スクールデイズの分岐ルートを考えるスレ

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480mark
小会議室内

ロッカーが立ち並ぶ室内には、用途不明な道具が乱雑に段ボールに詰められて、幾つか
置かれており、壁には色褪せて破れた標語やポスターが張られている。
室内の中心に、長机が1つ置かれており、部屋の隅に整頓されて置かれていた
パイプ椅子を予め持ち出したのか、それに座っている4人。誠・言葉と、乙女・七海
がそれぞれ隣となり、机を挟んで互いに向き合う形で座っている。

乙女・七海「……………」
誠 「せっかく中に入ったのに、だんまりか?一応時間は限られているんだからな、
   もう少し何かしゃべってくれよ」

沈黙を続けていた2人だが、無言な雰囲気を嫌ったのか、ようやく七海が話しだす。

七海「どうして……私らに会いに来たんだよ……?」
誠 「さっきも同じ事聞いてきたな。 まあ、甘露寺は俺と同じクラスメートだし、
   加藤は隣のクラスだけど、中学が同じだったからな。会いに来ても
   別におかしくはないだろ?」
七海「そういう事じゃなくてさ、わざわざ私や乙女に会いに来て、何がしたいんだよ?」
誠 「……………」
七海「伊藤や桂に言われたくないから、先に言わせてもらう。………私らの苛めの事
   なんだろ?」
言葉「ええ、そうですよ。」

それまで同じく沈黙を守ってきた言葉が静かに答える。

言葉「このまま警察署の方々に引き渡したら、お2人に直接真相を伺う機会が
   ありませんから。どうして私をあれほど苛めたのか、知りたいんです」
乙女「そりゃあ……あんたの事が嫌いだからに決まってるじゃない……」

言葉を睨みつけながら答える乙女だが、言葉は動じない。

誠 「その嫌いな理由を、俺達はお前ら2人に聞きたいんだ」
七海「私も、桂の事が嫌いだった。中学の時からずっと。何でっていわれてもね……
   もっともらしい理由なんて、別にないし」
言葉「もっともらしい理由というのは、私がクラスの男の子から変に注目されて、
   それで女子の誤解や嫉妬を受けて嫌われた事ですか?それとも、
   引っ込み思案で根暗な性格だから、鬱陶しくて嫌だという事ですか?」
乙女「自分の事よくわかってんじゃん。……確かにあんたのそういう所も苦手というか
   嫌いだし」

そう毒づく乙女だが、いつものような強気さは感じられない。

言葉「そういう形で嫌われるのはもちろん嫌ですけど、慣れていますから。
   それだけなら、まだ自分にも悪い所があるからと思えます。でも………」

いつになく饒舌だった言葉の話がそこで、途切れる。少し身体が震えている言葉。

誠 「言葉、俺が代わりに話そうか?ここから先は言葉にとって辛い話になるだろうから、
   廊下で待っていてもいいよ」
言葉「いいえ、居させて下さい。私は誠君と共に加藤さんと甘露寺さんに真相を聞く為に
   ここへ来たんです。私はもう逃げたりしません」

誠にきっぱりと伝える言葉。その目には決意の重さの程が窺える。

誠 「……わかった。じゃあまずは俺から話すよ。加藤に訊きたい。どうして、
   言葉をあそこまで苛めたりしたんだ?」

誠は言葉へ行われた具体的な苛めも知った上で、私に聞いている―――
乙女はそう感じた。
481mark:2007/12/21(金) 21:53:58 ID:t6CweeKG
誠 「そりゃあ、クラスにどうしても気に入らないヤツがいる、
   なんかむかつくヤツがいる。それだけなら別に珍しい話じゃないさ」
乙女「………………」
誠 「加藤が言葉の事をどうしても好きになれない、それだけならいい。
   でも………あれはやり過ぎなんじゃないのか?」
乙女「………………」
誠 「小泉たちや、他の女子を使って、物は隠す、壊す、酷い落書きで心を傷付ける、
   何の根拠もない事で誹謗中傷する、……他にも色々あるけどな。自分で言ってて
   気分が悪くなるよ」
乙女「……じゃあ言わなきゃいいじゃん」
誠 「いや、言わずにはいられない。………そして、これを知った時は本当に哀しくなったし、
   自分にもむかついたけどな。……でも、今まで言葉との関係をきちんとあいつに説明してこなかった
   俺の責任でもある」
乙女「………………!」

顔色が変わる乙女。まさか、あの事まで知っている……!?

誠 「お前が澤永を唆して、言葉をレイプさせた事も全部知っている。言葉が
   泣きながら俺に教えてくれたよ…… その時はお前も一枚噛んでいたとは
   知らなかったけどな」
乙女「伊藤……あれはそんなつもりじゃ……」
誠 「あいつさぁ…… 俺に嬉しそうに話すんだよ。憧れの女の子とセックス
   が出来たって…… 自分がこれから逮捕されるのも知らずにさ」
七海「じゃあ……乙女が任意同行受けたのって、逮捕したあいつから唆しの事実を知って
   警察が接触したからって事なのか?」

誠・言葉の疑問に答える側のはずである七海が思わず尋ねる。

誠 「ああ、そうだよ。お前らの苛めだけだと、下手すれば証拠不十分でおとがめ
   無しになる可能性もあったからな。澤永が事件起こしたおかげで、おまけに
   加藤の事もしゃべってくれたから、こうして芋づるみたくお前らをここに
   連れてくる事が出来た。………本当に皮肉だよ」

自嘲ぎみにまくし立てる誠。

誠 「言葉…… 本当にごめんな。まだそんなに日にちが経ってないのに、何度も刑事さんに
   話した事なのに、また蒸し返したりして。一番辛いのは言葉なのに」
言葉「……いいんです。私は誠君がいたからこそ、ここまで頑張ってこれたんです。
   何も恥じる事なんかありません」

もちろん本当は言うまでもなく、辛い。理不尽な苛めを受け続け、あげくに望まない形で
貞操を失った事が、どれだけ自分を惨めな気持ちにさせただろうか。
自分など何の価値もない、ただ慰み物にされるしか出来ない程度の存在なんだと
本気で思ってしまった。そして、死にたいと―――

そんな気持ちが、ほんの少しでも誠君を好きなそれを、一瞬でも上回ってしまった。
そう、あの夜までは。

(続く)