調教や洗脳などで悪の奴隷になるヒロインpart18
なんかアネットが話題になっているが、黙示録のキャリーなんです。うん、御免なさい。
いちおうバッドエンド補完ということで。
「ぐおおおおあああああっ!」
キャリーの掌から放たれた光弾が、苦痛に顔をゆがめるドラキュラの胸板を深々と貫いた。
ドラキュラの全身からシュウシュウと煙が上がり、その肉体がぼろり、ぼろりと崩れ始めている。
どう見ても、致命傷を与えたのは明白だ。
「貴方は…、これで終わりよ」
キャリーは崩れゆくドラキュラに冷たく言い放った。が、ドラキュラは苦しみながらもその顔に笑みを浮かべ
キャリーに向って答えかけてきた。
「愚かな…。これで私を倒したと思っているのか……? これで世界は救われたと思っておるのか!
欲望に歪み、罪に汚れた人間の手で世界を覆う闇の侵食を止められるはずがない!」
どす黒い血を吐きながらも、半身が灰になりつつもなおドラキュラはその口を止めない。
「やがてすべてが闇に呑まれるのだ! その時に、己の無力さを嘆くがいぃ……
な、なぜなら、なぜならわたしはぁ………」
ボシュゥ!
その先の言葉を言うよりも早く、魔王ドラキュラ伯爵は爆音と共にその全身を塵に帰した。その衝撃は悪魔城全体を
大きく震わせ、歪ませるほどだった。
いや、実際その衝撃で悪魔城は崩壊し始めていた。頑丈な石壁に大きな亀裂が走り、天井がガラガラと
音を立てて崩れ始めている。
「いけない!」
キャリーはドラキュラの灰を封印しようとしていたが、それよりも早く城の崩壊が始まってしまったために
やむを得ず灰をそのままに天守閣の広間を後にした。
悪魔城を見上げる小高い丘。
その先にある城が轟音と共に崩れ去っていった。後には山のような瓦礫と舞い上がった埃があるのみで
往時の物々しい城郭は面影すらない。
その様を、丘からキャリーは感慨深げに眺めていた。
「ヴェルナンデスの戦士さん、お母さん、見ていてくれましたか……」
灰を封印できなかったのは気がかりだったが、ここまで派手に崩壊したら自力で復活するのはまず不可能だろう。
よしんば灰を掻き集めて復活させようとする輩がいたとしても、想像を絶する苦労を伴うはずだ。
何はともあれ、彼女は魔王ドラキュラの倒滅を果たしたのだ。
「お姉ちゃん…」
突然、後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。ビックリしたキャリーが振り向いた先には、どこから現れたのか
悪魔城に囚われ、脱出させた少年マルスがいた。
「ねえ、ドラキュラは死んだの?」
自身の体験を思い出したのか、マルスは少しオドオドした口調でキャリーに問い掛けてきた。
「ええ……」
「ドラキュラは、もう二度と復活することはないの?」
この質問にキャリーはグッと言葉が詰まった。
最早ドラキュラは自分で復活することは出来ない。しかし、それを望む人間が苦労も厭わず復活させる可能性が無い。とは言えない。
「………」
少し考え込んだ後、キャリーはマルスに語りかけた。
「それはきっと、人間次第なのかもね……」
まだ夜の帳が明けない中、キャリーとマルスは馬車にの荷台に乗り、マルスの村へと向っていった。
「ねえ……」
がたがたと揺れる馬車の中で、キャリーの横にいるマルスがぼそりと口を開いた。
「ん?どうしたの?」
何事かとキャリーがマルスを見る。マルスは俯き加減に顔を伏せ、その頬は真っ赤に染まっていた。
「あ、あの……、あのね……」
なにかぼそぼそと口ごもっているが、あまりに小声なので聞き取れない。
「どうしたのよ、マルス」
事態がよくわからず問い掛けたキャリーの声に、マルスは意を決したかのように顔をあげ、キャリーの
瞳をじっと見据えながら口を開いた。
「その、村に帰ったら……僕のお嫁さんに……なってほしいんだ!」
「ああそう……………え!?」
キャリーは最初、マルスが何を言ったのか理解できなかった。
血と殺戮に染められてきた今までの人生において、告白などされたことは当然無い。というより12歳の
キャリーに告白されるという概念そのものがまだ構成されていなかった。
「お願いだよ、キャリー!うんと言ってよ!」
「だってそんな、き、急に言われても……」
普通に考えれば、恋のいろはも知らない子供が憧れた年上の女性に戯れに放った言葉だと思うだろう。
が、マルスの目は本気だった。本気ゆえに、キャリーもどう対処していいのか分からなかった。
「必ず幸せにするから!約束するから!」
「でも、私たち、私たち、まだ若いじゃない? 結婚はまだ早いわよ」
そう。いくらなんでも12歳のキャリーに結婚がどういうものか、頭では分かっていても具体的にどう
なるのかまでは想像に及ぶものが無かった。
もちろんそれはマルスに関しても同じ筈なのだが、マルスの言葉にはそれを感じさせない妙な説得力があった。
「じゃあ、約束して!大人になったら僕のお嫁さんになるって」
「うーん……じゃあマルスは私を守ってくれるような紳士になってくれる?」
「うん!どんなことがあっても必ず守るよ!」
キャリーの言葉に、マルスはこれ以上ない真剣な顔で返した。
なんだかんだ言ってもまだ歳相応の子供の雰囲気をかもしだすその表情にキャリーは少し微笑ましくなった。
「そうね、じゃあ、考えておくわね」
「ダメだよ!いま返事してよ!大きくなったら僕のお嫁さんになるって!」
軽く受け流したつもりだったのだが、マルスはあくまでキャリーに結婚の確約を取るつもりらしい。
「はいはい。わかったわ」
その駄々っ子のような態度にキャリーは笑い出したくなりそうな自分を必死に抑え、マルスの耳元でぽそりと呟いた。
「じゃあ大人になったら、私はマルスのお嫁さんになります」
「これでいい? うふふ……っ!」
その時、不意にマルスがキャリーの首筋にキスをしてきた。想像以上に冷たい唇の感触がキャリーの背筋を震わせる。
「マ、マルス?!」
「うん、これで充分だよ。今ので契約は成立したから………」
「契約………?」
首筋にキス、そして契約…。まるで吸血鬼のそれを想像させる振る舞いに、キャリーの鼓動がドクドクと高鳴る。
「そう、契約。
これでキャリーは絶対に僕のお嫁さんになってもらう。ってね」
青ざめるキャリーの前で、マルスは舌をぺろっと出して微笑んだ。
「…………、やっぱマルスのお嫁さんになるのやめた」
自分がからかわれた。そう直感したキャリーはぷうと顔を膨らませ、マルスから視線を外した。
「ええ〜〜!そんな!!契約は?!」
「そんなもの、しらない!」
情けない顔をして寄りすがってくるマルスに、キャリーは拳骨を一発くれてやった。
間もなく、日が昇ろうとしていた。
697 :
四年前の約束:2007/11/05(月) 01:02:26 ID:xRrdd3bU
「…………」
キャリーはぱちりと目を開いた。目の先には部屋の天井が広がっている。まだ夜は明けておらず、月明かりが
窓から中に入ってきている。
どうやら、4年前の事を夢に見ていたようだ。実際、あのときのことは今でも昨日の様な気がするほど
鮮明に記憶の中に写し込まれている。
あの後キャリーはマルスを村の生き残り人に預け、再び魔物を狩る人生に戻った。ドラキュラのような
大物はあれ以降当たったことは無いが、中小様々な魔物はそれこそ掃いて捨てるほどいる。
ドラキュラを倒せるほどの腕を持ったキャリーなら、そこそこの魔物など相手にならず、おかげで喰うことに
困ることは無かった。
昔は野宿が殆どだったが、今はこうして屋根付きの宿屋の2階で眠ることも出来る。
「マルス…、元気にしているかな」
夢に見たからか、キャリーは村で別れた少年のことを久々に思い出した。
そのうちマルスのいる村に寄ってみよう、寄ってみようと思いながら時間が空くことはなく、とうとう
この4年間あの村に立ち寄ることが出来なかった。
「もう…、あのときの約束なんて覚えてないんだろうな」
自分に向けてきた真剣な瞳。あの顔を思い出すだけでキャリーはちょっと胸が暖かくなった。
あれ以降、自分にあれほど真剣な目を向けた人間にはあったことが無かった。ハンターという職業上、
相手に畏怖や好奇を与えることはあっても、恋慕などとは無縁だったからだ。
今度の仕事が終わったら、今度こそあの村に行ってみよう。そして、大きくなったマルスにあのときのことを
せいぜい冷やかしてやろう。
キャリーはその時マルスが浮かべるであろう狼狽する態度を想像して顔を綻ばせ、再び眠りに付こうとした。
その時、窓をこんこんと叩く音がした。
最初は枝でもぶつかっているのだろうと無視していたが、こんこん、こんこん、と音は鳴り止むことはなく続いている。
「………なんなのよ、もう!」
さすがにいらついたキャリーが布団を跳ね除けて起き上がり窓のほうを見ると、そこには月明かりに浮かぶ一体の人影があった。
そして、その顔はキャリーがとても見覚えのあるものだった。
「お姉ちゃん……」
「マ、マルス?!」
その姿にキャリーは仰天した。
なぜこんなところにマルスがいるのか、なぜこんな時間にマルスがいるのか、そんなことは些末な問題だった。
キャリーの目の前にいるマルス。その姿はキャリーとマルスが解れた4年前と、全く変わらないものだったからだ。
「マルス?!こ、これってどういう………」
「お姉ちゃん、4年前の契約を果たしに来たよ……。さあ、早くこの窓を開けてよ」
「え、ええ…」
事態がよく飲み込めず、キャリーはマルスの言うがままに窓の格子をあけた。
これによりマルスはキャリーの『部屋』に『招かれる』ことになった。
ガラス窓が"きい"と軋み、マルスは部屋の中にふわりと入ってきた。その姿はやはり4年前にあったときと全く変わっていない。
ただ、その身に纏う雰囲気は以前とまるで違う。全身から超然とした気が漂い、周りの空気まで凍りつきそうだ。
これほどの気配に、キャリーは今まで相対したことが無かった。あのドラキュラを前にしたときも、これほど緊張はしなかったろう。
この時、キャリーは今いる部屋が宿屋の『二階』というのを思い出した。
「マルス……、あなた、どうやってここに………。いえ、それよりもどうして、その姿は………」
「お姉ちゃん………、4年前の約束、覚えているよね」
キャリーの言葉を意にも解さず、マルスはキャリーに問い掛けてくる。
「約束………。マルスが私をお嫁さんにしてくれる。ってこと………?」
「そう。もうキャリーは大人になったよね。もう僕と結婚できるよね?」
確かにキャリーは現在16歳。結婚できるといえば出来る年齢かもしれない。
698 :
四年前の約束:2007/11/05(月) 01:03:22 ID:xRrdd3bU
が、それを言う相手が10歳ぐらいのお子様では滑稽なギャグにしかならない。ましてや、4年経っても
全く姿が変わらない相手では洒落にもならない。
マルスがキャリーをじっとみつめている。その瞳は、まるで血のような紅い色をしていた。
なにかとても恐ろしいことが起ころうとしている。キャリーの神経は全身に警戒の信号を送ろうとしていた。
が、マルスの紅い瞳にじっと射すくめられたキャリーは、そのすべての警戒心を凍りつかせられていた。
いつのまにか、キャリーは少年の姿のままのマルスに疑問を抱かなくなっていた。
「そ、それは結婚できるかもしれない。けど、けど………」
キャリーはその先を言い出すことが出来なかった。何故かは分からない。が、その先を言うと、もう二度と引き返せない気がしていた。
「けど………、あ、あなたはどうなの?マルスは、私を守れるような、紳士になってくれたの?!」
キャリーがたどたどしく繰り出した言葉に、マルスはにっこりと微笑んだ。
「もちろんだよ。あの時キャリーが見逃してくれたから、僕は完全に力を取り戻すことが出来たから…」
見逃してくれた?力を取り戻す?
「そ、それって、どういうこ………」
その時、マルスが内に纏っていた気配が急速に外に広がっていった。マルスの周りを黒い奔流が渦巻き
マルスの体を覆い尽くしていく。
「あ、ああ………」
渦巻く力場の中、中心にいるマルスのシルエットがぐんぐんと膨らんでいくのが分かる。キャリーより小さかった
体はたちまちキャリーを追い越し、あどけない少年だった姿は凛々しい青年へと変じていく。
やがて纏わり付いていた力場が拡散しその中から出てきたものは、見るものを陶然とさせるような美青年だった。
「マ、マルス……、あなた一体………」
その容姿に視線が釘付けになりながらも、キャリーは至極当たり前の問いかけをマルスに行った。
目の前にいた少年がいきなり青年になる。これはもう真っ当な存在では断じてない。
「驚かせて済まなかったかな。我が真の名はドラキュラ・ヴラド・ツェペシュ。マルスと言う存在は
我が100年の刻をわたり転生するための仮の器に過ぎないもの」
「ド、ドラキュラですって?!」
その名前にキャリーは驚愕した。
「そんな馬鹿な!ドラキュラなら私が、四年前に滅ぼしたはずよ!」
「キャリー、君が四年前に滅ぼしたもの。あれはドラキュラではない。あれは私が完全なる復活を果たすまで
私の影として存在させた下僕に過ぎない。
吸血鬼の中の吸血鬼、真祖ドラキュラがあれ如きで滅ぼせると思ったのかね?」
マルス=ドラキュラはあくまで慇懃にキャリーに向って語りかけてくる。それはもう、キャリーでは
自分の相手にはならないことを誇示しているかのように。
「正直、あのときの私はまだ完全に力を取り戻しておらず、君の力でも充分に滅ぼされる可能性はあった。
でも、君が私の正体を見切ることが出来なかったから、こうして私は完全に力を取り戻すことができた。というわけだよ」
「そ、そんな………」
じゃあ自分は、本当のドラキュラが目の前にいたにもかかわらず、それに気づかずに見逃し、あまつさえ
完全な復活を許してしまったというのか!
キャリーは自分の迂闊さを呪い、そして、次にやるべきことを瞬時に悟った。
「だったら………、今度こそ、今度こそ完全に滅ぼしてあげるわ!」
キャリーはドラキュラとの間合いを瞬時に開け、掌にエネルギーボールを生成しようと力を込めた。
が、キャリーの意に反してエネルギーボールは発生するそぶりすら見せなかった。
「えっ?な、なんで?!」
不可思議な事態に驚くキャリーに、ドラキュラはやれやれと首をすくめた。
「キャリー、君は何をしようとしているんだい?私がここに来たのは、君と戦うためではないのは知っているだろう」
「ど、どういうことよ!」
「さっき言わなかったかい?私が今日ここに来たのは、4年前の契約を果たすため…
つまり、君を花嫁として迎え入れるためなんだよ」
699 :
四年前の約束:2007/11/05(月) 01:04:22 ID:xRrdd3bU
「は、花嫁ですって?!」
確かにそうだ。ドラキュラ=マルスは自分を嫁にする。そう言っていた。はずだ。
「我が下僕ジルドレを倒した君の力に、私はあの時感服したんだ。そして、その時思ったのだ。
復活した私の花嫁に相応しいのはキャリー、君しかいない、とね。
だからあの時契約をした。君が将来、私の花嫁になるという、ね」
「な!!」
「失礼ながらあの時、君の血を少々拝借させて貰った。そして僅かだが、私の血も君の中に入れさせて貰ったよ」
「え………、それって、まさか………」
あの時マルスはキャリーの首筋に不意にキスをしてきた。あの時、すでに吸血されていたということか。
「これにより契約は成立した。私は将来花嫁にする君を絶対に守り通すし、君も花婿になる私を絶対に
害することは出来ない。
まあ、契約があったからこそ君の気配がどこにいても把握できたし、君を守ることも出来たんだ」
「え?!」
君を、守ることも出来た?
いつどこで、私がドラキュラに守って貰ったというのだろうか。
「君は気づいてなかったかもしれないが、君は過去においてかなり危険な目にあったことが幾度となく
あったのだよ。その都度、私が力を貸して危機を脱してあげたがね。正直、君の戦い方は危なっかしくて
見ていられないときが多かったよ」
ドラキュラの言葉からすると、別れたあの瞬間からドラキュラはずっとキャリーの動向を見続けていたようだ。
「なんで、そんなことを………」
「さっきも言ったろう。私は、君を花嫁に迎える、と。そのためならいかなることでもしてみせる」
キャリーを見つめるドラキュラの瞳は、4年前のマルスが見せた瞳と同じ真剣なものだった。
呆然と佇むキャリーに、ドラキュラはじり、じりと近づいてくる。
「さあキャリー、私を受け入れてくれ。君が望むなら、私はこの世のありとあらゆるものを分け与えよう」
血の通わぬ青い肌、脳髄を焦がす真っ赤な視線、口元に零れる牙。
今のキャリーの視界には、ドラキュラの顔しか入っていなかった。
キャリーの心の中が、次第にドラキュラで占められていく。そのことを恍惚と思う反面、根源的な恐怖も湧き上がっていた。
「い、いや………」
「怖がることはない。君は黙って、今から起こることを受け入れればいいんだ。
悪いようにはしない。君は私が4年間、ずっと恋焦がれ続けていた、大事な花嫁なんだから」
ドラキュラの両手がキャリーの小さい肩をそっと掴む。その顔がキャリーの喉元に近づいていくのが
下目伝いで感じられる。
「キャリー………、愛しているよ」
肌に当たった二本の牙が、ずぶずぶとキャリーの胎内に沈められていく。
「あ、あっ、ああっ!!」
冷たい氷を挿されたような感触に、キャリーの口から思わず喘ぎ声が漏れる。ドラキュラが口を動かすたびに
血が吸い取られていく感触に心が戦慄く。
商売柄、吸血鬼に噛まれたことは一度や二度ではない。しかし、それらの多くは彼らの本能に支配されたもの
であり、正直痛みや倦怠感しかもたらすものは無かった。
が、ドラキュラはゆっくり、ゆったり、時間を惜しむかのようにキャリーの首筋から血を搾取していった。
決して乱暴に、欲望の赴くままにせず、キャリーの体を労るかのように。
(ああ………、この人は、本当に私を慈しんでくれているんだ……)
牙越しに、いや、血を通してキャリーはドラキュラの本心を垣間見た気がした。ドラキュラは本気で
自分を愛し、愛でているのだと。
その時、キャリーは抵抗を止めた。ただ、ドラキュラの思うがままにその身を完全に預けた。
そして、次第にキャリーの心臓を鼓つ音は小さくなっていき、やがて、その音は完全に途切れた。
が、血の気を無くし、力なくうなだれたキャリーの表情は幸せに満ちていた。
700 :
四年前の約束:2007/11/05(月) 01:06:59 ID:xRrdd3bU
いつまで牙を埋めていたのだろうか。完全に動かなくなっていたキャリーの体がピクッと反応した。
ドラキュラが口を離しキャリーの顔を覗き込む。
そこには、瞳を朱に染め、至福の笑みを浮かべた吸血鬼の姿があった。
「キャリー………、私を受け入れて、くれるね」
「もちろんよ。愛しい人」
キャリーは口元から牙を零れさせてにっこりと微笑んだ。
「では、早速我らの城へ戻ろう。祝言の準備ももう済ませてある。
新しい夜の眷属よ。月の光は君を歓迎することだろう!」
ドラキュラはこれ以上ないほど嬉しそうに顔をほころばせ、キャリーを抱きかかえると開け放しの窓へ歩を進めた。
「あっ、待って」
しかし、キャリーはそれに待ったをかけてきた。
「どうしたんだい?キャリー」
怪訝そうに顔をゆがめるドラキュラに、キャリーは少し恥ずかしそうに俯き、ぼそっと呟いた。
「あの……、私、こうなったばっかりで言うのもあれなんだけれど………
喉が渇いて仕方が無いの。だから、ちょっと狩りにでたいな。なんて………、いいかしら?」
花嫁のちょっとした我侭に、ドラキュラは一瞬きょとんとし、すぐに可笑しそうに笑みを浮かべた。
「いいともいいとも。今夜は記念すべき日だ。キャリー、君の好きなようにしたまえ。
なんだったらこの村全て、呑み尽くしても構わないのだからね」
「うれしいっ!じゃあ早速いってくるわね!」
ドラキュラの手からぴょんと降りたキャリーは、ドラキュラを振り返りもせずに窓から外へと飛び出ていった。
それを見ながらドラキュラは苦笑し、キャリーの後を追うかのように飛び出した。
とある村が一夜のうちに全滅したこと。そして、崩れ去ったはずの悪魔城が忽然と姿を表したことを
伝える噂は、たちまちのうちに国中に伝播した。
名声を得んと数多くのハンターが悪魔城の中に入っていったが、誰一人として出てくるものはいなかった。
そして、今日も一人………
「ふん、結構ななりしているくせにちっとも強くないじゃない。血だって全然美味しくないし」
キャリーの足元には、吸い尽くされ干からびたハンターの死体が転がっている。
「ねえドラキュラ、そっちの女の子のハンター、私に頂戴よ。こいつ全然まずくって、かえってお腹がすいてきちゃった」
「ああ、いいだろう」
不満たらたらにグチを付くキャリーに、ドラキュラは催眠で意志を飛ばしたハンターを遣わせた。
自分にここまであけっぴろげに口を叩いてくる下僕を、ドラキュラは今まで這わせたことは無かった。
もちろん意志を奪わなかったからということもあるのだろうが、そのことをドラキュラは後悔してはいなかった。
永遠に近い時を生きているなか、これほど新鮮な気持ちでいたことは滅多に無い。
彼女と一緒なら、退屈しない時を過ごせそうだ。
ドラキュラは女ハンターに牙を埋めるキャリーを見て、つい顔を綻ばせた。
終
以上です。考えてみれば自分はアクションが苦手なのでドラキュラをやったことありません。
上のドラキュラの件には惹かれますが、やっぱり攻略本待ちですかね
GJ!
つか対応が早いなあ…
GJ!
良いもの見させてもらいました!
吸血鬼物ってMCネタとしては王道なのに少なくて悲しいんだよな〜
GJ!
吸血鬼物好きとしては大変嬉しい作品でした。
吸血鬼は堕ちの1ジャンルだよね。
ちょっと前まではパチスロの十字架でエロ同人誌を見てました。
>>702 最近はヒロインが吸血鬼なパターンの方が多いからなぁ
残念なことだ
GJです。吸血鬼作品拝見させていただきました。
>>705 GBAの僕らの太陽シリーズに男の吸血鬼出てくるがな。
惜しむらくは吸血鬼化したのは男だったということだ。DS版も出ているがそっちは未購入なので分からん。
ヒロインが血を吸わない吸血(ry
僕らの太陽といや漫画版の方にヒロインだかしらないが女が吸血鬼にされてたような話があったような気がする
矢野けんたろうだか、やのけんろうだか作者名忘れたが
忘れたがヒロイン?が吸血鬼化した漫画があったな。
矢野健太郎か?
矢野先生の漫画じゃヒロインがゾンビ化したり
ヒロインが怪物化したり
ヒロインが邪神化したりとか
日常茶飯事だぜ!
ヒロインが邪神化!
矢野健太郎で吸血鬼なら「PULSE(パルス)」ってタイトルで全3巻。
今から10年前に発売されて、アラディアっていう女吸血鬼に噛まれて
吸血鬼になったヘタレな主人公が最後まで状況に翻弄されて終わる話。
このスレ的には、あまりお勧め出来るシチュは無かったような・・・
>>708 ゲーム以外は未購入のため詳細分からないがサンクス。
>>712 叫びたい。叫びたいけど叫んだからきっと負けだと思う。
そいえば電撃で随分昔に発売された「僕の血を吸わないで」もオチは吸血鬼化だったな。
>>708 太陽少年ジャンゴですな。あれは本当に堕ちに堕ちているのでスレ的はいい感じですね。
>>711 邪神伝説シリーズですね。でもあれは厳密には悪堕ちではないのでそっち方面の期待はいまいち。
矢野先生は異形化、堕ち、吸血鬼モノは結構描いているので探してみるのも一興。
ただ、結構投げっぱなしジャーマンする人なので作品そのものはいまい(ry
>>712 『PULSE』は3巻のほんの数ページ、ヒロインの吸血鬼堕ち描写が。それ以外はいま一つ。いやいま三つ。
邪神ってアレでしょ。
あのふ(r
矢野の邪神伝説シリーズはイアイアな類の邪神の話だな
>695
世にも珍しい黙示録パロ、グッジョブ!!
欲を言えばキャリーにはもう少し抵抗して欲しかったけど、堪能しました
アクトリーセがこちらに来ないかと勧誘する場面で堕ちる所なんかも
気が向いたら書いて下さい!
>>694 責任とってVIP化したお嬢様のSS投下しる
クレヨンしんちゃん(まんがタウン12月号)でヒロインが吸骨鬼化する悪堕ちシーン有り
描写といい、シチュエーションといい、個人的にはもろストライクゾーンだった
しんちゃんでヒロインって誰なんだぜ、、
みさえ
ごめん、言葉足らずだった…。
該当シーンは、外伝のボーンバンパイヤ編で、それに出てる女の子が悪堕ちするんだ
また誤解されそうな書き方をしてるから、再度説明すると、「女の子」と書いたがロリって意味じゃないです。
重ね重ねお詫びしますorz
>>713 「僕の血」の吸血鬼は、吸血感染するだけで、
血を吸った相手を下僕にする能力は無いからなぁ
感染させないために普段は血をストローで吸ってるというのには笑ったが
クレしん今月そんなのあったんだ
まつざか先生の話で号泣して他見てなかった
ここ数日の小沢一郎の挙動不審はMC→正気→再洗脳の流れでおk?
>>727 イチローはヒロインじゃないのですれ違い
じゃあTSから始めないといかんのか
流れを変えて申し訳ない。
アイサイガーP買おうと思うんだけど どうなんだろ?
「ネクロアイリスエンド」良いと聞き気になるよ
ねたばれきぼー
良いけどネクロアイリスが麻呂なのがな・・・
麻呂?
眉間に点々とか?
>>728-
>>730 すまん、色々あってむしゃくしゃしてやった。
今見て激しく後悔しているorz
おわびに悪魔城クロニクルの攻略本に特攻してくる
ソフトと同時発売だから明日かあさってには書店に並ぶはずだしな
>>732 ネタバレ書いてもいいのかな。
サイガーアイリスが何度か陵辱されると、徐々に快楽を求めるようになり、
最初は子供の泣き声で正気に返ったりするんだけど、夫の前で犯されたりするうちに
ついに屈してしまって自ら子供と夫を始末してネクロアイリスになるというもの。
悪堕ちスキーにはたまらん展開だった。
麻呂にーちゃん
inoino氏の単行本が書き下ろし一作含めて22日に発売されるみたいです。
悪墜ち好きの人はオススメです。自分は買います。hiroさんにも闘姫でたくさん書いて単行本出して欲しいですね。
やっべ、ようつべで動画見てたら悪魔城欲しくなってきた
PSP持って無いのにw
まあ半分は例の悪落ちが良さそうな感じなのが理由だが、
もう半分はなんか聞き覚えがある音楽が懐かしかったからだったりするがw
血の輪廻はやってないはずなんだがな・・・悪魔城伝説かな?
PSP、メモカ買ってきた!
あとはソフトのみ!
亀レスゴメン
>>736 thx!
しちゅは問題なさそうだし買ってみようと思うよ。
ネクロアイリスはビジュアル面でもおkってことでいいよね?
>>727と
>>729 すいません、これみて本当に唐突に思いついてしまいました。
『闘え!聖界戦隊サイヘンジャー』
=これまでのあらすじ=
平和な地球に突如魔の手を伸ばし始めた異世界からの侵略集団ミンジュー。
ミンジューは手始めに、地球の裏の世界である聖界を侵略し尽くして世異界(せいかい)とし、そこから
数多の世異怪人(せいかいじん)を送り込んで地球もその手で絶望に染め、支配しようと目論んでいた。
だが、聖界が支配される寸前に逃げ出した一人の少女、リリアムの手によりもたらされたたった一つの希望の証
『サイヘンシンボル』
このサイヘンシンボルを託された福田康代、小泉ジュン、麻生多美の三人はサイヘンジャーへと変身し、
日々悪の世異怪人と戦っているのだ!
そして、普段は世異怪人の指揮をとり侵略活動の一翼を担うミンジュー4大幹部の一人、コワッシ将軍
を激闘の末に打ち破り、捕縛することに成功した。
しかし、コワッシ将軍のマスクを外したとき、三人の顔は驚愕に包まれた。
なぜならコワッシ将軍の素顔は、数ヶ月前三人の前から忽然と姿を消したクラスメート、小沢いちごだったからだ…
=ここまでがあらすじ=
「くそぅ、いつまでこのような辱めを!いっそのこと殺しなさい!」
縄で両手両足を縛られたコワッシ将軍=いちごを前に、康代、ジュン、多美の三人はただ呆然としていた。
「なんで…、あの優しいいちごがこんなことになっちまったてんでぇ!」
気風のいい姐御肌といった風体の多美が、いかにも江戸っ子といった口調で悔しさを滲ませながら壁をどんどん叩いている。
「リリアム、これもミンジューのしわざなのでしょうか?」
いつもおっとりとしていて優美さを崩さない康代が、聖界の生き残りであり三人のアドバイス役でもある
リリアムに尋ねかけた。
リリアムは30cmに満たない体に背中に羽が生えている、まるで妖精のような姿をしているが、その
知識量は非常に豊富で、三人が困ったときに何かしらいい助言を与えてくれている。
康代もそれ故に尋ねかけたのだが、リリアムは厳しい表情を崩さずいちごを見続けている。
「リリアム?」
再度康代に声をかけられ、リリアムははっと我に帰ったのか康代の方へ向き直り、その口を開いた。
「多分…、この人はミンジューによって捕らえられ、ミンジューの意識を刷り込まれたんだと思います。
私たちの聖界が襲われたときも、ミンジューは聖界の人々を捕らえては自分たちの手駒にし、侵略を進めてきましたから」
リリアムの言葉に、三人とも顔の色を失った。
「じ、じゃあミンジューは、侵略する世界の人間を使って、征服活動をするというんですか!」
普段から甲高い声のジュンが更に高い声を上げてリリアムに声をかけてきた。
「断定は……、できませんが……」
リリアムもミンジューの全てを知るわけではない。今はこう答えるのが精一杯なのであろう。
「こんなこと、許せません!断固として、私たちはミンジューに対し、毅然とした行動をとらなければなりません!」
「てやんでぇ!ミンジューの奴らぁ、ぜってぇに許せねえぜ!」
「…………」
ジュン、多美の二人が息巻く中、康代だけはあまり表情を崩していなかった。
「リリアム……、いちごさんを元に戻すことはできないのでしょうか?」
「元に……戻す?」
「はい。ミンジューがいちごさんの意識を作り変えたならば、私たちの手で元のいちごさんの意識を
呼び戻すことも、できるのではないかと……」
「おおっ!そいつはいい考えだぜぇ!」
康代の言葉を聞いて、ぱっと顔を輝かせた多美が腕をぶんぶんと振り回しながらいちごに近づいていった。
その物々しい雰囲気にコワッシも顔を強張らせる。
「貴様!何をするつもりだ…」
「記憶を取り戻すには、昔からこの手しかねえだろうが!」
ボカン!!
多美の右手から振りぬかれたチョッピングライトがコワッシの頬に見事命中し、哀れコワッシは三メートル先の
壁まで吹き飛ばされてしまった。
壁に大きなひびがびしりと入り、そのままコワッシはその場に崩れ落ちた。
「よっしゃ、これだけ力いっぱいぶん殴ればもとのいちごに戻るだろうよ」
得意満面にガッツポーズをする多美に、ジュンが半ば呆れながら呟いた。
「多美さん、それは記憶喪失の人間を、元に戻す方法ではないのですか?」
「ああ、別にかわりゃしねえだろ?目的は記憶を取り戻すことなんだから」
確かに目的は同じだが、根本的に何かが間違っている。
リリアムが恐る恐るコワッシのもとに飛んでいき安否を確かめる。もちろんコワッシはぴくりとも動かない。
「多美さん…。コワッシ将軍、記憶を取り戻すどころか気絶しちゃいましたけれど……」
「ありゃいけねえ、ちょっと力強くぶん殴りすぎちまったかぁ」
すまなさそうに頭を掻く多美に、他の三人は一様にあきれた表情を浮かべた。
「なんて野蛮な連中なの?!何も言わずいきなり殴るなんて!!」
数分後、コワッシは意識を取り戻したがもちろんいちごには戻っておらず、いきなりぶん殴った多美に
対し、つらつらと悪態を叩いていた。
「そもそも、殴るくらいで記憶が戻るんだったら苦労はしませんよ」
「!」
冷ややかに自分を見るジュンにカチンときた多美は、元々昇りやすい血がたちまち沸点まで立ち上り、
顔を真っ赤にしてジュンに食って掛かった。
「んだとぉ!じゃあジュン、手前いちごを元に戻す方法がわかるってのかよ!」
「そんな事、私に聞かれてもわかるはずが無いじゃないですか!!」
「じゃあいつまでもグチグチ×2つまんねえ口叩いているんじゃねえ!」
今にも殴り合いの喧嘩を始めそうな二人を無視し、康代は優しげな表情を浮かべたままコワッシの元へ近づいていった。
「いちごさん………」
「さっきからいちごいちごって…。私はミンジューの誇り高き将軍コワッシだ。いちごなんて名前ではない!」
コワッシの言葉に、康代はひどく悲しげな顔を浮かべながらも、なおもコワッシへと歩を進めた。
「やめろ、くるな!」
「ねえ、いちごさん。本当に、忘れてしまったんですか?私たちは学校で、いつも仲良くしてきたじゃありませんか。
思い出してください。私たちのことを、この地球のことを…」
「や、やめろぉ…」
コワッシは動揺していた。
今まで敵としてしか認識していなかったサイヘンジャー。その正体を知ったのはつい最近のこと。もちろん
面識などあるはずも無い。しかし、
(私は………、この顔を知っている?!)
知っているはずがない。ないのだが、その面差しを見るにつれ自分の心の中の引き出しのどこかにしまわれているような
感覚が全身を貫いてくる。
「お願いです。思い出してください。昔の、優しいいちごさんに戻ってください………」
康代が涙目でコワッシの瞳を覗き込む。目の前に佇むその瞳を見ていると、コワッシの心を占めている
憎悪の炎が次第に勢いを失っていくのが実感できる。
「う…、うぁ………」
コワッシの心は今混乱の極みにあった。敵に対して涙を見せる。こんな相手にはあったことも無かった。
それに対して、自分はどういった反応をとればいいのか。どうすればいいのか。全く分からなかった。
「お願いです……。お願いです!」
康代はとうとうコワッシを両手でガバッと抱きしめ、ぎゅっと包み込んだ。はらはらと流れる涙が頬越しに
コワッシへと伝わっていく。それはまるで、コワッシが涙を流しているみたいだった。
「な、なんでなの…、なんで、私に……」
いや、コワッシはいつの間にかその双眸から熱い涙を流していた。何故かは自分にも理解できない。ただ
康代が自分に対して向けている想いが、コワッシの胸を一杯に埋め、自分でも理解できない涙を生んでいた。
その涙が頬を伝い、顎へ溜まり、流れ落ちてゆく。
そして、その涙が康代の胸に止めてある、何かに触れた。
その時、二人の胸の間が突然神々しく輝き始めた。
「きゃっ!」
「な、なんだこの光は!」
よくみると、光は康代の胸に止めてあるサイヘンシンボルから放たれていた。希望の証であるサイヘンシンボル
が、康代の希望を捨てない心に反応し、コワッシ=いちごの涙を受けて康代の希望を呼び覚まそうとしていた。
「あ、あががああぁぁぁ………」
コワッシは光に炙られて体をガクガクと揺すらせ、必死に光から逃げようとしている。しかし、康代に
がっしりと体をつかまれているのでどうすることもできない。
やがて、コワッシの体からどす黒い靄のようなものが涌き昇り、光に当てられてジュッという音と共に消え去った。
靄が完全に出きった後、コワッシは全身から力を失いガクッと康代の腕の中で意識を失った。
「ん………」
ほんの数分の間だったろうか。コワッシは康代に抱かれたまま気を取り戻した。
が、その雰囲気は気絶する前とは全然異なっていた。
見るものを気負する鋭い目つきは柔和なものにとってかわり、顔に浮き出ていたシャドウのような模様は
一切合財消え失せている。
「あれ………、康代ちゃん……?!」
コワッシが知らないはずの康代に『康代ちゃん』と声をかけた。
そこにいるのはもはや侵略組織ミンジューの将軍コワッシではなく、三人の知り合いである小沢いちごその人だった。
「…!い、いちごさん!!」
自分の名前がいちごから発せられたことに康代は顔を輝かせ、先ほどまで流していた涙を再び溢れさせ
いちごを力いっぱい抱きしめた。
「いちごさん、いちごさん!いちごさん!!」
「い、痛いよ、康代ちゃん……!」
まだ事態をよくつかめていないのか、いちごはわんわんとなく康代に目を白黒させている。
その光景に、今の今までつかみ合いの喧嘩をしていた多美とジュンもその手を止め、二人に駆け寄ってきた。
「すげえじゃねえか康代!おめえのこと、ちったぁ見直したぜ!」
「実に素晴らしい、感動しました!」
多美もジュンも、その目には涙を浮かべている。
世界を救う希望の証であるサイヘンシンボル。どんな小さなものであれ、『希望』を捨てないものには
力を貸し、その願いをかなえる。
康代、ジュン、多美のいちごへの想いが、ミンジューによって囚われたいちごの心をサイヘンシンボルを
通して取り戻すことが出来た。
決して絶望に捕らわれず希望を捨てない心が、この奇跡を起こしたのだ。
前編終
ちょwwwwww
747 :
178:2007/11/08(木) 00:25:21 ID:te9WaRX9
とりあえず、思いのままに前編を書きました。考えてみれば純粋でないにしろオリジナル
ものを書くのは始めてだったりしますね。
福○とか○泉とか麻○とか小○とか…、萌え擬人化フィルターを通して見ることが出来るでしょうか?
後編では勿論いちごは再びミンジューの手に堕ちるわけですが…。まあ続きはこうご期待。
ちょwwww
誰かと思ったらSSの大御所wwwww
ダメだ、どうしても本人達が頭に浮かんで萌える所か萎えてしまう。
深夜なのに爆笑してしまったw
ですワに吹いたw
ぜひともブラックのほうも・・・・・
悪落ちは一人だけか?
がっかりだ
まあ一人いるだけでも良いじゃない
吸血鬼だし連鎖堕ちの二次創作ネタとしては上々な感じだし
マリアとか丁度良い相手も居るしな
ておくれ・・・
女悪魔みたいな敵ばかりだと、ドラキュラシリーズとしては評判悪くなりそうだしなあ
なんかアネット吸血鬼にならなくても元々ろくろ首って妖か(r
エロ漫画やエロゲーでもあんまり有名作品無いような気がする(女ハンターや大切な人がバンパイア化
でもあんまり直接的な描写入れると逆にエロく無くなる気がするから不思議だよな
ヴァルキリーあたりでZOLが描いてくれないものだろうか、バンパイア化漫画
>>756 サンクス。把握できた。
この人の絵は結構好みだな。ドラキュラ伯爵も昔ながらの俺好みのイメージ。
そういえば旧作はヒロインズ助けると、もう助けるイベントはおこせないんだよな。
そんで助ける前のセーブデータをコピーして対応したんだった。
スーファミのXXはパスワード制なんで
そんなことする必要はなかったがな。
女ハンターの吸血鬼化で思い出した
既出かもだけど
黙示録のキャリー編で、キャリーのご先祖様みたいのが、ドラキュラの片腕の女に吸血鬼化させられて中ボスで出て来るよ
直接面識は無い関係なんだけど、同族相討つな関係で激しく萌えた覚えがある
>>755 ラストに惚れたww
ただ吸血鬼話に流されそうだな…
エロくて吸血鬼化っていうとヘルシングが思い浮かぶ
旧アニメのオリジナルストーリーではインテグラが吸血されるなんてのもあったな
ドラXはイベントシーンのポリゴンがショボ杉で萎える。
こんなウンコクオリティのリアルタイムイベントなら普通にムービーにして欲しかったぜ。
>>768 アレは敵も味方も吸血鬼だから悪堕ちって感じは薄いかな
敵側に吸われるとグール化だし
吸血鬼もののゲームならヴァンピールだな
マイナーPSゲームだが
2周目がいい
ワルキューレは最初の猫従女の横暴に引いた
775 :
755:2007/11/08(木) 22:47:12 ID:iP0XySHl
二期の五話あたりから黒のワルキューレは出てるみたいなんだが
如何せん、漫画でしか見たことがなかったもんだから、アニメの話数はわからん
漫画だと「はいだら」に憑かれた姿なんだがね
>>775 その「はいだら」にワルキューレが憑かれるのは単行本の何巻か教えて頂けるとありがたい
7巻の40話〜42話。
778 :
755:2007/11/08(木) 23:49:15 ID:iP0XySHl
漫画は7巻
>>774 ネコミミ光線銃で、町の娘をどんどんネコミミ従者に改造洗脳していくところはなかなかいいと思うんだが
>>774 俺が、田中理恵を知るきっかけになったキャラだよ、真田さん。
782 :
名無しさん@ピンキー:2007/11/09(金) 04:32:46 ID:YkF4u/3W
正体がすぐにバレるスレw
ドラキュラ、
会話シーンすら一回きりだな。
リヒター、マリアどっちかでもみると、
そのセーブデータでは二度と発生しない。
アネット戦は
会話→変身→会話→戦闘が変身→戦闘のみになる。
KANAGIは個人的に結構当りだったかも
このスレでの評価はかなり分かれそうな感じだけど
フタ百合多いしね
マイティハートがまた暗示にかかっていた
KANAGIかなりいいな
ほぼ一本道で全体的に値段相応なのが
残念だけどかなりツボを抑えてる気がする
フルプライスの完全版出ないかなぁ
>784 例のうpされてたイベントシーン以外に
ヴァンパイア化したアネットのそういったシーンやカットはないってこと? マジ?
尼で注文しちゃったのは・・・早まったかなorz
近衛騎士ラティスに堕ち要素があって個人的にツボだった。
低価格ゲーの宿命かエロの数はそれなり、エンドは4パターンでどのルートでもヒロインが堕ちる。
KANAGI同様に百合、フタ注意。嫌いな人は回避推奨。
KANAGIプレイ終了後の感想
道中はかなり秀逸。ふたなり、百合が苦手でないのならお勧めできると思う
ただ主人公の真相部分で人を選ぶかもしれない、悪堕ち系でこの真相って
催眠術系でいう所の「実はかかってるフリをしてるだけでした」ってのに
近いような気がする。もちろん異論大歓迎だが、少なくとも個人的にはそう感じた
(ヒント:憑依系のネタだと思ったら、実はただの二重人格だったとか、その系)
その真相部分差し引いても、かなりの秀作なので持っておいて損はないと思う
>>789 あそこだけですよ?
アネット倒したデータでは
会話イベントがなくなり
アネット救えたデータだと当然、全イベントがなくなる
パターンを覚えないと勝てないボスなんで強敵。
しかしアネット救ってしまうとラスボスが最強変身を
おこなうようになるんで
クリアできてないや…
何がいいたいかというと
タイトルメニューのデータコピー、デリートを駆使しらということ。
ヨウツベの映像とっとけばいい気もするが。
誰かアネット直前のデータまで行った猛者はいないのかっ・・・
できるけどうpはできないなぁ
今日こそ真祖ドラキュラ
倒せるかなあ…
800 :
798:2007/11/10(土) 18:55:27 ID:GUE8IlYH
801 :
799:2007/11/10(土) 19:02:34 ID:igLuJYAe
>800
DLさせていだたきました。ありがと〜
ステージ5の死神でヒイヒイいっております。
ロックマンXとかになれてるゆとりゲーマーにとっちゃ辛いけど・・・・面白くはある。
今日のハヤテのごとく!に操りがあったけど見てた奴いる?
見てたよ、来週も話引き継ぐらしいね
マグロ目だったけど、普段のナギと変わらんような行動してたねw
意味ねええええ
マリアさんじゅうななさいとかもそのまま黒いだけっぽいよな
愚地独歩かよ
今月号のガンガンの女王騎士物語で悪墜ち
憑依に近いのかな・・・アルマ姫が悪の女王になった
ただし今回で最終回だお
>>790 堕ちって悪堕ちなの?
それとも単なる奴隷化?
>アルマ姫が悪の女王になった
>ただし今回で最終回だお
・・・ちょ、これから本屋逝ってくる
ようするに悪堕ちに該当するのは数ページで、
作品自体は打ち切りレベルの終了と見てFA?
お待たせしました。聖界戦隊サイヘンジャーの後編です。
『闘え!聖界戦隊サイヘンジャー』
=これまでのあらすじ=
平和な地球に突如魔の手を伸ばし始めた異世界からの侵略集団ミンジュー。
ミンジューは手始めに、地球の裏の世界である聖界を侵略し尽くして世異界(せいかい)とし、そこから
数多の世異怪人(せいかいじん)を送り込んで地球もその手で絶望に染め、支配しようと目論んでいた。
だが、聖界が支配される寸前に逃げ出した一人の少女、リリアムの手によりもたらされたたった一つの希望の証
『サイヘンシンボル』
このサイヘンシンボルを託された福田康代、小泉ジュン、麻生多美の三人は
『天空舞う清廉なる白翼』サイピジョン
『地を駆ける雄々しき金獣』サイライオン
『海に咲く麗しき赤輪』サイローゼン
サイヘンジャーへと変身し、日々悪の世異怪人と戦っているのだ!
激闘の末に捕らえたミンジューの4大幹部、コワッシ将軍は、なんと三人のクラスメートであり行方不明
となった小沢いちごだった。
コワッシは、三人の必死の説得とサイヘンシンボルの持つ希望の力で、ミンジューよって与えられた邪悪な
息吹を浄化され、小沢いちごへと戻ることが出来た。
そして…
=ここまでがあらすじ=
「それでは、ミンジューのことは何も覚えていないというのですか…」
「ごめんなさい……。
あの時、突然目の前に真っ黒な壁が出来て、そこから出てきた手に引きずり込まれて………
その後のことは、何も…」
小沢いちごをミンジューの呪縛から解き放った福田康代は、いちごの言葉に肩を落とした。
これまで自分たちはミンジューと戦ってきたが、実を言えば自分たちはミンジューのことを何も知らない。
リリアムも敵としてのミンジューは知っていても、その内部がどうなっているかまでは流石に知る由も無かった。
しかし、目の前のいちごは今までミンジューに捕らわれ利用されてきた存在である。彼女からミンジュー
の概要が少しなりとも聞き出すことが出来たら、今後どれほど役立つことか。
が、いちごは何も覚えていないという。
「多分、元の人格に完全に別人格が上書きされていたんでしょうね。コワッシという人格がサイヘンシンボルで
浄化されてしまったから、ミンジューにいた時の記憶も一緒に消えてしまったのよ」
リリアムが仕方が無いといった感じで三人に話し掛けてきた。
「ま、ここはいちごが元に戻ってきたことでよしとしようぜ。ぐだぐだ考えても始まらねえじゃねえか」
「その通りです。過去に起こったことをいつまでも悔いるより、私たちは未来に向って進まねばなりません!」
「………、そうですね。いちごさんをミンジューから救い出した。それこそがなにより幸いなことなのですから」
多美とジュンの励ましに、康代も気を取り直した。
もしかしたら、まだミンジューにはいちごのように捕らわれ手駒にされている人たちがいるかもしれない。
その人たちを救い、一刻も早くミンジューを倒さなければならない。
リリアムのように自分の世界を絶望に覆わされ、奴らに奪われてはならない。
康代たち三人は、自分たちの使命を今ひとたび思い出して、そのことをグッと心に誓った。
いちごが元に戻って数日が過ぎた。
最初のころは自分がミンジューによって捕らえられ、ミンジューの幹部コワッシとして悪事を振るっていたことに
対してショックを受けていたいちごだったが、康代たちの心のケアと周りの雰囲気に徐々に本来の明るい
心を取り戻していった。
そして、いつもの学校生活を取り戻しつつあった時、それは起こった。
いちごが部活動を終え、夕日が差す道路を一人家路につこうとしていたとき、突然目の前の空間がぐにゃりと歪んだ。
歪曲した空間は中心の一点から徐々に外へと広がっていく。視界内に広がる景色が無理やり引っ張られ、
替わりに現れるのは、果てしない闇。
「?!」
突然の出来事に当惑するいちごだが、すぐにある恐ろしいことを思い出した。
「こ、これって……、私がさらわれたときと、同じ………」
果たせるかな、いちごの前に広がった『闇の壁』から巨大な手が『ぬっ』と伸び、いちごの体を鷲掴みにする。
「きゃあぁっ!!康代ちゃ………」
悲鳴を上げる間もなく、いちごは闇の空間へと引っ張り込まれていった。
そして、いちごが消えた直後に闇の壁もふっと消え去った。
そこには、つい一瞬前まで小沢いちごがいたという痕跡は全く残っていなかった。
私たちが住む世界とは反対側にある世界『世異界』に存在する侵略組織ミンジューの拠点、伏魔殿。
元は聖界の中心にあった美しい神殿だったが、ミンジューの侵攻で真っ先に陥落してしまい、その外観を
おどろおどろしく変貌させ、中にいた人間は例外なく世異怪人に変貌させられている。
そして、ここを中心としてミンジューは聖界全体をその手に収めることに成功していた。
余談ではあるが、世異界から逃げ出す前にリリアムはこの神殿で働いていたりする。
その伏魔殿の奥の奥、衆欺の間に捕らえられた小沢いちごと沢山の蠢く影があった。
だだ広い衆欺の間の一番奥、周りより一段高いところにいるのは侵略組織ミンジューを束ねる『大勲位ヤース』。
その姿は妙齢の麗しき女性に見えるが、5mを越す巨躯と厳しい顔立ち、そして全身から漂う邪悪な気配が
ある種の威厳となって場の空気を支配している。
そして、その下に虎の威を借る狐のように寄りそっているのが、腹心である『神官長ナベッツ』。
実は以前はは聖界の高位の神官だったのだが、元々持っていた独善的な性格に加え、ヤースの美しさと強さに
完全にほれ込み、聖界を裏切ってヤースの元に付き聖界侵略の一翼を担っていった。ある意味、聖界が
ミンジューに苦もなく征服された一番の元凶ともいえる。
そして、いちごを捕らえている三人の女将軍、『オヘンロー将軍』『ポッポ将軍』『ジャスコ将軍』。
いずれも一騎当千として知られる猛者で、いちごがコワッシとなっていた時、上記の三人と合わせて
4大幹部を形成し、地球侵略の尖兵となっていた。
「いやあぁ!離して!ここから出してぇ!!」
いちごは恐怖のあまり、大声で泣きじゃくって必死で抵抗を試みる。が、オヘンローに後ろでに捕まれた腕は
びくともせず、その場で空しく体をくねらせるだけで終わっている。
「なんということ。コワッシがいつまでたっても帰ってこないからと探りを入れたら、まさか人間に戻っていようとは」
ヤースが信じられないといった感じでいちごを見る。
「他の世異怪人と違い、お前達4大幹部は私自らが世異怪人へと生まれ変わらせたもの。まさか、
私の力を上回る力をもつものが、向こうには存在するというのか」
そう、オヘンローもポッポもジャスコもいちごと同じく元はごく普通の地球人だったのだが、ナベッツの
手によって世異界へと拉致され、身も心も世異怪人にされてしまっていたのだ。
「…おそらく、サイヘンシンボルの力でしょうな」
ナベッツが苦々しい顔をして呟く。
「かつて、この神殿の象徴であり聖界の『希望』の証だったサイヘンシンボル。その秘められた力が解放されれば
いかなる奇跡を起こすか、私にも想像がつきませぬ」
ナベッツの言葉に、ヤースは元もと険しい顔を更に醜く歪ませた。
「おのれ!またもサイヘンジャーか!あの忌々しい連中め!あやつらさえいなければ、あの世界もとうに
我らミンジューのものとなっているはずなのに!」
ヤースの体が怒りでわなわなと震え、その髪の毛が逆立つ。
「オヘンロー!ポッポ!ジャスコ!
貴様らも不甲斐ないとは思わぬのか!いかにサイヘンシンボルを持っているとは言え、たかが人間を
撃ち滅ぼせないとはどういう道理か!」
ナベッツがいかにも自分はヤースの言葉を代弁しているかのような言い方で三将軍を糾弾する。が、
はっきり言って三将軍は世異怪人でもないナベッツに忠誠心などこれっぽっちも持っていない。
(たかが人間、ですって)
(あんただって、そのたかが人間じゃないの)
(私たちは大勲位様の手で洗隷異(せんれい)を施して貰ったのよ。本来あんたなんかとは格が違うのよ)
三将軍が自分に向ける冷たい視線をあえて無視し、ナベッツは誰に向けているでもない不満を爆発させている。
「大体貴様も貴様だコワッシ!せっかくヤース様のお力で世異怪人に生まれ変わりながら、おめおめと
人間に戻ってしまうとは!」
あまりにも理不尽な怒りをぶつけられ、泣き叫んでいたいちごもさすがにカチンと来てしまった。
「だ、だれがあなたたちの仲間にしてくれって言ったのよ!無理やりさらって勝手に手先にして!
あなたたちのせいで、私は康代ちゃんと戦ったりしちゃったのよ!」
「ヤスヨ……?、誰じゃそれは?」
さらりといちごはとても重要なことを口走ってしまったが、興奮しているいちごはそれに気づくよしもない。
「あなたたちなんか、康代ちゃんたちがぱっぱと倒しちゃうんだからぁ!!」
最早むきになっていちごは周りを囲むミンジューの幹部連に喚き散らしている。
その後も自分も回りも何を言っているのか理解できないほどの早口と怒声で捲し立て、最後はゼェゼェと
息を切らせて独演会を終了した。
「コワッシよ、長々とした演説ご苦労」
ヤースがあきれた口調でいちごに対し労をねぎらった。もちろんいちごにとっては余計なお世話である。
「私はコワッシじゃない。私は小沢いちごよ!」
先ほどまでの高揚した気分が抜けていないのか、いちごは力の限りヤースを睨みつけ声を張り上げた。
が、ヤースは意にも介さない風にとってかえしてくる。
「お前がどんな名前かなど、別にたいした問題ではない。
お前はまた、我らの下へと戻るのだからな」
「え…………」
ヤースの言葉に、いちごの顔は一瞬にして真っ青になった。
「この伏魔殿に連れて来られた以上、まさかそのままもとの世界に戻れると思ってはいまい。
お前は今一度世異怪人となり、地球侵略の尖兵となるのだ」
ヤースが下した宣告に、いちごは全身をがくがく震わせ、全身の力をくたっと抜いてしまった。オヘンローに
支えられていなければ、そのまま床にへたり込んでしまっていたことだろう。
「い、いや………。もう、もう自分が自分でなくなるなんていや………いやぁ!」
自分でも知らないうちに別の人格にされ、康代たちと刃を交わしていた。自分でその時の記憶はなくとも、
それを行っていた現実は変わらない。
また自分の人格が塗りつぶされ、敵の言いように利用されてしまう。そのことは堪え難い屈辱だった。
が、
「安心せい。今度はお前の記憶を奪ったりはせぬ」
ヤースの言葉はいちごにとっては意外なものだった。
「え…?!」
ヤースの真意がわからず当惑するいちご。が、次のヤースの言葉を聞いていちごは目の前が真っ暗になった。
「お前の人格を以前のように上書きしてしまっては、『ヤスヨ』とやらが誰だかわからなくなるかな…」
「!!」
この時、いちごは自分の迂闊さを心底呪った。
康代たちがミンジューのことを殆ど知らないのと同様、ミンジューもサイセンジャー=康代たちのことを
詳しくは知らないはずなのだ。
が、ここで自分が康代たちのことを話してしまってはミンジューの攻撃の矛先が普段から康代たちに
集中されることは火を見るよりも明らかなのだから。
「さあ、再びお前に洗隷異を施してやろう………。こちらにくるのだ」
ヤースが手招きをしていちごを促す。オヘンローに掴まれていた腕を解かれ、ドン!と背中を押されて
前に突き出されたが、当然いちごは前へ進もうとはしない。
「いや…いや!助けて、康代ちゃん!」
逃げようとしても前には三将軍、後ろにはヤース。どこにも逃げ場は無い。
「諦めなさい、コワッシ」
「もう、あなたはこちら側に来るしかないのよ」
「また一緒に、侵略する悦びを味わいましょうよ」
三将軍の言葉がいちごの心にずぶずぶと染み渡ってくる。わずかばかりの希望も絶望という名の暗黒によって塗りつぶされてゆく。
「あ……うぁ……」
いちごは逃れようの無い現実を認識しつつも、なおそれを受け入れることをできず、ただ頭を抱えて膝をつき
丸くなって震えていた。
「分かる…分かるぞ。お前の心が黒く染め上げられていくのが。それでこそ、我らの仲間に相応しいものよ」
伏魔殿に漂う瘴気がヤースの手によって凝集され、一本の綱のようになっていちごの周りを覆ってゆき、
両耳からずるずるっといちごの中に入っていった。
「ああああぁっ!!」
体の中に入ってくるどす黒く、冷たい瘴気の感覚にいちごは魂も引き裂かんばかりの悲鳴を上げた。
自分の体の中が瘴気に陵辱され、真っ白だった腹の中がじくじくと黒く染められてゆく。
「あああ…あぁ…ぁ………」
最初の頃こそ侵食される恐怖に慄いたが、心の中が染められてゆくにつれ恐れる心も塗りつぶされ、
やがては全ての感情が黒一色に塗りつぶされてゆく。
それにつれいちごの顔から表情が消え、目の光が失われていった。
「……………」
やがて、いちごの周りにあった瘴気の綱は全ていちごの中に収まって消え去った。
「さあ、こちらに来るがよい」
ヤースの言葉に反応したいちごはゆらりと立ち上がり、ヤースのほうへと振り返った。
その表情には意思の気配が感じられず、ただヤースに命じられたままに階段を昇っていっていった。
「さあ、いちごよ。私の胎内でまた再び異世怪人として生まれ変わるがいい…」
いちごの前に佇んでいるヤースの腹が粘液を滴らせながら4つに裂け、真っ黒な臓物と触手を覗かせている。
そこから複数の触手がいちごに向って放たれ、たちまちいちごは触手にがんじがらめにされてしまった。
普通ならおぞましさのあまり発狂してもおかしくないところだが、感情を塗りつぶされているいちごは
何の抵抗もすることなくすんなりとこの状況を受け止めている。
いちごを拘束した触手は再び収縮し、ヤースの体内へと戻りつつあった。ヤースの臓物の一つがぐぱぁと
開き、触手ごといちごを飲み込もうとしている。
「この中でお前に以前より更に素晴らしい体と力を与えてやろう。光栄に思うがいいぞ」
もはや半ばまで自身の胎内に埋没したいちごの表情をヤースは見ることは出来ない。が、ヤースの言葉を
聞いたいちごは、僅かながらその表情を笑みで歪めた。が、同時にその瞳は涙で濡れていたようにも見えた。
だが、それをよく確かめる間もなくいちごの体はヤースの胎内へずぶずぶと消えていった。
おかしい。
康代は、今日登校してきたいちごに妙な違和感を感じていた。
級友が話し掛けてもあまり反応せず、常に俯いてニヤニヤしている。なにかぶつぶつと細かいことを
話しているが、声が小さいので聞き取ることが出来ない。
休み時間にふっと教室の外に出ていったかと思うと、授業の半ばで戻ってきて先生にしこたま怒られていたりする。
が、そんなことを意にも介さないのか平然と自分の机に戻ると、また俯いてニヤニヤしている。
(どうみても、いつものいちごさんじゃない…。なにがあったのかしら……)
いちごを救い出して以来ミンジューの侵略は控えめになっており、康代たちも普通の学園生活を送ることが出来るようになってきている。
ようやっと一息つけたと思っていたら、突然沸いてきたいちごへの違和感。
本人に直接問いただしてみたいが、そのきっかけもつかめずやきもきしていた康代に、放課後いちごの
ほうから康代に近づいてきた。
「康代ちゃん……」
「あっ……、どうしたんですかいちごさん。今日のあなた、どことなくおかしい……」
「そのことで…、ちょっと相談したいことがあるんです。お時間、いただけます?」
いちごの表情には、さっきまでのどこか呆けた感じはなく切羽詰った表情をしている。
(やっぱり…、何かがあったんだわ!)
いちごの表情からただ事でないことを感じ取った康代は、がたりと席を立った。
「ええ、構いませんよ。それで、どういう相談を…」
「ここでは話しづらいことなんで、ちょっと……」
いちごは済まなさそうに康代を見ると、自分についてくるように促した。
いちごの後を追いかけていき、辿り着いたのは体育館の脇にある花壇だった。
(そう言えばいちごさんは園芸部に所属していましたね。ここなら落ち着いて物事を話すことも出来るのでしょう)
「それでいちごさん、相談とは?」
康代の言葉に、いちごは反応しない。康代に背中を見せたままぼーっと突っ立っている。
「いちごさん?」
康代が再度呼びかけても、いちごはこっちを振り向かない。
「ねえ、いったいどうし………」
さすがにおかしいと思った康代がいちごに近づき、その肩にぽんと手を置いたとき、
いちごは突然がばっと振り返り、康代の唇に自分の唇を重ねてきた。
「?!〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
あまりの不意打ちに康代は反応することが出来ず、易々と唇を奪われてしまった。
自分が何をされているのか理解する間もなく、いちごは康代の頭をがっしと捕らえ康代の唇の中へ侵入を試みる。
いちごの舌が無理やり康代の唇をこじ開け、口腔内を侵しはじめた。
「ンゥッ!ンググゥ………」
いちごから、同性からキスを受けている。そう康代の頭が理解したとき、もう状況は後戻りできないところまできていた。
「ンッ、ンンッ……」
いちごの舌が康代の舌と絡まる。頬の裏を舐め回される。上顎を擽られる。
口の中を征服され感覚。当然今までこんな体験をしたことなどなく、どう受け入れればいいのか分からず
康代の頭は軽いパニック状態になっていた。
(こ、これどういうことなんですか?いちごさんが、い、いきなり私にキスを………)
だが、やがて康代の中に滲入しているのが舌だけではないことが分かり始めた。
いちごの舌を通して、なにか甘いものがとろとろと流れ込んできている。
(なにこれ………、甘い?!)
濃厚な甘味にわずかばかりの酸味。苺ジャムのそれに似ているが濃度ははるかに上回る。
頭を抑えられ口を奪われている現在、康代はその滲入を防ぐことは出来ず、喉にドロドロと流れるそれを
無理やり嚥下させられていく。
「ングッ、ングッ………」
康代の喉がごくり、ごくりと蠢くのを見てから、いちごはようやっと満足そうに唇を離した。
「ぷはぁ………」
長い長いディープキスから解放された康代は、心ここにあらずといった表情でいちごを見ている。瞳は
軽くとろんと垂れ下がり、開けっ放しの唇からは荒い息を吐いている。
「うふふ、どうでした?私のキス…」
「い、いちごさん……、どうして……」
康代は未だに信じられないといった感じでいちごに問い掛けた。眼前にあるいちごの表情は今日ずっと
見せていた呆けたような…いや、それよりももっと蕩けていた。
「康代ちゃん……。この前私を、助けてくれたじゃないですか……。その、お・れ・い、です」
「お、お礼って……」
お礼がキスだというのだろうか?
「康代ちゃん、私、とぉっても感謝しているんですよ。ミンジューから助けてくれた康代ちゃんのこと
とってもとっても感謝して、嬉しくて、愛しくて………、大好きで………
だから、お礼のキスなんですよぉ」
いちごは康代のほうへ体重を預け、どさりと康代を押し倒した。下の芝生がクッションになってそれほどの衝撃は感じない。
康代に馬乗りになるいちごがぺろりと自分の唇をいやらしく嘗め回した。その顔はどう見ても自分を
助けてくれた人間への感謝をこめたものではなく、獲物を前にした猛獣のそれである。
(ああ……、お礼なんですか。でしたら、納得できますね……)
しかし、康代はいちごの言葉をすんなりと受け入れてしまった。なぜかはわからない。ただ、いちごから
口移しに飲まされた甘いもの。あれを体内に入れてからどうも頭がぼーっとして、思考することを億劫に感じている。
「ですから……、好きな人にこうするのは当然なんですよ」
そういうと、いちごは再び康代に唇を重ねてきた。甘く熱い唇の感触が康代の全身を駆け抜ける。
そして再び、康代の口の中に甘い液体が流し込まれてきた。それも、先ほどまでのとろとろとした量ではなく
ごぼごぼと咽るほどの量が絶え間なく。
(あ、甘い!喉が……焼けそうです!
でも、美味しい!もっと、もっと飲みたいです!)
「んぐ……んぐぅ………」
絶え間なく流し込まれるそれを、康代は息が続く限り飲み続けた。それでも口に収まりきらないそれが
唇から溢れ、地面へと滴り落ちていく。
地面へと落ちていくそれは……、真っ黒な色をしていた。
やがて、黒い糸を引いていちごの唇が離れたとき、康代は霞がかかった瞳を不満げに曇らせた。
「あ………、いちごさん、もっと……」
「うふふ。私の特製の苺エキス、すっかり気に入ったみたいですね」
いちごは今までの表情とは打って変わって、康代を見下すかのように睥睨している。
「これでもう康代ちゃんは私のエキスなしではいられない体になってしまったんです。
これで、もうサイヘンジャーになる必要もなくなったんですよ」
「サイヘンジャーに、なる必要が、ない………?」
体内で火照る熱がどんどん昂ぶっていく中、『サイヘンジャー』という言葉を聞いて康代は僅かに正気を取り戻した。
「そうです。これから康代ちゃんは私の仲間になって、地上を世異界に変える手伝いをして貰うんですから……」
もういちごは邪悪な力を隠すことなく、康代の前に立っている。周りの空気がビリビリと張り詰め、
人ならざる気配があたりに広まっていく。
「い、いちごさん………、あなたは………」
「あら康代ちゃん、まだ正気を保っているの?さすがはサイヘンシンボルに選ばれた人間だけはあるのね。
まあ、そのほうが楽しめるけれど」
その時、いちごの制服がパン!と内側からはじけた。その下からはいちごの裸体が…
現れなかった。
いちごの体は無数の苺の蔓で被われていた。二の腕と太腿から先は葉が変化したような手袋&ブーツ状の
葉脈で被われ、ところどころから色とりどりの苺が成っている。蔓はまるでそれ単体に意思があるかのようにざわざわと蠢いている。
「いちご?私はもう『小沢いちご』なんて名前は捨てたの。
今の私はミンジューの世異怪人『ブラックベリー』!この地上を世異界に作り変えるため遣わされた者!」
「!!」
誇らしく自己紹介をするいちごを、康代は愕然とした面持ちで見ていた。
「そ、そんな………。いちごさん、あなた、また………」
「そう、あなたたちの力で私は一回人間に戻されてしまった。けれど、偉大なる大勲位様は再び私を
世異界にお導きくださり、私に新しい体と力をくださったの。
どう?この体、素晴らしいでしょう?」
いちごはうっとりとした表情で自らの体をさわさわ撫で上げた。いちごの感情を読み取ったのか、覆って
いる蔓も悦んでいるかのようにうぞうぞと蠢いている。
「な、なんてことを……」
やはり少し警戒するべきだったのだ。いちごの様子がおかしいのは最初からわかりきっていたことなのに
何も考えずのこのこ付いてきて、こんな事態を招いてしまった。
「いちごさん………、少し我慢してください……。また、元に戻してあげますから………」
燃えるように熱い体を何とか動かして康代はその場から立ち上がった。震える足を必死に押さえ、胸の
サイヘンシンボルに手をかざそうとする。
「おっと。変身なんてさせないわよ!」
康代の変身を阻止せんといちごの手から伸びた蔓が、康代がサイヘンシンボルに触れるより前にそれを
胸から弾き飛ばした。
弾けとんだサイヘンシンボルはころころと転がり、横の苺の花壇へと消えていった。
「あっ!」
転がっていくところを目で追った康代は、一刻も早く取り戻そうと倒れこむように花壇の方へと脚を向けた。
そして、捕ろうと手を伸ばしたとき、
目の前の苺花壇が、ぬっと立ち上がった。
「!!」
そのとき康代は思い出した。この学校の花壇に、苺の花壇などなかったということに。
「こ、これは?!」
「ア、アァ、アアァァ………」
目の前に立ちはだかる苺花壇。それはよく見るとこの学校の生徒だった。苺の蔓の切れ目切れ目に学生服や
人間の皮膚が目に入ってくる。ただ、その目は完全に光を失っており意思を感じることは出来ない。
康代は伸ばした手を苺人間にがっしりと掴まれてしまった。振りほどこうとしても蔓がざわざわと腕を
昇ってきて拘束してしまい、逃げようにも逃げられない。
しかも、苺人間はこの一人ではなかった。ところどころでむくり、むくりと起き上がり康代を包囲せんと近づいてくる。
「うふふ、こいつらは休み時間に誘い出して私の実を食べさせてあげたの。ほら、もうこんなに大きくなって
実までつけるようになったのよ」
確かに苺人間には無数の花と実が付いている。花の甘い香りと実の鮮烈な香りが辺りに充満し、頭がくらくらとしてくる。
「この実を人間が食べれば、また増殖して苺人間になるの。それを繰り返して、この国全体を苺の国に
するのよ。どう、とっても素晴らしいことだと思わない?」
『苺の国』。この字面だけを見ればとてもメルヘンな世界に聞こえることだろう。だが、現実は苺に
支配された人間が跳梁する魔境である。
「そ、そんな世界、間違っています。いちごさん、お願いですから、正気に………」
「あ、康代ちゃんはもちろんこんな苺人間にはしませんよ。私の、大事な人ですから………」
いちごが前にかざした手の先にある蔓から、ぽんと大きな花が咲き、急速に中心が膨らんで巨大な果実を形成してゆく。
ころんとできた苺は闇よりも濃い黒色をしていた。
「これを食べれば、康代ちゃんも私と同じ体になれます。私と一緒にたっくさん苺を作って、苺の国を
作り、世異界への礎にしましょうね」
いちごは出来た黒苺をぷちんと採り、手につまんで康代へと近づいてくる。康代は必死にそれを拒もうとするが
四肢を拘束しているので適わない。
いや、ふだんならそれでも逃げることは不可能ではないのだろうが、先ほどからいちごに飲まされたエキス
が原因で体に力が全く入らない。
「さあ………」
「んーっ!んーーっ!!」
目の前に突き出された苺を、康代は口を閉じて顔を反らし懸命に抵抗する。
「………しぶといですね。さっさと食べてください!」
業を煮やしたいちごが康代の顎を掴み、強引に口を開かせる。かぱっと空いた口にゆっくりと黒苺が迫ってくる。
「あ、あ、あ………」
康代は、その瞬間を絶望の眼差しで見続けていた……
−以下トゥルーエンド−
「ちぇえぇすとぉーーーっ!!」
その時、威勢のいい掛け声と共に上空から蹴りが降ってきた。それをもろに喰らった苺人間が後方へと
ふっとび地響きを上げて倒れる。
「な、なにがおこったの?!」
突然の出来事に驚くいちごの前に、妙な見得を切った女戦士が突っ立っていた。
「天呼ぶ地呼ぶ人が呼ぶ!悪を倒せと俺を呼ぶ!
『海に咲く麗しき赤輪』サイローゼン、お呼びでなくとも即参上!」
なにか爆発のエフェクトがあった気がした。
「た、多美さん!」
康代が地獄で仏に出会ったような笑みを浮かべた。
「へっ、裏庭の方から世異怪人の気配がびんびんするから来てみたら案の定、って寸法よぉ。
さあ世異怪人!大人しく俺にぶっ飛ばされ………、ななななな!!」
勇ましく啖呵を切って世異怪人…いちごに向ってふりむいたサイローゼン=麻生多美だったが、目の前に
対峙する世異怪人がどうみても小沢いちごなので、思わず間抜けな声を上げてしまった。
「なんだぁ………?!お前、いちごか………?何でまたそんな格好………」
「麻生さん………、私と康代ちゃんの邪魔をするなら、容赦しませんよぉ!」
突然の闖入者に顔を憎悪で真っ赤に染めたいちごは、ローゼンへ向けて無数の蔓を伸ばしてきた。
「くっ、これは!」
たちまちローゼンは無数の蔓に縛り上げられてしまう。
「そこで康代ちゃんが私の手に堕ちるさまをゆっくりと見ているがいいわ。そして、あなたは康代ちゃんの手で
苺人間にしてあげるから………」
「甘い、甘い甘い!!『とよのか』より甘いぞいちご!!」
不敵に笑ったローゼンは、『フン!』と一発気合をいれる。すると、ローゼンを覆っていた蔓はたちまち
ぶちりと裂け、下にバラバラと落ちていく。
「な、なんで?!苺人間のならともかく、私の蔓をいとも簡単に?!」
「バッカヤロォ!ローゼンの名を冠する俺が、『苺』なんかに負けてたまるか!」
よくはわからないが、そういう理屈らしい。
「くっ、でも数はまだこちらの方が上!苺人間、こいつを捕まえ………」
いちごが下僕の苺人間を呼ぼうとしたが、周りにいるはずの苺人間が全然反応しない。
よくみたら、いつの間にか全ての苺人間が地面に突っ伏している。
「こ、これは………なんで?!」
「私も、おります」
いちごの後ろで、突然切れのいい声がした。ぎょっとしたいちごが振り向くと、そこにはサイローゼンに
よく似た格好をした金髪の戦士が立っていた。
「『地を駆ける雄々しき金獣』、サイライオン。人知れずここに見参です。失礼とは思いましたが、
周りの苺は全て、刈り取らせていただきました」
確かに、苺人間の蔓は全て刈り取られ、元の人間に戻っている。
「うそ……、これだけの数をたった一人で………」
「みなさん、結構苦しんでいましたが、まあ変革には痛みが伴うものですから」
サイライオンはすたすたといちごの前を横切り、康代にあるものを手渡した。
「これは…、サイヘンシンボル?!」
「そうです。今拾っておきました。さあ、康代さん」
康代はサイヘンシンボルを手にとる。今まで心を覆っていた絶望が霧消し、希望の光が差し込んでくる。
「有難うございます、ジュンさん!
サイヘン・ポゼッション!」
康代の掛け声と共にサイヘンシンボルから希望の光が湧きあがり、康代の体を優しく包み込んでいく。
光が康代の体に張り付いてコスチュームに変化し、希望の戦士へと変貌させてゆく。
康代の体の中に巣食う悪魔の因子が、暖かみのある光によって浄化されてゆく。
「『天空舞う清廉なる白翼』サイピジョン、世異界の浄化に即見参!」
いちご=世異怪人ブラックベリーの眼前に、地上を守る戦士、聖界戦隊サイヘンジャーが揃って現れた。
「さあいちごさん!今度こそ完全に、あなたを世異界の呪縛から解き放ってあげます!」
凛々しく、雄々しく立つサイピジョン=康代に、いちごは悔しそうに臍をかんだ。
「こ、こうなってはこちらが不利のようね………。ここは一旦出直させてもらうわ!」
いちごが後ろ手をかざすと、いちごの後方に『闇の壁』が競り上がり、世異界への道を形作った。
「ま、まっていちごさ……」
「でも康代ちゃん、私はあなたを諦めない!絶対に康代ちゃんを、私のものにしてみせるから!」
そういい残していちごは闇の壁に消え、いちごが消えた後闇の壁もふっと消滅した。
それを見届けた後、康代はガクッと膝を地に付けた。
「おい康代、大丈夫か!」
「う、うん……、なんとか、大丈夫よ………」
今の自分の苦しみなど、いちごの境遇を考えたらなんと他愛のないことか。
「絶対………、絶対救い出してみせるかね。いちごさん………」
康代はいちごを助け出す想いを、改めて心に刻んだ。
彼女達の行く手には、まだまだ大きな困難、挫折、苦悩が待ち構えていることだろう。
だが、彼女達は立ち止まるわけには行かない。世異界との戦いはまだまだ序盤を迎えたばかりだ。
この地上に平和を取り戻すため、聖界を解放するその日まで
闘え!聖界戦隊サイヘンジャー!
終
以上です。現実政界で大連合が成立してないので二次元エンドになってしまいました。
ですが、このスレ的には不満ですので一応バッドエンドも考えています。
『以下トゥルーエンド』の下を改訂するといった感じで。
コンビニにガンガン入ってきたから買ってきたけど・・・
女王騎士物語たしかにこりゃ酷いな。
姫さんが前触れもなく魔の鎧にとりつかれて体乗っ取られて
もうなんだかなって感じ。最後はいきなり世界観の違うSFになってるし、もうめちゃくちゃだ。
>>819 GJ!
前編では正直笑っていただけだったが、最後には俺の心の中から元ネタの顔なんて吹き飛んでたぜ(w
バッドエンドは更に楽しみワクテカで待ってる。
>>809 女王を元に戻すのに聖なる石が必要だと思ってる様だが
別になくても戻せる
昨日は検定だったから色々見逃して、さらに鯖堕ちしていたからここも見れなかったよ。
ハヤテの如く
先週の放送の次週予告にナギの鮪目があったから報告しようと思ったんだけどさ
毎週毎週放送禁止用語(著作的な意味)があるし、○MRやバー○ーのネタもやったし
同局で放送されていたレッツ&ゴーやビーダマン、元祖でぶやにいい旅夢気分のネタやっちゃう
お笑いアニメだからそんなまともな悪堕ち無いだろうと思い報告しなかった。
でもこんなアニメだから正攻法の悪堕ちやってくれそうに思う俺がいる。
女王騎士物語
なんか普通に悪堕ちありそうだったけどまさかこんな堕ちいやこんなオチになるなんて
鎧で悪堕ちはいいんだけど展開が即効になっているし勘弁だ。
ありがとう。俺この作品を一巻から買おうと思ったけど買うのやめるよ。
これよりヴァンパイア十字軍のほうが悪堕ちありそうだと思うのは俺だけだな。
>>178 GJです。バッドエンドWKTKさせていただきます。
さてと、今日は帰ってきたら箱やろうかな。
ブルードラゴン同封のコアシステムなんだけどブルードラゴンって悪堕ちないよな。
ショパンは購入しない。つまらなそうだし。
>823
いまのうちにいっといてやる、ヴァンパイヤ十字界には、悪堕ちはない
吸血鬼は敵でしかも男であるべきだ
ヴァンパイヤ十字界はなぁ、吸血鬼と言うより宇宙人だったから
ありそうだって…完結してるのにな。
悪堕ちとは無縁(主人公のヴァンパイア王が正義の人だから)のヴァンパイヤ十字界だけど、
先の読めないどんでん返しや物語的にも名作だと思うから興味あるなら読んでみても損はないとオモ。
女王騎士は俺も確認したけど、
もう笑うしかない終わり方だったw
商業刊行誌であんな終わり方を見るとは思わなかったよw
逆にあれだけ酷い終わり方だとコミックス化の際に大幅加筆とか
ありそうなものじゃないか?
>女王騎士物語
打ち切りなのにわざわざ出したってことは、構想の中にはあったのかねぇ
しかし、あの終わり方ではコミックスで大幅加筆してもまとめらんないだろうにw
むしろ打ち切り決まったからネタに走ったんじゃないか、アレはw>女王騎士
女王騎士は思いっきりソードマスターヤマト思い出したwwwwwwwww
下村「チクショー!! もう月刊ガンガンは書きませんからね!!」
担当「はい」
(ry
エルトの愛がアルマを救うと信じて
ご愛読ありがとうございました
>>832 影ついてる顔が最高すぎる・・・GJ!!
パンフの画像?
>>830 もし加筆あるならアルマとの最終決戦あればいい。個人的には意識融合してれば神
しかしヤマトやらかしたということは素で
>>833の可能性高いのでそうならばいかに声が上がろうとも本当にこれで終りとオモワレ…
帰ってきた。
タイトル間違えていた俺涙目。
描いている人ってスパイラルの人だよな。悪堕ちないのか。
でもストーリー展開は期待できるし買うことにするよ。ちなみに終わっているのは知っていた。
ところで今やっている金田一スペシャルの犯人の顔がすごい悪堕ちに流用できそうだと思ったのは俺だけだろうか。
ハイライト消したら完璧だろう。
映画プリキュアは、冒頭ののぞみの姿をコピー→ダークドリーム化の部分と
題名の所で主人公らの顔絵が裏返って、各々のダークプリキュアの顔が現れるとこ
あとはクライマックス前の、「ひざまずけ」シーンくらいかな妄想処は
あそこで○○がXXでさえなければ、
倒された連中の代わりに新たなダークプリキュアとして手駒にも出来たろうに
「淫縛病疼」船堀斉晃が良い感じですよ。
なによりきっちりとバッドエンドなのが潔い。
>>828 昔シャーマンキングという漫画があってな(ry
>>837 コピーって、鏡の国だっけ?
もしそうなら、姦計にはまって1人また1人と倒され…偽者に入れ替わり
オリジナルは鏡の中に封印
ラスボスに対峙した時、残ってるオリジナルはドリームのみでフルボッコ
全員封印されて、元の世界に戻るのは全員偽者みたいな展開だったら…。
いや、今時の子供映画じゃ無理だけどさぁ
コピーじゃ今一かも。
>>832 GJ。良いねこれ
それとアルマ姫って悪コスある?
今日ダッシュでガンガン買ってきた
>>843 あるよ。あの作品の堕ち方はダークギアを宿すって形だからね
最近悪堕ち分が不足してたから助かったよ
ただ、雑誌分厚い上に最後の方のページだから色々やりにくいがなw
>>834 情報ありがとう。ダークギアか…。気になるんでガンガン買うか立ち読みしてくるぞい
>>840 まだ発売したばかりだから新刊のところに平積みされてる。
連載が続いてたらZMAN以来の神展開降臨だったろうに
惜しいマンガを亡くしたなあ
ガンガンずっと読んでなかったが惜しいな
黒サイザー&ワルキューレとかSO2とか前例には事欠かないのに
近所で立ち読みできる店ないからコミック待ちになるかもしれないが
即買いしたほうがいいくらいのクオリティ?(ストーリー的にではなくコス的に)
教えてエロい人
ガンガンといえば、マイナーだが幕末風来伝斬郎汰の操りも個人的に好きだったりする
>>832 ぼやけてるのが残念だけど、アクア?の右下で抜いた。
あれだ、顔の上半分に陰が掛かってると邪悪感が増すね。
今更だけど。
女王騎士、期待してる人には水を差すようで悪いけど落とす過程も落ちる寸前の葛藤も何もあったもんじゃないから
あんまり過度な期待は止めておいたほうが無難
女の子が悪そうな衣装着てればいいってぐらい餓えてるなら安牌
つかそんなのを話題に出すくらい最近餓えてるってことだな。
>>851 それについては大丈夫。正コス悪コスビフォーアフターがあれば過程は脳内で妄想出来るw
俺も悪コスあれば大体いけるが「ヤマトばりの投げ槍展開で抜く」という要素がどうしても萎えさせるw
前にガンガンで妖精みたいな奴が方にいてそれを宿している人間が武器を出現させる漫画を誰か知っているかな?
委員長みたいな眼鏡かけている女が銃で、主人公はレーヴァンテインだった。
最終話で主人公の妹が敵側で出てきた。
これも出てきて、速攻で主人公の手で二次元オチになったけどな。
当時は敵学園の委員長が某同人ゲームの久瀬にそっくりで笑ったが。
>>848 スレとはまったく違うのだがSO2漫画版のフィリアって完全に敵として出てこなかったっけ?
いや、打ち切りみたいな終わり方だったのはよく覚えているんだがフィリアの不敵な笑みが今でも脳裏にあるのだが。
フィリア自体ガブリエルのリミッターなのは知っているのだがなんか気になった。
>855
神田晶の「パンツァークライン」だな。
クラインっていう武器精霊を使って戦うマンガだったと記憶している。
ようはスタンdうわなにをするきさまくぁwせdrftgyふじこlp;
あれは暴走系だったけど妹がイイ感じでした。土属性は地味なんです。
そしてS02ジャンキーとしては答えざるを得ないないようですな。
フィリアはガブリエルのリミッターってのは正解。でも漫画はただの占い師で終わってるね。
フィリアのAIをガブリエル(=ランティス博士)が支配下に置いてるだけで操り…に近いかねえ。
真・ガブリエルになるとフィリア消えちゃうけどね。
鎧に寄生で思い出したけど
むかーしボンボンでヒロインが寄生される漫画があったな…
後は江戸時代みたいな時代背景だったことぐらいしか覚えてないけどw
読んでて妙にハァハァした記憶がある
多分10年くらい前に連載されていたと思うんだけど単行本とかもう無いだろうなー
>>857 懐かしいな、それ俺も読んでたわ。
残念ながら俺もタイトルを失念しとるがな。(笑)
ボンボン、捨てずに置いてるから探してみよっかな?
ボンボンかぁ懐かしい
そういや記憶違いでなければ
94年のコロコロコミックでもブルースワットでエイリアンのほぼ全編寄生があった
特に最終回ヒロインが寄生されて顔以外全身特殊スーツで鮪目で襲ってきた
声はあの文字体からするとエイリアンのものだったと思う
日本に帰国の際、かさばるから持って行けないと親に言われて泣く泣く置いてきた・・・
「たのみこむ」にでも頼んで単行本でないかなぁ
>>859 知ってる人が居てビックリ!!
確か呪われてる武具が複数あって
主人公を守るためにヒロインがその鎧を着て、他の武具と反応して寄生されたんだよなー
と何故かその部分だけ覚えてますw
自覚は無かったけどその頃から悪堕ち好きだったのかなw
>>861 堕ちる過程も結構良かったような気が。
最初は、抵抗してたけど最後は意志を歪められる形で堕ちたような覚えなのだが間違ってないかな。
>>861 んーと、江戸のよ〜なところ江戸のよ〜な時代と言う出だしで始まってたよね?たしか
調べてみたら、おきらく忍伝ハンゾーではないかと
>>862 そうそう、途中忘れちまったが最後の時点では江戸(のよ〜な所だけど)があるから戦わなければならないのだから破壊してしまえばと言う風になっていたはず
しかし、俺もよく覚えてるな
>>864 あれ、巨大化した鎧の中でヒロイン全裸だったよな?確か。
と今更だが俺も此処でこの話題を話すとは思いもしなかった。(笑)
>>866 確かそうだったはず、少年誌でもあそこまでは掲載オッケーなんだと今更思ってみる
確かに話すとは思わなかった、と言うより言われるまで洗脳扱いされていなかったし
>>866 大事な部分は描かれてなかったけど、アレはアレでエロかった。
俺も
>>857のレス見るまで記憶の隅に追いやってた。
なんというスレのカバーの広さ…
流石すぎる^o^
>>865 言われて見れば確かに全裸でしたね、ハァハァしたわけだ…
自分が思い出した原因が女王騎士物語というのが何ともw
>>863 キャッ党忍伝てやんでえを連想してた俺は逝っていい
>>869 ウルトラ忍法帖かバトンQか思考した俺は吊ってくる
これ以上過去の記憶を汚さないで下さい・・・
過去の記憶なんて改竄する為にあるんじゃないか
聖界戦隊サイヘンジャー、バッドエンドルートができましたので投下します。
レス番では
>>817以降の流れですね。
『闘え!聖界戦隊サイヘンジャー・バッドエンド』
ちゅ、と康代の唇にひやりとした感触が伝わってきた。いちごの持った黒苺が、とうとう康代の口に辿り着いたのだ。
鼻腔に咽返るほどの甘い香りが漂ってくる。それは黒苺から漂ってくるものだったが、先ほどいちごが
康代に飲ませていた苺エキスと全く同じ香りだった。
「ほらぁ、もっとあーんして」
いちごが残忍な笑みを浮かべて康代の顎を持つ手にぐいっ!と力を込める。その力で康代の顎は下へ引っ張られ
よりおおきくその口をあけてしまう。
「ひゃ、ひゃめ……」
「えいっ」
いちごは指でちょんと黒苺を押し、黒苺をころん、と康代の口の中へ転がり落とした。
康代の舌に、圧倒的な質量の黒苺が感じられる。
「さあ、早くかみかみして食べてください。とぉってもおいしいですよ」
「んんぅ、んんん!」
あまりの大きさに口を閉じることが出来ず、康代は口を半開きにしたままなんとしても飲み込むまいとし
なんとかして口の外に出そうと舌を使い、黒苺を押し出そうと必死にもがいた。
その時、康代の舌の圧力により黒苺の皮がほんの少し破れ、中から果汁がじわりと染み出し康代の舌にちょろっと滴り落ちた。
「んぐっ?!」
その瞬間、康代の味蕾にこれまでに味わったことが無いほどの甘美な甘さが感じられた。
「ん、んんんふぅ………」
それまで必死な顔をしていた康代の表情はたちまち糸が解けたように緩み、全身の力がぐたっと抜けた。
黒苺を押し出そうともがいていた舌は、染み出す果汁を一刻も早く舐めとろうとせわしなく動き、黒苺の表面を舐り散らす。
吐き出そうと懸命に開いていた歯は、黒苺の表面を傷つけより多くの果汁を出そうとぐじゅっ、ぐじゅっと刺し込んでいる。
本当は一思いに噛みたいのだが、黒苺があまりも大きすぎるので噛み千切れず、歯を立てるので精一杯なのだ。
それでも、ひと噛みするごとに黒苺は形を崩し細かく分解されていっている。それに伴い果肉、果汁が
康代の口腔いっぱいを満たし、魔性の甘味を康代に提供し続けている。
「んん…、んもぉ…、んぐぅ…」
(ああ…、ダメぇ…。この甘さ、我慢できないぃ……。おいしい、おいしすぎます………)
口いっぱいに黒苺をほおばる康代は、これ以上ないくらいの幸せな表情を浮かべていた。口腔内で果汁と唾液が混じり
もむもむとせわしなく動かす唇の隙間からつぅー、と零れ落ちてくる。
これを食べると自分はいちごの手に堕ちてしまう。人ならざるものへと変貌し、ミンジューの尖兵として
人に、地上に徒なす者と化してしまう。
そのことは頭では分かっている。分かってはいるが……
(でも、もう止められません!こんなおいしいものを食べないなんて、そんなことできません!)
やがて、完全に咀嚼され唾液と混ざりあった黒苺を、康代は名残り惜しむかのようにごくり、ごくりと少しづつ
嚥下させていった。食道から胃の中へ落ちる際、鼻へ抜けていく黒苺の鮮烈な香りがまた康代へ魔の悦楽を与えてくる。
「んぐっ……んぐっ……ぅ……、ぱぁぁ………」
そして、最後の一欠けを飲み込んだあと、酷使した顎と舌がようやく解放された悦びから康代は軽く息を吐いた。
「うふふ。康代ちゃん、どうだった?『私の』苺の味は……」
にやにやと笑ういちごに、康代は焦点の合わない瞳を向け、うっとりと笑みを浮かべた。
「………、とっても、とってもおいしかったです…。私、今までこんなおいしいもの、食べたことないです…」
「くすくす、そうでしょうね。口のまわりべっとべとにしながら夢中で食べているんですもの」
「え……?!」
言われてみて、自分の口周りが妙にすーすーすることに気が付いた。康代の口周りは自らの唾液と溢れた果汁で
しとどに濡れそぼっていた。
「あ……」
それに対して康代が感じたのは羞恥。ではなかった。
(まだ、あの甘味が残っていました!)
康代が思ったのはただ一つ。自分を蕩かしたあの甘味を、まだ味わうことが出来るという歓喜だった。
康代は自由になる舌をぺろぺろと出して、口元の果汁を必死に舐めとろうと動かした。舌に甘味を感じるたびに
康代の目はどろりと濁り、頬が赤く染まってくる。
「ああっ、おいしい!おいひいのぉ………
もっと、もっと食べたいの、もっとちょうだい!!」
康代の目には次第に狂気の炎が孕んでくる。
苺を口にしたい。苺を味わいたい!苺を飲み込みたい!!
「そんなに苺が食べたいんですか?康代ちゃんは」
「は、はいぃ!食べたい。食べたいんです!もっと、もっと苺、苺を!!」
康代の反応に満足そうに微笑んだいちごは、康代の下を指差した。
「ほら、そこに苺があるじゃありませんか。それを食べたらどうですか?」
いちごの指差す先を康代は目にする。すると、そこには蔓から生えているかわいい苺があった。
それは苺人間から生えている苺だが、今の康代にはそんなことは関係ない。
「ああっ!苺、いちごぉ………」
康代を拘束している苺人間の蔓がするするとはなれていく。康代は自分の手が自由になると、息つく間もなく
苺を手でつまみ、口の中に含んだ。
歯でぷちっと潰すと、さくっとした感触と共にじゅんと果汁が溢れてきた。それは量こそ少ないが、あの黒苺と同じ味わいだった。
「あふぅ………」
口いっぱいに広がる甘味に、思わず康代は大きく息を吐いた。
「まだまだたっくさん苺はありますよ。どんどん食べてくださいね」
なるほど。よく見ると、康代の周りには色とりどりの苺が溢れている。そのどれもが甘い芳香を放ち、康代を誘惑している。
「ああんっ!」
康代は嬉々として苺をつまみ、どんどん口の中へ放り込んでいく。とってもとっても苺はなくならず
絶えず康代の周りに群生している。
「んぐ、もむ、あむあむぅ………」
口いっぱいに苺をほおばり、夢中で食べている康代をいちごはさも愉しそうに眺めていた。
「うふふ、そろそろ黒苺が康代ちゃんの体を染め上げるころね」
「ああっ、もっと、もっと………、うあっ!」
それまで、一心不乱に苺をつまんでいた康代が、突然体をビクッと揺すらせその動きを止めた。
「か、体が……、体が、あつぅぃ!!」
突然、康代の体内に燃え上がるような熱さが襲い掛かった。まるで、内に溜まりに溜まったマグマが
吐き出す場所を得ようともがいているかのような感触。
先ほど食べた黒苺が、胃の中でどろどろと形を崩して溶け、内臓表面へ染みこんでいってる。黒苺が染みこんだところは
黒く変色し、周りの細胞を呑み込んで拡大し、どんどん広がりを見せている。
内臓を染め尽くした黒苺はさらにその範囲を伸ばし、筋肉、神経、脊髄、あらゆるところを黒く染めてゆく。
その過程が、康代に燃え上がるような熱さを与えているのだ。
「熱い、熱い!あつうぅぁああっ!」
あまりの熱さに耐え切れず、康代は制服の襟を両手で掴むと、どこにそんな力があったのかびりびりと真っ二つに引き裂いた。
白のブラにショーツという康代らしい下着が露わになるが、康代にそんなことを顧みる余裕はなく、
ただ自らの内の燃え狂う感触に翻弄されている。
「ふふふ、康代ちゃん。それがミンジューの洗隷異(せんれい)なの。その熱さが康代ちゃんの『人間』を燃やし尽くし、
その後に『世異怪人』としての康代ちゃんを生み出すのよ。もうちょっとだから、我慢してね」
いちごの言葉も、康代には届かない。今の康代に何が起こっているかというのを知ることはたいした問題ではない。
今の康代が感じているものは、ただただ自らを炙る熱の熱さだけだった。
「あ、あつぅ………!あ、あひゃあああぁっ!!」
康代の悲鳴の声色が変わった。それまでは行き場を求め体内を荒れ狂っていた熱が、出て行く場所を
見つけたのか、康代の体の数点に狙いを絞り、そこだけが異常に熱さを増していっている。
「あ、あ、あ!な、なにか、なにか込み上げてきますぅ!こ、こんな、こんな!ひゃいいいいうぅっ!」
ざわざわざわッ!
康代が熱さのあまり手で抑えていた右胸、その指の間から漏れ出でてきたもの。それは間違いなく苺の蔓だった。
いや、それは右胸だけではない。腰、腕、首、股下、あらゆるところから無作為に苺の蔓がわさわさと
飛び出し、康代の肌を覆っていく。
また、腕先と脛からは苺の葉がにょきにょきと生え肌にピッタリと密着していく。遠目から見たそれは、
緑色のロンググローブとブーツにしか見えない。
「あああああああぁぁぁっ!!」
自らの体が変化する。その悦びに康代の心は包まれていた。燃えるような熱さは湧き上がる快感へと
変貌し、熱さに顰めていた顔は至福の笑みへと変わっている。
(ああ…、これが世異怪人になるということなんですか?!なんて素晴らしいの!こんなに気持ちいいなんて!)
黒苺によって歪められた康代の体と心は、世異怪人に変化していく自分を何の疑問もなく受け入れていた。
やがて、残っていた人間の心も洗隷異の炎によって焼き尽くされ、塵となって掻き消えていく。
だが、それさえも今の康代には快感だった。
長い間肩を震わせ身悶えしていた康代が、ふっとその動きを止めるとすぅっと立ち上がった。
その体は所々から苺の蔓が生え延びて、体のあちこちに絡まりついている。腕先と脛下には葉が変化して出来た
グローブとブーツを身につけ、髪の毛の色も緑へと変貌していた。
その姿は、近寄ってくるいちごと酷似したものだった。
「康代ちゃん………、どう?世異怪人に生まれ変わった感想は?」
にやにやと笑いながら話し掛けてくるいちごに、康代も口元をニタリと歪めながら答えた。
「………、素晴らしいです。以前の自分がなんとちっぽけな存在だったか、この体になって初めて理解できました。
本当に………、素晴らしいです。『ブラックベリー様』………」
康代はいちごのことをブラックベリーと呼んだ。これは、康代が完全にミンジュー側の方へ傾いたことを意味していた。
「うふふ。そうね、私はブラックベリー。あなたの親であり主人。絶対の忠誠を尽くす相手。
そして、親なら子供に名前を付けなくてはいけないわね。いつまでも人間の名前のままじゃいけないし…」
ブラックベリーは少し頭を捻ってから、何かを思いついたかのように手をぽんと叩いた。
「そうね、康代ちゃんは白のイメージが強かったからホワイトベリーにしましょう。
いい?これからあなたの名前はホワイトベリー。世異怪人ホワイトベリーよ」
思ったより捻りのない名前だが、康代=ホワイトベリーはこっくり頷いた。
「はい。私の名前は世異怪人ホワイトベリー。この国を苺で覆い尽くすことが使命………あっ」
急にずくん!とした感触が胸に起こりホワイトベリーはぶるっと体を震わせた。胸をよく見ると、小さな
赤い苺が顔を覗かせている。
「あはっ、もう苺が生まれてきたのね。んん〜〜、とっても美味しそう!」
ブラックベリーはちょんとホワイトベリーの苺をつまむと、ぽいと口の中に放り込んだ。
濃厚な甘味とさわやかな酸味が、ブラックベリーの口いっぱいに広がっていく。
「うふふっ、とっても美味しい。あ魔い味が口いっぱいに広がって、文句の付け所の無い苺よ。
これを人間が食べたら、たちまちのうちに苺人間になってしまうわね」
「あはぁぁ…、とっても、嬉しいです……」
ブラックベリーの感想に、ホワイトベリーは歓喜に打ち震えていた。その心が苺に伝播したのか、
あちこちの蔓から苺がぽんぽんと成ってきている。
「ああぁっ!苺が、苺が止まらない!どんどん生まれてきま、きちゃいますのぉ!」
「もっと、もっと増やすの。この学園全体に行き渡るくらい、どんどん苺を増やすのよ。ほら…」
ブラックベリーがホワイトベリーに口付けを交わす。ブラックベリーの体内で熟成された体液〜苺エキスが
ホワイトベリーの体内へ注ぎ込まれてゆく。それに伴いホワイトベリーから生み出される苺も爆発的に増えていった。
「もっと、もっと、もっと生むのよ。もっと………」
上空から何かが振ってくる音が聞こえる。地響きを立てて花壇の中へ降り立ったもの。それはサイヘンスーツ
に身を包んだサイローゼン=麻生多美であった。
「おうおうおう!世異怪人め!このサイローゼンの目の黒いうちはこの学園で悪事なんて……、あり?」
学校裏で世異怪人の気配がする。そう思った多美はサイローゼンへと変身し、花壇へ一直線にすっとんできた。
が、そこには世異怪人の姿はなく、驚いた顔をして立っている福田康代と小沢いちごがいるだけだった。
「た、多美さん?!あなた、なにをしているんですか?」
「え、いや………、世異怪人の気配がしたからやってきたんだけど………おかしいなぁ………」
何か場違いな空気が周りを支配しているのを感じ取り、多美はおろおろと周りを見渡している。
「ここには、さっきから私と康代ちゃんしかいませんよ。あ〜あ、せっかくの苺のお花を踏み潰しちゃって」
いちごが犯罪者を見るような目つきで多美を睨みつける。その目に多美はざざっと後退し、救いを求めるような目で康代を見た。
「康代ぉ〜〜〜」
が、康代も多美に冷たい視線を投げかけてくる。弁論する気はさらさらないらしい。
「これは全面的に多美さんが悪いです。ほら、早く変身を解いてください」
「お、おう」
どうやら自分勘違いだったと確信したらしく、多美は変身を解いて麻生多美の姿に戻った。
「ちっ、俺の勘も鈍っちまったかな………。で、お前らはここで何をしてるんだ?」
「いちごさんが作った苺が収穫期を迎えたんで、二人して摘み取っていたんですよ。ほら見てくださいこの量」
康代が指差した先、そこには篭一杯に山と詰まれた苺が置いてあった。
「うひゃあ!こりゃすげえや。大豊作だな」
苺の山に多美は目を輝かせた。これだけあれば少しぐらい相伴にあやかれるかも…。そんな邪な想いが心をよぎる。
「な、なあいちご……、少しだけあの苺……」
ぼそっといちごに声をかける多美。それを聞いていちごは快く頷いた。
「構いませんよ。あれだけの量がありますから」
「本当か!やっほぅ!」
喜びに沸き返る多美に、康代が一つまみ苺を掴んで多美に渡してきた。
「どうぞ。『私の』苺でよろしければ………」
「ああ、ああ。サンキューサンキュー!」
多美は康代の手から苺を一つ採ると、ピンと手で弾いて口の中に放り込んだ。
その様子を眼鏡越しに見ている康代の瞳は、嫌らしく歪んでいた。
多美は暫く口の中をもごもごと動かし、ごくりと苺を飲み込んだ。
「うめえ!こりゃいい苺だ!いちご、これなんて名前の苺なんだ?」
多美の質問に、いちごはにこにこと微笑みながら答えた。
「さっき、康代ちゃんが言っていたじゃないですか。その苺の名前」
「え?おい康代、お前そんなこと言ったか?」
そんなことを聞いた覚えはない。そんな語彙を言葉に込めて多美は康代に問い掛けた。
「ええ。言いましたよ、多美さん。それは『私の苺』だって」
多美に話し掛ける康代の表情は、先ほど見せてたものとは打って変わって、嫌らしく淫らに変貌している。
「へ?私の苺ぉ?なんだそりゃ」
「その苺はですね、私の体から生えた苺なんですよ………ふふふ」
無気味に笑う康代の袖から、襟から、スカートから苺の蔓がざわざわと伸び出てくる。
その先には色とりどりの鮮やかな苺の実が付いており、周囲に甘い香りを放っている。
「お、おい………康代、お前、それって……………!?がはぁっ!」
突如眼前に発生した異常事態に背筋が寒くなり、無意識に後ずさりする多美の胸に突然激痛が走った。
激痛は胸を中心にどんどん全身に伝播し、胃の中で膨らみきったなにかが喉の奥からごぼごぼと込み上げてくる感触に襲われる。
「なん、なんだよこれ……お、俺の体がぁ………あぐ!うぶぁぁっ!」
その瞬間、物凄い勢いで多美の口から、鼻から、耳から。
いや尻、乳腺、股座、毛穴、ありとあらゆる穴から苺の蔓が飛び出してきた。多美の胃で発芽した苺は
急激に成長して全身に根と蔓を伸ばし、内臓、神経、筋肉、骨に絡みつき、脳さえも一瞬のうちに犯し抜いた。
「あ、あぉォ………ァァゥ……」
麻生多美という人間は、瞬く間に魔性の苺に呑み尽くされ、一体の苺人間として再生されてしまった。
「うふふ、凄い効き目……。やっぱりホワイトベリーの苺は最高ね。サイヘンシンボルの使い手の麻生さんも
一瞬のうちに苺人間にすることができるんですもの」
「あはぁぁ……、多美さぁん……。今の姿、とっても美しいですわよ。人間のときより、よっぽど綺麗…」
「アゥ……、…ゥァ…」
苺人間と化し、全身を蔓に覆われた多美は康代の言葉に、ただゆらゆらと全身から生える蔓を揺らめかせていただけだった。
「これで忌々しいサイヘンジャーは残り一人。倒すなんて造作も無いこと…。さあ、残りの苺人間も立ち上がるのよ」
ブラックベリーの掛け声と共に、花壇に偽装していた苺人間がむくり、むくりと立ち上がる。
「お前達、どんどん人間を捕らえ苺を食べさせるのよ。まずはこの学園全体を私たちの支配下に置くわ。
そして、ここで苺を繁殖させ、この日本全てを苺で覆い尽くすのよ。さあ、行きなさい!」
苺人間はわさわさと蔓を揺らめかせて方々へと散っていった。さっそくあちこちから絹を裂くような悲鳴が上がっている。
「ほら、多美さんも早く行きましょう。行って、学校の皆さんに美味しい苺をたっぷりと食べさせてきてください」
「オ、オゥ………」
苺人間化した多美はぎこちなく頷くと、ふらふらと苺が成り出した体を動かして校舎内へと消えていった。
「さ、ホワイトベリー。私たちも行きましょう。この地上を、苺の世界にするために」
「はい。ブラックベリー様。ああ…、一刻も早くジュンさんにも私の苺を食べさせて苺人間にしないと…、うふふふ…」
この日、永田町学園はその全体を異様な苺の蔓で覆い隠してしまった。
そして、こここそが侵略組織ミンジューがこの地上を支配するための最初の拠点となったのである。
日本が苺によって覆いつくされる日、その日は決して遠いことではないだろう。
BAD END
878 :
178:2007/11/13(火) 21:52:29 ID:Pp6hwjz+
以上です。やはり二次元エンドより書いていて愉しいものがありますね。
でもこっちはあくまでパラレル世界です。現実政界でまた何かがあったらサイヘンジャーは
戻ってくるでしょう。サイヘンジャーが勝つかミンジューが世界を蹂躙するか、それは現実政界次第です。
さて、この先どうなることでしょうかね?
>>878 GJ!乙です
自分のアホな発言を拾って強烈スパイクに変えてくれて感謝
どうしても名前で思い出してしまうのはご愛嬌ww
>>878 Good Job!
笑いつつも思わず引き込まれてしまった。
不謹慎ながら続きがあることを願ってます。
どうしても現実の彼らの顔が思い浮かんで・・・。
orz
>>878 GJ!!です、それから乙です。
多美が出てくるまで名字のこと忘れてた。(笑)
ジャスコ将軍だけ元ネタがわからん……誰?
>>884 民主党の岡田の兄だか弟だかがイオングループの社長
イオングループの傘下にはジャスコがある。
ジャスコっつーと民主の岡田だろう
>>878 GJ!
でもやっぱり元ネタ各御仁の顔が浮かんでつい笑っちまうわw
>>885 そういうことか……またひとつ賢くなったよ。トン
コピー品じゃくて洗脳や操りだったらよかったのに
性格等まるまるコピーした後、洗脳
プリキュアはあと一歩が足りない。
誰か補完してくれ
>>892 人がエースコンバット6を気持ちよくプレイし終えた後に強襲しやがってw
GJ。
どこの誰が頼んだのか知らんが素晴らしいな。
>>894 上の方で話題になってるドラキュラXの吸血鬼化ネタ
作中じゃマリアは吸血鬼化しないんで妄想だが
転載元は半虹の悪魔城スレの自作絵師だね
でも絵の元になってるのってリメイク版じゃなくて
オリジナル版のマリアっぽい
>>895 ほむほむ…情報どもっす。ずいぶん好みの絵柄w
>897 エロゲっぽいけど...ネタ元をkwsk
>>893 <<タリズマン、よそ見してると死ぬぞ>>
d
俺の名はリヒター・ベルモンド。代々吸血鬼ドラキュラの退治を生業とするベルモンドの末裔だ。
俺は攫われた恋人、アネットを助け出すため、そして復活を果たしたドラキュラを再び退治するため、悪魔城へと乗り込んだ。
だが、それは果たせなかった。ドラキュラを倒すことは愚か、アネットを助け出すことすら出来なかった。
俺が駆けつけたとき、アネットは既に人では無くなっていた。憎むべきドラキュラの手により、夜の住人、吸血鬼へと変貌していたのだ。
もう、彼女は戻ることはできない。そう思い知った俺はアネットに戦いを挑み…敗北した。
彼女は敗北し、動けなくなった俺を殺さなかった。俺はこの悪魔城に囚われた。
ベットに縛り付けられた俺は夜が訪れる度にアネットの手でときに辱められ、時に拷問され、そしてまた時に一方的に犯されるのだ。
・・・そしてまた、夜がやってくる。
アネットが俺のイチモツを頬張り、亀頭を舌で転がし、裏筋を舐め上げる。人間だった頃にはありえなかった、娼婦のごとき技。
俺の心とは裏腹に俺のイチモツは敏感に反応し、膨らんでいく。その事実がさらに俺を打ちのめす。
「今日は面白い趣向を用意したの」
俺のイチモツが限界まで膨張したとき、アネットは俺のイチモツを吐き出し、子供のように無邪気で、残酷な笑みを浮かべながら言った。
「入ってらっしゃい」
アネットの声と共に扉がきしみながら開き、一人の一糸纏わぬ姿の、美しい少女が入ってくる。
どうやらアネットの魔力に魅入られ、操られているらしい。若いというよりは幼いと言う形容詞が良く似合うその少女の青い瞳は、どんよりと濁っていた。
その少女に、いやその少女に宿る力に俺は驚いた。神の強い加護を受けたもののみが持つ、強く気高い、聖なる力。
代々退魔の一族として名をはせてきたベルモンド一族すらもしのぐ。とんでもない才能だ。
「流石はリヒターだわ。見ただけでわかるのね」
俺の驚愕の表情を見てアネットが笑みを浮かべながら言葉をつむぐ。
「可愛いでしょう?私、この子を私の“妹”にしようと思うの。そのためにはこの子も、夜の洗礼を受けなければならない。
けれど、この子は神様に愛されている。このままでは殺すことは出来ても仲間にすることはできないの。だから…ね」
そして、残酷な言葉を続ける。
「リヒター。貴方にはこの子を汚して欲しいの。この子の処女を奪って、綺麗な処女ま○こにくっさい精子を注ぎ込んであげて」
俺に、拒否権は無かった。
「さあ、マリア。リヒターにご奉仕なさい。その雌穴にぶっといち○ぽを突っ込んでもらうのよ」
「は…い…」
感情の消えた、抑揚の無い声で少女は頷き、俺に近づいてくる。またがり、俺のイチモツに毛も生えていない自らの秘所をこすり付ける。
そのすべすべとした感触に俺はうめき声を上げる。その次の瞬間、裂ける音を立てながら俺のイチモツが少女の穴に飲み込まれた。
穴から止め処なく純潔をあらわす破瓜の血が流れ、少女は苦痛に顔をゆがめる。
アネットは少女の秘所に血のように赤い舌を這わせ、大理石のように白い喉を動かして処女の破瓜の血を飲み下す。
そして興奮した口調で少女に語りかけた。
「さあ、動きなさい。奥にだしてもらうまでやめちゃ駄目よ」
その言葉に少女はギチギチに締め付けながら上下に腰を動かす。夜の住人の一員となったアネットの怪しく包み込むような感触はなく、ただ、きつい。
ほとんど濡れていない肉壁にこすられ、俺のイチモツに痛みが走る。少女の方はもっと痛いはずだ。だが、アネットの魔力に囚われた少女はひたすらに命令を果たすべく動き続ける。
やがて、俺のイチモツが苦痛が薄れ、快楽を感じ始める。今までに幾度となく繰り返されてきたアネットの辱めに慣らされた俺の身体はいつしか苦痛をも快楽へと変えるようになっていた。
そして、俺は圧倒的な射精感と共に、少女の中へ自らの欲望を吐き出した。その瞬間、アネットの差し金だろう。少女の目に理性の光と涙が浮かんだ。
「痛い!な、なんなのこれ!?」
少女が悲鳴を上げる。それと共に少女を守っていた聖なる加護が薄れていくのを、俺は感じた。
「マリア…さあ、こっちへいらっしゃい…」
熱い吐息を含んだ声で、アネットが少女の耳元に口を寄せて囁きかける。そして舐めるように首筋へと口を持っていき、その白い牙をつきたてる。
「お姉ちゃん…なんで…」
涙を浮かべながら少女がアネットに問う。それと同時に俺を締め付けていた秘所が急速に潤いだした。血を吸われ、感じているのだ。
そして、少女は俺の目の前で生まれ変わる。1人の人間から、1匹の夜の一族へと。
サファイアのように青い瞳がルビーのように赤い瞳へと変わっていく。
磨き上げられた美しい肌が血の気を失い、アネットと同じ、透き通るような蒼白い色へと変わっていく。
そして、恐怖と混乱に歪んだ顔が歓喜と快楽、そして狂気を孕んだ表情を浮かべた。
少女、否、吸血鬼マリアが俺のイチモツからはなれる。その秘所からは赤と白の交じり合った液体が零れ落ちた。
そのマリアをアネットの眷属であるコウモリたちが覆う。コウモリたちは姿を変え、マリアの衣装へと変貌した。
一糸纏わぬよりも更に扇情的な、その衣装は少女に倒錯的な美しさを与えていた。その姿にアネットは頷き、言う。
「綺麗よ…マリア」
そして俺の方を向いて、更に続ける。
「リヒター。私ね、ドラキュラ様の力を貴方に分け与えようと思っていたの。同じ、夜の眷属になって永遠に一緒にいるために。
でもね、あなたがこの子を犯していたときの、苦痛と絶望の表情、とっても可愛かったわ。だからね…」
そして、アネットは、残酷な宣言をする。
「永遠に、生かし続けてあげる。夜の眷属としてではなく、人のままで。狂うこともできないようにして。そしてあなたは、永遠に私のペットよ」
>>892を見て、かっとなって書いた。反省は、していない。
GJ!
やっぱり吸血鬼物はいいな。
GJGJ
最近吸血鬼物に飢えてたので俺はもうホクホク顔ですよ
思うのだが、眷属たちのドラキュラへの二人称・三人称は「ドラキュラ様」ではなく、「伯爵(様)」とかではなかっただろうか
912 :
名無しさん@ピンキー:2007/11/15(木) 06:22:59 ID:GfXXxZDB
>908
GJ
>911
ところが、ゲーム中でも「ドラキュラ様」なんだよ
俺もめちゃくちゃ違和感あったんだけど
sage忘れー
>>908 GJ!
ああなんでコナミはこういうシーンを本編に(ry
旧作では伯爵様だったから、
クロニクルには少し違和感あったね。
ともかく、乙!
GJ
だが吸血鬼ってどちらかというと処女や童貞を好んだ気が
ふるくは吸血行為=性行為の例えだったからね。
昔の吸血鬼モノだと。
という事は血吸いまくり=犯りまくりんぐって事か
依然誰かも言っていたが良い娘が悪い娘になってのビッチ化はたまらん
ましてや処女からいきなりのビッチ化ときたらジュルリ
ところで処女が吸血鬼になって再生能力手に入れたら永遠に処女膜捨てらんないね
血を吸われたしもべは主人を 「主さま」とか「ご主人さま」って呼び方が一番萌えるな。
>>918 そうだねぺドゴニアだね。
…あれの幼馴染ルートは萌えた。悪堕ち的な意味で。
>>919 グールがおかえりなさいませご主人様と言うのか?
ああそういや非処女・非童貞が血を吸われるとグールになるんだっけ?
……ヘルシングで得た知識だが
グールはシンドバッドも食われかけたアラブ圏の食人鬼だから、吸血鬼とは違う。
ヴァルキリープロファイルといい、なぜか吸血鬼の同類扱いされているが。
Wikipediaから転載
>吸血鬼の伝承は世界各地で見られ、ヨーロッパのヴァンパイアに加え
>アラビアのグール、中国のキョンシー等がある。
>この場合、吸血鬼という名称がもちいられているが
>人間の血を吸う行為はすべての吸血鬼伝承に共通するものではない。
>吸血鬼の個体としてはドラキュラが有名。
なるほど。
大分類で吸血鬼という括りがあって、その中でヴァンパイア、グールって
小分類に分けられてるから同類扱いされてるんだな。
グールっていうとMASAMIしか思いつかない漏れガイル
グールといったら腐った死体の色違いしか思いつかない漏れトンヌラ
誰かっ!!誰かグールを萌キャラにできる者はおらぬかっ!?
萌とは言わんかもしれんが、キョンシーの奴が居るじゃないか。古いけど。
キョンシーならヴァンパイアハンターのレイレイが速攻で思いつくんだが。
グールは難しいな……ザベルの女性化版じゃ駄目かえ?
あ、ザベルはゾンビか
つサガフロ2のグールの塔
流れをぶった切って悪いんだけど
アイサイガーに手を出してみようと思うんだが、悪堕ち分ある?
CGを見た限りだと無印アイサイガーにはありそうな気がするんだけど・・・
教えてくださいご主人様ー
悪堕ちならむしろPowerdの方
>>928 死体フェチなどこぞの魔女は大失敗してた。
舞方氏のDQXSSのビアンカがゾンビ化するネタには萌えた。
ゾンビ化してもいいけど腐るのだけは嫌だなあ。
肌の色とか血の気が失せたり、ガリガリに痩せ細るのはいいけれど。
アラビアからグール、タヒチからブードゥー信仰
その二つが英国圏で混ざり合い、映画の影響もあって
今のゾンビのような、腐った死体が人の肉を好んで食うような
イメージを持つようになったんだっけ?
グールは男型で醜悪、残忍。一度死んでも、もう一度死ぬと生き返れる為
止めを刺した後には、止めを刺した者に
もう一度自分を殺すように言葉で誘惑してくるらしい。
グーラは女型で美麗、残忍だが
その乳房から溢れる乳を飲んだ者を我が子のように
慈しむようになる。
全部昔の知識だからうろ覚えだけど。
ちょっと鳥取砂丘に居ないか探してくるよ。
>>934、935
そうか悪堕ち分はPowerdの方が強いのか・・・
レスサンクス、俺も廉価版まで待ってみることにするよ
>>936 ビアンカゾンビ化kwsk
ログBBSにあるかな?
アイサイガー出してる会社の人妻×人妻ADV人妻温泉繁盛記って作品には
オマケシナリオが入っててサイガーローズが洗脳されて襲ってくるシチュあり
ただし洗脳シーンも悪コスもないしバッドエンドへの分岐が一個あるだけの小品
>>928 椎名。GS美神のグーラーは結構可愛かった。…洗脳もあるしw
>>939-940 舞方氏の作品読んでみた。
すごく面白かったが、ゾンビ化とはちょっと違うような。
どっちかと言うとアイテム支配ではなかろうか。
まあ、どっちでもビアンカが悪に染まるのは萌えだったが。
ヘボヘボって・・・(苦笑)
アイテムによりアンデッドになるって感じか。
FFの状態ゾンビとかのネタも欲しい。
>>940 dくす
いいねいいね、丁度DQ5やってたからなおいい
メタルスラッグとかのミイラ化、ゾンビ化、猿化、コピー化はネタになりそうなんだがいかんせんゲームがあれだからな……
何か動画サイトで久々に無双オロチのダッキ見てたら、妙な妄想が浮かんできた。
どんなのかはなんとなく想像つきそうだけど
MC目的の場合、ゲームの出来はあんまり気にしないな
どの道、該当シーンまでさくっと進めるようにデータ弄るし
大切なのはそのシーンの演出がよくできてるかどうかw
部下4人が既に登場時から堕ちてるっぽいのが残念だな
>>949 なんか角が角度によってはうんchゲフンゲフン
ヴァンパイアSS読んだあとビィト読んでたら変な化学反応が起こってしまった
今では反省している
冒険王ビィトグリニデ閣下編より「堕天の冥星」
「う・・・うん・・・ここは・・・」
澱んだ空気の中でポアラは目覚めた。
目に入ってきたのは、酷く寒々とした光景。何の飾り気も無い牢獄。
そこに自分は捕われていた。手も、足も頑丈な蔦に絡め取られ、身動き一つ取れない。
「そっか、私グリニデに・・・」
自分の状況を理解する。
ポアラはグリニデの手によって捕われの身になっていたのだった。
ここはどうやらグリニデの居城らしい。まだ自分が生かされているところを見ると、自分はビィトをおびき出すための人質にでもされるのだろうか?
状況は極めて絶望的だ。でも、生きてる限りチャンスはある。どうにかしてビィトたちと合流さえできれば・・・。
そんな算段を練っていた時だった。
カツ、カツ、カツ・・・。石畳の廊下に足音が響く。
「お目覚めかね、バスターの少女・・・ポアラ君と言ったかな?」
勝ち誇った笑みを浮かべて、グリニデが姿をあらわした。傍らには団子虫のような魔物、ダンゴールが控えている。
見上げるほどの巨躯を持ったヴァンデルを前にしても、ポアラの闘志は些かも衰えなかった。
「あら、ヴァンデルにも名前を覚えるぐらいの知性はあるみたいね?」
ポアラの挑発を聞いた途端、ダンゴールの顔から血の気が引いていく。
実はグリニデは「深緑の知将」と自分で名乗っているものの、その本性は獰猛、残忍、もっとも魔人らしい魔人と評されている。
「血塗られた獣」―それがグリニデの本来の姿。一度火がつけば、三日三晩暴れつづけ、目に付いたもの全てを破壊してしまう。
ここでそんなことが起きてしまえば・・・。主人の怒りに火がつく前に何とかしようと、ダンゴールが一歩前に進み出る。
「グリニデ様になんて口をきくんだ、このニンゲンめ!折角グリニデ様のご好意で生かしてやってるものを!!」
早口でまくし立てる部下を、グリニデはやんわりと手で制した。
「よい、ダンゴールよ。小鳥のさえずりだと思えば、なんとも心地よいものさ。」
落ち着き払ったグリニデの様子を見て、ダンゴールは心底ほっとした表情になる。
「流石はグリニデ様!ニンゲンごときの安い挑発に乗ってしまった自分が恥ずかしゅうございます!」
ダンゴールが一歩下がり、再びグリニデとポアラが牢屋越しに向き合う形になった。
「・・・で?私をこうやって生かしておいて何をしようっていうわけ?言っておくけど、人質なんて安い手、ビィトには通用しないわよ。」
全身から怒りをあらわにしたポアラの態度を見て、グリニデの顔が邪悪に歪む。
「・・・エクセレント!そうでなくては面白くない。」
「・・・?」
「ダンゴールよ、『アレ』を出せ。」
グリニデが目配せすると同時にダンゴールが恭しく黒い小箱を差し出す。
「こちらに用意しております」
満足そうな顔をしてグリニデは小箱を受け取る。
「さて、ポアラ君。これが何かわかるかね?」
ゆっくりと箱が開かれた。中に入っていたのは・・・
「・・・黒真珠?」
黒光りする、ビー球ほどの球体が中に納められていた。見た目は確かに大き目の真珠のようなのだが、ポアラの目には酷くそれが禍々しく映る。
「ハッハッハッ!真珠か、これは面白い!」
「何がおかしいのよ!」
馬鹿にした笑いに、益々ポアラの怒りは高まっていく。
「ではヒントをやろう。私の左腕をよく見るがいい。」
ぐっ、と左手が突き出される、そこにはヴァンデルが生まれつき一つは持っている、魔人としての証「星」が埋め込まれていた。
これはそのヴァンデルがどれほどの実力者であるか示すバロメーターにもなっている。
世の中に力を示せば示すほど、星の数は増えていくのだ。グリニデの場合は七つ・・・現状のヴァンデルの中では最高位になる。
「星がどうしたのよ?」
「まだわからないか?それでは先ほどの黒真珠とやらと私の星をよく見比べてみるがいい。」
「・・・?あっ!」
小箱の中の球体と、グリニデの星は色合いこそ違えど全く同じサイズだったのだ。
「何なのよ、これ・・・!」
不安げな表情のポアラを見て、グリニデは満足そうに頷いた。
「キッス君が非常によくやってくれたよ・・・」
遠い目をしながら、昔話でもするような口調で語りだす。
「私はね、常々思っていたんだよ。魔物は金さえあれば魔賓館から無尽蔵に手に入れることができる。
だが、ヴァンデルはどうだ?死んでしまえばそこで終わり。安定した補給を行うことも出来ない。」
静かだったグリニデの双眸がだんだんと狂気に満ちていく。
「そう思い始めたときだったのさ。キッス君がこの古文書を発見してくれたのは!」
懐から一冊の古びた本を取り出し、芝居がかった仕草で叫ぶ。
「解読作業を続けていくうちに私は喜びに震えたね!これには遥か昔に行われた様々な禁術の方法が書かれていたのだから!」
両手を広げ、古文書と小箱を天に掲げながら高笑いをあげる。
「この『堕天の冥星』はその禁術の一つ!」
嫌な予感がポアラの中を駆け巡る。
「効果は・・・人間をヴァンデルへと創り変える・・・!」
瞬間、ポアラの思考が止まる。人間を魔人に?何故そんなものが私の目の前に?何故グリニデはここまで笑っているの?
「フフフ・・・思わず熱くなってしまったよ・・・be cool・・・be cool・・・物事はスマートに進めなければ美しくないな・・・」
にやり、とグリニデの表情が狂気に歪む。
「これがあれば私は魔賓館以上の力を手にすることができる。・・・八輝星の地位を約束されたも同然!」
「ちょ、ちょっと待ってよ!そんなもの私に見せてどうするつもり!?」
非常にまずい方向へ話が進んでいる。焦りと恐怖でポアラはどうにかなってしまいそうだった。
「キッス君で実験するのは失敗した時のことを考えると流石に忍びないのでね。君が栄えある人造魔人の実験体に選ばれたというわけさ。」
「何よ!それ!そんなこと本当にできるわけが!」
叫ぶポアラを尻目に、周りでは着々と準備がすすめられていく。
ダンゴールが牢の鍵を開け、グリニデを中に迎え入れる。
何とかして逃れようとするものの、両腕両足ががっちりと蔦に絡め取られているため、身動き一つも取れない。
恐怖でがちがちと歯の根が鳴る。一歩、また一歩とグリニデがこちらに近づく。
ポアラが恐怖に固まる様を楽しんでいるのか、歩みは酷くゆっくりだった。
「こないで!お願いだから」
カツン、カツン・・・
「ビィト・・・!!」
カツン、カツン・・・
「嫌ぁー!!」
ポアラの叫びも虚しく、とうとうグリニデがポアラの傍に立った。
「ククク・・・歴史を変えるスイッチを自分で押せる喜び・・・これこそまさに理知的な喜びだ!」
ポアラの左手を取り、見せつけるように堕天の冥星をポアラの眼前に掲げる。
「やめて!お願いだから止めてよ!ヴァンデルなんかになりたくない!」
泣きじゃくりながらポアラは叫ぶ。
「なあに、古文書によれば痛みも何もない。待っているのはヴァンデルに生まれ変わった悦びだけだ。」
じりじりと焦らすように、ゆっくりとポアラの左手に堕天の冥星を近づけていく。
「人間でいさせて!ビィトと一緒にいられなくなっちゃう!」
「さあ!ヴァンデルの歴史に新たな1ページを刻める悦び、その身でしかと受け止めよ!!」
グッ!!
堕天の冥星がポアラの左腕に押し付けられる。まるでポアラの腕が求めているかのように、さしたる抵抗もなく堕天の冥星は腕の中に取り込まれていった。
「う・・・ああ・・・」
ヴァンデルのそれと同じになってしまった腕を見つめ、ポアラは絶望に顔を歪めた。
「ははは、どうかね?星を持った気分は?」
絶望に打ちひしがれたポアラを見下ろし、グリニデは高らかに笑う。
「外して・・・外してよ・・・」
そんなグリニデの笑い声も聞こえないのか、ポアラはうわ言のようにただひたすら呟きつづけた。
「流石にもう抵抗する気は無い様だな。・・・だが、まだ終わりではないぞ?」
ビクッ!
グリニデの言葉にポアラの身体が強張る。これ以上どんな悲惨な状況があるというのだろうか?既に星を与えられ、人間では無くなってしまった自分に・・・。
「そうだな・・・。よし、まずは拘束を解いてやろう。」
パチン、とグリニデが指を鳴らすと、今までポアラを縛り付けていた蔦が締め付けを解き、しゅるしゅると壁に吸い込まれていった。
どさっ。級に戒めを解かれ、受身も取れず前のめりに倒れこむ。
「・・・?」
「言い忘れていたがな、その星はまだ完全に根付いてはいない。今ならまだ解呪を行うなり、腕を切り落とすなりすれば君は人間のままでいられる。」
思いがけないグリニデの言葉に、ポアラの胸が軽くなる。
「それでだ。余興・・・ゲームをしようではないか。」
「ゲーム?」
いぶかしげなポアラの声にグリニデは目を細める。
「そうだ。ルールは至極単純だ。君が一発でも私に攻撃を与えられたらこの城から解放してやろう。ビィト君と合流するなり、好きにするがいい。」
罠だ。ここまで悪趣味なことを平気でするようなヴァンデルが、こんな条件を出してくるはずが無い。
何より失われた禁術を施した人間をこれほど簡単に解放するなんて。
頭ではそう理解していても、その提案を蹴るような余裕はポアラに残されていなかった。
「・・・本当ね?」
うつむいたままのポアラの問いにグリニデが答えようとした。その瞬間。
「ああああああああ!」
這いつくばった状態から、一気に地面を蹴り、グリニデの懐に飛び込む!
(この隙を逃したら、もうチャンスは無い!発動が一番早い火の天撃で・・・!?)
どくん。
ポアラの身体に「何か」が起きた。そう気づいた次の瞬間、ポアラは再び地面に倒れこんでいた。
「な・・・力が・・・入らない・・・?」
信じられない―ポアラの表情が凍りつく。
「く・・・くくく・・・ハァーハッハッハ!エクセレント!実にエクセレントだよポアラ君!」
パチパチパチ・・・グリニデの拍手が牢屋の中に鳴り響く。
「何が起こったのかわからない・・・そういった顔をしているね。実に素晴らしい表情だ!」
グリニデの嘲笑に、ポアラの頭が真っ白になる。
「堕天の冥星・・・実はそのままでは単なる装飾品以外の何物でもない。
その実態は天力を冥力に変換して宿主の身体を創り返るアイテムだ!」
「そんな・・・それじゃ・・・」
ポアラの呟きにグリニデは満足そうに笑う。
「頭の回転の速いものはやはりいい・・・。そうだ、君自身が魔人化への最後の引き金を引いたのさ!」
自分で自分にとどめを差してしまった―その事実は、ポアラの全ての感情を壊すのに十分なものだった。
「嫌・・・嫌・・・いやぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」
「さあ、一回発動してしまったら後はどんどん冥力に変換していくだけだ。君の身体に眠っている全ての天力がヴァンデル化へのエネルギーになる。」
堕天の冥星が一層黒い輝きを増す。それはポアラを包み込み、冥力の嵐となって牢屋中を吹き荒れる。
「い、ぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!あああああああああああああああ!!」
「ひ、ひぃぃぃぃ!グリニデ様ぁ!」
ダンゴールが慌ててグリニデの影に隠れる。
「怯えなくともよい、ダンゴールよ。我々の新しい仲間が誕生する記念すべき瞬間だ。笑顔で迎えてやろうではないか。」
しかし、なおも冥力の嵐は収まらない。それどころかますます勢いを増し、鉄格子が吹き飛ぶ。
「これは思わぬ掘り出し物を見つけたのかも知れんな・・・ここまでの才能を持っていたとは。このままバスターとして活動されていたら厄介だったかも知れんな。」
びゅうびゅうと吹き荒れる冥力。そのすさまじさはグリニデの怒轟烈波に等しいレベルにまであがろうとしていた。
「うああああああああああああああああああ!!」
ポアラの叫びが一際大きくなる。
「くくく・・・これはひょっとすると五つ・・・いや、六つ星クラスの素材だったかもしれん・・・。」
暴力的な冥力の嵐を受けながらも、グリニデの頬は緩んでいた。
自分の手で新たな魔人を作り出すという失われた秘法を現代に蘇らせ、そしてそれが成功する瞬間を目の当たりにしている。
その興奮が、彼の感情を支配していた。
「グああああああああああああああ!!」
今まで部屋の中を荒れ狂っていた冥力がポアラの身体に戻っていく。
彼女の身体を冥力が包み、創り変えていく。神、邪神をも畏れぬ邪法が、今、完成しようとしていた。
戦士として鍛錬を積んだ結果、同年代の女性より筋肉質になってしまっていた身体は、女性らしい丸みを帯び、ふっくらと。
武器の扱いになれたごつごつした手はほっそりと伸び、爪が真紅に染まり鋭利に尖る。
冥力が彼女の身体にまとわりつき、何物の攻撃をも寄せ付けぬ真紅のボンデージを形成する。同時に、耳にはドクロのピアスが埋め込まれ、鋭く伸びる。
「ぐぅっ・・・あはぁっ!」
めきめきと背中が割れ、蝙蝠のような一対の羽が飛び出し、腰からは細身の尻尾が突き出る。
「はーっ・・・はーっ・・・」
急激な身体の変化のため、酸素を求める彼女の口には、禍々しいほど伸びた犬歯が覗いていた。
「ビューティフル・・・まさかここまで素晴らしいとは!」
グリニデが感嘆のため息を漏らす。
「さあ・・・ポアラ君。生まれ変わった君の顔を見せておくれ。」
グリニデの言葉に反応し、俯いていた顔をあげる。
その瞳は、真紅に染まり、瞳孔は豹のように縦に長いものになっていた。
「ふふふ、はじめまして、とでも言えばよろしいのでしょうか?」
左腕に輝く『星』。
今までのポアラからは想像も出来ないくらい妖艶な雰囲気をまとった女性型ヴァンデルがそこにいた。
「ポアラ君・・・どうやら実験は成功のようだな。」
自分の肢体を掻き抱きながらポアラは答える。
「はい、グリニデ様・・・私ポアラは卑しい人間の身体を捨て、ヴァンデル・・・クリムゾン・カーミラのポアラとして生まれ変わりましたわ。」
「カーミラ・・・確か人間の読み物に出てくるヴァンデルだな。想像上のものだと思っていたが、まさかこの目で見ることになるとは。」
「自分でも何故カーミラになれたのかわかりませんけど。でも素敵です、この身体。とてもしっくりくるんです。」
小首をかしげながら、しなを作る。
今のポアラは、まさに少女の純粋さと娼婦の妖艶さを併せ持つ、男を惑わせる魔人であった。
「グリニデ様、一つお願いがあるんです。」
「何かね?私は今とても気分がいい・・・何でも聞いてやろう。」
その答えを聞いてポアラの顔が明るく輝く。
「ビィトの首を私めに狩らせてはいただけないでしょうか?」
「ほう・・・いいのかね?仲間だったんだろう?」
にやり、と笑いながらグリニデが意地の悪い質問をする。
「仲間だったからこそ、です。」
「ふむ?」
「大切な者だったからこそ、その血で喉を潤したいんです・・・ビィトは私の旦那様になるはずだった男ですもの、血を抜いた木偶にして一生可愛がってあげたいんです。」
狂気に染まった真紅の瞳を輝かせ、ポアラが邪悪に笑う。
「ハッハッハ!実に!実に素晴らしいヴァンデルだ!よかろう、存分に力をふるって来たまえ!」
「はい!行って参ります!」
優雅に一礼すると、すぐさまポアラは外へと向かった。
愛しい人をその手に掛ける為に。
「うふふ、ビィト・・・いつまでも一緒よ・・・」
暗黒の世紀、終わりは未だ見えない・・・。
以上です、改行が多すぎるとブラウザに怒られまくりましたorz
スレ汚しアンドお目汚し失礼
最後に・・・バンパイアってほんとーにいいものですねー、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ。
GJすぎる!もいちどGJ!!
冒険王ビイトにしてもダイの大冒険にしても正統派のヒーロー物は
キャラの堕としがいがあって良いね
>>957 超GJ!!
愛の心持ったまま身体も精神も邪悪に堕ちるのはまじ萌える。
ストーカー的な歪んだ愛という倒錯的な感じがしてハァハァする。
高確率で二次元エンドのフラグになっちまう諸刃の剣だがな!!!!!
>>959 イイの紹介してくれてアリガd
普通におもしろかったわ
吸血鬼化ENDは一つしかなかったけど
このスレとしてはハズレかな
このスレ的にお嬢様がビッチ化と殺戮戦闘狂化だったら
どっちが需要多いんだ?
>>963 野良だったら俺はどっちも好みじゃないが、誰かに従属してかつそのどちらかという条件なら後者かな
>>963 そもそも、何を指してビッチなんだかよくわからん…。最近ビッチって言葉が広い意味で使われ過ぎだろ。
まあ、おじさんは後者が好きな訳だが…。後、上のSSみたいに愛が歪んだ形で現れると尚良いですぅ
>>963 殺戮戦闘狂一つとっても見せ方次第で変わるから難しいねぇ
「返り血を浴びると性的興奮を覚えちゃうのアアーン皆殺しー」タイプは好きだけど、
カチュアの堕ちエンドみたいに
「殺せ殺せー全部破壊するぞーウェーハッハッハー」タイプはそんなに好きじゃないし
ビッチって雌犬や娼婦って意味だろう?
だったら普通に悪堕ちじゃなくて淫乱化だと思う。
だから自分は後者。書くSSも大抵そういう流れになる。
静かに狂気が混じってくのが一番好きかなぁ。
だってこれが一番怖いんだものw
う〜ん。みんな好みが偏ってるな…戦闘狂もどの程度がストライクなのか判断しづらいし。
ちょっと書いてみてもらわんとわからんな。
代表で
>>969に戦闘狂で頼む。
ビッチ化でも例えば、もともとの恋人とかを「こんなクズのことを好きだったなんて信じられない」とか罵るのはいいかなぁ
ちょっとNTR入ってるが
>>971 いやいや、皆のストライクゾーンなんて最大公約数的なもの狙うより
自分の好きな方向に突出したものを書き綴った方が良いと思うぞ
他人の意見に流された日和見作品より、自分の趣味を120%出しきった作品の方が大好だ!
ところでそろそろ次スレの季節、テンプレとか纏めてみないか?
俺はベースの人格は変わらずに、価値観だけが変わるのが好みだな。
人格が変わりすぎると、もはや別物なのでグッとこない。
よく考えたらテンプレ纏める必要もないのに気が付いた
次スレ立てておk?
スイートナイツのレディ○○エンドをこの2択で無理やり分類するならビッチだろう
自分はああいうのがストライクなんで殺戮戦闘狂化はパスだな
>>971 すまない。忙しくて無理そうだorz
他の人に頼んでくれ。
こっち埋めるわ
う
め
し
た
ま
り
ん
誰か梅下まりんの悪堕ち頼むwwww
梅下まりんって何だよwww
ここのマスコットキャラだよ。知らないの?
どこだよ
>>989 マジカルヒロインプリティスカイのサブヒロイン。ワルモーンの手によりスカイと戦う悪の魔法少女として洗脳された。
元は主人公の親友。敵の首領に惚れてしまい、最後まで悪のヒロインとして散っていったと言うのがこのスレ的に当時大うけした。
このスレ、エロパロ板で上から10番目に入るか入らないかくらいの好況スレなのな。
数えてみたら15番目(重複除き)か。
卓上ゲームスレと並ぶエロパロ板の謎だw
あらためて埋め
さーて、一気にこのスレ畳むか!
埋め産め梅
アンドロー梅田
梅図
小梅
堕ち……た
1001 :
1001:
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。