問題はない。
だが。
「飯でも、いくか?」
ごく自然に聞いていた。まるで男の部下にそう尋ねるように。
笹本は驚いたように両目を見開いた後、すぐにそれを細めてはい、と頷いた。
あいにく、若い女性が喜ぶような店は知らなくて。そう言いながら俺もいよいよ年を取ったなと思ったが、笹本は、あたしも知りません、と笑った。
結局、二人で適当な居酒屋を見つけて暖簾をくぐる。
笹本はまったく抵抗がなさそうについてきた。
過去に女性の部下がいなかったわけじゃない。
だけど笹本は、それまでの女性とはまったく違った。もちろん、いい意味で。
今まで出会ったどの人間よりも潔い、と最初に抱いた印象は今でも変わらない。
だからと言って彼女だけを特別扱いはしていない。当然だが。
ただ、未だ古い体質の警察内部には、有能な彼女を快く思わない人間も大勢いる。女のくせに、などという言葉がまかり通る。
笹本を庇う発言を幾度も繰り返えした。それ自体は苦痛ではない。
自分も、相当な無理や無茶を重ねてきたし、そのたびに上司が庇ってくれていた。そうやって育てられてきた恩を今度は部下に返していくのが会社組織というものだ。
一つ、笹本の有能さを上司に伝えるたびに、一つ、彼女に対する信頼が増えて行く。時を同じくするたびに、彼女の人柄や思考に好意を抱く己を知る。
人間的に彼女が好きなのだ、と誰かに言い訳をしてみるものの、自分は男で彼女は女。それは一歩間違えば恋愛感情だ。
幸い、もう若くはないのだから、恋焦がれる、などということはない。
笹本に触れてみたい、という欲望がまるっきり湧いてこないといえば嘘になるが、理性で抑え切れてしまう程度だ。
女性の部下との付き合いは慎重すぎるほど距離を保って当然だ。
下手をすればセクハラになってしまう。
何より、こんな職業に付く以上、大切なひとは作らない、とずいぶん昔に誓ったし、それは周知の事実だ。
笹本とどうこうなるわけには行かない。
「メンタルヘルス?」
3杯めのジョッキを持ち上げて、笹本が聞き返してきた。
まるっきり顔色を変えずに琥珀色のビールを流し込む笹本を見て、飲ませ甲斐があるんだかないんだか、と苦笑いを浮かべながら頷いた。
学生時代体育会系だったらしい彼女は、男と同じかそれ以上のペースで酒を煽る。
笹本はザルを越えてワクだ。網目に水滴も引っかからない。以前石田がそう評した。
なんですかそれ、と興味なさそうに尋ねた笹本に、先日面倒な講習を受けて無理やりに詰め込んだ知識を説明をしてやる。
定期面談と同じようなもので、何か悩み事はないかと部下にいちいち尋ねる、無駄な慣習であること。
明日時間を取ってもらおうと思っていたけど、改めて向き合ってさあどうだと詰め寄れば余計なプレッシャーを感じるだろうから、公私混同は承知の上でついでに聞いてみただけ。
もちろん、正直に話せなくて当然だから、課長や総務に直接話してもいいし、専用のフリーダイアルや相談窓口、メールでも受け付けていて、そのお知らせがイントラネット上に載っているから知っていて欲しい。
長話が苦手な自分にしては要領よく解説が出来たものだ。
隣を見やると、笹本は、やっぱり興味がなさそうにへぇ、と言った。
「管理職ってそんなことまでするんですか。大変ですね」
ごくりと喉を鳴らす笹本に、給料のうちだから、と曖昧な表情を作った。
「ご心配なく。メンタル面は相当鍛えてますから」
残量が半分ほどになったジョッキをかたんと豪快に置いて、くちびるを綺麗に歪めて笹本が笑った。
まあ、そうだろう。通常の神経ではオリンピックなんて行けないし、女だてらでSPに志願も出来ない。
判ってはいるが、尾形には一つ、気がかりがあった。
「…………腕の傷は?」
「あー。……綺麗に消えましたよ。後遺症もなし。見ます?」
ジャケットを脱ごうとした笹本を、首を振って制する。
もしも止めなかったら、彼女はこのままそのブラウスも大胆に脱いで、上腕をここで晒したのだろうか。
「ならいい。……その、」
「精神的後遺症もまったくなし。切り替えには自信があります」
言葉を選んだ尾形の意図を見透かしたように、笹本がさらりと言ってのけた。
その返事に、深く深く安堵をする。
「他に何か、職務上で困ったことはないか、参考までに聞かせて欲しいんだが」
「困ったこと……そうですね、忙しすぎて合コンに行けません」
「申し訳ないが、それは如何ともし難いな」
「ですよね」
「笹本は……あー、こんなこと聞いていいのか判らんが、決まった相手は、いないのか?」
「いたら合コンなんて言いません」
「……ああ、そうか、そうだな」
「出来てもすぐに振られるし」
思わず笹本の顔をまじまじと見つめた。
振られる? 笹本が?
気の強い笹本が男をこっぴどく振るシーンは想像が付いても、彼女が振られる理由はなかなか理解が出来ない。
どうして、と聞こうとして、さすがにそれはプライベートに足を突っ込みすぎかと思いとどまった。ひょい、と枝豆に手を伸ばす。
「――――係長って、」
ぐい、と顔を近づけてきた笹本が、トーンを一段落とした。
「あたしに、すごく気を使ってますよね」
思わずグリーンのさやを取り落とした。
ああ、やっぱり見抜かれていた? 女のカンは怖いとは常々思っていたが、男前な笹本もやっぱり女性だった。
「それって、あたしが女だからですか?」
そうだ、その通りだ。
「できたら、ふつうがいいんですけど」
「……普通?」
「そう。石田さんと話すときみたいに」
石田と同じに扱え、だと?
出来るわけがない。今だって、整った顔が近すぎて知らず緊張をしている。
酔っているのかもしれない。この程度で酔うなんて弱くなったものだ。
最近、忙しくて飲む暇もなかったせいか、それとも、やっぱり年のせいか。
「別に何を聞いてもらっても構いません。言いたくなかったらヤダって言えますから」
白い歯を見せてにか、と笑うと笹本は、元の距離に戻ってまたジョッキを煽る。
カウンターの中の店員にビールをもう二つ注文して、少し動悸が治まった。
「…………じゃあ聞くが、笹本が男を捨てるほうじゃないのか?」
「あ、ずばっときましたね。表現を変えればそうなるかな」
「ほう?」
「忙しいじゃないですか。まめに連絡とか、無理じゃないですか。1週間の放置プレイとか、普通ですよね? そうすると愛を疑われるわけですよ。で、面倒になります。
それを悟った男が、別れようと言います。あたし見栄っ張りなので、判ったじゃあね、と言うと、男が泣き出したりするから、カケラだけ残っていた愛とか情とか、綺麗に消えてなくなります。爽やかでしょ」
男の言い分を聞いているようだ。
「……会っている間だけ、すきだったら駄目なんでしょーか」
笹本がその細い指先で、紅のないくちびるを撫でた。
かり。行儀悪く一瞬だけ親指の爪を噛んだ。どう思います、と猫のような瞳がこちらを向いて、不覚にも、どき、とした。
「さあな。俺にはよく判らん」
「……ですよねー」
「でも」
言いかけたところで、お待たせしましたーと背後から間延びした高い声が響く。振り返ると若い店員がジョッキを両手に立っていた。
それを尾形が受け取ると、笹本がいつの間にか空にしたジョッキを彼女に差し出す。
ありがとう、と笹本が落ち着いた声音で店員に微笑む。
向き直った笹本と、肩が触れた。あ、と声をあげて、笹本が慌てて身を離した。
「すみません」
「いや」
会話が、途切れた。
テーブルに視線を落とした。
この、カウンター席というのは、向かい合うよりは気が楽だがいかんせん距離が近すぎる。
週末の居酒屋は見事な混雑で、ここの席しか空いてなかったから仕方がない。別に、嫌なわけじゃない。むしろ嬉しく思ってしまうのだから、問題なのだ。
無言のまま、ジョッキを傾ける。
笹本もそれに倣う。
黙ることには慣れている。喧騒の中の沈黙は心地いい。
さっき自分が取り落としたさやを拾う笹本の指を見ながら、気がつけばぽつりと聞いていた。
「誰か、紹介するぞ」
「え?」
「よければ」
彼女が、自分の知る誰かのものになれば、もう少し冷静になれるんじゃないかとふと思ったのだ。
この想いはただの勘違いだ。所謂つり橋理論だ。
緊迫した日常を共有するから、感情を制御できなくなってしまうんだ。
「たとえば?」
「……刑事課とか、地域課とか?」
「お断りします。警察ってマトモな人間いないじゃないですか。あたしもですけど」
「そうか?」
「ええ、係長以外」
「……………………それは、どうも。査定上げといてやる」
「あ、お世辞だと思ってます?」
「ん?」
「本気ですよ」
頬杖を付いた大きな瞳が、射るようにこちらを見上げていた。
一、二…三。思わず瞬きの数を数える。
本気? どういう意味だ?
アルコールに軽く鈍った頭を回転させて考える。笹本の目が、語るその意味を。
文字通りに受け取って、ありがとうと言えばいいのか。
だけど冗談にさせない空気が、確かにここに流れている。
五回目の瞬きのあと、笹本はゆっくりと目線を外してジョッキを握った。
「……すみません、酔ったみたいです」
「笹本が?」
「はい」
「酔うのか。知らなかった」
「酔います」
それはなぜなのか、聞いてやったほうがよかったのかもしれないが、尾形はそうかとだけ呟いた。
「これ飲んだら、出るか」
笹本は、はい、と低く頷いた。
その横顔が寂しげに見えたのは、きっと、見苦しい勘違いだ。
*
「どうぞ」
「……ありがとう」
湯気を立てるコーヒーを目の前に、尾形は内省する。飲んだ後に部下の部屋に上がりこむなど、上司としても男としても失格だ。
送る、と申し出たのは自分だった。
案の定笹本は一人で帰れると断った。襲われたら伸しますから、と。
襲った相手が気の毒だから、などとさっさと歩きだしてこちらのペースに巻き込んだが、名残惜しかったのは他ならぬ尾形だった。
建物の下で、じゃあと口に出す前に常套句を出された。
「お茶でも、飲んでいかれます?」
「いや、いい」
「……相談が、あるんですけど」
「相談?」
「さっきの、メンタルヘルス」
大きな瞳でまっすぐに見つめられると、辞退の余地を失う。
情けなくのこのこと、ここに上がりこんでしまったのだ。
マグカップを両手で包みこんで、笹本がじっとその立ち上る湯気を見つめる。
一口ご相伴に預かったところで、彼女が顔を上げた。
「係長……お願いが、あります」
「聞こう」
「ちょっと、こっち、向いてもらえます?」
「ああ」
「動かないで」
胡坐をかいた膝に上がりこんで、笹本が身を寄せてくる。
ぎゅっと、ワイシャツを握って、尾形の肩に顔を埋めた。
「……さ、」
「少しだけ! お願いします。……あの時、居心地良かったから、忘れられなくて」
「……」
「覚えて、ます?」
「…………ああ」
ぎゅっと、細い背中に手を回して力をこめた。
あの時。
笹本が、四係に配属されてきて間もないころ。
任務中に、笹本が切り傷を負った。
警護に当たっていた代議士が、包丁を持った男に突然切りつけられたのだ。
その代議士の一番近くにいたのは笹本だった。
彼女は、任務を全うした。
犯人はすぐに取り押さえられ、事なきを得た。
稀に起こる程度の事件だった。
しかし笹本はよくやった。
予定を切り上げた代議士を送り届けてから帰庁をすると、薄暗い廊下の片隅の、飲料の自販機前の黒くそっけないベンチに腰掛けてぼんやりと虚空を見据える笹本に遭遇した。
お疲れ、と声をかければ、虚ろな瞳が尾形を捕らえる。
「……あ、」
「よくやったな。明日、課長からもお褒めの言葉がもらえるぞ」
「……」
自販機に小銭を投入して、温かい缶コーヒーのボタンを押した。
取り出したそれを軽く持ち上げて、笹本に向き直る。
「隣、いいか?」
笹本が頷いて、身をずらす。
腰を掛けて、笹本が両手で握っていた未開封の缶コーヒーを奪い自分の缶を握らせた。
彼女が握りしめていたスチール缶は、すでに冷え切っていた。
笹本が驚いて顔を上げる。
「…………よくやったよ、本当に」
プルタブを引き上げた。ごくり、と甘すぎるそれを喉に流し込んだ。
「怪我がなければベストだったが、新人にしては上出来だ。痛むか?」
「…………いいえ」
「そうか」
かち、と重苦しい音をたてて、笹本もプルタブを引き上げる。
だけどそれに、口をつける気配はない。
片眉をあげて隣の笹本を伺うと、震えたくちびるが動いた。
「……あたし、」
「ん?」
「怖い、です」
――ああ、そうか。
このまま、笹本は異動を申し出るのでは、と思った。
まあ、無理からぬことだ。誰もが一度は通る道で、特に珍しいことではない。
「……今日は、たまたまだったかも知れません。偶然、あの男が目に入ったんです。演説に聞き入ってて怪しいそぶりもなかったのに、なぜか、気になったんです。それだけなんです」
缶コーヒーを握る手が、小刻みに震えている。
「次回こんな幸運に遭遇できなかったら、と考えると、怖いです」
「笹本」
思わず、細い肩を抱きしめていた。
「大丈夫だ。お前には適正がある。俺が認めている。俺を、自分を信じろ」
要は集中力の問題で、気を抜かず警護に当たれば必ず、日常の中の不自然な矛盾を見抜ける。
自分の集中力は、笹本自身が一番よく知っているはずだ。
そんなようなことを、淡々と告げた。
腕の中の笹本は、身じろぎもせずに大人しく力を抜いている。
微かな吐息が胸をくすぐった。
そっと後頭部を撫で上げた。
尾形を仰ぎ見た笹本の両目が驚きに丸く見開かれている。
顔が近い。
衝動的にその形のいいくちびるを塞ぎたくなったが、尾形は唾液を嚥下してそれを堪えた。
ゆっくりと、笹本の身体を開放する。
「……落ち着いたか?」
「…………はい」
居住まいを正して、笹本は缶コーヒーを煽った。
一口それを飲み下すと、ありがとうございます、と小声で謝辞を述べる。
手を伸ばして、ふわふわとしたその頭に乗せ、勢いのままくしゃ、と乱すように撫でた。
あ、と小さく抗議の声を上げた笹本が、尾形を見てふわりと笑った。
「もう、大丈夫です」
その瞳にはもう、不安の色は浮かんでいない。すっかりいつもの笹本に見えた。
尾形も、微笑を浮かべて頷いた。
確か水曜日だった、と脈絡もなく思い返す。
人肌って安心するんですね。あの時と同じように、腕の中で大人しく力を抜く笹本がそう呟いた。
記憶の片隅に、あの不安げに揺れる瞳が浮かんだ。
「…………笹本?」
「今忙しいです」
「あ、ああ。………………酔ってるのか?」
「酔ってます。それが何か?」
酔ってる人間は、酔ってるなんて言わないだろう。たぶん。
何かあったんだろうなと勝手に推察をして、まあ好きにさせてやるかと尾形も力を抜いた。
柔らかい、身体。暖かい。猫かなにかを抱いているみたいだ。
途切れそうになる理性を必死で残しながら尾形は、どのくらい経ったかなと思考を脈絡もなく巡らせて、密着をする笹本の身体から意識を反らした。
おそらく5分程度のことだろうが、恐ろしく長く感じる。
拷問のようだ。
「笹本」
「なんですか」
「そろそろいいか?」
「もう、少し」
この会話も三回目だ。
「いい加減にしないと、襲うぞ」
「…………………………どうぞ?」
冗談のつもりだったけれど、笹本のさらりとした返答に、わずかに残る分別がどこかへ飛んでいった。
「っていうか、むしろお願い、します」
最後まで聞かずに、シャープな顎へ指を添えてこちらを仰がせて、くちびるを塞いだ。
腕の中で笹本が、びく、と小さく揺れた。
あまいくちびる。その熱さに、溶けてしまいそうだった。
舌を差し入れて口内を犯しながら、顎に添えていた指でそっと首を撫でて胸元へと移動させる。
ブラウスのボタンを外す。女性ものの小さなそれに少し苦戦を強いられた。
その気配を察した笹本が、重ねたくちびるの下で小さく笑った。
顔を離して、するりと左肩から滑り落とす。
肩に程近い上腕の辺りに、顔を寄せた。
薄闇でもわかるほど白いそこに、傷跡らしきものは一つもない。
そっと撫でる。凹凸のない、手なじみのよい肌はいつまでも触っていたくなる。
「…………消えて、ますよね」
「そうだな」
ぺろりと舌を這わすと、笹本の口から小さく声が漏れた。
消して甘いとは言えないその声に、彼女の中の「女性」を感じて、どくんと胸が高鳴った。
背を抱いて細い身体を床に倒す。柄にもなく、緊張をしている。
笹本は、と見下ろすと、やはり緊張をしているようで、尾形と目線を合わせようとしない。
やはり、こんなことよくないのでは、と急に理性を取り戻した。臆病なことだ。
「嫌だったらやめる」
声をかければ、やっと笹本がこちらを向いた。
「…………絶対、嫌なんて言いません」
潤んでいても尚その鋭さを失わない瞳に、こんなに気が強くては生きにくくないのかと心配にすらなる。
しかしこれも笹本の魅力か、とくちびるを緩めると、彼女は安堵したように柔らかく笑った。
くちびるを塞いで何度もキスを重ねながら、もどかしく衣服を脱ぎ捨てる。
骨ばった指で、恐る恐る乳房に触れると、手に余る予想外の大きさに戸惑った。
「……笹本は、」
「え?」
「着やせを、するのか」
「……………………あの」
「あ、いや、なんでもない」
実用性を重視したシンプルな下着から零れた膨らみの柔らかさを楽しむ。
色づいた中央の蕾をくちびるで吸い上げると、笹本がこらえきれずに高い声を上げた。
「あっ……ひゃっ……ぁ、んんっ!」
その甘さに、理性が飛ぶ。
本能のままに笹本の身体を貪り、彼女を快楽の淵へと追いつめる。
下肢に手を伸ばして秘列をなぞると、そこはもうぬるぬると蜜を溢れさせていて、尾形を待ちわびていた。
差し込んだ指でぐちゃぐちゃと内部の様子を伺えば、控え目に嬌声を洩らしながら笹本が、びくびくと身体を震わす。
「か……ちょ…! ん……」
やはりいやなのか、と愛撫の手を止める。
切なげに眉根を寄せた笹本が、何かを訴えるように尾形を見上げていた。
「………………あ、」
言葉を探して視線を彷徨わせ、ぐっと、その白い指が尾形の二の腕を掴んで引いた。
「……どうした?」
少々これは意地が悪いか、と自覚しつつ、求めて欲しくなって笹本に問いかけた。
「……あ、も……くだ、さ…い……」
伏し目がちな、途切れ途切れの哀願に、簡単に陥落をして尾形は、自身を早急に笹本の内部に突き立てた。
「あっ」
熱くぬめる笹本の内部は、ただ愛などという生温い言葉では表現しきれない温度で尾形を包み込んでいた。
仕事以外にこんなにも夢中になれる瞬間を得られた充足を実感する。
笹本が何か言葉を紡ごうとくちびるを震わせながら、苦しげに喘ぐさまにますます欲情を強くして、一層激しく突き上げた。
「ああっ! あ、んん……っ!」
ぐちゃぐちゃと蜜が絡み合い淫靡な音を立てる。
息を弾ませた笹本の手が、すらりと伸ばされ尾形に縋るそぶりを見せて、すぐに床に下りた。
律動を一旦停止して、その細い両の手首を握って自分の首に回させる。羞恥に頬を染めた笹本のくちびるを塞いで舌を絡ませた。
「…………いくぞ」
「は、い……ぅ、んっ……ん!」
久方ぶりの快楽に、尾形は抗いきれなかった。
どくどくと本能のままに笹本の内部に己を吐き出した。
「責任は取る。心配するな」
手早く後始末を終えて、未だ息を整え切れていない笹本に声をかけた。
最初にくちびるを重ねた瞬間に覚悟を決めたのだ。
だけど意外にも笹本は、いいえと言いながら瞳を閉じた。
「……責任なんて止めてください。あたし、ピル飲んでますから大丈夫です」
「……」
「もともと、倒れて吐くほど酷いんです。でも生理休暇なんて、取るつもりもありませんから」
お気になさらず、とさらりと告げられれば、自身を否定されているようにすら思う。
「係長は大事なひと作らないんでしょう?」
ああ、いつか石田や隣の係の人間に見せた弱さが、ここまで筒抜けているのか。
「それでもいいんです。あたしも、同じです。だから責任なんかよりも、」
笹本がのろのろと気だるげに身を起して、尾形に対峙する。その大きな瞳に囚われた。
「……また、抱いてもらえます?」
両眼を見開いて笹本を見返した。
「恋人は欲しくないんです。会っている間だけ、好きでいさせてください」
今は仕事に熱中をしたい。そんな自分には、恋とか愛とかなんて重荷でしかない。でも人肌は恋しくなる。これが一番簡単で時間のいらないストレス解消方法。
判るでしょう? そう、猫のように光る目が告げていた。
言葉にしない笹本の信念が、尾形の胸を鋭く貫いた。
囁こうとした愛を、見事に先手を取られて封じられた。
「…………もちろん」
そう嘯きながら、必死で胸の痛みを抑えつけた。力ずくで。
いつか、笹本がほんとうに大切な人間を見つけるまで、彼女にとことん付き合おうと尾形は決めた。
その相手が自分だったと、どれだけ遅れてもいいから彼女が思ってくれればいいとどこかで願いながら。
*
自分は馬鹿だと、心の底から思った。
身体だけでいいなんてまるで三流小説だ。そんな安っぽい女じゃないと思っていた。
だけど尾形には、馬鹿になり下がるだけの魅力がある。
初めて出会った日からずっと尾形が好きだった。
上司としてなのか男としてなのか、次第に境界が曖昧になっていた。
でも仕事に人生を捧げる尾形を、好きである事実だけは揺るがない。
だから、重荷になるなんてまっぴらだった。自分を好きになる尾形なんて想像が付かないし、笹本が敬愛する彼じゃない、と矛盾した思いを抱いた。
責任、などと尾形が口にした瞬間に、本能で彼を否定していた。
あたしも同じだから、とは、すべてが強がりだったわけではない。
仕事に夢中になればなるほど、男からは嫌われる。嫌というほど知っている。
でも尾形は違う。仕事を愛する自分を、愛してくれている。
たとえそれが、束の間の逢瀬の間だけだとしても、認めていてくれている。
彼に抱かれてその希薄な、愛に酷似した何かを感じるたびに、笹本は強くなれる錯覚を抱けるのだ。
だけど身体を重ねる都度、あの日の自分の言動を後悔する羽目に陥った。
尾形に対する感情ははどんどんとその質量を増していくのに、彼の温度は常に一定だ。
愛されないことがこんなに苦しいなんて、思いも寄らなかった。
しかし自分で決めたこと。今さら、誓いを反故にはできない。
――愛しているだけで十分じゃない? それ以上なにが必要?
必死に自分に言い聞かせる。
終わらせるには、始める以上の多大で不毛なエネルギーを要する。
だから無理が生じて駄目になるまではとりあえず現状を維持していこうと、生ぬるい関係に身を浸し続けた。
彼のお荷物にならないための、方向性の間違った気遣いも相変わらず続けている。
合コン、結婚、と恥ずかしげもなく何度も口にする。若い新人が来る、と聞けば、原川と期待をあらわに噂話に興じたりもする。
その新人に本気で期待していたわけじゃなかったけど、失礼にもがっかりする結果に終わった。
同時に安堵もした。尾形以上に好きになれる男が簡単に現れては困るからだ。
その日、珍しく嬉しそうに頬を緩ませる尾形に、声を掛けられた。
「新人が来るぞ」
「…………また、七三じゃないですよね」
「さぁな。俺がドラフト一位で指名してきた新人だ、期待していい。可愛がってやってくれ」
ドラフト一位? 思わず片眉を上げた。
こんなにも尾形の期待を背負う新人とはいかほどのものなのか。ちりりと胸が痛んだ。
気が狂いそうに欲したその位置を、最初から手に入れていた井上を、笹本は面白くなく見ていたのだ。
いつの間にその感情が入れ替わったのか、今でも笹本は思い出すことができない。
ほう、と息を吐けばそれがうっすらと白く染まり、冬の気配を身近にした。
公安の事情聴取も無事終えた。同じく不当とも言える拘束を受けた井上を見上げると、彼はやれやれ、というように首をすくめた。
「お疲れ様っした」
「うん。………………井上、ありがと」
「ん?」
「あんたがいなかったらって考えると、ぞっとする。あそこで浴槽に繋がれたまま何もできなかった未来なんて、想像したくない。そんで、その後も。あんた凄いよ」
「いえ……俺も、一人じゃ無理でしたよ。笹本さんとバディ組んでてよかったっす」
犬のように井上が笑う。
その人懐っこい笑顔に、苛立っていた気分が不思議と落ち着いた。
「……あんた、これから予定ある?」
「お誘いゼロです」
「じゃ、飲みにでも行くか」
「いっすね」
井上と二人で飲むのは初めてだ。
今日は感謝と敬意を表して奢ってやろうと思いながら、笹本は、ほう、と息をまた吐いてその形を楽しんだ。
隣で井上が同じように息を吐くのを、なぜか嬉しいと感じながら。
気が狂いそうに欲したその位置を、最初から手に入れていた井上を、笹本は面白くなく見ていたのだ。
いつの間にその感情が入れ替わったのか、今でも笹本は思い出すことができない。
ほう、と息を吐けばそれがうっすらと白く染まり、冬の気配を身近にした。
公安の事情聴取も無事終えた。同じく不当とも言える拘束を受けた井上を見上げると、彼はやれやれ、というように首をすくめた。
「お疲れ様っした」
「うん。………………井上、ありがと」
「ん?」
「あんたがいなかったらって考えると、ぞっとする。あそこで浴槽に繋がれたまま何もできなかった未来なんて、想像したくない。そんで、その後も。あんた凄いよ」
「いえ……俺も、一人じゃ無理でしたよ。笹本さんとバディ組んでてよかったっす」
犬のように井上が笑う。
その人懐っこい笑顔に、苛立っていた気分が不思議と落ち着いた。
「……あんた、これから予定ある?」
「お誘いゼロです」
「じゃ、飲みにでも行くか」
「いっすね」
井上と二人で飲むのは初めてだ。
今日は感謝と敬意を表して奢ってやろうと思いながら、笹本は、ほう、と息をまた吐いてその形を楽しんだ。
隣で井上が同じように息を吐くのを、なぜか嬉しいと感じながら。
*
以上です。ありがとうございました。
>>167 GJ!!!!テラもえた
笹本さんも係長もかわいくて切ないな。
ここのおかげで笹本さんの相手が係長や石田さんでも萌えてきた。
山本は・・・まぁちょっとなwそういう相手として向いてない
>>149-52の続きを投下しにきたけど、
今日は167の余韻に浸りながらもう寝るよ。
ツボる……というか、似たようなシチュ考えてたから萌えますた
尾形×笹本、どうしても井上が介在する微妙な関係なんだよなあ
しかし「バディ」で井上が軽部の顔になってしまったのは内緒だ
>>168 投下ラッシュだ
お待ちしてますー
>>149-152 の続き。
色んな意味で笹本さんが可哀想。
あとうっかり4話冒頭の笹本さんの体の向きを勘違いしてたから
前書いていたやつと合ってないところがあるけど気にしないでくれ。
井上はさらに笹本の服を捲り上げ、腕のほうに全部寄せた。
笹本の上半身が空気に晒される。
「いい香り」
井上は笹本の襟足辺りに鼻を寄せると犬のように鼻を嗅ぎ、カプリと甘く噛んだ。
それがくすぐったくて笹本は逃れようとするが井上はがっちり押さえ込む。
「笹本さんって何のシャンプー使ってるの?あ、香りならリンスとかか」
井上の手は笹本の胸を柔かく揉み解す。背後からの攻めに笹本は唇を噛み締め、必死に耐えようとする。
けれどもたまに井上は襟足や肩、耳を痛くないように噛んできて、
その感触にふとした瞬間に力が抜けそうになるが笹本は意識を保ち体に力を入れる。
「力入れすぎると痛いっすよ」
なら今すぐやめろ、と言えばあーじゃあ頑張って、と無責任なことを言う。
笹本の唇に屈辱と怒りが集結してギリギリと噛み締める。
手錠をガチャガチャと鳴らしてどうにか取れないかと粘るが、
すると下腹を滑らかに右手が這い、スラックスの留め具をパチッと外す。
そしてスルリと侵入してきて、その動作にチャックも緩やかに下がった。
右手は直接下着の中に入ってきて、指先がそこを軽く撫で始めた。
ゾワッと背中に刺激が走り、全身をかける。あぁ気持ち悪い。笹本は瞼を頑なに閉じる。
「ぐ…ぅ」
笹本はハッと頭を回した。
向こうに横になっているテロリストは少し頭を動かしてまたピタリと止まった。
「起きますかねぇ」
呑気そうな井上を笹本は睨みつけた。
「井上…今なら一発、いや二発殴るだけで許してやる」
怖いなぁ、と感情のこもらない声で呟いても相変わらず手の動きは止まらない。
左手は胸の突起を弄り、右手は茂みをかきわけて敏感なところを突いてきた。
笹本は体を一層強ばらせ刺激に屈しないようにするが、時折訪れる井上の口の愛撫は強制的な手よりも何故か優しく甘く、
そのギャップが生み出すくすぐったさに違和感を覚えた。
襟足や肩の辺りは仄かに井上の噛み跡と涎が染み込んでいて、犬の玩具のような気分になる。
投下したのに反映されないorz
ヴィーヴィー。
聞き慣れない機械音が鳴り響いた。出所はテロリストのようだ。
「携帯かな」
井上はスッと立ち上がるとテロリストに近づいていった。
傍に屈んでズボンのポケットを調べると、携帯を取り出した。
携帯を開くと新着メールの表示があった。メールを開くと垣原からだった。
様子はどうだと聞いている。井上は少し考えたあと、問題なし、と無難な返事を返した。
それから携帯を閉じようとして、手を止めた。
井上は笹本の方を振り返ると相変わらずガチャガチャと手錠を鳴らしている。
「笹本さん、すみません」
井上の謝罪に笹本は顔を上げる。やっと解放してくれる気になったか、と思えば右腕を持ち上げられた。
笹本は井上を見上げると、すみません、とまた聞こえてきて右腕が頭上に動かされる。
井上の右手は笹本の胸の下を過ぎてわき腹を掴み、グルリと右に回される。
まさかと思ったのもつかの間、最初に手錠をかけられた時の体勢になり、隠れていた前が井上の目前に顕わになる。
上半身裸で、スラックスも下にズレているこんな格好を改めて思い知らされて笹本は顔を赤くした。
「痛くなかったっすか?」
心配そうに井上は聞いてきた。変なところで気遣って、もっと違うところを気にしてくれ。
目線で訴えるが井上にちゃんと届いたのかどうかはわからない。
井上は笹本を気にせず持っていた携帯を操作し始めた。
またメールが来たのだろうか、と思ったとき、カシャっという音と共に携帯から光が発せられた。
写真を撮られた。
「・・・っ!!」
あまりの出来事に笹本は絶句し、井上はいいアングル、と言った。
「えーっと、アドレスは・・・」
右手の親指が忙しなく動いているのが見える。
「お・・・っま、何して・・・」
「俺の携帯に画像送るんすよ」
「やめろ!!!!」
あ、そうか、と井上は呟いた。
「今携帯とられてっから、そっちよりもパソコンに送った方がいいっすよね」
「ば・・・っそういう意味じゃねぇ!!」
井上の斜め上をいく解釈に笹本は頭痛を感じてきた。
送信メールも画像もちゃんと消しますから大丈夫っすよ、井上はニコッと笑いかける。
笹本は怒りと殺意で頭がグルグルとなり、再び近づいてきた井上をキッと睨みつける。
「絶対、殺す」
きつい表情に鬼のようなオーラ、大抵の男ならこの威圧感にたじろいでしまいそうだが、
井上は相変わらず無頓着だった。
携帯を白衣のポケットに入れ、井上は膝をつくと笹本に顔を近づける。
笹本はすかさず勢いをつけて頭を前に動かしたが、寸前のところで井上の手に遮られた。
井上の両手に顔を抑えられたまま、笹本の瞼の上にキスが落とされた。少しずつ下に下りながら、今度は鼻をハムっと噛まれる。
痛いどころかこそばゆい。
こいつは噛むのが好きなのかな、と笹本は思った。
唇はさらに下りて頬を噛んだり舐めたりするが、唇の近くには寄ってこなかった。
キスをしたら噛み切られるとでも思っているのだろうか、でも隙があれば笹本はやるつもりだった。
それにしても、いつまでこんなこと続けるつもりなのか。井上は飽きもせず笹本の顔中を柔かく愛撫する。
しばらくすると井上は唇と両手を離した。あぁ、と笹本は名残惜しく思い、すぐに何を考えているんだ、と自分を一喝した。
それから井上は顔を笹本の右肩に寄せ、背中に手を回してギュっと抱きしめた。
強すぎず弱すぎず、この抱擁に何だか妙な温かさも感じて笹本は面食う。
両手を拘束されて抵抗できないのを利用されて犯されようとしているはずなのに、井上は笹本をまるで恋人と体で愛し合うように接してくるのだ。
井上の真意が全く見えてこなくて笹本は逆に不安を覚えてくる。こいつは本当に犯す気があるのか、なんて思ってしまった。
ドクン、ドクン、服越しから井上の鼓動を感じる。笹本の胸も脈打っている。二人の音が混じりあってどれが自分のかわからなくなった。
井上、と耳に届くかどうかわからないほど小さな声で呼びかけた。僅かに抱きしめる力が強くなった気がした。
すると前触れもなくパッと抱擁が解かれた。
笹本が身構えるよりも早く、右手が股の間に入り込み再びそこを攻め始める。笹本はンッと声を漏らして、目を丸めた。
気持ち悪いはずのこの無理矢理の行為に一瞬甘い痺れを覚えたことに衝撃を受けたからだ。
きっと何かの間違いだ、と頭の中で必死に言い聞かせるが、そこから熱が緩やかに全身に広がっていくのを感じた。
「や・・・めっぇ・・・!」
行為の始めの方にはなかった快楽が徐々に形を成して行く。
自分の変化に信じられない、と笹本は自分自身に絶望し、さきほどしてしまった油断のせいだ、と後悔した。
井上は首や鎖骨、胸に噛み跡を残していく。噛み跡は砂に残した足跡が波に浚われるように、
すぐに消えてしまいそうなほど弱いものだった。
その間に左手は笹本の背中を優しく撫でる。
調子が乱され狂わされていき、それを認めるのが悔しくて笹本は首を何度も振り続けた。
井上の唇が首を伝って上へとあがる。右耳の下の首筋に鼻をこすりつける。
笹本は首を動かし逃れようとしてもその動きに合わせて鼻はついていき、今度は頬を通って唇に近づき、
そしてお互いの唇が重なった。
最初のキスと同じように井上の舌がスルリと入り込み、笹本に絡みつく。
先ほどの決意は熱に溶かされて一つになってしまった。
口内で舌が絡み合い、両手の愛撫も手伝って、さらに体が熱くなる。
井上は唇を離すと顎を噛んだ。それから顔の様々な箇所にキスをしたり舐めたり噛んだりする。
どうかしている、と思っても体は既に井上を拒否していなかった。
笹本の限界も近い。それを感じ取ったのか指の動きがもっと激しくなった。
「いの・・・ぇ・・・」
名前を呼ぶと唇がまた重なった。今度は笹本が積極的に舌を絡めてきた。
一瞬井上がたじろいだが、すぐにそれを受け入れた。
あぁもうだめだ。笹本は熱に浮かされながら来るべき絶頂を待った。
「あ」
ピタリと、井上の動きが止まる。同時に唇も離れた。
ぼんやりした目で笹本は井上を見た。井上は白衣のポケットから携帯を取り出してパカっと開いた。
笹本はハッとする。
「また撮るのか!?」
そうじゃないっすよ、と言って井上は携帯を閉じた。
「そろそろ時間です」
「時間?」
一体何の、と言いかけたとき笹本はまた目を見開いた。
"婦長さん、少し出てもらえませんか。20分くらいで済みます。"
笹本は口をパクパクとさせた。
ちょっと遊び過ぎちゃいましたね、と井上は軽い調子で言った。
井上は腕を笹本の後方に回し、笹本の腕のあたりに寄せ集めていた服などを引っ張り、前に持ってきた。
丁寧に笹本に着させていく。
「さっさと任務終わらせましょうか。続きはそれからで」
掃除をしてからお茶を飲もう、と誘うような響きだ。
笹本の体はプルプルと震えていた。
シャツをスラックスの中に入れると、井上は浴槽の方に体を向けた。
中に手を伸ばして鍵を拾った。
井上は手錠の穴に鍵をさそうとしたが、立ち上がって笹本から離れた。
「鍵外せよ」
井上は少し待ってください、と呟いた。
「婦長さんいた方が笹本さんあんまり暴れなさそう」
笹本はカッとなって腕をあげようとするが、取っ手に邪魔される。
「それに俺よりもテロリストの方をどうにかしないと」
ね、と井上は笹本に笑いかけた。
笹本の頬はピクピクと痙攣している。こっのド外道地獄に落とす。
井上はドアに歩いていき、開けて婦長を中に入れた。
婦長はまだ繋がれたままの笹本を見て、井上に顔を向けると一体何をしていたんですか、と問いかけた。
井上はただ笑って婦長に鍵を差し出した。婦長は首をかしげてそれを受け取る。
笹本のほうへ歩いて行き、手錠の鍵を開けながら、同じ質問をした。
笹本もどうにか無理矢理に笑顔を浮かべた。企業秘密、です。
婦長は笹本と井上を交互に見て、もう一度首をかしげたのだった。
***
一応終わり。微妙に続き考えたからまた今度投下する。
>>153 甘いのも好きだからwktkしながら待ってる
GJ!!!!
てか寸止めテラ萌エスーーーーーー!!1!!
笹本かわいそうでカワユスーーーーーー!!!1!
>>170-180 ぐはぁ。なんか井上がすげーかわいい。
動物的で気紛れでホントわんこみたいだな。
KYなのもすごい雰囲気出てる。GJ!
井上の壊れかけた超人っぷりワロス
これもきっとトラウマのせいなんだ(つд`) 可哀想な子w
テロリストが意識戻ってたらショック受けそうだ
しかも行為がこんなに長々ねっちり書いてあるのに
ヤ っ て な い
…画期的っす。GJっす。
青いワイシャツのテロリストが無様に倒れている。
傍に立ってそれを見下ろしていた笹本は、ニヤリと笑った。
5階のナースステーションは難なく占拠できた。一応中を調べてみたが、他にテロリストはいないようだ。
こいつと1階に縛っているやつらと、あと井上のできっと終わりだ。
井上は何か策があるようだったし、持ち前の身体能力を考えれば心配しなくても大丈夫だろう。
それにしても。笹本は苦々しく脇腹を握り締めた。
体が火照っている。テロリストを制圧したことで張りつめてきた神経が落ち着いてきたせいか、
井上との情事を思い出す。
制限時間の20分になるからと、最後までやらずに寸止めをくらわされた。
笹本の頬はピクピクと痙攣する。あいつ殺す。
頭の中で生きているのが辛いと思わせられそうな仕打ちを井上にやる自分を想像するが、
うっかりあの時の感触も脳内で再現されて下がジクリと疼いた。
笹本は小さく呻いた。
放っておこうかと思ったが、昂った体をそのまま放っておくのも何だか怖い。
ふとした瞬間に変なことになるかもしれない。
"さっさと任務終わらせましょうか。続きはそれからで"
忌々しい言葉が頭の中でこだまする。
テロを完璧に片付けてからか。
それとも加藤を無事に自宅まで送り届けて部署に戻って報告書を提出して解散してからか。
笹本はハッと息を呑んだ。
何を考えているんだ、これではまるで井上を…
まさか、それは、ダメだ。笹本は頭を横に振った。
井上に抱かれるのだけはご免だ。
けれども体の疼きは止まらない。
脳内で井上に制裁を与えながら、どうしたものか、と悩む。
いっそのこと…と何気なく目線を下げるとのびているテロリストが見えた。
しばらくじーっと見つめ、それからまたニヤリと笑った。
医療棚のガラスを開けると、笹本はタオルを2枚取り出した。
戸を閉めようとしたとき、ガムテープも目に入ってそれもついでに取り出す。
再びテロリストのところに戻ると、彼の両足首をガムテープでグルグル巻きにした。
簡単に取れないほど幾重にも巻いたことを確かめると次にタオルを手に取った。
テロリストの頭を持ち上げて、膝の上に置く。
それからタオルでまずは口に巻きつけていき、今度は目に取りかかった。
手はガムテープを使って自由を奪う。
よし、準備は整った。
笹本は横に移動すると手をテロリストのズボンに伸ばした。
パチッと留め具を外し、チャックも下ろすとボクサーパンツが姿を現した。
本当に何をやってるんだか、と頭の隅で冷静に突っ込む。
何年も前に、大学生のときだったか、笹本は男を知った。
その男は見た目も中身もいい関さばで、初めてを好きな男とできたのは幸せだった。
結局別れてしまったが、こういう経験はその後も何度かある。
性行為は好きな男と、という信念は笹本にないわけではなかったが、
体の昂りをすぐにでも発散させるなら、少なくとも好きでもない男に無理矢理犯されるよりは
自ら攻めた方が数倍マシだ。
そんな風に自分を納得させ、テロリストの下着をずらして中のものを引っ張り出した。
笹本はそれを見てほほうと感心した。結構立派じゃない。
井上はどんなのだろう、と思ってすぐに首を振った。
意識から井上を追い出すように笹本はそれを扱き始めた。
指先で筋を撫でたり塊を柔らかくかつ強く揉みほぐしていくと、徐々に反応を示していった。
気絶していても体は正直ね。
そういえば、と思い出す。こいつがすっ転んだときに股間を遠慮なく蹴り上げたんだ。
けれども見たところその後遺症はないようだ。
なくてよかった、とこの後の行為のことを考える。
それは段々と固さを増していくが、何となく反応が遅いように感じた。
口でもした方がいいのだろうか。しかし笹本はそこまでやりたくなかった。
その時あっ、と声を出した。
笹本はそれから手を離し靴を脱いだ。スラックスを少し捲り上げ、靴下も脱ぐ。
テロリストと距離を取り、素足をそれに伸ばした。
軽くツンツンとつついてから、両足で挟み込んだ。
足コキってやってみたかったのよね、と器用に足を動かしながら揉み出す。
グリグリと強弱をつけて反応を窺う。
ウウっと呻き声が聞こえて笹本はビクッとなった。
その動きが足に伝わり反動でそれを擦った。
それがよほど良かったのか、さらにピンっと張った。
チラリとテロリストを見る。起きる様子はない。
保険に目隠しをしているけれども、笹本はほっとため息を吐いた。
できれば最後まで目を覚まさないで欲しい。
目をそれに戻すと、もう充分だろうと思った。
笹本は立ち上がってスラックスに手をかけ、少し躊躇したが留め具を外した。
ジーッとチャックも下ろし、下着と一緒に脱いだ。
上着も脱いでテーブルに置いた。今はワイシャツ一枚の状態になった。
笹本は膝をつくと、テロリストのベルトを引っ張った。
そのベルトを立ち上がっているものの根っこにきつく、キツく、締め付ける。
この時また呻き声がしたが笹本は特に気にとめなかった。
ふぅ、と静かに息を吐いてテロリストに跨る。
右手で先端を軽く握り、左手は笹本の股の奥に触れた。
熱が集まり、ジクジクしている。
笹本は人差し指を膣に差し込んだ。体がビクッと反応する。
人差し指を動かし、何度か出し入れして熱を助長させた。
さらに中指も入れて心拍数を高める。
膣を指で掻き回し息が荒くなる。指の動きはヒートアップしていき、ついには薬指も参加した。
笹本は体の頃合いを見計らって指を抜いた。しっとりした液体が指にまとわりついている。
それからゆっくりと体を下ろす。先端が入り口に触れた。
笹本は官能的な声をあげ、さらに腰を落としていく。
慣らした場所にズブズブとそれは入り込んでくる。
ンッと声を抑えたときに背中にひんやりとした風を感じた。
そういえば、ナースステーションのドアのすぐ前で事に及んでいた。
ドアはずっと開きっぱなしで外から丸見えである。
危篤やどうしても移動ができない患者以外はみんな1階のロビーに集められている。
自由に動き回っているテロリストももういないだろう。
それでも万が一誰かがそこを通ったら?
妄想がさらに笹本の興奮を駆り立てる。
そんなことは有り得ないと思っても見知らぬ誰かを熱望する。
こんな痴態を見て何を思うだろうか。もしそれが男なら…
ビクンッと中のものが反応した。笹本は背を仰け反らせた。
勢いでそれは笹本の奥まで貫いた。
ネクタイが邪魔で最後までいかないが、それでも充分だった。
笹本は喘ぎながらだらしなく涎を垂らす。
動かないテロリストの代わりに笹本自身が動いた。
それはさらに膨張し、笹本はため息を漏らした。
その時、下からくぐもった声が聞こえた。横たわる体がもぞもぞと動き始める。
あ、起きるかな。
タオル越しに何かを言っている。どうやら完全にお目覚めのようだ。
視界はタオルに邪魔されて、かつ下半身にただならぬ熱と締め付けを感じて戸惑っているようだ。
最初は起きない方がいいと思ったが、こちらの方が都合がいいかもしれないと思い直した。
笹本はテロリストの左耳に口を寄せる。
「いいから、動きなさい」
笹本が少し腰を動かすと呻き声があがった。
そして少しずつテロリストは動き始めた。その刺激に笹本は身を捩る。
「そぅ…っ そ…ァッ!んンッ」
動きは激しさを増していく。笹本はたまらなくなって胸を揉み始めた。
下からも悦びを帯びた声がしている。
それはまたさらに大きくなったようだ。
「あ…アッ、も……やっ」
甲高い声をあげて、笹本は絶頂を迎えた。
しばらく快楽の残り香にうっとりしていると、テロリストのうなり声が耳に入った。
それは縛られているから射精したくても出来なくて苦しんでいるのだろう。
笹本はゆっくりと抜いていき、テロリストの上に立ち上がった。
にっこりと微笑む。
「助かったよ。ありがと」
お礼に鳩尾に蹴りを入れた。
後始末を終えると笹本は脱ぎ捨てた服を着始めた。
テロリストも笹本によりズボンは着せられたが、股間はテントをはっている。
ネクタイは適当に首に巻いておいた。
欲求は解消されたが、最中の痴態に少し赤面した。
あんなになって、自分は変態なんだろうか。
悩ましげに唸っていると地響きが伝わってきた。
何だろう、と思って井上の顔が浮かぶ。
とりあえず1階に下りよう。
笹本は開け放されたドアを通り抜け、階段を下りていった。
テロリスト制圧に成功。
加藤純三の手術も無事に終わり、自宅まで無事に送り届けた。
車を出す前に加藤は井上に、もし考え直したら訪ねるといい、とにこやかに言った。
井上ははにかみ、会釈すると車を出した。
「二人ともよくやったな。鼻が高いよ」
四係部署で尾形は井上と笹本を労った。
石田はウンウンと頷き、山本は面白くなさそうに井上を見た。
「医者が一人怪我をしたが、とにかく死人は出なかった。お前たちのおかげだ」
「任務を全うしただけです」
笹本は何でもない風に言った。
そうか、と尾形は笑う。
「祝いに飲みにでも、と思ったが俺はこの後用事がある。何ならお前たちだけで行ってもいいが」
笹本は首を振った。
「また別のときに飲みましょう。それに、私も用があるので」
井上は笹本を見た。
「合コンでもあるんすか?」
はっ?と笹本は顔をしかめた。
違うんすか、と井上は呑気そうに言った。
「おま…忘れたのか」
井上はニヤリと笑った。
「いや、もちろん覚えてますよ」
笹本のこめかみに2本の青筋が浮き上がるが、すぐに引いた。深くため息を吐く。
「井上、とっとと済ませたいんだけど」
笹本は腕を組んで挑発的に井上を見つめる。
井上も面白そうに見返した。
二人のただならぬ雰囲気に他三人は思わず息を飲む。
「それじゃあ、お」
ガタンっと音が鳴り響いた。
みんな目を丸くする。笹本が井上を殴り飛ばし、井上が床に倒れていた。
「今はこれだけ。後で覚えてなさいよ」
笹本は鞄を取りお先に失礼します、と微笑んで言った。
尾形はあぁと呟き、石田は頷き、山本は頭を下げた。
笹本は軽やかに出て行った。
「あいたたた…」
井上は上体を起こして右頬を撫でる。
目を上げると三人が見ていた。
三人とも普段の尾形のように苦虫を噛み潰したような表情だ。
「何したんだお前」
山本の質問に、井上はちょっとな、と笑った。
*******
以上終わり。本当は井上と最後までと考えていたけど
書いている間にこんな風になったw
笹本さんの足コキテラ萌。
若干文章が単調だったけど、萌ました。
GJ!
小ネタ投下。エロ皆無。受け流してくれ。
「石田さん」
笹本がロッカールームへ、井上が仮眠室へ消えた後、先ほどまで考え込んだ風だった山本が石田を手招きする。
「何だ」
「みましたか、笹本さんの。」
「何のことだ」
「首筋ですよ、井上だよなぁ…くそお」
「ああ、そうだな」
「髪の毛で隠れないギリッギリの所にですよ!?腹立つ」
「盛り(サカリ)だ、盛り。」
「俺は常に盛ってるつもりですけど」
「気味悪いぞ」
もちろん話題は笹本の首筋の痕。
お目汚しスマソ
>>158-167 遅レスだけどGJ!これ好きやなあ
本当のドラマみたいだ
笹本尾形上手く行くと良かったのに
笹本カワエエなあ
しかし、ポーカーフェイスの尾形も人の子、やっぱドキドキするんだなw
下腹部が鈍く痛んだ。昨夜の情事の名残だ。
あいつの辞書には、配慮とか気遣いとか手加減、などという文字はないらしい。非常に残念だ。
笹本絵里は一人盛大に舌打ちをする。
それを耳にした山本が、ひぃ、と小声で鳴いた。笹本さん機嫌悪いっすね、などと石田に耳打ちを始める。
後ろの席の当人は、ちら、とこちらを見て失礼にも笑いを噛み殺した。
どこかの女流作家が、プラトニックなんてやる気ないと言っていた。それには概ね同意する。
「『せっかくだからやっとこう!』『忙しいけどとにかくやる時間だけは作ろう!』ぐらいじゃないと男って気がしない」らしい。
その作家先生の持論に当てはめれば、じゃあ井上薫は200点だ。
男と付き合うとはどういうことなのか、笹本にはよく理解ができていない。
将来の配偶者候補、遊び相手、セックスパートナー。それだけじゃないのか。
必要なときだけそこにいてくれる、都合よく夢中にさせてくれるいい男が欲しかった。
だけど今、いわゆる「お付き合い」をしているのは生意気な後輩の井上だ。
年下だから、なんて枠にはめるつもりは毛頭ないけれど、オフの井上はとんでもなく子供だった。
オンのときのあの鋭さはどこに身を潜めるのか。
食べ物のえり好みが極端だし、足を開いて座るなと小言を言うし、たまにはスカートを履いてだとか料理しないの、とか、とにかく多くを求めてくる。
せっかく休みが重なった休日に、出かける? と聞いても人ごみは嫌だというし、じゃあ何をするのかと思えば一日中筋トレかセックスだ。
お前サルかと罵っても、ええそうです、だからしようよ、としか言わない。
笹本が非番の前夜にも、ちゃんとやってきて半ば無理やりに自分を抱いていく。
その日だけはどれだけ断っても、井上は聞いてくれない。
最終的には腕力にものを言わせるのだから堪らない。
諦めて最初から身を任せた方が怪我の心配がないし、何より変なところに痕を残されないで済む。
また、尾形にそんなものを見つけられたら、なんて想像するだけでぞっとする。
そんなにも激しく笹本を欲しがるくせに、セックスが終われば、人の家のビールを勝手に一本飲んでさっさと帰っていく。
寝てけば、と聞いても、自宅じゃないと寝られないからと必ず帰っていく。
同棲や半同棲なんてまっぴら、と宣言はしたけれど、絶対泊まるなとは言っていない。
これが俗に言う、身体目当てか? と嫌になる。
だけど――だったら自分だって身体目当てだ。
セックスには相性が重要だ。一般論だけどこれには大いに賛同する。
井上とは、抜群に相性がいい。
肉体的疲労が限界で睡眠を一番に欲していても、井上が煽るようなキスをひとつするだけで、身体からどんどんと力が抜けて言うことを効かなくなってしまうのだ。
首筋を舐められ背を撫で上げられると、じゅくんと潤んだ下肢が井上を欲しがって疼く。
昨夜のセックスを思い出しただけで、勤務中の今であるにも関わらず、悪寒にも似た甘い疼きが背筋を駆け上がっていく。
また触れて欲しくなる。
淫乱な自分を、改めて知ってしまった。
井上のことは好きだと思う。
まず仕事が出来る。あの鋭すぎる感性を素直に尊敬している。幾度もそれに助けられてきた。できたら自分も、あれが欲しかった。
一見細身だけれど鍛え上げた熱い胸板に、囚われるように抱きしめられるのが好きだ。
軽々と抱き上げたり肩に担いだり、ひょいと持ち上げて後を向かせたり、と言ったことを簡単にしてのける。あの小柄な身体のどこにその力があるのかと不思議に思う。やっぱり筋肉の質の違いか。
井上は甘えたがりだ。セックスをしていなくたって、二人っきりだったら一日中べだべたしていたがる。……そんなに、悪い気はしない。
だからと言って彼も暇ではないのだから、無駄に笹本を拘束したりはしない。
休みの日にメールがなかったからと言って、急に怒り出すなんて面倒なことはしない。どうせ明日になれば嫌でも顔を合わせるのだから、とお互い判っているのだ。
井上は笹本が好きだ。
ほんとうにほんとうに好きだ。
何度もそれを口にする。判ったからと宥めても、恥ずかしいからやめろとあしらっても、何度も何度も。
あまりに執拗だから、まるで自分に言い聞かせているようだとも思う。
突然背後から冊子が出てきた。
「署内報です」
気配もなく原川の巨体が背後に佇んで、笹本を見下ろしていた。
「……ありがとう、ございます」
おずおずとそれを受け取る。
にっこりと無邪気に微笑むと原川は、ばさばさと乱暴に井上と石田と山本の机に署内報を投げ載せると、満面の笑みで尾形のデスクへと向かう。
尾形は、いつもの調子で原川に淡々と礼を述べると、すぐにノートパソコンへと向き合ってしまう。
それを切なげに見つめる原川をみて、あのひと、ほんとうはSPに超向いてんじゃないの、と面白くない冗談を思いついた。あの集中力と気配の消し方は、尊敬に値する。
――今度、井上に聞いてみよう。
署内報をめくりながら、ああ、また井上か、と笹本はげんなりする。
最近は何を見ても何を考えても、すぐに井上の顔が出てくる。
これを話したら井上はどんな反応をするだろうか、と言った生産性のない空想を知らずに繰り広げるのだ。
ぺら、と冊子を捲る。
三ページ目に、メンタルヘルスの相談窓口、などと書かれた記事が目に留まる。
日々の職務以外に、家庭のこと、持病のこと、老人介護について、子育ての悩み等フリーダイヤルで相談にのってくれるそうだ。親切なことだ。
彼氏が避妊をしてくれないんです、なんて、電話を掛けたら、悪戯だと思われるだろうか。
コンドームを嫌がるわけじゃない。そっちの方がまだ可愛い。
秘密にしていたはずのピルを服用を井上は知っていた。隠し事は得意だと思っていたけど、井上にはそれは通じない。
飲むのやめて、と押し迫ってきた。子供ほしいんスよね、と。
実際に薬を捨てられた。
あれにはほんとうに参った。
あたしの人生を、なんであんたに決められなきゃいけないの?
はっきり告げたかったけど、結局は飲み込んでしまった。
他の男とは違い、持ち前の気の強さを井上の前では隠さなくてもいい。
言いたいことはどんな罵詈雑言でも言えてしまう気楽さが井上と過ごす時間には確かに存在するのに、ほんとうに伝えたいことはなぜか覆い隠してしまうその原因は判らない。
元々避妊が第一目的な訳ではないし、それに妊娠に気が付かないで動き回って流産なんてことになったら嫌だから薬は飲ませて、と冷静に話をしたら井上は素直に納得をした。
それは困りますね、とあの整った柳眉に皺をよせて頷いた。
――じゃあさ、SP辞めませんか。
耳を疑った。
何の権利があってお前がそれを口にするのか。
怒りが過ぎると、悲しみで満たされる。そんな体験を始めてした。
結局は、井上もその辺の男と同じだった。相手に何かを求めるなんて不毛だ、と散々思い知らされてきたはずなのに、なぜか井上は違うと信じていたようだ。
自分を認めてくれていたのは、尾形だけだった。
一瞬だけ脳裏に描いた上司の姿を、井上は見透かしたようだった。
「いま、なに考えてました?」
目を細めて、腕を握られた。
こういう顔で、こういう口調で、詰め寄ってくる井上を怖いと笹本は思う。
男に怯えるなんて、もう二度とないと考えていたのに。
大抵の男は伸してしまえるけれど、井上にはそれが出来ない。
井上は確保が巧い。簡単に腕を捻り上げられてしまう。しかも、完璧な手加減の上。嫌味なほど優秀だ。
「…………子供の、名前?」
嘯いて逃げようと身を捩る。
だけど簡単にその身体を引き倒された。
「じゃあその前に子作りしなくっちゃ」
くちびるが降ってくる。
とてもとてもそんな気分じゃないのに、圧し掛かる井上はぴくりとも動かせない。隙がない。ああ、今日はいくら拒否をしても、無駄な日だ。
それでも、どうしても無神経な井上を許せなくて力の限り身を捩る。
「笹本さん?」
「や、だ!」
「なんで?」
「そんな、気分じゃ……あっ!」
両腕をさらわれて、頭上で一纏めにされてしまう。
いつもこうだ。安々と、腕力で抑えつけられて。
男である肉体を自慢されている被害妄想に陥る。
SPなんて男の仕事だ。だれもがそう言う。
女にも出来ることはあるけれど、それは本領じゃない。
SPは元来男の仕事だ。笹本もそれは不本意ながら認めている。
だけど、こんなにも違いを見せつけられては、とても正気ではいられない。
「やだ、井上、井上……やめて、お願い…………」
「……どうしたんですか?」
「いやだ……」
「嫌なの?」
縋るような瞳で、井上が覗き込んでくる。
その眼は、ずるい。
見捨てないで、と全面で物語る。
俺はこんなにも好きなのに、笹本さんはは違うんだ、と責められている罪悪に襲われる。
尾形は、違ったのに。
欲しがらなかった代わりに、あるがままの笹本でいさせてくれた。
また無意識のうちに比べてしまって、胸に抱く罪悪感が大きくなる。
「俺のこと、嫌い?」
ついにその、卑怯な一言を井上が発する。
諦めて笹本は、ゆるゆると首を振った。
「……すき」
「ほんとに?」
「ほんと。だから……ちゃんと、」
「なに?」
「…………し、て」
犬のように笑った井上が、拘束をほどいて笹本の身体を抱きしめる。
やっと自由になった両腕を、井上の背に回してぐっと力を込めた。
安堵したように井上が息を吐く。
ついばむような口付けは、やがて激しさを増して快感への足掛かりとなる。
面倒な男を好きになってしまったものだ。
そもそも、セックスとはもっと、激しくも穏やかであるものではないのか。
なぜ井上とは、いつも喧嘩のようなそれになってしまうのか。
やっかいなことに、こんなに酷い仕打ちを受けても、どろどろに濡れてしまうのだ。これはもう、好きだから、としか言えないのがまたバッドだ。
現状に名前をつけるならば共依存、か。なんて面白くない。
自分は強いと思っていた。
精神のバランスには自負があった。
二度目だ。メンタルヘルスのお世話になるつもりは毛頭ない。
喪失は一度で十分だから。
「笹本」
隣の席の石田が、身体をこちらに向けていた。
「何ですかー」
「疲れてるのか?」
「普通に疲れてます。いつも通りに」
「そうか……。お前、男でもできたのか?」
「……それ、プレッシャですか?」
低く問い返せば、いやいやいや、と石田が両手を振る。
からかっただけなのに、ほんとうに石田はいい人だ。SPにしておくにはもったいない。
いいパパでいるべきなのに。
間違って死んだら、どうするんだ? 写真でしか知らないあの可愛い娘さんは、何リットルの涙を流すのだろう。
くすりと笑ったら、肩の力がふっと抜けた。そういえば、笑うのは久しぶりかもしれない。
「冗談です。なんで、そんなこと急に?」
恋愛にうつつを抜かしているかもしれないが、仕事に手は抜いていない。絶対に。
女だから、なんて言われるのはまっぴらだ。
「いや、最近、合コンって言わないかじゃないか」
「…………それだけ?」
「ん? ああ。男できたから、必要なくなったのかと思って」
ちょっと返答に迷って、しばらくはいらない、と続けようとしたら背後から急に井上の手が笹本の首に回った。
「そ、俺の相手でいっぱいだから合コン行かないらしいっすよ」
しん、と場の空気が凍った。
「……あ、れ? そ、そうなの?」
昼間の幽霊を見たような山本が、間の抜けた声を出す。
その調子の外れた音に我を取り戻した笹本は、首に絡まる井上の手を冷静に振りほどいた。
「……ばかじゃないの山本、有り得ないだろ。井上、気安く触んな。金とるよ」
大人しく振りほどかれた井上が、いかにも残念、というように首をすくめた。
「ちえ。ちなみに、幾らですか?」
「一回三万円」
「たかっ」
「相場だろ」
「それどんなぼったくりっすか」
「三万でいいのか……」
「石田さん? よからぬ想像してるっしょ」
「石田さん信じてたのに……」
井上が、石田さんセクハラですかと笑い始める。
当の石田は違うよ、と苦笑いを浮かべている。山本がそれに絡んで、笑い声を上げる。
ちらり、と視界の端に入った尾形も、目じりを下げて優しく微笑んでいた。
ああ、よかった。
これが日常だ。ここが、あたしの居場所。
井上との関係がばれて、石田や山本に余計な気を回されるなんて、まっぴらだ。
尾形にからかわれでもしたら、その痛みは想像に耐えない。
まだ尾形に拘っている自分に驚いた。
自慢の切り替えスイッチが正常に作動していない。これはどうしてだろう。
井上を、愛し始めているはずなのに。
あの日、尾形に別れを告げた日。
この痛みは自分だけのもの、生涯背負って生きていく、と誓った。今思えばただのナルシズムだ。
井上は自己陶酔を許容しなかった。そんな暇を与えずに、盲目的に笹本を希い、温もりと充足と快楽を与えて余所見を許さない。
宣言通り、笹本のなかから尾形の影を追いだそうと躍起になっているようだった。
だけどそうされればされるほど、触れられたくない古傷に塩を塗りこまれている錯覚に陥る。
眼を背けたい現実を、顎をつかまれて直視させられて、愛されてなかったでしょ、と脳髄に叩きこまれて。
気が狂いそうに息苦しいはずのに、どこかでそれを居心地よく感じてしまう。
この上SPまで辞めたら、もう井上しか縋るものは残らない。
逃げ道もアイデンティティもすべて奪われて、からっぽになってしまう。
井上が求めているのは、ほんとうにこんなつまらない自分なのだろうか。
*
明日休みだから、と当然のような顔でひとの部屋に押しかけて来て、呆れるほどの自然体で冷蔵庫を開けビールを取り出した井上の後姿を、腕を組んで睨みつけた。
実は、怒ってる。井上の勝手な振る舞いに、腹を立てている。
井上が気が付いているかどうか、知らないけど。
「……井上、昼間のあれ、どういうつもり?」
「どれ?」
つめたいビールを喉に流し込みながら、行儀悪く井上が歩み寄ってくる。
飲むか歩くか、どちらかにしろ、と笹本はこっそり舌を打つ。
「社内恋愛は秘密裏にするもんだろ。いきなり暴露すんなよ」
「ああ、あれね。冗談にされて俺、傷ついたんですけど」
償ってなどと、ぬけぬけと言い放って、顔を寄せてきた井上の頬をぱちんとはたいた。
自覚はあるけど己は暴力的だ。過去にはこれが原因でよく喧嘩に発展していた。
暴力慣れしている井上とは、こんなことでは喧嘩にならない。
「石田さんや山本に気を使わせんなよ。社会人としてのジョーシキだろ」
「大丈夫だって、ばれてないって…………石田さんたちには」
「…………どういう意味?」
「係長には、気付かれたかもしれないですね?」
挑むような目で、井上が視線をぶつけてきた。
今日は逃げない。絶対に。怒っているのはこっちのほうだ。
「…………ばれたら、どっちかが異動だな」
「うん。たぶん笹本さんがね」
こいつそれを狙ってるのか?
片眉を上げた笹本のくちびるに、悪戯の見つかった子供のような顔をした井上が素早く触れてくる。
逃げる間もなく重ねられたそれは、だけどすぐに離れてしまった。
息のかかる距離をキープしたまま、井上が言う。
「係長にばれるのが怖い? それとも、尾形さんに知られるのが嫌?」
「…………係長に、決まってんでしょ」
ふぅんと呟いた井上のくちびるが、また迫ってきた。
舌が入り込んでくる。
ビールの味がする。
冷えた缶が急に頬に押し当てられて、びくりと身が竦んだ。その反応に、井上が喉の奥で楽しそうに笑う。
遊ばれている。癪になって、顔を背けた。
「……まだ話終わってないけど」
つめたく言い放ちながら身を捩らせた。
簡単にするりとその腕から抜け出せた、と意外に思ったら、すぐに後から抱きしめられて、再びにその腕の中に捕らわれる。
「後で聞きます」
井上のくちびるが、首筋に落ちてきた。
「これ持って」
差し出されたビールの缶を、なぜか素直に受け取ってしまった。自由になった左手も追加されて、更にきつく拘束を受ける。
熱く湿る舌がねっとりと首や肩を這いまわる。
細い身体に巻きついた両の掌も、洋服の上から焦らすような緩慢な動きで膨らみに辿り着いた。
たったそれだけで、全身がかっと熱くなった。
後で聞く、なんて、井上がそんな殊勝なことするわけがない。
判っているのに笹本は、与えられた熱に浮かされてすぐに思考を白く濁らせてしまう。
この温度に抗えない。抗いたくない。身を委ねてしまいたい。
息を乱し始めた笹本に気をよくした井上が、素早くボタンを外していってしまう。
器用な指だよな、と笹本は井上の顔を仰いでキスを受け止めながら思った。
熱いくちびるが重なる。舌が絡まり合う。身体から力が抜けた。
指が腹部を這いあがる。もっと、もっと欲しい。
下着のホックも簡単に外され、熱い掌が直に乳房に触れた。感触を楽しむように揉みしだれて、立ち上がった乳首が触れて欲しいとばかりに疼いた。
「…………好きだなー、これ」
「……っ、なに、が?」
「揉みごたえがあるっていうか。俺専用ってのがまたいいっすよね。そう思いません?」
「思わな……あっ、ん!」
突然、色づいた蕾を指で挟まれて甘い悲鳴が漏れる。
その硬度を確かめるかの如くこりこりと執拗に責められて、腰が引ける。
密着した臀部に、張りつめた井上自身が触れて、期待に下肢が疼いた。
早くこれを埋め込んでほしい。ナチュラルに思考がそこへ行きつくとは、とんだスキモノだ。
知っていたけど。井上とセックスするようになって、ますます拍車が掛ったようだ。
腰を支えていた左腕がこっそりと動いて、ズボンのボタンを外した。素早く下着の中に入り込んで、敏感な部分に触れてくる。
「あっ……!」
「うわ、すっげー濡れてる……」
「ん、やだ、言うなっ……ぁん!」
「立ったままってのがいいの?」
「ちが、うっ、ひぁ……っ!」
「だってほら、こんなにぐちゃぐちゃですよ」
井上がわざと水音を立てながら、相変わらず確実に笹本を絶頂へと誘う。
いや、と言葉にならない甘い声を押さえることも出来ずぽろぽろと垂れ流し、笹本は全身を小刻みに震わせてあっけなく達してしまった。
「……あ、」
「おっと」
両膝から力が抜けて崩れ落ちそうになった身体を、井上に抱きとめられた。
これ危ないっすね、と手の中のビールを奪って非難させる。
誰のせいだよとは思ったが、絶頂の余韻が甘すぎて声を出す気力もない笹本は、ぼんやりとその様子を眺めた。
「笹本さんも、」
ゆっくりと床へ笹本を座らせながら、井上が耳元で囁く。低い吐息のような声音がくすぐったくて肩をすくませた。
「大概、ケモノっすよね」
「…………お前に、言われたく…ない」
「可愛いなーほんと」
またからかわれた。かっと頭が熱くなる。
「……閉じ込めちゃいたい」
半ば本気が透けて見えるその揶揄にぞくりとする。
気だるい身体を捩り拒否しようとした肩を押されて、前のめりに床に倒れこむ。
なにすんだ、と言うよりも早く、下肢に絡まる衣服を双丘から素早く滑らせて、また敏感な性器に触れてきた。
「……ゃ、あ、井上……っ、井上っ!」
「その声ずるい……ね、もう入れていい?」
「…………っ、うん……」
まだ服を脱ぎきってないとか、膝が痛くなりそうだからせめてベッドにとか、このまま後ろから突っ込んでケモノプレイかとか、言いたいことはいくつかあったけど、どれも言葉に出来ずにただ従順に頷いた。
熱い井上自身が内部に埋まる。
ゆっくりと押し入ってくるそれに、意識が集中をする。
半ばまで埋め込まれた所で敏感な部分を擦り上げられ、知らず彼を締め付けた。
「っ、……気持ちいい?」
「あ、やだ……んんっ」
「いや?」
「……ちが、気持ち、いい……あっ、ああっ!」
一気に最奥まで突き上げられて、普段の体勢よりももっと奥を刺激されて息が詰まる。
ずん、と一つ突き上げられて身体が震えるたびに、脳髄も揺さぶられて思考がどんどん溶けていく。
「……のぅえ、あん…や、いやっ…んぁ!」
何かに縋りたいのに、あいにく床には何も転がっていない。
毛足の短い絨毯に爪を立てて、強烈な快感の支配を甘んじて受ける。
絡まりあった体液が、秘部から零れ内ももを伝った。
「笹本さん」
突然動きを止めた井上が、身を折り曲げてその熱い胸板を笹本の背に密着させる。
耳たぶがちりりと痛んだ。
井上に噛まれたのだ。
「好き」
耳元で囁かれて、身をびくりと震わせた。
「……っ、んんっ」
右手が重なる。指の間に無骨な指が入り込み、ぎゅっと手の甲を握りこまれた。
左手は、頬を撫でてくちびるの形を確かめて、首筋を伝って左胸へとたどり着く。
緩慢な動きに焦らされ、貫かれたままの秘部がぴくぴくと意志とは関係なく動いてしまう。
そのたびに井上を内部に認めて、また身体が熱くなる。
「すき」
「ん、うん……」
「気持ちいい?」
「……んっ、うん、の…ぅえ、井上……っ!」
「なに?」
「きもち、い…から……もっと……」
「欲しい?」
「ほしい……あ、ぅん……や、」
「俺のこと、好き?」
「……すき、やっ…あん! ふ、すき……」
繰り返し繰り返し、好きと囁かれて、言わされて、気持ちいかと尋ねられて頷かされて求めさせられて。
判断力が低下している最中にこれをやられるから、一種の催眠状態に陥っているんじゃないかと自己分析を終えた。
振り返ってくちびるを強請る。飽きるほど舌を絡ませ合うのに、まだ足りない。
好きだからだ。
何もかも考えられなくなるほど、めちゃくちゃにしてほしいと泣きそうに強く思ったところで、激しすぎる律動が再開された。
望みどおりに激情のままに幾度も貫かれて、さすがに意識も身体も限界だ、と眼尻からこぼれた涙が物語っていた。
もうだめ、と何度も訴えたのに、それが止まる気配はない。
許容を超えた強い快感に、目の前が白んだ。
ああ、やばい、と自覚したのと同時に、膣内が熱い体液で満たされる。
どくどくと注ぎこまれるそれを心地よく受け止めながら、笹本は意識を手放した。
だけど気を失っていたのはほんの一瞬だったようだ。
不安げな井上の声で呼び戻された。
「笹本さん? 大丈夫?」
ゆるゆると目を開けると、安堵の表情を浮かべた井上の顔が間近に迫っている。
いつの間にか裸体がベッドに埋まっていた。
「…………あのさ、手加減、覚えて」
「ごめんごめん。明日休みだから、つい」
ついうっかりで意識飛ぶほど突きまくるな。身体が痛いじゃないか。
悪びれない井上を罵る体力もなく、笹本はぐったりとシーツに身体を埋めた。
「……寝る?」
「うん…………あんた帰る?」
「んーもう少し、いようかな。心配だし」
その言葉に、不覚にも顔がゆるんだらしい。
驚いたように両眼を見開いた井上が、顔を覗き込んでくる。
「…………いま、喜んだ?」
端正な顔のアップ。
キスが欲しい。頭を、頬を撫でて欲しい。暖かい手で触れていて欲しい。
「…………少しだけ」
「少し?」
ああ、それよりも瞼が重たい。
お願いだから、もう少しだけ抱きしめていて。眠るまででいいから。そんなに時間はかからない。
いつの間にかこんなにも、井上を求めている。
「ん…井上……ここ……いて……」
いいよ判ったと、優しい声音が、どこか遠くで聞こえた。
*
夜中に低い音が響いて飛び起きた。
はっと隣を見やると、その音は井上の口からこぼれているようだ。
額にびっしりと汗を浮かばせて、眉根にきつく皺を刻み食いしばった歯の隙間から低い呻き声が断続的に漏れている。
「井上?」
一瞬だけパニックに陥ったけれど、とっさにその身体を揺さぶると、ぼんやりと目を見開いた井上が焦点の定まらない瞳をこちらに差し向けている。
しかしすぐに覚醒をしたようで、ばっと両腕で顔を覆い隠してひとこと、ごめん、と呟いた。
「……なにが?」
「起こしました」
「いいよ、そんなの。……怖い夢でも見た?」
「……うん、まあ」
「どんな?」
「………………山本が実は女で、俺に迫ってきました」
「厳しいな、ソレ」
たぶん、井上はいま嘘をついた。そのぐらいは、判る。
誰にでも秘密はある。知られたくないことの一つや二つぐらい、持っていて当然だ。だから、追求はしない。
代わりに、そっと硬い髪を撫でた。
「怖い夢見て泣くなんて、子供みたい」
「泣いてないし。笹本さんはお母さんみたいですね」
こんなでかい子供産んでない、と言ってしまった後で、井上にはもう両親がいないんだったと思い出す。
「……女の子が欲しいな。笹本さんそっくりの」
唐突な発言に面食らう。こいつ、まだ諦めていなかったのか。
「…………気の強い女がもう一人できて大変そうだな」
「頼もしいじゃん」
「あんた、そんなに子供好きなの?」
「好きですよ。すっげー好き」
「意外。そんな風に見えない」
そうですか、と井上が顔を上げる。
子供もいいかもしれない。こんなに井上が言うなら、きっといいものなんだろう。
ただし、どっちに似ても頑固でやっかいそうだ。
もしかしたら、親を反面教師にして物凄く素直ないい子に育つ、という可能性もなくはないけど、低いだろう。
一人でにやにやと笑って、不思議に思う。
今まで、子供が可愛いと思ったことはあっても、欲しいと思ったことなんて一度もなかったはずなのに。
「……もしも、俺が死んだら」
「やめてよ縁起でもない」
「笹本さんだって覚悟してるでしょ?」
「していないわけじゃない、けど、」
「たとえば、の話だから」
「……」
「もし俺が、死んだら。笹本さん、泣いてくれるでしょ? そういうひとが、ずっと欲しかった」
ずいぶんと身勝手だ。子供と笹本を残して、自分だけ死ぬ未来を想定している?
尾形と正反対なのか。尾形も尾形で、身勝手だと思ったけれど。男はみんな身勝手な生き物なんだろうか。
もしも、井上を失ったら、正気でいられるか。
不毛な未来のトレースは、だけど上手くはいかなかった。
たぶん一番泣くのは、山本あたりなんじゃないか、と思考が苦痛から逃げた。
うん、とだけなんとか呟いた。
井上は、それ以上何も言おうとしなかった。何かに満足をしたようだ。
この話はもうおしまい、とばかりに気だるい身体を何とか起こして立ち上がる。寒さに身が震えた。
適当に上着を羽織って、キッチンまで足を伸ばす。
「何か飲む?」
水、と飛んできた返事にはいはいと適当に答えて、白い冷蔵庫の扉を開ける。
買った覚えのないビールが六本、紙のパックに入ったまま真ん中の棚に鎮座している。
ミネラルウォータのボトルを取り出して、井上に声を投げつけた。
「あんた、ビール入れた?」
「入れましたよ。ご機嫌取ろうと思って」
ご機嫌とりは、口に出したら意味がないんじゃないか?
だけどたったそれだけのことが、嬉しくなる。
あの井上が、自分の機嫌を察知して、喜ばせるためにと必死に考えた結果なんだろう。
ビールを買ってきてくれたぐらいで、簡単にご機嫌を取られてしまうなんて。やっぱり、言い訳も出来ないほど好きみたいだ。超グッドだ。
せっかくだから一本だけ井上と半分こして飲もう。明日は休みだし。
飲んだらまた肌を重ねながら眠ろう。
一本を取り出して、幸福の名残に火照る頬へ押し当てた。
その熱を収めるように、体温が奪われていく。
今は、たぶん、二人ともはしかにかかっているようなものなのだ。この頬のように、一時的に熱くなってしまっているだけ。
恋の初期段階には非常によくあること。
この熱が、緩やかに愛へと変わっていけばいい。このまま未来を重ねられたらいい。それはきっと、世間一般でいう「幸せ」なのだ。
乾いた身体にアルコールを流しいれながら、笹本は一人願った。だけどそれは余りに己に不似合いすぎる夢見がちな発想で、井上に伝える気には到底なれなかった。
その後、これを心底悔むこととなる。
――――――事件発生 十日前。
*
以上でこのシリーズは終了です。
長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。
GJくださった方、励みになりました。感謝しています。
では。
G―――J!!
投下お疲れ様〜リアルで読めた!嬉しい!
シリーズ終了ですか…さびしいです……
あなたの殺伐系なかんじ、大好きでした。
最後の笹本井上が少し甘いのも、ホッとして良かったです。
またの投下、お待ちしております!
GJ!そしてありがとう。
もう続きは読めないのか。とても残念。また別のシリーズお待ちしてます。
本当にありがとう!
GJ!!すごい良かった!
最後感動した。
GJ!!世界に引き込まれる。
グッときた。
しかし井上のKYっぷりにはワロスwwww
話のうまさに読んでてため息が出た。
しかも短期間に立て続けに5本ってすごい妄想パワー。
この1か月、もったいぶった本編のタルさを補ってもらった感じです。
(つーかしばらく放送なかったし)
みんな死んじゃったとこで投下終わりってのもクールだ。
お疲れ様でした。ありがとう。
誰か石田絡みで…何か妄想ないですか
石田いれば何でも良い!!
すきだああああ
>>215 石田絡みはあんまりエロは浮かばないな。
以下思いついた小ネタ。
4人で談笑しているとき、ふと井上を見ると真剣な視線とぶつかった。
「どうした?」
笹本の問いかけに井上はいや、と続ける。
「笹本さんって胸どんくらいあるのかなーって」
笹本は瞼をピクピクさせた。
「訴えるぞ」
「着痩せタイプっぽいっすよね。脱いだらすごいかも」
ゴクリ。山本と石田は唾を飲む。
「ちょ、何考えてんのよ」
んー、と井上は呟いた。
「パイズリやったことあります?」
デスクで尾形が茶を噴いた。
「係長…!」
笹本はプルプルと全身を震わせていた。
「ま、待て。今のは不可抗力だ。井上もいい加減にしろ」
はーい、と井上は手をあげた。
「でも一度はやられたいっすよね〜」
「口を慎め…柔らかそうだな」
ハッと尾形は口を抑えた。
笹本は席を立った。
「次に会うときは法廷で」
「さ、笹本…!ほんの冗談だ」
「特に係長が言うと冗談に聞こえません」
では、と笹本は四係を後にした。
後日新聞の一面を警察の不祥事が飾った。
お、尾形さん……il||li _| ̄|○ il||li
でも係長がボロ出す前に、原川さんの天誅が井上に下ると思う
>>216 書き込んでから気づいた、ここはエロパロのスレか…
自分で振っておきながら、だけど確かに石田絡みのエロは思いつかないorz
ほのぼのがいいなぁ〜〜
つづきまってまーす
教えてくれ・・・
>>218はどこだと思って書きこんだんだ
>>219は何の続きを待っているんだ
俺に真実を寄越せ
あと一人ぐらい女性がいたら、エロパロ的にも盛り上がった気もする
田中とか殺し屋とか、いい男がいるのにマッチする女がいない
笹本ばっかじゃアレだし
笹本は乳がデカイけど、ヒロインにするにはちょっとな・・
やっぱりこう女の子らしい女の子もいてほしい
そうするとエロが一気にひらけてくるのに!
ま、警察ドラマだから無理か。
パラレルワールドでも作るしかないか?
>>220 うんいやあのエロパロのスレってのは知ってたしそのつもりで見てたのよ。
ただ途中途中にほのぼのSSとかでてきて「あー石田でてるよーいーなあ石田の小説見てえーー」
とか思ってたらなんか衝動のままに書き込んでた。
イタいorz
あと一人くらいそれなりに出番ある女がいればな。
候補は8話にちょろっと出たあの人くらいしか。ただ笹本みたいにサバサバしてそうだけど。
てか警察ものでキャピキャピした女っているか?
224 :
石田さん1:2008/01/24(木) 02:35:24 ID:kXpJxJ6W
>>215みたときに考えたネタ。えろはなし。とりあえず続く。
暖かな午後の日差しを浴びて、石田は公園を歩いていた。
久しぶりのオフだ。SPの仕事を始めてからというものの、多忙な日々が続き丸一日ゆっくりできることが少ない。
日本はテロ対策にあまりご熱心ではないが、こんなことまでというような仕事もSPは引き受けるので、
怠け目的でSPになったわけでもないが、勤め始めてからその意外性と多忙さに驚いたものだった。
腕時計を見るとあと10分で約束の時間だ。待ち合わせ場所にある銅像を見上げ、近くのベンチに腰掛ける。
今日はちょうど日曜日で、公園は人々で賑わっていた。その中で初々しいカップルを見かけ、遠い昔のことを思い出す。
懐かしさと一緒に過ぎた年月を思い知って少しだけ面食らった。
おぎゃあおぎゃあ、という元気な声の後にあやす声が聞こえる。
今度は数年前のことを思い出す。
そのときの石田はまだSPではなく、今よりはよくオフがあって妻とまだ赤ん坊だった娘と一緒に過ごしていたものだった。
それが今ではこれだ。石田は苦笑した。
225 :
石田さん2:2008/01/24(木) 23:52:32 ID:kXpJxJ6W
そのとき、パパ、というかわいらしく馴染みのある声が耳に届く。
石田はそちらに目をやると、愛らしい娘が石田に向かってちょこちょこと走っていた。
名前を呼べば、娘はさらに破顔してさらに手足を一生懸命動かす。
あぁそんな風に慌てなくてもいいのに。
ちゃんとここにいるから、と笑みをこぼす。
石田はベンチから立ち上がると娘の方に歩き出した。
駆け出したい気持ちを落ち着けて、日差しで暖まったアスファルトの上を、できるだけ大股で近づいていく。
娘は転びそうになりながらも、ようやく父親の上着を掴んだ。
そして小さな腕で力いっぱい抱きしめる。
その小さな頭に大きな手が降りた。
「相変わらず元気だな」
石田は娘を抱き上げた。心なしか以前より重くなった気がした。
226 :
石田さん3:2008/01/24(木) 23:55:38 ID:kXpJxJ6W
それから娘がやって来た方向に顔を向けると、一人の女性が目に入った。
女性は石田の方に近づいてくる。
「やぁ」
石田の呼びかけに女性は少し頭を下げ、胸元の娘に目線を合わせた。
「今日は大丈夫だったわね」
前に会ったとき、娘は今日のように駆け出して途中で転んだのだ。
うん!と娘は大きく頷いた。
女性は静かに微笑んだ。石田は一瞬ドキリとする。久しぶりに見る元妻の笑顔は相変わらず美しかった。
ふと彼女と目が合うが、石田は誤魔化すように娘の頭を撫でた。
娘は嬉しそうな声をあげる。
「あのね、ママがお弁当作ったの!」
石田は改めて彼女を見ると、彼女の肩にかかった暖色系の花柄のショルダーバッグが白い服によく映えていると思った。
「中身は何だろう」
えーとね、と父親の問いに娘が考え込むと、母親は娘の名前を呼んだ。
「あ、えっとね、秘密!」
ねっと娘は母親に笑いかけ、彼女は微笑み返した。
石田はクスリと笑う。
227 :
石田さん4:2008/01/24(木) 23:56:54 ID:kXpJxJ6W
「楽しみだなー それじゃあそろそろ行こうか」
偶然にも、今日は娘の大好きなキャラクターショーが近くのデパートの屋上で開催される。
そのショーを3人で見て、それからこの公園に戻ってきてご飯を食べるのが今日の予定だった。
腕の中で娘はキャッキャッとはしゃいでいる。
ねぇ、と母親は娘を呼んだ。
「まだ疲れてないでしょう。歩きなさい」
大丈夫だよ、と石田は言ったが、もうそんなに若くないんだから、という言葉が胸に突き刺さった。
娘も駄々こねることなく素直に下ろして、とお願いしたから、石田はそうしてやった。
地面に足をつけるとすぐに娘は両親と手を繋ぐ。
そして3人は一緒に歩き出した。
傍から見れば彼らはどこにでもいるような家族だった。
けれども法律上、家族ではなかった。
大変申し訳ないのですが、もう少しきりのいいところで区切るか
全編書き終えてから投下していただけないでしょうか
内容もつまんないし
うわ!良スレ発見!!
ってかネ申多すぎだろwww
>>224 ほのぼのした感じで自分は好きだよー
小ネタとしてならイイカンジ?
>>228 申し訳ない。
携帯で打ってるんだが間違えて続きを消して遅くなった
保存はこまめにしないとな。
ところで小ネタどころか長くなった。
ってことで続き
233 :
石田さん5:2008/01/26(土) 09:03:51 ID:egMyVLWz
石田は娘と手を繋いで歩くとき、よくあのときのことを思い出した。
ある任務についていたときのことだ……娘が誘拐された。
昼間に別の公園で母親が友人と世間話をしていて、娘から目を離していた。
友人の子供と娘は一緒に遊んでいたので、油断していたのだ。
聞いた話によると、娘は飛んでいったボールを追いかけて行ったそうだ。
それからずっと戻って来なくて、他の子供が大人たちに話してから事件は発覚した。
普段の彼女は見た目に反して非常にしっかりしていて、どんなトラブルがあっても大丈夫だ、と笑顔で言う人だったが、
このときだけは全く違っていた。
石田に電話をかけたとき、あまりに混乱していて彼女の友人が代わりに事情を説明したほどだ。
もちろん石田の衝撃は計り知れないものだった。
電話の向こうで微かに聞こえる彼女の狼狽えた声は直接耳にした友人の声よりも印象的だった。
友人は早く戻って来て彼女の傍にいて、とお願いした。
そのときの石田は県外で任務についていたが、彼女の許に戻るのに半日もかからないくらいの距離にいた。
234 :
石田さん6:2008/01/26(土) 09:08:28 ID:egMyVLWz
あのとき、石田自身でさえ何故そうしたのか今でもわからなかった。
それでも今にも携帯を落としてしまいそうな手で、友人に告げたのだ。
「最後まで任務につく。後は頼んだ」
抗議はボタンに遮られて最後まで石田の耳に届くことはなかった。震える手はたどたどしく、ポケットに携帯を入れた。
それからしばらくのことを石田はよく思い出せないでいる。
言葉通り任務を最後まで全うしていたらしいが、当時一緒に任務についていた同僚が言うには、
石田にしては珍しくよく喋っていたらしく、面白くない冗談も言っていたようだ。
誘拐事件のほうは数日で解決した。
幸いなことに目撃者は多数いた。それに犯人は女性で、流産で子供が産めない体になってしまい、
つい魔が差して娘を家に連れて行ってしまったらしい。
身の代金目的でも悪意があったわけでもなかったので、娘に危害はなかった。
戻って来たときは娘はいつものように笑っていて、誘拐犯にありがとうとお礼を言ったらしい。
娘は母親に似て人見知りをしない子だったので特に嫌な思いはしていなかったようだ。
何にせよ酷いことをされたわけでもなかったので、それは救いだった。
235 :
石田さん7:2008/01/26(土) 09:11:07 ID:egMyVLWz
石田が家族の許に戻って来たのはそのさらに数日後だった。
迎えは彼女一人だった。
お帰り、ただいま。そんな簡単な挨拶さえなく、帰宅するまで二人は無言だった。
居間のソファに腰掛けたとき、彼女はやっと口を開いた。
「別れてください」
普段の彼女から考えられない、死刑判決を宣言するような冷たい声だった。
石田は何も驚かなかった。電話を切ったあのときからわかっていたことだった。
離婚手続きをしている間、二人は必要最低限の会話しかしなかった。
娘は両親の不仲を感じ取って、その間はいつも不安そうな表情だった。
ごめんね。パパが悪いことをしたんだ。
その言葉は声帯を通ることはなく、代わりに娘を抱き締めていた。
それから石田が出て行く日が来た。娘は友人に預けていた。
石田は彼女と事務的な会話をして、荷物をまとめた。
バッグを持って家を出て行く直前、ただ一言、心からの言葉を残した。
すまなかった、と。
236 :
石田さん8:2008/01/26(土) 09:13:56 ID:egMyVLWz
「仕事はどう?」
公園のベンチで彼女にもたれかかってスヤスヤと寝ている娘を撫でながら、彼女は聞いてきた。
「相変わらず忙しいよ」
そう、と彼女は小さく呟いた。
石田が家を出てから、時間をかけて彼女も落ち着きを取り戻してきた。
数ヶ月してから彼女から電話をもらったときは耳を疑ったな、とそのときのことを思い出す。
日差しは午後になるとまたさらに暖かく、昼食の満腹感も手伝って少しウトウトとしてしまう。
彼女の料理は本当においしかった。同じ料理を作っても、不思議なほど味に差が出てくる。
何か秘訣でもあるのか、と聞けば、どうでしょうね、といつも微笑む。
きっと彼女にしか使えない魔法をかけているんだな、と石田は自分で納得する。
離婚してから自分で料理をしないといけなくなり、時折彼女の料理がなくて寂しさを覚える日もある。
言わずもがな、彼女と娘に会えないのも寂しいが。
だからこうやって三人で会うとき、たまに彼女が手料理を食べられるのは嬉しかった。
「先に渡しておくわ」
彼女はバッグの中から紙袋を取り出して石田に差し出した。
石田は受け取って中身を見ると、包みが入っていた。重さと微かな香りから何かの料理だと知る。
「忙しいからって、しっかり食べないとだめよ」
石田は唸った。
ここ最近は忙しさもあって食事を取らないときがあったり、ちゃんとした物を食べていなかったりしていたからだ。
237 :
石田さん9:2008/01/26(土) 09:16:13 ID:egMyVLWz
「見透かされてるなぁ」
彼女はいたずらっぽく笑う。
「あなたは真面目だからね、不器用なほど…真面目すぎるのよ」
声のトーンが変わった。緊張した空気が漂う。
あのときのことを思い出しているのかな、と石田は思った。
「そういうところ、好きだったわ」
石田の胸がズキリと痛んだ。
彼女は娘のかわいらしい寝顔を覗き込む。
「SPって嫌な仕事ね」
娘の柔らかい頬をツンツンとつつく。
「まだ続ける気?」
石田は黙って頷いた。ふーん、と彼女は石田を見た。
「やめてもいいのよ。養ってあげる」
石田は苦笑する。彼女はちょっとした腕を持っていて、そこらへんの男よりも稼いでいた。
こんなことを言うぐらいだから、結構貯めているのだろう。
「使い物にならないぐらいヨボヨボになったときに頼む」
「あら、でもその頃には別の人を養っているかもね」
彼女の言葉には挑発的な含みがあった。
238 :
石田さん10:2008/01/26(土) 09:19:19 ID:egMyVLWz
そういえば、と石田は言った。
「誰かそういうやつはいないのか?」
少し間を置くと、彼女は首を横に振った。
「当分の間はいらない」
申し訳ないと感じつつも石田はホッとした。
「今ホッとしたでしょう」
心臓が飛び跳ねた。
「え、あ、いや、…」
あたふたとする石田をニコニコと彼女は見ていた。
「…うん、したよ」
結局観念する。彼女はクスクスと笑った。
「本当に不器用なほど真面目で…真っ直ぐ」
でもね、と彼女は続けた。
「警察をやめないならダメ。少なくとも転職して」
この年で転職か、と他の仕事につく自分を想像する。
「紹介しようか?」
声に真面目な調子がこもっていて、石田は彼女を見ると、真剣な視線とぶつかる。しばらく見つめ合って、石田は頭を左右に動かした。
「好きなんだ」
彼女は一瞬悲しそうな表情になったが、すぐに目を逸らしてため息をついた。
「私もね、好きよ」
あなたのは嫌いだけど、と彼女は最後に付け加えた。
239 :
石田さん11:2008/01/26(土) 09:21:41 ID:egMyVLWz
一匹の小鳥がチュンチュンと鳴き、三人の座っているベンチの近くを行ったり来たりする。
少し離れたところでは若いカップルが餌を撒いていて、鳥の群れがその周辺を小走りに歩いていた。
「そろそろ帰るわ」
石田はハッとして、すぐにあぁ、と頷いた。
「ねぇ光男」
石田の胸がざわついた。彼女が名前で呼ぶのがあまりにも懐かしかった。
最後に呼ばれたのはいつだっただろう?
彼女は意志の強い目で石田を見つめた。
「私たちはいいから、他の人たちを守って」
彼女は眠っている娘を抱き寄せた。
「この子は私が守るから、大丈夫」
不安な瞳は二人に、特に彼女に注がれた。
「自分の身は自分で守れるわ」
だから、ね。
石田は何も言えなかった。
彼女は石田の不器用さも真面目さも好きだと言ってくれた。
けれどもそれが彼女を深く傷つけたのだ。
SPであるはずなのに、人を守るのが仕事なのに。
240 :
石田さん12:2008/01/26(土) 09:26:01 ID:egMyVLWz
「正義はね、誰かの犠牲で成り立ってるの」
悲観的な響きはなかった。
「私たちが犠牲になってあげる」
彼女のほわんとした笑顔の中で揺ぎ無い瞳が石田を見据える。この目だ、と石田は思った。この目が好きなんだ。
石田は無言で頷いた。
二度と彼女を、そして娘を傷つけず、二人とも守れるようになれることを願いながら。
しかし、今度は彼女との約束を破ってしまった。
大橋の警護が解除され、解散せざる得なくなった。
上からの命令は絶対だった。一介の機動警護班隊員がどうこうできる問題ではない。
けれども。石田は新聞を食い入るように見つめる。
新聞の一面には大橋のことが書かれていた。
今朝テレビをつければトップニュースで大橋のことが報道されていた。
泥酔したまま風呂に入り、そのまま溺死。
石田は唇を噛み締めた。悔しさで全身が震える。どのメディアも偽りの真実を掲げて大騒ぎだった。
新聞をグシャグシャにし、机にバンッと投げつけた。
"正義はね、誰かの犠牲で成り立ってるの。私たちが犠牲になってあげる"
彼女が犠牲になろうとした正義はこれではない。
石田は何もない、虚無の空間を、ただ睨みつけた。
以上終わり。
えろなくてすまん。石田絡みのえろは俺には無理です先生><
誰か田中と笹本さん書かないか
乙ー
さて放送日だな
緊張するぜ
石田さんGJでした
間を空けずすみませんが、放送前に投下させてください
井上×笹本 で 禿甘に挑戦
「お、お前どうした?」
井上がすっかり慣れた手つきでアンダーシャツの上に防弾チョッキを装着していると、同じように装備確認中の石田に声を掛けられた。
主語がつかめなくて首を傾げる。
これ、と自分のより二回り程大きな手が伸びてきて肩に触れる。撫でられた箇所がつきんと痛んで、ようやく思い至った。
「…………凄まじいな。熊手で襲われたか?」
その傷の痛ましさに、石田が眉根を寄せる。
違いますよそれどんな変質者ですか、と苦笑を返して、さてどうしたものかと井上は逡巡する。
でも一瞬で方向性を定めた。この決断力は特技の一つだ。自慢していいと思う。
「飼い猫にやられました」
「猫なんて飼ってたのか?」
「ええ。すんげぇ可愛いんですけど高飛車で生意気で攻撃的なんスよね。すぐに引っかくし噛み付くし」
ほらここも、と二の腕を差し出す。
こちらにもミミズ腫れが数本と、赤く晴れ上がった歯の痕が生々しく残っている。
「いかんなあ。噛み付いたらちゃんと叱って、どっちが主人か判らせてやらないと」
俺も子供のころ犬を飼っててなぁ、と石田が説教を始める。
素直に頷いて見せて、だけどすぐに井上は首を振った。
「どっちかって言うと俺が下僕ですよ。もう女王様? 普段はいいんですけどね、遊んでて興奮してくると、制御効かないみたいで」
「あー、本能だな」
「そうそれ、本能。そんで参ったことに、可愛くって叱れないんすよね」
「……まあ判る。俺も、娘はなかなか叱れんよ」
うんうん、と石田が同意をこめて相槌を打つ。胸ポケットの写真の姿を、思い出しているんだろうか。
っすよね、とワイシャツを着込みながら、同じように井上も頷いた。
「まず興奮させてんのこっちだし? 叱ると逆切れでまた興奮するし」
「お前が生傷好きならそれでもいいが、興奮し始めたらちゃんと押さえつけて叱って、手加減覚えさせないと駄目だぞ。
なんなら噛み返して、これは痛いと教えないと。ほんとは兄弟同士で覚えるらしいがな、無理なら飼い主が教えるべきじゃないか?」
うーん、と唸って、顎に指を添えた。
石田の言うことはたぶん正しい。引っかかれるといくら俺でもさすがに痛い、とは何度も伝えようとして、潤んだ瞳に欲情して言えないまま終わっている。
本能を剥き出しにしているのはこっちだ。
性欲をすべてぶつけて、それを受け止めきれなくなった彼女が、まって無理、と訴えながら、女にしては平坦だけとやっぱり鋭いその爪を立ててくる結果なのだ。
もう少し、井上の制御が効けばたぶん、生傷も減るんじゃないかと結論付けた。
「あー……被害者俺だけだし、叱るの可哀想なんで我慢します。だってさ、引っかいたあとに、ごめんって感じでしゅんてするんすよ。そんで傷舐めてきたり頬ずりしてきたり。ずるいっすよねー。なんだこの可愛い生き物! って思います」
「猫馬鹿か?」
石田が笑った。釣られて井上も、苦笑いを浮かべる。
「飼ってみれば判りますよ。ふわふわで目きらきらですんげー可愛いくって抱き心地サイコーっすよ。意地っ張りで気まぐれなとこもたまりません。寝るときは絶対に布団に潜り込んできてあったかいんですよね」
その抱き心地と暖かさを思い出したら、笑いがこみ上げてきた。
あーまた抱っこしたくなってきた。
一人にやにやと思い出し笑いを浮かべる井上を、石田が怪訝そうな表情で見下ろしていた。
「まあ、ほどほどにしとけよ」
うす、と薄笑いのまま軽快に返答をして、頭を下げる。
*
井上、と能天気に呼ばれて振り返る寸前、腕をとられて背後から押し倒される。
ベッドに突っ伏した体勢のまま情けなく、笹本を見上げた。
「…………なんすか、急に」
「確保の練習」
「事前に言ってくださいよ。ちゃんと付き合うから」
「言ったら練習にならないじゃん。あんたすぐ抵抗するし」
「抵抗しなきゃ練習にならないでしょ」
「あんたほど完璧な落とし技かけてくるテロリストが日本に何人いるっての?」
「あれっ褒められた?」
「褒めてないっ。大人しく練習台しなさいよ」
いいですけど、と会話の合間に緩んだ腕を引いて、笹本のバランスを崩させる。
笹本が体勢を整えるより先に、ぐるりと上下を入れ替えて今度は井上が細い身体に馬乗りになる。笹本の舌打ちが聞こえた。
「笹本さん。確保するまではいいんですけどそっからが甘いっすよ」
身体を折り曲げて、耳元で囁く。
びく、と笹本が身を震わせた。喉の奥で笑って、耳を口に含む。
「あ」
笹本が息を乱す。気をよくして頬を撫でた。
顔を寄せる。目を閉じた笹本が、大人しくキスを受け入れる。
洋服の裾から手を差し入れた。すべすべの腹を撫で上げて、両のふくらみにたどり着いた。
しばらく下着の上からその柔らかさを楽しんで、あっという間に服を脱がせてしまった。
本気で確保の練習、などとは思っていない。じゃれあいの一環だ。じゃなきゃベッドに倒される理由がわからないし、そもそも迫力が全然足りない。
笹本が、井上と触れ合いたかったに違いない。勘違いかもしれないが嬉しいから思い込むことにする。
でもそれにしても、確保だなんて色気のないことだ。
「……あの、お誘いならもっと判りやすくしてもらえません?」
「ちがっ」
笹本の吼えるような声を聞き、しまったと後悔する。
そうだ、こういう一言が笹本を逆上させるんだ。判っているのに口がすべる。
「や、だ!」
身を捩り始めた笹本の顔を追って、強引にくちびるを塞いだ。
あーせっかく大人しかったのに、また宥めるのに一苦労すんのかな、とわくわくする。普通は面倒に思う場面なはずだけど。
「って」
がり、とくちびるを噛まれて、慌てて顔を引き離した。
「……噛みましたね」
「噛んだ」
「痛いんですけど」
「あ、そう?」
にやり、と満足げに笹本は口元を歪めてみせる。ざまあみろ、とでも言いたげだ。
うーんこれは厄介だ。
何でこのひとはすぐに歯を立てるんだろう、と疑問を持った井上は、ふと昼間の石田との会話を思い出した。
――興奮し始めたらちゃんと押さえつけて叱って、手加減覚えさせないと駄目だぞ
――どっちが主人か判らせてやらないと
「……しつけが必要ですね」
聞こえない程度の大きさで呟く。
「なに?」
なんて言ったの、と聞き返した笹本には返事をせず、肩を押して向きを変えさせる。
どっちが主人か、だなんてこの上なく不毛だけど、一度腕力と立場の違いを判ってもらうのもいいかもしれない。
今は後輩という立場でしかないが、自分は男だから絶対に彼女を守ってみせる心づもりだということを。
出来れば、一生。なにがあっても。
守られるほどやわな女じゃないとか言い出しそうだけど、それでも。
安直で甘美なヒロイズムは心地よくじわりと広がり、胸が高鳴った。
実は、今日こそは余裕を持って優しくしてみて、笹本の反応を伺おうと事前に決めていたのだが撤回しよう。我慢は身体に良くない。持ち前の決断力を発揮するべき場所だ。
両腕を攫って、後ろに一纏めにしてしまうと、首に絡みついたままだったネクタイをするりと外し手首に絡ませた。
「ちょっ! やだ、縛んな!」
状況を察知した笹本が暴れだすが、体重をかけて難なく押さえつける。
手際よく拘束を終えた。蹴り上げられてはたまらないから、足の上にどっかりと座り込む。
自由を奪われた笹本が振り返り、眉根をきつく寄せて井上を睨む。
「この、変態! ほどけっ」
くー生意気で可愛いな、と思ったけど口にはもちろん顔にも出さない。
そんな不謹慎なこと考えてると知られたら、ますます機嫌が悪くなるに違いない。
「だってさ、こうしとかないと引っかかれて痛いですもん」
「それはお前が……!」
「俺が?」
言い淀んだ先を促すと、なんでもない、と笹本がぷいとそっぽを向いてしまう。
「へぇ」
顔を寄せて、くびすじに吸い付いた。
「んっ」
もぞもぞと逃げるように身を捩るがそれを許さず、時折湿った音を立てて吸い上げながら、舌先で撫で上げる。
ベッドと身体の間に手を滑り込ませて、やわやわと乳房を揉みしだく。ときどき、敏感に立ち上がった蕾に触れてやると、笹本が身を固くして猫のように高く鳴いた。
身体を熱く火照らせた笹本が、息を弾ませながらその声を徐々に高く大きくしていく。
このエロに対する従順さが、またたまらなくいい。
「……の、うえ、んんっ……やぁ」
嬌声を堪えるようにくちびるを噛んだ笹本が、瞳を潤ませて井上を仰ぐ。
恨みがましく何かを訴えてるようでもある。
そんな視線を知らん振りして、下肢も脱がせて瞬く間に下着一枚のみの姿にしてしまう。
笹本は抵抗をして見せたけど、余りにささやか過ぎて気にもならなかった。
横に向けさせた身体の、細い足をぐいと持ち上げて開かせる。膝を自分の肩にかけて、足の間に身を置いた。
「やっ、だ!」
羞恥に顔を染めた笹本が、不自由な身体を捩る。
「大丈夫大丈夫」
なにが大丈夫なのかよく判らないが口先だけでとりあえず宥めて、笹本の機嫌を取った。ちゃんと取れてるかどうかは定かではないけど確認する気はとりあえずない。
白いふくらはぎにくちびるを寄せて吸い上げる。
びく、と腰が震えた。
徐々にくちびるを上げていく。ところどころに吸い痕を残していくのがまた楽しい。見えない所なら問題ないだろう。笹本はいつもパンツスタイルだ。
やがて辿り着いた足の付け根にちゅ、とくちびるを落としたあとに、薄い布地に覆われた秘部へ鼻先をこすりつけた。
びくびくとまた笹本の身体が揺れた。
「…………白ですか」
「やっ…………」
珍しくレースや花模様の刺繍などが入っている白いそれに、思わず感想を口にする。
普段はアウターに響くから、と柄も模様もないし、色も地味な黒とかベージュであることが多い。
今日はあらかじめ約束をしていて、珍しいことにその約束がちゃんと履行された、稀有な逢瀬である。
ほほう、と井上は胸の内で感心をする。
もしかしたらさっきあっという間に脱がせてしまったブラジャーも、お揃いのこういう可愛いやつだったんだろうか。
だとしたら悪いことをした。ちゃんと堪能すればよかった。
後悔をしたものの、まあ過ぎてしまったことは仕方ない。またの幸運に期待をかけようと結論付けた。だって大事なのは中身だし。
さっさと思考を切り替えて、伸ばした舌を下着越しに笹本へと触れさせた。
「あ、やだ……井上、ま……っ!」
「…………ん、なに?」
「……電気」
「だめ。せっかく可愛いのに」
「っ! や、だってば!」
ばたばたと下肢を暴れさせた笹本の足を、更にぐっと力を込めて押さえつける。
ふ、と息を吹きかけると、びくん、と今までになく反応を見せた笹本が、やだ、と鳴き声混じりで抵抗をする。
唾液と愛液でぐっしょりと濡れた下着の、秘部を舌で器用にずらして直接に触れる。
「あっ、い…や、ん! 井上、い…っえぇ!」
あふれ出る蜜を掬いあげるように舐めると、笹本の身体が更に固くなった。
ぷつ、と指を秘壺に突き立てる。
濡れてどろどろに熱を帯びたそこは、簡単に己の指を受け入れた。
くちゃと水音を立ててかき回すと、その熱さに、身を収めた快楽を邂逅させられて、すでに張りつめていた自身がさらに質量を増した。
抜き差しを繰り返して、蜜を分泌させる。
高い猫のような嬌声がどんどん大きくなる。
身を捩った笹本の頭が、ごん、と壁にぶつかった。
「いっ……あ、やだ……っ! も、井上、やだあ!」
「嫌?」
「や、やだ、……も、無理……っ!」
「いいっすよ……ほら、我慢しないで」
「やだって、ば! 変態っ、やだやだ、ばか、や……っ、だめ…やあっ!」
一層高い声をあげて、笹本が全身を硬直させる。
ああ、イったのか、とどこか遠くで思った。差し込んだままの指を、ひくひくと入口の痙攣が締め付ける。
「や、だ…………っあ……」
拒否とも吐息ともつかない、甘えたような声音を上げた笹本が、不自由な裸体を捩る。
指を引き抜いて、自分の衣服をさっさと脱ぎ捨てた。
準備を終えて、いざゆかんと再びに細い片足を持ち上げたところで、笹本から抗議の声が上がる。
「い、井上!」
「なに?」
「…………あ、入れる、の?」
「そうですけど?」
「……し、たぎ」
「あー、せっかく俺のための一張羅だから、堪能しようかなって」
「ばか! 死ね変態! 脱がせろっ」
「あ、脱がせていいの?」
「っ!」
にやにやと笑いながら問えば、笹本が真っ赤にした顔を背けて、井上の視線から逃げた。
たっぷりと逡巡したのち、消え入りそうな声でうんと言ったのを聞きつけて、望みどおり下着をはぎとってやる。
笹本はすっかりと従順に井上の意思に沿うように腰を浮かせた。
「……ほどいて」
「ほどいたら引っかくでしょ。もう少し待ってください」
「でも、」
何か反論をしたげな笹本を無視して、裸体を横に向かせたまま、再びに足を抱えあげて挿入を果たす。
「あっ! ああんっ!」
高い声に自分で驚いた笹本が、出来るだけ嬌声を抑えようと試みる。しかしそれは無駄なようだった。
枕に口を押し付けて声をくぐもらせ、でも息苦しさに耐えかねて顔を上げると井上が意地悪く奥へ突き立てる。
悲鳴のような喘ぎ声の合間に、井上、と幾度も呼ばれた。
快楽に理性を亡くし逃れるように囚われの腕を引絞り、しかしその痛みに我に変える、ということを五度繰り返して、ついに笹本は諦めて井上を見上げる。
「井上………キ……し、て」
「なに? なにが欲しいの?」
「……キ、ス……」
「噛むからだーめ」
「ん、かまない、から……っ」
涙を浮かべた縋るような瞳が、お願いと物語る。
ああやばい、これはたまらない。
身を屈めてふわりとくちびるを重ねて、ずん、と腰を突き上げた。
「んっ……ぅん!」
堪えるようにくちびるを震わせた笹本が、くぐもった悲鳴を上げる。
呼吸を奪うように激しく深く口付けながら、粘膜をこすり合わせた。
「……んんっ、む、んーっ!」
かりっ。
快楽に酔って理性をどろどろに溶かしてしまった笹本が、また無意識に井上のくちびるに噛み付いた。
「って」
ばっと身を起こした。笹本は半分泣きながら井上を見上げている。
「……の、うえ……んん、あ」
「噛んだでしょ」
「や……ごめ、あ! ……ひ、ぁあ……」
「噛んだらだめって言いましたよね」
「……ん、だって……」
「だってじゃない」
ずん、と最奥まで貫いて笹本の快感を煽り、涙ぐんだ顔を覗き込む。
キスを期待して瞳を閉じた笹本の、耳たぶに犬歯を立てて噛み付いた。
「いっ」
笹本が肩をすくませる。
「痛い?」
髪を撫でながらくちびるを落として、耳のすぐ下にも歯を立てて、薄い肉をはさみ上げた。
「い、たい……や、やだあ、んんっ」
噛む間にもべろんと舌で舐め上げて、くちびるできつく吸い上げて、空いた手で胸への愛撫も忘れない。もちろん、思い出したような律動も。
「いた……や、ふ…あっ! 井上、やだっ、あん!」
我を忘れて本能のまま笹本が、嬌声を漏らす。
「痛い?」
「……いたい……や、やん!」
「気持ち、よさそう、だけど」
意地悪く言い放って、今度は二の腕に噛み付きながら腰を揺らして内部をかき回す。
「ちがっ……それ、いた…ぃ、……やだ、もっ……!」
「……痛い?」
「んん! 痛いの、や、だ……ぁふ! ……井上……いの、うえっ」
「なに?」
「…………っ、ごめん、なさ……あ!」
ああ、これは反則だ。こんな時に可愛げを見せられたら、もう冷静でなんていられないじゃないか。
うん、許す。もう何でもいいっすよ。笹本さんだったら何でも。
身を起こして一層激しく肉をぶつける。
「ひぁ……あぁ、あ、んんっ!」
リズムに合わせて笹本が高く喘ぐ。その声にますますくらくらする。
額を伝った汗が、ぽたりと笹本の上に落ちた。
ぞくぞくと快感が身体の隅々まで駆け抜ける。気持ちいい、気持ちいい、身体が熱い、もっと欲しい。そればかりに支配される。
「……っ、も、いい?」
「ん……うんっ、ああ……っ!」
言葉も呼吸もままならない様子の笹本が、それでも何とか返事をよこしたのを聞きつけて、絶頂に向かいさらに律動を深くする。
井上も、ほんの少し残していた理性をすべて飛ばして、ただ快楽を貪った。
やがてぎゅうぎゅうと快感を誘うように締め付けられ、そのときを迎える。
う、と低く呻き声を漏らして、薄いゴムの中に熱い欲情の証を吐き出した。
どくどくと脈打つような射精を終えると、急に頭が冷えて我に返る。
笹本は、と見下ろすと、全身から力を抜いて荒い呼吸を繰り返していた。
細い両腕は後ろで一つにまとめられたまま、顔はクッションに押し付けてしまっているので表情は伺えない。
「……笹本、さん?」
恐る恐る呼んでみるが、反応はない。
抜くのと解くのどっちが先か、一瞬悩んだが解くほうを優先させた。
するり、と衣擦れの音を立てて白い手首からネクタイが抜き取られる。
それにはくっきりと皺が刻み込まれてしまったが、そんなことよりも笹本だ。
拘束が解かれても顔を上げる気配はない。
すっと手を眼前まで持ち上げて検索をする。白い肌に痕は残っていない。よかった、また機嫌を損ねるところだった。
指の腹でそっと力の抜け切った手の甲を撫でると、肩が小刻みに震えているのに気がついた。
――え、泣いてる?
やっべ、やりすぎた。言い訳も出来ないほどやりすぎた。猛烈に怒られるに違いない。
「笹本さん? ……ごめん、大丈夫?」
慌ててずるりと自身を抜き去って、ベッドにひじを付いてその顔を覗き込む。
そっとふわふわの髪を撫でながら様子を伺う。
笹本が、ゆっくりと顔をあげた。目が真っ赤だ。
「……ごめんなさい」
謝罪のつもりで、くちびるを寄せる。笹本は逃げなかった。薄く開いたそれにふわりと重なる。
――――――がりっ。
*
「…………また、壮絶だな」
くちびるの端の傷を認めて、石田がしかめっ面でつぶやいた。
スイマセン、と、別に石田に害を加えたわけでもないのに井上は思わず謝辞を口にしていた。
「猫怒らせちゃって」
傷痕を撫でながら、しれっと述べる。
「アドバイス通りに押さえつけてみたんですよ。最初すげー暴れて大変だったんですけど、だんだん大人しくなって。でも、もういいかな? って手を離してもぐったり動かなくなっちゃって焦りました」
「やりすぎたのか」
「やりすぎてないっす。だって、おーい大丈夫かって覗き込んだら、がりっですよ。おびき寄せられました。で、本人は逃走」
「賢いな。飼い主に似なかったのか」
「……みたいですね」
爪の先で生傷を撫でる。ちりりと痛んだが、それがまた甘く響く。笹本に与えられた痛みだ、と思うだけで、どくんと胸の奥が心地よく疼いた。
やべー俺やっぱド変態か。
余り褒められた性癖ではない。一人眉根を寄せる。
「で? 仲直りはしたのか?」
「え?」
「猫と」
「ああ、それが聞いてくださいよ。部屋の隅っこに行っちゃってさ、近づくと怒るからしばらくほっといたら、ちらちらこっち伺い始めるんですよね。可愛くてたまらんっす。
おいでって言っても当然来ないけど、こうなったら近づいても逃げないから、無理やり確保して、ぐりぐりに撫でてごめんごめんもうしないってあやして仲直り。可愛いもんでしょ」
腕の中であたしも噛んでごめん、引っかくのもこれから気をつけると神妙に小声で謝られ、そのレアなしおらしさに度肝を抜かれていると笹本の赤い舌がぺろりと口の端の傷を舐めた。
さらに驚いて石像のごとく固まった井上に、しょうどく、とはやくちで告げた笹本がくちびるを重ねてくる。
あーもう可愛いな畜生! なに、襲えって言ってますか? やばいっしょ、明日も仕事だぜ? でも止まんない。このひと、俺を夢中にさせてなにを企んでんだ?
胸のうちで絶叫をしつつ、角度を変えて深く口付けた。条件反射で身を震わせた笹本をぐっと抱き寄せる。
その後、押し倒す段になって今日はもうだめと激しく嫌がられたため大人しく引き下がり、その代わりにさらにぐりぐりと頭を撫で髪を乱したら、また機嫌が悪くなったが、まあいつものことだ。
好きすぎて加減など出来ない。まるで子供だ。どうしたものか。
「そうか、よかったな」
「ええ。今朝も機嫌悪くなかったんで大丈夫だと思います」
「猫にめろめろか」
「めろめろっす」
ふぅん、と一言呟いた石田の目が、まるで猫のそれのようにキラリと光った。
「井上、その猫は関鯖が好きか?」
ぴき、と笑みが凍る。さすがだ。騙しきれるとは思ってなかったけど、まさか相手まで見抜かれてるとは。
観念して、自嘲の笑みを浮かべながら石田を仰ぐ。
「……………………っスね」
「大変だな」
「まあ。でも自分の手噛んじゃうよりはマシなんで」
「…………強烈だな」
「情熱的ですから。その、そもそもプライド傷つけずに持ち込めないんですよね。俺どうしたらいいですか?」
「情けない、男だろ。そこでガツンと判らせないと、一生このままだぞ」
「……………………じゃあ石田さんならガツンと出来ます?」
ネクタイを結び終えた石田が、む、と呻る。
しばらくの沈黙が二人を支配した。
井上がネクタイを結ぶ、するするという衣擦れの音だけが響く。
上着を羽織ってバッジを確認すると石田は、無理だなとポツリとこぼした。
よかった。判ってもらえたみたいだ。
「っすよねー」
「俺には無理だがお前ならやれる。信じてるぞ、井上」
ぽん、と肩を叩かれて勇気づけられた。
ウス。握りこぶしを腰で作ってそれに答える。
尾形とはまた違った安心感や頼りがいが、石田にはある。どんな低レベルな相談でも受け入れてくれそうな身近な優しさが。
その身近さが油断を生んだわけだが。
「あー石田さん、……いつから気づいてました?」
「ん? ああ、明らかに猫サイズの傷じゃないだろ。まあ最初からだな。婚姻経験者舐めんなよ」
「………………俺、めっちゃノロケちゃったじゃないっすか」
「そうだなあ。ごちそうさま」
井上は顔を引きつらせながら、うわあと一本調子で呟いたあと、がん、とロッカーに自分の額をぶつける。
アメリカナイズは多少されていても、やはり照れくさい。恥ずかしい。
石田の前で何回、可愛いと言っただろうか。めろめろ、とまでのたまった。
一連の会話すべてをなかったことにさせていただきたい、と願ってももう遅い。石田は絶対に忘れてはくれないだろう。
「黙っといてやるよ」
今度は傷を痛めつけるようにぐい、と肩を掴まれた。
「って」
「お前も、見えるところはやめてやれよな。山本に見つかったら面倒だぞ」
あれも見つかっているのか。さすがだ。
「ま、頑張れよ」
ひらひらと手を振って、石田が装備室を出て行く。
それを横目で見送りながら、あのくらいの余裕が俺にも必要なのかな、と井上は思った。
*
「お疲れ様です」
席に戻ると間を一つ挟んで隣のデスクの笹本が、イヤホンを眺めていた顔を上げて微笑んだ。
「お疲れ」
頷き返して石田は、猫か、とふと思う。言い得て妙だ。これを手懐けるのは相当苦労するだろう。
頑張れ井上、と無責任にエールを送った石田を、笹本が訝しげに見上げている。
「石田さん?」
小首を傾げた弾みで蛍光灯の光に晒された白いくびすじに、赤いしるしがくっきり映えている。たぶん、井上の「噛み返し」の痕であろう。
お盛んだ。ほんとうに。少々面白くない。
「笹本」
軽く手招きをして彼女を呼ぶ。すっと立ち上がって大人しく一歩寄ってきた笹本の猫のようにきらめく大きな目が、くりんと動いて石田を見据えている。
口元に手を寄せて耳打ちの姿勢を取れば、笹本が素直に耳を傾ける。身を屈め顔を寄せると、さっきよりもはっきりと痕が目に入る。
…………非常に、官能的だな、これは。
「……たまには負けてやれ。気の毒だから」
「え?」
「あとそれ。隠しといたほうがいいんじゃないか?」
指先でつん、と耳のすぐ下のその痕をつついた。
わ、と声を上げて身を引いた笹本は、ば、と手やってそこを覆い隠す。
「あ、……えーと」
丸い瞳を激しくしばたかせている笹本の顔が、見る見るうちに赤く染まっていく。
おや、と石田は片眉を上げた。
ほう。まるで恋する乙女のようではないか。こんな笹本初めて見る。
――可愛くてたまらんっす。
井上の嬉しそうな声と笑顔が浮かんでくる。同時に、あの痛々しい顔の傷と肩の跡も。名誉の負傷、とでも言いたげだった。
――自分の手噛んじゃうよりはマシなんで。
何故かそこが脳内で再生された。
手を噛んでしまうのか。それはそれは激しいな。ふむ、笹本はそうなのか。
笹本はいい女だ。男のようにさばさばとしていて付き合いやすいけど、一度好きになったら絶対に余所見をしないだろう。
華奢な割りに胸も大きい。細いというだけでなくちゃんと鍛えられていて無駄な肉がない。身体も柔らかいし、五感も鋭い。
何よりエロい女はいい。井上は当たりを引いたに違いない。羨ましいことだ。
この若干ハスキーな声が喘いだら相当クるだろうな。気の強そうな大きな目が潤んだら可愛いんじゃないか。ちょっと泣かせてみたくなった。
いやいや、生々しくていかんな。っていうかこれはセクハラじゃないか?
いかんいかん、と慌てて脳内を打ち消した石田を、いつの間にか俯いてしまっていた笹本が低く呼んだ。
「石田さん……」
「ん?」
「……ぇ、どこですか?」
「井上か? 装備室で悶絶してるぞ」
「どうも」
顔を上げずに石田のわきをすり抜けていく。
突然、尾形のデスクの斜め後方のドアが開く。装備室へと繋がるドアだ。
井上か、と思ったが出てきたのは山本だった。
ずんずんと早足で歩いていた笹本が、彼女の倍ほどはありそうな身幅に正面からぶつかった。下を向いていたせいだ。
「うっわ、……あれ?」
「どけ」
「……す、すいません!」
脅された山本はよく躾けられた犬のごとき従順さで、俊敏に笹本の前から飛びのいた。
装備室へと身を滑らせて、乱暴にドアを閉めた。その音は想像よりも控えめだったあたり、多少冷静さは残っているから大丈夫だだろう。頑張れ井上。
「井上ーっ! オマエ石田さんになんか言っただろー!!」
迫力のある怒鳴り声が装備室から漏れ聞こえてくる。
なんも言ってないっすよ、と井上の恐々とした返事も聞こえた。ああ、あれでは火に油だ。まだまだだな、井上。そういう時はなにがとすっ呆けて相手の毒気を抜くんだ。
「嘘つけ! それにつけたら教えとけっ! っていうかまずつけんな!」
ほら、ヒートアップさせた。
石田、と声をかけられた。
振り返れば、書類から顔を上げた尾形が不思議そうに自分を見上げている。
「どうした? あれ」
顎をくい、と装備室のドアへと向ける。
ええ、まあ。なんていうか。
苦笑いを浮かべて、石田はどう返答をしたもんかと考える。
一応、黙っておくと約束したし。
「えー…………若いっていいですね」
しみじみと言いながら、猫を飼いたいなあ、とふと思った、石田なのでした。
*
以上です。
>>197の会話に萌えた。ここから
>>197に繋が……る?
あと、妄想いろいろ拝借いたしました。ありがとうございました。
わ…ちょ、皆様神!!!!!!
まさか本当に石田絡みを書いてくださるとは…!!
マジありがとうございました超嬉しいです
>>224>>244
わああああイイですね!!!!!神てか神様w
何を隠そう
>>197の者です。
石田さんいいなー。なんて言うか大人。GJ。
GJ!GJ!GJ!
イイヨーどっちもイイヨーv(^^)v
余裕のある石田最高だーw
GJすぎる!!
神・・
257 :
小ネタ:2008/01/27(日) 19:08:37 ID:5EPwzSCB
GJ!!読み応えあるなー
以下小ネタ。
「おはよう」
四係に入ってきた石田にみんなは挨拶を返した。
石田は周りを一瞥して室内の時計を見上げた。
「笹本はまだなのか?」
尾形も部屋にいなかったが、デスクの上に散らばる書類を見るとどうやら出勤はしているようだ。
みたいですねーと山本は言った。井上は石田の方に体を向ける。
「今日はアレが酷いらしいっすよ」
アレって何だ、と聞きそうになって石田は口を噤む。
代わりにそうか、と答えた。
「アレって何だよ」
山本は不服そうに井上を見る。
石田はため息をついた。
そのとき尾形が戻って来た。挨拶を交わす。
「今日は笹本は体調不良で休みだ」
デスクに腰掛けながら尾形は言った。
わかりました、と返事をして石田は違和感を覚える。
井上、と声をかけた。
「お前何で知ってるんだ」
井上は石田を見上げた。
「笹本さんが教えてくれんで」
あと、と言葉を続けようとしたときに原川が茶を持ってきた。
石田は湯呑みを受け取って一口飲んだ。口と喉に暖かさと香りが広がる。
ガンっと音がなった。
原川が井上の湯呑みを荒々しくデスクに置いたようだ。
中身はこぼれなかったものの、井上はビクリとした。
ありがとうございます、と小さく呟くと原川は去っていった。
相変わらずだな、と石田は思った。
「井上、さっきの」
続きなんだが、と言いかけて石田は一つの結論を導き出す。
不思議そうに石田を見上げる井上に首を横に振る。
「いや、何でもない」
この会話を続けるととんでもないことを井上は言うかもしれない。
石田は心の中で笹本に同情した。
小ネタでいいので誰か尾形を・・・
田中×笹本
※本番なし
※笹本が可愛そう
※田中がきもい
260 :
事情聴取 1:2008/01/28(月) 23:03:44 ID:AYAo5tU3
「その後一階の物理療法室へと連行をされ、私の所持していた手錠で浴槽へ繋がれ拘束を受けました。井上巡査部長が到着、合流するまでその場からの移動は不可能でした」
うんざりと吐き捨てる様に述べながら、笹本は胸中で舌打ちをする。
何度同じことを言わせたら気が済むのだろう。
五回目までは数えていたけど、面倒になってそれを辞めてからさらに十回は同じセリフを繰り返しているはずだ。
拘束を受けたのは己の失態だ。その後井上の機転でなんとか帳尻を合わせたとはいえ、面白い事実ではない。
ちらりと目の前の男を見やる。魚のような顔をした男だ。生理的に受け付けないタイプだ、とどうでもいいことを思った。
田中一郎、などという偽名の代名詞のような名前も気に入らない。もっとマシな名を名乗れ。
つまり笹本は、この男が嫌いなのだ。その印象はきっと生涯変わることはないだろう。
先ほどまでもう二人、取調べを聴取している公安の人間がいたはずだが、いつの間にか姿を消してこの狭く息苦しい密室に、この男と二人っきりだ。
不快指数は80%。
早く終われ、とそればかりに気を取られ顔を背けていた笹本は、田中の眼鏡の奥の瞳がきらりと光る様に気がつかなかった。
田中が音もなく立ち上がり真横に佇んだ。
驚きに身を硬くして、なに、と声をあげるのも忘れた。
「……立っていただけますか」
慇懃な口調は有無を許さない。
言われるがままに無機質でつめたい椅子から立ち上がる。
――壁に向かって起立を。
淡々とした命に、訝しげな表情を前面に押し出しつつも従った。
目の前の真っ白な壁に、自分の影が色濃く映し出される。
真後ろにもう一つ影が重なった、と思った次の瞬間、両腕は後ろ手でに一まとめにされて手首には冷たい手錠が絡まる。
その鮮やかな手際に圧倒され抵抗を忘れた。事態があんまりにもあんまりすぎるせいだ。
がしゃん、と無慈悲な音が響いて笹本はやっと我に返り、ヒラメ顔を仰ぎ見る。
「…………なんですかこれ?」
「聴取にご協力願います」
淡々と告げた男の手が、ウェストをぱんとはたいた。
ボディチェックか? 今さら?
ジャケットの裾を割りいれた田中の手が内ポケット探り、ブラウスの上から胸を撫でる。
かっと怒りに身体が熱くなる。
振り返って蹴り上げる一瞬前に、後ろからぐっと男の身体で壁に押し付けられ、腰がまるで抱きしめられるようにその腕の中に囚われた。
「ちょ……オマエ最悪だな。公務にかこつけてセクハラか?」
「公私混同はしてません」
あくまで聴取ですから、と告げる声音はまさしく業務用のそれだ。
先ほどの口頭尋問のときとなんら変わりない。
「ご協力を」
腹を撫でた手のひらが、あっという間にスラックスのボタンとファスナを外して下着の中にもぐりこむ。
身を捩る間もなく、ブラウスのボタンも外されて薄い下着の上から、たわわな乳房をぐいと痛いほどの力で握られた。
「…………ッ、や、だっ!」
「ほう、結構なものをお持ちだ。さぞご苦労なさってるでしょう。お察ししますよ」
オマエの同情なんていらない、と胸のうちで吐き捨てた。
261 :
事情聴取 2:2008/01/28(月) 23:04:50 ID:AYAo5tU3
「これ、聴取? ……んっ、ありえなくない? どうっ…贔屓目に見てもセクハラだろ」
「まだまだ可愛いもんです。地検のほうがえげつないですよ。やつらケツの穴までさぐりますからね」
あなたはこっちですねと、折り曲げた指が内部へと侵入を果たす。
ぞわり、と背筋が粟だった。
「いった! やめろっ!」
「ああ、大声や抵抗はいけません。配慮の上でのマンツーマンでの聴取ですよ。一人で対応しきれなくなったら増員をします。そのほうがお好みですか?」
ぐっと言葉を飲み込んだ。
3Pだか4Pだか、乱交まがいの肉体聴取を受けるぐらいならまだ、このヒラメ男一人の気持ちが悪い指を我慢したほうが幾分かマシなような気がした。
「……ん、ぁうっ……」
敏感な箇所をぬるりと撫で上げられて、不本意ながら声が上がる。
がく、と膝が震えた。
嫌だ、このままでは身体を預けてしまう。しっかりしろ、と己を叱咤するそばから、絶妙な力加減の指が思考を奪う。
「や、……いや……」
「すぐ済ませますから」
間近で低く響いた。
すぐ済ませるってどういうことだ。なにが起きたら終了なんだ。
濁った頭でそれでも必死に考える。
冷静になれ、と何度も言い聞かせた。
なにがなによりマシだって? 明らかにこれはおかしい事態だろう。こんな、気持ちが悪い男にいいように嬲られる聴取があるはずない。
「やだ、やめろっ……訴える!」
「どうぞご自由に? 痴漢・セクハラ裁判における女性の精神的負担はよくご存知でしょう。『感じてましたか』って平気で聞かれますよ。なんて答えるんです?」
ほら、こんなにしてますよね、と下着の中を好きに動き回っていた男にしては細い指をぐいと折り曲げて、ぴちゃりと水音を響かせた。
「……っ、あっ」
堪えきれず漏れた高い声に、男はくすりと笑った。
揶揄に抗う気力は奪われてしまっていた。目の前が白くにごり膝ががくがくと震える。言うことを聞かない肉体が絶頂の接近を、自分のみならずこの気に食わない男にも伝えている。
へえ、と耳元で囁かれ、びくりと腰が震えた。
田中は唐突に指を引き抜いて眼前へと持ち上げる。まるで見せ付けるように。
煌々とした蛍光灯の下で、その指はぬらぬらと光っている。
笹本はくちびるを噛み締めて、顔を背けた。
ただの生理現象だ、と怒鳴ってやりたいが、息を乱した現状ではこの上なく説得力に欠けるだろう。
「……テロリストと情を通じてはいないようですね」
「……………………あたり、まえ……」
なんとか反論をしたが、語尾が震えた。
一度快楽の波に泳がせた身が、刺激を欲して相変わらず小刻みに震えるからだ。
「安心しました」
田中はハンカチを取り出すと、神経質な仕草で指を拭った。
呼吸を整えながら猫が毛を逆立てるように気を荒くする笹本の洋服を慣れた様子で手早く調えると腰を支えていた手をするりと外す。
身体に力が入れられずぺたんと座り込んでしまった笹本の背後に跪き、鍵を取り出した田中が手錠に触れる。
鍵穴にそれを差し込んだ瞬間、今までにない鋭く低い口調で田中が囁いた。
262 :
事情聴取 3:2008/01/28(月) 23:05:36 ID:AYAo5tU3
「あなたも、気をつけてください」
「……?」
かちり、と錠が外れた。ちきちき。軽い音をたてて歯が一つずつ外れていく。
「色々と…不穏な動きがありますので」
業務用の声音ではない。悲愴の混じった焦るそれ。
数時間会話をしただけだが、この男のこういう声はきっと珍しいのだろう、と笹本にも判った。
「信じるべきは己のみです」
その言葉の意味を考える。だけど中途半端に火照らされた下肢がずくんと疼いた拍子に笹本は面倒になって、思考を放棄した。
「じゃあオマエのそれも信用できないな」
「……なるほど」
楽しそうに田中が口角を上げた。
かち。手錠がすべて外される。
本日二度目の拘束。手首がひりひりと痛む。もう手錠の拘束は生涯ごめんだ。
おそらく五分ほどだったとは思うが、やけに長く感じた。
たった五分。それだけで危うくイかされるところだった。気味は悪いが迅速かつ正確な指使いは賞賛に値する。公安はどこかでこんな講習も受けるのだろうか。
面白くないジョークだ。
「もう一つ。井上はやめておいたほうがいい」
「なにが」
「井上ではあなたを御しきれないし、あなたでは井上の理解者になれない。もちろん、ただ守られるだけのお荷物にもなりきれない。似すぎている割に、肝心なところが違いすぎるんですよ」
「…………勝手に決め付けて勝手に分析して勝手に破局させないでくれる? 全ッ然、そんなつもりないし」
「ならいいんですが」
じっと見つめられる。
眼鏡の奥のぎょろりとした瞳が、案外深い色をしている、と笹本は思った。
ありとあらゆる事件・人物・事象・世俗の側面を好む好まないに関わらず見続けて、目を背けることが出来ずに己を歪ませたら、こういう濁った色になるんだろうか。
死んだ、魚の目のような。まるきり生気のない。それにこんなにも人の印象に残らない男も珍しいのではないか。
そんなことを考えながら、どんよりとした瞳に吸い込まれるように、田中の顔を見つめた。
しばしの沈黙に、居心地を悪くしたのか田中はおどけた表情で首をすくめて見せる。
「ああ、いっそ俺にしておきますか?」
「……死ね」
「ちょっとアレな冗談でしたね」
すみません。さらりと謝辞を述べて立ち上がると田中は、慇懃な物腰で手を伸ばす。
笹本は差し出されたその手をぱちんと払って素早く立ち上がった。
263 :
事情聴取 4:2008/01/28(月) 23:06:20 ID:AYAo5tU3
「触んな」
「失礼。……非礼はお詫びしますよ。手荒なまねをして申し訳ありませんでした。これにてあなたは無罪放免。もうお帰りいただいて結構です」
言われなくてもこんな陰鬱な場所に長居はしたくない。
無理矢理ずらされた下着が胸に食い込んで不快だが、致し方ない。
さっさと田中に背を向けてドアに向かって一歩踏み出した。
背後から、業務用の声が飛んでくる。
「…………一部、私情が混じったこともお詫びします」
……どこだ。どこが私情だった。
条件反射で聞き返したくなったがぐっと飲み込んだ。
きっと聞かないほうが精神衛生上いいだろう、と直感が物語る。
ノブをひねって、ふと思い出す。
「あんた、井上の同期だったっけ」
「そうですけど」
「不作の同期だな。最高にむかつく。井上はときどきだけど、お前は常にむかつく。二度と顔見たくない」
「………………美人が怒ると迫力ですね」
おどけた声にさらに胃がむかむかとする。
田中に聞かせるように盛大に舌打ちをして、ぐっとドアを押し開けた。
「怖い怖い」
ドアを閉める直前、もう一言聞こえてくる。
真摯な本心をピエロのようなおどけてた仮面で隠して見せて、あいつは一体なにがしたいんだろうと笹本は疑問を持った。
だけど偶然廊下で出会った尾形に、お疲れだったなと労いの言葉を掛けられて、いいえと笑った拍子にそんな些細なことは綺麗に忘れてしまっていた。
(おわり)
>>259 天才か?まじでGJ!
すげーにやついた。田中いいよ田中
続きはどうなったのですか?
266 :
名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 16:00:53 ID:9y+1/xVG
一旦age
>>259 GJ―!田中イイ!さり気に井上絡んでるっぽいのもイイ!
田中!二コレット!地味で目立たないとこが好きだああ
いいねいいね
なぁ寒いんだけど。抗議の声をあげたら今月の光熱費やばいっすから、と返された。
体がブルリと震える。シーツだけを纏った裸体は既に情事の後の熱は消え失せて、外からじわじわと押し寄せる寒さに無防備だった。
服を着ようか、と思ったがだるくて動きたくない。寒さとだるさにグルグルと思考を巡らせて、さぁどうしたものか。
そのとき背後からそうだ、という声を聞けば同じくむきだしの男の腕が伸びてきて体をギュッと抱き締められる。
背中に落ち着いた定期的な脈の動きを感じる。
こうすれば大丈夫だ、とあまりに自信過剰に言うものだから、何か言い返してみたい。
実のところ震えは和らいだし、ほわんと温かいものも体に広がったが、この男をやること言うことをすんなりと受け入れるのが癪に触る。
でも今日は、さて、このまま素直に寝ても悪い気はしない。
腹にある少し大きな手に自分のを重ねて、目を閉じた。
**************
スレが寂しいなってことで小ネタ投下(゚Д゚)
GJ!
やっぱ井上×笹本好きだ。
GJ!すげー萌えた!
小ネタでここまで萌えてるんだから思いっきりな投下あったらマジヤバイw
272 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 01:25:07 ID:9fCqWDDQ
このスレ神多すぎw
このくらいで神とかw
>259 にあまりに萌えてしまったため後日談を勝手に書いてしまいました
※公安の描写はかなり適当です
※エロ皆無
※心理描写ばっかりです
幼い頃、警察は正義の味方だと信じていた。
悪しき者を捕まえて弱きものを助ける。それを「仕事」として行える、素晴らしい職業なのだと。
―――それがお題目にすぎないと知るまでにはあまり時間は掛からなかったけれど。
警察に入って、多くの者が感じるのであろうことはきっと「この世は悪人ばかりだ」ということだろう。
そして「法では裁けない悪人が居る」ことであり「正義の定義は状況によって変わる」ことであり―――、
つまりは笹本が真っ白だと信じて飛び込んだ警察の世界も、実は灰色の世界だったわけである。
しかしそこで躓くような軟弱な者は警察では生きてはいけない。
誰が何を言おうとこの現代日本において犯罪者を取り締まっているのは警察なのだから、
色々なものを飲み下してでも警察に居座らねば出来ないことも沢山有るのだ。
その灰色の世界の中でSPの仕事は単純明快だ。
対象者を命をかけて護る。己の命を賭け、動く壁となり、対象者を全ての敵から護る。
もちろん中にはこいつ死んだほうが良いのではないかという対象者も居るには居るが、
それでもそれで笹本の仕事が揺らぐことは無い。
そんな対象者でも何らかの形でこの日本に貢献しているから、死んでしまっては困ることもあるから、
だから笹本が命を護る。ちなみにそのような対象者は当然敵が多いから笹本達は大忙しである。
笹本は、そんな明快なSPという仕事を気に入っている。
警察というところは男社会だ。
特にSPのような体力勝負の部署において女であることは圧倒的に不利である。
だから負けず嫌いな笹本は己の武器を磨くことにした。速さ。身軽さ。テクニック、等。
もちろん磨いたのは肉体だけではない。内面だって色々と気をつけるようにした。
可愛らしい外見で舐められないよう。女らしい性格を出して馬鹿にされないよう。
元々サバけた性格もあって、今では警護課の若いのをはたき倒す毎日なので
彼女の目論みはある意味で大成功と言えよう。
時々何かが間違っていると言われることがあっても彼女が思うことはあまり無い。
まあ、そんなわけで。
嫌なのである、笹本は。男に負けるのが。
だから、この間病院占拠テロリストに腕力差体力差で捕まったのも屈辱だった。
……が、結局奴等はボコボコにしてやったのでまだ良い。
問題はその後の公安での「調査」だった。
一日に二度までも手錠を(しかも二度目はあっさりと)食らい、
その後、五分も経たずに自分は「女」なのだと実感させられた。危うく屈服するところだった。
つまりは負けたわけである。
―――あの、魚男め。
しかもそれが関サバ系のぴちぴちした生きの良い魚ならともかく、
ナマズだかドジョウのようなぬらりとした、しかもなんだか死んだ目をした魚である。最悪だ。
もう一生会いたくないとも思うのだが、それでは一生負けたままということになる。
どうせならボコボコにして勝ってから一生会わない方が良いような気もする。
それが笹本だった筈だ。
でもはやり出来れば会いたくない。悩みどころである。
さて。会いたくないと思っている人間に出会ってしまうのが人生である。
マーフィーの法則とかなんとか言うのだったか。違うかもしれない。
……エレベーターに乗ると、そこに魚男がいた。
「げ」
全ての思いが集約した一文字がつい口から漏れ出た笹本とは対照的に、
笹本を見た田中は少しだけ笑った。
「……ああ、これはこれは」
それはいびつな、無理に作ったような不自然な笑顔だった。
―――公安の癖してなんだその笑顔は。
笹本はムカムカと腹を立てる。
公安というところは潜入捜査や内偵を行うのだから、笑顔の一つも作れないでどうするのだ。
自然な作り笑顔の一つもできないで潜入操作など出切る訳がない―――と、
そこまで考えて笹本ははたと気がついた。
この魚男と同期だという井上は、「潜入捜査が得意な同期」と評してはいなかったか。
(アイツは凄いッすよ)
(あんな印象に残らないやつ見たことねえ)
(俺アイツのモンタージュ作れって言われても眼鏡と髪型しか思い出せないっすもん)
(ありゃ潜入操作向きっすね)
人の印象というのは顔立ちのみで決まるものではない。表情や、立ち居振る舞いも大きく影響してくるのだ。
ならば、潜入捜査が得意だと言う田中が「不自然な笑顔」など作るだろうか。ありえない、だろう。
どれだけ凡庸な顔立ちでも「不自然な笑顔」の人間などそれだけで人の印象に残ってしまう。
きっと潜入時における田中は、人に印象を与えすぎず控えすぎてもいない、実に「自然な」作り笑顔が出来るのだ。
つまり、この不自然な笑顔は。
……本来の笑顔、ということになるのではないか。
―――馬鹿じゃあなかろうか。
笹本はさらに腹を立てる。
人の記憶に残らないことを努めて、作り笑顔ばかり上手くなって、
挙句本来の笑顔の作り方を忘れてしまったということか。間違いなく馬鹿である。
笹本の同僚たちとてきっと色々なものを抱えている。それでも笑顔を忘れるような馬鹿は居ない。
時にド突き飛ばし(一方的に)時に笑い合う同僚達にこんな不自然な笑顔の奴はいない。
それともそれが公安だと言うことか。
灰色の警察において公安は黒に限りに無く近い、らしい。
内偵にしろ対テロにしろ、人のどす黒い部分を垣間見る機会は多いのだと思う。
それでもそれを飲み込んで淡々と振舞うのが彼らでありそれが仕事なのだ。
『気をつけてください』
この間の田中の忠告を思い出す。笹本の、いや多分警護課周辺で何者かが蠢いているということか。
魚男が今何を調べているのか知らないが、第三者に忠告するなんて服務規定違反ではないのか。
たとえ、何を知ろうと。
たとえ、誰が傷つこうと。
公安ならば、内偵中に知りえたことを何も漏らしてはいけない筈だ。
公安が情報を漏らすなんて発覚したら停職どころではすまないだろう。
「印象に残らない男」の一人や二人この世から消え去ったところで世界は何一つ変わらないのだ。
それでも忠告してきたということは、良心の呵責というものに田中が負けたことを意味する。
やはり大馬鹿だということだろう。笹本はさらにムカムカとする。基本的に馬鹿は嫌いなのである。
笹本が物凄く腹を立てているのをどう誤解したのか、魚男は苦笑した。
「そんな手負いの猫のように気を荒くしなくても。
―――ご心配なく。二度と、貴方の目の前には現れないようにしますよ」
田中はおどけて肩をすくめる。
この魚男が本気で振舞えば本当に二度と目の前に現れないのかもしれない。
笹本とてSPだから気配には敏感だが、この存在感皆無男なら気配を消すくらい簡単に出来そうだ。
―――勝ち逃げするつもりか。
このままでは笹本は大馬鹿者に負けたままになってしまうではないか。冗談ではない。
「ちぃッ」
と聞こえるように舌打ちしてやると田中は身をすくめる真似をして笹本から目を逸らした。
「覚えてろよ」
沈黙が続いたエレベーターの下り際に、笹本は言ってやった。
「今度はあたしがボコボコにしてやるからな」
鉄面皮の公安が今までに見たことの無い顔をした。
鳩が、いや魚が豆鉄砲を食ったような妙な顔をするのを見るのは快感だった。
はい、エロなし失敬でした。
根底には井上×笹本があるといいなと思いますw
早くエロの神がこのスレに降臨しますよーにw
GJーー!! 萌えた。負けず嫌いな笹本可愛いよ、笹本。
田中もなかなかめんどくさい男だよー。頑張れ田中。
保守
つアンケート
井上・尾形・石田・田中・山本
誰が一番だろうか もちろん性的な意味で。
尾形かな。
なんか色気がある。
自分は井上
ドS井上 に一票。
色気なら負けない。
みんないるんじゃないかw
自分は
田中>>>>>>越えられない壁>>>尾形>石田>山本>井上
だと思う
むっつりの度合い
井上はなんていうかハッキリスケベ
>>282 尾形に一票
普段とダークの二面性が気になる。性的に。
>>286 1日何度も覗いてますけど何かwwww
井上は確かにむっつりっぽくない
住人五人か…寂しいな…
妄想を垂れ流したら誰か書いてくれないかなと思うのだけど
ラストが衝撃的すぎてなにも思い浮かばない
290 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 05:33:18 ID:e17lGmkV
ここすんばらしいですね
皆様神!
ラスト前回の井上妄想シーンを見て井上×笹本に萌えた・・・
笹本だけが!てとこがなんとも
ネタバレありエロなしオチなし妄想です
↓
復讐よりも忘却を選んだはずだった。
実際、親のない子供にしては上等な道を歩んでこられたと思う。
学校も出て。友人もいて。彼女も作っちゃったりして。
そして今は、
信頼で結ばれた仲間が、いる。
井上は、自分が笑っていることに気づいた。
暗い笑いだった。
すべてを失おうとしている自分への。
引き金に指をかける。
これで終わる。
終わった後のことなど、よぎりもしない。
ただ解放への期待が井上を熱くさせた。
と、
視線の端で動いたものがあった。
笹本だった。
同僚たちが呆然と立ち尽くす中で、
ただ一人、こちらに銃を構える。
視線が、絡んだ。
――ああ泣きそうな顔してんな
見開かれた大きな瞳は凛々しかった。
けれどもこの人は、自分を撃ったら泣くだろうと思った。
うぬぼれた。
泣きたくなるほど都合のいい妄想だった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
最後の一文は自分へ
流れ断ち切ってたら申し訳ない
切ねーな。GJ!
最近井上のことを考えると涙目になるww
1話から書かさず観てたのに、最終回だけ見逃したあああああああ_| ̄○_
>>289 尾形萌えだった自分には衝撃がでかすぎた…
尾形さん…。・゚・(ノД`)・゚・。
でもあそこまで井上が全く気付かなかったことを考えると
尾形の中ではやってることに矛盾はないのかもしれない
ってことでナイス上司な尾形ものをひとつ
井上×笹本で、投下行きます。
注→エロ薄め
二人で見るなら頭をからっぽにして挑めるアクション映画に限る。
珍しく一致した意見だ。
小難しい映画ではすぐに眠くなってしまうし、恋愛映画は気恥ずかしくて見ていられない。
サスペンスは肌に合わないしホラーは白ける。現実主義者の笹本にファンタジーは似合わないと井上は思う。そう口に出したら殴られた。
実はスリルは日常だけでお腹いっぱいだけれど、勧善懲悪のアクション映画(ある意味これもファンタジーだ)は見ていて爽快だ。
ちなみに井上は映画館が嫌いだ。音がうるさすぎる、といつも感じる。
だから女の子とデートする場所がない。いつもすぐに振られるのはそのせいだ。たぶん。
「おまえが振られるのは映画のせいじゃないと思うけど」
「だってさ、映画って絶好の初デートスポットじゃん。無理に喋らなくていいし、映画が面白くてもつまんなくても共通の話題ができるわけだし?」
「どこのマニュアルの受け売り?」
「一般論っすよ」
「へーえ」
「あっ、やな感じ」
「それよりさあ、スパイが結婚なんてしちゃいけないと思わない?」
「なんで、いいじゃないですか」
「だって、とりあえず職業ウソついてるわけでしょ? 出張だっていって潜入でしょ。で、婚姻の事実が悪の組織にばれたら、人質にされて脅迫の材料になるわけだ。
ヒミツとキケンだらけのスパイなんかと、あたしなら絶対に結婚しない。あたしもスパイなら別だけど」
「でもこのひとダンナがスパイだって知らないでしょ。実は俺がスパイだったら笹本さんどうするの」
えー、とにやにや笑いながら、左上に目線をやった笹本を横目で伺った。
三秒考えて、彼女は盛大に笑い出した。
「ありえねーーーっ」
「失礼だなあ」
「恋人がスパイだったら、絶対見破る。あたしのカンを舐めんな」
「あーそうですか。俺だって笹本さんがスパイだったら見破りますよ」
自宅での映画鑑賞のいいところは、こうしてべらべらと意見を言い合えるところだ。
映画館では大ひんしゅくものだけど、ここには邪魔な観客はいない。
予告は早送りで、喋っていて見逃したら巻き戻せばいいし、ラブシーンにあてられてキスがしたくなったら一時停止で、そのまま止まらなくなったら電源オフだ。続きはセックスが終わってから。
たぶん、正しい映画の楽しみ方ではないんだろう。でもいいのだ。一緒にいることが重要だから。
画面では、主人公の教え子の脳内に埋め込まれた爆弾が作動して儚く散った。
ヒーローの慟哭。不覚にも胸が痛くなる。こういうのは苦手だ。
死んだ女性にだって恋人や家族がいたはずだ。彼女の死はどのように伝えられるのだろう。死の真相はきっと機密情報だ。死に目にも会えない、真実も知らない。それは果たして、幸せなのか。
余計なことをぐるぐると考える。
「あっ、井上。あたしさ、アレ見たアレ」
「なんすか、アレって。年寄りみたいですね」
「うっさい。アレだ、アレ。走馬灯」
「………………」
「山西に撃たれた時さー、見えた。マジであるんだな、走馬灯。なんか、すごい勢いでぐるぐるぐるって、両親とか親戚とかもう会えない昔の友だちとか、
小学校のグラウンドとかあの婦長さんとか駐在所とか射撃場とか、石田さんとか、井上とか、」
「……さ」
「見えた。あんたが泣きそうな顔してた」
「……俺のそんな顔、見たことないでしょ」
「ない。だから死にたくないって思った。あんた都知事のとき見えなかったの?」
「全然」
「なーんだ」
残念、とちっとも残念ではなさそうに笹本が呟いた。
返すべき言葉が見つからなくて、ぼんやりとテレビの画面に見入る。
字幕を目で追うものの、頭に入ってこない。
すっかり展開がわからなくなったところで突然、床に置いた手を握られた。
「思い出した」
驚いて顔を上げれば、笹本が身をずらして井上の正面まで移動してきていた。
大きな瞳にまっすぐと見つめられて、どきんとした。
その表情の余りの真剣さに、言葉が出ない。
「井上」
「は、い?」
「すき」
「えっ」
「愛してる」
「えええななななななななんすか、急に、」
「あいしてる」
もう一度はっきりと告げて顔を寄せてくる。
驚きに硬直をしている井上をよそに、盗むような素早さでちびるにふわりと触れると、すぐに離れて、じっと顔を覗き込まれた。
「井上、すッごい赤くなってる」
楽しそうに目を細めた笹本がけらけらと笑う。
赤面を隠すように口元をてのひらで覆って、井上は気恥ずかしさから顔をそらした。
「いきなりそれ、反則でしょ…………」
「…………おまえさあ、予想を上回る照れ方すんなよ。こっちも照れる」
「無理っす、カンベンしてください……突然なんですか?」
「えー? 走馬灯の最後にさ、思ったわけ。そういえばスキとかあんまり言ったことないなーって。死ぬならそれ伝えなきゃ、って。めでたく生きていたわけだから、二度と後悔しないように言ってみた」
カンドー的でしょ、と笹本の得意げな笑顔が視界の端に入った。
確かに、スキとか愛してるとか、言ったことも言われたことも余りない。いい大人がそんなこと軽々しく口に出すのはどうも照れくさい。
第一、言わなくても一緒にいるってことはそういうことだろう、と簡単に推察が出来るではないか。二人とも見事に典型的な日本人、いやむしろ日本男児なのだ。
――でもすげーなこれ。
未だ心臓が鳴り止まない。覆った手のひらの下では、くちびるがにやにやとだらしなく緩んで戻らない。
体温が1度ほど上昇した気もする。
愛の囁きとは凄まじい破壊力だ。
感動した。
「そういうわけ。OK? 井上? 覚えといて」
「……う、ん」
「ありがと。あースッキリした」
ほう、と息を吐いた笹本が、確かに晴れ晴れとした笑顔を浮かべながら、身を起こして離れていこうとする。
「あ、ちょっと」
とっさに肩を抱いて引き止めた。
元の位置に戻り損ねた笹本がなに、と不思議そうに小首をかしげる。
「……すげえ一方的っすね」
「そう?」
「あの、俺、俺も…………」
「…………」
「俺、……え、えーっと……」
このすごい衝撃を、笹本にも是非味わってもらおうとお返しを試みるのだが口が上手く回らない。そういえば「愛してる」なんて言葉、今までの人生で一度も言ったことがない気がする。
息苦しく微妙な沈黙に、平静な顔をしていた笹本もどんどんその表情を強張らせ、頬を赤く染めてうつむいていってしまう。
「……いい、言うな、もうなんも言うな!」
身を捩じらせて、井上の腕からすり抜けようと笹本が小さく暴れ始める。
「待って、言わせてください」
「もーやだっ、こういうのやだ! 言うならさらっと言えよ馬鹿っ!!」
「だって俺日本人だし!」
「あたしだって日本人だ! そもそもおまえも言えなんて強制してないだろっ」
「そうだけど笹本さんっ」
「やーだーっ、聞かない、もういいってば!」
「あー、じゃあ」
ぐっと肩を引き寄せて、腕の中にすっぽりと笹本を収めてしまった。
顎に軽く指を添えてこちらを仰がせて、まだ何か文句を言いたげにへの字に曲がるくちびるをさっと塞いだ。
びく、と笹本の細い肩が震えて、一瞬だけ身体を強張らせたのち、徐々に力を抜いていく。
時折言葉にならないくぐもった単音を漏らしながら、ゆるゆると舌を絡ませあう。
愛を伝えるための口付けのはずだったのに、いつの間にか快楽を得るための深く激しいものへと変わり、井上は貪るように笹本の口内を味わった。
その余りの激しさに、息苦しさに耐えかねたのか笹本がゆるく首を振ってキスから逃れた。
笹本は大きく深呼吸をひとつすると、潤んだ瞳でゆっくりと井上を仰ぎ見た。
「……あー……井上、あんた腕は?」
「普通に痛いです。笹本さん肩は?」
「負荷が掛かると微妙に痛い程度で問題なし。よし、今日はサービスしたげる」
にっこりと腕の中の笹本が笑ったかと思ったら、手が伸びてきて井上の首元を探る。
サービスってなんだ、と必死に空気を読もうと頭を働かせるが、結論を導き出す暇もなくするするとシャツを脱がされた。
そんな調子で映画は中断、セックスに突入をしたのはまさに予定調和だ。少なくとも自分にとっては。
あの事件以来、笹本とはすれ違いが続いて二人で会うのはほんとうに久しぶりだ。
この条件下のデートで、セックスをしたくない男がいたら是非お目にかかりたい。自分は健全なる成人男性だ。
あれ以来、頭痛や耳鳴りはどんどん酷くなるし、めまいも頻度が増えた。
気分はどんどんと陰鬱になっていき、なんかもうだめかも、だなんて後ろ向きなことを何度も考えたけど、それでも笹本の顔を見ればほっとするし、何も考えずに笑えるこの時間に安らぎを覚える。
笹本と、笑い合うことも触れ合うことも、呼吸や食事と同じぐらい大事なのだ。
必要以上に怪我を慮って、脱衣から後始末まで至れり尽くせりでのセックスは少々居心地が悪かったけれどそれよりも、
笹本が時々左腕の包帯をそっと撫でては珍しく気遣う声音で痛くない? と聞いてくれたこととか、
ノリノリで上に跨った彼女が腰を揺らす度に、素晴らしい乳房が目の前でバウンドする様を存分に堪能をできたこととか(しかし手を伸ばすと怒られるのは拷問だ)、
絶頂の直前に頬を挟んで「愛してる」と告げた時の、驚いたような困ったような怒ったような顔のあと、すぐに涙目の瞳を細めてあたしも、と笑った顔に熱くなった胸とか、
裸のままの肌を寄せ合ってまどろみを堪能しているときに急に思い出して「そう言えば夜の許可取ってなかった」と呟いて殴られた頭の痛みとか、
もっと単純に重ねたくちびるの柔らかさとか、腕の中で眠る笹本の体温とか、
そう言ったものすべてが愛おしい。
ほんとうに、生きていてよかった。自分も、笹本も。
満ち足りた甘やかな幸せが胸に広がる。
今日はなんていい一日だったんだろう。
明日も、できたら幸せであるといい。
そう言えば耳鳴りがいつの間にか止んでいる、と不思議に思いながら、井上は浅い眠りに身を預けた。
*
おわり
おおおおキテター!GJ!
淡々としてるかと思いきや甘々ご馳走様でした!
ここがあれば4月まで戦えるぜ
おお、GJ!!
この作品、◆MIcOuFwpfA さんの続きかと思ったが、別の作者さんだよな…?
どちらにしても、ネ申なのは間違いない。
私も、301 さんと同じく、ここがあれば、4月まで戦えそうだよ(笑)
うぉー、良スレだ!
神がいるよ。
どれも良くて萌えた。
笹本はパンツスーツも似合うが、制服も似合いそうだな。
制服姿を見たことない井上。
笹本に頼み込んで着替えてもらい、我慢できずに押し倒す…
なんてのを妄想した。
もちろん制服はスカート。
GJ!甘々(゚д゚)ンマー
自分も4月まで(ry
それにしてもここに活気があると嬉しいな
305 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 17:34:05 ID:hBclesmP
>>303以外にもこのスレにいる面々に質問。
なら笹本にはどんな制服を着てほしい?
自分はブレザーだな
>>306 セーラー服……
って言ったら眉間打ち抜かれるよな、やっぱりw
>>306 婦人警官・自衛官・軍服
かっちりした制服を半脱ぎした時のエロスがたまらん
え? 学生服のこと?
今発売中の週刊ポスト見た人いる?
笹本の中の人グラビアが載ってるんだけど
豹柄ビキニでベランダからモデルガン構えてる写真が
まんま笹本でめちゃくちゃ萌えた(*´Д`)
その視線の向こうにはさっきまで部屋にいた井上が…とか想像したよw
しかし改めて素晴らしい乳だ。
>>306 ナース服もエロくていいな。
エピソード2で披露した井上のドクターとペアw
笹本中の人は、ホント良いスタイルをお持ちだ。
井上笹本以外は受け付けませんかそうですか…
そういうわけではないんだが、コスプレなんて提案は井上あたりしかしなさそうw
珍しく制服を着た笹本にどきどきするむっつり係長なんてのも萌える
おまいさんが萌える妄想を語ってくれたら便乗する気満々なんだぜ? さあ、さあ!
>>310 今見た。あれは良い笹本
乳いいないいよ(*´д`*)
>>312 そこまで言うなら原川尾形でも受けて立つが
……あ違う?
制服ではないんだが、普段パンツスーツなだけに無防備な部屋着に萌える…
「係長、これ」
笹本が小さな箱を差し出す。
意味を分かりかねて箱と笹本の顔を交互に見た。
すると、彼女はふっと笑いながら
「係長は特別なんで。」
と箱を俺に押し付けるようにして渡してきた。
「次の任務があるので。失礼します。」
出ていこうとする彼女に声をかける。
「笹本!」
「はい」
「怪我、しないようにな。気を付けて。」
「はい!」
彼女を送り出し、俺は手のひらの箱に視線を移した。
翌朝、四課では井上、山本、石田が何やら語り合っている。
「笹本さんて昨日男にチョコ渡したりしたんすかね?」
「ないない。少なくとも俺にはくれなかった」
「もしかしてお前、昨日チョコ一つももらえなかったのか?」
「お、俺はいいんです。チョコなんかいつでも食えるし…」「井上は?」
「惨敗っす。合コンも連敗だし…」
頭を抱える二人を尻目に、妻子から愛情たっぷりチョコをもらった石田は上機嫌だ。
>>317 時事ネタwイイヨイイヨ〜
やっぱ、笹本×尾形 いい
なんか笹本がかわいい女になるんだよなGJ!!
「笹本さん、今日何の日か知ってます?」
「さぁ。あんたの誕生日ではないと思う」
世間はバレンタインデーで、恋人達は盛り上がっているが笹本には関係ないらしい。
「そうっすよね…。」
今日は笹本と警護者が違うため、朝しか顔を合わせない井上は落胆の表情を浮かべた。
本当は仕事が終わった後で会いたかったが、今日の予定では無理。
ため息をつきながら井上は突っ伏した。
「なんだ、義理チョコ期待してたのか」
そんなやり取りを笑いながら眺めていた石田は、励ますように教えてくれた。
「警護課には、義理チョコというものは存在しないからな」
確かに少ない女性課員が義理チョコを用意するのは大変だ。
だけど笹本さんは本命にも用意してないんですよ、という言葉を飲み込み拳銃保管室へ向かった。
任務が終わり、帰庁したのはまもなく日付が変わる頃。
腕時計を変えるために開けた引き出しには、小さなメモが貼られ包装された小箱が入っていた。
「井上へ
義理の塊を用意してやったから、よく味わって食べろ。
あと、引き出しの中は整頓しておくこと。」
−−笹本さん、ちゃんと用意してくれてたんだ。
ニヤニヤしている井上に、尾形が訝しい目を向ける。
「お先に失礼します」
「ああ、お疲れ」
警護課を出てすぐにメールを打つ。
「本命チョコ、ありがとうございました。
すごいうれしいです。
もったいなくて食えないです。
ホワイトデー、期待してて下さいね」
笹本が喜ぶものは何か考えながら、井上は家路についた。
どっちもかわゆすなGj!
ホワイトデーにも期待
井上も笹本も子供っぽくてなぁー
なんか萌えない
個人的な趣味で申し訳ないけどw
石田、尾形、西島あたりが好きだ
俺もだw
悪いがチラシの裏に
大人の雰囲気を求めるなら、原川メインで尾形、石田か…。
石田がひそかに原川狙いだったりとか?
自分は井上と笹本すごい好き。
>>324 石田さんが原川さん狙い…そ、それだけは勘弁w
>>321 女が子供っぽいのは全然かまわないけどね
井上も別に悪くないけど
>石田、尾形、西島あたりが好きだ
には完全同意w
に、西島さんか……
じゃあ課長もとか言ってみる
ねちっこく笹本にセクハラとか
>セクハラ
そこはあえて係長にやってもらいたい
敢えて今の段階ではどんな人なのか不明な木内、新理事官はどうだろう。
木内が中の人みたくDAKARA!とか言っちまう弾けたキャラなら嫌だが、同じ射撃が得意な者特有の空気を笹本が感じ取り…みたいな。
新理事の方はエリートなのを全面に押し出し、田中以上に皮肉上手。
微妙に身長の事で卑屈になってたり、裏表が異常に激しかったり、マザコンおっぱい星人だったり。
331 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 13:08:41 ID:A/05rVfQ
あげ
尾形!尾形!お・が・た
笹本×井上誰かないかな?
笹本×井上いいね〜。
>>330 スナイパーが寡黙な男である事を祈るよ。
個人的に変態的な新理事官は大歓迎。
こんな人の少ない場所でどの組み合わせが萌えるかなんて、不毛だと思う…。
もし言うなら、この二人のこういうとこに萌える、って具体的に書いてくれると乗っかりやすくて嬉しい。
子供っぽくはしゃいでる井上&笹本も萌えるし、
石田さんに子供あつかいされる笹本とか
尾形を体育会系に心酔する笹本とか乙女に思い続ける原川さんとか
課長の仁義なきセクハラとか、新理事官の性癖とか
何でも美味しくいただける自分は勝ち組。な、はず。
尾形はモテそうだが、実は女の扱いに慣れておらず、恋愛経験も少なめ
そんなウブな係長の一面に気付いてしまった笹本が、係長を誘惑…
なんて話はいかがか。
ホシュ
酔っ払いの相手は好きじゃない。
自分も酔っていたらそんな風に思わないだろうけど、今日は酔う程飲まなかった。
そろそろ財布が軽くなったから飲みも断わるはずが無理やり連れて行かれた。これってパワハラってやつですか。
でもやっぱ集まりは楽しかったし、山本が新しく見つけた居酒屋は料理も酒もうまかった。
あと石田さんと笹本さんがちょっと多く出してくれたから、給料日までなんとか持ちそうだ。
でもなー、と目の前をズカズカと歩く笹本さんを見る。笹本さんは俺が逃げないようにご丁寧に手を引っ張っていた。
店を出た後は明日も仕事があるからそこで解散するときに、笹本さんが呂律の回らない口調で送っていけ、と俺に命令した。
こんな時の笹本さんには普段以上に適わない。
石田さんと山本はじゃあよろしく、と無責任なこと言う。
文句を言おうとすれば笹本さんが手を掴んで歩き出したから結局ついて行くことに。
それにしてもこれじゃあどちらが送られているのか分からない。
はぁっと溜め息を吐いたけど、振りほどこうとは思わなかった。
だって笹本さんが手を握ってるなんて、こんなおいしいチャンスは滅多にない。
笹本さんのことは初めて会ったときから気になっていた。まだいまいちそういう意味で好きかどうかよく分かってない。
でも今は嬉しいから、きっとそうなんだろうな。
けど素面に戻ったときは覚えてないよな、と思うと少し寂しくなった。
笹本さんの手を少し強く握り返してみたけど、相変わらずズンズン前に進んでいた。
なんかちょっと傷ついたんですけど。
全くこれだから酔っ払いは。
結局このまま笹本さんの部屋の前まで来た。
俺がいた意味ってなくない?引っ張っられていただけだし。
「あーじゃあこれで失礼します」
軽く頭を下げたらべしっと叩かれた。
「あんた、そんなに早く帰りたいわへ?」
「いや、だって仕事…」
「仕事仕事って、私とろっちが大事なんよ」
えええ。何だこの会話。
「さ、笹本さん落ち着いて」
ぷいっと顔を背けると笹本さんは鍵を開けた。ドアを開いて先に入れと促す。
ちょっとこれは流石に不味いんじゃあ。
戸惑っているとバシッと肩を叩かれた。
「痛っ」
「さっさと入れ。係長に言うぞ」
一体何を。反論しようとしても笹本さんの気迫にたじろいだ。
「…お邪魔します」
笹本さんは大きく頷いた。
笹本さんの部屋は思った通り簡素だ。余計なものがあまりなくてスッキリしている。
見渡していると視界にベッドが入ってきて思わず目を逸らした。
「井上」
ビクッと振り向くと、笹本さんは缶コーヒーを差しだしていた。
「ど、どうも」
コーヒーを受け取ると笹本さんはソファを指差した。素直に従う。
ソファは柔らかくて座り心地がよかった。俺も買ってみようかな、と考えていると隣に笹本さんが座って来た。
触れ合った肩が恥ずかしくて少し距離を取る。
けどすぐに笹本さんはくっついてきた。俺はまた離れた。
「なんれ離れんのよ」
そして距離はまた縮まる。人の気も知らないでこの酔っ払いめ。
「別にいいじゃないっすか」
また離れたら、今度はついて来なかった。安心したような残念なような。
とにかくコーヒーを飲んだらさっさと帰ろう。よしそれがいい。
笹本さんの非難的な視線を無視してプルタブを開け、そのまま飲み始める。
ってこれブラックか。パッと飲み口を離した。
飲めないわけでもないけどちょっとミルクか砂糖があった方が俺の口には合う。
俺の様子を見て笹本さんはクスクス笑った。それからコーヒーを一気に飲み干した。
「…俺のも飲みます?」
コーヒーを差しだそうとすればギロリと睨まれた。
「あらしの出したもん飲めらいってゆーの」
「じゃあ砂糖かミルクくださいよ」
「めんろくさい」
笹本さんは手をヒラヒラさせる。あーもう。
コーヒーを前のテーブルに置いて立ち上がろうとすると、すぐに腕を掴まれた。
「ろこ行くのよ」
「砂糖とミルクを探しに…」
その時の笹本さんの表情に唾を飲んだ。
「らめ」
悪戯っ子みたいにニヤリと笑い、腕を俺の腰に回して抱きついてきた。
腕に柔らかな膨らみが当たる。
「ちょっ、ち…っ!さ、笹本さ…ん」
離れようとしてもガッチリ捕まえられていて更に胸の感触を堪能してしまった。す、すげぇ…ってそうじゃなくて。
「当たってます当たってます!」
「当ててんのよ」
「その台詞どっかで…いや、とにかく不味いから」
右手で笹本さんの肩を押そうとしたら顔を傾けて舐められた。
何なんだどういうつもりっすか。色んな感情が混ざり合って俺は涙目。
俺は笹本さんから顔を背ける。
「井上さぁ」
体はさらに密着した。
「私れ抜いたことある?」
きっと聞き間違いだ。うん。
「ねぇ、わらしは井上であるよ」
「…え?」
顔を笹本さんに向けると、いやらしい顔で笑っていた。
「嘘」
笹本さんは俺の唇に噛み付いた。痛くはないけど、あんまりにも驚いて硬直した。
そんな俺にお構いなしで笹本さんはもっと唇を貪る。
「さ…もっ…ん」
舌が絡め取られ、弄ばれる。笹本さんは愉快そうだ。
口内を隈無く蹂躙された後、ようやく解放された。お互い口の端から唾液が漏れている。
あまりの出来事に頭が混乱していると笹本さんが立ち上がった。
あ、終わりか。と思ったら、笹本さんは俺の前に移動して脚の間にしゃがみ込んだ。手をベルトにかける。
「ちょちょちょっストップ!」
慌てて笹本さんの両手を掴んだ。
笹本さんはギロリと睨み付ける。怖い。
「離せ」
「いや、です。てか何するんすか」
「セックス」
恥じらいも何もない。平然とこんなこと言うなんて、やっぱ酔っ払いは嫌だ。
「その、俺たちそんな仲じゃないっすよ」
あー、と笹本さんは気だるそうに呟いた。よかった分かってくれた。
「じゃあ付き合おう」
全然よくなかった。
再び手が動こうとしたから抑えつける。
「そんなあっさりでいいんすか!」
「あんた、あらしのこと好きれしょ」
ね?と上目遣いで俺の目を覗き込む。すげーかわいくて、照れて目を逸らした。
左の太ももに軽い痛みが走る。笹本さんが噛みついていた。
「ちゃんとこっち見ろ」
俺は言われた通りにした。あぁこの人すごい楽しそうだよ。
「これで文句ないれしょ?」
ニコニコしながら笹本さんは言った。
こんな始まり方もありなのか…あ、というか。
「聞きたいんすけど、笹本さんは」
グラリと笹本さんの頭が揺れ、ガクンと垂れて先が股間に当たった。
ビックリして掴んだ手を離す。
「いっ…!笹本さん!」
慌てて笹本さんの顔を上げれば、目を瞑っていた。
スウスウと寝息が聞こえる。
最悪だ。だから酔っ払いの相手は嫌なんだよ。
ベッドで笹本さんはスヤスヤと寝ている。
寝顔かわいい。少しクセのある髪に右手を巻きつけた。
ベッドに運んだらすぐに帰ろうとしたけど、「井上」という寝言が聞こえて、傍にいたくなった。
笹本さんの隣にゴロンと横になる。
起きたら何て言うのか、きっと忘れているんだろうな。殴られるかも。
でも俺のせいじゃないし、笹本さんが悪いんだ。
俺はゆっくりと瞼を閉じた。
今夜はいつもより眠れるかもしれない、と何となく思った。
ペチペチ、と頬を叩かれる。ハッと目が覚めて起き上がった。
「はよ」笹本さんがカップを差し出した。「飲む?」
感覚機能が段々と働いてきて、ようやくコーヒーの香りを嗅ぎ取った。
「いただきます」
コーヒーを受け取り、口に当てた。口の中に香りとほんのりとした甘さが広がる。
笹本さんを見たら珍しく微笑んでいた。
「昨晩は悪かった。悪酔いし過ぎた」
「大丈夫です」
「…一度帰んなよ。酒臭いし」
俺は頷いた。笹本さんはベッドから立ち上がらずに座っていた。
静けさがあたりを漂う。
「笹本さん」呼んだら顔をこっちに向けてくれた。
「笹本さんは、俺のこと好きなんすか」
昨晩遮られた質問をした。
笹本さんはじーっと俺を見つめる。俺は目を逸らさなかった。
「あんたはどう思うの」
何で聞き返すかな。
でもきっと、調子に乗っていいはずだ。
笹本さんの唇に触れるだけのキスをする。
「これが答え?」
俺の問いかけに笹本さんはクスリと笑った。
「うん、好き」
今度は笹本さんがキスをくれた。
笹本さんに見送らて部屋を出るとき、足を止めた。
「今夜、来てもいいっすか」
笹本さんは困ったように頭をかいた。
「今日から親が泊まりに来んのよね」
「付き合った初日に挨拶ってのも悪くないっ…て」
笹本さんに頭を叩かれた。
「冗談なのに」
「早く帰れ」
はーい、と素直に従ってドアを閉めた。
エレベーターまで歩きながら、周りを見渡した。
俺のとこよりいい場所だよなぁ。あぁ壁紙の模様とかかっこいい。
下りるボタンを押して待っているとコートのポケットが震えて、止まった。
携帯を取り出すと新着メールの表示があった。
メールボックスを開くと笹本さんからだ。
遠くにある部屋のドアを見て、メールに目を戻してからボタンを押した。
「帰ったら連絡するから、じゃ後で」
また遠くを見た。さっきよりも近くに感じる。
戻ったら怒られるかな。
ウィーンとエレベーターの扉が開いた。中に目を向けて、入っていく。
後で向こうでも会える。会ったらこっそり大好きですって言ってみよう。
どんな顔するかな。
楽しい想像にふけりながら、閉まりつつある扉の先を見つめた。
以上終わり。未遂ですまんw
GJ!!
笹本×井上はやっぱり好きだ!
あ・・・↑の人が天才だからそう思うんだ。
あははは(喜)
おおお!
GJ!
ほのぼのなのも(・∀・)イイね!
GJ!酔っ払い笹本カワユス!ほのぼのもイイね!
今度は本番もよろしく!待ってるよ!
保守
ネ申の降臨はまだかな?
ほ
笹本の制服コスプレ見てみたい
神降臨期待ほ
357 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/03(月) 01:32:16 ID:GN5qSczU
「……、い…」
「え?」
「か、おる、が…いぃ…っ」
あたしが求めるものは
快楽そのものじゃなくて
おまえ自身だから
358 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/03(月) 01:33:41 ID:GN5qSczU
あww
誤爆すまんww
もっかい最初からやりなおすw
359 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/03(月) 01:35:04 ID:GN5qSczU
どうしよう。
こんなの、いやだ。
いや、な、はずなのに。
部屋に響く音たち。
時計の針の音、シーツが擦れる音。
あたしの声、と。
あたしをいじめる低くて甘い声。
それらが混ざっていたのに、ふと静寂が訪れた。
井上の手の動きが止まったからだ。
「い、のう…え…?」
井上の手は内腿を這っていた。
あと少しで待ち焦がれていた場所に触れてもらえる。
もう1秒もあればきっと触れていただろう。
でも、井上は止まった。
「…笹本さん、さ」
「な、んだよ…」
「ちょっと手貸して下さい、左手」
言われるがままにシーツの上に投げ出していた左手を差し出す。
井上の手があたしの手首をつかむと、さっきまで触れられてたところへ引っ張られた。
362 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/03(月) 01:41:41 ID:GN5qSczU
「!?おま…っ、何す…」
「いーからいーから」
「よくな…、やっ、やだって!!」
井上が何をしようとしているかわかった。
正確には、何をさせようとしているのか。
「大丈夫ですって」
「ふ、っざけんな…っ」
「…笹本さんが触んないなら、俺も触んないよ?」
「っ、そんなのっ…!」
「ほら、触ってみて…」
363 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/03(月) 01:42:08 ID:GN5qSczU
絵里が、自分で触ってるとこ見たいな
耳元でそう囁かれる。
低く、甘く、溶かすように。
もう、それだけで。
魔法をかけられたみたいに、あたしの指がそこへ伸びていった。
その熱さに驚いた。
その量にも、その感触にも。
おそるおそる指を動かす。
井上の前でこんなことしてる自分がとてつもなく恥ずかしくて、意志とは関係なく涙が出てきた。
「…っ、お、まえ…最悪…っ」
「そんなこと言って、指動いてるよ?…泣くくらい気持ちいいんだ?」
「…ち、が…っ!」
甘い痺れがじんわりと広がっていく。
自分の指に、自分の腰がはねあがる。
どうしよう、こんなの望んでないのに。
「絵里、気持ちいい?」
「や…あっ、んぅっ」
「へー、そういう風にするのが気持ちいいんだ…」
「見、るな…っ」
見られたくないなら、指を止めればいいのに。
止まれというあたしの脳から発せられた命令が指まで伝わらない。
「絵里かわいい…」
「んっ、や、だ…っ!」
「絵里すっごいえっち…めっちゃかわいい」
「やぁ、だ…!」
「何で? ほんとかわいい。ねぇ、指入れないの?」
「……っ」
違う。
入れないんじゃない。
そうじゃなくて。
「……、い…」
「え?」
「か、おる、が…いぃ…っ」
あたしが求めるものは
快楽そのものじゃなくて
おまえ自身だから
「…っ、やば」
「な、に…んんっ!」
「ごめん、ちょっと我慢できないかも。ごめんね?」
「え、な、んぁっ!!」
「今のすっごいキた…マジ絵里やばい。かわいすぎ」
そこからは上手く返事が出来なくなってしまった。
呼吸さえも許されないくらいに深いキスと同時に、突き上げられる感覚。
いつもより乱暴に、激しく動かしながら、井上は囁き続ける。
耳元に興奮した吐息がかかって、背筋だけでなく心まで震える。
あたしの至る所に火をつけて、井上があたしを燃え上がらせていく。
熱いあつい炎の中で、あたしは井上だけを感じることが出来る。
何度も何度も名前を呼んで、その存在を確かめて。
何度も何度も呼び返されて、その愛を確かめて。
燃えながら、泣きながら、
あたしは今日も、井上に溺れていく。
なんか文の感じが素敵っすなぁ
GJです!!
ケータイ小説キタ Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒(。A。)!!!!
マジ勘弁して。
GJ!
ついに ネ申 降臨!!!
スイーツ(笑)っぽい文章だね。残念。
俺こういうのは受けつけない
クルクル、クルクル。
柔らかいウェーブの髪に右手の指を絡める。
笹本さんは鬱陶しそうにチラっとこっちを見たけど、何も言わない。
俺は構わずに指で弄んだ。
お互いを荒々しく求めて絶頂を迎え、しばらく体を休めていると興奮と快楽が段々と鎮静化し、その後に独特の気だるさが訪れる。
そういう時に笹本さんの髪に触れるのが好きだ。
嫌そうな顔はするけど、これまで手を払われたことも、制止の声を聞いたことは一度もない。
だから俺は今日も続ける。
笹本さんは静かに瞼を下ろした。
寝ちゃうの?笹本さんに体を寄せて素肌同士をピタリとくっつける。
モゾモゾと動いて離れようとするから、俺は笹本さんの体に手を回して抱き締めた。
笹本さんは諦めたのか静かになった。髪と同じくらい、やっぱそれ以上に体は柔らかくて気持ちいい。
首筋に鼻を押し当てる。僅かな汗の匂いに混じって笹本さんのいい香りがする。たまらなくなって甘く噛んだ。
「やめろ」
笹本さんは頭を動かしそれで俺の顔を退けようとする。
「跡は残らないようにしたから」
「当たり前だろ」
笹本さんはがぶっと鼻を噛んだ。ちょっと痛い。
「残るじゃないっすか」
ふん、と素っ気なく笹本さんは呟く。
だからお返しに口に軽くキスをした。笹本さんは抵抗しなかったし、笹本さんもキスをしてくれた。
あ、なんかノってきた。
「ねぇやっていい?」
「だめ」
俺の右手に柔らかい指が絡んできた。
「本当にだめ?」
笹本さんはクスリと笑った。
「いいよ」
シーツの中で笹本さんに覆い被さった。背中に細い腕が回される。
またキスをした。今度は舌を絡めながらお互いを求めた。
そしてまた俺たちは快楽の渦に飛び込んだんだ。
--------------
エロ書けないからここで終わり。
GJ!
いいねえ。
井上と笹本の恋愛はあり得ないと何度も念をおす天災金城
でもそんなの関係n(ry
じゃあ係長とならありなのか。
>>380 シナリオ本ですなw
まったくヒヤヒヤしたぜ。
本の内容は純粋に面白かった。皆、暇ならば読め。
しかし井上笹本に対するしつこすぎる否定w
でもそんなの関係n(ry
BLはいいってことなのかはたまた。
分かった!
天災金城自身が井上に萌えてるんだ!
だから笹本に渡したくないんだな!?
(`・ω・´)
じゃあ笹本は俺の嫁
もし金城の思惑通り男祭り状態だったらこのスレが存在しなかったことにゾッとする。
一話のマルタイさえ最初は男だったとかさww
女の笹本がいてよかったよ
原川さんも最初は男だったんだもんな。
どんだけ男好きなんだ。
ドキッ☆男だらけのエスピ〜☆★
女テロなんて期待できないよな。
笹本が人質になって身体検査されるといいのに
ネ申の降臨は?
SPまで待とう
えすぴー じゃなくて すぺしゃる ね
そうなると・・・暇だな。
保守
保守
保守
保守
本当に暇だ。。。
でももうすぐSPSP
神こないかな
保守
SPSPで新たなネタが生まれるのを願うよ。
何か投下したいが、なんせ妄想が出尽くした感があって…
書きたいネタはあるけど数週間余裕がない
保守
SPSPももうすぐだ!
新ネタが生まれるのを期待します。
宜しくお願いします! ネ申よ・・・
399 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 14:55:37 ID:c4HwBkyT
ほすage
石田×笹本で書いてみた。
※エロなし、ごめん。
*
髪をドライヤーで乾かして部屋に戻ると、石田は缶ビールを片手に胡坐を掻きながら広げた新聞に見入っていた。
湿気を多少含む髪を撫でながら、笹本は少々面白くなく思った。
髪乾かしてきます。
そう告げたのはたった数分前のことだ。10分も経っていない。
警察学校を経て無事に就職をして、SPという職業について思うことは、「容姿にかけられる時間は短ければ短いほどいい」という、なんとも女を捨てた事実だった。
努力と結果は比例する。射撃の実体験からイヤというほど身にしみている。
風呂上りに、30分造顔マッサージをする時間が取れる部類の女性と、自分の肌の質が違う現実に気がついたのは、残念ながらつい最近だ。
学生時代、長かった髪は警察学校に入ってすぐに短くした。髪は、丁寧に扱ってやらないとすぐに痛むデリケートな存在である。乾かす時間よりも睡眠が大事だった結果だ。
パーマをかけたボブヘアというのは、手間のかからない髪型第一位だと美容師が教えてくれた。
洗いざらし、とはいかないが、適度に乾燥をさせてやれば、翌日は最低限のメイクとブローだけで出勤が出来る。
重宝をしている。もっといえば、寝癖がついたまま出勤をしても怒られない男に生まれたかった、と笹本は常々思っている。
とにかく、だ。
そんな、煩わしい「女性である」業を行っている最中に、男である石田は自分だけビールを飲んでくつろいでいるわけである。これは大変面白くない。ただの八つ当たりだが面白くない。
すぐなんだから、待っていてくれてもいいのに。
一緒にビールのプルタブを開けたかった。ただそれだけ。
どうにも子供っぽい我がままだ。まあ、心底どうでもいいよな、と笹本はリビングのドアを閉めながら思った。
「石田さん」
「んー?」
新聞から顔を上げないまま石田が返事をよこす。さらに面白くない気分に拍車がかかる。
石田の真横に佇んで、その右手から缶を奪って煽った。残り半分だったビールを、腰に手をあてたスタイルで飲み干してしまう。
「飲んじゃいました。つい」
どうだ、と言わんばかりに意地悪い笑顔で石田を見下ろせば、彼はそうかとだけ言っていつも通りに物静かに頷くと、すぐに新聞へ視線を落とす。
「もともとお前のだしなぁ」
前傾姿勢のせいで低い声が更に低くくぐもって聞こえた。それ自体は耳触りがいい。
笹本は石田が好きだ。自分でもどうかしてる、と思うぐらい好きだ。
ちょっと駆け引きよろしくクールな振舞いを試みたくても、石田の後ろ頭を見かけただけで笑みがこぼれるほどの自分には到底無理だった。
たぶん、石田は少々うざったく感じているかもしれないけれどとにかく好きで好きで仕方ない。
だけど石田はそうじゃない。
石田は大人だ。余裕がある。石田とは絶対に喧嘩にならない。笹本が急に怒り出しても、石田は苦笑を浮かべながら容易くすべてを包み込んでしまう。
ときどき、ほんとうにときどきだけど、その優しさに苛立ちを覚えることがある。
感情のままに酷いわがままを言ってしまっても、石田は怒ったりしない。
道端で「今すぐにここでキスしてください」とぽろりと言ってしまった時も(今思い出すと死にたくなるほど恥ずかしい。飲みすぎていたのだ)、
「後でな」と笑いながら笹本の頭をふわりと撫でてから肩を叩いて歩き出し、ことを丸く治めてしまった。
家について石田の優しいキスを受けるころには、なぜ自分があんなにも腹を立てていたのかすっかり思い出せなくなっていた。繋いだ手が暖かすぎたせいだ。
「何でそんなに優しいんですか? あたし、物凄いわがまま言ってますよ。ちゃんと怒ってください」
そう聞いたことがある。
そのときも石田は、ちょっと目をしばたかせた後にまた頭を撫でて、そんなたいしたわがままでもないからなぁ、と穏やかに言い放ったのだ。
前の奥さんはあたしより酷いわがままを言う人だったのか?
うっかり滑らせそうになり、慌てて口をつぐんだ。
バツイチである現実を誰よりもデメリットに捕らえているのは他ならぬ石田だからだ。
「お前、ほんとにいいのか」
時折、思い出したように尋ねられる。
「関鯖が見つかったらそっち行けばいいんだぞ」
その優しさにどれほど傷つけられているか、石田は知らないだろう。
石田は悪くない。笹本が勝手に傷ついているだけだ。ここで激昂しては、石田の思う壺だし、何の解決にもならない。
真剣なまなざしで、睨むように石田を見据えながら頭を振る。
「石田さんじゃないと、いやです」
よく言えた、あたし。
そう心の中で己を褒めると同時に石田は、そうかと笑ってキスをくれる。優しくて、残酷なキスを。
笹本は、絶対に石田と同じ場所には立てない。それが歯がゆい。悔しい。
どうしたら追いつけるの。
そればかりを考える。
もしくは、どうしたら石田が同じ場所に降りてきてくれるのかを。
今日も今日とて、構って欲しくて、石田にこちらを向いてほしくて、自分だけをその瞳に映して欲しくて笹本は、新聞の上にぺたんと腰を下ろした。
ようやく石田が、笹本をきちんと視界に入れる。見つめられて、ただそれだけで信じられないほど胸が高鳴る。
重症だ。笑い出したくなる。
ありえないだろ。
一人ごちながら、にっこりと微笑んだ。
「……汚れるぞ?」
「そうですね」
軽く頷いて、胡坐をかいた石田の膝の上に乗り上げた。
「お」
腰に足を回して、ぺたんと座り込んでしまう。首に両腕を回し、身体を密着させる。
首の付け根に鼻を埋めた。石田の香りがする、と嬉しくなった。
「どうした?」
穏やかに問いながら、石田の両腕が背中に回る。
大きな身体、大きな胸、大きなてのひらと、スイートな体温。安心する。
もしも前世というものがあるならば、自分はその時、石田の娘だったのではないだろうか。余りの居心地のよさにそんなことを考えた。
「石田さん」
ん、と言いながら、石田にぽん、と背中を叩かれて胸が熱くなる。なぜか鼻の奥がつんと痛む。泣き出しそうに、幸せだ。
いま、この時、愛する石田と一緒にいられる時間以上の幸せなんてない。
そこまで考えて、はたと気が付く。
こんな、乙女回路自分に備わっていたか。どうも調子が悪い。
「石田さん」
首に回した両腕に、ぐっと力をこめる。石田がまた、背を叩いてくれる。
「ビール、飲みます?」
「いや?」
「意地悪してごめんなさい」
「なにが?」
「……判んないんだったらいいです」
ふうん。気のない返事の後に石田のてのひらが後頭部を撫でる。
「ちゃんと乾かしてないな」
だめじゃないか、とまるで子供を叱る口調だ。
笹本は喉の奥で小さく笑った。こういう風にたしなめる様に叱られるのが、実は好きだ。
「だって早く戻ってきたかったから」
自分の肩に当たっている石田の喉が震えた。
石田は大きい。石田は暖かい。安堵と幸福の象徴だ。張り詰めていた神経が緩む。
普段他人を守ってばかりいる自分が、石田のそばではただ守られていればいい。
同時に、石田さんを守るのはあたしだけの仕事だ、と強く思う。
穏やかで、優しい気持ちになれる。彼の影響だ。
ゆらり、と石田の身体がゆりかごのように揺れた。
「……石田さん」
「笹本……寝るのか? 寝るならちゃんとベッドで、」
「ううん、まだ寝ません。あとちょっと……」
暖かさに動きが鈍くなってきた頭とくちびるでなんとか言葉を紡ぎながら、しがみつくように首に回した腕に力をこめた。
苦笑のように息を漏らした石田に、また背をゆるく叩かれる。
そう言えば、キスがしたかったんだ。その先も。
石田から手を伸ばしてくることはめったにない。そんな年でもないからなあ、と申し訳なさそうに言う。
実を言えば物足りなく思う時もある。現に前回ちゃんと身体を重ねたのは、1か月ほど前のこと。
だけどあまりに居心地がよくて、セックスをするのとこのまま眠ってしまうのと、どちらが幸せかなと考えながら、笹本は意識をまどろませた。
おわり
神キター!
GJGJ!余裕な大人と子供な大人かわいいな
GJ!!!
ほのぼのいいなぁ。
「井上」
はいっと振り向くと、笹本さんの笑顔が目に入った。
不気味な程機嫌が良さそうだ。
「何すか」
「嫌いなんだよね」
何が、と問いかけようとしたらネクタイを引っ張られた。
お互いの顔が近くなって、余計に笹本さんの眼差しを感じる。
「あんたがさ、大っ嫌いなの」
そんな台詞をニコニコしながら言うものだから聞き間違いかと思ったけど、同じ言葉がまた繰り返されたから空耳ということはない。
「井上が大っ嫌い」
パッとネクタイを離すと、笹本さんはスタスタと自分のデスクに戻った。
唐突に何でそんなこと言うのか分からなくて呆然とする。もし笹本さんの気に障ったことを俺がしたんだったらあんな笑顔なわけがないし、頭を捻る。
その時肩を叩かれて、後ろを見ると尾形さんがいた。
「井上、自分のデスクの整理をしろ」
「どうしてですか?」
「青森県に左遷だ」
えっと思わず硬直した。左遷?青森?思考回路がショートする。
すると尾形さんはクスクスと笑って肩をポンポンと叩いた。
「冗談だよ」
冗談?上段?その時にようやく今日が何の日か理解した。
笹本さんを見ると、こっちを見て笑っていた。
「笹本さん」
近くに行って周りに聞こえないようにこっそりと呟いた。
「明日になったら大好きって言ってくれます?」
「いいよ」
珍しく笹本さんが素直でやった!と思ったけど、すぐに真意に気付いた。
ケチ、と拗ねると笹本さんはまたニコニコと笑った。
かわいいなぁ、と思いながら、俺はささやかな仕返しを考えるのだった。
いいね。時事ネタ。
おぉ!エイプリルフールネタきてた!
意地悪な笹本萌え〜
いよいよ今週かぁ…… ワクテカしすぎて死にそうだ!
いよいよ明日はSPSPじゃないですか^^
すっごい ネ申 降臨を心から期待してます。
SP映画化決定!
朝のめざましでやってたぞ^^
mjdk
SPSPってTV欄告知見るとなんか....ってな感じ?
週刊・真木はいがったー
岡山は来週から週刊すたーとだね
週刊真木よう子のまさかの山本出演に吹いたw
ヽ(´ー`)ノ ほしゅ
保守
417 :
名無しさん@ピンキー:2008/04/20(日) 00:54:03 ID:bhmwYRmd
神降臨期待age
418 :
名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 01:28:55 ID:SaeZuvUh
良スレ
保守
神再び降臨頼む!
保守
保守
保守
聞きたいけどここってパラレルとかパロディとかダメ?
学パロとかそんなの
駄目…ではないだろうけど
作品本来の設定や人間関係に萌えてるので
パラレルにはあまり食指は動かないかな(あくまでも自分はね)
424 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 01:31:51 ID:ne2UL5LZ
ほしゅ
保守
神降臨マダー?
426 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 01:55:11 ID:MLUV9fip
保守
早く消えろよなこのスレ
428 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/20(火) 20:50:37 ID:IyZp2Yuz
429 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/24(土) 20:58:56 ID:s+Du5Wvb
ほしゆ
430 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/25(日) 21:50:10 ID:LTwzG1CC
保守
映画の情報が流れ出したら
新たなSS投下があるかも、と期待中
432 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/31(土) 18:55:36 ID:jUNmmHCR
ほ
433 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/02(月) 11:17:06 ID:K64dYZFL
し
434 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/03(火) 10:37:11 ID:CqaHL3Cn
ゅ
435 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/08(日) 16:10:29 ID:AyJqgPjb
ほ
し
ゅ
う
439 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/17(火) 16:16:43 ID:+4eRwqiN
ん
っ
ほす(・ω・)
誰もいないのかあああああああああああああああ!
いるけど、神はいないんだよおおおおおお!
ほっしゅー
444 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/01(火) 17:17:01 ID:ze8TL/Yz
ふおしゅ
ほっしゅ
ほしゅ。
映画っていつ?
448 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 19:37:04 ID:nvPdjWwK
>>448 詳しくも何もSPは最終回の時点で映画化決定してるじゃん
じゃないとあんな特別編で意味深なラストにはしないだろ
まあ上映時期は知らんが
来年まで長いですね
ほしゅ。
映画、どこかで来年の5月公開って見たけど。
遠すぎて苦しい…。
まじでか
待ち遠しいが
じっくり時間も金もかけて作ってもらえるといいな
さ
さ
も
保守
そうきたか
459 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 17:40:12 ID:x/Og39KN
いきなりですが投下します。
長くなってしまいどこまで書き込めるかわかりませんが、
時間の許す限り頑張るのでお付き合いください。
*設定は前出の方のをお借りしました。すいません。
460 :
狂気 1:2008/08/27(水) 18:02:53 ID:x/Og39KN
今日は面倒なマルタイで大変だった。おかげで予定終了時刻を大幅にオーバーだ。
もう大分遅い。食事はどうしようか・・・・。
そんなことを考えながら石田は四係に戻ってきた。仲間はそれぞれの警護を終えて帰宅したのだろう。
人気のないオフィスは機械の音さえなく静寂としている。
急ぐ理由も無し、石田は自分の席でゆるりと装備を解き始めた。
銃を保管庫へ戻せば終了だ。
食事に付き合ってくれる仲間は無し、これから一人で済ませる食事の味気なさを想像し、
石田は気分を沈ませながら装備室へとつながる扉を開けた。
一瞬、声を上げそうになる。人影だ。
誰かまだ残っていたのか、と少し安心しながらその影を確認する。
だが、声をかけようとして石田は怯んだ。
その影は手に銃を持ったまま微動だにしない。
背を向けてはいるが横から伺う表情は一種異様な雰囲気をかもし出している。
そして瞳は怪しく銃を凝視している。
「いの・・うえ?」
弾んだように顔を上げた井上はすぐにいつもの笑顔で返してきた。
「石田さん、今帰庁ですか。今日は遅いっすね。」
「井上、それ、どうかしたか。」
銃を指しながら石田が保管庫を開ける。
「いえ、考え事をしていたんで・・・つい・・。」
「そんな物騒なもん早くしまえよ。」
「はい。石田さん食事は?」
「いや、まだだ。井上は?」
「まだっす。帰りにご一緒しませんか?」
「助かった。実は一人で食うの寂しかったんだ。」
二人で笑いあう。いつもの井上だ。きっとさっきのは自分の勘違いか
見間違いだろう。井上も疲れていたに違いない。
そう結論付け、石田は二人で連れ立ってオフィスを後にした。
461 :
狂気 2:2008/08/27(水) 18:34:29 ID:x/Og39KN
警護課第四係−
登庁してきた仲間でオフィスは活気を戻している。
「おはよう。少し遅くなった。」
かばんを置くと石田は報告書の紙を片手にドカと椅子に座った。
横にいた笹本がそわそわとした様子で石田に話しかけてきた。
「石田さん・・・井上知りません?」
「まだ来てないのか?」時計を見ながら石田が答える。「珍しいな。」
苦々しそうに山本が横から口を挟んできた。
「今日は重役出勤ですかね。」
その時、尾形が課員に召集をかけた。
「笹本、山本は国交省大臣の応援警護だ。予定通り向かえ。
石田は俺と幹事長の警護にあたる。」
「係長、予定では私は井上とでは・・・。」
「井上は今日休暇をとった。体調がすぐれないようだ。
時間までまだ間がある。警護計画書を熟読して準備を万全にしろ。」
「笹本、・・・ちょっといいか?」
石田は席に戻りかけた笹本をオフィスの外へと誘う。
係長席の尾形は、それを目の端に確認するとすぐに視線を手元に戻した。
「笹本、お前今日の井上のこと聞いてなかったのか?」
「はい・・・。」
珍しくしおらしい声で答える笹本に石田は状況を察する。
「最近、会ってないのか。おまえたち。」
「ええ、まあ・・・。お互い仕事が忙しくて、プライベートでは二ヶ月近く会っていないですね。」
「遠距離恋愛か、お前たち。」石田は呆れた。
「でも仕事では顔を合わせてますし−−」
「−でも二人だけで話す時間はとってないんだろ。」
「はい・・・・まあ。」
「最近、井上に変わったところはないか?」
「変わったところ・・・ですか?仕事上ではいつもどおりでしたし・・・・ただ・・」
少し言いずらそうに下を向きながら笹本が答えた。
「ただ、前のように家に押しかけてこなくなったというか・・」
少々語尾が小さくなるが、だが観念したかのように言葉を続けた。
「前はどんなに忙しくても疲れていても、こちらの都合お構い無しに
強引に来るところがあったんですが、最近はないですね。」
「今まで会えていたのは井上の努力あってのことか・・・。
できないのか、しないのか、それとも・・・。」
腕を組み眉間に皺を寄せて石田はつぶやいた。
「石田さん、何があったんですか?」
「ずっと気になって様子を見てはいたんだ・・。一週間ほど前だったか・・・」
石田は以前装備室で会った井上の様子を話した。
462 :
狂気 3:2008/08/27(水) 18:54:34 ID:x/Og39KN
「異様!?・・・だったんですか」
「普段の井上からは別人だったな。こう・・・・何て言うか・・うまく言えないが・・
うむ・・・何か危うい感じだったな。あのままこめかみに銃を当てるんじゃないかと思ったよ。」
「やめてくださいよ、石田さん。」笹本は少し不機嫌な顔になる。
「悪い悪い」
「こめかみと言えば、井上このところよくこめかみを押さえていましたね。
気にはなっていたんですが・・・・なかなか切り出す機会がなくて・・・・。」
何か心情に変化があったのか・・・・・こんなに様子が変わったことに気付かなかった
自分を笹本は悔しく思った。
恋愛はどちらか一方が負担を負うようでは成立しない。
そんなこと敢えて考えなくとも分かっていることだ。いや、分かっているつもりだった。
実際の自分たちはどうだったろう。
時間を調整するのはほとんど井上だ。その強引さに辟易したこともあったけれど、
それがなくては自分たちは世間で言う"恋愛”を継続させることは難しい。
井上が自分に合わせることになれて、自分が努力することをおろそかにしていた結果がこれだ。
仕事でもこんなに近くにいるのに、そんな井上の変化に気付かないとは、
ましてやそれを石田から教えられるなど・・・・・・・・・・。
笹本は強い後悔の念に駆られた。
「しかし・・・」
石田が続ける。
「そうだ・・・あれは・・・・あの井上から感じられたのは・・・」
笹本は思いもよらない言葉を聞かされた。
「――・・・・狂気だ。」
463 :
狂気 4:2008/08/27(水) 19:18:40 ID:x/Og39KN
ドアチャイムが鳴った。
井上は立ち上がると重い体を引きずるようにモニターに近づいた。
「・・・・・笹本さん・・。」
ドアを開けると強張った表情の笹本が立っていた。
「あんたが仕事休むなんて有り得ないから・・・来てやった。」
無言のまま笹本を招き入れると井上は部屋の中央でへたり込む様に体を落とした。
こめかみには相変わらず刺すような痛みが走っている。
「井上・・・・・具合、本当に悪いんだ。大丈夫なの?」
力なくうなずく井上を見て笹本はただならぬ不安を感じた。
「すいません・・・・今日はみんなに迷惑をかけました・・。俺の代わりは・・・」
「係長が石田さんと組んだよ。幹事長の警護は無事終了だ。
それより、医者には行ったの?」
「いえ、いつもはしばたくすると良くなるんです。それが今日に限っては
頭痛も・・・眩暈も・・・・今朝はとうとう起き上がれなくて・・・。」
「メニエールかな。とにかくこれから医者行こう。あたしがついていくから。」
笹本が肩を抱いて起こそうとすると、腕をつかみ井上はそれを制した。
「いいんです。わかっていますから。」
そう言うとこめかみを押さえていた手を緩めゆっくり顔を上げると、
不安げに覗き込む笹本の顔を見つめた。
井上の険しい表情が和らいでいく。
「・・・・・笹本さん、来てくれて嬉しいっす。」
「何言ってんの。皆心配してるんだから。
どんなに羽目を外したって翌日には誰よりもピンピンして登庁してくるおまえが
仕事休むなんて異常事態、考えらんないだろ!」
「すいません・・・・・・・・・・。」
「いつから・・・」一瞬言い淀んだ後、笹本は続けた。
「いつからなの・・・それ。分かってるって・・・・あたしは聞いてない。」
獲物を射る様な笹本の強い視線に圧倒され、井上は無意識に目を逸らした。
「今までも仕事中にこんなこと・・・・」
言いかけて、ふと笹本は思い出した。
464 :
狂気 5:2008/08/27(水) 19:43:41 ID:x/Og39KN
あれはマルタイの退避訓練だったか・・・。
途中井上は区連を抜けたことがあった。
係長は所用を井上に頼んだと言っていたが、その後係長席からもれ聞こえた二人の会話・・・・。
――検査の結果はどうだった?――
特別気に留めていた訳ではないが、四係内で、警護中で、時折尾形の視線が
井上に向けられているのは分かっていた。
その視線は見守るような、心配そうな、そして何かを探るような・・・・・。
間違いない。尾形は知っている。きっと自分よりもずっと井上の事を・・・。
「あんたはあたしに何も話してくれない。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「あたしのことは聞きたがるくせに・・・考えたらあたしは井上のこと何も分かってないんだ。
両親の事だってあの事件で初めて知ったんだ・・・・。
ねぇ、教えてよ井上。あんたのこと・・・!」
尚且つ俯き、答えようとしない井上に苛立ちを覚え、語気が強くなる。
誰にだって話したくないことはある。それはそうだ。
以前はそれで納得したこともあったが、しかし、尾形が知り得て自分が知らない、
正直言って面白くない感情がそこにある。
嫉妬か?らしくない。
そんな自分を否定しつつ、そこに存在する自分勝手な感情差し引いてでも知りたい。
井上自身のことを。
知らなければいけない、そんな気が笹本にはしていた。
「・・・・あたしには話したくない?・・・あたしたちの未来は重なっていないの・・・?
あたしの都合なんてお構い無しに、あんたはあんなに勝手に将来のビジョンは語るのに。
・・・・係長だけ分かっていればいいこと?
それは男同士の信頼?友情?あたしには関係ないことなの?」
「係長って・・・笹本さん、ちが・・・・」
「男ってみんな――」暴走しそうになり、あわてて口をつぐむ。
じB
465 :
狂気 6:2008/08/27(水) 20:10:33 ID:x/Og39KN
自分でも分からない。何故こんなにもムキになるのか。
感情のコントロールには自信があるのに、何故今この時だけはそれが適わないのか。
座り込んで俯いていた井上がユラリと立ち上がり、困惑した顔で答えた。
「笹本さん・・・最初から話しますから・・・」
笹本の元へ近寄ろうと足を踏み出した瞬間、強い眩暈が井上を襲った。
様子の変化に気付き驚いた笹本は、瞬時に井上を支えに走り寄る。
そしてそのままベッドへと移動させる。
倒れこむように身を横たえた井上の顔には苦悶の表情が浮かんでいる。
「大丈夫?井上・・・。」
「すいません・・・・すぐに良くなりますから・・・・・――笹本さん・・・。
「ん?」
「膝・・・借りてもいいですか?」
ベッドのふちに深く腰掛けそっと井上の頭を持ち上げると、
笹本は自分の膝に優しくおろした。
「・・・・久しぶりですね・・・・こんな時間・・・・
笹本さん・・・・・いい匂いがする・・。」
「ばか。何言ってんだよ。」
突飛にそんなことを言われどぎまぎする。
少しはいいのかと井上の様子を見ようとするが、前に持ってきた腕を
顔を隠すかのように交差させていて、その表情を窺うことは出来ない。
笹本はただ井上の髪をそっと撫でるしかなかった。
それからどれ位の時が経ったか。静寂だけが部屋を包み、
淀んだ時間が二人の足元を過ぎていった。
夜も更け、幾分気温も下がっただろうか。
笹本は少し肌寒さを覚えて窓の外を見た。
風が強く吹きぬけ、街路樹の葉を激しく躍らせている。
466 :
狂気 7:2008/08/27(水) 20:35:30 ID:x/Og39KN
思い空気感を破ったのは井上だった。
のせていた顔から腕をおろす。顔色は幾分いいようだ。
「事件にあったのは・・・・俺が6歳の時でした・・・。」
唐突に口火を切られ、笹本は少々面食らう。
そんな笹本をよそに井上は訥々と語ってゆく。
「両親を亡くした自分を引き取ってくれたのは、当時警視庁に勤務していた叔父でした。
「警察官だったんだ。」
「組織犯罪を担当していたようです。
事件後、俺は発語しなくなり感情表現もできなくなったりして・・・・
病院ではPTSDと診断されました。その後二年間通院しましたが・・・・
養父母は大変だったと思います。本当に・・・・。
だけど養父母はそんな俺に心血愛情を注いで育ててくれました。
二人にはとても感謝しているんですよ。」
――それはそうだろう。――と笹本は思った。
幼いながらこれだけのショックを経験した子供なら、
多少なりとも暗くひねたところがあってもおかしくないのに、
井上にはそれがない。あけっぴろげに明るいのだ。
現在の井上が在るのは、養父母の愛情の賜物であろう。
でなければ殺したいほど憎いであろう二人の命を護ろうとするなど出来っこない。
・・・あの時の光景を思い出すと笹本は今でも胸が痛くなる。
憎しみを凌駕し、命を賭けて麻田を護り、山西に救命措置を施すなど、到底自分には無理だ。
467 :
狂気 8:2008/08/27(水) 20:52:59 ID:x/Og39KN
「じゃあ、警官になったのも叔父さんの影響?」
「そうですね。いろいろ聞かされたし、武勇伝とかね。憧れたから。」
笑顔が出てきた。表情はいつもの井上だ。
笹本はどこかホッとしながら井上の話を聞いていた。
「これでも教職に就くことを考えたこともあるんですよ。」
「えー、嘘だろ。」
「本当ですって。俺子供好きだし。実父は高校の教師でしたから。
――・・・でも自分の感覚が普通ではないと気付いてから、
教師は向かないと悟りましたね。軌道修正は早かったですよ。」
ふと井上の視線が宙を見据える。
「この仕事に目標を絞ってからは・・・・なんでもした。
この仕事に必要なもの、活かせると判断したものは・・・何でも・・・全て
身に着けようと躍起になった。アメリカに留学したのもトラッキングを学ぶためだ。
全てはこのため・・・・そう、SPは俺の全てだ。
誰にも俺からこの仕事は奪えない―――誰にも。」
――それは自分もそうだ。笹本は思った。
自分だってSPに対する信念は誰にも負けないという自負がある。
がしかし、自分のと井上のとでは何かが、決定的な何かが違うように感じた。
その何かを表現する言葉を捜そうと、笹本は頭の中を検索するが思うように見つからない。
468 :
狂気 9:2008/08/27(水) 21:23:02 ID:x/Og39KN
く、という呻き声に笹本はわれに返った。
「井上、どうしたの。頭痛がひどい?」
固く目を閉じて目頭を押さえた井上は大丈夫、というように片手を挙げ
笹本を制する素振りをし、大きな深呼吸をひとつするとしっかりとした目で笹本を見据えた。
「笹本さん・・・。もう、大丈夫だから。心配しないで。」
笹本は井上の頬を両手で挟むと、視線を正面から受け止める。
「ごめん・・・ごめん、井上。・・・・・あんたこんななのに、
あたし・・・ 取り乱して無理言って追い詰めて・・・・
あんたに辛い事まで話させた・・・・・。
もう、いいよ・・・井上・・・・ごめん。」
井上は自分の頬にある笹本の手に自らの手を重ねると、
愛おしそうにそっと唇を押し付けた。
「謝らないでください。これでよかったんだ・・・。
まだ、もっと、聞いて欲しい・・・・・・。」
「もう休んだ方がいい。これ以上ひどくなったら・・・」
「頭痛・・・――」
「え?」
「俺の頭痛・・・幼少の頃のあの事件がきっかけなんです。
あれを経験したことで脳内物質と神経回路のバランスが崩れた・・・。
・・・・鋭敏になればなるほど研ぎ澄まされた神経が疲弊してくる・・・。」
「それって・・・」
「そう、俺の五感は頭痛という代償があってのものなんだ。」
「ずっとこのまま・・・」
「それでも俺にとっては大事な仕事道具ですから・・・・付き合っていかなきゃ。」
井上は軽く微笑んで返す。
「井上・・・・あたしに出来ること、ある?」
「笹本さんは・・―――」
井上は和らぐ気持ちを伝えるかのように笹本の上に置いた手の力を込める。
「笹本さんは、こうやって俺と一緒に過ごす時間を作ってくれるだけでいい・・・。
たまで・・・いいから・・・。」
井上はそのまま両手を笹本の腰に回す。
そして顔を横にずらすと笹本の腹部に鼻をこすり付ける様にしながら、
一つ深い溜息をついた。
469 :
狂気 10:2008/08/27(水) 21:34:50 ID:x/Og39KN
「笹本さん・・・・俺、怖いんです。・・・とっても・・・怖いんだ・・。」
笹本は我が耳を疑った。
今までどんな危険も平然とサラッとやってのけてきた井上から、こんな弱気な言葉を聞こうとは。
「あの時の事を思い出そうとすると闇に引きずり込まれそうになるんだ・・・・。
そしてその闇は、大きな靄となって度々俺を包んでくる・・・。」
ふと膝の上の井上を見て笹本はその大きな瞳を見開いた。
背を丸め、まるで子供が母親に救いを求める様に、すがり付いている。
顔色が青いことも手伝って、閉じていて分からないその瞳さえ弱々しく思える。
笹本は生まれて初めて自分の中の母性を感じた。
何かに怯えている井上を愛しく思う。井上を守りたいと強く感じる。
470 :
狂気 11:2008/08/27(水) 22:28:14 ID:x/Og39KN
ふと井上がゆっくりと起き上がった。
笹本の顔に自らの顔を近付けると、先ほどとは違った強い眼差しで笹本の瞳を
射る様に見つめる。
端正な顔立ちにしばらく見とれるが、その瞳に普段の人なつこい様子はない。
笹本は一瞬、体を強張らせた。
「笹本さん。もし、もし俺が向こう側に堕ちることがあったら・・・
―――そのときは容赦なく、俺を撃ち抜いてください。」
――――向こう側に堕ちる――――
笹本は頭の中でその言葉を反芻するが意味がよく飲み込めない。
だが、そんな疑問より笹本の胸の内には押さえられないほどの切なさが込み上げ、
気付くととっさに井上の頭をきつく抱きしめていた。
そうすることで少しでも井上に安心感を与え、気持ちを静めてやれる気がしたからだ。
ふと手を緩めた笹本が井上の頬を指で触れる。
それを合図に、どちらからともなく唇を求め重ね合わせる。
井上の唇はいつものように熱を持たず、驚くほど冷たい。
井上の手が笹本の胸元のボタンに掛かった。
「待って。井上・・・お前・・・今日は・・・・だめだ。」
それには構わず井上は迷子の子供のように不安げな声ですがりつく。
「寒い・・・・・寒いんだ。」
井上は笹本の細い体に腕を回してきつく抱きしめると、白い首筋に軽く唇を押しつける。
笹本は冷たい感触が胸へと這ってゆくのを感じた。
笹本は井上の言わんとする意図を探ろうとするが、込み上げる甘い感覚に邪魔をされ、
思うように頭が回らない。
ふと、石田の言葉が頭をよぎる。
―――狂気・・・・。―――
しかし、それはすぐに白濁した靄に掻き消され、
笹本は井上の抱える闇の深淵を感じながら、長い夜に身を投じていった。
471 :
狂気 12:2008/08/27(水) 22:36:23 ID:x/Og39KN
閑散としている四係のオフィスには尾形だけが残っている。
やっと先程最後に仕事を終えた山本が帰宅したばかりだ。
尾形は今日の警護に思いを巡らした。
井上の穴が出たことで心配もあったが、とにかく何事もなく無事警護を
終わらせることが出来た。
やれやれ、と溜息を一つつくと頭はもう次の警護計画を練っている。
明日、井上は来るのだろうか・・・。
ふと引き出しから一組の書類を出して目を落とす。
書類には『経歴調査書』とあり、一枚の写真が添付されている。
しばらく眺めた後、ゆっくりと顔を上げると視線を一点に定めた。
先には内閣府の閣僚図が貼ってある。
尾形は眉間に皺を寄せると一人呟いた。
「井上・・・・・お前は違うのか?」
472 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 22:42:57 ID:x/Og39KN
以上です。
お付き合いありがとうございました。
初めてなので実はとてもビクビクしながら投下していました。
本当はもっと推敲したかったのですが、突発的に時間が出来たので
一気投下。ぽちっとな。
エロパロなのにエロが極薄で申し訳ない・・・・・。
投下乙
久々に職人さん来てくれて嬉しい
おわあぁぁぁ!油断してた!GJ!
俺も完全に油断してたw
本当に投下乙!
映画に繋がってく感じでイイな
保守
478 :
名無しさん@ピンキー:2008/09/19(金) 00:52:29 ID:f0H8QVGa
ミスた
みんなどーした!?
いないのかーっ?
480 :
名無しさん@ピンキー:2008/09/28(日) 01:48:44 ID:AXcAOO7u
いるぜ
ほしゅるか
ほしゅろう
お前らほしゅるきあんのかw
わざわざageなくても書き込みがあれば落ちない筈(今は違うのかな?)
ほしゅ。
486 :
名無しさん@ピンキー:2008/10/28(火) 22:27:11 ID:5tbxHY3j
職人はいないのか・・・・
井上×笹本ください
487 :
名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 02:28:02 ID:PzVypOni
映画のアウトライン位の情報流れないかな。
それくらいないとあの終わり方じゃ妄想しづらい┐(´ー`)┌
笹本さんが大人の玩具でいじめられて「もう許して・・・」って涙目にになってるとか
多忙によるレスに耐え切れなくなった井上がオフィスの机に押し倒してとかいうの如何ですか職人!!!
何言ってんだ自分orz
489 :
名無しさん@ピンキー:2008/11/19(水) 01:47:22 ID:aOfeAuZN
笹本の中の人がああなったし、映画はブラッディマンデイの映画化に切り替わったらしいよ
>>489-491 このてんぷくトリオめ
中の人のでき婚には萎えるが、笹本に中田氏とかは大歓迎だ
よろしゅう
493 :
名無しさん@ピンキー:2008/11/20(木) 09:48:55 ID:QqmehC5b
>>490 放送局は違うが映画は同じ東映だからな
有り得る
494 :
名無しさん@ピンキー:2008/11/20(木) 14:26:40 ID:ChUhQTaT
もうこのスレがたって1年か…
早いな…
全然関係ないけど金曜ロードショーでオールウェイズに係長でてる
SPのイメージ強いから・・・・・俳優さんてすげぇのな。
野球拳で脱いでく「舞妓Haaaan!!」は見てないのか
おい、このスレの前半に神がいっぱいいるじゃねーか
突如尾形×笹本とか投下したらKY?
小ネタだけど
498です。恐れ多くも投下させていただきます(尾形×笹本 普通に恋人的な設定)。
初投下なので改行等見苦しい部分あるかもしれませんがご容赦ください。
エロ有ですが小ネタということで中途半端…スイマセン。
素晴らしい書き手様方の再来を心から祈ってます!
「尾形さ、んって…っ」
「なんだ」
黒く大きな瞳に涙をいっぱいにためた笹本が尾形を見上げている。
その目は恨みがましくなにかを訴えているようにも見えた。
「サ、ディストですよ…ね…っぁ」
息を乱す笹本の両手首はその頭上で尾形のネクタイにがっちりと固定され自由を失っている。
透き通るように白い裸体には艶かしい紅がいたるところに散らされていた。そのひとつを尾形が楽しげに指先でなぞる。
ピクリと身を震わせた笹本に怪しく口角を上げた。
「ひゃ、ぁんっ!!」
くちゃり、という水音をかき消すように笹本が突然嬌声をあげる。
蕩けきった其処を尾形の無骨な指が掻き回したのだ。
漏れてしまう声を抑えようにもその手は拘束されていてかなわない。笹本は羞恥に頬を染めいやいやと首を振った。
いつも強気な笹本が今にも泣き出しそうに顔をゆがめ時折甘く啼くのを聞いて尾形は満足する。
「っ、あぁっ!ゃ、だっ・・・!!んんっ」
淡く色づいた蕾に吸い付いて、あふれ出る蜜を掬い上げるように舌を這わせる。
強い快感から逃れようと身を捩じらす笹本の腰が一瞬縋るように動いたのを尾形が見逃すはずがない。
形のいい臍の横にキスをして唇を耳元に寄せる。
「欲しいか?」
「っぁ…やぁ・・・っ」
「気持ちいいんだろう?」
「んあぁっ!!んっ!!」
尾形が起ちあがった蕾を指で弾く。
豊かな胸にじらすように舌を滑らせていたかと思えば強く吸い付いて所有の印とも言うべき痕を増やした。
「笹本?」
「は、ぁっ・・・」
もう言葉を発することもままならないことをわかっていながらなおも自分を追い詰めてくる尾形に笹本はまただ、と思う。いつも優しすぎるくらい優しい尾形がこうして時折見せる表情にどちらが本物かわからなくなるのだ。
一瞬そんなことを考えるも焦らすように続く愛撫に笹本は思考を濁らせる。
ぼんやりとする視界の中で必死に尾形だけを見つめた。
「どうする?」
残酷にも聞こえる低い声が笹本の耳に届く。
目の前の人に縋りつくことも許されず、ついにその目から涙が零れた。
「ぁっ・・・ぃ・・・」
「ん?」
「っ・・・い、ぃっ!もっ、とぉ…!ぉが、たさぁ・・・ぁっ、くだ、さぃ・・・っ!!」
熱に浮かされ何もかもよくわからなくなった笹本が懇願の声をあげる。
そんな笹本の姿に尾形が再び怪しげに微笑んだのを笹本が知るはずもなく、頬に流れる水滴を優しく舐め取るその感触にただ身を任せた。
ふんがー
これだこれを待っていたんだ!!
間違いなく尾形はスケベ
502 :
名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 00:57:43 ID:96UV4ZtO
実は尾形笹本って初めて?
約3ヶ月ぶりに職人光臨
んーgj!!
おおおー
久々に来て見れば職人さん降臨
つか、つ、続きもお願い
>>495 もっとびっくりしたのが、今公開中のガリレオの映画。
係長、超冴えないダサ男熱演、俳優ってすげえのな。
ダサ係長に泣かされちゃったよ。
505 :
名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 17:21:16 ID:+TtRazYH
尾笹萌える
もっとよみてえ
尾笹小ネタ投下した者です。駄作に感想くださってありがとうございます!
続きなんて書いていいんですか?!
今ちょっと忙しいのでもう少ししてからになると思いますが続きかもしくは新たなの許されるのでしたら投下させてください。
続きでも新作でも楽しみに待ってます!
509 :
名無しさん@ピンキー:2008/12/16(火) 21:57:51 ID:9oU226hs
506
是非!
以前尾笹投下した者です。
駄作ですが今日中には投下できるかと思います。
遅くなりましてすいません
相変わらず文才がありませんが何とか書きあがりましたので投下します。
尾形×笹本で前回同様付き合ってるの前提の設定です。
…職場でやっちゃってますが
スイマセンスイマセン汗
512 :
尾形×笹本1:2008/12/17(水) 16:48:29 ID:9+YYGt1a
夜。4係には静かに書き物に没頭する男とキーボートをたたく女。
先ほどまでいたはずの小太りな男は果たしてどこへ行ったのか。
そのデスクにもうPCはなく、椅子にはコートと鞄が置かれているのを見るともう仕事は終わっているのだろう。
「係長?」
不意にこの部屋に響くにふさわしい声色で女が後ろを振り返らずに声を発した。
背後に何かを感じて。
呼ばれたはずの本人は答えない。相変わらず振り返らないまま言葉を続ける。
「なにしてるんですか」
その声は自分の肩にふれ、そっと髪を撫でる無骨な手を咎めているのだった。自分の上司に対して。
同じ手はやはりその声を無視してキャスターつきのそれをそっと引くと軽い力で向きをかえ、正面に向かい合わせた。
「係長、」
答えないのは後ろめたいことをしようとしているのだとわかっていて、それを許すわけにはいかず声を強める。
目の前の彼を役職名で呼ぶのもそれに気づかせたいからだ。
「かかりち…っ!」
不意に細い腕を強い力で引き寄せたかと思うと、もう片方の手を背中に回し逃げられないようにする。
鼻と鼻がふれあいそうなほど近づいた距離。時折、互いの吐息が頬をかすめる。
「なに考えてるんですか」
「なんだと思う?」
「ふざけないで。ここじゃ駄目」
「だめ?」
「山本戻ってきますよ」
「大丈夫だよ」
「だ・・・っ」
拒否しようとした言葉は重なった唇にさらわれた。触れるだけのそれはそれでも甘い痺れを全身に伝える。
「笹本」
耳元で囁かれて、その体がびくりと震えた。
「…尾形さん、帰ってから・・・」
「駄目だ」
「ちょっ…」
「おいで」
尾形が笹本の手を引く。後ろめたさを感じながらそれでもふらふらと笹本は尾形に続いた。
513 :
尾形×笹本2:2008/12/17(水) 16:49:53 ID:9+YYGt1a
導かれるまま狭い部屋に入れられると仮眠室の薄いドアが閉まる音に続いて響いたカチリという音。
尾形が後ろ手に鍵を閉めた音だ。
その音はすでに深く唇を塞がれていた笹本の耳には届いていない。
「はぁ・・・」
唇が離れ、ぼんやりとした表情の笹本がベッドの端に腰掛ける。
その頭のてっぺんに口付け、尾形が上着を脱がそうとした。
「だ、め・・・」
「どうしてだ?」
「聞こえちゃう…」
「声我慢しろよ?」
「ぁ…」
さらに抵抗しようとした笹本の口内に尾形の熱い舌が滑り込む。
いつの間にか邪魔だった上着は脱がされゆっくりとその体がベッドに倒された。
ばさりという音がして尾形もそれを脱ぎ捨てたのがわかる。
今にも折れそうな首すじに顔を埋めながら無骨な指が一つひとつ小さなボタンをはずしていく。
「ね…ほんとに・・・?」
「今さらやめろって?」
「ぁ…ん・・・っ」
耳の裏側にちゅ、と口づけて笹本の口から甘く声が漏れたのを聞いて満足する。
咎めようとする瞳はただでさえ潤んでその意味をほとんどなしていなかったのに、
尾形の愛撫にそれは静かに瞼の裏に隠されてしまった。
「あ、」
「え・・・?」
「消えてる」
そういった尾形がはだけた部分をそっと指でなぞった。笹本の体がピクリとはねる。
「敏感、」
くすりと笑った尾形が今なぞった場所に強く吸い付いた。
「んぁっ…ば、か…」
「もう黙って」
耳元でそう囁いた尾形の首に細い腕が絡まる。答えるようにその体を強く抱きしめた。
514 :
尾形×笹本3:2008/12/17(水) 16:53:23 ID:9+YYGt1a
「っ…っ…ぁ」
中途半端に絡んだままの衣服が妙にその色っぽさを増長させている。仮眠室の頼りないベッドがギシリと音をたてた。
声を抑えようと必死に自分の指を噛んでいる笹本の口からわずかに吐息が漏れる。
目にいっぱい涙を溜めているその姿がなんだがいじらしく、状況も忘れ尾形は笹本をなかせたいと思った。
「ひゃ、ぁんっ」
淡く色づいて存在を主張していた蕾を指先で不意に弾くと、突然の刺激に驚いたのか大きく声をあげた。
「だ、め・・・っおがたさ…んっ」
ふるふると首を振る笹本を見下ろしながら、熱く潤っているであろう其処に手を伸ばそうとしたとき―――
ガタンッ
「っ!」
不意に物音が響き、薄いドアの向こうに人の気配を感じた。
笹本はびくりと体を震わせ尾形に縋るようにしながら「もうやめて」と訴えている。
「っあぁ…!」
それを無視した尾形が下着の上から湿った其処を撫で上げると笹本が声をあげる。
必死でそれをさえようと唇を噛む笹本の大きな瞳から涙が零れた。
「も・・・だ、め・・・っ!」
「大丈夫だよ」
遠のいていく足音を冷静に聞き取りながら、頬を伝う雫を舐め上げて尾形が言った。
いつの間に薄い下着は尾形の手によって脱がされ其処に直接指が這った。
「あっ…ぅ…んん」
「びしょびしょ」
「や、だっ…!あぁ、んっ…」
囁かれるたびにまたとろりと内側から溢れだすのがわかる。それが恥ずかしくて身を捩るとそれを楽しむように捕らえられる。
「あっ…あぁ…っ!く、ぅっ・・・」
奥までかき回すように差し入れられた指の動きに、笹本はびくびくと体を震わせながら耐えていた。
けれど尾形がそれを浅いところに移動させようとすると内部がひくひくとそれを引き止めるように蠢く。
「あっ・・・!」
突然引き抜かれた感覚に吐息交じりの声があがる。
ぬらぬらと光る指を丁寧に舐めたあと尾形がそっと笹本を抱き起こした。抱きついて答える笹本の虚ろな目が尾形を見つめる。
「入れるぞ」
「っや…あ…はぁぁ、んっ!」
ゆっくりと押し入ってくるその容量に苦しげな声が上がる。
自らの体重でさらに深く埋め込まれるそれに笹本は喘ぎを漏らすしかできなかった。
「んッ!んっ、んっ・・・あぁ…」
「声ださないの?」
「だ、めぇ・・・ッ、ぁんっ」
下からずんと突き上げるとそのたびに上がる声はもう泣き声に近かった。許容を超えた刺激に笹本が尾形に縋る。
首の辺りに顔を埋めていたはずの笹本が尾形の鎖骨に噛み付いた。
「っ…」
「ぁ・・・」
無意識に力のこめられたそこにわずかながらじわりと血が滲んだ。途端、笹本の顔が泣きそうに歪む。
「ごめ、んなさ・・・っ」
「気にするな」
けれど熱に浮かされた表情の笹本はそのまま赤く濡れた舌をその傷に這わせた。
その姿はひどく官能的で、尾形は残していたわずかな理性を手放した。
「あっ…あっ…ああぁっ!!やっ、あぁっ!!」
深く深く繰り返すたび激しさを増す律動にがくがくと身を震わせて笹本が喘ぐ。
大きく反る背中。揺らぐ腰を尾形の手が支え、さらに深く突き上げる。
「んんっ、あ…ああぁっ!!も・・・っ、やぁっ…!!はぁ、ぁあっ!!」
尾形を強く締め付けて嬌声を上げた笹本が中で熱いものが弾けるのを感じながら意識を手放した。
515 :
尾形×笹本4:2008/12/17(水) 16:54:39 ID:9+YYGt1a
「ん…」
額にふれるやさしい指先に笹本がゆるゆると目を開く。
そこではなんともいえない表情を浮かべた尾形が自分を見下ろしていた。
縋るように両手を伸ばした笹本に答えるように尾形がその体を抱きしめると深くため息をついて肩に顔を埋めた。
「ばか・・・」
「悪い…」
「そう思うならしないでください…」
「…」
「もう・・・」
叱られた子供のような顔で笹本の顔を覗き込んだ尾形に笹本は目を伏せ小さくため息を漏らす。
その手がそっと尾形の頬に添えられゆっくりと撫でた。
「そんな顔しないで…」
「嫌いになった?」
「だから…ん・・・」
壊れ物にふれるようにそっと押し当てられる唇に笹本は怒る気力を奪われる。
「言ってるそばから」
「悪い」
「2度目はなしですよ…?」
そう言って疲れたという表情でそれでも甘えるように擦り寄ってきた笹本をそっと抱きしめた。
「あぁ…」
やわらかい猫のような体に頬を寄せ尾形が目を細める。
はやくここを動かなければと思いつつ、心地よい体温に笹本はもう少し…と自分に言い分けてもう一度目を閉じた。
・・・お目汚し失礼しました。
素晴らしい職人さんの降臨を待っています
うおー!
すごく萌えた!
GJ!!!!
尾笹いーね!!
職場でシチュGJ!!
519 :
名無しさん@ピンキー:2008/12/18(木) 22:41:44 ID:4lAhKHaJ
やばい笹本かわいいかわいいかわいいいい
520 :
名無しさん@ピンキー:2008/12/20(土) 15:18:40 ID:h7B7Gz2j
早く映画で笹本さんに会いたくなったお・・・
521 :
名無しさん@ピンキー:2008/12/22(月) 15:23:22 ID:Q1tuGRed
映画は2010年になるかもってV6の岡田氏がいってた
まあ代役にならなければいいや、真木さんじゃなきゃやだ。
尾笹萌えた!