598 :
名無しさん@ピンキー:
言葉といたるのプレゼント交換の続編です。
言葉と心といたるの初詣。
桂家のリビングにて。
「あーあ、お父さん達の仕事の都合とは言え今年は家かあ。」
「そんな事言うもんじゃないわ心。」
「でもお姉ちゃん、せっかく別荘があるのに・・」
「久々に過ごす家でのお正月も悪くないわよ。
今年はいたるちゃんもいてくれるし。」
「はーい、お邪魔してまーす。」
「お邪魔じゃないよう、いたるちゃんは家族だよ。
早くうちに引っ越しておいでよ。」
「うーん、あのバカ親父は普段は家にいないくせにこういう時だけ反対してくるの。
説得には時間がかかりそうだよ。」
「残念だなあ。」
「それは後でじっくり話すとして和服に着替えてお参りに行きましょ。あれ誠君?」
誠は桂父と酔いつぶれて寝ていた。
「情けない男どもねえ。」
ただ1人平然とグラス片手に言う真奈美。
「この二人は起きそうに無いからあなた達3人で行ってらっしゃい。」
「でもお母さん。」
「いいから行ってらっしゃい、どうせ後で夫婦二人で行くんでしょ?
今は妹達と楽しんでらっしゃい。」
「ええ、わかったわ。」
599 :
名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 12:51:29 ID:tCubTjCx
参道にて
「和服って七五三以来だよ。私歩き方とか変じゃない?」
「大丈夫ですよ、それによく似合ってますよ。」
「お姉ちゃんの言うとおりだよ、いたるちゃん。」
「ありがとう。」
神前に辿り着いた3人はそれぞれお賽銭を投げて神にお願いした。
『誠君といつまでも幸せに暮らせますように。』
『私にもお姉ちゃんみたいにいい人が見つかりますように。』
『あんなバカ親父ととっとと縁が切れますように。
どうしようもないダメ男とかバカガキがこれ以上寄ってきませんように。
少しはまともな縁がありますように。』
「いたるちゃん、随分真剣ねえ。」
お願いが終わった2人がいたるを見ていた。
「そ・そんな事無いよ、あはははは。」
「じゃあおみくじ引いて家に帰ろうよ。」
「あら、心はお汁粉も甘酒も要らないの?」
「あ・忘れてたあ。」
そんなおしゃべりをしながらおみくじ売り場まで行ってそれぞれおみくじを引いた3人。
言葉は大吉、心は中吉、いたるは小吉だった。
600 :
名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 12:52:13 ID:tCubTjCx
「お姉ちゃん大吉なんだ、いいなあ。
恋愛もかなり良くて待ち人来るんだ。
じゃあいい人が現れて誠お兄ちゃんと別れて新しい恋が始まるんだねえ。
なんかドラマみたい。」
「こら!人のおみくじ覗き込んで勝手な解釈しない!!心はどうなのよ?」
「恋愛は進展なしで待ち人来たらず縁談もダメ・・・。いたるちゃんは?」
「恋愛は波乱で待ち人は来ないみたい、転居は早いほうがいいって。」
「うちに来る話は急いだ方がいいよ。」
「そうだね、心お姉ちゃん。」
おみくじを枝に結んでから甘味屋に寄って家に帰ると誰もいなかった。
その代わり机の上には真奈美の置手紙があった。
『初詣は楽しかった?
取引先とのパーティに行ってきます。
今回は顔つなぎのいいチャンスなので誠君も連れて行きます。
帰りは遅くなるので先に寝てなさい。』
「なら仕方ないわね、着替えたら一休みして晩御飯はすき焼きでもしましょう。」
「わーい。すき焼きだあ。」
「いたるちゃんそんなに嬉しいの?」
「だって鍋料理なんて誰かと一緒じゃなきゃ食べられないもん。」
「やっぱり早くうちに来なよ。」
601 :
名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 12:53:03 ID:tCubTjCx
翌日の夕方誠と言葉のマンションにて。
「あー、日頃会わない人と会うのって本当に疲れる。」
「仕方ありませんよ、それよりこれを見てください。
初詣の帰り道に心のお友達に偶然会って撮ってもらったんです。」
差し出された携帯に写っていたのは言葉と心といたるの3ショットだった。
「へー綺麗に写ってるね、いたるの着物姿なんて七五三以来だ。
あいつもちゃんと成長してるんだな。
それにしても惜しかったなあ、折角のいたるの着物姿を実際に見られなかったんだから。
心ちゃんも綺麗になったな、周りの男がほっとかないだろうな。
いいものを見せてもらったよ、後で転送してね。」
誠が携帯を返すと言葉が憮然と受け取りこう言った。
「それだけですか?」
「え?」
「どうせ私みたいな古女房は誠君から見たらもうとっくに対象外でしょうね。
誠君の気持ちはよーくわかりました!!」
言葉はそう言って自室に入ってカギをかけてしまった。
「言葉ごめんよ。そういうんじゃ無いんだ!!開けてくれよ!!」
誠は慌てて戸を叩いたけれど遅かった。
「バカ(ボソッと)」
End