円盤皇女ワるきゅーレのエロ小説 第7期

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1名無しさん@ピンキー
「円盤皇女ワるきゅーレ」のエロパロスレッドです。
前スレは盛況につき容量制限が近づきましたので、ここに当スレも一足先に第5期と相成りました。
引き続き、大ワル小ワる・真田さん・ハイドラ・秋菜・リカetc.
様々な女性キャラのエロ妄想を吐き出したり吐き出されたりしてお楽しみください。

前スレ
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1169444799/

過去スレ
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1158511267/
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1148168712/
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1139658861/
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1113737562/
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1067/10679/1067991445.html

以前の保管庫
ttp://library.f-adult.com/
現在は保管庫は機能してません
2名無しさん@ピンキー:2007/09/17(月) 00:09:56 ID:gj23hRJs
機能してなかったのか、保管庫…
3名無しさん@ピンキー:2007/09/17(月) 01:21:02 ID:UTS4oUO4
>>1
4名無しさん@ピンキー:2007/09/17(月) 01:58:47 ID:K5ouBgxm
今気づいたけど、前スレからテンプレ第5期になってる
サーセン
テンプレの文面そのままコピーしてアニメと漫画の部分消したけど第5期になってる
前スレたてた人、たのむよー

>>2
機能してないのかただ保管されてないのか不明
管理してる人に頼めばしてくれるかもしんない
5名無しさん@ピンキー:2007/09/17(月) 23:09:04 ID://CYVbVR
>>1
スレ立てご苦労様でした。

前スレの最後辺りを見ました。
去年もこんな事があって、その時も言ったのですが、ワタクシめは好きで書いてるので、どう思われようと、何を言われようと気にしません。
お気遣いは有難いのですが、なるべく事を荒立てないで、穏便に行きましょう。
皆で仲良く楽しく、同好の志が集まるスレですから。
でも、あえて円盤皇女ワルキューレにしてくれた事には感謝しております。
このお礼は更なる精進をして、作品で返させていただきます。

>>前・389さん
ワルキューレの誕生日話は連休に行かれます?
それとも日付通りに行かれます?
どちらにせよお願いします。

このスレでもよろしくお願いします。
6名無しさん@ピンキー:2007/09/17(月) 23:38:36 ID:K5ouBgxm
>>5
すみませんでした
7前・389:2007/09/18(火) 13:32:09 ID:w8GurVIs
>>1
スレ立て乙です


>>5
まだ、正確には決めてませんが、恐らく26日に投下すると思います。
和人の誕生日もそうだったので・・・
8名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 22:35:38 ID:4fGZ8eyt
捕手
9名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 05:32:41 ID:4cyiRJ/5
保守
10名無しさん@ピンキー:2007/09/26(水) 13:35:56 ID:YxcY8/Fz
今日は26日wktk
11名無しさん@ピンキー:2007/09/26(水) 15:22:54 ID:al6rlVxD
姫様、お誕生日おめでとうございます。
12前・389:2007/09/26(水) 17:52:11 ID:bn5y+gNF
え〜、今日はワルキューレの誕生日ということで
宣言通り投下させていただきます。
13前・389:2007/09/26(水) 17:52:45 ID:bn5y+gNF
9月26日、今日はワルキューレの誕生日

この日は平日という事もあり、和人とリカは学校に、ワルキューレは家事に勤しんでいる。
和人が学校から帰ってくると、いつものように銭湯の準備にとりかかる。
夜になり店を閉めると、真田さんがワルキューレの為に細やかな誕生日パーティーを開いてくれた。

「姫様。お誕生日おめでとうございます。これはつまらない物ですが・・・」
テーブルの上には、この日の為に貯めておいたヘソクリを使って買ったケーキが置かれている。
「ありがとう・・真田さん。」
「おう!ワルキューレも大人への階段を一段上ったって訳だな。ホレ、これ飲みな。」
シロがコップにお酒を注いでいく。
「えっ、でも・・・私はまだ未成年だから、お酒を飲んじゃあ・・・」
「堅ぇこと言うなよ。祝い事に酒は定番だろ?ホラ、和人も飲みな。」
今度は和人のコップに酒を注いでいく。
「酒ってのはよぉ・・飲めば飲む程、精がついてビンビンになるもんなんだ。盛んなお二人さんにゃ、ピッタリだぜぇ。」

「(こ、これを私と和人様が飲めば、精がついてビンビンに・・・きゃーーーっ!)」
シロの言葉に妄想が暴走し、つい顔が赤くなるワルキューレ。

ゴクリ・・・一口飲んでみる・・。
「はぁん・・・。」
頭の中が真っ白になりそうな感覚に艶かしい声が漏れる。
「(今のは一体・・・?)」
もう一口、今度は少し多めに飲んでみる。
「なかなかいい飲みっぷりじゃないか。好きなだけ飲みな。」

宴が始まって小一時間程経つと、リカが勉強の為、自室へ戻る。
「私も先に失礼致します。」
「じゃ、俺も先に休ませてもらうぜ。」
続くように真田さんとシロも居間を出て行き、残ったのは和人とワルキューレだけになった。
14前・389:2007/09/26(水) 17:54:24 ID:bn5y+gNF
「僕達も、そろそろ部屋に戻ろうか?」
「もう少し、和人様とこうしていたい・・」
酒を飲んで酔ったせいか、ワルキューレは和人に凭れかかるように身体を密着させている。
「和人様・・・。私と一杯どうですか?」
「ありがとう・・・。ワルキューレ。」
和人のコップと自分のコップにお酒を注ぎ入れる。そして、互いにコップを近付け「乾杯」と呟き、お酒を飲む。
和人もワルキューレも未成年なので、お酒を飲むのは、今日が初めてであるせいか、二人とも肌が桜色になり、鼓動が高鳴っている。

「ワルキューレ、誕生日おめでとう。」
耳元で囁くと、唇を重ね口内で激しく舌を絡ませ合う。
唇を離し、ワルキューレの身体を横たえ再び唇を重ねようとするが・・・
「和人様・・・続きは和人様の部屋で・・・。」
人差し指で和人の唇を止める。

和人の部屋に入ると、二人は激しくお互いを求め合った。
深い口付けの後、互いの身体を味わう様に、肌を隅々まで撫で合い舐め合う和人とワルキューレ。
周囲に音が漏れないよう、窓を閉めているせいか、ペチャペチャと舐め回す音が響く。
更に、熱気が籠り、二人の汗と体臭が入り混じった、濃厚な匂いが充満している。

「(和人様の・・凄い。)」
ワルキューレの眼前に、和人の陰茎が映っている。
ソレは既に、勇ましいまでにそそり立ち、今まで何度かワルキューレの膣内(なか)を味わっているせいか、身体の他の異なり黒々としている。
陰茎を軽く握ると・・・
「温かい・・・。」
陰茎から熱が伝わるのがわかる。
「うっ・・あっ・・!」
指で扱くと和人が小さく呻く。快感で力が抜けた筈なのに、陰茎は勇ましくそそり立ったままである。
扱いている指はそのままに、ワルキューレが亀頭をチロッと舐め口に咥え込み、余っているもう片方の指で袋を撫でる。
「ああ・・・気持ちいいよワルキューレ。」
ワルキューレの口内の生暖かさと、指が擦れるくすぐったさが相俟って、新たな快感となって和人に襲いかかっていく。
15前・389:2007/09/26(水) 17:55:34 ID:bn5y+gNF
指と口を離すと、今度は豊満な乳房で陰茎を挟み込む。
「はあ・・・うぅ・・!?」
指とは一味違った柔らかい感触に、和人は確実に限界に近付いてきている。

「まっ、待って、ワルキューレ・・・」
和人の言葉にワルキューレが乳房を陰茎から離す。
「あの・・和人様。やっぱり私のご奉仕が気持ち良く・・・」
「そんな事ないよ。凄く気持ちいいよ。ただ・・・」
「ただ・・・?」
「今は、ワルキューレの膣内(なか)を味わいたいんだ!」
和人の言葉の意味を瞬時に理解したワルキューレは、太股を開いて和人を見詰める。
まるで「来て、和人様・・」と訴えているような表情で。
和人はそんなワルキューレの期待に応えるかのように、彼女の膣内(なか)に陰茎を挿入していく。

「はぁ・・・ワルキューレの膣内(なか)、凄く気持ちいいよ。」
和人が激しく腰を振り、陰茎を奥へ奥へと突き入れる。
ぶちゅっ・・くちゅっ・・・
陰茎と膣内の粘膜が擦れる度に、結合部から湿った音が響き、粘り気のある愛液が滴り落ち、シーツにシミを作る。
「うっ、うああああっっ!!」
和人が悲鳴に近いような一際大きな声を挙げると、陰茎が膣内でブルブルと小刻みに痙攣し、亀頭から白濁した精液が放たれた・・・・・。


「ワルキューレ、ごめんね。今日は君の誕生日なのに、こんな事しかしてあげられなくて・・・」
行為の後、和人が申し訳なさそうに言った。
「いえ・・私は、和人様に愛してもらえるだけで幸せです。」
笑顔で答えるワルキューレ。
その後、二人は軽い口付けを交わし、疲れ果てたように、深い眠りについた。
16前・389:2007/09/26(水) 17:56:57 ID:bn5y+gNF
翌朝・・・・
「ヴ〜〜〜ン」×2
布団の中で苦しそうに呻き声を挙げている和人とワルキューレ。
「まさか二人揃って二日酔いなんて・・・」
朝になっても起きてこない二人の様子を見に来たリカは、開いた口が塞がらない程、呆れている。
「ごめん、リカ。暫くそっとしておいて・・」
「ヴヴ・・・せっかく、私も和人様もビンビンだったのに〜〜!」
予想もしなかった二日酔いにボソッと独り言を呟くワルキューレ。 ・・・だが
「(あっ、でもこうして和人様と一緒に居られるなら、これもアリかな〜?・・・その、ヤレないのは悔しいけど・・・。)」
と、ちょっぴり嬉しい気もするのであった。


〜fin〜
17前・389:2007/09/26(水) 18:01:59 ID:bn5y+gNF
以上です。
誕生日ネタでしたので、今日投下する事を想定して書いたせいか短く収めましたけど
喜んでもらえれば幸いです。

それでは、また。
18名無しさん@ピンキー:2007/09/26(水) 22:24:36 ID:6j6zPNxK
>>17
GJ
酔った二人可愛い
19名無しさん@ピンキー:2007/09/27(木) 13:23:37 ID:2CFtDege
GJ!
20名無しさん@ピンキー:2007/09/28(金) 02:31:28 ID:BIzga31B
ご苦労様でした。
2人きりの誕生日話にしなかった分、いいデキになったと思います。
煮詰められる部分もあるような気もしますが、それは次回作にでも。
お疲れ様でした。
21名無しさん@ピンキー:2007/09/29(土) 13:25:10 ID:LT/LeNhq
>>17
ホンワカな二人、でも次の話は・・・・
22名無しさん@ピンキー:2007/10/02(火) 01:09:37 ID:xUW2eB3C
お盆の話の完成はいつ頃になりそうですか?
23名無しさん@ピンキー:2007/10/02(火) 02:35:19 ID:TiwQWiY5
今週末の連休にはなんとかします。
「ヤンデレはどうですか?」
って時から話は出来てますが、ここに頂いた感想の書き込みと某アニメの最終回と被る部分があったので、それをそのまま使うか、展開や描写を変えるかどうかは悩んでます。
でもあまり気分のいい話じゃないですよ。
しかもすごく長いし。
ただその場で変わる事もあるので、初期のリカ話やエクリプスとは違って救いのある最後、後日談は追加するかもしれません。
24名無しさん@ピンキー:2007/10/03(水) 02:54:14 ID:jD+Gt++r
なるほど、どうも。

期待してます。
25名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 00:42:35 ID:wMkDBwcv
ネスティー = 紅音ほたる
と思った
26名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 19:24:08 ID:pydiHDnU
AV女優かよ!
27名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 22:04:02 ID:wMkDBwcv
正直すまんかった
と思って、一般の芸能人から該当する人物を考えたが……

いまさらだが介錯作品のキャラクターは皆、顔が同じことに気がついただけだった。
28名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 23:17:18 ID:pydiHDnU
いや、そういうオレも
ライネ=杏美月
とか考えたし
29名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 23:30:29 ID:wMkDBwcv
言われてみたら似てるかもしれないな。
なにせ110cmJカップ……
他の皇女の中にも似てる奴いるかもな



AV女優に
30名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 21:46:56 ID:UqIWQ0xS
>>23
ヤンデレの話楽しみに待っています。
精神的に病んだワルキューレをみたいw
31ワルキューレゴーストよ:2007/10/06(土) 03:12:25 ID:54dL9Ods
今から話すお話は、お盆の話の続き。
2つある続きのもう片方……
もし出来るなら、前スレの46番目の話「陽炎」と48番目の「オルタナティブ 〜満月の愛〜」を見てから読むのがいいかも。
あっ、それと今回もオリジナル要素が強いので、注意してちょうだい。
それと、あまり気分が盛り上がる話でもないので、楽しい連休を迎えたい人はスル〜してちょうだい。
さらに「長い」と注意したけど、「ものすご〜く長い」に変わりそうだから注意して。

それじゃ
「オルタナティブ 〜新月(闇夜)の愛〜」
始めるわよ。
32名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 03:14:24 ID:54dL9Ods
お盆が過ぎて1週間ほど経ったある日の事。
あの夜以降、ワルキューレは以前からしてたように、和人にベッタリとくっつく事は無くなった。
しっかりと横には座るが、密着はしない。
ただ、食事の時もTVを見てる時もチラチラと和人の様子を窺うように見る回数は増えた。
そして、以前より大袈裟に喜んだり、何かを考えてるのか黙りこくったりと感情の起伏が激しくなった。


48th 「オルタナティブ 〜新月(闇夜)の愛〜」


(あっ…… 来ちゃった!)
外でお客さんの出迎え、見送りをしてる時、お盆に真田さんがリカに言った通りに生理が来た。
「あ、あの…… 私ちょっと……」
一緒に挨拶をしてる茎子に言うと
「どうかなされましたか?」
不思議そうに尋ねるが、ワルキューレの仕草を見て
「あっ! どうぞ、お休みください」
気を利かせてくれた。
「では、ちょっとだけ失礼します」
茎子に頭を下げると家の中に戻った。

部屋に戻って引き出しからナプキンを取り出すとトイレに入る。
コスチュームのパンツとショーツを下ろすと、貼り付けてあるおりものシートにはおりものに混じって経血が付着していた。
シートを剥がすとトイレットペーパーで包んでコーナーの汚物入れに入れる。
もう一度ペーパーを取って拭うと、ナプキンのシールを剥がし、ショーツに貼る。
「はぁ……」
1つ溜息をついた。
身体がだるく、少し熱っぽい感じがする。
今日は初日だからそれ程でもないが、明日は2日目。
さらにお腹が重く苦しくなるのは過去の経験から間違いないだろう。
それが一週間近く続くのだ。
少し憂鬱な気分になった。
33名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 03:15:52 ID:54dL9Ods
しかも、せっかく和人が夏休みで、お互いが求めれば時間を気にせず時には朝まで愛し合えるのに、この期間中はそうはいかない。
「どうして生理なんかあるんだろ?」
憂鬱な気持ちが言葉になってしまった。
茎子は休んでいいとは言ってくれたが、甘えてはいられない。
侍女達は生理の時は休むだろうが、真田さんは休んで無いように思える。
無論ワルキューレと真田さんでは立場も違うが、自分は和人の妻になるんだから人より頑張らないといけない。
そう考えると、重い下半身を引きずるように戻って行った。
「あら、姫様。 お休みになられたらよろしかったのに」
ワルキューレの姿を見つけた茎子が、少し驚いたように言う。
「いえ、今日は1日目ですから、大丈夫です。 ごめんなさい」
茎子の横に立つと元気を振り絞って挨拶に励んだのだった。

そのまま時間は流れ、銭湯を閉める時間になった。
「後は私達がしますので、姫様は先にお戻りください。 侍女長には私が言っておきますから」
茎子が言ってくれて、ワルキューレは素直にその言葉に甘える事にした。
いつもと違って、今回は初日から重い。
頭が痛く、お腹も重く痛い。
居間に戻るとリカがお茶の準備をしていた。
「あら、ワルQ早かったのね。 ごくろ〜さん」
リカに声をかけられると
「えっ、ええ」
返事だけを返した。

暫くして和人と真田さんが戻って来た。
真田さんが心配そうにワルキューレをチラっと見るが、ワルキューレは
(大丈夫です)
という感じに1つ頷いた。
真田さんもそれを察して、今日の売上げやシャンプーや石鹸がいくつ売れたとか、和人と明日の為に打ち合わせをした。
その間
(和人様…… 和人様はいつもと同じようにされてるけど、本当はどうなのですか? あの夜…… ゴーストと……)
(和人様、ご存知ですか? あの時私は起きてました。 知ってるんです。 和人様とゴーストが隣の部屋で会ってた事……)
(でも、私は信じてます。 和人様が普段どおりになさってるって事は、何も無かったんですよね? そうですよね?)
今日まで何度か和人に聞き出そうとしたが、結局それは出来なかった。
何かあったら、それはショックだし、もし何もなかったら和人を疑った事になる。
自分が和人を疑った事を認めるのがイヤだったし、何より和人にそう思われるのは耐えられない。
34名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 03:17:46 ID:54dL9Ods
そんな事をボンヤリ考えていたら
「それじゃ、ボクお風呂に入るよ」
和人が立ち上がって言った。
リカは部屋に戻り、真田さんは皆の湯飲みを流しで洗っている。
(ああ〜。 生理がなければなぁ。 和人様とお風呂ご一緒して…… そこから…… なぁんて、いやぁん! 私ったら、はしたない! でもなぁ……)
30分程して和人が出てきた。
「姫様、如何なされますか?」
真田さんが尋ねる。
例え今夜、和人との行為が無くても同じ布団に寝るのは変わらない。
おりものと経血の匂いは和人を不快にさせるかも知れない。 事実自分は好きではない。
「ええ、シャワーだけいただきます」
そう答えると
「さようで、ございますか。 ではこの真田も」
準備の為だろう部屋に戻って行った。

その間に下着の着替えとパジャマを準備して、真田さんを待った。
彼女が戻って来たので、バスルームに行く。
「あっ!」
和人の湯気と熱気が少し残ってる脱衣所で少しフラついた。
「姫様、大丈夫でございますか?」
手をかける真田さんが心配そうに覗き込む。
「え、ええ大丈夫です」
ショーツを下ろしてワルキューレは驚いた。
生理初日なのに、ナプキンに吸い込まれている経血の量が多い。
それで少し貧血気味になってしまったのだった。

治まったので、2人で浴室に入った。
シャワーで体を流してる間も、真田さんは今日の仕事の話や、世間話をする。
(真田さん。 真田さんから見て和人様はどうですか? あの夜以降の和人様はどう映ってるんですか?)
(私も真田さんみたいに、細かい気遣いが出来ればいいのに。 すぐに気づいて、こんな思いをせずに済んだかもしれないのに……)
でもそれを聞く訳にはいかない。
「真田さん。 先に上がらせていただきます」
体を流し終わったワルキューレが言うと
「はい、ではおやすみなさいませ姫様」
浴槽に浸かっていたが、立ち上がって頭を下げた。
夜用のナプキンをショーツに貼ると、それを穿き、水色のパジャマを着て和人の部屋に戻る。
夏休みに入ってからは、曜日を問わず互いが求めたら心置きなく愛の行為を楽しめたが、今日はどうだろう?
いくら休みと言っても和人は今までと変わらず、それほど積極的に自分の身体を求める事は少ない。
普段の学校がある時より若干多い程度だったりする。
いつもは和人の誘いを心待ちにしているが、今日だけは事情が違った。
35名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 03:19:27 ID:54dL9Ods
部屋の扉を開けて中に入ると、夏休みの宿題をしてるのだろう。 机に向かっていた。
「あっワルキューレ出たんだね。 ちょっと待ってて。 コレが終わったら寝るから」
ワルキューレの方を向かず、ノートに何か書き込みながら言った。
「はい……」
頭に巻いたバスタオルを解き、髪を乾かしながら和人を待つ。
(そう言えば、お盆…… ゴーストが来た日も私がおねだりしちゃったんだなぁ。 でもその次は和人様から……)
髪を乾かしながらカレンダーを見て思い出した。
(でも、その次と一昨日は私から……)
あの夜以降も和人が自分を抱く時は優しく包み込むような愛情と言葉を投げかけてくれる。
(やっぱり、何もなかったのかな?)

パタっ。
和人がノートを閉じて、1つ伸びをすると、髪を乾かし終わってベッドに待ってるワルキューレの横に来た。
「それじゃあ、寝ようっか?」
キスをして、明かりを消すと布団に入った。
「おっ、おやすみなさいませ」
和人に挨拶をすると体を丸める。
しかし……
もぞっ!
(!)
布団の中で和人の手が動き、パジャマの上からワルキューレの胸を弄り出した。
「あ、あの……」

驚いて声を上げるワルキューレがまともに見れないのか、和人が目線を逸らせながら
「あの…… ワルキューレ。 いいかな?」
(ああっ! 何でこんな日に限って…… いつも…… その…… 私が欲しい時は…… なかなかお求めになってくれないのにぃ)
尋ねる口調だが、和人の手はワルキューレの膨らみを求めて這い回っている。
「ダメ…… かな? ボク…… ワルキューレが……」
(ああ〜っ、ちょ、ちょっと和人様ぁ)
普段の和人とは違う、ここ数日稀に見る情熱的な誘いに
(もう! 何てもったいない。 和人様が、こんなに〜……)
とか思ってしまうワルキューレだった。
36名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 03:21:14 ID:54dL9Ods
でも、心はいつでも、どこでも和人を迎え入れるつもりでいたが、体の方はそうはいかない。
「あ、あの、和人様…… その……」
ワルキューレの口ぶりで何となく察した和人。
「あっ。 そ、そうか。 ゴメンネ」
既にパジャマの中に突っ込んでいた手を引き抜くと、少し残念そうに謝った。
「ち、違うんです。 私、その…… せ、生理が来てしまって……」
恥ずかしさのあまり布団で顔を隠しながら言う。
「わ、私は、和人様がお求めになられるのでしたら、何時でも何処でも…… 私の身体をお求めになられるのでしたら…… でも」
布団が少し震えている。
和人はそっと布団ごと抱きしめ
「ありがとうね、ワルキューレ。 でもそう言う事情なら…… ゴメンネ、ボクは女の人の身体の事とかあまり解らなくて……」

和人の優しい言葉がかえってワルキューレの胸を締め付ける。
「ま、待ってください。 あ、あの…… その…… お口と胸でなら…… 和人様を満足して差し上げられるかは解りませんけど。 そ、それで何とか我慢なさってください。 お願いします。 一生懸命させていただきますから」
そのまま眠ってしまいそうな和人に布団から顔を出して言った。
和人としても、気分も盛り上がり、肉体的にも女体…… 目の前の美しい女神の身体を欲してはいたが、事情が事情だけに素直に諦めるつもりだった。
そこに来て彼女の申し出。
しかし、彼女の身体の事を考えると
「でも、ワルキューレ、辛くない? 生理って、その…… お腹とか痛くなるって聞いたけど」
つい気遣ってしまう。

だが、お盆の夜からずっと和人とゴーストの間に何かがあったのではないかと不安になってたワルキューレは自分の身体がだるいとか痛いとかは関係無かった。
和人が自分を求めてきたのだから、それに応じたかった。
いや、応じなければならない! と強迫観念に似た感情が支配していた。
「大丈夫です。 和人様は私の身体の事などお気になさらずとも…… ただ、私の身体を使って気持ち良くなってくださいませ」
ワルキューレが体を起こし、パジャマのボタンを外した。
外から入ってくる薄明かりにワルキューレの身体が映し出される。
そのシルエットは悩ましげなカーブを描き、彼女が体を動かすたびに、細く長い髪が揺らめき、豊満な胸の膨らみが目の前の男を誘うように重苦しそうに揺れた。
「和人様……」
ワルキューレが和人にのしかかり、唇を求める。
同時に和人の寝巻きの帯を解き、華奢な体を露出させると、首筋から胸、お腹へとキスをして、舌を這わせる。
37名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 03:23:23 ID:54dL9Ods
ワルキューレの顔が下半身にさしかかると、女神の身体を欲していた陰茎が天を向いて突き立っている。
諦めかけた所に、ワルキューレの申し出を受け、再びいきり立っていた。
「んっ……」
血管が浮き出た陰茎に舌を這わせて唾液を付着させ、やがて小さな口を精一杯拡げて咥え込んだ。
「あっ、いいよ。 ワルキューレ」
和人がもっとして欲しそうにワルキューレの頭を抑えながら呻いた。
「んっ…… んんっ…… んっんっんっ……」
少し苦しそうに鼻から息と声にならない声が漏れ、口の中では舌が暴れまわるように蠢いている。
ワルキューレの口元からは溢れ出た唾が漏れ、和人の控え目な陰毛に滴り落ちる。
「んん〜っ」
頬をすぼめて、吸い上げてからちゅぽんと引き抜くといやらしく唾液の糸が引いた。

自分の唾液で充分にヌメっている陰茎を今度は胸で挟み込む。
両側から手で圧力をかける。
上下に揺さぶり、陰茎を扱き上げる。
唾液にヌメリ、美しい恋人の大きな胸の圧力が和人を精神的にも肉体的にも満足させる。
胸の上部から顔を出してる亀頭にさらにワルキューレがツバを垂らしてヌメリを追加した。
どこで覚えてきたのだろうか? 友達とそういう話をして覚えたのだろうか? ある日和人が教えてくれたやり方だった。
「気持ち良いよワルキューレ。 凄くヌルヌルして…… ワ、ワルキューレ、く、口で……」
快感に耐えかねたように和人が最後の要求を口にした。
陰茎を胸の圧力から開放すると、再び口に含む。
これまた、どこで覚えて来たのかは解らないが和人が以前に要求した通り、指で陰茎を扱きながらしゃぶった。
「うくっ…… い、いくよ。 出るよ」
口の中で亀頭がビクンと痙攣し、舌でほじるように舐めまわしていた亀頭の先がグッと開いたような感じがした瞬間、ワルキューレの口の中は熱くドロドロした和人の欲望の汁で満たされた。

「んンっ…… んん〜っ」
口を離さないようにして、亀頭の周囲、そしてまだ射精を続ける尿道口に舌を絡ませて、後から後から溢れ出す精液を舌で舐め取り唾液で薄めて飲み込む。
鼻から漏れる吐息に和人の精液の匂いが混じった。
和人の身体と陰茎の痙攣が治まり、舌が絡め取る精液の量も落ち着いてきた。
口をすぼめ、舌で陰茎の裏側を扱くようにして引き抜くと、ワルキューレの口元から唾液に混じった精液が行儀悪そうに漏れた。
指でそれをかき集め、最後に口回りをペロリと舐めた。
「和人様、気持ち良かったですか?」
小首を傾げて聞く。
和人が
「うん、とっても気持ち良かったよ。 ありがとう」
そう答える事を確信して。
そしてその通りに和人がお礼を述べた。
38名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 03:25:14 ID:54dL9Ods
以前から比べると胸での愛撫も口での愛撫も格段に上手くなって来たワルキューレ。
無論それは、彼女の努力もあるだろうが、時々される和人のアドバイスが大きかった。
次の日の朝に
(和人様ったら、あんな事どこで覚えて来られるのかしら? あ、あんないやらしい、激しいこと……)
少し引っかかる部分もあったが、それ以上に自分の愛撫で和人が気持ち良くなってくれる事が嬉しく、それ以上は考えなかった。
今日も、前に和人が「こうして欲しい」と言った事を忠実に行ったせいで、和人もすぐに耐えられなくなって射精したのだった。
(よかった。 私の身体が和人様を気持ち良くさせるのに、お役に立てて….…)
すっかり満足したのか、和人はワルキューレを抱き寄せて軽くキスをすると、やがて穏やかな寝息をたてて眠りについた。
ワルキューレも和人の胸に縋りついて安らかな眠りについたのだった。

次の日、ワルキューレの生理痛はかなり酷く、出かける事も躊躇われた。
夕方になって、銭湯を開ける時になって体を引きずるようにして手伝おうとしたが
「姫様、今日はお休みくださいませ」
真田さんが見かねて止めに入る。
「そうだね。 今日はボクと真田さんで何とかするから」
(カチンッ!)
他意は無いのだが「ボクと真田さん」と言う言葉に反応してしまう。
だが、生理痛のせいで、朝から苛立ってるのを自覚してるだけに、
(ダメね、私って……)
と思い直し、そこへリカも
「アンタ見てるとホントにキツそうだから、休みなよ。 今日はあたしが手伝うからさぁ」
ワルキューレに言う。
「そ、そんな。 リカ様はお勉強が……」
ウソだった。
和人と真田さん、そこにリカ。
自分だけ中に入れない疎外感がイヤだったし、怖かった。

(このままでは和人様に必要とされなくなるかもしれない)

お盆以来ずっと続いている心の不安がネガティブな思想へと染めていく。
(でも…… 考え過ぎよね。 和人様もリカ様も真田さんも、私を……)
ともあれ、ワルキューレは休む事になった。
39名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 03:27:47 ID:54dL9Ods
・・・・・・
場所は変わってコーラスのアパート。
コーラスはアニメのDVDを鑑賞し、ライネは何やらカレンダーを見ている。
(先月がこの日だから、一昨日で丁度28日。 と言う事は今日は2日目か……)
TV画面に熱中してるコーラスには見えるはずも無かったが、この時、ライネの口元がニヤリと歪んだ。
8月も終わりに近づき、だいぶ日も短くなってきた。
「コ〜ラスぅ、そろそろ夕食の準備でもしませんこと?」
声をかけるが、ヘッドフォンをつけてるコーラスにはライネの声は届いてなかった。
「ちょっと、コーラス!」
ヘッドフォンを取って大声で呼びかけると、さすがに驚いたコーラスが振り返った。
2人は相談して、準備をすると少し早めの夕食を食べた。

「ねえ、コーラス。 お食事が終わったら時乃湯に行きませんこと?」
焼き魚を食べながら誘ってみた。
しかし
「う〜ん、ボクはシャワーで良いよ。 今月はDVDにゲームとか随分使っちゃったし」
部屋の隅に積まれたそのテのグッズを見て溜息混じりに言う。
「あたくし、回数券持ってますわよ」
さらに誘ってみるが
「うん、でもいいよ。 折角買ったんだからDVD見ないと。 ワルキューレと和人さんによろしく言っといて」
「あらそうですの」
お茶碗で口元は見えてないが、ここでもライネは少しニヤリとした。
コーラスがそう答えるのは何となく予測できたから。

食事が終わって、ライネが流行のエコバッグにバスタオルや着替え、シャンプーに石鹸を入れて準備をした。
「ホントのよろしいですの?」
最後にもう一度聞くが、コーラスは既にDVDに見入っている。
返事が無いのを確認するとアパートを出た。
時乃湯が見えてくる。
いつも外で出迎えをしてくれる姉の姿は見えない。
「あっ、いらっしゃいませ。 ライネ様」
侍女4人組の1人だけが出迎える。
「ご苦労様ですわ」
「ごゆっくりどうぞ」
40名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 03:30:05 ID:54dL9Ods
ガラッ!
下駄箱のある玄関から中に入る。
「いらっしゃい…… あら、ライネ。 いらっしゃ〜い」
和人とも真田さんとも違う、少しヤル気の無い声。
「まあ、リカ様。 リカ様が番台とは、最近にしては珍しゅうございますわねぇ。 ココのところずっと和人様か真田さんがお座りになられてましたのに」
ライネがサイフから回数券を出して1枚ちぎって番台に置きながら言う。
リカも回数券を金庫にしまいながら
「今日はねぇ、ワルキューレがアレなのよ。 何か酷いみたいでさぁ」
(やっぱり)
「あらぁ、そうでございましたの」
確信はしていたが、何事も無かったように答え、リカから事情を聞かされて「いつもの事」を実行しようと決めた。

「そう言えばさぁ、アンタ達ヴァルハラ人にも生理があるのには驚いたけど、やっぱり重い時とかあるの? 例えばアンタも。 あっそれ以前にアンタちゃんと生理あるんだよね?」
番台から1番近いロッカーを使うので、リカが話し掛けてもよく聞こえる。
「ん〜ま失礼な! あたくしにもちゃんとございますわよ。 わたくしはですねぇ、初等部の……」
「はいはい、解ったわよ」
「まあ、あたくしも重い時や軽い時はございますわよ。 それより、リカ様こそ如何ですの? ちゃんと周期は安定なさってますの? あたくしがリカ様の歳では既に……」
片目を閉じて冷やかすように言う。
「へ〜へ、どうせあたしは中学に入ってやっと始まりましたよ。 まだ安定してないし」
「まあ、リカ様もこれから成長なされば周期も安定なさいますわよ」
リカの告白に追い討ちをかけるライネ。
しかし、そのライネを見てリカも
「アンタに言われても説得力ないなぁ……」
とか返すのだった。
「ん〜ま、失礼な!」

「だって、そうじゃない。 アンタ、あたしよりチビだし!」
痛い所を突かれたが、既に全裸になっていたので、体を番台の方に向けた時、ライネの顔くらいある大きな膨らみがブルンと弾んだ。
ワザと胸を揺らして見せたのだが……
「まあ、あたくしはチビですけど……」
(ココは違いますでしょ?)
と言わんばかり弾む胸を見て
「くぅ〜っ、ま、負けたぁ!」
思わず敗北を認めるリカだった。
しかし、そこでその話は終わり
「そう言えばアンタ、ワルQに用事があるの? あるなら伝えようか? それとも真田さんかお兄ちゃんに言う?」
しかし、そう言ったものの、真田さんは女湯も男湯も関係なく走り回り、侍女達に指示を出してる。
「あっ、これはこれはライネ様。 いらっしゃいませ。 ど〜ぞごゆるりと」
とだけ挨拶をしてまたパタパタと走り回っている。
41名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 03:31:54 ID:54dL9Ods
とても真田さんに声をかけられる状態ではないようだ。
「お兄ちゃんならボイラー室にいるけどさぁ、ホントはあそこは入っちゃダメなんだよね。 でもまあ、アンタならいいか。 用事があるんだったら行ってきなよ」
それだけ言うとリカは単語帳を見出した。
「そりゃ、どうも……」
ライネも返事をすると、とりあえず先にお風呂に入った。
・・・・・・

「ああ〜。 サッパリしましたわぁ。 とても良いお湯でございましたわ」
ロッカーからバスタオルを出して、髪と体を拭きながら言う。
「それ、お兄ちゃんに言ってあげなよ。 喜ぶから。 でもさぁ、アンタ達ってホントにお風呂好きよねぇ。 メームおばさまとか来ても絶対にお兄ちゃんのお風呂に入っていくもんね」
それを聞いたライネは、フルーツ牛乳を飲みながら
「そりゃ、そうでございますわよ。 あたくし達ヴァルハラ星では入浴は神聖な行為で、お風呂場は神聖な場所とされてますもの」
「変わってるわよねぇ。 まあそれは文化の違いって事で済むけど……」
「まあ、リカ様にはお解りになられないでしょうけど、和人様のお湯は特別なんでございますわよ」
「なにそれ? お兄ちゃんが「幻の恋人」だから?」
リカが不思議そうに尋ねる。

「まあ、それもあるのかもしれませんけど…… でも正直申しましてあたくしにも良く解りませんわ」
「なんじゃそりゃ! ところでさぁ、お兄ちゃん、まだボイラー室にいるよ」
体を拭き終わり、服を着たのを見計らって和人の事を教えてくれた。
「はい、ありがとうございますわ。 じゃあ、和人様にお話して、今日は失礼いたしますわ。 リカ様、ごきげんよう」
バッグに荷物を入れると、リカに頭を下げて、ボイラー室へ。
ガララ……
ボイラー室の扉を開けて中に入った。
「あっライネ。 ありがとう、来てくれてたんだね」
もう今日の分の薪はくべ終わったのだろう。
圧力計を見て、温度の調節をしているだけのようだった。

「ええ、結構なお湯でございましたわ」
挨拶をすると同時に和人の背中にピッタリと身体を押し付けた。
和人の背中に感じる、量感たっぷりの胸の感触。
乾ききってない亜麻色の髪から香るシャンプーの甘い香り、小さな体から発散される石鹸の匂い……
「ねぇ、和人様…… あたくし…… 和人様が欲しいですわ」
さっきまでとは口調がうってかわって、粘りつくような、小柄で童顔なライネからは考えられないような妖艶な声と言葉が和人の耳元で囁かれた。
「如何ですか? 明日、駅前に9時にお待ちしておりますから」
和人に押し付けた胸をグリグリと擦り付けながら言うと、そのまま背中を向けて出て行った。
42名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 03:34:36 ID:54dL9Ods
2人には秘密の約束事がある。
ライネが和人と内緒のデートをしたい時、和人が番台にいる時は回数券では無くお金で料金を払う。
その時、ワザと100円多く払い、帰りに100円が返されたらデートは中止で、
「ライネ、フルーツ牛乳でもどう?」
と勧められたら「OK」とい言う意味。
最近は番台にいる事が増えたので、この約束事が出来たのだが、今日は2人しかいないボイラー室なので、直接的に用件を伝えた。
2人が男女の関係になったのは昨年のライネの誕生日。
それ以降、だいたい月に1度、2人は人目を忍んで、電車で数駅先の隣町にて逢瀬を重ねていた。
今までは100%ライネが和人を誘ったが、ライネは見計らったように和人とワルキューレがセックス出来ない時に誘ってくる。

偶然なのだろうか?
実はそうでは無かった。
ライネは以前、ファムやワルキューレとカフェで話していた時にたまたまワルキューレの生理の話を聞いた。
そして、彼女は学園惑星にいた頃から周期が安定しており、地球にきてからは地球の時間にして丁度28日ピッタリで、まるで体内にカレンダーがあるみたいに正確に月経が訪れる。
その事を知っているからこそ、姉が恋人とセックス出来ない時を狙いすまして和人に声をかけるのだった。
2人がデートをする時は、ワルキューレは当然ながら真田さんやリカ、秋菜や他の皇女達の話は極力しなかった。
ライネにとっては月に1度の2人きりの時間だし、何より相手は姉の婚約者。
許される関係ではないので、いくら親しい姉の名前も出すのが憚られた。
和人もそれを察してか、ライネの事だけ話すのだった。

時間が流れ
「婿殿、そろそろ閉めとうございますが」
ボイラー室の扉を開け、真田さんが呼びかけて来た。
「うん、そうだね。 もうお客さんはいないの?」
「はい、只今、最後のお客様がお帰りになられました」
それを聞いて、ボイラーのバルブを開いて圧力を抜くと、ボイラー室から出た。
ワルキューレがいないので、真田さんと暖簾を外す。

「!」
別に1人でも外せるし、本当に他意は無かった。
しかし、その様子をそろそろ銭湯を閉める時間と思い、せめて1日の終わり、時乃湯の暖簾を和人と外す行為だけはしたい。と思って来たワルキューレが見つけてしまった。
(か、和人様…… どうして真田さんと?)
・・・・・・
43名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 03:36:17 ID:54dL9Ods
居間ではワルキューレを除く3人が話し込んでる。
ワルキューレはさっきの光景…… 和人が真田さんと暖簾を外している情景が頭から離れなかった。
「今日さぁ、お釣りの50円玉が足りなくなってさぁ、あと500円玉も。 もうちょっと増やさない?」
「あら、そうでございますか。 では明日からそのように……」
他愛の無い話だが、参加出来ないワルキューレはいっそう疎外感が感じられた。
「ワルキューレ、大丈夫? 痛いの? 辛いの?」
沈み込んでるワルキューレを見て和人が声をかける。
その事は嬉しかったが、
「い、いいえ…… 大丈夫ですから」
とだけしか答えられなかった。

時間が過ぎて
「そろそろ寝ようっか?」
和人が切り出して寝る事になった。
今日もシャワーだけ浴びてパジャマに着替えたワルキューレがベッドに腰掛ける。
宿題をした昨日とは違って、今日は和人もすぐベッドに来た。
「じゃあ、おやすみ。 ワルキューレ」
軽くキスをすると布団に入って明かりを消した。

体が熱っぽく重い。
ず〜んとした痛みが絶え間なく押し寄せる。
それでも……
「あ、あの和人様…… あ、あの…… その…… きょ、今日もいかがですか? そ、その…… お出しになられたいのでしたら……」
言っててもの凄く恥ずかしい言葉だったが、今の自分が和人にしてあげられる事はこれしかない。
羞恥心を乗り越えて誘ってみた。
しかし、帰ってきた言葉はある程度予想してたものだったが、同時にガッカリしたのもだった。
「えっ! 今日はいいよ。 ワルキューレ、体大変だろうし。 ボクはいいから……」
和人も事情を知ってるだけに気遣ったのかも知れないが、そんなにアッサリ断られるとは思ってもみなかった。
(お前じゃ満足出来ないんだよ!)
なんかそう言い放たれたような気がした。
「そ、そうですか…… あ、あの…… 私は構いませんから、何時でも…… そのなさりたい時は……」
背中を向けてた和人がワルキューレの方を向いて、
「ありがとうね」
おでこにキスをして、また背中を向けて眠ってしまった。

和人もワルキューレが煩わしい訳ではなかったが、明日はライネとの約束がある。
彼女の様子からして、セックスは当然あるだろうし、ワルキューレにもムリはして欲しくなかった。
ライネとのデートはワルキューレにも内緒にしてて、後ろめたい気持ちもあったから、ワルキューレの顔が見れなかった。
本当なら、彼女をそっと抱き寄せてあげたかったのだが……
穏やかな寝息を立てる和人の横でワルキューレは明け方まで寝れなかった。
(和人様…… 私……)
44ワルキューレゴーストよ:2007/10/06(土) 03:42:45 ID:54dL9Ods
今日はここまで。
続きは多分明日のこれ位の時間…… かも。

しかし私達をAV女優に例えるとはね。
赤毛のあの娘が紅音ほたるで、亜麻色の巻き毛のあの娘が杏美月って……

さて、今日から3連休の人も多いと思うけど、私はねぇ……
ともあれ、いい週末・休日を。
ではおやすみなさい。
45名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 04:59:01 ID:n4e/xyBd
>>44
乙です!
なんだか大作になりそうな予感がして
次回の投下が楽しみです。

それと今回は、いつもよりエロシーンの描写が
細かくてGJですた。
46ワルキューレゴーストよ:2007/10/07(日) 06:38:47 ID:66IFQe1i
途中だけど感想ありがとう。
でも今回は心理描写に力を入れてエロは軽めのつもりだったけど……
まあ、最近エロなしとか薄めが多かったから仕方ないわね。
こってりしてたのあったのよ。
ネコの話とかこの娘(ライネ)のシリーズとか。
今日は予定を変えて、エロに力を入れた続きに中身を変更してお話させてもらうわね。
でも全体的な話の進みは遅れたけど。

そうそう、言い忘れてたけど、このお盆の3部作はあくまでこの3部作限定の設定だからね。
前に書いた話の設定を受け継いではいるけど、この話の結果は後の作品(作品番号49番目以降)には受け継がないから。
じゃあ、続きをさせてもらうわね。
47名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 06:40:13 ID:66IFQe1i
和人が目覚め、時計を見ると8時を少し過ぎていた。
(今日はライネと……)
体を起こそうとするが、ワルキューレがギュっと寝巻きの端を掴んでいる。
引っ張ってみても手は離れない。
声をかけてみるが、ワルキューレは完全に眠っているようだった。
仕方が無いので、その場で寝巻きを脱ぐとベッドを出て着替える。
(ワルキューレ……)
まだ眠っているワルキューレの名を心の中で呼ぶと部屋を出た。

下では既に真田さんが用事をこなしていた。
「あら、婿殿。 今日はお早いですわね」
真田さんに声を掛けられると、彼女に見透かされてるような気がして、ちょっと焦ってしまう。
「う、うん…… 今日はちょっと友達と用事があって……」
相変わらずウソをつくのは気分が良くない。
それでも真田さんは気づかなかったようで
「さようでございますか。 朝はよろしいですか?」
食事の心配をしてくれた。
「うん…… 夕方には帰ると思うから」
「かしこまりました。 姫様がお尋ねの際には、そうお伝えさせていただきます。 いってらっしゃいませ」
心遣い、目遣いが出来る真田さんが相手だけに、ことのほか緊張したが、無事家を出た。

商店街を抜け駅に着く。
いつもの目的地までの券を買って改札を抜けて乗り場に行くと既にライネは来ていた。
白のブラウスにピンクのフレアスカート。
帽子は中ライネのようなベレータイプ。
ピンクのベルトポーチをつけた私服姿。
首には今年の誕生日に買った黒い皮製のチョーカーがつけられている。
「おはようございます、和人様。 今日はよろしくお願いしますわ」
和人の姿を見つけるとペコリと頭を下げて挨拶をしてきた。

ライネからしてみると、自分の服装、姿を誉めてもらい気持ちもあるのだろう。
和人の正面を向いて、少し小首を傾げてニッコリと微笑む姿は可憐そのものだった。
「うん、おはようライネ そのチョーカーつけてくれてるんだね?」
「はい」
(コレを着けるのは和人様の前だけですわ。 コーラスにもワルキューレお姉様にもこれはお見せしませんもの)
(この「首輪」は私が和人様のペットである証。 誰にも知られてはならない、和人様とあたくしだけの秘密……)
想いを胸に秘め、和人の手を握った。
一方和人は、ライネを見ながら、昨夜の直接的な誘いをして来た事を思い出した。
恐らくライネはセックスをするつもり…… いや、セックスだけが目的かもしれない。
これから彼女と行う行為と、今の少女のような可憐さのギャップがライネの本心、心の奥深さを読みにくくしていた。
48名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 06:41:30 ID:66IFQe1i
ホームに電車がつき、乗り込む。
並んで座ると、ライネは
(もうよろしいかしら?)
という感じで辺りを見回してから、腕を組んできた。
しかし、2人の間に会話は無く、30分程して目的地の駅につくまで無言だった。
皆が知ってる、そして、自分もそうだと思ってた活動的で、言葉数の多いライネはここにはいなかった。
以前、中ライネと2人になった時を思い出した。
電車をおりて、いつものようにホテルまでの海岸通りを腕を組んだまま歩く。
お盆は過ぎたが、まだまだ暑く海水浴客も多く、少し沖では、サーファーが時折訪れる大き目の波を狙っている。

「ライネ、何か見たい物とかあるの? 服とかアクセサリーとか」
和人が尋ねると
「もう、和人様ったら、解ってらっしゃるクセに……」
潤んだ目で見上げながらナジった。
ライネが和人の手を引いて、寄り道を一切せず、いつものホテルに足早に向かった。
中に入ってパネルを見るといつもの部屋はやっぱり空いている。
パネルにタッチして出てきたカギを取ると、また和人の手を引いてエレベーターに乗った。

「和人様…… んっ……」
5階のボタンを押し、エレベーターのドアが閉まると同時にライネが唇を重ねてきた。
駅を出たときから、いや、それ以前に電車の中からライネはこの瞬間を待っていたように、和人の首に手を回して、しがみついて来た。
ドアが開くと唇を離し、足早にいつもの部屋に行くと実に手馴れた様子でカギを開けて中に入った。
オートロックがかかると、それこそ弾かれたように和人に抱きついた。
「和人様…… 今日は、いっぱい…… いっぱいしてくださいましな。 あたくし昨日からもう我慢出来ませんの」

いつもなら和人に服を1枚1枚脱がされる雰囲気、時間を楽しむののだが、今日は折角の私服なのにそれをせず、さっさと自分で脱ぎ出した。
ライネの大き過ぎる胸では彼女の言う
「可愛らしいデザイン」
のブラジャーは注文か取り寄せしかないようで、今日のは以前に見た、木の葉の透かしのレースがついているフルカップのブラジャーだった。
ホックを外すと、押し込まれてた乳房が開放された喜びを表すようにブルンと元気よく飛び出した。
ショーツ姿になると
「もう、8月も終わりと言うのに暑いですわねぇ」
胸を揺らしながらエアコンのリモコンを取ろうとするが、何かを思い出したようにそれを止めた。

代わりに、ベッドに寝転がり
「さあ、和人様。 最後の1枚は和人様が脱がせてくださいましな」
両腕を伸ばして和人を誘う。
「うん……」
和人も一足先に全裸になるとライネの両脚の間に腰掛けた。
眼下には白く大きな膨らみ、少し大きめの薄いピンクの乳輪があり、その頂点で膨らみと乳輪の面積に似つかわぬやや小さ目の乳首が呼吸に合わせて上下に揺らめいている。
49名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 06:43:41 ID:66IFQe1i
その乳首とその周囲ごと、大きく口を開けて頬張った。
「あんっ、もう和人様ったら、キスもしていただけませんのぉ…… う…… ん……」
そうは言ってもライネの様子からして、まどろっこしい前戯は欲しがってないだろう。
例えそうだとしてもそれは2回目以降で良いだろう。
そう思えたので、和人もストレートに欲望をぶつけた。
ライネも素直に快感に酔いしれる。
「ん…… 気持ちいい…… 和人様、こっちも……」
しゃぶられてる乳房とは逆の膨らみを手で持ち上げるようにして和人の顔に近づける。

昨日、銭湯に来たのだが、夜でもまだ少し蒸し暑い日が続いているし、今日も朝から気温は高かった。
ライネはうっすらと汗をかいたのだろう。
彼女が体を捩る度、乳房を顔付近に持って来た時に、ほんのり甘いライネ自身の体臭に混ざって汗の匂いが漂った。
和人がライネの胸を持ち上げるように上げると、膨らみの境界に舌を這わせた。
かなり控え目だが、確実に汗の味がしょっぱく感じられた。
ワルキューレもそうだったが、大きい胸は下側や谷間に汗をかきやすい。
ライネが以前に
「ちょっと放っておくと汗疹が出来て大変でございますわよ」
とボヤいてた事を思い出して、少し苦笑してしまった。

「もう、和人様ぁ。 そんな所はよろしいですからぁ……」
和人の顔を舐めて欲しい所に誘導すると、和人も大人しくそれに従う。
さっきまで舐めてた方の乳首を指でコリコリと捏ね上げながら、もう片方の乳首を弱めに噛んだり、舌で弾くように刺激すると、ライネは和人の頭から手を離して、シーツをギュっと掴んで悶えた。
「あっ、ああ〜っ。 和人様。 気持ちいい」
それでもライネは和人の腕を取って下半身に持っていく。
「脱がせてくださいましな。 あまり濡れると穿けなくなっちゃいますわ……」

和人がショーツのクロッチ部分に触れると、もう外からハッキリ解るほど湿っている。
胸から口を離して、股間に割り込ませて見ると、笹の葉のような小舟のような形にシミが出来ている。
少し透けて、やや濃く色づいた陰唇と、鮮やかなピンクの中身、薄っすら生えている陰毛までもが確認出来る。
シミの上から人差し指と中指を押し付けてグリグリとして、親指で布地を押し上げてる突起に触れる。
「あんっ! 和人様ダメですってば! イジワルなさらないで脱がせてくださいましなぁ」
シミが見る見る大きくのを嬉しく、また興味深く眺めていた和人だったが、彼女の言う通りにしようとショツのギャザーに手をかけてゆっくりと引き下ろす。

お尻の丸みに差し掛かるとライネが少し腰を浮かせて脱がせやすく協力してくれた。
後はすんなりと脱がせる事が出来た。
脱がせたショーツを内側から見てみる。
シミの淵は透明のサラサラした液が、やや内側には同じ透明でも少し粘り気のある汁がほんのり湯気を立てていた。
「もう、和人様!」
快感に酔いしれてたライネが一瞬にして正気に戻って、和人からショーツを取り上げると、脱いである服の方に投げ捨てた。
「あんな布キレよりも…… ホラ、その中身がココにございますわよ……」
半身を起こし、膝をやや曲げてM字に開いて中を見せつける。
ペロリと舌なめずりして誘うライネ。
こういう表情をする時、彼女が自分より年下の少女だと言う事を忘れそうになる。
姉のワルキューレや、数回しか無いが理性を失った時の真田さんより妖艶に見える場合があるのは彼女が持って産まれた男を誘う天賦の才なのだろうか?
ライネとの初めての時、中ライネとの本当の意味での初めての時でさえ自分に快感を与え、彼女自身も浅いながらも絶頂を覚えていた。
ワルキューレや真田さんは性格がそういう風なのか、膣内の感覚を言葉にする事は無い、もしくは出来ないのか解らないがライネはハッキリ描写できる。
50名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 06:45:23 ID:66IFQe1i
初めての時からそうだった。
口での奉仕も実にそつなくこなす。
ライネとしての初めて、中ライネの初めて。
両方とも口の中に射精されても口を離す事無く受け止め、射精を促すように舌で尿道口を刺激してくれた事は和人も驚いた。
単に体の相性と言うよりは、男を悦ばせる才能に長けていると考えて間違い無さそうだった。
本人はそれを自覚してないかも知れないが、彼女がそれに気づき、それを武器として使えば男はすぐに陥落するだろうし、彼女の前に屈服するのではなかろうか?
しかし、ライネはそのつもりは無いようで、男を屈服させてまつりごとに力を入れる事には興味無さそうで、それは以前本人も言っていた。
「あたくしは思うように、楽しく生きていたい」
メームやイナルバは顔をしかめていたが、半分は諦めているようだった。

そんな考えが頭を過ったが、和人も目の前のご馳走を賞味して快感を得ようと顔を潜り込ませた。
ショーツを穿いたまま濡れたせいでささやかな陰毛はピッタリと貼り付いている。
少し開き気味になってる陰唇に指をかけて開くと、汗と今朝トイレでしたであろうおしっこが乾いた匂いに混ざって、すでに粘り気の出てきたライネの果汁が混ざった少し生温い、少し酸っぱいような匂いが芳香となって揺らめく。
舌で味わうと、やっぱり少ししょっぱい味がしたが、それもすぐに無くなった。
指と舌で刺激され続け、パックリと開いた膣口から新たなシロップが後から後から溢れ出して来たからだったが、それも暫くしたら別のモノに変わって来たのだった。
泡だったような白く濁った、さっきよりもさらに粘り気が強く、少し生臭い汁が溢れ、和人の口回りをベトベトにしてしまう。
でも和人にとってはイヤでは無かった。
女性が本気で感じている証拠だし、何より自分を慕ってくれている女性のものだから。

半身を起こして和人を誘ったライネも完全に寝そべってシーツを掴み押し寄せる快感に耐えている。
時折、曲げた人差し指を噛み、意識が飛ぶのを堪えてるようだ。
連続して舐め続けた和人が疲れて、顔を離した瞬間、ライネはまた半身を起こして、和人を仰向けに寝かせると上にのしかかった。
「和人様、わたくしもう我慢出来ませんわ」
上から和人の硬く突き立った陰茎に手を添え、膣口にあてがうと、一気に体重をかけてズブズブと突き刺すように飲み込ませた。
「ああ〜…… き、気持ちいいっ! 美味しゅうございますわぁ!」
部屋中に響くような大声で、ライネが感想を漏らす。
「美味しい」
という感想は膣内の感覚がかなり優れてるライネ独特の表現なのかもしれない。
彼女にとっては上の口だけで無く、下の口でも同じ位味わえるのかも? とか思えた。
実際、ライネはかなり自由に膣内部を動かせる。
ライネの意識がハッキリしてる時、自分は満足して後は和人を気持ち良くしてあげようとする時に、膣に陰茎を差し込んで、妖しげに膣内(なか)を動かし、その内部の柔襞と粘膜を使って和人を天にも昇る気分にさせる事がある。
シャワーでお湯を膣に流し込み、それを噴水のように噴出させる事も出来る。
変身能力は皆が知るライネの能力だが、彼女の素晴らしい性器の具合を、ある意味彼女以上に実感して知ってるのは自分だけだと思うと、嬉しくもあり、ライネがことのほか愛しく思えるのだった。

下になってる和人にライネの切なげな香ばしい吐息がかかり、見上げると大きな胸が左右がまるで別の生き物のように自由奔放に暴れ回っている。
視覚的に満足した和人が果実を毟り取るように手を伸ばして掴んで揉みしだくと、ライネの膣粘膜がキュっと締め付けを強くして、妖しげな蠕動が和人をさらなる快感に陥れる。
「ラ、ライネ……」
名前を呼ばれたライネだったが、その後の言葉は解っていて
「も、もうちょっと…… もうちょっとだけ……」
身体を上下に揺さぶりながら懇願した。
「あうっ……!」
口を開いたまま顔を下向けたライネから泡立った涎とまだエアコンをつけてないので、全身から噴出した汗が和人の胸に落ち、それと同時に膣の締め付けがさらに強まり、内部の動きも激しくなった。
さらに膣の奥深くでは上下2枚の粘膜が唇のような役割を果たして、和人の尿道口をくすぐるように蠢いた。
この動きはワルキューレもあるが、姉妹でもそこは微妙に違う。
2人とも、絶頂時のこの蠕動は和人にとって最高の快感だったが、どちらが上と決められるものでもなかった。
51名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 06:46:52 ID:66IFQe1i
ただ、ライネのその膣の動きを確認すると
「ライネっ!」
搾り出すように言う。
ライネも
「はいぃ、いらしてっ和人様」
亜麻色の髪を振り乱して迎え入れる準備が出来た事を伝える。
「うっ…… うんっ!」
小さく呻き、息を詰めて和人の身体が一瞬硬直した後、最初はやや大き目に痙攣した。
「ああ〜っ…… お、奥が…… 奥まで来てる…… 熱いですわぁ……」
和人の胸に手をついて身体を支えていたライネが手をどけて和人の体に崩れ落ちた。
・・・・・・

しばらく荒い息を吐きながら倒れこんでいた2人だったが、暫くしてから和人が体をおこした。
「和人様、だっこ……」
甘えるように腕を伸ばしてきたので、ライネに腕を首にかけさせると、ライネを抱かえてバスルームに連れて行った。
そこで、ボディシャンプーとローションを混ぜて、伸ばしやすくし、さらに乾きにくくする為、お湯を混ぜて互いの身体に塗りたり、大きなエアマットの上でもつれ合う。
ニュルニュルと軟体動物になったような気分でもつれるのがライネは好きだった。
本当は和人もそうで、機会があればワルキューレともしたいとは思っていたが、ワルキューレとこの部屋に来る訳にはいかない。
ライネも
「するな!」
とは言わないだろうが、いい気はしないだろうし、そもそもライネとの関係がバレる恐れがある。
したがって、これはライネとしか出来ない行為だった。

暫くもつれ合ってた2人、ライネの柔らかい体の感触に和人の陰茎がもの欲しそうに鎌首をもたげたのを見計らってライネが身を起こし、さらに胸と和人の陰茎にローション入りのシャボンを塗ると胸の間に挟み込んで刺激する。
「あっ? えっ! ライネ?」
口や胸での愛撫にかなりの自信を持ってるライネ。
普段でも、ライネが本気を出せば、和人がすぐに情けない声を上げて身体をうち震わせて、彼女の口腔や胸に呆気なく射精してしまう事も多かったが、今日のは今までされた事の無い愛撫だった。
「んふふ、こういうのは如何ですか和人様?」
雑誌で見たやり方で初めてやってみたが、和人が上々の反応を見せたので満足だった。
「もの凄く気持ちいいよ…… あっダメだよ、もう出そう」
女性の身体に慣れ、射精もだいぶコントロール出来るようになった和人だが、今までにない快感に我慢の限界が来てしまった。

「和人様、あたくしお口でのご奉仕も新しいやり方を覚えてきましたの。 このまま胸で出されますか? それともおクチで?」
年下で小柄なライネにすっかり主導権を取られた和人が
「じゃ、じゃあ、クチで…… ちょ、ちょっと待って!」
和人の言葉を聞くとライネが乳房から陰茎を開放した。
最早、射精寸前でビクンと痙攣し、尿道口からは透明な液が滲み出ている。
(このまま搾り取ってもよろしいかしら? にひひ)
とか思ったライネだったが、自身もまだまだ楽しみたい。
ここは素直に和人に従った。
少し落ち着きを取り戻すまで待つと、シャワーでシャボンを流した。
「これでよしっと。 参りますわよ和人様。 いただきま〜す!」
舌なめずりして宣言すると、左手で髪をかき上げ、右手を陰茎に添えると小さな口をいっぱいに開いてパックリと咥え込んだ。
52名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 06:48:36 ID:66IFQe1i
「あっああ〜っ! んっ…… くっ! ライネっ!」
後は言葉にならず、ライネの頭を体に押し付けるようにすると、ライネの喉の奥に思いっきり、とても2回目とは思えない程大量に精液を流し込んだ。
「うんっ!」
新しい口戯をもっと試したかったのだろう。
ライネがやや不満そうな声とも息ともつかぬ声を鼻から出したが、いつものように和人の陰茎を離さず銜え続け、射精を促すように舌で亀頭の周囲や尿道口を刺激した。
やがて、射精も終わり、陰茎も舌の刺激を避けるように萎えて来た。
最後に舌で清めると口を離した。
「んっ」
顔をそらせるようにして、口の中に溜まった精液を飲み干すと
「如何でしたか、和人様? 気持ち良かったですか?」
返事は聞かなくても、和人の魂まで吸い取られたように満足している様子を見れば解る。
でも、それを和人の口で言って欲しい。
和人が満足した事、気持ち良かった事を耳で聞きたい。

「良かったよ…… 凄く良かった。 気持ち良かったよライネ」
この言葉を聞くとライネの胸は踊り、最高に充実した気持ちになれる。
セックスにせよ、身体の満足はもとより、和人のこの言葉を聞きたいが為にしているのかもしれない。
この言葉を聞くと心が満たされる。
愛する男性を満足させた、自分の身体で気持ち良くさせた。 という精神的な満足感、充足感。
偶然にもこの思いは姉・ワルキューレと同じだったが、彼女達が互いにそれを知る事はない。
和人だけが知ってる事だった。

「でも和人様ぁ、もうちょっとだけガマンしてくだされば、もっと気持ち良くして差し上げられたのにぃ」
あれ以上の快感。
和人には容易に想像出来なかったが、それは今日の終わりに知る事になる。
「あまりに気持ち良くて」
少し申し訳無さそうに言う和人を見て
「もう、和人様はお出しになられたい時にお出しになればよろしいのですから気になさらないでくださいましな」
ライネがシャワーを出して和人と自分のシャボンを流すと
「でも、和人様をそれだけ気持ち良くして差し上げたのですから、あたくしにもたぁ〜っぷりとご褒美をくださいましね」
バスルームから出ると、ポーチから今年の誕生日に買ったローターを出して、和人に渡した。
和人もローターと指や口を使って、ライネを嬲り彼女が数回軽く絶頂を迎えた後、間を置かずにうつ伏せにすると後ろからいきり立った陰茎を突き立てた。

バスルームの借りを返すように突きまくり、既に下地が出来ていたライネはたちまち大きな快感に身体をうち震わせた。
「か、かず…… ダメ、止めて…… あたくし、もうダメ。 おかしくなっちゃうぅぅ」
必死の懇願も無視して腰をぶつけるように突き続けた。
「和人様…… 和人ぉ」
(好き。 好きなの。 愛してる! 好きぃ、愛してるぅ…… 愛してるの和人ぉっ!)
しかし、この言葉だけは口には出せない。
薄れ行く意識の中で必死にシーツをかき集め、それを思いっきり噛み締めた。
そうしないと、絶対に言葉になってしまいそうだから……
やがて断末魔の悲鳴に近い声を上げ、枕には涙と鼻水と涎を、シーツには放尿。
水分が出る全ての穴から液体を噴出させて、快感のあまり神経が耐えられなくなる寸前に安全装置が働いたようにグッタリと気絶してしまった。
その直後に和人もライネの柔肉の奥に射精し、陰茎を引き抜くと支えを失ったライネの腰が自分のおしっこで濡れてるシーツに崩れ落ちた。
圧力で、射精したばかりの精液がライネの愛液に混ざって溢れ出し、新たなシミを作った。
・・・・・・
53名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 06:50:10 ID:66IFQe1i
「気持ち良かった?」
リベンジを果たした和人が今度はライネに尋ねる。
「もう…… 解ってらっしゃるクセに……」
まだ意識が戻ったばかりで目がとろんとしながら答えた。
「ああ〜っ! 気持ち良かったぁ!!!」
意識がハッキリ戻ると、いつも満足した時にいうセリフを言った。
「ホント、死ぬかと思いましたわ……」
快感を思い出すように呟く。
和人の様子で、自分が禁断の言葉を言わなかった事が解るとホッとしたと同時に少し寂しい気持ちになった。
(でも、今はこれで満足ですわ…… 和人様はあくまでワルキューレお姉様のモノですもの……)

おもらしをしてしまったので、もう一度シャワーを浴びた。
その時、途中で終わった口戯をして、和人は最後の1滴までライネに搾り取られた。
バスルームから出て髪を乾かすと2人は服を着た。
もう2人とも「おなか一杯」で和人は陰茎がヒリヒリする感じで、ライネはさらに快感が与えられると、神経が耐え切れなくなるだろう。
頭が半分ボ〜っとした感じからなかなか抜け出せなかった。
さすがにもうこれ以上は出来ない。
チェックを済ませて部屋から出ようとするが、ライネはまだ腰に力が入らない。
和人が肩をかして、なんとか外に出た。
まだ、頭がボ〜っとしてるのか、ライネは一言も喋らなかった。
海岸線にある堤防に2人で腰掛けて夕方と言うにはやや早い海を眺めていた。

「お腹空きましたわねぇ」
やっと出てきたライネの言葉がコレとは。
まあ、それがまたライネらしいとも思え、2人はお好み焼きの店に入ったのだった。
・・・・・・
54名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 06:52:21 ID:66IFQe1i
一方ワルキューレは明け方まで眠れなかった事もあり、目が覚めたのは昼前だった。
和人がいない事に慌てた。
真田さんに事情を聞くと
「どうして、起こしてくれなかったんですか! せめてお見送りしたかったのに! いいえ、お見送りしなければいけなかったのに!」
彼女にしては珍しく声を荒げて不満と怒りを口にした。
そして、打って変わって酷く落胆したのだった。
「い、いや、婿殿もご友人との付き合いも大切でございますし、姫様とはいつも一緒であらせられます。 そ、それに婿殿がお出かけの際に姫様のお体の事をご心配なされまして……」
咄嗟についたウソだったが、ワルキューレは顔を上げて満足したようだった。
ホッとした真田さんだったが、でもそれは一瞬で、すぐに俯いて
「和人様…… 和人様ぁ…… いや、いやなの。 和人様がいないと私は…… 和人様…… 和人様……」
返って来るはずの無い返事を待ち、愛する人の名前を呼び続けた。

これが「最初の兆候」だったのかもしれない。
後に真田さんがそう回想する事になる1日が暮れようとしていたのだった。
55ワルキューレゴーストよ:2007/10/07(日) 06:58:10 ID:66IFQe1i
今日はここまで。
「何だ? ただのライネとのエロ話じゃね〜か! ワルキューレの話じゃなかったのかヨ!」
ってのはナシね。
ちゃ〜んと整合性を持たせるし、意味があるパートなんだから。
続きだけど、何かこのまま終わっても良さそうな展開ねぇ。
…… 冗談よ。
時間までは約束できないけれど、早めにするから。

さて、今日は日曜日。
いい休日を迎えられるといいわね。
私はおやすみなさい。
そして皆はおはようなのかしら?
56名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 17:35:31 ID:3zDxqK5o
>>55
こ、これ……真田さんの回想なのか(ガクブル


エロの表現が細かくてGJ
57名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 23:59:14 ID:66IFQe1i
何か見れたりダメだったりしますね?
安定してないのかな?
途中で飛んだらいやですねぇ。

>>56
違いますよ。 まあ、それは後で。
58名無しさん@ピンキー:2007/10/09(火) 21:21:33 ID:f4s9ftmF
保守
59ワルキューレゴーストよ:2007/10/10(水) 04:50:19 ID:hko+ERF3
遅くなってごめんなさい。
非は私にあるわ、言い訳はしない。

ともあれ、続きを読んでくれる。
60名無しさん@ピンキー:2007/10/10(水) 04:51:50 ID:hko+ERF3
「和人様…… 和人様……」
呟きつづけるワルキューレにかける声も無い真田さん。
「ひ、姫様?」
かろうじてかけた声はただの呼びかけだったが、ワルキューレが自分の名前にビクッと反応した。
「そ、そうだわ! お風呂のお手伝いをしなくちゃ」
そのままサンダルを履いて庭に出た。

シートを外し、薪を取り出して、和人が使っている鉞で細かく割り出した。
「ひ、姫様。 危のうございます」
慌てて駆け寄ると、ワルキューレを止めようとする。
だが、その手を振り払い
「止めないでください。 私は和人様の妻なんですから、夫のお手伝いをするのは当然ですから!」
だが、今までやった事の無い事が急に出来るはず」も無く、思うように割れない。
ガッ
「きゃあっ…… いったぁ〜い……」

薪の端を叩いてしまい、跳ね上がった薪がワルキューレの手に当った。
「姫様。 大丈夫でございますか?」
「……」
真田さんが見るとワルキューレの白い手の甲から一筋の血が流れている。
心配そうに見つめ声をかけた真田さんだったが、ワルキューレはそれは全く目にも耳にも届いていないようだった。

ぬるっ……
血を指で拭うと生暖かいヌメリがする。
血のついた指先を舐めてみた。
鉄っぽい味が口の中に広がる。
「姫様……?」
真田さんが再び声をかけるが、ワルキューレは聞こえないように、薪を切り株の台に乗せると鉞を振るった。
61名無しさん@ピンキー:2007/10/10(水) 04:53:14 ID:hko+ERF3
「姫様、お止めくださいませ。 姫様がなさらなくとも、これは婿殿がいたしますし、婿殿が出来ない場合はこの真田がいたします故……」
「…………」
真田さんの言葉にワルキューレが反応した。
ゆっくりと顔を向けたが、表情は能面のように無い。
(和人様のお仕事だから…… 和人様が出来ない時は真田さんが…… 何それ? 私は必要ないの?)
「…… 止めないで」
ポツリと言い放った。

「えっ? 姫様?」
能面のような無表情から一瞬にして怒気を露にして
「だから止めないでって言ったのです! 私だって和人様のお役に立ちたい。 私だって和人様に必要とされたいの!」
目が潤み泣き出しそうになりながら言う。
「だから…… だからお願い。 私の居場所を取らないで! 邪魔をしないで」
そして、また危なっかしい手つきで薪割りを再開した。

ワルキューレの悲壮な覚悟を目の当たりにして真田さんは声を掛けられなくなった。
そこへ和人が帰ってきた。
「ただいま〜。 あっ、ワルキューレ」
やや薄暗くなって来た中で不慣れな薪割をしているワルキューレに驚いて声をあげた。
慌てて駆け寄るとワルキューレの手を抑え
「どうしたのワルキューレ。 こんな事しなくても」
止めに入る。

「和人様ぁ!」
和人の姿、声を確認すると、鉞を落として胸に飛び込んだ。
(一体、どうしたの?)
ワルキューレを髪を撫でながら抱きしめて真田さんを見る。
真田さんも
(さあ? わたくしにもさっぱり……)
そう言いたげに小さく首を振った。
62名無しさん@ピンキー:2007/10/10(水) 04:55:09 ID:hko+ERF3
「……」
暫く和人の胸に顔を埋めていたワルキューレだったが、顔を上げた時はいつもの明るい笑顔だった。
「おかえりなさいませ、和人様」
「……?」
その様子をますます不思議そうに見守る真田さんと和人。
(姫様はただ、婿殿がおられなかったので、寂しかっただけでございましょうか?)
「ワルキューレ、血が出てるよ、大丈夫なの?」
ワルキューレの傷に気づいて声を掛けると
「はい、大丈夫です」
舌を出してペロリと舐めた。
ゾクッ!
その仕草を見た和人と真田さんの背中に何故か冷たいものが走ったような気がした。
しかし、その後はいつものようにその日は過ぎて行った。

だが、次の日以降、ワルキューレの変化は顕著になる。
落ち込んだように俯いてブツブツと独り言を言ったと思えば、顔を上げていつも以上にはしゃぐように大きな声で笑ったり……
「いいよ、真田さん。 晩御飯の買い物はボクが行くから。 ワルキューレ、良かったら一緒に行こうか?」
和人が声をかけた時、それまで2人に聞こえない小さな声でブツブツと独り言を言ってたのに、パァっと表情が明るくなり
「はい、ご一緒させていただきます。 やったぁ!」
ワるきゅーレのようの小躍りする様子はさすがに2人には不自然に思えた。

まだこの時、和人と真田さんには理由は解らなかったが。

買い物に出た和人とワルキューレ。
和人の腕をとると、体をピッタリとくっつけて腕を絡める。
「和人様、私……・・・・・・」
あまり自己を主張しない彼女らしくなく、やたら雄弁に自分の事を語り出した。
自分の生い立ちから「幻の恋人」の伝承話、自分と和人は運命の恋人同士であるとか、自分がいかに和人を愛しているかとか。
まるで2人きり、ベッドの中で余韻に耽っている時のような話を外で堂々とするワルキューレに違和感を覚えたのだった。
63名無しさん@ピンキー:2007/10/10(水) 04:56:25 ID:hko+ERF3
スーパーに入ってもワルキューレはピッタリとくっついたまま。
それでも
「あっ和人様知ってました? 今日は卵が1パック50円なんですよ。 1人1パックですけど、私と和人様で2つ買えますね」
虚ろな表情で俯いていたが、チラシの事はハッキリと覚えていた。
元々頭がキレて記憶力もいいワルキューレだったか、ここ数日の様子からは考えられなかった。
「あっワルキューレ、和人さ〜ん」
「和人様ぁ、ワルキューレお姉様ぁ」
コーラスとライネが2人を見つけて近づいてきた。
「ライネとコーラスも買い物に来てたんだね」
コーラスとライネに声をかける。

だが、ワルキューレはさっきの笑顔が消えて、ギュっと和人の腕にしがみつく。
「どうしたのワルキューレ?」
和人が怪訝そうに言うが、ワルキューレは妹達を見て…… と言うより睨んでるように見える。
それでもライネが
「ホント、仲がよろしいですこと。 夏も終わりだというのにお暑ぅございますわねぇ」
冷やかすように言った。
いつもなら照れるワルキューレが今日は
「そうよ。 だって私達は恋人だもの。 夫婦になるんだから……」
ボソっと呟くように言うだけだった。
「???」×3
「ワルキューレ、どうしちゃったの?」
普段との違いにコーラスとライネが互いの顔を見合わせてから聞くが、それ以上はワルキューレは答えなかった。

「和人様、参りましょう。 コーラス、ライネまたね」
ポツリと言い放つと和人の腕を取って妹達の前から去ろうとした。
和人も
「う、うん。 じゃあ、ライネ、コーラスまたね」
ワルキューレに引っ張られて振り向きながら言った。
「はい、和人様お姉様もごきげんよう。 あっ和人様、今夜はお風呂に……」
言いかけた所でコーラスが止めた。
「もう、何ですの?」
コーラスを睨んで言うと
「何かおかしくなかった? ワルキューレ」
何時になく不機嫌そうな姉を見てコーラスも真剣な眼差しで言う。
64名無しさん@ピンキー:2007/10/10(水) 04:58:04 ID:hko+ERF3
「まあ、確かにご機嫌が悪かったみたいですけど……」
「だよね。 和人さんと一緒にいて、あんなに機嫌の悪いワルキューレって初めて見たよ」
「そうですわねぇ。 どんな時でも和人様とご一緒のときはニコニコされてましたのに」
「ボク達何もしてないよね?」
「そうですわね……」
残された2人が考え込む中、ワルキューレと和人は真田さんのメモ通りに買い物を済ませた。
その時は、いつものにこやかなワルキューレに戻っており、和人も
(機嫌が悪そうに見えたのは、ボクの気のせいだったのかな?)
と思ってしまったのだった。

その後はいつものように夕食を食べ、銭湯を開けた。
真田さんが時々、外に様子を見に行ったが、その時もワルキューレは普段どおりに明るく、茎子と談笑しながら、お客を見送り、出迎えていた。
(???)
(やはり何も…… わたくしの思い過ごしなのでしょうか?)
心に引っかかるものがあったが、中の仕事が忙しく、それ以上は考えている余裕も無かった。
銭湯を閉める時間になり、和人と2人で暖簾を下ろすワルキューレはとても明るく嬉しそうだった。
居間でリカが入れてくれたお茶を飲んでる時もワルキューレは実に明るく、今日の出来事などを事細やかに語る。
(!)
しかし、ココで1つの疑問が。
和人から聞いた話だと買い物に出かけた時、コーラスとライネに出会ったらしいのだが、その事についてはひと言も喋らない。
ワザと避けているようにさえ思えた。
姉妹の事なのに。

ともあれ、時間は過ぎ、各自が部屋に戻った。
和人が残り少ない夏休みの課題を、ほぼ仕上げの段階に差し掛かっていて、最後のページを終えた時もワルキューレはベッドに腰掛けたまま待っていた。
ノートと参考書を閉じると
「もう…… 課題は終えられたのですか?」
獲物を捕らえる獣のような鋭い目つきをしながら和人に言った。
「う、うん……」
思わず気後れしてしまう。
ところが、直ぐ直後には目つきが柔らかくなり、とろんとした視線を投げかけ
「ねえ、和人様。 私、今日は…… よろしいのですよ。 ふふふ……」
パジャマのボタンを外しながら妖艶な表情で誘い、ベッドに横たわった。
65名無しさん@ピンキー:2007/10/10(水) 04:59:21 ID:hko+ERF3
「いいの? ワルキューレ」
ワルキューレや真田さんから聞いた生理の期間は終わったみたいだが、それにしても、明らかにいつもの彼女ではない。
(「どうしたの、ワルキューレ?」)
本当は先の言葉より、こう尋ねたかったが、彼女の目に吸い込まれそうになってそれが出来なかった。
戸惑う和人を引きずり込むように
「ええ、良いのよ和人。 来て……」
舌舐めずりしながら、下着ごと脱いだパジャマをベッドの脇に捨てた。
「…… うん、じゃあ、ワルキューレ!」
明かりを点けたまま、ワルキューレの誘いに乗った。
その夜のワルキューレの乱れようは激しく、和人の背中や肩には無数の引っ掻き傷が付けられ、首筋にはキスマークが、そして胸元には歯形が付けられた。

満足し切ったように穏やかな寝顔のワルキューレ。
その姿を半身を起こした状態で見つめる。
月明かりに照らし出されたワルキューレは相変わらず美しい。
でも、ここ数日の彼女の考えてる事がよく解らない。
スイッチのオン・オフの差が激しいというか、感情の起伏が激しいと言うのだろうか。
「ワルキューレ……」
彼女につけられた引っ掻き傷を撫でながら呟くが、当然ながら返事は返ってこなかった。
何か、例えようの無い不安を抱きつつ、和人も眠りについたのだった。

朝になり和人が目を覚ましてもワルキューレは横で眠ったままだった。
昨夜の傷が痛み、起きてしまったのだった。
居間に行くと真田さんが、夏期講習に出かけるリカに朝食を出していた。
「あっ婿殿、おはようございます」
「お兄ちゃんほはよ〜」
「うん、おはよう。 真田さん薬箱って何処だったかな?」
まだヒリヒリする背中や肩を擦りながら尋ねた。
「あら、お怪我でもなされましたか?」
薬箱を持ってきて言う。
「うん、ちょっとね」
薬箱を受け取ると、寝巻きを脱いだ。
66名無しさん@ピンキー:2007/10/10(水) 05:01:06 ID:hko+ERF3
「あっ! む、婿殿……」
「うわっ! お兄ちゃんどうしたの? それって引っ掻き傷だよね? あっ歯型もついてる〜。 何? ワルQとケンカでもしたの?」
リカの言葉に
「いえ、とんでもございません。 姫様と婿殿がケンカだなんて」
「まあ、そうよね。 そんな様子無かったしね。 昨夜」
「まあね…… でもボクにも良く解らないんだ……」
「???」×2
とりあえず消毒薬付きの薬を胸や肩、腕に塗る。
「っつ!」
傷口に染みるのだろう。
思わず顔をしかめ、声が出てしまった。

「婿殿、お手伝いさせていただきます」
背中は塗りにくいだろう。 と気遣い薬を染み込ませた脱脂綿を受け取ると和人の背中に回った。
気遣いもあるが、状況からして主君・ワルキューレがつけた傷である事に間違いなかったので、ワルキューレの侍女である自分が治療を手伝うのは当然とも思ったからだった。
(それにしても、お2人の行為で、こんな事今までございませんでしたのに……)
「いたっ!」
「あら、申し訳ございません。 染みますか?」
慌てて傷口から脱脂綿を離した時、和人の不在に気づいて慌ててワルキューレが起きてきた。
「和人様!」
しかし、居間に和人がいる事が解ると安心したようにホッと息をついた。
だが次の瞬間。

「和人様!」
上半身をはだけていて、その背中にいる真田さんを見つけて、カッとなったように駆け寄った。
それで、この場所は私のものです。 と言わんばかりに。
「和人様、どうしたの? どうなされたのこの傷。 お手当てなら私がいたしますから」
真田さんを押しのけて、脱脂綿を取り上げると、赤くミミズ腫れになってる部分に薬を塗った。
「いったい、どうして?」
ワルキューレの言葉に3人が顔を見合わせた。
「はあ、何言ってるのよ。 アンタがつけたんでしょ。 夕べ」
「えっ?」
リカの言葉に一瞬訳が解らなくなったワルキューレ。
「あのさあ、別に2人の問題だからどうこう言うつもりナイけどさぁ。 あんまりアブノ〜マルなヤツとか、激し過ぎるのはどうかと思うのよね」
顔を赤くしながらリカが言ったが、当のワルキューレは
「ウ、ウソです…… 私が和人様を…… 我を失ってたとしても私が和人様を傷つけたなんて……」
67名無しさん@ピンキー:2007/10/10(水) 05:03:10 ID:hko+ERF3
「そんな大袈裟なモンじゃないだろうけどさぁ。 ねえ真田さん?」
「え、ええ。 そうでございますとも。 愛の行為も激しすぎると相手のお体に爪を立てる場合もございますし……」
真田さんがフォローするが、ワルキューレの白い顔はさらに白く、血の気が引いたみたいで、真っ青になっていた。
「うう…… う、ウソです。 私が…… 私が…… 和人様、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
いや、いいよワルキューレ」
和人がワルキューレを抱きしめて慰める。

いつもなら、これでワルキューレも治まるのだが、今日は違った。
「ごめんなさい…… ごめんなさい…… ごめんなさい…… 和人様、許して…… 許してください」
焦点の定まらない虚ろな目をして、ひたすら謝り続けた。
その目から涙が溢れ、和人の肩に落ちた。
「っ!」
涙が傷口に染みる。

「ちょっと、どうしちゃったのよワルQ」
リカが声をかけてもワルキューレは聞こえないようで、和人への謝罪を繰り返している。
「と、とにかくリカ様、後はわたくし達がしますので、リカ様は……」
真田さんに言われてリカは講習に出かけた。
外に出てリカが1つ大きく息を吐き出した。
「はぁ〜。 ビックリしたぁ」
(でも正直助かったなぁ)
ワルキューレの異常ぶりが怖かった。
椅子に座ってはいたが、膝の震えが止まらなかった。
「何…… あのワルQ。 あの目…… どうしちゃったんだろ?」
思い出しただけでも背筋が冷たくなった。

一方、家の中では暫く和人への謝罪を続けたワルキューレが、泣き疲れたのか、眠ってしまった。
真田さんがタオルケットを持ってきてかけると、和人と真田さんはちゃぶ台を挟んで向かい合って座った。
2人の間には言葉も無く、ただ、眠っているワルキューレを見つめるだけだった。
1時間程経っただろうか?
ワルキューレが目を覚まし、ゆっくりと起き上がった。
「あっ和人様、真田さん。 おはようございます」
「???」×2
いつものように明るく挨拶をするワルキューレに、和人と真田さんは顔を見合わせた。
しかも、その後は何事も無かったようにその日は平穏に過ぎた。
68名無しさん@ピンキー:2007/10/10(水) 05:05:17 ID:hko+ERF3
さらに日は過ぎ、長かった夏休みも今日で終わり。
明日からは新学期。
カバンに明日の用意をしてる和人の後ろ姿をワルキューレがベッドに座って眺めている。
「ワルキューレ、そろそろ寝……」
振り向いて呼びかけた所で言葉に詰まった。
(あの時の目)
虚ろな目をしているが、うっすら笑みを湛えているワルキューレ。
「和人様、お休みも今日でお終いですね。 また週末まで…… 出来ませんなら、今日は思う存分、お出しになられてください。 私の身体を使って……」
パジャマのボタンをい1つづつ外し、下も脱ぐと、和人の方に性器が見えるようにうつ伏せになってお尻を高く突き上げ、人差し指と中指で性器を開いてやや色づいたピンクの粘膜の中を見せる。
いつもは恥ずかしがって自分からは滅多にしない行為に、和人も驚きを隠せなかったが、今のワルキューレには逆らえない気がした。

和人が伸し掛かるのを確認するとワルキューレはタオルで自分の手を縛るように要求してきた。
「はい、この前みたいに和人様を傷つける事は出来ませんから…… 私はもう二度と和人様を……」
言葉はハッキリしているが、目はうつろなまま。
「でも」
和人にそんな趣味は無いし、セックスは2人の行為だと考えているので、相手の身体の自由を奪って一方的にする事なんてありえない。
まあ、そういう行為がある事は知ってはいるが、少なくとも自分の趣向ではない。
断ろうとしたが、ワルキューレの目を見れば、従うほか無かった。

終始体位も変えず、ひたすバックから突き出した。
(どうしたのワルキューレ?)
和人の気持ちをくみ上げる余裕も無く、ワルキューレは普段の羞恥心が無くなったように、家中に響き渡るような大きな声で喘ぎ続けた。
「あっ、ああ〜っ、和人出てる…… 出して…… 私の膣中(なか)にもっと…… いっぱい」
膣内の粘膜の蠕動からワルキューレが絶頂を迎えてるのは解る。
でも、本当にワルキューレは満足してるのだろうか?
自分だけで無く、相手(ワルキューレ)にも良くなって欲しい。
普段からそう考えてるだけに、最高の快感を与えられても、素直に悦べない和人だった。
「和人様、気持ち良かったですか? 後始末させていただきますね……」
何も考えずに、ただ、目の前の自分の身体が搾り出した精液と、自身の身体から分泌された愛液を纏わりつかせている陰茎を、アイスキャンディーを舐めるように、残りを吸い出すように口に含んで清めた。
(ワルキューレ……)
そして夜は暮れた。
69ワルキューレゴーストよ:2007/10/10(水) 05:08:01 ID:hko+ERF3
今日はここまで。
次はなるべく急ぐから。
じゃあ、おやすみなさい。
70名無しさん@ピンキー:2007/10/11(木) 03:06:35 ID:LEVJj5Ef
すごい・・・・。
続き楽しみにしてます
71名無しさん@ピンキー:2007/10/12(金) 23:26:08 ID:al/wAB57
お疲れ様、次も楽しみにしておりますよ。
72ワルキューレゴーストよ:2007/10/12(金) 23:45:25 ID:XrywKk4f
ウソじゃなくてホントの話ですけど、一昨日から今までアク禁食らってたのよ。
私には何の覚えもないのに。
それで、本当なら今朝に話す予定だった分を話すわね。
73名無しさん@ピンキー:2007/10/12(金) 23:46:53 ID:XrywKk4f
新学期が始まり、いつもの日常が再開されて数日が経った。
「それでは、婿殿、リカ様いってらっしゃいませ」
真田さんが頭を下げると和人とリカが振り返って手を振る。
「いって…… らっしゃいませ。 和人様…… リカ様……」
虚ろな表情でワルキューレが呟いた。

真田さんとワルキューレが家の中に戻っても、ワルキューレはボ〜っとしたまま。
何を語りかけても
「ええ……」
とか
「そうですね……」
としか返事は返ってこない。

金曜日。
「さあ、今日は金曜日でございますから、夕食はちょっぴり豪勢にいたしましょうか?」
真田さんがワルキューレに言う。
いつもなら、その意味を汲み取って
「や、やだ、真田さんったら…… で、でも和人様にはしっかりとしたお食事を採っていただかないと」
照れる様子がいつまでたっても初々しく、愛らしいのだが、今日は
「そうね……」
沈んだ声で返事が返って来ただけだった。

夕方になって和人とリカが帰って来た。
「真田さん、来週からボク帰るのが遅くなるから。 そこでちょっといいかな?」
「はあ……」
呼ばれるままにボイラー室について行った。
「わ、私もお供させてください!」
必死に和人の裾を掴んで懇願した。
「えっ! い、いいけど、銭湯のお話だから、あまり面白い話じゃないよ」
一応注意したが
「そ、それでも構いません。 私を…… 置いていかないで!」
あまりの形相に和人は黙って頷くだけだった。
74名無しさん@ピンキー:2007/10/12(金) 23:48:04 ID:XrywKk4f
ボイラー室で和人が真田さんに扱い方の説明をする。
使い方は知ってる真田さんだったが
「あの、婿殿。 何やらその申しようでございますと、来週からは1番最初のお湯を沸かすのを、この真田にせよ。 と申してるように聞こえるのでございますが……」
心配になって聞いてみた。
時乃湯はあくまで和人の沸かしたお湯が命。
たまに手伝う事もあるが、あくまで補助であって、自分がメインになる事は出来ない。
お客さんも和人の沸かしたお湯に浸かりに来てるのだから。

「あのね、さっきも言ったけど来週から帰りが遅くなるから、夕方にお風呂に入りに来るお客さんの為に真田さんがお湯を沸かして準備して欲しいんだ」
「他の家事もあって大変なのは解ってるけど。 ボイラーの使い方を知ってるのは真田さんだけだし、真田さんにしか頼めないんだ」
頭を下げて頼む和人。
パリンッ!
ワルキューレの心の中で何かが壊れたような音がした。
自分では無くて、真田さんに頼み事。
しかも、和人が非常に大切にしている銭湯の1番大切なお湯を沸かす仕事を……
(わ、私じゃなく真田さんだなんて……)
面白くない!

確かに自分はお湯を沸かすどころかお客さんの出迎え見送り位しかロクに出来ない事は解ってる。
それでも面白くなかったし、腹立たしかった。
「そ、そんなお顔を上げてくださいませ」
真田さんが和人に言い
「しかし、ホントによろしいのですか? わたくしごときがそんな大役を仰せつかっても」
「頼むよ。 ちょっとの間だけだから」
仕方なく真田さんも了承し、それを受けた和人が
「ワルキューレ、そう言うわけだから、ワルキューレにも苦労かけるけど…… ゴメンネ」
和人が詫びた。

「イイエ、ワタシノコトハ…… キニナサラナイデ……」

虚ろな目をして答えた。
75名無しさん@ピンキー:2007/10/12(金) 23:49:03 ID:XrywKk4f
時間は過ぎ、夜になった。
今日は金曜日。
いつもなら、たまに和人がワルキューレを求めるか、殆どはワルキューレが少し…… かなりはにかみながら、それでも恥ずかしいのか、部屋の明かりが消されてから、
布団に入ってしばらくしてから、モジモジと体を捩りながら求める。
しかし、今日は夏休みの終盤のように、さっさとパジャマを脱いで全裸になると、ワザと性器が見えるように四つんばいになって、指でパックリと開いて和人を誘った。
「和人様、イラシテ…… 和人様ノナサリタイヨウニ…… ワタシノカラダヲツカッテ、キモチヨクナッテクダサイ……」
「う、うん……」
見た目は変わらないし、言葉も以前ワるきゅーレがいて、変身した時(元に戻った)
に一瞬だけ会えた頃のような口調みたいで、彼女らしくない点はない。
でも何かが違う気がした。

あまり気が進まないが、なんとか奮い立たせて彼女を抱く。
しかし、いつもと変わらぬ愛撫をして、いつもと変わらぬセックスをしているのだが、ワルキューレの反応は薄い。
「あっ…… んっ…… んっ……」
声を出しているというより、和人がバックから突き刺し、圧迫された腹部から息が漏れて声が出てるだけのような気がする。
でも絶頂を迎えそうになってから、いつものような感じに戻る。
「ああんっ和人様。 いい。 気持ち良い…… もっと突いてぇ!」
ワルキューレの声を聞いて
(良かった。 やっぱりいつものワルキューレだったんだ)
安心すると思い切り彼女の膣に射精した。
だが、やはり気のせいではない事が直後に実感する。

自分の股間をティッシュで拭うと和人のほうを向き
「和人様、キモチヨカッタデスカ? アトシマツサセテイタダキマスネ」
にじり寄って、ヌラヌラとした陰茎に舌を這わせた。
「どうしちゃったんだよワルキューレ?」
無表情に陰茎をしゃぶって、清めているワルキューレにそこはかとない恐怖と違和感を感じて、思わず声を挙げた。
ハッ!
その声にワルキューレの目に光が戻ったような気がした。
「えっ? 如何なされましたの和人様。 あ、あの…… あまり気持ち良くないですか? ご、ごめんなさい……」
以前の口戯に失敗した時のように肩を落として、ガックリとうなだれた。
「あっ……!」
いつもの声のトーンに安心したのか、和人はワルキューレを抱きしめた。
76名無しさん@ピンキー:2007/10/12(金) 23:50:25 ID:XrywKk4f
「和人様……」
和人に抱きしめられ、髪を撫でてもらうと温かい気持ちになる。
少し痛い位に抱きしめられ、それが今この瞬間を生きてる。 と言う事を実感させられた。
「和人様、愛してます……」
想いのたけを言葉にする。
(和人様は? 私の事好き? 言ってください「お前だけを愛してる」と)
ワルキューレの思いが通じたのか、和人はワルキューレにキスをすると
「ボクも、ワルキューレを愛してる……」
ワルキューレ本人も自覚して無い心の闇が徐々にその勢力を強めているとも知らずに、温かい声と言葉に包まれて、ワルキューレは嬉しそうに和人の腕の中に身を委ね、眠りについた。

(「和人様、私信じてます。 何があっても和人様だけを信じてます。 だから……」)
・・・・・・

週が明けた月曜日。
和人が言ってたように夕方になっても帰宅しない。
手早く夕食の準備を済ませると
「姫様、申し訳ございませんが、リカ様がお帰りになったら、温めなおしてお召し上がりくださいませ」
本当はワルキューレの食事なので、自分が準備しないといけないのだが、今日は状況が状況。
用件を伝えると、ボイラーの取り扱いマニュアルと、ボイラー技師の参考書を読みふけり実戦に備えた。
(真田さんが羨ましい……)
声にこそ出さなかったが、和人の命に次いで大切な、和人にとっては命より大切かもしれない銭湯の1番湯沸かす大任を任されたのだから羨ましくないはずがない。
時計を見て、時間を確かめると早々とボイラー室へと駆け込んだ。
暫くしてリカが帰ってきて、真田さんが用意してくれた食事を温めなおして食べたのだが、その間もワルキューレは終始溜息が止まらなかった。

食事が終わるとリカが番台に座った。
間もなく今日のお客さん第1号が来た。
とは言っても丸と妙だったりするのだが、知り合いだからといってもお客さんであることには違いない。
「およ、今日はアンタが番台かい。 珍しいじゃねぇか」
「まあね」
2人は料金を置くと浴室に入って行った。
……
77名無しさん@ピンキー:2007/10/12(金) 23:52:16 ID:XrywKk4f
30分程して出て来た。
かつて何度か番台に座ってる時、2人がお風呂に入るのを見たが、今日は以前とは違っていた。
「あれ? 何かヘンだった?」
前の時は
「いやぁ、いい湯だったねぇ」
と妙が言えば
「ああ、そんじょそこらのフロとは訳が違うぜ」
と丸も納得の様子だったが、今回は……

「なんか、普通のお湯だったな」
「ああ」
今ひとつの感想を漏らした。
「何それ? フツ〜って当たり前よ。 ウチは温泉じゃナイんだからさぁ」
リカが反論する。
「いや、そういう意味じゃ無くてよ」
丸がタオルを首にかけたまま言うと
「う〜ん、温まったんだけどなぁ。 ちょっと違うんだよな」
妙も首を傾げながら言うのだった。
「まあ、今日はガマンしてくれよ」
白が顔を出した。

「どう言う事だい?」
妙が振り返りながら聞く。
長年トリオを組んでいた3人だけに声で解るのだろう。
驚いた様子も無く自然に会話が弾んだ。
「和人のヤツ、今日から学校の用事で帰りが遅いんだ。 だから、今日お前達が入ったお湯は侍女長が沸かしたんだよ」
「それでかい」
妙のそれこそ妙に納得した受け答えに
「何? 何? お兄ちゃんの沸かしたお湯と真田さんが沸かしたお湯でそんなに違うの?」
率直な疑問を投げかけた。
すると3人が一斉にリカの方を向き
「なんだぁ、お前さん風呂屋の妹なのに解らないのかい?」
「全然違うぜ」
「まあ、仕方無いかもしれないけどな」
白はリカを庇うが、リカは
「そんなモンなの?」
少し呆れたのだった。
78名無しさん@ピンキー:2007/10/12(金) 23:54:13 ID:XrywKk4f
(そういえば……)
お盆にゴーストが言った言葉が思い出された。
(「あなたは妹だから解らないのよ。 幻の恋人の存在と価値が……」)
(そ〜いや、ライネもそんな事言ってたっけ)
そんな事を考えていたら
「まあ、頑張ってる思いは伝わって来たけどな」
最後は事情を知ってフォローするが、やはり満足は出来なかったのか
「帰りに1杯どうだ?」
丸が誘うと
「いいねぇ」
快諾して2人は出て行った。

「おっ、お嬢ちゃんいたのかい」
下駄箱に出るとワルキューレがいた。
その顔は表情に乏しいが、口元はニヤリとしているように見えた。
「はい、ありがとうござました。 また来てくださいね」
見送りの言葉を告げると
「ああ、また来るぜ」
2人は暖簾をくぐって出て行った。

「ふふふ……」
ワルキューレが小さく笑った。
(そうよ、やっぱり和人様じゃないとダメなのよ。 いくら真田さんでも、和人様の代わりにはなれないのよ…… 真田さんなんかが和人様の代わりにだなんて!)
和人が自分を差し置いて真田さんに代わりを頼み、それを受けた真田さんの失敗(?)に内心ほくそえんだ。
しかし、次の瞬間我に返り
(だ、ダメ。 折角真田さんが一生懸命、和人様の代わりに頑張ったのに。 私ったら何を考えてたの?)
数回頭を振って、一瞬でも卑しい考えを自分を否定するようにして、持ち場に戻った。

8時になろうかとした頃、和人が帰って来た。
「真田さん、ご苦労様。 代わろうか?」
ボイラー室に入った和人に声をかけられ、汗だくの真田さんが疲れきった様子で振り向いた。
「は、はい…… お願いいたします」
普段は弱音を吐かない真田さんだったが、ボイラーという危険を伴う装置を管理し、主君と主君の夫となる和人の大切な銭湯を管理している。 といった責任、重圧に肉体はもとより精神的に参ってしまっていた。
体を引きずるようにボイラー室から出て、例の4人組を集めて指示をすると、母屋に戻ってしまった。
そして、今日も銭湯を閉める時間になった。
79名無しさん@ピンキー:2007/10/12(金) 23:56:17 ID:XrywKk4f
「ご苦労様、真田さん」
和人が気遣って真田さんにお茶を差し出す。
「はい、いただきます…… ああっ、おいしい……」
美味しそうにお茶を飲むとホッと息をついた。
「そんなに大変だったの?」
兄がしてるんだから大した事ではないだろう。 と思ってたリカが、家事全般をそつなくこなし、侍女達に指示を出し、全てにおいて完璧にこなす真田さんがこれほどの思いをするとは……
本当は丸や妙が言ったモンクを真田さんに言おうかどうか悩んでいたが、口をつぐんだ。
しかし
「大変と言うより…… わたくしの至らなさを痛感いたしました。 今日のお湯ではお客様は満足されてございませんでしょうし」

真田さんにも違いが解るのか、まだ自分の沸かしたお湯に浸かってないのに解ってるようだった。
「わたくしはお湯を沸かすのに必死で、婿殿のように心を込めるだけの余裕がございませんでした」
落ち込んでいるのか疲れてるのか、はたまたその両方か元気が無い。
「そうね…… やっぱり和人様じゃいないと……」
居間に来てから一言も喋らなかったワルキューレがボソリと言った。
「ワルキューレ!」
珍しく和人が声を挙げた。
ワルキューレも口に出てしまった。 と言うのが正解で、自分が何故そんな事を言ってしまったのか不思議だった。
彼女(真田さん)は一生懸命やった。 自分の出来ない仕事を彼女にしか急場を凌げないのを無事にこなしたのに。
嫉妬?
自分がイヤになる。
解りきってはいたが、そんな自分を嫌悪したが、和人を怒らせてしまったのが辛かった。
「ご、ごめんさない。 わ、私そんな事思ってもみなかったのに…… 真田さんホントにごめんなさい」

頭を下げて謝罪するワルキューレに
「そ、そんな姫様滅相も無い。 私が至らなかったのは事実でございますし、それで婿殿、ひいては姫様の、時乃湯の看板を汚してしまったのですから」
重い体を引きずるようにワルキューレの手を取った。
「いいんだよ、真田さん。 真田さんは頑張ってくれたもの。 ワルキューレも疲れてて、それでちょっと口が滑っただけだろうし。 ボクからも謝るよ、ごめんね。 ワルキューレにも悪気は無かったから…… ね」
和人がその場を治めたが、重苦しい空気が支配した。
「ま、皆疲れてるみたいだし、今日は皆で今からおフロ入ろうよ。 あっ、でもお兄ちゃんは男湯だからね!」
ちょっと冗談めかして、リカが言い、その場はなんとか治まった。
「それともアンタ(ワルキューレ)はお兄ちゃんと一緒に入る?」
さらに茶化すと
「い、いえ…… そ、そんな……」
いつものように真っ赤になって俯く。
その「いつものような」ワルキューレを見てひとます安心した和人と真田さんだったが、事態は2人の…… ワルキューレですら自覚出来てない思わぬ方向に進んでいた。
運命の歯車は少しづつ、微かな誤差を生じ、確実に狂い始めていた。
80ワルキューレゴーストよ:2007/10/12(金) 23:58:22 ID:XrywKk4f
昨日、今朝の分はここまで。
続きは今から書けたらいいけど、なるべく早くにするから。
81名無しさん@ピンキー:2007/10/14(日) 03:04:20 ID:1vqq9kk8
保守
82ワルキューレゴーストよ:2007/10/15(月) 02:50:07 ID:npluDMVs
ごめんなさいね、更新が遅くなって。
今日の分を話させてもらうわね。
83名無しさん@ピンキー:2007/10/15(月) 02:51:39 ID:npluDMVs
眠れないワルキューレ。
下から物音が聞こえた。
時計を見ると6時前。
真田さんが朝食の準備をしてるのだろう。
(……)
寝てないからか思考が上手く働かない。

それでも体を起こして着替えると、和人を起こさないように部屋を出た。
「姫様、おはようございます」
階段を下りる微かな物音でも逃さない。
真田さんの注意深さが、彼女の気が利く理由の1つだろう。
「お、おはようございます。 真田さん」

挨拶はしたものの、真田さんを正視しづらかった。
つい、うっかり…… 本当はそんな事なんて全く思ってもいなかったのに彼女を傷つける言葉を言ってしまった事に対して後ろめたさがあったから。
うっかり?
本当にそうなのだろうか?
丸や妙の言葉を聞いて、ざまぁみろ。と言わんばかりの事を考えたのではなかったか。
だが、ここの所ずっとボ〜っとしてる頭では良く考えられない。

ただ、体に染み付いた習慣から顔を洗ってエプロンをつけると真田さんを手伝った。
「あ、あの真田さん……」
昨夜の事を詫びようと声をかけた。
「はい?」
ワルキューレの方を見た真田さんの顔。
昨夜、あれ程疲れた様子を見せ、落ち込んでいたのがウソのようにはつらつとした顔だった。
無論、彼女の性格だから今でも落ち込んではいるのだろう。
それでも気丈に朝の準備をし、和人やリカ、そして自分に心配させないよう振舞ってるのが、自分との器の違いを感じさせる。
84名無しさん@ピンキー:2007/10/15(月) 02:52:50 ID:npluDMVs
「キノウハゴメンナサイ……」
真田さんの顔を見て、言うか言うまいか迷ってた言葉が出た。
「え? あっ! あの事ならお気になさらずとも。 私が至らなかったのは事実でございますから……」
パリンッ!
またワルキューレの中で何かが壊れた。
(何故、そこまで私を庇うの? 私が皇女で真田さんが侍女だから?)
一瞬の考えだったが、さらに自分が惨めだった。

(ナニソレ? ヨユウナノ? ジブンノデキノヨサヲジマンシテルノ?)

その時はワルキューレが自覚しなかったが、深層心理では真田さんの言葉に嫌悪感を感じていた。
自分が謝れば、真田さんがそう返事をする事が解ってはいたし、事実その通りの返事が来たのだが、無性に引っかかった。

真田さんは朝食の準備と並行してリカと和人のお弁当の準備もしている。
最近になってようやく時乃湯も利益が出だしたが、そうなると、さらに経済的に余裕を持たせたくなる。
学食よりも安く上がるお弁当を作り始めたのは新学期になってからだった。
昨夜の残りと、朝食のおかず。
それと一手間加えるだけで出来るので、お弁当を作るのはそれ程面倒ではなかった。
でも……
(オモシロクナイ、和人様ノオベントウナラワタシガ、ツクッテサシアゲルノニ、イエ…… ソウジャナイトダメナノニ)

ご飯に桜でんぶでハートこそ描かれてないが、和人の弁当箱を見ると、いかにも愛妻弁当のような感じがして気分が悪くなった。
もっともおかずやごはんはリカのと同じだから真田さんはそんなつもりでは無いのだが、今のワルキューレにはそう見えて仕方なかった。
「真田さん…… あの、明日から和人様のお弁当は私が作って差し上げたいのですけど……」
真田さんと比べて著しく料理がヘタな自分が言うのもおこがましいし、和人とて真田さんの美味しいお弁当の方が喜ぶだろう。
それでも言わずにいられなかった。

以前なら
(「ワルキューレ、お弁当美味しかったよ」)
(「ホント和人様? 嬉しいです」)
(頑張って作ってくれたお礼に、今日はたっぷりと……」)
(な〜んておっしゃりして。 いやぁん!)
体をくねらせて妄想したかもしれないが、今はそんな事は出来ないでいた。
漠然とした不安と恐怖が確実に心を支配しつつある。
それがワルキューレから笑顔…… と言うか表情を乏しくしていた。
「ええ、それはようございます。 婿殿もお喜びになられるでしょう」
真田さんが手を叩いて賛成する。
だが
「そ、それで、和人様のお弁当の分だけ、ご飯も私が炊いておかずも全部私が作って差し上げたいの」
ワルキューレの提案には驚いた。
85名無しさん@ピンキー:2007/10/15(月) 02:55:24 ID:npluDMVs
「えっ? いや、あの…… しかし……」
言いたい事は解ってる。
それでも思いと決意は変わらず、真田さんに炊飯器の使い方や、おかずの作り方のマニュアルを書いてもらう事にしたのだった。
味噌汁のいい匂いが立ち込める頃、リカが部屋から出てきて、和人も階段を下りてきた。
朝食を食べ終わり、
「婿殿、リカ様お弁当でございます」
差し出すと
「ありがと〜。 真田さんのお弁当美味しいよ。 おかず交換してる友達も美味しいって言ってるし」
リカが珍しく率直に礼と感想を言った。
「うん、そうだね。 美味しいよ。 毎朝忙しいのにありがとうね」

ガシャン!
さらにワルキューレの中で何かが壊れた……

和人達を見送ると、真田さんが洗い物と洗濯を済ませ、ワルキューレの為にマニュアルとレシピを書いた。
便箋に5枚にも及ぶものだったが
「姫様、これでよろしゅうございますでしょうか?」
差し出された紙を覗き込む。
「ええ、ありがとう……」
解りやすく書いてくれてはいるが、自分にはそう簡単には行かないだろう。
せめてお鍋や炊飯器が爆発しない事を願うばかりだった。
練習も兼ねて、明日から使う和人用に使う小さい炊飯器を出してきてテストをする事になった。
以前、自分達が来る前、和人とリカが2人で生活してた頃に使ってた物で、人数が増えたので使わなくなっただけで充分に使える。
もう1度洗ってから、米のとぎ方からマンツーマンでついてもらってレクチャーを受けた。

必死の思いと真田さんの指導で、何とかご飯は炊けるようになった。
おかずも卵焼きとかウインナー炒めとか簡単な物出来るようになり、昼ご飯に2人で食べた。
「まあ、美味しゅうございます。 これだったら婿殿もお喜びになられるでしょう」
敬愛するワルキューレが作ったと言うこともあり、真田さんは手放しで誉める。
まるで、見た目や味が少々おかしくても娘が初めて作った料理を誉める両親のように……
真田さんだから誉めてくれたのかもしれない。
そう思わない事もなかったが、自信にはなった。
86名無しさん@ピンキー:2007/10/15(月) 02:57:04 ID:npluDMVs
夕方になり、昨日に続いて真田さんがボイラーに火を入れる。
ワルキューレは明日の練習も兼ねて夕食の準備をした。
作り終えた頃リカが帰って来て、真田さんも戻って来る。
「ええ〜っ! 今日のご飯ワルQが作ったのぉ」
リカがあからさまに不安を口にした。
まあ、今までが今までだけに気持ちは解るが
「しかし、リカ様。 姫様はお昼に練習なさいましたから…… その時は美味しゅうございましたし」
ワルキューレを弁護した。

「でもなぁ……」
しかし、リカの不安は一口食べて払拭された。
「えっ!? これホントにアンタが作ったの? うん、美味しい!」
ワルキューレの方を見て尋ねた。
「さようでございますとも」
真田さんが自分の事のように胸を張った。

(良かった……)
ホッと胸を撫で下ろしたワルキューレ。
だが、リカの次の一言がワルキューレの心を凍りつかせた。
「うん、これならお兄ちゃんも絶対「美味しい」って言うよ。 てか、お兄ちゃんの好みの味付けだもんね」
ガシャン!
真田さんのレシピ通りに作った。
それが和人の好みの味付け。 と言う事は真田さんは直接和人に聞いた訳でも無く食べた時の反応とかで、和人が好む味とかを知ってたと言う事になる。
気遣い、心配り、目配り……
侍女ゆえの細心の注意を払ってると言えばそうなのだろうが、自分こそが宇宙で1番和人を愛してる。 和人の事を知ってるつもりでいただけにショックは大きかった。
その後のリカと真田さんの会話は耳に入らなかった……

真田さんがボイラー室に戻り、リカが番台に向かい、1人居間で和人を待つ。
(和人様…… 私が1番和人様を愛してるのに…… )
寂しい思いをしていた。
そろそろ自分も外に出てお客さんを出迎えしなくてはならない。
今ひとつ気分が乗らない所に和人が帰って来た。
「ただいま。 今日は早く帰れたよ」
和人が部屋にカバンをおいて着替えながら居間に戻って来ていう。
「お、お帰りなさいませ」
慌てて和人を迎え夕食の用意をした。
87名無しさん@ピンキー:2007/10/15(月) 02:58:43 ID:npluDMVs
「へぇ〜。 今日はワルキューレがご飯作ってくれたんだ。 いただくね」
ニッコリと微笑みながら口にした。
最初はやっぱりリカのように警戒しながら食べたが
「うん! 美味しいよ」
やはりリカと同じように驚嘆の感想を述べた。
「は、はい…… ありがとうございます。 良かった…… 和人様のお口にあって」
素直に喜ぶ。

「うん、ホントに美味しいね。 美味しいよ」
パクパクと勢い良く食べる和人を見て涙が出そうになる程嬉しかった。
「か、和人様。 明日から和人様のお弁当、私が作って差し上げてもいいかしら?」
別に聞く事もないのだが、聞いてみた。
和人がどう答えるかは察しはつくが、聞きたかった。
「うん、是非ともお願いするね。 楽しみだなぁ」

飛び上がりたい位に嬉しかった。
だが、同時に和人の
「美味しい」
とか
「美味しかったよ」
の一言がこれ程心に暖かいものだったとは。
今まで真田さんがその暖かさを全部独り占めしてたと思うと、非常に損をしていた。 と思えたし彼女に嫉妬した。
(デモ、アシタカラハ……)

その夜、平日にも関わらず珍しく和人が求めてきた。
(ワタシガ和人様ヲ、マンゾクシテサシアゲルノ…… ワタシダケガ和人様ヲ……)
・・・・・・
「あのさ…… ワルキューレ、その…… あまり良くなかった?」
やはり反応が薄かったワルキューレの顔を覗き込む。
「イイエ、キモチヨカッタデス…… デモ、和人様ハオキニナサラズニ…… ワタシノカラダデ、キモチヨクナッテイタダケレバヨロシイノデスカラ」
陰茎を舌で清めながら答える。
ゾクッ!
(またあの目だ……)
人形の目のように光が失われた目。
顔は微笑んでいるが、それがかえって怖かった。
自分の知らないワルキューレの別の一面を見てると思えたが、あまり見たいものではなかった。
こぼれるような女神の微笑みなら1日中でも見ていたいが、この不気味な微笑みは……
「アシタハオベントウヲツクリマスノデ、サキニネカセテイタダキマスネ」
ワルキューレの目に光が戻る事なく、彼女は眠りについた。
88名無しさん@ピンキー:2007/10/15(月) 03:00:11 ID:npluDMVs
「……」
カーテンの隙間から見える星空を眺めながら考える。
ワルキューレの事を。
何かがおかしい、でもそれが何かは解らなかった。
「ワルキューレ……」
既に穏やかな寝息をたてているワルキューレを呼びかける。
不安は拭えないが、とりあえず明日からはワルキューレが弁当を作ってくれる。
夕飯の出来は申し分なかったが、それでも今までが今までだけに完全には上手く出来ないだろう。
それでも楽しみだった。
愛する人が作ってくれる弁当だから不味いはずがない。
和人は漠然と感じる不安と恐怖を払拭する為に、極力ポジティブな想像をして寝る事にした。

ワルキューレが目を覚ます。
窓から見える外はまだ暗い。
暫くして目が慣れてくると暗闇の中でもなんとか視界が開けてくる。
時計を見ると4時半を過ぎた頃だった。
「オキナキャ……」
和人を起こさないように静かに起きると着替えて部屋を出た。
洗顔を済ませエプロンをつけると、真田さんが書いてくれたマニュアルを見て、まずはご飯を炊く。
分量も間違い無い。
炊飯器のスイッチを入れるとおかずに取り掛かった。

炊飯器が勢い良く湯気を立て始めた頃、おかずも1通り完成した。
しかし、ここで安心したのか急に眠気が襲ってきた。
ここ最近あまり熟睡出来てないし、昨夜は和人とのセックスがあった。
終わったのは1時を過ぎていたから、3時間位しか眠ってない。
「ダメ、ガンバッテ…… サイゴマデツクラナキャ……」
でも体が言う事を聞かず、テーブルに突っ伏してしまった。
「チョットダケナラ…… アトハツメルダケダカラ……」
……

朝になって真田さんやリカ、和人が起きてきた。
「あ〜! ホントにワルQ、お弁当作ってたんだぁ」
リカが驚きの声を出したが、ワルキューレが眠っているので、慌てて口をつぐんだ。
1つ味見をしてみる。
「うん、美味しい。 ワルQ頑張ったんだね。 でもお弁当箱に詰めてないけど。 でもこのぉ、お兄ちゃんの幸せ者」
冷やかすつもりで言ってみるが
「うん、本当にボクは幸せ者だよ。 ワルキューレありがとう」
リカや真田さんの目の前だが、ワルキューレの寝顔に軽くキスをした。
和人が自分の弁当箱を出して詰めようとするが
「お待ちください婿殿。 姫様は最後まで仕上げたいとお考えのはずでございます。 姫様がお起きになられましたら、最後まで仕上げていただいて、学校までお届けさせていただきます故……」
真田さんとしては、ワルキューレの気持ちを考えると、最後までしたいと考えていると思い、和人に提案したのだった。
「うんそうだね。 じゃあ、お願いするね」
眠っているワルキューレを除く3人は朝食を食べ、登校していった。
89名無しさん@ピンキー:2007/10/15(月) 03:01:25 ID:npluDMVs
ハッ!
ワルキューレが起きた時、真田さんが洗濯物を済ませTVを見ていた。
慌てて起き上がるとタオルケットがハラリと落ちた。
寝てる間に真田さんあたりがかけてくれたのだろう。
「い、今何時ですか? 私眠ってた……」
ワルキューレの声を聞いて
「姫様、お目覚めでございますか」
真田さんが台所にやってきた。
テーブルに目をやると、自分の作ったおかずと和人の弁当箱がある。
真田さんには直接見えなかったが、ワルキューレの表情は一瞬にして硬く強張った。
「和人様、和人様ハ?」
自分が眠っている間に和人とリカが出かけたのは解ってはいたが、お弁当を作ると言って和人の登校に渡せなかった後悔の念がワルキューレの目から光を奪った。

「サナダサン、ドウシテオコシテクレナカッタノ……」
ワルキューレの物悲しそうな表情に真田さんはただ、ひれ伏し
「申し訳ございません。 姫様は最近お疲れの様子でしたので、お眠りになられているのを起こすのはどうかと思いまして……」
「ヒドイワ……」
「申し訳ございません。 せっかく姫様が頑張られましたのに、最後をこの真田がするのは憚られます。 それに婿殿には姫様がお目覚めになられましたら、作っていただき、学校に届ける事で了承いただいておりますので……」
それを聞いて少しだけ安心した。
「婿殿の学校には真田がお届けさせていただきます」
ひれ伏したまま真田さんが言うが
「イイエ…… ワタシガトドケマス」
弁当箱を開けるとご飯を詰めて、おかずを詰め出した。

盛り付けまでは習わなかったので、バランスとか少しおかしい所もあるが、とりあえずお弁当が完成した。
フタを閉め、大き目のハンカチで包むと届ける事にした。
時間は11時30分。
お昼には充分に間に合う。
「姫様、真田もお供いたします」
真田さんも玄関まで来るが
「イエ、ダイジョウブヨ。 ワタシヒトリデ……」
ゾクッ!
「さ、さようでございますか」
ワルキューレの顔を見たらそれしか言えなかった。
焦点の定まってないような目で、ひきつったように軽く微笑んだ、まるで貼り付けたような表情。
人間と言うより人形のような表情は、微笑みをたたえているが、見るものには恐怖を覚えさせた。
90名無しさん@ピンキー:2007/10/15(月) 03:03:03 ID:npluDMVs
「では姫様、学校には連絡しておきますので。 いってらっしゃいませ」
頭を下げて見送ると
「イッテキマス……」
返事が来たが顔は上げられなかった。
真田さんのシッポがビリビリと突き立ち、潜在的な恐怖に警戒をしている。
(お怒りにはなられていないはずなのに)
イヤな冷たい汗が止まらなかった。
扉が閉められると思わず
「はぁ〜っ」
大きく息をついた。

ワルキューレが学校に着き守衛に
「トキノデゴザイマスガ……」
名前を告げると
「あっ、はいはい、時野さんね。 伺ってますよ、どうぞ」
中に通してくれた。
丁度午前の授業が終わったチャイムが鳴る。
「ワルキューレ、こっちよ」
ファムが出迎えてくれた。
「時野君にお弁当届に来たんだって?」
メガネを直しながらファムが冷やかし加減に言うが
「エエ、ダッテワタシハ和人様ノツマナンデスモノ……」
(?)
いつもと違うワルキューレを不思議そうに見る。

「時野君なら教室だと思うわ」
和人の居場所を教えると、ワルキューレは小走りに駆け出した。
「危ないわよ!」
ワルキューレを注意するが聞こえないようにその速度を速める。
ファムが後を追うが、廊下の交差点で
ドンッ!
ガシャ……
「きゃぁ!」
「キャッ!」
出会い頭に女生徒とぶつかってしまった。
その時、せっかくの弁当をぶちまけてしまった……
91名無しさん@ピンキー:2007/10/15(月) 03:04:48 ID:npluDMVs
「貴方達大丈夫? ケガは無い?」
ファムが声をかけると
「す、すみません」
女生徒がファムとワルキューレに謝った。
だが、ワルキューレは答えられなかった。
ぶちまけられた弁当を呆然と見ているだけ。
「あ、あの……」
悪い事をしたと思ったのか女生徒が声をかけるが、ファムがそっと手をかけ
(大丈夫だから、ここは私に任せなさい)
と言う感じで目配せすると、女生徒は頭をさげて去った。

「和人様ノオベントウガ……」
まだ立ち上がれないワルキューレが真っ青になりながら呟く。
「ワルキューレ大丈夫、ケガは無い?」
改めて聞くが聞こえていないようだった。
ハンカチを拡げて弁当箱にこぼれた中身を入れる。
ファムもしゃがんでそれを手伝おうとしたが、その手を払った。
「ちょ、ワルキュー……レ?」
その顔はファムの知ってるワルキューレではなかった。
血の気が引いて青白い顔色、焦点の定まってないようなうつろな目、その目から流れる一筋の涙は透明のはずだが、何故か血の涙のような感じがする。
「フフフ……」
ショックなのにうっすら笑みをたたえ、笑っているようにすら見える。

呼びかけても答えないワルキューレの異変にファムは思わずその場を去り、内線で教室にいる和人を呼び出した。
「ワルキューレ!」
息を切らして和人が駆け寄ってきた。
「和人様!」
聞きなれた声に反応して声の方を向く。

駆け寄った和人が思わず立ち止まってしまうワルキューレの形相……
92名無しさん@ピンキー:2007/10/15(月) 03:06:17 ID:npluDMVs
「オベントウガ……」
悲しそうな声で呟くと再びこぼれたお弁当を拾い始めた。
「何か、ワルキューレがお弁当作ったんだって? せっかく持って来たんだけど、ちょっとね。 で、申し訳ないんだけど時野君、慰めてあげてくれない? 私じゃダメみたいだし」
ワルキューレに聞こえないように小声で言うと、和人も黙って頷き、
「ワルキューレ、ありがとう。 持ってきてくれて嬉しかったよ。 食べられなかったけど、本当に嬉しかったよ」
学校の廊下であるにも関わらず、ワルキューレを抱きしめた。

だが、いつもと違ってワルキューレは表情1つ変える事無くお弁当を拾い集めている。
まるで何かに取り付かれたように……
あらかた拾い集めるとフタをしてハンカチで包んだ。
「和人様、ゴメンナサイ。 アシタハキット、和人様ガオデカケニナルマエニツクッテサシアゲマスカラ……」
和人の顔を正面から見ながら謝った。
ゾクッ!
昨夜の顔。
人形のような貼り付けたような笑顔。
しかし、うつろな目から涙が一筋流れた。
その様子が和人のみならずファムですらおののいてしまう。

「和人、ファムさ〜ん」
和人が教室から出たのを追ってきたのだろう。
秋菜が和人の様子を見つけ、近づいて来た。
「あっワルキューレも来てたんだ」
「うん、ボクのお弁当を作って持って来てくれたんだけどね。 ちょっと……」
事情を察したのか
「そうなんだ……」
秋菜も少し悲しそうな顔をした。
しかし、現実は無情で、校内放送が
「ファム先生と各クラス学園祭実行委員は視聴覚室に集まってください」
呼び出しの放送を告げた。
93名無しさん@ピンキー:2007/10/15(月) 03:10:19 ID:npluDMVs
「ワ、ワルキューレ。 その、ごめんなさい。 呼び出されちゃって……」
申し訳無さそうに言うファムの方を向きもせず、ただ黙って頷いた。
しかし、
「時野君も七村さんも急いでね」
この言葉にワルキューレが和人の方を向いた。
「ボクと秋菜がクラスの委員でさ、それで最近遅くなってるんだよ」
ガシャァン!
「和人様とアキナサマガ、イッショニ……」
油をさしてない人形のように、ぎこちなく秋菜の方を向いた。
「えっ? ちょ、ちょっと! 何?」
ワルキューレの形相に秋菜も驚く。
それでも
「で、でもカン違いしないでよ。 委員ってクラスごとにあって、結構な人数になるし、放課後だって準備で他の人も残ってるんだから、アンタが心配するような事は無いわよ!」
言わずとも良かった弁護だったが、ワルキューレにはそんな事はどうでも良かった。
(和人様ガ、アキナサマトイッショニ……)

「じゃあね、ワルキューレ。 私達行かないとダメだから」
和人の手を引いて去ろうとした。
「ワルキューレ、ホントにありがとう。 良かったら明日も作ってね。 楽しみにしてるから」
それだけ言うと秋菜に手を引かれてその場を去った。
(「そう言えば和人、結局お昼食べられなかったの?」)
(「う、うん」)
遠ざかる2人の会話が不思議と聞こえた。
(「私も食べなかったから、後で私の分けてあげるから食べよ」)
(「でも、悪いよ」)
(「いいの、私も1人分にしては多くてちょっと困ってたから」)
(アキナサマノオベントウヲフタリデ…… 和人様トアキナサマガ……)
顔を上げて和人の方を向くが、2人とファムは廊下の曲がり角を曲がって見えなくなった。

(イヤ、和人様…… ワタシヲヒトリニシナイデ……)

今度は涙が止まらなくなった。
しかし、お弁当を届けられなかった以上、学校にいる事は出来ない。
最近、帰りが遅いのは秋菜と一緒にいたから。
理由はどうあれ、結果的にそうなっている。
その事実からくる絶望感と、お弁当を届けられなかった無念さで、思うように動かない体を引きづるように足取りも重く学校を出たのだった。
94ワルキューレゴーストよ:2007/10/15(月) 03:12:38 ID:npluDMVs
今日はここまでで。
次からは展開が早くなるし、なるべく急いでお話するからよかったらつきあってちょうだい。
今日からまた一週間。 学生さんは学業に、社会人の人は仕事に頑張ってちょうだい。
それじゃ、おやすみなさい……
95名無しさん@ピンキー:2007/10/15(月) 17:58:20 ID:HUSChcw+
壊れっぷりが激しくなってきたよ・・・・
96前・359:2007/10/17(水) 03:15:12 ID:yKavv2OW
すみません、続きは週末まで待ってください。
97名無しさん@ピンキー:2007/10/17(水) 13:24:21 ID:3PCnDuOE
あまりむりなさらず頑張ってください
98名無しさん@ピンキー:2007/10/19(金) 17:01:33 ID:QYSk6ybK
週末って今日?
99ワルキューレゴーストよ:2007/10/20(土) 23:19:43 ID:p5j/Y//R
じゃあ、続きをさせてもらうわね。
100名無しさん@ピンキー:2007/10/20(土) 23:20:57 ID:p5j/Y//R
「ひ、姫様! 如何なされました?」
涙を流しながら帰って来たワルキューレを出迎えた真田さんが、驚いて声をあげた。
「……」
しかし、ワルキューレは玄関で靴を脱ぐと、無言のまま台所へ向かい、ハンカチを開けると弁当箱ごと叩きつけるような勢いで中身を捨てた。
「うわぁぁぁっ!」
ドシャッ!
せっかく作った弁当だったが、和人に食べられる事無く捨てられる。
ワルキューレの怒りとも悲しみともつかぬ声と共に……

「ひ、姫様!」
慌てて駆け寄った真田さんを振り払うように弁当箱を振り、中身をゴミ箱に叩きつける。
・・・・・・
「フフフ……」
捨て終わると力尽きたようにペタンと座り込み、力ない乾いた声で笑った。
「あ、あの…… 姫様?」
呼びかに答えるように真田さんの方を向く。
「ひっ……!」
涙こそ流れてるものの、その表情は全くの無表情で、いつもの暖かい笑顔は無い。

捨てられた弁当を見て、何らかの事情があって和人に食べさせられなかったのは解る。
ワルキューレの怒りとも悲しみともつかぬ悲壮な声。
そして何より涙。
和人の性格、そして昨晩の様子からからして
「ワルキューレの弁当は不味くて食べられないよ」
などとは絶対に言わないだろう。
(ああっ! やっぱりこの真田が参るべきでした。 それでなくともお供はすべきでした)
原因は解らないが、ワルキューレの姿を見て自分まで悲しくなってしまった。
「姫様、申し訳ございません……」
自分には非は無いが謝ってしまった。
「……」
しかし、ワルキューレは再びゴミ箱を無言で見つめたままで真田さんの方も向かずにいた。
101名無しさん@ピンキー:2007/10/20(土) 23:22:30 ID:p5j/Y//R
真田さんが、どう話し掛けようかと思案していたら、ワルキューレは魂の抜けた人形のような、ゆっくりと、そしてぎこちない動きで階段を上って行き、自分と和人の部屋に戻り、出てこなかった。
(姫様……)
真田さんも途方にくれたように座布団に座り込み、TVのワイドショーも聞こえてないようにボーっとするだけだった。
夕方になったが、ワルキューレの様子からして夕食の準備は難しいだろうと思い、準備を始めた時
「サナダサン、ワタシガシマスカラ……」
音も無くフラリと現れたワルキューレに心臓が止まりそうな思いだった。
シッポが突き立ち、ビリビリとした感じが彼女の野生が警戒感を知らせ、その主が主君である事が解ってもそれは止まらない。

(い、いえわたくしが……)
そう言おうとしたが、ワルキューレの顔を見たら言葉にならない。
目は焦点があっておらず、表情は硬い。
しかし、口元だけは緩み、うっすら笑みを浮かべている。
それが却って真田さんの空恐ろしさを感じさせた。

おののくように場所を空けると、ワルキューレは何事も無かったように夕食の準備を始めた。
恐る恐る様子を窺うと、料理に関しては問題なさそうで、包丁を持つ手元もここ数日の中では1番安定している。
これなら大丈夫だろう。 と思い
「姫様、わたくしはボイラーの方を見てまいりますので、何かございましたらお呼びくださいませ」
声をかけるが
ざくっ…… ざくっ……
「……」
無言のまま漬物を切るワルキューレ。

「あ、あの、姫様……」
聞こえてないのかと思い、もう1度声をかけるが、止めた。
ワルキューレの無言の圧力と言うかオーラが背中から滲み出てる感じがする。
(うるさい! 黙ってて!)
今にもそう言いそうな雰囲気……
真田さんは頭を下げて一礼し、逃げるようにその場を去った。
102名無しさん@ピンキー:2007/10/20(土) 23:24:05 ID:p5j/Y//R
そして、その日は過ぎた。
だが、ワルキューレの様子は和人が話し掛けた一瞬を除いて、戻る事は無くなっていた。
夜、ワルキューレが和人を求めたが、そのワルキューレは表情も歓喜の声も控え目で、射精後の陰茎を口で清める時も
「イカガデシタカ? ワタシノカラダハキモチヨカッタデスカ、和人様?」
と味気なく語り、
「うん、凄く良かったよワルキューレ。 ワルキューレはどうだった? 気持ち良くなれた?」
和人が尋ねても
「ハイ、トッテモ…… デモ和人様ハ、ソンナコトオキニナサラズトモヨロシイノデスヨ。 ワタシハ和人様ガキモチヨクナッテイタダケレバ、ソレデ……」
(ワルキューレ……)

夜、帰ってきてからもワルキューレは口数も少なく、時々何やらブツブツと呟いていただけで、自分から語りかける事は無かった。
昼間のお弁当の事、秋菜と学園祭の実行委員会になってる事…… 聞きたい事、言いたい事はあるだろうに。
だが、和人が2人きりになった時にそれを言ってみたが
「ゴメンナサイ、アシタハチャント、オベントウツクッテサシアゲマスカラ」
「ワタシハ、ナニガアッテモ和人様ヲシンジテマスカラ」
と答えただけだった。

朝。
と言ってもまだ外は暗い。
「和人様、オハヨウゴザイマス」
ワルキューレはゆっくりと体を起こし和人に挨拶をすると、着替えて台所へ下りていった。
和人の弁当の準備を始める。

お米を研いでた時、リカの言葉が頭を過った。
(「この味付けって、お兄ちゃん好みの味付けだもんね」)
真田さんのレシピ通りに作った料理を食べたリカの評だった。
「和人様ゴノミノアジツケ……」
考え込むワルキューレの目に透明な部分と濁った部分が混ざり合う、とぎ汁が入った。
シャカッ……
最後の一研ぎをして、お釜から手を出すと手から数粒の米が零れ落ちる。
「フフフ……」
不気味に笑うと、研ぎ汁を捨てて、お釜の中に引いてある線まで水を入れると、炊飯器にセットし、
「ワタシダケノ和人様。 ワタシダケノアジツケヲ……」
103名無しさん@ピンキー:2007/10/20(土) 23:25:42 ID:p5j/Y//R
グジュぅ……

口の中で舌を動かし、唇をすぼめるとピンクの唇からタラリと唾が糸を引きながらお釜に落ちる。
チャピ……
波紋が拡がり、水に交じり合うのを確かめると
「フフフ…… ンフフフ……」
満足そうに小さく頷きながら控え目に笑うと炊飯器の蓋を閉めスイッチを入れた。
おかずを作る段になり冷蔵庫から食材を取り出す。
ウインナーとニンジンに目が行くとスカートに手を入れてショーツを下げた。
「和人様…… ンッ……」
しなやかな指で昨夜、和人が思いっきり射精した膣とその周辺を弄り出す。
行為の後シャワーを浴びたので膣内(なか)に精液は残ってないが、昨夜の和人の愛撫を受けた性器は刺激に敏感で、たちまちヌメリを伴ったシロップのような愛液が溢れてきた。

ウインナーを1つ摘むと口に含んで唾液を塗してから……
「ウンッ…… アッ」
ヌルヌルになっている膣口にあてがうと、中に押し込んだ。
にちゅ…… ぬちゅ……
数回出し入れするとウインナーを取り出し、次のウインナーも同じようにする。
5本のウインナーに同じ事をすると最後に皮を剥いたニンジンを持った。
ペロリと舌なめずりすると左手を流し台について、少し前かがみの状態になって、やや後ろ側からニンジンをゆっくりと膣に埋め込んでいった。
「ンアアッ。 アアッ…… か、和人様ぁ、アイシテル、アイシテルノ。 スキ、スキッ…… スキィッ…… アウンッ」
一瞬ワルキューレの白い体が弾けると、白濁した液が床に落ちた。
ニンジンを引き抜くと、さらに愛液が溢れ、その白い太ももを伝った。
「和人様、ハナレテイテモ、ワタシヲカンジテイテ……」
上気した顔を呟くと息を整え、ティッシュで股間と太ももを拭うと調理を始めたのだった。
104名無しさん@ピンキー:2007/10/20(土) 23:27:24 ID:p5j/Y//R
炊飯器が湯気を立て始めた頃、おかずも1通り完成し、弁当箱を出した。
「あっ姫様、おはようございます」
真田さんがメイド服のエプロンの裾を直しながら台所に入って来た。
「オハヨウゴザイマス、サナダサン……」
一応挨拶は返ってきたが、今までのような弾むような声では無かった。

しかし、湯気を立ててる炊飯器と出来上がったおかずを見て
「まあ、もう出来たのでございますか? まだ6時過ぎだというのに。 姫様、恐れながら申し上げますが、ちゃんとお休みになられてるのでしょうか?」
心配そうに尋ねる真田さんに
「エエ、ダイジョウブデスカラ……」
表情1つ変えないで答えた。

ご飯が炊き上がるとしゃもじでかき回す。
ワルキューレが手際良く、それこそ機械のように正確にしゃもじで掬って弁当箱に詰めた。
それが終わると菜箸でおかずをバランス良く詰めていく。
心配になって横から覗いていた真田さんだったが、大丈夫そうなので朝食の準備に取り掛かる。
それを見たワルキューレはペロリと指を舐めると、唾のついた指でまだ熱いご飯に
「和人愛してる」
となぞった。
(ンフフフ……)
出来上がった弁当を満足そうに見つめ、粗熱がとれるのを待ってから醤油をかけた鰹節をまぶして蓋を閉めた。

真田さんによって朝食の準備が終わろうとした頃、和人とリカが起きてきた。
挨拶を済ませると朝食を食べる。
そして、リカがTVの時計を見て
「もう、こんな時間かぁ。 お兄ちゃんそろそろ出ないと」
と和人に言うと、出かける準備をする。
「リカ様、お弁当でございます」
真田さんがリカに渡すと
「和人様、オベントウデス」
ワルキューレも手渡した。
「ありがとうワルキューレ」
お礼と行って来ますのキスをするとカバンにしまって家を出た。
105名無しさん@ピンキー:2007/10/20(土) 23:28:54 ID:p5j/Y//R
(コレデ、アキナサマノオベントウヲ和人様オタベニナルコトモ…… ナイ)
「フフフ…… フフフフ……」
自然に声を出して笑ってしまった。
「姫様、如何なされましたか?」
顔を覗く真田さんが視界に入らないのか、無視するように台所に戻って洗い物を始めたのだった。
「姫様、朝早くからお疲れ様でございました。 あまりお休みになられてないご様子ですので、少々お休みなさっては?」
睡眠時間の少ないワルキューレを気遣った。
「ソウネ、ジャア…… スコシダケヤスマセテイタダキマス」
真田さんの方を向くことも無くそう答えると部屋に戻った。
眠るつもりも、眠くも無かったが、ベッドに横たわると自然に瞼が閉じ、眠りについた。

やはり疲れていたのか、寝入ってからは起きる気配が無かった。
(「ワルキューレ!」)
夢の中にゴーストが出てきた
(「ワルキューレ、このままでいいの? 今ならまだ間に合う……」)
(「やめて!」)
ゴーストが忠告してくるが、それrを夢の中の自分は耳を塞いで拒否した。
(「ワルキューレ!」)
なおも食い下がるゴーストを払うように顔を振る。
(「私は…… 信じてますから、何があっても和人様を信じてますから。 だから放っておいて!」)
(「ワルキューレ……」)
ゴーストの表情は何時に無く寂しげだった。

(「アナタモ、和人様トワタシノジャマヲスルノ?」)

(「違う! 私は貴方と和人を……」)
(キケテ…… キエロ!」)
夢の中のワルキューレが時(刻)の鍵を手にして身構えると、諦めたように
(「ワルキューレ…… 今のままではダメになる。 手遅れになる……)
寂しそうに言うと虚空に消えた。
106名無しさん@ピンキー:2007/10/20(土) 23:30:41 ID:p5j/Y//R
……
「ユメ? ッ! …… アタマガイタイ」
割れるように頭が痛い。
痛みが治まりかけたので、辺りを見る。
時計は4時を越えていた。

バサッ!
髪を振り払うと体を起こす。
真田さんが銭湯を開ける準備をする時間が近づいてる。
自分も夕食の準備をしなくてはならない。
(ナンダッタノ、サッキノユメハ?)
深く考える事も出来ずに1階に下りた。

日も暮れ、真田さんが侍女部隊に指示を出して銭湯を開けた頃、リカが帰ってきた。
それを見計らって真田さんも戻って来て夕食となったが、3人に会話は無い。
食事が終わると、リカが番台に行き、真田さんがボイラー室に行き、ワルキューレは和人を待った。
TVはつけているがワルキューレは特に見ているわけではなく、ただ静寂を打ち破る為だけにつけられてるようだった。
7時を過ぎた頃、和人が帰ってきた。
ワルキューレの姿を見ると
「ただいま。 ワルキューレ、お弁当ありがとう。 とっても美味しかったよ」
笑顔で弁当箱を返した。
「ヨカッタ…… アシタカラモガンバッテツクリマスネ」
笑顔で答えるが、和人には、目はうつろで、口元だけがニヤリとして笑ってるようにしか見えない。
それでも、嬉しそうに自分の夕食の用意をしてるのを見ると部屋に戻ってカバンを置き、着替えて食事をする事にした。

その夜。
ワルキューレは積極的に和人を求めた。
生理が近い事を体で実感してるのか、暫く和人を味わえないと思う危機感からか、和人の上に乗り、激しく腰を使った。
休む間もなく2回目の射精を膣に受けると、気を失ったようにそのまま眠ってしまい、先程までの嬌声が飛び交っていた部屋に静寂が訪れる。
以前のような互いの感情、心が交差する愛の行為も最近は一方的に快感だけを追及する行為になってる事は、和人にとってはあまり気分の良いものでは無かった。
「ワルキューレ」
横で寝息を立てているワルキューレの名を呼ぶと眠った。
107名無しさん@ピンキー:2007/10/20(土) 23:32:26 ID:p5j/Y//R
数日後、ワルキューレに生理が来て、夜も胸と口の愛撫だけになった次の日。
夕食を終えた和人がリカに代わって番台に座った。
「婿殿、番台ならわたくしが……」
ボイラー室から出てきた真田さんが気を使うが
「うん、いいよ。 それより真田さんも勉強の為にボイラーを見ててよ」
逆に気遣った。

真田さんがボイラー室に戻った時、扉が開いた。
「いらっしゃい」
声をかけつつ見ると
「あらぁ、和人様。 今日は番台ですのね」
ライネがポケットからサイフを取り出し、番台の和人を確認すると回数券をしまい小銭を出しながら見上げた。

「それじゃあ、お代はコレで……」
台にお金を置いた。
530円。
100円玉が5枚と10円玉が3枚…… 料金430円より100円多い。 2人の約束事で
「デートがしたい」
と言う事。
(ライネ……)
しかし、ライネは何事も無かったように
「ねぇ、和人様。 明後日の土曜にクリ拾いに参りませんこと?」
切り出した。
「お返事は後でくださいましな」
いつもの番号1番のロッカーを開けると、素早く脱いで浴室に入って行った。
108名無しさん@ピンキー:2007/10/20(土) 23:33:43 ID:p5j/Y//R
ライネと過ごす時間は楽しい。
街をブラブラする事もあまり高級でない店で何か食べてる事も。
そして、セックスも。
互いの欲求をぶつけ合い、身体を貪り合うセックスは身体だけじゃ無く心まで開放される。
以前はワルキューレとのセックスもそうだったが、最近は……
でも
(クリ拾い?)
ライネの提案は少々意外なものだった。
先月はボイラー室で2人きりの状況下だった為にストレートな希望だったが、今回はなんとクリ拾い。

でもまあ、別にセックスが無くても良かった。
近頃のワルキューレは口数も少なく、以前のような明るさが無く、空気が重苦しい。
語りかけても返事は殆ど無く
「ハイ」
とか
「ソウデスネ」
とか素っ気無い。
セックスも自分を気持ち良くしてくれようとしてるのは解るが、彼女自身が楽しんでる(?)様子は感じられない。
自分が気持ち良くなるからにはワルキューレにも気持ち良くなって欲しい。
自分の下で、腕の中で、実に気持ち良さそうに歓喜の声を上げてくれるのが嬉しかったし、それがあるからこそ、自分だけがワルキューレに気持ち良くしてもらってだけじゃない。 ワルキューレもボクで気持ち良くなってくれている。
そんな精神的な満足感も得られた。
今はそれが無い。

でも、ライネとのセックスは違った。
彼女は自分の欲求に正直で、して欲しい事も遠慮無く要求するし、自分の少々アブノーマルな、ワルキューレには頼めないようなお願いでも聞いてくれる。
愛くるしい顔を歪めて悶え、激しく乱れる。
お互いが楽しんでる。 と形容するのがピッタリだった。
無論、許されざる関係ではある事は自分だけで無く、ライネも自覚してるだろう。
それでも止められないのは、2人とも「心と身体の充実感」を求めてるからだと言う事は何となく想像できた。
だが、今回はライネの言い方だとセックスは無さそうだが、それはそれで構わない。
ライネが出てくると
「ライネ、フルーツ牛乳でも飲む?」
OKの合図をした。
109名無しさん@ピンキー:2007/10/20(土) 23:35:10 ID:p5j/Y//R
ライネも
「はい、いただきますわ」
と答え、愛子が管理してるストッカーに行く。
「あの、お代は頂いてるから、フルーツ牛乳を1本……」
和人がライネの背中越しに愛子に言うと
「は〜い」
ドアを開けて取り出し、フタを開け
「はい、どうぞ」
ライネに差し出した。
「ありがとうございます」
ニッコリと微笑んで受け取ると、バスタオルを首に巻いたまま番台に来た。

バスタオルからライネのやや大き目の乳輪がチラチラと見える。
さらに股間のささやかな若草のような陰毛は全く隠れておらず和人からは丸見えだった。
しかし、ライネはそんな事は百も承知だし、元々見せるつもりでいるので、むしろ和人がチラリと見てるのを喜んでいた。
腰に手を当てて飲む。
「ああ〜。 甘くて美味しゅうございますわぁ」
心の底から美味しそうに言った。
ビンを番台に置くと
「では、和人様、明後日土曜日にいつもの時間にいつもの時間で……」
バスタオルで体を拭きながら、ボソっと伝えた。
「でも今の時期にクリ拾いなんて、まだちょっと早くない? それにライネそんな里山とか知ってるの? 山登りとかあまり得意じゃ無いんだけど」
心配そうに言うが
「大丈夫でございますわよ。 服装も靴もいつもので大丈夫でございますから」
ドライヤーで髪を乾かしながら言う。

タイマーが切れて風が出てこなくなると、ドライヤーを置き、服を着る。
荷物をバッグに入れると
「じゃあ、和人様。 土曜日、楽しみにしてますわ」
ウインクして出て行った。
その夜はそのまま過ぎ、金曜日も……
ワルキューレは生理が来てるのだろう。
セックスの代わりに口や胸での愛撫を申し出てきたが、彼女の体のことも気遣い、やんわりと断って眠りについたのだった。
そして土曜日の朝が来た。
110ワルキューレゴーストよ:2007/10/20(土) 23:36:59 ID:p5j/Y//R
今回はここまで。
じゃあ、皆、良い休日を。

おやすみなさい。
111名無しさん@ピンキー:2007/10/21(日) 08:02:31 ID:z/9eVN+o
続きktkr

ワルキューレの弁当怖過ぎ……

112名無しさん@ピンキー:2007/10/21(日) 12:41:54 ID:geN+F02Y
メチャ面白いです。
続き楽しみにしてますね
113名無しさん@ピンキー:2007/10/22(月) 17:15:22 ID:DJEifgZn
相変わらずすごいデキだけど・・・・
これからさらに壊れてくんだよね
今いうことじゃないけど、次はほのぼのした話をキボンします
114ワルキューレゴーストよ:2007/10/22(月) 23:54:55 ID:uIVsamMc
途中にも関わらず感想くれてありがとう。
更新が遅くて、本当にごめんなさいね。

続きをさせてもらうから。
115名無しさん@ピンキー:2007/10/22(月) 23:56:33 ID:uIVsamMc
和人がワルキューレを起こさないようにベッドを出ると顔を洗い。食事も採らずに家を出る事にした。
ライネとの約束の時間は9時だったが、その時間までは家に居たくない。
真田さんとは間違いなく顔を合わせるし、リカもその時間には起きるだろう。
ここ数日は夜が明ける前に起きて弁当を作ってくれるワルキューレは昼前まで寝ているかもしれないが、早く起きるかもしれない。
(ボクは逃げてるのかな? 現実から……)
最近の重苦しい空気に押しつぶされそうになってた現状から脱出するかのように家を出たのだった。

しかし、約束の時間までは、だいぶ間がある。
かと言ってまだ朝も早いので、商店街の店も開いてない。
開いてる所と言えばコンビニ位しかない。
仕方が無いので、コンビニに入り、雑誌を立ち読みする。
読むと言ってもさして興味のある本でもないので、パラパラとページをめくる感じだったが、それだと時間が過ぎてくれない。
2冊を流し読みしたが、店に入ってまだ10分しか経ってない。
どうしようもなく3冊目の雑誌を手にとりページをめくり始めた。

「何をお読みでございますの?」
後ろから声がし、肩を叩かれた。
「うわぁっ!」
突然のことでビックリした和人が振り返ると、私服姿のライネがいた。
「ライネ…… 脅かさないでよ。 おはよう」
和人の驚きの顔を見てクスクス笑いながら
「はい、おはようございます和人様。 今日はよろしくお願いいたしますわ」
可憐な笑顔を満面にたたえて挨拶を返した。

「随分早いんだね。 まだ時間はあるのに」
本を元に戻しながら和人が言うと
「あらぁ、そう言う和人様も……」
「……」
2人とも同じ思いだったので、口には出さなかった。
同居人の目を逃れたい。 そんな思いが少なからずあったから……
しかし
「今日は和人様をお待たせしてはいけないと思いまして」
半分は本当だったが、実はかなりの割合でライネは約束をした日は早くからコンビニに来て時間を潰していたのだった。
だが、別にそんな事は言わなくていいと思ったので、全ては言わなかったが。
「折角ですから、今から参りましょう、和人様?」
和人の手を取って店を出た。
116名無しさん@ピンキー:2007/10/22(月) 23:59:17 ID:uIVsamMc
コンビニから出るとライネはいつもと違って和人と腕を組み、体をピッタリと寄せた。
駅に着くと
「今日は何処に行くの? 切符、どこまで買えばいいか解らないから」
ライネから預かったデート用の財布を出したものの、それが解らず困っていたら
「あたくしが買ってまいりますわ」
中からお金を出して券売機に行く。
戻って来てキップを渡す。
「あれ? これじゃぁ」
いつもと同じ額面のキップに謎が深まる。
「まあまあ、それより参りましょ」
腕を組んで和人をリードした。

いつもと同じ乗り場。
と言う事は……
電車に乗ったが今朝は珍しく混んでいる。
座れそうにないので、乗った方とは反対側の扉付近に立った。
和人が横に立つと
「和人様、これだと不届きなチカンに触られちゃうかも知れませんわ.ですから……」
ライネは自分が扉にもたれかかるようにし、和人には自分の正面に立ってもらった。
今までも何度か立って目的地まで行った事があったが、ライネはチカンの被害に遭ったのだろうか?
ライネのルックス、スタイルからして、触ろうとするチカンの心情も解らなくはないが、被害に遭う側の心情を考えると自分が役に立つのなら。 と協力した。

やがていつも降りる駅が近づいた。
「和人様、次ですわよ」
「えっ?」
駅に停まると、羽衣町から乗って初めてライネがもたれかかっていた側のドアが開く。
やはり和人と腕を絡めたまま、ライネが降り和人もそれに続いた。
改札を出てすぐにある海岸通りを歩く。
「あの、ライネ?」
「はい?」
何から聞こうと思ったが順番通りに聞く事にし
「ライネ、その…… 今までチカンに遭った事あるの? だったら今まで気づかなくて……」
少し申し訳なさげに言うと
「まあ、触られそうになった事はございますけどぉ、それは大丈夫ですわ。 あたくしの身体は和人様以外の殿方に触らせるモンですかって」
服の上からでもハッキリ解る、大きく突き出た胸を張ってドンと叩いた。
117名無しさん@ピンキー:2007/10/23(火) 00:02:41 ID:uIVsamMc
「そ、そう」
和人は少し困惑した。
自分を想ってくれるのは嬉しいが、そこまで面と向かって言われると照れるし、何より自分がワルキューレだけで無くライネにまでそこまで想われる事が不思議だった。
(そんな資格が、そんな値打ちがボクにはあるのだろうか?)
そう考えない事もなかっただけに、余計にそう思ってしまった。
「あたくしの胸もお尻の触っていい殿方は、あたくしの身体を自由になさって良い殿方は和人様だけですわよ」
頬を染めながらも堂々と言うライネが凄いと思ったし、羨ましくもあり、嬉しかった。
その話はそれで終わり、次の疑問。
「あ、あのさ、今日はクリ拾いって言ってたけど、ここ(海)にそんな木とかあるの?」
率直な疑問を投げかけると、自分の言った言葉に酔いしれてたように、少し上気させてたライネが、さらに目を潤ませて
「あらぁ、和人様ったらぁ。 もうクリ拾いをなさりたいのですかぁ?」
潤ませた目で横目に和人を見ながら答えた。

セックスを期待している時のライネの表情……
「では、早速クリ拾いに参りましょうか」
腕を解くと、手を取って小走りに見覚えのある裏通りを駆け出した。
そしてライネが走るのを止めた所はいつものラブホテルの前。
そのまま和人の手を引いて中に入って行った。
「えっ? ええ?」
驚く和人に構う事無く、入り口でいつもの部屋のパネルにタッチしてキーを取るとエレベーターに乗った。
いつものホテルのいつもの部屋。
5階の角の部屋で窓からは海が一望出来る凄くいいロケーションなのだが、不思議な事にいつもこの部屋は和人とライネが来る時はほぼ毎回空いている。
ライネはこの部屋が気に入ってるようで、一度だけこの部屋が使われていた時があったが、その時は他の部屋を使わず、人気の少ない外で行為をした事もあったほどだった。

手馴れた様子で鍵を開けて中に入る。
「もう、和人様ったらせっかちなんですからぁ。 積極的ですわね、今日は」
冷やかすように言う。
「ええ? だ、だって、ライネがクリ拾いって……」
慌てる和人を見てクスクス笑いながらバッグとポーチを置くと
「じゃあ、今からクリ拾いなさってくださいましな……」
しなだれかかるように抱きついてきて、キスをして来た。
「え? 今から?」
唇が離れて和人が言う。
今にも笑い出しそうなライネ。
118名無しさん@ピンキー:2007/10/23(火) 00:04:17 ID:ADOE9fGw
「お解りになられませんか? この部屋にクリはございますわよ。 厳密に言えば女の身体にクリがございますでしょう? 栗よりは小さいですし、イガに包まれてもございませんけどぉ」
ライネがベッドに横たわると、スカートをめくって白いショーツを剥き出しにして、僅かにクイコミが認められる中心部を指でなぞりながら
「ホラぁ、ココに…… ございますでしょう?」
大きく脚を開いて、誘った。
「……」
突然の出来事、ライネの珍説に唖然とする。
「ちょ、ちょっとぉ和人様。 何かおっしゃってくださいましな。 黙っておられると、あたくしも恥ずかしくて……」
度胸もあり、性に関して開放的なライネもこの沈黙に耐えかねたのか、ショーツに出来たミゾをなぞっていた手を離して、両手で顔を覆った。

「ふふっ、あはは……」
思わず笑ってしまった。
「もう! 笑うところじゃございませんことよ」
ちょっとスネたように言うライネが可愛かった。
同時に、ここ数日で心から笑った事は無かっただけに気分が晴れた。
「じゃあ、いいかな?」
ライネの横に転がると、改めてキスをし、ライネの言う「クリ」を探った。
「うんっ…… 和人様、ちゃんと脱がせてからにしてくださいましな…… あんっ…… もう! 聞いてらっしゃるの?」
執拗に弄る和人の手を抑えると、和人も観念したようにライネの服を脱がせ始めた。

一糸纏わぬ姿のライネがキュッと手足を縮めて和人を見上げる。
真っ白な身体を捩ると、大きく盛り上がってる胸がプリンかゼリーのように震える。
魅力的かつ魅惑的な膨らみにむしゃぶりつきたい衝動に駆られたが、今日は「クリ拾い」がメイン。
ムチムチと肉付きの良い太ももに手をかけて左右に拡げた。
その間に顔を埋め込むと、和人の頭を両側から、ライネのムッチリした太ももが挟みつける。
彼女が気にしてる、大きくハミ出した陰唇は少し開き気味で、新陳代謝が活発な年頃のライネらしく中からは既にシロップのような蜜が滲み出ていた。
和人がその陰唇に親指をかけ、左右に開くと膣口はポッカリと口を開け、同時に濃厚な性臭が漂ってきた。
いくらライネでも見られてるのが恥ずかしいだろう。
性器の下に僅かに見える肛門がキュッとすぼまったり、緩んだりしている。
それに合わせて、膣の入り口がまるで呼吸しているようにぱくぱくと蠢いているのがいやらしかった。

「か、和人様ぁ、早く…… お召し上がりになって……」
上気して目をとろんとさせながら、いつまで経っても触られもせず、舐められもしない不満を口にした。
「じゃあ、いただくね」
和人が優しい笑顔で言うと、顔を寄せた。
「んあっ……」
包皮の上から優しく指で刺激し、その包皮からチョコンを顔を覗かせているクリトリスをペロリと舐める。
汗か朝トイレに行った名残りなのか、少ししょっぱい味がする。
「あっ、あっ、あっ!」
指でプルプルと弾き、クリトリスの先端を舌で舐め続けると、ライネが切なそうな声を出し、やがて中身が鞘を押しのけるように突き立って来た。
119名無しさん@ピンキー:2007/10/23(火) 00:05:52 ID:ADOE9fGw
それを確かめると、包皮を剥いて完全に露出させると、唇でクリトリス全体を挟む。
唇の間から下で刺激すると、それに合わせてライネの身体が電気ショックでも食らったようにビクンビクンと痙攣した。
少し匂いが濃くなったので、一時愛撫を止め顔を離して見て見ると、透明でサラサラだった蜜はそれこそ蜜と形容するのが相応しいように粘り気のある液になっている。
左手の指で包皮をめくり続けて口でチュパチュパとしゃぶり、右手は人差し指と中指を揃えて、膣に進入させた。
くちゅ…… くちょ……
湿った音が響き、生温い蜜が纏わり付き、指を咥えて離そうとしない入り口付近の締め付けと、小さなツブツブのある粘膜の感触。
産道が折りたたまれて出来たザラザラした柔らかい襞の感触は最高だった。
何度もライネと身体を重ねてきたが、改めてライネの膣の内部を指で実感する事で、どうりで、最高に気持ち良いはずだと思った。

同時に和人の陰茎もその膣を味わいたくて鎌首をもたげて来た。
しかし、今日はあくまで「クリ拾い」。
挿入するのを我慢して愛撫を続けた。
「ああ〜、ああ〜ん……」
短い喘ぎ声から少し長めの声になり、和人の頭を締め付ける太ももの圧力がさらに強まり、もっと愛撫をせがむように両手で頭を押さえつけてくる。
さらに少し腰を浮かせて、和人の口に密着させるようにして来た。
少しイジワルして口を離すと、ライネはそれを惜しむようにさらに腰を浮かせてくる。
さらに和人が顔を離すと
「いやぁっ! もう、和人様。 イジワルなさらないで.。 続けて、早く舐めてぇ、早くぅ」
今にも泣き出しそうな声で懇願してきた。
「ごめんね……」
あまりにも可哀相になって来たので愛撫を再開したのだった。

愛撫を再開してからは、ライネの悶え方はさらに激しくなり、真っ白な肌もうっすらピンクに上気してくる。
にちゅ、にゅるっ……
膣と指の接点から漏れてくる音もさらに粘っこい物となり、匂いも少し生臭い感じになって来た。
目を下にやると、白く泡立ち、粘り気も匂いも強い汁が溢れ出てきている。
ライネの身体の痙攣からして、彼女が軽い絶頂を迎えそうなのを知ると、指と舌の動きを早めた。
「あっ…… ああ〜っ、だ、ダメぇ…… イきそう…… 和人様ぁ、イキそうですわぁ……」
さらにクリトリスを舌で弾き、時折大きく口を開けてクリトリスの周りごと頬張って強く吸ったり、指は膣内部を激しくかき回すと指がちぎれそうな位に強く締め付け、身体が大きく弾けた。
「あっ…… イク……」
いつもとは違って控え目に声を上げるとガクガクと身体を震わせて身を強張らせた。
「はぁはぁはぁ…… んっ…… はぁ〜っ……」
せわしない呼吸を繰り返すライネ。
和人もそれを見て膣から指を引き抜き、口を離した。
120名無しさん@ピンキー:2007/10/23(火) 00:07:04 ID:ADOE9fGw
引き抜いた指からはほんのりと湯気が上がってるような感じがしていやらしかった。
纏わりついた愛液が妖しげな光沢を見せる。
和人はその指を舐めてみる。
少ししょっぱさも感じられたが、生臭い匂いが口から鼻に抜けた。
白濁した愛液は口の中で唾液と混ざっても溶けずに残ったままで、和人はそのまま飲み込んだ。
「いやぁん、和人様のバカぁ……」
その様子を見て満足しながらも、恥ずかしそうにライネが両手で顔を覆いながら抗議した。
和人の手を抑えたかったが、身体が自由に動かないのだろう。
拗ねたように、ナジるだけだった。

「はぁ〜っ 気持ち良かったぁ…… じゃなかった。 和人様如何でした? あたくしのクリは? ちゃんと賞味頂けましたかぁ?」
和人に縋り付くように抱きつきながら聞いてくる。
「うん。 その…… とってもいやらしい匂いと味がして、あの…… 美味しかったよ」
ライネ同様、言った和人も恥ずかしくなって、それを誤魔化すようにライネを抱きしめた。
それを聞いたライネ
「ふふ、良かった。 じゃああたくしにも秋の味覚をくださいましな」
ライネが目を爛々と輝かせて言う。
「えっ?」
和人が解らないでいると
「あたくしは松茸狩りをしとうございますわ」
和人の体をズリ下がって行く。

それでようやく意味が解った。
「あらぁ、こんな所に…… これまたリッパなマツタケですこと!」
指で軽く握り、舌なめずりしながらライネが言うが
「しかし…… カサが拡がりきってますわねぇ。 こういうのはさっさといただきませんと。 と言うわけでぇ、いただきまぁ〜す。 にひひ」
舌で唇を濡らすと、髪をかき上げてから口を大きく開いてスッポリと咥えた。
口の中ではこの前和人をメロメロにした舌の動きが再現される。
さらに舌の裏側で亀頭の先の尿道口をヌルヌルと刺激しると、和人はたちまち情けない声を上げてしまう。
「ライネ…… 気持ちいいよ」
線が細く華奢な和人は年頃の男性と言うより、中性的な感じがする時がある。
うっとりとして目を閉じている和人は、ライネから見れば年上だが、なんか無垢な少年を犯してるようで、ゾクゾクと体が打ち震えるのだった。
121名無しさん@ピンキー:2007/10/23(火) 00:08:24 ID:ADOE9fGw
「ライネっ!」
和人の口調が切羽詰ったような感じになると射精が間近い。
ライネは素直に口を離すと
「んふふ、美味しゅうござますわ。 でも上の口だけで味わうのは勿体無うございますわねぇ。 ここは舌のクチでも賞味させていただきますわね」
小さな体が和人の上に乗ると、自らの指で膣口を拡げて必死に射精を我慢してビクンビクンと痙攣している陰茎をあてがうと、息を詰めて体重をかけた。
血管が浮き出ていきり立ってる陰茎がズブズブと膣に飲み込まれる。
その時の膣内部のツブツブと粘膜の襞の摩擦で危うく射精してしまいそうになった。
「ライネぇ、ズルイよぉ」
絶品である口での愛撫で射精寸前まで追い込み、さらに一度出して落ち着かせる事もせずに、これまた最高の快感を与える膣に挿入させる。
これでは和人どころか、射精を我慢出来る男など宇宙中を探した所でそうはいないだろう。
その事を思わず言葉にしてしまったのだった。

でもライネは
「あらぁ、あっ…… そうで…… んっ…… ございます…… かぁ?」
快感をかみしめるように、結合部を密着させてゆっくりと腰を前後に揺すりながら反論する。
「だってぇ…… んっ…… 和人様だって、あたくしがぁああんっ。 気絶するまでとかぁ…… おもらししちゃうまでぇ、容赦無くぅ、責めるじゃありませんかぁあああっ……」
下地が出来てるライネはまたもや小さな絶頂を迎えそうなのだろう。
額から汗がつぶになって、和人の胸に落ち、少女の香ばしい吐息が顔にふわりと降り注ぐ。
膣内部の粘膜も複雑な蠢きをし、入り口と内部が別々に締め付ける。
「ああんっ和人様ぁ、もうダメですわ。 上になってくださいましなぁ……」
和人の胸に寄りかかってきた。

和人がライネに背中に手を回し、ベッドの上を転がるように上下を替えると、そのまま正常位の体勢で生暖かいライネの膣に陰茎を突き入れた。
本当はもっとライネの膣を味わいたかったが、どうにも1度射精しないと治まらない。
腰の動きを早めると、ライネの乳首を抓るように、もう片方は下から持ち上げて乳首を吸った。
「ああ〜っ、イク…… ホントにイキますわぁ、和人様ぁぁっ……」
和人の背中に手を回し、ギュっと抱きつくと、膣の締め付けが最高潮になり、同時にライネの体がビクンと大きく痙攣した。
その後小刻みな痙攣が断続的に続き、ライネは声も出ないのか、口をパクパクさせて苦しそうに息をするだけだった。
我慢に我慢を重ねてようやく射精出来た和人は、1通り出し切るとライネの体に崩れ落ちた。
ライネにとっては心地良い重さを感じ、和人はライネの柔らかい肉のクッションに身を委ねるような感覚の中、意識が遠のいた。
122名無しさん@ピンキー:2007/10/23(火) 00:09:57 ID:ADOE9fGw
……
「あっ!」
和人が目覚めると、ライネが自分の陰茎をキレイに舌で清め、チュパチュパと下品な音を立てながらしゃぶっている。
「せっかくのキノコ汁ですもの。 最後までいただきませんと……」
それでも再び勃起させて、射精させる気はないのだろう。
暫くすると口を離し、和人の体にそって昇ってくると、太ももの間に自分の片方の太ももを絡ませて、和人の胸に顔を埋めた。
ライネの少しクセのある亜麻色の髪を撫でながら
「ライネって、本当に美味しそうにおしゃぶりしてくれるんだね」
囁くように言うと、顔も上げずに
「だって…… 和人様の……ですもの。 それにしても……」
「ん?」
「マツタケかと思ってたら、とんだ毒キノコでしたわぁ」
今度は顔を上げて、ニヤリとしながら言う。
「ええっ? 毒? それはヒドイよ」
和人が抗議するが
「毒ですとも。 1度味わったらそれでお終い。 あたくしはコレの中毒になってしまったのですから」
やっぱり少し恥ずかしいのか、顔を上げて和人の唇を求めた。

その後、ライネの口に射精し、バスルームでライネの胸で大きくしてもらってから、バックから突きまくってダメ押しの射精をして、少し早い2人の秋の味覚狩りは終わった。
服を着て部屋から出る準備をしたライネ。
だが、和人は服こそ着たものの、部屋を出る様子は無い。
「如何なされましたの? あっ!」
振り向きながら尋ねたライネに和人が抱きつき、そのままベッドに倒れこんだ。
ライネの白い帽子がベッドに落ちる。
「か、和人様?」
驚くライネ。
いつもと違う感じの和人であるとこの時解ったが、あえて
「もう、和人様ったら…… まだいたしたいのですかぁ? 出し足りませんのぉ?」
ワザととぼけて言って見た。

「ううん…… そうじゃないけど…… そういう訳じゃないけど、もう少しこうさせて…… お願いだから……」
弱々しい和人の声を聞くとライネはそのまま和人の頭を抱き抱え、姉か母親のようにやさしく撫でた。
どれ程の時間が過ぎただろうか?
「和人様……」
ライネが言いかけた時、和人が体を起こした。
「ライネ、ごめんね。 それと…… ありがとう」
和人はいつもの笑顔に戻っている。
「え、いいえぇ、どういたしまして……」
ライネもそうとしか返せなかった。
123名無しさん@ピンキー:2007/10/23(火) 00:11:06 ID:ADOE9fGw
2人はホテルを出て海岸通りを手を繋いで歩く。
9月も下旬になりさすがに日が短くなってるのが実感できる。
まだそれ程遅い時間ではないが、日は陰り始めていた。
「和人様、あたくし……」
(あたくしでよろしければ、何時でもよろしいですわよ。 ストレスの発散でも性欲の処理でも、あたくしの身体だけがお目当てでも、あたくしはそれでも……)
でも口に出来なかった。
「うん? 何ライネ」
「いえ、別に……。 あっそうですわ、今日もお風呂いただきに参りますわ。 コーラスも連れて、秋菜様とハイドラもファムお姉様も誘って皆で」
2人きりの時は極力、羽衣町も事や他の女性、特にライネ以外のヴァルハラ皇女の話題はしない事が暗黙のルールになっていたが、あえてそれを破った。
だが、和人もそれを気にする事もなく
「うん、ありがとうね。 待ってるから」
とびっきりの笑顔で答えたのだった。

その笑顔を見るとライネの胸は切なさではちきれそうになる。
(ああ…… 和人様。 あたくしライネは、貴方が…… 時野和人様をお慕い申しておりますわ。 愛してる…… もうあたくしにもどうにもならない位、貴方が好きですわ)
秘めたる想いをしまい込み、羽衣町へ帰った。
羽衣町の駅の構内で、改札口を抜ける前、隅の大きな柱の向こう側、殆ど人目につかない場所に行き、楽しい夢のような1日の終わりを告げるキスをするのがデートの締めくくり。
今日も2人はキスをしたが、心なしかいつもより長い感じだった。
事実、長い長いキスだったが、2人にとってはどうでも良かった。
今日だけは、そんな気がした……

「じゃあ、和人様、今日は楽しゅうございましたわ。 ではまた後ほど、ごきげんよう」
丁寧に頭を下げてアパートの方に帰って行った。
和人も帰り、短い夕食を済ませるとボイラー室に行ったが、真田さんが頑張ってるので、リカに代わって番台に座った。
ワルキューレは外で出迎えをしている。
「よう! お嬢ちゃん、疲れてるんじゃね〜か? ツラそうな顔してるぜ」
風呂上りの妙が話し掛ける。
「イエ、ワタシハイツモドオリデスヨ」
答えたが丸と妙は目を合わせて
(何か、おかしくないか?)
と思ったが、ワルキューレが一応笑顔を見せているので、
「そうか、だったらいいんだけどよ。 また来るぜ」
手を振って帰って行った。
124名無しさん@ピンキー:2007/10/23(火) 00:12:26 ID:ADOE9fGw
暫くすると女性ばかりの団体が見えた。
「アラ、ミンナ。 キテクレタノネ」
だが、ファムは「やっぱり」というような顔をし、コーラスも表情が冴えない。
しかし、ハイドラが
「何だぁ、シケたツラしてんじゃね〜ぞ。 それじゃあ客が逃げちまうぜ」
言いづらい事をズケズケと言う。
「ソウネ、キヲツケルワ……」
無表情で、口元だけ微笑んで答えるとハイドラも黙った。
「ソウソウ、ミンナアシタハジカンアルカシラ? ヨカッタラミンナデオチャデモドウ? アキナサマモ」
突然自分の名前を呼ばれて秋菜も驚く。
「ええっ? 私。 べ、別に良いけど、そっちは構わないの? 姉妹だけで話する方がいいんじゃない?」
秋菜なりに気を利かせたつもりだったが
「イイエ、アキナサマニモゼヒ」
そう言われると首を縦に振るしかなかった。

「じゃあ、いつものカフェに1時半に集合って事でいいかしら?」
ファムが段取りを決めると、全員が頷いた。
「んじゃ、さっさとフロに入ろうぜ」
ハイドラが中に入ろうとし、皆がそれに続く。
「ライネ」
ワルキューレが呼び止め、ライネも振り返る
「はい、如何なさいましたの? ワルキューレお姉様」
いつものように可憐な笑顔を向けて返事をすると
「アシタ…… キテネ」
念を押すように言った。
「ははは。 大丈夫だよ。 ライネはボクと一緒に行くから。 遅刻しないから。 ね?」
コーラスが割り込むと
「ソレジャァゴユックリ。 アタタマッテイッテネ」
2人の妹達を迎え入れた。

ワルキューレからお茶の誘いなどそれ程珍しい事でも無く、ワルキューレが誘わなくてもファムやコーラス、ライネやハイドラも機会を見つけては姉妹に声をかけてカフェで時間を過ごす事も、今ではそれ程珍しい事ではなかったので、話題にも上らず、皆は広いお風呂を楽しんだ。
ただ、秋菜だけは
(今回に限って私も?)
少し釈然としないままでいたが
「オイ、そんなに落ち込むなよ。 胸のデカさなんてのはなぁ……」
「ち、違うわよ!」
必死に反論するが
「ん? だってよう、さっきからライネの方ばっかり見てっからよぉオラぁてっきり」
まあ、ライネの胸に嫉妬を覚えてるのは事実だが、今日はその事ではない。
だが
「秋菜様、あまり大きいのも考え物でございますわよ。 何せあまり合うサイズのブラとか服とかがなかなか見つからなくてぇ」
言葉とはうらはらにその大きな胸を誇示するようにブルンッ! と揺すりながら言う
125名無しさん@ピンキー:2007/10/23(火) 00:13:27 ID:ADOE9fGw
(ライネめぇ!)
そう思ったが、実際その事で考えてたわけでもないので
「だから、違うわよ! もう!」
湯船から出て
「ハイドラ、私先出てるから……」
浴室から出ようとした。
「あらぁ、お先に番台の和人様に迫るおつもりですのぉ?」
ライネが冷やかすと
「だから、違うわよ、バカ!」
本当に出て行ってしまった。

「貴方達ねぇ、あまり七村さんをからかっちゃダメでしょう」
姉らしく叱り
「へ〜イ」
「はいはい」
ハイドラとライネはいつものように気の無い返事をしたのだった。
「それにしてもライネ」
ファムがライネを見ながら言った。
「はい?」
「貴方、前見た時よりスッゴク肌とかキレイになったわねぇ。 エステでも行ってるの?」
突然の質問にライネも困った。
雑誌で見た記事で、恋をして定期的に性行為をする事で肌がキレイになる(かも?)みたいな事を読んだ事がある。
今自分は和人と許させざる関係にあり、今日の昼間、それこそ和人と身体を交わしてきた所なのだ。

でもそれを正直に言う訳にも行かないし、
「え、ええ。 まあ、ファムお姉様に合うようなエステを探して、紹介してさしあげますわよ」
と誤魔化した。
やがて、全員フロから上がって、改めて帰りにワルキューレと約束を確認して帰路についた。
夜、和人とワルキューレは2、3言言葉を交わし、あとはお休みのキスをして眠り、夜はふけていった。
126ワルキューレゴーストよ:2007/10/23(火) 00:16:11 ID:ADOE9fGw
今日はここまでで。
次回からそろそろ佳境に入るから、良かったらその時は最後まで付き合って頂戴。
それじゃ、おやすみなさい。
127名無しさん@ピンキー:2007/10/23(火) 05:31:18 ID:f3Lv+WJa
GJJJJ! すごく続きが気になります! つーか、ライネとのセクロスが半端なくエロくて最高です。できればまた、ライネとのエロくてねちっこいのお願いします。いやほんとに
128名無しさん@ピンキー:2007/10/25(木) 17:40:32 ID:ySiJvAk+
いよいよ佳境か・・
前・359氏、ライネに乗り換えたんですか?
129ワルキューレゴーストよ:2007/10/28(日) 06:04:31 ID:n3WfVmNY
もう、ホントにごめんなさい。
遅くなってしまって。

それと伝言を預かってるから
「ねちっこいエロはライネじゃないとダメ? ねちっこいのは真田さん担当で、ライネは「明るく楽しく激しいえろ」を基準にしてるので」
「でも、ライネをご所望されるのでしたら、話を考えます」
だそうよ。 それと
「いえ、別に乗り換えたワケじゃ無いですよ。 ライネは好きだけど真田さんが好きです」
だって。

それじゃ続きをさせてもらうわ。
130名無しさん@ピンキー:2007/10/28(日) 06:06:04 ID:n3WfVmNY
日曜日の1時過ぎ、出支度をするワルキューレに真田さんがお供を申し出たが、断ると1人で家を出ていった。
ワルキューレ達がいつも使ってるカフェは商店街の外れにある静かな場所で、上品なアンティークが調度品に使われている。
1番奥の大き目のテーブルには、私服姿のファムが座っていた。
ミルクティーを飲みながら、雑誌を読んでいる。
カラコロ……
トアについたベルが鳴り、ファムが入り口を見ると、ハイドラと秋菜だった。
「七村さ〜ん、ハイドラ、こっちよ」
呼びかけるが、姉妹が集まる時はいつもこの席なので
「呼ばなくても解ってるよ」
面倒くさそうに言い、席に来た。

ウェイトレスが来る前にまた、ドアのベルが鳴り、今度はコーラスとライネが入って来た。
2人が合流して全員が座った時ウェイトレスが来て注文を聞きに来る。
「七村さん、遠慮しないで。 好きなもの頼んでね」
初めて参加し、学校では教え子の秋菜を気遣うが
「お〜し、ファムのオゴリなら遠慮するこたぁねぇな」
「さすがは給与所得者はリッチでございますわねぇ。 そういう事でしたらあたくしも遠慮無く」
ハイドラとライネがメニューを見た。
「貴方達は少しは遠慮なさいな……」
ファムが少し呆れて言うが諦めてもいた。
だが、ヴァルハラ星や学園惑星では優等生でツンケンした感じだったファムが姉妹達と一緒に時間を過ごすのは、地球に来てから。
直接、血が繋がってない姉妹だったが、こうやって集まってワイワイ話すのが楽しかった。

ハイドラにせよ、コーラス、ライネにせよヴァルハラ星の皇室予算から毎月それなりの額が出てるはずであるし、それは自分も該当するが、自分は学校教師をして別に所得を得ている。
楽しい時間を過ごせるなら、ハイドラやコーラス、ライネが自分のサイフをアテにして好き勝手に注文するのも、心の中では許していた。
「オレは…… バナナのパフェにカフェオレ…… それとミックスサンドを持ってきてくれ」
一度に注文するハイドラを
「ちょ、ちょっとハイドラ! 少しは遠慮しなさいよ。 いくら姉妹だからって。 これじゃまるで私がアンタに普段食べさせてないみたいじゃない!」
秋菜が焦るが
「いいのよ、七村さん。 ハイドラとライネはいつもこうだし。コーラスもだけど……」
半ば諦めの表情で言うファムだった。
「そうですわよ秋菜様。 と言うわけでぇ、あたくしは……」
「ボクは……」
遠慮してレモンティーだけを注文した秋菜を尻目にコーラスもライネも欲求に実に正直に注文をしたのだった。
131名無しさん@ピンキー:2007/10/28(日) 06:07:49 ID:n3WfVmNY
注文したいくつかが来て、テーブルはにわかに賑やかになり始めた頃
「そう言えば、ワルキューレお姉様遅いですわねぇ」
パフェに乗ったプリンを食べながらライネが呟いた。
「そうだよなぁ、あいつから呼び出しておいて……」
同じくハイドラも食べながら同意した。
「でも……」
いつになく真剣な様子の秋菜が切り出し、4人の皇女が秋菜の方を見た。
「最近のワルキューレって何かヘンじゃない?」
「……」×4
確かに全員がそれは感じていた。
こぼれる笑顔、そして和人の話題になると顔を真っ赤に染めて恥らうワルキューレはここ最近は見ていない。

焦点が定まっていないような、どこを見ているのか解らない目。
貼り付けたような、口元だけで笑っていて、表情らしい表情がない。
以前とは全くの別人のようになったワルキューレ。
箸が転んだだけでも明るく笑うワルキューレが皆の前から姿を消してどれ位が経つだろう。
カランコロ……
そんな思いを持っていた時、入り口のドアが開き、ワルキューレが入って来た。
それこそ人形のように首だけ動かして、皆の姿を見つけると、音も立てずに近づいて来た。
ゾクッ……
全員が背筋に冷たいものを感じた。
「ミンナ、コンニチハ……」
不気味に口元だけで笑うと、秋菜とハイドラ、ライネ達と向かい側、ファムの横に座った。

ウェイトレスを呼び、ミルクティーを注文すると、また沈黙が支配する。
暫くして頼んだミルクティーが来ると、たまらずハイドラが沈黙を破った。
「んで、何の用なんだ? おめぇのツラ見る限り、あまり景気の良い話じゃ無さそうだけどよ」
言い辛い事をズケズケ言うが、逆に今日は助かった。
今のワルキューレは話し掛けるのも恐ろしい。
だが、ハイドラが話し掛けた事によって、他の皆も話し掛けやすくなった。
「アンタさぁ、凄く疲れたような顔してるじゃない。 ちゃんと寝てるの?」
秋菜切り出すと
「そう言えばあまり寝てないかも。 時野君のお弁当、毎朝作ってるもんね」
ワザとファムが茶化すように言ってみた。
132名無しさん@ピンキー:2007/10/28(日) 06:09:22 ID:n3WfVmNY
「そうよね。 でも和人喜んでるよ。 「おいしい」って言ってるし」
秋菜が学校での様子を伝える。
「……」
ワルキューレはティーカップに口をつけたまま何も答えない。
「あらぁ、そうでしたの。 お姉様、お料理の勉強なさってるのですねぇ」
ライネが意外そうに言う。
「エエ、ソウネ……」
やっとワルキューレが口を開いた。

「タシカニネテナイノ…… デモソレダケジャナイノヨ……」
表情に乏しいのは相変わらずだが、口だけがニヤリとワルキューレらしからぬ、おぞましく歪んだ。
「何それ?」
コーラスが率直に感じた恐怖感をなるべく表に出さずに尋ねてみた。
「オベントウヲツクルカラ、ホントウハハヤクネムラナイトダメナンダケド…… ネカセテクレナイノ…… 和人様ガ、フフフ……」
「!!!」×5
「ココノトコロズット、和人様ッタラワタシヲダイテクレルノヨ。 ガッコウガアルヒデモ…… マイバン。 サイテイデモ2カイハダサレテマンゾクサレルマデネカセテクレナイノヨ」
「……」×5
絶句する4人をよそにさらに雄弁にワルキューレは続ける。
「オトトイナンカ3カイモ…… 3カイモヨ。 ワタシナンカナンカイ、イカサレチャッタカオボエテナイノ」

「何だぁ、おめぇの自慢話かよ」
ハイドラが顔を赤くしながらも強がると
「何ですの。 あたくし達を呼び出したのはワルキューレお姉様の惚気話をされる為でしたの?」
ライネも少々困惑気味に言う。
普段から、憧れのワルキューレと和人との性に関しての情報には興味津々のライネだったが、からかうと恥らう姉が可愛かったし、それだけに聞きたかったが、こうもあからさまにきかされると食傷気味になる。
「ねえ、ワルキューレ。 別に貴方達夫婦の問題だから、どうこう言うつもりはないけど、そんな事はこんな時間に、堂々と話す話題じゃないでしょ。 2人の仲が良いのは、それこそ良い事だけど……」
ファムが伝票を持って立ち上がろうとする。
歪んだ愛情とはいえ、ワルキューレを慕ってるファムにとって、そんな生々しい、夫婦の性生活の話などはあまり聞きたくは無かった。
「そうですわね、帰りましょうか」
ライネも立ち上がった。

ガッ!
立ち上がったファムとライネの手をワルキューレが掴んだ。
「あいたたた。 痛いですわよ、ワルキューレお姉様!」
「い、痛いって」
2人が声を上げた。
それによって、ワルキューレが尋常ならぬ力で2人の手を握った事を知って、ハイドラとコーラス、何より秋菜が驚いた。
「もう、解りましたわよ」
「解ったから、手を離して頂戴」
ライネとファムが座りなおすとワルキューレも手を離した。
それから、2時間に渡ってワルキューレは実に雄弁に和人との性生活を語った。
133名無しさん@ピンキー:2007/10/28(日) 06:13:13 ID:n3WfVmNY
「ソレデ和人様ッタラコウイウノヨ。 「ああ、ワルキューレの胸は最高だよ」ッテ。 ワタシモモウ、和人様ナシデハ、和人様ニダイテイタダカナイト…… オカシクナッチャウ」
「ワタシハモウ和人様ガイナイトダメナノ……」
皆に言い聞かせると言うより、自分に言い聞かせてる感じすらした。
ライネ以外は未経験であり、未知の世界の「大人の話」だが、修学旅行の夜に語られるようなワクワク感は無い。
重い空気…… と言うより冷たい空気がその場を支配する。
興奮では無く緊張から口の中が乾き
「ごくり……」
秋菜が唾を飲み込む音が響いた。
慌てて水を1口飲む。
その後も一方的にワルキューレは語り続け、話し終わるとさっさと帰えろうとする。

席を立った時
「ミンナハマダイル? ワタシハソロソロバンゴハンノカイモノニイカナクチャイケナイカラ」
伝票を持って席を立ったが
「そうね。 私達は残るわ。 あっ良いわよ、ここは私が払っておくから」
ファムがワルキューレから伝票を受け取ると
「ソレジャァゴチソウニナルワネ、ファム、ミンナ。 オサキニゴメンナサイ」
また人形のように歩いて店を出た。

「はぁ〜っ……」×5
ワルキューレが外に出るのと同時に全員が大きく息を吐いた。
ブルッ!
秋菜が体を震わせた。
「何だったの、今のワルキューレ?」
霊感が鋭い秋菜はただならぬ雰囲気に、おののいた。
だが、それは姉妹の4人も同じだった。
自分達が知ってるワルキューレではなかった事は、4人の表情を見れば解る。
ヴァルハラ星にいた頃は滅多に顔を合わす事が出来なかったが、それでも姉妹。
月に数度は会ってはいた。
ハイドラやファムは同学年で、学園惑星では一緒だったし、コーラスとライネはよく高等部に遊びに行ってたから年長組の3人よりはワルキューレと接する機会は多かった。
美しく、優しく、気品に満ち溢れ、いつも笑顔をたたえていたワルキューレとは全く別人のような姿。

「いったい、どうしちまったんだ?」
ハイドラが水を飲んで落ち着かせるように言った。
「ホントにあんな事言う為に、お茶に誘ったのかしら?」
ファムも覚めたミルクティーを飲みながら言う。
「間違ってもあんな事いうタイプじゃないわよね。 ワルキューレって。 ライネならともかく」
「……」
秋菜が言うが当のライネは何か考えてるのか、聞こえてないようだった。
「ライネ、何か心当たりあるの?」
コーラスが話し掛けてようやく
「え? な、何ですの?」
「はぁ〜」×4
「本当にどうしちゃったんだろうね、ワルキューレ……」
コーラスが改めて言うと、全員が再び溜息をついたのだった。
・・・・・・
134名無しさん@ピンキー:2007/10/28(日) 06:15:19 ID:n3WfVmNY
お茶会が終わってから2週間ほど経ったある日。
10月に入ってからは、夏の暑さがウソのように気温はグッと下がり、朝夕は涼しいを越えて寒い感じすらする。
和人とリカを見送った後、真田さんは居間で編物をしていた。
「サナダサン、ソレハ?」
ここ数日、随分久しぶりにワルキューレから話し掛けてきた。
「最近は朝夕が冷えますから、毛糸で靴下など…… 姫様もお時間がございましたら、婿殿に何か編んで差し上げたらいかがでしょう? きっとお喜びになられますよ」
真田さんの言葉にワルキューレは乗り気になったのか、真田さんが手本にしていたファッション誌を熱心に見出した。
しかし、パラパラとページをめくると立ち上がり外に出て行こうとした。
それに気づいた真田さんが
「姫様どちらに? 真田もお供いたします」
玄関まで追いかけたが
「イイエ、ワタシヒトリデダイジョウブヨ……」
焦点の定まらない目で冷たい視線を送り、お供を拒絶すると出て行った。

それでも侍女長という立場・責任からこっそり後をつける。
ワルキューレは商店街に入り、辺りを見ながらウロウロと彷徨うように歩く。
一軒の店を見つけると中に入った。
どうやら真田さんが毛糸を買った店で
(姫様、婿殿に何か編んで差し上げるようですわね。 でも良かった。 最近の姫様は……)
無気力と言うほどではないが、何かボ〜っとしており、生気が無いだけに何かに打ち込む事で解決の糸口になれば良いと思っていたから。
外から、店内のワルキューレが編み針や編み棒をカゴに入れ、毛糸を見定めているのを確認すると一足先に戻った。

20分ほどして、ワルキューレが帰ってくる。
「姫様、おかえりなさいませ。 まあ、それは!」
知ってはいたが、大袈裟に驚いて見せる。
「エエ、ワタシモ和人様にニナニカアンデサシアゲヨウトオモッテ」
「まあまあ、それはようございます」
早速袋から編み針や編み棒と出すと毛糸も取り出した。
ワルキューレの髪の色よりやや薄めの黄色…… と言うよりクリーム色の毛糸が5玉出てきた。
真田さんが基本的な編み方を教え、雑誌を見ながら
「やはり婿殿にお贈りになられるのですから、セーターがよろしいかと思われますがセーターや手袋、靴下は曲線がありますので、覚えたての姫様には少々……」
雑誌のページをめくっていたワルキューレが
「ソウデスネ、デスカラワタシハマフラーヲアンデサシアゲヨウトオモイマス」
何度か基本的な編み方を練習して、それを解いては編みなおして覚え込むまで繰り返すと、本格的に編み出した。
「姫様、わたくしはもう覚えましたので、よろしかったらお使いくださいませ」
雑誌を渡すと、コクっと頭は下げたものの、だまって受け取り、その後は一言も喋らず黙々と編み始めた。
135名無しさん@ピンキー:2007/10/28(日) 06:16:36 ID:n3WfVmNY
ワルキューレが元に戻るきっかけになれば.。 と思っていた真田さんだったが、ワルキューレの様子は変わる気配はない。
夜、和人がワルキューレを求めた。
「ン…… ハァッ……」
吐息のような声を出し、全身を薄っすらピンクに染め、膣内の粘膜の蠕動からワルキューレの身体が感じているのは解るが、彼女がして欲しい、要求は一切口にしない。
「ワルキューレ、ボクばっかりじゃ不公平だから、ワルキューレも何かして欲しい事とか言ってよ」
セックスの最中だと言うのに、少しイラつきながら和人が尋ねた。
(ボクだけ良くなるなんて…… ボクはワルキューレにも……)
だが、いつもの答え
「イイエ、オキニナサラズトモ。 和人様さえキモチヨクナラレレバワタシハマンゾクデスカラ……」
射精後の陰茎を舌で清め始める。
「も、もういいよ!」
和人が初めて、煩わしそうにワルキューレを制止すると、布団を被って眠ってしまった。

「ジャア、和人様オヤスミナサイマセ」
ワルキューレも布団を被った。
暫くすると、規則正しい寝息が聞こえて来たが、和人は眠れないでいた。
ここ最近は、こういうやり取りが増えた。
確かに身体は気持ち良い。
だが、2人で楽しんで(?)気持ちを共有しあう愛の行為が、単なる性欲の処理にしか思えない。
そんなのは和人の本意ではなかった。
横に愛する女性が眠っているのに、和人は言いようの無い寂しさに襲われる。
(どうしちゃったのワルキューレ?)
無理に目を閉じて何とか眠りについた。

和人とリカを送り出すとワルキューレは部屋に戻って編物をする。
雑誌を見ながら、目を数えて編む。
……
「姫様、そろそろお昼に……」
あまりにも静かに、物音1つたてずに部屋に篭ってるワルキューレが心配になり真田さんが見に来る。
ドアが開けられて、ようやく気づいたのか顔を上げたが、首を振って
「イイエ、ワタシハオヒルハケッコウデスカラ……」
それだけ言うと編物を再開した。
「さ、さようでございますか。 で、では残しておきますから、お好きな時にお召し上がりくださいませ」
頭を下げていうとドアを閉めた。
ガクガク……
ドアの外側で真田さんの膝が震え、それから全身に震えが走り、シッポがビリビリとする。
ワルキューレを見るのが怖い。
訳の解らない恐怖と不安に真田さんの野生が危機を知らせているみたいだった。
136名無しさん@ピンキー:2007/10/28(日) 06:18:19 ID:n3WfVmNY
夕方、食事の準備をする時間になると、ワルキューレは以前、小さかった時に使ってた部屋に毛糸と編みかけのマフラーを置いた。
壊れかけたワルキューレの中でかすかに残ってたのは、和人の笑顔。
その笑顔が見たくて、いきなりマフラーを渡して、和人の喜ぶ顔が見たい。
だから完成するまでは和人に見られては困るのだ。
普段、和人は入らない、以前小さかった自分が使ってたベッドに置くと、食事の準備をした。
夜になって銭湯を閉めて、部屋に戻った和人とワルキューレ。

ワルキューレがセックスを求めるが、心を通わせる事が出来ない和人の不満が
「ワルキューレ、今日はいいよ…… 明日も学校があるし、ワルキューレはお弁当を作ってくれるから早起きするし……」
あからさまな不満ではないが、少々苛立った様子で表面化した。
背を向けて寝入ってしまう。
「和人様……」
(ソンナ…… 和人様、ワタシノアイジョウガマダタリナイノ?)
ワルキューレが呼びかけると和人も悪いと思ったのか
「ごめんね。 今日はもう休もうよ」
ワルキューレの方を向いて言うが、和人はワルキューレの目を見ずに言うと布団を被った。

次の日、和人とリカを送り出す時からワルキューレの様子はますますおかしかった。
お手製の弁当を渡すワルキューレも受け取る和人も。
「和人様、オベントウデス……」
「うん、ありがとう……」
家を出る時も
「イッテラッシャイマセ……」
「行ってくるね」
一言だけしか交わさず、「行って来ます」のキスも形式上してるような感じだった。
2人を送り出し、居間に戻った時、堪らず真田さんが声をかけた。
「ひ、姫様。 差し出がましい事でございますが…… ひぃっ!」
「……」
体の向きを変えず、首だけを向け、光の失われたような目で見つめられると、真田さんも次の言葉が出てこなくなった。
137名無しさん@ピンキー:2007/10/28(日) 06:19:37 ID:n3WfVmNY
「サナダサン、ワタシチョットデカケテキマスネ……」
有無を言わせないような雰囲気で言うと、出て行った。
ワルキューレは商店街を彷徨うように歩き、本屋に入る。
真田さんが編物の参考にしていたファッション誌の最新号と、先月号が1冊だけあった。
最新号は真田さんに借りたので、先月号を手にとった。
ページをめくっていくと
「彼氏をトリコにするしゃぶりテク! これでカレシはあなたのト・リ・コ」
あからさまなタオトルだが解りやすい記事が目に入った。
1通り読むと、レジに持っていく。
「あの、お客様。 申し訳ございません。 これは先月号で、新しいのは……」
慌てて最新号を持ってくるが
「イイエ、コレデケッコウデスカラ」
サイフからお金を出した。

最近の和人は、夜自分の体を求めてこない。
和人の悦びの声が、和人に自分が必要とされてる証のような気がしていたので、怖かった。
もう自分は和人に必要とされてないのではないかと……
(コレデ、アタラシイゴホウシヲオボエレバ、和人様ダッテオヨロコビニナッテクダサルワ……)
残された僅かな理性でそれだけを考えると、小走りに家に帰った。
そして、袋を乱暴に破って本を取り出すと記事を熱心に読む。
焦点の定まらないような目で。
ただ、和人が夜悦んでくれる事だけを心の拠り所にして……

記事を読み終わると、図解されてたように舌を動かして練習してみる。
が、これがなかなか上手くいかない。
2時間くらい黙々と舌を動かす練習をしてたが、さすがに疲れてきた。
それでも、鏡の前でやってみて、ある程度書かれてるっぽい動きが出来ると、後は実戦でなんとか修正しようと思い、編物を続けようとした。
しかし、編みかけのマフラーを見ると、つい昨夜、頭を過った不安が再び頭を過った。
(和人様、ワタシノアイジョウガマダタリナイノ?)
「……」
(タダノマフラージャダメ…… オベントウノヨウニワタシダケノ、和人様ヘノオモイヲコメナイト……)
折角編んだマフラーを引っ張って解いてしまった。
138名無しさん@ピンキー:2007/10/28(日) 06:21:08 ID:n3WfVmNY
解いた毛糸を玉にすると、ワルキューレは自分の膝まである長い髪の毛を数本抜いた。
「フフフ…… コレデ和人様トワタシハイツデモイッショニイラレル…… 和人様がガッコウニイカレテイテモ……」
抜いた、まばゆく輝く髪の毛を1本取ると、それを毛糸と重ねて捩る。
毛糸の色と髪の色がそれ程違わないので、こよりのように捩ると、見分けがつかなくなった。
それを確認すると、ワルキューレは、だいぶ慣れて来たのか、手際良く編み始めた。
「和人様…… 和人様…… 和人様……」
編み目の1つ1つに想いを込めるように、和人の名前を呟きながら編み続ける。
自分の髪を入れた部分が終わると、新たな髪の毛を毛糸に混ぜ込んだ。
午後だけで80センチ程編みあがっただろうか?
没頭していたので気づかなかったが、辺りが薄暗くなって来て、ようやく気づく。
とりあえず、そこで中断すると夕食の準備をする為に階段を下りた。

夜、和人が帰ってきてリカと番台を交代する。
しばらくすると女湯の方の出入り口が開き、ライネが入って来た。
「和人様?」
回数券を番台に置いても反応の無い和人を心配して声をかける。
「えっ? あっ! ライネいらっしゃい」
慌てて笑顔で迎える和人。
だが、その笑顔はウソが苦手な和人らしく、実にわざとらしい作り笑いの顔だった。
「和人様、あの…… いいえ、何もございませんわ」
ライネが何かを言おうとしたが、止めた。
ロッカーで服を脱いでる時和人を見る。
その顔には笑顔は無く、何か疲れているような顔……
原因はワルキューレである事は間違い無い。
それは解ってはいたが、聞けなかった。
息苦しいような感覚に襲われ、ライネは逃げるように浴室に入って行った。

ライネが風呂から出て来た時も和人は疲れ切ったような顔をしている。
ドライヤーで髪を乾かし、服を着ると、ライネは一刻も早くこの場から去りたかった。
身も心も温まる時乃湯。
でも今日は玄関先で出迎えるワルキューレも番台の和人も様子がおかしい。
雰囲気も空気も重く、入浴もその後の会話も楽しめない。
荷物をバッグに詰めると
「和人様、いいお湯でございましたわ。 ごきげんよう」
ドアを開けようとした。
「あっ、ライネ……」
「はい?」
和人が呼び止めたので、番台を見る。
「ライネ…… フルーツ牛乳でもどう?」
「!!!」
2人の約束事で、デートをしたい時の合図。
139名無しさん@ピンキー:2007/10/28(日) 06:22:59 ID:n3WfVmNY
いつもライネからねだり、和人が返事で使う言葉を、和人から言って来た。
「あ、あの、和人様。 それって……」
突然の事に戸惑うライネに、番台を降りてポケットから小銭を出して、飲み物ストッカーで番をしてる侍女に渡しフルーツ牛乳を受け取るとライネの方に来る。
「ライネ、飲んで」
拒否される事に怯えてるような表情と声で勧めてくる。
「は、はい。 いただきますわ」
受け取ると、1口飲んだ。
和人はその姿を見る事無く番台に戻った。
(和人様からあたくしをお誘いになられるなんて……)
和人と一緒の時間を過ごせるのは嬉しかったが、
(どうして?)
ライネの頭の中を疑問符が駆け巡る。
ワルキューレに生理が来るのはまだ先だし、和人の様子からして、性欲を処理したいようには見えない。

考えがまとまらない中、ビンをカラにするとそれを侍女の所に持って行って返す。
改めてバッグを手にし
「では、和人様。 明後日土曜日にいつもの場所、いつもの時間でよろしいですか?」
他の客や侍女に聞こえないように言うと
「うん……」
それだけ答えた。
ライネもそれ以上は何も言わずアパートに帰った。

銭湯を閉め、各自が部屋に戻る。
和人とワルキューレは2,3言交わすとキスをして布団に入った。
セックスも無ければ、口や胸での愛撫を求めてくる事は無い。
暫くすると和人の寝息が聞こえてくる。
ワルキューレも眠ろうとしたが、布団から出て隣の部屋に行き、編物の続きを始めた。
結局徹夜になったが、マフラーはほぼ出来上がり、初めてにしてはなかなかのデキに納得したのだった。
外がうっすら明るくなり始めた頃、あと一歩で編み上がるマフラーを置くと和人の弁当を作りに台所に行く。
ご飯は炊飯器のタイマーがかかって、炊きあがろうとしていた。
おかずを「秘密の味付け」をした材料で作り、弁当箱に詰め込む。
途中で起きて来た真田さんが朝食を作っており、それがあらかた出来た頃、和人を起こしに行った。
140名無しさん@ピンキー:2007/10/28(日) 06:24:44 ID:n3WfVmNY
「和人様……」
ドアを開けたが、今日は珍しく和人はまだ眠ったままだった。
いつもなら、既に起きて着替えてカバンの中身をチェックし直してるのに。
はだけた布団から和人のお腹から下が出ている。
「アッ!」
ワルキューレの目に和装の寝巻きを大きく押し上げてテントのようになってる下半身が目に入る。
「フフフ……」
和人の大きく盛り上がってる股間を見て、ワルキューレがニヤリとした。
音を立てないようにベッドに近づき、寝巻きをめくって和人の陰茎を露出させる。

硬くいきり立った陰茎の幹の部分を少し舐めてみる。
「……」
和人は起きる様子も無く、規則正しい寝息を立てている。
舌を伸ばして亀頭を舐めてみると
「うんっ……」
かすかな声を漏らしたが、起きる様子はない。
(和人様、イマカラワタシガキモチヨクシテサシアゲマスネ)
舌なめずりして唇を濡らすと、大きく口をあけてスッポリと咥え込んだ。
昨日買った雑誌の記事を思い出し、なるべくそれと同じように舌を動かした。
「あっ…… うんっ……」
眠っていても感じてるのか、和人が切なそうな声を出した。

(和人様、キモチイイデスカ?)
和人の気持ち良さそうな声が嬉しく、舌を雑誌の記事通りに動かし、顔を上下させてスポスポとピストン運動をする。
相変わらず気持ち良さそうな声を出す和人だったが、起きる様子はない。
だが、今見ている夢と体に与えられる刺激が一致したのだろう。
和人の口から思わぬ寝言が出て、その言葉に、その名前にワルキューレは凍りついた。


「気持ち良いよ………… ライネ……」
141ワルキューレゴーストよ:2007/10/28(日) 06:26:51 ID:n3WfVmNY
今回はここまで。
続きはなるべく早くするから。

おやすみなさい、そしておはよう。
それじゃあ、良い休日を。
142名無しさん@ピンキー:2007/10/28(日) 19:50:39 ID:ft5s6KHt
ワルキューレは覚醒したかな・・?(・∀・;)
それも気になりますが、いけないとわかっているのに体を重ねるライネと和人が、次は拝めるのかが気になります!
もしあるなら、エロを!エロを激しくお願いします!
143名無しさん@ピンキー:2007/10/29(月) 17:54:49 ID:MfvNXaX8
出た!髪の毛マフラー・・
怖すぎ
144名無しさん@ピンキー:2007/11/02(金) 21:03:26 ID:7sdDhY5A
保守
145前・359:2007/11/04(日) 23:51:32 ID:Qcrm1+R+
遅くなって本当にすみません。
3〜4時間後に更新させていただきます。
146名無しさん@ピンキー:2007/11/05(月) 00:21:25 ID:YaKsj1Iv
wktk!
147ワルキューレゴーストよ:2007/11/05(月) 05:05:43 ID:NIdl6LTp
それじゃ続きを話させてもらうわ。
遅くなってごめんなさいね。
148名無しさん@ピンキー:2007/11/05(月) 05:07:19 ID:NIdl6LTp
和人の言葉にワルキューレが凍りついた。
(イマ…… 「ライネ」ッテ……)
寝言なのでハッキリとした口調では無かったが、「ライネ」と言ったのは聞こえた。
間違っても自分の名前では無く、妹の名前を和人が言ったのは間違い無い。
まだ真田さんの名前が出るなら解る。
かつて、姉達に頼まれて、また自分からお願いして彼女に性の手ほどきをしてもらった事があるから。
ライネは確かに和人を慕ってはいるが、それは冗談ではないにしろ、そこまで2人の関係が進んでるようには思えなかったし、何よりライネは末っ子でまだ幼いイメージがある。
でも、性器を愛撫されてる時に出た名前はその妹・ライネだった。
(……)
ワルキューレは黙ったまま寝巻きの裾を戻して布団を被せてあげた。

静かに横になる。
(和人様ガ、ライネト……。 イイエ、ソンナコトハ。 ソンナハズハ……)
様々な思いが頭の中を駆け巡り眠れそうにない。
そうこうしてるうちに和人の弁当を作る時間になったので、ベッドから出る。
(アレハ、ナニカノマチガイヨ…… エエ、キットソウダワ)
残された僅かな理性を総動員して自分に言い聞かせると和人から貰ったエプロンをかけて準備を始めた。
そして、何も無かったように夜は明け、何も無かったように皆が朝食を食べ、何も無かったように和人とリカは登校していった。
・・・・・・

「あの、姫様……」
「……」
真田さんの問いかけにも答えないワルキューレ。
何も言わず部屋に戻ると、もうすぐ完成するマフラーを編み出した。
2時間程してマフラーが完成した。
自分の想いを込めて、自分の髪の毛を編み込んだマフラー。
和人と自分が寄り添えば2人で入れる長さのマフラー。
完成した作品を見てニヤリとすると、急に睡魔が襲って来たのか眠ってしまった。
ワルキューレが目覚めたのは夕方。
真田さんがボイラーを操作して銭湯を開ける準備をし出したので、マフラーを隣の部屋にしまうと、台所に行き夕食の準備をした。
リカが帰ってきた頃、3人で夕食をし、和人を待った。
149名無しさん@ピンキー:2007/11/05(月) 05:09:06 ID:NIdl6LTp
点けっ放しのTVをボンヤリと眺めていると、シロが何かを言ったような気がしたが聞き取れず、かと言って聞き返すのも億劫で、返事もしなかった。
シロが出て行き、1人で和人を待つ。
和人が帰ってきたとしても今朝の寝言について聞く気にはなれなかった。
お盆のゴーストの件といい、今回の件といい、何も無ければ和人を信じなかった事になるし、何かあれば……
そうこうしてる間に和人が帰ってきて、ワルキューレも何事も無かったように夕食を出した。
(和人様……)
和人は少々疲れた様子だったが
「美味しかったよ」
と言いながら出された物を平らげ、リカと変わるべく番台に行った。

洗物をする。
ハンバーグのソースが水と弾く。
だが、洗剤の泡が混ざるとソースは水と混ざって流れていった。
「……」
その様子をじっと眺める。
(和人様…… ライネ……)
恋人と妹の名前だけしか頭に浮かばない。
まるで、頭が考える事を拒絶してるように。
そして、夜になり、和人がおやすみのキスをして眠った。
今日も和人から自分を求めてくる事は無かった。
せっかくの金曜日、週末なのに……

布団に入ると、昨夜の和人の寝言が思い起こされる。
横で穏やかな寝息をたてている和人。
そして、姉からするといつまでも幼い感じがするライネ。
その2人の間に「何か」があったのだろうか?
しかし、それ以上は考えない事にした。
明日(今日)は土曜日、和人にどこかへ遊びに連れて行ってもうらおう。
それがダメなら、せめて和人と一緒にいるだけでいい。
そう思わないともう自分を保てそうになかった。
今日も眠れず夜が明けた。
和人が起きたのだろうか、もぞもぞと動いてる。

ワルキューレは慌てて眠ったフリをした。
暫くするとゆっくりと体を起こし、数回頭を掻くと横で眠ってるワルキューレに
「ワルキューレ、おはよう……」
呟くように挨拶をすると布団を出て着替えた。
うっすら目をあけると和人は着替えが終わり部屋から出ようとしていた。
時計を見ると7時過ぎ。
(「マッテ、和人様。 キョウハワタシトイッショニ……」)
想いは声にならなかった。
150名無しさん@ピンキー:2007/11/05(月) 05:11:35 ID:NIdl6LTp
慌てて起きると服を変えて和人を追ったが、もう既に和人はでかけてしまっていた。
それが解ると疲れがどっと押し寄せてきて、仕方が無いのでもう一度部屋に戻ってベッドに横になる。
イヤな疲労感。
それでも体が休む事を要求し、まるで何かの力が加わってるように瞼が重くなり、そのまま寝てしまう。
目覚めたのは昼過ぎだった。
ワルキューレが眠りについた頃、少し早めに駅前に着いた和人だったが、ライネは既に来て大きな木に寄りかかって待っている。
「ライネ」
和人が声をかけるとライネが声のした方を向く。
「和人様、おはよ……」
だが、和人の険しい表情がその先を言わせなかった。
疲れているのか、何かイヤな事でもあったのだろうか、柔和な笑顔をたたえてる和人とは別人のようだ。

和人はライネの手を取ると駅の構内に入っていく。
「ちょ、ちょっと和人様。 痛いですわよ」
きつく握ってグイグイ引っ張るので、ライネが思わず声を出した。
「……ゴメン」
ライネの方を向かずボソっと謝ったが、それでも手を引っ張ってキップを買うといつもの乗り場へと小走りに向かう。
「……」
「……」
ホームでも電車の中でも2人は無言のまま。
本当は
(「和人様、今日はいったいどういう風の吹き回しですの? 和人様からお誘いいただけるなんて……」)
とか話し掛け、そこからいつもの楽しい会話へ繋げて、楽しい時間にしたかったが、和人を見ると出来なかった。
ただ、いつものホームから、いつもと同じ額のキップを買ったと言う事は、いつもの場所に行くのだろう。
と言う事は和人はセックスを求めている。

和人がそれを求めてるなら、別に拒む理由は無いが、でもライネとしてはセックスを楽しみたかった。
何とか雰囲気だけでも明るくしたかったが、和人は一切の言葉を拒絶しているような感じで、俯いている。
電車はいつもの駅に着き、また和人がライネの手を取って降りると、急いで改札を抜け、裏通りにあるホテルに向かう。
「もう! 和人様ったら。 もうお出しになりたいのですかぁ?」
「……」
少しおどけて言ってみたが和人から返事は無い。
2人がいつも使ってる部屋のキーを取るとエレベーターに乗った。
「ライネ」
「えっ? んんっ……!」
エレベーターの扉が閉まると同時に和人から唇を合わせてきた。
そして、ブラウスの上から胸を弄る。
(ちょ、ちょっとぉ、和人様ぁ)
声を上げようにも口を和人の口で塞がれてるので、出せない。
151名無しさん@ピンキー:2007/11/05(月) 05:13:06 ID:NIdl6LTp
チン!
目的の階に着き扉が開くと、和人もライネから口を離し、そのまま部屋まで連れて行った。
カチャ……
部屋に入り、ドアが閉まるとオートロックがかかる。
「もう、かずとさ…… きゃぁっ」
一体どういうつもりなのか聞こうとしたら、和人がいきなりベッドに押し倒してきた。
「ライネッ、ライネッ、ライネッ……」
ただひたすらライネの名を呼び、ブラウスのボタンを外すのも面倒なのか、たくし上げ、白く大きなブラジャーを毟り取るように外すと思いっきり膨らみを揉みしだく。
「和人様、ちょっとお待ちになって…… い、いたっ!」
和人が右側の胸を頬張るように口に含み、大き目に乳輪の淵に歯形をつけるようにキリキリと強く噛んだ。
もう片方は、指の痕がつくのではないかと思える程、まるで握り潰すように掴んでいる。

「いやっ! 和人様痛いですわよ。 お止めになってくださいましな!」
ライネが言うが、それを無視するように和人は自分の欲求の赴くまま行動している。
「痛いですってば。 お止めになって…… もう、和人様! 目をお醒ましなさいましな!」
バシッ。
一向に止めない和人に、ついにライネが手を出して、和人の頬を平手打ちした。
「あっ……」
一瞬呆気に取られる和人。
「ライネ…… ごめん……」
頬を押えながら我に返ったのか、申し訳無さそうに謝った。
「ふぅっ……」
ライネも一息つくと、上体を起こし部屋の冷蔵庫からコーラを2本出して、1本を和人に渡し、プルトップを開けて1口飲んだ。

コーラを受け取った和人も開けて1口飲む。
飲みかけの缶を置くとライネはブラウスを脱ぎ、外れているブラジャーを取った。
スカートも脱ぎ、ショーツも脚から抜き取って全裸になると、ベッドの向かいにある大きい椅子に脚を拡げて座った。
「和人様。 そりゃ、あたくしも和人様でしたら、少々乱暴にされても構いませんし、たまにはそうして欲しい時もございますわ」
ライネが口を開くと、和人もコーラの缶を置いて彼女の方を見た。
「でも、さっきのはそういうのと違いますでしょう?」
その言葉に和人は返す言葉も無く、ただ
「……ごめんね」
としか言えなかった。
152名無しさん@ピンキー:2007/11/05(月) 05:15:03 ID:NIdl6LTp
椅子から立ち上がって、ベッドに近づき、ベッドに落ちた帽子をテーブルに置くと和人の横に座る。
「何か…… 何かございましたの? ワルキューレお姉様と」
前回に続きライネは2人の間のタブーを破った。
明らかに様子がおかしかったし、原因は姉しか考えられない。
さらにここ最近ワルキューレの様子は妹の自分でなくても、他人から見てもおかしいと感じるだろう。
他の姉妹達が自分を煙たがるが、ワルキューレだけは優しく接してくれた。
それだけに姉妹の中では一番慕ってるし、心配でもあった。
「うん、実はね……」
テーブルのコーラをもう1口飲むと、和人は家での事を語り出した。

ワルキューレがまるで人形のように感情を無くし、言葉のキャッチボールもままならない。
それはセックスの時も同じで、自分に奉仕する事だけに徹していて楽しんでいる様子はない。
「ボクはね…… ボクが気持ち良くなるのだから、ワルキューレにも気持ち良くなって欲しい」
「ボクがどうして欲しい。 とお願いするからワルキューレにもして欲しい事があるなら言って欲しいんだ。 情けない話だけど、相手の様子を見て、相手のして欲しい事が解るほどセックスが上手いわけじゃないし……」
「……」
あえて、ライネは聞き役に徹した。
「あっ当然、ライネにも当てはまるよ。 でもライネはして欲しい事も言ってくれるし、ボクのつたない愛撫にも感じてくれてる。 それが演技でも嬉しいんだよね」
カンッ!
「バカ……」
ライネが飲み終えた缶を少し強めにテーブルに置き、和人を睨みながら呟いた。
「あたくしは和人様に抱いていただいてる時は演技なんてしませんわよ。 そもそもそんな余裕ございませんし」
「ライネ……」

「でも……」
「でも?」
「あたくしはもう充分に満足した後で、和人様がまだ満足されてない時は、自分が快感を貪るよりも和人様に気持ち良くなって頂く事を優先して、感じていてもそれを抑える時はございますわよ。 ワルキューレお姉様もそうだと思いますけど……」
ライネの言葉にワルキューレの言葉が重なった。
(「私の事は、どうかお気になさらずに…… 和人様が気持ち良くなっていただければ私は満足ですから……」)
事情は解ったが、かと言って、それで全て解決したわけではない。
「でもボクはワルキューレにも楽しんで欲しいし、気持ち良くなって欲しいし、して欲しい事を言って欲しいんだ。 だって、ワルキューレは…… 女の子は人形じゃないんだから!」
ライネに抱きついて、また押し倒すような形になる。
だが、今度はライネの胸に顔を押し付けて、かすかに嗚咽している。
和人の告白にライネもドキっとした。
ライネ本人も、和人に抱いてもらえるなら、自分は和人にとってあくまで快感を得る、射精する為の道具で良い。 とまで思うこともあったから……
・・・・・・
153名無しさん@ピンキー:2007/11/05(月) 05:16:51 ID:NIdl6LTp
その頃ワルキューレは和人を探して羽衣町を彷徨っていた。
小さい自分が遊んでたら和人が迎えに来てくれた公園。
何時の日か、深夜に雨宿りした小学校。
かくれんぼをして、最後に見つけてくれた宇宙港。
和人の通う学校。
(和人様、ドコニイルノ? アソコナラ……)
次の場所に移動するごとに思う事だったが、和人はいない。
思い当たる場所が無くなったし、ちょうど学校なので、ファムの円盤を訪ねた。

「あら、いらっしゃい。 貴方がここに来るなんて珍しいわね。 あの家出騒動の時以来かしら? まあ、お入りなさいな」
ワルキューレを招き入れた。
「お茶入れるから、その辺、適当に座ってて」
ファムがケトルでお湯を沸かすとワルキューレは壁にもたれかかるように座った。
「で、何かあったの? まあ、あったから私の所に来たんだろうけど」
ティーポットに紅茶のリーフを入れながら尋ねる。
「……」
それでもワルキューレから返事は返ってこなかった。
お湯が沸き、ポットに入れると、揃いのティーカップと一緒に持ってきた。

「熱いから気をつけてね」
紅茶をテーブルに置くと、カップに口をつける。
ワルキューレから何か言って欲しい。
その為にワザと長くカップを口につけっぱなしにした。
「和人様……」
「えっ?」
ようやく口を開いたワルキューレが発した言葉はやはりと言うべきか和人の名前だった。
「ワルキューレ? あの、ごめんなさい。 よく聞こえなかったの。 時野君の事?」
ファムの問いかけに首を振る事も、頷く事も無く
「和人様…… ドコニイルノ……」
顔の表情、眉1つ動かす事無く、独り言のように呟く。

「ちょっと、どうしたのよ、ワルキューレ」
お茶会の時と変わらぬ、自分の知ってるワルキューレではない事にそこはかとない、漫然とした恐怖がファムを襲い、思わず声を出した。
「和人様……」
人形のようにぎこちなく、ゆっくりとファムの方を向きながら和人の名を口にする。
「ひっ!」
その表情に後ずさる。
ファムの背筋に冷たい物が走り、イヤな冷たい汗が頬を伝った。
「と、時野君なら今日は学校に来てないわよ。 ホ、ホントよ……」
目の前の恐怖から逃れる為にファムは知りうる事実を伝えた。
「と、とにかく落ち着いて…… ね。 ほ、ホラ、お茶が冷めるわよ」
お茶を勧められるが、和人の手がかりが無い事が解るとワルキューレは黙って立ち上がり、ファムの円盤を出た。
「な、何なの? ワルキューレ……」
154名無しさん@ピンキー:2007/11/05(月) 05:18:18 ID:NIdl6LTp
膝に力が入らず、ヘナヘナとその場にへたり込んだファム。
その時、通信機が鳴った。
引きずるように通信機の所に行きスイッチを入れる。
「来ましたよ、ファム。 ところでちゃんと皆には伝えてあるんでしょうね。 私達が来る事」
画面いっぱいにイナルバの顔が映り、ヒステリックに用件を伝えた。
「あ〜〜〜っ!」
忘れてた。
そう言えば、メーム、イナルバ、ネスティ達が秋のバカンスを兼ねて地球に来る話があった事。
同窓会の時もそうだったが、すっかり忘れてた。
「貴方、しっかりしてるようで、抜けてる所がありますね」
睨むようにイナルバが言うと

「まあ、いいじゃないか。 我々が到着するのはそちら(地球)の夕方だから、すまんがファム。 今から皆に伝えておいてくれ」
ネスティが言うと
「そうそう、婿殿にお風呂の準備もお願いしておいて頂戴」
メームが扇子を開いたり閉じたりしながら追加した。
「うん。 それは解ったけど、丁度いい時に来てくれたわ。 ワルキューレがヘンなのよ」
「ヘン?」
「ええ、詳しい話は後でするけど……」
それだけ言い
「とにかく早く来て。 ホントにワルキューレがおかしいのよ。 皆には伝えておくから。 それじゃあね」
自分から通信を切ると、外出着に変えると外に出た。
・・・・・・
155名無しさん@ピンキー:2007/11/05(月) 05:20:27 ID:NIdl6LTp
一方、和人とライネ。
シーツには大きなシミが出来、うつ伏せになっているライネの股間からは溢れ出した和人の精液がさらにシーツに新たなシミを作っていた。
ベッドに下にあるゴミ箱には丸められたティッシュが数個捨てられている。
「和人様ぁ、如何? これでもあたくしが演技をしてるとお思いになられるのですかぁ」
うっとりとした表情で、顔にかかっている乱れた髪をどける事も無く和人に言う。
「うん、ごめんね。 ライネ、ライネの膣内(なか)本当に…… 最高に気持ち良かったよ」
まだ荒い息が整わない和人がライネを抱き寄せて囁いた。
「ライネ…… 好きだよ」
「!」
(和人様、今…… あたくしの事…… 好きと……)
目を見開いて和人の言葉を反芻する。

しかし、それは一瞬で、すぐに冷静になって考える。
今。和人はワルキューレと上手くいっておらず、その現実から逃避してるだけだと。
和人にとっての駆け込み寺になれるなら、それはそれでいいが、「好き」とは別の感情だろうと。
精神的に疲れてる和人が、心を開放する気持ちの良いセックスをした相手がたまたま自分というだけで、それで言ったのではないかと。
無論、全く眼中に無いわけではないだろう。
和人の性格からして、全く好きでも無い女は抱かないだろうから、少なくとも自分は、ほんのちょっぴりでも和人に好かれている。とは思ってはいたが。
「和人様。 そんな「好き」なんてお言葉は、そう簡単におっしゃるモンじゃございません事よ」
「えっ…… うん。 でも……」
さらに続けようとする和人の唇に人差し指を当てて制すると。
「和人様は疲れてらっしゃるのですわ。 疲れたら、嫌な事があったら…… どうぞあたくしに全部吐き出してくださいましな」
「ライネ……」
「あたくしは、それで満足ですわ。 でもあたくしは正真正銘、和人様の事、お慕い申してますわ。 愛してます」

言い切ったライネの頬に涙が一筋流れた。
「言っちゃった…… でも…… やっと言えましたわ」
両手で口元を隠しながら、それでも後悔してない健やかな笑顔で言う。
その笑顔はワルキューレの天女、女神のような笑顔に似ているが、少し幼さが残る天使のような笑顔だった。
「……あ、ありがとうライネ。 でもボクもライネの事好きだよ。 ライネとこういうことするのも好きだから……」
和人が真剣な様子で返すがそれにはライネも少し冷静に
「嬉しいですわ。 でも、その「好き」はワルキューレお姉様とは別のものでございましょう。 でもあたくしの「好き」は和人様がお姉様に抱いてる「好き」と同じですことよ。 正真正銘、混じりっ気無しのピュアな気持ち……」
「ライネ……」
「でも、あたくしはそれで大満足ですわ」
本当に嬉しそうに言い、嬉し涙が止まらないようだった。
156名無しさん@ピンキー:2007/11/05(月) 05:22:05 ID:NIdl6LTp
「和人様、あたくしが和人様を愛してる証を差し上げますわ」
「えっ?」
ライネの言葉に和人も驚いた。
もうライネからは全て貰っている。
安らぐ時間も、彼女の純潔も。
ライネの言葉からして、ライネの胸で射精した男も、彼女の口に思いっきり精液を注ぎ込んだのも自分以外にはいないだろう。
でも、ライネの口からは思いもよらぬ言葉が出た。
「あたくしに残された、最後の純潔を和人様に差し上げますわ」
和人の股間に顔を潜り込ませ、しゃぶり始める。
絶妙な舌の動きに、既に2回射精してる事実など無かったように、和人の陰茎はムクムクとその体積を増してきた。
「んふふ…… もう、こんなにカタくおなりになって……」
指で唾液でヌメる亀頭を撫でまわすと、ベットの脇にある小物入れからコンドームを取り出し、袋を破って和人に被せた。

さらにバスタオルを敷くと、ローションを手にとってコンドームを被せた陰茎に塗りたくる。
「はい」
和人にローションのボトルを渡す。
「えっ?」
わけが解らない和人。
「あたくしの指もお口も胸もアソコもぜ〜んぶ和人様に差し上げました。 残された最後の…… あたくしの処女を今から差し上げます」
そう言うとうつ伏せになって、お尻を大きく突き出した。
そして、両手で左右のお尻の肉を掻き分けて、灰色がかったピンクの肛門を晒す。
「か、和人様。 あたくしの最後の処女…… 純潔をもらってくださいましな……」
さしものライネも少し緊張してるのだろう。
言葉は少し震え、肛門も言葉に合わせて少し緩んだと思えばキュッと閉じたりしている。

「で、でも、ボク…… した事無いから解らないよ」
不安そうな和人だったが
「あたくしだって解りませんわよ。 でも、和人様の……にローションを塗って、あたくしのお尻にも塗れば何とかなりますわよ」
ライネも不安そうだったが、それ以上に完全に自分を和人に捧げたい一心で言った。
「う、うん……」
ライネに誘われたが、ただローションを塗る気にはなれず、ライネが拡げているお尻に顔を近づけると、舌を伸ばして肛門の中心から舐め始めた。
「あっ! ちょ、ちょっと和人様、そこは舐めちゃダメですわよ。 さすがにそこは汚いですわぁ…… ああ〜っ」
くすぐったいような妖しげな快感がライネの身体を駆け巡る。
和人も性器とは違う、シワと言うかヒダがザラつきに酔いしれた。
昨夜、銭湯に入ってからは大きい方はしてないのだろう。
性器は、淡いおしっこの匂いと味がしたが、肛門はうっすらと汗の匂いがするだけだった。
ライネに代わって、和人が真っ白なお尻の肉を左右に分けると、さらに舌で周囲から中心に向けて激しく舐めまわした。
157名無しさん@ピンキー:2007/11/05(月) 05:23:32 ID:NIdl6LTp
「ダメぇ、ダメですってばぁ…… ホントに…… ホントにそこは汚いからぁ」
せめてもの抵抗として、肛門をギュッと閉める。
しかし
「ううん、別にイヤな匂いもしないし、アソコとは違ったヌルヌルしてる感じ…… 全然イヤじゃないし、ライネのお尻だから汚くなんかないよ」
さらに舌を尖らせて、中に押し入ろうとする。
「あっ、ダメ…… ああんっ、い、いやぁ……」
ライネの抵抗も彼女が息を吐き出した時に終わってしまった。
僅かに開いた隙間に舌をねじ込む。
ヌルっとした感触だが、性器のヌメり具合とはやや違う。
少しベタつくような感じがする。
さらに、さすがに内部には独特な刺激的な匂いと、少し苦味が感じられる。

「ダメですってばぁ……」
お尻を振って和人の舌を払いのけようとするが、和人がお尻の両側から押さえつけて動けなくすると、ローションなど塗らなくても大丈夫な程、唾液でベチョベチョにした。
肛門の少し下側にある性器からは透明な愛液が糸を引いて落ち、肉付きのいい太ももにもベットリとついていた。
これをつければローションなんてつけなくても大丈夫なような気もしたが、それでもローションを手につけて、人差し指にたっぷりと塗りつけた。
「ライネ、塗るからね」
ローションを纏わりつかせた人差し指をギュッと閉じている肛門に押し当て、周りから揉みほぐすようにグリグリと弄る。
「はぁ〜っ、はっ」
ライネが大きく息を吐き出すと、少し緩んだので、指を入れてみた。
「あふぅっ……」
同時に吐息とも声ともつかぬ声を出し、それでも和人の指を迎え入れやすくする為に力を抜く。

徐々に指を潜り込ませ、とうとう根元まで差し込んだ。
中はやっぱり少しベタついてる感じで、内部の壁面にタップリとローションを塗りつけるようにかき回す。
「はっはふっ…… ん」
ライネも今までに体験した事の無い感覚に、いつもとは違う喘ぎ声がでてしまう。
指を途中まで引き抜き、そこに新たにローションを垂らすと、再び中に入れて塗りまくる。
また狭い入り口をほぐすように指を大きく回した。
「そ、そろそろ…… よろしいんじゃなくて……」
ライネが大きく口を開いたまま振り返って言う。
「うん。 ライネ、行くよ」
自分の陰茎にも改めてローションを塗りつけると、先端部分を肛門に押し当てた。
158名無しさん@ピンキー:2007/11/05(月) 05:25:32 ID:NIdl6LTp
「あっ…… はぁ〜っ」
1度吸い込んだ息を、ゆっくりと大きく吐き出すと、ライネの肛門も同じように口を開け、意外にあっさり亀頭の部分が入って行った。
「ああっ、は、入って来てる……」
「くっ! ラ、ライネ。 痛くない? 大丈夫?」
狭い入り口の締め付けと、直腸の感触に危うく射精しそうになるのをなんとか堪えて、ライネを心配する。
「は、はい。 大丈夫ですわぁ……」
一番太い亀頭の部分は入ってしまってるので、あとは比較的楽に全部入った。
根元まで差し入れた和人だったが、暫くは動かずに感触を味わう。
それと、ライネに残された最後の処女の部分を征服した感激も。

「和人様、よろしいですわよ。 動かれても」
狭い肛門にいきり立った陰茎を差し込まれて、ライネはかなり苦しいのだろう。
顔は紅潮し、額には玉のような汗が浮かんでる。
「じゃあ、動くから。 痛かったら言ってね」
ライネの腰を抱えると、ゆっくりと腰を振った。
「ああっ、め、めくれるぅっ。 めくれますわぁっ」
陰茎を引き抜くときの感覚を正直に口にする。
脇から手を伸ばして、大きく弾んでる胸を両手で掴むと、揉みしだき、乳首を摘み、時折抓るように搾る。
「あっ…… ライネ、もう……」
慣れた膣とは違う刺激に和人は根をあげそうになり、ライネに言うと
「ええ、よろしいですわ。 いらっしゃって、和人様」
ライネも快感よりも苦しさの方が大きいのだろう。 和人の射精を促した。
「あっ、ううっ……」
和人の体が一瞬大きく痙攣し、その後ブルブルと震え、やがてグッタリとライネに伸し掛かった。
「ああ〜っ、で、出てますのね」
和人に全てを捧げたライネは満足そうに呟き、ベッドに突っ伏した。

……
少し落ち着いた頃、ライネが気だるそうに身体を起こして、和人の陰茎からコンドームを外し、中からこぼれないように入り口を結ぶと、ゴミ箱に捨てた。
さらに、射精後の萎えた陰茎をおしゃぶりしてキレイにしてくれる。
それが終わると、ライネは和人にしがみつくように寄り添って、改めて
「ああ〜っ」
っと大きな声を出した。
そして
「これでもう、あたくしの全ては和人様に差し上げましたわ。 あたくしの全ては和人様のモノでございますわよ」
余韻に浸るように和人に言う。
「じゃあ、ライネ。 ボクのお願い聞いてくれる?」
和人がライネの髪を撫でながら尋ねた。
「ええ、よろしいですわよ。 でもお尻はちょっとカンベンしてくださいましな。 まだ慣れなくて……」
ペロっと舌を出して言うライネに
「ううん、もう1回…… お尻じゃなくて普通に、ライネの膣内(なか)に入れたい……」
159名無しさん@ピンキー:2007/11/05(月) 05:27:19 ID:NIdl6LTp
思いがけず普通の要求だったので
「ええ、よろしゅうございますわ。 和人様が満足なさるまでいくらでもあたくしの身体をお使いくださいましな」
ライネが身体を起こそうとした。
「そ、それと…… あの……」
他に要求があるようだ。
「はい? なんなりと」
察して和人の要求に応える準備がある事を告げた。
「あの、また…… ライネがおしっこしてる所が見たい……」
顔を真っ赤にしてそれだけ言うと俯いてしまった。
「えっ? まぁ!」
ライネも和人の要求を聞いて顔が赤くなる。

それでも
「はい、解りましたわ。 和人様が見たいとおっしゃるなら……」
和人の手を取ってバスルームにあるトイレに行く。
洋式便器に座り、便座に足を乗せて大きく開くが、なかなか出ない。
「あれっ? で、出ませんわねぇ」
無理も無い、和人と既に3回セックスをしている。
その都度、いっぱい汗をかき、口から涎を流している。
性器からも愛液が漏れ溢れてるのだから、ライネの体にはそれほど水分が残っていないのだから。
「少々、お待ちくださいましね」
便座から立ち上がると、部屋にある冷蔵庫から缶ビールを出して、飲んだ。
乾いた喉にビールのほろ苦い刺激が走り、液体が体に染み渡るようだった。

「ふぅっ」
飲み終えるともう1本飲み、少し頬を赤らめてトイレに戻って来た。
「ああ〜っ、久々に飲むお酒は効きますわぁ」
ほろ酔い加減のライネが酔っ払い特有の少し大きな声で言ったのだった。
「ライネ、宴会とかじゃよくお酒飲んでるよね?」
和人の指摘に
「まあ、そうですけどぉ、最近は飲んでませ〜ん」
手をヒラヒラさせて否定したのだった。
10分位便座に座っていたら
「あら、和人様。 出そうですわ。 さすがにビールは早いですわねぇ」
再び足を便座に乗せて大きく股を開いた。
和人は股間に顔を近づけ、両手で陰唇を開く。
160名無しさん@ピンキー:2007/11/05(月) 05:28:53 ID:NIdl6LTp
「んっ…… んんっ……」
ライネも一生懸命出そうとしてるのだろう。
いきむと、膣口の少し上にある、ポツンとした尿道口が開いたり閉じたりしている。
それでもやっぱり失ってる体の水分が多いのか、なかなかビールの水分は尿にまで回らないようだ。
暫くそんな感じの攻防が続いたが、ついに
「あっ出ますわよ」
小さく息を詰めた感じで言い、キュッと閉じていた尿道口がプクっと盛り上がって口を開けると、そこからやや濃く色づいた黄金色のおしっこがチョロチョロっと出始めた。
始めは陰唇を伝って、お尻の窪みから下に落下するだけだったが、やがて勢いを増し、1本の水流になって和人の目の前を放物線を描いて便器に落ちた。
なかなか出なかったが、いざ出始めると、放尿は意外と長く続いた。
それでも徐々に勢いは弱まり、最後にお尻をプルンと振って放尿は終わった。

ライネがトイレットペーパーを取ろうとするが、和人がそれを止めて、今まで放尿していた性器を舐め出した。
「もう、和人様ったらぁ……」
ほろ酔い加減のライネが和人の顔をどけようとするが、アルコールが回ってるのと、性器への刺激で力が入らない。
されるがままにしていた。
舐め取る和人の舌にはおしっこ独特の匂いと、少ししょっぱい味。 さらにアルコールの香りがした。
全てを舐め取ると膣からは新たな蜜がじくじくと溢れて来た。
ライネを抱き抱えてベッドに行こうとするが
「和人様ぁ、お風呂でしましょ」
そういって、バスルームにあるエアマットに下ろしてもらった。
そこで後ろから挿入したが、途中で騎乗位に変わったが、酔いが回ってるライネはすぐ根を上げて結局はバックから挿入しなおして、ダメ押しの射精をライネの膣に注ぎ込んだ。
・・・・・・
161名無しさん@ピンキー:2007/11/05(月) 05:30:23 ID:NIdl6LTp
一方、羽衣町。
フラフラと彷徨うワルキューレは七弧神社に着き、ハイドラと秋菜に和人の所在を聞くが、2人から返って来た答えは
「さあ、知らないわよ」
「オレが知るかよ」
と言ったものだった。
それを知ると
「ソウデスカ、ジャア……」
とだけ残して去った。
暫くしてファムが息を切らせて走ってきた。
「今、ワルキューレ来なかった?」
事情を話し、秋菜とハイドラから状況を聞くと
「何か、あのまま放って置いたら危ない気がするのよねぇ」
秋菜が持ってきた水を飲むと
「あっ、そうそう。 忘れてたんだけど、今日、メームお姉様やイナルバ、ネスティお姉様達が来るわよ」
自分の用件を伝えると
「私は真田さんにも伝えてくるから」
また走ってその場を去った。

ワルキューレが次に向かったのはコーラスのアパート。
ドアをノックすると中からコーラスが出てきた。
「やぁ、ワルキューレ、いらっしゃい。 どうぞ中に入って」
招き入れるとワルキューレは素直に中に入った。
「ゴメンね、散らかってて」
中はコーラスのDVDやゲームが散乱し、部屋の隅には雑誌が山積みされてる。
「あっそれ? それはライネの読んでる雑誌だよ」
「!」
一番上の雑誌に見覚えがある。
真田さんが読んでた、雑誌と同じ表紙……
それをどけるとさらに見覚えのある表紙が……
本屋で買った先月号。

中身の所々に折込みがあり、そこを開けるとワルキューレの目が見開かれた。
自分が読んだのと同じフェラチオの記事。
(ヤッパリ、ライネダッタノ……)
さらにバックナンバーを見て愕然とした。
かつて和人が自分に、ああして欲しい、こうして欲しいと言った要求と言うか、自分に教えてくれた愛撫の仕方とまるっきり同じやり方が、掲載されている。
中性っぽい部分がある和人だが、女性誌、ファッション雑誌は読まないだろう。
真田さんも購読してるみたいだが、それを読んでる様子もない。
かと言って他の女…… 他の姉妹や秋菜とはそういう関係ではないだろう。
さらに古い号を見てそれは確定的になった。
胸を使った愛撫のやり方が書いてある。
(ライネハコレヲミテ、和人様ニシテサシアゲテ、ソレデ……)
162名無しさん@ピンキー:2007/11/05(月) 05:32:20 ID:NIdl6LTp
考え込んでるとコーラスがお茶を用意してくれた。
だが、お茶も飲まずに
「ライネハ?」
コーラスに尋ねると
「えっ? ライネ? 今日は朝から出かけたよ。 普段は昼まで寝てるのに、時々朝早く起きて出かけるんだよね」
これで全てのピースが揃った。
和人とライネは間違いなく定期的に逢瀬を重ねている。
だが、あくまでそれは状況証拠で、その現場を見た訳ではない。
(ソウヨ、コレハワタシガカッテニオモイコンデルダケ)
残された微かな理性でそう思い込むと、ライネ、もしくは和人を探すべくアパートを出た。

暫くしてファムが来て事情と姉達が来ることを伝えると、コーラスも一緒にワルキューレの後を追った。
しかし、ワルキューレの姿はどこにも見当たらない。
「歩いてるはずなのに、何処行ったのかしら?」
ファムが言うと、
「あっアレ」
コーラスが空を指差した。
まだ小さいが、メームの母船である事は解る。
「うげっ! もう来ちゃったの」
「でもあの距離だともう少しかかるよ。 入国の手続きにも時間がかかるだろうし。 それよりワルキューレを探そうよ」
「そうね」
そこにハイドラと秋菜が加わり、4人は商店街に入って行った。
・・・・・・
163名無しさん@ピンキー:2007/11/05(月) 05:34:02 ID:NIdl6LTp
「ああ〜っ、今日はもうお腹一杯ですわぁ。 もうこれ以上は出来ませんわ」
和人が最後の射精を終え、その場でぬるめのシャワーを浴びて、殆ど酔いが覚めたライネが髪を乾かしながら言う。
「そうだね。 でも本当にありがとうライネ。 ボクの我侭に付き合ってくれて」
お礼のキスをすると
「そういう事はおっしゃらないでくださいましな。 あたくしは和人様に抱かれるのを楽しみに、カレンダーに印をつけて待ち望んでるのですから」
服を着ながら答えた。
いつもの和人に戻ってるのを見て、ライネもホッとしたのだった。
「少し早いですけど、今日の所はそろそろ帰りませんこと?」
ライネの提案に和人も頷いた。
ライネと過ごした時間、ライネとのセックスで心のモヤモヤが払拭出来たし、和人も内股が痛く、亀頭もヒリヒリする感じでこれ以上はセックスは出来そうにないし、ライネの胸や口で愛撫されてもヒリついて痛いだけだろう。
追い詰められた自分が現実から逃避するようにライネと羽衣町から抜け出し、2人の時間を過ごした事で目的は果たせた。
「そうだね、帰ろうか」
和人がもう1度、お礼の意味を込めてライネにキスをすると、手をつないでホテルを出た。

しかし、海岸線を歩き、電車に乗ると和人が弱音を吐いた。
「ボクは…… やっぱり現実から逃げ出したのかな? イヤな事から逃れる為にライネを利用しちゃったんだね」
申し訳なさそうに言う。
「何をおっしゃいますやら。 あたくしは気にしてませんわ。 あたくしは和人様をお慕い申してますし、あっ、それはあたくしが勝手に思い込んでる事で…… 和人様にとってあたくしは別に抱きたい時に抱く都合の良い女でよろしいですのよ」
言葉は刹那的だが、表情は明るい。
「和人様が疲れた時、何かから逃げ出したい時、そんな時にあたくしに避難されるのはあたくしにとっても大変嬉しい事ですから。 それだけあたくしは和人様に必要とされてるのが実感出来ますから」
そう言って、ピッタリと寄り添ってきた。
「ごめんね、そして…… ありがとう。 ライネ」
和人も人目を憚らずライネを抱き寄せた。

電車は羽衣町駅に着いた。
そして改札を抜ける。
いつもなら、ここで2人は手も繋がず、そのまま挨拶だけして別れる事が殆どだが、今日はそんな気分じゃなかった。
「あらら……」
まだ、アルコールが少し残ってるのだろう。
ライネがフラついたので、和人が支えるように手をかけた。
「申し訳ございません」
中ライネのようにしおらしく言うライネが愛しく思えた。
駅から出ても和人は手を離さず、ライネも寄りかかるように和人に体をおしつけ、腕を組んだ。
2人の目が偶然合う。
羽衣町なのに、まだ午後4時前なので人通りも多いのにライネは和人を見上げると、目を閉じてキスを要求した。
和人もそれに応え、ライネを抱き寄せると、キスをした。

長いキスが終わってライネが目を開けた時、ある物を見つけた。
ヴァルハラの紋章をつけた男を2人。
(なあるほど。 そういう事でしたの)
何か納得したライネだったが、それには触れず
「和人様、ここだと人目もございますし、そろそろお別れいたしましょう」
和人から離れた。
「うん、本当に今日はありがとうね」
お礼を言って、2人は別々の方向に歩き出した。
ライネがヴァルハラの紋章をつけた男達が自分の後を尾行してのを知ると、あえて気づかないふりをしてアパートに向かった。
・・・・・・
164名無しさん@ピンキー:2007/11/05(月) 05:35:15 ID:NIdl6LTp
2人が駅前で、人目を憚らずキスをしてる時、丁度ライネと和人を探し回っていたワルキューレが駅前に来ていた。
(チガウ、和人様とライネガソンナコト……)
心の中でそれだけを呟いていたら駅から出てきた和人の姿を見つけた
「アッ! カズトサ……」
和人の名を呼んで駆け寄ろうとした時、恐れていた現実がワルキューレを襲った。
ライネが和人によりかかり、腕まで組んでいる。
さらには人目を憚らずキスまで……

ガッシャ〜ン!

ワルキューレの中で微かに残っていた最後の「何か」が音を立てて壊れた……
「ふふふ…… はははは…… あははははははははは………」
虚ろな目で空を見上げたワルキューレはその場で笑うだけだった。
165ワルキューレゴーストよ:2007/11/05(月) 05:39:39 ID:NIdl6LTp
今回はここまで。
次で最後かも。
なるべく早いうちに続きを話させてもらうから、その時は付き合ってちょうだい。

さて、今日からまた1週間が始まるわ。
学生の人、社会人の人。 勉学にそして仕事に頑張ってちょうだいね。
ではおやすみなさい。 そしておはよう。
行ってらっしゃい。
166名無しさん@ピンキー:2007/11/06(火) 17:50:40 ID:ztr8KRX4
ついに来たか・・
アナルプレイを書かれたのって初めてだよね
続き待ってます
167名無しさん@ピンキー:2007/11/09(金) 21:12:09 ID:Urb/6U+p
hosilyu
168名無しさん@ピンキー:2007/11/12(月) 14:07:12 ID:v79qo5wh
忙しそうだ・・
職人氏ガンガレ
169ワルキューレゴーストよ:2007/11/13(火) 04:59:55 ID:a8EFNnGO
もう何と申していいやら……
遅くなってすみません。
って言ってたわ。
それと今日では終わらなかったのよ。

さらに今日はエロは無いし、だいぶ表現をぼかしたけど残虐な描写があるから、ニガ手な人は読まないでちょうだい。
それじゃ、続きをさせてもらうわね。
170名無しさん@ピンキー:2007/11/13(火) 05:01:46 ID:a8EFNnGO
「ふふふ…… はははは…… あははははははははは………」
(和人様がライネト…… ソウダッタノ)
悲しくて悔しくて絶望もしたが、不思議と涙は出なかった。
ワルキューレはその場を去ると家に帰った。
途方に暮れる余裕すら無くなっていたのだった。
(……)

一方ライネはそのまま帰らず、商店街に入ってあてもなく店を見て回っていた。
本当は早く帰って、今日の思い出に耽りたい。
和人に抱いてもらった事。
自分に残された最後の「処女」を和人に捧げた事。
別れ際のキス。
……
でも帰ればコーラスがいるだろう。
別にコーラスがいても思い出には耽れるが、今日は特別な思い出だったので、1人でいたかった。
行くあてもないので、商店街からでて、近所の公園で時間を過ごす事にした。
子供向けの少し低いブランコに腰をかける。
「つっ!」
和人に貫かれたお尻が少し痛む。
でも、その痛みが和人に全てを捧げたという証拠、言わば刻印として感じられ、ライネにとっては心地良い痛さだった。

和人も素直に帰る気にはなれなかった。
ライネを抱いてしまった事、ワルキューレへの罪悪感があり、彼女と顔を合わせるのは辛く感じていた。
いたずらをして母親に叱られた子供のように家には帰りづらいのだった。
しかし、帰らないわけにもいかないし、今日は学校が休みなので、銭湯を開ける準備をしなくてはならない。
休日位は、普段苦労かけてる真田さんを休ませてあげたかったし、何より時乃湯は自分の銭湯なのだから。
結局駆け足で帰った。

時乃湯には一足先にワルキューレが帰っていた。
「姫様、おかえりなさいませ。 その様子では婿殿には……」
語りかけるが、ワルキューレからの返事は無く、ワルキューレはそのままバスルームに消えた。
暫くするとバスルームからシャワーを使ってる音が聞こえてくる。
真田さんはバスタオルを用意すると
「姫様、バスタオルを置いておきますので……」
しかし、中から返事はない。
ワルキューレの白い肌、金色の髪にお湯が降り注ぐ。
「……」
何かを決意したように念入りに洗う。
それは過去に決別するかのように、全てを洗い流しているようだった。
171名無しさん@ピンキー:2007/11/13(火) 05:03:16 ID:a8EFNnGO
その時、和人が帰ってきた。
「お帰りなさいませ婿殿……」
ワルキューレが和人を探しに行ったにも関わらず、出会えなかったのはワルキューレの様子を見て解った。
せっかく探しに行ったのに出会えなかったようなので、ワルキューレに行き先も告げずに出て行った和人に少しキツ目の言い方になってしまった。
「ただいま……」
和人も真田さんの顔、特に目を見て話は出来なかった。
良く気が付く彼女だけに、何かに気づくかもしれない。
「あれ?」
バスルームから音がする。
「ワルキューレ、お風呂入ってるの?」
和人が尋ねると
「はい…… 帰って来られるなりいきなり」
「……」

俯き加減のワルキューレの頭にお湯が落ち、髪の間から流れてくる。
バサッ
髪を払い、顔を上げてシャワーを受けるとコックをひねってお湯を止めた。
ポタッ…… ピチョン……
静寂が戻ったバスルームに雫が落ちる音が響く。
「これで…… お終いにしましょう…… ううん、終わらせるわ。 全てを……」
バスルームを出ると真田さんがバスタオルを用意してくれていた。
手にとって髪を拭き、体についた水滴を拭う。
脱衣所にある鏡に自分の姿が映る。
自分で言うのも何だが、憑き物が取れたように、最近では考えられないほど晴れ晴れとしている表情。
「ふふふ…… でも…… 和人様は私だけのもの。 誰にも渡さない、例えそれが妹、ライネ。 貴方だったとしても」
呟いたワルキューレ。 目は爛々と輝いている。
バスタオルと体に巻くとバスルームを出た。

「あっ! お帰りなさいませ和人様」
和人を見てワルキューレが出迎えの言葉を告げる。
「うん、ただいま…… !」
「……?」×2
和人は真田さんと顔を見合わせた。
最近のワルキューレとは違い、言葉もハッキリしており、目には光も戻ってる。
表情もいつもの柔らかいワルキューレに戻っていたからだった。
「そ、そうですわ、そろそろお夕食の準備をしましょうか。 姫様もお手伝いいただけますわね?」
真田さんが切り出したが、ワルキューレの返事は
「いえ、ごめんなさい。 私今からちょっと出かけるので」
小さく頭を下げると、部屋に戻って行った。
172名無しさん@ピンキー:2007/11/13(火) 05:04:53 ID:a8EFNnGO
部屋では髪を乾かしたワルキューレが白いコスチュームに身を包んでいた。
羽根のついた帽子を被ると
「待ってて和人様…… んふふ……」
決意の言葉を鏡に映る自分に言い聞かせると部屋を出た。
途中で、隣の部屋に置いてある自分で編んだロングマフラーを手に取り首にかける。
階段を下り居間に入ると、困惑気味の和人と真田さんがちゃぶ台を挟んで座っている。
「和人様」
ワルキューレの呼びかけに当の和人だけじゃ無く、真田さんも声のした方を向く。
和人に近づくとマフラーを外し
「和人様。 これ…… 私が編みました。 精一杯心をこめて編みました。 これから寒くなりますから、良かったらお使いください」
マフラーを手渡す。
「そ、そうでございます。 婿殿には内緒にしておりましたが、姫様がそれはもう一生懸命編まれて……」
このタイミングでマフラーを手渡すのが意外だったが、真田さんは嬉しかった。

それに応えるように和人も
「うわぁ、ありがとう。 暖かそうだね。 大切に使わせてもらうからね。 何かお礼しなきゃ」
「これで和人様と私はいつも一緒……」
和人にマフラーをかける。
長いのでワルキューレも一緒に巻く事も出来た。
「まあまあ、お二方ともお似合いでございます」
真田さんが手を叩いて喜ぶ。
ここ数日のワルキューレの変わりぶりに驚きと共に、怖さを感じ、自分の知るワルキューレでなかっただけに元に戻った姿を見るだけでも嬉しかった。
「もっと、寒くなれば、こうして2人で商店街を歩きたいですね」
「うん、そうだね。 そうしよう」
ワルキューレの提案に和人も頷いた。

「和人様、先程の……」
「えっ? う、うん。 何かお礼したいんだけど」
和人が笑顔で言うと
「じゃあ…… 私を愛してください。 何があっても、ずっと。 永遠に私を…… 私だけを愛して」
じっと和人の顔を見ながら、強い言葉でハッキリと意思を口にした。
「ワルキューレ…… うん、ボクはずっとワルキューレが好きだったけど、これからもずっとワルキューレを愛するから……」
目を閉じると、ワルキューレにそっと、そして強くキスをした。
「まあまあ」
真田さんが困ったようにうろたえるが、言葉とは裏腹に困った様子はない。
長いキスが終わると
「じゃあ、出かけて来ますね。 和人様、愛してます。 誰よりも、宇宙で一番和人様を愛してます……」
想いを言葉にしてワルキューレが出て行った。
173名無しさん@ピンキー:2007/11/13(火) 05:07:20 ID:a8EFNnGO
「真田さん」
「はい?」
「ワルキューレ、何かあったのかな? ボクの思い過ごしだったら良いんだけど、何か……」
漫然としている不安を述べると
「婿殿…… わたくしには解りかねます。 しかし……」
だが、「しかし」の後は続かなかった。
真田さんも和人の感じていた「何か」には引っかかりを覚えていたが
(姫様が元に戻られましたのなら……)
そう考える事にしたし、深く考えるのが怖かった。
ワルキューレが元に戻ったと言っても、先程の表情や言葉はいつものはにかんで和人と接するワルキューレではない。
まだ、「何か」があるのは薄々感じてはいたが、それは和人同様、自分の思い過ごしと思い込みたかった。

薄暗くなり始めた夕方、空気の振動する音がしたので、2人共外に出て、空を見上げるとメームの母船が宇宙港に接岸しようとしていた。
「メーム様?」
地球には降りて来てないが、さらに上空には無数の護衛の艦隊が黒い点になって見える。
「ネスティさんも来たのかな? だったらイナルバさんも来てるかもしれないね」
「イ、イナルバ様!」
その名前を聞いて真田さんが震え上がった。
「な、な、なんの連絡も無く来られるなんて」
明らかに動揺してる様子だった。
……

その頃、公園にいたライネもメームの母船を見て、姉達が来たのを知ると、ブランコから立った。
またファムとコーラス、秋菜とハイドラも振動する空気と轟音で空を見上げる
「オイ、もう来ちまったじゃねぇか」
ハイドラがファムに言う。
「そうね……」
それでもワルキューレを探し続ける。
ライネが公園から出てアパートの方へ歩き出した時だった。
「ライネ」
呼ぶ声がしたので振り返るとワルキューレが佇んでいた。
「あらぁ、ワルキューレお姉様ごきげんよう」
型通りの挨拶をしたが内心は複雑だった。

普段は最も会いたいと思ってる姉だったが、今日は和人との内緒のデートの帰り。
顔を会わせ辛かった。
「ライネ、少しお話しない?」
尋ねる言い方だが、拒否する事は許さない。という感じが全身から漂ってる。
「ええ、解りましたわ」
拒否する事は出来ないと知ったライネは素直に従い、先に背を向けたワルキューレの後をついていった。
「そう言えば、メームお姉様が来られたみたいですわねぇ」
「そうね……」
ライネが語りかけてもワルキューレからの返事は素っ気無かった。
174名無しさん@ピンキー:2007/11/13(火) 05:08:39 ID:a8EFNnGO
「お、おい。 あれワルキューレじゃねえか?」
商店街の向こうのさらに遠くに白のコスチュームに長い金髪の姿を見つけてハイドラが言う。
「うん、そうだね。 ライネも一緒かな」
コーラスが同居人の姿も確認すると秋菜もファムも頷く。
再び2人の方へ走り出した。

ワルキューレとライネは、建設資材が置かれているビルの建設予定地の広場に来た。
「如何なさいましたの、ワルキューレお姉様?」
ライネが面倒臭そうに言うと、ワルキューレは黙って振り返る。
「ねえライネ。 ヴァルハラ星には8つの月があるけど、この星(地球)には月は1つしかないの」
「はぁ? それがどうかなさいましたの?」
突然の問いかけにライネも尋ね返すしか出来ない。
だが、次の言葉でハッキリ意味が解った。
「和人様には…… 和人様にお仕えする女は1人でいいのよ。 和人様に愛される女は1人だけ……」
「…… そうですわね」
返えしただけ。
(そうですの。 どう言う訳かは存じませんがお姉様、和人様とあたくしの事に気づかれたのですわね)
「和人様に月は2つはいらないのよ。 だから……」

「シンデチョウダイ!」

ワルキューレの掌が鈍く光る。
「なっ!? きゃぁぁ!」
ライネが身構える間もなく、ワルキューレの掌から放たれた光の玉がライネを襲った。
ドーン!
何とかよけたものの、風圧だけでライネの体を弾き飛ばした光の玉が後方の資材に当って大きな音を立てて爆発した。
「お、お姉様……」
ライネがワルキューレを見る。
先程まで輝いていた瞳からは光が消え、いつかお茶会の時のようなうつろな目になっている。
冗談では無いようで、どうやら本気で自分を殺す気でいるのはその目だけで無く、表情、そして全身から滲み出てる負のオーラが物語っている。
他の姉妹達が白眼視しているにも関わらず、慈愛に満ちた女神のように自分を可愛がってくれた眩しい笑顔は無い。

「いたっ!」
ワルキューレの攻撃を避けた時に足を捻ったのか、ライネは立ち上がる事が出来ない。
「ダメヨヨケチャ。 セッカククルシマナクテスムヨウニ、ラクニシナセテアゲヨウトオモッテタノニ」
ゆっくりとワルキューレが近づいてくる。
「ひっ!」
体を引きずって後ずさるライネに馬乗りになる。
パシッ、ビシィッ!
ライネの顔に平手打ちを浴びせる。
「ああっ、お、おねえさ……ま」
ライネの白い顔はたちまち赤く腫れ、口の中が切れたのか吐き出した唾には血が混じっていた。
175名無しさん@ピンキー:2007/11/13(火) 05:10:07 ID:a8EFNnGO
「……」
一瞬手を休めたワルキューレ。 何かを念じるように目を閉じるとその手に時(刻)の鍵が現れる。
「トキノカギヨ、コノモノヲヒカリノゲンシニカエセ」
鍵をライネの頭上にかざしたが、以前のように光を湛えてワルキューレの要求に応える事はなかった。
時(刻)の鍵は遠い遠い先祖の思念が産み出した神器。
受け継いだ後継者はワルキューレだったがライネも子孫であり、自分達の子孫を消し去る事を拒否したのだった。
それに現在のワルキューレなら、例え相手がライネでなくとも、その力を発揮する事は出来なかっただろう。
「チッ」
ワルキューレらしからぬ舌打ちをすると、鍵の力でライネを消し去る事を諦め、先端をライネの喉元に向けた。
「サヨウナラ…… ライネ!」
柄を両手で掴んで構えると躊躇無く突き刺す。
ジャッ……
「あああ〜っ!」
寸での所で顔をずらしたライネ。
その首に巻かれている和人に買ってもらった皮製のチョーカーを引き裂いて鍵は地面に突き刺さった。
だが、首の皮を破き皮膚が裂けたようで、血が溢れ出す。

ワルキューレが鍵を引き抜くと今度は顔の中心に狙いを定めて構えた。
「おい! 何してんだ?」
4人の中で一足先に駆けつけたハイドラが今にも鍵をライネに突き刺しそうになってる状況に直面して声を上げる。
それでもワルキューレはハイドラの声が聞こえないようにピタリと止めて狙いを定めたライネの顔面に鍵を打ち込もうとしている。
「やめろぉっ!」
ハイドラが渾身の力を込めて体ごとワルキューレにぶつかると、ワルキューレの体がライネから離れた。
「……」
突き飛ばされたワルキューレが、ゆっくりと立ち上がる。
「おめぇ、何のつもりだ。 ライネを殺す気かよ? ライネはオレ達の妹なんだぞ!」
「……」
返事も無くワルキューレはライネに近づこうとする。
「だから待てって言ってんだよ!」
再びワルキューレを止めた時に残りの3人が到着した。

「えっ? ちょ、ちょっと…… 何? どうなってるの?」
あまりの状況にファムが口を抑えて叫んだ。
顔を腫らして血を流して倒れてるライネ。
「ちょ、ちょっとやめなさいよワルキューレ」
秋菜が叫ぶ。
ピクッ
秋菜の声にワルキューレが反応する。
「バカ野郎! ンな事ぁどうでもいいから、さっさとオレの封印を解け! でないとコイツにゃぁ対抗出来ねぇ」
ハイドラの声に秋菜も我に返り封印を解除する印を結び出した。
「フッ」
ワルキューレが手をかざすと光の玉が産まれ、秋菜の方に向かった。
「きゃぁぁっ」
「秋菜ぁ〜!」
護符を取り出し、体の前で結界を張った秋菜だったが、ワルキューレの渾身の攻撃に結界は破られ、体ごと吹き飛ばされた。
176名無しさん@ピンキー:2007/11/13(火) 05:11:31 ID:a8EFNnGO
倒れたまま起き上がれそうにない秋菜だったが、顔を動かしているので、生きているのは解る。
「七村さん!」
ファムが駆け寄ろうとするが
「ファム! 秋菜は大丈夫だから、おめぇは宇宙港に行ってアネキ達を呼んで来い。 コーラスは和人を呼んでくるんだ、早くしろ!」
2人は頷くと互いの方に走り去った。
「早くしてくれよ。 この姿のオレがワルキューレを抑えられるとは思えねぇからな」
必死にワルキューレを抑えるハイドラに
「ジャマシナイデ……」
表情1つ変えずに言うと、ハイドラの体を引き剥がすように離すと、そのまま手の上に出来てる光の玉を叩きつけた。
「うわぁぁぁっ」
吹き飛んだハイドラの体を追いかけ、建築資材の鉄骨に押し付けると、さらに光の玉を打ち込む。
「あ…… があぁっ……」
ハイドラの手の指は反り返り、左足はありえない方向に曲がってしまった。
「こ、コノヤロー、手加減…… なしか…… よ」
意識を失う寸前にワルキューレに言ったが、ワルキューレは表情を変えずに拳を握ると、ハイドラの顔に躊躇無く入れた。
ハイドラの体が力なく崩れ落ちると、ワルキューレは当初の目的を果たすべく、目標であるライネの方を向いた。

一方宇宙港のメームの母船。
少し離れた場所で起こった爆発はメームの母船でも確認出来た。
「事故ですか? それともテロですか?」
イナルバのヒステリックな声が響き渡り、部下に原因の究明を急がせ、船を降りようとしていたメームを止めたのだった。
「妙だな……」
メーム、イナルバとは対面に座ってるネスティが口を開く。
「何か?」
メームが扇子をパチンと閉じて尋ねる。
「事故だとしても爆発物が爆発したのならその後に爆発があってもおかしくないが、その後は1度だけ。 テロにしてもこの船を狙ったにしては距離が離れているし、目的を果たせなかった割には第2、第3の攻撃がない……」
軍人らしい冷静な分析をするネスティ。
「でも、だからと言って原因も解らずにメームを降ろせますか!」
「まあ、そうだな……」
そこに、部屋の外が騒がしくなった。
イナルバがメームを遮るように前に立ち、ネスティが銃に手をかけた。

(「ファム様、どうなされたのですか? メーム様なら……」)
外の声が聞こえ、騒ぎの原因が妹である事を知ると、イナルバは再びメームの横に腰掛け、ネスティも銃から手を離した。
プシュー
空気が抜けるような音がしてドアが開く。
部屋の中には許可無く入れない護衛の兵士が頭をさげると、
「よろしいのです。 お下がりなさい」
中からメームが指示を出して兵士が下がった。
「どうした、ファム。 出迎えか? その割には顔が強張ってるが」
冗談めいてネスティが言うと
「それ所じゃないのよ、ネスティお姉様」
ファムの表情、そして口調からただならぬものを感じた3人。
「まあ、落ち着きなさい」
177名無しさん@ピンキー:2007/11/13(火) 05:12:49 ID:a8EFNnGO
イナルバがオレンジ色の飲み物を出すと、一気に飲み干し。
「ワルキューレがライネを…… ハイドラが止めようとしたけど無理みたいなのよ」
まだ頭が整理されてないのだろう。
言葉は完全では無いが、何となく意味は解った。
……
3人は顔を見合わせて頷くと
「それはどこなの? あの爆発があった場所なのね?」
イナルバが言うと、その時の状況が思い出されたのか、ファムは青ざめた様子で頷いた。
「メーム行くぞ。 イナルバ上陸の許可諸々処置を頼む」
ネスティが部下に連絡してメームを伴って出て行った。
ファムも2人に続く。
イナルバは宇宙港の責任者を呼び、メームとネスティと自分、そして親衛隊の上陸を告げ、それ以上の問題は部下に指示を出して3人を追った。

「和人さん、和人さんいないの? 大変なんだよ」
玄関を叩くコーラスの声が明らかにおかしい。
和人と真田さんが顔を見合わせた後、2人で玄関に行き、扉を開けた。
「ああ、良かった。 和人さんいたんだ。 お願いワルキューレを止めて。 このままじゃライネが……」
「!」
「如何なされましたか、コーラス様?」
事情は飲み込めない真田さんだったが、和人には何となく解った。
原因は自分で、それが元でワルキューレとライネが……
直感でそう感じたのだった。
「コーラス、ワルキューレはどこにいるの?」
「えっ、うん。 商店街と駅前の間にある建設予定地……」
それだけ聞くと、和人は靴を履いて駆け出した。
(ボクのせいだ。 ボクのせいでワルキューレとライネが……)

そして、ワルキューレとライネ。
「あっ……」
ゆらりと近づいてくるワルキューレから逃れようにも足をくじいて動けないので、恐怖が倍増される。
「コンドコソ…… アタナヲ…… コロシテアゲル! デモキガカワッタワ。 カンタンニハコロシテアゲナイ」
動けないライネに馬なりになると、左手で亜麻色の髪を掴み、右手は今度は拳を握った。
「……」
そのまま無表情のまま拳を振り下ろす。
「あああ〜っ……」
キシッ!
「きゃっ…… ぎゃぁぁぁぁ〜っ!」
腫れた顔面に無数の打撃を加えるワルキューレ。
その1発がライネの目を襲った。
瞬間的に目を閉じたライネだったが、瞼の上からの一撃がライネのコンタクトレンズを砕いてしまった。
178名無しさん@ピンキー:2007/11/13(火) 05:14:13 ID:a8EFNnGO
ハードレンズを着用してるのが災いし、硬い破片がライネの眼球を傷つけた。
燃えるように熱い痛みが目から全身を駆け抜け、ライネの視界が一瞬真っ赤に染まったかと思ったら真っ暗になった。
「あがぁぁぁっ」
異様に苦しみ、打撃を入れた方の目から涙の混じった血が流れてるのを見たワルキューレ。
「フフフ……」
不気味に笑うと、もう片方の目にも容赦無く拳を叩き込む。
やがて、硬く閉じられた両目から涙混じりの血が流れると、その後もライネの顔面を殴り続ける。
ガギィっ
拳にイヤな感触が走り、暫くしてライネの頬が大きく腫れた。
ライネのザックリ裂けた頬肉の内側の頬骨が折れたようだった。

バキ…… ゴキッ……
「っ!」
淡々と殴り続けたワルキューレの手に痛みが走った。
頬を殴り続けていたら、折れた歯が手首に当たった。
「がはっ……」
既に意識を失ってるライネの頬に手をかけ口を開かせると血で真っ赤になってる中が見える。
両側の奥歯は折れて、口の中は無残にグチャグチャに切れている。
また、左側の頬は穴が開き、口の中から外が見えていた。
「!」
ワルキューレの視線の先に彼女の拳程の石を見つけると、それを手に取る。
「……っ!」
ガキッ…… グジャっ!
数回殴りつけるとライネの残されていた前歯も砕け、鋭利な歯の折れた部分が唇を裂いた。

シャァァァ……
体が弛緩したのか失禁してしまったのだろう。
ライネのスカート、両脚の間から液体が噴出する。
「……!」
地面にシミをい作る液体に目をやったワルキューレが何かに気づく。
スカートの中に手を入れ、ショーツを剥がして脚を拡げる。
放尿は終わったみたいで、ワルキューレは拡げた性器を見る。
膣からドロリと透明な粘り気のある汁が漏れている。
「……」
和人の匂い……
いや、和人の精液の匂いというべきか。
時間が経って透明になってるが、ライネの膣から漏れてきてる汁には和人の精液が混ざっている。
人差し指と中指を立ててライネの膣に突っ込み、膣内をかき回すように弄ると、粘り気のある汁が後から後から溢れ出てくる。
179名無しさん@ピンキー:2007/11/13(火) 05:15:44 ID:a8EFNnGO
指を引き抜き、立ち込める匂いが鮮明になり、ペロリと舐めてみる。
間違いなく和人の精液の匂いと味がする。
数時間前にライネの膣に和人の精液が注ぎ込まれた事は確実なようだった。
どこか、自分の知らない所にデートに行き、そこでセックスをしていた。
その帰りを偶然自分が駅前で見つけ、2人が熱いキスをしてる所を目撃してしまった。
「……! ユルサナイ」
ボグぅっ
「がはっ!」
ライネの血に塗れた石を持ったまま下腹部に目標を変え、打ちつける。
意識を失ってるライネだが腹部を圧迫され息ともつかぬ声が出る。

数え切れない程打ち付け、ライネの性器から血が出てきた。
それでもワルキューレは止める事をせず打ち続ける。
グジュッ……
もう何発入れてるか解らないが、久々に手ごたえがあった。
今の一撃でライネの内臓のどこかが破壊されたのは確実なようだった。
「あははは……」
圧迫されて吐血した血が髪につき、ワルキューレの髪の一部が赤く染まる。
本人も自覚してないが、ライネからの返り血を浴びて、ワルキューレの顔の所々は転々と血の痕がついている。
ワルキューレが立ち上がる。
手に持ってる石を捨てると足元に転がってるライネに手をかざす。
光の玉がどんどん成長し、ワルキューレの顔くらいの大きさになった。
「コレデ…… 和人様ハワタシダケノモノ……」

ガッ……
「!」
誰かが投げた石が当った。
見るとハイドラが折れていない方の手で石を投げつけたようだった。
「や…… めろ…… お前は…… 妹を殺すのか…… よ」
激痛に耐えながら、最後の力を振り絞って止めに入る。
しかし、今のワルキューレには通じない。
血がしたたる腕をダラリと下げて、ハイドラに近づいて来た。
「ジャマヲスルナラ…… アナタモ……」
右手1本でハイドラの顔を掴むと、体ごと持ち上げ、そこから思いっきり地面に叩きつける。
「ぐっ……っ」
短い声を出してハイドラは動かなくなってしまった。
邪魔者を排除し、ライネを消し去ろうと光の玉を作り出した。
180名無しさん@ピンキー:2007/11/13(火) 05:18:38 ID:a8EFNnGO
「お止めなさいワルキューレ!」
広場の端から声がする。
メームが声をかけた。
しかし、声の方向に向く事はせず、目の前のライネをこの世から消し去ろうとした。
「目標を沈黙させろ!」
ネスティが一緒に来た部隊に命令を下す。
「も、目標と言うのは…… あの……」
下された命令は絶対だが「目標」とされた人物はワルキューレ。
「そうだ、目標…… 標的はワルキューレだ。 早くしろ」
冷徹に言うネスティ。
「そ、そんな…… 自分には出来ません」
直属の上司はネスティだが、標的はネスティの妹で皇女のワルキューレ。
忠誠心に厚い親衛隊の軍人に、ワルキューレに向かって衝撃銃とは言え銃口は向けられなかった。

「早くしないとライネが殺される。 ハイドラもどうなってるか解らん。 それに秋菜様も。 ヴァルハラ皇女が暴走して2人の皇女がああされて、地球の方にも被害が出ているんだ」
「これ以上ヴァルハラ皇家の人間によって、身内と地球の方、地域に迷惑をかける訳にはいかぬ。 撃て!」
しかし、衝撃銃を構えた手はガタガタと震えてて、とても狙いが定まるとは思えなかった。
「はあはあはあ…… ワルキューレ。 やめてよワルキューレ!」
今度の声にワルキューレはビクッと反応して、声のほうを向いた。
「止めてよワルキューレ」
止めに入った和人を見て、その声を聞いて、ワルキューレの目から涙が溢れた。
「カズトサマ……」
それはライネを庇ってるように感じたのか、それとも自分の姉妹をこんな目に遭わせてる所を見られたくなかったからかなのか?
よろよろと和人の方に近づいてくる。

ジャリッ……
その時、意識を失っているライネの手がダラリと伸びで地面を掻いた。
「!」
ライネにとっては無意識のうちの神経の反射か、筋肉の収縮で動いただけだったが、ワルキューレはまだライネが抵抗の意思を示してると思い、ライネの方を向くと念を集中して光の玉を作り出す。
「シネ…… ライネ」
「待って!」
和人が駆け寄ってライネに覆い被さるように庇った。
「!!!」
慌てて引っ込めようとしたワルキューレだったが、極限まで高められたエネルギーは抑える事が出来ず、ワルキューレの意思を無視して光の玉は手から離れ、ライネとライネを庇う和人へ一直線に向かう。

ボッ…… バジュゥゥ……
「うわぁぁぁぁっ」
激しい光が和人を包み、衝撃で和人の左の腕と太股より先が蒸発してしまう。
「あああ〜〜〜っ!」
全身が焼けるように熱く、事実左半身は服が焦げ、露出した皮膚が焼け、焦げ、蒸発し始めてるのが解ったが、身をどけるわけにはいかない。
自分の身を庇えば、瀕死のライネは恐らく助からないだろう。
こうなってしまったのは、恐らく…… いや、間違いなく自分のせいなのだから。
和人は自分の顔の皮膚が溶け始めた時に意識を失った。
やがて光が治まり、焼けた地面と腕と脚を吹き飛ばされた和人がライネを庇うように折り重なって倒れてる…… 転がってる姿が露になった。
181名無しさん@ピンキー:2007/11/13(火) 05:20:10 ID:a8EFNnGO
「あっ…… あああ〜っ…… か、和人様ぁぁぁっ! いやぁぁぁぁぁぁぁっ、和人ぉぉぉっ!!!」
血に塗れてる右手を左手を必死に抑えたが、光の玉が和人を襲ってしまった。
ライネを和人から引き離したいだけだったのに。
「あああぁぁぁっ…… あはっ…… あはははっ…… はははははははは、和人様ぁ」
ワルキューレが髪を振り乱しながら錯乱する。
「貸せ!」
ネスティが部下から衝撃銃を取り上げると、構えて狙いを定める。
「ワルキューレ、すまん! 許せ」
トリガーに手をかけた時、ネスティの後ろから
バシュッ!
一筋の光がワルキューレに向かい彼女を直撃した。
「きゃぁぁぁぁぁっ!」
断末魔のような悲鳴を上げたと思ったら、その直後、ワルキューレの体が地面に崩れ落ちた。

一同が振り返ると、右手をかざしたワルキューレゴーストの姿があった。
「ダメよ。 もう貴方達は…… 姉妹同士で撃ち合ってはいけない。 もうこれ以上は自分達の手で傷つけあってはいけないのよ」
ゴーストの目からも涙が溢れていた。
「私のせいで…… こうなっちゃったのね。 ごめんなさい……」
「何か、貴方はご存知のようですね。 理由を聞かせてもらえますか?」
メームが一歩前に出てゴーストに対峙して聞く。
しかし
「そうね。 いずれ話す時が来るかもしれないわね。 でも今はあの娘達と和人を助けるのが先でしょ」
言われて現状を思い出したのか、
「おい、皆を収容しろ。 婿殿と秋菜様の救助と生命維持を最優先。 それとワルキューレに拘束具をつけて確保しろ」
命令を受けた親衛隊が連絡を受けた救助艇に和人と秋菜を収容しているとイナルバが駆けつけた。

「な、何があったの? これは!」
駆けつけたイナルバが思わず声を上げた。
あまりの惨状……
左腕と左脚が取れて、焼け焦げてるような和人、脚と右腕があらぬ方向に曲がってるハイドラ。
倒れてる秋菜、口に猿轡を噛まされ、拘束されてるワルキューレ。
そして全身血まみれで、内出血と骨折から来る変形で顔の形が変わってしまってるライネ……
「メーム、何があったの?」
メームに詰め寄る。
「落ち着けイナルバ」
ネスティが止める。
「落ち着けですって? 貴方、これを見て何とも思わないの? いくら貴方が軍人だからって。 私達の妹と婿殿、それに秋菜様までこんなになって……」
まくしたてた。
「理由は解らん。 が、今は彼らの救助が第一だ。 邪魔をするなら退けイナルバ」
ネスティに言われ、冷静さを取り戻した。
「ごめんなさい……」
182名無しさん@ピンキー:2007/11/13(火) 05:22:00 ID:a8EFNnGO
「イナルバ、お前の部下を使ってここら一帯を封鎖するんだ。 場合によってはココ周辺の土地を全て買い取っても構わん。 情報が漏れるのを防ぐんだ」
「!」
ネスティの言葉に
「それはどういう意味ですか? スキャンダルだからと言って情報を規制するのですか? そこまでしてヴァルハラの名誉を守るつもりですか?」
メームが顔をしかめるが
「そんなものはどうでもいい! ただハイドラやライネのこんな姿はカメラに晒したくない。 個人的にな。 それに、婿殿や秋菜様もそんな事になれば今後に響くだろう」
ネスティの言葉に
「そうですね」
とだけ答えて、イナルバが自分の部下に指示を出して現場を封鎖した。
・・・・・・

「あああ〜っ…… うわぁぁぁっ…… か、かず…… ああ〜っ」
ガン! ガンッ!
錯乱したワルキューレが隔離されてる部屋の頑丈な扉やカベを叩く。
プシュー。
ドアが開くと白衣の女官と数人の軍人が入って来てワルキューレを抑えつけ、女医と思しき女性がワルキューレの腕に注射を打った。
注射を打たれたワルキューレは暫くすると騒ぐのを止めて眠ってしまった。
「鎮静剤は効くようだな」
溜息をつきながらネスティが呟く。
その時、イナルバに部下に連れられて真田さんとリカが入って来た。
「何があった…… あっ!」
モニターに映る光景にリカも真田さんも口をつぐんだ。

「お…… お兄ちゃんは?」
不安そうに尋ねるリカ。
「……」
「リカちゃん、ごめんなさい……」
メームが深々と頭を下げて謝る。
「えっ? どう言う事?」
リカの顔から血の気が引いた。
その時、インターホンが鳴りイナルバが取った
「私です…… ええ。 そうですか…… それで…… ええ、解りました」
端末を置くと
「婿殿の命は助かるみたいです」
それを聞いてメームとネスティがホッと溜息をついた。
183名無しさん@ピンキー:2007/11/13(火) 05:23:18 ID:a8EFNnGO
「な、な、何? お兄ちゃんの命が助かるって何?」
「リカちゃん落ち着いて……」
「お兄ちゃんケガしてるの? あのワルQと関係あるの? ねぇどうなのよ? 答えてよオバ様!」
「リカちゃん!」
メームが語気を荒げて言うとリカも理性を取り戻した。
「詳しい事情は私達にも解らないけど、でも確実な事はワルキューレが婿殿…… 時野和人様を傷つけてしまった事だけ。 それも私達の妹であるライネを庇って……」
イナルバが知ってる情報を出した所でリカの体中の血液が頭に昇ってくるのが自覚できた。
「ふざけないでよ! ワルQとライネの喧嘩にお兄ちゃんが巻き込まれたというの? 冗談じゃないわよ。 お兄ちゃんに会わせてよ。 お兄ちゃんはどこにいるの?」
「待ってリカちゃん」
イナルバが止めるがリカは聞きそうにない。

仕方が無いので一同は和人が収容されてる医務室の前に来た。
インターホンを取って
「私です。 婿殿の妹君が参られましたが」
イナルバが中に伝えると、ドアが開いて中から女医が出てきた。
「お、お兄ちゃんは?」
一瞬だけ見えた中の状況。
多数の医師やナースが慌しく動き回っていた。
白衣には血がついているナースも多かった。
気絶しそうなのを必死に堪え、兄の容態を聞きだそうとした。
「お兄ちゃんに会わせて……」
懇願するように女医にすがる。
しかし、女医から出た言葉は
「お気持ちは察しますが、今はお会いになられない方が……」

フラッ……
「リカ様!」
女医の言葉に今度は一気に血の気が引き、軽く貧血気味になり、真田さんが支えた。
「ネスティ様……」
女医に呼ばれてネスティが近づくと和人の容態を告げた。
「うむ…… そうか、とにかく全力を挙げて対処してくれ」
ネスティが答えると女医は頭を下げて中に入って行った。
メームとイナルバがネスティを見る。
ネスティもそれに気づき
「命は助かるらしい……」
イナルバが真田さんに目配せすると、真田さんは頭を下げて
「さ、リカ様。 婿殿は助かるようですので、こちらで……」
リカに肩を貸すと部屋に連れ出そうとした。
メーム付きの侍女の1人が
「真田侍女長、お手伝いいたします」
リカの反対側の肩を抱くと用意してある部屋に連れて行った。
184名無しさん@ピンキー:2007/11/13(火) 05:25:08 ID:a8EFNnGO
それを確認すると、女医から聞いた容態をイナルバとメームに伝える。
「ああっ……」
聞いた結果が思いのほか酷く、イナルバが倒れそうになった。
さらに和人が収容されてる隣の医務室から別の女医が出てきて次に重症のライネについてメームに報告した。
「……!」
「なんだと!」
メームから聞いたライネの状況にイナルバは絶句し、ネスティは思わず声を荒げた。
そこからハイドラの容態が報告され、秋菜の容態も報告された。
ただ、秋菜は脳震盪と打撲だけで2、3日もすれば元の生活に戻れる。と聞き、胸を撫で下ろした。

「だが、問題は婿殿とライネだな……」
メームの執務室に戻った3人。
ファムが入れた紅茶に口をつけただけで満足に飲む事もせず、頭を抱えた。
「どうなってるの? 時野君とライネ」
ファムが尋ねる。
「まあ、ファムなら話しても良いでしょう」
メームが言うとイナルバとネスティも頷いた。
そこで女医からあった報告をファムに伝えたのだった。
そして、比較的軽傷の秋菜を担当していた女医が執務室に現れ、次にハイドラを担当してた女医が入って来た。
さらに時間を置いてライネを担当してた女医が執務室に来て、最後に和人を担当してた女医が執務室のドアを開けた。
今後の治療について話し合われる。
秋菜はすぐ良くなるし、ハイドラは股関節と膝の靭帯を断裂しているのと複雑骨折が数箇所あるものの、時間はかかるが元に戻る。
ただ、ライネと和人の事については医師団も頭を抱えた。

「お兄ちゃん……」
「リカ様……」
「あたしとお兄ちゃんはね。 お父さんとお母さんと離れて、羽衣町で2人で生活してたのよ。 両親とすぐには会えないあたしにとっては、お兄ちゃんは…… わぁぁん。 お兄ちゃぁぁん」
出された食事にも手をつけず、その場でテーブルに突っ伏して泣き崩れた。
「……」
真田さんは何も言わず…… いや、言葉もかけられずリカの肩に手をかけるだけしか出来なかった。
「あんた達が! あんた達がぁ、宇宙から落っこちてきて、お兄ちゃんを殺して! ワルQが魂を分けて助かった? あんた達が来なければお兄ちゃんは死なずに済んだのよ。 せっかく助かった命もこれじゃぁ台無しじゃない!」
「申し訳ございません」
真田さんは頭を下げて謝るだけだった。

それでもリカはまくしたてる。
「返して。 返してよ! お兄ちゃんを返して! ちゃんと元通りに…… あたし達の平凡だけど平和な生活を返して!」
「お兄ちゃんがワルQの事好きになったから、あたしもそれでも良かったけど、もし…… お兄ちゃんに何かがあったらあたしはヴァルハラ星とヴァルハラ皇家を許さないからぁっ!」
涙でぐじゃぐじゃになった顔を真田さんのメイド服におしつけて泣きじゃくる。
真田さんはリカの頭を抱き抱えそっと髪を撫でながら
「申し訳ございません…… ごめんなさい」
謝るだけだった。
真田さんの目からも涙が溢れ、頬を伝ってリカの髪に落ちた。
髪に落ちた涙が染み込んでリカの頭を濡らし、泣き疲れたのかリカは眠ってしまった。
・・・・・・
185ワルキューレゴーストよ:2007/11/13(火) 05:30:18 ID:a8EFNnGO
ごめんなさい、今日はここまで。
ホントになるべく早く最後を話すから。

そうそう。
>>166
お尻はネコ(真田さん)が、前のシリーズ物でしてるみたいなのよ。

さて、皆風邪とか引かないように体には気をつけるのよ。
それじゃあ。
186名無しさん@ピンキー:2007/11/14(水) 10:04:04 ID:FrU8O13F
中々いいヤンデレぶり、月並みだがNice boat。リカの叫びが作品内の影の部分を現していてよかった。

いつかはゴースト×和人の話も見てみたいな。
和人の夢の中にゴーストが出てきて・・・・といった感じの話。
妖艶さを出して和人を責めるが、和人と繋がるときには恥ずかしがったりするゴーストが見てみたい(場合によっては処女)
場合によってはワルキューレも加わったりする。こっちはヤンデレではなく、明るいハーレムっぽいやつで。
187名無しさん@ピンキー:2007/11/14(水) 15:11:16 ID:R+Fau+Wk
なんという展開・・・。
このあといったいどうなるのか
激しく気になる・・・。


原作とのカラーが180度違っていて激しくワロタ
188名無しさん@ピンキー:2007/11/16(金) 00:18:15 ID:7+sWAuaW
作者乙、期待して待ってます〜
189名無しさん@ピンキー:2007/11/16(金) 03:27:18 ID:heMlAPe0
作者の文才に仰天。

続きマダー?
190名無しさん@ピンキー:2007/11/18(日) 21:59:13 ID:pUSZAfrr
保守
191ワルキューレゴーストよ:2007/11/19(月) 06:11:07 ID:wPp9xNgD
遅くなってごめんなさい。
何か最後まで凄く長くなってしまちゃって。
じゃあ、結末はどうなるのか、貴方の目で確かめてちょうだい。
192名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 06:15:34 ID:wPp9xNgD
次の日。
「リカ様、少しはお食べになられませんと……」
真田さんが用意した朝食がテーブルに並んでいるが、リカ一口も口にしない。
心配した真田さんが声をかけるが、リカは俯いたままだった。
「あの、リカ様……」
自分の声が届いてないと思ったのか、改めて声をかけたが返事は無い。
しかし
「聞こえてるよ…… 聞こえてるわよ! でもね、お兄ちゃんが大怪我してるのにノンキにご飯なんか食べられないわよ」
顔を上げたリカには幾筋もの涙が流れていた。
「申し訳ございません」
真田さんがその場で土下座をして謝る。
いつもの事だと思っていたが、今日は少し様子が違った。
彼女のシッポも背中も微かに震えている。
「本当に、返す返すも申し訳ございません……」
謝罪する声も震えている。

「リカ様のお気持ちは重々察しておりますし、この真田ごときが謝った所でどうにもならない事は解っております」
「……」
「ですが、婿殿がああなられた上にリカ様まで、お食事も摂らずにお体を患われる事になったらこの真田も、ヴァルハラ皇家も…… そして姫様も……」
「ですので、この真田をいくら罵倒されようとも、お望みならばわたくしめを八つ裂きにされても結構でございます。 ですから、せめてリカ様…… お食事を摂られて、婿殿が無事治療を終えて戻られた時に、元気にお迎え出来るよう、お備えくださいませ……」
土下座をしたまま懇願する。
真田さんの黒髪の間から見えるカーペットに出来たシミ。
彼女も泣いているのだろう。
「……!」
土下座している真田さんに手がかけられ、リカが抱きついた。
「バカ! あんたを八つ裂きにしたって、三味線にもならないじゃない。 お兄ちゃん…… お兄ちゃぁんっ」
顔を上げた真田さんがリカを抱きしめると2人は声を出して泣いた。
暫く泣いたらリカは少し気が晴れたようで、テーブルに戻ってすっかり冷めてしまった朝食を食べた。
それ以降、リカは以前のように落ち着き、出された食事も摂り、夜もちゃんと眠るようになった。

3日後。
秋菜は後遺症も無く医務室を出られる事となった。
だが、リカ同様、当分はメームの母船で生活をする事になった。
リカと同じ部屋が割り当てられ、侍女が身の回りの世話をしてくれる。
する事も無く、ハイドラを見舞う。
病室に入ると腕と脚を固定され、大きなバンソウコウを貼り、体の一部に包帯を巻いたハイドラがベッドで横になっていた。
秋菜が近づいてもハイドラは動かない。
(寝てるのかな?)
気を利かせて病室を出ようとした。
「おい、何も無しなんて水くせぇじゃねぇか」
突然声をかけられて驚いた。
「な…… あんた起きてたの?」
「まあな。 寝てばっかりでそうそう眠れるかっての」
首は動かせないのだろう。
天井を向いたまま。
193名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 06:17:33 ID:wPp9xNgD
「ゴメン……」
秋菜が申し訳無さそうに言う。
「何の事だ? むしろ謝るのはこっちのほうだぜ。 ワルキューレのせいでおめぇにケガさせちまったんだからな」
素直にハイドラが謝った。
「でも、私があんたの封印を解除してれば……」
「いや…… あの時は封印を解除して、元の姿に戻ったとしても、あのワルキューレには歯が立たなかったような気がするぜ」
思い出しながら感想を述べた。
「ワルキューレに対抗心を燃やしてたあんたにしては珍しいわね」
「そうだな。 オレは心のどこかでアイツは姉妹だって思ってたが、あいつは違った……」
「妹のライネやオレにも遠慮も躊躇も無く攻撃して来たからな。 覚悟っちゅうか、気持ちの上でもあいつは「本気」だった…… ったくどうしちまったんだろうなぁ」
「ハイドラ……」
「ライネはよう。 オレ達の中で一番下の妹なんだけどよ。 あいつの勝手気ままな言動のせいで、オレ達は距離を置いてた。 あいつをまともに相手にするのは学園惑星で同室だったコーラスとワルキューレくらいなモンだった」
「……」
「コーラスも前はアレだったし、ワルキューレだけがライネと真剣に向き合い、可愛がってたんだが……」
「そうね。 どうしちゃったんだろうね」

「ところで、和人はどうしたんだ?」
あの時既に気を失っていたハイドラは和人がどうなったかは知らない。
口を怪我して食事が出来ないハイドラは栄養剤の入った点滴を受けてる。
ナース姿の侍女が点滴のパックを取り替えていたので、秋菜が侍女を見ると、ハイドラに気づかれないよう秋菜の方を見て首を横に振った。
言うな!
と言う事だろう。
「う、うん。 和人もお見舞いにくればいいのにね。 自分の婚約者のせいであんたがこんな目に遭ったんだし」
誤魔化すとハイドラは
「いや、オレの事なんてどうでもいい。 ワルキューレがアレじゃぁ、和人もなぁ……」
「そ、そうね……」
言葉に窮していた秋菜をフォローするように侍女が
「七村様、点滴の中には睡眠導入剤も入ってましてハイドラ様は間もなくお休みになられますので……」
言葉をかけてきた。
「う、うん解った。 じゃあ、ハイドラ。 私しばらくこの船で生活するみたいだから、また来るね」
部屋を出ようとした。
「ああ。 あのな秋菜……」
秋菜が振り返る。
「オレがこんな事言えた義理じゃねぇんだが…… ワルキューレを許してやってくれ。 ホントにすまねぇ」
皇女のハイドラが侍女がいるにも関わらず詫びた。
「別にいいわよ。 傷も残らないし、私は大丈夫だから。 それよりあんたこそ早く良くなりなさいよ」
それだけ言うと部屋を出た。
194名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 06:19:15 ID:wPp9xNgD
メームの執務室。
メームとイナルバ、ネスティの前で医師団が報告をしている。
それを聞いたネスティが
「それでは困る。 何とか婿殿には今まで通りの日常生活を送れるようになってもらわないと申し訳が立たん」
「しかしネスティ様……」
和人を担当している女医が困った顔をする。
「この前発表されてた細胞培養(クローン)療法は使えないのですか?」
メームが尋ねた。
「あ、あれはまだ理論上確立された技術で、そ、それにヴァルハラ人と婿殿、時野和人様の地球人とは細胞を構成するタンパク質は酷似してますが、遺伝子構成は若干違います。 我々の医学が適用できるか保証は……」
返事に困ってる女医に
「無茶を承知でお願いしてるのです。 研究期間の短縮の為にヴァルハラ星から医学者を何人あつめてもよろしいですし、予算も必要なだけ使って結構ですので、一刻も早く細胞培養技術を完成させて婿殿を治してもらいたいのです」
イナルバが少々イラついた感じながら努めて冷静に言うと
「はっ。 ご期待に沿えるよう努力します」
と頭を下げた。

和人の件はそれで終わったが、ライネの件ではまた問題が起こっていた。
「ライネ様ですが、性器からの出血がみられましたので検査いたしましたが、右側の卵巣は完全に潰れてました。 それと子宮も……」
ライネを担当してる女医の言葉に3人の顔が険しくなった。
「まさか、ライネは……?」
「はい、もう御子を産む事は……」
「ああ〜っ……!」
メームが声を出して手で頭を抑えた。
イナルバも手で顔を覆う。
普段は小言も言い、煙たがっていてもやっぱり妹。
しかも、一番下の妹だけに姉として憐れに思えたのだった。
「それと……」
さらにショッキングな事実が告げられ、さしもの年長組の3人も言葉を失い、メームは手を払って女医を執務室から退席させると悲しみの涙を流した。
「暫くは…… この事は我々3人だけの秘密にしておこう。 ファムやコーラスにこの事実を受け止めろ。 と言うのは私には出来ん」
ネスティが言うとイナルバも涙を拭おうともせず頷いた。

さらに2週間程が過ぎた。
和人は生命維持装置で命をつなげていて、意識は戻らない。
これまでもリカや秋菜が和人に会いたい。と希望したが、体の半分近くが失われた姿だけにそれは叶えられなかった。
しかし、ハイドラは点滴をしながらではあるが車椅子に乗って動く事が許されるようになった。
あまりにも退屈な寝たきり生活に嫌気をさしていたハイドラはそれでも大満足で、秋菜が車椅子を押して船内を回っていた。
廊下で年長組の3人とファムが病室の方へ歩いてくる。
「どうしたんだ、皆揃って」
ハイドラが声をかけると
「もう、だいぶ良くなったみたいですね。 私達はライネの見舞いに行こうかと思ってます」
メームが答えた。
「おっ、もう見舞い出来るのか。 あいつもなかなかしぶといねぇ」
無事だと知って、つい言葉も汚くなってしまったが、それが嬉しさの裏返しであると解っていたので全員、その事には触れなかった。
195名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 06:21:04 ID:wPp9xNgD
当事者の1人であるライネへの見舞いなので、事情を知りたかったリカも真田さんと一緒に同行した。
侍女に先導されて病室に入る。
全身に包帯を巻かれているので、部屋の主がライネであるとは解りにくい。
だが、包帯の隙間から出ているカールした亜麻色の髪がライネである事を証明していた。
「まだ、お目覚めになってませんが…… あっライネ様の意識が、戻られそうです」
機械を覗いてた女医が言うと、暫くして包帯に包まれた頭が微かに動き、
「ん? ここは……?」
少し喋りにくそうな声で呟いた。
「ライネ、私よ解る?」
「大丈夫ライネ?」
メームやイナルバ、各自がライネに呼びかけた。
「メームお姉様に皆さん…… ですわね。 と言う事はここは地獄ではなさそうですわねぇ」
とても今まで意識が戻らなかったとは思えない軽口に
「もう、何バカな事言ってるのです」
イナルバが叱った。 その声には安堵の気持ちが溢れており優しいものだったが。

「そう…… あたくしは…… まだ生きてるのですわね…… まだ」
「ライネ、まだ痛むでしょうし、辛いかもしれませんが、少し貴方に聞きたい事があるの。 いいかしら?」
イナルバが声をかける。
「ええ。 何故こうなったか? って事ですわよね?」
答えると
「イナルバ、ライネは今意識が戻ったばかりなのに」
ファムがイナルバを止めようとするが
「いいえ、よろしいですわよ。 お気遣いいただいてありがとうございますわ、ファムお姉様」
体はボロボロだが、頭は比較的大丈夫なのだろう。 イナルバの質問に答える覚悟は出来ているようだった。
「ライネ、何やら込み入った事情があるみたいですが、今ここにはリカちゃんも秋菜様もおります。 貴方とワルキューレの間に何かがあったという事は婿殿も何某か関係してるのですね? リカちゃんや秋菜様にお話してもよろしいのですか?」
冷静にイナルバが言うと
「ええ、結構ですわ。 どうせ後になればお解りになられる事ですし」
考える間もなくライネは実に落ち着いて答えた。

「しかし、事情はイナルバお姉様は既にご存知なのでは?」
ライネが切り出すと、全員がイナルバの方を見た。
「あれはイナルバお姉様の部下でございましょう」
「どういう事だ?」
ライネの言葉にハイドラが反応し、ライネとイナルバを交互に見た。
「あたくし達はイナルバお姉様の…… 保安部か司法部に監視されてるという事ですわよ」
「ちょっと何、それってどう言う事?」
ファムがイナルバの方を見た。
「そう…… 気づいてたのですか。 貴方は最後まで気づかないと思ってましたが」
意外そうに答えた。
「ええまぁ。 あの日に駅前で偶然見つけたんですけど」
ライネが真相を言うと
「ええ、そうです。 貴方達地球に住んでる皇女には私の手の者をつけてました」
「何それ? 私達の行動を監視してたの?」
憮然とした表情でファムがイナルバを睨んだ。
196名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 06:23:53 ID:wPp9xNgD
「監視ではありません。 まあ、監視ととられても仕方無いですが。 そもそもまだ正式に国交も樹立されてない地球に、ヴァルハラの駐留艦隊も配置されてない地球に私達8人のうち5人もいる事が異常なのですよ」
「どんな危機に陥るか解らないでしょう。 本当なら貴方達にSPをつけたい位だったわ。 でもそれだと貴方達も自由に行動出来ないでしょう。 だからこういう形になったのよ」
全く持って正論で、ファムもハイドラも反論出来なかった。
「話を戻しますけど、私から話してもいいの?」
ライネに聞くと
「ええ、結構ですわ」
と返事が返ってきた。
「私の所に上がってきた報告だと、地球時間で去年の5月27日。 つまりは貴方の誕生日が最初となってますが?」
「ええ、そうですわ。 去年のあたくしの誕生日が…… 初めてでしたわ」
2人のやりとりが行われてるが、他の者には解らない。
「な、何の事?」
リカが口を挟む。
「ライネ、リカちゃんがいるけど本当によろしいのですね?」
念を押す。
「ええ」
「皆に解りやすく言うと、昨年のライネの誕生日にライネは婿殿と…… 男女の関係になった。 と言う事です」
「……!」×8

「えっ…… な、何? ちょっとライネ何言ってるのよ。 あんたとお兄ちゃんが。 ウソでしょ」
リカは流石に驚きを隠せなかった。
「本当ですわ。 あたくしは去年のあたくしの誕生日に和人様に「女」にしていただきましたの。 そうだ、コーラス。 押入れにあるあたくしの小物入れを持ってきてくださいましな」
和人に買ってもらったアンティークの小物入れを持ってくるように言うと、イナルバが部下に命令して持ってこさせた。
「ライネ、持ってきてもらったよ」
コーラスが言うと
「それは、その日に和人様があたくしに買ってくださったプレゼントですわ。 あっ、あたくしのチョーカーは?」
体が全く動かせないライネが気になって聞いた。
ベッドの横にはワルキューレに引き裂かれたチョーカーが置かれていた。

「貴方の横に置いてあるわよ。 切れちゃってるけど、でもコレのおかげで貴方の首の動脈が切れずに済んだようよ。 もしかしてこれも時野君から?」
「ええ、これは今年の誕生日に…… そうですか、あたくしは和人様に命を助けていただいたみたいなモンですわねぇ」
気を失っていて、最後の最後に自分を救ったのは和人だと言う事はライネは知らない。
「でも、コレって…… その、そういうプレイ用のチョーカーよね? 貴方達そんなプレイも?」
「何ですか? 「そんなプレイ」と言うのは?」
眉をしかめてメームがファムに聞いた。
「SMプレイの事ですわよ。 リードをつける金具が付いてございましょう。 それはペット…… ドレイがご主人様につけていただくモノですわ」
「でも、和人様はそういう事は全くご存知ないですし、あたくしが勝手に和人様のペットになる決意をして、おねだりしたんですわよ」
一番年下のライネの真剣な告白に一同は言葉を失う。
「あんた、そんなにお兄ちゃんの事……」
「でもどうして? どうして時野君なの? 時野君はワルキューレのフィアンセだって知ってるのに。 貴方を一番可愛がってくれたワルキューレの恋人なのに」
リカを遮るようにファムが口を出した。
同じワルキューレを好きな者同士黙ってはいられなかったのだった。
197名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 06:26:57 ID:wPp9xNgD
「そうです。 よりによって貴方の姉の婿になる殿方なんて……」
さらにメームが咎めたがライネは
「理由なんてありませんわ。 人を好きになるのに理由が必要だとは思えないですし」
包帯に隠されたライネの表情は解らないが、もしいつもの姿もままだとしたら青く輝く瞳を真正面に向けて真剣な面持ちで語ったであろう。
「ワルキューレお姉様が和人様をお好きになられたのは、事故で和人様を殺されてしまって、お詫びに魂を共有されて生活してる内に心を通わせただけでございましょう」
「きっかけなんて何でも良いのですし、理由なんて存在するとは限らないですわよ」
「……」
「でもどうして和人なんだ? おめぇと和人の接点なんてなかっただろうよ」
何とか自由に動かせる方の手で頭を掻きながらハイドラが尋ねた。

「接点? 接点ならございましたわ。 あたくしがワルキューレお姉様を追って地球に来て、右も左も解らない星で困ってた時に助けていただいたのが和人様でしたわ」
「何の事だ?」
「円盤の着陸に失敗して、コンタクトを落としたのを一緒になって…… 地面に膝をつけて探してくださったのですわよ」
「「そんな理由か」とおっしゃりたいかも知れませんけど、お姉様が和人様と最初に会った時とそう変わらないきっかけでございましょう?」
「そうだな…… でもそれだけじゃお前が婿殿に惹かれる理由としては弱いな」
ネスティがライネに理解を示しつつも疑問を投げかける。

「ええ。 無論それだけじゃございませんわ。 和人様はあたくしの心を暖かくしてくださいました。 あたくしの心の隙間を埋めてくださいました」
「自業自得ですけど、コーラスはともかく、お姉様方があたくしを煙たがってた時にも和人様はあたくしを暖かく包んでくださいましたわ」
「最初はお姉様の恋人との禁断の恋愛。 などという他愛も無い理由でしたが、和人様と過ごすうちにそんな小さな理由じゃ無く本気で和人様をお慕いするようになりました」
「そして去年の誕生日。 あたくしは和人様とデートする事が出来ました。 デートの約束を和人様が承諾なさった時にあたくしは決心したのですわよ。 あたくしの純潔を和人様に差し上げようと……」
「別にそれで和人様をワルキューレお姉様から奪おうとか、和人様に愛していただこうとは思いもしませんでしたわ。 ただ、あたくしは和人様を愛してて、気まぐれでも単なる性欲処理でも良いから和人様に抱かれるだけで良かった」
「ベッドで体を重ねると和人様の暖かさが身体全体で感じられた…… 「ライネの身体気持ち良かったよ」そうおっしゃられると、もう死んでも良いと思える位嬉しかった、心が満たされましたわ」
「あたくしの寂しさ、コーラスやワルキューレお姉様がくれる暖かさとは違う種類の暖かさ。 それが欲しくてあたくしは和人様との時間、和人様とのセックスに溺れて行きましたわ。 許されざる関係と知っていながら、それを止める事は出来ませんでした」
「……」
一同はただライネの告白を聞き入るだけだった。
「いつかはバレるだろうとは思ってはいましたけど、かと言ってあたくしは和人様から離れる事は出来ませんでした」

「そう、それをワルキューレが知ってしまったのね」
「多分そうでございますわね。 お姉様の最後の言葉……」
思い出すように言うライネの言葉。
「ん?「最後の言葉」。 良ければ聞かせてくれないか」
椅子に座ったネスティが髪を振り払いながら尋ねた。
「お姉様が、あたくしをこうなさる直前におっしゃりましたのよ。 「ヴァルハラ星には月は8つあるけど地球には1つしかない」「和人様にお仕えする女は1人でいい。 和人様に月は2つはいらない」と」
「なるほどな……」
198名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 06:28:40 ID:wPp9xNgD
「別に…… あたくしは和人様の「月」になるつもりは無かったんでございますけど、お姉様には許せなかったんでしょうねぇ」
「あたくしは…… そんな贅沢は言いませんし思ってもいませんでしたわ。 だって…… あたくしがいくら和人様を深く愛そうとも、和人様が愛してるのはワルキューレお姉様なんですもの……」
言ってて悲しくなったのか? それともワルキューレを裏切った事への後悔からか、最後の方は声が震えていた。
「そうですか…… ごめんなさいね、ライネ。 意識が戻ったばかりで疲れてるでしょうに、こんな事聞いて。 少しお休みなさい、また来ますよ」
メームが気遣い、全員に目で合図をすると病室を出た。
「あ、あの、ライネ……」
コーラスが何かを言おうとしたが、ネスティが肩を叩き制すと
「また来るからね。 早く良くなるといいね」
それだけ言うと足早に部屋を出た。
各自が一言づつ見舞いの言葉を言い部屋を出る。
ドアが閉まって暫くすると中からライネのすすり泣く声が聞こえて来た。

ライネの病室から少し離れると一同は顔を見合わせた。
事件の事情は解った。
姉妹喧嘩の原因は和人であると想像はしていたが、あそこまで生々しく現実的なものだったとは。
「まあ、こんな所じゃなんですから、ついていらっしゃい」
メームが執務室に連れて行った。
全員が入る中、侍女の真田さんだけがドアの前で立ち止まる。
それをファムが見つけ
「真田さんもお入りなさいな。 よろしいわよね、メームお姉様?」
メームがドアの外にいる真田さんに見つめ
「どうぞ、真田さん。 貴方は皇室侍女長ですから入っても結構なハズですよ。 何より今回の当事者であるワルキューレと婿殿に一番近い所にいるのですから」
手招きされると、頭を下げて一礼してから入室した。
「……」
全員が黙ったまま時間だけが過ぎた。

「どうするのよメーム、あんなになったライネにまだあの事を言わないといけないのよ」
イナルバが頭を抱えながらメームに言い放つ。
「あの事?」
真田さんが用意した紅茶を1口飲んでリカがメームの方を見た。
メームもリカを見て、
「ふぅっ…… まあ、それはもう少しライネが回復してから言いましょう。 いずれは言わなくてはならないのですから。 その前に皆さんに言っておきたい事があります。 特にリカちゃん、秋菜様には辛い事かもしれませんから心して聞いて頂戴」
メームも紅茶を1口飲み、続ける。
「かなりショッキングな事実なのよ。 リカちゃん、秋菜様どうします? それでもよろしいですか?」
重い言葉に覚悟を決めリカも秋菜も頷いた。

「実は…… ライネは妊娠してたらしいのよ。 無論婿殿の御子をです」
「!!!」×6
全員が自分の耳を疑ったが、事情を知ってるイナルバやネスティの様子を見てメームの言葉にウソはないと言う事を知った。
「ライネがお兄ちゃんの子供…… 赤ちゃんを……」
リカの体がガクガクと震え、ファムが支えてようやくソファに座った。
「和人とライネの赤ちゃん……」
秋菜も顔面が蒼白になり崩れるようにリカの隣に座った。
ガシャ〜ン
「も、申し訳ございません」
思わず真田さんもカップを落としてしまい、詫びたが
「よろしいのですよ。 貴方にとってもリカちゃんや秋菜様と同じ位ショックだったでしょうから」
イナルバが片付けようとする真田さんを制して、椅子に座らせた。
199名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 06:30:43 ID:wPp9xNgD
「で、でもよアネキ。 今「してたらしい」って言ったよな? してたけど今は…… って事じゃねぇのか?」
車椅子から乗り出すようにハイドラがメームに言葉を投げかける。
ハイドラの言葉に全員がハッとなった。 確かに……
「お医者様の話ですと、ライネは腹部を鈍器のような物で少なくとも十数回殴打され、片側の卵巣は潰れ、子宮も…… それで流産してしまったらしいとの事です」
「……!」
「子宮も損傷が激しく、ライネはもう…… ライネは…… ううっ……」
メームの後を受けたイナルバだったが、最後まで言い切る前にその場にしゃがみ込んで泣き出した。
それを見て
「ライネはもう誰の子供も宿す事は出来ないそうだ」
ネスティが沈痛な面持ちで続けると、ファムやコーラス、ハイドラの皇女は顔が真っ青になり、リカと秋菜、真田さんは体の震えが止まらなくなった。

「い、イヤだよ。 そんなのライネが可哀相過ぎるよ。 黙っててあげようよ」
目に一杯の涙を溜めてコーラスが切り出した。
同い年で、学園惑星でも同室だった。
地球に来てからも同じアパートで生活してるライネとコーラスは一番年少の皇女であったが、2人とも姉達から疎まれてた過去がある。
それだけに互いを尊重し合い、思いやる心は人一倍持っていた。
「しかし、黙っていたとしても何時かは気づくだろう。 今回の件でも解ったがライネは私達が考えてる以上に洞察力や観察力があるようだからな」
ネスティが努めて冷静に言う。

「ごめんなさい…… 皆…… メームおばさま、イナルバさん、ネスティさん、ファムさん…… ハイドラ、コーラス、ホントにゴメン。 お兄ちゃんのせいでライネが……」
リカが俯いたまま詫びる。
同時に床に涙がこぼれた。
メームが席を立ってリカの所に来て、肩にそっと手をかけた。
「いいえ、リカちゃん。 誰が悪いワケでもないのよ。 婿殿もライネも…… だからリカちゃんが謝る事なんてないのよ」
「でも!」
「私はライネの姉だからあの子の言葉を信用するけど…… あの子はウソは言ってないでしょうし、ライネは少なくとも軽い気持ちで婿殿に身を委ねたワケではないでしょう。 婿殿も婿殿の性格からして軽い気持ちであの子を抱いた事はないでしょうから」
「ワルキューレの愛情が激し過ぎたのが原因かも知れませんが、それを責めるわけにもいきません。 ワルキューレが愛するのは婿殿でなければならなかったし、ライネも愛するのは誰でも良かったのでは無くて婿殿じゃなければならなかったのでしょう」
メームがリカを抱き寄せるとリカはしがみつくようにメームの胸に顔を埋めて泣いた。
リカにはさらに残酷な事実が待ち受けている。

「そう言えば、お兄ちゃん…… お兄ちゃんはどうなったの? お医者さんは「会わないほうがいい」って言ってたけど……」
メームの胸から顔を離したリカが尋ねると、メームだけで無く、イナルバもネスティも顔を背けた。
「見ない方がいいかもしれない……」
口を開いたのは秋菜だった。
あの時、現場にいて、気を失ったが「その時」は少し意識が戻っていた。
完全な記憶は無かったが、視界を覆う真っ白な光。
それが和人を飲み込んだのは覚えている。
それと和人の声……
さらには光が和人の体を焦がし溶かしてる時のイヤな音……
頭にこびりついて離れない。
夜寝ていてもそれが夢となって目が覚めてしまう事もある。
妹のリカが見るには残酷過ぎる結果が解っていたからだった。
200名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 06:32:34 ID:wPp9xNgD
「秋菜ちゃん、知ってるの?」
リカが秋菜に確かめる。
秋菜は小さく頷くと顔を背けた。
「リカちゃん。 婿殿は、とても口に出せないような酷い姿になってるの。 前にも言ったけど命は助かる事は間違い無いけど、それでも今までと同じ生活が送れるまで回復する保証はないのよ」
重く沈んだ声でメームが言う。
「我々ヴァルハラ星と友好国の最先端医学を使って婿殿の回復に努めるが、確証はない。 だが、事実を知っておく権利はある。 どうする?」
ネスティがリカの肩をポンと叩いて確かめた。
「…… うん、教えて。 あたしが知らなくてもお兄ちゃんの具合が良くなるワケじゃないんだし、知っていれば何か出来るかもしれないし」
「そう……」
・・・・・・
メームが和人の症状を知らせ、ネスティが和人の細胞を培養してクローン技術を使って腕と脚を欠損した部分に移植する技術を模索してる事を伝えた。
覚悟はしていたのか、リカは割と平然として聞いていた。
当然、内心は動揺していたが……
病室の映像は見せられなかった。
話だけと違って、映像で見ればショックだろうから。

数日後、皆はライネの部屋に見舞いに行った。
そこでライネに症状が伝えられた。
「ライネ、貴方の細胞を培養してクローン技術を使って角膜と眼球を再生させて、視神経を繋ぐ手術をすれば以前と同じ程度には見えるようになるようです」
イナルバが医師から聞いた治療予定を話した。
「前と同じ程度ですか…… またコンタクトをしなくてはならないですのね……」
ワルキューレの拳が瞼に入り、コンタクトが割れた音、その瞬間襲った焼けるような目の痛み、奪われていった視界……。
思い出すのもおぞましい記憶が蘇る。
しかし
「だったら、貴方もメガネになさいな。 私が良いのを選んであげるから」
ファムが乗り気に、かつ少しおどけて言う。 妹を落ち込ませないように彼女なりに配慮してるのだろう。
ライネもそれが解り嬉しかった。

続いて他の部位について説明される。
「歯がね、19本も折れてるのよ。 これも貴方の歯を基にしたクローンで人工の歯をつくって差し歯にするみたい」
「そうですか、まあ、虫歯にならないだけ良いですわねぇ。 しかし、ワルキューレお姉様の手は大丈夫なんでしょうか? あたくしの歯が折れる位……」
「ワルキューレは右手の指が3本、拳と手首は折れてました。 今は固定されてます」
イナルバがライネの言葉を受けて説明した。
「言って良いのか解らねぇが、おめぇの顔…… 最初は手で殴ってたが、最後は石で殴ってたんだよ。 すまねぇな、オレも止めようとしたんだがよう、返り討ちにあっちまってな」
ハイドラの言葉に一瞬イナルバの顔が険しくなった。
(話さなくても良いのに)
と思わなくもなかったから。
だが、ライネは意外と動揺もせず
「なるほどねぇ、どうりであたくしの歯が根こそぎ折れちゃったわけですわね。 ところでハイドラは大丈夫ですの?」
姿が見えないので聞く。
201名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 06:34:53 ID:wPp9xNgD
「まあ、おめぇよりは軽傷だけどよ。 それでも随分こっぴどくやられちまったぜ。 おかげで当分車椅子生活だよ」
「すみませんわねぇ、あたくしの為に」
珍しくライネが謝ったが
「何言ってやがる。 コレでもオレはおめぇの姉なんだぜ。 オレ達は本当の姉妹じゃねぇけど姉妹なんだ。 姉が妹の為に体を張る事くれぇは当たり前だろ」
「へぇ〜、アンタにしては良い事言うわねぇ」
秋菜が冷やかすように言うと病室の空気が少しだけ明るくなった。
後は肋骨が折れて片側の肺に刺さっている事、背骨、骨盤の複雑骨折、顔面の陥没骨折を含む骨折、穴の開いてしまった頬の治療などが説明され、一応理論上はクローン技術を使った最新医学技術と、自然治癒で元に戻る事が伝えられた。
「そうですか…… ところで和人様とワルキューレお姉様は? いろいろご迷惑をかけてしまったのでお詫びとかしたいのですけど」
「……」
全員が黙りこくった。
精神が崩壊してしまって、意識がある時は常に錯乱状態が治まらず喚き散らして暴れまわるワルキューレとライネを庇って重態になってる和人の事を言うのは憚られた。

「あ〜あ、和人様にお会いしたいですわぁ。 あっ、でもこんな顔じゃアレですけど」
目が見えないライネは全員の様子が解らず、つい自分の意見を言ってしまう。
「和人様はお姉様の所におられるのでしょうか? もうあたくしには会ってくださらないのでしょうか? だとしたら……」
「だとしたら?」
ファムが尋ねる。
「だとしたら、あの日、最後に和人様に抱かれた時、お酒なんか飲むんじゃ無かった。 とか思いまして」
全てを白状したライネは赤裸々に語った。
「なあに貴方、時野君とセックスした時、お酒飲んでたの?」
呆れたように言ったファム。
「ええ、別に他のドリンクでも良かったんですけど、和人様にお願いされた事がございましたのでちょっと……」
「そ、それって何だよ? おめぇらどんなプレイしてたんだぁ?」
ハイドラが興味津々に車椅子から乗り出して聞くが
「あらぁ、それにはお答え出来ませんわよ」
いくら姉妹とは言え、いや、姉妹だからこそ言えない。
ましてや和人を好きな秋菜や妹のリカもいるのだから。

「でも、これで、和人様がずっとワルキューレお姉様だけを見て、あたくしを抱く事が無いのでしたら、最後がお酒に酔ってたと言うのは寂しいですわねぇ。 叶うなら、最後にもう一度、シラフのままで和人様に抱かれたいですわぁ」
うっとりと、かつしみじみと言うと
「あんた、お兄ちゃんの妹がいる前で随分と堂々と言ってくれちゃうわよねぇ」
リカが呆れ半分、冷やかし半分で突っ込むが
「まあ、もうあたくしには隠す事なんてございませんし」
ライネもあっけらかんと答えたのだった。
「真田さんはおられますの?」
「は、はい、ここに……」
「真田さんはワルキューレお姉様とお会いになられますわよね?」
だが、どう答えていいものか悩んだ。
ワルキューレ付きの侍女の真田さんでも面会は出来ていなかったのだから。
イナルバが目を配り、真田さんがそれを察すると
「は、はい。 何か姫様にお伝えする事がございますか?」
ウソをついた。
(それでよろしいのです)
という感じでイナルバが頷いた。
202名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 06:36:38 ID:wPp9xNgD
「ワルキューレお姉様はあたくしの名前も聞きたくも無いかもしれませんけど、あたくしは今でもワルキューレお姉様の事が好きですし、お姉様から和人様を取ろうとしたのではない。 とお伝えいただけませんこと?」
「は、はい…… しかと承りました」
「それと、ごめんなさい。 とも。 時間が経ってお姉様のお怒りが冷めればまたお会いしてお茶でもご一緒にしたいと思ってますわ。 真田さん、お願いいたしますわね」
「……」
どう答えていいのか解らない真田さん。
それを感じたメームとファムが
「さあ、ライネ。 今日の所はもうお休みなさい」
「そうよ、明後日から目の手術が始まるんだから寝て体力つけておかないと。 目だけじゃ無く手術が続くんだからね」
ライネに言うと
「はいはい、解りましたわよ」
ネスティがインターホンで医師を呼ぶと皆は部屋を出た。

「んで、当のワルキューレはどうしてんだ? って、頭痒いなぁ、オイ。 フロに入りてぇぜ」
ハイドラが頭を掻きながら尋ねた。
リカはメームの船に来た時一瞬だがモニターで見た。
年長組の3人が目を合わせたが
「まあ、何時かは解る事ですから、貴方にも知らせておきましょうか」
メームが言い執務室に全員を集めるとモニターでワルキューレの病室を映した。
モニターの中のワルキューレは寝ったまま。
「何だぁ、寝てるじゃねぇか」
目を凝らすとワルキューレの手には分厚い手袋が着けられ、口には轡がかまされている。
手錠みたいな拘束具もつけられている。
……
「ん? 起きたみてぇだな」

暫くするとワルキューレの目が開き、辺りを見渡した後
(「うっ…… うううぅぅっ〜…… おあぁぁぁっ〜〜〜!」)
野獣のような呻き声を上げて暴れ出した。
「な、何だ、ありゃ!」
(「うう〜っ…… うぉあぁぁぅ。 おお〜っ」)
「ひっ!」
血走った目を見開き、轡の隙間から漏れた涎が飛び散り、髪を振り乱したワルキューレがカメラに近づき、その顔がアップになると、ファムとリカ、秋菜が思わず仰け反った。
「ああっ姫様」
真田さんが思わず目を背けた。
「私の知る限りだと、どうやら時野君を間違って撃っちゃった後からああなって、それっきり戻らないみたいなのよ。 メームお姉様やイナルバの事も解らないみたいなの」
瞬きもせずモニターに見入ってるハイドラ。
ファムの言葉は耳に届いていて
「壊れ…… ちまったって事かよ…… 和人をやっちまったショックで」

「他にも要因はあるようでございますが……」
真田さんが顔を上げられずにそのまま付け加えた。
・・・・・・
203名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 06:38:12 ID:wPp9xNgD
さらに数日が経ってライネの目の手術が行われた。
先に行われた肺の手術も終わり、まだ完全ではないが、とりあえずライネは自力で呼吸が一応は出来るようになっていた。
しかし、まだ完全ではないので、呼吸器をつけられており、目には包帯が巻かれている。
「そろそろ目を覚まされるかと……」
ライネを担当していた女医が告げると、ライネの体が少し動いた。
「ライネ様、お目覚めになられましたか?」
女医が声をかけると
「ええ。 あら…… 何となくボヤ〜っと明るさが感じられますわねぇ」
その返事を聞いて女医がメーム達の方を向き
(成功です)
と言う感じで頷くと全員が頷いた。

「ライネ様、今から目の包帯を取りますので、しばらく目を瞑ってください」
言われるとライネは頷く。
女医が指示するとナースによって包帯が外される。
まだ顔の骨が完全に繋がってないので、他の部分の包帯は巻かれたままだったが……
ライネの目が露になる。
彼女の体細胞を使ったクローンを用いて傷を塞いだ為、少なくとも目とその周辺に関しては傷は目立たないどころか、全く見受けられなかった。
「ライネ様、ゆっくりと目を開けてください。 ゆっくりとです」
アニメや映画で、長い間眠っていたアンドロイドが起動しゆっくりと目を開けるようにライネの瞼が開いた。
女医がライネの前に指を2本立ててかざし
「ライネ様、私の指は何本に見えますか?」
質問すると
「2本ですわ。 ちゃんと見えております」
としっかりとした口調で答えた。
「大丈夫そうでございますね」
安堵の表情を浮かべて女医が1つ息をついた。

部屋には遮光ではないがカーテンがかけられていた。
「まだ、新しい角膜や網膜、眼球や視神経には強烈な刺激はよろしくないですので、カーテンは開けないでください」
メーム達に注意するとナース達を伴って部屋を辞そうとした。
「ご苦労様でした」
メームが労う。
「ご苦労様でした。 そして本当にありがとう……」
涙ぐみながらイナルバが礼を言うと女医達も深々と頭を下げて出て行った。
「イナルバお姉様、随分と涙腺が緩くなられたんじゃございませんこと? お年を召されると涙もろくなるみたいですけど」
「バカおっしゃい。 誰のせいだと思ってるのよ全く!」
軽口を言うライネに涙を拭きながら返したイナルバ。
普段は口うるさく注意するイナルバもライネが徐々にではあるが回復して行くのは嬉しかったし、ライネには告げてないが彼女を一番心配してたのは他ならぬイナルバだっただけに、目が見えるようになった事だけでも素直に喜んだ。
しかし、次のライネの言葉が全員を凍りつかせた。
204名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 06:40:22 ID:wPp9xNgD
「あの〜。 目が見えるようになりましたんで、お姉様にお会い出来ませんかしら? お姉様があたくしに会うのがイヤだと申されるのでしたらモニター越しで結構でございますから」
(ついに、その時が来ましたか)
メームが1つ息を吐き出し
「ライネ、皆は知ってる事ですけど、貴方に知らせて…… いや見てもらいたいものがあります」
病室のモニターをつけた。
……
「お、お姉様……」
発狂したように暴れたと思ったら床に座り込んで全く動かなくなったり、ライネの知る姉の姿ではなかった。
轡を噛まされ、厚い手袋と手錠のような拘束具。
「どうして……?」
モニターから目が離せず、呆然として尋ねた。

「ワルキューレ、自分で自分を傷つけるのよ。 喉を掻き毟ったり首を締めようとしたり。 だから……」
ファムが説明するがライネの聞きたい事はそういう事ではない。
「違いますわ。 お姉様がどうしてこのようになられたのかと。 無論あたくしのせいなんでしょうけど」
青ざめた表情でメームを見る。
メームも覚悟を決め
「ワルキューレがこうなってしまった原因を見せましょう。 でも貴方にとってもショッキングな事ですから心して見なさい」
隣のモニターをつけ、ボタンを押す。
映し出された部屋はワルキューレの部屋とは一転して、動きが少ない。
白衣のナースがベッドの側にある計器を見て、何やら操作してる様子しか映ってない。
だが、ベッドに横たわるのは……
「か…… 和人様……!」
一瞬フラつき倒れこみそうになった。

「お兄ちゃん……」
「和人……」
リカと秋菜も話は聞かされていたが、実際に和人の姿を見るのは初めてだった。
カメラが切り替わり、ベッドの斜め上からの映像になる。
横たわってる和人だが、シーツに覆われている体には左半分が無い。
不自然に凹んでる感じが、和人の置かれている状況を想像するには生々し過ぎた。
「貴方にも解るでしょう。 婿殿はワルキューレに攻撃されて左腕と左足を失い、顔の左側からわき腹にいたるまで重度の火傷と損傷を負われてます」
……
「どうして……? ワルキューレお姉様が和人様をなんて、ありえませんわ!」

「まあ、そうなんだけどよ。 和人のヤツ、おめぇを庇ってああなっちまったのさ」
ハイドラが顔を背けながら答えた。
「ライネ、落ち着いて聞いて頂戴。 最後に貴方を身を呈して庇ってくださったのよ婿殿は。 それがなかったら貴方はもうこの世にいなかったでしょう」
「……」
「ワルキューレも婿殿が貴方を庇うとは思ってもみなかったのでしょうね。 止めようとしたけど間に合わなくて。 婿殿の姿を見て錯乱してしまったのよ。 脳の神経がズタズタに切れてて、もう元の私達の知ってるワルキューレには戻れないそうなのよ」
「あ…… あああぁ〜……」
激しく首を振って動揺するライネ。
「今のワルキューレは私達も真田さんも解らない……」
「い、いや。 消して。 モニターを消してくださいまし!」
メームがモニターを消すと、ライネの頭を抱き抱えた。
205名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 06:42:19 ID:wPp9xNgD
「お姉様ぁ! ワルキューレお姉様ぁっ。 あたくしは…… あたくしなんて庇う必要も価値も無いのに和人様わぁっ…… うわあぁぁっ!」
ライネも錯乱しそうになる。
「何甘えてるのよ!」
病室にリカの声が響き渡った。
「……!」
あまりの剣幕にライネも静まり、リカの方を向いた。
「リカ…… 様?」
リカも兄の姿を目の当たりにし、涙を隠せない。
それでも
「あんたも悲しいかもしれないけど、あたしの方がもっと悲しいわよ。 だって、あたしのお兄ちゃんなんだもん。 そのお兄ちゃんが命をかけて助けたのがあんたなのよ。 それを何? 何が「庇う価値も無い」ですって! ふざけないでよ!」
「お兄ちゃんは、そんな人を庇ってああなっちゃったって言うの? 冗談じゃないわよ!」
「でも、リカ様ぁ……」
治ったばかりの目から涙が溢れた。

「いいライネ、お兄ちゃんはね。 頼りなくて優柔不断な所もあるけど、それでも無責任な事はしない。 あんたと寝たんだってお兄ちゃんは例えその時だけでも真剣にあんたを好きになったと思う」
「そうよ! あんたを愛したからこそ和人はあんたを庇ったのよ。 私ですらそんな立場になれなかったのに!」
秋菜も涙を流して叱責した。
「でも…… あたくしなんかの為に…… あたくしにはぬくもりも、心ときめかす時間も、心も体も満たしてくださったのに、それであたくしを庇われて。 申し訳がたちませんわ!」
……
「ライネ…… それろリカちゃんも秋菜様もよく聞いて頂戴」
ライネの頭を撫でながらメームが割って入った。
「悲しい出来事だし、私が言うのも憚られるけど、この件は誰が悪いと言う問題じゃないのよ。 そりゃ、実力に訴えたワルキューレが悪いと言えば悪いのだけど、単純にそう言える問題じゃないのよ」
「……」
「解りましたわ。 皆さんご迷惑かけて申し訳ございませんでした」
落ち着きを取り戻したライネが謝り、リカと秋菜も平静を取り戻して椅子に腰掛けた。

「ライネ、貴方は自分を責めるかもしれませんが、それ以上の問題があります。 しかもこれもワルキューレと同じく現在の医学ではどうにもならない問題が」
「ちょ、ちょっと、メーム。 何も今言わなくても!」
メームの言葉にライネを人一倍心配していたイナルバが噛み付く。
「よろしいですわよイナルバお姉様。 ダメと言う事はこの先になってもダメと言う事でしょうから…… それにイヤな事は一度に済ませたいですわ……」
姉の言葉、口調でただならぬ事が自分の体に起きているのが解りライネも覚悟を決めて落ち着いた様子で言った。
「そうですか…… だったら私から言わせて」
イナルバがメームを見るとメームも目を閉じて頷いた。

「ライネ。 貴方、婿殿と関係してた時って避妊はしてたの?」
「!」
その言葉で何となく解った。
「いいえ。 地球人の和人様とヴァルハラ人のあたくしの間には子供は出来にくいとの事でしたし…… あたくしのお腹に…… 出来ちゃってたんですわね? 和人様とあたくしの赤ちゃんが……」
「そうですね。 「出来てた」と言った方がよろしいでしょう」
「…… そうですか、ダメでしたの」
「貴方、婿殿との赤ちゃんが出来たらどうするつもりだったの?」
イナルバの悲しそうな声が耳に痛かったが
「どうするも何も、産んで育てるつもりでしたわよ。 あたくしも一応皇女ですから、それ位は何とでもなるでしょうし、それがダメでも母一人子一人ならどこででも生きて行く位なら出来ますから……」
206名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 06:44:22 ID:wPp9xNgD
「そう。 貴方にはそれなりの覚悟があったのね。 それで、貴方が察したように貴方のお腹には婿殿の子供を宿してました。 でも、残念ですけど、結果として流産してしまったのよ」
「オレも完全には覚えてねぇが、ワルキューレがおめぇのハラをよ石で殴ってたからそれでだと思う……」
ハイドラがハッキリしない意識の中で見た事実を伝えた。
「ワルキューレが貴方のお腹に婿殿の子供がいる事を知ってたのかは解りませんが、かなり執拗に打ち付けたみたいです」
「……」
この事実には全員が沈黙した。
しかし
「はあ、そうでしたか。 だったらまた和人様にお願いして赤ちゃんでもつくりましょうか。 ワルキューレお姉様には内緒で。 にひひ」
努めて明るく言い放つライネ。
かえって、その健気さが痛々しかった。

「それが…… もう出来ないのよ……」
イナルバがポツリと言うと、ライネの表情がさっと曇った。
「貴方の片側の卵巣は潰れてるの。 でも卵巣はもう片方あるから卵子は出来る。 でも赤ちゃんを育てる子宮も修復が出来ない位に損傷してるのよ」
「子宮の役割を果たせなくなってるから、人工授精で他人に受精卵を移植して産んでもらう事は出来るけど、貴方自身で産むことは出来ないの」
それだけ言うと、イナルバは言葉が続かなくなった。
「ふふふ…… そうなんですか。 さすがはワルキューレお姉様。 後顧の憂いが無いようにしちゃったわけでございますか……」
「ライネ……」
コーラスが心配して声をかけるが
「事情は解りました。 ところで、手術が終わったばかりで少々疲れましたわ。 申し訳ございませんが、少し休ませていただいてよろしいかしら?」
気だるそうに言った。
「ライネ…… 何かあれば私に……」
イナルバが心配そうに言いかけたがネスティに肩を叩かれてやめた。
「そうだな、ライネ。 ゆっくりと休むんだ。 また来る」
ライネの頭を撫でてからネスティが率先して部屋を出た。

それに習って皆が
「じゃあ、ライネまた来るから」
と言葉を残して部屋を出た。
ドアが閉まって暫くすると
(「う、うわあぁぁっん……」)
ライネの泣き声が聞こえて来た。
「ライネ!」
声を聞いて、涙を流したイナルバが部屋に入ろうとしたが、メームとネスティの止められてしまう。
「あっ貴方達、私が……」
だが、2人が首を振ると、イナルバも諦めて、そのまま皆でメームの執務室に場所を変える事になった。
207名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 06:45:52 ID:wPp9xNgD
次の日から特にイナルバは足しげくライネの病室に見舞いに行った。
「イナルバお姉様。 お見舞いは嬉しいのですけれど、お仕事はよろしいの?」
殆どの空いた時間を自分の見舞いに費やしてるイナルバをライネが心配したが
「貴方はそんな心配はしなくていいのですよ。 それよりよく休んで、先生の言う事をよく聞いて早く良くなるのですよ」
自分を一番煙たがり、ツンケンしてたイナルバがここまで見舞ってくれるのは意外でかつ嬉しくもあったが、今までの経緯があるので、ライネにとっても居心地が良いわけではなかった。
普段、地球にいるわけでも無し、ヴァルハラ星でも歳が離れていた事もあって滅多に顔を合わせなかったから共通の話題がない。
それでも黙って、暖かい微笑で見守る姉に、今までより姉妹の絆が深まったように感じた。
次の日以降もファムやコーラス、秋菜に車椅子を押されて来るハイドラ。
そしてリカと真田さんらがライネが休む時間以外は絶えずだれかがいる状態になった。
(こんなあたくしでも、皆さんは心配してくださるのですわねぇ。 有難いですわねぇ、ホントに)
・・・・・・

そこから半年あまりが過ぎた。
ヴァルハラ星と同盟国の医学者が英知を集結してライネに施した治療法が和人にも使えるようになり、和人の体細胞を培養して無くしてしまった腕と足を複製し、焼け溶けた皮膚も複製して移植手術が行われた。
自分の細胞を使うため、拒絶反応も無く順調に回復していった。
冬が過ぎ春。
咲いた桜が散り始めた頃、和人は病室を出る事が出来た。
ハイドラも春になる頃には車椅子無しで歩けるようになり、リハビリに取り組んでいる。
ライネは顔の骨も元にもどり、腫れも引いたのが年末。
歯をさし歯になって、頬も元に戻って食事が出来るようになったのは正月だった。
和人が病室から出てきた時は全員で向かえたのだった。
ワルキューレを除いて……

「ハイドラ、ライネ…… 前と全然変わんないね。 よかった」
暖かい笑顔を投げかけられ、
「バ、バカ野郎。 こちとらまだリハビリ中なんだぜ。 おめぇからも秋菜に言ってやってくれよ、あいつ人の体だと思ってムチャしやがるんだぜ、リハビリにかこつけてよぉ」
ボヤくハイドラの声が懐かしかった。
「和人様……」
気のせいだろうか?
少し大人びたような、雰囲気が変わったようなライネ。
「和人様、ご迷惑をおかけしました。 和人様に助けていただいた事、あたくし嬉しくて……」
和人の意識が戻った時にもライネは同じことを言ったが、改めて言い直した。
「ううん、ボクの方こそゴメンネ。 でもライネに傷が残らなくて良かった」
和人はライネの事は知らない。
皆で相談して、和人が気づくまでは話さない事にしたのだ。
「お蔭様で。 和人様もリハビリがございますでしょう? あたくしがお手伝いいおたしましょうか? にひひ!」
ワザと明るく言うライネに
「それはカンベンしてよ」
逃げる和人を暖かく見守ったのだった。
208名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 06:47:27 ID:wPp9xNgD
「あの、ワルキューレには会えないんですか?」
病室で聞いたワルキューレが心配になって尋ねる。
「婿殿…… 前にも話したように、もう婿殿が知ってるワルキューレではないかもしれませんよ」
メームが注意するが
「いいえ、どうなってもワルキューレはワルキューレですから……」
和人の決意は固く、ワルキューレの部屋に向かった。
プシュー
ドアが開いたとき、ワルキューレは鎮静剤が効いてるのか眠っていた。
「ワルキューレ……」
呼びかけても起きる様子は無い。
しかし、和人がワルキューレの手袋を外して手を握ると暫くしてワルキューレの目が開いた。

「婿殿!」
女医が注意するが、和人はワルキューレから離れようとしない。
「ワルキューレ、ボクだよ。 和人だよ」
呼びかける声に反応するが
「ああ〜っ…… う、うう〜……」
和人の名前が呼ばれる事は無かった。
しかし
「うわあぁうっ」
嬉しそうに和人に抱きついた。
「えっ!? そんなハズは……」
女医が驚くが、今まで凶暴と言う言葉を絵に描いたように意識が戻ると暴れていたワルキューレが和人だけは解るのか、実に大人しく、嬉しそうに和人に体を摺り寄せている。

「ワルキューレ、ごめんね。 ワルキューレ」
ギュっと抱きしめると、一瞬驚いたような表情をしたが
「あ〜、あう〜……」
ワルキューレも和人を胸に抱き、頭を撫でた。
「ふふふ、流石はワルキューレ。 婿殿は解るようだな」
ネスティが涙を流して言った。
狂ったように暴れるワルキューレしか見てなかった他の皇女達も、穏やかなワルキューレにネスティ同様に涙を流して喜んだ。
それと……
「ああ〜っ! ううあぁ〜」
ライネを見つけると立ち上がって近寄った。
「ワルキューレ、およしなさい。 ライネは……」
2人の間にイナルバが立ちはだかるが
「ワルキューレお姉様」
イナルバを制するようにライネがワルキューレに近づいた。
209名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 06:49:15 ID:wPp9xNgD
ライネも覚悟はしていた、ワルキューレが怒りに任せて自分を殺してしまうならそれはそれで仕方が無い。 と。
だが、ワルキューレはライネを抱き寄せると、頭を撫でた。
「うう〜…… あううう〜」
何を言おうとしてるのかは解らないが、ワルキューレはライネを許したのだろう。
その大きな目から涙を流し、こぼれた涙がライネの髪に落ちた。
そして、ずっとライネの頭を撫で、暫くするとライネの顔を撫で、ペロペロと舐める。
「姫様…… ライネ様のお顔を傷つけた事を覚えて……」
さらに、右手でライネのお腹を擦った。
「お姉様…… あたくしは…… お姉様っ!」
ワルキューレの胸に顔を埋めて泣いた。
それを見て、全員が涙にくれた。

数日後。
和人もワルキューレもリカも真田さんも時乃湯に戻って来た。
無論、営業はまだ出来ないが、懐かしい我が家に帰ってきたという嬉しさがこみ上げてきた。
ただ3人が話してる事はワルキューレには解らないだろう。
それでもワルキューレはちゃぶ台に出されたお茶をこぼしながらも1人で飲もうとし、団欒に加わろうとしている。
4人は夜が更けるまで居間で語り合った。
さすがに遅くなり、寝る事になった。

久々に和人の部屋に戻って来た和人とワルキューレ。
昼間、真田さんが洗濯してくれた寝巻きに袖を通し、ワルキューレのコスチュームを脱がせて、いつもの水色のパジャマをきせてあげる。
その間もワルキューレじっとしてて、和人の邪魔をしないようにしていた。
「いろいろあったけど、やっと帰ってきたね、ワルキューレ。 おやすみ」
今までのようにキスをすると、じっとしてたワルキューレが和人に腕を絡めてきた。
記憶は無くても体が覚えているのだろうか?
キスを終えると、大人しく布団の中に入った。
「じゃあ、消すよ」
明かりを消そうとした時、カーテンが揺れた。
「……!」
「ううっ〜〜〜! あうう〜!」
ワルキューレが布団から飛び出して和人の前に立ちはだかる。

「ゴースト……」
「こんばんわ、ワルキューレ、和人」
窓からワルキューレゴーストの姿があった。
「うああぁうっ!」
「止めるんだワルキューレ!」
今にも飛び掛りそうなワルキューレを和人が止めるが、ワルキューレは聞きそうにない。
「あがっ!」
「うっ……!」
ワルキューレがゴーストの胸元に噛み付いた。
正確には胸の膨らみ。 その上部。
ギリギリと音がしそうな位、強く噛み、ゴーストの衣装がそこだけ破れ、白い肌が見えた。
同時に、歯が立てられた所から赤い血が滲んでいる。
「ワルキューレ!」
210名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 06:51:09 ID:wPp9xNgD
「いいのよ、この娘(こ)は私を殺したい程憎んでるでしょう。 それでもこんな事しかこの娘は出来ない。 それでこの娘の気が晴れるのなら……」
止めようとする和人を制すると、さらに胸に押し付けるように抱きしめた。
「ごめんなさいね。 本当にごめんなさい。 私が貴方達を、貴方を試すような事をしてしまったから…… 本当にごめんなさい」
心から詫び、ワルキューレの髪を撫でると、その髪にゴーストの涙が落ちた。
「!!!」
ゴーストの言葉と涙にワルキューレも噛んでいた口を放した。
そして、舌を出して自分が噛み付いて出来た傷、そこから流れ出してる血を舐めて、甘えるようにゴーストに抱きついた。
「うう〜……」
「ありがとう…… 許してくれるの? 本当に…… ごめんなさいね」
暫く抱擁が続いたが
「ホラ、貴方は和人の所に戻らないと。 もう和人を離しちゃダメよ」
和人の下に戻るように諭すとワルキューレも和人の横に戻って来た。

「和人、本当にごめんなさい、こんな事になってしまって」
改めて2人に詫びる。
だが、和人はワルキューレの肩を抱き
「いいえ、どんな事になっても、どんな姿になったとしてもワルキューレはワルキューレですから……」
「ボクはワルキューレを愛してますから…… これまでも、そしてこれからも……」
「そう、この娘をお願いするわね。 さようならワルキューレ、和人。 今度こそ、もう私が貴方達の前に現れる事は無いから…… さようなら。 私達の子孫・白い皇女のワルキューレ。 そして幻の恋人・和人。 永遠にさようなら……」
窓から出たゴーストは一瞬にして光の玉となって空高く舞い上がり、やがて見えなくなった。

今日は月も出ておらず、星が目立つ。
暫く2人でゴーストが飛び去った空を眺めていたが、春とはいえ、まだ夜は寒い。
「ワルキューレ…… 寝ようか?」
ワルキューレをベッドに連れて行き、改めてキスをすると2人は眠りについた。
昨年のお盆以来、実に久々に2人は穏やかな眠りについたのだった。
明日からの事、将来の事。
考える事は山ほどあるが、それは明日になってから考えればいい。

「もう、僕達は、ずっと一緒だから……」


「オルタナティブ 〜新月(闇夜)の愛〜」・・・・・・おしまい。
211前・359:2007/11/19(月) 06:59:03 ID:wPp9xNgD
え〜。
随分と長くなってしまいましたが、その都度、途中でありながら感想を下さった皆様、ありがとうございました。
以前、スクールデイズのような鬱話という希望を頂きまして、最初はリカ話のような救いようのない話にするつもりでいましたが、少し変えました。
この終わり方には賛否あろうと思われますが、途中で変更した部分が多くなってしまって、この形にしかまとめられませんでした。
ひとえにワタクシめの力量不足でございます。

また、これ1本で300kb近くなって非常にサイズが大きくなって最初から読むのがツラいかと思われます。
これまたまとめきれないワタクシめの力量不足でございます。
さすがに次は短い話になるかと思いますが、その時はどうぞよろしくお願いします。
212名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 09:23:42 ID:qeu+zvkE
213名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 20:03:48 ID:9nssNKQ2
てか凄すぎ
ありえん
あんたマジでストーリーテラーだな
こんだけのクオリティの話をコンスタントにポンポン落とせるなんて
趣味の領域じゃないような気が
そういう仕事の人ですか?
214名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 20:46:30 ID:Z/fIhHVp
作者乙、俺は前スレから入った新参だから以前の事は良く分からないけど、中々楽しめましたぜ。


次回作が有るのならwktkして待ってますわ。
215名無しさん@ピンキー:2007/11/20(火) 00:10:29 ID:vXpiPvFc
時間を忘れて読み耽ってしまった。
軽く涙腺もヤバかった。

何か『凄いモンを読ませて貰った』、そんな感想しか伝えられないや。

心からGJ
216前・389:2007/11/20(火) 21:09:39 ID:XLXmoMFH
乙です。
読み返してみると、怖いシーンの描写や、終盤の年長トリオの感情表現等、奥が深いです。

流石にヤンデレな話だったので、ちょっとゾクリと来ましたが・・・(特にカタカナ表記のワルキューレの台詞とか、ライネを傷付けるシーンとか)
217名無しさん@ピンキー:2007/11/20(火) 23:44:38 ID:gUSl2CcR
この作品はもっと評価されるべき
218名無しさん@ピンキー:2007/11/21(水) 01:38:13 ID:yo6QNXiS
良いような悪いような、嬉しいような悲しいような……そんな気分になった。
嫉妬に駆られて感情に任せて行動した結果、愛する人を傷つけて、言葉も知性も失ったワルキューレが物凄いかわいそうでマジ泣きした。

でも、和人からの愛だけは失わなくてホント良かった。

GJ
読んでて武者震いした
もう少し素敵な感想が書けたらなぁ……
219名無しさん@ピンキー:2007/11/21(水) 17:21:37 ID:yTTnA52S
前スレで鬱話をリクエストした者です
参りました
どなたかが前・359氏の鬱はみたくないと言ってたのがわかりました
ワルキューレが壊れてく過程、ライネへの暴行とか見て前・359氏の実力をまざまざとみせつけられました
スクイズのような話も期待しましたが包丁とかレザーソーで一撃で絶命させるより、生きたまま殴り殺されていくほうが、見てるほうも精神的においつめられます
インパクトはレザーソーのほうがありますが、されてるほうや読むほうはこちらのほうがこたえますね
スプラッタ映画と怪談の違いみたいな
最後の泣かせ方もすばらしい
本当に参りました
220名無しさん@ピンキー:2007/11/21(水) 17:23:52 ID:yTTnA52S
これって書かれる前にいってた救済措置エンドなんですよね
リクエストしたけど、100%鬱でなくてよかったです
次はぜひともホンワカしたやつをおねがいします
221名無しさん@ピンキー:2007/11/21(水) 23:08:57 ID:uNwUAhKS
GJ!!!
いつもながら凄い作品でした
さっきニュースで見て新聞でも見たけど和人とライネの治療に使われた自分の細胞を使ってクローンを作り治療する方法って本当に可能みたいだね
前・359氏はそれを知ってたとか
もしかして氏って医療関係者?
222名無しさん@ピンキー:2007/11/22(木) 07:28:06 ID:FExud9OK
まぁたまたま時期が重なっただけでしょ
さほど踏み込んで書いてあるわけでもないしね
223名無しさん@ピンキー:2007/11/22(木) 14:12:28 ID:qKHvSq5P
氏の正体はさておいて、この話のライネの扱いが気にならないか?
最後にワルキューレを選ぶのはいいとして、そうなった時ライネとはどうなったのか?
愛を貫くなら他の女性とは寝ないだろうし、それだとしたらライネがカワイソだろ
まるっきり殴られ損じゃん
スクイズでの世界の役割だから仕方ないといえばそうだけど
何とかならないかな
224名無しさん@ピンキー:2007/11/22(木) 19:47:59 ID:L8zQ+Zuq
ライネに対しての和人の気持ちは最初、隣人愛みたいなものだったんじゃないかな。
で、その妹のワガママを姉が見つけて叩き潰した……と、自分は思うが、きっと何かもっと別に深い意味が隠されてるのかもしれん。

差し支えなければ是非とも作品の解説をお話ししてもらえないでしょうか?
個人的に、完治後の和人の心情の動向が気になります。
225前・359:2007/11/24(土) 23:20:35 ID:F1zGeulI
え〜。
沢山の感想いただきありがとうございました。
この話はお盆の陽炎ともう1つのオルタナティブとセットになってて、過去のエピソ〜ドは引用しましたが、この先には引きずらない事を前提にして書きました。
ですので、最後は読まれた方がどうとでもとれるようなラストにしました。

読まれた方の中には自分なりの後日談を想像された方もおられるかもしれません。
そういう方にとってワタクシめの見解とかは、作品の余韻を台無しにしてしまう恐れもあるので、明日か月曜日の未明あたりに語らせていただきます。
その時もこのコテハンをつけるので、読みたくない方はNG設定をしてください。
226前・359:2007/11/26(月) 04:54:57 ID:c6fkkTH3
え〜っと、土曜日にも書きましたが、いろいろと語らせていただきますので、ウザいと思われる方や聞きたくないと言う方はスル〜してください。

この話は「陽炎」(45番目)を書いた時は存在しませんでした。
後日談のリクをいただき作った話ですが、当初はこれとは全く別の話でした。
ライネもボコられないし、和人に誤爆する事も無く……
これ以上は書きませんが、そんな感じでした。

そこから「スクールデイズ(ゲーム、アニメ)みたいな話を」との要望をいただいた事があり、この話の骨子を作りました。
ですから、
基本的には和人=伊藤誠、ワルキューレ=桂言葉、ライネ=西園寺世界
と位置付けしましたが、そのままだと芸も意味も無いので多少はアレンジしました。
それと同時にいくつかのプランが出来て、数種類のパターンを作りました。
さらにワルキューレ視点の話と和人視点の話、ライネ視点の話を3本作って、その3本をミックスした形にする事も決めました。
終わり方も5種類出来たんですが、それは

1・ワルキューレが壊れていく描写をもっと細かく、痛々しいもの(例えば、自分の髪を口に入れようとする。とか自分の爪を剥いでそれを和人に渡す(昔、芸者が大切な客にしたサ〜ビス(?)らしい)とか)にして、
ライネへの攻撃も、もっと残虐な方法で、描写も生々しくする予定でした。
ライネの手の爪を1つづつ剥がして行くとか、ライネが和人にデートの時に安物だけど指輪をねだるシーンを入れ、ワルキューレがそれを見つけて時(刻)の鍵でライネの左手の薬指を切断して指輪を奪う。とか。
和人と2度と寝れないようにする為に時(刻)の鍵をライネのマ○コに突っ込んで引き裂く。とか。
それで、最後はこの話と同じく和人に誤爆してワルキューレが完全に修復不可能な程に壊れてエンド。
これでは和人もライネも回復しませんでした。
しかし、コレだとスクールデイズの「鮮血の結末」みたいな感じなので、ボツにして、その次考えたのが

2・1の残虐なシーン、ワルキューレが壊れて行くシーンの上記に書いたエピソードの1部をカットして少し表現を和らげる。
ワルキューレがライネを攻撃して和人に誤爆するのは決定事項ですから、そのままにして、ライネだけ体が回復し、和人は直らないまま、ワルキューレも和人だけは認識してるけど、壊れたまま。
最後にゴーストが悲しみと後悔の涙を流してエンド。
これが1を修正したやつです。
本当は、これが48番目「オルタナティブ 〜新月(闇夜)の愛〜」となる予定でしたが、とあるパートと言うかエピソードを入れたので、これでは終われなくなってしまいました。
それがどの部分かは伏せておきます。

そこで、さらに残虐なシーンの描写とワルキューレが壊れて行く過程を追加して、2に後日談Aを追加したのが今回披露させていただいた作品(3)です。
後日談Aとは、ライネと和人の体を回復させ、ワルキューレは壊れながらもライネと和人、ゴーストだけは認識出来るようにして、ほんのちょっぴり救いようがあるようにしました。
また、終わり方も読まれた方が比較的自由に独自の後日談を追加できる形にしました。

さらに後日談Bを追加したのがボツにした4番目です。
ワルキューレが妊娠して、ある日寝言でワルキューレが和人の名前を言い、和人が慌ててワルキューレを起こすけど、その時はやっぱり名前を呼ばない。という所でエンドにしてました。
でも回復の兆しはあるのかな?
とか読んでる方々に想像してもらえそうな形にしてありましたが、長くなり過ぎるのと、都合が良すぎるのでボツに。

別のパターン4−Bとして失われた4人の皇女の思念体のゴースト、4人の皇女が作り上げた時(刻)の鍵。
これはワルキューレに継承され、ゴーストは使えなくなってるのだけれど、自分の命(? 存在)と引き換えに最後に1度だけその力を発動させて、一番最初に戻す。
ワルキューレと和人が出会う前まで遡り、今度はワルキューレとは出会えないかもしれないけど、それで構わないか? と和人に聞いて、和人もそれを了承して、元に戻る。
消え行くゴーストが「2人が本当に結ばれる運命なら、きっとまた出会う」と言って消えていく。
「今度、貴方の運命の人はもう片方の娘(ライネ)になるかもね」
ってのを考えはしたんですが、都合良過ぎるのと、漫画版の最後の方でこのような話があったので、ボツにしました。
227前・359:2007/11/26(月) 04:55:54 ID:c6fkkTH3
最後は「な〜んちゃってオチ」です。
お盆からの出来事は全部ワルキューレの夢だった! とか、ライネと真田さんが撮影してる映画のスト〜リ〜でした〜! ってオチですが、コレをやると絶対に怒られそうなので止めました。

この話(3番目)に書いたように、この話の後日談は読まれた方々が好きなように考えてもらう形にしてあります。
ワルキューレが元に戻るもヨシ、和人がライネとの関係を続けるもヨシ。
最後にゴーストが消える描写を入れたので、あとがき(?)もゴーストではなく前・359として書きました。
ワタクシめも自分なりの考えはあります。
ですが、それを書くとそれがデフォになりそうなので、このような形にさせていただきました。
それで、質問でありましたワルキューレとライネと和人の今後、完治した後の和人やライネの心情ですがワタクシめは
・ライネの好意を和人は「自分を愛してくれるならそれに応えたい。 ワルキューレには悪いけど。 だから関係がバレてワルキューレが怒ったら、ライネを責めないよう頼んで罰は自分が受けよう」というスタイルでライネとの関係を続けてました。
・次にワルキューレ。
「愛する人(和人)とその愛を手に入れられるなら、全て(皇女の立場とか)を失っても構わない。 和人を自分だけのものにしたい。 何があっても和人を信じ、「何か」があればそれは和人に近づいた相手(今回はライネ)が悪い。
自分以外に向けられる愛情は例え姉妹(この場合はライネ)であっても許さない。
・そしてライネ。
「愛する人(和人)との時間とセックスの為なら、心の寒さ、隙間を埋めてくれるなら全て(皇女の立場とか)を失っても構わない。
和人を愛してはいるが、関係が続けられるなら愛されなくてもいい。 無論、愛しては欲しいが和人は一番慕ってる姉(ワルキューレ)の婚約者なので、そこまでは望まない。
話の中でライネのセリフそのままです。

それを踏まえての後日談ですが、この後はライネと和人は関係してません。
出来なかった。というべきで、メーム達と一緒に地球を離れようと決心したライネを見かねて、また病室で
「アレが最後だったらシラフで抱かれたかった」
と言ったセリフを思い出してイナルバが和人に
「最後に1度だけライネを抱いてやって欲しい。 バカな姉の願いとしてどうか聞き届けて欲しい」
と切り出すのですが当の本人同士はその意思が無かったと。
それでも、2人はベッドに入るのだけれど、和人が勃たないで、その場はおしまい。
イナルバには
「無事、本懐を遂げた」
とライネがウソをついて地球を離れる事になります。
今回の件に関しては、ライネは
「ワルキューレお姉様と和人様には申し訳無いことをしましたわ。 悪いのは全てあたくしですわ」
と考え、和人は
「ボクのせいで仲の良かったワルキューレとライネを喧嘩させてしまって、直ったけどライネを傷つけ、一生癒えない心の傷を負わせてしまった。 ワルキューレも元には戻らない。 2人には申し訳ない事をしたなぁ」
と考えていたから。

この話はあくまで、この3本だけの設定だし、鬱話、ワルキューレがヤンデレになってもらう話ですので、ハッピーなラストは考えなかったです。
ですが、先に書いたように、ハッピ〜な大逆転を望む方、この話とかでライネを哀れに思われた方が
「今後は愛情だけで無く、和人を慰める意味で、2人は関係を続けたんだ」
とか
「ワルキューレもいつか元に戻って大団円だ」
とか想像出来る形にしたつもりです。

最後はあれで最後ですし、その間にあった「そこにある日常」(47番目)はこの話の悲惨さを際立たせる為に意図的に何も無い平凡かつ平坦な話にしました。
どなたかが言われたように「嵐の前の静けさ」的な役割の話でした。
この3本+1本はあくまで独立したシリーズで後の話とは無関係です。
「その後」は読まれた方が自由に考えていただく話です。
ですので、本来なら書いた本人がとやかく言うべきではなかったかもしれません。
が、あくまでコレはワタクシめの個人的な見解ですので、読まれた方々の心の中にあるのが「本当のその後」が正しいのでしょう。
無責任な言い方かもしれませんが、この話は最後の1レスを投下した瞬間、ワタクシめの手を離れ、読まれた方々のものになってしまったと考えてます。

最後まで読まれた方、長々としてしまいましたが、ありがとうございました。
まだ何を書くか、いつ投下できるか未定ですが、次回49番目の作品も読んでいただけたら幸いです。
次ですけど、前・389さん何か行かれます?
また、新たな職人さんも来て欲しいですね。

ではまた。
228名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 18:09:21 ID:8XAGXxsv
なるほどねー
でもずるいよな
敵役でも憎めないように書いてるし、むしろ今回はライネに萌えたし
ライネのマンコとフェラが極上とか思ってしまってDVD見ててもにやけてしまう
どーしてくれる
229名無しさん@ピンキー:2007/11/27(火) 00:49:09 ID:b4S5RsPj
とりあえず、改めて今回の作品を読めて良かった、と。
これだけの内容は、359氏が本当に原作を好きだからこそ作れるのだろうなあ……と思いながら毎回拝見してます。

次回作も楽しみにしてます。
230名無しさん@ピンキー:2007/11/27(火) 01:40:44 ID:nU4fGFQy
かなりヤバイ。
氏の考えてる後日談、ライネが嘘つく所なんか書かれてたらマジで泣いてたと思う。
それと本格的にライネに転んでたと断言できる。
もし可能ならば悲惨なのは想像がつくけど、最初に考えた話も読んでみたい気がします。
他の職人氏ともどもこれからもがんばってください。
231名無しさん@ピンキー:2007/11/27(火) 12:11:23 ID:YEJP1gYm
よし、そろそろ戦神伝説の人の出番だろ
232名無しさん@ピンキー:2007/11/27(火) 18:00:41 ID:gKNcpVe+
深っ!
この話のためにそんなにたくさんプロットあったなんて……いや、この話だからこそか。
改めて氏の凄さを感じられるよ

解説読んでからまたこの話を読み返してみたら、いろんな分岐を想像してしまってニヤニヤしたりガクブルしたりした。

改めてGJ


超大作のあとだから投下しづらいかもな……
233名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 03:47:44 ID:JOPc/G9d
1回ageますか
234名無しさん@ピンキー:2007/12/03(月) 16:11:04 ID:yw6A5XEZ
ここらで一本欲しいね
235名無しさん@ピンキー:2007/12/07(金) 02:14:28 ID:e5gUz3/A
職人降臨マダー?
236名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 05:27:49 ID:gQLrTI+i
投下します
237名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 05:35:31 ID:gQLrTI+i

「和人様…きてぇ!」
愛する和人の愛撫、濃厚なキス、自身への愛の言葉の連続によって、我慢が利かなくなったワルキューレが言い放った。
和人とワルキューレはベッドの上で、お互い生まれたままの姿で情熱に身を任せ愛し合っている。
彼女の桃源郷は既に粘り気のある汁が十分すぎる程に分泌されており、和人の男根を受け入れるには万全の態勢。
対する和人もワルキューレの美しい容姿に、股間のモノがギンギンに張り詰め、先端からは粘性の汁が溢れ出ている状態。
仄かな月明かりに照らされた彼女の容姿は狂おしいまでに美しい。
スラッと長い脚、きゅっと締まった足首、程よく弾力のあるふくらはぎ、膝枕してもらいたくなるフトモモ、
そして何よりもその存在自体を誇示するかの如く大きくつきだした乳房。ツンとすこし上向きで白く形が整っていて程よい弾力がある。
彼女の体はその一部一部のどれも美しく素晴らしいレベルで均整がとれている。
また、いつもは雪のように白い肌が今は上気してうっすらとピンク味を帯びていて愛らしい。
普段の生活時はまるで女神そのもの。母性があり包容力があり、尚且つ少女の無邪気な心を併せ持つ
…そんな純白の女神が夜にはこうして…愛液でシーツをビショビショにして…頬を紅潮させて…体をよじらせて…恥じらいながらも股を開いて…自分だけを…自分だけを男として求めてくる。
その姿に興奮を覚えない成人男性は世界のどこを探してもいないだろう。無論、和人もその一人だった。
「ワ、ワルキューレ…ッ!」
本能から込み上げる劣情のままに、和人は自身の腰を正常位でワルキューレの腰にあてがう。
和人という優男のモノとは思えない…何か別の生物のような…凶悪なまでに黒く…限界まで膨張して血管の浮き出た男根…が、ビチャビチャと音をたててワルキューレの膣内に入り込もうとして粘膜を押し広げる。
ワルキューレのそこは、今まで和人と何度も交わってきたのに、形が崩れることなく美しさを保持している。ピンク色に色づいた恥丘はピッチリと締まっていて、いつ見ても新品のようだ。
「ひっ、んん…あうっ…あ…っ!」
その恥丘を割って、太いモノにズブズブ侵入されると、ワルキューレの桃源郷は収縮し、男根を激しく締め上げた。和人は先端を挿入するだけでその締め付けでイキそうになるが、そこは何とか必死に耐える。
緩慢な動きで自らのモノをワルキューレの桃源郷へと更に沈ませていく。中は熱くドロドロになった液体でいっぱいで、奥に進めれば進めた分、接合部から粘ついた愛液が溢れ出してくる。
内壁はザラついているが、溢れ出る愛液によりスムーズに通っていける。その触感がまた和人の男根に与える刺激と快感を倍加させ、悶絶させる。
「ワルキューレ…入りきったよ…」
ようやく和人の男根はワルキューレの桃源郷の最奥へと到達し、彼はまるで登山者が頂上に辿り着いたかの如く言葉を漏らした。ワルキューレを上から見下ろしながら。
熱くネバネバと絡みつくワルキューレの中を達することなく入りきることは、案外賞賛に値する事なのかもしれない。
部屋中にムワッとした扇情的な雄と雌の強烈な匂いが漂う。それが二人の情熱を更に掻き立たせる。
「…ああっ和人様っ」
和人が最奥に達する際に和人からの愛、股間の充実感、繋がる幸福を感じて一度イッたのだろうか、ワルキューレはその豊満な体をクネクネとよがらせながら辛うじて和人に答えた。潤んだ瞳で和人を見上げながら。
その動きに合わせてワルキューレの中が複雑にうごめき、思わず絶頂に達しそうになりながらも、そこはなんとか堪える。
しばらく、動かないでお互いの視線をネットリと絡め合い、微笑みあうと
「それじゃあ…動くよ…ワルキューレ」
和人はそう言った。
それに答えて、離れたくないとばかりにワルキューレが両腕を和人の首にまわし、両脚で和人の腰を挟み込む。和人はしっかり支えると上下運動を開始した。

        和人さん…ボクにも挿れて欲しい…
238名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 05:38:04 ID:gQLrTI+i

先程行った挿入の工程を高速で繰り返す和人。正に美の女神とも言えうる愛すべき婚約者が、涙を流し悶絶し嬌声をあげ豊満な乳房をゆっさゆっさと揺らす様を見つめながら、
己の腰をただひたすら打ちつけ、己の男根を桃源郷への出入りを繰り返させる。
和人の男根は熱く熱く締め付けられ、ザラザラした内壁に舐め回され、また熱く熱く締め付けられ、ザラザラした内壁に舐め回され…
それはきっと、美味しい蟹鍋をつつきながらハワイのバカンスを楽しみ株でぼろ儲けする楽しみをひとつに凝縮させても敵うことの無い快楽だろうなっ!!
和人の神経はほぼ下半身に集中されて、そこから来る接合の快感の波に完璧にのまれていた。
「すごいよっ!ぅぅあ…すごいよっ!ワルキューレッ!ワルキューレェッ!!」
普段の温和な彼からは想像もつかない、雄の悦びの声を荒々しくあげる和人。
ワルキューレは彼の様子を見て、自分が愛されていること、自分が相手に釣り合う者であること、そして何より自分がこんなにも幸せだということ…それらを再確認してとても幸福に感じた。
二人の部屋には淫猥な水音がピチャピチャと響き、ベッドがギシギシと歪み、二人の歓喜の叫びと混ざり合い、まるで悦びの歌のように聞こえる。
「もっ、ああぁ!くっ…あああ!…ワルキューレ…イクっイクっ…イクよ!!」
和人は一段と上下運動を速め、湧き上がる欲情の全てを一心不乱にワルキューレに吐き出しながら叫んだ。
ジュプジュプと音をたて、二人の接合部から止め処なく愛液が溢れ出す。パンパンと音をたて、二人の接合部から愛のリズムが生まれる。
高まる心、絶頂の興奮、最高の快楽、下半身の充実、揺れる胸、激しいピストン、貪り合う二人…。
…凄い!凄すぎる!こんな激しいセックスをしたら、きっと真田さんもリカも起きてしまうだろう!でも、そんなの関係ね(ry
背骨に激しい電流が走り、下半身と背骨とにジーンと痺れを覚える。
下半身がビクビクと痙攣し続け、大量の精が桃源郷へと注ぎ込まれる。視界いっぱいに映る自分だけの美の女神がどうしようもなく愛しい。
「きてぇ…和人様!きてぇええぇ……私もイッちゃいますぅ!あああっひゃんっ…んんぁあっ!…イっちゃう!イっちゃうぅぅうう!!!」
「ワルキューレェっ!あああああ!!」

        和人さん……ボクにも…和人さんのセーシ……欲しい…欲しいです…

ワルキューレは和人の声に呼応するかの如くイッた。体は大きく弓なりに反れ、シーツを強く掴んで、体全体が痙攣して腰が小刻みに激しく動く。
その動きで和人の精を残らず搾り出す。イッた後も小さくゥ、ァ、と声を漏らす。

二人ともぐったりとした後、しばらく無言のままで見つめあいお互いの幸せを感じ取った。
「ハァハァ…ワルキューレ…」
和人がそのままワルキューレに圧し掛かり、小さく呟いた。
「ハァハァ…和人様ぁ…」
ワルキューレは倒れこんできた和人を優しく両腕と胸で包むと、小さく呟いた。
別にワルキューレたんハァハァとか和人様ハァハァとか、そういう不純なモノではなく、お互いがお互いに快楽と幸福を分け合えたことに満ち足りた気持ちになっていた。
誰も邪魔することのできない二人だけの幸せな時間。二人ともこの時間が一番好きだった。
体が汗や愛液でベタつくのも、今の二人にとっては幸せの証だった。
「フフ…膣内に…いっぱい出されちゃいました……和人様…すごい…です…」
頬に優しく口付けをしながら、和人の耳元で囁く。
「…子供、できるといいですね……ね、和人様…」
すこしの間があった後、ワルキューレが可憐な少女の笑みで和人に声を掛けた。
「そうだね…」
和人は満面の笑みでそれに答える。
いずれは結婚してたくさんの子供を設ける…繁盛する銭湯、笑顔の絶えない家庭、楽しい近所付き合い、株で大儲け…将来の幸福な生活が次々と頭に浮かぶ。

        ボクにも…和人さんの子供…欲しい…欲しい…ッ…
239名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 05:41:53 ID:gQLrTI+i

そして二人はそのまま繋がりっぱなし。あれこれ楽しげに未来予想図を描く。お互いの幸せを再確認する。…のであった…が
そのシーンは、見られることなく、動画は、停止、された、…長い溜息とともに。

        ……いつからだろう…ボクがこんなことを…毎晩するようになったのは……いつからだろう……

指にネットリ絡みついた自身の愛液を見た。和人の満面の笑みで一時停止した動画を見た。己の股間がグチョグチョに濡れてるのを見た。
コーラスはまた一つ大きな溜息をついた。自慰を終えたコーラスの中には罪悪感と虚無感が蔓延している。破裂しそうなほどに。
(溜息をすると余分な呼吸が増え、細胞の酸化が進み老化が早まる………溜息をつくのはよくない…けど)
コーラスは自分の中に渦巻く虚しさをなんとか振り切ろうと、どこかで聞いたような知識を浮かばせては消し、浮かばせては消し、を繰り返していた。
が、しかし、どうしても自分自身の行為の虚しさ、罪悪感、劣等感を振り払うことができなかった。
が、しかし独り盛り上がった下半身は依然として火照ったままで蒸気がたっていた。それがまたコーラスに己の行いを再確認させた。

コーラスは毎晩隠し撮りをしている。
尊敬すべき憧れの姉と紳士な和人の日夜行われる愛の営みを。
コーラスは毎晩自慰をしている。
尊敬すべき憧れの姉と紳士な和人の日夜行われる愛の営みをおかずに。特に和人をオナペットに。
コーラスは自己嫌悪に陥っていた。
…だけど二人を盗撮する超小型ビデオレコーダーからのデータを毎回受け取っている。
コーラスは自己嫌悪に陥っていた。
…だけど寂しい体を慰める指の動きは止まらない。

コーラスは自分自身でよくわかっていた、こんなことをして許されないことを、本当に恐ろしいことだと。
きっと時野家の誰かにこの醜態を見られてしまったら、もうここには自分の居場所がなくなるであろうことを。そして何より、自分がホントに惨めで虚しい存在だと自覚してしまうことを。

240名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 05:46:18 ID:gQLrTI+i

ディスプレイに映る和人。その和人はワルキューレの体にギンギンに興奮し、貪るように狂ったように獣のようにその豊満な体へ愛撫と口付けを繰り返す。
コーラスはその和人の手の動きに合わせて、小ぶりな乳房を刺激する。和人の動きをトレースしているのだ。
髪をなで胸を揉み股間に手を這わせ…そうしてだんだん、和人が自身の体に興奮し、自身の体を愛撫しているかのような錯覚に自ら進んで陥る。
「和人さん…ボクだけを見て…ボクだけに興奮して…ボクだけを愛して欲しい…です」
妄想の中の和人に言葉を投げ掛けるのも忘れない。
コーラスはそうやって自らの体を愛撫し続ける。今日も明日も昨晩も。去年も今年も来年も。
小さい丘のように白く膨れた乳房を揉みしだき、頂上の乳首を摘む。指をしゃぶりたっぷりと唾液を絡ませると、クリトリスを優しく、時に強く刺激する。
桃源郷の入り口を開くとひたすら指を出し入れ。コーラスのぷりぷりした唇から切なそうに熱い吐息がハァァ、と漏れる。
パソコンの画面に映る和人は熱心にワルキューレの桃源郷を愛撫している。
コーラスはその動きをトレースする。クンニはローションを増やして桃源郷の中をグチョグチョとかき混ぜることでトレースしているが、キスはどうしようもない。
だからコーラスは妄想の中で和人とディープキスをする。
実際の所、コーラスは性交の経験が非常に乏しいので、想像で埋める部分が多い。が、時としてその想像が現実を超越するほどの快感を持ち合わせていたりする。
だから不思議であり、自慰は魅力的なのである。コーラスのディープキスに対する想像はその好例であった。
「和人さん…そんなに求められたら…ボク…ぅう」
普段は絶対口にしないような甘いセリフを妄想の中の和人に投げかけ、より深くより現実味を帯びた妄想の世界へコーラスは徐々に浸っていく。
そんな彼女の股間からは愛液が多量に分泌され、あたり一面コーラスの雌の匂いを漂わせている。コーラスの下にはベタベタしたいやらしい水溜りが形成されている。
「和人さん…きて……」
和人のゆっくりとした挿入の動作に合わせて、コーラスは太くイボのついたバイブを恥丘を割ってゆっくりと自分の桃源郷の中へと埋もれさせていく。
妄想の中でコーラスは和人に挿入されて、恥ずかしくて嬉しくて気持ちよくて、とても幸せだった。
コーラスの白い華奢な手に握られたバイブが奥まで入りきると、今度は中を激しく往復させる。和人がそうしてるからだ。
バイブが出入りするたびにコーラスの秘所からはぬるぬるしたローションが垂れてくる。
体中がジワーッとして心がぼうっとして下半身が熱くて
「あぁっ、和人さん…いい…すごくいいです…んぁっ!ハァ…ッ和人さ…んんッン…」
つい少し大きいの声で妄想の中の和人に声をかけてしまう。声が外に漏れたかどうか心配して少しだけ現実に戻りハッとなる。
が、そんなことはすぐ忘れて、またすぐ妄想の世界へとコーラスは浸っていく。今度はより深く。確実に。
クチュクチュと卑猥な音をたててコーラスの自家発電の音は狭い空間に響く。
画面の中の和人が徐々に絶頂まで登り詰めてくる。
コーラスは和人の絶頂に至る直前の激しい上下運動を巧みにトレースして、激しく小刻みにバイブを出し入れする。
コーラスの中でバイブが大暴れする。イボ状の突起がコーラスの膣内を余すことなく擦り刺激を与える。
実際は和人のモノでは無いが、その刺激は十分で何度も何度もイッしまうコーラス。瞳を白黒させ、涎を垂らし自慰に耽るコーラスの様子は非常に卑猥だ。
画面の中の和人がワルキューレの膣内に思いっきり射精する。
「ひぁぁあ…あっあっぁ…和人…さん…中にいっぱい………子供が……できちゃいます…んぁァアアアッ!!」
コーラスは和人に熱い精を大量に中に注ぎ込まれる…妄想をした。そして和人の射精と同時にバイブをまるで痙攣してるのかのようにビクビク震わせる。
そして、コーラスは激しくイッた。床に愛液とローションの混ざった水溜りをつくり、卑猥な喘ぎ声を漏らし、辺りに強烈な雌の匂いを残して。
「和人さん…ボクはあなたを…ボクはあなたを……愛しています…」
少し涙を流しながら、コーラスはそう小さく呟いた。ゼェハァと息を吸い込む音がやけに耳についた。

241名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 05:47:17 ID:gQLrTI+i

自家発電が終わると、コーラスは欝になった。
心が凍えそうな空虚感、押しつぶされそうな罪悪感、…そして、姉であり和人の妻であるワルキューレに対する劣等感にコーラスは激しく苛まれ、脳裏に自殺の二文字が掠めるほどに精神的に弱っていた。
(本当にボクは虚しい。産まれてから一度として男女交際というものをしたことがない。そのくせ処女ではない。良い所がまるでない。)
(本当にボクは卑怯で淫猥な女なんだ。隠し撮り…それをおかずに…なんてはしたないんだろう…)
(本当にボクはワルキューレと比べて劣っている部分が多い。まず胸、人を惹きつけるあの笑顔、そして何よりも……母性。)
自分に絶対足りてないものを考えて、ワルキューレを自分と対比させて、きっと自分は和人に愛されないだろうと、否定的に自分を捉える。
(和人さんが欲しい…一日だけでもいいから…和人さん……でもきっとワルキューレのほうがいいんだろな…)
コーラスは毎晩、一人ハッスルをした後、懺悔と自己否定と欲望の連鎖を繰り返す。そうして、コーラスの夜はますますふけっていくのだった。
242名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 05:49:19 ID:gQLrTI+i

朝。
コーラスが眠い目を擦りながら居間に出れば、皆既に起きて食卓を囲い座っていた。今日は土曜日、皆ゆったり。くつろいだ表情でいる。
「あ、コーラスおはよー」
「おはようございますコーラス様」
「コーラス、今朝は遅いのね」
「おはようコーラス」
リカ、真田さん、ワルキューレ、和人がコーラスに挨拶する。
(二人とも今はこうやって普通にしてるけど、夜になるとあんなに……和人さんからワルキューレの化粧品の匂いがする……)
和人とワルキューレが視界に入ると、つい早速昨夜のことを思い出して連想してしまった。コーラスは少し赤面し俯いて小さい声で「…おはよう」と挨拶するのが精一杯だった。
「ちょうどこれから朝食にするところでございました、ささ、コーラス様も座ってくださいませ。」
「…うん」
ほんの数秒、少しの間逡巡した後、コーラスは並んで座っている和人とワルキューレの向かい側に腰掛けることにした。
今朝の朝食は和風。真田さんは米にも焼き魚にもサラダにも鰹節をかけて食す。…サラダにも、だ。非常識なことは重々承知だが毎度のことなので誰も咎めない。ミルクにかけないだけマシと言えよう。
そんな真田さんとは対照的にコーラスは精神的に疲れていて、あまり食欲がなかった。

説明しよう!
現在ここ時野湯にコーラスが居候している理由は、最近になってまた宇宙海賊の活動が地球圏を中心として活発になってきたことにある!
設備が整っている遠く離れたヴァルハラよりも、近場で通信速度の速い現地での仕事をするため、コーラスは時野湯での居候を選らんだのだ!
厄介なことに宇宙海賊の使うコンピューターは、最近になってヴァルハラの魔女対策が進み、一筋縄では突破できないようにセキュリティーが強化されつつある。
そのことがコーラスの仕事の遅滞を呼び、精神的に多大な負荷をかけているのだ!
説明終わりっ!

「ワルキューレ」
和人がワルキューレを見て言った。……別に説明が終わるのを見計らって声をかけたわけではない。
「なんでございましょうか?和人様」
首を軽く傾げながらワルキューレは笑顔で和人のほうへ向き直る。和人に話かけられだけでも嬉しいわぁっ!、とでも言った感じに。
「ご飯粒、ついてるよ、ほら。」
そう言って和人はワルキューレの口元についている米粒を手で摘んでとると、そのまま自分の口へと運ぶ。場の空気が一瞬凍りつく。二人を除いて。
「あっ…か、和人様…あの、そのっ………ありがとうございます…」
(ウフフ…和人様ったらぁ〜)
恥じらいながらもワルキューレは内心嬉しくてしょうがない。つい口の端がだらしなく緩んでしまう。両手を頬にあて眉を嬉しそうにしかめる。
和人は和人で自分のやってることがバカップルの鏡だということがわからない。ただニコニコしてるだけ。
(ワルキューレ…羨ましいな…こんなにも和人さんと仲が良いなんて……和人さんもあんなにニコニコして……)
二人の幸せそうな様子をしげしげとコーラスは眺めながら思った。
「もうっ、お兄ちゃんとワルQったら、朝っぱらから見せつけないでよっ!ほんとにバカップ…」
「リッ!リカ様!…お、おかわりはいかがでしょうか?」
危険を察知した真田さん。その主とその婿を気遣う大声に、リカの言葉は掻き消された。
「でも、だってそうじゃない?真田さんもそう思うでしょ?」
不満気にぶーぶー漏らすリカ。だが真田さんは
「いや、でもしかしリカ様…」
と言って、どうあっても主を擁護しようとする。リカにズバズバと指摘されたんじゃ二人の幸せが半減するだろうと危惧して。
が、しかし、そうは言うものの、彼女も内心、主のバカップル具合にはいささか閉口気味なのであった。
(一日だけでもいいからワルキューレと入れ替わってみたい…和人さんとあんなことやこんなことをしてみたい………いや、いけないいけない…朝からこんなことを考えていては…)
(でも…和人さんと無人島に二人で暮らせたらなぁ……)
そんな二人の世間話をよそにコーラスの頭の中は和人でいっぱいに埋めつくされていた。そんな自分が後ろめたくて、俯くばかりで朝食には箸をつけずに。
「いったい二人とも何の話をしてるの?」
『どうしたんだい、リカ?』と言いたげな表情の和人に、リカは『どうかしちゃったのかい、お兄ちゃん?』と言いたくなるのを辛うじて押さえ
「お兄ちゃん…」
と、軽く失望して漏らすだけに留めた。
「婿殿…」
真田さんも結構参ってるようすである。

243名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 05:50:54 ID:gQLrTI+i

「はぁ…」
不意に大きく溜息をついたのはリカでも真田さんでもなく、コーラスだった。
「あれ?コーラスどうしたの?いつもならここで憎まれ口の一つでもたたくのに」
「リカ様…!」
「本当のことじゃない」
リカは相変わらず思ったことを悪びれもせず直ぐに口にする。
「コーラス、神経を使う仕事だから疲れたとか…?」
和人が心配気味にコーラスを見て聞くが
「いや、それは大丈夫です」
(あぁ…和人さんがボクのことを心配してくれてる…嬉しいなぁ…)
「じゃあ、どうなされたのでございますか…?」
コーラスはまた軽く溜息をつくとこう答えた。
「和人さんとワルキューレを見てると、二人とも幸せだなぁって思ってね」
「ほら、真田さん。コーラスだって言ってるじゃん。お兄ちゃんとワルキューレは重度のバカップ…」
「リ、リ、リカ様っ!!」
「何よ」
「……今日は!!…その、天気が、あの、良うございますねぇ〜」
無理矢理捻り出したリカへの言葉を、真田さんはまるでロボットのように読み上げて主を庇う。
「もう…真田さんには失望したわ。…ところでコーラスは付き合ってる人とかいないの?」
「え…?…いない…けど…?」
いきなりのリカの質問にたじろぐ。
「二人が幸せそうで羨ましいんだったら、コーラスもそんな相手をつくったらいいじゃん。」
箸をカチカチいわせ、悪戯っぽい笑みを顔にうかべながらリカが提案した。さすが中学生と言ったところか、恋のキューピッドになりたがる女の子はいつの時代もいるものだ。
「そういうリカこそ彼氏をつくったほうがいいと思うよ」
切り返すコーラス。
「いっ、今は私のことはいいの!…人が折角考えてあげてんのに」
「ワルキューレ、君とハイドラはヴァルハラ星では政略結婚を迫られてたんだよね?」
例の幸せな二人のうちの一人、和人が急に割って入り、確認する。
「はい、そうでした…でも今は和人様と…」
「ワルキューレ…」
「和人様…」
二人の間に花が咲く咲く、花が咲く。
「で、お兄ちゃんは何が言いたいの?」
何を言おうとしたのか忘れて幸せムードに浸りかけようとする二人を、半ば呆れ気味に制止してリカは和人を問いただした。
「え〜と、ワルキューレは僕と結婚することになった…ハイドラはまだ政略結婚を望んでいないし拒否の意志をしめしている」
「…だったら政略結婚の話がライネやコーラスのところに来てもおかしくないんじゃないかな?そう思うんだ」
「にゃんとなるほど婿殿の言う通りになるかもしれません。ファム様は殿方には興味がなく、上のお三方はヴァルハラの政務に忙しいはずでございますから」
「ありがとう、真田さん。だから望まない相手と政略結婚をさせられるよりは、コーラスが自分で選んだ相手と結婚するためにも、そろそろコーラスも考えといたほうが良いと思うんだ」
和人は親身になってコーラスの身を案じる。
「和人さん…」
(そんな風に言われても……ボクは和人さんのことが……和人さんがいいのに……)
「そうそう、お兄ちゃんの言う通りだよ、恋人の一人や二人いても良い年頃なんだし」
またもリカが妖しく微笑みかけるが
「そういうリカこそ彼…」
「あ〜もう!私は今勉強で忙しいからいいのっ!」
和人に気をとられていても、リカへの皮肉は忘れない、流石はコーラス。
「……リカ様、恋人の『一人』はわかりますが『二人』というのは…?」
という真田さんの呟きはリカの耳に届くことはなかった。永遠に。

244名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 05:51:48 ID:gQLrTI+i

食事が終わると真田さんは台所で後片付け、和人とワルキューレは銭湯の準備、リカは部屋で受験勉強、と各々の場所へと散っていった。
(ボクもそろそろ作業を始めないと…)
コーラスはコンピュータールームに入ると宇宙海賊への調査妨害諜報作業を始めた。

作業は遅々として進まなかった。
もう2週間も経とうというのに、未だ宇宙海賊たちの行動目的すらわからない。頭領は誰か、何故地球圏を中心に活動を活発化させてるのか、これほどセキュリティーを強化してまで隠したい機密とは一体なにか…
その全てがまったくもって闇に包まれたままで、彼らの行動を掴むことができなかった。
情報戦や機械、ネットワークを熟知しているコーラスにとっては、この状態は自身の自負心を大きく揺るがすものであり、ひどく心身共に負担がかかった。
コーラスは宇宙海賊と関係があるらしきホストを発見しアクセスすると、内部の暗号化されているやりとりの解読作業に移る。
00011100001010100101000110001010010101000011111010010001………
コーラスの指が目にもとまらぬ速さでカタカタとキーボードを叩く。瞳は一文字たりとも逃さずにディスプレイの情報を確認するため、小刻みに震えている。一旦コンピューターの一番基本的な数列になるまで情報を解読する。
こうまでしないと正確な情報が得られないまでに宇宙海賊の情報管理は徹底していた。この作業は時間のかかるものであったが、これしかないのでコーラスは地道に取り組んでいく。
が、しかし
「…っ」
急にコーラスの指の動きがとまった。これだこれ、この二つの要因がコーラスの作業を遅らせている。
一つは独立したコンピューター。外部とほぼ繋がりのないもの。それらは主に移動要塞などに採用されており、内部でネットワークがほぼ完結しているため、ハッキングできるタイミングは極限られたものであった。
そしてそのタイミングを調べるための作業、入り口を調べる作業とやるべき作業は斜面を転がる雪だるまのごとく倍加する。
それが、情報の管制を行っていると、もはや手を出すことは敵わない。
(そろそろ恋人の一人や二人いてもいい年頃かぁ……)
思い通りにいかない作業に集中力が途切れ、つい別のことを考えてしまう。
「いけない…今は宇宙海賊の対策だけに集中しなければ…」
そう一人呟くと、再び作業を開始するものの…再び手がとまる。でた、もう一つ。
もう一つは生体コンピューター。生きながらにして機械の一部になったもの。それらは情報処理能力、反応速度こそ鈍いがセキュリティーにおいては絶対的な信頼がおける代物である。
現に生きているのでコンピューターウィルスの類が全くもって通用しない。これには普通の伝染病の細菌なんかのほうがよっぽど有効である。
だが、遠く離れた場所での情報のやりとりなので、無論そんなことは不可能である。
それが管理している部署にもまた手が出せない。
「宇宙海賊のセキュリティーは化け物か」
小さく呟き、使えないハッキング経路であることを記録する。
…コーラスは時々、この生体コンピューターとコーラス自身が似ていると思う。
コーラスが外を歩き回る点と、彼らが肥大化させた頭の中身だけを残して機械に直接接続されるという点を除けば、ただただ機械の一部品として取り扱われ、誰も自分のことを思ってもくれないし見てもくれないし心配してもくれない…
(ボクはいつも機械に繋がれてばかり…もしもボクが機械に精通していなかったら……していなかったら……)
そう考えただけで恐ろしかった。その先は想像もしたくなかった。
結局、なんら成果を得られないまま、ここでの作業は完全に手詰まりになった。

245名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 05:53:35 ID:gQLrTI+i

仕方なしに一度振り出しに戻り、再度別の場所で作業を開始するが
(ボクは毎日、仕事仕事なのにライネは遊んでばっかり)
(寝る時間も削って励んでいるのに…)
(今朝の和人さん…ボクのことあんなに心配してくれてるなんて……嬉しい……)
(10時間眠る人間と5時間眠る人間とでは、後者のほうが長生き…体感的にも…)
(ナポレオンだったかな?一日の睡眠時間が3時間だけだったというのは…昼寝で補っていたそうだけど…)
あれこれと雑念が入り乱れて、作業は遅々として進まない。
(今頃、和人さんどうしてるかなぁ…もう銭湯の掃除は終わったのかなぁ…)
モニターを眺めてはいるが、本当に眺めているばかりで全く内容が頭に入ってこない。見ているだけで、読んではいない。手もキーボードの上で手持ち無沙汰にブラブラするだけでキーを叩くことは無い。
(ワルキューレ、ほんとに幸せそう…羨ましい…)
もう、完全にコーラスの作業は停止していた。
(和人さんはボクのことどう思ってるのかな…?ボクが毎晩、和人さんを思って自慰をしてると知ったらどう思うのかな…?)
(っといけないいけない。和人さんはワルキューレの婚約者なんだから、二人の間に水を注すようなことは……いや、でも今朝の和人さんはボクのこと心配してくれたし…いやいやこんな事を考えちゃいけない、作業を続けなきゃ…和人さんボクのこと気にかけてくれているし…)
(一度でいいから和人さんと交わってみたい、いやそれはダメそんな…いやいやいやいいかもしれない)
(何かの間違いでもいいから、和人さんと二人っきりになれないかな…銀河通販に何か…ダメダメ、和人さんを危険な目に遭わせるわけには……)
(…そういえば昨日の和人さんは大胆だった…ワルキューレにあんなに欲情して中に出して…そんなにワルキューレのことが好きなのかな…ボクとワルキューレとが入れ替わったらなぁ…)
コーラスは昨夜見た映像を目に浮かべると、和人に激しく責められ乱れるワルキューレの姿をそのままコーラス自身に置き換え妄想を始めた。…妄想皇女コーラス。
(「ぁあ、ダメ…和人さん…そんなところ…汚いです」「コーラスに汚いところなんてないよ」「和人さん…」「コーラス愛してるよ」「ボクも…和人さんを愛しています」「イくよっ!コーラス!」「きてぇっ!和人さん!」)
と、まぁなんとも陳腐な恋愛妄想ショーを頭の中で繰り広げながら、コーラスの左手は乳房へ、右手は桃源郷へと手が伸びていった。完全に性欲を持て余していた。仕事をほっぽりだす程に。

その矢先
「お邪魔しますわ〜」
と、扉が開く音と同時に、聞き覚えのある声が
246名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 05:56:38 ID:gQLrTI+i
続きます
概要書き忘れてた

最初の方にワルキューレ×和人
後はほぼコーラスの話。
全部で70kbくらい
247名無しさん@ピンキー:2007/12/10(月) 05:50:58 ID:guTzS2Oj
続き投下します
248名無しさん@ピンキー:2007/12/10(月) 05:52:45 ID:guTzS2Oj

その矢先
「お邪魔しますわ〜」
と、扉が開く音と同時に、聞き覚えのある声が玄関…コーラスのすぐそばから聞こえてきた。残念なことに妄想の中断を余儀なくされた。

説明しよう!
前述のコンピュータールーム…様々な機具を必要とするスペースである。もちろんそんな空間が取れるほど時野家は広くない。なら、その場所は一体どこにあるのか!?
それは…下駄箱である!…だから下駄箱の中である!
どういう原理か(←説明なのにこんな言葉は使いたくない)コーラスは下駄箱の中の空間を広げることで、その実用に耐えうるものとして利用しているのである!
以前はリカの部屋の押入れに構えていたコーラスだが、テストの近いリカへのささやかな配慮の結果である!
蛇足だが昨夜コーラスが一人Hで盛り上がってた場所も下駄箱の中なのだ!だから今しがた時野家に入ってきたライネの声がすぐそばから聞こえるるのだ!
説明終わりっ!

「これはこれはライネ様、よくいらっしゃいました。ささ、上がってくださいませ」
真田さんが恭しく玄関にライネを出迎える。
「あら真田さん、ごめんあそばせ、和人様とワルキューレお姉様は何処にいらしてますの?」
「二人とも銭湯の準備をしてるよ。昼食頃には戻るだろうね。」
ガラッと戸を開き下駄箱から身を乗り出してコーラスが答える。
「まぁコーラス、お久しぶりですわ」
「やぁライネひさしぶり」
「最近調子はどうですの?」
「んー」
「ライネ様、コーラス様、大変恐縮ですが、ここじゃなんなのでとりあえず上がりませんか?」
その場で話し込もうとする二人を見て、あがるよう促す。
「まぁ、その通りですわ」「ん、そうだね」
二人ともほぼ同時に返答した。

居間に移動してコーラスとライネが食卓を囲ってすわると、真田さんがすぐにお茶をもってきた。
「はい、お茶でございます」
「ありがとうですわ」
「……ありがとう」
ではごゆっくり、と恭しげに会釈するとそのまま退出する。
「で、最近調子はどうですの?コーラス」
改まって、先程の言葉をもう一度ライネは口にした。
「調子って?」
「ンマッ、調子は調子ですわよ」
「【調子】[意]@音楽で、音の高低。A話す人の状況が反映している声のぐあい。B物事の程度。Cからだや機械などの働きのぐあい。[例]調子外れ・調子づくり……どれ?」
「よ、Cですわ!…って[例]とか必要無いんじゃないですこと?」
「…少し疲れたよ、宇宙海賊が思った以上にセキュリティーを強化してきている。ほとんど付け入る隙が無いよ」
「まぁ、それは大変ですわね」
自分から聞いた割りには、興味が無いというか理解できないのか、そっけない返事をするライネ。
「ライネ、まるで他人事のような言い草だけれど、君は遊んでばっかりでいいのかい?」
『君には恋人の一人や二人いないのかい?』の言葉を一瞬付け足そうと思ったが、自身への問いにも思えてコーラスは控えた。
「そうは言ってもワタクシ、特にやるべきことがございませんからねぇ〜強いて言うなら、この美しさに磨きをかけ…」
髪をいじりながら、さも悩ましげにうじうじと答えるライネ。
(ボクは毎日毎日機械につながれているというのに…ライネときたら…)
「可愛いだけで無能な女なんて誰も娶ってくれないだろうね。」
少し癇に障ってコーラスが意地悪くライネを非難する。
「ッンマ!ワタクシ無能じゃありませんことよ!何にでも変身できますわ!それに結婚なんてまだまだ先の話じゃありませんこと?」
と、憤慨する。
(ライネは全然考えてないんだね……結婚とか……)
(やっぱりまだボクにも早すぎる話なのかもしれない…)
249名無しさん@ピンキー:2007/12/10(月) 05:57:30 ID:guTzS2Oj

ライネが何やら喚いてるのを尻目にコーラスが思考を巡らしていると、急にライネが接近してきた。そして、コーラスの耳元まで唇を寄せると小声でこう呟く。
「そう…下半身だけ男に変身して、処女を奪っちゃうなんてこともできちゃいますわっ!」
「うっゎ…ちょっと、ライネ…何言って」
いきなりのライネの爆弾発言に、ゾクッと体を震わせ声を漏らしてしまう。
「んふふ〜、コーラスったらホント…か・わ・い・い・ですわぁ…」
ライネは勝ち誇ったような表情で、ビクビクしているコーラスの身体に好奇な視線をネットリと絡めて視姦する。
コーラスは全体的に華奢な印象で、肌が青白いと言っても過言でないほど白い。
少年の様な短めのブルーの髪に大きな金色の瞳、ツンと高い鼻に薄い唇、それに白い肌と相まってまるで蝋人形であるかのような印象をうける。
胸は学園惑星に通ってた頃からは少しは成長したと見受けられたが、まだまだ小ぶりなもの。だが、すらりと長い脚の露出した部位、ムチムチのフトモモが大人の妖艶さを醸しだしている。
「ん〜、しばらく見ないうちにまた胸が大きくなったんじゃありませんこと?」
そういっていきなりコーラスの胸を軽く人差し指でツンツン突っつく。
「ちょ、ちょっと…ライネ…」
慌ててライネの手を払うと、両手を交差させて胸を隠すコーラス。キッと警戒の目つきで睨む。
「いいじゃない、減るモンじゃないんですし…ウフ…アハハ…」
ライネは言うとデレデレとイヤラシイ表情で答える。ツンツン突付いた後にデレデレとしたから、これはもうツンデr(ry
何か善からぬことを考えながら絡みつく様にコーラスの身体をじっくりと品定めする。ライネに見られていることを、コーラスは強く意識した。
身体中を見回されることで、思わず学園惑星の頃の思い出がフィードバックし、性欲をもてあましているコーラスは堪らず頬を紅潮させた。下もちょっとだけ濡れたようだ。
(ライネはまたボクの身体で遊ぶつもりなのかな?でも少しだけなら…いやいやそんなつもりでは…)
「あら〜?コーラスったら、もしかしてもしかしてもしかすると…?」
と、コーラスの様子を見てとったライネが妖しげな微笑を浮かべながら徐にコーラスに迫る。ズイッと接近してきてお互いのおでこをくっつける様な体勢になる。
「な、…何?」
軽く焦りを覚えながらも、正に目と鼻の先にいるライネに不安げに聞く。
「もしかしてぇ〜…性欲持て余してる?」
無邪気な悪戯っ子のように微笑を顔中ニヤニヤ満面にたたえて、コーラスの金色の瞳の奥を覗き込んでくる。
「ボクは君と違って、一年中ウサギみたいに発情したりしないよ」
そう答えてライネを引き離す…が、やはり内心動揺を抑えきれず瞳が細かく震えて、マトモにライネの顔が見られない。
「本当にぃ〜?」
またもやニヤニヤしながらジリジリとコーラスに迫ってくる。
250名無しさん@ピンキー:2007/12/10(月) 05:59:02 ID:guTzS2Oj

「そういう君こそが性欲を持て余して、こうやってまた時野湯に来ては和人さんにチョッカイをかけ………ンンッ!!!」
コーラスは驚いた。
いきなり天地が揺らいだ。視界には部屋の天井が映り、後頭部には軽く畳に打ち付けた感覚がした。身体にライネのであろう重圧がかかった。
そして、視界の隅からライネがコーラスの顔を覗き込むように現れ、視野の大半を占有すると、そのまま近づいてきて唇を奪われる。
「ッンン!…〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッツ!」
ライネに無理矢理唇を奪われながらも必死に抵抗しようと手脚をジタバタさせるも、ライネに脚で上体でガンジガラメに絡めとられていて、どうにも抵抗できない。
ライネは吸い付くかの如く絡み付いてくる。
「…ンン〜ン!んうぅぅぅぅぅぅん…」
大量の唾液を送り込まれ、舌を口内にねじ込まれ、瞳を白黒させ暴れるが、不意をつかれ完全に身体を絡めとられ自由を失っていた。重圧をうけ、身体に畳のあとが点々とつく。
唇を吸い続けられ、息ができずに朦朧とした気分になる。…ライネに好き放題されたいと思う自分を否定できなくなる。
視界いっぱいにライネが映り、口内いっぱいにライネの味がし、鼻腔いっぱいにライネの香水の匂いが漂い、ライネと自分自身とがピチャピチャとたてる水音だけが聞こえた。
もう、五感フルにライネライネで、もうライネのことしか知覚できなかった。もしかすると第六感も占領されていたかもしれない。
(ふぁあ…ドンドン、ライネが…入ってくる…)
…鼻で息すりゃいいのにねぇ。
ライネの舌が口内で何か別の生き物のように動き、歯茎、舌、頬の内壁を這いずり回り、コーラスの唇を濡らしていく。
唾液をピチャピチャと大量に送り込まれた後
「ンッ!!…プハァッ…ハァハァ……ライネッ!ハァハァハァハァ…」
ようやく解放された。酸素が戻り少し冷静になれると、コーラスには珍しく、眉をしかめながらライネに非難の声をあげる。が、対するライネはニヤニヤしながら上からコーラスを覗きこむだけで何も言わない。
ライネのマイペースさを見て、自分が完全にライネの掌中にあることを認めたくないものの、感じ取ると、コーラスは黙ってライネを睨むことしかできなかった。
ライネもコーラスも顔を薔薇色に染めて見つめ合う。コーラスは眼光を鋭くして…ライネはさらに妖しく微笑んで…。二人のプリプリした唇からは、まだ唾液の糸がツーッと垂れていて、二人の唇を繋げていた。
その状態でしばしの間、静寂が場を支配した。
「可愛い……」
ライネが徐に言い放つ。
251名無しさん@ピンキー:2007/12/10(月) 05:59:48 ID:guTzS2Oj

「コーラス…可愛いですわ…ッ」
真剣か悪ふざけかわからない言葉に思わずコーラスは瞳を逸らす。
ライネの言葉に、確かに迫る何かを感じたコーラスは必死に気を逸らそうとする。が、フトモモにライネの指が蜘蛛のように這ってきて、絹を扱うかのようにフトモモを往復し執拗に愛撫してくる。
くすぐったいような気持ちいいような感覚に襲われ思わずハァッと小さく吐息を漏らす。
ライネはそのままコーラスの桃源郷へとコスチュームの横から指を滑らせる。入り口を確かめるようにこねたり、クリトリスを撫でたりする。
おもむろに人差し指をジュブッと挿しいれると、桃源郷の浅いところを楽しむように一周し、一段と深いところへ潜り込むと探るように中で執拗に蠢く。
(やだ……ライネ、やめて……もう我慢できないよ……)
だけど、言葉にならない。
指が中を撫でれば撫でる程、蜜が溢れ出してくる。
人差し指を抜くと、蜂蜜のように愛液がたっぷりと付着していた。ライネはその指を甘い水あめを味わうかの如く音をたててしゃぶる。
「コーラス…美味しいですわ」
幼さの残る顔に妖艶な笑みを妖しく浮かべ、惚けかけた声で言うが、コーラスはフルフルと震えるばかりで返事がない。
ソッポをむき切なげに眉根を寄せて身じろぎするだけでもう抵抗できない。ライネにされるがままで確実に理性を削り取られていくコーラス。
それを確認したライネが突然
「コーラス…可愛いコーラス…ッ!…これを見てくださいまし!ワタクシのモノは…このいきり立ったワタクシのモノは…もうこんなにギンギンになってましてよ…。それというのもコーラス、あなたが可愛い過ぎるせいですわっ!」
と、言い放つと股間の昂ぶりをこれもかと言わんばかりに見せつけた。
立ち上がったライネのスカートの充実の盛り上がりを見て、またも学園惑星の頃の記憶が重なる。ライネの股間から突き出ている太く熱く硬いモノの姿は、あの頃感じた痛みと快感とを想起させる。
コーラスは今正にライネに襲われことをようとしていることえを再確認して、体を震わせて怯えた。
(ライネ…また…しちゃうんだ…ボクと…ボクと……)
(あれが…あのライネの太くて…硬くて…長いのが…またボクに入ってくるんだ…)
コーラスの心の奥の願望が静かに、だが確実に欲望として首をもたげる。
「う…ぁあ、ライネェ…ちょっと待っ…」
「もう我慢できませんわっ!コーラスッ!」
そう言い放ち、ライネが自身の下着を脱ぎ去ろうとした
252名無しさん@ピンキー:2007/12/10(月) 06:00:52 ID:guTzS2Oj

その時
「ふぅ〜やっと終わったよ」
「ご苦労様です、和人様」
と、扉が開く音と同時に和人とワルキューレが戻ってきた。残念なことにライネはコーラス責めの中断を余儀なくされてしまった。

「あら!?ワルキューレお姉さまぁ〜和人様ぁ〜お帰りなさいましぃ〜」
ライネは先程までコーラスとのハッスリングをまるで忘れてしまったかの如く、玄関の方へと諸手を挙げトテトテ駆けて二人を向かえにいく。
その場に残されたコーラスは、ライネにもう少し責められたかったが、それを否定したい…というなんとも複雑な気分に襲われた。
(寂しいよ…ライネェ…)
コーラスは股間がじんわりと濡れているのに気付くと、急いで洗面所のほうへと向かっていった。
和人とワルキューレが一息つくと、すぐに昼食となった。
253名無しさん@ピンキー:2007/12/10(月) 06:02:25 ID:guTzS2Oj

「ねぇねぇ聞いてくださいましな、ワルキューレお姉さまぁ〜」
「和人様どこか遊びに連れてってくださいませんこと?」
「お姉様、お洒落なカフェが…」
「どんな下着なら和人様は燃えなさるんですの?」
「ッンマ、エネルギーゲインが五倍以上も…」
「お姉様もたまにはアタクシに会いに来…」
ライネは昼食の間中、絶え間なく喋り続け和人とワルキューレにベッタリ。久しぶりに憧れの二人に会えたことがよほど嬉しいと見える。まぁ、夜は和人とワルキューレが身も心もベッタリというかベタベタなわけだが。
これには流石のバカップルも閉口気味で弱弱しく苦笑いするしかない。真田さんやリカはかえって二人のバカップルぶりを見ないで済むことが気楽であったが。
「ンマッ、そんなぁ〜嬉しいです和人様ぁ〜」
ライネの無駄話は延々続くかのように思われた。
「じゃあお姉様は…」
「ウフフ、アハハ、やっだ〜そんなぁ〜お姉様ったら〜」
「ヴァルハラって実はワルシャワ…」
「ライネ」
が、コーラスがライネの言葉を遮る。
「あらコーラス、一体何ですの?」
如何にもコーラスが邪魔者であるかのような言い草で、つっかかってきたコーラスに冷たく対応するライネ。
「いい加減にしなよ、そんなに甘えたんじゃ、ホラ、和人さんがワルキューレに、ワルキューレが和人さんに甘えられないよ」
先程、散々おもちゃにされた挙句、昂ぶるだけ昂ぶらせといてほったらかしにされたことが、コーラスを意地悪くさせる。二人のバカップルな所を責めるのも忘れない。
「ンマッ、コーラスこそちゃっかりと居候しちゃってる分、たちが悪くてよ、そもそもアタクシが二人の仲を邪魔したことなんて無くて…ねぇお姉様、和人様?」
が、二人とも困った様な顔をするだけで、首を縦にも横にも振らない。ライネの心に暗雲が徐々に立ち込める。
「ライネ、君は自分が二人の仲を邪魔していることが本当にわからないのかい?」
254名無しさん@ピンキー:2007/12/10(月) 06:03:22 ID:guTzS2Oj

「え?…そ、そんなことって…アタクシはただお二人を慕って…お姉様…和人様…禁断の恋が……」
ライネは自分の大好きな二人に邪見にされていると知って、先程までの喜びはどこへやら、急に悲しい気持ちになってしまっていた。
「ライネは昔から時々、壊滅的に空気が読めない時があるね。今なんか丁度それだよ。」
そこにトドメと言わんばかりにコーラスが追い討ちをかける。…先程のライネへの仕返しなのだろうか。
「アタクシそんなぁ……ひぐっ…ごめ、ごめなさ、い…お姉様…えぐっ…和人様…」
心を抉る言葉と自らの過ちに気付いて思わず泣きだしてしまう。真珠のような涙がポロポロひとつふたつとふくよかな頬を伝って床を濡らした。やはりライネはまだまだお嬢さんである。
少女の涙というものは劇的な効果を持つもので、一同、ライネのあまりの様相の変わりように重い空気になる。
「いや…、でもライネ、ライネが来てくれるとここも賑やかで楽しいよ」
そんな中、口火をきったのは和人。
「ライネ、気にすることはありません。確かに和人様との邪魔をされるのは嫌だけれでも、私はライネのことが好きです」
続いてワルキューレ。
いきなりの暗展開に二人とも慌ててフォローする。フォローと言っても優しいこの二人の言葉は本心からの言葉。
「アタクシ…!帰らせて頂ますわ…!さようなら、もう会うことは…会うことは……!!」
思い詰めて、聞く耳持たずに背を向け立ち上がるライネ。
そんな妹を間髪いれずにワルキューレが優しく後ろから抱き締める。
「行かないで、ライネ。あなたがいなくなると寂しい…あなたが泣くと私も悲しい…だから行かないで…ね…?」
ワルキューレの必死の懇願が響く。ライネはしばらく黙り込んでいたが
「…お、お姉様っ!……お゙〜ね゙〜え゙〜ざ〜ま゙〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
振り向いてワルキューレの胸に顔をうずめると、堪えきれずに、大泣きする。
「ライネ…」
ワルキューレは優しく抱き締め答えると、ライネの背中をゆっくりゆっくりと撫でる。
「ひぐっ…アタクシ…ここにいても…いいですの?」
「勿論だよ、ライネ。僕もライネのことが好きだよ。今日は僕のお風呂に入っていってくれないかな」
「和人様…ありがとうございます…」
修羅場が美しい形で完結したかのような情景だった。実際はワガママお嬢様に皆が振り回されただけだが。
コーラスはつまらないと思い、また羨ましいとも思った。そして、最後に虚しいと思った。
(羨ましい…ライネ…ワルキューレから、和人さんから、皆から愛されて…ライネはああやっていつもか弱い女の子のように振舞って誰からも愛される…羨ましい………)
(それに比べてボクは…誰からも…いや、ボクに優しくしてくれる人…和人さん……でも和人さんにはワルキューレが…和人さん…和人さん…ハァ…)



昼過ぎになると、和人が銭湯の準備に出掛けた。それに伴うワルキューレを連れ立って。
コーラスは仕事に戻り、ライネはTVを見ながら真田さんと世間話。リカは引き続き部屋で受験勉強。
しばらくそれぞれの時間を過ごしていると、お風呂の用意ができたよ、との和人のお呼びがかる。
255名無しさん@ピンキー:2007/12/10(月) 06:04:28 ID:guTzS2Oj

「皆でお風呂に入るなんて学生時代での修学旅行を思いだしますわぁっ」
「ライネったら、そんなにはしゃぐと滑りますよ」
「あぁ…姫様の!姫様のっ!姫様の×××××がぁあああっ!この真田、銭湯にお誘い頂いて正に恐悦至極に存じたてまつるでございますぅ〜っ!!」
「感電しないように、電圧を調整しないと…」
「1192イイクニ創ろう鎌倉幕府1192イイクニ創ろう鎌倉幕府…お兄ちゃんのお風呂に入るのって結構久しぶりかも…ハッ、いけないいけない…1549イゴヨク広まるキリスト教1549イゴヨク広まるキリスト教……」
「お姉様〜アタクシ、背中洗って差し上げますわっ!」
「あら、ライネお願いね」
「で、ではワタクシは姫様の×××××を丁寧に丁寧に洗っ…愛撫させていただきま……ニ゙ャアアアアし〜び〜れ〜る〜」
「真田さん、ごめん。やっぱり純水じゃないと難しいね」
「ちょっ、近寄らないでよコーラスっ、私、電気風呂に入ったつもりじゃないのよ!」
と…まぁワイワイガヤガヤと和人の風呂ではしゃぐ一行。


説明しよう!
どうしてこんなにもワイワイガヤガヤしているのか!?どうしてこんなにも人口密度が高いのか!?
当初は来訪してきたライネだけが和人のお風呂に入る予定であった…だがしかぁ〜っし!!
いざライネが風呂に入らんとするときになって
ライネの「折角ですから…」がワルキューレを呼び、ワルキューレの「折角ですし…」が「折角でございますから…」を呼び、
それが連鎖して「折角だし…」を呼び最後に「しょうがないなぁ」で結局、ライネ、ワルキューレ、真田さん、コーラス、リカの蒼々たるメンバーで和人のお風呂に挑むことになったのである!恐るべし女の凝集力っ!なのだ!!
説明終わりっ!
256名無しさん@ピンキー:2007/12/10(月) 06:06:20 ID:guTzS2Oj

「ねぇねぇ聞いてくださいましな、ワルキューレお姉さまぁ〜」
湯船の中、ライネがピトリと体をワルキューレにくっつけながら何やら物憂げに漏らす。
「なぁに?ライネ」
「ワタクシ…そのぉ…また、胸が大きくなってきちゃって…肩は凝るしジロジロ好奇の目に晒されるしブラのサイズは合わないしで、とっても憂鬱なんですの…」
「確かに弊害は多いかもしれないけど、その大きな胸を誇りに思わないといけません」
「姫様の言う通りでございます、ライネ様。たわわな胸は母性の象徴、ヴァルハラ皇女には欠かせないものでございます。むしろ、誇りに思うべきでございます。貧乳なんて…ふさわしくありません恥ずべきでございます」
「…」
「…」
諸君!我々は忘れてはならない!雄弁を振るう侍女長の横にふかぁ〜く傷ついた少女が二人いることを!
「でも、どうしたらそんなに胸が大きくなるの?」
リカが真田さんに聞くが
「さぁ〜?ワタクシ胸が大きくなかった頃がございませんので…」
と、顔に手をあて首を傾げる。まるでアテにならない。
「全くどうしてこんなに、私の周りには巨乳ばかりなのよ?」
「ずるい、こんなことってないわ。リカは自分の胸が小さいことを僻んで…」
「あなたには言われたくないわよっ!」
リカの心中を勝手にアテレコするコーラスに間髪いれずに突っ込みをかます。
二人ともそれほど貧乳では無いのだが、彼女らを取り巻く環境が相対的に、そう見せるのであった。
「お姉様…アタクシやはり胸が大きくて良かったなぁとつくづく…」
コーラスとリカの存在に気付き、考えを改めるライネ。
「そ、…そう…」
「それにしても…」
また居直るライネ。ワルキューレの背後から意味有りげに呟く。
「まだ何か悩みがあるの、ライネ?」
近いようでいて遠い妹の心の変化を見逃さまいとばかりに、すぐに相槌を打つワルキューレであったが
「お姉様の胸って形も色もよくて綺麗ですわ〜♪」
そんな思いはいざ知らず、無邪気にワルキューレの両脇の下から手を差し込むと乳房をはっしと掴むと揉み始める。
「ふああぁ、ちょっとぉ…ライネったら、ダメェ…ッ」
困った様に両手を宙でフラフラさせて、体をくねらせて抵抗するが、ライネはやめることはない。
「あれぇ〜?お姉様、乳首がコリコリしてますわよぉ〜?」
「わわわ、これはこれはライネ様。いけませんそのような戯れは、けしからんもっとやれでございます!」
「ちょっと真田さん何言ってるの!?これは普通に止めなきゃだめでしょ!他のお客さんも何事かって見てるよ」
「ホレホレ、お姉様〜気分はどうですの〜?」
真田さんの応援とリカの懸念をよそに、変態オヤジのような発言をして姉の豊満な乳房を嬲りつづける。
「んぁああっ、ハァッ…ダメ、ダメ…ダメェッ……私の、ンハァ…ッ」
「あれ〜?お姉様、もしかして感じてますの〜?」
ますます調子に乗るライネだが
「いや…やだ…ライネ、私の胸は…和人様だけのモノなの…私の胸で楽しんで良いのは和人様だけなの!!」
257名無しさん@ピンキー:2007/12/10(月) 06:07:14 ID:guTzS2Oj

途端、場が凍りついた。ライネの責めもやむ。
「…あ…れ…?」
「そろそろ上がりましょうか、ね、コーラス」
「そうだね、それがいいよ。ここは寒過ぎる」
「私もそろそろ上がるね、受験勉強しなきゃだし」
「…皆どうしたの?私……あ、真田さん」
空気の読めないワルキューレは自分の絶対的な信頼のおける侍女長にすがる…が
「いやぁ…あのその、姫様…ワタクシのぼせちゃいますので…それに猫舌なので…にゃんともかんとも…」
見事に裏切られ、真田さんも皆とともに湯船からあがって脱衣所のほうへ行ってしまう。
「私…何か間違えたこと言ったのかなぁ…?」
一人ポツンと湯船に残されるワルキューレであった。


脱衣所で
「真田さ〜ん、胸が大きい人ってバカって聞くけど、それって本当なの?」
先程の一連の騒ぎで、TV等で出る話を思い出してリカが聞く。
「さぁ〜?ワタクシ胸が大きくなかった頃がございませんので…」
「…あっそ」
「そういえば、胸の小さいコーラスって、コンピューターとかネットワーク関連のことに精通してて頭いいよね?やっぱ貧乳は頭良いってこと…ハッ、私このまま受験勉強続けてたら、一生貧乳に!?」
と、あらぬ心配をするが
「え…あ、うん」
と、コーラスは生返事。
「どうしたの?」
思った以上の反応の悪さと、最近のコーラスの元気の無い(元気があるときは皮肉と豆知識の披露の回数が多い)様子を心配してリカが尋ねるが
「いや、特になんでもないよ」
「…そう?」
コーラスはお風呂に入ってる間ずっと、自分の容姿にコンプレックスを感じていた。
胸が小さいこと。それが悩みの種だった。
ライネは体の比率にたいして、胸が大きすぎる感が否めないが、ワルキューレはボンキュボンのベストスタイルでバランスもよく、正に美の女神と言える。あれだけのプロポーションを持ち合わせている女性はまたとない。
そしてワルキューレと自分とを比較しては
(和人さんは毎晩、あの身体を貪ってる…ボクみたいな痩せっぽちには見向きもしてくれないのかな…)
と、物思いにふけってしまう。これがリカに生返事を返す原因であった。
258名無しさん@ピンキー:2007/12/10(月) 06:07:58 ID:guTzS2Oj

一行が風呂を出て、しばらくすると夕食となり、それが終わるとライネが帰る時間となる。


リカを除く全員がライネの見送りに立っている。リカ曰く「受験勉強が忙しいのよ」とかなんとか云々かんぬん。
「今日は本当にお世話になりましたわ、和人さんのお風呂は暖かいですし、真田さんの料理は美味しいですし」
「どうしたしまして、ライネ。また来てね」
「お褒めの言葉有難くお受け取りします、ライネ様」
「ワルキューレお姉様…また来ますわっ」
「いつ来てくれても良いのよ、ライネ…」
「はい、それでは皆様、ご機嫌よう〜っ…っと、あっコーラス」
手を振り宇宙船に乗り込もうとするが、何かを思い出してコーラスに向き直る。
「?」
「いつまでも滞在してるとお二人の邪魔になりませんこと?一緒にヴァルハラに戻りませんこと?」
「いや、いいよ。こっちの方が接続の時間が短くて済むし。最近、宇宙海賊の動きが頻繁であまり目を離すことができないから、ヴァルハラには戻れないよ、ゴメンネ」
「それと、ライネの宇宙船に乗り合わせたら命がいくつあっても足りないよ、不死身のボクでもね」
(「お二人の邪魔になる」…かぁ)
ライネにとっては何気ない言葉なのだろうが、和人のことをオナペットにして毎晩自家発電するコーラスにとっては、重く響く言葉で、嫌が応でも心の中で反芻してしまう。
「ッンマ、コーラスったら。まぁ、いいですわ…確かにアタクシの運転は誉められたものじゃありませんけど……それでは皆様、今度こそご機嫌よう〜」
そう言ってライネは宇宙船にウィ〜ン、ガシャ、プシューッと乗り込むやいなや、ぎゅるぁああああああああああっ!!っと物凄いスタートダッシュで時野湯の屋根瓦をメキメキバリベリボリッッっと抉り飛ばしながらヴァルハラへと飛び立っていった。…それにしても恐ろしい。
「あ〜あ…また補修しなきゃ…」
和人の小さい呟きが、運転手の耳に入ることはなかった。



夜。草木も眠る丑三つ時。
コーラスは夜遅くまで宇宙海賊対策を続け、ディスプレイと壮絶な睨めっこを繰り広げていた。
259名無しさん@ピンキー:2007/12/10(月) 06:09:00 ID:guTzS2Oj
次の投下で最後です
260名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 18:53:42 ID:TSEPucbN
新しい作品、来てますね。
前にコーラスの話書いてくれた方ですかね?
あの時より少し文体とか構成が変わってますけど。
感想は最後のパートを読ませていただいた後にさせていただきます。
頑張ってください。
261名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 05:47:37 ID:3z4Jzi5n
投下
262名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 05:48:43 ID:3z4Jzi5n

夜。草木も眠る丑三つ時。
コーラスは夜遅くまで宇宙海賊対策を続け、ディスプレイと壮絶な睨めっこを繰り広げていた。



カタカタと規則的にキーボードを叩いて、宇宙海賊らへサイバー攻撃を行う…が、その音が止み、代わりに小さく溜息が漏れる。
(はぁ…またか…)
午前同様、またも二つの要因に作業を阻まれる。今回は完全に手詰まりだった。どうすることもできない。どうしようもない。完全に自分の手の及ばないところまで宇宙海賊は進歩してしまった。
(もう、ボクの力だけではどうすることもできないのかな…)
コーラスは認めたくなかった。
自分の唯一の長所であるコンピューターネットワーク関連で、有効な打撃を宇宙海賊に与えられないこと、作業のみに集中することができないこと、そして、自分が邪魔者だとわかっていながらも和人が気がかりで時野湯を離れることができないこと…
その全てが重く重くコーラスのプライドに圧し掛かってきて、苦しくて息ができなかった。コーラスが最近、やけに人恋しくなったのはこの辺の苦悩から生じたものだと思われる。
(もう今日はここまででいいや…)
やや自暴自棄気味になり、モヤモヤした気分で回線を切ると、傍にあるロックのかかった箱を開けた。中から精巧なつくりの小型のディスクをとりだす…和人とワルキューレの夜の営みを収録したいかがわしい代物である。
そのままセットし、操作するとディスプレイに隠し撮りした動画が小さな電子音とともに映しだされる。
「和人さん…」
画面に和人が映る。ワルキューレに何言か愛の言葉を囁いている。体が疼く。
画面の中の和人はワルキューレに欲情している…そのワルキューレを自分に置き換えて、和人との擬似セックスにふける。
毎晩、やってきた成果かすぐに心も体も妄想に浸らせることが可能。
(慣れたものだね…)
頭の片隅に残る良心と理性で、自らを軽く皮肉るがそれもまたすぐに消え、頭の中が和人のことでいっぱいになる。
「和人さん…そんなに見ないでェ…触らないでェ…恥ずかしいです…」
激しくなる画面の中の二人のパラダイス、それに合わせてコーラスの身体も熱く火照り、喘ぎ声を漏らす漏らす。
「ハァ…ッ、和人さんイイッ!んぁ…ひぁああ…和人さん和人さん和人さん…」
そうしてコーラスは今宵もまた恥ずかしげもなく和人をオナペットに自家発電にふけるのだった。
263名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 05:50:06 ID:3z4Jzi5n

が、その時
和人は聞いてしまった。
寝起きの和人は聞いてしまった。
トイレへと部屋をたった和人は聞いてしまった。
下駄箱の中から苦しそうに自分の名を呼ぶ声を。
「……コーラス?」
(確かに聞こえる…なんだろ…苦しそう……行って確かめなきゃ…きっとコーラスが何か困っているんだ)
そんな優しい気持ちから和人は喘ぎ声の漏れる下駄箱へとゆっくりと近寄る。
そして、手をかけるとガラッといっきに開けて
「コーラス!一体どうしたの?だいじょ……ッッッッッッ!!!」
和人は愕然とした。思わず口に手をあてる。
前々からコーラスが時野家の下駄箱を借りて宇宙海賊対策をしていることは知っていたが…
264名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 05:51:51 ID:3z4Jzi5n

「コーラス!これは……これは一体どういうことなんだい!?」
ムッとするようなキツイ扇情的な匂い、散乱する機械類、その中にうずくまるコーラス、ディスプレイに映しだされてるのは…!!
「あ…あ…あ…………か、和人さ…」
いきなり眼前に現れた和人本人。突然のことにガクガクと体全体が震えてマトモに喋ることができない。
「コーラス!これ…これ…僕とワルキューレじゃないか!」
部屋の中に入り、ディスプレイに映っているのが、自分とワルキューレのセックスの動画だと気付き耳まで顔を真っ赤にした。戸を閉めるとより鮮明に映る。和人は映っているのが、盗み撮りしたものであると気付き憤慨した。
「あ…ごめ…ごめんなさい…和人さ、ん…」
「わかるように説明してくれないかい?」
迫る和人。
「ごめんなさ…ごめんなさい…和人さん…和人さ…」
コーラスは体を震わせて、顔面蒼白にしてポロポロ涙を流すばかりでまるで話にならない。
「しっかりするんだコーラス!これはコーラスが撮ったものなのかい?」
コーラスの両肩を掴んで、和人は揺さぶる。しばらくはまるで反応なく、揺れの動きに合わせて首をカクカクさせていたが、ハッと瞳を見開くと様子がおかしくなる。

(ダメだ…もうダメだ…こんな所見られて…和人さんにこんな醜い所を見られて…もう生きてはいけない…生きる価値がないよ…ボクには………サヨウナラ…時野家の皆…サヨウナラ…ヴァルハラの姉妹達…)
「データガ破損シテイマス。起爆スイッチON。自爆マデ、カウント三秒」
急にコーラスの口から機械的な音声が漏れる。
(恥ずかしい…ハズカシイ…生きていてもしょうがないよ…ボクなんか…!)
「コーラス!?」
和人は突然の爆発宣言に目を白黒させて驚く。爆弾発言じゃない、爆発宣言だ。
「三秒前」
(ゴメンネ…ワルキューレ…結局ボクは君に何ひとつ及ばなかったよ…唯一の長所すらも失ってしまったボクは…)
「ちょ、ちょっと待ってよコーラス」
自らの心に押し潰されているコーラスに和人の声は届かない。
「二秒前」
(ライネ…ライネ…今日まで散々お互いをいじりあってきたけど…お別れだ…こんなボクと友達になってくれてありがとう…)
「どうしたんだい?…コーラス!ねぇ、コーラスってば!」
和人はいきなりの展開に何が何だかわからなかった。ただコーラスが困窮してることはわかった。
「…一秒前」
(サヨウナラ…和人さ…ん…サヨウナラ…ごめんなさい……こんなボクでごめんなさい…)
「コーラス!!嫌だ!自爆しないで!!」
和人はコーラスを精一杯の力で抱き締めた。わからないけど…コーラスがいなくなってしまいそうに思えて、コーラスがいなくならないように…そう祈って必死に抱き締めた。
「ゼ…」
「自暴自棄になっちゃダメだ!自分を強くもって!コーラス…逃げちゃダメなんだっ!!…僕はコーラスにいてほしい!ダメだよ…自爆しないでっ!!」
和人はコーラスを強く抱き締めて放さない。そうしないとコーラスがいなくなってしまいそうに思えたから…
「……か、和人さん?」
和人の必死の訴えにコーラスのカウントダウンがギリギリのところでとまる。…危うく二人とも危ない所だった。
「コーラス…何があったのかわからないけれど…でも、僕ができることなら何でも言って欲しい…力になるから…」
しばらくして和人は目を瞑って、震えた声で心の底からコーラスに訴える。
「…」
コーラスは沈黙すると和人に寄りかかった。
「だけどコーラス…話してほしい…一体何があったんだい…」

外はやけに静かで虫の鳴き声ひとつしなかった。

コーラスはポツリポツリと和人へ告白を始めた。
仕事が上手くいかないこと…まだ遊んでいたいのに自らの能力から仕事を押し付けられること…ヴァルハラの皇女としての責任があること…
ろくに恋もしたことがないこと…胸にコンプレックスがあること…和人に初めての想いを抱き始めたこと…ストレスから魔がさして二人を盗撮したこと…それをおかずに毎晩自家発電してること…
それら全てをゆっくりと掠れた声でコーラスは語った。話せば話すほど、今まで逃げてきた己の行いを再認識して、ますますコーラスは無表情で掠れた声で語った。
非常に長い話であったが、和人は全て聞いてくれた。

265名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 05:54:47 ID:3z4Jzi5n

「つらかったんだね…コーラス…」
全てを聞き終えて和人が静かに囁いた。
「はい…これからも…つらいと思います…」
否定はできない。逃げ出すこともできない。…コーラスは受け入れるしかない、そう思った。
「でもまだダメだと決まったわけじゃない。仕事は好きになれば楽になるよ……僕だってそう」
「宇宙海賊が進歩したんだからコーラスだってそれを上回るハッキング技術を学べばいい…今はとりあえず休んだ方がいいよ」
「ワルキューレやライネみたいに体に自信がなくても、コーラスにはコーラスなりの魅力があるよ。コーラスが自分を見つめなおして、また歩き始めてくれるなら今日のことはもう怒らないから」
和人は続けて言う。
「コーラス…さっきも言ったけど…僕にできることがあったら、何でも言ってよ…」
「…」
(和人さん……こんなにもボクのこと気遣ってくれて……今なら……)
「ね?」
「…………さい」
「え?」
絞り出すに喋るその言葉は語尾しか聞き取れない。
「…………いてください」
「え〜と、何て言ってるの…コーラス?」
和人は不安になった。コーラスがはっきりと自分の意志を表せられないんじゃないかと思って。ただ少しだけ嫌な予感がした。
「あ、あの…和人さん…」
「うん」
「ボクを…ボクをっ!………抱いてくださいっ!」
コーラスは頬を紅潮させながら俯いて和人にお願いした。
「えぇええ!?、いや、でも、そんな僕にはワルキューレが…」
先程のコーラスの告白を聞いていく中で、和人はそのお願いを多少は予想していたが、やはり受け入れがたいものでった。
「自爆マデ後3秒前…」
卑怯だ。
「わわわっ!待って、待って!わかったよ…わかったよコーラス…だから…自爆はやめてほしい…うん」
(うわぁ…和人さんと…本当の本当の本当に…夢みたい……うわぁ…)
「でも…あんまし上手くないかもしれないよ?」
「それでも良いです…和人さんとなら…なんだって…どんなプレイだって…」
(縛られたり目隠しされたり薬を投与されたり鞭で叩かれたり和人さんが女体化したりワルキューレと3Pになったり和人さんがライネに掘られたりしても……和人さんとなら…)
と、エロい妄想を繰り広げるコーラスだが、勿論その内容は和人には見えない。
「じゃあ…その、良いんだね?」
和人は言ってしまった手前、後ろめたいながらも承諾する。ここで拒否してはコーラスは立ち直れないかもしれない。
「はい…お願いします」
夢見るような表情で答えるコーラスであった。
(和人さんと……するんだ……)

266名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 05:56:12 ID:3z4Jzi5n

スペースが狭いのでお互い立ったまますることになった。
「それじゃあ…」
和人は言ってパジャマの上着を脱ぐと、コーラスを背後から抱き寄せる。和人の吐息が直に首筋にかかってコーラスは身体をゾクゾクと震わす。
「あの…優しく、お願いします…」
「うん」
コーラスを抱き寄せると、髪からは香水等の化粧品の匂いではなく、シャンプーの清涼な匂いが仄かに漂ってきて、和人の鼻腔をくすぐる。
体温が比較的に低めで涼しい。コーラスの髪は間近で見ると、光沢があった。
和人が胸のほうに手を伸ばすと
「あ…その、和人さん…胸が小さくてその…」
モジモジしてコーラスは和人の手首を掴んで軽く制止して言うが
「可愛いと思うよ」
和人は気にした様子もなく、むしろ珍しい貧乳に喜んでる様子だ。
「え?……あ、ありがとう…」
(和人さんは貧乳でも良いのかな?)
コスチュームの上からでも、コーラスの胸はプックリと膨らんでいるのが、ちゃんとわかる。貧乳というよりは微乳といった感じ。
和人は服の上から、コーラスの乳房を優しく愛撫した。乳首の周りをなぞるように指を滑らせ、モニュモニュとしっかり揉む。そして、丘の頂点をギュッと摘むと
「あっ…」
小さい喘ぎ声が漏れた。
「ん?コーラスは乳首が気持ち良いの?」
(あぁっ…和人さんに…和人さんに…ッ!愛撫されてるぅ!!)
和人が問うが、コーラスは少し俯いて照れるだけで答えない。もとより、「うんっ、そこがいいのッ!」なんて答えは期待していなかったが。
和人は続けて執拗に乳首を責め始める。人差し指をあててコリコリと上下させたり、ギュッと摘んだりして。
和人がそうやってコーラスの乳首を弄ぶたびに、我慢するかのような切ない鳴き声が唇から漏れ、息遣いが激しいものへと変わっていく。
コーラスの乳首はコスチュームの上からでも、硬く勃起してるのがわかり、その存在を誇示していた。
ひとしきり愛撫すると、和人の右手がスーッとコーラスの胸、下腹部をなぞって股間へとさがっていき、絶対領域になっているコーラスのフトモモで停まる。
ピッチリ閉じてる脚の間に指を捻じ込ませ、内側のムチムチした肉を欲望に任せ蹂躙したかと思えば、絹を扱うかのように優しく愛でて撫で回したりする。
時々その手はコーラスのお尻を弄ったりもするが、すぐフトモモに戻る。なんだか痴漢みたいな手の動きだと思って、和人自身少しだけ苦笑した。
(ライネもそうだけど…ボクの脚ってそんなに良いのかな…?)
胸や性格ばかりにコンプレックスを抱えて、それ以外の部分をまるで気にしていないコーラスにはわからなかった。
(『コーラスにはコーラスなりの魅力があるあるよ』かぁ…)
「コーラス」
「何ですァアッ…ッ…もう…」
和人はコーラスに問いかけておきながら、わざと喋ってる時に乳首の刺激を強めた。言い忘れたが左手はまだコーラスの乳房を掴んで離さない。
「服、脱いでくれるかな?」
悪ふざけをするものの、当の和人はひどく興奮しており、後ろから抱かれて姿が見えなくても荒い雄の息遣いが聞こえ、興奮しているのがよくわかる。
「…はい」

267名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 05:59:12 ID:3z4Jzi5n

コーラスが複雑なコスチュームを徐々に脱ぎだすと
「あ、まってコーラス、それは脱がなくていいよ」
といって、フトモモ半分下から足までを覆っているストッキングだけ残させた。
(和人さん…変な趣味…)
とは思うものの、注文をつけてくれることが嬉しくて嬉しくて堪らなかった。
ストッキングを残し、完全に脱ぎ終わった。コーラスの乳首は桜色に色づき、股間はじんわり湿っていた。濡れてることがどうにも恥ずかしくて股間を手のひらで覆い隠してしまう。
そして、また和人からの指示がきた。
「脚…開いて」
「…はい、和人さん」
密度を感じさせるフトモモが開くと、そこには毛が生えていないツルツルした割れ目が現れる。
言われるがままに脚を開いた途端、和人の指が濡れた桃源郷をヒュッと掠める。堪らない刺激に腰が抜けそうになるが、脚を内股にして震えながらもなんとか留まるコーラス。
和人の指はそのまま二、三度、感触を確かめるかのように割れ目の上を滑る。
「はぅぅ…」
和人は自分の婚約者とは違うこの女の子の身体をしげしげと観察し、可愛い割れ目を執拗に往復した。
じっとり蒸れた桃源郷をなぞる和人の指に、コーラスの本能が刺激される。
(剃っちゃったのかな…コーラス……いや、パイパンなのかも)
そのまま秘所への愛撫が続くのかと思いきや、コーラスの背中の匂いを嗅ぐかのように背中に口付けをしながらしゃがみ、和人の興味はまたもコーラスの脚へ戻る。
先程まで自分の首のすぐ後ろで聞こえていた息遣いが下に移動して、和人がしゃがんだのをコーラスは察知した。
途端に、先程残していたコスチュームを乱暴に脱がされる。驚いたが、服を脱ぐのに協力するコーラス。コーラスの脚が完全に顕わになる。
「…ぅアッ…ちょっと、和人さん何してるんですか…」
和人がコーラスの脚を舐め始めた。和人の舌はコーラスの足の指から足首、フクラハギからヒザ、フトモモから股間へと執拗にピチャピチャと唾液をつけ往復する。
産毛一つ無いコーラスの脚はプニプニしていて程よく張りと弾力を持ち合わせており、それを和人は鼻先で唇で舌で匂いで楽しむ。
「ヤッ、やめてください、足…汚いです…臭いです………もう、和人さんの変態…バカぁ…」
そんなコーラスの訴えにはまるで耳を貸さず、和人はコーラスの足の指をソフトクリームを食べるかの如く唾液で濡らしていく。
手でコーラスの脚をマッサージするかのごとく丹念に愛撫し、舌で弄んで自分の匂いをつける。この行為がコーラスを独占してる気持ちにさせて、非常に和人を悦ばせた。
コーラスの唇から漏れる、ハズカシイ…という言葉は和人の耳に届いていたが、それはますます和人の欲望を煽るものでしかなかった。絹素肌だ!と思えるほどの滑らかできめ細かく傷一つないコーラスの脚は、和人の性欲を掻きたたせてやまない。
268名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 05:59:59 ID:3z4Jzi5n

和人がしつこくしつこく、そして確実にコーラスの脚を舐める部位を上げてくる。
(やだ…和人さん…じらさないで…)
なかなか自分の桃源郷まで達してこない和人の舌に焦っていたが、積極的におねだりはできなかった、恥ずかしいから。だが、和人に脚を愛でられていることで幸せをしっかりと感じとっていた。
…いけないことだとは頭で理解していながら。ワルキューレに申し訳ないと思いながら。
「ァァァアッ!かず…と…さん…」
そんなことを考えていると、いきなり濡れそぼった股間へ舌の激しい奇襲を受けて、思わず大きく喘いでしまった。ビチャビチャと音をたて和人の舌が桃源郷へと喰い込んでくる。
中で舌がクネクネと動くたんびに耐え難い興奮が起こり、コーラスから甘い声が漏れる。
その様子を確認すると和人は立ち上がり、コーラスの耳元へ唇を寄せ小さく囁く。
『そんないやらしい声で喘いだら、真田さんやリカが起きてきてバレちゃうよ?』
『…ごめんなさい和人さん…』
『僕を受け入れるだけでいいんだ…コーラス』
(和人さんのイジワル…)
それだけ言うと和人は再びしゃがみこみ、コーラスの桃源郷へと再度、舌を這わせる。…自分でああ言ったものの実際、ワルキューレに見つかったらと思うと気が気でなかった。
が、和人はそんな気持ちを振り払うと、今はコーラスの心労をねぎらってあげることだけに集中することを決心した。
和人が舌を入れると、先程の注意を気にしてか声を抑えたコーラス。だが、不規則な切ない吐息がハァハァ漏れているのが確実に和人の耳に届く。
コーラスの正面へと回り込み、しげしげとコーラスの股間を眺め始める和人。コーラスの桃源郷からはドロドロした熱い粘性の液体が大量に流れ出し、伝って地面に水溜りをつくっている。
クリトリスはピンクに色づき硬く天を仰いでその存在を誇示している。
和人はその状態でしばらく動きを停めてじっくり眺めていると、視姦されて恥ずかしいのか、和人が何もしていないのに、コーラスの桃源郷はさらに愛液でビショビショに卑猥に濡れていく。
薄暗がりの室内でもそうの様子がはっきりと視える。その様子を公園の噴水を眺めるかのように和人はぼぉーっと視る。ふと顔をあげてコーラスの様子を窺うと、金色の瞳を目が合い、羞恥心に身悶えしていた。
何もせずただひたすら観察されてることに我慢できなくなり、コーラスが和人に声をかけようとした途端
和人が顔を近づけ、思いっきりそのクリトリスを吸う。すると、ヒィッッと押し殺した声が聞こえる。その反応が楽しくて和人は舐めたり吸ったりでコーラスのクリトリスを散々嬲る遊びにしばらく耽る。
「ゃぁッ…」
クチュクチュ音をたて和人が自分の股間に顔を埋めているのが見える。
「ンぁ…」
和人がコーラスのグチョグチョの股間を、唾液でさらにベチョベチョにしてくる。
コーラスはよがったりヒクヒク震えたり、脚で和人を挟んだり、手で和人の頭を抱え込んだりするがまるで動きを停めない。むしろ、脚に挟まれる触感を楽しんでいるように見れる。
(和人さん、ボクのクリトリスばっかり責めてる………もう…我慢できないよ…)
眉をしかめてキュッと目を瞑り体を震わせてイかないように耐えていたが、もうコーラスは限界寸前だった。喰らいつくような和人のクンニに、もうコーラスは限界寸前だった。
269名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 06:02:03 ID:3z4Jzi5n

「ッァア…和人さん、いや…もうその、あ、あの…」
和人はその言葉を聞いて全てを悟ったが、わざとわからないふりをして立ち上がるとコーラスの金色の瞳を見て問う。
「どうしたの?コーラス?」
(和人さんのイジワル……わかってるくせに。……でも、言わないとダメなんだろうなぁ…)
頭の中であれこれ思考を巡らして、答えないコーラスにもう一度和人が迫る。
「どうしたんだい?コーラス、何がして欲しいんだい?」
(僕何言ってるんだろな…)
普段、ワルキューレにこの手の台詞は吐かないので、らしくない自分に和人は内心で少し笑ってしまい、思わず唇の端が引きつる。
が、コーラスにはその和人の表情がたまらなく淫猥に扇情的に誘惑的に誘っているように見えた。それはコーラスの妄想の中にも現れないほどの和人だった。
このままじゃ埒が明かないので
「ボクに、ください…」
俯きながら小さく答えるが
「ん?何て言ったの?コーラス」
和人はニヤニヤするばかりでマトモに取り合ってくれない。
「ボクに、ください、和人さんのを…くださいっ!」
顔から火が吹き出んばかりに紅潮して、目を硬く閉じて、もう一度、今度ははっきりとねだる。それを確認すると
「コーラス…君はいつも自分の感情を嘘ついたりごまかしたりで前面に押し出さず、多くを語らない…けれど……たまにはそうやって自分の思ったことや、やりたいこと、して欲しいことをしっかりと主張しなきゃいけないんだ。」
「仕事が嫌ならお姉さん達に嫌だといって欲しい。苦しい時は苦しいと言って欲しい。僕で良ければ支えになるから、いつだって。」
和人は真顔でそう言った。今後、コーラスが一人で抱え込んで苦しまないようにと。
コーラスは予想外の言葉に戸惑いを感じたが
「あ…ぁ…和人…さん…」
(へ…?和人さんは…こんなボクに…こんなボクにも…和人さんは優しい…和人さん…和人さん…嬉しいです…)
コーラスが潤んだ瞳で顔を上げれば、そこには和人の優しいニッコリした表情があった。妄想の中の和人。それは単にコーラスの性欲を満たすためだけの存在だったが、現実の和人はコーラスの全てを理解し助け優しく包んでくれる…コーラスの心が震えた。
「和人さん…ありがとうありがとう…」
雫が瞳から垂れてコーラスの頬に光る筋を残した。和人は静かにそれを拭ってあげると
270名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 06:04:13 ID:3z4Jzi5n

「それじゃあ、続けよっかコーラス……片足あげて」
言いながら、和人も服を脱ぐ。パジャマのズボンがスルッと衣擦れの音ともに落ちると和人の男性器がブルンと露出する。
その和人のモノは熱く硬くそそりたち、和人の体の一部とは思えないほど大きく膨張し凶悪な様を呈していた。
「…はい、和人さん」
ライネのに比べ、一回り大きいモノに目を丸くして驚きながらも、ゴクリと唾をのみ和人の要求に沿う。
コーラスが左脚を上げると、和人がそのまま脚を抱え上げる。コーラスの心と体の火照りが、和人の昂ぶりと優しさが、お互いの肌を触れ合う事で直に伝わる。
「そ、それじゃあ、入るよ?コーラス…」
「きて、ください…」
(凄い…これは本当に現実なのかな…今からボクは和人さんの……)
ぎこちない言葉を交わした後、コーラスの桃源郷に亀頭をあてがう。
コーラスの桃源郷はミッチリと密度を感じさせる締り方をしているが、トロトロと溢れ出した愛液でグチョグチョに濡れていて、挿入が難しくないことを視覚的に伝えさせた。
和人のモノが桃源郷の入り口を少し押し広げると、中から熱い液体がドロリと垂れてきて、和人のモノをビショビショに濡らす。
先端を半分程入れてみるが、予想以上に中はキツイ。処女では無いようだが、あまり使われた形跡がなく新品同様。更に押し進めるとカハッと苦しそうな声が漏れる。
先端が入りきったところで、和人は一度休憩した。二人ともハァハァと息切れし、言葉はなくその息遣いだけが部屋に響いた。…部屋といっても下駄箱の中だが。
一息ついて、和人が心配そうにコーラスを見つめると、コーラスは視線に気がつき小さく頷く。
それを確認すると、もう一度腰をより深くへと進め始める。コーラスの中はネットリと和人のモノに巻き付いてくる。和人が少し進めるたんびにコーラスが小刻みに腰をくねらせてよがる。
その動きがそのまま膣内に伝わり、和人のモノをキュウキュウ締めて、その快感が和人の背骨に伝わる。
ジュプジュプといやらしい水音をたてながら、和人はさらに桃源郷の奥地へと入り込む。入った分だけでてくる愛液は二人の足元に大きな水溜りを形成していた。
どれほどの時間が過ぎたのだろう……時間を忘れるほどに和人は優しく優しくゆっくりと挿入を行った、コーラスのために。………やっと入りきった。今、二人は立位で繋がっている。
「ふぅ…う、動くよ…コーラス…いいかい?」
コーラスは言葉では答えずに、小さくコクリと頷いた。
(すごい、すごいよ…!ボク今、和人さんと…繋がっている!)
コーラスは言葉にできない感情に支配されていた。
和人はそれを合図にしっかりとコーラスを抱えると腰をゆっくり動かし始める。
「あっ、あっ、んンァアッ!…ッ」
ゆっくりと実に緩慢に和人のモノが桃源郷を出入りする。待ち望んだ初めての男性があの憧れの和人…コーラスにとってこんなにも幸せなことは他になかった。
自分を愛しているかはわからないものの、欲情をぶつけてくれるだけでとても嬉しくて、それに答えようと自らも腰を動かし、和人に協力した。
ビックリした。和人はビックリしていた。コーラスが処女じゃなかったこと。コーラスが自分に想いをよせていたこと。コーラスが腰を動かして協力するほど…淫乱なこと。
和人は本当は少し挿入するだけでやめるつもりだった。が、しかしもう遅い。
和人は味わってしまった。和人は魅入られてしまった。和人は虜になってしまった。
ワルキューレ以外の女を。貧乳の素晴らしさを。絹素肌!な脚を。自分のことを密かに慕ってくれてる女の子の膣内を…
和人は婚約者の妹と性交をしている背徳感を忘れるほど、コーラスの中でハッスルした。いや、その背徳感をも含めて興奮していたのかもしれない。
二人とも立った状態で、何度も激しく腰をぶつけあい性欲を吐き出した。余りにも激しいので下駄箱がガタガタと揺れる。
「すごいです…すごいです!和人さん……」
「ぁあああっ!コーラス…コーラス!!」
先程の、声をあげると皆が覚醒するかもしれないという注意など忘れて、お互い初めての男女に溺れあう。二人の身体に扇情的な汗と、ドロドロの愛液がベタつき、強く雄雌の匂いを残した。
和人はコーラスの両脚を抱え上げ、だっこをして体位を変えて、再び激しく打ち付ける。熱い刺激が二人を襲う。乾いた音がパンパン響く。やらしい液体が水滴となって二人から飛び散る。

271名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 06:04:47 ID:3z4Jzi5n

「和人さ…キス…して」
コーラスが体を少し折り、和人のほうへ顔を近づける。
「…コーラス!」
腰を一旦休めると、お互いの唇を重ね合う。
感触を確かめながら何度も唇の表面を食む。やがて和人が舌をだし、コーラスの唇を何度かなぞって往復した後、プルプルした唇をゆっくりと優しく割って入り込んだ。
すると、それに応じるようにコーラスの舌が絡まってくる。
そしてお互い貪るように吸う。水音をたて唾液を交換しあう二人。口中に愛の味が広がる。舌を絡め合い舐め合い、視線さえも絡めて…吸いついて離れない。離さない。離したくない。
上で繋がり、下で繋がり、どこまでが自分でどこまでがコーラスなのかわからない。それはコーラスも同様で、二人とも曖昧で濃厚な空気の中ただひたすらにお互いを求め合った。…鼻で呼吸して。
「…ん、…はむ、ちゅ…ンン」
和人が薄めを開け、チラリとコーラスを一瞥すると、頬を薔薇色に染めて必死で和人を受け入れる表情があった。眉をしかめているが、いかにも幸せそうな表情に和人の心は躍った。
歯茎を丹念になぞって、舌を絡ませあい、並びの良い歯をひとつひとつ確かめて、コーラスの口内を蹂躙していく和人の舌。
和人が舌を引き抜いて、少し舌を休めようとすると、今度はコーラスのベロが和人の口内に侵入して精一杯に動き回る。
口内に大量のコーラスの唾液が送られてくる。それは、少しだけ甘かった。
「〜ンンッ…プハァ……すごいよ…コーラス…」
二人の求め合う舌が、お互いの口内を余すところなく舐め終わったとき、名残惜しそうに二人の舌がようやく解ける。潤んだ瞳で見つめ合う二人。荒々しいお互いの呼吸音だけが場を支配した。
(和人さんと…一つになってる…)
272名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 06:05:20 ID:3z4Jzi5n

長い長い接吻がようやく終わると、和人を見下ろしながらコーラスが囁いた。
「和人さん……好きな人同士でキスをすると脳内に快感を与える物質が分泌されて心から幸せになれるんですよ」
コーラスは言葉の最後に小さい声で、ボク今とても幸せです、と付け足した。
いつものコーラスのウンチクのように思えるが、これはコーラスの和人を試す言葉だった。
(和人さんが少しでもボクのこと好きなら……でも、好きじゃなかったら……いやいや、和人さんにはワルキューレが…でも……あ〜こんなこと聞くんじゃなかった…)
試しておきながら迷いのあるコーラスはそんな逡巡をしていると
「コーラス、僕も今幸せだよ…」
(!!!)
和人は何の躊躇いもなく答えた。コーラスのためになりたい、という本心からの言葉だった。
「か、和人さん…い、今なんて…?」
(和人さん、ボクのこと…好き、ってこと…?これは…………妄想?)
「僕も…幸せだよ…って」
確認されて、思わず照れながらももう一度、コーラスのために、言葉を捧げる和人。
(『僕も今幸せだよ…』…間違いない、間違いない間違いない………!和人さんは、和人さんは和人さんは…ボクのこと!!……好き……)
今、コーラスの頭の中では、花が歌い太陽が微笑み小鳥がさえずり空気は清く田んぼが広がり布団がよく乾き土地が安い……きっとそんな状態だろう。
コーラスのボーッとした表情を見上げると、和人は不審がるでもなく問いただすでもなくただニコニコとしている。コーラスの笑顔は見たことないが、このボーッとした顔より可愛いらしい表情があるのかどうか、などと和人は考えていた。
273名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 06:06:18 ID:3z4Jzi5n

「動くよ…コーラス」
コーラスの幸せに追い討ちをかけてやらんとばかりに、和人がまたピストン運動を開始する。今度は先程のような緩慢な動きでなく高速に。
ぶつかり合う腰、淫猥に響く水音、こだまする嬌声、漂う淫乱な匂い、揺れる下駄箱…
その全てが二人の繋がりの刺激に集約され、お互いをさらに昂ぶらせる。
熱い塊が桃源郷内部で激しく暴れまわり、二人をますます夜の世界へと引き込む。
「や、やあァァ…」
コーラスはかつてない快感に溺れていた。しっかりと支えられ下から思いっきり突き上げられ、絶頂へと駆け上っていく快感…
憧れの和人、夢にまで見た和人、毎晩オナペットにした和人…彼がいま自分だけを見て自分だけを愛して自分だけに欲望をぶつけて…
今の一秒一秒の全てがコーラスにとって最高だった。幸福だった。至福だった。
「ひぁぁぁあッ!和人さん…ボク…もうっ…ぁぁぁあああ!ダメェ…」
コーラスは心身共に絶頂に達しようとしていた。熱い衝動が込み上げてくる。視界が嬉し涙で歪む。身体全身で和人を感じる。コーラスは心身共に絶頂に達しようとしていた。
「コーラス…ぐっぁ、あああぁあ…ぅうぁぁああぁ……僕も、イキそ、うだよ…」
二人とも一気にクライマックスまで登り詰める。薄暗い空間に二人の喜びの悲鳴がこだまする。
より一層ピストン運動が激しくなり、嬌声が一際大きくなる。
コーラスの桃源郷がどうしようもなく熱くなり、嫌が応でも精神が性器に集中して、擦れあうたびに快感の波が押し寄せて頭の中が真っ白になる。
ジュブジュブと音をたて、猛烈な勢いで和人のモノに掻き回され、頭がクラクラして腰がガクガク震える。激しい刺激にもうイッてしまうしかなかった。
「アアアア、和人さ…ダメダメダメェ…ッ!ボクもうっ…!ボクもうっ、イッちゃ……ふあぁあぁアアア!!」
エロい液体を大量に分泌しながら先にコーラスがイッた。
先にイッしまったコーラスの腰の痙攣が、和人のモノをぎゅうぎゅうに締め付ける。それでも和人の身体は勝手にピストン運動を更に激しいものにし、更なる快楽を求め暴走する。
そして、全神経が下半身に集約すると、燃える情熱に身を任せ腰をただひたすらうちつける。だんだんと下半身が麻痺したかのような感覚に襲われ、ジワーッと暖かい快感が和人を飲みこむ。
「僕も…もう、イク…!!」
歯を食い縛りながら続くいて和人がイッた。コーラスの中にこれでもかと言わんばかりに大量にぶちまけて…
274名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 06:07:03 ID:3z4Jzi5n

「それじゃあ僕はそろそろ戻らなきゃ…」
本当はもっと傍にいてやったほうがコーラスを癒すことができると思っているが、同時にコーラスのためにならない、そう思って和人は腰を引いてモノを抜こうとする。だが
「イヤです…あと少しだけお願いします…」
コーラスが脚を絡ませて、首に腕を回して、離してはくれなかった。接合部から二人の分泌物が混ざったラブジュースがポトポトと零れる。
(離れたくない…きっと今離せば、和人さんはいつもの和人さん、ワルキューレの婚約者、時野和人に戻ってしまう…迷惑かもしれないけれど…離したくない……今晩だけでもいいからボクだけの和人さんでいて欲しい…)
その一心で和人に身を寄りかからせる。
「コーラス…」
和人は苦虫を噛み潰したような顔をした後小さく微笑むと、そっとコーラスの背中に両腕を回して抱き締めた。冷え切っていたコーラスの身体は確かに温かいものへと変わっていた。
時刻は午前四時少し前。遠くに聞こえる宇宙新聞の配達の音が耳に微かながら届く。

その時、気持ち悪い、悪寒を、感じt
275名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 06:07:50 ID:3z4Jzi5n

時は遡ってちょっと前!
ワルキューレは尿意に目が醒め、一緒に寝たはずの婚約者がベッドにいないことに気がついた!いくら待っても戻ってくる様子の無い和人!訝しげに思いながらも、玄関付近のトイレに向かい移動を開始していた!

(和人様ったらこんな時間に一体何をしているのかしら…)
ワルキューレは部屋を出ると階段に足をかける。
(こんな時間に銭湯の準備は考えられないし…外へ出掛けたのかしら……でもこんな時間じゃタバコの自販機は停止してるし…和人様はタバコは吸わないし…)
何故かタバコのことも考えながら、同居者のために電気を点けずに階段を下るワルキューレ。一段一段慎重に下る。
(もしかしたら何か大変な事件に巻き込まれてるのかも…!コーラスも宇宙海賊が最近活発だって言ってたし……タバコの買占めでもする気なのかしら…)
徐々に一階が見えてくる。
(和人様、無事でいらして…)
玄関付近まで来たその時。
ワルキューレは見た。ガタガタと音をたて揺れる下駄箱を…
(お、お、お化けぇ!?)
洋服棚に入り込んで人間が恐ろしいと思うものに変身して驚かせる妖怪…それが頭に浮かび一瞬悲鳴を上げそうになるがなんとか思い留まる。
(…お化けなんて別に怖くなんてないんだから…和人様のお嫁さんになるからにはお化けぐらい追い払わなきゃ…)
どこかの黒の皇女と違って勇敢な白の皇女。だが、その判断は良くないというか危ないというかはたまた正しいというか…
足がガクガクするが少しづつ少しづつ下駄箱の方へと歩み寄る。こんな時に秋菜ちゃんがいれば、とかも考える。
(そ、そうだ…刻の鍵…)
ワルキューレの手元が光り、刻の鍵がその姿を現す。キラリと輝く刻の鍵はワルキューレにその重量感とともに確かな勇気を与えてくれた。
(和人様がいらっしゃらない間は、私がこの家を守らなくては…!!私が和人様のお嫁さんなんだから…)
そう自分に言い聞かせ、間近まで迫ったその時
276名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 06:08:46 ID:3z4Jzi5n
ワルキューレは聞いてしまった。

「ひぁぁぁあッ!和人さん…ボク…もうっ…ぁぁぁあああ!ダメェ…」
「コーラス…ぐっぁ、あああぁあ…ぅうぁぁああぁ……僕も、イキそ、うだよ…」
「アアアア…和人さ…ダメダメダメェ…ッ!ボクもうっ…!ボクもうっ…イッちゃ……!!」
「僕も…もう、イク…!!」

ワルキューレは凍りついた。笑顔のままで。刻の鍵を握り締めて。聴覚を下駄箱へ集中させて。
さぁ、どうしてやろうか。おっと手に握られてるは刻の鍵。これさえあればどんなお化けだろうと…


そして、ワルキューレの、手が、下駄箱へ、伸びt


続きはWebで!!
277名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 06:10:14 ID:3z4Jzi5n
終了
278名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 18:52:30 ID:rQic+T0L
専ブラ使ってる私はどこのwebにいけばいいのですか?
279名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 11:31:18 ID:WazvDYI0
長いCM乙
280名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 04:16:49 ID:1ukzK/x+
お疲れ様でした。
前にコーラスの話を書かれた方だという前提で書かせていただきます。
したがって別の方だとしたら申し訳ございません。

さて最後ですが、この形はちょっと……
途中までの流れからすると少々もったいない気がしますね。
文章の流れや話の構成は前と比べてかなりいい感じがします。
それだけに、このラストは物足りないとワタクシめは思ってしまいます。
それと、次はアニメ版コーラスの話も期待したいですね。

もうすぐクリスマスですが、行かれますか?
前・389さんにもお聞きしますけど。
281前・389:2007/12/16(日) 17:05:46 ID:Gk/n2hHi
>>280
今、書いている作品が、かなり亀ペースなので、投下は無いかと・・
あまり中途半端な状態で投下はしたくないですから・・・

もしクリスマスのお話が投下可能なら、是非お願いしたいです。
個人的には、濃厚バカップル展開希望ですが・・・

282名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 22:04:02 ID:sOljnLyV
保守
283名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 21:43:12 ID:PDNmEpr5
メリークリ〇〇ス期待age
284ワルキューレです:2007/12/25(火) 04:26:09 ID:b27tsuIJ
皆様メリ〜クリスマス!
どなたもお話されないようですので、今回は私がお話させていただきます。
今回も、ちょっと本編(OVA第4期第5話〜第6話の間)から外れたお話です。

それと、クリスマスのカップル話なのに今日の所はえっちシ〜ンはないので、ダメな方はスル〜してくださいね。
それでは
「サンタが銭湯にやってきた」
スタ〜トします。
285名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 04:33:13 ID:b27tsuIJ
3年前の星霊節、和人とワルキューレの主役2人の希望とは裏腹にメームやイナルバの意向を色濃く反映されたド派手な結婚式が行われた。
それをきっかけにヴァルハラ星と地球との間に正式に国交が樹立された。
1年延びた結婚式で和人は18歳になり日本の法律でも結婚が可能になり、晴れて区役所に婚姻届を提出した時は、基本的に情報を隠さないヴァルハラ皇家のせいでもあるが、マスコミというマスコミが役所に押しかけた。
内外を問わず王室ネタが大好きな日本人、連日ワイドショーでは時乃湯の前から中継がされ、新妻のワルキューレが買い物をする商店街にも取材がついて回る。
さらにはワルキューレが和人から贈られたエプロンまでがファッション雑誌に取り上げられ、品切れになる程だった。
TVを見てやって来たのか宇宙人以外は普段はあまり来ない若い女性、女子高生や大学生が「ヴァルハラ皇女御用達銭湯」に来ては皇女・ワルキューレとシンデレラボーイ・和人を見に来た。

「きゃぁ〜! ワルキューレ様キレイ!」
「和人さんカワイイ〜!」
自分の事はともかく、和人が若い女性に褒められるのは悪い気はしなかったが、同時に複雑な気分だった。
(私だけの和人様なのにぃ〜!)
自分の夫を「カワイイ」と言われるのは子供扱いされてるようだったしあまり気分の良いものではない。
それでもお客様の前だけにニコニコと笑顔を振りまく苦労は身内だけが知っていた。
無論、ワルキューレの美貌を目当てに若い男性客も多く訪れたが、携帯電話のカメラで撮影したりする様子を見ても咎めもせず、ヤキモチすら焼かない和人に少々不満も覚えた。
しかしそれも、夜二人だけの時間に和人に愛される事で、些細な不満は消え去るのだった。

だが、2人に平穏な新婚生活はなかなか訪れず、ワイドショーのカメラが夕方、真田さんと商店街に買い物に出た時も追いかけ、買った食材までチェックし翌日の朝のワイドショーでは
「ワルキューレ様の愛妻メニュ〜」
と題して、それっぽい料理がコメンテーターの前に出される。
そしてレポーターの
「多分、こんな感じの料理をワルキューレ様は和人さんにお出しになられたと思われます」
主観と想像だけのコメントが流れ、それを試食したゲストも
「うん、これは美味しいですね。 和人さんも幸せですねぇ」
などと、最早ワルキューレと和人をダシにしてるだけの番組が流れる始末。
最初は苦笑いだったワルキューレも真田さんもいい加減にイラだったが、そんな事は些細な事だった。

学校を卒業した和人は、昼間は介護のサービスを手伝っている。
朝、和人を送り出す時の「いってらっしゃいのキス」が写真雑誌に掲載されてしまい、本人達もヴァルハラ皇家も何も言わなかったが、ヴァルハラとの関係を気にした日本国政府が出版の差し止めを求め
「節度を持った報道を」
「言論の自由だ」
などと論戦が巻き起こった。
それがさらに大きな波紋となり
「仲むつましいのは喜ばしい事。 こうなったらお子様の誕生を期待したいですね」
などとコメンテーターに言われてしまう。
運悪く、このワイドショーを見たワルキューレは酷く落ち込んでしまった。

実はハネムーンから帰ってくるなりメームやイナルバに
「一刻も早い御子を……」
と急かされた事があった。
その場はそれで収まったのだが、この時のワイドショーを見るとメームがイナルバを連れて地球に来た。
「ねえワルキューレ。 新婚気分も結構ですが、そろそろ子供を……」
「そうです。 貴方達の子供の誕生をヴァルハラ星、同盟国の皆さんも期待してるのですよ」
2人の姉に迫られてワルキューレは困り果てた。
286名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 04:34:44 ID:b27tsuIJ
次第にエスカレートする姉達。
「その…… 婿殿と貴方…… ちゃんとする事はしてるのでしょうね?」
頬を赤らめたイナルバが流し目でワルキューレを見る。
ワルキューレはメームに救いを求めたが、黙ってお茶を飲んでいて、援護は望めそうにない。
ならばと真田さんを見るが、首を振ってイヤイヤをしていて、これまた援護は無さそうだ。
「…… してます……」
諦めたワルキューレが俯いて消え入りそうな声で返事をしたが
「何ですか? 聞こえませんよ!」
今日のイナルバはことのほか厳しい。
「だから、ちゃんとしてます!」
半分ヤケになって答えた。

「でも、子供、子供っておっしゃいますけど、私は子供を産む機械じゃないのよ。 和人も私も赤ちゃんは欲しいです! でも……」
ワルキューレがもっともな反論をするが
「何を言ってるのですか! 貴方は戸籍上は「時野ワルキューレ」ですけど、ヴァルハラ皇家の皇女なのよ。 皇女の務めは外交とかも重要ですが、何より後世に血統を繋げる事なのですよ」
キッパリと言われて、とうとうワルキューレは大粒の涙をこぼして泣き出してしまった。
そこへ、和人が帰ってきた。
居間で泣いてるワルキューレにかけより、優しく抱き寄せると
「あの…… ワルキューレが何か?」
困惑気味に尋ねるとメームが事の顛末を告げた。

「え〜っと…… あの…… すみません。 そういう事情ならボクにも責任があるし。 だから…… その、ワルキューレだけを責めるのは止めてもらえませんか」
和人の擁護に今度は嬉し涙が止まらないワルキューレは和人の胸に顔を押し付けた。
さらに
「それに、あの…… ワルキューレはボクの妻ですから…… ヴァルハラの事情もおっしゃる事も良く解ります。 でも、これは基本的にボク達夫婦の問題ですから」
和人の言葉を聞いてワルキューレはもとより、真田さんもメームもイナルバも大いに喜んだ。
メームはウンウンと頷き、真田さんに至ってはハンカチで涙を拭いていた。
「まあ、婿殿がそこまでおっしゃるなら…… ワルキューレ、貴方本当に婿殿と結婚して良かったですね」
イナルバも引き下がった。

「では婿殿、真田さん、ワルキューレをお願いしますね」
2人は帰っていったのだが、その後ワルキューレは落ち込んだ。
まだ結婚して1ヶ月も経っていなかったが、和人とセックスをするようになってからはかなりの期間が過ぎてる。
ファムが以前、「子供が出来にくいはず」と言ってはいたが、それにしても……
結婚式後の初夜、和人の言葉が引っかかっていた。
「ワルキューレの赤ちゃんなら可愛いだろうね。 赤ちゃんは神様からの授かり物だけど、早く欲しいね」
……
その言葉を思い出したからだった。
287名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 04:35:17 ID:b27tsuIJ
落ち込むワルキューレを見かねたのか、和人がクリスマスイブの日デートに誘ってきた。
結婚してからは夕食の買い物とかは一緒に行くが、デートと呼べるものではなかっただけに嬉しかった。
和人に連れられて行ったのは羽衣町から少し離れた都心のオシャレなホテル。
皇女だけに今まで豪華なホテルに宿泊した事もあるワルキューレだったが、当然ながら支払いと言うものは真田さんをはじめ、他の者がするので解らなかった。
しかし、高価だというのは解る。
和人が予約した部屋は最上階の部屋で、上着を脱ぐと食事の為にレストランに行く。
ディナーを食べながら
「皆と一緒が嫌って訳じゃないんだけどね。 一度でいいからワルキューレと2人だけでクリスマスを過ごしたくて」
話を聞くと、どうやら介護の仕事で得た報酬をこの日の為に貯めてたようだった。
生憎ホワイトクリスマスとはならなかったが、甘い2人だけの時間を満喫したのが3年前のクリスマス。

2人きりのクリスマスがよほど嬉しかったのか、真田さんだけでなくハイドラやファム、ライネやコーラスらにも
「ステキだったわ」
と正月までひたすら語ったのだった。
無論、食事の後に和人と改めて愛を確かめ合った事は内緒にしたが、話を聞かされる方はその事があった事くらいは重々承知していたが……
そんなに喜んでくれたのならと次の年のクリスマスも2人きりでイブの夜を過ごした。
今年も12月も後半にさしかかり、商店街も煌びやかなイルミネーションに彩られ始める。
壁にかかったカレンダーの24日には花マルが打たれており、その日が近づくのを実感しては1人
「うふふ……」
と微笑むワルキューレだった。


49th 「サンタが銭湯にやってきた」
288ワルキューレです:2007/12/25(火) 04:37:10 ID:b27tsuIJ
慌ててお話させていただきましたので、今日はここまでです。
このお話は長くないので、あと1回で多分終わります。
続きは今夜か明日にでも。

それでは皆様、よいクリスマスを。
289ワルキューレです:2007/12/26(水) 06:12:29 ID:z0xpGylX
おそくなりましたが、続きをさせていただきますね。
290名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 06:13:36 ID:z0xpGylX
「じゃあ、真田さん行ってきま〜す」
「いってくるね」
「はい、どうぞごゆるりと……」
イブの夕方、家を出る2人を真田さんが見送る。
熱しやすく冷めやすい日本人はクリスマスのデートをするワルキューレと和人も以前のように追いかけるような事はしなくなっていた。
ようやく、今まで通りになり気楽になったのでワルキューレも和人も満足だった。
カメラを向けられ、自分達の姿がTVに映るのはあまり気分のいいものではなかったし、皇女とは言えワルキューレも和人に嫁いだという気持ちが強かったから、普通の奥さんとして見てもらいたかったので、安心したのだった。
その分、野次馬気分で時乃湯に訪れる人は減ったが、今までの常連さんは相変わらず来てくれたし、最初は野次馬で来ていたお客さんの中から一部が常連になってくれたので、尚更結構な事だった。

電車に乗り、目的の場所に着くとワルキューレは和人と腕を組んだ。
結婚してからは以前の白いコスチュームはあまり着なくなり、私服が多くなったワルキューレ。
例え死んだとしてもヴァルハラ皇女である事に変わりは無いが、今は地球人の妻。
なるべく地球人女性の格好をするようにしていた。
今日も、白いボアのついた帽子を被り、同じようにボアのついたコートを身にまとっている。
22歳という年齢を考えれば、少々可愛いらしい感じではあるが、和人が
「似合ってるね。 かわいいよ」
と言ってくれるだけで、他人からどう思われようが関係なかった。

ホテルに入ってチェックインを済ませると部屋に帽子とコートを置いてディナーを食べた。
食事が終わって部屋に戻る。
「ワルキューレ、コレ…… 受け取って」
和人がリボンのついた箱を渡してきた。
「えっ! でもプレゼントはいただいてますから」
戸惑うが、和人はニッコリと微笑んで手を引こうとはしない。
改めて箱を受け取る。
「開けてみて」
和人に勧められてリボンを解き箱を開けた。
「あっ! これ……」
中に入ってたのは3年前に自分が和人にプレゼントした時計と同じデザインの一回り小さい女性用の時計だった。
291名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 06:14:36 ID:z0xpGylX
「うん、仕事始める時にワルキューレがくれた時計と同じやつ。 女性用のがなかなかなくて」
「……」
別に外に働きに出る事がない自分に腕時計はあまり必要でないが、和人が選んでプレゼントしてくれただけで嬉しかった。
「少しカッコつけかもしれないけど、ボクと同じ時計を使って、これからもずっとボクと同じ時間を過ごしていけたらいいな。って」
和人らしくないキザなセリフに思わず噴出しそうになった。
「やっぱりヘンかな?」
照れる和人。
「はい。 和人らしくないです。 でも、それでもやっぱり嬉しい!」
あえて右手につけて向かい合わせになった和人と手を合わせると、2つの時計が並んで照明を反射した。

「でも、ホントは2人じゃ……」
ボソっと呟いた。
「え?」
「い、いえ。 何でも…… うふふ……」
「……」
「……」
2人の間に沈黙が流れ、刻が止まったような錯覚にとらわれたが、互いがプレゼントした時計の秒針が時間が止まって無い事を証明していた。
「和人……」
真新しい腕時計をつけたままワルキューレが和人の首に腕を回した。
「んっ……」
言葉もなく口付けを交わし、そのままベッドに倒れこんだ。

キスをしながら、ゆっくりと服を脱がせる。
皇女でありながら、シルクの派手なデザインの下着を着けておらず、真田さんと同じような木綿の下着が結婚して少しだけ自分を主張する事も増えたが、まだまだ控え目なワルキューレらしく、見慣れているブラジャーではあるが妙に眩しい気がした。
ブラジャーに手をかけた時、和人のもう片方の手が不意にお腹に触れる。
うっとりとしていたワルキューレがハッとして身を起こした。
「? ど、どうしたの?」
ワルキューレの顔を見て和人も驚いた。
「う、ううん。 何でも…… 今日は私が上に…… ね?」
返事を待つまでも無く和人の服を脱がせ、自分もブラジャーを外してショーツを脱いだ。
292名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 06:15:51 ID:z0xpGylX
和人のトランクスを脱がせて陰茎を露出させると、しなやかな指でゆっくりと扱く。
徐々に体積を増し、硬くなって来たのを見計らうと、舌を出して亀頭に触れた。
亀頭の周りを舐め回し、一通り唾液を塗すと一旦顔を離して大きく口を開いてスッポリと含んだ。
「うっ……んっ……」
口の中では舌が這い回り、根元は指でにぎにぎと刺激している。
(気持ちいい?)
という感じに上目遣いで和人を見上げる。
和人のうっとりとした表情、そして、もっと愛撫をせがむように自分の頭をそっと押し付ける様子で和人が満足してるのを知って、ワルキューレは舌の動きを早めた。

「ワルキューレ…… ボクも……」
陰茎から口を離し、和人に跨り
「和人…… 舐めて…… いっぱい」
夫の顔に跨るなんて、申し訳ないという気持ちと今でも物凄く恥ずかしいが、それでも夫が喜んでくれるなら…… それに羞恥心を抑えているのに、性器への和人の愛撫が羞恥心と快感を掻き立て、言いようの無い気持ちよさがたまらなかった。
和人が舌を伸ばしてすでにしっとりと濡れているワルキューレの陰唇を舐めた。
「あっ……」
いつもなら和人が指で陰唇を拡げ内部を舐め回すのだが、今日は違った。
一向に拡げる様子はない。
ひたすら閉じたままの陰唇の外側を執拗に舐めるだけ。

「か、和人ぉ……」
たまらなくなって、和人にねだる。
それでも和人は自分で陰唇を拡げようとするワルキューレの手を抑えて舐め続けた。
「あっ…… あぁ〜……」
暫くすると急に強烈な快感がワルキューレの身体を駆け巡った。
うっすらと目を開けて和人を見るが、指で陰唇を拡げている様子はない。
「やっと、開いてきたね……」
口を離した和人が満足そうに言うとワルキューレの羞恥心が一気に昂まった。
和人の愛撫を求めて身体が反応してしまい、普段は閉じている陰唇が花びらのように開き、和人の陰茎を欲して止まない膣口がパックリと口を開けたと言うことだろう。
「いやぁっ! 和人のバカ」
それでも、愛撫の再開を求めるように性器を和人の顔に押し付けた。
293名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 06:16:44 ID:z0xpGylX
今度は和人も指で開いて内部をくまなく舐め、彼女らしい控え目なクリトリスに吸い付いた。
「ひゃうっ!」
ワルキューレの身体に電気が走ったように彼女の身体がビクッとする。
膣から溢れてくる蜜も粘っこい、液というより汁と形容できるものがタラ〜リと糸を引いて和人の顔に垂れた。
「和人、そろそろ…… ちょうだい……」
自分で胸を揉みしだき、荒い息をしながら言う。
「うん、ボクも……」
和人の返事を聞き、一旦和人の顔から離れると身体をずらす。

ついさっき、和人にプレゼントしてもらった時計がついてる右手を陰茎に沿え性器にあてがうと、戸惑うことなく体重をかけた。
「うっ」
「あうっ! あ、熱くて…… すっごく硬いわ……」
熱くヌメった膣に埋め込まれた陰茎を味わうように、暫くは動かなかった。
だが、和人もワルキューレもさらなる快感を求める。
「和人…… お願い動いて…… 下から突いてぇ……」
和人の言われた通りに、また言われるまでもなく下から腰を突き上げた。
さらに、見上げる和人の視界に暴れ回ってるように揺れる白い胸が入ってくると、下から手を伸ばして荒々しく鷲掴みにして揉みしだいた。
同時に陰茎を締め付ける膣の圧力が増し、膣内のツブツブのついた粘膜が陰茎に巻きつくように絡み、もっと中へ入ってくるように蠕動する。
腰を上下させるのが辛くなって来たのか、前後に動きを変えていたが、それも限界に近づいているようだった。

「和人、来て…… いっぱい…… 出して…… 膣中(なか)に……」
乳房を揉む手に力が入り、潰されそうな感じで和人も絶頂が近い事を知って言ってみた。
事実、和人もその言葉を待っていたのか
「だ、出すよ」
息を詰めて言うと間もなく身体をガクガクと痙攣させてワルキューレの膣に射精したのだった。
「ああ〜っ…… 今…… 出てるのね……」
ワルキューレの意思とは無関係に膣粘膜が複雑に和人の陰茎を刺激し、射精を促した。
最高の快感を2人が味わい、ワルキューレは力尽きたように和人にのしかかり、金糸のようなレモンイエローの髪を払うこと無く和人にキスをした。
……
294名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 06:17:46 ID:z0xpGylX
ホテルとは言えスイートルームなのでバスタブは広く、2人が一緒に入って足を伸ばす事も出来たが
「でも、やっぱりお風呂は和人のお風呂がいいわ」
率直な感想を漏らした。
風呂から上がると、2人はシャンパンで乾杯し、2つの時計を合わせるように向かい合って手を握って眠りについた。

朝、ワルキューレが目覚めると、カーテン越しではあるが外から入り込む光がことのほか眩しい。
ベッドを出てバスローブを纏い窓際に行く。
「うわぁっ!」
カーテンを開けるとワルキューレの眼前に一面の銀世界が拡がった。
「和人、起きて。 ねぇ、和人ってば!」
声をかけ和人を起こす。
「ん……? ワルキューレおはよう」
まだ少し眠そうな和人がノロノロと体を起こした。

「来て」
ワルキューレが手招きするので、ワルキューレと同じようにバスローブを纏って彼女の横に行く。
「あっ!」
都心のビルの最上階から見る銀世界。
クリスマスイブを2人で過ごすようになって始めてのホワイトクリスマスに和人も声を失った。
「すごいわ。 真っ白!」
少女のように声を上げるワルキューレ。
「うん…… サンタさんがボク達にくれたプレゼントなのかな?」
ワルキューレと同じように目をキラキラさせて和人が言った。

「そうね。 私達2人で過ごす最後のクリスマスだからサンタさんがプレゼントしてくれたのね」
「えっ?」
ワルキューレの言葉に和人が驚く。
「最後……?」
何か不快な思いをさせたのだろうか?
ワルキューレを伺うように、尋ねた。
「ええ。 私達2人だけでクリスマスを過ごすのは今年が最後だから」
満面の笑顔をたたえて返事をした。
「どういう事かな? 何かあった?」
不安を拭いきれない和人。
295名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 06:19:47 ID:z0xpGylX
「和人。 私、一昨日お医者さんに診ていただきました。 最近はかなり早い時期でも解るみたいで……」
「えっ! …… もしかして?」
「はい。 まだ3週間で今は4週間目だけど、私達の赤ちゃんが…… サンタさんが私達にくれたプレゼント……」
頬をピンクに染めて俯きながら告白する。
「ホント? やったぁ!」
和人がワルキューレの手を取って喜ぶ。
「で、でもまだ何があるか解らないから暫くは真田さんやお姉様達には黙ってて欲しいの」
「うん、そうだね。 でも大丈夫だよ。 きっと…… それで男の子なの? 女の子なの? 女の子だったらワルキューレに似て可愛いだろうね」
すっかり舞い上がってる和人だったが
「え〜っとね、この時期は性別が分かれてないの? だからまだどっちかは……」
「そうかぁ、でも暫くしたら解るんだよね? あっでも産まれて来るまで知らなくてもいいかな?」
喜びを隠さない和人を見てワルキューレも嬉しかった。

姉達の声、さらにはTVにまで言われ続けた子供がようやく授かったのだし、何より和人の喜びよう……
「あっ! それで夕べは……」
手がワルキューレのお腹に触れた時、驚いたように体を起こした事や、珍しく彼女が上になって行為を行った事の合点がいった。
「ええ。 お医者様は余程の事がないと大丈夫だとおっしゃてたけど……」
「うん、そうだね。 でもやっぱりボクも気をつけないと」
手を取り合って喜ぶ2人に朝日が照らす。
2つの時計に反射して眩しさを覚えた。
「せっかく見つけた時計だけど、もう1つ必要だったんだね。 ボク達とボク達の子供の時計…… これからずっと刻を刻んで行く時計がもう1つ」
頭を掻きながら言うと
「いいえ。 今は2つでいいと思うの。 でも来年のクリスマスは和人と私の2人で赤ちゃんに時計をプレゼントしましょう」
ワルキューレが提案すると、和人は微笑みながら頷いた。

(私達の時間…… 永遠の刻(とき)を産まれて来る赤ちゃんも一緒に……)

全ての人達に、私と和人に…… そして産まれて来る新しい命に、Merry Christmas!


「サンタが銭湯にやってきた」・・・・・・おしまい。
296ワルキューレです:2007/12/26(水) 06:23:57 ID:z0xpGylX
皆さんはどんなクリスマスを過ごされましたか?
いい思い出になった方、そうでなかった方。
クリスマスも関係なく仕事をしてた方やリカ様と同じように勉強をなさってた方。
そんな皆さんにもMerry Christmas

でも、もういくつ寝るとお正月ですね。
今年も僅かになりましたけど、最後まで勉強にお仕事に頑張ってくださいね。
それではまた。
297名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 20:49:00 ID:Inrxouip
保守
298名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 19:02:27 ID:3qNKtqiy
>>296
GJ!
299名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 15:17:54 ID:fXRJKb1v
すべてのいみでGJ!
少し大人の姫様もいいし、二人しか出てないのもかえって新鮮だし
スクリプト荒らしのあおりをうけて圧縮されるのを回避できた意味でも最高
次も期待してます
300真田でございます:2008/01/01(火) 06:55:36 ID:IVWg8j0c
皆様、明けましておめでとうございます。
今年はわたくしの天敵・ネズミの年という事でございますが、元気にまいりましょう。
今年もよろしくお願いします。
301前・389:2008/01/03(木) 03:03:04 ID:Nb50ATRF
新年あけましておめでとうございます。

次回作は、相変わらずの亀ペースで作成中ですが、今年もよろしくお願いします
302名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 20:20:26 ID:miQNGxk9
姫様の姫始めマダー?
303名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 01:30:51 ID:Db+uIlTY
たまには小ネタとか見てみたいな
じゃなかったら、珍しい組み合わせとか
あと、このスレには小ワル好きな人少ないのかな……
304名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 04:27:08 ID:Fhp58DRK
例えばどんな感じのを希望されます?
1レスとか2レスで終わるような話とか。
ワタクシめは次で50本目ですので、また長い話になる予定なんですが……

ネタ振っていただけると書きやすいし、そこから新しい話の構想が出来る場合があるので、雑談とかあると嬉しいんですけど。
305名無しさん@ピンキー:2008/01/08(火) 02:17:25 ID:ezfftORG
起承転結を短くまとめた話とか、SSでは無いものとか、
他作とのキャラクターと共演する話とか、一次のスレの主旨を盛り込んだのとか、
強烈な風刺を仕込んだのとか、キャラクターの容姿と性格はそのままで立場を入れ替えたりして設定変えたのとか………

まぁ、小か大かどちらかのハイドラとワルキューレのレズが見たいだけですが。
それかコーラスの話。

確かに雑談少ない…w
どれも結構語り尽くされた感じが……


一番好きなキャラクター何ですか?
306名無しさん@ピンキー:2008/01/08(火) 16:43:38 ID:4BttIxC9
職人じゃないけど
>SSでは無いもの
>他作とのキャラクターと共演する話
はスレ的に問題あるんじゃないか?

>好きなキャラクター
この前の作品読んでライネに転んだ
307名無しさん@ピンキー:2008/01/08(火) 23:59:41 ID:p4uLl9fI
まとめたのは過去に数本書きましたが、短くまとめるのはキツいですよ。
SSでないのはこれも過去に「子供たちを責めないで」の改変モノを1本行きました。
秋菜がワルキューレのモンクをひたすら叫んでるやつでした。

他作のキャラとのコラボはワタクシは書くつもりはないです。
他の職人さんはどう考えられてるかは不明ですけど、このスレが生き残った経緯とか考えますと……
でも設定変えは何とかなるんじゃないですかね。
技量が問われるとは思いますけど。
まあ、こういう感じで潜在的な需要が解るのは助かります。

ちなみに好きなキャラは真田さんです。
308名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 00:27:16 ID:naRZuOcU
かなり望み薄だけど、絵師さんが来て何か書いてくれたら……と思います。
言われてみれば無理っぽいですね、コラボ。すみません。

原作に忠実で上手く補完してく話も好きですが、「自分は原作をこう捉えた」みたいなオリジナル溢れるのも少し見てみたいですね。

自分はコーラス良いと思う。
309名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 13:56:22 ID:qCVCyXUc
>>308
横から失礼するよ。
確かに絵師は来ればいいとは思うけど期待は出来ないだろうね。
オリジナルというのは魔法少女になったりとか地球を救う為にロボに乗って戦うとかを指してるの?
感じ方の差だと思うけど、前・359氏のこの前のヤンデレSSとかはオリジナルと言えるような気がするが・・
さらにパラレルSSもオリジナルと言えなくはないし。
新たな魅力を発見できるのがオリジナルだとしたら>>306と同じくヤンデレSSでライネ萌えになったから自分にとってはオリジナルだな。
作品数が多いのでどうしても前・359氏の名前が挙がってしまうので氏に迷惑がかからなければいいけど。
310名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 14:01:55 ID:qCVCyXUc
それと、職人氏によってキャラの縄張りみたいなものがあって書きにくいとかあるんじゃないか?
大ワルは別にして、ライネとか真田さんは前・389氏とか書かないよな。
コーラスも2本出たから前・359氏、前・389氏も書きにくいとか。
311名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 23:56:04 ID:ZUvAK3tp
ワタクシめは無いです。
コーラスとかネスティみたいな情報が少ないキャラは動かしにくいと言うか……
アニメでも生身か機械か明確になってなかったし。
自由度は高いとは思いますが、それだけにかえって…… という感じですね。
312名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 02:08:59 ID:MPCda6W7
>>309
あの作品は氏のオリジナルだと認識しています。
あれが凄かったので、今度は鬱ではなく、明るい方でのオリジナルが見られたらなぁ、という意味でもあります。

縄張りと言うよりかは、気に入ってるかそうでないかの違いなんじゃないですかね。
ファムのSSがあんまし多くないのはファム好きな人が少ないからみたいな。

ここの住人何人くらいなんだろ……?
313名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 13:54:35 ID:eDZriZK4
>>312
職人は三人はいるね。
で住人は五人はいそうだけど。
明るいとはいえないかもしれないけど戦神は最後はハッピーだったし、中ライネの話とか真田さんとくっつくやつはオリジナルといえる気がする。
結構あるんじゃないか?
あとは前・389氏とこの前のコーラス話書いた職人の代表作になるような大物がそろそろ欲しいね。
長編でも短編でもシリアスでもギャグでもいいから。
314名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 21:44:29 ID:DuxTJNL2
>>313
戦神ってまだ完結してないハズ・・・
315名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 00:46:52 ID:6kpoxrsH
戦神は悪い奴からワルキューレ助けて一部完て感じだな
これから花嫁修業やってエロはそれからとか言ってたはずだが
316名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 01:00:29 ID:vuBAzdI2
ROMはともかく八人程度か…
サブキャラ使ったギャグ短編とかも欲しいね
戦神書いた書き手さん、まだここのスレ見てますか?
317名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 14:55:06 ID:UK6GsjsL
信者を装った荒らしか前・359氏のアンチかは知らないが痛い信者が時々名前出すから、見てても来づらいだろうな
前はそれで荒れたし
318名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 20:51:12 ID:U/zW6863
戦神書いた、ちり紙氏なららき☆すたスレにいたよ。
319名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 13:48:55 ID:1ihmbK/n
そうなんだ
元気でやってるならそれでいいかも
ところで先生方、ここらでひとつお願いできませんか?
320名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 23:38:38 ID:ylIJb49v
>>319
先生と呼ばれる程リッパな存在ではないですが……
今週はムリですけど、来週はどなたも行かれなければワタクシめが行かさせていただきます。
321名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 23:24:11 ID:2yZkNsFi
一旦age
>>317
アンチじゃなくて、きっと本物の信者だと思うんだが……
ちょっと耐性無さすぎるよな……
名前の表記だけで過敏になるとは……

いつか戻って来てくれると良いな、ちりがみ氏
322名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 11:57:04 ID:X2o0eV2e
>>320
wktk
>>321
いやそうじゃなくてさ
荒らしか狂信者かは別にしてネガティブな事で名前出されてるから、ちり紙氏が見ていても来にくいという話
ちり紙氏には責任ないけど、今や氏の名前は荒らしの道具になってるから過敏になるんだよ
323名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 16:29:57 ID:rgrQ3+Rr
それは悲しい事だよね。
せっかくSS書いても嵐の道具にされるなんて。
もいちどage
324名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 17:08:23 ID:A8GCxGtU
誰か過去スレのSSをまとめてエロパロ保管庫に申請できる人はいませんか?
325名無しさん@ピンキー:2008/01/25(金) 01:42:53 ID:9zAMwavQ
ちょっと聞きたいんだが
ワルキューレ 白 鍵継承
ハイドラ 黒 ?
ライネ 朱 ?
コーラス 青 通信
ファム 緑 科学者
イナルバ 茶 内政
ネスティー 紫 軍務
メーム 黄 統率

設定によると、それぞれ女皇らには色と仕事が割り当てられてるそうだが、?の部分わからんから、誰か教えて。
326名無しさん@ピンキー:2008/01/25(金) 13:36:02 ID:rkSs2wV0
色は公式にあったけど仕事も決まってたのか!
ハイドラは白の対極だから江戸時代の御三家のように白が暴走しないように監視する
ライネは・・なんだろ?
遊び?
327真田でございます:2008/01/27(日) 23:11:06 ID:De3JA+ul
皆様、いかがお過ごしでしょうか。
思い返せば2年前の今日あたり、1月26日だったか28日であったと思います。
初めてこちらにお邪魔させていただいて丁度2年の月日が経ちました。
途中お休みを頂いた時期もございましたが、改めて3年目を迎え、さらに通算50本目のお話をさせていただきます。
解る方には解る、題して
「そして侍女長は見た 〜姉妹も見た〜」
それでは始めさせていただきます。

そうそう、わたくしが挨拶をいたしましたが、あくまで主役は姫様と婿殿でございます。
それでは後ほど。
328名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 23:13:43 ID:De3JA+ul
「にゃ、にゃ…… にゃんぱらり〜ん」
言葉は軽いが足取りはやや重く階段を上がる真田さん。
それは……
「何ですか、その掛け声は?」
正月が過ぎ、松の内も過ぎたある日、メームがイナルバと共に地球にやって来た。
新年の挨拶とイナルバが以前真田さんに出した指令の確認の為に。


Commemorative Story of the 50th anniversary 「そして侍女長は見た 〜姉妹も見た〜」


1月も半ばを過ぎた頃、羽衣町の上空にメームの母船が飛来した。
「婿殿、リカちゃん。 遅くなって申し訳ございませんが、明けましておめでとうございます。 ヴァルハラ皇家を代表いたしましてご挨拶申し上げます」
地球…… 日本式に頭を下げて挨拶をすると随行して来たイナルバもそれにならった。
「えっ! あっはい。 明けましておめでとうございます……」
慌てて返事をする和人。

だが、もう「お正月」という雰囲気でも無いので少々戸惑いもあった。
「メームお姉様、イナルバお姉様、おめでとうございます」
ワルキューレは日本の形式を知らないので、そのまま和人に習って挨拶をする。
「それにしても年始のご挨拶はこちらが伺わないとダメなのに……」
申し訳無さそうに言うワルキューレだったが、イナルバは
「何言ってるのです。 ヴァルハラ星に帰ってくるつもりなんてカケラもなかったでしょうに」
苦々しく言うのだった。

「まあ、ワルキューレは婿殿の許に嫁ぐのですから仕方が無い部分もありますが……」
扇子でいつものように口元を隠しながら言うと
「そうですね。 ワルキューレはともかくファムもハイドラもコーラスも一向に戻ってくる気配すら無かったし、ライネに至っては連絡すら取れませんでしたし。 そうなれば私達が来るほか姉妹が揃うことは不可能ですから」
真田さんが出したお茶をすすりながら愚痴るのだった。
その後
「今年こそは結婚式を」
やら
「ライネはもとより、ファムやハイドラまで皇女の自覚が足りない」
だの説教を聞かされたのだった。
329名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 23:14:48 ID:De3JA+ul
散々喋った後
「あら? ワルキューレ。 貴方達お出かけする所だったのでは?」
外出着を着ている和人とワルキューレにようやく気づいたのかメームが声をかけた。
ホッ
やっと開放される……
姉達に気づかれないように安堵の様子を浮かべるワルキューレと和人が互いの顔を見て微笑んだ。
「ええ、まあ。 折角のお休みですから和人様と……」
姉達に向かって言うが、少し不安でもあった。
取り方によっては姉達、ヴァルハラ皇女であることを蔑ろにしてると思われるかもしれないから。
だが、メームもイナルバもニコニコとして
「2人が仲睦ましいのはとても良い事。 ですが、外はまだ寒いようですから暖かくして出かけるのですよ」
「婿殿、ワルキューレをお願いします……」
2人を送り出してくれた。

「では行って来ます。 メームさんもイナルバさんもごゆっくり。 後でお風呂に入って行ってください」
和人が挨拶をすると
「ええ、そのようにさせていただきます」
イナルバが返事をして送り出すと和人とワルキューレは商店街の方に向かって歩き出した。
「いってらっしゃいませ〜!」
見送る真田さんの背後に2つの影が迫る。

「さて、真田さん……」
肩に手を当てイナルバが声をかける。
「は、はひぃっ!」
反射的に体を強張らせてしまう。
「以前…… その…… ワルキューレと婿殿との…… その…… アレのレポートを送るように言ったのですが、その、まだ送られてませんね。 どうなってるのですか?」
顔を赤くしながらも、毅然と言い、メームもうんうんと頷いている。
「あ、あの…… お言葉ではございますが、お2人は先程のようにそれはもう仲睦ましく……」
チラッ
「ひぃぃぃ」
イナルバの流し目にたじろいだ。

「という事は、あれから何もしてないと?」
さらに追い詰める。
「い、いいえぇ…… そんな事は。 しかし……」
真田さんの言葉に2人の皇女の目がキラリと輝いた。
「ではあるのですね? でしたら話は早い」
メームが先んじて家の中に戻った。
イナルバもそれに続いて、真田さんのエプロンを引っ張って中に戻ったのだった。
「それで2人はどうなのですか? 仲が良いのは先程の態度でも解ります。 ですが、だったら何故2人は結婚までこぎつけないのですか?」
イナルバの言葉は厳しい。
「い、いや、あの……」
返答に困っていると
「まあ、そのヒントが夜の生活にあるかもしれませんから、検証が必要ですね。 真田さん。 お願いしますね」
ニッコリ微笑んでいるが、目は厳しい。
かくして、真田さんは和人とワルキューレの寝室に仕掛けたヴァルハラ皇宮で使われてる防犯用のカメラを取りに行ったのだった。
330名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 23:16:02 ID:De3JA+ul
足取りも重く階段を下りてきた真田さん。
「これにございます……」
カメラを差し出し、自分の部屋に戻ってパソコンを持って来る。
接続するとケーブルをTVに繋いで準備をした。
ワルキューレに対する後ろめたさから気分は重かったが、そのワルキューレの秘め事を覗き見たいのも事実。
実際和人との行為の中で、2階から漏れ聞こえて来る、自分が地球に来るまでは聞いた事の無い、ワルキューレの艶かしい嬌声を聞いて若い身体が火照る事もたびたびある。
前回メームとイナルバに言われて1度、それから暫く経ってから当のワルキューレの請われて和人に身体を委ねた事があった。
地球に来てから異性との性的な接触はこの2回だけ。
それ以前も殆ど経験に乏しくはあったが、和人との2回の行為は22歳の身体を目覚めさせるには十分だった。
いけないと思いつつ、和人とワルキューレの声、行為の音で身体が刺激を求め、慰める事もある。
でも、その度に主君とその恋人に対する罪悪感に苛まれる。
しかし、刺激を求める身体に抗うことは出来ずにいた。

「あら?」
メームの声で我に返った真田さんが画面を見ると、2人はお休みのキスをするとさっさと布団に入り、明かりを消すとそのまま眠ってしまった。
「……」
画面は真っ暗なまま、規則正しく布団が呼吸のたびに上下してるだけ。
「……」×3
「真田さんの報告だと、休日の前には…… とありましたが……」
念のために早送りしてみるがカーテンから薄っすらと朝日が漏れてくるまで2人は起きる気配は無かった。
途中ワルキューレも和人も数回寝返りをうっただけ。
「やはり昨夜はなかったようでございますか」
台所で新しいお茶を入れて持ってきながら言うのだった。

「真田さん!」
ドンとちゃぶ台を叩いてイナルバが強い口調で言う。
「は、はいっ!」
「貴方、それを知ってたのですか?」
イナルバは声を荒げて怒り、メームは睨むように見ている。
「か、確証はございませんでしたが、昨夜は静でしたので、恐らく。とは……」
慌てて言い訳をするが
「……」×2
2人から返事はなかった。
「あ、あの……?」
「解ってるのでしたら、わざわざ見せなくても良いでしょう」
ようやく口を開いたイナルバは半分涙目で抗議したのだった。
331名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 23:17:20 ID:De3JA+ul
「は、はぃぃっ!」
いつものように土下座をすると慌てて部屋に戻った。
居間に戻ってきた真田さんの手には1枚のディスクが……
「こ、これはお正月の記録でございますが……」
イナルバは鋭い流し目で睨みながら
「今度は大丈夫なんでしょうね?」
問い詰めるように尋ねた。
「まあ、それは見てから判断しましょう」
メームがイナルバをなだめ、真田さんの手によってパソコンにディスクがセットされた。

自動再生の為静かなドライブ音が居間の静寂を破る。
「ああ〜! 姫様、婿殿。 も〜し訳ございません!」
手を合わせて詫びるが、
「その割にはこの映像は編集までしてるようですねぇ」
邪魔な空白がなく、2人の部屋の明かりが点いた所から始まる映像を見てメームが指摘した。
「えっ! そ、それは…… その……」
しどろもどろになる真田さん。
だが
「あら? これも少し……」
画面を注視してたイナルバによってさえぎられた。

確かに、画面の中の2人の様子は少しおかしい。
(「……」)
お風呂から上がったばかりなのだろう。
バスローブ姿の2人は顔を合わせる事もなく黙ったまま。
「あのバスローブ…… そうですか、ちゃんと使ってくれてるのですね」
2人にバスローブを贈ったイナルバが少し嬉しそうに言う。
しかし、画面の中の2人の間には重い空気が支配していた。
「真田さん。 これの状況はどうなってるのですか?」
メームの問いに
「は、はい。 大晦日の夜からお2人は年越し参りにお出かけになられまして、お戻りになられた時からこんな感じで……」
説明を聞き
「何か、喧嘩してるみたいですね。 あの2人にしては珍しい……」
扇子をちゃぶ台に置き、お茶を一口飲んだメームが、煎餅に手を伸ばしながら言った。
332名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 23:18:43 ID:De3JA+ul
それにつられてイナルバも煎餅を手にとって一口かじった。
(「だから謝ってるじゃないかぁ……」)
(「知りません! 和人様のバカ! 信じられない!!!」)
いつになくワルキューレの口調は厳しい。
やっと2人が顔をあわせたと思うと、ワルキューレが和人を睨みながら怒っている。
「「夫婦喧嘩は犬も食わぬ」と言いますけど、少し興味ありますね」
メームが湯飲みを置いて、画面に注視した。
イナルバも別の意味で興味津々のようで画面に注目する。

(「だって、それは……」)
(「それは何だって言うんですか? 和人様ったら私と一緒なのに他の女の人と楽しそうに話してたし……」)
「ん? 原因は婿殿の浮気?」
イナルバの目が一瞬鋭くなる。
しかし
(「だから、あれはクラスで一緒の女子で、秋菜の友達だよ」)
(「でも…… あんなに楽しそうに…… それはそれとしてだったらどうしてあんな事なさったのですか? 私……」)
画面の中の2人のやりとりに
「あんな事?」
メームがピクリと眉を動かして真田さんを見た。
「ええ〜っと…… それに関しては後ほど……」

返答に困ってたら画面の中の和人が答えだした。
(「ワ、ワルキューレだって!」)
(「えっ! 私? 私に責任があるとおっしゃるの?」)
(「だって、ワルキューレ。 何処の誰とも知らない男の人が携帯でワルキューレの事写してたのに、ニッコリ微笑んでたじゃないかぁ」)

「んん? もしかして婿殿がヤキモチ?」
メームがイナルバの方を見ながら言うとイナルバも頷き
「本当。 珍しいですね」
イナルバが真田さんの方を見て言った。
「はあ。 さようでございます。 逆ならしょっちゅう…… ハッ! も〜し訳ございません」
つい本当の事ではあるがポロっと口にしてしまった。
しかし、ワルキューレは自分の主君で、2人は主君の姉達。 慌てて控えた。
333名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 23:19:44 ID:De3JA+ul
「ふぅ…… いいのですよ、事実なんでしょうから。 一緒に暮らしてる訳ではありませんが、時折来る私達もあの子の言動を見れば、なんとなく解りますから。 ねえ、イナルバ?」
「そうですわね。 ワルキューレもいつまでも子供じゃないんだから、もうちょっとしっかりしないと」
「和人様より年上でございますしねぇ」
突然した声の方に3人が一斉に振り向いた。
「ライネ」×2
「ライネ様」
ふすまに手をかけたライネが佇んでいる。
「ごきげんよう。 メームお姉様、イナルバお姉様」

挨拶をするとちゃぶ台に座った。
「さ、真田さん。 何をしてるのです。 早く止めなさい!」
今は夫婦喧嘩の場面だが、この先は夫婦の夜の生活が記録されてるはずである。
姉妹の中でも最も幼いライネには見せられない。
イナルバに言われて、止めようとする真田さんだったが
「まあ、よろしいじゃありませんか? あたくしもワルキューレお姉様と和人様の、その……ナニには興味ございますし」
少し頬を赤らめながら、にひひと笑った。
「貴方にはまだ早過ぎます!」
イナルバが咎めるが
「わっ! お姉様、ご覧になって!」
ライネが身を乗り出しながら画面を指差した。

(「え? それって……」)
(「だ、だって……」)
和人が少し恥ずかしそうに頭を掻きながら俯いた。
(「そ、それにしてもちょっと考えればお解かりになられるでしょう? 私が和人様以外の男性になんてある訳ないじゃない! それで、あんな事…… お外ででなんて」)
(「ご、ごめん……」)
(「私、すごく恥ずかしかったんですからぁ! わ、私は確かに心も身体も和人様のものですけど、あんなに人が大勢いる七弧神社でだなんて。 他の人に見られたら……」)
「……」×4
「んまぁ、お外でですって。 寒い中よくなされましたこと」
呆れ半分でライネが呟いた。
「コ、コホン! しかし婿殿にもワルキューレにも困ったもんですね。 お正月の、しかも神様がいらっしゃる神社で、その…… アレをするなんて、なんてバチ当りな」
だがライネとイナルバの見当は外れていたようで、その後の会話で未然に防がれたらしい。
334名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 23:20:37 ID:De3JA+ul
(「ごめん…… 本当にごめんね」)
謝る和人だが
(「知りません!」)
ワルキューレは怒ってるのかバスローブを脱いでパジャマを着ると、そのまま布団に入った。
和人も慌てて寝巻きに着替え、布団に入る。
2人が入った布団がもぞもぞと動いている。
「ゴクリ……」
思わずイナルバがつばを飲み込んだ。
「いよいよですの?」
ライネは目を爛々と輝かせ、期待しているが
(「ね、ねえワルキューレ。 だったらここでなら」)
少し甘えたような声で誘うが
(ダメですってば!」)
ワルキューレが強い口調で和人の手を払った。

しかし、和人が自分にヤキモチを焼いたのがワルキューレの自尊心を満足させたのか、口調は厳しいものの、刺々しさは無く、目もそれほど怒ってないように画面を見てる3人の皇女と結果を知ってる真田さんには見えた。
だが、そこはまだまだ女心が解ってない和人。
もう一歩踏み込めばワルキューレも身体を開くのは視聴者の4人には解りきっていたが
(「じゃ、じゃあ、おやすみ。 その、ホントにゴメンネ」)
弱々しく声をかけて明かりを消して、ワルキューレに背を向けるようにして布団を被った。
「ふうっ……」
とはメームのため息。
「困ったものですね」
とはイナルバの嘆き。
「和人様ったら、解ってらっしゃらないですわねぇ」
とはライネの感想。

暗視モードに切り替わり、少し緑がかった映像が3人の皇女を落胆させる。
ヴァルハラ皇宮で使われてるセキュリティ用のカメラだけに窓の隙間から入る僅かな月明かりだけでも、暗視モードの映像は鮮明である。
布団に入ったワルキューレだったが、和人が諦めて落胆して寝そうになって、少し慌てたようにワルキューレが身を起こしたのがハッキリと映し出されていた。
(「あ、あの和人様…… わ、私…… その…… そんなつもりじゃ……」)
和人を覗き込むように言う妹を見て
「そう言えば、前もこんな言葉を言ってましたね、ワルキューレは?」
メームがボソっと言ってしまたが、慌てて扇子で口元を隠した。
「え? 前って?」
ライネは前回の事を知らない。
「な、何でもありません」
イナルバが必死に誤魔化そうとするが
「あ〜〜〜っ! 皆さん、前にもワルキューレお姉様と和人様のナニを盗撮なさってたのですかぁ!」
3人を交互に指差しながら言った。
335名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 23:21:16 ID:De3JA+ul
「そ、それは真田さんが見てたのを私達がたまたまその場に出くわして……」
姉の言い訳を聞くとライネの視線は真田さんに向けられ
「それって、いつの頃でございますの?」
むすっとしながら聞く。
「ええ〜っとぉ…… 姫様が今のお姿に戻られて、少し経ったあたりでございました。 お2人の婚礼の予定だった星霊節の前でございます」
真田さんの説明を聞いて
「と、いう事はお2人の「初めて」だったのですの? だったらあたくしも是非とも見たいですわぁ」
憧れの姉と、密かに想いを寄せてる和人の初めての夜。
ライネにとってそれは魅力的なプログラムであったが
「いえ、あの…… 実は「初めて」ではございませんでした」
「あらぁ、そうでしたの。 それは残念。 でもまだそれ程回数をこなしてるわけではございませんでしょうから、初々しゅうございましたでしょう? ああ〜っ! 後で見せてくださいましね」
目をキラキラさせて頼むライネだったが
「それこそ貴方には早過ぎます!」
イナルバが姉らしく叱った。

「ええ〜っ! だったらこの事お姉様と和人様にバラしちゃいますわよ」
不満に頬を膨らませて逆らう。
「まあ、それは…… と、とにかくその話は後にしましょう」
メームがなだめ画面を見た。
ワルキューレの言葉を聞いた和人が
(「えっ? じゃ、じゃあ…… 許してくれるの?」)
ワルキューレの方に向き直って言った。
それを受けてワルキューレはやや俯きながら
(「ここはお外じゃないですから…… 誰にも見られる心配もないし。 何より和人様がしたいのでしたら私は……」)
それ以上は恥ずかしいのだろう。
急いで布団に潜った。
(「じゃ、じゃあ。 そのいいかな?」)
ここまで来ても心配そうに和人が尋ねると、布団の盛り上がりが、小さく頷いた。
336真田でございます:2008/01/27(日) 23:24:07 ID:De3JA+ul
今日はここまでに。
続きはなるべく早くさせていただきます故、何卒。

明日からまた一週間、社会人の方はお仕事に、学生の方は勉学に励まれますよう。
それではおやすみなさいませ。
337名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 16:52:43 ID:azZ6Ot+7
芸が細かいな・・
日付と50番目と第一作とをかけてくるとは
続き期待してます
338名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 16:54:49 ID:azZ6Ot+7
>>324
いないみたい
職人諸氏もわからないみたいだよ
339名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 01:43:47 ID:ZZQsH9HT
これ読んでると、自分も一緒になって盗撮してるみたいで、くすぐったい気持ちになるな。
続きwktk
340真田でございます:2008/02/03(日) 04:37:30 ID:mp3oKBnh
途中ながら感想いただきまして、ありがとうございます。
それと、続きが遅くなって申し訳ございません。
では、続きをさせていただきます。
341名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 04:39:29 ID:mp3oKBnh
和人が布団をめくるとワルキューレが手を伸ばして和人に抱きついた。
2人の間に言葉は無く、一瞬見つめあうと唇を合わせる。
「まぁ……!」
ライネが思わず声を挙げた。
決してスムーズに事が始まったわけではないが、2人は実に器用に互いの寝巻きを脱がせている。
和人の寝巻きは和装なので、帯を解けば簡単に脱がせられるがワルキューレはパジャマ。
ソデを抜く時もさりげなく和人が脱がせやすいように協力している様子が伺える。
しかも目を閉じてキスをしたまま。
「……」×3
3人の皇女は複雑な様子で画面を見続ける。
潔癖症でこういう事に一番疎そうなワルキューレがまるで娼婦のように和人(男)にしなだれかかり、流れるような動作で相手の服を脱がせ、相手が自分の服を脱がせるのを手助けしてるのだから。
いくら婚約者同士とはいえ、自分達の知っているワルキューレがどこか遠い所へ行ってしまったような感覚。
自分達を置いて、一人で「女」に「大人の世界」の住人になってしまった気がした。

しかし、ライネは切り替えが早く
「真田さん、ちょっと……」
手招きして真田さんを呼んだ。
「はあ? 如何なさいました、ライネ様」
「ちょっと協力してくださいましな」
そう言って横になると、真田さんを四つんばいにして、自分の上にこさせた。
今日は私服を着ているライネ。
「真田さん、ちょっとあたくしの服を脱がせてくださいましな」
とあらかじめボタンを外した。
「はぁ……?」
言われた通りにすると、ライネも先程のワルキューレを思い出して、少しだけ肩を上げて袖を抜くのを手助けした。
「何してるのです?」
イナルバが怪訝そうに聞いた。
「いいえぇ、あたくしも「その時が」いつ来てもよろしいようにちょっと練習おば……」
しかしそれを聞いたイナルバは
「何バカな事言ってるのです。 初めての時は、相手の殿方にお任せすればよろしいのです。 ワルキューレも前はそうでした!」
342名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 04:40:31 ID:mp3oKBnh
イナルバもメームも真田さんも自分が和人と秘めやかな関係にある事は知らない。
ライネにしてみれば、今度の内緒のデートの時に活用しようと思ったのだが、当然口うるさい堅物の姉は自分が既に乙女でな無いことなど露ほども思ってはいまい。
「はいはい。 解りましたわよ」
まあしかし、大凡の要領はつかめたので再び画面に注目したのだった。
画面の中では2人は既に一糸纏わぬ姿になっていたのだが、布団が邪魔で肝心な部分が見えない。
3人の皇女と、皇室侍女長は画面の左側から覗き込むように居間のTVを食い入るように凝視するが、当然ながら布団の向こう側が見える訳ではなかった。

だが、月明かりに照らされて見える、張りがあり大きく盛り上がってる白い胸では無く、布団に潜り込むようにして下半身へと狙いを定めた和人の動きが、居間の空気を一気に熱を帯びさせたのだった。
ピクッ!
画面のワルキューレの身体が反応すると同時に、視聴者である4人の身体も反応してしまった。
(「はぁぁ…… あふぅっ…… か、和人様ぁ……」)
甘えるような、それでいて粘りつくようなワルキューレの声。
メームは再び扇子で口元を隠し、結構純情なイナルバは顔が赤くなってしまう。
既に和人と経験済みのライネではあったが、ゴクリと唾を飲んで、慌ててお茶を飲んだ。

(「あっ! だ、ダメ! 和人様、そこは…… だからダメですってばぁ」)
先程と変わってワルキューレも少し驚いたような声がした。
少し身体をのけ反らせ、手を布団の中に入れて、恐らく和人の顔を引き離そうとしてるのだろう。
二の腕あたりに力が入ってるのがハッキリ確認できた。
しかし、ワルキューレのお腹あたりにかかってる布団のせいで和人が何をしてるのか、ワルキューレの言う「そこ」はどこで「何がダメ」なのかは解らない。
「もう! 「そこ」と言うのはどこなのです? 何が「ダメ」なの?」
イライラした様子でイナルバが画面に問いかけるが、画面の中のワルキューレは悩ましげな嬌声を挙げるだけで返事は返ってこなかった。

「! コ、コホン」
3人の視線を感じてイナルバが咳払いをして、お茶を一口飲んだ。
「だ、だって、貴方達も気になるでしょう?」
顔を真っ赤にして当り散らす。
「まあ、確かに気にはなりますけどぉ」
確証は無いが、ライネには何となく解った。
和人のクセというか、性器とその周辺部への愛撫。
胸では無く、いきなり下半身に向かったのは少々驚いたが、自分の時もそういう事はあり、自分も姉と同じような反応をする部分があるので、和人はおそらく「そこ」を攻めたのだろう。
しかし、今はそんな事より、堅物のイナルバもやはりそういう事に興味がある事の方が、ある意味人間らしくてホッとして少しからかうように言ったのだった。
343名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 04:42:19 ID:mp3oKBnh
既に映像を見た事がある真田さんは今後の展開を知ってるので、黙ってはいたが、
「わっ! お姉様方ご覧になって。 ホラ!」
ライネが画面を指差す。
ワルキューレが激しく身を捩ったので、布団がベッドから落ちたのだった。
「……っ!」×3
(ワルキューレ、よくぞ!)×2
(お姉様ナイス!)
しなやかな身体を弓なりに反らせて、その手は和人の頭を離そうとしてるのか、はたまたもっと愛撫をしてくれるようにせがむように押さえつけてるのか。
微妙な具合で和人の頭に添えられ、白い指から和人の髪が出ているのだった。

(「や…… いやぁ…… 和人ぉ、そんな所ばっかりぃ。 あっ! ああ〜っ……」)
和人の頭を掴んでる手にさらに力入ったのが画面越しにも解る。
しかし、やはりイナルバは
「もう! あの子ったらハッキリしないわねぇ。 「そこ」じゃ解らないでしょう!」
イラだった様子で煎餅をかじった。
さらにメームも
「ホント、昔からワルキューレは物事をハッキリ言わなかったわねぇ」
2人の年長皇女の言葉を
(さすがにそれは、今回には当てはまらないのでは?)
と思いながら聞いていた真田さん。

何も言わないライネを見て
(意外とライネ様は冷静でいらっしゃいますわねぇ)
とか思ったりしたのだが
「そうですわねぇ。 お姉様には説明責任をハッキリと果たしていただきたいですわ。 和人様を参考人として招致いたしましょうか?」
ニュース番組でも見て覚えた言葉なのだろうが、この場面で使える言葉ではなかった。
しかし、さすがにライネの言葉には
「何、バカな事言ってるのです! そんな事出来るわけ無いでしょう!」
イナルバが睨む。
「そうですよ、婿殿は喋らないでしょうし」
メームが扇子をパチンと鳴らしながら言うが
「違うわよ。 そんな事したらこの事が婿殿にバレてしまうでしょう。 当然ワルキューレにも」
口から泡を飛ばしてイナルバが2人を叱ったのだった。
344名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 04:43:39 ID:mp3oKBnh
(「やぁぁ…… いやぁん。 和人ぉ、もうイヤぁ。 お願い、もう許してぇ…… イジワルしないで……」)
ワルキューレの切なげな声で3人の注目は画面に戻った。
(「じゃあ、行くね……」)
顔を上げた和人が囁くと、ワルキューレは涙を溜めた目で和人を見て、小さく頷いた。
和人が半身を起こすと、いきり立った陰茎がシルエットではあるが露になった。
「……まぁっ!」×2
メームは扇子で口元を押さえ、イナルバは両手で顔を覆う。
当然、イナルバは指の間からしっかり画面を凝視してたのだが……
「んまぁ、影になってあまり解りませんけど、和人様ったらごリッパでございますわねぇ」
やはり頬を染めながらではあるが、青い瞳を爛々と輝かせ
ほうっ!
とした、ため息と共に呟いた。

画面の中では和人が身体をズリ上げ、ワルキューレをキスをした。
「いくら相手が和人様とはいえ、アソコを舐めた口に口付け出来るもんなんでしょうかねぇ?」
ライネも自分と内緒のデートの時にはそれをする事があるが、こうして客観的に見るとふと思ってしまい、それが口に出てしまった。
「しっ! 黙って!」
イナルバが制する。
(「んっ…… んんんぁっ……!」)
和人の陰茎がワルキューレの膣に入ったのだろう。
顔と身体を少し仰け反らせて喘ぐワルキューレに、画面を見ている4人も言葉が出なかった。
「ごくっ……」
誰と無く唾を飲み込む音が居間に響いた。

3人の皇女は画面にクギづけで気づかなかったが、既に先を知っている真田さんは顔を真っ赤にして俯いている。
(「あっ……」)
問題の場面にさしかかったのだろう。
真田さんの耳とシッポがピクンとハネた。
(「ああぁ…… 入って、来てるぅ…… 和人がぁ私の奥まで…… 硬くて…… 熱ぅいぃ……」)
「イ、イナルバお姉様。 和人様は熱くて硬いそうですわ!」
興奮を隠さずにライネが画面から目をそらす事無く言う。
「ええっ! わ、私にも聞こえました!」
イナルバも少々目を充血させながら答えた。
「ワルキューレの奥まで入ったみたいですね」
メームも彼女にしては珍しく頬を染めながら言ったのだった。
「熱くて硬いのが奥まで…… ゴクリっ」×3
345名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 04:44:54 ID:mp3oKBnh
しかし、画面の中は急に慌しくなる。
和人がワルキューレの胸を下から持ち上げるようにして、うっすらと桜色に霞む乳輪とふるふると震える乳首を口に含み、腰の律動のペースを上げた。
(「ダメ…… それ、ダメぇ。 !!! ひゃうぅ」)
さらに和人のもう片方の手が画面では確認し辛い2人の結合部に伸びる。
(「そ、それはぁ、ホ、ホントにダメぇぇっ。 いやぁ、許して! お願い! それは許してぇ、和人ぉっ!」)
「!」
メームとイナルバは画面にクギ付けだったが、ライネはハッとした。
この前和人とのデートの時、いつもの海辺のホテルで和人が自分にした事と同じだったから……
厳密には、ライネが手引きして和人にさせたのだが、それを姉にしてるのだ。

2人こそが婚約者同士で、自分との関係は許されざる関係。
それは理解してるだけに姉に対する嫉妬は、全く無いとはいえないが、それ程なかった。
それよりも画面の中の姉の姿が自分とダブってしまい、あの時は自分もあんなふうに乱れていたのだと思うと、身体が熱くなり、私服のスカートの下に穿いているショーツには熱い蜜のシミが出来てしまったのだった。
(あっ! 濡れてきちゃいましたわ……)
2人の姉と真田さんに気づかれぬよう、ショーツの中に手を潜り込ませると、股間は熱くぽってりと充血し、ワレメからは粘り気のある汁が漏れている。
(もう、ヌルヌル……)
和人との情事を思い出して、オナニーしてしまいたかったが、さすがにそれは無理。
何とかそれを堪えると、ショーツから手を引き抜いた。

(「ダメぇ……ダメだったらぁ。 いやっ! いやぁぁっ! いっ………… ぁ……」)
「あっ! イっちゃいましたわ」
ひときわ大きな声で喘いだ後、操り人形の糸がプッツリと切れたように声が止み、荒い呼吸を繰り返し、一定の間隔で身体を痙攣させてるワルキューレを見てライネが呟いた。
「……」
それ程暑くない居間だが、イナルバの顔に一筋の汗が流れ、ハンカチで拭った。
「それにしても…… 婿殿のが、ワルキューレに入って、その、あまりにも直ぐに達してしまいましたね。 あの子」
イナルバ同様、少し顔を火照らせながらメームが言った。

(でも、あの責め方をされたら仕方ございませんわよ。 あたくしだって……)
姉の言葉を聞いて、そう考えたライネだったが、イナルバはメームの言葉に同調した。
「そうですね。 こういう行為は夫婦の営みですから、どちかが一方的にというのは、問題かもしれませんね」
「でもぉ、かと言ってワルキューレお姉様に申し上げるワケには参りませんでしょう? まして和人様には尚更……」
ライネにしては正論を言うと
「そんなのは当たり前です。 真田さん!」
「は、はいっ!」
まさか自分に飛び火するとは思ってなかった真田さんが慌てて返事を返した。
「真田さん。 貴方からそれとなくワルキューレに言って聞かせてあげてちょうだい。 貴方にはこういう事もお願いしてあるハズですよ!」
「い、いや…… あの…… しかし……」
「何か? お願いしますよ!」
「は、はぁ……」
しぶしぶ返事すると画面ではメームとイナルバの心配が形となって現れていた。
346名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 04:46:16 ID:mp3oKBnh
(「和人様ひどい! 私だけ…… その……… 和人様も一緒に、その…… それなのにぃっ!」)
ワルキューレが目に涙を溜めて抗議してるのが薄暗い画面でも解る。
(「ごめんね。 でも、ワルキューレの…… あの…… 膣内(なか)が気持ちよくて……」)
困ったように頭を掻きながらなだめる。
(「うそ! だって、その私のアソコが気持ち良かったら、和人様は…… そのお出しになられるじゃない!」)
ワルキューレの抗議に3人の姉妹はウンウンと頷いたが
(「だ、だから、何度も…… その、したいけどそれは出来ないからボクだって必死に我慢したんだよぅ」)
何か雲行きが怪しくなってきた。
「ああそうですか! さようでございますか!!!」
和人の言葉を聞いてライネが呆れたように言い放った。
それに続いて
「ホントに。 前もそうだったけど、何だかバカバカしいわね」
イナルバも、煎餅を取って勢い良くかじった。

さらにワルキューレと和人の愛(?)の会話が……
(「もう、いつもそんなことおっしゃって! 私が、その…… おもらししちゃうまでとか、気を失うまで激しくなされるのじゃない!」)
(「どれだけ恥ずかしいか、どれだけ和人様に対して申し訳なく思ってるか! 和人様を満足して差し上げられないダメな女だって悩む事だっていっぱいあるのにぃ!」)
「あら、何か本格的に夫婦喧嘩みたいになって来ましたわねぇ」
不貞腐れてたライネが興味深そうに画面を見ると、イナルバも煎餅をお茶で流し込んで、画面に見入った。
(「だ、だって仕方ないじゃないかぁ!」)
珍しく和人が反論すると、メームまで身を乗り出して見だした。
(「さっきも言ったけど、ワルキューレの…… その…… アソコが気持ちいいけど、男は一度にそう何回も出来ないし。 時間があればその大丈夫だけど、普段学校がある日とかは……」)
(「だから、少しでも我慢して、なるべくワルキューレの…… ワルキューレを感じていたいんだ」)

(「で、でも……」)
(「ボクはワルキューレが好きだから、ボクだけでなく、ワルキューレにも気持ちよくなってもらいたいし」)
(……バカ」)
(「え?」)
(「和人様のばか! 私のことなんか気になさらなくてもいいのに。 私は和人様が満足なさってくださる事が一番嬉しいのに……」)
(「ばかばかばかぁ…… 和人様なんて! 和人様なんてぇっ! …………すき」)
ガタンッ
3人の皇女がちゃぶ台に突っ伏すようにずっこけた。
347名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 04:47:46 ID:mp3oKBnh
(「和人様ななんてぇ、大好きなんだからぁっ!」)
(「ぼ、ボクもワルキューレの事大好きだよ」)
(「ホント? 私の事愛してる?」)
(うん、この世で一番愛してるよ」)

「ケッ!」×3

和人の言葉と同時に、3人は吐き捨てるように言ったが追い討ちをかけるように
(「でも、やっぱりお布団かベッドがいいナ。 お外はちょっと…… 見られるかもしれないし寒いし」)
(「ごめんね。 もうしないから」)
和人が頭を掻きながら謝ると
(「で、でも。 その…… 和人様がしたいとおっしゃるなら…… その、たまにだったら…… いやぁん!」)
恥ずかしさから和人に抱きついてしまった。

「あ〜あ、本当にバカバカしいですわぁっ!」
ライネがゴロンと床に寝転がりながら叫んだ。
間もなくして記録されてるデ〜タが終わり、画面は砂嵐になった。
「ふぅ……」×2
メームとイナルバが同時にため息をついた。
「どうしたものかしら……」
呟くようにメームがいい
「本当に、どうしたものかしらねぇ」
イナルバも忌々しそうに言うのだった。
348名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 04:48:42 ID:mp3oKBnh
そこへ
「ただいま」
「ただいま、戻りましたぁ」
和人とワルキューレが帰ってきた。
真田さんが慌ててTVからケーブルを外し、パソコンをシャットダウンする。
居間のふすまが開けられ2人が入ってきた。
「あら? 皆どうしたの?」
当然ながら何も知らないワルキューレ。
「あのですねぇ、ワルキューレお姉様! もがが……」
体を起こしてワルキューレに話しかけた所をメームとイナルバが止めた。
「な、何でもないのよ。 ささ、貴方達も上着を脱いでらっしゃい。 ワルキューレ! 婿殿の着替えを手伝って差し上げないと……」
メームがいつになく慌てて言うが、ワルキューレは素直に
「はい、ではそうさせていただきます」
和人と2人、部屋に戻った。

2人が戻って来て、楽しそうに今日の事を語りだした。
真田さんにとってはいつもの事だったので、それ程でもなかった、3人の姉妹は
(ああそうかい! そりゃ、よかったわね!!!)
口にこそ出さなかったが、複雑な表情を浮かべ聞き入るだけだった。
「貴方達は本当に仲がよろしいのですね。 非常に結構な事です。 婿殿、ワルキューレの事、これからもお願いしますね。 そしてワルキューレ。 貴方もしっかりと婿殿に尽くすのですよ」
映像を見たばっかりで、これ以上ノロケ話を聞くのはウンザリだったので、打ち切るメームであった。


「侍女長は見た 〜姉妹も見た〜」・・・・・・おしまい。
349真田でございます:2008/02/03(日) 04:55:28 ID:mp3oKBnh
お気づきの方もおられるかも知れませんが、こちらにお邪魔した時の第1作目のリメイクでございます。
ただ、1作目は書き方はムチャクチャで読みづらかったはずでございますが、こちらの皆様の暖かい声を頂きまして今日がございます。
あの時よりも書く時間が制約されて、あの頃のようなペ〜スでは書く事は出来ませんが、これからもよろしくお願いします。

さて、来週は2月10日。
何を隠そう、わたくし真田の誕生日でございます。
もし、どなたも行かれない場合は、この真田の誕生日話をさせていただきます。
よろしければおつきあいくださいませ。
それでは、皆様いい休日を。
350名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 16:34:52 ID:45rhcUBj
GJ!
1本目はこういう話だったのか
保管庫に入ってるなら読んでみたいが機能してないんだよね?
351名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 01:23:59 ID:G6TMwELr
めちゃワロタw
「和人様なんてぇっ!…………すき」
のくだりとかww
GJ
次も楽しみにしてます

機能してないんだよなぁ…
352名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 09:46:17 ID:Grl7d1xN
GJ
ワルキューレのツンデレっぷりにワロタwww

年長コンビも興味本意で見てるとしか思えねぇww
353真田でございます:2008/02/10(日) 22:47:32 ID:+D88Fg/g
感想いただきましてありがとうございました。
さて、今日からはわたくしの誕生日のお話でございますが、これはTVシリ〜ズ、OVAとは別の話でございます。
題しまして
「ピュア・ラブ 〜お誕生日おめでとう真田さん’08〜」
始めさせていただきます。
354名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 22:48:43 ID:+D88Fg/g
鉛色の雲が空を覆い、そこから白い便りが降り注いでいる。
昨夜から降る雪は止む気配は無く、窓から見る風景は真っ白の銀世界で、歩いてる人達もいかにも寒そうな様子で慌しく歩いてる。
「去年の…… 地球に来た日も雪でしたわねぇ……」
思い出すようにしみじみ言う真田さん。
「そうね、時乃湯まで寒いでしょ? いいの? 本当に送らなくても?」
支度を終えて、部屋から出てきたワルキューレが声をかけた。
「はい…… あの人が迎えに来てくれてますから……」
少し恥ずかしそうに俯き加減に言うと
「はいはい。 こんなお天気なのにお熱い事。 和人様をお待たせするわけにはいきませんから、そろそろ行きましょうか?」
からかうように言うと、エレベーターのボタンを押した。


51st 「ピュア・ラブ 〜お誕生日おめでとう真田さん’08〜」


「真田さん、今まで本当にありがとう。 真田さんには感謝してもし切れないくらいだわ」
エレベーターの中で今までの労をねぎらう。
「いえ、そんな…… わたくしこそ、ここまで取り上げていただいた恩義も全く返せないまま、この様な事に…… しかも姫様を差し置いて……」
最後は少し申し訳無さそうに言った。
「ううん、そんな事はいいのよ。 でも、私を差し置いて結婚するんだから幸せにならないとダメよ」
「は、はい……」
涙を堪えきれず、声が震えた。
「もう! 折角の幸せへの門出なんだから、泣いちゃダメよ。 和人様にそんな顔をお見せするの?」
今まで仕えた主君に諭され、涙を拭った。

エレベーターが1階に着き、ドアが開くとネコミミ侍女が左右に並んでいた。
その間をワルキューレについで歩く。
「真田侍女長、おめでと〜!」
「おめでとうございます」
今日まで彼女の部下だった侍女達が祝いの声をかける。
声がする方にニッコリ微笑んで会釈をしていると、侍女達の列の先に和人が待っていた。
和人の前で立ち止まるワルキューレ。
「ワルキューレ様」
和人が会釈をしてから挨拶をすると
「ワルキューレで結構ですわ、和人様。 それより、外はお寒かったでしょう? よろしければお送りさせていただきますけど」
外は雪が降りしきり、数センチ程積もっている。
寒さに弱い真田さん、いかにも防寒対策をガッチリしている和人を気遣うが、
「いえ、お気遣いありがとうございます。 でも、ボク達2人で……」
やはり真田さんと同じ返事をしたのだった。
355名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 22:49:49 ID:+D88Fg/g
「そうですか。 和人様、真田さんをよろしくお願いしますね。 生憎私はヴァルハラ星に帰らねばならぬ身。 お2人の結婚式には出られませんが、宇宙の果てより、お2人の末永い幸せを願っております」
地球式に頭を下げて挨拶すると、真田さんも和人の横に立ち、2人で深々と頭を下げた。
「ありがとうございます。 きっと幸せになります」
ほぼ同時に3人が顔を上げると
「では、外は寒いですし、雪も積もっておりますので、くれぐれもお気をつけて。 真田さん、早く赤ちゃんの顔見せてくださいね」
「はい…… 姫様ぁ……」
また涙が止まらなくなった。
「ホラ、ダメでしょ。 真田さんはこれから幸せになろうとしてるんだから、涙は似合わないわよ」
ハンカチで真田さんの涙を拭くと、和人の見て1つ頷いた。
和人も頷き、真田さんの肩を抱いて、ホテルのロビーを出た。
・・・・・・

事の起こりは昨年の正月明け。
リカといつものように夕食を食べている時だった。
「この度、地球とヴァルハラ星の間に友好条約が締結されました。 地球、ヴァルハラ星に双方の領事館、大使館が置かれ、今月下旬には特別親善大使としてヴァルハラ星の第5皇女、ワルキューレ殿下が地球に1年程滞在される模様です」
TVで見たニュース。
映像はワルキューレが手を振っている様子が映し出されていた。
「うわぁ〜! ワルキューレ皇女ってすんごい美人! ねえ、お兄ちゃん見て見て。 やっぱりホンモノのお姫様って違うね。 あんな美人ってマンガとかアニメの中にしか存在しないと思ってた……」
ため息混じりに言うリカ。
和人も画面を見た。
「うん、ホントだ。 キレイな人だね」
しかし、兄の言葉はそれ程興味が無さそうな感じで
(お兄ちゃん、女の人に興味ないのかな? 秋菜ちゃんともフツ〜の幼馴染の接し方してるし)
(ま、まさか! お兄ちゃん男の人が好きって事は…… まあ、それは無いだろうけど……)

数日後、雪が降り積もり羽衣町が一面の銀世界になった日、金色に輝く大きな湯たんぽのような機体に大きな羽根が眩しいワルキューレの円盤・アルヴァクが数隻の護衛を従えて宇宙港に到着した。
タラップに姿を現すと同時に一斉にカメラのフラッシュがたかれ、にこやかに笑顔を振りまきながら手を振る姿は女神と形容するに相応しかった。
地球に降り立ったものの、領事館は既に完成し、領事は赴任していたが大使館はまだ出来ておらず、またワルキューレは皇女という立場上、政府がホテルを手配して、その最上階に滞在する事となった。
「おいしい! この地球(ほし)のお料理は美味しいですね」
地球の各国、特に日本の政治家との会談を終え、食事を採っているワルキューレがホッと一息つくように言った。
「さようでございますねぇ、ここはお肉もお魚も…… そうそう、特にお魚はもう!」
今にも涎を垂らしそうになって真田さんが誉めた。
それを見て笑みを称えるワルキューレ。
2人は主君と侍女と言う関係ではあるが、ワルキューレが幼少の頃から真田さんが従事してる事もあって姉妹のように仲が良かった。
356名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 22:50:55 ID:+D88Fg/g
だから、ワルキューレは他の侍女にも言えない事や相談事も彼女にだけは話せた。
「地球の方々は良くしてくださるし、お食事も美味しいんだけど……」
皇女のワルキューレにしては珍しく行儀悪くフォークをクルクル回しながら呟いた。
「何か不備でもございますでしょうか?」
真田さんが声をかけると
「まあ、ホテルだから仕方ないと思うんだけど、お風呂が……」
「はあ、お風呂でございますか。 まあ、確かに……」
ヴァルハラ皇家にとって入浴は神聖な儀式でもあり、8人の皇女も儀式云々は関係なくお風呂が好きだった。
その話はそれまでとなったが、心に留めておき、ワルキューレは食事を終えたので、他の侍女に片付けの指示を出すと、真田さんもワルキューレの部屋まで従った。

「真田さん、今日はもう結構です。 お風呂は私1人で入れますし、その後ちょっと早いけど休ませていただきます。 ですから……」
それだけ言うと
「さようでございますか。 かしこまりました、では姫様、何かございましたらお呼び下さいませ」
一礼して部屋を辞した。
侍女にも部屋は与えられてるが、皇室侍女長という立場の真田さんはそのまま部屋に戻るわけにはいかない。
ワルキューレの部屋のドアの前で待機していた侍女を伴って侍女達の控え室に使われているフロアのロビーに向かった。
「それでね、結構いいんだから。 いや、かなりイイ線行ってるよ」
「そうねぇ、あれならヴァルハラ皇宮のお風呂と変わらない、いやそれ以上かも」
「ちょ、ちょっと!」
1人の侍女が真田さんの姿を見て、相手に注意する。

ヴァルハラ皇室に仕える侍女でありながら、皇宮の風呂より良いと言うのは問題発言である。
当然侍女長の真田さんに叱られる場面ではあるが、先程のワルキューレの話を思い出し
「あの、貴方達。 そんなに良いお風呂が近辺にあるのですか?」
真田さんもまだ若いが、彼女よりさらに若い侍女に尋ねた。
「えっ? あ、はい…… ここから…… あ、ちょっとこちらに」
窓際に呼ぶ。
真田さんが行くと侍女が指をさし
「あの商店街の離れにお風呂屋さんがあるんです。 時乃湯さんっていうんですけどぉ、あそこのお風呂は素晴らしいですよ」
「そうそう、私達今から行こうと思ってたんです。 侍女長もご一緒されませんか?」
もう1人の侍女が誘った。
(姫様もお休みになられるようですし……)
「ちょっと、この中で待機中の者はおりますか?」
真田さんが声をかけると、数人の侍女が寄ってきた。
357名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 22:52:15 ID:+D88Fg/g
「私は今から少し出かけますので、姫様のお部屋の前と、ここで全体の指示をする者を…… 貴方と貴方にお任せします。 よろしいですね」
真田さんが指名すると、引き締まった様子で返事をした。
部屋に戻って用意をし、ロビーに行くと先程の若い侍女達とさらに加わった2人の侍女、4人が待っていた。
「お待たせ。 それじゃ参りましょうか」
エレベーターに乗って1階に着く。
1階のロビーのウインドウから外を見ると、歩いてる人達はコートの襟を立てて、いかにも寒そうな感じだ。
自動ドアが開き外に出る。
「ひゃぁぁあ! ちょ、ちょっと寒いわねぇ」
ネコミミ族は寒さに弱い。
他の侍女達も身を縮こまらせて震えている。

「は、早くお風呂屋さんで暖まりましょう」
真田さんが声をかけるが、他の侍女達は寒さのあまり返事が出来ず、ただ頷くだけだった。
それでも、商店街に入ると、両側が建物な為、風には晒されなくなり多少はマシになった。
しかし寒いのは同じで、一同は先を急ぐ。
「あっ! 侍女長。 あそこです」
1人が指差した方には、高い煙突が見える。
目的地が見えて、一同はさらに早足に目的地を目指した。
しばらくすると、少しひなびた建物があり、お客さんが出てきた。
「ここですか」
「時乃湯」と書かれた暖簾をを見て呟き中に入った。
履物をロッカーに入れてガラスの戸を開けると
「いらっしゃ〜い」
少し気の抜けたような、やる気の無さそうな声が番台からした。

真田さんが見上げるとナルト柄のハンテンを来た少女が客である自分達すら見ず単語帳を見ている。
「あの、大人5人を……」
お金を置くと少女はやっと自分達を見た。
「あらぁ、ネコミミのお姉さん達。 また来てくれたんだぁ。 いつもありがと」
やっぱり少し気の抜けたような声で
言ったのだった。
「お世話になります」
真田さんが頭を下げると
「あれ、そちらの人って初めてだよね? 新しいお客さん連れてきてくれたんだぁ。 ありがと〜、ゆっくりしてってね」
お釣りを渡すと、また単語帳に集中した。
358名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 22:53:39 ID:+D88Fg/g
服を脱ぎながら、何かを喋っているネコミミ族の女性達。
番台での会話は非常に流暢な日本語だったが、今はリカには解らない言葉で話している。
今日初めて来た女性が立場が上の人物なのだろう。
一同の中心にいる。
(うわぁ…… キレイな肌してるなぁ…… うわっ! それにしても…… 胸大きい! 他の人達もスタイルいいけど、あの人凄いなぁモデルみたい)
真田さんが視線を感じたのかリカの方を向いてニコリと笑った。
別に悪い事をしているわけではないが、リカは慌てて視線をそらせた。
その後、盗み見るように真田さんに魅入った。
服を脱ぐ仕草からして上品で、清楚な感じがするが、その身体から滲み出ている過剰なまでの色気が、同じ女性のリカからみても妖艶な感じだった。
衣類をロッカーにしまうと一同は浴室に入っていった。

「ふぅ……」
思わずため息が出た。
(そう言えば、この前来た時にあのメイドさんヴァルハラ皇家の侍女だって言ってたなぁ。 あのニュースでやってたお姫様の侍女って事だよね?)
(あのお姫様の趣味なのかな? 皆可愛いよねぇ。 でも、あの人は可愛いというより美人か…… やっぱりお姫様に仕えるんだから選び抜かれた人達なんだろうなぁ。 頭いいのかな? 受験とかどうしたんだろ? 仲良くなったら勉強のコツとか何か教えてくれるかなぁ)
とりとめもなく、そんな事を考えた。

浴室では、様々な宇宙人に混じって5人のネコミミ族が一角に陣取ってまずは体を流していた。
桶でお湯を溜めて流すと浴槽に浸かろうとする。
まず、真田さんが片足をゆっくりと入れ、やがて、全身をお湯の中に浸けた。
「ああぁ〜っ……」
うっとりとした声をあげる真田さん。
「どうです、侍女長?」
返って来る返事は解ってはいたが、一番年少の侍女が真田さんに尋ねた。
「ええ。 これは本当にいいお湯ですこと。 とてもやわらかくて暖かい……」
「ですよね〜 こんな辺境の星でこんなにいいお風呂に入れるなんてぇ」
「やっぱりお風呂は大切だよね〜」
侍女達がそれぞれ喋りだしたので、真田さんは1人黙って、感触を味わうようにじっくりとお湯に身を委ねた。
・・・・・・
359名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 22:54:52 ID:+D88Fg/g
侍女達が出てきた。
リカはまた真田さんを見てしまう。
ほんのりと桜色に染まった肌がこれまたリカから見ても色っぽい。
バスタオルで体を拭き、下着を着けメイド服を着る様子もしなやかだったが、メイド服を着終わると全員の表情が一瞬引き締まった。
自分達は、やんごとなき御方に仕えてるのだという、プライドの表れだろうか?
だが、真田さんを先頭に出入り口に向かってくる様子は年頃の女性の表情になっていた。
「あの、こちらのご主人様であらせられますか?」
またもや流暢な日本語で尋ねてくる。
「えっ? あたし? ううん違うよ。 ココの責任者はあたしのお兄ちゃんだけど、何かあったの?」
少し心配になって聞いた。

「いえ、とても良い…… 結構なお湯でございました。 是非ともご主人に、ご挨拶申し上げたく存じまして……」
真田さんの言葉を聞いて安心したリカ。
「ちょっと、待ってて。 そこのボイラー室にいるから」
番台から出ると、和人を呼びに行った。
しばらくして、リカが和人を連れて戻ってきた。
「あの〜、ボクが時乃湯の責任者、時野和人です」
挨拶をすると、
「わたくしは、ヴァルハラ皇室より、皇室侍女長及びワルキューレ皇女殿下付きの任を賜っております真田と申します。 以後お見知りおきの程」
真田さんが深々と頭を下げた。
それにつられ和人も頭を下げた。

顔を上げた両者。
「!」
何か心に感じるものがあったのか、2人は一瞬向き合ったまま互いを見つめるだけだった。
それでも
「あ、あの…… とても良いお湯でございました。 わたくし様々な所でお風呂をいただきましたがこちら程素晴らしいお風呂にはめぐり合えませんでした。 またお風呂をいただきに参りますので、どうかよろしくお願いいたします」
それだけ言うともう一礼して、そそくさと出て行った。
和人が返事をする間もなく帰って行った侍女達。
「……」
「どうしたんだろうね?」
和人がリカに尋ねると
「さあ、なんか慌てて出て行ったね。 やっぱり皇室侍女ともなると時間の制約があるのかな?」
リカはさほど興味なさそうに答えたのだった。
360名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 22:55:50 ID:+D88Fg/g
一方侍女達も
「侍女長〜、どうなさったんですかぁ? 慌てて」
質問されたが、真田さんにも解らなかった。
「ま、まあよろしいじゃありませんか。 わたくし達は姫様の侍女なのですから、一刻も早く姫様の許に参じないといけないのですよ」
最後の方は少しヒステリックになってしまった。
なぜそうなったのか?
やはり、当の真田さんにも解らなかった。
「それにしても…… 本当にいいお湯でした」
ホテルに着くまで、何度も呟き、侍女達も同じような事を言ったのだった。

「ねぇ、侍女長?」
「何ですか?」
「あのご主人って、ちょっと良いと思いません?」
少しクセ毛のある侍女が言った。
「なんですか、はしたない!」
たしなめるように言うが
「だってぇ、あのご主人優しそうだし、あんなステキなお湯を沸かしてくれるんですよぉ」
「それに、ちょっとカワイイし」
別の侍女が話しに乗ってくる。
「貴方達、はしたないですよ」
今度は少し重いトーンでたしなめる真田さんだった。

しかし、言われてみると確かにその通りだ。
彼が優しい人間である事はあの全てを包み込むような、あのお風呂と同じく優しく柔らかな暖かい笑顔が物語っている。
男性ながらちょっと線の細い、頼りなさげの地球人の事が頭から離れない真田さんだった。
361真田でございます:2008/02/10(日) 22:57:53 ID:+D88Fg/g
今宵はここまでに。
しかし、容量の関係上、少し駆け足な内容になるやもしれません。
なるべく早く、なるべくまとめて披露させていただきますので、どうかお付き合いくださいませ。
それでは、皆様よい休日を。
お休みなさいませ。
362名無しさん@ピンキー:2008/02/14(木) 14:16:57 ID:cATj1qwS
                          ,. -――- 、
                      /し, /    _>.
                     / { \レ/,二^ニ′,ハ
                     |'>`ー',' ヽ._,ノ ヽ|
                     |^ー'⌒l^へ〜っ_と',!
      __             ! u'  |      /
  /´ ̄       `!             ヽ  |   u'  , イ
  |  `にこ匸'_ノ            |\_!__.. -'/ /|
  ノ u  {                 _.. -―| :{   ,/ /   \
. / l   | __  / ̄ ̄`>'´   ノ'    ´ {、    \
/ |/     {'´    `ヽ. " ̄\ U `ヽ.    __,,.. -‐丶 u  ヽ
| / ヾ、..  }      u' 〉、    }    `ー''´  /´ ̄ `ヽ '" ̄\
! :}  )「` ノ、     ノ l\"´_,,ニ=-― <´  ヽ{  ノ(   `、  |
l   、_,/j `ー一''"   },  ノ ,  '''''""  \   ヽ ⌒ヾ      v  |
ヽ   _         /   } {. { l ┌n‐く  ヽ/ ``\        ノ
  `¨´    `¨¨¨¨´ ̄`{ 0  `'^┴'ー┘|ヾ    }、 u'   `  --‐r'′
【緊急】押し貸し詐欺にご注意ください

毎年2月中旬になると
チョコレートなどの物品を渡し、一ヶ月後に3倍などの法外な利息を請求する
いわゆる「押し貸し」による被害が多発します。
今年度もこのような詐欺が横行することが予想されますので、
くれぐれもご注意ください。

また、万が一これらの詐欺にあってしまったら、
消費者生活センターや警視庁に相談しましょう。

【消費生活センター】全国の消費生活センター
363真田でございます:2008/02/17(日) 22:44:53 ID:k17nk9JL
更新がおくれて、申し訳ございません。
それとバレンタインのお話を考えてらした職人様がおられましたら、これまた申し訳ございません。

遅くなりましたが、続きをさせていただきます。
364名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 22:46:40 ID:k17nk9JL
次の日、ワルキューレが公務をこなし、その間も影のように付き添っていた真田さんが主君の部屋を辞したのは10時半を過ぎていた。
(ああ…… お風呂どうしましょう? また、あのお風呂屋さんはやってるのでしょうか?)
時間が無いだけに素早く決断すると、他の侍女に指示を出して、自室に戻って用意を済ませると外に出た。
「はっ、はっ、はっ……」
寒い中外に出たからにはどうしても、お風呂に入りたい。
身も心も暖まる、あのお風呂に……
早足が小走りになり、やがて本格的に走り出した。
昨日通った道を行き、暫くすると煙突が見えてくる。
曲がり角を曲がり、時乃湯の敷地に入ると、数名のお客さんで出てきた。

その脇を抜け、急いで暖簾をくぐり、下駄箱に履物をしまうと戸をあけた。
「はぁ、はぁ、はぁ…… んはぁ…… あ、あの、大人1人……」
息が整わず、それだけ告げると
「あらぁ、昨日の…… え〜っと…… 真田さんだっけ? いらっしゃ〜い。 真田さんが最後のお客さんかな?」
リカが昨日同様、少しやる気に無さそうな声で言うと、お金を受け取ってお釣りを差し出した。
「はい、さようでございます。 真田でございます。 はぁ…… はぁ……」
まだ苦しそうだ。
それでも何とか顔を上げて脱衣所を見ると、閉まってるロッカ〜は2つだけで、後は全て開けられている。
しかも、その2つのロッカ〜を使ってる女性達であろう、2人がちょうど、出てきた所だった。
「よ、よろしいのですか?」
リカに尋ねると、
「まあ、真田さんがそれだけ頑張ってまできてくれたんだからお兄ちゃんもダメとは言わないだろうし。 気にしないでゆっくりしてってよ」

リカが真田さんに言った時、ボイラ〜室から出てきた和人が男湯の方を一通り見渡し
「こっちは、OKだよ。 そろそろ閉めようか?」
番台に向かって言った。
「うん。 お兄ちゃん、昨日の人…… 真田さんが来てくれたけど、いいよね? あとは今出てきた2人だけだから……」
「え?」
一瞬番台越しに女湯の方を覗き込もうとしたが、慌てて止める。
「あ、あの…… 本当によろしいのでしょうか? 差し障りございましたら出直して参りますが……」
今度は真田さんが番台越しに覗き込む。
2人の目が会う。
申し訳無さそうに尋ねる真田さんの顔は不安そうだった。
だいぶ呼吸が整ってきたが、メイド服の上からでもハッキリ解る、大きな胸はせわしく上下している。
365名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 22:47:40 ID:k17nk9JL
「!」
自分でも解らなかったが、和人は慌てて視線をそらせた。
「う、うん。 どうぞ、真田さん。 ゆっくりしていって…… リ、リカ、ボクは暖簾を仕舞ってくるから」
その場から逃げ出すように外に出て行った。
「あ、あの…… 和人様、ご機嫌がよろしくないのでしょうか?」
心配そうにいうが、リカは
「それはないよ。 お客さんを嫌がる事なんてないもん。 あっそれよりさぁ、あたしも一緒に入っていいかな? 家のお風呂よりこっちの方が好きなんだ」
真田さんの返事を待つまでもなく、手提げ金庫をもって、番台から出た。

リカの言葉を信用して、真田さんがメイド服を脱ぎだす。
しばらくしてバスタオルや着替えをもって、リカが戻ってきた。
(うっ!)
まじかで見る真田さんの肌はキメが細やかで、リカよりずっと白い。それでいて漆黒の黒髪と、それに合わせたようなネコミミとシッポ。
そして、昨日も圧倒された胸の膨らみ……
ブラジャーを外すと、ぶるんと弾み、息苦しさから開放されたように
「あっ……」
と真田さんがため息交じりの声を出した。
(で、でかっ! でも大きいだけじゃなくてキレイな胸だなぁ…… それにさぁ、大きいのに乳輪とかあまりおっきくないし…… 500円玉くらいかな? でも全体があれだけ大きいんだから、大きく感じないんだよねぇ)
(それに、色が白いからかな? 薄いピンク色…… あ、あたしと変わんないじゃない! 何かハラ立つなぁ! でも乳首はあたしよりちょっと大きい。 まあ、やっぱりあれだけ大きいんだから、あれ位ないとかえって不自然だよねぇ)
(あ〜、だんだん本格的にハラ立って来たぁ! 同じ女なのにどうしてこんなに差がつくんだろ?)

そんな考えを巡らせていたら
「それでは……」
とだけ言って浴室に入っていった。
リカも続く。
真田さんは桶でお湯をすくって体を流していた。 リカも隣の場所で同じように体を流すと先に湯船に浸かった。
「ああ〜。 暖まるぅ〜!」
思わず声が出るリカ。
それを聞いた真田さんも
「それではわたくしも……」
湯船に入ろうとした。
366名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 22:48:42 ID:k17nk9JL
湯船の縁を跨いだので、真田さんの秘部が少し開いたのがリカにも見えた。
楚々として生え揃ってる陰毛は髪やシッポと同じ漆黒で、手入れでもしてるのか? と思えるくらいに形が整っている。
一瞬見えた性器の内部もピンクで、陰唇のビラビラもそんなにハミ出してない。
無論メガネを外してるのでハッキリ見えたわけではないが、以前興味本位で手鏡を使って自分の性器を見て愕然とした事を思い出し、あの時は
(うわぁっ! 見るんじゃなかった…… どうして、世の男どもはこんなの見たがるんだろ?)
クラスの男子がえっちな本を見て盛り上がってるのを見ては
(ホント、男ってバカばっか……)
とか思ったのだった。
ハッキリとは見えなかったが、真田さんのそこはピンクに色づき、ハミ出しも殆どない。
(やっぱり、キレイな人はアソコも含めて全部キレイなのかなぁ? だとしたら不公平だよねぇ……)

「あっ、そうそう。 まだあたしの名前言ってなかったよね? あたしは時野リカ。 お兄ちゃんの妹なんだ」
「お兄ちゃんの妹」とは、少しヘンな気もしたが、真田さんは気にせず。
「さようでございますか。 改めてよろしくお願いいたします」
丁寧に言った。
「ところでさぁ、真田さんってヴァルハラ星の皇室侍女長って言ってたよね?」
「はい、さようにございます」
「だいたい、そういう立場になるのは、経験をつんだベテランがなるんじゃないの? 真田さん、もの凄く若く見えるんだけど、実は40歳とか行ってるの?」
悪気は無いのだが、リカの言葉に真田さんも一瞬言葉を失った。
「え〜っと…… いえ、わたくしはこちらの年齢に換算しますと今年で22歳でございます」
「ええ〜っ!」
真田さんの答えにリカがかなり驚いたのか、広い浴室中に響く声をだした。

「22歳って、日本で言えば大学卒業したてか、高校卒業して4年しか経ってないって事じゃない? 何かコネとかあったの? あっゴメン……」
言葉が過ぎたのを詫びたが、真田さんはまたもや気にせず
「いえ、わたくしめは天涯孤独の身でございました。 施設で育って、ネコミミメイド星人ですので、メイド育成施設に入って…… そこからたまたま姫様付きの侍女になって。 あっ一応テストがございましたが、たまたま通ってこうなってしまいました」
「……」
施設で育って、育成施設で訓練したら「たまたま」姫様付きの侍女になって、選抜試験に「たまたま」通ってその若さで侍女長になんてあるのだろうか?
喋り方からして控え目な性格なのは解る。
「たまたま」ではないのだろう。
例え「たまたま」であっても、それは彼女の努力か才能の賜物なのであろう。
「真田さん、頭良いんだ……」
少しため息混じりに言うと
「いえいえ、あくまでたまたまでございます」
367名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 22:49:32 ID:k17nk9JL
謙遜する真田さんだが、それは彼女の本心にも思えた。
「あのさ。 あたし受験生なんだよね。 だからさぁ、何か勉強のコツとかあったら教えて欲しかったんだけどなぁ」
少し残念そうに言うと
「さようでございますか、では昨年配属された侍女がおります故、その者にでも聞いておきます。 何かご参考になられるような話がございましたら、またお風呂をいただきに参りますのでその時にでも……」
言い終わると、暖まったのか真田さんが湯船の外に出た。
リカも後に続いて出て、真田の横に座った。
タオルに石鹸をつけて洗い出す。
大きく盛り上がった胸、引き締まったお腹とウエスト。
そこから急カーブを描いて再び盛り上がってるお尻。
艶かしい曲線で構成された体をタオルで泡まみれにしていく。

「リカ様、お背中流しましょうか?」
一通り洗うとサっと流して尋ねてきた。
「え? いいよ。 真田さんお客さんなんだし、悪いよ」
首を振って遠慮するが
「まあまあ、よろしいじゃありませんか」
リカからタオルを受け取ると小さい背中を流し始めた。
ガラガラガラ……
その時、男湯の方で戸が開く音がした。
暖簾をしまい、脱衣所とかの片づけが済んだのだろう。
浴室を磨こうとして和人が入ってきたようだった。

それを聞いたリカ。
「お兄ちゃ〜ん、あたし今お風呂入ってるから、向こう(家)で沸かさなくていいからねぇ」
男湯の方に向かって叫んだ。
「え? あ、そうなんだ。 ところであのお客さんも一緒なの? だったらダメじゃないかぁ」
和人が注意するのも当然で、お客と一緒というのは礼を欠くのではかいか?
そう考えたからだった。
しかし、真田さんは
「いいえ、結構でございます。 ワタクシもムリに押しかけてお湯を頂いてございますし」
それ程大きな声ではなかったが、男湯の和人にも聞こえたであろう。
「だってさ」
リカが和人に向かって言う。
「すみません。 でもゆっくりしてって下さいね」
とだけ言うと、ブラシで床をこする音が聞こえてきた。
368名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 22:51:13 ID:k17nk9JL
真田さんもリカの背中を流すのを再開する。
「リカ様、ここは本当にいいお風呂でございますわね」
ゆっくりと、強過ぎず背中を洗いながら言うが
「そう? あたしには解らないなぁ。 まあ、あたしがずっとお兄ちゃんのお風呂に入ってるせいかもしれないけど」
リカには理解できないようだった。
それでも
「そんなものかもしれないですわね。 当たり前になってしまうと有り難味が解らない場合もございましょうし」
「でも、こちらには地球の方々はもとより、宇宙人のお客さんも多いようでございます。 皆様にはそれがわかってらっしゃるのではないかと、わたくしは思うのですよ」
桶にお湯を溜めて、リカに背中にかける。
「そうかなぁ。 あっ、今度はあたしが真田さんの背中流したげる」
リカがタオルを受け取ると、真田さんと前後の場所を変わろうとするが
「いえ、とんでもない」
侍女の真田さんが他人に背中を流してもらう事などなかったので、つい言ってしまったが
「いいよ、だってお客さんの真田さんに背中流してもらったんだもん。 あたしもこれくらいは。 それに……」
「それに?」
「あたしは…… ううん、あたしとお兄ちゃんは2人で暮らしてるし、お父さんもお母さんも普段は家にいないから、誰かの背中を流すとか流されるとかしないのよ。 まさかこの歳になってお兄ちゃんと一緒にお風呂入るわけにはいかないし」

リカの言葉に真田さんは驚いた。
リカは受験生だと言っていたが和人もまだ学生に見える。
その2人だけで、この銭湯を切り盛りしてるなんて。
まだ知り合ったばかりだが、2人はとても明るく振舞っている。
事実、2人だけの生活に慣れてるのかもしれないが、やっぱり淋しい事もあるだろう。
そう考えると
「さようでございますか。 ではよろしくお願い申し上げます」
リカの座っていた椅子に腰掛けた。
「しっかし、ホントに肌キレイだよね」
真田さんの背中というか、肌を見た率直な感想だったが
「いえいえ、わたくしなんか……」
どこまで本気で思ってるのかは解らないが、持てる者の余裕とでも言うのか、イヤミになるギリギリの謙遜に思えた。
タオルで擦りだすと、脇からハミ出ている白い膨らみも小さく揺れいる。
「しかし、すんごくおっきい……」
つい口走ってしまった。

「は? 何がでございますか?」
これもまた持てる者の余裕なのだろうか?
真田さんにとって、胸が大きいのは当たり前の事で、いちいち気にする事なんてないのだろうか?
「何って、胸よ胸。 ヨコからハミ出てるし」
少しため息混じりに言うと
「リカ様は胸の事でお悩みですか?」
真面目に尋ねてきた。
根が真面目なのだろう、からかうようではなく、年頃の少女の悩みに真剣に耳を傾ける姉か、母親か、保健の先生のようだった。
「いや、そんなには気にしないけど、やっぱり女だしねぇ。 少しは…… ねぇ真田さんっていつから大きくなったの? つ〜か重くない?」
矢継ぎ早に質問するが、帰ってきた答えはリカにとって慰めにもならなかった。
「はあ?…… まあ、重いには重いですけど慣れてしまえば。 走ったりすると少々つろうございますが、それと、大きくなりだしたのは…… 何時からでございましょう? 何分気がつけば大きかったと申しましょうか、周囲の者より大きかった記憶はございますが……」
悪気は無いのだろうが、リカは
「ああ、そうかい!」
背中を強くタオルでこすったのだった。
369名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 22:52:11 ID:k17nk9JL
その時、リカの目に真田さんのシッポが入った。
漆黒のシッポ。
ちゃんと腰から生えている。
泡まみれの手で握ってみる。
「ひゃぁっ! リ、リカ様!」
かなり敏感な器官なのだろう。
体を大きく弾ませて反応した。
「わっ! 結構敏感なんだぁ」
面白そうに言うと、さらに手を上下させゆっくりと扱き出した。
「あっ…… にゃぁぁ…… あにゃぁぁん」
妙に色っぽい声が広い浴室中に響き渡った。

「リ、リカ! 真田さんに失礼だよ」
男湯の方から、かなり焦った感じの和人の声がして、リカは慌ててシッポから手を離し、真田さんは口を押さえた。
そうだった。
男湯では和人が掃除してたのだ。
という事はさっきの胸の話も全て聞かれていた事になる。
真田さんは急に恥ずかしくなって、顔を真っ赤にしてしまった。
2人は互いの顔を見てクスっと笑って首をすくめると、石鹸を流して湯船に浸かった。

上がって服を着終わると、リカが飲み物のストッカーからフルーツ牛乳を2本持ってきた。
「どうぞ」
真田さんに差し出す。
「ありがとうございます」
受け取って、財布を取り出そうとしたが
「いいよ、飲んで。 お兄ちゃんいいよね?」
リカが勧めてくれたが、申し訳ないとも思えた。
しかし、2人が服を着たのを確認した和人が番台の前にある仕切りの扉を開けて脱衣所に入ってきて、
「どうぞ、飲んでください。 でも他のお客さんには内緒ですよ」
風呂の中での会話があったからか、和人が少し顔を赤くしながら言った。
それを見ると真田さんも恥ずかしさが出てきて
「は、はい。 それでは有難く頂戴いたします」
とだけ言って、俯き加減になってフルーツ牛乳を飲んだ。
飲み終わって、ビンを返そうとしたら、また和人と目があってしまった。
2人はまた、顔を赤くして俯く。
370名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 22:53:12 ID:k17nk9JL
ささっと素早くビンをケースに入れると、ロッカーから荷物を出して。
「あ、ありがとうございました。 とってもいいお湯でございました。 またいただきに参ります」
と深々と頭を下げて帰っていった。
「真田さんって可愛い感じがするね」
珍しく女性に対して「女性」を意識した和人を試すように言ってみる。
「う〜ん、そうだね」
これまた珍しく和人が肯定した。
「まあ、あたしやお兄ちゃんより年上で、可愛いというより美人なんだけど、でもなんか可愛いよね。 純情そうだし」
「……」
これには和人は応えなかった。
顔を赤くして掃除を続けた。

次の日も真田さんは、かなり遅めにやってきて、お風呂に入っていった。
和人と顔をあわせると、少し照れたように頬を染め俯いてしまったが、入浴後はお風呂談義に花を咲かせた。
そして、リカには真田さんの部下にあたる年少の侍女から聞いてきた受験のコツらしきものを伝える。
「ここじゃ何だから、ちょっと寄っていきなよ」
リカが真田さんの手を引いて母屋に連れて行こうとした。
「い、いえそんな…… ご迷惑をおかけするわけには」
チラっと和人を見て言う。
しかし和人は
「そうですね。 真田さんさえよければ」
暖かい微笑で返してきたのだった。
ドキッ!
この和人の笑顔を見ると、何かシッポのあたりがムズムズしてビリビリした感じになる。
「は、はい…… それでは……」
遠慮気味に、それでいて、少し弾むような足取りで母屋に向かった。

居間に通されて、お茶を出される。
「……」
「……」
和人と向かい合わせに座った真田さん。
しかし、2人は俯いて喋ろうとしない。
「ちょっと、お見合いじゃないんだからさぁ」
シビレを切らしてリカが言うと、2人はさらに意識したのか、さらに顔を赤くして俯いた。
それでもしばらくすると、昨夜とおなじようにお風呂の話で盛り上がる。
時間は過ぎていった。
ピピピピ……
真田さんのポケットから音がした。
慌ててポケットに手を入れて通信機を取り出すと
「ええ、それでよろしいですよ。 そこの判断は現場を任されてる貴方の判断で結構です…… ええ、解りました。 直ぐに戻ります」
部下が彼女に判断を仰いだのだろう。
通信を切ると
「申し訳ございません。 わたくし戻らねばなりませんので、これにて失礼いたします」
頭を下げてから、帰る準備をした。
371名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 22:54:13 ID:k17nk9JL
時計を見たら1時を回っていた。
「こちらこそ、すみませんでした。 お忙しいのにお止めして」
和人も頭を下げて謝ると
「いえいえ。 とんでもございません。 とても良いお湯で、とても楽しい時間をありがとうございました」
改めて頭を下げてから帰っていった。
「皇室侍女長ってやっぱり忙しいんだろうなぁ」
リカがしみじみ言うと
「そうだね。 引き止めちゃったみたいで、何か悪い事したかな?」
いつでも自分より他人を思いやる和人だが、ことさら彼女の事を思ったのだった。

次の日は少し余裕のある時間に部下の侍女を連れてやってきた。
「いいですか、貴方達。 他のお客様やこちらの方にご迷惑にならないよう。 よろしいですね」
いかにも侍女長らしく指示をする。
「は〜い侍女長〜」
解っているのかいないのか、返事をすると、衣服を脱ぎだした。
真田さんが番台のリカに微笑みながらお金を出す。
「今日もお風呂をいただきに参りました。 これ、5人分でございます」
受け取ったリカが
「あのさぁ、毎日来てくれるから、回数券にしたらどうかなぁ。 1枚オマケがついてるし」
回数券の実物を見せて説明すると
「あら、そのようなものがございましたか。 では、ひとついただきます」
リカに言われた不足分を出して、今日の5枚をちぎって、真田さんに渡された。

回数券をサイフにしまうとロッカーにカバンを入れて服を脱ぎだした。
(そうだ!)
昨日、和人と言ってた事を思い出して真田さんに言う

「真田さ〜ん、昨日はゴメンね。 忙しいだろうに、なんか引き止めたみたいで」
両手を合わせて、謝るポ〜ズをして言った。
「いいえぇ。 ワタクシも楽しい時間を過ごせましたので、お気になされず。 和人様にもそうお伝えくださいませ」
それだけ言うと、他の侍女と共に浴室に入っていった。
40分位経っただろうか。
お客さんの数もまばらになり、そろそろ閉めようかという頃になって真田さん達が出てくる。
他の侍女達よりも一足早く服を着終わると
「あの…… 和人様はご多忙なのでしょうか?」
風呂上りからなのか、少し顔を上気させて尋ねる。
「え? お兄ちゃん? 多分、ボイラーを落としてる頃だと思うけど。 なんかマズかった?」
心配になって聞き返す。
しかし
「いえ、とてもいいお湯でございました。 一言ご挨拶申し上げようと…… あの……」
少し歯切れが悪い。
「?」
と思いながら和人を呼んでくる。
372名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 22:55:08 ID:k17nk9JL
ボイラー室から出てきた和人が男湯側の番台の前に来ると
「真田さん、まだ侍女の人達服着てるみたいだから、そこ通ってこっちに来て」
番台の前の仕切りを指差す。
真田さんが仕切りの扉を開けて男湯の脱衣所に入ると和人が待っていた。
「あっ……!」×2
目が合うと、2人は俯いて黙ってしまった。
「あの……」×2
またもや2人が同時に声をかけ、2人は少し気恥ずかしくなって、また俯いた。
しかし、次は真田さんから声をかけて2人は、実に楽しそうに談笑し始める。
(なんか良い雰囲気よねぇ)
和人がベンチに誘って並んで座り談笑してる様子を見て思った。
「あっ、侍女長」
服を着終わった侍女が番台越しに真田さんを見て、少々驚いたように言うと、それが合図になったようで、他の侍女も寄ってきた。
リカの直ぐ下でネコミミの侍女達がなにやら話している。
真田さんと和人の方を指差して、やはり少し頬を染めて。

(何て言ってるんだろ?)
ヴァルハラ言語で話してるので、リカには解らないが、彼女達の年代は地球人だろうが宇宙人だろうが恋愛ネタが好きなのだろう。
きゃぁきゃぁと喜んでいる感じだ。
その声で気づいた真田さんが、何やら注意すると、侍女達は首をすくめてかしこまった。
「では、和人様リカ様。 今宵はこれにて失礼いたします」
2人に頭を下げると、またヴァルハラ言語で侍女達に指示を出し帰っていった。

その帰り道……
「侍女長〜。 何時の間にあのご主人とあんなに仲良くなられたんですかぁ?」
興味津々の様子で聞いてくる。
「何、言ってるのですか。 わたくしと和人様はそういう事じゃありませんよ」
さらりと言ったが
「和人様ですって! 私達、ご主人の名前も知らなかったのに」
「怪しいですぅ」
他の侍女達も一気に食いついてきた。
「あ〜ん、私ぃあのご主人の事、ちょっぴりいいなと思ってたのに〜」
一番若い侍女が悔しそうに言った。
「!」
その言葉にハッとする。
しかし
「何言ってるのですか、私達は姫様にお仕えする身。 恋愛なんてせめて姫様のご婚礼が決まるまでは……」
侍女達というよりも自分に言い聞かせる感じで言い放ったのだった。
373名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 22:58:19 ID:k17nk9JL
そして次の日。
(今日は…… 来ないのかな?)
時間も遅くなったので、表に出て暖簾を片付けた時だった。
「はぁっ、はぁ、はぁ……」
息を切らせて走って来る影。
「あ、あの…… ダメでございますか?」
息を整える間もなく真田さんが尋ねる。
「あっ真田さん。 来てくれたんですね。 どうぞ」
そのまま暖簾を持って中に入り、彼女を招いた。
番台に入り、真田さんから回数券を受け取ると、手提げ金庫を閉めて、石鹸やシャンプー等の在庫を調べだした。

真田さんも、無理に開けてもらってるのを自覚して、手早くメイド服を脱ぎ始めた。
「んっ……」
息とも声ともつかぬ声がして、和人は反射的に彼女を見てしまった。
ブラウスを脱いでボタンのついてないシャツを脱ごうとしてて、大きく伸びをしてる姿勢になっていた。
突き出された胸が彼女の大きな膨らみを強調してるようだった。
首からシャツが抜かれると、その膨らみは大きく弾み、見てはいけないと思いつつ、目を離すことが出来なかった。
(リカが言ってたけど、本当に大きいなぁ……)
和人も番台に立つことはあり、当然女性客の裸を見る事はあったが、意識して見た事はなかった。
真田さんが初めてで、どうしてそうなったのか、彼女の裸体から目が離れないのはどうしてなのか?
まだ、その答えを見出せない和人だった。

2人の距離は確実に近づいているが、その想い、自分の心に気づくのはもう少し後の事だった。
374真田でございます:2008/02/17(日) 23:00:36 ID:k17nk9JL
誠に申し訳ございませんが、今宵はここまでに。
しかし、残り10KBでございますか。 微妙な残り方ですが、続きはなるべく早くいたしたいと思っておりますので、どうかお付き合いくださいますよう。
おやすみなさいませ。
375名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 00:31:43 ID:h8SXvDyH
乙であります
そして容量が少なくなったので新スレ

円盤皇女ワるきゅーレのエロ小説 第8期
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1203262228/

しかし400行く前に容量満タンて結構すごいことだぞw
376名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 04:42:17 ID:+Wy5jtCl
うわー
続きがすごく気になるな…

真田さんの身体の描写がエロくてGJ
377名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 13:56:00 ID:P65kO+Qx
GJ!
結論を先に出すやりかたもいね
>>375

でも、テンプレは第5期のままだったよ
378名無しさん@ピンキー:2008/02/24(日) 07:06:25 ID:q3D/ClpH
おはようございます。
途中ながら感想いただきましてありがとうございます。
それと新スレ立てご苦労様でした。

続きは今日の夜か明日未明になるかと思われますが、こちらに投下して埋めた方が良いのでしょうか?
それともこちらは雑談とかで費やして、向こうに投下した方がよろしいのでしょうか?
このようなケ〜スは初めてですので、勝手が解らなくて……
一応埋めていく方向で考えてます。
どうすれば良いとかございましたら、1つよろしくお願いします。
379名無しさん@ピンキー:2008/02/24(日) 16:42:59 ID:5NfAV2Z3
雑談で埋まらないから
ここ埋めてくれていいよ
380真田でございます:2008/02/25(月) 05:57:57 ID:Vjw3Ot1u
更新が遅れて申し訳ございません。
では、こちらに続きを投下させていただき、残った分は新スレにさせていただきます。
381名無しさん@ピンキー:2008/02/25(月) 05:59:14 ID:Vjw3Ot1u
「ねえ真田さん?」
書類に目を通し、見終わった書類に署名をしながらワルキューレが紅茶を持ってきた真田さんを呼び止めた。
「はい?」
執務室を辞そうとした真田さんだったが主君に呼ばれて、再びワルキューレの許にやってくる。
「これが終わったら、少しおでかけしたいの」
いくら皇女とはいえまだ18歳。
公務ばかりの窮屈な生活は堪えるのだろう。
「かしこまりました。 ではSPの方に手配を……」
「ちょっと待って」
インターホンに手をかけた真田さんを止める。
「ここの近所に商店街があるでしょ? 雑貨屋さんとか本屋さんに行きたいだけだから」

滞在しているホテルから歩いて数分の商店街に行くのに物々しい警備やSPの随行は必要ない。
とワルキューレは考えた。
しかし
「はあ…… しかし、この国の政府より派遣されてる方々でございますし、彼女らもそれが任務でございましょうし……」
なまじワルキューレの気持ちも解らないわけではないので、真田さんの返事も歯切れが悪い。
しかも、2人のSPを帯同させて本屋や雑貨屋に行くのは気分が晴れないだろう。
「そうね…… 解ったわ。 じゃあ、真田さん。 お願いするからちょっと見てきてくれない?」
最後の署名にサインをすると、う〜ん! と伸びをしながら言い、欲しいものをメモ書きして真田さんに渡した。
頭を下げながらメモを受け取って見てみる。
「ファッション誌でございますか?」
いつも、白を基調としたコスチューム。 正装をしているワルキューレだが、やはり18歳の乙女。
ファッションにも興味があるのだろう。
さらに故郷を遠く離れた地球の流行やファッションを是非とも知っておきたいと言う気持ちもあるようだ。
「真田さんが見て良さそうなのを1冊でいいからお願いね」
「かしこまりました」
頭を下げて部屋を辞した。

真田さんがホテルを出て商店街に出向くと、変化に気づいた。
昨日までとは違って、やたら赤いハートマークが目立つ。
和人やリカと話す時に使う日本語とは違う言語で何やら書いてある。
(あれは…… 英語と申しましたか? この星のかなりの広範囲で通じる主要言語でしたわね)
(え〜っと…… 「バレンタインデー」と読むのでしょうか? 何かのお祭り?)
意味までは解らないまま、目的の本屋に着いた。
ファッション誌のコーナーに行き、端から順にパラパラとページをめくって行く。
(あら! これは!)
手に取る雑誌全てに
「バレンタイン特集」
なる記事がある。
……
382名無しさん@ピンキー:2008/02/25(月) 06:00:15 ID:Vjw3Ot1u
(ふむふむ。 女性が殿方に想いを伝えチョコレートをプレゼントするイベントでございましたか)
そう言えば商店街に入った時、いつも甘いいい匂いを発しているケーキ屋が特に活気づいていたのを思い出した。
(まあ、それはさておいて)
どれも微妙に違ったが、真田さんがこれ!と思った1冊を買ってワルキューレの待つホテルへ帰った。
「あら、貴方達」
侍女達が待機しているロビーに着くと、若い侍女達が真田さんが買ったのとは違う雑誌を広げてわいわい騒いでいる。
日本語の解る侍女が翻訳して、聞かせると他の侍女達が少し顔を赤らめて目をキラキラさせている。
「あっ侍女長〜。 侍女長は和人様にチョコを贈られるのですかぁ?」
一番年少の侍女が、やはり頬を染めて尋ねてきた。
「え? な、な、何を言ってるのです。 わたくしと和人様はそういう間柄じゃないとあれ程……」
本屋で見て知ったバレンタインデーの意味。
(わ、わたくしが和人様に…… ま、まあ和人様は素晴らしいお風呂を沸かしてくださいますし、お優しいし…… はっ! いえいえ、わたくしは姫様にお仕えする身。 ヴァルハラ皇室侍女長の身。 とてもとても)

いろいろ想像するが
「そうなんですかぁ。 でも私達は和人様に贈るつもりなんですよぉ」
その言葉に他の3人もウンウンと頷いた。
「ええっ! あ、貴方達、和人様の事を?」
驚きの声を上げると
「違いますよぉ、義理チョコです。 いつも良いお風呂に入らせていただいてありがとうってお礼ですよぉ」
「そうそう、侍女長から和人様を盗りませんから、ご安心ください」
冷やかし半分に言ったが
「あら。 そんな意味のプレゼントもあるのですか?」
知らない事を言われて、反論する事も無く感心したのだった。

「なぁに、皆楽しそうね。 あら、真田さん帰ってたの?」
聞き間違える事のない声がして、真田さんを含む全員が立ち上がって、声の方を向き頭を下げた。
「これは姫様、申し訳ございません。 お騒がせいたしまして…… それに姫様のお使いを賜りながら……」
一層深く頭を下げるが
「ううん、そんな事はいいから。 それより皆、何を話してたの? 私にも教えてくれない? あっ! 皆いいから座って」
近づいてきて、ソファに腰掛けるとテーブルの上で開けられてる雑誌のページに目をやる。
真田さんが一礼して対面に座ると残りの侍女達もそれにならう。
「バレンタインデー…… ふ〜ん、この星(地球)にはこういうイベントがあるのね」
日本語が堪能なワルキューレがパラパラとページをめくりながら呟いた。
「姫様、ここでお茶になさいますか?」
真田さんが尋ねると
「そうね、こちらで皆と一緒にいただきましょうか」
383名無しさん@ピンキー:2008/02/25(月) 06:01:26 ID:Vjw3Ot1u
それを聞いた真田さんが侍女の1人に指示を出すと、彼女はお茶を入れに行った。
お茶が来る間
「そう言えば、皆さんチョコを贈るとか言ってたけど、どなたか意中の殿方を見つけたの?」
主君の問いに
「い、いえ。 私達は…… でも侍女長は……」
「そうですよぉ。 私達がお贈りする殿方は侍女長と同じ方なんですけどぉ。 私達と侍女長は意味合いが違うのですぅ」
侍女達がはやしたてる。
「だ、だから私と和人様はそういう間柄ではないと……」
「和人様? 地球の方なの?」
ワルキューレが興味深そうに割って入ってきた。

「い、いえ違います。 和人様…… 時野和人様は私がお湯を頂いてる銭湯の主人でございます」
真田さんが慌てて弁明するが
「ええ〜、そうですかぁ。 和人様と侍女長って楽しそうにお話とかしてるじゃないですかぁ。 お2人で話してる時ってすっごく良い雰囲気ですよぉ」
一番若い侍女がワルキューレと真田さんの方を交互に見ながら言う。
さらに
「そこのご主人、優しくて、殿方なんですけど、結構可愛いんです」
和人の事も付け加える。
「あら、貴方達もそのお風呂屋さんに行ってるの? ここのお風呂は使わないの?」
お風呂と聞いてワルキューレもさらに興味を示した。
「はい。 とってもいいお湯、いいお風呂なんです。 ね、侍女長?」
丁度お茶とカップを持ってきた侍女が返事をした。
「そうかぁ。 折角の好意で用意してくれたホテルだけどお風呂は…… その…… でもそんなにいいお風呂なら私も入りたいなぁ。 それとそのちょっと可愛いステキなご主人ともお会いしたいわ」
チラっと真田さんを見ながら言うが
「とんでもございません。 下町の銭湯ゆえ、姫様が赴くような所では……」
警備上の問題もあるし、いくら主君、2人の時は姉妹のように振舞うワルキューレでもそれは出来ない。

しかしワルキューレは
「大丈夫よ。 それに別に真田さんの彼氏を盗るつもりじゃないんだから。 ね、私も連れてってくれない?」
からかうように、少し笑いながら小首を傾げて聞く。
「ひ、姫様まで。 お戯れを……」
顔を赤くして俯く真田さん。
ワルキューレが子供の時から仕えてる真田さんだったが、ワルキューレもこんな真田さんを見るのは初めてだった。
2人だけの時は姉のように慕ってる真田さん。
それだけに彼女の様子からして、「ただの銭湯の主人」と思ってないのは解る。
だとしたら余計に会ってみたい。
侍女達だけでなく、皇宮のお風呂も知っている真田さんが絶賛するお風呂。
そのお湯を沸かし、侍女達の言う「ちょっと可愛い殿方」に。
384名無しさん@ピンキー:2008/02/25(月) 06:02:38 ID:Vjw3Ot1u
「ね、決まりね。 今日行きましょうよ。 こっちに来てからお風呂だけはちょっと不満があったし。 ね?」
真田さんを覗き込むように言うと
「はぁ。 ではSPの方に申しておきます」
政府から派遣されてるSPにワルキューレの外出を伝える事にした。
「お風呂屋さんに行くだけだから、別にいいのに。 それにここから近いんでしょ?」
SPを随行させての堅苦しい外出に不満そうだったが
「いえ、それをしてしまうと彼女達が任務の不履行などの咎を受けるやもしれません。 是非ともお聞き訳下さいますよう」
他の侍女達がいるからだろうか? あくまで皇室侍女長として言う真田さん。
「そうね、解ったわ。 真田さんのいいようにしてくれる?」
ワルキューレもあまり困らせないように言うと、お茶を飲んだ。

その後年齢も近い皇女と侍女達はバレンタインデーの話題で盛り上がる。
ワルキューレの公務が無い時にチョコレートを作る話までまとまってしまった。
「でも私、お料理とか得意じゃないし…… 真田さん、教えてくれる?」
少し行儀悪く口にクッキーを放り込んで真田さんに尋ねた。
皇女とは言え、ワルキューレは年長の3人とは違って、少し活発…… 悪く言えば奔放な所がある。
無論、公務は完璧にこなし、要人との会見の場では皇女らしく振舞っているが、真田さんから見ると少々窮屈そうに見える。
ワルキューレ本来の姿ではないのだろう。
子供の頃、お風呂で騒いでメームに叱られた事もあったし、学園惑星では校長の銅像にイタズラした事もあった。
さらに子供の頃には真田さんをそそのかして皇宮から抜け出したりする事もたびたびあった。
「それはようございますが姫様、お行儀が悪ろうございますよ。 わたくしを始め下々の者がいる前でそのような……」
姉が妹をたしなめるように言うと
「は〜い、ごめんなさ〜い」
いつものようにたいして反省してない口調で返したのだった。
385真田でございます
では続きは新スレにて……