J・S事件以来大規模な次元犯罪も無く、それなりに平和だったミッドチルダ。だが、そんな日々はあっけなく打ち砕かれた。
1週間前、少数民族『ル・ルシエ』の暮らす集落が、何者かの襲撃を受け壊滅した事を皮切りに―
・6日前、赤竜を始めとする高出力のリンカーコアを持った希少動物十数匹が、何者かに魔力を根こそぎ奪われた上、惨殺される。
・同日、約12時間の間に時空管理局に所属していない魔道士16人(Bランク9名、Aランク5名、AAランク2名)が何者かに襲撃され、魔力を根こそぎ奪われた上で殺害される。
・4日前、約8時間の間に魔力資質に優れた9歳から12歳までの男女35人が、何者かに拉致される。
と、立て続けに4件もの重大事件が発生したのだ。
だが、それもこれから起きる悲劇のホンの序章でしかないのだった…。
The Last Numbers 第1話【敗北】
「君が…僕をここへ転送したの?」
エリオは目の前にいる自分と同年代の少女にそう尋ねながら、今の状況を整理していた。
つい数分前まで、キャロと共に希少動物惨殺事件の捜査を行なっていたが、突然転送魔法によって1人だけここへ送り込まれたのだ。
自分の周囲は見渡す限りの草原。エリオの記憶が正しければ、ここはミッドチルダ首都からも、自分達が捜査を行っていた場所からも相当離れている。
すなわち、ここへ自分を送り込んだのが目の前にいる少女で、しかも少女が敵であった場合、救援は期待できず、自分だけで何とかしなければいけないと言うことだ。ストラーダを握る手にも思わず力が入る。
「うん、そうだよ。私が貴方をここへ呼んだの…エリオ・モンディアル君」
そんなエリオの心を読み取ったかのような、そして嘲笑するかのような声でエリオの問いに答える少女。
「ッ! 一体…一体何の為に僕を!」
「簡単よ…貴方を私の物にする為…私だけの玩具にする為!」
そう言って纏っていたローブを脱ぎ去った少女の姿に、エリオは驚愕を隠せなかった。
ローブの下に纏っていた見覚えのあるコスチューム。それは機動六課在籍時に何度も激闘を繰り広げた―
「戦闘機人……まさか、君も―」
「そうだよ。私の名はトレディ、13番目のナンバーズ。そして最強にして絶対の存在!!」
言うが早いかエリオに突進するトレディ。その両手には、いつの間にか赤い刃を持った剣が握られている。
「くっ!」
その素早い攻撃をストラーダで受けるエリオ。矢継ぎ早に繰り出される攻撃の合間を縫って一単距離を取るが―
「逃がさないよ!」
トレディは素早く巨大なブーメランを取り出し、エリオへ投げつける。それも何とか弾き飛ばしたエリオだったが―
「まだまだ!」
更にトレディは十数本のナイフを投げつけてきた。ストラーダを振るった事で体勢を崩したエリオは―
“Sonic Move”
高速移動魔法『ソニックムーブ』を起動し、なんとかそれを回避した。先ほどまでエリオがいた場所に次々と突き刺さったナイフは、次の瞬間一斉に爆発し、地面に巨大な穴を空ける
「ま、まさか…まさか、君は……」
この短時間に3種類の攻撃を繰り出したトレディに対して、最悪の推理が浮かんでしまうエリオ。そしてその推理は―
「言ったでしょう? 私は最強にして絶対の存在。私は私より前に作られたナンバーズの能力全てを使用する事が出来る。と言うより、姉達は皆、私を完成させる為の試作品に過ぎない」
トレディの言葉によって肯定された。
「そして、私は姉達が蓄積していた戦闘データとドクターの記憶全て…正確には逮捕される直前までだけど…それを受け継いでいる」
「わかる? 史上最高の頭脳と高度に蓄積された戦闘データ。更に改良に改良を重ね、至高の域にまで達したこの体に、全ナンバーズの特殊能力…私は文字通り完全無欠、絶対最強の存在なの!」
「だから私は、欲しい物全て…この世界全てを手に入れる! それを邪魔する者は…皆叩き潰す!!」
そこからの戦いは、文字通り一方的なものだった。
トレディは自身の持つ数々のISをフルに活用し、エリオを攻め立てる。エリオも必死に応戦するが、それは無駄な足掻きでしかなかった。数分後―
「うぅ、くぁ…うぁっ……」
ボロボロになったエリオの体に光のロープが何重にも巻きつき、ギリギリと締め上げる。
「良い声で鳴くのね…このまま体中の骨を粉々にしちゃおうかしら」
エリオの悲鳴を聞きながら、嬉しそうに笑うトレディ。更に強くなる締め付けに大きくなるエリオの悲鳴。
「エリオ君、貴方は私に負けたの…敗北を認めて、命乞いしなさい。そうすれば優しく可愛がってあげるわ」
優しくもどこか高圧的にエリオに問うトレディ。だが、エリオの返答は―
「ぼ、僕はまだ…まだ、負けてない」
トレディの期待を大きく裏切るものだった。トレディの顔から笑顔が消える。
「そう、もっと甚振ってあげないと解ってくれないみたいね」
そう言うと右掌をエリオへ向けるトレディ。その時、エリオが叫んだ。
「バ、バリアジャケット…パージッ!!」
“Sonic Form”
自らを縛る光のロープを一気に吹き飛ばし、エリオのバリアジャケットが姿を変える。羽織っていた白いコートが消え、下に着ていたシャツがタンクトップに変化する。
機動六課解散直前にフェイトから教えられた高速機動形態『ソニックフォーム』だ。
「うぉぉぉぉぉっ!!」
装甲を犠牲にする事によって、限界まで高めたスピードをフルに活かし、トレディに迫るエリオ。そして―
“Speer angriff”
ストラーダから魔力を噴射させる事で、更に加速した必殺の一撃が、トレディに叩き込まれた!
悲鳴をあげる間もなく、派手に吹き飛ばされるトレディ。エリオの一発逆転だ。
「ハァッ…ハァッ…ハァッ……」
ストラーダを杖代わりに使いながら、呼吸を整えるエリオ。切り札であるソニックフォームを使い、なおかつ渾身の一撃を叩き込んだのだ。一撃必殺は無理だとしても、それ相応のダメージは与えている筈。
(ナンバーズ全ての能力を持っているといっても、どこかに付け入る隙はある筈…)
倒れたままのトレディを睨みながら、現在までに得た情報を統合し、戦術を組み立てるエリオ。だが―
「んぁっ…」
その思考は、突然下半身を襲った刺激で中断された。驚いたエリオが視線を下ろすと―
「こ、これは…」
そこにはグローブに包まれた手が、エリオの股間を包み込んで刺激を与えていると言う、俄かには信じられない光景があった。
慌てて腰を引くエリオだが、その手はしっかりと股間を包んで離そうとしない。
「フフ、フフフ…」
そこへ響くトレディの声。エリオが視線を向けるとそこには、何事もなかったように立ち上がったトレディの姿があった。
「さっきの攻撃、すごく良かったよ。私じゃなくて、姉達なら一発逆転の大勝利だったんだろうけど…私を仕留めるには、威力不足だね」
「でも、頑張ったエリオ君に御褒美だよ…私オリジナルのISで可愛がってあげる」
「オリジナルの…IS? ん、ふぁっ…」
股間へ送られる刺激に耐えながら、トレディへ問うエリオ。その顔はどこか赤みを増している。
「『空間の支配者(ディメンジョン・グラスパー)』…一定範囲内の空間操作、それが私のオリジナルIS」
「本当は別の使用目的があるんだけど…今はこの能力で、私の手とエリオ君の股間の間にある数十mの距離を限りなく0にして、エリオ君の股間を攻めている…理解できた?」
説明じみた台詞を言い終えると同時に、光のロープでエリオの動きを封じ、股間への責めを強めるトレディ。
「う、うぁ…やめ、やめて……」
必死に体をよじり、攻めから逃れようとするエリオだったが、自分自身でもパンツの中が膨らんでいるのがわかった。
「フフッ、大分勃って来たね。ここからが本番だよ!」
エリオのペニスが勃起した事を確認したトレディは、これまでの撫で回すような攻め方から一転、ペニスを上下にしごき始めた。
「あぁ…くぅぅ…」
トレディの容赦ない攻めに、唇を噛みしめ、必死に耐えるエリオだが、時々吐息が漏れてしまう。
「フフッ、そんな声をあげて、敵にこんな事されて、感じてるの?」
「そ、そんな事、そんな事あるものか…」
トレディの馬鹿にした様な声に、必死になって反論するエリオだが―。
クチュ…ピチャ…グチュ…
エリオの股間からはいやらしい水音が少しずつ漏れ聞こえてくる。
「あらあら、エリオ君ったらお漏らししちゃったの?」
その言葉にエリオが再び股間に目をやると、勃起して持ち上げられた部分を中心として、股間に染みが広がっているのが見えた。
「お、お漏らしなんて…お漏らしなんて……していない…」
「そうね、これはおしっこ以外の液体で濡れているんですものね」
そう言いながら手の動きを早めるトレディ。
「あ、あぁ…あぅぅ、ぅぁ……」
股間から沸きあがる快感で、頭の中が真っ白になっていくエリオ。
(だ、駄目だ…もう、何も…考え、られない…)
絶頂に近づくにつれて、エリオの全身から力が抜けていき、腰だけがトレディの攻めに共鳴して振られていく。そして―
「さぁ、ドピュドピュ出しちゃいなさい!!」
トレディの声と同時にエリオも限界を迎えた。ビクビクッ!と体が痙攣し、ペニスから白濁液がコンコンと湧き出していく。
エリオは温かい物がパンツの中に広がっていくのを感じていたが、どうする事も出来ずにいた。
「ハァ、ハァ、ハァ…」
トレディの攻めから開放され、グッタリと己を縛る光のロープに身を任せるエリオ。その口はだらしなく開き、先程までの凛々しい顔つきからはかけ離れている。
トレディは、そんなエリオの股間に手を伸ばし、バリアジャケットのズボンを引き千切る。
強靭なバリアジャケットも、これまでのダメージで耐久力が落ちていたのか、いとも簡単に股間の部分へ穴が開いてしまう。
トレディはそこからエリオのペニスを引っ張り出すと―
「エリオ君のはどんな味がするのかな? フフッ、タップリと搾り取ってあげる」
口の中に頬張り、勢いよく舐め回し始めた。
「あぁっ、な、何をするんだ…あぁ……」
手による攻めとは段違いの快感を感じてしまうエリオ。射精でしぼんだ筈のペニスが瞬く間に立ち上がっていく。そして―
「んぅん…くぅん、あぁ…はぁぁぁ…」
2度目の絶頂を迎えたエリオは、トレディの口中に射精した。
「ん、うぅん…」
口の中に溢れる白濁液を、喉を鳴らしながら美味しそうに飲み干したトレディは、グッタリとなったエリオを連れ、転送魔法でその姿を消した。
そして、これがエリオが味わう地獄の始まりとなるのだった。
続く