乙です
ウホな男子高校生が主人公で、男子校が舞台で、男を喰いまくってる男装した淫乱女子が出てくる。
淫乱女子に攻められて主人公がバイに目覚める・・・っていのはアウト?
こういう電波が飛んできたもので。
SSにできるかどうかは分からん。
7 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 19:47:56 ID:B+OqqBCl
男装少女に犯されてマゾ化する女装少年みたいなのがいい
普段、男の格好をしている男勝りな女性が、女装をして男子校にこっそり通い、
女子高に通ってる脳内乙女の女装した男性と出会い、お互いに衣装を取り替えて体を重ねるところを、
共学の学校に通うよく男と間違われる女性の妹が覗いて発情して、女風呂に入っても誰も怪しまないほど美しい男性の兄と性について語り合う話が読みたい。
『ランペイジ』の劉備を覚えてる奴は(三国志の劉備が実は女性という設定)?
あれすんごく続き読みたいんだがなあ。
ブレイクソードも悪くないが、
あの作者の主人公は基本ゆっくりとしか成長しないし、
物事に正面から立ち向かってもいかないから、
今の作品はあのまま暗い感じで続きそう。
とっととランペイジの再開を望むところではある。
劉備が実は女性が途中から成り代わっていて、曹操の息子を産む話なんてのもあったな。
投下します。
[エアポケット]
25日0000時、宣戦布告、開戦。
帝国は欧州に侵攻を開始する。
強力な機動力を以って、高速で展開していく「電撃戦」は、瞬く間に欧州を席巻していた。
海軍 ハーゲン島基地
27日 1730時 [作戦開始 −5日]
エーリッヒ・マイヤー曹長は、ふと人の気配を感じて顔を上げた。
食堂のテーブルの向かい、身長185cmを越す長身が、無言でそこに立っている。
「・・・ここ、いいか」
壁がしゃべった。マイヤー曹長はそう感じる。
地の底から響くような低い声だった。
なんとなく居心地悪そうな顔で、マイヤー曹長を真っ直ぐ見ている。
言葉は交わしたことがないが、よく見知った顔だ。
「どうぞ」
あっけにとられたまま、マイヤー曹長は頷く。
トレーを持ったそれは、無言のまま腰を下ろした。
支給された白い海軍兵員のシャツは、肩幅に合わず窮屈そうだ。
マイヤー曹長は記憶を必死で辿った。一緒にこの作戦に派遣された人間の一人だということは分かる。
輸送機に同乗した人間はそう多くはないし、その中の尉官クラスではない人間は更に少ない。
ひどい揺れと騒音の中で、気を紛らわすために向かいの席の人間を眺めていたのだ。
ありきたりではあるが、妙に似合っている苗字だった。
そうだ、と、切れていた配線がつながった様に、マイヤー曹長は思い出す。
イェーガー上級曹長。
特殊作戦のためこの海軍基地に動員された、中央軍1次派遣隊のうちの一人。
目の前で、俯いて鶏肉の生姜風味ソテーを口に運んでいる様は、どことなく所在無さげだ。
強い特徴はないが、どことなく風合いの違う佇まい。
広い肩幅。動的な筋肉というより、静的な、持久筋の付いた体つきが目に留まる。
山犬を連想させるような、穏やかだが精悍な顔立ちが印象的だった。
押し黙ったような琥珀色の瞳の奥に、鋭さと意志の強固さを秘めている。
世間から離れ、己のルールに従って生きているような、そんな人間。
見るからに荒くれぞろいの、特殊作戦部には珍しいタイプだ。
マイヤー曹長たちが所属する情報部の中でも、直接的な武力行使を任務とする「特殊作戦部」。
海軍との共同作戦に、なぜ彼が派遣されたのかは知らない。
武力行使する相手などここにはいないのだ。この島自体が、一つの海軍基地なのだから。
詮索するのは禁止されていたし、またマイヤー曹長自身も任務について話すことは特に禁じられている。
陸・海・空の兵力の統合運用、共同作戦のため、三軍の指揮系統の頂点に設置された中央軍。
そのため、高次の任務を多く請け負い、表面に出ない作戦も数多い。
殊に、その中の情報部の人間は、存在自体が隠蔽されているといっても過言ではなかった。
黙々とマイヤー曹長は、炒めたサラダを口に運ぶ。
パプリカ、ベーコン、レタス、枝豆、舞茸、スライスした玉ねぎ、茄子を塩胡椒とオリーブ油で炒めたものだ。
簡素な味付けだが、意外にもさっぱりしすぎず美味い。
小さな基地の割に、食事は瀟洒で充実していた。
サラダの横には、鶏肉の生姜風味ソテーがよそってあり、スープは茶褐色にすんだコンソメスープだ。
それに、パンの付けあわせとして油漬けオリーブとモッツァレラチーズまで添えてある。
食堂自体は倉庫を改造したような、パイプ椅子と長テーブルの殺風景なものだが、料理人の腕に関する限りでは彩り豊かなものだった。
人も疎らな食堂はがらんとして、黄色い灯りの下を通り抜ける夜風が心地よい。
向かい合ったまま黙々と、ふたりは食事を続ける。
線の細い、いかにも美青年のマイヤー曹長と、大柄で塗り壁のようなイェーガー曹長の取り合わせは、いかにも凹凸コンビだ。
マイヤー曹長の、つるりとした白い細面、すっととおった鼻筋。柳のようにしなやかな肢体。
色をごく薄めた癖毛のプラチナ・ブロンドは若草のように柔らかい。
柳眉の下には切れ長の、メスの刃のような目。
するりと伸びた簾睫の下に、大理石色の瞳が見るものを吸い込むように鎮座している。
鈍色で縁取られたそれは、薄い緑を滲ませて、同時に深淵を湛えていた。
きゅっと締められた口元には、青年のひたむきさと憂い。
ただ座って黙っていれば、きれいに仕上げられた陶器人形という印象を与えるかもしれない。
瞳に宿る、炯々とした眼光だけはマイヤー曹長が、意志ある人間だということを突きつける。
時折投げかけられる、その視線に気付かぬふりをしながら、イェーガー曹長はコンソメスープを啜った。
悪い人間ではなさそうだ。
何の確証もない。だがしかし動物的な直感は、マイヤー曹長を少なくとも無害と踏んでいた。
分からない。しばらく観察してみなければ。
そう思いなおしながら、イェーガー曹長はパプリカを口に運ぶ。
オリーブのよい香りと、程よい胡椒が瑞々しい味わいを引き立てていた。
特殊作戦部の、噛み砕いて飲み込むような食事とは違うその味覚を、イェーガー曹長はゆっくりとかみ締める。
こんな時位しか、まともな食事をする機会がないのだ。
そして、向かいに座る人間がむさ苦しい男ではないということも、また異例であった。
傷も、隆起した筋肉も、真っ黒に日焼けした肌も、彼の世界を構成する物質である。
女のような、少年のような、しかし軍人のような。
こんな人間は、前線一筋のイェーガー曹長の知り合いにはいない。
反面、こういう人間が何を考えているのか、彼には予想も付かないが。
黄色い灯りの下、翳りながら二人は沈黙をも咀嚼した。
「しばらくあんたの監視に当たる」
皿の上を片付けた後、コーヒーを啜りながら突然イェーガー曹長が呟く。
俯き加減で、しかし真っ直ぐに視線をぶつける。その瞳の色合いは、見るものを吸い込む様だ。
おや、といった表情でマイヤー曹長が片眉を上げた。
「いいんですか、言って?」
目を細めた、探るような灰色の視線。
「知らずに妙な行動をしてもらっては困る」
ふん、と彼の上司がするように、マイヤー曹長は鼻を鳴らした。
知らず知らずのうちにその際の、唇の片端を吊り上げる笑いまでもが伝染している。
「貴方ほどの手練の前で?」
呼吸をするように、食事をするように、容赦なく敵を縊り殺す人間。
そこに気負いはない。感情の動きも、ない。
当たり前のように引き金を引き、刃先を翻す。
真の完成された兵士のみが持ちうる資質を、マイヤー曹長は既に嗅ぎ取っていた。
そして、それに比べれば、自分はあまりに無力だ。
「・・・取って食う訳じゃない」
そっぽを向いた、渋い表情のイェーガー曹長。
立ち上がり様、彼はマイヤー曹長の耳元にそっと吹き込む。
「あんたを監視してるのは、味方だけじゃない。気を付けるんだな」
海軍ハーゲン通信所 作戦会議室
29日 0820時 [作戦開始 −3日]
「気を付けェーッ!!」
よく通る張りのある声が、空気を突き抜けた。
拳に力をこめる。背筋に芯を通し、くっと顎を引いて、腕を体側に付ける。
広くはない会議室に、20余名の陸海空の兵士たちが出荷前のビール瓶のように、整然と並んでいた。
灰色のコンクリの壁に、横長の窓から溢れこむ光と影が映える。
その影までも整然と床に落ち、朝の空気は冷たく湿って張り詰めていた。
壁には大きな作戦地図が2枚張り出されている。
それには無数の船舶、無線機、航空機、潜水艦などを示すピンが刺されていた。
敵を攻撃する、そのための、作戦図。
整列した兵士たちはみな、この作戦のために招集された。
マイヤー曹長の前に立ったウェーバー軍曹の、休めの姿勢で後ろで組んだ手は、痛いほどに指に食い込んでいる。
マーシアス・田中・ウェーバー。
日本人クォーターである彼の顔立ちは丸く、幼さが抜け切らないが、その技量は卓抜している。
まだ甘ったれな性格、先輩からよく絡まれる弟のような彼の姿は今ここにはない。
開戦に備え練磨され、自ら困難に進んでいく一人前の通信士だ。
マイヤー曹長がそうであるように。ここにいる誰もがそうであるように。
誰もが、その技量を認められてここに来たのだろう。
整列している兵士らは白髪混じりの手練から、まだ若い少年のような兵士まで、老若様々だ。
彼らの顔は、誰もが解き放たれるのを待つ猟犬のように、静かに逸っていた。
訓練を積み、己の技量を磨き、軍隊生活に耐えてきたのも、ひとえに敵と相対するときのため。
迫りくる東西の列強の足音に、この欧州の軍事国家は軍備改変を進めてきた。
資源や物量の不足を、人ならぬ練成で補おうと猛訓練を積んできている。
列強の圧力を、彼らは身をもって感じていた。
日増しに増える、国内外の正体不明の電波。周辺国の軍事演習。
あるものは密かに傍受・解析し、あるものは暗闇の奥底で激烈な諜報戦に身を投じている。
それを知り、携わる彼らには職業軍人としての自負があった。
優秀であること以前に、孜々とした兵であることを自らに架して。
ドアが開いた。
指揮官たる海軍将校が、大股で兵たちの前に進み出る。
鋭い眼光を宿した二人の海軍将校が、向き直った。
「申告!」
兵たちの横に立つ海軍中佐が発令した。
まず、中央軍の最上級者が作戦司令に向き直り、敬礼した。
「中央軍司令部、ルドルフ・キーオウ大尉以下5名」
「空軍第1通信群、ハインツ・シュミット少佐以下6名」
「海軍司令通信部、ミハイル・シックグルーバー少佐以下7名」
「陸軍中央通信連隊、アレクシス・ルートヴィッヒ中尉以下3名」
黒い制服の中央軍、海軍、鮮やかなブルーの空軍、くすんだ緑の陸軍。
4軍の精鋭たちの目が、司令に集まる。
作戦司令は彼らを見据え、息を吸い込む。
金の刺繍の入った黒い制服、糊の効いた白いシャツ。一寸のずれもない黒いタイ。
白髪のクルーカットに、潮焼けした顔立ちは威厳に満ちている。
深い皺を携え、ぎょろっと剥いた目は、鋭い眼光を放っていた。
歴戦の猛将。その言葉が、しっくり来る。
猟犬のような、しかし氷のような冷静さを持った兵士達を一人一人見回すその顔。
この作戦のために選りすぐられた精鋭の目を、確かめるように、視線を受け止める。
「諸君、遠路はるばるよく来てくれた。私がこの作戦の司令、ゲオルグ・クレッチマン海軍大佐だ」
聞きほれるような、立派なバリトンが響く。
ゆっくりと、一つ一つの言葉を聞かせるように、クレッチマン大佐は兵たちに述べた。
―――諸君らは、全軍を代表してこの作戦に選ばれた。
武器なき闘い。前例のないこの作戦のために。
諸君らは新しい戦史を刻むのだ。
名誉や、栄光には浴せないかもしれない。
しかしながら、戦史に残る作戦となるであろうこの戦いは、戦争の転換期の先駆けなのだ。
前の世界大戦から発達してきた新しい闘いは、今急激に戦場に変化をもたらした。
砲弾。飛行機。艦船。魚雷。潜水艦。
どれもが日進月歩で進化している。そして諸子にはまた、軍事通信の進化も身近なはずだ。
我々は既成の兵器を用いない。
電波を武器とし、無線で戦う。我々は陸海空の兵士を、砲弾や空襲や、奇襲攻撃から守ることが出来る。
命を繋ぐことが出来るのは、名誉ある通信士である諸子だけなのだ。
もはや軍の神経は、諸子でしかありえない。
―――たとえ銃を取った先鋭ではなくとも、もはや諸子なしに戦争は成り立たない。
今回の作戦が陸海空統合なのは、戦争においては総てが連動し、また全軍に練度の高い通信はなくてはならないからである。
もはや局面に対応するのではない。局面を作り出す。
諸子にはその能力がある。
全軍を、ひいては祖国を守ることが出来るのだ。
一致団結し、諸子が黎明に相応しい戦いぶりを示すことを望む。以上。
朗々と、迷いないクレッチマン司令の言葉が響いた。
「敬礼ッ!!」
最上級である、シックグルーバー少佐が鋭く発令し、全員が鋭く挙手の礼をした。
クレッチマン司令も、一人ひとりを見据え、答礼する。
普段は冷静で、こんな情熱など忘れていたはずなのに、なぜか胸の奥にメラメラと闘志が湧き上がってくるのをマイヤー曹長は感じた。
ここにいる誰もがそうなのだ、と分かった。
飢えた猟犬のように、鬱屈した狼のように、本性から闘いを渇望している。
娼婦の子に生まれ、裏世界よりはましと飛び込んだ軍隊。
あまり良いことは無かったが、それでも精一杯任務をこなしてきた。
敵と向き合い、時には自ら引き金を引き、人を殺したこともある。
―――それでも、続けてきてよかった。
マイヤー曹長は、本当にそう思った。
秘匿されつくした、誰も知らない作戦であっても、作戦参加は誇りに違いない。
まして、他でもない通信士にしか出来ない仕事だ。
誇りを胸に秘め、マイヤー曹長は手を降ろした。
国の運命を背負い、ひそかなる兵たちはまだ見えざる敵を見据える。
正義のためとか、大義のためなどではない。
存在意義を問われ、それには戦果を以って応えるしかないのだ。
緊張ゆえか無意識に、口元の肉がぴくぴくと引き攣る。
マイヤー曹長は、それにも気付かぬまま前を見据えていた。
海軍ハーゲン通信所 通信室
29日 1000時 [作戦開始 −3日]
電探班、敵信傍受班、電波測定班、妨害班、航空管制班、陸上通信班それぞれが編成され、すぐに準備に取り掛かる。
班ごとに部屋と機材が割り振られ、電話線でクレッチマン大佐らの控える司令室に回線が引いてある。
また、作戦要員は全軍、白いシャツ、濃い灰の海軍要員作業服の着用となっている。
マイヤー曹長、ウェーバー軍曹は海軍の2名と敵信傍受班に配置された。
各班にはそれぞれ、本格的な大型の通信機材、レーダーのディスプレイ、ヘッドホンや暗号変換装置エニグマが所狭しと並べられている。
上から下までぎっしりと詰まれたそれらの機材の灰色で、まるで艦内にいるかのようだ。
作戦要員は、すぐに機材に取り付く。
班長のベルク海軍大尉に、一通り通信機材の特性をレクチャーされた中央軍の二人は、新しいおもちゃを与えられた子供のように生き生きとしていた。
特に壁までもある大型無線機を前にし、ウェーバー軍曹は興奮して紅潮している。
丸顔に填ったつぶらな瞳の奥が、猫のように爛々と輝いていた。
音量や雑音制御の調整つまみや、送信出力や周波数の目盛り、基本的には中央軍の無線機と変わらない。
しかしながら、このような海軍通信用の機材は性能が陸軍の近距離用のそれとは桁違いだ。
また、陸軍の用いるものよりも海軍の周波数は低い。
周波数が低くなるほど、明瞭ではなくなるが遠くまで届くのだ。
ここの無線機は、島の中央に聳え立つ3本のコンクリ製電波塔に接続されていた。
直径3メートル、高さ100m程度の円柱の電波塔の到達距離は欧州を遥かに超え、ロシアまで届く。
傍受に関しても、その性能は海軍有数だった。
この島の傍受施設は、このアンテナに届く世界中の電波を常時監視解析しているのだ。
「すごい。何が受信できるんだろう」
ウェーバー軍曹が、目を輝かせて無線機の前の椅子に座った。
「いじりすぎて壊すなよ」
マイヤー曹長が冗談交じりに静める。
中央軍通信学校同期でありながら、ウェーバー軍曹は弟分、というより子分であった。
ウェーバー軍曹を従えるマイヤーの姿は、まるで軍用犬を従える猫のように見える。
マイヤー曹長は、彼を弟のようにかわいがり、彼もマイヤー曹長をよく慕っていた。
通信技術についても、ウェーバー軍曹はマイヤー曹長直々の手ほどきを受けている。
単純に言えば、馬が合うのだ。冬になれば雪だまをぶつけ合ったし、暇になればよくトランプをやったりした。
年齢が近いこともあり、数少ないマイヤーの親友でもあった。
「いやだな、おれ、無線壊したことなんかないですよ」
ヘッドホンを掛け、ウェーバー軍曹は周波数つまみをいじり始める。
ここで傍受したモールス信号や音声は総て記録され、要すればこの島の暗号解析部に回されるのだ。
「ベルク大尉。周波数設定しました」
振り返り、マイヤー曹長はベルク大尉に報告する。
色黒、砂色の髪をクルーカットにしたベルク大尉は鷹揚に頷いた。
もう一人の海軍士官、ランケ少尉は、マイヤー曹長らの仮眠休憩時の交代に当たる。
やや肥満気味にも見える彼は、浅黒い肌と黒い艶やかな髪、エキゾチックな容貌が印象的だ。
「よろしい」
ベルク大尉は、マイヤー曹長らが難なく無線機に馴染むのを見て一応安心したようだ。
一瞥した横顔には、技術官らしさと軍人らしさの融合した海軍独特の雰囲気がある。
きれいに削られた砂色の髪の毛、糸のような鋭い吊り目は彼のその印象を強めていた。
早くも最初の敵信を傍受した、点と線の信号にかじりつくウェーバー軍曹。
−・−−・ ・−−・・ ・・−・− −・−−− ・・・
皮肉なことに、敵軍通信手が手練であればあるほど、モールス信号はウェーバー軍曹を裏切らない。
暗号解読の基礎である、正確な傍受による情報収集に彼は尽力していた。
既にモールスは彼にとって言葉であり、音楽である。
彼の万年筆はまるでよどむことを知らぬように、受信したモールスを書きとめ続けた。
「うんンーーー」
知らず知らずに唸り声を上げる。
海軍の通信手は、どこの国においても練度が高い。陸上と違い、無線以外の交信手段がないのだ。
海軍の暗号防護と、陸軍の暗号防護の程度の違いの差はその意識の差である。
どこの国においても、敵国の電波を傍受する機関は必ずあるのだ。
人が作ったものである以上、解けない暗号など、ない。
「イギリスには、特に優れた電子戦部隊があると聞く。エニグマに挑んでいる天才数学者がいるらしい」
以前、マイヤー曹長がぼそりとつぶやいた噂は、時折ウェーバー軍曹の胸に引っかかる。
「エニグマが絶対だと思うなよ。軍部の『絶対解読不可能』など、現時点での話でしかない」
特に、陸軍端末部隊や秘密警察の連中、いい加減な使い方してるからな。
そう、苦い顔で言った時のマイヤー曹長の表情は、明らかな危機感を抱いていた。
彼の白猫のような横顔を、ウェーバー軍曹はちらりと窺った。
つまらなさそうにしている。通信が疎らなのだろう。
指先でペンを回しながら、今か今かと通信が入るのを待ち受けているようだ。
浮かび上がる白い頬は、一点も汚れのない。
自分のニキビ跡とソバカスだらけの肌と比べると、まるでぼろ布と絹だ。
―――神は少なくとも公平じゃないな。
美青年であるというだけで妬みを買うのも、彼を前にすると何となく分かってしまう。
視線に気付いたマイヤー曹長が、(集中しろ)と手を振った。
現実に引き戻される。
余計な方向に思考が飛んでいたのに気付いて、ウェーバー軍曹は慌てて雑念を頭から振り払った。
第3観測所
29日 1600時 [作戦開始 −3日]
カップに注いだコンソメスープを飲みながら、イェーガー曹長はその千里眼をくまなく周囲に巡らせた。
目の前に広がる2階建て兵舎の棟には、人影一つない。
整然と並んだ6棟の外来用兵舎を見下ろすこの観測所は、そこからやや離れた小高い丘の上に立っている。
ちょうど3階ほどの高さから見下ろすコンクリ製の兵舎は、墓のように塀に囲まれ、横たわって沈黙していた。
塀の向こうはすぐ海に落ちており、塗りこめたような鉛色がうねっている。
いつか絵で見た美しい、青く透けるような海ではなかった。
むしろ彼の育った、北極海の表情に似ている。
厳しい表情をした、硬質の海。襲いかかるような波濤。
そこは氷に閉ざされた世界、日が落ちれば、どこにも光はない闇の奥だ。
琥珀色の瞳に、錆色に染まり始めた水平線を映しながらイェーガー曹長はため息をついた。
濃い灰色の、海軍兵用戦闘服は部屋の影に混じり、境目を失いそうだ。
4メートル四方の部屋に置かれたテーブル、椅子、ソファー。コンクリの殺風景な部屋にある家具類もまた、無表情な灰色だ。
テーブルの上におかれた、彼の愛用する狙撃銃もまた、この部屋の空気に馴染んでいた。
モーゼル社製のこの銃は、使い手にあわせて精緻なカスタマイズを施されている。
体の一部であり、彼以外には合わないといっても過言ではない。狙撃とはそういうものだ。
木製の部分にはよくアマニ油が塗られ、丁寧に磨かれていた。
銃身や銃内部など、金属部分にいたってはいわずもがなである。
「あんた、あいつがシロだと思うか?」
観測手―――狙撃手にとってなくてはならない相方、アッシュ・シュタイナー軍曹が腕を組み、隣で景色を見下ろしながら聞いた。
風速の測定や通信などを狙撃手に変わって行う観測手は、その不在が狙撃に大きく影響する。
長年苦楽をともにしてきた相棒の問いに、イェーガー曹長は肩をすくめた。
「分からんね。おれの踏んだところではシロだが・・・あんた、気になるのか」
緑色の瞳をイェーガー曹長に投げかけるシュタイナー軍曹の表情はいつになく厳しい。
「やつは何かを隠してる。それが何かは分からんが」
目尻に刻まれた深い皺、濃くはっきりした眉と、夕方には生えている無精髭。
身長は小さいが、いかにも兵士然とした風貌の佇まいは、無言のうちに歴戦の勇者振りを語っている。
「おれ達の機関に、キナ臭くない奴なんかいないだろう。特に情報部は」
「あいつは特別キナ臭いんだよ・・・、うまく言えないが、おれ達と根本的な何かが違う」
黄金色の目を細め、傾き始めた夕日が照らす波の稜線を見やる。
イェーガー曹長は、シュタイナー軍曹の言葉に黙って聞き入っていた。
「あんたがそういうなら・・・何かあるのかもしれない」
焼きついたような濃い影が、部屋に満ちていく夕暮れ時。
特に監視を要する、と分類された内の一人であるマイヤー曹長の面影を思い浮かべる。
彼の周囲を、気付かれぬよう、しかし確実に距離をつめながらうろつく影を既にイェーガー曹長ら監視チームは捉えていた。
牽制と、警告の意味をこめて、イェーガー曹長は彼に接触したのだ。
甘言を以って、マイヤー曹長を誘導しようとする何者かに決して流されぬように。
用心せねばならぬのは、その純粋さ、ひたすらな精神ゆえに、敵に騙されることである。
軍への忠誠が、敵への忠誠に変わってしまえば、それは恐ろしい意味を持つのだ。
一人前のつもりでも、軍に染まりきったつもりであっても、彼には寂しい、高潔な若者の純粋性が残っているのだ。
建前と現実の違い。
例えば戦場で死んでいく兵士達の死が、数字としてしか意味を持たないこと。
それを従容として受け入れている風なふりをしても、まだ心の奥底には、大義を信じ、生きること、死ぬこと、命を懸けることに意味を見出そうとしている。
イェーガー曹長は、マイヤー曹長にその若者の激しさと、高潔さとを見出していた。
「危険といえば危険だな。・・・まだ子供だ」
少年のようなやさしいなりと、炯々としていながらどこか寂しげなひとみが脳裏に纏わり付く。
いつも、子犬のように彼の傍にいるウェーバー軍曹の、愛国主義者の若者らしい佇まいとは色合いを異にしていた。
どんなに技量があっても、イェーガー曹長にとって彼らはまだ紅顔の少年兵に違いない。
曖昧な肯定を口にしたイェーガー曹長の目が、黒々とした海を映す。
海軍ハーゲン通信所 通信室
30日 0100時 [作戦開始 −2日]
枝豆とベーコンを炒め、カッテージチーズを添えて小さなフランスパンに挟んだサンドは、あるものを適宜挟んだだけにも関わらず中々の美味だ。
塩コショウの効き方がちょうどよく、パンの小麦の香りも芳しい。
温かな紅茶と、そのサンドの彩りは、無彩色の世界にあって目にも鮮やかだ。
ヘッドホンをかけたまま、ささやかな夜食を楽しむ。
クレッチマン大佐が気を使って、食堂にも行けない作戦要員のため食事を用意してくれた。
作戦室中央に置かれた大なべに料理が入っており、食欲をそそるいい香りが部屋中に充満している。
「おれ、お代わり行ってきます!!」
マイヤー曹長の2倍の速さでサンドを平らげたウェーバー軍曹は、早くも2個目に行く勢いだ。
席を立つ彼を、声が追いかける。
「ちゃんと飲み込んでから行けよ」
後姿を、苦笑しながらマイヤー曹長は見送った。
「貴様の弟分は随分と元気だな」
30代にさしかかり、ベテランの落ち着きをもって敵信傍受班を率いるベルク大尉。
既に10〜20代の素直さが抜け、冷徹さ、経験に裏打ちされた自信を備えている。
何ができるか、何が限界なのか、何をすべきなのかを彼はよく知っていた。
「申し訳ありません。少し元気すぎて、手に余ります」
2歳年上のはずのウェーバー軍曹の、兄のようなマイヤー曹長。
きれいなアーチの目を細め、微笑するその表情は闘いの中にあって鋭くも優しい。
父性といったものが、少しその表情には滲んでいる。
「中央軍にもああいうのがいるのか。うちの少年兵は、情熱過多なのが多くてな」
軍曹、という下士官なりに落ち着いてきてはいるが、二等兵時代の情熱の奔流を想像するに難しくないウェーバー軍曹。
先ほどよりさらに具を盛ったサンドを持って帰ってきたウェーバー軍曹に、ベルク大尉はニヤニヤとしている。
「あとで、貴様の分だけ中央軍に食費を請求しておこう。馬のように食うからな」
きょとんとした顔のウェーバー軍曹に、マイヤー曹長は思わず噴き出しそうになる。
「お前は農耕馬だな」
ベルク大尉に追従して、マイヤー曹長が冗談を口にする。
その太く逞しい四肢、恵まれた体格に我の強い顔は、確かにサラブレッドとは言えざる風貌だ。
サンドを詰め込み、紅茶を流し込んだ農耕馬は、満足そうに一息ついた。
「おいで、大分指が疲れただろう」
ウェーバー軍曹は、大人しく手を差し出す。
いつも、筆記に疲れたときにしてやっているように、マイヤー曹長は向き合ってウェーバーの手を取る。
白く細い、白魚のような指先が、厳つい指の根元を掴み、揉みしごく。
中央の、落ち窪んだ部分を押したり、指を反らして伸ばしてやったりして、凝りをほぐしていく。
心地の良い刺戟、そしてマイヤー曹長のひんやりした手に、傍受中にも関わらず思わず感じる、とろりとした眠気。
筋の一本一本を伸ばしていくような、マイヤー曹長得意のマッサージは、通信部でも密かな人気だ。
「あーーー・・・」
思わずうめき声がもれた。
冷たい指先が、丁寧に筋肉をほぐし、血流を整える。
疲れの抜けていくような、そしてどこかしら官能的な気分すら誘うような指先の動き。
心地よい圧力に、聞こえる空電すら忘れそうになる。水かきを挟む親指の感触が、どこか遠くに感じられた。
柔らかくて白い掌。一瞬、何もかもを忘れて恋人を思い出すようなそれ―――
三つ編みにした柔らかな金髪に、緑色の瞳、そばかすの散らばった紅顔。
彼女のむせ返る様な花の匂いは、故郷の匂いだった。
恥じらいを秘めた、香り立つバラの香り。
一瞬その幻が、鼻腔に蘇る。我に返ると、永久に失われてしまうその香り。
志願のしばらく後に失った、彼女の思い出が胸を掠める。
刹那、熱い血潮が身体に巡るのをウェーバー曹長は自覚した。
生々しい思い出は、その勢いを呼び覚ますに十分だ。
慌てて、ぱっと手を離す。
ぱちくりと、驚いた顔をしたマイヤー曹長にウェーバー軍曹は慌てて弁解する。
「気持ちよくて、寝ちまいそうです」
後ろめたさと、情けなさで冷や汗が出そうだ。
「そうか」
清らかな笑みを浮かべて、マイヤー曹長は呟いた。
「もうすぐ交代だから、頑張れ」
そのまま、深くは聞かず彼は仕事に戻る。
彼自身も、指はひどく疲れているはずなのだが、どういうわけか絶対にその手を触らせようとはしなかった。
肩を揉むといっても、手を揉むといっても、「僕はいい」の一点張りなのだ。
猫のように柔らかなその身体を、彼は誰にも触れさせなかった。
海軍ハーゲン通信所 通信室
30日 1700時 [作戦開始 −2日]
―――ひどく暑い。湿気た熱気は、時が止まったように動かない。
祖国とは違う暑さは、不快感を伴ってどうしようもなかった。
木の、長い廊下に規則的に落ちた、四角い窓の影。
さわさわ、と時折聞こえる緑の音だけが、唯一の涼しさだ。
マイヤー軍曹は、シャツの襟元を開け、吹き出る汗をハンカチで拭った。
「おおい、マイヤー」
聞きなれた、お調子者の声が彼を背後から呼び止める。
何故だかその声が妙に懐かしくて、マイヤー軍曹は振り返った。
「海江田!」
坊主頭、マイヤー曹長よりも10cmほど小さい身長の親友。
東洋人独特の童顔に立派な眉、一重の目は腫れぼったいが、その奥の瞳は明晰さを帯びている。
四角い顔を綻ばせ、立っている海江田のシャツはハレーションを起こしていた。
何故か、思わず走り寄ってしまう。―――随分久しぶりにその姿を見るような気がして。
奇妙にも、昼間だというのに、どこも授業をやっている気配がない。
海江田が、不意に白い何かを投げた。放物線を描いて飛んできたそれを、慌てて受け取る。
「キャッチボールしようぜ」
不意に光が溢れこむ。
顔を上げると、いつの間にか桟橋に立っていた。
手にはミットを持っており、向こう側に立った海江田がミットを嵌めた手を振っている。
突き抜けるような、ガラスの青の空。明るく透き通った海は、どこまでも石の底が見える。
川のような、しかし蒼さを持った広い海。
水平線の向こう、茫洋とした広がりに思いを馳せることもできる。
ちゃぷ、ちゃぷと音を立てる波に、心地よい南風。
入り江のここは、瀬のすぐに山が迫っており、薫風と潮風の臭いが入り混じっている。
「行くぞー」
マイヤー軍曹は、眩しそうに目を細めながら、白球を投げた。
いい肩だな、羨ましいと褒められた肩。
野球好きの海江田に教わった握り方でボールを握り、振りかぶった―――
ガツンと手首が背もたれに激突し、粘るような眠気から意識が醒める。
唸り声が挙がるのが聞こえる・・・それは、他人のもののようであって自分のものだ。
白い天井、間近に迫る壁に、一瞬マイヤー曹長は混乱した。
美しい景色も、遮るものが何もない海もそこにはない。
もちろん、海江田の姿も消えていた。
休憩で通信室のソファに座っているうちに、いつの間にか居眠りしていたのだ。
音に驚いて振り返ったウェーバー軍曹と目が合う。気まずくて目をそらし、前髪をかき上げた。
腕時計を見ると、休憩時間は既に残り少ない。
「・・・交代します」
頭がまだぼんやりしたまま、マイヤー曹長はランケ少尉に声を掛けた。
不規則な交代のため、次の仮眠時間がいつになるか分からない。
貴重な睡眠が終わってしまった、とマイヤー曹長は惜しみながら椅子に座る。
「大丈夫ですか、手」
傍受し終わった通信を清書しながら、ウェーバー軍曹は聞く。
口調とは裏腹に、ニヤニヤした表情を浮かべている。
「問題ない」
その横っ面に、マイヤー曹長は清書し終わった走り書きの紙を丸めて投げつけた。
剛速球は見事にウェーバー軍曹の横っ面にめり込む。
「イテェ」
意外な威力に、不貞腐れたウェーバー軍曹の声。
彼が投げ返すことをマイヤー曹長は予想し、そのとおりになる。
そこそこの速さで飛んできた紙くずボールを見事にキャッチして、マイヤー曹長は投げ返した。
座ったまま白球をやり取りしながら、彼はぼんやりと先ほどの夢を思い出す。
「マーシアスは、青い海を見たことがあるか」
ふと、親友を呼ぶときの名前でマイヤー曹長はウェーバー軍曹を呼ぶ。
茫洋としたマイヤー曹長の灰色の眼差しを見返して、彼は怪訝そうな表情をする。
「・・・何ですって?」
放物線を描きながら、緩やかに軽い白球がウェーバー軍曹の手に落ちた。
「どこまでも透けてる、混じり気のないコバルトブルーの海。北海みたいに、灰色の海じゃない」
少し考えてから、ウェーバー軍曹は返す。
「ギリシャやイタリアの海は、大層綺麗だと聞きますね」
ふぅん、とマイヤー曹長は相槌を打った。
ウェーバー軍曹の投げ返した球を不意に手に持ったまま、その目は遠くを見ている。
「おれも絵葉書でくらいしか見たことありませんよ」
「そうか」
しばらく考え込んでから、マイヤー曹長はぽつりと呟いた。
「マーシアスに見せてやりたいな・・・、本当の美しい海を」
初めて、マイヤー曹長がマーシアスを見る。その顔には、照明の陰りが顔に落ちていた。
「シチリアにでも、連れて行ってくれるんですか」
「東洋の海」
ガラスみたいに綺麗な海だった。
そう呟くマイヤー曹長。
彼が、一時期東洋の同盟国に技術交換学生として留学していたことをウェーバー軍曹は思い出した。
「海軍川棚学校」―――
当時マイヤー軍曹が留学したその機関は、同盟国の軍部中枢においても知る者は少ない。
大学を卒業したごく一部の、ある種の才能を持つ者だけがそこで教育を受け、優秀な情報員として巣立っていった。
国籍を秘匿するため、複数の国の部品を使って無線機を組み立てる方法。
身の周りの書籍―――たとえば、図鑑や総覧などから乱数を選び出し、暗号を作る方法。
小型無線機の構造や、暗号破りの方法、それに電波の特性。
敵の通信に割り込んで、敵の中枢を混乱させる方法。
無線機を分解して持ち歩くときに、怪しまれない方法。
ひどく湿気の多い、蒸し暑い夏は彼には応えたが、それでもその1年は彼にとって重要な年になった。
数は少ないが、海江田のように彼の外見に馴染んで話しかけてくれる学生もいた。
皆一様に、大変に語学が堪能で、みるまにマイヤー軍曹の言葉を理解した。
冗談まで言えるようになったその言語の上達ぶりには、マイヤー軍曹もひどく驚かされたものだ。
いい意味で軍人らしさのない、頭の柔軟な、そして誠実な人間がばかりだ。
別れ際には、「いつか会いに行くからなあ」と手を握って泣いたあの友人たちの顔を思い出す。
海江田、福島、浅井、峯島。
先見性と、発想力に富んだ、まさに至宝ともいえる人材だった。
一人ひとりの顔を思い出す。
あの小さな島国の海は、こんな遮る鉛色ではなかった。
マイヤー曹長は瞳を閉じる。
透明に近い、美しいガラスの波を瞼の裏に思い返しながら。
「沖合いまで見えるんだ、ずっと続く潮の底が。丸い石がどこまでも続いているんだ。
薄い透明な青から、沖合いは濃い青に移っていく。波間がガラス細工みたいに光る。
日の光が暖かくて、入り江から見ると本当にこの世じゃないみたいで」
いつか、見せてやりたい。マーシアスを連れて行ってやりたい。
マイヤー曹長はそう繰り返す。
柔らかい灰のような瞳が妙に物悲しい優しさを感じさせた。
「おれ、海ならいつかはマリアナに行ってみたいな、雑誌で見たんです」
「マリアナか。潜水艦隊に入れば、極東行きの海路で行けるかもしれない」
ウェーバー軍曹は肩をすくめた。
「兄が、潜水艦乗りですが、やめておけと」
つかの間、二人の通信士は叶う当てのない夢を話す。
「いつか戦争が終わったら・・・、飛行機で南洋に行きたいな」
「そうですね。おれ、ローマにも行きたい。コロッセウムを見たいんです」
不意に、マイヤー曹長の手から紙くずボールが飛んでくる。
「フランスの、ベルサイユ宮殿もさぞかし豪華絢爛なんだろう」
「本場のシャンパン飲んでみたいです。有名なクラブ・・・何でしたっけ?」
ふ、と笑いマイヤー曹長が答える。
「ムーラン・ルージュか」
「はい。一度、店を貸切にしてみたい」
実に男らしい願望をマイヤー曹長は笑った。
戦争が終わる日。
それは夢のまた夢のように曖昧で、不確実な未来だ。
それでも、この灰色の檻の中で過ごす時間に、それは希望を与えてくれる。
海軍ハーゲン通信所 司令室
30日 1430時 [作戦開始 −2日]
「ご苦労」
ゲオルグ・クレッチマン大佐は、報告を手渡した兵を、短く労った。
目尻に深く刻まれた皺、潮焼けした肌。ロマンスグレーのクルーカットは、威厳ある海軍大佐に相応しい。
恰幅もよく、外見から沈着な指揮官を体現していた。
書類の散らばった机に、カップに注がれた濃いコーヒー。
目の前に立つ若い曹長の後ろでは、せっせと数人の士官が作戦海図に何かを書き入れていた。
提出した書類に目を通す。
ぱらぱらと書類をめくると、数ページにわたり傍受した通信の内容が詳細に綴られていた。
神経質そうな筆記体は、大佐の優秀な部下であるベルク大尉の文字だ。
「マイヤー曹長と言ったかね?」
書類に目を落としたまま、目の前の曹長の名を呼ぶ。
休めの姿勢のまま、身じろぎもせず彼は「はい」と答えた。
北欧系の美青年と聞いていたが、評判どおりの容貌だ。
探るような視線で、マイヤー曹長を見上げる。彼の、そうそうたる経歴を思い出す。
陸軍通信学校、海軍通信学校。それに同盟国の情報員養成機関にも一時期留学。
よほど期待されているのだろう。単なる通信士では終わらないはずだ。
「通信士にとって、もっとも恐ろしいのは?」
不意にクレッチマン大佐が、問うた。鋭い視線が、マイヤー曹長の硬質な瞳に突き刺さる。
しばらく考えて、マイヤー曹長は、途切れ途切れに答える。
「・・・恐ろしいのは、傍受され、暗号を解析されても、気付きようがない事です」
眉間に皺を寄せながら、うまく言葉にしようと努力しているようだ。
「内容を改竄することも、通信を妨害することも、勿論恐るべき事態です。ですが、・・・それら攻撃的通信に比べ、傍受は防ぎようがない。
たとえエニグマであっても、通信量が多ければ、暗号を解析される可能性も高くなる。受信は、送信のようにそれをなすものを特定できません」
クレッチマン大佐は、黙ってその答えを聞いていた。参謀がコーヒーを彼のデスクに置く。
「結構。・・・行っていい」
マイヤー曹長を返すと、考え込んだままクレッチマン大佐はコーヒーを啜った。
眼鏡をかけた、穏和でいて神経質な参謀がポツリと呟く。
「・・・今のが、例のですか」
「ああ」
目を細めた参謀の表情は、何かを深く考え込んでいるように見える。
「確かに、よく似ていますね」
物思いにふけったまま、クレッチマン大佐は半ば独り言のように呟いた。
「そうだな。それに、あ奴はよく理解しているよ」
第3観測所
01日 0300時 [作戦開始 −1日]
帽子を目深に被った人影を、イェーガー曹長の視力は用意に区別する。
「お帰りだ」
夜霧に滲むその人影は、肌寒く寂しげだった。
小柄な人影は3号棟に吸い込まれていく。
イェーガー曹長はくまなくその人影の周囲に視線を巡らせた。
照明の下に、霧に溶けるような二人の歩哨の人影を確認。時計を確認すると、蛍光塗料を塗った針は3時5分を指している。
1時間おきの歩哨の見回りは、先ほど2時50分ごろ通過。
先ほどの歩哨は身長差が大きかったが、今の歩哨はどちらも同じくらいの身長だ。
「・・・あいつらか」
歩哨のなりをしているが、その中身は全く違っているだろう。
琥珀色の目は、夜霧の合間から一瞬現れた歩哨の顔にピントを合わせる。
どちらも中年。眉の薄い、ギョロ目。ガマガエルみたいだ。それと、眉の太い一重瞼。口元に黒子。
恐るべき視力は、易々と特徴を捉えた。
明かりが灯ったマイヤー曹長の外来兵舎の周囲を、さりげなく歩哨は通過していく。
普段は使われない第3観測所からまさか、監視されているとは知らない歩哨はわずかに明かりの灯った窓のほうを指す仕草をした。
今のところ接触する様子はなさそうだが、油断はならない。
命令によっては、拘束することも考えに入れながら、建物の構造図をイェーガー曹長は頭の中に描く。
―――他の監視要員にも連絡を取らなければ。
必要な手順を確認しながら、イェーガー曹長は歩哨が出て行くまで闇の奥から監視を続けた。
海軍ハーゲン通信所 通信室
01日 1230時 [作戦開始 −1日]
ウェーバー軍曹が、ランケ少尉と交代で入ってきた。
「通信量の変化は?」
「変わらない。特に多くはなってない」
ランケ少尉は、肩を回しながら部屋を出て行く。ようやく交代、といった雰囲気だ。
先ほどベルク大尉も仮眠に入り、ランケ少尉が出て行った敵信傍受班は二人きりになる。
「お前、デュッセルドルフ出身だっけ?」
マイヤー曹長が、無線機をいじりながら聞く。
「はい」
「ランケ少尉も、デュッセルドルフ出身だそうだ」
スケルチと呼ばれる雑音制御つまみを調整し、音量を絞ったり高くしたりしているマイヤー曹長の指先。
照明のせいか、その横顔は少し青白く見える。
「いいところだな、あそこは。街がきれいで、人が多すぎない。物も旨かった」
マイヤー曹長は眉間を揉みながら呟く。
疲れを隠してはいるようだが、顔色まではどうしようもできない。
「そうですか?おれ、特にいいと思ったことないですけど・・・」
「ベルリンはどうも、騒々しくて好きじゃないんだ」
ヘッドホンを外し、首をぐるりと回すマイヤー曹長。
彼の出身地を、そういえばウェーバー軍曹は初めて聞いた。
驚いて答える言葉を失ってしまう。
それだけ信頼されているのだろうか、それともただうっかり洩らしてしまったのだろうか。
「ベルリン出身なんですね」
はっとした顔でマイヤー曹長がウェーバー軍曹を見た。
自分がしゃべったことに、初めて気付いたようだ。
思わず、沈黙したまま二人は顔を見合わせる。
マイヤー曹長は、にこりともしない。
「・・・ベルリンって言っても、薄汚い裏町のほうだ」
先に目をそらしたのは、マイヤー曹長のほうだった。
うなだれたやさしい、白い首筋に、静脈が透けて見えた。
何かひどく、悪いことを聞いてしまったようで、ウェーバー軍曹は心の奥底を掴まれた様になった。
其処にはっきりといるはずの存在が、陽炎のように曖昧に見える。
マイヤー曹長に感じるひどい違和感―――例えば、モザイク画を間近で見たときのように、何かハッキリしたものが実はそうではなかった不安感を感じた。
どうして―――おれはこんな事を考えているのだろう。
ヘッドホンから、ザー、キュッーとノイズが流れ込んでくる。
気まずい空気が流れ、ちらりと横目でマイヤー曹長を見た。
きれいに造形された顎から、少年のような喉仏の稜線を辿り、開襟シャツの鎖骨に落ちていく柔らかな線を視線でなぞる。
「体調、悪いんですか」
「どうして」
精一杯の問いを、冷淡に返されたウェーバー軍曹は言葉に詰まる。
兄のように慕っていた、マイヤー曹長の異変に気付かないわけがない。
そんなこと、彼が分からないはずがないのだ。
何だか他人同士のようになってしまった空気に、ウェーバー軍曹は揺らぐ。
「顔色、悪いし・・・肩、揉みますか?」
孤島ということもあってか、この基地は気圧の変化をモロに受ける。
先ほどから強まってきた風雨は、同時にマイヤー曹長に微弱な頭痛をもたらした。
それは頭の内側での血管の収縮を感じさせる痛みであり、肩の凝りもそれを増幅させる一因となっている。
決して今まで聞いてこなかったその問いかけに、マイヤー曹長は弱々しく頷いた。
「・・・じゃあ、頼む」
ウェーバー軍曹は決定的な違和感を抱いたまま、くるりと背を向けたマイヤー曹長の肩を掴む。
さらりと零れる髪の毛の下に伸びる、蝋のようなうなじは、どこにも凹凸がない。
ほんのわずかに、ウェーバー軍曹の鼻腔を柔らかな香りがくすぐる。
針葉樹の葉を潰したときのような、爽やかでいて深い香り。
太い指が、マイヤー曹長の薄い肩を掴んだ。
シャツの布越しに冷肌の感触がし、いつも頼っていた兄貴分がこんなに華奢だったのかと驚く。
首筋の付け根に強く親指を押し当てると、「ん」とマイヤー曹長が声を洩らした。
斜め後ろから見ると、長い睫の先が震えている。
何故今まで気付かなかったのだろう。
ウェーバー軍曹は、そんなはずないという考えと、目の前の事実の間で葛藤していた。
肩甲骨周辺からゆっくりと揉み解しながら、違和感の原因に突き当たる。
薄く、なだらか過ぎる肩。抜けるような肌。滑らか過ぎる首筋、優しすぎる顎。
筋力がないわけではないし、それこそ暇さえあればよく走ったり、体力作りをしているのをウェーバー軍曹は知っている。
それでも尚、何もかものパーツが、男には足りなさ過ぎる。
どれか一つが、というレベルの話ではないのだ。
親指で、そっと首の付け根を撫でる。ピクリとマイヤー曹長は身じろぎした。
霞が晴れたように、目の前にあるものの真価に、ようやくウェーバー軍曹は気付く。
言葉を失い、呆然としたまま、優しく肩をほぐす。
誰も、一言もしゃべらない。
「・・・・」
この細い肩に、どれほどの重責を背負ってきたのか。銃を背負い、軽くはない無線機を背負い、仕事を背負ってきた。
あれほど確固たるものに見えた姿が、小さく見え、危うく、頼りない少女の肌に吸い込まれそうだ。
守るべきと誓ったその女子供の、命令を聞いていたとは。
マイヤー曹長の正体を、ほとんど確信したウェーバー軍曹は、思わず指先に力をこめる。
「痛ッ」
骨の隙間に食い込んだ指に、マイヤー曹長は驚いて思わず声を上げた。
「・・・マーシアス、どうした?」
二人きりのときだけ呼ぶ、彼のファーストネーム。
ごく近しいものしか、マイヤー曹長は名前で呼ばない。
その顎を、頬を、首筋を、確かめて触れたい衝動を抑えながら、ウェーバー軍曹はぽそりと答える。
「すみません」
少し赤みの差したうなじに、万年筆を持ったままの、震えた指先。
ネイビー・ブルーに金色の唐草模様の入った万年筆は、少なくともウェーバー軍曹とマイヤー曹長が出会ったことから使っているはずだ。
一瞬、泣いているのかと錯覚しそうになる。
「ウェーバー軍曹、もういい」
マイヤー曹長が、何かを感じ取ったのか、ウェーバー軍曹の指先を払った。
その呼び方には、明確な命令の意志がある。
一度も視線を合わせぬまま、マイヤー曹長はヘッドホンを掛け直しデスクに向かった。
胸など皆無に近く、豊かな尻もなくても、やはり女は女なのだとウェーバー軍曹は知る。
気付いてしまえば、もう後戻りはできない。
マイヤー曹長のその向こうに、大いなる深淵が待ち構えていることをそのとき彼は気付いていなかった。
『・・・らは自由ポー・・・ド放・・・す』
一言も口を利かぬ二人の通信士の、奇妙な空気を変えたのは皮肉にも怪電波だった。
海軍の通信や雑音に混じり、正体不明の電波が届いたのは、1900時を少し過ぎた頃だ。
明らかに陸地からの電波であろうこの音声は、ひどく雑音に紛れている。
ザー・・・ガガガガ、キューッという音に紛れて、無機質な男性アナウンサーの声が聞こえてきた。
『7時・・・送を始め・・・す。 0230・・・27 6659 12・・・09・・ 1867・・・』
電波を傍受したマイヤーの表情が変わる。
ガリガリと筆記していくマイヤー曹長の様子の変化に、ウェーバー軍曹はすぐに気付いた。
アナウンサーは平坦な口調で、乱数を読み上げていく。
音声は明瞭ではないが、聞き取れる限りを傍受し、筆記する。
乱数はもう一度読まれ、マイヤー曹長は聞き取れなかった部分を幾分か埋めることができた。
『行い・・・、罪のな・・・は、ムー・・・投槍も、弓も・・・ない。 7時の放送を終わります』
最後に、何かの符号を放送して、『7時の放送』は終わった。
筆記で追いかけていたマイヤー曹長の眉がピクリと吊りあがる。
走り書きされた乱数を別の電報紙に清書しながら、マイヤー曹長は記憶の奥底を浚っているようだ。
4桁ずつ、流れるような筆跡の字が電報紙を埋めていく。
清書を終えてしばらく、ペンを額に押し当て、マイヤー曹長はようやく、記憶の糸を掴んだ。
「・・・行いの正しく、罪のないものは、ムーアの投槍も、弓も必要としない。この詩は・・・」
「『頌歌』でしょう。行いの正しいものは、武力を必要としない」
見かけによらず高等な教育を受けたウェーバー軍曹は即答する。
「武力侵攻を皮肉っているのか」
マイヤー曹長は渋い顔のままポツリと呟いた。その表情に先ほどの動揺の影は微塵もない。
「不正義の証明こそが武力であると逆説的にとれます」
んんん、と唸り声を上げ、マイヤー曹長は席を立った。
「お前、頭いいな」
「家であんまり、兄弟げんかがひどかったので、拳骨のあと親父がおれ達に言って聞かせたんです」
マイヤー曹長は思わず噴き出す。
その笑った顔に、ウェーバー軍曹はひどく安心感を覚えた。
「・・・提出してくる」
背を向けて出て行くその後姿を、ウェーバー軍曹は見送った。
まるでか弱さ、頼りなさなど微塵も感じさせないその背中は、今でも兄のようだ。
海軍ハーゲン通信所 司令室
01日 1543時 [作戦開始 −1日]
「行いの正しく、罪のないものは、ムーアの投槍も、弓も必要としない」
作戦会議の後、短い仮眠を追え、入浴して帰ってきたクレッチマン大佐は、机の上に置かれた見慣れぬ文字を目で追った。
受信時刻1903時。内容は乱数。
最後に添えられた詩文は、滑らかで優しげな筆記体で記されてある。
参謀のマイヤー少佐がいつの間にか後ろに立っており、「既に軍司令部に通報しました」と報告した。
「スパイ放送か。受信したのは?」
「例の中央軍のマイヤー曹長です」
ふむ、とクレッチマン大佐は頷く。
眼鏡をかけなおしながら、マイヤー少佐が思わぬことを口にした。
「どうやら、レジスタンスに潜入した中央軍工作員の偽装放送のようです」
鋭い目で、マイヤー少佐をクレッチマン大佐が見上げる。
「潜入工作員?対連合軍工作か」
「ええ」
そうか、と報告書を置き、クレッチマン大佐は椅子に腰かける。
「それで、マイヤー曹長は?」
「先ほど仮眠に入りました」
呼び戻しますか、と聞いたマイヤー少佐に、クレッチマン大佐は一言、いい、と断る。
そのまま、積まれた他の班の報告書に目を通す。
電探班、敵航空部隊及び艦船をポイント・Fに確認。
敵信傍受班、通信量に変化認めず。
電波測定班、潜水艦の電波を座標×××× ××××に確認。
妨害班、陸軍工作部隊、C岬に指向性アンテナの資材搬入完了。
航空管制班、悪天候により、航空部隊との交信に一時期若干の障害あり。
陸上通信班、観測班を配置完了。交信に異常なし。
「作戦開始時刻、及び作戦に変化なしか」
眉間に皺を寄せながらクレッチマン大佐は呟く。
士官が、作戦図に刺されたピンを、刻々と移動していく。
「調査班からの報告は?」
不意に、クレッチマン大佐がマイヤー少佐に問うた。
低い声で、マイヤー少佐は答える。
「家族及び血縁者を洗い出しました。兄は陸軍に在籍しているようです」
報告を続けようとするマイヤー少佐を遮るクレッチマン大佐。
「報告書ができたら、すぐに上げるように」
外来兵舎 3号棟 第6室
01日 1822時 [作戦開始 −1日]
シャワーを浴び、ベッドに倒れこんでも、目が冴えて眠れない。
ウェーバー軍曹の明らかな異変。探るような指先の感触。胸の奥に、消えぬ染みの様に不安が広がる。
何故あの時、触れることを許してしまったのだろう。
暗闇の奥に沈みながら、マイヤー曹長はもはやどうにもならぬことを後悔をしていた。
恐ろしい。動悸とともに、フラッシュバックする光景。
正体が暴かれたとき、どれほど手ひどい目にあったか、マイヤー曹長ははっきりと記憶している。
何もかもを失ったのだ。
羽を千切られ、心と身体を陵辱された。そしてそれは今でもなお、続いている。
それをなしているのは、マイヤー曹長の部署で彼の上官に当たるハインリッヒ大尉。
長身、痩躯の蛇のような男は、獲物に逃げ場のないことを十分に知っていた。
そしてその悪意が、一ひねりでなせる事もまた、熟知していたのだ。
彼と同じことを、他の誰かがなさぬとはどうして言い切れるだろう。
ウェーバー軍曹―――マーシアスは、優秀な部下であったし、個人的な親友でもある。
通信士としてともに苦楽を乗り越えてきた。
信用している。それは間違いない。
それでも、今は彼が恐ろしくて堪らない。
彼の純粋さが、真っ直ぐな瞳が、屈さぬ姿勢が。
同時に、それを知ってなお、彼を疑っている自分の良心が悲しくてならない。
誰もが大尉のように、暴虐に及ぶとは考えたくなかった。
その暴虐に耐え、いつしか適応している自分の姿が醜くて、気持ち悪くて堪らない。
片隅で、頭を抱えて必死に命を繋ごうと震えている姿。
快楽に流され、一時溺れている姿。
何より、その姿をマーシアスに知られることが怖い。
―――彼は軽蔑するだろう。
よき上官であり、親友であり、兄であろうと努力してきたが、それも水の泡に帰すのか。
どうして―――、どうして。
功績も、信頼も、何故こんなどうしようもないことで失ってしまうのだろう。
温かで、優しげなマーシアスの指先の感触が、痛みのように蘇る。
―――胸の奥底が苦しい。
あの清らかな若者の指先は、暴虐の如何なるものかをまだ知らない。
自分は穢れだ。
あるいは、既にあの大尉と同じように、どぶ川にどっぷりと浸かっている。
求めることを、服従することを、暴力に屈することを知ってしまった。
大尉が悪いのではない。この世のどこにでも、あのような悪意は存在するのだ。
ただ、無防備な自分が悪かったのだ。
そのせいでいまや、再び総てを失おうとしている。
腹が立って、悔しくて、不意に目の前の闇が滲む。
枕に、涙が落ちた。
「―――っうっ、・・・」
闘う力が欲しい。挑むもの総てを屈服させるような。自分を守る力がほしい。
流れ出る涙を止められぬまま、運命へ復讐する力を、祈った。
潅木のような無力さを呪った。
あるいは、清い若者が二度とこの身を見ず、触れぬようにと願った。
暗闇に嗚咽が溶けていく。冷たい夜霧が、視界を奪う夜に。
第3観測所
01日 2021時 [作戦開始 −1日]
唇をゆっくりと舐める。
呼吸のたびに、腹の奥底まで冷えた夜が入り込み、体温を下げてくれる。
薄い、這うような夜霧が煙のように淀み、照明の光をぼやかしていた。
肩の根元の骨に溶接されたように構えた狙撃銃は、調整もなされ、いつでも完全な照準が可能だ。
銃の前方部に取り付けた脚は、狙撃手の負担を少なくし、長時間の耐久による疲労を軽減させる。
穏やかな、眠るような呼吸をしながら、イェーガー曹長は夜の闇に溶け込んでいた。
顔を黒く塗りつぶし、首にも真っ黒のスカーフを巻く。
緑と黒、黄土の円形で塗りつぶしたような迷彩の戦闘服を着、同じ柄の帽子を浅被りした闇は、観測所のベランダに寝そべり、時を待っていた。
ぼんやりとした月明かりに、琥珀色の炎だけがわずかに透き通っていた。
傍にしゃがむシュタイナー軍曹には見えないものも、彼には見える。
昼間にあって、肉眼では確認できないはずの星を確認できるまでの彼の視力、そして生きるために幼少から叩き込まれた射撃。
北の最果て、極寒の大地の先住民族の中で育った彼の強健な肉体。
それらは彼を構成する、最高の狙撃手のパーツだ。
もはや彼自身が銃の一部であり、銃は彼の一部だった。
頬を、構えた銃の上に食い込むほど乗せ、間近で吐く息が銃の上で結露する。
「アザラシ、早く来い」
イェーガー曹長はかすかに呟く。
その声はぞくぞくとするような低く、奈落の底のから響いているようだ。
「眉間でも、耳の穴でも、心臓でも、手でも足でも好きなところを撃ち抜いてやる」
コンクリから、戦闘服ごしに伝わってくる冷たさも彼の肉体の前には無意味だ。
夜の寒さなど、氷の世界に馴致した身体には春の気温も同然だった。
引き金の感触を楽しみ、銃と一体になる感覚を楽しむ。
村一番の狩人になるといわれ、狩猟の神様がついているとまで謳われた彼には、狩りは楽しみであり、生業であった。
『ブラウ・アイン(1)、ツヴァイ(2)、ドガイ(3)、こちらノルト。対象がグスタフ(G)を通過した』
小型無線機に、中央軍監視班指揮官の声が入る。
「了解。ブラウ・ツヴァイ、準備を完了している」
観測手は、彼の仕事どおり無線を傍受し、返信した。
濃くなった無精ひげを掻きながら、シュタイナー軍曹は双眼鏡に手をかける。
「獲物がグスタフ地点を通過した」
シュタイナー軍曹は、低くイェーガー曹長に伝える。
狙撃手の神経に無駄に侵入するような愚は冒さない。
緩やかな呼吸―――フラットな精神―――そして完全に調整された銃がなければ、狙撃は果たせないからだ。
マイヤー曹長も、ウェーバー軍曹とかいう若造のことも、イェーガー曹長には今はどうでもいい。
海獣が、氷の隙間から呼吸をしに浮上するその瞬間を待ち続けるように、沈黙の中でその時を待つ。
耳をそばだてれば、故郷で唄っていた皮太鼓のリズム、それに乗った狩りの歌が聞こえてくるようだ。
彼の周囲には、もう、無骨なコンクリ造りの建物も、異形のアンテナも、四角いだけの兵舎も存在しない。
凍った海、漂うカモメ、遠くに続く山脈、薄氷のような空、それら狩場が広がっている。
犬達の吐く息は白く凍り、彼自身の無精ひげにも露が凍りついているだろう。
「ブラウ・ツヴァイ、対象がハインリヒ(H)地点通過を確認」
無線に吹き込むシュタイナー軍曹。
ハインリヒ(H)地点―――門を通り、歩哨二人組が外来兵舎地区に進入したのを彼は双眼鏡で確認していた。
「ノルト了解」
ブラウ・アイン、ドガイもその無線を傍受したはずだ。
中央軍を収容する兵舎周辺及び近隣地域を警戒するブラウ・アイン、ドガイ班の兵士達は、銃剣を抜いて待ち構えているだろう。
闇の色をした靄。
そう形容するに相応しい特殊作戦部の精鋭たちは、気付かぬうちに獲物を囲み、牙を剥く瞬間を待っている。
基地に着陸しようとする偵察機の爆音が頭上を通過していく。
何も知らずに進んでくる歩哨達―――泳がされているとも知らず、あるときは海軍の兵舎管理員になりすまし、建物の中に潜入した―――の余命は僅かだ。
基地に潜んでいるであろう、彼らの仲間に対するこれは警告なのだ。
手前側の端に位置する、中央軍兵舎前面付近を通過していく歩哨達。
彼らが端で折り返し、裏面側を通過した瞬間が、命を断たれる瞬間だ。
伏せた狼のように、今にも飛び立とうと羽を広げる鷲のように、黄色い火焔が熔けるように輝く。
死神のスコープいっぱいに彼らが映る瞬間も遠くない。
質量を持った闇が、その濃度を増した。冷たい引き金を、じわりと絞り始める。
狙撃手の指が加圧する、キログラムが増す。
肺中の冷たい空気が全身を巡っているようだ。
穴を開けた氷のすぐ下に、アザラシが来ている。撃鉄が弾薬を突く一点まで、髪の毛一本に迫る。
千里眼に、スコープ越しのこめかみが映った。
あと、0.000001キログラムで撃発する。
0.00000001キログラム。
「マヌケ」
その一瞬、神の領域が訪れ、巨大な暗渠に命の終わりを告げる銃声が響いた。
海軍ハーゲン通信所 通信室
02日 0300時 [作戦開始 −4時間]
感情を洗い落としたマイヤー曹長の横顔は、人形のように動かない。
通信機と指揮官を結ぶ、部品の一部に変化した身体に生命の兆候は皆無だった。
脈や呼吸すら疑いたくなる完全な沈黙。
作戦開始前の熱気の中にあって、触れれば凍ってしまうほどに冷たく沈んでいる。
一糸乱れぬ指先でモールスを傍受し、その点と線を瞬時にアルファベットに翻訳し、書き写す。
椅子に座り、無線機に向かい、ひたすら通信を待ち、傍受する。
そのためだけに生まれてきたかのような白い身体を、ウェーバー軍曹は見た。
心の奥底から沸いてくる闘志が胸を満たす彼とは、マイヤー曹長は対照的だった。
研ぎ澄まされた刀のように、触れる全てを断つような眼光は、夜に沈んで見えぬ艦船の中の、通信室に控える通信士の指先まで見通しているかのようだ。
人を拒む神々しささえ感じる、その無感情さ。
動揺も弱さも儚さも、何もかもを背負い込んだ薄い肩も、今まで見たものが嘘のように思えてくる。
対象の艦船が使用する複数の周波数を、目隠しで細い糸に触れるように探るマイヤー曹長。
自らもまた、傍受に専念しながら、それでも時折ウェーバー軍曹は彼を見てしまう。
海峡を通過する敵国艦船の、心なしか明瞭になりつつある電波。
ヘッドホンのスピーカーのコーンを震わすモールス信号、そして音声。
墓標となる海へ向かっていくその船が発する信号を、ウェーバー軍曹はできる限りの集中力で傍受した。
コーヒーも飲まず、指を解きほぐすことも忘れ、筆記し続ける。
「アントン ジークフリート コンラッド エミル ユリウス オットー ・・・・」
傍受したモールスは脳の中でアルファベットの無線符丁に変換され、反射的に、閃く様に筆記された。
A S K E J O・・・・
一見、何の意味もなさないそのアルファベット群は、暗号解析班に回され、本来の意味を現す。
丸裸にされた通信ほど恐ろしい毒はない。
曙光とともに切って落とされる火蓋を待ちながら、ウェーバー軍曹はいつの間にか隣のマイヤー曹長のことなど忘れ、自らも一心に通信機器となっていた。
傍受した無線をひたすらランケ少尉に託し、ベルク大尉の指示に従う。
今や、それだけのために彼らは存在した。
対照的な二人の背中に、同じ明晰さ、鋭敏さを見出したベルク大尉は、中央軍の人材選びにひそかに感服する。
同時に、指揮所での煩わしい調整や、士官同士の衝突とは無縁の彼らを羨ましく思った。
彼らは孜々たる兵士であり続けている。
ただ自分の責務を果たすことに全神経を集中し、将校の野心などとは無縁だ。
若すぎる曹長とそれに従う軍曹は、互いによく信頼していることがよくわかる。
―――いや、彼らだけではないだろう。
夜明けを待ちながら、電波の伝播方向を一部に制限した陸軍の大型指向性アンテナを、責務感を以って全力で組み立て待っているであろう陸軍工作班。
水平線を睨み、戦場を待ち、そして見届けるであろう観測班。
ここで作戦を待ち受けている、レーダーや無線機に精通した古参兵たち。
直接的に成功の鍵を握る空軍の精鋭たち。
そして作戦司令のクレッチマン大佐。
作戦要員が互いの技量を信頼できるからこそこの作戦は成立するのだ。
一つの生き物のように、兵士達は曙光を待つ。
研ぎ澄まされていく空気の中で。
気を吐く戦闘通信兵の為の朝が、もうまもなくやってくる。
02日 0700時 [作戦開始 00時間]
海峡を通過する敵戦艦に向け、指向性アンテナから大出力の妨害電波発射開始。
敵戦艦、無線通信断絶。
マイヤー曹長、ウェーバー軍曹のヘッドホンから敵戦艦の通信が消える。
02日 0712時 [作戦開始 +00時間12分]
帝国側の戦闘機、敵艦に波状攻撃。
対空砲火苛烈なるも、敵艦レーダー施設を破壊。
敵艦に対する妨害電波を一時弱める。
ウェーバー軍曹、敵艦より本国への緊急信号、迎撃戦闘機出動要請を傍受。
02日 0718時 [作戦開始 +00時間18分]
敵艦に対する電波妨害の出力、再び最大。
02日 0734時 [作戦開始 +00時間34分]
敵戦闘機を、レーダー班作戦海域より30km北に確認。
帝国側戦闘機、再び敵艦に対し波状攻撃。
02日 0738時 [作戦開始 +00時間38分]
帝国側戦闘機、作戦空域を一時離脱。
敵艦、本国よりの迎撃戦闘機との交信断絶状態。
迎撃戦闘機隊、帝国戦闘機を追撃開始。
敵艦、迎撃戦闘機隊を帝国側戦闘機と識別、対空射撃。
迎撃戦闘機隊、味方艦による対空射撃を受ける。
迎撃戦闘機103機、対空射撃で撃墜。
02日 0745時 [作戦開始 +00時間45分]
迎撃戦闘機隊、混乱状態続行。
帝国側戦闘機、再び敵艦上空に侵入、攻撃。
帝国側雷撃により、敵艦被弾。
02日 0748時 [作戦開始 +00時間48分]
帝国側戦闘機、離脱。
観測班、敵艦大破を確認、電波妨害を解除。
戦闘終了。
外来兵舎 3号棟 第6室
03日 0121時 [作戦終了 +16時間]
マイヤー曹長は、椅子にもたれかかったまま微動だにしない。
部屋に満ちる、軽く甘い女性ソプラノにつつまれたまま、ソファに沈み込んでいる。
今は、何も聞きたくなかった。
目の前にぽっかりと口をあけた闇に立ちすくみ、頭がおかしくなりそうだ。
作戦終了後、クレッチマン大佐に呼び出された。
全く予想もしていなかった話だ。
彼が中心となり、設立を計画している「特務通信隊」への誘いだった。
早ければ2年後、今回のような敵通信を傍受・妨害・攪乱することを任務とする部隊が中央軍に設置されるだろう。
交渉は私が尽くす、だから特務通信隊へ是非来てほしい、という。
なぜ私に、なぜウェーバー軍曹や他の通信士ではなく、とマイヤー曹長は答えた。
中央軍通信隊の仕事は嫌いではないし、特務通信隊の任務もこれから先重要性を増すはずだ。
「私は、ただ命令された場所に行くだけです。個人的には、ぜひお受けしたいですが」
そうとしか彼には言いようがなかった。
まだまだ先のこととはいえ、それは彼にとって運命の機転になるだろう。
逡巡はしなかった。しかし、衝撃を受けなかったと言えば嘘になる。
「君は海軍川棚学校にも留学したそうだね」
その時、手を後ろに組んだクレッチマン大佐は、参謀のマイヤー少佐から書類を受け取り、息を吸い込んだ。
「はい」
「君達の友人と、こんどは共に戦うこともできるかもしれない。対連合軍の強力な情報組織を構成する機関に、特務通信隊も含まれている」
自らの経歴をここまで洗われていたことに、マイヤー曹長は警戒心を抱く。
彼が川棚学校で得た友人、経験までも調べ上げているのではないか。
だが、マイヤー曹長にとっての本当の衝撃はこの後来る。
「それに、君の父君とは仲が良くてね」
「・・・なんですって?」
マイヤー曹長は耳を疑った。
いや、彼自身の頭を疑ったといったほうが正確だ。
腹の底を殴られたような衝撃。
彼は父親を知らない。娼婦の子であり、だれが父であるかなど聞かなかったし、聞こうとも思わなかった。
「一時期、アレクサンドラ・マイヤーは海軍少尉ユリウス・リヒテルと交際していた」
知らぬ間に、顔を青ざめさせ、拳を痛いほど握ったマイヤー曹長。
ただ立ち尽くしたまま、疑問も思いつかない。
「一時期彼女は姿を消した。リヒテル大尉と結婚を約束していたからだ」
「でも兄はそんなことを覚えていません」
彼の兄から、少なくともそんなことを聞いた覚えはなかった。
「君の兄さんもまだ幼かった頃だ。私は彼と親密であったから、君の兄さんと会った事もある」
マイヤー少佐はちらりと同姓の曹長を見る。
「リヒテル大尉は誠実な男だった。勇敢な海の男で、もし飛行機の墜落事故さえなければ私以上の指揮官になっていたはずだ」
ぐらぐらと足許が揺らいでいるようで、マイヤー曹長は感覚を失う。
脂汗が浮かんできた。
ブラインドをめくり、区切られた光がクレッチマン大佐の目を刺す。
「君の事は全て知っている。何もかも・・・だから、友人の娘として君を厚遇したい」
「私はただ通信士として生きてきました。一個人として厚遇に値するような英雄ではありません」
俯き、必死に眩暈を抑えるマイヤー曹長は、力を振り絞ってそう応えた。
「高潔さ、頑なさは父君譲りだな。前を向きたまえ」
父親のハンサムな顔立ちを受け継いだその面影を、精一杯持ち上げる。
「胸を張りたまえ、誇りを持て」
彼の周辺を洗うために払った犠牲―――
連絡の行き違いにより、兵舎地区で狙撃兵の歯牙にかかった情報員のことを思い出しながら、クレッチマン大佐は言った。
言葉を失ったマイヤー曹長には、今思考する力はなかった。
「・・・特務通信隊の話は、命令さえあれば喜んでお受けいたします。ですが・・・、父の話は・・・・なんと言っていいのか私には分かりかねます」
心音がうるさい。体温が一気に下がったようだ。
思考にまとまりがなくなり、そう答えることしかできない。
紙の様な顔色をした彼を、クレッチマン大佐は気遣った。
「そうだな、・・・君には衝撃的な話だろう。・・・今日のパーティーには来なくてもいい。ゆっくりと休みたまえ」
マイヤー曹長はソファーに凭れたまま、何度もクレッチマン大佐の言葉を思い返す。
無線の傍受をしろという命令で、彼は作戦成功のパーティーから逃げる名目をもらった。
実際は、ただ空電ばかりで電報など入ってこない。
ウェーバー軍曹とは会っていないが、きっとその任務に文句を垂れていることだろう。
命令でさっさと切り上げて、部屋に戻ってきたのはいいが、昂ぶった神経は簡単に睡眠に向かいそうにない。
それで、レコードを聴きながら酒を飲んでいるというわけだ。
手足の指先から這い上がる冷気は、神経を侵食している。
ビンを持ち上げては一口ごく僅かに含むことを繰り返していた。
そうやって夜がただ滑っていくのを待っている。
シャワーを浴び、ここで何をする力も持たぬまま。
―――今は誰とも会いたくなかった。
外来兵舎 3号棟 廊下
03日 0220時 [作戦終了 +17時間]
ひどく酔いの回った頭に、かすかに甘いソプラノが響く。
ウェーバー軍曹は、熱を持った身体に少し、冷気を感じた。
まだ、起きている。
マイヤー曹長の部屋から流れたレコードの音に、何故だかウェーバー軍曹は吸い寄せられるようだった。
作戦成功のパーティーに来れなかったマイヤー曹長。
彩を瞬く間に変え、時には鋼鉄のように、時にはエーデルワイスのように、時には静かな海のように彼は表情を変える。
―――どうしても確かめねばならぬことがあった。
酔いが驚くほど醒めていくのを感じながら、ウェーバー曹長はドアに向き合う。
息を吸い込み、覚悟を決めた。
コン。
軽くノックする。起きているのならば聞こえるはずだ。
何故か胸に緊迫感を感じながら、ウェーバー軍曹は返事を待った。
しばらく沈黙が続く。
長い10秒が過ぎ、やはり眠ってしまったのかと思った瞬間、低い声が聞こえた。
「・・・誰だ」
「ウェーバー軍曹です」
恐る恐る返事を待つと、やはり無感情な声が返ってきた。
「入れ」
マイヤー曹長らしい、簡潔な命令形。
恐る恐るノブを回す。
ウェーバー軍曹は、冷たい空気に満ちた部屋と、窓に向かって座っているマイヤー曹長の後姿を見た。
白い、病室のような灯りの下に座った後姿はマネキンのようだ。
威圧感に圧倒されながら、知らぬ間にウェーバー軍曹は気をつけの姿勢をとっていた。
「何の用だ」
甘いソプラノと対照的な、喉元に刃物を突きつけるような声が響く。
振り向きもしないし、必要以外の口を利かない。
切り出し方を失ったウェーバー軍曹は、固まったように立ち尽くす。
「あの、具合が良くないようで、その・・・」
「ウェーバー軍曹、明日本国に帰るんだろう。具合が良くないのに飲んだのか」
立ち上がって、窓から夜空を見渡すマイヤー曹長の顔がガラスに映る。
「自分ではありません。マイヤー曹長の顔色が」
「・・・余計な口を利くな、『軍曹』」
彼の階級を強調しながら、マイヤー曹長はウェーバー軍曹を見据える。
初めて振り向いたその表情は青白く、幽鬼のように鋭い。
メスの刃先のような目は、灰色に爛々と光っている。
初めて降ろしたのを見た、プラチナブロンドは緩やかなウェーブを描いて耳に掛かっていた。
「失礼ですが、ひどくお疲れのようで」
返事もせず、フイっとそっぽを向くマイヤー曹長。
照明に晒された白い首筋や、細く伸びた腕が目に付く。
「そんな用なら帰れ」
なだらかに落ちた肩の線。
明らかな苛立ちを孕んだ口調とは対照的に、身体のラインは柔らかい。
「・・・・あの、おれ」
何かを言い出そうとするウェーバー軍曹の言葉を遮る。
「帰れ、ウェーバー軍曹。君の言うとおり、私は疲れているんだ」
命令形のまま、冷たく拒絶されたウェーバー軍曹。
巨体を萎縮させ、明らかに傷ついた表情をした彼をマイヤー曹長はガラス越しに見た。
弟を苛めすぎたかのような罪悪感が心を刺す。
叱られた犬のようにしゅんとしたウェーバー軍曹から目をそらした。
「早く寝ろ。飲んだなら」
「マイヤー曹長!」
上官であり、兄であったマイヤー曹長の変貌。
戸惑い、傷ついたウェーバー軍曹の、感情の迸りが思わず口を突いた。
考えるより早く、気付けば彼はマイヤー曹長に歩み寄っていた。
「何が言いたいっ!!」
マイヤー曹長が、鬼神のような表情で叫び、振り向く。
気迫が破裂し、ニキビ跡の多い右頬にウェーバー軍曹は鋭い衝撃を受けた。
パンッ!と小気味良い音がして、平手が飛んだのだ。
感情に任せた折檻など一度もしたことがない、マイヤー曹長の目には憎しみの色が灯っている。
ウェーバー軍曹の千々に乱れた心をそれはさらに深く抉った。
肩で息をするマイヤー曹長の、乱れた襟元から覗く白い稜線。
激しい感情の対立が、二人から理性を奪っていく。
もう一発飛んできた平手を右手で止めると、ウェーバー軍曹は思わず目の前の曹長の肩を掴んで揺さぶっていた。
「おれは!あんたにとってそんなに、憎いのか!!」
言うつもりのなかった本音が口を突き、酔いではなく激昂に頬を赤らめた青年は、幼さの片鱗もない。
筋肉ではち切れそうな肩、盛り上がった胸筋、太い首に見合った逞しい下半身から生み出される力は、華奢な曹長に反撃する機会を与えなかった。
激しく揺さぶられながら、マイヤー曹長は言葉を失う。
人形のように首ががくがくと揺れる。
初めて怯えたような眼差しを部下に向けたその表情から、さらに色が失われた。
「・・・・めて!放せ!!」
シャツの胸元のボタンが飛んだ。
「違う!!違う、違う!!」
マイヤー曹長はそうとしか言えぬまま、気がつけば腰が抜けている。
せめて肌蹴た胸の間の白さを隠そうと、自分の身体を抱きしめた。
―――不意に目の前が暗くなる。
「違う・・・」
知らぬ間に筋力の増したマーシアスの腕が、自分を縛り付けていた。
押しつぶされそうで息ができない。
額に当たったウェーバー軍曹の顎から、不意に熱い滴りが垂れた。
「おれ、どうしていいのか分からない。分からないんです!」
叫ぶように吐き出す、悲痛な言葉がマイヤー曹長の胸に突き刺さった。
白猫のような柔らかな肢体と、厳しくも優しい曹長としての存在のちぐはぐさがウェーバー軍曹を混乱させている。
拒絶―――陵辱の記憶がマイヤー曹長の心を縛り、一方で上官としての自分はこんな自分を否定していた。
「私はもう、潔白じゃない」
ぽそりと、マイヤー曹長が―――いや、エーディットと呼ぶべき女が呟いた。
意外なほど淡々とした、何かを失ってしまったかのような声。
「潔白は奪われてしまった」
涙も出ない。
その時、愉悦を感じてしまったことに非常な後ろめたさを感じ、エーディットは力なく身体を預ける。
「誰がそんなことを」
エーディットは返事をしなかった。
直情型の彼に知らせるべきではないことだ。
「マーシアス、いいか。魂に汚れが染みる前に、離れるんだ。さあ」
できる限りの命令口調で、エーディットは彼を突き放す。
全身の力を振り絞って胸板を押し返そうとする。
少し伸びた彼の無精ひげが白い額を刺した。
「置いていかないでください」
マーシアスが鼻をすすり上げるのが聞こえる。
抗うには無力な腕、抜けてしまった腰ではどうすることもできなかった。
「雪山で遭難したときも、最後まで一緒に歩いてくれたじゃないですか。おれを見捨てないでください」
マーシアスが、崩れるように床に膝を付いた。その力は弱まらぬ。
ひとつになった影が、冷たい床に落ちていた。
「見捨てるんじゃない」
大の男がおいおいと泣いているのを、華奢な女が慰めているのだから、傍から見れば随分奇妙な光景だろう。
「マイヤー曹長・・・マイヤー曹長」
従うべきもの、守るべきもの、守られてきたもの。
その名を呼びながら、彼の上官だったものをゆっくりと床に押し倒す。
「・・・やぁっ・・・!」
小さく叫んだエーディットの髪の毛が床に散らばり、背けようとする白い顔に両手を触れる。
肘と膝を付いた姿勢で覆いかぶさったマーシアスの目は涙で赤く腫れていた。
その落ちる涙が、高く秀でた鼻筋にポツリと落ちる。
シェイプされた顎、磨き上げられた肌、切れ長の美しい灰色、長い長い睫。
美女、とでも美青年、とでも呼べる中性的な顔立ち。
清潔でいて肉感的な唇はしっとりとした質感を纏っている。
「おれだって、いつまでもあなたの弟じゃないんです」
そう呟くと、マーシアスはエーディットの顎を掴んで上向かせた。
―――今一時でもいい。
無理矢理唇を重ねる。頑なに抵抗して閉じる唇の柔らかさ。
「んっ」
壊れない程度の力で鼻を摘む。
空気を求めて唇が開いた瞬間を狙い、こじ開けた。
「んんぅっ」
抵抗するように唸るエーディットの声。
舌が口腔に侵入し、彼女の酒の後味が残る口蓋を舐った。ねちゃ、と唾液の絡まる音がする。
唇を貪る、まるで軟体生物の性交のようなキス。
舌を動かすと、口蓋の、硬い感触から、舌下のぐにゅぐにゅした感触へと変わる。
重なった舌が柔らかく、まるで胎内のようだ。
舌の根元の筋を舐め上げると、エーディットは身体をピクリと動かした。
「ぁあっ・・・」
何度も其処をなぞると、堪えた喘ぎ声が漏れる。
目を閉じ、皮膚感覚に全神経を集中させていると、肌で彼女の体温が増すのを感じる。
舌を犯し、擦りあい、いつの間にかマーシアスは柔らかい身体に沈み込んでいた。
歯列の表から裏までなぞると、唾液が溢れて顎に滴る。
貝の内部のように、重なり絡まる柔らかい肉。
こんな華奢な身体に、今まで自分はどれほどの重責を与えてきただろう。
頭のどこか遠くでそんなことを考えた。
舌を抜き、唇を離すと、マーシアスは首筋まで滴った唾液を舌先で舐めとる。
神経をくすぐられたように、その感覚がエーディットの脳髄をダイレクトに刺激した。
「ああ、んっ」
ピクリ、ピクリと反応する表情と身体は、もはや女以外の何者でもない。
「だ、めだ、マー、シアスっ」
指先まで震わせながらする拒否は、彼をあおる以外の効果はなかった。
「こんな表情をして、何を言ってるんです?」
まさに命令反抗をした態度をしたマーシアスに、しかしエーディットは制裁を加える力などない。
顎の輪郭を、唾液にぬれた舌でなぞる。
「『口』を慎めッ!」
極めて具体的な叱責にも構わず、顎に唇を寄せ、キスマークの残らない程度に吸い上げた。
脳髄まで蕩けるような感覚に、頬が熱を帯びた。
「ああーっ・・・」
「床、冷たいですか?」
追撃とばかりに、エーディットの耳元に、息をそっと吹き込む。
そのまま耳朶を口に含み、ちろちろと刺激した。
「ふぅ、ん、ん」
舌先で刺激するたびに、漏れる声。
「おれだって、童貞じゃないですよ」
従順だった部下の、意地悪そうに囁いた声が妙にはっきりと聞こえる。
エーディットはねちっこく理性を蕩かし、崩していく長い長いキスに屈服しそうだった。
脱力し、意識が白っぽくなっていく。
大尉に抱かれるのとはその感覚が違った。
「おれは、はぁっ、マイヤー曹長がっ、・・・してほし、い、なら・・・何でも、します」
不意に身体がふわりと浮かんだ。
何の不安定さもない。
抱きかかえられたまま、ぼうっとした頭でそう思った。
内腿が熱を帯びているようだ。
快感が内臓までぞくぞくと這い上がってくる。
ベッドの上にぽそりと身体が置かれた。息を荒くしたマーシアスの指が、ボタンの飛んだ胸元から侵入して来た。
この部下を大尉の脅威に晒すわけには行かない・・・ぼんやりとしながらも、エーディットはそれを忘れない。
たっぷりと互いの匂いをつけて帰ってくれば、あの大尉が見逃すはずが無い。
「ダメだ。あんた、ま、だ死に、たく、ないだろうぅっ」
その言葉に構い無く、大きな掌が、服の下に眠る僅かなまろみを捏ねる。
小さめの蕾を指先が摘み、そのたびに言葉が乱れた。
「今更何を、言って、る、んですか」
吐き続けてきた拒否の言葉も、効果はない事をエーディットは悟る。
人形の服を脱がせるように、らくらくとマーシアスは彼女の衣服を除きはじめた。
つるりとしたマネキンのような足が剥き出しになる。
「身体だけはっ」
海に漂っているかのように、不確かな感覚。
大事な部下だと思って、手塩にかけて育ててきた。
―――どうしてこんなことになってしまったのだろう。
「おれの事嫌いなんですか」
「違っ」
とろりとした熱が内股に溢れるのを感じた。
太い指先が、湿って張り付いた下着の脇から侵入してくる。
淀んだ熱、体中の筋に伝播する快楽に、新しく秘部の襞をかき回される鋭い刺戟が加わった。
「や、あん、あ、ああっ」
ずり上げられたシャツでは、もはや横隔膜の激しい収縮、そして紅に染まる肌を隠すことはできない。
美しい顔をゆがめながら、喘ぎ声を漏らすエーディットの妖艶な姿は男の理性を奪うことなど易い。
指を咥えた横顔は、さっと桜色に染まっていた。
「曹長の、中にっ」
ベルトのバックルを外し、ズボンを下げると、逞しい臀部から伸びた太い大腿が現れる。
「んんっ、マー、・・・シ、アス」
細い腰を持ち上げ、逃げようとするが優に40kgを超す体重差には敵わない。
下着についた先走り液の染みを持ち上げる肉茎は、ブレーキなど利かないことを表している。
迷い無く下着に手を掛け、彼は溶けた鉄のようなそれを剥き出しにした。
太く節くれだった肉茎は、我慢に我慢を重ねて十分に肥大化している。
「や、そんなのっ、入ら、ない」
恐怖感にエーディットは目を剥く。見るだけでも息苦しくなるようだ。
彼女の抗議は虚しく、両足に割って入ったマーシアスの太いが締まった胴体がぴったりと秘部にくっつく。
敏感になった花弁を押し分け、とろりと蜜に濡れた膣にそれが押し当てられた。
可愛がっていた部下のそれが、こんなに凶暴だとは誰が思っただろう。
息んだ彼の肉茎が、ぐりぐりと秘部を裂くようにして侵入してくる。
「は、はぁ、あああああああ!」
内臓を持ち上げるような異物感が膣内に満ちた。
悶え、いやいやをするエーディットは、思わず叫びにならない叫びを漏らす。
マーシアスは腰を掴み、結合を深くした。
どろどろになった膣内はすべりがよく、締まっているが進めるのは楽だ。
「これが、マイ、ヤー、曹長、の・なか・・・」
顎を突き上げ、マーシアスは思わず仰け反った。
肉の幕が、男を搾り取るような膣の感触。
結合部からは、卵白のような愛液が溶け出している。
もう一度、マーシアスが白い顔に咲いた唇に軽く口づけした。
「・・・動かします」
くちゅ、と結合の具合を確かめ、涙に濡れたエーディットの顔を見つめる。
切れ長の瞳が印象的な凛々しい顔立ちは、表情に甘さがないからこそ却って淫靡だ。
「んっ」
腹の中を蠢く圧迫感にエーディットは唸る。
膣を擦る肉の感触に、身体の芯から溶けていく。
しっかりと抱きとめられた身体には、ストロークの力が余すことなく伝わった。
「だめ、だめぇ、こ、んなの違うぅぅぅ」
身体を絡めとる快感に、溺れていきながらもまだ理性を手放さない。
出し入れを始めた肉茎の摩擦が激しくなっていくにつれて、その声はしかし乱れていく。
「あんっ、あうっ、っぅううう、うううぅ」
快楽を禁じれば禁じるほど、身体の感度は研ぎ澄まされていく。
じゅぶっ、じゅぶっ、じゅぶっと繰り返される出し入れの音が部屋中に響き、ベッドが軋んだ。
「んああああ、ダメぇぇぇぇ」
エーディットの目から、涙がとめどなく溢れていく。
いつも彼を従わせた上官の淫らな表情は、彼の脳を麻痺させた。
腰を動かし、一体となることに溺れ始めたエーディットの口元から唾液が零れる。
カクカクと、壊れた人形のように揺さぶられるその身体。
「マ、イヤー、曹、長の中っ、あああ、いい、い、いです」
全身で挿入しながら、思わずマーシアスは獣のようなうめき声を上げた。
「んん、んんんんんぅぅぅ」
エーディットの激しい喘ぎ声が高まり、行き場の無い両手がシーツを強く握った。
激しさを増す出し入れに、身体の揺れが大きくなる。
「ああああっ、あ、ああああ」
マーシアスの唸り声と共に、唾液が白い胸に落ちた。
互いの締め上げるような感覚が、絶頂まで導いていく。
ぎしっ、ぎしっ、ぎしっ、とベッドのスプリングの音が部屋中に響いた。
「あっ、あっ、あっ、融けるぅぅぅ」
粗野でいて愛しむような情交。
目の前が霞み、息が荒くなり、脊椎を快感が満たす。
狭い膣口にしごかれる肉茎は、もう暴発寸前だった。
「んんんっ・・・」
優しい身体の線が、大きく揺らぐ。
「マイヤー、曹、長っ」
短くマーシアスがエーディットを呼び、腰に指が食い込んだ。
身体が一瞬にして、燃え尽きるような感覚に陥る。
「ぅ・・・・・!」
その瞬間、エーディットは声なき叫びを挙げた。
―――胎内が白濁で満ちる。
「ぁぁぁぁぁあああ」
快楽に天を仰いだマーシアスの姿が、ぼやけて見えた。
強く抱かれたまま、エーディットはしばらく息を切らしていた。
呆然としたまま、変わってしまった関係、目の前の事実を眺めている。
増えてしまった問題―――マーシアスを、どう大尉から守るか、というとても厄介なもの。
「どうして」
涙ぐんだ目で、その見慣れた弟の顔を見上げる。
愛おしかった。それはいまでも、護るべきもののままだ。
「どうしてこんな事を」
白い手が、するりとマーシアスの頬を撫でた。
切なさそうな眼でエーディットを見下ろし、マーシアスは沈黙する。
あまり一緒にいてはいけない。エーディットはそう思い、ベッドから離れようと思った。
「・・・本国に帰っても、絶対にうちの部署に近づいてはいけない。当分は」
あんたのためだ、いいな、と一方的にエーディットは念を押す。
そのままするりとベッドを抜け出し、彼女はシャワー室へ向かった。
マーシアスはその後姿を見送る。
細く壊れそうな足首、野生動物のようにすらりとした足、その上のきゅっと締まった尻。
結局、シャワー室でもう一度彼女を抱き、マーシアスはふらふらの状態で本国に帰ることになる。
中央軍本部隊舎 屋上
06日 0910時
黒塗りの、小型高級車がレンガ造りの隊舎の前に止まっている。
建物から出てきたロマンスグレーの将校―――海軍大佐に付き従い、見慣れた細身の影が出てくる。
松葉杖をついたクレメンス・ハインリッヒ大尉は、屋上からその様子を見ていた。
スタミナと軽量性を兼ね備えた筋肉、無駄な重さなど少しもないスリムな肉体。
総合して「蛇のような」という形容詞が相応しい。
任務中、大腿を貫通した傷はまだ癒えそうにないが、帰ってきた彼女を『尋問』するのに支障はないだろう。
しようと思えば、腕力だけで抑止できる。
ハインリッヒ大尉は軍人らしからぬ、にやりとした笑みを浮かべる。
着こなした黒に金の飾りのついた中央軍の制服は、彼の残忍さをよく引き立てていた。
やっと判明した父親の墓参くらい、どうこう言う気は全くない。
彼の通信士にも、自由は与えてある。
だが、そこに入り込み、縄張りを荒らすものを彼は許す気はなかった。
「殺気立ってるぜ」
不意に後ろから声が掛かる。
振り向かなくても、その声の主が誰なのかはすぐ分かる。
「よお、ルーシアスか」
発進した乗用車の後姿を見送ったまま、ハインリッヒ大尉は同期のルーシアス・イェーガー上級曹長の名を呼んだ。
二人の身長は同じくらいだが、筋肉のつき方は対照的だ。
そして、その性格も実に対照的であった。
何かに殺気立っているが、大体こういうときハインリッヒ大尉は碌なことをしなのをイェーガー曹長は知っている。
廊下で擦れ違いざま、ふわりと彼女の香りをまといながら擦れ違っていったあの通信士。
ここ最近、ハインリッヒ大尉を警戒し、徹底的に避け続けているマイヤー曹長。
―――あまり私を怒らせないほうがいい。
イェーガー曹長は、見慣れた同期の顔がぐにゃりと笑ったのを見た。
帽子のつばの陰、触れれるものを焼き切るような電光が、その目に宿ったのを見た。
>>1 さんスレ立てありがとうございました。
前後に分けたかったのですが、仕事の関係で次投下できる時期が分かりませんので、
今回一度に投下いたしました。
長文投下失礼しました。
たたたた、たまらん!!
マーシアスがかわいすぎる!
エーディットがかっこよすぎる!
ハインリッヒが怖すぎる!
最高にGJでした!
GJ!!ただウェーバーと聞いてPSU思い出した自分orz
>>37 訂正ですorz
×リヒテル大尉
○リヒテル少尉
読み応えたっぷりで堪能させていただきました
次をまたじっくりと練り上げてください
楽しみに待っています
GJ!エロじゃない部分も面白くて読みふけってしまった。
しっかりした物語は非常に好みです。
いや、楽しませてもらいました。お仕事頑張ってください。
前スレ埋めネタ、GJ!!!
前スレ埋めGJ!!
すげえ、うめええええ!
>>13 GJ!!!
毎回読み応えがあってすごい。
大尉のエーディットへのお仕置きを想像してガクブル・・。
けど期待して待つ俺は鬼畜。
次回の投下を楽しみにしてます。
仕事の負担にならないようにがんばってください。
乙
素晴らしい緊張感!GJ!!
ところで、アニメ三銃士の『アラミス』を覚えてる奴は?=俺は当時中学生だったが、夢の中にハダカになったアラミスが出てくるほど興奮してしまった
待ってましたGJ
相変わらずエロもエロ以外も読ませるなぁ…
続きを大いに期待
>>58 ノシ
自分もリアルタイム放送時アラミスに萌えまくってたよ
彼女のおかげででこの属性に目覚めたといっても過言ではない
エーディット、待ってました! GJです。
大尉のねちっこいお仕置きに期待。
エーディット、こんなクオリティの高いエロは中々読めないだろうな。
細部に凝ってるから書くのに時間がかかるんだろうね。
敬礼したままで待ってるから続きを書いてください!
保守
あかはな氏待ち上げ
俺は学ラン着た女の子が良い
「広瀬について」はあれで終わりなのかな。
続きが読みたくて仕方ないんだが。
激しく右に同じ
そう言えば源義経が実は女性という設定のゲームやコミックがあったような
>>69芸夢もあったんだけどな那須与一が眼鏡っ娘で平清盛か誰かが盲目のが、けど名前が思い出せねェ。
関係無いが、「ジンギスカンの正体は源義経」という説がある
広瀬についての続き読みたいナァ……
>>72 その言い方だとやはり羊肉の方が思い浮かんでしまうw
>69
勧進帳で打ち据えたあととか妄想して悶えた記憶があるなあ
あかはな氏へ、続き待ってます
ヤングジャンプの新作のノノノノって漫画が、男装少女だったよ
作者が作者だから、この先どんなスポーンな方向に行くかわからんけどな
とりあえず経過待ち。変な方向に走り始めたら容赦なく切る。
ベルばらのオスカルが男装なのを昨日知った。
あれは男装を隠していないし
周囲も知っているし
なかなかレアなパターンだよね
オスカルは女であることを隠してるとかつて思っていた漏れが来ましたよ
読書感想文をふざけてベルバラで書いた俺が来ましたよ
角川から発売中の、螺旋のプリンセスってノベルの主人公が男装少女だった。
今月のザ・スニーカーでも連載開始なので期待したい。
>>84 ラノベって何気に男装少女結構出てるよね。GA文庫の「ボクの紫苑」、
あとは少女向けになるけど同じ角川から出てるビーンズ文庫の「マスケティア・ルージュ」や
「身代わり伯爵」のシリーズ、小学館のルルル文庫の「パイレーティカ」など。
「デルフィニア戦記」には男装少女が3人出てくるが
どれも女であることを隠しているわけではないな。
女であることを隠しているのでは
古いけどコバルトの「ざ・ちぇんじ!」を思い出した。
男として生活している姉姫と女として生活している弟君の話。
>>85 ラノベ、特に少女向けだと主人公がお姫様だったりすると、必ず一度は男装するイメージがある。
旅する時に便利だとかそんな理由で。周囲にバレバレな男装で「西の善き魔女」とか
「流血女神伝」でも主人公が性別隠して小姓になっているから、男装といえるだろうし。
「十二国記」でも陽子が男装してた。
他にも探せばたくさんあるな。
男装少女と言えばキノが一番だな。
男装+ボクっ娘+ひんぬー、と萌え所がそろってる。
同じく少女向けだけどビーンズ文庫新刊の彩雲国物語に男装少女が出てた。(番外編だけど)
オマケに主従関係という。
文庫本にも手を出して見るものだ。
…ってか探すと大量に出てくるね。
投下します。エロ無し注意報。
晃の一言にその日の寝つきは悪く、夜中に天井を見ながら悶々と赤木夕貴のことを考えるはめになった。
それまで最も身近にいた、男だか女だ分らない人間は全く本人の趣味で男の振りをしている。
女好きだし、彼女も作る。セックスは女でもジェンダーは男と言うのだろうか。
とは言っても、あれで彼氏を家に連れてきたりしたことも無い訳でも無いことも無い訳でも無かった。心は男と、そうばっさり言い切れるものでもないんだろう。
「お……あたしはなあ! あた、あた、お、俺らしく、生きてんの。彼女作っても女捨てる気はねえし、彼氏作っても女の子見て何が悪いんだよ馬鹿ヤロー!」
失恋した晃が飲んだくれた挙句、親切な通りがかりのサラリーマンに送ってもらった際、玄関先でそんな台詞をゲロと一緒に吐いていた。
その時のサラリーマンはどこまでも親切で、晃が汚したものの後始末を手伝ってくれた後に、笑顔で「お兄さんによろしくね」と残していった。
しかし、晃のその遠吠えが赤木夕貴に通用するんだろうか。赤木夕貴が自分らしさを追及した挙句に男の振りをしているとは、どうしても思えない。
ならどうして赤木夕貴は少年を装っているのだろう。晃があまりにも自然に男と女の真ん中に立っているために、他人の男装も個人の個性としか見ていなかった自分がいた。
散々考えてみるものの、ロクな理由が思い浮かばない。考えて考えて考えて、やはりロクな理由は思い浮かばなかった。
「うわああああ!」
晃の大声が突然響いた。反射で飛び起きた後、リビングから轟音。
気づけば窓の外は白い光に満たされていた。眠らないままに悶々と思考に耽っていたらしい。
ずるずると後を引く思考を置いておいて、体を動かす。
リビングでは冷蔵庫が倒れていた。それまで見たことも無い冷蔵庫だ。その上に赤ら顔の晃が寝ていた。
「ただいま帰ったぞお」
にへらと笑いながら顔を上げた。ただいまと言われても、俺はいつ晃が外に出たのか分らない。
出かけてたのかと言うとケケケと気味の悪い声が返ってくる。酒の臭いがむわっと顔にまとわりつく。
どこから拾ってきたものか晃に押し倒されている冷蔵庫は、砂にまみれて色落ちしていて、所々錆びついていた。
冷蔵庫に頬をすりよせている晃は起き上がる気配が無い。酔いどれの相手は嫌いだ。
気にしないことにした。
「学校行ってくる」
歯磨き洗顔着替え朝食洗濯掃除その他に追われて、俺の時間は矢の如く過ぎたが晃はずっと寝ていた。
「曜一い、コレ飼っていいかあ?」
飼えるもんなら飼ってみろ。
「学校行ってくる」
「行ってら」
家を出ると制服を着た少年少女が一様に同じ方向へと進んでいた。
軽く息を吐く。赤木夕貴の姿はまだ見えない。
上を見れば黒い電線の向こうに、まだ日に慣れない空があった。
ここ数日は快晴が続き、それは今日も同じらしい。電線の上に鳥はいないが黒い線に沿って地面に鳥の糞が続いていた。
ほどなく赤木夕貴がやって来る。
「おはよう。曜一、昨日送ったメール見てないでしょ」
「メール?」
「そうだよ」
携帯電話を取り出す。小さな画面は暗かった。ボタンをいじってみるものの一向に明るくならない。
「電池切れ?」
ああ、と短く返す。携帯電話をしまってからメールの内容を尋ねた。
えっとね、と唇に指を当てて赤木夕貴が始めたのは他愛も無い雑談だった。にこにこと話す赤木夕貴に応じながら、俺はゆっくりと歩いていった。
HRにて、教師が教団に立った途端に猛烈な眠気に襲われた。
朝まで赤木夕貴のことを悶々と考えていた、と表すと変人か変態のようだが、とにかく一睡もしていない俺の脳は疲れていた。
どうにか教師の出欠を取る声に返事をした後、すぐに温かい闇に沈み込まれた。溺れるように俺は睡眠を貪っていく。
途中色々な人間に「起きろ」と言われた気がする。
途中何度か鐘が鳴った気がする。しかしそれらは全て俺の外の出来事で、俺の飢えきった睡眠欲には到底届かなかった。
ふと、赤い闇の中で白い何かが踊った。冷蔵庫だ。
晃が拾ってきた冷蔵庫が右に左にと跳ねている。ぴょんぴょんと跳ねる冷蔵庫の中では赤木夕貴が目を回していた。
晃は冷蔵庫の餌に赤木夕貴を選んだのか!
突然冷蔵庫がバランスを崩した。ドアのある面を下に倒れていって、轟音。
しばらくの静止の後に冷蔵庫が揺れた。
助けてと赤木夕貴のへなへなとした声が――
「曜一!」
呼ばれてはっと顔を上げると、友人数人が俺を囲んでいた。
「……今何時?」
「4時間目だバカ、体育だよ!」
見ると、教室には俺たちしかいない。一気に目が覚めた。体操着を鷲掴みにして友人達と教室を駆け出ようとして、赤木夕貴の姿が見当たらないのに気づいた。
「赤木? 腹痛いって、保健室行ってる」
しばらく続いた日照りのために昼時の校庭は乾いていて、しかも今日は風が強かった。
一つでも風が吹く度に砂埃が立つ校庭で、男子はサッカーを、女子はテニスをやらされた。
授業終了の鐘が鳴ると、教師も生徒も我先にと校舎へ駆け込む。
校舎の中では風と砂への文句を口々に言い合いながら、生徒が昼食の準備をする。
「曜一、どこに行くんだ?」
教室に背を向けようとする俺に、友人の1人が声をかけた。
「保健室」
赤木夕貴は体が弱いと言う理由から、体育の授業に現れたことはほとんど無い。
本当は風邪を引いたことも無いんだけどね、と力無い声を笑いに混ぜながら言った赤木夕貴を思い出す。
普段ならば体育の授業中、赤木夕貴は教室で自習している。俺の知っているところでは保健室に行ったことすらも無いはずだった。
あまり見覚えの無い廊下を歩き、人気が無くなったところで保健室と書かれたプレートを見つけた。
白い引き戸をノックして保健室の中へと入ると、作業机に向かう養護教諭が微笑んで俺の方を向く。
学校の中にあって、学び舎と呼ぶには違和のある静かな場所だ。壁際には何台かのベッドが置かれ、その1つだけカーテンが閉まり中を窺うことができない。
白衣を着た養護教諭は笑顔でどうしましたと尋ねてきた。赤木夕貴の様子を見に来たと告げると、したり顔でベッドへと案内し、カーテンを開く。
「赤木さん、具合はどう?」
「まだ少しお腹痛いです」
布団から首だけ出して横になっていた赤木夕貴は、養護教諭の後ろの俺を見ると僅かに唇の端を持ち上げた。
赤木夕貴に2、3質問をすると、養護教諭はヒールを鳴らしてベッドから離れていく。ベッドの中の赤木夕貴を見下ろすと平生よりも顔が青白い。
大丈夫かと冗談を混ぜて尋ねると、弱々しいながらも冗談で返してきた。
「椅子使いなさい。立ったままだと疲れるでしょ」
差し出された安っぽい4脚の椅子をありがたく俺は使わせてもらった。
ふっと薄化粧の顔で養護教諭は上品に笑って、それから机の上に散らばっていた紙やら何やらを整理する。
「先生、ちょっとここ空けるけど、任せてもいいかしら」
「あ、はい」
「お願いね」
にっこりと笑みを作った後、養護教諭はシャッと音を立ててベッド周りのカーテンを閉じた。
俺が驚いている間にヒールの音が遠ざかり、引き戸がスライドする音がする。
「お願いね!」
静かに引き戸が閉まった。
いきなり2人きりにされたカーテン製の密室は、カーテンが窓からの光を和らげているせいで静かな光に満たされている。密室だけあって昼休みの喧騒が遠い。
ほう、と赤木夕貴が大きく呼吸したのでカーテンへと向けていた目を移す。
「あの先生ね、僕が女だって知ってるんだ」
へえ、と軽く返事をしようとして、口から出た声は思いのほか低かった。
また1つ大きく赤木夕貴は呼吸して、布団の下でもそもそと、腹とおぼわしき部分に手を当て撫でていた。
「腹痛って生理痛か?」
俺の発言に大きな目をぱちくりと丸くする。
「な、何で曜一が生理痛だって知ってるの?」
俺も驚く。
「……セクハラのつもりだったんだけど、ごめん」
「やだ、曜一変態」
くすくすと笑う赤木夕貴はかわいい。誰が、掛け布団の下でスカートではなくズボンをはいていると思うのだろうか。
「辛いか?」
あんまり、と言おうとした口が歪んで、潰れた声が漏れる。しみの1つも無い眉間には皺がよった。
静かに目を瞑って、赤木夕貴は深呼吸して体を落ちつける。痛み止めは無いのかと聞くと、今まで生理痛らしい生理痛を感じたことが無くて薬を服用した経験も無いと言う。
痛いの痛いの飛んでいけでは無いが、きつく目を閉じている顔の頬に手を当てて、撫ぜてみる。手の平から伝わってくる強張った感覚に手を引っ込めようかと思った。
ごめん、と謝りそうになった時に赤木夕貴の目が開く。言葉に詰まった。
「あったかい……」
幸せそうな笑みが直に伝わる。俺の手にそっと触れた両手は小さく冷たくて、男の手の形を確かめるような動きが心地よかった。
「曜一の手、大きくてあったかい」
「そっか」
その自分のした返事が今までに聞いたことの無い優しい声だったので、恥ずかしさに頬が熱くなったが、いとおしげに俺の手に頬ずりする赤木夕貴にどうでもよくなった。
赤木夕貴の髪に手を入れて頭を撫でてやると猫のように目を細めて、今にもにゃあと鳴きそうに満足げな顔をする。
淡い光にも濡れたように艶めく黒髪の柔らかさに、眠気にさえ似た安堵が生まれた。
「きもち、いい」
「生理痛はどうなった?」
えへへ、とくすぐったそうに笑う。
「痛いけど、それより曜一の手が気持ちいい」
ほう、と満ち足りた息を吐いて、あ、と何気なく声を上げた。俺も何気なく返事をする。
「うん?」
「曜一、あのね、曜一の手で僕のお腹、撫でて」
一瞬、血液の流れが止まった気がした。
期待に光る瞳が俺をしっかりと捕らえていて逃げることができない。突拍子も無い要求から目を逸らせないまま、俺は凍りついた。
「はい?」
「すごく、曜一の手ってあったかくて気持ち良いんだ。ただ触られてるだけなのにマッサージ受けてるみたいで、すごくあったかくて」
いかに俺の手が気持ちいいのかを赤木夕貴が説明している間、俺は赤木夕貴がまた両手で俺の手を包み込んでいることにしか目をやれなかった。
どういう訳だかさっきまで冷たく心地よかったはずの赤木夕貴の手が、今度は火傷するほど熱く感じるのだ。
今更ながら少女の肌に心を揺さぶられた。ほんの少しでもつうと細い指の腹が俺の手の甲を這うと、それが震度7の地震になって脳やら臓腑やらが揺さぶられるのだ。
ぐらぐらと俺の目の前は揺れているのに、知らないのか分からないのか、赤木夕貴は寝転がったまま滔々と話している。
「だから、あのね、曜一に触ってほしい」
「ん、いいよ」
口が勝手に動いた。
「ありがと」
俺の返答に、桜色の笑みを咲かせた赤木夕貴からはもうこれ以上の至福は無いというばかりの空気が漂ってきて、これ以上無く俺は追い詰められたのだった。
片手は赤木夕貴に絡めとられているために、空気にしか触れていないもう片方を布団の中に突っ込んで赤木夕貴の腹部に触れなければいけない。
小学校の理科の実験だ、赤木夕貴という乾電池に俺の手をつなぎ、豆電球に光をつける。
おかしなことは、まだ片方の極にしか手はつながれていないのに、豆電球たる俺の頭は熱を帯びているのだ。
これからが本番とでも言うのだろうか。勘弁してくれと願いながら、ともすれば溜息しそうになる口をぐっと結んだ。
情けなくもぎこちない動きしかしない手を握って、開いて、もう一度繰り返して、布団の中へ手をそろそろと入れる。
始めは乾いた布に挟まれてするすると進むのだが、すぐに水気を含んだ人の体温に包まれて早速手を引っ込めたくなる。
布団の中で指先が制服に触れた。
汗ばんでしまっている手をシーツに軽く押し付けて、位置が上すぎたり下すぎたりしないことを固く祈りつつ赤木夕貴の体の上に手を置いて、どこに手を置いたのか分らないまま何もできなくなった。
「……えっと、曜一」
「ごめん」
赤木夕貴の顔を見ることができない。変なところ触っていないかと、それだけを尋ねるのにももたついた。
「ううん、お腹触ってるけど、あの、もう少し下」
「下? ああ、うん。下、下……」
少し手をずらす。
「もう少し、下」
さらに少し、ずらす。
「この辺?」
「うん、そこ」
そこ、と言われた手の平の下に何があるのかなんて考えが飛び込んでくるのをせき止めながら、手を動かしてみる。
豆電球がついてしまった。制服越しでも、男と全く違う華奢な作りがしっかりと伝わってきたのだ。
下腹の上で丸を描くように手を動かすと、手の平の下で制服がしわをよせ、手の上で掛け布団が揺れ、そんなものにまで申し訳の無さを感じてしまう。
ん、と赤木夕貴が上げた声に馬鹿馬鹿しいほど高く心臓が跳ねた。
はあ、と満足気な吐息の熱さが、頬に敷かれた手を撫でる。
「気持ち、いい」
撫でている場所が頭から腹に変わっただけで、赤木夕貴の反応だって同じなのに、それが妙に扇情的に感じられて、あまつさえ体を火照らせている俺は変態なのだろうか。俺が悪いのだろうか。
機械的に丸を描く作業を続ける手がつりそうなくらい緊張して、インスタント食品を温めるくらいの時間しか経っていないはずなのに、腕が崩れ落ちそうに辛い気がする。
ん、と目を細めている赤木夕貴の声にまた心臓が飛び上がって、元の位置に戻る前に、布団の中の手に冷たい指先が触れる。
いつの間にか小さな手が片方布団の中へと潜りこんでいて、俺の手に重なった。
爆発したと思ったほど心臓が跳ねて、気づけば布団の中に入れていた手が自分の顔の横にあった。
「曜一? ……あ」
勢いよく布団から手を抜いた俺に目を丸くした赤木夕貴は、やっと赤信号のようになっている俺の顔に気がついて、自身もかあっと顔と熱くする。
頬に敷かれたままの手でそれを思い切り感じ取ってしまった。
お互い口をつぐんでしまい、保健室という場所がいかに静かであるかが身に浸みる。
とりあえず謝らなければと思うのは、日本人たる証拠だろうか。だが何に謝っていいのか分らない。
とにかく謝罪の言葉をと焦るが、口は空回りすらできないで何の言葉も発せないまま終わってしまい、情けないと自虐するほか無かった。
「よ、曜一。あの、ごめん。嫌だった?」
ぐずぐずしているうちに先手を取られる。駄目駄目だ俺。
「んな訳、無いよ」
照れたような、嬉しそうな、それでいて少しばかり困ったような曖昧な表情を浮かべて、敷いていた手に自分の手を重ね、やけに緩慢な動作で起き上がる。
「曜一、あの、あのね」
物言いたげな視線に姿勢を正してから、できるだけ不自然にならないよう心を落ち着けて続きを促す。
ベッドの上で手が重なっているせいか、案外に顔が近いと思ったところで、赤木夕貴と思いっきり唇がくっついていた。
まず、灰色のごちゃごちゃに埋められていた頭が、真っ白になった。
それから本当に目の前にある赤木夕貴の顔が、今は目を閉じているのに気がついた。綺麗に整った睫がすっと黒い線を描いて瞼を縁取っているのがよく見えた。
二重瞼だったんだなあと、意味も無く感心する。
そして赤木夕貴が首を少し傾げて触れ合う角度が変わって、ついでに俺の頭が状況を理解して再度頭が赤信号になった頃には、唇の柔らかさと甘さにすっかり捕まっていたのだった。
少し開いた唇から覗いた舌に唇をなぞられ、鼻にかかった、男が出してもどうしようもない声が漏れ、ほんの僅かだけ生まれた隙間にしゃぶりつかれた。
ジュース1本買うのに散々優柔不断に悩んでいた少女が、大胆に男に攻め入ってくる。片手は相変わらず白いベッドの上で俺の手の上に重なり、片手は俺の方に添えられていた。
掛け布団はすっかり投げ出され、ベッドの上に座りながらも体全部で俺に迫っていた。
今誰かがカーテンを開けてこの光景を見たらどうしたって男同士のキスシーンだろうが、どうだっていい。赤木夕貴は女だ。
小さな体を精一杯伸ばして唇をよせているのが辛いんじゃないかと気づいたのは、ぺろと唇を舐められた時、重なった手の重みが痛いほど増したからだった。
そもそも赤木夕貴にばかり奉仕させておいて、口内を熱く、静かに蹂躙する舌に俺は全くマグロだった。
宙ぶらりんになっていた手を小さな肩に置いてもう少し楽に座れるようにとベッドへ押してやる。繋がったまま離れないよう自分の体も傾けると、さらに深く繋がった。
なんとも表せない濡れた声が赤木夕貴の鼻から漏れ、とろんと重たげに開いた瞳は蕩けそうに潤んでいた。
陽炎が立ちそうなくらいの温度で視線が絡み合った後に赤木夕貴はまた目を閉じる。
ちろちろと舌先で舌先をくすぐられ、こちらが舌の裏を舐め上げるとまた濡れた声を漏らし、淫らな水音を立てながら絡め合わせてきた。
頭の芯が熱に浮かされぼんやりとしてくる。お互いの舌も歯列も歯茎も上顎も舐めあって、唾液の味を知り合う。
口の端からとろとろと溢れていくのが惜しい。こんなにまで甘い刺激を持っているなんて知らなかった。
溜まりに溜まった唾液を、赤木夕貴が嚥下する。
お互いが混ざり合った液体をこくりと喉を鳴らして飲み込んだ後、揺れる唇の間から熱い吐息だけ残して離れていった。
薄く目の前の瞼が開いて、また視線が絡み合う。
熱っぽく輝く瞳に再度顔をよせそうになったが、それより先に赤木夕貴が赤い舌をちろりと出して、俺の顎を伝った唾液の残滓にぺろりと舌を這わす。背筋がぞくりと震えた。
そっと離れた、まだしまわれていない舌を今度は俺から舐める。味覚ではそうでなくとも脳が甘いと感じた。
俺が顔を離すと赤木夕貴は茹でリンゴになっていた。
柔らかな線を引く顎から、なだらかな髪の生え際まで。人間こんなところまで赤くなるのかと感心したくらい、首筋までも赤くなっていたのであった。
俺のに重ねられていた小さな手がぱっと離れ、随分長くしていた口付けのせいですっかり悩ましく熟れた唇を隠す。
さすがに白いままの手の甲と顔の色で紅白だなうっわおめでたいなあ、などと考えた俺はもう何度目だか、爪先から頭にかけて熱が一気に昇る。
肩を抱いたままの手は鉄のように動かないし、中途半端に傾いている体も、ほんの1度も動かない。
人間は42度以上体温が上がるとタンパク質が固まってゆで卵状態になると言うが、おそらくそれだ。
かくんと俯いてしまった赤木夕貴は、顔が見えなくともちらりと覗く耳が赤いままで、推し量らずとも表情が分ってしまう。
両手で顔を覆ったり、指で前髪をかき回したりしているのを見ながら時間が過ぎて、時間に比例してカーテン製の密室の温度も上がる。暑い。
「あっ、あの、あのね曜一」
掠れた声で呼ばれて、俺の返事は裏返っていた。
ぱっと上がった顔は心なしかさっきまでよりも赤みが増していて、そこに無理矢理な明るい笑顔が貼り付けられていた。
「う、奪っちゃったー」
緊張の糸がぶちりと切れて、心身ともに脱落した俺はベッドの上にどさりと倒れこむ。
色々と限界だった。
しばらくしてから教室に戻った俺は、真っ赤な顔で、ぐったりとしていて、午後の授業はずっと机に伏せていて、教師や友人に「大丈夫か、保健室行くか?」と優しい言葉を掛けられるのだった。
鐘が鳴って、校内ののざわめきが大きくなる。伏せている俺の暗い視界にも放課後のオレンジ色が仄かに差す。
「曜一、帰ろ?」
待ち遠しかったような、来て欲しくなかったような声に胸が高く鳴る。伏せたままのろのろと見上げると、じっと覗き込む赤木夕貴と目が合った。
西日に照らされる顔にぽっと赤みが差した。多分俺もそうだ。
一言だけ返してから机に両手を突いて立ち上がる。鞄に教科書やらノートやらを詰めて、そういえば今日まともに受けた授業は体育だけだったんだと思い出す。
「早く行こ」
早足で教室の扉へと急いで赤木夕貴は振り返る。ずりずり足を引きずりながら追いつくと、また早く早くと急かして、ぱたぱた髪を揺らしながら先へ行ってしまう。
生理痛はどこへ行ってしまったのやら。それとも痛いが故に急かすのだろうか。
俺は俺で足が重い。だが、普段より歩みの速い赤木夕貴と今の俺の歩く速度は奇妙なほどにぴったりで、肩を並べて歩くのに何の支障も無いのだ。
廊下を歩くときも階段を下りるときも、下足を履き替える時まで赤木夕貴は喋り通しだった。
ろくな返事をしない俺を意に介した様子も無く、ひたすら前を見て日常の些事を語っていく。
こんな饒舌な赤木夕貴はかなり珍しい。こんなに口を使った子とは、食べものを噛んでいる時くらいじゃないんだろうか。所々噛んでいるし、つっかえている。
い
やだがけれどもしかしながらくちびるをよせてきたときのうごきにちゅうちょはなかったこ
いぬのようにこねこのようにぺろぺろとなめたどうさはい
やにあつくやわらかくなめらかにくちのなかをしげきしたような
。
「曜一?」
「ごめん」
「え?」
「いや、ごめん」
飛んだ思考の湧く脳を殴りたい。頭をかきむしり、蹲ってふつふつ湧き上がる恥ずかしさを紛らわすために大声を上げたい。
授業中もずっと、赤木夕貴とキスした情景ばかりが目の前で繰り広げられ、事実が頭をぶん殴る。
快感に震えた唇の揺れが直に伝わり、目の前で上気していた頬は瑞々しさに溢れていた。
ともすればその事実が妄想へとエスカレートして、いつの間にか全裸となった赤木夕貴が俺の上や下で淫らな踊っているのだ。
俺はそんな目で赤木夕貴を見たいんじゃない。
柔らかな黒髪に手を差し込んで頭を撫で、ふわりと笑う赤木夕貴に心和む時間が好きなんだ。
あの時もう少し冷静なままでいたら。いや、そもそも布団の上から撫でるべきだったのでは?
そんな思考を巡らせる反面で、あれだけの据え膳を食わないなんてお前は馬鹿か? 押し倒しておけばよかった。そう語りかける声が非常に大きく、何度も何度も俺の頭で反響するのだ。
「曜一」
呼ばれる。そして振り返る。いつの間にか隣で先を急いでいた赤木夕貴が後ろにいた。後ろで、無意味な大きさを持つ門の前に立っている。俺の家の門だ。
どうも自宅に帰ることを忘れてしまっていたらしかった。
「ああ、うん」
改めて隣に立つと赤木夕貴はやはり小さい。狭い肩は髪が通り過ぎるのを許すだけで精一杯に見えた。
そのまま沈黙が続く。気まずい、気まずい。立ち尽くす俺たちを気にする者だって少なくないのだ。
「曜一」
ひかえめに、震える声で、いつか男装がばれた時のように体を縮こまらせて、それでも必死に俺の目を見上げている。
俺は、努めて優しく掛けてやるべき言葉が見つからない。
「あの、ごめんね」
それだけ言って一瞬目を潤ませた後に俯いてしまう。どうして謝るのだろう。謝ることが好きなのだろうか。
「ごめんね」
黒髪が今は邪魔だ。顔がほんの少しも見えない。
どんな表情をしているか垣間見ることもさせないで、わきを通り過ぎていつものように別れようとする。
馬鹿野郎と心の中で吐き捨てる。馬鹿野郎、当然ながら俺のことだ。赤木夕貴は野郎ではないのだから。
すぐ側を過ぎようとした手首を掴む。いきなり前に進めなくなった赤木夕貴が驚いて振り返る。ゆらゆら揺れたままの目は、もう一杯だった。
「送る」
「ふえ? ……え?」
「家まで送るよ」
お互い反対の方向を向いているままでは1つの方向に進めない。細っこい手首を握る手を変えて、さあ行こうと足を進めるが、握った手の先が動かない。ついてこないのだ。
「帰らねえの?」
「いっ、行く! 帰る帰る!」
そう言って奇怪な動きをする。両手両足を一度に出そうとして、やり方が分らないといった感じだった。
「あれ、ちょっと待って。人ってどうやって歩くんだっけ」
奇怪な動きが続く。落ち着けよと言ってみるが、あんまり意味が無い。あれ? と言いながら必死に前に進もうとするがジャンプに終わる。
自分から歩けるようになるのを待ってやりたいものの周囲の視線が辛い。仕方なくずるずる引っ張ってやる。
やっと歩き方を思い出した頃に曜一、と呼ばれた。
「あの、手。……離さないとホモだって思われるよ」
「じゃあスカート」
赤木夕貴の眉がハの字に曲がる。
「はくよ」
「曜一が!?」
手を離してからはいつも通りだった。いや、本当はそうじゃない。歩く道はいつもと違っているし、隣の赤木夕貴はいつもよりもずっとにこにことしていて喜色満面なのが視界に入らなくても分かる。
今の赤木夕貴は今までのどんな赤木夕貴よりも可愛いんだろうと思った。
しばらくの間、あまり通ることの無い、しかし見覚えの無いわけでもない道を通って、ここだよと1つのマンションを指差した。
ああここか、そんな感想が浮かぶ。一世帯1つがまるまる入るのには十分すぎる、どこにでもありそうな名前のマンションで、何人かの生徒はここから学校へと通っていた気がする。
しかし、ふと、赤木夕貴は姉と二人暮らしだと言っていた。その背景に触れたことは無いが、姉妹が二人暮らしするには少々敷居が高いのではないだろうか。
エレベーターに乗り、軽く上から押し付けられる感覚を味わいながら、両親は何をしているのかと聞いてみた。
「お父さんとお母さんは、いないんだ」
エレベーターのドアが静かに開く。なかなか出ない俺に困ったような笑みを浮かべて、出るように促す。
「あのね。僕が小さい時に2人とも死んじゃって、だから僕と姉さんは2人暮らし」
先を行く赤木夕貴は急いでいるわけでも無いのに、何故だか追いつけない。
「悪い」
また困ったように、常よりも年輪を重ねたような笑みが向けられる。
「小学校に上がる前でよく覚えてないから」
それに、と。
「曜一だから、何されてもいいかな」
あまりにさり気なく言った。おそらく赤木夕貴自身零した言葉の火力に気づいていない。
1回瞬きした後で、少しだけ覚えているという両親のことを、少しだけ、簡潔に語った。それに俺はさっきの発言を不発のままにして、耳を傾ける。
不埒な考えは、沈めた。
ここだよ、と壁に並ぶドアの1つの前で立ち止まる。普通のドアだ。
生理痛によろしくと言ってやると、変態と、笑みを零しながら言われた。
「あの、曜一」
じっと見つめられて引き止められる。透明な水が深く深くまで光を通すように、瞳は透明だった。
あのね、とまた言った。赤木夕貴は俺を引き止めたがっている、きっと俺を家に上げて、もう少し一緒にいたいと思っているのだろう。
どうして、と。
どうして、男の振りなんかしているんだ。喉までその問いがこみ上げる。今なら何だって許される気がするのだ。
3度目の、あの、が出た時だった。
「夕貴!」
唐突にドアが開き、中から若い女性が飛び出して、そして赤木夕貴をさも愛おしいというふうに抱きしめた。
「夕貴おかえり! もう、お姉ちゃん待ちくたびれたんだから。もっと早くに帰ってきてくれなきゃいやだよ?」
長く鮮やかな黒髪に、白い肌と華奢な体。赤木夕貴にその女性は似ていた。いや、おそらく豊かな乳房や素晴らしいラインの腰は赤木夕貴には無いものだろうが。
闖入者の出現に赤木夕貴も俺も驚くほか無い。女にしたって低身長の赤木夕貴は、平均的であろうその闖入者の胸に顔を埋められてやっと我に返る。
「お、お姉さんただいま。あのね曜一、この人は僕のお姉さんで、暁美お姉さん」
紹介されてやっと俺に気がついたというふうの女性は、赤木暁美は、温度の無い視線だけよこして妹の首にするりと手を回す。
「夕貴、誰?」
化粧っけの無い唇を赤木夕貴の耳へよせて、囁くように尋ねた。
「同じクラスの曜一、えと、あの」
「榎原曜一です」
慌てて赤木暁美へと頭を下げる。視界に床が見えた途端に、ばたん。
ドアが閉まる音がした。
頭を上げるとそこにあの姉妹の姿は無い、開いていたドアも閉まっている。
ドア1枚隔てた場所で赤木夕貴と赤木暁美の声がなにやらけんけんとやっていたが、それもじきに止む。
静かな場所で俺は1人残された。
結局とぼとぼと帰った俺を、リビングで冷蔵庫が出迎えた。
増えている。
今朝は1つだった冷蔵庫が大小色も様々に3倍になっている。
さらに言えば10年も前のものであろう電子レンジや赤茶けたアイロン、そしてさほど汚れの目立たないブラウン管のテレビがあった。
「晃?」
どうせ悪いのは晃だ。これらは全部晃のペットなのだろう。
返事が無い、どこかに行ってしまったのだろうか。無責任な野郎だ。女だか男だか分らない生きものなのだから野郎と言ってもきっと間違いじゃない。
「無責任な野郎」
ポツリと吐いて虚しくなる。
一応晃の部屋を確認してみようとも思い立つが止めて、自室へと足を運ぶ。
ベッドの上に半裸の晃が寝ていた。
下半身には黒のショーツ1枚。上半身にはあまり要をなさないと思われるブラジャーが引っかかっていて、つまり9割裸だった。
ベッド周りには脱ぎ散らかされた衣服。それを絨毯のようにしながら近づいて、晃を肩に担ぐ。
俺とそう変わらない背丈の割には軽いが、見た目無駄な肉の無い細身にしては重い。
茶飯事であるその露出は今更どうということも無い。女の生肌、せめて姉の生肌であったのなら大なり小なり気まずさもあったかもしれないが、肩で寝息を立てているのは無責任な野郎だ。
リビングまで運んだところで晃を無造作に放り投げる。ブラジャーが空を舞った。
どんと音を立てて、むき出しの背中を強かに打ちつけた晃は潰れた声を肺から出して、それでも全身のバネですぐさま飛び起きる。
「曜一、てめっ、何しやがんだ!」
「晃こそ何やってんだ。どうすんだよこの冷蔵庫」
晃の冷蔵庫たちを指差すと俺の指先から始まる見えない点線を辿り、そして家電の山に視線を置いて動かなくなった。首から上だけ動かしてじいっと観察している。
軋んだ動きで俺に視線を戻し、クエスチョンマークを丁寧に貼り付けた顔を向ける。
「何この粗大ゴミ」
「お前のペットだよ」
責任持てよとだけ言って部屋へと戻る。
散乱した晃の衣服を投げ捨て(男物のスーツだった)、廊下へ放り投げて、ドアも閉めないままベッドへ倒れこむ。
晃がつけていたらしい香水の香りが残っていたが気にする力も無い。眠りにつくこともしないまま、そのまま無為な時間を享受した。
以上です。エロは次、次で書く。
色々と長くて申し訳ない。
>>90 -
>>100 「昔、昔あるところに」 まで読んだ。
長文うぜえええええええええ!!!!
お前マジうざいな。
2度と来るな。
失せろ。
次に着たい棚
丁寧な描写がいいですなー……。
いや、次も良作に期待。
しかしもう少し改行を増やしてもらえると読みやすいかもしれない。
>>90 あかはなさん待ってたよ。GJ!続きも待ってる。
>>105 閲覧者の環境はまちまちだから、自分でウインドウ幅
を調整すれば
いいんじゃないのかな。
この板では、適当な文字数で改行してくれている小説
も多いけど、
時々、こんな風に変な箇所で折り返して表示されるの
で
かえってユーザビリティーを阻害している結果に。
そういえば、男装少女の例の一つとして男子しか家をつげないために男として育てられるというケースも結構あるが
>>89 そもそも彩雲国は2巻で主人公が男装して宮廷で下働きしてたぞ
>>87 それ以前に流血女神伝は主人公が、帝国の娘で皇子のふりしてただろうが。
あれを男装と言わずして何を男装と言うんだか。
>>107 後は兄と妹の立場交換とかな。
例としては、古典文学だけど、とりかえばや物語
日本の男装少女萌え小説の元祖だろう。
>>107 王道だけどさ、
結局子供作れないんだから意味ないよなと思ってしまう自分はどうすればいい?
>>110 兄と妹(または姉と弟)が双子だったりすると
高確率でそういうケースが出てくるよね
>111
長患いに臥せっていたためほんの半年ほど人前に出ていなかったが
快復と奥方さまのご出産が重なって二倍にめでたい。
…とゆーことはあり得るかも知れん。
誰を相手に偽装結婚するか、或いはどうやって女装に違和感のない旦那を見つけてくるかが問題だが。
>>106 改行と空白行多用して時間間隔表現するスタイルもあるから難しい所じゃないかと、自分もですが。
紙媒体ならともかく、WEB小説は読みにくいというのもあるわけですし。
『特攻天女』の矢野アキラはみんなどう思ってんの?
逆に女の子のような男の子のスレってなかったけ?
エロパロに
>>116 女装で板検索したら3つスレが見つかったからそれらのスレを見るといい
男装少女が短パンの股の部分ずらして立ちションするのは萌える?
355 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/19(月) 22:23:05 ID:GljtESaD
ボーイッシュな女の子が短パンの股の部分ずらして立ちションするのは萌える?
なんというマルチ……
356 名前: 名無しさん@ピンキー 投稿日: 2007/11/19(月) 18:27:33 ID: GljtESaD
上手に飛ばせる女性もいるらしい
カガリなら立ちションしてもおもらしにはならないかも
358 名前: 名無しさん@ピンキー 投稿日: 2007/11/19(月) 19:05:03 ID: GljtESaD
全ての女性が立ちションできるわけではないみたい
まんこの形によっては何度やっても無理
しかし、一部の女性は立ちションできるらしい
カガリもできそうな気がするし、カッコイイ感じがするね
週末あたり圧縮くるかも試練保守。
投下します
「有難う。気持ちは嬉しいが誰とも付き合う気は無いよ。済まない」
「じゃあオトモダチから。メアドの交換ならいいでしょう? 息抜きは必要ですよね」
「メールは使わない。もしまた俺に用があったら御車に言付けておいてくれ」
「お兄ちゃんには言いません! 言わないでくださいよ! 言ったらダメです!」
「雛菊っ!! 何してる!」
「ちょ、お兄ちゃん! どいて、まだ話終わってな……、先輩っっ!」
「小さいころから惚れっぽい所がある妹でな、すぐにのぼせ上がって周りが見えなくなる。
雨宿にいつ目を付けたのか分からんが、いきなりすまなかった」
御車 常(みくるま・つよし)は学食のテーブルに額を擦り付けんばかりに頭を下げて平謝りをする。
「妹が居る事も初めて知ったから驚いたよ。断ったのは悪いが嘘を吐いても仕方が無いから」
「分かっている。俺等は受験で浮かれている暇はないのにな、あいつは1年で子供気分が抜けなくてな、
いつも突然思い立ったら何を言い出すかと、ひやひやしているんだ」
「いかついお兄ちゃんは可愛い妹が心配で〜、だから代わりにおれが影から見守り役なんだよなぁー、
貧乏クジなんだよなぁー、いっつも〜、……って、げふぅっ! 痛いなぁ。常っ」
「博、そりゃ言わない約束だ」
体格の良い御車と糸目で俺より痩せて文字通りもやしの様な根尾 博(ねお・ひろし)は、
身長差20センチの市原・奥丁字と並んで、クラス内もう一組の体型差同士だ。
「雛菊は俺や親父とは正反対の優男好きでな、新珠目当てで時々教室に友達と覗きに来ていたんだよ、
ただあれはな、まあ、単なる浮かれ病だと思って放ってたのさ」
「見込みないから雨宿にしてみたってのかなぁ〜? 共通点って言っても成績がいいくらいだろ?
雛ちゃんの考えることは毎度わからないからなあ〜」
「変な男に捕まらない様に気を付けてやれよ」
肩を竦め前髪を掻き上げながら今しがた話に出た相手の姿を思い描く。
新珠燐。この鷲尾学園学園長を父に持ち男子生徒だけの最後の学年に在籍するクラスメイトで、
成績優秀容姿端麗な美少年の――、少女。
その事実を知る者は生徒内では極少数だ。
驕りのコーヒーを一気に飲み干し空になった紙コップに目を落とす。
雑談を始めた二人に挨拶をして席を離れようと立ち上がると、御車が手招きをした。
「雨宿に聞きたいことがあったんだ。二学期になって一週間、おまえが休んでる間にな、
――――新珠燐が女だって話が流れているんだ」
息を潜めて聞き取れるぎりぎりの声で御車が囁き、紙コップがくしゃりと手の中で潰れた。
「突然何を言い出すか、という点は兄妹同じだな」
座り直し溜息を吐いて肘を突くと左右から詰め寄られる。
放課後の学生食堂はまばらに生徒が点在し、各々好き勝手に過ごして互いに関心を払う素振りは無い。
「夏休みに、秩父が新珠に似た娘と歩いてたのを見たって奴が、何人かいる。
言われてみるとな、色々怪しい。奥丁字や秩父は身内だからダメだ」
「市原は『んなことあるはずねーじゃん、バカ?』って一抜けしてさぁ、意外だったよなぁ」
「新珠が男か女か、――――俺には無意味な事だ」
今更この問いに答える資格は無い。
「そーなんだけどなぁ。雨宿って感情出さなくて付き合い悪いし、新珠は完璧すぎてさぁ、
おれ苦手だったんだよなぁー。6月ごろからその取っつきにくい所が薄くなっててなぁ、
今はまた戻ってるけど、秩父が来るまでは仲が良かっただろ〜?」
「……………………。確かに一緒にいて楽しかったよ、いい奴だと思っている」
「それなら気になるだろ〜? 普通さぁ。やっぱり知ってるんじゃないかぁ?」
「もし女だっていうのが本当ならな、問題は、新珠が嘘をついているかどうかだ。
少なくとも学園での2年半な、俺等を騙し続けてきたことになるんだぞ」
「それが? 誰だって秘密や嘘はある」
「肯定したな、雨宿。新珠の嘘を認めてる言葉だよ」
「どう答えて欲しいんだ? 俺が答えたとして、その言葉を信じるのか?」
片肘を突いたまま横目で見る俺の瞳の奥を探ろうと御車は微動せず目線を捉え続けた。
「……まあ、俺等も本気で思っちゃいないさ。色々すまなかったな。予備校行くぞ、博」
「じゃーなぁ〜、雨宿〜」
「ああ、また明日」
見送る視線の先に、秩父高砂が居た。新珠燐の幼馴染みであり――
彼女を守る為に現れたもう一人の完璧な男。
出入り口で静かに口元に笑みを浮かべてすれ違う二人に軽く会釈する態度はあくまで紳士的ながら、
瞬間的に狩猟動物が獲物を狙う目で睨め付けた。
新珠が居ない時の本性はここまで攻撃的なのかと、隠そうとしない敵意はかえって清々しくさえ思う。
他愛無い噂を一笑に伏し潰してしまう事も易々と出来るはずだ。
秩父はそのまま追って出る俺を一瞥しただけで踵を返した。
横を通り過ぎる刹那に話し掛けられ首だけを動かして相手を確認する。
「腕の傷は大丈夫かい? 自転車とはいえ危ない。謹慎が解けたばかりでまた欠席になると大変だろう。
気をつけたまえ。燐も、心配している」
燐も、と念を押しながら秩父は余裕ありげに笑い、見下ろした。
「気遣い有難う」
「……判っていると思うが、これは忠告だよ。卯月君」
全て手の内と言うばかりに背中越しに嘲笑めいた呟きが聞こえる。
真夏の陽差しがまだ色濃く残る9月の夕刻は冷房の効かない廊下に出ただけで汗が噴き出す。
反射する緑の青と木霊する蝉の声。耳鳴りがする。
じくりと右腕が疼いた。包帯は袖に隠れて日常の動きでは悟られない。
預かり知らぬ所で赤の他人に自分の奥底を握られるのは気持ち悪さを通り越して吐き気がする。
軽く目眩がして意識を取り戻そうと会えない間考えなくとも絶えず想っていた笑顔を手繰り寄せる。
想う事だけは何者にも阻まれない。俺だけのものだ。
新珠、お前はずっと秘密を抱えて苦しかったのか?
49日ぶりに見た彼女は精彩を欠き、あの惹き付けて止まない輝く瞳には僅かに陰りが宿っていた。
共犯者でも、協力者でも、望むなら叶えてやりたいが出番はもう終わったんだ。
印は無くしてしまった。
12時を過ぎて椅子に座ったまま伸びをする。首を反らして筋を引っ張って、がくんと力を抜く。
あともう1ページ。それから予習と準備をして……
『今日、雨宿松月が女の子に告白されている場面を見たよ。なかなか可愛い娘だった』
ふと高砂の帰り際の言葉を思い出す。
気のない返事をして、しつこい男の子は嫌いだな、と口を尖らして上目遣いに見ると、
女の子は少し困らせる位が可愛いよ、燐。とぼくの下ろした髪を撫でた。
「今の時期に告白するなんて困らせる程度じゃない、迷惑だよ」
高砂の前では言わなかった言葉がつい声になる。受ける訳がない。受けるはず、ない。
……でも可愛くて性格も良くてスタイルもいい娘だったなら、彼だって、……男だし、分からない。
それでも、どうなっても、ぼくとはもう何の関係もない。
つい自分で自分の体を抱きしめる。
彼から借りた紺色のシャツを、あの日からずっとパジャマ代わりにして寝ている。
家では本当の君に戻っていいんだよ、と高砂は女の子の服を着せたがり父様母様も喜んだ。
……格好だけなら幾らでも出来るものなんだ。相手が何を自分に求めているのか判ればあっけないほど簡単なこと。
今まで通りに、雨宿と、関わるまでは、いつも、やってきたこと。いままで、どおり。
体を撫でると彼の服が柔らかく肌に当たって思わず目を閉じる。
毎日今だけは、彼に包まれて彼のことだけを考えていられる。彼の匂い彼の声彼の感触を思い出す。
指が胸の真ん中を触る。くすぐったさにどきどきしながら、布の上から爪先で擦ると先端がはっきりとしてくる。
つまんで刺激すると服と指がずれて余計こそばゆくてぞくぞくする。体の芯が火照ってくるのが判る。
「……ぁ、……んぁ……っ」
耳の奥で彼が囁いた。
『すぐこんなにして感じやすいよな、もう濡れてる?』
「……や、やらしいこと、言わないで、っ」
空いた手が太股に伸びて閉じてる脚の間にそろそろと入る。明らかに湿っぽくて、熱い。
「ん……」
形に沿って彼にされるみたいに、何度もそっとなぞる。膝や腰が震えて更に強い刺激を求めてくる。
それでも我慢して袖口で少しずつ擦り上げてると、とうとうたまらなくなって声が出る。
「あ、あぁ……っ……、もっと、……」
『もっと?どうしてほしい?』
ちょっと意地悪に聞いてくる彼は、じれったくわざとゆっくり撫で回す。
胸とあそこの尖った所を同時に押しつぶして、背中を仰け反らす、ぼくの反応を楽しんでる。
そんなことされると、痺れてとろけてしまうよ、いつも、そうやって……
「あぁっ、だめぇ……っ!そこはっ……」
『これ好きだよな?』
「う、うん……、いいの……、もっと、ちゃんと……触って、ぇ」
じっとりと濡れたショーツごと窪みに指を埋めるとじゅぷ、と鳴って耳からも犯される。
服のすき間から入ってくるのは彼の指、熱い粘液にどろどろにまみれさせて激しく優しく愛撫される。
「はぁ、……や、いや……、他の子なんて、や、だぁ……っ」
あふれ出す蜜だけでは収まりきれない熱に浮かされて想いが零れてくる。
抱かれてる時は嘘なんてつけなかった、ぼくだけを見てくれる嬉しさで気絶しそうに幸せだった。
「触っちゃ、嫌だ……、その指、で……だれも、さわらないでっ……」
少し節ばって、いつも本をめくるから乾燥して指紋の薄くなった指を引き抜いて、目の前に晒す。
『誰も?』
「…………ひとりだけ、許してあげる」
ぼくの愛液で手の平までべとべとになった指を丁寧に舐め取ってあげる。
「君の手、大好き……。この指でぼくの胸やあそこを触られる……って、考えただけで、
濡れちゃうよ……」
はあっ、と興奮しながら告白して、彼の言葉を待つ。
言う通り触らないのに奥からとろりと滲み出してる、いやらしい、ぼく。
『やらしい事好きなのは、嫌いじゃないな』
再び中をかき回され折った指で敏感な部分をこすられながら囁かれて、ぼくは達してしまった。
『お話、したいです。放課後の4時半に視聴覚室隣の資料室で待ってます。H.M』
下駄箱に入っていた花柄の封筒の手紙。共学になってから1ヶ月位はよく目に付いたけれど、
女の子達それぞれで示し合わせたのか、ぱったりと見なくなってた。
課外の後に、帰り支度をする高砂に用があるから、と告げると咎める目つきをしたので、
鞄から封筒をそっと見せて忠告する。
「呼び出し。珍しいね。覗き見して女の子を傷つけたりしないでね」
「1時間後に校門で待っているよ。僕も馬に蹴られたくはないからね」
先に教室を出ていく高砂に、ふっと後ろを振り向いて彼の視線を捕まえたくなる。
……でも、駄目。かぶりを振って衣黄に挨拶をしてクラスを後にする。
手紙の子はまだ来てない。戸棚に並んだ本やビデオの背を目で追っていると、女の子が入ってきた。
ぼくを見て、あっ、と声をあげたきり動かない。
背は150はあるかな? 紺のタイは1年生の証拠だ。くりんとした真っ黒な瞳で丸顔、
少し厚めの唇はリップクリームを塗っているみたいで艶々だ。
ツインテールを大きなリボンで飾って、軽くカールした髪があごの辺りまで落ちてる。
低めの身長なのに、ぽんと張り出した胸がアンバランスで、……でもいかにも女の子してて、可愛い。
砂糖菓子みたいにふわふわして甘いイメージで、スカートも短かくてすごいな……、
少し走っただけで見えそうで、ぼくにはどう頑張っても履けない……と、ようやく彼女が口を開いた。
「御車、雛菊です……。あの……、どうして新珠先輩が……?
わたし、雨宿先輩に手紙を出したんですけど……、この前、お兄ちゃんに邪魔されたから……」
――――。この娘が、雨宿に……
何だか違う感情がこみ上げてくるのを押さえようと、聞き覚えのある単語の意味を必死に探す。
「みくるま……、ああ、君は常くんの妹なんだ。知らなかった、あまり似てないんだね」
「は、はい、兄です」
「隣の雨宿の靴箱と間違えたんだね、今度から気をつけなよ?」
笑いかけると、急に真っ赤になって、もじもじと恥ずかしがってうつむく。
「――――、はい。ごめんなさい。……、あの、すっ、すみませんでしたっ……、」
「それじゃ、ぼくは失礼するよ「あ、あのっ、待ってください!」」
弾かれたように顔を上げて引き留める彼女の必死な様子に、思い詰めた風が感じられて、
勝手な敵対心を持った自分に罪悪感を持った。
「――雨宿のことでも聞きたいの? 知っていることでいいなら、答えられるけど」
「は、はい。聞きたいです。新た…、雨宿先輩の話なら、なんでも」
きらきらと瞳を輝かせてぼくを見る彼女は眩しくて恋する乙女そのものだった。
話しながらそのシーンの彼を思い浮かべる。教室で寮で校内で、呆れたり溜息をついたりしながら、
ぼくの横にいてくれた彼。ぼくを何度も抱きしめてくれた彼。
焦げ茶に青みがかかった不思議な色の瞳で見つめられると、体の奥が溶けてしまう気がした。
「すごくよく知ってるんですね、なんだか妬けちゃいます」
くるくると表情を変えながら、素直に感心する彼女に、思いに耽っていたぼくは少し焦って、
衣黄や市原と仲がいいから、とごまかした。
「市原さん、写真撮ってる人ですね。……えへへ、実はわたしも持ってるんです」
制服の内ポケットから取り出した一枚を見て、愕然とした。
席に座った雨宿と、立ってるぼくが話している写真。窓辺の光がすうっと射し込んで照らしてる。
肘をついて伏し目だけど驚くほど優しく微笑んでる彼と、嬉しそうに笑ってるぼく。
「雨宿先輩は、ちょっと横切れてるんですけど、あの、新珠先輩の笑顔がもう素敵で、
男の人なのに、すっごく綺麗で見とれちゃうくらいですね。……す、すみません。
……でも、この写真すっごい人気でやっと手に入れたんです」
言われるとおり、その写真のぼくは本当に笑顔で、教室でこんな無防備な表情をしていたなんて、
しかも撮られていたなんて、……ぼくの想いなんて一目瞭然に、残酷に映し取っていた。
「ごめんなさい! 綺麗なんて言って、怒りますよね、でも、やっぱり……新珠先輩は、素敵な人ですね。
こんなに近くで会ったの、初めてで……、わたし……」
ぼくの沈黙を勘違いして眉をひそめた彼女は、深呼吸をして切り出した。
「わたし、新珠先輩のことが好きでした。入学してから、ずっと、ずっと……!」
――好きです、好きです、ずっと憧れていました、見てるだけで手の届かない人だと思っていたから、
あきらめてました、でもこうして間近で話せてもう我慢できなくなったんです。
丸い瞳ををうるませて熱っぽく語る女の子が何を言ってるか分からない。
「君。雨宿が好きで話をしたくてここに来たんだよね?」
「ええ、……でも。先輩から話を聞いてあきらめました。わたしとは合わないみたいですね。
おつきあいする前に知って良かったです」
ずいぶんさっぱりとした笑顔で事もなく言う。
「そんなに簡単に諦めてしまっていいの? 第一、ぼくの言葉だけで信じるなんておかしいよ。
雨宿とちゃんと向き合わないうちに、気持ちを変えて後悔しないの?」
「わたしは新珠先輩を信じてます。先輩が嘘を言うなんてありえないから、絶対信じられます」
ためらいもなく先刻と変わらない愛らしい顔つきで答える。
「ぼくの言うことは、何でも信じるの……?」
「もちろんです。大好きな先輩の言葉なら、何でも」
曇りのない瞳で満面の笑みで宣言する。
好き、大好き、……って、こんなに軽い言葉だったっけ。
幾晩も考えて悩んでようやく名付けた想いの深さはこの子にわかってるんだろうか。
考えるたびに胸が苦しくなるどうしようもなさを、彼に対して、同じように抱えていると思ったからこそ、
馬鹿な嫉妬する気持ちを押し込めて、見つめていくしかないと決めたのに。
「雨宿のことは、本当に諦めるんだね?」
「実を言うとですね、何とも思ってないんです、雨宿先輩のことは。でも、体育祭の時とか、この写真もですね、
新珠先輩と仲が良さげなんで、彼女になったらお近づきになれるかもって……、秩父先輩はちょっと怖いから。
不純ですね。だけど、わたしは心から先輩のことが好きなんです」
――彼女にしてほしいなんて、言いません。無理すぎます。
必死になればなるほど、ぼくの心は冷めていくのに。
――せめて気持ちを知って欲しい、聞いて欲しいんです。
……ううん、違う。
「……そうだね。君はぼくの彼女にはなれないね」
はっ、と身をこわばらせて怯む姿に、氷の炎が見えたんだろうか。
「自分の身くらい、わかっていますから……」
「どんなに魅力的な女の子でも、恋人にする気はないんだ。……そんな趣味はないから」
「や、……先輩? え? どういう――、まさか、」
「君が思ってることとは、違うかもしれないけれど――」
目の前の女の子を見つめて嗤ったあと、飛び切りの笑顔を作って、言った。
「ぼくは、女だから」
きょとんとした後に目をしばたかせて苦笑いしながら手を振る。
「いやだ、先輩。男の人にしては綺麗だけれど、そんな冗談言わなくてもいいんですよ。
最近そんなことを言ってる人がいるんです、でもわたしは……、」
笑って流そうとしながらも、ぼくがボタンを外してさらしを緩め始めると表情が固まってきた。
その様子に不思議な高揚感を持ちながら、髪紐をほどく。
「…………」
彼女の手を取って、掌にぼくの胸を押し付ける。
「きみより小さいけど、ちゃんとあるでしょう?……下も、触ってみる?」
尚も硬直したまま無表情な彼女の顔を覗きこんで、ゆっくりと笑いかけながら手を動かす。
胸の上の指が一緒に動いて乳房をなぞると、ばっと腕を引いてその触れた指を片方の手で握り締め、
信じられないものに出会った目つきって、きっとこんな顔なんだな、と――震えはじめた。
「う、……嘘です……、うそ……、!!」
「君は、まだ、ぼくのことを信じるの?」
驚きと不安で真っ青になり涙目でぼくの顔と体を交互に見ている。
もう一息かな? よく見えるようにシャツを肩から落として髪を背中へ流してみる。
彼女の顔に手を伸ばそうとしたところで、「嫌っ!!」と払いのけられ部屋から逃げ出してしまった。
ばたばたと大きな靴音が響きながら遠ざかっていく。
しぃんと静まりかえった室内で足下に落ちていた写真を拾い上げる。
「…………」
この先に起こることも知らなくて、ただ幸せに彼の横で笑っていた。
ずっと、続いて欲しい、続けていけると、信じてた。
たった2ヶ月前のことなのに、なんて遠い。
もう、こんな風に笑えない、笑ってはいけない、。
嫌われてしまった、傍にいる資格はない、許されないことをしたのは自分なんだから。
だからこそ、この思い出は誰にも壊せないぼくだけの宝物。
――――。
早く高砂の所に行かないと余計な心配をさせる。疑い深いから彼と一緒にいたと思われたら大変だ。
思いながらまだゆるゆるとしか動く気になれない。
あの子は、誰かに話すだろうか。明日の朝には全校中に知れ渡ってるかもしれない。
……それでも、いい。なんだかもう、どうでもいい。
続きは後日です
投下乙
ずっと待ってました!
最後には雨宿と新珠が結ばれるのを信じて続きを待ちます!
GJです!
書き物って書いてると結構迷走するもんだよな・・・
最初に考えていたプロットと全く違う方向に行っちまったり、困ったもんだぜ
圧縮回避保守
135 :
名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 01:18:39 ID:iZGpr7qv
あげ
ジャニーズ事務所のアイドル達が女性ホルモンを飲むことを義務付けられてるというのは本当なのか?
保守
>>136 本当だ。
おぞましい事だが本当だ・・・・
今期は男装ものアニメないのかな?
もやしもんの蛍が実は女の子だったら萌えるんだけどな
六本木ミッドタウン内にあるサントリー美術館で
12/16まで開催中の鳥獣戯画展に
『新蔵人物語』(新蔵人絵巻かも?)という絵巻物が展示してあったのだけど
男勝りの姫君が男装して宮中に仕えたら、帝にバレて喰われて、
先に後宮に入ってた姉姫と三角関係になる
みたいな内容だった。
昔から男装物語って需要あったんだなぁと変に感心。
姉と弟が入れ替わる【ざ・ちぇんじ】なんかも原典が『とりかへばや物語』という古典だと知って驚いたなぁ、そういえば。
先日友人と話して出てきた妄想。
「女装少年と男装少女の絡みってどうよ」
……いくらなんでもニッチすぎるorz
>>141 最近日参してる小説サイトさんがまさにそれだ>女装少年と男装少女
大丈夫、需要はあるよ
>>141 前にこのスレに投下されてたことあったよ
ただどちらかというと女装少年萌えな内容だったが
>>141 男女逆転小説はけっこうあるぞ
「ざ ちぇんじ!」
「帰る日まで」
「カーリー」
「珠華繚乱」
ラノベばかりで、まあ一番上は兄弟だけど。
たぶん探せばもっとある。
今年の大河、風林火山の最終回後、来年の大河篤姫の予告が流れたんだが、
主人公、宮崎あおいが男装してた場面がワンカットあった。
幼名?が一と書いてかつと読み、
男装してカツゾウだか、カツノスケだかと名乗っていた。
見るからに女の子だったけど、バレバレの男装もまた良いものよ、と
そのシーンまでは視聴することに決めた。
宮崎あおいは映画の「初恋」でも男装してた。三億円事件の実行犯役。
いかんせん声が女の子過ぎたが、ヘルメットから長い髪がこぼれ落ちるシーンは美しかった
147 :
♯わっふる:2007/12/21(金) 13:22:05 ID:sN1PLINn
>>141 「・・・だめ・・・だって・・そこは・・」
なぜ僕がここのやたら高そうで柔らかなベットの上に押し倒され全身を弄られるはめになっているのだろうか。
僕の上にのしかかっている同級生はやたらひらひらとしたいわゆる甘ロリというものを着ていて場違いにも僕はまるでお姫様みたいだと思った。
でも本当のお姫様は僕を学校帰りに拉致監禁して名簿上は男の子である僕を『可愛いから』という理由でキスを奪ったりしないしそれ以前に男の子ではなかったはずだ。
「でもここ、気持ちいいんだよね?こんなに柔らかくて可愛いのにサラシ巻いちゃうなんて勿体無いよ」
そういってさっきまでは僕の両方の胸を揉みしだいていたお姫様は先端の突起を両方の指でくりくりと摘まんで微笑んだ。
「んんっ・・・あっ・・・やめっ・・いいかげんに・・・」
摘まれたとこからピリピリとした刺激が走ってなぜか胸の奥が熱くなるような苦しくなるような感覚を感じた。
「いやだよ。私のほかにも性別を隠してる子が同じ学校いるなんて滅多にないことなんだよ?きっと運命なんだよ。それに私はとっても君が大好きなんだ。だから君が欲しいし気持ち良くなってほしいだけだよ」
「だから・・・何ですっ・・・そんなのこんなことしていい理由には・・・ひぁっ!」
変な理論をつらつらと話す君への精一杯の反論は下着の中に潜り込んだ手によってあっけなく妨害されてしまった。
「感じやすいんだね・・・ちょっとお豆を触っただけなのにあんな可愛い声出して。でももっと気持ちよくしてあげるよ」
潜り込んだ手によって僕が纏っているもので唯一の女ものの下着はあっけなく引き下ろされがんばって死守してきたそこはあっけなく曝されてしまった。
「見、見ないでくださいっ・・・それに下着も返し・・」
僕の懇願は気にも留めてもらえず両膝をもたれて強制的に膝を折る姿勢にされてしまった。・・・つまり僕のソコはとっても君にとって見やすい位置に来てしまっているということだ。
君はお姫様、いや天使のような微笑みを浮かべて僕のひだとひだの間に指を差し込んでそっとスリットをなぞった。
普段は隠されて潤んでいるいるそこに冷たい指が差し込まれなぞられる感覚はどこか中毒的でたまに爪先がさっき触れられた秘芽をこすると自分のものではないような声が出てしまう。
「はぁっ・・・やっ・・・だめ・・・変に・・・なって・・・」
そんな僕の反応に気を良くしたのか擦る指は次第に深くなっていく。秘芽を触られた時の様な速攻性はないものの僕の中に沈んでいく指の感覚に身体が慣らされていくのを感じていた。秘部がこぽりと蜜を吐く感覚さえも心地よい。
「・・・嬉しい。私の指で気持ち良くなってるんだね・・・ひくひくしてもっともっとって言ってるよ?こんなに濡らしてる・・・もういいかな?」
「え・・・な・・に・・?」
そっと取り出された怒張が視界の端に見えた。凶悪な外見をしたそれは持主の白い肌と愛らしい洋服にあまりに不釣り合いで恐怖以前に自分とはまるで別世界のことのように感じられた。
指が引き抜かれ代わりに熱いモノがすっかり潤みきった秘部に押しあてられる。
「ごめんね。ちょっとだけ、我慢して」
狭い入口を強引に押し広げられる感覚に息が詰まる。内部を無理やりに引き裂かれるような痛みが走り視界が滲んだ。
「くっ・・・う、ああっ!!」
苦痛を訴える叫びが俺の部屋に響いた。
腕の中で喘ぐ黒い学生服を着た少女はさっきまで感じていた快感と急に押しつけられた苦痛のせいで潤んだ瞳でこちらを見つめている。
「痛い?初めてだから苦しいのかな。・・・大丈夫だよ。すぐに気持ち良くしてあげるから」
本来なら彼女も愛する人と双方の合意を得て結ばれるはずだった。こんな言葉一方的に処女を奪ったものが言う台詞ではない。だけど。
「な・・・んで?どうしてなんですか・・・なんで・・・僕が」
言い終えると同時に瞳から熱い雫がこぼれた。しがない公立校の教室の片隅で貝の様に沈み込んでいた君と県内有数の旧家に住む俺とは世界が違う。・・・そう思い込んでる眼だ。
・・・・・・違う。
俺と君の曽祖父が今月、死んだ。曽祖父は政財界にも糸がありかなりの大物を脅迫しているという噂があった。親戚たちは脅迫された者たちの復讐を恐れ相続を拒否。正式に血を継いでいる俺と彼女に彼の遺産の相続権が回ってきた。
遺産の中には脅迫のネタとなる情報も含まれているらしい。
「君は・・・命を狙われてるんだよ」
「え・・・?どういうこ・・・んっ」
これ以上は耐えることができない。狭く熱い肉壁の中に突き刺した自分自身を激しく出し入れする。処女特有なきつさが下半身に血液を送らせる。
「い、いやだっ・・・いた・・・・くっ・・はぁっ」
激しく打ちつけられる男性器になすすべもなくあえいでいる。紅潮した肌も潤んだ瞳もすべやかな髪も愛おしい。涙で濡れた顔に欲情している俺は生粋のサディストなんだろう。
「あっ・・んんっ・・はぁ・・も、もう・・・だめ・・」
「・・・・・・イくよ?
少女の最奥へと一層深く腰を打ちつける。放たれた熱い濁流が処女だった肉体へと注ぎ込まれ二、三度腰が跳ねる。
守るためだとかそんなのはきっと関係ない。
「みつ・・る」
俺はただみなとのことが欲しかっただけだったんだ。
『僕と私と君のはなし』
gj!
一本の作品として読みたいくらい禿げた!
乙
性別の錯誤凄い
151 :
141:2007/12/24(月) 02:55:39 ID:G5izzbK1
貴方が、神か。
メンタリティは互いに己の性に属してるとか、俺のツボ突きすぎにも程があると思います。
あと、同志がいる事に安心しました。良かった良かったw
152 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 17:22:13 ID:LE4/sZ2U
緊急保守
153 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 23:53:24 ID:yGw24oaq
お気に入りのスレが死亡
せめてここは
ここの住人的にガンダム00のティエリアってどうよ?
>>154 TSスレに投稿されてたやつだな
原作でどっちかはっきりしてないなら
こっち向きなんじゃないかね
女だってばれて脅迫されるシチュは
まあ定番つーか定型なんだけど
それだけに萌えた 基本万歳
続き読みたいな〜
同じく続き読みたい
新春挨拶と保守代わりに
***
「クリスマスも熱を出して休んでさ、インフルエンザじゃ見舞いにも行けなかったよ。
プレゼント用意していたのにさ。
だからお年玉と思って、受け取ってよ。…………僕を」
「そりゃお前とは割と仲良いし、いー奴と思ってるけど、……男相手にはできねぇよ」
「僕は女なんだよ。気が付いてなかった?」
「!?!?!!! 知る訳ないだろっ! そーゆー素振り見たことないぞ?」
「腕や背中に胸が当たったり触られたり、水泳の授業や月に一回休んだり、
女の子より君といるほうがいいって言ったり、私服でワンピースを着たりしてたのに、
なーんにもわからなかったのか!」
「わっかんねーっ! どう見てもショートカットで童顔の元気な男の子だろ?
お前ちっこいからワンピースじゃなくてコートだと思ったし、
ただ具合が悪くて休んでるってだけだなーと、第一なぁ、胸っつっても、全然感触無かったぞ」
「そ、そそ、そりゃあ、まったいらだけど……本当に、何とも思わなかった?」
「今の今まで男だと信じてた」
「……わかった。ごめんよ変なこと言って。お年玉のことは忘れてさ、もし出来るなら、
今まで通り仲のいい男友達で、いてくれないかな……」
「ちょ、待て、泣いてるのか! 早とちりするなよ、……受け取らない、とは言ってない、だろ」
「え?」
「その、なんだ、男同士で、はい、そうですかって平然とするのもオカシイだろ。
心の中では思っていてもさ、……ずっと悩んでた俺がまるっきりバカじゃないか。
ほら、涙ふけ」
「ん……あの、それじゃあ……」
「ありがたく受け取るよ」
「ひゃあ、あ、あはは、っ、くすぐったぁい、あはぁ」
「もーちょっと色っぽい声出さないのかあっ。乳首いじくり回してるのに」
「だって、本当にくすぐったくて、あはははっ、ひゃん、あ、舐めたら、もっとこそばゆいよぉ」
「笑うところかー!」
「なんつーか学ランとシャツだけはおって、下はスッポンポンという非常にエロイ状況なのに、
現実は俺のムスコがピクリともしないのは何かの罰ゲームですか」
「素でそんなこと言うな! バカっ!」
「妄想じゃ、こうナイスバデーじゃなくても、もう少し、なぁ。凸凹が。直線じゃなくて」
「体とか見た目だけじゃないだろ、気持ちだろっ! 違うか!」
「したい気持ちはある! お前だってもうちょっと女っぽい仕草しろよ。笑われるばかりで萎える」
「う、そう言われても……したことないし」
「やらしい動きとかさあ」
「んふっ、……ぁ、あぁん、はぁ、ん……っ、……どう?」
「公開オナニーっつー考えはイイ。萌える。もっとやれ。声もちょっと色っぽくなってきたぞ」
「そんなにまじまじ見られると恥ずかしいしっ! ……なんか、ヘン……ぁ、んっ、」
「見られるためにやってるんだろ、アソコもビラビラしてるのが丸わかりだ」
「いや、っ、そんなの言っちゃだめぇ、っ、あ、あは、ん……」
「嫌ならやめりゃいーだろ。おー、指でそーゆー風にかきまわしたらいいんだな。
えーと、足首つかんで持ち上げたら良く見えるな。……よいしょ」
「やややや、やめてよっ!! 面白がってるんだ、僕が女らしくないからって、
……う、うぅっ、ぐすっ……、…………あれ?」
「バレたか」
「ズボンのそ、そこ、思いっきりふくらんでるっ。いつから? 嘘ついてたね?」
「お前がゼンッゼン感じてないのに俺ばかりギンギンになったって悔しいじゃねーか。
自分でしてるほうが気持ちいいみたいで、余計腹立つ」
「そんな勝手な言い訳が通るかー! 僕から、……女から言うのって緊張しまくりで、
めっちゃ恥ずかしかったし、すっごくドキドキして、嬉しかったのに!
女らしくなくてごめんなさいねだ。好きにすれば!」
「俺だってお前が女だって信じられないんだ。悪い意味じゃないぞ。
絶対無理って思ってた願いが叶ってんだ。可愛くて可愛くて仕方がないんだからな。
するぞ入れるぞ入れちまうぞ」
「そういうの言うの禁止だ!」
「痛くないか?涙出てんのか、ごめんな。……でも、お前の中、あったけぇ。
なんか嬉しくって飛びそうだ」
「い、……たくない。平気だよ。びくびくして、……あっ、あんっ、あぁ。
もう少し、ゆっくり、……して……! っあ!はん、あっ、や、何か、くる……っ!
あああ、恐い、あ、ああっ! 熱くて、ヘン……、恐い、よ、ぉっ、
手、握って、……ぁ、ぁ、ああ、くるっ、……くる! あぁああ、あああっ!!」
「……くっ、!」
「ぁ、熱いの……、いま、感じた……、はぁっ、中にいっぱい、感じるよ……、
すっごく、きもちいい……っ」
「お前の顔も声も体も、全部色っぽくて女らしくてどーしようもなく可愛い。
あー、俺は幸せ者だ」
「だから真顔で言うなバカっ」
「で、脱がしてる時に思ったんだけど、サラシ、いらなくね?
ぺったんこじゃん。もしかして男装してた理由って……うぎゃあああ!」
「胸のことをこれ以上言ったら殺すーっ! 鈍感バカ! 死ねーっ!」
***
つるぺた男装娘でした
失礼しました
>>157 昔昔フルーツバスケットという漫画があってな
>>160 でもフルバのアレはアニメ終了後に作られた後付け設定っぽいし
原作とアニメは別物だって考えりゃいいんじゃね?
162 :
名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 23:37:53 ID:GCLl//DZ
保守
ほす
165 :
名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 21:31:34 ID:ThVHsUPh
今更ながら今やってるインテルのCMに萌えた
この板の住人的にはゼル伝のシークってどうかな?
自分は姫川明先生の漫画版読んで萌えたクチ
ポケモンのイエロー(ポケスペ版)といい意外性がたまらんわ
>>166 俺はこの2人の影響で男装少女にはまったw
もちろん今でも大好きだ
>>166 大好きだ。
むしろシーク女派。この板の関連スレみるあたり男派が多いみたいだけど。
スマブラのシークは適度にムチムチしてて、妙にエロイ。
死ねぇ!!の人か
このスレ見てるとSSだけじゃなくて男装商業作品も発見できるから嬉しいわ
データベースとかあったら便利そうだよなぁ
例えば破戒王の牛若や秀吉でごザルの半兵衛みたいに(同じ作者だが)
本来は男の歴史上の人物が実は女、というパターンは
このスレ的にはどうなんだろう。
まあその2つは原作からして主従でエロエロだからエロパロする余地はないものの。
それはTS行き
TSじゃない、単なる女体化だそれは。
TSは男から女に変化する過程が重要なんだから。
>>174 単なる女体化もTSだ
総合という名の隔離スレではな
歴史上の人物の女体化だけど、漫画としてみると
理由があって男装してる女の子になるな
(つかこうへいの新撰組ものの沖田もそうだが)
分類が難しいちゃ難しい
単純に見れば、後天的に女性化したらTS、生まれつき女性だったことにしたら女体化、でいいんだよな?
TS → 原作では男なキャラを薬や魔法で女体化(もしくは女性の男体化)
女体化→本来男のキャラや歴史上の人物を元々女だった事にする
172のキャラやランペイドの劉備はこっち分類だが男装少女属性もアリ
つー事か。
もっとも女体化された歴史キャラが男装しないで堂々と女として
振舞ってる作品はなかなかないけどな(エロゲ系は別として)
179 :
投下準備:2008/01/29(火) 16:05:52 ID:8tyAHnKq
一応男装してるのでこちらに投下します。
勢いで書いたので、乱雑な部分があるやと思いますが笑って許して
ショタ、ロリかも知れないので嫌いな人はスルーお願いします。
桃娘異聞 (いつもお願いは始まり)前編 です。
処女の証の復活ですか?」
「左様」
ぽかんと不思議そうにこちらを見つめる黒髪の幼い少年を、中年の紳士はできない訳がない
だろう?と、言わんばかりに怪訝そうに睨んだ。
診察用の椅子には、憔悴しきった少女が肩を縮めて座り、その横でこの中年の男が髭をさすり
、偉そうにしているわけだ。
そして、少女の目の前に眼を開いて、口は閉じているが驚いている様子の黒みがかった金髪の
青年が座っている。
先ほどの「処女の証の復活」と聞いたのはこちらの青年の方で、ただ単に男はあからさまに驚
いた少年を睨んだだけなのだ。
「レオナルトと言う若いのに、確かな腕を持つ医師がいると評判を聞いて、こんな山奥までわ
ざわざやってきてやったのだ。まさか、できぬとは言わせぬぞ。」
人柄の分かる台詞で、少なからず少年は不快感丸だしの表情をだしたが、レオルトと言う青
年医師の方は特に顔色も何も変えず中年の問いに答えた。
「出来ますよ…ただ…幾つか問題もありますが。」
「何だ?」
「男の私が術を施すのですから、お嬢様に精神的苦痛と、それから、体内ですから肉体の苦痛
を伴います────とても弱い部分ですので後遺症が残るやも知れません。」
レオナルトは、ペンを走らせながら淡々と述べる。
「処女膜は遠い人の元祖の名残だと言いますし、そこまでして拘る必要は─────。」
「あるのだ! あるのと無いのでは我が家運がかかっている!」
焦っているのか、青年医師の言い分を遮るように恫喝する。
それに一番肩を震わせたのは隣に座っていた少女で、やがて、顔を覆い隠すように手をあて、
しくしくと泣き出した。
「ユーリ、彼女を別室へ。」
ユーリと呼ばれた少年は頷くと、労るように少女の肩を抱き別室へ連れていった。
少年の身体から、甘い芳香がしたのを、男はいぶしげに顔をしかめる。
「貴公の助手のあの少年・・・よもや、私のエミリアにいかがわしい事などせぬよう躾ておろう
な?」
疑いの目で見る中年の男にレオナルトは
「患者に手を出すように教えたことはありませんな。」
と、しれっと答える。
「──────貴公の助手・・・甘い香りがしたが・・・あれは体臭か?香水か?」
少年に興味を抱いたらしく、好奇心を露わにした瞳でレンナルトに尋ねてきた。
その問いに今まで表情を崩さずにいた青年医師の顔が、歪む。
「私の助手のことより、まず────。」
と、中年の男に座るよう促し、厳しい口調で問いかけた。
「処女膜の再生を施したい理由を、聞かなければなりませんな・・・。
こちらの納得のいかない理由ならば、何人であろうとお断りいたします。」
レオナルトの射抜くような眼差しに、詰まったように黙ると大人しく椅子に座った。
ユーリ、何か話を聞けたかい?」
あの中年男性と、少女を馬車まで見送ったレオナルトは、別室から出てきて診察室で待ってい
たユーリに尋ねた。
ユーリは診察台に腰掛けて、ため息をつきぽそりと話始める。
「あの子ね────エミリアさんは、あの嫌味なおじさんの、ベネヴォリ家の養女なんだって
・・・でも・・・娘としてじゃなく・・・。」
「伽の相手としてベネヴォリ家に入ってるんだろ?─────おおかた。」
伏せるように目を泳がせ、言いにくそうにしているユーリの代わりにレオナルトは応えた。
ユーリは伽の言葉に青年医師に分からぬよう、肩を強張らせた。
「・・・それでも、屋敷に出入りする宝飾細工師の青年と、お互い好き合って・・・近いうちに
二人で逃げるつもりだった・・・って・・・。」
「男爵の言い分では、夜盗が入ってあの子の純血を奪っていった。
身分の高い子息が、あの子を見初めて妾に欲しい────純血を失ったまま、差し出すと家の名
誉に関わるどころか、怒りを買い失脚させられらねない────十日後に向こうの家の者が迎え
にくるまで、術を施せ
─────ってな低い身分の男爵の位では、その上の爵位の者には逆らえん。
逆に、娘を差し出して子でも産ませれば繋がりが持てて、社会地位的に有利になる
のし上がれるか、転落するか・・・瀬戸際で男爵殿も必死だな。」
「…何処の国も同じなんだね…。
位の高い人やお金のある人に逆らえないの…それに女がいつも一番悲しい生き物にさせられる
の・・・。」
「ユーリ・・・。」
ユーリとは通り名で、この辺の地方では男名である。
そう、人前ではユーリは少年で通していた。
ユーリは今年14だが、民族の違いなのか、体質なのか、同じ年頃の者達より小さめで女らしい
丸みが足りない。
レオナルトは、ユーリの隣に座りその、細く小さな肩を自分の胸に引き寄せると、彼女は安心
したような表情をし、強ばっていた肩がすっと緩む。
ユーリの骨ばった肩先が、レンナルトの胸にあたる。
自分の元へきてもう1年だが、なかなか肉付きが良くならないユーリに不安が脳裏をよぎる。
ここから遠い東の大国
そこは、支配する者、金のある者の欲望のるつぼだった
皆、金のため、生活のため、己の私利私欲、出世・・・その国で生き抜くために欲のある者達は、
権力者に媚びるために生きた玩具を作り出す
その一つに『桃娘』があった
幼い頃から『不老長寿』の効があると言われている桃を中心に甘い物だけを食させる。
それだけで生きてきた娘は甘い体臭を身にまとうようになる。
そして、その娘と交わったり尿を飲むと、不老長寿が得られると信じられ、権力者たちは大金
を出してこぞって手に入れようとしていた。
しかし、その偏った食生活のせいで売買するまでに滅多に育たないのが現状で、運良くそこま
で育っても初夜で、伽に耐える体力が無く絶命してしまう者や身体の先端から腐り、むくみ、
四肢切断でだるま女としてまた売られ、十代でほとんど命を落とすという・・・。
『人の手で作られた者に不老長寿の効能などあるはずがないだろうに』
医薬や針、灸の勉強のために東の大国に訪れている事になっている西洋医学を学んだレオナルト
は、呆れながらも他の国の伝承や風習などに口をとがらせ批判することはしなかった。
────自分だって、その伝承にあやかってこの国に来たのだから─────
『桃娘』の詳しい育成方法を学び、自国で育て売り、一刻千金を狙う為にこの怪しい医師であ
る老師に裕福な家庭の出身の青年医師として身分を偽り、弟子入りし共にあの屋敷で多くの幼
女を施術を施した・・・・。
「レオあにさん?」
ユーリの声に我に返ったレオナルトは、過去を振り切るようにユーリの耳元でそろえられた前下
がりの黒光りしている豊かな髪を優しくなで、幼さの残る唇にキスをする。
骨ばった体つきと正反対のふっくらした肉付きの良いユーリの唇と甘く香る体臭がレオナルト
の鼻腔を刺激し男の欲情を駆り立てる。
「ん・・ん」
舐め上げるようにユーリの唇と、舌と、歯茎に食らいつく
まるで熟れて滴る果実の汁を余すことなく吸うように
ユーリは逃げることも怯えることもなく、むしろ待っていたようにレオナルトの筋肉が程良く
付いた胸元に手をあてると、自分の舌もレンナルトの舌に絡ませ始める。
舌と舌の絡まる音と口の間を行き来する唾液の音が
いやらしく診察室に響ていた。
ユーリの手がレオナルトのズボンのボタンに触れる。
気づいたレオナルトが、ユーリの指に自分の指を絡ませるように離した。
「あにさん・・・。」
目を潤ませ、切なげに腕をレオナルトの首に絡ませる。
「まだ、病み上がりだから・・な・・・。」
ユーリの肉付きの薄い身体を労るように抱きしめ、撫でるようにユーリの耳元で囁く。
環境の違いのせいなのか、それとも、施術で長く寝込んでいた時におかしくしたのか、ユーリは
よく寝込む。
「もう・・・大丈夫だから
だから・・。」
切れ長の黒曜石色の瞳が切なげに揺れ、猫を連想させるしなやかな体躯は、上気して甘い体臭を強
く漂わせレオナルトを誘う。
「いやらしい娘だね・・・。」
ユーリの耳元でそう囁くと、彼女を診察台にそろりと押し倒す。
「私をこんな風にしたのはあにさんだよ・・・。」
早く、早くと急かすようにレオナルトの首に手を回し、自分に引き寄せた。
「ああ、そうだったな・・・。」
彼も否定はせず、押し殺すように笑うと艶やかな髪に隠れた細い首筋に浮かぶ脈をたどるように
口付けする
「・・・くすぐったい・・。」
ぞくりと首筋に走る快感に、顔を背けるユーリの唇を追うように舌を這わせ、再び唇を合わせ舌
を絡めあわせる。
剥ぐようにユーリのシャツを上にあげると、最近女性らしく膨らみを帯びてきた胸を隠すための
さらしがレオナルトの視界に入る彼はそれを見、彼女から身体を離すと、扉に閑をかけ、ユーリ
を抱き起こした。
「・・・?」
いぶしかる彼女にレオナルトは
「・・・寝室に行こう、ここでさらしを外すのは苦労する。」
ユーリの体臭は男を欲情させ、事を成すまで収まらない
男を喜ばせる人形となるべく
そのための香り付けの施術を施された桃娘
既に屋敷にいた娘達はその偏った食生活と運動不足で肥えていて、また、幼女でも体力がなく、ど
ちらも施術に耐えきれなかった。
ユーリは香り付けに初めて成功した娘だった。
不思議なのはその後も何人かに施術を施した香り。
皆同じはずなのに
ユーリの香りは自分の性欲を駆り立てた─────だから、ユーリの売り先が決まった時にさらう
ように連れてきた。
もう、ここも潮時だと思ったのも理由の一つだが。
・・・はあ・・・あっ!
あにさ・・・ん」
あえぐ声に交えて、自分を呼ぶユーリ。
さらしが緩み最近、ようやく女性らしい丸みを帯びてきたユーリの腰にまとわりつき、動きに合
わせ、扇情的に揺れる。
その下で
自分のものを食わえ込んだ秘所の部分が、甘く香る汁を出しながら淫らな音を出している。
自分の膝の上に乗せ腰の動きと、愛撫する舌や手の動きに敏感に揺れるユーリの表情は
少女ではなく、交わりの快楽を知っている一人の女だ。
レオナルトはその甘い香りに酔いしれながら
その白くきめ細かい柔肌に顔を埋めた
いろんな意味合いで正規の桃娘とは違う、香娘と呼んだ方がきっと正しい
しかし、どう呼ぼうと、玩具には変わりないのだ
老師のことを悪くは言えない
自分も私利私欲のために、その玩具を作る処方を学びに行った・・・。
身分を偽るのは簡単だ
金を積めばいい
所在不明の裕福な放蕩息子の身分を手に入れ
自分の国と友好関係のあるあの国に入った
自分の裏の仕事を隠すために学び、得た医師の資格はこの国でも役に立った。
だけど・・・
「あっ!・・・はあ・・・あああああ!」
ユーリが喉から絞り出すような声を上げ、自分の肩を掴む指に力がこもる。
「─────うっ」
彼女の中が波をうち、自分の熱いたぎりを奥へ奥へと引き寄せた。
一瞬頭の中が真っ白になり
びくん、びくんと脈打ちながらユーリの体内の中に自分の精が入っていく。
しがみつき、まだ、快楽の余韻で身体が震えているユーリの背中を撫でながらゆっくり寝台に倒す
さらしを上から外してやり、快感で流した涙で濡れた長いまつげに口付けをした。
とろんとした目を自分に向け
「・・・あにさん・・・。」
と自分の国の言葉で言うと、愛おしげにレオナルトの髪を撫でる。
ユーリからでる汗の匂いが部屋中に籠もり果樹園の中にいる錯覚を覚える。
「桃源郷の空気とはこんな感じなのかも知れんな・・・。」
一人心地に呟くと、ユーリから離れ布で彼女の股を拭う
「・・自分でやる・・・」
恥ずかしそうに布を受け取ると、背中を向けゴソゴソと処理をし始めた。
その様子を寝転がりながらじっと見つめる。
未だ初潮の兆しがないユーリだが、背中から、臀部にかけての曲線を見るともう間近ではないかと。
そうしたら避妊も考えないといけない。
処理が終わり、するりと自分の身体と腕の隙間に入り込んできたユーリを抱きしめる。
毛布の温もりと情事のけだるさに眠気が襲ってくる。
細いからだを抱きしめ、背中を優しくさすりながら
「明後日、エミリア嬢に施術をすることが決まった。」
そう話すと、途端にユーリの身体が固くなった。
「どうして?─────あにさんは男爵の言うことを聞くの?
エミリアさんは意に添わない男に足を開くのなんてもうも御免だって。
その上に、後々に痛みが残るかも知れないなんて嫌だって、ねえ何とかできないの?」
「決定だ」
レオナルトの低く通る声が、ユーリの胸の奥に刺さる。
鋭利な刃物でひとつきされたような錯覚さえ覚え、ユーリの息づかいが激しくなった。
「ユーリ?!」
─────思い出す─────
あの、いっそうの事、ひと思いに殺して欲しいと願ったあの夜の事・・・
「お前さんは、七日後に、新しい主人の元へ引き取られる───これは決定だ。」
「い・・・や。」
「お前さんは、玩具だという事を忘れてはないかい?
生きた人形なんだよ人形は逆らっちゃあ、その時点でお払い箱だ
よく言うことを聞いて、次のご主人に可愛がって貰い?」
そう言いながら、男のでっぷりとした肉付きの指が、太股になするように自分の服の裾を上げ
秘所をなすり始めた。
────ひっ・・・!」
「動いたら、膜に傷か付く!大人しくしい!
────新しい主人は高齢な方、余りに素娘ではここが固くて肝心な事ができん・・・少しほ
ぐしとかなきゃあならん。
────これはお前のためでもあるのだぞ・・・初夜で痛みと行為に耐えきれず死ぬ者もいる
特にお前さんときたら、ちっともふくよかにならん・・・!
こんなにやせ細った桃娘なぞ、買い取りが付かん、普通に売ってしまおうかと思うとったときに
・・・。」
屋敷の主人は、肉で埋まった瞳が細くなり、声を殺すように笑う。
「物好きもいる者じゃわ・・・こういう桃娘も珍味であろうと良い値で買い取りなさったわ。」
売値額を思い出したのだろう。
秘所をかき回す指が止まる。
しかし、そんな事ではなかったと、身体を仰向きにされ、大きく足を開かされて気付く。
「濡れぬ…これでは傷が付くわ。」
屋敷の主人はそう言うと、太って人より大きい顔を自分のその股間に埋めた。
「─────!!」
身を捩って逃げようとしたが、寝台の薄い垂れ幕の外に人影が見えその影の人物が分かり硬直した
────あの青年医師────
どうしてここにいるの?
いや!いや!
こんな姿見られたくない!
男に好きにされてる姿なんて見られたくない!
しかし、元より力の無い女でしかも、痩せて筋肉も何もない自分がどう、あがいてもどうすること
もできない。
抵抗して主人を押さえていた腕も、痺れだし弱々しく床に落ちた。
主人の舌が自分のその形をなぞるように舐めているのが分かった。
時々、尖らした舌先を入り口に押し入れ中の壁を回すように舐める。
いやいやと首を振るも、されるがままの自分を呪いながら涙を流した。
「ようやく感じてきたようだわ。」
濡れて、特有の甘い香りが漂う中、主人はそう言いながら顔を上げ、涙を拭う余力もない自分を
楽しげに見つめながら言った。
「これから迎えに来る間での夜、仕込むだわ。」
「後の処理頼んまっせ。」
「はい。」
青年医師との短いかい会話をすると、主人はでっぷりとした腹を揺らしながら部屋を後にした。
青年医師は
嗚咽している彼女を気づいてないかのように終時無言で、自分の役割を成すと帰っていった。
同じ屋敷に住んでいた、他の桃娘達は言った。
私たちは買われ先のまだ見ぬ御主人様のために、ここで桃娘になるのよ
その辺の娼婦達と私たちは違うの
生きて無事に御主人の元へ行けるのを誇りに思いなさいと
皆、口々に言う
お菓子や甘い茶を飲みまがら、流行の服や化粧のや食べ物の話
飽きたら、柔らかい床の上でまだ見ぬ主人の夢を見る
年と共に大きく膨らむのは夢ばかりではなく
菓子や果実をたらふく食べたその体躯
夢は夢のままに終われる者はまだ幸福
生きて桃娘として外へ出た女達は現実を知る・・・
私は買われてきた、歳が遅かった・・・
周りを把握し、自我が目覚めていた年頃に子の屋敷に来た。
先にいたあねさん達のように何も分からぬままにお屋敷に入れば良かったの
知っている私に泣いても拒んでも、私には逃げ道はない
『死』より他に逃げ道はないのだ…
そう、それをあにさんが─────
「あにさん・・・お願い・・エミリアさんを・・・。」
懇願するユーリにレンナルトはため息をつく。
「・・・明日・・私の方からもエミリア嬢に問診をしなくてはならないから・・・それから・・
。」
「じゃあ・・・問答無用じゃあないんの?」
「ああ・・・。」
「お願いよ・・・エミリアさんを助けてあげて・・・私の時みたいに・・・。」
─────また『お願い』が始まった・・・・。
慈善事業じゃない、と、何回説得した事か。
─────ユーリの時は、自分の思惑があっての事──────
こんな厄介事に手を突っ込むユーリに、何度連れ去ってきた日の自分の思惑をぶちまけ、放り投げ
ようとしたか。
しかし、いつも涙をためてじっと食い入るように見つめるその黒曜石色の瞳に、欲深い自分の性分
が映し出されているかのようで・・・・自分の汚さから顔を背ける為に彼女の『お願い』を叶えてしまう。
(結局、今回も・・・『お願い』を叶える為に収入無しになりそうだ・・・・)
レオナルトはそう、心の中でぼやいた。
『香娘』 後編に続く
192 :
投下終了:2008/01/29(火) 16:33:16 ID:8tyAHnKq
すみません! 186番、題名抜けました!
中で、桃娘の事が出てきますが、あまり資料が揃わず、詳しくご存知の方には納得行かない
部分があると思います。
あくまでファンタジーとして読んでくだされば幸いにて・・・。
後半、頑張って近いうちに投下します。
ぐわー!!
すみません! 191番目、『香娘』じゃ無く、『桃娘』です!
失敗ばかりですみません!
モチツケ
摩訶不思議な雰囲気があっていいなあ
後編期待してます
GJ!
正直、このスレじゃない方がうけるんじゃないかと思ったけど、
設定が非常にユニークで、面白い。
GJ
嗅いでみたいな
桃娘
続きが気になるなぁ
199 :
投下準備:2008/01/31(木) 21:22:30 ID:d9JZEJBo
感想ありがとうございます。
次も頑張ろうという気が起きます。
また、今回も誤字脱字があるやも知れませんがお楽しみ下さい。
桃娘異聞(いつもお願いは始まり) 後編 です。
医師殿、到着いたしました。」
馬車の中でうっかり寝てしまったレオナルトを、お迎えに来たベネヴォリ家付きの執事頭が馬車の
扉を開けて出迎える。
「ありがとう・・・。」
眠い目を擦りながら器具の入った鞄を片手に馬車を降り、煉瓦造りの大きな屋敷のベネヴォリ家
に入る。
「こちらでお待ちを・・・・。」
執事に案内され、豪華な内装を施してある居間に通された。
(成金趣味だな・・・)
しつこいほどの装飾。
ふと、テーブルに備え付けてある箱に目が行く。
───葉巻入れか
赤い石が埋め込んである葉巻入れを手に取り、その造りと石を凝視する
(なかなかの造りだな)
レンナルトは唸る。
この石はルビーではなくガーネットか。
しかしコレほど大きなものは、ルビーより価値の下がるガーネットでもなかなかお目にかかれない。
箱自体の彫りも、細かい部分も丁寧に彫りヤスリで残すことなく磨かれている。
男爵の自慢の一品だろう。
近づく足音に気づき、音もなく葉巻入れを元の場所寸分違わずに戻す。
「待たせてすまぬな。」
執事頭に扉を開けてもらい入ってきたベネボォリ家の当主。
すまぬと口に出すが、大して悪いと思っていない様子が分かる
「いえ・・・では、施術の注意事項の説明をさせていただきまして、それからすぐに入りたいと思
います。
────昨日お渡しした薬は、エミリア嬢はお飲みになっていますね?」
「うむ、貴公の指示通りに・・・半刻ほど前に眠りに入ったわい。」
「そうですか、では、すぐに取りかかります───分かっているとは思いますが、施術が終わるま
で部屋の中には入らぬように。
余計な雑音で目が覚ますとも限りませんし、消毒した部屋で施術を行います。
雑菌が入ると回復が遅くなります────よろしいですね?」
まるで自分が雑菌だと言われているようで男爵はむっとしたが、この医師、聞けば聞くほど評判が
良く悪い話は聞かない。
しかも、口は堅く医師から話が漏れたなどとの噂も聞かない。
ここで機嫌を悪くさせ、施術を遅らせるわけにはいかないのだ。
自分の短気を棚に置いていい気なものだが、自分中心に好き勝手に生きてきた男爵には、自分の欠
点など見えるはずもないし、ましてや周囲に無償で気を配るなどしたこともないだろう。レオナル
トにも然り、
「分かっとる。」
男爵は将来の自分の繁栄のために調子を合わせた。
ふと、あの良い香りのする少年が側に控えていないことに気づく。
「貴公の助手はどうされた?」
執事に案内され部屋を出ていこうとする医師に尋ねる。
「────診療所に控えさせております。
今日、明日休診にしてありますがもしや急患が入るやも知れません。
重症患者が来たら、私を呼びに来るよう申しつけましたので・・・。」
「貴公は噂通り、仕事熱心なのですな。感服する。」
それは、男爵の本音の感想だ。
「────お褒めいただいて恐縮です。」
そう、レオナルトは男爵に微笑み部屋から出ていった。
(状況にはやし立てられて熱心になってるだけでね)
その状況を作っているのがユーリな訳で、自分はそれに振り回されてるだけなのだが・・・。
前を歩く執事に気づかれぬように溜息をつく。
「・・・レオナルト様、本当に奥様には何の危害はなく策は済むのですね?」
前を歩く執事頭が独り言のようにそっと呟いた。
「その後の処理は奥様にお話しております────後は貴方の協力と黙秘しだいです。」
「・・・・信用して宜しいのですね?
奸策に奥様をはめてはいないと・・・・。」
「奥様の苦しみを取り除いて差し上げ、ご養女を自由にして差し上げたい────これは、貴方も
私も同じ意見。
その代償に・・・爵位も主人も失くしても構わない────男爵に後ろめたくなりましたか?」
「・・・それはありません、私は奥様の御実家から共にこの屋敷に入ったものでございます。
奥様の心が健やかになればそれで良いのですが、これからの生活が苦しくなるのではと・・・それ
を私は案じております。」
「男爵は元々婿養子、爵位だけしか手元にない状態で、金はあるが地位のない奥様と結婚なさった。
男爵が失脚し、離縁したら元に戻るだけ────その後は、貴方が奥様をお慰めなさい。」
「・・・・二十年近くお側にお仕えした私ではなく、たった一晩で奥様のお心を奪ったレオナルト
様がそうするべきだと・・・。」
施術をすべき令嬢の部屋に付く。
「─────貴方は自分の本心を奥様の前で露吐するべきですね。
さすれば、私の心ない囁きなど、偽りだとすぐに分かるでしょう?」
では、手はず通りにと軽く会釈するとレオナルトは一人部屋に入っていった。
それから一刻ほどたち、ベネボォリ家の戸を叩く者がいた。ユーリだ。
先程の執事が、ユーリを待合室に案内した。
程なくして男爵が上機嫌で待合室に入ってきた。
「突然の訪問ですみません、急患で先生でないと対処できそうもなく・・・急ぎ、呼んでもらいた
いのですが・・・。」
「それは困ったことで!しかし、今は施術中、途中で帰られては私も困る。」
「とにかく、僕が来たという事を先生に伝えて下さい。
先生にきつく言われているのです、それで急患の方が儚くなるような事になれば、僕が叱られるだ
けではなく、先生の評判が落ちます。」
それはそうだろうと、男爵は別の若い執事を呼び耳元で何かを囁いた。
執事は嫌悪の表情を出したが、男爵にどつかれ急ぎ部屋を後にした。
「・・・?」
何かきな臭い態度だ・・・。
今、密室で男と二人・・・。
こういう時、自分の身の上にロクな事が起きない────ユーリは経験で知っていた。
男しか興味のもてない男に襲われかけたこともあるし
金があり、暇を持て余している者達は男女構わず性欲に戯れるので、よく狙われていた。
男爵を睨み付け、間を取るために後ずさりする。
「────そう堅くならずに。貴方の先生は暫くしたらすぐに来るだろう。
それまで、少しでも休んでいなさい。」
素早くユーリの側によると腰に手を当て、ソファに誘導する。
穏やかな笑顔を見せている男爵であるが、顔に張り付いたような作られた笑顔でユーリはますます
嫌悪感を募らす。
強引にソファに座らされ、図々しく自分の隣に座る男爵に触れぬよう、端へ端へと移動する。
その動作が、獣を追い詰めた時の高揚感を思い出させ、男爵を興奮させた。
「君はこの辺の容貌ではないが、生まれは何処かね?」
興奮を隠し、普通を装いながらユーリに訪ねる。
「此処からだと、東の方です・・・。」
ずりずりと近寄ってくる男爵を避けながら応え、とうとう後がなくなりソファから立ち上がろうと
した時、腕をつかまれ押し倒されてしまう。
「─────!!何を?!」
「助けを呼んでも誰も来ん、人払いをしてある。」
暴れるユーリをうつ伏せで押さえ込むと、首に巻いていたスカーフで両手首を縛り上げた。
そしてズボンの上からユーリの股間をさすった。
「────やっ!」
「やはり女か」
そう言うと、軽々ユーリを持ち上げ仰向けにし、暴れないように膝の上に乗る。
「あの医師は、稚児がお好みなのだな。────まあ、これだけの容姿なら分からんでもない。」
これから何をされようとしているのか分かっていて、切れ長の瞳が大きく開かれ、重みで表情が歪
んでいる。
が、その、すずやかな顔立ちは、────触れるとたやすく地に落ちる椿を思い出され、伏せ目が
ちに見えるほどの長い睫も、上気して更に赤みを増した紅を付けてない唇も、男を奮い立たせるに
は十分であった。
抵抗できなくなったユーリの身体の線を隠す為に着ていた、ゆったりとしたシャツのボタンを外す
と、はだけてするりと落ちて、さらしで巻かれた胸元と、陶磁のような白い肌が男爵の目を奪う。
「ほお・・・! これはエミリアより肌触りの良さげな。」
感嘆の声を上げ、さらしから逃れている腰の部分をねっとりと擦り出す。
「胸は途上のようだが、この腰の細さはどうだ?東の人間は華奢だというのは事実のようだな。」
「離せ!離せ!!────誰か来て!」
押さえつけられながらも賢明に暴れ、助けを呼ぶユーリの口を忌々しく塞ぎ、男爵は言う。
「縛られた状態で無茶に暴れると、肩を脱臼するぞ。
それに、いくら呼んでも誰も来ん。医師は、二階の奥の部屋だし、此処は私の屋敷だ。
私の命令に従わない者は路頭に迷うだけだと、皆理解しとる────諦めろ、『桃娘』」
まるでユーリだけ、時が止まったように固まった。
こんな遠い国まで流れ着いたのだから、自国の悲しい娼婦人形のことなど話に上らないだろうと
─────。
驚愕して叫ぶのも暴れるのも忘れているユーリに男爵は話を続ける。
「夜会でさるお方から話題が出たのだよ、『桃娘』と言う甘い物しか口にしない娘がいて、甘い体
臭を放ち、不老長寿の効を持つと言う。
─────それに更に強い香りを足した娘もいて、そちらは精力を増大させるそうだ。
一度、この目で見て噂が事実がどうか試してみたいなどと─────申されていた。」
そう話すと、ユーリのズボンのボタンをゆっくりと外し始めた。
「まさかそんな娘がいるとは思ってはいなかったが・・・その驚きようは事実なようだな。」
男爵はにやりと口の片端をあげいやらしく笑うと、身体をずらしズボンを下着ごと太股の付け根ま
で下ろす。
その男爵の行動にショックから覚めたユーリは、今の危機状況に再び焦り、暴れ出す。
男爵は構わず重なるようにユーリに覆い被さると、耳元から首筋に唇を這わせる。
「────いっ!イヤだ!あにさん!あにさん助けてぇ!!」
「この施術失敗したら、慰謝料代わりにお前を貰うとしよう。
エミリアの代わりに献上すれば名目が立つ────その前に私が相伴しないとな・・・ああ、何と
いう甘い香り・・・。」
「失敗なんかするもんか!離せ!あにさん!」
香りに酔いしれたように夢中に首や胸元に唇や舌をを這わす男爵から、懸命に身を捩りながら罵倒
するが、手を後ろに縛られた上、どっしりと身体に乗りかかられてはどうしようもない。
「事が済めばどうとでも物言いはできるんだよ・・・。」
香りに酔ったのか、夢心地の視線をユーリに投げかけそう言うと
股間の黒い茂みに指を這わせ始めた。
─────いや!!─────
ごつごつとした男の指を感じ、恐ろしさで思わずぎゅっと目を瞑った。
瞳に溜まっていた涙が頬を伝う。
「─────成る程、元々その腹図盛りですか。」
怒りを抑えた低い声。
それと同時に圧迫されていたユーリの胸が軽くなった。
「あにさん─────!」
レオナルトに掴み飛ばされ、ソファから転がされた男爵をユーリは踏みつけ、レオナルトの胸に飛
び込む。
レオナルトは、ユーリの腕を後ろに縛り付けているスカーフを外しつつ、しっかりと抱きしめた。
「施術が終わって部屋から出てみたら、助手の叫び声が聞こえたので何事かと駆けつけてみれば・
・・ちっともご養女の身を案じてませんな。」
「・・・くっ・・・!黙れ!たかが医師のくせに!
しかも、その助手が女で桃娘とか呼ばれている娼婦だと言うことを隠しておったな!」
「私はこの子を男とも女とも言ってませんが?
しかも、この子がどういう娘であろうと貴方には無関係でしょう?」
「・・・うう・・・。」
「──────この子にしたこと法政局に訴えても仕方ないですね?」
「・・・・金を積めばどうとでももみ消せる。」
やれやれとレオナルトは肩を窄めると
「─────とにかく、施術は済みました。
執事頭に話してありますが、睡眠薬の副作用で目覚めてしばらくは感情が高ぶってるやも知れませ
ん。
─────貴方を見て興奮し、暴れるかも知れませんので貴方は薬の副作用がなくなる明日の朝ま
で、エミリア嬢に近づかぬように。」
と、厳しく諭す。
「なぜ私が・・・?」
渋る男爵に
「私の目は節穴ではありませんよ、嬢に何をしてきたのか──────此処は大人しく言うとおり
にするのですね、でないと・・・困るのは貴方でしょう?色々と・・・。」
男爵は黙るしかなかった。
それでは、と、ユーリを連れて屋敷を出た。
待たせていた馬車の御者にレオナルトは
「此処から一番近い国境の門に行ってくれ、できるだけ急
いで。」
そう伝え、ユーリと二人馬車の中に入る。
馬車の中は、診療所から持ってきた必要最低限の物が積み込まれていた。
このまま、この国を離れる故郷を越えつもりなのだ。
「エミリア嬢と恋人は先に国境を越えたのか?」
「うん。」
「しばらくはこの国に帰るな─────と、伝えてあるね?」
頷くユーリ
一昨日、ユーリに懇願されたレオナルトは
その夜に男爵家に忍び込み、奥方と密会。
主人が養女にしている仕打ちと、自分が蔑ろにされている現状に塞ぎがちの奥方に
「主人とも養女とも離れ、自由になれる方法がある。」
と、持ちかけ奥方と執事頭を味方に付け、策を練り決行した。
濃度の薄い睡眠薬を嬢に飲ませ、一時期寝てもらい、男爵の安心を買う。
自分が部屋に入る頃には嬢は目が覚め、駆け落ちの準備に入る。
窓から外へ出て、馬車を待たせ待機しているユーリの元へ行き、嬢とユーリを乗せた。
ユーリは途中で別の馬車で待つ恋人に嬢を引き渡し、こちらに戻ってきて
「急患だ」
と、レオナルトに引き渡し完了の言葉を伝え、自分達も屋敷から出て国を離れる
時間の無い中での策の決行な為、嬢が妾としてはいる貴族の内情や男爵の上の貴族達の繋がりがどれ
ほどのものなのか、十分な下調べができなくこのまま、この国にいるのは危険な気がしたのだ。
「ユーリ、こちらへおいで。」
馬車の御者はレオナルトの言葉通り、急ぎ馬車を走らせているせいか、中は揺れが激しくユーリは
乗り物酔いをしたらしく顔色が悪い。
大丈夫というユーリに、他に心配事があるレオナルトはひょいと彼女を自分の膝の上に乗せた。
「この方が揺れが少ないだろう?国境まで時間がかかるからこうしてなさい。」
と、肩から腕を撫でる。
「どこも痛めていないようだな・・・痛いと感じる場所はあるか?」
─────そう、後ろに腕を縛られ押さえつけられた上に、暴れて抵抗したので、肩や腕を痛めてい
ないか心配したのだ。
「平気、私、身体柔らかいもの。」
酔いで青ざめながらも微笑むユーリの頭を撫で、労わる。
策を練る時間がなかったために、予想外のことも起きた。
男爵がユーリの正体に気づき襲いかかって来たこと。
執事頭が慌てて知らせに来なかったら、ユーリは陵辱されていた。
それに─────『さるお方』────身分の相当高い人であろう・・・。
下手に残ってうろついていたらユーリが狙われる。
それと・・・
男爵の奥方と情を交えてしまったこと・・・
(まさか、あんな若い奥方とは・・・・)
奥方の寝室に忍び込み、男爵と同じくらいの年代だと、天付きの寝台のカーテンを開けた。
中にいたのは三十代そこそこの、淑女であった・・・。
透ける素材の夜着を着込み、ろうそくの頼りない灯りに透けて見える熟れた身体を持て余している
切なげな視線・・・・。
放っておけない風情で・・・交渉ついでについ・・・。
それに・・・
診療鞄からはみ出ている葉巻入れ─────ユーリを助ける際についでに持ってきた。
昔の盗賊の癖─────いや、今でも現役のつもりだが
奥方も寝取られ、葉巻入れを盗まれ、その上、嬢まで逃がした─────それを知った男爵が怒
りのあまり何をするかも分からない。
だから、この国から一刻も早く出るのが一番良い。
ユーリの為にも自分の為にも
乗り物酔いでぐったりしているユーリを横目に、つらつら考えた。
・・・・ユーリの『お願い』に毎回振り回されて、腹立だしく、この知らない土地に放り投げてやろ
うか?と何回思ったか。
しかし、そう思う反面、このまま放り投げ手放したらそれはそれで心配で仕方ない。
この子の気質も知らず、欲情のみの対象で見られるのはレオナルトには耐えきれないことだった。
認めたくは無いがこの幼い少女に、惚れてしまっている。
次は静かに暮らしたい─────次はユーリはどんなやっかい事を運んでくるのか
期待と──────不安
とにかく、今、思い巡らしても仕方ない。
国境に着くまで仮眠を取ろう。
桃娘が自分の膝の上で大人しくしている間は、何も問題は起きないのだから・・・・。
桃娘異聞(いつもお願いは始まり) 後編 終
212 :
投下終了:2008/01/31(木) 21:48:43 ID:d9JZEJBo
終わりました。
評判が良ければ続編を書きたいな〜と思っています。
どうぞ、お読みくださいませ。
乙ー
超個人的な意見で済まないが、性別が割れるシーンをもっとねちっこく描いて欲しかった。
215 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 02:14:08 ID:MoECWS2p
一旦age
メイド喫茶みたく男装女喫茶ってのは無いのかねー?
それはちょっと違う気がする。
男装喫茶ってあるよな
ホストみたいな男装で客は女ばっかりの
三次はちょっとなあ
>>219 宝塚っぽい店員や店名からしていかにも腐女子向けって感じだな。
コレに限らず男装喫茶って大体みんなそんな感じだけど。
よく見たら男子禁制って書いてあるしいずれにしろオタ男はお呼びでないかと。
221 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 22:46:48 ID:JVB3LRaz
>>220 腐女子向けかよ…
流行ってんのか知らんが、そんなんして楽しいんかね…
普通に男装少女見られる場所無いのかな
三次の男装っていいか?
コスプレならいるんじゃね
男装はいないがアウストラロピテクスなら沢山いるな
226 :
投下準備:2008/02/14(木) 16:17:43 ID:VJALqzR0
バレンタインに向けて、調子ぶっこいて投下。
バレンタインに向けて、調子ぶっこいて投下。
桃娘異聞続編です。
内容はバレンタインと関係ありません、ごめんなさい。
ネタばらしとしては、初潮ネタなので、苦手な人はスルーして下さい。
『女怪盗』です。
227 :
『女怪盗』:2008/02/14(木) 16:22:24 ID:VJALqzR0
レオナルトはユーリを連れ、しばらく冬でも温暖なエダナムに行くことにした。
此処なら、前にいたコルスリフィルと同じ言葉の圏内だし、何より海に近いので港から新鮮な魚
介類や他国からの珍しい食べ物や品物も手に入りやすい。
潮風が山岳育ちのユーリの身体に合うか懸念はしたが、付いたとき、乗り物酔いでぐったりとし
ていたユーリに、塩の香りとともに身体を撫でる風が酔い冷ましに丁度良かったらしい。
しばらくすると元気になり、自分の荷物を両手に持ち物珍しげに屋台の売り物を見て回る。
一方のレオナルトも、上機嫌な様子を珍しく表情に出していた。
─────あの葉巻入れ
破格の値段で売れたのだ。
思いがけない値で売れたのは喜ばしいこと以上に
裏の仕事を減らした自分の目利きが老とろいていないことが何より嬉しい。
「とにかく宿を取ろう。」
診療所になる家を借り、道具をそろえるのにも時間がかかる。
その間の滞在先を決めないといけない。
安くて清潔で、できれば────風呂付きの宿があれば文句はないが、安い宿はやはりそれなり
で高い宿は清潔で手入れは行き届いているが、しばらく滞在するには金がかかりすぎる。
トランクに腰掛け、ぼんやりと空を見ているユーリを見、
此処まで来る間馬車のひどい揺れに、真っ青になりながら乗り物酔いに耐えた彼女を思うと
一、二泊はふかふかの寝台で手足を伸ばして寝かしてあげたい・・・。
彼女のせいでこういう事になったのだが、こんなに人が良かったかと自分に思わず笑ってしまう。
まあ、こちらとて、ユーリの『お願い』で奔走し此処しばらく寝不足だ。
大金も手に入れたし────
228 :
女怪盗:2008/02/14(木) 16:25:41 ID:VJALqzR0
「すごーい部屋だね、あにさん良いの?」
「一、二泊くらい泊まったって金は無くならないよ。」
遊郭で来る貴族用にあつらえてある内装は、楽しめるように異国風になっていた
「これ、どの辺の国を基調としているのかしら?」
床に沢山のクッションに低いソファ
風呂場をのぞくと、床を掘り下げたような造り。
「砂漠の都辺りかもな・・・。」
中途半端は否め無いが、聞きかじりの貴族達には充分通用するのだろう。
栓を抜くと、お湯が湯気をたち湯船に流れ浅いのか、瞬く間に一杯になる。
「あにさん、身体流して良いん?」
「そのつもりで栓抜いたのだろう?」
ぺろっと舌を出すユーリの額をレオナルトは軽くゴツく。
ユーリはいそいそと入浴の準備をし、湯所の天幕を閉めた。
「・・・・?」
レオナルトは荷物を出す手を止め、天幕を見る。
楽しげに服を脱ぐユーリの姿が天幕に映し出されていた。
(丸見えじゃないか)
それに気付かないユーリもやはり抜けている。
「・・・・。」
幼い身体の線が映し出される。
そう言えば、こうやって全裸を離れてみるのは初めてだ。
幼い幼いと思っていたが
─────やはり幼い体つきだ────
しかし、一年前に比べたら腰の辺りなどはやはり肉が付いてきたな。
その辺はなかなか良い。
229 :
女怪盗:2008/02/14(木) 16:28:19 ID:VJALqzR0
尻も小ぶりながら上向きでつんとして張りがある。
それは本人も気付いて、ゆったりとしたシャツを着ているし…。
レオナルトは何か思いついたようにニヤリと笑うと、自分もシャツを脱いで天幕を勢い良くあけ
た。
「ひゃあ!?」
驚いたのは、既に湯船に使って身体を流していたユーリだ。
思わず無い胸を隠す。
「あっ、あっ、あにさん?」
顔を真っ赤にしてどもるユーリにレオナルトは
「お背中お流ししましょうか?」
うやうやしく頭を下げる。
「えっ?えっ?」
いつもと違うレオナルトにますます訳が分からず、戸惑うユーリ。
この一年共に生活していたが、実は風呂は別々に入っていた。
風呂というのは無く、簡易シャワーみたいな物は付いていたが、一人がようやくは入れる大きさ
だったので、順番に身体を流していたのだ。共同浴場な物は街中に行けばあるのだが、人里離れ
た場所に診療所を構えていたし、男に扮しているユーリに共同風呂は無理だった。
なので、こういう場面は今まで残念なことに無かった。
「上流のお嬢様方は皆、小姓やメイドに身体を流して貰っていますよ。」
そう言いながらユーリが持っていた洗い布をひったくると、ユーリの背中を洗い始める。
「────ひゃ!良い! 良いです!一人でやれます!」
レオナルトの態度にユーリも思わず丁寧な言葉を使ってしまう。
ユーリには寝耳に水だ。
年頃の娘が異性と一緒に風呂に入るなど自国の習慣にはないし、結婚してもそんなことはしない。
230 :
女怪盗:2008/02/14(木) 16:30:55 ID:VJALqzR0
「まあ、そう言わずに─────おっと失礼!」
手が滑った振りしてわざとらしく胸を触る。
「一人でやるってば────!!」
こんな事態になるとは思っていなかったユーリは、洗い布を取り返そうと必死に引っ張る。
「なにを今更恥ずかしがっているのですか?
お互い隅々まで知った仲ではないですか。」
面白がって小姓の真似を続けるレオナルトだが、どうにも、手つきがいやらしい。
洗い布なんかあっても無いと同じ。
石鹸は手に付け、ユーリのようやく膨らできた胸を持ち上げるようになする。
「あっ・・・あっ・・・やっ。」
湯で温まった事に付け加え、手での刺激に身を捩るユーリの身体から甘い香りが強く放出されだ
した。
─────この香りに弱いレオナルトも、洗い布を放り出し身悶えするユーリを後ろから抱きし
め、首から背中にかけて大量の口付けの後を付けながら、指で乳首を撫で回す。
「あっ・・・ああ・・・ん・・あ・・・にさ・・ん。
もう・・・。」
「────もう?」
むさぼるような、手つきと口付けの嵐に息を荒くしながら、快感を逃すようにレオナルトの手を
握りしめる。
「身体・・・流せないよ・・。き、綺麗に・・・してから・・じゃ。」
「だから、するついでに綺麗にしましょうか?────と。」
香りに酔っても冷静に話すレオナルトに、ユーリはずるいと、息絶え絶えに伝えた。
「何がずるい?」
「私ばかり・・・こんな風にして─────あっ!」
前触れ無く、レオナルトの腕が自分の股間に入り、太く長い指の感触に思わず身体が反りあがる。
「私にもこんな風にしてくれるのかな?─────できるの?
私に触れられるだけでこんなになるのに。」
231 :
女怪盗:2008/02/14(木) 16:33:24 ID:VJALqzR0
はあはあと荒い呼吸をしながら首を振るユーリ。
「教えてくれたら・・・・できるもの・・。」
「────ほぉ・・・・ではして貰おうか?」
レオナルトはユーリの身体から手を離すと、ズボンのボタンに手をかけ脱ぐ。
誇張した男の物が目の前に現れ、ユーリは思わず目をそらす。
レオナルトはユーリの前で腰掛けると、彼女に石鹸を持たせこうやって洗うんだ、と教えた。
恥ずかしさで頬と瞳を真っ赤にさせながら、
教わったとおりに泡立てた石鹸をレンナルトのその物にそろそろとなする。
「もう少し強めに。」
言う通りにすると自分の手の中で固くなっていくのが分かった。
「────生き物みたい・・・。」
恥ずかしさを忘れ、ぱちぱちと長い睫をと黒い瞳を瞬き、ジッと反り上がったその物を、感心したように見つめ、呟くユーリを見て、羞恥心が出たのか
に呟くユーリを見て、羞恥心が出たのか
「生き物です。」
と、行き場のない自分の両手で彼女の髪を撫でる。
丁寧に黒みがかった金色の恥毛も洗い、湯で流す。
「・・・ユーリ・・・。」
白百合のようなユーリの手が包むように自分の物に触れ、擦る。
それだけで、今回は良い────と、思っていたが、すぐ、ちょっと前に突き出せばユーリの唇
に触れる・・・・。
レオナルトは彼女の両の頬を優しく掴むと
「・・・・口に含んでごらん・・・。」
口を開けさせ、迫る。
「─────!?」
ユーリはいや、と、後ろに下がり、はっとした顔になり
「ごめんなさい・・・・。」
と、申し訳なさそうに謝った。
232 :
女怪盗:2008/02/14(木) 16:34:39 ID:VJALqzR0
切り替えの早いレオナルトは、それじゃあと湯船にジャブジャブ入り、ユーリを持ち上げ湯船の
縁に座らせ、足を大きく開かせる。
「交替・・・・。」
と、一言、言うとユーリの股に顔を埋めた。
躊躇無くあっと言う間のレオナルトの行動に、ユーリはとっさに腰を引いたがすぐに元の位置に戻さ
れた。
これは・・・・
────あの時、自国にいた頃主人にされた行為─────
ユーリの心の傷となっている行為・・・・
「やっ、やめて・・・・あにさん!
それは嫌!─────嫌なの!!」
ざらついた舌の感触を思い出す。
身震いする恐怖感。
「知ればもっと欲しがるようになる・・・・。」
しかし、いつも嫌がれば止めてくれるレオナルトが、今回は聞かなかった。
舌先とたまに全体を使い、余すことなく、ユーリの黒い茂みの中に隠れた秘所を舐める。
「────はっ・・・・あ!
あにさ・・・・ああん!」
強い刺激に座っていられなく、横になって仰け反る。
レオナルトの舌先は怯えるように隠れていた小さい突起を見つけた。
隠していた薄皮を指の腹でめくり
それを舌先ではもちろん
唇も使い、吸い上げたり、甘噛みする。
「いやあ!・・・・ いや!・・・んん。」
もはや、ユーリの『嫌』は嫌悪や過去の記憶の痛みによる物ではなかった。
233 :
女怪盗:2008/02/14(木) 16:37:27 ID:VJALqzR0
レオナルトが自分の股間に顔を埋めている羞恥
ひどく恐ろしかったこの行為
─────今は止めてほしくない────
その部分から這い上がってくる熱い痺れが、寄せては引き────を繰り返す。
そのたび痙攣する股を撫で、レオナルトは落ち着かせる。
滴る液体は、身体から零れる湯でも無く、捩って流れる汗では無い。
舐めると、ねっとりと舌に纏わり、女の匂いと、ユーリの甘い香りが混じり────これが、
ユーリの国の長寿の秘薬と言われた物なのか?と、否定しながらも、止められず、貪る。
何、か大きな快感が迫ってきそう・・・
小刻みに、来ていた快感─────例えば、寄せては引いていた波が砂浜に残していく貝殻のよ
うに小さな痕跡を残すように、少しずつ余韻を残してそれが溜まっている────
今、今・・・・そう、今・・・
「あにさん…きて!私の中にきてえ!!」
震え泣きながら懇願するユーリを抱き起こすと、
限界まで我慢していたレオナルトの誇張していた物に一気にあてがう。
─────頭の中が真っ白になった
234 :
女怪盗:2008/02/14(木) 16:39:45 ID:VJALqzR0
分かるのはレンナルトと繋がった、腰の中の鋭い快感
その感覚が強すぎて、彼がどう自分の他の部分を愛撫していようが
綿でくるまれた身体に口付けされてるようで何も感じない程・・・・
何か叫んだかも知れない。
レオナルトが何か言っているような気がしたが、それもよく聞き取れない。
快楽というなの夢の中にいるようで
─────ただ、その気持ちよさにユーリは浸っていた・・・・
チクッ─────
お腹痛い・・・・
刺すような痛みにユーリは目が覚めた。
お腹の中心をさする。
痛みは一瞬ですぐ治まったが、下半身に違和感を感じだす。
「あにさん・・・・。」
呼んだが、隣で寝ているはずのレオナルトはいなかった。
ユーリは驚いて寝台から飛び起き、部屋中を探し回る。
寝台の横の窓を開け、外も覗いてみる。・・・・が、外は闇で遠く海の音が聞こえ、時々、灯台
の薄い灯りがかろうじてこちらまで届くだけ。
ふと、サイドテーブルに果物が入った籠を見つけ、その中に手紙が入っているのに気付いた。
開けてみる─────レオナルトの字だ。
『情報収集に行ってくる。
食事の時に話したが、聞いているかどうか定かではない様子だったので、手紙を置いておく。
お腹空いたらこれでも食べてなさい。
支配人が注意していたように、くれぐれも窓を開けっ放しにしないこと。』
235 :
女怪盗:2008/02/14(木) 16:41:55 ID:VJALqzR0
・・・・・?
ぼんやりと思い出す。
あの風呂の情事の後部屋で食事を取ったけど、旅の疲れと重なってあまり食が進まなく
それはあにさんも同じで、すぐに二人寝台の布団に潜り込んで熟睡したんだ。
そう言えば、食事が来た際に支配人が話してた。
『エダナムには男性のみを襲う女怪盗がいまして・・・・寝る際には窓の戸締まりをするよう、
くれぐれもお気をつけください』
情事の余韻で夢心地だった───はた、と、思いだし慌てて窓を閉めようと踵を返したとき
内股を何かが伝う。
「・・・・?」
恐る恐る覗くと
伝っているのは血─────
「─────!?」
あまりの驚きに声が出ず、それでも震える手で、下着を脱いで見て愕然とした。下着は血痕で赤
く染まっている。
(ど、どうしよう・・・!)
何かの病気?
それとも、怪我?
いや、一番の可能性は─────
今日の情事・・・・
あにさんがあんな事するからだわ!
だから嫌と言ったのに!!
236 :
女怪盗:2008/02/14(木) 16:44:52 ID:VJALqzR0
しかし、怒りたい相手はこの場にいないし
看てくれるのも、レオナルトだ
どうすることもできず、ヘナヘナとその場に座り込み、しくしくと泣き出してしまった。
────気が動転して、すっかり窓の戸締まりを忘れてしまっていた─────
音もなく優美な曲線を持つ女が入ってきたことなど
今のユーリに分かるはずもなかった・・・・。
この部屋に泊まっているのは金を持っていそうな医師とその助手
そう、情報屋から聞いている。
医師は大抵男だし、女を助手として使う医師はまだまだ少なかった。
一応情報屋に確認を取ったが
『可愛い顔立ちはしてましたがね、ありゃ〜男ですな』
身体のどの部分で確認を取ったのか分かる動作を情報屋はして、カラカラと笑った。
なら問題はない
今、医師は外出しているのは知っている。
マスクを付け音もなく忍び寄る────助手と思われる少年に
「・・・?」
少年はぺたんと床に座り込んでしくしくと泣いていた。
男のくせに一人が怖いのか?
呆れたが、情報屋の言う通り可愛い子で好みなら、ちょっと遊んでやろうか、と、少年の肩に手
を添える。
237 :
女怪盗:2008/02/14(木) 16:47:14 ID:VJALqzR0
一瞬びくん!と、少年の肩が上がり
「・・・あにさん・・・?」
と、ゆっくり振り向いた。
薄闇でもこの子の妖艶さは分かった…。
涙で濡れる瞳を隠すように目尻に向かって長くなる睫が、
息を飲み、引き込まれるほどの視線を作り
程良い厚みの唇は、紅をさす必要がない位、艶やかな赤みを出していた。
─────そして何より
この甘い香り・・・・花ではなく何かの果実を連想させる
香水かと思ったがどうやらこの子の体臭らしい
例えれば、酒に漬けた果実を食した時に、鼻を通り抜ける芳香に近いが
もっと、熟成極まり、洗練された甘い匂い・・・・。
一瞬くらりとしたが、慌てて正気を保つ。
少年は望んでいた医師ではなく、見たことのない女に心底驚いたらしく、身を固くした。
「ご希望に添えなくてすまなかったね──あにさんとはあんたの先生のことかい?」
「・・・・貴女、誰?」
先ほどまで『あにさん』を求めてしくしく泣いていたとは思えないような鋭い視線で自分を見る
少年を押し倒す。
「─────!?」
「何、痛いことはしないよ。
少しばかり『寄付』して頂きたいのさ・・・・お礼に『女』を教えてあげるよ?」
そう、少年の股に手を当てた時、ぬるっとした手触りにぎょっとし、まじまじと少年の股間を見
る。
「・・・・あんた・・・。」
唖然と自分を見つめる女にユーリはとうとう貯まらず
「うっ・・・・。」
と声を出し、ぶるっと震えると声を出して泣き出した。
238 :
女怪盗:2008/02/14(木) 16:49:21 ID:VJALqzR0
「心配することはないよ、これであんたも大人の女に仲間入りさ。」
ヒャックリを止めようとハンカチ口に押さえているユーリに諭すように話す。
泣きじゃくるユーリにこれは生理だと言うことを伝え、
診察鞄や持ち物をひっくり返し、脱脂綿を見つけると処置の仕方を教えた。
「────まあ、実際に初潮が来るまで教えない大人が多いからね、性の方は早くから教えるの
にさ・・・・ねぇ?」
意味深な言い方に、ユーリはさっと顔を赤らめる。
助手というより愛人
しかも、髪を短くし、わざわざ男の格好をさせとくなんて
何か訳ありな事は簡単に推測できた。
おそらく、この体臭・・・に関わることだ。
女の私でも惹きつけられ、酔わせる香り────男ならどうなるか予想は付く。
「面白いな・・・・。」
一攫千金の予感に背筋がビリッとした。ここは取り合えず恩を売っとこう。
「・・・・気が変わった。」
「?」
「金目の物でも頂戴しようかと思って忍び込んだけど、初潮騒ぎで気がそれたよ。」
「ありがとうございます・・・・。」
ようやくシャックリが治まりユーリはぺこりと頭を下げた。
(未遂だが盗みに来てお礼を言われるのは初めてだよ)
女は肩をすくめクスリと笑うと、お祝い、とクチナシの花を一輪ユーリに渡す。
ユーリの体臭とはまた違う甘いがすがすがしい香りがユーリの鼻腔をくすぐる。
「クチナシの花言葉は『沈黙』─────この花をあんたは受け取った。
分かるかい?
あんたはこの花言葉通り誰にも、勿論あにさんに私のことを話してはいけないよ。」
239 :
女怪盗:2008/02/14(木) 16:50:48 ID:VJALqzR0
何故話してはいけないのか?
疑問に思いつつ、その雰囲気に押され頷くユーリ。
「それじゃあ、また会おうよ、ねっ?」
「・・・・はい───あっ!」
窓から去ろうとする女をユーリは慌てて引き止める。
「何だい?」
「名前!聞いてませんでした!」
「行儀の良い子だね・・・・、このエダナムに住んでれば、聞かずとも分かるのに。」
そう言うと、ユーリにあげたクチナシの花を指さした。
「ガルデーニア。」
そう告げるとサッと、窓から飛び降り、暗闇の中に消えた。
「生理時の処理の仕方を知っていたのか?」
「うん・・・・お屋敷にいた頃に・・・・。」
「ふーん・・・・・。」
後に帰ってきたレオナルトに、診療鞄などがかき回されている事を訪ねられ、初潮がきてそのた
めに綿と布切れを探したのだと話した。
本当はガルデーニアがひっかき回したのだが、
黙っとくように言われたので、どうにか言い訳を考えた。
レオナルトは食卓の中央に生けてあるクチナシの花にも目がいく
「─────これは?」
「・・・・目が覚めたら、あにさんいなかったから、部屋の外に出ようと扉を開けたら、あった
ん・・・・。」
「・・・・ふーん。」
クチナシの花を手に取り、くるくる回しながら窓際に移動し、縁を見つめる。
240 :
女怪盗:2008/02/14(木) 16:52:37 ID:VJALqzR0
「・・・・何件か酒場を回って聞いたのだが、支配人が話していた女怪盗はガルデーニアと言う
らしい。
マスクで目元を隠しているが容姿端麗でなかなか頭も回ると言うことだ。────それに、虜に
なっている男達が大勢いるそうで、その者達の陰の協力もありなかなか捕まらないそうだ。」
「女怪盗ガルデーニア・・・・さん。
あにさんと同業者が此処にはいるんだね。」
言ってしまえばいいのに─────此処に来ましたって・・・。
明らかにあにさんは私の言い分に疑惑満載って、態度で示してる。
何故言えないんだろう?
言おうとすると、喉に何かつかえた感じがするからかしら?
「そう────現れた後、必ずクチナシの花を一輪置いておくそうでね・・・・だから、ガルデ
ーニアと呼ばれることになった───そうだ・・・来たんだろ?此処に。」
「さあ・・・知らない・・・もしかしたら来たけど、扉の前まで来て帰ったのかも・・・。」
目線を合わさず喋るユーリの目の前にずいっと近づくとおもむろにクチナシの花をユーリに近づ
ける。
甘い花の香りが・・・ユーリの鼻をかすめた時
パチン
と、レオナルトが指を鳴らす。
びくんとユーリが身体を震わすとじっとレオナルトの方を見た。
「?あにさん?」
「作り話を考えるのが下手なユーリを味方にしようなんぞ・・・・人選見誤ったな。
もう一度聞く、来たんだね?」
「・・・・うん・・・・。」
今度は素直に声が出た。
「変だな・・・さっきまで返事しようとしても言葉が出なかったん。」
咽喉もとの不快感が無くなり、自分の首を擦るユーリ。
241 :
女怪盗:2008/02/14(木) 16:55:40 ID:VJALqzR0
「軽い暗示をかけたらしい・・・素人の域で良かった
玄人のかけた暗示だったら私では対処できなかった。────何があったか話せるね?」
頷くユーリを椅子に座らせ、此処であった女怪盗のことを話した。
一通り聞いたレオナルトは口を手でさすりながら唸る。
手荷物と診療鞄を確認したが何も取られていなかったし、半分だけ部屋に残した金も手つかずだ
った─────初潮騒ぎで気が削がれたと言うのは本当らしいが・・・・
ユーリが男装しているが女で、香りを放つ特殊な子だと知った怪盗が、このまま黙って見過ごし
てくれるとは思えない。
これから何かの形で接触してくるだろう。
「また、会おうよ・・か、御免こうむりたいね。」
「でも、そんな悪い人には見えなかったよ。」
「暗示をかけられといて何が悪い人に見えなかっただ・・・。」
ユーリの人の良さにレオナルトはこめかみを押さえる。
また、近々移動しないとならないかも知れない危機に
そんなに深刻な問題なのかしらと、不思議そうにレオナルトの顔を覗くユーリ
桃娘を手放せないのなら
もう、いいかげん腰を据えて厄介事と向き合えば、頭を悩ます事もなかろうと思うのだが
厄介事をもたらす張本人がその意識が薄く、無防備でかつ抜けているのが何とも腹立だしい。
白々と明るくなってきた空は寝不足の眼には攻撃的に眩しい。
レオナルトは荒々しく窓を閉めるとユーリに「寝る」と一言告げると寝台に潜り込んだ。
何もかも面倒臭くなっているときは寝るのに限る
寝て、気力も体力も充実したらまた考えよう
242 :
女怪盗:2008/02/14(木) 16:58:04 ID:VJALqzR0
機嫌を取るかのようにもそもそと潜り込んできた桃娘を抱きしめ、1つ欠伸をすると
発情しない程度の微量の香りを嗅ぎながら深い眠りに落ちていった。
さて、後日談になりますが、ユーリ、状況が状況だけあって
間違った性と月のものの知識を身につけてしまっていました。
レオナルトが情事の際にユーリの股に顔を埋めたその時、「────駄目!あにさんの激しい
もの!生理が来ちゃう!」と、のたもうて
その日の情事はそこで終了
レオナルトの月のものの講義を寝台の上で受けることとなったそうです。
『女怪盗』 終わり
243 :
投下終了:2008/02/14(木) 17:00:35 ID:VJALqzR0
>>226 で、同じ文が続けて入ってしまいました。 すみません。
中世では、今みたいに事前に生理の事を話す事も無く、突然の月ものに女の子は
パニックになって、また翌月もなって、パニック・・・・と言う事も度々あったと言う
のを読んで書いてみました。
初潮は14〜15と今より遅かったようで、それを考えるとユーリは普通ですね・・・・。
読んで下さりありがとうございます。
>>243 乙!ユーリ可愛いよユーリ
>>223 ていうか男装自体昔から女の方に人気があるもんだからなあ
>>231 あー!!エロ部分にまた文章の消し忘れが〜!!
恥ずかしくても、ちゃんと読み直さないと駄目ですね〜
すいません〜。
この世界観もそうですが、キャラクターの丁寧さの描写がいち書き手として羨ましいです。
続きに非常に期待。
いちいち言動が可愛らしいなぁ……ユーリ。
面倒見るレオナルトとのやり取りがオモシロス
続き期待してます。
今更ながらGJ
男装した女の性格が、オシトヤカなのとオテンバなのとではどっちが良い?
それと電波系
おしとやか、脅迫とかできそうだから
無理してオテンバに振舞うオシトヤカ。
追い詰めて泣かせたい。
普段はおてんばなんだけど好きな相手にだけはしおらしくなるってのに萌え
クールかつ優雅ってのが好き。
男装の麗人とか言われるような感じの。
やんごとなきお方じゃないなら、元気があった方がいいかな。
自分の中の「女」を嫌悪してて、女らしさを絶ちたいから
男装して男に紛れて粗野な少年を演じてたけど、ひょんな事で
女なのがバレて、しかも自分が女なのを実感させられて
パニックになっちゃう男装少女とかツボ。
誰一人として電波系に票をいれないんだな。
「俺、人の守護霊が見えるんだぜ」
とかなんとか理由をつけて二人きりになろうとする男装少女を想像すると悪くないと思う。
というわけで、オテンバに一票。
なんらかの理由で男装はしてるけど、メンタリティは女性であるべきだな。
性格は話に合っていればよろしい。
>>255 オテンバじゃなくてオ電波じゃないかと(ry
>>256 俺もそれがツボだ。ナタリーなんかはもう最高のごちそうだった、
でもあんまりこのタイプっていなくない?
259 :
投下準備:2008/02/27(水) 21:41:33 ID:h81bxXci
桃娘異聞投下します。
が、今回エロ無しです。
エロ無し いやん の人はスルーお願いします。
桃娘異聞(思惑)です。
260 :
思惑:2008/02/27(水) 21:44:17 ID:h81bxXci
怪盗に出会った夜から三週間ほどたち、レオナルトとユーリは港にほど近い場所にある小さな家を
借りて、そこに住んでいた。
一部屋しかなく、窮屈さを感じるが、生活に必要な物は一通り揃っており、小さいが台所も便所も簡
易シャワーも付いている。
女怪盗の件があるので診療所を開くのは当分考えていないと言うレオナルトに、ユーリは
「盗む才だけで、あにさんが厄介だという地位や権力を持つ相手じゃないのだから、そんなに警戒す
ることないのに。」
と、女怪盗が聞いたら言葉に詰まる、ごもっともな指摘をしたが、虜になって協力している男達の中
に世間に力を持つ者がいる可能性がある。
慎重に事は進めた方がいい────そう考えた。
幸いに、老医師が一人で切り盛りする診療所に助手として働くこととなったし、金銭的に困ることは
当分無い。
ユーリも助手として働きたい、と、老医師に申し出たがそれほど広い診療所ではないし、助手は一人
で足りると断られた。
一人で出歩いてはいけない────そう言われ昼間、一人、留守番をする事になったユーリは
暇を持て余し、夕方帰ってくるレオナルトに飛びつくようにじゃれ、今日起きた出来事を、事細かく
聞くようになってしまった。
困ったのはレオナルトの方だ。
港の側の診療所のせいか、船乗りや、漁師、荷物を上げ降ろす仕事に準じる者達────とにかく怪
我人が多く運ばれてくる。
しかも、仕事柄、喧嘩っ早いのが多いのか、やりあって傷だらけ・・・・ニヤニヤしながら診療所の
扉をたたく偉丈夫の男達の多いこと。
それだけならまだ良いが、
怪我も病気も無い健康な御老人達が、井戸端会議にやって来る。
御茶菓子を用意して、患者を診ながら世間話にも興じる・・・・。
261 :
思惑:2008/02/27(水) 21:46:13 ID:h81bxXci
慣れない患者達と、微妙に話の噛み合わない老人達との会話にぐったりして帰ったら、ユーリが飛び
ついてきて・・・
嬉しさで上気している身体から香る体臭がレオナルトを酔わせ
疲れた身体でありながらユーリを押し倒す。
毎日がこの調子で、疲労が溜まりつつあるレオナルトは、
とうとうユーリに昼間の外出許可を出した。
「人の多い場所のみ」
と、限定だがそれにより少しは子犬のようにじゃれてくることは減るだろう・・・と、自分の健康管
理に危機を感じたレオナルトは胸を撫で下ろした。
朝、掃除と洗濯をすませ、ようやく後ろに縛れるほどに伸びた髪を縛り、レオナルトから貰った小遣
いをズボンのポケットに入れると扉に鍵をかけ、飛び跳ねるように市場へ出かけた。
最近、疲れの取れないレオナルトの為に精の付くものを作ろうと考えたのだ。
出来合いの物をレオナルトが買ってきてそれを食べていたが、栄養が偏るし何より飽きた。
コルスリフィルにいた頃はユーリが食事を作っていて、レオナルトの評価は高かった。
それに、レオナルトの疲労が溜まる原因の1つが、自分の体臭のせいで性欲が制御できなく、交わっ
てしまうと、理解しているだけに申し訳が無いのだ。
(消化しやすくて、栄養が高いもの)
市場の食材を眺める。
相性の良いイチジクと鶏肉の組み合わせにしようか?
ううん、魚介が新鮮だから香味野菜と魚の蒸し焼きにしようか?
いや、それとも・・・あにさんの故郷の北方の・・・
市場の食材を見れば見るほど悩んで頭がこんがらがってきた・・・・。
262 :
思惑:2008/02/27(水) 21:48:33 ID:h81bxXci
─────ドン!────
何かにぶつかり尻餅を付く。
「あいた〜。」
お尻をさすり見上げる。
「────ふらふらよそ見して歩くんじゃねぇ!ひょろちび!」
ぶつかったのは、青年だった。
見た目上品で、質の良い布で良い仕立ての服を着こなし、あか抜けている。
「何ぼさっとしてんだよ!謝れよ!ひょろ!」
しかし、口のききかたは決して上品では無い。
むっとしたが、確かに前方不注意だった自分に非がある。
「ごめんなさい。」
と、ユーリは素直に謝った。
「─────謝るだけかよ?」
「えっ?」
「下町の庶民のくせに、上流階級の人間にぶつかったんだぜ?
慰謝料払うのは当然だろ?」
意地の悪い笑みを浮かべ、上流階級の者だという青年は、ユーリの胸倉を掴んだ。
「慰謝料なんて・・・ぶつかったのは悪かったけど、尻餅付いたのは僕の方だよ。」
襟首を捕まれ、苦しさを押さえながらも反論する。
「下賤の癖に何言ってやがるんだか・・・しかもお前、男の癖に甘い香水付けてんのか?金のない
下賤の癖に生意気だな〜。」
(下賤、下賤と嫌な奴!)
払いのけようとするが、やはり、と言うか体格の差もあり払いのけることができず、必死に暴れる。
その様子をじっと見つめていた青年は
「・・・・よく見ると可愛い顔してんな。
─────慰謝料の代わりに俺の相手をしろよ。」
と、更に要求をしだす。
263 :
思惑:2008/02/27(水) 21:50:01 ID:h81bxXci
異性とも同性とも経験しているのが貴族の嗜み────自国でもそう言う習わしがあったユーリには
、特に違和感は感じなかったが・・・。
(女だもん!)
少年の成りはしてるが
男として相手しろなんて────いや、女と知られてもお断りだ!
お屋敷にいた頃は、男達の好みに合うように
なよなよと儚げに、男に従順であれ────と教育され、抵抗しつつそれに洗脳されつつあったが、
レオナルトと生活を共にし、馴染んでくると、性格も実家にいた頃に戻りつつあった────
「離してよ! 誰がお前なんかと!」
騒ぐユーリを見て、青年を諫める者もいたが、逆に蹴られ、退散し皆、遠巻きに見るだけだ。
「あにさん!あにさん!」
必死に呼ぶも、診療所にいるレオナルトに聞こえるはずもない。
その時だ────
「止めなさい、その子を離して。」
若い男の声
その声と同時、ユーリを掴む青年を離す偉丈夫な男。
せき込みながら、その声の主を見る。
歳は自分と同じくらい
この、嫌な青年よりずっと質の良い服を着込み、こちらを睨むように見つめてる。
264 :
思惑:2008/02/27(水) 21:52:37 ID:h81bxXci
琥珀色に輝く厳しい眼差しを向け、ジッと青年を見ながら
「君はあれほど注意されたのにまだ、やっているんだね?
何回注意されても、直らないようだから、父上にご報告し、叱ってもらうしかないようだね。」
柔らかな言い方ではあるが、ピンと張りつめた雰囲気があり、その場にいた全ての者が固まる。
「あっ、あっ・・・しかし、ルカ様、こいつが先に私にぶつかってきたんですよ!
悪いのは────。」
「逆に怪我しているのはその子のようだよ。
それにぶつかっただけで、慰謝料や伽の相手を要求するのは行き過ぎでしょう?」
「うう・・・」
「乳兄弟だから今まで、ずっと大目に見ていたけど、あまりに素行が直らないようだから、今、父上
が港に来ているから話をしておく。────追って、沙汰を待つよう。」
それを聞いた青年は、先程の勢いは何処へやら、かなりうな垂れ、去っていった。
「大丈夫?」
それを見届けると、少年は心配そうにユーリに近付いてきた。
「あっ、はい。大丈夫、ありがとうございます。」
ぺこりとお辞儀すると真っ直ぐ少年を見る。
亜麻色の柔らかそうな髪を、きちんと後ろで縛り清潔感を漂わせている。
顔立ちも物腰も話し方も、穏和でおっとりした印象を持つが、琥珀色の瞳は冴え冴えとして理知
的で厳しさを備えていた。
少年は不意にユーリの手に触れると「傷」と平を見る。
皮膚が擦れて、少々出血していた。
「この位平気です。」
「────駄目だよ、例え小さな傷でも下手すると生死を彷徨う事にも成りかねないんだから。
ここから、すぐに診療所があるから、そこへ行こう。」
────あにさんと同じ事を言う────
特殊な娘だから・・・と、必要以上に周囲を警戒し、慎重になる。時々過保護じゃないかと思う程
、レオナルトの自分に対する接し方は、もしかしたら西方では普通なのかしら?
強引に馬車に押し込まれながら、そう、思った。
265 :
思惑:2008/02/27(水) 21:53:59 ID:h81bxXci
「ユーリ?どうしたんだ?」
レオナルトは入ってきた綺麗な顔立ちの少年と、水夫になってもおかしくない体格の男に連れら
れてきたユーリに驚いて腰を上げた。
「あに────じゃなくて、先生!」
人前ではあくまで先生と助手
「お知り合いなのですか?」
「僕、この先生の助手なんです。」
そう、少年に告げると、レオナルトに此処までの経緯を話した。
「・・・・そうですか、助手のユーリがお世話になりました。」
レオナルトは恭しくお辞儀をして、傷を水で洗い流してきたユーリの手の平の傷の手当を始めた。
きょろきょろとユーリは周囲を見回す。診察室は閑散としていて、老医師もいない。
「お爺ちゃん先生は?」
「・・・ホアン先生は、今、外に出ている。
─────何でも、この地方を治めているグレゴリー辺境伯が、視察のために来訪しているらしい。
」
「─────視察?」
「港を改築、増築する為です。」
徐に、後ろで手当の様子を見ていた少年が言い出した。
「この港はエダナムの海の玄関口です。
この先のことを視野に入れると、これからは、もっと大きな船も入るだろうし、時化や嵐の時も船が
海に沈まぬように設備の整った港に作り替えないとなりません。
─────その為に、建築士を交えて視察に来たのです。」
「ホアン医師は、此処に診療所を構えて長い。
参考に話を聞きたいとお付きの者が迎えに来てね────ついでに、患者も付いていったと言うわけ
なのさ。」
266 :
思惑:2008/02/27(水) 21:56:13 ID:h81bxXci
「・・・患者さん・・・付いていったって・・・?」
「グレゴリー伯は、どんな身分の人にも分け隔てが無く、民衆に人気が高いそうでね。
野次馬でホアン医師に付いて行ったよ。
────まあ、ここは、患者と言う名の客人も多いからね・・・・。私はお留守番って言うこと。」
肩で息を付くと、おしまい、と、ユーリを促すと、レオナルトは少年にもう一度恭しくお辞儀をする。
「こんなむさ苦しいところまで、助手を送っていただき、感謝いたします。
グレゴリー伯の御子息、ルカ様。」
ルカは一瞬驚いた表情をしたが、すぐに微笑み、レオナルトに尋ねる。
「後ろの従者の仕官服の紋章を見れば、グレゴリーの人間だと分かりますが・・・僕が息子のルカだ
とよく分かりましたね?」
「貴方様の話は診療所に勤めてからよく耳に致しました。
─────港に近い別宅に母君とお住まいになり、よく、港までお忍びで遊びに来るとかで、その
風貌も聞いておりました・・・。」
「皆、知っているのか、ではお忍びになってなかったね。」
ルカは楽しそうに笑った。
「それに父君の伯爵様とよく似た気性で、勤勉で穏やかだと・・・・。」
「面と向かって誉められると恥ずかしいな・・・。
─────貴方の名前は?」
熱っぽく訊ねるルカに
「レオナルト・アクロフ
この子はユーリ・ボルダーと申します。」
ユーリも真似をしてお辞儀をする。
「最近入ってきた人ですね。
─────あ、そうだ!僕の乳兄弟がユーリさんにしたことのお詫びをかねて、夜会に招待しようと
思っていたんです───レオナルトさんもご一緒にいかがです?」
────えっ?!
267 :
思惑:2008/02/27(水) 21:58:14 ID:h81bxXci
これから、父の伯爵の付き添いがあるからという、ルカを診療所の前で見送ったユーリとレオナルト。
馬車が見えなくなったのを確認して、ユーリは
心なしか、弾んでいるように見えるレオナルトに訊ねる。
「・・・・あにさん、どうして断らなかったの?
いつも、社交的な場に出るのを禁じてたんに・・・・。」
「私も付いていくから構わんだろう────馬車で迎えに来てくれる上に、礼服も貸してくれるそう
だし。」
そう言いながら診療所の中に入る。
「・・・・。」
ユーリは納得行かない、不服の表情を見せる。
ガルデーニアの件は、レオナルトはすっかり忘れているように見えるし
あの、ルカ・・・・すごく好印象で、異性にも同性にも好かれる性質だ。
────そう、同性・・・
ルカの、レオナルトを見る視線・・・
憂いを込めた、熱っぽい視線・・・
「?」
寄りかかるように、腕に抱きついてきたユーリを見つめる。
「どうした?」
「・・・・あにさん、ルカ様に興味あるんの?」
変わった質問だと思いながら、レオナルトは応えた。
「興味はあるな・・・・。」
「────!?」
さっと、顔が青くなったユーリに何か気づいたようで、「くっ」と笑いをかみ殺し
「私が興味があるのは別な方面さ・・・伯の夜会なら、さぞかし金銀宝石を身につけた有力者達がや
ってくるだろうし─────ガルデーニアも忍び込んでくるかも知れん。」
と、言うと、ユーリは安心した表情を見せ、まるで自分の物だと、レオナルトに纏わり付く。
268 :
思惑:2008/02/27(水) 21:59:16 ID:h81bxXci
一人前に、嫉妬しているユーリが可笑しくて、声を出して笑いたくなる。
まあ、子供っぽい態度だが、ユーリが、嫉妬を見せたのは初めてなので、面白いから暫く、様子を見
よう。
ルカの視線も気になったが─────かわす自信はある。
夜会を楽しみにしているレオナルト
夜会(個人)を警戒しているユーリ
二人の思惑は何にしろ、夜会に向かっていた。
269 :
投下終了:2008/02/27(水) 22:02:39 ID:h81bxXci
話の流れで暫くエロなしになるかも知れません・・・。
勿論、多少のエロシーンはありますが、はっちゃけはお話上無理みたいです。
その間、エロなしのスレに移した方が良いでしょうか?
問題ないと思いますよ
エロがなきゃ駄目って決まりも無いから
ちうことで続きお待ちしてます
>>269 GJ!!
子犬みたいにじゃれてくるユーリやら、短い髪を結んだユーリやら
市場の一件やら、ユーリ可愛いよ、ユーリ!
しかし、爺様の井戸端会議とか、端々の登場人物にも味があっていいなぁ。
あと、エロなくてもここに投下して良いんじゃないかな。
続き期待してます!
エーディット待ちあげ
274 :
投下準備:2008/03/03(月) 22:11:08 ID:vdxiP02k
『桃娘異聞』続編です。
今回もエロ無しと思っても良いほどです。
長くなりそうなので、前編後編に分けました。
エロ無し いやあああああ!の人はスルーお願いします。
『四重奏』 前編です。
迎えの馬車が来てレオナルトとユーリは、ホアン医師と、野次馬達に羨望の眼差しで見送られ、高台
にそびえるグレゴリー伯爵の別宅へ向かった。
伯の城は、港から馬車で二時間ほどかかるグレゴリー地方にあり、港に近い城は昔、異民族と海上
戦があったときに建てられたもので────
「今は、療養の為に伯の妻と、付き添いで第2子のルカ様が住んでいる───と言うこと。」
「嫡男かと思ってた。」
「御嫡男はグレゴリーの城で、父君とお暮らししている────こちらも傑出した方らしい。
まあ、問題があると言えば・・・・なかなか、結婚が決まらない事くらいだそうだ。」
「そんなに素晴らしい方なら、立候補の姫君が沢山いて決めるの大変そうだもんね。」
想像したのか楽しそうに笑うユーリ。
乗り物酔いもせず、上機嫌で喋り、更けていく街並みを窓から覗くユーリを見てレオナルトは
─────結局、楽しみにしてたんじゃないか
と、安堵していた。
やはり女だな、華やかな催しは心惹かれるのだろう。
ただ、ドレスを着せてやることが叶わないのは可哀想だが・・・・。
ユーリの国に居た頃────老師に取り入り『桃娘』を育成する屋敷に潜り込んでいた頃に
ユーリは華服を着ていた。
ボタンを使わず、帯で締める色鮮やかな褥裙。
飄逸な華服は歩くと軽やかに裾が上がり、布に取り込んだ色彩に光や暗を受け、ユーリを包んだ。
その姿は、きっと清雅に見えるだろう。
しかし、きつい靴無理矢理履かされ、偏った栄養で弱々しく歩くユーリ。
あれが儚げで男の欲情をそそるなど、美しいなど、生気の無い瞳で舞踊や楽器を習う様子を見てそう
思うのか?
でも、今の彼女ならきっと美しいだろう・・・・。
レオナルトは、目を瞑り、輝くように笑う今のユーリが華服を着ている姿を想った。
276 :
四重奏 前編:2008/03/03(月) 22:15:30 ID:vdxiP02k
別邸に着くと、メイド達に着替えの手伝いを詰め寄られ、何とか断り着替える。
(着替えなんか手伝われたら女だって事が露見しちゃう。)
いきなり入ってこないか冷や冷やしながら着替え、隣の控え室に入るとレオナルトは既に着替え、装
飾品を見定めていた。
レオナルトは貴族達が好んで着る、刺繍が入った長い背広と、膝丈のズボンではなく、仕官の礼装を
着込んでいた。
瞳の色と同じ露草色の詰め襟をすっきり着こなし、背筋良く立つその姿は顔立ちの良さも手伝い軍に
従ずる貴公子そのものだ。
ぼんやりと見とれているとレオナルトが話しかけてきた。
「────そうしているとユーリ、小姓みたいだな。」
「・・・・どーせ。」
かくゆう自分は、その貴族が好む丈長の背広に七分丈のズボンだが・・・顔立ちに西方民族の特長の
彫りの深さが足りないせいか、豪華な飾りが付いた服装を着ると顔負けするらしい・・・。
結果、質素な印象になり地味に頑張る小姓のように見えた。
「そのまま、この屋敷に仕えても良さげだな。」
頬を膨らませたユーリを笑いながらからかい、ますます機嫌を悪くさせる。
「まあまあー。」
笑いながらユーリを引き寄せ、顎を掴み顔を上げる。
「あに・・・!」
突然の口付けに抵抗しようとするが、レオナルトとかなり身長差があるユーリの足は
つま先立ち状態でなお、背筋を目ぇ一杯伸ばしてる為に、身体に力を入れ、拒否をする余裕がない。
それでも、いつ人が入ってきてもおかしくないこの部屋
見られたらいけないと、
いつもは絡める舌をレオナルトの咥内に入れようとしなかった。
それに気づいたレオナルトは口を離し
「いつもは貪欲に絡めるのに、さすがに抵抗を感じる?」
ユーリの耳元で囁く。
277 :
四重奏 前編:2008/03/03(月) 22:17:13 ID:vdxiP02k
「人に見られたら・・・!?」
身を捩って離れようとするユーリをがっしり捕まえ、さらに食らいつくように唇と舌に吸いつく。
抱きしめられ、宙に浮いたつま先をどうにか床に着けようと、じたばたと足を動かすユーリに一言
「落ち着きのない子だ。」
と口を離して呆れたように呟くと
「扉の外で聞き耳を立てているルカ殿に仲が悪いと思われてしまうよ。」
と、耳元で囁く。
─────ルカ様─────?!
驚き、顔を扉に向ける。
レオナルトは、自分から顔を背けた姿勢になったユーリの頬や首筋に音を立てて口付けをしだした。
「あっ・・・駄目・・・。」
ぎゅっとレオナルトの腕を握り、弱々しく拒否を繰り返すが、先ほどの強気な態度がない。
「ユーリは相変わらず首筋が弱いね。」
聞き耳を立てているというルカを意識しているのか、いつものレオナルトの喋りより若干声が大きい。
首筋が弱いのはいつものことだが、
─────本当に扉のすぐ側に?
そう思うと、恥ずかしさで声が出ない。レオナルトは、小さな音や声に敏感で、今、どれだけの距離
にいるのか、大体の年齢や特徴を見極めることができる特技を持っていた。
「長い間の盗賊家業の成果」
と話していた。
だから、レオナルトの言ったことは間違いはないだろう・・・・。
ルカ様が聞き耳を────入るに入れないのだろうか?
それとも、他に理由があるのだろうか?
だから、こんなところで!こういう事をしちゃ・・・・!
そう思いつつ、背筋に走る痺れる快感に身をあがなえない・・・・。
278 :
四重奏 前編:2008/03/03(月) 22:20:14 ID:vdxiP02k
消え入りそうなユーリの拒む声に、香おってきた甘い体臭・・・・。
このまま続けると体臭に酔い、事を済まさないと収まらなくなる。
いつもは積極的か、あからさまな拒否のユーリが、恥じらいながら見せる拒否は大変珍しい。
押し倒したい風情だが仕方ない。
「─────この辺までにしておこう。
夜会が始まっているようだし。」
下ろすと、決まり悪そうに髪を整え、さっと離れ、距離を取るユーリ。
絶妙な頃合いで、扉を叩く音がし、着替えは終わりましたか?と、ルカが入ってきた。
「─────ええ、すっかり。」
何事もなかったようにルカに話しかけるレオナルトと、穏やかな態度を崩さずに応対するルカ・・・。
だけど夜会会場に案内されている間、私によそよそしく感じられたのは気のせいじゃないし、刺す視
線も思い過ごしじゃない。
レオナルトとルカが談笑しながら歩く姿を見てユーリは、浮かれた気分はすっかり消沈していた。
四重奏が奏でる繊細でかつ、華やかな音楽が会場である間に流れる。
色とりどりに着飾った淑女達、礼装の紳士達が飲み物や扇を片手に、音楽を聴き、談話を楽しんでいた。
ユーリは軽食が置いてある卓の側で、一人、黙々と食事を食べていた。
たまに音楽に耳を傾ける。
自国の音楽の調子も音色も随分違う。
こちらの音楽も良いけど、やはり、自国の胡弓や古琴の音が懐かしい。
特に、こういう異国の上流階級の者達の中に一人でいると、心細さからなのか、つらつらと思いだし
てしまう。
────決して、良い思い出ばかりではないのに・・・・。
279 :
四重奏 前編:2008/03/03(月) 22:23:43 ID:vdxiP02k
ちらりと、レオナルトの方を見ると、何人かの淑女達に囲まれ談笑している。
先ほどより、囲む女性の数が増えたのは気のせいじゃない。
眉目秀麗で、女性を引きつける声音と洗練された会話に紳士らしい振る舞い。
自分の魅力を最大限に披露し淑女達を虜にしている。
医師や盗賊やっているときより生き生きしているかに見える。
おかげでユーリはほっぽかれ、控えている小姓・・・・ではなく、壁の花と化している。
後、大きな人の輪を探すと、ルカを中心としたものと、
扇子を片手に長椅子にゆったりともたれ、艶やかな微笑みを絶やすことなく話す、金髪の淑女だ。
頃合いを見て、控え室に戻ろう────夜会が案外つまらない事が分かったし。
────夜会がつまらないのではなく
誰にも相手をされないからつまらないのだと、ユーリは気づいていない────
空腹を満たし、皿を置くとすっと、飲み物が目の前に表れた。
給仕の人かと、それを受け取ろうと顔を向けると中年の紳士であった。
あまり背は高くはないが、整った顔立ちで着こなしている礼服はとても上品で落ち着いている。
「ユーリさん?ですかな?」
「あ、はい・・・・。」
そう返事して飲み物を受け取る。
「シードルです、若い子でも飲みやすいはず。」
ありがとうございますと、口に含む。
甘い味と共に、発砲のはじける刺激が喉を伝う。
─────誰だろう?
困惑している事が相手に伝わったのだろうか
「─────これは失礼、私、ルカの父のアンヘルと言うものです。」
と、軽く頭を下げる。
280 :
四重奏 前編:2008/03/03(月) 22:25:02 ID:vdxiP02k
────グレゴリー辺境伯!!
ユーリは肝をつぶしグラスを置いて慌ててお辞儀をする。
「も、申し訳ございません!何とご無礼をお詫びしたらよいか!」
「────いえ、非をお詫びしたいのはこちらの方です。
昼間は、ルカの乳兄弟のハイメが貴方に狼藉を働いて怪我をさせたと聞きました。
怪我の方は?」
「擦り傷で大したことはありません、返って大げさになってしまい、申し訳なく思っております。」「それは良かった。
「・・・あのこの母はよく使えてくれていましてね・・・制裁をするのが忍びなくて、許していたの
ですが・・・。
それで、いい気になっていたようで・・・我が物顔で振る舞って不貞を働き、苦情が多くなって来た
ところに、ユーリさんの事件で、さすがにルカも私もこのままにはできなくなりました。」
「・・・では処分を?」
グレゴリー伯は頭を振ってハイメの母親には辛いでしょうがと応えた。
「─────ところで、ユーリさんは出身は東方の方で?」
「はい」と頷くユーリ。
「ユーリ、という名は北方の名のはず・・・・出身の方での名は?」
「────忘れました。」
「?」
281 :
四重奏 前編:2008/03/03(月) 22:27:02 ID:vdxiP02k
異国語圏内の国に入る者達の中に、相手が呼びやすいようにと新しく名前を付けることがよくある。
その場合、通行手形に自国名の後に新しい名が記される。
────いや、実際それもしない者も多いのだが────犯罪者や追放者、亡命者など・・・。
特に東方出身の者にエダナム国王殿下は良い意味でも悪い意味でも興味があるらしく、情報を送るよ
う伝達が来ていた。
殿下の東方文化の熱の入れようには、開いた口が塞がらないが、主に仕える者としては主の命令は絶
対である。
しかし、国の海の玄関口を守る伯は、尚更このことには敏感にならなければならなかった。
ユーリと言う名の東方の異人───エダナムに、国王に、害を及ぼす者なのか見定めないと殿下に報
告はできない。
しかし、伯は疑心を悟られぬよう穏やかに訪ねる。
「忘れた・・・というのは?」
「小さい頃に親と死別したものですから・・・。
一人でとにかく生きるのが精一杯で、名前なんか聞く人もいませんし────小さかったから忘れる
のも容易い・・・そうやって生活していたある時に、東方医療の勉強に来ていたレオナルト先生に
拾われたんです。」
「では、ユーリという名は・・・。」
「先生が付けてくださいました。」
と、流暢に答える少年を見て、伯は嘘なのかどうか判断が付きにくかったが、寂しげに微笑みながら
話す姿を見て、信じたい感情が強く、取り合えず『泳がして置こう』────と決定した。
────作り話だ、勿論・・・。
すらすらとレオナルトが作った台詞を喋りながら、『ユーリ』という虚像に慣れていく自分、そして
、いつか、その作り話が自分の過去を埋め、本物と錯覚する日が来るのだろう・・・寂しさと安堵が
混じる・・・。
それを察するようにレオナルトはいつも言う。
『生きるために人買いに売ったお前を、家族が生死の安否をするものか』
282 :
四重奏 前編:2008/03/03(月) 22:29:41 ID:vdxiP02k
────だから、逸話の中で家族が死んだことにしていること位で気に病むことはない、お互い生き
ていく為なのだから、そこに善悪も道徳もない、ぎりぎりの中の人の動物に近い本能の選択なのだ
から────
彼は言った。
あの人は話してはくれないが、泥棒家業をしなくてはならない環境だったのだろう────それが当
たり前で、今にいたって・・・。
だからユーリはレオナルトの家業を咎めなかった。
お互い貧苦の生活を味わっていた本能のみ過去があったのだから・・・。
伯は他に挨拶を回る人がいると言うことで、ユーリから離れたのを見計らうように、
音も立てずに近寄ってきた女性がいた。
「こんばんは・・・楽しんでいて?」
ユーリはその人の美しさを間近で見て、息を飲んだ。
乳白色の肌に金糸の刺繍が入った、Vカットの胸元のドレス。
裾にいくにつれ広がり、優雅に流れている。
肌に溶けるような淡い色の金髪は真珠とダイヤの宝石がついたヘアピンで絶妙に編み上げられ、ドレ
スと良く調和している。
そして、この地方によく見られる琥珀色の瞳は色味が濃いせいか、優しい印象より、意志のはっきり
した女性にとらえられる。
先ほどまで、長椅子に座って紳士達に囲まれていた淑女だ。
(こんなに綺麗な女の人、間近で見るの初めて・・・・)
うっとりと見つめる。
女は紅色にひいた唇に笑みを浮かべユーリに話しかけた。
283 :
四重奏 前編:2008/03/03(月) 22:31:21 ID:vdxiP02k
「あちらに美味しそうなお菓子や果物があってよ。
お話がてらに、一緒に召し上がりません事?」
扇で指した向こう、確かにオブジェのように花と一緒に色とりどりの果物や、お菓子が置いてある。
紳士達の刺す視線が気になりながら、レオナルトの食事指示を思い出し、丁重に断った。
「─────まあ、甘い物はお嫌いなの?」
女は口元を扇で隠し驚く。
「────いえ、決して嫌いなわけではないのですが・・・・甘い物は極力控えるよう医師から指示
があるもので・・・。」
「何かの病で?」
「大したことはありません、念には念をと・・・・。」
買われ先のお屋敷で過ごした二年間・・・・。
短かかったが、ユーリはそこで酷く体調を崩した。
強制の香り付け施術で長いこと寝込み、その後は、甘い物のみしか許されない偏った食生活。
空腹なんか無いはずで、自宅にいたときより衣食住は恵まれていたのに、徐々に体に力が入らなくな
り、動くのが億劫になって・・・・。
レオナルトに言わせれば、甘い物ばかりで血や骨や肉が作れるか?肉ばっかり増えて、体を動かす栄
養を取らないからだ─────と。
しかも、手足が腐る病は甘いものだけの食生活も原因らしいと・・・・知ったレオナルトが甘い物は
自分の許可を得てからにしなさいと日頃から口酸っぱく言われていた。
「甘い物は駄目ですが、甘い会話でしたら喜んで・・・。」
と、柔らかに女の手に触れ、口づけするユーリ。
いつもレオナルトの側にいて、女達との対話を聞いていた成果だ。
男の姿でいる以上、紳士の振る舞いをしなくてはならない。
ユーリは良く理解していた。
284 :
四重奏 前編:2008/03/03(月) 22:34:27 ID:vdxiP02k
女はころころと鈴の音のような声で笑うと
「貴方のようなまだ幼い子にそう言われるのも、悪くはなくてよ。」
そう言うと、すっと、ユーリの耳元に顔を近づけ扇越しに囁く。
「─────『また、会おうよ』・・・と、約束したでしょう?
可愛い娘さん。」
ユーリの顔は瞬時に強ばり、血の気が引いた・・・。
「二人っきりでお話したいわ・・・誰にも邪魔されないところで。
勿論、貴女の先生にもね・・・・。」
(ユーリ?)
いつの間にか、ユーリが夜会の席からいなくなっているのに、レオナルトは気付く。
群がる淑女から押し出されるように輪から外れ、奥で食事をしていたのは見た。
淑女達が気分を害しないよう離れ、一回りするがユーリらしき者は見かけない。
先に控え室に戻っているのかと、部屋に戻るがそこにもいない・・・。
急に不安になってくる・・・。
談話の中で、今、王宮では東方の文化や芸術が流行っていて、その火付け役はエダナム国王殿下、そ
の人だと言う。
そして、一番の殿下の関心が友好関係にあるコルスリフィルの国王から聞いた、『不老長寿』『精力
増大』の効を持つ『桃娘』だと─────
どちらの国王も噂のみの情報でどんな娘なのか、よく知らないらしいというのが幸いだ。
─────やはりこの国は早く出た方が賢明だ────
285 :
四重奏 前編:2008/03/03(月) 22:36:39 ID:vdxiP02k
それにしてもユーリは一体何処に・・・
普通にしていれば、密着されない限りそう香ることはないが、体が上気すれば、強い香りを放つ。
それに酔うだけならまだ良い
ベネボォリ男爵はただ香りに酔っていただけだ────だからまだ助かった
自分みたいに性欲を刺激される相手だったら・・・自分を見失い、性欲を満たすまで獣みたいになる。
(冗談じゃないぞ)
想像するとぞっとする。
とにかく、一部屋ずつあたってみるかと、控え室を出ようと踵を返すと、ルカが入ってきた。
扉に閑を差す。
何だこの部屋、閑が差せるのか、だったらユーリを押し倒しても良かったな。
と、ふっと思いながら、一応ルカの行動にも警戒する。
「ルカ様・・・。」
「ユーリなら、ファルコーネ女子爵の控え室にいますよ。」
ふっと、長椅子にもたれ掛かっていた美女を思い出す。
「あの方も身元は怪しいものですが、サロンを作って若い男達を囲ってましてね・・・・何人か有力
者の息子もいるので放任ですよ・・・・。」
呆れたように話すルカに軽く会釈すると「失礼」と、ルカの脇をすり抜け閑を抜こうとすると、ルカ
がレオナルトの腕を強く握る。
「ユーリが子爵とのお楽しみのところを邪魔する気?以外と嫉妬深いんだね。」
「・・・・・お離し下さい。」
邪魔しに行くのはそんな理由ではなく、もっと深刻な問題です。
と、言ってやりたいとこだが─────それも言えない。
「────!」
突如ルカがレオナルトの胸の中に飛び込む。
286 :
四重奏 前編:2008/03/03(月) 22:38:31 ID:vdxiP02k
「ねえ、誘われればすぐにのるユーリの事なんか忘れてしまえば?
しかも、女になんて・・・・不純じゃないか!」
真性だ─────同姓愛好者の・・・
レオナルトは軽く眩暈を覚えた。
「ルカ様、落ち着いて下さい。」
「落ち着いてるよ!
一目見たときから好きだったんだ・・・・あの人に似てて・・・・。」
「─────あの人?」
その問いに答えず、ルカはレオナルトの背中に手を回し、その広い胸に顔を埋める。
「僕を貴方の恋人にして・・・望む物何でもあげる、ユーリみたいに拒否しない────貴方の望み
通りにして良いから・・・・。」
『四重奏』前編 終わり
287 :
投下終了:2008/03/03(月) 22:40:45 ID:vdxiP02k
275、276に題名入れるの忘れてしまいました。
ごめんなさい。
後編は近いうちに必ず投下します。
拙い文章を読んで下さりありがとうございました。
面白かった。
続き待ってるよ。
うへぁ…
ガチホモに迫られて一体どうなってしまうんだレオナルト……
激しく続き期待。
>>290 ちょwwww
まぁ絵のせいにするわけじゃないが、最早男装って設定が死んでるな。
あれじゃただ男の服を着てるだけじゃ、ポイントもへったくれもない。
>>290 男装時の凛々しさと女に戻ったときの可愛らしさとのギャップが
あればあるほど萌えるものだというのに…。
これを見て男だと思えという方が無茶な話。とりあえずリボンでかすぎ。
>>290 もしかしたら後ろの人がサファイアだったり
ないな
あー自分も後ろが男装版かと思った。
でも隣国の王子なんだろうね。
そこそこ剣が立つはずなのに、腕が細すぎて痛々しい。
後ろの男はフランツだと思われる。
・・・・あれは、痛い、痛いよ・・・。
黒髪じゃないのか…
なんかイマイチだな
なかよしのくせに、何故某セーラー戦士を見本にしないのか・・・
298 :
投下準備:2008/03/07(金) 20:41:20 ID:FMP9gS0Y
書きあがりました。
桃娘異聞───四重奏・後編 です。
299 :
四重奏・後編:2008/03/07(金) 20:43:03 ID:FMP9gS0Y
「あら・・・確か貴方、あの可愛い子の先生でしたわね?」
突然の訪問者に臆することなく女子爵は、レオナルトを促し、部屋に招き入れる。
「あの子は自分の控え室に戻りましてよ、入れ違いだったようですね。」
扇を広げ、口元を隠しながらレオナルトに告げる。
「・・・・そのようで・・・。」
視線を部屋中に流してみるが嘘はないようだ。
「疑っておいでね?────私、可愛い子は大好きですけど、同姓と絡む趣味はないんですの。」
「・・・・だからお帰しになった?─────そう言うわけではなさそうですが。」
にこりと微笑むレオナルトに微笑みを返す子爵。
だがお互いに目は笑っていない。
周囲に人がいたら穏やかに話をしている美男美女としか見えないだろう。
─────が、二人の間には一発即触の念が交差していた。
「貴女と何を話したのか、帰ってユーリに尋ねるとしましょう。」
「嫌だわ。女同士の内緒話に首を突っ込もうとなさるの?案外無粋な方なのね。」
「無粋にならないと、困ることもあるのですよ。御婦人、暗示はかけておりませんよね?
簡単な暗示なら無駄ですよ。」
「────ええ、分かってー。」
子爵は自分の失言に眉を顰めた。
調子に乗り過ぎた────そんな風に。
300 :
四重奏・後編:2008/03/07(金) 20:44:49 ID:FMP9gS0Y
レオナルトはつかつかと女子爵に近寄ると、隣に座り、手持ちぶたさになっている子爵の左手を握り、
肩を抱く。
これなら、不意に人が入ってきても情熱的な語らいとしか見えない。
実際は捕らえているのだが。
「女子爵と言うのは僭称ですかな?それとも金を積んだ?────ガルデーニア。」
「失礼な・・・・!どちらでもない!─────まあ、よぼよぼの爺様をかどわかして子爵夫人に納
まったんだがねぇ・・・。
入ったのは良いが貧乏貴族で、盗賊家業が辞められない────ってわけさ。」
ばれたんなら、上品な言葉を使う相手ではない、とでも思ったのか、急に言葉遣いが変わる。
「その割にはサロンを作ったり、羽振りが良いじゃないか。」
「将来有望な若者を育てるのは私の趣味さ・・・・あんたも仲間に入れてやっても良いよ・・・あの
子も付くならね・・・。」
「ユーリの何が目的かね?」
「分かっているくせに・・・・。
ずるいじゃないか・・・儲けを独り占めする気かい?」
そう言いながら、ガルデーニアはレオナルトに枝垂れかかる。
扇で口元を隠し、レオナルトの頬に近づく。
「『桃娘』なんて可愛い呼び名じゃないか・・・あの娘にぴったりだよ・・・。」
─────褒めているのだろうが
桃娘がどのように育成されているのか
ユーリはその中では『できそこない』と評されていて
本当の桃娘は、その名と姿形はに差がありすぎて到底西方には受け入れられない────知っている
レオナルトは不快だった。
301 :
四重奏・後編:2008/03/07(金) 20:46:46 ID:FMP9gS0Y
そんなことはお構いなしのガルデーニアは
ゆっくりとレオナルトの詰め襟を外し、しきりに儲け話を進める。
「あの娘にとっても悪い話じゃない。
─────殿下の寵姫になれる絶好の機会さ・・・女の姿に戻って磨けば、あっと言う間に光る娘だ
、私が磨いてあげるよ。医師の助手なんかしてるのもったいないよ。」
「医師の助手ですまんね。」
ガルデーニアの指輪で飾られた手の平が、レオナルトの胸を擦る。
医師なんか骨ばったもやしだろうと思っていたガルデーニアは
意外な逞しさに驚き、瞳を輝かせる。
「・・・・あの娘が殿下に取り入ることができたら、あの子の口利きで城の待医にして貰えばいい。
─────ねえ、そうしなよ・・・・。」
そう言い、レオナルトの腹に刻まれている溝をふっくらとした唇と舌先でたどる。
ぞくりとした感覚が下半部から背筋にかけ伝わってくる。
思わず、捕らえた左手を外すとガルデーニアはズボンのボタンを外し、うっすらと見えた金髪の恥毛
を擦り始めた。
そのすぐ下・・・男のその物があるのを知っているのに、わざと触れず指の腹で擦り、感覚を促して
いた。
「ねぇ・・・組まないかい? あんたとなら上手くやれそうな気がするよ。
─────身体の方もね・・・。」
ユーリとは違う種類の甘い香りと、赤い唇がレオナルトを甘熟な世界に誘う。
302 :
四重奏・後編:2008/03/07(金) 20:49:17 ID:FMP9gS0Y
「─────悪いが。」
レオナルトは屈強な精神力で誘いを跳ね返す。
ガルデーニアの手練な白い手を押し戻すと、
「気のせいだろう。」
とズボンのボタンを付ける。
「─────なっ!」
異議あり!と言わんばかりにガルデーニアはレオナルトの腰に乗ろうとするのを、慌ててかわし、長
椅子から立ち上がる。
「あの子を使って金儲けは考えていない─────それのみで近付き、周囲にあの子の素性を告げる
なら、貴女の正体も露見するつもりでいるので・・・・。」
話しながら上着のボタンも付ける。
「・・・・本気で惚れたわけ? はっ!後で後悔するよ!
金儲けの機会を逃したとね!」
「へたに扱うと、国が滅びる・・・・あの子の人生は平凡で良い。
あの子の為にも、男共の為にも───国の為にも・・・・。」
「・・・何言ってるんだい?」
片方の眉を釣り上げ、ガルデーニアは怪訝な表情を見せた。
「あの子の国は、二度ほど女によって国が滅んだんだ───そういう国の娘だ。」
そう言って、部屋を後にした。
────今夜中にこの土地を去ろう
それとも、夜明けとともに船に乗って、できるだけ離れた国へ────
服を整えたレオナルトはそのまま、扉に向かう。
303 :
四重奏・後編:2008/03/07(金) 20:51:04 ID:FMP9gS0Y
問題はガルデーニアがどれだけ人脈があり、且つ、迅速に動くかだ。
港に近いし、船の方が有効なのだが・・・・。
しかし、それよりもっと気がかりな事・・・。
(ユーリと何を話した・・・?)
黒い闇が蜷局のように脳内に渦巻く
嫌な予感がした・・・。
確かにユーリは東方では受け入れられないかも知れないが、
西方では美的感覚の違いで、その容姿は体臭共々充分価値がある娘だ。
困るのはユーリ自身がその事を理解していない事なのだ。
強い香りを放つ東方の『桃娘』
香水文化の西方の貴族等が、自ら香水など付けずに異性を引き寄せる異邦人の存在を知ったら、手に
入れたがるのは目に見えていた。
もし、国王にユーリの存在が知れたら────
(私の手には負えない・・・・)
力の差がありすぎる。
夜会の出席を断るべきだった────自分の欲求を優先してしまった事に後悔した。
そちらの方に気を取られ、ルカが自分の控え室から去ったかどうかなどすっかり失念していた・・・。
時間を逆のぼり、レオナルトがガルデーニアの控え室に入った頃、
ユーリは自分とレオナルトの控え室の扉を開けた。
「・・・? ルカ様・・・?」
豪華な絨毯にうつ伏せの状態で嗚咽している亜麻色の髪の少年。
着ている礼服が、ルカが着ていたそれと同じだったので、驚いてユーリは彼に近づき、膝を付く。
「どうなさいました?具合でも────。」
304 :
四重奏・後編:2008/03/07(金) 20:52:29 ID:FMP9gS0Y
「─────何故?」
ルカの肩に触れ、問いただした途端、力一杯押し倒される。
「────ルカ様?!」
仰向けに押し倒され、その上にルカが跨ぎ、肩を押さえつけられた。
同じ年代でお互い細身だが、やはり女と男の力の差は歴然で、
押さえつけているルカの腕を払おうにもまた、押し返された。
「・・・こんな子のどこが良いんだ!こんな女にフラフラ靡く奴の!」
ルカは涙でぐしゃぐしゃの顔をユーリに向け罵声する。
しかし、その琥珀色の瞳は明らかにユーリに怒りを示して、瞳孔が開いている。
突然のルカの豹変
泣き叫ぶように罵声するルカにユーリは捕らわれた兎のように脅え、身体を動かすどころか
声も上げられず、ただ、逸らすことのできない視線をずっとルカに向けていた。
「どうやってあの人に取り入ったの!?教えてよ!君の身体がそんなに良いわけ?」
その問いかけにユーリは思わず顔を赤らめる。
それにはっ、と気付いたようにルカはユーリの顔を見、憎々しげにユーリを睨む。
「・・・・へぇ・・・そうなんだ、あの人を独占しているんだものね、大した手練なんだ。」
そう言うとユーリの肩から手を外し、シャツに手をかけた。ニヤリと、先ほどまで穏和に笑うルカと
は思えない邪気の入った笑いをユーリに向ける。
「・・・・僕にもやってみせてよ。」
そう言うと、一気にユーリのシャツを引き裂いた。
305 :
四重奏・後編:2008/03/07(金) 20:54:54 ID:FMP9gS0Y
「─────女・・・?」
ルカは引き裂いたシャツから、まっさらなさらしが出現した事にまず驚き、
自分と違う体格─────なだらかな肩、
浮き出る鎖骨
丸みを帯びた腰
捩るユーリにお構いなしに、ぴっちり巻いたさらしの胸元に無理に指を入れ、確認をする。
ユーリを押さえたまま、しばし呆然としていたルカだが
「くっ・・・・、ふふ・・・ふ・・・はははっ!」
腹からこみ上げるように泣き笑いをしだす。
「そうか、女か!なんだあの人!普通なんじゃないか!
──────あの人も、結局女が良いわけだ!」
────あの人も────?
「ルカ様・・・・? 一体何が・・・?」
自分の正体が露見したことより、ルカの尋常ではない様子に心配をし、
恐怖を忘れルカに問いかけるユーリだが、再び、ルカの憎しみで光る瞳で見つめられ強ばる。
「────ここまでして君に側にいて欲しいんだね、あの人は。
そんなに素晴らしいの?君の身体は?」
そう言うと、ルカは腰から短剣を引き抜く。
「・・・・!?」
ぶつり、と、短剣で下からさらしを切り始める。
「・・・・動くと肌まで切れるからね・・・じっとしているんだよ。」
それでも上まで器用にさらしだけを切り、払いのけると
隠していた二つの膨らみとその頂にある桃の蕾のような乳房が現れる。
306 :
四重奏・後編:2008/03/07(金) 20:56:31 ID:FMP9gS0Y
「小さいね、まだ・・・。」
そう言うと、桃色の頂を摘む。
「や、止めて下さい!」
恐怖で強ばっていた身体が、ルカが悪戯に弄るので拒絶に身体が動き、身体を横にして抵抗したが、
再び仰向けに戻され、左の肩と頬近くに短剣を突き刺された。
「ちょうど良いや。僕は筆下ろしがまだなんだ・・・。
女の身体で立つもんかと思っていたけど、君、細くてまだ、丸みが少ないからできそうだよ・・・。
────教えてよ、女のどこがそんなに良いのか・・・・。」
ルカはユーリの上に跨いだまま、上着を脱ぐとシャツのボタンを外した。
「や・・・・。」
ユーリは抵抗も声も出せない程、脅え、震えていた。
今までも何度か襲われかけた経験はあった。
しかし、これは────ルカから感じるのは嫉妬と殺気と狂気──
───陵辱されるだけじゃ済まない────
(あにさん!)
大声を出そうにも、咽喉が縮こまり発せない。
ルカは陰湿な笑みを浮かべ、両の手でユーリの腰から腹へそして胸を寄せるように押し上げ、形が変
わる程に揉みしだく。
容赦ない揉み方に、ユーリは苦痛で顔を逸らそうになった、が、
「顔、逸らすと剣の刃が顔と肩を傷つけるよ。」
気付いたルカがいち早く注意する。
顔を背けずに横目で剣を見る。
すぐ横で剣の刃が光りまるで血を吸うのを待っているようだ。
307 :
四重奏・後編 :2008/03/07(金) 20:58:22 ID:FMP9gS0Y
「大人しくしてなよ。」
そういうと、寄せたユーリの胸に顔を埋める。
レオナルト以外の手が自分の胸に触れ、舌と唇が這う。
気持ち悪い────あにさんと全く違う
どんなに感情が高ぶっても
香りに酔って、獣のように自分の身体を貪っても───
あにさんは私を決して性処理の道具のような扱いをしなかった。
私も気持ち良くしてくれる。
一緒に快感に浸ろうと言うかのように・・・
涙が頬を伝う。
「・・・いや・・・・あにさん・・以外の人は・・嫌・・・あにさん・・・助けて・・・。」
びくん
ルカの身体が震え、止まる。
「・・・?」
胸が冷たい。
恐る恐る、ルカを見る。
肩が震えている。
泣きじゃくる声
「僕だって・・・あの人じゃなければ嫌なのに・・・。
何故?何故、僕を愛しると言ったのに、結婚したの・・・?」
「・・・・。」
泣き震えているルカの頭を右手で撫でる。
「・・・・ルカ様・・・・好きな人がおいででしたの?」
ヒャックリを上げながら頷くルカは、涙を拭うこともせずユーリに顔を向けた。ルカの瞳は既に狂気
をはらんだ怒りの光は失せ、暗く澱んでいた。
ユーリは優しくルカの濡れた頬を拭う。ルカは弾けるように一気に喋り出した。
308 :
四重奏・後編:2008/03/07(金) 21:00:24 ID:FMP9gS0Y
「僕の家庭教師だったんだ。
レオナルトさんに似てるの、顔の輪郭とか声とか物腰とか・・・。
『愛してる』────そう言っていつも僕の全てを愛してくれたのに・・・結婚して僕の元から去っ
ていった・・・。
酷い酷いって何度も心の中で叫んだ・・・でも、僕はグレゴリーの血を引くものだから、統治する者
の息子らしくしなくては・・・って笑っておめでとうって見送るしかいけなかったんだ・・・でも、
いつも、いつもあの人を探す自分がいて・・・! 似てる人を街中探して・・・!!」
溜まっていた鬱積をユーリに吐き出したルカは短剣を抜くと、ユーリを力一杯に抱きしめ、声を上げ
て泣いた。
もう、ユーリは彼に対する恐怖感はなかった。
叶ったと思った愛の裏切りにただ、憤り、悲しみ、代償を求めた一人・・・・。
腕を頭に回し泣きじゃくる子を抱きしめる母のように、優しく何度も撫でる。
落ち着いたのか、ヒャックリは止まらないものの、息が整ってきたルカは
「ユーリは良い匂いがする・・・・。」
と告げ、暫くこうさせてと目を瞑った。
その光景に驚愕し固まったのは、レオナルトだった。
上半身をさらけ出されたユーリ
ユーリに抱きついているルカ
そして二人絨毯に横たわり、ルカの頭を撫でるユーリ・・・。
レオナルトは慌てて扉を閉める。
もし、人に見られたら口さがなくあっという間に広がる・・・・。
レオナルトの出現に驚いてユーリとルカは身体を離し、肌けた前をシャツで隠す。
309 :
四重奏・後編:2008/03/07(金) 21:03:14 ID:FMP9gS0Y
三人三様だが、考えていることは今、おそらく同じだろう────
気まずい雰囲気が流れ、誰も声が出せない中、レオナルトが思い切ったようにユーリに近付いた。
前を隠しているボタンの千切れたシャツを押さえているユーリの手をのけ、白い肌を晒す。
熟しきっていない二つの白い双丘は指の後の青い痣が痛々しく残されていた。
「・・・いくら、身分が高い方だからと言っても、やって良いことと悪いことがありますぞ。」
レオナルトは顔をしかめ、ルカに顔を向けることなく叱咤する。
「・・・すまない・・・・反省しています・・・。」
謝るルカの言葉を無視し、ユーリに自分の詰め襟の背広を着せ、
「帰るぞ。」
と短く一言、言うとユーリの肩を抱いて扉に向かう。
「────待って!あにさん!違うの!」
無理に身体を引っ張るレオナルトに説明しようとするが
彼は無言で扉に手をかける。
その時だった。
「─────誰にも言わないから!」
ルカがユーリとレオナルトに叫んだ。
二人、ルカの方に振り返る。
ルカは切なげな顔を見せながらも、ハッキリとした口調で
「君のことは誰にも言わない!───決して!」
と、告げた。
ユーリは素直に頷き
レオナルトはどう思ったのか掴めない表情を向け屋敷を後にした。
馬車に乗っている間、レオナルトは終時無言でいた。
そして、自宅に入るや否や
「ここを出るぞ」
と、短くユーリに告げると身支度を整え始めた。
310 :
四重奏・後編:2008/03/07(金) 21:05:51 ID:FMP9gS0Y
「あにさん?
でも、ルカ様は誰にも言わないって・・・。」
「ルカが言わないとしても────ガルデーニアはどうだ?」
「・・・・。」
レオナルトの問いにユーリは、目を見開き固まる。
「あの女子爵がガルデーニアだと・・・知った上で、控え室に行ったのだろう?」
ユーリは頷く。
身支度の手を止め、ユーリの方の見つめるレオナルトの視線は厳しかった。
「彼女と何の『商談』をした?」
視線を逸らし、俯くユーリは小さく何のこと?と返す。
「ガルデーニアは頭が回ると聞いていた。
狡猾に生きてきた女は土壇場で切り抜けるのが神憑り的に上手い・・・・。
その女が私の陳腐な誘導尋問に簡単に引っかかった───頭が良く、狡猾な女が口を滑らすほど浮か
れる何かがあったからだ・・・。」
「・・・。」
「私はユーリと行き違いにガルデーニアと会った。
何かあの女が浮かれる話しをしたとしたら、お前しかいないだろう?」
詰めより、ユーリの肩を揺らし問う。
「─────何を話したんだ!」
初めてレオナルトに怒鳴られたユーリは、自分が危険な『商談』をしたのかもと自分の浅はかさに後
悔した。
四重奏・後編 終わり
311 :
投下終了:2008/03/07(金) 21:06:28 ID:FMP9gS0Y
続く上に、エロ少なめで申し訳ない。
読んでくださって、本当にありがとうございます。
ぐっじょーーーぶ!!!
相変わらずユーリがかわええ
ほんのりエロな展開で続きが楽しみです
めっちゃwKtkで待ってます!!
女のエロい誘いをカッコヨク押し止どめたなレオナルト。
ガルデーニアに期待。
超個人的な意見で済まないが、ルカの行動やら過去やらがちょっとうすぺらっいような……
続き楽しみです。
GJ!
桃娘の頭なでなでに萌えた。
商談も気になる。
続き楽しみにしてるよ。
ご感想、励まし等、ありがとうございます。
励みになります。
ガチホモ・・・・の世界が私にとって知られざる世界なので
、深く描写ができませんでした。
番外も同時進行で創作中なので、ルカの件も書いてみようかと思います。
重ねがさね、ありがとうございました。
>>315 GJです!!
ユーリかわええーー
登場人物が増えてお話に広がりがでてきましたね。
早く続きが読みたいな。
>129の続き投下します
12レスの予定
「お前、今まで良く点を取れて来たな……、丸暗記と選択問題で勝負か?」
「よーくわかってんじゃねぇか、雨宿。勘は自信あるんだよオレは」
「嘘臭いのは天分か。野生動物だな」
この時期になりようやく尻に火が点いたか、市原が勉強を教えろと言ってきた。
俺に断られると後が無いと台詞の割には態度は普段通り横柄なままで、苦笑いしつつ了承した。
1時間相手をして幾つか問題を作っていると、こちらの思惑には構わず外を眺めている。
「人に聞く態度か、「あっちから走ってくるの、あれ、御車の妹じゃね? 様子変だな、泣いてんのか?
……おーい、どうしたー、兄貴呼ぶかー?」」
泣きじゃくる御車雛菊は駆けつけてきた兄の胸にしがみついて、ひどい、こんなのってひどい、
お兄ちゃん、と上擦った声で繰り返した。
俺は窓際の席から伺いつつ、向かいに座る市原はカメラこそ出さなかったが既に問題など眼中に無く、
兄妹と不安げに見つめる根尾をにやにや笑いで眺めていた。
「雛菊? 何があった?」
「わたし信じてたのに、最近女かもしれないって言われてても、わたしだけは違うって、絶対違うって……、
信じてたのにっ! ずっとずっと憧れてきたのに、ひどすぎるっ! こんなのってない!」
「だからな、誰のことだ?」
御車は先を急かすが、涙と啜りあげる声でなかなか続かない。
焦れったいむず痒さと張りつめた緊張感が教室内を支配する。
「新珠先輩……っ!信じられないっ! 女だったなんて、ひどい!!」
御車と根尾は無言で顔を見合わせた。二人共予想通りにも関わらずそれでも動揺は隠せない。
喉が乾く。
ちらりと市原が俺を見た。
わずかに口の端を吊り上げて目を細めながら小声でオマエの番だ、と薄笑う。
唾を飲み込む音がやけにうるさく感じられた。
扉に手を掛け一瞬強張る指を強引に腕で引くと、がらがらと不自然に大きな響きが耳に障る。
左手の部屋の隅で振り向いた独りの姿を認めて安堵と酸欠が脳内へ一気に襲ってくる。
ひとつ深呼吸をし荒れた息を整えながら後ろ手でゆっくりと閉めた。
「……、!……、どう、して……………」
泣き出しそうなその顔、崩れそうなその体を、今、手を伸ばせば抱き留められる。
何も心配するな、と繰り返し囁いて脳裏に刻みつければいい。
その役は俺じゃない。
「早く服を直せ」
金縛りから解けた様に自分の姿を再確認した新珠は、慌てて返事をすると背を向けた。
かさこそと衣擦れの音に目を逸らして、痛む脇腹に手を当てて足下に目をやると、
赤い髪紐を確認する。
「――――」
もう一度、手に取る。
また、再び、あるいは気紛れで、戻ってきた、無くした、手放した、届かない、結ぶ、印。
想いより未練の強さに苦笑いの息を吐くと、紐を受け取ろうと手を差し出す新珠と視線が合う。
「結んでやるから、後ろを向け」
誤魔化しの言葉に大人しく従う新珠に、櫛かブラシを持っているかと聞くと、ないよ、と即答してきた。
手櫛でこらえろ、とこめかみ付近から指を入れ形の良い頭に沿って滑らせてゆく。
掌の腹が耳たぶに触ると伏せ気味の睫毛が一瞬震えて肩が強張った。
「悪い。我慢してくれ」
「気にしてないよ、続けて」
外からのやや陰った光を受けて鈍く輝く絹糸の束は、背に広がっている間は美しい一枚布で、
ひとまとめにすると恐ろしい程細くまとまってしまい本来の姿を隠す。
額から、耳の際から、うなじから指を通し、梳く。
後れ毛を掬い取り二本指で撫でつける。
触るたびに髪の間からふわりと匂い立つ香りに引き込まれる。
覚えている。思い出す。呼び覚まされる。
ベッドの上で色付く肌を彩る幾筋もの流れは、時に汗に濡れ更に濃く艶めいた。
何度も触れ、体と合わせて口付けて、自分の指に巻き付けては解いて遊んだ。
『ずーっとそうやってて飽きない? …………ぼくの髪、好き?』
後ろから抱きかかえて左手で新珠の右サイドの髪をしつこく指先で弄んでいると、
一度不思議そうに聞かれた事があった。
『時間が許せば24時間弄っていたい』
『……何考えてるんだよ、馬鹿』
『却下されるのが明白だから言ってみただけだ』
『っ! そんなこと、わかって、……る、って』
急に焦って顔を真っ赤にして目を逸らす。
手元に残る髪先をくるくると巻き上げてそのまま頬に触れ、――――
呆れる程鮮明に容赦なく襲いかかる記憶は唐突に遮断された。
左手で滑らかな束を握り覗いた白いうなじ、襟元から更に盗み見た陰に紅い痕がうっすらと残っている。
「…………あま、やど……?」
訝しげに小さく聞いてくる声に慌てて紐を二巻きして縛る。結び目を作る手先が上手く動かずにもたつく。
「自分が不器用なのを忘れていた。済まない。後で鏡を見て修正してくれ、待たせたな」
新珠は小首を傾げて、いいよ、ありがとう、と振り向かずに答えた。
「俺には毎日見てきたこの後姿が一番馴染むな。久し振りにクラスへ戻って懐かしく思ったよ。
秩父が待っているだろう、じゃあな。早く行け」
背を軽く叩いて押し出すと、こくりと頷き、すぐに出て行くと思いきや扉の磨りガラスに右手を添えて
長く長い間立ち止まっていた。
遠く響く蝉の鳴き声が耳に届き始める。
やがて意外な事を口にして気にしていたであろう内容に俺は驚いた。
「あの子と付き合うの……?」
「最初からその気は無いよ。彼女が言ったのか?」
納得か安堵か、ふっと肩が笑った。
「そうだよね……。付き合う訳ないよね。――、かった……。ぼくの靴箱に君宛の手紙が入っていたんだ。
宛名を書いていなかったからさ、…………女の子って、可愛いな。きらきら眩しすぎるよ。
…………それなのにさ、君と話したいって言ってたのに、……、ぼくが好きだったって言うんだよ。
なに、考えてんだろ…………、君のことなんて、何とも思ってないってさ。信じられない。
…………許せない」
独り言めいた呟きが刺さる。俯いた後姿から表情は全く読めなかった。
「――――だからね、ぼくは、女だから駄目だって言ったんだ」
……お前こそ何を言っているんだ。
新珠の周囲の空気が変わったと感じたのは何故だろうか。
儚げで脆く扉から漏れる光に溶けて影となり消えてしまいそうだ。
「あらた……「実はさ、男装するのも飽きてきたところで潮時だと思っていたんだ。
ちょうどタイミングが重なっただけで、まるで君のせいでばれてしまったようだけど、
気にしなくていいよ。……高砂とも、話していたところだからさ」」
今し方の告白が幻かの様に一瞬にして纏う雰囲気が良く知る新珠燐に戻る。
「俺の代わりに怒っても感謝しないぞ。お前が勝手にやった事だ。自分で始末をつけるんだな」
お前の年月を引き替えにされて返せるものなど無い。全てを渡しても埋められない。
「当たり前だよ。皆をずっと騙してきたのはぼくなんだ。君には関係ない。迷惑なんてかけないよ」
振り向いた普段と変わらぬ瞳が謝罪も慰めも受け入れないと断言している。
心が異様にざわつく。また黒い染みがぽつりと浮かぶ。
今の新珠に苛ついて仕方が無い。初めて抱いた時、俺を何とも思っていないと告白した日、そして現在。
理由は解らないが暗い感情が渦巻き、汚して傷つけたい衝動に駆られる。
「――君には悪いけどこうして髪をまとめるのも終わりかな」
新珠は後ろ手で髪紐の結び目を軽く触り確かめ、さらりと頭を振ると纏め髪が後れて揺れる。
その動きに引き寄せられるが如く、とうとう手を伸ばし流れる髪と肩を掴んで引き寄せた。
背中越しに抱き締める。
再び音の無くなった室内に抑えた呼吸だけが響いて空気を震わせる。
接触した箇所が急速に熱を持ち汗ばんでくる。シャツを通してでもあの吸い付いてくる肌触りが甦る。
「離し、て」
焦りと困惑で明らかに動揺し身をよじって反発するが明らかに逆効果で自然と力が籠もる。
柔らかく頬と喉に触れてくすぐられる頭の感触が懐かしい。
「ね、……ぇ、雨宿っ……」
とうとう首を振り目で訴える。懇願で潤んだ瞳も縁を飾る睫毛も拒絶を放つ紅い唇も全て記憶以上で、
本物には敵わないと白旗を揚げる。
「駄目だ」
「……どうして……、ぼくは、」
「黙れ」
耳たぶに唇が触れそうな距離で言い放ち肩を掴み強く押さえつけると、振り解こうと俺の腕を両手で握ったのは
そのままに渋々目を閉じて動きを止めた。
額にかかる髪をそっと払い生え際をなぞり、頬を手の平で包むとじわりと熱くなった。
左手全ての指で何度も顔に触れて覚え込ませる。わずかな表情の変化も目に焼き付ける。
抵抗無く滑る頬から通った鼻梁、口元へと小指を這わせ、親指で下唇を撫でると湿った息が纏い付く。
口角を曲げた人差し指で、鼻頭を中指の背で擦り、時折震える長い睫毛を薬指で払った。
薄く色付いた顔から首筋、その下も同じ様に染まっているのか。
新珠の上下する胸の動きが右手首へ伝染して同時に脈を打っているようだった。
俺の熱か、新珠の熱さか、鼓動の早打ちは密着した背中から当に伝わっているに違いない。
引き寄せた腕の上を新珠の細い指がもどかしく走る。掌を重ねて摺り合わせては離し、甲を撫で筋を辿る。
羽で優しく触れ続ける様な動きと伝わる体温の心地良さは、錯覚しそうになる程に甘く切ない。
「目を開けろ」
音がしそうな睫毛で二、三度瞬きをして、言われるままに開いた瞼の縁に触れると指先が濡れた。
新珠の瞳の奥に映る自分の目の色を確かめながら揺れる像に向かって呟く。
「俺も髪紐を無くしてしまった。もうお前がどう考えようが関係無い。好きにするさ」
嫌、待って、と言いかけた唇を構わず塞ぐ。
一瞬受け入れたものの体ごと突き放そうとするが、遅い。
力ずくで引き寄せて逃げる舌を追いかけ、捕まえて荒々しく吸い上げる。
拒絶からか瞼を頑なに閉じて唸る様にもがくも気に止めず蹂躙し続けた。
やがて根負けし拳で胸を叩く仕草が次第に弱くなるのを見計らって、口唇付近を優しく舐め始める。
おずおずと追従して応えてきたので舌先をつつき合わせると、ん、と甘い声を漏らした。
更に奥を求めて舌を深く差し入れ絡め合わせる。たどたどしく指が這い頭を抱かれる。
火照った体の抑えきれない熱が繋がった唇から互いの中を行き来する。ぬめって端から零れる涎さえ熱い。
頭はふやけて割れそうで舌先を吸い唾液を啜る音が耳と脳内から幾重にも反響し続けた。
「ぁ、ん……」
ようやく顔を離すと膝から崩れ落ちそうになる彼女を抱き留める。落ちまいと首に腕を回されかかる吐息が温い。
ぞくりと鳥肌が立つ感覚に堪らず眼前の朱に染まった耳たぶに口付け形に沿って舌を這わせる。
「……っ!やめ、っ、駄目だ……っ」
びくりと反応する。相変わらず弱い。
上目遣いに非難の目を向けられるのが不思議と心地良くなり、うなじの後れ毛と髪紐を弄りながら
嗤いを漏らしてしまう。
「お前こそいい加減学習しろ。関係無いと思っているならそんな目で誤解をさせるな」
「…………」
ますます涙が溜まって映り込んだ像が歪む。口元を震わせて幾度か呟いたが啜り上げる様な息に混じって聞こえない。
ごめん、とかろうじて耳に届いた。
まだ謝るのか。
体を重ねている時だけは互いに正直だったと考えるのは傲慢だと、
言葉にしなくても相手の気持ちが分かると思い上がるのは侮辱だと断言しろ。
でなければ閉じこめていた愚かな問いが出てしまいそうだ。
――あの時の言葉は、真実なのか?
「続き、欲しいだろ?」
再度唇を奪って動きを止めながら支える右手を後ろから脚の間へ滑らせ太股を撫で回す。
「や!、ぁんっ、だめっ……ぇ!」
間髪入れずに下のファスナーを下ろして手先を潜り込ませると、予想通り湿った薄い布地と
張り付いて触るだけで判るやらしい箇所に行き当たる。
「こんなとこ、でっ、やめ……っ……」
遠慮無しに突起を人差し指で円を描くようになぞり、火照った部分に指を埋めると容易く潜ってしまう。
「だ、め、中までは……っ、んっ!」
そう言われるとな、突っ込むのが当然だと何度言った。直に拡げた途端に愛液が溢れてくる。
濡れそぼった奥は楽々と侵入を許して中指を取り囲む蜜と柔肉の粘っこく吸い付いてくる弾力を楽しむ。
上ずった声が出る度に次は抑えようと唇を可愛く食いしばるのも、久し振りでつい目を細めた。
肩に頭をもたせかけシーツの代わりに俺の夏服の半袖シャツを握り締めて堪えている。
俺の指で堕ちる瞬間が見たい。ぐちゅりと淫らな音が響く度、新珠の爪先は力を込められ白く変色していく。
「ぁあ、や、ぃやぁっ、……あ、ぁん、ああっ」
耐えきれず口が開いてゆき熱く甘美に色付いた声が漏れ、自ら耳にしては切なげに眉をしかめる。
嫌がりつつ確実に快楽に溺れていく様は何度目にしても卑小な征服欲を掻立てていく。
濡れた親指で花芯を引っ掻き深奥の襞の間を抉るように擦る。
服の上から右手で後ろの穴の付近をくすぐりながら往復すると、それが良いのか中で疼きが繰り返され締め付ける。
「気持ち良いのか、ここ」
「いやぁ、ん! そんなの、あ、…んじゃう……、っ、ちゃうよぉっ、ぁあ! ぁはん、ん」
抗議するも責め立てられぐずぐずに溶けてしまったのか、言葉にならない。
半開きになった唇からは籠もった熱を持て余す舌がちろちろと覗き、より多くの酸素を求めて呼吸を荒げる。
苦悩と悦楽にせめぎ合う涙が目尻からこぼれる。
もう少しだ。
指の動きを止めても自らぬるぬるの秘所を掌全体になすりつけてくる。更に感じる部分を探して腰を振る。
汗と蜜の混じった卑猥な音が止め処なく沸き立ち、表情は淫靡に惚けていく。
「自分で腰を動かしているのが判ってるか? やらしい事、好きだな」
「やああ、ぁあん、ああ、っ、いわない、でぇ……いじわるっ……!」
左耳を舐めながら囁きながら、指を三本入れたまま右手で脚を半ば抱え上げるようにして上下に揺すると、
至近距離で喘いで俺の意識を直撃する。
「あっ、……しぃ、……のっ、いっちゃ、あ、あっ、こえ、だめ、いくぅ……、ああああぁ、いい、いいっ、!!」
望み通り唇を塞いで声を殺してやると猛烈な勢いで舌を絡めて吸われる。
直後に収縮と痙攣が繋がった部分から全身に伝播し、絶頂の蜜が上と下の口を同時に流れ伝い落ちた。
「はぁ……ぁ、……、ひどい……っ。校内で、こんなの、や、ぁっ、……信じられない」
胸を弾ませて快楽の名残を全身に巡らせつつ、真っ赤に染め上がった顔で咎める。
返答せずに幾つかキスを落としつつ緩めた襟元を確認して、首筋の奥に覗く痕の上に、
唇を重ねて吸い上げた。音を立てて離す。
より濃く紅く色付いた印にそっと指で触れ、そのまま鎖骨へと滑らした。
「お前は秩父を選んだんだろう。俺を弄んだ仕返しにはまだ足りないよ、単なる嫌がらせだ」
ぐ、と口を一文字に引き結び躊躇する風が見える。
「本気で拒絶すれば逃げられる癖に、体は忘れていないって奴か」
左頬を強烈な衝撃が襲う。
あっ、と自分でも驚いたらしく狼狽えて、俺を平手打ちした掌を握り締めて隠す。
「させろよ。服を脱いで足を開くか、手と口で満足させてくれるか、どちらでもいい」
燃えるような頬の熱さに満足し嗤いながら追い打ちをかける。
だが新珠は辛そうに笑うとそれで君の気が済むなら、と、まだ火照りの残る体を寄せてきた。
その新珠の行動は自分の無力さを思い知るのには充分過ぎた。引き際だ。
溜息ののち彼女のほつれた髪を耳の後ろへ流しながら口を寄せて告げる。
退場前に言わなければならないことがある。
「嘘だ。もう何もしない。だが最後に言わせてもらう。新珠燐。俺はお前を忘れないよ。
この体も、表情も、声も、笑顔も、言葉も、全てだ。この思い出は誰にもやれない」
戯れでも俺を選んで体を許し背中を押してくれた彼女は、他の男の横でもあの瞳を輝かせて真っ直ぐに歩いている。
自分の道を迷わず歩いて行く事が新珠への返礼になる。
「散々お前のライバルだと言われ続けて染みついたから、今後も勝手に思いこんでおく。
邪魔をする気は毛頭無いから安心しろ。
俺はな、…………新珠……、燐。―――、――――」
彼女は時が止まったかのように動かず、長い睫毛だけが震えていた。
「本当に、ねぇ…………嘘、だろう……? 嫌がらせにしても、あんまりだよ。
ぼくは、君に、許されないことをしたんだ……言われる資格は……ないよ」
ようやく言葉を絞り出し戸惑いと非難で無く、悲しみを強く宿す涙混じりの瞳が訴えてくる。
「仕返しに告白する程、性格悪いと思っていたか?」
「だって……君がひどい目にあったり怪我をしたりしたら、それは……ぼくのせいなんだ。
絶対、許せないことなんだ……」
「罪悪感も度が過ぎると質が悪い。俺の身に起こる事を何故お前が責任を取らなくてはならない?」
新珠にとって俺の思いなど御車の妹や他の女生徒達と同じに過ぎない。今まで通り気にせず放って置け」
「――ないっ、……」
首を振る新珠の瞳から大粒の涙が零れた。
「諦めないと嫌いに、……なるから」
「何とも思われないよりは遙かにいい」
「迷惑なんだよ……っ」
「俺が新珠に出来る事は、想うほかは、何も無い。相手がお前でも、やれない」
ぼろぼろと涙を零しながら俺の胸を叩く手首を掴む。
「……それだけで……、それ、が……っ、雨宿、………忘れて………、……………………」
「これ以上言うと撤回して抱くぞ」
「そんなこと、言わない……でよっ、……ばか、ばかああぁ……っ、
……………………君なんて、…………雨宿なんて………………きらいだ。嫌いだ……ぁ」
新珠はようやく俺への誹りを口にした。
ぼろぼろと涙を零しながら馬鹿、大嫌いと何度も絞り出す様に嗚咽する。
責めろ。泣いてしまえ。抑えるな。
床に座り込み溢れる感情に任せたまま、拭えずに幾筋も流れ落ちる涙は見惚れる程綺麗で、
またきりりと胸の奥を刺す。
手を離したが最後、黒い感情と愛しさがない交ぜになり全てを手にしないと気が済まなくなる。
唇を噛んで相反する思いを抑える為に、ただ見下ろし続けた。
陽の向きが変わっていく。
落ち着いてきた頃合いを見計り膝を折って覗き込むと、恐る恐る聞いてくる。
「本当に、思い直す気はないの?」
「しつこい」
「わからず屋」
「お前にだけは言われたくない」
新珠は鼻を鳴らして拗ねる。怒りや咎める表情は影を潜め、代わりにあの悪戯好きそうな目が甦ってきた。
「非公認でも、ぼくのライバルを気取るんならきちんと態度で表わして欲しいな。
体力と顔は大目に見てあげるけれど、ぼくに心配させるなんて本末転倒だよ?」
そう言って立ち上がると、背後からの光が彼女の輪郭を柔らかに描き出す。
「――――もちろん、ぼくだって負ける気はないからね。君と同じに目指すものがちゃんとあるんだから。
そして、高砂にも、
…………………………………………勝って。でないと認めない」
迷いなく一筋に向かってくる瞳、焦がれていた笑顔がそこにあった。
「この負けず嫌い」
目を離せない。当に数える事を放棄した――――何度目かの恋に落ちる。
「今度は無くさないでよ」
再度髪を解き赤い紐を差し出す。
「ううん、無くしてもいいから。またあげる。無くしたら何度でも何度でも君にあげる」
新珠燐。
まだ足掻けと誘うのか。
自惚れでもそれがお前の望みならば答えは決まっている。
「…………受け取るよ。有難う」
新珠には敵うべくもないが精一杯感謝の笑顔で応える。
すると彼女は俺の顔をぱちりと両手で挟んで先刻より凄みのある形相で迫ってきた。
「ほかの娘の前でそんな顔をしたら、絶対許さない」
「そこまで変な顔だったか、慣れない事はするものじゃないな」
「馬鹿ばかばかばかバーーーカ。君はぼくが出会った中で、一番とんでもなくて、どうしようもない。
ほんっとに……ひどい男だよ」
「さすがにむかつくぞ。具体例を挙げろ」
「初めての時、フェラさせたよね、ぼく、キスだってしたことなかったんだよ?
口チューより先に銜えさせるなんて、こんなひどい相手はいないと思うけど?」
「……覚えていたのか。確かに非道い男だ」
「あんなことやこんなこともした君が悪いんだよ。忘れられるはずないじゃないか」
柔らかな唇が触れ、新珠は二言三言呟いたが俺には聞き取れなかった。
ああ、もう急がなきゃ、と確かめる間もなく駈けだしてゆく。
改めて眼に痛い黄色い陽光と残る感覚の眩しさを実感し、脳裏に焼き付けた。
「きみに殊勝な行動を期待した僕が愚かだったのかね。
それとも人の言葉を推し量れないきみが、予想以上に馬鹿だったと責めるべきか」
男子トイレの洗い場で後頭部に流水を掛けて熱を冷まして、蛇口を閉めた瞬間に声がする。
予期はしていた。
滴が流しの面に幾つも落ちる。左手で蛇口を握り淵に右手を添えた姿勢のまま、無言で顔を向けた。
秩父高砂。
夕暮れ前の暑苦しい陽差しを背に受けて廊下際に立つ姿は、先刻の新珠と同じながら
纏う色は赤く暗く負の感情に満ちている。
「…………」
「人のモノに手を出しておきながら謝ることすら出来ないのかい。
まさか自分が正しいと思ってやしないだろうね、自惚れにも程がある。………………この、屑。」
「謝る相手はお前じゃない」
「君がどう足掻こうが、もう遅い。燐は女の子に戻ると決めたよ。結果オーライだから、
これからは彼女に近付かないと約束すれば、見逃してやる」
「断ればどうするつもりだ、排除か。解りやすいな」
「何もかも燐の為だ。彼女はそうされるべき価値のある人間だ。自分の事しか頭に無い男とは違う」
煽り煽られ相手の出方を伺う。俺はともかく即座に決着をつければいいものを、酷薄な笑みで
表情を固めて腕を組みじりじりと迫ってくる。
「吐き気がする。新珠を言い訳にして自分の思い通りに動かして楽しいか」
瞳に揺らめく漆黒が気持ち悪い。その陰りは新珠にも伝染している事に気が付いていないのか。
「貴様とは正反対に僕は何でも燐に与えることが出来る。全てを犠牲にしても構わない。
彼女の周りには美しく優れたものだけがあればいい。それを吸収し更に燐は輝き、本来の姿を取り戻す。
誤った歩みを正しく導くのは彼女の横に立つ者として当然のことだよ。多少の誤差はあったが、
きみを含め、――皆、良く動いてくれたよ。僕の描く通りにね」
こいつは俺を見てはいない。
新珠をもこの目で見ているのか。
心底選んだ相手だとしても、認められない。この男には渡せない。
「互いに宣戦布告をしただけで、俺達はまだ戦ってすらいない。決着はついていない」
「勝敗など始める前から決していたのに、しかも既に終わったものを本気にしていたのかい?
こんなにお目出たい男だったとはね。……それなら望み通りにしてやるさ」
肩の力を抜き、こちらへ哀れみすら抱いている様な勝ち誇った笑みを浮かべると
秩父は間合いを詰めてきた。
腕を一閃する
「うくわっ、っつ!……!!」
一息に水栓をひねり全開した蛇口に掌を当て秩父に向かって流れを弾け飛ばす。
激しい音と水圧に手元が怯んだ隙に脇から逃げる。金属の光がちらついた。
顔のすぐ脇を鋭い風がかすめる。確認する間は無い。手を掛けた扉が引きずられて閉まり廊下へ躍り出ると、
甲高い音が連続し、足下へ落ちた何かを咄嗟に蹴り飛ばした。
からからと回転して視界の先へ滑ってゆくものを追いかけながら走る。
かろうじてすぐ真後ろの罵声より先に柄を引っ掴んで振り向きざま足元を真横に薙ぐ。
狙うのは無理だがかすってでも動作を鈍らせるなら脚の方がましだ。
「――っつ!」
切り付けた手応えはあったが反対の足で手元を蹴り上げられ放り出してしまう。
ナイフは再び乾いた音と共に階段の端へ消えた。
秩父は俺の襟首を掴んで床に引き倒しマウントポジションを取ると余裕たっぷりに鼻で笑った。
右手には先刻手放したものと全く同じ形のナイフを握っている。
「貴様は用済みだ。邪魔だから消えろ」
刃先を俺の首筋に当てなじませる様にゆっくりと引いて反応を伺っている。
息が上がり高揚する体とは対照的に冷たく硬質な感触は却って意識を研いでゆく。
先刻と同じくただ見返す俺の態度に、次第に秩父は苛立ちを表わし始めた。
「命が惜しくないのか」
「無くすならそれまでだったというだけだ」
「戦うと言いながら所詮は口だけか。見込み違いも甚だしい、最初から大人しくすれば
痛みを感じる間も無く逝けたものを全く、燐は貴様の何処に目を付けたのだ」
死ぬのは結構だがこの場所でやられるのは遠慮したい。
言葉に反してぎらつき歪む眼差しは、この男の詰めにしてはぬるく感情的過ぎる。
自分がやったと大声で触れて回っていると同じ、言い換えれば追い込まれているのは秩父のほうだ。
「セックスの腕か。まさか手を出していないとは言わないよな」
秩父の表情が怒気に沸騰する。同じ手に引っ掛かかるとは、まあ最期の台詞としては格好悪さ極まれると
首を切られる瞬間も呑気に考えて……
ではなく、体を引き起こされたと思う間もなく壁に叩き付けられた。
全身に走る衝撃に息が止まる。腹部に一発、左頬に二発拳を打ち込まれる。
「……貴様だけは、許せない。許さない。何の苦労もなく澄ました顔で攫っておきながら、
自分のせいでないとうそぶく偽善者め。
僕にはあれから一度も触れさせてくれないのに燐は……っ、燐を弄んでいるのは貴様だ!
すぐになど逝かせない。じわじわと痛めつけて、助けてくれ、でなければ殺してくれと
泣いて懇願するまで苦しませてやる」
喉元を握り秩父は恨みだけを張り付かせぎりぎりと歯噛みをして睨み付けてくる。
息苦しさに振り解こうともがくも腕が上手く動かない。
痛みより激烈な熱さと心臓がもう一つ出来たような鼓動が耳の奥に木霊して思考を奪う。
「っつ、……ぐ、……っ」
不意にこの場には似合わない流行り曲が聴こえ、秩父は手を緩めた。
「ははっ、つい首を締め上げる所だった。危ないね。とりあえず、指の骨でも折っていこうか」
背を丸め咳を繰り返す俺を見て、嘲り笑う余裕を取り戻し携帯の着信を無視したまま俺の右手を捻る。
今の逆上振りで秩父が狙うのは肉体的苦痛だけだと知る。
まだそこまで考えが回っていないのだろうが、俺ならば精神的に確実に堕とす為に新珠を使う。
案外に奴は彼女に似て真っ直ぐで正直な性格なのかもしれない。
新珠燐への恋慕が秩父高砂を作ったのなら、俺は勝てない。敵う筈が無い。
だが、生きた彼女の姿で無ければ意味は無い。
秩父の右足の脛が斬れ服地の間から血が見える。足元まで汚れてなく奴にとってはかすり傷にすら
至っていないかもしれない。蹴られた時にはずみで触ったのか左の上履きのゴムが切れかかっている。
まだ視界がぐらつき体中が軋む。
「まず一本目、小指だ」
鉄の味の唾を飲み込みながら見上げる俺を、さも愉快げに見下しつつ、指を捻り上げる。
一瞬苦痛に顔を歪めたのは秩父だった。
傷口を蹴り体をぶつけ突き放すと階段に回り転がっていたもう一本のナイフを手にする。
踊り場まで駆け降り右足を一段だけ下ろして振り向く。
「――――!」
何かを叫びながら飛ぶように追いかけて来た秩父は角を曲がり、振り上げた腕を今度は狙い定め眼光で射る――、
鳴り続ける着信音。
「?!」
目の前でぐらりと前に傾ぎバランスを崩す。俺が両手で構えた刃先に吸い込まれるように倒れ込む、
――――寸前に手を放した。
そのままの勢いでぶつかり二人共に階段を転げ落ちる。
後頭部への衝撃火花が散り脳が揺さぶられ身体中が悲鳴をあげる。
甲高い叫び声と、
意識の溶解。
暗闇に堕ちる。
草木の緑と曼珠沙華の赤が一面を覆っている。秋の彼岸を示す色。
あれから毎年この時期が来ると熱を出す。放り込まれる部屋の馴染みすぎた独特の匂いに
またか、と眉をひそめる。
――――
曼珠沙華の向こうで誰かが呼んでいる。ああ、裸眼のせいで霞んで顔が判らない。
近付いて確かめる為に踏み出すと不意に影が横切った。通り過ぎる赤に惹き付けられていると
右腕を羽交い締めにされた。
「ぼくも一緒に行くよ」
「新珠……?」
目を開くと薄闇の世界にあの匂いが漂っている。泥に絡め取られたように沈む感覚と鈍く滲む痛み。
こちらが現実だ。
緩やかに自身を認識する。左手には点滴、頭や体数カ所に包帯が巻かれている。
捻挫とひびで済んでいるなら良いが、そのうち判る事で急ぐ話ではない。
「目を覚ましたようです、……はい、判りました」
右隣のベッドからナースコールを掛ける男の声がする。
切れると枕元に近付いてくる気配がし、明かりを点けて平気か?と聞いてくるのでああ、と返事をすると、
頭上のライトのスイッチを入れベッドの端に腰掛けた。
ぼんやりと映る人影に話しかけて確認する。
「秩父、か。お前は動けるのか」
「僕はきみと違い大層丈夫に出来ている。頭も少し打ったので用心の為に一晩泊まらされることになったが、
打ち身と切り傷の手当だけだ。下敷きになったきみが割を食って貧乏くじを引いた訳だ」
「そうか、なら良かったな」
「軽傷だった礼は言う。……だが、勝ちを譲ったつもりかい? 今回は偶然が重なっただけで、いわばドローだ。
――――まだ決まっていない」
「次は体を使わない勝負で頼む。お前も新珠を泣かせるのは本望でないだろう」
「今でも事故に見せかけることは出来るのに、馬鹿な真似をする……僕を怒らせないように気を付けろ」
秩父の影は舌打ちをし、それきり黙ってしまった。
未だ人が来る様子は無い。
「顛末を聞かせてくれ」
「あの場に居合わせたのは彼女の母の菊桜(きくお)さんだ。
燐は学園長と一足先に帰っていた。ここに運び込まれ処置も終わってから、三人で様子を見に来たよ。
毅然とした態度で無理をせず養生しろと、僕と、きみにも言っていた」
そして一人で自分を責めるのだろう。泣かせる事に変わりは無い、か。
「泣きたいのを我慢して無理をして、あんなに強がって立っている燐は、間違っている。
本来の燐は誰よりも優しく女らしいのに、傷ついた心を守る為に被った仮面を外せなくなった。
雨宿松月、彼女の心を癒したいと思うなら自分の過ちが解る筈だ」
「その全てが新珠燐だから、彼女の好きにすればいい。俺が新珠を癒せるなど考えた事も無い」
「貴様の言葉が燐を縛っている。燐の気持ちを考えたことがあるか?」
「人の思いなど判らないのが当然だ。だからこそ、彼女の為に何でも出来ると思い上がる事は出来ない」
「判らないからと燐を傷つけても平気だと?」
「慰め役ならお前や奥丁字がいる。俺の出る幕じゃない」
「……やはりさっさと止めを刺しておくべきだったよ。貴様は、燐の為に、最悪だ。全くもって最低の男だ。
体を治したら性根を叩き直してやる」
「腕っ節の勝負は遠慮すると言った筈だ。無理に従わせようとする限り、俺もお前に負けてやる気は無い」
「きみのように勝手な人間の都合を受け入れる義務はないと気が付いたよ。せいぜい足掻いて苦しむがいい。
その姿を見るのが楽しみだ」
サドかよお前、と吐き捨てると、貴様ほどではないと返された。
ノックの音と共に入ってきたのは嶺先生と千島医師だった。一通り容態の説明を受け
翌日に登校する為にどうにかして欲しい、と頼むと朧気でもはっきり判る露骨な嫌な顔をした。
俺は新珠の選択を見届けなくてはならない。
「松月、こノ馬鹿医者の思うツボだよ。大人しくシテおけ」
「出席日数を今以上に落としたくないんです。千・島・先・生」
「この天才のボクこと、千島清隆の腕をとうとう認めてくれたのだね。苦節二十年ロング長かった。
しみじみ。よろしい。望み通りに改造、いやリニューアル、大船に乗られた気でいることだ!」
抱きついて泣き真似をする病院内一番の変人医師は、腕だけは確かだ。
鬱陶しさは変わらないと思い出しつつ、人道的にお願いしますと釘を刺す。
嶺先生は長い溜息を吐きながらホラ準備するよ、と千島医師の首根っこを掴んで俺から離すと、
慣れたものでそのまま引きずって出て行った。
天才と何とかは紙一重と、呆れ声で秩父が呟いた。
「寮生活でやっと解放されたんだ。早く戻りたい」
頭を掻きながら……何か引っ掛かる。
「確かにアレは嫌過ぎるな」
「俺が物心ついた時からあの調子で、しかも――――、………………」
「おい、雨宿? っ!!」
後半は何を言っているのか判らなくなっていた。
猛烈な嘔吐感に襲われ毛布の上に吐き続ける。胃液しか出なくなっても収まる気配は無かった。
――――――――
――――
曼珠沙華の向こうに人影が見える。足を一歩踏み出す毎にぼやけた輪郭が形を取り、
姿が、顔が、表情が明確になってゆく。
右腕に掴まる相手は、いない。
――――――――
二つの影が名前を呼んだ。
曼珠沙華は秋の彼岸を示す色、――――赤い赤い血の色だ。
5話は以上です
告白してしまったがもう少し続きます
失礼しました
倉庫で読み終わって、やっと追いついた
感情的になる松月にハァハァしてたら吐血してて、ギャース
じつは沈黙を保ってる市原がすげー気になります
GJでした!!
投下乙です
読み応えがありますな。乙です
一応あげておきます
334 :
投下準備:2008/03/19(水) 22:47:57 ID:pqVQDYTL
桃娘異聞 続編投下です。
今回、更にエロなし+ユーリなしです・・・・。
エロなしいやん、ユーリいないのいやん の方、スルーお願いします。
桃娘異聞 『落花流水』です。
335 :
落花流水:2008/03/19(水) 22:49:38 ID:pqVQDYTL
『あにさんと呼んで良いん?』
幼児のように外套着の端を掴んで、顔を覗く黒曜石の瞳───。
不安と何かを求める輝きが痛くて、そんな瞳で見つめて欲しくなく頷いた。
自分の名前なんてとっくに忘れ、大金を投じて手に入れた名前が今の名前───気に入ってはいるが
他人の人生も背負った気わいもする。
だから『あにさん』と呼ばれるのは悪くない
私だけの『名』のように響くから───
朝焼けが鉄格子の窓から降り注ぎ、目を閉じてても入る光線にしかめながら瞳を開いた。
レオナルトは質素な寝台から起き伸びをすると備え付けの桶に、溜めてある水で手と顔を洗う。
──今日で3日目か──
まだ覚醒しきれない頭でぼんやりと思い出す。
ユーリがガルデーニアと何の『商談』をしたのか問いつめている最中、あらあらしくドアを蹴破り、
入ってきた男達。
帯剣に憲兵の制服・・・。
憲兵等は自分を伯爵夫人の指輪を盗んだ窃盗の罪で捕らえに来たと
取り押さえられ、礼服を調べられると
───コロン
と一つ、ズボンのポケットから出てきた粒の大きな真珠の指輪。
336 :
落花流水:2008/03/19(水) 22:51:41 ID:pqVQDYTL
あの女───ガルデーニア
(絶対あの女とは情は交わさん)
少しでもくらりときた自分に憤慨する。
誘惑する振りして自分の指にはめていた指輪をポケットに忍ばせといたなど・・・。
あの時の商談でうまくまとまったら契約料
破談したら、盗まれたと通報か───
どちらになっても、自分から離れたユーリを手に入れられる。
まんまと引っかかった。
冷静なようで動揺をしていたようだ。
ポケットの中の違和感に気が付かないなんて失態も良いとこだ。
昨日、グレゴリー伯の第二子ルカが面会に来た。
「───これ、貴方の荷物です。
荒らされていましたが、残されていたものすべてかき集めて持ってきました───確認して下さい。」
レオナルトが窃盗の罪で捕らえられたと聞き、
まさかと思いつつ、残されたユーリが気懸かりで訪ねに行ったら、部屋が荒らされユーリの姿は既に
無かったという。
「それと、本日の午前付けでファルコーネ女子爵から父の元にこんな物が提出されました。」
差し出された一枚の紙。
手に取り読んでみる
「養子縁組み受理願い・・・?」
337 :
落花流水:2008/03/19(水) 22:56:00 ID:pqVQDYTL
「養子として引き取りたい方の名前を見て下さい。」
「ユリアナ・・ユーリの事でしょうな・・・。」
「やはり・・・。では、ユーリさんは女子爵の手の者に拉致された可能性が濃厚という事ですね。」
「────かも知れないし、違うかも知れない・・・。」
「・・・ユーリさんが自ら出向いていったと?」
レオナルトは簡素な木の椅子の背もたれに身体を預け、腕を組む。
だんまりになってしまったレオナルトを察しるかは、監視役に金を握らせ、人払いをする。
「───驚きましたね、貴方もそんなことをなさるのですか。」
権力者の威を借りて貰うだけで良かったレオナルトは心底驚き、ルカを見つめた。
「口止め料も入っているんです。
どこで聞き耳を立てているか分からないので
いつも彼には他の者が近づかぬよう、また、うっかり聞いてしまったことを他人に漏らさぬように・・・ちょ
っとした『お小遣い』ですね。」
困ったように笑うルカだが、ユーリと年が近い割には場数を踏んで悟っている表情の笑顔だ。
そうしなくてはならない事情は大抵理解できる。
どこの国でも、情報を売る者がいてそれを買う者がいる。
そして、脅迫、恐喝。
特に海の玄関口のエダナムは、地上からだけではなく、海からも人が流れる。
他の国ー特に敵対している国に国家存亡に関わる重要な情報が漏れたら───
手っとり早く口を塞ぐ方法は───金なのだ・・・。
「────勿論、金に動かない、信頼の置ける者を側に置いていますが・・・。」
それより、と、
「───話、してくれませんか?
何故、ユーリは男名で、男装して女子爵に狙われたのか───。」
とレオナルトに詰めよる。
レオナルトは諦めたように深い息を付くと
「・・・話したら、御助力ねがえますか?」
と、ルカに要求する。
「話の内容次第です。緊急かつ、重要だと判断すれば・・・。」
まずこの石牢から出なくては身動きが取れない──不本意だが、父、グレゴリー伯の補佐役を少年なが
らに立派にこなし、父の代名でこの港地区を業じているルカにユーリの素性を話し、是か非でも協力
して貰わないと先に進まない。
ルカに彼女が、エダナム、コルスリフィル両殿下が所望している『桃娘』であること
コルフォーネ女子爵はそれを知って、ユーリを淑女にも支立てあげ、殿下に献上でもする目論見な
のだろうと。
「・・・・・ユーリが?あの子が?・・・桃娘?」
ルカは、唖然とし、信じられないとでも言うように呟きを繰り返す。
「───信じがたいでしょうか?」
「───確か甘い良い香りがユーリさんからしましたが・・確か噂ではその香りを嗅ぐと、精力増幅され
るとか・・・?」
「精力増幅と言うより、酔ったようになり、渇望感が出てやるまで収まらない───しかし、これは人に
よるようです。
体臭に酔ったようになるのがほとんどで、そこまでなる者は今まで私を入れてごく数人ですな。」
「・・・しかし、そんなに理性を失うほどの香りでしたでしょうか・・・?
───、良い香りとは思いましたが、交わりたいとかは思いませんでしたが・・・・。」
339 :
落花流水:2008/03/19(水) 23:02:57 ID:pqVQDYTL
「────えっ?! なにも感じなかったのですか?」
思わず声を荒げ、身を乗り出す。
「僕には、落ち着く香りでした・・・・何か変でしょうか?」
「・・・初めてですよ、そんな感想・・・。」
そんなに変な事を言ったかとしどろもどろに答えるルカを一瞥し、無言で座ると手を顎に当て、擦る。
ユーリに施した香りは
後から香り付けした桃娘達と、皆同じ香り
それに元々の体臭が溶け合い、それぞれ微妙に香りが違う
それと同じように、香りに反応する男達も様々だと───香り付けを施術した老師は言った。
しかし、元の香りは男達を誘惑するが為に調合したもの。
───ルカのように精神を落ち着かせる作用があるなど初めて聞くことだった。
「・・・話が微妙にずれているのですが、今後の為にもお尋ねしたい。
────ユーリの体臭をはっきりと嗅いだと意識した時のルカ様は、なにをお考えでした?」
「────えっ?」
「───悪戯に聞いているわけではありません、一医師として聞いております。」
うっすら顔を赤らめ、恥ずかしいのか年頃の少年らしい表情を浮かべルカは答えた。
「・・・そうですね・・・あの時、僕は僕の気持ちも持て余してましたから・・・。
ユーリさんが認めて受け皿になってくれたような・・・心の刺が抜け、痛みが引いていく──楽になった気
がして・・・。」
「・・・ユーリに何かしようと気は?」
レオナルトの問いに慌てて首を振る。
「────そんな!・・・大げさかも知れませんが、救われた気がしたんです、ユーリさんに・・・。
・・・だから、今度は僕が、彼女の助けになれないかとーだから、此処に来ました・・・・。」
「・・・・・。」
また、黙りになり、考え込んでしまったレオナルトを何とか促してルカは先に話を進めだした。
340 :
落花流水:2008/03/19(水) 23:05:11 ID:pqVQDYTL
「先ほど、自ら出向いたかもと・・・言っていましたが
それは何故です?」
「───ああ、それはですね・・・。」
話しかけられ、現実に戻され、彼はユーリは伯爵夫人と何か『商談』を成立させたらしい事を話した。
「その『商談内容』を問いつめていたら、憲兵がワラワラと・・・ね・・・・。
聞かずじまいですよ。」
「────気になりますね・・・。探りを入れてみます。」
「それと───その養子縁組み受理願いは受理されるまでどの位かかるのです?」
「腐っても子爵です。
この後、父のグレゴリー伯の捺印とエダナム国王殿下の捺印が必要になります。
まあ、普通に行けば一ヶ月。
何か『不手際』が起きればそれ以上。」
そう言って、穏やかにルカは微笑んだ。
「『不手際』ですか・・・さぞかし王宮に送る書類は膨大な数なんでしょうな。」
「ええ、───なので、混じって他の管轄部に送られてしまう───そんな事もよくありましてね・・。」
なかなか食えない子だ
こちらがどうして欲しいのか先回りしている。
そのくらい機転が利かないと、将来グレゴリー地方を次いだ長男の補佐はできないのだろうが・・・。
『残念ですが無実の証拠か、女子爵が訴状を撤回しない限り此処から出れません。
私の方からも婦人に促してみますので、それまで耐えて下さい。』
341 :
落花流水:2008/03/19(水) 23:06:40 ID:pqVQDYTL
───仕方あるまい───
観念して石牢の中でぼんやりと一日を過ごした。
やることが何もなく、今までのことをつらつら思い出し、浸る。
そう言えば、こんなにユーリと長く離れるのは連れてきて以来初めてだ。
思い出すのはユーリを連れて過ごした一年。
以前の記憶より、より鮮明に思い出されるのは
それだけ濃い内容だからだろう。
連れてユーリの国を出た後
彼女はよく熱を出し寝込んだ。
著しく体力が落ちていたが故だ。
他の桃娘だったらとっくに絶命している。
それもあって西方に桃娘は『輸出』する事が困難で露わもない噂が飛び火しているのだろう。
ユーリが自分に惚れているのを利用して連れ回して、交わって・・・
もう少し、もう少し、
体力が付いたら
西方の言葉を覚えたら
伽の技を覚えたら
どこかの国の権力者に献上し、報奨金をもらいどこぞに開業し悠々自適に暮らそう───
342 :
落花流水:2008/03/19(水) 23:10:31 ID:pqVQDYTL
ユーリを連れてきた理由を思い出すと自分は最低な男だと、自分で恥ずかしい。
事実を知ったユーリはなじるだろうか?───あの娘は行動は抜けているが、人に対する洞察力はな
かなか鋭い。
気付いているかも知れんが・・・。
結局、ユーリの香りから離れられなくなり
麻薬に似た効力に怖れながらも、ユーリに触れ、研究し・・・。
そのうち彼女の一途な黒い宝石のような輝きを持つ眼差しと、自分を切なくなるくらいに求め、目論
見のない想いを身体全体で伝えてくる気質に
香り以上の魅力を感じ惹かれた───
自分だけに紡ぐユーリの指、唇
絡む髪、瞳、腕、足包む体臭、
温かくも締め付ける彼女の体内───
嘘、偽り無いユーリの自分に対する想いの全て
離れられないのは香りのせいじゃない
ユーリの全てを見ていたいから離れられない───
ユーリが自分の全てを愛していると分かるから離したくない。
分かっているのに・・・
(あんなに怒鳴る必要なかったんだ)
343 :
落花流水:2008/03/19(水) 23:12:01 ID:pqVQDYTL
ユーリにガルデーニアと何の『商談』をしたのか
怒鳴りつけてしまった。
青白い顔をして固まるユーリに着せた詰め襟の背広から
膨らみ始めた幼い双丘が見えた。
うっすら見える痣・・・。
自分でも気づいていた。
勝手にガルデーニアと『商談』した事に気分を害した訳じゃなく
ルカに痣が残るほどに乱暴されたのに、どう言うことかルカの頭を優しく撫でていたことが気に入ら
なかった。
本心は商談のことより、そちらの方を問いつめたかった。
でも───焼き餅を焼くなど大人げないと、いらない自尊心が邪魔をして本心を隠した・・・。
可哀想なことをした・・・。
あんな風に怒鳴っては、ひどく落ち込んでいるだろうに。
ユーリに会ったら・・・会えたら
謝らないと
そして
ユーリには言いたくても言えなかった事
今度こそ言わなくては
「愛している」───と
落花流水 終わり
344 :
投下終了:2008/03/19(水) 23:15:08 ID:pqVQDYTL
335で伯爵夫人→女子爵です。
間違えました。
勢いで書いたものがなかなか終わらなくなり、どんどんつじつまが合わなくなって
焦ってきています。
エロも足りないし・・・。
なので、話の足りない部分の補足も込めて
何話か番外を入れたいと思います。
一言、今回エロ無しを読んで下さりありがとうございます。
乙です
番外編で風呂敷が広がりすぎてしまうのは不安ですが
応援してます!
346 :
投下準備:2008/03/26(水) 20:43:08 ID:Ul4haKeO
桃娘異聞 番外です。
ユーリが自国のお屋敷に来て、桃娘となったくだりを
書いてみました。
男装無しの、レオナルトがちょっと嫌な奴・・・かもです。
ロリ気味なので嫌な方、スルーお願いします。
『徒情』 です。
347 :
徒情:2008/03/26(水) 20:45:02 ID:Ul4haKeO
11の歳に私は人買いに買われました。
貧しい農村で産まれた私には来るべき運命でした。
でも、その時の私は悲しくはありませんでした。
思ったより良い値で売れたようで、
これであに様が、学校に通える資金の目処が立ったと、とと様が喜んでいたからです。
あに様が大好きだった私は、お役に立てたと安堵して、人買いと共に家族と、家族の住む村を離れま
した。
───知らなかったんです
村を離れたことのない幼い私は
どこかの裕福な屋敷の下働きとして売られたのだろうと
そう思って外へ出たんです。
知らなかった・・・私がどんな所へ売られたのか・・・
着いた先は、大きな都の街外れのお屋敷でした。
地主様のお屋敷位の大きさしか知らなかった私は肝を潰して、田舎者丸出しの表情をしてお屋敷内に
入り主人となる人を待っておりました。
程なくして主人と見られる、でっぷりと肥えた男と
その後ろに初老の男そして────その二人に付いてひっそりと控えている青年───は黒みがちの
金髪に、色素の薄い青色の瞳で異国の者だと分かりました。
彼は幼かった私から見てもとても、秀麗な顔立ちをしていて、初めて異国の人を見たのも手伝ってま
じまじと見てしまっていました。
348 :
徒情:2008/03/26(水) 20:48:04 ID:Ul4haKeO
その間にも、主人と初老の男はひそひそと私を見ながら話していました。
「・・・歳がいきすぎているがどうだな?」
「この位ではないと施術に耐えきれぬでしょう。
順従させるのはその後いくらでもできるでしょうに。」
「・・・自我が目覚め初めている年頃の女子は面倒なんよ。」
「施術が成せたら、考えたらよろし。」
「・・・そうやな。」
施術?
聞きなれない言葉に首を傾げる私に主人は近寄りました。
私は慌てて膝まつき挨拶をします。
何かが破ける音────
分けが分からず呆けました。
破けたのは自分が着ている服
破いたのは近寄ってきた主人
理解したのに時間がかかったように感じましたが
実際は短い時間だったようです。
私は突然の凶行に、今まで感じたことのない恐怖を覚え、破けた胸元をおさえながら、震えました。
主人はそんな私に構い無しに────むしろ、楽しげに震えて固まっている私の服を破き
泣きながら必死に胸と股間隠している私の腕を払い
私のつま先から頭まで舐めるように見つめて言いました。
「今から、お前の身体に香り付けをしてもらうんだよ。
何、わきの下をちょこっといじるだけ。
暫く痛むだけですぐに痛くなくなる。」
「・・・香り・・・付け・・・?」
349 :
徒情:2008/03/26(水) 20:50:27 ID:Ul4haKeO
「桃娘を改良中なんよ。
ほんとはもっと幼いうちに育成しなくちゃならないもんだが、今まで幼すぎて施術の痛みに耐えきれ
んかったんよ。
麻酔代わりの薬で死んだ者もいるわな。」
────死────
その言葉を聞いて私は、嫌々と首を振り更に泣きました。
恐ろしさで声は出ませんでした。
「私の言うことは絶対だよ。
お前の主人だからね───私に買われた身だ。お前を生かすも殺すも、どうするのも私の勝手やね。
人形なんよ────お前は。」
私はそれだけ聞かされると
いつのまに後ろに回っていた異国の青年に布で口を塞がれ何かを嗅がされいて意識を失いました・・・。
施術が済むと暫く、私は痛みと高熱で、うなされる日々が続きました。
特に脇の下が痛み、熱を帯びて腫れ上がり、
気を失うように眠り、また痛みで目が覚める───そんな毎日で当然食欲など湧くはずもなく、自分
の身体がだんだんやせ細っていくのが分かりました。
────死ぬかも知れない───
私の脳裏に浮かんだ言葉なのか
様子を見に来た主人の言葉なのか
思い出せない位、朦朧としていました。
350 :
徒情:2008/03/26(水) 20:52:45 ID:Ul4haKeO
───?───
熱にうなされて何日目でしょうか?
口の中に甘くて冷たい固まりが入ってきました。
うっすらと目を開けるとあの異国の青年が、のぞき込んでいます。
「───私の声が聞こえるか?」
異国訛りのある低い声
私は頷きました。
「蜂蜜を浸した氷だ・・・砕いてあるが飲み込むな、舐めるように口の中で溶かしてけ。」
彼の言うとおりにしました。
この季節に氷なんて珍しいと、思いながらも久しぶりに口の中が潤った事と、実家にいた頃には滅多
に口にする事ができなかった甘味に夢中で舐めました。
それに安心したのか、青年は軽く微笑むと器に盛っていた次の氷を私の口に運びます。
皿の中の氷がなくなると青年は私の服を脱がし汗をふき取ってくれました。
「身体の熱をおさえよう。」
と、布に大きめの氷を積め、脇の下と太股の付け根に当て、真新しい服に着替えさせてくれました。
「・・・・また、様子を見に来るから。」
優しく額をなで、その場を去ろうとする青年の手を私は掴んでいました。
「・・・?」
「・・・一人に・・しないで・・・。」
怖かった
家族から離れ、無理に身体を傷つけられこのまま、一人、痛みと高熱の中でいるのが・・・。
そんなときに優しくされ、しがみつかない子供がいるでしょうか?
彼は表情を変えることもなく
寝台に座ると、私の手を握り返してくれ、彼の国の言葉で私に語りかけます。
何を言っているのか分からなっかたのですが、その聞いた事の無い呪文のような言葉は不思議に私の
頭に響き、子守唄の様に聞こえます。
私は、彼の落ち着きのある低い声と言葉に見守られ瞳を閉じました。
351 :
徒情:2008/03/26(水) 20:55:18 ID:Ul4haKeO
その日を境に、私の体の調子が劇的に良くなりました。
そして、良くなると同時に徐々に香る体臭・・・。
甘い・・果実の
成功したと喜ぶ主人は、私に桃娘としての育成を始めました。
先に入っていた姐さん達に混じり、宮廷作法に、踊りや琴線を習わせられ
食事は果物を中心に甘い物ばかりでしたが、体質なのか寝込んだときの後遺症なのか
なかなか肉付きが良くならず次第に主人の私を見る顔が険しくなっていきました。
その間、続々と香り付けの桃娘の施術が施され、育成されていました。
時々、通路を老人と一緒に歩くあの青年を見かけ、駆け寄りたい衝動が起きましたが
あの青年は医師として、針や灸、漢方を学びにきた裕福な留学生で、こんな私が懐い
てはご迷惑がかかると、遠くから見ているだけに留めました。
また、私の周辺が変わろうとしたのは13の歳です。
私の奉公先が決まったと主人に聞かされたときでした。
嫌がる私に、お前は人形だから意志を持ってはならない
そのようなことを言い、指と舌で私の身体を弄くります。
いえ、それより嫌だったのは
あの青年医師が見ている前で
辱められた悲しみが涙となって頬を袖を、濡らし
止めようもなく夜が更けても声を殺し泣いてました。
知ったのです。
私は、あの異国の青年医師に恋心を抱いていたことに
352 :
徒情:2008/03/26(水) 20:57:10 ID:Ul4haKeO
目の前で股を広がされ、凌辱される様を見られ、羞恥と失望に打ちひしがれているとき
髪をいじる指を感じ、顔を上げるとそこに、あの青年医師がいたのです。
音もなく近づいてきた彼を、声も出せない程に驚き、凝視してしまいました。
「ずっと泣いていたのか?」
彼は部屋の外に聞こえないように、押し殺した小さい声で私に尋ねました。
私は黙って頷きます。
「・・・買われた身であろうと、自分の意志と関係なく弄ばれるのは辛かろう・・・。」
「姐さん達のように何も分からない歳にこのお屋敷に入ってれば良かったの?」
「どうだろうな・・・あの者達の何の疑問も持たずに生活している様子を見ても私は同情も慕情の念
も起きないがな・・・。」
そう言いながら私の涙で顔にひっついていた髪を肩に流すと、それが当たり前のように私の唇に吸
い付きました。
「────!」
驚いて、一瞬彼の胸を押し退けようとしましたが
ふと、頭によぎったことがありました。
私の国では元々女は自由に恋愛をすることは許されません。
それが人身売買に歯止めがかけられない理由の一つでしょう。
親の決めた相手
相手側の要望
で嫁いでいくか、妾になるか
自分の希望など黙殺される社会です。
彼がどんな理由で私にこんな行為をするのか分かりませんが、私の想いは叶ったと・・・。
その後、私がどうなるのか、世間知らずな私でも、だいたいの予想は付きます。
それでも・・・・
私は彼の腕を掴み、私の口の中で動く彼の舌に応えるように懸命に舌を絡めました。
353 :
徒情:2008/03/26(水) 20:59:05 ID:Ul4haKeO
「・・・ふ・・ん。」
彼は、唇を離すと大して驚くこともなく私を見つめ
「覚悟はあるわけだ・・・。」
そう言うと、自分のズボンから布切れを出すと私の口を塞ぎました。
「声が外に漏れると露見するからな・・・。」
灯りを消すと、私の肌着を慣れた手つきで外し、まだ膨らみの薄い私の胸に舌を這わせ始めました。
「・・・。」
くすぐったい感覚に身を捩る私の身体を抱きしめ、執拗に舌と唇で責め立てます。
首筋から乳首にかけ、それから流れるように下腹部の方へ
主人と同じ行為をしようとする彼に私はさすがに硬直し、首を振りました。
彼は身を起こし、こう言いました。
「この香りは男の性欲を駆り立てる作用があると老師が言っていた。
施術を受けた娘全て同じ香り付けだが、元々持つ体臭と混じり、微妙に違う香りになるようだ。
─────それに反応する男も様々・・・ということになる。」
そうして、私の足を大きき開かせ指を形にそってなぞり出しました。
「─────!」
指が体内に入った感触が分かり、思わず背中が反ります。
身を捩る度にうっすら流れる汗に混じる甘い芳香・・・。
「私の性欲を刺激するんだよ─────君のは
こうなったらどうしようもないんだ。
性欲を満たすまで渇望が収まらん・・・・。」
潤い、淫らな音を立て始め、私は恥ずかしくて自分の顔を逸らします。
中を探る指が外れ、私の両足首を高く上げると彼は自分の肩に乗せました。
354 :
徒情:2008/03/26(水) 21:02:02 ID:Ul4haKeO
「君が私を見ていたのは知っていた────好きなのだろう?私を。」
かぁっと顔が熱くなりました。
彼は私の内股をを舐め上げながらニヤリと笑い
「その気持ちを利用して悪いが、この香りを嗅がされ、あんな扇情的な場面を見らされたこちらは
────もう止まらん・・・堪えてもらおう。」
そう言うと私の秘所に何かをあてがい一気に入れてきました。
「──────!!?」
口を猿ぐつわで押さえていなければ、私は高い悲鳴を上げていたでしょう。
それが何であるか、理解したときには彼の動きに合わせ私の内を激しく擦る物の熱さと痛みで必死に
彼にしがみついていました。
自分の体内より熱い欲望が中で放出されたのが分かります。
それが済むと彼はふうっと息を付き、私を抱きしめ、痛みで流した涙を舐めとっていました。
「外すぞ。」
そう言うと彼は猿ぐつわを外します。
でも、今だ内に入っている感覚があり呆けて何も喋ることができません。
「痛いか?」
首を横に振り、体を起こすと寝台の敷き布団に血痕がありました。
ぼんやりとそれを見ていると彼が言います。
「────さて、これで君は価値が下がったわけだが・・・どうする?」
忙しく着替えを済ます彼を見ながら、まだ、火照る身体を持て余しながらも私は言いました。
「・・・・私はここからは逃げ出せません・・・主人はこれを見たら激怒してどこかへ売るでしょう
私の代わりは幾らでも見繕えます。
きっと、私はまたどこかの殿方の玩具にされるだけです・・・・でも。」
私は青年医師を見つめて言いました。
「後悔はしてません、好きな人が私が好きだと知ってくれていた。
好きな人と繋がることができた・・・普通は叶わないことが叶ったんですから。」
355 :
徒情:2008/03/26(水) 21:03:38 ID:Ul4haKeO
微笑む私に彼は耳元で囁きました。
「逃げることができるとしたら?」
「────!?」
思わず大きな声を上げようとした私の口を塞いで続けて言います。
「私は今夜でこの屋敷におさらばして、自国に戻る。
君一人分ならごまかす手だては幾らでもある────緒に来るか?」
────ここから逃げ出せる?
好きな人と・・・・?
この思いがけない誘いに私は、興奮を抑えながら頷きました。
彼は了承を得たと確認すると、私の顎を掴みこう言いました。
「早急にこの国を出る。
それまで私の言うことを聞き、動きなさい。
分かるね?」
他の者の所有物を奪っていくのだから、警護兵が嗅ぎ付く前にこの国を出なくてはならないのは分か
りましたから、こくりと頷きました。
「─────問題は国を出た後、君はどうするかだ。」
「・・・・あにさんについていっては駄目ですか・・・?
何でもやります・・・・洗濯や掃除や食事は実家にいた頃やってました。
あにさんがやれと言えば・・・悪いことも、身体を売ることもしますから・・・。」
「・・・上等だ。」
彼はにやりと笑います。
何か一物考えている笑い方で・・・・。
彼は私とこの国を出たら
私を売るかも知れない
そんな考えが頭に浮かぶ表情でした。
356 :
徒情:2008/03/26(水) 21:05:39 ID:Ul4haKeO
でも、付いていくと言ったのは私
その意志は変わりません
たとえ、この身と心が砕けようと・・・・。
そんな風に固く決心をして私は国を出ました・・・・。
一年と少しがたち、時々寝込みあにさんのやっかいになりながらも
私も助手として少しですが医師をしているあにさんのお役に立てるようになりました。
あにさんは過去に裏家業というものをやっていて、それのために私の国にやってきたんだと、聞かず
とも分かりました。
でも、今のところ、あにさんは私を売るつもりは無いようです。
私が感じるより、あにさんは私を好きでいてくれている?
行く度々無く、抱かれる度にそう期待します。
私の恋は、はかない恋なのでしょうか?
いつか、私は金と引き換えにあにさんと別れる日が来るのでしょうか?
自問自答を繰りかえします。
あにさんは私を積極的な娘だといいます。
でも、一番聞きたいことが聞けない臆病な子です。
もし、もし、別れる日が来るのなら、少しでもあにさんの温もりを覚えておきたいのです。
貪欲にあにさんを求め、許される限り、お願いをして──── 一生に一度でも自分から愛した人が
いたと誇れる何かを心に刻みたいのです。
徒情 終わり
357 :
投下終了:2008/03/26(水) 21:06:16 ID:Ul4haKeO
最後に、読んで下さりありがとうございます。
切ないなぁユーリ
GJです
職人さんGJです!!
このスレ初めて来てまとめサイト読んだんだけど、すごく面白かった。
で、「土曜日の情事」ってSSの続きすごい気になるんだけど、最後のSSからもう三年くらい経ってるよね?
職人さんに何かあったのかな?このスレずっと読んでる人で何か知ってる人いない?
360 :
桃娘書く人:2008/03/27(木) 17:12:12 ID:Z+TAyhSW
すいません、改めて読み直してみて、レス355
ユーリが早速「あにさん」と読んでいますが、「医師様」の
間違いです。
すまんでござる。
>>359です
過去スレ色々読んでみたら他の皆さんも待ち望んでたみたいですね
ごめんなさい
このスレが盛り上がりますように…
>>361 すみません、土曜日の情事の職人さんに何かあったんですか?
過去スレ見れなくて・・・・。
>>362 いや、結局わかりませんでした。
自分も過去スレさーっとしか読んでないから見落としたりしてるかもしれませんが…
ただ過去スレ見てみると他のみんなも
「続きまだかな?」
「待つしかない」
「ずっと待ってる!!」
って感じでした。
なので自分も完結を信じて待つことにしました。
お役に立てなくてごめんなさい。
>>357 流れに少し乗り遅れたがGJ!!
ユーリの戸惑いと決心の心情描写に心震わされた。
レオナルトはもっとユーリにはまれw
次も超期待して待ってる。
>>362 多分、一度このスレが落ちた時に見失って書いてた文章を消しちゃったんじゃないか?
またこのスレを見つけたけど、書く気になれなかったんじゃないのか?
368 :
名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 18:23:29 ID:JDnmMJyp
あげとくね
土曜日の情事は本当に面白い
自分も続きを待っています
同じく、自分も待ってます。
+シトウェルも待ってます
372 :
投下準備:2008/04/05(土) 20:43:02 ID:hS5el+be
神、投下待ちでスレが流れないように
桃娘異聞番外です。
徒情でユーリが心情を暴露した通りに、レオナルトに・・・。
『悪戯』です。
373 :
悪戯:2008/04/05(土) 20:45:04 ID:hS5el+be
まだ、コルスリフィルにいた頃の話────
街中から離れた場所に診療所を構えていましたが、農村に程近く街に野菜を売りに行く者
達が、行きがてら街に
あの診療所の先生はなかなか腕が良い
と雑談に話題を乗せるものですから、野次馬がてら診察に来る患者が増えてしまいました。
そうなると、やはり薬や包帯などの医療物資の減りが早くなります。
暇なときはあにさん、忙しいときは私が街に買い出しに行きます。
私が買い出しの時は良いのですが
問題はあにさんが買い出しに行くときです。
───彼はなかなか帰ってこないのです。
あにさんが買い出しに行くときは、大抵今日は暇だと見越し、休診の看板を立て行くのですが
それでも、たまに戸を叩く者もいます。
確かに息抜きは必要でしょうし、そんなに頻繁に街に行くわけではないので許していますが・・・。
しかし、簡単な傷の手当てなら私にもできますが
前なんか一度出産に立ち会わされ、精神が削ぎ落とされる思いがしました。
「良い経験したな。」
とあにさんは笑って応えるだけで改めようとしません。
いつも、必要物資を大量に買い付けして持ち帰るというのは、確かに力のある男ではないと難しいと
思いますが、明け方近く帰ってきて酒と香水の匂いを付けてくるのはたまりません。
あにさんは西方では、『美丈夫』『美青年』の類にはいるそうで、周囲の女性は放って置いてくれま
せん。
あにさんも生来女好きなようで口八丁で女性を口説いては、よく先に帰るよう言われました。
374 :
悪戯:2008/04/05(土) 20:47:00 ID:hS5el+be
酷いです
私には夜出歩くな、断りなく一人でふらふらするな
買い付けの時は用が済んだらすぐ帰れ
と厳しいくせに
今夜も朝帰りな様です。
・・・・全く、一人で留守番させて強盗が入ってきたらどうしたら良いんでしょうか?
私は乱暴に扉と窓の錠を閉め、寝床に潜り込みました。
どんどん、と激しく扉を叩く音がし目が覚めました。
───急患?
あにさんがいない時に・・・!
私は蒼白で、取り合えず扉越しに声をかけます。
しかし返事はありません。
余程具合が悪いのでしょうか?
とにかくあにさんに言われたとおり、すぐに戸を開けないで、窓越しに覗いてみます。
「・・・あにさん・・・・?」
扉に寄りかかって、ぐったりしてます。
驚いて、扉を開けると無様にあにさんはひっくり返ってしまいました。
・・・どうやら泥酔しているようです。
375 :
悪戯:2008/04/05(土) 20:48:17 ID:hS5el+be
「あにさん、あにさん。」
胸を揺すって起こしてみると、んー?と薄目を開け私を見ます。
「買い出しの荷物は?」
こんな時だからこそ、酔っぱらいより買った荷物です。
「あ〜・・・・・麦芽亭の店主に預けてある。
明日、ユーリ持ってきて。」
─────もう!
それを伝えて爆睡しているあにさんを引きずって何とか家に入れ、扉を閉めました。
寝台から毛布を持ってきて掛けてやります。
それにしても
ここまで酔ったあにさんを見るのは初めてです。
男の人って、余程、良い事があった時か
悪い事があった時に
酷く酔う────と聞いた事がありました。
何かあったのでしょうか?
じーっと、寝ているあにさんを見つめていると
何だか悪戯したくなってきました。
何があったか知りませんが、女の子一人留守番させて、荷物を置いてきて
しまいには泥酔ですか?
腹ただしさと、
体格の差でいつも、好きに体をいじられ(了承済みですが)、いつか逆の事をしてみたいと思って
いた事を実行する絶好の機会です。
376 :
悪戯:2008/04/05(土) 20:49:42 ID:hS5el+be
取り合えず初歩
────鼻つまみ
暫くすると苦しいのか顔を揺らし、手を払いのけました。
次
────髪いじり
黒みがかった金髪を編み込みます。
(・・・似合わない)
がっかりしてほどきました。
中級
────シャツのボタンを外し(外套着はどこかに置いてきたようです、後で取りに行かないと)
胸の突起を摘みます。
あにさんの意識が無いと分かっていますが、自分のやっている事が恥ずかしくて顔が熱くなります。
でも、今が鬱憤を晴らす機会だと自分を奮い立たせました。
いつも、あにさんが自分にする事を思いだし
あにさんの胸に接吻を繰り返します。
堅いけど弾力のある逞しい胸から彼の鼓動が聞こえ、不思議と高揚感と征服したい───ような感覚
が私に芽生えてきました。
女性を抱くときの男性の心理ってこんな風なのかしら?
そう思いながら
中級
次
─────舌を使った遊技
舌先を使って胸の突起を転がしてみます・・・・・・・・・・巧くできません・・・。
女性と比べ突起が小さく平べったい気がします。
あにさんだけでしょうか?
377 :
悪戯:2008/04/05(土) 20:50:58 ID:hS5el+be
「────!?」
違和感を感じたか、突然あにさんの腕が私の肩を押さえました。
気づいた────?!
どうやら寝ぼけていたようで頭を少しずらし、また、寝息を立て始めます。
私は自分の顔がやたら熱いのを手のひらで冷まし、肩の上に乗っかったあにさんの腕が自然に胸に降
りるように体をずらすと、結果的にあにさんに跨ぐような格好になってしまいました。
私はあにさんに言わせれば軽いそうで、身体に乗りかかっても息苦しさは無いと思います。
・・・・────さあ!
気を取り直して次!
───上級!
とうとう下半部です!!
・・・・・・・後ろ向きに跨がないとズボンのボタンが外せませんでした・・・・・。
よっこらと向きを後ろに代え、ボタンを外していきます。
普通、シャツの裾のラウンド部分を股間に覆い下着代わりにするそうですが、
あにさんは苦手なようで紐で腰を縛り、腰全体を隠せる『ブライズ 』と言う物を穿いています。
「・・・あれ・・・?」
今夜は穿いてません。
どこかに置いてきたのでしょうか?
これも後で取りに行かないとならないようです。
378 :
悪戯:2008/04/05(土) 20:53:07 ID:hS5el+be
シャツの裾を避けると
あにさんのものが顔を出します。
今までじっくり見た事がなかったので、定かではないのですが
小さいように思えました。
確か、固そうで張りがあるように見えたのですが・・・
これは何だか動物の腸のように見えます。
・・・・腸の部分の延長なのでしょうか?
思い切って試しに指でつついてみました。
ぴくん
と、動いて思わず、驚いて大きな声を上げそうになりました。
慌てて口を押さえ恐る恐るそれを覗きました。
そう言えば・・・『脱腸』と言う病があるとあにさんから聞いた事があります。
まさか、あにさんが・・・と思いながらもう一度つついてみると、また、ぴくん、と動きます。
少し膨らんできたのは気のせいじゃないようです。
「・・・。」
───これは腸ではなく、あにさんの男の主張なのね?
触れたりすると大きくなるのね───いつも、あの大きさではないと言う事だと悟りました。
だけど・・・分かったとしても、触るのに抵抗がありました。
どうしよう・・・
恥ずかしい────触らない?
でも、触れてみたい好奇心
触る?触らない?
379 :
悪戯:2008/04/05(土) 20:55:06 ID:hS5el+be
決心が付かない私はあにさんに跨いだまま、途方に暮れていました。
「────いつまでこんな格好させておくつもりかね?ユーリ。」
全身の毛が逆立つと言うのはこういう事なのでしょう。
痛い視線に後ろを見ることができず、跨いだ格好で固まっていると
更に、あにさんは私に問いてきました。
「────で?私の身体で何しようと?」
「・・・せ、せせせせ性別による骨格形成と身体の構造の違い及び格差・・・の・・けっ、けっ
けけけけ研究・・・。」
後ろ向きで答える私にあにさんは
「積極的に勉学に取り組む姿勢は称賛に値するが、
その研究に、私の鼻を摘んだり、髪を結わく事に何か関係が?」
「───!いつから目を覚ましていたぁん?!」
「初めから。」
飄々と答えるあにさんに対し、怒りと今までの行為を見られていた恥ずかしさに全身が燃えるようで
、行き場のない感情に思わず跨いだままじたんだを踏んでしまいました。
「怒ってるんだ?」
「・・・あにさん酷い。こんな事して私をからかって。」
「酷い事されてるのはこっちの方だ。
昨日教えた、睡眠時の呼吸と覚醒時の呼吸の違いをきちんと覚えているかどうか──試そうとやった
事なんだが・・・それを行うどころか・・・困った娘だね。」
溜息混じりに言います。
380 :
悪戯:2008/04/05(土) 21:00:25 ID:hS5el+be
「ぃゆうう・・・。」
確かに昨日、その様なことを教えて貰って
でも、医療ではなく盗みに入る時に必要な知識な気がして、あまり真剣に聞いていませんでした。
再び固まっている私に
「降りてこちらを向きなさい。」
と、優しいけど妙に低いお腹に響く声で私に語りかけます。
追いつめられた兎の心境で、更に固まる私にあにさんは 、背中を擦りだし出しました。
労るように撫でるのでは無く
ほかの明白な意志を感じる、手つき・・・。
「こちらを向くのも拒絶なわけ?」
─────い、いえ違います怖くて向けないだけです。
この声音の時は、あにさんが何をしたいのか分かっています。
しかし、この悪戯の後です。
普通にしない事は目に見えています・・・。
生唾を飲んで、奮い立たせ向きを変えようとしたとき
「────そう言う悪い娘はお仕置きしないとな。」
そう言って私の腰を引っ張り、お尻を突き出した格好にさせ、下着を剥ぎます。
「───やんっ!!」
逃げようと腰を引いても戻され、がっしりと後ろから足の付け根を抑えられて下半身が身動きが取れ
ない様にされてしまいます。
「この格好、この格好!いやーー!下ろしてぇあにさん!」
私のお尻どころか、あっあっあそこまであにさんに丸見えじゃないですか────!
もう、半泣きどころじゃありません。
羞恥で火照る身体で本泣きで、泣き泣きあにさんに訴えます。
381 :
悪戯:2008/04/05(土) 21:01:38 ID:hS5el+be
「黙りなさい。」
と、あにさんにピシリと尻を叩かれ一括されました。
「好きなだけ人の見といて、何が嫌だか・・・。」
「・・・ごめんなさい・・・だから下ろしてぇ〜。」
「稚児じゃあるまいし、謝れば許してもらえる歳かね?
────お仕置きついでに女性の外陰部のしくみを講義しようか・・・丁度私の目の前に見本もある
し。」
私は見本ですか?
「────ちゃんと聞いて、身にしなさい。」
「───ひゃあ!」
そう言うと、おもむろに指で形をなぞり出しました。
「────ここが・・・。」
「・・・んっ・・・。」
形をたどるあにさんの指の腹が
まだ、反応に十分応えていない私の下の口に時々引っかかり、それが、早く感じろと言わんばかりに
、私の身体の奥が反応 します。
ゆっくり、しっかりとなぞるあにさんの指に
応えていいのか
講義に耳を傾けないといけないのか
時々快感に意識が真っ白になり、そのまま浸りたい気分を堪えながら考えます。
次第に、快楽に耐え切れなくなり
だめだと腰を捩りますが
あにさんはお構いなしに
「刺激すると性交時、行為を潤滑に促す分泌液が出る───まぁ、扇情的に言えば愛液だな
───分かるか?」
と、淡々と私に講義をふっかけます。
382 :
悪戯:2008/04/05(土) 21:02:26 ID:hS5el+be
「・・ふっ・・はあ・・・・い。」
「これが子の源を子袋に潤滑に運んでいく。
聞いてるのか?」
「・・・。」
頷く私。
ごめんなさいあにさん、もう聞いてません。
あにさんに私のを見つめられ・・・そう思うだけでおかしくなってるのに
その上で触られ続けられたら────
「───あぁ、蕩けてきたな・・・。滴りそうだし・・・
────講義の時間にこんなになって・・・もっとキツいお仕置きをしないとならないようだな。」
「───!?」
顔が見えなくとも、分かりました。
あにさんの意味ありげなあの
冷酷な眼差しながら口元がつり上がり、何か一物腹に据えているあの───にやりが・・・・・。
次の日、私は起きあがる事ができなく
結局、必要物資と外套着とブライズはあにさんが取りに行きました。
もう二度とあにさんの身体を使って遊ばない・・・。
思い知った日でした。
383 :
投下終了:2008/04/05(土) 21:03:21 ID:hS5el+be
お粗末さまでした。
それでも読んでくださった方、ありがとうございます。
一番槍gj!
自分もなにか書きたいなぁ
スキルないけど
GJ
>>384 スキルとはあったりなかったりするものではない。
身につける事ができるものだ。
というわけでれっつらごー。
乙
物書きではない俺がちょいと質問。
胸は何カップまでが許容範囲?
あと、このスレで既出のシチュエーションとか設定になってても、大丈夫ですかい。兄弟
>>387 具体的なサイズの好みというよりも
「そのサイズの設定によって書き手は何を表現したいのか」
これに尽きるね。
男装の魅力はギャップだと思ってるから
大きいのを無理して隠してるという状況に萌える
だから何カップまでもおk
>>383 日頃の仕返しをすると意気込んだ割には、おずおずと怯えながら悪戯するユーリに激萌えた!
一人称で凄くテンポ良くて笑いながら読んだ。
けど、超個人的な意見だけど、最後のおしおきされる部分を省略しないでユーリに赤裸々に語って欲しかったなぁ
続きに超期待
自分は貧乳過ぎると萌えないな
自分は巨乳より貧乳の方が良い
男装自体、現実的じゃないのかもしれないけど、巨乳で男装は無理だろ…とか考えてしまう
392 :
投下準備:2008/04/12(土) 21:21:30 ID:renIxjBI
リクエスト投下
急いで書いたので、誤字、乱文あったらごめんなさい。
『悪戯』のレオナルト目線。
『不覚』です。
393 :
不覚:2008/04/12(土) 21:23:23 ID:renIxjBI
(この娘は一体何をやってるのだか)
後ろ向きで人の腹の上に乗り、じっと自分の物を見つめているこの────東方少女
一緒にいる便宜上、男名を名乗らせ、普段は少年らしく振る舞い、板に付いてきたが
二人っきりの時は色白で可憐な少女だ。
まあ、たまに厄介事はつくるわすぐ人に同情して問題に首を突っ込むわすぐ騙されるわ世間は知らな
いわすぐ寝込むは嘘は下手だわすぐじゃれつくわ伽は積極的だが自分では動かんわ嫁に行ってもおか
しくない歳なのに子供っぽいわ胸がなかなか成長しないわ(←息継ぎ無し)───完璧な人間などこ
の世にいないのでその辺の────短所は長所なりと、甘んじて見守っているが
(何をしたいんだ?)
シャツを肌けさせ、何やらくすぐったい事をして、ズボンのボタンを外して
触れるのかと思いきや
指で突っついて・・・そんなに汚い物だと思っているのか?
初めのうちは面白がって、泥酔している振りをしていたが
この生殺し状態がいつ終わるのか、いい加減気の長い自分も、下半身の疼きと共に限界になってきた。
勝手に人の身体で遊ぼうなんて(ユーリの時はかなり強引に了承済み)
────お仕置きだな
怒り半分、いやらしい気持ち半分
「────いつまでこんな格好させておくつもりかね?ユーリ。」
人が全身の毛が逆立つ姿を始めて見た。
余程驚いたのだろうな。
私の質問に「性別による骨格形成と身体の構造の違い及び格差の研究」なんてもっともらしい事を
弁明していたが普段、情交しているとき見れば分かるじゃないか。
394 :
不覚:2008/04/12(土) 21:24:37 ID:renIxjBI
・・・・もっともこの娘は見る余裕がないか・・・。
じゃあ─────と
「女性の外陰部のしくみをの講義」
と、お尻を引っ張り下着を剥ぐ。
余程嫌なのだろう。
泣きながら謝り続けるユーリだが、ピシリと尻を叩き、(これがまた良い音が
した。だが、繰り返し叩くようなそんな趣味は持ち合わせていない)講義を始めた。
こちらだって、ちょっと違う風に身体を変えると、惨めな泣き顔で拒否するのが可哀想で
妥協して今までやってきたのだから、たまにはこちらの好きにやらして欲しいものだ。
お仕置きを掲げていたぶれるのは本当に気分が良い。
お仕置きの場面で、渋った顔をしないとならないのに、顔がにやけてしまう。
こうやってみると壮観な眺めなのは嬉しい。
日の当たらない尻はこれ以上になく白く、まだ、人が足を入れてない雪の白さに似ている。
視線をずらすと菊門に
更にずらすと薄闇の中でも分かる、そこだけ誘うように綺麗な薄桃の色に染まっているユーリの秘所。
こうやってこの娘のを見るのは初めてだ。
桃娘でも当たり前だが、此処は他の女性と何ら変わりないな。
まだ、濡れていないせいか滑らかに形を辿れず
気を付けてはいるが、引っかかるように止まり、押し気味に指の腹がユーリの薄桃の襞に触れ
そのたびに喘ぐ声が口から漏れている。
「外陰部は・・・。」
説明をしながら触れて行くに連れ、じっとりと湧き水のように滴るユーリの秘所は
捩りじっとりと汗をかき、あの甘い芳香が漂い始め、いよいよ熟れた果実のように蕩けていた。
395 :
不覚:2008/04/12(土) 21:25:57 ID:renIxjBI
我慢しても、漏れる声には余裕が無くなってきている。
この娘は感じやすいし、果てやすい───性そのものはあっさりと受け入れたお陰かも知れない。
それなら、体位とか情交の際の遊戯も受け入れてくれればいいのに、それは恥ずかしいから嫌だだの
・・・。
まあ、こうなったら講義など聞いていないだろう。
────さて、ではお仕置きの本番に入るとしようか。
「───あぁ、蕩けてきたな・・・。滴りそうだし・・・
────講義の時間にこんなになって・・・もっとキツいお仕置きをしないとならないようだな。」
ユーリの隠れている突起をさらすと、指先でさする。
すると、「ひゃあ!」と、飛び跳ね腰を振るユーリ。
人差し指と中指で蕾のように赤く膨らみ始めた突起を挟み、擦りながら
親指を滴り続ける下の口に入れた。
「あっ!・・・はあ・・・!」
引いた腰を片手で戻し、汗でしっとりと濡れている白い太股の内側に、舌と唇を何度も這わす。
膣から出る白く濁った潤滑油が、親指を溶かすように絡む。
親指の根元まで押入れ、中をかき回すと厭らしい音が自分の鼓膜に響く。
「うぅう・・・ぁあ・・にさ・・だぁぁめ・・・。」
ユーリはもう、上半身を起こす余裕が無く
私の下半部に顔を埋めて喘いでいた。
「ユーリ、今、どこに顔を埋めているのか分かっているかい?」
「──ひぇい?」
朦朧としているのか
汗で頬に黒髪が付いた顔をこちらに向ける。
瞳は潤み、唇は快感から何とか逃れようと噛んだのだろう。
いつもより鮮やかな紅い色を出し清艶だ。
──しかも尻を掴んだ私を覗き込む形なのだから──女性との行為に慣れている私でもその色気さに
ぞくぞくする。
396 :
不覚:2008/04/12(土) 21:27:31 ID:renIxjBI
はた、と目が合い、一瞬正気に戻ったらしい。
今の自分の体勢に全身を赤くし、「いやん!」と一瞬の隙に身体から降り、四つん這いで離れようと
する。
「逃がさんよ。」
ふらつきながら食卓に手を突き起きあがったユーリを抱き上げ、仰向けに食卓に寝転がす。
「いやぁん・・・。」
顔を真っ赤にして追いつめられた兎のように身体を震わすユーリに
「痛いことはしないから安心おし。」
つい優しい言葉を吐いてしまった。
しまった───と、心の中で舌打ちした自分にユーリは
「・・・嘘・・あにさん、声が上擦ってるもん・・・。」
と、後悔を跳ね返す生意気な口を利く。
───あ、そうですか。
「じゃあ、好きにさせて貰いましょうか、お嬢さん。」
余計な温情はいらなかったな。
「あっあっあああにさん・・・せめて、ベットで・・・。」
涙目で懇願してきたが、にこりと微笑んで無視し、また何か言おうとするユーリの口を自分の唇で塞ぐ。
ユーリの咥内に進入し、舌を絡め吸い上げるとぴくん、とユーリの上半身が震えた。
私の手がシャツを這い、ボタンに手を掛けたのが分かったのだろう。
諦めたらしく何の抵抗もなくボタンを外すと、まだ薄い厚みの胸が月明かりにさらけ出される。
夜は当然さらしを外していて、薄桃の突起は解放感にぷるんと弾む。
長い口づけの後、触れるか触れないかの距離で首筋から下半部まで伝う───胸は外して。
「・・・あに・・さん。」
気づいて、ユーリは切なげに私を見る。
「なに?」
「あの・・・。」
恥ずかしいのか、私と目が合うと目が泳ぐ。
397 :
不覚:2008/04/12(土) 21:29:42 ID:renIxjBI
指を噛むように口に当て、顔を赤らめようやく「胸・・に触れてくだ・・さい。」と弱々しく懇願さ
れた。
「駄目だな。」
そうきっぱり言い放つと
ユーリは目を見開き、すぐに悲しい顔をした。
彼女は、胸に口付けされるのも好きらしい───だから、知ってて避けた。
彼女の悲しい顔を見るのは、はっきり好きでは無い。
よっぽど自分が罪を犯しているのだと自責の念にかられる。(後から考えると、そんな念にかられる
ような事はしていないと気がつく)
なので今回は、ユーリの表情を薄明かりで見えていない振りをした。
「好きにさせて貰いますよと───これはお仕置きだと言ったはずだがね?」
意地悪な言い方だなと自分でも思いながら、再び微笑む。
ユーリは今は自分の要求は通らないと観念したのか、指を噛みながら顔を逸らす。
「いい子だ───。」
ユーリの足首と掴み大きき広げ、そこに身体を割り入れる。
もう、そこは既に熟れて果汁の様に滴っていたのですんなり入る事ができた。
ユーリの口から溜息なのか感嘆なのかどっちに付かない声が漏れた。
一度ゆっくりと奥まで入れる。
奥まで入れ行き止まりでユーリの足を上げて強く突いた。
「───あっ!?」
急な衝撃に近い快感にユーリの身体がのけぞる。
また、ゆっくりと引いて入り口で止める。
自分の物の突の部分が引っかかるような形で・・・。
398 :
不覚:2008/04/12(土) 21:31:20 ID:renIxjBI
そのまま動かない私を不思議に思ったのか
「・・・あに・・さん?」とユーリは腰を振る。
「欲しがりやだな、ユーリは・・・ん?」
と、この体勢のまま、先ほど可愛がって充血した突起に触れた。
そこは喜んでいるようで、摘んでみたり、指の腹で撫でたりするともっと可愛がってくれと赤く膨ら
み、主張する。
「あっ・・・!ぁあ・・ん!い・・・ぃい、はああ。」
その持ち主のユーリも高い声を上げ、気持ち良さげだ。
突起を上から軽く押し潰しながら、人差し指で粘着性のある液体と共に円を描く。
ちょうどその下に自分の物の笠の部分が来るようにし、皮膚一枚挟むように擦る。
薄い皮膚の向こう、ユーリの可愛い突起がこりこりと笠にあたり微妙な刺激が届く。
反対に直接触れているユーリの刺激は指に擦られ、突起の裏も擦られ、一気に快感が襲ってきたらしい。
「───ぅう!はあ・・・!あにさ・・!ああああん!!」
ぶるっと、ユーリの身体が震え呼吸が荒くなった。
両手を祈るように胸元に寄せ、ぷるぷると震える。
果てたらしい。
夢見ている呆けた口
瞑った瞳から涙が伝っている。
「───相変わらず可愛い声で鳴く・・・・。」
快楽に素直に浸っている時のユーリは、
あどけなさを残した輪郭に、はっきりと大人の女の表情で反応する。
その不均衡さが、儚いその様を浮き立たせ己の下半身を更に奥へ突きこみたくなる。
399 :
不覚:2008/04/12(土) 21:32:29 ID:renIxjBI
余韻で震えている身体を擦り、涙を吸うように頬に口づけをするとユーリの腕が首に絡みつく。
「・・・もっと・・。」
耳元で彼女が囁く。
「・・・何が『もっと』欲しい?」
「あにさんの・・・。」
「私の『もっと』って何?」
「だから・・・。」
自分の中、奥深く入らず秘所の出口の辺りで動くのが不満らしい。
頬を染めながらも、口を尖らし、腰をもぞもぞと左右に動かして自ら快感を促している。
それでも、自分の言葉でそれを言うのが恥ずかしい───それでも欲しい。
二つの相反する事柄───恥じらいと性欲の板挟みになっている彼女の姿。
その様子をじっくり観賞するのが堪らない。
「はっきり言わないと分からんよ、男は大抵鈍感だ。」
「・・・嘘つき、分かる癖に、そうやって・・・あにさんの意地悪。」
火照る身体が余程疼くのか、ユーリは涙声で訴えた。
「本当に分からない。
何が欲しい?指?舌?───それとも・・・?」
ユーリの手を握って自分の誇張した物に触れさす。
「───これ?」
既にユーリの愛液でしっとり濡れていたので、その肌触りに驚いていたようだ。
だが、指の先でそっと擦りながら「うん」と素直に頷く。
「何処に欲しいの?」
「・・奥に・・・。」
「───何処の奥?此処かね?」
言いながら、ユーリのふっくらとした紅色の唇をこじ開け、自分の指を入れる。
「───んっ!んん!」
ユーリは慌てて首を横に振った。
400 :
不覚:2008/04/12(土) 21:34:12 ID:renIxjBI
・・・激しい拒否に心が急速に縮んだ・・・
しかし落ち込んで気を緩めると、漂う体臭に酔ってユーリの身体を滅茶苦茶に貪ってしまい、ユーリ
の身体に負担がかかり過ぎる。
気を引き締めないとならない。
ユーリはそんな事を知る由もなく、空いている私の腕を下の黒い茂みに招き入れ、じっと黒みがちな
瞳を潤ませ訴えていた。
「・・・此処に欲しいわけかい?」
私の問いに縦にゆっくりと首を縦に振る。
ずっと指を口の中に入れているせいか、飲み込めず唾液が口から滴り落ちた。
「ユーリ、私の指が君の唾液でびっしょりだ・・・上手に舐めておくれ。
────それができたら、望みのものをあげよう。」
ユーリは大人しくそれに従い、両の手でそっと私の手に触れ、口の中に入っている指を舐め始めた。
唾液の溜まった指の隙間を舌先でチロチロとすくい取るように舐め、
根本から指先まで舌の腹で丁寧に往復する。
指の裏も表もそれは美食を、珍味を味わうように。
指先になると口を窄めてチュッチュと音を立て吸い取る。
それを順序を変え、何度か繰り返された。
その行為が『ある事』を連想させると、分かってやってるのだろうか?
きっと、この娘は分かっていない。
───上手にできてる?───
そう言いたげに、切ない風に見つめられながら、私の指を愛しげに舌を使い
たまにその艶やかでふっくらとした唇で指先を吸い上げる様は、誇張している自分のものを愛してい
るように錯覚する。
401 :
不覚:2008/04/12(土) 21:35:46 ID:renIxjBI
そのように香りが見せているのか
ユーリ自身がさせているのか・・・
「ユーリ、もう良い・・・・・・良くできた、ご褒美をあげる・・・。」
ユーリの唇から指を離し、極上な絹肌に食い込むようにくびれた腰を掴み
大きく誇張した自分のものを奥深く入れると
ユーリの中がうごめいて温かく包み、さらに奥深くへと導いていく。
その誘いに乗り、強く突いていくにつれ、ユーリの歓喜の声は肉のぶつかり合う音に合わせて大きく
且つ切なげになる。
衝撃に近い快感に身体から迸る汗と香る体臭に本格的に酔い・・・・・。
朝、目覚めたら二人裸でしっかり寝台で横になっていて
ユーリは起きあがれなくなっていた・・・。
───久しぶりに意識が飛んだな
少し酒に酔っていたのか自制が香りに負けたらしい
あれから何をしたのか覚えていない。
非常に残念だ。
ユーリに声をかけて身体はどうかと聞いてみたが、だるくて動けないと言う。
後から熱が出るかも知れないな・・・。
すまないやりすぎた、と、しきりに謝り寝着を着せ横にさせる。
寝ていなさい、と、ユーリの青光りする豊かな黒髪に口付けをした。
402 :
不覚:2008/04/12(土) 21:37:14 ID:renIxjBI
自分も腰に不安感を覚えたので、引き続き休診にして預けてある医療物資を取りに行った。
「────おや、先生。
荷物は助手の子が取りに来るんじゃあなかったかい?」
麦芽亭の店主がその朗らかな人柄が分かる笑顔をこちらに向ける。
「具合が悪くなってね・・・。」
そう言いながら、荷物を受け取る。
「最近風邪が流行ってるからね、先生も患者から移されないように気を付けなよ。」
・・・・・仕方なく苦笑いする。
店主は何か思いだしたようにああ、そうそうと店の奥から私の外套着を持ってきた──忘れ物だよ、と。
自分でもすっかり失念していた。
思いのほか酔っていたらしい。
礼を言って外套着を羽織る。
「───それと・・・娼婦館のリナが朝来てさ・・・これ先生の忘れ────。」
店主はニヤリとするとおもむろに白い布切れを───見た瞬間
店主の手から抜き取り、外套着のポケットにしまった。
店主は素早い動作に呆気にとられたようで
「驚いたな〜、目にも止まらずとはこのことだよ。
手に持ってなければ、抜き取られたことも分からんくらいだ。」
と、感心していたがこちらは自分の大恥の事で頭が一杯で、挨拶もそこそこに店を出た。
403 :
不覚:2008/04/12(土) 21:38:48 ID:renIxjBI
顔が火照る。
思いのほかじゃないぞ───余程酔ってたみたいだ。
娼館に行った記憶も無いなんて
しかも・・・下着まで脱ぎ忘れなんてみっとも無いなんてもんじゃない。
しかも履いていないのも自覚していなかったなんて・・・。
酒は当分自粛だ───いや、それだけじゃ駄目だ。
暫く街に行かないでいよう。
行くとどうしても賑やかな雰囲気に誘われてしまう。
この後大いに反省をしたレオナルトは、案の定、熱を出したユーリに心を込めて、いつも以上に看病
に精を出したのであった・・・。
『不覚』 終わり
404 :
投下終了:2008/04/12(土) 21:41:16 ID:renIxjBI
話を読んで下さりありがとうございます。
おおGJ!
レオナルト目線だとユーリの魅力が際立ちますね。
GJ
うわ〜
すごい良い
ユーリを、メチャクチャにしてやりたい気持ちと大切にしてやりたい気持ちとの間で揺れるレオナルトが凄く良い。
指しゃぶったりするのもそうだが、やっぱユーリの一挙手一投足が本当に可愛い。
あと、息継ぎ無しww
保守
たまには小ネタとか見たいな…
408 :
名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 23:15:41 ID:5EtJiFhw
ほしゅする
エーディットの職人さんこないかな
409 :
唐突に小ネタ:2008/04/24(木) 18:22:12 ID:pMRDWDHk
男「なんか裏山で地すべりがおきたんだってさ」
女「じゃあ行こう」
男「なんでだよ!」
女「えっ? だって、地すべりが起こったという事は、アレが出てきてるかもしれないでしょ?」
男「……お前ホントにアレ好きだなぁ」
女「だって、歴史の塊よ? 浪漫があるじゃない」
男「で、またあちこち掘りまわして怒られるわけか」
女「浪漫の前には多少の犠牲は付き物よ!」
男「……主に怒られるのは俺なんだけどなー」
女「私の浪漫の為に尽くせる喜びを感じない?」
男「感じるか! ……でも、どうせ行くんだろ?」
女「うん!」
男「……まったく、いい顔で笑いやがって……たまには俺にだってこういう顔を……」
女「何か言った?」
男「なんでもねえよ! ……じゃあ行くぞ、さっさと」
女「OK! よし、じゃあ、いざ断層へ!」
これ男装少女やなくて断層少女やがなー
-fin-
不覚にも顔がにやけた。
412 :
何となく投下:2008/04/24(木) 21:25:18 ID:7sHEt1k2
城内の敷地にある深い森。
石畳造りの小さな一軒家。
ずんぐりむっくりの煙突から今日も、怪しげな煙が立っている。
そこに、スキップしながらやってきた、銀の髪を靡かせる見目麗しい少女。
少女は、戸も叩かずにいきなり扉を開けた。
「魔法使いさ〜ん、あっそびっましょ!」
「や〜だよ!」
「ぶ〜!何よ! 熊から助けてもらったお礼にこうやって毎日遊びに来てやってるのに。」
「だって、君の遊びってセックスじゃん。 お断りだよ。」
「ひっど〜い! こ〜んなナイスバディでお肌つるつるで、髪艶々で、容姿バッチグーな私の
お礼を断り続けるなんて、アンタ!おかしいわよ!!」
びしっと、人差し指で魔法使いの顔を指し抗議する少女の顔は、般若のようだ。
「・・・だって、僕、女だもん。」
長い沈黙・・・。
銀の髪の少女は、ポン! と拍手を叩くと
「あっ、分かった。 明日からは男の姿で来るわ。」
と、回れ右をして、とっとと去ろうとする少女を、慌てて魔法使いは止めた。
「───あんた、男なのか!?」
「私、エルフだもん。 元々両性具有だよ。
姿は男でも女でも好きに変えられるけど。
今まで、女の姿の方が生きるの楽だったんだ、人間の雄からチヤホヤされて。」
じゃ、明日ね〜、と、スキップして帰っていくエルフを見て男のなりの魔法使いは
貞操の危機を感じた・・・・。
続かん
続いてくれ!!
エルフのノリが軽くてワラタ
さっき本屋で立ち読みしてたら、隔週発刊の少女コミック雑誌「マーガレット」の4/20日号(つまり今本屋に並んでるやつ)に、お前ら(俺含む)が超喜びそうな読み切りストーリーが載ってるぞww
安いから買えば良いとは思うが、立ち読みで良いからとにかく見てこいw
なんか知らんがセクロスシーンもあるぞwww
最近の少女漫画はすごいのぅwwwww
>>414 スマンちょっと間違いがあった
4/20発売の5/5号に載ってるみたい
なんかややこしい…
今本屋に並んでるから分かると思うけど、もしネットで買おうなんて人が居た場合にね^^;
だから、一回立ち読みする方が良いとオモ
スレ汚しスマン
うわさの翠くんも男装してスポーツする少女が主人公だけど
あれも少女漫画だがセックルやエロシーンあるぞ
まあ少コミの漫画だからしょうがないか・・・
かっこいい男の子にべた惚れされて、素敵だよ、なんて言われながらの
セックス、サイコーに気持ちいい!みたいな?
419 :
投下準備:2008/04/26(土) 20:43:27 ID:HKOE4YVx
桃娘異聞、本筋投下します。
ちょっと長くなりましたが、暇つぶしに読んでみてください。
『告白』です
420 :
告白:2008/04/26(土) 20:45:48 ID:HKOE4YVx
石牢から出されたのは、その日の午後だった。
ファルコーネ女子爵がレオナルトを『国外追放』を条件に釈放したのだ。
当座の生活費として幾分かの金を受け取り、馬車で『トブロア』との国境の門にたどり着いたのが夕方。
見送ったのは、ルカを含む数人の憲兵だけで
そこにユーリの姿はなかった。
(容赦ないな)
それがレオナルトの素直な感想だった。
何か言いたげなルカに微笑んで会釈をすると
トランク一つ持ち、エダナムから去った・・・。
「いい加減食事をお取りなさい。」
ファルコーネ女子爵────もといガルデーニアは
寝台に腰掛け、自分から背を向けて口も聞こうとしない東方少女に語りかける。
「今日でもう4日目しょう?
食事も取らず、水分だけで・・・細い身体がますますガリガリに────。」
「あにさんに会わせて。
───じゃなきゃこのまま食べないで餓死してやる。」
「・・・・・。」
ようやく口を利いたと思ったら子供じみた脅迫を吐き出したユーリに
ガルデーニアは呆れてため息を付いた。
「───あなたの医師は、もうとっくにエダナムを去りましたよ。」
「無実の罪を着せて追い出したんでしょ?
やることがえげつないよ。」
「だったら、普通は必死に訴えるでしょうよ。
でも、それをしなかった───あの医師、過去に疚しい事しているのでしょう?」
周囲に控えている者がいるため、女子爵の仮面を被り貴族の淑女になり、優しく丁寧な言葉遣い
で話すガルデーニア。
421 :
告白:2008/04/26(土) 20:47:22 ID:HKOE4YVx
「───あにさんは上流階級の者や支配級の者に、訴えても向こうの都合の良い風に握りつぶされ
る・・・って。
だから、何を言っても無駄だって───知ってる。それで訴えないだけ。」
「ユーリ・・・・。」
ガルデーニアは、片手でドレスの裾を上げ、優雅、かつ、素早くユーリの隣に座り手にしていた扇を
広げ、耳元で囁く。
「だからと言って、長く連れ添った女性を手放して大人しく国外へ追放されるかい?」
「・・・。」
今度はユーリが黙る番だった。
「グレゴリーのルカから話を聞いたが、特に異存も唱えず抵抗もせずにさっさと国境門を越えたらし
いよ・・・。
───本心は身軽になって清々したんじゃないか?」
ユーリの顔が垂れ、艶やかな黒髪が表情を隠す。
今、どんな顔をしているのかわからないが、ズボンを握りしめるその白百合のような手が震えていて、
かなりの動揺が見られる。
「もう、いい加減手放したかったんじゃないかい?───あんたの事・・・。」
この桃娘のために、一つの場所に留まることができず、転々としていたことは簡単に推測できた。
余程強い愛情がなければ
───それか余程の金づるだと思わなければ、続きはしない。
それも人というものは、余程の金づるでも維持するために逆に金を使ったり、厄介事をつくったりする
ような相手だと見切りを付けて放り出すものだ。
───経験上ガルデーニアは痛いほど知っていた・・・・。
「ルカが言ってたよ、笑って国境門を出たってさ。」
──決定打だ───
東方少女は崩れるように寝台に突っ伏して泣き出した。
422 :
告白:2008/04/26(土) 20:49:26 ID:HKOE4YVx
この子も自分で危惧していたのだろう───このままだと捨てられると・・・。
憂慮が現実の物になってしまった・・・失望と悲しみ
ガルデーニアは泣き崩れるユーリの背を撫でながら
「もう、腰を据えなさいな・・・。
私が、高貴な男性達が魅了され、手放せなくなるほどの淑女に育てあげますよ・・・。
そうしたら、あの医師のことなど忘れてしまうわ・・・。」
布団に顔を伏せ、嫌々と首を振りながら泣き続けるユーリを
メイド達に命令をし、無理矢理寝台から引き離し、身ぐるみを剥がすと、風呂に入れた。
それは大変な抵抗だったが、風呂から上がり、粉をかけ、普段着用のドレスを着せる頃には諦めたのか、
すっかり大人しくなりメイド達のなすがままにされていた。
普段着用の装飾の無いドレスを着たユーリは清らかで無垢な少女そのものだ。
柔らかな紺色のドレスは胸下で浅黄色のリボンで縛られ、その下からは少ないドレープで質素だが、
上品に床まで流れている。
髪は耳元から脇を後ろに流し、ドレスの胸下に使ってあるリボンと同じ色の生地で縛った。
この清艶極まる少女が、あの医師に夜な夜な抱かれ大人と同じ快楽に乱れた表情をしたのかと思うと、
背徳に似た感情が沸き上がり顔が綻ぶ───男は昼と夜の顔に差があればあるほど溺れる・・・。
(良い娘を手に入れた)
ガルデーニアはほくそ笑んだ。
「───さあ、とにかくお食事を取りなさいな。」
ユーリの背中を優しく撫で促すがユーリは頭を振ってガルデーニアに言った。
「今日1日・・・一人にさせて・・お願いします・・・。」
俯いて話すユーリの瞳からは今でも涙がこぼれそうに大きく波を打ち揺れていた。
───まだ、泣き足りたいのか・・・
この4日間、泣いたり拗ねたり喚いたりを、繰り返されてもううんざりしていたが「今日1日」という
台詞をユーリに再確認し、了承した。
423 :
告白:2008/04/26(土) 20:50:51 ID:HKOE4YVx
食事はきちんと取るように、と、念押しされユーリは頷くとガルデーニアは安心したように目を細め、
部屋を後にした。
卓に置かれた銀食器の蓋を開けると、食べやすいように一口サイズに切り分けられた、肉や野菜、果物
が並べられていた。
消化の良さそうな果物を摘んで口の中にゆっくりと入れ、噛みしめる。
何処かで食べた味だ・・・。
────思い出す。
確かメロンと言うものだ。
自分の口の大きさに切り分け、食べさせてもらったことがある。
桃娘が必ずかかると言って良い『腐病』を、警戒してユーリの普段の食生活に気を配っていたレオナルト
だが、寝込んだときはどこらか珍しい果物を手に入れてきて食べさせてくれた・・・。
滴が頬を伝い、卓上に落ちる。
ごめんなさい
ごめんなさい───此処にいないレオナルトに何度も謝る。
いつもそうだ
私の存在が何時でも厄介事を作る。
それは体臭に関しての事だけじゃない。
よく寝込むし、
自分が良かれと思い行動したこと
周囲に同情し、つい手を差し伸べてしまうこと
───結局は自分自身の力ではどうしようもなく、レオナルトが後処理をする・・・。
いつか
そういつか私はあにさんから離れる事になるだろう───理解していた。
その時は、彼がその後の人生を満喫できるようにしたいと───そう思っていたのに・・・。
424 :
告白:2008/04/26(土) 20:52:03 ID:HKOE4YVx
罪人として、国外追放だなんて・・・。
お金だって、そう持たされていないだろう。
こんなつもりじゃなかった
こんなはずじゃなかった
いつもそうだ
私はそうやってよく考えたつもりでも、災難を起こすんだ───
きっと、ガルデーニアにも災難がかかる。
私を桃娘として扱うのなら、きっと。
死んでしまいたい。こんな自分が嫌。
死んでしまいたい。もう、あにさんに会えないのなら───。
西に向かって日が沈む
あにさんは今どうしてるの―?
窓越しに空を見る───涙で窓が霞んでぶれて、まるで鉄格子に見えた・・・。
425 :
告白:2008/04/26(土) 20:53:11 ID:HKOE4YVx
夜が更けて月が輝く。
メイドが持ってきた寝着に着替える気力もなく
寝台で横向きで寝転がり、弓のように細い月を眺めていた。何をする気力もなく、ただ、ぼんやり
と月を眺める。
ふと、タッセルで結いてあるカーテンの裾が揺れているのに気づいた。
(窓・・・開けてたかしら?)
ゆっくりと起きあがり、カーテンが揺れている側の窓を閉めた。
部屋の方に向きなおし、寝台に目を向けたその時
「───?!」
薄闇の中、寝台に座っている人の影が見えた。
ユーリは思わずカーテンを握りしめ、その影を凝視する。
暗闇と同じくらい濃い色のマントで身体を覆っていてわかりづらい。
こちらが怯えているのが分かったのだろう。
首をちょんと傾けた──おどけるように・・・。
首を傾けてくれたおかげで月明かりに顔がさらけ出された。
「───あっ!!」
ユーリは声を上げそうになったのを慌てて押さえ、震えて、倒れそうになる身体を必死にカーテン
を掴み支えた。
黒みがかった金髪を整髪料で丁寧に後ろに流し、余った襟足は縛り上げているが
自分を見つめるその露草色の瞳は責めることなく、この上なく優しい・・・。
「こんばんは美しいお嬢さん。」
低く通る甘い声はいつもと変わりなくユーリの耳に響き、
早く行きなさい
早く胸に飛び込みなさいと───心が囁いている。
426 :
告白:2008/04/26(土) 20:54:14 ID:HKOE4YVx
───でも、反面
理性が警鐘を鳴らしている
また愛しい人を厄介事に巻き込むつもり?
────と。
「・・・あっ、・・・あっ。」
迷うユーリにどうしたらいいのか、理性がユーリに告げる
「ごめんなさい・・・。」
「?」
ユーリの第一声に今度は不思議そうに首を傾けた。
「・・・どうか、辺りにある調度品を適当に見繕って持っていって下さい・・・。」
涙をこらえ、ようやくレオナルトに言った台詞・・・。
レオナルトは、暫く黙りこみ、じっとユーリを見つめた。
ユーリはその視線に答えられずに、俯いて顔ごと反らした。
「・・・今夜は調度品を頂戴しに来た訳ではありません。」
そういうと、のっそりと寝台から立ち上がり、ユーリに迫った。
そして、立ち尽くす彼女の右手を恭しく触れ、指に口づけをする。
「麗しい香りを放つ少女を閉じこめている───との噂の真相を確かめに参りました。
今の生活にご不満がおわりのようなら、この屋敷から脱出するお手伝いをと・・・参上した次第です。」
ユーリは、レオナルトの胸に飛び込みたい衝動を必死に押さえ、首を横に振る。
「ご不満はない?」その問いにまた、首を振る。
困りましたな、と、肩をすぼめるレオナルト。
427 :
告白:2008/04/26(土) 20:55:22 ID:HKOE4YVx
「・・・私はいない方が良い・・私が側にいると・・・いつもレオナルトさんに災難がかかって
しまう・・・。」
───だから、お願い、その辺の調度品を持っていって、お金に換えて。
私が罪を被るから───せめてもの罪滅ぼしに・・・・。
「───そんなにぼろぼろ泣きながら言われましてもね・・・・。
それに、貴女の側にいると災難がかかると言うが、それを今度は此処の女主人が被って、解決を?」
「・・・いずれ、国王殿下に私を献上するようですから・・・最高権力者の殿下なら特に・・・。」
「───問題ないと?」
もう、頷くだけで精一杯だった。
そんなに近寄らないで
話しかけないで
理性が負けてしまう───心と身体が、愛して───と泣いている。
「───気に入らんな。」
レオナルトの声音が急に鋭くなった。
驚いて涙が止まり、顔を上げる。
せっかく整髪料で整えた髪をくしゃくしゃと手でかき分けて、いつもの自然な髪の流れに戻してしまった。
その表情は明らかに不愉快さが滲み出ている。
428 :
告白:2008/04/26(土) 20:56:19 ID:HKOE4YVx
「・・・ユーリが起こす厄介事を、私以外の者に処理させるのかね?
───それは、私の役割だ。その役は誰にも譲る気など無い。
───例え、国王殿下だろうとな。」
ユーリは泣くのを忘れ、ぽかんと口を開けてレオナルトを見た。
「それに、何だ?
他人行儀に『レオナルトさん』? 私は君が『あにさん』と呼ぶのを気に入っていた。
───すごくな!
それを、4日・・・たった4日だぞ?
細かく言うと3泊4日だが───そんな事はどうでも良い!
問題なのは、そんな短い期間会わなかっただけですぐに他人行儀になるのかだ。」
時々、自国の言葉を交えながら早口でまくし立て、落ち着きなく、ぐるぐると弧を描いている彼
を、初めて見たユーリは言葉を無くしていた。
ふいに彼は立ち止まり、ユーリに身体ごと向けると声を低くし、こう訊ねた。
「・・・そんなに国王殿下の所へ行きたいのか?」
ここで、『はい』と言ってしまえばいい───そうすれば、レオナルトは自分の元から去り、二度
と顔を合わすことがなくなる───
しかし、ユーリは彼の表情を見て返事ができなかった。
辛そうな、泣きそうな、どちらにも取れる表情をユーリは初めて見たからだ。
「どうなんだ?」
再度訊ねられる
自分の呼吸が荒くなる。
また、涙が溢れてくる。
あにさんは───もしかして私を・・・?
私を?
429 :
告白:2008/04/26(土) 20:57:03 ID:HKOE4YVx
「私は体も考えも幼くて・・・迷惑ばかりで・・一緒にいたって・・・良い事なんて無―!!」
いきなり、腕を捕まれた。
「体の育ちが悪くったって、世間を舐めているのかと思うほど幼い考えだろうと、泣き虫だろ
うと、よく寝込むだろうと・・・・・・。」
「・・・?」
話の途中で途切れた。
自分の腕を掴む力が、少し強くなった気がする。
何処か緊張している様子に見えるのは、気のせいだろうか?
レオナルトは何かを決心したようで、深呼吸で広く弾力のある胸が大きく揺れる。
そして、ゆっくり、はっきりユーリに告げる。
「愛してる・・・。」 と
アイシテル―
足がガクガクして、体が崩れそうで、必死にレオナルトの背に腕を回し捕まる。
「・・・・あ、あ・・・。」
呂律が回らなく、足だけではなく身体全体が震えている事に気づく。
あにさんが?
私を?
悲しくないのに涙が滝のように流れて止まらない。
どうにもできずに、レオナルトの胸に顔を埋めた。
レオナルトは全身に嬉しさを表し、ユーリに、額に、艶やかな黒髪に何度も口づけを繰り返した。
「───呼んでおくれ・・ユーリに呼んで欲しい、私のお気に入りの呼び名を。」
430 :
告白:2008/04/26(土) 20:58:04 ID:HKOE4YVx
「・・・あ・・にさ・・・ん。」
「うん・・・。」
「本当に?あにさん愛してるの?私を?」
「───愛してる。」
「一緒にいて良いの? ずっと、一緒にいても良いの?」
「・・・側にいてくれ。」
泣きすぎてヒャックリを上げているユーリを抱き上げ、寝台へ運んだ。
「・・・だから、私の役目を取り上げないでおくれ。
私からの『お願いだ』・・・。」
おどけたように言うと
こつりとユーリの額に自分の額を合わせる
ようやく、自分に笑顔を見せたユーリを見てレオナルトは安堵の息を付いた。
安心すると、ユーリの甘い体臭の効果も手伝い、欲望が目を覚ます。
───しかも、男装ではなく見目麗しい少女の姿だ。
スクエアに縫われている首周りは、深めに縁取られ、上げて寄せた胸元の割れ目がレオナルトの
視線を釘付けにした。
「・・・随分寄せたな・・・。」
余分な肉どころか、誰からか肉を貰ってきた方が良いのでは?と心配するほど細身なのに下着の
技術と着せたメイド達の技に感心する。
「・・・いや・・・・ん。」
頬を染め、両手で胸元を隠そうとするユーリの手を掴み、口づけをする。
そしてレオナルトはその手を自分の肩に回させた。
431 :
告白:2008/04/26(土) 20:59:12 ID:HKOE4YVx
ユーリの髪と首筋に埋めるように顔を寄せ、唇と舌で味わうように首筋に食らいつく。
「・・・ん。」
首から顔の輪郭、細い喉元―この桃娘が何処が敏感で感じるのか知る男は自分一人だと、
独占欲が満たされ、優越感に浸る。
香りに刺激され何度かユーリは襲われかけた事があるが
皆、己の性欲を満たすが為だけあって
ユーリの身体の事など気にも止めない。
───だからこそ
彼女の身体の快楽を快感を、目覚めさせた───自分が。
二人で性欲を満たし、高みに昇れる・・。
自分だけがユーリに触れる権限があるのだと
感じさせ、労れるのだと
体臭に誘われ誘蛾灯のように群がる男達に知らしめたい───。
上半身を起こし、技で寄せた胸の谷間の隙間に舌先を入れ、小刻みに動かすと
「・・・はあ・・・・・。」
ユーリの背筋が弓なりにのけぞる。
「胸元が唾液で濡れるな・・・。」
そう言うとお互い少しの時間も離れがたいと、舌を絡めながら口づけを交わし、ユーリの胸下
を結いてあるリボンをはずし、裾を上げドレスを脱がす。
ドレスの下は窮屈さのないステイズと薄いペチコートで、透き通ったレースの向こうに白の
下着に負けない白さのユーリの生足が見えた。
「───あっ・・・。」
レオナルトの視線にユーリは慌てて足を窄めて、膝を横に曲げる。
432 :
告白:2008/04/26(土) 21:00:20 ID:HKOE4YVx
メイドがドレスの時は肌着は入りませんと譲らなかったのだ。
ペチコート越しからはっきりと分かるユーリの黒い恥毛で覆われた秘丘は、ますます男の情欲
を駆り立てる。
レオナルトは逸る気持ちを抑え、マントを外し、シャツと黒いベストを一気に脱ぎ捨て、横
に曲げた足を掴み、大きく広げる。
「・・・あにさ・・。」
ペチコートの中に潜り込んだレオナルトの頭を布越しに触れるユーリ。
一瞬ひやりとした感覚に短く声を上げたが、抵抗はしなかった。
片手を後ろについて自分の体重を支え、自分の股の間に埋もれている愛しい男が小刻みに動く様子を、
ぼんやりと見ていた。
「・・・ん・・ぅん・・ぁ。」
徐々に研ぎ澄まされる感覚に、たまらず漏らす声も
痺れ出す下半身の疼きに身を捩り、支えきれなくなった身体を寝台に倒し舌の強弱に合わせ、シーツを
握りしめるその姿も―欲望の快感を知っている女そのものだ。
「ユーリ・・・。」
果実の香りと一緒に放つ女の匂い。
───堪らない
余計な物全て取り去り、極上の絹肌を身体全体で味わおう───
ユーリの股から身体を離し、ペチコートを外し、ステイズの両脇の紐を、一気に解き腰から
引きずり落とす。
その手際の良さにユーリは呆然とされるがままであったし
レオナルトが自分を見失いかけてた。
「あにさん・・・。」
433 :
告白:2008/04/26(土) 21:01:44 ID:HKOE4YVx
まだ薄いが形良く成長してきている双丘を脇から揉みし抱く。
さわさわと揉む指が、薄い桃色の突起に触れると食するように口に含み、舌で包むように転がす。
「ぅうん・・・。」
―まだ、余裕がある・・・。
自分に触れる仕草で分かる。
唇と舌は白い双丘を逃がさず、何度も絡め、甘噛みし
レオナルトの長い指はユーリの腹を伝い、黒い秘めやかな茂みへ侵入を進める。
既に先ほどの愛撫で、程良く湿っているそこは
くちゅ くちゅ と淫らな音を立てレオナルトの指に絡んだ。
「はあ・・・あぁあ・・・良い・・ん。」
「・・・良いか・・・?」
ユーリの耳元で、ささやくレオナルトの声音は
欲望が全開するのを押さえているように響く。
「・・・あに・・さん・・・。」
ユーリはレオナルトの頭を抱くと、しがみつくように絡み付く。
「・・・ユ・・。」
以前より、骨ばった部分が減ったユーリの身体は
女特有のしっとりと柔らかい肉と
桃娘特有の体臭が溶け込むようにレオナルトを包む。
―良いの、あにさん―
「えっ・・・?」
聞き返す。
「平気だから・・・私、あにさんが自分を見失ってもちっとも怖くない。
あにさんの心行くまで抱いて・・・ううん、抱いて下さい。」
「可愛いことを言う・・・。」
レオナルトはユーリと向き合い、
いじらしい台詞を告げたふくよかな唇に食らいつく。
434 :
告白:2008/04/26(土) 21:02:41 ID:HKOE4YVx
「心配はいらない、絶対ユーリに酷いことはしない。」
「・・・でも・・いつも、自分を見失わないように我慢しているように見える・・・。」
「───ああ、それはな・・・。」
見ていないようで見てるのか
ユーリの髪の毛に顔を埋め、声を出して笑いそうになるのを堪える。
そうして、笑いを抑え、顔を上げたレオナルトは不思議そうに眉を寄せるユーリに言った。
「男なら、誰でもそうなんだ。」
「あにさんだけじゃないの?
途中から酷く苦しそうになるから、体臭で自分を見失わないように頑張っているのかと・・・・。」
「確かに──ユーリの体臭は私の性欲を駆り立てるがね・・・。
その問題はとっくに解決しているさ。」
「────えっ?どうやって?それは他の人にもできることなん?」
驚いて、事の最中だと言うことも忘れ、起きあがろうとするユーリの肩をレオナルトは押して、再び
寝台に沈める。
「できるだろうが・・・それは私が困る。大変嫉妬に苦しむことになる。」
「────?」
そう言うと、ユーリの両股の後ろを掴むと
ぐいっ、と、上に持ち上げエビ反りの格好にする。
「・・・あっ、や・・!こんな格好──!」
足を蹴り上げ下に下ろそうとするが
レオナルトがしっかり押さえどうにもならない。
「丸見えだな・・・。ユーリの──知ってるかね?
君の此処・・・桃を真っ直ぐ半分に切ったときの断面に似ている事・・・・。」
「───やっ!?」
そう言われ、身体全体を赤く染め、顔を両の手で隠すユーリ。
435 :
告白:2008/04/26(土) 21:03:35 ID:HKOE4YVx
見られている羞恥心もあるせいなのか
桃色の秘所から愛液が果汁のように、しとしとと溢れている。
それを舌先を尖らせ、すくうように舐める。
鼻を近づけると、匂う女の香り。
身体からは甘い果実の香り。
混じって、狂おしくなる。
そのまま尖らせた舌先を、ヒクヒクと別の生き物のように動いている魅惑的な入り口に侵入させる。
「ぁあ!あっ!・・・・ん、いいぁああん。」
舌を伸ばし、入れられるだけ入れ暖かく蠢く艶めいた体内を舌でかき回すと、自分の体内で動く舌
は、ユーリの性感を激しく揺り動かす。
中で自分が出す熱の他に、感じるレオナルトの熱い舌が次々に新しい性の疼きを生み出した。
「あ、あ、ぁぁに・・・さ!駄目ぇ・・・そんな・・・・!」
快感の波が小刻みにきて、そのたびにユーリの身体が震える。
瞳をぎゅっと閉じ、いやいやと首を振る───白百合の手は、ずっとシーツを強く握っているせいか、指
が赤くなっていた。
ユーリの呼吸が荒く短くなり、控えめな乳房が小刻みに波打っている。
──そろそろか───
舌はそのまま、生暖かい中の壁を沿うように舐め続け、鼻の先で充血し、めくれている突起を刺激してやる。
刺激するたびに、紅く充血した突起は愛液と交えグチュグチュと音をたてレオナルトの鼻の濡らした。
「───う──ぅんんんんん!!」
びくん、びくん
とユーリの身体が芳香を放ちながら大きく反りたった。
436 :
告白:2008/04/26(土) 21:05:01 ID:HKOE4YVx
ユーリの秘所から身体事離れると、彼女の下半身は力無くドサリと寝台に横たわる。
白い肢体が快感の果てに、力無く横たわる姿は淫靡で艶やかだ・・・。
レオナルトはその様子を満足げに、見つめる。
誇張している自分のものが、早く彼女の中へ入れと背筋から脳裏に命令しているようで、熱い
痺れが身体を支配した。
見られているのに気付いたユーリは、のろのろとレオナルトに顔を向けて、両手を掲げる。
「・・あにさん早く抱いて・・・欲しいの・・・。」
「・・・ああ・・・。」
ズボンに手をやり、さっ、と脱ぐと既に誇張して更に赤黒くなっている自分の物をさらけ出す。
ユーリは、仰向けに身体の向きを変え、下半身の蕩けた部分と正比例してトロンと涙で潤んだ瞳で
レオナルトを見つめていた。
ユーリの太股を掴み広げると、欲しいと汁を垂らして誘う秘所に一気にあてがう。
「・・・はあ・・・。」
どちらともなく、歓喜の声を上げお互いの身体を抱きしめる。
「あにさん・・・。」
「ん・・・・?」
「気持ち良いん?」
「最高だ・・・・・・。」
「良かった・・・。」
「ユーリは、聞かずとも分かるな・・正直な身体だからな・・・。」
頷くと、頬を染めレオナルトに口づけをした。
レオナルトに口づけした時、自分自身の野性の香りがした・・・。
お互いの舌が交差し始めると同時、繋がっている下半部が揺れ始めた。
それは徐々に大きな揺れになり肉と肉のぶつかる音が出る。
「はあっ!ああん!ううぅん・・・いいっ!ぃいのぉ!!」
437 :
告白:2008/04/26(土) 21:07:02 ID:HKOE4YVx
こんな細い腰の中に、よく自分の物を受け入れられると、いつも彼女の身体の柔軟さと
体内の伸縮に感服しながら、身体の中を突き抜けているであろう快感に身悶えするユーリの
姿を鑑賞する。
規則的に反復する彼女の身体は、内と外の熱で薄桃色に上気し、あの、誘う香りを放っている。
切なげな声とは裏腹な、欲情をさらけ出しそれに浸るユーリは、無垢な少女ではなく女の性欲を
知り、受け止めた者の表情を恥ずかしがる事もなくさらけ出している。
───私がそうさせたのだ───
この快楽に浸る表情も、この淫靡な声音も、身体の完成より早く目覚めた性も
私だけの香る娘・・・。
「・・・あにさ・・ん、良いんよ・・・・。」
「?」
「苦しそう・・・私は、平気だから・・・。」
無理しないでと、断続的に震える快感に身を委ねながら伝えるユーリに、
「・・・ユーリの体臭の誘いを我慢している・・・わけではないさ・・一緒に果てた方が、良いだろう?」
それを我慢しているだけだと告げ、
ユーリの口を自分の唇で塞ぐ。
ユーリのふっくらとした舌を絡め、舐め、吸いつく。
もっと深い侵入を得ようと、手持ちぶたさのレオナルトの腕は、ユーリの膝裏を抱き寄せ上に持ち上げた。
「────。」
喘ぎ声全てレオナルトの咥内にに吸い取られている気がする・・・。
歯茎や歯の一本一本舐められている。
そんな気もするが?がっている部分の感覚の方が強力過ぎて、よく分からない。
奥深く子袋に当たり、痛いようなむずいような快感が止まることなくそこから背中を通り脳内を
支配し始めた。
438 :
告白:2008/04/26(土) 21:08:24 ID:HKOE4YVx
──あにさん
──あにさん
好き───大好き──愛してる
多分、一目惚れだった。
施術の後、生死の境を彷徨っていた私の側にいてくれて、本気で愛してしまったんだ。
─── 子供のような愛情表現しかできない私を、彼が女として愛してくれるなんて無いと思っていた。
金儲けの為に私を使うまで、側にいられれば良いと思ってた。
「愛してる」 と、言う、西方ではよく愛する者に囁かれる言葉は彼から聞いた事はないし、
私も期待していなかった。
嬉しかった、嬉しくて、心だけじゃなくて身体も震えた。
私も愛してる、愛してる────あにさんから私へぶつける身体事全て───
レオナルトを抱きしめる腕の力が更に籠もる。
華奢な指が、レオナルトの肩に爪を立てるように押した―瞬間。
「─────!!!」
ユーリの背中が反り、震え
レオナルトは彼女の中、奥深くに精を放った───。
ユーリは自分があんな霰もない声を出して
扉の向こうに人がいたら・・・と、赤くなったり青くなったり目まぐるしく変わる表情を
可笑しそうに眺めながら
「誰もいなかった。」
と、レオナルトは告げた。
439 :
告白:2008/04/26(土) 21:12:57 ID:HKOE4YVx
ユーリの部屋を探す際に、ファルコーネの屋敷を探索していたのだ。
「君が、屋敷から抜け出さない自信があったのだろう。」
例え、抜け出したって頼る人がいないユーリが路頭に迷うのは目に見えているし
エダナムに長いこといるガルデーニアの方が地理に明るい。
探索網を張り、瞬く間に捕まるのは目に見える
ユーリは安心して、弾力のある寝台にくたりと横たわっているレオナルトの側に座ると、
ようやく空腹の合図が出た身体を満たす為、メイドが夕食用に盛ってきたトレイから葡萄
を取り食べだした。
レオナルトはユーリの月明かりのみの部屋で、ぼんやりと白く輝く背中を自分に引き寄せ、
腕枕をしてやるとユーリの手自ら葡萄を貰う。
甘酸っぱい味覚を、たまに口移しで味わいながらお互いの喉を潤した。
そんな甘い時間を過ごしながら
ガルデーニアの商談の中身を聞いた。
「香水か・・・『だけ』じゃないだろうな、当然・・・。」
一人心地呟く。
「・・・ユーリ、暫くこの屋敷で行儀見習いをしていてくれないか?」
「───えっ・・・?」
てっきり、この後、連れ出してくれるのかと思っていたユーリは意外なレオナルトの言葉に
顔を曇らす。
「・・・このまま、君を連れだしたらガルデーニアはしつこく追っ手を差し向けるだろう・・・。
──少々、痛い目に遭わないと実感しないだろうと思う。
それに彼女は、私の職業も馬鹿にしたしな・・・。」
「・・・・。」
気位の高いレオナルトは、自分に関した事で馬鹿にされるのをとても嫌う。
例えその場で穏やかに微笑んでやり過ごしていると思っていても
後に直接的でも間接的でも、不愉快にされた仕返しをする。
440 :
告白:2008/04/26(土) 21:13:54 ID:HKOE4YVx
にやりと何か一物考えている、抜け目無い笑いを見てユーリは
こうなったら、彼は目的を果たすまでやり通す事を良く知っていた。
でも
────多分、ガルデーニアも同じ気質だ
とも、彼女は感じていた。
根競べの勝負になるなと・・・・も思った。
「・・・全然懲りなかったら?」
起き上がり、潤んだ瞳で自分を見るユーリの顔を引き寄せ、
「否応なしに連れていく──もしユーリ自身が居心地が良くなって行きたくないとごねても。」
おどけてそう言うと
「そんな事、絶対ならないもん。」
ユーリは拗ねた仕草をして、レオナルトを睨むが、口元は微笑んでいる。
「頻繁に来て見つかると面倒だから、毎日は無理だが・・・なるべく会いに来る。」
何せ、国外追放の身ですからと肩を竦める。
「・・・どのくらいの・・頻度で来てくれるん?」
レオナルトの胸に頬を寄せ、寂しげに問うユーリの肩を愛しげに擦り、慰めるように彼は言った。
「───私の身体に移った君の香りが消えないうちに・・・必ず。」
部屋に漂う、甘い香りは二人を包む。
暫く続くであろう二人の逢瀬を
見届けるつもりなのか
隠すつもりなのか
───弓のように細い月は高く高く空を上り、ファルコーネ女子爵の屋敷の真上で薄雲に紛れて
行った。
告白 終
441 :
投下終了:2008/04/26(土) 21:16:12 ID:HKOE4YVx
考えていたよりも、随分スレを使ってしまいました。
誤字脱字等あったらごめんさい。
GJ
なんというGJ
やっぱユーリが可愛いすぐるw
444 :
桃娘書く人:2008/04/27(日) 09:16:15 ID:T1hzZKrE
437のレスの下から3行目
パソコンで変換できない文字で抜けてしまっています。
↓
そんな気もするがつながってる部分の感覚の方が強すぎて、よく分からない。
この文章です。
よろしくお願いします。
GJです!
ユーリせつないよかわいいよ
続編待ってる
スレチかも知れないけどちょっとごめん
男に間違われる少女ということで種を全話見た。カガリは可愛かったけど中身は正直辛かったよ
カガリ的に種死はどうですか萌え悶えるシーンありますか
スレ違いかも、じゃなく思いっきりスレ違い
適切なスレを自分で探して見つけてその上で判断しましょう
単にボーイッシュなために男に間違われるのと
自ら男になりすますために男装してるのは似て非なるものだからな
>>446 >中身は正直辛かったよ
なら悪いことは言わん。やめとけ。
ところで皆さん「コーヒープリンス」つー韓国ドラマ知ってる?
うっかり予告篇見てコーヒー店で働く男装主人公にうっかり萌えてしまった…。
韓国と聞くと条件反射で萎える
BSでしてる奴だろ、女がそこまで可愛くないから、見てない
こういうシュチュエーションはどうだろう?
女とばれたあとに「自分はやっぱり女なんだ」と思わず胸の膨らみに手を当てる
そして今まで封じ込めてきた女としての感情が湧き上がるわけですね、わかります
456 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 22:11:21 ID:zqyoEHM+
川島芳子か
シャドウハーツにでてたなあ
あれって名前が同じなだけで、別人なんじゃないの?
全国の女性が、一斉に化粧落として、髪の毛短くしたら、性別がわからんくなるんだろうな……
>>459 どうかな?
少なくても今の10代って化粧の仕方同じだから
かえって化粧を落としたほうが、分別つくと思うよ。
化粧と髪型と服装と装飾品が同じだから、顔の形ぐらいでしか見分けがつかないんだよな
桃娘の話書く人どうしたのかな?
続き無いのかな?
462 :
投下準備:2008/05/16(金) 21:42:45 ID:RSWu4cgc
こんばんは。
桃娘、続編投下します。
桃娘異聞 『闇夜迎夜』です。
463 :
闇夜迎夜:2008/05/16(金) 21:43:42 ID:RSWu4cgc
──ユーリがレオナルトの元を離れて2ヶ月
貴族達の間でファルコーネ女子爵の身を案じた噂が立っていった。
──あの、華やかな女子爵がどんなに招待しても一向に姿を見せない。
それどころか、此処しばらく貴族の嗜みである夜会や舞踏会も開かない。
何処の出だかは分からないが艶やかで華があり、現れると必ずと言って良いほど注目された美貌の女子
爵の姿を見た者がいない──どうやら屋敷に閉じこもっているらしい。
その原因は、病に伏しただの
顔に酷い傷を負って屋敷から出なくなっただの
懐妊したのだの
実しやかに噂されていたが、誰も核心を突いた憶測を言う者はいなかった……。
464 :
闇夜迎夜:2008/05/16(金) 21:45:14 ID:RSWu4cgc
女子爵はその肌に溶けるような薄い色素の金髪を無造作に下ろし、薄手のガウンを羽織り溜息を付く。
もう、今日は何回目の溜息なのか……彼女本人も覚えていない。
ワインをグラスに注ぎ、背もたれ椅子に座りまた溜息……。
(こんなはずじゃなかった……)
額を抱え込むように手を覆い、2ヶ月前のグレゴリー伯の夜会での、ユーリとの会話を回想する。
『私の香りを……?』
『ああ、そうさ。腕の良い調香師を知ってる。
あんたの匂いを嗅いでもらえばすぐにどの香薬を使っているか分かる……それだけ優秀な調香師だよ』
『でも……私の香りの香水なんて……危険だよ……』
ためらい、俯いてガルデーニアから視線を逸らすユーリに
『危険かどうかは、香水が完成したら分かるだろう? その時考えれば良い。
売れたら勿論分け前は折半だ』
話を進める。
『……無理だよ……ガルデーニアさんは、知らないからそう言えるん。
この香りは人の内側の欲求を引き出すんだって……あにさんがそう言ってた……。
理性なんか飛んじゃうって……』
『──そのあにさんを楽させたいと思わないのかい?』
ぴくりと反応し、潤んだ瞳でガルデーニアを見つめた。
465 :
闇夜迎夜:2008/05/16(金) 21:46:58 ID:RSWu4cgc
──この子のアキレス腱はあの医師だと充分承知だった。
あの男を盾にして話を進めるのが一番手っとり早い。
『……随分あちこちを巡っているようじゃないか。
色々、あにさんに面倒かけているんじゃないのかい?』
『……』
『移動するには特に金が必要になる。工面するのも一苦労だっただろう?
香水ができて売れたら定期的に収入が入るし、何より香水が出回って女達が付けることで、あ
んたの香りに引き寄せられてる男が減る──珍しくも何ともなくなるから、女として普通に大
手を振って歩けるようになるし、あちこちに移動することもなくなる。
好きな国に落ち着けるようになるんだよ』
『そんな……上手く行きっこない……』
『あにさんに楽して貰いたくないのかい?
散々面倒かけたんだろ? 何か一つくらい恩返ししなくちゃ、今は良いが追い詰められたら
きっとあんたを放り投げる日が来るよ──それで良いんだね?』
嫌な言い方だが、この子には効果抜群だった。
『……本当にあにさんが楽になるん? 香水、上手くいくん?』
涙で揺れる黒曜石色の瞳をガルデーニアに向け、切なげに問うユーリを見て微笑み頷いた。
466 :
闇夜迎夜:2008/05/16(金) 21:48:43 ID:RSWu4cgc
あの後、ユーリを探しにきた医師と交渉して、細かく内容を話す前に決裂した。
香水の件はその場を取り繕うための儲け話ではない。
男ばかりではなくを女をも虜にするあの香り……上手くすれば商売になるだろうと、
ユーリに話を持ちかけたのも本心だが
今、国王が欲している『桃娘』を献上すれば、自分の株は上がり、覚えめでたく王宮で好き
に振る舞える。
あの医師だって元々そのつもりであの娘を連れてきたはず。
一緒にいるうちに情が移ったのだろが、顕栄の機会をみすみす捨てるなんて……。
(私はそんなへまはしない)
同姓同士の見る目の方が厳し上に冷たいし、あの子の虜にならない自信もあった。
──ガルデーニアにはユーリは立身出世の道具にしか見ていなかった。
ユーリを手元に置いて王宮に連れていっても恥ずかしくない淑女に養育しなければならない。
その為には、協力を拒んだあの医師は邪魔だった。
長くユーリの側にいて、『桃娘』の体の隅々まで知り尽くしているあの男の助言が得られないのは
厳しいと思ったが、他の医師を雇えば何とかなるとふんだ。
香水を作り、完成するまでの間にユーリを淑女に育て上げ
その上で国王に献上する──それが、ガルデーニアの計画だった。
騙されたことが分かり、最初激しく抵抗し、泣きわめき、食事も取らなかったユーリだが
暫く日にちが立つと諦めたのか、大人しく教育を受けるようになった。
(王宮に召されれば、あの程度の男など幾らでもいる。
しかも、いつも豪華な衣装に宝石、繊細かつ優雅な調度品に囲まれ周りに傅かれた生活が送れるんだ。
これで良かったと思う日が来るだろうよ)
そう安易に考えていた……。
467 :
闇夜迎夜:2008/05/16(金) 21:50:17 ID:RSWu4cgc
──そう、安易に考えすぎていた──
ワインを一口飲み、ゆっくりと喉元を通ると深く濃厚な風味が伝わるが、最高級のワインなのに
ちっとも美味しいと感じない。
また、溜息を付く。
「……無理だ……このままじゃあ、あの子が淑女になる前にこの屋敷内が破滅してしまう……」
ワインが入ったグラスを卓に置いてまた頭を抱える。
──あの桃娘を放り投げたい。
でも……手放せない。
すぐ人に騙されるような、世間知らずのあの子を放り出せない。
何より
──私はあの娘の虜になっている……?
あの子の体臭に?
気質に?
「──もう、きついのではないかね?」
468 :
闇夜迎夜:2008/05/16(金) 21:51:22 ID:RSWu4cgc
「!?」
自分以外誰もいないはずの寝室の窓際から声がし、ぎょっとして顔を上げる。
満月の明かりのみの寝室に照らされた男の人影。
まるで最初からそこにいたかのように、浅い窓の桟に腰掛け、頭を抱えていた女子爵に話しかけた。
女子爵から見れば逆光な為、眉を寄せ食い入るようにその不法侵入の男の顔を見る。
襟高のマントを羽織り、黒みがかった金髪は乱れぬよう整髪材で後ろに流し長い襟足は紐で縛っている。
目元には、鼻先まで隠れるマスク。
そして、聞き覚えのある低く通る甘い声……。
「2ヶ月……随分もったな。余程、手放すのは惜しかった?」
レオナルトはまるで労るかのようにガルデーニアに話しかける。
「……ふん、私の真似事かい?
桃娘を取られて余程暇なんだね」
「──まさか、こちらは私の裏家業でね。ま、同業者同士よろしく」
レオナルトはわざとらしく同業者のガルデーニアにお辞儀をした。
ガルデーニアは壁まで後退すると、掛けてあるレイピアを手に取った。
「良い度胸じゃないか、国外追放の身でのこのこやって来て、金目の物を物色かい?」
ただの医師ではないと思っていたが……と、剣の先をレオナルトに突きつけながら近寄る。
「通行手形は私が医師として国に入るのに必要なだけでしてね。
夜這いするのに国境は必要ですかな?」
「夜ば……」
ガルデーニアは絶句し、頬を染めた。
469 :
闇夜迎夜:2008/05/16(金) 21:52:27 ID:RSWu4cgc
「──ああ、ご心配なく。 夜這いの相手は貴女ではありません」
「──では、ユーリだね!」
勘違いに更に顔を赤くし、剣を片手にレオナルトに飛びかかった。
「──おっと! 気性の激しいお姉さまだ」
ガルデーニアの剣さばきを身軽にかわし、揚々のない口調で話しかける。
(この男……身が軽い)
自信過剰かも知れないが、レイピアの剣捌きには腕に覚えがある。それなのに、掠りもしない。
あれだけ背丈があって筋力も程良く付いている体格で
軽業師のような身軽さで、不敵な笑みを浮かべながらじりじりとガルデーニアとの距離を縮めてくる。
(何なんだ、この男!)
焦りが剣筋を狂わした。
「荒い剣さばきで……」
そう言うと、レオナルトは素早くガルデーニアの横に付き、剣を叩き落とした。
「未熟な腕で助かりましたよ。
私は剣は扱えないので……もっぱらこっちなものでね」
そう言うと、ナイフをガルデーニアの首筋に当てた。
「……くっ…」
激情して、猛々しい眼光を投げつけるガルデーニアを、そのままゆっくりと椅子に座らせた。
そして
「扉の外で合図を待って待機している護衛の者を、下がらせてもらえませんか?」
と、告ぐ。
お下がり!と荒々しく扉越しに声を上げると、幾人かの足音が聞こえ、小さくなりやがて消えていった。
470 :
闇夜迎夜:2008/05/16(金) 21:54:37 ID:RSWu4cgc
「──しかし、主が危機に晒されているのが分からないとは……護衛の者を代えたほうが宜
しいのでは?」
呆れた様子で話すレオナルトに
「……いつまで女性に刃物突きつけている気かい?」
ガルデーニアの不満にこれはすみませんと、レオナルトはマントを翻し、ナイフをしまう。
腰に、ナイフの他、鞭を装備しているのが見えた。
「……楽しそうな趣味だね……」
それを見て怪訝な表情し、レオナルトを見る。
鞭を見ての感想だと気づいたレオナルトは
「調教も得意でしてね。 ──して欲しいですか?」
と、微笑まれ、冗談じゃない! とガルデーニアは頭を振った。
「確かに、冗談はこの辺までにしときましょう……。
ユーリを返して貰いに来ました」
上から威嚇するように覗くレオナルトを上目遣いで見つめた。
先ほどの人をからかうような笑みが消え、無表情な顔を見せる医師だが、自分を見つめるその視線は、
日の当たらない深海の底を想像する程に冷たい。
自分の美貌と磨き抜いた身体で、男から熱を帯びた瞳でしか見つめられたことがないガルデーニアに
とって、充分酷く自信を失い傷つく視線だった。
(そんなにあの子が良いのか……)
ガラガラと自尊心が崩れるのを感じながらも
また、一方で保護欲を駆り立てる、あの子なら仕方ないと感じる。
「……勝手におしよ……」
絞り出すように応える。
「……あの子のせいでこの屋敷は滅茶苦茶なんだ。さっさと連れていってくれ……」
苦痛の表情を見せ、吐き捨てるように呟くガルデーニアを見てレオナルトは数歩下がり、火のくべ
ていない暖炉に寄りかかる。
エダナムの気候は温暖なせいか、あまり使われていないようでヒンヤリとした石の感触が背に伝わる。
「かなり堪えているようで……でも、理解していただけたのでは?」
レオナルトの問いにゆっくり頷くと、また、溜息を付き今まで起きたことを話始めた。
471 :
闇夜迎夜:2008/05/16(金) 21:55:53 ID:RSWu4cgc
「……一番最初に狂ったのは調合師だった……あの職業の者は鼻が通常の者より相当敏感だろう?
いきなりあの子──ユーリに抱きつき押し倒したんだ。 周囲に人がいるのにも構わずに、猛獣の様に
服を引き裂いて……。
慌ててユーリから離そうとしたが、すごい力で抵抗して大の男が数人掛かりで押さえこんだ……。
……その時の調合師の様子は普通じゃなかった。
目が爛々と見開き、血走って、仕舞には泡まで吹いて何とかユーリに近づこうと押さえられながらも
暴れて……。
──後からユーリに聞いたよ……。
ただ、体臭に酔うだけの者と、体臭に性欲が刺激され渇望感が身体を支配し、欲求を解消するまで猛獣の
ようになる者がいると……」
「──ユーリの体臭は東方の老医師が『桃娘』の為に特別に調合した香りでね……。
性欲を刺激させるのが目的なのだが、個々の体臭が交じり微妙に香りが違うし、その体臭に刺激され
る者達も様々だ。
──ユーリの体臭が調合師の性欲を促すのに、適したんでしょう……。
その後、その調合師はどうなりました?」
「……ユーリに尋ねて、娼婦をあてがったよ……。
事が終わった後、かなりおびえた様子で、『いくら金を積まれても、もうごめんだ』と逃げるように
帰っていった。
……あんたに聞きたい。あんたもユーリの体臭に刺激される者なんだろ?」
頷くレオナルト。
「──何故、あんたは普通に生活を送れる?
何故、ユーリの側にいてまともにいられるんだ?
……その調合師の件が事の発端だった。 そこまで体臭に魅せられ狂うのは、そうそういないとユーリ
から聞いた。
──だけど! 今はどうだ?
この屋敷内に住んで仕えている者達、サロンの男達、皆が皆、夢心地な表情でユーリに服事してい
る──この館の主人の私を差し置いて!!」
472 :
闇夜迎夜:2008/05/16(金) 21:57:10 ID:RSWu4cgc
飛びかかるようにレオナルトに声を荒げ、怒鳴るガルデーニアのその様子は、
口調とは裏腹に憔悴しきり、戸惑いと恐怖で顔が悲痛で歪んでいた。
まさか、ユーリが──あの無垢で世間知らずと言っていい──その身体付きも、その作る表情も
あどけないあの桃娘が──私の屋敷を人ごと掌握するなんて……。
「ユーリが、あの子が……そんな事できるなんて思っていなかった……。
───!? まさか!!」
ガルデーニアは真っ直ぐにレオナルトに身体を向けて睨みつける。
「……あんた…ユーリに何か入れ知恵したね……」
「何も」
肩を竦めて飄々と答えるレオナルトに詰め寄りガルデーニアは責を切ったように喋りだす。
「誰にも──この私にも気付かれずに、屋敷の私の部屋まで潜り込めるんだ。
以前から潜り込んで、ユーリに接触し、何か入れ知恵を付ける事位できるだろう!」
たった今理解できた。
途中から大人しく教育を受け始めた理由が、この男と会えたからなのだ──と。
「──まあ、前から忍び込んでユーリと会っていたのは認めますが……
皆、ユーリに服事するようになった環境は、貴女が作ったのですよ」
473 :
闇夜迎夜:2008/05/16(金) 21:58:12 ID:RSWu4cgc
「──おかしな事を!」
まあ、落ち着きなさいとガルデーニアを再び椅子に座らせる。
「あの体臭の人に対する作用についてはまだまだ研究中ですが、恐らくその時、ユーリに対してどう
いう感情を抱いているのか、その時抱いている心理が極端に作用するのではないかと思っています」
「心理……?」
「多分貴女は、屋敷で働く者やサロンの若者達に、ユーリを大切に扱うように、自分と同じように従い
なさいと──そんな風に話したのではないですか?」
「当たり前だ……宮廷作法を身に付けさせ、ある程度髪が伸びたら国王に献上する計画だったのだから。
──下々の追従に慣れなくてはならないし、卑賤の出に近いユーリを見下し、侮辱されてはユーリ自
身が卑屈になり、教育に身が入らなくなる可能性がある」
「主人である貴女の意向に従った屋敷の者達は、主人の指図に従い、ユーリを丁重に扱った。
自分を見失う体臭を嗅ぎながら……。
次第に極端にユーリを丁重に扱い、仕舞には……主人交代です」
「……ああ」
ガルデーニアは短く唸るような声を上げ両手で顔を覆う。
「ユーリに襲いかかってきた男達は、端っから性欲の対象で見ていた。
体臭が理性を完全に失わせて極端に走らせて襲いかかった──そんな風でしょうな。」
「……何故、私とあんたはそうならない?」
474 :
闇夜迎夜:2008/05/16(金) 22:00:03 ID:RSWu4cgc
私ですか?
と、逆にガルデーニアに問うように返す。
しばし沈黙があり、それから思い切ったのか真っ直ぐに彼女の瞳を見て答えた。
「……ユーリを愛しているからです。
桃娘としてではなく、欲望の対象でもなく、道具でもない。一人の女性として」
「──。」
瞳を大きき見開き、ガルデーニアはじっとレオナルトを見た。
口には出さないでいるが信じられないと、言いたげに。
ガルデーニアのその視線に、彼は柄にもない恥ずかしさに髪をくしゃくしゃと掻き分けながら
こう付け加えた。
「私もなりますよ、たまには。 かなり自制が必要な場面も多々あります。
貴女の場合は、ユーリを金と出世の道具として思っていたのでは? 道具が香っても手持ちの洒落た
調度品位にか思わないでしょう?」
「そう……そうだ、そうだな……」
ユーリに狂わない自分の理由に納得したのか
いつも側にいるレオナルトが理性を保てる理由に納得したのか
どちらともに取れる返事だった。
475 :
闇夜迎夜:2008/05/16(金) 22:01:07 ID:RSWu4cgc
ガルデーニアはその豊かな胸を弾ませ、大きく息を吸い吐き出す。
「養育の無駄だったな……この二ヶ月間、結構投資したのだぞ」
片眉を上げて困ったように笑う彼女に、レオナルトはズボンのポケットから小さく切り取った洋皮紙
をちらつかせた。
不思議そうにその洋皮紙を眺める彼女に一言
「東方の老医師から失敬した、ユーリの体臭に使われた香りの成分表です」
告げるや否や
ガルデーニアは飛び跳ねるように椅子から立ち上がり、摘んでいる洋皮紙めがけて手を伸ばしてきた。
──おっと、と、レオナルトは素早くその伸びやかな腕をかわす。
「交換です……私を無実の罪に陥れ、国外追放させましたよね?
経歴に傷が付くとこれから大変動きにくいのです──訂正しに行ってください。
国外追放の取り下げも、です」
分かった約束する、と、にべもなく頷き、ガルデーニアはレオナルトから成分表を受け取る。
じっと成分表見積めているガルデーニアにレオナルトは
「いくつかは東方でしか手に入らない物もあります。
まあ、その通りに作ったら危険ですから一つや二つ抜けている方が宜しいでしょう──では、お約
束を遵守願いますよ」
そう言うと、レオナルトは来た時と同じようにテラスの窓から部屋を出た。
476 :
闇夜迎夜:2008/05/16(金) 22:03:11 ID:RSWu4cgc
ユーリのいる部屋は分かっている。
迷うことなく窓を開けた。
寝台で横になっていたユーリが、恐る恐る天幕を開ける。
それがレオナルトだと分かると
「あにさん!」
と、飛び跳ねるように彼の広い胸に飛び込む。
ユーリは、少女らしくフリルがふんだんに付いた夜着を着ていて
Aラインの形が愛らしさを更に浮き立たせていた。
肩に掛かるか掛からないかまで伸びた、艶やかな黒髪をレオナルトは愛しげに撫で、抱きしめる。
「バルバラさんと話がついたんね?」
「──バルバラ? 誰だ?」
「ガルデーニアさんの本名。」
──ああ、そうか、あれは美称だったなと、ふーんと大して興味も無いように呟くレオナルト。
羽織っているマントがたっぷりと生地をとっている代物なせいか、ユーリを抱きしめるとすっぽりと
隠れてしまう。
ユーリは賢明に顔だけ出して、愛しい相手──レオナルトを見つめた。
「あにさん、マスクは取らないの?」
「ここから出るときは取らないとな。
やんごとないお姫様を誘拐する怪盗に間違えられてしまう」
すっと、ユーリの両の腕がレオナルトの後頭部に伸び、マスクの紐を解く。
髪と同じ色の凛々しく整った眉と、通った鼻筋が、さらけ出された。
「……んっ……」
顔が近くなり、レオナルトは当たり前のようにユーリに軽い口づけを繰り返した。
ユーリは口付けの嵐を受けながら、ささっとマスクを畳むと、顔をマントの中に埋め、
レオナルトのズボンのポケットにしまう。
終わると、またひょいと顔を出し微笑むと、じゃれるように胸元に顔をすり寄せた。
477 :
闇夜迎夜:2008/05/16(金) 22:04:16 ID:RSWu4cgc
「……さて、女子爵殿の気が変わらぬうちに退散しましょうか。
私の『桃娘』様」
そう言い、ユーリを抱き上げた。
ユーリは落ちないように、レオナルトの首に手を回す。
「ここのお屋敷の人達……平気かな?」
「ユーリがここを立ち去れば、じきに正気に戻るさ」
「……人を狂わすこんな香り……消えればいいのに……」
レオナルトを掴む手に力が入った。
一番嫌がって悲しんでいるのは、強制でこの香りを付けられたユーリだと言うことは
レオナルトは一番よく知っている。
しかも、その香り付けは自分も関わった。
「……何とかしよう……必ず」
人体実験のような施術
金儲けを前提にしていた自分が、
医師としての興味が、
人権の尊厳を無視して協力してしまった。
自分の罪を償うためにも、ユーリの香りと向き合わないといけない。
何より、体臭のことで、ユーリの悲しい顔を見るのは辛い……。
自分の首筋に顔を寄せるユーリの頬に、自分の頬を寄せそう誓った。
478 :
闇夜迎夜:2008/05/16(金) 22:05:05 ID:RSWu4cgc
屋敷の外に待機させてあった馬車に乗り込む。
暗闇の中、カンテラ一つ付け、見えずらい真夜中の街中を気を付けながら走るその様子は
見えない将来に、手探りで歩く自分とユーリを連想させた。
───決心はした。
ユーリに関するもの全て、後悔はしないと。
贅沢なんかしなくて良い
人から誉れるようなことはなくて良い
ユーリと二人、穏やかに過ごせたらそれで良い。
それで良い───反面、そう言う風に生きていけないだろうと
今までの経験から感じている……。
破滅か栄華か───
しかし、決めたのだ
―ユーリに、桃娘に愛してると告げた時から、迷わないと───
闇夜迎夜 終わり
479 :
投下終了:2008/05/16(金) 22:07:21 ID:RSWu4cgc
今回エロ無しで申し訳ないです。
思いつきで書いたものの内容的に長くなってしまい、当分終わりそうにない内容になって
しまいました。
このまま、スレを消費するのも申し訳ないので、他のサイトで続きを書くことにしました。
軽くネタバレだと ユーリは今後あまり男装しなくなりますし、途中でレオナルトも消える
予定です。
何処かの国も巻き込む予定で、猟奇、嗜虐、などの文章表現の方がエロより強く表にでる
可能性が出てきました。
スレ違いになるのでこのスレから桃娘の話は出て行きます。
直に皆様から感想が聞けて、勉強になりました。
ただ、番外編として幾つかご用意してありますので、その時はなにとぞよろしくお願いします。
最後に、つたない文章ながら読んでいただきありがとうございました。
投下乙、今までお疲れさん
481 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 22:26:01 ID:Afjsc/Mq
>>479 GJ!
面白かったよ。
続きを投下する場所をリンク貼ってもらえると助かるのだが。
482 :
桃娘書く人:2008/05/16(金) 23:24:22 ID:RSWu4cgc
どんな話になろうともレオナルトとユーリだけは幸せにしてあげてください。
どうかお願いします。
今までありがとうございました。
消える、で不安になってる。…幸せにしてあげて欲しいです。
>>482 おつかれさまでした。
すっかり桃娘ワールドにはまっていました。
続きを楽しみに待ってます。
486 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/27(火) 23:00:51 ID:C2qOWQhP
保守
ほしゅ
そういえば、男装して女人禁制の厨房に入って料理を学んでいた女性の話があったが
>>488 ミスター味っ子にそういうキャラがいたようだけど違う?
490 :
488:2008/06/01(日) 11:50:15 ID:vlV9Iy1m
>>490 へぇー凄いな。本当にいるんだ。
料理人の世界って伝統的だから女人禁制を守ってるところが多いからなあ。
単純に生理中は味覚が狂うといわれているから女人禁制になるらしい
493 :
桃娘書く人:2008/06/13(金) 22:32:28 ID:lIXPwDTM
こんばんは、桃娘異聞の番外を書きました。
レオナルトの医師研修生の頃の話です。
桃娘ユーリは残念ながら登場しません。
長い話なので、中盤の文章を抜擢して載せます。
それでは分かりにくいと思うので、前盤の内容をまとめますと
怪盗家業をして必要経費を稼いでいるレオナルトが、ユーリーという
男装仕官にばれ、自分を『恋人』として『恋人』の為に盗みを働け、貢げと
訳分からん脅迫されます。
捕まるわけにはいかないレオナルトは渋々それに従いますが、何故ユーリーが『恋人』
にこだわるのか何故罠だと、感づきながらユーリーの姦策にわざわざ自分からはまったのか……?
と、言うのが大体の前盤の内容です。
陵辱シーンがあります。苦手な方はスルーで。
王宮敷地内にある、図書館。
国中の随書、歴史書、逸話、医学書などなど……種類別に大規模に収集されており、国民に
公開されている。
図書館の中にある、閲覧の条件が定められている蔵書が収められている一室にユーリーが向かう。
王侯関係者、並び、その者達に許可を得たもの、王立学校卒業予定者及び卒業者のみが閲覧
できる場所である。
彼女は王立学校軍学部卒業者であるために、証明としてのバッチで中に入ることができた。
扉を開け、ぱらぱらといる者の姿を見かけては、視線を移し通り過ぎていく。
ふと足を止め、身体の向きを左に変えると、目指す人間の側まで颯爽と歩く。
彼は目立つ──後ろ姿のみで見分けがつく。
それはユーリーが彼に特別な感情を持っているからだと言うことに気づいていないだけなのだが──。
ポンポンと気安く肩を叩いてきた相手が誰と悟ると、レオナルトはあからさまに顔を歪めて
読んでいた本を閉じ、元の場所にしまう。
『出よう』と指の合図でユーリーを促し図書館を出る。
「明日が借金の返済日なんだ。どうなんだ? 『漆黒の狼』」
声の調子に気を配りながらレオナルトに訊ねる。
「近く、論文を提出しないとならん……」
論文の作成に忙しくて盗みなんかやってる暇なんか無い──という態度だ。
足早に王宮内ある兵舎に入るレオナルトに必死に付いていくユーリー。
「君が忙しいのは分かった。だが、それは私との『恋人』の『条件』だ」
「……ていの良い下僕じゃないか」
レオナルトはそうぽそりと呟くと、あてがわれている自分の部屋に入った。
医師研修生は小さいながらも個室を与えられている。
国がそれだけ育成に力を入れている証だ。
「私と同等の部屋を貰えるんだな」
「貴族様と同じ部屋の造りで恐縮ですね」
「……嫌みで言った訳じゃない」
その問いに答えずレオナルトは鍵を掛けて置いた机の引き出しの、更に奥の板を外すと
隠して置いた首飾りをユーリーに投げ渡した。
「現物のままじゃない……! これじゃあ困るわ!」
二人きりで安心しているのかユーリーは女言葉で話し始めた。
「前に、解体の仕方教えただろ」
「泥棒の手先に成り下がることなんかできない」
ふんっと、突き返された首飾りをやれやれという風に受け取るとレオナルトは寝台の下か
ら工具を取り出し器用に解体し始めた。
「……大した手さばきね……」
宝石を傷つけずに手早く解体する様子を関心して見つめているユーリーにレオナルトは
「泥棒の手先でいた頃に教わってね」
無表情で答えた。
先ほど拒否した時の自分の台詞に対しての嫌みだと感じユーリーは、黙って解体の様子を見る
ことにした。
机の端に腰掛け、無言で首飾りを解体し続けるレオナルトを見る。
この関係になって一ヶ月がたった。
それ以来自分は彼に貢ぎ物と称させ、盗みを働かせている……。
十日に一度の高利貸しの豪農の取り立てもおかげで滞りなく払えている。
相手の高利貸しはどうやって金を工面しているのか不思議がっていたが
母に慕情している者達が工面していると話したら、母への求婚も諦めてくれた。
良い方向へ向かってくれた──。
が、やはり、というか今度はレオナルトの態度が硬化してきた。
恋人だ、などと名ばかりの脅迫。
彼の都合を無視した貢ぎ物の催促で、前回の報告論文提出では危うく落としかけたのをユ
ーリーは知っていた……。
医薬学科は厳しい。
一度でも落とすと、もう一年従軍して研修医を務めなければならない。
それがあったせいもあり、以前のように笑いかけることも普通に話すこともしなくなった。
いつも自分から話しかけ、彼はいつも不機嫌な顔をする……。
自分が今彼にしていることを考えれば、それは仕方ないことだ。
細かい作業を懸命にしているレオナルトを上から見つめる。
──きっと加虐性欲者だわ、私……。
こんな形でこの人を縛り付けていて、この状況を楽しいと思うなんて。
彼の長い指に絡む小さな宝石をぼんやりと見つめる。
そう言えば、この首飾りを彼はどうやって奪ったのだろう?
話通り、女達が好む誘い文句をあの甘く通る声で囁き
細い首にかかっていたその首飾りに舐めるように吸い付き、唇を這わせたのだろうか?
日の当たらない淑女の身体をまさぐり
気の済むまで快楽を与え朦朧とした意識の女から、この首飾りを抜き取ったのだろうか?
一夜の甘い代償……。
彼は今まで自分の生活の為にしていた。
今は私の為……。
唇の端が自然と上がる。
「何か可笑しいのか?」
気づかぬうちに声が出たのだろう。
憮然としたレオナルト表情をユーリーに向ける。
「──ううん、貴方は本当に色々とできるな、と……。
別に医師の道を選んばなくても、その道で十分ではなくて?」
「……歳を取り、力が衰えればもうお終いだ。私は一生できる職を手に入れたい。
それに、大手を振って話せる職ではないだろう?『それは』」
「一生できる職なら他にもある。どうして医師にしたのか知りたい」
レオナルトは解体し終わった首飾りを丁寧に集め、絹の袋に入れるとユーリーに手渡しながら
「君のような相手に、二度と弱みを握られないためだ」
と、無表情に言い放った。
工具を片づけながらもう、用はないだろうから出てってくれとユーリーに告げる。
「……あるんだ……同じ目にあったこと」
──以外と抜けてるのね、二回も同じことを繰り返すなんて──
レオナルトに言った。
一瞬だった
何が自分に起きたのかユーリーは分からなかった。
あまり弾力のない寝台の上に身体が飛ばされて、その固い弾みで身体がきしみ自分の状況
を理解した。
レオナルトの行動は早かった。
ユーリーが状況が分からず呆けている間に、手早く寝台の端に両手首を縛り付けていた。
「……何を……?」
ずしりと腰にレオナルトの体重がかかる。
無言で自分のズボンのボタンを外し、ずり落としているのに、ユーリーは背筋が凍り付いた。
「止めて……出ないと大声を出すわよ……」
牽制のつもりが声が震える。
「出せよ──出せるんならな」
その、今までと違う低い、怒りを抑えている声と、自分を見るレオナルトの瞳にたぎる怒濤の光が
ユーリーの喉を萎縮させた。
レオナルトは枕掛けを外すとユーリーの口をそれで塞ぐ。
「だが、万が一、大声出されたら困るのでね」
「―!?」
戯れじゃない、彼は本気だ。
それは女の感とも言える防衛反応からの危険信号だった。
責を切ったように滅茶苦茶に暴れたが、逆に縛られた手首の紐をさらにきつくしただけだった。
しばらくユーリーの腰に乗り、彼女の体力が無くなるまで黙って静観していたレオナルトは
頃合いを見てユーリーの顎を掴む。
「安心していい……。貞操を奪うつもりはない。
せっかくの婚約が駄目になると、私に負担が来るものな……」
レオナルトの空いている右手がユーリーの日の当たらない太股を撫で回し、彼の手の固い皮膚
の感触に身悶えした。
「これだけ私にだけ奉仕させるのは不公平だろ。仮にも『恋人』と言うのなら、恋人に『褒美』を
与えても良いんじゃないか?
例え、間抜けなことを繰り返す怪盗にでもね……」
相変わらず無表情だった。
そして
変わらず彼の瞳は怒りでたぎっていた。
ユーリ―はようやく気づいた。
彼の心の傷をえぐり、怒りに油を注いでしまったことに……。
*
研修医として軍に従軍する一年間
基礎体力訓練や身体を使った防御、攻撃等の講習も受ける。国を上げての戦に備えて―。
シヴァフイート公国は北方に位置する国の中では最大で、一番南東にあり比較的過ごしやすい
土地ではある。
が、やはり寒さで作物は育ちにくく一年の半分は冬に閉ざされる。
本能としてやはり過ごしやすい土地に惹かれ、人は動く。
戦力を国民総生産で一律統一させ、南へと侵略を進めてきた。
ユーリーもレオナルトも
今、戦が始まれば戦場にかり出される。
そうなる事態となってもすぐに対応できるように今の仕組みが出来上がっているのだ。
幸い今の国王は盛んに侵略する気はなく、隣国の和平交渉を進め、国内の充実の方に力を入れて
いる為ここ何年かは平和であった。
それでも、いつ再会する侵略のために軍に入った者達は身体を鍛えるのだ。
レオナルトも体術を習って、鍛えられた軍人一人押さえる事は容易であった。
彼はユーリーの腰から膝の方へ身体をずらし、彼女の足を押さえる。
そして何の飾りもない白い肌着に手をかける。
「!!」
腰を浮かせて逃れようとしたが返って脱がしやすい体勢を作っり、すんなりと脱げてしまい
髪の色と同じ白金の恥毛がさらけ出される。
肌着はそのまま彼女の膝でめくれたまま止まっていた。
「上はさらしが面倒だからな」
冷静なレオナルトの声が耳に飛び込んでくる。
無表情なままで押し入るように人差し指を恥丘の奥へ差し込んだ。
第一間接が曲がり、敏感な突起に当たる。
ユーリーは、首を嫌々と振り拒絶をするがレオナルトは無視し指の間接の曲げ延ばしを繰り返した。
いくら皮を剥いていないとは言え、敏感な部分だ。
レオナルトの指先が当たる度に、慣れていない強い刺激が下半身を疼かさせる。
ゆっくりとした指の動きが徐々に早くなり、刺激に間隔が狭まり、絶え間なくくる疼きで身
体全体で捩る。
「感じているな、ほら」
レオナルトはおもむろに指を抜くとユーリーに、露に濡れた人差し指を彼女の前に見せる。
「…!」
恥ずかしさに勢いよく顔を背け、目をギュッと瞑った。
レオナルトは閉じて押さえ込んでいた太股を今度は膝立て、開き再び自分の体重をかける。
まだ、日が射している午後、奥の恥毛がテラテラと露で湿り光る。
「……」
レオナルトはしばし、その部分を見つめてから
ユーリーのすぐ横でおざなりになっていた枕を彼女の腰に当てた。
「たったこれだけのことで敷き布を濡らして……結婚前の貞淑な貴族の女が呆れる」
今まで無表情だったレオナルトがようやく笑みを見せた。
──意地の悪い笑みだ人を見下した、屈辱な笑み──
ユーリーは泣くのを堪える為に口に入れられた枕掛の生地を噛んだ。
彼がこんなことをするとは夢にも思っていなかったからだ。
普段、王宮内の態度は偽りだったのか?
漆黒の狼とあざ名された紳士的な怪盗は演技だったのか?
失望と
陵辱されていながら感じているとはっきり分かる自分の身体の淫乱な部分に混乱して
ただ、泣き声を聞かれなく無いというプライドだけが辛うじて彼女の脳裏を支配していた。
恥じらうべきの彼女の奥は隠すことを許されずさらけ出され、レオナルトはすくうように、
溝を伝う露をなぞる。
新たな感覚にユーリーの腰が跳ねた。
往復を繰り返し、花弁の形を辿り、時々引っかかるように秘所に指先が入る。
「っ! ──!!」
その度に彼女は首を横に振った。
だからと言って、レオナルトの手が動きを止めることは無かった。
くるり、と入り口を指の腹でなぞる。
「──!」
ユーリーの腰が引いた。
「下手に動くな……。でないと、せっかくの操が無くなることになる」
そう言うな否や、ぬるりと自分の膣内に異物が入ってきた。
それが彼の指だと瞬時に分かったところで、彼女にはどうしようもなかった。
先ほどまで首飾りを解体していた長い指が
自分の体内に入り、分泌液を絡めながら淫靡な音を立て蠢いている。
それは
抜き差しすると間接の節があたり、熱をつくり、更に敏感な場所を探そうとするかのように
弧を描いて動くときは痺れる感覚が膣内を駆け巡る。
泣くまいと必死だったユーリーは
今は何も考えられず、レオナルトの指に素直に反応し、身体を朱に染め快感に震えていた。
「……下からよだれの洪水だな、ユーリー。
この様子じゃあ、自分で自分を慰めていたのではないのか?」
違う!
違う!!
私は、私はもう―
口を塞がれ、言葉にできない否定の台詞が頭に浮かぶ。
だが、溜まりつつある快感の泉がそれすらも消してしまった。
底からじわじわと染みてくる泉のように、快楽が膣内を満たし腰に背筋に押し寄せてきた。
「―!!?」
身体中が小刻みに震え、腰が上がり、今の状況も必死に泣くまいとしていた矜持も全て忘れ
快楽に果てた―。
一瞬にして身体から吹き出た汗が纏わりつき、その不快感を拭いたいとぼんやりと思いながらも
ついさっき、自分に襲ってきた快感の余韻に浸る。
まだ熱が残る下半身にまだるこさを感じ腰を動かした。
「まだ足りないのか?」
耳元で意地悪そうに呟くレオナルトに視線を移す。
「してやろうか?」そう言って、ユーリーの口を塞いでいた枕掛けの布を外す。
久しぶりの口からの呼吸に胸が大きく揺れた。
「ただし──」
レオナルトは自分のズボンのボタンに手をかけると、大きく誇張した自分の物をユーリーの目の
前にさらした。
日差しの少ない北方の国でも、昼間は明るい。
その赤黒く脈を打ったそれはユーリーの肉眼ではっきりと見て取れ、またいで自分の顔の前にさ
らけ出された意図が分かり青ざめた。
「自分だけ気持ちよく果てるのは不公平だろう? ──口に含めよ」
「……いっ、嫌……そんなことしたこと無い……」
「結婚した際に喜ばれるのではないか? その婚約者の小父にな……なかなかやり手だと」
ニヤリとレオナルトが笑う。
ユーリーの身体がかあっと熱くなった。
馬鹿にしてる
完全に馬鹿にしている
怒りで震える声でユーリーは言い放った。
「こんな事をして! ただで済むと思わないで!
小父にも、上官にも、一緒にきた医師研修生にも暴露してやる!! 一生償わせてやる!!」
しかしレオナルトは、そんな彼女の叫びを聞こえていないかのように表情を変え
ず飄々と話す。
「今、何人か医師研修生が宿舎に残っているな……。 非番の仕官もいるはず」
「……それが何よ……」
「女人禁制の宿舎に仕官服を着込んだ女が紛れ込んでいたら、普通の職の女じゃないと
通常は思うがな。
男装遊戯の出張娼婦か、良いとこ規約やぶりの女仕官か……」
「……」
「過去にもあったな……娼婦か男のふりした仕官が紛れ込んで、宿舎の男共に性欲のは
け口にされたのが」
「―聞いたことなど無い!」
「君は貴族のおぼっちゃま扱いだからな──実際は女だが。宿舎だって別扱いだろう?
畑が違えば種だって違う。こちらの宿舎は一般国民のやさぐれた男共の寝床だ。
金で買えない、恋人のいない飢えた男達の中に女が放り込まれたらどうだ?」
「……そんなこと、許されるはずが……。
第一私は貴族階級の者、そんな相手にそのようなことをしたら……」
「上流であればあるほどげせんな奴に陵辱された事実は隠したがる……。──試してみるか?
皆、喜んで君の身体にむさぼりつく」
呆然とする彼女を見て、せせら笑うようにレオナルトは言い放つ。
もう、ユーリーには抵抗する気も粋がる気も起きなかった……。
憎んでいる
彼は完全に私を嫌っている……。
自分の行動一つで、簡単に今宿舎にいる男達に私を引き渡す。
「酷い、酷い」
「酷いのはお互い様だろう?」
うなされるように呟き泣き崩れるユーリーに、レオナルトはそう冷たく言い返した。
違う
私は貴方に──
ユーリーは言いたくても言えない言葉を飲み込んだ。
「口を開けろ」
低く威嚇するようなレオナルトの口調。
涙でかすむ目の前の物を口に含む。
初めての経験にどうしてよいか分からず、ただ奥にまで入り喉をつつく大きく誇張した彼の物を
賢明に受け入れるしかなかった。
レオナルトは彼女が勝手が分からないのを知っていたし、両手首はまだ縛ったままであったから
自分から腰を上下に動かし快感を促す。
「歯を立てるなよ……」
そう言うと、更に口を大きく開け自分の物を受け入れているユーリーを見て、陰のある
微笑みをした。
唾が喉あたりに溜まり苦しい……。
たまらず、ごくりと唾を飲み込む。
その拍子に口が少し窄まり、レオナルトの物を吸う形となった。
「ユーリー……今の調子だ……」
そう言われ、強迫観念に捕らわれているユーリーは、言われるがままに口を窄め脈打つそれを吸う。
腰の動きが早くなり、口に出入りするそれも忙しく動く。
これから何が起こるのか
男の形で過ごしてきたユーリーには身震いするほど理解していた。
男が好んで望む行為──。
「──くっ……!」
レオナルトが声を上げたと同時
ユーリーが咥えていた彼の物が、大きく脈を打ったのが分かった。
口の中に生温かい液体が流れ込む。
「──」
その匂いが口内から鼻腔に伝わり、思わず瞳をギュッと瞑った。
レオナルトはゆっくり彼女の口から、果てた後の自分の物を引き抜いた。
量が多かったのか、とろりとユーリーの口の端から白い液体が流れる。
彼は無言で彼女の口を片手で塞ぎ、もう片方の手で鼻を摘み、顔を上に向けさせろ。
「──んん!!」
ユーリーは苦しそうに顔を歪め抵抗したが、たまらずその白い液体を飲み込んだ。
粘りけのある液体であるせいか、一度で飲みきれず、つっかえながら2、3度に分け喉に通した。
「……」
自分がされたことにユーリーは呆然とし、うつろな視線をレオナルトに向けていた。
その様子を見てレオナルトは抵抗する意志は無くなったと悟り、ユーリーを縛り付けていた
紐を解く。
腕が力なく寝台に落ちる……。
「どうする? オリガ」
レオナルトが彼女の本当の名で呼びかけた。
彼女は呆けながらも、彼の呼びかけにゆっくり首を傾けた。
何を? そんな風に
レオナルトはオリガの白金の髪を撫でながら、優しく問う。
「まだ、身体の疼きが収まっていないのだろう?」
目を細め、まるで最愛の女を愛でるかのように優しい表情だった。
──私は……貴方にそんな風に見つめられたかった。
しかし声にならず、まだ、白濁した液体が喉に纏わりついている感覚に戸惑いながら
レオナルトの問いに頷き、彼の肩に手を回した……。
506 :
投下終了:2008/06/13(金) 23:01:50 ID:lIXPwDTM
ここに出てくる白金髪ユーリーとレオナルトの関係が分からず、
???になってる人ごめんなさい。
気になさらずに、1つの床話と思って読んで下されば幸いです。
読んで下さった方、ありがとうございました。
>>506関係が気になってさかのぼって読んでみた。
おもしろかったー
ただ、設定と名前の西洋風がちぐはぐな気がして気になったw
これって完全オリジナル?このスレが始まりでおk?
508 :
桃娘書く人:2008/06/14(土) 16:15:31 ID:6NO5FgNA
>>507 話は完全オリジナル。
中国で『桃娘』と言う金持ちのおもちゃのような存在の女性がいた。と言う記述を読んで
一人くらい幸せになった桃娘がいたって良いじゃん、と、書いたのが始まりです。
なので、桃娘の名称自体はオリジナルでは無いです。
投下する前に書いた通り、途中の話しのエロ部分だけ抜粋したのでこのスレが
始まりではないです。
そう言えば、男装しようとする女の子がブラジャーをはずしてさらしを巻くシーンはいつ見ても萌える
神作品桃娘が投下された後で目を腐らせそうで申し訳ない。
エロエロにするつもりがあまりエロくならなくて自分の力量を思い知ったんだぜorz
大陸の中央に位置する小国ベルキア。
太陽の位置は高く鬱蒼と茂る森林に囲まれている。
国の中心部を流れる大河の東側に位置する首都ツェーレでは今度成人の儀を行うオリバー王子の話題で持ちきりだ。
黄金の髪に睫の長い濃い青の眼、すらりとした細い身体。優男然とした風貌は町の年若い娘に大変な人気がある。
武術は得意ではないが語学の才能に恵まれ、軍事力の乏しいこの国においてゆくゆくは外交の一翼を担うと期待されている。
そんな王子ではあるが、今日もふらりと何処かへ見えなくなった。
複雑で広い王城の中、人一人探すだけで日が暮れる気がする。
おっと突然申し訳ない私ははルイス。
母さんが王子の乳母をやっていたのが縁で恐れ多くも王子の世話役をやらせてもらっている。
この国では王子が成人すると首都に近い城のどれかに引っ越すことになっている。
衣服の整理、家来・侍女の人事、現地の視察、王室の財産の分与、成人の儀の手順の確認・・・やることは山ほどあるっていうのに。
打ち合わせ中もボーっとした様子でいつものようにテキパキと物事を決めなくなった。
最近、かつては真面目だった王子は皆の目を盗んでふらりと何処かへ行ってしまう。
図書室に篭っていたり、城に奉公に来ている子供と球遊びをしていたり。
王子の誕生日は1ヶ月後だ。
侍従長が涙目で呟いていた。
「オリバー様には成人する気が無いんでしょうか?」
全くだ。
バルコニー、中庭、渡り廊下と王子を探してゼエゼエ言いながら城中を走り回る。
聖堂の前を通ったとき、見慣れた緑色のマントが見えた。当たりだ。
息を整え、そっと近づいて様子を伺う。
祭壇の前に跪いて祈りの姿勢を崩さない。
どうやら神様に相談事があるらしい。珍しいな。
今日は司祭が来ていないから、聖堂のある広場には人気が全く無い。
静寂に包まれたまま5分が過ぎた。
そのまま私も動けないでいると祈りを終えて立ってようやくこちらに気が付いた。
「あ、ルイス。また僕を探していたの?」
さっきまでの深刻な顔を拭い去ってにっこりと微笑む。
私の大変さも知らないで・・・。
「そうですよ。最近こうやって打ち合わせの時間になるとふらりと抜け出して・・・。」
「心配してくれるのかい?」
「ええ。侍従長が倒れないかと。」
「えー、僕の心配じゃないの?酷いなぁ。」
「冗談は此処までにして、戻りますよ。失礼。」
王子の細い手首を掴んで歩く。いやいやと抵抗してその場から離れようとしない。
打ち合わせが滞っていることもあり、
「王子!我侭はいい加減にして下さい!」
さっきまでの王子の様子も忘れてつい怒鳴ってしまった。
俯いた王子の顔から水滴がこぼれた。
オリバー様のこんな様子は初めてだ。他の王子らが泣いて嫌がっていた勉強も行儀作法も武術の訓練も不満一つ言わずこなしてきたのに。
そんなにきつい言い方だっただろうか?
私はどうすれば良いか分からず手首を掴んだまま王子を見つめて立ちすくむ形でいた。
「手を放せよ。痛い。」
ようやく王子が口を開いた。私はかなり強く掴んでいたらしい。
手を放したら左手首に赤く跡が残っていた。王子はそれを庇うように袖の下に隠すと私に背を向けて顔をごしごしとこすった。
「一人前の男になんて、僕がなれるわけないじゃないか・・・」
消え入るような声で呟いた。
「母上は僕に王位継承をさせたくてこんな事をしているけれど、へージェン兄さんの方がずっと王に相応しいと思うんだ。武術ができて兵士からの人望もある。」
へージェン様は正室の一人息子でオリバー様の異母兄弟に当たる。
オリバー様の母上のバレッタ様は交易で莫大な富を築いた商家の一人娘で多くの持参金を持って側室として後宮に入った。
オリバー様を出産した際に子宮を患ってしまい一命は取り留めたが以降妊娠が望めない身体になってしまった。自分の血を分けた子供はオリバー様のみである。
男であれば王位継承者として丁重に扱われるが、女であれば政略結婚の材料になるだけであろう。
姫だけを産んだ後宮の女は姫が嫁いだ後はすっかり邪魔者として扱われるのが目に見えている。
幸いその頃王は外交上の問題を解決するために他国を巡っていて2・3年ほど本国に帰還されなかった。
バレッタ様はこれ幸いと出産に立ち会った乳母と侍医に賄賂を渡してオリバー様の性別を男だと偽り続けたのだ。
乳母の子供である私も母さんから耳にタコが出来るほどにオリバー様を男として扱えと言われ続けた。
王は現在病床につき、王子の誰かが王位を継承するのも時間の問題だ。
「オリバー様だって王位継承者として恥ずかしくないですよ。兄弟の中で一番語学に秀でて、その点で一番お父上に似ていらっしゃる。」
王子は背を向けたまま空を仰いだ。
「でも僕じゃ妃を迎えることが出来ない。成人したらいつか結婚相手を決めなくてはいけないだろう?僕が男なら相手は女性。子供は出来ない。いつまでも騙せるものじゃないんだ。」
正論である。でもこちらも何か言わなければ王子に押し負けてしまう。
「バレッタ様が何とか手配して下さるでしょう。例えば女装した何処かの貴族の御曹司とか。」
慰める言葉が見つからなくて言っていることが滅茶苦茶になる。
王子はくるりとこちらに向き直って、泣きはらした目でびっくりするようなことを言った。
「じゃあルイスが僕の結婚相手。ちゃんとドレスを着てさ。名前はルーシー。」
自分が貴族の子女に扮している姿を想像してしまった。冗談にしても酷すぎる。この冗談は流そう。
「王子、打ち合わせに・・・」
平手打ちが飛んできた。
王子がしたたか私の顔を打ったのだ。
視界に星が走り状況を飲み込めないでいると王子が私の肩に手を回して顔を覗き込んできた。
真っ直ぐな瞳に射抜かれそうになる。
「ルイスってば酷い。僕が心臓が破裂する思いで愛の告白をしたっていうのに。」
何て突拍子もない。
「あれ愛の告白だったんですか?」
声が思わず上ずった。
「『ルイスが僕の結婚相手』って言った。何回も言わせるな。」
怒っているらしい。
「申し訳ございません。しかしあんな言い方じゃ冗談にしか聞こえませんよ。」
「僕は本気だよ。こっちに来て。」
「え、ちょっと・・・」
王子は私のマントの裾を無理矢理に引っ張り、聖堂の中に連れ込んだ。
誰も居ないのを確認すると聖堂の扉を閉め、閂をかけた。
ステンドグラスから差し込む光が王子の火照った顔を照らす。
その場で王子は自らのマントの止め具を外し、床にパサリと落とした。
これから何をするつもりなのか大体分かった。
駄目だ。
ここを離れなくては。
「逃げるなよ、ルイス。」
ステンドグラスの光をサファイヤのような目に反射させてオリバー様が私の背中に手を回す。
細い指が私の背中を這う。
直立姿勢だと頭一個半くらい身長差がある。
顔を私に近づけようと背伸びする。
「ルイスって意外と大きいね。もう少し屈んでよ。」
「出来ません。」
必死の思いで直立姿勢を保つ。目をぎゅっと瞑る。欲望に負けては駄目だ。
「しょうがないなぁ。僕としては順番にやりたかったんだけど。」
カチャカチャと音がして腰の辺りに動きを感じた。
オリバー様が私のズボンを外しにかかっている。
「いけません!何をなさるのですか!」
「だって屈んでくれないから。」
半分ズボンがずり落ちてしまった。あわてて逃げる。脚にズボンが絡んでそのまま床に尻餅をついてしまった。
オリバー様がすばやく私の上に乗った。
にやりとしたかと思うとすかさず口を付けてきた。
「いけません・・・王子」
喋ろうとするとすかさず王子の舌が口唇を割って進入してきた。
密着した唇。口内を這うオリバー様の舌。
息苦しくて空気を吸おうとするとオリバー様の唾液が喉の奥に流れる。
ねっとりとしたものが喉を通過した。
「ん・・・あ」
オリバー様も息がしにくいのか、切ないような声を上げる。
いつの間にか私が押し倒されてオリバー様の全体重が私の上に圧し掛かる形となった。
口付けをしながらオリバー様は自分のズボンも脱いでいて、白い脚が露になっていた。
腰を動かして下着越しに秘所や柔らかな尻を触れてくる。
下着越しからでも湿っているのが分かった。
自分のものもだんだん硬くなっている。
オリバー様は一度口付けを止め、宝石のように潤ませた瞳で私を見下ろしながら言った。
「お願いルイス、欲しい・・・」
そう囁かれた私は理性の箍が外れた。
華奢なオリバー様の身体はすぐに私の下に組み敷かれた。
短く切りそろえられた金髪が床の上に流れた。
首筋や肩に滅茶苦茶にキスをして痕を付ける。つややかで柔らかな肌に舌を這わせてオリバー様の味を確かめる。
なお身に纏っているシャツのボタンを毟り取るようにして外し、胴体を締め付けている特注のコルセットの紐を解く。
コルセットを取り去るとこちらに向かってそそり立つ赤く色づいた二つの頂が現れた。
締め付けられてもなお、美しい形と弾力を持つほどの大きさを保っている。
「ルイス・・・」
まじまじと鑑賞していたらさっきまで自分を押し倒していたオリバー様が恥ずかしそうに自分の名を呼んだ。
そうだな、早く楽しませてやらないと。
膨らみの片方は手のひらで捏ねるように圧迫し、もう片方は頂点を口に含んでゆっくりと転がす。
「いっ・・・んん・・・やん・・ああっ!」
痛みと快感に悶えながら私のマントをぎゅっと掴む。
「そんなにいいですかオリバー様。」
責め立てるような言葉が口を突いた。
「オリビア」
「ん?」
「オリビアって呼んで。それが本当の名前だから。」
「オリビア」
「もっと」
「オリビア」
「ルイス・・・。」
口付けを交わす。
私は自分のマントを脱いでオリビアのしっとりと汗ばんだ裸体の下に敷いた。
「好き・・・ルイス。」
そう呟くとオリビアは私のシャツを脱がしはじめた。
首筋や胸元に口を付けて肌の味を確かめながら。
お互い恥部を隠す下着以外身に纏わぬ姿となった。
オリビアは私の下着の紐に手を掛けた。
屹立した自身が姿を現す。
「すごいね・・・これ。」
まじまじと感心した様子で見つめる。
そんなに見つめられると変な気分になる。
つんと指でつつくと更に赤く大きくなった。
「オリビア、いじると駄目だ。我慢できなくなる。」
オリビアの腰を愛撫しながら下着を一気に下ろし、白い脚を開かせた。
「やだっ・・・まだ・・・」
抵抗するオリビアをよそに私はまだ味わっていないオリビアの腰の辺りや腿の裏に滅茶苦茶に口を付けた。
「やだぁ・・・そんなところ・・・うぁっ・・・」
恥ずかしそうに身もだえする。
チュウと吸ったり、舌を這わせたりしてオリビアの反応を楽しんだ。
オリビアの呼吸が荒くなる。
「これくらいで気持ちよくなられては、困るんだが」
恥部に手をかけ、挨拶代わりに蕾を摘み、蕩け始めている襞の中に指を入れた。
「ああっ!」
今までよりずっと敏感なところを弄られて溜まらず苦悶の叫びが漏れた。
「痛い?」
呼吸を整えて、気丈にもオリビアは頭を振った。
「無理はしないで。痛かったらいつでもやめるから。」
泣きそうな声でオリビアは答えた。
「お願いやめないで。僕は大丈夫だから・・・」
「分かった。やめない。だから力を抜いて。」
こくりと頷く。
今まで抵抗していた脚の力が抜けた。
「上手だ。そのままで。」
さっきより奥に指を入れ、更に一本増やし入り口を広げる。
「はぁ・・・っ」
そっと往復させて硬くなった突起の裏側を撫でた。
「ふう・・・んんん!」
「いっ・・・ああああ!」
経験したことのない快感のやり場が分からず、下に敷いたマントを必死に掴む。
「はぁっ・・・やん!
敷物は乱れて、布の皺がオリビアの下に波紋を寄せた。
もっと最奥に指を入れようとしたその時
「ああーー・・・っ!」
達した。
肉壁が指にまとわりつき、オリビアの身体が弓なりになって硬直し、直後にだらりと力が抜けた。
とろとろと液体があふれ出し、オリビアの腿や私の指を濡らす。
トロンとした目で天井を見つめるオリビアの上に身体を重ねた。
恥部と恥部の距離を詰める。
私の様子に気が付いたらしくオリビアと目が合った。
「ルイス・・・早く来て。」
切なげな声で私を呼ぶ。
「ああ」
先ほどの淫らな様子を見せられてこれで終わるのは不満だ。
「入る」
十分に濡れたそこは雨上がりの花のように鮮やかに色づいていた。
「いやぁっ」
入り口に触れただけでオリビアは反った。
腰を抑えて、さっきの指よりずっと太いそれをゆっくりと挿入する。
指でも入れなかった狭い箇所に当たった。
苦しそうなオリビアの唇に口付けし、腰を一気に進める。
ぶつりと振動が走り処女膜を破ったのを感じた。
「あああああっ!」
破瓜の痛みに抑えていた声が一気に漏れた。
のろのろと腰を往復させ、奥をかき回し、突く。
「ふあっ・・・ん!あん・・・!やっ!」
下半身から脳天に突き抜ける快感にオリビアは嬌声を上げながら私の腕を掴む力を強める。
オリビアの嬌声が私の脳内に反響し、下半身の熱となって巡る。
極限まで密着し、ぶつかり合い、汗にまみれる身体。
お互いの体温がどちらのものともつかなくなった。
腰の動きが自然に早まり、目の前が真っ白になってきた。
・・・出る!
オリビアの胎内が肉棒を搾り取ろうと収縮したとき、私は血と愛液にまみれた自身を抜き、オリビアの腹上に白濁した熱い液体をこぼした。
「ルイス・・・どうしてこんなことを・・・?」
仰向けに身体を横たえたオリビアは消え入りそうな声で私に尋ねた。
だるさに支配された身体をどうにか起こし、服のポケットに入れてあったハンカチでオリビアの腹を綺麗に拭っていた。
「あなたに孕ませるわけには生きませんから。」
「どうして?」
「女だと明かすのは現状ではまだ早すぎます。へージェン王子が王位継承をするまで待ちましょう。そうすればバレッタ様も手出しは出来ないはず。
貴方がまず立派に王子として成人の儀を迎え、語学を生かして外交官として実績を積み、へージェン様のサポートに徹するのです。
誰もが貴方が王国には必要不可欠な存在として認めた暁に性別を明かして下さい。
へージェン王子は非合理的な伝統を嫌う方ですから、そうすれば貴方も政略結婚のダシというような、悪い扱いは受けないはずです。
城を一つを当てがわれるぐらいにはなるでしょう。」
オリビアに射精するその時、最後の理性が頭の中に蘇り、このまま進んではいけないと叫んだ。
今の提案もオリビアに最良の方法はないものかと聖堂の静寂の中で必死に考え付いたものだった。
オリビアは納得した様子だった。
よいしょと身体を起こし、私の手を握って言った。
「うん・・・。じゃあ僕王国初の女領主目指して頑張る。だからルイスも絶対僕以外の女の人を抱かないで。」
「はい、約束します。」
そう誓うとどちらともなくお互いに視線を交わし、唇に熱い接吻をした。
聖堂で王子を見つけてから2時間は経っていた。
侍従長はカンカンに怒っているだろう。
もう太陽が傾いている。
聖堂を出るとき王子を見つけたときに気になったことを尋ねてみた。
「そういえば王子、此処で何をお願いしてたんですか?」
王子はくるくると私の前に回りこみ「えへへ」と照れ笑いしながらこう答えた。
「ルイスと結婚できますように って!」
乙です
オリビア可愛いな
GJ!
521 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/19(木) 15:45:33 ID:ufQZW/hu
あげ
まだまだ
そういえば、ドラマの中でも男装したものが一昔前にあったが
>>523 それなんてドラマだった?
もっとも最近のドラマで男装が出てきたのはラストフレンズか。
しかし性同一障害なんで厳密には男装と違うが。
イケメンパラダイス(笑)のことじゃないの?
女優が男装して男役をやっていたと言えば、大河ドラマの太平記は外せない。
527 :
523:2008/07/04(金) 10:16:13 ID:Lmg//hon
おれが取り上げた一昔前にあったドラマは荻野目洋子さんが時々男装して潜入操作をする役割が時々あった『甘えないでよ!』
=ガクランやスーツではあったがさらしはしていなかったようだ
>>527 それって「こまらせないで」では?
「あまえないでよ!」は斉藤由貴主演で男装関係なかった
530 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/08(火) 17:56:05 ID:da1XP6n1
ほす
昔、イギリスの大学は女子を受け付けなかったそうだが。
日本でも似たようなもんだ。
学問ってのは男がやるもんであって、
女は家事ができて、家で夫の帰りを待ってればそれでいい、
という考え方は、どこの国でもそれなりにあった。
だからこそ、男装少女の存在する余地が!
十年近く前に関西のローカル局で、タイトル忘れてしまったが香港か台湾の映画で
古代の中国が舞台で、ヒロインが男子しか入れない学校に男装して入学し
そこで出会った男子と恋に落ちる、みたいな内容の映画が深夜に放送されてたのを見たな
話変わるけどここの住人は男装物のAV(もちろん三次元)に興味ある人っている?
一応その手のやつを興味本位でぐぐってみたんだが
自分はAV女優が男装してるパッケージ見ただけで引いてしまったorz
二次元や普通のドラマ・映画の男装は萌えられるのに
なぜかこれには違和感を感じずにはいられない・・・
男装した女性の魅力は男装しても隠しきれない女性らしさなんじゃないかな。
AVだと女性の面を表に出しすぎてるからダメなんじゃないの?
よし、おまいら
今すぐペルソナ4を買ってくるんだ
お前ら、『風よ、万里を駆けよ』の木蘭は知ってるか?
ムーランなら知ってる
あの国は、男装の麗人が好きらしいな。
木蘭とか、祝英台とか、川島芳子とか。
日本だって平安時代から男装文学作品があるじゃないか
ところで男装のバレ方といえば
帽子に隠してた長い髪がこぼれたり、サラシ見られたりするのが王道かな
レストランのウェイトレスとして働いている彼女をゲットした。
お店にいっていい?と聞いたが恥ずかしがってだめだというので休日に会うことにした。
普通のエッチにも飽きてきたのでウェイトレスプレイがしたいといったら
彼女はオッケーしてくれた。半年に一度、服が多く支給されるのだそうだ。
服に料理のニオイなどがつきやすいとか、休日以外は毎日着ないといけないし、
やはり客商売のため清潔な服を着る決まりになっている。
普段は会社でクリーニングに出すのだが、古いものはもらってもかまわないそうだ。
そして彼女と会って、軽くデートしたりなんかして楽しんだ。
食事は将来シェフになりたい彼女が食べてみたいお店にいった。
今日の彼女は普通に女の子っぽく、かわいい感じだ。
デートも終盤、ちょっと早い時間だけどホテルに入ろうかな。
「な、なあ、今日、いいだろ?」
「・・・いいよ。ちゃんと持ってきたし。」
よっしゃ。彼女と近くの最近できた新しいラブホテルに入る。
中世のお城をモチーフにしたお城の部屋があった。
これだっと思った俺は、ちょっと高いがボタンを押し、部屋に入った。
「じゃあ着替えてくるから。びっくりさせたいからのぞいちゃダメだよ!」
彼女が着替える音が聞こえる。それだけでも何か興奮する。
「じゃーん、えへへ、どう?」
てっきり女の子っぽい格好かなと思ったら、これがバリバリの男物のスーツでかっこいい。
さっきまでの女の子女の子した服とは雲泥の差である。
「男女共通だから仕方ないのよ。」
とはいっていたものの、髪型もアップにして、服もビシッっと着こなしている姿は絵になる。
男装の令嬢みたいだ・・・。
「ねえ、料理を出すまねしてよー」
「えー、なにそれ?まあ、いいよ。」
彼女は料理を出すふりをした。
「なんだこれは、料理がないではないか!お前を料理してやる〜」
「きゃあ、あ、ちょっと、もう、なにすんのよー」
そのまま彼女をX型の貼り付け台に寝かせて縛り付けた。
タイトなスーツを着ている彼女をよく観察する。
彼女の細い足にぴったりあういいスーツだ。
だがお尻はちょっと大きくきつそうだ。パンティラインがくっきりうつる。
上半身にいくと細い腰に合わせて作られているが、
胸の大きなふくらみにシャツがひっぱられて結構きつきつだ。
「なんかこれ体のサイズにあってないんじゃないの?」
「結構歴史と伝統があるレストランで、創立当時は男性だけしか入店できなかったんだって。
だからこのデザインじゃないとだめみたいなのよ。いまさら変えられないってやつ。」
「でも、結構、えろいぞ。この服いらないなら、やぶったりしてもいいんだよな?」
「やだぁエッチ。やぶったりとかしてもいいよ。それじゃ・・・していいよ。」
さっそくX型の貼り付け台に寝かせて縛り付けた彼女をいじることにした。
「なにぃ、女人禁制のこのレストランに女性が紛れ込んでいるだと!検査する!」
「ちょっと、そんなの昔の話だよー。今は誰でも就職できるし食べられるよ?」
「う、う、うるさい、そういう設定なんだよ、とりゃ!」
彼女の体を触ってみる。
「く、くすぐったい!きゃあ、あーん、もう!」
「な、なんだこれは!股間には何もないではないか?やはりおなごだな?」
「・・・これは・・・私のようなものがご夫人と間違いを起こさないよう
自ら切り取ったものでございますゆえ、私は男でございます、ご主人様」
おっ、乗ってきたな?と思った俺は、胸をもんでみる。
「こ、これは胸が膨らんでいるではないか?やはりおなごでは?」
「・・・これは、胸を鍛えたから大きくなっただけでございます、ご主人様」
そうきたか・・・ふーむ。これはどうしてやろうか。そうだ!
「それではテストをしてやろう。この台に電気あんまを取り付け股間につけてやる。
その間にわしは胸を触診じゃ!うはははは!」
彼女に取り付けたそれをスーツの上から股間に当てると彼女はびくんとしたが、
その後は快楽を受け入れているようだった。
スーツの厚い生地の上から重量感のある胸をさわると、ぐちゃぐちゃにもみしだいた。
「ひあああん!」
「ん〜?かわいい声をあげおって。これはおなごか?」
「ちがい、ああん、ますう、はぁ、はぁ」
「まだまだだな、それでは」
スーツのボタンをはずし、ワイシャツの上から触りまくる。
今度は薄い感触だがブラの感じがわかる。
「ほらみろ、ブラジャーをしておるではないか?」
「これ・・はぁ・・・むね・・・あて・・・」
「なにを、それでは股間をぐしょぐしょにしているのは何だ?」
「あせ・・・です・・・はぁはぁああん」
もう、俺も彼女も限界のようだ。
「じゃあここを見せてみろ!」
電気マッサージ器をとめて、はさみで股間の部分を切り取る。
「ほら、女性器があったではないか!」
「申し・・・わけ・・・ございま・・あぁん・・・せん・・ぁぁ」
「この館の主人として、おしおきだ!」
俺はギンギンに大きくなった股間にコンドームをつけ彼女の中に入れてみた。
「ひああああああ」
もう完全に出来上がっていた彼女は、それだけで気持ちよくなってしまったようだ。
「あっ、あっ、あっ、あっ、あぁん、もっと強く・・・。」
「お、お仕置きだから、もっと無理やりやってやる。はあ、はあ」
ワイシャツを左右に引き裂くと乳首を露出させ、それをいじりながらの高速ピストン。
ぐっちゅぐっちゅぐっちゅぐっちゅぐっちゅぐっちゅぐっちゅぐっちゅぐっちゅ
「あぁんあぁんあぁんあぁんあぁんあぁんあぁんあ、あ、あ、あ、いくーーーーー」
「お、俺もでるっ、くっ・・・」
「はぁ・・・はぁ・・・」
息をつきながら彼女の拘束を解いていく。
「あっ、いつもより、いっぱい、出たね。・・・喜んでくれてうれしい。」
「うん、すごく、よかった。ちょっと変わったプレイだからかな?」
「こういうプレイが喜ぶのかな?あのさ、ちょっと提案があるんだけど・・・」
次にあったとき逆に俺が足や脇の毛をそられたり、化粧させられたり、
女装させられエッチされてしまったのも、いい思い出である。
〜END〜
神to戦国生徒会の天田秀光は概出ですか?
新感覚癒し系魔法少女べホイミちゃん2巻で主人公が男装してるよ
使命の為男子校潜入するもすぐバレるし、色気皆無の展開w
ただ男装(ガクラン)が似合ってたんで良し
男装しようとしている少女がブラジャーを外してさらしを巻く姿はいつ見ても萌える
男装少女→女装少年→ショタとなってしまった俺がここに
お前らも気をつけろよ……
むしろもう手遅れだ
男装少女→TS→BL・ふたなり耐性がついた俺がここにいる
だが後悔はしていない。ああしていないともさ
そういえば女とばれる時にはエロがある作品とない作品があるが
基本的に女だとバレる場合って
本人がバラす以外じゃ裸とか胸とかを見られたり触られたりする微エロ展開が入るのが普通じゃない?
と、思ってしまう俺はきっと心が汚れてる……
同じく。
「お前女だろ」
「そっ、そんなワケないだろっ! 僕のどこが女だって言うんだ!!」
「どこって……こことか?」
「なっ、どっ、なななな……何処触ってんだよっ!!」
「おー、さっすが重装歩兵。鍛えてるだけあって、柔らかいけど固いな」
「ちがうっ!! これはその……訓練の時ぶつけて、こぶができたんだ!!」
「……胸に?」
「そうだっっっ!!!!!!」
「そっかそっか。こんなでっかいコブが出来てちゃ行軍に差し支えるよなあ。医務室行くか?」
「駄目っ!!」
「でも、こんな膨れてたら痛いだろ?」
「んっ………い、痛くなんかないっ!」
「本当か? てっぺんとか赤くなってるぞ?」
「ひゃっ!!違うの、違うから、怪我とかじゃないから、医務室は連れてかないでっ……」
「成る程。怪我じゃないなら何なんだ?」
「…………むね、です」
思わずこんな想像をしてしまったぜ。
俺は心が汚れていたのか。
※パリイ! やベアが浮かんだ人は男装少女にされてしまいます
女とばれてから大人気になるが、ある一人からのアプローチ以外は
ことごとくパリイで避けるわけですね。
わかります。
俺は、まだTSで止まってるから大丈夫だ
ほ
誰か伝説の男装の麗人アニメ三銃士のアラミスのSS頼む!
神職人の降臨待ってます。
この属性に嵌ってしまった全ての元凶であります!
相手は?
懐かしいなアラミス、自分が生まれて初めて知った男装キャラだ
あれがアニメオリジナル設定だなんて当時全然思わなかったw
アラミスのエロだったら結構ネット上に散らばってる
エロ有りの漫画(プロ級)描いてる人もいるよ
いろいろ具具って見てきた。エロといえどもあれはどうしたって腐女むけという希ガス。
エロパロとは言い難い。萌えるえろぱろを頼みたい!
元々そっちの方に人気あるキャラだからな>アラミス
二次創作もエロパロというよりBLの延長みたいな感じなのがほとんど
だからそっち系向けのやつばかりになるのも仕方ないかと思われ
ていうか男装の麗人系自体がどっちかというと腐に人気の高いキャラであるわけで・・・
アラミスの前にオスカルとかサファイアがいたことを忘れちゃいけないと思うんだ
今瞬の男装少女ならペルソナ4の直斗
アラミスはオスカルを意識して作られたキャラクターのように思えるが
俺もな…子供の頃からアラミスに何かこううまく言えないムラムラしたものを感じていた
ペルソナ4は男装僕っ娘が出てくると知って即買いしました
フヒヒwwwwwサーセンwwwwwwwwww
ペルソナ4男装少女いるのかよw明日買ってくるわ
>>565 マジレスするとオスカルとは全く関係ない。
アラミスを女に設定にしたのはアニメ三銃士に製作段階で参加したあのモンキーパンチ。
それ前提でパイロット版が製作され違和感がなかったので男装キャラとしてのゴーサインが出た。
ちなみにアラミスは22歳。
俺はガキの頃ムラムラどころかおかずにしてしまった初アニメキャラだ。
原作だと第二部で坊主になってて、しかも悪役なのになww
>>558のようつべが見られなくなってる
よかったら誰か再うpしてくれ
ククルカンのつばさが俺の男装嫁
>>567 モンキーパンチとオスカルで思い出したんだが
ルパン三世のアニメ第二シリーズにオスカルがゲスト出演してた回があったな
この話についての双方のファンの評価は微妙らしいが・・・
>>549 早川FTレベルの一般作品でも、アンソニーの小説で、男装がばれて輪姦寸前まで行った話があったな。
その前には、小便したらばれるから、服をぬらして女とばれるか、体をぬらすか悩むなんてシーンもあったっけ。
982 :名無したん(;´Д`)ハァハァ:2008/08/13(水) 21:31:12 ID:TOHRtlqG
究極の男装
競泳パンツ(ブーメラン)+偽チンポ
胸つぶしの晒しもありかも
>>567 そうなんだ、ひとつ利口になったよ
モンキーパンチGJだな!
>>573 まぢで??
声も本人だったのか?
そういや昔
徳間ファンタジー文庫(うろおぼえ)で復讐のために男装して戦うお姫様の話があったな
確かタイトルは「永遠のフィレーナ」
傷を負って手当てされるときにばれそうになったりピンチの連続
投下します
前スレ埋め「お前男なんだろう?」続き
トリ付けていませんが自作です
凌辱/鬱エンド注意
「最近付き合い悪くないか? 遅刻やサボりもやんねーで真面目人間なんて格好わる」
「心入れ替えたんだよ、ほらぁ、うちの風紀委員も熱心に指導してくださるしー」
横を通り過ぎるさなかにいつもの釣り目で当然だ、とねめつけて行く。相変わらず高慢な奴だ。
「さすがのオマエもあの風紀委員サマには敵わなかったか。オレも考えてみるかなあ」
もう手遅れじゃねーの、と悪友らとだべりながら、背中越しに窓辺にいる奴の動きに気を走らす。
イケメンでスポーツマンの元生徒会長と何か話している。どっちも俺ら落ちこぼれ組と違って
さっさと推薦で進路が決まり余裕しゃくしゃくの様子だ。
涼しげな目にショートカットで長めの前髪をかき上げる仕草に、女どもはため息をつく。
風紀委員で規律を守る奴の言い分はいつも正しい。
だがな、内側は……
こっそりポケットの中のリモコンのスイッチを入れると、背後で息を呑むのが分かった。
強めに上げていくと話し声が途切れがちになって、ぅん、とかあぁ、しか言わなくなる。
どうしたんだい、具合悪いのかいと元生徒会長が聞いてる。
大丈夫だとかろうじて答えてるのに上ずって息が荒いのはどう見ても変だろう。
「あぁん……っ!」
最大にするとたまりかねて声が出た。俺は内心にんまりとしてせせら笑ってやった。
すまないっ、と叫んですれ違いざまに俺の背中を叩き奴は教室を飛び出していく。
「そんなん急いでウンコかぁー」
「うるさいっ!」
声を掛けると怒りと羞恥に顔を真っ赤にして吐き捨てて行った。
ちょっとぉー、下品ー。格好いいからってひがんでみっともないーっと女子が口を尖らす。
下品なのは奴だろ。バイブでかき回されて今頃マンコぐちょぐちょになってるぜ。
人前であんなエロい声出すし、何考えてんだ?
「……少しいいかい?」
ぽん、と気難しい調子で元生徒会長が肩を叩いてきた。
「お前ほんと美味そうな顔してしゃぶるよなあ。男のくせに人のチンコ大好きだもんな」
悔しそうな上目使いがたまらない。嫌がりながら舌先でつつくはちゅうちゅう吸うわで、
つい5分前に、教室であんな事をするなんて、と怒鳴り散らした影は跡形もない。
『あれから自分でオナってたなんて、よくやるよなあ、学校で。匂い残ってるぜ』
飛んでくる張り手を掴んで指先を嗅ぐと、そんなはずはない!と反論する。
『してたんだ。風紀委員サマが。お下品サイテー』
『違うっ……あ! あああっ、あんっ、あぁん、ああぁ、やぁ、あはん!
あぁ、ん、はうっ、抜いて、抜いてっ、あん、いや、いっちゃ……ぁ、っ! ああぁ!!』
またちょっとスイッチを入れただけで、俺の制服の襟を鷲掴みにしながら膝をがくがく震わせた。
下だけ脱がせてるから上着の裾から白い素足と陰毛がちらちら見えて、やらしさに磨きがかかる。
『男として立派に保つように手伝ってやってるのに、その、すぐイク所どーにかなんねえの。
嫌ならとっとと自分で抜けばいいのに、入れっぱなしなのはそーゆーことだろ?』
『それは君が……っ、皆に言いふらすと……』
肩を震わせながら涙目で見上げて訴えてくる。睨み付けてるんだろうが、抜けかけたバイブから
ぼとぼと汁を垂らしまくって意味無いもんだ。太股どころか床にも滴り落ちてやがる。
一応引き抜いてやると、ほうと大きく安堵の溜息をして寄りかかってきた。
ふわりと漂うシャンプーだかの匂いが鼻につく。
『お前ばっか気持ちよがって俺は無視? 男ならどーすればいいか分かってるよなあ』
どろどろに汚れたバイブを奴の鼻先にべたべた引っ付けると、猛烈に眉をしかめて顔をそむけた。
男だろ? と催促すると奴は無言でしゃがみ込んで、俺のチンコを取り出して咥えた。
「ぅくっつ、ん、うううっ、んぐっ」
全部飲ませるとたまりかねて洗面台に突っ伏して口をすすぎ始めた。
こっちに腰を突き出して、履かせていた黒革下着の食い込んだ後が尻のまわりに薄赤く残る。
うがいをするたびにクリや上下の穴までもひくついて、まだ愛液が沸いて出てる。
指で弄ると、いやぁと鼻を鳴らして催促しやがる。よほど疼いてるんだ、本っ当に好き者だなこいつ。
腰を抱えて亀頭で上の穴を突付くと驚いて頭を振って抵抗する。
「いや! そっちは違う! やめてえ!」
「男同士なら尻の穴だろ」
「やぁっ、いや、いたいの、いたいっ、やめてよぉっ、おねがいっ、そっちはいやぁ」
遊び半分だったが本気で嫌がる様子が嗜虐心をそそり、そのままねじ込んでいく。
何度か抜き差ししているうちに涙声混じりの喘ぎになってきて、感度の良さに舌を巻く。
入り口がきゅんきゅんと締まって手コキされてるみたいな気持ちよさだ。
再度アソコにバイブを突っ込んで動かすと、奴は気が狂ったような嬌声でよがり始めた。
「ぁぁああ! ああ! あっ! ああーーーっんっ! 変になっちゃうっ、おかしくなっちゃうっっ!!
いや!! やめてぇええ、あ、あぁあんっ、ああぁ! あぁ、だめっ!もうだめぇ!!」
膣壁ごしにぐりぐり刺激される感触は予想外にクるもんがある。癖になりそうだ。
鏡に映った奴の顔は情欲にまみれてる。吐く息で鏡が曇って見えなくなる。
腰をグラインドさせ髪を振り乱して叫ぶことしかできない、やらしい生き物だって自覚しろよ。
「ああーーーっ、あああぁぁ!!」
一瞬奴の躰の穴という穴が全部きゅっと縮んで、引きちぎられそうな恐怖と快感が同時に襲ってきた。
その熱さに抵抗できず奥へ吐き出すと、受け止めるみたいにぶるぶると痙攣しながら脱力していく。
するとびちゃびちゃという水音がして、蒸れる匂いとアンモニア臭が立ち込める。
黄色い液体が床のタイルの溝に流れていく。その合間にぽとりと白っぽい汁がいくつか落ちて溜まる。
「うっわぁ、お漏らしか風紀委員サマ。トイレなのに便器の外にするなんて、この歳で恥ずかしーなぁ」
「……い、……やぁっ、うく……っ、あ、……ぁあっん!」
あざ笑いながらお仕置きだと尻を平手で叩くと、穴からどろりと漏れ出した。
「お前がやったんだからちゃんと掃除しとけよ」
「……わかって、る、……」
しゃくりあげて泣き出しそうなのを必死にこらえてる癖に、まだ返事をする余裕があるのか。
本当に面白くて、……癪に障る奴だ。
「今日はどっちに入れようか」
早朝の教室でバイブを二つの穴に交互に向けながら聞いてみる。
「どちらも嫌だ」
一晩たつと高飛車な見下した目で相変わらず俺を見る。
机の上に全裸でM字開脚させ、解いたサラシで手首を足首に縛りつけられている、あわれな格好の癖に。
どうせやられると決まっているのに、嫌なら学校に来なければいいのに、もうとろとろ溢れさせている癖に。
言う事聞かないとバラされると本気で思ってるのかこいつ。――そりゃあバラすけど。
そしたらこうしていたぶるのも終わると分からないなんて、本当っに馬鹿な奴。
「あれだけよがっていたのにぃ? 癖になりそうで困るんだな」
「そんなことはないっ」
「じゃ選ばせてやるよ。……そん前に。お前、あいつ――――元生徒会長が好きなんだろう?」
な、――と奴の表情が一変する。判りやすすぎるな。俺がくっくっと喉で笑いながら顎を掴むと、
奴は精一杯虚勢を張りじっと見据えてきた。
「……だったら、どうなんだ?」
「こんな格好して2年半ばで転校して来たのも、男子クラスにいたあいつに近付くためなんだろ。
いじらしーよなあ。良かったな、成功してさ」
ごくりと動いた喉元に指を這わせて徐々に下る。手を広げて胸をゆっくり揉みしだく。
次第に吸い付く肌触りに変わるのを待って乳首の周りを爪でなぞると、押し殺した吐息が繰り返し漏れる。
「こういうことされたいとか思ってんだろ、俺にされながらあいつの顔思い浮かべてたんじゃねーの」
耳に息を吹きかけながら囁く。顔は真っ赤になってもう俺と目を合わせようとはしない。
乳首を押しつぶしながらゆるくこねると、ゆらゆら腰が動く。
「し、ないっ、僕は、あぁ……ぁ、……んっ」
「嘘つきが」
ゆるゆると動くバイブを大股開きの割れ目に当てると、縛った手足をばたつかせて呻く。
膣口に少しだけ潜り込ませ、全身がぶるぶる震え始めるのを確認して、尻穴へと移動する。
「どっちに入れてもらいたいんだ? あいつに」
「あー、ん……、そこ、に……っ、ぁあん……!」
「マンコか、ケツか? はっきり言え。でないとここで止める」
「…………んう……っ!……ぉ……、っお……、………………ぉ、まんこ、にっ……!」
「ふーん…………だってさあ。元会長ーーーーっ!」
あらかじめ話をつけてあった元生徒会長が影から出てきて、イク寸前だった奴は心底驚いたようだ。
「ほどいて!いや、見ないで、くださいっ、わた……、僕はっ、あぁ、離して!恥ずかしい!」
あられもない姿を恥じて暴れる肩を後ろから押さえつける。
元生徒会長は平然と手を伸ばしてぷるんと揺れる胸や乳頭を撫で、舌で体中を舐め回した。
奴はじきに鼻にかかった甘ったるい声を出し始めたが、イキそうになると動きを止められることを
繰り返されて、切なそうに目に涙を溜めて相手を見つめていた。
何度目かの焦らしの後で、元生徒会長はさも女どもが好きそうな優しげな微笑で話しかけた。
「僕は君をとても買っていた。品行方正で成績も良く皆に好かれ、君こそ、この学校の生徒の鏡だとね。
素晴らしい男だと信頼していたよ。――女だったとはね……、何故黙っていた?」
「あな、たに、嫌われるかも、しれないと……」
「実はね、告白すると、君には大事な……友人以上とも言っていい感情を持っていたよ」
「んぁ、は、ぁ……、ぼ……私、も……ずっと、好きでした……して、抱いて、ください……」
嬉しそうにとろけるような、女みたいな猫撫で声で答えやがる。
「断る」
表情を変えずにべもなく言い放つ元生徒会長に、奴は真っ青になった。
「女なんてみんな同じだ。恥じらいも無く脚を開いて、ゆるい穴に欲しいとせがむ。
自分の快楽しか考えられない醜い肉欲の塊だよ。実に残念だ。そんな雌豚と君が同類だったなんて」
「……違い、ますっ! これは、無理矢理で!私は、」
「では、その男にペニスを挿入されて、射精するまでイカないままでいられるかい?
我慢出来たら僕がイカせてあげるよ」
「ほー、面白ぇ」
いけ好かない男だとずっと思ってて、この場に呼んだのは賭けだったが、なかなか分かる相手じゃないか。
「……ぅ、……んぅ……っ! ……、ん、……っ、っ」
後座位で膝を持って上下に揺する。解いてやった手で口元を押さえて声を出すのを我慢してる。
汗ばんだ肌は今までのどんな時より火照って襞のひとつひとつが吸い付いて絡んでくる。
「ほら、ぐちょぐちょのとこ視姦されてる。頑張れよ。男見せる機会だぜ」
んくっ! と唇を噛みしめながら首を振って耐えている。
いつもはとっくにイキまくってる筈なのに、恋する力ってやつか、ご苦労様。
突くのを止め恥毛や体をなぞりながら、中で回して催促する。
「もっとそっちから腰振らないと俺はイケないなぁ。本気でやってんの? あいつとしたくないの?」
鼻を鳴らして熱い息だけを吐いていたが、仕方なしに顔から手を離して俺の腰を掴むと、
自分ですりつけ始める。次第にぐいぐいと尻を押し付け、今まででも最高の締め付け具合で
びんびんにチンコを擦ってくる。
下腹部に力を入れて少しでも引き伸ばす。まあ、こいつが誰とヤろうが構わないけど。
「……ん、ぁ……あっ…………っ、あ、……、ぁ!」
漏れそうになる喘ぎを我慢する唇に、指をねじ込んで無理やり開く。涎が手のひらを伝う。
「気持ちいいならそう言えよ。お前の声エロくてヤバイから、すぐダメになるかもしれねぇ」
「…………っ! んぐ……、ぁ…………あふっ、……ああぁ、ああっ、ん! あ、ぁぁあん!
んぁあん! あぁあ! あん、あんっ」
空いた手でクリをこねて耳たぶを舐めると、ようやく言う事を聞いた。
それまで我慢していた反動か、堰を切ったように嬌声があふれて止まらない。
奴の動きもみるみる加速されて、激しく抜き差しする音がじゅぼじゅぼと鳴った。
甘ったるい声とびりびりと迫る射精感に、まるで女と普通にやってるみたいな錯覚がする。
乳房を揉みしだきながら子宮口を小突くと、仰け反って顔をすり寄せ舌をちらつかせながら欲しがった。
「いいの! いいのぉ、もっとして! して、ぇっ! あん! あん! いっちゃうのっ、いくぅ!」
「好きな男が目の前にいるのに、他の男でこんなによがってさぁ、……お前最低」
耳の奥に吹き込むと、奴はいやあぁっ!とびくついた瞬間あえなくイッた。
こっちの股間やズボンも濡れて汚されていく。引き抜くと奴は支えを無くして膝から滑り落ちてしまう。
そこへ俺は頭からぶっかけてやった。
ザーメンを髪から垂らしながら惚けた顔で余韻覚めやらぬ風紀委員を、冷ややかに腕組みをして見下ろす
元生徒会長の姿は俺から見ても爽快なもんだ。
「潮吹きまでするかい? 正にセックスしか頭に無い牝の姿だ。男の振りなんて聞いて呆れる」
「こいつ肉便器には無理か?」
「そんなものあちこちに転がっているよ。まだアナルに欲しいと言えば考え無い事もなかったが、
とにかく失望した。それじゃ」
扉がぴしゃりと閉められると同時に、奴は初めて声を上げて泣いた。
べそべそと女々しく泣くんで苛々して、思わず口に突っ込んで黙らせた。
絶妙なフェラに、俺はあっさりとイッてしまった。
「無事進路も決まったし、卒業出来るのもお前のおかげ、風紀委員さまさまだ。ありがとうな」
「ここを出たら、もう馬鹿な真似はしないと約束して欲しい」
「金輪際しないよ。お前を見て心を入れ替えた。見直したぜ。大した男だよ」
奴はあれからも全く態度を変えず男として振舞いつつ、卒業式の前日まで責めを受け続けた。
「そうか。僕も、君には……いや、今日でさよならだ」
ああ、と笑いかけると奴は顔を赤くしてあっちを向いた。初めて見る、可愛いと思える仕草だった。
「……でさ、クラスの皆もお前に世話になった礼がしたいって聞かないんだ」
がらりと教室の扉を開けて、中の男共の欲望にまみれた目を見た瞬間、奴は固まった。
「2時間もあればすむだろ、餞別にはうってつけだ。この先会うこともないけど元気でなあ」
ほらよ、と背中を押す間もなく、はやる連中に腕を体を取られて飲み込まれる。
みるみる剥がされて真っ裸にされると歓声が上がった。気の早い奴はもうチンコ出してしごいている。
「顔はもちろん、体に傷は付けるなよ。足すくわれるからなあ」
扉を閉めても俺の名を呼ぶ風紀委員の声が聞こえて、お前男なんだろう、しつこい奴は嫌われるぜ、
と誰もいない廊下でひらひらと手を振りながら退屈だったクラスを後にした。
そういえば、奴の名前は何だっけ、覚えてねーや。今更覚える気もないしこれからの俺には関係ない。
小春日和の空の下、俺は明るい未来に胸をふくらませ口笛を吹きながら校門を出た。
以上です
>倉庫管理人さま
お世話になっています
この話と小ネタの「つるぺた男装娘」も自作になります
次回収録時にまとめてください
お手数おかけしますがよろしくお願いします
うーん、鬼畜だ
グッと来た。GJ!
力作d!
587 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 02:42:35 ID:ujZXeVcG
続きなんか、無いもんだと思ってたのに投下されるなんて乙としか、いいようが無いじゃないか
胸でかっ
三次はないわと思ってたがこれはいける
>>589 「おま……え……」
目の前に立っているアイツは……女だった。
どこからどう見ても、だ。普段着ている学ランなのに、どこからどう見ても。
男にはありえない二つの膨らみが見えるんだから、当たり前だ。
「どう? これが……本当の僕だよ」
「本当のって……お前……女、だったのか?」
「そうだよ。普段はこれで巻いて隠してたんだけどね」
アイツの……彼女の手には、白い布切れが握られていた。
「サラシ……?」
「そうだよ。まあ、無理やり押さえつけてたから、普段は結構苦しくてね。
……今は、大分すっきりしてるかな?」
「……そりゃ……そんなデカイのを、無理やり押さえつけてたら、苦しいわな……」
「そこ感心するところじゃないと思うけどね」
「あ……す、すまん」
彼女の言葉に素直に謝ると、何が面白いのかくすくす笑っている。
「……なんだよ」
「いや、あんだけいつも喧嘩してたのに、妙に素直に謝るからさ」
「だ、だって……そりゃ、普段ああだったのは……お前が、男だと
思ってたからで……まさか……」
「女だとは、思わなかった?」
下から覗き込むように、棒立ちの俺の顔を見つめる彼女の姿に、
どうしようもなく俺は女を感じた。ついでに、胸元から見える谷間にも。
……谷間?
「お、おまえ……その学ランの下……」
「うん。何も着てない。ほら」
「や、やめ……」
「見ないの?」
「けど、だって……そんな、いきなり……」
「いきなり、かぁ……そりゃそうだよね。僕はずっと女だったけど、
君にとっては僕はついさっきまで男だったわけだ」
「……そうだよ。いきなり、こんな……」
「でも」
彼女が、俺の腕にすがりついてくる。胸の膨らみを腕に感じ、
俺は頬が紅潮するのを感じた。
「だからこそ……インパクト、あるよね?」
……な、何を言ってるんだ、こいつは……?
「僕は僕にとってはずっと女だった……そして、君は」
「……俺は?」
「君は……僕にとっては、ずっと男だったんだよ」
「………………」
彼女が、女の子がそうするように――いや、女の子なんだから
そうするように、っていうか、まあ何というか、もう……混乱してるな、
俺――瞳を閉じ、顎をくいっと上げ、何かを待つ。
「……」
「……いいの、か?」
「……それ、聞くかな、普通?」
瞳を閉じたまま、呆れたように笑みをこぼす。
その彼女が、とても、凄く、物凄く可愛くて――
「……いくぞ」
――俺は、ゆっくりと彼女の顔に……唇に、自分のそれを近づける。
「……」
「……」
そして――口付けを交わした。
電波キタコレ
電波GJ
神電波
594 :
倉庫寒理人:2008/08/22(金) 23:27:41 ID:si63DqjB
>>594 どもども短編投下します。
やった…ついにやった……。
格闘技世界一の座を…手に入れたんだ…。
前チャンピオンが私の前で気絶している……。
強かった…この人の蹴り…拳がまだ私の体をずきずき痛ませる。
でも私は負けられなかった…本当はこの大会が女性禁制と知っていても…。
私の本当の性別を隠してでも出場し優勝して我が一門の再興を果たし…。
そんなことを考えている中。黒服の男性がシャンパンを持って私の前にあわられる
「おめでとう新チャンピオン。よくもまあ華奢な体であのチャンピオンを倒すなんてね…
さあ勝利のシャンペンシャワーだよ。新チャンピオン!」
そういうと高級だと一目でわかるシャンペンを私の体にかける。
「ちょっと…止めてくれないか…服がびしょびしょになっちまうよ……!」
私は慣れない男言葉を使ってシャンパンシャワーを止めてもらうよう頼む。
いくら防水性の高い空手着とはいえ…しかも微乳といえるほどの大きさしかない胸とは
いえ、万が一服が透けて自分の体の丸みを確認されてはせっかくの苦労が
水の泡になってしまう!
そんな私の言を無視し男がシャンパンシャワーをかけ続けると
今度はシャンパングラスを取り出し、私の目の前に差し出す。
「さぁ!ぐーって言ってください新チャンピオン!!」
仕方ない…本来まだお酒は飲めない年なのだがさっさと表彰式を終わらせて
家に帰ろう…そして明日はやさしい許婚が来てくれる日だから…。
ゆっくり休もう…そうしよう…。
そう私は思いながら一気にシャンパンを飲み干す。
美味しい…味がいいのかな?勝った後だからかな?
そういうことを考えながら、視点が暗転していき……。
この日を境に空手界で高名な朝比奈家一門。長女朝比奈楓は行方不明となり…。
その…年後楓は両親と許婚の前に現れる事となる
変わり果てた姿で…。
無残! 格闘美少女 サラシ曝し膨乳化
あれ…?次に目が覚めたとき…私の両手両足は拘束され…まるでペットのような
首輪をつけられていた。
そして暗闇の中うっすら誰かいることを確認し私は叫ぶ。
「離せ!離しやがれッツ、これはいったいどういう了見だ!」
両腕・両足を縛られ首輪まで付けられた状態だったが、私は必死に体を動かし
抵抗し叫ぶ。
暗闇から笑い声が聞こえ…リーダーらしき人物が私の前に拍手をしながらあらわれ、
話し始める。
「まずはおめでとう…私たちの作ったチャンピオンを倒すとわね…朝比奈楓さん。」
私の顔色は一瞬曇ってしまった…念の為楓という名前では女性と疑われる可能性も少し
あるので、私は許婚の名前をかり(朝比奈俊介)としてエントリーした。
それなのにこの人は私の本名を知っている…私は得体の知れぬ恐怖を覚えた。
そんな私の恐怖を知ってか知らずか…その人物は私を嬲る様に視線を向ける。
恐怖を感じながら私の目も徐々に暗闇に慣れ…その人物の姿を良く凝らしてみると…。
白衣を着た女性…ただしその女性のラインを見ると胸はパツパツなくらいに張っており
おなかも引っ込み、お尻のラインも蠱惑だ…同姓の私でさえドキッとしてしまう。
そしてその女はわたしのことを曝すのだった。
「念の為貴女の全てばらして上げるわ。
朝比奈楓 15歳 バスト77 ウエスト61 ヒップ81 処女
貧弱ね…でも私達…いえ私が作り上げたあの子を倒すなんて見上げたものだわ。」
(くっ…好き勝手なこと!)
私は怒りを覚えたが、ここで弱気に出るのは危険と思い…強気に出てみる。
「俺が女だって?はっその楓とかいう女と間違えてるんじゃないのか?おばさん!」
その女がこめかみをピクッと動かしたのを見たが……すぐににっこり微笑みながら
私に近寄る。
「これでも私はまだ27歳で恋人がいるわよ…楓ちゃん今さっき
あなたがぶちのめした元チャンピオンが私の恋人なのよ。」
そう笑いながらも私の胴着を開いて脱がしていく。
「うわっ!バカッ止めろ!。胴着脱がすんじゃないよ!」
必死でいやいやしながらも、あっという間に上下ともサラシ一枚にさせられてしまう。
そんな自分でも貧相とわかる体を女に見られながら、私は悔しくて涙を流しながら女を
睨む。だが女は完全に見下しながら私を見て。
「やっぱり貧弱な体ね…私のダーリンを倒したなんて信じられないわ?
でも…いい香りね。シャンパンの香りかしら…それとも処女の香りってやつかしら?」
といいながら女はさっきのでシャンパンの染み込み、黄ばんで乳首のぽっちりや
股間の形もうっすらわかる部位を嗅ぎ、丹念に吸う。
「ひぃぁぁっ!」
女になめられるたび気持ち悪さが体中を駆け抜け…鳥肌がたつ。
ただそれだけと思っていたが…女はさらに愉快そうに笑い出す。
「あらら?楓ちゃんって感度いいのね!さらしの下から乳首がシコって堅くなってまぁ
それとぉ…おまんこのクリちゃんもかわいらしく勃起してるわ。」
そんな?私はこんな変なことで感じているの?
「嘘だ…あぁぁっ!」
否定しようとするが、女にこりこりした乳首をつねられ、火所からぬるぬるしたものが
溢れてくる。
「嫌だ!見るなよおばさん!!」
私は顔を真っ赤にして見られまいとした…今まで俊介さんのことを思って手淫をしたとき
以上に秘所から愛液が滲み…さらにその部位が湿り…無毛だとばれてしまった。
女はさらに駄目出しを加えてくる。
「ふっふーん。朝比奈楓ちゃんは見知らぬ女に拘束されながら発情して
さらしの下でお豆さんをぼっきさせてる子供まんこなんだぁ〜
朝比奈楓ちゃんのデータ追加でパイパンの淫乱と…。」
そこまで馬鹿にされ…体をいじられて私は完全に切れてしまった。
「ちっ…やめろ…やめなさいこのっ!ド変態!!」
つい女口調に戻ってしまうほど私は逆上していた。
そんな私をおいて女は少しはなれ…何か物を持って私の近くに現れる。
「…!!」
そのものを確認したときには怒りはさめ…また恐怖が戻ってくる。女の持っていたのは
巨大な注射器だった。
それを見せ付け女は勝ち誇ったように笑う。
「あら、何されるか解っちゃった?楓ちゃんの胸があまりに小さい胸だから
大きくしてあげようと…おお〜きくね!」
「何をするの?いやぁぁっダメェゆるしてぇぇ!!」
私は注射器を片手に迫る女に対して泣き叫んで許しを請うが
女は狂気の含んだ顔をして私のさらし越しに乳首、乳輪そして乳房と
小さい私の胸に対して数カ所に先ほどの薬品を投与し始める。
「痛ッ、痛いのぉぉ!いやぁぁ!!」
(痛い…イタイイタイ…胸が…千切れそう)
私は大粒の涙を浮かべて涙ながらに叫ぶも女はさらに注射を続けながら声をかける。
「ホントに痛そう…私は絶対やりたくないわ
でも楓ちゃんは我慢してね、これで楓ちゃんのおっぱいは男好みのHなおっぱいになるから…」
次々と注射針が私の胸に刺さり得体の知れない薬品が私の乳房に注ぎ込まれていく。
個所が雀蜂に指された位に膨れて…ずきずき痛む。
そして私の胸に変化が起こる…序章は…胸を包んでいたサラシが…徐々に盛り上がる
ところから始まる。
「はわぁぁ…ね…胸が膨らんで…」
私の胸が徐々に盛り上がっていき…次は
めりぃ…めりめり…。
さらしの締め付けが急速に膨張していく胸とあわず…さらしが切れ始める音が聞こえる。
そして最後の楽章が…私にとって絶望といえる音が聞こえる。
びりり…びりぃぃっ!!その破裂音が終わったころ私のさらしは裂けて
不気味なまでに大きくなった胸が、私の目の前にあわられ…ただ私は…。
「ひぃ…いいい…イヤァァァァ!!わた、わたしの胸がこんなにぃぃ!!」
と叫ぶことしか出来なかった。
投薬が終了した私の乳房は無残に腫れ上がり、まるで家畜のようなほど膨らまされ
自分が人間で無くなったかのような絶望を覚える。
そんな中女…いや悪魔がメジャーを持って私の後ろに回り首をなめてくる。
「ひっぃぃ!」
私はまた声をこんな女の前で上げてしまうが、何も出来ない。
だからせめて自分がこんな目にあうか聞きたかった。
「な、何の為にこんな…事を…なんで私の胸をこんな不気味なまでに膨らまして!」
私は苦痛と奇妙な感覚に顔を歪めながらも悪魔にたずねる。
「いったでしょ?おっぱいを大きくしてあげるって??
じゃあ楓ちゃんの胸に何を使ったか教えてあげるわ。
楓ちゃんの胸マンコに投与した薬品は特殊なホルモン剤でね、私たち化学班が
家畜改良の為にホルスタイン種の乳牛から
特に胸が大きくなる様に精製したもので本当は牛さん専用の膨乳剤!
人間に投与したらどうなるかやってみたかったからこれを楓ちゃんに
投与してみちゃった!もちろん最初こそ痛いけど…人間には無害で〜す。
それにこの薬牛さんにとっても人間にとっても凄い作用があるの〜」
そういいながら女は私の胸にメジャーの合わせてながら思いっきり胸首をこする
「ぎひぃぃぃぃぃ!!」
私はさらによくわからない感覚に打ち震えながら、けたたましく叫ぶ。
脳髄がしびれる感覚と…乳首から…白い何かがでて…これはまさか!
「そう…おっぱいを大きくするだけじゃなくて母乳が出るようになるし
感度もすっごい上がるくすりなのぉ〜」
そんな馬鹿な!私まだ妊娠するようなことなんて…私は狼狽しながら
「そ、そんな、そんな事って…。」
というのが精一杯だった…もちろん乳首をわざとらしくこすりつけられ
母乳を出しながら、奇妙な感覚に耐えながらだが。
女はそんな私の狼狽をあざ笑うように笑って答える
「現にこんなにおっぱい大きく腫れあがってかんじてるじゃないの楓ちゃん。
さーてと…100…110……すっごーい楓ちゃん。
おっぱい114cmと倍くらいに大きくなっちゃった!もちろん張りもいいから
垂れたりする堕乳あらごめん駄乳にはならないわよ」
「いやぁぁ…こんな大きい胸…わたしじゃ…。」
私は体をがくがくさせながら脅えていたが…女が私の乳房と勃起した乳首を掴み
暗く嗤いながら……断言する。
「さてさて今日はこれくらいにしましょう楓ちゃん。盛大にイッちゃいなさい!」
女は力いっぱい私の胸を搾り取る勢いで掴み上げ…母乳を強制的に放出される。
「はぅぅぁぁぁぁぁ!!!」
私は……暗く沈む意識に悪魔の笑いを見たような気がした……。
米鬼畜注意
……数年後
「朝比奈師匠!人なのか…とにかく人が…倒れてます!!」
弟子の声で師匠と呼ばれた男と戻らぬ楓の為に師匠を手伝っていた男が駆け寄る
二人が見たものは…。
「楓……」
全員言葉もなく見ていると
かつて楓と呼ばれた女が全裸のまま目を覚ます。
「あ…あはぁぁあ……ちゅぎのごしゅじんしゃまでしゅか……
かえでのからだまんこつかりゅってくりゃはい…。」
その女は異常なまでに胸と尻と腹を膨らませ…全身据えたイカのような精液のにおいがし
かつ肥大した腹に正の文字が書ききれないほど書かれ
更にメス豚恥女奴隷楓・変態女・廃棄処分などと見るに絶えない落書きをされ
肥大しきったクリトリスや乳首も毒々しいアクセサリーがたくさん付き
肛門や膣に奇妙な形状の太いディルドーが何本も差し込まれていた。
更には…
「あひゃひゃひゃ……おちょぉひゃまと…ひゅんふけさんひにてみゃすね…
ぷれい…わたひのはいきしょぶんマンコいーぴゃいたのひんでくりゃさぅい」
明らかに呂律が回らず瞳に狂気を浮かべた少女…いや家畜の姿がそこにあるばかりだった。
かつて…年前には武術最強になった少女のなりの果て…
男たちはただ黙って壊れきった女を見ることしか出来なかった。
バッドエンド
【男装だからここで大丈夫ですよね。投下終了】
>>595 きわどいコースを攻める時は予め注意位入れてくれ
あと、男装なのは最初だけでどちらかというと別スレの方が相応しいと思われ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄○ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
O 。
, ─ヽ
________ /,/\ヾ\ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|__|__|__|_ __((´∀`\ )< というお話だったのサ
|_|__|__|__ /ノへゝ/''' )ヽ \_________
||__| | | \´-`) / 丿/
|_|_| 从.从从 | \__ ̄ ̄⊂|丿/
|__|| 从人人从. | /\__/::::::|||
|_|_|///ヽヾ\ / ::::::::::::ゝ/||
────────(~〜ヽ::::::::::::|/ = 完 =
,.-―っ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
人./ノ_ら~ | ・・・と見せかけて!
从 iヽ_)// ∠ 再 開 !!!!
.(:():)ノ::// \____
、_):::::://( (ひ
)::::/∠Λ てノし)' ,.-―-、 _
______人/ :/´Д`):: ( _ノ _ノ^ヾ_) < へヽ\
|__|__|__( (/:∴:::( .n,.-っ⌒ ( ノlll゚∀゚) .(゚Д゚llソ |
|_|__|_人):/:・:::∵ヽ | )r' ー'/⌒ ̄ て_)~ ̄__ イ
||__| (::()ノ∴:・/|::| ./:/ /  ̄/__ヽ__/
|_|_| 从.从从:/ |__|::レ:/ ___/ヽ、_/
|__|| 从人人从 ..|__L_/ .( ヽ ::|
|_|_|///ヽヾ\ .|_|_ /⌒二L_ |
──────── ー' >ー--'
巛ノi
ノ ノ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ノ')/ノ_ら ∧_∧ | いきなり出てくんな!!
、)/:./、 ( ´Д`) | ビックリしたぞゴラァ!!!
)/:./.:.(,. ノ) `';~"`'~,. \ ________
\\:..Y:.( ・ '' :, ,. -―- 、|/
_____ 从\、,. ,; .,、∴';. ・ ( _ノ~ヾ、ヽ
|__|_ _(_:..)ヽ:∴:@) ノ(゚Д゚ #) )
|_|__|_人):|:・:::∵ヽノ) (_(⌒ヽ''" `ー'
||__| (::()ノ∴:・/|::|( \ \ \) ) _
|_|_| 从.从从:/ |__|::|ノ \ ミ`;^ヾ,)∃ < へヽ\
|__|| 从人人从 ..| /:/ _,,,... -‐'''"~ /ー`⌒ヽ、 (( (゚Д゚llソ |
|_|_|///ヽヾ\ ./:/ _ \ / /T;) /~  ̄__ イ
─────── ノ (, \/__/__,ノ|__`つ ヽ__/
´⌒ソノ`
______/ \____
|__|__|__/ / ヽヽ,|__|
|_|__|___い 、 , ,ソ_|_|
|__|___/ ̄`^⌒´ ̄\_.| .l´~ ̄ ̄ ̄`.lヽ
|_|_| | |_| / ⌒ ⌒ ⌒ .| !
||__| 从ヽ-i´ ,_ ,_ 'i-'"_| / ___ _ _ ___/,イ
|_|_|从イ/´:::::::::::::::::::::::`i、_| / ̄ /i.|
|__||从/:::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ,._| ~||~~~~~~~~~~~~ ´||
|_|_| ,,!;;;;;;;;;i⌒i;;;;;;;i⌒i;;;;;;;;;;;!,|
>>595 なんか肉体改造もののほうが…でもまあHだからいいけど。
607 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 22:37:47 ID:Gdf8KcRt
もう男装少女がでてくる作品みつくしたので女体化に走った私・・・
>>607 ようかつての俺
もしかしたら手遅れかもしれんが、ニョタは一歩間違うと
フタナやBLが混じる場合もあるから大いに注意しておけよ……
Qどれが好み?
男装少女が上着を脱いだら・・・
・意外にフェミニンなブラ
・らしいスポーティなブラ
・やっぱりというかさらし
|┃三 / ̄\
|┃ | |
|┃ \_/
ガラッ. |┃ |
|┃ ノ// ./ ̄ ̄ ̄ \
|┃三 / ::\:::/:::: \
|┃ / <●>::::::<●> \
|┃ | (__人__) |
|┃三 \ ` ⌒´ /
|┃三 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \ / ̄\
| |
\_/
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/  ̄  ̄ \
/ \ / \
/ ⌒ ⌒ \
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \ / ̄\
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| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
| ワ ゴ ン | / ̄\ __ノヽ、_ノヽ
| | )
\_/ <. ゆっくりしね!!!!
| ノ
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人./ノ_ら~ | ・・・と見せかけて!
从 iヽ_)// ∠ 再 開 !!!!
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巛ノi
ノ ノ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ノ')/ノ_ら ∧_∧ | いきなり出てくんな!!
、)/:./、 ( ´Д`) | ビックリしたぞゴラァ!!!
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