503 :
mark:
誠 「世界とは、別に何もないよ………」
乙女「うん。それはもうわかっている。………だから、その時はこれまで
通り、伊藤とは腐れ縁の友人として接しようって、勝手にそう
自分を納得させていた。それで………終わるはずだった。」
そこで、乙女の言葉が途切れる。
七海「じゃあ、乙女があそこまで桂を嫌っていたのって………」
乙女「七海とは桂嫌いという事で一致していたからしゃべんなかったけど、
私が好きな伊藤を独り占めしている桂が、どうしても許せなかった…………!」
そこで乙女の顔が憎々しげに歪む。それをみつめる言葉。
乙女「なんであんたみたいに、おどおどしてて、根暗で、ろくに人と話せない癖に、
そのくせ生まれつきの魅力だけで男子たちに注目されて、他の女子達から
嫌われているようなヤツが、伊藤なんかと付き合っているんだって…………!」
言葉「私は…………」
乙女「大人しい顔して、裏では伊藤を誑かして、そのご自慢の胸であいつに
いやらしい事でもたっぷりしたんだろうって……!!」
言葉「……私はそんな事、1度だってした事ありません……加藤さんの
いいがかりですよ」
乙女「ああ、そうだよッッッ!!!」
声を荒らげる乙女。
乙女「あんたが伊藤と付き合っていると知った時、頭の中はあんたに対する
憎しみでいっぱいになった。あんたの事を滅茶苦茶にしてやりたいって
思った。………だから、夏美たち女子を使って潰してやるって………」
言葉「………………」
乙女「そして、同じバスケ部である七海も、桂の事が嫌いだっていう事で
一致していた。目的は違うみたいだったけど、自分に協力してくれる
人間なら誰でもよかったから、七海には特に聞かなかった。………その後は
桂が知っている通りだよ」
言葉「………そうですか………」
哀しげに俯く言葉。誠が大丈夫かと声をかけるが、彼女は大丈夫だと応える。
そんな様子を辛そうに見る乙女。自分も知らなかった真実を知り、驚きつつも、
声をかける事のできない七海。
乙女「そして、後夜祭で暇そうに過ごしてる澤永に声をかけた。あいつは
桂の事が好きだって言ってたけど、他の男と同じように、単純に
助平心で身体目当てなんだろうなって思った。私や夏美達が
放課後に桂と揉めた時に、たまたまあいつが通りかかって
止めに入った事があったけど、しょせんその程度の男だと。」
誠・言葉「………………」
乙女「澤永と話してるうちに、私はある事を思いついた。……こいつを
嗾けてあの女をレイプさせてやれって………」
誠 「くッッ………!」
乙女の生々しい告白に思わず拳を握り締める誠。