猟奇・鬼畜・グロ・嗜虐・リョナ系総合スレ 第7章

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592名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 12:14:30 ID:ZUJ9UlCL
ここって絵貼ってもいいの?
593名無しさん@ピンキー:2009/01/12(月) 15:21:34 ID:7dC0Z7r4
蘇生か…いいかも知れん
594 ◆/W8AnhtEnE :2009/01/12(月) 22:27:53 ID:AVmJKmTC
 皆様こんばんは、多くの方にとって三連休最後の夜いかがお過ごしでしょうか?
これから蓮弓天女もの第2話を投下させて頂きます。
前回、レスをして頂いた方、そしてお読みくださった皆様ありがとうございました。

今回は、>>588氏と>>593氏の蘇生というアイデアを取り入れさせて頂きました。
また、前回は「正月天女」と「マサツキ」という呼び名を分けましたが、読み返してみると
うまく使い分けられなかったので今回は「〜天女」と「天女」で統一してあります。

それでは9レス投下させて頂きます。
お楽しみいただければ嬉しいです。
595ブルーチューズデー1/9 ◆/W8AnhtEnE :2009/01/12(月) 22:29:52 ID:AVmJKmTC
 人々の安息と希望の源である聖なる秘宝「ホリデークリスタル」、それを護るのは「蓮弓(れんきゅう)天女」。
そして秘宝を狙うのは悪の五人姉妹「ヘイジツーシスターズ」。
今宵も人々を苦しめる魔力ロウドウーを力の源にして戦うヘイジツーシスターズと、クリスタルからもたらされる
聖なる力ホリデーの加護の下に戦う蓮弓天女との死闘が繰り広げられていた。


「もう降参したら?このまま続けても痛い目に遭うだけよ。」
夜の闇の中、ハッキリとしたアルトボイスが響く。
月光に照らし出された声の持ち主は長身の女だった。彼女は真っ直ぐと前を見据えている。
彼女の視線の先、そこにはボロボロになった少女が立っていた。
少女の名は月曜日、1週間前に蓮弓天女の一人「正月天女」を屠ったヘイジツシスターズの長女だ。
身に纏ったゴスロリドレスはボロボロに破れ、あちこちから傷を覗かせている。
左腕は鋭利な刃物で断ち切ったかのように肩から失われていた。
そのような身体だが、敵意溢れる眼差しで目の前の女を睨む月曜日。
「まだやるの?お姉さん、子供をいたぶるのは好みじゃないんだけどね。」
悪の権化、人々に恐怖をもたらす月曜日をここまで追い詰めた長身の女こそ、第二の蓮弓天女「成人天女」だった。

「しねぇぇぇぇぇええええっ!」
余裕を見せる成人天女に鬼気迫る表情で月曜日が飛びかかる。
右手の指を揃え、成人天女の身体に衝きこむ構えだ。
「おおっ、怖っ!可愛い顔が台無しだよ。」
襲い掛かれる当の本人は穏やか声で応じるが、一塵の風と化した月曜日がその身に迫る。
「喜月壁(ハッピーマンデーフィールド)!」
月曜日が魔手を無防備な身体に突き込もうとした瞬間、成人天女が叫ぶと彼女の前に光る膜が現れた。
その膜に月曜日の右手が触れると
「ぎゃああああぁぁあああっ!」
月曜日の右腕を火花が走り、そのまま後方に弾き飛ばされた。
「何度やっても無駄だって、右腕も駄目になっちゃったじゃん。」
仰向けに倒れ、何とか起き上がろうとする月曜日。
だが光の膜に触れた右腕も肩から失われてしまい、なかなか起き上がれない。

月曜日をここまで圧倒的な力で打ち倒そうとする成人天女。
彼女は対月曜日の特別な法を身に付けた、選ばれし蓮弓天女だった。
その法の名は「喜月の秘法(ハッピーマンデー法)」。
秘法を身に付けた天女は、ホリデーを活かした様々な攻守の技を放つことが出来た。
彼女が今繰り出し、月曜日に深手を負わせた喜月壁もその一つだ。

月曜日を見据える成人天女。
その容貌に目を向けると端がキリッと吊り上がった眉、細く整った顎、ツンと尖った鼻筋からは怜悧な印象を受けるが
明るい光を放つ大きな瞳、真一文字に結ばれた口唇からは慈愛と意志の強さが感じられた。
長い黒髪を透き通るような白さの和紙で結んだポニーテールに、レオタードのような黒革の衣を纏い、身体に密着させた
白い薄絹の上に手は肘までの黒革の手袋、同じように脚も腿の半ばまでの長さの靴と一体化した黒革の長足袋で覆っている。
それぞれの黒革には赤いツバキの花々の意匠が施され、漆黒と真紅の双色で飾られていた。
20才過ぎに見えるその細く引き締まった肢体は凛々しさと麗しさに彩られていた。

「そろそろ終わりにしようか。」
何とかよろよろと立ち上がる月曜日に言い放つ成人天女。
「出でよ!蓮弓っ!」
掛け声と共に彼女の腕に光る弓が現れる。
長身を真っ直ぐ伸ばしてそのまま構えを取り、弓の狙いを月曜日に向けた。

「成人天女奥義っ、喜月矢(ハッピーマンデーアロー)!」

光る大きな矢が月曜日目がけ放たれた。
596ブルーチューズデー2/9 ◆/W8AnhtEnE :2009/01/12(月) 22:32:14 ID:AVmJKmTC
「があぁぁぁああああっ!」
傷を負った月曜日に豪速の矢を避ける事は出来ず、そのまま彼女のお腹に撃ち込まれた。
背中まで貫いた矢だがまだ勢いは収まらずに、彼女の身体を曳きながら飛び続ける。
「がはっ!」
そのまま壁まで飛ばされ、矢によって身体を壁に縫い止められた月曜日。
身体をビクッビクッと震わせる度にその口から血が吐かれる。
そのような無残な姿を晒す月曜日に弓を手にした成人天女が近づく。
勝利を確信しているものの彼女はまだ警戒を解かない。
弓を手にした腕を振い、蓮弓を刀に変化させる。これも喜月の秘法のひとつだ。
刀を片手に月曜日の側に立つ成人天女。

彼女の存在に気がついた月曜日がよろよろと顔を向ける。
「わ、わたしに勝ったぐらいで……カッ……いい気、に、ならないことね。」
成人天女を睨みつけ、血と共に声を吐く月曜日。
同時に矢に貫かれたままのお腹から彼女の身体がだんだんと透明になっていく。
彼女の中の悪の力ロウドウーが喜月矢に備わったホリデーに浄化されることで彼女が実体を保てなくなっているのだ。
「妹たちが必ずあなたを……ぃ……」
悪態をつく半ばで月曜日は瞳を閉じ、ガクッと頭を伏せた。
そのまま顔まで透明になり、どんどん彼女の身体は薄くなっていく。
「ごめんね……キミには罪はない、ただアタシの役割とキミの役割がぶつかっただけ。アタシはみんなの平穏を護るために
キミたちと戦わなくちゃいけないの。」
大きな瞳を悲しみに歪ませ、静かに話しかける成人天女。

「さようなら。」
月曜日が消え去る直前、彼女はそう呟いた。



成人の日の夜、大人の世界に迎えられた喜びに浸る若者たち。
街のあちこちで旧友との再会、新たな出会い、様々な人の交錯が成され賑わいは収まらない。

その街の外れ、今宵は誰も近づくことはないスタジアムに一人の女の姿があった。
照明に照らし出されたフィールドに立つのは成人天女。
その彼女の数メートル前の何もない空間に突如一人の少女が出現する。
少女は容姿は12歳ほど、純白のレオタードとタイツ、手にしたのはバトンとまるで新体操でもやるような格好だ。
ボブカットの黒髪と合わせて可愛らしい容貌をしている。

「待っていたわよ、始めましょうか。」
そう成人天女が言葉をかけた少女こそヘイジツシスターズ次女「火曜日」だった。
597ブルーチューズデー3/9 ◆/W8AnhtEnE :2009/01/12(月) 22:33:18 ID:AVmJKmTC

「はぁ、はぁ……はっ……」
荒い息をつく成人天女。
真冬というのにとめどなく汗が頬を滴り落ちていく。
彼女と対峙している火曜日は涼しい顔だ。
「キミ、強いね。」
成人天女は微笑んで話しかけるが、火曜日は無表情のままだ。
(ホントにっ、強い!このままじゃ……)
余裕のある年長者の声と違い、彼女の心の中の声はは感嘆と恐怖が入り混じったものだった。
刀を手に火曜日のバトンと接近戦を演じてきた彼女は、火曜日との力の差をまざまざと見せ付けられていた。
今までは何とか凌いでいるがもう持ち応えられないかもしれない。
「くっ……えっ!?」
そう弱気な想いに捉われてしまった瞬間、対峙していたはずの火曜日の姿が掻き消えた。
そして目前にに現れる。

「くっ!喜月壁っ!」
反射的に成人天女を護る光の膜が展開される。
だが、火曜日は無造作にその膜にバトンを当てた。ハッピーマンデーフィールドは攻撃を全て弾き返す無敵の防壁のはずだ。
次の瞬間火曜日が吹き飛ばされることを想像した成人天女。
「あっ!?」
しかし彼女の期待が裏切られる。何事もなく、それどころか光り輝く膜が瞬時にどす黒い膜に変わってしまったのだ。
「azaw on ibuoyak」
火曜日が聞き取れない呟きを漏らした瞬間、その黒い膜が成人天女に襲いかかった!
「きゃぁぁぁあああっ!」
その黒い膜が体に触れた瞬間、凄まじい痛みと衝撃が彼女にはしりそのまま吹き飛ばされる。

「がッ!、うッ!……うぐっ、うぅ…」
グラウンドを2,3度バウンドして動きを止めた成人天女の身体。
うめき声を上げながら彼女はよろよろと身を起こそうとする。
(何?今のは?……でも、こうなったら奥義にかけるしか……)
動揺する天女、だが喜月の秘法を持つ選ばれし蓮弓天女は覚悟を胸に立ち上がる。
「出でよ、蓮弓っ!」
彼女の掛け声と共に腕が光り、そのまま温かな光が指先から空中に流れ出た。
次の瞬間、その光は弓をかたどる。
身体を傾け、視線は真っ直ぐ火曜日を見据える。
彼女は動かず、じっと成人少女の動きを見つめている。
(なぜ、動かないの?まあいいわ、これだけの間合いがあれば一息で詰める事は出来ないはず。)
彼女は弦を握った右手にホリデーを注ぎ込む。
すると光の矢が現れ、どんどんその大きさを増していく。
月曜日を屠ったときと比べ、遥かにホリデーを溜めた強力な一撃を繰り出そうとしているのだ。
(よしっ!)
充分ホリデーが溜まったことを感じた成人天女。そのまま狙いを定め裂帛の叫びと共に矢を放とうとする。
「成人天女奥ぎぃ、っ!……」
ザシュ!
だがその叫びは、何かを切り裂く音と共に途切れる。


切り裂いたものは火曜日のバトン、いや金属の鞭へ変化した火曜日の武器の鋭い刃だ。
切り裂かれたものは
「っぁ……ぁぁぃ……ぃっ!」
悲鳴にならない掠れた息、そして真っ赤な血を高く噴き上げる成人天女の喉だった。
598ブルーチューズデー4/9 ◆/W8AnhtEnE :2009/01/12(月) 22:34:38 ID:AVmJKmTC

 呆然とした眼差しで自分に降り注ぐ血の噴水を眺める成人天女。
だらりと垂れ下がった両腕、がくんと立て膝をつき力を失った肢体を彼女自身の血が染めていく。
やがて鮮血が吹き出る勢いも落ち着き、彼女の身体を流れて汚すほどになった。
だが、多くの血を失った成人天女は立つことも出来ずに跪いたままだ。
その美貌は呆然とした表情を張り付かせ、蒼白の肌を血で染めた凄絶なものと化している。
血の池の真ん中で正座する格好の彼女に向かって火曜日が歩みを進める。

「無様な敗北者さん、御機嫌いかが?」
初めてその口が意味のある言葉を吐く。
侮蔑の言葉をかけられた成人天女がゆっくりと顔を向ける。
ホリデークリスタルの力で不死の彼女も、常人なら失血死するほどの量の血を失って大きなダメージを
負い、腕の蓮弓も消失してしまって戦闘不能に追い込まれていた。

「労働者や学生は月曜日はブルーマンデーの憂鬱を感じるけど、火曜日からはさほど気にならなくなって
労働や勉学に励むでしょ?
それはわたしの技、チューズデーブースターとチューズデートランスデューサーの効果よ。」
成人天女の正面に立ち、彼女を見下ろしながら語りかける火曜日。
「チューズデーブースターは、ロウドウの力を数倍に増幅して送り込む効果を持った技。」
そのまま火曜日は成人天女の首に手をかける。
「っ…ぁ…」
「そしてチューズデートランスデューサーは人々の心に僅かに残ったホリデーの力、一般的には休日の
名残惜しさと感じるものね。それを吸い上げロウドウーの力に変換する効果をもった技よ。」
話しながら天女の首にかけた手に力を込めていく火曜日。
「ぁっ……ぇっ……」
「あとこの鞭も人々に振るえば更に労働意欲が湧くわ。さて、その二つの技を持ったわたしは
『喜月の秘法』とやらを持ったあなたたちのような蓮弓天女の天敵ってわけ。
ホリデーの力の使ったどんな技でもトランスデューサーで無効化出来るし、さらにブースターを
使ったらロウドウーのエネルギーを持ったわたしの技として使えるんだから。」

口をパクパク開き苦悶に眉をゆがめる成人天女、その彼女に向かって言葉を続ける火曜日。
「そもそもわたしは必殺技が繰り出されるのを待っている“お約束”は持ってないわ。放つのに
呪文のような言葉が鍵となるなら喉を切り裂いてしまえば放てなくなるのは当然よね?」
その天女の首を締め、彼女の血で染まっていく火曜日の白い腕。その腕が突如輝かしい光を放つ。
「いつまでも話せないといたぶりがいが無いから治してあげる。トランスデューサーのおかげで
ホリデーの技も使えるのよ、わたし。」
「…っぁ?…っ!……がッはッ!ゴホォ!…ガッ!」
首から腕を離した火曜日、天女の切り裂かれた喉の傷はすっかり塞がっていた。
ようやく充分に息を肺に吸えるようになった成人天女が咳き込む。

「さぁ、楽しませてね。」
そう言い放った火曜日は右脚を大きく振りかぶると、サッカーボールのように成人天女の顎を蹴り上げた。
「ガハッ!」
天女の脳にダイレクトに伝わる強烈な衝撃、彼女はそのまま蹴り飛ばされた。
「あぐッ!」
数メートル飛ばされ背中から床に叩きつけられた成人天女、背筋から全身に伝わる激痛が彼女を苦しめる。
「あなた、思ったより軽いのね。よく飛んだ……ぁ……」
軽口を叩きながら天女に近づく火曜日、だがその声は途中で途切れた。


「蓮弓天女を舐め過ぎないことね。」
火曜日の耳元で囁く成人天女。
その右手は火曜日の胸元を背まで貫き通していた。
手刀のように指を揃えた手が背中から突き出されている。
「喜月の法が通じないなら、アタシの肉体でキミを破壊する!」
彼女は火曜日の身体が力を失っていくような手応えを感じていた。
自らの肢体で勝利を勝ち取れる、そう成人天女が信じた瞬間だった。
599ブルーチューズデー5/9 ◆/W8AnhtEnE :2009/01/12(月) 22:35:50 ID:AVmJKmTC

「……フフッ、あ、はははははははっ!」
「!?……ぃっ!っあぎぃぃぃぃいいいいいっ!」
対称的な声。突然笑い声を上げ始める火曜日を訝しげに見る成人天女だったが
急に目を見開き悲鳴を上げる。
「だから、言ったでしょ?」
逆に天女の耳元で囁く火曜日。
大きな瞳を見開き、眉を歪ませて涙をとめどなく流す成人天女に話しかける。
「わたしはホリデーの力を吸い上げる事が出来るって。あなたの右腕、通電した電池のような
役割になっているわよ。」

そう彼女が言った通り、成人天女の火曜日の身体に衝き入れた右腕からホリデーの力が
どんどん失われていた。
ホリデーの力を失った腕にとって、ロウドウーの力が充満する火曜日の体内は猛毒に
包まれているようなものだった。
比喩ではなく強酸に包まれて次第に腐食し溶かされていっている優美だった天女の右腕。
「いぎぃぃぃいいいいっ!」
その痛みがどれほどのものか。天女の苦悶に満ちた容貌と叫び、そして電気仕掛けのからくりの様に
てんでばらばらの動きを見せる、火曜日の背中から突き出されている彼女の手指が物語っていた。
(ああああああっ!う、腕がぁっ!)
すでに黒革の手袋とその下の薄絹はホリデーの加護を失い完全に溶かされ、白肌から
肉や骨にロウドウーが次第に侵食を始める。

「ぎっぃぃぃいいいいっ!」
神経すらもロウドウーに侵され、焼け付くような痛みが全身を駆け巡る。
痛みで立つことすら叶わない成人天女は座り込み火曜日に衝き入れた右腕で身体を支えるような格好だ。
激痛に支配された神経が、ペタリと床に付いたむっちりとした桃尻を痙攣させる。
すると締まりを失った括約筋が緩み、彼女の衣の股の部分を小水が濡らしていく。
脂汗と血、そして尿で汚れたレオタード状の衣は無残なものだった。だがそれに劣らず衣を身に纏った天女も
悲惨な状態にあった。

「ぬっ、ぬいでぇぇぇぇえええっ!もう、やべでぐださぁあおぉぉぉおおおっ!」
鼻水や涎を吐き飛ばし、顔を振り乱しながら哀願する成人天女、その叫びは苦痛に邪魔されて
途中から意味の成さないものになる。
「あら、さっきまでの凛々しいお姉さん面はどこに行ったのかしら?」
皮肉っぽく囁く火曜日、そのまま口を動かし天女の耳にそっと息を吹きかける。
喉を切り裂かれ、今また右腕を失おうとしている彼女からは多くのホリデーが失われ
体内のクリスタルによる補充も追いつかない状況だ。
そうしてホリデーの加護を弱めた彼女の耳元から脳髄に直接、ロウドウーのこもった息が吹き込まれたのだ。
「イギッ!ォォッ……アッ……イッ!」
目をグルンと白目にし、大きく開かれた口唇からは声にならない苦悶が漏れる。
と、同時にボロッという湿って腐った枝が折れるような音と共に彼女の右腕が抜けた。

……二の腕から先を火曜日の体内に残して。

反動で弾き飛ばされた成人天女は、数メートル離れた地面に尻餅をつく。
「あ、ぐぅ……う、うぅ……」
右の二の腕の傷口に左手を添えて、痛みをこらえる天女。
だが、その視線を恐るべき敵、火曜日に向けたときに彼女は愕然とする。
「ひっ!?」
火曜日の胸元、天女と自分の血で汚れたそこから刀の柄が出現し、それを彼女が引っ張ると
彼女自身の体内から刀身が引き出されているのだ。
「ふふ、驚いた?あなたの腕だったものをどうしようかなって思ってね。そのまま身体に
入れていてもいいんだけど体重が増えちゃうし。
クスっ、せっかくだからあなたをいたぶるための刀として再利用することにしたの。」
笑いながら両腕に刀と鞭を手にした火曜日。
成人天女は眉をハの字に歪め、怯えた瞳を向けることしか出来ない。
「あなたのホリデークリスタルを奪うだけなら、あなたの身体を全て取り込んじゃえば簡単なんだよ。
だから今から始めるのはわたしの趣味。さぁ、始めましょうか。」
震える天女に刃を向ける火曜日の姿、それはまさに悪鬼羅刹のようだった。
600ブルーチューズデー6/9 ◆/W8AnhtEnE :2009/01/12(月) 22:37:23 ID:AVmJKmTC
 
 ズリッ、ズリッと引き摺る音とポタッ、ポタッという滴が垂れる音がスタジアムの広い廊下に響く。
その音と共に暗がりを進む成人天女の姿がそこにはあった。
彼女の身体はいたるところに何かに貫かれ血がこびり付いた傷、切り裂かれた傷に覆われていた。
黒き衣もあちこちが裂かれ、白肌と傷を覗かせている。
何かが貫通した傷を左の太腿に負い、満足に動かない脚を引き摺って前に進む天女。
「あ……はぁ……うぁ……あぅ……」
荒い息を繰り返し、凛とした光を失った虚ろな瞳で彼女は前を見る。
右腕の傷を左腕で庇いながら、弱々しい足取りで歩みを進めるその姿は勇ましい天女のものではなく
怯え、逃げ惑う無力な女のものでしかなかった。

「みつけたっ!」
突如廊下に響くもう一つの声。
同時にタタタッという小刻みに床を蹴る音が成人天女に近づき、次の瞬間彼女の背が白刃によって切り裂かれた。
「あ゛あ゛ッ!」
ザシュッという音と共に悲鳴を上げる天女。
背は大きく縦に切り裂かれた。黒髪を結んでいた和紙も同時に裂かれ、長髪が背中いっぱいに広がる。
そのまま彼女はうつぶせに倒れた。
天女の背後に立った声の主は火曜日、その右手の刀は天女の血で赤く染まっている。
「もう、100数えるまで待ったのにこれだけしか進めていないの?まぁいいや、また始めようか。
痛い目にあいたくなかったら100数えるまでに逃げ隠れてね。いーち、にー、さーん。」
火曜日は恐ろしいカウントを始める。
有無を言わさず、彼女の“遊び相手”をさせられている天女は何とか凶刃から逃れるために痛みをこらえて
壁に寄りかかりながら立ち、再びよろめきながら歩み始める

火曜日はその天女の歩みの後に残される傷から垂れた血を目で追いながらニッと笑った。


しばらくして成人天女はロッカー室の古ぼけた大きな金属製のロッカーの中に身を潜めていた。
座り込み、痛み、そして恐怖に襲われる自らの身体を左腕で抱き締めて必死に震えを止めようとする。
自らを護る術をも失った彼女にとって、このロッカーの薄い金属板が恐怖の根源から我が身を護る最後の盾だった。
「ここかな?」
「ひっ!……」
ギィとドアを開ける音の後にロッカー室に響く幼い声。それを耳にした瞬間、成人天女は思わず怯えた声を漏らし
身体を強張らせる。
ロッカーの扉の板の僅かな隙間から覗くと、開け放たれたドアと火曜日の姿が見て取れた。
瞳を閉じ、震えを増した身体を抱き締めながら彼女は気づかれずに済む事を願う。

「まずは、ここ!」
火曜日の叫びと共に金属が裂けるキィーとした音が響く。
彼女がロッカーの扉を手にした刀で刺し貫いたのだ。
火曜日が刺し貫いたのは端のロッカー、成人天女が潜むロッカーからは間に4つ離れている。

「ハズレか。じゃあ、次はここ!」
扉がひしゃげる音、あと3つ。

「ここもだめか。じゃあ隣!」
ガッと壁まで刃が突き刺さる音、あと2つ

「ざんねんー。ここはどうかな!」
扉が真っ二つに切り裂かれ、金属の板が床にぶつかる音がすぐとなりから聞こえる。

恐怖に心を散り散りに乱れさせ怯え、身体の震えを止められない成人天女。
だがしばらく経ってもロッカーの扉の向こうからは何も聞こえない。
ひょっとしたら運よく助かったと心に安堵が広がった彼女が瞳を開いた瞬間

扉の板の隙間から覗く火曜日の二つの瞳と目が合った。

「ここだねー!」
601ブルーチューズデー7/9 ◆/W8AnhtEnE :2009/01/12(月) 22:38:48 ID:AVmJKmTC

 火曜日の声と共に刺し込まれた刃に鳩尾を貫かれる成人天女。
「あぐァッ!」
「当たっりー!」
扉の向こうから陽気な声が聞こえる。
天女は内蔵ごと貫き、壁まで貫通した刃からの激痛に苦しむ。
だが彼女の悲劇はこれで終わらなかった。
「さて、この状態でチューズデーブースターを使ったらどうなるでしょう?」
「ぐゥッ!ぇ……あっ!?」
痛みに苦しむ天女がその明るい言葉の意味を悟った瞬間
「azaw on ibuoyak 」
聞き取れない呪文と共に悪の力ロウドウーが刀を通して一気に彼女の身体に注ぎ込まれた。

「ギャアッッッァァアアアッ!」
鳩尾から全身に伝わる灼熱感と激痛に苦悶の叫びをあげる成人天女。
電流のようにロウドウーのエネルギーは体内だけでなく、肌の上を火花を散らして奔り彼女を苦しめる。
「ギギギギギィィィィィイイイイッッッ!」
ロウドウーは彼女のボロボロになった衣を焼き尽くし、その肌を傷つけていく。
体内でも内臓、鍛え抜かれた筋肉、神経、そして奥深くに隠されたホリデークリスタルをも強烈な衝撃で
ダメージを与えていく。
「ィィィィィィヒィィィィィッッッ!」
大きな瞳を白く濁らせ、舌を突き出して意味を成さない声を上げ続ける成人天女。
身体も背骨が折れるのではないかと思えるほど大きく仰け反らせ、苦悶の奔流に弄ばされる。
「ァァァァァァギィィィィァァァアアアッ!」
その彼女の身体から溢れ出たロウドウのエネルギーは、ロッカーをあちらこちらを膨らませいびつに変形させる。
苦悶の叫びはしばらく続いた後途絶え、成人天女が頭を振り乱しロッカーの壁にぶつける音だけが繰り返された。
602ブルーチューズデー8/9 ◆/W8AnhtEnE :2009/01/12(月) 22:40:01 ID:AVmJKmTC

 頭をぶつける音も途絶え、ロウドウーのバチバチッという電撃音のみが響くロッカー室。
「音しなくなっちゃった。」
そう呟いて火曜日は刀をロッカーから引き抜く。
引き抜かれる刀に引っ張られロッカーの扉、そして成人天女の身体が外に転がり出る。
うつぶせに転がった天女の身体を蹴り飛ばして、逆に仰向けに向かせる火曜日。
彼女の視線に晒された成人天女の姿は無惨なものだった。
大きく乱された長い髪はパサパサに乾いて荒れている。
白目を剥いた瞳にハの字に歪められた眉、大きく開けられ舌を突き出した口唇と
その容貌は苦悶を張り付かせている。
大の字に晒され、衣を失い全裸に剥かれたその肢体も右腕を失い、鳩尾を中心とした
あちこちに常人なら致命傷の刀傷を幾つも負っていた。
さすがにホリデークリスタルの加護で不死といわれている蓮弓天女でも
その命を失ってしまったかのように見える姿だった。

「んー、息してないね。」
跪き、成人天女の口元に顔を近づけた火曜日がそう呟く。
すると彼女は自らの口唇を変換したホリデーで輝かせ、そっと天女の口唇と触れ合わせる。
しばらく続けていると天女の白目だった瞳が黒い輝きを取り戻した。
「ぁ……ぃ……」
だが、瞳の前に霞がかかったかのように視線を彷徨わせ掠れた呟きを漏らす天女。
「どう、気付け薬のお味は?」
しかし上から覗き込んでいる火曜日がそう問い掛けた瞬間、目に怯えた光が戻り身体を震わせる。
「いやぁ…どうして?アタシ、死んだんじゃ!?」
「そう簡単に殺すわけないじゃない、大切な遊び相手なんだから。」
動揺する成人天女に優しげに語りかける火曜日。
すると次の瞬間、天女は思いも寄らぬ行動に出る。

「出でよ、ホリデークリスタル!」
彼女がそう告げると、その胸の谷間の肌の上に赤い飴玉ほどの大きさの宝玉が浮き出る。
火曜日が事態を飲み込めないままキョトンとしているうちに、天女はそれを左手で掴み取る。
(みんな、ゴメンなさいっ。アタシは蓮弓天女失格です、もうアタシの役割は果たせません。
だって、だって、痛いのや怖いのはもうイヤなのぉ…………)
第二の蓮弓天女、成人天女が完全に敗北した瞬間だった。
そのまま彼女は左手に力を込める。
命に代えても護るべき聖なる秘宝を、苦痛から逃れるために自ら破壊しようとしているのだ。
「えっ……あなた?何してるの!?」
ようやく事態に気がついた火曜日が驚きの声を漏らす。
だが、次の瞬間、赤い宝玉は成人天女の掌の中で砕け散った。


(…ゴ……メ……ン……ネ……)
603ブルーチューズデー9/9 ◆/W8AnhtEnE :2009/01/12(月) 22:41:03 ID:AVmJKmTC

 成人天女は水面を漂っている。
温かい水、さわやかに水面を揺らす風。
天女として戦い続けた短い一生を追え、彼女はようやく安らぎを感じることが出来た。
(天女って命を失ったらどこに行くんだろう?……当分はこの穏やかな感じを味わいたいなぁ。)
そう想っていた彼女だが、突如水面が波打つ。
「えっ、きゃあ!」
そのまま浮かんでいた彼女の身体は波に飲まれ、溺れた彼女の意識は途絶えた。



「どう、人工呼吸のお味は?」
何か話しかける声で成人天女は意識を取り戻す。
見慣れぬ天井、ぼやけた視界、話しかける人影。
ようやく視界が晴れた時、彼女の心は恐怖に染まった。
「ひっ!」
「あら、御目覚めね。」
覗き込んでいるのは火曜日、そしてここは悪夢を味わされたロッカー室。
「いやぁ…どうして?アタシ、死んだんじゃ!?」
「さっきと同じことを言うのね。」
怯えた声で問い掛ける天女に笑って応じる火曜日。
「ホリデークリスタルを確かに砕いて……」
握り締められたままの左の掌を開くと、確かにそこには赤く宝玉の欠片があった。

「ええ、そう。確かに成人天女は死んだわ。護るべきクリスタルを自分で砕いてね。でも試してみようと思ったの
さっきと同じようにわたしのホリデーを注ぎ込めば生き返るのかなって。」
顔面を蒼白にさせた成人天女に告げる火曜日。
「そしたらうまくいってこうなったってわけ。さぁ、楽しみましょう。実質的にあなたは不死なんだから。
死んでも死んでもわたしが甦らせてあげる。」
「い、いやぁ……」
「まずは御仕置きね、主人に断りもなく玩具の分際で勝手に命を絶ったんだから。」


「いやぁぁあああああっっっ!」


こうして成人天女は火曜日の魔手に囚われ、人々はヘイジツシスターズが放つ悪の力ロウドウーに支配されることとなった。
604588:2009/01/14(水) 23:35:19 ID:UwmAqTgM
>>594
俺の言った「蘇生」ってのは、手当てや療養させての蘇生なんだが...
思考や趣味までは流石に合わねーもんだな^ ^

ただ文章そのものは文句なく安定してるし、
苦痛や責めの描写も凝っていて高レベルのリョナSSだとは思った。
何よりオリジナルなのはすげぇ

今回の天女は救出してから嫁にもらいますね(・∀・)
605名無しさん@ピンキー:2009/01/15(木) 03:26:44 ID:HaMfOXl3
なんという良作
投下乙です!
606名無しさん@ピンキー:2009/01/15(木) 23:23:13 ID:clfNs+j3
そのうち『黄金天女団の皐月5姉妹』なんてのも出てくるんだろうか?
607名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 19:50:37 ID:sMXMhFAj
16歳♀暇だから全レスします☆     こちらスネーク        1990年生まれ集まれ〜☆       安価でお絵描き
   中学生      遊戯王        新ジャンル    VIPで本格的にRPG作ろうぜ   XBOX360
        全力で釣られるのがVIPPERだろ!w   ポケモン      コテデビューする                  ら
が    カレシと別れそう・・・   初心者   鬱病♀だけど     彼氏/彼女いないVIPPERちょっとこぃ♪       き
っ      唇スレ         mixi招待するお     釣った厨房に安価でメールwwwww               ☆
こ  さみしい・・・誰かかまって       425はどこも変えてなかった              ピカ厨       自    す
う     時代の流れ     デブきめぇんだよ           捨てアド晒してメル友     メンヘラ     殺     た
い  VIPヌクモリティ   顔晒し      馴れ合いスレ  「〜だお」              コテ雑         し
き     今のVIPが嫌ならVIPから出てけww        A雑    大阪VIPPER集まれ!!☆        ま
た 工作員 18歳♀が16歳♂に安価メール   VIPでMMO           ネタにマジレスの嵐         す
く    隠れオタ           skype       パートスレ   Skype         mp3垂れ流し
な  住所ギリギリまで晒して近かったらラーメン               二番煎じ
い       空気読め    リア充          ニコニコ動画   >>1 そっヵ、残念やわ(´・ω・`)
お   付き合ってくだしあ><       今から元カノに痛メする  >>3 ウチは高校生だぉ☆
                                           >>9 うはwwこれがVIPクオリティw
    ∩∩ V I P は ぼ く ら の 時 代 だ !!  V∩     >>2 自重しろwwwww          Be
ハ  (7ヌ)                               (/ /    >>7 ブラウザゲーやらないか?
ル  / /                 ∧_∧         ||                          モリタポ
ヒ / /  ∧_∧     ∧_∧  _( ゚ω゚ ) ∧_∧   || 埼  >>5 2chって有料なんですか?
  \ \( ゚ω゚ )―--( ゚ω゚ ) ̄      ⌒ヽ( ゚ω゚ ) //  玉  >>6 え?俺マジ貧乏なんだけど
    \       /⌒   ⌒ ̄ヽ ゆとり /~⌒    ⌒ /    O  >>8 お母さんに何て言えば
     |      |ー、      / ̄|    //`i構って女/     F   安価で絵描くお
低    | 恋愛 | | 厨房 / (ミ   ミ)  |    |     F   14歳♀中学生処女だけど質問ある?  ハ
年    |    | |     | /      \ |    |                                  ム
齢    |    |  )    /   /\   \|       ヽ   PCに詳しい人ちょっときて!!!   イ      ス
化    /   ノ | /  ヽ ヽ、_/)  (\    ) ゝ  |        電車男              ミ       タ
     |  |  | /   /|   / レ   \`ー ' |  |  /  サーセンwwwwwwwwwwwwwww   フ      |
608名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 19:51:10 ID:sMXMhFAj
ごめん間違った
609名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 01:29:48 ID:juM8GCIB
どこと間違えたんだwww
610名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 03:24:27 ID:9Tpu0RS9
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等一切関係ありません。
フィクションと現実を混同してしまう方は読むのをただちにやめてください。
611名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 03:26:14 ID:9Tpu0RS9
桃太郎は色々あって鬼を征伐し、宝物を持ち帰って爺と婆と幸せに暮らしましたとさ。
めでたし。めでたし。


「まったく、めでたいことなどあるものかよ」
鬼が島を襲撃してから数年が経ち、桃太郎は酒に溺れていた。
爺と婆の住むボロ屋には、金も色気もありゃしない。

それもそのはずである。桃太郎が鬼から奪い返した宝物は、元々は人間の物であったのだ。
それを桃太郎が独占するなど、もちろんありえない話である。持ち主に返すのが筋というものなのだから。
鬼退治を終えて英雄扱いされていたのは一時のことであり、宝を独り占めする桃太郎はすぐに非難を浴びた。

「慈善事業だとでも思ったのかよ。畜生め」
桃太郎は生来どうしようもない怠け者であった。
それを疎む爺と婆が、味気の無いキビダンゴと日本一のボロ布を桃太郎に持たせ「鬼でも退治してこいや」
などと言い家を追い出したのがこの童話の真相である。

ゆえに桃太郎は爺と婆を心底嫌っていたし、爺と婆もまったく働かぬ桃太郎を嫌っていた。

「俺様は桃太郎であるぞぉ」
桃太郎は山に向かって叫んだ。はたして盟友の犬や猿や雉がこの声を聞いただろうか。
いや、彼らは畜生ゆえに野生に還ったまま二度と戻ってきやしなかった。

若き桃太郎は飢えていた。富と名誉と、そして肉欲に。
その滾った血潮をぶつける場も無く、桃太郎は酒を呑んでいた。
612名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 03:27:08 ID:9Tpu0RS9
桃太郎は稀代の醜男であった。

町に出ても女子は桃太郎を見て笑うだけなので、桃太郎の性欲は主に動物に向けられた。
犬だろうが、豚だろうが、牛だろうが、木に空いた穴に肉棒をぶち込んでザーメンを放ったこともあった。

「富と名声さえあれば、人間の女を抱けるに違いない」
この偉大なる性欲が桃太郎を動かすことは無かった。美女を抱く姿を思い浮かべマスターベーションを行い
射精の後の喪失感でひたすら惰眠に耽るのみであったのだから。

そんな桃太郎であったが、たまには栄光の時代を思い浮かべることもある。

「それにしても、あの時はどうしてみんな俺を崇めていたのだろうか?」
確かに、鬼退治から帰ってきた直後は人という人が桃太郎を褒めちぎり奉った。
桃太郎にとっては実家を失いたくないという思いのみで動いたのみであり、人々のそれが理解できなかった。
桃太郎は射精という絶頂後の空虚な時間に、時折この奇妙な現象を考えるようになった。


「どうして鬼に暴力を働いたことが褒められるのだろうか?」
点と線が結ばれたのはとある事件がきっかけであった。
河原に罪人の首が二つ、さらされていたのだ。
若く美しい女の首と、同じくらいの年の男の首である。
613名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 03:30:32 ID:9Tpu0RS9
桃太郎は腰を抜かした。
いくら相手が鬼であっても、拳を数十発ほど浴びせた程度であり、こんなことはしなかった。
この「さらし首」という残虐は人間が人間に対して行ったことは明白であるが、でもどうして?

その横の看板にはこのようなことが書いてある。
「この男女。共に配偶者がいるにも関わらず、姦通という不義を犯したため、ここに罰する」
桃太郎は字を殆ど理解できなかったが、大体このような内容であることが分かった。

「よ、よ、要するに浮気なんだな」
しかし、桃太郎は尚も納得できなかった。
おそらくこの二人の間には法を超えた愛が存在したに違いない。
一体どうしてそれを惨殺できるのだろうか?

その瞬間である。桃太郎の脳に雷光が煌めいた。
さらし首と鬼退治を、桃太郎は奇妙な形で結びつけたのだった。

「そうか、ようは大儀名分なのだ。正義があればいかなる残虐非道も称賛されるのだ」
桃太郎の解釈が正当かどうかは分からない。
ただ、鬼退治という暴力が正当化された理由と、法を犯した悪人の惨殺の理由を、桃太郎は愚かしくも結びつけたのだった。
桃太郎は喜び勇んだ。そして死後も美しい女の頭部を棒から引き抜いた。
桃太郎の肉棒は隆々と勃起している。
614名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 03:31:25 ID:9Tpu0RS9
女の唇に自身のペニスをあてがい、挿入した。
桃太郎の肉棒はその体格と同じくたくましく、女の小さな口腔内はすみずみまで凌辱された。

「いいんだな。こいつらには当然の仕打ちなんだな。そうだろ」
女の頭部を物凄い勢いで動かし、腰に何度も打ちつけた。
肉棒は女の喉を貫き、首の切断面から亀頭部分が覗く。女の目は恨めしげに桃太郎の睾丸を睨んでいる。

「ええい。この悪人どもめ。不義を犯した罪人どもめ」
桃太郎には少なからず嫉妬が込められていたのだが、それがかえって桃太郎を欲情させた。
肉棒を一旦引き抜くと、今度は切断面の方から挿入した。
揺さぶるたびに女の口からペニスが出たり引っ込んだりする。

「見てるか男よ。貴様の細君は口から俺のちんこを出してるぞ。わははは」
桃太郎は男の首の目の前で、愛する者を猛烈に徹底的に犯した。
やがて桃太郎は絶頂へと達し、ザーメンは女の口から発射されて男の顔面を汚した。
「見たか!貴様の女は俺の精子を口から吐いたぞ!」
桃太郎の胸の中に喪失感が去来することは無かった。味わったことのない征服感と達成感に酔いしれた。

その様子を遠くで窺ってる村人の存在に気付いた。
桃太郎が振り返ると村人たちはさぁっと逃げて行った。

「やはりそうか。やはりそうか。わはははは」
村人は鬼か魔か分らぬ存在から逃げただけであったが、この光景は桃太郎にとって―――


615名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 03:33:19 ID:9Tpu0RS9
「やい!爺!婆!俺のためにキビダンゴを作れ!日本一の旗を織れ!」

この言葉を受けて、爺も婆も大層喜んだ。
ならず者の乱暴者が家から居なくなって心底嬉しいのだ。
また、家の名誉も復活するに違いないと思った。

「こら!犬!猿!雉!今一度、鬼を征伐じゃ!」

こうして桃太郎は動物どもを従えて鬼が島へと旅立った。なぜか?
桃太郎は思い出したのである。そういえば鬼の女はセクシーであった、と。

「鬼め!また悪さをしただろう!いや、したに違いない!今さら許しを乞っても無駄じゃ!」

男の鬼を全員殺してしまえば女の鬼を独占できる。
桃太郎はその日の内に鬼の男を皆殺しにして、鬼の女を一人残らず徹底的に強姦した。
手足を釘で貫いて紐でグルグル巻きにして逃亡できないようにし、かくして鬼が島は桃太郎のものになった。
少しでも気に入らない態度を示した女はつま先から1cm単位で切り刻み殺し、他の女を恐怖させることで支配した。
幼い子供までも妊娠させては出産させて、支配の悦びを味わった。
犬や猿や雉とも無理やり交配させたので、まれに異形の生物が生まれることもあった。

しかし、鬼が島は枯れた島である。
資源は乏しく、やがて困窮する。
桃太郎は生産というものを知らなかった。

「そうだ、人間たちから宝物を奪えばいい。構わん。奴らは正義の名のもとで鬼畜外道の行為をする悪魔なり!」



・・・やがて海の彼方から一隻の船がやってきた。
船には人間が一人と、動物が数匹乗っているようである。
掲げた旗には「日本一」と書いてあった。               END
616名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 03:36:07 ID:9Tpu0RS9
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等一切関係ありません。
フィクションと現実を混同してしまう方は読むのをただちにやめてください。

深夜のテンションで書いた。反省してないけど後悔はしてる。
617名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 12:14:55 ID:RovLcETM
GJと言わざるを得ない

………なるほど、童話もアリなんだな
618名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 18:11:46 ID:c8IT8aA0
>>604
相変わらず最高でしたGJ!
殺しても終わらないのがいいね。
脅えて自殺して復活させられておしおきか。パーフェクトすぎる。

>>616
童話はさりげに残酷描写あったりするせいかすんなり読めましたGJ!
桃太郎強いw 鬼ヶ島二連続制圧w 動物たちも孕ませたり元気すぎ。
最後に出てきた桃太郎が凛とした美少女でフルボッコ孕ませ展開を想像してターンエンドだ。
619名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 00:14:48 ID:jdWkBXJ2
これはwww
GJ!!
620名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 22:48:41 ID:bStihpQy
>>616
おおっ、これはっ!GJ!
他の昔話キャラ(が堕落する)の話ももっと見たいです。

そういえば数年前流行った
某派遣会社の「オー人事オー人事」ってCMで
無気力っちゅーか、やる気が無いっちゅーか、ダメ人間の桃太郎ってネタがあったな。
(・・・で 「上司に恵まれなかったら・・・・」 ってナレーションが入る)
621名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 06:35:26 ID:/xHSTQRa
622名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 17:14:04 ID:l21WYwTk
>>621
別のリョナ関連板でも少し話題になってたヤツだね

しかし何でだろう・・・それなりにハードなのに
この板ん中に居ると、すげぇ健全に見えてしまうのが不思議だw
623名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 23:56:28 ID:1r8yz+79
ん……?あれ?
>>621は作画がグロってネタじゃないの?
624名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 06:31:41 ID:+UzoeQ6t
作画酷すぎてなんのアニメかわかんなかったよ
625名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 14:51:14 ID:YBwii879
とらドラだよね?多分
626名無しさん@ピンキー:2009/01/26(月) 20:27:55 ID:j8+G9n+v
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等一切関係ありません。
フィクションと現実を混同してしまう方は読むのをただちにやめてください。
627K・G・キャット:2009/01/26(月) 20:28:21 ID:j8+G9n+v
背が小さくて、可愛くて、生意気な、あの少女を
麻袋に詰め木刀で叩いたらどうなるだろうか?

私はこの数日間、そんな妄想に耽っています。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


先日、こんな内容の本を読みました。
「猫の愛らしい手から、爪という爪を残らず引っこ抜いたらどうなるだろうか?」
ああ、なんとも残酷な想像ではありませんか。爪を失った猫は木登りができません。
たとえ塀の上に登ったとしても、支える爪が無いのですから、落下が不安で不安でブルブル震えてしまいます。
あの人を喰ったようなふてぶてしい態度はどこへやら。猫はきっと爪と同時に自信の全てを失うのでしょう。
そして絶え間無い落下の恐怖に苛まれ、やがて絶望し、―――死んでしまいます。

私の後ろを常に付きまとう少女。同学年にしてはあまりにも小柄なあの少女は、猫に似ているのではないでしょうか。
彼女はなんともわがままで傲慢で、胸も薄いその小さな身体から、耳が痛くなるほどの高い声を出してみんなを引きつけます。
それでいて時にそっぽを向いてみたり、時にべったりと甘えてみたり、彼女はまるで猫のようです。
彼女は知っています。自分の容姿が可愛いことを。そしてみんなに可愛がられる方法を。

一度でいい。そんな彼女の後ろからそぉ〜っと近付いて・・・
その頭に咲くピンク色のリボンを、ああ!切符のようにパチンと切ってみたい!
628K・G・キャット:2009/01/26(月) 20:29:03 ID:j8+G9n+v
東京郊外に構えるこの女学校には、桜の花が咲いています。
春の上昇気流は花びらを青空の遠くへ運びます。
私がいつも彼女と待ち合わせるのはその樹の下で、その日にクラスで起こった出来事などを語りながらゆっくりと下校します。
楽しげに、不満げに、悲しげに、嬉しげに、友達や先生のことを語る彼女は、ころころと表情を変えるのですが
はたして彼女は気付いているのでしょうか。黙ってほほ笑んでいるように見える私が、頭の中では麻袋と木刀を用意していることを。
そして、彼女を袋に詰めて滅多打ちにしていることを。鮮血がゆるゆると土の上に溢れている様子を思い浮かべてることを。
この暖かな大気に紛れて、私がドス黒い思いを胸に抱いていると思うと愉快な気持ちになります。


何せ、この穢れなき無菌培養の学校には、楽しいことなんて一つも無いのですから。
私は生徒会に所属していてさまざまな運営に携わっているのですが、本当に笑ったことなど一回もありません。
たとえ見た目はほほ笑んでいるように見えても、それは嘘です。
なぜなら、周囲の子の健康的な笑顔に気圧されて、物事を素直に楽しめない自分が憂鬱に思えてくるのですから。
一体どうしてみんな愉快でいられるのか?満開の桜のような純真な笑みを浮かべることができるのか?
私にはどうしてもそれが信じられなくて塞ぎ込んでしまうのです。
それでいて周囲と同じような表情を作らねばならないので、いよいよ私は悲しくなってしまいます。
楽しいことなんて一つだってあるでしょうか?

でも、もう思い悩むことはないのです。
「あの少女を麻袋に詰めて滅多打ちにする!」
その美しい妄想は、私の鬱憤を晴らしてくれます。



その妄想を実行したならば、彼女はどうなるでしょうか?
クラスの中心的存在である彼女はどうなるでしょうか?
629K・G・キャット:2009/01/26(月) 20:29:46 ID:j8+G9n+v
たとえば、空が紫に染まる夕暮れ時、桜の樹の下で、私を待つ彼女に背後から麻袋を被せます。
袋は小さいその身体をすっぽりと包んでしまいます。パニックに陥った彼女は何も出来ないに違いない。
出口を紐で固く縛り、太い枝にひっかけて吊るし上げます。暗闇と、地面から離れる恐怖。
そして、手にした木刀で袋を力いっぱい叩きます。
可愛い悲鳴など許しません。醜い叫び声が上がるまで徹底的に叩きます。
肋骨がひしゃげて、内臓が破裂するまで叩きます。脛をへし折り、腕を砕き、頭蓋骨を割るのです。眼球を叩き潰すのもいい。
袋の中に溜まった血は少しずつ染み出し、地面に赤い花びらのようなシミを点々と作るでしょう。

もはや、わずかにうめき声が聞こえるのみ。
かつて明らかに人が入っていると分かる形をしていた麻袋は、もはや檸檬のような紡錘形へと変化しています。
ぐしゃぐしゃに柔らかくなった肉体が袋本来の形に収まったのでしょう。
あの可愛らしい少女はどんなふうになったのか?なってしまったのか?
まるでママから貰ったプレゼントの中身を覗くような心地です。ああ、袋の中を早く覗きたい!
けれど、私はその衝動を必死に抑えて、そこを立ち去ります。


次の日、おそらく彼女は誰かに発見されるでしょう。
そして数週間もすれば学校に通えるようになるでしょう。

私の愉快は、まさにそこにある!
包帯を巻いているでしょうか、松葉杖をついて来るでしょうか。いや、そんなことはどうでもいいのです。
彼女は一体どんな目をしているでしょうか?昨日と同じように猫のような甘えた目ができるでしょうか?

いや、絶対にできない。できるはずがない。
630K・G・キャット:2009/01/26(月) 20:32:59 ID:j8+G9n+v
彼女は袋の中で何を思うでしょうか。
この春もうららな陽気な季節に、何者かに殺されそうになったとしたら?
暗闇の中で激痛の叫びを上げてもその手を止めない残酷な残酷な何物かに襲われたのです。
心当たりなどあるものですか。彼女は誰からも愛されていて、恨みを買う憶えなど無いのですから。
だからこそ恐怖するのです。「それならば、一体誰が?」と。

きっと、この中のどこかに自分を殺したいほど憎んでいる人間がいる。
その不信感は彼女から笑顔を奪います。そして他人と深く関わることを避けるでしょう。
周囲の慰めの言葉も愛の言葉も、全て信じることができなくなる。
かつてクラスのマスコットとして愛されていた彼女に、その影はもはやありません。
彼女は、怯えて、恐怖して、沈痛な表情で椅子に縛り付けられる人形として学校生活を終えることでしょう。
どうですか。なんとも愉快な話ではないですか。




人間の「爪」は「信頼」だと思います。
それを引っこ抜いたとき、人は確実に正常でいられなくなる。
もはや周囲と同じような健全な笑顔を浮かべることはできなくなるでしょう。

彼女は、物理的には最も近くにいるのに、精神的には最も遠いところにいる。
そんな彼女の「爪」を抜くことで、私は彼女と本当の意味で向き合うことができそうです。
631K・G・キャット:2009/01/26(月) 20:33:28 ID:j8+G9n+v
今年の桜は本当に綺麗です。
爛漫と咲き誇る花の下で、人々は和やかに楽しみ笑います。酔っ払ってゲロを吐いたり喧嘩することもあるでしょう。
私は今までその景色を遠ざけるようにしていました。私にはその姿が眩しくて直視できないのですから。

でも、今は違います。
あの素敵な妄想が私の心のバランスとなっているのです。
もう、桜の花にも、あの小さくて生意気で可愛らしい彼女にも、心を乱されることもありません。
だって、私はすでに麻袋も木刀も用意しているのです。いつだって実行できるのですよ?

今日も私は桜の樹の下で彼女を待ちます。
彼女はピンクのリボンを揺らしながらやってきます。
猫のような笑顔で私にじゃれつきます。

いつになく機嫌が良い私を見て不思議そうにしているのですが、その理由はきっと彼女には一生分からないでしょう。

どうやら私はみんなと平等に学校に通うことができそうです。
同じように桜の花を眺めることも、同じような笑顔を浮かべることもできそうです。
あの妄想は心の中に秘めたまま実行することはおそらく無いでしょうね。




彼女が私の側を離れようとしない限りは、きっと。                END
632名無しさん@ピンキー:2009/01/26(月) 20:39:03 ID:j8+G9n+v
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等一切関係ありません。
フィクションと現実を混同してしまう方は読むのをただちにやめてください。

椎名林檎とかCooCoとか好きそうだよね。この女。
633名無しさん@ピンキー:2009/01/26(月) 20:55:02 ID:dYccf/0+
>>627
乙!かじいもとじろうみたいで感動したw
良作ご馳走様です
634名無しさん@ピンキー:2009/01/26(月) 23:00:03 ID:zlSJQopI
今まで百合に興味なかったが不覚にも萌えたw
これは一種のヤンデレっぽい気もする

離れちゃ駄目だよ猫娘ー
635危殆魔法と騒擾詩 1/6:2009/01/31(土) 08:22:09 ID:YVHrlSE5
どうも、お初にお眼にかかります、名無しです(おい
果たして猟奇的作品なのかという物語をおいていきます。



☆危殆魔法と騒擾詩 第一話「騒擾詩の開演」





 ファザロゥド大陸。
 太古より魔法に支配されているこの大陸に、戦乱が絶えたことはない。
 その中にあって、永く平和な国があった。
 大陸東南に在る、ヴァデレキア王国。
 自然が美しい温暖の国で、外交や政治も安定している。
 特に隣国ゲニードベルドとは親交が深く、ヴァデレキアの人々の記憶に争いの火種などわずかにも残っていなかった。
 しかし、陰暦九百二年……突如としてそれは起こったのである――

 ―――

 魔法学院フェリスゴート。
 ヴァデレキア王国の中でも名門と称えられる、由緒正しき学院である。
 十三歳から入院可能な六年制の共学院で、親元を離れての寮生活が課せられる。
 生徒達の私生活に対する干渉はまったくと言っていいほどないものの、もとよりそんな暇などありはしない。
 毎日魔法の勉強と修練に明け暮れ、宿題や課題もどっさり出される。
 それだけ徹底した教育体制をしいているのだが、同時に精神教育も強くふき込んでいる。
 なんとこの学院からは有に六十年もの間、罪人が出ていないのだ。
 卒業する者は年におよそ三十名ほどだから、平和なお国柄とはいえこれは驚異的である。
「――けどよ、俺が六十五年ぶりの罪人になるかもな?」
 三年生の教室で背信的なことをのたまったのは、エレン=アキオールだ。
 名前も見た目もれっきとした少女なのに、性格や素行、口調に至るまでまるで男そのものである。
 澄んだ水色の瞳と銀髪をポニーテールに結った姿をみれば、彼女が最北の国・ワズックの生まれであることがわかる。
「……六十四年ぶりですわ、エレン。もう、本当に残念ですわ。頭の回転さえ良ければ、欠点が見当たらないというのに」
 釘を刺したのはイグレーヌ=バルティマイデ。
 エレンとは正反対のしとやかな雰囲気を持つ彼女は、実力も知性も申し分ない。
 流れる黒髪にすみれ色の瞳が印象的な彼女は、隣国ゲニードベルドから越してきた名家の少女だ。
636危殆魔法と騒擾詩 2/6:2009/01/31(土) 08:23:28 ID:YVHrlSE5


 ただ、屈指の能力を有するふたりともがヴァデレキア人ではないことは、一部の生徒達にとってはそれがおもしろくない。
 容姿もとびきり優れているものだから、女生徒達からは嫉妬と羨望の視線が絶えない。
 一人を除いては。
「欠点ならあるじゃない。身体は女でも、中身は男。これはもう致命的だと思うわ」
 遠慮もなしに口をはさんだのは、純粋なヴェデレキア人であるミリアム=オトニウェル。
 ヴァデレキア人である証の金髪をみじかく揃え、大きな緑眼は自然を思い起こさせるきらめきを放っている。
 二人に劣らない実力・容姿の持ち主であり、胆力に至っては比較にならないほど強い少女だ。
「おいおい、二人して遠慮ねえな。長所はどこやった長所は」
「あら、知っているのにどこやったもありませんことよ」
「エレンの場合、ちょっとお馬鹿なトコ以外に弱点ないからねぇ。妬まれても仕方ないわよ」
「いや、別にいくら妬かれようと構わないんだけどさ……」
 何を思ったか、エレンは切れ長の碧眼をそらして言葉をつぐんだ。
「戦いをご所望ですわね?」
「それだ!」
 ミリアムの物騒な発言にすぐさま賛意を表したエレンである。
「ちょ、ちょっと。ふたりとも、少しは控えなさいよ。ただでさえ目立つんだから」
 危険な台詞の応酬が展開される前に、ミリアムは注意を促した。
 確かに彼女達三人の姿が相当目を引くのは事実だ。
 タイプは違えど、三年生はおろか学院内でも一、二を争う風貌の美少女達が一同に会しているのだ。
 女子院であればともかく共院なので、高嶺の花を見る男子達の視線を否がおうにも感じなければならない。
「べつにぃ〜。目の保養でもさせてやりゃぁいんじゃねぇの?」
 とか言いながら、短いスカート丈をことさら強調するかの如く、椅子に座りながら大きく足を組む銀髪少女。
「ちょ……やめなさいって!」
「そうですわ。変な気を起こしたら、血を見るどころでは済まなくてよ」
「なんて言いながら武者震いしないでってば!」
 などとほほえましい(?)掛け合いを展開しながらも、彼女たち、そして院の生徒達は平和で忙しい日々を送っていた。
 ――この日までは。
「……なあ」
「あら……どうなさいました?」
 黒髪少女に声をかけた銀髪少女の顔が、普段よりいっそう険しくなっている。
 二人に比べれば、あくまでわずかにだが学がないと言われるエレンだが、見た目通りいわゆる野生の勘はするどい。
「エレンも気付いた? さっきから何か嫌なかんじなのよ。レーヌはどう?」
「……確かに……感じますわね。でも、これはまさか…………」
 他の生徒は気付いていないようだが、三人の妖精は学院内に不穏な空気が流れているのを察していた。
 彼女達は同時にこうも思っていた。
637危殆魔法と騒擾詩 3/6:2009/01/31(土) 08:24:01 ID:YVHrlSE5


 自分達が気付くくらいだから、教師陣がこれに気付かないはずは無いと。
 そして、その予感は当たっていたのである。
 教室外の廊下を、騒がしく駆ける音。次いで、間もなく扉が開かれ――
「みんなっ!! 大事な話があります! 真面目に聞きなさい!!」
 若い女教師・アリッサ=エリザベトが声をはりあげたのである。
 三年生の生徒二十八名は、三人の妖精を別として全員が驚いていた。
 いつもは穏やかなエリザベト先生が想像だにしない大声をあげて、表情にも鬼気迫るものがあったからだ。
「隣国・ゲニードベルドが我が国に軍事侵攻を開始し、すでに国境の要塞都市ウェリウファを突破されました!」
 教室内が大きくざわついた。
 ヴァデレキアは大国ゲニードベルドとは最も親交が深く、文字通り今日の今日まで良き交流を絶やさなかった関係だったのだ。
 それが突如、宣戦布告すらなく不可侵領域に攻め込んでくるなどというのは、到底考えられないし、ありえないことなのである。
「……みなさん、理不尽だと思うけれど、今は理由を考えている時じゃありません! あなたたちは国の掟に従い、男子は戦線に赴き、女子は王都に非難するのです!」
 アリッサは整ったおもてに複雑な思いをうかべながら、生徒にむけて悲痛に訴えた。
 これから起こりうることを想像すると、まだ若い彼女が取り乱さないだけでも立派なのかもしれない。
 国の掟とはいえ、魔法学院在中の男子生徒は問答無用で戦場へと駆り出されるのだ。
 どんなに納得がいかずとも、それが決まりであり、またそうしなければ国が滅ぼされる可能性だってある。
 背に腹は代えられない。
「さあ早く! 男子は屋外におられる院長先生のもとへ、女子はわたしについてきなさい。急いで!!」
 あどけなさが残る顔に似合わず、透きとおった声には有無を言わさない重みがひしひしと伝わってきた。
 こうなると、三年生男子の動きは水を得た魚のようだった。
「行くぞ、みんな!」
「おおーーー!!」
 男子全員が声高にさけび、次々と教室を出て行く。
 誰一人として恐怖に動けないものはいなかったが、そこは名門たるゆえん、精神教育が行き届いているといえた。
 彼らは死にに行くなどと考えているのではない。
 国を守るため、ひいては裏切った逆賊のゲニードベルド人を打ち破るために戦うのが、いわば彼らにとっては使命であり誇りなのだ。
 だが残念なことに、そうと判っていても動けなかった者がいた。
 奇麗さっぱり居なくなった男子達をみて、戦争の現実を見いだした女子ふたりがへたり込んでしまったのである。
「やだよ…………戦争なんて……」
「先生……何かの、間違いですよね? ゲニードベルドが攻め込む……理由なんて――」
「考えちゃ駄目っ!!」
 再び耳をつんざく剛声を発したアリッサだった。
 ふたりはますます震えあがり、すわりこんだ床に張り付いてしまっている。
「わたしだって信じたくないけど、彼の国が侵攻してきたのは事実。どんなに考えられないことでもそれが現実なのだから、真摯に受け止め、対応しなくてはならないの」
 ふたりは微かに震えながらこくこくと頷いている。
638危殆魔法と騒擾詩 4/6:2009/01/31(土) 08:25:34 ID:YVHrlSE5


「分かったならさっさと立て。水攻め食らわされる前にな」
 凄みがある声で駄目を押したのはエレンだった。
「アキオールさん……」
「先生も甘いですよ。立てないなら、無理にでも動けるだけの動機を与えてやればいいんです」
 生徒が先生に対する諫言としては手厳しいものがあったが、これは効果てきめんだった。
「…………」
「……先生、ごめんなさい」
 一人は黙ったまま、一人はあやまりつつ、ゆっくりと立ち上がったのである。
 彼女達は、怒っているエレンがこうすると言ったらそれを実行するということを嫌というほど知っている。
 またそれを実行できるだけの力があることも。
「分かりゃいいのさ。――先生、固まってる暇なんてありませんよ」
「! ……ごめんなさい。みんな、迅速にわたしについてきなさい」
 本当に不思議な子だわ――と内心で呟きながら、あどけなさの残る女教師は生徒達を素早く引率しはじめたのである。

 ―――

 魔法学院フェリスゴートが侵攻の情報をうけた、同刻。
 要塞都市ウェリウファは文字通りの蹂躙をうけていた。
 男はほぼ全員が虐殺され、女も嬲り殺されるか‘遊ばれるか’の二択という、余りにも惨い有様であった。
「ひゃあっ……ほぉう!」
「ぎあ゛っ!」
 武器魔法『鉄球・投・一』が、十字架に磔にされている、みれば未だ十歳ちょっとの少女に炸裂した。
「う゛あっ………がはぁあ゛ああっ!」
 むき出しの腹に黒い鉄球がめり込み、内臓を潰されたかと錯覚するほどの痛みに悶えた。
 虚ろな瞳から涙を、口からは血を噴きながら声にならない悲鳴があがる。
「お・つ・ぎ・は♪ ……『大剣・刺突・一』っ!!」
 いかにも気分が良さそうに、彼は武器魔法を放った。
 何もない空間から大剣が具現化し、苦痛にあえぐ少女に一直線に向かっていった。
「ひ……いやぁっ、あ゛――」
 少女の腹に突き立った剣はなんと、十字架ごと胴体を切り離してしまった。
 宙に舞った少女はごふっ、と大量に吐血し、臓物を撒き散らしながら地面に投げ出された。
「ああ゛っ、がばア゛……ごボ………………」
 微痙攣しながら数秒ほど究極の痛みを味わったあと、絶息した。
「あ、やっべ! 殺っちまったぜ!」
 白々しく言い、次の標的を見る。
 彼の眼前には、実に八十人ほど――すでに三十人くらい手にかけたので約五十人だが――の‘的’が磔にされていた。
639危殆魔法と騒擾詩 5/6:2009/01/31(土) 08:26:15 ID:YVHrlSE5


 中には十に満たぬ少女から上は三十歳くらいの女性まで、平均して二十歳前後の女人が胸と陰部だけを隠された格好でズラッとならんでいるのだ。
「嫌ぁああアぁ!! やめてええぇぇぇ!!」
 男の切れ長の瞳に視姦られた二十代半ばの女性は泣き叫んだ。
 自身の運命を先刻の少女に重ねたのだろうが、男はそんな女性ににやりと笑いかけ、こういった。
「なあお嬢さん――って齢でもないか――、俺の言うこと聞いてくれたら、特別に見逃してやらないでもないよっ」
 現金なもので、彼女はえっとつぶやくと一瞬で泣きやんだ。
 今までの約三十人の女人はただ惨殺されるだけだったのが、初めて声を掛けられたのだ。
 内心では相当に喜んでいても不思議ではない。
 大人しくなった女性の様子をみて、男はさらに唇をつり上げる。
「俺ってさ、女を犯すより斬り刻むほうが好きなわけよ。だから淫乱女は嫌いなんだ」
 なにが‘だから’なのかよく分からない。
「だから、俺が使う淫楽魔法の攻めに耐えられるようなら……一切声をもらさなかったら、貴女を解放してあげよう。どうかな?」
 女性としてはもう懸命に頷くしかなかった。
 恥辱を受けても命が助かるなら安いものである。
「うんうん、賢明だねぇ♪ じゃあいくよ〜」
 言下に、男は愉しげに投げキッスした。
 瞬間、女性の肢体がビクンと跳ねあがった。
 さっきもだが、彼は詠唱なしで魔法行使できる、かなりのやり手なのだ。
「おお、今の不意打ちに耐えたかぁ。じゃ、今度は……『手淫・膣内・二』!」
「っ!! ……っ…………!!!」
 男が宣言してから、女性は双眸をきつく閉ざして身体をくねらせている。
 他の女人達には何がおこっているのかよく分からなかったが、まもなくその女性から、淫猥な水音が漏れ出してきたのである。
 よく見ると、陰部を隠す布もやや膨れ上がっている。
「おお、素晴らしいねぇ。んじゃ次は〜……『口淫・淫核・四』!」
 彼は容赦がなかった。
 絶妙な舌技によってクリトリスを攻め立てられ喉から嬌声が出そうになったが、必死に飲み込んだ。
 既に下着からは愛液がことごとく流れ出してきている。
「おお、おお。よく耐えるなぁ。すごいすごい」
 気のせいか、その声には少しも感情が籠もっていないように思えた。
「んじゃあごほうびに……五つ数えるまでに声を出さなかったら、解放してあげよう!」
 女性の方には頷く余裕などない。それどころか聞こえているかも危うかったが、彼にはどうでもいいことだった。
「それじゃ数えるぞ〜……って、あら?」
 男は疑念の声をだして女性を見た。
 見るや、女性は口を大きく開けて眼を強く閉ざしたまま、身体を微震動させながら硬直している。
 ――絶頂を迎えていた。
640危殆魔法と騒擾詩 6/6:2009/01/31(土) 08:28:23 ID:YVHrlSE5


 それでもなお続く攻めに気を失うか喘ぐかをしないのは、もはや不思議ですらあった。
「……あれ、イっちゃったんだ…………」
 なぜか落胆を含んだような声。
 次いで、男はうつむいて、くつくつと薄ら寒い笑声を上げ始めた。
 その場にいる女人全ての背筋が寒くなる、不気味な笑い声だった。
「だめだなぁ〜……イっちゃだめって言ったじゃん……つうわけで――」
 そんなこと言っ……――口を開く暇などなかったが、心の中の呟きさえ遮られた女性だった。
 彼が言下に右手を上げると、女性の上に具現化されたのは巨大な斧だ。
 その顔が恐怖に満ちたのもつかの間。
 振り下ろされた大斧は、十字架ごと女性を真っ二つに断殺したのである。
「…………!!」
 場が凍りついた。
 女性の死に様はもとより、彼の表情が異色の感情に塗られていたのである。
 或いは怒りか。或いは哀しみか。或いは喜びか……
 その表情からは彼が何を思っているのかなど読み取れはしない。
 ――と、ここでタイミングよく殺戮現場に走り立ち入ってきた男がいた。
「おい、ダミアン」
 複雑な感情の隆起に浸っていた男は、それこそ一瞬で表情を引き締めた。
 ふり返ると、彼――ダミアンの上官である将軍・デニス=バッグラルが、精気に満ちた顔を向けて起立していた。
「何でございましょう、閣下」
 長身痩躯の男はひざまずいて一礼した。
 とても先刻までの殺人狂の姿とは思えない。
「私は王都ヘ向かう。後のことは貴様に任せたぞ」
「御意に……」
 低頭しきりのダミアンだった。
 会話を簡潔に終えると、将軍は行動も早い。
 すぐさま踵を返し、部隊へと戻っていったのである。
 とたん、男の表情も元の快楽殺人者に戻るのだから、おかしな光景といえなくもなかった。
「さて…………続きをやりますか♪」
 ついさっきまでの複雑怪奇な顔色はどこへやら。
 彼に見据えられた少女はその狂気に満ちた笑顔を見るなり、全身に電流をとおされたかのような感覚におぼえ、失禁にいたってしまったのである―― 第一話・おわり



 猟奇的シーン少ないですね……次からはもちっと多めに入れておきます。
って貼りミスorz ごめんなさい……
641名無しさん@ピンキー
>>635
GJ!
魅力的な3人がどう戦乱に巻き込まれていくか期待してます。


それともうスレ容量が499kbに達しているので、僭越ながら新スレ立てました。

猟奇・鬼畜・グロ・嗜虐・リョナ系総合スレ 第8章
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