1 :
●:
魔法少女、続いてます。
ここは、 魔法少女リリカルなのはシリーズ のエロパロスレです。
『ローカル ルール』
1.リリカルあぷろだ等、他所でのネタを持ち込まないようにしましょう。
2.エロは無くても大丈夫です。
3.特殊な嗜好の作品(18禁を含む)は投稿前に必ず確認又は注意書きをお願いします。
あと可能な限り、カップリングについても投稿前に注意書きをお願いします。
【補記】
1.また、以下の事柄を含む作品の場合も、注意書きまたは事前の相談をしたほうが無難です。
・オリキャラ
・原作の設定の改変
2.以下の事柄を含む作品の場合は、特に注意書きを絶対忘れないようにお願いします。
・凌辱あるいは鬱エンド(過去に殺人予告があったそうです)
『マナー』
【書き手】
1.割込み等を予防するためにも投稿前のリロードをオススメします。
投稿前に注意書きも兼ねて、これから投下する旨を予告すると安全です。
2.スレッドに書き込みを行いながらSSを執筆するのはやめましょう。
SSはワードやメモ帳などできちんと書きあげてから投下してください。
3.名前欄にタイトルまたはハンドルネームを入れましょう。
4.投下終了時に「続く」「ここまでです」などの一言を入れたり、あとがきを入れるか、
「1/10」「2/10」…「10/10」といった風に全体の投下レス数がわかるような配慮をお願いします。
【読み手 & 全員】
1.書き手側には創作する自由・書きこむ自由があるのと同様に、
読み手側には読む自由・読まない自由があります。
読みたくないと感じた場合は、迷わず「読まない自由」を選ぶことが出来ます。
書き手側・読み手側は双方の意思を尊重するよう心がけてください。
2.粗暴あるいは慇懃無礼な文体のレス、感情的・挑発的なレスは慎みましょう。
3.カプ・シチュ等の希望を出すのは構いませんが、度をわきまえましょう。
頻度や書き方によっては「乞食」として嫌われます。
4.書き手が作品投下途中に、読み手が割り込んでコメントすることが多発しています。
読み手もコメントする前に必ずリロードして確認しましょう。
リンクは
>>2
2 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/15(月) 00:00:29 ID:B3yUKJjD
>>1 lヽ ,、,、./ ,-、),-、 , '´ ⌒、ヽ
<)' ~´ハバ Y ;' A`) . l(((!((("メi . /゙Y /^ヘヘYヘ
| イノリノハ)) : : : :`ヽ/´ ̄ ̄ 从^ヮ^ メij .刀.、/,ィjミノレハ从リヾ .,'`》'´⌒`彡
ノ.人l|゚ -゚ノl| . : : : : : : : : : : : : : : :、:\/: : : く+ハ(!`Д´ノハ+>/ ,ィ∝ノノ)))))
/:/.:.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:ヘ\: : : : : : : ∪: :∪ : : : : ( ( ゝ(l!゚ -゚ノ|l
l://.:.:/.:./ .:./ .:l.:.:,'.:.:{:.:.:.:.l.:.:ヽ.:.:.Vl:/ , ミ ´.⌒.^ 、: : : : : : ,(_: :_:<(^!!つつ
/.:.:/.:. l:.:.:.!>ト/{.:.ハ.:.:斗<:l:.:.:.l.:l. ⌒(((从从〉*⌒`7>f^⌒ヾY⌒>
. l.:.:/.:.:.:.|:l.: レ仟圷ヽl ヽfチ圷 |.:.:l:| |l゚ヮ ゚ノ|l ! xくけ从ハル=ト<
. |:/!.:.:.: 从.:.{. V;;リ V;;リ 'j.:.,' | ⊂!卯(⊃t/: : : :.リ、∀`*リハヽ
.... j:ハ.:.:..・ト :.ゝ ' /.:/レ| _ . 〈_|_ヽ.> /: : : : セ二/ ,-' ̄ ̄ ヽ
'´.r===ミ彡 V 7 彡'.:.∠ =。= ヘ. し'ノ /: : : : / ( ((ハル ヽ/ ̄ ̄⌒ヽ
ノ !リノノ))))|ヽ. ´ , イ! .:./i !!ノリノ))》. ,': : : : /. `ゝ^o ^ノ√i (《レノリノハ) )
. ( |.|゚ ヮ゚,l|ゝ . ト≧≦ュ| リ/ ノi゚リ.゚ ヮ゚从 i: : : : { 、 _☆ミつ介》ヽ :: ヾ #`‐´ノ
.. ∪ ̄ ̄∪ /|, '´⌒"vヽ、_.(つ)Ψ(^つ {:, -===、アヘヘ `ヘ___ノ: : : <( つ[!;つ
/ヽ::::::::::::::::/⌒(从从-;*⌒:::::::::::::::: ̄ヽ {7/^ー^ヘ.ノ八从ハ : : : :∠† _(†ヽ彡
|:::: ヘ ̄ ̄ {___ ル-_-*リ|(_j ̄ ̄"メ:::::::::| ∨ifノハヽhリ・ヮ・ノn : : : 又 !从从))))
|::::{ \ /' ∪⌒∪ \ ./ l::::::::| ルl| ゚ヮ゚ノル!弁{ ン ̄.〈y.リ(l|゚ -゚ノ|l!
/ll::::}\ ∨ \ ,VCV ∠ _∨ |::::/ハ / ,_厂})){ヒつつ 〈y ⊂^)!†i(^つ
{ }}:::::ン  ̄}__/ ̄`^<_/ /,弖 l ::{{ } / /_j_j>j ¥ 《/、,、,、,ヘ¥
V__/ / / /:/`\r'〃ニフ }::V/. ん'(_ノノ、ノ .`~じフ~
{´ /了 ̄|l /:/  ̄ ̄`ヽ ヽ:/
4 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/15(月) 00:19:59 ID:nf1a56C1
乙っス
5 :
18スレ168:2007/10/15(月) 00:38:13 ID:CxIayU8y
>>1乙
えと、保管庫手伝いです。
保管庫管理人549氏にお願いがあります。
最近、スレのペースが速すぎて、保管が追いつきません。
もう一名か二名、保管庫のお手伝いを募集して頂けないでしょうか。
自分で手伝うって言いながら、このていたらくで申し訳ありません。
手伝いは今後も続けますが、出来れば考えて頂けませんか、お願いします。
6 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/15(月) 01:56:06 ID:NQis6aJR
乙
手伝うノシ
今はケータイからだけど
スレ立て乙〜
やっぱ非エロもありだと進行速いねぇ
BAD ENDとHAPPY END
2つとも書くのってあり?
ありじゃね
むしろ両方見たい
>>9 非エロ、小ネタもたまに読むと面白いよな。
>>10 両方カモン!!
>>5 お疲れさまです。
役立たずの549です。
#鳥あってるかな……
仕事じゃないので言い訳しますが、ここ半年ほど闘病生活でまだまだしばらくは役に立ちそうにありません。
ということで、既に立候補していただいた方もおりますが、追加の作業者を募集します。
我こそは、という方は保管庫作業用のライブドアIDを新たに取得して教えてください。
分担についてですが、新保管庫側には掲示板等がないので、ここで話しててもいいでしょうか?>スレの皆さん
とりあえずスレごとの分担になるのかなと思っていますが。
よろしくお願いします。
ここでもいいと思いますが
前スレが16kほど残ってるからそっちでやるのはいかがでしょうか?
エリオ凌辱の続きマダー?
17 :
7:2007/10/15(月) 23:34:36 ID:BQp8eZAB
>>1乙
次スレへの誘導もなしに埋め立てた奴は誰だ?レヴァンティの錆にしてくれる
>>14 nanohawiki
日曜ぐらいしか触れる時間ないとおもう
クロフェつづき投下するべ
別にnice boatじゃないよ
「入らないの?」
そう告げるエイミィの顔は、不遜に微笑んでいる。
だが、フェイトには、エイミィの顔を見ることが出来ない。
「フェイトちゃんとクロノ君の部屋なんだから」
動けない。
体が言うことを聞かない。
ここにいるということは、自分が身篭ったこと以外は、全て知っているのだろう。
だが、しかし
「そんな所に立ったままじゃ、お腹の子供にも悪いよ」
手だけが動いてお腹に行く。
もうフェイトには、何も考えることが出来ない。
フェイトのそんな状況を気にすることもなくエイミィは、近付いていく。
「ほら、だから、ね」
「うん…」
エイミィの目に見られて、勝手に口が開いた。
「夕飯、まだでしょ?」
ベッドに座ったフェイトに語りかける。
そんな声は、フェイトに届かない。
フェイトは、テーブルに乗っている自分のカルテを凝視していた。
「キッチン借りてるから」
コトコトと何かが煮えたぎる音が聞こえる。
お玉杓子で鍋の中を掻き回すは、機械的なものだった。
「実はね、大分前から疑ってたんだ」
フェイトの方を見ることなく呟く。
その声にフェイトは、ゆっくりとそちらを見る。
「やっぱりね、匂いって分かるものなんだよね。あ、お皿借りるね」
頃合いなのか、鍋の中身をお皿に盛っていく。
「それでね、盗聴機。今、フェイトちゃんのバックにも入ってると思うよ」
2枚のお皿を持ってフェイトの元へ近付いてくるエイミィは、さも当たり前にように告げる。
バックの中身を漁ろうとしたフェイトは、目の前に置かれた皿に盛られたものを見て、その
動きを止めた。
「これ…は…?」
半端な体勢のまま、フェイトは視線を離すことが出来ない。
「シチューだよ」
嘘としか思えない。
こんなシチュー見たことがない。
野菜は何も入っていない。
具は肉だけだ。
その肉も牛とも豚とも違う見たことのない肉。
そして、何よりそのシチューは赤かった。
「きっとフェイトちゃんの大好きな味だよ…」
「エイミィちゃん…お兄ちゃん…は…」
体も声も震える。
外れて欲しい、違っていて欲しい。
「クロノ君はさぁ…私の旦那さんなんだよね…」
フェイトの質問に答えない。
22 :
BAD END:2007/10/16(火) 00:14:44 ID:XJhxhqmJ
「それで、2人の子供がいて」
淡々と語るエイミィ。
耳を塞いで、目を閉じて、ここから逃げ出してしまいたい。
「そして、妹と不倫して、子供を作って…」
もう嫌だ。
「…クロノ君が冷めちゃうよ。…フェイトちゃん」
胃から吐き気が上がってくる。
思わず目を逸らす。
「食べなよ、好きなんでしょ?クロノ君のこと。結婚してても、子供がいても…!」
ガタッという音に反応したフェイトは、確かな殺意を宿した瞳を見た。
フェイトは、エイミィの動きを認識出来なかった。
フェイトの首に伸びる右手、バルディッシュを窓の外へ投げ捨てる左手。
「え、いみ…」
「フェイトちゃんは、賢いから分かるよね?」
力の加わる右手。
元々、通信士であるエイミィの手を跳ね退けることぐらいいつものフェイトには、簡単だ。
だが、今のフェイトには、出来なかった。
「家庭のある人とのそういうことがどういう意味を持っているか。どういう報いを、罰を、
痛みを受けるべきか!」
煮えたぎるエイミィの瞳。
力を入れた為に噛み切ったのか、エイミィの唇の端から血が流れている。
フェイトは、酸素が不足し、視界がぼやけ始める。
当然の帰結かもしれない。
自分は、この人の幸福を奪ったのだ。
人の幸福を奪って、自分が幸福になろうとした報い。
「…ごめんね」
そう呟いたエイミィの左手には、小さなナイフが握られていた。
エイミィは、既にフェイトの顔を見ていない。
見ているのは、フェイトのお腹、その中にいる新しい命。
そう自分と夫とフェイトとの命。
鈍い刃の光がそこへ向かう。
「え、い…」
半分、諦めていたフェイトは思い出す。
この子を産むと決めた。
この子には、何の罪も無いのだ。
「くっ」
落ちようとする意識の弱々しくエイミィの腕を掴み、魔力を込める。
刃がフェイトの腹部にあと少しで刺さろうかという時、掌にメキッという感触が伝わった。
「ぐぁっ」
エイミィは痛みに喘ぎ、ナイフを落として後退する。
「はぁ…はぁ…バル…ディッシュ…」
体が酸素を吸い込む間に探って、投げ捨てられたバルディッシュを寄せる。
23 :
2人の執務官:2007/10/16(火) 00:17:58 ID:XJhxhqmJ
「はぁ…ふぅー、セットアップ」
体に酸素が行き渡り、視界がはっきりとしてきた。
魔力で刃を形成するバルディッシュを強く握り絞め、疼くまって折れた右腕を抑えるエイミ
ィを見る。
「当然だと思う。エイミィが私を殺したい程、憎むのは。…でも、何故クロノまで!分から
ないよ!エイミィだってクロノのことが…」
「フェイトちゃんが家庭を持ってないからだよ」
流れようとする涙を必死に抑えて、叫ぶフェイトの言葉をエイミィが遮る。
赤く腫れた右腕は力無く垂れているが、その瞳に宿る殺意は無くなっていない。
「それに、この子に罪は無いでしょ」
新しい命には、なんの罪も無いのに、罰を与えるというか。
だが、そんなフェイトをエイミィは一弊する。
「罪?存在が罪なんだよ?」
その言葉に驚愕する。
2人の我が子を優しく見守るエイミィを見て来た。
そんなエイミィに母というものを教えられたのに。
「あの日のエイミィは、もういないの?」
何にも負けない強さを持っていたエイミィは、目の前にいない。
「あの日の?私はいつだって私だよ?」
表情を変えることなくエイミィは返す。
違う。
自分の知っているエイミィは、優しくて強くて、女性として母として憧れた。
そんなエイミィをここまで追い込み、壊したのは?
そう自分だ。
自分が彼女を壊したのだ。
永遠に続くと思っていた家族との幸福は、妹の崩されたのだ。
「そんなことない…!この子に罪なんてない!」
それでも、この子は、護る。
エイミィがこの子を憎むというのなら、自分がこの子への憎みも背負う。
「私は、この子を産む」
宣言のように気持ちを吐露する。
「産ませない…」
エイミィは、狂気の目でフェイトとその子を見る。
「フェイトちゃんもその子もここで…死ぬんだから」
まともに戦って、エイミィがフェイトに勝てる可能性など、万に1つも無いだろう。
だが、フェイトにはエイミィの瞳に勝てる気がしなかった。
「この子を産むまで…死なない」
そして、続けた。
「義理の兄との不倫の末、産まれた子供。父はもういない。そんな子供が幸せになれると本
当に思うの?フェイトちゃん」
その言葉が重くのしかかる。
しかし、フェイトの心は折れない。
24 :
2レス短くなる:2007/10/16(火) 00:20:30 ID:XJhxhqmJ
「なのはやクロノ、ユーノ、はやて、シグナム、エリオ、キャロ、他にも沢山の人が私を助
けてくれた。辛かった時もあった。でも、皆がいたら幸福を感じられた。皆が幸福をくれた。
母さんは、私を失敗策だと言った。絶望を味わった。だからこそ、幸せが嬉しかった。永遠
の幸福なんて存在しない。絶望があるからこそ、幸福がある。…でも1番悲しいのは、幸福も
絶望も知らないこと。産まれてこないこと。この子も逃げたりしない。きっといつか幸福に
辿り着く。その機会を与えるのが、皆に救ってもらった私の役目」
間も入れぬまま、ただ想いの全てを放つ。
「そんなこと…そんなこと…私には関係ない!」
響いた叫びと共にエイミィは、飛び掛かる。
赤いシチューが弾け、宙に舞う。
ナイフを持って左腕を振りかざす、エイミィをフェイトはなんなくかわす。
バランスを崩して、倒れそうになるが、折れた右腕で支え、ナイフを再び奮う。そのナイフは、閃き、フェイトの腹部に傷をつける。
バックステップで距離を取り、フェイトは腹部に手を伸ばす。
傷は浅く、自分にも子供にも支障がないのは、明らかだった。
だが、ただの刃物で傷がつくはずもない。
魔力で覆っているのだろう。
「エイミィ!」
心を潰して、バルディッシュでエイミィの右腕を突く。
エイミィは、痛みに顔を歪めるが、向かってくる。
再びかわすとエイミィは、倒れ掛けたまま、フェイトの大腿を狙った。
25 :
短い:2007/10/16(火) 00:22:04 ID:XJhxhqmJ
「くっ!」
フェイトは動かず、ナイフは深々と突き刺さった。
激しい痛みに、倒れ掛けるが、なんとか踏ん張る。
踏ん張った際の一際大きい痛みに顔をしかめたフェイトは、ナイフを抜こうとするエイミィ
の腕を掴んだ。
「エイミィ、もうやめようよ…」
「あ、あぁぁぁぁ!!」
悲しい瞳で語りかけるが、エイミィは、割れた皿を手に取り、フェイトを狙った。
「エイミィ!」
振り抜かれるバルディッシュ。
エイミィの右腰から左肩に閃光が駆け抜け、次の瞬間、紅が溢れ出す。
噴き出る血が、フェイトを汚す。
エイミィは、フェイトに倒れ込む。
「う、うぅ…」
泣かないと決めたのに、涙がとめどなく流れ出る。
「うぅ、あ、あぁぁぁぁぁぁぁ!!」
痛々しく刺さったナイフの先からとめどなく流れる鮮血も気にせず、叫び、子供のように泣き
続けた。
「面会時間は、10分間です」
そう告げられ、なのはは、開いた扉の中へ進む。
真っ白な部屋の中央にあるベッドに親友の姿を見付けた。
「フェイトちゃん…」
名前を呼ぶと、虚な瞳をなのはに向ける。
「なのは…」
支援
支援?
28 :
2人:2007/10/16(火) 00:23:58 ID:XJhxhqmJ
負傷した被疑者が治療受けるこの施設。
フェイトは、魔力反応を探知した管理局員に拘束された。
紅に彩られた部屋で、衰弱し倒れていたフェイトと既に心臓の鼓動が止まっていたエイミィ
を見た局員は、呆然し、腰が抜けたらしい。
「なのは、私、エイミィを…」
本当に自分を見ているか分からないような顔で、言い放つ。
フェイトは、自分のやったことを認めているが、正当防衛だとは、言わなかった。
「ねぇ、なのは、頼みがあるんだ…」
フェイトの言いたいことは、大体分かる。
「私の子供育ててくれないかな…?」
迷惑なのは分かる。
ヴィヴィオはもう手が掛からないくらいになったが、なのはだってユーノとの子供が欲しい
だろう。
そんな時、違う子供なんて邪魔でしかないだろう。
だけど、なのはにしか頼めなかった。
「分かったよ、フェイトちゃん…でも、フェイトが戻ってくるまでだからね…」
フェイトの手を握ってしっかりと1文字ずつ囁いた。
「待ってるからね、フェイトちゃんの子供と一緒に」
フェイトは、なのはの手を握り返す。
弱々しかったが、確実にしっかりと握り返した。
「あっん…あかん…もうイッてまう…」
男の中ではやては、快感に喘ぐ。
「僕も…もう…くっ、はや、て…!」
「あっくっ、イッ、クロノくん、イッあぁん!」
クロノから注ぎ込まれたものが1番奥を汚していく。
はやては、痙攣しながら恍惚の表情を浮かべていた。
「上手くいったなぁ」
俯せで足をバタバタさせながらはやてが笑う。
「シャマルが作ってくれた人形、完璧やったなぁ。うちも1体貰っておきたいくらいや」
楽しそうに喋るはやては、クロノの不安そうな顔を見る。
「大丈夫やて。ヴォルケンリッターからバレることはあらへんよ」
「ん、あぁ、そうだな」
いまいちすっきりしない表情のクロノが気に入らない。
「すっきりせんならすっきりさせたる」
素早く動きクロノの下半身へ向かう。
すっかり収縮したそれをぐにゃぐにゃと揉みしだく。
「うっ」と漏らすクロノにニヤニヤとする。
「ぐぁ!!」
はやてがくわえようとした時、クロノが悲痛な叫びを上げる。
ベッドが紅に染まる。
クロノの左足は、消滅していた。
「…なのは…ちゃん」
29 :
BAD END:2007/10/16(火) 00:24:53 ID:XJhxhqmJ
ベッドの横に立つのは、エース・オブ・エース。
握られているのは、鋭く輝くレイジングハート。
その瞳には、怒気も殺気も悲しみも無い。
「…なのはちゃん」
はやては、もう1度名前を呟くが、なのはは反応しない。
「ごめんね、フェイトちゃん…約束守れないや…」
小さく呟いて、レイジングハートを2人に向けた。
END
ふぅ〜酷い話やったな〜…
HAPPY ENDの話はいつか
読んでて気分悪くなった。なに?このオチ。
色々と台無しな気分なんだけど。
ちょwとろとろ関係ww
33 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/16(火) 00:27:17 ID:sJ2ZplQY
>>30 GJ
なんだあのエイミィソンww
つか黒幕豆狸wwwww
>>31 グロ注意、ってあったのに読んで気分悪くなったと文句言うとはこれ如何に
いくらなんでもキャラ壊しすぎ。
ここまで不快感しか覚えないSSは初めて。
なんか色々と裏を書かれたENDだったなあ。
自分的には好きだったけど。
でも、エイミイにはしんでほしくなったかも・・・。
|: ,: :': : : /: : : : : :/: : ̄"ナ─-//,:._://: : ,イ: : ハ: : :|: : :l : : : l: |
,. ': : : : : :/: : : : : :/: : : :,ィ´: : :〃: /"ナ‐= ラ-ナ l: : :| : : l : : : l:|
- ': : : : ,: : /: : : : : :/: : : 〃 ,. =  ̄ =.くヾ/:/ |r、:| : : l: : : :ヽ
-‐ ' |:/: : : : : :/: ://: ,イi;;: i舎i ヽ/゙ , -l:`ト=-ヽ: : : :ヽ
/: : : : : :/:/:l // ヾ;;: ミシ 〉 ォ=l.、ヽ、: \: : : \
/: : : _: -: ´/^\│ k ヽ;:. , _ ´ 僉 ;ヽl: 丶._\ー _:\
─  ̄l:|:::::::::/ ノ入 ヽ `ミ、、  ̄ ;彡'´ 、 `~ / ト、: : : :ヾ`  ̄ こええええええええええええ
|:|::::::::{ l :l::::> ミョー_.,;i!l 丶、: \
. |'i::::::::丶 、::ヽ / │ ` \
|:|::::::::::::::::\ \ l __ l
__ |:|::::::::::::::::/::.ヽOヽ /`""'' ヲ j
"'' 、:::::::ヽ く. |;;ヽ く  ̄ \ / ,' |
\ 丶 ヽ \ .|;;;;;;\ 丶.__.ノ /|: :|
. 、ヽ 、 _ ヾ \ |;;;;;;;;;;;;ヽ = /:::::|: :|
` ヽ:::\ lヽ |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;丶 /-─ フ:l
ヽ:::::::\ }::::\;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,,丶 / /-─────ァ
これがnice boatではないとな!?
クロノ君江
不倫は文化 は地球の日本の局所的に通じる言葉です まる
誰だフェイトの子どもをユーノに託すという電波送ってきやがったのは
流行のnice boat展開やりたいだけだったんとちゃうか?
単純につまらない。各キャラの貶めにしかなってない。
個人的に今回のフェイトやはやてみたいな女ばっか見てきたからアレだけど、
お話しで読む分にはおもしろいね、nice nanoha.
前二回を面白く読んでただけにガッカリだ。
いくらBADENDとはいえもうちょい丁寧に書いてくれ。
最後のはやてとか色々と突拍子なさ杉。
44 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/16(火) 00:37:23 ID:iMAUfmRn
BADENDなんだから,別に問題ないような
たしかにはやて好きにはあんまり呼んでいて気持ちがいい作品じゃなかったかもね。
でも、キャラの貶めにしかなってないっていうのは言い過ぎじゃね??
ヤンデレ系の小説とかいっぱいあるんだし
自分の趣向に合わないと思ったらスルーすべき。
ていうか、文句言ってる人ら、バッドエンドでグロ注意、さらには浮気モンなんだから
この位は予想できたんちゃうんかと言いたい。
とりあえず、作者さんGJ。
最後らへんのオチがいかにもとってつけましたって感じで
露骨に手抜きとしかうつらなかった。そういった意味で非常に残念。
BADならBADなりにきちんと書いて欲しかった。
っていうか、どっかで見たフェレットシチューを思い出したのは俺だけか。
ラスト2レスが蛇足。せっかくの人肉シチューを茶番にされた。
ひどくしようひどくしようと欲張りすぎて台無しになった感じだな。
途中までのnice boatが最後で台無し。シンプルに殺伐ならまだ楽しめたんだけど。
確かに最後のは、完全に思い付きでした…ダッテカキタカッタンダモン
気分を悪くした人達 スマン
HAPPY ENDで挽回するように頑張るノシ
不満ならHAPPY待ちましょうや
てか取敢えずもちけつ つ旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦
問題はBADENDやグロよりも文のクオリティがガタ落ちしたことだよ
ぶっちゃけ誰か別の人間が勝手に続き書いたのかと思ったぞw
ああ、それは俺も思った。文章力が前二回と比べて著しく劣化してた。
ほんと最初の出だしで騙りが書いたのかと思った。
おう、一杯もらうぜ。
っ旦
人、これを即ち「蛇足」と言ふ
俺も貰うよ
つ旦
これはこれで悪くないけど最後が唐突過ぎたな。
最後が唐突すぎたのは分かるが落ち着け。
Happyをまとうじゃないか
つ旦
最後でなんかトマトジュース吹いてしまった私は負け組み。
作者さん。あんまり奇を狙ったのはマイナスだったぽいです、はい。
■■■■■■■■■■■■
とりあえずようかんも用意したから欲しけりゃ喰ってくれい。
最初の方で意味ありげにはやてを出しておけば唐突感はなかったと思うけどね
白々しくフェイトを焚きつけるとか
ひと切れもらうべ
っ―∈■
\ ヽ | / /
\ ヽ | / /
\ ヽ | / /
混 沌 と し た ス レ に 鋼 の 救 世 主 が ! !
\ ヽ / /
‐、、 \ / _,,−''
`−、、 ┌─────────┐ _,,−''
`−、、 | | _,,−''
` | |
!`ヽ |. ● ● .| i⌒!
───────‐ ヽ、 \|:. ├──┤ .:|ノ ノ ───────‐
\_|:::... ヽ、 ノ ...:::!_/
|::::::::::...  ̄ ...:::::::::::|
_,,−'' |:::::::::::::::........ ......:::::::::::::::::| `−、、
_,,−'' l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::! `−、、
,'´\ / |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;| \ /`i
! \ _,,-┐ \:::::;‐、:::::::::::::::::::::::::::;‐、:::::/ r‐-、、 / !
゙、 `ー--<´ /  ̄| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | ̄ ゙、 >−一'′ ,'
y' `ヽ/ / | | | | ヽ ヽ '´ イ
--------------------------------------------------------------------------------
懐かしいなw
BADでももうちょっと真に迫るものを期待してただけにちょっと肩透かしかな。
エイミィが突然火病ったようにしか見えなくて。もっと内面のドロドロというか
背筋の凍るような描写とかそういうの期待してたんだけど。
>>52 謀ってくれたのう
と老剣士のようにしか言えん!
しかしGJw
しっかりとしたHAPPY ENDを期待する
68 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/16(火) 01:18:44 ID:S7vgpmPG
その後のユーノとヴィヴィオはいかに?!
ところで高町660はようかんに値するのだろうか
なんか急に空が明るk
まあ確かにはやての伏線がワンシーンだけでもあれば 不敵に笑ってる図とかの
Happyには更なる期待がっ
―∈■旦
クロはや自体はそう珍しくもないんだけどねえ…
やっぱ伏線が無いのは少しやばかった。
72 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/16(火) 01:35:44 ID:axXdlSIB
エイミィ怖っ!!
女の嫉妬って恐ろしいなあ・・
でもまあこういうシチュは大好物だぜ!!
あれ?執務官殿、提督の妻殿、怖い顔して一体(ry
>>30 クロノくんが真っ黒クロスケなんですけれども(笑
本命のはやてさんをゲトするためにフェイトとエイミイをぶつけるだなんて策士にも程があるぞ。
つか、ふたりいるんだから抵抗した方がねえ。
ああ。GJ。
16〜17レス位になりそうなんだが、一気に行って大丈夫かな?
76 :
CRR:2007/10/16(火) 03:11:51 ID:f80J1TgO
ども。すみません、
>>74から手直ししたくなって少し時間かかっちゃいました。
・ヴァイス×ティアナ
・今までちょこちょこ書いてた短編の続き
(保管庫にあるのでそれを参照に。管理ありがとうございます)
・エロ
ではドゾー
77 :
CRR:2007/10/16(火) 03:14:04 ID:f80J1TgO
―――――――『ジェイル・スカリエッティ事件』の終焉から数週間が経った。
まだ機動六課隊舎は直らず、アースラでJ・S事件の事後処理が進められているけど、私の担当した書類は今日でおしまい。
私は八神部隊長に報告書を提出しに行った。
「……うん、ご苦労やったなティアナ。これで本局へ提出するこの事件の報告は終了や」
「ありがとうございます」
会議用の長テーブルに陣取る八神部隊長に向かって敬礼をする。これでひと段落。
……まぁ、後はスバルが若干手こずってるみたいだから少し手助けしてやって……
「あ、せやせや。これ忘れたらアカンかったなぁ」
ん?八神部隊長が何かを取り出してきた。
封筒のようなものだけど……
「ティアナ。これは私からのささやかなプレゼントや。受け取ってくれんか?」
そういって、部隊長は私にその封筒を手渡してきた。
〜Tear's night〜
「うっ……!!く、はぁ……ぁ……ぁぁ……」
少しピリピリとした痛みを伴いながら、ゆっくりと沈めていく。
私の肌はすっかり火照り、それに釣られるように心臓も高鳴っていく。
「あ……あぁぁぁ……ん……」
痛いのも束の間。
全部埋めてしまえば、やがてじりじりと快感が訪れるのを知っているから。
「……はぁ……まだ染みるなぁ……足の傷口」
体を肩までどっぷりと乳白色の温泉に埋めると、溜息が漏れた。
程よい温度の湯が、数週間前まで死ぬかもしれない戦いをしていた時は考えもしなかった安堵感を与えてくれる。
辺りは日が沈み、露天風呂の照明でライトアップされたごつごつした岩の壮大さが、余暇の雰囲気を盛り上げてくれる。
……ふと体を見ると、足だけでなく、いろんな所に傷が増えていた。
まぁ、この仕事を選んだ時点で綺麗な体じゃいられないとは思ってたけど、正直ちょっと凹む。だって女の子だから。
「……気持ちいい………」
まるで体の中に溜っていたものがすべて湯に溶け出してしまいそう。
第97管理外世界の温泉はやっぱりスゴイな……
八神部隊長やスバル達には感謝してもしきれない。
78 :
CRR:2007/10/16(火) 03:16:41 ID:f80J1TgO
―――――――――そう、八神部隊長の計らいなのである。
「ここは私の出身世界の自信持って薦められる保養地や。今回の事件の労いのつもりなんやけど」
どうやら泊りがけの休暇を用意して頂いたようだ。
……他のみんながまだ仕事を残しているのに、私だけそんな事が出来るはずが無い。
「……お気遣いありがとうございます。しかし、まだ完全に事務が終わったわけでは……」
「待った!これにはスバル、エリオ、キャロの3人の気持ちもこもってるんやで?」
……え?三人の……?
「『事件の間、ずっとティアナに引っ張ってもらってたから何かお礼がしたい』……ってな。
新人フォワードのリーダーへの感謝の気持ちや」
あの子達……
……っ、そういう訳ならまぁ……
「……では、受け取らせていただきます」
「まぁ肩苦しいのはここまでにして、開けて確認してみ?」
部隊長に促され、私はその封筒を開ける。
中には、管理外世界の地図と、二人分のホテルの予約表。
ん?二人……?
「えっと……これは」
「偶然やなぁ?ヴァイス陸曹も前々から休暇申請出しとったなぁ……ティアナと同じ日程で」
テーブルには、両肘をついて、顎を組んだ手の甲に乗せている部隊長。
何となくその部隊長の目が怪しく光ったような気がした。
「どうせヴァイス陸曹としっぽりデートやろ?楽しんできーやー♪」
そう言うと、ひらひらと手を振りながら部隊長は私を見送った―――――――――
ふと、高く積まれた岩の向こうに意識をやる。
向こうではきっと、ヴァイスさんが同じように温泉に入っているんだろう。
あの明るい笑顔の似合う顔に安堵の表情を浮かべて。
あの逞しい体を湯船に沈めt
……って、ヴァイスさんの裸想像するとかどんだけ欲求不満よ私!?
きっとのぼせたんだ、そうよそうよっ!!
さぁーいい加減に上ーがろーうっと!!!
79 :
CRR:2007/10/16(火) 03:19:30 ID:f80J1TgO
目の前のヴァイスさんは、私から注がれた黄金色の液体を美味しそうに一気飲みしている。
そんなに美味しいものなのだろうか……?
私にはさっぱり解らない。
「ぷはーっ!ビールが美味ぇなぁ!」
「……ホントに?」
温泉から上がった私とヴァイスさんが部屋に戻ると、既に夕食の準備が出来ていた。
小さい焼き物の鍋の中に沢山の具材が入って、グツグツと下から火であぶられて煮えているものがメインディッシュかな?
後は、野菜類を使ったと思われる揚げ物や、生の魚を薄くスライスして綺麗に盛り付けた皿など。
なるほど、これがなのはさんや八神部隊長の出身世界の民族料理か。
ミッドにも似たような料理を出す店はあるらしいけど、私は行った事無かったからなぁ。
その夕食を、二人ともこれまた民族衣装らしい、『浴衣』を羽織って頂いている。
「ミッドの法律じゃ、まだお前は酒飲めねぇしな……大人の味って奴だ」
「大人……ですか?」
お酌した後のビール瓶を足の低いテーブルの上に置き、私はヴァイスさんに尋ねる。
尋ねてはみたものの、ヴァイスさんは顔で解れとばかりにビールの味をかみ締めている。
「おう。要するに、ティアナにはまだ早ぇって事よ」
むむぅ。
なんか子ども扱いされてるようでカチンと来た。
「……くださいよ、そこまで言うなら」
私はさっきまでオレンジジュースの入っていたコップを空にして、テーブル越しにヴァイスさんにずいっと差し出した。
「む、いってみっか?」
「いきますよ!女は度胸!」
コプコプと、瓶の中のビールがヴァイスさんの手から私のコップの中へ注がれていく。
最後に泡がギリギリまで注がれて、瓶がコップから離れた。
どんな味かなんて解らない。だから、とにかくクイッと一気に流し込んだ。
「あ……っバカ!一気に飲むもんじゃ」
……うぇ、口の中に残る苦味が気持ち悪い……
思わず顔をしかめ、舌を出してしまった。
「ほらみろ……まぁ、これでティアナも一つ大人になったかな」
「大人……大人になら、ずっと前からもうなってますよ」
一応お酒を飲んだからなのか。何となく頭が重いような、顔が熱くなるような感じがする。
白いもやが軽くかかったような意識のまま、私はヴァイスさんと会話する。
「……あなたが、大人にしたんじゃないですか。私の体」
「おい、お前酔っ払ってる……」
座椅子から立ち上がり、ずずいっとテーブルの向こう側のヴァイスさんに歩み寄る。
あれ?私何やってるんだろう?
「おぃ………おま」
……何か、無性にヴァイスさんの唇を奪ってみたくなった。
ヴァイスさんが何か言ってるけど気にしない。
ヴァイスさんの横にぺたんと座った私は、おもむろにヴァイスさんの顔を両手で引き寄s
80 :
CRR:2007/10/16(火) 03:22:19 ID:f80J1TgO
「グランセニック様ー?」
「「!?!?!?!?」」
第三者の声がした瞬間、私達は怯えるネコのようにビクンと警戒態勢を取る。
「あの、なんっすか……?」
私はヴァイスさんに抱きついて固まったまま。
抱きつかれているヴァイスさんは、そのままの体勢でとりあえずホテルの従業員さんに声をかける。
「……申し訳ありません、お布団の準備は何時ごろからがよろしいかということを聞き忘れておりまして……」
「あ……あー、それならもう少ししたらもう一回温泉行って来るんで、その時でいいっすよ!」
従業員さんは正座したまま頭を下げていて、私達の状況には気付いていない。
ヴァイスさんが返答している間に、やっと私は体を離す。
「では、失礼いたします」
すすっ、と木製の引き戸が閉まる。
それと同時に、二人とも大きなため息をついた。
「はぁ……危なかった」
「ティアナ……いくら何でも……いや、いいか。ところで……」
ホッとしたのも束の間の出来事。
その後のヴァイスさんの提案に、私の心臓ははまたドキドキし始めた。
本日二回目の温泉。さっきは夕日が見えていたけど、今はすっかり辺りは真っ暗。
貸しきり状態の広い露天風呂には、私とヴァイスさんだけがいる。
どうやら、この時間帯は混浴になるらしい。
辺りは誰の気配もしない。ただ、隣にヴァイスさんを感じるだけ。
湯気で周りが若干見えなくなっているのも相まって、まるでこの世界には二人しかいないんじゃないかという錯覚を起こさせる。
「ふー……何回入っても気持ちいいもんだな」
「……そうですね」
すっかり安らいでいるヴァイスさん。
でもこっちはそれどころじゃない。酔いは醒めたけど、それ以上に興奮している。
さっきここに来るまでに見てしまった、ヴァイスさんの体。
六課襲撃の時のケガの痕が所々に見えるけど、それ以上に、私の意識はさりげなくその下半身に……
……わっ、私、痴女とかそんなんじゃないからねっ!!!
でも、気付けばもう何週間も、その……セックス、してないし……
寂しかったもん。ヴァイスさんは何日も入院するし、私は下手したら死ぬかもしれない任務に就いて。
だから……少しくらいは、ね。
「……なぁ、ティアナ」
しばらくの沈黙の後、ヴァイスさんが私に話しかけてきた。
どんな表情かまでは分からなかったけど、真剣なトーンな事だけは分かった。
同時に、グイっと肩を掴まれる感覚を覚え、ヴァイスさんに引っ張られる。
「悪ぃ……心配かけちまってたな……」
「え……」
81 :
CRR:2007/10/16(火) 03:25:07 ID:f80J1TgO
お湯の浮力も手伝って、私はちょうどヴァイスさんに後ろから抱きしめられるような形になった。
私は上半身を腕ごとぐっと両腕で抱かれ、ヴァイスさんは後ろから私の耳元で呟く。
背中に、直にヴァイスさんの温もりを感じ、更に私の体温は上がる。
「シグナム姐さんから聞いたぜ。昏睡状態の俺のとこに、ちょくちょく顔出してくれてたんだよな」
耳元で直接感じるヴァイスさんの吐息。ぎゅっと抱きしめられる上半身。
私の意識の中の火が燃え上がる。
「……私の方こそヴァイスさんに助けてもらいましたから、おあいこですよ……ありがとうございます」
いつかは言わなければ思っていた、お礼の言葉をこの際だから言ってしまおう。
ナンバーズ三機を相手していた時の一瞬の気の緩み。
そこから私を救ってくれたのは、ヴァイスさんの放った一撃だったから。
「……ティアナ、向き合ってくれないか」
「…………はい」
ヴァイスさんの腕の力が抜ける。
体の自由を取り戻した私は、ヴァイスさんと向き合えるように、体勢を変える。
ヴァイスさんの太腿に腰掛けて、お互いに向かい合う形になった。
お互いに見つめ合う。
言葉は無いけど、きっとヴァイスさんも期待してる。
少なくとも、私はこれからの事を期待して心臓がバクンバクンいってる。
「ん…………」
「あ…………」
やがて、お互いの唇が重なり合う。
どっちが切り出したかなんて分からないけど、そのうち舌も絡めだす。
お互いの舌が絡み合う時のぴちゃぴちゃとした音で、私のエッチな気分はどんどん高まっていく。
「んぅ…………っ」
深い深いキスを続けながら、私はヴァイスさんのおちn……大事なところをさすりだす。
触れた瞬間、ヴァイスさんの体全体がピクンと震えたのが分かった。
ゆっくりとさする、手で脈動を感じる事が出来るほどにヴァイスさんの分身は大きく脈を打つ。
「………っう!?ん………」
ヴァイスさんが負けじと、私の大事なところへの刺激を与えだした。
男の人特有のごつごつした指が私の中に入ってきて、中をかき回す。
かと思えば、その上の突起を指の腹でクリクリと……
「……ぷはぁっ!?」
だめっ……!!
もう、声を出さずには耐えられない。
ヴァイスさんの背中に手を回した体勢で、必死に私はヴァイスさんの手から与えられる刺激に耐える。
「うっ……く!ふぁっ!!あ、んんぅっ…………!!!」
よく考えたら、ここは混浴の露天風呂。もし万が一、他の誰かが入ってきたら……
……いや、もうそれでもいい。露出狂の変態でもいい。とにかく今はこのままヴァイスさんに弄ばれたい。
でもせめて声ぐらいはもうちょっとガマンしようと、私は唇を噛み締める。
「んん!!!ん………は、っっ!!!んぅ!!」
82 :
CRR:2007/10/16(火) 03:28:03 ID:f80J1TgO
私の手は止まっている。ヴァイスさんの手は更に私を弄ぶ。
濡れた髪がぴたっと背中に張り付いている感触がする。
私の頬は火でも点いたかのように熱く、体を伝う水滴はもうお湯より汗の方が多いんじゃないかと思う。
さらに、ホテルの人には申し訳ないけど……きっと温泉の中もすごい事になってるはず。
ヴァイスさんの指で散々かき回されて、すごく、その……溢れてるのを実感してるから。
「はっ……!!はっ……あ、あっ!!くぅぅぅっ……」
吐息はこの温度でも白く見えるんじゃないかと思えるほど熱く、唇はもう噛み締められなくなってきた。
いつもの、「何かがせり上がってくる感覚」がする。
「あっ……!!ヴァイスさんっ、もう……私……っ!!イく……」
その大きな波に耐えるために、私は目をギュッとつむり、ヴァイスさんに抱きつく。
体が意識していないのに強張り、
………そこでヴァイスさんの手は、私を弄ぶのを止めた。
「え………」
どうして?
私は目でヴァイスさんに訴える。もっと、最後まできっちりとして欲しい。けど……
「続きは……部屋でにするか」
「……はい………」
夜は、まだ始まったばかり。
体の芯が燃えるように熱いままの体を、ヴァイスさんにたまに支えられながら、私は部屋に戻った。
部屋に戻ると、確かに寝るための準備ができていた。
草で編んだ材質の床に敷かれた、真っ白な布団の上に私は横たえられる。
「ヴァイスさん……あの……体が、すごく……熱いんです……」
体が熱くて、切なくて……どうしようもなくて。なぜか目が潤んでくる。
早く欲しい。ヴァイスさんを早く体全体で感じたい。
それでも、ヴァイスさんはゆっくりと私に覆いかぶさってキスするところから始めてきた。
「んっ………」
キスだけで力が入らなくなってきた。
手足を力なく布団に投げ出し、仰向けになった私の浴衣に、ヴァイスさんが手を掛ける。
「ぁ……いやっ………」
がばっと前を開けられると、胸元が少しひんやりとした空気にさらされる。
引き戸の薄い紙でできている部分を通して、月の光が入ってきている。
「何が嫌なんだよ……」
きっと、ヴァイスさんの目に飛び込んできたのは、所々まだ痣や擦り傷が残る私の裸。
「だって……私の肌、傷だらけ……」
83 :
CRR:2007/10/16(火) 03:30:30 ID:f80J1TgO
そんな体を見られるのは流石に抵抗があった。ヴァイスさんには、いつも最高の私を見せていたかったのに。
せめてもう少し暗かったらよかったなぁ。
「……十分可愛いぞ、お前は……」
……そうかな?
と、声に出そうとすると、ヴァイスさんが私の首筋をついばむようにキスをする。
「あっ……ん、はぁ……」
そのまま、首筋、鎖骨、胸……とヴァイスさんが私の体にキスマークを付けていく。
きっと、ヴァイスさんは私にマーキングしてるんだ……なんて思ったり。
「ん……ちゅ、はっ、この傷も、痣も、全部お前の努力の証だろ……?」
「あ……っ!!」
私の体にフォローを入れてくれながら、口は私のおっぱいの先を吸うヴァイスさん。
断続的な刺激に、思わず私はヴァイスさんの頭を両手で鷲づかみにしてしまう。
……やっぱり、ヴァイスさんは優しいなぁ。
優しい人じゃなきゃ、妹さんへの事であんなに悩んだりしないと思う。
きっと、アルトにも、シグナム副隊長にも、みんなにも同じく優しいはず。
でも、今は……この時だけは、誰にもヴァイスさんは渡さない。
今のヴァイスさんは、間違いなく私だけのもの。そんな思いで私の頭は一杯になっている。
だから……
「くぁ……!!っ、ヴァ、イスさん……っ!ちょっ……と、まっ、てください……」
「……ん?」
「あの……私もヴァイスさんの事、気持ちよくしてみたい……」
口を離したヴァイスさんにそのまま立ってもらって、私は何とか体を起こす。
着乱れたヴァイスさんの浴衣の下半身は、一部だけ妙に隆起していた。
つまり、その、勃起……してるわけで。
浴衣が合わさっている部分をそっと開けると、隆起の正体が顔を出した。
さっきも温泉で触ってはいたけど、改めて月明かりに映し出されたヴァイスさんの……おちんちん。
これが、私のあそこに入ってきて、
これが、私の中を思いっきりかき回して、
これが、私の中で弾ける。
そう思うと、どうしようもないくらい愛おしさが湧き上がってきた。
だから、そっと握っていたおちんちんに、少しづつ舌を這わせていく。
いわゆるフェラチオってやつ。
「う…………」
舌が触れた瞬間、ヴァイスさんが低く呻き、それに合わせておちんちんが少し跳ねた。
あ……なんか可愛いかも……
舌の次は口全体で。先端だけだけど、口の中に含んでみる。
今まで一回もやった事なかったけど、これでいいのかな……?
おちんちんの引っ掛かりの辺りに唇を引っ掛けたまま、舌でちろちろちろ。
……わかんないからとにかく何でもやってみるのよっ!
「……っく、ティアナ、口で全体を含んでみろ……」
呻くヴァイスさんが、私にアドバイスする。
その言葉の通りに、私はもう少し奥までおちんちんを咥える。
84 :
CRR:2007/10/16(火) 03:33:29 ID:f80J1TgO
「よし……そのまま、前後に頭を動かせ」
ヴァイスさんに導かれ、私はその通りの前後運動を始める。
元々唾液で濡らしていたおちんちんを、自分の口を使って『しごく』。
じゅぽじゅぽっ、じゅぽじゅぽっ……
キスの時とは比べ物にならないほどのエッチな音が、頭に響いてくる。
膝立ちになった私は、ヴァイスさんのおちんちんの根元を握ったままフェラチオを続ける。
「んふっ……ん……っく……は……ちゅ…………ぷぁ……」
もう片方の手は、何となく股間へ持っていく。
……少し触れただけで、私のアソコの準備ができていたのが解った。
ヴァイスさんは、温泉から上がってから私の下半身には触れていない。
ということは、私の体が無意識のうちにヴァイスさんを求めてる……?
「うっ……く、ティアナ……口……離せ……」
「ふむぅ?……ふぁんふぇふぇすふぁ……?」
おちんちんを咥えたまま、私はヴァイスさんのお願いに疑問を投げかける。
なんでここで?
「く……もう……出ちま……う……」
出る……って、もちろん精液よね。
なら、離さない。
ヴァイスさんの精液、飲んだ事無いから……いっぺん飲んでみたい。
左手はアソコをこねくり回し、右手はおちんちんを握り、口の前後運動のスピードを速めていく。
「うわっ!!ばっ!!うっ……!!」
ヴァイスさんが低い声で呻くと同時に、私の口の中に粘っこい感触が広がった。
感触の後に広がるのは、苦い味。
「…………!!ごほっ!!ごほっ!!」
ムリヤリ飲み込もうとしたら、喉に絡みついた。
「ん……!!ぅ……!!んんぅ……」
必死に食いしばって苦味に耐えながら、私はツバを使って引っかかるネバネバを流し込む。
何か涙まで出てきた。でも、ヴァイスさんの精液を吐き出してしまうなんてことはできない。
「おい、無茶すんな……!」
ヴァイスさんが慌てて私にティッシュを差し出してくれる。
でも、もう大丈夫。
長い長い時間をかけて、私はヴァイスさんが吐き出した精液を全部飲み干した。
「……っは!……苦い……」
「バカ、そんなモン好き好んで飲むモンじゃねぇだろ」
さっきのティッシュで私の口の周りを拭きながら、ヴァイスさんが私を諭す。
「……でも、『苦い』のは、『大人の味』なんですよね、ヴァイスさん」
さっきのビールの時、確かにヴァイスさんはそう言った。
「少なくとも、私はビールよりはこっちの方が飲みたい……かなっ?」
85 :
CRR:2007/10/16(火) 03:36:16 ID:f80J1TgO
言ってみて思った。我ながらなんて歯が浮くような台詞……
でも、ヴァイスさんの全てを受け入れたい、その気持ちはホントだから。
飲んだって貫かれたって全然OK。
……なんて思ってたら、ヴァイスさんが私を布団に押し倒した。
「くっそ……お前、そんな台詞吐かれて黙ってられるかよ……!」
そこからはホントにあっという間。
ヴァイスさんが私の両足を持って固定したかと思うと、一気に私の中に熱いものが入ってきた。
「んぁぁぁあぁ……っ!!」
この感覚、しばらく忘れてた……
好きな人と繋がるこの充足感。それを今、急速に体が思い出す。
膣の中は、形を直に感じる事ができるくらいきゅうきゅうとヴァイスさんを締めつける。
私の最深部は、より楽にヴァイスさんを受け入れようと、ぬるぬるしたものを吐き出す。
「あ……はぁぁ……ヴァイ、ス……さん……」
「くぅ……っ!ティアナ……お前は、やっぱり……最高だよ。こんな、締め付けて……」
ゆっくりゆっくり、ヴァイスさんが動き出した。
私の中を、膣の形をきっちりなぞっていくかのように、ヴァイスさんが動く。
「はぁ、ああぁぁっ……んぅぅ、あはぁぁっぁぁ……」
焦らすような動きに、何か情けない声が漏れる。もうガマンできない。
ずっと焦らされてきたんだから、そろそろいいよね……
「ヴァイスさん、もっと……もっと来て……」
思えば陳述会の前の日が最後。それからは命にさえ関わるような事件ばかり起こってきた。
でも、もうそれも無い。なら私は、ただの……いや、エッチな女の子に戻る。戻りたい。
お腹の下にぐっと力を入れ、ヴァイスさんを逃がさないようにきゅっと締める。
「っ……!!こ……のっ……!」
ヴァイスさんが、私を貫く。一番奥をコツコツとノックしてくる。
その衝撃が私の体の芯に響くと、ムズムズした感覚が体全体に広がる。
ずぶずぶと大きな音を立てて、ヴァイスさんは私の一番深い所に叩きつけてくる。
「はぁっ!!あんんっ!!は、ああぁっぁっ!!」
ごつんごつんと奥まで響くようなピストンが続くかと思えば、
奥で子宮の入り口をごりごりとこじ開けようとするかのようにこすり付けてくる。
激しいのと、切ないの。
両方が波の満ち干きのように交互に押し寄せる。
「あっ、や、あぁぁっぁぁああ……っ!!はぁ、っ!んんぅっ!!」
「……ティア、ナ……ティアナ……っ!!」
「は、いっ……!ヴァイスさんっ、ヴァイスさぁんっ!」
お互いの名前を呼び合う。
私は布団のシーツをギュッと握り締め、ヴァイスさんの激しい攻めを受け入れる。
ヴァイスさんも、吹き出た汗を顎から滴らせながら、私を攻め立ててくる。
「あっ!!くぁあぁっ!私……っ!!もう、っ!だめぇっ……!!」
いつもより、快感が早く襲ってくる。
すっかり敏感になっていた私の体を、ぞくぞくするような快楽が貫いた。
86 :
CRR:2007/10/16(火) 03:39:38 ID:f80J1TgO
「はあぁっ……あ……は……ごめん……なさ、い……先に……イッちゃいました……」
体を震わせ、息も絶え絶えに、私はヴァイスさんには話しかける。
ホントはヴァイスさんと一緒にイキたかったけど……
「……謝ることなんかねぇよ。まだ時間はたっぷりある」
そういうと、ヴァイスさんは私を抱き上げ、ちょうど私を抱っこするような形をとった。
さっきのお風呂での格好と同じ。
「何回でも、何回でも……お前も俺も満足するまで……するぞ」
ヴァイスさんの両手は、私のお尻をがっちり鷲づかみにして、私の体を上下にゆすり出した。
重力も手伝って、子宮の入り口がこじ開けられてしまうんじゃないかというくらい、深くまで届いてる。
「やぁぁっ!!だめぇ……!私、さっ……き!イッ、たばっかりぃぃいい!!」
体をヴァイスさんに預け、ただただ私はピストン運動に身を任せる。
ぎゅぅぅっとヴァイスさんにしがみつくと、ヴァイスさんの胸板からヴァイスさんの香りがする。
それを吸い込んだだけで、くらくらしそう。
「かはぁ……っ!!届いてるっ!!奥まで、ぇぇっ!!とどいてるんですぅっ!!」
敏感なままの体に響くピストンが、私の理性をさらに削っていく。
思った事がそのまま口から際限なく出てしまう。
「はぁぅ、はぁっ!!ヴァ、イ、スさんっ!」
「なん、だ?ティアナ……っ」
してほしい。もっとしてほしい……
ずっと待ってたんだから、生半可なセックスじゃ満足できない。
荒い息を肩にはー、はー、と吹きかけながら、呟く。
「生で……っは、奥にっ、ください……!!私の中の、奥の奥まで……ヴァイスさんで満たしてください……!!」
さっきのフェラチオもそうだけど、ヴァイスさんの全てを受け止めたい。
私の体を幸せで一杯にして欲しい。そんな思いが頭に浮かんで、そのまま口に出た。
「せーえき、ください……」
今の私の顔……きっと他の人には見せられない。
汗が噴き出して、目がトロンとして惚けてて、口が開いちゃう……そんな顔してるはず。
私がここまで緩みきった表情を見せられるのは、ヴァイスさんだけなんだよ?
「……っっっ!!ティアナ……いくぞ……」
その声を合図に動きが更に激しくなる。ヴァイスさんも、もうすぐイキそうなんだ……
私も、そろそろ……
「は、いっ!私、も……私もっ!イキます……っ!」
背中に爪立ててごめんなさい。
でも、そうでもしないと飛んでしまいそうな感覚が襲ってくる。
もうすぐ……
「あっ!いっ!!く、ぅぅうぅぅっっっ!!!!!」
「ぐぅっ……!!」
私が大きく声を上げ体を震わせると、遅れてヴァイスさんが呻き声を上げる。
呻き声と共に、私の中のヴァイスさんがびくん、びくんと脈動する。
87 :
CRR:2007/10/16(火) 03:42:31 ID:f80J1TgO
「あ……は………ぁぁぁ………」
さっきのフェラチオの時の口の中のような感覚が、今度は私の膣の中で弾ける。
あ……精液が、私の中に広がってる……
それを意識すると、私はまたビクンと体を震わせた。
「はーっ……はーっ……あ、っ……」
ガクガク暴れる私の腰を、ヴァイスさんは力づくで引き寄せて自分の腰と密着させた。
ヴァイスさんの放った精液は、私の膣の中に一滴残らず収まって、私の中を白く染める。
私は胸板に顔を埋め、息を整えようとするけど、ドキドキが収まらない。
ぴったり繋がっている感覚が、体の中で渦巻いてる。
「ティアナ……?おまえ、何で泣いてるんだよ?」
ヴァイスさんに言われるまで分からなかったけど、頬に意識をやると、確かに熱い物を感じた。
「え、あ……」
「どっか痛かったか?悪ぃ、気付かな」
「ううん、違うんです」
涙は拭わず、私はヴァイスさんと向き合う。
「……うれしいんです、きっと。ヴァイスさんと抱き合えて、溶け合えて」
きっと、なんて曖昧だとは思うけど、私にももう分からない。
これはもう心の奥底のレベルの話なんじゃないかと思う。
感情が溢れて、止まらない……
そっと、ヴァイスさんが私にキスをした。
「ティアナ、やっぱりお前が大好きだ……いや、愛してる……」
「あ……はい、私も、愛してます。ヴァイスさん……」
キスをし、抱きしめあったまま、私達はまた交わりあう。
何回も何回もヴァイスさんは私の中に欲望を放ち、私は何回も何回も絶頂を迎えた。
二人の体はお互いのいろんな体液でぐちょぐちょになって、特に私のあそこはもう大変な事に。
最後のほうはもう覚えていない。
私とヴァイスさんはどろどろに溶け合い、最後は混ざり合った。
88 :
CRR:2007/10/16(火) 03:44:46 ID:f80J1TgO
―――――――引き戸に貼られた薄い紙は、朝日をあまり遮ってくれなかった。
「う……んんぅ……っ」
いつの間にか気を失っていたのか、それとも眠っていたのか。目に入るまぶしい光が、私の意識を覚醒させた。
妙に重い体を捻ると、
「よ、起きたか」
どアップで私の目にヴァイスさんが飛び込んできた。
「わあぁぁぁっっ!!おっ!おはようございますっ!!」
「はは、そんなにビビる事ねぇだろ?」
私は掛け布団を跳ね飛ばし、まだ夜の行為の跡がくっきり残るシーツの上にちょこんと座った。
それに正対するように、ヴァイスさんものっそり布団から起き上がり座る。
「よっと……ティアナ、ちょっと手、汚れてる」
「え?」
ヴァイスさんが、私の両手をウエットティッシュで拭いてくれる。確かに、散々いろんな液で汚れてるだろうから、うれしいけど……
正直、なんでそこで温泉に誘わないのかなぁ?そしたら温泉でもう一ラウンド
……なんて思ってると、
「……ティアナ、俺は……もうここで言う。言わせてくれ。」
ヴァイスさんが、何かを枕元のバッグから取り出してきた。
その後、私の手を握り。
「……え、ヴァイス、さん?これ……」
姿を現したのは銀の輝きの指輪。小さいながらも深い光を放つ宝石が見えた。
それを、ヴァイスさんが私の左手を持って、薬指にはめた。
「婚約……そのまんまの意味だ。別に今すぐ籍入れようとかって訳じゃねぇんだけど……
ほら、お前は『執務官になる』って夢があるだろ?それを遮るつもりはねぇよ。ただ……」
今、一番言ってもらいたい台詞を、一番言ってもらいたかった人から言われている。
その事実を、私の頭が必死に処理しようとしている。
「ただ……その夢の後のお前の人生を、半分……俺にくれねぇかな、と思って」
プロポーズを言い終わったヴァイスさんの、満面の笑顔。
それを全て認識した私は……
「……………あ」
朝日が差し込む部屋の中。
多分……生まれてきた中で、一番優しくて……暖かい涙を流した。
89 :
CRR:2007/10/16(火) 03:48:02 ID:f80J1TgO
――――several years after
時空管理局XV級艦船『クラウディア』。
私が陸士の訓練校を出た辺りは最新鋭の次元航行船だったこの艦船も、やっと歴戦の勇士として貫禄が出てきたってところ。
そんな船の中で、私は自分の個室で通信をしながら、転送ポートから来るであろうある人物を待っていた。
『どうかしら?そろそろ着くころだと思うのだけれど……』
「しょうがないですよ。今、こちらはミッドからはかなり遠いですからね」
空間モニターは第四陸士訓練校の学長室に繋がっている。
『それにしても、貴方ももうそんなになるのね……私ももう引退かしら』
「はは……ご冗談を。コラード学長はまだまだ現役でいらっしゃいますよ」
モニターに映るのは、訓練校時代の恩師の姿。
確かに以前よりも歳こそ取ってはいるけど、まだまだしっかりしていそうな雰囲気がモニター越しにも伝わってくる。
『あ、そうそう。暇つぶしと言っては何だけど、ちょっとした映像を送るわ』
コラード学長から、動画のデータが送られてくる。
データを開くと、訓練風景を記録した映像が流れてきた。どうやら射撃系のデバイスを使う陸士の精密射撃訓練の模様のようだ。
懐かしいな……私も六課時代に散々なのはさんに叩き込まれたっけ。
そんなことを思いながら映像を見ていると、見覚えの有る顔が映った。
「あれ……?学長、この子……」
『ああ……その子、相当頑張ってるわよ。貴方とスバル……とまでは行かないけど、相当優秀な成績を修めているわ』
陸士の訓練生の訓練着、はまあいいとして……
栗色の髪を肩まで伸ばしたその子は、左目に特殊な装置が見える。手には、自作のミッド式銃型デバイス。
「ラグナ……」
うん。ちょっと画質が荒くてぼやけてるけど、あの特注の視力補助デバイス。
間違いなくラグナ・グランセニックの物だ。そっか……あの子も相当頑張ってるみたいね。
「お兄ちゃんやお姉ちゃんみたいになる!」って言って、訓練校に入ったばっかりの頃はひやひやしてたけど。
「ふふ、やっぱり優秀な『義姉』さんの影響かしらね」
優秀……なんて言われるとなんか歯がゆくて、頭をポリポリかいてしまう。
訓練校時代の私なんて、薄氷の上を歩いているような『優秀さ』だったから。
ラグナの成績は、ラグナ自身の向上心のもたらすものだろうな。……だって私、実際何も教えてないし。てへ。
モニターの隅っこに、やっと目的の人物の来訪を告げる知らせが入った。
「学長、例の子が到着したようですので、これで……」
『そう……それじゃよろしくね。『グランセニック執務官』』
そう言って、コラード学長は通信を切った。
……間違ってはいないんだけど。やっぱり、まだ慣れないなぁ……
苗字を『グランセニック』って呼ばれるのには。
90 :
CRR:2007/10/16(火) 03:50:22 ID:f80J1TgO
執務官になって数年。何回か次元空間航行にも出て、大きい任務も小さい任務もそれなりに経験してきた。
まぁ、それでもまだまだフェイトさんの足元にも及ばないけどね。
そんな私にも、今日から補佐官がつく事になった。それが今日の待ち人。
コラード学長も太鼓判を押す子らしいけど……正直どんな子が来るのか楽しみ。
個室を出る前に、デスクの上の写真立てを手に取る。
伸ばした左手の薬指には、かつて貰った物よりシンプルな、でもかつての物よりずっと深い意味を持つ銀の指輪。
掴んだフレームの中の写真に写るのは、純白のドレスに身を包んだ私を抱きかかえる、タキシード姿の男性。
その写真に向かって、いつもの挨拶をする。
「今日も仕事行ってくるね、ヴァイスさん」
写真に写るヴァイスさんに軽く口付けをした後、私は黒い制服を羽織って部屋を出た。
正直言うと、次元空間航行の任務はちょっと辛い。
でも、愛する人を……愛する人のいる世界を守るためだと思えば、それだけでやる気が出てくる。
それに、今の私は、愛する人に多少会えないからって心配する必要は無い。それを左手の指が証明してくれる。
永遠の愛の証が、指から輝きを放ちながら私を支えてくれるから。
私ことティアナ・グランセニック。
今回の次元航行任務がひと段落するまで、あと2ヶ月。
時空管理局執務官として、今日も張り切っていこう!
おわり。
91 :
CRR:2007/10/16(火) 03:52:23 ID:f80J1TgO
以上です。……あ、注意書きに「ティア一人称」って書くの忘れたorz
くそっ!何で数の子に追い詰められた時に回想するのが全部スバルなんだっ!!
……という憤りをぶつけてみた。ティア可愛いよヴァイス。
さて、このシリーズはとりあえずこれでケリをつけました。
次作品で会いましょう。では!
Gj やっぱりヴァイティアはイイです
凡人コンビで
本編のヴァイスはフラグ立てすぎだけどな!
>>91 ブハァッッ!!(鼻血
え、エロエロだぁ!しかも、なんというラブラブ!!
オレが毎晩寝る前に布団の中で考えてることが実現してて、職人には恐怖すら感じるッッ!!
故に通常のGJを超えた、超GJと言わざるを得ないッッッ!!!
>……あ、注意書きに「ティア一人称」って書くの忘れたorz
最速の兄貴が言ってった。
「んなぁこったぁああ、どうでもいいんだよおおおお!!」
>くそっ!何で数の子に追い詰められた時に回想するのが全部スバルなんだっ!!
>……という憤りをぶつけてみた。ティア可愛いよヴァイス。
師匠と呼ばせてください!そして、東方を赤く燃えさせて(ry
思えばCRR氏ともう一人の職人の方が、ティアナ可愛いよヴァイスSSをやってくれた御蔭で、
自分もティアナヴァイスに目覚めてしまいましたので、とてもとても感慨深い物があります。
最後に、
訓練を頑張るラグナに向けるティアナの思いは、非常に感慨深いものがありました。
それではおやすみなさい!
>>91 ええぃ!GJ!!
かわいすぎるじゃないか!
このバカ野郎!お前は私を萌え殺す聞か!(褒め言葉
こんなモノを見せられたら、行き詰まってたヴァイ×ティアを書きたくなってきたじゃないか!
GJ!とにかくGJ!
>>91 GJ!!天涯孤独なティアにとって本当に良いEDでした!!本当に読んでて良かったです。
>>91 GJ!
こんなに素晴らしいティアは初めてです。
>>91 世界を埋め尽くす程のGJをくれてやるwww
>>91 GJ!!
素晴らしいティアナ作品をありがとう。
99 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/16(火) 13:01:55 ID:LntYtN3s
>>91 ヴァイティアGJ!
でも自分は御供え物諸葛ユーノ×ヴィータの回も読みたい。。。
>>30 GJ!
人肉シチューが出てきてフェイトガクブルまでは非常にハラハラものだったけど
エイミィが急激に暴れ出したとこからちょっと、ん〜?って感じだった
何ていうのかな、もっと静かにと言うか、雰囲気で追い込んでたらもっとよかった
終わり方も嫌いじゃない 誰も救われない、これもまたよし
>>30 GJ!
課題も残ると思うけど、BADものは大好きなんでこれからも書いて欲しい。
あと、分かってると思うが
>>31とか
>>35は荒らしみたいなもんだから気にすんなよ?
批判=荒らしってwwwwwwwwww
>>102 注意書きがあるにも関わらず読んで文句つけてるしなあ
気分悪くなったってのは批判じゃなくて非難だろ?
なんで終わった議論を蒸し返すような真似するかね
自分の好きなキャラのイメージを壊されると
過剰なまでの反応をする奴はいっぱいいる
ユノヴィタ……
超短いが、思いついたので投げ入れてみる
ユーノの家にて、背中合わせにくつろいでいる2人。
読んでいた本のページをめくる手を止めると、ユーノがなんてことのないように自分の背中に体重を預けてP○Pをしている少女に語りかけた。
「ヴィータってさぁ……」
「んだよ」
「可愛いよねぇ……」
いきなりと言えばいきなりな台詞に思わず体が一瞬震え、手元のゲームの攻撃タイミングを逸してしまった。
が、それが悟られていないと踏んですぐさま気持ちを立て直す。
「……うっせ」
「あれ? 反論ないんだ」
「反論したらしたでテメーのよくわかんねー理屈に丸め込まれて終わりだろが! はっ、アタシをいつまでも今までのアタシと思うなよ!」
高らかに宣告する。
いつも手玉に取られてばかりだがいつまでもそうはいかない。
勝ち誇った笑みで天井を見上げていると、背中側から寂しげな声が聞こえてきた。
「……そっか。ヴィータ、僕のことどうでもよくなったんだ……」
え? と思考が一瞬空白になり、情報を整理しようとして―――次の瞬間には、爆発していた。
「は?い、いや待てよ。な、なななんでそーなんだ!」
「だって、可愛いとか言われたくないんでしょ……? 僕にそんなこと言われても嬉しくもなんともないんだよね……」
「い、は、な、ち、ちが、ちょ、ちょっと待て! そ、そんなわけねーだろバカ! だから、アタシはいつまでもお前に手玉に取られるのが、その……なんだ……だから……」
「……いいよ。今までごめんねヴィータ。しばらくは出来るだけ話しかけないよう―――」
「わ、バカバカ!なんでそーなんだ!やだよ!い、行かないで―――」
「うんわかった」
「くれよ―――あれ?」
……。
…………。
「ヴィータってさぁ」
「な、なんだよ」
「可愛いよねぇ」
「う、うううぅ……うるせーよバカやろう!」
うむ。オチも山もねえ!
108 :
ておあー:2007/10/16(火) 17:40:49 ID:RPfT8JSI
>>107 これはいいヴィータw
前回レス下さった皆さん、ありがとうございました。
……なんだよみんな、実は眼鏡の事も好きなんじゃないか……でもまずはチンク姉の話。マルチタスクの
スキルがない自分には二作同時進行なんて無理です。
今回の注意
・主役はチンク、相手はゼスト、あと博士と愉快な娘達少々
・今回の分はエロなし
・時期はStS本編12年前開始〜本編終了後まで(今回は12年前〜8年前)、物語の流れに関しては本編に準拠
・オリ設定あり、一部キャラの性格がかなり変わっちゃってますorz
以上がアウアウな方はオプティックハイドをお願いします。注意が多くてすいません……
4.訓練場 チンクとウーノ
乱れた息を整えるために大きく数度深呼吸。それが終わると目を閉じて精神を集中させる。
イメージするのは、体内を循環しているエネルギーの集束。両手両足の指先から毛髪に至るまで、あ
らゆる場所から掻き集め、胸の辺りで球体を形成していく。普段は血液のように体中を巡り続けている
体力とも魔力とも違う独自のエネルギーは、遣い手である自分の意志を無視して集めた先から霧散して
いくが、この段階をクリアしなければ先には進めない。焦らず、ゆっくりと押し固め何とか手の平大の
球を作る事に成功する。
球の状態が安定するようになったら、今度はそれを両の掌まで慎重に移動させていく。この動作に関
しても速度の事は考えず、球を刺激しないようじっくり時間をかけて腕の先へと伝わせてゆく。肩から
二の腕、肘、手首……無事に両掌に到達したら、今度はその球を目の前の台に置かれた鉄塊に埋め込ん
でいく。
「くっ……」
掌から離れると球は急速に安定を失い、鉄塊に移す僅か数センチの間に大部分が空中に漏出してしま
う。それでも何とか作業を終えると、一旦鉄塊から離れて安全な距離まで退避する。
「……IS、発動」
指を鳴らすと同時に、足元を囲むように水色のテンプレートが展開する。だが、何度指を鳴らして発
動の合図を送っても鉄塊には何の変化も起こらなかった。
「失敗か……」
「そのようね」
ウーノの言葉が引き金になったのか、チンクはガックリと膝をついた。
「疲労が激しいわね。今日の訓練はここまでにしましょう」
「……まだ、やれます……」
「無理をしてはダメよ。焦っても良い結果は出ないわ」
「しかし……」
荒く息をつきながら、チンクが立ち上がろうとする。だが、言い換えれば立つ事すらままならないそ
の状態は誰の目から見ても明らかに限界で、内心ではそ自分でもそれに気がついていたのか、しばらく
すると諦めてまた地面に座り込んだ。少しの間、そのまま両者は沈黙する。
「……ウーノ姉様」
先に口を開いたのはチンクだった。
「どうしたの、チンク?」
「……私は、やはり失敗作なのでしょうか」
「チンク、そんなことは」
「先日、私は偶然にドクターが話しているのを聞きました。私は『素体となったオリジナルの能力を再
現する事はできないだろう』と……ドクターの望む成果をあげられないのであれば、私は失敗作。それ
でもドクターの研究は失敗などではない、私がISを発現させる事で、それを証明できる……そう考え
て、ここ数日懸命に鍛錬を繰り返してきました」
「……」
「しかし、結果はこの通りです。この未熟な肉体や色素のない髪と同じように、私は能力面においても
満足に機能しない欠陥品なのでは……」
「チンク」
ウーノはチンクの頭を撫でながら、彼女の隣に腰を下ろす。
「せっかくだから、少し貴方の出自について説明をしましょうか。私達姉妹には二種類の生まれ方があ
るのは以前に話した事があったはずね」
「はい。クローン培養と純粋培養、私とウーノ姉様はクローン培養型で残りのお姉様達は純粋培養型で
す」
「その通りよ。それでは、両者は何が違うのかについてはわかる?」
「……いいえ。浅学の私には」
「そこまで遜る必要はないわ、誰も貴方に話した事はないのですもの」
ウーノは目の前にモニターを出現させ、画面を見せながらチンクに説明する。
「クローン培養というのはオリジナルとなる特定の人物を再現する事で、オリジナルが元々持っている
特殊スキルの再現を狙う方法の事よ。再現性はある程度高く狙った能力を出しやすい一方、その他の能
力には期待できない。いわば一芸に特化したタイプとも呼べるわね。私のフローレス・セクレタリーも
オリジナルの持っていた固有技能が元になっている能力だし、今貴方が発現させようとしているISも
そうよ……ここまでで質問はあるかしら」
ウーノがモニターから目を離しチンクに問う。
「いいえ」
「では続けるわよ。二種類の生まれ方のうち、もう一つの純粋培養は適正遺伝子をかけ合わせた人工授
精児を素体とする方法。狙った能力は出しにくい代わりに、コストが高く適合率の問題があるクローン
培養と比べて、安定性があり量産に向くわ……さて、このような言い方をすると貴方は適合率の問題で
オリジナルの再現に失敗したと考えるかもしれないわね。でも貴方の場合は少し事情が違ってくるの」
「事情が……違う?」
「ええ。元々貴方のオリジナルとなった人物の遺伝子情報は、私達とは別に戦闘機人の製作を行ってい
たある組織からドゥーエが盗み出してきたものなの。ただ、その遺伝子情報にほんの小さな変化があっ
たせいで、ドクターは完全なオリジナルを再現する事ができなかった……」
「しかし、ドクターは」
「確かにあの人は自分のクローン培養技術に何か不備があった事が、オリジナルの再現に失敗した原因
だと思っているわ。けれどそれではなぜ私ではほぼ完璧に成功したオリジナルの再現が貴方でできなか
ったのか、どうしても説明がつかないの。これは推測で言っているのではなく、私自身が私と貴方の作
成手順を比較、精査して至った結論よ。きっとあの人自身も薄々はその可能性に気づいているはず。だ
って彼は私よりもずっと優秀なのですもの」
「……では、なぜドクターは自分の責任だ……」
そこまで言いかけてチンクもスカリエッティの真意に気づく。
「そう。もしも元となった遺伝子情報に何らかの欠陥があったとするならば、遺伝子情報を盗んだドゥ
ーエがミスを犯した可能性を考えなければならない。もちろん、ドゥーエが組織から遺伝子情報を手に
入れた時には既にその遺伝子に変化があったかもしれない、私もそう考えているわ。だけどこの事につ
いて言及すれば、それはどうしてもドゥーエの耳にも入る。そうすればドゥーエはきっと自分を責める
わ……だからあの人はけしてそうは言わない」
「私は……」
「ねえチンク……貴方が失敗作だというのならば、どうしてドクターは貴方の事を破棄しないのかしら」
「ウーノ……姉様?」
「確かに貴方は、オリジナルとなった人物の再現には失敗したかもしれない。けれど、ドクターのクロ
ーン培養技術には問題はない。元となった遺伝子情報はもうオリジナルとは違うものだから、あなたの
オリジナルと呼べる人物はこの世に居ない。だから貴方をクローンと呼ぶのは少し語弊があるかもしれ
ないけれど、それでも貴方は戦闘機人として、立派な成功作としてこの世に生を受けたわ。確かに成長
不全など外見的には少し他の姉妹に劣るかもしれないけれど、その他の能力については何ら問題がある
わけではないわ。今はISも不安定だけれど、きっと貴方ならば自分の物にしてドクターの願いを実現
するための力になってくれる……ドクターもそれを信じているわ。だから、自分の事を失敗作だなんて
思わないで。貴方は天才科学者、ジェイル・スカリエッティが産み出した戦闘機人の一人であり、私の
自慢の妹なのだもの。落ち込んでいてはあの人やドゥーエにトーレ、それに私も悲しむわ」
「ウーノ姉様……」
「ああら、ウーノ姉様ってばあ〜。一人忘れてはいませんかあ?」
「「クアットロ」」
訓練場に眼鏡をかけた茶髪の少女―ナンバー4・クアットロが入ってくる。
「私だって、これでもチンクちゃんの事は心配してるんですから〜」
「クアットロ……お前がどうしてここに?」
「ひど〜い、チンクちゃんってば。せっかくお食事の用意ができたから呼びにきてあげたのに」
「む……それは悪かったな。だが、私はもう少しここで訓練を」
グゥゥー。
そこまで言いかけたチンクのお腹が、部屋中に響くほど派手に鳴り響く。
「……する、つもりなのだが」
「食事にした方が良さそうね。行きましょうか、チンク、クアットロ」
「はあい、ウーノ姉様っ。チンクちゃんも行くわよね?」
「……そうする」
ウーノに手を差し伸べられ、チンクが立ち上がる。その様子を黙って見ていたクアットロだったが、
やがて思いついたように鉄塊の置かれた台まで近づいていく。
「そういえば、チンクちゃんの能力って『自分のエネルギーを物体に付与した状態でエネルギーを振動
させ、物体の分子結合に干渉する』ものだったっけ? この鉄の塊は練習用?」
「ああ、物体といっても金属にしか効果を及ぼさんがな。あ、触れると危ないと思うぞ……少量だが私
のエネルギーを付与された状態だ。多少なりとも結合が不安定な……」
「だあいじょうぶよ。だってチンクちゃんの能力ってえ、まだちゃんと扱えないんでしょあべばっ!!」
クアットロが触れた瞬間、ボンッと音を立てて鉄塊が爆発した。
「不安定な状態になる……さらに振動を加え続けると対象の分子結合は完全に崩壊し、反応によって生
み出された莫大なエネルギーが爆発を引き起こす……とドクターが言っていた」
「……身を持って理解したわ。あ・り・が・と・う……チンクちゃん」
口元を引きつらせたクアットロが真っ黒になった顔で煙の中から姿を見せて吐き捨てた。ちょうどそ
の時、また一人姉妹が訓練場に入ってきた。
「こーらクアットロ、妹を呼びに行くのにどうしてこんなに時間かかるのよ、全員揃わないといつまで
たっても食事が始まらないでしょ……ってウーノ姉様もいらしたんですか?」
「ええ、ごめんなさいドゥーエ、少しチンクの訓練に付き合っていてね。手を洗ったらすぐ食堂に向か
うわ」
「手早くお願いしますね、チンクもだよー。それとクア……アーッハハハハハハッ! どーしたのよそ
の顔!?」
ナンバー2・ドゥーエは自身が教育を担当している妹の顔を見て爆笑する。
「うわ〜ん聞いてくださいよぉドゥーエお姉様〜、チンクったらひどいんですよ〜」
「どうせまた余計なちょっかいかけてたんでしょ? アナタは顔を洗ってから食堂に集合。食事当番の
トーレが待ちくたびれてるわよ」
「ええ〜、トーレ姉様の食事ってば味付けは大雑把だし、材料の切り方もヘッタクソだしぃ」
「まああの子は栄養補給できればいいって感じだからね。あれでも料理を作るようになっただけ随分マ
シになったんだから」
一家の間に『食事を楽しむ』という概念を持ち込んだ次女が苦笑する。
「やっぱり私はドゥーエお姉様の作る食事が一番ですわ〜」
「まあ私は任務で外の世界に出る事が多いからね、潜入先のターゲットが男の時は近づくのに料理の腕
が役立つ時が多いのよ……ってその顔でくっつくなっての! スーツが汚れちゃうでしょう!!」
「うふふぅ〜お姉様〜」
仲良く話しながら出て行くドゥーエとクアットロの後について、チンクとウーノも訓練場を出る。食
堂への道を歩きながら、チンクは先ほどから疑問に思っていた事をウーノにぶつけてみる。
「ウーノ姉様、一つお聞きしたい事があるのですが……」
「なあに、チンク?」
「私のオリジナルが持つ固有技能、ドクターが欲しかったスキルとはいったいなんだったのですか?」
ウーノは少し考えるそぶりを見せた後、記憶を辿るようにして質問の答えを口にする。
「確か……名称は『振動破砕』、細かく振動するエネルギーを物質にぶつけて、凄まじい破壊力を生み
出す能力だったはずよ。特に私達戦闘機人に使われている電子部品やフレームに対しては大きな威力を
持つ、いわば対戦闘機人戦の切り札と呼べる能力ね」
「戦闘……機人戦ですか?」
「ええ、私達以外にも幾つかの組織が戦闘機人の製造計画を進めている、振動破砕はそうした組織との
戦いで威力を発揮する。後は……私達や将来生まれてくるであろう妹達が何らかの理由でドクターに離
反を起こした際にも使われる事になったでしょうね」
「……あまり、考えたくはないです」
「そうね……私もそう思うわ」
その後二人は食堂に着くまで言葉を交わす事はなかった。
5.八年前 ゼスト、想う
『隊長、全員所定の位置に配置終わりました』
「了解だ。全員警戒を怠らないよう伝えてくれ」
『了解しました』
その一言を最後に通信が切れる。俺はモニターを消すと後方に控える女性達の方を振り返った。
「作戦開始までまだ少し時間がある。お前達もデバイスの状態、もう一度確認しておいてくれ、ナカジ
マ、アルピーノ」
「もうこれで今日三度目の確認ですよ〜隊長……心配しすぎですって」
「そうやって事前の確認が不十分だったせいで、この前カートリッジの不発を起こしたのは誰のデバイ
スだったっけ? ク・イ・ン・ト・さ・ん?」
「う……私のリボルバーナックルです……メガーヌさん」
「わかってるならさっさと再度確認」
「私だって一応は確認してるんだけどね〜」
クイントはまだぶつぶつと何かを呟いていたが、自分を睨むメガーヌの視線に気づくと、ようやく自
身のアームドデバイスを手から外し動作確認を始めた。
クイント・ナカジマとメガーヌ・アルピーノ。どちらも本来の役職は捜査官で、俺の部隊には出向と
いう形になっている。
格闘技法『シューティングアーツ』の使い手で近接戦闘に秀でるクイントと、局内でも数が少ない召
喚士のメガーヌ。両者のコンビ暦はかなり長いらしく、普段は何かというと憎まれ口を叩きあう関係な
がら戦闘になると抜群の連携を見せる。勿論捜査官をやっているだけあって個々の能力も高く、彼女達
が来てから俺の部隊が受け持った幾つかの事件でも、その手腕は遺憾なく発揮されていた。
「メガーヌはいいなー……『アスクレピオス』はカートリッジシステム積んでないから不発も弾詰まり
の心配もないし」
「馬鹿なこと言ってるんじゃないわよ。私は召喚士なんだから、召喚する物や物体にブースト系の効果
をつけやすいブーストデバイスを使うのは当然でしょ」
「それはそうなんだけどさぁ……」
俺は二人の様子から目を離し、自分ももう一度デバイスをチェックしておく事にする。
「『エンゲツ』、もう一度動作確認を行う」
『了解』
既に十数年の付き合いとなった愛用のアームドデバイスの名を呼び、待機形態から本来の槍型に戻す。
デバイスのデザイン元となった、どこかの次元世界の武器から取られた名前は半月、あるいは弦月を意
味する言葉らしい。アームドデバイスではあるがAI搭載型という事もあって、今では誰よりも頼れる
相棒になっていた。穂先から石突まで破損がないか確認した後、カートリッジシステムが正常に作動す
るかチェックする。
「異常はなさそうだな」
『こちらのチェックでも異常は確認されませんでした』
「そうか。少し……細かい傷が増えたな。近いうち技術部の方へメンテナンスに出そう。それまでもう
少し我慢してくれ」
『お気になさらず』
エンゲツの言葉に深い意味はなかったのだろうが、その一言で俺の胸は鈍く痛んだ。
――近いうち。
それは一週間先の事か、或いは一月先か。それとも二ヶ月、三ヶ月、半年……ただでさえ慢性的な人
材不足に喘ぐ管理局の中でも地上の各部隊は特に状況が厳しく、それは俺の所属する首都防衛隊も例外
ではない。
自分の能力を過信しているわけではないが、自分が現場を離れた時に代わりを務めるだけの能力を持
った人間がいないのもまた確かだ。休暇を取る事はおろかデバイスを長期メンテナンスに出す余裕すら
ない日々が、もうずっと長く続いている。
「だからアナタはまた……」
「だって……」
クイントとメガーヌはまた何か言い争いをしている。
二人が本来の捜査目的である『戦闘機人事件』を追ってこの部隊に来てから数ヶ月。事件を追う傍ら、
彼女達は部隊の一員として他の多くの事件解決に協力してくれた。彼女達がいてくれた事で、自分や部
下達がどれだけ助かったか……このままずっと自分の部下でいてくれれば、その力を地上を護るためだ
けに揮い続けてくれれば。そう考えた事ももう一度や二度ではなくなっていた。
(何を考えているんだ、俺は……)
心の中で首を振って、これまでも何度となく頭に浮かんだ甘い空想を否定する。戦闘機人事件以外に
も、彼女達の力を解決に必要としている事件は山ほどある。俺に地上を護るという使命があるのと同様
に、彼女達もまた自分の使命を果たさなければならない。今は共通の目的の為に同じ道を歩んでいるだ
けに過ぎないのだ。
「……隊長? ゼスト隊長?」
不意に耳元で呼びかけられ、意識が思考から現実へと呼び戻される。顔をあげると、目の前でクイン
トが手をひらひらと動かしていた。
「よかった〜。声かけても反応がないんで寝てるのかと思いましたよ」
「そんなわけないでしょ、アナタじゃないんだから」
「むうぅ、私だってさすがにそれはないっての……ていうか隊長、ホントにだいじょぶですか?」
「私の治癒魔法でよければおかけしましょうか? 気休めくらいにしかならないかもしれませんが」
さっきまで口喧嘩をしていたのが嘘のように、二人が交互に俺を心配する言葉をかけてくる。心遣い
は嬉しいが、これからの作戦の事を考えればここで余計な心配や魔力消費をさせる訳にはいかない。俺
は丁重に申し出を断る。
「問題ない。少し考え事をしていただけだ」
「まあ」「それならいいですけど……」
一応は引き下がったものの、二人とも顔には不満の色が浮かんでいる。なんとなく心の中を見透かさ
れた気がして、俺は慌てて話題を変えた。
「そういえば二人とも、娘の様子はどうだ? 連絡は定期的に取っているのだろう」
「うちはゲン……夫が色々と手伝ってくれてますから。ギンガもスバルもちゃんと育ってくれてます…
…真っ直ぐに、人間として」
ギンガとスバル。彼女の娘達の名だが、彼女達とクイントは血の繋がった本当の親子ではない。
捜査官として戦闘機人事件を追う過程で保護した幼い姉妹。戦闘機人の実験体であるその子供達を、
クイントは三年前から自分の娘として育てていた。俺はその子達と直接会った事はないが一度写真を見
せてもらった事がある。二人ともクイントによく似ており、事情を知らない人間から見れば彼女達が本
当の親子でないとは絶対に気がつかないだろう。
「うちは最近ちょっと厳しいですね。局の施設の方に預けっぱなしです、まあ一人で産む事を決めた時
からこうなる事はわかっていたんですけど……」
メガーヌにも娘が一人いる。こちらは正真正銘本物の娘だが、父親にあたる男性はおらずメガーヌが
一人で育てているという。向こうがあまり話題にしたがらないので詳しい事情は聞いていないが、長期
の任務に出ている時などは局の施設に預けているという話は以前ちらと耳にしていた。
「シングルマザーは色々と大変だよね……ルーテシアちゃんだっけ、何ならいっそうちで預かろうか?
二人が三人になったってどうせたいして変わらないし」
「……たいして変わらないのはアナタだけよ。ゲンヤさんが眉間に皺寄せて苦悶する顔が頭に浮かぶわ」
「だいじょぶだいじょぶ、あの人ああ見えて子供大好きだし。私がギンガ達にシューティングアーツを
やらせるって言った時も、『そんな物騒なもん教えられるか!』ってすっごい顔で反対したんだから」
頭の中でクイントの夫・ゲンヤの顔を思い浮かべる。勢いよく啖呵を切ったもののその後は一方的に
クイントにまくし立てられ、頭を抱える姿が妙にリアルに想像でき少しおかしくなった。
「あー隊長! 今笑ったでしょ!」
「い、いや笑ってなどいないさ……だがシューティングアーツは護身用というには少し強すぎる力だか
らな……ゲンヤ氏が反対するのもわからないではないと思ってな」
「隊長までそんなこと言うんですか!?」
「でもシューティングアーツって、使いこなすにはある程度の接近戦用魔法が使えるのが前提の格闘技
法でしょ? デバイスの扱い方も覚える必要があるし……自分の後でも継がせるつもり?」
「んー、魔法に関しては多分問題なくやれると思うのよ……カンとかじゃなくて、それなりに根拠もあ
るし……でも私みたいに管理局入りするかってのはあの子達が自分で決める事ね。やりたいっていうん
なら私は止めないし、他の道を選ぶならそれでも構わない。ただ……」
「「……ただ?」」
「どれだけ人間として育てても、一人の人間として生きてほしいと思っても、あの子達が戦闘機人とし
て生まれた事実と向き合わなければいけない時はきっと来る。人より大きな力が枷になって、普通の人
間なら得られた幸せを諦めないといけなくなるかもしれないし、戦闘機人を研究する組織があの子達を
狙ってくるかもしれない。だからいつか来るその時に、自分の力で未来を切り開いていけるだけの力を、
私はあの子達に身につけさせてあげたいのよね……今は壊す事しかできないかもしれないけれど、あの
子達に与えられた力は、きっと悲しい運命なんてぶっ飛ばして、あの子達の大切なものを護る力になっ
てくれると信じてるから……」
そう言って微笑んだクイントの横顔は普段豪快な性格の彼女からは想像も出来ないほど凛としていて。
「お前も……立派な母親なのだな」
俺はなんだか自分でもよくわからない事を口走っていた。
「三年もやってりゃ慣れますよ。あの子達が私を一人前の母親に育ててくれてますもん」
「うう……なんだか心が痛む……」
いつものペースに戻ったクイントと少し落ち込んでいるメガーヌに声をかけようとした時エンゲツに
セットしておいたアラームが鳴った。
「……時間か」
「はい」
「それでは、私とクイントも突入地点に向かいます」
「わかった。二人とも無茶をするな、何かあればすぐに連絡しろ」
「わかってますよ、隊長達の方こそ、前の施設みたいに戦闘機人の実験体が襲ってきたらすぐ救援に呼
んでくださいね。私の魔法、なんだか機人の体に効果が大きいみたいですから」
「アナタの魔法はどれも半分感覚で組んでるみたいなものだしね。時々使ってる見た事のない魔法……
先天系だっけ? そういうのもあるし皆が使ってる魔法でもアナタの場合プログラムの内容が微妙に違
うのかもね」
「えへへ〜、サンキュー」
「……褒めたってわけでもないんだけど」
「十分褒め言葉だよ。先天系の魔法は私が捜査官になれた理由の一つでもあるし……じゃあ隊長、そう
いうわけなんで何かあったらすぐ呼んでくださいね〜」
二人が出て行くと部屋には俺一人が残された。自分の持ち場に戻る前に、暗闇の中でしばしこれまで
の日々を思い出す。
始まりはクラナガンで起こったあるテロ事件だった。悲しい事だが、管理局地上本部がある関係上、
テロは特別な事件ではない。だが過去の事件と比べても取り立てて特徴のないその事件の現場で、ある
電子部品の残骸が発見された事から事情は変わった。
事件の事後処理を受け持った俺の部隊に本局から捜査官が派遣され、彼女達の口から出たのは『戦闘
機人』という言葉。人の身体と機械を融合させ、常人を超える能力を与える技術で、今は倫理的な面な
どから違法とされたがかつては管理局も研究を行い、実用寸前の段階まで漕ぎ着けたプロジェクト。
俺は彼女達に協力し、首都防衛任務の合間を縫って事件を追い始めた。戦闘機人の研究が完成し、高
ランク魔導師に迫る戦闘力を持つ機人が量産されるようになれば、戦力の薄い地上本部ではまず対応で
きない。研究が完成するより早く首謀者を発見し計画を止めなければならない。
そしてもう一つの疑念――その戦闘機人の研究に、首都防衛隊代表レジアス・ゲイズ中将が関わって
いるという噂の真偽を確かめなければならない。
もちろん信じたくはない、だが本当にレジアスが計画に関わっているとするなら……
(その時は俺が奴を止める。共に正義を語りあった仲として。奴の親友として)
俺はエンゲツを握り直すと、ゆっくりと部屋を出た。
116 :
ておあー:2007/10/16(火) 17:48:04 ID:RPfT8JSI
以上です。お付き合いくださった方はありがとうございました。
ランブルデトネイターの理論はめがっさトンデモなので深く考えないでください……まあ魔法のある
世界だし……他にもゼストのデバイスの名前とかいろいろ脳内設定垂れ流し。ルーパパさん、いたらご
めんなさい。一応本編やサウンドステージで触れられた部分と矛盾はないようにはなって…る…はず…
…ちょっと、不安なんだけど……よく考えると、やっぱ無茶っぽくはあるし……orz
そして
>>26-112氏
ザフィスレの巡回といえば自分がなのは関係のSSを書くキッカケになったネタです……まさかこの
場所でその書き手とお会いできるとは思いませんでした……迷惑かもしれないのですが一言御礼を言わ
せてください、ありがとうございましテォァー!!
>>91 ちょっと困った顔でプロポーズするヴァイスと
幸せの涙を流すティアナをリアルに想像できて、オレも泣けてくる。
久しぶりに感動しました。GJです!
>>107 して、
続編はいつになるでしょうかwktk
>>116 GJ!!
(割り込んでしまったかと持ってヒヤヒヤしてしまった)
非常に良くISの設定が練られており参考にしたいほどですw
あと「焦げットロ」に吹いたw
>>116 GJ
やはりナンバー姉ズは陽気ですなw クアットロもそうだけどドゥーエはだいぶいいお姉さんだ
あとゼストの槍は名前「槍」ってことみたいですよ。正確には知らないですが……
>>116 これは力作。GJ!
よく設定を考察して、書きこまれてるのがよくわかる。
悲鳴を上げてヴァイスは飛び起きた、夢、そう何度も見ている夢だと自分に言い聞かせる。
「アルトは・・・よかった寝てる」
起こした上半身の左では衣服を乱した彼の後輩がすやすやと寝息を立て眠っている。
ヴァイスは誰かを起こさぬよう静かに立ち上がるとキッチンのシンクの前へ、
ノブをひねりコップ日本の少しの水を注ぎ、のどを潤すとようやく心臓の鼓動が落ち着くのにため息をつく、
思い出すのは過去の苦い記憶
自分に打ち抜けない犯罪者はいないと思い上がっていたころの最初で最後の失敗
・・・そう今やただのヘリパイロットであるヴァイスには関係ないことだ。
思い出されるのは家を出る自分をただ見つめる妹、ラグナの泣きそうな、しかし空ろな視線
「俺の責任、なんだよな」
自分を慕う妹の片目とはいえ光を失わせた。あれ以来ヴァイスは妹のことをうまく見れていない
今こうして六課の寮にすんでいるのも本当はただ逃げているのだ。
そう目をつぶると思い出す。
『ねえお兄ちゃん、責任取ってくれるよね』
そういって夜中寝室に忍び込んできて
『この傷はね、お兄ちゃんが私に刻んでくれたものだから』
そういいながら愛おしそうにもう見えない片目の傷跡を指でなぞる
『でもね、お兄ちゃん、これだけじゃ足りないよ、私をもっとお兄ちゃんのものに』
頬に手を寄せる妹はすでにただ一人の女で
『ほらこんなにもう濡れてるんだよ、見えるでしょ、ほら触って』
呆然とするヴァイスの目の前で妹の秘裂は蜜をたらし引き寄せられたその手はそこに招き入れられ
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
そして逃げ出したヴァイスは二度と銃をその手にもてなくなった、それだけの話だ。
あれから毎晩あのときの夢を見る、おかしくなってしまった妹の幻影は今もヴァイスを苦しめる
そして今のヴァイスにはただ自分を抱きしめることしかできない、
あの可愛かった妹の姿を奪ったのはこの自分なのだから
「・・・先輩?どうかしたんですか?」
ふと声をかけられた方向に顔を上げる、そこには先ほどまでとは違いYシャツを身に着けたアルトが立っていた。
「ん、ああ喉が渇いてな、アルトも飲むか?」
ヴァイスはごまかすように飲みかけのコップをアルトに手渡すと「風呂入るわ」とだけ言い残し
部屋を出て行く、その後姿にアルトはただ「先輩の嘘つき」とだけ小さくつぶやき、
そして部屋の中には誰もいなくなる、六課の夜は今日も静かに更けていった。
終わってる・・・?
風邪ひいた 投下 寒くてたまらん キレイゴトなご都合主義は目をつむって
124 :
2人の執務官:2007/10/16(火) 21:29:00 ID:XJhxhqmJ
「入らないの?」
そう告げるエイミィの顔は、不遜に微笑んでいる。
だが、フェイトには、エイミィの顔を見ることが出来ない。
「フェイトちゃんとクロノ君の部屋なんだから」
動けない。
体が言うことを聞かない。
ここにいるということは、自分が身篭ったこと以外は、全て知っているのだろう。
だが、しかし
「そんな所に立ったままじゃ、お腹の子供にも悪いよ」
手だけが動いてお腹に行く。
もうフェイトには、何も考えることが出来ない。
フェイトのそんな状況を気にすることもなくエイミィは、近付いていく。
「ほら、だから、ね」
「うん…」
「え…?」
のろのろ歩いていったフェイトが見たのは、ベッドの上で、パンツ1枚で縛られている義兄、
クロノ・ハラオウンの姿だった。
「フェイトちゃん、クロノ君は私の旦那さんなんだよ…?」
後ろから淡々と掛けられる言葉に冷汗が出る。
「子供もいる…」
「ふごーふごー!」
クロノは猿轡もされており、何を言っているか分からない。
「それでも、好きなの?」
未だにエイミィの言葉に感情は、無い。
「子供産みたいの?」
どこまで知っているのだろうか。
全てを見透かした様に言葉を続けていく。
震える指を握り締める。
「うん、好きだよ…エイミィにも負けない。子供も産む」
声は小さいが、確実に告げた。
少しの沈黙が流れた後、フェイトは、エイミィが1歩ずつ近付いてくるのを感じた。
何を言われるのか、何をされるのか。
体が強張るが、最悪のパターンも想定しておく。
「ふふ、そっか」
エイミィは、そっとフェイトを抱きしめた。
肩の上に顎を乗せて喋られた為、吐息が掛かってフェイトは身じろぎをする。
「え、エイミィ?」
何故か優しい声を出すエイミィにフェイトは戸惑うが、フェイト以上にクロノが戸惑っていた。
「ふごふご!?」
「クロノ君は黙ってて」
「ふご…」
フェイトの時とは違う冷たい瞳と声にクロノの素直に黙り込んだ。
「私は、ね、フェイトちゃんも好きだよ。妹だしね」
エイミィの顔は、フェイトの顔の横にある為、見ることは出来ない。
だが、声から微笑んでいることだけは、分かる。
「だから、フェイトちゃんの好きな人を独り占め出来ない」
エイミィは前に回り込んで、フェイトの顔を覗く。
呆けているフェイトの顔にあれ?と首を傾げた。
あんまり嬉しくない?と考え、なんだか微妙な気分になる。
125 :
HAPPY:2007/10/16(火) 21:31:01 ID:XJhxhqmJ
「ふごふご」
「黙ってて、言ってるでしょ」
相変わらずクロノへの視線と言葉は冷たい。
「エイミィ!」
「ん」
静止していたフェイトが漸く動き出したと思ったら、エイミィに抱き着いた。
エイミィは、非常に戸惑ったが、フェイトからすれば、温かくて気持ちが良かった。
「エイミィ…」
微かな声で呟いたフェイトをエイミィは優しく抱き返す。
左手でフェイトの柔らかな金髪を撫でる。
「私、私…」
やがて、フェイトの小さな声に涙の気配が混じり始める。
「気にしないでいいから、泣きたいだけ泣いていいよ…今まで、我慢してたんだもんね」
酷く場違いな状況である気もしたが、クロノは2人をずっと眺めていた。
「エイミィ、ありがとう…ごめフゴ…」
流れ続けた涙が止まり、感謝と謝罪の言葉を述べようとしたフェイトの口をエイミィの手が
塞いだ。
「ん〜、ありがとう、はいいけど、ごめん、は無しだよ。私達姉妹なんだから」
エイミィはまた、無意識に笑いを漏らした。
「ありがとう…」
エイミィの言葉にフェイトは、再び、涙を流し始める。
「もう、泣き過ぎだよ、フェイトちゃん。綺麗な顔が台無し」
ポケットからピンク色のハンカチを取り出し、優しくフェイトの目元を拭う。
ただ、それでも、涙は止まらない。
少し困ったエイミィは、考えた後、起死回生をかけた言葉を放った。
「これで本当の姉妹に近付いたね。穴兄弟ならぬ、棒姉妹…なんちゃって」
確かにフェイトの涙は、止まった。
温かった空気が凍り付いてしまったが。
なんだが、クロノの溜息が聞こえた気がして、少しムカッときた。
困ったエイミィは、再び、起死回生となる言葉を頭の中で模索するが、何も出てこない。
「ふふ、ふふ、ありがとう、エイミィ」
そんな空気は、フェイトの微笑みが飛ばしてくれた。
目は赤いが、確かに喜びが浮かんでおり、正真正銘の笑顔だった。
それに釣られてエイミィも笑った。
「で、クロノ君どうしようか」
優雅に紅茶を飲みながらフェイトに語りかけるエイミィ。
クッキーを口に含んだフェイトは、ん?とエイミィを見る。
「浮気は男の甲斐性とか不倫は文化とか言うけど、クロノの適当っぷりが原因なんだよねぇ。
ふっふっふ…」
126 :
END:2007/10/16(火) 21:32:42 ID:XJhxhqmJ
「ふ、ふご…」
エイミィの不敵な笑みにクロノの全身に鳥肌が立つ。
助けを求めるようにフェイトを見るが、フェイトはクッキーをポリポリと食べるだけだった。
「ふご!」
クロノの半端な叫び。
涙を浮かべるクロノの視線の先には、エイミィの右手が持っているカップ。
そこから零れた熱い一滴がクロノの大腿に当たったのだ。
「うーん、こんな人が3児の父ってどうなんだろうねぇ」
クロノには、確か「ケケケ」と笑い声が聞こえ、エイミィの口に牙が見えた。
「エ、エイミィ…」
フェイトの声にそちらを向く。
フェイトは、恥ずかしいような呆れているような顔で指を差していた。
「どうしたの?…!?」
フェイトの指先を辿っていくそこには
「クロノ君、Mだったの?」
体全体を精一杯使って自己主張をしているクロノの下半身。
「ふごご、ふごーふごごー!!」
首を横に降り続けながら、何か言ってるが、勿論、2人には分からない。
「はいはい、言い訳くらいはさせて上げるから」
大きく溜息を吐いて、猿轡を外す。
「はい、言い訳どうぞ」
久し振りに口を開放させ、息をたっぷり吸い込んだ。
「…」
そして、黙った。
「いや、言い訳は?」
言い訳をしないクロノに、まさか本当にMなのかとエイミィは、少し焦った。
「あ」
そこで、フェイトはクロノが元気になった理由に気付いた。
そして、それを隠す。
そっちを見たエイミィの目に移ったのは、恥ずかしそうにスカートを抑えるフェイトだった。
「ク・ロ・ノ・くぅん」
この状況で妹のパンツを見て、勃起していた夫の名をゆっくりと呼ぶ。
「フェイトちゃん、おいでおいで」
手招きをするエイミィに、フェイトは近寄った。
「は、はぁ、もう…」
下半身に訪れる快感に身じろぎする。
「ダメだよ、クロノ」
揺れる金髪をかきあげ、フェイトが微笑む。
限界寸前まで追い込まれ、そして止められる。
もう30分近くそれが続いていた。
手が使えれば、もう自分で処理しているだろう。
「出したい…」
真摯なクロノの言葉にフェイトは、袋の部分を口の中で転がしているエイミィを見る。
「んぱっ、…1回くらいいいかな」
そう告げて、クロノ自身の先端をチロチロと舐める。
127 :
2人の執務官:2007/10/16(火) 21:34:42 ID:XJhxhqmJ
フェイトは、エイミィより舌の部分に舌を這わせる。
「あ、くうっ」
出してあげようと決めてから僅かしか経っていないが、クロノは放出した。
白が茶と金を汚す。
「早いよ」
顔にかかったものを指取りながらエイミィが溜息を吐く。
…凄いな
馬鹿にされていながら、自分の欲望で汚した2人が美しいと思った。
「はは」
そんな光景に思わず笑みが零れた。
そして、思った。
「2人とも本当にごめん…」
真面目な顔で言うクロノにエイミィとフェイトは、顔を見渡せる。
エイミィもフェイトも美しくて優しく強くて、こんな半端な自分には勿体ない。
自分には、この2人は勿体ない。
「いてて」
干渉に浸っていたクロノは、エイミィに頬を引っ張られ、戻ってきた。
「自分には勿体ない、なんて思ってたんでしょ?」
「…あぁ」
誰よりもクロノとの付き合いが長いエイミィは、全て見透かしている。
「いてててて!」
エイミィは、強く引っ張る。
「さっきフェイトちゃんに言ったこと聞いてたでしょ?」
そうか、そうだったな…
「ありがとう」
「よろしい!」
笑っている2人の様子を見ていたフェイトは、軽い嫉妬を覚えた。
これが長い年月を刻んできた2人の姿なんだろう。
「エイミィ、何でも分かるんだね」
心で通じ合っているとは、こういうこと。
「フェイトちゃんも分かるようになるよ…これからはいつも会えるんだから」
そう笑ったエイミィの笑顔が眩しい。
「うん!」
フェイトの笑顔も眩しかった。
「…」
エイミィは呆然としていた。
呆然とするしかなかった。
眼差しの先には、産まれたままの姿で、クロノの上で快感に喘ぐフェイトの姿。
反則ではないかと思えるほど美しいフェイトの体。
まさにパーフェクトボディ。
正直、羨ましい。
「あ、ぁん、ひゃ、エイミィ!?」
フェイトは、自分の胸に伸びるエイミィの手に驚きの声を上げる。
「フェイトちゃん、凄い…」
すべすべの肌に減り込んでいく指先。
そして、押し返される。
手を離すと、ぷるん、と聞こえてきそうな美しい揺れを見せ付けてくる。
これが、噂の乳揉み魔、八神はやての力によって形成された美乳ならば、自分も揉んでもら
いたいくらいだ。
「って、クロノ君サボらいで…」
128 :
鋼の錬金術師:2007/10/16(火) 21:36:46 ID:XJhxhqmJ
自分の真下。
つまりは、秘部の下に顔を置くクロノに注意を促す。
「う、ぅん、そう…もっと…」
再開されたクロノの舌の動き、甘い吐息を吐き出す。
しかし、それでも、どうしても目の前のフェイトの裸体に釘付けになってしまう。
再び、手を伸ばしてフェイトの乳房を味わう。
次は、先端の突起にも攻撃を仕掛けた。
「や、ぁん、エイミ、あぁん、クロノん、あぁぁ」
エイミィがフェイトの乳首を攻めているのを見えていない筈なのに、合わせるようにクロノ
の腰付きが鋭くなる。
「ひゃ、ぁん…フェイトちゃぁん」
反撃とばかりにフェイトもエイミィの胸へ攻撃を開始する。
「エイ、ミィのむ、ぁん、胸…凄い…あぁん、柔らかい」
ムニムニとエイミィの感触を味わう。
「あ、ぁん、フェイトちゃ、う、ぁん、の方が、あぁん」
見たくて堪らない。
2人が自分の上で胸を揉み合う光景が見たくて堪らないクロノ。
そのストレスを動きに変換する。
「あぁん、クロノ、は、はげし、あん」
突き抜けそうな勢いで、攻め立てられる。
より高みへ昇る為、クロノの動きに合わせて、自分も動く。
やっぱり凄い。
黄金の輝きを振り撒きながら、快感に身を委ねるフェイトを見て、ズルいとさえ思う。
「イッ、ちゃ、クロノ、ひゃあん、エイミィ、吸っちゃ、ぁん、ダメ、ダメ、あぁん、あん!」
エイミィがフェイトの乳首にしゃぶりつく。
それと同時にクロノが突き上げ、フェイトは達する。
宙を舞うのは金色。
背中が折れそうなほど、反り返る。
何も見えなく、何も考えられなくなった。
全身を突き抜ける快感に体がビクビクと揺れる。
そして、フェイトの中は、収縮し、クロノに発射を促す。
「うっ」
痛いくらいの締め付けに負けて、フェイトの中に全てをぶちまける。
注ぎ込まれる間、フェイトの体は痙攣し、体は伸び続けていた。
全て中に出され、フェイトは力無く前に倒れ込む。
そんなフェイトをエイミィが優しく抱き留める。
「フェイトちゃん、すっごい可愛い」
紅潮し、荒々しく酸素を求めるフェイトに囁くが、フェイトの意識はもうこちらには無かった。
「次は私だね」
立ち上がったエイミィは、フェイトをクロノから外して、ゆっくりと横たわらせる。
129 :
END:2007/10/16(火) 21:38:00 ID:XJhxhqmJ
「クロノ君」
射精を感じさせない硬度を誇っているクロノの上に跨がり、先端だけを中に挿入させて、名
前を呼んだ。
「ん?」
休む暇の無い連続だが、クロノの顔は、下半身と同じくまだまだ元気だった。
「私も赤ちゃん欲しいな」
そう言って腰を沈めた。
「フェ、フェイト!」
腕の中で泣き叫ぶ我が子の涙を止めれないクロノが叫ぶ。
「はい」
クロノから子供受け取る。
「パパは子守りのセンスが無いねぇ」
なんだか最近、エイミィに影響されたのか、言いたいことを言うようになってきた。
「あー、おしっこしてるね」
さっき食事をさせたばかりなのを考え、おむつを開くと、やはり黄色に染まっていた。
最初は、おむつの閉め方にも戸惑っていたが、エイミィがしっかり教えてくれ、大分上達した。
やっぱり、こういう時に頼りになるのは、ダメな兄より経験のある姉である。
手際、良くおむつを返る。
「はい、すっきりしたね」
天高く掲げる。
この命の為に自分は、何が出来るだろう。
もう引退してもいいかな、とも思っている。
残りの人生を掛けて、この子を幸せにしたい。
開いた窓から風が入ってくる。
もう随分と温かくなってきた。
黒い髪が揺れ、紅い瞳に笑みが宿る。
そんな笑顔がフェイトには、何よりも幸せだった。
END
5レス目の名前欄は気にしないで
さすがキレイゴトは俺の御家芸だな
寒い、寝る
書きたいから書く、はいいが
復調してから見直してそれからのほうが良いと思うんだが。
〆切なんてないんだし。
ってレスしようと思ったが遅かったな。
前もっていいわけかいてるようにしか見えん
まあ、お大事に。
132 :
おまけ:2007/10/16(火) 21:41:35 ID:XJhxhqmJ
おまけ
フェイトとエイミィとクロノが交わった翌朝。
則ち、クロノの出発の日、クラウディア周辺でこそこそとする2つの影があった。
「フェイトちゃん、なんで私には言うてくれかったんや」
「ほ、ほら、はやてちゃん忙しそうだったし」
なんだかブルーなはやてとそれを宥めるなのは。
2人のターゲットはただ1つ。
『ターゲット、そちらに向かいました』
「「了解」」
補助役に無理矢理命名されたティアナがターゲットの到来を告げる。
「作戦開始10秒前からカウントを開始するで」
「うん」
『はい』
ターゲットは今から自分の身に起きる恐ろしい出来事など知るわけもなく、呑気に部下と話
している。
「なんか疲れてるのに爽やかな顔なんがムカつくわ。…と、10、9、8」
毒づいたはやてがカウントを開始する。
「7、6、5、4」
1歩1歩、悪夢は近付いている。
「3、2、1、0!」
ミッションスタート。
「うわっ!」
「ハラオウン艦長!?」
突如、バインドに拘束されたクロノは、そのままあらぬ方向に引っ張られていった。
「ディバイーン」
「なのは!?な、何を」
瞳に映ったのは魔導師の杖をこちらに向けるエース・オブ・エース。
「バスター!」
「うぐわぁ!」
「フェイトちゃんの哀しみ、こんなもんじゃすまんで」
「は、はやて!?」
「ブラッディ」
「ま、待て!」
はやての言葉で2人が何故が攻撃されているのか察知する。
だが、止まってくれない。
「ダガー」
「ぎゃあぁ!」
もう既にクロノは、瀕死である。
なのはとはやての視線が、補助役のはずのティアナに向かう。
「え?いや、私は!」
自分はバインドで拘束するだけの役目のはず。
大体、相手は偉大な執務官の先輩である。
だが、
「ファントム」
あの時のフェイトの疲れた顔を思い出すと、沸々と怒りが出てくる。
そして、その怒りを魔法に込める。
「ブレイザー!」
「ぐべぇぇ!」
「ま、まってくれ…ぼくの…はなしを…」
クロノの悲痛な叫びは、届かない。
「フェイトちゃんがおらへんからダブルブレイカーになるけど…」
殺す気だ。
こいつらは、確実に自分を殺す気だ。
「スターライト」
でも、最後の夜があんなに素晴らしい夜で良かった。
「ラグナロク!」
「ブレイカー!」
133 :
END:2007/10/16(火) 21:42:58 ID:XJhxhqmJ
「ぎゃああああああああああ!!」
星の光に包まれて、終焉の笛を聞いた。
「そうやったんか〜、はよ言うてくれれば良かったんに」
体中に包帯を巻かれ、病室のベッドで横たわっているのは、勿論クロノ。
もはや、言おうとしたじゃないか、と返す気力も無い。
「でも、良かったね」
のんびりと話す2人をクロノは、冷めた目で見ていた。
早くエイミィかフェイトが来ないかと思っていたクロノだったが、立ち上がったなのはの一
言が砕いた。
「じゃあ、フェイトちゃんのところに行ってくるね。2人に心配掛けないように、連絡しな
いよう言ってあるからね。それじゃあ、お大事に」
そう言って、背中を向けるなのは。
「ちょ、待って…」
「自業自得やで」
はやてが捨て台詞のようにそう吐き捨てて、2人は扉の先に消えた。
自業自得だけど…だけど…
「こんなおまけ要らないよ…」
1人愚痴を零した。
なんていうかさ。最初の二回と比べると話のクオリティ落ちてるんだよね。
起承転結の結でおおいにずっこけったって感じ。もうちょい話練ってから書いた方がいいよ。
某CMのBGMが、
もてもてるーてしあー
もてもてるーてしあー
と聞こえて仕方が無いのだが、誰がこんなチューニングにしたんだ
こう言っちゃ何だが、印象的な効果を考慮して投下する順番を逆にすべきだったかな
「Nice boat」等に代表される鬱展開はわかりやすい教科書がそれなりにあるけど
あの状態から納得出来るHappyEndに持っていくのは手本も少ないし難しいと思う
ちょっとgdgdになってしまっているが、とりあえず乙
>135
タキシード姿のエリオとゼストとスカとガリューに傅かれてソファーに寝そべってるルーテシアを想像した
>>135 俺は某ゲームの主題歌の「ラヴィ!」が「ザフィ!」に聞こえる。
お待たせようこそ皆さん 我らの名前はヴォルケン(リッター!)
139 :
26-111:2007/10/17(水) 00:22:05 ID:gpSmLB7E
>>116 ておあー氏
GJ!でした
ナンバーズへの愛を感じましたぜ。ゼスト隊の面子も良いですねぇ・・・この後の事を考えると泣けてきますが・・・
あぁ、二組の未来が既に本編で描かれているだけに、きます。この展開は
そして、私なんぞの1レスネタをご存じでしたか
貴兄という書き手のきっかけになれた事は光栄の極み。今後とも切磋琢磨と行きたいところです
・・・どう考えても私の方が磨り減って消えそうです。本当にありがとうございました
チラ裏で申し訳ないですが、あの後、マリーさん、ティアナ、シャマル、なのは、ヴィヴィオ、アルフと繋げるつもりでした
放送中に書いてたネタでしたから・・・ザフィーラがディードに負けた後どうなるかわからなかったので放置していたり・・・
今はシャマル編の途中まで書きためてるんですけどね。また折を見て、スレ汚しをさせていただくかもです
チラ裏、自分語り失礼しました。それでは
140 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/17(水) 00:27:04 ID:qqX74Euq
俺達はマターリの申し子じゃなかったのかよ兄弟
だからマターリ批評してるじゃん。
ダメな作品はちゃんとダメだと言えないのはやっぱし息苦しいと思うぞ。
俺も時々書くが、読んで貰うからには「面白い」と思って読んでほしいし。
その為の切磋琢磨はするべきだと思う。
書き手は書きたいから書くんじゃなくて、読んでもらいたい、自分の妄想を形にして皆に楽しんでもらいたいって気持ちがあるから良作や名作が生まれるんだ。
それを忘れた作品は、読み手にとって苦痛にしかならない。
自分の為が他人の為になる、そういう心構えでないとダメだ。
……なぬ、偉そうだ? 引っ込め?
失礼しました〜
この流れだけど書き上がったので投下しますよ。
14th session〜アグスタ、恋人達の集う場所(後編)〜
地下のレリックは奪われ、作戦は失敗に終わったものの、ほぼ全員がまともな怪我もせず。
本当ならば全員が無事と言う事にほっと安堵の溜息を吐くはずの状況。
しかし、
「ティアナさん! 何であんな事したんだ!」
「お、おい……」
怒り狂うフィレスと、フィレスの滅多に見せないその様子にたじろぐヴィータ。
最初はヴィータがティアナに対して怒っていたのだが、遅れて到着したフィレスが話を聞くなり怒り出して。
今では、ティアナに対して完全に切れているフィレスを、何とかヴィータが宥めていた。
「ティアナさんなら、自分に出来る範囲は分かってるはずだよね!?
それなのに、何でコントロールし切れない量の魔力弾なんか出すんだよ!
しかも、それがスバルさんに当たりかけたって!?」
「おい、少し落ち付けよフィレス!」
際限無くヒートアップしていくフィレスに、ヴィータはたまりかねて声を荒げる。
と、フィレスの目が怒り狂った状態をキープしたままでヴィータの方を向き、ヴィータは思わずたじろいだ。
「……これで、落ち付いていられる訳がないでしょう!? スバルさんにもう少しで当たる所だったんですよ!?」
「あ、あたしがちゃんと止めたんだから別にいいじゃねーか」
「よくない!」
がーっと怒鳴り続けるフィレスに、ヴィータもティアナも首を傾げた。
フィレスの言動が明らかにおかしく感じられたから。
それはまるで……。
「……ちょっと待ちなさい、フィレス。私も、確かに実力も考えずに馬鹿やったのは悪いと思ってるわ。
……でも、あんたの言動、何かおかしくない?」
そうティアナが言うと、フィレスはさらに怒鳴りつける。
「何処がおかしいんだよ!? 僕はスバルさんがもう少しで怪我する所だったから……!」
「……そこよ」
そうティアナが言うと、フィレスの勢いがぴたりと止まる。
完全に怪訝そうな表情をしているフィレスに、ティアナだけではなくヴィータも頷いた。
「そーだな。……話聞いてる限りだと、『スバルが怪我しかけたから怒ってる』って風にしか聞こえねー」
「……でも、スバルじゃなくて他の人がそうなりかけたらフィレスがそこまで怒ってたかどうか、とても怪しいのよ」
そう言われて、フィレスは一瞬だけ俯く。……そしてまた顔を上げた時、フィレスの目は完全に座っていた。
「……そうだよ、スバルさんだから、だよ! だって、僕は……スバルさんの事が好きだから!」
フィレスはそう叫ぶ、全力で、心の底からの本心で。
「……ふえ?」
……すぐ後ろに、スバルがいると言う事を忘れて、フィレスはそう叫んでしまった。
一方。
「……フィレスさん達、大丈夫なのかな……?」
フィレスが切れた後、すぐにスバルに逃がされて、エリオとキャロは2人で散乱するガジェットの残骸の調査に回っていた。
と、
「……あれ?」
「どうしたの? キャロ」
「あそこにいるのフェイトさんなんじゃ?」
「え?」
そう言ってエリオがキャロが指差した方を見ると、そこには確かにフェイトがいて。
そして、その横には、見なれない金髪の青年が、フェイトと談笑していた。
「……誰、なのかな?」
そう呟いて、エリオはキャロと一緒にその2人を見詰めていると、そこに、なのはがやってきた。
「……なのは……さん?」
そして、フェイトが何かをなのはに伝えて、……なのはは真っ赤になって飛び上がった。
両手をぶんぶんと振り回して、フェイトに何か言っているようだが、フェイトは全く意に介さない。
それどころか、そんななのはの耳元に顔を寄せると、何かを囁き……、かちん、となのははフリーズした。
そんななのはを置いてフェイトはさっさと歩き去って行き、そこには固まったなのはと途方に暮れた青年が取り残された。
「……何か……言われたのかな?」
「……わかんない。でも、なのはさんって、本当はあんな性格なんだね……」
いつものなのはは、優しく、そして厳しい人。親しみやすさを感じる事はあっても、それはあくまで上司としてものもの。
……でも、今は違って。
子供っぽいと言うよりも、親しみやすいお姉さんになのはが見えて。
「……でも、あの男の人って誰なんだろう……」
「……ひょっとしたら、なのはさんの恋人なのかも」
そう言ったキャロに、エリオは微笑んだ。
「あはは、そうかもね。……そろそろ行こっか? ちゃんと調べないと怒られちゃうし」
「うん!」
そう言うと、エリオはキャロを連れてその場を立ち去った。
……キャロが言った言葉が、偶然にも真実を言い当てている事に、気付かないまま……。
「……」
「な、なのは?」
真っ赤になったまま硬直し続けるなのはに、青年……ユーノは途方に暮れる。
困り果てた表情で、ユーノはなのはの頬をぺちぺちと叩き、
「……ふぇ……? っ! に、にゃあああ!?」
「うわわっ!?」
その衝撃で我に返ったなのはは飛び上がって……、
……バランスを崩して、ユーノの胸の中に倒れ込んでしまった。
「……あ……」
「……う……」
ぽん、と2人して顔から火を噴くなのはとユーノ。慌ててなのははユーノから離れようとして……、
ぎゅうっとユーノに抱き締められ、身動きが取れなくなった。
「え……あ……?」
「……なのは、1つ……聞いていい……?」
混乱しすぎてかえって落ち着いているなのはに、ユーノが聞く。
「……アルフから聞いたんだけど……、……その……、なのはが僕の事……好きだ……って……」
「ふええええっ!?」
……すると、なのははまた飛び上がった。
慌てて俯いたなのはの首筋にも、髪の間から覗く耳にも、みるみるうちに血の色が昇って行って。
まともに受け答えも出来ないなのはに、ユーノはにっこりと微笑むと、言った。
「……なのは、良く、聞いてね。……僕は……ユーノ・スクライアは、高町なのはの事が大好きです。
……高町なのはの事を愛しています。なのはと……、付き合いたいって、思っています」
……その言葉は、ユーノ・スクライアの紛れも無い本心を表して。
心の底からの純粋な気持ち、それがなのはの元へと、なのはの心へと、しっかり届いて。
「あ……あの……その……えっと……」
なのはは何かを言おうと口を盛んにぱくぱくさせるが、何も言う事が出来ないまま。
やがて、なのはは俯くと、きゅっとユーノの背中に手を回した。
「……なのは」
「〜っ……」
ぎゅうっと抱き締めてくるなのはを、ユーノは一瞬呆けたように見下ろす。
しかし、すぎに僅かにくすりと笑うと、口を開いた。
「……なのは、顔上げて」
「……ふぇ……!!?」
ゆっくりとなのはは顔を上げて、……その瞬間、ユーノの口付けを受けた。
なのはは思わず目を開けるが、ユーノの顔が至近距離に見えて、真っ赤になって目を閉じる。
すると、
「……んんっ!?」
その瞬間、口の中に何かぬるっとしたものが入って来て、なのははびくんと身体を跳ねさせる。
そんななのはに、ユーノはにっこりと意地悪く笑うと、なのはの口内で舌を暴れさせた。
「んんっ!? んっふ! ふ、ふぁ、ふんん!」
途端にびくびくと震えだすなのはに、ユーノは笑みを深めて……、唇を離す。
すると、なのはは脱力したようにくたくたとユーノの胸の中に寄りかかった。
「……ユーノ君の……ばかあ……」
顔を真っ赤にして、息も絶え絶えになってそう言ったなのはに、ユーノは苦笑して言った。
「……ごめんね、止められなくなっちゃって……、なのはが僕の恋人になってくれるって事が嬉しくてさ……」
「……ぅぅ……」
反則だよう……と蚊の泣くような声で言ったなのはが本当に可愛くて、愛しくて。
ユーノはにっこりと心の底から微笑みを浮かべると、もう一度なのはに軽く口付けた。
「ふにゃあ!?」
ただでさえ赤かった顔をさらに赤くして飛び上がったなのはに、ユーノはにっこり笑って言う。
「これからよろしくね? なのは。今度からは……恋人同士として」
「……ぁ……、……うんっ!」
そう言って、なのはは真っ赤な顔のまま、にっこりと微笑んだ。
つーかいつまで同じこと話してんだ
「はっ…こ、これは流雨布現象!」
「知っているのユーノパパ!」
流雨布(るうぷ)現象…
古代、洗濯物は川の流れを利用して行うものであった
しかしそれでは手を滑らせ洗濯物を失う危険もある、そこで流れが緩やかな川が選択の際好まれた
しかし雨で増水した際には流れていってしまうこともある。流れた洗濯物を、手伝いの子供たちがいつまでもいつまでも追い続けた様子から
状況が進展しないこと、ひいては同じことを繰り返し続けることを「流雨布」と呼ぶようになったという…
(無限書庫ブックス『古代の洗濯』より)
これで終わりです。
……13th sessionだった……orz
>>130 結の部分を急いで終わらせようとして逆にgdgdになったような感じが……。
wktkしている人がいても、早く書こうとは思わずに自分のペースで書いた方が逆にwktkしてる人達は喜ぶと思いますよ。
俺みたいにノートに下書き→パソコンに打ち込みながら修正→投下しながら修正って3段踏んでみたりするのもいいかもしれませんね。
携帯投稿者もいるからそこら辺は
むずかしいのかねぇ
>>149 コテハンで批評やめれ。あんたが言うなと激しく言いたい。
この場合言ってる事は正論だとオムが
某スレの某絵師の取り巻き・アンチみたいに
大暴れなんてそう起こらんと思うけどな。
ここも変わったな…そんなに批判してると職人さん達が減るぞ
質問
今までいくつか投下してきた者だけど、流石に5つ目くらいからはコテ付けた方が良い?
携帯からでスマン
付ける付けないは個人の自由
ただ保管の際にほぼ別人扱いになるけど
>>156 今回の場合は途中までが期待させる物だったからあえて苦言呈してるんだと思うぞ
何度も出てるが別人が書いたのかと思うくらいクオリティ落ちてる
最初からクソつまらん物だったら何も言わんw
こんな時間ですし、また非エロですんませんが投下させてもらいます
・ヴィヴィオがユーノをパパと呼ぶ設定
・非エロ
「は〜…。」
なのはは一人頬杖を付いて溜息をし、虚ろな目で窓から空を眺めていた。
明らかに元気が無さそうであり、誰の目から見ても何か悩みを抱えていると分かる光景だった。
「なのはちゃん一体どうしたん?」
その場を通りがかったはやてが何気無くなのはに対しそう訪ねた。
「はやてちゃん…。」
「何かえらいごっつぅ悩んどるみたいやけど…何なら相談に乗るよ。」
「ありがとうはやてちゃん…。実はね…。」
それは今朝、なのはがヴィヴィオと朝食を取っていた時の事だった。
「ねぇ、ママはパパの何処が気に入ったの?」
「え?」
何気無くヴィヴィオにそう訪ねられ、なのはは首をかしげた。
「あ、べ…別にパパがダメってワケじゃないよ。ヴィヴィオもユーノパパ大好きだもん。
でも、ママはパパの何処を気に入ったのかな〜って思って…。」
「ど…何処にだろう…。」
「え?」
なのはの返答にむしろ質問したヴィヴィオの首を傾げてしまった。
なのはがユーノを好きだと想う感情はなのは本人も否定する気はさらさら無い。
しかし、具体的に何処に惚れたのかとかそういう説明をしろと言われた時…
どう説明すれば良いのかなのはには分からなかった。
「…と言う事があってね…。それで具体的にユーノ君の何処を気に入ったのかって言う
説明をする様にヴィヴィオから宿題を出されちゃって…それでずっと考えてたの。」
「で…考えた結果どうなん?」
はやてに訪ねられた時、なのはは頭を抱えながら俯いてしまった。
「それが全然分からないの…。確かに私はユーノ君の事好きだよ…。でも…
いざ具体的に何処を気に入ったのかは…分からないよ…。」
なのはの目からは涙が流れていた。そこまでして真剣に考えながらも分からないのだと
はやても理解出来ていたが、なのははさらに言うのである。
「分からないのはやっぱり私がユーノ君を好きって想う気持ちが半端だからかな…?
半端な私がユーノ君を好きになる資格なんて無いのかな…? ねぇ…はやてちゃん…。」
「そんな事あらへんよ。うちもちょっと恋愛経験には疎いけど…やっぱり何処が好きかより
好きと言う気持ちそのものの方が大切やと思うよ。」
ぶっちゃけこの場合どうすれば良いのかの解答ははやても分からない。
だからこそ自分の頭に浮かんだ適当な事を、あたかもそれがアドバイスになるような
オブラートに包みつつ述べていた。
「そ、そうや…ユーノ君本人に相談してみるのはどうや? そっちの方が良いんとちゃう?」
「ユーノ君に…?」
はやてに言われてなのはもユーノ本人の所へ行った。何時も無限書庫の仕事で忙しい
ユーノであるが、その時は丁度ユーノも仕事が片付いて一息付いている様子であった。
「で、一体どうしたんだい?」
「あ…その…それが…。」
何も知らないユーノは普通にそう言うが、なのはは顔を赤くして上手く説明出来なかった。
なのは本人だって何時もならユーノと一緒にいても別に当たり前かつ普通なはずなのだが、
ヴィヴィオに言われた事が原因となりユーノを余計に意識してしまい、ついつい緊張してしまっていた。
「あ…あの…その…い…一緒にいても…いいかな?」
「え? 仕事もキリが付いたし。別に良いよ。」
何時もと様子が違うなのはにユーノも若干首を傾げるが、一応了解はした。
こうしてなのははユーノに本当の目的を説明する事は出来なかったが、二人きりになる事は出来た。
ユーノの方はコーヒーを読みながら軽い本を読みふけると言う至って普通な光景であり、
なのははそんなユーノの姿を部屋の端からじ〜と見つめていた。
そうしてなのはは一体自分がユーノの何処を気に入ったのかずっと考えていたのだが…
「(どうしてだろう…ユーノ君と一緒にいると何だか心が落ち着くな…。)」
ユーノの部屋に来たばかりの時はあんなに緊張していたと言うのに…
今こうしてユーノと二人きりになってからはそれが嘘の様になのはは安らぎを感じていた。
ここまで心が落ち着くのは自分自身でも信じられない事である。
そう考えている内に…なのははうとうとと眠りに付いていた。
そしてその日に晩…
「で、ママはパパの何処を気に入ったのか分かった?」
「結局分からなかったよ。」
「あらら…。」
あっさり答えてのけたなのはにヴィヴィオも呆れてしまっていた。
「こんなママでゴメンね? でも…ユーノ君と一緒にいると不思議と何だか心が落ち着くんだよね。」
謝りながらそう言うなのはであったが、それにヴィヴィオは余計に呆れてていた。
「どうしたの? ヴィヴィオ…。」
「ママ…それ立派な答えになってると思うのはヴィヴィオだけかな?」
「え…。」
ヴィヴィオにそう言われてなのははやっと気付いた。
自分がユーノを好きになった理由。それはユーノの存在そのものに安らぎを感じるからだと…
おしまい
先のフェレット二部作みたいな非エロが続いてますから(自分の作品的に)
次はエロ系を投下できる様に努力してみますorz
>>163 ヴァイティアナといいユーなのといい……ええい、管理局のやつらはバカップルだらけかww!?
リアルタイムだ温かくなりましたGJですw
>>163 バカップルGJ 娘はしっかり見ているものだなw
それにしても、どんどんヴィヴィオが誰かさんの影響でいいキャラになっていくなw
狡猾なところなんて、まさにエースオブエーs(略
>>165 性格が純粋な子ほど学習能力が高いといいます。
故に周りの大人が冗談で言う、余計な知識も仕入れすぎて歪むと……あれ?何か今日は太陽が、すごく桃いr……(ry)
なんか受信したんで小ネタ投下
「えーとっ」
今日も平和な1日。
ヴィヴィオは、最近覚えたインターネットで遊んでいた。
その後ろでは、子守のザフィーラが床に寝そべっていた。
散歩に行きたい、というか連れていって欲しいが、ヴィヴィオは、画面に集中している。
仕方ないか、とだらーんとヴィヴィオを見ていたザフィーラの耳に驚愕と言葉が入ってきた。
「にゃんにゃんかわいいー」
「!?」
素早く体を起こし、ヴィヴィオが見ている画面を覗く。
そこでは、2匹の白い子猫がボールと戯れていた。
「にゃんにゃん飼いたいなー」
「!!??」
これはマズい、大変マズい、凄くマズい、非常にマズい。
ヴィヴィオに似合うのは、この青きわんわんザフィーラであるはず。
そう自負している。
あんな勝手な生き物にその座を奪われては、堪らない。
「わんわん」
なんとか自分に注意を向けようと、ヴィヴィオに近付く。
「どうしたのー?あ、にゃんにゃん見たいのー?可愛いよねー」
「!!!???」
ヴィヴィオは、無邪気に微笑んでいた。
「というわけだ。猫に勝つ為にはどうすればいいか、考えて欲しい」
自分の知識では、考えつかないので、仲間であるヴォルケンリッターを集めていた。
「猫というのは、自分の飼い主を飼い主と思わず、感謝も示さず、好き勝手に生きる生き物だ。
そんな猫に犬代表として負けるわけにはいかない」
狼じゃなかったのよ、と突っ込むことも出来ず、ヴォルケンは沈黙していた。
「お前…」
そんな沈黙をなんとか口を開いたヴィータの声が裂いた。
「死んだ方がいい…」
完
鎧の殺人鬼兄弟がケンカしそうなネタですね
最近ザッフィーはカプなしネタまみればっかだw
ザッフィー・・・狼の誇りはどこへ・・・(つ∀`;)
>>163 心温まる素晴らしい作品です GJ!!
<先のフェレット二部作みたいな非エロが続いてますから
エロなど飾りです エロイ人は(ry
>>168 ザッフィーよ、自ら犬代表と宣言するとは・・・
青きわんわんザフィーラと自ら思ってるというのも問題かもしれないw
>>168 ザフィ助。君は吉永さん家のガーゴイルを見て彼の精神を学ぶんだ
きっと参考になるがcv.若本にならないよう注意さ
同じ若本声の謎の丸いセクハラ生物は見習わないようにw
同じ若本声のV字メロン好きも見習わないように
同じ若本声の英雄のストーカーを見習うと面白いかも
とりあえず、セクハラ動物だとこんな感じか
ザフィ:この機動六課は、或るおっぱい好きの、おっぱい好きによる、
おっぱいがいっぱーい夢の部隊である!
(少し遠いところから悲鳴、そして声)
フェイト:駄目だよ、はやて おっぱいは一日3回まで!
(声の聞こえてきた方向を向きながら)
ザフィ:…うーん、おっぱぁい
>>176 デバイスなぞ使ってんじゃねぇ!!!
あれ?
同じ若本声の“帝国軍の双璧”を見習って欲しいが、漁色家にならないように
>177
しかも間違ってないし。
>>179 更に三国史時代最凶(誤字に非ず)の美女のテイストを混ぜ込んだら…………
機動6課VSザフィーラなんて事態になりそうだね。
同じ若本声の九大天王を見習うのが一番かな
つまりだ
なのはのドラマCDは全部若本朗読CDに
若本信長もお忘れずに…
おまえら・・・若本ネタ自重www
間違ってもぶるぁぁと叫ばないように
ぶるアッーーーーー!
お前ら若本大好きだなオイ!
ザフィのておあーがぶるぁぁぁに聞こえてきて困るぜ……
188 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/17(水) 21:28:19 ID:EsJ2HMvc
ザフィ:キドウロッカドトコォ〜ッム
キドウロッカドトコォ〜ッム
業務連絡です。
手を上げてくださった2名分のIDを登録しました。
編集画面までいけるかどうか確認してください。
各ページの構成をどうすればよいか等、登録済みページを見て分かりますか?
分かるならどのスレを作業するか宣言して始めてもらっていいですが、意味不明なら少々お待ちください。
以前作成した説明用レスを探してきますので。
よろしくお願いします。
編集画面までいきましたが、作業できるのは日曜のみになりそうです。
説明用レスはあればありがたいですが、雛形が存在するのでなくても可能です。
若本アンデルセン神父も忘れるな!
192 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/18(木) 00:33:32 ID:z0VjtC+F
100人以上の子持ちのブリタニア皇帝もな!!!
>>189 確認出来ました
説明用レスは出来ればお願いします
なのは丸見てる奴何人居るんだw
>>190,193
・新規作者の場合は作者名でページを作る(タグには「著作一覧」)。
・作者名のページには、短編(1回の投稿のみの読み切り)と長編(2回以上の投稿に別れているもの)別に投稿作品の一覧を載せる。
・作者一覧のページに新規作者名ページへのリンクを追加する。
・短編は作品名をページ名にする(タグは「作者名」、「短編」、「エロか非エロの区別」、もしあれば「主人公的キャラ名やカップリング」、「スレ番号」)
・ページの最後に、作者名ページへのリンクを入れる。
・スレ別著作一覧に作品名ページへのリンクを追加する。
・長編は作品名で目次ページを作成する(タグは「作者名」、「長編」、「目次」、「エロか非エロの区別」、もしあれば「主人公的キャラ名やカップリング」)。
・目次ページには各話ページへのリンクと、作者名ページへのリンクを入れる。
・スレ別著作一覧に作品名ページへのリンクを追加する。
・長編の各話は各話のタイトルをページ名にする(タグは「作者名」、「長編」、「エロか非エロの区別」、もしあれば「主人公的キャラ名やカップリング」、「スレ番号」)。
・各話のページには、前話と次話ページへのリンク、目次ページへのリンク、作者名ページへのリンクを入れる。
お手伝い開始の時に頂いた説明用レスを549氏の代わりに貼っておきます。
自分は一週間と少しの間、ネットが出来なくなりそうなので、しばらく保管作業はお任せします。
一応31スレの保管は受け持つつもりなので、29スレと30スレの保管お願いできますか?
それでは、今後ともよろしくお願いします。
ここはバルさん繋がりで、フェイトの旦那さんのデバイスと言っておこう。
俺、あのお見合いシリーズ?好きだわw
ヴェロッサ「遅くなってゴメン、道混み込みでさ」
はやて「車買ったんや〜」
ヴェロッサ「助手席は君が独占…」
はやて「何コレ、国産!?」
(バキッ)
はやて「ダッサー!!」
(ガチャ)
ヴァイス「いいじゃない、国産!」
>199 テラナツカシスwwww某競馬協会のCMやねwwww
今度は「いまのは完全マグレです!」ってティアナにいうんだな?www
201 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/18(木) 13:12:28 ID:WLpk8JHE
唐突だが、なのはが「ユーノくんは御友達だよ?」と言い続けて、
司書長が他の女(FTH執務官狸部隊長.0102etc.)と関係持った場合どうなると思う?
思い付く結果(末路)は
『(執務官入れなかった場合)我散れずだろうから何も起こらず』
『全力全壊争奪』
『nice boat』
辺りだ。
関係ないが、
>>107のユノヴィタの背中合せのシチュん所で、
ユーノに墓場の向こうから棺桶背負ってやってきた死神が二丁拳銃に弾込めてる姿を重ねちまったの俺だけだよな?
トレジャーHユーノの武器選択がまだ引きずってるのか
>>201 前に見た某短編が脳内に凄い衝撃として残ってる人間としては
相手が鉄板になった後自分の気持ちに気付いて激しく後悔という流れしか…
それまで何度も足を運んでいた割にはユーノ君かアルフしか見かけなかった無限書庫が
たまたま顔をあわせなかっただけで実は美人の司書がたくさん働いてる場所だと知ってしまうなのはさん
さらには美人の秘書がいたり
ユーノ君の直接の上司に当たる管理局総務部のような部署の責任者も美人だったり
機動6課設立のために、なのは達が上層部に体を差し出して……
みたいなエロ有りって今のところない?
探してるんだけど。
>>204 同人誌だとよくあるパターンだが
大概「見たことないけど人気あるので描きました」タイプなんで萎える
>>200 こうですか?↓
(21話の状況で念話)
スバル「ティア、馬鹿なことはやめて!逃げるのよ!!」
ティアナ「逃げるわけにはいかない、機動六課の名誉の為に!!」
スバル「勝てるわけ無いでしょ!」
ティアナ「いや、マグレがある!!」
ノーヴェ&ウェンディ&ディード「マグレなんかねえよ!!」
(瓦礫の中から飛びたすヴァイス)
ヴァイス「はっ!」
ノーヴェ「ぐっ!」
ヴァイス「とっ!」
ウェンディ「がっ!」
ヴァイス「せいやっ!!」
ディード「うあっ!」
(スタッ)
ヴァイス「いいじゃない、マグレ!」
>>205 そうか
これだけあれば誰か書いてるかなと思ったんだが…
>>207 このスレに投下されたやつだと、はやてが管理局のおえらいさんの所へ一人で行ったと知った
なのはとフェイトが駆けつけたら、おっさん相手にはやてが女王様プレイの真っ最中、というネタ
があったな確か
スパロボ系で同じコンセプトのネタ書いたことあるから印象に残ってるw
エリオ19才とフェイト9才の話ってどこにあるっけ?
まとめWikiを探しても見当らない…・・
>>204 エリオがアリサやすずか達に献上された話なら
wikiってマジ膨大だな、無限書庫めいてきた
どこにも偉大なんて書いてないが
無限書庫は膨大であるそしてそれを取り纏めるユーノは偉大である
>>214 うん。まあそういうのはユーノスレでやろう。帰っておいで
>>214 そんなユーノを手篭めにするなのはは偉大である
膨大なwikiを纏める管理人が偉大って言いたかっただけなのよー・゚・(ノД`)・゚・
最近、なのユー前提で話をするスレ違いな人々が増えたのはなんなんだ……。
なのフェイ好きやユノフェイ好きだってたくさんいるんだぜ?
頼むからユーノスレに帰ってくれ。
>>219 そうは言うがな大佐、話の流れは自分で作るものだ
つまりグリフィス×スバルが、いいなぁって・・・
あとユーノスレの妄想力は無限書庫なみに無限
なにこいつ
スレ違いとか馬鹿じゃね?
妄想は人それぞれです
他人の妄想を許容する大きい心を持ちましょう
なのユーの流れを見つつ、クロフェのssを考えてる俺だっているんだぜ。
よーし
流れを断ち切るようですが投下、OK?
おk
226 :
CRR:2007/10/19(金) 00:53:06 ID:G8E7YUd2
ども。
甘エロの反動で、久々にあのシリーズ書いてみたくなった。
きゃろろ(ry完結編。
・エリキャロルー
・エロくておバカ
・アルピーノ母娘を筆頭にみんなが壊れてるので注意
ではドゾー
227 :
CRR:2007/10/19(金) 00:55:12 ID:G8E7YUd2
「あー……気持ちいい……」
どこまでも広がっているかのような青い空。
緑で一杯の自然保護隊のベースキャンプ地は、若き竜召喚士・キャロの心を洗ってくれる……?
「でもそんなの関係ねぇ!でもそんなの関係ねぇ!」
急にキャロは拳を地面に振り下ろしながら奇妙なダンスをし始める。
最後に、海の平和を願うかのような間抜けなポーズをすると、キャロの意識は現実へと戻ってきた。
「はぁい!オッパッピー……じゃなくて、このままじゃマズイよ私!月曜日なのに機嫌悪いよどうするよ私!」
ふしぎなおどりを踊ったり、頭を抱えて悩んだりと忙しいキャロの思考回路。
それもそのはず。
――――――ル・ルシエ族の通過儀礼のタイムリミットまで あと50日
きゃろろろろろろ 〜ょぅι゛ょのじかん〜
ルーテシア・アルピーノは悩んでいた。
―――――あの赤毛の槍騎士がマジカッコいい。むしろ食べちゃいたい。
しかし、ルーテシアの住む世界は無人の保護観察用次元世界。
食料やら何やらの基本インフラに不満はないが、それ以外……ぶっちゃけサブカルチャーに乏しいのだ。
これではティーンズラブ(笑)な漫画を見て勉強する事もできない。
『……ほーらほらルーテシア、男と女はこうやって子供を作るんだよー♪』
今となっては、スカリエッティに面白半分で見せられたあの時のAVを、もっと真面目に見ておくべきだったと後悔している。
ゼストがずっと目を塞ぎ、アギトがずっとワーワー言って音が聞こえなかったから、あの時はどう頑張っても結局何も見られなかったけど。
「……どうしよう……そうだ」
ここでルーテシアの頭に名案が浮かんだ。身近にいる人生の先輩を利用せずにどうするのか、と。
ルーテシアは母・メガーヌの部屋へと歩みを速めた。
「……なるほど。ルーテシアもそんな年頃なのね……」
ルーテシアの青年の主張を一通り聞いたメガーヌは、娘の成長に目頭を熱くさせた。
「こんなに立派になって……っ!よーし、ママに任せなさい。
これでも昔はクイントと一緒にゼスト隊長と夜の秘密の任務を繰り広げてたんだから」
……これはナカジマ三佐には生涯黙っておこう。
幼いながらしっかりとした思考の持ち主のルーテシアは、母の秘密を墓まで持って行く事を心に決めた。
228 :
CRR:2007/10/19(金) 00:57:54 ID:G8E7YUd2
「で、ママはどうやって勝負してたの?」
「うん、それはね……」
エリオ・モンディアルは悩んでいた。
―――――ミラさん、タントさん、自重してください。
ふと夕涼みに外に出ていたら、木陰から二人の逢瀬の様子がばっちり見えたのだった。
いや、ちょっと、「君の膣にぴっタント」とか言ってる場合じゃないっすよあんた等。
青姦するならもう少し場所選べよと。
そんなエリオのストラーダ(隠喩)はお盛んな二人を見てExplosion寸前だった。
保護区に来るときに持ってきたオカズに最近飽きてきて、何となく抜いてないときに限ってこうなってしまった。
「うー、トイレトイレ」
こうなればさっきの光景をオカズに一発抜くしかあるまい。
とりあえずエリオはトイレに駆け込む事にした。と、そのとき。
「うほっ、いい召喚虫……」
見覚えのある殻っぽい体を持つ『友達』がトイレの前に立ちはだかる。
「ガリュー……?どうしたの?」
ガリューは、エリオがアクションを起こす前にエリオの腹に蹴りをかました。
「たわばっ!?」
腹筋から見事に二つ折りになったエリオはそのまま気を失い、
ガリューは伸びたエリオを担ぎ、そのままどこかへ飛んでいった。
次にエリオが目を覚ましたのは、どこかのベッドの上だった。
前のキャロの件の時の様に縛られてはいないようだ……が、体はなぜか動かない。
「……エリオ」
「うわぁぁぁぁっ!ルーテシア!?」
ベッドの横にいたのは、かつて戦い、今では心を通い合わせた大切な仲間。
だが、何となく雰囲気がおかしい。
「ゴメン……ガリューにムリヤリ私の家まで拉致らせた上に一服盛ったの……でも、こういうことは早いほうがいいと思って」
珍しく顔を赤くして、歯がゆい表情を見せるルーテシアが、ゆっくりとエリオの横たわるベッドに乗った。
ベッドに膝立ちになったルーテシアの手は、スカートのすそにかかる。
「エリオ……私を抱いて……エリオのストラーダで私の中にどろどろした赤ちゃんミルクどぷどぷって注いでぇっ!!」
「ぶはぁぁぁっ!?!?!?!?!?」
普段のイメージからは想像できない頭の悪い淫語を発すると共に、ルーテシアはスカートをめくり上げる。
そこに見えるのは、つるっつるの股間に走る由緒正しい一本スジ。
まざまざと見せ付けられたエリオは、思いっきり吹いた。
「ママ……これでいいの?」
「上出来よルーテシア。私も『エッチな決め台詞+パイパン』で攻めて成功したのよ」
229 :
CRR:2007/10/19(金) 01:00:16 ID:G8E7YUd2
隣からにょっきり現れたのは、ルーテシアを大人にしたかのような美しい女性。
これが諸悪の根源だと、エリオは即座に理解した。
「さぁルーテシア、とどめよ!」
メガーヌの合図で、ルーテシアの手は股間のスジへ。
「く……くぱぁ……っ」
ルーテシア自ら擬音を発し、少女のつぼみが開かれる。
まだ青い果実であるはずのそこはこれから起こるであろう出来事に震え、相応しくないほど濡れて光っていた。
「かはぁ……っ!!!」
エリオの鼻から大量の出血。血は鼻から気管支へと逆流し、エリオはむせた。
「どっ、どどどどどどどど……」
「エリオ、そんなジョジョの効果音みたいな台詞はいらない……さぁ、私を貫いて」
くぱぁと開いたままの花びらを、エリオのストラーダ(隠喩)の上に構えロックオンするルーテシア。
ゆっくりと、腰を落としていく。
「エリオ……あなたと、合体したい……!」
エリオの先がルーテシアに触れた、その時!
ドゴォォォォォォォ!!!!!
大きな音を立て、アルピーノ邸が大きく揺れる。
「キャロ……?まったく、あまりにもワンパターン過ぎる作者……」
様子を見に、ルーテシアとメガーヌが部屋を飛び出した。
「出て来なさい!このちびライダーっ!!!」
「人を岡村○史のように言わないで頂戴……」
「ソッチじゃないよっ!!」
さて、アルピーノ邸の外にはフリードリヒを従えるキャロが。
「ルーテシア、デバイスを貸しなさい」
「ママ……?」
「そしてあの子のもとへ向かいなさい!ママはいつでも貴方の味方よ!」
アスクレピオスを受け取ったメガーヌは、颯爽と外へと駆けていった。
「うふふ……捜査官時代の記憶が蘇ってくるわ……ふーはははぁぁぁああ!!!」
「ママ……流石に引くわ」
一人、ハートが震えて燃え尽きるほどヒートしている母。
それを見てルーテシアは溜息をつきつつも、エリオの元へと戻っていった。
230 :
CRR:2007/10/19(金) 01:02:21 ID:G8E7YUd2
「はぁ、はぁ……エリオ、大丈夫?」
「ある意味大丈夫じゃないよ……」
部屋に戻ると、当然ながらエリオはそのまんま。
ルーテシアは改めていそいそと服を脱ぎだす。
「さぁ、エリオっ!トゥギャザーしよう!」
そういってエリオの上にのしかかったルーテシア。
改めてストラーダ(隠喩)を握り直し、自らのつぼみにそっとあてがう。
すると、
「はぁぁぁああぁっ!?!?!?」
突然、空間を切り裂かんとばかりの雷鳴と、電撃がルーテシアを貫いた。
「え……何で……?エリオ……貴方の仕業……?」
しかしエリオは体を動かせず、魔法すら出せない。
訳が分からないまま、ルーテシアは黒こげになって気を失った。
「フェイトちゃん?何でさっきサンダーレイジO・D・Jなんか撃ったの……?」
「気にしないでなのは。一種のセキュリティシステムみたいなものだから♪」
黒こげアフロで気絶しているルーテシアの部屋に、メガーヌを撃破したキャロが到着した。
「エリオ君……大丈夫?変な事されてない?」
「キャロ……」
BJはぼろぼろ。顔はススだらけ。それでもキャロはエリオを助けに来てくれた。
その事実に、エリオはキャロに対しての印象を改め始めた。
「よかった……」
安堵の表情を浮かべたキャロは、エリオの拘束されるベッドの上に乗った。
BJのスカートに手を掛ける。
「え?え?あれ?デジャヴ?」
困惑するエリオの目の前に、キャロが立ちはだかる。
「エリオ君……私を抱いて……私におちんぽみるくどぴゅうっっっっってのませてぇぇぇぇぇぇっ!!!」
めくり上げたBJの中には、つるっつるの股間に走る神々しいまでの一本スジ。
しかもすでに準備OKなくらい濡れていた。
「やっぱりだめだぁぁぁぁぁぁ!!!!」
少しでもキャロに期待した自分がバカに見える。
なんか……もう……いいや……
ユ ニ ゾ ン ・ イ ン !
231 :
CRR:2007/10/19(金) 01:04:45 ID:G8E7YUd2
「ゴ――――――――ル!!ゴルゴルゴルゴルゴル、ゴ―――――――――ル!!!!」
「うわぁ……キャロの中……すっごくあったかいナリ……」
エリオの上にまたがり、鬱陶しいまでの歓喜の声を上げるキャロと、
もう現実逃避し始めたエリオ。
二人の体は、ストラーダ(隠喩)とつぼみが合体していた。
「ぎゃんっ!?」
みっちりと繋がったまま、キャロは雷に打たれて気を失った。
「くっ、遅かったかっ……!!」
「いや、フェイトちゃん。だから何でサンダーレイジO・D・Jを……」
「さーて、エリオ君のチェリーは頂いたから、後は籍を入れれば……」
たまたま用事があり、エリオとキャロは久しぶりに本局に来ていた。
キャロのほうが先に用事を済ませていたので、適当に本局内をほっつき歩いていた。
「族長さま……私、やりましたよ!!」
ガッツポーズと共にニヤニヤとしていると、なにやら変な声が聞こえる。
ふと開いている扉に気がつき、その中をのぞいてみると……
「あっ……く!ぅぅ、エリオ……いいぜ……何てったって久しぶりだからな……」
「そう言うヴィータさんの具合も……最高です……」
会議用のデスクの上で繰り広げられていたのは、赤毛の少女と赤毛の少年の淫靡な空間。
ヴィータは陸士の制服の上着と、パンツを脱いだだけの姿でエリオと交わっていた。
「はぁぁぁ……っ、半年……っ!ぶりか……ぁぅうっ!」
「そうですね……っ!!六課、が解散してからは、っ!なかなか会えませんでしたから……」
それを聞いたキャロの顔が青ざめる。
「六課が解散してからは半年ペース」……ではそれ以前は!?
体の力が抜け、腰が抜け、扉をを支えていた手も離れる。
わずかに開いた扉からは、ヴィータとエリオの奏でる喘ぎ声のみが漏れてくる。
「はぁぅぅっ!?ちょ、エリオ……そっちはやめろぉ!」
「え?だってヴィータさん、お尻の穴に指突っ込まれると反応いいですから」
「やめっ……!!あああぁぁああぁぁっ!!イッく、イクうぅうううぅうぅぅっ!!!」
「ヴィータさん……っ!!イク時はちゃんと語尾に『にょ』つけてくださいよっっ!」
「ああぁぁぁぁあぁ!!だめにょぉぉぉぉっ!!イっちゃうにょぉぉぉっ!!」
『12歳の誕生日までに、生涯の伴侶となる相手の貞操を奪う事』――――――『通過儀礼』の道が閉ざされた。
どうしていいか分からなくなったキャロは、虚ろな表情のまま本局の廊下を彷徨う。
もう自分はル・ルシエ族の人間として生きてはいけないのか。
そうなったら、自分の帰る場所はどこにもないのか。
232 :
CRR:2007/10/19(金) 01:07:37 ID:G8E7YUd2
「ひっく……うぇぇ……」
いつの間にか虚脱感が涙に代わり、とめどなく流れる。
「……キャ……ロ……?」
キャロの上から声がした。
涙を流すのを止めたキャロが上を見上げると、そこには六課時代の知り合いのメガネの青年が。
「グリフィス……さん……?」
「どうしたのかな?とりあえず……これ……」
グリフィスが制服からハンカチを探り出し、キャロに手渡す。
「あ……ありがとうございます」
涙をハンカチで拭く。と、そのとき、キャロの頭にある考えが浮かんだ。
(まてよ……グリフィスさん?)
・指揮官志望→キャリア組?
・母親が管理局の人事→コネクション強力?
・真面目→童貞?
キャロのマルチタスクは一瞬にして答を導き出す。
「ありがとう……グリフィスお兄ちゃん♪」
「おっ……おに!?」
少女の涙と、それと対比させるかのような笑顔。
女性経験に乏しい若き准陸尉は、不意にトキメキを覚える。
「お兄ちゃん……お腹が痛くて……医務室まで、いいですか……?」
「う、うううううん!分かった!今すぐ連れて行くから!」
パニックに陥ったグリフィスは、キャロをおんぶして医務室まで急ぐ。
キャロは知っていた。この時間の医務室当番は、自分の味方であるシャマルだという事を。
今からちょっと念話でお願いすれば、シャマルは「たまたま」部屋を空けるだろう。
(計算通り……!!)
グリフィスの背中で、キャロが怪しく微笑んだ。
――――――ル・ルシエ族の通過儀礼のタイムリミットまで あと21日
――――――グリフィス・ル・ルシエ誕生まで あと5年と×××日
おわり。
233 :
CRR:2007/10/19(金) 01:09:51 ID:G8E7YUd2
以上です。やったースバル02式とヴァイ×ティアに続きキャロもゴールインだー(棒読み)
……スミマセン。一度みさくら語なセリフを言わせてみたかっただけなんだ……
思えば、18スレの
>最近キャロのあの天然が全てエリオを落とすための策略だった という電波を受信した
というレスから始まったこの作品もずいぶん暴走したなぁ。
次作品でお会いしましょう。では!
最近、なのフェイやユノフェ前提で話をするスレ違いな人々が増えたのはなんなんだ……。
なのユー好きだってたくさんいるんだぜ?
頼むから百合スレに帰ってくれ。
ユノフェが百合?
頭おかしくね?
>>233 GJ!w
ていうかなんだ。黒いなキャロ公w
とりあえずメガーヌさんのはっちゃっけぷりに吹いた
>>233 御疲れ様でした!エリオの槍チン振りに泣けました!鉄槌の猛攻にキャロ社長どころか、ライダー親子の奮闘もむなしいのかよ!
でもさ、新たなる相手が地味眼鏡の場合だと酢飯御前とルキノが黙っちゃいないだろうと思うが、CRR氏のキャロ相手だと勝負が見えているような気が……
矛先が某司書長や某狙撃ヘリパイだと相手が相手で、勝負成立しないもんな……とにかくGJです。
最近、クロザフィやクロユノ前提で話をするすれ違いな人が増えたのは何なんだ。
ユノザフィ好きだってたくさんいるんだぜ?
頼むから私にネタを頂戴!
>>233 毒婦まみれだな六課ww
メガーヌ+クイントでゼストの相手か…こいつはちょっと予想GUY
>>223 なのユーの流れを見つつクロなのを考えてるんだけど
俺は絵しか表現媒体がなくて歯がゆい。
みんな小説書けていいなあ…
243 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/19(金) 01:30:53 ID:rTPEgZyX
>>233 GJ
所々の小ネタに吹いたwww
でも…そこに痺れる憧れるぅゥゥゥ
なのフェもユノザフィも板違いじゃないの?
つか百合カプならホント百合板いった方がいいと思うが。
あそこSSスレになってるし
>>233 腹筋いてぇwwGJ!
245 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/19(金) 01:56:14 ID:D0SXEGh9
ユーノでも何でも、いちいちベクトルをその方向に持って行こうとする奴は専用スレでやってろ、というお話ですた
おっとsagesage
>>238 いい加減にしないとザフィーラさん呼びますよシャマルさん
>>233 GJw色々とやばいが皆自分の欲望に忠実だなwww
てか、しっかりと予防策とってるフェイトさんナイス。やっぱり迂闊なところはいつもどおりだがなw
そして、ルーテシアにAV見せるなよドクターw
>>233 ぐじょ。
>これでも昔はクイントと一緒にゼスト隊長と夜の秘密の任務を繰り広げてたんだから
さあ、何を言いたいかは分かると思う。
早くスピンアウトSSをry
あの怪作がパワーアップして帰ってくるとは、夢にも思わなかった。
つか、18スレだったっけ。
随分遠くまできたものだ。
「合体したい」に吹いたw
GJでした。
暫くこなかったけど百合ってもう住み分けしたのか
>>2のリンクに次から誘導用に百合スレ追加した方がいいな
なのフェ公式な作品のパロスレでなのフェ異端にされてはなあ。
まぁ別に住み分けする必要はないと思うぞ。
作品分散すると追うのが面倒だし、嫌ならばNG指定すればいいだけの話だし。
255 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/19(金) 12:08:10 ID:FhLG5kng
>>253 こらこら、いつ公式になった。
明言はされてないぞ。
中の人二人は夫婦関係だと言ってるがな…
はぐらかしてるのははやてと都築か
>>245 どこに「その方向に持って行こう」なんてレスがあるんだ?
気に入らないレスはスルーしろと何度言われりゃわかるんだ?
なのフェもなのユーも萌え方が違えど同じファンだとどうしてわからない!
クレアはどんな時でもクレアはクレアのはずだ!
…なのに…俺は…
クゥゥゥゥレェアアァァァァァァアアアア!!
259 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/19(金) 12:37:45 ID:88rNa+ll
≫258
何でゲームキャラがここにいるんだよw
クロススレかテイルズスレに帰ってください、ベェイグさん(携帯だからうを濁音に出来ない)
>>233氏
GJ!タントさん自重しろ!!
しかし、オトコタントだったらこっちだと想像してたのに、見事に斜め上だったぜ!
「すりすり」
「?」
「がばっ!」
「!?」
♪あいらーびゅー、いまだーけーはーかなしいうたー、ききたくーないよー
こんなキレイな話じゃなかったぜ畜生!!GJ!GJでしたっ!!
なぜ、クロノはユーノほどカップリングがないんだ?
皆ユーノ派?
妻子持ちになっちゃったからな
>>261 理由1 クロノが結婚してしまった(よって改変的ネタか不倫ネタになる)
理由2 3期でのユーノは設定的に二次キャラとしてはカップリングに限らずかなり便利(特に無限書庫は大体何でもアリアリにできる)
理由3 3期でのユーノは2期までほどなのは寄り描写が少ないので他キャラとも割とやりやすい
理由4 一時クロノがU1化したせいで離れた人が居た(現在ユーノに一部移ってたりするのがアレ。攻撃力無いユーノU1化とか出来るのかといいたい)
細かい理由はまだまだあるが大体こんなトコだろ。まあ俺はクロノ全盛の頃からユーノ派だけども
どうして百合派はこうも態度がでかいのやら。
つーか終わった話題蒸し返すなよ。ID:Lb8LkR7E
>>264 都築のインタ、FTHの中の人のなのはラブっぷり、
それにともなう?イラストの多さ
と武器が多いからね。
おいおいお前ら。何安っぽい煽りに煽られてんだよ。
俺達は大人で紳士であるべきだ。紳士はどんなときでもおおらかでなくちゃならん。
ノマ百合薔薇なんでもいらっしゃいくらいの広い心でwktkしてようぜ?
>>233 おかしい
エロイはずなのにどうしてこんなに面白いんだwwwww
続きとタント×ミラを激しく期待する!
>>262,263
なるほど、説明ありがとうございます。
クロノ派は冬の時代か。
>>233 フェイトさん、ヴィータのことだけ認めてる?
でもそんなの関係ねぇ!
というわけでGJです
とりあえず雑談禁止推奨。
クレクレするのは自然な流れだが自分の意見を押し付けすぎだ、皆。
押し付けるなら俺に押し付けろ、俺がお前らのカプすべて受け止めてやる。
清純フェイエリのラブラブなのマダー?
>>259 「えば」「えう」「びび」とかで予測変換すると幸せになれるかもしれない
ヴィヴィオとかエヴァとか出ると思う
>>259 前に携帯だから、と言ってSS内でもウ゛だった人がいたな。
・・・なぜ「ばいおりん」とか「びじゅある」とかを変換するくらいの応用が効かないのかと・・・
279 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/19(金) 18:21:32 ID:Cf9DW4OA
ホテル・アグスタでリインがインゼクトに傷を付けられた時に
痛みでフラッってなった瞬間に大量のインゼクトがリインの身体に張り付き
離れるです。そんな所、触るなです。ってジタバタするリインを無視して我先にとリインの身体を弄るインゼクトの群れ
本能に目覚め野獣と化した昆虫の前にはリインは赤子と同じで何度もリインの膣内に注ぎ込まれるインゼクトの熱い物
その後、リインは二足歩行の化け物(必要な物をドクターに届けるおつかいの途中のガリュー)に救われ無事にヴィータ達と合流するが
暫くの間、トラウマから昆虫(トンボなど)を見るとリインハウスに引き籠もって出てこなくなる日々が続いた
ってのを妄想した事がある
考えてみれば
「地球」世界にとってクアットロやインゼクトの電子機器を操作する能力って相性最悪だよな。
>>268 クロノものはもともとここでは少ない。
かつ元々なのはの相手だったりフェイトと位置が近いこともあって基本的には組み合わせの
パターンが三人娘のどれかにほぼ限定されてしまっている。
あとサイト持ちのクロノ書きさんがリアル方面の忙しさやら一通りやり尽くしちゃったことで
現在休業中とか息切れなところが多いと言うのもある。
なのは×ユーノです ちょっと暗い話で、救いも無いかもしれません
オリジナルの追加設定があります
なのはが上機嫌だったのは、久し振りにユーノと交友する時間に恵まれたからだった。
教導官の就業は基本的に定時であり、思わぬ残業などが舞い込む場合があるが、概ね規則的な
生活環境を保てている。
対するユーノは時空管理局での平常業務に加え、考古学の学会やその他、外部との付き合いで
本業の休日が潰れてしまう事は多々あった。
かのJS事件渦中におけるホテル・アグスタへの出張も、そうした予期せぬ役務の一つだった。
長年本局が持て余していた無限書庫は、ユーノの尽力で大規模の改善が見込まれ、今では局内
の機関から資料の探索と提出が望まれる程に有用性が評価されている。
最高責任者である彼が、真夜中に叩き起こされるや否や、書庫の文献に埋もれて朝を迎えると
いった事態は日常茶飯事だった。
時空管理局は過去の遺産であるロストロギアの存在に敏感だ。ならば、広範に渡って次元世界
の歴史情報が集積されている無限書庫を放置していた点は、宝の持ち腐れを続けていた管理局の
体制の甘ささえも指摘される程だった。
ユーノが自宅の寝室で目覚めると、慣例のように今日の予定を確認する。
未だ手付かずにある無限書庫区画の整理。
途中で停滞している論文の原稿。
兼ねてから招待されているイベントの打ち合わせ、学会の会合……。
先日新たに追加されたのは機動三課から依頼されてきたロストロギアの文献探索……。
現在機動五課が派遣されている次元世界に関する情報整理……。
運用期間の終了と共に機動六課から提出されたJS事件のデータ化と保存作業……。
文献貸し出しや閲覧サービスといった新たな業務案件の重役会議……。
来週は或る次元世界の教育機関に所属する専門家を招いた書庫内の見学会……。
テレビ番組の取材……雑誌の取材……。
古代文明遺物展覧会の開場記念会見の出席……大学の臨時特別講師の依頼……。
彼の目の前でめまぐるしい予定の波が羅列されている。
今日はなのはとヴィヴィオと過ごす日だった。ユーノは寝台から起き、身嗜みを整える為に動き始めた。
本日の予定表の項目には、この休みを費やして取り組もうとしていた無限書庫の組織改善に関
する案件文書の作業が明記されていた。早く完成させ、本局の人事部に提出しなければならない。
無限書庫自体は何の問題も無く稼動しているが、そこに勤める人員の明確な組織化は後回しにさ
れたままった。
現状、常勤司書や事務員が十把一からげに仕事を見つけ、流動的に動き回っているに過ぎない。
しっかりと書庫内の役職を区分し、各業務に対する人事を制度化しなければ、破綻をきたすのは
誰の目にも明らかだった。新たに採用される新人司書はすべからく今の杜撰な組織的性格に戸惑
い、望まぬままに「給料泥棒」と皮肉を受ける実状さえあった。
情熱をもって無限書庫の敷居を跨いできた彼等彼女等にも、均等に仕事を分け与えてやらなけ
れば、その皺寄せが結局は責任者の監督不足という評価に繋がる。
ユーノは山積みの課題に、だがどこかやり甲斐さえ感じて決して嫌な顔一つ見せなかった。
なのはとヴィヴィオは、既に待ち合わせの時間に到着しているだろうか。
だがしかし、今日のユーノの予定表に二人の名前は記されていなかった……。
/
両腕にかかる若い親子が買い込んだ荷物の重量が、ユーノには新鮮だった。
「でね、最近ヴィヴィオって」
「もう、なのはママ、そんな話止めてよー」
本局市街地区画の公園で一休みする事になり、並んでベンチに座るユーノの隣ではなのはとヴ
ィヴィオが会話を弾ませている。
「ユーノ君?」
話を聞いてくれていると思っていたなのはが、逆に上の空でぼんやりとしているユーノに問い
かける。中央のヴィヴィオを挟んでベンチの反対側に腰掛けている彼の横顔は、なのはには得体
の知れない心境さえ垣間見えた。
「……ユーノ君?」
「え? あぁ、ごめん、何だっけ」
ユーノは咄嗟に雑念を振り払い、苦笑いで反応した。彼の頭の中から、案件文書の構成が消える。
ヴィヴィオがユーノの懸隔な様子に立腹し、「ちゃんと話を聞いて」と唇を尖らせた。
ユーノは指先で眼鏡の位置を直し、ベンチから立ち上がった。
「ごめんよヴィヴィオ。お詫びにアイス買ってくるからちょっと待ってて。何がいい?」
ヴィヴィオの顔が喜色に染まる。公園の片隅では、まさにアイスの露店が暖簾を広げていた。
「チョコレートがいいっ!」
両手を挙げてヴィヴィオが言うと、ユーノが頷いた。
「わたしも行くよ」
「いや、なのはもここで待っててくれていいよ。ヴィヴィオと同じでいいよね?」
一方的に抑えられ、なのはは落胆するように浮かしかけた腰をベンチに戻した。
「待っててくれていいよ」という何気無い言葉が、何故か針となって彼女の胸に突き刺さった。
露店へと遠ざかっていくユーノの背中を眺め、なのはは互いの間の言い知れない距離感を漠然と感じた。
「忙しいから、ね。ユーノ君……もしかして、部屋でゆっくり休んでいたかったのかな」
根拠も無く、無理やり彼を外に連れ出してしまった罪悪感を覚え、なのはは物憂げに溜め息を吐いた。
隣で、ヴィヴィオは無邪気にアイスの到着を待望している。
二人して時空管理局に在籍し始めた頃は、全く血色の違う互いの仕事を夜遅くまで語り合ったものだ。
なのはの魔導師人生を脅かす程になった数年前の事故では、彼は無限書庫の仕事も切り詰めて
足繁く彼女の看病に来たものだった。
……はやてが機動六課の設立に奔走している時、彼にも通達された出向要請の、その返答。
「僕まで加わったら、出力リミッターの規定で完全に引っ掛かってしまうよ」と残念そうに言っ
ていたが、そこに彼の真意があったのかどうか。
そもそも、ならばユーノ自身にも出力リミッターを掛ければ事足りる問題だ。優秀な結界魔導師として、彼の存在意義は六課で多大な期待が寄せられていた。
人命救助や災害対処の際の補助魔法、危急の際の長距離転送。
あの本部襲撃の惨事も──前もって敵の作戦を予測出来ていればに限るが──彼の詠唱一つで
無駄な血が流されずに済んだのは言うまでもない。シャマルに加え彼が後方支援に就くだけで、
いかに前線の安全にも影響を与えるか、彼の魔法スタイルを知る者の間では語るに不要だった。
どれだけ離れていても心が通じ合えているという想いさえ、最近は霞んで見える。
みんな変わっていく。だから自分も変わらなくちゃいけない。なのはがそう誓ったあの決意は、
どこか不変の安心が近くあるからこその、強がりだったのかもしれない。
ユーノやフェイト達、大切な仲間達の温もりがすぐ手を伸ばしたところにあるから、なのはは
今まで羽ばたいてこれたのだろう。
なのはが目を馳せた先に立つユーノは、現実以上に遠く感じられた。
ユーノの中にも「わたし自身以外の何か」がある事くらい、なのはも承知している。
だが、そのユーノが持つ「わたし自身以外の何か」を、なのははちゃんと思い浮かべる事が出来なかった。
心がそれを拒否しているのか、本当にわからないのか、それさえも霧の中だった。
ユーノが両手にアイスを持って戻ってくる。ヴィヴィオが嬉々としてそれを受け取り、なのは
も特に食べたいとも思わなかったが、受動的にアイスを手に持った。
「ねぇユーノ君──」
なのはの声を遮り、ユーノの携帯電話が着信音を奏でる。彼は申し訳無さそうになのはへ片手
を挙げ、携帯電話の応対に出た。
少しベンチから距離を置いて通話を始めたユーノの背中を、なのはが呆れた笑みで見守る。微
細な頬の緊張は、なのは自身も気付きたくない一心で無視した。
「あ、はい……論文、お読み戴いたんですね……はい……え、政府から遺跡の発掘許可が? 本
当ですか? そうですか、わざわざありがとうございます……はい、調査隊はまた今度、えぇ、
学会には僕の方から……あぁ、その事ですか……でも、僕は局内でもそんな権限を持っていない
ですし……そうですか、政府は……えっ、遺跡の発掘も、管理局があちらを管理世界として登録
する事を前提条件に? 難しいですね……管理外世界からそうした要請が来るのも前例が無いで
しょうし……わかりました、その用件も僕が本局の方に何とか……はい……あまり期待をされて
も困りますけど……」
それからも暫くユーノは通話相手に集中していた。なのはは溶け始めたアイスを一つ舐め、そ
の茶色の塊に視線を落とした。
ユーノが通話を切り、携帯電話をズボンのポケットに仕舞った。なのはは反射的にベンチか立
ち、踵を返すユーノへと歩み寄っていった。
「本当にごめん、なのは。色々、二十四時間体勢だから……」
「ううん、気にしないで。それより──」
『スクライア司書長! 大変です!』
なのはとユーノの間に、通信画面が表示された。光の壁が視界の前に浮かび上がり、なのはは
沈鬱に口を閉ざした。
「何かあったの?」
再三再四ユーノは手振りでなのはに謝意を示し、休日出勤の無限書庫局員に続きを促す。焦っ
た様子から不祥事が起こったのは明白だった。
『はい、その……研修中の局員が整理中のデータを誤って消去してしまって……』
「そっか……うん、わかった。気にしなくていいよ。僕が処理しておくから。また明日詳しく聞かせて」
『いえ、今から復元作業に取り掛かれば、夜勤の交代時間までには何とか』
「ごめん、あまり好き勝手にいじられても困るんだ。それに、そうしたらまた残業手当ての事で
経理と話をつけなきゃいけないし。だから、出来る限りその状態で横に置いておいて。研修生の
メンタルケアをお願い。無限書庫の仕事、結構そういう方面でも堪えるからね。あまり責めたり
しちゃ駄目だよ。仲良くして。研修中なんだから、失敗して当たり前なんだから。本人は?」
『それがさっきから見当たらなくて……もう休憩時間も過ぎてるんですけど』
「はぁ……。うん、わかった。研修生の事も僕が何とかするから」
閉鎖された空間である以上、人間関係の軋轢は必然だ。あの職場を出て行く主な理由が、他の
局員と満足なコミュニケーションを確立出来ずに孤立してしまうからなのを、ユーノも前から重
々懸念していた。
『わかりました。でも、経理とかそういう事で司書長がわざわざ出向かなくても』
「うん、そうなんだけどね……」
そういう事でわざわざ責任者が出向かなくてもよくする為に、今日は案件文書に没頭したかっ
たのだが……とユーノは小さく溜め息を吐いた。
それを言ってしまえば、ユーノはこの女性局員にも「そんないつでもどうにでも対処出来る問
題で一々連絡を入れないでくれ」と些か要領の悪さを評価してしまう。あれもこれも、無限書庫
がユーノ個人を中心に成立してしまっている悪循環からくるものだった。
『司書長! 何やってるんですか!』
別の通信画面で割り込んできた外部の局員が、矢庭にユーノへ怒声を浴びせる。公園でのどか
な時間を過ごしている他の住民が、俄かに騒がしくなったユーノへと顰蹙の目を向けた。
ユーノはなのはをその場に置いて、なるべく人気の無い場所へと急いで移動した。
「えっと、とりあえず所属をお願いします」
『機動三課ですよ! 今日は補給で艦船が本局に帰還、その後無限書庫と情報の整理をかねた会
議があるって言った筈です!』
聞いていない、とユーノは口に出かけたが、それは社会人として許される発言ではなかった。
『え、司書長、聞いてなかったんですか?』
横に押しのけられた局員が、気まずそうに会話に入った。それから通信画面の外に出ると「ち
ょっと! 機動三課の会議、ちゃんと司書長に伝えておいてって言ったでしょ!」「あ、あっ…
…すみません、忘れてました……」といった口論が漏れ聞こえてきた。
『もう会議の準備は出来てますから! 至急こちらに戻ってください! 無限書庫が何をやって
いるんですか! こっちは外向きの任務で忙しいっていうのに、全く話にならないな!』
余計な罵声を最後に、通信画面は途切れた。昨今の無限書庫を単なる便利屋として認識してい
る現場局員の、事務の彼らを見下した典型的な態度だった。
頭を下げる暇もなく、ユーノは呆然と通史画面が消失した宙を見つめていた。
『申し訳御座いません。折角の休日なのに……今、高町一等空尉とご一緒なんですよね? 誰か代理を──』
「いや、いいよ。僕が行かなきゃ、まだ小言が増えるだけだし」
しょ気る部下に笑顔を見せ、ユーノは通信画面を終わらせた。
ベンチでユーノを待っているなのはは、戻ってきた彼の様子で何と無く全てを察した。
「お仕事、なんだ」
「うん……本当にごめん、なのは」
ヴィヴィオもこの場の雰囲気を感じ取り、アイスを頬張りながら暗鬱な二人を見上げた。
「嫌だ。三人で一緒にいるもん」
なのはは腰を屈め、ヴィヴィオの頭を諭すように撫でた。
「ヴィヴィオの気持ちもわかるけど、ユーノ君は忙しいの。また今度ね」
「うー」
ヴィヴィオはやり場の無い憤りを、ユーノ自身に向けるしかなかった。
「ヴィヴィオ、そんな顔でユーノ君を睨んじゃ駄目だよ。ユーノ君が困ってるでしょ?」
「だって! 今日は一緒って約束したもん!」
ヴィヴィオの子供らしい癇癪を宥めつつ、なのははユーノに目配せする。最近はヴィヴィオも
普通の児童が持つ我侭を見せ始め、なのはの手を焼かせる事も多かった。
ユーノは喚くヴィヴィオから身体を背け、公園を後にしていった。
彼が立ち去ってからも、なのははヴィヴィオの苛立ちをその場で鎮める。
「パパならずっと一緒にいられるのに。フェイトママだって……」
ヴィヴィオの呟きを、なのはは思い詰めた顔をして聞き流した。
/
会議? とんでもない。単なる外向け局員の事務職員いびり大会だ。ユーノは暗澹たる溜め息
を肺から押し出し、自宅への帰途を辿っていた。
今日の会議の終始は忘れる事にする。
そこそこ贅沢なアパートの絨毯が敷き詰められた通路の先で、ユーノは自分の部屋の前で壁に
寄りかかっているなのはを見つけた。
「どうしたんだい、なのは。僕の家に来るなんて珍しいね」
「そう、かな。……お疲れ様」
ユーノは玄関の魔法式の鍵を解き、なのはも中に招かれた。
リビングに進んだ時、ユーノは背中に唐突な衝撃を与えられる。
なのはがユーノの服を握り、額を彼の背中に押し付けていた。
「このままじゃ、ユーノ君が壊れちゃうよ」
ユーノは純粋に当惑した顔をした。
「別に、平気だよ。大丈夫。心配してくれてありがとう」
なのははユーノから手を引き剥がされ、振り返ってきた彼の薄暗い顔をぼんやりと見つめた。
事実、ユーノの表情には疲れの欠片も浮かんでいない。
そこにあるのは、仕事という人生の充実感を得た男の顔だった。
ユーノの健常な雰囲気を前にして、なのはは思い知らされてしまった。
「ユーノ君の中にあるわたし自身以外の何か」が今、彼女の胸の中で不吉な形貌を呈していく。
全て杞憂だった。今、ユーノは心身共に最も満たされた状態にある。
それがどうして自分の胸をこんなにも圧迫するのかわからず、なのはは明かりのついていない
リビングに佇むだけだった。
「変わらなくちゃ、いけないと思うんだ」
「は?」
目を瞑って囁くなのはは、思い切ってユーノに抱きついた。
今度は前から加わるなのはの重みを、ユーノは数歩たたらを踏んで受け止める。
勢い込んで行動してみたものの、なのははそれに伴う実感が沸いてこなかった。
体感的にユーノの感触はあるが、何故かそこには最も大切なものが欠けている気がした。
「なのは……何かあった?」
「ユーノ君の方こそ、何かあった?」
「……。何も無い……かな。はは……何も無いや。何も、何も……」
二人とも、その短い返答に混濁した意味が渦巻いている気がした。
「うん。わたしも、何も無い。何も無いの」
破滅の亀裂だけしか。
ヴィヴィオという愛娘、円満な人間関係、魔導師としての才能。
なのははユーノの背中に腕を回し、きつく抱き締めた。その腕の合間から、名称もわからない
何かが滑り落ちていく。
近すぎるが故の二人の空白が、互いの心を氷結させる。
いつしか無限書庫はユーノの子宮になっていた。
そこには誰からも得られない知識があった。厖大な文明の面影があった。
何の束縛も無い、色彩豊かな世界の側面が、知らず知らずのうちに、ユーノという恰好の胎児
を永久の母性の海に閉じ込めてしまったのだ。
幼くして肉親を喪った彼は、いつしか無限書庫という無窮の箱庭に没入していた。
『オマエタチはもう要らない。これ以上この子を苦しませないで』──愛しい我が子を身を挺し
て守る母の如く、無限書庫から敵愾心を向けられている気がして、なのははそんなユーノを自分
の傍に繋ぎ止めようと、きつく抱き締めた。
しかし、ユーノがなのはを抱き締め返す事は無かった。
(明日……消えちゃったデータの復元と、後は……)
なのはの温もりを感じながら、ユーノの心は虚ろな彼女への情感で凍てついていた。
白い敷布の上で、なのはが艶かしく呻く。ユーノの舌がなのはの木目細かい肌を滑り、粘つく唾液の跡を刻む。
荒い呼吸を深い口付けで塞ぎ、赤い粘膜を絡め合わせた。
「ん、は、ぁっ……」
なのはは一糸纏わぬ姿でユーノの舌を受け入れ、何かを掴み取ろうと更に顎を仰け反ら
した。
ユーノに弄ばれる胸も、重なり合う脚も、彼の頬に当てる掌さえも、灼熱の冷気に染まっていた。
どうして? どうして? なのはは浮遊感に包まれた頭で必死に答えを探すが、素直な刺激に
暗転した思考は何も応えてくれなかった。
薄く照ったなのはの秘裂へユーノ自身が押し入っていく。
生まれて初めての異物感に、なのはの襞は音が立つくらいに痛みを訴えてきた。
閉じていた目を開くと、心ここにあらずといったユーノの顔が待っていた。
「ぁ……」
なのはの最後の望みは、二人の結合を示す赤い涙となって散る。
(もう、駄目なんだ……全部全部、終わったんだ……)
痛みに耐え、慣れない中でも、なのはは声を上げた。
それはユーノにとって、翼をもがれた天使の悲鳴や嘆きにも聞こえた。
やがてユーノがなのはの中へ滾りを解き放つ。
なのはの中を満たす熱い放射は、二人の追憶の残骸となって外に垂れ流れた。
/
心地よい無重力。深部に沈むと、何の煩いも無い静寂が全身を包み込む。
耳鳴りが起きそうな程の安らぎは、今日もユーノを優しく抱擁する。
ユーノはこの果ての無い螺旋空間を、何処までも堕ちていった。
どこまでもどこまでも──誰の心も届かぬ深い羊水の海の奥深くへと──。
『ズっとずっト、ワタシのソバにいてネ、ユーノ』
時空管理局の中には、真実を知る者は誰もいなかった。
禁忌のロストロギア・無限書庫は、知識という養分を胎児に与え──
終わりの無い母性の檻で少年を身篭り続けていた。
以上です 色々と強引な内容ですみません
>290
乙。
ああ、凄く……わかります。
あそこは、ただのロストロギアじゃ無かったんだな、と、納得がいきました。
>>290 gj
まるで栄養を与えすぎて腐っていく野花のように思えた
GJ
とりあえず外部のバカは死ねと言いたい
>>290 いやいや、GJ!
情景が簡単に浮かんだぜ
超亀だが…
>>206 それ大好きなんだありがとよwww
いいじゃない!まぐれ!www
>>390 ぐっじょっ!そうか…無限書庫自体がロストロギアなのね……妙に納得
>>290 いやあ修羅場の図書館の業務改善がリアルですごい。もしかして体験談入ってる?(w
有給休暇って大事だよな。
>>296 俺が運用やってるシステムの開発部門もあんな感じだ…
ザッフィー派ってほんと少ないな
あんなに渋くてかっこよくてかわいいのに
そうだよな、あんなに渋くてかっこよわくてかわいいのに
>>290 どう見てもワーカーホリックで中間管理職です。
本当に(ry
つか管理局に労働基準法はないのかよッ!?
まじ原作でそういう描写がありそうで、なのはさん不憫w
職人GJ!!!!!
>>298-299 だよな〜
あんなに渋くて見せ場が少なくてかわいいのに
ザッフィーは個人的にシグナムとがいいなぁ。
「石頭だな、シグナム」
「ッ、お前にだけは言われたくない!」 みたいな。いやまんま某ゲームだけど
シャマルやアルフとの組み合わせも好きなんだけど
>>290 GJ。騎士よ眠れの方かしら?
このユーノには中野の古書店主が必要だな
>>290 GJ
しかしなのはさん、あっさり引き下がりすぎ
あの不撓不屈の魔王ぶりはどこへ行ってしまったんだ
つーわけで、なのはさん、連邦のエースと並ぶもうひとりの「ホワイトデビル」から激励を
「あきらめたらそこで試合終了だよ」
_____
,. ‐''三ヾ´彡シ,=`丶、
/'".:=≡ミ_≧_尨彡三:ヽ、
//.:;:彡:f'"´‐------ ``'r=:l
/〃彡_彡′,.=、 ̄ ̄ ,.=、 |ミ:〉
'y=、、:f´===tr==、.___,. ==、._ゞ{
{´yヘl'′ | /⌒l′ |`Y}
゙、ゝ) `''''ツ_ _;`ー‐'゙:::::l{
. ヽ.__ ,ィnmmm、 .:::|!
,.ィ'´ト.´ ´`"`"`゙″ .::::;'
イ´::ノ|::::l \ "' :::/
::::::::::::|:::::l ヽ、 ..:: .:::/.、
:::::: ::: |:::::ヽ ヽ、.......::::/..:::/!\\
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>>302 ……あの人、むしろ喜んで無限書庫に籠らないか?
>>304 だからこそじゃね?
定員、と言うと何か違う気もするが、
新たに囚われた人間が現れるとその前の人間は解放されるとか。
>>305 それなんて日が暮れるまでに使い切って?
あのユーノは憑き物落さないと、SLBで
「この世には、不思議なことなんて何もないんだよ、なのは。」
「ユーノ君、今度は何に影響されたの?」
読む本読む本に影響されるノリノリなユーノ君とな。
ユーノの師匠として中野の古書店主そっくりなオリキャラを妄想したことのある俺参上
みんなそろそろ帰ろうか……
>>306 ユーノ君、ちょっと記憶失うくらいに痛いの、我慢できる?
というか、読む本読む本に影響されるリリなのキャラ・・・・・・。
先生、なのはさんが
『当たればいいんだよ、当たればね。当たればそこを破壊する。』
当たった箇所=急所となる某松尾さんななのはさん・・・・・・。
スレ読んでて思った事
ユーノはもう紙使いにでもなればいい
ユーノは15歳時点で司書長だった、昔はもっと忙しかったのかね。
>>313 1.昔に比べれば部下が増えた/部下の能力が上がったので楽になった。
2.無限書庫の有用性が知れ渡ったせいで資料請求が増えてさらに忙しくなった。
どっちも考えられるな。 SS書くなら好きなほうで妄想していいと思う。
>>311 京極夏彦という作家の代表作「京極堂シリーズ」の主人公・中禅寺秋彦の事。
「言霊」を巧みに操り、人の心に巣くう妖怪を祓う陰陽師探偵。
「この世に不思議な事など何もない」という持論を持った活字中毒者。すっげぇ毒舌。
ミステリー好きなら、読んで損は無い。
めっちゃ分厚いけど。
まぁ何だお前ら。
ユーノが好きなのは分かるがここはユーノスレじゃない。
ユーノで語るのならユーノスレで語ろうぜ。
というわけで俺は一足先にユーノスレで待ってるぜ。
ほんとエロくないのばっかりだな・・・
ユーノスレ?ってどこ?
ゼスト隊壊滅時の回想で
メガーヌとクイントの二人が囲まれた後に暗転して二人がどんな感じに痛めつけられたかは謎のままだけど
宙を舞う生体ケーブル。メガーヌさんだけでも逃がす為に奮闘するクイントさんだが敵の数が多すぎガジェットのレーザーが足を撃ち抜き
痛みから転倒したクイントさんに絡み付き濡れてない状態でBJと処女膜を(あるか微妙だけど)貫くを生体ケーブルのキツい一撃。抵抗すればケーブルの鞭の様に使い滅多打ちに
クイントさんが身体を張って切り開いた退路から逃げたメガーヌさんも囲まれ響き渡る悲鳴
そしてクイントさんの死因はガジェットによる過剰な陵辱と責めによるショック死だった
って言う何かとシャレにならない妄想をした事がある
我々ガソンナニ強ケレバドレダケ良カッタコトカ
悲シイケド我々、ヤラレメカナノヨネ……
生産性と局地的物量で押せるのがメカの強みなんだぜ。
八年前の当時なのはさんですら撃墜したIV型なんだから
クイントさん達にあんなことやこんなことが可能でも不思議ではない。
>>321 ヤられメカ・・・・・・ゴクリ。
俺はノンケどころか無機物だって喰っちまう男なんだぜ?
幼女の次はメカですかw
ザッフィー自重してw
ついにダッチドローンにまで手を出すとは…
非エロシリアスは投下しない方がいい流れか?www
よし、|∀・)ダレモイナイトウカスルナライマノウチ
とりあえずNiceBoat.ありがとうございますwwww
しかし、ティアナが人気か…2日も付き添えるほど暇じゃないわヴォケとか言ってた脳内フェイトに感謝(ちょ
本人はキャロキレター!とかRiotコター!と喜んでるからいいんですが。ちうかそれが目的だしw
しかし今見直したらRiotはザンバーかブレイドしかでてなかった……まあ多めにみて…あげてくだs(ターン
さて今回で一応の終点ですが、長々と書いてきたのには理由があるので、そのせいでちょっと重いかもしれません。
基本的には、大丈夫です。エリオもキャロも強い子ですから。
ワンカットだけ、少しきついのがあります。注意。
相変わらずがんがん斜め上に行って帰ってこないんでこれも注意w
あまり好みでない方もいらっしゃるかもわかりませんが。
ほいでは……いきま
〜あらすじ〜
ルーテシアとの楽しい再会のはずが、ど派手に修羅場までやっちゃった挙句、
交わったことまでフェイトにバレてしまったエリオとキャロ。
エリオはどちらを選ぶのか?2人の恋の行方は?
そして、狂った歯車と純粋な魔物の正体とは――
2人の長い旅もやっと終着駅です。
[エリキャロ][ちょい重、エロなし][リリちゃクロス]
すっかり陽の落ちたコテージの一室でごく普通の蛍光灯の下、小さい椅子に座らされているのは窓際から順に、エリオ、キャロ、ルーテシア。
まさに尋問前の犯人よろしく、俯きがちに黙ったまま、誰も一言も喋ろうとはしない。
記録係ではないが、机の隣りに座ってフリードと一緒に成り行きを見守っているティアナ。
久遠に至っては、怯えてどこかに隠れてしまっている。
そして――本職よろしく、険しい表情のままゆっくりと3人の前で往復を繰り返す、フェイト執務官。
ある所で、ふぅ、と立ち止まって小さく息を吐くと重く口を開いた。
「――でー、なんでこんなことになったかはー、さっきので大体分かったから聞かないけど…なんで怒られるかはわかるよね?」
「はい……」
エリオが小さく答えたが、擦り傷だらけの2人は黙秘であった。
「まず、エリオとキャロ…。繋がったって言うのはSEXしたってことでいいかな?」
SEX、の部分を出来る限り無感情に無機質に発音するように努めつつ、淡々とした口調を心がけてはいたが、
実は、若干歯が浮くような抵抗があったことは彼女の名誉の為に、ここでは語るまい。
「はい……」
「ごめんなさい……」
エリオに続けて、小さくキャロも謝るが――流石のフェイトもお叱りが若干感情的になる。
「あのね、よくないことってわかってるでしょ?ふたりとも」
「……」
「……」
「それに、黙ってたことも、相談もなかったことも、私にとっては――それが凄く悲しいんだ。いってること…わかるよね?」
「はい……」
「はい……」
「まあ私に相談してたら、絶対止められるってわかってたから言わなかったんだろうけど……もういいや、それは。
で…いつの話なのかな?やっぱり、一昨日のホテルのダブルベッドかな…?」
そうであれば余りにも不用意であった自分のせいでもある。怒ったとはいえ、そうだった場合は自身の非を認めるつもりだった。
「い、いえ」
「初めては…一年前ぐらいです」
キャロの言葉に、尋問側は目を丸くする。
「い、一年前って……一体どうやって……キャロはともかくエリオは……?」
「その……シャマルさんにお薬をもらって……」
「え、ちょっとまって。そんな過激な薬、誰が許可を出したの?」
「あの……八神部隊長が……」
「あの京都風お好み焼きめが……!」
意味の分からない台詞と共に、ちりちりと体に電流を纏わせるフェイトに、その場にいた全員がびくっとしたのは言うまでもない。
ちなみに実在する料理である。いや、全くもってどうでもいいことだが。
あとで小一時間といわず問い詰めてやる――、とぶつぶつ言いながら、しばらくしてようやく怒りが収まったのか、
はー、はーと大怪獣の如き息を落ち着けてから、ダークモードでお説教を再開する。
「それで……理由はなんて?」
「あの…………胸が大きくなるんだったら、なんでもばんばん――て」
ピキッ、と音がするはずはないのであるが、その場に居た全員は確かにそれを聞いたとしか思えないほど、フェイトの表情が強張る。
もう今すぐにでも速攻転送で地上本部のはやてのところまでぶっ飛んでいってしまいそうな勢いであった。
「わかった――、あとでちょっとお話しとく」
ミッドチルダの方言でちょっとお話、とは肉体言語で語ろうか、という意味である。嘘だが。
しかし、この場合残念ながら嘘にならない。某誰かさんと親友であるが故の仕様である。
だが、なんとか怒りを抑えつつ、とりあえずはこの場であった。
「その一回だけ?」
「いえ、この間……なのはさんのご実家に泊めて頂いた時にも…」
「あー……全く……この子達は……」
額を押さえながら、軽い眩暈を覚えつつ、尋問を止めるわけにもいかない。
「……その、2回だけ……?」
「はい……」
「まあ……過ぎたことはしょうがないんだけど、避妊もしないで……。自分の体のことも、ちゃんと考えないとだめだよ?」
「はい……」
「エリオも……キャロから誘われたら断れないだろうけど……ちゃんと相手のこと、考えてたら……わかるよね?」
「はい……」
「うん、はい。とりあえずこの話は、またあとで。で…こっちはそこまで悪いとは言わないんだけど」
今度のお叱りの対象は、勿論、超低レベル魔法戦を繰り広げた2人である。
「まだ隔離中だとか喧嘩に魔法を使ったとかは、目をつぶるにしても……。
ルーテシアちゃんも、もうちょっとキャロのこと、考えてあげないとだめだよ?」
「はい……ごめんなさい」
「それからキャロも、いきなり魔力弾とか撃っちゃ駄目。まあ魔力スフィアなんて使い慣れてないから、危なくないのはわかるけど――」
「ごめんなさい……」
「うん、でもね、それはとりあえず、いいんだ。大事なのは――ここから」
そう、当然この話の行き着く先は、窓際で悲しそうに床を見つめている諸悪の根源の赤い髪の少年、エリオしかいない。
全員の視線が集まる中、フェイトは問いかける。
「あのね、エリオ。言いにくいとは思うんだ……けど、聞いていいかな」
「はい……」
「ルーテシアちゃんと、キャロ、どっちが大事?……両方でもいいけど」
「僕は――」
視線は床の上であったが、彼も元六課メンバーのはしくれである。
「勿論、シアも大事ですけど……キャロのことだけは、何があっても守りたいと思ってます」
「そっか……」
だん、と椅子を倒しながら立ち上がったルーテシアは、そのまま奥の廊下へと走り去った。
「……ごめん、ティアナ。あとお願い」
「……はい」
フェイトが後を追って部屋から消えると、ティアナは仕方なさそうに机に頬杖をついたままため息をつく。
「まったく、やるのは勝手だけどさ、フェイトさんにばれないようにやんなさいよ」
「はい……」
エリオは、未だに床をじっと見続けている。
その横顔が心配になったのか、そっとキャロが立ち上がって静かに肩に手を乗せたのだが――
かなり優しく、しかし、確かに手を持って外された。
「ごめん、ちょっと考えさせて……」
「うん……ごめん。おやすみ……」
そのまま、とぼとぼとでていくキャロとフリードにティアナもおやすみを言ったが、返って来た声はひどく小さかった。
耳が痛くなるほどの静謐な部屋で、沈黙だけが通り過ぎるが、しばらくしてようやくエリオは呟く。
「なんで……こんなことに……」
一度だけ深く想いふけるように瞼を閉じたティアナはゆっくり目を開くと、彼女なりの言葉で教えていく。
「……あのね、女の子にとって優しさってのは、最高の薬になりうるけど、最高の毒にもなるのよ?
誰でも彼でも優しくすればいいってもんじゃないってこと。今回のでわかったでしょ」
「はい……」
「全く、2人とも傷つけて、自分も苦しんで。なにやってんだか……」
「……」
「まあ、さ。ルーテシアさんを楽しく遊ばせてあげたかったのもわかるし、キャロが大事なのも結構だけど、
ちょっとは考えなさい、女の子の気持ち。無神経過ぎるのも罪なんだから」
「はい……」
「なんにせよ、正直私の居ないときやって欲しかったわ……もうぐったり」
机に突っ伏してくれたティアナのおかげで、さすがに雰囲気が多少は緩む。
「……ごめんなさい。そんなつもりじゃ」
再び起き上がって、睨まれる。
「だいだいさぁ、なんであんた達が修羅場ってんのよ?元六課メンバー最年少よ最年少。
私らに浮いた話もないってのに、どうなってるのよ?こんなのが知れ渡ったらあんた達、歩くのも恥ずかしいわよ?勿論喋るけど」
「あ、いえ……それはまあ、仕方ないですし」
「あのねえ、そもそも――」
延々と愚痴りモードに突入する。よほど巻き込まれたことが腹に据えかねていた様子である。
普段の話はともかく、いつの間にかスバルやら六課やら昔の話にまで遡り、何故か時々ヴァイスとか言う名前も混じるが、
だがしかし延々とキャロの相手をしている彼であったから軽く聞き流すのは割と慣れていて、愚痴る側も少しずつ軽くなっていく。
そのうちに、少しだけ落ち着いた表情でフェイトが戻ってきた。
勿論、エリオが真っ先に気になるのは部屋を飛び出していった彼女のことである。
「あの、フェイトさん、シアは」
「ん、大丈夫。私の部屋で眠ってる」
「そう、ですか……」
「少し……ううん、かなり泣いてたけど」
「はい……」
確かにフェイトの制服の腹部の辺りに見て取れるほど、涙に濡れた跡がある。
その人も黙り込んでしまう彼の隣りのキャロが居た席に、長い脚を投げ出しながら座った。
ようやく怒りも収まったのか、少しだけ悪戯っけも戻る。
「しかしエリオも、隅に置けないね」
「あんまりからわかないでください……もうこういうのは二度と嫌です……」
「うん、今度からは気をつけよっか」
「はい……」
「でも……エリオももうちゃんと男の子なんだね」
「フェイトさん!」
「あはは、ごめんごめん。エリオももう、部屋に行っていいよ」
「はい……少し、考えます」
「うん」
子供達の去った部屋で、保護者達だけが残される。
「大人になるのって、早いんだね……」
「いえ、ちょっと……というか、かなり例外だと思いますけど……」
「そう、かなあ?」
「そうですよ」
今回の件に関して、ようやく客観的に語り始める2人。
ここまでであれば、よくある、とまでは言わないが、少なくとも日常の一風景でしかなかったのだが――
それは凄い勢いでエリオがフリードと共に戻ってくるまでであった。
「フェイトさん!キャロが!」
「えっ?」
「早く!」
慌てて駆けつけた3人が廊下からの光に浮かびあがったのは、虚ろな瞳のままベッドに腕を投げ出したキャロ。
そしてそのベッドは――
幾筋もの赤い線が走る両腕から流れ出る血で真っ赤に染まっていた
「きゃ、キャロ!?」
足元に落ちている果物ナイフ。
顔色を失ったフェイトが、血にも構わず慌ててキャロを抱えあげる。
「エリオ!着替えもって!ここからだと本局が近い!転送いくよ!」
「は、はい!」
「ティアナ、あとおねがい!」
「はい!」
「いくよ、転送!」
物凄い剣幕で本局の医療施設に飛び込んだフェイトの話が、書類仕事を片付けていたクロノの所へ届いたのはほぼ必然のことであろう。
診察室にいつものアンダースーツ姿で彼が入ると、制服に派手に血をつけた妹が駆け寄ってくる。
「お兄ちゃん、キャロが、キャロが!」
「まあ、落ち着け。今診て貰ってるのか?」
「うん…」
不安そうな瞳を彷徨わせていると、初老の白髪と銀縁メガネの医師が、エリオと共に入ってきた。
「先生、キャロは!?」
「ああ、処置が早かったので大丈夫ですよ。念のため、少しだけ輸血しておきましたが」
「は………よかった」
へなへなと床に座り込む。
「まあ、お座り下さい」
フェイトがクロノに引っ張りあげられながら椅子に座ると、男性陣2人は脇にあったベッドに座った。
「割と血がでていてびっくりされたでしょうが……」
「はい……それはもう……」
「発見もかなり早かったようですし、大丈夫ですよ」
「はい……」
「傷はそんなでもないので、入院も必要ないんですが……
問題はそれよりも、あれはあの子が自分で切ったんですか?」
「はい……多分そうだと思います」
ふむ、と銀縁の中の目が少しだけ歪んだ。
「まあ傷を見ればすぐに分るんですがね……何か思い当たる節は?」
「ええと……実は直前にかなり叱ってしまってて……」
「ふむ、原因は何で?」
「エリオ――この子を巡って、仲の良い女の子がいるんですが、喧嘩したんです。取り合いみたいになっちゃって」
とエリオに視線を向けると、当人も割と青ざめたままであったが、しっかりと顔は上げていた。
「それだけ?」
「いえ、それであの子とエリオがSEXしてたっていうから、それも」
思わずクロノが隣の赤い髪をぐりぐりと小突く。
「おまえ……そんなことしてたのか」
「す、すいません…」
「まあ……するなとはいわんが……しかしお前らまだ11歳だろう。少しは考えろ」
「11歳?君がその相手をしたのかな?」
医師が話を戻すと、はい、とちゃんと頷く。
「それは、いつの話かな」
「1年ぐらい前――JS事件が終わったすぐ後ぐらいです」
「ん?その頃は10歳か。よくできたね?」
「あの、薬をもらって……」
「ああ、あれか。全く、局内であれを野放しにしているのはどうにも信じがたいものがあるんだが……
半ば軍隊組織に近いから致し方ないとはいえ……と、すまない。少し脱線してしまった。
10歳で性交、で今回はリストカットですか」
そこで一息入れると、あっさりと結論を告げられる。
「ボーダーかもしれませんね」
「はい?」
聞きなれない言葉に、全員が耳を疑う。
「境界例……とこの呼び方は良くないですが。境界性人格障害、と呼ばれる、まあ心の病気です。簡単にいうと見捨てられ不安、といいますか…」
「え?境界例?それって赤ちゃんの育て方のお話じゃ……」
「病気の原因は乳幼児期の過保護もありますが、その他にも両親の死別や、死の恐怖によるトラウマなども原因になりますから。
確かあの子は孤児で、昨年は機動六課のフォワード部隊に所属してましたよね」
「はい……確かに何度か危険な目にもあってます。ついこの間も、テロに巻き込まれてますし……」
「まあちゃんと診断してみないとなんともいえません。精神分析は時間もかかりますし、このお話はまた後ででよろしいですか?」
「はい……」
ありがとうございました、と礼を言って診療室を出た3人だったが、呆然と立ち尽くす。
特にフェイトは、ショックが大きかったのか壁に背を預けて天井を見上げたまま、動けなかった。
しばらくしてようやく背を離したが、まだ信じられないようで、少し首を振る。
「なんで……?信じられない……私達が10歳の頃にはもう普通に……」
「お前らと一緒にするな」
「だ、だって!」
「ルシエ嬢は、飛行も放出系も苦手だろう?確かに召喚の能力はすでに完成していて凄まじいが、所持ランクは陸戦Cだ。
気楽に飛んだり跳ねたり撃ったり避けたり出来るほど、融通が利くわけじゃない。そんな中であの事件だ」
「あう……」
「無理や無茶、してなかったって言い切れるか?」
「うう……」
「まあ、少し落ち着け。飲み物でも買ってくる」
「うん……」
クロノの姿が通路の角に消える。
「……はあ、やっぱり駄目だね、こういうことは男の人がいないと……」
「はい……」
「……どうして、気づいてあげられなかったのかな」
「フェイトさん……」
「保護者失格だね、私」
「違います!フェイトさんはいつもしっかり優しくしてくれてます!」
「……ごめん、エリオちょっと肩貸して」
「はい?」
返事を待たずに、しゃがみこんで額を静かにエリオの肩に押し付けた。
「フェイトさん……?」
「結局、私は、いつも一緒にいてあげられないし、やっぱり母親じゃないし、キャロの心に負荷がかかってるのにも全然気づかないし」
金色の髪の下からくぐもった声が聞こえてくるが、反応のしようがない。
「私なんて自分勝手で、結局エリオとキャロに助けられて、私はそれに甘えてて」
「フェイトさん」
そこで肩から離された頬には、ぽろぽろと雫が零れ落ちていた。
「手首切るまで気づかなくて、あの子が1人で悩んでたのに何もできなくて、それでも笑顔でいてくれたのに」
「フェイトさん!」
「ひどい母親だよね、私。2人の側に居る資格なんて――」
自虐の止まらない唇が目の前にあった為か、何も考えずにエリオは唇を重ねて塞いだ。
「ん…」
勿論、母親を慰める心からの静止を篭めた、子供としての立場のキスであったのだが――
経験のないフェイトにもはっきりと分かるほど、悪い意味で上手だった。
幼い側の方がしっかりプラトニックを貫いているのに、されている方は半ば本気で気持ち良さに浸りかける。
金色の髪を優しく梳く指が、涙が止まったのを感じて止まると、顔を離してふっと歳相応の少年らしく全く照れずに微笑んだ。
「フェイトさんは、笑顔の方が可愛いですよ」
「はううう……」
そのまま真摯な表情で語りかける。
「キャロのことは、僕に任せてもらえませんか。どんな病気でも必ず、治してみせますから」
「エリオ……」
「女性だから仕方ないかもしれませんけど、フェイトさんはすぐ感情的になってあまり役に立ちそうもありませんし」
「うぐあっ!?」
「大丈夫です。これは僕達の問題でもあるんですから。お願いします」
「分かった……エリオに任せるよ」
「はい……あの、キャロの側にいってあげてもいいですか?」
「……うん。お願い、するね」
「はい。では」
たっと2、3歩走りかけたエリオだったが、一度だけ立ち止まって悪戯っぽい笑顔で振り返る。
「フェイトさんも、まだまだ子供ですね」
「も、もう!この子は!」
走り去る少年の後姿を見送ってから、はぁ、としゃがみこんだまま、改めて落ち込んでいると――
「全く、どっちが小学生だかわかったもんじゃないな」
後ろの角から兄の声が遠慮がちに届く。
「おおおおおお、お兄ちゃん!いつからそこに」
「お前が生まれる前からだ」
そういって歩み寄るとぴたっと、アイスコーヒーの缶をフェイトの頬に当てる。
「あうっ」
壁に背をもたれかけさせるクロノに倣って、やっと立ち上がると、隣で缶の蓋を開けた。
一口飲んでから一息つくと、もう一度問いかける。
「……どこから、聞いてた?」
「可愛いですよ、のあたりだったかな」
「はううう」
今頃になって激しく真っ赤になる。
「全く、息子に慰められててどうするんだ」
「うん……だめだね、私」
「まあ、兄としては少し寂しくもあるのだが」
「あ、ご、ごめんなさい……」
「いや、気にするな。詮無きことだ。しかしまあ……任せていいんじゃないか」
「うん……そうだね……」
「あと、あまり思いつめるな。ルシエ嬢が追いつめられてしまったのは、お前だけのせいじゃない。俺達全員の責任なんだから」
「うん……ありがとう。お兄ちゃん」
やっと少しだけフェイトは微笑んだのだが、ここまで連射されていたお兄ちゃん、の威力がまとめて今頃届いたのか、激しく照れる。
「まままま、まぁ、ででで、できるかぎりのことは、し、してやらないと、いけないけどな」
「うん、そうだね」
くすくすと笑われる兄と、仲の良い妹は、やっとここでいつも通りに戻ったのであった。
翌日の診断結果は、やはり境界性人格障害で間違いないという結果になった。精神分析もだが、状況があまりにも症例通りだった為である。
原因は、幼児期から孤独で実験動物の様に扱われていたことや、六課での戦闘、先日のテロにおける死に直面してしまったトラウマ、PTSD。
症状としては、性的欲求、それから自殺願望、隷属性、輪姦趣味――また頑張りすぎてしまう性格等、該当する部分はかなり多かった。
そして腕を切った、リストカットの直接的な原因は、エリオの拒絶もあったが、「大好きなフェイトさん」に頭ごなしに怒られたことが
大きかったらしく、自分のなかで自身の全否定に繋がったらしい、と言われフェイトは改めて落ち込む羽目になる。
本人にも病気のことは伝えるのだが、全く納得せず入院も薬もいらない、海鳴に帰ると言って聞かない。
エリオが一応心構えと対処の仕方と薬を受け取るが、何があってもルーテシアの見送りだけはすると言うので、仕方なく連れて行くことにした。
いつもの民族衣装のローブ姿のキャロと一緒に、フェイトとエリオもヘリの隣で待っていると、
これもまたいつも通りの長めの紫色を纏ったルーテシアがティアナに連れられてやってくる。
それなりに話を聞いていたルーテシアは、キャロを見つけると心配そうに駆け寄った。
「キャロ……ごめんね」
「ううん、大丈夫。気にしないで」
両の手を差し出し合うと、キャロの腕に巻かれている白い包帯が露になった。
ぎゅっと強く手を握り合って、じっと見つめあう。
「また……遊びに来るね」
「うん!」
「エリオも」
「うん」
少しの沈黙の後、エリオの唇を一瞬だけ奪って身を翻した。
「ばいばい」
ちょっと照れたエリオにキャロが少しだけ不満そうにするが、そこで何か騒動を起こすということはなく、
ヘリの中に乗っていくルーテシアを笑顔で手を振って見送る。
「では、フェイトさん、私も彼女を送ってから本局に戻ります」
「うん、お願いね。ティアナ」
「はい……キャロ、エリオ」
「はい」
「はい」
「よくわかんないけどさ……頑張んなさいよ」
「はい」
「ありがとうございます!」
「じゃあね」
ぴっ、と軽く指先を額に当ててそれに倣った3人に見送られながら、彼女もヘリに乗り込むとすぐに羽が回転を始めて、飛び立って行った。
回転翼の音が静かに響いてくるヘリの中で、遠ざかっていく3人と地上を眺めてティアナだったが、
隣のルーテシアの位置からは見えないことに気づく。
「あ、見えるように場所かわ――」
振り向くと、ルーテシアのぎゅっと握り締めた白い手の甲に大きな雫が落ちていた。
「……大丈夫?」
「大丈夫……です」
そっと差し出されたティアナの手を押し返して、声もなく唇をかみ締めたままぽろぽろと涙を落としていく。
「薬にも毒にも……か」
感情を貰ってしまったティアナが、ごまかす様に少しだけ濡れた瞳を窓の外に向けると、
彼女の頭にもまた、昔六課に居た頃、優しくしてくれた誰かさんのことが思い浮かんだ。
転送で直接送ってもらった2人と一匹は、海鳴の海岸公園で自信喪失中の保護者と別れて、
高町家に辿り着く頃には玄関に差し込む光もかなり黄色くなっていた。
静かに玄関をあけると、いつも通り気配に気づいた青いジーンズと白い長袖姿の美沙斗が出迎えていてくれていた。
「美沙斗さん、ただいま帰りました」
「……おかえり……エリオ、キャロ」
「ただいまです」
「ん……この……怪我は……?」
荷物を持っていた腕に白い包帯が巻かれているのにすぐに気づくのは、生業のせいもあろうが、
低い玄関のおかげで目線に入りやすかったこともあろう。
「……美沙斗、さん……」
「……うん?」
「み……さ……」
一筋、涙が流れると、そのまま彼女の体に抱きつく。
「……キャロ……ちゃん?」
「はう……うっ……うっ……」
ぎゅーっと抱きつきながら、静かだが激しく泣き始める。
その泣きようは10年分の涙全部と言わんばかりであった。
静かに頭を撫でられると、余計に顔を押し付けて感情を吐露していく。
「……みさとさん……みさとさん……」
何度も息を吸い込みながら、嗚咽を繰り返す。
そしてその度にぎゅっと腕に力が篭った。
優しく甘えさせている美沙斗ではあったが、事情がわかろうはずもない。
「……エリオ……これは……一体……?」
「ええと、なんていうか……」
リビングでエリオが所在無く待っていると、ぱたり、と扉を閉めて美沙斗が帰ってくる。
「……眠ったよ」
「あ、はい……すいません」
彼女が隣に座ると、ぽつり、ぽつり、とエリオが事情を説明していく。
以前ひどく怖い目に何度も会っていること、その中で出会った友達と喧嘩してしまったこと、
その夜に腕を自傷したこと、そして病気のこと――勿論、交わったこともである。
静かに聞いていた美沙斗であったが、専門的な知識があるわけでもない。
「……よくわからない……けれど」
だが、結局行き着く問いは一つだけである。
「……エリオは……どうするんだい……?」
「僕は……」
一番近しく一番彼女のことをわかっているのは結局エリオ以外にはいない。
治すも治さないも、拾うも捨てるも彼次第である。
「僕は、何があっても治してみせます!」
「……うん……」
はっきりとした答えに頷く美沙斗だが、闇の中で生きてきた過去のある彼女からすれば、
理不尽な問いも必要であることはよく知っていて、厳しいことではあるが当然ありうる仮定を持ち出す。
「……もし……治らなかったら……どうする……?」
「そのときは……」
じっと自分の掌を見つめるエリオ。
「キャロが苦しんで苦しんで、どうにもならなくなったら……そのときは……僕の手で……」
「……そうか」
破りようのない沈黙が支配するが、先にそれを突破したのは、やはり年長者であった。
「……エリオなら……大丈夫さ」
「はい」
僅かな微笑みに、大きな勇気を貰いながら、しっかりと答えた。
翌日、いつも通りに朝の鍛錬をこなし、ゆっくりと起き出してきてくれたキャロと一緒に朝食を取るまではよかったのだが、
朝食後一段落してもう一振り、と出て行こうとした美沙斗にキャロが抱きついて離れようとしない。
美由紀に呼ばれたエリオがキッチンに戻ってくると、まるで3歳児のように美沙斗にしがみついて離れない小さな手があった。
「……エリオ」
ほとほと困り果てたのか、説得も策も尽き果てた様子が表情でもはっきりと分かるほどである。
その隣の小さい桜色の髪に、優しくエリオは語りかけた。
「キャロ、美沙斗さんとちょっと練習してくるね」
「やーだー!」
幼い拒絶に女性2人は戸惑ってしまうが、彼は全く動じない。
「わがままはよくないよ?」
「私の好きなエリオ君はそんなこといわないもん」
「僕の好きなキャロもそんなこといわないよ?」
「うー……いいの?居ない間に手首とか切っちゃうかもしれないよ?死んじゃうかもしれないよ?」
大人2人がびくっとするのも無理はない。
「そんなことしたら、美味しいお昼も食べられなくなるし、美沙斗さんにも会えなくなるよ?それでもいい?」
「うー……やだ……」
「じゃ、ちょっと待ってようか」
「うううう」
優しく説得されて、続かなくなったキャロは最後の切り札と言わんばかりに否定を持ち出すが――
「エリオ君は私のこと嫌いにな」
「好きだよ」
持ち出し切る前に否定を否定されてしまう。
「はう……」
さすがに手を離すと、ようやくそれなりに現実的な回答に辿り着く。
「じゃ、じゃあ練習見ててもいい?」
「……それなら、まあ」
しょうがないね、となんとか苦笑いで落ち着いた美沙斗と共に、やっと道場に移動を開始する。
昼食を終えると、いつか見つけた墓地の裏手にある広く静かな野原に2人で遊びに行く。
繋いでいた手を離して、たったったと走っていってしまう白いワンピースのキャロに呼びかける。
「転ばないように気をつけてー」
「うんー!」
とはいっても柔らかい草の上、軽い少女の体が転がった所でたいしたことにはならないのだが。
振り回す手に肘の近くまで巻かれた真っ白い包帯が緑に映えて、痛々しさが微塵も無く、何故かそれがとても綺麗だった。
やっとエリオが追いつくと、すっと腕を降ろして両の手を組む。
「エリオ君……」
「ん?」
素直な笑顔であったが、続く台詞は似ても似つかないものであった。
「私さ、壊れちゃってるみたいだから、いらなくなったら捨ててね」
「……キャロ」
「あー、できればー、殺してくれると嬉しいかも。ばらばらにして」
「……しないよ、そんなこと」
「ふふっ、嘘つかなくてもいいよ。こんな使えない体の女の子なんていらないでしょ」
「もう……」
「あ、ほら。今ちょっと呆れたでしょ?引いたでしょ?やっぱりいらないよね。ルーちゃんとかフェイトさんの方がいいもんね」
「きゃーろ」
「うん?」
言い放つ言葉と裏腹に、寂しさの宿る瞳の奥をそっと見つめてから、小さくキスをした。
「どこにもいかないし、見捨てたりなんてしないよ」
「えー……」
少しだけ、どうしようかな、と悩んだようであったが、思考は好転しなかったらしい。
「だめだよ、私、きっとエリオ君のこと不幸にしちゃうもん、いっぱいよくないこというもん」
「大丈夫だよ。キャロと一緒に居られないほうがずっと不幸だから」
「ぶー……」
なんでそこでむくれるのか素直に理解できず、苦笑いで答えたが、意外と意味はあったようで、そっと側に近寄ってくる。
「……ほんとに?ほんとにどこにも行かない?」
「行かないよ」
「うん、もしさ、邪魔になったら本当に殺してね。私、エリオ君がいなくなったら、死んじゃうから」
「キャロ……」
「一緒に居て、守りきれなくて、私が死んでしまってもそれでいいから。連れていって」
「うん……」
瞳の奥を見つめると、そこに明らかに狂気の宿った高揚感があって、エリオはわずかに逡巡したが刹那、それを消し去る。
女の子一人幸せに出来なくて、何が騎士か――。
そのまま、彼は目の前の純粋な瞳の魔物を、強く強くぎゅっと抱きしめた。
以上です。っちと総レス数ミスりますたゴメンナサイ・゚・(ノ∀`)・゚・。
症状はもうちょっと書かないとわかりにくいかな…?
最近スレとか同人で安易な例を散見するので、ちょっと長めに。
それっぽくしたつもりではあるんで、読んでくださった方にちょっとでもこの病気の事が伝わればいいかなーと。
興味のある方は調べて見直してみるといいかも。あちこちに伏線は仕込んであります。
Prayの言葉なんかもキャロの台詞はかなり異常です。
最後をエリオが完璧にカバーしてるから溶け込んで見えますが…
(奈々ちゃんの歌詞は滅茶苦茶強いし)
ではまた(?) ノシ
フェイエリの甘エロな小説を待って部屋の掃除をしよう
>>338 GJです
余談として夜叉のような顔して
はやてに止めを刺すフェイトさんはいないんですか?
>>338 読み終わった。
苦しくて切なくて「聖母たちのララバイ」(岩崎宏美)が聞こえた(w
ここまで救いがたい話を作者もしんどかったろうに最後までよく書き終えた。GJ。
追伸
その恐るべき心理描写能力で、つぎはもちょっと気楽なハッピーエンドを書いてくれ(w
>>338 GJ!
欲を言えば境界性人格障害とやらが一般的にどの様な症状を引き起こし、
最終的にどうなってしまうのかも書いてもらいたかった。
キャロの症状が分かりやすい形で表面化したラストまで読まないとエリオの重すぎる覚悟の根拠が分からないし。
>>338 GJすぎます!
ラストがとても良い!!
ていうか実質プロポーズ過ぎて応援したくなるwww
だから10歳のガキを殺し合いの場に出すんじゃないとあれほど(略
チャイルド・ソルジャーは、リアルで精神面のケアが必要だそうです。
漏れに少年兵問題を考えさせる切っ掛けをくれた魔法少女アニメっていったい……
ホント、リアル戦場は地獄だぜフゥーハッハッハッ(AA略
>彼女の頭にもまた、昔六課に居た頃、優しくしてくれた誰かさんのことが思い浮かんだ。
やっぱティアは失恋(?)すか (><)
ん…
>>338 分かりやすく説明しますと、若年の性的欲求、それから自殺願望、隷属性は今まで書いてて、それが症状で、
フェイトの叱咤がトリガーになってリストカットに至る、というのがわかりやすい結果なんですが…
本人がどうこうという病気ではなく、周りが追いつめられる病気なんですよ。ラストみたいに。
で、すごい死とか見捨ててとか言いますが、それが病気そのものなんです。
実は本気ではない、とは言いませんが自分に興味を引いて欲しいが為に過激なことを言うんです。
だから実際は生死に関わるような事例は少ないんですよ。
――ただ言われた方はたまりませんよね。ソースは俺(苦笑
なんで純粋な魔物――と表現してるわけですが。まあ覚悟は半端なくいるんでエリオはそれは聞いてるはずってことで。
入院も薬も使えませんからね。そして入院、投薬拒否も症状です。
まあつまり、最初からすでに病気ってことですね、このお話のキャロは。(下)だけだとわかりにくいです…
10歳児が性交に走るなんて異常ですよ……現実ならですがw
ついでにこの病気の特徴として、周囲に溶け込んで見えることもある、というのもあります。
信頼できる人がいると表面化しないで、ある時に突然――という事態になるわけです。
>>341 あーじゃ、やっぱエピローグ書きましょうか…あふぉなぐらいハッピーエンドですよ。
こっからは反転して都築節になるんでwwではまた来週
>>343 それも医師に言わせるか悩みました、無駄に会話長くなるんでばっさり切りましたが…
失恋……かな?そこはご想像にw
>>340 プロットはあったんですがボツッタノニwまあ置いていきますかwww作成時間30分ww
〜おしながき〜
[般若フェイトvs元セクハラ部隊長][2レス][エロなし(あるわけがw)]
いつも通り、採光の良いよく設えてある地上本部の一室で八神はやては朝のコーヒーを飲んでいた。
八神はやての飲むコーヒーは苦い。リィンUなど一度うっかり口をつけてひどい目に合ったことがあるほどである。
特別捜査官としての出番もまぁまぁあり、新たにアギトというユニゾンデバイスを得たシグナムはただでさえ一騎当千であった強さが
さらに上積みされ、仕事の進捗も頗る順調であった。
書類仕事も気分よくこなし、コーヒーのおかわりどないしよかなー、と悩む所までは日常であったのだが――
来客を告げるコールサイン。
ん?誰やろか…とみると、フェイト・T・ハラオウンの表示であった。
勿論、何も知らないで快諾し、所定の時間に笑顔で迎えたのだが――一応笑顔で入ってきたはずなのに、その幼馴染の雰囲気が何かおかしい。
あれ、どないしたんやろ?と気づいたときには完璧に手遅れである。
「はやて、ちょっとききたいんだけど」
「な、なんやろ…?」
口調も普通で、笑顔なのだが雰囲気が凍るように冷たい。真冬の南極でもここまではないだろうというぐらいの冷たさ。
「一年前にね……キャロから何か相談されなかったかな」
「え……?」
幸か不幸かさしものはやての情報網にも前日に病名が判断したキャロのことはひっかかっておらず、このときはまだ何も知らなかった。
「え、えーっと……」
フェイトの様子と、キャロの相談、というと――思い当たる節が……1個だけあった、しかもとびっきりヤバイ奴。
「あ、あはは。なんやろな?」
とぼける子狸であったが、おもいっきり胸倉を掴まれる。
「一年前に――性のお話を、2人にしたよね――そのあと――何か相談されなかったかな?」
「あー、あったような、なかったような……」
「……ちょっと訓練室いこっか」
「や、かかかかか堪忍やフェイトちゃーん!?」
果たして強制的にBJで立たされているはやてと、真・ソニックフォームでバルディッシュを持ち出す未だ笑顔の――笑顔の般若面の金髪の人。
勿論バルディッシュの形態は――
「Riot Blade」
「ほんま冗談きついわー……」
「じゃ、はじめよっか」
「ああああのなフェイトちゃん」
キンッという音と共にいきなり全力で正面から切りかかられる。
「ひっ」
何とかシュベルトクロイツで受け止めて、下がるがあっという間に壁際に追いつめられる。
鼻先に黄色い刃を突きつけたフェイトの表情は、今度こそ怒りに狂う般若そのものであった。
「なんで――、私に、ひとこと、なかったのかな?」
「あー、いや、そのなんていうかな…」
「前々からずっと言おうと思ってたんだけど……六課襲撃の時は各個撃破のいい的になるし、挙句あっさりヴィヴィオは奪われるし、
主犯は上層部と薄々感づいていたんだし――少なくとも回避できたよねー?指揮官さん?」
「あー、いや、その、な?しゃーな」
ぎり、とさらにバルディッシュの刃が近づく。
「そんなへっぽこ指揮した挙句、キャロに無茶させて――壊れたんだよ、あの子――エリオが頑張ってくれてるから、治るかもしれないけど
そのあと性交に走ったときに教えてくれてれば、自分で腕は切らなくて済んだかも知れないんだよ」
「え、ええ?」
まさかそんな性急な事態になっているとはしらず、目を白黒させる以外にない。
「そんなこと言うたかて、シャマルはカウンセリングは専門外やし……な?」
「じゃあ……何でその後薬を使うことを許可したの…?」
「それは…な」
目を背けたはやての横顔に強い影が宿る。
「私もな……10歳の時に死にかけてるやんか。リィンが逝った時に。もし私にあの時、そういう人がおったなら――
一度でも、って訴えるキャロの気持ち、ようわかるんや……」
「……」
わずかにほだされかけたフェイトだったが、はやての目が悪戯っぽく変わる。
「まあ、今から彼氏に揉んで貰えばさぞでっかくなるやろうしな」
「Riot Zamber」
壁に突き刺さるバルディッシュ。
「そ れ が 本 音 か」
「あああいやいや冗談やて冗談!」
「死ねーー!!!!」
「みぎゃあああああああああああああああ!?非殺傷設定解除とかしたらあかん、あかんてー!!!」
「問答無用!!!」
数分後、訓練室から肩を怒らせて出てきたフェイトとすれ違ったシグナムがテスタロッサ?と声をかけたのであるが、
その彼女すら目に入らずずかずかと歩いて行ってしまった。
何事かと訓練室に行っていると、ぼろぼろのけちょんけちょんになった主が目を回している。
慌ててシグナムが駆け寄ると、わけのわからない台詞を呟く。
「――グレアムおじさんが――おいでおいでしてるのがみえたんや――」
「……まだグレアム殿は亡くなられておりませんよ、主」
「げぼあっ!?」
そして、知ってか知らずかフェイトの好敵手である、シグナムの冷静な突っ込みに止めをさされたのであった。
ほいではまた来週にでもノシ
>>347 乙だったじゃないか……。
そりゃあ保護者としたら、娘同然の10歳児にハァハァ促進剤を渡されたら起こる罠w
GJでしたwww
いくらエリオとキャロが傍から見て相思相愛ラヴラヴつっても、抑えるべき所は抑えて欲しいし。
せめてセクハラチビ狸は、薬と一緒に「ゴム」を渡しておくべきだった……あれ?
>>347 はやてさん(ノ∀`) アチャー
まぁ、自業自得w
GJでしたー
>ゲリラ兵氏
乙です。
本当に重い話になっちゃいましたね。
自分の似非知識ですが、精神病の患者は総じて自覚症状が無いんですよね。
だから本人以上に周りが悲惨な目にあい、
だからこそ症状が重い場合は強制の長期入院ってケースもあるみたいです。
ただし他の人が見ていたりする限り、自殺にまで到るってケースは少ないみたいですけど。
ハッピーエンドはエリオの双肩に掛かってます。
あと気になったんだけど、美沙斗さんはそこまでしゃべるのは苦手じゃないような。
感情表現は苦手みたいですが、とらハ3OVAとか見る限り、普通にしゃべってますよ。
でオマケ話のほうは……
ちび狸元部隊長自重www
キャロの状況を聞いたのに、反省ゼロとは。
本来なら彼女も精神鑑定すべきでしょう(違
本編での無能指揮までツッコまないであげてー( ノД`)
貴方もあっさりトーレとセッテに釣られて……あれ、窓が金色に染まt
部隊長最終決戦で何かやってたっけ?
見せ場が三人の中でダントツに少なかったような気がするんだが 騎士二人の方が目立ってたし
せめてナンバーズの一人とでも戦ってくれれば
あれじゃ少し出番の多いモブキャラだからいる意味無……ん?今ラグナロク何とかって聞こ
クレバーな指揮能力を発揮するパターンで活躍する立ち位置なのに
最終戦の配下(と演出)があれなことをちび狸は恨むべきかと。
それはそうとじんわり重たいのが続いたから、そろそろごりごり熱い熱血バトルはこないものか。
そういや、最近幕間劇の人見ないな。
コミックスの2巻には、なのは&フェイトvsコラード教導官のバトルが収録されてるかな?
読んだら文章化してみたいけど・・・まだ先かなぁ・・・メガミ本誌は、田舎じゃ扱っていないんだぜ・・・
>>347、どっかのゲリラ兵氏
GJ!でした
はやてがどうも、わざとフェイトをはぐらかしている様に感じるのは深読みしすぎ?
キャロ:エリオ=はやて:ヴォルケンズという対比を意識すると、はやてがキャロとエリオの関係を深める後押しをしたのも・・・
何だか、ちびたぬき部隊長が望んで憎まれ役を演じているように見えるんだぜ。
結果は裏目だったかもしれないけど、キャロの気持ちが本物過ぎた結果なんだろうし・・・いかん、文章がおかしい
ともあれGJ!
オリキャラのロダに上げてた人もしばらく見てないな
>キャロ:エリオ=はやて:ヴォルケンズ
上式より
はやて×エリオ=ヴォルケンズ×キャロ…@
また、はやて≒ヴォルケンズであるが、この差を十分に小さいと見做すと等号が成立する
従って、@左式=はやて×エリオ、@右式=はやて×キャロ
つまり部隊長はちびっこ達を一気に自身の毒牙にかけるという一挙両得の計を謀っていたんだよ!!!
3期後のクロノ×エイミィですが、内容はカップリングとは程遠いと思われます
「んっ、んんー……」
明るい栗色の頭が、クロノの間で優しく前後していた。
エイミィは彼の屹立した一物を丹念に舐め上げ、鮮やかな肉色の先端を軽く口の中に咥える。
持ち主が生真面目ならば下の息子の方も実直だった。
官能的な刺激に敏感な反応を示し、妻の唾液に濡れながら更に硬度を増していく。
「久し振りだしね……飲んであげよっか」
淫靡に目を細めて見上げてくるエイミィへ、クロノは気後れした風に少し頭を引く。
「い、いや、別にそこまでしてくれなくてもいいんだが」
思わず堅苦しい本音を口走ってしまい、彼は妻の機嫌が損なった事を目敏く察した。
「んー。どうしてそう遠慮なんかするのかなぁ」
彼の幼い頃から魔導師として仕事一筋で暮らしてきた境遇が、こうした場面で悪因として働いてしまうの
は、エイミィにとっては当然面白くないものだった。
性に対して視野狭窄だったり、頑固に正常さを求められるのは、女として物足りないのが正直なところだ。
度が外れて異常な性癖を強要されるのは以ての外だが、ある程度の冒険と興奮材料は、夜の生活に必要不
可欠ではないだろうか。
(やっぱり男の人って、若いうちに遊んでなきゃ駄目なのかなぁ……。ユーノくんなんてウチの人以上に淡
白そうだし……モグラみたいな生活ばかりで、本気で不能になってそう)
エイミィはクロノへの奉仕を続けながら、不意に頭の片隅でそんな事を考えた。
しかしすぐに雑念を振り払うと、愛する夫に喜んでもらおうと頭の動きを張り切らせた。
「はむっ……じゅるっ……悪い事じゃないんだから、ね、セックスは子供を作る為だけじゃないんだし。貴
方だって、して欲しい事とか、やりたい事とか遠慮しないで言ってよ」
「あぁ、まぁ……そ、それは理解してるんだ。僕だってしたくないわけじゃない」
固定観念というか、良くも悪くも性に対して抑圧を受けてきた青春が、彼のあと一歩本能のタガを外す為
の勇気を阻害していた。
双子の子供もいる二人だが、夜の方は些か発展途上の状態が続いていた。人の嗜好が多種多様な分、どこ
に平均を置くのかは難しい。が、思い切ってリンディに相談してみたエイミィは、義母は自分達よりもそれ
なりに進んだ性生活を送っていた事を教えられ、結果あたし達はちょっと淡白すぎるかなーと日頃の不完全
燃料について真剣に悩み始めたり。
今でも恐ろしいくらい若々しいのはまさか! とその場の勢いで興味本位に問い詰めたところ、リンディ
からは「うふふ」とだけ意味深長に返された。
羞恥心やら情けない気持ちを我慢して、リンディ以外にも近しい間柄から色々と聞き込みを行ったりもした。
相手によっては「あ、あの、わたし魔法少女なので、そういう話題はちょっと! リリカリマジカルちゃ
んちゃらちゃーん」とか意味不明な事を返されたり「あぅ……ごめんなさい、私、そういうのまだだから…
…」とか素で滅茶苦茶気まずい空気になったり「愛や。愛さえあれば万事解決や。私にあるのは書類の山だ
けや……」とか脳不足な仮死状態で応えてきたり「フェレットの僕は人間の生殖行為について何も言えませ
ん」とか殴り飛ばしたくなる理由で颯爽と逃げられたり……忙しいのはわかるけどお前ら揃って非モテ過ぎ
るだろ、とエイミィは昨今の日本のスラングを用いて心の中で呆れ返った。
(ユーノくんだけじゃなくてあんたら全員が不能か! ……でも、お尻の穴はちょっとねー……真夜中の外
とかは、結構盛り上がるかも。でも絶対に反対だろうなぁ。もっと荒っぽくしてくれてもいいのになー。難
しいなぁ、あたしも彼しか経験無いから、やっぱりよくわからない部分も多いし……)
結婚初夜、クロノの方から「で、電気を消してくれっ!」と悲鳴を上げられたのは、エイミィの中で人生
爆笑シーンの不動の上位を確立している。
体外的にはクロノの色欲の疎さが、単身赴任中の大人の火遊びの心配が無い事を手伝っているが、それが
夫婦生活となれば深刻な問題と化す。
現在の住まいである地球、更に日本は性の若年層化が著しい。
中には中学生の時点でコミュニケーション的に性交している、という驚きの事実さえ散見される。
三十代ともなると女は残飯扱いだとか……ガクガク。
そうした日常に密着した外部との温度差が、エイミィの中で焦りというか「これでいいのか?」と不明瞭
な違和感になっていた。
「ね」
一旦口を離し、幹を手で扱きながらエイミィは上目遣いに彼を見た。
摩擦する二つの部位が、ニチャニチャと卑猥に響く。
クロノは「ん?」と目線で彼女の続きを促した。
「舐めてる時は、頭撫でて? 前してもらった時、なんか凄くいい気持ちだったから」
「そうなのか? わかった、忘れないようにする」
外敵を警戒する猫の様に身体を屈ませているエイミィへ、クロノは言われるままに手を伸ばした。
「ん、お願い。……は、む。ん、ふぅ……いつでも出していいよぉ。二回くらい、大丈夫だよね?」
「た、多分、大丈夫だ。頑張る」
エイミィが手で固定しながら裏筋に唇を這わせ、もう片手で愛しげに陰嚢を弄ぶ。
クロノの掌に髪の毛を撫でられ、性感とは違う心地よさに意識がふわっとたゆたう。
クロノは口唇愛撫のどこか背徳的な光景に心拍数を高め、足の間に潜り込んでいるエイミィの頭をじっと
見つめていた。
リンディは数日間本局の方に滞在するとの事で、チビ二人はアルフと共に高町家で世話になっている。
アルフからそう提案してきたので、クロノの帰宅を知って気を利かせてくれたのだろう。
「でも……向こうにいる間、ちゃんとオナニーしてる? 変に溜め込んでも駄目って話だし」
「え? あぁ、まぁ、その……どうだろうな……」
クロノはお茶を濁し、憂い気に聞いてくるエイミィから視線を逸らした。
自己処理をしていないわけではないが、終わった後に重苦しい罪悪感が圧し掛かってくる。
回数や得られる快感は右肩下がりになるばかりだった。
男は一度女の味を知ると野獣に目覚める、と日本の中では広く認識されているようだが、エイミィは夫と
いう例外しか知らないので半信半疑だった。
夜のベッドで気を遣われすぎている。それがエイミィの端的な感想だった。
そうした思い遣りが、逆に敬遠されているのではないかという不安に変わる。
それが普段は完璧なクロノの人間的な臆病さで、自分しか知らないクロノの顔だと思えば女として嬉しい
限りだが、手放しに喜べるものとは言い難かった。
試行錯誤し、切磋琢磨し、お互いの身体を深め合ってきた。そこの過程で重大な踏み外しがあったのだろうか?
雲を掴むような壁に、流石のエイミィの頭脳も歯が立たなかった。
「ん、くっ……あ、む」
エイミィが根本深くまで咥え込む。初めて試みた時は当然巧くいかなかったし恐怖心もあった。
今となっては自らそうしてあげたい、クロノに喜んで欲しい、更にそうする事で自分の大事な箇所が自然
と湿り気を帯びる程に、この行為に対して愛着が沸いていた。
ゆっくり一つになる時間も無い場合、クロノの方から「やっぱり迷惑かな……」みたい顔で口での処理を
頼まれたりすると、益々満足させたいと意気込めるものだった。
(あたしもあたしで、尽くすタイプだねー)
クロノが朴念仁なのは昔から熟知している。
だからこそ尽くし甲斐があるわけで、エイミィはクロノと結婚出来て本当に幸せだった。
クロノの熱い一物が、口の中で脈動する。魔導砲のような猛々しい出力で、暴発した精液が彼女の口腔を蹂躙する。
予想以上の激烈な射精に、エイミィは咄嗟に上体を起こして噎せ返った。
「だ、大丈夫かエイミィ。飲むとか言うから……無理なんてしなくていい」
「んぇぇぇ……濃ぉぉ……」
クロノが寝台の棚に置いてあるティッシュを数枚引き抜き、涙目の彼女の口許に添える。
しかしエイミィはティッシュから身体を背け、モゴモゴと悪戦苦闘しつつ、やがてゴクンと一気に夫の白
い塊を喉に通した。
濃厚な性臭としつこい粘着きが、クロノの性への疎遠を証明していた。
「ほ、本気で飲んだのか……まったく。どこでそんな事を覚えてくるんだ」
交々な感情で、クロノは肩で一息吐くエイミィに引き攣った顔を向けた。
「あはは。美味しくはないけどね。満足してくれた?」
快活に言うエイミィへ、クロノは指先で頬を掻いて俯き加減に「あぁ……」と消え入りそうな声量で答えた。
クロノがエイミィに顔を寄せ、その唇を奪おうとする。エイミィは戸惑って顎を引いた。
「ちょっと、まだ口の中、残ってるから。キスなんて駄目だよ」
「いや、それじゃあ納得いかない」
「もー、変なところで律儀なんだから──んっ」
クロノは舌を押し込み、エイミィの粘膜から伝わってくる自身の臭気に少し顔を顰めた。
しかし持ち前の度量で堪え、口付けを交わしながら彼女を寝台の上に押し倒す。
今度はクロノがエイミィを高潮させていく。彼の指が恥部の茂みを掻き分け、薄い湿り気のある陰唇へと到達する。
「んあっ、はぁ……何だろう、やっぱり相手にされる方が気持ちいいね」
「そういう評価をしてくれるのは、男冥利に尽きるよ」
他人の予測できない動きが、エイミィの身体を汗ばませる。
程好く膣がこなれたところで、クロノが目でエイミィに窺う。
寝台の照明だけで浮かぶ部屋の中で、エイミィは正面の夫に頷いた。彼のそれは既に万端な具合に復活している。
待ち侘びたクロノの硬い肉感が、エイミィの中で満たされる。挿入しただけで彼女の喉が痺れ、高い声を
奏でる。二人の肉体の相性は優秀だった。
クロノが前後に律動を始めた。寝台の軋みが二人の下で伴奏となる。
激しくもなく優しくもない、あくまでそつの無いクロノの動きだが、エイミィの快感は増していくばかりだった。
その愚直なまでのクロノの堅実な往復が、絶え間ない刺激の嵐となってエイミィを翻弄する。
彼は魔導師として体力も人一倍な分に加え、器用さは無いがそれを補えるだけの機転があった。
「はぁ、あう、んん、いいよっ──は、ぅ」
互いに下腹部以外でも隙間無く折り重なり、身体全体で互いの気持ちを高揚させていく。
エイミィの体中が興奮に総毛立ち、感覚が不思議な浮遊感で支配されていく。
毎度毎度、こうしてクロノに貫かれると、先程までの悩みが吹き飛ぶ。
道具とかシチュエーションとかそんなの無くたっていいや、この人と触れ合えているだけでこんなにも幸
せなんだから……エイミィは女として成熟した感性の燦然とした歓喜に打ち震える。
「エイミィ……」
「ん、……?」
クロノの額から垂れる汗の雫が、エイミィの頬で弾ける。
クロノが抑揚の無い、しかし確かな熱情を含んだ腰の動きを継続しながら、彼女に微笑みかけた。
エイミィもそっと彼の背中で両腕を交差させ、瑞々しい情愛で目元の笑みを飾る。
クロノが達し、世界で最も愛しい女性の中で命の種子が拡散する。
たまに一緒に観るアダルト映像のように苛烈な情欲の激突は無い。
しかし、他の何物にも代え難い心の融和が、二人の重なり合う息遣いを介して愛の輝きを描いていた。
「ねぇ」
エイミィが隣に寝転がったクロノに擦り寄る。
「ごめんね」
「何が?」
クロノが問い返すが、エイミィは満足気に含み笑いを漏らすだけだった。
/
「ただいまー。ごめんねこんな時間に」
リンディが息子夫婦の寛いでいる居間に姿を現した。
帰り際に着替えてきたのだろう、老化を知らない細い身体は私服だった。
「う、ううん。そんな事無いですよー」
食卓の椅子に座って夫と会話を楽しんでいたエイミィが、どこかぎこちない動きで義母を迎えた。
夫婦双方、寝間着を着ている。
行為が終わった後も二人で余韻に浸っていたのだが、何かの悪戯の様に電話が鳴った。
「今から帰るからね、もう海鳴市に着いてるの」と一方的なリンディの連絡があって数分。
これだけの短時間で事後処理を完了出来た事に、エイミィは限界突破の奇跡を見た気がした。
エイミィがお茶の用意に台所へ移動する。リンディは洗面所で手を洗い、ちょっとほつれた髪を手櫛で直
しながら、エイミィの隣の席に腰を落ち着けた。
彼女は座り際に、珍しく持ち歩いている仕事用の鞄を反対側の椅子の上に置く。
「お帰り、母さん。今日も向こうで泊まるかと思ってた」
彼も内心では気恥ずかしさがあったが、エイミィ程動揺を見せなかった。
「えぇ、そのつもりだったんだけど、思いの外仕事が早く終わったの」
「そっか」
静かな夜の漣が、ハラオウン家の居間に漂っていた。盛んだった夏の残り香が、冷え込む夜の空気となっ
て人々の暮らしを彩る。
十月も半分を過ぎ、活気に溢れた季節はもう写真の中だけになっていた。
エイミィが三人分のお茶を持って食卓に戻ってくる。リンディの分の受け皿には、勿論角砂糖が数個備え
付けられている。
「……ねぇ……クロノ」
あまり万人の理解を得られない調味のお茶を啜り、リンディが息子へ切り出した。
「何?」
そのリンディの声色が何時に無く物思いな雰囲気に感じ、クロノは姿勢を正した。
リンディは膝を立てて掌を組み、感慨深く息子の精悍な顔付きを眺めた。
「いえ、ね。お父さんに似てきたなって思っただけよ」
リンディの視線がクロノの肩越しに後方へ、遥か追憶の情景へと馳せられた。
「……」
「正直ね、貴方には可哀想な事をしてきたのかしら……って思いもあるの」
「……」
唐突なリンディの述懐に、クロノは無言で耳を傾けるだけだった。
「どうしたんですか、いきなりそんな話……」
エイミィが悲しい気持ちになって、悄然とした影を落とすリンディを近くで見遣る。
義娘の気遣いに苦笑いを返し、リンディは再び甘い緑茶を口に含んだ。
「まだクロノが小さかった頃にあの人が死んで、私は私なりにあの人の分までクロノを愛してき
しんみりとした話を打ち明けられるのも、クロノが親としての大変さや責任感を背負うようになったからだ
った。昔は父親の詳しい話題でさえ親戚筋や付き合いのある局員を通してしか知り得なかったクロノは、最
近になってリンディ本人がよく「あの人はね──」と言い聞かせてくるようになった、そんな互いの距離感
の変化みたいなものを感じ取っていた。
「……ごめんね、クロノ。無責任な言い方かもしれないけど、貴方がエイミィと結婚して、子供を授かって、
こうして真っ当な人生を送っている事……それは私にとってもとても幸せな事よ。私だけじゃない、きっと
あの人にとっても──ね」
「……」
生まれて初めて、クロノは母の口からそんな言葉を聞かされた。エイミィは口を噤み、目の前の卓上に視
線を落としている。
「反抗期、なんて言えるような記憶も無いけど……でも、僕は僕なりに母さんに何か言葉に出来ない苛立ち
を感じていた頃もあったと思う」
若くして時空管理局の一員として活動を始めたクロノは、色褪せた記憶の中に置き去りにしてきた未熟さ
の輪郭を吐き出した。
クロノが淡い微笑みを凛々しい顔に灯す。そして、真っ直ぐに母を見つめた。
「でも僕が今の僕で居られるのは、そんな母さんの背中を見続けてきたからなんだと思う。勿論、僕の近く
に居てくれたのは母さんだけじゃない。エイミィや、それに……」
それ以上は、リンディにとっても、エイミィにとっても、クロノ本人にとっても言葉にする必要は無かった。
リンディは話が一段落した風に表情を和ませ、そしてまた違った面持ちで息子を見た。
「クロノ。提督の仕事、満足してる?」
「うん? あぁ、満足って表現が正しいのかわからないけど、今の仕事に不満は無いかな」
答えてくるクロノに、しかしリンディはその奥の奥を見抜こうと瞳に静謐な思慮を湛えた。
「本当に?」
「一体どうしたんだ母さん。本局の方で人事異動の話でも出たのかい?」
「そういうわけじゃないんだけど。ねぇ、来月ミッドチルダで開催される魔導大会、貴方はどうするの?」
「出ないんじゃなかったかしら」
残念そうな様子を端々に見せながら、エイミィが相の手を挟んだ。
クロノが瞼を閉じ、実直な面持ちで彼女に頷く。
「あぁ。僕は出場しない。そんな茶番で魔導師の腕を競い合うなんて馬鹿馬鹿しい」
時空管理局とその地上本部を構えるミッドチルダが提携して催される、魔法文化の一層の発展と普及を祈
願した一大イベントに、クロノは以前から個人的に物議を抱いていた。
魔導という高度な科学をお祭り騒ぎに利用する事への反発もある。
最もクロノの顰蹙を買ったのが、イベント最大の注目行事である魔導師戦技大会だった。
局内の模擬戦なら未だしも、彼にしてみれば観客を楽しませる為に魔法を駆使するなど、魔導師としての
沽券にも関わる所業だった。
「でも、一応局員の魔導師は戦技大会への出場は義務よ? 二人一組のチームで、出場者は全員大幅に出力
リミッターが掛けられて実力差は均等。雌雄を決するのは、純粋な魔導の技量と運動能力のみ……」
本局側の運営委員会のリンディが言っても、クロノは険しい顔を崩さなかった。
「辞退したよ。実際、局内でも出場を決めているのは全体の三割程度、残りは既に辞退届を提出済み。あん
な低俗な乱痴気騒ぎに参加する時点で、魔導師としての格が見えるさ」
言いながら、クロノは不意にある人物を想起してげんなりした。いた。近くにいた。あんな低俗な乱痴気
騒ぎに嬉々として参加する輩は。
「何だ、クロノ提督は参加しないのか。貴方とも一度手合わせ願いたいと思っていたのだが」──この前本
局で偶然顔を合わせた時、その長身美麗な体躯に髪をポニーテールに纏めた女性局員は残念そうにクロノへ言った。
その横で「お前が参加するのは自由だが、どうして本人の許可なく私の名をパートナー欄に記入したのだ」
と呆れる蒼い狼の影が印象的だった。
他人は好きにすればいい。クロノの胸中はまさにそれだった。
「でもクロノ……本当は、参加、したいんでしょう?」
頑固なクロノの心に、リンディの声が不意打ちのように響いた。
クロノはハッと顔を挙げ、すぐさま視線を湯のみへと引き下げる。
提督の座に着いてからも、日々の魔法の鍛錬は欠かさず続けている。
しかし立場上、どんな物騒な任務になっても彼が前線に出る事態はそうそう巡り合わなかった。
クロノの僅かな動揺を、エイミィも今はっきりと看過した。
充実した生活に潜む、彼が抱える一抹の漫然とした心の錆びが、彼自身の頑なな沈黙から流露してくる。
クロノもまだ二十六歳だ。執務官として若い血潮を発散していた頃を、過去の経歴として埋葬するには早すぎる。
時にはその身に流れる魔導師としての熱い情熱を消化させなければ、いつかクロノはいざという時に自縄
自縛の枷に囚われてしまいかねない。
簡単に言って「勘が鈍る」といった症状だが、確かに今みたいに一人で細々と魔力の向上に没入している
だけでは、肝心の実戦への適応力は劣化するだろう。それこそ本末転倒だった。
「そう言えばね、あの子達が前に言ってたの。『お父さんが魔法を使ってるところを見てみたい』って」
「そう、なのか……?」
子供を持ち出され、クロノはエイミィに目を向けた。
エイミィは笑っていた。姉御肌なところは相変わらずで、そこに母や妻としての大人らしい柔和な物腰が
加味され、温和な微笑みでクロノを見つめていた。
「一度くらい見せてあげてもいいんじゃない? 強いお父さんの姿。喜ぶよ〜、あの子達」
ねぇ、とエイミィは隣の義母に話題を降る。リンディは何も言わずに頬を緩めるだけだった。
「だけど、パートナーなんて心当たりは無いし、やっぱり乗り気になれないな」
「そうねぇ。クロノは単体で動くからこそ実力を遺憾なく発揮できるタイプだし……結構シビアね、二人一
組って条件は。下手に相手を選ぶと、足の引っ張り合いにしかならないわ」
リンディが冷静な分析を述べ、自分で急須からお茶を追加した。
「あー、もう、相手なんてどうとでもなるでしょっ。参加するの、しないの?」
煮え切らない夫にエイミィが迫り、クロノは「あぁ、いや、その」と戸惑う。
「わかったわ。最終手段ね。戦技大会に参加して優勝しないと、お小遣い減額」
冷血な妻の宣告に、クロノの脳天が砲撃魔法級の衝撃に見舞われた。
「ちょ、ちょっと待ってくれエイミィ。この間もデートの遅刻で同じ罰を受けた気が」
「まぁ、うふふ、そうなの。──え? でも更に減額ってなると……」
リンディが息子へしみじみと憐憫の目を注いだ。クロノは頭を抱えている。
「もし本当にこれ以上減額なら……アルフより少なくなる……」
「……ご、ご愁傷様、クロノ」
母は戦略的撤退を選び、風呂場へと姿を消した。
「お父さん?」
「……わかった。参加する。しっかり優勝もする」
「よく言った! 流石はクロノ・ハラオウン提督!」
エイミィは喝采を上げ、「頑張れお父さん〜」と暗澹な気持ちのクロノに愛情満点の励ましを送る。
「それはそうと、目下の問題はパートナーだ。僕と巧く連携がとれる魔導師を局内から見つけ出さないと…
…あまり攻撃特化な魔導師は駄目だな……それなら却って、補助専門の魔導師に背中を任せるくらいの戦法
が……まぁ、前衛の魔導師でも、充分な機動性を持つ相手ならば大丈夫か……僕が補助も兼任すればいいわけだし……」
クロノはクラウディア所属の執務官や知友を頭の中で羅列していく。
が、ベストパートナーとして全幅の信頼を預けられる魔導師はそうそう該当しなかった。
「って、何をやっているんだエイミィ。勝手に母さんの鞄の中を漁るんじゃない」
クロノの批難も何処吹く風で、女の鋭い直感に従い、エイミィはリンディの鞄の中から「魔導大会・魔導
師戦技大会出場者名簿〜×月×日時点暫定〜」という書類を見つけ出した。
それを開くと、既にパートナーと一緒に参加届を提出して出場が受理された魔導師と、パートナー未決定
の状態で参加届を提出している仮受理の魔導師の名前がずらずらと明記されている。
「ふむふむ……えっ、マジ〜? 意外ねー、どんな風の吹き回しだろう」
最早言葉も失ったクロノの前で、エイミィは息を詰まらせた。広い組織だ。中にはあのエース・オブ・エ
ースでさえも太刀打ちできないほどの、怪物じみた凄腕魔導師が気紛れに参加を表明していても不思議ではない。
「どうしたんだ?」
エイミィがクロノを挑発する不敵な笑みで、書類の中身をクロノの前に提示する。
パートナーと揃って受理済みの名簿の中に、成る程、自分と同様にこういったイベントには疎そうな二名
の名前が記されていた。
更に、パートナー未決定の仮受理の欄にも一段とクロノの目を引く名前がある。
「ふふ、向こうも“娘さん”に優勝をせがまれたかしら? まぁ出力リミッターがあるし,彼女も身体の負
担は心配無用だからね」
「どうやらそうみたいだな。出力リミッターがあるからこそ、逆に実力を出し切れる、と考えられなくもない」
クロノも、心の奥底で沸々と充満してくる高揚感を自覚していた。
「よし。僕も久し振りに魔導師として頑張ってみるかな」
「うん! 家族で応援に行くからね」
「あぁ、期待していてくれ」
クロノは椅子から立ち上がり、電話の傍へと移動した。
思い立ったが吉日、目に留めた仮受理状態の魔導師をパートナーに誘おうと、相手の携帯電話の番号を押す。
/
「あ、はい、もしもし……お兄ちゃん? え? パートナー?」
戦技大会参加魔導師・仮受理番号026──フェイト・T・ハラオウンは、着信した携帯電話を耳に当て、
義兄と通話を始めた。
続きます
>>364 >「まだクロノが小さかった頃にあの人が死んで、私は私なりにあの人の分までクロノを愛してき
「まだクロノが小さかった頃にあの人が死んで、私は私なりにあの人の分までクロノを愛してきたつもりよ。
でも……やっぱり、片親だから辛い思いをさせてきた事もあったと思うの」
の誤植です。すみません。
バトル物キター!!
楽しみにしてます
エロパロ板のレスじゃないなwwww
371 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/20(土) 23:38:45 ID:I6aa6U8U
>>368 GJ ユーノの言い訳酷いなwww
シグ+ザフィ、クロノ+フェイト確定か
他には、なのは+ユーノ、はやて+ヴィータ、スバル+ティアナか?
ユーノとの凸凹コンビを期待した自分がいる
エロできればなしで感動物読みたいときってまとめサイトだろ非エロに当たる?
感動ものっつうか、ジーンとくる感じのやつもジャンル分けしてあるといいな
つまらない質問ですみません
>>368 これは続きが気になりますな。GJですよ
>「あ、あの、わたし魔法少女なので、そういう話題はちょっと! リリカリマジカルちゃんちゃらちゃーん」
ちょっとあなた、まだ魔法少女とか言い張って……ん?なんか窓の外が桃色に光っt
>>368 GJ
そういえば公式なのにクロエイってあんまり見ないかもしれん
とりあえずなのはさんは最近地球にも出張してたから魔法少女でおk
まあ流石にロリに変身までしてマジカルチェンジはどうかと思い―――あれ、なんの音だ?カウントダウンみたi
>>368 続きを期待!
>>374 感動ものをお探しですか?
ヴァイティアSSはすべからず感動ものですよ?
>>368 ひさびさ?のクロエイGJ!
欲を言えば
エイミィの地球での親友として
美由希さんの意見(愚痴?)なども聞きたかった
トーレ姉の美巨尻に顔面騎乗されながらセッテに足コキされたい
ああスマソ、
>>380は誤爆に見えないかもしれんが誤爆だw
>>368 GJ
淡白なクロノは原作からするとらしいのに、違和感感じるのは二次創作のエロノに
慣れすぎたせいかw
>>379 >美由希さんの意見(愚痴?)なども聞きたかった
同感だが、嫁き遅…独身の高町長女には何言っても惚気と解釈されそう
クロノ「よーし、お父さん頑張っちゃうぞー」
>>381 いっそ同年代の既婚者で子持ち?な忍さんに相談は……
イロイロな意味でヤバいことになりそうだな
>>384 とらハはともかく
なのは世界の高町長男はこれも淡白そうなイメージがw
つーかイメージ的に種馬じみたキャラがいないなぁ
ヴェロッサやヴァイスは表面的にはナンパな感じなのに根が誠実そうだし
>>385 そこでスカリエッティですよw
年齢がネックなら三期終了後になんだかんだで産まれたコピーやら、
それ以前に造られただろう失敗作という手もあるし。
>>386 個人的にはスカは淡白超えて不能っぽいんだが
12人もの美女美少女がいながら「クローンを植えつける」という性交の代償行為したり
メガーヌやギンガと言った捕虜も性的行為よりも実験や改造してるあたりw
>>369 エロスと思わせてバトルだと!?
シグナムはアギトを面子としてカウントするのかなー。もししなかったら実質3名とかになってしまうが。
ユーノはあの逃げ方からしてひょっとしたら誰か(この感じだと三人娘以外)と関係持ってるかもしれんとか思った。下手に言ってバレたら困るしなー。
むしろスカ様はメカにしか発情しない
「ああ。V型のこのまろびやかなラインがたまらな・・・・・・ウッ!(ビクビク」
393 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/21(日) 11:54:42 ID:ofAIEary
スカ「さあV型、早く私に入れてくれ・・」
V 「アア、ドクターノナカ、スゴクアッタカイナリ・・・」
スカ「うぬうっ ドリルがっ ドリルがいいぞっ ぎんがああああああああ」
>>394 スカが受けだからギン姉は汚れていないと強弁してみる。
ギンガ「ギガドリルブレイクッ!!」
これならスカは爆散するからおk
>>377 なのはやフェイトとの方が前世のテンプレがあったり見栄えがしたりだからね。
言っちゃ悪いがいくら公式でも、あんな申し訳状態ではな…
>>338 GJ!!だがこの展開はきつかった・・・
ハッピーエンドはないのでつか・・・・・
エリオもキャロもカワイソス・・・
投下しても大丈夫かなー、と
いけいけごーごー
401 :
シナイダ:2007/10/21(日) 15:42:10 ID:fPRjuwWj
うっす。投下いきます
・ユノフェ
・以前エロ練習にと思って書いたものの続きみたいになってます。書いたのは31か32くらいだったかなぁ?
・エロあり
・お尻苦手な人は避けたほうが
いきます
※この話は『異性による病人の介護と身体接触の関連性』の続きです
最近、自分の身体がどこかおかしいんじゃないかと思っている。
原因は―――多分、何時かの……あの日以来。
意識してなかったものを、意識したような、そんな感覚。
でも。
私にはそれが……正しいのか悪いのかなんて、まだ分からなかったから。
「ん……ふ……」
吐息を漏らすまいと必死に耐える。
油断するとすぐに口から大きな声が出てしまいそうになる。
家の中にはクロノも母さんもアルフだっている。もしばれたりしたら……そう思うと怖くなる。
けど、こうして皆に秘密でトイレに籠ってお尻の穴を弄っているのは、とってもふわふわする。
「あ、は……んっ……」
最初の頃はちょっとピリピリするだけだったのだけど、最近では人差し指を入れるとその肌面全てで背中が仰け反ってしまう。
一回だけ、皆がいない時に声を我慢しないでやったら、凄く変な声がいっぱい出てしまった。
それ以来は絶対に声だけは上げないようにとお洋服の前の部分を咥えている。
こうすれば声を出してもくぐもった声しか出ないから。
「ん、むうううう……っ」
くりくりと入れている指先を動かす。
私の人差し指はお尻の穴の中に第二関節ほどまで侵入しており、その壁面を擦っている。
息も詰まるような痺れが断絶的に襲ってきて、自分が立ってるのか座っているのかすら分からなくなる。
腰がガクガクと浮き沈みするのを感じながらも、次第に目の前がかすれてくるのを感じる。
(ああ……まただぁ……)
いつもこうなのだ。
こうしてお尻の穴のひだ一枚一枚を指先で擦り上げる感覚に酔っていると、必ず何かが頭の中を埋め尽くし始める。
次第に自分を侵食してくるそれは―――甘美でありながらも、まだ受け入れるのは怖い白物で。
「……ぁう」
にゅぼ、という音と共に指を引き抜く。
おしっこをする穴からも少しだけ液が垂れているがそれも気にせず、まだふらつく頭と今一歩満足しきれない身体の奥底に眠る何かを自覚する。
きっと、お尻の穴を弄るのはおかしいことだ。
けど、そうだと分かっても自分には止められない。
「はぁ……」
あの日。
ユーノが看病に来てくれ、お尻に指を入れられてしまったあの日感じた全身に走る痺れと、ここじゃないどこかに連れて行かれそうな絶頂。
あれを知ってしまった日から、自分は少し変な子になってしまったのだから。
「フェイトちゃん、聞いてる?」
「え? な、何かな?」
唐突に声をかけられて、意識が現実に引き戻される。
振動の少ない高級車の中で、自分に対して6の視線が集まっていた。
運転席に座るノエルだけがこれといった反応を見せていないが、なのはもアリサもすずかも、訝しげにこちらを伺っている。
肩をすくめるようにしたアリサが、フェイトの鼻先に指をつきつけ、唇を尖らせた。
「あんたねぇ。最近ボーっとしすぎ」
「そ、そかな?」
「そーよ。全く。その様子じゃ今の話も全く聞いてなかったでしょ?」
「え、えと、ご、ごめんなさい……」
「まあまあアリサちゃん……フェイトちゃんにもきっと色々と考え事があるんだよ」
アリサはすずかの取りなしに分かってるわよ、とソッポを向いてしまう。
まあ、こういう時の彼女は単に友達のことが心配で言い方がキツくなってるだけだと皆は知っているので、なのはもすずかも苦笑するだけだ。
けれど、話題の渦中にあったフェイトだけは、先生に怒られた生徒のように縮こまって申し訳なさそうにする。
「ごめんね……」
「……別に怒ってるわけじゃないわよ」
「うん……」
「フェイトちゃん、何か悩み事? 私たちでよければ、聞くよ?」
すずかの提案は素直に嬉しかった。
確かに自分一人で考えても結論なんて出ないことは薄々分かっていたし、知識にも限界がある。
かといってパソコンとかを使って“そういうこと”を調べると、エイミィたちに見つかった時……なんていうか、気まず過ぎる。
「……」
でも、目の前の純粋無垢な友人たちに―――自分が普段している行為について質問するのも、実に勇気がいることで。
曖昧に、受験に失敗して作り笑いする浪人生のように力なく微笑むと、ゆっくりと首を振った。
「なんでも、ないよ。ありがとね、すずか」
「そう……」
「ふん。まあいいわ。とにかくフェイト? すずかの家についたら対戦ゲームやるからね。チームは私とアンタでコンビなんだから頑張んなさいよ」
「え、あ、うん。……って相手はなのはとすずか!? それパワーバランスおかしいよっ!」
「何よ。私じゃ相方として不満なわけ」
「ち、違くて!」
そこからは益体のない話をしつつ、賑やかな車は月村家へと向かっていった。
/
「え?」
「あれ?」
「は?」
すずかの家に足を踏み入れた4人は……意外な人間と遭遇していた。
その人物は何やら分厚い本を片手に月村家メイドのファリンと話をしており、首から上で振り向いて、驚いたように彼女らを見ている。
なのはたちよりも少しだけ背が伸びた彼の名は―――
「ゆ、ユーノ……?」
ごくり、とフェイトは唾を飲む。
音を出し損ねたバイオリンのような、擦れた声がフェイトの喉奥から発せられ、逃げるように半歩だけ後ろへ身体が下がる。
何故、彼がここに、と。
フェイトは己の胸の内が激しく高鳴っているのを感じ、鼓動が耳に響くのを体感する。
あの日―――ユーノに看病をしてもらったその日。
目覚めるとそこにユーノの姿はなく、枕元ではアルフが眠っていた。
熱も下がった頭で一日のことを振り返って……自分が相当に恥ずかしいことを彼にしてもらったことに、ようやく思い至った。
そりゃあ普通の女の子は異性にお尻の穴を許したりはしないだろう。身体触るくらいは……別に構わなかったが。
でも、あの時は―――確かに、ユーノだったら別にいいと思っていて。
これといった抵抗感が自分の中になかったのも、事実なのだ。
が、実はあの日以来、ユーノとはまともに話もしてないし顔を合わせても逃げるようにしてしまっている。
顔を真っ赤にしたフェイトは、ごにょごにょと手元で指先を絡ませて俯く。
「……ぁう」
「何よ。なんでアンタがここにいるわけ?」
黙ってしまったフェイトには気付かず、アリサがユーノへと向かって歩いていく。
少しだけフェイトに視線をやったユーノだったが、すぐにそれを外してアリサへと向きなおる。
「あぁ、うん。実は、前にファリンさんとノエルさんに頼まれものをしててさ。忍さんにも」
「……え、ユーノ君ってすずかちゃんの家の人と仲良いの?」
ちょっと意外だ、という風になのはが首を傾げる。
元々ユーノ自身、フェレットとして彼女らと面識があっただけのはずで。
こうやって普通に交流しているのは確かに―――少々不思議な光景だった。
するとすずかがコロコロと笑い。
「違うよなのはちゃん。どっちかって言うと、ユーノ君は私に会いに来てくれるんだよ。ね?」
「ま、ね。それが一番の目的かな」
「ええ!? そ、それどういうこと!」
「何! 何何何! ユーノアンタ、どういう了見よそれ! すずかも!」
「やだなぁ二人ともそんなに焦らないでよ。―――……ううん、三人かな?」
「ッ!」
こちらの心情を見通すかのような瞳で、一瞬だけ射抜かれた。
まるで水晶玉で心の内でも見抜かれたかのように、フェイトは焦って身体を震わせる。
が、すずかは何事もなかったかのように会話へと戻っていく。
「単に、私とユーノ君の本の趣味が合うだけだよ。こうして偶に会っては、色んなお勧めの本とかを交換してるの」
「あ、なんだ……」
「……そ、そっか」
「ふふ。安心した?」
「なっ、わ、私は、安心とか、そ、そそそそんな……ち、違う! 勘違いしないでよ!? 別になんでもないんだからね!」
「え、あ、うん」
よく分らないといった風にユーノがすずかへと助けを求める視線を送るが、彼女は面白そうに笑うだけ。
なのはも何やら安心した風に溜息をついていたが、怪しい行動をとったアリサへと何やら思惑ありげな視線を向けている。
―――そんな中、フェイトだけが。
熱の籠った瞳で、ユーノの指先や横顔を見つめていた。
「はい私たちの勝ち〜」
「わーい6連勝ー」
「ぐ、ぐぐぐ……やっぱり強いわこの二人……」
「……うん」
悔しがるアリサに気も虚ろに答えるフェイト。
何やら新作のゲームらしいものを2対2で対戦しているようだが―――勝率は圧倒的だった。
そもそも、すずかはこの手のゲームは発売日より相当前に入手した姉の相手をして慣らしているし、なのははメカ関連は非常に勘がいい。
すぐさまキャラクターの特性を掴んでコンボを決めてくる相手に、アリサもフェイトも成す術が全く思い当たらない。
アリサはコントローラーを投げ出すと、そのままゴロンと絨毯の上にねっ転がった。
「休憩〜。ちょっと休んだら再戦しましょ」
「うん。あ、じゃあ丁度いいからお茶にしよっか。ファリン、お願い」
「はーい! 少々お待ち下さーい!」
部屋の隅っこで笑いながら少女たちの様子を窺っていたファリンが元気よく手を上げて去っていく。
あの様子だと一回は転んでお茶をダメにして出直すんじゃないかと思いつつ、フェイトは思考を巡らせる。
……今、家の中にはユーノがいる。
何か言いに行った方がいいんじゃないだろうか。この間から恥ずかしさのあまり、ずっと無視するみたいにしてしまっていたのだし。
「なのはたちはどーなのよ。最近」
「最近って何?」
「魔法使いって奴よ。はやても昨日から休んでるし、結構大変?」
「うーん。はやてちゃんたちは特別捜査官っていって、ちょっと私やフェイトちゃんとは管轄が違うけど……いや、フェイトちゃんとはちょっと被ってるか」
「私はやっぱり少し心配かな……無理だけはして欲しくないよ」
「にゃはは。平気平気。ね? フェイトちゃん」
いや、とフェイトは思う。
本音を言えば……ユーノに会いたかった。
あれから一度もまともに顔を突き合わせていないせいか、余計にその思いが自分の中で大きくなっていることに少し驚く。
でも、よくよく考えてみると『行為』の時に、最後のほう、何かが自分の中で弾けるような感覚の際―――
うっすらと脳裏にいつも浮かんでいたのは、誰だったか。
「フェイトちゃん?」
「ひゃ!?」
「え!?」
と。
眼前に、いきなりなのはの顔のどアップが現れて。
驚いて思わず後ろへと下がり、そのままひっくり返ってしまった。
……慌てて元の体勢に戻り、盛大にめくれ上がったスカートを直してから火が出そうな顔を俯かせて呻く。
「……うー。なのは、吃驚するよ……」
「びっくりしたのはこっちだよ……。呼んでも呼んでも反応しないんだもん……」
「あ、あれ。そうだったの? ごめん、気付かなくて……」
「……あんたほんとに大丈夫なの? 結構異常よ、考え事してて聞いてない回数」
「う、うん……」
そんなフェイトの様子を見て取ったすずかは、微笑ましいものでも見るかのように顔を緩めて、溜息。
それから安心させるように笑い―――
「ねえフェイトちゃん。もしね、気になっていることがあるなら……タイミングを逃しちゃダメだよ?」
「え?」
「解決するタイミング。万事十全な状況ってのは何時でも回ってくるわけじゃないから、少しでも、その……なんて言うのかな……」
「……何言ってんのアンタ?」
「うーん……えへへ……案外上手く言葉に出来ないね」
首を傾げるアリサに、照れ臭そうな笑いを浮かべると、すずかはチラリとフェイトを見る。
するとフェイトは、その言葉から何かを感じ取ったのか―――勢いよく立ちあがった。
「すずか。ありがとう」
「……ううん。役に立てたなら嬉しいかな」
「みんな、ちょっとごめんね」
「何がよ?」
目を白黒させて今の状況を見ていたアリサが反射的に聞くと。
フェイトは、何やら満面の笑みで、
「トイレ行ってくる!」
―――と、答え。
何が来るかと身構えていたアリサとなのはがずっこけるのにも構わず、フェイトはそのまま慌ただしく部屋を飛び出して行ってしまった。
/
「えーと。こっちが例の資料ですね。一応検閲は通してますけど、他者に公開したりするのは……」
「分かってる分かってる! ありがとユーノ〜。助かるー」
「悪いな。こいつの我儘を」
「いえいえ。大した手間じゃないですから」
「……」
広大な月村家をぐるぐると歩き回って、フェイトはようやく目的の人物を見つけていた。
いた、が。
「はぁ……いいなぁ。異世界の超最先端テクノロジー……実際に見て触れて改造してみたいなぁ……」
「い、いえその、流石にそれは、管理局法にバリバリ引っかかるんで……」
「……忍。あんまりユーノを困らせるなよ」
「うう……はーい……」
その目的の人物ことユーノ・スクライアは、友人の兄弟と一緒にいる。
すずかの姉、忍となのはの兄、恭也。
彼らは恋人同士であるのでここにいるのはなんらおかしいことではないのだが……今は少しだけもどかしかった。
フェイトはなんとかユーノが早く2人から離れて1人になってくれないかと、壁から覗き見るようにして3人の様子を睨んでいる。
「そういえばさユーノ。聞きたかったことがあるのよね」
「はい? なんでしょうか。……あ、法に引っかかるようなことは言いませんよ?」
「違うわよ。信用ないわね……」
「無理もないだろ」
「恭也が意地悪だー……」
おろろ、と泣き真似をした忍は一転、顔を輝かせるようにしてユーノに接近し、笑う。
その姿に何か嫌な予感を感じたのか、一歩下がりつつユーノが口の端を引きつらせる。
「な、なんでしょうか」
「ユーノってさ」
「はい」
「誰が本命? やっぱりなのはちゃん?」
―――フェイトは、自分の体内の血液が逆流したかのような感覚に陥っていた。
背中にドライアイスでも投入されたかのように全身の熱が冷め、足もとがグラつく。
本命? なのは?
混乱する頭で必死に考えつつも、ゴクリと大きな音を立てて唾を飲み込む。
忍が今何を聞いたのか。
流石のフェイトだってそれくらいは理解出来た。要するに、
「な、何言ってるんですか?」
「惚けない惚けない。だ・か・ら、あんな可愛い子たちに囲まれて、誰が好きなのかなーと思って」
そういう、ことだ。
ユーノは視線を泳がせつつ、顔を真っ赤にして両手をわたわたと動かしている。
「そ、そそんな本命とかそういうのは、その」
「え? まさかハーレム計画?」
「んなわけないでしょ!」
「忍……あのなぁ」
「えー。だってなのはちゃんかすずかが本命なら将来は私たちの弟君だよ? 興味ないの?」
「そりゃあないと言えば嘘だが……いやそうじゃなくて」
恭也の弁明も最後まで聞いていられなかった。
思わず身を翻して廊下を逆走したフェイトは、そのまま走って走って―――気が付けば、トイレの前まで辿り着いていた。
図書室の近くにあるそのトイレに駆け込むと、思い切りドアを閉めて荒い息を吐く。
「う、うう……」
やはり、ユーノはなのはが好きなのだろうか。
自分はなのはのこともユーノのことも好きだし、別にそれはともていいことだと思う。
けど、それでも。
自分の中の何かが、それをどうしても認めまいと暴れている気がする。
「やだよ……こんなのやだ……」
嫌々するように首を振る。
よろめきつつもトイレの便器に腰かけて、大きくため息をついてなんとか落ち着こうと試みる。
何が嫌なのかはっきりとしない。
自分を理解出来ないから、胸の奥が苦しい。
上を見上げ、虚ろな目でしばらくぼうっとして―――そうしてふと気付いた。
己のいる場所がトイレで……そういえば、自分はトイレに行くといって出てきたんだった。
「ふふ」
なんだかおかしいと思う。
そいえば少しだけ尿意も催しているし、せっかくだからトイレだけしていったん部屋に戻ろうと思う。
きっと、タイミングじゃなかったんだ。さっきはタイミングが悪かっただけ。
そうやって考えると少しだけ心が楽になる。
ピンク色のショーツを下ろしてスカートをたくし上げ、改めて便器に座り直す。
「ん……」
下腹部に力を入れて排泄していると、なんとなくユーノのことを思い出していた。
彼が自分の看病をずっとしてくれたこと。
トイレにも連れて行ったりくれたのを思い出して―――やっぱり、あの時の……自分の身体の隅々まで知られてしまった時のことを、思い出し、
「……う」
頬を少しだけ染める。
排尿は既に終えている。けれど、どうしても拭いてから立ち上がる気にはなれない。
日頃トイレで行っている『行為』を思い出してしまい―――……一度思い出したら、それが頭から離れなくなっていた。
「だ、だめだよ……すずかのおうちなんだから……だめだ……だめだよ……だめだ……」
否定の言葉を口にしても、身体は意に反して勝手に動いていく。
緊張と少しの罪悪感が、多大な興奮に塗りつぶされていく。
「だ、だめ……け、けど……」
荒い呼吸が個室に響く。
その指先が緊張で震えながらも、己の後ろの器官へと伸びていく。
「あ、ああ……」
触れた。
覚えのある感覚が指先に伝わり、背中にチリチリと静電気でも走ったような甘美な感覚が届く。
そうなってしまえば、もう止まらなかった。
「く、うぅん……」
右手の人差し指がゆっくりと穴の周囲で円を描き、力を強めることでぐりぐりと皺を伸ばす様に押し広げていく。
そうして解れて来たお尻の穴へと……いつも通り、普段通りに、ゆっくりと弄りつくしていく。
「はふ……ん……、んんっ……」
人差し指に中指も一緒に使いながら穴を開いたり閉じたりさせ、更にお腹に力を入れることでピクピクと穴自身にも抵抗させてみる。
次第にヌメヌメとした腸液がだんだんと出てきて、己の手に絡まって、倒錯した思考で頭の中が埋め尽くされていく。
指先を入れる。
人差指の第一関節を全部穴へと挿入して、入口付近をぐりぐりと虐めてやる。
「あ……あは……」
自分の顔がだらしなく緩んでいるのが、鏡なんかを見なくても分かる。
きっと淫蕩に溶け切ったような表情で笑みを浮かべて、涎を垂らしているのだろう。
でも、そんなこと分かっていても我慢なんて出来なかった。
あの日以来、自分の日課にまでなってしまったこの行為は、フェイトにとって既に生活の一部でもある。
こんなに気持ちのいいことを……止めるなんて、とてもではないけれどフェイトには出来ない。
「も、もっと……」
自分の指が別の生き物のように動いて、自分の口から出たいやらしい願いを叶える為に更に沈み込んでいく。
穴の中にずぶずぶと入っていき、壁を擦りつける感覚、腹から押し上げられるような圧迫感を楽しみながら、フェイトは更に行為へと没頭する。
舌なめずりをして、淫乱な娼婦のように腰をくねらせながら、快楽を求める。
だから、気付かなかった。
トイレの前まで、人が歩いてきていることに。
自分がこの個室に入った時に―――鍵をかけるのを、忘れていたことに。
「え」
「―――ぅ?」
故に。
普通にドアを開けて入ってきたユーノに対してなんの警戒も出来ず。
結果的に、己の全てを……この間以上に、見せつけてしまっていた。
/
ユーノがこのトイレに入ったのは偶然ではない。
ここはすずか宅にある図書室の一番近くのトイレなのだ。
すずかの家の蔵書にも少し触れてみたかったユーノは先程からちょっとここで本を読み漁っていた。
そうしてしばらくすると少しだけ催したのでトイレに行こうとして、このトイレの前に立つ。
鍵がかかっているサインを示す表示は、『誰も入っていない』ほうになっていた。
だから、遠慮なく中へと入り。
―――中にて鍵をかけ忘れ、お尻の穴で自慰行為にふける親友と出くわしてしまったという寸法だった。
/
全世界が停止したかのように思われた。
フェイトは目を見開き、わけがわからないといった顔で行為の体勢のまま固まっており。
ユーノは自分が何を目にしているのか停止した頭脳で必死に考えていた。
「あ、えと」
「―――!!」
ユーノがなんとか言葉を発したことで、フェイトに混乱が一挙に押し寄せ。
思わず大声で叫ぼうとしたところで、
「あ、はわわわわ〜!」
「!?」
「! は、入って!」
「え!? わっ!」
フェイトの左手に掴まれ、中へと引き込まれる。
そのまま倒れるようにしてフェイトへと覆いかぶさってしまい、謝って立ち上がろうとすると、外から呑気な声が聞こえてきた。
「ユーノ君いますかー……りゃ? お茶をお持ちしたんですけど……トイレかな?」
「!」
ファリンの声だった。
ユーノが身を固くして動きを止めたことで、二人の体勢はそのままとなってしまう。
彼女はいてはここから出ることは……ちょっと出来ない。
万一2人でトイレに入っていることを追求などされたら……言い訳不可能なんていうレベルではない。
しかも、よく考えたら片方の少女は下半身に何も身につけていないのだが、今のユーノにそこまで気を使うことは出来ていない。
むしろ、フェイトのほうが―――冷静に混乱していた。
(ユーノだ……ユーノだぁ……あったかいよぉ……あの日以来だ……)
ちょっと泣きそうにまでなってしまう。
自分の恰好のことなんてまるで気にならなかった。
今、便器に寄りかかりながらも自分と彼が抱き合ったままという現状。
この状態が、フェイトを幸せな心情へと持ち上げていた。
(ユーノの……においがする……)
彼のパーカーに顔をわざと押しつけて、匂いを吸い込む。
それだけで背筋に電流が走ったような倒錯した感覚に墜ち、目がとろけてしまう。
だから、我慢出来なかった。
「ん……」
(ふぇ、フェイ……!?)
今の今まで一人でしていたこともあってなのか、己の股間部分に、ユーノの手を導いてしまっていた。
先程までの行為でびちょびちょになっていたそこを彼の手でなぞると、それだけで頭が真っ白になってスパークが走る。
舌を突き出して、淫猥な表情になりつつも、目的の部位に彼の手を導いた。
「フェイト、何を……」
「おね、がい……いじって……」
「はい……? えええ!?」
「ダメなの……我慢出来ないの……して欲しいの……ユーノの言うこと、なんでも聞くから……弄って……私のお尻、虐めて……」
「あ、う、く……?」
混乱したようにユーノが目を白黒させる。
フェイトの身体からは厭らしい雌の匂いが発せられ、トイレの個室空間にそれは充満し―――異様な雰囲気を漂わせていた。
まるで麻薬でもやったかのように頭の中枢がぶれていく感覚。
ユーノもまた、あの時フェイトのお尻を弄ったことを思い出して……喉を大きく鳴らしていた。
「……いいの?」
「うん……して下さい……」
それだけ聞くと、今度は自分の意思で、そっとフェイトのお尻に指を這わせた。
今度は薬を入れるなどという大義名分もなく。
純粋に男と女として、その変態的な行為に、自ら身を委ねる。
「ああああ……!!」
ただでさえ高ぶっていたフェイトの身体がガクガクと震え、のけぞり、口から涎が零れる。
ユーノは片手でフェイトのお尻を割り、もう片方の手で彼女のお尻の穴を責める。
皺をなぞるようにしつつ、すっかり濡れほそったそこへと指を侵入させていく。
フェイトはユーノの身体にしがみ付くようにして手を伸ばし、彼の背中へと両手を回して抱き合う格好となる。
そんなことも気にせず、ユーノは必死に彼女を気持ちよくさせるようにと指先で出したり抜いたりを繰り返す。
「ああ……おうぅぅぅっ!! ……かふ……はあああああ!」
ゆっくりとしたストロークに変わったことで、フェイトの口から洩れる吐息にも変化が出始めていた。
入れられる時は苦しげに、抜かれるときは全身を震わせて快楽に身を任せている。
じゅぽじゅぽとという音を立てつつ、この世の果てで交わる恋人同士のように、彼女を責め立てる。
けれど、それも―――あっけなく決壊する時がやってきた。
「あ、ああ? あああああああああああ!?」
「フェイト、落ち着いて、僕にしがみ付いて」
「あ、ああ! うん! うん!!」
これだ、とふやける頭でフェイトは思う。
普段、行きつけなかった場所。
一人じゃ怖くて行けなかった快楽の一番最後のところ。
ユーノと一緒なら、こんなに簡単に行けるところだったという、それだけのことを思って。
「ああ、ゆ、ユーノ! ユーノッ!」
「……く、ううっ!!」
最後に止めとばかり、ユーノが己の指先を捻る。
合わせるようにしてフェイトが己の腰を自ら振って、求めるものを貪りに行く。
それによって肛門付近の壁を擦られたフェイトは、己が今まで感じた中で、最高に天に突き抜ける様な快楽を得て。
「ああああああああああああああぅぅぅぅ」
半分以上意識を飛ばし、身体を痙攣させながらも、ユーノにもたれかかって絶頂を迎えたのだった。
/
「フェイト。あんた……色んな意味で大丈夫?」
「ふぇ? なにがぁ? ……えへへ」
「う、ぐ……な、何がってその……頭とか」
「あはは。もう何言ってるのアリサってばぁ。えへへー」
「なのは! あの子おかしい! どうなってんのよ!」
「わ、分んないって! 私が聞きたいよっ」
帰りの際。
なのはとアリサはオロオロと金髪の少女を見て口々に戦々恐々としている。
先程随分と長いトイレから帰還したフェイトはしばらく口を半開きにしたまま虚空を見つめており、ごくたまに思い出し笑いをするという一見変な人になっていた。
何があったのか問いただしてもゆるみ切った笑い声しか漏らさず、すっかり不審人物扱いである。
すずかだけはなんとなくわかったような顔をして苦笑していたが。
すると、複数の足音と共に、彼女らの後ろから男の子の声が響く。
「あ、皆帰るんだ」
「ユーノ君。うん、もう夕方だから」
その声にフェイトの身体が反応して、凄い勢いで振り返る。
その時に旋回した長髪のツインテールが横にいたアリサの顔面に直撃して彼女を吹っ飛ばしていたが、そんなことは気にならない。
まるで主人を見つけた犬のようにユーノの側に駆け寄ると、ゆるみ切った顔で笑う。
「あのね、ユーノ!」
「わっと。ど、どーしたのフェイト? そんなに焦らなくても……」
「また、してね?」
「……? え……はいいいっ!?」
「え? 何の話?」
訳が分からないといった風に首を傾げるなのはと、地面に四つん這いになりつつ顔面を抑えて悶えているアリサと、微笑ましそうに見ているすずか。
そんな彼女らを余所に、盛大に焦って冷や汗を流すユーノととても幸せそうに笑うフェイト。
夕日はそんな彼らを照らして、なんてことのないように沈んでいく。
変わり無き日常に、唐突に訪れた小さな変化に。
全てがタイミングよくハマった結果なのかな? と、フェイトは笑い声を洩らした。
/
「ファリン。さっきからえらくそわそわして、どうかしたの?」
「い、いえなんでもないですー……ほぅ」
「……?」
「あの、先輩」
「なんですか?」
「……最近の小学生って、進んでますね」
「……は?」
416 :
シナイダ:2007/10/21(日) 15:58:22 ID:fPRjuwWj
以上でした。読んでくれた方、ありがとうございます
……フェイトの変態化が始まった気がする……いいのか悪いのか
とらハ組の、口調が、分からない
エロありとか言っときつつ全然なくてごめんなさいでした
>>416 GJ。
なにげにアリサさんもユーノに魂を囚われているんだねぇ。
なのはさんを盗られてしまい黒化病化するフェイトさんよりもお尻の穴が大好きな変態フェイトさんの方が魅力的です(断言
アリサとフェイトがユーノを取り合うエロ地価なSSが読みたいえす。
>>416 ノエルがちょっと引っかかる気もするけど大丈夫だと思う
>>416 い、いや。十分エロいよ?
GJ…
ってか、ユーノ流された?
それとも本命フェイト?
>>416 GJ!!
得てして本番に期待w
しっかし、これ読んでる時水樹奈々聞いてた事に気づいてスキップ押しまくった俺…orz
>>416 これでフェイトが保健の授業とかで前の穴のことを知ったらどうなることやら…
>>423 本局にあるというユーノが住んでいる寮にフェイト先生家庭訪問だろうなあ。
>>416 GJ。
なんという変態フェイト。尻にはまったか。GJ!
誰だよ今『淫獣先生の秘蜜の学肛』とかいうわけのわからんタイトルを電波したの。
>>416 フェイトは尻っ娘、GJ!
つまりは学校だけに肛門から入ったり出たりするんだな
>>428 誰がうまいことを言えと(ry
アナルセックスは性病感染率が高いからコンドームは必ず着けようね!
お兄さんとの約束だよ!
それはそうと作者様GJ
>>416 GJ!大変エロエロで大満足です。続きも期待して待っております
>>426 目では「ガッコウ」と認識し、脳内で何故か「ダッコウ」という音声が流れたんだが
その学校は男子校なのかと小一時間ry
続きです
通称・八神家の面々も、本局の委員会から設営や色々な催し物の準備などを課せられ、忙しなく立ち回っていた。
機動六課解散以来、久方ぶりのミッドチルダ地上本部。八神家以外にも、この中枢施設で悩殺される局員は大勢見受けられる。
魔導大会のイベント自体は、首都クラナガンの公共施設や競技場を用い、多種多様な企画が実践される手筈となっている。
管理局内外から参加を募った魔導師戦技大会が、その興奮を予期させる名称からしても飛び抜けて注目度も高い。
しかし、それ以外の企画も方々の厚い協力を受けて開かれるものに違いは無い。
開催される企画のどれもが、須らく魔法という超科学を満喫するに値する濃密な内容だった。
魔導師を漫画やアニメの超人みたいに認識して憧れている少年少女の間では、デバイス関連の展示会や魔
法詠唱の体験サービスが早くも噂の的となっていた。
外の次元世界の様々な風土や歴史に関心を持つ人には、無限書庫主催の多世界郷土資料館がうってつけだろう。
日程はイベントの本開催まで一週間を切っていた。既に前夜祭のパレードや露店が、クラナガンの昼夜を賑わせている。
管理局とクラナガン警察の間で組織された特別警備隊も、街中の治安維持や過失処理にめまぐるしい毎日を送らされている。
昨晩はミッドチルダでも管理外世界発の天才魔導師として有名な高町なのは教導官が、煌めく桃色の魔力
光で夜空にイルミネーションを描き、その類稀なる才能を披露して民衆の大歓声を一身に浴びていた。
このイベントの裏には、JS事件に於いて深刻な問題として浮上した、事件首謀者による機械技術の復興
に危機感を抱いた時空管理局上層部が、魔法技術の体面を保持する目論見もあった。
しかしそんな泥臭い内輪の思惑を差し引いても、局員も市民も、純粋にこの祭りを楽しもうという気概が共通していた。
/
ヴィータは地上本部の某棟で書類整理や搬送物資の受け取り処理、連絡係などで小さな身体を行ったり来
たりさせていた。
魔導師として優秀な部類に属する彼女だが、本質的に無駄な争いを好まない性質なので、案外こうした作
業の方が気楽に思っている節があった。
相方の一人であるシグナムなどは、言葉巧みに都合をつけ、ザフィーラを引き連れて大会に向けた特訓に
専念しているという。
バトルマニアめと口の中で悪態をつきつつ、ヴィータは地上本部常駐の委員会の偉い人に通信で連絡事項
を伝え終わり、一息吐いた。
片面が透明ガラスで覆われた高層ビルの通路で、ヴィータはシグナムとザフィーラを欠いた家族と鉢合わせた。
「ヴィータちゃん、お疲れですね。これから休憩ですか?」
リインフォースUがヒュっと宙を泳ぎ、赤い髪の付近で止まる。
「あぁ、お昼食べにな。っと、その前に準備委員会から無限書庫の資料館に必要なデータ頼まれてるから、
ユーノと合流して、あいつと一緒にどこか食べに行くって約束してんだけど」
「珍しいねぇ、ユーノ君と一緒やなんて」
そうか? とヴィータははやての反応に首を捻った。接点が無く見えるかもしれないが、なのはを間に入
れたりして、あの男とはそこそこ付き合いが豊富であると彼女は自負していた。
前述した通り手荒な任務でも極力消耗的な戦闘を控えようと努める彼女は、遺跡発掘といった体験で効果
的な窮地の脱出方法を広く心得ているユーノから、建設的な方策や魔法の有効活用法を教わっていたりする。
彼の話の中では「よく生きて帰ってこれたなオイ」と言いたくなる九死に一生の体験談もあったりして、
ヴィータ自身が知らず知らずもっと彼の体験を掘り下げようとしていたりするが……その点に関して彼女が
自覚を持っているかどうかはまた別の話になる。
はやてとヴィータとリインフォースUが立ち話を花咲かせている横で、シャマルの携帯電話が鳴った。
「はいもしもし、シャマルです。あ……うん、はい、私もこれから休憩で……えぇ、大丈夫ですよ、時間の方は……」
女三人の視線が、一家の年長へと向けられる。人目を憚るように話すシャマルは、手短に通話を終えて管
理局の制服のポケットに携帯電話を仕舞った。
「シャマル、誰と話してたんだ?」
ヴィータが何気無く問うと、シャマルは何故か素っ頓狂な感じで狼狽した。通話中も、自分が置かれてい
る立場に彼女自身も戸惑っているかのような、そんな優柔不断な様子が如実に表れていた。
少々気弱でおっとりしているシャマルだが、何の理由も無しに動揺するほど神経は細くない。
思念会話で深く突っ込もうとしたヴィータだが、止めておいた。実際に口に出して会話するよりも腹を割
って話し合える手段だが、そこまでしてシャマル個人の事情に介入するのも悪い気がした。
それでも気になるのは気になるのだが。「まさか彼氏か?」と可能性の低い邪推も考えたが、すぐに却下する。
「携帯電話から聞こえていた声……もしかして、なのはさんですか?」
小さな末娘の的確な指摘に、シャマルの頬が僅かに引き攣った。
「なのはがシャマルにぃ? あたしとユーノ以上の珍妙な組み合わせじゃん」
ヴィータの不躾な視線が、リインフォースUとシャマルの間を怪訝そうに往復した。
シャマルは少女の様に胸の前で両手を振り、明らかに嘘が下手な苦笑いで必要も無い弁解をしていた。
「ちち、違いますよリインちゃん。あ、えっと、ごめんなさい、私これから待ち合わせがありますから。
午後はちゃんと準備委員会の方でお暇をいただいているので、申し訳無いですけど、お仕事の方は抜けさせ
てもらいますね」
シャマルの唐突な宣言を受けて、ヴィータが機嫌を害した呻き声で喉を濁らせた。
「シグナムとザフィーラのサボリで唯でさえ忙しいってのに、シャマルもかよ。何の用事だよ、なのはと逢引か?」
「え、えっと……あ、全裸のヴァイス君が窓の外でバインド魔法に縛られてるっ!」
「はわわ、ヴァイス陸曹はそんな趣味があったんですかぁっ?」
リインフォースUが真っ赤にした顔を両手で覆う。
「マジかっ!? あのバカ、久々に会えると思ったら何やってんだこんな時に! この階、高度十メートルだ
ぞ! 早く助けてやんねぇと!」
ヴィータがすぐ横手のガラス壁に貼り付いた瞬間、シャマルは「ごめんなさいっ」と一言挟むと脱兎の如
く走り出した。途中で痛快に転んだ彼女を眺め、シャマルらしいなーとはやては他人事のように笑った。
「何だよ、シャマルの見間違えじゃねぇか。……あ、シャマルの奴逃げやがった、ってまた転んだ。もう歩
いて行けよ……止めねぇよ不憫過ぎて」
「まぁまぁ、ええやん。仕事ならどっかの部署からお手伝い頼めばいいんやし」
「はいです。お昼は基本、三人で頑張りましょう」
それでも渋るヴィータを、はやてとリインフォースUがからかい混じりに宥めた。
「仕事サボってまで特訓やるシグナムとザフィーラだけは絶対に許さねぇ。大会で大怪我でもしやがれ。世
間に顔向け出来ないくらい、ボッコボコに負けちまえばいいんだよ」
後者は多分に嫌々前者に合わせているだけな事は、ヴィータも目に見えなくても察していた。
だがザフィーラもザフィーラで、唯々諾々とシグナムの連れ犬を演じているわけでもないだろう、と溜め息を吐いた。
何にせよイベントの開催初日を一週間後に控えた準備の大詰めで、あの二人の真面目な勤務態度を拝む事
は無いと諦めている。
それははやてもリインフォースUも同様だが、こちらは二人の大会出場を応援しているので、ヴィータは
あまり面白くなかった。
「八神部隊長!」
そろそろ別れようとしていた三人へと、元気のいい少年の声が割り込んできた。
ヴィータが向かおうとしていた昇降機の方向から、赤髪の少年が小走りに近寄ってくる。
はやてはエリオの姿に「お〜グッドタイミングやね」と暢気に応対した。
「すみません、自然保護隊の準備もかなり切羽詰っていたものですから。こちらに戻ってきていると窺って……」
「ええよええよ。それに、もう機動六課やないねんから部隊長はあかんよ。好きに呼んでって何度も言ってるやん」
朗らかに注意を促すはやてへ、エリオは所在無げに後頭部へ手を回すと、はぁ、と曖昧に受け答えた。
「なのはとシャマルに続いて、はやてとエリオかよ。どうなってんだ」
ヴィータが困惑顔でいると、はやてがそんな彼女に気取った風に一笑した。
この笑い方をする時のはやては十中八九ロクな事を企んでいないのは、ヴィータは長年の付き合いで嫌でもわかる。
「私とエリオ、それに私のデバイス扱いでリインも、この面子で魔導師戦技大会に出場するんや」
「そ、そうなんですよ……八神部隊ちょ──いえ、はやてさんからお誘いいただいて」
はやてとタッグを組む事に現実感が伴っていない愛想笑いで、エリオは同調した。
「はい! 優勝を目指して、密かに作戦会議もしてきているんですよ」
「ふぅん。…………………………………………はぁぁぁ!?」
至極妥当なヴィータの驚愕にも突っ込みも入れず、はやての気力は今からでも全開らしい雰囲気だった。
「自分でこんなん言うんもアレやけど、私やなのはちゃんは客寄せの為に出んとあかんだけやねんけどな。
でもまぁ、折角やし本気で行こうってリインと話して、な?」
「当たり前です! やるからには一番にならないと意味がありませんっ!」
小さな少女がガッツポーズを決める。ヴィータの目には、リインフォースUが最も優勝に執着しているように見えた。
「ふふふ……シグナムもきっと彼女を使用デバイスに登録して出場する筈です。リインの方が優秀な融合型
デバイスだと実証するいい機会です! リインの事を金輪際バッテンチビなんて呼ばせません!」
リインフォースUの私怨じみたやる気を間近で見て、ヴィータは彼女の大会への執念の基因を確信した。
「で、でも優勝は難しいんじゃないでしょうか。風の噂では、SSSランクの熟練の方々も多く参加すると
いう話ですし……」
月とスッポンを通り越した違いすぎる次元に、エリオは始まる前から寒気すら覚えていた。
はやては彼を励ますように笑顔を勇ましく引き締める。
「いや、ルールの出力リミッターで、出場する人は全員同じ条件や。勝つか負けるかは、どれだけ魔法のセ
ンスが優れてて、日頃から体力作りを続けてるか、そういう基礎中の基礎が重要や。デバイスも公式の特別
仕様に改造されるんやしね。モード付きのデバイスは全てのモードを一括して使えるようにしてくれる分、
ストラーダも普段より抜群にいい子になると思うで」
「……まぁちらっとルール見た限りだと、そうなるな。バカスカ砲撃魔法撃つしか能が無い奴よりも、広範
囲に魔法を体得している奴の方が有利なのは間違いねぇ。魔導師なんて基本、適性のある分野しか伸ばす見
込みはねぇし、タッグ制もそこら辺を考えた処置だろ。誰も彼も偏りすぎてんだよ、特に古参の連中なんか
はな。そこら辺踏まえると、エリオはかなりいい人選だと思うぜ」
だからか、なのはがシャマルをパートナーに選んだのは……と不意にヴィータは閃いた。
(いやいや、順当に考えてなのはのパートナーはフェイトかユーノしか有り得ないだろ。シャマルの補助魔
法はトリッキーすぎて、厳正なルールがある試合だとかなり不便だ。でもなのはの奴、今この時に何だって
シャマルと……まさか、本気でシャマルと出るつもりなのか?)
出場者の一覧はまだ公表されていなかった。そもそも、参加の受理は大会前日まで受け付けている。対戦
カードは運営委員会が一夜で済ませるらしい。
色々と頭の中で議論を展開したが、今から会いに行くユーノ本人になのはのパートナーとして参加届を出
したかどうか確かめればいいだけだ。ヴィータはそう自己完結した。
「うん、まさにヴィータの言った通りや」
はやてがエリオの肩に手を乗せ、真っ直ぐ彼の瞳を見据えた。
「後衛は私とリインに任せてな。エリオがどれだけ敵の懐に切り込んでくれるか、頼りにしてるで」
「は……はい。頑張ります!」
出場を打ち明けた時からずっと見守ってくれているあの少女の為にも、とエリオはまだ見ぬ強敵への不安
を勝利を掴み取る勇気に変えた。
「ヴィータさんは出場しないんですか?」
出場するのが当然とでも言いたげなエリオに、ヴィータは反抗的に鼻を鳴らした。
「しねぇよ。馬鹿馬鹿しくて付き合ってられねぇ」
「またそんな事言うて。お祭りやねんから、小難しく考えんと楽しめばええのに」
ヴィータはむっと顔を顰めが、それ以上反論する事も無く、足音荒くこの場を去っていった。
/
小柄な局員は昇降機で一階に下り、タクシーで無限書庫主催の資料館会場に移動する。
そこも地上本部付近と同じくして、多くの局員やクラナガンの公務員でごった返しになっていた。
ヴィータは人の波を潜りながら、長髪に眼鏡をかけたスーツの男の姿を捜す。
会場内に進んだヴィータの目の前に、ロビーでスタッフと立ったまま打ち合わせをしているユーノを発見した。
ユーノがヴィータに気付くと、彼女は頼まれていた映像画面を表示する。
「これ、委員会からお前にってよ」
「そっか、ありがとうヴィータ」
ユーノが表示されている内容を確認し、了解の意を示すと、ヴィータは映像を停止した。
「なぁ、早くどこか食べに行こうぜ。あたし、もうお腹ペコペコなんだよ」
ヴィータは他のスタッフに指示を出していたユーノのスーツの裾を引っ張り、彼の気を引いた。
ヴィータに振り向き、ユーノも彼女の意向に賛成する。
二人並んで外に出た時、ヴィータは大会についてユーノに訊ねようと彼を見上げた。
「なぁユーノ、お前──」
「こらぁぁぁぁぁ! そこのバイク、止まれぇぇぇぇぇぇ!」
ヴィータの声を、彼女が聞き慣れた女の子の怒声が遮った。
二人が渡ろうとしていた正面の大通りで、明らかに過度な改造を施したバイクが高速で乱暴に通過していく。
その暴走した車輪を追って、空色のウイングロードが道路上の低空に伸張する。
通行人の視界を横切る鮮やかな魔法の台路を、バリアジャケット姿のスバルがマッハキャリバーを吹かせて猛進する。
ヴィータとユーノが追った視線の先で、バイクの背後まで追い詰めたスバルが拳で後部車輪をパンクさせる。
すかさず前方に回り込んだ彼女は、走行不能の身となった車体をしっかりと捕縛すると、ミッドチルダ交
通法違反者に正義感溢れる睥睨を突き刺した。
「そう言や、スバルは臨時で特別警備隊に配属されてたんだっけな。相変わらず糞真面目な奴」
「なのはとヴィータの教え子だよね」
こうして姿を見たのも何かの縁と思い、ヴィータはスバルの方へと歩いていった。ユーノも彼女の後ろに
ついていく。
スバルはすぐに合流してきた警備隊の担当隊員に後の処理を任せ、相手に敬礼していたところだった。
視界の隅で近寄ってくる小さな人影を見て、スバルは約半年振りのヴィータとの再会を喜色満面の笑みで表現した。
「ヴィータ副隊長!」
マッハキャリバーの車輪をコロコロと前進させ、スバルはヴィータの正面へと移動する。ウイングロード
は役目を終えて消失していた。
「しっかり仕事してるみたいだな。どっかの誰かとは大違いだぜ」
スバルは先輩に仕事現場を見られた気恥ずかしさもあり、話題を変える為にユーノに目線を移した。
「えっと、確か無限書庫の……」
「あぁ、ユーノだ。何だよなのはの奴、まだスバルにも紹介してなかったのか」
「えっ、なのはさんの知り合い?」
温厚にスバルへ自己紹介を始めたユーノを、ヴィータは意味深長な目で一瞥した。
「知り合いっていうか、全ての始まりだよな……色んな意味で」
「ヴィータ、何か言った?」
「何でもねぇよ」
つっけんどんに顔を逸らしてくるヴィータへ、ユーノは相変わらず難渋な子だと呆れるだけだった。
「あっ、ごめんなさい。あたし、もう行かなきゃ……ティアと待ち合わせしてるんです」
スバルが時刻を見て、ヴィータとユーノに暇を出す。親しい人物の名を出され、ヴィータは薄く目を細め
て後輩を見遣った。
「ふぅん。お前達も戦技大会に出場するのかよ」
ヴィータが詰まらなさそうに言うと、スバルは案の定な様子で肯定してきた。小さく両腕を力ませるスバ
ルは、意気込みの方は言うまでも無い程漲っていた。
「今の自分がどこまで出来るのか試す、いい機会だと思ったから……」
「そっか。まぁ頑張れよ。一応、応援してるからな」
「ヴィータ副隊長は出ないんですか?」
そう返ってくるのは頭でわかるが、二度も続くと流石に腹に来た。
「出ねぇよ。そんなお飯事、興味もねぇ」
スバルは心の底から残念そうな顔をしたが、ヴィータはそれでも冷ややかに鼻を鳴らすに留める。
指導鞭撻の意義がある部隊の模擬戦ならまだしも、単なる魔法のお披露目会は頼まれても断固拒否だった。
ましてや、それが衆人環視の中で行われるとなれば尚更だ。
スバルはヴィータとユーノを見比べ、はっ! と焦り半分に辞去しようとする。
「す、すみませんヴィータ副隊長、だらだらとお二人のお邪魔してしまって。そ、それじゃあ!」
「は? 何だよ邪魔って、おい!」
ヴィータが片腕を伸ばして呼び止めるが、スバルは今度は自分が法定速度に引っ掛かりそうな勢いで颯爽
と遠ざかっていった。
「あいつに変に誤解されただろ! ふざけんな!」
ヴィータは周りの目も気にせず、身体全体で微かな気配も見逃さない過敏さで四方に視線を飛ばした。
ユーノは人の上に立つ者が持つ冷静さで、ヴィータの癇癪に苦笑を浮かべていた。
「何で僕が怒鳴られるんだよ……って、どうしたんだい?」
「い、いや、別に何でも」
この辺りの雑踏に、不可解な桃色の光とかそういう類の命の危険は無かった。
ヴィータはほっと胸を撫で下ろし、目の端に一瞬過ぎった黄色い影に「ひっ」と細い悲鳴を上げた。
「ヴィータ、本当に大丈夫?」
ヴィータが思わずブラスタービットと勘違いしたのは、別段恐れるに足らない子供が持っていた風船だった。
「ふ、普通にお前と一緒にいるだけで命がけかよ! お前、十年前に出逢うべき相手を間違えただろ絶対……」
「何を言っているのかサッパリだけど……多分そんな事無いと思う」
眼鏡のずれを直し、ユーノは本気で取り合おうともせず適当に言った。
「お前もお前なんだよ……とっととくっ付きやがれ。向こうの言い分なんて『ユーノ君と仲良くしてるのが
なんとなく気に入らない』とか丸っきり小学生レベルで、全く精神年齢が成長してねぇんだしよ……」
「あ、ヴィータ、露店で何か買う?」
道なりに人込みの中に紛れているユーノは、歩道の端に建ち並ぶ暖簾を指差しながらヴィータへ言った。
「てめぇもてめぇであたしの話聴けよっ!」
再三ヴィータから激怒をくらい、ユーノは愈々彼女の立腹が冗談ではないと悟った。
「ま、まぁ落ち着いて。だから、僕はさっきからヴィータが何を言いたいのかわからないんだけど……」
「だから、あれだ、そろそろお前はなのはと進展してもいいんじゃねぇかって思うわけだ、あたしは」
突拍子も無く幼馴染の名を出され、ユーノは眼鏡の奥の瞳をきょとんとさせた。
「進展? って言われても、なのはは友達だし……」
「うわ、もう本気で駄目だこいつ等。マジで末期だ。二人にとってバッドエンドなのかハッピーエンドなの
かすらわからねぇ。もうヴィヴィオはフェイトに託すしかねぇな、おい」
進展? って言われても、ユーノ君はお友達だし……と、最近なのはからさっきと寸分違わぬ言葉を聴か
された記憶が蘇り、ヴィータは余計なお節介を焼いた自分が悲しくなってきた。
「お前さぁ、本気でなのはに対してアレな気持ちも沸かねぇのか? じゃあ物の試しだ、もしなのはが裸で
迫ってきたらどうすんだよ」
「んぐ、ふはっ。何それ、罰ゲーム? 取り敢えず病院紹介する」
なのはの裸という単語を聞いた瞬間、ユーノが人を小馬鹿にしたように吹き出した。
「笑った!? 何でそこで笑うんだよ!? いやおかしいって、それはかなり変だろ! 人としてヤバいだろ!」
「いや、なのはがそんな事するわけないし。病院は脳外科か精神科か迷うけど」
「だからあくまで仮定だって断ってるだろ! そもそもそんなところで迷うんじゃねぇ!」
一昔前はこいつもなのはにそれっぽい態度をしていた気がするが……とヴィータは思い返したが、長い無
限書庫という閉鎖空間生活がそうした青い感情さえも風化させてしまったのだろうかと、後の祭りという言
葉を痛感した。
「ねぇヴィータ。……きっと、大丈夫だから!」
「あっ……(ぽっ)。──じゃ、ねぇよ! 一々下手な芝居やらせんじゃねぇ! ぶっ殺すぞ!」
ヴィータが喚いて両腕を振り回すと、まさに子供の可愛い狼藉にしか見えなかった。
いい加減疲れてきたので、ヴィータは乱れた呼吸もそのままに愕然と肩を落とした。
大通りを横断し、反対側の露店が並ぶ歩道へと二人で肩を並べて差し掛かる。
「あー、もういい。てめぇ等は死ぬまで家族ごっこやってろ……。叫んだらマジで腹減った」
「それは丁度いいや。ほら、露店、何でも好きな物選んでいいよ。今日は僕の奢り」
奢り、と聞いたヴィータの耳がピンと尖った。瞳も煌めいている。
「本当か? スクライア部族嘘つかない?」
「つかない、つかない」
今までの憤激もどこへやら、ヴィータはひゃっほーと足取りを弾ませ、食べ物関連の露店を物色し始める。
根は素直なヴィータの嬉しそうな様子を、ユーノはズボンのポケットに手を突っ込んで靄然とした表情で眺めていた。
Mサイズの時空管理局の制服の背中に長い三つ編みの髪を揺らす少女は、次々にユーノへ代金を支払わせ、
手に取った祭りの食べ物を胃に収めていった。
棒の先端に絡められた巨大な飴をハムハムと舐めながら、ヴィータは至福の顔で頬を弛ませていた。
「悪ぃな全部奢らせちまって」
「いや、気にしなくていいから」
そうかー、と随分福々しくなった顔のヴィータが答える。
ふと、もう一方の手に妙な感触と人肌を感じ、ヴィータは自分の片手に目を落とした。
……何時の間にか仲良くユーノと手を繋いで歩いていた。
「な、何でだよ! 止めろアホがっ!」
「は? 何が?」
再び怒りを沸騰させてきたヴィータに戸惑い、ユーノは振り払われた手をぶら提げる。
ずかずかと一人で勝手に歩き出したヴィータを追おうとしたユーノは、自分達の正面から見知った姿が近
づいてくるのを視界に収めた。
ハラオウン義兄妹と少女姿のアルフも、街角の偶然の出会いに立ち止まる。
「ユーノ、ヴィータ。二人でお昼?」
「そういうわけでもねーですよ」
残っていた飴を一気に噛み砕き、ヴィータは険悪な目つきで不愉快そうに返答する。飴の棒を持っている
方とは逆の手を、神経質に制服で拭っている仕草が少し奇妙だった。
「今日は家族で観光? エイミィさんとあの子達は?」
「まだ海鳴市だよ。戦技大会だけ観戦しに来るんだって。私とお兄ちゃんは参加届の提出を済ませたところ。
お互い予定が詰まってて、今日やっと落ち合える時間が出来たから」
フェイトの話を横から聞いて、ヴィータは一人取り残されている気分を漠然と胸に抱いた。
「何だよ。フェイトも参加するのかよ。はやてとなのはは出なきゃ絵にならねぇし、仕方ねぇんだろうけど」
親しい皆が自分と違って積極的に大会へ参加する事が、ヴィータにはこの上なく不満だった。
このままでは、八神家で自分一人だけが寂しく家族を応援しなければならなくなる。ヴィータの情報では、
シャマルはまだ参加不確定だが。
「あの二人は管理局のアイドルだからな。フェイトもそうだが……本人がこんな性格だし、二人に比べて露
出が少ないから見劣りしてしまうが」
「も、もう。お兄ちゃん……アイドルとか、そういうの関係無いってば」
白い肌に内気な恥じらいを散らせ、フェイトは責めるようにクロノを上目遣いに見た。
「僕は事実を言ったまでだ。クラウディア艦内じゃ、何気にフェイトの方が人気みたいだな。気が向いたら、
今度サイン会でも開いてやってくれ。士気も高まる」
「い、嫌だよ」
皮肉交じりに言う義兄へ、妹は益々顔を赤くして俯いた。
「まぁ、フェイトに限らず、あの二人だって可愛いし、気立てもいいし、男局員がのぼせ上がるのも無理な
いさ。そうだろ、ユーノ」
「え? うん……そう?」
ユーノは頗る平然とアルフに答える。そこには真っ白な平常心があるだけだった。
「無駄だぜアルフ。こいつの心は既に青春廃墟の永久凍土だ。どれだけ色恋沙汰に嗾けてもサッパリ張り合いがねぇ」
「当然だな。フェレットモドキが漸く身の程を知ったわけか」
無意味に勝ち誇った笑みのクロノへ、眼鏡のレンズを貫いてユーノの鋭利な視線が撃ち込まれた。
「相変わらずそんな低次元な煽りしか出来ないとはね。椅子に座るのがお仕事の提督面が板についてきたじゃないか」
クロノが頬を微細に痙攣させ、背後に揺らめく怒気を篭らせた涼しい笑みを浮かべる。
「無限書庫ってあれだったな、お前の非常食の倉庫。実はフェレットじゃなくて羊だったって早く世間に告
白したらどうだ? 誰も聞きたくないだろうが」
「あ、そこの動く不快粒子放射型の低級ロストロギア、とっとと暴力的に大人しく捕まって? 今ここで脳
を破裂させるならそれもいいけど、可能な限り愉快な死因で僕を楽しませてくれると嬉しいな」
「いい度胸だな。お前は昔からそうだ、年下の癖にいつもいつも態度だけは一丁前で……!」
クロノが一歩靴音を鳴らし、ユーノもギチギチと頬を固まらせてクロノの威圧に拮抗していた。
「飽きもせずに突っ掛かってくるのはそっちだろ、頭が年中エターナルコフィンで凍結されてるとしか思え
ないな。減給降格処分っていう画期的な人格矯正をオススメするよ……!」
黒髪と砂色髪の両者の激突する視線が、周囲の通行人にも冷気の余波を浴びせる。しかし巻き添えを食ら
いたくない一心で、誰も彼もが不干渉に徹していた。
歩道の端で熾烈にいがみ合う二人を見て、アルフは心底呆れて溜め息を漏らし、フェイトは二人の間で半
ば涙目になって「け、喧嘩は駄目だよ、お兄ちゃん、ユーノ、仲良くして……ふぇ」と周章狼狽していた。
「あの二人って仲悪かったのか?」
「顔を合わせれば毎度あんな感じさ。どっちもどっち、幾つになっても成長なんてしやしない」
アルフが肩を竦めてヴィータの疑問を解消した。ヴィータの記憶の中でクロノとユーノが一緒に居る場面
は多くはないが、こんな二人の苛立ちを露にした生々しい表情は流石に初めてだった。
冷静沈着、精励恪勤なクロノ提督。頭脳明晰、勤勉博識なユーノ司書長。そんな思慮深い二人の子供じみ
た罵倒の応酬は、局内でもそうそう見られる光景ではなかった。
フェイトでは二人の諍いを止められないと熟知しているアルフが、容赦なくクロノとユーノの尻を蹴り飛ばす。
子供姿の使い魔に場所も構わず説教されて萎縮する大人二人は、見事なまでにみっともなかった。
「全く。そんなに言うなら、存分に悪態をぶつけ合える場所があるじゃないか」
「そうだな。ユーノ、お前は戦技大会どうするんだ? 棄権か? 不戦敗か? 僕としては、お前はフェレ
ット姿で会場の隅で怯えているのがお似合いだ。相手にするなら僕一人でも充分だが」
「お、お兄ちゃん、言い過ぎだよ。多分そうだと思うけど……」
フェイトが悪気無く口に出し、ユーノの不気味に透徹とした笑みが自分に向けられて顔から血の気を引かせた。
「へ、ぇ……兄妹揃って言ってくれるじゃないか。フェイトにまで侮られていたなんて、かなり心外だな」
幼馴染だからこそ理解出来てしまうユーノの激情の産声に、フェイトは再び瞳を潤ませながら必死で首を横に振る。
「ち、違うのユーノ! さっきのは、そ、その、純粋な実力差っていうか、その、ユーノって攻撃魔法が不
得手だし、そういう意味でユーノは勝ち目が無いんじゃないかなって思っただけで、その、ご、ごめんね、
そんなつもりじゃ……っ」
感情の加熱が臨海を突破したのか、ユーノの燃え盛る瞳の焔が不吉に冷却されていった。
「あぁ、いいよフェイト。別に弁解なんて要らないから。大会当日、しっかりと二人の誤解を解いてあげれ
ばいいんだしね。攻撃魔法の資質だけで魔導師の力量が決定しない事、その頭にしっかり叩き込んであげるよ」
「ゆ、ユーノぉ……そんなに怒らないでよ……うぅ。本当に悪いって思ってるから……」
「コラコラ、ユーノ、クロノとフェイトと対決するならあたしを忘れてもらっちゃ困るよ」
アルフが自信満々な態度でユーノの正面に躍り出る。大胆不敵に胸を逸らし、見下ろしてくる眼鏡越しの
視線を堂々と見返した。
「あ、そっか。使い魔はデバイスと同じで、基本、ちゃんと申請が通れば何匹でも参戦させられるんだったな」
「その通りだよヴィータ。今回はあたしも、二人のサポート役として参加するのさ」
「ユーノも参加を今決めたみたいな素振りだな……運営側としちゃ、こんだけ若手の有名局員が出揃ってく
れりゃ願ったり叶ったりだろ」
また一歩も譲らない舌戦を開始したクロノとユーノをアルフとフェイトが引き剥がし、彼女達はそそくさ
と知人二人に別れを告げ、活気に満ち溢れた都市の奥へと紛れていった。
ユーノは普段の彼からは想像も付かない憎々しげな形相で、フェイトとアルフに両腕を引っ張られながら
遠ざかっていくクロノを何時までも睨み付けていた。
「は、放すんだフェイト、アルフ! あいつにはまだまだ言ってやらないと駄目だ! このっ──覚えてろ
ユーノ! 聞こえているのか、おいっ! お前にだけは絶対に負けないからな!」
「いい加減うるさいよクロノ! 帰ったらまた説教されたいのかい、えぇ! こんなお天道様の下で喚くん
じゃないよ、っっとに大人気無いね! 一家の大黒柱が情けないっ!」
「お兄ちゃん、もう黙って! 皆が見てるから! 私達まで恥ずかしいよっ!」
「いいか! 十年来のお前との決着をきっちりつけてやる! 小遣いだって死守してやるからな!」
行き交う人々の中には、目を血走らせて怒号を発している男が時空管理局の新進気鋭スーパーエリートで
あるクロノ・ハラオウン提督だと気付く者が増えてきた。彼の人となりの評判を根底から覆す驚愕の光景を
前に、本人に好奇の視線を向けながらひそひそと無遠慮な囁きあいを始める者もいた。
「……ん? 小遣いって、何言ってるんだクロノは?」
ユーノは拍子抜けして呟いたが、答える声は無かった。
「なぁユーノ、参加するのはいいけど、パートナーどうすんだよ」
どうでもいい事だが、友の誼でヴィータが問う。ここで初めて参加条件を思い出したのか、ユーノは俄か
に顔付きを難しくさせた。
「そんなルールがあったね……。すっかり見落としていたよ」
ヴィータが呆れ返るほどに、今のユーノは叫び疲れていた。
「なのははもうパートナー決めてるみたいだぞ。フェイトもクロノと出るんだろうし……シグナムはザフィ
ーラと、スバルはティアナと、はやてはリインとエリオを連れて出場だ」
「機動六課の皆もなんだかんだ言って出るんだね。ヴィータは?」
「あたしはパス。別に優勝とか興味ねぇし」
言いつつ、ヴィータは近くの道端に設置されてあるゴミ箱に飴の棒を放り捨てた。
「そっか。ヴィータみたいな突撃力のある魔導師と組めれば、攻防一体でバランスがいいんだけど……出な
いなら、無理強いは出来ないね」
「ん……」
ヴィータが伏せていた方の片目を薄く開け、思案を始めたユーノをちらりと見た。その目が大きく剥かれた。
「って、お前なんか光ってるぞ!? 大丈夫かよ!」
周りの目を集めながら、ユーノの肉体が淡い発光現象に包まれていた。
「あー……さっきの口論でかなり魔力消耗したから、少し動物形態で休まないと」
「単なる喧嘩で魔力使うなボケ! お前等スクライアは普通に使ってるけど、一応変身魔法は犯罪なんだぞ!
ちょ、ちょっと草叢に姿隠せ!」
ヴィータが一生懸命ユーノの身体を人目の付かない場所まで押し遣る。
間一髪、ユーノがフェレットみたいな小動物に変身した瞬間は、ヴィータ以外の誰も目撃しなかった。
大きく体格差のある男を移動させた疲れで、ヴィータも少し息が上がっていた。
「ったく、何なんだよ今日は……まだ仕事も山積みだってのに……ん?」
ヴィータが足許を見ると、緑の地面の上で一匹の愛くるしい小動物が、高度な知性を持っている事を窺わ
せる挙動をしていた。
「かっ!」
「え、どうかした?」
ヴィータの目が激しく動揺する。神の啓示に逢着した聖人のように震えながら膝を着き、小刻みに痙攣す
る手をユーノへと伸ばす。
そっと両手でユーノを前肢の脇から抱き上げると、至高の柔らかさがヴィータの掌の神経に紫電が流れた。
心はまだ全力で制動がかかっているが、その最後の砦も呆気無く崩れ去る。
「はぅぅ」とらしくない感激の声を上げ、ヴィータはユーノを胸元に強く抱き寄せていた。
「ぐぇ、ヴィ、ヴィータ! く、苦しいっ」
恐るべき腕力と薄い胸の感触の板挟みになり、ユーノは自分がおいしい立場なのかどうかさえもわからなかった。
(な、何だよ! ユーノの奴、こんな近くで見ると可愛すぎだろ、おいっ……)
「ヴィ、ヴィータ! ヴィータ、先代の族長様が笑って手を振ってるから! ウナギの姿でニョロニョロ言
ってるから! って言うか、あんた本気で死ぬまでその姿だったよな! 僕は驚きだよ!」
「あ、あぁ、悪い! つい」
ヴィータは咄嗟に腕の力を抜き、ユーノを少し自分から距離を離す。だが抱き抱えた手から彼を解放する
気配は微塵も無かった。
「あ、あの、ヴィータ?」
間近に映るヴィータの幼い顔はほんのりと頬を上気させており、乙女らしい熱中に瞳を輝かせていた。
「な、なぁ、ユーノ。お前、大会のパートナー必要なんだよな?」
「え? うん、僕は補助専門だから、出来るだけ攻撃力の高い前衛魔導師を」
邪な考えの悪寒も多々感じられたが、ユーノはヴィータの言いたいところをすぐに推し量れた。
「じゃ、じゃあさ、あたしがパートナーやってやるよ……」
真正面から告げる事はやはり抵抗があったのか、ユーノの目の前の少女は不貞腐れた目を横に逃がしてそう呟いた。
「本当かい? ヴィータならこっちからお願いしたいところだよ」
「その代わり!」
来たよ、とユーノは然して身構えたりもせずに本題を待ち受けた。
しかし、彼の予想に反し、ヴィータは更に頬を赤らめてもじもじと口篭っていた。
「えっと、ヴィータ?」
「あ、えっと、あのな、ユーノ……その代わり、なんだけど……」
「遠慮せずに言ってくれていいよ。僕に出来る事ならちゃんと要求に答えるから」
ユーノが優しくヴィータの躊躇を取り去る。それに励まされ、ヴィータは意を決してユーノの母性本能を
擽る顔を見つめた。
「大会が終わった後、一週間この姿であたしと一緒にいてくれたら……優勝は確約出来ねぇが、クロノをぶ
っ倒す位は手伝ってやるよ」
あぁヴィータも女の子なんだなーとユーノは察知し、快く承諾した。ヴィータは感情の起伏が激しいが、
理不尽な横暴を働いたりはしない良識的な性格なので、どこかの誰かみたいに辛苦な時間を強いられはしな
いだろう。その点は安心だった。
いきなりユーノが脳天を抱え出したので、ヴィータが胡乱な目をして小首を傾げた。
「どうしたんだお前」
「い、いや、十年前の古傷が」
「はぁ? ま、いっか……へへっ」
にぱっとヴィータが満面の笑顔を咲かせ、今度は程好い力でユーノのしなやかな肢体を抱き締めた。
/
首都中心部にある高層ビルのレストランで、なのはとヴィヴィオ、そしてシャマルが相席をしていた。
食事は既に全て終わらせ、なのはとシャマルは神妙な面持ちを向かい合わせている。ヴィヴィオは追加注
文したデザートに血道を上げていた。
「えっと、この前はどこまでお話しましたっけ」
「『対戦相手が双方補助特化の魔導師だった場合の攻略法』ですね。結論としては、なのはちゃんの一撃必
殺で一点突破。この組み合わせは単純に防御の一辺倒ですから、それに勝る攻撃さえ与えられれば、勝利は
容易いと思いますよ。現局内でユーノ君やザフィーラ以上の防御魔法を扱える魔導師は極少ですから、出力
リミッター制限の戦力均等化の影響も問題無いと思います。それで、一番の懸念は……」
温和な顔を危機感に引き締めたシャマルの前で、なのはも顔色だけで彼女の冷徹な意見の輪郭を察する。
「はっきり言わせてもらいますけど、戦技大会のルール上、なのはちゃんは出場者中最弱の部類になるんです。
なのはちゃんと、後は似たタイプとしてフェイトちゃん。主な使用魔法は、攻撃魔法と初歩的な補助魔法。
確かにその分野で優秀な技量を持っているお二人ですけど、出力リミッターがかかっているので、最初から
力押しが不可能な状況にあります」
「はい……」
「それに加えて、比較的読み易いんです、なのはちゃんの戦法は。高精度の誘導弾、高出力の砲撃魔法、
どれもが目を瞠る威力です。──でも、煎じ詰めて言えばたったそれだけ。その威力を凌駕するシールドを
展開されたらその場で攻撃手段が無力化しますし、相手が変則的な戦法を得意とする魔導師だった場合でも、
なのはちゃんはそんな未知の敵と瞬間的に適応するには、圧倒的に経験が足りません。魔法を学んでまだ十
年足らず……正直、今までの飛躍的な上達は先天的な才能に拠るものが大きいと思います」
なのはは一声たりとも聞き逃さないよう、真剣な顔でシャマルの解説を傾聴していた。
「まだまだ言うべき事は沢山あるんですけど……長々としていても時間の無駄ですね。実践訓練の時間を削
るわけにはいきませんし。さっき言ったなのはちゃんの基本的な魔導師の戦闘性能を鑑みて、私達ペアにと
って最大の難敵は、攻撃と防御が高い水準で充実している、一見して派手な特徴の無い堅実なペアです」
なのはが紅茶で唇を湿らせ、シャマルからの露骨な言葉を一つ一つ噛み締めていた。
今のなのはの胸中にあるのは、只管シャマルの後衛騎士としての卓抜した分析力への感嘆だった。
だからこそ、なのはは大会優勝への共闘者としてシャマルを抜擢したわけだが。
「今、私達が知り得ている参加魔導師で、その種類に該当するのは──シグナムとザフィーラ。厳密にはア
ギトちゃんもですね」
「うん……正直、わたしもあのチームには勝てる気がしません」
なのはは変な意地も強がりも見せず、率直な意見として軽い口調で言った。
シャマルも、それをなのはの卑屈な自己防衛だと取らず、冗談の無い様子で頷く。
「なのはちゃんの弱点である近接戦闘。シグナムに間合いを取られたら、なのはちゃんはその時点で窮地に
陥ります。レイジングハートに白兵戦用の魔法が揃っているなら何とかなるかもしれませんが、なのはちゃ
んの魔法適性から言っても、シグナムとデバイス同士の格闘で互角に渡り合えるわけがありません。彼女だ
けならまだしも、ザフィーラとアギトちゃんの援護が加われば手の打ちようがありません。このチームは、
他の試合で負けてくれる事を祈るしかないですね。……とは言っても、基本的な戦力が高い二人ですから、
シグナムとザフィーラは優勝ペアの最有力候補と思って間違いはありません。必ず決勝戦まで勝ち上がってくる筈です」
「……でも、他の試合で負けを祈るって、それはそれで何だか釈然としないと言うか」
なのはが苦笑いを浮かべるが、前から突き刺さってきたシャマルの冷然とした視線で、和やかな顔付きを殺される。
「それも一つの戦略ですよ。なのはちゃん、貴方はヴィヴィオちゃんと優勝を約束したんですよね?」
「は、はい。そうです。ヴィヴィオの期待に応える為にも、わたしは勝ちたいです」
口の周りにクリームをつけながらデザートを頬張っているヴィヴィオに、なのはは横目を向ける。
なのはの目線を追い、シャマルは一転して相好を崩す。
「だったら、余計な雑念は捨ててくださいね。他にも強敵はごまんといます。敵同士が潰しあってくれるなら、
それだけで私達は優勝へと近づけるんです。あまり自分の都合のいい方に物事を考えちゃ駄目ですよ。
その迂闊さが致命的な隙になりますから。貴方は心のどこかで、どんな危機的な状況でも何とかなると楽観
的に思ってしまう欠点があります。事実、多くの窮地は何とかなってきましたから。それが必然にしろ偶然
にしろ、なのはちゃん自身の実力にしろ。だけど、それは絶対ではありません。空戦S+ランクなんて管理
局全体では氷山の一角でしか無い事、しっかり肝に銘じて本番に挑んでください」
シャマルの微に入り細に穿つ物言いに、なのはは彼女の騎士としての戦慄すべき本領の一端を実感していた。
フェイトがパートナーならば、シャマルに対してとはまた違った意味で背中を預けられただろうが、
フェイトは今のシャマルの様になのはに苦言を呈するような事は決してしないだろう。そのある種の互いの遠慮が、
敗因に繋がる可能性として無きにしも非ずあった。
ユーノをパートナーに選んだ場合は、フェイトよりも問題は深刻だった。どうしてもなのはは「ユーノ君
ならしっかりわたしを補助してくれる」と安心しきってしまう。そんな注意力散漫ななのはなど、ユーノさ
え排除してしまえば赤子の首を捻るように打ち負かす事が出来た。師匠であり先生であるユーノが目の前で
完全無欠に撃破される光景は、心理的にもなのはへの凄絶な打撃となり得るだろう。
しかし、シャマルにはそうした遠慮も甘えを抱くだけの余地も無かった。
あくまで勝利を到達地点に定めた、自他の戦力を分析した上での精密冷徹な戦略が議論されるだけだった。
『あの本部襲撃も、それ以外の機動六課の戦闘の失態も、私がシャマルを巧く動かせんかったからや。
いっそシャマルを医務官として出し惜しみせんと、指揮系統を一任するべきやった』というはやての悔恨の
言が真理であったと、なのはは一種の寒気さえ覚えていた。
「シャマルさんをパートナーに誘って正解だったと思います」
そう言ってなのはは微笑んだ。シャマルも微笑み返すが、そこには僅かな翳りが愁嘆の陰影を刻んでいた。
「……私はずっと、ヴォルケンリッターの参謀格として他の三人を影から操ってきましたから」
「あ……。ち、違います。わたし、そんなつもりでシャマルさんを頼ったわけじゃ……」
シャマルは柔和な色の髪の中で、和やかな目尻に悔悟の念を滲ませる。
「いえ、なのはちゃんが謝る事なんてないんですよ。……でも、時折思うんです。私達が今のような生活を
送る資格があるのかどうか……シグナムも、ヴィータも、ザフィーラも、上辺はそんな事考えてもいない素
振りですけど、ふとした瞬間に私と同じ事で思い悩んでいる筈です。長い付き合いですから、あの子達の事
は一目見ただけでわかります」
「シャマルさん……」
一度瞼を閉じたシャマルは、忌まわしい修羅の記憶を追想し、痛ましく沈思する。
なのははかける言葉も見付からず、愁然としてシャマルを見つめた。
しかし、再び見開かれたシャマルの瞳は開き直りも底無しの罪悪感も無い、現実を直視するだけの強い輝きがあった。
「立ち止まっててはいけない。過去を悔やんでいるだけでもいけない……私はこの十年間、そう自分に言い
聞かせてきました。私達が行ってきた事を、未来永劫恨み続ける人がいると思います。どれだけ改心しても、
今はもう違うと奇麗事を言っても、私達が嘗て繰り返してきた残忍非道な行いを赦さない人がいると思います。
そうした人達と過去の遺恨を清算出来るなんて、そんな自惚れた勘違いもありません。だから……結局、
私達が出来る事は、今目の前にある現実を、自分自身で選んだ道を、この足で歩き続ける事。それだけだと
思います。何かを変える為には、まずは過去の自分自身をしっかり受け止めなければいけない。一歩前に進む為に、
今までの自分から逃げててはいけない。悲しみも、苦しみも、全て自分の一部として……。それを教えてく
れたのは、はやてちゃん。そしてなのはちゃん達もですから」
なのはは眉尻を下げて少し俯いた。そんななのはに、シャマルは淑やかに微笑みかける。
「なのはちゃんが今回私をパートナーとして選んでくれた事も、そんな気持ちと無関係じゃないんですよ。
素直に嬉しかったんです。あぁ、はやてちゃん以外にも私を必要としてくれる人がいるんだなって思えて、
私は凄く嬉しいと思いました」
なのはの中に、偽りの無い真摯なシャマルの声が染み渡っていく。
「シャマルさん達が過去にどんな辛く残酷な体験をしてきたとしても、わたしの知っているシャマルさん達
は世界で一人だけです。優しくて、誰よりもはやてちゃんの事を想っていて、強くてカッコいい、そんなシ
ャマルさん達なんです。もし四人を憎む人がいても、世界中がシャマルさん達を悪魔と蔑んでも、わたしは
味方ですから。どんな事があっても、わたし達ははやてちゃん達家族の仲間ですから……」
シャマルの瞳は、いつしか清純な潤みを帯びていた。
「ありがとうございます、なのはちゃん」
自制の利かない感情に声が震えていたが、シャマルの頬が濡れる事は無かった。いつまでもその涙は瞳の
中で煌めき続けていた。
今度はなのはもシャマルも、何の煩いも無く微笑みを交わす事が出来た。
「シャマルさん。絶対に優勝しましょうね」
「はいっ!」
/
嵐のように一週間が過ぎ、遂に魔法文化最大級の一大イベントが開催された。
世界中から首都クラナガンへと人々が殺到し、夜を忘れた宴は留まるところを知らずに盛り上がりを増していく。
そして更に数日後。誰もが待ち望んだ、魔導師戦技大会の開始を知らせる魔法花火が、首都の特設会場か
ら空高くへ絶え間なく打ち上げられる。
既に観客席は無数の人の波で隙間無く埋まっていた。会場の外でも、特別に設置された大型画面の中継を
視聴する観客で、道路や建物の屋上、屋内さえも埋め尽くされている。
開会式が粛然と進められ、いよいよ第一回戦の第一試合が行われようとしていた。
円形に会場の縁を取り囲む観客席の一角、大型の魔力光掲示板に、第一回戦の対戦者が表示される。
観客が沸いた。様々な声援が会場に地鳴りを響かせる。
そして四名の魔導師が現れ、バリアジャケットに身を包んだ勇者の姿でゆっくりと試合場へと入場した。
魔導大会主催・魔導師戦技大会 第一回戦第一試合
ユーノ・スクライア無限書庫司書長&ヴィータ三等陸士VSスバル・ナカジマ一等陸士&ティアナ・ランスター執務官補佐
続きます
ぐっじょぶ!
予想外のなのはとシャマルのコンビがどう活躍するのか楽しみです。
キャロははぶられたのか・・・
GJ!
あれ、何だろう、ヴィータに死亡フラグが立ったような。
白い悪魔的な意味で。
GJ!
オラわくわくしてきたぞ!
でも、ヴィータは三等陸士じゃない。
三等空尉だ。階級的にすごい違うぞw
#三等陸士は、三等兵(一番下っ端の方)。三等空尉は、空軍少尉。
>>447 GJ
予想外組ばっかだな、てかクロノとユーノは自重しろwww
あとヴァイスの扱いがww
キャロとルーの召喚コンビの出番は無いのかしら
GJなんだが、あえて聞きたい。
ヴィータが三等陸士?
GJ
半ズボンユーノクルー?
GJ!!
>>449 いやこれはユーノ×ヴィータフラグだろwww
最後の最後でやってしまいました
皆さんのご指摘通り、ヴィータの階級は三等陸士→三等空尉 です
申し訳ございませんでした
_ ∩
( ゚∀゚)彡 ユーノ!ユーノ!
⊂彡
>>447GJ!
騎士よ眠れの人かな?違ってたらすいません
ううむ、参謀してるシャマルさん本編二次とおして始めてみました
回復・防御はもちろんのこと攻撃までできるから実は魔道士としてかなり優秀なんですよね
しかしユーノ、枯れてるなぁ
こ の ス レ 見 て て よ か っ た
>>447 GJ!
うひょぅユノヴィフラグとは!こりゃいいや。期待するッスよ
なのシャマ、クロフェ、ユノヴィ、はやエリにスバティア、本命のシグザフィか……
キャロは……あ、ギンガって手が
どうでもいいが、飴を舐めながらユーノと手をつないで歩いてるヴィータの姿って
いい方向にとれば中のいい兄弟とかだろうが
下手したら
変態ロリコ○野郎の犯罪現場にしかみえn(ry
まてい! 発想が貧困だぞ、あの世界にはリィンUみたいな生物は珍しくないんだぞ。
だから見た目が幼女でもロリコンだと思う奴はいないはず。
久し振りに投下してもよかばってん?
ってわけで投下させていただくでごわす
・自分の作品的に今までとは違ったフェイトを描いてみる…
・微妙にエロあり?
・オリキャラあり
見た目が幼女ならそれはロリじゃないのか
フェイトはある事に苛立ちを覚えていた。それはなのはとユーノの関係に関してである。
別になのはは自分の物だからユーノがなのはに近付くのが許せないとかそういうワケでは無い。
むしろフェイトはとっくの昔に二人の関係を認めている。だが…問題は二人の方が誰の目にも
明らかな程仲が良く、ユーノ自身もヴィヴィオからパパと呼ばれたりと随分懐かれてるのにも
関わらず、未だに「友達」と言う関係と言う事になっている点にある。
これがフェイトには少し許せない事だった。どう見ても友達ってレベルじゃねーぞって状態なのに
友達で通すのは何故だろうか…とフェイトは考えた。その結果…
フェイトはなのはとユーノの二人を呼びつけた。
たまたま二人とも暇だった故、あっさりフェイトの誘いに乗ってくれたのだが、
そこでフェイトは二人に対して言った。
「で…結局二人の関係ってどうなの?」
「へ? 突然何を?」
「良いから。二人の関係について教えて。」
フェイトかなりストレートに質問をしていた。それにはなのはとユーノも戸惑う。
「た…ただの友達だよ…。」
「そうそう…友達友達…。」
二人は笑いながらも、かすかに苦笑いしている様にも見える表情でそう答えた。
それにはフェイトも納得した様な顔になる。
「そうか。二人はあくまでもただの友達と言う事なんだね…………。」
そう言うフェイトに二人もかすかにほっと一息付いている様に思えたが…
「………と言うとでも思った?」
「え………。」
突如フェイトに睨み付けられて二人は凍り付いた。
「本当は二人とも…私に気を遣ってるでしょ?」
これがフェイトがなのはとユーノが未だに「友達」と言う事になっている原因かもしれないと
推理した結論だった。フェイトは二人と違って未だに浮いた話が無い。
それなのに自分だけユーノと幸せになるのは申し訳が無いのでは…となのはは考えたのでは無いか?
自分を犠牲にしてまで他人の事を考えすぎるなのはならありえる話である。フェイトはそう考えた。
「どう見てもラブラブなのに未だに友達と言う事になってるのは…やっぱり未だに
浮いた話の無い私に気を遣っての事なんでしょ?」
「べ…別にそんな事は無いよフェイトちゃん…。」
「そうだよ…僕達はただの友達同士で…。」
「図星か…。」
フェイトの言葉にそう答える二人だが、その苦しそうな表情と口調を見れば分かる。
明らかに図星であると…
「私はね…今凄く起こってるんだよ。別に二人がラブラブだとかそんな理由じゃない。
と言うか皆もうとっくに分かってるんだよ。なのはとユーノがラブラブだって事が…。
なのに肝心の二人は未だにただの友達と言い張る。それが私には許せない!」
「!」
物凄い形相で言うフェイトに二人は思わず震え、何も言い返せなかった。
「やっぱり思った通りだね。二人は未だに浮いた話の無い私に気を遣ってる。
顔を見れば分かるよ。特になのはは自分の事よりも他人の事を第一に考えるタイプだしね。
でもね…それって私としてはとても迷惑な話なんだよね。」
「め…迷惑?」
「そう。なのはなりに私の事を考えてそう言う行動に出たのは分かるけど…私にとっては迷惑。
だってまるで私はなのはがいないと何も出来ない女と思われてるみたいじゃない。
だから無理してまで私に気を遣う必要は無いよ。私は自分の力で幸せを掴む事は出来るから…
なのはとユーノは私よりまず自分の幸せの事を考えようよ…。」
「で…でもそれだとフェイトちゃんが…。」
「だからそれがいかんと言ってる! 確かに助け合いの友情も大切だけど…
時には厳しく突き放す事も友情になるんだよ! だから今は私を見捨てて…
私は自分の力で十分何とか出来るから…二人はまず自分の事を考えて…。
それに…二人が私の事を考える余りに幸せになれなかったら…それこそ本末転倒…。
まるで私のせいで二人が幸せになれなかったと思われてるみたいで…私はそんなの嫌…。」
フェイトの目からは涙が溢れていた。それ程までに真剣に考えていたのである。
思わず二人もフェイトの気持ちが伝わるのであるが…次の瞬間フェイトは
なのはとユーノの後頭部をそれぞれ掴んでいた。
「だから………私の事は気にせずにいい加減にゴールインしろぉぉぉ!!」
「んぶ!!」
フェイトは無理矢理になのはとユーノの顔面同士を押し付けて口付けさせていた。
まあその際に力が入り過ぎて額同士を強く打ち付け合ってしまい、二人が頭を押さえて
のた打ち回るなどと言うハプニングも発生したが、この事が二人を吹っ切らせたのは事実だった。
二人はきっぱりと「友達と言う事にしていた」関係を止め、あっさりと結婚しやがった。
「ご結婚おめでとう…と言うべき所だけど…あまりにも用意が良すぎるのはどういう事だろう…。」
結婚式に出席していたフェイトは眉を細めながらそう一言呟いていた。
何しろ婚姻届も結婚指輪もウェディングドレスも何もかもが既に用意されており、
何時でも結婚出来る準備が取られていた様にしか思えない。だがまあそこまでとやかく言うのは
野暮と言う物。フェイトはこれ以上細かい事は考えずに二人の結婚を素直に祝福した。
式は何の問題も無く無事に終了した。その後フェイトは一人自室に帰り、
ベッドに倒れる様に寝転ぶのだが…フェイトは泣いていた。
「う…う…うあああ………ひっく……えぐ…えぐ…。」
自分で言った事であるとは言え、やはりなのはとユーノが結婚した事は心苦しい事だった。
故にフェイトは泣いた。子供のように泣いた。しかし…
「でも…これで良い…これで良いんだよ…うう…。」
フェイトは泣きながらも二人の事を考えていた。これで良かったのだと。
そして…同時に自分の力で自分の幸せを見付けるのだと言う決意もまた固めていたのであった。
時を同じくして、なのはとユーノは自室のベッドで寄り添って寝転んでいた。
「フェイトちゃんの方も無理してた様に思えるけど…大丈夫かな?」
「大丈夫だと思うよ。フェイトだってあそこまで言ったんだから…彼女を信じるしか無いよ。
むしろ今フェイトを心配していたら…逆にフェイトに怒られてしまうかもしれないよ。」
「そうだよね…フェイトちゃんが言っていた様に…時には突き放す事も友情になるんだね。」
やはりフェイトの心配をしていたなのはだが、それももう吹っ切った。フェイトならば
自分の力で自分の幸せを見付ける事が出来ると信じて…
「それじゃあ今からは私のわがまま…させてもらうよ。」
「うん。」
二人はゆっくりと口付けをした。それまで自分を押し殺して人の為の事を
優先していた二人にとって数少ない「自分の為」の行為…
そうして二人は少しずつ服を脱いで、肌を露出させ…交わった。
「不束者だけど…これからもよろしくね?」
「うん…。」
なのはとユーノはそれまでの「友達と言う事にしていた」鬱憤を晴らすかのような
それはそれは濃厚な初夜を過ごしたという。
数年後…
なのはとユーノの二人に双子の子供が生まれていた。
母親似の女の子「ゆのは」と父親似の男の子「ナーノ」の二卵性の双子の姉弟である。
その二人の名前を見ての通り、両親の名前をそれぞれにくっつけ合わせた安直なもので、
周囲からも「安直な名前自重」と突っ込まれる程であったが、ぶっちゃけ二人とも
仕事に忙しくて子供の名前まで頭が回らなかったので勘弁していただきたい。
一方フェイトの方はと言うと…未だに浮いた話さえ無かったりする。
故に二人の子供が生まれているなのはとユーノの姿を見る度に
「ちょっと失敗しちゃったかな?」
と内心後悔していたのだが、そこまで二人を憎む事は無かった。
むしろゆのはとナーノの二人をまるで自分の子供のように可愛がってくれた。
ただ…可愛さ余ってついつい首を締め上げてしまいそうになる事が度々あったが…
「でも負けないよ私は…。」
またついつい二人の首を締めてしまい、なのはに全力全開で怒られてしまったフェイトであるが、
それでもフェイトはめげない。自分の幸せを見付ける為の戦いの海へと漕ぎ出して行った。
おしまい
>>447 すばらしすぎGJ!
ユノヴィとかなのシャマとか、意外な組み合わせだが理にはかなってるな。
>『あの本部襲撃も、それ以外の機動六課の戦闘の失態も、私がシャマルを巧く動かせんかったからや。
>いっそシャマルを医務官として出し惜しみせんと、指揮系統を一任するべきやった』
というのも、アグスタでちょっとだけ見せた指揮ぶりを見てると納得できる。
とりあえず、次回はスバルvsヴィータの真っ向勝負+ユーノvsティアナの頭脳戦?
楽しみ楽しみ。
要するにアレですよ。キン肉マンで馴れ合いと化した友情パワーに対し、
キン肉アタルが時には厳しく突き放したりする友情=真友情パワーを
引っさげて渇を入れる様なそんな感じで。
あと、なのあとユーノの子供に関して
ゆのはは以前やった「マージネーター」から、ナーノは「HAPPYCRASH」からの再登場です。
マージネーターではなのはがゆのはを産んだ際に死亡したと言う設定で、
HAPPYCRASHではナーノがフェイトに絞め殺される設定でしたが
こっちは「親子で幸せに暮らしましたIF」と言う事でお願いします。
>>447 GJ。次回の戦闘に期待。
あとユノヴィですか?そうだとさらにうれしい。
>>460 重要なことを忘れてるぞ。
ユーノは男物の服つけたヴィータの母親に見えなくもないことを。
>>468 good endの方ですか。GJです。ですが、一つ質問が。
「むしろゆのはとナーノの二人をまるで自分の子供のように可愛がってくれた。 」
これだとユーノかなのはが主語になると思うので、「〜可愛がっていた。」じゃないかと。
>>447 投下乙です。なのはの影にビビるヴィータに笑ったw
にしてもなのはさん&シャマル先生か。面白い組み合わせを見出したな作者。
なのフェならともかく、なのユーコンビだと確かに相性の悪いタイプ相手だと脆そうだな。
そして一回戦からすでにwktk。次を楽しみにしてます。
>>447 投下乙。とりあえず一つだけ………
ヴィータお姉さま自重www
>>447 GJ
本戦が楽しみです
ところで、さらっと書いてあるが
>「先代の族長様が笑って手を振ってるから!ウナギの姿でニョロニョロ言ってるからって言うか、あんた本気で死ぬまでその姿だったよな!僕は驚きだよ!」
……先代の族長に興味がわいてきたんだが……ww
>>469 GJ
フェイトさんマジ強がりw
いつか幸せになってww
>>447 GJ!
そっかー、何でなのはさんがユーノくんと組まねえんだよ!とか思ったけど、
なのはさんが着実に勝ちに行ったからか。
理由もなんかすっごく納得。
でも、シャマルさんの分析ならユーノ・ヴィータ組も優勝候補か?
>>447 そういえばスバルのISはルール的におkなの?
>>447
GJ!
たしかにユノヴィに見えるが…
もしもVSクロフェ組に当たる前にユノヴィ組となのシャ組がぶつかったら…
なのは…ヴィータが『ユーノ君と仲良くしてるのがなんとなく気に入らない』ので無意識に熱が入る
ヴィータ…クロノに一矢報いる手伝いをして一週間モフモフタイムのために頑張る
ユーノ…なのはにたいして負い目も欲目もなく、クロノに一泡吹かせるのが最大の目的のため本気でかかる
半ば本気でヴィータにバスター、それを庇うユーノ。なのはのリミットゲージさらにヒート
…んー、やっぱり冥王降臨フラグ? ww
>>468 この痩せ我慢フェイトさんは良いフェイトさんwww
GJです。
とりあえずT・スクライア夫妻は子供の名前をまじめに考えろと小一時間(ry
とりあえず漏れの脳内では、
もう某災害救助隊の人がデフォ化してしまって……その、なんだ、困る
ネ申様(原作者)はフェイトのお婿さんなんて“絶対”に考えてないだろうな〜 orz
>>475 一気に決めようとするなのはさんの砲撃をユーノが受け切り、
体勢を立て直す隙を突いてヴィータが突撃、タイミング的には決まったかと思ったが、
最後の瞬間に例のトラウマがよみがえって一瞬隙が生まれる。
それはシャマルの計算の内だったが……しかしその展開はユーノも読み切っていた!
……みたいに攻守入り乱れる展開も。想像するだけでwktk
>>447 はやてとエリオの組み合わせとか何か性的な意味があるとしか思えない俺の脳は色々と駄目だ
>>474 無理でしょ 振動破砕はシールドの上からでも骨格に影響出るみたいだし
最悪全身粉砕骨折なんてなりそう 似た様な魔法のブレイクインパルスは
一応魔法なんで非殺傷できるだろうけど、ISは原作中ではそのようには見えないし
>>447 GJ!ああもうヴィータが可愛いなまったくw
一番悶えたのが
>>438スレ目の9行目なのは私だけでいいwwww
>>468 GJ!
なんという漢らしいフェイトさん。
あれ、ナーノの半ズボン姿に欲情するフェイトさんが見えた気がした。
気のせいかな。
>>482 それはフェイトさんが親友の息子とゴールインというフラグか
そ れ は な い
485 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/22(月) 02:09:22 ID:D1tdzNxm
>>447 GJ!
戦闘ものは楽しく見れていいですね。
なのはとシャマルのコンビでの決め技は
旅の鏡で砲撃をどこからでも・・・・・・みたいなのしか思いつかなかったです。
このコンビでどう戦うのか楽しみに待ってます。
シャマルさんお得意の「最も残酷な魔法」だろ
>>486 つかまえて、クラールヴィント<<Ja.>>
全力全壊!!<<StarLightBreaker>>
リンカーコアをぶちまけろっ!!
こんな残酷コンボを思いついたw
おおこれはすごい。
キャロの出番はアレですな。シャマルが倒れた後にシャマルの仮面を被って……あれ?
>>487 「ママ! 非殺傷設定ってルール守んないと駄目だよ!!」とぷんすか怒る俺のヴィヴィオを幻視した。
シャマルのあれはそこまで便利に使えないよ
>>466 >周囲からも「安直な名前自重」と突っ込まれる
SSでメタネタ自重w
>>492 予め相手の防御を完全粉砕しておく必要があるということだから
スターライトブレイカー(特にSLB+)と併用するのは
ある意味理にかなってるかもしれない
はやエリはいろんな意味でエリオが根性見せれるかかポイントですね
>>494 ただまぁ、SLBは撃った時点で既に勝負あったも同然なわけで……
そこにハラワタブチマケをやったらただのイジメですよ
>>495 痴女なはやてがエリオを襲っちゃうとかもいいと思うんだ
>>495 普通に考えるといかにしてエリオがはやてを守りきるかだが・・・
フェイトほどの速さがあるわけでもない、スバル並の打撃力があるとも思えない
そして紙装甲と、エリオ好きがひいき目に見ても、中途半端感が否めない彼をどう使うつもりなのかねはやては
捨て駒ってことは流石にないよな・・・
もしや魔改造を施すつもりじゃ(ry
負けた時に責任を取らせるためでしょう?
むしろそれが始めから目的かもwww
>>416 エロオおおおおおおおおおおい!!説明不要ッ!!!!
>>447 GJ!やっぱりルール的にクロノやユーノ、コラード先生みたいなタイプが
有利なルールと見て良いんだな。
クロユノで組んだら反則だったかも知れん。でもこのSSの中じゃ組んでも連携取れなさそうだがw
あと個人的な好みだが恋愛感情とか枯れた?ユーノは大好物です。
ユノヴィVSスバティアというのは興味深いので続きwktk。
ティアにはフェイトよりクロノタイプの執務官が向いてるってイメージあるから、
クロフェとの対戦も見てみたいけど、シナリオ的に難しいか?
>>468 フェイト・・・(つд`)
うらむなら・・・嫌なんでもない。
>>484 あまり他の漫画を出すのもあれだが
「G戦場ヘヴンズドア」「少女ファイト」という漫画があってだな…
いやまだ結婚してないけど。
何となくキン肉マンのタッグ編を思い出したのは自分だけかな?
最初はそれぞれが別の人とタッグ組んでの出場だったけど
色々アクシデントがあって、なのはとユーノのタッグになって…とか
自分の中でエリオはヴィータ+フェイトでヴィータ寄りのイメージ。
速度・突破力・近距離が得意分野で補助として遠距離少々。
色々小器用にこなす反面目立った物が無い。基本は一撃離脱。
正直竜騎士はならないほうがよかったんじゃないかと思えるよね?ストラーダの特性的に。
駄目だ……弱い考えしか浮かばねぇ……
使い魔も申請が通ればOKならフリードもOKな気がしてきた
竜騎士なんで! って言いつつ
いや、出場者と契約結んでいるもの限定だろ、普通に考えればw
>>501 どんだけキン肉マン好きなんだよw
>>502 素材的には一人でもいい物持ってるみたいだけどなぁ、シグナムが言うには。
あと、はやてはやっぱり集団戦でないと活きないイメージしか出てこないw
さてどうなることやら。
今更ながら
>>447GJ
そして余計な事言って事態を悪化させて涙目であぅあぅなフェイトに
あらためて萌え。
Asの時のフェイトみたいに夜天の書の中に相手閉じ込めたらはやて最強だなwww
エリオはフリードと合体してロード・オブ・ザ・レッドで参加だよ
かっこいいシャマルさんキター!
年上のおっとりお姉さん好きな俺としては、ワクテクな展開なんだw
>>338 遅レスだがGJ!
個人的にはある意味ハッピーエンドっぽい感じを受けた
エリオの死ぬ時がキャロの死ぬ時というのがなんか感動した
改めてGJ!
俺はエリオを盗られた怨みから、ルーちゃんと手を組んだキャロが仮面を付けて、エリオとはやての戦いに乱入ってのを思い付いたぞ。
両方フルバックだが…
なに、フリードやらガリューやらがいればなんとか…
「その戦い、待って下さい!」
「…………」
「な、なんですかあなた達は!?」
「わ、私は仮面の魔導師、桃風!」
「…………紫風」
「はやてさん……いえ、八神はやて!あなたを倒して、エリオ君を取り戻します!」
「…………うん」
>>511 はやて繋がりであっちのメイドさんたちを思い出した
>>501 スバル「・・・あたしの顔を見て笑ってる奴はいないか・・・?(ガクッ」
ティア「このあたしが笑わせるものか・・・!」
こうですか?わかりません><
アリサが主人のあれか
>>503 それが通るとキャロルーコンビのフリ・ガリュ・ヴォル・ハクの恐怖の部隊が
>>516 おお、まさしく攻防一体! シャマル先生も大満足の完成度(w
>>447 話の道具立てというか、誰もが一言いわずにおれないこのシチュエーションこそこの話のキモかと(w
大きな風呂敷はたたむのが大変ですが、きっと最後まで燃えさせてくださると信じてます。
がんばってください。
続きです
戦闘に関しては、中には強引な展開もありますが、なるべく原作でも想定できる内容を心掛けているつもりです
何卒ご了承ください
会場施設内、出場選手の控え室区画の広間で、シグナムとザフィーラは大型画面を注視していた。
遠距離魔法や小規模転送魔法といった臨場感溢れる戦闘も期待し、一〇〇〇平米近い床面識を誇る試合場
には、数メートルの間隔を置いて対峙する二組の魔導師がいた。
運営委員会は「非殺傷設定に加え、不慮の外傷にも試合終了後に迅速な治療を行うので、ルールを守った
上ではどのような破天荒な戦闘行為も大抵は許容する」との主旨を公表している。
クロノやヴィータが茶番だと侮蔑していたのは、そうした大会の中心的動因である「魔法を使った見世物試合」だった。
しかしその本人達も今では小遣いの死守や小動物との戯れを賭け、手加減抜きの全力で試合に臨む決意を固めている。
シグナムとザフィーラは屋外側に大きなガラス窓を設置された広間の壁に背中を預け、画面の様子を逐一看視している。
広間には、他の出場者もベンチに座ったり自動販売機で飲料商品を買ったりと、思い思いに初戦の観客を演じていた。
二名の騎士以外は、この広間に元機動六課の面子は見当たらなかった。個別の控え室で英気を養っているのは確実だ。
「初戦からヴィータは手こずらされるな」
シグナムが皮肉げに笑う。隣では、彼女の声に誘われて更に細部を見通そうとザフィーラが目を細める。
整髪された白髪に獣の耳、額では小さな縦長の宝玉が鋭い光沢を発している。両前腕には重厚な篭手が装
着されている。屈強な格闘家の風格を思わせる戦闘着風の騎士甲冑の奥で、鋼の肉体が浅黒い肌を勇猛然と
照らしていた。
「あの小娘二人は、出力リミッター制限に勝機がある。どれだけスクライアがヴィータの援護に回れるかだが、
実質、ヴィータ一人で立ち回らなければならんだろう。……どうでもいいが、尻尾を触るな」
ザフィーラが真面目な顔を崩さず、苛立たしげにシグナムの手を尻から引き剥がした。
「だがヴィータは、長期戦の際の魔力消費にはかなり頭が回る。逆を言えば、短期決戦での最善策も広く心
得ているという事だ。奴は戦闘など目的の一手段としてしか見ていない。だが、その目的が戦闘の勝利とな
った場合……」
「あぁ。試合開始から魔力の放出を惜しまんだろう。威力、精度、詠唱時間。そうした基本的な魔法の性能
が出力リミッターで一定の水準まで引き下げられているとはいえ、対戦者の魔力量差が縮まったわけではな
い。……どうでもいいが、尻尾を撫でるな」
ザフィーラは湖上の白鳥の如く上は涼しげな顔で、自分の尻尾で暇を紛らわせてくるシグナムの魔手を乱暴にはたいた。
早くも優勝候補と期待されている烈火の将が、大型画面の近くの局所専用の小型画面に映る後輩の姿へ視線を移す。
やはり直属の上官が相手という事で、強敵に対する緊張を隠し切れていない。模擬戦とは違い、ヴィータ
を正真正銘の敵として対決するので無理も無かった。
広間では、シグナムとザフィーラへ向けられる他の出場者の視線は複雑なものだった。
「アギトはどうした?」
周囲の敵意も涼しくかわし、シグナムがザフィーラに聞く。控え室入りをしてから、小さな援軍は忽然と姿を消していた。
「恐らくは主の控え室だろう。……どうでもいいが、尻尾の毛を指に絡めるな。いい加減怒るぞ」
ザフィーラの声が憤怒の臨界点に達していたので、シグナムは悪びれた素振りも無く手を引いた。
控え室の一室で、小さな姿の低次元な争いが勃発している事を想像し、シグナムは試合前から少し疲れた吐息を漏らした。
「まぁ、いい。優勝の景品などには興味は無いが……六課の面々以外にも骨のありそうな奴が目白押しだ。
思う存分楽しませてもらうとしよう」
シグナムが高揚を抑えきれずに言う。一回戦の相手からして、決勝戦にも勝る強敵カードに恵まれていた。
手元に表示した出場魔導師の一覧表へと、シグナムが戦闘意欲に猛る瞳を落とす。通常の魔導師ランク、
局内での所属、局外の人間は現職といった個人的な項目が一人一人に記述されている。
中には名前だけでは全く予測が付かない亜種魔法もある。なのはやフェイト、はやてといった次世代の天
才が現れる前の時代、彼女達のような英雄として一世風靡した元局員があの頃の情熱を求めて……という懐
古的な注目株も見受けられる。
弥が上にも、シグナムの胸の高鳴りは増すばかりだった。
ルールはいたって単純だった。
使用する魔法は原則で非殺傷設定。破れば即退場。機械装置を用いた出場も同じ。
モード設定のデバイスはデバイスの平等性を鑑みて、特別な一括仕様に改良。更にカートリッジ機構も廃止、
この点に関しては特別な改良である程度リロード無しでも本来の高出力が出せるように施されている。
降参宣言か場外の芝生地帯に身体が触れる事、また気絶や肉体の完全な石化・凍結といった戦闘続行不能
に陥った時点で負け。
選手双方に負け判定が下された時点で試合終了。一方だけの退場ならば試合続行で、その試合中はいかな
る理由でも退場者の復活は認められない。
他の例外事項は随時の協議で採決される。基本的には使用魔法の制限や規定は無い。
「要するに、勝てばいい。それだけだ」
シグナムは不敵に呟き、試合開始を告げる結界魔法の展開が始まった画面へと顔を上げた。
「……どうでもいいが、手で尻尾の毛並みを揃えるな。手入れはちゃんと主にしてもらっている」
/
試合開始を示す強固な結界魔法が、運営側の武装官数人の手で試合場の四方外縁に張り巡らされる。
対魔力性質を加えた強化混凝土の試合場と観客席最下段とは、数メートルの芝生地帯で区切られている。
準備は全て整い、後は試合開始の宣言を待つだけだった。緊張の一瞬に、観客も息を呑んで試合場に見入っている。
スバルは前方の二人を見据えた。自分の正面には、先日初対面を果たしたばかりの男が悠然と佇んでいる。
民族衣装を思わせるマントや紋様を加えられた上着、それに続く幅広のベルトの下はスーツの物よりも寸法
に余裕のある無地の長ズボンとなっている。
(一体どんな魔法を使ってくるんだろう……この人、実力が全く未知数だ)
スクライア部族は名前だけならば知っている。が、ユーノ個人に関する情報はスバルには著しく欠けていた。
(……まずは一緒にスクライア先生を退けるわよ。スバル、あんたはヴィータ副隊長の撹乱もお願い)
横のティアナが思念会話でスバルに話しかける。
(あの人の事知ってるの、ティア)
スバルが自分の方に首を曲げようとしたので、ティアは彼女の脛を爪先で蹴る。ひぐっ、と情けない声を上げ、
スバルが蹲った。彼女の脳天を、橙髪の美少女が怒気を孕んで睨んだ。
(そこであんたがあたしを見たら、思念会話の意味無いでしょうが! それに、知ってるも何も、スクライ
ア先生はなのはさんの魔法の先生なんでしょ)
ティアナが険しい顔でユーノとヴィータを見比べる。当人達は彼女達ほどの緊張も相手への不安も見せていない。
ティアナはそれが妙に癪に障った。魔力量の差や適性の熟練度、運動能力や経験などで不利があるように見える。
ユーノも局員歴十年の中堅局員、魔導師としてもそれに見合った実力を持っているだろう。
しかしティアナ自身は、そんな決定的な差でさえも補えるだけの努力と知略の大切さを身に沁みて理解している。
(だったら、絶対に高出力の砲撃魔法でヴィータ副隊長の後方支援に回る筈。なのはさんの師匠だもの、
戦闘パターンだって類似しているに決まってるわ。だからこの推測は間違いない。ヴィータ副隊長の近接戦、
スクライア先生の援護射撃……タイプとしてはこっちと全く同じね。兎に角、試合が始まったら、あんたは
試合場全域に幾重もウイングロードを張り巡らせて。それだけでスクライア先生の射撃魔法の壁になるし、
ヴィータ副隊長の行動もある程度混乱させられるわ。あたしも幻影であの人を陽動するから。後はスクライ
ア先生の死角に回り込んで一網打尽にするのよ。ヴィータ副隊長の力は知悉しているし、二対一なら勝てる)
スバルが立ち上がり、目の端の涙を拭って頷いた。良くも悪くも一直線な自分を承知しているスバルは、
今のティアナに意見を申す立場が無い事も弁えていた。去年の試験の時とは話が違い、相手のユーノ・スク
ライアは不鮮明に過ぎる。下手に意固地になって連携に支障が出たらそれこそ一大事だ。
思念会話の作戦会議が完了した事を表面の様子で察し、ヴィータは肩に抱えていたグラーフアイゼンを前に構える。
「お前達の顔、いい顔してるぜ。あたしもそれにしっかり応えなきゃな。模擬戦と勘違いすんなよ、あたし
は全力でお前達を潰すぜ。……フモフモ」
スバルはヴィータの変貌に言い知れない迫力を感じた。あの時はあんなにも敬遠していたのに、と困惑し
たが、すぐに無駄な思考は掻き消す。
/
大画面付近の実況席では、大会全体の運営委員会の一人を務めたリンディと、実況司会の局員、解説のヴ
ェロッサ・アコース査察官が、透明な壁に仕切られた一室でマイクを口許に置き、並んで座っていた。
「最初から面白い試合が見れそうですね。僕個人としても、機動六課組みの直接対決は大会の一押しカード
だと思っていますから」
ヴェロッサが美形の顔を緩ませ、純粋に試合観戦を楽しもうとする目で呟いていた。
「そうね。あの事件で何かと評判を残す事になった部隊だし……ミッドチルダの都会で、管理局の部隊で思
い浮かぶ名前はって質問すると、沢山の人が機動六課を挙げると思うわ。これも泡沫の流行でしかないけれ
どね。長くて今年までかしら」
ヴェロッサからの差し入れである極上砂糖を投入した緑茶を、リンディは美味しそうに啜った。
/
「──それでは、試合開始!」
試合場近くの審判の一人が高らかに宣言すると、周囲の観客が浮き足立つ。
試合場の四名も思い思いの姿勢に身構えた。
スバルは余計な懸念を強引に頭から撥ね退け、作戦通りに蒼い魔方陣を足許に展開する。
「ウイングロード!」
「させるかよ!」
ヴィータが地を蹴った。ティアナはユーノから目を離さず、しかしヴィータの接近を阻止すべく、スバル
から離れた上で二丁の相棒をヴィータに照準を当てる。
ヴィータは発射された橙光の銃弾に気を移し、中途で移動を停止すると鉄槌でそれを叩き潰す。即座にそ
の場で紅の騎士が古代ベルカ式の魔方陣を組成し、シュベルトフリーベンの魔弾を撃ち出した。
赤い衝撃波を纏って突き進むヴィータの敵意の直撃を、ティアナは僅かにも余裕が残る動きで免れる事が
出来た。
ティアナが何かを確信するかのように目を光らせ、ヴィータは同じ想いで悔しげに頬を歪める。
「もっと威力にも精度にも魔力を注ぎ込まねぇと、マジでティアナとも互角程度かよ! 畜生が!」
苛立ちを吐くヴィータへと、ティアナが複数の誘導弾を撃つ。先程の魔弾と同程度の弾速で、橙光の包囲
網はヴィータへと収束していく。ヴィータは跳躍し、激突して魔力爆発を起こす眼下の銃弾を忌々しげに睥
睨した。
スバルの魔方陣から空色の帯が発生する。強度や維持の難度に憂慮が残るが、彼女は神経を研ぎ澄ませて
複数を同時展開する。出力リミッターもあり、詠唱にもかなりの隙が生じてしまっていた。
(どういう事なんだろう……ユーノさん、全然こっちに攻撃を仕掛けてこない!? 本気で舐められてるって事!?)
「へぇ、珍しい魔法を使うんだなぁ」
ユーノが悠々と後方に移動する中で、スバルの芸当に眉を持ち上げていた。ジャケットやバンダナをはた
めかせ、スバルは尚もウイングロードの射出を続行する。低空、中空、上空、あらゆる方位・高度に無数の
空の道が伸張していく。
目前に迫ってきたウイングロードを、ユーノは軽やかに横へと跳んで回避した。結界壁間近でそれは上方
へと軌道を跳ね上げ、更に不規則に屈曲しながらのたくり伸びる。
試合早々見栄えのする魔法を見せられ、観客も感嘆と賞賛にどよめいていた。
「こんなもん!」
ヴィータは視界を埋め尽くしてくるウイングロードの一本を、グラーフアイゼンで破壊した。続けて駆逐
を始めようと目を空中で走らせる。だがヴィータの挑戦を嘲笑うように、ウイングロードは膨大な数となっ
て試合場を網羅していく。攻撃魔法ほど詠唱に手間取らず、単に発生させるだけならば微量の魔力でも可能だった。
ウイングロードによる多層的立方空間が、無差別な網目となって試合場を支配した。
“攻撃魔法に特化しただけの魔導師”が最弱の部類になるというシャマルの厳しい指摘は、今のヴィータ
の胸にも確かに形となっていた。事実ここまでウイングロードに魔力を費やしたスバルだが、その鮮やかな
経路を駆け出した彼女には深刻な疲労の色は無い。
「こんだけのウイングロードを──成長したじゃねぇかスバル!」
ヴィータが飛行魔法でウイングロードの隙間を突っ切る。宛らその内部は空色の幾何学模様で描かれたス
バルの絶対領域だった。
ヴィータはウイングロード発生源である魔方陣を目指すが、上方のウイングロードにもう一方の人影を見
る。再び中距離の誘導弾を組成し、牽制として繰り出した。ウイングロードを突き破り、紅の魔弾は低下し
た威力も構わずティアナの腹部に貫通する。
裂けた空の道の奥に見えるティアナが、ヴィータの視界から跡形も無く消えた。
「幻術魔法か……ヤベェ、思った以上に手強いぜこいつ等!」
ヴィータはスバル、ティアナ本人の魔力反応を探ろうと意識を集中するが、飽和するウイングロードの魔
力や幻影魔法で望む結果が得られない。完全に二人を見失ってしまっていた。
(今のヴィータよりも上空の彼女は全て幻影だ。中空層、低空層、試合場で折り重なっているコレのどこか
に本人達は潜伏している!)
ユーノから思念会話を開通され、ヴィータは注意深く四方八方に顔を巡らせる。
(お前、何でわかんだよ)
ヴィータからは、多重に交錯するウイングロードでユーノの姿は見えない。
彼は足許にミッドチルダ式の魔方陣を描き出し、広域の検索魔法を詠唱していた。本来は無限書庫の書物
の高速解読や莫大な情報量の処理に有効活用される魔法だが、今はこの試合場を検索範囲に設定され、あら
ゆる魔力反応の性質が彼の手で露見されていく。
ユーノの頭に流れ込んでくる試合場全体の魔力反応の検索結果──ヴィータへ告げた上空の多数の魔力反
応は、明らかに先程の幻影魔法と同質のものだった。ウイングロードの濃密な魔力に遮られて円滑な検索が
行えないが、彼の戦場の把握はヴィータへ有益な情報を補充させる。
(魔方陣は放置していいよ。このまま二人を躍らせるんだ。まずは彼女達の第一の作戦を見抜かないと)
(了解だぜ。……フモフモ)
不意にユーノの至福の感触を思い出し、ヴィータの集中力に乱れが生じた。
(……ヴィータ、集中して)
「わ、わかってるよ! 一々うるせぇな!」
気を取り直し、ヴィータはユーノからの思念会話を頼りにウイングロードの巣を掻い潜る。
本人達の炙り出しに出たヴィータの頭上から、有り得る筈の無い射撃が降り注ぐ。辛うじて緋色の鉄壁で
防御し、ヴィータは戸惑いまじりに攻撃の先へ顔を向けた。
三体のティアナが、ウイングロードの上でヴィータに銃口を向けている。単なる補助に使役されるだけの
幻術魔法は、努力を積んだティアナの手によって簡単な行動指示に応えるほどに強化されていた。
「ティアナの奴、あれだけ幻術魔法の精度も上達してんのかよ。けど、流石に魔力の消費も馬鹿にならねぇ筈だ」
ヴィータは並列に組成した誘導弾を一挙に弾き飛ばし、上空のウイングロードを巻き添えにティアナの幻
影を掃討した。命中する瞬間、攻撃を逃れようと鈍い反応も見せた事も、ヴィータの驚愕を誘った。
「ティアナの陽動を魔力消費を犠牲にして、一気に決めるつもりだなあの二人……! ユーノ!」
(あのハチマキの子は高速で移動中、何か機会を待っているみたいだね。幻影魔法を使う子は……すまない、
恐らくオプティックハイドで姿を消している。彼女は凄いよ、魔力反応さえも感知させない程の幻術魔法な
んて、普通そこまでこの魔法を熟練させようなんて考えないからね)
(感心してる場合か! あいつは勝ち負けとかじゃねぇ、自分の目標の為なら血反吐吐く努力くらい何とも
思ってねぇからな。幻術魔法の上達も単なる結果に過ぎねぇだろ。ティアナってのはそういう奴さ、どこか
抜けてんだよな)
もっと強く、もっと高みへ、一途なその想いを追いかけ続けたティアナの、その中で拾った偶然の産物。
綿密な将来設計を組み立てる傍らで累々たる努力量が堆積し、今や彼女のコンプレックスは必要不可欠な原
動力になっていた。
その事にティアナ自身が気付けた時、彼女は今以上の栄転を見せる事になるだろう。強いだけが全てでは
ないと真の自分のペースを獲得した時、それがティアナ・ランスターが執務官としての大切な気風に目覚める時だった。
(強いだけじゃないんだ。ただ強いだけじゃいけないんだ。この大会だって、執務官の試験だって、攻撃魔
法だけで乗り切れるほど甘くない。あの事件は敵が凄腕の集まりだったから勘違いしがちだけど……あたし
は強い敵と戦いたくて執務官になるんじゃないんだから)
不可視の衣を身に纏い、ティアナは幻術の効果が切れないよう慎重にウイングロードを移動していた。
ユーノが全く攻撃をしてこない事が不可解だが、彼女はスバルに託した分だけ己の義務を果たすべく歩を進める。
彼女の付近では、ウイングロードや自身の幻影を猛烈に破壊しているヴィータが飛び交っていた。しかし、
ティアナも看過している。ここで彼女の行動を食い止めようと出た瞬間、相手の罠に足許を掬われる事のは明白だ。
(スバル!)
(ユーノさんおかしいよ! じっと立ったまま、何か魔方陣を展開してる! 動く気配も無い!)
スバルは立体的な帯で敵の視界から逃れつつ、ユーノの周辺で隠密行動を続けていた。民族衣装風の彼の
バリアジャケットのマントや、一つに括られた長髪の房が、魔方陣の光を浴びて淡く揺らめいていた。
(ふざけんじゃないわよ! 絶対何か隠し持ってる! 弟子のなのはさんであんなだから、少なくともスタ
ーライトブレーカーに匹敵する必殺攻撃が来るわ。絶対に突撃の一瞬を見誤らないで!)
「──思念会話を感知。そこだ!」
二人の若手魔導師が狼狽する下で、ユーノが魔方陣を変質させた。検索魔法から一変し、ミッドチルダ式
の魔方陣は無数の緑光の縄を射出させる。
「バインド!?」
ユーノの予測と外れた魔法に、ティアナは精神を動揺させて幻術を解除させてしまう。
ウイングロードの隙間を縫い、ティアナへとユーノのバインド魔法が殺到する。両手足と胴に束縛の縄が
絡みつき、ティアナの細い肢体が縛り上げられ、ウイングロードから少し足が浮いた。
「あ、ぁっ、きつ、い。こんなバインド……無理っ……あぐっ」
息苦しさと肉体的な負担の無い拘束力に、ティアナは顔に熱を灯らせて苦悶を漏らす。手首が強力に締め
付けられ、クロスミラージュが彼女の手から零れ落ちる。
「見つけたぜ、ティアナァァァァァァァ!」
ヴィータが怒涛の勢いでティアナへと肉迫する。ヴィータの勝利の確定が、グラーフアイゼンに篭る強力
な魔力圧となって赤く吼える。
「ティアっ!」
「あんたはスクライア先生を! バインドに集中してる今、早く!」
脇腹に渾身のグラーフアイゼンを直撃され、ティアナは結界壁まで吹き飛ばされた。強烈な打撃に五感が
明滅し、口から唾液が飛び散る。落下を始めた彼女は、決死の力で近くのウイングロードの縁を掴んで場外
退場の危機を脱した。
「ディバイン──バスタァァァァァ!」
スバルが俊敏にユーノの死角へ回り込み、適度な距離で蒼い魔方陣を展開する。遠くではヴィータがグラ
ーフアイゼンを旋回させてウイングロードを軒並み破壊し、ユーノがスバルを捕縛する瞬間まで形勢の改善
を担当する。魔力同士の衝撃に試合場が震撼し、高層ビルの倒壊にも似た迫力で観客を圧倒した。
ユーノの死角から、空色の砲撃魔法の奔流が放たれる。空気の微震で高密度の魔力を察知し、ユーノは魔
方陣から一歩も出ずにディバインバスターへと振り返った。なのはのそれに比べると些か劣弱だが、視界を
光らせる逞しい魔力は評価に値するものだった。弾道精度も速度も、以前の彼女を知る者では歴然とした上
達に舌を巻く程だった。
「ごめんよ。まぁ、非殺傷設定だから、どんなに深刻な負傷も一日休めば治るから」
激動するウイングロードの立体層にようやく身体を上らせたティアナは、自分の全身に巻きついているバ
インドの操作を体感する。
「ひぇ? お、おおお、あぁぁぁ!」
ティアナの視界が空中を滑空し、痛いほどの加重を浴びながらユーノの眼前まで引き寄せられた。
「ス、スク、もしかして、う、嘘ですよね?」
ティアナは血の気を引かせた顔で、バインドに縛られたまま後ろのユーノに振り返る。
彼女の肩と腕を持ち、ユーノは緊張感の無い微笑みを浮かべた。前方から迫る砲撃魔法の光が、彼の笑顔
を残酷な色で照らす。
「うん、しっかり耐えて」
ティアナは錯乱して前方のディバインバスターを瞳に映した。幾ら大幅に出力リミッターを掛けられてい
るとはいえ、更にバリアジャケットを装着しているとはいえ、砲撃魔法の直撃は耐えろと言われて耐えたく
なる類のものではなかった。
最早悲鳴を上げる余裕も無く、ティアナの身体がディバインバスターの奔流に飲み込まれ、魔力衝撃の爆発の渦中に消える。
「ティア、ごめん──うぉぉぉぉぉぉ!」
「そうか、ディバインバスターも囮──」
ユーノが、拳に圧縮魔力を武装して間合いを詰めるスバルへと体勢を変える。マッハキャリバーの車輪が、
痛烈な加速で試合場の床を砕きながら駆動する。
「でぇぇやぁぁぁ!」
頭上でウイングロードが崩壊する中、スバルの拳とユーノの魔力盾が激突する。苛烈な接触で二人の視線
の間で激しい粒子の蒸発が散発し、無機質な叫びが鼓膜を痺れさせる。スバルのジャケットとユーノのマン
トが、相克する力に煽られて暴れはためく。
「でかしたわスバル!」
「え? その声……!」
「ユーノ、気付けこのバカっ!」
ヴィータが一手も二手も先を読まれた憤慨も含め、喉を膨らませた。赤い光が上空の敵を目掛けて疾駆する。
ユーノは間の抜けた顔で、ついさっき身代わりに使った少女の声の方へと顔を上げた。粉々になりながら
消滅するウイングロードの破片──最大出力で銃口に魔力を溜めたティアナが、片膝を立てて直下の試合場
に向かってクロスミラージュの引き金を引こうとしていた。
「嘘だ、そんな筈!」
晴れてきた爆発煙の中に、ティアナの姿は無かった。その想定外の奇妙な光景がユーノの顔に焦りを浮かばせる。
ティアナを阻止する為、ヴィータは全速力の飛行魔力を発揮する。同時に魔弾を撃ち出す。それはティア
ナ自身の前に発生したウイングロードの壁によって無力化された。
「ユーノにバインドされた奴も幻影、ウイングロードの一部も幻影、全部ティアナの自作自演だ! ご丁寧
に、敢えて魔力反応や生体反応も本物同様にしやがって! なんて潜在魔力だ、ティアナの奴!」
ヴィータは急ぐが、まだティアナへは遠い。広い試合場を縦横無尽に駆け巡っていた事がここに来て悪因
となった。ヴィータが標的に定めているティアナは、疲労も濃く息が上がっている。
思えばこの事態は、バインドで絡め取ったティアナをグラーフアイゼンで痛打した時に見破れる筈だった。
ヴィータの一撃をまともに受けた筈の彼女が、一切苦痛も無くウイングロードにしがみ付いた光景。
しかし、ヴィータはそこにもティアナの欺きの影を推理していた。
「ティアナの奴、幻影が消える寸前、また新しい幻影をそっくりその場に作り出しやがった。幻術魔法なん
てティアナぐれぇしか知らねぇし、対策がわからねぇんだよ!」
ヴィータは飛行の進路を急降下させる。同時にティアナが引き金を引いた。
巨大な橙光の弾丸が、頭上からユーノへと宙を焼いて肉迫する。
スバルの応戦に手を塞がれ、ユーノは見上げた先の射撃魔法への対処を封じられる。ユーノが視線を外した隙に、
スバルは拳に燃え尽きるほどの魔力を増強させる。ユーノのラウンドシールドが、破壊の兆しである亀裂を走らせた。
対等な強度だった魔力は、ユーノの動揺によってスバルに傾く。
「畜生が! ふざけんじゃねぇ!」
ヴィータのグラーフアイゼンが、強大な風圧でユーノの頭髪を掻き乱して通過する。魔力の余波で熱気も
感じていたユーノを、ヴィータが間一髪で守りきる。
「いい加減ユーノから離れやがれスバ──」
ヴィータは背中に刺突の衝撃を受け、叫び声が途切れた。上空から飛び降りていたティアナが、クロスミ
ラージュの小剣をヴィータへと突き刺していた。
「て、め、ぇ」
「負けない……!」
ヴィータが血走った目でティアナに首を曲げ、二人は試合場に重なって倒れた。ヴィータが即座に覆い被
さってくるティアナを蹴り飛ばすが、彼女は後ろによろめきながらもヴィータへ誘導弾を発射する。甚大な
消耗を思わせる拙さだったが、迎撃するヴィータも背中の嫌な痛みに精彩を欠いた動きだった。
「ヴィータ!」
光の煌めきとなって四散するウイングロードの破片に彩られる戦場の中、ユーノは反射的にスバルから目を離す。
ティアナの追撃に手間取っているヴィータもユーノへ目の端を向け、彼の油断に怒る瞳をした。
「いける、貫けぇぇぇぇ!」
「ユーノ! あたしに構うな!」
スバルが腕を熱する負担も堪え、硬質な力の反作用の先にある突破点へと到達する。緑光のラウンドシー
ルドが木っ端微塵に破砕され、スバルの拳はユーノの胸板を打ち据えた。
ユーノの姿が弾丸となって試合場を滑る。もんどりうって衝撃に翻弄され、若い学者は身体の節々を打撲
した痛みに悶絶した。
それを見たヴィータの瞳孔が赫怒の炎を凝固させ、黒みを帯びていた筈のそこに蒼白い不気味な色彩が浮かび上がった。
「て──めぇ等ぁぁぁぁぁぁぁ! 覚悟は出来てんだろうな!」
ヴィータの自制の切れた修羅の形相に、ティアナは一瞬足腰を震わせる。しかし奥歯を食い縛って気持ち
を奮い立たせ、突進してくるヴィータをなけなしの力を振り絞ったクロスファイアシュートで迎え撃つ。
グラーフアイゼンで弾丸の包囲網を蹴散らすヴィータに、蒼い影が接近した。既に眼前へと迫っていたリ
ボルバーナックルを、ヴィータは低い背を前に滑り込ませてかわす。
「あんま調子に乗んじゃねぇぞ?」
相棒の向きを反対に持ち替えたヴィータは、細い柄頭を肌晒しのスバルの腹部へと突き込む。直後にグラ
ーフアイゼンの柄は旋回してスバルの上腕を打撃し、彼女の身体がユーノと同じように激しく転がった。
ヴィータの小さな身体が、残存していたクロスファイアシュートの一斉射撃に晒される。弾丸を撃破する
為にグラーフアイゼンを繰り出すが、数の不利に苛まれ、着弾被害は深刻になっていった。
反則事項に抵触しない肉体の苦痛に呻きながらも、スバルは毅然と立ち上がる。
「ディバインバスター……!」
正面に巨大な魔方陣を形成し、スバルは拳を振り被って砲撃を繰り出した。ヴィータが飛翔して蒼い閃光
を回避し、獲物を捕らえる猛禽類の如くスバルへ反撃の突撃を敢行する。
「まだ、まだぁ!」
ディバインバスターの魔方陣は解除されていなかった。スバルは頭が割れそうな詠唱処理の苦しみに耐え、
右拳で二、三発立て続けに放射する。ヴィータは鋭敏に射線上から身体を逸らし、グラーフアイゼンを肩越
しに構えた。
ヴィータの魔力とは違う異質な精神力に加護された一撃が、光を弱化させているスバルの魔方陣を砕く。
赫然とした騎士の双眸が決着の意気に見開き、再びグラーフアイゼンが宙を薙ぐ。
スバルを仕留めるべく振り払われるグラーフアイゼンを、ティアナの弱々しい弾丸が弾いた。ヴィータの
理性の働いていない眼光が、ティアナへと向けられる。
「余所見──しないでくださいよ!」
腰を撓めたスバルが、万全の体勢でヴィータを殴り飛ばす。その先にティアナが待っていた。
「ふん……」
ヴィータはティアナの魔法双剣を背中に刺され、そのまま試合場外へと投擲された。その表情には怒りが
身体に充満して正常な感覚がなされていない、歪な冷静さがあった。
かなりの消耗を堪え、スバルは今一度ディバインバスターの魔方陣を展開する。
試合場の地面に着地する前のヴィータへと照準を合わせる。
「これで終わりだぁぁぁ!」
ヴィータは姿勢制御をする余裕も与えられず、ディバインバスターの直撃をくらい場外へと転がり落ちた。
判定がヴィータの退場を叫ぶ。客席が揺らぐ。対戦者の階級を裏切る展開に、会場はいやでも緊迫していた。
ユーノが頭を振って起き上がり、彼もヴィータの敗北をはっきり耳にしていた。芝生の上で呆然としてい
るヴィータに小走りで近寄る。
「ヴィータ……ごめん、僕が迂闊だった」
ヴィータの一方的な劣勢を見て、心配した救護班が担架を持ってヴィータのもとへと向かってくる。彼女
はそれを静かな口調で断った。
芝生の上に仰向けに寝転がったまま、ヴィータは不貞腐れた顔でユーノを直視した。
「ユーノ」
口を開いたヴィータだが、近くの審判員からその続きを咎められる。退場選手が試合に干渉する事は禁止
だった。立場が逆の場合も然りに相当する。
ユーノはヴィータへ心強く頷き、ゆっくりと二人の若手魔導師の方へと振り返る。
スバルとティアナは、ユーノの静かな怒気を流露させる表情を真っ直ぐ見返す。
「来るわよ……スバル、なのはさんを相手していると思いなさい。デバイス無しでどれだけの攻撃をしてく
るか……それをさっきまでの戦いで見抜けなかったのは心残りだけど。あたし達はもう魔力も枯れてる。何
とか肉弾戦に持ち込んで、場外負けにするの」
「う、うん。頑張る」
スバルは両の拳に握力を込め、足腰でしっかりと地を踏ん張った。ティアナも残り少ない余力でクロスミ
ーラジュから短剣を射出させる。
「……」
ユーノは一つ引っ掛かりがあった。スバルは使用しているデバイスの特性上それほど違和感を感じなかっ
たが、問題はティアナだった。
幻影がヴィータに吹き飛ばされた時、その幻影は落下を恐れるようにウイングロードにしがみ付いた。
そもそも、彼女は一度たりとも“飛行魔法を使った”痕跡が無い。
(最近の局の養成も方針が変わったのかな。飛行魔法を使えて、初めて魔法の初歩が出来上がるって僕は学
院で教えられたんだけど……。一度、試してみるか)
「待っていても始まらない、行くよスバル!」
「オーケー!」
試合場の縁に立っているユーノへ、スバルとティアナが突撃を開始する。
素早い動きで距離を詰めてくる二人へ、ユーノは転送魔法の魔方陣を遠隔発生させた。
「来る、砲撃魔法の照準魔方陣!?」
ティアナは叫んだが、直後の不思議な浮遊感に困惑した。スバルも同様に、自分の感覚の届かない強制的
な力から逃れようと慌てる。
二人の姿が試合場から消失し、ヴィータの視界の先に青空を背にしたその二人が出現した。
「へっ……?」
ティアナは自分が転送させられた事まで頭が回らず、重力の作用で墜落を始めた自分を辛うじて把握するだけだった。
「あ、あ──スバル、早くウイングロード! 早くっ!」
「む、無茶だって! こんな状態で出来っこないってば!」
付近で並んで落ちているスバルへ怒声を叩きつけるが、彼女も理不尽な重力の誘いに抗えずに魔法の詠唱
など行っている場合ではなかった。
「……ユーノがあいつ等の欠点に気付けば、当然こうなるよな。アホが」
ヴィータが揉み合いながら落下してくる二人を眺めながら、小さく囁いた。
「ぐぇっ!」
仰向けのヴィータの近くに、スバルとティアナが折り重なって倒れる。
「──両者場外! ユーノ・スクライア無限書庫司書長とヴィータ三等空尉の勝利です!」
些か拍子抜けのする末路だったが、観客は大いに盛り上がった。
「嘘でしょっ!?」
「そ、そんなぁ。何だかみっともない負け方……」
二人が上体を起こして不平を漏らすが、厳正なルールは覆せなかった。
試合場の上で、ユーノが気味悪いほどに目論見が的中して乾いた笑い声を上げていた。
「あはは……君達、本当に飛行魔法使えなかったんだ?」
「先に言っておくべきだったな。悪い、ユーノ」
涼しい表情で起き上がり、ヴィータが試合場へと上る。ヴィータはユーノの手を取り、観客に向かって勝
利の喜びを表し始めた。
二人で手を繋いで勝利の歓声を浴びる姿は、仲睦まじい兄弟のようだった。
「ちょ、ちょっとヴィータ」
「こうすれば客は満足なんだろ。お前ももっと愛想良くしろよな──ひっ」
仏頂面のヴィータが唐突に顔を蒼くさせ、出場者控え室のある方を遠く見る。
「どうかした?」
「いや、何か桃色に光る殺気が……気のせい、だよな」
ユーノはヴィータの怯えに首を傾げるばかりだった。しかしどこか吹っ切れた様子のヴィータに倣い、
観客に向かって手を振ったりして参加者としての務めを果たす。
「そんな、一度も攻撃魔法さえ受けずに負けるなんて……」
「え? あぁ、僕、攻撃魔法は一切使えないんだけど」
「─────────はいぃ?」
ティアナがユーノからの告白に硬直した。スバルはその衝撃よりも何よりも、ティアナの誤算に頬を膨らませる。
「ティ〜〜〜〜〜ア〜〜〜〜〜〜」
「ご、ごめんスバル! いや、だって、なのはさんの先生なんだから、誰だって砲撃魔法特化型だって思う
でしょ! ひゃっ、こらっ、何処触ってるのよ! 放しなさいって!」
「ティアの馬鹿! 全然読みを外してたじゃない! それに、胸、またちょっと大きくなってる!」
「だから何なのよ!」
「後でしっくり堪能させてもらうから!」
スバルは一気に爆発してきた鬱憤を晴らそうと、ティアナに乗りかかって彼女の色々なところに手を這わせた。
「た、助けて! 助けてくださいヴィータ副隊長!」
大衆の面前も気にしないスバルに恥ずかしい箇所まで責められ、ティアナの顔は複雑な羞恥に赤らんでいた。
ティアナから必死の形相でせがまれ、ヴィータは彼女に冷めた目を向ける。
「人の背中刺してきた奴を誰が助けるかよ」
大会初戦は大成功を収め、観客の興奮をさらっていった。
そして、熱い戦いは最高潮のままに続く──。
魔導大会主催・魔導師戦技大会 第一回戦第一〇試合
高町なのは一等空尉&シャマル主任医務官VSシグナム二等空尉&ザフィーラ
続きます
530 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/22(月) 21:17:42 ID:JdX7V9W2
GJ! まさかヴィータが墜とされるとは!
互いの前情報の少なさを生かした幕切れが素晴らしかったです。
>>528 GGGGGGGGGGGGGJJJJJJJJ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
燃える展開!震える頭脳戦!
そして若干間抜けなティアナw
なのシャvsシグザフィも期待して待ってます!
>>528 相変わらずの執筆スピード&ハイクオリティに憧れるーーー!! GJです。
策略と戦術が渦巻く攻防戦を制したのは赤ずきんと狼……ならぬ鉄槌とフェレットコンビ。
敗因はティアの思い込みとは……本文の通りに頭脳戦に思い込みは猛毒だという事ですかw
にしても、ユーノの強制転送って何気に恐ろしいな、このルールだと。
>「こうすれば客は満足なんだろ。お前ももっと愛想良くしろよな──ひっ」
>仏頂面のヴィータが唐突に顔を蒼くさせ、出場者控え室のある方を遠く見る。
>「どうかした?」
>「いや、何か桃色に光る殺気が……気のせい、だよな」
悪魔の波動怖すぎる……次回のガチンコバトル必死な組み合わせも楽しみに待ってますw
>>528 GJ
でも浮いたり落下緩和くらいは初歩だから出来ると思うんだよな。
本編で言う飛行ってのは高高度飛行だから。
>>528 GJ!
次が読めないwなのはが「悪魔じみた正義感(冷静さ)」モードなのか、
「なんとなく気に入らない」モードなのかが読めないw
>>533 ティアナはともかくスバルは素でそれも出来なさそうな
アホの子イメージが。
まあ、俺は動揺しすぎ、と思っとく
>>528 GJ!! お疲れ様です
さてさて、こういった試合は進むごとに己の手の内がばれていくものですが
初見で断片情報しかないティアがこう考えてしまうのはある意味致し方ない
しかし場外ルールだと転送魔法系が一撃必殺になるな・・・・!?
ルーテシア参加フラグ?
まだ1試合終わってこの長さ!しかも面白い!
はたして決勝までの長さはどんだけ〜w
GJ
試合も良かったけど、シグナムとザフィーラのやり取りに和んだw
次の試合も期待して待つ!
シグナム、犬の尻触りすぎwww
>>528 とにかくユーノの活躍に期待していた身としては
ユーノが吹っ飛ばされたところで一瞬大番狂わせが来るのか!?
とゾクゾクしてしまいました。ですけどやっぱり最後の最後で
決めてくれて本当に安心しましたGJです。
>>528 投下乙です。執筆ペース速ぇ…(書き溜め放出してるのかもしれないけど)
結局最後まで勘違いしたまんまだったなスバティアw 師匠のインパクトが強すぎたのか。
戦闘経験値の多いヴィータさえ落ちる位の激しさかぁ、これは普通に次期待。
>>528 トランスポーター・ハイのおかげで
陸戦魔導士が超不利だw
面白かったですGJ
あと、なのはさん自重w
シグナムさんザッフィーいぢり自重ww
てか、次いきなり対戦これかよ
シャマル目論み外れて涙目ww
乙ですー
普段力量差がある者が同じ土俵に立って、ってのは面白いね
投下します! ユーノ×スバルで非エロです! それではいきます!
その日、仕事を終えた無限書庫司書長・ユーノスクライアは、何日かぶりに自室への道を歩いていた。
ここのところ仕事が忙しくずっと無限書庫にカンヅメ状態であったのだが、やっと業務が落ち着いたため、こうして帰る事が出来たのであ
る。しかも。
「久しぶりに連休が取れたしね……。さて、何をして過ごそうかな?」
自室の鍵を取り出しながらユーノは言った。やりたい事は沢山ある。たまった洗濯物も片付けたいし、読みたい論文もある。もちろん自分
の論文も書きたいし、資料を集めたり、日用品の買出しもしなければならない。
もっとも、休みの過ごし方の中に、女性と過ごすという選択肢が全く無い、というか思いつかないのがユーノ・スクライアという青年であ
った。彼が連休を取れたと知ったら、某教導官や執務官や部隊長などは我先にとデートの申し込みに来そうなものであったが。
それはともかく、自室についたユーノは鍵を差し込んでドアを開けた。すると。
「おかえりなさいませっ! ご主人様っ!!」
輝くような笑顔と共に一人のメイドさんが彼を出迎えた。
ユーノは無言でドアをばぁんっ! と閉めるとすぐに鍵をかけ直した。そのままドアに背を預けると、ぶつぶつと呟いた。
「おかしいな、どうしちゃったのかな僕の頭……。家に帰ってきたらメイドさんが、しかもあの娘が出迎えるなんて、そんなはず無いのに
……。仕事のやり過ぎで幻覚を見るようになっちゃったら、働く意味が無いじゃないか……。ねぇ僕、僕の言ってること、間違ってる…
…? 少し……頭冷やそうか……。」
微妙に某教導官のような事をぶつぶつと呟いた後、ユーノは気を取り直したように深呼吸を一つすると、再び鍵を開けた。先程の光景が、
自分の見間違いであることを願って。しかし。
「ひどいじゃないですかご主人様ー。せっかくお出迎えしたのにドアをいきなり閉めるだなんて、私ちょっと傷ついちゃいましたよ。」
ドアを開けるとそこにはやっぱりメイドさんがいた。しかし今度は少しふくれっ面をしている。
ユーノは再びドアを閉めようとしたが、今度はメイドさんの方が動きが早かった。ドアをがしりと掴んで閉められるのを防いだのである。
それを見たユーノは溜息をついた。『彼女』に力では敵わないことは十分知っているため、無駄な抵抗だと悟ったのである。
「はぁ……。じゃあとりあえず、中で事情を聞かせてもらおうか、スバル?」
溜息をつきつつユーノはメイドさん……の格好をしたスバル・ナカジマにそう言った。スバルは嬉しそうに頷くと、再びこう言った。
「じゃあ気を取り直してもう一度! おかえりなさいませ! ご主人様!!」
「じゃあご主人様、これからどうしますか? ご飯にします? お風呂にします? そ、それとも……。」
「……そうだね、それじゃあまずは事情聴取といこうか。」
椅子を引き出してきて座るとユーノは言った。その態度にスバルは唇を尖らせる。
「つれないですねー。せっかくユーノさ……じゃなくて、ご主人様のためにこんな格好したのに。」
「あのね、誰も……少なくとも僕はそんなこと頼んでないよ。それで、どうしてこんな事してるの?」
呆れたようにユーノは言った。その顔を不満そうに見ながらも、スバルは説明を始めた。
「私、ご主人様にはいつもお世話になってるじゃないですかー。だから、そのご恩返しをしたいと思っていたんですよ!」
そう、スバルはユーノに色々とお世話になっていた。
切欠は無限書庫へと機動六課のおつかいで行った時である。元々なのはの幼馴染であるという彼に興味を持っていた彼女は、この機会にと
ユーノと色々な話をした。ユーノの方もなのはの教え子であるスバルの事は知っており、色々と昔話をしてあげたのである。
しかしその後も、スバルはちょくちょくユーノの元へと遊びに来るようになった。彼女はユーノの優しい人柄に触れ、彼のことをいたく気
に入ってしまったのである。ユーノの方も、スバルを妹のように可愛がり面倒を見てやった。デスクワークが苦手な彼女のために、書類の
書き方を教えたり、また仕事の合間に自身の過去の話や遺跡発掘の話をしてあげたり。
そうこうしている内に、スバルはすっかりユーノに懐いてしまった。ユーノは甘えん坊な妹だくらいにしか思っていなかったが、スバルは
当然の事ながらそれ以上の感情を抱いており、何とかユーノと関係を深くする機会を狙っていたのである。
そんな事はおくびにも出さず、スバルは説明を続けた。
「それでですね、どうしたらご主人様が喜んでくれるか考えていたんですけど良い考えが浮かばなくて。そんな時に、とある方からこの衣
装とこの部屋の合鍵が送られてきまして。同封されていた手紙には、『ユーノ君、というか男はみんなメイド萌えだから、この服を着て
一生懸命御奉仕すれば、とっても喜んでくれるわよ♪ 私も若い頃はあの人をこういうプレイで……ってそんな事はどうでもいいわね。と
にかく頑張りなさい、ナカジマさん♪ その方が色々盛り上がって楽しいから♪ 恋する乙女と糖分のお友達より』……って書いてあった
んです。正直怪しい事この上ないって思ったんですけれど、ご主人様が喜んでくれるなら、って……ってアレ? ご主人様、どうしたんで
すか?」
スバルは首を傾げて言った。ユーノが顔を両手で覆い、がっくりと項垂れていていたからである。
(こんな事するのって、絶対あの人だよねぇ……。糖分のお友達とか言っちゃってるし……。)
彼の脳裏には、砂糖をたっぷり入れた自らの名が冠せられたお茶を幸せそうに飲みながら笑顔を浮かべている年齢不詳の某提督が浮かんで
いた。
ユーノは頭を一つ振って某提督を追い出すと、スバルに言った。
「まぁ事情はわかったから、もう帰りなよスバル。気持ちは凄く嬉しいけど、でも正直これはちょっと……。」
しかしそう言うユーノに、スバルは猛然と抵抗した。
「えー!! 絶対嫌です!! だってまだ何にも御奉仕してないんですよ!? せっかくこんな格好までしたのに!!」
ユーノとの距離を一気に詰め、ずい、と顔を突き出すとスバルは言った。至近距離に迫った彼女の勢いに押され、ユーノは思わずたじろい
でしまう。
「い、いや、だけど……。」
「私はユーノさ……ご主人様に、日頃お世話になっているお礼をしたいだけなんです!! それとも……私にお礼されるのって……迷惑、で
すか……?」
悲しげな顔をしながらスバルは言った。ユーノは「正直ちょっとだけ迷惑」と思ったが、スバルの顔を見ると、その言葉を飲み込んだ。
「少しだけで良いんです……。どうか私に、ご恩返しをさせてもらえませんか……?」
スバルの目から、涙が一筋流れた。それを見たユーノは、内心で苦笑した。
(どうにもスバルには敵わないな……。)
優しいが優柔不断なユーノは、異様なワガママさと強引さを持つスバルに度々押し切られてしまうことがあった。ぽん、とスバルの頭に手をのせると、ユーノは苦笑交じりに言った。
「分かったよ。じゃあご飯を作ってくれないかな? 正直、ここ何日かロクなものを食べてないから美味しいものを食べさせてもらえると嬉 しいな、メイドさん?」
そのユーノの言葉に、スバルの顔がぱぁっと輝いた。
「はい! 分かりました!! それじゃあ楽しみに待ってて下さいねご主人様!! ……あ、でもその前に、コーヒーはいかがですか? ご主 人様、お疲れみたいですし。」
そのスバルの提案に、ユーノも頷いた。
「そうだね。折角だし、頂こうか。」
スバルは笑顔で「はいっ!」と返事をすると、コーヒーを淹れる準備を始めた。
(それにしても、良く似合ってるなぁ……。)
コーヒーの準備をしているスバルを見ながらユーノはそう思った。活発な彼女にメイド服は似合わないようなイメージがあるが、しかしそんな事は無かった。
それは、彼女が着ているメイド服の所為でもあった。ヴィクトリアンメイドタイプではなくフレンチメイドタイプではあるが、決して露出過多な下品な物ではない。
だがそれでいて、スバルの魅力を十二分に引き出していた。少し短めのスカートから伸びる健康的な太もも、引き締まったウエスト、わがままな自己主張をする胸など、元々魅力的な部分が更に磨きをかけられているのである。
スバルはスカートを翻しながらコーヒーを淹れる準備をしていた。当然、見えそうになる。というか、純白なモノがちらちらと見えてしまっていた。
ユーノはそれに見蕩れてしまっていたが、はっ! と気付くと目を瞑って頭を振った。
(な、何を考えているんだ僕は! スバルは純粋に僕のためにしてくれているのに、僕は何て邪な気持ちを……!)
己の中の邪念を追い払おうとするユーノ。しかしその時、スバルの「きゃっ!」という悲鳴と何かが落ちて割れた音がしたため、ユーノは
驚いてそちらを見た。
「大丈夫かいスバル? 怪我とかしてない?」
ユーノはスバルの傍に来ると、そう尋ねた。しかしスバルは返事をしなかった。というより、明らかに様子がおかしかった。
彼女の体はがたがたと震え、顔は真っ赤になっていた。もしや何かの病気か、とユーノが心配して尋ねようとすると、彼女は震える声で言った。
「ご、ご主人様……。わ、私……コップを割っちゃいました……。失敗しちゃいました……。」
「え? うん、そうだね。でもそんなことはいいよ。それよりスバル大丈夫? 何か様子が……。」
しかしそう尋ねるユーノを無視するかのように、スバルは続けた。
「私、失敗したから……御主人様に、罰を……お仕置きを受けなくちゃいけないんですよね……。」
「え? スバル、何を言って……。」
スバルの言葉に戸惑うユーノ。しかしスバルはそれに答えず、ゆっくりと立ち上がった。
そして、震える手でスカートを掴むと、ゆっくりと持ち上げる。
ユーノの眼前には、純白の下着と、むっちりとした太ももが晒された。
息も出来ずにそれに目を奪われたユーノの耳に、スバルの震える声が届いた。
「お願いです御主人様……。失敗した駄目なメイドな私を……どうか、お、お仕置き……して下さい……!」
その瞬間、ユーノの理性の糸はブチ切れ、彼自身も自覚していなかったモノが、彼の中から現れた。
ユーノもゆっくりと立ち上がると、眼鏡をくい、と押し上げた。そして、普段の彼からは想像もつかないような冷徹な声でスバルに対して語り始めた。
「そうだねスバル……。御主人様の物を壊すだなんて、君は本当にいけないメイドだ……。」
その冷たい声と口調に、スバルはびくり、と身を震わせる。しかし、それは恐怖から来るものではなかった。むしろ……。
「僕はね、明日、明後日と連休なんだ……。この意味が分かるかい……?」
ユーノの問いかけに、スバルはぶんぶんと首を振る。それを見てくすり、と笑うと、ユーノはゆっくりと顔をスバルの耳に近づけると、こう囁いた。
「つまり、君に丸二日はお仕置きできるってことさ……。」
ぞくぞくぞく、とスバルの背を何かが駆け抜けてゆく。それは恐怖ではない。嫌悪感でも絶望感でもない。それはまぎれもなく歓喜。そしてユーノに与えられるお仕置きへの、どうしようもない期待感。
「さぁ……。それじゃあ始めようかスバル……。」
ユーノはゆっくりとスバルのメイド服に手を伸ばす。その時スバルは、これから起こることへの期待に、どうしようもない歓喜の表情を浮かべており、そして──────
すると、床にぺたんと座り込んでいるスバルと、割れたマグカップがユーノの視界に飛び込んできた。それを見たユーノは苦笑する。
父子家庭に育ったスバルは、姉のギンガ程ではなかったが、それなりに家事はこなせるのである。しかしおっちょこちょいな所があり、よく皿やコップを割ってしまうこともあった。
実際、司書長室でお茶を淹れてくれる時もあるのだが、その時も何回かコップを割ってしまうのである。
「大丈夫かいスバル? 怪我とかしてない?」
ユーノはスバルの傍に来ると、そう尋ねた。しかしスバルは返事をしなかった。というより、明らかに様子がおかしかった。
彼女の体はがたがたと震え、顔は真っ赤になっていた。もしや何かの病気か、とユーノが心配して尋ねようとすると、彼女は震える声で言った。
「ご、ご主人様……。わ、私……コップを割っちゃいました……。失敗しちゃいました……。」
「え? うん、そうだね。でもそんなことはいいよ。それよりスバル大丈夫? 何か様子が……。」
しかしそう尋ねるユーノを無視するかのように、スバルは続けた。
「私、失敗したから……御主人様に、罰を……お仕置きを受けなくちゃいけないんですよね……。」
「え? スバル、何を言って……。」
スバルの言葉に戸惑うユーノ。しかしスバルはそれに答えず、ゆっくりと立ち上がった。
そして、震える手でスカートを掴むと、ゆっくりと持ち上げる。
ユーノの眼前には、純白の下着と、むっちりとした太ももが晒された。
息も出来ずにそれに目を奪われたユーノの耳に、スバルの震える声が届いた。
「お願いです御主人様……。失敗した駄目なメイドな私を……どうか、お、お仕置き……して下さい……!」
その瞬間、ユーノの理性の糸はブチ切れ、彼自身も自覚していなかったモノが、彼の中から現れた。
ユーノもゆっくりと立ち上がると、眼鏡をくい、と押し上げた。そして、普段の彼からは想像もつかないような冷徹な声でスバルに対して語り始めた。
「そうだねスバル……。御主人様の物を壊すだなんて、君は本当にいけないメイドだ……。」
その冷たい声と口調に、スバルはびくり、と身を震わせる。しかし、それは恐怖から来るものではなかった。むしろ……。
「僕はね、明日、明後日と連休なんだ……。この意味が分かるかい……?」
ユーノの問いかけに、スバルはぶんぶんと首を振る。それを見てくすり、と笑うと、ユーノはゆっくりと顔をスバルの耳に近づけると、こう囁いた。
「つまり、君に丸二日はお仕置きできるってことさ……。」
ぞくぞくぞく、とスバルの背を何かが駆け抜けてゆく。それは恐怖ではない。嫌悪感でも絶望感でもない。それはまぎれもなく歓喜。そしてユーノに与えられるお仕置きへの、どうしようもない期待感。
「さぁ……。それじゃあ始めようかスバル……。」
ユーノはゆっくりとスバルのメイド服に手を伸ばす。その時スバルは、これから起こることへの期待に、どうしようもない歓喜の表情を浮かべており、そして──────
「──────って何ですかぁこれはぁっ!!?」
そう叫ぶとユーノは持っていた同人誌をテーブルに叩きつけ、きっと目の前にいる女性を睨んだ。
白衣を纏い、今はユーノのバインドで簀巻きにされている女性……シャマルは、冷汗を浮かべながら言った。
「お、お願いユーノ君。そう興奮しないで……。」
しかしユーノの怒りは収まる様子も無かった。
「何言ってるんですかシャマルさん! 大体何でスバルが僕と絡む、なんてものを書いてるんです!?」
「いやね? いつも女の子向けのものばっかり書いてるから、たまには趣向を変えてみようと思ってね?
そしたら偶然、貴方とスバルが仲良く一緒にいる所を見ちゃったわけ。そしたら猛烈な電波を受信しちゃって、一気に書き上げちゃったのよ!
お陰さまで中々好評よ? ああ、男性向けもこなせる自分の才能が怖いわ!!」
ユーノのこめかみに、ぴき、と青筋が浮いた。
ユーノは毎回、シャマルの描く同人誌を手に入れていた。これは彼がシャマルのファンという訳では断じてなく、内容をチェックするためであった。
あまりにもな内容ならば、即シャマルに制裁を加えて自主回収させるためである。
最近では特にユーノが目くじらを立てる事は無かった。いや、ユーノにしてみれば彼がクロノや他の男と絡むようなものは描いて欲しくないのだが、
何度制裁を加えてもこのジャンルだけは懲りずに描き続けるシャマルに、彼ももう半ば諦めてしまっているのである。
だが、今回のモノは違った。自分はともかく、新人のスバルが出たことにユーノは激怒した。自分はもう手遅れだし仕方ない部分もあるが、
未来ある新人局員を汚れさせる訳にはいかない。そう考えたユーノは証拠品の同人誌……『司書長はメイドがお好き──被虐の喜びに染まる新人局員──』
……を握り締めて機動六課の医務室に急襲をかけ、シャマルをふん捕まえた、という訳なのである。
「とにかく、これはすぐに回収して下さいね。僕はともかく、新人のスバルをネタにするだなんて、可哀想だとは思わないんですか!?」
「ユーノ君……。作家にはね、例え人間関係を犠牲にしてでも描かなきゃいけないネタがあるのよ……。言うなれば、これは作家としての 業……ってぐはぁっ!!
ユ、ユーノ君お願い、これ以上締めないでぇっ!! 出ちゃいけないものがでちゃうぅぅぅぅぅっ!!」
無言でバインドの圧力を上げて自分を締め上げたユーノに、シャマルは必死になって懇願する。
「……じゃあ、同人誌の自主回収をお願いしますね?」
「えー、そんなぁ……。」
「お ね が い し ま す ね ?」
「ひッ!! わ、分かりましたぁ……。」
ユーノの殺気に震え上がるシャマル。ユーノは海より深そうな溜息をつくと、シャマルを開放し、もう一度念を押して無限書庫へと帰っていった。
その後、この同人誌を手にいれた某教導官と執務官と部隊長から自分とユーノを同様のシチュで描く事を強要された(ちなみに一人あたま数百ページで)
シャマルが真っ白に燃え尽きたり、ユーノが医務室に置き忘れたこの同人誌を、たまたま訪れたスバルがたまたま発見してしまい、顔を真っ赤にしながらもそれを回収し、
「メイド服ってどこで売ってるのかな……。」と休日の度にメイド服を求めるようになるのだが、それらはまた別のお話。
以上ですー。何か微妙な内容なのに、投下ミスがあったりしてもうグダグダになってしまいました……。
こんな内容ですが、もし気に入っていただけたらエロ有りの方も頑張ってみたいと思いますー。
それではお邪魔しました。ではー。
GJ!
でも淫獣自重。というかそのポジション俺と変われw
GJ
最後にこれだけ言わせてくれ
シャマル自重
くそっ!その同人誌売ってくれよ!
メイドスバル…まさにま○ろさん。いいなぁ、妄想が膨らむ…
GJでした。
>>550 超GJ!!
貴重なユノスバ分を補給できて俺感動。
エロありにも期待してます。
>>550 GJです!
シャマルの同人オチ久々に見た気がします
懐かしい92氏を思い出させてもらいました
エロも頼みますよ、シャマル先生!
>>549 わろた。GJ。
>ユーノ君……。作家にはね、例え人間関係を犠牲にしてでも描かなきゃいけないネタがあるのよ……。
>言うなれば、これは作家としての 業……ってぐはぁっ!!
ある意味、彼女も某部隊長の犠牲者のひとりだと思う。
GJ。ちょうどスバ×ユー成分が欲しかったところです。
好きなキャラ同士の絡みだから本当に良かった
すいません。この同人誌の続きお願いします
GJ!!
ほんとつまんねえ抜けない小説ばっかだな
投下乙。
お三方、同人レベルであれ合わせてそんな量一人で描けってシャマル先生死ぬからw
で、その同人誌何処で売ってますか。
1000円前後なら普通に買いかねないぞ商業誌の値段的に考えて。
>>550 シャマル自重wwwwwwwww
しかしユーノ×スバルと聞いたとたんに、
脳裏に『名無し』SSを思い出しと俺、ちょっとWIKIで読み老けッてくるわ ノシ
>>550 GJだZEw うんなんだ・・・ユーノよ、骨は拾ってやるぞ?
そしてシャマルさんは自重しろw
まとめ見て気付いたんだが
シャマル先生がメインの奴ギャグばっかりだw
今更ながらスレ立て乙
566 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/23(火) 12:59:38 ID:/pfvtdrf
>>416 変態でもフェイトまじ可愛いw
アリサもなのはも一応意識してるし、
すずかもなんか内にどんな悪役より凄い策士ぽくてで期待w(ぉ
続編は他の活躍も是非!!
>>528 ユノヴィタでタッグ…やべぇ
『御供え物』で火のついた俺は今、猛烈に熱血できるバトルを期待しているぅー!!
でもクロノ派の方々には失礼だがクロノって実力ではユーノより上の筈なのに、
カードゲームとかやったらアッサリ負けそうな気がするのは何故だろう…
>>550 ユノ×メイドスバGJ!
まさかこのカプが読めるとは。次はお仕置きシーンを見せて下さい!!
思いっきり風邪引いたorz
……少し楽になって来たので、書き溜めてた分投下します。
14th session〜想い溢れて、紡ぐのは〜
「……フィレスとスバル、どうしたのかな?」
新人4人が座っているテーブルを見ながら、そう呟くなのは。
なのはが心配するのも当然と言えて。
「……」
「……」
お互い目を合わせる度に真っ赤になって目をそらし合うフィレスとスバルがいたから。
「……ヴァイス曹長、失礼します」
「ん、ああ」
ティアナは自分が食べ切れる分量の食事を取って、近くのヴァイスが座っているテーブルに避難して、
「はい、エリオ君、あーん♪」
「ちょ、ちょっと、キャロ!」
エリオとキャロに至っては、何か変に触発されて自分達もストロベリっている始末。
「……何か、あったの?」
「……ああ」
なのはの呟きに答えるヴィータの声。それに、なのはは首を傾げて……、次のヴィータの一言に、硬直した。
「詳細は省くけどよー……、フィレスが切れた弾みに『スバルさんが好きだ!』って叫んじまったんだよ。
……スバルがその場にいたのに」
「……にゃ、にゃはは……」
思わず苦笑するなのはだったが、次の瞬間、ある事に気付く。
「……待って。……フィレスは知ってるの? ……スバルの、身体の事……」
「あ……」
フィレスがスバルの事を好きなのは、とても良い事で。
フィレスとスバルがお似合いの2人だと思っているのは、なのはもヴィータも同じで。
しかし、フィレスがスバルの身体の事を知って、それでもスバルの事が好きでいられるかどうかは全く分からなくて。
「……大丈夫じゃねーの? フィレスもスバルも、何も知らないガキじゃねーんだ。
……あの告白事故の時、すぐに返事しなかったのは、多分教えるための時間が欲しかったんだと思うぞ、あたしは」
「……それなら、いいんだけど……」
そう心配そうになのはは呟くと、フィレス達の方を見やる。
と、ヴィータが何故かにやにやとして、口を開いた。
「ま、向こうは向こうで決着付けるんじゃねーの? ……なのはとユーノみたいに」
「にゃああああーっ!?」
その夜。
「……は、話って何ですか? ……スバル……さん」
「え、あ、うん……」
お互いに真っ赤になって俯くフィレスとスバル。
あうあうと何かを言おうとしてむなしく口を開閉させるスバルに、いらだったような声がかかった。
「……アンタらね……私いるって事完全に忘れてるでしょ……」
「―――っ!?」
「ティ、ティ、ティア!?」
ダブルで飛び上がった2人に、ティアナは大きな溜息を吐いた。
「……スバル、アンタね……私とフィレスに伝えたい事あるんでしょ!?」
「う、うん。……それじゃあ、付いて来て欲しいんだ」
そう言ってゆっくりと歩き出したスバルを追いかけながら、フィレスはティアナに囁きかける。
「……話って……一体?」
「……さあ。少なくとも告白の返事じゃないんじゃないの? それなら私まで呼ぶ必要無いし」
「……えっと……」
目を逸らし、微かに赤くなって頬をぽりぽりと掻くフィレス。
それを見ながら、ティアナはフィレスにばれないようにひっそりと溜息を吐いた。
「(スバルの気持ち知ってて、それでも言えないって、地味に辛いわね……)」
そう考えながら、スバルの後を付いて行くと。
「……医務室?」
何故医務室に来たのか、一体どんな話をしたいのかがさっぱり掴めず、混乱するティアナとフィレス。
と、ドアの前でスバルは一瞬立ち止まり……、決心したように顔を上げ、ドアを開けた。
「……あら、珍しいわね、スバルちゃん。ティアナちゃんかフィレス君が怪我でもしたの?」
そう不思議そうに聞いてくるシャマルに、スバルは口を開いた。
「……お願いがあって来たんです。私を……レントゲンにかけてください。……フィレスとティアに教えたいんです、本当の私を……」
そう言ったスバルの言葉を受けて、シャマルは目を見開く。
「ス、スバルちゃん!? 何考えて……」
「しっかり考えました! ……エリオやキャロはまだ子供ですから受け止められないと思うけど、フィレスとティアなら、大丈夫だって。
それに……ちゃんとフィレスとティアには伝えなきゃいけないんです。……私の、本当を……」
そう言ったスバル。その言葉に、微塵も嘘が含まれていない事はあまりにもはっきりしていて。
シャマルは考え込む素振りを見せて……1つ、大きな溜息を吐いた。
「……分かったわ。そこまで決心が固いのなら……私は何も言わないわ」
そう言ってスバルを検査室に連れて行ったシャマルを見送って、フィレスとティアナは顔を見合わせた。
「……レントゲンがいる話って何」
「さ、さあ……、僕も、さっぱり……」
2人がそろって首を傾げていると。
「フィレス君、ティアナちゃん、ちょっと来てくれる?」
シャマルから声がかかり、2人は相変わらず首を傾げながら検査室に入り……、硬直した。
ベッドに横たわるスバルに、2人は目が離せなくなる。
そのスバルの右腕に当たっているX線、シャマルの手元のモニターに映るスバルの右腕の映像。
……それは、明らかに人の物では無かった。
「……これが本当の私。誰かに作られた、ただのロボット。……それが、私」
まだ固まっているティアナとフィレスに、スバルはそう言って哀しく笑うと、身体を起こす。
「……ねぇ、フィレス。私も……フィレスが好きだよ。……でもね……、こんな私じゃ、恋人にはなれないよ……」
そうフィレスに言うと、スバルはゆっくりと歩みを進める。フィレスに近付き、擦れ違い……、
……その瞬間、スバルはフィレスに抱き締められた。
「フィ、フィレス……!?」
思わず目を見開いたスバルに、フィレスは無言で顔をスバルの肩に埋める。
「だ、駄目だよ……、私……人じゃないんだから……」
そう言ったスバルに、フィレスはゆっくりと口を開いた。
「……駄目じゃ、ないよ」
「……え……」
「僕は、スバルさんの事が好き。スバルさんがどんな人だろうとも……、人じゃなくても、この気持ちは、変わらないよ」
そうスバルを抱き締めながら言うフィレスに、スバルは思わず言葉に詰まる。
と、フィレスはそのままにっこりと笑って、続けた。
「……それに、スバルさんを見てロボットって言う人なんか、誰もいないよ。
喜んで、怒って、笑って……、人間と全く変わらないよ? スバルさんは」
そう言われて、スバルはそのまま固まる。
そんなスバルを抱き締めたままのフィレスは一度手を離し、スバルを自身の方へ向き直らせた。
「……スバルさん、答えて欲しいんだ。
……僕の……恋人になって、くれないかな?」
「……フィレス……いいの? 私で……」
「スバルさんじゃなきゃ、僕は嫌だよ」
そう言ってもう一度スバルをフィレスが抱き締めると、スバルの瞳からぽろりと涙が零れ落ちる。
ぎゅっとフィレスの服を掴んで、必死で涙を堪えようとするスバルに、フィレスは言った。
「泣いても、いいよ。僕の胸なんかで良かったら、いくらでも貸すから」
「う……あ……あああああっ!!」
胸に顔を押し付けて号泣するスバルの頭をぽんぽんと叩くフィレス。
「……好きだよ、スバルさん」
「わ……私もっ! 私もフィレスが好き! 大好き!」
……抱き合ってそう言い合う2人を見ながら、ティアナは1つ大きな溜息を吐いた。
「……あの2人……、絶対私の事忘れてるでしょ……」
「……ふふっ、そうね……、でも、幸せそうだからいいじゃない♪」
楽しそうにそう言ったシャマルに、ティアナは思わず苦笑する。
と、一転して真剣な表情になったシャマルが口を開いた。
「……フィレス君は、スバルちゃんの事、受け入れたわ。ティアナちゃんは……」
「受け入れます。……決まってるじゃないですか」
即答したティアナに、シャマルはきょとん、目を見開く。
「私は、スバルとずっと腐れ縁やってきたんですよ?
フィレスが揺らがないのに、これくらいの事で揺らぐ訳には行かないじゃないですか」
そうティアナは続け、それを聞いたシャマルと一緒に微笑んだ。
これで終わりです。
今、下書きは次々回執筆中なんですが、それがユノなのエロなんです。
……何ではじめてでソーププレイやらせるんだ俺orz
>>572 GJ!
次回のユーなのソーププレイ期待w
GJ!!です。
間違ってたら失礼、ティアナってスバルが戦闘機人だって知ってませんでしたっけ?
本編じゃ、もっと早い時期に知ってたはず。
たぶん、訓練校〜災害救助隊勤務時代。
ちょっといい話系の非エロを貼りたいんですが、邪魔になりませんか?
どうぞどうぞ
遠慮する事は無い
では投稿失礼します。
{非エロ}{JS事件後日譚}{ちょっとパロ}{卒業前話}
でタイトルが
「キャッチボール日和」
です。
JS事件終結から3週間。それぞれの事案に一応の目処(めど)がつき始めた頃のこと。
頭上に青空の広がるとある休日の、いつもどおりの昼下がり。
「いくよ〜、ティア〜」
「はーい。いつでもいいわよー」
ヴィヴィオを伴って海岸を歩いていたなのはの耳に、そんな会話が聞こえてきた。
特に目的も無かったのでお散歩コースを変更してしばらくいくと、庁舎前の広場でスターズ分隊の陸士コンビがい
た。それぞれ左手に大きな革の手袋をつけ、40歩の距離で向かい合っていた。
「せーの」と軽い掛け声とともにスバルが手にした丸いもの―ー白いボールを投げる。それほど力を込めたとも思え
ないそれは、風をきって飛んで「スパーン」と良い音を立ててティアナの手元に吸い込まれた。
「ナイススロー!」
スバルの投げたボールにはかなりの勢いがあったが、ティアナが怖がっている様子は無い。機嫌よく声をかけてス
バルと同じように振りかぶる。ただこちらは、背筋を伸ばし両手を頭の上にあげるなどというかなり大きな予備動作
をしているのがすこしちがっていて―ー力をためるような一瞬の静止の後、足が上がる。ゆるやかな下半身の始動と
ともにフォームがはじまり、
「―ーっ」
無音の気合とともに白球が投ぜられた。
しゅっ。と軽い風切音。ふたたび「スパーン」と小気味音とともにボールはスバルの手元にもどった。
「ナイスボール!」と、スバルがティアナに声をかける。
「なのはママ」とヴィヴィオが話しかけてきた「お姉ちゃんたち、なにしてるのー」
「……うん。あれはね」と、懐かしげに目を細めた。
二人が持っている道具はミッドチルダではついぞ目にする事が無く、それでいてなのはの実家付近では目にするこ
とが非常に多いスポーツ用具。まごうことなき、野球のグローブと硬式野球ボール。ミットチルダ出身の管理局武装局員である二人がやっているのは
「『キャッチボール』って、いうんだよ」
それは、なのはが知る限りもっともポピュラーなスポーツ―ー野球の準備運動なのであった。
キャッチボール日和 ( なのは&ティアナSS )
「?」
投げては受け止める。普通のキャッチボールの動作を何度か繰り返すうち、スバルは違和感を覚え始めた。
「? ? ?」
最初は簡単だったキャッチングがだんだんやり辛くなんってきたのだ。最初は自分が目測があやまっているだけか
と思っていたのだが、どうやらそうではないらしい。明らかにボールの軌道が変わっている。
「ちょっと! ティア! なんかやってる?」
おそるおそる聞いてみると「魔法? つかってないわよー」とボールとともに返事が返ってくる。
「そっか―ーって、わわわあっ!」
が、その舌の根も乾かぬ内に、ティアナが投じたボールはスバルの目の前で左へボール一個スライドした。
さすがに対応しきれず、スバルは思わずグラブの土手に当てて、ボールをはじいてしまった。 芝生の上をボール
は転々と転がる。
「うそだーっ! 絶対嘘だああああ」
芝の中でゆっくり止まるボールを見てスバルはティアナに食って掛かった。しかしティアナは含みのある笑顔をほ
ほに貼り付けて、グラブを振っただけだった。
「魔法を使ったらあんただってわかるでしょ?」
「そりゃあ」わかるけどさ。と口の中でもごもごつぶやきながら、不承不承ボールを拾いにいきながらスバルは答え
た。魔法を使った様子はない。が相手は詐術と計略に長けた幻術使い。「だまくらかす」と決めた時の相棒の底意地
の悪さは、訓練校以来のコンビたるスバルが誰よりも知っている。カードだろうがボードゲームだろうが、本気にな
ったティアナに天然素直なスバルが駆け引きで勝てたためしはない。しかしタネはわからないが絶対何かやってる―
ーと、直感的にわかった。
「ティアナ、そのくらいにしときなよ」
笑いをこらえる様な口調の、聞きなれた声が聞こえた。
「あんまり凝るとスバルが怪我するよ?」
え、と顔を上げると芝生の上になのはとヴィヴィオがたっている。
なのはは、心中そのまま「わかりません」という顔をしているスバルに、言った。
「ティアナはね、ボールを投げる時に握り方や指先で回転を調整して、ボールの軌道を変えてるんだよ」
「はい?」
「野球ってスポーツの『変化球』っていう技術だけどね。空気抵抗や重力を利用した物理現象だから当然魔法は使わ
ない」
一秒、二秒 ……… 十七秒経過後。
「あああっ!」と一声叫んでスバルは飛び上がった。「やっぱり! なんかやってたんだ! 酷いよティア!」
何をやっているかは理解できなかったらしい。
「嘘はついてないわよ。魔法はつかってないものー」
グローブで顔半分隠して意地悪く笑うティアナ。「むっきー」などとスバルはこぶしを握り締める。なんだかいつ
もと逆だった。そんな二人を当分に眺めやった後、なのはは「まあまあ」とスバルの肩をたたいてなだめて、ティア
ナの方へ顔を向けた。
「いつから練習してたの? わたしも詳しくないけれど、最後のはカーブ?」
「スライダーです」
スバルの手からボールを受け取り、ティアナは指先で軽くはじきあげた。ボールは綺麗な横回転で宙に浮き、ティ
アナの人差し指の上でくるくるとコマのように回り始める。
「ティアナおねーちゃんすごいすごいー」
ヴィヴィオが無邪気に拍手する。たしかにちょっとした曲芸か手品のような手並みである。
「射撃練習の合間に気分転換ではじめたんですけど、あってたみたいで」
ぱん。とボールをつかんで、そのまま握る。
「カーブ、シュート、サークル・チェンジ……スライダーは縦横二種類。格好になったのはそのくらいです」
スバルはあいかわらずまったく理解できてない様子で呆けていたが、さすがに今度はなのはも目を丸くした。高町
家での野球への関心度は、サッカーなどと比べてもあまり高くない。ルールはわかるし観戦にも不自由はないが特定
のチームを応援するというところまで行っておらず、せいぜいが夏の甲子園で地元高校の試合をみるくらい。それで
も最近キャッチボールをはじめたティアナが、すでに5種類の変化球を投げられることが尋常でないことくらいはわ
かった。
「驚いた。それはすごいね。ほんとに」
「訓練時間外の遊びですから。野球というスポーツがないミットチルダでは本当に役に立たない技術です」
なのはさんたちの世界のアメリカに行けば、女子のプロリーグとかありましたよね。などと苦笑する。
「ヴァイス陸曹が練習に付き合ってくれたんです。射撃の練習は見てくれないのにキャッチボールには熱心に付き合
ってくれるんです」
へえ。となのはが驚く。
「あのヴァイス陸曹が……」
「わたしも意外だったんですが、凄く詳しくて。雑誌とか試合の動画とかも貸してくれて。あ、なぜかキャッチャー
ミットも持ってました。知り合いに無理やりチームに入れられたんだけど、気がついたらはまってたそうで」
「ふうん」
「で、結構楽しくて、射撃練習の後で体をほぐすためのストレッチにキャッチボールを取り入れて」
「それはいい工夫だね。射撃感覚や緊張感も自然にクールダウンできそうだ」
「そうなんです。でもただ投げているだけだと芸がないので、的当て用の九分割ゲージを自作して」
「ああなるほど! テレビで見たことあるよ。わたしが子供頃ずいぶん流行ったなー」
「他にも、たとえば野球にはいろいろ駆け引きの要素もあって。……二人で話しているうちに試合とかもしたくなっ
て」
「うんうん」
「そしたらなぜか首都航空隊と108陸士部隊に草野球チームがあったので、108の方に入れてもらってーーあ、
チーム名は何故か両方とも『タイガース』なんですけど」
「あ、そうなんだ」
「つい先だって、陸曹の休みとあわせて有給とって、初試合に臨んだのです」
「ああ、そういえば『二人が同じ日に休みとったんですよ〜』ってアルトが騒いでたっけ」
「ええ! やっと初登板だったんです」
「そっか……いや、まあ、健全だけど」
「試合開始直後は曇ってたんですけど途中から雨になって、でも止めたくなくて」
「えっと……」
「最初は三振も取れてたんですけど、打者も三巡目だとわたしの変化球に慣れてきて点数を入れられて」
「あの……」
「でも、わたしマウンドを降りたくなかったんです。六課ではエースになれないわたしでも、このチームなら本当の
エースになれるような気がして」
「いや、ティアナ……」
「でも、最終回でとうとう力尽きて、マウンドに出来たぬかるみに足をとられて転んでしまって、そのままへたり込
んで」
「試合を中断しなよっ! 草野球なんだから!」
「そしたらキャッチャーのヴァイス陸曹から『ティアナ、投げられねえんならピッチャー交代(かわ)ってくれ!
ここは六課じゃねえからな! ナカジマ陸曹にでもカルタス二尉にでもマウンド譲れ!』って怒られて」
「それ、どこの夏の大会県予選一回戦」
「でも……わたし、その一言でもう一度立てました。後で聞いたらわたしを降ろすつもりなんて無かったそうです。
次の日に食堂でカレー食べながらそういわれた時のわたしの気持ちわかります? 詐欺ですよね。聞いたときは力抜
けて泣きましたもん。ホンキで」
「いや、だからね」
「……今思い返しても、なんで勝てたかわからないですけど、なんだか特別な一日でした……」
「ああ、そう。勝てたんだね……でも、あのね。ティアナ」
「はいっ! 勝ったんです! わたし最後まで投げきれたんです」
「よ、よかったね……だから、ティアナ?」
うぐ、ぐしゅ、すん。なとと思い出し泣きしながらティアナは「はい」と頷いて言葉を続けた。
「試合までの二週間。射撃練習をサボって投げ込みした甲斐がありました」
「いいかげんにしなさいっ!」
◇ ◆ ◇
「よおし、試合しよーぜ」
「でも、ヴィータ副隊長。人数が」
「スバル、おめーは三角ベースもしらねーのか。よし、あたしが教えてやる!」
潮風に乗って聞こえてくるのはヴィータとスバルの会話。あと何人か整備班の若手たち。
なのはとティアナはそれを堤防に腰掛けて聞いている。
新しい人材が加入したおかげでティアナがいなくても野球談義が盛り上がっているらしい。
「ほんとに野球が流行ってるんだね」
「はい。……いや、その……わたしはちょっと行き過ぎたかな、と」
「射撃練習サボるのはやりすぎだよ。自主錬なんだからさじ加減は任せるけどさ」
「そ、そうですよね」
ミッドチルダ出身で魔導師のティアナが、管理外世界97番―ーなのはの故郷である『地球』のスポーツに興味をも
ったのは海鳴市への出張で世界自体に興味を持ったことと、そして、はやて―ー八神部隊長からとある『記録映像』
を借りたことがきっかけである。
例の一件の後でテンションが沈みがちだった頃、なのはとの語らいやフェイトからの励ましの後、部隊長室に呼び
出された。説教覚悟で赴いたのだが、部隊長はなのはやフェイトとはまったく逆方向のテンションでティアナの両肩
をばんばん叩きながら励ましてくれた。
そして、
「気持ちが沈んだ時はこれや! これさえあれば何があっても生きていける! あたしがそうやった!」
と『バース・掛布・岡田、バックスクリーン三連発』とマジックで手書きされた記録メディアを渡されたのである。
メディアがVHSという見慣れないフォーマットだったので再生方法に苦労したが、部隊長の好意をむげにもできず
、なんとかデッキを調達して、再生し――見終わった後、どちらかというと打たれてうなだれる黒い帽子のチームの
ピッチャーにシンパシーを感じて逆に落ち込みそうになった―ーなったのだが。
「それがきっかけといえばきっかけでしたね」
野球というスポーツは膨大な記録とともに語り継がれるスポーツである。20年前であろうと当時の資料を手に入れ
ることはさして困難ではない。ことに件(くだん)のビデオのシーンは一部のファンには語り草になっていることも
あって、資料も豊富だった。ティアナはさしたる労苦も必要とせず、打たれたピッチャーが実は実績も才能もある好
投手で相手チームとの対戦成績も悪くなかったと知った。それで少し興味が出てきた。
「あの試合で打たれた理由、他の試合で打たれなかった理由……そんなことを考えるようになって」
ティアナは『投球術』という言葉に出会った。
「たとえばスライダーというボールは、ほんとに十人十色で使い方も変化も違うんですが、基本的にはストレートと
同じ軌道で来て手元で少し変化する球種。このボールをストレートと錯覚させる事で芯を外すわけです。またカーブ
やチェンジアップは落差や軌道も重要ですがむしろ球速差で利用価値が増します。150キロの剛速球を投げる事が
できても、打者もプロですからそれだけなら打ち返せる。でも90キロのカーブやチェンジアップと組み合わせれば
、たとえ120キロのストレートでも30キロの速度差で速く見える…」
ティアナは手のひらでボールを弄びながら、淡々とした口調で語り続ける。
なのはは途中からしゃべるのを止めていた。じっとティアナの言葉に耳を傾ける。
「いろんな試合を見ましたけどプロの投手が全部160キロの剛速球を投げられるわけじゃないんですよね。たとえ
投げられたとしてもそれだけじゃ『エース』にはなれない。『エース』は負けない選手。本当にエースと呼ばれる人
たちは生まれ持った才能だけじゃなく、錯覚や経験、データやひらめきを利用して目の前のピンチを切り抜けるんで
す」
「……そうだね」
なのはの言葉にかすかに微笑むと、ティアナはヴィヴィオに白いボールを渡し、自らは手のひらを上に向けた。
その手のひらの上にピンポン玉大の光が、二つ現れた。なのはの目から見ても、色も形も大きさもまったく同じ「
光弾」だった。
「あの日の少し前」と、ティアナは小さく息を吐いた。
「クロス・ミラージュのモード3をどうするかでちょっと行き詰ってた時、わたしは長距離砲撃のモードを自分が使
いこなせるかどうかに自信がもてなくて断念しました。訓練不足のスキルをぶっつけ本番で一か八かをするなんて、
あの時のわたしには考えられなくて、気がつけば弱い考えで守りに入って」
なのはもよく覚えている。その判断の可否をたずねにきたティアナは多少沈んだ様子だった。なのはは「クロス・
ミラージュとの相談の結果であれば反対する理由はない」と答えた。妥当な判断だとおもったし、ティアナがもとも
と持っていたバランス感覚がきちんと働いているのがわかったからだ。ただ、それがティアナが持っているもう一つ
の長所―ー弛まぬ向上心を抑えなければならないことが惜しくもあった。危なくて心配で、たびたびティアナを抑え
てきたが、その向上心と常に前向きな視線をなのはは好ましくも愛しくも思っていた。
「今でもその判断が間違っていたとは思いません。わたしの長距離砲撃は出力が足りなくて。どちらかといえばピン
ポイントの狙撃向きです。最後の戦闘機人戦には役に立たなかったと思いますし……めいっぱいブーストしても多少射程が延びるくらいで、なのはさんみたいに砲撃で壁を打ち抜いたり相手を防御ごと吹き飛ばしたりできません」
なのはの砲撃は齢9歳にして完成をみていた大出力の収束砲撃だ。これは純然たる才能の発露であって真似て出来るものではない。
ティアナは大人しく二人の話を聞いているヴィヴィオの頭に手をやった。
「あの絶体絶命の土壇場で、どうやって生き延びようかそれだけ考えていて、ふっと思いついたんです。自分の弾丸には敵の防御を打ち抜く破壊力はない。だったら―ー」
かすかな深呼吸とともにティアナは顔を上げて水平線を見た。
「だったら、わたしは相手に『防御』させなければいい、『準備』させちゃいけない、って」
そう。だから―ー彼女は
「出力の低い射撃をけん制気味に繰り返して、さも時間稼ぎをしているかのように装い、相手に『魔力弾の威力はさほどでもない』と印象付け、出来れば『防御の必要はない』とまで油断させる……
次に見晴らしの良い場所へ誘導し、相手の警戒を解く。そして―ーこれが要(かなめ)ですけど、今まで散々使用したのと外見上まったく同じ誘導弾を準備して、これ見よがしに浮遊させる」
丁寧に丁寧に、誤認と錯覚を、一手の間違いもない詰め将棋のように丹念に複線を積み重ねて。
「そして」
ティアナがわずかに指を動かすと、二つの光の珠が空中でぶつかった。全く同じ色形大きさのエネルギーの塊が同
じ速度でぶつかり―ーその結果、片方の光球だけがシャボン玉のようにぱちんとはじけた。二つのうち一つは普通の
弾丸で、もうひとつは外見だけをコピーした幻像だった。
「そのようなシチュエーションで、わたしの切り札、クロス・ミラージュのモード3 出力強化版の光弾をモード1
の通常弾と外見上まったく同じにみえるように偽装してぶつければ、相手に特別な防御させず、衝撃に耐える心構え
すらさせず、結果として大きなダメージを与えることになる」
さらに誘導弾を一度は相手にわざと回避させ、その『存在』自体を相手の意識から消す周到さを付け加えて。
「うん」となのはは小さく頷いた。
普通の射撃形の魔導師には無理だろう。発生する魔力は力に応じた形質を伴うものだ。それを魔導師がコントロー
ルすることは難しい。 だがティアナには幻術がある。魔力弾を偽装することも、それを生かすための舞台づくりも
できる。なにより土壇場のピンチの真っ只中で他者の錯覚をコントロールするという幻術使い特有の戦術センスがあ
った。
「そっか。それがティアナの新しい『スタイル』なんだね」
なのはやフェイト、はやてのように有り余る魔力量やブーストで相手の想定を上回る出力や速度や広範囲攻撃をす
るのではなく。
シグナムやヴィータのように、体術を用いて一撃必殺の間合いに飛び込むのでもなく。
相手の油断を誘い、あるいは誤認錯覚させ、警戒を解き注意をそらせ、標的の防御を無効化し、無警戒の急所を的
確に打ち抜く。
次元を隔てた遠い国の野球というスポーツ選手たち、特に技巧派と呼ばれる投手たちが遅いカーブの後でストレー
トを投げて速くみせるように。あるいはストレートと区別がつかないスライダーを投げて芯をはずして討ち取るよう
に。
「『弾丸をセレクトして正確に命中させる。そのための命中精度と判断速度』 なのはさんに教えてもらった通り射
撃型の真髄はそこに尽きます。とてもシンプルなこと――でも、それだけのことがこんなに奥が深い。まだまだ出来
ることがある。先は長い――そう思ったら、なんだかいろいろ力が抜けました」
口で言うほどに容易くはない。困難も多い道だろう。極めるにはより多くの訓練と経験と思索が必要になる。しか
しあの時ティアナははっきりと自分自身の『伸びしろ』を―ー可能性を自覚したのだ。
なのはは隣に座るティアナの顔を見た。はるか水平線を眺めやるその横顔は、初めて出会った時よりも自然で穏や
かで、ほんの少し大人びて見えた。教え子の成長がまぶしかった。
「そっかそっかうんうん……ああ、なんだか明日の模擬戦が楽しみになんてきたなあ」
などと、なのはは少し意地悪い気分で挑発してみる。
「だめですよ。明日までには何にも思いつきませんもん。あんまり追い詰めないでください」
とティアナは笑った。そして「よいしょ」とヴィヴィオをひざの上にだき上げる。ヴィヴィオはさっきから白いボー
ルを興味津々といったようすで眺めている。まるでティアナの見せた『魔術』(マジック)のタネがそこにあると信じているように。
「そんなこといっても事件は待ってくれないよ。たとえば、ここでわたしと戦うことになったら、ティアナなら、ど
うする?」
「ヴィータ副隊長をけしかけて、スバルを人柱にして、それ時間を稼ぎつつヴィヴィオを人質にしてバイクで行ける
ところまで逃げて、あとはフェイト隊長とライトニングがなのはさんを止めてくれるまで隠れます」
逡巡でも困惑でもなく、戦術論でも根性論でもなく、何故か打てば響くような冗談が返ってきた。あまつさえ「と
ーどろく叫びを耳にして〜♪」と、どこかできいたような歌を口ずさみ始める。
「こら、それじゃわたしが街をこわす怪獣みたいじゃないの」
といつつ、なのはも笑った。笑いながら「最近ティアがマイルドなんです」とスバルが言っていたのを思い出した。
いつもというわけではないが、こんな風に力を抜いて自然体で、そして遠くを眺めているティアナを時々感じるよう
になっていた。
いつも遠くを眺めているせいだろうか? 射撃型の魔導師は職人肌で神経質なタイプが多いが、逆に飄々としてい
つも自然体でいるタイプも少なくない。ことに修羅場を超えてきたベテランにはそんな仙人じみた雰囲気が出てくる
。ティアナも偉大な先達たちへとつづく階段を、ひとつ上ったのかもしれない。
「ティアナー、ちょっとこーい。ピッチャーかわれー」
三角ベースのルール解説しながらピッチャーやるのに飽きたらしいヴィータの声がした。
「はーい……ごめんね。ヴィヴィオ」
ティアナはヴィヴィオに声をかけ、ひざの上のヴィヴィオが「うん」と頷いたのをみてから、なのはの顔を見た。
「―ーなのはさん、いいですか?」
「はい。いいよー ――おいでヴィヴィオ」
ヴィヴィオを膝の上に抱き上げて顔をあげると、立ち上がったティアナと目が合った。
なのはが軽く首を傾げるのにあわせてティアナはおどけたように軽く敬礼して―ーきびすを返す。
後に残るのは草を踏む音と弾む背中。
「投げアウトありですかー」
「ありありだー それから打球にあたったヤツもアウトだからなー」
「自分にだけ有利なローカルルールつくらないでください!」
「ねーねーティアー、さっきの曲がるボールとか、わたしにも教えてよー」
「いいけど相性あるからね。部隊長からビデオ借りれば? 他にもいっぱい種類あるし、あんたにあうのもあるでし
ょ……」
ティアナは掛けられる声に返事しながら芝生の上へ駆け出していく。靴底にばねでも入っているかのような軽快さ
と目いっぱいの笑顔と一緒に。
(あの子はきっといいシューターになる)
ティアナの背中をみながら、なのはは思った。
きっと彼女は自分とはタイプの違う射撃型になるだろう。
視野も広くなってきたし、センスもある。今度の事件を乗り越えたころで自信もついたろう。
もう一度、指揮官研修を勧めてみてもいい。そろそろ承知してくれるかもしれない。
それから――そう、それからのこと。
六課を『卒業』した後そんなティアナにはどんな職場のどんな経験が必要だろうか―ー
「……」
とそんなことを考えて―ーそして同時に一抹の寂しさを覚えた。それは基礎の段階を終えたティアナが、今こそなの
は以外の師や学びの場を必要としているという事で……つまりは彼女がなのはの元から巣立ちかけていることを意味
していたから。
いつかヴィータに言われた言葉が脳裏を過ぎる。
「ママ……どうしたの?」
ヴィヴィオがなのはを呼ぶ。なのはは「なんでもないよー」と答え、軽くため息をついた。
「ヴィヴィオ……教官ってほんとに因果な役職なんだよ」
なんだからわからない様子で、「?」とこちらを見上げてくる愛娘に向かって、なのはは笑って見せた。
いつまでも一緒にはいられない。だから出来る限りの事を伝えた。だから安心している。いや信じている。
見渡す海にさえぎる物はなく、見上げる空に雲はない。
雛鳥たちは翼を得てー―今、巣立ちの時を迎えようとしていた。
「なのはさーん。いっしょにやりませんかー」
呼ぶ声になのはは頭を上げた。こちらに向かって元気に手を振っているスバルに手を振り替えし、だまって笑って
いるティアナに笑い返して
「よし。ママも少しだけやろうかな!」
ヴィヴィオに向かっていってみると
「うん。ヴィヴィオもきゃっちぼーるするー」
と、そんな返事が返ってきた。 完
で、突如ふってわいた機動六課の野球ブームがその後どうなったかというと。
「いきますよ。ヴィータ副隊長!」
「こい! スバルっ!」
バリアジャケット着装、リボ拳のスライドからカートリッジがはじけ、ギア・エクセリオンACS展開状態マッハ
キャリバーが唸りをあげる。掛け値なしの完全武装フルドライブで、そして――
そして、その右手は真っ白い硬式球。
無論迎え撃つヴィータも騎士甲冑装備+リィンとユニゾン済みっ!
ずじゃああああああっつ。と天に向かって伸びる青い光の道!!
「ウィングロード駆使型Ver3!!―ー必殺!」
天に向かって駆け上がりその頂点でワインドアップ。
「超高高度ハイ・ジャンプ魔球ううううううううっ!」
「その程度で必殺などと片腹痛いわーっ」
「そしてえびぞり」
「む?」
「さらに回転っ」
「おっ?」
「加えて分身!」
『ああっ、ヴィータちゃん! あれは初めての『魔球』ですぅっ!』
「おのれスバルっ! いつのまにっ!」
「うおおおりゃああああああっ」
「ぬおおおおっ なにおおおっ! いくぞアイゼン!大回転打法! ――リィン!」
『はいです! 回転軸傾斜角45度っ いや修正+コンマ0.01っ! 出力上昇脈拍同調!』
「ううおおおおおおおっスバルっ かかってきやがれえええ!」
「いいっけええええっ」
「………え?」
「いや、スバルが部隊長から別のメディアを借りたらしくて、いつのまにかこんな風に」
野球地獄でー、漢(おとこ)を磨けー などとウツロな目つきで歌いだしたティアナに、なのはは掛ける言葉もな
かったり。
ほんとに 完。
「キャッチボール日和」
以上です。お目汚し失礼しました。
書いたものです。すみません。改行がみっともないことになってしまいました。
以後気をつけます。
>>588 GJ
なるほど、幻術の要素・騙し合いを野球に例えましたか
ヴァイスとかバットと白球が似合いそうなw
ていうか何にせよ流行の発生源は部隊長なんスね……。メガホン持って虎の応援をする部隊長の姿が……
>>587 まさか伝説の魔球が見れるとは思ってなかった
>>591 スマン、俺には部隊長と同じくノリノリで応援しているライトニング01が見えた・・・中の人的に
>>588 ティアナの成長を、野球をテーマに見事に表現した良作でした。
成長した彼女のその後はやはり気になりますね。
そういえば、某サイトの作品で、JS事件の功績によりティアナが一等陸士に昇進してました。確かに一人で戦闘機人三人逮捕したんだから、何らかの形で成果が出ても不思議じゃありませんね。
>>593 中の人で関連付けるなら、なのはは鷹党として
二人から2003年のリベンジで敵視されるのかいな…
大会SSGJですw
しかしアパッチ機動六課などという電波が……いったい!?
スッパがユニフォームなんてザッフィーしかいねぇw
バックスクリーン三連発自重wwww
まあはやてやししゃーないけどなーw
続きです
その部屋の前には、八神はやて二等陸佐&エリオ・モンディアル二等陸士と記された札があった。
室内では、その出場者以外に二人の少女が来訪している。はやては壁沿いの台座にある車輪付き椅子に座っていた。
備え付けの映像画面を眺めながら、時折相棒の少年と、彼の様子を窺いに来た少女へと姉の様な目を向ける。
キャロはエリオに対し、応援する気持ちと心配する気持ちを半々にした顔で彼を見つめていた。
「あんまり無茶しないでね。エリオ君、期待とかされると、それに必死で応えようとするから……」
「……キャロの言う通りだよ」
畳部分の座卓の前で足を崩しているキャロの隣では、ルーテシアが彼女と同じ心境を露にしていた。
黒を基調とした淑やかな着衣は相変わらずだが、寄る秋の気配に合わせた上着が重ねられていた。
エリオは後ろ髪を掻きながら、二人に向けて取り繕うように苦笑いで精悍な表情を飾る。
「大丈夫、ありがとう。しっかり自分の実力を見極めて、精一杯頑張るよ。キャロとルーに格好悪い姿は見せられないからね」
特に言葉を選んだわけでもないのは様子でわかるが、キャロとルーテシアは揃って顔を赤くして俯いた。
二人の間にはライバルや恋敵といった敵対意識は無いらしく思え、リインフォースUも「お熱いですね〜」と小声で正三角形の清潔な情愛に感服していた。
「うん、その意気やでエリオ。ヴィータとユーノ君の試合、見たやろ? ヴィータの魔弾でさえ、何時も通
りに詠唱するとあれっぽっちの威力や。後の方はヴィータもかなり魔力の消費に気を遣ってた。通常の威力
と精度を出すには、そやなぁ、一.五倍くらい魔力を加算せんとあかんのとちゃうかな。スバルがユーノ君
のシールドを貫通出来たんも、出力リミッター制限が大きい。このルールがどれだけ効力を出してるか、他
人の試合を見ただけでも一目瞭然や」
ガチャ、と部屋の片隅に置いてある冷蔵庫が開けられる。ルーテシアの顔が僅かに渋くなった。
「ガ、ガリュー。勝手に部屋を物色しては駄目」
「……」
中のジュース缶を取り上げていたガリューは、黒い顔貌をルーテシアに巡らせる。心成しか拗ねているように見えた。
「き、気にせんでええよ。タダやし、一杯あるから」
何か世俗じみてきたなーと、はやては缶の蓋を開けて中身を煽り始めたガリューをしげしげと観察した。
「って言うか、食事とか出来たんだガリュー……」
エリオが見る分には、ガリューは確かに中身を体内に摂取しているが、何故かその行為の詳しい部分まで
は認識出来ない。視覚阻害が起きているように、正しくガリューの飲料行為が確認出来なかった。
「ぷはー」
「しゃ、喋った!? ガリューが喋った!?」
リインフォースUが愕然と叫び、現実を疑う目でガリューを凝視する。
「やっぱりあれか、中の人か。ガリューには中の人がおるんか。『俺っちちょいと一休み〜』か」
「中の人なんていない……」
最近妙に人間臭くなってきたガリューに、ルーテシアもそんな相手の変化を持て余している風に呆れていた。
額に手を当てて溜め息をつく彼女を、微苦笑するキャロが隣から慰めた。
一頻りジュースを味わったガリューが、整然とした足取りでエリオに近寄る。そして彼の肩に掌を置き、もう一方の手はグッ! と親指が立てられた。
「まぁ頑張れ、だって」
ルーテシアの翻訳を受け、エリオは改めてガリューの無表情な顔を見上げる。
「う、うん。頑張る……っていうか、中の人?」
「違うってば」
「あ、何かガリューの背中にファスナーがへばっ!?」
キャロが何か禁忌の事実に気付いた瞬間、ルーテシアの手刀が彼女の項を強打していた。脳に響く衝撃に
意識を刈り取られ、キャロはバッタリと座卓の上に上体を倒した。
「キュクルー」
フリードリヒはルーテシアの冷然とした表情を見て、何も知らない見ていないと言いたげに可愛らしい小竜の顔を逸らした。
「大丈夫、キャロはちょっと見てはいけないものを見ただけ」
「……僕、広間の方行って来ます」
エリオが控え室の空気が物騒な風向きに変わってきた気がして、冷や汗を背中に滲ませて腰を浮かす。
不意にガリューが肩に添えたままの掌に重圧を加え、エリオの腰を停止させた。
(じっと見てる! ガリューが僕の事じっと見てる! しかも徐々にその顔が近まってる! っていうかフ
ァスナーって何!? それを見たキャロがどうしてあんな目に!)
「あ、ごめんエリオ。私、ちょっとお手洗い行って来るから。ちゃんとお客さんの相手しとってや。行こ、リイン」
「はいです。サクサク行きましょう」
「ちょっ、ちょっと待ってください! 近っ! ガリュー、顔近づけすぎだから! 何でちょっと熱っぽいんだよ!
頬赤くしなくていいから! え、何、『君のストラーダで僕のエクスタシーを召喚してくれ』って……い、
嫌だ! このガリューおかしいから! はやてさん、リインさん、僕を置いていかないで!」
エリオの制止も虚しく、二人を吐き出した扉は無情に閉じられた。
「……中の人やな」
「はい、中の人……ですね。しかもあっち趣味の」
はやては最新の記憶を忘れる為にも、足早に廊下を歩き出した。背中に届いてくるエリオの悲鳴のような
声に振り返りもせず。
はやてがほとぼりが冷めるまで時間を潰そうと広間に行くと、一画の休憩所に初戦の勝利ペアを発見した。
向かい合って椅子に座り、二人で果物の盛り合わせを食べている。はやても広間の中の簡易食堂で何かを頼
もうかと一考したが、試合も近く余分に胃を働かせるのは止めておいた。
「あ、それあたしが食べようとしてたんだぞ!」「そうだった? いやー甘かった。一夏の恋みたいに」
「お前、無ぇだろそんな経験! 返せよこのバカ!」と口論しながら同じ皿に手を伸ばす二人は、いかにも
今でもお風呂一緒に入ってます的な兄妹かそれに似た関係にしか見えなかった。終わった筈の夏の熱気が、
不思議な雰囲気に緩和されて二人の間を色鮮やかに取り巻いている。
「本当に甘いのは二人の光景や……とか。よく考えてみたら性格的にもお似合いやなぁ、あの二人」
絵に描いたような彼氏いない歴=年齢の仕事人間であるはやては、枯れた声で呟いた。
「エリオとガリューと言い、あのお二人と言い、何だか周りで一足早い春が来てますねぇ」
「それは禁句や、リイン。最低でも双方合意の上で成り立つ関係やと思うし」
広間の出入り口に突っ立って話をしていると、丁度その正面に位置するヴィータが主と末娘の姿に気付く。
バリアジャケットを解除している三つ編みの少女は、顔を燦然と輝かせると二人に大きく手を振った。
「はやて! こっちこっち」
ヴィータの嬉々とした仕草に釣られて振り返ったユーノも、顔見知りに手を招く。
「まずはおめでとうやね。スバルとティアナもいい線行ってたと思ったんやけど」
「うん、流石なのはとヴィータの教え子って感じだったよ」
はやてが通路側となるユーノの隣に座る。奥のヴィータが、何故かそのはやてに含みのある目を向けた。
「ヴィータ? どないしたん」
「え? あー、何でも無い……って、お前はあたしが食べようとしてた分ばっかり採るんじゃねぇよ!」
ヴィータが獣の唸り声を上げて白い歯を剥き出し、皿ごと両腕で引っ手繰る。彼女の横暴に気分を害した
風も無く、ユーノは飄然と最後の一口を消化していた。彼も戦闘形態を休止させ、最早普段着と言っても差
し支えが無い背広で身を固めていた。
「試合場の補修が終わったら一〇試合。なのはちゃんとシャマル、シグナムとザフィーラとアギト。いきな
り凄いのが当たった感じやね」
そう言えばユーノ君って管理局から支給される制服着てるの見た事無いなーとか思いながら、はやては次
の試合に手に汗握る展開を期待して話題に上げた。
第九試合は強力な砲撃魔法が乱発された事もあり、試合場の損壊が激しかった。至急、修繕作業が始められ、
破壊された決闘の舞台は復元魔法などで元の状態に戻されつつある。
ユーノが代金を払った色取り取りの果物を独占したヴィータも、一つ一つ口に放り込みながら画面の作業
員の様子を見遣った。彼女は物欲しげな目で見てくるリインフォースUにも少し分けてやる事にした。
「やっぱシグナム達かなぁ。ザフィーラは攻撃も出来るけど、シャマルは完璧補助だからな。なのはとシャ
マルの戦法は全然読めねぇ」
「はむはむ。そうですねぇ。単純な戦闘スタイルで考えると、それが妥当な推測です」
この試合で二人の戦闘方式を偵察する気持ちで、ヴィータは俄かに表情を引き締めた。
「それに、機動六課として面白い試合はまたすぐにあるで」
はやてが対戦表の魔力画面を机の上に表示させる。一回戦は全二〇試合を予定している。ようやく次で半
分だが、後発組みの付近にも第一〇試合に匹敵する大試合の予感がなみなみと溢れていた。
「はやてとエリオが一四試合で、あの兄妹が一五試合って事は、お互い勝ち進むと二回戦で当たっちまうな」
「もっと先を見ると、なのはちゃん達かシグナム達とも、準々決勝で対決や。ヴィータとユーノ君とは決勝
まで上がらんと試合は無いね。そっちはシードで一試合少ないし、えげつない程強そうな人もおらん。スバ
ルとティアナを負かしたんやから、優勝は近いんとちゃうかな」
「クロノとは決勝まで行かないと戦えないってわけか……その前に負けてくれるのも馬鹿に出来る結末だけど」
「ちぇ。結局、フモフモウィークは優勝の景品代わりかよ」
はやてはお節介も含めて言ったつもりだが、何やら二人が予想外の反応を見せるので、困惑気味に大きく目を瞬かせた。
「でも、ユーノ君はなのはちゃんと当たるとやりにくいんとちゃうの?」
「何で? なのはの戦い方は僕が一番わかってるし、どちらかと言えば勝算は高いけど」
無味乾燥としたユーノの返事に、はやては更に呆気に取られた。友愛も敵意も無い、酷く透明感のあるユ
ーノの顔付きだった。
「おかしいだろ、ユーノの奴。最近なのはに対してこんな感じなんだよ」
そう言うヴィータは、彼女本人でさえも自覚していない、その事に対する好都合な想いがあった。それは
未だ小さな蕾のまま、彼女の胸の奥で発芽の時まで雌伏している。
「うーん。なのはちゃんと何かあったん?」
はやてが踏み込んで訊ねると。ユーノは静かに顔を背けてきた。砂色の長髪に隠れた表情は、はやてからでは窺い知れない。
「べ……別に、何も」
はやてが顔を引き攣らせた。
「うわ、重っ。何かその言葉重いわー。心の切ない部分にずっしり来た。何も無いんや……そうや、この十
年なのはちゃんとユーノ君には何も無かったんや。そういうソレっぽい事は何一つも……な」
「恋愛関係を飛び越えて既に倦怠期ですかっ。もういいですよユーノさん、新しい出逢いを探してください。
そうじゃないとリインは、リインはっ……」
リインフォースUも溢れ出そうな涙を必死で抑え、嗚咽を漏らすまいと掌で口許を覆った。
「お前、いいって。娼館行って来いよ。いっぺん女の味を知れば何か変わるって。それかよ、その、なんだ、
ちゃんと彼女見つけるとか……女なら身近に一杯居るだろ。あ、あたしは絶対に嫌だけどな、お前の彼女な
んか……」
ヴィータは冷淡な発言とは裏腹に、組み合わせた手の中でモジモジと人差し指を突付かせていた。ヴィー
タが恐る恐る上目遣いにユーノを見ようとした瞬間、広間の観戦画面の視点が切り替わる。
「うひっ!」
肩を跳ねさせたヴィータの視界に、画面の中に映るなのはの姿が加わった。試合場の補修も完了し、第一
〇試合の魔導師各位が正反対にある入場通路を歩いている。
待ちに待ったエース・オブ・エースの晴れ舞台に、観客の興奮も激流の様相を呈していた。なのはの一歩
後ろで、湖の騎士の華麗な甲冑姿が裾を靡かせて並んでいる。
不意になのはが、自分の近くを浮遊している小型の魔導撮影機に目線を合わせた。
広間のヴィータが制服の背中を大量の汗で濡らしながら、気まずそうに顔を伏せた。
さっき、明らかに画面中のなのはと目が合った。
(見てる、なのはがこっち見てる……。偶然だ、偶然だ、偶然だ、偶然だ)
「ヴィータ、大丈夫?」
正面のユーノが、ヴィータの机の上の小さな手に自分の手を重ねる。羞恥の電流をそこから感じ、ヴィー
タは目にも留まらぬ速さでユーノの手から腕を引いた。
「さ、触んじゃねぇよ!」
「あかんよヴィータ、何でユーノ君にそんな意地悪言うん」
「そうですよ。ヴィータちゃん、ちゃんとユーノさんに謝るです」
「い、いいんだよ。何であたしがユーノ如きに謝らなくちゃいけねぇんだ」
ヴィータは仄かに上気した顔でそっぽを向いた。はやてとリインフォースUは顔を見合わせて眉尻を下げる。
「……皆、こっちで休んでるんだ」
医務室へと通じる別の廊下から、フェイトとアルフが現れた。二人は朗らかな様子で先客と合流してくる。
「何処行ってたん?」
「スバルとティアナの様子を見に行ってたんだよ。悔しがってたけど、身体の方は何とも無いって担当の医
術魔導師の人が仰ってた。さっきギンガも医務室に来たから、席を外したんだ」
「お姉さん方は、スタッフの仕事で忙しいから出ないみたいだね。まぁあの二人もよく頑張ったよ。相手が
悪かっただけさ」
フェイトが至極自然な動きで、はやてと反対側のユーノの隣席の椅子を引く。アルフは更にその隣へ、大
人の体格で準備万端な身体を腰掛けた。
はやての時同様、フェイトへとヴィータから濁った感情が叩きつけられる。フェイトは少し戸惑ってヴィ
ータに苦笑いを浮かべた。
「……ヴィータ? 私の顔に何か付いてるかな?」
「別に……」
「フェイトちゃんはユーノ君と仲ええから、ヴィータはちょっと妬いてるだけや」
はやての口車にまんまと乗せられ、ヴィータは自分の髪の毛よりも頬の色を熱くした。
「ち、違っ! 何言ってんだよはやて! んなわけねぇだろ!」
「そうなんだヴィータ」
ユーノが物珍しげに言い、試合終了後から掛け直している眼鏡の位置を指先で引き上げた。
「……お前にそれを言われると、何か釈然としないような気もするが……ん?」
遠くから視線を感じたヴィータは、画面に向けて顔を上げる。直後、背中だけでなく脳天からもダラダラ
と滝のように汗を噴出させるヴィータが居た。
(ってか、こっち見んじゃねぇよなのは……何だよ、言いたい事があるならハッキリ言えよ)
「フェイト、あの故クロノは?」
「だから……ユーノも一々悪口を言っちゃ駄目だよ。お兄ちゃんなら皆と逢ってるよ。ヴィヴィオも一緒に
いるんじゃないかな」
長きに渡る犬猿の仲の二人を憂い、フェイトは物悲しく肩を落とした。
「どうなるかねぇ、この試合。やっぱり守護騎士二人に分があるように思えるけど」
フェイト以上に色気のある身体に獣の耳と尻尾を携え、アルフが楽しげな顔で画面に見入る。
アルフの隣で、フェイトはヴィータの異変を基点としてユーノや画面中のなのはへと目線だけを動かす。
画面中のなのはは、紛れも無く詰まらなさそうな顔でヴィータを熟視していた。
(なのは、そんなにヴィータを睨んじゃ駄目だよ)
フェイトは思念会話でなのはの狭量な感情を諌めた。シグナムとザフィーラは試合場に上り、傍に炎の融
合騎を従えてなのはとシャマルと対峙している。
なのはが正面の局内屈指の実力者である二名に目を移す。彼女も気付かないうちに、レイジングハートの
柄は強い握力でギギギと音を立てていた。
(別に睨んでないよ)
(ううん、睨んでた。あのねなのは、なのははユーノとの付き合い方、もうちょっと考えた方がいいと思うんだ。
そうやって自分の考えだけでユーノを束縛するから、ユーノ本人も色々なのはに言いたい事も出来てくるんだと思う)
(……)
はやてとリインフォースU、アルフも、フェイトの集中している顔を見て、念話状態にあると察した。
肝心の内容まではわからないが、その相手がなのはである事は、フェイトが念じた直後に画面中のなのはに
反応が起こる事から推知される。
(ユーノはなのはの私物じゃないんだよ。二十四時間、同じ時間に生きているんだから、なのはだけに気を
向けていられるわけがないでしょ? もうちょっと大人になろうよ、なのは。社会人なんだし、なのははヴ
ィヴィオのママなんだから)
(……フェイトちゃんもそんな事言うんだ。何か気に入らないな、そういうフェイトちゃん)
なのはから流れ込んでくる声質が刺々しくなり、フェイトは細い頭痛に苛まれた。
(フェイトちゃん……準々決勝で待ってるから。出力全開のスターライトブレーカーを用意してね。一つ忠
告しておくけど、うっかり非殺傷設定を解除してしまっても文句言わないでね。準々決勝で、お互い納得行
くまで話し合おう?)
(うん、ごめんなのは。さっきの全部撤回。嘘々、お祭りに乗じてちょっと言ってみたかっただけ。冗談通
じないなのは嫌い)
突如フェイトがヴィータ以上の激烈な発汗に塗れた。十年前のトラウマが脳裏に蘇り、膀胱辺りに妙な圧
縮感が発生する。
すっかり掌を返してきたフェイトに露ほどの容赦を見せず、なのはは一方的に念話を遮断した。
「何を話してたん、フェイトちゃん」
未だ深く瞑目したままのフェイトへ、はやてが思い切って声を掛ける。
瞼を上げたフェイトの瞳から、滂沱と錯乱恐慌の水流が迸った。
「な……なのは本気で怒らせちゃった! どうしよう!」
「ア、アホーーーーーー! 勝手な事してくれてんじゃねぇぇぇ!」
ヴィータがフェイトによる状況悪化に激しく嘆き、観戦画面にこれが夢である事を求めた。
一つの画面で至近距離のなのはの面が映っている。なのはがその撮影機に横目を向け、意味深長な微笑で唇を象った。
ヴィータがなのはの微笑みに死の影を見出し、最後の望みとしてユーノの胸倉を掴み上げる。
「お前、今すぐなのはと一発ヤってこい! 怖がるこたぁねぇ、絶対あいつならお前の気持ち受け入れてく
れるって! ほら、セックスから始まる恋愛! 二人で今から始めよう!」
「ユーノ! 頑張って! 私達の未来の為に! ヴィヴィオだって兄弟欲しいと思うんだ! な、何なら私
とユーノでヴィヴィオに弟か妹紹介しよう!?」
「あーあーあーあー」
ヴィータの腕力がユーノの頭を前後に揺さぶり、横から彼に縋り付いたフェイトの涙や洟が、背広の袖を
グシュグシュと汚す。
「あぁ、なのは……十年前の君は本っ当に可愛かったぁ〜……」
しみじみと呟くユーノの言葉に、はやて、リインフォースU、アルフが一様にぶわっと悲しみを涙に変え
て瞳を潤ませた。
「それ言うたらあかん。ユーノ君、それだけは言うたらあかん……」
「運命です、不条理な運命がユーノさんをこんなにしてしまったんですぅ」
「わかるよ、ユーノの気持ちは痛いくらいにわかる。ずっと戦ってきたんだねユーノ……もういいんだ、も
うあんたは休んでいいんだよっ……」
広間は重々しい悲惨な空気に包まれ、澱んだ絶望だけが全員の心を締め付けていた。
/
試合場の熱狂は陽炎さえ見せるほどに高まっている。高町なのはという局員がどれだけ管理局外の知名度
と人気を集めているか、観客の好奇の関心が雄弁に物語っている。
「運に見放されちゃったみたいだね。一回戦でこの組み合わせと……」
なのはがシャマルに苦笑して観念を漏らす。シャマルも目許を緩め、現実を直視する意中を返した。両手
の白皙細工の指にクラールヴィントを通し、風の癒し手としての風格は遺憾無く感じられる。
「でも、この試合を乗り切れば優勝へと格段に近づけると考えられます。場外負けもある事ですし、油断さ
えしなければ、何とか……」
「うん」
なのはの落ち着き払った風采の上で、濃密な感情の霧が内心から露出している。シャマルはただならない
なのはの雰囲気に、ヴィヴィオとの約束以上の何かを漠然と感じていた。
シャマルはなのはが何かを呟いている事に気付いたが、声が小さすぎて何を言っているのかまでは耳の外だった。
「……この大会で優勝して、もうアイドル局員なんて肩書きは卒業するの。ちゃんと結果を出せば、総務局
の幹部の人達はそれを約束してくれたの。わたしももう二十歳……いつまでも時空管理局のイメージ戦略の
為に魔法少女なんて名乗っていられないの……入局した時に『お前は局のアイドルだ、浮いた話など絶対に
赦さん。ハラオウンと八神とそれっぽい関係である事を演じていればいい。顧客もそれを強く要望している』
なんて言われたけど……この大会で優勝してアイドル局員を脱却したら、ヴィヴィオにだってユーノ君をパ
パとして紹介出来るの……ちゃんとユーノ君と自分の事にケジメをつけて、わたしは一介の魔導師として再
出発するの……もう幹部の人達の商売道具はごめんなの。だから負けられないの。絶対に負けられないの!」
「な、なのは……ちゃん? あ、あの、えっと」
シャマルが頬に一筋汗を垂らして狼狽する。彼女の目の前で、なのははゆっくりと深呼吸を繰り返すと、
さっきまで漂わせていたどす黒い反逆精神を一度鎮静化させる。
「ママー、頑張れー」
観客席の一画で、ヴィヴィオがハラオウン家と一緒に観戦していた。なのはが小さな彼女の粒を遠い目で遠望する。
「待っててねヴィヴィオ……ちゃんとヴィヴィオにパパを紹介してあげるから」
なのははなのはで複雑な心境を抱いていた。いよいよ雑念を振り払い、白い魔導師はレイジングハートを
戦闘姿勢で構える。
「なのはめ……何だ、あの異様な気迫は」
シグナムは鞘に収めたレヴァンティンを甲冑の腰部に接着させたいでたちで、なのはから吹き付けてくる
殺気の波動に顔を顰めた。
「怖気づいたかシグナム」
「笑止──あちらがあれだけの戦意を見せるというのならば、こちらも相応の力で応えるまで」
シグナムも試合開始の宣言を目前に控え、足腰を固めてレヴァンティンの柄へと手を伸ばす。アギトが烈
火の将の肩に移動する。
「どうする、しょっぱなからユニゾンして挑むか?」
「いや、お前はザフィーラと共になのはを迎え撃て。その隙に私がシャマルを場外に掃除する。純粋に戦闘
を楽しみたいが、それは勝利という結果も踏まえて、だ。何もレヴァンティンを振り回すだけが戦いでは無
い。衆人の期待も思う存分満足させてやらねばな」
騎士としての剛毅な笑みに瞳をぎらつかせるシグナムへ、アギトも満更では無い風に一笑した。ザフィー
ラは泰然自若として直立し、いかなる動きへの即座に対応出来る体勢を確保している。
両者が構え、騒然としていた観客も途端に静寂を被る。試合場を囲む結界が完成し、担当審判員が片手を高らかに持ち上げる。
「試合──開始!」
試合場の緊張が爆裂し、五名の視線が火花を散らす。
戦闘の端緒を牽制し合う前衛魔導師の余所で、シャマルが特異魔力を放射する。思念制御される魔力質の
空間変異は、シグナム、ザフィーラ、アギトのみを抗う術も赦さずに浸蝕していった。
「シグナム──」
「通信妨害か! クラールヴィントも介さず……やるなシャマル!」
念話を封印され、シグナムはチームの連携を諦めて二人に散開を命じる。
「レイジングハート、シャマルさんをお願い!」
『All right.』
モード一括仕様に改造されたレイジングハートの先端──魔導機構部の左右がマスターの指示で分離する。
ブラスタービットとなった部位の一基が、素早く正面の敵から間合いを引き剥がすシャマルの頭上へと滞空する。
クリスタルゲージが具象化し、湖の騎士を堅固な結界で保護した。
「させるか!」
シグナムが脚力を爆発させ、シャマル目掛けて疾風と化した。鞘から炎の剣を抜き、移動を続けるシャマ
ルを追跡する。そのシグナムの死角に、白い気配が接近した。
レイジングハートの金の機構部が翻り、シグナムの肩へと喰らい付く。反射的にレヴァンティンで打撃を
相殺し、シグナムのその身から高速移動の風圧が消え去った。
地面を跳んで浮上したシャマルは、並行するブラスタービットの結界の外縁へとクラールヴィントの結界
魔法を加え、多重結界の絶対障壁を完成させる。
停止したシグナムへ、なのはが更に踏み込んでデバイスを振り被る。上段から繰り出されるレイジングハ
ートを、中腰から跳ね上げられたレヴァンティンが弾く。砕かれた機構の欠片が飛び散り、二人の熱烈な視
線で燃え尽きた。
「なのは、貴様!」
「でぇぇぇっ!」
シグナムの誤算を証明するように、なのはは一瞬の隙も無くシグナムへと攻め込む。純白のバリアジャケ
ットの裾を靡かせ、なのはは渾身の腕力でレイジングハートをシグナムへ叩きつける。意想外のなのはの攻
勢に遅れを取り、シグナムは防戦一方の対応を強いられた。
「何をしているシグナム! なのは如きに押されるなっ!」
既に滞空しているザフィーラは、眼下の一騎打ちにもどかしい叫びを上げる。その守護獣の瞳が上向き、
高度上空で鉄壁の砦にその身を輝かせるシャマルを睨み据える。
シャマルを二人に任せ、シグナムの微炎に閃く刀身が横薙ぎに滑る。なのはがレイジングハートの柄で上
腕に迫る炎の牙を受け止め、身体の向きを回しつつレヴァンティンから加わる力の流動を受け流す。熱い刃
を潜り抜けたなのはが姿勢を低め、一気に突進してシグナムの甲冑と混ざり合った。
「ぐ、あ──!」
法衣と甲冑を触れ合わせたまま、なのはがシグナムの足首を払って彼女の姿勢を崩す。背中を地面に打ち
付けたシグナムの眼前に、射撃の光芒が危機の光を煌めかせる。柄を握る手を逆に変え、なのははシグナム
の胸部へとディバインバスターの魔方陣を描いた機構部を突き落とした。
「いかん!」
シグナムが足許に飛行魔法の噴射魔力を発生させ、地面と並行に急速退避を敢行した。直後にレイジング
ハートの先端が試合場へと突き刺さり、発動した零距離ディバインバスターが強烈な衝撃波を四方へ拡散さ
せる。爆砕した試合場の強化コンクリートが、白煙を伴ってシグナムの全身に浴びせられる。
濛々と立ち込める白煙の中から、なのはは小隕石孔を穿った地点から再び駆け出し、シグナムへと近接戦闘を挑む。
『Wahlen Sie Aktion!』
「でぇぇぇやぁぁぁっ!」
なのはは既にレイジングハートの間合いへと踏み込んでいた。シグナムが激闘の歓喜に盛る瞳で、騎士に
も劣らぬ勇猛な今のなのはを凝然と見据えた。
「言われずとも決している! 行くぞレヴァンティンッ!」
『Jawohl.』
白い突撃と熱波の烈風が、試合場に渦巻く激闘を演出する。瞬速のレヴァンティンの一撃を腰を屈めて回
避し、なのはがレイジングハートを彼女の鍛え抜かれた腹部へ打ち込む。シグナムが肘で機構部を蹴り、そ
のまま脚を捻り上げて白い敵の側頭部に甲冑ブーツを放つ。
『Master!』
小規模の魔力楯が、シグナムの鋭利な蹴りを防いだ。しかし楯を突破した攻撃力が凄まじい衝撃として伝
わり、なのはの身体が宙に浮いた。斜上に吹き飛んだなのはへ、シグナムが紫電一閃の炎熱を追撃させる。
気合を振り絞り低空で姿勢を正したなのはが、視界を覆う灼熱の突風へと簡略詠唱で砲撃魔法を放射する。
一条の閃光は、余りに杜撰な詠唱で輪郭を乱しながら不規則に直進した。二つの魔力熱量が衝突し、なのは
とシグナムの視線の先で会場を爆音に満たす。
試合開始から一分強──観客席も実況席も審判員も、なのはとシグナムの卓抜した肉弾戦の壮絶さに呼吸
さえ忘れて目を奪われていた。
「面白い──実に面白いぞなのは! 私はお前の格闘能力を見くびっていたようだ! さぁ、私に貴様の全
力を見せてみるがいいッ!」
烈火の将が甲冑の布を棚引かせ、空中に煙る光の中へと更なる白熱を欲して飛翔した。
/
アギトが火炎球を撃ち、無数に浮かぶディバインシューターを蹴散らす。高熱の魔力波を浴び、桃光の弾
は脆く消滅する。しかし幾ら威力と強度が劣悪といえど、数の脅威となれば完全な駆逐は困難だった。
「──駄目だ、本気で念話が繋がらない! これじゃ巧く意思疎通が取れないじゃないか!」
付近のザフィーラへ当たり散らしたアギトは、死角から迫る桃光の弾丸を、鋭敏な魔力察知で見抜く。着
弾寸前で回避したアギトだが、既に自分達がディバインシューターの包囲網に囚われている事に忌々しく頬
を歪めた。
「ブラスタービットの思念操作に加え、誘導弾の詠唱制御……これだけ頭脳を酷使し、剰えシグナムの太刀
を受け切るとはっ!」
発射された弾丸を難無くかわし、ザフィーラが苦渋に呻く。
飛行し、疾駆し、なのはとシグナムが不屈の攻防で試合場の熱気を蒸発させている。ディバインシュータ
ーの対処に手間取るザフィーラの傍を、二つの閃光が高速で衝突を繰り返し通過する。守護獣の白髪が、
彼女達から余剰放射される魔力圧で荒々しく揺れ乱れる。
「おい、ちゃんとリミッター掛かってるんだろうな! ──畜生、やっぱあの女は天才ってわけなのかよっ!
何とかこの誘導弾を切り抜けてシグナムに加勢しないと!」
縦横無尽に包囲を固めてくるディバインシューターに苛立ち、アギトは遮二無二なって炎を吹かせる。
ザフィーラもアギトの意向に基本的には同意だが、桃光の誘導弾を腕で掻き消しつつ、不意に空高くへと
視界を上昇させた。
多重結界の内部に佇むシャマルは、冷静に地上の戦況を読む目をしていた。
守護獣と騎士が、瞳を照らし合わせる。瞬間、剛胆堅牢なザフィーラでさえも背筋に冷たいものが走る感
覚を禁じ得なかった。
「シャマル──貴様も本気というわけか。よかろう、この私が受けて立つ!」
ザフィーラが彼に似つかわしくない焦りを見せ、一挙になのはの包囲網を撃破すると急上昇を始めた。
「おい待てよ! シグナムはどうすんだ!」アギトの制止も聞き入れず、ザフィーラはシャマルへと飛行魔法を加速させる。
(シャマルさん!)
(大丈夫です。なのはちゃん自身はシグナムを抑えて!)
シャマルにクリスタルゲージを展開するブラスタービットの手前、更なる一基がなのはの遠隔思念でザフ
ィーラの迎撃に出る。
これだけ魔法詠唱とデバイス操作に精神を磨り減らしているなのはは、急激に限界へと近まっている事だ
ろう。何時までシグナムと対等に渡り合えるのか、悲観的な計算でもまだ足りない。
「来なさい、ザフィーラ。湖の騎士の本領──貴方にもしっかりと思い出させてあげます」
黙然と下界を見下ろすシャマルの双眸。
それはこの十年の歳月に埋もれていた、冷血非道な参謀騎士の姦策に満ちた眼光だった。
続きます
クリスタルゲージ→クリスタルケージ でした
すみません
wkwk
GJ
最近フェイトそんがヤン脱却したと思ったらなのはさんがヤンでるよw
>>609 漫画版で『とても教材にならない』と評された『血戦』(wを思い出した。
すげーや
これはwktkせざるをえない
色々なフラグが視える
GJ、しかし恐ろしいペースや…
>>613 >それはこの十年の歳月に埋もれていた、冷血非道な参謀騎士の姦策に満ちた眼光だった。
ちょ、たwwwぎwwwるwwwwwww
つか、思うになのはとシャマルの組み合わせは、考えると恐ろしいぜ!?
>>609 Never Give Up!さんGJ!
>>588 「キャッチボール日和」の日和で、ギャグマンガ日和風味の話を連想した俺は
毒されてるw
>>609 GJw
すげえすげえ。何がすげえって戦闘もそうだけど、場外の人間関係がw
順当に考えればユノヴィなんだけど、なのはの謎めいた野望というか野心もあるし
で、ガリュー×エリオ。おい中の人。やっぱあれか、何代目かのライダーか
そして今人気急上昇中の湖の騎士をちょっと応援してみる
ザフィ、その咬ませ犬的な立場……生きろ。大丈夫、その作者は各キャラに必ず見せ場を作ってくれる人だから……多分
GJ!でも黒い、黒すぎるよ
あと中の人自重
>>609 そうか…なのはが未だに友達宣言してるのはそのせいだったか…
しかし一方のユーノはそのアレっぷりにいささか引き気味だったと。笑うしか
というか、ヴィータは兎も角フェイトさん、地味に貴女もユーノ狙ってませんか?「私達の未来」はまだしも、「私とユーノで〜」はそういう風に聞こえますよ?
>>572 GJ
それって、どっちが「ソープ」知ってるのかが気になるなw
まあ、初めてが色々あって素股プレイ、ってのを書いてた人もいるんだし、いいんでない?
>>609 色々フラグ立てまくりなユーノが幸せなのか不幸なのか。つかヴィータもフェイトも言うことが随分過激でない? 性的な意味で。
なのはさんはなのはさんで色々複雑な事情があるみたいですが。がんばれ。
シリアスな戦闘と、場外での笑いのギャップがまたいいですね。
GJ!
>609
ユーノ……業が深い。
しかし、なのはの思惑通りになった場合
数年後にヴィヴィオがユーノのストライクゾーンに入ってくるような。
横でもじもじしてる鉄槌の騎士に気付いた方が後々幸せになれると思うんだ。
姦策→奸策ではあるまいか。
>>623 あれはロリ的な意味ではなくて、あの頃のなのはが〜でいろいろなことがあって、今のなのはは… なことじゃないかt
いや、冗談だからこっちに矛先を向けて照準を合わせn
しかしこのフェイトさんは墓穴掘りすぎw
>>609 ユーノ周辺がカオスですなぁw
面白いですGJ
あと、ガリュー自重しろww
>>626 レティ提督が心配したうっかりやさんが矯正されてないわけだw
致命的な感じでww
>>623 俺も
>>625に同意。当時のなのはは(性格的な意味で)可愛かったが、今の彼女は嫉妬スゲェからユーノからすると洒落にならんのだろう。下手すらヤンデレも入ってるかもしんない。
あー、でも実際ヴィータならちょっと外見的年齢さえクリアすればいい嫁さんになるよなあ…3期見てるとしみじみ思う。
2期だとそうは思わなかったが3期でユノヴィが俺の中でグングン来てる。多分今作で俺内部好みカップリング2位についた
>>609 GJ!良いなぁ、バトル。燃えます。
ユノなの辺りのキャラの性格付けがかなり極端なのはちょっと気になったけど…。
>>586 読後感が晴れやかで良い感じです。GJ。
一山乗り越えたティアナの成長が最高。
>>609 ぐじょ。
>>605 >な「……フェイトちゃんもそんな事言うんだ。何か気に入らないな、そういうフェイトちゃん」
>な「……この大会で優勝して、もうアイドル局員なんて肩書きは卒業するの。」
>な「もう幹部の人達の商売道具はごめんなの。だから負けられないの。絶対に負けられないの!」
なんというか。魔法少女って商売も裏では色々大変なんッスね。
つ【ポン酒】
>>609 GJ
熱い、熱いよ、そしてネタというネタがツボだよ
>>628 逆に考えるんだ、エピローグでの純情乙女なのはさんフラグと考えるんだ
>>609 GJ!
なのはさん黒いな
そして中の人自重wwwwww
そろそろ次スレの季節だな
ただいま484kb
おおよそ一週間ちょいか
早いねぇ……
>625,628
443の淫獣モード時の回想から、
当時の時点で既にえらい目に遭わされて
擦り切れ果てているように取れたもんで。
「十年前〜」は出会った瞬間のなのはの事なのかな、と。
>>634 むしろ8日かかったことに、今回はゆっくりかと思った俺ダメな子
637 :
●:2007/10/23(火) 23:10:08 ID:BC65QKLl
>>609 GJ
試合よりも場外のユーノやガリュー×エリオの戦いのほうが気になる。
>>572 はたして風呂でいちゃついてた結果としてなのか
どっちかが希望してなのか・・・ともあれGJ!
>>588 GJ!
わからんネタがいくつかあった・・・まだまだだ、俺が
>>609 なのフェ自重しろ(カプ的な意味ではなく)
とりあえず10年前発言にかんしては
>>625と同じく。
なんかクロノの背景を知って
「結婚なんてするもんじゃないなぁ」
とか言い出しそうだ、このユーノ。
643 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/23(火) 23:29:44 ID:rLzYW9oQ
しかし何だな、このスレも百合スレも、素晴しい文才を持つ連中が山ほどいるな。
正直、都築じゃなくてコイツラが三期作ったほうがよほど良かったと思うよ。
今更だが。
逆に考えるんだ
都築は俺らにチャンスを与えてくれているんだと(ry
>>643 はいはいそういうことはここでは言わない。
>>643 一次創作って案外辛い物さ
まぁここより本スレとかで言った方がいいレス帰ってくると思うぜ
二次創作を読んだり、あるいは書いたりさせたくなる
そういうものを造るのって結構すごいことなんだぜ。
とか「設定だけは良かったよね」ってしょっちゅう言われる某ゲームのエロパロスレに常駐s(ry
埋めついでに需要あるかは知らないけど、
百合スレまとめサイト用に作ったものの改造ですが、
まとめ支援ツールです
まとめサイト関係者の方いるかな?
http://briefcase.yahoo.co.jp/nanohayuri/ ここの 1192374018.zip を解凍して 1192374018.html を開く
使い方
1.開くと「セキュリティ保護のため〜」とか言われるので同意するw
2.チェックボックスをクリック or 数字入力 ex. 601-608 とか入力して「適用」を押す
3.クリップボードにwiki用に編集された文字列が登録されるので、wikiの新規登録画面に移動して張り付ける
・wiki の行頭にあると文字化けする文字「・」、「>」、「+」、「-」、「*」、「/」、「 」 をエスケープします
・livedoor wiki の容量制限 32KB を越える文字数だと警告が出ます
>>609 やっべwwwシャマルかっけえええwww
あとエリオがどうなったのかwktkwwww
スレも次に移行するからチラ裏すまん
最近わざわざ大量にユーノカップリング持ってくるの何なの?
否、悪いとは言わんけど本編で全くと言っていいほど関係のないキャラとの絡み、出番の少ないユーノを据えた唐突展開
どう見てもユーノに対して自己投影しているにしか見えない。俺TUEE楽しい?
そうでなければキャラスレ住人か、そっちで投下してもいいんじゃなくて?
エロパロしか投下しちゃダメってのは無いけど、キャラスレでなくてここに投下する意義は?
うん本当にチラ裏ってのはわかってる
クロノが妻帯者な以上、まともに使えそうな男キャラがユーノかエリオの二択状態だからじゃね?
>>651 マジレスすると、出番ないからじゃあ誰と組ませても矛盾にならんよねーってことだと思うぞ?
>>651 とらハ3ん時の恭ちゃんとかU-1系とか、そういうんが増えるのは二次創作の宿命だわな。
まぁ、ユーノ以外とくっつくと文句言うとかそーいう状況じゃなきゃ、良いと思うけどねぇ。
職人に文句付け出したら終わっちまうぜ。
メインに据えたキャラをちゃんと生かして書いて欲しいと思う時は俺もあるが。
一昔前のクロノが似たような感じだしな。
個人的になのユーはいいけど、本編でさして絡みもないヴィヴィオがユーノを
唐突にパパ呼ばわりするような作品は抵抗あるな。
アンチユーノきもいですね
素直にユーノくん飽きたから別のカップリング書けよって言えばいいのに
回りくどい
>>651 >>1嫁でFA
読みたくないなら読まなきゃ良い
他人の作品が気に入らないなら、自分でもっと良いものを書けば良い
ここはそーゆーところ
まあぶっちゃけ、抵抗ある作品は飛ばせ、で済む問題だがな。
選ぶ権利があるんだから、各々で取捨選択して自衛すればいいだけ。
来るもの拒まずで、自分の好きな奴だけつまんでいけばよかろうよ。
カップリングは職人さんの自由でしょ
そこは文句つけていい所じゃないと思うよ
野郎ならまだ十分にいるし、ユーノもエリオも本編内容を踏襲すると相手も自ずと決まってくる
わざわざ本編から変更して接点のない相手と絡ませるなら未婚にするのも大して変わらない
しかも男とくっ付けるだけでなくて女キャラとって手もある
にもかかわらずわざわざ特定キャラを出すとか言う個人的な思い入れがあるならキャラスレ行った方が向こうにもいい
予告されてるのは、NGするだけで問題ないけど、どっかのインフレバトルSSみたいに、唐突に入れられると困るんだよな。
今まで読んできた時間を返せと言いたくなる。
>ID:YMqmy2Wa
チラ裏と称して他人の気分を悪くしたいだけなら
そちらが消えるべきではないかな?
>>661 一つだけ突っ込ませてくれ。
キャラスレは年齢無しだ。 そこでエロありの話をやるのは論外だろう?
>>664 ミスった。
×年齢無し→○年齢制限無し
こういう意見出るたび荒れるのも嫌だし、職人たちにはカップリングのより明確な記載をお願いしたいなぁ。
読み手の我がままだけど。
>>661 女キャラとくっつけるって言うけど、百合行けと言われるのがオチじゃあないかなあ。
読む読まないの自由は読者にあるのだから嫌なら読まなければいいし、嫌なのに読んで文句言うのはナンセンス
なのではないかねえ。
ユーノに自己投影って……あんな実戦離れて十年なんてキャラ、自己投影
しようがねぇだろw
そもそもリリカルなのは自体に、男キャラがユーノ、クロノ、エリオ、ヴァイス、
グリフィス、ザフィーラくらいしかいないじゃないか、管理局(六課)側だと。
つか、自分好みの作品が投下されないからって文句言っちゃだめだろ。
そんなに文句つけたいなら、誰からも文句つけられないようなみんなから
賞賛されるご立派な作品をご自分でお書きになるがよろしかろう。
これまでのWikiにカップリング情報加えようかとおもったりもしたが
いかんせん、まず乗ってないスレを整理、旧保管庫からの作品の移譲が終わってから
全部よんでいちいちつけていくんだよね。
年末にでもならんと無理
まあそれはあるな
出てくるキャラ全部なんて言わないけどせめてメインカプの明記は欲しいところだねぇ
と、
>>1に書いてあるわけで。読もうね? 読んでるよね皆?
流れに便乗
長編連載で前書きせず「続きです」で書き始めるのを最近よくみるけど
できればその都度、注意書きつけてくれると親切かなー
>>661 まあ、確かに野郎は他にもいるわな。クロノ、ザフィーラ、ヴァイス、エリオ、グリフィス、ゼスト、ヴェロッサとか。
が、今はそういう時期なんだろ。ユーノ関係書きたい職人さんが多くて、他の男キャラには食指が動かないんだろうよ。
ただ、それだけのことだろ? キャラに限らず作品の傾向が偏っていた頃ってのは前にもあったが、何で今? 穿って見ると、個人的にユーノ嫌いだから、としか受け取れないよ?
つか、個人的な思い入れほど二次創作の原動力になるものはないぞ? 興味ない物をわざわざかく職人がいるわけ無かろうに。
そんなに今の流れが嫌なら、他のキャラだろうが百合だろうが陵辱だろうが何でもいいから「自分で書いて」流れを変えてやろうとか思わないの? それについては誰も止めないし、咎めないよ? ここはそういうスレだって、ヒヨコじゃなきゃとっくに分かってるだろ?
>>669 擁護するわけじゃないが
実戦から離れて十年たつキャラのはずなのにSSでは戦闘で大活躍したり色々 んで
「それユーノで書く意味あるの?自己投影じゃね?んなSSばっかとか読みたくねえよ、キャラスレでマンセーしててよ」
ってことだと思うよ。好み云々ではなしにさ。
まぁでもそういうの書くな、とは言えない気もするが
それに、ユーノの場合本編で出番なかった分ここでくらい活躍させたいって
作者さんが思って、その勢いで書き上げるってのも多そうだからね。
それに、一時期エリオメインが増えた時期もあったわけだし、流行と割り切ったほうがいい。
あと、確かに皆がユーノメインを望んでるってわけじゃないくらい誰でも知ってるんだ。
でも、いろんな作者さんがユーノメインのを書いてるってことはそんだけ好きな人もいるってことだ。
ユーノメインを嫌う君達の気持ちは今の俺には理解できないが、それを否定する気はない。
要するに、人の好みも流行も様々なんだから、大人の対応をしようってこった。
いろんな趣味嗜好の人間が集まってるんだ。大きな気持ちで構えてようぜ?
というか、キャラスレってSS投下おっけーなん? 某スレじゃ「エロパロに投下した方がいいぞ」と誘導されたりしてるんだけど。
なんで微妙に荒れ気味なの
679 :
649:2007/10/24(水) 01:39:27 ID:IcHBX64F
>>666 カップリング論争に巻き込まれて華麗にスルーされるかと思ったけど
反応してくれてありがとう
需要ありと勘違いして、過去スレをツール化したファイル置いておきます
場所は同じく
http://briefcase.yahoo.co.jp/nanohayuri/ tool_01_10.zip
tool_11_20.zip
tool_21_30.zip
tool_31_34.zip
数字はスレ番号
あと、dat から ツールの html に変換するスクリプトも同梱しておいたので、
ruby の実行環境があれば作れると思う
例えば次の 35 スレなら 1193149579.dat を htmltojs.rb と同じフォルダに置いて
> ruby htmltojs.rb 1193149579.dat
と実行すれば、1193149579.html 1193149579_l.html rightpage.html の3つのファイルができるので
同じように 1193149579.html を開いてください
このツールに関して何かあったらここの連絡帳にでも書いてくれれば反応します
魔法少女リリカルなのは百合スレまとめwiki
http://wiki.livedoor.jp/nanohayuri/d/FrontPage 私は百合スレに引きこもりますがお互いまとめがんばりましょう
では〜
>>678 人が人であるがゆえの悲しいすれ違いさ。
次スレにはこの流れを持ち込まないでおこうぜ、皆。
次スレでは自分のほしいものが投下されるかも知れないって信じてさ。
おー
なんかうまい具合に埋まっていく流れが見える
自治厨ウザイ
職人の書く気が失せるだろ
ユーノアンチスレでも立ててろ
>>678 もうじきに埋まるからって
>>651が話し始めたから
次スレで殺伐した流れが続かないといいんだが
むしろユーノ×StSキャラが書ける人がうらやましい
俺にはどう考えてもエリオ×○○かヴァイス×○○しか出来ないよ
500kbなら、次スレでは皆がマターリと投下作品を楽しめますように。
682
自治ですらないので
一緒くたにされるのは心外だとテンプレ原案つくった生粋の自治虫の俺が言ってみる
キャラスレに投下するより、ここに投下した方が多くのひとに見てもらえるしね
俺自身はだけど、いろんな組み合わせが見られるので結構楽しみにしてたりするし
何が言いたいかというと、職人さんがんばれということ
多分初代からいるひとより
この混乱に乗じてショタは俺の全てなんだと高らかに叫ぶ
/, -=ァ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :`\ /  ̄ ̄ ̄`ヽ
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∨ l|:::::::,'{:::::从 ::|∨ヽ八:{ \{ ヽ\{Y:∧/ ::::::l::}::::::: :l.::.:.:.:.:.:.:. ! | おしまい
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',:::::l.ハ:::ヘ|::小 `ヾ/::::/}::::l :::::::: l:.:.:.:.:.:.:.:: ! |
\{ \{| 八 j 彡イレ |::::l ::::::::::l::.:.:.:.:.:.:.: ! |
{:::::::ヽ. ー 一 /' :::,' |::::l ::::::::::l.::.:.:.:.:.:.:. ! |
ヽ::::{ `ト、 イ /:::::/ |::::l::::::::::::l .:.:.:.:.:.:.: ! |
>く/`=≧-z≦=|`∨:/ ! ::l ::::::::::l .:.:.:.:.:.:.: ! |
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〃::.::.::.::.::.::.::.::.:/ | /ミ{^}彡, | ヽ::.::.::.::.::.::.::.  ̄入 :.:.:.:.:.: ! |
∧::.::.::.::.::.::.::.::./ W/∧\.Y ',::.::.::.::.::.::.::.::./:.::|.::.:.:.:.:.::! |
|::.ヽ_ -――/ ∧く_./ ヽ._>∧ 〉――- _/ .::.:|.::.:.:.:.:.::! |
_|::.::∧ / `ヽ _/ マ¨ ̄ ̄¨フ\}__,/ ∧ :.::.|.::.:.:.:.:.::! |
. 〃^|::. | ∨ く ̄ \::.::.::./ \ ∨ |::.::.|`ヽ :.:. ! |