301 :
286:
バキッッ!!
泰介「痛ってーなぁ。いきなり殴ることないだろう。男のヒステリーは
見苦しいぜ」
誠 「………もしお前が、ほんの少しでも罪悪感を感じてたのなら、せめて
身柄を引き渡すまで一緒に付き添ってやるつもりだった」
泰介「誠?お前何言って………」
誠 「お前とは何だかんだで気の合う友達だと思ってたけど………俺のとんだ
勘違いだったようだな」
泰介「……………誠……」
誠 「言葉は昨日自殺するつもりだった」
泰介「…………え!?な、何で…」
誠 「あと少し助けるのが遅ければ、言葉は今日、この世にいなかった」
泰介「ま、誠………お前、まさか……」
誠 「言葉は警察に被害届を出したんだ。お前にレイプされたって。それだけじゃない。
お前に『アドバイス』をくれた加藤やその仲間から酷い苛めを受けている事もだ」
泰介「誠……… あれはそんなつもりじゃなくて、俺はただ……」
誠 「加藤がお前を唆した事は、言葉も俺も知らなかったけどな。………もう警察はお前を
逮捕しようと動いている。お前の親にも連絡が伝わってるはずだ」
誠 「せめてもの情けだ。泰介、大人しく自首しろ」
泰介「ひっ………うわぁあああああっ」
自分が逮捕されるという現実に恐怖した澤永は誠を突き飛ばし、そのまま裏門から逃走する。
しかし、逃走を予測していた警察官が既に張っており、澤永はあっという間に捕らえられる。
この為に澤永を引きとめ、通行に利用する人間の少ない裏門に誘導したのだ。
302 :
286:2007/12/06(木) 18:54:19 ID:HhiRC1S2
もちろんそれは、悪質な事件とはいえ、性というプライベートな事情も
あって、他の生徒への動揺をなるべく少なくしたいという学校側と警察の
事情もあったが、澤永の罪をほんの少しでも軽くしたいという、誠と言葉の
強い要望があっての事だった。(もちろん誠は最初反対したが、見ず知らずの
人間ならともかく、自分を犯した澤永は誠の友人でもあり、彼の今後の人生も
考えて、澤永を厳しく罰してほしくないという言葉の意見を汲んだのであった)
そんな彼らの想いも、澤永には通じず、彼は憔悴しきった状態で手錠をかけられ、
パトカーに乗せられ、学園を去っていく。
そんな一部始終を、騒ぎを聞きつけた野次馬な生徒達や一般人の中、
誠は独り悲しげに見つめていた―――――