【MH】モンスターハンターでエロパロ 8匹目【モンハン】
扉を開け、中に入る。
「お?ジェノじゃないか!珍しいなお前が集会所に来るなんて。」
いきなり名前を呼ばれて、少しビビル。
見るとそこには、昔の狩り仲間であるベアルがいた。
「久しぶりだね、ベアル。」
「こやつは何者だ?」
テルノが怪訝そうな顔をする。
「僕の友達さ。」
「そうか。」
「そこらへんを見物してて、少し話してから行くから。」
テルノは頷くとカウンターに向って行った。
すると、ベアルがニヤリと笑ってからいきなり腕を引っ張る。
「お前も隅に置けねぇよなぁ。」
「何のことだよ?」
「は?あんな可愛い子連れてきて、何とぼけてんだ?
なぁ、彼女なんだろ?そうなんだろ?」
「まだそう呼べるような関係ではないけど、そうなりたいとは思ってるよ。」
恥ずかしいが、言い切ってしまうことにした。
現にテルノのことを愛おしいと思うし、自分だけの人にしたい。
「ふぅん、ということはまだ付け入る隙はあるわけだな。」
「今なんて言ったのかなぁ?」
はっきりと聞こえていたが、聞き返してあげる。
「冗談だって、じょ・う・だ・ん♪」
何かキモイ。
「所で何しに来たんだ?とっくの昔にハンターやめただろ?お前。」
これまでの一部始終を話す。
「へぇ、そりゃぁまた面白そうな話じゃねぇか。」
「こっちに取っちゃ迷惑この上ないよ。」
「おい、ベアル!こっちに来な!」
気の強そうな女性の声が聞こえる。
見てみると、綺麗な黒髪を後ろでまとめた、隻眼の大柄な女性が立っていた。
「おう!今行くから待ってくれ!」
「早くしなよ!」
狩にでも行くのだろうか?二人とも武器を背負っていた。
「!?おい!そこのあんた!こっち向きな。」
大声で呼ばれる。俺、何かしたっけ?
「は、はい?」
「どこかで見たことのある顔だね?名前をいいな!」
「ジェノ・マクスウェルですけど?」
何故かフルネームで答えてしまう。
「!? あんた覚えてないのかい?師匠の妹を。」
レックスさんの妹!?
「え!?ハンナさん?」
「覚えてないかと思ったじゃないか、あんたも討伐部隊の一員だろ?
これからよろしくね。」
ガッチリと握手する。
「にしてもずいぶん変わっちゃいましたね、ハンナさん。」
「そうだろう?前にも増して美人だろう?」
「そ、そうですね。ははは・・・・。」
この人のペースには、付いて行けそうも無い。
「おう!だまして悪かったな。
実は俺も、ハンナさんと一緒に同行するんだ。よろしくな!」
今度の握手はそんなに痛くなかった。
「ジェノ〜!」
放置していたテルノに呼ばれる。
「はいは〜い。じゃあ僕は呼ばれてるから、また後で。」
「おう!後でな!」
テルノの声がした方にいってみる。
「素材をもらってきてやったぞ。」
小柄な体で大きな袋を引きずっているテルノは、とても可愛い。
「ああ、ありがとう。」
重そうなので持ち上げようとする。
「うお!?」
担ごうとしたが、そのまま潰れる。
どうやってこんな重いもの引きずってたんだ?
「半分に分けようか・・・・。」
「そうだな、おぬしでは頼りない。」
男として情けなかった。
〜第四章 完〜
気張りすぎたせいで疲れちゃいました。
これからはペース落ちるかもしれません。
別に無理して書くものでもないんだぜ
マイペースで構わないんだぜ
539 :
珍味のひと:2007/11/03(土) 15:48:10 ID:fCGByRoz
ネタが腐りそうなので、書き上げてないくせに投下。
投下自体に8レスほど拝借。
※諸注意
・モンハンぽさはやや薄め
・パロネタ多め
・エロはまだ
・続き物。登場人物説明不足の気あり
・舞台はMHP2。設定間違ってたらすまん
以上許せる方はご覧あれ。
ダメならスルー頼む
誤字脱字もスルーお願い
あれは何を歌ったものだったか。一節しか思い出せない。
柔らかに泡立ちうねる波を思わせる、いつか聞いた優しい曲調のあの歌のように。男が水面に漂っていた。
鈍い瑠璃色の長い髪は水藻みたいに広がり、時々魚につつかれている。
まったく。顔の良い者の姿ってものは、やらかしているのが奇行でも絵になるんだから得なもんだ。
ここはポッケ村の農場。この村駐在ハンターである私に貸与されている場所で、私のハンター生活を支えてくれる資源を多く生む場だ。
大きな池だか川だかに桟橋が張り出していて、そこから水面へ釣糸を放てば様々なお魚様方が喰らい付いてくれるという、実に素晴らしい釣りポイントも備わっている。
そんな釣りポイントだが、今釣糸を垂らしたら、あれが釣れるんだろうか。
着衣泳なのかなんなのか、水草の塊のようにぼやっと仰向けに浮かんでいるのは、私の顔見知りの同業者だ。
以前は顔を合わせれば「殺してやる」だのなんだのわめかれたものだが、近頃少しおとなしめになってくれて有難い。
私は桟橋の上にしゃがみ込み、水面に漂う彼に声をかけた。
「あなたって人は、まだ私を殺したいと願っていたのかい?」
ぼんやりと空を見上げていた黒い目が、ジロリとこちらの姿を捉えるのが見えた。
彼をよく知らない人ならば、彼の目付きの悪さから睨まれたと思いかねないだろう。
「テメェは殺して死ぬタマじゃねぇだろが。死んでもらっても困るがな」
「びっくりさせ過ぎたら死ぬ場合もあるそうだ。弱ったガノトトスを釣り上げたら死んでしまったという話も、耳にしたことがあるね」
遠回しに「ビックリさせんな」と言ったのが伝わったかどうか。彼はつまらなさそうに鼻を鳴らす。
あちらは極々平然としていて、こちらもそう見えるかもしれないが、私はこれでも動揺している。
考えてもみて欲しい。『さあカクサンデメキン釣って小金稼ぐか』と張り切って釣竿担いでいたところに、ドザエモンもどきを発見したのだ。しかもそれが知人ときたもんだ。
驚くなって方が無理だろう。
陽射しは暖かく、気温も肌を刺すほどではないにしろ、この村がある山は寒い。ついでに水温だって冷たい。
村の中央の方には温泉からの湯が流れていて、いかにも温かそうな湯気が出ていたりするが、こちらは鏡面の如く澄みきった水。
あくまでも冷水だ。
そんなところに、服を着たまま浮いてるコイツの気が知れないったらない。
申し遅れましてなんだけれど、私の名前はナハエゥア。発音しにくい名前だとよく言われる。
二十代半ばにさしかかった(自称)中堅ハンターだ。
口調はこんなのだが、一応女性だと認識しておいてほしい。
さっきから、プカプカ水に浮いてる描写をしつこく繰り返している相手はノトス。歳は正確には知れないけれど、私と同じくらいに見える。
彼がハンターという稼業を始めて二年と少し。経験年数だけで表すなら、ヒヨコを卒業して中ビナになりました、くらいの感じと言おうか。
トサカの生えかけたくらいのラブリーな鶏に例えておいてなんだが、この男が中ビナと共通するのは『黒目がちなのに目付き悪し』という点くらいだ。
とりあえず、疑問をぶつけてみることにした。
「冷たいとか寒いとか、そういうのはないのかい?」
「まあ冷たいっちゃそうだが、水ん中ってのは落ち着くぜ」
ノトスは言い終わるや否や、しぱっと右手でサシミウオを捕まえた。仰向けに浮いてるくせに、なんと器用な。
プカプカ水面に揺れつつ、鋭い歯でサシミウオをバリバリとまるかじりしている様子を見、私は珍獣を観察している気分になった。
貝と石でも投げ渡せば、腹の上で打ち合わせて割るくらいできそうだ。
ヒトの姿をとってはいても、低めの体温、鋭い歯、身体の各所にトゲヒレ付きと、ヤツは結構ヒトデナシ。
本性はカエル大好きな水竜・ガノトトスだ。竜の姿には戻れないらしいから、元と付くけれど。
ああ。みんなには ないしょだよ
いい加減、私の畑で暢気に浮かんでいるのを放置するのもなんだから、どうにかしようか。
管理してくれているアイルーをビックリさせてしまっても、申し訳ないしな。
水中にいるコイツを引っ張り出すに、良い術は何か。思い付いた私は踵を反した。
私という人間は、たいがい『いらんことしい』といわれる性格だと思う。
今回も、ただ一言「上がってこい」と声をかければ済んだ話だろう。
けれども思い付いたからには、やらずにおれなかったのだ。
何をって、カエルを餌にノトスの一本釣りを。
ガノトトスの一本釣りと言うものを、経験されたことはあるだろうか。
恐らく中堅以上のハンターなら、一度は経験があると思うが。
竜の中でも巨体を誇るガノトトスを釣り上げるのは、意外と呆気なく簡単だ。
勿論ハンターが力ずくで引き上げるわけでない。魚竜は驚くと跳ねる。
その跳ねる方向を導く感じで釣り上げるだけのことだ。……たぶんな。
「そんな餌で俺が」などと言う間もなく、見事に釣りカエルに食い付いたノトスを、水面から引っこ抜くが如く、釣り上げたまでは良い。
私が背中から桟橋へと倒れ込み、力の限りに引いた竿の先より伸びる糸は、確かにノトスの口元へと続いていた。
雫を煌めかせ弧を描いて宙を舞う男の姿は、どこか間が抜けて、それでいて無駄に美しかった。
桟橋というものが、そう幅の広い物ではない事実を失念していたのは、痛恨であるとしか言い様がない。
ガノトトスを釣り上げる時はいつも陸地を背にして居たものだが、ノトスを釣り上げようとしていた私の背後にあるものは、水面だ。
プツリと、竿の手応えが軽くなったと感じた次の瞬間。
頭の向こうで、大きな水音が響いた。
ああ、フレイルという武器をご存知だろうか。モーニングスターなどという名称のものもあるが、棒の先に分銅が付いていて、それを振り回して攻撃するのだ。
遠心力ってものを利用するからに、多少非力でも結構な威力が見込めます、などという、大人も子どももおねえさんも使える素敵武器。
それの分銅のように飛ばしてしまったノトスはといえば、桟橋の反対側の水面に、案外問題無さそうに、またプカリと仰向けに浮いていた。
餌のカエルはヤツの口にある。
無事っぽいとはいえ、遣りすぎた感はあるので謝罪はせねば。
私は、カエルをくわえたままジトリとこちらを見詰めるヤツへと、声をかけた。
「すまない」
「あにがしてぇんだ、テメェはよ」
全くだ。
出来るだけ、ヤツを怒らせないような言い訳を考えようとしたが、私は弁の立つ方でもない。
噛み付かれる事を覚悟しつつ、私は正直に告白した。
「あなたの反応が見てみたかっただけだ」
元水竜は空を睨み、溜め息を吐いた。
すいと泳いで陸に上がった彼は、カエルから離した口元をモゴつかせ、ついでのように何かをプッと吐き出した。
「返しとく。直せとか言うなよ」
指につままれ差し出されたそれは、切れた釣り針の先だ。
さっき手応えが軽くなったのは、糸が切れたのでなかったのか。
ヤツの歯の丈夫さ具合に半ば呆れつつ、釣り針を受け取った。これはどうしようもないから、針だけ買い足そう。
桟橋の上に所在無さげに腰を下ろし、無表情にカエルを食した、水も滴るいいおとこ(見た目だけなら嘘でない)を眺める。
その時、私の内に今更ながらの疑問が湧いてきた。
「ところで、何故ここに来たんだい?」
彼がポッケ村の私の家には何度か来たこともあった気がするが、農場に来るのは初めてだ。
どういう用向き、どういう風の吹き回しかと気になるのも当然だろう。
……先に「寒くないか」とかきいてしまったがな。
「アレ届けて来いって、リグがな」
そう言いながらノトスが顎をしゃくった先に、見慣れない荷物がのたりちんまりと、二つばかり置いてあった。何やら長いのと、背負い袋と。
彼が呼ぶリグとは、私とノトスの同業者にして保護者的存在の通称『リグレガ』を、更にノトスが縮めたものだ。
「おつかいか」
私はリグレガの下から離れ、ポッケ村で一人暮らしを始めているが、ノトスは我らが保護者宅で居候の身だった。
流石にスープの冷めない距離なんてものではないが、たまにお裾分け、などとノトスにアレコレ持たせて送り出してくる。
有難いけれど、なんと言うか面白がられている気配もしなくはない。
それにしても、荷が有るなら家の方へ向かえば良いのに、何故にわざわざ農場なんかに来たのやら。
その疑問もノトスに投げてみた。
ヤツの濡れ髪を割って耳の位置から突き出たヒレが、ヒコヒコと羽ばたくように動く。
言葉を選ぶ時や考える時、彼のヒレははためく。
やがてノトスはその低い声で、似合わぬ答えを出した。
「迷った。文句あっか」
迷える子羊一頭ご案内、とな。
ノトスというハンターの名誉のために言っておくが、彼はややアホだが地図は読める男だ。
前に言ったとおり、何度か私の家に来たこともある。そして方向感覚が無い質でもない。
陽の落ちた夜ならともかく、この光柔らかな昼間に迷った、か。
「文句は無いが、迷う理由が判らない」
全てのものには理由があるというけれど、それをこの男はどんな言葉で表すのやら。
またヒレをハタと一振り、ノトスは言った。
「この時間帯ならこっちに居るって聞いてたかんな。荷物をさっさと届けるか、テメェのツラ、先に拝むかで迷ってた」
そういう迷い方とは予想外です。
彼が言うには、農場に来てみたものの、私の姿は見えず、また迷ったそうだ。
私を待つか、荷を届けに家に向かうか、私を探しに行くか、久々に水に入るか。
選んだのは、水に入ることだった。元水竜は遊泳がお好きだ。
ノトスの話を聞きながら、にやつきそうなのを堪えるのが大変だった。
誰だか知らないが、私の居場所を彼に知らせた人物には感謝しておこう。
さて、私の畑で迷ったおひとに、カエルの居場所でも教えてみようか。
「理由はともかく、良いところに来てくれたね」
私はにこやかな表情を作り、浮かべた。
ヤツは失礼にも、私の顔を見て小さくうめき、後退りかけている。逃がさん、お前だけは……。
ここのアイルー達は、農場の管理はしてくれるものの、採掘や収穫はあんまり手伝ってくれないからな。猫の手も借りたい時ってものもある。
純粋に人手が確保できそうなのを、逃す手はないともさ。
岩とピッケルを打ち合わせる鋭い音を縫って、背後から「アリだー!!」という声が届く。
ポッケ農場の草むらで、虫あみを振るうノトスの姿は虫取り少年の如く。
セッチャクロアリが捕れたとか、何が捕れたかを嬉々として報告してくれる。
先程までは畑を掘り返しては「カエルだー」とか騒いでいたが、楽しんで貰えてるみたいで何よりだ。
服も髪も、濡れたところに土が付いたものだからドロドロで、酷いことになっている。
あれこれの採取が終わったら、風呂にいれるか。
バリスタに似た投網機をキュラキュラ回頭させて遊び。
にゃーにゃー呟きながら、虫の木の前でハンマー構えつつ、タイミングをはかり。
爆弾採掘のために取り出した、大樽爆弾Gを一目見るなり桟橋方向へ後退り。
トレニャーの小舟が見えなくなるまで見送った後、ノトスはボソッと言った。
「ずりぃっつぅか、優遇され過ぎだろ。こんな採取場所持ちってのは」
それが駐在ハンターの旨味ってものだよ。
家だって用意してもらえるんだから、かなりの厚待遇だ。
「私はこれでも仕事熱心だからね。優遇もされようってものさ」
嘘は言ってないとも。
ばたんと、収穫物収納箱の蓋を閉じ、配達物有りと知らせる札を出しておく。
これでアイルーが中身をうちまで運んでおいてくれる筈だ。
ノトスが持ってきた荷物も詰めようと思ったものの、長いのは大きすぎて箱に収まらず、背負い袋の方はノトスに止められた。
リグレガに「ナハエゥアに渡すまで、猫の手には委ねるな」と言い含められたそうだ。
仕方がないから、私が持って帰ることにしよう。
ここまでこの荷を運んできた男は、泥まみれになっているからに、物を持たせようって気にはならない。
そこまで考え、私はふと思い付いた。
「ときに、ノトス」
「あんだ?」
私は水面を手で示した。
「もう一度、水に入ろうって気にはならないかな?」
私のうちに風呂はない。公衆浴場たる温泉の洗い場を泥だらけにするのも、気がひける。
というか、汚したらキレイにするの、大変だからな。
再び水もしたたるいいおとこ仕様となったノトスを見、私は荷物をかつぐ。
この形状、この重さ、長い方は大剣か。
背負い袋の方はモコモコゴロッとしているが、中身は壺あたりと布状の物だろう。
思いを巡らせかけた私の視界の端に、小さくはためくノトスのヒレが見えた。
ヤツの名を呼んで、私は自分の耳を指して見せる。
ノトスも心得たもので、やや面倒くさそうに、ゆるりと髪に布を巻いた。
この男の正体もヒレ耳も、人には秘密にしている。
元ガノトトスというヒトの存在を、好意的に受け入れてくれる人ばかりではなかろうから。
リグレガが冗談めかして、「バレたら捕まえられて、生きたまま解剖されるぞ」とノトスに言うのも、あながち冗談では済まないと思える。
ヒトの姿をしていても、元は竜だ。ヒトの扱いをされない可能性は少ないとは言い切れない。
大股でうちへ帰る私の後ろを、濡れ鼠のノトスがほぼ同じ歩調でついてくる。
私たちの背丈はほぼ同じ、脚の長さもあまり変わりない。
ノトスが中背中肉なのに対して、私が女にしては背高くがっしりとした体格なため、遠目では結構似た感じらしい。
髪の色や長さや型は、似ても似つかないと思う。
ノトスの髪は長い。背中の中ほどくらいはあろうか。その色はガノトトスの鱗と同じ鈍い瑠璃色だ。
だいたいは耳の位置のヒレを隠すため、その長鬱陶しい重い色の髪が下ろされている。
切りたくて堪らない気持ちを抱かせる鬱陶しさは、もはや仕様だろう。
一方私の髪はといえば、緑色に染めてある。
一身上の都合で、緑色が視界に入らないと落ち着かない時期があった名残だ。
元の髪色が赤に近い茶色なものだから、染める前に脱色する手間などを考えると、もう染めるの止めようかとも思う今日この頃。
一年くらい前までは、胸に届く長さで保った髪を、三つ編みにして後ろに垂らしていたのだが。
髪と眉の色が違うと散々からかうアホが居たので、鬱陶しくなって、この村に来た頃に目元を隠す程の前髪をこさえてみた。
ボブの変形というか、ピースフルハートという名称の髪型だそうだ。
しかし「怪しい」とか「後ろのチョビ毛は何だ」とか、あまり身内やご近所にも好評でない。
左目下の涙ボクロが見え隠れするこの前髪の長さ、私自身は悪くないと思うのだが。
まあ、他人からの理解の得られるものではないからに、これは私の拘りでしかないだろう。
もう少しでうちに着こうという時に、ついてくる足音が止まった。
何事かと振り向けば、後ろの濡れ鼠がギリ……と歯を擦り合わせた音が耳に入る。
ヤツの機嫌が悪い時、もしくは考え事の時の癖だ。
彼の歯の磨耗具合が気になるところではあるが、元水竜だから、結構ポロッと歯が生え変わっているのかもしれない。
ノトスは小さく鼻を鳴らし、口を開いた。
「ナァハー。キキタイ、コトガ、アルンダケド」
私も、何故お前が片言なのかをききたいね。私の名前の呼び方も、いつもと発音違うじゃないか。
「何、かな」
動揺と疑問に、怪訝な表情が浮かぶのを止めようとは思わなかった。
小さく頷き、ノトスが問う。
「ぅわいとぴあすノ生産必要素材ッテ、ナニ?」
来る道にあった武具屋さんできけよ。質問の答えは私も知ってるけど。
この男ノトスには、耳たぶというものが無い。
便宜上ヒレ耳と呼ぶ物は、耳たぶとは違う感覚器官だとかで、敏感な部位らしい。
基本的に触られるのも嫌なくらいのそこに、穴を穿つなんてことをするはずもなく、ノトスのピアス装着位置は眉の端となっている。
元から目付きが悪いのだから、眉ピアス装着時の人相の凶悪さたるや。
知人でなかったら、話し掛けたくない感じだ。
触るな危険。噛み付きます。そう書いてあるかのように。
ホワイトピアスの生産必要素材といえば、ポッケチケットが入っていたはずだが、他所ではそこはどうなんだろう。
歩きもってノトスから聞き出した話によれば、先程の片言は、我等が保護者にして私の義兄であるリグレガに、吹き込まれたネタらしい。
あの人、ノトスに変なこと教えて遊ぶのが趣味だからな。
それで遠回しに私をからかっているんだから、三十路のくせに、どうにも子どもくさいというか。
いや、この場に居ない人をどうこう言うのは止そう。
ノトスを家の戸の前に待たせ、私は居間に荷を下ろした。
濡れ鼠を家に上げる気は、今のところ無い。当初の予定通り、風呂に突っ込んでやるともさ。
「風呂行ってくる」と一声かけると、黒い毛並みのアイルー、カーリーが糠袋を持って小走りで現れた。
彼女は、猫なのに大の風呂好きだ。
度々温泉に浸かりに行っては、湯中りし、溺れかかっているところを村の皆様に助けてもらっているほどに。
こういうのも下手の横好きと言うのだろうか。
違うかもしれないが、『お風呂セット』の準備を嬉々としてやってくれるから、そこは重宝している。
「帰ったらご飯食べたいな。大食らいが来たから沢山めでお願いね」
ついでに飯の事も頼んでおいた。外で待たせている客は、地上の大食漢。並の量では足りないからな。
さて、着替えと手拭いの用意も済んだ。いざ行かん。湯煙の奥底へ。
内心一寸盛り上がりつつ、バーンとォ玄関の戸を開けると、うちの前で濡れ鼠ノトスとアイルーがなにやら話し込んでいた。
あの猫、『黒くてでっかいトゲトゲ』のことを話しているな……。何だったっけ、アカムンムン? 違う気がする。
ええと、アーカムトロンベだかなんだか。そんな竜の伝承があるという話だ。
口に出すという事は、呼ぶ事に繋がるという。
私の故郷ではそんな風に教えられたものだが、アイルーにそういう風習はないらしい。
それはそうと。種族が違ってもノトスの人相の悪さはわかりそうなものだが、アイルーというのは恐いもの知らずだな。
ノトスの相手をしてくれていたアイルー(そういえば名前を知らない)に手を振り別れ、私はまたノトスの前を歩く。
この雪山の村で屋外に放置されていた濡れ鼠は、震えるでなく顔色が変わるでなく、平気そうだ。
「なぁ、ナッヘよ」
後ろからヤツの低い声がかかる。お忘れかもしれないが、私の名前はナハエゥア。
ノトスはそれを縮めつつ、私の故郷の発音をちゃんと再現している。
「なにかな、ノトス」
歩みを続けたまま、私は応えた。ざりざりと足の下の湿った砂利が鳴る。
とても嬉しい事にうちから少し歩けば、公衆浴場はすぐだ。湯冷めしにくいこの近さ、立地もバッチリじゃないか。
「そーいや、どこ行くんだよ」
「風呂だよ。ここは温泉地だからね、露天風呂ってやつだ」
後ろから、足音に混じってギリギリと歯ぎしりが聞こえた。
何か考え込むような事があるかい。
暫くの無言の後、声にためらうような色を滲ませたノトスが言った。
「……風呂っつぅと、湯に入るのか」
ああ、ためらうというより嫌そうだ。
リグレガによれば、ノトスは行水好きらしいが、寒冷期でも水かぬるま湯でしかやらないとかなんとか。
私の故郷の方では、風呂といえば川で水浴びか蒸し風呂だったが。
「この寒いのに、水風呂に入ろうなんてヒトは、自殺志願者と同義だな」
小さな声で「やっぱり湯かよ」と濡れ鼠はぼやく。
むしろ冷たいのや生ぬるい温泉は、がっかりすると思うが。
「やけどしちまうだろ」
自分が丸茹でされている様子でも思い浮かべたのか、ノトスはうなる。
もうもうと、まさに天然の煙幕と言った感じの湯煙に、独特の湯の匂いが混じり鼻や耳に染むようだ。
公衆浴場と言っても、脱衣場が備えられてちょっとした囲いの付いた天然温泉に過ぎない。
余談だが混浴だ。田舎ってそんなものだな。私の故郷もそんな風だった。
脱衣場の様子を見るに、どなたも入浴中ではないらしい。
ヒレ付きの男を連れてる身としては、願ったり叶ったりと言うやつだ。
すのこを素足で踏む音を、ポクポクと確かめているヤツへと手を突き出して、私は囁いた。
「身ぐるみ置いてきな」
「あぁ?」
ノトスは思いっきり半眼になった。
濡れた服をそのまま畳んで置いておくのもなんだから、絞っておこうと思っただけだ。他意はない。
最近思うに、私はこの男に対して、選りすぐりの紛らわしい台詞を吐く癖がある。
顔を合わせば喧嘩する仲だった期間が、長かったせいかもしれない。
私の手を見詰めてうなっていたノトスの眉の端が、少し跳ねた。
続いて口の端も吊り上がり、ギザつく歯を覗かせてギタリと笑う。さては、ろくでもないこと思い付いたな。
髪に巻いた布を取り、私の手へ押し付けながら、服の胸元を寛げ始めたヤツは、変にどすを利かせた声でこう言った。
「見ちゃダメ」
言葉のわりに、ノトスは隠すでもなく衣服を手早く脱いで、私へ寄越した。
風呂とは別な意味で、裸の付き合いのある仲なものだから、実に遠慮もない。
照れも見せずに全裸で腕組みしつつ、仁王立ちされるのもなんだが。
「で、どうしろってんだ?」
再び露になったヒレ耳を、ピッピと震わせながら、ノトスが尋ねる。
「どうも何も、掛かり湯してから風呂に入りたまえよ」
他に何しに来たって言うんだか。
目付きの悪い(ヒレ付きボディ)裸漢は、応と頷いた。
手拭い寄越すから、とりあえず前くらい隠そうな。
絞って振って、畳んで叩いてシワ伸ばし。
この雪山の村に着て来たにしては、軽装過ぎる布の衣服の脱水を終えた。
あとは囲炉裏の側で吊っておけば、今夜の内には乾くだろう。
濡れた足を突っ込んだ靴の中身も乾くのか、そこは怪しいものだ。
さておき、私も風呂に入るとするか。
丈夫さが取り柄の、男物と変わらぬ質素極まりない服を脱ぎ、色気のイの字もない下着も取っ払う。
それらを簡単に畳んで置いた。
髪を適当にまとめつつ、不揃いな長さに切ったのは失敗だったかと、少し思わなくもない。
糠袋と手拭い片手に洗い場に出てみれば、ノトスの姿はなかった。
妙な水音が聞こえ、湯煙に白ける視界に目を凝らせば、岩風呂の縁にヤツは腰掛けていた。
爪先だけで湯の水面をペチペチと叩き、何かぼやいている。
「……やっぱり変だろ。水は冷たい方がいいっての」
細かにヒレを震わせ、ノトスはギーリギーリと歯ぎしりを始めた。今度のは不機嫌の歯ぎしりかもしれない。
掛かり湯しつつも、私は考えてみた。ノトスという生き物は、何だか体温が低めだ。触るとひんやりする。
そういう生き物にとって、人肌では「少し熱め」くらいの湯温はキツかったりするかもしれない。
ヒトの姿をとってはいても元竜なこの男、その身に毒に成り得る物が何かすら、解らないのだ。
「無理に入れとは言わない。体洗っておきなよ」
ノトスはまた、応と言った。
湯煙の中、いい歳の男女が裸で二人きりという現状だが、することといったら一つしかない。
繰り返すようだが、身を清めることだ。何せここは浴場だから。
一年ほど前か。村に来たばかりの頃に、噂好きなご近所さんに釘刺されたもんな。曰く。
「温泉でいかがわしい事なんかしちゃ駄目よ。罰当たるから」
たぶん『公共の場はみんなでキレイに気持ち良く使いましょう』とかの意味合いを含むのだろう。
いかがわしいコトする相手も居ない頃だったから、話題は受け流したものだった。
そもそも罰が当たる云々がなかろうと、公共の場でいかがわしいコトする趣味はない。
糠袋を手拭いに絡め、これで身を清めろとノトスに手渡した。
自身の手と私の目へ交互に視線を移すヤツは、何か言いたげだ。
受け取った糠袋の匂いをふんふんかいで、「猫くせぇ」とノトスが呟く。
……カーリー、さては私の糠袋使ったな? 長持ちするものでもないし、別に良いけど。
「猫くさい以前に糠くさいだろう。細かいこと気にしてたら、デコがじわじわ広くなってしまうよ」
というか、知らなかったかもしれないが、人が(ついでに猫が)身体擦るのに使った物をにおぐなっての。ナチュラルに変態め。
私は私で、とっとと軽く体を洗うのを済ませて風呂に浸からねばな。
湯煙が漂っていようがなんだろうが、雪山の屋外で素っ裸は死ぬる。
かっぽん ざばーっ かっぼ ざざー
洗髪も髪長いと大変なんだよなと、湯に浸かりつつ湯を汲んだ手桶を幾度もノトスに渡しながら思う。
長いが真っ直ぐで硬質なヤツの髪は、もつれ知らずなため比較的楽に洗えるそうだが。
濡れると虹色を帯びるそれを見るのが、私は好きだ。
たまに髪を割って立ち上がる後頭部の小さなヒレが、小さく揺らめくのを見るのも好きだ。
元ガノトトスのこのヒトは、水竜の持つ光り物っぽさの名残がある。
男の体の一部をこう表現するのもなんだが、ノトスの濡れ髪やヒレは綺麗だ。青貝の裏のピカピカしているのに似ている。
綺麗な物が嫌いな人がいて?
……何が綺麗かは主観によるし、時々は嫌いな人もいらっしゃるだろうな。
場の雰囲気はすっかり『野郎二匹、野良仕事の後に一っ風呂』といった感じだ。
洗髪を終えて、軽く髪の水気をきったノトスは、ヒレ耳を羽ばたきのように動かしている。
また歯ぎしりしているところを見ると、考え事か。
ぱたと、濡れたヒレがはためく音を聞いた。
「なぁ、おい」
ノトスの指が、私の頭を差す。
「俺のも、テメェのみたいにやってくんねぇか」
髪まとめてちょーだいってことかい。
自分の髪くらい自分で扱えるようになれと、言いたいところだが。ノトスがヒトになって、二年と少ししか経っていない。
彼の見掛けは成人男性だが、見掛けに見合う経験が積まれて来た訳ではない事を、私はよく知っていた。
実質中身は二歳児だから、何でも人並みに出来るかっていうと、それは無理だ。字の読み書きが怪しいとか、食器の扱いがまだ下手だとか。
形がヒトになったからといって、急に何でも人並みにこなせるように成るなんて、都合のいい話はないようだ。
元々ヒトに生まれても、身も心も大人に成るまで十数年以上かかるものな。
細かい御託はともかく、私はノトスからのお願いに応じるべく湯から上がった。
髪を伸ばした経験のある者なら理解できるだろうが、濡れ髪は重い。
ノトスは元々重い髪質だから、それが落ちてこないようにまとめるというのは、少しばかり難しい。
密かに四苦八苦した揚げ句、仕上がりは多少不恰好だったが、私の本職は髪結いでないから、まあ良しとする。
言い訳すると、他人の頭を触るのは勝手が違うとか、この男の背面が危険過ぎて身を寄せにくいんだとか、そんなところだ。
その背中には羽根が、でなく。小振りだが、有毒なトゲを備えたヒレが生えてる。裸でそこに身を寄せるのは、胆が冷えないと言えば嘘になる。
それでも何とかヤツの願いは、果たしたのだ。
安堵の息を吐く私の前で、「きぅーるる」とか変な音を出していたノトスは、また言った。
「ついでに背中流せつったら、殴るか?」
確かに、背中は自分ではキレイに洗いにくい。
手拭いの両端握って擦るのも、背骨のところにヒレがあるから、何か障りがあるだろう。
柄付きのボディブラシがあれば良かったが、生憎そんなものは用意していない。
そこまで考えて、私は溜め息を吐いた。
「殴りはしない」
ノトスが手拭いと糠袋を私に返す。この様子だと、たまにリグレガにも背中洗わせてるんだろうな。
むしろ二人仲良く流し合いとかしてる可能性も無くはない。なんと妬ましい。
いやいや、勝手に妄想して嫉妬している場合でもない。
脳裏に浮かぶ、腰に手拭い巻いて「風呂はいいぞう」と爽やかに笑うリグレガの姿を押しやる努力をしつつ、私は言葉を続けた。
「しかしながら、そういうのは女性の方から申し出るのを待ってみるのが、殿方のたしなみというものだと憶えておこう」
そんなたしなみ、聞いたこともないがな。
私のホラを鵜呑みにしたのか聞き流したのか、ノトスは応と頷いた。
絶好調である。
何がって、ノトスの背中を洗う私の手指の動きがではない。
ヤツが立てる「きゅー」だの「きゅりるる」だのの、変な音がだ。
初めて聞いた時は、腹の虫の鳴き声かと思ったものだが、最近気付いた。これは鼻歌みたいなものらしい。
他人に洗って貰うのがそんなに好きなのか。
背中を流すと言えば、同僚の女性に聞いた話では、我が身にシャボンを塗り付けて、ヌラヌラむちむちと『洗ってあげる』お遊びもあるそうだが。
この男の背中にソンナコトやらかそうものなら刺さるな。トゲが。そして毒で昏倒だ。
間違いない。
でも背中でなく腹側なら出来るか、ヌルヌルむちむちと。
……迂濶にやらしい事を想像したせいで、少しその気になった。ヤバいヤバい。
痒いところに手が届くってほどではないけれど、本人で洗い難そうな箇所は洗い終えた。
距離を取れる口実があるうちに、さっさと離れるに限る。
私は再び糠袋と手拭いをノトスに押し付け、努めて芝居がかった口調で言った。
「後は自分で出来るだろう。さあ、心行くまで己をたんと磨くがいい!!」
あ、舌打ちしやがった。
548 :
珍味のひと:2007/11/03(土) 16:16:30 ID:fCGByRoz
以上で投下終了。あと二回投下で終わると思う。
少しだけ言わせて欲しい。
ほわいとぷらんのCM更新早いよ。犬かわいいよ。
SaGaネタ好き過ぎですまん。エロくなくてすまん。
食前絶後やヒラサワ御大ネタが通じるとは、油断ならないスレだ。
ではまた。
よし、GJの前にとりあえずひとつだけ突っ込もうか。
ミスカトニック大学の所在地でもなければ黒い機体の竜巻兄貴でもねぇよ!
アカムトルムだよこんにゃろぅ!
というわけで俺の気が済んだところでGJ!
GJGJGJGJGJGJGJGJGj(ry
ノトスかわいいよノトス
ナッヘは
実は
男鳴かせ
珍味の人GJ!
しかし、スレの要領そろそろヤバくないかい?
グッ…GJなんて言わないんだからっ!!//
読めば読むほど皆GJですね。
ふと思ったのですが、前スレでぴ〜ちゃん書いていた方は書くのを止めてしまったのですかねぇ・・・
あの話し好きだったんですが(笑)
な〜に、二スレか初代から全く筆が進まない未完作品をちまちま書いてるヤツもいる
気長に待とうぜ
>555
554のことだと思うぜ
555のことだしかも誤爆した
559 :
名無しさん@ピンキー:2007/11/03(土) 23:50:46 ID:RWVv359f
>>552 ウボアほんとだ。現在491KB。
他力本願で済まないが、誰か建てられる環境の人がいたらお願いしたい
思えばラージャンのオラオラパンチのように怒涛の投下だったな、このスレ。
夏とどっちがスレの消費早かったろう。
563 :
名無しさん@ピンキー:2007/11/04(日) 03:55:08 ID:+l87ECto
珍味さんGJ!
月光蝶である!!
さて、埋めるか。
ここのスレってレベル高い人多いよな…。
なんか他のエロパロスレと違ってエロよりストーリー重視のものが多いし。
ちょっとしたアンソロジーみたいに思えることもある。長編多いが。
これも決まった主人公とかがいないモンハンと職人が合わさってこそ成せる業なんだろうな。
とにかく、このスレの雰囲気はかなり好きだぜ
某耳スレと似たような空気があるな
梅…って言うにはまだ中途半端に要領余ってるな…
一万年と二千年前から愛してる〜♪
MHエロパロスレ夢パーティは普通だから置いといてMHエロパロスレ悪夢パーティを妄想するのはどうだろうか
570 :
小ネタ 1:2007/11/06(火) 00:24:39 ID:3h9eGC8r
空気も読まず埋めに小ネタをば
岩壁に囲まれ、木々に覆われた静かなこの場所にポチャリと水音が一つ。
木漏れ日たゆたう水面に、突き立つ浮きが揺れていた。
ここ森と丘のベースキャンプにて、釣りに勤む人影二つ。
「……見えざる魚影はじけイワシ。雑魚らしく群れてくれたら良いのに」
「投網放つだけで時限爆弾出来そうだな。それは」
ビストロエプロンや狐の面を身に付けた女性と、屈強な巨体にマカルパシリーズを纏った男性と。
彼らがここに居るのは、何らかの依頼を請けたからではない。ただ単に、付き合いで素材採集ツアーに来ているだけだ。
そう、ここに来たハンターは三人だった。
* * * * *
もう一人、イーオスーツを着込んだ男はベースキャンプに着くなり、携帯用折り畳み式釣竿を前に言った。
「俺はこの赤の浮きを選ぶぜ!」
浮きの色がなんだろうと、釣竿の性能には変わりないのは確定的に明らかだ。
イーオスーツを着込んだ男・エチゼン(仮名)にカジキマグロを釣り上げさせようと、マカルパシリーズを纏うガンナー・グレッグ(仮名)がこの素材採集ツアーを組んだ。
そのはずだったのだ……。
* * * * *
珍しいことに、森と丘に現れたゲリョスを「せっかくだから」討伐しようとしたのが、エチゼンの暴走の始まりだったのかもしれない。
間合いの取り方を間違っているエチゼンは、あからさまにクリムゾンブロスの、いや、ランスの扱いに不馴れだった。
ビストロエプロンをなびかせつつも、麻痺牙が埋め込まれた片手剣・デスパライズで的確に毒怪鳥へ斬り付けるダニー(仮名)とは対照的ですらある。
グレッグは「一発だけなら誤射」と言いつつも、彼のショットボウガン・碧から放たれる弾は、正確にゲリョスのトサカにダメージを与えている。
毒怪鳥につつきまわされ(エチゼン「くっそぉ」)、光り物を盗まれ(エチゼン「このやろぉ」)、毒液を吐きかけられ(エチゼン「やりやがったな!」)、伸びる尻尾でぶたれたエチゼンは、ついには怒りが有頂天。
「クリムゾンで皆殺しだ!」
怒る心に火をつけて、ゲリョスよろしく激走ランサーと化した彼だが、怒るくらいでパワーアップとか、秘められた力が開放されるとか、そんなに都合の良いことはない。
案の定、突進はゲリョスには当たらず、ダニーをはね飛ばして足を引っ張る結果しか生まなかった。
そんな惨状を目にし、グレッグは小さく呟いた。
「オーノゥ!」
* * * * *
571 :
小ネタ 2:2007/11/06(火) 00:28:17 ID:3h9eGC8r
グレッグとダニーの手堅い攻撃がゲリョスの体力を削り、トサカを失った毒怪鳥は地に倒れ伏し、動かなくなった。
幸いにもネコタク出動の事態は回避された。
だがしかし、ここに倒れたものは毒怪鳥だ。
いそいそと短刀を抜き、剥ぎ取りにかかったエチゼンを、グレッグが止める間もあればこそ。
死に真似で油断を誘った毒怪鳥の翼の一撃は、イーオスーツの男を宙へと跳ね上げた。
あまりにもな惨状を目にし、グレッグは再び呟いた。
「オーノゥ!」
* * * * *
「ところで、カジキマグロを釣りに来たはずのアイツはどこへ?」
黄金魚を釣り上げるための餌を切らしたらしく、ダニーはすり鉢を取り出した。練り餌を作るのだ。
「ああ、『サシミが俺を呼んでいる』とか叫んで、森の奥に走ってった」
当初の目的であるカジキマグロは、森と丘ではベースキャンプにしか棲息していないのに、である。
「ところで、グレッグは何してるの?」
先程まで自作の肉焼きソングを歌い、肉を焼いては掲げていたグレッグが、今度は小瓶を並べ出したのをダニーは興味深そうに見た。
グレッグは道具袋に手を突っ込んだ。
「右手に釣りホタル、左手に特産キノコ。瓶に詰めて、一振りすればなんとまあ……」
マカルパフードの奇妙な仮面の下でグレッグは不敵に笑う。
「ハチミツの出来上がりぃ、か。ソレは本当にハチのミツかと小一時間(以下略」
「まあ、あれだ。細かい事は気にすんな」
うむと、二人は頷いた。
その時、ベースキャンプ入り口の方から足音が響く。
「見てみろグレーッグ! こんなでっかい不死虫とれたっ!!」
虫を掲げ持ち、イーオスーツの男、エチゼンは興奮もあらわな声で叫んだ。
対してグレッグは、どこか疲労感を漂わせて呟く。
「サシミウオはどーしたんだ……?」
追及する気も無いダニーは我関せずとばかり、餌を練り練りグレッグ作の歌をひっそりと口ずさんだ。
「串に刺して グルグル回して 焼こう 焼くぜ 焼けば 焼ける よく焼けた♪」
エロも落ちもなく終わる。
一応補足すると舞台はMHP。
俺がMH始めたのが去年の今頃なんだ。
まだハチ箱拡張出来なかった頃、よく森と丘のツアーに行ってハチミツ採取&調合した思い出を書いてみた。
いちいち肉焼きに行かなきゃならなかったのも、面倒くさかったな。
誰かと一緒にやって、目的と違うことごちゃごちゃされる事とかもあるよな?
各々慣れない武器かついで行って、ヒャッホイすることもある……のか?
>>572 ぐっじょぶ。その勢いでエロも(ry
一ついうなら、錬金術はてのひらをパンと合わせて(ry
>>573 敢えて『試験管の変な液体混ぜ合わせて煙をボフーンさせてる練金術師』のイメージでひとつ。
アクア・ウイタエだって作っちゃう是
>>573 俺としては鍛冶も調理も錬金術も同じ釜でやっちゃう方で
目指すは賢者の赤水晶
578 :
小ネタ:2007/11/07(水) 02:13:53 ID:1NrfX0rA
>>567 そんなアナタへ。
ヌコ「旦那さん、今夜のご飯は何にするニャ?」
女「いつも思うんだけど、その『旦那さん』って呼び方はどうかと思う」
ヌコ「どうかって、どう呼ばれたいのニャ。『マダム』とか『姐さん』とかニャ?」
女「それもちょっと嫌だな」
ヌコ「ならガタガタぬかすなニャ。これやるから黙ってろニャ」
つ 【アイルー食券・梅】
女「解雇しようかなぁ……この猫」
(;´・ω・`)
しかしどの猫も『旦那さん』と呼んでくる罠。
エロも落ちもなく終わる。
MHPの頃からずっと思ってるんだ。
プレイヤーキャラクターが女性でも旦那さん呼びって、違和感あるなと。
旦那という語は主人の意を含む場合があるので間違いではない。
言われて見れば違和感あるな。
女将ってのもな・・・
某食通ツンデレに呼ばれそうだし
「このハリマグロの刺身を作ったのは誰だぁ!?」
>>581 不味い飯作られて、そう言いたいのはハンターの方だろ
猫どもの逃げっぷりもたまに見てみるか…