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怒りの誠W〜対峙〜(481からの続き)
(現実及び原作・アニメ等ではありえない設定・状況が多いですがご容赦下さい)
誠君が加藤さんに向かって話しつづける。その表情はとても辛そうであり、
私が受けた仕打ちに対して怒っているのと同時に哀しさが感じられる。
そして、私を今まで苛めてきた加藤さんも、辛そうな表情だ。普通なら散々
苛めてきた人間の代表である加藤さんや甘露寺さんに対して、怒りどころか
憎しみを抱いてもおかしくないと思う。いや、もし2人がこの場においても
何も悪びれていなかったのなら、平手の1発でも見舞っていた。
誠君以上に激しい言葉でなじったかもしれない。
でも、私が今感じるこの気持ちは一体、何なのだろう―――
誠 「なあ、加藤………」
乙女「………………」
誠 「どうして………そこまで腐ってしまったんだよ……?」
乙女「………………」
誠 「確かに、お前とは中学の時、しょっちゅうケンカした事もあったけど、
ぶつかる事も多かったけど、それでも、気が置けない、いいヤツだって
思ってたのに…………」
乙女「………………」
誠 「どうして、言葉にあんな酷い事をしたんだよッッ!!」
誠君が絞りだすように、加藤さんに言葉を叩きつけた―――
その言葉に再び場は沈黙する。
実際に時間が止まったわけではないのだが、この場だけ、時が凍りついた
かのように沈黙が支配する。長く。長く。……やがて、時計の時間的には5分位しか経過して
いないのだが、乙女がぼそりと誠に話しだす。
乙女「私も………伊藤の事が好きだった………」
誠 「加藤………」
乙女「ずっと、あんたに憧れていた。………中学の頃からずっと。……だからね、
伊藤が私と同じ高校に行くと聞いて、『高校でも腐れ縁だな〜』とか、
お互い軽口を叩いていたけど、本当は、嬉しかったんだ。」
ぽつぽつと誠に話す乙女。
乙女「クラスは違ったけど、高校でも伊藤と一緒なんだって、嬉しかった。……だから、
自分の想いを、高校ではいつか伝えたいって、そう思っていた。」
誠 「…………………」
乙女「でも、3組での伊藤は、色んな子と話していて、確か西園寺っていうんだっけ?
その人と親しげに話す姿はよく見ていた。」
誠 「世界は…………」
乙女「その時は、まあしょうがないかなと思った。彼女は私よりもずっと気さくで
親しみやすそうだったし、私から見てもお似合いだと思ったから。
隣のクラスという事で、特に私とも接点はなかったし」