らき☆すたの女の子でエロパロ17

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1
アニメも好評のうちに終了し、原作も大好評連載中の「らき☆すた」でエロいの行ってみよ。

☆カップリングは自由
☆基本的に百合マンセー
☆801は禁止(と言っても男キャラあんまいねぇ)
☆投下した作品の保管を希望しない場合、前もってその旨を知らせること

※マナー等※
※割込みを防止するため、書き込みや投下の前等にリロードを。
※荒らしや煽り、気に入らない人・作品等はスルーで。
※グロやSM、鬱モノなどの過激な内容は断りを入れてから投稿する
※読者=主人公の作品(いわゆる俺キャラもの)についてはNGワード指定や断り文を確実に。
※480KBまたは950レスのどちらかに近づいたら、次スレの準備を。

マターリはぁはぁしましょうか。

☆まとめサイト(管理人と職人に感謝!)
ttp://www33.atwiki.jp/kairakunoza/pages/1.html
☆派生サイト:てけてけかなたさん伺か化計画
ttp://neo-experiment.hp.infoseek.co.jp/index.html
☆前スレ
らき☆すたの女の子でエロパロ16
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1189847951/
2名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 04:27:03 ID:tvCw57sM
>>1

さあ、始まるザマスよ
3名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 04:32:07 ID:Ek6SAnhT
>>1乙!
いくでがんす
4名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 04:37:39 ID:tRpygYWX
>>1


ふんがぁ
5名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 04:38:48 ID:KciWIyLy
>>1
まともに始めなさいよ!!
6名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 06:00:14 ID:OWrHFZBB
>>1
ちょっと早い気もするけれど。

あーいまーい3cm
7名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 06:46:18 ID:WlYGmz2C
そりゃ>>1乙って事かい?ちょっ
8名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 07:20:38 ID:5LV+atId
>>1

4日と9時間で新スレ だぁぁ速すぎってことない? ぷ。
9名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 07:28:17 ID:ARb6LGJ8
>>1

がんばった やっちゃった そんとっきゃーっち&りりーす ぎょ
10ぶーわ:2007/09/20(木) 07:38:33 ID:u3yVUJsh
前スレが埋めに入ったんで、こっちに投下します。
人として袖が触れている>>536-544の続きです。
今回はちょっと調子に乗って 2話ほど。
まず一話目↓2レスほど拝借。
11人として袖が触れている-間奏-(1/2):2007/09/20(木) 07:39:52 ID:u3yVUJsh
「お姉ちゃん」
 ……頭の奥から、声が響く。
 この拍子が抜けそうな声は……つかさか。
 やめてよ、今疲れてるんだから。
 深夜に帝様の邸から大脱走よ? 筋肉痛ものよ!
「お姉ちゃんっってば! もうお昼だよっ!」
「……へ?」
 体がそれに反応して、飛び起きる。
 お昼っ?
 そんなっ、女房が寝過ごすなんて許されないのにっ!
 ああこなたの髪梳かなきゃ!
 ああ、じゃない! 今は内大臣の家だから、そう宴!
 宴の準備のために寝殿も掃除して、ええと食事のようは他の人にっ!
「もぅ、日曜だからってお昼まで寝てちゃ駄目だよっ」
 そんなオメーもパジャマじゃねーか!
 早く着替えて掃除を……。
 ……。
 あれ?
 パジャマ?
「ご飯もう出来てるから行こっ、皆待ってるよっ」
「え……う、うん」
 あれ?
 あれ?
 私が今寝てるのは……ベッドだ。
 平安時代に、そんなこ洒落たものがあったっけ?
 それに私の視界に広がるのは、古臭い寝殿造りなんかじゃない。
 見慣れた天井、本棚、机……。
 ここは私の……部屋?
「今起きたのかい、かがみ」
 居間にはもう、家族が居た。
 穏やかなお父さんの声が耳に届き、ここが自分の知ってる場所だと実感させる。
「うん、ちょっと……疲れてたみたい」
「そうか、よく休めたかい?」
「お、お父さん私には怒ったのにー!」
「あっはっは、つかさはいつもじゃないか」
 お父さんが呑気に笑う。
 それにつられて、私や姉さんたちも一緒に。
 つかさは一人むくれてるけど。
 いつもの光景。
 いつもの笑い声。
 いつもの……家族。
12人として袖が触れている-間奏-(2/2):2007/09/20(木) 07:40:26 ID:u3yVUJsh
「はい、ご飯よー」
 母さんが皿をそれぞれ分けていく。
 この鼻をつくスパイスの香りは……カレー。
「えー、お母さんまたカレー?」
「いいじゃない、一晩寝かせたから美味しいわよー」
「もう三日は寝かせてるよそれ!」
 家族は皆愚痴をもらしながらカレーに手をつける。
 そっか、昨日もその前も確か……カレーだったんだっけ。
「ほらかがみ、早く食べないと冷えちゃうわよ」
「う……うん」
 私もそれに、恐る恐る手をつける。
 でも、口に含んで分かった。
 味なんて……しやしない。
 それを確認するのと同時に、世界が止まった。
 もう誰も動かない。
 ……そうだ、これは夢。
 まだ私は、何もやりとげていない。
 ああ、夢だと気がつかなければこの時間を堪能出来たのに。
 止まった世界は次第に色褪せ……消えていく。
 自分の目が覚めようとしているのが分かり……少し、悲しい。
 少し、なはずがないか……頬を伝う涙が、その証拠。
 ねぇ、お父さん、お母さん。それにつかさに、お姉ちゃんたちも……。
 私……絶対、帰って来るからね。
 そしたら一緒に、カレーを食べよう。
 一緒に愚痴をこぼそう。
 そして、何だかんだで全部平らげよう。
 ……約束、だよ?
13ぶーわ:2007/09/20(木) 07:42:49 ID:u3yVUJsh
続いてもう一話ほど。
↓7レスほど拝借
「う……ん?」
 目を覚ますと、優しいはずの月夜が暴力的に目に突き刺さる。
 あれ……じゃあ今は、夜?
 そうだ、体が自由に動く。
 見覚えのないこの部屋は……そうだ、内大臣の邸の一室。
 確か女房に一つずつ貸してくれたんだっけ、太っ腹ね。
「お、目ぇ覚めたか?」
「あっ……」
 体を起こすと、日下部と目があった。
 ま、またこいつは異性の寝室にこんな夜中に……まぁ、いいけど。
「いやぁ、まる一日寝てたらしいなぁ。心配したぜー?」
 と豪快に笑う。
 まる一日?
 じゃあ、私はあの後気絶してしまったのか。
 こいつ……日下部の腕の中で。
 あ、あれ? 何で顔が熱くなるんだ……。
「じゃ、じゃあ……看ててくれたの?」
「いや、今ここについたところ。あやのもすぐ来るってさ」
 話によるとあの後、この邸まで運んできてくれたらしい。
 それであとは、ここの女房たちに看病されてたと。
 ……ってちょっと待て。
 その前にあるじゃぁないか、忘れちゃいけない問題が!
「そ、そーだ。アンタ……春宮って!」
「おいおい、アンタはないだろー? また、みさおって呼んで欲しいなー」
 あ、あれはその、勢いで言っちゃっただけだし!
 ついその、恐怖に狼狽してというかなんというか……うう、上手く説明できない。
「なっ、いいだろ? かーがみっ」
「うっ……」
 その笑顔で頼み事をするのは……ずるいと房う。
 そんな顔されたら……断れないじゃない。
「み、みさお……が、春宮なの?」
 小さな声で、呟いただけのはずだった。
 なのに……顔が火を噴く。
 うう、今まで名前で呼んだことがないからだ!
 そうだ、絶対そう!
「あははっ、そのとーり。でも敬語とか息苦しいからやめてくれよー?」
 ケラケラと笑うくさか……みさお。
 い、いいわよ。呼んでやろうじゃない!
 ご要望の通り敬語も使ってやるもんか!
「そ、それで何で春宮がこんなところに居るわけ? 病床に臥せてるはずでしょ?」
「あぁ、あれは替え玉。適当な帯刀(警備兵)を寝室に押し込めてるだけさ。それなら自由に動けるだろ?」
 ……確かにまぁ、分からないでもない。
 まさか今居る春宮が偽者で、本物は雑色に身をやつしてるなどと誰が考えるだろう。
 しかもわざわざ、この峰岸の邸を根城にして。
「まぁおかげで全部上手くいったし、感謝してるよ」
 と、肩を叩かれた。
 ドキッと、心臓が跳ねる。
 触れてる部分から、全体が痺れていく気分。
 な、何なんだ。さっきから!
「べ、別に私は何もしてないわ……むしろ、足を引っ張ったぐらいで」
「あー、そういやそうだったっけ」
 そこはフォロー入れろよ!
 くそう気が利かない!
 ま、まぁ確かに……待ってなかった私が悪いけど。
 帰って来るのが遅かったみさおも悪い!
「でも助けに来てくれたわけだろ、感謝感謝」
「!」
 肩の次は、頭を撫でられる。
 さっきより顔が近づき、さらに動悸が早くなるのを感じる。
「や、やめなさいよっ……子供じゃ、ないんだから」
「ん……そっか」
 手が離れると、目の前のみさおと視線が交わった。
 あの日の風景と、重なる。
 あの……襲われそうになった日のことが。
 視線を逸らすが、私の顔は真っ赤。
 自分でも、よく分からない。
 なんでこんなに……狼狽してるのか。
 それともいい加減……認めるべきなのだろうか。
 みさおに……惹かれ始めていることに。
 ……。
 少し、だから。
 ほんの少しだけ、だから!
「あらあら、仲が良いわねぇ」
「!」
 その時だった。
 私たちの間を、優しい声が切り裂いた。
「あぁ、あやの。来たのかー」
 峰岸の姿が、そこにはあった。
 どうやらそこの戸から入ってきたらしい。
 慌てて私はみさおと距離をとる。
 そうだ……何を考えてるんだ私は。
 ちょっと、顔が近づいただけじゃないか。
 それで、あの夜を思い出しただけ!
 特別な意味なんてない、みさおにも……勿論私にも!
 さっきの話?
 何よそれ、もう覚えてないわ! 惹かれてなんか絶対にない!
「おめでとう、みさちゃん……成功だったんでしょう?」
「ん、まぁーなー」
 峰岸も座り、袖から例の連判状を取り出すみさお。
「もう当今……父様にも全部伝えた。厳重に処罰してくれるってさ」
 その連判状に書かれている人物は全て、隠岐や佐渡に渡ることになるだろう。
 その事務処理に終われ、今宮廷は忙しいらしい。
 位の高い人物が根こそぎ捕縛されたのだから、それもしかたない。
「それで首謀者の二人はどうなったの? 左大臣姫君と左馬頭だったかしら」
「それが……納得いかないんだよなぁ!」
 と、鼻息を荒くするみさお。
 http://bbs.freedeai.com/src/up6002.jpg
「あれだけの事しといて、二人とも流刑地送りだけだってよ! 父様は甘いぜ、まったく!」
「仕方ないわよ……帝様の、決断よ」
 謀反は犯罪の中でも重いものとして分類される。
 その首謀者ともなれば、極刑は免れない。
 だがそれでは、あまりにもその子供……弟宮が可哀想だ。
 一人残され……反逆者の烙印を押されるのだから。
 つまり、これが帝に出来る夫としての……親としての、最後の情だったのだ。
 ……ちなみに左馬頭はオマケ。
「あ、私すぐに宴に戻らないといけないの……抜け出してるのがばれちゃう」
「あ……宴!」
 峰岸の言葉に、思わず声が漏れる。
 しまった。
 すっかり忘れていた。
 ここにはその宴の手伝いのためにきていたのに!
「ああ大丈夫、今日の宴は小規模だから人では足りるわ。ゆっくり休んでて」
 と、笑顔で峰岸に言われた。
 ……なら、いいか。
 内大臣姫君の峰岸が言うんだ、誰も文句は言うまい。
「みさちゃんも、そろそろ宮廷に戻ったほうがいいんじゃない?」
「ん、だな。いい加減父様の手伝いをしないと」
「では、お大事に」
「また明日な、かがみっ」
 部屋を出て行く二人を見送る。
 でも……明日?
 また抜け出してなんかする気かあいつ!
 はぁ……まぁいいや、もう寝てしまおう。
 宴は今日で終わりなんだ。
 なら明日の朝には牛車も出してもらえるだろうし、昼にはこなたの邸に着く。
 まる一日寝たわりには、まだ睡魔も襲ってきてるし……その快楽に、ただ身を任せるとしよう。



 次の朝、私は動揺した。
 正確には私だけじゃないか……体のほうの私も。
 後者は仕方がない。
 気がついたら二日経っていたわけで。
 記憶があるのは最初の宴で働いたことぐらい。
 峰岸が高熱が出たので、と女房に言っておいたので納得したみたいだけど。
 そして私を動揺させたのが……。
「ほら、もうすぐつくぞー」
 牛車を引く雑色から景気のいい声がかかる。
 その聞きなれた声は……またみさおだよ!
 宮廷はどうした宮廷は!
 というか次期帝に牛車なんか引かせんな!
 テメーも引くな!
 とか、色々突っ込みたかったが……生憎、体が自由じゃない。
 大地を照りつける太陽が、これほど憎らしくなる日が来るなんて。
 何回かみさおとも目があった。
 その度に手を振ってくれる、体のほうの私はおじぎを返すくらい。
 せめてもっと愛想笑いとかさぁ!
 うう……何熱くなってるんだか私は。
「お手をどうぞ」
「へっ?」
 私の口から、素っ頓狂な声が漏れる。
 邸に到着して、牛車の揺れも収まった時だった。
 降りようとした私に、みさおが手を差し伸べてくれたのだ。
 なんだろう、妙に優しいじゃないか。
 ……って他の女房にも全員してるし!
「ありがと」
 その手を借り、楽に牛車を降りる。
 でも体の私には、それはどうでもいいらしい。
 せめてそこも笑顔でさぁ! ……ああそう、イライラしてるわよっ。悪い!?
「かがみぃーっ!」
「みぎゃぁっ!」
 だがその時、みさおを押しのけて何かが私に突っ込む。
 何か、って例える必要はないか。
 今しがた聞き覚えのある声が、私の耳を劈いたじゃないか。
「おかえりっ、かがみっ!」
「うん、ただいま。こなた」
 抱きついてくるこなたの頭を撫でると、笑顔が帰って来る。
 それを見て、自然と動悸が早くなるのを感じる。
 ああもう、みさおのには無反応だったくせに!
「こ、この……ちびっ子ぉ!」
「ふぎゃぁっ!」
 悶絶していたみさおがようやく復活し、私からこなたを引き剥がす。
 それにまた私の体が反応して……忙しいなぁもう!
「あはは、お帰りお姉ちゃん」
 こなたとみさおが暴れている間に、つかさも私のところに。
「うん、ただいま」
「疲れたでしょ、荷物持つよ?」
 そうそう、お迎えってこういうのよね。
 そりゃハグとかでもいいけど、気遣いも大事よ。
 ってあれ? 私の荷物は……?
「はぁっはぁ! 残念だったな妹さん! 荷物はすでに、この手の中だ!」
 と、高らかに荷物を掲げるみさお。
 単が圧縮されて入ってるのに、よくやるわね。
 ってゆーかなんで荷物お前が持ってんだよ!
「あっ、ずるいっ。私が持つっー!」
「ちびっ子には無理だってば……ってぬはぁ!」
 ちびという言葉に反応し、こなたの体が地面と水平にみさおに突っ込む。
 どういう仕組みだ、どういう。
 あれか、アホ毛か。
「えっ、ああ。ど、どうしよどうしよ」
 さすがに口喧嘩では済まなくなったので、止めようとするつかさ。
 でも相変わらず間が悪いので、上手く間に入り込めない。
 結局……その状況をどうにかできるのは、私しか居ない。
「みぎゃぁっ!」「ふぎゃっ!」
 二人の悲鳴が合唱する。
 私の両手が、それぞれの耳をつまみあげたからだ。
「少しは大人しくしなさい、あんた達」
「と、とれるっ! 今日こそとれるってかがみぃっ!」
「とと、父様にもこんなことされたことないのにぃっ!」
 ……知らない事とは、恐ろしい。
 まさか次期帝の耳を今まさにもごうとしてるなんて、誰が思えるだろうか。
「と、とりあえず部屋に行こうよ。お姉ちゃん」
「そうね……牛車で疲れたし、少し休もうかしら」
「あ、じゃあお昼寝しようよっお昼寝っ! 一緒にっ」
 私の腕に絡み付いてくるこなた。
 また心拍数が異常です……もーどーにでもしてぇ。
「こ、こなちゃん……まだ習字のお稽古が」
「えーいいじゃん、かがみが折角帰ってきたんだしぃ」
 つかさから隠れるように、私の後ろに逃げるこなた。
「駄目よこなた、約束したじゃない……つかさのお稽古はちゃんと受けるって」
「うー、でも一緒にお昼寝ぇ」
 私の腕を掴んではなさいこなた。
 どんなに甘やかせばこんなこなたになるのか、ぜひ教えて欲しいものだ。
「はぁ……分かったわよ。終わるまで待ってるから、そしたら一緒にお昼寝しましょう」
「ほんとっ!?」
 パァッとこなたに笑顔の花が咲く。
 また気持ちが高揚してるよ、こいつ。
「じゃあこなちゃん行こ……」
「ほらつかさ何やってるのっ、早く終わらせなきゃ!」
「あ、ま、待ってこなちゃぁーん!」
 走るこなたの後を追いかけ、つかさも邸に消えていった。
 ……結局誰が私の荷物を持ってくれるんだろう。
「かがみっ、荷物ぐらい持つぜっ」
「?」
 すると手に持っていた荷物を取り上げられた。
 みさおだ。
「あ、じゃあお願い」
 って頼むのかよ私っ!
 みさおだって疲れてるのに……ってなんで庇ってるんだ!
「あ……」
「? どうかしたの?」
 部屋の前まで来たところで、みさおの足が止まる。
 不思議に重いみさおの横から覗くと、そこには会った。
 ……文、が。
 それを見て、私が反応する。
 手紙、だ。
 そう大学ノート……三枚目の!
「文……だな」
「そう、みたいね」
 冷静に答えてる場合じゃないって!
 ほら早く拾って! 開いて!
 ヒントを! 結局まだ全然進んでないのよ、最初の紙だって見つかってないし!
 ほら早く、早く……!
「?」
 戸に挟まっていた文を抜き取ろうとした手が、空を切る。
 何故なら、そこにはもう文がない。
 誰かが私より先に引き抜いたからだ。
「ちょっと、何してるのよ」
 それを先に引き抜いたのは……もちろん、みさお。
 もしかして……恋文か何かと勘違いしてるんじゃないの?
 だとしたら外れよ、ろくな内容じゃないわよそれ。
「ほら、返して」
「嫌だ」
「へ?」
 へっ?
 私の心と、体の声が重なる。
 ちょ、ちょっとなんでよ!
 それには、私の大切な……私の世界に帰るヒントが書いてあるんだから。
 アンタなんかが持ってても仕方がないんだら!
「自分でもよく、分かんないけど……何か、嫌だ!」
「あ、ちょ、ちょっと!」
 そのままみさおは駆けて行った。
 私の文と……荷物丸ごと持ったまま、で。
 い、嫌?
 何よ、それ! 意味分かんない!
 全然……全然意味分かんない!
「……ま、いっか」
 よくねぇよ!

(続)
21ぶーわ:2007/09/20(木) 07:51:29 ID:u3yVUJsh
続きます。
毎回ながながとすんません。

>>1乙です

あとまとめサイトの管理人さんも、まとめ乙です。
22名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 08:12:54 ID:VN3R8+lE
>>21
乙です!!


後、スレ立てGJ!!!
23名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 09:07:44 ID:5LV+atId
>>21 果てしなくGJです
春宮なみさおが違和感0ではまり役
みごとなみさ×かがです
お陰さまで最近みさお株がストップ高なんですがいかがしてくれる!!

ってか、謀反首謀者お前らかよ!!
謀反って主役の座を狙ってたのか……
24名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 10:15:37 ID:fwsHkHdO
>>1>>21

私は>>23と逆だなあ…
男のみさおがどうしても受け入れられない。
みさおというか、男のオリキャラが好き勝手やってるような感覚が拭えん。
最後のシーンとかもちょっとイラッときてしまった。男の嫉妬は見苦しいぜ。

この話は結局みさ男かがになるんだろうか。
序盤は好きだっただけに、このままいくと精神的にクるものになりそうだ…。
ネタバレになるから言えないのかもしれないけど、そこだけ知りたいな。
出来がいいだけに、このまま読んでしまいそうなんで、ブレーキかアクセルがほしい。
25名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 10:19:35 ID:f6Zz9GPf
>>24
大体同意
2623:2007/09/20(木) 10:25:06 ID:5LV+atId
む〜 人によって受け止め方が違うか

自分はどちらかといえばガチ百合は苦手な方なんで(ソフト百合可)、
それぐらいだったらみさ男の方が……と思ってしまう
みさ男との別れの後、現実に戻ってがみさお(女)に対してちょっとドキっとしてしまう……
なんて展開が来るのかな〜と妄想
27名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 10:45:17 ID:m6vJGXuh
>>21
ぐっじょぶ!色んな意味で今後がハラハラだw

まぁあと、(おそらく)執筆中の作品にあんま言及とかしたくはないんだけど
こっから先の展開次第でははある程度注意書きを入れたりした方が
ベターかな、とは個人的にも思う
みさおの設定とか多少特殊なのもあるし
28名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 11:09:13 ID:TUkfWc5X
>>21
大作シリーズ乙!
挿絵まで入れてこのボリューム、すごい執筆ペースですな。
こういう歴史もの(並行世界系でも)が書ける人って尊敬します。
単語や言い回しなど、相応の素養がないと書けないからなぁ……


それにしても、4日と9時間で新スレってどんだけー。
29ぶーわ:2007/09/20(木) 12:38:52 ID:u3yVUJsh
色々助言どうもです!
展開云々はさすがに難しいですが、なるべく注意書きは増やす事にします。
30名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 12:46:51 ID:WlYGmz2C
という訳で
I ●Img 次行ってみよぅ!!(CV千葉繁)
31名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 16:20:16 ID:5LV+atId
ということで、最近こっそりぶーわ氏にライバル心を抱きつつ、
自分の作品を投下するよりも袖が触れているの続きが気になってスレ開いてます
「オタク少女は恋する乙女の夢を見るか」シリーズ投下します

☆投下量4スレ分。描写が足りないのはいつものこと。
☆「オタク少女は恋する乙女の夢を見るか」シリーズです。
☆オリジナル男キャラ注意です。男キャラに感情移入はオススメできないけど
32オタク少女は恋する乙女の夢を見るか 1/4:2007/09/20(木) 16:20:55 ID:5LV+atId
最近、周りの女子の目線が少し冷たくなった気がする。
とは言っても、よく漫画であるような上履きに画鋲を入れられたり、
ノートが糊でぴったりみたいな分かりやすいいじめじゃない。
ほんのちょっとしたこと。今まで普通に話していた子が挨拶を返してくれなかったり、
何人かが固まって私のことを見ながらひそひそ噂話をしていたり。
クラスの友達とは今まで良好な関係を築いてきたつもりだったのに、これはちょっとショックだ。
あの人、結構女の子に人気だったからな……
男の人が考えているほど、実際の女子の世界は華やかな世界じゃない。
どの子と仲良くしているか、どの子と付き合っているか、
そんな事が噂で語られあい、時にはそれがいじめにもなる。
現実にはそう簡単に百合の花は咲かないものなのだ。
それだから、小早川さんと岩崎さんの関係が羨ましく思えるのだけれども。
彼と付き合い始めてから周りから感じる、僻み、嫉妬の視線。
私があんまりパッとしない子だったのもあって、その視線はじりじりと私を焼く。
いまこのクラスで安心して会話ができるのは小早川さんたちだけ。
お昼だって、小早川さんたちの誘いを断って彼との食事を選んだのに、
小早川さんたちはニコニコとして送り出してくれた。
本当に私のことを考えてくれる私の大切な親友……
「はぁ、小早川さんたち、帰ってきてくれないかな?」
今まで彼の事しかなかった頭に、ぼんやりと二人の顔が浮かぶ。
33オタク少女は恋する乙女の夢を見るか 2/5:2007/09/20(木) 16:21:55 ID:5LV+atId
息が切れる。
胸が熱い、心臓も今までにないぐらいドクドク高い音を立てている。
幼い頃から病弱で、全力で走った事なんて数えるぐらいしかなかった私にとって、
保健室から教室までの数十メートルですら体を苦しいほど締めつける。
すこしでも、すこしでも早く田村さんへ。
私の頭の中には、そのことしかない。
「田村さん!!」
教室の扉を開け放つ。
ショートホームルームが終わった後みたいで、みんなもそれぞれ帰り支度を始めた時間。
みんなの視線がこっちに集中するけれど、そんな事にかまっていられない。
「あ、小早川さん。体調は大丈夫なの?」
真っ先に私の体のこと心配してくれる田村さん。
いつも明るい田村さんだったけれど、でもその笑顔はいつもよりも輝いて見える。
それは、きっと恋をしているから。
でも、あの人は……
「田村さん。放課後用事あるの!!」
「あ、え、えっと……彼のところに行こうと思っていたんだけれど」
「ダメっ!!」
田村さんは何事かと驚いた表情。
でも、そんな事を気にしている余裕は私にはない。
「今日は、ううん、これからもあの人のところへ行っちゃダメなの。ねぇ、田村さん」
「え、でも、どうして……」
理由はいえない。
だって、自分の好きな人に裏切られるなんて、そんな事言える訳ないよ。
「理由は言えないけれど、あの人は悪い人なの!! 絶対行っちゃダメ!!」
ううっ、これじゃただのただっこと一緒だ。
何か言わなきゃいけないのに、頭がぐるぐる回ってうまく言えない。
34オタク少女は恋する乙女の夢を見るか 3/5:2007/09/20(木) 16:22:38 ID:5LV+atId
「どうしてそんな事言うの? なんで、どうして私の好きな人のことをそんな風に言うの?」
私の言葉を聞いた田村さんの目がすっと細くなる。
今まで見たことのない、田村さんの怖い表情。
「小早川さんも、やっぱり私が男の人と付き合っているの、嫌なんだね」
いや、怒っているんじゃない。
彼女の目には、涙が一杯たまっていた。
田村さん、泣いているんだ……
「小早川さんなら、小早川さんなら私たちのこと、祝福してくれると思ったのに……」
「ち、ちが……」
否定しようとした私の胸を、田村さんの手が突き飛ばす。
ふらふらと私は床に倒れこむ。イスが大きな音を立てて転がる。
下から見上げた田村さんの顔。
眼鏡を取るといっそうつぶらに見える田村さんの瞳は、今にも涙が零れ落ちそう。
「大っ嫌い。もう二度と顔見せないで!!」
教室から出て行く田村さんに、私は何もできない。
そのまま呆然と田村さんを見送る。
大きな音とともに叩きつけられるように扉が閉められるまで、
田村さんを除いて誰一人動く事ができなかった。
「だ、大丈夫? 小早川さん」
田村さんが行ってしまってから数拍、周りの女の子たちが手を差し伸べてくれる。
その手に助け起こしてもらって、やっと私は立ち上がることができた。
「大丈夫、小早川さん。痛いところない?」
その言葉にこくんと頷く。
突き飛ばされたのは痛くなかった。それよりもずっと痛いのは心……
「それにしても何? 田村さん。ヒドくない? 調子に乗っているんじゃないの?」
「そうそう、彼氏ができたからって、ウザいよね。あーゆーの」
周りから聞こえてくる悪意の声、声、声。
違う、私が聞きたいのはこんな黒い感情じゃない。
私は、私は……
「ゆたかっ!!」
扉の方から聞こえてきた声。
みなみちゃんの方に振り返る。
「ゴメン、ゆたか。あの後ふゆき先生が来て事情を説明してたら遅くなって。大丈夫だった?」
みなみちゃんの優しい言葉に涙腺が緩む。
ぽろりぽろりとこぼれ落ちる涙。
私はみなみちゃんの胸に飛び込んだ。
「ゆ、ゆたか?」
みなみちゃんの胸に私は頭を預けて、私は涙をこぼす。
私は大事な親友を、傷つけてしまった。
35オタク少女は恋する乙女の夢を見るか 4/5:2007/09/20(木) 16:23:12 ID:5LV+atId
裏切られた。
その感情だけが頭の中をぐるぐる回る。
誰も来ない校舎の裏で、私は涙を拭う。
小早川さんだけは私の味方だと思っていたのに、私を裏切らないと思っていたのに。
どうして、何でみんなそんなに酷い事するの……
私は一人ぼっち。慰めてくれる人もいない。
こうやって一人で校舎の裏で涙をこぼすだけ。
私の泣き言を聞いてくれる人も、もう誰もいない。
もう、彼以外誰も信用できない……
こぼれ落ちる涙も次第に弱くなる。
ハンカチで涙に濡れる顔を拭う。
あーあ、目が真っ赤。彼になんて言い訳しよう。
コンタクトのせいって、誤魔化せばいいかな。
ほっぺたを叩いて気合を入れる。
こんな情けない顔を彼に見せるわけにはいかない。
彼は、私の笑っている顔が好きなんだから。
大丈夫。私は立ち直れる。
私には、彼さえいれば他には何もいらない。
36オタク少女は恋する乙女の夢を見るか 5/5:2007/09/20(木) 16:24:14 ID:5LV+atId
「お、遅くなりました」
恐る恐る屋上への扉を開ける。
屋上で待っててくれた彼の微笑み。
それだけで私の心は満たされる。
「あれ、ひよりさん。眼鏡……もしかして僕のために?」
彼の言葉にこくんと頷く。
やっぱり、彼は気づいてくれた。
彼の腕が私の体を包む。
「ありがとう、ひよりさん」
彼の唇が私のおでこに触れる。
粘膜を通じた、あたたかい、彼の体の奥底のぬくもりが私の体を幸福で満たす。
彼の胸板が私の目の前に。彼の胸から伝わってくる鼓動が、私の心を落ち着かせる。
「次は唇に……」
彼の言葉に、私は顔を上げて目を閉じる。
直後、貪る様に私の唇を包み込むキス。
緊張と安堵が入り混じる、奇妙な感触。
私の体は完全に彼に支配される。
体のすべてを彼に預けてしまいたくなるような恍惚感。
私の唇を撫でていた彼の舌が、私の唇を割って中に入ってくる。
「!?!?」
彼の舌が私の歯茎を撫でる感触にびくっと震える。
ディープキス……本の中でしか知らない知識が頭によぎる。
歯を撫でる舌の感触がくすぐったく、気持ちいい。
彼の舌をもっと奥深く受け止めたら、どんな味がするのだろう。
恐る恐る口を開こうとして……
「……」
小早川さんの泣きそうな顔が頭に浮かんできた。
屋上へ行こうとする私を必死で止めようとした小早川さんの表情。
どうして、何で今になって……
彼女は彼のことを酷く言ったのに、私のことを裏切ったのに、
なんで今更彼女の顔が頭に浮かんでくるの?
「あれ、ひよりさん……」
気がつくと私は彼の肩を押さえ、彼を引き離していた。
怪訝な表情で私を見つめる彼。
「ご、ゴメンなさい。急に用事ができちゃって、今日はそれを伝えようと……」
とっさに口をついて滑り出す嘘。
彼は「そっか」と残念そうに私の体から手を離す。
最近の私はずっと嘘をついてばかり。
私はどれほどの嘘を、どれほどの咎を重ねていくのだろう。
「あ、あの、また明日……」
「うん? やっぱり今日は物足りなかった?
 自分から求めてくれるなんてひよりさんも積極的になってくれたね」
えっ、わ、私そんなつもりじゃ……
驚き、唇を押さえる。
そんな私を苦笑して見つめる彼。
「冗談だよ。ひよりさんはただ僕に会えるのが嬉しいんだよね?」
こくこくと私は頷く。
「なら、今の僕にはそれで充分だから。また明日、ひよりさん」
「ご、ゴメンなさい。また明日」
転がるように下へつながる階段へ駆け込み、扉を閉める。
重い音を立てて閉まった扉に背中を預け、荒く息をつく。
口の中の彼の余韻。近くで感じた彼の鼓動と息遣い、彼の匂い。
ぐるぐる頭の中を回る彼の顔。
でも、ずっと頭の片隅から小早川さんの泣きそうな顔が離れなかった。
37320 ◆9JWa9YQ1I2 :2007/09/20(木) 16:29:18 ID:5LV+atId
以上です

ところで作者側から一つ提案。
毎度投下している常連職人さんで余裕のあるな方は、
できるだけ自分の作品の保管を自分で行うというのはどうでしょう?
少しでもまとめ管理人さんの手助けになると思いますし、
意図しての段落と行数的制限によるレス区切りとの区別もできますし、
まとめを見る人にとっても早く保管されるので、早く見れていいと思いますが……
とりあえず、この分を保管してきます。

……その前に、ひよりんは俺の嫁
38名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 17:10:46 ID:GEgMtHpe
>>37
はっ!?
…今回は「30分レスがなかったら」の指定がなかったから今からの阻止でも有効だな!?
つ【(ひよりん)独占禁止カード】

しかしGJ。でもこれは、このまま止められるときついんだっぜ。ということで
続きお待ちしております
39名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 17:52:27 ID:x7Rkn8E4
>>37
うおおおおお続きが気になるうううう
今回のだけ見るとなんか鬱っぽいけどその後にはきっと・・・きっと・・・!!
期待して続き待つのです!!GJ!
40名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 18:16:18 ID:uCsUWFIv
>>37
GGGGGGGJ!!
今までにないような話なのですごく期待しています!

そして自分でも編集できるってことを今知りました。
>>37ッ!君の素晴らしい行動ッ!僕は敬意を表するッ!
41名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 18:44:39 ID:yf+YM/Px
速度はえーぞwww
GJ!!!
ということでかがみんは俺の嫁
42名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 18:56:55 ID:8NTVNn5K
>>41の便乗犯を華麗に阻止し>>37GJ!
続きが気になってしょうがないッスw
43名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 19:01:12 ID:grQO6uf9
>>37>>41
だ、だめだこいつら。はやく何とかしないと・・・!!
44名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 19:05:40 ID:k34MPgZw
さぁ、みんなでカオスの海へ!
HAHAHAHAHAHAMANA
45アリアン:2007/09/20(木) 19:36:01 ID:K0vBxVhn
まとめwikiの編集ってどうするんですか?
467-896:2007/09/20(木) 19:42:27 ID:qXzhjXVK
ネタ行かせてもらいます。
『眼鏡』

「私のメアドはローマ字で『眼鏡っ子激LOVE』だよ」
 発端は、昼休みのつかさの一言だった。
 『あれ?こなちゃんの携帯のアドレスってなんだったっけ?』
 突然そんなことを言い出した。
「かがみさん」
「ん?何みゆき?」
「どうしましょう。泉さんに告白されてしまいました」
「いや違うから」
 取り敢えずその鼻血を拭かないか?
「なぜかここに、婚約届があるのですが」
「変わったアドレスだよね、こなちゃん」
 みゆきを軽くスルーして、続けるつかさ。
 私よりもみゆきの扱いに慣れてるみたいだ。。
「こなちゃん、眼鏡かけてる人が好きなの?」
「んむ、正確には『眼鏡かけてる人も』好きなのさ。もちろんみゆきさん大好きだよ♪」
 みゆきの方を見る……あれ?いない。
 あ、なんだ、うずくまってるだけか。
 それにしても眼鏡か……


 翌朝、駅前にてこなたを待つ。
「あ、おはよーこなちゃん」
「こなたおはよう」
「おはよーぅ、二人とも……あれ?」
 私たち2人を交互に見るこなた。クエスチョンマークをいくつも頭の上に浮かべた。
「どうして眼鏡?」
「ファッションよ、ファッション」
「ふーん」
「で、どう?」
「どうって……似合わなくはないかな」
「何よそれ」
「何って……そのくらいしか言葉浮かばない」
 あんまり似合ってないってことなのかな……折角一生懸命選んだ伊達眼鏡なのに……
「ほらねお姉ちゃん、だめだったでしょ?」
 やっぱり、みたいに私に言うつかさ。
 サングラスをかけてるせいで、説得力がない。
 そしてサングラスは眼鏡じゃないと思う。

 くっ、みゆきめ……なんとなく逆恨みしてみた。
 意味ないけど。

 昼休み、B組に行くと、みゆきの眼鏡が『ゴージャスなハート型』になっていた。
 そんなにうれしかったのか?
 案の定こなたは引いていた。

以上、なんかもうみんな落ち着いた方がいいと思う。
47名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 19:52:01 ID:x7Rkn8E4
>>46
いつものネタの人キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!毎度ながらGJ!!
ますますみんながぶっ壊れてる!みゆきさん、あんた一番落ち着くべきだwwwwwwww
48名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 19:52:24 ID:Ftg9H8IT
>>46
みゆきwwwwwwwwww
あなたの書くみゆきは素晴らしすぎるw

ちゅーか、全員いつも良い感じに壊れてますねw
49名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 19:53:51 ID:5LV+atId
>>46
GJです。
眼鏡っ娘LOVE……その点は気づかなかった!!
最後の投げやりがちな一言が見事シュールに決まってていいですね
50名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 20:08:26 ID:Uzhktlth
>>46

あいかわらずぐっじょ!
みゆきキモかわいいよみゆき




・・・あ、そうだ。一言だけ言わせてもらっていいかな。

>以上、なんかもうみんな落ち着いた方がいいと思う。

かがみさん、
お ま え が 言 う なw
51320 ◆9JWa9YQ1I2 :2007/09/20(木) 20:09:17 ID:5LV+atId
>>38
……しまった、俺としたことが〜っ!!
ああ、ひよりんを抱きかかえながらひよりん作の同人誌を読み、
ひよりんをいぢる俺の夢が……

>>45
新しいSSを保存するなら、
1.左上の@wikiメニューを開き、『すでにあるページをコピーして作成』を選ぶ。
2.適当なSSの名前で検索。新規ページ名にSSのタイトルを入れる。
3.一番下のコメントフォームを残し、SSの本文を消して自分のSSを貼り付ける。
 スタイル統一のため、段落分けは改行二個分開ける
4.出来具合をプレビューで確認。保存する。
5.作者一覧の自分のページを開き、編集をクリック。『[[』『]]』の二つでタイトルを囲んで貼り付け(リンク作成)
6.作者一覧の作品の数、「○○作品保管」に追加した作品の数を足す。トップページの『現在○○○作品保管中』にも

ただし、管理人さんもwikiまとめ時の注意点を作っているみたいなので、
管理人さんにwiki編集の手順をしっかり規定してもらった方がいいかもといまさら……
52名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 20:10:41 ID:f6Zz9GPf
>>50
あえてマジレスするとそこは作者氏のコメントだとおも
53名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 20:12:27 ID:uYmI6MYp
>>45
自分の保管記事で編集くらい押してみろw
スレ・CP別リンクは保管庫の神が手順のテンプレ作るまで待った方がいいかもしれないけど。
54名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 20:25:26 ID:LbAIoawM
短編投下いきます。
初投下なので、至らないところがあれば指摘してもらえるとありがたいです。

3レスほど。
タイトルは「創造の真実」です。
55創造の真実:2007/09/20(木) 20:26:28 ID:LbAIoawM
「なぁ、何であやの怒ってんの?」
「とりあえず謝っとけよ」

 昼休みに気持ちよく昼寝してた私を起こしたのは、なぜか怒ってるあやのだった。
 柊には謝っとけと言われたからとりあえず謝っといたけど、理由が全く思い当たらないんだよね。
 んで、理由を聞いたら「みさちゃん、何か私に後ろ暗い夢みてなかった…?」と逆にあやのに聞かれた。
 そんなこと言われてもよく覚えてねんだけど……

「っていうか、いったい私はなに言ったんだ?」

 まずはそれがわかんねえとどうにもこうにもだよな。

「『あやの…と、兄貴いたのか…』とか『……うわ……えろっ』とか言ってたけど?」
「まったくもう、根も葉もない夢なんて見ないで欲しいな。あと、柊ちゃんもわざわざ言わなくてもいいのに……」

 いや、夢ばっかりは見るなって言われてもどうしようもないぜあやの……。
 あれ? でもちょっと待てよ……

「たぶんそれ、根も葉もあるぜ」
「「えっ? ちょっとそれどうゆうこと?」」

 おんなじセリフでも、ええっとニュアンスって言うんだっけ? が違うなぁ。
 ちなみに柊は興味津々ってカンジで、あやのは焦ってるカンジっていうか。

「えっと、ちょっと前のことなんだけどさ……」


数日前

「〜♪」

 今日は柊とちょっと買い物に行く予定があった。珍しく柊が誘ってくれたからちょっと楽しみなんだゼ。
 んで、準備が終わって出かけようとしたら、リビングにあやのがいた。ついでに兄貴も。

「あ…、あやの……と、なんだ兄貴いたのか」
「む、なんだとは失礼なやつだなー。これでも兄貴だぞ?」
「みさちゃんこんにちわ。それとお兄さんも『これでも』とか言わない方がいいよ?」

 あやのの口調はなんだか楽しそうだ。やっぱり彼氏と一緒ってのは楽しいもんなんかね?
 なんてのんびりしてたら時間が迫ってきていた。そろそろいかなきゃ。

「それじゃ私は出かけてくるから。ゆっくりしてってくれよなー、あやのー」
「うん。いってらっしゃい、みさちゃん」
「遅刻して友達を待たせたりすんじゃねぇぞ、みさお」
「へいへい。んじゃ、いってきまーす」

 柊を待たせちゃ悪いから、急いで待ち合わせ場所に向かった。
56創造の真実:2007/09/20(木) 20:27:37 ID:LbAIoawM
……
………
…………

「あぁ、あの日か。本屋に行ったときの」
「そうそう。柊の目当ての本がすぐに見っかっちゃったから喫茶店で時間つぶしたりしてたじゃん?」

 買い物っていうほどたいしたもんじゃなかったんだよね。柊が参考書とか漫画の新刊とか探して、一緒に大型書店に行っただけだったし。

「で、話はこっからなんだけどさ、結局あのあと解散したじゃん? んで私はさっさと家に帰ったんだけどさ……」
「ちょ、みさちゃん……まさか……!?」

……
………
…………

「なんか、結構早く帰ってきちゃったな」

 私は家の玄関の前でぽつんとつぶやいた。
 携帯で時間を確認すると、まだ4時をちょっと回ったところだった。

(この時間じゃまだあやのは帰ってないよな? よし、せっかくだから兄貴もろとも脅かしてやるゼ!)

 なんて考えて、私は極力音を立てないようにして自宅に侵入した。
 抜き足、差し足、忍び足〜とか小声で言いつつ、あやのと兄貴を捜す。っていっても声は聞こえてきてるけど。
 兄貴の部屋の方からあやのの……変な声。
 なんだろう、この声? あやのの声ってのはわかるけど、なんか苦しそうなかんじ。運動した後、息をきらしてるみたいな……

「!?」

 一つ、思いあたった。
 よくちびっ子とか柊たちにガキっぽいとかバカっぽいとか言われるけど、そうゆうことぐらい私だって知ってる。ってゆうか、知らない方が色々と問題あるよな……。ま、それはおいといて。
 色々考えてるうちに兄貴の部屋の前についた。ドアが少しだけ開いてるから、声はずっと聞こえてる。兄貴もあやのも切羽詰まってる感じする。
 兄貴とあやのの嬌声(こえ)に惹かれるように、ドアの隙間から部屋を覗き込んだ。

「あやのっ……も、限界っ!」
「あっ、中に出しちゃっ、駄目っ、今日はわかんな……」

 あやのの上に兄貴が覆い被さるような体勢だった。
 ドアの位置のおかげでどうなっているのかもよく見えた。その……あやのの中に兄貴のが出たりはいったりしてる様子が。
 だから

「……うわ……えろっ……」

 そんな言葉が自然に出てきていた。

「ごめんっ、あやのっ! ……くぅっ!」
「ああっ、だめっ! おにいさっ……ああぁぁぁぁ!」

 どうやら兄貴もあやのも、その……イったらしい。
 ひときわ大きな声をあげたあやのは、そのまま兄貴と折り重なってぐったりとしながら言った。

「出しちゃだめって……言ったのにぃ……。赤ちゃん、できちゃったらどうするの……?」
「ん、責任とる……ってかあやの、そのときはさ、結婚してよ……」
「えっ!? ……うん、お兄さんなら……」

 兄貴はあやのとキスした後、あやののおでこにもキスしていた。
 そこまで見た後、私は物音を立てないようにしながら急いで自分の部屋に入って、布団に潜って丸くなっていた。
57創造の真実:2007/09/20(木) 20:28:54 ID:LbAIoawM
……
………
…………

「なんてことがあってね」
「まぁ確かに峰岸の反応を見る限り、根も葉もしっかりあるみたいね」

 話終えた後、あやのは真っ赤になって固まっていた。

「ところで日下部、平然と話してたけどいいのか?」
「ん? なにが?」
「いや、峰岸」

 そういうと柊はあやのの方を指差した。ぷるぷると小刻みに震えだして……あ、動いた。

「み〜さ〜ちゃ〜ん〜!」

 おお、怒ってる怒ってる。

「今回ばっかりは許さないから〜!」
「わーあやのが怒ったー。そんじゃ柊、しばらく逃げ回ってから戻ってくっから」

 そんなこんなで私は逃げ出した。もちろんあやのは追っかけてくる。

「こら〜! まちなさ〜い!」
「三十六計逃げるにしかずってね〜♪」

 まぁあの後、私もちょっと身体を持て余しちゃったりしたんだけど、さすがにこれは内緒。
 それと、この後結局あやのに捕まってこっぴどく叱られたのは別のお話だぜ。



 了
58創造の真実:2007/09/20(木) 20:30:20 ID:LbAIoawM
以上です。
きっとこんなことがあったに違いない! とか妄想しつつ書いてみました。
みさお兄はみさおのもっと男らしい版ってイメージ。あやのはみさお兄を「お兄さん」と呼んでるってことで。
みさおは結構平気で暴露しちゃう娘だと思うんだ(ヲイ
創造ってのは、みさおが「……うわ……えろっ」って言ってたやつです念のため。
では。
59名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 20:32:35 ID:tRpygYWX
うわっ…えろっ…

GJ!
60名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 20:34:04 ID:5LV+atId
>>58 うわっ…えろっ…
五巻買ったときからいつかはこんなSSが投下されると思っていた
待っていた甲斐あった。GJ……もとい、うわっ…えろっ
61名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 20:35:32 ID:X8iBvNek
確かにみさおなら何のためらいもなく話してしまいそうな気がするw
この状況なら周りで誰か聞いてる人がいてもおかしくない
ある意味みさおのほうが うわっ……えろっ……
62名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 20:39:22 ID:RBdE/oK+
>>58

あなたが神か











GJ
63名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 20:45:15 ID:x7Rkn8E4
>>58
うひょおおおいGJだZE!
これはいくらなんでもエロ過ぎだろう常考・・・
みさお臆面も無くこんな話堂々と人前ですんなwwwwwww
64名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 21:02:58 ID:IDXzQdPi
>>58
……うわ……えろっ

と、いうことでGJ!!



さて、てーそ書いた人です。埋め用に書いたけど容量的に無理そうだから、こちらに投下です。

非エロ。こなた&かがみ。
文章力に難ありで、ダラダラしてます。
元ネタに気付いた人は密かにニヤリとしてください。
65名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 21:04:44 ID:IDXzQdPi
私は今、海にいる。
−−全ての始まりの海に。

−−−−−SEA & SHE−−−−−

私の隣にはあいつ、こなたがいる。
相変わらず、小学生みたいで。
相変わらず、膝裏位まである長い髪とその頂点のアホ毛がトレードマークで。
でも、雰囲気だけは少し大人っぽくなった。
オタクなのは変わらないみたいだけど。

私たちは陵桜学園を無事卒業し、今は大学の一年生。
「此処に来るのも久しぶりね〜。」
「去年は受験とかで忙しかったし。」
「あんたが大学生とはね〜。」
「酷いよ〜、かがみ〜。私だってやれば出来るんだから。」
「そうよね。なかなか、やる気にならないだけよね〜。」
口ではそう言うものの、正直、私は驚いていた。
法学部と文学部の違いはあるものの、こいつは私と同じ大学に受かった。
その本人は、私の隣でむーっとむくれている。その姿がなんとも可愛いと思ってしまう。
「それよりもどうする?」
「どうって?」
私が首だけ向けて言うと、こなたも海に向けていた目を私に向けて聞いてきた。
「前回よりもかなり早く着いちゃったから、まだ、宿も開いてないみたいだし。」
「まぁ、前回が酷かったからね。」
私たちは、今回は自分達の運転で来ていた。レンタカーを借りて、交代交代に運転しながら。
身の危険を感じたのがひとつ。
二人っきりで来たかったのが、ひとつ。
「ん〜。じゃあ、ちょっと早いけどお昼にしようよ。」
こなたの提案により、海の家でお昼ということになった。
二人とも前回と同じメニュー。
「海の家と言ったらこれだよね〜。」
「また、それか。」
他愛のない事を話しながら、目の前のものを消費していく。
やはりそれほど美味しくはない。でも、こなたと一緒なのが最高のスパイスとなる。

食事を終え、いきなり泳ごうとするこなたを引き止めて、海岸沿いを歩く。
「食べてすぐ泳いだら、死ぬわよ。」
「だって、海だよ、海。泳がなきゃ損じゃん。」
「はぁ〜。」
私が呆れていると、いきなり肩に重さを感じる。
「きゃっ!ちょっと、こなた!?」
見るとこなたが私のツインテールのリボンを片方持っていた。
「何してんのよ。」
「いや、ちょっとね。そっちのリボンも外してくれない?」
私の疑問には答えず、こなたは言う。
あんまり良い予感はしないけど、素直に従うことにする。
「ほら、外したわよ。いいかげん何するか、言いなさいよ。」
髪を下ろすとその髪が浜風に靡いて、欝陶しい。こなたは同じ様に靡いた髪を押さえながら言う。
「まあ、すぐ分かるよ。じゃあ、しゃがんで目をつむって。」
66名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 21:05:27 ID:uYmI6MYp
>>55
GUNP.JPかw
ネタにするには悪くないし、
膨らませ方はアリだがまぁひとこと入れとくべきじゃね?
67名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 21:07:35 ID:IDXzQdPi
「?」
やっぱり素直に従う。こういうところがこいつの言うところのツンデレなのかしら。
ふと、頭に何か乗せられる。かぶせられると言った方が正しいかもしれない。
何かと思って目を開けると至近距離にこなたの顔。

−−ドクン…

高鳴る鼓動と頭の上のものをを押さえ付け、立ち上がる。
「何よ?」
「いや、予想はしてたけど…」
私はこなたの言葉の意味を確かめるべく、頭に乗ったものを取る。
それは、何処から取り出したのか菫色のリボンの付いた、真っ白なツバ広帽子だった。
今の私の格好は、デニムのパンツに黒のタンクトップ、その上に白いシャツを羽織ったもの。
とてもじゃないけど、こんな清楚な帽子が似合う格好じゃないし、元々、こういうのはみゆきとかの方が似合う。
ふと、こなたのお母さんがこんな帽子を写真の中で持っていたのを思い出した。
こなたはお母さんにそっくりだから、静かにしている分には似合うかもしれない。
今は、私と似たり寄ったりの格好だけど。
「予想はしてたけど…何?」
どうせ似合わないとか言うんでしょうけど。
「イメージにピッタリ。」
「は?この格好でこの帽子は−−」
予想外の言葉につい反論してしまう。
「いや、そこは脳内補完だよ、かがみ。普通に可愛いよ?」
そう言って前を向いて歩いていく、こなた。
いつの間にかその頭には麦藁帽子が乗っていた。
顔が熱い。多分私の顔はいま、真っ赤だろう。こなたが前を向いて呉れて良かった。
今の顔を見られたら何を言われるか、分かったもんじゃない。

しばらく歩いて、岩場を越えると、そこは誰もいない砂浜。
「見て、かがみ!穴場だよ。」
そう言ってはしゃぐこなたはなんだか少し幼く見えた。でも、それ以上に可愛いと思ってしまう私がいる。
「ちょっと、座って話さない?」
気付いたら、そう言っていた。こなたは、頭上にはてなを浮かべながらも頷いて呉れた。
私は鞄からビニールシートを出して、浜に敷いて、その上に腰を下ろす。こなたも私の横に座る。
「ねぇ、こなた?」
「ん〜?」
「卒業式の日、学校中を回りながら色んな話をしたわよね?」
「うん。運動会とか文化祭とか……」
「特別なことじゃなくても色んな話を思い出したりして。」
「楽しかったよね、いつも四人で。
みゆきさんは忙しかったり、家がちょっと遠かったりで、休みの日まで一緒とはいかなかったけど。」
「確かにね。ホント、色んなことがあったわね。」
「何もかも皆懐かしい。」
「また、何かのネタか?」
ふと、沈黙が下りた。気まずくは無く、逆に心地良い。聞こえるのは波の音。遠くからは、子供達のはしゃぐ声が聞こえてくる。
「よし、泳ご。」
いきなり立ち上がり、こなたはおもむろに服を脱ぎ始める。
「ちょ…こなた!?」
誰もいないからって……
と、思ったが心配はいらなかったみたい。服の下にはちゃっかり、しっかり水着を着ていた。
前みたいな学校用じゃなくて、今回は白いセパレート。
「まったく…。そう言う準備は良いんだから。準備体操はしなさいよ。」
「う゛っ…。何で言うかな〜。言われてやらなかったら死亡フラグじゃん。」
「ちょっ…縁起が悪いこと言わないでよ。」
68名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 21:12:04 ID:IDXzQdPi
既に波打ち際まで行っていたこなたは、渋々といった感じで準備体操をする。
ラジオ体操を端折った簡単なものをして、それでは足りなかったのか、足や手を伸ばしている。
準備体操を終えたらしいこなたは一旦少し下がって、助走をつけて……
飛び込んだ。
驚くほど速いクロールでこなたは波を掻き分けていく。少し遠くにある岩場にたどり着いたこなたが、それによじ登る。
一息ついたこなたが手を振ってくる。
−−恥ずかしいやつめ。
そう思いながら振り返す私も、恥ずかしいやつなんだと思う。
そのまま再び静かな時間が過ぎていく。ただこなただけを見つめる時間。こんな幸せな時間はなかなかなくなってしまった。
そんなことを考えていると、視線の先でこなたが仰向けに寝転ぶ。
私も寝転ぶ。こなたが隣にいないのが少し残念。
もくもくと柔らかそうな入道雲。あ、あれチョココロネに見える。
ちょっと暑い陽射しに、浜風のお蔭で心地よい。運転で疲れたかな……。ね、む……く−−。

「−−−み。−−−がみ。」
もうちょっと寝かせてほしい。
「かがみ!!起きてよ!」

−−ゴツッ

私は大声に驚いて跳び起きようとした。
衝撃によって阻まれたが。
「「−−痛〜っ……。」」
隣からもうめき声。どうやら、至近距離にいたこなたと私の額がぶつかった模様。
こなたは石頭らしい。星が飛んだぞ、星が。
「かがみの石頭…。」
相手も同じ状況らしい。暫く二人で呻いていた。端から見たら滑稽だろうな…。

やっと、痛みが引いてきた。ふと見ると同じく痛みから復活したらしいこなたが夕陽に照らされていた。

…夕陽?

ええと。冷静に考えよう。最後の記憶が昼過ぎだから…。
少なくとも5時間は寝ていたことになる。
「はあぁぁ〜。」
盛大な溜息。幸せが逃げる?知ったこっちゃないわよ!
私はなんて勿体ないことを……。折角、こなたとふたりっきりなのに………。
「かがみ〜?」
「あによ?」
自分のあまりの不甲斐無さに、対応がつい邪険になってしまう。
「いや〜、私もウトウトしてたんだけどね。先に起きれてよかったよ。かがみの寝顔撮れたし。」
こなたが開いた携帯を見せてくる。そこには、私の寝顔。寝顔!?
「消しなさい!いますぐ!!」
「嫌だよ〜。こんなレアショット消せる訳ないじゃ〜ん。」
そう言うと、こなたは素早い動きで携帯を鞄にしまった。
「……誰にも送ってないでしょうね?」
「当然!!自分で希少価値を下げる真似はしませんヨ。」
なら、良し。今日明日は一緒にいるんだから、チャンスはいくらでもあるわよね。

「なら、いいわ。それじゃ、宿に行きましょうか。」
「うん。わ〜、かがみ髪ボサボサ。」
こなたの言う通り、髪には寝癖がついていた。手櫛で整えようとして、手に何か持っていること気付いた。
こなたが被せてくれた帽子−−
「こなた。これ……。」
「あ、それ、あげるよ。」
「良いの?」
「良いよ、それくらい。」
69名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 21:14:23 ID:IDXzQdPi
帽子はお言葉に甘えて貰うことにして。手櫛で軽く髪を梳かしてから、その帽子を被る。
こなたも麦藁帽子を被った。
立ち上がり、ビニールシートを畳んで仕舞う。
「それじゃ、行きましょうか。」
「うん。」
今度は並んで歩く。寝起きの火照った体に夕暮れの風が心地良い。
ふと、海に沈む夕陽を見る。夕陽はいつでも変わらないなぁ。卒業式の日と同じ夕陽。
こなたと教室で駄弁ってたら、つかさとみゆきが来て。四人で話して。そうして見た夕陽。
−−あぁ、思い出したら目頭が…
でも、無理に笑う。泣くなんて格好悪いし。
「一昨年の夏に此処に来てからも来る前も色々あったよね。学校の外でも。」
「うん。」
こなたの呟きに相槌を打つ。でも、こなたの方は見れない。多分、今、情けない顔をしてるから。
「夏祭りに花火大会。初詣にバレンタイン。ホントにずっと一緒にいたよね。」
「うん。」
想い出が走馬灯の様に駆け巡る。その全てにこなたがいる。
出会いはつかさがきっかけだった。
多分、つかさの紹介じゃ無かったら、ここまで仲良くなれなかったと思う。
つかさにはいくら感謝してもしたりないくらい。

卒業式の日に言いたくて、でも、言えなかった言葉を、今、言おう。
もう、言える機会は二度と来ないと思っていた言葉を。
「ねぇ、こなた?」
「ん?」
こんな時にもこなたの顔は見れない。私は夕陽に向かって話し続ける。
「多分、最初はここだったんだと思う。」
「何が?」
「私はねあんたを、泉こなたっていう一人の女の子として見てた。」
「それってどういう−−」
「私はこなたが好き。友達としてじゃなくて、恋愛対象として。」
「………。」
こなたは何も言わない。当然よね。
友達に、しかも同性の友達にそんなことを言われて、すぐに理解できるわけがないわよね。
私がこなたを親友以上に感じ始めたのは、やっぱりここなんだと思う。
こなたが同じ大学だって知ったのは、大学の入学式の日。
卒業してから暫くは会ってたけど、そんなこと言ってなかったし。入学の準備で忙しくなってからはなかなか会えなかったし。
だから、こんな風に想いが告げられる日が来るとは思って無かった。
想い出になるんだと思っていた。
「一晩。一晩考えさせて。」
「…うん。」
すぐに断られると考えていた私は、驚いたけど、すぐ苦笑を漏らした。
期待させられる方が辛いんだけどな。

その後は、もうふっ切った様に、旅行を楽しんだ。料理は美味しかったし、卓球も負けたけど楽しかった。
お風呂ではこなたの裸にドキッとしてしまったけど。
適当にテレビを見たり、話したり、こなたのゲームを覗き込んだり、小説を読んだり。
布団に入ってからも、昼に寝たからかなかなか眠れなかった。ずっと起きていても良かったけど、宿に迷惑が掛かるということで、取り敢えず消灯していた。
「かがみ?起きてる?」
眠れないのはこなたも一緒のようだ。
「起きてるわよ。」
「そっちの布団に行っても良い?」
「良いけど……何するかは保証出来ないわよ?」
「ん〜。やるならもう、やってるでしょ。」
そう言われたら何も出来ないじゃない。まぁ、元々こなたが嫌がるようなことはする気はないけど。
そう考えているうちに、こなたがもぞもぞと私の布団に入って来た。
「かがみ、あったかい。」
「こなたも、あったかいわよ。」
心臓が早鐘の様で、寧ろ熱いくらいだったけど、こなたの温もりは心地良かった。
私はそのまま、眠りに落ちていった。
70名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 21:16:25 ID:IDXzQdPi
朝起きると、こなたの寝顔が目の前にあった。ただそれだけで今の私は幸せだと感じられる。
こなたを起こさないように、そっと布団を出ようとして、諦めた。流石に、浴衣を握られていたら、無理。
私はもう暫く、こなたの寝顔を眺めることにした。

いつの間にか二度寝をしていたみたい。
目を覚ますと隣には既にこなたの姿はなかった。体を起こしてこなたを探す。すぐに見つかった。
板間の椅子に腰掛けて、少し高く上がった朝日を眺めていた。その横顔がなんだか儚く感じてしまって、私は声がかけられなかった。
そのこなたが振り返る。いつものこなただ。
「何してたの?」
「ん?何となく、ボーッと。」
「ふ〜ん。さ、着替えましょ。朝ご飯の時間になっちゃう。」
「ん〜。」
こなたが立ち上がる。私も立って、布団を畳む。
二人して着替え。
予備として持ってきた、白のワンピと黒いベルト。昨日と同じ様な服もある。
よし、と決心をつけて、浴衣を脱いで、ブラを着け、白いワンピースに袖を通し、髪を抜き、ベルトを付ける。
こなたはというと、デニムのハーフパンツに赤地のシャツ。
「こなた?髪梳かしてあげよっか?」
私はこなたのボサボサの髪を見て言った。
「うん、お願い。」
こなたの髪は長いのに痛みが少なくて、ちょっと羨ましい。櫛をさっと通しただけで、アホ毛以外は素直に戻る。
「こなた?髪形変える?」
「うんにゃ、いつも通りでいいよ。」
「ん。じゃあおしまい。」
「今度は、かがみの番。」
「じゃあお願いするわね。」
前にポニーテールにしたときにも思ったけど、こなたは意外と髪を梳かすのが上手い。
がさつに見えて、実は手先の器用な奴。
自分でやると必ず引っ掛かるのに、こなたがやると引っ掛からない。
「かがみ?今日もツイン?」
「いや、今日はそのままにしとく。」
「んじゃ、おしまい。」
もう少し、こなたに触ってて欲しかったけど、仕方ない。
その後、荷物の整理して、朝食のために食堂に行く。

「今日は、どうする?」
朝食を終え、お茶で一服しているときに、こなたが聞いてきた。このまま帰るのも味気ない気がするし……。
「ん〜。ひと泳ぎしたいかな。結局、昨日は泳げなかったし。」
「んじゃ、そうしよ。」

そして、私たちは昼過ぎまで、潜ったり、浮かんだりして過ごした。
こなたの浮輪に掴まって見上げた空は果てしなく蒼かった−−

「忘れ物はないわよね?」
車のトランクに荷物を積んで、バタンッと閉めてからこなたに聞く。
「ん〜。なくはないかも。」
「何処に?」
こなたの歯切れの悪い物言いに、疑問を抱きつつ、聞く。
「向こうの海岸。」
「仕方ないわね。一緒に取りに行きましょ。」
「うん!」
勢い良く頷くと、こなたは駆け出して行った。私も車の鍵をかけてそれに続く。
「早く早く。」
「そんなに急がなくても。」
と言うかビーチサンダルで何故、そこまで速いのか聞きたい。いくら砂浜でも速過ぎ。
麦藁帽子にビーチサンダル。どこの少年だ。
そんな自分は白いワンピに白いツバ広帽。
まるで、浜辺のカップルね。ありゃ、逆か。
そんな不毛な思考を巡らせているうちに、昨日も来た、人のいない浜辺にたどり着いた。
71名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 21:17:47 ID:K0vBxVhn
>>53
教えて頂きとてもありがたい
72名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 21:19:15 ID:IDXzQdPi
そして、「ソレ」が目に入った瞬間−−
私の目には涙が溢れ出した−−

『I LOVE KAGAMI』

それは、砂浜に大きく書かれたラブメッセージ。
それは、もらえるはずないと思っていた、愛の言葉。

「こなたぁ〜〜!!」
私は思わず、こなたに抱きついた。こなたの匂いに包まれる。
こなたは私の帽子をとって、頭を撫でてくれた。
「かがみが私が好きだって言ってくれた時、凄く嬉しかった。私も、同じだったから。」
「うん。」
「でも、一晩待ってもらったのは。ちょっとした意地悪。私の方から言いたかったのに、かがみが先に言っちゃったから。」
「うん。」
「もし、もしも。かがみに会ってなかったら、あんなに楽しい高校生活は送れなかったと思う。
ホント、ありがと。」
「うん。」
こなたが紡いで呉れる言葉に、私は鼻を鳴らしながら頷くことしか出来ない。
でも、私が流す涙ごとこなたは抱きしめて呉れる。
「かがみは他の人が好きなんだと思ってた。かがみさ、偶に含みのある溜息吐いてたし。
そんなかがみを見る度に切なくなった。」
「ごめん。」
「良いよ、もう。かがみが私のこと好きだって分かっただけで十分だよ。
ほら、かがみに泣いてるのは似合わないよ。笑ってるか怒ってないと。」
「怒っては余計だ。」
こいつには一生敵わないかもね。さっきまで涙が止まらなかったのに、もう、涙は引っ込んでる。
「そうそう。その意気。あっ……」
こなたの言葉に顔を上げると、こなたの視線は海に。正確には、風に飛ばされた麦藁帽子に。
73名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 21:19:51 ID:IDXzQdPi
私は立ち上がり、涙を拭く。
「飛んでっちゃった。」
「飛んでっちゃったわね。」
「暑い。」
「夏だからね。」
そう言いながら、私の帽子を被せてあげる。
うん、こなたにもやっぱり似合う。
どちらからとも無く、波打ち際まで歩いていく。こなたが昨日泳いで行った岩場に、麦藁帽子と、誰かの浮輪が引っ掛かっていた。
「私ね、サヨナラって言葉って好きになれないんだ。」
「うん?」
「サヨナラってなんか、もう二度と会えないような気がしない?」
「ん〜?」
分からない気がしないでもないかな。
「だから、卒業式の日もそれからも、またねとしか言わなかったんだよ。」
そう言えばそうかしら。
「そしてたら、かがみと同じ大学に受かってた。いるんだね、神様って。」
「神社の娘にそれを言うか?」
「細かいことは気にしないの!」
それから暫く波の音を二人で、聞いていた。

「好きだよ、かがみ。」
「私もよ、こなた。」

どちらからとも無く、手を繋いで。
どちらからとも無く、キスをした。

幼い、でも、想いの詰まった、キス。
初めてのキスは塩味だった。

唇を話すとポッと間の抜けた音がして、二人して笑う。

「知ってた?私もかがみが好きだって気付いたの、此処だったんだよ?」
笑いが止まった沈黙の中、こなたがポツリと呟く。
「また、来ようね。」
「うん、きっと。」


もう一度、海に目を遣る。

そこには、二人を映した海が広がっていた−−−
74名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 21:23:36 ID:IDXzQdPi
また、レス数書き忘れました…
そろそろ慣れなければ。


それでは、長々と失礼しました。



続きものから逃げるのはそろそろ止めることにします。
75名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 21:26:50 ID:15SGL9Up
>>74
いやもう素晴らしかったGJ!
こういう雰囲気は大好きだー。
76名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 21:36:27 ID:hOAFVC6V
>>74
ぐっじょぶ!( =ω=)b
77名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 21:39:33 ID:yf+YM/Px
GJすぎます
GJGJGJGJGJ!!!!!!!!!!
78名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 21:41:33 ID:L5P2zunF
>>74
ちんこから汗でた
79名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 21:48:41 ID:OdXVuKM4
>>74
最終回見終わって幸せな俺に、なんという幸せの追加入力。
あじゅじゅじゅしたー。
80名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 21:57:28 ID:Ek6SAnhT
前スレ560です
神々のSSの後に投下するのは恥ずかしいですが、せっかく書いたので。
携帯からですのでレスとレスの間が少し遅いです。
いつもの如く、PCからだと改行等見にくい部分が有るかもしれません。申し訳ないです・・・560の少し後の話です。
かがみがひよりんの事をなんて呼ぶのかいまいち解らなくて、結局田村さんにしたんですが
間違ってたらすみません!
『保健室にて』

こなかがで非エロ
3レス程失礼します
81名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 21:58:44 ID:Ek6SAnhT
受験勉強のし過ぎで寝不足だったせいか、それとも今日たまたま朝食を抜いたからなのか三時間目の体育でちょっと走っただけなのに私は貧血をおこして倒れ、保健室に運ばれた――らしい。
正直、朝からふらふらだったせいでよく覚えていない。
「んー・・・」
ベッドの上で目覚めてから何度目かの寝返りをうつ。お腹が空きすぎて眠気も襲って来ない。
ふゆき先生は所用があったらしく、私が目を覚ますと診察内容と暫く寝ているようにとの書き置きだけが残っていた。
ちらりと、壁に掛かっている時計を見ると12時を少しまわったくらい。
もうちょっとで四時間目が終わる所だ。
二時間続きの体育でよかった。この時期に五教科の授業に出ないのはマズい。
相変わらず眠くはないし、貧血の方も大分良くなったみたいだけど、ふう・・・と息をついて目を閉じる。
と、パタパタパタと廊下を走る音がするのがわかった。
保健室に来るみたいだけど病人のわりに元気そうじゃない。
ま、私には関係ないことね。
「かがみっ大丈夫!?」
勢いよくドアが開かれたかと思うとこなたが飛び込んで来た。
ここで目を開けなかったのはほんの気まぐれだったんだけど、まさかあんな事態を招くとは、この時の私は思ってもみなかった。
「なんだ、寝てるのかぁ・・・」
残念そうに呟き、きしっと音をたてて私の寝ているベッドに座る。
「・・・心配、したんだからね」
いつもとは違う真剣な声でいいながら、こなたの小さな手が私の髪をすく。
・・・完全に起きるタイミングを逃しちゃった・・・
だけれど、こなたの手が心地良くて、このまま身を委ねていたい、という気持ちもあった。
指の背でほっぺを撫でられるのがくすぐったい。
「ん・・・・・・」
「あ、起こしちゃったかな・・・」
身をよじるけど目は開けない。
「んー・・・まだ寝てるみたいだけど・・・そろそろ時間だし、起こさないといけないよネ」
こなたがくふふ、とさっきとは打って変わって悪戯っ子のような声音で笑う。あれ、なんかヤバい予感が・・・っ?
「寝てるなら 起こしてみせよう お姫様」
何で五・七・五調・・・っていうかお姫様ってなんだ。と、心の中でツッ込む間もなく唇が塞がれる、こなたの唇で。
ご丁寧に鼻までつまみながら。
「んむっ!んんんんっ!」
慌てて飛び起きると、私以上にびっくりしたらしいこなたが大きな目をさらにまんまるくしてこっちを見てる。
82名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 22:00:18 ID:Ek6SAnhT
「かがみん・・・起きてたの?」
「・・・ちょっと前からね」
さすがに最初から起きてましたとは言えなくてごまかすように話題を変える。
「というかあんた何でここに?授業は?」
「んー?ちょっと早めに終わってね。かがみの所ももう終わったかなーと思って行こうとしたら、ちょうど体育から戻ってきたみさきちに保健室に運ばれたって聞いて」
なるほど、と納得する。しかしそれにしても・・・
「なんなのよ、さっきのキスは」
「え?ほら、童話にもあるじゃん。お姫様を起こすには王子様のちゅーが必要だって」
「いやいやいや、誰がお姫様だ」
「かがみ」
当たり前のように言われて脱力する。ああ、もうツッ込む気力すらわかない。
「ところで、体の具合はどう?」
「いまさらかよ・・・うん、まあ大分良くなったわ」
「お昼、食べられる?」
小首を傾げて上目遣いで尋ねる姿が可愛くて思わず抱きしめそうになる。
待て待て。自重しろ、私。「・・・大丈夫よ」
「じゃ、行こっか。と、その前に・・・んーー」
「・・・何よ」
「おはようのちゅー」
あ、ヤバい顔が熱くなって来る。
「さっきもしたじゃないっ!」
「あれは目覚ましのちゅーだヨ」
「なんだよそれ・・・」
ため息をついて呆れながらも頬に手を添える。
ああ、本当私こなたに甘い。でも悪い気分じゃないな、と思いながらゆっくりと近づいてキスをした。
ついばむような軽いキス。何度かしているとこなたにぺろりと唇を舐められてそれが合図のように薄く口を開ける。
途端 に入り込んできたこなたの舌に応えながら頬から背中に回した手に力をこめると、こなたの手も私の首に絡み付いて来てより深いキスになる。
「ん・・・ふ・・・・・・」
混ざりあった唾液を飲み込むのに必死で他に何も考えられなくなっていく。
四時間目の終わりを告げるチャイムがどこか遠くの音のように聞こえてきたけど目の前の気持ち良さには抗えない。
「ぁ・・・っん・・・ん・・・」
室内には水音と吐息だけが響いて、それがさらに私を止まらなくさせていく。
ここは学校の保健室だとかご飯食べなきゃ、だとかそういった事が段々どうでもよくなってくる。
この前同じようにして(結局は私が自爆したんだけれど)田村さんにバレてしまった事が頭を掠めるものの、それすらこの行為を中断するための枷にはならない。
このまま欲望に身を任せてしまおうかと考えた瞬間――・・・
83名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 22:02:11 ID:Ek6SAnhT
「お姉ちゃーーん!大丈・・・」
「遅くなってしまい申し訳・・・」
「――――――っ!?」
つかさとみゆきの声に驚いて慌てて離れたけど・・・見られた・・・よね?
「「「「・・・・・・・・・」」」」
止・・・止まってる・・・時が・・・
もしかしたら私にとって学校は鬼門なんだろうか。
いや、こんな所でこんな事をしてる私達がダメなんだろうけど。
ちらりとこなたの方を見遣るとちょっと赤くなってるけどわりと平然としている。
フォローしなさいよ!フォロー!!
当然と言うべきか、最初に口を開いたのはみゆきだった。
「・・・あの、先に教室に行ってますね。さ、つかささん」
「え?あ、うん」
頬を軽く染めながらみゆきが、どこかまだぼーっとしているつかさの手を引いてもと来た道へと戻っていく。気・・・気まずい・・・
「まあ、本番じゃなくてよかったね」
「最後までする気だったんかい!」
「かがみんだってその気になってたくせにぃー」
「う・・・」
図星をつかれて思わず言葉に詰まる。
「・・・それより、なんて説明したらいいのよ、あの二人に」
「理解してくれると思うよ」「何を根拠に・・・」
「だってみゆきさんとつかさ想いあってるじゃん。付き合うのも時間の問題だネ。
もしかしたら今日の事が起爆剤になるかも」
・・・は?つかさがみゆきを?
その言葉が俄かには信じられなくてこなたの方を向くと、
気付いてなかったの?という表情で私の方を見てる。「・・・気付いていないのは本人達だけかと思ってたけど・・・
そうだった・・・かがみんもニブかった・・・」
「うっさいわね!」
言外に付き合う少し前の事をほのめかされて、
引きかけていた顔の熱がぶり返す。
そりゃあね、やたらスキンシップが多いなあ・・・とかは思ってはいた。
思ってはいたけれど、まさかそういう意味で好きだからだとは思わないじゃない!
「とにかく、教室に戻ろうか。みゆきさん達も待ってるだろうし」
「・・・うん」
「ん」
「・・・・・・」
差し出された手に無言で指を絡める。
「素直なかがみん萌えー」
「言うなっ!」
それでも、しっかりと握った手は離さずに私達は歩き出した。
84名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 22:04:39 ID:Ek6SAnhT
以上です
長々とすみません
読んで下さった方ありがとうございます!
85名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 22:10:16 ID:yf+YM/Px
GJ
86名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 22:47:34 ID:tRpygYWX
やっと埋まった\(^o^)/

>>84
GJ!
87名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 22:47:40 ID:VXlnPYk/
GJ

前スレ埋まったぜ
88名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 22:48:38 ID:VXlnPYk/
6秒差で負けたぜ…
89名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 22:56:59 ID:tRpygYWX
まぁ、しかしなんだ
CDネタばっかですまんかった


また長編になりそうなSS作成中
90名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 22:57:34 ID:u3yVUJsh
>>84
gj!

あと埋め乙!
9158:2007/09/20(木) 23:01:51 ID:LbAIoawM
>>66
えっと、GUNP.JPって何ですか?

>>74
これはいいこなかが。GJです。

>>84
またもやいいこなかが。GJです。
92名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 23:38:11 ID:LL4Y+log
ニコニコ動画ですけど暇なときでも見てください、いや別に宣伝とかじゃなくて
自分が見て好きだったから乗せただけです
かがこなMAD

ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm1099806
93名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 00:01:07 ID:JTm8GbCz
そのMADの冒頭のネタとそっくりなSSがこのスレにあったはず。
作者がここ見てんじゃないかと思った。
94名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 00:09:27 ID:RZQa6CEE
誰か投下する方が居ないのでしたら今から投下します。
柊姉妹モノ。エロ有です。
95名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 00:12:18 ID:RZQa6CEE
……ここは温かくて……が傍にいて……
何時から此処にいたんだっけ……?
気が付いたら此処にいて……が隣にいて……
それだけで幸せ。……此処にいて……がいるだけで……幸せ

……?
何処に行っちゃうの?……を置いて。
ダメ……ダメ。行かないで。……を置いて行かないで。
壊れちゃう。……が壊れちゃう。……の世界が壊れちゃう。
だから……行かなきゃ……


       《手の平で踊る》

              
               『らき☆すた』より
96名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 00:13:01 ID:RZQa6CEE
 扉を開けるとこなたとつかさが寝ていた。
「おっす。ってこの二人は……」
 机に突っ伏して眠る妹と友人に呆れつつみゆきに片手を挙げて挨拶を送る。
「かがみさん、クラス会の方はもういいんですか?」
「いや……まだ当分かかりそうでさ。先に帰っててもらおうと思ったんだけど……」
 と言って二人揃って眠り続ける二人に視線を移す。
「先ほどまで皆で話していたのですけど……」
「またネトゲで夜更かしでもしたんでしょ。まったく……」
 でもつかさは昨夜も九時には寝てたような……
「ん……」
 こなたが少し安らかとは言えない顔で呻き声を漏らす。
 何か怖い夢でも見てんだろうか?起こしたほうがいいのかな?……と思っていると
「つかさが空中フェノメノン!?」
 と叫んで飛び起きた。
「……」
 思わずみゆきの方を無言で向いてしまうが
「……」
 みゆきも理解しかねたらしく困った顔をしながら無言でこちらを見返してきた。
 そんな私たちに気付いてないのかこなたは一人で
「そっか……髪の色で考えればむしろつかさは化学部最終兵器……!!」
「こなた……?」
 いきなり一人で盛り上がるこなたに圧倒されつつも呼びかけてみる
「ん?……じゃあかがみは生物部ね。みゆきさんは縦ロールにしてテニス部」
「なんの話よ?」
 たまにこいつが分からない。まぁ何かのアニメかゲームのネタなんだろうけど……
 そんな不毛な会話の五月蝿さに目を醒ましたのかつかさが顔を上げた。
「……ん」
「おはよう、つかさ。よく眠れた?」
 皮肉交じりの私の声につかさは何も言わずに……両手を私の顔に伸ばしてペタペタと触り
「エヘヘ……」
 と子供の頃のような無邪気な顔で笑った
「な、なによ。どうしたの?」
 いきなりのことに思わず一歩引いてしまいつつも口から出た私の疑問に
「……あ、お姉ちゃん。もう帰れるの?」
 とつかさは答えてはくれずに普通に私に聞いてきた。
 ……先程のは夢の続きか無意識だったのかな?
 どちらにしろ少し嬉しいかも……。ってそうじゃなくて
「……まだ当分かかりそうだから先に帰っててくれる?」
「じゃあかがみ。終わったら私の家に来てよ。つかさと二人で待ってるから」
こなたの言葉につかさが少し驚いたような顔をしたけどすぐに何かに気付いたようで
「お姉ちゃんも早く来てね」
 と言っていつもと変わらない笑顔を私に向けた。
「なるべく早く終わるように努力はしてみるわ……」
 とだけ言って皆に背を向けた。休憩時間の終わりも迫ってきてるし
 私が遅れちゃ他のクラスメイトに示しが付かないもんね。
「さぁ帰ろうか。……帰宅部の名誉にかけてってつかさが言ってた」
「こなちゃん?」
 後ろから聞こえてきたこなたの声に私は
「また何かのゲームか?」
 と小声で突っ込みを入れ教室に戻った。早く終わるといいんだけど……
97名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 00:15:42 ID:RZQa6CEE
 「ふぅ……」
 一応クラス会も終わり一息吐いて自分の席に座り込む。
 「お疲れ様、柊ちゃん」
 天井を仰いで大きく息を吐いていた私に峰岸が労いの言葉を掛けてくれる。
 「疲れた時は甘いものだぞ?ほらあやのの作ったクッキー」
 日下部がそう言って差し出したクッキーを一つ摘み口の中に放り込む。
 「ありがと。ん……んむんむ」
 ほど良い甘さと香ばしい匂いが口の中に広がっていく。
 確かに甘いものを食べるとなんかこう疲れが溶けていく気がするわね。
「あやのの作るクッキーはほんと絶品だぜ!」
 パクパクというよりはバクバクといった勢いで日下部がクッキーを食べまくっている。
 ……こいつ太ること気にしたりしないんだろうか?
「柊もそう思うだろ?」
 もう一つを手にとって口に入れようとした時に日下部がそう聞いてきた。
 ってクッキーを口から飛ばすなよ……
「……そうね。うん美味しいと思うわ」
 確かに峰岸の作るお菓子はどれも美味しい。
 そこらのお店で売ってるのにも引けを取らない出来だ。
 ……でも。
「ん?何か奥歯に物が挟まったような言い方だな」
「日下部……あんた、そういう言い回し知ってたんだ?」
 結構本気で驚いた私の言葉に日下部は
「あう!」
 と言って机に突っ伏した。その頭をよしよしと撫でながら峰岸が
「フフフ……私じゃ妹さんには敵わないわよ」
 と言ってきたので思わず三個目に伸ばした手が止まる。
 そう……確かに峰岸が作るお菓子は美味しい。
 でもつかさの作ってくれるお菓子の方がもっと美味しいと考えていたのが読まれてしまった。
「え〜。そうか?あやのの作るお菓子のほうが美味しいってヴぁ」
 日下部が口を尖らせながら峰岸をフォローする。
「ありがとみさちゃん。でもこれは……作る側の問題だから」
『?』
98名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 00:18:34 ID:RZQa6CEE
 峰岸の言葉に思わず日下部と顔を見合わせる。
 そんな私達に言い聞かせるように
「料理ってね……食べてくれる人を想って作るの」
『……』
 静かに話す峰岸の言葉を私達は黙って聴く。
「それを何回も続けてるとね……その人の好みの味になっちゃうのよ。どうしても」
 と言って照れくさそうに笑う峰岸。
「……だから妹さんの作るお菓子の味に私は勝てないのよ。柊ちゃんが食べる限り」
 そこで日下部が何かを思ったらしく、一つクッキーを手にして
「ふ〜ん。じゃあこのクッキーは……」
 と峰岸に聞くと
「みさちゃん……これ美味しい?」
「……う、うん」
「じゃあまた作ってきてあげるからね」
 顔を赤くした日下部を見つめながらニコニコと微笑む峰岸。
 なるほど……これじゃ日下部はつかさのクッキーより峰岸のが美味しいと言うはずだわ。
 ってもうこんな時間!?
「ごちそうさま。私もう行くね。つかさもこなたも待ってるし」
 そう言って席を立つ。
「またね柊ちゃん」
「またな柊」
 背に聞こえる二人の声に片手を挙げることで応え教室の戸に手をかけたところで
「でも本当あの二人は仲が良いよな」
 と日下部の声が聞こえたので二人の方に振り向き
「そんなの当たり前じゃない。姉妹なんだもの」
 と言ってやった。でも日下部は納得してないって顔で
「そういうもん?他にも姉妹の知り合いいるけど柊達ほど仲良くないぞ?」
 と言った。他と比べられても……それに私達は
「私達は……産まれる前から一緒にいるのよ?仲が良いのは当然じゃない」
 と言ってキョトンとした顔をした二人に背を向け教室を後にした。
 ……そう当然。なのにどうして二人ともあんな顔をしたんだろ?
99名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 00:19:30 ID:RZQa6CEE
 扉を開けるとこなたとつかさが寝ていた。
「おっす。ってまたかよ」
 ちょうど出かけるところだったおじさんに家の中に入れてもらってこなたの部屋に来たのだけど……
 こなたはテーブルに突っ伏し、つかさに至ってはベッドに横になって寝息を立てている。
 まったく……寝る子は育つって言うけど嘘っぱちね。色々と育ってないこなたを見ながらそんなことを思う。
「とりあえず……こなた、起きなさいよ。こなたってば」
 肩を揺すって涎を垂らすこなたを起こそうと試みる。まったく女の子だってのに……
「う……うん…」
 呻き声らしきものを上げて身を捩ったかと思うと、いきなり
「フラグが万国旗!?」
 と叫んで飛び起きた。
「あんたは叫ばんと起きれんのか?」
 叫び声にもその内容にも呆れ果てた私は疲れた声で突っ込みを入れる。
「へ?……あ、かがみ。おはよう、遅かったね」
「ん、おはよ。ちょっと長引いてさ」
 長引いたのは無駄話もなんだけどね。
「ふぅ。本当に寝ちゃってたよ」
 ……ん?微妙な違和感を感じた私は
「本当って?」
 と聞いてみたが
「ん〜?別に」
 としか返事は返ってこなかった。気のせい?
 まぁいいか。それよりも……
「この子は本当によく寝るわねぇ」
 ベッドで眠るつかさに近づいて寝顔を覗き込む。
 昨夜は家族の中で一番早く寝てたわよね……?
「……」
 スースーと静かに寝息を立てる唇が妙に瑞々しく見えて……柔らかそうで。
 閉じられた瞳にかかる睫毛が微かに揺れて……頬がほんのりと紅くて。
 寝息とともに上下するつかさの胸が……やっぱりあまり成長してないわね。
「……かがみ?」
「うひゃあ!?」
 耳元からのこなたの声に思わず変な声を上げてしまう。び、びっくりした。
「な、なによ?いきなり」
「いきなりって…つかさの顔見つめたまま声かけても返事しないし」
 うわ……見惚れてた?
「あーいや。あれよ。この子は本当によく寝るなぁって……」
 我ながら苦しい言い訳ね……。下手したら極上のネタをこいつに提供してしまう……
 ふと見るとつかさはまだ起きない。この五月蝿さじゃ寝てられないと思うけど……?
「そりゃ私が一服盛ったからね。思ったよりもこの睡眠薬強力だな……」
 そう言ってこなたが親指をビシッと立ててウインクする。
「なるほど。納得の理由ね」
 それじゃ起きないわけだわ。
100名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 00:20:16 ID:RZQa6CEE
「……」
「……」
 しばし見詰め合う私とこなた。……一服?
「ってあんた!私のつかさに何してんのよ!?」
「遅!!突っ込み遅!!……うにゃ?!」
 こなたの頬を両方から摘んで引き伸ばす。予想外の摘み心地の良さに思わず
 上上下下左右左右と頬を無理やり動かす。嗚呼くせになりそう。
 ふと手を止めBAはどうしようなどと考えてると手を振り解かれて距離を取られてしまう。
「か、かがみ痛いよ」
「あ、ごめんごめんってあんたが悪いんでしょ。つかさに何をしたのよ?」
 あの感触を思い出すように指を動かしながらこなたを問い詰める。
 こなたは何か恐ろしいものを見るような眼つきで私の手を見ながら
「私は何もしてないし……しないよ?」
 と言った。……は?
「何言ってるのよ?ならなんでつかさに……」
 こなたの考えが全く読めなくて混乱気味の私にこなたは……
「なんでって……友達の、かがみのため……だよ?」
 拍車をかけてくれた。
101名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 00:21:24 ID:RZQa6CEE
「私の……ため?」
 何故わたしの為につかさに一服盛るのだろう?
 こなたは私を見ているようで……何か別の何かに焦点を合わせてるような眼をしている。
 そして何でもない世間話をするような口調で言葉を紡ぐ。
「かがみってさ……つかさが可愛いでしょ?」
「え?……そ、そりゃ妹だし」
 なに?何を言いたいの?何を考えて……?
「つかさは……いつもかがみに甘えて」
「…………」
 ただ黙ってこなたの言葉に耳を傾ける。
 あ……こなたは私じゃなくて私の後ろで寝ているつかさを見てるんだ。そんなことに気付いたりした。
「甘えて……頼って、依存して……」
「……それで?」
 先が見えない話に少し苛立ち先を促す。
「かがみはそれが嫌じゃない。むしろ内心嬉しく思ってる」
 少し見透かされたような気がした。こいつも見てるところは見てるんだ……でも
「それがどうして……?」
 そう。どうしてつかさに一服盛ることに繋がるのか。
「でもそれはもう少しで終わるんだよ」
「……?」
 こなたの言いたいことが分からなかった。
 でも心から少し軋むような音がした気がした。
「私達は……高校3年生。もう少しで進路も生活も変わって……変わらないこともあるけど……」
「……」
 やだ。理由は分からないけどこれ以上は聞きたくない。でも私はこなたの言葉を止めることができない。
 こなたはただ続ける。私の気も知らないで。私の心を見透かして。
「つかさの……云わば姉離れは確実に起こる。まぁ今が少しアレとも言うんだけど」
 ――!! こなたのその言葉に軽い衝撃を受ける。
 そう……あの子は私だけのものでなくなる日がいずれ来る。知ってたはずだ。
 でも……知りたくなかった。知らないふりしてた。いずれ来るお終いの日まで。
「しょうがない……じゃない。いつまでも甘えてばかりってわけいかないでしょ」
 私は……妹離れできるのかな? 私は。
「しょうがないってことは……嫌なんだよね?」
102名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 00:22:06 ID:RZQa6CEE
 駄目だ。完全に見透かされてる。自分でも知らないフリしてた心の奥底まで。
 なら……隠すだけ無駄……ね。まぁいいか。こんなでも……こなたは親友だしね。
「まぁね。本当は何時までもつかさに甘えて欲しいわよ。本当はそんなつかさに私が甘えてるんだから」
「うお!?どったのかがみ?なんか急に……」
 観念した私の科白にこなたが少し引く。ちょっと予想外だったみたいね。
 そんなこなたの様子に少し気分が良くなったせいか舌が踊り始める。
「気付いてたんでしょ?……私の気持ち。でもしょうがないの……しょうがないのよ」
 私は……私に言い聞かせる。あの子が私から離れていくのは……ショウガナイ
「そんなことないんだけどなぁ〜」
「は?一体なにを言って……」
 こなたの言葉に体が……ココロが反応する。
「私が何のためにつかさをあんなにしたかまだ分からない?」
「……こ、こなた?」
 多分……もう私は分かっている。こいつの意図が。
 あぁ……少し喉が渇いたな。
「今なら……かがみはつかさを自分のモノにすることができる」
「な、何言ってるのよ?!……そんなことできるわけない……でしょ」
 できるわけが……
「いいの?つかさが他の誰かのモノになっちゃっても?」
「んな?!」
 正直……かなりの衝撃だった。
 私の元から離れてしまう……それだけでも私はこんなに……なのに……なのに
 つかさが『他の誰かのモノ』に!?
「ねぇ……いいの?」
「絶対にダメ!!」
 思わず叫んでしまう。つかさは……つかさは……
「ほらかがみ、後ろ向いて見てごらんよ」
 優しい顔でこなたが囁く。……私は少し頭がボーッとしてきたみたいだ。
 言われるまま振り向くと私はつかさの寝顔に簡単に縛られる。
「本当に可愛いよね。今しかないよ?……チャンスは今回だけ。せっかく私が作ってあげたんだよ?」
「……今回だけ」
 今を逃したら……私は……つかさは……。
 つかさの半開きの唇から規則正しい寝息が漏れている。サラサラの髪が少し頬にかかって……
「こなた……いいの?」
「ん?」
「お部屋借りちゃっても」
 ここまで人のことを追い込んでおいてダメなんて言うはずないんだろうけど。
「ふっふ〜。かがみもやっとその気になったねぇ。うん好きに使っていいよ。今日はゆーちゃんもお父さんも居ないし」
「……そうなんだ」
 なんか御都合主義って言うか話が出来過ぎてるような……
「でもここで見させてね?」
「は?」
「利用料だとでも思って」
 こいつ……まさか
「まさかとは思うけど……そのために人のこと追い込んだんじゃないでしょうね?」
「いやぁ〜双子姉妹の百合なんて萌えるシチュ滅多に見れるもんじゃないし……」
 と言ってこなたはニマニマと笑ってこちらを見る。今更やめられないでしょ?とでも言いそうな顔で。
 ……そのとうりよ。ちくしょうめ。
103名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 00:23:40 ID:RZQa6CEE
「毎日こなたが寝ている……こなたの残り香のするベッドで妹を……つかさを奪おうとしている……」
「う、うるさいな!! 見てるなら黙って見てなさいよ!!」
 つかさに近づこうとした瞬間そんなことを言われ思わず怒鳴り返す。
 変なこと言われたら意識しちゃうじゃない。……ここってこなたの部屋なのよね。
「つかさ……ごめんね」
 ベッドの脇まで移動して寝顔を覗き込みながらこれから私がすることに小声で謝る。
「スー……スー……」
 妙に鮮やかな唇から漏れ出る吐息が顔にかかる。……甘い。息すら甘く感じる。重症だな私。
「さっき一緒にお菓子食べたからその唇きっと甘いよ?」
「……そう」
 夢のないネタばらしをどうもありがとう。……まったく。
「…………」
 そして無言のまま妹の寝顔に顔を近づけ……唇を重ねた。
 この甘さは……お菓子のせいじゃない。

「……ん」
 しばし唇の柔らかさと暖かさを堪能して顔を離す。
 ……つかさとキスしちゃった。つかさの感触が残る唇に人差し指を当ててみる。
 微妙に自分の体温とは違う自分の唇の感触に顔が赤くなるほどの恥ずかしさを覚えてしまう。……そんなに長くしてたかな?
 つかさは少し身体を捩じらせると可愛い呻き声とともに目を醒まし
「……んぅ?あ、あれ?お姉……ちゃん?」
 と私の方を見て……ってえええ?!
 いきなりのことに思わずこなたの方に振り向き
「ちょ、ちょっと一体どうなってるのよ!?」
 と問い詰めるとこなたは
「王子様のキスでお姫様が目覚めるのは王道だよ?かがみん」
「そうじゃなくて! 薬で眠らせたんじゃなかったの?!」
 そうなのだ。キスで起きられても……そのなんだ……困る。
「ああ、あれ?実は嘘」
「チョっおまっ!!」
 私のかなり本気の突っ込みにも関わらずこなたは
「でも後には引けないよねぇ?今さら」
 と言ってにへらと笑った。……そして
「お姉ちゃん……キス?……薬?」
 とつかさが不思議そうな顔で聞いてくる。
「ち、違うの。あ、あのね」
「お姉ちゃん……もしかして私に」
 と言ってつかさは人差し指を自分の唇に当てて俯いてしまう。
 ああ!!もうっ!
「つかさ!!」
「え?…んむ!?」
 一気につかさの唇を奪いながらベッドの上に押し倒し覆いかぶさる。
「ん……んむ」
 つささの口が少し開いたところで無理やり私の舌を押入れる。私のを押し戻そうとする舌が私のと絡む。
 私の口の中から湧いた唾液がそのままつかさの口の中に流れていく。つかさは吐き出すこともできずに
 ンクンクと必死に私と自分のが混ざったカクテルを飲み続ける。そしてそのことに興奮した私はさらに舌をうごかしてしまう。
 チュクチュプチュクチュニュと湿っぽい音が部屋に響く。
 私を押しのけようと肩を掴んでいたつかさの手はいつの間にかベッドの上にだらんと伸びていていた。
104名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 00:25:00 ID:RZQa6CEE
「はぁ…はぁ……」
「どうしたの?つかさ。息が荒いわよ?」
 実の姉である私に唇を奪われたショックのせいかキスの激しさのせいか身体中の力が抜け落ちたかのようにつかさは私の下に横たわる。
 私の瞳にはもうつかさしか映らず耳にはつかさの甘い吐息とバリバリと妙に響く音が……バリバリ?
 音のした方に思わずつかさと一緒に顔を向けると
「……」
「……」
 座布団に正座して南部煎餅を口に咥えたこなたと無言で見詰め合ってしまった。
「………ワッフル、ワッフル」
「どう見ても煎餅だろ。それ」
 意味不明なことを喋るこなたに一応突っ込む。律儀な私。
「……ゴメン。静かに見てるから」
 私の突っ込みに微妙な表情をして謝るこなた。少し残念な顔にも見えるのだけど何かのネタだったのかな?
「お姉……ちゃん?」
 少し落ち着いたのかつかさが私のことを呼ぶ。……なんて説明すればいいんだろ?
 考えを頭の中で纏める前に言葉が……想いが口から……心から溢れ出した。
「つかさ…ごめん」
「え?」
 いきなり謝られて不意を突かれたのかキョトンとした顔になるつかさ。
「私……つかさのことが好きなの。どうしようもないくらい」
「……」
「家族としてじゃない。姉妹としてじゃない……知らなかったでしょ?」
「……」
 私の独白のような告白につかさは呆気に取られたような顔で私を見返す。
 私の想いはまだ溢れ続ける。まるで誰かの書いた台本を読む役者になったようだと頭の中の冷静な一部で思う。
「つかさが甘えてくれるのがどんなに嬉しかったか。つかさと一緒の布団で寝る時どんなにドキドキしてたか……」
「そんな……」
「つかさの笑顔を見るたび……どれだけ心が締め付けられたか……!!」
「お、お姉ちゃん」
 口に両手を当てたつかさの顔に何滴か水が落ちた。……ああ、今私は泣いているのか。情けないな。
「本当に……ごめんね?こんなのが姉で。いやでしょ?幻滅したでしょ?」
「もう……やめてよ」
 つかさが悲しそうな顔で私を見る。でも私は……私は。
「無理よ。……もう引けない。つかさが欲しいの。壊してでも!奪ってでも!」
 気が付くと叫んでいた。涙で視界が霞んでつかさがどんな顔をしているのか分からない。
 ちょうど良かったのかもしれない。つかさの悲しそうな顔……私を拒絶する顔を見なくても済むから。
「だから……つかさを私の物にすることにしたの。つかさが誰かの物になる前に」
 恨まれてもいい。嫌われてもいい。貴女が私だけのモノになりさえすれば。
105名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 00:26:46 ID:RZQa6CEE
 不意に視界がクリアになってつかさの微笑んだ顔が映った。
「つ、つかさ?」
 つかさが涙を拭ってくれた。どうして……?
「いいよ、お姉ちゃん。だから……そんな顔しないで?」
 そう言ってつかさは私の頬を優しく撫でる。え?今なんて?
「つかさ何言ってるの?」
 聞き間違いじゃないことを祈りつつ聞き返す。
 頬を撫で続けるつかさの手の感触が妙に生々しい。
「お姉ちゃんが欲しいんならあげるよ?」
「簡単に言わないでよ。姉妹なのよ?家族なのよ?」
 私が言うなって話だけど思わず言い寄る。
 つかさに否定して欲しかったから。私の本当が知りたかったから。
「関係ないよそんなの。私なんかでお姉ちゃんがずっと傍に居てくれるなら、いつも笑顔でいてくれるなら……」
 この子は……どうしてここまで私のことを。わたしなんかのことを。
 急に身体の力が抜けて四つん這いの体勢からつかさの上に崩れ落ちる。
「お、お姉ちゃん大丈夫?」
 その言葉には答えないでつかさの可愛い耳にそっと唇をよせ囁いた。
「私なんかってなによ?私が小さい頃からずっと欲しくて堪らなかった物なのに」
「え?あ……ごめんなさい。ってあれ?なにか変?」
 この期に及んでいつものようにボケるつかさに思わず噴出す。まるでいつもの私達だ。……それが何より嬉しい。
「あー、お姉ちゃん今笑ったでしょ?」
 頬を膨らませたつかさが愛しくてしょうがない。
「ごめんごめん。……つかさ。ありがとね」
「……うん」
「お礼に……私をあげるからね」
 つかさのためなら何でもしよう。こんな私を受け入れて微笑んでくれるつかさのためなら……
「え?……でもそれだとお姉ちゃんが割に合わな……んむ?」
 またそんなことを言おうとしたつかさの唇を私の唇で塞いだ。そのまま唇をなぞるように舐める。
 今度は無理矢理に奪うキスじゃない。そう思うだけで胸が一杯になりそう。
「……ぅむ」
 そのまま舌を口の中に差し入れるとつかさの舌が出迎えてくれる。お互いの舌を舐め合い二人の唾液が湿った音を立てる。
 しばし妹の甘い口内を味わってから唇を離し舌を引き抜くと唾液の糸が二人を結んだ。
106名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 00:27:29 ID:RZQa6CEE
「ふぅ……ねぇ、ちょっと舌出してみて?べーってするみたいに」
 つかさの目がトロンとし始めていて私のキスでこうなったんだと思うと少し顔が熱くなった。
「ふぇ……こう?」
 つかさは言われたとおりに赤い舌を出す。それを私はまた唇を重ねることで私の口内に招きいれた。
「ん〜〜」
 少し驚いた声が漏れて、それでもつかさの舌が私の口の中で蠢き始め歯を舌を頬の内側を舐め始める。
 動きのぎこちなさが、一生懸命さがつかさらしくて……たまらなく愛しくなる。
「……ね、お姉ちゃん。お願いがあるの……」
 再び唇を離すとつかさがそんなことを口にする。ここはセオリー通り、優しくしてとか?
 無言でつかさを見ることで先を促す。
「あのね……髪、お姉ちゃんの髪下ろして欲しいな」
「へ?」
 ちょっと意外だったつかさの言葉に変な調子の声が漏れ出る。
「ううん今の髪型が嫌いとかそういうんじゃないの。家で二人きりのときは……お姉ちゃん髪下ろしてるから……だから……」
 私の漏れでた声を別の意味で捉えたのかつかさが慌てて手を振りながら説明してくれる。
 なんでこの娘はいちいち仕草が可愛いのかしら。って言うか何回目だ。こう思うのは? いや、可愛いつかさが悪い。
「……これでいいの?」
 身体を起こしてゴムを外すと髪がつかさの体に降りかかって……なんかエロい。
「……う、うん」
 つかさは更に熱を帯びたような目をしながら頷く。そうか……つかさは下ろした方がいいんだ。……覚えとこ。
107名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 00:28:36 ID:RZQa6CEE
「するね。……つかさ」
 そう言ってセーラーを捲り上げてブラを手にかけ……ん?
「あ、これって」
「う、うん。この前お姉ちゃんと一緒に買い物行った時に選んでもらったのだよ」
 恥ずかしそうにそう言ってエヘヘと笑うつかさ。
「うん。やっぱりつかさには可愛い系の方が似合ってるね」
「あ、ありがと」
 頬を紅くしてお礼を言ってくれる。まぁもっとも
「でも今から外しちゃうんだけどね。よっと」
「ええ!?」
 フロントホックを片手で外して脇によけるとつかさの控えめな胸があらわになる。
「つかさのおっぱい可愛い……」
「ううう……小さいってこと?」
 ショックを受けたような顔のつかさ。確かにそれもあるけど……それよりも、
「美味しそうってことよ」
「え?……ひゃん!?」
 聞き返される前に小刻みに震える先っぽをペロッと舐める。
「ちょっとしょっぱいかな?」
「い、いやぁ……」
 顔に両手を当てて子供のようにいやいやと顔を振る様子に更に意地悪したくなってしまう。
「……でも、おいし。あむ」
 今度は綺麗なピンク色の乳首を咥えて唇でムニムニとしてみると……
「んあ!……んぁ、あぁ」
 おーおー良い反応だこと。気をよくした私は少し強めに吸い付いてみる。
「どう?姉におっぱいを吸われる気持ちは?」
 自分でも暴走しているような気がする。つかさが受け入れてくれたから安心して気が大きくなってるのかな?
「んんぅ……お姉ちゃん、赤ちゃんみたい」
 そう言ってつかさは私の頭を優しくよしよしと撫でた。ってこれじゃ私がつかさに甘えてるみたいじゃない!
 ……いや、実際そうか。でも認めちゃ姉としての沽券に関わるわ。
「赤ちゃんはこんなことする?」
「くぁ!」
 流石にいきなり敏感な乳首を甘噛みされてはたまらなかったか頭から手を離してシーツを掴むつかさ。
 柔らかい乳首に軽く歯を食い込ませクニクニした食感を楽しむ。
「今度はこっち」
 乳首から口を離して反対側の乳首も同じように可愛がる。同時に私の唾液で濡れた片方の乳首を指で摘んで玩ぶ。
「あぁ…ふぁあ、だ、だめだよぅ……」
 可愛い甘えた声がつかさの口から漏れる。まったくそんな声を聞いちゃもっと聞きたくなっちゃうじゃない。
「だめ?わかったわ。胸じゃなくてこっちして欲しいのね」
 我ながらわざとらしく間違えたふりしてスカートの中に右手を入れてショーツの上から割れ目をなぞる。
「え?ま、待って!……んあ!」
 私の指を止めようとつかさが私の腕を掴んだんだけどその弾みで指が割れ目にめり込んでしまった。
「つかさって意外と大胆だったんだ」
 そう言ってショーツを更に湿らせるように押し付けると布地が吸い切れないツユが指を濡らし始める。
「い、意地悪だよう……あぁ……ん…」
「ほら見て?私の指もうつかさのでこんな……あむ」
 滴りそうなくらい濡れた指を見せ付けてから口に含んでつかさを舐め取る。
「変な味。でも……嫌いな味じゃないかも。つかさのだからかな?」
「あ……あ……」
 恥ずかしがりながらも目を離さないつかさ。まるで食べられることに興奮しているみたい。
「つかさ。もっと欲しいな。いいよね?」
108名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 00:29:30 ID:RZQa6CEE
「……うん」
 返事を聞いてから濡れてスケスケになってるショーツを横にずらして間近から覗き込む。
「……綺麗」
 思わず生唾を飲み込んでしまう。ソコは既に半分開きかけ鮮やかなピンク色のお肉を覗かせていた。
 指で開いて見ると半透明なオツユがドレッシングのように指を濡らす。
「ねえ……自分で触ったことある?」
「たまに……下着の上からちょっとだけ」
「……そっか。なら教えてあげるね」
 そう言って膣口からクリまで一気に舐め上げる。
「くん!……ハァハァ」
 いきなりの刺激に息を荒げるつかさ。それに構わず今度は膣口に吸い付き大量のトロトロなオツユを啜る。
 口中につかさの濃厚な味が広がり……飲み下す。美味しい。舌ではなく脳がそう感じる。
「あぁ……吸っちゃ……んぁ」
「ほら今私の舌が弄ってる所が膣口よ。そして……」
 舌を這わせながら移動させ女性の最も敏感な部分の周りをクルクルっと舐め回す・
「ここがクリトリス。つかさのはまだ皮で覆われてるわね。……剥いてあげる」
 指で皮を捲りあげ小さい豆のようなクリちゃんを外気に晒す。つかさはここも可愛いのね。
「くぁあ!つ、強いよぉ」
「敏感なのね。大丈夫優しくしてあげるから」
 そう言って軽く挨拶代わりのキス。そのまま舌で軽く撫でるように刺激する。
「ああぁ……お姉ちゃんの舌が好いよぅ」
「つかさはクリちゃんが良いのね。ならもっと…乱れた姿を見せてね」
 今度はクリを口に含んで思いっきり吸い付いた。
「ひぐぅ!?」
 腰を捻って暴れるので両手で腰をロックして押さえ込みさらに吸い込む。
 口の中で完全に露出したクリを舌で激しく舐めまわしたり押し付けたりする。
「だめ、だめ……それだめぇぇ……ああぁあ……わ、わた……もう…んぁあ……」
 切羽詰った声をあげつつ太腿で私の顔を挟みつつ腰を動かし始めるつかさ。
 両手も私の頭に添えられ押し付けるように力を込めている。
 いいよつかさ。いかせてあげるからね。
「……ん」
「くぁぁぁあああぁあ!?」
 私にクリを甘噛みされたつかさは私の顔を更に濡らしながら私の下で崩れ落ちた……。
 そういえばこのベッドこなたのだっけ……まぁいっか。
109名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 00:30:16 ID:RZQa6CEE
「んむんむ……やっぱりつかさの作るクッキーは美味しいねぇ」
「ありがと。お礼なんだし一杯作ったから沢山食べてね」
 クッキーを頬張りながら談笑する少女が二人。つかさとこなただ。
「それにしてもここまで上手くいくとはねぇ」
「うんうん。全部こなちゃんのお蔭だよ〜」
 かなり上機嫌なつかさ。その表情はとても嬉しそうだ。
 釣られたのかこなたの顔も綻んだ。
「これで全部つかさの望み通りだね。でも驚いたよ?お姉ちゃんにエッチなことされたいなんて相談された時は」
 その時のことを思い出したのか少し笑顔が引きつるこなた。
「む〜。でもこなちゃんだって……」
「ま〜ねぇ。でも良いの?本当に」
 半信半疑な表情でつかさに確認するこなた。
「うん。約束通り私とお姉ちゃんは……でも少し待ってね」
「いいよいいよ。当分は二人きりで楽しめば。でも二人は……私のモノだからね」
「うんうん」
「……」
 いまだ上機嫌なつかさと少し不安気なこなた。
 つかさの本心が読めてないような気がしたこなたはまた確認をする。
「つかさ……かがみを私に差し出すんだよ?いいの本当に?」
「お姉ちゃんと私ね。約束だもん。……それに」
「それに?」
「私……こなちゃんのことも大好きだから」
「……むう」
 顔を紅くして横を向いたこなたをクスクスと笑いながらつかさが見つめる。
「なら……いいんだけどさ。ちょっとお手洗い行ってくるね」
 そう言って立ち上がるとこなたは部屋を出る。
 それを見送ったつかさは天井を見上げ小声で呟いた。

「それにね……お姉ちゃんは誰にも渡さない。こなちゃんが私達のものになるんだから」

  
                                        END
110名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 00:31:07 ID:RZQa6CEE
以上です。お目汚し失礼しました。

それと『I wish 〜』及び『夢の中の〜』に感想をくださった方、投票してくださった方、そして数多の良作が競い合うこのスレで
拙作を気に入ったと言って下さった方に心からのお礼を。きりん首の人まだいますか〜ノシ
今作がそういった方々の期待に応えられる出来になったかどうか私には分かりませんが少しでも楽しんで頂けたのなら幸いです。
111名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 00:32:19 ID:7oZ8T+T+
>>110
リアルタイムですた。とりあえずGJ。
レニロジみたいに軽めに深いな。
明日にでもよく読解して別の味を楽しむとするよ。
112名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 00:39:31 ID:Xcfl/xqm
>>110
>「………ワッフル、ワッフル」
ちょwwww
こなた空気読めなさすぎw


かがみが自分の気持ちを認めていく過程と
つかさの本心が現れたオチが秀逸。
GJ!

『I wish 〜』及び『夢の中の〜』
かがつか好きでどっちも気に入ってます。
いつか自分もかがつかを書きたいと思いつつ。
113名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 00:41:52 ID:dHEW2M7T
>>110
GJ!!!
そして遅れたが前スレ>>653
続きdクス!
114名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 00:49:59 ID:DNL30TyC
>>110
GJ!

前スレ>>653
RUNNING IN THE 90'Sが聞こえたのは俺だけか?
115名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 01:17:06 ID:yQVNB8wS
>>110
最後のつかさのセリフ、ぞくっときたよ。
良いかがみ×つかさでした。
116キリンになってた人:2007/09/21(金) 01:20:47 ID:I9QveRgT
>>110
うらっっっっっっっっっっっっっしゃああああああああああああああああああ
やっときたあああああああああああああああああ

深夜に取り乱してスイマセン……あまりに我慢してたもんでちょっと暴発気味デス
貴方の文章は序章があるのですぐ気付きましたよ
で、半リアルタイムで早速読ませていただきました!ごちです!

相変わらずGJの一言で言い切れない素晴らしき作品ありがとうございました!
なんかお世辞抜きでプロの方ですか?ってツッコミ入れたくなるくらい上手ですな
あまりの描写の細かさにニヤニヤしながら読んじまいましたよ

そして最後にこんなトラップがががががが!でもこれはこれで良し!!
前回の作品の時もそうだったけど今回も結局はつか×かがなのかw
つかさが大人の恋に目覚めて一皮むけると案外こんな感じになるのかしら…
かがみはさしづめまんまと罠にはまったウサギってところですなw

ああ待ってて良かった…久々に耽美な小説っぽい感じのSS読んだ気分になれたよ
今夜は良い夢見られそう

最後にもう一度、本当にGJ!!
117名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 01:26:13 ID:I9QveRgT
P.S.
タイトルやら内容やらでとっくに気付いてたんだけど…





村雨姉妹って良いよね
私もむちゃくちゃ大好きw

長々とレススイマセン
これにて失礼ノシ
118名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 02:46:49 ID:h6QMuOec
スレ3つが共存・・・
すごすぎる。

アニメの文化祭のIF物見てみたい。
思い出作りする3年メンバーとか是非に。
119名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 02:51:15 ID:swdydOr2
我今リアルタイム最終回也!
120名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 02:56:12 ID:1B1eO+jO
実際ネタバレ的にはいつくらいが解禁なのだろう。

ちょっと書いてみたい話はあるんだけど、
ネタ的に大物過ぎて簡単に消費しちゃうのが気が引けるんだよね
誰かがネタにすると他の人は使いづらいだろうしなあ
121名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 03:06:20 ID:swdydOr2
ありがとう、らき☆すた。
これから俺も頑張っていくから――
122名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 03:19:17 ID:350LrF72
こうして>>121は天へと旅立ってゆくのだった……


え?死んでない?
フヒヒwwwサーセンwww
123名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 04:43:20 ID:8GfBP4vJ
今ここまで呼んだけど、前スレ終盤のID:tRpygYWXさんに。
らき☆すたのアニメ(というか白石EDか)について否定的な意見を持っていたとしても良いけど
それを(それもこなたの言葉を借りる形で)はっきりと批判として出すというのは慎重にした方がよかったんじゃないかと。

自分を含め、あれも込みでアニメを楽しく見てた人もいると思うので。
124名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 04:45:09 ID:NB/VGkvm
>>110
ひさびさのかがつかGJ!
内容が細かく書かれてて凝ってるな
グラディウス無敵コマンドと煎餅ワッフルワロスwwwww
125名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 05:05:59 ID:7oZ8T+T+
>>123
※荒らしや煽り、気に入らない人・作品等はスルーで。

ここからチラ裏
SSで投下されてるんだからさらに問題ないと感じる。
個人的には俺もあの実写よりはカラオケ続行のほうがよかったな。
スレ違いになるので以上終了

つづきかくかねっ、と。
126名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 05:52:13 ID:r72SLLo/
あのさ、気持ちは分かるんだけど、自分が言いたいこと言ってはい終了、は
どんな正論だったとしても印象悪いよ。
黙ってスルーか、注意するだけにしておきなよ。
127名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 05:54:11 ID:r72SLLo/
うっひょおおおおお!
変なタイミングで誤爆したよすまんw
まあレスの流れで圧倒的に俺が変なのは分かると思うが
128前653:2007/09/21(金) 07:10:57 ID:UMWh+7Wd
>>114
ラスト2行のためだけにゆいの後輩に「池谷」という名字を使ったあたり、
確実に後半部の元ネタの一部は「その辺り」です。本当にあり(ry

>>120
どうなんだろうな。確か2エリアほど一週遅れの地域があるはずで、その最後
まで待つというならあと9日弱(土曜深夜の一週延)待つことになるが…
129名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 07:30:23 ID:/m5vAzpR
すまん、この話題引っ張って申し訳ないけど>>123に同意しとく。
自分もどっちかというとカラオケEDの方が良かった派ではあるけど、
実写EDがそこまで嫌いなわけでもなかったのであのSSはちと引っかかった。
作者さん自身の考えまで否定する気はないので、念のため。

>>125
チラ裏に突っ込み入れるのも何なんだが、
俺は逆にSSで投下されたからこそ問題だったと思ってる。

>「と言うか最後までそういうの続けられて嬉しい人っているのか…?」
>「少しだけどいるみたいだね」
>「まじか…そんな奴の感覚がわからん…」
>「その人にとっては好きなアニメじゃないんだろうね。きっと」

好きな作品のキャラ(こなたとかがみ)の口からこんな事言われたら、
実写ED好きな人からしたら気分良くないに決まってるでしょ・・・。
130名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 07:38:16 ID:HuQdpdsh
ワッフルワッフルwwwwwwwwwwww
131名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 07:53:53 ID:swdydOr2
何となく空気読めてない俺参上&ネタ投下。
時期外れはスルーの方向で。
132名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 07:55:39 ID:swdydOr2
今日はこなかがで祭りにやってきました。

こなた「チョコバナナ〜チョコバナナ〜」
かがみ「あんたチョコバナナ片手にご機嫌ね」

こなた「見てて、かがみ」
かがみ「?」

こなた「ん、ちゅっ……れろれろ……ちゅぱっ……」
かがみ「!?」

かがみ「な、なんて食べ方してんのよ、あんたは!?」
こなた「えー? 別に普通にチョコバナナ食べてただけだけど?」

かがみ「――ッ! いいからあんたはこのリンゴ飴でも食べてろ!」

こなた「自分の食べてたのを差し出して間接キスを要求するだなんて、かがみんも積極的だねー」
かがみ「違うっ! いいから食べなさい!」

こなた「んっ……ぁ……固くて……大きい……じゅる」
かがみ「……あ・ん・た・は〜!! もう二つとも取り上げ!
これは両方とも私が食べるから!」

こなた「そんなに食べたら太るよ、かがみん」
かがみ「うるさいっ! 先行くわよ!」
こなた「待ってよ〜、かがみ様〜」

こなた「ねえ、ところでさ。 なんで内股を擦るようにして歩いてるの?」
かがみ「き、聞くな! あんたは黙って近くのトイレでも探してよぉ……」
133名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 08:46:57 ID:yPtcyEex
>>132
こなかがGJ!
134名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 10:17:00 ID:tD15Vwez
まあ実写EDは糞だったな^^
135名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 12:22:49 ID:QZN1JUgF
実写EDは糞だと思うが、つかさの中の人が時々かわいいなーと思ってしまった俺ガイル
136名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 12:23:22 ID:QZN1JUgF
sage忘れた
137名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 12:56:21 ID:+Paon5yQ
>>110

うまいなぁ…GJ!


ときに>>96

「こなた、あんたさっき寝言で『つかさが空中フェノメノン!』とか言ってたわよね」
「あー、うん、たぶん」
「……『あすか120%』ネタは、さすがに読む人を選ばないか?」
「そのマニアックさがいいんじゃん。てか、知ってるかがみん萌え」
「あ、あんたがやらせたんでしょうが!」

「……ま〜でも、私たちで対戦すると、いつまでも終わらないんだよね〜」
「まあ、そうよね。多段ヒットがいちいち相殺するのはやりすぎよね」
138名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 13:06:59 ID:I9QveRgT
>>137
言われて初めてあすか120%思い出した
そういえばあれも七瀬葵だったな…
139名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 16:20:17 ID:jiK29I/D
ちょこっと つか×かが?
エロ無しの短編っス。
140即死魔法:2007/09/21(金) 16:20:49 ID:jiK29I/D
即死魔法


「…出来ると思っている?」
 お姉ちゃんは眉間にしわを寄せて本気? と言う顔で問い返してきた。
「だ、大丈夫! だもん…たぶん」
 あう、声がどんどん小さくなる。
 私は、ある日の日曜日の朝、お姉ちゃんに提案した。
 私は、実はお姉ちゃんにあこがれている。
 あ! ち、違うの!
 ええと、違うよ!
 お姉ちゃんに憧れているんじゃなくって、お姉ちゃんに憧れているの!
 ……。
 …うう、違うの…。違うの…。
 私、おばかさんじゃないもん…。
 つ、つまり、私達は双子だけど、私は妹で、お姉ちゃんはお姉ちゃんでしょ?
 だから、私はお姉ちゃんっていう身分づけに憧れているの!
 はーっ、はーっ。
 …分かってくれた?
 …分かってくれたよね?
 ね?
 で、それは身分じゃない、とか言わないでね。
 …お願い。
「で、今日はあんたをお姉ちゃんって読んで欲しいと。私は、あんたにかがみって呼ばれる訳ね。ふーん」
 私はうんうん! と首をおもいっきり縦に振る。
 あんた、褒めて欲しい犬みたいになっているわよ、なんて言われたけど気にしない。
 だって本当にそうしたいんだもん。
「いい? いいかな?」
 私はしっぽがあったら多分音がするくらいの勢いで振っている。
「ま、元々双子の姉と妹の順番なんてあって無い様なもんだしね。しかも昔は順番の付け方すら逆だったし…いいわよ。
それじゃ、今日はつかさがお姉ちゃんね」
「やったぁ! お姉ちゃん大好きー!」
 私は嬉しくなってお姉ちゃんに飛びつこうとしたら、おでこをぺし、とちょっぷされた。
「きゃ! お、お姉ちゃんひどいよぉ…」
 お姉ちゃんに拒否された。
 そう思うと瞳がうるうるしちゃう。
「違うでしょ。今からあんたがお姉ちゃん、でしょ?」
「え?」
 私が…?
 首をかしげる。
 あ。
 はっとしてお姉ちゃんの顔を見る。
 あーあ、見たいな顔。
 でもその表情はとっても暖かくて、柔らかくて、泣きたくなるくらい優しくて…私はふらふらと抱きつきたくなってしまった。
 再びおでこに痛くないちょっぷ。
 うう…。
 自分で発案しておいてなんだけど、ちゃんとお姉ちゃん、出来るかなぁ?
「じゃ、じゃあ…お…か、かが…み?」
「何で疑問形か」
141即死魔法:2007/09/21(金) 16:21:33 ID:jiK29I/D
「だってだって、お姉ちゃんの事名前で呼ぶなんて…あ、い、今は私がお姉ちゃんなんだった…私がお姉ちゃん…お姉ちゃん」
 頭を抱えてぶつぶつと呟き、なんとか切り換えようとしていたら、お姉ちゃんが爆弾発言&行動。
「おね〜えちゃん」
 へ?
 私は耳を疑った。
 なんて優しい声だろう。
 そして、私はぎゅっと抱きしめられた。
「はわ! はわわわ!」
「だいすき〜」
「!!!」
 次の瞬間、私の視界は暗転したの。

「…お酢がっ!」
 私は意味不明な言葉で目を覚ました。
 天井は見慣れた私の部屋の天井。
 窓の外からは涼しい風と太陽の光が差し込んでいる。
「…ゆめ?」
 夢だったのかな?
 …なんかどっと疲れた。
 そう思った時、ドアがノックされた。
「あ、はーい」
 ドアが開き、お姉ちゃんが入ってきた。
 あ! お姉ちゃんだ!
 私は飛び起きようとしたその時。
「おねえちゃん、大丈夫?」
 首をかしげてそのセリフ。
 …寝起きにギャラクティカマグナムをいただきました。
 お姉ちゃんはとことこと私のベッドの横に来て腰掛けると、私の頭に手を置いてなでなでしてくれた。
 あうう、熱が出ちゃう。
「おねえちゃん、大丈夫? 今日一日、続けられる?」
 お姉ちゃんは役になりきったまま問いかけてきた。
 本当にすごいなぁ。
 さっきお願いしただけでもうちゃんと妹になっているんだもん。
「だ、大丈夫! お…かが、かがみも一日、ちゃんとやってね!」
 言えた!
 言えたー!
 私も言えたー!
 お姉ちゃんにかがみって言えたー!
 私は目が輝くのが自分でも分かった。
 やっぱり嬉しい。
 お姉ちゃんになれたって思うと嬉しいよ!
「了解。それじゃお姉ちゃん、もうすぐ時間だからお出かけの準備しようね」
 おね…かがみが微笑んだ。
 ぐはっ!
 そして瀕死の私に再びブーメランフック。
 だってだって、お姉ちゃん、妹を演じているせいか、なんか言葉遣いと仕草が幼いよ?
 正直に言うとそれ卑怯。
 て言うかリアルで犯罪。
 ああ、こなちゃん…。私、こなちゃんの世界に一歩近づいたかもしれない。
142即死魔法:2007/09/21(金) 16:22:41 ID:jiK29I/D
 小一時間後。
 用意を終えていつもの待ち合わせ場所に向かう私達。
 だけど、正直私は心臓がばくばくしっぱなし。
 だってさ、おねえもといかがみったら、手繋ごう? なんて言ってくるんだもん!
 お姉ちゃん、かがみをそんな風にあざとい子に育てた覚えはありません!
 あ、だんだん私も慣れてきたかな?
 とにかく、手を繋ぐ事はよくやるけど、いつもと違ってかがみの方が私の半歩後ろを歩くから視界に何もないの。
 かがみって、いつもこんな風に私を先導してくれたんだって思うと、ちょっと胸にくるものがあるよ。
 今日は私が先を歩く!
 かがみを決して路頭に迷わせたりしないもん!
 …ただ半歩先に道を歩くだけなんだけど。
「やっほー。かがみー、つかさー」
 待ち合わせ場所にはこなちゃんとみゆきちゃんが待っていた。
 みゆきちゃんは相変わらず丁寧にぺこり、と頭を下げてお出迎え。
「……」
「……」
 ふと、二人の目線が一点を凝視する。
 それは、かがみ。
「な、何よ」
 かがみはいつも通りのつもり。
 でも。
「かがみ、なんか雰囲気違うよ?」
「何か、ありましたか?」
 鋭い!
 二人とも鋭い!
「別に」
「そ、そうだよ。かがみはいつも通りだよ」
「かがみぃ!?」
 こなちゃんとみゆきちゃんが飛び上がった。
 あ、二人には言ってなかった。

「そ、そうだったんですか…」
 私達は喫茶店に入って今日の事を話した。
 ちなみに、私とかがみが隣で、私の向かい側にみゆきちゃん、隣にこなちゃん。
「道理で、かがみがなんかしおらしく見えたわけだ」
「普段のあたしはどういう風に見えているのよ」
 こなちゃんを睨むかがみ。
 でも、確かにいつものかがみよりもなんか瞳が、と言うか雰囲気が柔和だね。
 私は自分が偉くなった気がして何か嬉しい。やっぱり、お姉ちゃんは自分がしっかりしていないとね!
「えーと、私はプリンアラモードで、お姉ちゃんがコーヒーゼリーで、こなたがパフェ、みゆきがワッフル、と」
 かがみは慣れた手つきでウエイターさんに注文をとってもらった。
 !
 しまった!
 ここは私が率先してしなくちゃいけなかった!
「はうう…」
「どったのつかさ?」
 不意にこなちゃんが私の顔をのぞき込む。
 あ、いけない。堂々と、堂々と…。
「お待たせしました」
 注文が来た。さっき、一歩出遅れた私は、こういう時ならではのあのチャンスを見逃すまいと、かがみの行動を注視する。
 じー…。
143即死魔法:2007/09/21(金) 16:23:51 ID:jiK29I/D
 
ふ〜ん、つかさ先輩もお姉ちゃんやりたいなんて思っていたんスねぇ。
 あ、ども。婦女子の味方、田村ひよりっス。
 え? いえいえ。私は跡を付けたとかそんなんじゃないっスよ。
 たまたまネタ探しに街を散策していて、たまたま入った喫茶店に後から先輩達が入ってきただけの事っス。
 で、なんかおもしろそうなんで、ちょっと申し訳ないと思いつつ、こうして観葉植物の陰から見物させて貰っている訳っス。
 しかし、双子の姉妹が姉、妹をチェンジとは、つかさ先輩も中々マニアックなプレイが好きっスねぇ。
 さて、続き続き。私はペンを走らせながら、ペコちゃんの様な表情で耳を澄ませるっス。
 しかしまぁ、後輩が言うのもあれっスけど、あれだけかがみ先輩に甘えているつかさ先輩っスから、やっぱたまには甘えられる、
みたいな事をしたいんスかねぇ? 無理な気がするっスけど。
 まぁ、おかげでかがみ先輩がいつものツンモードより、そこはかとなく常時デレモードっぽいのが新鮮っス。しかもどことなく
仕草が幼く見えて、私としては眼福眼福っス。
 泉先輩も背中からピンク色のオーラが見えるっスよ。
 おや? 高良先輩からもっスか? 皆さんわかってらっしゃるっス!
 …で、さっきからつかさ先輩は、ちらちらとかがみ先輩の方を見ては、明らかに何かを期待しているっスね。
 あ、かがみ先輩も視線に気付いた。
 あ、つかさ先輩が慌ててあっちむいた。
「ふんふふーんふーん…」
 って、窓の外を見て鼻歌って、なんちゅーベタなごまかし方をしますか! 幼稚園みたいで可愛いっスよ!
 で、かがみ先輩もああ、と納得の表情をしましたね。
 流石かがみ先輩。
 勘まで幼くはなってないっスよ。
 そして、こちらからは丁度後ろで見えないっスけど、泉先輩に目配せで、だよね、と合図しているっス。
 あ、泉先輩が、そのとおり! と小さくサムズアップで答えましたよ。
 あの二人以心伝心っスねぇ。小指と小指がきっと紅いワイヤーで繋がってるっスよ。
 高良先輩は「?」と首をかしげてますね。まぁ、高良先輩はそこで事の成り行きをとくとご覧あれっスよ。
 さて、かがみ先輩はアラモードの生クリームをちょっと多めにスプーンに取り、またちらちらと横目で見ているつかさ先輩の
目の前で、ほっぺにクリームをつけたっス。
 自然っス。上手いっスねぇ!
 おお! 見給え! つかさ先輩の瞳がリミットブレイクの様にきらきらと輝いて、わんこの様にしっぽが振られているっス!
「か、かがみ! かがみっ!」
 そしてめちゃくちゃ嬉しそうに声をかけると、やっぱりあのセリフを言ったっス。
「あーあ、何しているの? ほっぺにクリームが付いているわよ?」
 満面の笑みでものすごーく得意げに言う。
 後輩が言うのもなんスけど、まったく、つかさ先輩は可愛いっスねぇ。
「あ、本当?」
 かがみ先輩も合わせるっス。
 ああ、微笑ましい姉妹愛…。
 でも…でも、次の瞬間、私は、私は! 世界を震撼させる、かがみ先輩の本当の恐ろしさを知る事になるっス!
「おねえちゃーん、ぺろってして♪」

 風が…やんだ!

 ひひひ、ひいらぎぎぎぎかかかかかかがみいぃぃぃっっっっ!
 ききき君はなんて事をををヲヲヲっ!
 つつ、つかさ先輩が色を失って白黒っス! と言うか燃え尽きているっス!
 高良先輩の眼鏡が割れ砕けてスローモーションで宙に舞っているっス!
 泉先輩のアホ毛が溶解アンテナの様にぴんこ立ちっス! 背中もぞわっと波打っているっス!
 私も残り人生の全てのラッキーを今ここで使い果たした気分っス!
 そんでそんで! 何でかがみ先輩はほっぺをつかさ先輩に自ら近づけているっスか!
 実際にやってくれって言うっスか!?
 死者に鞭を打つっスか!?
 ゴブリンにナイツオブラウンド使うっスか!?
 やめて! もう私達のHPはゼロよ!
144即死魔法:2007/09/21(金) 16:26:05 ID:jiK29I/D
 つかさ先輩が時間と色を取り戻したけど今度は真っ赤っス! 真っ赤を通り越した神の赤っス!
「おねえちゃーん、はやくぅ〜」
 うわ甘っ! 甘いっス! 甘い声! スィーツボイスっス! 吊り目で下がり眉は南極条約で禁止っス!
 スが多くて申し訳ないっス!
 目を閉じ、ほっぺを突き出したその姿はまるでキスをせがんでいるかの様で…様で…。
 思わず、泉先輩と高良先輩も重力に引き寄せられ、墜ちてゆくイカロスの様にかがみのほっぺに近づいてゆくっス!
 私もガジュマルを蹴り倒してそのほっぺに吸い付きたいっス!
「はっ!」
 そこで周囲の異常に気付いたつかさ先輩がふんばるっス。
「い、いいよ、かがみは甘えん坊ね」
 他の人に食われる前に食う、と意訳出来たっス。棒読みでそのセリフを言った後、つかさ先輩は震えながらもかがみ先輩のほっぺ、
と言うか唇の端についたクリームを、少しだけ出した舌でゆっくりと…舐め取ったっス!
 舐めたーー!
 今絶対クリームだけじゃなくて唇も舐めたー!
「……」
 ゴクリ。
 かがみ先輩を除く全員の喉が音を立てて鳴ったっス。
「うん、ありがと」
 かがみ先輩が、ひまわりの様な微笑みで首をかしげたっス…。
「ひ、ひゃああーーん!」
 突然、その顔を見たつかさ先輩が頭を抱えて可愛く泣き出しました。
 あ、泣くって言うか鳴くって感じっス。
「ど、どしたのつかさ?」
「つかささん?」
「お姉ちゃん?」
「もう言わないでぇーーー!」
 かがみ先輩からお姉ちゃんの言葉が出た途端、更に激しく鳴き出すつかさ先輩。
「ちょ、ちょっと、どうしたのよ。つかさ!」
 あ、かがみ先輩がお姉ちゃんに戻ったっス。
 つかさ先輩が、はっと顔を上げて、かがみ先輩の顔を見上げ、そして。
「…お、おねえちゃぁん…」
 今度は本当に鳴き出したっス。
「うええ…」
「つかさ…」
 ほんの数十秒前の立場が完全に逆転したっス。
 泣きじゃくるつかさ先輩を優しく抱きしめるかがみ先輩。
 ああ、やっぱりこれが本当の柊姉妹の姿っスねぇ。
 泉先輩も高良先輩も、背中から安堵とほんのちょっとの名残惜しさが滲んでいるっス。
「お姉ちゃん…ごめんね、ごめんね、私、やっぱりお姉ちゃんになれない…」
「でも、さっきまでいい感じだったのに…どうして?」
 それを言うっスか?
 多分貴女のせいっスよ!
 貴女があまりにも可愛いから、つかさ先輩の萌えキャパシティをあっさり超えちゃったんスよ!
「私…やっぱり妹がいい…。お姉ちゃんの役もすてきだったけど…お姉ちゃんが私に甘えてくれるのってすごく嬉しかったけど…
私、お姉ちゃんが妹をやっていると、私、私、お姉ちゃんが居なくなりそうな気がして怖くなっちゃったの…ぐす…ぐす…」
「…ま、数時間しか保たなかったけど、仕方ないわね」
「うん、ごめんなさい…お姉ちゃん…」
 つかさ先輩がかがみ先輩の胸に顔を埋めてすりすりしているっす。
 すっかりいつもの甘えん坊モードっスね。
「うーむ、しかしほんの少しの間とはいえ、あの破壊力は侮れなかったよ。つかさの白旗は正解だね」
「白旗ってなによ」
 かがみ先輩と泉先輩もいつものボケツッコミに戻ったっス。
145即死魔法:2007/09/21(金) 16:27:01 ID:jiK29I/D
 愛でたし…じゃなくて目出度し目出度しっスね。
 さて、後十年は戦えそうな位豊富なネタを貰った事だし、そろそろ飲み物片づけてノートをまとめて…。
「でもさぁ、つかさ」
「何? お姉ちゃん」
「…一日、なんて言わないから、たまに…たまーにでいいから…」
「うん?」
「…また、妹を…やらせてくれない?」
「「「えええええっ!?」」」
 かがみ先輩を除いた三人が同時に声を上げ、そして。
 ぶほっっっっっ!
 ちちち、チャイ吹いたっス! いや、そんな事よりかがみ先輩! 今何を言ったっすか!?
 精神だけじゃなく、とうとう私の耳も腐ったっスか!?
「か、かがみ! 何を!?」
「かがみさん! それは罪です!」
 高良先輩も流石にコンフュっス。
「な、何よ、別にいいでしょ?」
「でで、でもお姉ちゃん…妹するの、大変じゃないの?」
「ま、まぁ大変、よ。大変だけど…」
 かがみ先輩がふい、と顔を背けるっス。
 そして顔がほんのり赤いっス。
 ヤバイっス!
 かがみ先輩は今度こそ私達を本気で殺る気っス!
 逃げないと! 逃げないと…!
 でも、耳が、目が、次の一言を聞くまで、その表情を見るまで動かないと言っているっス!
「私だって、その…」
「「「「ゴ ク リ」」」」

「甘えんぼに、なりたいもん…」



 うちゅうの ほうそくが みだれる!



 ……。
 …………。
 ああ、光が…あれはお迎えの光っスね…。
 お母さん、お父さん…こんな私を産んでくれてありがとうっス。
 婦女子だけど、一生懸命生きてきて、最後に神の光に焼かれて生涯を終えるなら、悔いは無いっス…。
 お墓は国際展示場が見える海辺に建てて欲しいっス。
 あはは、パトラッシュ…私、もうゴールしていいよね…。
 …………。
 ……。

 で、その後のことなんだけど、私の一言の後でみんな鼻血出してエビ剃っちゃうし、しかも何故か隣にいた田村さんまで
同じ様になっちゃう始末。
 いつから居たのかしら?
 おかげで私、その後暫く四人が気付くまでの世話で大変だったんだから。
 本当、私、何かおかしな事言った?
 今度、こなたかみゆきに、つかさにしたみたいにちょっとだけ甘えてみようかな? ねえ、どう思う?
 お・ね・え・ちゃ・ん。
「あれ? つかさ、あんたまた鼻血出てるわよ? だいじょう…きゃあっ! ちょっとつか…やめ……あん……」



146名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 16:27:35 ID:jiK29I/D
以上。
おそまつ。
147名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 16:33:27 ID:f6mo1AKP
>>146
うぐぁぁぁぁああああ!!!!111111111


萌え死んだGJ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
148名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 16:37:50 ID:1NT0RNWu
>>146
『婦』女子になってたのが少し気になったけど、これはヤヴァイ。
ちょっと萌死してくるGJ!
149名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 16:44:43 ID:rDjZpIOY
なんだこれ…

な ん だ こ れ ……

な  ん  だ  こ  れ  !!!!!



さては貴様、俺たちを萌え殺す気だなっっ!!!!ああっっ読んでるこっちまで鼻血があああ
この破壊力、今までに一度も体験した事が無かっただけに強力すぎるぜ!!
狂おしいほどにGJだだだだだ!

やっべー…職場で読んでるから明らかに今俺挙動不審になってるww
150名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 16:49:15 ID:M6gvjtOU
>>146
GGGJ!!

そして

こ ろ す き か


誤字多いみたいですので、そこは注意して頂きたいです。私なんかが厚かましいのですが……

もう一度言いたい。GJでした!!
151名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 16:55:04 ID:QZN1JUgF
なんというつかさ!!萌え転げた!
152名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 16:59:15 ID:igU2jdLk
>>146
ちょっうわっやば、ニヤケ止まらねぇ!!
GJ!!

この萌え空気の後に本気で恐縮ですが投下
前スレ>>419の続きでゆた→こな
甘くない! もう一度言う。 全然甘くない!
4レス使用します
153続く坂道 1/4:2007/09/21(金) 16:59:59 ID:igU2jdLk

働けど働けど、我が暮らし楽にならず


「って、感じかな?」
「それはこなたがグッズを買いすぎるからだろ」

自分の財布の中身確認しつつ呟いた独り言にお父さんが事実を突きつけてきた。
お父さんだって色々買ってるくせに余裕だ。やっぱり収入の差?
でも、事実最近金銭感覚狂ってたし、今日は近場で済ませよう。
その手の店に行きつづけると、普通の本屋が物足りないんだけどね。

「ちょっと出かけてくるー。近くの本屋に」
「何買うんだ? 金足りるか?」
「目当てのものはラノベ一冊だから大丈夫と思う。なに、お小遣いくれるの?」
「ちっがう。お父さんも今月は買いすぎたから無理だ」

ああ、そう言えばゲームを色々買い込んでたっけ。
お父さんっていつ仕事して、いつゲームしてるんだろ。

「でもこなたがラノベって珍しいな」
「うー、かがみが貸してくれたんだけどね……やっぱ読まないと悪いじゃん?
 でも読んだらちょっと気になったから続きを買ってみようって思ったんだけどってお父さんニヤニヤしない」
「いやいや。これは元からだぞ? とにかく行って来い」

お父さんは余程かがみの事を気に入ってるのか。
それとも娘がラノベに興味を持ってくれたことが嬉しいのか。
まぁいいや。手っ取り早く本屋に行って買ってしまおう。

「でも病み上がりなんだから無理はするなよ」
「わかってるよー」

行ってきますと家を飛び出て自転車に跨る。
あんまり行かない地元の本屋だけど、道筋はちゃんと覚えてる。
いざ行かん、とペダルをこごうとしたら後ろから声をかけられた。

「お姉ちゃん!」
「あれ、どしたのゆーちゃん。寝てなかったっけ?」
「うとうとはしてたんだけど、本屋に行くって聞こえたから……私も一緒に行っていい?」

てっきりゆーちゃんは具合が悪いのかと思ってた。ずっと横になっていたし。
この前私が風邪を引いたときに看病してくれていたけど、その時の様子がちょっと切羽詰っているように見えて。
もしかしたら風邪をうつしちゃったのかななんて心配してたんだけど。
今は具合が悪そうには見えないし、行きたいって言ってくれているのなら断る理由なんてない。
154続く坂道 2/4:2007/09/21(金) 17:00:31 ID:igU2jdLk

「ほんじゃ一緒に行こうか。……でも、今日暑いよ? 自転車運転大丈夫?」
「あ……でも、近いし大丈夫だよ!」

『ぐっ』と拳を固めて大丈夫さをアピールしてくるけど、ちょっと心配。
過保護なのかもしれないけど、やっぱり自称お姉さんとしては当然でしょ。

「ゆーちゃん、後ろ乗る? さすがに人が多い道路は無理だけどある程度までは二人乗り出来るよ」

立ったままの二人乗りは無理だと思うけど、丁度荷台もあるし、座れるから大丈夫だと思う。
荷台をポンポンと叩いて乗って良いよと示すと遠慮がちに首を傾げて尋ねてきたから一回縦に頷いた。
言葉が無くてもちゃんと意思疎通が出来るって事は、結構凄い事だと思う。
ゆーちゃんが荷台に、足を揃えて横向きに乗った。
やっぱりゆーちゃんは跨ぐことは無いだろうと思ったけど、それだとちょっと危ない気がする。

「んじゃ発進するけど、その座り方じゃちょっと危ないからしっかりくっ付いてて」
「う、うん」

前を見ているから分からないけど、たぶんゆーちゃんは腰をひねって私のお腹に手を回してる。
無理がある体勢かもだけど安全の為には我慢してもらおう。
……というか、ちょっとゆーちゃんくっ付き方が半端ないよ?
服と私の髪越しに、背中へ熱が伝わってくる。頬、若干の胸、お腹の位置が体温でわかる。
お腹に回された手もぎゅっと私のシャツの服を握り締めている。
指がお腹にちょくちょく触れて少しくすぐったい。

「ゆーちゃん、もしかして二人乗り怖い?」
「だ、大丈夫!」
「いや……声上ずってるけど……」

緊張しているのかなんなのか、私の服を握る手にますます力が入った。
……安全運転で行こう。走っているうちに慣れるかもしれないし。

「行くよ? 車輪に靴とか挟まないように注意して」
「うん」

足で地面を蹴って、バランスを取りつつペダルをゆっくりとこぐ。
ふらつくけどある程度スピードに乗ってしまえば簡単だった。
車が多いところは避けるために路地の方へ。
少し遠回りになるけど、事故ったりするよりはいい。
ゆーちゃんも少し慣れて来たのか手の力は抜けてきた。
でも未だに背中にはぺったりとくっ付いている事が分かる。
こういうのってゲームだと美味しいシチュだよね。
「胸当たってるぞ」「当ててんのよ」なんて会話、リアルで聞いてみたいよ。
155続く坂道 3/4:2007/09/21(金) 17:01:09 ID:igU2jdLk

「ゆーちゃん」
「何?」
「胸当たってるよ」
「えぇ!?」

慌ててゆーちゃんが背中から離れた。
でもまだシャツを掴んだままだったから、自然と私も後ろに引っ張られ……って危なぁああ!!
緊急ブレーキをかけて、こけそうになったので路地の壁に足をついて何とか体勢を立て直した。
こけそうになったゆーちゃんは再び私にしっかりと抱きついていた。
もしゆーちゃんが手を離していたら地面に転がってただろうと思うと……背筋がぞっとした。

「ご、ごめんなさいお姉ちゃん!」
「い……いや、いいんだけど……むしろ今のは私が圧倒的に悪い……本当にソーリー反省ごめんなさい」

足を下ろして、壁に手をつく。うわ、今のは本当に心臓に悪かった。
言う時と場合を考えないとね。身に染みたよ本当。

「ゆーちゃんは? 怪我は無い?」
「うん、お姉ちゃんは?」
「慌てて壁蹴った足がジンジンしてるぐらい。もう無問題」

再び片足をペダルにかけると、今までしっかり抱きついていたゆーちゃんが体の間にスペースを取った。
遠慮というか……やっぱりさっきの私のセリフの所為?

「ゆーちゃん、もっとぺたーっとくっ付いて良いよ。むしろくっ付いて欲しいんだけど」

その方が怪我をする可能性も低くなるだろうし。

「……そうなの?」
「もっちろーん。こういう萌えシチュエーションは滅多に無いしね」
「……そっか」

うわん、突っ込みなしだよ。
後ろを振り向いてないから表情は分からないんだけど、口調はちょっと嬉しそうだった。
二人乗りなんてゆーちゃんはあんまりしないだろうし、こういう体験は楽しいのかも。
だったら安全に、でも目いっぱい楽しませないとね。姉として。

「行っくよー、もうすぐ坂道だからきっと気持ち良いよ」
「う、うん!」
156続く坂道 4/4:2007/09/21(金) 17:01:46 ID:igU2jdLk

坂道と聞いて抱きついてくるゆーちゃん。
怖いからかもしれないけど、返事は期待しているようだった。
ペダルをこぎなおす。さっきよりバランスの取り方を体が理解しているのかスムーズに進んだ。
坂道に辿り着き、少しずつ私たちを乗せた自転車の速度が加速していく。
もうペダルをこぐ必要も無かった。スピードが出すぎたらちょっとだけブレーキをかけるけど、少し汗をかいた体に風が気持ちい。
自分の髪が風でなびく。あ、後ろに乗ってるゆーちゃんにはものすごい邪魔になってないかな。

「ゆーちゃん!」
「な、何!?」

風でかき消されないように少し強い口調で名を呼ぶと、ゆーちゃんも少し声をあげて返してきた。
耳元で風が通り過ぎる音よりも、確実にゆーちゃんの声が響く。

「私の髪、邪魔になってない!?」

邪魔になっていたとしても、結ぶ物なんて無いので我慢してもらうしかないけれど。
もしくはゆーちゃんにリボンを一本貸して貰って二人でポニーテールでもするしかない。

「大丈夫! 全然邪魔じゃないよ!」

ゆーちゃんの温度を、背中で強く感じた。
息の温度も一瞬感じた。深呼吸をしたように、腹式呼吸をした事も感じ取った。
どうやら私の髪に顔を埋めているらしい。
邪魔にはなってないと言っているし、ゆーちゃんの声も妙に弾んでいるなら……これはいい事だと思う。



「ラストスパート行くぞー! ゆーちゃん!」
「うん!」


曲がり角が見えた。あと数秒で坂道が終わる。
でももっとこの坂道が続いて欲しいと、心のどこかが願っている。
157名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 17:03:53 ID:igU2jdLk
以上です
あくまでこなたは姉的感情のみ

俺、次こそかがみ視点終わらせてゆたかとみなみの話を書くんだ……
158名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 17:19:00 ID:Dv0Gobi8
>>146
わずかに残った理性で「つかさ一人称の時に車田ネタとかどうなのよぅ」とか、
「つかさからみゆきへの呼びかけは『ゆきちゃん』だよ」とか言ってはおく。


が。しかし。
>「甘えんぼに、なりたいもん…」


……か、かがみ。それ、は、反則……。ぐ、ぐっじょぶ……ぐふっ。
159名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 17:22:53 ID:rDjZpIOY
>>157
これはこれでほのぼのとしてて良いね!GJ!
でも前回の内容見てから今回の話読んてるせいで、ゆたかがどんな気分でいるのか
大体想像が付いてしまってついニヨニヨしながら読んでた俺ヤバスwww
160名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 17:25:40 ID:Dv0Gobi8
>>157
うお、リロードしてなかったら甘酸っぱい一本が。
前作を読み返すと色々味わい深いですな、GJ。
161名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 17:30:24 ID:KqFsY3KE
>>146
萌え殺された・・・・・!!!!!!!!!
ただでさえ可愛いかがみんがい も う とキャラだとお・・・・・・・!?
この事態を俺の中の国連は非常事態と捉え、臨時会議を行っています・・・・・
ぐぐぐぐぐぐぐっじょぶう!!!!
162名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 17:32:31 ID:SVa2owhU
>>146
GJ
甘えんぼかがみ、萌え。

>>157
GJ
ほのぼのと甘酸っぱいですね。
163名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 17:34:23 ID:QXNk5SnX
いのりとまつりはこの攻撃に毎日耐えているのか
164名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 17:39:28 ID:rDjZpIOY
いやこれはかがみがつかさを演じているからこそであって
いのりまつりにとっての妹としてのかがみはそりゃもう無愛想…

あれ、職場だってのに誰かが俺の事呼び出してるようだ
ちょっと行って来る
165名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 17:41:34 ID:z13/zwbw
>>146
テンポいいなー。良質の萌と笑いをありがとう、GJ

>>157
前作見てると行間が面白くてしょうがないぜ、GJ

>>163
ただおさんはいのりとまつりとかがみとつかさに『お父さん』と呼ばれているわけで……
166名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 17:48:11 ID:yQVNB8wS
>>157
ゆたか×こなたがもっと見たい。
ちょっと積極的なゆたかもいいな。
1674−601:2007/09/21(金) 18:22:43 ID:1nUmPdUJ
>>157氏の爽やかさが羨ましい今日この頃。
流れ的に空気読んでない感がしまくりですが、投下させていただきます。

○五レスお借りします。
○拙作「レイニーロジック」と同一世界観の話です。過去作は保管庫に収録されております。
 #まとめの方、いつもありがとうございます。
○ゆたかとみなみとこなたの話です。
○えろくはないのですが、ひょっとしたら暗いSSかもしれません。
○キャラがいろいろとアレなので、合わないと思ったらスルーでお願いします。
168私は求めていなかった(1/5):2007/09/21(金) 18:24:31 ID:1nUmPdUJ
 実を言うと、水の中に入った経験が、ほとんどない。小さなころから体が弱かった私は、体育にまともに参加できた記憶が
あまりないのだ。普段の体育などでもそうなのだから、水泳の授業ならなおさらだ。体操服に着替えて、日陰に座り込んで、
楽しそうに泳いでるみんなを眺めている私。毎年毎年、学校指定の水着を買うには買うのだけれど、一度も着られることのな
いままにタンスの奥にしまわれていく。
 そんな私でも、一度だけプールというものに行ったことがある。顔をつけて、水の中で目を開ける練習をして、それから浮
かぶ練習をした。不思議と、水中にいるのは楽しかった。重力が消えて、自分の重さがゼロになって、水の中で浮かんでいる、
そんな感触を、とても懐かしいと私は思った。
 ふわふわと水の中に潜りながら、初めてプールに行ったのに、なぜか私は、それと似た感じを知っているような気がしたの
だ。





 私は求めていなかった(レイニーロジック・X)
169私は求めていなかった(2/5):2007/09/21(金) 18:26:11 ID:1nUmPdUJ
 梅雨は、いつになったら終わるのだろうか。眠りから覚めて、カーテンを引いた私はまずそんなことを考えた。窓を叩く雨
粒の音が妙に大きく聞こえる。ぱたぱたぱた。そこに何か規則性のようなものを見つけようとして、すぐにそんなものあるわ
けがないことに気付く。
 パジャマを脱ぐと、昨日の晩枕元に用意しておいた着替えを手に取る。時間はいつもよりも早い。今日は私が朝食を作る番
なのだ。今まで、こっちの家に来るまではそんなことはしたことが無かったけれど、今はこなたお姉ちゃんに教えてもらいな
がら、すこしずつ料理も覚えていっている。それは変化なのだろうか、と私は考える。きっと変化なのだろう。
 着替えてリビングに降りると、エプロンを身につける。まだ誰も起きてきていないようだった。昨日の晩にセットしておい
たご飯が炊けていることを確認すると、鍋に水を張って、火にかける。ご飯、お味噌汁、冷蔵庫から鮭の切り身、漬け物、あ
とは納豆かな。本当に簡単なものしかできないけれど、お姉ちゃんもおじさんも美味しいって食べてくれるのが、私には嬉し
い。
 私は、何かをしている。
 私は、誰かと繋がっている。
 そんなことを、嬉しいと思ってしまう。それはいけないことなのだろうか。
 少しだけぼんやりする頭を振って、私は手のひらの上でカットしたお豆腐を鍋の中に落としていく。こんなことに自分を肯
定してくれるものを求めてしまうのは、いやらしいことなのではないか、そんなことを考えながら。


 おはよう、と声をかけると、普通におはようと返事が返ってくる。それは、私にはとても新鮮なことだった。中学のことは
教室では息を潜めていただけだったような気がする。いじめられていたわけではない。いじめられるほどには、私の存在は濃
くなかったのだろう。友達らしい友達もいなかった。その証拠に、高校になってからも付き合いのある中学時代の人は、私に
はいない。ときどき、あの頃の私はいったい何をしていたんだろうという気持ちになってしまう。
 そんなことを考えながら自分の席に鞄を置こうとすると、他のクラスメイトと話していたみなみちゃんと視線があった。軽
く、私に向かって片手を上げる。私はそんなみなみちゃんに手を振り返した。
 みなみちゃんはこっちに来そうな様子だったけれど、私は手を振って、机の上に置いた鞄を空けると、筆記用具や今日の授
業で使う教科書を引っ張り出し始めた。そんな私の様子をみたみなみちゃんは、クラスメイトとの話に戻ったみたいだった。
 何故そうしたのか、自分でもよく分からなかった。少しずつ、みなみちゃんが私から離れていく、そんな現実を想像してみ
た。それはきっと、遠からず訪れる未来なんじゃないのかと私は思う。彼女は純粋で、優しくて、どこにも馴染めない私を放
っておけないだけなのだ。そんな関係はきっとすぐに破綻する。それを私は知っていた。いつだってそうだ。親切そうに私の
体が弱いことを気遣ってくれた人も、そのうちにいなくなる。それを悪いとか、嫌だとは思わない。ただ、そういうものだと
受け入れるだけだ。これまでそうやって生きてきて、これからもそうやって生きていくだけなのだろう。
 私はいつも、無意識に誰かの庇護を当てにして動いているんじゃないだろうか。一度そんな風に考えてしまったら、もうそ
れを止めることは私には難しかった。これまでの私が、その考えを肯定してしまっているように思えた。少なくとも、高校に
入るまでの私は、みなみちゃんに出会うまでの私は、そうだったはずなのだ。
 自分の席に座って、私は自分の右手を見た。自分の手の向こうに、いつかの夕日が見えた。手を繋いだときの暖かさが世界
を塗り替えるように思い出せた。

『ゆたかの手は、あたたかいよ』

 握って、開く。そこにはもういつかの夕日はない。手を繋いだときの暖かさもない。自分の体温があるだけだ。
 いつだってそうで、これからだってずっとそうであるはずなのだ。
170私は求めていなかった(3/5):2007/09/21(金) 18:28:06 ID:1nUmPdUJ
 運命の出会いという言葉を、私は信じていなかった。けれどそれは、信じたいけれど、そんなことがあるはずがないという
意味で、信じていなかったのかもしれない。そんな思いの裏返しとして、私はいつかそんな出会いが自分にやってくるんじゃ
ないかと夢を見ていたのかもしれない。
 みなみちゃん。
 出会った瞬間に分かっていたのかもしれない。
 みなみちゃんは、私の『運命の人』だって。

 それが、みなみちゃんにとっての運命だと思えるほどには、自惚れてはいないけれど。




「運命の人、かぁ」
 きい、とこなたお姉ちゃんの座っている椅子が軋みながら回転して、お姉ちゃんは私に体を向けた。喉のあたりにつっかえ
るようなものを感じて、私はけほんと小さく咳をした。
「そういうのってさ、お姉ちゃんはあると、思う?」
「あるんじゃないかな」
 今日の天気の話でもするように、お姉ちゃんはさらりと私の言葉に答えた。
「その人を、好きになることも?」
「たぶん」
「ずっと、一緒にいたいと思っちゃうことも?」
「きっと」
「もっともっと、相手のことを知りたいと思っちゃうことも?」
「もしかしたら」
「もっともっと、相手に触れたいと思うことも?」
「可能性としては」
「要するに、えっと、その、」
「セックスしたくなるか、ってこと? それなら、まあ、あるんじゃない?」
 その単語がお姉ちゃんの口から飛び出してきたことに、私は驚いた。お姉ちゃんがまったく表情を変えずに、いつも通りの
お姉ちゃんのままでそんな単語を口にしたことに、私は驚いた。驚いて、驚いて、そして、私は理解してしまった。
「ね、ゆーちゃん、あるんだよ。そういうこと、きっと、あるんだよ」
「お姉ちゃん」
 喉に何かが引っかかったような声で、私はお姉ちゃんを呼んだ。でも、私は頭のどこかで、自分の制御下にある意識の外で、
きっと理解していた。私の声は、お姉ちゃんには届かない。私のどんな言葉も、お姉ちゃんには届かない。
 私は、お姉ちゃんと同じ場所に立ってはいない。
「同じだよ」お姉ちゃんは言った。「ゆーちゃんはもう、同じ場所にいるんだよ」
171私は求めていなかった(4/5):2007/09/21(金) 18:30:03 ID:1nUmPdUJ
「違う」
「違わない」
 お姉ちゃんは私から視線を外して、窓の外を見た。窓に張り付いていた雨蛙が、雨に押されるようにして張り付いていた窓
から飛び降りた。雨蛙のいなくなった窓を、雨が乱暴にノックしている。
「雨が落ちてくるのと、同じようなものだよネ」お姉ちゃんは小さく肩を竦めた。「空の上で、水蒸気が集まって、それが大
きくなって落ちてくる。重力に耐えられなくなって、落ちてくるんだよ」
 私は小さく頭を振った。
「重力には、逆らえない」
 違う、と私は言いたかった。それは違う、と言いたかった。言わなければいけないと思った。
「落ちていくのを止めることなんて、できないんだよ」
 なのに、現実の私は、頭を横に振ることしかできなかった。声が出なかった。喉に何かが詰まったように、ひゅうひゅうと
今にも消えそうな吐息が漏れるだけだった。そんな私を、お姉ちゃんは見ていなかった。椅子に座ったまま、窓の外の景色を、
見ていた。お姉ちゃんの見ているものが、私には見えないんだと知った。
 私は胸を押さえた。私とお姉ちゃんの会話は、もう終わっていた。どうしようもなく、終わってしまっていた。どこにも行
き場のない言葉と想いの残滓だけが、今この部屋の中を漂っていた。それを拾い集めたらどこかにいけるのだろうか、と私は
思った。何かに届くのだろうか、と私は思った。けれど、残滓は残滓で、もう捨てられてしまった言葉だった。もう戻ること
のない想いの断片でしかなかった。
 ごくん、と私は乾いた口の中から、無理矢理唾液を飲み込んだ。
「みなみちゃんに、よろしくね」
 背中を向けた私にかけられた言葉は、とても優しくて、残酷な声色だった。振り返って、その言葉を言ったお姉ちゃんの表
情を見たいという衝動が、ほんの刹那にも満たない時間の間、私の全身を走り抜けた。精一杯の自制心を動員して、私はそれ
をやり過ごした。この部屋の中に浮かんでいるものが、その言葉と一緒に私に絡みついてくるのが分かった。
 落ちていく、と私は思った。
 重力には逆らえない、という言葉を私は想った。
「……かがみさんに、よろしく」
 そんな私の精一杯の抵抗も、部屋の中に浮かんでいるものの中の一つに溶けて、消えていくようだった。
 こほん、と私はひとつ咳をした。

 

 触れてはいけない。
 そんなこと、分かっている。
 分かっている、のに。


 目を開く。結局まともに睡眠をとることはできなかったな、と私は思った。目を閉じると真っ黒な世界の中でいろんなもの
がぐるぐると回っていて、それが私の中に入り込んでこようとしているように感じて、その度に目を開けて、そんなことを繰
り返していたら眠れるわけなんてなかった。
 こほん、と咳をする。なんだか重く感じる体を引きずるようにしてベッドから降りた。
 着替えてリビングに降りると、私の分の食事だけがテーブルの上に置いてあった。その傍に小さなメモが一つ。お姉ちゃん
が先に家を出たこと。叔父さんは仕事の打ち合わせでそれよりも早く家を出ていること。私は用意されていた朝食を押し込む
ようにして食べると、食器を流しにおいて、家を出た。
 雨は、降り続いている。
172私は求めていなかった(5/5):2007/09/21(金) 18:32:35 ID:1nUmPdUJ
 バスから降りたところで、私はみなみちゃんの後ろ姿を見つけた。たくさんの同じ制服を着た同じような後ろ姿の中で、そ
の人だけが特別だった。探す必要もなく私の目に飛び込んでくる。その意味を考えようとして、やめた。昨日のお姉ちゃんの
言葉の意味を考えようとして、やめた。
 息苦しさを感じて、私は胸を押さえた。喘ぐように、酸素を求める。上手く息が吸えない。
 声をかけたわけではないのに、何故かみなみちゃんがこちらを振り返った。私を見るその目が、驚きで見開かれている。あ
まり表情を変えないみなみちゃんにしては珍しいな、と私は思う。
 傘が、私の手から落ちた。
「ゆたか!」
 ぐ、と引き寄せられるのが分かった。真っ白なものが私の視界いっぱいに広がった。のろのろと顔を上げると、私を見下ろ
すみなみちゃんの顔があった。驚いたような、焦ったような、そんな顔。狼狽しているみなみちゃんの顔は、それでもやっぱ
りきれいだった。私はきれいだと思った。どんなみなみちゃんも、きっときれいなんだろうと思った。
「みなみちゃんは」
「ゆたか」
「きれいだ、ね」
「ゆたか」
 触れてはいけない、そんな風に言い聞かせていた私の手は、みなみちゃんの服の裾を掴んでいた。雨が私とみなみちゃんを
濡らしていくのが分かった。運命の人。重力。全てのものに存在する重力。引っ張り合う力。止めることなんて、できない力。
額に触れた、ひんやりと気持ちの良いみなみちゃんの手。
「熱が、ある」
 ふわり、と体が浮かんだ。まるで重力が無くなったみたいな気分。ふわふわとどこかに浮かんでいるような感じ。ああ、と
私は思う。プールに行ったときのことを思い出す。慣れているように感じたのはこのことか、と納得する。わざわざ水の中に
入らなくても、私はいつも地上でふわふわ浮かんでいる。みなみちゃんに抱き抱えられて、私はふわふわと浮かんでいた。
「しっかり。すぐ保健室に」
 雨が私を濡らしていくように、ふわふわ浮かんでいた私は落ちていくんだ、と思った。私を引っ張っているのはみなみちゃ
んの重力だった。今の私にはそれだけだった。それしかなかった。
 それだけが、求めてはいけないものなのだと知っていた。
 それだけしか、私は求めていなかったのだと知った。
 落ちていく、と私は思った。
 みなみちゃんを巻き添えにして、落ちていく。
 私はそのまま、みなみちゃんの胸に顔を埋めるようにして、目を閉じた。
 ごめんなさい、と小さく呟いた。
 頬を濡らしていたのは、雨だけだった。きっと、雨だけだったんだ。


 空を見上げた。ハリガネのような雨が私に向かって降ってくる。
 私を撃ち抜くように降ってくる雨。もっと、もっと痛くなればいい、と私は思って、
 それが、お姉ちゃんの見ていた景色なんだと、知った。
1734−601:2007/09/21(金) 18:34:20 ID:1nUmPdUJ
以上です。
読んでくださってありがとうございました。
174名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 18:44:53 ID:yPtcyEex
>>146
あなたが神か
GGGJJJJJJ!
175名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 18:55:20 ID:f6mo1AKP
>>173
あいかわらず今日も投下のオンパだねぇwwwwwwww

ともあれGJ!!!!!!!!!!!1
176名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 19:00:38 ID:QXNk5SnX
GJっす!
ゆたかとダークは親和性高いなぁ
177名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 19:13:21 ID:Bx66K+Cm
各氏ともGJ!

>>148、150、158
そこは「>>146氏は、萌死により我々が全滅するのを防ぐため、あえて誤字などを織り交ぜることで、
理性の強い者を辛うじて生き延びさせた」と解釈してみてはどうだろうw

それでも結局萌死を選んだ>>148のような人もいるわけだが……。
178名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 19:20:12 ID:P8AZgKK+
>>157
GJ、にやにやが止まらない
しかしあなたのこなかがも次でラストか…
続きは見たいが終わってほしくない、複雑な心境だぜ
179名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 19:36:38 ID:o94EKT3e
今日もすごいな……
皆さんぐっじょ!!
萌え死んだりニヤニヤしたりしんみりしたり忙しいZE!!
180名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 19:41:23 ID:RZQa6CEE
>>146
あれ?こんなところに理想の柊姉妹が。GJすぎる。
俺も何時の日にか>>146のようなSS書きになれるといいな。
181名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 19:42:15 ID:KqFsY3KE
>>180
彼女らを愛し続ける気持ちがあれば、きっとかけるさ
182名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 19:52:55 ID:sCl9us3Q
>>173
GJ !

怒涛の良作ラッシュに嬉し涙が止まりません !
183名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 20:01:39 ID:Xcfl/xqm
>>146
これは萌え死ねる
つかさとひよりが萌える様子を描きつつ盛り込まれたネタも最高w
最後の行で何が起こったのかをkwsk

>>157
こなたは大変なものを(ry
ゆたかの心情を知っているか知らないかで
印象が違ってくるのが面白いです

>>173
助けてもらうことは必ずしもいいことばかりではない。
自分も今そういうSSの構想を練ってます。

それとは関係なしに、みなみ×ゆたかのエロを投下します。
8レスほど
184名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 20:02:27 ID:Xcfl/xqm
 その場は、静かで厳粛だった。そして、呼吸すら躊躇われるほどに空気は張り詰めていた。
 泉こなたと田村ひよりはそれぞれ定められた位置に着席した。
 こなたとひよりは互いに向き合うように、こなたに寄り添うようにそうじろうが、ひよりに
寄り添うように八坂こうが座る。さらに、二組の横、二組ともを見据える位置に、桜庭ひかる
パトリシア・マーティン、宮河ひなたの席があった。将棋に例えるなら、こなたとひよりが
対局する棋士の位置、ひかるたちが記録係の位置に座っていることになる。
 こなたとひよりは一切の言葉を発さず、静かな気迫を漲らせた。それこそ大一番を控えた
一流棋士のように。
 事実、彼女たちはこれから対決を迎えようとしていた。その勝負に金品は一切賭けられて
いない。だからこそ、彼女たちはそうではないものを賭ける。――プライドを。
 体操、絵画、料理――『美』を競うものは、優れたものはあっても絶対的な基準で以って
その優劣を決定することはできない。彼女たちが競うものもその類であった。
 ひかるたちははその審査員である。これから競うものに精通していて、かつ偏見なく審査を
できる者は彼女たちくらいしかいない。
「デハ、これより究極と至高の対決をハジメマス」
 こなたは究極を目指し、ひよりは至高を目指す。究極と至高そのものに優劣の差はない。
しかし、それをこれから決めなければならないのだ。
「究極と至高のエロドウジン対決、今回のテーマはみなゆたデス」
 彼女たちはあくまで真面目である。
「まずは究極のみなゆたをお願いシマス」
185名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 20:03:08 ID:Xcfl/xqm
先攻・究極のみなゆた

 二人きりの保健室。白いベッドに横たわるゆたかを、みなみは愛しそうに見つめた。
「大丈夫かい、ゆたか」
「うん、少し休めば――それより、お姫様だっこは恥ずかしかったよぉ」
 ついさっき、みなみはゆたかをそうして運んできたのだ。思い出したゆたかは赤面する。
「自分で歩くことくらいできるのに」
「私がそうしたのは……ゆたかを抱きたかったから……」
「みなみちゃん……?」
 うろたえるゆたかに対し、みなみは真剣な眼差しで答える。これは冗談ではないと。
「抱くだけじゃない、もっと欲しい」
 ゆたかの答えを待たず、みなみは口付けをした。眠れるお姫様を目覚めさせるキス。
「もっと、ゆたかが欲しい」
「欲しいって……何をすればいいの?」
 ゆたかは何を言われても従うつもりでいた。その身を賭して自分に尽くしてくれる王子様に。
「わからないなら、ただ私のすることを受け入れてくれればいい」
「うん……私を、みなみちゃんにあげる」
 ゆたかは潤んだ上目遣いでみなみを見つめた。それは他の誰にもできない、純粋で小さな
ゆたかだけが体現できる可愛らしさ。
 みなみなゆたかのそんな目が好きだった。いつも自分を見上げてくる瞳。無邪気に慕って
くれる純真さ。ゆたかに恋心を抱くのは、みなみにとってとても自然なことだった。
「きれいなところ、全部見せて」
 ゆたかの体を起こして衣服を全て脱がせ、自分も一糸纏わぬ姿になる。
「きれいだよ、ゆたか」
 病弱さを示すように手足は細く、しかし可憐だった。申し訳程度に膨らんだ胸の先端には
小さな桜色の突起。そして、女の子の部分はまだ子供のままであり、きれいに縦のすじが
入っているだけ。一切の穢れを知らない少女の身体がそこにあった。
「そんなに見られたら、恥ずかしいよ……」
 ここにきてゆたかはさらに赤面した。手で胸とあそこを隠そうとしたが、その手をゆたかに
押さえつけられ、そのままベッドに押し倒された。
 一瞬、ゆたかの身体が強張ったが、すぐにそれを解いた。王子様の愛を受け入れるために。
「好きだよ」
「私も」
 二度目の口付け。ゆたかを虜にするためのキス。みなみの舌がゆたかの口内に進入した。
強引に舌をねじ込み、唇を、舌を、歯茎を、ゆたかの味を貪る。口内を蹂躙され尽くした
ゆたかは、涙目になりながらもみなみの行為を受け入れた。
186名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 20:03:54 ID:Xcfl/xqm
「はぁっ……キスってこんなに……」
「これから、もっとすごくなるから」
 ゆたかの胸の小さな膨らみ。仰向けになってしまえばみなみのそれと何ら変わらない。その
先端を口に含んだ。押さえつけた手はとっくに解いている。
「ひゃっ! なんかこれ……ムズムズするよぉ……」
「それは気持ちいいっていうことだから」
 みなみの言葉通り、ゆたかはそこにやってきた刺激を快感だと認識した。
「うわぁ……おっぱい、吸われて気持ちいい……」
「こっちはもっと気持ちいいよ」
 乳首を吸ったまま、みなみの左手の指はゆたかの割れ目をなぞった。ぷっくりと膨らんだ
割れ目の、まずは表面だけを優しく撫でる。
「ふわああ! ……な、なにこれ……」
「大丈夫、安心して」
 はじめてそこを触られたゆたかには、ある種の恐怖感があった。しかし約束どおりみなみを
受け入れるために身体の力を抜いた。
 今度は割れ目を開き、その内側を指でなぞった。
「あっ、いやっ、あぁっ!」
 ゆたかの反応が大きくなってきた。その小さな身体を震わせて喘ぎ声をあげる。
 まだ幼い少女の表情は羞恥と快楽に彩られて、それでも可愛らしさを失っていない。
「あんっ……だめだよ、わたし……変になっちゃうよ……」
「見せて、ゆたかが変になったところ」
 出血まで至らないように気をつけながら、みなみは指を挿入した。はじめはゆっくり、
じわじわと激しくしていきながら、ゆたかの中をかきまわす。
「あぁ……んぁあっ……なんか、来るっ……」
「恐れないで。受け止めて」
 みなみは三度目のキスをした。今度は、お姫様に勇気を与えるキス。これからやってくる
感覚を、恐れず受け入れるための勇気を。
「あっ、やっ、ふぁっ、ああっ……」
 その時が近づいていた。ゆたかは小動物のように震えながら、ただみなみに抱かれている。
「ふぁああっ、あっ、あぁっ、もう、もうだめええええええっ!!」
 絶頂がやってきた。ゆたかのその小さな身体が、はじめての感覚に震えた。
 顔立ち、身長、胸、性格、どれをとっても子供そのもの。そのゆたかが今、初めてイった。
その危ういまでの美しさに、みなみは酔いしれた。
「はぁ……はぁ……」
 虚空を見つめながら息を整えるゆたか。その唇を、四度、みなみの唇が塞いだ。
「んあっ……ゆたか……もっと、欲しい」
 みなみこそが、ゆたかの虜になっていた。四度目のキスは、忠誠のキス。
「もっと、させて」
「うん、みなみちゃんに、もっとしてほしい……」
 王子様は、お姫様を寝台に横たえたまま、さらなる愛を与えた。
187名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 20:05:02 ID:Xcfl/xqm

「オー! ユタカがエロいデス!」
「うむ、小早川がいかにロリかをアピールしたうえで、その小早川を乱れさせることで
普段のあどけなさとのギャップを引き出している」
「王子様とお姫様に例えて二人の役割をわかりやすくしてあるのですねぇ〜」
 パティ、ひかる、ひかげがそれぞれの解説および感想を述べた。
「おお、審査員にも好評だぞ! さすがこなただ!」
 審査員の反応にそうじろうは歓喜する。
「今回のみなゆたは歩く萌え要素であるゆーちゃんの萌えの部分を徹底的に強調することで
エロさを表現することを今回の主眼としました。そしてみなゆたの基本はマリみてのスール
関係にも似た尊敬と慈愛。それを王子様を無邪気に慕うお姫様と、お姫様に心を開く寡黙な
王子様に例えることで攻め受けの関係を自然に演出しています」
「みなゆたの親友関係を応用した王道というわけだな」
 ひかるのコメントにこなたは満足げに肯いた。
「そのとおりです。そして極めつけは保健室。学校という場で唯一ベッドのあるこの部屋は
エロイベントの宝庫。どんな状況からでもエロシーンに移行することができるため、一切の
不自然さを感じさせません」
 こなたの解説に、審査員の賞賛が続く。
「さすがはコナタ、ロリの扱いは心得てマスね!」
「私もひかげちゃんを愛してあげたくなっちゃったわぁ」
 こなたはほくそ笑みを浮かべた。田村ひよりなど恐るるに足らない。
 この究極のみなゆたに勝てるわけがない。こなたは勝利を確信していた。
「くっ、ひよりん……」
 こうは歯噛みした。こんなものを出されたら、いくらひよりでも――
「ふっふっふ……これでみなゆたを究めたというのなら愚かしいですね、泉先輩」
 ひよりの表情に一切の焦りはない。むしろ嘲りが含まれているようにさえ見えた。
「なんだと!?」
「負け惜しみを……」
 そうじろうは動揺。こなたは怒り。それぞれの感情を込めてひよりを見据える。
「泉先輩は肝心なことを見落としているっス」
「見落とし?」
 ひよりの宣言に審査員の誰かが反応した。
「ハッタリだ! 究極のみなゆたのどこに欠点があるというんだ!」
「説明するよりも、まずは至高のみなゆたをご覧いただきましょう」
188名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 20:05:45 ID:Xcfl/xqm
後攻・至高のみなゆた

 手を繋いでいた。何も言えず、ただ手を繋いでいた。
 何て言えばこの気持ちが伝わるのかわからなくて、ただ手を繋いでいた。
 愛しい人を見つめてみた。彼女もこちらを見つめている。
 繋いだ手から、絡めた視線から、気持ちが伝わればどんなに楽だろう。

(せっかくゆたかが来てくれたのに)
 みなみはゆたかを自室に招き、ゆたかはそれに応じた。しかし、ここに来て何をやったかと
いえば、ただ手を繋いでいるだけ。一言も交わさないままに。
 言わなければ伝わらない。でも何て言えばいいのかわからない。
 言ってしまったら嫌われるかもしれない――みなみの手が震えた。
 いや、勇気のない私を、ゆたかは嫌ってしまうかもしれない――みなみの身が竦んだ。
「みなみちゃんと友達になれたのって、みなみちゃんがハンカチ貸してくれたからだよね」
「うん……」
「みなみちゃんのこと名前で呼べなかったとき、私のことゆたかって呼んでくれたよね」
「うん……」
 みなみには、ゆたかがそんなことを言ってくる理由がわからなかった。
「いつもみなみちゃんから勇気をもらってるから、今度は私が頑張るんだ」
 ゆたかはみなみを真っ直ぐ見つめた。
「私、みなみちゃんのこと好き」
 もう片方の手を繋いだ。指と指を絡めあう、いわゆる恋人繋ぎ。
 その手から、視線から、ゆたかの想いが伝わってきた。ゆたかはみなみが好き。みなみは
ゆたかが好き。その想いもきっと伝わっている。でもそれで満足してはいけない。
「私もゆたかのことが好き」
 手には手で。目には目で。言葉には言葉で応える。そして――
「ゆたか」
 唇には唇で。二人の唇が重なり合った。
 繋がった数だけ、想いが伝わる。それならば――
「もっと、ゆたかと繋がりたい」
 素肌と素肌で。一糸纏わぬ姿で。
 ゆたかをベッドにエスコートして座らせると、みなみもその隣に座った。肩を抱き、もう
一度キスをした。
「ゆたか、抱きしめていいかな?」
「うん、もっと抱きしめてもらいたい」
 その華奢な身体が折れてしまわないように、優しく抱きしめる。ゆたかもみなみの背中に
腕を回し、二人で抱き合うと、互いの胸が触れ合った。
「わ、私の方が小さい……」
 ゆたかもほとんど無いも同然なので実際にはみなみの被害妄想なのだが、とにもかくにも
みなみはそれだけ胸のことでコンプレックスを抱えていた。
 ゆたかもゆたかで困っていた。一体どうすればいいのかわからずに……。
「私もそんなに大きくないよ……」
 ゆたかはみなみの手をとって、自分の胸を触らせた。好きな人に胸を触られているという
事実にゆたかは感じ入ってしまう。みなみもまた、ゆたかの胸の感触と表情に魅入られてた。
「ゆたかは可愛いから。でも私は」
「みなみちゃんだって可愛いよ」
 ゆたかはすかさず言い返した。
「みなみちゃんは優しくてカッコいいけど、やっぱり可愛いもん。私はその……そういう
ところも全部含めて、みなみちゃんのこと好きだよ」
 ゆたかのことを好きになってよかったと思った。澄んだ瞳で見つめてくるゆたかを、
心から愛しいと思った。
 もう一度、ゆたかにキスをした。
189名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 20:06:59 ID:Xcfl/xqm
「ゆたかのこともっと抱きたい。いいかな」
 ゆたかは肯いて、自らベッドに横たわる。
「みなみちゃんの好きにして。みなみちゃんになら何をされてもいいから」
 みなみも肯いて、ゆたかに覆いかぶさり、しかし体重を預けることはしない。
 キスをしながら、掌でゆたかの肩を撫でた。さらに腕、胸、脇腹、太股、ゆたかの全身を
愛撫する。特に胸を撫でるときに反応が大きくなる。
「ん……みなみちゃん……」
 名前を呼ばれて、少しだけ愛撫を強くした。文字通り腫れ物に触るように、細心の注意を
払いながら。
「んっ……んんっ……」
 みなみはゆたかを優しい目で見つめる。
 ゆたかはみなみを潤んだ目で見つめる。
 もう一度、キスをした。
「もっと触っていい?」
「私も触るよ。みなみちゃんにも気持ちよくなってもらいたいから」
「うん」
 互いの大事なところに手をあてがう。好きな人が自分のそこを触っていると思っただけで、
二人とも胸が高鳴った。
「みなみちゃん……んっ……私、気持ちいいよ……」
 始めは穏やかに、徐々に激しく。くちゅくちゅと音がなる。
「ゆたか……もっと、して」
 もっと気持ちよくなってもらいたい。二人の心は一緒だった。
「んふっ……みなみちゃん、もっと……きっ……気持ちよくなって」
 それは、もっと気持ちよくなりたいという懇願でもあった。
「あぁっ……はあっ……ゆたかも……っ」
 愛してもらっているから、気持ちよくなりたい。
 愛してあげているから、気持ちよくしてあげたい。
「好きっ……んんっ……みなみちゃん、好きだよっ……」
「私も……好き、ゆたか、好きっ」
 あまりの快感に思わず目を閉じそうになって、それでも愛しい人を見ていたくて、必死で
目を開けた。その怪しく美しい目つきが、互いを魅了する。
「わ、わたしっ、気持ちよすぎて、もう……」
「私も……もうすぐだからっ……ゆたかっ……」
 愛撫していないほうの手を繋いだ。恋人繋ぎで。
 心が伝わる。気持ちが伝わる。身体が繋がっている。
 二人を阻むものはなにもなく、心のままに高まっていった。
「みなみちゃん、わたし、もうだめ、みなみちゃんっ、みなみちゃんっ、みなみちゃんっ!!」
「ゆたか、わたしも、いく、いくっ、あああああっ!!」
 あまりの快感に押し流されそうになって、互いに離れないように強く手を握り、唇を重ねた。
 しばらくそのまま抱き合って、愛を交わした余韻に浸っていた。
「ありがとう……私を好きになってくれて」
 病弱な自分をいつも助けてくれる。いくらお礼を言っても足りないくらい感謝してる。
「お礼を言うのは私のほうだよ」
 些細な悩みなど吹き飛ばされてしまう。どれだけゆたかに救われてきたことだろう。
 ありがとうなんて何度言っても足りない。それでも――
『ありがとう』
 何度でも言う。こうして二人が繋がっているのだから。
190名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 20:08:34 ID:Xcfl/xqm

「オオ……」
「むぅ……」
「あぁ……」
 審査員は言葉をなくし、恍惚の表情で至高のみなゆたに見入っていた。
「ご好評いただいたようでありがとうございます。さて、今回の至高のみなゆたは『伝えること』
をテーマにしています。気持ちを伝えるには言葉が必要。言葉でなくても気持ちは伝わる。無口
で無表情な岩崎さんと明るくて表情豊かな小早川さんを対比することで一見矛盾する要素を両立
させました」
 そして、ひよりは当てつけるようにこなたの方を見た。
「百合における基本は女の子が心で繋がっていること。今回はそれを『思いやり』という形で
表現していますが、重要なのは『愛する』ことではなく『愛し合う』こと……攻めだとか受け
だとかそんなものは副次的なものでしかないっス!」
「くっ……」
 今度はこなたが悔しそうに歯噛みした。
「なるほど、究極のみなゆたはゆたか萌えとしては出来がよくてもみなゆた萌えとなると
カップリングとしてのアピールが足りないな」
「し、しかし究極だって『王子様とお姫様』って形でカップリングをわかりやすく表現して
いるだろう!?」
「それに、私の方だって思いやりを忘れてない。保健室にゆーちゃんを運んできたんだから」
 ひかるのコメントにそうじろうとこなたが反論する。究極が劣勢気味なので必死だった。
「それなら聞きますが、泉先輩……たった今保健室に運ばれてきた人間に激しい運動になる
エッチを迫るのが『思いやり』っスか!?」
「うっ……!」
 こなたに反論は残されていない。そこでもう勝負は決まったも同然だった。
「審議の結果が出たのよぅ」
「究極のエロ同人は岩崎に攻めさせることで小早川の萌えを強調した。対して至高のエロ同人は
岩崎と小早川の個性を際立たせつつ百合の本質をより深く表現した」
「よってこのショウブ、至高のエロドウジンの勝ちとしまス!」
「……っ」
 敗戦の悔しさに、ひよりに負けたという悔しさに、こなたは深くうな垂れていた――
191名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 20:09:50 ID:Xcfl/xqm
「……あんたら、何やってんのよ……」
 呆れ顔のかがみが呟いた。
 かがみより年上の者も数人いるのに十把一絡げで『あんたら』扱いされてしまうあたり、
かがみの心境が窺える。
「美味し○ぼごっこ」
「なら料理で勝負しろよ」
「料理が得意なの私くらいしかいないからさぁ」
「いや、私が言いたいのはそういうことじゃなくて」
「かがみちゃん、こなたのキャラは演技だからね。いくらオレでも娘を山岡みたいに育てたり
はしないよ」
「いや、ですからね」
 突っ込み所が多すぎて、頭が痛くなってきた。
「でも負けて悔しいのはホントだよ。だから次は協力して」
「何を協力しろと」
 もちろん、協力するつもりなど一切ないのだが。
「次の対決のテーマはかがつかなんだよね。だから絡みのシーンを」
「誰が絡むかっ!」
「ちなみに柊は次回のゲスト審査員だ。担任命令」
「なっ……そんな横暴な」
「次は君のために勝つよ、かがみん!」
「私のためになんかならんわぁ!!」

 人類がエロ同人を求める限り、究極と至高の勝負はまだまだ

−続かない−
1923-283:2007/09/21(金) 20:10:52 ID:Xcfl/xqm
タイトル入れるの忘れてました。
『百合しんぼ 究極VS至高・みなゆた対決』と題してください

最初はそうじろうが雄山のポジションだったのですが、
この人がみなゆたについて云々するのはなんか嫌だったので大原社主にしました。
読者のみなさんがどう判断するかはともかく、勝ち負けは話の都合で決まりますw
元ネタを知らなくても山岡の(というか料理漫画の)負けパターンを頭に入れて
おけば大体おkです
193名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 20:12:42 ID:GLnfj4ib
リアルタイムGJ!続いてくれ!もっと読みたい
やっぱりみなゆたはいいよなー
194名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 20:18:28 ID:Bx66K+Cm
>>192
リアルタイムだったけど一番槍は譲ってGJ!
な、なんという贅沢な作品…!
これはなんとしても続き(かがつか編)をwktkせざるをえない
〈チラシの裏〉
後説見て、昨日テレビで見たTVチャンピオンの「和菓子職人選手権」を思い出したぜ…
195名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 20:19:06 ID:VuvQ9sqP
>>192
今再放送しているから、思い切りふきだした。私のポカリを返せ。
ともあれGJっス。しかし先生共々何をやっとるか。
196名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 20:33:05 ID:shU55KLk
>>192
ゼロの名において命じる

続け
197名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 21:08:32 ID:nYg/Wrq3
たくさんの神作品ラッシュ…
自分のなんか良にも及ばないSS書いててやばいなぁ…と思った
198名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 21:20:39 ID:KqFsY3KE
かがつかだとお・・・・・・>>146ですでに死んだ俺をまた殺す気ですか・・・
もうドラゴンボールでも生き返れないZE
199名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 21:29:50 ID:1NT0RNWu
>>198
ドラゴンボールでも生き返れんとな?
『十二の試練』(ゴッドハンド)でも生き延びることはできんか?
200名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 21:31:54 ID:KqFsY3KE
>>199
がんばってみるZE
最終手段はナメック星にいくしかないが
2017-896:2007/09/21(金) 22:10:18 ID:h7F07X/E
どうも、神々の投下に興奮しっぱなしの7-896です。
神SSの後に、こんなふざけたSS投下してもいいのだろうか……
なんて思うところもありますが取り敢えずは

かがみ視点
カップリングなし
微エロ
※やっぱりみんな壊れ注意

では投下します。
202『こな☆フェチ 〜こなたんず〜』:2007/09/21(金) 22:11:20 ID:h7F07X/E

なんでもない日常。
そんなある日の朝、またもや妙な事件が起きた。

時間:朝、6時くらい
場所:泉家 こなた自室
原因:不明
証言:
泉こなた氏「「「またかぁああぁあぁぁあああぁぁぁああああ!!」」」















 お昼休み。私はいつものようにB組に向かい、つかさの作ってくれたお弁当を広げる。
 あ、今日は純和風だ。肉じゃがに豚の角煮、それに天ぷらか……つかさ、私のこと太らせようとしてない?
「ねぇお姉ちゃん」
 天ぷらとにらめっこを開始していた私に、つかさが遠慮がちに話しかけてきた。
「またこなちゃんいないね」
 またもやこなたは休み。
 1週間前も似たような状況で欠席してたけど、まさかまたじゃないだろうな。
 ちょっと電話してみるか。
 食事を中断し、箸を置いて携帯を取り出す。自宅に直接かけることにしよう。
 プルルプルルという呼び出し音の後、聞きなれたおじさんの声が聞こえた。
『はいもしもし泉ですが』
「あ、もしもしおはようございます。かがみです」
『あーかがみちゃんか、おはよう』
「あの、こなたは」
『……いやぁ、またちょっと困ったことになっちゃってね』
 やっぱりか……
 もしかして体質なのか?いやどんな体質だよ。
203『こな☆フェチ 〜こなたんず〜』:2007/09/21(金) 22:11:56 ID:h7F07X/E
『それで、もしよかったら、帰りに寄ってってやってくれないかい?こなたも喜ぶから』
 私が脳内で漫才を繰り広げていると、おじさんが少し遠慮がちに尋ねてきた。
「はい、もちろん。もとよりそのつもりでしたので」
『うん、ありがとう。それじゃあ』
 携帯を閉じて前を向くと、2人が興味津々といった感じで、こちらに身を乗り出していた。
「お姉ちゃん、こなちゃんどうだって?」
「私も興味があります」
「どうっていわれても……ただ困ったことになったとしか」
 2人は元の姿勢に戻り、ちょっと残念そうな顔をしている。
「そっかぁ〜……今度は何歳くらいになってるんだろうね♪」
 何歳って……また縮んでるとは限らないでしょ。
 というか楽しんでないか?
「そうですね、心配ですね」
 とても心配してるとは思えないほどに嬉しそうな顔で言う。
 みゆき少しは隠せ。
「2人も行くわよね?こなたん家」
「当たり前だよ♪」
「もちろんです」











「いらっしゃいみんな」
 泉家に到着すると、おじさんが笑顔で迎えてくれた。
 先週バトルを繰り広げた(繰り広げてはいない)とは思えない待遇の違いだ。
 昨日の敵は今日の友?
「こなた、2階で待ってるから」
「あ、はい。分かりました」
 おじさんに挨拶を済ませ、2階へと向かう。
 っとその前にトイレでも借りようかな。
 こなたの部屋に行く途中のトイレ。そのドアノブに手を掛ける……が、開かない。
「あ、ごめーん。今使ってるからぁ」
 こなたの声が聞こえた。
204『こな☆フェチ 〜こなたんず〜』:2007/09/21(金) 22:12:39 ID:h7F07X/E
 なんだ、トイレにいたのか。
「先部屋に行っててよ」
「うん。分かった」
 それほど催しているわけじゃないし、後でいっか。
 私たちはこなたの部屋へと向かった。


 ところが、2階への階段を上っている途中。
「おー、かがみたち来てたんだ」
「え?」
 なぜかこなたが降りてくるところに鉢合わせた。
「あ、あれ?こなたトイレに」
「飲み物持ってくるから、先に部屋行っててよ」
「う、うん」
 わけも分からないまま、3人で部屋に向かうことにした。


「お姉ちゃん、こなちゃんって忍者なのかなぁ」
「なわけあるか」
 何を言ってるんだこの妹は。
 つかさに向かって忍者の歴史を語り始めたみゆきをスルーして、部屋のドアに手を掛けた。
「おーいらっしゃい、かがみにつかさ、みゆきさん♪」
「……」
 こなたが自室のベッドに座っている。
 足をぱたぱたさせながら、積み上げられた漫画を選んでいた。
 見るだけなら可愛らしい光景なのだが。どうも引っかかる。
「こなた、あんたさっき下に下りていかなかった?」
 素直に疑問を投げかけてみた。
「そしたらここにいないじゃん」
 そりゃそうだ。そうなんだけど……
 じゃあなにか?さっきのは幻覚とか幻聴だったのか?
 隣の2人もなんだか不思議な表情をしていた。





「ただいま〜、飲み物持ってきたよぉ〜」
「ごめんごめん、お手洗い遅くなっちゃった」
205『こな☆フェチ 〜こなたんず〜』:2007/09/21(金) 22:13:30 ID:h7F07X/E

「へ?」
 後ろから、同じ声が聞こえた。
 振り返るとそこには……
「こ、こなた!?」
 こなたがいた。
 え、何?何なの?この2人のこなたは。
 あれ?というか部屋の中にも既に1人いるはずなんだけど。
「みーんなこなただよ」
 部屋中に、私とつかさの叫び声が響く。
 みゆきの眼鏡が垂直に飛んだ。
 みゆき何なんだ。










『こな☆フェチ 〜こなたんず〜』










 トイレで用を足してから、部屋に戻る。
「で?また起きたらこうなってたとか言うんじゃないでしょうね」
 少し落ち着いた私とつかさ、そしてたぶんみゆきだと思われる人は、こなたと向かい合うように座る。
 そして目の前には、なぜかこなたが……1・2・3……3人もいる。
「もちろんそうだけど」
 頭を抱えた。なんでこうこいつは……
 いやまぁ仕方ないんだろうけど。
206『こな☆フェチ 〜こなたんず〜』:2007/09/21(金) 22:14:16 ID:h7F07X/E
「でもでもかがみぃ♪3人ともちょっと違うんだよ」
「何が違うのよ?」
「私はいつものこなただけど、こっちの私は結構甘えん坊で、そっちの私はかなりのおとぼけさんなんだよ」
 楽しそうにそう語るこなた。
 つまり、それぞれ微妙に個性が違うのか。
 それなら、全部『こなた』じゃ分かりにくいし、私の脳内の呼び方変えておくことにしよう。
 取り敢えずここでは、オリジナルはいつものように『こなた』
 甘えん坊を『こなたん』、おとぼけさんを『此方』ということにしておくか。
「泉さん、お体のほうは大丈夫ですか?」
 心配そうな顔でこなたを見つめるみゆき。
 カメラをしまえ。
「んむ、そっちの方は大丈夫なんだけど……でもねぇ」
 こなたが困ったように頬を掻く。
「あのさ、ちょっとお願いがあるんだけど」
 ちょっと言いずらそうに、視線を逸らしながらもじもじするこなた。
 これが一人だったら『やっば、可愛い』で済んだのだろうけど、3人もいるせいで
 威力は734倍だ。
 ちなみに計算式はこれ。
 『愛(こなた×こなた×こなた+(あほ毛×3+頬染め×3))』


「この家に私が3人もいるとちょっと狭いんだよね。だからさ、それぞれの家に1人づつ連れてってくれないかな」


 ……こなたさん、それはまじっすか。
 つまり、こなたをお持ち帰りしてもいいということなのか?
 ひゃっほ〜い♪

 おっと、柄にもなくはしゃいでしまったわ。

「だめ……かなぁ?」
 ふぉーぅ!!そんな寂しそうにするな!!理性が!!

「私は構いませんよ」
 私が悶絶する隣で、みゆきが平然と言ってのけた。
 でもよくよく見てみると、無数のひびが眼鏡に走り、私の知らない世界だった。
 みゆきそれ見えるのか?

「わーありがとーみゆきさん♪」
「だからみゆきさん好きだよぉ〜♪」
「みゆきさんだーい好きぃ〜♪」
207『こな☆フェチ 〜こなたんず〜』:2007/09/21(金) 22:14:57 ID:h7F07X/E

 こなたんず(今勝手に命名)が一斉にみゆきに抱きついた。その刹那。

 ガラッ
 みゆきが窓ガラスを開けて、外に飛び出す。
 ここ2階。

「あれぇ?みゆきさんどうしたんだろう」
 不思議そうに首を傾げるこなたん。
 あんたのせいよ、とは言えない。
「取り敢えず、誰が誰のところに行くのか決めようよ」
「うん、そうしよう」
「さんせ〜ぃ♪」
 こなたの提案に、こなたんと此方が相槌をうつ。

「私かがみがいい〜」
「私だってかがみのとこがいいよぉ〜、つかさもいるし」
「かがみのとこ行くのは私だもん!!」
 3人が私に抱きついてきた。
 気づいていないのかもしれないけど、3人ともかなり構いったがり屋になってるみたいだ。
 あぁ〜それにしても、暖かいなぁこの子達……てか気持ちい、気持ちよすぎる。
 こりゃぁみゆきも窓から飛び出すはずだ。
 つかさが『お姉ちゃんいいなぁ〜』なんて言ってたけれど……
 つかさ。ここは天国で地獄よ。今にも理性が吹き飛びそうだ。

「むぅ〜……よし!!じゃんけんでしょーぶだ!!」
「「望むところだ!!」」
 3人のこなたが火花を散らす。
「「「さーいしょーはぐー!!じゃんけんぽん!!」」」



 同じ人物だったせいか、かなり時間がかかったけれど、どうやら勝敗は決まったみたいだ。
 嬉しい顔・微妙な顔・悲しむ顔、3人の顔は様々。
 最初に選べるのがこなたん。次が此方、こなたの順番だ。オリジナルが負けてどうする。 
「いぇ〜ぃ♪そんじゃあ私かがみ〜♪」
 甘えん坊のこなたんが、私の腕にしがみついてきた。
 小さい胸がぐいぐい押し付けられて、今にも鼻血が出そうだ。
「すみません。取り乱しました」
 ようやくみゆきが、さっき飛び出していった窓から戻ってきた。
 そしてここ2階。

「いいも〜ん。私みゆきさんといちゃいちゃするもん」
 そう言ってみゆきの腕に抱きつく此方。
208『こな☆フェチ 〜こなたんず〜』:2007/09/21(金) 22:15:46 ID:h7F07X/E

 プシュッ
 みゆきの額から血が噴き出した。
 みゆき忙しそうだな。

「くぅ……私だけ留守番なんて、むごいむごすぎる!!」
「あのね、こなちゃん」
 涙を流すこなたにつかさが近づき言う。
「無理に一家に一人ってしなくても、一人につき一人づつとかでもいいんじゃないかなぁ?私余ってるし」
「……な、なるほどぉ!!つかさ頭いいね!!」
 えへへ、と照れながら頭を掻くつかさ。
 そのあとすぐに、こなたを後ろから抱きしめた。
「じゃ、じゃあ、こなちゃんは私のものだね♪」
「うむ♪」
 喜ぶこなたと、悦ぶつかさ。
 一瞬うらやましいなんて思ったけど、私だってこなたを所有してるわけだしね。
 それにしても、おじさんが可愛そうだな……一人残らず連れてかれちゃって。
 ってか今思ったけど、連れて行く理由が当初と違ってるような気が……




「んじゃーにー、かがみとつかさと2人の私〜」
 泉家前で別れる前、此方が私たちに別れ際の挨拶をした。
「それでは、また明日。つかささん、かがみさん、2人の泉さん」
「ん、じゃーね。こなた、みゆき」
「ばいばい、こなちゃん、ゆきちゃん」
「また明日ぁ〜、私とみゆきさん」
「じゃーにー、私とみゆきさん」
 カオス。
 もう何がなんだか分からない言葉が交わされる。
 取り敢えず私とつかさとこなたとこなたんは、私達の家に向かうことにした。




「ただいまぁ〜」
 つかさが間の抜けた声を発しながら、玄関のドアを開ける。
 靴は全員分ある……説明するのめんどくさいなぁ。
 隣にいるこなたんの手を握る。すると嬉しそうににぎにぎしてきた。
 この子はいちいち私の理性を削るから困る。
 こなたんの手を引いて、リビングへと向かう。
 そこには私とつかさを除いた家族全員が揃っていた。
209『こな☆フェチ 〜こなたんず〜』:2007/09/21(金) 22:17:14 ID:h7F07X/E
「あ、お帰り2人とも……あれ?こなたちゃん、いらっしゃ……え?こなたちゃん?あれ?」
 お母さんがちんぷんかんぷんといった様子で、2人のこなたを交互に指差す。
 いのり姉さんは笑顔のままで固まり、お父さんはお茶菓子を用意し始めた。
 まつり姉さんはテレビを見て爆笑している。こっちむけよ。
「あの、かがみ、つかさ……これはいったいどういう?」
「うん、実はね」
 私は、今回のことを事細かに話した。
 まつり姉さん話聞け。







「……というわけなの」
「「「……」」」
 いのり姉さんとお母さん、お父さんは、信じられないといった状態で口がぽかんと開いていた。
 まつり姉さんはこなたとこなたんをなでなでしている。
 その手を離せ!!こなたんは私のだ!!
「信じられないけど、事実なんでしょうね。実際目の前でそうなってるわけだし」
 いのり姉さんが、不思議なこともあるものね、と目を瞑る。
 お父さんとお母さんはもう慣れたのか、2人にご飯は何がいい?とか聞いてる。
 信じがたい順応力だ。
 こらまつり姉さん!!こなたんに抱きつくな!!
「まぁ、そういうことなら仕方がないね。元に戻るまでここにいさせてあげようか」
 お父さんは、こなたを実の娘を見ているような眼差しで見ながら言った。
 よかった、もしだめとか言われたらどうしようかと思った。
「取り敢えず、ご飯できるまで結構時間かかりそうだから、自分達の部屋にでも行ってて?お母さん呼ぶから」
「あ、私手伝うよお母さん」
 つかさがとことことお母さんの傍に駆けてゆく。
「あら、助かるわつかさ。量多くなりそうだし。じゃあかがみ、こなたちゃん達の相手しておいてくれる?」
「へ?あ、うん」
「かがみあそぼー」
「かがみ〜」
 そう言って私の手を引っ張るこなたとこなたん。
 子供かあんたら。でもそこがいい!!
 私はこなた達の手を引き、『がんばって』部屋へと連れて行った。
210『こな☆フェチ 〜こなたんず〜』:2007/09/21(金) 22:17:55 ID:h7F07X/E



 カチカチとコントローラーを叩く音が部屋に響く。
 こなたは、私の部屋でいつものようにゲームを黙々と進める。
 一方、甘えん坊なこなたんはというと……
「かーがみぃ〜♪何かして遊ぼうよぉ〜♪」
「……」
 さっきから私にべったりくっついて離れない。うれしいんだけど、まずい状況だ。
 今私の脳内では、理性と欲望がそれこそ宇宙戦争にすら発展しかけない勢いで、戦いを繰り広げていた。
 尚も、こなたのすりすり攻撃は続く。私、必死。
「むぅ〜、なんで何も言わないのさぁ〜」
 言わないんじゃない言えないのよ。余裕ないのよ、ぎりぎりなのよ、切羽詰ってるのよ。
「……よ〜し」
「え?」
 突如、世界が回った。
 こなたんに肩を押されベッドに倒されたみたいだ。
 丁度こなたんの顔が目の前にある状態。
 そして、愛しいものに触れるように、私の顔を両手で挟んだ。
「な!?ちょっとこな……んぅ!?」
「ん……」
 唇を塞がれた。
 いきなりだったので、私は目を開けたまま。
 こなたんは目を瞑り、頬を仄かに染めている。
「……ふぅ」
 目を閉じたまま、ゆっくりと顔を離していく。
 私の唇には、まだ生暖かい感触が残ったまま。
 こなたんは、にまにまとぬるい微笑を浮かべていた。
 今の私は、さしずめ餌を求める鯉のようだろう。

「ぷっ……かがみなにそれ?ぱくぱくぱくぱく何してんのさ♪」
 そんな私を見てケラケラと笑うこなたん。
 このやろう。

「あー面白かった」
 一頻り笑い終わると、疲れたように私の胸に顔を置いた。
 そのまますりすりと顔を擦り付けてくる。
「かがみの胸……気持ちいね」
 まるで母親の胸の中で眠る子供のように、大きく息を吐き出した。
 目を瞑りながら、くすくすと声を震わせている。
 しかし、少しすると勢いよく立ち上がり、ゲームをするこなたのところへ向かおうとした。
211『こな☆フェチ 〜こなたんず〜』:2007/09/21(金) 22:18:29 ID:h7F07X/E
「さてと、もう一人の私とゲームでも」
「待ちなさいよ」
 手の届くギリギリの距離で、こなたんの右手を捕まえることに成功した。
 そのままこっちに引っ張りベッドに押し倒す。
 今度は私がマウントポジション。
 こなたんは状況が掴めていないらしく、目を白黒させている。
 私は、耳元で囁くように言った。
「お返しくらい、覚悟してたわよね?」
「え?……んぅ!?」
 一呼吸置かないうちに、こなたんの唇へと自分のそれを重ねた。
 すぐに舌を差し入れる。一際大きく体が震えたが、今のこなたんにはどうすることもできないだろう。
 私は、理性の糸が切れていたことに気づいていなかった。
「んふぁ……ふぁふぁ……ふぃ……んちゅ」
 少し抵抗を試みていた手を自らの手で拘束して、先ほどよりも強く唇を押し付けた。
 密着率は100%。人体において『唇』と称される部分は、見事なまでに重なっている。
 この子格闘技経験者って言ってたけれど、いざっていうときは役に立たないみたいね。
 そんな思考を巡らせつつ、さっきより深く舌を差し込んだ。
 こなたんがくぐもった声をあげているけれど、まぁ危機管理ができていない自分を恨むのね。
 口内のありとあらゆる部分を、舌でなぞる。
 最初は抵抗していた可愛い舌も、今は私の舌をちろちろと追いかけている状態だ。
 ……そろそろいいか。
 私は名残惜しくも、唇を離す。
 同時に、目の前の少女が大きく息を吸った。

「かがみも好きだねぇ〜」
 ……あれ?
 目の前のこなたんは息が上がって、とても話せるような状態じゃないのに、なぜか声が……
 あ、そうか……同じ声だから聞き間違えたんだ。
 私は、本当の声の主がいる方へと顔を向けた。
 いつの間にかこなたがゲームをやめて、ベッドのすぐ横で膝立ちしていた。
「それにしても……自分自身じゃないにしても、自分と全く同じ姿が襲われてると、結構くるね……」
 そう言って、内股をもじもじと擦っている。
「よーし、私も参加する!!」
「え!?ちょ!!」
 突然、こなたが私に抱きつき、首筋にキスをしてきた。
「ほらほらもう一人の私も!!」
「ん、うむ」
 ゾンビのようにゆらりと起き上がったこなたんは、私の耳にかぶりつく。
 2人とも、私の好きな人だということもあってか、スタンガンでもやられたような電気が全身に流れた。
 あ……やばい……やばい……
 二次暴走が……
212『こな☆フェチ 〜こなたんず〜』:2007/09/21(金) 22:19:12 ID:h7F07X/E

「3人とも、ご飯できたよぉ……ってなにやってるの!?」
 声の聞こえた方に目だけを向ける。
 つかさが大きな目を限界まで見開いて、固まっていた。
 やばいところを見られた……

「お姉ちゃんずるい!!」
 そっちかよ。

「まぁまぁ、ほらご飯食べにいこうよ皆。つかさも、キスくらいならあとでいくらでもしてあげるから」
「わーい」
 わーいじゃねーよ。
 ってか、あんたらのそのテンションはなんなんだ。
 少し落ち着け。いや、私も落ち着け。

「そ、そうね。お腹もすいたし」
 取り敢えず、こいつらと対等に付き合うには、このテンションに合わせないと。
 そう、まるでなにごともなかったかのように。
 そう、エレガントに。

 などと考えながら、自分のテンションに疑問を抱きつつも、私たちはリビングへと降りていった。









「ねぇねぇかがみ」
 家族全員変なテンション(たぶんこなた達のせい)で夕食を食べ終ると、長女のいのり姉さんが話しかけてきた。

「何?」
「こなたちゃん、今度増えたら私にも分けて?」
 子犬かよ。いやハムスターか?
 どっちでもいいか。
「いや、たぶん増えないから」
「もしもってことがあるでしょ?」
「……増えたらね」
 ありがとーと満面の笑みで答える姉さん。
 そんなにほしいかな、こなた。
 いや、ほしいか。可愛いし。
 生返事をして、お風呂に入るために一旦、自室に戻ることにした。
213『こな☆フェチ 〜こなたんず〜』:2007/09/21(金) 22:20:14 ID:h7F07X/E


 お風呂からあがり、髪を拭きながら自室へ戻る途中
 こなたんをどこに寝かすかについて考えた。
 布団を持ってきて床に寝させるか、一緒にベッドに寝るか。
 ん?何を悩んでるんだ私は?
 後者に決まってるじゃん!!
 ――ちなみにこの間0.5秒
「取り敢えず一緒のベッド……ふぉおおぉぉおぉぉおおお!?」

 私の部屋のドアを開け、我が目を疑う。
 そろそろ換え時かな、とか思ったりした。
 こなた2人が互い違いに重なり、お互いの大事なところを舐めあっていた。
 もちろん裸で。

「「ちゅぷ……あ、かがみおかえりぃ〜」」
 焦れよ。
 ってか、うわ……何これ、なんてエロすぎる情景だよ。
 絶対私鼻血出てるって。
「ごめんごめ〜ん、なんか2人きりになったら、急に自分の味のことが気になっちゃって……ってか、かがみ鼻血」
 自分の味って何だよ。
 何か?芸風とかそんなのか?んなわけない。
 って何言ってんだ私。
「じ、自分の味って何よ?」
「ん?つかさが前にさ『こなちゃんのここ、甘いね』とか言ってたからさ。かがみ鼻血出てるって」
 つかさが?
 つかさどこ舐めたんだ……この上なく気になる。
 それにしても……ベッドがすごいことに。
「と、取り敢えずあんたらお風呂入ってきなさいよ」
「「はーい」」
 鼻血拭きなよ?と言い残して、2人仲良く部屋を出て行く。
 っておい、裸のまま出てったぞ!?
 一回からなにやら叫び声と、食器の割れる音と、なぜか爆発音が聞こえた。
 下で何してんだ。

 そのあと、一応シーツの匂いを堪能してから、交換しておいた。





214名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 22:21:01 ID:HaZIbu8w
みさおネタが2作品ほど湧いてきたが、纏まらないorz
明日は休みだから丸一日SS練ってみるか。

これまでのうp主達、GJ!!
あんたら凄すぎだぜ。
215『こな☆フェチ 〜こなたんず〜』:2007/09/21(金) 22:21:51 ID:h7F07X/E
「ふぁ〜いい湯だったぁ〜♪」
 頭の上から湯気と音符を立ち上らせながら、こなたんが帰って来た。
 こなたの方はつかさの部屋に向かったみたいだ。
 用意しておいた枕を、私の枕の隣に並べてこなたを迎え入れた。
「こなた、今日は一緒に寝るわよ」
「おーかがみと一緒に寝れるの?わぁーい♪……かがみ、いいかげん鼻血拭けば?」
 先にベッドに入ってて、とこなたんに言ってからトイレに向かった(ここでようやく鼻血を拭く)。


「……!!……!?……!!!!!」
「……♪……♪」
 ん?なんかつかさの部屋から声が聞こえる。
 こなたの悲痛な叫びと、つかさの楽しそうな声。
 明らかにバランスがおかしい。ドアに耳を当ててみた。

「つ、つかさ?取り敢えず落ち着こう」
「こなちゃん」
「うん、分かってる。分かってるから、まずその手に持ってるものを床にだね」
「こなちゃん、こなちゃん」
「え?いやもう寝ようよ、わたし疲れたし。それにさっきキスしてあげたでしょ?」
「こなちゃん、こなちゃん、こなこなちゃ〜ん♪」
「いや、だからね?つか……にょわぁああぁぁあああぁぁぁあ!!」

「……」
 聞かなかったことにしよう。
 扉の前で手を合わせてからトイレに向かう途中、いのり姉さんと出くわした。
「あ、かがみ、こなたちゃん増えた?」
 開口一番がそれかよ。
「いや、増えてないから」
「なーんだ、残念。増えたら教えてね?」
 そういい残して、一階に下りていってしまった。
 もしかしてそれ聞くために上がってきたのだろうか。
 私は、やりきれない気持ちを抱えながら、トイレに向かった。
216『こな☆フェチ 〜こなたんず〜』:2007/09/21(金) 22:23:01 ID:h7F07X/E





 こなたまだ起きてるかな。
 思ったよりも戻るのが遅くなってしまった……トイレじゃないわよ?
 お父さんとかお母さんとか姉さん2人に足止めくらったりしたせいよ。
 いのり姉さんとか下にいる間でも15回は『こなたちゃん増えてないの?』って聞いてくるし。
 あれか?いじめか?いじめなのか?
 まつり姉さんとか、またテレビ見ながら爆笑してたし。
 てか今日あの人笑ってるか撫でてるか、くらいしか行動してるの見てないんだけど……

 家族に不安を覚えつつ、自室のドアを開ける。
「かがみぃ♪」
 ベッドで顎までかけ布団を引き上げながら、私の名前を呼んだ。
 あ、こなたか。天使かと思ったわ。
「なんだ、起きてたの。先に寝ちゃっててもよかったのに」
「折角一緒に寝られるんだよ?そんなのもったいなさすぎるって♪」
 うれしいこと言ってくれるじゃない。
 ふと机の上の携帯が光っているのが目についた。
 ディスプレイを覗き込むと『みゆき』という字が目に入る。
 なにかしら……


『かがみさん、すごい発見をしました。
  (=ω=.)
  この顔文字、泉さんに似てませんか?』


 だからどうしたんだみゆき。
 返信に困るメールはやめていただきたい。
 まぁ、一応返信はしておかないと。


『落ち着け』


 これでよしっと。
 携帯の電源を『意図的』に切って、ベッドに潜り込んだ。
217『こな☆フェチ 〜こなたんず〜』:2007/09/21(金) 22:23:49 ID:h7F07X/E

「いらっしゃいかがみぃ〜♪」
 嬉しそうにきゃいきゃ言いながら、私のパジャマの袖を引っ張ってくるこなたん。
 私の体をぺたぺた触ってくるこなたん。
 萌え死にそうだ。でもなぜか理性はなんともなかった。さっきの刺激物のおかげだろうか。
 こなたんは、一頻り私を触り終わると大人しくなり、こっちを見たまま微笑んでいた。
「な、何よ」
「ん?かがみかわいいなぁって」
「な、何よいきなり」
「きゅふふ」
 遊んでるな、こいつは全く……
「2人で寝ると暖かいねぇ、かがみ♪」
「そう、ね」
 一人で寝るときと比べると、身も心もずっと暖かい。
 しかもどんな体勢でもこなたに触ってしまう。
 理性が落ち着いてる分、いつもよりどきどきしてしまう。
 だけど……ちょっと……その……もどかしいというか、なんというか……
「かがみどうかした?」
「あ、いや……別に」
「ん?……むふふ♪」
 不意に、こなたんが私の頭を抱いた。

「ちょ、こなた!?」
「いーこいーこ」
 そのままの姿勢で、頭をなでなでしてくる。
「たまにはこんなのも……いいよね?」
「……」
 うわぁ……不意打ちよ。嬉しい不意打ち。
 恥ずかしかったけど、もっとこのままでいたいって気持ちの方が勝ってしまった。
 こんなことされながら、そんなやさしい声で呟かれたら私……
 目の前にある細い胴に手を回して、優しく抱きしめてみた。
 顔は薄い胸のところにくっつけて、すりすり擦る。
 ちょっと擽ったそうに身を捩ったけれど、それよりも嬉しそうに、私の頭を抱える力を強くしていた。
 この状況、別の意味でやばいかも……
 あ、ちょっと眠いや……
 目が完全に閉じる間際、小さな声で『おやすみ』と聞こえた気がした。


【 fin 】
2187-896:2007/09/21(金) 22:24:51 ID:h7F07X/E
異じょ……以上です。レス数書き忘れてしまってすみませんでした(´・ω・`)
あれ?こな×こな?なんだこれは……

そういえば今、壊れてないみゆきさんのSS書いてるのですが
違和感がありすぎて難しいです。
219214:2007/09/21(金) 22:28:35 ID:HaZIbu8w
>>218
邪魔してごめんなさい

それとGJ!!
220名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 22:32:36 ID:Dv0Gobi8
>>218
こな×こな、それは最後のフロンティア。つーかもう、貴方は毎度毎度なんてモノを書かれるのですか。
萌えたりおっきしたり和んだり、忙しいのなんの。Good JobにしてGood Konata。略してGK。


あ、そうそう。これ以上増殖するようなら是非我が家にm(嵐のような打撃音
221名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 22:32:41 ID:KqFsY3KE
GJJ!!!!!
みゆき糞ワロタwwwwwwwwwwwwww
おもしろすぎるぜ、もう一回GJ!!
222名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 22:42:58 ID:Wb9JZiZA
GJ!!
萌えでんぐりかえったぜ!
223名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 22:50:16 ID:HX+tipVI
ひとえに…GJ!!
どうしたらここまで萌えるSSが書けるのかと小一時間(ry
そして今回も壊れたみゆきさんで吹いたw
224名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 22:53:56 ID:sCl9us3Q
>>218
激しくワロタwwww GJ !

あなたのみゆきは最高だw みゆきマスターと呼ばせてくれw
メールでAA送りつけてくるところで、笑い涙が出た (実話)
225名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 22:55:38 ID:yenZDg11
これはおもしろい
226名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 22:56:02 ID:Xcfl/xqm
>>218
また壊れすぎwww
だがそれがいい!
こなた×こなたをぜひイラストで

あと此方と二人きりのみゆきさんがどんなふうに壊れたのかも見てみたい
227名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 23:01:00 ID:QEM1YAbQ
>>218
これはwww
てかかがみモテモテだなw
228名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 23:23:12 ID:Bx66K+Cm
>>218
主要メンバーの壊れようにはもちろんだが、何気に暴走してるいのり姉さんにワロタw
229名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 23:47:06 ID:yPtcyEex
>>218
もうGJという言葉しかでてこない
萌え笑うってこういうのをいうのか!
・・・おちつけ私
230名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 00:08:53 ID:nFgLy0vJ
>>218
なんというかもう、すごいの一言、って言うか
 衛生兵!衛生兵!萌致死量で倒れてる奴らが大勢いるぞ!早くこっちに来て治療を……ってお前等もか!!!!

等と意味不明の小芝居を入れたくなるほどです。
231名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 00:15:05 ID:LlygkAE8
>>218
God Job!!
次回は是非いのり姉さんとこなたのからみを!!
232名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 00:24:56 ID:Uc78UVR0
「みーんなこなただよ」

可愛すぎ。額から血でる気持ち分かるわ。
2334-243 ◆X9xLTlcDnY :2007/09/22(土) 00:58:13 ID:ehEkwzwO
なんというか萌えコンボにやられすぎて、こなたとみゆきを描いた時点で力尽きた事をご報告致します(死
http://bbs.freedeai.com/src/up6056.jpg
234名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 01:01:51 ID:ezTknGyD
以下5レス以内でSS投下します。
あきら様×白石
非エロ
です。
初なのでgdgdですが…
ではいきます、「アシスタント」
235「アシスタント」その1:2007/09/22(土) 01:03:14 ID:ezTknGyD
暗闇の中で、ふと目が醒めた。酔いのせいか、頭が痛い。
目の前に転がる酒瓶の数々…そしてピンクのボール。
ぼ…ボール?
よく目をこらしてみると、頭のようだった。
…あきら様か?いや、あきら様しかいないよな、この髪は。
しかし、見覚えのない部屋だ。何故自分がここにいるのか、検討もつかない。
カーテンはピンク色…僕の趣味じゃないし…まさか…
しかしとりあえず便所に行きたくて、身を起こす。
あぁやっぱりそうだ、ここはあきら様の部屋だ。そう確信したのは、机の上の写真だった。
フレームの中の3人ーピンクの髪をした幼女と、両親と見られる大人たちが写っている。真ん中の女の子だけ、こちらを向いて幸せそうに笑っている……周りの大人は笑っていないのに。

「…ぱ…ぱ…?」
その声は寂しさを含んでいるように聞こえた。なんだ…僕と父親をダブらせたのかな…
「あ…んだ、白石…か…ふあぁ」
「お目覚めですか?あきら様?」
身を起こし、目を擦りながらこちらを見る姿は、なんとも頼りなかった。
「あ、あきら様、すみません、お手洗いはどこに」
236「アシスタント」その2:2007/09/22(土) 01:04:25 ID:ezTknGyD
「いっちゃダメ」
へ?
いや、漏らせとおっしゃるのですかっ!
「あきらから離れちゃやだ!!」
意味がよく分からない。どういうことなんだ?
「僕は、ここに居ますよ…?」
「やだ!!そういって…どうせ…どうせ白石も居なくなるんだ!!」

あきら様が…泣いてる…
ぽろぽろと大粒の涙が、次から次から頬を濡らす。
僕はあきら様に近付いた。僕はここにいるのに、何故泣くんだろう…
あきら様の髪をなでてみる。さらさらしていて、気持ち良い…と、
「白石!」
「はい…?」
「あんたは、あたしの側から…離れない、よね?」
あきら様は俺を真っ直ぐに見つめる。僕に悪態つくときみたいな冷たい目線ではなく、いつになく真剣だった。
「僕は…あきら様のアシスタント、ですよ?離れるわけないじゃないで」
「番組が終わっても!!白石は離れちゃやだ!!もう…捨てられたくないよ…」
次の瞬間、あきら様は僕の腕の中にいた。あきら様の辛そうな顔を、もう見て居られなかった。
「僕は…あきら様に悲しい顔を、して欲しくないんですよ…」
「…しら…いし…?」
「僕が、あきら様のアシスタント、なんですよ?この世で唯一の。」
僕は、あきら様の頬を両手で包んだ。
237「アシスタント」その3:2007/09/22(土) 01:07:32 ID:ezTknGyD
はっ、とあきら様の視線が、僕のとぶつかる。
「僕は…貴女を、一生守りとおひまふ…!!」


噛んだ。


一番、一番大事なところで…!!!


あぁぁぁもう見ないで、あきら様、やめてー………
僕は恥ずかしさで沸騰しそうです。穴があったらツインドリルで掘ります。そしてそこに捨てて下さい……!

「……ばか…ばかじゃない…の…噛んでる」
そこに笑わないでー!!!もう泣きそうだよ、母さん、父さん、こんな息子でごめんなさい…
ぷにゅっ

「?」

僕はまだわからなかった。
目の前にあきら様がいて。
僕はそれをぼっとみてて。
いままでにない密着感で。

それがキスだとわかった
くちびると、くちびるが

あ、離れた。
「白石、ありがと…」
「どういたしまして…」
「じゃ、離してあげないから」
238「アシスタント」その4:2007/09/22(土) 01:08:51 ID:ezTknGyD
あきら様は立ち上がり、箱の中をごそごそと…
そして、その手には、赤いリボン…レースの。

「白石、小指貸して。」
言われるがままに、両手をパーにして差し出す。すると、赤いレースのリボンは、僕の左の小指に結ばれた。

「結んで?」
にっこりと微笑むあきら様につられて笑ってしまう。ダメだ、もうこの人には、勝てそうにない。
あきら様の小さくて細い指に、赤いリボンを結ぶ。

「みてみてー、運命の赤い糸〜♪」

僕は笑いながら、彼女の頬にキスをした。

おわり…?
239「アシスタント」…end:2007/09/22(土) 01:10:16 ID:ezTknGyD
以上です

本当…すいません…
駄文失礼しました(´・ω・`)
240名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 01:15:14 ID:cjhLiqUd
>>239
GJ!!!
あきら様やべええええええええええええ!
鼻血鼻血
241名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 01:36:41 ID:y69ZcY4s
>>239
おー、久しぶりのあきら様×白石だぁ!!
GJっした!!
242名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 01:55:19 ID:tu3KX6w2
デレデレあきら様!
ふおおおおおおお!
243名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 01:56:38 ID:d5paISj9
>>218
萌え殺されたり、笑いすぎて肺が痙攣したりしちゃってるんだがどうしてくれる?
まあ何が言いたいのかと言うと・・・
GGGGGJJJJJJJ!!!!!!!!!!
ちなみに地味にツボったところ
>あ、こなたか。天使かと思ったわ。
これ後からくるなwwwwwwwwwwwww
244名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 02:32:24 ID:1vSjAeye
両氏GJです!!

ほかの人の投下が無いなら、いきます。
>>65-73の分岐です。
もし、こなたが死亡フラグを見落としたら……

死人注意。前作との分岐点からしか無いので、前作スルーの人はスルーで。
245名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 02:33:15 ID:1vSjAeye
両氏GJです!!

ほかの人の投下が無いなら、いきます。
>>65-73の分岐です。
もし、こなたが死亡フラグを見落としたら……

死人注意。前作との分岐点からしか無いので、前作スルーの人はスルーで。
3レスほど拝借。
246名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 02:38:04 ID:1vSjAeye
−−−−−SEA & SHE  A.S.−−−−−

「よし、泳ご。」
いきなり立ち上がり、こなたはおもむろに服を脱ぎ始める。
「ちょ…こなた!?」
誰もいないからって……
と、思ったけど心配はいらなかったみたい。服の下にはちゃっかり、しっかり水着を着ていた。
前みたいな学校用じゃなくて、今回は白いセパレート。
「まったく…。そう言う準備は良いんだから。準備体操はしなさいよ。」
「大丈夫だって!いざ行かん、我々の故郷へ!」
そう言うと、こなたは勢いをつけて飛び込んだ。
少しして浮かんでくると、すごいスピードで遠ざかっていく。こなたが離れていくのが少しだけ切なかった。
そのこなたは海の中で振り返り、立ち泳ぎのまま手を振ってきた。恥ずかしい奴め。
そう思いつつ手を振り返す私も、恥ずかしい奴なんだと思う。
私も泳ぎたいと思ったけど、こなたほど準備も良くなく、
誰もいないとは言え、外で着替えるのには抵抗があるので、諦めることにする。
代わりに波打ち際に近付いて、落書き。こなたと私の相合い傘。
こなたが帰って来たら私の気持ちを伝えよう。
「かがみ〜!」
海を見ると、こなたが岩場に上がって手を振っていた。
私も手を振り返す。

−−ザパァッ…

ふと見ると、波が足元まで来ていた。濡れないように、二、三歩下がる。
波が相合い傘のこなたの部分を掠っていく。
ふと、不安になり、岩場を見る。
すると、空を見ていたらしいこなたが、私の視線に気付いたのか、こちらを見て手を振ってきた。

−−それが私が最後に見た生きているこなたの姿だった。


海から引き揚げられたこなたの顔は、真っ白で……
不謹慎にも綺麗だと思ってしまった。
見付かったとき、こなたの足には海藻が巻き付いていたらしい。
足に藻が絡まって、慌てたことによる溺死。
それが警察の判断らしい。多分、正しいのだろう。
でも、私にはこなたが死んだということが受け入れられなかった。
だから、警察がこなたを引き揚げてからも暫く、こなたを探していた。前みたいなドッキリだと信じて。

私が思っていた以上に現実は残酷だった。
今夜はこなたの通夜。明日には葬式が挙げられる。
事故の為、警察の取調べは事故前の状況説明だけだった。こなたのお父さんが二人っきりにはしてくれたけど、逆に辛い。
どんな出来事も私に冷酷な事実を認めさせようとしているとしか思えなかった。
化粧をされ、口や鼻に綿を詰められたこなたの姿は巫山戯てるようにしか見えなくて。
閉じられた目は眠っているようにしか見えなくて。
白雪姫の話を思い出して、口づけをしてみる。
目を覚まさないのは私が女だから…?


「お姉ちゃん、起きて。こなちゃんのお葬式だよ。」
いつの間にか私は寝ていたらしい。つかさに起こされるとは。
「ん…おはよ、つかさ。みゆきも。」
「お姉ちゃん、ひどい顔だよ。」
そんなにひどい顔かしら。
「お手洗いまでご一緒しましょうか?」
みゆきの申し出を断り、お手洗いに向かう。
247名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 02:40:35 ID:1vSjAeye
つかさの言った通り、ひどい顔だった。
寝ている間に流れたらしい、涙のあと。起きてる間には一滴も流れないのに。
無意識に涙を拭いたのか、眉が三本ずつあって、目の下にはクマ。
クマはどうにもならないけど、顔を洗って、ちょっとはマシな顔に戻す。
こなたの寝ていた部屋に戻ると、こなたが運び出されるところだった。もうすぐ、お葬式が始まるらしい。
「お姉ちゃん、大丈夫?」
私はまだひどい顔をしているだろうか。
「大丈夫よ。さ、行きましょ。」
「かがみちゃん。無理はしなくて良いからね。」
おじさんが一番辛いだろうに、私を気遣って呉れる。奥さんにも娘にも先立たれたのに。
私が海に連れていかなければ、こなたは死ななかったかも知れないのに。
「大丈夫です。」
そう答えて、おじさんの後に続いた。

こなたの葬式は慎ましやかに行われた。
こなたと触れ合った人達が集まり、お悔やみを述べる。
つかさが泣き、みゆきがその頭を抱え、撫でる。そのみゆきも泣いている。
峰岸と日下部は私の側にいてくれた。
成実さんが泣き、旦那さんが宥めている。
ゆたかちゃんが泣き、みなみちゃんが静かにその頭を撫でている。
ひよりちゃんとパティちゃんは抱き合って泣いている。
黒井先生は泣いている生徒や元生徒一人一人に声を掛けていた。でも、その瞳には涙。
おじさんはこなたの遺影に向かって何か叫びながら泣き、他の大人の人に慰められている。
私はと言うと、涙も流さず、ただ呆然とその様子を見ていた。

出棺の時もこなたが焼かれいてる時も、こなたの骨を見たときも何だか現実味が無くて。
涙も一滴も流れ無くて。

こなたのお葬式から一週間、私は何も無かったかの様に過ごした。自然に、だからこそ不自然に、普通の生活を送っていた。
だから、つかさの提案を聞いたときも、普通に答えていた。
「お姉ちゃん、皆で海行かない?」
「海?良いわよ。行きましょ。」

おじさん、成実さん、黒井先生、私の運転であの海に向かう。

私たちは今、海にいる。
−−全ての始まりの海に。
でも、隣にこなたはいない。

海に着いた私たちは、泳ぐことも無く、浜辺を眺めていた。
「夏もそろそろ終わりやな〜。」
黒井先生の言葉通り、昼間だと言うのに海水浴客の姿は少なかった。
心なしか風にも秋の匂いが混じっている気がする。
浜辺を歩いて行き、あの砂浜まで皆を案内した。
「此処か……。」
おじさんが呟く。
「此処です……。」
そう此処。この海で、二年前、こなたのことが好きだって気付いた。
「こなたの最期はどんなだった?かがみちゃんにとっての最期は。」
「……楽しそうでした。『我々の故郷へ!』とか言って−−」
248名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 02:42:45 ID:1vSjAeye
そこからは何も言えなかった。涙が溢れ出して。
立っていられなくて、膝をつく。
此処に来てやっと、こなたの死を誤魔化さずに受け入れられた。
これまで流さなかった分を取り戻すように、私は泣き続けた。零れた涙が砂浜に染み込んでいく。
皆が私を呼んでいる。鼻を啜る音も聞こえる。皆も泣いてるんだ。
おじさんも成実さんも。みゆきも日下部も峰岸も。ゆたかちゃんもみなみちゃんもひよりちゃんもパティちゃんも。
「お姉ちゃん。」
最後につかさが私を呼ぶ。つかさもやっぱり泣いている。
近付いて来たつかさにしがみついて、私は声をあげて泣いた。
みっともないけど、それだけこなたを想っていた、いや、今も想ってるってことだと思うから。
死んだのはこなたの方だというのに、想い出が走馬灯の様に脳裡を走り出す。
その全てにこなたがいる。

一緒に勉強もした。大抵、私が教えてたけど、それ以上にこなたからは色々教わったと思う。
そのうち、全部想い出になるんだろう。
せめて、それまでは。出来るならそれからも、こなたがくれたものと共に生き続けよう。

閉じた目に浮かぶこなたの笑顔。
かがみって呼ぶ声。

−−ありがとう
心の中で呟く。
−−ごめんね。素直になれなくて


涙が止まり、つかさから離れる。
「つかさ、ありがと。」
「ううん。お姉ちゃん、もう大丈夫?」
「…うん。」

周りを見ると、皆が目が赤かった。
ふと、こなたにした口づけを思い出す。あの時はこなたが起きてくれないのが、凄く悔しかった。
でも、今はそうでもない。それは、こなたの死を受け入れたからだと思う。
死人にも口はある。声を発する事は無くても口づけは出来る。

私は波打ち際に歩いていく。
「お姉ちゃん!!」
「大丈夫。」
後ろからのつかさの心配そうな声に振り向き、笑顔で返す。

−−私は死なないわよ。

こなたは故郷に着けただろうか。それとも、お母さんに会ってるだろうか。


ねえ、こなた?故郷には行けた?
ねえ、こなた?皆、あんなにあんたの為に泣いて呉れるのよ?偶には帰って来なさいよ?
ねえ、こなた?知ってた?私、こなたが好きだったんだよ?一昨年、此処に来た時から。


−−ふと、水面に目を遣ると
−−私の左隣にこなたが映ってる気がした

こなたの右手をギュッと握る。目を閉じるとこなたが笑いながら言う。

−−かがみ、バイバイ。
−−こなた。違うでしょ。それを言うなら…

こなた、またね。
249名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 02:48:40 ID:1vSjAeye
妙なミスしてすみません。


お目汚し失礼しました。


「こな☆フェチ」楽しみにしてます。笑えるSS書ける人は個人的に凄く尊敬してます。
しかも、萌える!!

神です。

では、失礼しました。
250名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 03:28:01 ID:qxAImIHZ
>>249
GJ!。・゚・(ノД`)・゚・。

綺麗な話ですね。
251名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 04:22:24 ID:/KKEZW2n
>>218で爆笑して>>239のデレモードあきら様に萌えて
>>249で泣かせていただきました。
252名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 04:26:01 ID:6FaUj2/c
(´;ω;`)ウッ…
253名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 04:47:46 ID:cjhLiqUd
ええもんみせてもらったで
254名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 06:23:37 ID:1vSjAeye
−−−−−SEA & SHE  A.S.+−−−−−

こなちゃんが死んだ。

私がその報せを聞いたのは、家に着いてすぐのことだった。
その日はお姉ちゃんとこなちゃんが旅行から帰ってくる予定の日だった。
こんなことは聞きたくなかった。ゆきちゃんも合わせて四人で新しい学校のこととか、旅行の話とか聞くつもりだった。

ふと、お姉ちゃんがこなちゃんと海に行かなかったらって思っちゃった。
そんなこと思ってもこなちゃんは帰って来ないのに。お姉ちゃんが一番辛い筈なのに。

こなちゃんはもういない。
そのことは、私に不思議な気持ちを残した。
「寂しい」という言葉が私の知っている中では一番その気持ちに近いと思う。
卒業式の日とかその後とか。
お姉ちゃんとこなちゃんがどんどん仲良くなっていった時とか。
そんな時と同じ感じ。


お姉ちゃんは通夜の時、泣いて無かった。
それを見たとき、多分、初めてお姉ちゃんを本気で憎んだ。
でも、お葬式の朝にこなちゃんの横で泣きながら、
こなちゃんの名前を呼びながら寝ているお姉ちゃんを見たとき、今度はそんな私が嫌になった。

お葬式の時、私はゆきちゃんに抱き着いて泣いた。
抱き返して呉れたけど、ゆきちゃんも泣いてたと思う。
黒井先生やお母さんが声を掛けて呉れた。それで少しだけ気持ちが癒された。


こなちゃんが煙になっていく。出来るだけ高く上がって欲しい。
それで、偶に雨と一緒に帰って来てくれたら嬉しい。
こなちゃんは雨が好きだって言ってたから、きっと、帰って来てくれる筈だ。

それから一週間。お姉ちゃんはおかしかった。普通だったんだ。
普通だからおかしいっていうのは、変だと思う。でも、お姉ちゃんの気持ちを思ったら、普通なのはやっぱり、変。
だから、私は皆に連絡をとって、海にお姉ちゃんを連れていく事にした。

海でお姉ちゃんは思いっきり泣いた。私に縋り付いて。こんな風に泣くお姉ちゃんは初めて見る。
太った時にもお姉ちゃんは泣いてたけど、何か涙の質みたいなものが違う気がした。
私も皆も、お姉ちゃんからもらい泣き。

お姉ちゃんが泣き止んで、波打ち際に歩いていく。
その時、私はお姉ちゃんまでいなくなるんじゃないかって思った。それは私の思い違いだった。
だって、お姉ちゃんは「大丈夫」って言ったんだから。


波打ち際まで行くとお姉ちゃんは足元が濡れるのも気にせずに、ずっと立っていた。
ふと、お姉ちゃんの隣にこなちゃんが立ってる気がした。目を擦るといなくなってたから、多分、私の気の所為。



私は、私たちはこなちゃんのいない世界で、こなちゃんが決して知ることの無かった世界で生きていく。
そのうち、こなちゃんとのことは想い出になるんだろう。
それでも、生きていくことがこなちゃんの為にもなると信じて。


私はこの世界で生きていく。
255名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 06:29:35 ID:1vSjAeye
GJ下さった方に感謝しつつ、一緒に書いたおまけを付けておきます。


いきなりの投下で申し訳ありませんでした。
いまさらですが、つかさ視点です。やはり、死人注意。



それでは、度々の失礼をお詫びしつつ、失礼します。
256名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 06:42:26 ID:cjhLiqUd
>>255
早朝GJ!
泣かせていただきました
257名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 07:30:07 ID:YjiwtLNp
溺死体って酷い有様で、間近ってもタッチみたいな台詞は出てこない是
258名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 07:47:39 ID:UgxrVe2w
復活させるにはサイボーグ手術しかないな。
ほか3人にも同じ運命を担ってもらう。
お願いします鯨井長官……

「スペード・こなた!」
「ダイヤ・かがみ!」
「ハート・つかさ!」
「クローバー・みゆき!」

「「「「我ら!陵桜電撃隊!!」」」」
259名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 07:52:31 ID:98R5rChU
二次元人の遺体は綺麗なままなんだぜ
>>258
ちょwwww台なしだwwww
260名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 08:14:53 ID:nFgLy0vJ
>>258
その発想はなかった、てかその場合ビッグワンは誰だよw
261:名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 11:17:20 ID:IFiWkBfF
>>258
それは前にもやったよ!
262名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 11:28:27 ID:7G3sbX+4
「ドラゴンボールを七つ揃えし者よ。どんな願いもひとつだけかなえてやろう。」
かがみん「泉こなたを生き返らせてください!」
「よかろう。・・・・・・・・・
よし。その者は生き返ったぞ。今は自宅にいるはずだ。ではさらばだっ!!!」


つかさ「お姉ちゃん・・・・やったね!!!!」
かがみ「ええ・・・・・20年かかって探したかいがあったわ・・・しかし本当にドラゴンボールって存在するのね・・」
つかさ「あっおねえちゃん!私たち今38歳でしょ・・・・でもこなちゃんは死人だったから18歳のままだよ??多分」
かがみ「あ・・・ま、でもいいじゃない!娘みたいでさ。」
つかさ「そだね〜」
かがつか「あははははははは!!!」




みたいな展開もおもしれえかも
263名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 11:29:32 ID:VG7sGe3j
かがみのくしゃみを聞くと、チビこなたに変形してしまうバグを持った素敵なアンドロイドに……!

いや、同じ蒼髪長髪だからつい……な、キサマ何処から入っt
26414-319:2007/09/22(土) 13:54:25 ID:0oeSEOef
どうもこんにちは
こなたとひよりの作戦 2の続きです
続きと言ってもおまけ的なものです

2レスしか使いません

それにしても良作品多すぎて嫉妬…
265名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 13:54:48 ID:fv5gTcnv
さっき本屋に行ったら幼稚園生ぐらいの女の子がおしり噛り虫を大声で歌ってた…
日本は平和だな〜
266こなたとひよりの作戦 3:2007/09/22(土) 13:56:05 ID:0oeSEOef
「つかさ、先に戻りなさい」
「なんで?一緒に戻ろ?」
「この保健室に入った時誰かに何かやられたでしょ?
 もしかしたらまだ誰か隠れてるかもしれないから…」
 やばいッス…かがみ先輩は本気で私たちを探す気ッス…
「うん、お姉ちゃん気をつけてね」
 それでも泉先輩なら…泉先輩ならなんとかしてくれるッス…
「先輩、何か策は…?かがみ先輩は隅々まで探してくるッスよね…」
 とにかく近くにいても聞こえないような声で先輩に話しかけた
「う〜ん…でもかがみは怒るだろうけど多分叩いたりしてこないからきっと大丈夫。うん、大丈夫」
 かがみ先輩が入り口あたりから探し始めてる…見つけられるのも時間の問題…
 いま隠れている場所はかがみ先輩たちが絡み合っていたベットを見るのに十分な場所だった
 それに隠れ場所にもよかった
 でもちょうどいい机の裏に隠れてるだけッスが…
 だけど向こうからは影になってこっちは見えにくいはずだったから気づいてるはずがないッス
 「その前にチャイムが鳴ってくれる事を祈るしかないッスね…後5分ぐらい…?」
 こんな時ならいつも心配ごむよう〜と言いながら話してくれるのに
 話してくれないと言う事は先輩にもいい策が見つからないんッスね…
「ん〜…どこに隠れてるのよ…さっさと出てきなさいよ…」
 出て来いと言われて出てくる人がいたらそれはそれで面白いッスね
 かがみ先輩は見つけられなくて困っている様子だった
 あきらめたのか保健室のドアを開ける音が聞こえた
 それを見計らったかのように先輩は隠れている所から体を出したッス
267こなたとひよりの作戦 3:2007/09/22(土) 13:57:21 ID:0oeSEOef
「ふぅ〜…つかれたぁ…」
「え?こなた?」
 私も出ようと思ったらかがみ先輩の声が聞こえたので出るのをやめた
「あれ?かがみまだ出て行ってなかったの…」
「まだって、あんたいつからそこにいたのよ…。もしかして…」
「う〜…今さっきからかな……それに誤解だから…」
「誤解って…何よ?あんた私たちになんかしたのね?」
「あぁ…しまった…」
「正直に言いなさい、なにしたのよ?」
「い…いやぁ…私はただ見てるだけだから…」
「見てるだけって…見たのね?あれを見たのね…?」
 先輩…ドンマイッス…
「なんでもないよ…こっちの話だから」
「なんでもないわけないじゃない!私にも関係ある話よ!」
「ん〜…かがみ、学校のみんなにたまにしてるっていいふらしちゃおうかなぁ…」
「くっ…それだけはやめて…」
 あえてあの事は口にださずに
 圧倒的に不利だった先輩が脅しを入れただけでかがみ先輩との立場が逆転してしまったッス…
 恐るべし…こんな事思いつくのは…先輩しかいないッス…
 しかしよかったッス…
「もういいわ…帰る…」
「じゃーねー」
「ひよりん、もう大丈夫」
 先輩の言葉で私も外へ出た
「ふぅ…先輩、流石ッスね…私の方もドキドキだったッス…」
「私もね、やばいなと思ったときにさっきの策が思いついたんだ」
「なんとかピンチは抜けられたッスね」
「だねぇ〜」
「そろそろチャイムが鳴るようなので私はこれで…」
「じゃ、ひよりんまたねー」


終わり?
268名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 13:59:52 ID:0oeSEOef
まぁ、これで終わり?です
ありがとうございました
269名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 14:31:22 ID:7G3sbX+4
かがみよええwwwwこなた黒いwwGJ!
270アリアン:2007/09/22(土) 16:42:51 ID:Yu6QLzrO
>>51
遅れてしまいすいません
教えていただきありがとうございます
 
っていうかスレの流れが速い&神作品が多すぎる
部活の合宿で2〜3日見なかっただけでもこんなに…
271名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 17:40:07 ID:Zn7X6I/X
剥げ同
ここ3日ほどの間にうpしてくれた方々、神作品過ぎてもうなんと言って良いやら
分からないですが本当に素晴らしいものをどうもありがとうございました

これでもう何も思い残す事はない・・・
272名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 17:54:20 ID:cjhLiqUd
らき☆すたエロパロ板は……永遠です
273名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 18:15:59 ID:L925fm3n
>>271
今死んだら、これからもっと熟成された良作神作が読めなくなるんだぜ
274名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 18:21:00 ID:kgIiN00s
>>273 いい事言い過ぎだろ…常考
275名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 18:40:11 ID:I96+yCsW
>>271
骨は拾ってやるんだぜ
276名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 18:41:44 ID:dHEKmwDc
5分かがみん
277名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 18:44:54 ID:y69ZcY4s
なんだかアニメ終了したら、SSのレベルが更に上がったね。
末恐ろしいっすねこのスレは……
278名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 18:55:35 ID:lMrkZW/m
終わったからこそ妄想が広がるってわけね
279名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 18:58:00 ID:+oByUHCM
>>270

ここの流れの速さは異常
明日は朝からイベントに出かけて、そのまま中国へ出張し、金曜の夜まで帰れません。
中国は国外へのインターネット接続が制限されているというし、帰って来た頃にはどうなってるか……

機内でこのスレが読めれば、退屈なんて感じる暇もないんだがなあ。
280名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 18:58:29 ID:0oeSEOef
次スレに移行してそうだなw
281名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 19:37:42 ID:UBEjCiyt
多分、次スレにいってると思うよw
282名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 20:05:04 ID:dHEKmwDc
>>279
ドンマイwwwwww俺も今夜から東京へ3日間の旅なんだぜ・・・
283名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 21:36:51 ID:7VDd0S/D
>>279
作品以外の、収録されてないレスも見たいっていうときはsnapshotとっとくから
もし必要ならそっちも見てくれ

ttp://p2.chbox.jp/read.php?host=sakura03.bbspink.com&bbs=eroparo&key=1190227241&ls=l50
284ぶーわ:2007/09/22(土) 22:06:11 ID:cjhLiqUd
人として袖が触れている>>14-20の続き投下します。

注意!
・諸事情によりみさおが男です。男化が駄目な人はスルーを。

断り文ってこんなのでいいのかな?
↓8レス拝借します。
 のんびりと歩く体が、これほど恨めしいことはなかった。
 あまり文を盗まれた事には気にしてないらしく、まるで時間つぶしのように邸の中を練り歩く。
 ……それにしても、居ない。
 雑色の身で、何処まで逃げたんだみさおのヤツ!
 というか邸の中にはもう居ない? いやでもさっき車宿にも行ったけどまだ牛車はあったし。
 さすがに置いて帰ることはないだろうけど……適当だからなぁ、あいつ。
「あれ、お姉ちゃんどうしたの?」
 とうとう行くところもなくなり、こなたの部屋にまでやってくる。
 習字の稽古中らしく、つかさが迎えてくれた。
「えっと、あの雑色の人来てない?」
「雑色……ああ、みさおさん?」
「んー、確かそんな名前だったっけ」
 覚えてねーのかよ!
 酷すぎるだろ! 常考!
「荷物持ったままどっか行っちゃったのよね、単ぐらいしか入ってないんだけど」
「さっき丁度来たよ。筆と紙借りたいって」
 筆と紙?
 何に使うのよ、そんなの。
「それ持って、どっか行っちゃった」
 どっかて!
 くぅ、あいつの適当ぶりが伝染してやがる。
「そう……ありがと、こなたのほうはどう?」
 つかさごしに部屋の中を覗くと、稽古に励むこなたの姿もあった。
 余程集中してるのか、こちらには気がついてない様子。
 ……そんなにお昼寝したいのか、こいつ。
「あははっ、凄いよ。もう終わりそう……いつもこんなだといいんだけどね」
 笑いながらも、はぁ……と最後にため息。
 そういやいつも稽古の時は逃げられるんだっけ。
 教え方が悪い、とか言ってたのは内緒にしとこう。
「終わりーっ!」
 と、賑やかな声が耳を劈く。
 その声の主がこちらに気がつき、突貫してくる。
「かがみーっ、お昼寝しよーっ!」
「はいはい、じゃあ部屋に行きましょ……つかさはどうする?」
「ごめん、私まだ今日は仕事あるんだ」
 今日は私は帰ってきたばかりなので、一応休み。
 こなたは……年中休みみたいなものか。
 ああ、駄目だ。
 これでもう私の体はてこでも動かないだろう。
 何せこなたと二人でお昼寝なんだから。
 夜を待つしか出来ないこの体が……ただ、憎い。
「これこなた、ちょっと待ちなさい」
「?」
 だが部屋に向かおうとした私の足が止まる。
「げっ、父さま」
 私を……正確にはこなたを呼び止めたのは、大臣様。
 つまり、おじさん。
 そしてあからさまに、表情を歪めるこなた。
 そうだった、こっちの世界のこの親子は……あまり上手くいってないんだった。
 その大臣様から隠れるように、私の後ろに隠れるこなた。
「はぁ……ほら、文が来ていたよ。目を通しておいてくれ」
 ため息とともに文の束を取り出す。
 どうやらまた、恋文らしい。
 こなたじゃ受け取ってくれないと分かっているからだろう、こなたじゃなく私に手渡す。
「かがみもよく戻ってきたね、具合は大丈夫かい? 熱が出たそうじゃないか」
「あっ、いえ。もう平気です……」
「まぁ、体を壊さないよう気をつけなさい」
 と、大臣様も自分の部屋にまた廊下を歩いていく。
「かがみ熱が出たの? 大丈夫っ?」
「うん、もう熱もないし……平気よ」
 まぁ熱なんて出てなかったわけだけど。
 峰岸が勝手についた嘘だしね。
 気絶してたのは本当だけど。
 まさか私本人も、春宮と帝の邸に侵入してたとは夢にも思うまい。
 春宮……みさおと。
 ……。
 私は、どっちが心配なんだろう。
 私に届いた文か、それを持って逃げたみさおか。
 早く夜になればいいと、こんなに願った日はなかった。



 こなたとお昼寝をして、夕餉を食べて……。
 いつもならこの後に食事の片付けや掃除などがあるのだが、今日は免除。
 あとは空が暗くなり月が出るのを待つだけ……なのだが。
「そーいえばさ、ゆーちゃんの所から文来てた」
 私の部屋に、こなたの声が劈く。
 そうよね……仕事がなくても、この子のお守りなのは変わらないのか。
 なんか今日はずっと近くにいるし。
 夕餉の後も、ずっとよ? いつもなら部屋に引きこもってるくせに。
 ゆーちゃん……ああ、ゆたかちゃんか。
 こなたの従妹だからえっと……おじさんの妹の娘、でいいのかな。
「それで、なんだって?」
 文に目を通していくこなた。
 どうやら大臣様に貰った文の中に見つけたらしい。
 でもあまり……表情は浮かばれない。
「ゆい姉さんからみたいだけど……最近あんまり、ゆーちゃんの具合良くないんだって」
 声が沈む。
 そういえば、私の知ってるほうのゆたかちゃんも体が弱かった気がする。
 こんなまだ未知の病気もあるような時代じゃあ、死活問題だよなぁ。
「だから遊びに来て、元気付けてやってくれって」
「ふぅん、いいんじゃない? そんな遠くなかったはずでしょ?」
「んー、すぐそこ。明日行ってみよっかなっ」
 明日て。
 思ったらすぐ行動するところは、そのままだよなこいつ。
「そしたら早く寝ないとね、もう暗くなっ……て」
「?」
 私の言葉が止まる。
 それにこなたも首を傾げる。
 そのこなたを……窓から漏れた淡い月光が照らしていた。
 そう、今代わったんだ……『私』に。
「どったの? かがみ」
「え、えと。うん、早く寝ないと……駄目よ」
 ようやくだ、ずっと待ってた。
 ええと、どうしよう……そう、みさお! みさおを探さなきゃ!
 最後に車宿を見たのが夕餉前、まだ内大臣家の牛車はあったはず。
 そうだ、もう一度見に行ってみよう。
 牛車があればまだ居る可能性も……!
「んがっ!」
 立ち上がり、外に出ようとしたときだった。
 首が思いっきり後ろに持っていかれる。
 そのまままた尻餅をつく。
「な、こなた……?」
「駄目だよかがみっ、熱出たんだから今日はもう安静にしてなきゃ」
 見ると後ろでこなたが私の髪を掴んでいた。
「で、でもちょっと……外に用があって」
「駄目ったら駄目っ!」
 不機嫌、というよりは怒っているのが伝わってくる。
 こなたの両手に髪を掴まれ、立ち上がることも許してくれない。
 http://bbs.freedeai.com/src/up6081.jpg
 もしかしてずっと私の近くに居たのは、安静にしてるよう見張ってたのか。
 うう、そんな気を回すヤツだったっけこなたって。
 私は今すぐにでも駆けて行きたいのにっ。
 ああ、仕方ない。
 こうなったら……またやるか。
「あ……あいたたたたっ!」
「!」
 うずくまり、腹痛のまね。
 やばい、前より上手いかも。
 こんなんばっかり上手くなってどうする!
「ど、どったのかがみっ! 大丈夫っ!?」
 こなたが慌てて私の髪から手を離し、駆け寄ってくる。
「ちょ、ちょっと……駄目かも」
「え、ど、どうしよどうしよっ!」
 軽くパニックになるこなた。
 うう、後ろめたいが、仕方ない。
「だ、大丈夫よ。誰か……そう、つかさ、呼んできてくれる?」
「う……うんっ!」
 自分が役に立てることが見つかり、そのまま部屋を走って出て行くこなた。
 つかさは確か今日はまだ仕事があると言っていた。
 居るなら寝殿、ここからは行って戻っても五分はかかる!
 でも五分で帰ってこれる? 愚問よ、やるしかない!
 そのまま、私も部屋を抜け出した。



 車宿に着くと、目立つ牛車が目に入った。
 唐庇車(からひさしのくるま:屋根が唐破風造のような形状の最高級の牛車)なんてものが、この邸にあるはずがない。
 私が朝乗ってきた、内大臣家のものだ。
 この月夜にそれが目立つのは……灯火の所為。
 中から漏れる淡い光は、篝火の乱暴な光とは別物。
 蝋燭の、静かに揺れる炎の揺らぎ。
 誰か……中に、居るんだ。
 誰か? 一人しか居ない、こんな所に居るのは。
「みさお……居るの?」
「ぬおぉっ!」
 外から声をかけると、大きな音と共に声が漏れた。
 相変わらず、分かりやすい……。
「い、居ないぜー?」
 ……返事をしてどーする。
 と、私の心の声が届いたのか、気まずい表情でみさおが屋形から簾を開けて現れた。
 そして私の前まで降りてくる。
 う……どうしよ、どんな顔していいか分かんない。
「よ、よぅ。あの……これ、さ」
「?」
 適当に挨拶した後に、私の前に何かを差し出すみさお。
 見覚えのあるそれは……文だ。
 そうあの、三枚目の大学ノート。
「悪い、えと……恋文かなんかと、勘違いしちゃってさ」
 どうやら中を見たらしい。
 あの一辺倒の意味の分からない文がさすがに恋文だとは思わなかったらしい。
 字もこの時代のものとは少し違う(旧仮名を使うのは女性のみ)し、読むのすら難しいか。
「あ、うん……勘違いじゃ、仕方ないわよ」
 とその文を受け取る。
 勘違い?
 じゃあ、恋文だったら……どうしたんだろ。
 だ、駄目だ。顔がやばい。目玉焼きぐらい焼けそう。
「……」
「……」
 沈黙が続く。
 どっちも顔が真っ赤。
 どうしよう……言葉が、続かない。
「あの、さ」
「う、うんっ?」
 突然出たみさおの声に大げさに反応する自分が、恥ずかしい。
「こ……これ!」
 すると何かを差し出す。
 暗闇の中でそれが月光に淡く照らされた。
 ……文、だ。
 さっきの大学ノートの入ってるそれとは違う、剥き出しで折りたたまれた文。
 そうだ、つかさが言ってたじゃないか。
 筆と紙を持っていったって。
 じゃあそれでずっと……文を書いてたの? こんな夜まで?
 ……私のため、に?
「受け取って……くれないかな?」
 その中にはきっと、私の知ってる下手な字が広がっているのだろうか。
 情緒とか、そんなのとはかけ離れた一辺倒な文が。
 でもそれは……私だけに書かれたもの。
 これはそう、告白だ。
 ……。
 私はまだ、躊躇している。
 私がみさおに惹かれ始めてるのは確かだ。
 でもそれは好意を寄せられていると思うと、どうにも意識してしまうだけのこと。
 好きというにはまだまだ、淡い感情。
 だけど……いい、よね?
 この手紙を受け取るぐらいならいいよね?。
 それぐらいのワガママぐらい……許してくれるよね?。
 そう、自分に言い訳をして私は手を伸ばそうとする。
 でも――その時だった。
 世界が、歪んだ。
「一目惚れ、って……やつだったのかも」
「え……」
 伸ばそうした手が止まる。
 みさおの口から漏れたその一言が私の脳を弛緩していくのが分かる。
「初めて会った時からずっと……勝手に目で追ってた。ちびっ子の面倒見てるときも、給仕してる時も」
 脳が痺れだし、手足が麻痺していく。
 待って。
 待って……。
 それって、じゃあそれって……!
「ははっ、耳引っ張られて叱られたのなんか、初めてだったし」
 いつもの笑顔が、眩しい。
 何で……そんな顔して笑うの?
 何で、何で?
 自分が何を言ってるのか、分かってる?
 だって、それ……『私じゃない』よ?
 ……。
 そうだ。
 みさおは私に告白してるんじゃない。
 この世界の、この体の私に……してる。
 ……だって、そうじゃない。
 私はいわば、上澄み。
 この世界の体に宿る、ありえるはずのない存在。
 誰も、私に気がつくことない。
 私は私であって……私でないのだから。
 あは、あははははっ。
 なにそれ。
 ナニソレ、馬鹿ミタイ。
 私は……自惚れていたんだ。
 自分に好意が寄せられてると勘違いしていた。
 それで赤くなって、狼狽して、逡巡して……。
 でもそれもこれも全部……違ったんだ。
 世界が、暗転。
 まるで世界が……闇に包まれたみたい。
 ……いや違う。
 私の世界は最初から、闇だけだったんだ。
 あるのは微かな、淡い月光のみ。
 その下のみ許される、自由。
 その下のみ許される、存在。
『貴方は永遠に、平安の夜に囚われるでしょう』
「あ……」
 その時、体に稲妻が走る。
 そうだ。
 思い出した。
 最初の手紙の……忘れていた、一文。
「お、おいっ。かがみ?」
 みさおが驚きの声を上げる。
 何時の間にか私の頬からは、涙が落ちていた。
「ご……めんっ」
 落涙は止まる事を知らず、その言葉だけを何とか振り絞った。
 ……。
 あとは……覚えてない。
 逃げた、気がする。
 その場所から……みさおから。
 ううん、その呼び方はもう駄目。
 そう呼んで欲しいって言ったみさおの……日下部の言葉もまた、私に向けられたものじゃない。
 上澄みであるだけの私に、そう呼ぶ資格なんて……ない。
 どうしてこうなったんだろう。
 どうしてこんな世界に来てしまったんだろう。
 何がいけなかったんだろう。
 私が何をしたんだろう。
 私はただ、皆が居るだけの世界で満足していたのに。
 私が何かを失くした? 知らない、そんなの知らないっ!
 同じもの? 違うもの? そんなの、分かんないっ!
 だって、皆一緒じゃないっ!
 日下部だって、結局何も与えてはくれなかった!
 失くしたもの? 鍵?
 そんな、形も分からないものを探すのなんて無理に決まってる!
 だってもう、ずっと探した!
 でも……ない!
 そんなの、何処にも……ない。
 そうだきっと、見つからない。
 私はずっと……永遠に囚われるんだ、この平安の夜に。
 そしてただ一人の存在になる。
 孤独な……この平安の、月夜にのみ自由を許される存在に、一人。
 そこには何があるの?
 たった一人の、孤独な暗闇に……。
 ねぇ、誰か私を見つけてよ。
 私を……助けてよ。
 声にならない嗚咽だけが、私の……私だけの、月夜の世界に響いていた。

――どうか、心折れぬように。
――どうか、心挫けぬように。
――それだけを、切に願っています。

(続)
293ぶーわ:2007/09/22(土) 22:29:46 ID:cjhLiqUd
続きます。
今回で一応第一章「みさお編」完です。
次から第二章「みなみ編」(仮)の予定です。
こんなエロもないような作品を暖かく見守ってくれるこのスレが、大好きです。
いや、入れようと思ってるけど、入んないだけ!

あとみさ男については賛否両論ですね。
でもどうしても、男で書きたかったねん! ごめん!
あ、それで男だったんだ! と納得できるような今後を書けたらいいなと、思う今日この頃です。
294名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 22:31:54 ID:0oeSEOef
別に男でも気にしないで読んでた
と言うより違和感がなかった…

とにかくGJ!
みなみ編かぁ…楽しみだ
295名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 22:47:07 ID:MLv770mh
物書きにこんなことをいうのもアレだが、あなたの絵が結構好きだ
296名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 22:52:33 ID:7y094tg5
>>293
GJ!
かがみが現代に帰れるか気になって仕方ないw
毎回絵も上手くてその才能に嫉妬しそうになりますw
297名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 22:57:48 ID:j+Doq3Lx
毎回GJだが、絵は本編画像のトレースじゃね?
と水を差してみるw
298名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 23:01:13 ID:HuuMhvHt
>>293
男に加えて元のキャラと乖離しまくってるせいかもしれんね
あとは「こんな男に○○の嫁はやれん!やれんぞおおお!!」だと思うわww

>>294
主観にあれこれ言うのもなんだが
体育会系でもない、おバカでもない、ガキでもない、ボーイッシュでもない、もちろん女でもない…で本当に違和感ないのか
ついでにかがみの呼び方も変わってるし、八重歯くらいしか原型残ってなくね?
299名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 23:04:23 ID:+q6blzGw
ってゆうか、賛否両論多数だけど
自分的にはGJ〜
300名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 23:11:28 ID:+q6blzGw
SS投下されてから
最低8レスは待たないと投稿できない暗黙のルールに
今頃気付く今日この頃。
301名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 23:17:17 ID:Yu6QLzrO
>>293
あなたの作品には、毎回ハラハラさせられたり、わくわくさせられたりしてます
今回も楽しませてもらいました
つまり
GJ!!!!!!
302名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 23:26:14 ID:UBEjCiyt
>>293
GJ !
俺は細かい事は気にしないから、思う存分好きなように書いてくれ。
のびのびとした作品が大好きなんだ。
303名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 23:35:37 ID:knxMifZI
>>300
既に8レスは消化されている!
さあ!
304七月の雪。:2007/09/22(土) 23:46:50 ID:+q6blzGw
ってか、前の投下したやつの改新版&続きです。
『七月の雪。』
レス数は何になるか分かりません。
こな×かが
です。
305七月の雪。:2007/09/22(土) 23:48:16 ID:+q6blzGw
朝、私は今日は一人で登校していた。
つかさが宿題をやっていなかったので
かがみと二人で手伝うから、先に行っててと、朝、つかさから電話が来た時は思わず笑いそうになった。
朝からう騒々しい駅の階段を上がって、丁度開いていた、電車のドアに駆け込む。
「ふう〜、セーフ。」
もう少しで閉じるところだったので、少し焦った。
けど、窓から見える都会の景色に少し心が和んだ気がした。
今日は一人かぁ・・・・・・。たまにはいいかな。
そんなことを思いながら電車にゆられて、窓の向こうの駆け足で変わる景色を眺めていた。
すると、向こうの席にゆたかくらいの年の女の子と、その子の母親らしき人が座っているのが見えた。
高校1年生。
まだ入学式が昨日のことの様に感じてしまう初々しかった頃。
1年の時ってなんかあったっけ?
脳の記憶の引き出しを手当たり次第探ってみる。
すると、一つだけ少し色褪せた、それでいて美しい輝きを放った記憶を見つけた。
あぁ、そうだ・・・・・・。かがみと私の関係が変わってきたころだ――――――


―――――――― 時はさかのぼり、高校一年の7月。夏真っ盛りのむし暑い時期だ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「あっつい〜」
日中最高気温34℃の7月のある日。私はつかさとみゆきさんの横で大の字になって寝転がっていた。
今、夏休みの宿題をかがみの部屋でやっているんだけど・・・。
「Zzz・・・」
つかさ寝てるし。

第一話 【 −始まり− 】
306七月の雪。:2007/09/22(土) 23:50:17 ID:+q6blzGw

第一話 【 −始まり− 】

「暑くて、暑くて、脳味噌が溶けてしまいそうですよ、かがみんや。」
手を団扇にしてパタパタさせながら話しかける。
「ほんとに暑さに弱いわよね〜、こなたは。」
横からダメ押しのツッコミをいれるかがみ。ホントかがみのツッコミは素早く的確だ。
しかも、もう宿題を終わらせてラノベを読んでいるあたり、嫉妬しそうな完璧ぶりだ。
「そりゃぁ、扇風機のすぐ傍で本読んでる人はいいよね〜」
痛いところを突かれたからか、なぜか頬を赤らめるかがみ。かがみが顔を赤くすると
ツンデレの『デレ』の部分を見たような気がして、得した気分になるのは私だけだろうか。

「こんなに暑いのに、宿題が山のようにあると暑さが倍になる気がするよ〜」
私の横でいつ起きたのか、つかさが眉をハの字にして話に入る。
テーブルの上で寝ていたからか、右側の頬が少し平らになっている。
「休みの中で出る宿題は多いですからね。特に夏休みは多いですね。」
その横で宿題を私達に会う前に終わらせて私とつかさに宿題を貸しているみゆきさんが言った。きちんと正座して座布団の上に座っている。
「ねえ、ところでさぁ。みんなは春夏秋冬の中でどの季節が一番好き?」
この暑苦しい話題を変えるために、指を立てて、少し首を傾けてから話題を変えた。
「私は、夏かな〜。やっぱり暑くてもこなちゃんとかと海に行くのは楽しいもん♪」
楽しそうにつかさが話す。
「私は春ですね。入学式や、入社等、始まりの季節なので、心機一転して物事に望めるからです。」
みゆきさんは、どことなく春の感じがしててピッタリだね。
「私は秋かな。読書の秋とかで本を読む時間が増えるしね。」
まあ、大半ラノベだろうけど・・・。
「かがみの場合は『食欲の秋』になりそうだね。」
横で薄笑いをする私。
「うるさい! そういうあんたはどうなのよ?」
最近気になってることを言われて焦るかがみ。
焦ってるかがみんも萌え〜
「わたし?わたしは冬だよ♪」
「冬?今夏だからでしょ。どうせ冬になったら『夏がいい』とか言うんでしょ?」
かがみはイシシと笑いながら、答えた。
「いや、それは違うんだけど・・・・・・」
「じゃあ、何よ?」
私は人差し指で頬をプニプニさせながら答えた。
「冬は雪が降ってプロ野球中継がなくなるじゃん?深夜アニメの録画がずれないんだよ。」
「あんたって、本当に期待を裏切らないわね・・・・・・」
横で苦笑いしながらかがみが言う。
「それと、もう一つあるんだけど。」
「何よ?」
「う〜ん、笑わない?」
「笑わないわよ。」
「中学のときにとっても仲が良かった友達がいてね。
んで、ある日私が『冬が好きだー、雪が見たいー』って言ったんだ。
そしたら、その友達が画用紙を小さく三角に切った雪作ってくれたんだ。
それから、冬が好きになったのだよ、かがみん♪」
そう言うと、ちょっと感心したようにかがみが言う。
「ふ〜ん、意外とちゃんとした理由があるのね。」
意外と、ってそれは結構失礼ですよ〜、かがみ。

「よし、さっさと終わらせな。」
そう言うとかがみは私とつかさの間に入り、質問されてもOKな体制に入った。
「そだね。」
「うん!」
「みなさん、頑張って下さい。」


307七月の雪。:2007/09/22(土) 23:51:02 ID:+q6blzGw
―――――――――――
ようやくみんな、宿題が終り玄関で帰る準備をしていた。
「じゃあ明日も行くからね♪」
靴のつまさきをトントンさせながら言った。
「うん、分かった。けど、もう宿題写させないわよ」
ビシッと指で私を指しながらかがみは言った。
「うっ・・・(汗」
「あの、私、明日は行けないんです。」
みゆきさんが申し訳なさそうに言った。
「そうなの?」
「そっか、ゆきちゃん歯医者さんに行くんだっけ。」
「はい、昨日晩御飯を食べていたらいきなり痛み出してきて・・・・・・。」
「早く治しときなさいよ?」
かがみの言葉にみゆきさんははいと笑顔で返した。
「それじゃあまた明日ね。」
「さようなら。」
「んじゃね〜」
二人で並んで帰る。
かがみが私の後姿を見えなくなるまで、恋する乙女の目で見つめていたことに
私は気付かなかった。

―――――――――――――――――
308七月の雪。:2007/09/22(土) 23:52:28 ID:+q6blzGw
今日はかがみとつかさと私の三人で登校中。
しかし、かがみの私に対する態度と目つきが怪しい・・・。
どったの?かがみ。


第二話 「−好きです、何よりも−」


朝からずっとかがみの様子が変だ。話しかけたら、
「うひゃぁっ!?」
とか、変な声出して飛び上がるし、私が近くにいる時は決まって顔が赤かったり・・・・・・。
まあ、かがみの変化を気にしつつも今日一日やり過ごせた訳なんだけど。
大変なのはここからだった。
放課後、いつものとおりかがみの教室に行き、かがみが身支度を終えるのをまった。
「そういえば、今日みゆきさんとつかさは?」
誰もいない教室に響く自分の声を聞きながら辺りを見回していう。
「えっと・・・、あの・・・、みゆきは昨日言ってた歯医者さんに行ってて・・・、
つかさは先に帰ってるってさっき言ってたわよ。」
「ふ〜ん。」
明らかにおかしい。なにその慌てようは。ついに私はためらう気持ちを振り切って聞いてみた。
「あのさ、かがみ……」
ん?と教科書類をしまいながら聞く。
「最近…ちょっと変じゃない?」
見事な指摘にかがみの手が止まる。
今まで以上に焦っているようだ。
「え!? そうかな?」
そう言って、また作業を続ける。
明らかにおかしい。
そう私は確信した。
「うん、特に私に対して。」
「・・・・・・。」
「なんか、言いたいことあるんでしょ?ほらほら、言っちゃいなよ?」
できるだけふざけたカンジで言ったつもりなのに、声には少し熱がこもっていた。
かがみの目が本気になった。
「驚かないでね。」
さっきまでとは違うかがみの目に私は覚悟した。こりゃ相当なことだな。
「あたしね・・・・・・、こなたのことが好きっ!」
「うわおっ!?」
いきなりの告白に、身構えてはいたけどかなり驚いた。なに?かがみが私のことが好き?
嘘でしょ?
「あの〜、かがみん。」
「なによっ」
少し強気で言ったかがみの顔は赤かった。
念のため確認をとった。
「それって『like』の方?それとも・・・・・・、『love』の方?」
「『love』の方よっ! 悪いっ!?」
流石はかがみん。告白するときまでツンデレとは・・・・・・、筋金入りだね〜。
って違うって!! 落ち着け私!
そして、すこし落ち着いてから返答した。
「ちょっと考えさせて・・・・・・。」
「え?あ・・・うん。」
それだけ言うと、私は夕焼け色に染まった教室と
照れに染まったかがみを背に、学校を後にした。
帰るとき、私はいつも乗ってる電車を間違えるほど動揺していた。
そりゃあ、朝からかがみの様子が変だったのには、気付いてたけど・・・。まさかそっちだったとはね・・・。
309七月の雪。:2007/09/22(土) 23:53:51 ID:+q6blzGw
次の日、私はいつもより早く家を出た。
待ち合わせに遅刻してかがみに叱られたらたまらないからだ。
いや、もしかがみが叱らなかったらつかさが怪しむだろう。
そんなことを考えてるうちに、一つの問いにぶつかった。
そういえば、私はどうなんだろ・・・・・・。
かがみのことは好きだけど、女の子として見たことは一度も無いなぁ・・・・・・
「おはよう、こなちゃん。」
「うぇぃわお!?」
あまりにもいきなりだったので前よりも変な声を出してしまった。
ん?つかさ?ってことは・・・、
予想通り、そこには真っ赤な顔で俯いていたかがみがいた。
どうする!? どうするよ私!?
「お、おはよう。」
動揺しつつもつかさに返事をした。
「どうしたの? こなちゃんも今日変だね?」
「う、うん。」
あまり動揺してたもんだから、そこから教室まで記憶が残ってない。
気がついたら昼になっててつかさとみゆきさんと昼食を食べてた。
「う〜ん・・・」
机に突っ伏して、頭を抱える私についにつかさとみゆきさんが聞いてきた。
「どうしたのこなちゃん。朝からずっと変だよ?」
口に特製ミニオムレツを入れながらつかさが聞く。
「そうですよ? 徹夜のしすぎですか? 」
心配そうにみゆきさんも聞く。
「何でもないよ。それより早く食べよう!」
そういって、コロネをあっという間に食べて私は教室を出た。
昼休みも五時限目も六時限目も過ぎて、帰りに先生が検定の話をしていた。
検定はとっていた方が受検のとき有利だってお父さんが言ってたっけ。
「検定は7月20日だからな!覚えとき〜や!」
そっか、7月20日ね。
ってその日って確か祭の日じゃなかったっけ!?

時は少し戻り三日前。――――――
「そういえば、祭の日っていつだっけ?」
「7月20日ですよ。」
「そっか。じゃあ今度みんなで行かない?浴衣着てさ。」
「それ、いいね。お姉ちゃんも行くでしょ?」
「そうね。その日は大して用事ないし。行こうかな。」
「じゃあ、みゆきさんもおいでよ。浴衣姿のみゆきさんに萌え〜したいし。」
「え?あの・・・。」
「ちょっと待て。あんたはそれだけの理由で、みゆきを呼ぶのか?」
「うん、まあね♪」

―――――――――――――
―――――――――
――――――
確か、そう言ってたよね。かがみ来てくれるかな・・・・・・。
遠い赤い空を見ながら、そんなことを考えてた今日この頃。




310七月の雪。:2007/09/22(土) 23:57:13 ID:+q6blzGw
今日は祭の当日。みんなでかがみの家に集合なんだけど。
行きづらい・・・・・・。あの日以来、かがみと一言も喋っていないんだよね。
とはいえ、行かないわけにもいかないので、私は家を出た。
なにか起こりそうなこの夕焼けの空の下を走りながら。


第三話 【− 雪 −】


かがみの家の前に着くと、もうみゆきさんとつかさが待っていた。
「お〜っす、みんな。待った?」
手を小さく上げながら顔だけをこっちに向けている二人に聞く。
「こなたさん、こんばんは。」
改めて体をこっちに向けて挨拶する。
「こんばんは。こなちゃん、今日はいっぱい楽しもうね!」
まるでもう祭が始まっているみたいにつかさが言う。
「・・・、え?あ、うん。そだね!」
あれ?かがみがいない。
「ねえ、かがみは?」
「あ、お姉ちゃんね。検定受けるか、お祭行くかまだ迷ってるの。」
そっか、人生の別かれ道だもんね、当たり前か。
納得していると、みゆきさんが言った。
「あの、そろそろ行かないとおみくじ売り切れちゃいますよ?」
「あ、そっか。『祭おみくじ』って今日だったっけ。」
思い出したようにつかさが言う。
この『祭おみくじ』というのは、ここら辺でしかやっていない珍しいおみくじで、
何日かある祭の日の一日だけ売られているおみくじで、このおみくじ目当てにわざわざ二駅前から来る人もいる。
それほど人気で、しかも数が少ない。
なので、祭が始まると同時におみくじを予約しておくのだ。
そうすれば、自分達が行ったときにおみくじが売り切れていたなんてことはない。
「じゃあ、二人で先行っててよ。私、ここでかがみ待ってるからさ」
その言葉には色々な意味がこめられていた。
「うん、二人の分も予約しておくね。」
「よろしくね。」
笑顔でそう告げると、
行こ?とつかさがみゆきさんに言って、二人で歩いていった。
二人が離れていくのを見て、私は決心した。
311七月の雪。:2007/09/22(土) 23:58:13 ID:+q6blzGw
今日答えを出そう。
今かがみが降りてきたら悲しいけど、返事を告げて笑顔で祭に行こう。
まあ、かがみが祭りにいければの話だけど。
そんなことを考えていると、上から白いものが一つ、落ちてきた。
それは、ひらひらしながら私の足元に落ちていった。
「雪・・・?」
思わず、口をついて出たのが『 雪 』だった。
しかし、よくみるとそれは紙で出来た雪だった。
その破片には「検定申込書」と書いてあった。
本能的に振り返って家の窓を見上げた。
すると、もっとたくさん、まるでいつかの友達がしてくれた様に『 雪 』は降ってきた。
かがみが軽い気持ちで言った、私の思いでを覚えててくれたことと、
そして何より、かがみが自分より私たちをとってくれたことが嬉しくて、
かがみの家に入って物凄い速さでかがみの部屋に向かった。
「かがみ〜!!! 」
私はその勢いでかがみの胸に飛び込んだ。
かがみに顔をうずめる。微かに、あった温もりは恥ずかしさからきていたのかもしれない。
「ちょ、なによこなた。」
何もなかったと振舞おうとするかがみの顔は赤かった。
「かがみ、前私に告白してくれたでしょ。それ、OKするね!」
「えっ!本当に!?」
予想外の言葉に流石のかがみも驚きを隠せなかったようで、目が光っていた。
「うん。私かがみのこと好きだよ?」
嬉しかったのか、かがみは涙を流していた。
そして、気持ちを落ち着かせてからかがみが言った。
「これからよろしくね。こなた!」
ふふふ、と笑いながらかがみを見上げる。
「それじゃ、早く行こう!つかさとみゆきさん待ってるよ!」
「うん!」
そういって、私たちはは祭に向かった。決してが離れないように、しっかりと手を握り合って。
312七月の雪。:2007/09/22(土) 23:59:27 ID:+q6blzGw
「昨日の祭凄かったね〜」
「はい、たくさんの人で賑わっていましたね。」
「特にかがみがおでんの食べすぎで喉つまらせたのは、おもしろかったね〜♪
焦ってたかがみんに久しぶりに萌え〜だったよ。」
「うるさい!もとはといえば、あんたがあのでっかい玉子を食べさせたからでしょうが!」
昨日の祭の話題で盛り上がる四人。いつもと同じ光景。
だけど、違っていたのはかがみと私の関係だけだった。

第四話 【 −楽しい一時− 】
今日も、帰る準備をしてからかがみの教室に行く。
「あんた、今日は?」
前みたいに普通に話せることを実感しながら答えた。
「ん、今日は代わりの子が入ってくれるから大丈夫♪」
今、多分私の顔は、幸福に満ち溢れているだろう。
「そこまで、無理して来なくても・・・・・・」
ちょっと呆れて言ってたけど、来てほしくない、という風ではなかった。
「けど、こなちゃんがいないと盛り上がらないから良かったね。」
「そうですね、大勢でいる方が楽しいですよね。」
いつもみたいな会話だけど、今日はちょっと特別な日。
いつもみたいに話しながら下校する。
私とかがみが付き合っているのは、みゆきさんもそして、妹のつかさですら知らない。かがみと話し合った結果、『二人に変な気をつかわせるのも嫌だから、秘密にしておこう。』ということになった。
さっき言ってた『特別な日』っていうのはつまり、みんなでかがみの家に泊まりなんだよね。
4人で泊まるのって、確かこれが初めてじゃなかったっけ。
「みんなでお泊りって、ちょっと緊張するね。」
横から、つかさがそう言うと、みゆきさんも言った。
「私はかがみさんとつかささんの家に行くのも初めてなので、結構楽しみです。」

他愛もない会話をしてるうちにかがみの家に到着。
着いてからお父さんとお母さん。そして、姉二人に挨拶を済ませ、かがみの部屋の方が広いのでみんなでかがみの部屋に寝ることにした。
全員入浴が終り、お楽しみのトークタイム。
学校で話すのと、かがみの家で話すのとは、なんか違ってて、一層楽しかった。
313七月の雪。:2007/09/23(日) 00:00:09 ID:+q6blzGw
やがて、トランプにも人生ゲームにも飽きて、寝ることになった。
12:30。時間が時間だしね。
4人で十の字になって布団を敷く。そして恒例の寝るまでのお話タイム。
皆で十の字の中心に頭を集めて、学校では話せないことをたくさん話した。
「こなちゃんって、そもそもなんでバイト始めたの?」
みゆきさんとつかさは早めにダウンし、かがみと二人で天井を見ながら話した。
「あんたさぁ、進路のこととかちゃんと考えてる?」
唐突に話を切り出してきた。
「ん?かがみんが思ってるより、ちゃんと考えてるよ〜」
とりあえず、そう答えた。
そう言っとかないと、説教が始まりそうだしね。
「へぇ〜、あんたってそういうとこ『ぼ〜』っとしてるイメージあるからちょっと意外。」
二人が起きないように小声で話す。
「それはもしかして怒ってもいいのかな?」
「とにかく、どんな職に就くにせよ、いい大学入ったほうが有利なんだから今のうちに勉強しときなさいよ。」
「うぅ・・・、寝るときまで説教ですか、かがみ・・・。そりゃないよ〜」
そんな高校生らしい・・・とは言いがたい話をしていると自然にこれからの二人の話になってきた。
「ねえ、私たちってさぁ・・・。」
「ん?なに?」
「付き合ってるんだよね。」
「そ、そうよ! 何よやぶから棒に。」
やっぱり同様した。
付き合ってる人に『付き合ってるんだよね』なんて言ったら、動揺するのは当たり前か。
「ん、なんかいつもと変わんないから。ちょっとあれ?って思ってさ。」
「そうねぇ。付き合うってお互いの気持ちを伝え合うだけなのかな・・・。」
ちょっと残念そうにかがみが言う。
「そんなことないよ・・・。」
「ん?なんか言った?」
「ううん。なんでも。それにしても付き合ってる人に『付き合ってる』って言われてそこまで恥ずかしがる人は珍しいよ。」
まぎらわす為に空気を変えた。
「う〜ん、けどなんかそういうことって、面と向かって言われると恥ずかしいわね。」
「ふふっ。恥ずかしがるかがみんに萌え〜、だね。」
「うるさい!」
二人の他愛もない話をしている横でつかさは二人に気付かれないようにしっかりと目を開けていた―――――――――

朝日が眩しくて、私は目を開けた。
みんなはまだ寝ている・・・、と思ったらつかさの布団が空っぽだった。
よく見るとつかさの布団の上に紙が乗っていた。それを手にとり書かれている内容を知ったとたん、私は急いでかがみの部屋を出て、つかさの部屋に向かった。
紙に書かれている内容はこうだ。

〔お姉ちゃんのことで話があります。〕
314七月の雪。:2007/09/23(日) 00:01:10 ID:yhHT+Oif

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

つかさの部屋に入るとつかさは自分のイスに座って、日記帳を書いていた。
そして、私が入ったのに気付くとゆっくり後ろを振り向いた。
「待ってたよ、こなちゃん♪」
その笑みがなぜかいつものつかさを連想させてはくれなかった。

第四話 【 −アメとムチ− 】
「話って・・・、何?」
とりあえず、私はとなりの部屋で寝ている二人を起こさないように、小声で話した。
小声ながらも、私の声からは明らかに動揺していることが分かっただろう。
「わかってるでしょ、こなちゃん。『お姉ちゃんのこと』っていったら一つしかないってこと。」
予想はしてたけど、驚いた。なんで?なんでつかさが私とかがみのこと知ってるの?
まさか、かがみが喋ったとか・・・、いやそれはない。
そんな考えを巡らせているうちに、つかさが俯きながらゆっくりとそして力強く喋り始めた。
「隠してたんだ・・・・・・。」
重々しい言葉。
信用していた友達に裏切られた、そんな言葉も連想させる発言だった。
「い、いや、ちょ違うんだって!ちょっとこれには訳が・・・」
「訳って何!!!? 」
さっきまでの静けさを突き破るつかさの声。こんなつかさ見たことない・・・。
そしてつかさの声に目を覚ました二人が どうしたの? と言いながら廊下を歩いてくるのが聞こえた。
二人が起きたのに気付いて、いつものつかさに戻った。
「なんでもないよ〜」
と、さっきまでのつかさと別人のような顔で、つかさは部屋を出ていった。
315七月の雪。:2007/09/23(日) 00:02:19 ID:yhHT+Oif
部屋に一人取り残された私。
私の頭のなかではなぜ?の二文字が点滅していた。
ふとつかさの机の上を見ると日記帳があった。
色々な色の蛍光ペンで彩られたきれいな日記帳。悪いこととは知りながらも、気付けば私は日記帳のページをめくっていた。

7月10日
――――――――――――――――――――――――――――――――
今日、こなちゃんと、ゆきちゃんが私の家にお泊りしに来た。
その日の夜、久しぶりにお姉ちゃんと一緒に寝た。
嬉しかったなぁ・・・。
そう思っていると横でまだ起きていた、お姉ちゃんとこなちゃんが何か話していた。
話の内容を聞いて、びっくりした。二人が付き合っていたなんて・・・・・・。
お姉ちゃんは私が好きなのに・・・、こなちゃんよりずっと、ずっと前から知っているのに・・・。
私は決めた。今日から
―――――――――――――――――――――――――――――――――
この日記は途中で終わっていた。さっきこれを書いてたんだ。
つかさがかがみを好きだってことには驚かなかった。
前から、つかさのかがみに対する態度は明らかに恋の二文字がある、と確信していた。
つかさがかがみを好きだって知ってたのに、私はなんて軽い気持ちでOKしてしまったんだろう、と今改めて後悔した。
それにしても、あの時つかさが起きてたなんて・・・・・・。
そんなこと思ってるとかがみが部屋に入ってきた。
「どうした〜? こなた。あんたにしては早起きじゃない? 」
何も知らないかがみに、今見たことを全て言った。
つかさが私たちの関係を知ってること。
隠してたことを怒っていること。
ただし、つかさがかがみのことが好きだってこと以外は・・・・・・。
そして、これからの為にどうすれば良いか、も聞いてみた。
「まさか、つかさが知ってたとはね・・・・・・。」
かがみはしばらく考えてから、真っ直ぐ視線を私に向けて話した。
「隠し通すのも、だめだから・・・、いっそのこと二人に話しちゃおっか? 」
少し、ふざけた感じでかがみが言った。
あまりにも軽薄な発言に私はすこし苛立った。
「かがみ、真剣に考えてる? 」
私の言葉に苛立ちが染み込んでいたのが自分でも分かる。
「考えてるわよ、あんたよりはね。」
私の言葉にムッときたのか、かがみも苛立った口調で言い返してきた。
「かがみが真剣に考えてくれないと、つかさと私たち、ギクシャクしたまんまだよ!? 」
「私だってちゃんと考えてるわよ! ただ、姉妹だから言いにくいってだけで・・・。」
かがみの言い訳を俯いたまま聞いていた。
手は拳を握っていて、今にも出てきそうな怒りをそれで何とかこらえていた。
かがみの家族だからって理由はもう聞き飽きた。
家族だから、家族だからって、何なの一体!?
「もういいよ! 」
俯いたまま、かがみに叱咤した。
かがみの横を早歩きで通り過ぎて、つかさの部屋を後にした。
居間に行く途中、玄関にもうみゆきさんとつかさが居るのに気付き、
急いで食パンを食べ、玄関に向かった。
316七月の雪。:2007/09/23(日) 00:03:05 ID:yhHT+Oif
四人で学校にいるときは、とっても辛かった。四人で話しているときも、どこかぎこちなく、気まずかった。
そして、つかさが口を開くたびに、私とかがみのことを話すかもしれない極度の不安に襲われた。
やっとのことで全ての授業を終え、私は机に突っ伏していた。
これからどうしよう・・・・・・
ふと窓を見ると夕焼けに赤くそまった雲がゆっくりながれているのが見えて、
校庭から部活動の元気な声が聞こえていた。
今日は、三人で先に帰っててとみゆきさんに言っておいたのでいつまでもこうしていられる。
開いてる窓から涼しい風が吹いてきて、長い髪が私の頬と耳をくすぐる。
―――今日帰ってからじっくり考えよう、それがいい―――
そう考えた私は一人教室を出て、いつもより長く感じる廊下を歩いていった。
廊下には、私の足音と、セミの鳴き声だけが響いていた。
次の日、私は放課後、机の上で脱力していた。
すると、私の異変に感づいたみゆきさんは、私のそばに寄ってきた。
「どうかされたんですか?」
机の上で脱力している私に、横から心配そうな眼差して声を掛けてくれた。
みゆきさんに話してもいいんだろうか―――――――――――――
そう考えてるうちに、数分たってから私は気付いた。
何で私は今まで隠してたんだろ。――――
私がかがみを好きで、
かがみが私を好き。
ただそれだけなのに――――
つかさが怒っていたのは
ライバルとしてとかじゃなくて
仲間として友達として
相談してくれなかったからなのかもしれない――――
今までなんで、こんな当たり前のことに気付かなかったんだろう。
そう考えれば、つかさが言ってたことが身に沁みた。
『隠してたんだ・・・・・・。』
あの時のつかさの目には怒りの他に悲しみが混じっていた気がする。
つかさにもちゃんと言おう。もちろんみゆきさんにも。
そう決心した私はみゆきさんに一切を打ち明けた。私とかがみの関係のこと。
それと、つかさが私とかがみの関係を知ってること。かがみとケンカしたことも全部・・・。
私が話し終わるまで、みゆきさんは何も言わず、黙って聞いてくれた。
全て話し終わると、みゆきさんはう〜ん、一段落つかせてからゆっくりと話し始めた。
「ちょっと厳しい言い方かもしれませんが、それは隠していた泉さんが悪いですね。」
みゆきさんの鋭い指摘に心が痛む。
隠し事は悪い、とみゆきさんにも怒られると思った。
「けど、今こなたさんは私に話してくれたんです。」
みゆきさんの温かい言葉に、怒られる、嫌われるとばかり思っていた私はちょっと驚いた。
「それだけでも、こなたさんは成長したと思います。」
みゆきさんと私が小さいころに亡くしたお母さんと重なった気がした。
私はお母さんを写真でしか見たことないけど、母親ってこんなカンジなんだろな、と思った。
そして同時に、早くつかさに話さなければ、という気持ちにとらわれた。
「じゃあ、私。つかさに話してくるね。許してもらえるかわかんないけど」
そういうとみゆきさんが、体の前で小さく拳を握って、
「大丈夫ですよ。今の泉さんなら大丈夫です」
と明るく励ましてくれた。私には、その優しい笑顔がとっても温かくて、後ろに、笑っているお母さんの顔が見えた気がした。
317七月の雪。:2007/09/23(日) 00:04:05 ID:yhHT+Oif
みゆきさんは、窓から、校舎から出て真っ直ぐ走っていく私を見つめていた。
――今の泉さんなら大丈夫です――
この言葉が励みになった。
何より励みになった。
窓から私を見ているに気付いて、笑顔で手を振った。
するとみゆきさんも振り還してしてくれる。
手をゆっくり下ろすと、私は小さな言葉でこう言った。
「ありがとう」
第五話 【どこか似ている】
みゆきさんの言葉に自信を持ちながら、私はつかさの家に向かって走っていた。
長い髪が後ろでゆらゆらなびく。
早く、早く謝りたい。
それしか、頭になかった。
あたりはもう暗くなりかけていて、あまり足元が見えなくなってきた。
そしてなぜか、目から涙が零れ落ちる。
なんでだろ?なんで私泣いてるのかな・・・・・・
少し微笑みながら服の袖で涙を拭う。
――もういいよ――
あの時のつかさの言葉が頭の中で響いていた。
あの時のつかさは、今思えば、怒ってたんじゃなくって、悲しかったのかもしれない。
私が隠してたから、相談もしなかったから。
そう思うと心が痛んだ。
そんなこと考えていると見慣れた家が遠くに見えてきた。
見ると、門の前でつかさが黙って立っていて、家の門の方向に体を向けて
じっと何かを見ている。
近くまで来てやっと見えた。
つかさとかがみが何か話している。遠くから見ると喧嘩腰で話しているように見える。
つかさが私に気付いてこっちを見た。
「あ、こなちゃん。丁度良かった。
 話したいことが合ったんだ、三人で」
つかさの言葉で気付いたのか、かがみもこっちを見る。
「こなた!? 何でここに・・・・・・」
かなり焦っているようにも見えたし、嫌そうにも見えた。
けど、それは後でまとめて話そう。
「私も話したいことあるんだ。二人に・・・・・・」
かがみは横で私とつかさを心配そうに見ている。
真っ直ぐつかさを見つめる、決して逸らさずに真っ直ぐ。
つかさの目の奥に前までの笑っているつかさは見えなかった。



≪続く―――≫
318七月の雪。...続く:2007/09/23(日) 00:06:30 ID:yhHT+Oif
以上です。
後々、続きを書きたいと思っています。
お目汚しすみません。
それと、作品紹介のとき
非エロって書くの忘れました。
すみません。
319名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 00:14:19 ID:5UwhG1Ao
>318
リアルタイム遭遇!
前半のピュアラブと後半の危うくなっていくつかさとの関係という明暗が素敵でした、続き楽しみにしております!
320ぶーわ:2007/09/23(日) 00:35:12 ID:yBvxkgGc
感想どもです!

>みさ男について
キャラが全然違うのは、土下座するしかありません!
男にしたら……と考えたら、自分の中ではこんなんなっちゃいました! メンゴ!

>呼び方について
みさおがかがみを「かがみ」と呼ぶことについてですが、平安時代は実は苗字で呼ぶ習慣がないんです。
天皇から大体姓をとるので、大概が藤原だったりします。
なので呼ぶときは名前か役職名(春宮、左馬頭など)が基本です。
前書きに書くべきでした、これまたメンゴ!

>絵について
絵は適当に本編画像トレスして、男性なら束帯と冠、女性なら単を着せてるだけです。
一話の梅の下のこなただけ、自分で描きました。
あとは正直、面倒だったんで!
321名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 00:35:57 ID:oXcpJnob
>>318
GJ!
つかさの危なっかしさが良い緊張感になってますね。
ただ、気になったのは個人名の呼び名(みwiki→こなたの「泉さん」「こなたさん」、こなた→ゆたかの「ゆたか」とか)と4章が二つ(>>312,>>314)あった事かな?
呼び名に関しては後者はそこまで問題だとは思わないけど、前者は一つの話の中では統一してみては?
322名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 00:47:01 ID:1QSrO5/i
>>320
呼び方把握w
だがふと気付いたんだが…
平安時代の平均身長は今と比べてかなり低いはずだ。
その上でも変わらずちびっ子扱いされるこなたの身長がどうなってるのか気になってしょうがないwww
323名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 00:54:11 ID:NvBdU3M0
>>318
GJ
つかさ怖いよつかさ

あと気になったんだけど、つかさの日記が7月10日になってるけど、20日じゃなくて?
324妄想屋(仮名):2007/09/23(日) 00:58:56 ID:tB+JQnh3
うは、またすっげー伸びてる!
やっぱ、「原作が終わってからこそが妄想の始まり」って本当だよね。

さて、『かなたwithこなた』塗りますた。
線画をうpったのは……9月11日。ほんの十日ちょっと前なのに、前々スレの>>59ってw


つ【ttp://poya.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/img-box/img20070923004741.jpg


明日(って、もう今日じゃん!)の夜から中国へ出張なので、その前に仕上げようとして若干突貫スンマソ
32514-319:2007/09/23(日) 02:43:51 ID:Ex1wRMGx
>>318
GJ!
いいですね、続きもきになる…


そしてまた新しいSS
最初は3レス程度使って
エロ無しでこの後も長くなりそうです
326変化:2007/09/23(日) 02:44:56 ID:Ex1wRMGx
 こなたは私の大事な好きな人
 つかさは私の大事な双子の妹
 私にとっての二人は…
 でも二人にとっての私は…?
「はぁ…」
 なぜか私はため息をつく
 夏が終わり秋の涼しさが迎えるこの季節木々についた葉っぱが地面に落ちるのも珍しくない光景だった
「どうしたのお姉ちゃん?」
「ん〜、なんでもないわよ」
「そっかぁ、よかった」
 いつもと同じ時間、いつもと同じ登校風景、いつもと同じ朝
 いつもと同じ…?
 自分で言っててあれだけどいつもと同じなんてあるわけないわよね
 昨日と今日は違うし今日と明日は違う。春も夏も秋も冬も同じなわけない。
 一秒前の物が一秒後に同じ物になるとは思わない
 名前で考えたら同じだけど深い所では違う。
 物はいつでも変わってる。人と同じように変わってる。
 私も昨日と今日で少しだけ変わってる所があってもおかしくない。
 たとえ変わって無くてもこれから変わる事も間違いなくある。
 過去にも現在にも未来にも全く同じ物が存在するとは思えなかった
「…お姉ちゃん?」
「ん…ちょっと考え事してただけよ」
「やっぱこなちゃんの事?」
「まぁ、そんな感じね」
 って言ったら嘘だけどね…
「うん、私はお姉ちゃんとこなちゃんの仲は邪魔しないからね」
「分かってるわ、何回も言わないでいいわよ」
「えへへ…」
 つかさは照れながら笑う
 ってそこは照れる所なのか?
327変化:2007/09/23(日) 02:46:18 ID:Ex1wRMGx
「でもこなちゃんとお姉ちゃん仲良くてほんといいなぁ…
 私より仲良くてほんとの双子みたいだよね」
「バカ言わないでよ、私とつかさはほんとの双子よ?」
「うん、そうだったね」
 なんだろ…この感覚…
 つかさとこれ以上仲良くしたらこなたが離れて行きそうで…
 逆にこなたとこれ以上仲良くなったらつかさが離れて行きそうで…
「お姉ちゃん、大丈夫?」
 今までの関係がいつもと同じように続いたらいいのに…
 でも未来なんて誰にも分からない。いつもと同じには行かないのは分かってる。
「お姉ちゃん?聞こえてる?」
 けどこのままだとどっちかが離れて行くのを想像したくなかったが想像出来てしまった
 私はどうすればいいの…?
「お姉ちゃんっ!」
 つかさの声が耳に響いた
「どうしたの?具合でも悪いの…?」
「心配しなくて大丈夫だから…」
「さっきから変だよ…?」
「気にしないで、大丈夫よ。」
「でも…」
「つかさは私から離れないわよね…?」
「うん。だって私たちいつも一緒に居てきたからね。
 どんな事があっても私はお姉ちゃんから離れないよ」
「でも、もし私がこなたとどこか遠くへ行ったら?」
「その時はその時だよ。私はお姉ちゃんの事をずっと待ってるからね…?
 だから、さっきも言った通り邪魔しないからね」
「うん、そうね。ありがと」
328変化:2007/09/23(日) 02:47:30 ID:Ex1wRMGx
 なんで…なんで私はこなたと会ってしまったんだろうか…
 会わなければこんな事は…なかったはずなのに…
 私たちが双子じゃなかったらこんな事…ないはずだったのに…
「お姉ちゃん」
「何よ?」
「死んだらだめだよ?」
 つかさに考えを見透かされた様な気がした
 なんか鋭いのよね、この子。
「ばっかね、私が死ぬと思う?少なくともつかさを置いて死なないわよ」
「さっきからとても思いつめてるように見えたから…」
「大丈夫よ、とにかく学校へ行きましょ」
「うん、そうだね」
 今更思ったけどこんなささいな事気にしなけれよかったかもしれない
 気にしていなければつかさに心配かける事も私がこんなに考え込む事もなかったのに…
 それにこんなこと気にし始めたらどっちかが…いやね、そんな事あるはずないじゃない
 現に今までそんな事なかったわけだし…
 でもおかしいね、そんな事考え始めたら私の頭から消えなくなってしまったじゃない…
 ったく、どうしてくれるのよ…
 ほんと私を困らせるのが好きなようね…
32914-319:2007/09/23(日) 02:49:33 ID:Ex1wRMGx
これを書くのを忘れないようまず最初を投下しました
続きは頑張ります
330名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 02:54:58 ID:dBo+hrDc
これは……、さては鬱の気配?とりあえず続きはお待ちしております。
そんなことより、ウチのエリア(瀬戸内)でもついにらきすたの放送が



23話まで終わったっぜ!
331名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 03:09:09 ID:Wm/bqqZ1
>>330
なんかテレ朝の編成に振り回されて、1週遅れてるんだっけ?
332名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 03:20:43 ID:snOGYxrb
うちの方じゃ今日で25話だぜ!
楽しみだにゃー
333名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 03:36:18 ID:dbm6zqBe
>>324あ・・・あなたはなんという物を・・・
神GJ!!!

>>329なんともむず痒い不思議なふいんき←(何故か変換できにゃい)ですな。
GJ!!

>>332俺らき☆すた10巻手に入れた。そして第二期も始まるぜー
334名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 03:38:30 ID:dBo+hrDc
>>331
たしかサッカーか何かだったな
それにしても、公式ページでは「22日」の日付で、24話のストーリーが掲載されている
わけだが…。一週遅れになってなかったとしても先手を取られてるじゃねーかorz
335名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 06:51:49 ID:+F8A0kEK
>>318
>>311のあたり、こなたがかがみの告白を受け入れるシーンの描写が物足りない気がする。
もっと練ってみても良かったんじゃない?
あと全体的に変な個所がいくつか見受けられるので、推敲をもっとした方がよろしいかと。
336名無しさん@ピンキー sage:2007/09/23(日) 07:25:18 ID:c1Wk3Eo3
俺なんて最終回を見るのが恐いからまだ録画した奴巻き戻してないんだぜ。


10巻と同時発売のらき☆すたスピンオフ4コマの魔法少女マジカルキユミン面白れー。
337名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 08:49:14 ID:AS/UHopa
>>336
ぱにぽに過ぎるw
338名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 08:50:28 ID:hjRDBWCt
>>333
すげえよな・・・・4コマで10巻なんて専門誌でもそんなにないぞw
俺は描き下ろしの頭文字Yが好きだなw
339名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 09:33:40 ID:XufZFw15
ばっか、そこは京アニと美水先生が共同で作り上げた
「劇場版らき☆すた〜YES!らき☆きゅあ365〜」嘘設定資料集について語るところだろうが
340名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 09:37:03 ID:EbzcvxLp
>>339
かがみのおへそ(*´Д`)ハァh
341名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 11:49:19 ID:dtS5MsW4
みゆきさんは将来、ありあまる知識のもと、巨大コンピュータを作っちゃうタイプ。
んでコンピューターが自我もっちゃって、逆に支配されてしまうタイプ。
「オー!ミスターブレイン!」
342名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 14:26:19 ID:GqD+7z+9
>>341
ワロタwww
3437-896:2007/09/23(日) 14:27:52 ID:MPeeRaop
どうもこなフェチの人です。
こな×こなをイラストでっていう要望があったので描いてみました。
ttp://1rg.org/up/50632.jpg

穴とか突起は自重しました(´・ω・`)
時間があったらあとで塗っておきます。
なんか荒いねっていうのは勘弁です。
344名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 14:50:12 ID:IWFJ06C+
>>343
ふおぉおおお!!
こな×こな・・・!
いいもん見させてもらいました
もう、悔いはないぜ・・・
345リク ◆yk1swKhbl6 :2007/09/23(日) 15:12:30 ID:fbB2D9Pn
前回言ってた別エンドです。なのでまた5章の続きと言う事になります。
エロあり。こな×つか です。
346第六章 ―心の中にいる人は―:2007/09/23(日) 15:13:11 ID:fbB2D9Pn
 クリスマス。運命の日。

 音も無く降り続く雪の粒が視界を綺麗に彩っていた。

 その中を楽しそうに歩いていくカップルや家族達。

 今日という特別な日を大切な人と過ごせることが、本当のクリスマスプレゼントなのかもしれない。



 あたりが少し薄暗くなってきた頃、私は公園のベンチに座っていた。

 大切な人を待つ為に。



「つかさ」

 呼ばれた方を見ると、こなちゃんは雪が降る中、少しはにかんで笑っていた。

「こなちゃん……」
「おまたせ〜さすがに寒いね〜」
 こなちゃんは肩を縮こまらせポケットから缶コーヒーを取り出し「はい」と私にくれた。
「ありがと」
 かじかんだ手にその温もりがじわっと沁みこんでいく。
 こなちゃんは「ん」と答えて、私の隣に座った。



    ―心の中にいる人は―
347第六章 ―心の中にいる人は―:2007/09/23(日) 15:13:41 ID:fbB2D9Pn
「来てくれないと思ってた」

こなちゃんは私の顔を見ることはなく、ただ前を向き続け、ゆっくりと口を開く。

「…………私、かがみを選んでかがみの所行ってた」
「…………そっか」
 はぁ〜と白い溜息が私とこなちゃんの口から同時に零れる。
 そうだよね。それが自然な事。うん、そうだよ、状況は何も変わっていない、今が続くだけだよ。
 そう、何も変わらない。お姉ちゃんのこと好きでもいい。そう思ってたはずじゃないか。

「……でも頭の中から全然消えなくてさ。自分ではよくわからなかったんだけど、かがみにはそれがわか
ったみたい」
「え……」
「たぶん上の空だったんだろうね、私。だからかがみ、今頭の中にいるのは自分じゃないんじゃないかって。
ドキッとしたよ、サイコメトラーか!? ってね。でも、それで気づいたんだ、私はつかさのところに行っ
てあげたかったんだって。でもそれって同情なんじゃないかとも思った。そんなのつかさは望んでるのかな
って、でもかがみがそんなウジウジ悩むなんて私らしくないって、オタクなんだったら萌えに正直に突っ走
りなさいよって。……オタクに対しての偏見だよねーまったく……」

 こなちゃんは無理に笑おうとして、声が引きつっていた。

「ゲームならセーブしてどっちも選べるのに、現実は厳しいね。私、わかったつもりになってた。どっちか
を選ばないといけない状況とか、どっちが正しいかとか。こいつはなんて優柔不断なんだ! ってバカにし
てた。でもそうなるもんなんだね、だってどっちも大切な人で、どっちか選ぶなんてやっぱり残酷だよ……」
 
 こなちゃんは缶コーヒーを握る手に力を入れる。

「私すごく酷いことしてるのかもしれない。今だってつかさだけ見てるなんていえない……かがみのこと好
きだもん……、本当に好きだから……」
 こなちゃんの目から涙が零れ落ちた。

「こなちゃん……」

「かがみ……うぅ……」
 嗚咽を漏らして、顔を隠す様にこなちゃんは体を丸める。

 私はその上からこなちゃんを抱きしめて、
「ごめんね、私が好きになっちゃったから……、私が好きにならなかったら、こなちゃんにこんな思いさせ
ることもなかったのに……」
 こなちゃんは首を横に振った。

 だけど体は正直で、しばらく心の痛みに耐えるように震えていた。
348第六章 ―心の中にいる人は―:2007/09/23(日) 15:14:06 ID:fbB2D9Pn
 こなちゃんが落ち着くまで私は抱きしめ続けた。

「落ち着いた?」
「……うん」
ズッーとこなちゃんは鼻水を吸い上げる。

「私ね、自信があるとか本当はぜーんぶ嘘。自信なんてない、全然なかった。だって相手はお姉ちゃんだも
ん。でもそうやって自分に言い聞かせないと頑張る事ができなかっただけなんだ」
 緊張の糸が解けたせいか、もらい泣きか、何故か涙が溢れてきた。
「でも、それ以外は全部本当。こなちゃんのこと好きな気持ちも。諦めないって気持ちも。誰よりも好きな
気持ちも。全部」
「……うんわかってるよ、じゃないと今ここにいない」

 こなちゃんは自分も泣いてるのに、私の涙を拭って、微笑んでくれる。

「好きって言われたら嬉しいし、意識もする。でもそれはいけないような気がしてた。私はかがみが好きだ
ったから……。でも、確実に、あの日から私のなかでつかさの存在は変化してた。自分では気づかないほど
小さな変化だったんだと思う、でも少しずつ知らないうちに大きくなってた。私ね、あんな事いっときなが
ら自分の気持ちは絶対的なものだって思ってたんだよね。私はどんなことがあってもかがみが好きだって。
その気持ちに嘘はないし、嫌いになったわけじゃないし、好きな気持ちが消えたわけでもないんだけど……
なんでだろうね……、ゲームやアニメで恋愛をしてきたつもりになってただけで、本当は何もわかってなか
ったのかもしれない。でも今は、きっとね、好きの形っていろいろあるんだと思う。どれが正しいとか正し
くないとかじゃなくて、自分が出した答えが全てなんだよね。だからこれが私の答え。今の素直な気持ち。
私は――つかさが好き」


 こなちゃんは少し歯を見せて照れくさそうに笑った。

 また涙が溢れそうになった。

「つかさ、笑って。私はつかさに笑っていてほしい」

 私は慌ててその溢れ出そうになった涙を拭い、微笑んだ。

 それを見て、こなちゃんは頷いてから立ち上がった。

「コーヒー冷めちゃったね」
 そういってこなちゃんは缶コーヒーをポケットにしまった。
 私も、立ち上がりそれをポケットにしまうと、開いた手をこなちゃんのポケットにもぐりこませた。
 少し驚いた表情で振り向いたこなちゃんに、私は微笑んで言った。
「私はこっちのカイロがいい」
 ポケットの中でこなちゃんの手がぎゅっと私の手を握り締める。
「うん、私もこれがいい」
 二人で顔を見合わせて微笑んだ。

 繋いだ右手と左手。
 もう期限付きなんかじゃない。ずっと繋いでいていいんだ。

 ねぇゆきちゃん、私の気持ち、こなちゃんに届いたよ。
 ゆきちゃんが言ってたようにこなちゃんの気持ちも伝わってくる。
349第六章 ―心の中にいる人は―:2007/09/23(日) 15:14:51 ID:fbB2D9Pn
「サンタさん、素敵なクリスマスプレゼントをありがとう!」
 私は空に向かって言った。きっとどこかにいるだろうサンタさんに向かって。
「クリスマスプレゼント?」
「うん、こなちゃんが私のクリスマスプレゼント」

「私が?」

「うん、世界に一つしかない、最高のクリスマスプレゼントだよっ」

「じゃあ私もお礼言わなきゃ。サンタさん、ありがと!」

 答える様に雪が煌めいた。
350第六章 ―心の中にいる人は―:2007/09/23(日) 15:15:20 ID:fbB2D9Pn

 私は送ってくれるというこなちゃんの自転車の後ろに乗った。
「大丈夫?」
「だいじょぶだいじょぶ、ほら、手回して」
 私はこなちゃんの腰に手を回し、少しふらつきながら自転車は走り出す。

 私より小さいこなちゃんなのに、この時の背中はすごい大きく感じたんだ。それに、とっても近くに感じ
たんだよ。


 私の家まで着くと、お姉ちゃんが玄関の前に立っていた。


「お姉ちゃん……」
「かがみ……」

 私達は自転車から降りて、お姉ちゃんはこっちに向かって歩いてくる。

「何二人して辛気臭い顔してんのよ。私に同情でもしてるわけ? やめてよねー。言ったでしょ、私だけを
一生愛せない奴はこっちから願い下げだって。私のことだけ見てくれる人であんたなんかよりいい人間いっ
ぱいいるんだから! 自惚れないでよね」
「うっ耳が痛い……」
 こなちゃんは耳を塞ぐ。


「……つかさ、よかったね」
 お姉ちゃんは微笑んで――
「おねえちゃああああん」
 私は涙が溢れ出すのと同時にお姉ちゃんに抱きついていた。
「よしよし」
 お姉ちゃんは私の頭を撫でながら、
「こなた」
「……はい」
「今回の件は許してあげる。でも、つかさを悲しませたら許さないからね」
「覚悟してます……」
「つかさも、こなたのこと頼んだわよ」
「……うん」


「さてと、今日はもう遅いし、うちに泊まっていきなさいよ」
「えっ?そんないいよっ」
「なに遠慮してんのよ。こういうことになったんだからもう家族みたいなもんでしょ」
「えっいやさすがにそれは早過ぎないですかーかがみさん……」
「うだうだ行ってないで入りなさいよ。クリスマスケーキもあるわよ」
「そうだよこなちゃん、泊まっていきなよ」
「うーん、じゃあそうさせてもらうかな……」
「うん!」
351第六章 ―心の中にいる人は―:2007/09/23(日) 15:15:52 ID:fbB2D9Pn
 ということで、ベットの横に一組の布団を敷き、その上で同じパジャマを着た私達。
「なんか修学旅行みたいで楽しいね」
「…………はぁ」
 こなちゃんは大きな溜息をつく。
「天然って見てる分にはいいけど、実際いるとこうなんだよねぇ……わかってはいたけど……」
「どういうこと?」
 こなちゃんは指を立て「第一問!じゃじゃじゃん」と前置きをして
「私はつかさの何でしょう?」
「え? えーっと……恋人になったんだよね?」
「では第二問! その二人はこれからどうしますか?」
「えっと、寝るよね? ゲームでもする?」
 その答えを聞くと、こなちゃんはお布団に倒れこんだ。
 え? 私なんか変なこと言った?
「……つかさぁ? わざとぉ?」
 こなちゃんは起き上がり、目を細めてにじり寄って来る。
「え? どういうこと?」
 その気迫に私は手で一歩後ろへ下がる。
「私やっぱり選択肢間違えたかな……」
 こなちゃんは少し視線をずらす。
「えっ! 待って待ってやだっ」
 私は焦ってこなちゃんの服の袖を掴む。
「ふふっ、マジになっちゃって。冗談だよ」
「うーこなちゃん酷いよぅ」
「ごめんごめん、でもつかさも酷いよ?」
「え?」
「こうやって近くに居てもなんとも思わないの?」
 そういえばいつの間にかこなちゃんの顔が目の前に……。
「こんなところにホクロあったんだ?」
「…………」
 こなちゃんは一瞬固まって、
「つかさぁ……もうちょっと空気読もう?」
 後ろ手で支えてた体を押し倒される。

「こなちゃん……?」
「……わかった?」
 
「そっか……こなちゃんも私のこと好きになってくれたんだよね……。なんだか片想いが長かったからまだ
実感なくて……えへへ」

「つかさらしいよまったく……これはお仕置きしないとだね」
352第六章 ―心の中にいる人は―:2007/09/23(日) 15:16:21 ID:fbB2D9Pn
「え……?」

 次の瞬間唇に柔らかい感触。

 ………………。

 …………。

 ……。

「何驚いてんの? ってつかさ!?」

 気を失いそうになったところで、腕をつかまれ、意識を取り戻す。

「キス……」

「今時、キスだけで気を失うってどんだけー」

「だ、だって、夢みたいなんだもん」

「うぇっつかさ!? ちょ何泣いてんのっ。しかたないな……こんなことしたくなかったんだけど…………」

「へ?」

 こなちゃんはニヤリと笑う。

「う……あははははっはははっはは」

 こなちゃんの両手がまるで虫のような動きで私の体をくすぐった。

「こっこなちゃんっやめっ、あはっ」
「もう泣かない?」
「泣かないっ泣かない……からっ、くすぐったっやめっ」
「じゃ、やめる」
 こなちゃんはパッと手を離す。

「はぁ……はぁ……」
 笑ったのと変なところに力が入ったせいで、お腹に軽い筋肉痛のようなだるさを感じる。

「また泣いたらくすぐりの刑だからねー」

 私は素早く首を縦に二回振った。

「もう一度同じ事聞くよ。つかさは私とこうやって居てもなんとも思わないの?」
353第六章 ―心の中にいる人は―:2007/09/23(日) 15:16:47 ID:fbB2D9Pn
「そ、そんなことないよっ」
「じゃあ、どうしたい?」
「えっ、えーっとキス?」
「キスだけ?」
「えっ、えーっと……」
 キスの次? えーっと……ドラマとかだと……
 頭の中にそのシーンが浮かんだ。
「うあああああああああ」
 私は両手でその妄想を打ち消した。
「つ、つかさ!?」
「あぅ……えっとその……え……えっ……」
 こなちゃんはニヤニヤとしている。
「…………えっ……ち」
「よく言えました」
 こなちゃんはクシャクシャと私の頭を撫でると、私の唇を塞いだ。ご褒美だと言って。

 舌が入ってきて、それが歯茎を舐めあげる。私はどうしたらいいかわからず舌を縮こまらせた。

 しかし、こなちゃんは上の歯茎を舐め終わったら今度は私の舌を吸いはじめた。

「ひゃうっ」

 口を塞がれたまま声が出たせいで思っていたのとは違う声が出る。
 その声でこなちゃんは口を離すと、
「苦しかった?」
 口から漏れたよだれを拭いながら訊いてきた。

 私は首を振る。
「その……私どうしたらいいのかわかんなくて……」

「いいよ。期待してないし」
 それはそれで悲しいような……。
「何も知らない方がつかららしい」
「え……」
「つかさ、何色が好き?」
「白……だけど」
 前も一度訊かれたことがあったような……。
「白のいい所は、好きな色に変えることが出来るところだと私は思うんだよね」
「それって……」
「さて、私の好きな色は何色でしょう?」
 こなちゃんの好きな色……、そういえば聞いたこと―― 
「んんっ――」

 またも唇を塞がれたせいで、その思考は停止される。
354第六章 ―心の中にいる人は―:2007/09/23(日) 15:17:46 ID:fbB2D9Pn
 上に覆いかぶさったこなちゃんの体重が少し私に預けられる。その重さがなんだか心地いい。

 私は勇気をだして、舌をこなちゃんの舌へ近づける。そうなることが自然だったように、違和感なく包み
込まれた。違った体温が混ざり合って同じ体温になる。

 ドクンドクンと、段々心臓の音がでかくなって、まるで耳元でなってるみたい。

 私は無意識のうちに、こなちゃんの服を掴んでいた。

 それに気づいたのか、こなちゃんは唇を離した。

「つかさ、今どんな気持ち?」

「え?……どんなって……嬉しい……あのね、言葉にしたら簡単なんだけど、好きな人が好きになってくれ
るのって奇跡みたいだなって思うの。だから、その、すごくすごくすごく嬉しいんだよ」

「つかさらしいね、そういう意味で聞いたんじゃなかったんだけど」
 こなちゃんの頬が緩んだ。
「え?」
「ううん、たぶんそういうところだから」
「……何が?」
 私は首を傾げる。
「つかさのこと好きになったの」
「こなちゃん……?」
「私もすごくつかさのことが好きだってこと」
 ちゅっとこなちゃんは私の頬にキスをして、そっと私の胸に触れた。
 布越しにこなちゃんの手の暖かさを感じる。
 こなちゃんの吐息が耳にかかる。
「はうっ」
 ビクっと震えた私の体に容赦なくこなちゃんは次の刺激を与える。指で探るように胸の先を布の上から擦
り、勃起させた。
 コロコロとそれを転がされる度に、ビリビリとした少し痛みに似た感覚が生まれる。
 そのせいか、無意識のうちに私はぎゅっと目を瞑っていた。きっと体全体に力が入っていたんだと思う。
こなちゃんがその握り締めた手を上から握ってそれに気づいた。でも、その手が安心させたくれたおかげで、
体全体の力がすーっと抜けていった。
 私の緊張をほぐしてくれたその手は、私の首元へ移動する。一つ一つはずされていくボタン。
 空いた隙間にするりとその手が入ってくる。指先が直に触れた。
「ふぅっ……んっ」
 私は漏れそうになる声を堪えるが、こなちゃんの手は意地悪に動く。
「感じやすいんだねーつかさ」
 こなちゃんのつま先が、先端を弾いた。
「きゃうん」と犬のような声をあげる私に、こなちゃんは喉を鳴らして猫のように笑う。
「すごい気持ちよさそうな顔してるよ?」
 こなちゃんはいつもの目をして言った。
「―――っ!」
 急に恥ずかしくなって顔を隠したかったのに、隠せるものが何も無くて仕方なく両手で顔を覆う。
355第六章 ―心の中にいる人は―:2007/09/23(日) 15:18:09 ID:fbB2D9Pn
 こなちゃんの喉を鳴らすような笑い声が聞こえ、私は恐る恐る指の隙間を広げる。
 その隙間から見えたこなちゃん、私の上に馬乗りになると、自由になった二本の手で、私の両手を掴みあげる。
「あわっ」
 ボタンを外された上着ははだけ、私の胸はこなちゃんの目の前に晒される。
「はっ恥ずかしいよっこなちゃん」
 両手を掴まれているせいで、どうすることもできない私。
「私よりは大きいけどつかさも貧乳だね」
「大きい方が好き?」
「つかさでも気にするんだ?」
「今まではあまり気にしてなかったけど……こなちゃんが大きいのが好きなら大きくなりたいなって。エヘ」
「まったく……素でそんな萌えセリフ言えるのはつかさとエロゲのキャラくらいだよ」
「うぅ〜また私変なこと言った?」
「ううん、もっと聞きたい」

 こなちゃんは手を掴むのをやめ、両手を私の左右についた。息のかかるくらいの距離のこなちゃんの顔が
迫る。視線がぶつかる。瞳の中に私が映って―
 私達の唇は再び重なった。

 終わりの無いキス。離れてはまた繋がる。

 息が苦しいくらいの長い一回のキスの後、こなちゃんの目は私の目をじっと見つめ、指先は微かに私の頬
に触れた。私は、その目と指先の問いに応えるように頷いた。
 こなちゃんは少し微笑んで、私の首筋に唇を落とした。

 怖くは無かった。全部をこなちゃんに見て欲しいから。全部をこなちゃんにあげたいから。

 だから――すべてを預けた。
356第六章 ―心の中にいる人は―:2007/09/23(日) 15:18:30 ID:fbB2D9Pn
 全てを脱ぎ捨てて、生まれたままの姿になった私達。
 恥ずかしさももちろんあるけど、全部を見せて全部を見れることは逆に安心感を与えてくれた。

 こなちゃんの手が私の太もも広げるように割り入って、そのまま指先がつーっと膝から太ももの付け根ま
でをなぞった。
 いつどこで覚えたのかは覚えていない、たぶん漫画かなんかだったと思う。
 こんなときあそこがどうなってしまうのかということを。

 こなちゃんの指が触れた瞬間、予想通りの音が聞こえる。恥ずかしさで顔から火が出そう……。

 こなちゃんの少し冷たい指がぬっと中に進入してくる。初めての感覚に胸が詰まりそうになる。
「こ……なちゃん……?」
「大丈夫だよ。安心して、でも痛かったら言ってね」
 私はコクンと頷いて。迫ってくる何かに耐えるようにシーツを握り締めた。

 痛くはないけど、不思議な感覚だった。

 こなちゃんはついばむように私の胸の先端を何度か咥え、その度に、指が入っているそこがキュっとなる。
 同時にクチュという水音が微かに聞こえた。

 中に入れられた指が曲げられ壁を擦りあげる。そのせいで自然と声が漏れ、その声に自分自身でびっく
りして思わず口を塞ぐ。
「だーめ」
 しかしその手をこなちゃんによって剥がされ、私の声は再び発せられる。
「だって変なこうぇっでちゃ……」
「だから、その声が聞きたいんだってば」
「やだよぉー」
「つかさって見てるだけで苛めたくなるからいけないんだよ」
「ふえっそ、そんなぁ」

「いろんなつかさを見たいんだよ」
 そんなこというのってずるいと思う。嫌って言えなくなる。

 それに気づいたようにこなちゃんは少し唇を片方つりあげた。そして私の耳元に顔を近づけ、私の耳た
ぶを軽く噛んだ。
「くうぅんっ……」
 さらに指をもう一本増やされ、中を広げられる。指の冷たさと、外気がドキリと心臓を驚かせ、同時に
快楽が頭へと突き抜ける。
 それだけじゃ終わらず、こなちゃんは二本の指を逆方向に曲げたり、連続で刺激を与えてくる。
 その度に私の口からは切羽詰った声が漏れ、それがさらに羞恥心を煽った。
 次第に視界がぼやけ、こなちゃんに触れられてる部分以外の感覚がなくなっていく。
 体全体がむず痒いような、手足はしびれに似た感覚、こなちゃんが触る場所を変える度に、私の体は跳
ね上がり、こなちゃんの指はさらに激しさを増していった。
 声を発してるはずなのに、何を言っているのか自分でもわからないほど、頭の回転は鈍り、

「あわ……あっ……んあっ……あ……あ……あああああ――――」

 私の声は途中でこなちゃんの手によって遮られた。
357第六章 ―心の中にいる人は―:2007/09/23(日) 15:18:57 ID:fbB2D9Pn
「つ、つかさ大丈夫?」
「はぁ……はぁ……」

「つかさがこんな声出せるって知らなかったよ……、聞こえちゃったかな……」
 そっか……ここ私の家……家族もみんないて……、そんなことも考えられないほどの快楽に支配されていた。
 
 熱をもった頬に、冷たいこなちゃんの手の平がピトっとくっついた。

「イったんだ」
 そっか……これがイクってことなんだ……。

「エロゲーも案外役立つもんだねぇ」
「…………え?」
「そういう知識ないとこうやってつかさを気持ちよくしてあげられなかったでしょ」
「ゲームって……こんなことするの?」
「こんなもんじゃないよー。今度見せてあげようか?」
 ぶんぶんと私は首を横に振った。
「遠慮しなくてもいいのにー」
 遠慮してるわけじゃないんだけど……。
「まぁ体で教えてあげるからいいけど」
「え”」

 こなちゃんはニヤリと笑った。

 私これからどうなっちゃうんだろう…………。



「さー、寝よ寝よ。寒いからくっついて」
「うん……」
 一枚のシーツに二人で包まるようにこなちゃんがくっついてくる。
 子供の時、お母さんのお布団にもぐりこんだ時のように。

「あったかいね」
 その声はなんだかすこし寂しげで、私はこなちゃんを抱き寄せていた。
「つかさ……?」
「私じゃ頼りないと思うけど、甘えてもらえるようにがんばるから……」

「つかさのくせに空気読めてるじゃん」
「こ、こなちゃん酷いよー」
「あはは、冗談だって、…………ありがと。じゃあお言葉に甘えて私は寝るよ」
「うん……おやすみ」
「おやすみ、つかさ」

 瞳を閉じたこなちゃんの頭をそっと撫でた。
 こなちゃんのお母さんが生きていたらきっとそうしたように。

 私は、そんな風に少しでもこなちゃんの安らげる場所でありたいと思う。
 無条件で愛する存在でいたいと思う。

 まだまだ未熟者だけど、いつかきっと、こなちゃんが心から安心できる存在になりたい。
 
 それが、今の目標。
358―心の中にいる人は エピローグ―:2007/09/23(日) 15:19:27 ID:fbB2D9Pn
 雪は降り続いていた。

 窓から外を見ると、暗闇のなかを白い粒が舞っていた。その中に私がぼんやり映っていた。

 私の選択は正しかったんだろうか。

 そんなこと考えるだけ無駄なことはわかっていた。

 でも誰かに間違っていなかったと言って欲しい。私は正しいことをしたのだと。

 自然とでた小さな溜息は自分が落ち込んでいることを教えてくれた。

「後悔してるの?」

 窓に映った私は自嘲する。
 


 心にぽっかりと穴があいた。

 私は何を無くしたんだろう?

 どうやって埋めたらいい?

 誰も答えてはくれない。

 
 
 私はその答えを自分で見つけないといけない。

 きっとそれを見つけられたとき、間違ってなかったって胸をはって言えると思うから。

 それを見つけることが、今の目標。




fin 〜心の中にいる人は〜
359リク ◆yk1swKhbl6 :2007/09/23(日) 15:21:09 ID:fbB2D9Pn
以上です。他エンドはまた投下します。

 微エロ絵なんで塗りをちょと変えてみた ttp://freedeai.com/up/src/up5366.jpg
360名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 16:18:51 ID:/crti1a5
>>359
GJ!!
いいものを読ませてもらった
361名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 17:57:06 ID:LW1Bhgqh
>>359
ちょっと、なんてもの投下してるのよ!
仕事中にうっかり読んだら、モニタが少し滲んで良く見えなくなっちゃったじゃない!
同僚に変な目で見られたわよ……責任取って次もちゃんと完成させなさいよね!
362名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 19:31:47 ID:mi8Qw++k
短いですが、投下します
363名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 19:33:26 ID:RiKGbHbh
>>359
GJだよばかやろう
364呼び名:2007/09/23(日) 19:34:05 ID:mi8Qw++k
「おーい、ちびっ子ー」
 机に突っ伏す小さな少女に、元気よく声を掛けてみる。
 一瞬勘違いされた方も多いかもしれないが、上記の台詞は私の友人の某のものではなく、私自身のものだ。
「む……」
 どことなくけだるそうに、その少女・泉こなたが私の方を向く。
 って、なんかちょっとご機嫌斜め?
「どうかしたの?」
「……何、今の」
「え?」
「ちびっ子、って」
「え? いや、日下部の呼び方を真似ただけだけど……」
「……なんか、いや」
「え?」
 ……はて。普段日下部にそう呼ばれている時はちっとも気にしてなさそうだったのに、内心では嫌がっていたのだろうか。
「……そうじゃないよ。みさきちは別にいいの」
「じゃあ私がそう呼んだって……」
「それは、いや」
「………」
 うーん。こいつのことがわからないのは今に始まったことじゃないけど、今日は一層わからないわね。

 ピキーン

 そんな時、私の脳内の双子センサーが電波を受信した。
 反射的に、その電波の発信源――こなたの机の隣に立つ、妹のつかさの方を見る。
 つかさは真剣な眼差しで私を見据えていた。 
 そして、私の頭の中に直接語りかけてくる。

『お姉ちゃん、もっとこなちゃんの気持ちを考えてあげて』
 私もそれに応じて、テレパシーでつかさに返答する。
『こなたの気持ちって……どういうこと?』
『こなちゃんは、お姉ちゃんに名前で呼ばれたいんだよ』
『? いつも名前で呼んでるわよ?』
『そうじゃなくて……違う呼び方をされるのが嫌なんだよ』
『いや、でも……たった一回だけじゃない』
『一回でも、嫌なんだよ。こなちゃんにとって、お姉ちゃんは特別な人だから』
『特別……私が?』
『そうだよ。そうじゃなかったら、こなちゃんがこんな風にスネたりするはずないでしょ?』
 ……確かに、こなたはぷうっと頬を膨らませて、見るからにスネモードに入っている。
『それにお姉ちゃんだって、こなちゃんから“柊”って呼ばれたら、嫌でしょ?』
『……それは……確かに』
『ね? それと同じことなんだよ。だから……ね? お姉ちゃん』
『……わかったわよ。つかさ』

 ……以上、この間約0.1秒。
365呼び名:2007/09/23(日) 19:34:43 ID:mi8Qw++k
「……こなた」
「んむ?」
「ごめんね。こなた」
 私はこなたの頭に手を置き、髪を梳くように撫で始めた。
「……うむぅ」
 みるみるうちに、こなたはいつものネコ口になる。
 ……というか、なんだか本当にネコみたいだな。
 さっきまでヘソ曲げてたと思ったら、今はすっかり気持ち良さそうに目を細めてるし。 
 そんなことを思いながら、ふとつかさの方を見た。
 つかさは黙ったまま、二コリと微笑んだ。

 ――今度はテレパシーを使うまでもないわね。

 私もつかさに、黙って微笑を返す。
 それで十分過ぎるほどに、私の気持ちは伝わるはずだから。

「よいしょっと」
「うおっ?」
 私はこなたの両脇に手を差し入れ、幼児をあやすように抱き上げる。
 そしてそのまま、いわゆる“お姫様抱っこ”の体勢へと移行した。
「か、かがみ?」
 こなたは目を白黒させていたが、私は構わず、そのまま歩き出した。
「あ、あのー、かがみサン…?」
 こなたの口調がどことなく怯えを含んでいるような気がしたが、私は構わず、そのまま教室を出た。

 ……さて、保健室のベッドは空いてるかしらね。


 完
366名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 19:44:12 ID:/crti1a5
>>365
GJ!!
双子テレパシーってww
367名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 19:44:56 ID:pcHAoIFV
双子センサーSUGEEEEEE
368名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 20:01:07 ID:MANu8iSn
GGGGGGGGGGGGJ!!
双子のテレパシーといえばミ○ク○ガールズというアニメがあったな
369名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 20:02:58 ID:iCqKrdPd
GJ
小説版のタイラーを思い出した。
370名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 20:03:58 ID:x4fXaQiu
双子センサー吹いたw

双子でテレパシーといえばテッカマンブレードだなぁ。
あっちは男二人だけども。
371名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 20:13:17 ID:vomrzUG9
>>365
貴様ら以心伝心にも程があるだろう。もっとやれ。ぐっじょぶ。

>>370
え、えーっと。


「かえろう、うちへ」
(この後、かがみのすべての記憶と引き換えに若本声のいのり姉さんを倒す)
372名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 20:29:31 ID:ij2mWoK8
双子でテレパシーといえば
「私の愛馬は凶b(ry
373名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 20:30:36 ID:uzPOb4bF
>>365
ぐっじょです!
かがみ最後何してるんですかwww
374名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 20:32:21 ID:gsnwc+Z0
>>370
唯一寄生生物に乗っ取られなかったかがみがみんなと殺しあうともうしたか。
375名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 20:34:36 ID:EbzcvxLp
>>365
双子センサーGJ!!

「あ、でも難しいツッコミテレパシーは受信拒否してるから…」
「だから時々エラーで戻ってくるのか…」
376名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 20:44:52 ID:pijmMqbO
>>365
GJ!!
どっかでそんなネタフリしたような……と思ったらスレ14だった
たった12日前なのにもう3スレ前なんだよな……
ホント、このスレの速度は異常
3777-896:2007/09/23(日) 20:49:13 ID:MPeeRaop
>>365
GJです。
雰囲気が結構ツボでしたwww

そんなわけで(どんなわけだ
ネタ行かせてもらいます。

『たいむ・まっすぃ〜ん』

「ねぇみんな、もしもタイムマシンが存在したら何したい?」
 突然そんなことを言い出すこなた。
 ちなみにさっきまで話してた話題は『たいやきって頭としっぽどっちから食べる?』というものだ。
 なんの脈絡もない。かすってすらいない。
「なによいきなり。なんかのアニメネタか?」
「ちなみに私は、いろんな限定版を片っ端から手に入れたいなぁ♪」
 聞けよ。
 ってか本当あんたらしい『やりたいこと』だな。
「ねぇねぇつかさは?」
「私?え〜っとねぇ……あ!!こなちゃんが生まれた瞬間に立ち会って、私がお母さんだって思い込ませたいかも♪」
 刷り込みかよ。
 こなたは人間だぞ、つかさ。
 なんかこなたの椅子の位置が、少し遠くになったような気がする。
「ゆきちゃんは何がしたい?」
「そうですねぇ……母乳とかあげてみたいですね」
「誰に?」
 不思議そうに首を傾げるこなた。
 みゆきはそんな様子をなぜか興奮しながら見ている。
 心配だ。もちろんこなたが。
「みゆき、あんた出ないでしょ母乳」
「そうですね。オムツとかもかえてみたいですね」
 みゆきちょっと待て。
 話し聞いてないだろ。
「かがみは何したい?」
 こなたが、廊下に移動させた椅子に腰掛けながら、そう尋ねてきた。
 怯えている。
「そうねぇ……こなたの小学校低学年くらいの私服とか体操服とかもらいたいわね」
 生まれた頃から小学4年生くらいかしら、今のこなたでも流石に切れない服は。
 それで、それを盗……授かって、私のコレクションに加えたいわ。
 それでそれで、登校前に眺めて和んで、帰ってきたら匂いを嗅いで寝るの。
 きっといい夢が見られるわ。
 なんて素敵なのかしら。
 考えただけで鼻血とか涎とか出ちゃいそうだわ。
 ……っと、自分の世界に行ってしまっていたわ。自重しなくちゃ。

「素敵ですね」
 嘘偽りない瞳でそう言いきる。
 みゆき……いやなんでもないわ。

 ……あれ?こなたがいない。

以上。なんかもうみんな手遅れだと思います。
378名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 20:56:34 ID:/crti1a5
みんな壊れすぎwww
379名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 21:04:00 ID:Fb2jARrk
ぶっ壊れすぎwwww


確かに手遅れみたいなのでもっとやってください
380名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 21:24:24 ID:vomrzUG9
>>377
嗚呼、HENTAIがイく……。
望まれることなく、こなたからドン引きされし彼女らを動かすもの。
それは、萌える意思を持つ者の意地に他ならない。GJ。
381名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 21:25:33 ID:6dBxAsut
>>365
GJ。というか>>368と同じく○ラ○ルガールズを思い出したのはヒミツですw

>>377
そらさすがのこなたも逃げるわw

それでは、自分も久しぶりに中編を投下させていただきます。

●中編10レスほど投下させていただきます。
●みなみ×ゆたか×ゆたかの非エロ話。
●前作「プリンセス・ブライド」の最後のほうの合間にある体育祭でのお話。
  『まさか、あんな罠が待ってるとは思わなかった。』のエピソードになります。
382おとぎばなしみたいに (1/10):2007/09/23(日) 21:27:04 ID:6dBxAsut
 よろよろと、隣で危なっかしく歩く人影。
 想いを交わし合った小高い丘を、ゆっくりと下りていく。
「……大丈夫?」
「あははっ、大丈夫だよ。ちょっと足元がぐらついてるだけだから」
 申し訳なさそうに笑いながら、私のことを見上げるゆたか。
 その小さな手は、私の手をぎゅっと握っていた。
「……なら、よかった」
「みなみちゃんが言ってくれたおかげで、調子の悪さも全部吹き飛んじゃった」
「…………」
 なんて嬉しいことを言ってくれるんだろう……顔が、すごく熱くなっていく。
 ゆたかは前からこういう風に直接思ったことを告げてくれるけど、その想いが倍以上に感じられる。
これも、私たち同士が想い合えたからなのだろうか。
「みなみちゃん、顔が真っ赤だよ?」
「ゆたかだって……」
 私のことをからかうように言うゆたかの顔も、ほんのりと赤くなっている。
「あははっ……なんだか、とっても幸せすぎて」
「……私も」
 昨日までの沈みそうな心がウソみたいに、ふわふわしている私の気持ち。
 ゆたかも同じみたいで、時々嬉しそうに頬を私の腕に寄せてくる。
 やがて、裏庭から校門近くの広場へと抜ける。ここまで来れば、昇降口まではもうすぐだ。
「……そういえば、ゆたかはお弁当持ってきたの?」
「うんっ。おかずはお姉ちゃんが作ったのをもらったけど、おにぎりは自分で握って持ってきたよ」
「そう……それじゃあ、あとでいっしょに食べよう」
「えっと、田村さんも呼んでいいよね?」
「……もちろん」
 私にとって、気持ちをしっかり気付かせてくれた恩人。だから、全然異存はない。
「それじゃあ、いつも通りみんなでお弁当だねっ」
「……うん」
 ゆたかと私の関係は変わったけど、それ以外は何も変わらない。
 いつも通りの日々の中で、少しずつ変わっていく日々を楽しんでいけばいいんだ。
 楽しそうなゆたかの笑顔を見ながら、これからのことに思いを馳せた。
 そして、手を繋いだまま昇降口に入って下駄箱に向かう。
「……ちょっと遅れたから、急ごうか」
「そうだねー」
 頷き合いながら、私たちは下駄箱の扉を開けた。
「……えっ?」
「どうしたの? みなみちゃん」
 固まる私の顔をのぞき込んで、それから下駄箱の中に視線を移すゆたか。
「……えっ?」
『それ』を見て、ゆたかも私と同じように絶句した。

 私の上履きの上には、一通の封筒。
 その封には、ご丁寧にハートマークのシールが貼ってあった……

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 おとぎばなしみたいに
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「み、みなみちゃん、これって……」
「……ら、ラブレター?」
 ハートのシールの色も、見事に赤。
 でも、どうしてこのタイミングでラブレターが……?
「……うー」
「っ?!」
 ゆ、ゆたかが涙目になって……しかも、ぷるぷる震えてる。
 突然こういうのを見たから、ショックを受けたのかもしれない。
「だ、大丈夫だよ、ゆたか。私の気持ちは、もう固まっているから」
「うー……だったらいいんだけど、でも、誰なんだろ……」
「……とりあえず、見ておこう?」
「そうだね」
383おとぎばなしみたいに (2/10):2007/09/23(日) 21:27:58 ID:6dBxAsut
 見ないで捨てるのは、やっぱり失礼にあたる。ちゃんと読んで、それから正式にお断りしよう。
 私はシールを剥がして封を開けると、中の手紙を取り出した。

『親愛なる岩崎みなみ様へ
 以前からお慕いしております。
 あなたに想いを告げたいので、次の紙に書いてある場所で待っています
                         あなたを見守ってる者より』

「……"あなたを見守ってる者"?」
 ちょっとへなへなになった文字で書かれた、短い文。
 でも、以前から慕われてるといってもゆたかや田村さんぐらいしか思いつかない。それに、
想いを告げたいって言われても……
「だ……大丈夫だよね? みなみちゃん」
 私の袖をくいくいと引っ張って見上げるゆたか。
 この子を裏切ることだけは、絶対にしたくない。
「……もちろんだよ。とりあえず、次の紙を見てみよう」
「……うん」
 ゆたかが頷くのを見て、私は次の紙をめくった。

『――なーんて、ウソだよーん。
 ずっとがんばってたみなみちゃんに私からプレゼントです。
 午後一番目の競技に出て、一番左に行ってみてね。
 きっと、いいことがあるはずだよ。
                       二人を見守ってる者より

 P.S.エントリーは先生かクラスの委員長に言えばしてくれるからねー』

「……?」
 私たちを見守ってる者って、まさか――
「お、お姉ちゃんっ?!」
 やっぱり、泉先輩だったか。
「そうだよ、この文字ってお姉ちゃんの文字だよ……はぁ」
 ゆたかはため息をつくと、力が抜けたようにぺたりとその場に座り込んだ。
「ゆ……ゆたか?」
「だ、大丈夫。ほっとしちゃって、つい……もうっ、後で会ったらちゃんと怒っておかなきゃ!」
 確かに特徴的な文字だから、身近にいる人ほどわかりやすいと思うのだけど、こういうのを
仕掛けられたら確かに判断しにくいかなって思う。泉先輩ったら、本当に手の込んだ真似を……
「……そんなに怒らなくてもいい」
「でもー」
 ぷっくりと頬をふくらませながら、ぷんすかと怒るゆたか。
 その仕草が可愛らしくて、私はぽんとあたまに手を置いてから、
「泉先輩は、私たちのことを心配してくれていた」
「そうなの?」
「うん」
 ゆたかに手を差しのべて、ひょいっと立たせていっしょに歩き始めた。
 ああいうことを仕掛けはしたけど、その目が真剣だったのは確か。ゆたかと私のことを
思いやってくれたのでなければ、あんな瞳で見つめられたりはしないはずだもの。
「そっかー……だったら、いいかな」
 どこか釈然としないように首を傾げたけど、ゆたかはすぐに笑顔に戻って頷いた。
「でも、なんなんだろうね? 午後一番の競技って」
「……プログラムにはクエスチョンマークしか書かれていない」
 ジャージからプログラムを取り出してみたけど、改めて見てもそこだけがクエスチョン
マークだらけになっていて他には何も書かれていない。
「一番左っていうことは、トラックかレーンの競技だよね?」
「……そのはず。フィールド競技では、その判別がつきにくい」
「でも、実行委員会じゃないお姉ちゃんが知ってるっていうことは、上級生の人たちは
知って競技なのかな?」
「……かもしれない」
「そっかあ。でも、プレゼントっていうことはきっといいことだよね」
「……多分」
384おとぎばなしみたいに (3/10):2007/09/23(日) 21:28:34 ID:6dBxAsut
 だけど、どうしても引っかかることがある。
 どうしてわざわざ「一番左」と指定しているのか……それだけは、どうしてもよくわからない。
 ただ、明らかなのは、競技である以上『チームに点が入る』ということ。
「……先輩の薦めだから、出てみる」
 午後に出る競技はない私は、とりあえずエントリーすることを決めた。
「がんばってね、みなみちゃん!」
「……うんっ」
 ゆたかのおひさまのような笑顔を見て、自然と大きく頷く。
 やっぱり、ゆたかの笑顔は見ていてとっても心地良い。
「あっ……」
「……?」
 前のほうから、おろおろしたような声が聞こえてくる。
「あっ、田村さん」
 見ると、田村さんが不安そうな面持ちで教室の入口から顔を出していた。
「や、やあ。二人ともお帰り」
 笑おうとはしてるけど、どこか無理してるみたいで……
「……ただいま。それと――」
 多分、泉先輩としていたことで不安がっているんだろうと思った私は、
「ありがとう」
 そう言って、少しだけ笑ってみせた。
「えっ……? う、うんっ」
「私も、電話してきてくれてありがとう。心配かけちゃってごめんね?」
 事情は知らないゆたかだけど、ゆたかはゆたかなりに田村さんに世話になっていたみたい。
「い、いやぁ、やっぱり心配だったから、ね?」
 私たちの言葉で、田村さんの表情はようやく和らいでいった。
「……私たちは、大丈夫」
「えっ?」
 どこか驚いてるような田村さんを見て、
「……ね」
「うんっ」
 私が小さく頷くと、ゆたかもにっこりと田村さんに頷いてみせた。
 いつも、私たちのことを見守ってくれる田村さん。だから、彼女にはちゃんと言っておこう。
「よかったぁ……よかったよぉ」
 ほっとしたようにそう言うと、田村さんは私とゆたかの手を取ってからぎゅっと抱きついてきた。
 やっぱり、私たちのことを心配していたんだ。そう思うと、本当にありがたい。
「……これからも、よろしく」
「よろしくねっ、田村さん」
「うんっ!」
 顔を上げながら、田村さんが嬉しそうに頷く。
 わたしとゆたかの、大切な友達。そして……たぶん、それ以上に大切な人。
「それじゃ、教室に戻ろっか。早くお弁当食べないと、午後の部に間に合わないからね」
「……うん」
「うんっ」
 これからも、こうやって三人でいっしょに歩いていこうと思いながら……私たちは、
手を繋いで教室の中へと入っていった。

 *   *   *

「午後最初の競技、ですか?」
「……はい」
 冷却シートを用意している天原先生に、私はこくんと頷く。
「それがですねー、一年生の方々にはヒミツだというのが陵桜の伝統なんですよー」
「……ヒミツ、ですか」
「そうなんです。ご期待に添えずすいません……はいっ、できましたよ」
「ふぁ〜……」
「よかったね、小早川さん」
 天原先生がゆたかのおでこに冷却シートを貼ると、ゆたかが幸せそうに目をつむる。
可愛らしいそんな表情を、私と田村さんは微笑ましく見ていた。
 お弁当を食べ終わった私たちは、ゆたかの容態がまだ心配ということもあって、救護
テントにお邪魔して予防措置をとってもらうことにした。
385おとぎばなしみたいに (4/10):2007/09/23(日) 21:32:14 ID:6dBxAsut
 天原先生はそういう事情を知っているから、すぐに措置してもらえて助かる。
「でも珍しいっスね、ヒミツの競技だなんて」
「一年に一度のお楽しみ競技ですからね」
 お楽しみ競技……ということは、何か楽しい競技なのだろうか。
「おーす。ふゆき、エントリーしてきたぞ」
「桜庭先生……もう、せめて先生って言ってくださいって言ってるじゃないですかー」
 声がしたほうを振り向くと、ジャージ姿の桜庭先生が救護テントの中に入ってきていた。
「そんな堅苦しいことはナシだナシ。とゆーことで、また今年も頼むな」
「エントリーって、先生も何か競技に出るんですか?」
「ああ、午後イチの競技にな」
「……先生も、私と同じ競技ですか」
「なんだ、岩崎も出るのか」
「あれっ? でも、岩崎先生と私たちって同じチームですよね?」
 確かに、言われてみれば先生は3年C組の担任だから、私たちと同じチームのはずなのだけど。
「この競技は1チームから2組まではエントリーできるからな。とは言っても、競技の
性質もあってあまりエントリーはされないんだが」
「え、エントリーされないって、とっても過酷なんですか?」
「過酷だとかそういうのは一切無い。もしそうだったら、私は最初からエントリーしない。
 まあ、それはそれとして……岩崎もきっと楽しめる競技だ。というより、こんなときに
しかできないようなことをやる、というのがその競技のコンセプトだからな」
 なんというか、アトラクション的な競技なのだろうか。教師まで出るということは、
他の競技には無かったはずだから。
『間もなく、午後の競技が始まります。午後最初の競技に出る方は、入場門までお集まり下さい』
 そうこうしているうちに、校庭にそんな放送が流れてきた。
「……そろそろ、時間ですね」
 ジャージの上を脱ぎながら、私は椅子から立ち上がった。
「だな」
 同じように、桜庭先生もジャージの上を脱いで空いてる椅子にひっかけた。
「みなみちゃん、がんばってね! 桜庭先生も、がんばってくださいね!」
「ここから応援してるっスよー」
「楽しみにしてますからねー」
 みんなの見送りを受けて、私と桜庭先生は救護テントをあとにした。
 リレーの時とは違って、今はあんまり緊張していない。桜庭先生の言葉もあったからかも
しれないけど……出る以上は、ちゃんといい成績を出せるようにしよう。
「岩崎」
「……な、なんですか?」
 突然桜庭先生に名前を呼ばれて、思わず私の体が震えた。
「いい顔をしているな。昨日とは見違えるようだ」
「……ありがとうございます」
「うむ。午前はナイスランだったぞ」
 昨日、私はそれだけ思い詰めていたのかもしれない。
 迷惑ばっかりかけて……本当、私は支えられているんだな。
「この競技は、お前の好きにやるといい。ある意味、お前にとってご褒美みたいなものだ」
「……ご褒美、ですか?」
「ああ。まあ、気楽に行け、気楽に」
「……はい」
 全然力が入ってない先生の言葉に、私も気が楽になっていく。
 ガチガチになるよりは、ずっといいかもしれない。そう考えているうちに、私たちは入場門までやってきていた。
「やあ、みなみちゃん」
「……泉先輩」
 門の近くには、多くの一年生に混ざって泉先輩がそこにいた。
「なんだ、珍しいな。泉も出るのか」
「あー、桜庭先生。こんにちはです」
 桜庭先生の言葉に、泉先輩がちょこんと頭を下げる。
 二人とも背格好が変わらないけど、そんな仕草がゆたかのように可愛らしい。
「学校生活最後の体育祭ですから、ちょいと出てみよっかなーって思って」
「なるほどな。しかし、面白いものだ。午前の優秀選手二人が午後イチに出るとは」
「……泉先輩の薦めで」
「泉の? ほほう」
386おとぎばなしみたいに (5/10):2007/09/23(日) 21:33:09 ID:6dBxAsut
 こくこくと頷く桜庭先生の目が、なんだか輝いたような気がする。
「策士よのう」
「いえいえ、わかってても連続で出てる桜庭先生に比べれば」
 それに、泉先輩の目も。
 ……知っている。この二人は絶対、これから起きることをよく知っている。
『それでは、午後の競技を開始します。午後最初の競技は、男子がスタートした直後に発表します』
 なんとなくいやな予感がしてきたところで、それを煽るような放送。
 怪しい。あまりにも怪しすぎる。
 一転して不安が増しているというのに、目の前の入場門は容赦なく開いていった。
「それじゃあみなみちゃん」
「それじゃあ岩崎」
「……えっ?」
 さらに、桜庭先生と泉先輩が私の手をがしっと握る。
「行くよー」
「行くぞー」
「わっ……」
 私はそのまま引っ張られるようにして、女子が待機するフィールドへと連れられていった。
 ……もう、逃げられない。
 されるがままにフィールドへつくと、男子はそのまま100mのスタートラインについていて、
カーブの手前には立ちはだかるように、8つの扉がついたとても大きな箱が置いてあった。
 まるで、そう……よくデパートにある、更衣室のような――
『これから行われる競技は、陵桜学園体育祭恒例・仮装借り人競争です』
 って、そのまんま?!
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ?!」
 一年生からはそんな悲鳴のような叫びが聞こえてきて、
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
 三年生からは、そんな歓喜のような叫びが聞こえてきた。
「ふっふっふっふっ」
「ふっふっふっふっ」
 しかも、私の手を離さないまま先輩も先生もニマニマと笑っている。
 まさか先輩、このために私を誘った――?!
「まあまあみなみちゃん、私のあの手紙のとおりにしておけば間違いないよ」
「は、はあ……」
「む? 泉、お前岩崎に箱のヒントをしゃべったのか?」
「いえ、教えたのは場所だけですよ。委員会のみゆきさん――高良さんにお願いして、ちょちょいっと細工を」
「っ?!」
 し、しかもみゆきさんが絡んでる?!
 なんで、そんな大がかりなことに……
「むぅ、本来ならばそれは御法度なのだが」
「がんばった子のためのご褒美ですから」
 そう言って、先輩は私に優しく笑いかけてきた。
「……なら、しょうがないな」
 先生は、私と先輩を見るとパイポを口からはずしてため息を吐いた。
『それでは、今回の体育祭実行委員・教員担当の黒井先生から解説をしていただきます』
『おーっす! みんな、はりきっとるかー!』
 スピーカーから関西弁の陽気な声が聞こえてきたかと思うと、三年の席のほうがドッと沸いた。
『この競技はなー、更衣ボックスにある服を体操着の上から着て、次に誰かを生徒席とか
教師席から連れてきて着替えさせるんや。そしたら、あとは二人でトラックを一周してゴールイン。
どや? 簡単な競技やろ? ウチのチームからも泉が出とるけど、泉! 絶対負けは許さへんでー!』
『あ、あの、黒井先生、教師は中立の立場を――』
『だまれダァホ! ううっ、ロッテが千葉マリンでプレーオフが開けるか微妙なんや。
せめてここではせめて勝ってもらわんと気が済まんわっ!』
『……えー、というわけで、コレはそういう競技です』
『ううっ、古谷とか良平とか浅間あたりが先発で出てくれれば――』
『そっ、それじゃあフィールドのみなさーん! さっさとそちらにお返ししまーす!』
『ああっ、何すんのや! もっともっとしゃべ――』

 ブツッ!!

 マイクの電源が切られる音と同時に、三年の席からは大爆笑が。他の学年からは、どよめきが聞こえてきた。
387おとぎばなしみたいに (6/10):2007/09/23(日) 21:33:55 ID:6dBxAsut
 そうか、三年の先輩達はこういうのに慣れてるんだ……
「相変わらずだな、黒井先生は」
「今年はチーム状態がびみょーみたいで、ますますですヨ」
 この二人の反応を見ても、改めてそう思う。

 パァンッ!

 ……と思っているうちに、フィールドに号砲が鳴り響く。
 走っている一年生たち――中には楽しそうに笑ってる三年生たちが、続々とボックスに
入っていって、しばらくすると……
「どわははははははははははははは!!」
 恥じらいながら出てくる人や笑いながら出てくる人、ヤケになっている人たちに、
生徒席から大爆笑が巻き起こる。
『おー、今年は"オトコらしさ"を追求したユニフォームを用意してみたでー!』
 出てきた人は、それぞれ戦国時代の甲冑、野武士、ボロボロになった学ラン、柔道着、
剣道着、マスク……えっと、これはプロレスラー? そんな衣装に、ツナギに、
洋風の幻想的な衣装と、本当にいろいんな衣装を身につけていた。
「おおっ、先生ってばネトゲの新衣装をいち早く」
「さすが実行委員、どんなものにでも手を回してくる」
 ……ここまで来ると、自分たちの出番で何を用意されてるのか本当に心配になってきた。
 ランナーはそれぞれの生徒席から他の生徒を引っ張ってくると、その生徒を押し込んで
……あ、同じ衣装だ。
 生徒席からの爆笑はさらに大きくなって、もう競技どころじゃない。急いでゴールしようと
疾走する人もいれば、受け狙いで練り歩いてる人、途中でマスクを剥ぎ合って生徒席に
投げ入れる人……
「いやー、コレって毎年凄まじいですね」
「陵桜の徒花とはよく言ったものだ」
「…………」
 うんうんと頷いてる二人とは対照的に、私を含めた他の女子ランナーは思いっきり引いている。
まさか、私たちもこういうことをさせられるなんて……
 そんな奇妙な沈黙の中、続々とランナーがゴールに駆け込んでいく。順番なんて、もう
どうでもいい。これからどうなるのかを考えるだけで、頭の中が一杯だから。
 やがて、男子ランナー全員がゴールすると、すぐに更衣ボックスが別の物と入れ替えられる。
よかった、さすがに衣装は別なんだ。
「んじゃ、そろそろ行くよー」
「行くぞー」
「……はい」
 ここまで来たら、もう先輩を信じるしかない。
 私は覚悟を決めて、先輩たちや他のランナーといっしょにスタートラインについた。
 私がいるレーンは、第1レーン……先輩から言われた通り、一番左のボックスをこのまま狙おう。
「位置について――」
 もう、緊張感なんて全然無い。
「よーい――」
 あるのは、これからどうなるかという不安と……
「どんっ!」

 パンッ!

 早く終わらせようという、焦りの気持ち。
 それを胸に、私はスタートラインを飛び出した。
 さっきのリレーと同じように、とにかく全力でボックスに駆け込んで……急いで、扉を閉める。
そして、中にあった二つに仕切られたクローゼットを開けると――
「っ?!」
 左も右も、純白のもの。
 でも、正反対の性質をもった服で……しかも、両方ともS、M、Lとサイズが揃えられている。
 いや、これは着てもいいんだけれど、誰にこれを着させたら……
 そう考えた瞬間に、あの顔が思い浮かんで……一つのことに思い至る。
 ――さっきの言葉を、これで完璧なものにすればいい。
「……よし」
388おとぎばなしみたいに (7/10):2007/09/23(日) 21:34:58 ID:6dBxAsut
 悪魔のささやきのようなそれに導かれるように、私は左のクローゼットにあったソレに
手をかけて、体操服の上から着込んでいった。シャツを着て、ズボンを履いて、ネクタイをして、
ジャケットを着て――よし、行こう。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「……?」
 ボックスから出た瞬間、何故か女子の甲高い絶叫が聞こえてきた。
 一瞬なんだろうと思ったけど、今は構っている暇はない。そのまま救護テントに駆け込んで――
「み、みなみちゃん?! そ、その服どうしたの?!」
 おろおろしてるゆたかだけど、今は答えている暇がない。でも、走らせるわけにはいかないし……
「……ゆたか、来てくれる?」
「えっ? う、うんっ、いいけど……」
「ありがとう」
「きゃっ?!」
 ゆたかが戸惑いながらもうなずいたのを見て、私はゆたかのことを両手で抱え上げた。
「い、岩崎さん、なんていう格好を……」
「田村さん……また、あとで」
 ふるふる打ち震えている田村さんを尻目に、救護テントをあとにする。
「え、えっと、みなみちゃん、私はどうしたらいいの?」
「……入ったら、とにかく着替えて。それから考えよう」
「う、うん」
 そう答えた私は、いっしょにボックスの中に入って右側のクローゼットを開けた。
「こ、これって……」
「そう……これが、泉先輩からのプレゼント」
 そこに入っていたのは、サイズが異なる純白のウエディングドレス。
 真っ白なそれを、先輩はゆたかに着させてあげたかったのだろう。
「で、でもっ、本当にいいの?」
「……先輩からのプレゼントだから。それに――」
 さっき思い至ったことを確実にするように、ゆたかに目線の高さを合わせた私は、
「それに、私もゆたかのウエディングドレス姿が見てみたい」
 心の中に生まれた欲求を、素直にゆたかへ告げた。
「みなみちゃん……うんっ、いいよ!」
 少し目を潤ませながら、にっこりと頷いてくれたゆたか。
「……それじゃあ、その上から着込もう。両手を上げてくれる?」
「えっと、こう?」
「……そう、そういう感じ」
 両手を上げてくれたゆたかに、私はワンピース型のウエディングドレスを着付けていった。
少しだぶだぶなそれを整えて、アクセサリーとしてついているヴェールを頭に乗せて、ブーケを持たせて……
「ど、どうかな?」
「…………」
 少し恥ずかしそうに、可憐に微笑む"お嫁さん"。
 想像以上に可愛らしいゆたかの姿に、私は思わず抱きしめたくなる。
「……とっても、とっても可愛い」
「そう言ってくれて、よかったよー」
 でも、なんとか耐えないと。
 一度抱きしめたら、このまま抱きしめ続けてしまいそうだから。
「それじゃあ、そろそろ行こうか」
「うんっ!」
 その欲望を振り払ってから、またゆたかを両手で抱き上げてドアを開ける。
「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
 そして、大歓声を受けながらその体勢――"お姫様だっこ"のままトラックを駆け出した。
『女子の題材はズバリ《女の子の夢》! まあ、どっちか片方は男役やけど、堪忍してやー!』
 走っている最中に、そんな黒井先生の声が聞こえてくるけど……確かに、これは夢だ。
私がゆたかと夢見てしまった、甘い、甘い夢。
 まさか、泉先輩がそれを用意してくれたなんて。
「みーなーみーちゃーんっ!」
 そう思っていると、後ろから誰かの声が近づいてきた。
「お、お姉ちゃん?!」
 見ると、隣のトラックから泉先輩がだんだんと私に迫ってきていた。
「いい気持ちでしょ、ゆーちゃん!」
 ……何故か、かがみ先輩にお姫様抱っこされながら。
389おとぎばなしみたいに (8/10):2007/09/23(日) 21:35:43 ID:6dBxAsut
 あと、かがみ先輩が白無垢で、泉先輩が紋付き袴って、この場合逆では?
「こらっ、扇子広げるなっ! バランス崩すでしょっ!?」
「信じてるもん。かがみは私を落としたりしないって」
「あっ、当たり前のこと言わないでよっ!」
 顔を赤らめるかがみ先輩の肩に、そっと頬を寄せる泉先輩。
 えっと、あの、もしかして……
 お二人も、そういう関係なのでしょうか……?
「とゆーわけでみなみちゃん、優勝はデコボココンビの私たちがいただくよー」
「ごめんねー、こなたと約束しちゃったから」
 それを証明するように、ちゃんと落ちないようにガッチリ抱きとめるかがみ先輩……
って、見とれてる場合じゃない!
「……私だって、負けません!」
「うんっ! みなみちゃん、行こう!」
 腕の中で呼びかけるゆたかに応えるように、私はまっすぐを見据えて踏みしめる足に力を込めた。
 私といっしょに、ゆたかがいてくれる。これほど、心強いことはない。
 だけど、かがみ先輩も全力で私についてきている。どうして白無垢で……と思ったけど、
そうか、走りやすいようにスリットが入れられているんだ。これじゃ、走るときのハンデ
なんて全然関係無い。
「みなみちゃん、最後のカーブっ!」
「わかってるっ!」
「こなた、一気に行くわよっ!」
「あいあいさっ!」
 洋風に和風、相反する格好をした私たち。
 だけど、とっても似通った関係かもしれない私たち。
 いくらプレゼントされたとは言っても、勝負は勝負。ここは、ちゃんと決着をつけないと!
「みなみちゃんっ!」
「かがみっ!」
 それぞれの腕の中で、お互いの想い人が声をかける。
 それに導かれるように、私たちはそのまま最後のストレートを駆け――
「お先ー」
 ――ていこうとしたその時。
「お先に失礼しますねー」
 子供服を着てランドセルを背負った桜庭先生と、お母さんらしい格好をした天原先生が、
「あっ!!」
「いっ?!」
「うっ……」
「えー……?」
 いっしょに手を繋いで、私たちを抜き去っていった。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」
 二人に送られる、いろんなチームからの大歓声。
 そして、先生たちはそのままゴールを駆け抜けて……
 私たちは、半ば呆然としながら二着、三着のゴールに駆け込んだ。

 *   *   *

「……そりゃあ、抱きかかえてるのと手を繋いでるのじゃ、スピードが違うわよね」
 かがみ先輩の言葉に、私たちはうんうんと頷いた。
「今頃気付いても遅いぞ、柊妹。しかも敵チームの泉にホイホイとついて行って」
「えっと、あの、そのー……これには深いわけが」
「そっ、そうなんですよ、センセ。これにはいろーんなワケが」
 さっきのあの競技が終わってすぐ、私たちは保健室に行く羽目になってしまった。
そこで早速、先輩たちは先生に説教を受けているようで、
「まあいい。別々のチームでペアを組んだ場合、その得点はチームごとの山分けになるからな」
「えっ、そうなんですか?!」
「だからみゆきさん、ちょっとだけ渋ってたんだ……」
 と思ったら、あちらはあちらでいろいろと事情が混み合ってるらしい。
 一方、こちらはというと――
「ふ、二人ともそんな格好で帰ってくるとは……あなたたちが神か!」
「……私たちは、ただ貸衣装を着ているだけ」
「そ、そうだよ? 別に変な格好なんかしてないよ?」
390おとぎばなしみたいに (9/10):2007/09/23(日) 21:36:40 ID:6dBxAsut
 涙を流しながら、何故か感動に打ち震えているらしい田村さんをなだめるのに必死だった。
 ちなみに今、私もゆたかも、泉先輩もかがみ先輩も、桜庭先生も天原先生も着替えないまま
この保健室に駆け込まざるを得ない状態になっていた。
「先生、いいじゃないっすか、写メぐらいー」
「アホッ! 何度毎年毎年お触り撮影厳禁言うたらわかるんや! つか競技中はケータイ
持ち込み禁止言うたやろボケぇ!」
 入口に仁王立ちした黒井先生が、そこに群がろうとする人たちに怒鳴り散らしている。
 競技が終わったとたん、何故か携帯電話やデジカメを手に私たちに群がる人たちがいて、
ここに逃げ込むしかなかったからだ。
「……どうして、私たちのこんな姿を撮りたがるんだろう」
「それはね、みなみちゃん。世の中にはいろんな人の需要っていうのがあってだねー」
「いちいち説明しなくてもいいっ! まあ、物珍しさで撮ってるんだと思うわよ」
「それだけじゃないと思うよ。白無垢のかがみってばすっごくキレイだもん」
「……い、いきなり真面目に言わないでよ。ばか……」
 照れるように、泉先輩から顔を背けるかがみ先輩。でも、確かにその白無垢姿はとっても
キレイで、泉先輩とお似合いだなって思った。
「しかしまー、なんだ。お前らベタすぎるな。少しは私らを見習え」
「でも桜庭先生、私は四人ともお似合いだと思いますよ?」
「えー? なあふゆきー、こんな時ぐらい名前で呼んでくれー」
「はいはい」
 だだをこねる桜庭先生に、頭を撫でながら軽くあしらう天原先生。
 ……ランドセルを背負いながらダダをこねる仕草は、本当に似合いすぎていてちょっと怖かった。
「あははっ」
 ゆたかはというと、そんな風にはしゃいでるみんなを見て楽しそうに笑っていた。
「……ゆたか。その姿、気に入った?」
「うんっ、とっても。それに、みなみちゃんにお姫様だっこしてもらえたんだもん」
 相変わらずヴェールを被ったまま、私のことを見上げるゆたか。一位になれなかったのは
残念だけど、先輩からのプレゼントと私に抱きかかえられたことが相当お気に入りだったらしい。
「ホント、二人ともお似合いすぎるよー!」
 さっきから感激しっぱなしの田村さんも、どうやらお気に入りみたい。
「でも残念だね、生徒はカメラ持ち込み禁止だから」
「なんのっ! これくらい私の記憶力と妄想力でカバーだよ! あとで二人をモデルにして
ネームを――イヤ、ナンデモナイデスヨ、ナンデモナイデスヨ」
「……?」
「??」
 凄い勢いで何かを言いそうだったけど、何故か田村さんは口をつぐんでしまった。
 でも、お似合いって言われるのは悪くない。というより、田村さんに言ってもらえてとても嬉しい。
「ゆたかっ、ゆたかっ、ゆーたーかー!」
「ゆ、ゆいお姉ちゃんっ?!」
 聞き慣れた声で入口のほうを見ると、成実さんがぶんぶんと両手をこっちに向かって振っていた。
「おおっ、ゆい姉さんが来るとは。黒井せんせー、姉さんを通してあげてくれますー?」
「え? 別にええけど。つーことで成実さん、中へどうぞー」
「どうもありがとーございます」
 成実さんは黒井先生にぺこりと頭を下げると、嬉しそうな笑顔を浮かべてこっちにやってきた。
 その後ろでは、不満を漏らす人と怒鳴り散らす黒井先生の姿が……本当に、お疲れさまです。
「やー、お姉さんびっくりだ! まさかゆたかがみなみちゃんとらぶらぶウエディングだなんて!」
「……っ?!」
「ら、らぶらぶだなんて、そんなー……」
 いきなり、ズバリ核心のことを言ってくるなんて……ウエディングはともかく、その前の
言葉に、心臓がドキンと弾む。
「二人ともキレイだったよー。特にみなみちゃん、そのタキシードはゆたかとすっごくお似合い!
まさか、ゆたかが体育祭で活躍するとは思わなかったから、感謝感激だよっ!」
「あっ……」
「お、お姉ちゃんってばー」
 そう言うと、成実さんは私をぎゅーっと抱きしめてきた。
「……本当にありがとう、みなみちゃん。これからも、ゆたかのことをよろしく頼むね」
 耳元でのその言葉は、とっても嬉しそうで、
「……はいっ」
 私は、できるだけ力強くそう答えてみせた。
 大切な子の、大切なお姉さん。その願いに、ちゃんと応えないと。
391おとぎばなしみたいに (10/10):2007/09/23(日) 21:37:49 ID:6dBxAsut
「おーおー、素晴らしき姉妹愛だねー」
「おりょ? やっぱりあの紋付き袴はこなただったんだ。かがみちゃんの腕の中にすっぽり
収まっててよくわからなかったよ」
「なっ、なんたる無礼なっ!」
「本当なんだから仕方ないでしょ。お久しぶりです、成実さん」
「かがみちゃん、お久しぶりー」
 成実さんが来たことで、よりいっそうにぎやかになる保健室。

「それに、天原先生もお久しぶりです。いつもお世話になってます」
「お久しぶりです、成実さん」
「ども、小早川のチーム担任の桜庭です」
「お母さんと子供って感じでお似合いですねー。みなみちゃんとゆたかにも似合いそう」
「それは否定できませんな。むしろ肯定の方向で」
 いつもは静かなのが好きな私だけど、こういう雰囲気も悪くない。

「じゃあ、今度衣装を借りていろいろ着飾ってみるとかどうっスか?」
「おおっ、田村さんってばナイスアイディア!」
「え、えっと、私はそういうのには慣れてなくて……」
「大丈夫だよ、かがみもだんだん慣れてくるだろーから」
「慣れんでいいっ!」
 ゆたかのおかげで、こういうのも楽しいって知ることが出来たから。

「それじゃあ、まずは一枚記念撮影なんてどーカナ?」
「さすがゆい姉さん、気が利くねー!」
「だとすると、ダブルウエディングがど真ん中っすよー」
「……えっ?」
「た、田村さん、真ん中はお姉ちゃんたちのほうが」
「なに言ってるの。今日は二人のおめでたい日なんだからさー」
 まるで、おとぎ話のエンディングのようなにきやかさ。
 でも、私たちの日々はまだ始まったばかり。

「……そうだね」
「みなみちゃん?」
「せっかくだから、撮ってもらおう」
「珍しいね、みなみちゃんから言うなんて」
「……今日は、とっても楽しい日だから」
 その楽しい雰囲気で、私も思わず笑顔になる。。

「そうだねっ。じゃあお姉ちゃん、お願いっ!」
「お願いします!」
「おー、まかせたまへー!」

 これからも、ゆたかやみんなとの日々を楽しく紡いでいきたい。
 そう思いながら、私はゆたかが絡めてきた腕をぎゅっと引き寄せた。
392 ◆cj23Vc.0u. :2007/09/23(日) 21:40:25 ID:6dBxAsut
というわけで「おとぎばなしみたいに」をお送りしました。
ちょっと素直になったかがみのご登場です。
しかし桜庭先生&天原先生のコンビがここまで活躍するとは、
書いてる当初はかけらすら思ってなかったわけで。恐ろしい。

お楽しみ頂ければ、幸いです。
393名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 21:42:38 ID:MPeeRaop
>>392
3つの萌えが重なって、脳内がカオスです。
全身が溶け始めてます。
超GJ!!
394名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 21:42:45 ID:YqowQ8uP
なんというウェディング。GJ!
395名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 21:43:26 ID:vomrzUG9
>>392
な、なんて素敵な孔明の罠! こやつめハハハ!!

というか天原先生のお母さんスタイルは反則だと思います。GJかつGL。
396名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 22:28:49 ID:oXcpJnob
>>392
GJ!
だが、>>389の柊妹って柊姉じゃね?
いやしかし、最近ここのスレのおかげで俺の中ではみなゆたとこなかがはガチになってきたw
397名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 22:30:16 ID:oXcpJnob
おっとsage忘れた…。
>>377
GJっすよ!みwikiさんの壊れっぷりに敬礼すらしたくなるw
398名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 22:39:37 ID:USxEbXG6
>>396
俺もみさかがにハマってしまった
399名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 22:40:05 ID:8//aCV7Y
>>392
これは素晴らしい。萌えとか百合とかの前に小説として完成されてると思う

>「陵桜の徒花とはよく言ったものだ」
なんてセリフがさらっとでてくるのがにくいぜ!

あと、柊妹もそうだけど、>>385の『岩崎先生』ってののもひっかかったかな
400名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 22:45:08 ID:0QTbFYQD
>>392
なんというハッピーエンド・・・
まさにGJ !

ウエディングドレスと白無垢はロマンだよね・・・
401 ◆cj23Vc.0u. :2007/09/23(日) 22:45:30 ID:6dBxAsut
>>399 >>396
もうボケをかましてホントにすいません。
どうやらぽんこつが進行しているようです。

というわけで、自戒しながらwikiに書き込んでおきました。
402名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 22:53:19 ID:oXcpJnob
>>401
乙かれ様です。
しかし、貴兄はもしかしてロッテファンか?
ホークスファンの俺には>>386の3人浅間しか名前が出てこなかったorz
403名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 23:01:06 ID:jUj5boHG
>>392
やっべえ鼻血でそうだ。GJ
404名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 23:18:07 ID:h2TG7gNX
>>392
先週といい今週といいなんてものを・・・・GJ
そろそろ文庫本3冊分に届きそうなあなたのペースが恐ろしいです
405名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 00:06:42 ID:U6d1d7Oq
初めて投下します。何か変なところがあったら突っ込んでもらえると嬉しいです。

あきら様×白石で、非エロです。
406合鍵(1):2007/09/24(月) 00:08:20 ID:U6d1d7Oq
「お帰り〜」
高くて可愛らしい声は毎週の放送で慣れ親しんだものだけれども、予想外の場所で、予想外の台詞を言われた瞬間、僕の思考は停止した。
「お帰り〜・・・って言ってあげてるのが聞こえないわけぇ、白石ぃ?」
「すみませんあきら様ただいまです!」
ここは自分の住んでいるアパートの一室のはずだ。この業界に入るために上京してきたので、狭い部屋に一人暮らし。
だからお帰りという言葉を聞くのはひどく久しぶりで、返事もついつい遅くなってしまった。
と、いや、問題はそこではない。
「なんでここにあきら様がいらっしゃるんですか?」
一番の疑問を口にする。
もしあきらが恋人だったりなどしたら、これは不自然な事態ではない。だが自分たちはナビゲーターとそのアシスタントというだけの関係である。
「あのね、あきらみのるおにーさんにお願いがあってここに来たの」
「・・・なんでしょう」
混乱している自分をよそに、あきらは話を続ける。彼女はといえば、さっきの黒モードから営業仕様に戻り、どんぐり眼の上目遣いでこちらを見つめてきている。最近ではテレビでも少なくなってきている状態にちょっとどきっとする。
いやいや騙されるな自分。彼女が僕にこういった態度をとるときは、何かよくない事がおこる前兆のはずだ。
案の定、彼女が次に口にした言葉は、自分の想像を絶するものだった。
「今日、ここに泊めて☆」
なんだろうこれは。何かの悪い冗談か、さもなければドッキリだろうか。

407合鍵(2):2007/09/24(月) 00:08:59 ID:U6d1d7Oq
「え、いや。言ってる意味がよく分からないんですけど」
とりあえず、自分の聞いた言葉が幻聴でないかを確認する。すると彼女はいつものように、突如態度を急変した。
「え、なに。あんた私の言うことが聞けないって訳?」
いきなり怒鳴られる。癖でつい従ってしまいそうになるが、今回ばかりはそうはいかない。ありったけの勇気を絞りだして、なんとか反論を口にする
「いやいやおかしいでしょう。なんで家に帰らないんですか」
「ここから遠いからさぁ、あたしん家。面倒くさいのよ帰るのが。あした学校だし。こっからのが近いのよ」
「だからって・・ていうかなんでうちなんですか!というか住所教えましたっけ?」
「住所はプロデューサーに聞いた。あんたのうちに来た理由はこれ」
そういって自分の目の前に銀色の物体を持ち上げる。
「ちょっとそれうちの鍵じゃないですか!そういえば鍵掛けたはずなのに家の中にいたし。ていうかそれこの前僕が落としたスペアですよね?見つからないと思ったらあきら様が持ってたんですか」
「この前拾ってね、ちょっと返し忘れてたのよ。いつか役にたつかと思って」
「ちょっと後半発言おかしくないですか」
まあなぜここに彼女がいるかは分かった。しかし、だからといって彼女を泊まらせる訳にはいかないだろう。大人びているとはいえまだ中学生だし、しかし中学生にしては大人びている女の子を、男の一人暮らしに泊めてはいけないだろう。
とりあえずは一番分かりやすそうな理由を口にする。
「とにかく駄目です。あぶないじゃないですか。僕だって一応男なんですから、何か間違いがおきないとも限らないんですよ。」
「大丈夫。あんたにそんな勇気も甲斐性もないわよ」
「言いたい放題じゃないですか・・」
「しかも中学生相手に手を出すほどロリコンでもないでしょ」
「いや、まあそうかもしれないですけど・・・」
最後の発言に、彼女は一瞬むっとした顔をする。けれど次の瞬間には「じゃあいいでしょ。とにかく泊まるから」といってテレビをつけてそっぽを向いてしまった。
その後も必死に帰るよう説得したのだけれども、口で彼女に敵うはずもなく、とりあえず埒があかないので一時休戦となってしまった。
408合鍵(3):2007/09/24(月) 00:12:23 ID:U6d1d7Oq
少しすると彼女が「シャワー借して」といってきた。
今日はかなり暑かったので汗もかいていて気持ち悪いだろうと、素直にタオルを渡して温度の調整方法を教える。
二人きりの部屋で女の人がシャワー浴びている、というありがちなシチュエーションだが、残念ながら自分にはその後に楽しい出来事など待ってはいない。
とは言いながらも、聞こえてくる水の音にちょっとばかりその様子を想像してしまったのは僕の所為ではないだろう。体型こそはまだ少女のそれだけれど、可愛らしいことには変わりない。
しかしそのまま想像を続けていくとまずい事になりそうだったので、頭の中の映像を振り払い、先ほど思いついた彼女を家に帰す方法を思い返す。
これ以上言い争いを続けてもおそらく彼女は帰らないだろう。正直情けない話だが彼女が自分の言うことを聞くとは思えない。ならば他の人に頼んでしまおうという訳だ。
具体的には彼女の親に迎えにきてもらえばいい。いくら芸暦11年とはいえ中学生なのだし、この時間に帰っていないとなったら心配だろう。
彼女の鞄から、申し訳ないと思いながらも携帯電話を取り出す。幸いロックは掛かっていなかったので、電話帳の中から「自宅」の文字を探し出すと、会話を聞かれないようこっそり外に出てから発信ボタンを押す。
数回のコールのあと、
「はい」
「あーもしもし夜分遅くにすみません、小神さんのお宅ですか?」
「はい、そうですが。」
出たのは男の声。ああまだ起きていたようでよかった、と話を続ける。
「あ、僕はあきらさんと一緒にお仕事させていただいている白石というのですが、あの、お父様ですか?」
一応確認というつもりで口に出したのだが、何故か相手は返事に詰まって、あ、いえなどと曖昧な返事が返ってきた。
あれ?そういえば父親とは別居しているという話を聞いていたような気がするのだが。
仲が元に戻ったのだろうか?いや、だとすればさっき口を濁すのはおかしい筈だ。
だとすれば、今電話に出ている人物は。
409名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 00:12:27 ID:huELLvs+
よーし、回線確保!
上海からでも話題についていけるZE!

>>365
ぐっじょです!
テレパシーでお互いなにやっても筒抜けなんですね?w

>>377
おまいらときたら……もっとやれw
てか、こなた逃げ出してるしw

>>392
みなゆたもすっかり定着しましたなぁ。つか、こなた策士だよこなたw
410合鍵(4):2007/09/24(月) 00:14:04 ID:U6d1d7Oq
「あ、もしもし。お電話変りました。あきらの母ですが、何の御用でしょうか?」

その発想に至った瞬間、声は女のものになっていた。
「あ、えっとですねー、あきらさんと一緒に仕事をさせていただいている白石という者ですが、ちょっと落し物を拾ったもので・・・」
咄嗟に、適当な嘘を吐いた。確信はないのだけれど、どうやら自分はまずい事を知ってしまったらしい。
その後は何とか話をつくろい、それなりの所で電話を切り部屋に戻ると、そこにはすでにシャワーを浴びおわった彼女がいた。
その顔は、いつもの仏頂面に加えて、どこか遠い目をしていた。
今の会話。聞こえていたのか。

「あ、あの・・・すみません。」
それ以外に言う言葉が見つからない。
「いいわよ、別に謝んなくたって。
本当は今日、仕事が朝まで続く予定だったのよ。
それがちょっと共演者の予定でね、キャンセルになったの。だから別にあの人もわざとじゃないわ。
むしろ私がいる時は遠慮してるんだから感謝するべきなのかもね。」
悟っているというよりも、痛みを耐えているように聞こえた。
「・・・今まで、こういう事は?」
「今回で2回目。別にショックって訳でも無いし。ただちょっと家に帰りにくいだけよ。でも」
そういって彼女は腰を上げて、鞄を持つ。
「あんたも迷惑だろうし。出てくわ。」
「え、ちょっと、どこに行くつもりですか。」
玄関へと向かおうとする肩を掴む。とりあえずは足を止めるものの、顔は進行方向へと向けたままだ。
「別にどこでも。まあマンガ喫茶もけっこう最近厳しくなってきたから、いかにも中学生って外見じゃ入れてくれない事も多いけど、探せないわけではないし。
見つからなかったらマックなんかでもいいし」
「な、そんなの駄目ですよ!危ないじゃないですか。」
ひどく捨て鉢な態度。そんな痛々しい彼女を見ていられなくて、僕は覚悟を決めた。
「分かりましたよ、泊まってって下さい」
411合鍵(5):2007/09/24(月) 00:15:32 ID:U6d1d7Oq
仕方あるまい。色々問題がある気もするけれど、これ以上にいい策も思いつかない。
彼女はこちらを振り返るなり、ぎろっとした目をこちらに向けてきた。
「なんで私があんたの家に泊まんなきゃいけないのよ。こんな狭くてホコリっぽいところで寝れるかっての」
「いや、そこを何とか」
「第一何かあると困るし。あんただって一応男でしょ。」
「さっきと言ってること違いますよ。中学生相手に手は出しませんって。」
「何よそれ、私に魅力がないっての!?」
「いやいやそんなことありませんよ!なんたってあきら様はアイドルですし!でも絶対手は出しませんから。約束します」
僕が頭を下げてお願いをすると、彼女もしぶしぶといった表情ながら、
「ま、あんたがそこまでいうなら泊まってあげるわよ。」
と言って、鞄を床に下ろした。

その後は普通に寝た。普段自分が使っている布団を彼女用に部屋に敷き、自分は毛布を一枚持って廊下へと出て、電気を消す。
うちの安っぽい布団で彼女は寝れるだろうかと心配したのだが、しばらくすると規則的な寝息が聞こえてきたので、安心して自分も毛布に包まって目を閉じた。

412合鍵(6):2007/09/24(月) 00:16:35 ID:U6d1d7Oq
翌朝。
「昨日はありがと。お礼いっておくわ。」
「あきら様が感謝なんて、めずら・・いたたたたたつままないでくださいすみませんすみません」
「分かればいいのよ。あとこの事誰かに言ったら・・分かってるわよねぇ」
「もちろんですもちろんです」
つねっていた指を離すと、あきら様はポケットの中のものを取り出し、差し出してきた。
「鍵・・ああ、うちのですか」
「そ、返すわ。正直まさか使うことがあるとは思ってなかったし。もう二度と使うこともないと思うから。」
それを受け取ろうとしたけれども、すぐ思い直して、手を横に振った。
「いや、持っててください。」
「なんでよ。」
「次こんなことがあったとき、また入れないと困るでしょう?いつも僕がいるとも限りませんから」
まあそんな機会がないに越したことは無いですが、あきら様の一存でどうにかなるものでもないですしね、と少し遠慮目に言う。彼女は怪訝そうな目をして、
「いいの?また迷惑かけるってことよそれ」
「いいんですよ。僕はあきら様のアシスタントですし。それに・・」
ちょっと躊躇しながらも、素直に思っていることを口にする。
「実はちょっと嬉しかったんですよ。お帰りって言ってもらえたの。まあ、最初はちょっとびっくりしましたけどね」
「・・・ま、あんたがそこまで言うなら持っててあげるわ。」
ちょっと照れているように見えるのは気のせいでは無いと思う。そんな事を言ったらまた怒られるだろうから言わないけれど。
「じゃ、また撮影で。」
「はい、また。」
そう言って、学校に向かう彼女を見送った。
413合鍵(6):2007/09/24(月) 00:17:07 ID:U6d1d7Oq
以上です。
414409:2007/09/24(月) 00:22:14 ID:huELLvs+
うわぁ!めっちゃいい話なのに割り込んだ!

すいませんすいませんすいま(フェードアウト)
415名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 01:02:02 ID:2bfJ4mjC
>>414
上海まで行って他にすることないのかYO!!

…だがそんなおまいさんが好きだw
416名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 01:48:48 ID:jacp51RY
>>392
かがみに群がるやつら・・・・全員八つ裂きにしてやるわ・・・・・フオオオオ
417名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 02:13:23 ID:/TJXkQAT
軽く書く程度だったのにとてもじゃないけど、今夜中に書ききれない文章になってる
そして、それを完成させるには時間が無さ過ぎるオワタ\(^o^)/
418名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 02:17:08 ID:pDPRcjUg
よくあることさ
419名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 02:21:58 ID:/TJXkQAT
>>418
いつも短編ばかりだから息切れしちゃってw
寝ないとマズイし、今後カツカツだからどうしようもないわ
420名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 02:26:08 ID:Bv2tRBWx
>>413
おお、白石×あきらGJ!
書きたいとは思うけどあきらが思うように動いてくれなくて書けないから尊敬する

寝る前に投下します
かがみ編……とか思ったんだけど、フリーズしてデータ飛んだ。
俺の2時間返せとか思いつつもう一回書いていたらブレーカー落ちたんだぜ。
かなりへこんだんで気分転換で書いたゆたか→こなたいきます
『続く坂道』の続きで爽やか路線から脱線
2レス使用します
421私のすべて 1/2:2007/09/24(月) 02:26:50 ID:Bv2tRBWx

きっとカサブタに似ているのだと思う。
私はそんなに走ったりしないから転んで怪我をすることは少ないけど、調理中に指を切ったりはする。
カサブタは放置していても中々消えず、つい触ったりしてカサブタを剥がして再び血が出る。
分かっているけど触ってしまうし、また傷をつけて痕を残してしまう。
きっと……そういうものなんだと思う。
私の、愚かな感情は。




「だぁああー! づかれだよー、あづいよー!」

家に帰ってくるなり自分の部屋へ本を置いてクーラーを付けた後、お姉ちゃんはリビングにスライディングで滑り込んで寝転がった。
摩擦熱で余計に熱くなりそうなのに、コツでもあるのかお姉ちゃんはクーラーの風が当たる位置で止まってそのまま涼む。
確かに外は暑かったし、お姉ちゃんは行きがけは私を後ろに乗せて二人乗りをしていたし、帰り道は上り坂で自転車を押して登っていた。
当然私より疲れていると思うけど……

「ダメだよお姉ちゃん、汗かいた後にクーラーの直風あびたら風邪ぶりかえしちゃうよ」
「そうだぞ、こなた。ほら、水分補給で冷たいお茶飲むか?」
「飲む!!」

ガバッと腕の力で飛び上がって、おじさんからお茶を受け取るお姉ちゃん。
苦笑しながらお茶を渡して、お姉ちゃんの頭に持っていたタオルを乗せるおじさん。
当たり前のように流れる光景が少し羨ましく感じた。

「はい、ゆーちゃんも」
「あ、ありがとうございます」

おじさんから私専用になったコップを受け取り、座ってから氷が入って冷えたお茶を一口飲んだ。
外的要因で熱くなっていた体には、染み入ってくるお茶がとても気持ちいい。
一口飲んだのを確認して、おじさんはタオルを手渡ししてきた。
お姉ちゃんの時みたいに頭に乗せたりしないのは、ちょっとした遠慮の表れなのかもしれない。
時々お姉ちゃんと一緒に抱きしめられる時はあるけど。
おじさんはタオルとお茶を渡した後は部屋に戻っていった。
お姉ちゃんはタオルを首に掛けて、お茶はもう飲んでしまったのかテーブルの上にコップを置いて床に仰向けに寝転がっている。
バサッと床に広がった髪を、薄く上下している胸を、半開きの口を何となくぼんやりと見つめていた。
ほんの数十分前までは抱きついていたんだと思ってしまうと、今のこの距離が遠い。
けど、髪に埋まっていた感覚と、頬や胸で触れた体温と、お腹にまわした手の触覚を思い出して心臓が弾んだ。

「……どしたの、ゆーちゃん。何かご機嫌だね」
「えっ、そ、そうかな?」
「さては……二人乗りが気に入った?」

うーん、当たってるようなちょっと外れているような。
『お姉ちゃんとの』二人乗りは気に入ったから……当たり、なのかな。
でも、私は走ったりして風を感じたりなんて事が少ないから、風を切る感覚がちょっと新鮮だったのも確か。

「うん。楽しかった」
「そっか。ならまた二人乗りで本屋行こうか?……出来れば涼しくなってから」
「そ、そうだね」
422私のすべて 2/2:2007/09/24(月) 02:27:40 ID:Bv2tRBWx

期待なんかしていない。報われるとも思っていない。私の気持ちが伝わっているとも全然思わない。
だけど、そんな風に言ってくれるのを喜ばないわけがない。
微笑んでしまっているだろう顔を隠すためにお茶を飲む。
見ていないだろうし、見られたって『また本屋に行くのを楽しみにしている妹』ぐらいにしか思われてないことは明白だけど。
コクンと冷たいお茶が喉を通る。気持ちいいけど、勿体無い気がした。
たぶん、お姉ちゃんに触れたという内的要因で熱くなった体には……勿体無いんだと思う。
それでも飲まないわけにはいかないし、氷も解けてきていたので残った少量を飲んでしまう。
立ち上がって、お姉ちゃんがテーブルの上に置いたままのコップも掴んで台所へ。
先に洗ってしまってからリビングに戻るとお姉ちゃんは目を瞑っていた。
寝てるのかな?と思って「お姉ちゃん?」と呼んでみる。
反応がなかったから寝ているお姉ちゃんの隣に座って、もう一度呼んでみた。

「こなたお姉ちゃん」

今度は少し大きい声で。反応は「……ぅん?」と眠そうな返事が聞こえただけ。
それでも内心驚いて、数秒静かにした後にもう一度「眠いの?」と訊ねた。
「ん……」と、さっきより微かな声が耳に届く。

なんて無防備なんだろう、と心の深い部分が騒ぎ出した。
もう、隠さなくたっていいかも。
心の奥、ドアが開きそうになる。
散々鍵を閉めて開けない様にしていたドアが、こうもあっけなく開きそうになることに笑ってしまいそうになる。
言うつもりはないって決めてるのに。
見てしまうから……目で、お姉ちゃんを追ってしまうから。
消えることのない傷のカサブタを自分で剥がして、ますます痕をつけて。
それでも言うつもりがないなんて気持ちを殺してる。

「……絶対に言わないよ」

言えないのかな。言わないのかな。どっちなんだろう。
自嘲を含んでしまった物言いが、余計にドアを押し開く。
何も知らないで寝ているお姉ちゃんが羨ましい。
そして――『愛しい』んだと、私は心の中ではっきりと叫んだ。
口に出した瞬間に終わってしまうだろう今のこの空気が大事だと思っているのに。
お姉ちゃんが羨ましくて、愛しくて……少し、腹立たしい。

「お姉ちゃんは、何も知らないんだよ」

首にかかっているタオルをどかして、首に触れる。
小さな声で何か言っているけど寝言のような感じで意味は分からない。
ペトっと指が首に吸い付く感じがするのは汗のせいかもしれないし、私の気持ちのせいかもしれない。
何とか指を離して、今度は頬に。柔らかな弾力を数度突いて、左目の下のホクロを撫でた。
「はぅ」と犬みたいな声を出して、お姉ちゃんがぼんやりと目を開けた。

「ゆー……ちゃ」
「これは夢だよ、お姉ちゃん」

頬に片手を当てたまま、もう片方の手でお姉ちゃんの目を覆う。
目隠しされたと気づいてないのか、把握できてないのか、お姉ちゃんがアクションを起こす前に。

「ん……っ!?」

何にも知らないお姉ちゃんに、触れてるだけのキスをする。
空気が崩れる幻聴を聞いた……気がする。
でも、今の私にとっては唇に触れるお姉ちゃんの熱と柔らかさだけがすべてだった。
423名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 02:29:51 ID:Bv2tRBWx
以上です

なんでゆたかはダークに染まるか?
かがみ編とみなゆたとゆたこなとつかこなを同時進行してたら訳わからんことになってきた
424名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 02:39:31 ID:HYO210Vj
>>423
GJ!
なんつーか、こういうゆたかもアリですなw
同時進行で頭が沸騰しない程度に頑張って下さいとしか言えないのがもどかしい…。
とりあえず、一息ドゾーつ旦
425名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 03:19:50 ID:ol8SdpZJ
>>423
Nice! ゆたか×こなた。
だんだんと行動が制御できなくなって暴走していくのがイイ。
426名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 03:54:49 ID:1/SzMPCC
こなゆたGJ!!!

ゆたかって病弱なのにヤンデレ化したら黒みゆきより強い気がする。
孔明の罠を力ずくで突破するみたいな感じで。

皆は黒化したら誰が一番強いと思う?
427名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 04:07:38 ID:mJDwab1/
>>423
ついにリミッターが・・・なんか切なくて泣けてきたッス。GJ。

>>426
やはり数々の作品で黒化してるつかさが一番印象強いかも。
428名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 06:37:48 ID:5kxpbw8J
>>423
ゆーちゃん覚醒したー!?
どうなっていくのでしょう。はらはらしつつGJ。
429名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 07:23:50 ID:UjgUgz2X
>>423
GJ!
最近のゆたかのssは良作多くていいなあ。

…ところでみなみってチェリーのことなんて呼んでるんスかねえ?
今書いてるやつでそういうシーンがあって実に悩む……
430名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 08:55:55 ID:k8UAbQ+I
>>423
GJ!
ダークゆたかは見ていてドキドキします。
それにしても、何か俺はこなたがもててると嬉しいみたいだw
431名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 09:18:37 ID:jacp51RY
俺はかがみがもててると発狂しそうになるw
GJ!
432名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 09:55:16 ID:VXWryIrG
俺もこなたがもててるとにやけすぎて顔が溶けそうになります。
俺の書いてるSS見れば一目瞭然だとは思いますけど。
>>423
GJっす!!
433名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 09:59:14 ID:UJR00dPL
>>423
GJ!!
ブラックなゆーちゃんはなんか新鮮

>>426
自分の中のブラック要員の筆頭はつかさ
ってなわけでつかさに一票
43416-161:2007/09/24(月) 10:46:00 ID:jYolD+KA
以前投下したものの、一応続きで、微妙に根暗なかがこなです。
3レスほど頂くと思います。
会話にエロゲネタが入ってるので、ご注意を。
435ひねくれたがるお年頃:2007/09/24(月) 10:48:56 ID:jYolD+KA
ぐりぐり。
ぐりぐり。

本を読んでいる私の背中に、なにかが頭を押しつけてくる。これで4度目だ。読書が中断されるのが癪でしばらく続けてきた無視ももう限界だった。私はとうとう本を放り出してしまう。

「あーもう!あんたは猫か!」

振り返った私の肩口に、こなたはすりすりごろごろ、といった感じで懐いてくる。ちょっと可愛い反面、微妙にウザい。
猫口で笑いながら、こなたは意味の分からない話をし出す。

「どうせなら猫みたいな目がよかったなぁ。んで、観測して、かがみを巻き添えにする」
「なんだかよく分かんないけど、断る」
「まあ、確かに嫌だけど。アニメ放映もない生活は……」

一人でぶつぶつ言い出した。ところどころで聞こえる単語は、適応なんたらとかアンテナとか……こいつは一体何の電波を受信しているんだろう?

「相変わらず人のことほったらかしだな……」
「そんなことないよ?ほらほら交差交差」

そしてまたすりすりごろごろ。
こなたの言っていることはぜんぜん理解できないけど、微妙に幸せそうなニヤニヤ顔が妙に腹立つ。手を伸ばしてふにふにのほっぺたを引っ張ってみると、ニヤニヤが横に伸びた。
かがみいひゃい、いひゃいって!とか何とか聞こえてくるけど気のせいだろう。
手を離すと、こなたは大袈裟に頬をさすっていた。そのわりに、なぜかまだ嬉しそうだったけれど。
諦めなのか、呆れなのか、とにかく溜め息がでる。

「……いつかニヤニヤだけ残して消えるんじゃないかって思うわよ」
「ということは、かがみは慌てるウサギさん?」

分かりにくいように皮肉ったつもりだったのに、こなたが話に乗ってきた。

「遅刻はあんたの専売特許でしょうが」
「んじゃあお茶会してる方?」
「狂ってないわよ、失礼な」
「あれってもともと、その時期が発情期だから……」
「殴られたいか」
「あーあーごめんごめんってかがみ」

自然に会話を繋ぎながら、思う。
なんて、ひねくれているんだろう。
核心をつかない話題、核心をつかない言葉、核心をつかない私たちのすべて。
上っ面にせよそれが楽しくて、楽しいから、私は気付いてしまう。
不安なんだな、と。
そんな感情から目を逸らすように、私は話題を拾って先へ進む。

「にしても、意外と詳しいのね。活字は苦手じゃなかったっけ?」
「んー、とあるエロゲの影響で……」
「またそれか!」

勝ち負けがあるわけじゃないのに、なぜか負けた気がする。そして、なんだか悔しい。
こんなどうでもいいことに悔しくなる私と、不安を押し隠している私は、たぶん両立する。というか、している。
そんな気分の私に、こなたがぽつりと言った。

「でも私は『かがみ』の方が好きだからねぇ」
「え?あ、ありがとう……?」
436ひねくれたがるお年頃:2007/09/24(月) 10:50:31 ID:jYolD+KA
頭の中に?マークを浮かべながら、急にきたストレートな愛情表現に心臓が大きく音を立てる。こなたの次のひとことは、そんなふうに動揺した私を、かるーく地面に突き落としたけれど。

「……かがみ?不思議の国より鏡の国の方が好きって話だよ?」
「あ」
「んー?今一瞬デレた?デレた?」
「うーるーさーいー」

こなたのニヤニヤはますます勢いづいて、勝手に勘違いした私は恥ずかしくって仕方ない。

「いや、好きだよ?かがみ、大好き」
「知ってるわよ、そんなの……ていうか、まずはそのにやけた顔をなんとかしろ」
「おおっ、ますますデレ期ですネかがみさん!」

冷静に返したつもりだったのに、こなたには効果がなかった。
自分で少し照れたのが敗因か。
どうしようもなくなって、放り出した本をまた手に取った私に、調子に乗ったこなたはどんどんもたれかかってくる。背中にぐりぐりと押しつけられるおでこの感触。
きっとさっきよりもっとずっとニヤニヤしてるんだろう。
急に振り返って、ほっぺたひっぱるぞーという手つきをしてみると、満面の笑顔のままでこなたは素早く飛び退いた。
その動きがまるっきり猫みたいで、私は思わず笑ってしまう。

「まったく、あんたはほんとに猫ね」
「んー、猫、ね……」

私の言葉で、こなたは考えるように、少し首を傾げた。

「ねえ、その猫は、生きてるの?死んでるの?」

突然の発言に驚いたけれど、なんとかすぐに応えられた。

「さあ?私はまだ見てないから決まってないでしょ」

文系の私には、今ひとつ理解できなかった概念だった。
こなただって、よく解っていないだろう。そこまで持ち出してくるとは、私たちは今ここで、とても切羽詰まっている、ということだ。
くだらない会話で、ふざけている。おどけている。押し隠している。
思わせぶりなようでいて、言葉の端を捕らえて遊んでいるだけだ。
会話を途切れさせないためだけに私たちは必死で諧謔的であろうとする。いや違う、やっぱり隠している?
自分の思考すらも、噛み合っているようでちっとも噛み合わない。ましてや私たち2人の思考なんて──

「何なら箱を開けてみる?」

こなたがしれっと言い放った台詞に、思考のタスクは中断された。私はその意味を理解しようと、数秒を費やし、そして、理解を放棄した。
観測するだけで干渉されてしまう、私たちはそんな、不安定に揺れ動く感情を抱えている。
だから、あるいはそれが正解なのかもしれない。

「「いたっ」」

がちっ、という音がして、声がハモる。
ちょっと慌てていた。勢いをつけすぎた。
歯がぶつかってしまって、私とこなたは大変痛い思いをすることとなった。

「……ごめん」

謝ると、こなたの方が真っ赤な顔でニヤニヤしている。照れ隠し。素直じゃなくて、素直じゃなさまで素直じゃなくて、そこが可愛いと思う。
437ひねくれたがるお年頃:2007/09/24(月) 10:51:38 ID:jYolD+KA
「おーかがみん、がっつくねぇ?やっぱり三月──」
「うるさい」

過剰な言葉は遮りながら、私はこなたに触れる。
刻みつけられた孤独と痛みを覆い尽くすため、私たちは触れ合う。
それは逃げだけど、私たちは、間違ってない。向き合うなんて、できっこない。
そんなものにまともに向き合って、傷だらけになるのはごめんだ。

「そういえば、ウサギ族にもトリックスターはいるんだっけ」

ぽつん、と誰に向けられるでもなく放り出された、こなたの言葉。閉じきった独り言なのは、ニュアンスで分かった。
こなたが視線を噛み合わせてくる。こんどは、私に向かって『独り言を』言った。

「どっちなんだろうね、かがみは。それとも黒ウサギなのかな?」
「黒ウサギ……」

私も『独り言を』呟き返す。
こなたはしがみつく腕に力を込めて、答えた。

「私は運命に追いつかれてしまった、ってことだよ、かがみ」

真顔でそんなことを言っておいて、こんなのどうせ全部、ゲームの受け売りだけどね、とこなたは舌を出す。
何からの引用であろうと変わらない。けど、その言葉は、深く静かに私の心へ刺さった。

──運命に追いつかれる。

綺麗で重い言葉だった。
それはいったいなんていうエロゲーの話なんだろう?
気になって仕方ないけれど、聞きそびれたまま手は滞りなく動いてゆく。
こなたのTシャツを捲り上げながら、私は諦めて溜め息をもらした。




「……だいたい猫かと思ってもよく見りゃパンだったりして。しかも一斤」
「あー、もういい。頭痛いわ」
43816-161:2007/09/24(月) 10:53:25 ID:jYolD+KA
以上です。
すみません、またエロ無しって書くのを忘れてた!!
スレ汚し失礼しました。
439名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 11:35:47 ID:M8nkm2Rs
像掲示板「ふたばちゃんねる」の管理人逮捕★2
http://news21.2ch.net/test/read.cgi/news7/1189829638/l50
440名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 12:13:07 ID:X/9tTQ/U
>>413
忘れ物でWAWAWAに持っていかないところに惚れた
441名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 13:31:17 ID:d3KCFP/9
総裁選のニュース聞いてて思いついた小ネタ投下。
反省はしていない。
壊れたシリーズが好きで目指したけどあんまりかがみ壊れなかったな(´・ω・`)


「そういえば、私たちももう少しで選挙権を持つ歳になるのか・・・
こなた、あんたちゃんと考えてる?」
「んー?いやーまだ全然。いっそのこと、こなた党でもつくって立候補するかな」
「「「・・・こなた党・・・!」」」
被選挙権はもっと先の話じゃん、とか細かい事は放っておいて
その言葉だけが私たちの頭の中を駆け巡った。
「泉さんの泉さんによる泉さんのための政治・・・!!・・・へプんッ!」
みゆきが某政治家の有名な演説の改編を叫びながら鼻血をだして、机に突っ伏した。
ダメだこいつ・・・早くなんとかしないと・・・
「こなちゃん!私応援するね!!党員一万人は集めてみせるからね!
・・・はっ!こんなことしてる場合じゃない、いまから準備しなきゃ!!」
つかさはそう宣言すると、ものすごい速さで教室を飛び出して行った。
何する気だ、つかさ。
「・・・まあ、秘書くらいにならなってもいいわよ」
「・・・ちょっとネタで言ってみただけなのに・・・」
4424-243 ◆X9xLTlcDnY :2007/09/24(月) 14:36:37 ID:2bfJ4mjC
443名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 14:36:40 ID:LC7RFh+r
『日本ツンデレ党候補・こなた党公認!
  柊かがみ、柊かがみを、よろしくお願いしまーす!』


参照)かがみのキャラソンの3トラック目w
444名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 15:05:49 ID:VXWryIrG
勝手に>>441の続きを書いてみました(・ω・)

 しばらくして、背広と襷をもったつかさが帰って来た。
「ほらほらこなちゃん♪今のうちから宣伝しておかないと♪」
「宣伝って……なんの?」
「もー、こなちゃんが言い出したんじゃない。こなた党の、だよ♪ほら、この背広着て、襷かけて♪」
 いくつもの音符を振り撒きながら、こなたの制服に手をかけはじめた。
 目が獣だ。
「ちょちょちょっ!!つかさ何して!!」
「大丈夫だよこなちゃん……最初は優しくするから」
 何の話をしてるんだ。
「それは素晴らしいですね」
 いつの間にかみゆきが復活していた。
 何が素晴らしいんだ。
 鼻血を拭け。

 セーラー服を剥ぎ取られたこなたが、脱兎のごとく逃げ出す。
 それを追うように、背広と『私のこなちゃん byつかさ』と書かれた襷を持って走り出すつかさ。
 みゆきが、こなたの顔写真(全部アングルが違う)をクラスに配りながら
 『泉こなたをよろしくお願いします。これは後で返してくださいね』
 と言いながら、宣伝らしきことをしていた。
 みゆきなんでそんなに持ってるんだろう。

 取り敢えず私は、脱ぎ捨てられたセーラー服の匂いを嗅いでおこうと思う。

 クンクン
 ……あ、これはカレーを食べて12時間経った後のこなたの匂いだ。
445名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 15:16:11 ID:tJ2d6oSz
>セーラー服を剥ぎ取られたこなたが、脱兎のごとく逃げ出す。  それを追うように、背広と『私のこなちゃん byつかさ』と書かれた襷を持って走り出すつかさ。


下着で逃亡ですか、こなたさんw

皆壊れ過ぎw

特にかがみ。何故分かる!?コツを教えてくれ!
446名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 15:44:07 ID:d3KCFP/9
>>442>>444
ありがとう!こんなネタに絵と続きを作ってくれて!
447名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 15:44:40 ID:35qee+NN
>>445
愛だよ…
448名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 16:10:46 ID:vCbbmtmq
>>444
なんだこのヘンタイの集団は!GJw
449名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 16:16:31 ID:phHBPopa
最近、壊れたシリーズ多いなw
450名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 16:32:40 ID:gDA/Og/D
だが、それがいい
451名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 17:32:51 ID:6YZEMS6r
変態の編隊

「すすめ!パイレーツ」って面白かったねえ……
452名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 17:57:24 ID:d0nMqoI5
こなた×つかさの非エロ投下します。
453ある秋の日(1/2):2007/09/24(月) 17:58:17 ID:d0nMqoI5
 淡い色をした空に、点々と雲が浮いている。程よく乾いた風が凪ぎ、昼下がりの日射しも柔らかい。
「そろそろ秋だねー」
「そうだねー」
 こなたとつかさは二人、柊家の縁側に腰掛けながら、流れる雲を眺めている。
 九月も半ばを過ぎ、まだまだ暑い日もあるが、ようやく季節は秋めいてきた。
 今日はかがみは留守にしている。遊びに来ていたこなたは、少々残念に思いながらも、つかさと二人で過ごす休日を楽しんでいた。
 こなたは傍らのお盆に盛られた蜜柑を一つ、手に取った。普通の蜜柑ではない。ほんのりと黄色く染まった青蜜柑。熟れた蜜柑より酸味は強いが、ほのかに甘く、涼しげな味がする。
 こなたは皮を剥こうと蜜柑の裏側、お尻の部分に親指を立てた。
 ――と、そこで動きを止めて、つかさに尋ねる。
「蜜柑の皮を剥くときって、ヘタの方から剥く? それともお尻から剥く?」
「お尻の方かな。そっちの方が柔らかくて指が入りやすいし」
「ふーん……私と一緒だね」
 頷きながらこなたは改めて蜜柑に親指を立て、器用な手付きで皮を剥いていく。
「スジは取る方?」
「別に取らなくても平気かな」
「そっか」
 剥き終わった青蜜柑を半分に割り、片方をつかさに渡す。
 二人一緒に、向き立ての青蜜柑を一欠片、口に運んだ。
「ん〜……甘酸っぱくって美味しいね」
「そうだねー」
 物によっては酸っぱ過ぎたりするのだが、これは当たりが多い。
「青蜜柑って、この緑と黄色が混ざってる模様が可愛いよね」
 つかさがまだ剥いてない青蜜柑を一つ手に取る。顔に近付けると、柑橘独特の香りが心地良く鼻孔をくすぐった。
「これなんてだいぶ黄色が多くなってきたね」
 こなたがまた一つ別の青蜜柑を手に取った。全体の色の割合が、だいぶ黄色に傾いている。
「こういうの見ても、秋だなー、って感じるねぇ」
「そうだねー」
 のんびり語らいながら、こなたとつかさは青蜜柑を一つ一つ、口に運ぶ。
 口中に広がる酸味と甘味は、過ぎゆく夏の余韻と、間近な秋の訪れを、ぼんやりと想わせた。

「そういえばそろそろお彼岸だよね」
「そうだねー」
「お彼岸といえば……」
 こなたは視線を巡らし、庭の一角に目を留めた。
「さっきから気になってたんだけど、あそこに生えてるのって彼岸花じゃないの?」
「え? あ、ホントだ」
庭の隅に、ポツンと一つ、彼岸花があった。鮮烈なほど赤い色なのに、とてもさりげなく咲いている。種が飛んで増えるということは滅多にない花なので、自然に生えたとすれば珍しいことだった。
 普通、人家に植える花ではない。毒草な上、不吉だと言われることが多い。摘んで帰ると火事になる、という迷信もある。
「どうしよう? 抜いちゃった方がいいのかな?」
 少々不安そうに尋ねる。つかさは信心深いというか、割と迷信深い。
「別にいいんじゃないの? 毒があるっていうけど食べたりしなきゃ問題ないし。綺麗な花だから私は好きだな」
「そっか……」
「つかさは彼岸花って嫌い?」
「嫌いってほどじゃないけど……彼岸花の赤って、綺麗なんだけど、ちょっとこう……強過ぎる気がするの。何か……」
「……血の色……を連想するとか?」
 わざとおどろおどろしい口調でこなたがそう言うと、つかさは身震いして頷いた。
「あうぅ……そんな感じかも……」
「恐がりだねぇ、つかさは」
 こなたは微笑みながら、プニプニとつかさのほっぺたを突っつく。
「……で、どうしたらいいんだろ?」
「放っといたら? 生やしてたって捕って食われるわけじゃなし」
「うーん……」
 つかさは少し困った風に彼岸花を眺めていたが、さりとてすぐに引き抜いて捨てるというのも気が引ける。
「……やっぱり放っておこう」
 素性不明の彼岸花、柊家の庭先にて放置プレイ決定。
454ある秋の日(2/2):2007/09/24(月) 17:59:02 ID:d0nMqoI5
 縁側でのんびり過ごすうちに、日が傾いてきた。
「日の出る時間も短くなってきたねー」
「そうだねー」
「秋っていいねー。涼しくて過ごしやすくて」
「そうだねー」
「秋休みってあればいいのになー」
「あー、いいねそれ」
「春休み、夏休み、冬休みとあって秋休みが無いのは不公平だよねー」
「だよねー」
「誰か真剣に検討してくれないもんかねー」
「ねー」
「……あんたら二人して、何を自堕落なこと言ってんだ」
「おう、かがみ。いつの間に」
「お帰りお姉ちゃん」
 かがみはつかさの隣に腰掛け、青蜜柑を一つ手に取った。
「秋は何をするにも過ごしやすい時期なんだから、こういう時にこそ勉強やスポーツに打ち込むのが正しい学生の姿勢ってもんでしょ。特に私達は受験生なんだから」
「そうは言うがな大佐」
「誰が大佐だ」
「何をするにも過ごしやすい時期に、あえて何もせずのんびり過ごすのもまた粋ってもんじゃないかね」
「ただぐうたらするための言い訳でしょうが……」
 ため息をつきながら、かがみは青蜜柑を一欠片、口に放り込む。
「あ、これ美味しいわね」
「でしょう? まだ青いのに、結構甘いよね」
「甘過ぎず、酸っぱ過ぎでもない。良い塩梅だよねぇ」
 こなたもまた一つ青蜜柑を剥き始める。
「そういやかがみは蜜柑の皮、ヘタかお尻、どっちから剥く?」
「ヘタの方ね。そっちの方がスジが良く取れるし」
「ふーん……」
 こなたは青蜜柑に親指を立てて剥いていく。
「あんたはお尻からなのね」
「ま、ね。ほいつかさ」
 剥き終えた青蜜柑を半分に割り、片方をつかさに渡す。
「ありがと」
 二人一緒に甘酸っぱい味と香りを楽しむ。かがみは何となく蚊帳の外に置かれたような気分だ。
「私には剥いてくれないんだ」
 努めて何でもないことのような調子で、こなたにそう言った。
「ん〜? かがみ、剥いて欲しいの?」
「べ、別に誰もそんなこと言ってないでしょ」
「あっそう」
 あっさり話を切り上げたこなたは、また一つ青蜜柑を剥き始める。剥き終えたそれを、
「つかさ。あーん」
 と言って差し出した。つかさの方も屈託無く、
「あーん」
 と口を開けて応じた。底意も何もなく、素直にこなたの好意を受けているだけである。
 これ見よがしに仲睦まじいその様子を、横から見ているかがみ。あえて突っ込むまいとひたすら口を噤んでいた。突っ込んだ途端、こなたにおちょくられるのは目に見えている。
こなたもそんなかがみにあえて触れようとはせず、のんびり青蜜柑を食べている。つかさは言わずもがな。
 庭の隅に咲く彼岸花が、風に吹かれて揺れていた。


おわり
455名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 18:00:05 ID:d0nMqoI5
読んで下さった方、ありがとうございました。
456名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 18:08:20 ID:bFOYk5Ut
>>444のかがみは最終的に嗅覚だけでこなたを探し当てそうだなww

あと結局一番の変態さんはかがみな気がする……。
>つかさ
党員一万人宣言&背広準備
>みゆき
終始鼻血&写真配り
>かがみ
秘書希望&素晴らしい嗅覚(笑)

……どうっスか?
457名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 18:08:45 ID:GhsfxLFI
>>438
遅レスだが。
レニロジシリーズのようなけだるさがよい。GJ。
俺はこういうの好きだな。
ただかがみは元々理系のはずだから、
「文系の私には」では若干意味が通りづらい気はした。

>>455
文体はおいておくとしても塊が多すぎて読みづらいな。
ここは縦書きじゃなくて横書きなのを思い出してくれるとうれしい。
いいたいことと雰囲気はわかる。
ただブツギリ感が否めない――プロット見たいな感じがする――ので、
どうせなら膨らませてイベントを起こすほうが広がりが出る気はする。
偉そうに失礼。
458名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 18:09:46 ID:vCbbmtmq
>>455
いいなーこの実に平和で何もない情景が淡々と進んでいく感じ
これこそが本来のらき☆すたにおけるゆるい日常風景ってもんだ
・・・もっともエロもパロも全くないってのはスレ的にどうかは分からないんだけど
俺はこっち路線の方が好きだなあ

なにはともあれまったりとした作品GJ!
459名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 18:12:32 ID:VXWryIrG
>>456
下着姿で校内を走り出すこなたを忘れてはいけません
460名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 18:17:24 ID:Vzewd8qC
>>438
GJ
おしゃれで面白かったす
アリスネタのエロゲなんてあるのね

>>455
GJ
事件以前の雰囲気がすてきす
見せたいとこだけって感じでオレは読みやすかったよ
46111-618:2007/09/24(月) 18:54:07 ID:EDcTdeBf
ちょっとみなみ&ゆたか投下します。
ネタ考えついてから書き終わるまで半日近くかかった。
我ながらどんだけ遅筆orz
やっぱひよりは反則並みに書きやすかったんだなあと実感。

ちなみにゆたか視点で8,9レスぐらい。ギャグではないです。
では。
462チェリー:2007/09/24(月) 18:54:50 ID:EDcTdeBf
ごはんはワイワイ楽しく、それがこの家でのルール。
実家で食べるのとはちょっと違う、とても楽しいひと時。
この家の暖かい雰囲気を表しているようで、私はこの時間が大好き。
「……っていう感じでね」
「ははは、そりゃひよりん、ご愁傷さまだったね!」
前行ったみなみちゃんの家でのことを話すと、お姉ちゃんが楽しげに笑った。
「ひよりちゃんってあの眼鏡かけた娘だろ?確かにそんな雰囲気あるよな」
「まあ確かにね〜」
おじさんの意見に、お姉ちゃんが同意する。
でも田村さんの雰囲気ってなあに?
そう聞くと2人はぴったり声を合わせて、
「「言うなれば、4コママンガのコメディ担当」」
そう言った。
さすが親子というか、考え方もよく似てるみたい。
2人が顔を見合わせた途端、
「「「はははははっ!」」」
3人分のみんなの笑いが部屋に響いた。
本当に、私はこの時間が大好き。


「でも、みなみちゃんにはなついてるんでしょ?」
少し落ち着いたのを見計らってか、お姉ちゃんが口を開いた。
「うん。とっても仲良さそうで羨ましいんだ……」
みなみちゃんとチェリーちゃんの様子を思い出してうっとりする。
ペットなんて、お姉ちゃんから借りたゲームの中でぐらいしか飼ったことがない。
でもあんな大きな犬、私じゃ散歩させるのも大変だよね……
「はは、ゆーちゃんは動物好きだからなー」
私の心を見透かしたようなおじさんに、
「いやいや、お父さん。この場合は違うでしょ!」
お姉ちゃんが口をネコみたいにして言った。
「ゆーちゃんはチェリーちゃんが羨ましい、って意味で言ったんだよね〜?」
「……え?」
突然すぎて、最初はお姉ちゃんの言っている意味が良く分からなかった。
チェリーちゃんが羨ましい、って?
「だってチェリーちゃんはみなみちゃんと仲良しさんで、家ではいつも一緒にいるんだもんね〜」
そこまで聞いて、ようやくお姉ちゃんの言っている意味が理解できた。
顔が一気に赤くなるのが分かる。
「……お、お姉ちゃん!」
「おお、ゆーちゃんに思わぬライバル出現、ってとこだな」
「うぅ……おじさんまで!」
「だってゆーちゃんってば、みなみちゃんのことになるとすぐに赤くなって可愛いんだもん。だよね、お父さん?」
「そうだな。微笑ましいというかなんというか……
なんにせよ、みなみちゃんにならゆーちゃんをまかせられるな!」
からかわれている、と分かっていても顔が熱くなる。
「もうっ!お、怒りますよ!」
でもそんな言葉は迫力がともなわなくてはいけないわけで。
結局私は夕飯が終わるまで、2人にからかわれるはめになった。
463チェリー:2007/09/24(月) 18:57:00 ID:EDcTdeBf
「じゃあゆーちゃん、お風呂お先にいただくね」
「うん。あがったら呼んでね、お姉ちゃん」
はいよ〜、と返事をしてぺたぺたとお風呂場に向かっていくお姉ちゃん。
その背中が見えなくなってから、私は部屋のドアを閉めた。
「はぁ……」
ついため息が漏れる。
それはさっきさんざんからかわれた事に対してではなかった。
なんだかんだで2人は私のことを大事にしてくれるから、お姉ちゃんもおじさんも最後には謝ってくれた。
「はぁ……」
でも私の口からはため息が止まらない。
『だってチェリーちゃんはみなみちゃんと仲良しさんで、家ではいつも一緒にいるんだもんね〜』
さっきお姉ちゃんが言った言葉が頭の中をぐるぐると回っていた。
「うーん……」
別にみなみちゃんといること自体は羨ましいわけではない、と思う。
私だって学校ではいつも一緒な訳で。
……でも、それはあくまで学校では、の話。
私はみなみちゃんが家でどんな風に過ごしているのかを知らない。
チェリーちゃんはきっと、私の知らないみなみちゃんを知っている。
そういう意味では……
「チェリーちゃんになってみたい、かも」
自分で言っておいて、ばかみたい。
「はは、なーんて」
思わずため息ではなく苦笑が漏れる。
変なこと考えてたらなんだか疲れちゃったな…
とりあえず、お姉ちゃんがお風呂からあがるまで横になろう。
ベッドに倒れこむと心地よい眠気が襲ってきて、私のまぶたはなすすべも無く落ちていった。


……誰かが頭を撫でている感触がする。
とてもあったかくて、優しい手。
……お姉ちゃんかな?
でも、お姉ちゃんよりもっと暖かい気がする。
そういえばみなみちゃんの手も、こんな感じで暖かかったな……
……そうだ、お風呂に入らなきゃ……
まぶたを開けると、自分の部屋とは違う景色がぼんやりと目に入ってきた。
不思議に思いながら、私を撫でている手に視線を向けると、
「……ゴメン、起こしちゃった?」
本当にみなみちゃんが目の前に居て、私の頭を撫でていた。
「……わ、わぉん!?」
驚きのあまり奇声が出る。
ううん、奇声というよりは……
「……どうしたの?」
「わ、わん」
あ、あれ?なんで私の口から犬の声が?
「どうしたの?……チェリー」
みなみちゃんが心配そうに尋ねてくる。
でも……チェリー?
違うよみなみちゃん!私、ゆたかだよ!
「わん、わんわんわん!」
やっぱり言葉にならない!?
も、もしかして……!?
ありえないと思いつつ自分の体を見回してみると、
体には見覚えがある綺麗な白い毛、さらにお尻にはふさふさした尻尾が、生えていて。
……もう、認めるしかなかった。
つまり私は。
「……どうしたの?チェリー」

そう、私はチェリーちゃんに、なっていた。
464チェリー:2007/09/24(月) 18:57:57 ID:EDcTdeBf
……こ、これは夢!?
でもこんな意識がはっきりしてる夢なんてあるの?
もしかして、私がチェリーちゃんになりたいなんて思ったから?
と、とりあえず落ち着かなきゃ!
深呼吸、深呼吸……!

混乱している頭を静めようと、深呼吸をしてみた。
「ハッ、ハッ、ハッ……」
………………。
深呼吸とは言いがたいソレに、軽くショックを受けた。
ガックリとうなだれた私に、
「……のど乾いたの?」
再度みなみちゃんが声をかけてきた。
「…………(ふるふる)」
あまり心配をかけてもいけないと思い、首を振ってみた。
「……そう」
良かった、分かってくれたみたい。
それにしても、どうしよう……これからチェリーちゃんとして生活しなきゃいけないのかな……
「わぅ……」
人の言葉は話せないのに、何故かため息は出た。
そんな私に、
「……ふふ、変なチェリー」
みなみちゃんは優しく微笑みながら、頭を撫でてくれた。
「きゅうん……」
犬になっているからかそれとも違う理由からか、それはとても気持ちよく感じられて、私はつい目を細めた。
それになんだか尻尾も振れている。
嬉しいと尻尾が振れるっていうのは本当なんだなあ……なんて、のんびりとそう思った。
焦りや不安は、いつの間にか消えていた。




このチェリーちゃんの体になって、分かったことがいくつかある。
まず、この体はある程度私の思い通りに動くこと。
ある程度というのは、本能的な行動は抑えることが難しいから。
ちなみにさっきビーフジャーキーを出されて、自分でも信じられないぐらいに食欲が出て困った。
残念そうにするみなみちゃんには悪く思ったけど、なんとか耐えた。
そして、ここは間違いなくみなみちゃんの家で、私が自分の部屋に戻ってからまだ10分とたっていないこと。
時間と日付は机の上にあったデジタル時計で確認した。
犬は視力が悪いんじゃ、と思ったけど見えるんだからしょうがない。
……私は自分で思っていたよりも適応力が高いのかもしれない。
さらにもうひとつ。
「……おいで。チェリー」
みなみちゃんはチェリーちゃんが大好きだということ。
さっきから私の後をついてきて離れない。
私が近づいていくと、
「……ふふ」
嬉しそうに微笑みながら、私の頭や背中を撫でてくれる。
それが本当に気持ちよくて、これが夢でも現実でも、もうどっちでもいいような気がした。
465チェリー:2007/09/24(月) 18:58:56 ID:EDcTdeBf

「少し暗いけど……散歩に行こうか?」
そんなみなみちゃんの素敵な提案に、
「わんっ!」
私は大声で答えた。
嬉しそうにみなみちゃんは頷くと、私の首にリードをつける。
気付くと、私は駆け出していた。
「わん、わん!」
みなみちゃんを引っ張って、開いている扉から庭に飛び出す。
「チェリー、待って!」
みなみちゃんが慌てて体勢を立て直す。
そして2人並んで、グングンとスピードを上げていく。
体中に力が満ち溢れてくるみたい。

私、みなみちゃんと一緒に走ってる!

そう思うと、何とも言えない高揚感が胸を満たした。
病弱で、いつも体育の授業は見学してばかりだった私。
みんなが走っているのを遠目で見ているしかなくて、これからもそうであるはずだった私。
そんな私が、みなみちゃんに負けないぐらい速く走ってる!
もっと、もっと速く!
もっと、もっと走りたい!

そんな今まで抑圧されてきた想いのままに、私は走った。
通行人の驚いた顔が見えるけど、もうそんなの関係ない。
今なら何でもできる、そんな気がした。
「…………!」
とうとうみなみちゃんがリードを離した。
でも私は止まらない。止まれない。
前に見える坂も一気に駆け上った。
そしてその坂からは、
(うわあ…………!)
信じられない程に綺麗な夕焼けが見えた。
(すごい…………)
あんなに走るのに夢中になっていても、綺麗な景色を見て立ち止まっちゃうのは自分らしいな、なんて思った。

どれだけ見惚れていたんだろう。
「……チェリー!」
後ろから、みなみちゃんが近づいてきていた。
「おいで、チェリー……」
みなみちゃんはそう言って、両手を広げる。
「………………!」
私は居ても立っても居られなくなって、みなみちゃんに飛びついた。
しりもちをついたみなみちゃんの頬を、本能のままになめる。
「……ふふ、くすぐったいよ」
そう言って微笑むみなみちゃん。
その表情は普段のクールなそれとは違って、年相応の可愛い女の子の表情で。
やっぱり私は見惚れてしまった。
466チェリー:2007/09/24(月) 18:59:42 ID:EDcTdeBf
散歩から帰る頃には真っ暗になっていた。
家に着くと、みなみちゃんはすぐシャワーを浴びに行った。
あれだけ走った後なら当然かもしれない。
「わぅ……」
つい、ため息がでた。
『事故にあったら危ないから……』
散歩の帰り、みなみちゃんはそう言ってリードを頑なに離そうとしなかった。
忘れかけていたけど、これはチェリーちゃんの体なんだ。
さっきまでの高揚感は消えてしまっていて、代わりに軽い自己嫌悪の念が心にはあった。
それに……

「……チェリー?」
シャワーからあがったみなみちゃんが声をかけてくる。
チェリーちゃんの体だからか、普段以上にいい匂いがするのを感じる。
「……どうしたの?」
私のションボリとした様子に気付いたのか、心配そうに顔を覗きこんでくる。
「…………」
私はぷい、とそっぽを向いてしまった。
そう、今私の心の中には自己嫌悪だけではなく、チェリーちゃんへの『嫉妬』とでも言うべきものが渦巻いていた。
今日初めて見たみなみちゃんの色々な表情。
今こうして向けてくる心配そうな顔も、私が知らない顔のような気さえしてくる。
動物に嫉妬なんておかしいとは思うけど、
私は、私の知らないみなみちゃんをたくさん知ってるチェリーちゃんが羨ましかった。
そう思っても今の私には言葉にできなくて。
だから、そっぽを向くしかなかった。
そんな風に私がいじけていると、
「……今日のチェリー、何だか、ゆたかみたい」
突然みなみちゃんがそう呟いた。
(え!?)
あり得ない言葉に、動揺が走る。
だって、今の私が分かるわけ――――
私がみなみちゃんの方へ顔を向けると、
「……元気だったり、ションボリしたり、拗ねたり……本当に、ゆたかみたい」
そう言ってみなみちゃんは微笑んだ。
その微笑みは、確かにいつも私が見ている微笑みだった。
「でも……」
次の瞬間には一転して寂しそうな顔になって、
「泉先輩やお姉さんはもっと、色んなゆたかを知ってるんだろうな……」
みなみちゃんはそう呟いた。
(……私と同じこと考えてくれてるんだ)
そう思うと、さっきまでの暗い気持ちが吹き飛んでしまったように感じて。
「……やっぱり、ゆたかそっくり」
無意識のうちに尻尾が振れていたみたい。
467チェリー:2007/09/24(月) 19:00:50 ID:EDcTdeBf
私が少し落ち着いてから、みなみちゃんは立ち上がると、
「……ついてきて、チェリー」
そう言って歩き出した。
みなみちゃんに言われた通りについていくと、そこの部屋には
大きなグランドピアノが置いてあった。
「本当はゆたかに、いちばん最初に聞かせたかったけど……今日は、特別」
(私に…………?)
「……ゆたかには、内緒だよ」

私の疑問をかき消すように、みなみちゃんが曲の前奏を弾き始めた。
美しいとしか言えない、みなみちゃんの繊細な指使い。
みなみちゃんが奏でる旋律に、私は聞き覚えがあった。
(あ、……これって、もしかして……)
前奏が終わり、みなみちゃんが歌いだす。

“ 君が流す涙 拭うためだけに 僕はここにいるよ ”
(……やっぱり!)
私がいつも聞いている、お気に入りの曲だった。

“ 雨上がりが きれいなように 泣けば心透き通る ”
お姉ちゃんから借りたCDに入っていた、とても綺麗な曲。

“ 丘の上で 見渡す世界は 今日も愛で 溢れているはずなのに ”
なんでこの曲をみなみちゃんが、という疑問が浮かんだのも一瞬だけ。

“ 迷い生きる 僕らは気づかず やさしい愛の歌さえ 届かない ”
みなみちゃんの声はあまりに透き通っていて、私はただ聞き惚れるしかなかった。

468チェリー:2007/09/24(月) 19:01:24 ID:EDcTdeBf
“ 守りたい ただあなただけを その笑顔輝く日々を ”
曲に、想いが溢れてるみたいだった。
その相手が私だったらいいな、なんてぼんやり考える。

“ 守りたい 孤独に囲まれ 悲しみに揺れる心を ”
頭に浮かぶのは陵桜に来る前の、いつも病気で孤独だった自分。
そして、みなみちゃんに会って、みんなに見守られて変わっていった自分。

“ いつの日も ”
チェリーちゃんの体で良かった。
そうじゃないと、きっと私は泣いていた。

この場所にいることが奇跡のように思える。
いや、みなみちゃんに会えたこと自体が奇跡だったのかもしれない。
そんな事を考えているうちに、どんどん曲は進んでいって、ついにクライマックスに入った。


“ 忘れない あなたと交わした 言葉さえ 何もかも ”

“ つかの間の虹 きっと君への 架け橋になるだろう ”
最後のフレーズが歌われて、曲が終わった。

(すごい……)
私が曲の余韻に浸っていると、
みなみちゃんがピアノの蓋を閉めて、こっちに近づいてきた。
そして私の頭を撫でながら、
「……泉先輩にCD借りて、ちょっと頑張ってみたんだ」
そう呟いた。
(……お姉ちゃんに?どうして?)
私の疑問が表情に表れていたのか、みなみちゃんは少し恥ずかしそうに、
「……ゆたかが大好きな曲だっていうから」
そう答えてくれた。
(…………!!)
私は、心が暖かいなにかで満たされていくように感じた。
「……どうだった?」
その言葉はチェリーちゃんじゃなくて、私に向けられているような気がして。
気付くと、私はみなみちゃんに飛びついていた。
「……わん、わん!」
ぺろぺろと、みなみちゃんのほっぺをなめる。
「ふふ、くすぐったいよ……」
普段の私じゃ出来ないけど……今の私は、チェリーちゃんだから。
そう自分に言い訳して、みなみちゃんにいっぱい甘えることにした。
…大好きだよ、みなみちゃん!
469チェリー:2007/09/24(月) 19:02:14 ID:EDcTdeBf
次の日、目が覚めると私は元の姿に戻っていて、場所もいつもの私の部屋だった。
もうチェリーちゃんが羨ましいなんて事はなかった。
私にしか見せないみなみちゃんの表情、そして想いがあるのを知ったから。


数日たってから、私はみなみちゃんの家に招待されて、あの曲を聞かせてもらった。
練習を重ねたのか、前聞いたときよりさらに上手くなっていて、
私はやっぱり感動して泣いてしまった。


それからというもの、月に2,3回はみなみちゃんの家にお邪魔して
みなみちゃんのピアノを聴くのが私の楽しみになった。
もちろん、ビーフジャーキーを買っていくのも忘れない。

「あの時はありがとう、チェリーちゃん」
「わん!」
「ふふ、大好きだよ!チェリーちゃんも、チェリーちゃんのご主人様も!」
「わんわんっ!」

あの日以来、チェリーちゃんの言うことがなんとなく分かるようになったのは、内緒の話。



              【fin】
470チェリー(おまけ):2007/09/24(月) 19:03:46 ID:EDcTdeBf




              おまけ


「お風呂あいたよ、ゆーちゃん!」
「わんっ!」
「……あれ?わんって……おねーさん聞き間違えたかな?
それにお座りのポーズなんて、ゆーちゃんいつからそんなお茶目さんに」

ずぼっ

「ちょ、ちょっとゆーちゃん!?どこに頭突っ込んで…
ひゃう!へ、変なトコなめないでってば!ちょっとくすぐったいっ、ん、んぁっ!
だ、駄目だってちょっとシャレにならな」


               【完】
47111-618:2007/09/24(月) 19:05:27 ID:EDcTdeBf
……ギャグなしとか言いながら、結局最後やっちゃったZE☆
チェリー=ずぼっの罠っていうか……いや、どう見ても禁断症状っス。本当に(ry

今回書いたこのシチュってベタながら、5巻の最初にでてきた犬にこなたの人格が乗り移ればかがこな、
逆ならこなかが、みたいにできて実に便利ですよね。誰か書いて頂けませんか(ぉ

ちなみにみなみが弾いてた曲は、坂本真綾の『tune the rainbow』っス。
なぜ彼女が弾けたかというと……まあそこは、胸以外は完璧超人ですから。
……ていうか、ほら、愛ですよ、愛。

…長々とスマソ。
そして読んでくださった皆さん、ありがとうございました。
472名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 19:08:48 ID:xzMbMD18
イイハナシダナーと思っていたのにいい意味で裏切られた
GJ
473名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 19:43:56 ID:d3KCFP/9
>>449
ちょっとした息抜きにちょうどいいんだW
こなかがが詰まってて・・・

>>470
GJ!!
ほのぼのみなゆたいい!!
474名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 20:06:51 ID:81Ckjg8n
>>471
「……元気だったり、ションボリしたり、拗ねたり……本当に、ゆたかみたい」
のセリフで思わずニヤっとしてしまいました。
ホントにあなたって人は…。


ここで私もパティ×こなたのエロを投下します。
7レスいただきます。
475パティの美しき『世界』 (1/7):2007/09/24(月) 20:10:03 ID:81Ckjg8n

「やっほーパティ、遊びにきたヨ〜」
「Oh,コナタ、さぁさぁアガって下さいネ〜」
 ある晴れた休日、私はパティの家に遊びに行った。
 パティの家には同じオタク仲間として一度は行ってみたいなぁと思ってたところを、
 偶然にも一昨日の学校の帰りに出くわしたパティに誘われてしまったのだ。
「おじゃましまーす。おぉひよりんも来ていたのかね」
「どもども先輩、こんにちわッス」
 私より先に来ていたらしいひよりんはペンとノートを持って何か書いていた。
 どんなときでもネタの仕入れを忘れないのはさすがだと思う。
「それにしても結構広い部屋だねー、パティ」
 パティは一人暮らしって聞いてたから割と狭い感じの部屋を想像してたんだけど、
 いざ入ってみるとホテルのツインルームくらいの広さがあった。
「セマい部屋だとgoodsのホカン場所に困りマスからネ〜。
 これでもカンリにはケッコウ気を使っているのでス」
 パティの言うとおり、部屋はよくテレビで見るようなだらしないオタクさんとは違って
 きちっと片付けられていて、フローリングの床にはゴミ一つも落ちていない。
 きれいな白い壁にはアニメのポスターが貼られていて、
 壁際の棚にはたくさんの漫画やDVD、フィギュアなんかが並べられている。
 無造作に置いてある私の部屋とは違って配置にもこだわっているみたいだった。
「これみーんな向こうの家から持ってきたの?」
「Mmm〜、Americaから持ってきたモノもありマスが……
 ニホンに来てから揃えたモノも多いでス。
 ヤハり聖地アキバが近いとツイツイたくさん買っテしまいマスネ。
 ニホンはスバラシイ国でス。この国は『萌え』でアフれていますネ〜」
 パティはそう言ってすごく幸せそうに笑った。
「パティとアキバに行くと大変ッスからね〜。
 あっちに行ったりこっちに行ったりで体力がもたないッス」
「まぁテンションがあがるのも分からなくはないけどネ」
 日本文化(とは言っても大分偏りがあるみたいだけど……)を学ぶため、
 はるばる海の向こうからやってきたパティ。
 そんなパティにとって日本、特にアキバはまさしく『聖地』なんだろうな。
「あっ、コレ私の写真?」
 棚の中を見ているとフと写真立てに入れられた自分の写真が目に留まった。
 かがみ達がコスプレ喫茶に来た日にやったダンスショーの写真みたいで、
 振り付けの最後の決めポーズを取っている私が写っていた。
「アノshowはサイコウでしたネ、コナタ。
 アノ日のコナタがvery very prettyだったのデ、
 ソノ時写真を撮っていたゴシュジン様から貰ったんでス」
「おっ、ハルヒのコスッスか?
 なかなか似合ってるッスね〜。私も見てみたかったッス」
「うぅ〜、なんか恥ずかしいな……飾ってくれるのはありがたいんだけどね……」
 うわー、私すっごく満足そうな顔しちゃってるよ〜……。
 こういう自分の姿を客観的に見てみるってなんだか変な感じ。
 そういえばウチって写真撮影OKだっけ……?
「細かいコトは気にしちゃダメデスヨ、コナタ?」
 そう言ってパティは人差し指を口に当てて可愛くウインクをした。
476パティの美しき『世界』 (2/7):2007/09/24(月) 20:11:14 ID:81Ckjg8n
「Oh,ソウいえばこんなモノをヨウイしたんでしタ。
 今日はアツいでスからネ。コレでも飲んでくだサイ」
「おぉー! それは……」
「ポーションだ! しかも限定版!」
 パティが冷蔵庫から取り出してきたのは数ヶ月前に発売されたFFXIIのポーションだった。
 限定版であることを示すフタ付きの青色のビンが、3本パティの手に握られている。
「いやー、ウチのお父さんも試しに買って飲んでたなぁ。
 私も少し飲んでみたけどなんともいえない味だよね」
「こんなのもあったッスね〜。なんだか懐かしいッス。でもこれ飲んでいいの、パティ?」
「Yes! ドーゾどーぞネ。Boxで買ったのデたくさんあるからノープロブレムでス!
 今日はセッカク二人がキテくれたことデスしネ。ハイ、コナタ、ヒヨリ」
「ん、ありがと、パティ」
「相変わらず禍々しい色ッスね〜……。じゃあ、いただきます……」
 私は床に座り、パティから手渡されたポーションをグイっと飲んだ。
 よく冷えていたから少しの爽快感はあったものの、
 すぐにあの栄養ドリンク系の薬のような味が口いっぱいに広がった。
「うひー、ホントにこんなんで体力が回復するんスかね〜」
「うーん、まぁ良薬口に苦しっていうからネ〜」
「リョーヤク……? ドウイウ意味でスか?」
「『良薬口に苦し』だよ。苦い薬は病気によく効くってこと。
 あと自分の為になる言葉は受け入れにくいものだって意味もあるんだよ」
 だったかな、お父さん。
「Oh! 『コトワザ』というヤツでスネ!
 まだまだニホンの言葉、覚えるコトたくさんありマスネ〜」
「まぁでも日本人でも知らないような言葉ってたくさんあるけどね〜」
「でもワタシはもっともっとニホンのコト、ベンキョウしたいのでス。
 ニホンはとてもイイトコロでス。ワタシはニホンが大好きでス」
 屈託のない笑顔になって、パティが続ける。
「ソレに、ユタカやミナミ、そしてヒヨリやコナタみたいなイイ人達もたくさんいまス!
 ワタシはイイ友達を持てて、とてもhappyでス!」
「な、なんだか照れるなぁ……」
「面と向かってこういうこと言われるのってあんまりないからね〜。
 でもそういうことを真っ直ぐ言ってくれるっていいコトだよね」
「確かにそうかもしれないッスね。私達は思ってても言わないことのほうが多いッスから」
「やっぱり言葉にして伝えるって大切なことなんだろうね」
 パティは相変わらずニコニコと笑っている。
 見ているこっちまで元気になってしまうような、そんな笑顔。
 私とひよりんはパティにつられるように顔を見合わせて笑いあった。
477パティの美しき『世界』 (3/7):2007/09/24(月) 20:12:22 ID:81Ckjg8n
 その時だった。
「――っ!?」
 突然、体が重りでも付けられたみたいに重くなって、
 私は倒れそうになった体を手を前に付いて支えた。
 頭もぼーっとしてきて、少し苦しくって、それは風邪を引いたときの感覚と似ていた。
「モウ効いてきたんですカ? コナタ?」
 パティが笑顔のまま、私に語りかける。
 けれどその笑みはさっきとは全然違う。まるで『作戦通り』と言わんばかりの顔だ。
「え……どういう……」
「コナタはイゼンにワタシがコナタの友達に会った時、ナント言っていたか覚えていますカ?」
「……?」
「『realで同性趣味はない』と、ソウ言いましたネ?」
 パティの問いに、無言で頷く私。
 そういえばそんなこと言ったような気がする。
 けどそんなこと、今の私の状況とどんな関係が……?
「ソレを聞いてワタシはガクゼンとしましタ。
 カガミやツカサ、ミユキのようなcharmingなgirl達にカコまれているのに、
 コナタにソノ気が無いのはスゴクもったいナイことでス!」
 そ、そう言われてもなぁ……。うぅっ、なんだか体が熱くなってきた。
「ワタシはドウしたらコナタがgirlにキョウミを持ってくれるか考えましタ。
 マズ、ソウイウ漫画やゲームをコナタに貸したりシタのですガ、あまりコウカが無かったみたいでしタ」
 な、なるほど……。一時期パティがマリ○てとかス○パニとか
 そういう系のモノをたくさん私に貸してくれてたのはそういうことだったのか……。
「ツギに、ユタカとミナミが一緒にいるトコロを
 コナタにイッパイ見せテみたりしたのですガ、コレもあまりコウカが無かったみたいでしタ」
 確かに一時期やたらパティがゆーちゃんとみなみちゃんを連れてきてた時があったけど、
 あれもそういうことだったのか……
 っていうかあの二人って別にそういう関係じゃないと思うんだけど……。
「コナタがナカナカ振り向いてくれないノデ、ワタシはトテモ悩みましタ。
 シカ〜シ、ソンナ時にヒヨリがとてもniceなモノをくれたのでス!
 ワタシはとてもカンゲキしました。コレで上手くいくとカクシンしたのでス。
 ということデ、サッソク今日はコナタのdrinkにその『オクスリ』を入れておきましタ♪」
 ふーん、そうだったんだ。お薬を私の飲み物にね〜……って、

「おおおおくすり!?」

「Yes! オクスリです! 
 ヒヨリが『こうなったら強行策にでるしかないね』
 と言ってワタしてくれましタ。ヒヨリにはカンシャしてまス」
「グヒヒヒ、お安い御用だよ、パティ」
 そう言うひよりんの眼鏡は不気味にキラリと光っていて、
 私にはひよりんの顔が一瞬悪魔のような表情に見えた。
「押してダメならさらに押してミルのでス!
 さぁコナタ? 段々とカラダがウズいてきませんカ? 私がホシクなってきませんカ?」
 パティが私のほうに少しずつ近づいてくる。
 パティ、可愛いなぁ……って、違う違う! 私は何を考えてるんだ!
 でもすっごくピンチな状況なのに、なんだか悪い気がしてないのは何でだろう……。
478パティの美しき『世界』 (4/7):2007/09/24(月) 20:13:32 ID:81Ckjg8n
 パティが私の体を起こすようにして迫ってきて、
 私はさっきの前かがみの状態から今度は後ろ向きに倒されようとしていた。
「コナタ? テイコウしないというコトはOKのsignでイイんですネ?」
「……っ!!」
 そう言ってパティが私の首筋に触れた途端、体に電流みたいなものが走った。
 普段がこんなところを触られてもなんともないはずなのに、
 今の私の体はそれさえも敏感に反応してしまうようだった。
 体がさっきよりも火照ってきた。
 頭もますますぼんやりとしてきて、このままだと何も考えられなくなりそうだった。
 今、私はパティに迫られている。
 このまま何もしなければ、どうなっちゃうんだろう。
 キスとかまだ私したことないけど、パティにされちゃうのかな。
 それにもっと先のことも、もしかしたらされちゃうのかも。

 ……でも、なんかそれもいいかもしれない。

 私は気付けば頭を一度、ほんの少し縦に振っていた。
 パティもそれに気付いたみたいで、
 いつものようにニッコリと笑った後、ゆっくりと私を押し倒した。
 パティの体が私の体に触れて、その触れた部分からまた微弱な電流が流れていく。
 私の顔の前には、パティの顔。
 キス、するのかな。するんだよね。
 
 ――早く、して、ほしい。
 
「……んむっ」
 パティの唇と、私の唇とが重なる。
 柔らかくて、温かいパティの唇。
 何かに包まれているみたいな、不思議な感覚。
 このままパティに私の全てを持っていかれそう。
「んんっ……んふぅっ……」
 パティの口が開かれて、私の中にパティの舌が入ってきた。
 さっきまでとは違う、新しい感覚。
 気持ちいい、と今度ははっきり感じられる。
「ぁむ……んんっ……ちゅく」
 もっと、もっとパティを求めたい。
 私は口が唾液で汚れることなんておかまいなしに私はパティと激しく舌を絡ませあった。


「フヒヒヒ……リアル百合ッス……いい話が書けそうッス……」
479パティの美しき『世界』 (5/7):2007/09/24(月) 20:14:46 ID:81Ckjg8n
 チュクチュク、ピチャピチャと水音が部屋に響く。
「ぷはっ……」
 パティの唇が私から離れて私達の間に一本の糸が結ばれる。
 やがてその糸が切れ、私の口元に落ちたその飛沫をパティが指で優しく拭き取った。
「コナタもスッカリその気みたいですネ〜。
 ココではナンですからbedに移りまショウ。コッチですヨ、コナタ」
 パティがまた可愛く笑って、私の手を引いてベッドのほうに向かう。
 私はさっきのキスもあってもう半分くらい意識がどっかに飛んでいた。
 ふらふらした足取りで歩き、ベッドに倒れこむようにして横になる。
 その衝撃で私の体が擦れてまたぴりぴりしたものが私の中を流れていった。
 ふとひよりんの方に目をやると少し離れたところで壁にもたれて
 体育座りのような格好で座っていて、ノートに熱心に何かを書いているみたいだった。
「ソレじゃあコナタ、準備はイイですカ?」
 自分の呼吸が自分でも分かるくらいに深く、荒くなっているのが分かる。
 これから起こることを考えると、自分の心臓が大きく高鳴っていく。
 私は静かに首を縦に動かした。
 触れるくらいの軽いキスをして、パティが私のシャツを捲り上げていく。
 パティの指が私の体に当たって、正直それだけでもちょっと気持ちいい。
 半分くらい私の体が露になって、パティが少し驚いた表情になった。
 あ、そうか、今日私ブラしてきてないんだっけ。
「んっ……はぅ……」
 丸見えになった私の胸がパティの口で包まれた。
 そしてさっき私の口の中で絡まりあった生暖かいもので弄ばれていく。
「あっ……ああぁ……はぁっ……」
 その快感に耐えられなくなって、思わず声が出る。
 途中でひよりんが見てるってことに気付いて少し恥ずかしくなったけど、
 その声を止めることはできなかった。
「っく……はぁ、ん……ああぁあっ……」
 かたっぽの胸もパティの手でおもちゃにされて、
 快感がさっきの何倍にもなって私に襲いかかってきた。
 胸を、いじられているだけなのに。
 たったそれだけのことなのに私の頭はぐちゃぐちゃにかき乱されていった。
「あ……あぁ、んっ……んぁぁっ……!!」
 そしてパティの指先と口で私の胸が同時にきゅうっと押しつぶされた時、
 私の体はそれに反応するかのようにびくんと跳ね、
 体の中心から広がるようにして温かいものが伝わっていった。
 どうやら私は胸を触られただけで軽くイッてしまったらしい。これも『オクスリ』のせいなのかな。
 お腹の下のあの部分のあたりがすごく冷たかった。
「コナタ? キモチイイですカ?」
 パティが私の胸から顔を離して私の顔を見る。
 私はさっきの快感の余韻がまだ残っていて、上手く体を動かすことが出来ない。
 なんとか頭を動かしてみたけど、パティに伝わったかどうかは分からなかった。
 まぁ、私の今の状態をみたら気持ちいいかどうかなんてすぐに分かるんだけどね。
 しばらく私の顔を見つめた後、パティはなんだか満足そうに微笑んで私にキスをした。
 キスをしている間にパティの手が私のハーフパンツにかかり、私は少しずつ脱がされていった。
 シャツも自分で脱ぎ、ショーツ一枚と靴下だけの姿になる。
480パティの美しき『世界』 (6/7):2007/09/24(月) 20:15:55 ID:81Ckjg8n
「……っ……ああぁっ……!! あああぁっ!!」
 パティがショーツの上から私のそこを触り、私は耐え切れずに大きなよがり声をあげる。
 さっきまで触られていた胸なんかとは比べ物にならないくらいの強い快感。
 けれどなんだか物足りないのもまた事実。
 ――直接、触ってほしい。
 そんな願望が私の中で大きくなっていく。
 もっともっと、快楽を求めたい。
 私の頭はもうそんなことしか考えられなくなっていた。
「パティ……お願い……ぬがせて……」
 頭の中の願望が口を通って声になる。
 パティとそれから壁際にいるひよりんが顔を押さえてなんだか悶絶している。
 私、そんな変なこと言ったかな。
 パティの手が私の腰にかかって、ショーツがずらされていく。
 足の間から見えるそれはもうすっかりぐしょぐしょだった。
 靴下だけを残し(これを脱がさないあたりさすがパティだと思う)、
 私はほとんど丸裸になった。
 こんな姿、最近お父さんはもちろん自分以外の誰にも見られたことないかも。
 私はなんだか急に恥ずかしくなって、両手で顔を覆った。
 指の隙間から、パティが私の足のほうに移動していくのが見えた。
 ゆっくりと足が上げられていく。
「!! っはぁああっ……あっ、あああああっ!!!」
 いきなり来た強烈な刺激に、私は思わず体を仰け反らせた。
 温かい感覚から、私のそこが舐められていることが分かった。
 パティに私でもあまり見たことのないあの部分を見られている。
 その羞恥は今まで感じた以上のものだった。
 けれど羞恥は快楽を求める欲望には勝らない。
 むしろ今は恥ずかしさでさえ快楽の糧。
 もしかして私ってこんな風に攻めれれるの好きなのかな。
「んふぅっ……んふ、んんぁあああっ!!」
 周りなんておかまいなしに私は声を張り上げる。
 快感に身をまかせてしまうと自分がどっかにいってしまいそうで、
 私はシーツを掴んで必死に自分を繋ぎとめる。
「あ、あ、あ……」
 ――来る。
 巨大な何かが自分の中で押し寄せてくるのが直感的に分かった。
 耐えられるかな。自信ないかも。
「あ、あああっ……んっ……んぁあ、あああああっ――!!!!」
 シーツを握る手にグッと力を込める。
 そしてもう一方の手の人差し指をかみ締めて必死に快感に耐える。
 意識が飛んじゃいそう。すごくキモチイイ。
 腰が浮いてパティの顔があそこにうずまるような感じになっているけど、
 パティはそれでも舐めるのをやめてくれない。
「あっ、だ、駄目……パテ、ィ……も、やめ……ああぁっ……!!」
 これ以上やられたら本当にどうかなってしまいそうなんだけど、
 やめられた方がもっと辛いことを分かっているから本気で抵抗したりはしない。
 体が小さく痙攣する。毛穴が開いてゾクゾクする。
 また、イキそう。
 今度はもう我慢しなくて――いいや。
「はぁあああぁんっ……あ、ああぁっ……んんんぁああっ!!!」
 体を大きく仰け反らせ、私は声を響かせる。
 足がガクガクする。腰が震えて止まらない。
 パティはもう舐めるのをやめちゃったけど、体はまだ反応し続けていた。
 そして全てを快楽に委ねた私の体はもうどこの部分にも力が入らなくなっていた。
 目の焦点が定まらない。なんだかまぶたが重くなってきた。
 ひよりん……は、なんか息が荒くなってるみたい……。もう書くのやめちゃったのかな……。
 パティ……顔が、びしょびしょだよ……。かわいいけど、ね……。
481パティの美しき『世界』 (7/7):2007/09/24(月) 20:17:09 ID:81Ckjg8n
「オメザメですカ? コナタ?」
 目を開けるとそこには笑みを顔いっぱいに浮かべたパティがいた。
 私、あのあと寝ちゃったんだ……。


 って、私……パティととんでもないことしなかった……!?


 寝ぼけた頭が少しずつ冷えていくにつれて、さっきのことがより鮮明に思い出される。
 あの時はなんだか体が熱くなってきて頭がぼーっとして……
 それから……それから……!!
「うああ〜っ……!!」
 私は思わず苦悩の声をあげた。
 完全にやっちゃったよ〜……。裸だし……うわっ、なんか足のあたりにすっごいシミが……。
 何をしたかはほとんど覚えてないけど……考えるだけでも恥ずかしいよぅ……。
「ソンナにテレなくてもダイジョウブですヨ、コナタ。
 コナタはメクるめくユリの世界へのダイイッポをアユみ始めたのでス!
 ホコりにオモってくだサイ! コナタ!」
 パティが胸に手を置いて自信たっぷりに言った。
 そ、そうなのかな……。
「っていやいや! そんなことないって!」
「でもコナタはスゴクキモチよさそうにシテくれましタ。
 アレはワタシとココロがツナがりあった証拠なのでス!
 コナタのカワイらしい声はオモいだすだけデモ萌えますネ〜。
 トクに『パティ……お願い……ぬがせて……』と言ったトキのコナタはサイコウでしタ!」
 うあああああああ〜っ!!! だ、誰か私を埋めて! 
 そんなこと言ってただなんて……。ハズカシくて死にそう……。
 私は思わず布団をかぶって身を隠した。
 隣になぜか裸になって幸せそうに笑っているひよりんが寝てたけど、
 一体私の寝ている間になにがあったんだろう。
 知らぬが仏、なのかな。


 その日は自分の家に帰ってからもパティの家でしたことが頭に浮かんできて大変だった。
 私があまりに挙動不審だったのか、上の空だったのか、
 お父さんとゆーちゃんに心配までされてしまった。ごめんなさい二人とも。
 でも、あんなコトがあった後じゃ普通になんかできないよ〜……。
 はぅ……これからパティの顔を今まで通りに見れるかなぁ……。

 その後、私がかがみ達のことを変に意識しちゃうようになったり、
 ひよりんの書いた同人誌が夏コミで大ヒットしたり、
 たまに私がパティの家に出入りするようになったりするんだけど……
 それはまた別のお話。
 
 っていうか、恥ずかしいからここで終わりっ!
4829-727:2007/09/24(月) 20:18:19 ID:81Ckjg8n
これで終わりです。
パティのエロが無いと書いてあったので妄想して作っちゃいました。
ポーションが売っていたのは去年なので、
まとめの年表とは食い違っちゃいますけどね。
あとやっぱりこなたは受けてこそだと思います!←
読んでくださった方、ありがとうございました。
483名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 20:24:47 ID:EDcTdeBf
>>482
リアルタイムGJ!
あなたとは話が合いそうだw

パティの口調ってやっぱ書きづらいっスよねー。
ところどころに英語入れてるのが雰囲気でていいなあ。
自分が書いたやつはどっかうさんくさかったスからねえ…

あと、タイトルの『世界』にニヤけたのは秘密。
484名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 20:37:21 ID:p+Lp/xR3
>>482
GJ!
そういえばパティは百合も薔薇もいけるオールラウンダーだったっけかw

「フヒヒヒ」とかひよりんの笑い方がなんか邪悪だなw
そして世界を『』で括ってあるとどうしても『ザ・ワールド』と読んでしまう俺ガイル
485名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 20:53:34 ID:QgjnveKs
連休の締めくくりにこな受け……幸せだ。ぐじょーぶ!
486名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 20:57:05 ID:wv/XUUwe
>>482
GJ。
五行目の『←』は『←結論』って打ちたかったのかな?

あと、ちょっと揚げ足取りになるようだけど
パティって母国のことを「ステイツ」って言ってなかったっけ
487482:2007/09/24(月) 21:12:06 ID:81Ckjg8n
>>486
Really!?それは知りませんでした…。
修正がてらwikiに追加してきますね。

あと『世界』が通じて嬉しかったです。
488名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 22:09:37 ID:9P5v9U/9
GJ.これはなかなか新鮮!
489名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 22:46:55 ID:pDPRcjUg
やばい、続きがかけなくて詰まってる
やっぱ俺かがつかSSしか書けないかも/(^o^)\
490名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 22:52:35 ID:bFOYk5Ut
俺、7個SS書いて全部途中で止まってるよ……。
出だしだけ得意な俺ガイル……。
491名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 22:54:55 ID:VXWryIrG
>>490
リレーとかやってみたら?
492名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 22:59:30 ID:th+6rsWq
まったく頭にきちゃうわ、あの憎らしい性格。
だっておかしすぎるじゃない、「かがみが一番だよ」なんて。
順番を付けだしたら、私以外にも誰かが居るってことでしょ?

それに調子良すぎるわ。
宿題忘れた時だけ来て
天使のような顔で人のノートを持っていくの。

なんてこと…私ってばいつの間にかアイツのことばっか考えるようになってたのね。

アイツが私以外の誰かと親しげに話すのを見る度に
何かイライラしたものが湧いてきて止まらない。
けどそれを感じる度にアイツがより好きになる。

ほんとアイツってトラブルメーカーだわ。



フリフリ
493名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 23:00:35 ID:B8nzdn9S
>>482
パティは大変なことを教えて(ry
攻められるこなたかわいいよこなた

>>489>>490
大丈夫!スレは待ってくれる!というか、俺も思いっきり詰まってるわけだがw
というか>>490氏、7個って…。出だしだけでもそこまで浮かぶのがすげぇ。
494名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 23:22:02 ID:2PeYFBrz
あきら様×白石を3つ書いてる俺参上。
あき白はどう書いていいか分からなくなる
しかも支持が少なくて泣ける
495名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 23:24:44 ID:JKZqhYUK
他人のSSの進行状況とか気になる今日この頃
一個のSS書くのにどれくらいかかるもんなの?
早い人とか3日ありゃ書けるらしいね、恐ろしい
496名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 23:26:33 ID:k8UAbQ+I
>>495
2レスの話を書くのに2週間かかったよ。
今度はもうちょっと長い話を書こうと思ってるんだけど全然まとまらない。
497名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 23:34:32 ID:pDPRcjUg
>>495
俺が書いた保管庫にある4話ぐらいの奴(あえて題名は明かさない。すぐわかるだろうけど…)
あれ実は全部一日で書けた
まぁ、今のあれはかなり修正してあるから三日ぐらいかな?
498名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 23:36:28 ID:VXWryIrG
>>495
最近は15レス前後のものが多いですけど、大体3日くらいですかね。
でも3レスくらいのに1週間とかかかったりもするので
結局は電波の受信具合と時間の有無ですよね。

などと、みさおあやのみなみパティひよりをどうやってこなフェチに出すか悩んでいる俺が言ってみます。
499名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 23:37:32 ID:NfIukcOM
書きかけのSSの進行が遅くなり、気分転換に別のSSを書き始めるもそれも滞って……俺も3個止まってるぜ
そしてにっちもさっちも行かなくなって小ネタに走るいつもの俺

「フウウウウウウ〜〜〜〜わたしは……電車通学なんですが……
登校中の満員電車で『痴漢』に遭いましてね……
あの感覚……逃げ場のない衆人環視の中であの『痴漢』の私の胸を弄り回す『手』……
あれ……初めてされた時……なんていうか……その……
下品なんですが…・フフ……濡れ……ちゃいましてね…………」
500名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 23:40:35 ID:OeUuXqoH
>>495
早いペースで投下するぶーわ氏。
こなたネタをバンバン投下してくる7-896氏。
小ネタを投下したと思ったら大砲をぶち込んでくる◆cj23Vc.0u.氏。
SSも挿絵も投下しまくりの妄想屋氏。
このスレはホントに化け物揃いだ。
501名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 23:45:11 ID:7uqWCTHj
>>494
あき白大好物wktk
確かにこのスレでの支持は少ないかも知れないが俺は支持する!
502名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 23:51:26 ID:U6d1d7Oq
>>>494
需要は絶対あるはず。というかあき白どこにも無さすぎて泣ける。
正直期待してる
503名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 23:59:44 ID:2PeYFBrz
>>501
>>502
(´;ω;`)ぶわっ

ありがとう、がんがるよ、俺…!
50417-490:2007/09/25(火) 00:13:12 ID:wtQ7brU5
>>493
7個といっても全て稚拙過ぎて泣ける。
1個くらい出だし載せてみておk?

……ちなみに一度14-208として投稿したッス。
その時はセリフだけだったけど。
505名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 00:15:18 ID:Hdn3Ma7R
>>503
気付くのがちょっと遅かったけど、俺も期待してます。
頑張ってください。
506名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 00:20:29 ID:UacNJajE
>>504
誘い受けと取られる可能性も視野に入れておいてください
507名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 00:29:09 ID:ft103Qp+
>>494
>支持が少なくて泣ける
お前の目は節穴か
508名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 00:30:25 ID:7z07ifbS
>>495
時折、記念日SSに挑みながらも、その日に完成が間に合わない俺だが…

俺の場合、一度執筆の流れと気持ちを途切れさせてしまうと、再開にやたら時間がかかるな。
3レスのものに一週間以上かかったときもあったし。

>>504
出だしだけ投下、は苦言を受ける可能性が高いんぜ。というか、俺が14-205でそれをやって
苦言を受けていたりする。投下したときは3日程度で書き上げるつもりだったが、結局その
作は、その後完成までに10日以上かかった…。
他人へのネタ振り、というスタンスなら話は別かもしれんが…?
5097-896:2007/09/25(火) 00:36:50 ID:1/zEAkMR
どうも、7-896です。
空気を読まずにネタ投下させていただきます。

『技』
 昼休み、いつものように4人でお弁当を突いていると
「そういえばこなちゃん格闘技やってたんだよね?」
 つかさがそんなことを言い出した。
「うん、やってたけど?」
「何かすごい技とかある?ほら、はどーけんとか」
 つかさ、それ人間には無理だから。
「いや、はどーけんは流石にできないけど。ん〜、足でやる技は結構できるかな、回し蹴りとか飛び膝蹴りとか」
「何で足技なの?こなちゃん」
「ほら、私体小さいでしょ?だから少しでもリーチが長くなるようにってね」
 なるほど、そういう理由があったのか。

「急所を蹴ったり踏んだりするんですね?両者とも楽しそうです」
 みゆきの脳内は、両者の設定がおかしいと思う。

「こなちゃんこなちゃん、私にもすごい技あるよ。こなちゃんの声だと、100km先でも聞こえるんだ♪」
「うお、それはすごいな……え、なんで私の声?」

「私も、泉さん関係のことに限ってのみ、視力が50.0になります。泉さんはお風呂の時、首から洗うんですね」
「50って……人間離れしてるね、流石みゆきさんだぁ……なんで知ってるの?」
 みゆき、距離だけじゃなくて障害物すらも貫通してるんじゃないか?
「かがみは何かある?特技みたいなの」
 すがるような目で私を見るこなた。
 何を伝えたいのかは分かるけど……
 ごめん、今の私には『可愛い』としか映らない。

「私は、匂いだけでこなたの健康状態とか何の栄養が足りないとか分かるわ。ちなみに今は鉄分が不足してるわね」
「それはいけませんね。このホウレンソウをどうぞ。家に帰ってから調理してくださいね」
 なんで持ってるかは知らないけれど、ホウレンソウを大量に鞄から取り出すみゆき。
 こなたはそれを苦笑いで受け取った。
 束ねてあるテープに『高良農園』とか書いてあったような気がするけれど、たぶん見間違いだろう。
「うーん、最近頭痛がひどいのはそのせいかなぁ?」
「きっとそうですね」
 いや、多分頭痛の原因は私たちだぞみゆき。


以上、みんな人間やめてますね。
そして、流石にこなたが可愛そうになってきた、少し自重しますね。
次はもうちょい軽めに……できるかなぁ?(´・ω・`)
51014-208:2007/09/25(火) 00:45:00 ID:wtQ7brU5
>>506
>>508
了解。
完成するまでしばらく自重します。
というか>>508の一連の流れは目の前で見てましたよ、そう言えば。

>>509
GJ!!!!!
これからはむしろこなたの逆転劇に期待w
まずは脅迫手帳から作るんだ(ぇ)
511名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 00:46:41 ID:CfD7+SNy
>>509
>急所を蹴ったり踏んだり
どこでそんなの覚えたw
3人とも自重しろ
特に自分も原因だと自覚してるかがみw
512名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 00:48:45 ID:/DRXXYNj
GJしようとしたときには、もう亀レスって、相変わらず恐ろしいスレ……

>>455
自分はこういう文体で、あっさり書けるのがうらやましいッス
この二人の組み合わせはまったりすぎるから困る GJ!
513名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 00:53:40 ID:M6+x+DPF
このスレの神の多さを垣間見たぜ
514名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 01:04:45 ID:HiQkQ9rc
>>509
あなたのギャグ(?)センスにはいつも笑わされます。GJ!
515小ネタ「それぞれの人大杉」:2007/09/25(火) 01:16:21 ID:wtQ7brU5
14-208ですが、寝る前に超小ネタを一つ。
「それぞれの人大杉」

こなかがの場合

「こなたぁ……」
「かがみん!」

『人大杉』

「ちょ、見られてるわよこなた!」
「見られてるなら見せつけちゃおうよ、かがみん♪」
「ばかぁ〜〜〜っ!」

みなゆたの場合

「ゆたか……愛してる」
「みなみちゃん……」

『人大杉』

「み、見られてるよ! みなみちゃん!」
「大丈夫、ゆたかは私が隠すから……」
「ありがとう、みなみちゃん……」



オチ無し(苦笑)
516名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 01:24:22 ID:CfD7+SNy
「体罰が禁止のご時世で、先生けっこう普通に殴りますよね」
 ゲンコツされた頭を抱えるこなた。
「せやな。けど、誰も彼もやなくて、殴る相手は選んどるよ。いろんな意味で」
 臆面もなく言ってのけたななこに、誰もが黙り込んでしまう――はずだったのだが。
「先生、私のこなちゃんに手を出さないでください! ……こなちゃんの寝顔かわいいんですから」
「つかささんの言うとおりです。……せっかく寝顔を拝見しながらあれやこれや妄想していましたのに」
 抗議する者が約二名。ただし、抗議の内容がおかしい。特に片方はなぜか鼻血を出している。
「お前らな、今は授業中やぞ」
 さすがに教師、毅然とした態度で模範を示す……
「泉には寝ないでウチを見つめてほしいんや! 好きな子には意地悪したくなる言うしな」
 ……わけではなかった。



誰かに影響された。今は反省してる。
殴られてるのに「別にいいですけど」と言ったこなたのほうがむしろ(ry
517名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 01:44:25 ID:74PLr5P6
ちょwwwこなふぇちウィルスが伝染してるwww
518名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 01:51:44 ID:Z4miil2T
>>509
デビールチョップははどうけん
デビールキックは長リーチ
デビールアイならみゆきさん
デビルイヤーはバルサミコ    (※デビルイヤーの順番が違うとか1番と2番の歌詞が混じってるとか言わない)

あーくまのちーからー
身につけたー

正義のヒーロー かがみんー
かがみんー



「私だけ"悪魔の力"かよ。ていうかヒーローってなんだ」
519名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 02:02:55 ID:5EJWu7+C
皆みゆき=鼻血は決定事項ですかw
520名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 02:16:46 ID:U6JBhGMj
>>516
あれはSMプレイだっただと!?
521名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 05:59:32 ID:njqLbkxg
>>509
「急所を蹴ったり踏んだり」
で起きてすぐ思い付いた小ネタ〜あきら様×白石編〜

白石「ポケ〇ンとかの攻撃で、よく
 きゅうしょにあたった! 
 とかありますよね、あれってなんなんですかね?」
あきら「………なに、それは実演してほしいの?(にやにや)」
白石「え、あ、あの、そうじゃなくて!」
あきら「それは急所に実際にあてろってことでしょ?」
白石「おーねがいですから!!実演しないでふぎゃあぁぁぁ!!」

ぱたっ

あきら「そ…そんなに痛いの…?」
52214-208:2007/09/25(火) 07:51:16 ID:wtQ7brU5
小ネタ「アホ毛の秘密」
↓ ↓ ↓

かがみ「あんたってなかなかそのアホ毛触らせてくれないわよね」

こなた「そ、そうかな」

かがみ「うりゃ」

ガシッ

こなた「うわわわわわっ!」

ゴキゴキゴキゴキッ!

かがみ「な、なんぞこれ〜!?」



こなた「ふぅ……この姿になるのも久しぶりだわ」

私は驚いた。
目の前には170センチはあろうかという美少女が立っていたのだから。
小顔だし、モデル体型だし。
普段のこなたの原型を留めているのは青い長髪と目元の泣きほくろぐらいだろうか?
それにしても……これは……。

こなた「言ってなくてごめん。
普段のは仮の姿でこっちが……」

かがみ「お姉様!」

こなた「へ?」

かがみ「あ、ご、ごめん……つい」

こなた「……一緒にめくるめく百合の世界を堪能したいのかしら?」

かがみ「はい!是非!
……って違う! ああでも悔しいくらい美人だしっ!?」

こなた「かがみ可愛い〜。 今晩は楽しもうね?」

かがみ「うぅぅ……その笑顔でそのセリフは反則よ……ばか」
523名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 07:57:06 ID:CkUdXDjN
>かがみ「な、なんぞこれ〜!?」

思わず西方の訛りが出てますよ、かがみさんw


こ、こなたが大きくなるなんて認めないんだからね!?
524名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 08:01:51 ID:1/zEAkMR
なるほど、いつものこなたはzipなんですね?
525名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 09:12:23 ID:7KepAEu1
>>442
もう流れてる…
5264-243 ◆X9xLTlcDnY :2007/09/25(火) 09:54:59 ID:Z4miil2T
>>525
改めて期待していただくような画ではない所が微妙に恥ずかしいのですが…(///
ttp://www11.axfc.net/uploader/20/
[He_35812.jpg]
pass:konata
527名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 10:01:24 ID:7KepAEu1
>>526
いやいいよ
これはなんというねんどろいど議員
528名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 10:47:19 ID:tiG5mLBv
まとめWikiのえらい人様

>>324をアップロード(元の絵と入れ替え)したいんですが、
ファイルのアップロードはログインしないとできないんでしょうか?
529名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 13:44:45 ID:CkUdXDjN
『こな☆フェチシンドローム』感染拡大中。

そこで思い付いた小ネタ。
※元ネタアリ(有心論)。被りだったら失礼。


−−−取説−−−

ある晴れた日の朝。三人はいつも通り駅前で挨拶を交わした。
「オーッス、こなたぁ。」
「おはよ、つかさにかがみ。」
「おはよ〜、こなちゃん。」
「あれ、こなた?何付けてんの?」
かがみがこなたの背中に付けられた冊子に気付く。
「ん?何?」
「こなちゃん、気付かなかったの?」
「うん。」
「ずっと、付けっぱなしだった可能性もあるわけね。」
「うわっ、恥ずかしっ!」
こなたの声を聞きつつ、かがみはメモ帳大の冊子の裏表紙を見た。

『※注意※
中毒性がございます。用法・用量をお守り下さい』

「???」
かがみは疑問符を浮かべつつ、かがみは表紙を開く。
「お姉ちゃん、何が……」

『「泉こなた」取り扱い説明書』
次のページ。
『効用:新しい自分に出会えます!!−−−〜〜〜………』


「−−ハッ!夢か…。夢よね、あんなの。」


その日の朝の駅で。
「おはよ〜、こなちゃん。あれ?何付けてるの?」
「「え?」」
530名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 15:29:19 ID:dgpf005P
らきすた終わったのに今週も深夜にテレビをつけてしまった
やっぱり違う番組がやってて…あぁ本当に終わったんだな…って思って一人しんみりしまったよ(´・ω・`)
531名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 16:03:34 ID:Mf+3pTxe
やだなあ、25話やってたじゃないか
みんな見てないの?
532名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 16:32:08 ID:7e3aeMin
>>531
もちろん知ってるぜ
こなたとかがみがケコーンする話だろ?
533名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 16:32:59 ID:ZRjz6RHs
俺が見たのはゆたかとみなみが結婚する話だが
534名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 16:33:20 ID:tiG5mLBv
外伝が661話(現時点で)ありますが何か?
5354-243 ◆X9xLTlcDnY :2007/09/25(火) 16:42:06 ID:Z4miil2T
>>527
そいえばコンプ版ねんどろいど申し込んでない事を思い出したので
今日郵便局でコンプ版を申し込んで来ました。
ねこなた可愛いよねこなた(*´Д`)
536名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 16:43:55 ID:wmzS/C90
>>532
物凄く甘々だったよな。虫歯になるかと思ったぜ
537名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 16:48:07 ID:xlyWB+Cb
自分が観たのは、こなたが、ががみ、つかさ、みゆきに迫られるという話でありました。
538名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 16:48:58 ID:lgZOMRMp
>>532
まさか、初夜まで放送するとはな・・・
さすがに予想出来なかったよな?
539名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 16:59:10 ID:U60uRWuj
作品、投下したいと思います。

かがみ&つかさのエロ無。
つかさ視点。

かなりおバカな内容です。
元ネタは・・・読んで頂ければわかると思います。

5レスほど拝借します。
540ちまこんおねえちゃん 第1話 (1/5):2007/09/25(火) 17:00:36 ID:U60uRWuj
 今日は私のお弁当当番の日だったので、早めに起きてお弁当の準備。
 二人分のお弁当箱に、作ったおかずを順番に詰めていく。
 今日のおかずは、お姉ちゃんの大好物のプチオムレツ。
 といっても、大好物っていうのは私の勝手な思い込みなんだけどね。
 本当は、お姉ちゃんは、私の作った料理なら何でも「おいしい」と言って食べてくれる。
 私はそれがとっても嬉しい。
 本当なら、私が毎日作ってあげてもいいくらい。
 でも、毎朝早起きしてお弁当を作るのはやっぱりつらいかも。
 う〜ん、どっちだろ・・・?

 そんなお姉ちゃんが、今朝は何故かなかなか起きてこない。
 どうしたのかな?
 勉強のしすぎで疲れちゃったのかな?

「つかさー。ちょっと、かがみ起こしてきてくれる?」

 お母さんに頼まれて、私はお姉ちゃんの部屋に向かう。
 私がお姉ちゃんを起こしに行くなんて、なんか変な感じ。
 これって、天変地異の前触れっていうのかな?
 お空からバルサミコスー、な予感。

 「おねえちゃーん、入るよー」
 お姉ちゃんの部屋のドアの前に立ってお姉ちゃんに呼びかける。
 
 ・・・。

 返事がない。
 まだ寝てるのかな?

 私はゆっくりドアを開ける。

 ・・・あれ?いない?

 部屋の中を見渡してみたけど、お姉ちゃんの姿が見当たらない。
 ベッドにもいないみたい。
 念のため、布団の中を確かめてみようと思って、私はベッドに近づく。

「ダメ!」
「え・・・?」

 どこからかお姉ちゃんの声が聞こえる。
 私はもう一度部屋をぐるりと見渡してみるけど、やっぱりお姉ちゃんの姿は見えない。

「お姉ちゃん、どこー?」
「来ちゃダメー!」
「お姉ちゃん?」

 どうやら、お姉ちゃんの声はベッドから聞こえてくるみたい。
 でもどうして、来ちゃダメなんだろう・・・?
541ちまこんおねえちゃん 第1話 (2/5):2007/09/25(火) 17:01:34 ID:U60uRWuj
 私はベッドの上の布団を手に取り、そっとゆっくりめくった。
 そこにあったのは・・・。

「パジャマ?」

 ・・・脱ぎ捨てられたお姉ちゃんのパジャマだった。
 お姉ちゃんはそこにはいなかった。
 おかしいな、確かにここから声が聞こえたはずなんだけど・・・。
 
 しばらくそのパジャマを眺めていると、突然、パジャマの胸の中で何かがガサゴソッと動いた。

「いやあぁぁ!ね、ネズミ!?」

 私はびっくりして思わず悲鳴を上げた。

「ちょっと待て。誰がネズミだ」

 またお姉ちゃんの声。
 やっぱりベッドの上から聞こえてくる。

「いい?つかさ。これから何を見ても驚かないって約束できる?」
「う、うん・・・」

 訳が分からなかったので、とりあえず返事をする。
 すると、パジャマの胸の辺りにあった膨らみが右袖に向かってガサゴソと動いて・・・。
 何かが袖口からひょこっと顔を出した。
 その顔は・・・。

「お姉ちゃん・・・?」

 お姉ちゃんだった。私は袖から出てきたお姉ちゃんを黙ったままじっと見つめる。
 お姉ちゃんもじっとこっちを見てる。
 えっと、黙りこんじゃったのは、何が起きているのか分からなくて、頭が混乱しちゃったからで・・・。
 で・・・。
 状況把握。

 ・・・!!

 ・・・!!!!

「お姉ちゃんが、ちっちゃくなってる!!??」 

 また声を上げちゃった。

「やっぱり無理だったか・・・」

 お姉ちゃんがボソッと呟く。
 驚くな、なんて言われても無理に決まってるよ・・・。
542ちまこんおねえちゃん 第1話 (3/5):2007/09/25(火) 17:02:47 ID:U60uRWuj
「お、お姉ちゃん。どうしちゃったの!?」
「どうしちゃったの?って訊かれても・・・。目が覚めたらなんか、こうなってて・・・」
「ほ、ほんとうにお姉ちゃん?」
「ほ、本当よ。間違いなく本当の私よ。・・・たぶん」
「そっか」

 お姉ちゃんは少し混乱しているみたい。
 私もまだ混乱しているけど。

「ど、どうしよう・・・」
「うーん・・・。と、とりあえず、何か着る物が欲しいわね」

 よく見るとお姉ちゃんは裸で、ちょっと寒そうにしている。
 どうやら、着ていたパジャマまでは一緒に小さくなってはくれなかったみたい。

「着る物って言わ・・・」

 そう言いかけたとき、ピコーンと頭の中で何かが光った。
 そうだ、いいこと思いついちゃった!





「何なの、これ?」
 私が手渡したお洋服を着終えたお姉ちゃんが尋ねてくる。
「白のワンピースだよ」
「見れば分かるわよ。何で今の私のサイズにぴったりの服があるのかって訊いてるの」
「えっとね、昔ね、お人形さんで遊んでいた頃にね、お母さんに頼んで、着せ替え用のお洋服を作ってもらったことがあったの」
「それが、この服?」
「うん。でも良かったー。大事にとっておいて」
「それにしても・・・」
「ん?なあに?」
「・・・下着まで作ってあるとは・・・凝ってるわね」
「履き心地、悪くない?」
「こんな状況で、贅沢も言ってられないわよ。今日はこれで我慢するわ」
「うん、ごめんね。そんなのしか見つからなくて」

 小さなワンピースを身にまとったお姉ちゃんがベッドの上にちょこんと立っている。
 私はその姿を見てお姉ちゃんのサイズを再確認。
 お姉ちゃんは、ちょうど携帯電話を広げたとき位のサイズまで縮んでしまっていた。
 でも、頭身は小さくなる前のまま。
 まるで、本当のお人形さんみたい。
 お姉ちゃんは落ち着かないのか、時折スカート部分を掴んで左右に揺らしたり、バタバタとその場で足踏みをしたりする。
543ちまこんおねえちゃん 第1話 (4/5):2007/09/25(火) 17:03:44 ID:U60uRWuj
「お姉ちゃん」
「ん?何?」
「・・・かわいい」
「んなっ!?」
「その服、すごく似合ってるよ」
「まったく、からかわないでよ。人の気も知らないで!」

 お姉ちゃんの顔が赤くなっちゃった。
 やっぱり本物のお姉ちゃんだ。





 お姉ちゃんが学校に行くと言い出した。
 私は危ないからやめた方がいいって言ったんだけど、勉強で遅れをとるわけにはいかないって・・・。
 こんな状況なのに、たくましすぎるよお姉ちゃん・・・。
 それから、家族にはこのことは内緒にしておくことにした。
 私は、お姉ちゃんの指示に従い、お姉ちゃんの靴と制服と鞄をクローゼットに隠してから、お母さんに
「お姉ちゃんは友達に電話で呼び出されて先に学校に行っちゃった」
 と告げた。
 嘘、うまく言えたかな・・・?怪しまれてないかな・・・?よし、大丈夫。

 支度を整えてからお姉ちゃんの部屋に戻ると、お姉ちゃんがベッドの上から覗き込むように床を見ていた。
 あ、そっか、降りられないのか。そうだよね、高すぎるよね。

「お姉ちゃん、危ないよ」

 私は両手をそっとお姉ちゃんの前に差し出す。
 するとお姉ちゃんは恐る恐る足を私の手の上に乗せる。
 うぅ・・・足ちっちゃいよぅ・・・かわいいよぅ・・・。

「ありがと、つかさ」
「ふぇっ!?」
「ど、どうしたのよ?」
「あ、ううん。何でもない」
「しっかりしてよね。今はあんただけが頼りなんだから」
「う、うん、大丈夫だよ!お姉ちゃんは私が守るから!だから安心してね」
「お、頼もしいわねえ。じゃあとりあえず、私を鞄の中に入れてくれる?」

 私は手に乗せたお姉ちゃんを慎重に鞄まで運ぶ。
 お姉ちゃんは、バランスを崩さないように、私の両手の親指を一生懸命掴んでいる。
 うぅ・・・手もちっちゃいよぅ・・・。
 そしてお姉ちゃんは鞄の中へ・・・。
 うわっ、本当に入っちゃった。
 このままだと何だか可哀想な気がするので、私はタンスから厚手のハンカチを探してきて、それをお姉ちゃんに手渡した。
 お姉ちゃんはハンカチを受け取ると、それをクルリと体に巻いて、私に向かってニコッと微笑んだ。
 わーぉ。
544ちまこんおねえちゃん 第1話 (5/5):2007/09/25(火) 17:04:35 ID:U60uRWuj
「じゃあ、出発しますか」
「うん」
「つかさ」
「うん?」
「あまり揺らさないでね」
「うん」
「それから、くれぐれも鞄、落とさないようにね」
「うん」
「それから・・・」
「お姉ちゃん」
「なに?」
「私って、そんなに頼りないかなぁ・・・?」
「うーん・・・。まあ、何と言うか・・・そうね」

 さっきは頼もしいって言ってくれたのに・・・。

「冗談よ。頼りにしてるから。さ、出発しましょ」
「・・・うん!」

 お姉ちゃんは、自分で学校に行くなんて言い出したけど、心の中はきっと不安でいっぱいなんだ。
 だから、私がしっかりしなくちゃ。

「じゃあ行こっ、お姉ちゃん!」

 私は鞄を持って部屋を飛び出す。

「つかさストーップ!」
「な、なに!?」
「・・・世界史の教科書が入ってないわよ。今日授業あったわよね?」
「はうぅ・・・」

 ・・・いきなりやっちゃった。
 というか、何でお姉ちゃんが私のクラスの時間割を把握しているんだろう?

「まったく、幸先悪いわねえ・・・」
545名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 17:07:33 ID:U60uRWuj
以上です。

なんかほんと、古典的なネタですみません。


読んでくださった方、ありがとうございました。
続きはいずれまた。
546名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 17:21:31 ID:rgPmbMO2
>>545
リアルタイムGJ!
ニマニマしながら読んでましたw
しかしその状況で出かけるのはいくらなんでも無理があるだろかがみ・・・下手すると命が危ないぞw
547名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 17:21:59 ID:IjC3DmAj
>>545
gj!!こういうネタ大好物
548名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 17:23:03 ID:CkUdXDjN
GJです!!

古典的?でも、そんなの(ry
どんな展開になるのかこれからwktk
549名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 17:34:37 ID:wmzS/C90
>>545
GJ!俺もこういうの好きだ
チビ化とか入れ替わり物もっと増えてほしいw
550名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 17:40:39 ID:+UU8GZHM
ちっこいかがみんを想像して萌え死んだ
GJ!!!
551名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 18:18:57 ID:EKoYg1bW
>>545
乙!こなたやみゆきさんに見つかった時の反応が楽しみだwww

…ちまこんがちまん(ryにみえたのか俺だけでいい(殴)
552名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 18:24:45 ID:njqLbkxg
>>551
よう、俺
むしろち〇こまに見えた俺は死ねば良い
553名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 18:37:10 ID:nhBJRMhS
今朝布団の中で突然ひどい妄想が・・・な、なんぞこれーーー!!
昼間の間になんかどんどん壮大になってるし・・・
正直、文章化したいけど書いたことないし、文才ねえから諦めた

結局自分の妄想どまりになったけど、よくあることだよな?
554名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 18:47:14 ID:CkUdXDjN
>>553
よくあること……

だがしかし!やってみる価値はあるんじゃないでしょうか!?
どうしても無理なら、ネタ提供としてうpするとか。
困ったときの人頼み〜。妄想ハ力ナリ!


…ごめんなさい。すみません。偉そうに無責任な発言は慎みます、ハイ。
555名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 18:53:53 ID:tiG5mLBv
「わーぉ。」ワロスw
556リク ◆yk1swKhbl6 :2007/09/25(火) 19:02:53 ID:Z8xQdotr
 こなたから見た時間的な流れは五章の続きですが、
 三人の心の変化は五章までのそれとは違った未来の話。

 欝&エロあり。某ゲームの隠し妻ENDみたいな感じ。
557第5.?章 ―モラトリアム―:2007/09/25(火) 19:03:29 ID:Z8xQdotr
 私はかがみを選んだ。でも、つかさに何も言えないままだった。

 つかさの気持ちを知りながら、そんな気持ちは消えてしまうものだと勝手に思っていたのだ。
 想いの深さは知っていたはずなのに。

 つかさの様子がおかしいのには気付いていた。気付きたくなかっただけだ。

 その気持ちにもっと早く気付いていれば違う未来もあったのだろうか―――。


    
     ―モラトリアム―


 つかさは突然やってきた。

 「遊びに来たよ」と手土産のクッキーを持ち、いつものようで、どこか違和感のある笑顔と一緒に。

 その違和感の原因がわからないまま、とりあえず部屋にあげ、そのクッキーをいただく事にした。

 つかさはニコニコと私がクッキーを食べているのを眺めている。
 食べにくい……。見られているからだろうか。

 無言でクッキーを食べていても仕方ない。
「えーっとゲームでもする?」
 私の提案に、つかさは首を振る。
「こなちゃんやりたいのあるならやっていいよ。私見てるから」
 つかさは笑顔を崩さない。
「そ、そう、じゃあ途中のゲームあるからしようかな」
 私は無言に耐え切れずにゲームに逃げた。

 しかしゲームには集中できなかった。背中に痛いくらいに視線を感じる。

 今まで私がゲームをして、つかさが見ているなんて事よくあったことなのに、何故か今日はいつもと違う。
 それがなんなのかわからないから、余計に居心地の悪さが増していく。

 意を決して私は振り返った。

 つかさは変わらず笑顔だった。

「あのさ、何かその……用事とかあった?」
「ないよ」
 即答。表情も変えず。

「そ、そう……」
「どうしてそう思ったの?」
「え? いや……なんでかなー」

 私は曖昧にはぐらかし、再びゲームへと視線を戻す。
558第5.?章 ―モラトリアム―:2007/09/25(火) 19:04:03 ID:Z8xQdotr
 雑魚との戦闘を三戦くらい終えた時だっただろうか、つかさは急にポツリと呟いた。
 
 「やっぱわかっちゃうか」

 振り向こうとした矢先、背筋に何かが走った。

 と同時につかさの腕が首に巻きついていた。
「っつかさ!?」

「私、こなちゃんが好き」

 耳の後ろで囁く声。デジャブを感じる。

「お姉ちゃんを選んだ事はわかってる」

 そうだ、決断を下せといったのはつかさなのだから。

「だけど……駄目なの」
 駄目。何が駄目だというんだ。

 ……私はその先を、聞きたいのだろうか。

 私の首に巻きつく腕に力がこめられ、つかさの息が首にかかる。

「生まれて初めてなんだもん、こんなに好きになったの……」
 搾り出すような声だった。

 背中に走った何かのせいなのか、私は声を奪われる。

「好きで好きでしょうがないのっ。お姉ちゃんのこと好きなのはわかってる。わかってるけど……。
わかってても、好きなんだよぅ……」

 肩に何かが浸み込んでくる。それはじわっと広がって、少しの痒みを呼び寄せる。

「何度も諦めようとおもったよ……でも……諦められないんだよぅ……。忘れようとすればするほど頭の中
から離れないの」

 つかさの鼻水をすする音が聞こえる。
 私はコントローラーを握る力を失くし、支えを失ったそれは、コトッと床に転がった。

「好きなの……」

 好きと言われて嫌な気分になる人はいないだろう。その相手が嫌いな相手じゃないならなおさらのこと。
私はつかさが好きだ。友人として。……以前私が、かがみにそう言われたように。

 それを一番否定したかったのは私自身。
559第5.?章 ―モラトリアム―:2007/09/25(火) 19:04:45 ID:Z8xQdotr
 そして私以上につらい思いをしたのはつかさだ。

 結局私の独りよがりだったのだ。自分の都合のいいことしか見えてなどいなかった。
それはつかさを傷つけていたのと同じだ。

 諦められない事。それを一番わかっていたのは私だったはずじゃないか。
 それなのに、私はかがみに受け入れられたことでまわりが見えなくなっていたんだ。

 つかさの気持ちなんて見えていなかった。あの時つかさはどんな顔をしていた? 
 五感が強く訴えかける。思い出せ、思い出すんだ! と。

 
 かがみを選んだあの日の後、つかさに会ったのは大晦日の日だった。
 私はお父さんと二人の神社へ行った。

 その時会ったつかさはどんな顔をしていた?

 瞼の裏に蘇るつかさの表情。


 笑っていた……。笑っていたんだ。

 でもその時の私はその下に隠されたモノに気付かなかった。

 気付かなかったんだ……その深い悲しみと絶望に。


 いつの間にか首から離れていた手は必死に私の背中にすがりついていた。

 振り向くのが怖かった。
 でも私は振り向かなくてはいけない。向き合わなくてはいけない。逃げちゃいけない。

 私は振り返ってつかさを見た。
560第5.?章 ―モラトリアム―:2007/09/25(火) 19:05:17 ID:Z8xQdotr
 泣き崩れたその顔は、今まで見てきたつかさのイメージの、どれとも符合しない。
 床についた二本の腕さえ、か細く見えた。
 
「こなちゃんがお姉ちゃんのこと好きでもいい。そんなこと初めからわかってたことだもん。だから、二番
目でいい。時々私も見てくれればそれでいい」

「そんなこと……」
 できない。と続けようとした声にかぶるように、
「どうして? 一番に好きなのはおねえちゃんで良いんだよ。お姉ちゃんには言わないから……」
 そういう問題じゃない。でも私自身的確な答えを見つけられないでいた。
「私のこと嫌い?」
 嫌いなわけない。好きだからこそ悩んだんだ。
「……嫌いになんてならないよ」
「じゃあ、いいよね」

 こんなに想ってくれるつかさを拒否するなんて私にはできなかった……。

 何かを発しようとした私の口はつかさによって塞がれた。

 媚薬でも入っているんだろうか。口の中を舌でかき混ぜられているうちに頭の中の理性がどこかへいって
しまいそうになる。

 唇を離したつかさは、笑っていた。いや泣いているのか。

 初めての表情に、それを上手く理解できない。

 ただ、一つわかった事は、壊れそうだってこと。
 この時のつかさの表情は手を離したら崩れてしまいそうな怖さがあった。

 そして――私はつかさを受け入れた。





  ***
561第5.?章 ―モラトリアム―:2007/09/25(火) 19:06:14 ID:Z8xQdotr
 次の日、私はいつもより少し早めに家を出た。

 駅を出て、いつもの待ち合わせ場所に着く。当然二人の姿はまだない。

 私の心臓は心なしか脈が速いように感じる。

「おはよー」

 その声にその心臓はビクンと大きく脈打った。

「おはよう」
「おっす」

 かがみはいつものように微笑んでいた。そしてつかさも。

 何も変わりの無い日常が、そこにあった。

 なのに何故だろう、自分自身を後ろから眺めているような錯覚に陥る。

「あんたにしてはめずらしく早いじゃない」
「たまにはねー」
「いつもそうだといいんだけどねー。あっ今日は一つ前のバスに乗れそうね」

 かがみの視線を追うと、丁度バスが停まっていた。

 私達はいつもより一つ早いそのバスに乗る事が出来た。しかしいつもの私達の席である最後尾の席は既
に他の生徒によって使用されていた。

「私、前にのるから二人でそこすわりなよ」
 それを見てつかさが真っ先に言った。

 私達が答える前につかさは一人少し前の席に座った。

 かがみはつかさが言った席に座る。続けて私もその隣に座った。

「なんかバスが一つ違うだけでいつもと違う顔ぶれでなんだか新鮮ね」
「そだねー」
 私は答えながらも、つかさの後頭部に目を向けていた。
 つかさは外を見る角度から顔を動かさず、ただ外を見ていた。

 やがてバスは走り出す。

 学校に着くまでの時間が、いつもなら短く感じるのに今日は妙に長く感じた。そしてつかさの後頭部が
やけに鮮やかに頭に焼き付いていた。

 学校に着いてからもその錯覚からは抜けられず、いつもだって頭になんて入ってないけど、今日はさら
に授業が頭に入らなかった。
562第5.?章 ―モラトリアム―:2007/09/25(火) 19:06:41 ID:Z8xQdotr
「今日は一つ早めのバスで来たんですか?」
 三時限目が終わった時だっただろうか、不意に後ろから声をかけられる。振り向くと、声の主はみゆきさ
んだった。
「うん、なんだか早くに目が覚めてね」
「今朝、寒かったですしね」
 言われてから気づいた。私は今朝寒いだとかそういうことを一度も頭の中で考えなかった、と。

「ねぇ、みゆきさん、自分を後ろから見ている感覚って感じたことある?」
「後ろから見てる感覚……ですか?」
 みゆきさんはオウム返しをして指を顎に添える。
「うん、もう一人私がいるみたいな。とはいっても今もこうやって話してるのは私なんだけど」
「夢……のような感じでしょうか?」
 ああ、そうか、そうなんだ夢だ。
「うん、そう夢みたいなそんな風に思ったことある?」
「どうでしょう、それを感じたらやっぱり夢だったってことはありますけど……」
「みゆきさん、私のほっぺたつねって」
「え!?」
「お願い」
「でも…………わかりました」
 みゆきさんは何かの答えに行き当たったのか、納得したように答えた。


「いつっ――」
「あっごめんなさいっ大丈夫ですか!?」
「あはは、だいじょぶだいじょぶ。ありがと」

 みゆきさんにつねられた頬は痛かった。やはり夢ではないようだ。でもそのおかげなのか、さっきのよう
な感覚がいつのまにかなくなっていた。


  ***
563第5.?章 ―モラトリアム―:2007/09/25(火) 19:07:17 ID:Z8xQdotr
 それから数日が経ち、私はかがみの部屋にいた。
 かがみと恋人同士になってからは何度も泊まりに来たこの部屋。
 恋人同士なのだから、何もおかしいことはない。ただ……。
「つかさいるんだよね、隣に」
「そうだけど? どうかした?」
「いや、別に。聞いただけ」
 今までは気にも留めなかったことが、気になりだすと止まらない。

 それを頭から拭い去るように私は首を振った。
 隣に座ってテレビを見ていたかがみは、私の様子に少し驚いたように顔を向け、
「なにしてんの?」
 呆れたように言って笑った。
「いやー眠気覚ましだよ」
 本当は全然眠くなんてないんだけど。咄嗟の言い訳がそれしか思いつかなかった。
「眠かったら寝ていいわよ」
「せっかく泊まりに来てるんだし、もったいないじゃん」

 何もしてなくても、ただかがみとこうやって一緒にいれるだけでよかった。その時間が私は好きだった。

「まーそうだけど」
「あー寝顔とか見るつもり?」
 私は、ニヤけ顔で訊いた。たぶん自分の気持ちも変えたかったから。
「はぁ? バーカそんなのもう見飽きてるわよ」
 思わず顔が熱くなる。
「……そんな返しが返ってくるとは……」
「ちょっと、そんな反応されたらこっちが照れるじゃない」
「私あんまりかがみの寝顔見た記憶ないんだけど……」
「いつも先に寝るくせに先に起きないからでしょ」
「はい、そうです。すいません」
「別にいいけどねー。寝顔見るの嫌いじゃないし」
 嫌いじゃないって。かがみらしい言い方。ま、そんな素直じゃないところがかわいいんだけど。

 私はかがみの肩に頭をのせた。

「どうしたー? やっぱ眠い?」
「ううん、ねぇ、かがみキスしよ」
「ちょっあんた、何よ突然」
かがみが突然肩を引いたせいで、私の頭はカクンと落ちた。
「いいじゃん。したい気分なんだよ」

 少し呆れた顔はしていたが、かがみは何も言わずに、首をまげ、私もそれにあわせるようにキスをした。
 こういう時、かがみも私を好きになってくれたんだと実感する。
 普段は見れないかがみが見れる時間。私だけのかがみ……。
 かがみと唇が触れ合う。舌を割り入れて、歯茎に舌を沿わすように舐めまわす。

 つかさと同じ味がした。

 離れた口で「かがみ、愛してるよ」と口走る。

「どうしたの?」
「なんか言いたくなったから」

「変なこなた」
 かがみは細い眉をハの字にして、呆れたように笑った。

「うん、私変だね」
「でも、嬉しいよ」
 かがみは微笑む。その笑顔の分だけ私の心は痛んだ。
564第5.?章 ―モラトリアム―:2007/09/25(火) 19:08:12 ID:Z8xQdotr
 その言葉に嘘はない。気持ちにだって嘘はない。だけど……。

 私は考えるのを無理やり中断する為に、自分からまたかがみの口を塞いだ。

 ベッドの上に押し倒し、かがみの服に手をかける。ボタンを一つ一つ外していく時間すらもどかしい。
 早くかがみと触れ合いたかった。早くかがみと一つになりたかった。

 気持ちが焦る。何故気持ちが焦っていたのか、この時の私にはわからなかった。

 ボタンをはずし終わり、鎖骨から胸にかけてキスをした。
 その時、かがみの口から艶のある声が吐き出される。

 その声を頼りに私はキスする場所を変えていく。

 キスをしながら邪魔なものを排除する。物理的なものと、心理的なものを。

 露わになったかがみの胸を吸い付くように舐めあげる。
 しかし、何故かいつものようにはならない。私の気持ちが。心理的なものを排除しすぎたのだろうか。

「こなた……」

 かがみは切なそうな目を私に向け、手を差し伸べる。その手に頬を乗せ、私は微笑んで見せた。
 それに応えるようにかがみも微笑み返してくれる。また胸が痛んだ。

 私はその手をゆっくりとおろすと、かがみの膝から太ももへと舌を這わした。
 
 声を出しかけたかがみはそばにあった枕を顔に押し付ける。

 そのまま中心部まで這わして、そこで水分を補給するように吸い上げる。
565第5.?章 ―モラトリアム―:2007/09/25(火) 19:08:54 ID:Z8xQdotr
 かがみの顔を覆う枕から防ぎきれない声が漏れる。

 同時に閉じようとするかがみの太ももを両手で押さえつけ、犬みたいに舐め上げた。

 それを味わうように喉を鳴らした。それが喉にまとわりつく。

 唾を発生させ、一緒に体内に流し込んだ。ゴクリと聞こえそうなほど喉がうねったのがわかる。


 舐めれば舐めるほど、次第に水分は増していき、かがみは絶頂に達した。

 顔にかかる体液。

 指先でそれを拭い取り、一本一本舐め取った。

 心臓は苦しいくらいに脈打っていた。

 しかし、それが何から来るものなのか、それを――

「こなた……」

「ん?」

「好き」

 その言葉は針のように胸を刺す。



 モラトリアムはいつかは終焉を迎える。そんなことは初めからわかっていた。だから私は焦っていたんだ。
いつかやってくるその未来に。この微笑みを失う事に。

 でも私はそのわかりきった未来を知っていながら、その渦の中に自ら身を投げたのだ。


 私はかがみに微笑みを返す。


 いつか来る終焉に恐怖しながらも、私は心のどこかでそれを待ち望んでいた――。


fin 〜モラトリアム〜

566リク ◆yk1swKhbl6 :2007/09/25(火) 19:09:11 ID:Z8xQdotr
以上です。
567名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 19:22:46 ID:eJrsAvZd
失礼、挿絵があったのを忘れていました。

ttp://www.tye.ca/upload/pictures/297.jpg
568名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 19:24:40 ID:I34gMomj
・人格入れ替わり
・記憶喪失
・タイムスリップ
・幼児化
・男性化
・クロスオーバー

ベタを馬鹿にしないで!
……ベタを馬鹿にしないで!
569名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 19:24:55 ID:bqEQUzjW
>>567
ID見れば解ると思うが、リク氏とは別人

PC無害、精神有害、グロ注意
570名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 19:26:21 ID:wtQ7brU5
>>566
なんか心臓いたいんスけど!(最上級の褒め言葉の意味で)
つかさとこなたの気持ちのどちらもが痛い程に伝わって来て、幸せなのに針のむしろに居るみたいッスよ。
次章にも期待してます!GJした!
571リク ◆yk1swKhbl6 :2007/09/25(火) 19:26:24 ID:Z8xQdotr
私、なんか恨みを買うようなことしたのだろうか……。私のせいで変なの呼び込んじゃってたならごめんなさい。
572名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 19:32:37 ID:wtQ7brU5
>>568
二回言ったwwwww

>>571
前向きに考えるんだ。
変なの呼ぶくらい良かったと。(ぉ)

とりあえず責任を感じて欲しくは無いですよ。
リクさんの時にたまたま合わせて来ただけでしょうし。
573名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 19:34:41 ID:G2lAMzEA
グロ見ても何も思わなくなった自分が怖い…

とにかくGJ!
心理描写とかすごくいいですね
自分もがんばらなきゃ…
574名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 19:37:30 ID:Ezka6zHg
GJ!

しかし、挿絵を毎回用意してくれるリク氏の慣習を利用するとはなんと卑劣な。
575名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 20:07:09 ID:akeKsNpS
つ「※荒らしや煽り、気に入らない人・作品等はスルーで」


引き続き、らき☆すたエロパロスレをお楽しみ下さい。
576名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 20:08:26 ID:r7BIqjun
このスレでは黙認されてるとはいえ、LRでは画像の貼り付けは板違いだからな……
以前にも話題になったが、快く思っていない人もいるのかも
だからといって騙りでグロ貼るなんて行為をしてもいいなんてことにはならないが
577名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 20:09:32 ID:r7BIqjun
うお、リロ忘れスマソor2
578名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 20:14:22 ID:/DRXXYNj
考え方を逆にするんだ
やっぱり手乗りかがみは萌えると考えるんだ
579名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 20:18:15 ID:lGjSUKZY
ですよねー
580名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 20:21:19 ID:G2lAMzEA
俺は手乗りつかさが(ry
581名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 20:24:03 ID:cAJ2/oMh
「こなた、前!」

「横から着てるわよっ!」

「下!当たっちゃう!」

「あーもうっ、耳元で怒鳴るなー!」

「あはは、お姉ちゃんシューティング得意だから……」


かがみの精神コマンドはなんだろね
582名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 20:29:15 ID:fCjSrmAR
ちっちゃいってことは(ry

>>571
たまたま、だと思ったほうがいいでしょう。
とりあえずトリ無し、単発IDの画像は開かないほうがいいかもしれませんね。


短いのを1レス投下させていただきます。非エロで現実リンクのお話。
5834-243 ◆X9xLTlcDnY :2007/09/25(火) 20:29:23 ID:Z4miil2T
>>545
グロのあとなら少しくらい萌え度アップ(して見える)かもしんない!

ちまこん。な手乗りかがみ(´・ω・)ノシ
http://bbs.freedeai.com/src/up6202.jpg
584名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 20:29:35 ID:I34gMomj
>>576
SSの挿絵も?
結構あれ好きなんだけど……新参でゴメン
585雉も鳴かずば:2007/09/25(火) 20:32:19 ID:fCjSrmAR
「ゆきちゃんって、親戚にお医者さんっているの?」
「いえ? いませんけど」
 家庭科実習の後片付け中のこと。つかささんから、心当たりのない質問が投げかけられました。
「あれっ? そうなんだ。私はてっきりそう思ってたんだけど」
「ええ。でも、それが何か――」
「高良さん、各班の片付けチェックを手伝ってくれる?」
「あ、はい、わかりました。またあとで聞かせてくださいね」
「うん、がんばってねー」
 どうしてかを聞いてみたかったのですが、先生からのお願いでは仕方ありませんね。
 私は思考を切り替えて、各班の後片付けの見回りをすることにしました。

「みゆきって、親戚にお医者さんがいるのね」
「えっ? い、いませんよ?」
 お昼休み、かがみさんといっしょに飲み物を買いに行く途中。
 そのかがみさんから、つかささんと同じような言葉が発せられました。
「えっ? でも、みゆきの将来の希望ってお医者さんでしょ?」
 つかささんと違って、何故か断定形だったのがちょっと気になりますね。
「ええ、それはそうですけど……でも、どうしてなんですか?」
「こなたと出かけてたときに、なんかそういう感じの広告を見たーってね。私は見逃しちゃったんだけどさ」
「そうなんですか」
 広告……と言われても、私にはなんだかピンと来ません。とりあえず、あとで泉さんに聞いておきましょう。

「みゆきさんっ! みゆきさんってばいつ結婚しちゃったのさー!」
「えっ、ええっ?!」
 い、泉さん、まだ放課後になったばかりなのに、なんてことを言うんですか?!
「し、してませんっ! 結婚なんてしてませんっ!」
 泉さんの発言のせいで、教室内がざわざわしてます……ううっ、やっぱりなーとか
言ってるのは誰ですか? 後でひとことは言っておきたい気分です……
「あれっ、そうなの? でも、あの看板を見たらてっきり」
「さっきもつかささんとかがみさんに言われましたけど、一体なんなんです? 私、
全然心当たりないんですよ?」
「いやほら、アキバから帰るときにたまたま見つけてね。結婚して籠絡して病院を乗っ取っ――」
「……泉さん、その話を詳しくお聞かせ願えませんか?」
「っ?!!??!?!」
 あら? 突然泉さんの表情が固まりましたよー?
「さあさあご遠慮なさらずに、泉さんの思ったままを言ってください」
「ごっ、ごめん、謝るっ! 謝るからっ、許してってばー!!」
 私が泉さんの肩に手を置くと、泉さんはガクガクと震えながら涙を流し始めました。
 何故泣いてるかはわかりませんけど、こうなったら徹底的に聞いておきましょう。

「ほら、ここだよ、ここ」
「……確かに、ありますね」
 泉さんに各駅停車で連れられてやってきた、糖武線のある駅のホーム。
 そこには確かに『高良病院』という看板が掲げられてました。
「いやー、高良って名字は珍しいでしょ? だから親戚か何かかと思って、そのうちに
ついついみゆきさんが結婚したんじゃーというヨコシマな思考が」
「そんなこと考えるなんて、ひどいです……」
「だ、だからさっきからずっとごめんって言ってるヨ?」
 目に少し涙を溜めながら、私のことを見上げる泉さん。
 放課後に話を聞こうとしてからずっとこんな感じなのですが、小動物みたいでなんだかかわいいです。
「はあ……まあ、確かにこんな感じに自分の病院を持てたら、とは思いますが」
「で、できるよ。みゆきさんならきっと大丈夫だってば」
「その時には、かわいい受付さんが必要かもしれませんね」
「……み、みゆきさん、どうして私のことを見てるのカナ?」
「ふふふっ。泉さん、やっていただけますよねー?」
「え、ええっ?! ちょっ、わ、私は無理っ!」
 逃げようとした泉さんですが、私はその小さな体をぎゅっと抱きしめて捕まえました。
「はっ、離してっ! 胸にっ! その胸に捕えられるーっ!!」
「ふふふふふっ」
 ……今日の償いは、まだまだこれだけじゃ足らないんですからね?
586 ◆cj23Vc.0u. :2007/09/25(火) 20:34:36 ID:fCjSrmAR
用事でリアル糖武線に乗って移動してたらたまたまこんなのを発見してしまい、
ttp://ranobe.com/up/src/up224097.jpg
そこからあれよあれよとちょい黒みゆきさんが誕生してしまいました。
こなたをもびびらせるあのプレッシャーは大きな武器だと思います。
587名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 20:49:39 ID:lgZOMRMp
空気を読まずに投下。
古典的&壊れ気味注意。
かがこな(こなかが?)いれたら長くなってもうた。
2レス程失礼します。
588名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 20:49:55 ID:ukYg9fkc
ローカル小ネタぐっじょ


さてスレのサイズを今一度確認してみよう
589名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 20:51:05 ID:lgZOMRMp
「飲み物持ってきたよー」
今日は私の部屋で勉強会。つかさが持ってきたレモンティーを飲んで30分程たった頃だろうか、こなたが突然苦しみだした。
「ぅぁ・・・あれ・・・?」
ぽふん!と気の抜けた音とともに、白い煙がもうもうと立ち上って来る。
「ケホ・・・ケホ・・・な・・何!?」
暫くして、漸く視界が晴れるとそこには・・・猫・・・いや、ネコ耳のこなたがいた。
「ぐぉ・・・・・・!」
なんだこれ、可愛いっていうレベルじゃねーぞ!!
ふと、横を見るとみゆきの足元に、風邪薬が入ってるような空き瓶が転がってるのをみつけた。
中に入ってるカプセルはまだ半分以上残ってる。
・・・(株)高良コーポレーション・・・?
盛ったのか、みゆき。
「・・・ゆきちゃん!!」
「・・・つかささん!!」
つかさとみゆきがハイタッチ、そしてガシッと抱きしめあってる。
お前も共犯か、つかさ。
「にゃ・・・にゃにっ?どしたの?」
「いや・・・あんた・・・ネコ耳が生えてるわよ」
「ええ!?それは見てるのが萌えるのにー」
うん、今それを実感してる。というかそこじゃないだろう。
「みゆきにゃん、これどうしたらいいかにゃ?」
猫語&上目遣い&涙目の攻撃に、きゅうしょにあたった!こうかはばつぐんだ!の
ナレーションが聞こえた・・・気がした。
「我が生涯に一片の悔い無し!」
みゆきがいつものようにありとあらゆる所から血を吹き出し、バタリと倒れた。「みゆき!?」
「ゆきちゃん!?」
「みゆきにゃん!?」
へんじがない。ただのしかばねのようだ。
590名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 20:51:40 ID:bqEQUzjW
>>586
GJ!
そういえば、人生ゲームをしていたら駅の名前が「高良駅」になっていたような
高良って2124世帯しかないそうですし、やっぱり珍しいかな
591名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 20:52:25 ID:lgZOMRMp
「ぅん・・・?なんかおしりがむずむずする・・・?」
言うが早いかこなたがショートパンツを少しずり下げる。
「ふおおぉ!!?」
「こなちゃ・・・!?」
出てきたのは耳と同じ色のしっぽだった。
わかってるじゃないか。(株)高良コーポレーション。
「・・・お姉ちゃん・・・」
「な・・・なに?」
「こなちゃん、逃がしちゃダメだよ!」
またたび・・・ねこじゃらし・・・と呟きつつ、通帳を握りしめ駆け出す双子の妹は
今、誰よりも輝いていた。
「かがみぃ〜」
まともに動けるのは私しかいない部屋の中、相変わらず涙目のこなたが擦り寄って来る。
・・・理性と言う名の決壊にまた一つヒビが入った音がした。
「・・・あ、でもこれみると効果は一日だけみたいだし、今日だけおとなしくしてれば大丈夫だって」
瓶はそのまま自分のポケットにいれながら安心させるように言う。
「よかった〜明日からどうしようかと思ったヨ」
本当に。こんなこなたをみたら町中の人間が発狂する。(萌的な意味で。)
ああ、でも本当可愛い・・・。
・・・少しぐらいなら触っても平気だよね・・・?
手を伸ばしてネコ耳に触れてみる。うわ・・・ふわふわ・・・。
「んみゅ!?」
最初は驚いたみたいだけど、こしょこしょと耳の裏を擦ってるうちに
目がとろん、となって来て体重を私に預けて来る。
「にゃ・・・それ、きもちーかも・・・」
ふにふにの感触といつもより少し早いこなたの鼓動。
あー・・・やばい。でも一応みゆきもいるんだ。
耐え切れ!私の理性!
そのうち、されているだけじゃ申し訳なくなったのか、こなたがぺろぺろ首筋を舐めてきた。
「ひゃ、くすぐっ、たいって・・・」
舌まで猫になってるんだろうか、少しざりざりしたそれが
首からほっぺ、そして唇を舐めて・・・くちびる・・・?
「こ・・・こなたっ・・・!?」
ばっとこなたを引きはがすと頬を桜色に染めたこなたが恥ずかしそうに言う。
「・・・かがみになら、こーいう事するのもされるのも
嫌じゃにゃいにゃあ・・・と思って・・・」
「ぷぉっ!!!」
「かがみーーー!?」
こなたの叫び声を最後に、私の意識はブラックアウトした――
592名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 20:54:54 ID:lgZOMRMp
以上です。
読んで下さった方々ありがとうございます。
それではスレ汚し失礼しましたっ
593名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 20:58:21 ID:ukYg9fkc
>>592
GOOD萌え!こなたにはなぜこんなにも猫耳が似合うのか……

微妙に割り込んですまん
594名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 21:01:28 ID:aQtr1WC1
>>592
GJ!もはや3日に一度は壊れネタを読まないと禁断症状が・・・orz
こなたにはやっぱ猫耳が似合うよなぁ・・


さて、容量が危険になってきたザマスよ。
595名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 21:04:13 ID:G2lAMzEA
次スレの季節だな
596名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 21:06:45 ID:bqEQUzjW
>>592
おもいっきり割り込んじゃったorz
正直スマンカッタ
597名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 21:15:59 ID:r7BIqjun
>>586
GJです
ウチの近所にも「居酒屋みゆき」とか「和風すなっく ひなた」とか「すなっく いづみ」とか、
ちょっと入ったところには「美水」という名前のお店があったり……
病院はあんまり好きではないですが、みゆきさんがいるなら擦過傷でも行っちゃいそうで怖いw


あと、次スレ立て、私が挑戦してきましょうか?
テンプレは(前スレ以外)そのままでも大丈夫ですよね
598名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 21:21:44 ID:eJrsAvZd
>>585
そのシチュで超適当にらく☆がき
ttp://www.tye.ca/upload/pictures/297.jpg
599名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 21:23:40 ID:r7BIqjun
次スレ
らき☆すたの女の子でエロパロ18
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1190722922/
600名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 21:26:44 ID:cAJ2/oMh
>>599
スレ建て乙&サンクス

>>598>>567につきグロ画像閲覧注意
NG推奨ID ID:eJrsAvZd
601名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 21:27:03 ID:OZXJgjTt
ちんまいかがみがねこなたに乗ってるところを想像した




みんな涅槃で待って…る…ガクッ
602名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 21:28:38 ID:aQtr1WC1
>>598
ID同じwww学習能力なしかいww

>>599
ちょっと早い気するけど乙
603名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 21:28:57 ID:CkUdXDjN
埋めにもなるため投下いきます。
※エロ。こなかが。フタナリ。

「こころあめ」の続きです。
5レス使います。
604名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 21:29:29 ID:CfD7+SNy
>>586
そのあとこなたを篭絡して(ry

>>592
その薬もっと量産してくれ、高良コーポレーション。

>理性と言う名の決壊に
決壊っていうのは「壊れる」って意味ですぜ。(ダムが決壊する、とか)
まあ、かがみの理性はすでに壊れているので文脈としては間違ってないけどw
605名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 21:32:08 ID:CkUdXDjN
世界は不思議で満ちている。
「事実は小説よりも奇なり」−−
これはそれを身をもって実感した少女の物語。


泉こなたは目覚めた。
超能力とか本当の自分とか、比喩的な意味では無く。
文字通り、ベッドの上で眠りから目が覚めたのだ。
こなたはその横でスゥスゥと眠っている少女、柊かがみを眺める。
可愛いなぁ、などと思いながら、ふと、こなたは気付いた。
「……動けない?」
金縛りとかそういうものではなく、物理的に羽交い締めにされているために。
「−−かがみ?……返事がない。ただの−−」
「…人を勝手に殺すな。」
「あれ、かがみの言えた台詞?それ。」
「うぐぅ……。」
会話通り、かがみはこなたを殺そうとしたことがあった。…勘違いで。
肝の冷えるような話だが、今はただのネタと化していた。
「まあ、それは良いとして。かがみ、そろそろ離して?」
「え?あぁ、うわっ。ご、ごめん。」
状況に気付き、真っ赤になって離れるかがみ。
何故家族でも無い二人が同じベッドで寝ているのか、というと。

−−付き合ってるから。

もう少し詳しく述べると、かがみが休みを利用してこなたの家に泊まりに来ていた。
そして、どうせなら一緒に寝ようということになったのだ。因みに入浴も二人一緒だった。
同性愛は受け入れられにくいというが、こなたの同居人たち、
父のそうじろうと従姉妹の小早川ゆたかには何故かすんなりと受け入れた。
「いやぁ、かがみの寝顔、可愛かったよ?」
「ゆ、言うな。」
そんな会話をしながら、着替えようとする二人。そこでふと、こなたが気付く。
「かがみ〜、『ソレ』何?」
「ん?……え?」
かがみがこなたの視線の先を見ると。
そこには、テントがあった。
−−かがみのパジャマのズボンの前が不自然に盛り上がってたのだ。

「こなた?あんた、何したの?」
「な、何もしてないよ!?」
かがみの詰問にこなたはブンブンと首を横に振った。
「じゃ、じゃあ…」
かがみは恐る恐るズボンのゴムに手を掛けた。
二人が生唾を飲む音が重なる。

−−ゴクリ

かがみが自分のズボンの中を覗き込む。
「な、なんじゃこりゃあああぁぁぁぁ〜!!」
すぐに家中にかがみの声が響いた。

「なんだ、どうした?」
「どうしたんですか?」
声を聞き付けて、そうじろうとゆたかがやってくる。
「ナンデモナイヨ?」
「ごめんなさい。こなたが変なモノ見せてきたもので…。」
かがみはベッドに潜り込み、こなたはベッドにもたれて、近くの同人誌を開いていた。勿論、同人誌は逆さまだ。
「こなた〜。あんまり、かがみちゃんを困らせるなよ。」
「そうだよ、こなたお姉ちゃん。」
606名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 21:34:48 ID:CkUdXDjN
「分かったって。」
こなたがそう言うと、二人は自室に戻っていった。
「「ふぅ〜…」」
「そういえば、こなた。」
「うわぁっ!」
二人の体から力が抜けたところで、そうじろうが戻って来た。
「うわって…。今日は朝、お前の当番だけどどうする?代わるか?」
娘の悲鳴に軽く凹みつつ、そうじろうは尋ねた。
「ん〜。」
ふと、こなたが時計に目を遣ると、まだ六時半。しかも、休日。いつもならまだ「起きている」時間だ。
少し考えてこなたは答えた。
「いや、作るよ。かがみと。」
「わかった。なら部屋にいるから出来たら来てくれ。」
そうじろうはそう言うと去っていった。こなたはまた、そうじろうが戻って来ないか確認してから、息を吐いた。
「それで、かがみ。何があったの?」
「何って……。」
こなたの問いにかがみは頬を染め、言い淀んだ。流石にテントはもうない。
「……恥じらってるかがみ萌え。」
「う、うるさい。」
少し落ち着いたのか、いじってくるこなたに、反射的にいつもどおり返すかがみ。
「まぁ、大体分かるけどね。」
「わ、分かるの!?」
「伊達に色んなゲームをしている訳では無いのだよ。」
薄い胸を張りながらこなたが言う。
「それはそれで、どうなんだ?」
こなたのいつもどおりの様子にかがみもペースを取り戻した。
「焦ってもどうにもならないしね。まず、朝ご飯かな。かがみも手伝ってね〜。」
かがみはこの時ほどこなたの薄い胸を頼もしく思ったことはなかった。


「さて、どうしたもんかね……。」
二人は朝食を終え、こなたの部屋に戻っていた。
「こなた。えと、その……」
「何、かがみ?」
「そんなにマジマジと見ないで欲しいんだけど……。」
かがみは今、こなたの前で下半身裸になっていた。そこには、女の子には無い器官がついていた。
「う〜ん。紛うことなき、オチンチンだね。」
「あう……。」
こなたのあっぴろげな言葉に頬を染めるかがみ。流石に、年頃の乙女相応の反応。
「でも、女の子のも付いてるし、胸も私よりも大きい。」
「それは元からだっ!」
「ふむ。私、フタナリさんの本物って、初めて見るよ……。あ、今、ちょっと大きくなった。」
「そ、そんなこと……」
しかし、こなたの言葉と視線に、確実にかがみの男の子の部分は体積を増している。
「かがみって、やっぱMっ気があるんだね。。」
「そ、そんなこと言ってないで、早く何とかしなさいよっ!」
「いや、何とかって言っても。医者にでも行く?」
「何て言うのよ!?」
「朝起きたらオチンチンが生えてました〜、とか?」
「言えるか!!」
「でも、事実だよね?」
「そ、そうだけど……。」
それから二人はうんうんと唸って、案を出し合ったが、妙案は出なかった。
「こなた、ゲームとかだったらどうなのよ?」
かがみが投げやり気味に、聞く。
「んと、主人公が女になったりで、そのままハッピーエンドとか。あとは一晩で治るとか、夢オチとか。」
「ふむ。一晩で治るのに賭けて、今日は帰ろうかしら。」
腕を組んで考えるかがみ。しかし、反論が挙がる。
607名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 21:37:00 ID:CkUdXDjN
「え〜。」
「え〜、じゃないわよ。他に良い方法あるの?」
「良い方法はないけど……。」
そこでこなたの目がキラリと光るが、かがみは気付かない。
「なら良いじゃ……ひゃうっ!」
「こんなになったまま帰るの?」
こなたはすっかり大きくなった、かがみのソレを掴んだ。そして、その手をゆるゆると動かす。
「ちょっ……こなっ…やめっ……!」
「多分、これは私を襲ったバチだね。」
「あっ、あれ…ん…はっ。」
「ん?あれは、何?」
そう問いながら、こなたは手の動きを止めた。
「あっ……。あ、あれはあんたが許してくれたでしょ?あんな格好までさせて!」
こなたは夜襲の代償として、かがみにコスプレをさせていた。
「確かにウサ耳かがみには萌えたけど。私が許しても御天道様が許さないんだよ!」
「普通逆じゃないか?」
「細かいことは気にしないの!時に、かがみんや。」
「な、何?」
「手を止めた時に物欲しそうな声出したよね?」
「だ、出して無いわよ!」
そう言う声が裏返り、全く説得力が無い。
「そんな、お尻を振りながら言われてもね。」
「振ってないっ!!」
「まぁまぁ……」
そう言うとこなたは手のストロークを再開する。
「んっ、んっ……こなたぁっ!」
「こっちはどうかなぁ?」
こなたは空いた手でかがみの女の子の部分に触れる。
「んあぁっ!ちょっ……強っ…」
「かがみ、濡れちゃってるよ?ん〜、クリちゃんが大きくなった感じかな?」
「あっ、んっ……やっ、あんっ……」
「女の子みたいな声出して〜!」
「おっ…んっ……なあっ、だぁっ…て……」
「流石かがみ。こんな状態でもツッコむか……。」
感心しつつ手は止めるこなた。こなたの手が止まりかがみは甘い声を出す。
「こなたぁ……。」
その目は完全にトロンとしている。
「大丈夫だって。やめたりしないから。…チュッ。」
こなたはかがみのソレの先端に口づけをする。
「はぁんっ……。」
こなたは全体に口づけの雨を降らせる。偶に強く吸うと、かがみが大きく喘ぐ。
そして、全体をアイスキャンディの様に舐める。チロチロ舐めたり、大きく舐め上げたり。
偶に女の子の部分もに掠めたり、舌を差し込んだりしている。
かがみは堪え切れずに後ろのベッドにもたれる。
「はあぁっ……何でっ、慣れ…んっ……てんっ、のよぉっ……」
「ん?初めてだけど?強いて言えば、ゲームの御蔭かな?」
言い終わると同時にこなたは、かがみのを口に含んだ。半分も含めて無いが。
そして、右手は含み切れない竿に。左手は女の子の穴に。
「はあぁぁんっ……んっ、あっあっ……」
「んっんっ……ちゅぷちゅぷ……ふぁふぁひ?ひほひひ〜?(かがみ?気持ちい〜?)」
こなたはかがみに聞くが、喋ろうとすることで舌が色々なところに当たり快感を生み出すので、
かがみは答えるどころでは無い。
しかし、こなたも気にしないようで、フェラチオを続ける。
−−ちゅぷちゅぷ…ちゅぱっ、ちゅぴ……
「あっ…んっ……こなっ、…もっ」
かがみが堪らないような声を上げる。
608名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 21:39:46 ID:CkUdXDjN
それを聞いたこなたは、かがみのモノを自分の唾液を一緒に吸い込んだ。
それと同時に、膣内に差し込まれた指を曲げ、襞を強く擦る。
「あぅぅっ……んああああああぁぁぁぁぁ……」
かがみは襲い来る快感に堪えようと右手の人差し指を噛み、
左手では後ろのシーツを掴むが、抵抗虚しく大きく叫んでしまった。
−−どびゅぅ、びゅくぅ、びゅるっ…ビクッビクッ……
「うぐぅっ……」
かがみの体が大きく跳ね、何処でいつ作られたのか、白濁液がこなたの口内に吐き出される。
「コク…コク……。うぅ…苦〜い…変な匂〜い……。」
こなたはかがみの白濁液を嚥下し、ぼやいた。口に入り切らなかった白濁液が口角から垂れている。
「ハァハァ…ん……ハァ〜…。自業……自得、よ……」
イった余韻が残ったまま、かがみがぼやき返す。
「むぅ……」
むくれながら、こなたは唇を舐め、かがみのを舐め取る。
普通ならえちぃ動作も、こなたがやると幼く感じられる。
「あっ、かがみ。まだ、出てる。」
そう言うとこなたは言い返せない腹いせとばかりに、ちゅ〜っとかがみのを吸った。
「あっ…こなっ……ああぁ…」
イったばかりでまだ、敏感なモノを吸われてかがみが腰を浮かせる。
こなたは口を離すと、そのままかがみにキスをする。
「あぁ…んっ、ちゅっ……ちゅぱ…んっ」
「ちゅぱ……ちゅっ…んあ……ちゅぱっ…」
こなたはかがみの開いていた口に吸い付き、すぐに舌を差し込む。
こなたの方が位置が上なので、こなたの唾液とかがみの白濁が混ざった物がかがみの喉に流れ込む。
「んんっ……コクッ……んはぁっ…変な味ぃ〜。」
こなたはかがみが嚥下したのを確認してから口を離す。
自分の白濁を嚥下してしまったかがみは、案の定ぼやいた。
「でしょ?でも、ほら。女の子で自分の精液飲めるなんて中々ないよ?」
「一生無くてよかったわ…。」
かがみは「ハーッ」と溜息を吐いて、再びぼやく。
「ねぇ、かがみ?」
「あによ?」
「女の子同士でHしたら子供って出来るのかな?」
かがみはこなたの呼び掛けに刺を含ませて返したが、こなたは気にしないように続ける。
そのこなたの顔は明らかに上気している。
「ふ、普通は出来ないでしょうね。でも、出来たとしても女の子しか生まれない筈よ?確か。」
Hという単語に先刻ので上気していた頬を更に染めながら、かがみは答える。
「ふ〜ん。でさ、かがみ−−」
「言うな……。自分でも分かってるから。」
かがみのモノは先刻のキスで元気を取り戻していた。それがこなたのお腹を押し上げている。
そのこなたはモジモジと内股を擦り合わせている。
「かがみばっかり、気持ち良くなってズルいんじゃない?」
「だって、それはあんたが勝手に……」
「こんなにしといてそれはないよ、かがみ……」
こなたは硬くなったかがみのモノを撫で上げる。
「あっ……。仕方ないわね…。良いわよ。こなたも気持ち良くしてあげるから、覚悟しなさいよ?」

それから、こなたとかがみはゆたかとそうじろうの存在も忘れ、
昼まで愛し合っていたというのは、また別のお話。


忘れられた二人はと言うと……
「お姉ちゃ−−」
「ねぇ!ゆーちゃん!買い物行こうか!?」
「で、ですが……」
「こなたたちは大丈夫だから!!」
「?は、はい。」
喘ぎ声を聞いたゆたかがこなたの部屋に入ろうとしたところで、
そうじろうが買い物に連れ出したことで、事無きを得た。
609名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 21:45:02 ID:lgZOMRMp
>>604
ありゃ、すいません・・・
やっぱり勢いだけで書いちゃダメですね・・・
精進します!

>>608
こなかがGGGJJJJ!!
610名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 21:49:42 ID:CkUdXDjN
前後しましたが、スレ建て乙です。


そして、まとめたら3レスですみました。
本番が無いのは色んなもの(主に文章力)不足です。すみません。またいずれ。
スレ汚し失礼しました。


あと、逆転でこなかが凌辱にしようとしたんですが、想像出来ずに断念…という言い訳。
611名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 21:55:02 ID:CfD7+SNy
あやうくSSに割り込むとこでした

>>610
さあまた別の話を!
612名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 22:24:54 ID:SDP0KZFm
>>599乙しながら埋め投下。
真萌えドリルの双子シナリオの上ルート、パートナーあやののネタバレを含みます。
みさお&かがみの非エロです。
卒業間近の設定で、ちょっと暗め。おちなし。
苦手な方はスルー願います。
全7レス予定。
613虹を見たかい:2007/09/25(火) 22:26:24 ID:SDP0KZFm
 放課後、かがみはみさおに呼び出され、屋上に来ていた。
 今は晴れているが、先ほどまで小雨が降っていたせいか、少し冷える。
 かがみは小走りでみさおの元へ向かった。
「おまたせ、日下部。今日は突然どうしたの?」
 みさおはフェンス越しに校庭を見ていた。かがみに気づいた様子は、無い。
 そっと近寄り、みさおの隣に立つ。三学期ももう後半で、校庭には生徒は余りいない。
 二人を照らす夕日が感傷的にさせるのだろうか、かがみも無言で校庭を見ていた。
「……よっ、柊。来てくれたのか」
 力無くみさおがあいさつをする。いつもの元気さは欠片も見られなかった。
「日下部……」
 かがみは驚きの余り、二の句が継げなかった。
 この時期になると、授業も短縮になり、互いに会う機会が少ない。それでもみさおは普段と変わらずにいたと、
かがみはそう思っていた。
「いや、そんな驚かれると相談しにくいじゃん」
「そりゃ驚くわよ。あんた悩まなさそうだしさ」
「あー、ひどいなあ」
「冗談よ。悪かったわね」
 かがみはふくれるみさおの頭をくしゃっと撫でた。
 みさおは髪型が崩れるのを嫌がる様子もなく、されるがままにしている。
「へへっ」
「……うれしそうだな」
「まあね。柊に会いたかったんだ」
「いや、毎日会ってるじゃん」
「うー。今会いたかったんだよ」
 反射的に突っ込んでしまうかがみに、みさおは口を尖らせる。そして躊躇いがちにつぶやいた。
「ちょっと相談したい事があってさ」
 二人の間をやさしく風が撫でる。ツインテールが緩やかに揺れていた。
 かがみは続きを急かすような事はせず、みさおが話すのを待っていた。
「……あ、あのさ。今日なんだけど、私、告白ってのをされたんだけどさ」
 みさおが顔を真っ赤にして言う。モジモジと恥じらうみさおはなかなか新鮮である。
「どうしたらいいかな?」
 みさおは首を傾げてかがみを見ていた。
「……あのな」
 そんなみさおとは対照的にかがみは眉間を押さえている。
「あんた人選を激しく間違えていないか?」
 かがみはバレンタインの前に、こなたに対して『彼氏の一人ぐらいいる』と嘘をついてしまった。
つかさともその件で喧嘩になってしまい、大変だったのだ。
 それぐらい男っ気がないのだ。相談されても、あてにならないだろう。
「この間あんたにも迷惑かけたけど、忘れたのか? 峰岸の方がいいんじゃないかな」
 かがみは素直にそう思う。あやのには彼氏がおり、みさおもあやのの方が相談しやすいのではと考えたのだ。
「うん、私もそう思ったけどさ」
 みさおはかがみから視線を外し、空を見上げた。夕闇が近づこうとしている空に、うっすらと月が見えている。
「兄貴に伝わりそうで言いづらくて」
「あ……そっか」
 あやのはみさおの兄と付き合っていると聞いている。確かに家族に知られるのは、少し恥ずかしいだろう。
「まあ峰岸なら心配ないと思うけど、そういう理由ならいいわよ。でも私でよかったのかな」
「私は柊に聞いて欲しいんだよ」
 みさおは真っ直ぐにかがみを見ていた。言葉も態度も素直すぎて、かがみには眩しかった。
「そ、それで、あんたはそいつをどう思ってるの?」
 かがみは思わずみさおから目を逸らし、話を続けた。
「んー。正直どうもこうも無いんだよなー」
「……は?」
「見た事無い奴でさ、『卒業するまでの間でいいから付き合って欲しい』だか何だかでさ」
 みさおはそう一息で言い、次いでため息をついた。
614名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 22:27:24 ID:qWv11OQp
>>612
全7レス…容量大丈夫かいな?
615名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 22:30:24 ID:SDP0KZFm
>>614
……うん、今気づいた。無理っぽいので、次スレに投下します。荒らしてすまんかった。
616名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 22:40:32 ID:CkUdXDjN
>>615
次スレで投下を待ってます!


さっきの「こころあめ」の続きの題名「あめはれて」
音が「アレ生えて」と同じです。

べ、別にそこから妄想したってわけじゃないんだからね!?
617名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 22:54:42 ID:G2lAMzEA
さて、あと5kか
どんなネタで責めてやろうか…
618名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 22:58:07 ID:LDRGF64B
ふた☆なりネタは大抵こなたに生えるパターンだから
かがみに生えるのは新鮮だ
619名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 23:03:50 ID:Ezka6zHg
ここで唐突に埋めネタ投下。
7-896氏が鮮やかに描き出すみゆきさんの奇行(褒め言葉)についてまとめてみた。


『寝言』
・「みゆきママァ……」「ジーザス!!」
・服を脱ぐ。

『こな☆フェチ〜6才こなたん〜』
・鼻血を噴き出す
・「愛い!!」
・眼鏡にヒビが入る

『こな☆フェチ〜こなたんず〜』
・眼鏡が垂直に飛ぶ。
・「泉さん、お体のほうは大丈夫ですか?」ただしカメラを構えながら。
・眼鏡に無数のヒビが入る
・泉家2階からダイブ。
・額から血が噴き出す。
・(=ω=.)の顔文字がこなたにそっくりなことを発見してかがみにメール。

『眼鏡』
・「みゆきさん大好きだよ」思わずうずまくる。
・眼鏡っ娘激ラブのこなたのため、眼鏡をゴージャスなハート型に。

『たいむ・まっすぃ〜ん』
・タイムマシーンがあったら「母乳とかあげたいですね」
・「オムツも取り替えたいです」誰に。

『技』
・「急所を蹴ったり踏んだりするんですね?両者とも楽しそうです」ちなみに格闘技の話。
・「泉さん関係のことに限ってのみ、視力が50.0になります」距離だけじゃなくて障害物すらも貫通してるんじゃないか?
620名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 23:17:00 ID:G2lAMzEA
キャラクターソング収録後・4人の会話 その2
「キャラソンのシュウロク、終わりマシタネ」
「終わったね」
「…」
「パティ、どうだった?」
「ンー、ワタシのは自信持ってオススメ出来る歌デスネ
 ユタカはドウデシタカ?」
「私は中々満足行くように歌えたかな?
 みなみちゃんはどうだった?」
「私は…あまり自信ない…」
「でもみなみちゃんは歌上手いから大丈夫だよ!」
「ゆたか…ありがと…」
(あぁ…うぅ…自重しろ…自重しろ…)
「タムラさん」
「うわぁぁ…びっくりしたぁ…」
「田村さんはどうでした?」
「ん〜…私はまぁまぁかな…」
「タムラさんのはとても濃いCDの様な気がシマスネ」
「う〜ん…そうなるかな…?」


今日フラゲ4枚全部フラゲしたのは内緒
621名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 23:18:11 ID:G2lAMzEA
フラゲが二回入ってしまった…
一つ消し忘れた…
622名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 23:35:04 ID:LxQpZAPN
埋め立てを兼ねてこなた×かがみの非エロ投下します。
623目覚まし(1/2):2007/09/25(火) 23:35:50 ID:LxQpZAPN
 天気は快晴。青く澄み切った空からは、心地良い風が吹いている。絵に描いたような清々しい朝だ。
 というのに。
「つかさ。つかさってば」
 かがみが何度呼びかけても、つかさは起きない。ベッドの上で布団にくるまり、気持ちよさそうな寝息を立てている。
「早く起きなさいよ。学校遅れるわよ」
「ん〜……」
 体を揺さぶると、ようやく反応があった。しかし、またすぐ寝入ってしまう。
「起きろってば、もう……」
「う〜ん……あとちょっと……あと何分って聞かれても正確に答えらんないけど……zzz」
「〆切過ぎた漫画家みたいなこと言ってんじゃないわよ」
「……あれ? お姉ちゃん?」
 不意にパチリと目を開いたつかさは、呆けたようにかがみの顔を見ている。
「やっと起きたか」
「ん〜……」
 しばらくもぞもぞとしていたつかさは、俯せになるとまた寝息を立て始めた。
「二度寝するなっ! 早く起きないとホントに遅刻するわよ!」
「ふぁ〜い…………zzz」
「だから寝るなーっ!!」

「――ってなことが今朝あってねー」
「ふうん。道理で、待ち合わせに遅れそうだったわけだ」
「ご、ごめんね……昨日の夜、ちょっと寝付けなかったから……」
 お昼休み。朝の顛末を話すかがみと、相づちを打つこなた、恥ずかしそうに言い訳するつかさ。
「まあ、つかさの気持ちも分かるね。朝の布団ってのは離れがたいものだよ」
「そうだよね。なかなか起きられないよねー」
「特に冬の冷え込む時期と、春先の暖かくなってきた時期なんて、ベッドの上だけ十倍の重力があるみたいだよね。もうそこだけ惑星ベジータだよ」
「ねー」
 ひたすら駄目な方向にシンパシーしている二人に、かがみはため息をついた。
「二人とも、起きられないなら起きる工夫をしなさいよ」
「工夫って?」
「早めに寝るのはもとより、目覚ましの音量を上げてみるとか、複数使ってみるとか……」
 例を挙げていこうとしたかがみだが、それ以上思いつかず言葉を詰まらせた。
「……工夫っていってもそれぐらいしか思いつかないね、やっぱり」
「わ、悪かったわね」 
「でも実際、目覚ましをどうにかするぐらいしか思いつかないよね」
「ふむ、目覚ましといえば……」
 こなたは自分の鞄をガサゴソと漁り、ある物を取り出した。
「何それ?」
「録音機能付き目覚まし時計だよ」
「何でそんな物を?」
「うちで埃被ってるの見つけてね。せっかくだから使ってみようかと」
 鞄から取り出したそれを、こなたは無造作にかがみへ手渡した。
「さあかがみ! 思うさまツンデレボイスをそれに吹き込むんだ! 今こそ翠の子を超える時!!」
「何で私がそんなことしなくちゃいけないんだよ!?」
「私が使うからに決まってるじゃん」
「んなっ……!?」
624目覚まし(2/2)
「かがみの声で目覚ましが鳴れば、きっとぱっちり目が覚めると思うんだよねー」
「ば、馬鹿なこと言ってんじゃないわよ」
 かがみは渡された目覚ましを突き返した。
「やってくんないの?」
「当たり前でしょ!」
「そっか……」
 しょんぼり肩を落とすこなた。かがみは少しきつく言い過ぎたかと思ったが、
「それじゃあ私のボイスを入れるから、かがみがこれ使ってよ」
「何でそうなるんだよ!?」
 けろりとしたこなたの言葉に、再び突っ込む。
「いいじゃん使ってよー」
「私は普通に起きられるからいらないって!」
「ノリが悪いなぁ……それじゃあつかさ、これ使ってみる?」
「え? 私?」
「ちょ、ちょっと! つかさに変な物渡さないでよ!」
「じゃあかがみが使う?」
「う……」
「それともかがみが声を入れてくれる?」
「な、何でそんな二択に……」
「さあ、どうするかがみ」
「……わ……分かったわよ。声を入れればいいんでしょ」
 引ったくるように目覚まし時計を受け取ったかがみは、裏の録音スイッチを押した。軽く深呼吸して、
「……起きろーっ!!」
 大声を吹き込んだ。周りの生徒達が何事かと驚いて見ている。
「は、はい。これでいいんでしょ」
 かがみは顔を赤くしながら録音完了した目覚ましを渡したが、
「NG」
 冷めた声でこなたが言いはなった。
「なっ……!」
「何のためにかがみに頼んだと思ってるのさ。録音時間は結構あるんだから、もっとツンツンして! そして最後にデレて! 持ち味を活かせッッ!!」
「い……いい加減にしろーっ!」
 怒られはしたが、首尾良くかがみボイスの目覚まし時計をゲットしたこなた。その後、本当に目覚めが良くなったそうな。


おわり



読んで下さった方、ありがとうございました。