311 :
256:
「もっと酷い事なの?」
「いえ…その。聖人に生命力を分けて貰うという方法があります」
「分けて貰う?」
「はい。命を維持していく上で足りなくなってしまった生命力を、他人から分けて貰うと言う方法です」
「…まさか、その為に人殺しをしろと?」
言いにくそうな表情をした事を思い、考えられる最悪の方法を口に出す。
「滅相も無い!!そんなことせずとも、分けて貰うことは出来ます!」
「えーと。…じゃあ、どんな方法?」
そうなると、言いにくそうになる理由が分からず。首をかしげて問う。
「――性行為です」
少しの間のあと、きっぱりと告げられた言葉に。
ボクは、ぽかんとした表情で医者を見つめる。何を言ってるんだ、このキノコは。
「な、なんで?」
「性行為には、確かに子を育むという重要な役割がありますが。体液を交わし相手と一つになる事で、生命や魔力を
共有化するという目的にも使われます」
…ああ、うん。それ、錬金術か魔術関係のことについてかかれた本で読んだことある気がする。ついでに言えば、
最近人気のゲームでもそんな設定あったよね。
312 :
256:2008/11/13(木) 22:24:31 ID:kpVvwmst
「ええと…で、さ。その、聖人にあたるのって言うのは誰なんだろうね?」
出来るだけ、日常のちょっとした会話のように続きを促す。
だってほら、命には代えられないから、貞操観念の軽い人でも良いなら、そういう人のお世話になろう。…うん、ボクも
男なワケだから、そういう行為はむしろ大好きですし。
「本来なら。一定期間、聖職についていた方だと言いたいのですが。ルイージさん、あなた自身が、この世界では
かなり位の高い聖人に位置されてしまうのです。…自分よりも位の低い聖人に生命力を分けて貰おうとするのならば。
…相手の方の命を保障できないので、私は、オススメできません」
「と、なると?」
ボクの予想は、間違っていない気がする。
絶対、これは良い事は一つも言われない。
「ピーチ姫、もしくは、デイジー姫と――」
「冗談じゃない!!」
313 :
256:2008/11/13(木) 22:26:08 ID:kpVvwmst
>>305すまない、デイジー登場まで行かなかった
案の定の答えに、ボクは医者の言葉を遮って、怒鳴り声を上げる。
「兄さんの事を心から愛してる人に、抱かせてくれって言えるものか!!ようやく政の勉強を始めた姫を、舌先八寸で
言いくるめて性行為に及べって言うのかい?!」
「……」
「ケホッ…う…」
興奮して、怒鳴り声を上げてしまったのがよくなかったらしい。気が遠くなるほど咳き込み、酸欠でクラクラする頭のまま
医者を睨み付ける。
「ルイージさん…」
「絶対に…その話を兄さんにも。ましてや姫二人にも言わないでくれ。…ボクは、ボクの寿命を受け入れる」
「…」
医者は。ボクのお願い通りに、兄さんにも、ピーチ姫やデイジーにも。ボクの命が3年くらいもてば良い方だという事しか
説明しなかった。
あの時の、兄さんとデイジーの顔は。あまり思い出したくない。