はやての念話に局員が答える。敵は質量兵器をいくつか所持していて、それがこの戦いでネックとなっていた。
局員の何人かは早々に撃たれて傷を負っていたが死者がいないだけまだ幸運と言える。
ユーノに使った対艦砲のような巨大なものはここが艦内である以上敵もおいそれと使うわけにはいかず、早々に守備を放棄していた。
それでも中型の、こちらの防御魔法など簡単に破れるほどのエネルギー収束型の兵器は守り切っていた。
総合的に見て戦況が不利であることにはやては唇を噛んだ。
時刻は深夜。倉庫内に電灯があるがそれでも薄暗いという状況。
倉庫内の配置を熟知している敵の魔導師達に地の利が多分にあるのは言うまでもない。
それでもアースラの武装局員を総動員し、人数的にも有利と思われていたが、相手の戦い方がうますぎた。
基本のスリーマンセルは絶妙なチームワークで、魔法と質量兵器を使い分ける緩急の付け方、なにより駆け引きが手慣れている。
今も補助魔導師を狙いながらも小出しに人質にも攻撃を加え、一番の戦力である指揮官のはやてを釘づけにしている。
学校の体育館の数倍の広さがありながらも、室内という限られた空間がはやてや局員達の行動に制限をかけていた。
兵器のエネルギーが溜まり次第、おそらく直接ここに攻撃を仕掛けてくるだろう。人質は10人以上。動くには多すぎる。
突入後に張られたグランディアを包むシールドは結界の役目もあり破るには時間がかかりそうだ。
『まだ通路は突破できへんのか!!』
『防壁が何枚も降りていて、時間がかかります!』
早く制御室を制圧し、この艦のコントロールをうばい艦のシールドを取り除く必要がある。
正直魔法による結界より物理的障害の方が厄介と言えた。
『は、はやてちゃん!10時の方向にエネルギー反応!!やばいです!』
「来た…!!」
はやては慌てて場にいる局員に念話を送った。
『全員一時後退!!人質を守るんや!!!』
局員が一斉にはやての前に集まった。次の瞬間、目にも留まらぬ速さで床を削りながら光が高速で向かってきた。
杖を構えた局員達の前に巨大な魔法陣が出現する。まるでハリケーンが一点を襲うかのような衝撃が局員達を包んだ。
「ぐぅぅっ!!!」
はやても魔力を放出しその衝撃に耐える。これが魔力を介さない純粋なエネルギー兵器の力。
「ここは乗り切るんや!何があっても!!!」
はやてが叫んだ。相手から感じる憎悪という気迫に局員達は気圧されているのは明らかだった。向こうは確実にこちらを殺しにきている。
殺意に対し冷静に対処する経験が、まだまだ若手の武装局員達には欠けていた。むろんはやて自身にも。
さらにこちらには普段ならあるものが欠けている。それは一騎当千の魔導師。エースだ。
戦いにおいて士気は重要なファクターで、相手がどんなに格下であっても士気のあるなしで戦況を大きく左右しうる。
本当は解放後のスクライア一族の警護に向かったシグナムとザフィーラ、なのはの保護に向かったヴィータ、その内誰か一人でもほしかった。
しかし、はやてはそんな甘えはとっくに捨て去っていた。後ろで怯える人質達がその甘えを許さない。
守りたいという想いは憎悪に打ち勝つ、とはやては信じていた。
そんなはやての気持ちに応じるかのように防御魔法は強固なものへと変わる。しばらくすると嵐が過ぎ去ったかのように衝撃が消えた。
乗り切ったという安堵を反芻する間もなくはやてが指示を出した。
『今のうちに確実に兵器を破壊するんや!魔力の少ない者は後方支援!!』
そう言った矢先、リインフォースが叫んだ。
『だ…第二射、きます!!』
「なんやて!?」
はやては目を見開いた。いくらなんでも早すぎる。そう思った瞬間、はやてははっとした。
相手に残っているのは2つのエネルギー収束型兵器。充填、冷却、発射のローテーションを交互に行い連射するのが相手の狙いだったのだ。
2つの兵器を守りきることだけが敵の目的。しかし今さら気づいても手遅れというしかなかった。
先ほどの防御魔法でこちらの魔力が激減した者も多い。つまり相手はエネルギーという物量作戦で来たようだ。
「避けな…!!」
そう言った瞬間、自分たちの周りの魔法の壁に気がついた。敵の魔導師達ははやて達が防御に苦しんでる間ただ見ていたわけではない。
空間を封鎖し逃げ場をなくす。一か所に集め、一点集中突破する気だったのだ。
もう一度あれに耐えるしかない。はやては歯ぎしりした。
相手に強力な兵器がある以上、人質と共に回避行動をとるためにもっと人員も割くべきだった。これは明らかな自分の失策。
しかしはやてはすぐに気持ちを切り替えた。諦めるには早すぎる。守らなければならない人たちがいる。
ユーノが命がけで守った人たちをみすみす敵の手に渡すことは、絶対に阻止せねばならない。
「みんな、もうひとふんばりや!!」
威勢良く叫んだはやてに局員達が一斉に頷いた。
次の砲撃が来る。全員が覚悟したその時、
「おおおおおおりゃぁぁぁぁ!!!!!!」
艦の壁に空いた穴から勢いよく赤い何かが飛び込んできた。
「はああああぁぁぁぁ!!」
そして兵器に張られた結界ごと、兵器の積まれたコンテナを巨大な何かが押しつぶした。
防ぎきれないと判断した敵の魔導師達はまるでクモの子を散らすように逃げ出した。
ゴガンッという轟音とともに兵器は粉砕され、爆発した。
「なっ!?」
はやてはぽかんと口を開け、局員達も目を丸くしていた。
「なぁに苦戦してんだ。はやてらしくねーじゃん」
みるみる縮小したハンマー型のデバイスを肩に担ぎ、ゴスロリチックな赤い服を着た少女がぶっきらぼうに言った。
穴から吹いた一陣の風と共に、少女の赤い髪がなびいた。それを見た局員達が歓声を上げる。
「ヴィータッ!!」
胸を張って微笑み振り返る少女に、はやては目に涙を浮かべ名前を呼んだ。
次回へ続く
次回 第二十四話 「憎しみの炎」
ヒーローは遅れてやってくるをやりすぎたと少し反省。キャラが多くて色んなところで動くので
燃えの鉄板要素を付加すると自然と似た演出に…。ただ時間的なことはちゃんと計算してるので矛盾はないと思います。
あと今回は自分なりの魔法考察を少し入れました。
実はすでに24話もできてるんで数日後にタイミング見計らって投下します。
これで一ヶ月に二話ずつ投下してきたってことになるはず。駄目か。それでは。
そろそろ梅にはいるかな?
711 :
●:2007/09/21(金) 16:09:24 ID:XPOczEXs
>>710 次スレも立てずに梅とな?
テンプレ
>>1>>2(スレ番修正)のみでいいなら
●も持っていますし私が次スレ立てますが
そういやまだ立ってなかったのか。サーセン。
お願いできますか?
いまさらだが、ここのフェイトさんがおバカになりがちなのはそもそもカップリングに問題があるからでは…。
なのは(同性)とかエリオ(ショタ)とかクロノ(義兄)とか。
まともなのはユーノくらいであとはみんな禁断系…。
もっとも、相手がユーノだと今度はなのはさんがおかしくなりますがw
そこでリンディ×フェイトですよ。禁断ってレベルじゃ(ry
>>431 最初から最後まで吹きまくりww
>タイトルフイタww
>ティアナ・・・生き残るためには仕方のないことだww
>フェイトさn・・・
>エロオさすがだぜ!
>ラブホ検索、ピロトークフイタww
>プロジェクトF、下手すりゃフェイトさんの名前が・・・
>アッ―――――――――――――――!!!!!!!!!!フイタww
甘4話のために全裸で待機!!!
フェイトさんがおばかだから某スレでどこぞの不遇の姫様もおかしくなっちゃうんだよ。
>>716 アブノーマルの二乗になるだろw
プレママがいつものようにフェイトに「お仕置き」してるうちに、日頃は歯を食いしばって耐えるフェイトが
堪え切れずに泣き出してしまう。
それまで姿形だけがアリシアだが性格が全然似てない「紛い物」として憎んでいたフェイトが、泣き顔が
アリシアそっくりなことに気づいたプレママ、憎しみ転じて可愛さ百倍、でも娘じゃないので何してもOKと
いうことで母娘の濃密レッスンを開始する、というネタが脳裏に浮かんだ。
最後はギリギリで復活したユーノが事件をきちっと締めて欲しかったり。
それはともかく396氏GJ。続きがすっごい気になってました
>>720 「お兄ちゃんに色目使うなんて、フェイトちゃんはいけない子だね」
「何でオシオキされてるのにこんなになっちゃってるのかな。本当にいけない子。」
「もう、気持ちよくなられたら、オシオキの意味がないじゃない。」
「にょろーん」
こうですか、わかりまs(ry
>>718 とりあえずお前が俺と同じスレにいることは分かった。さ、お姫様とツンデレお嬢のところに帰ろうか。
クロノとエイミィは結婚済みで、それにフェイトが横恋慕
フェイトさんがクロノの布団にくるまっていけないことしてるとこにエイミィさん乱入
そしてオシオキとか、そんなシチュいいとおもうんだ
俺としてはオーソドックスに義母と義姉に色々弄られるフェイトさんを見たいとです。
そういや、クロノエイミィフェイトの3pとかって今まであったっけ?
ありそうでなかった気がする。
お盆の日に一日だけ帰って来たクロノのパパンが
誰かに乗り移ってリンディと…ハアハア
この書き込みを盆の日にやっときゃよかったと今更後悔
埋めネタ 管理局縮小のあおりを受けて自主退職をさせられたなのはさん
何も終わっちゃいないの!!何も!言葉なんかじゃ終われないの!
私が好きで戦ってたわけじゃなかった!あんた達にやれって言われたの!平和のために仕方が無いって!
私は勝つために全力を尽くした!なのに誰かが勝手に終わらせたの!
戦いが終わって局に戻ってみれば空港に蛆虫見たいな連中が
ぞろぞろといやがって訳のわからねえ抗議しやがるの!
私のこと妊婦殺しだの魔王だの聞くに堪えない事を言いたい放題! 奴等に何が言えるの!
戦いが何か解って言ってるの!?
ええっ!私と同じ経験をして同じ思いをして言ってるの!?
私にはシャバでの人生なんか何もありゃしねえの!
戦場では命を預け合えるような信頼関係があった!助け合い支えあっていたの!
なのにここじゃ何もないの!
あっちじゃヘリも飛ばさせた!SLBも撃てた!1発100万もするカートリッジを自由にリロードできた!
なのに故郷に戻ってみれば中卒職歴無しで駐車場の係員にだってなれやしないの!!
クライドさんの幽霊が帰ってきて、せめて夢の中でリンディさんとイタそうとしたら
何か金髪の美少年とよろしくやってて、何故か司書長とアッー!したくなって
クロノに乗り移って司書長のケツをアッー!するとk(ry
>>728 「なのは2」で急に愛国者に変身しないようにw
小ネタ
ども、ユーノです。スキだった娘が相方の女の子とカップルになりました。
何か、小さい娘に、その相方と一緒にママ言わせてるなんてどっからどうみてもね。
どうやら僕はハブられてるようです。わかってましたけどね。
しかしここでヘタれるのはジジイの淫獣だ。僕はピクル(やせい)な淫獣だ!
と、ポジティブになれるのはよく訓練された淫獣だ。
本当に魔法少女は地獄だぜフゥハハー!
お馬鹿フェイトの影に隠れてるかもしれないけど、実は他の女といちゃついてる場合
かなりの高確率でなのはは病んじゃいます。でも今回は大丈夫!多分・・・・・・。
というわけでさっそくそこを歩いてる女の子に声をかけました。
伊達や酔狂で19歳の若さで2足の草鞋を履きこなしているわけではありません。
この女の子、スバルというらしい、からも早々に信頼を得ることができました。
ふう、やっぱりこの青さがいくらかのこるくらいのおっぱいが一番だな!
とか考えつつちょっかい出してたらいつの間にか後ろに悪魔がいました。
畜生!この娘は悪魔の部下か!奴隷か!
『ユーノ君の馬鹿ー!!』とか叫びつつSLBかまされました。
何かもうわけわかりません。でも、それ以降も女の子にちょっかい出すたびに砲撃です。
僕は一生独り身でいないといけないのでしょうか、まる。
>>728 テラランボー吹いたw
>>709 乙
しかしどうにも気になることが……
テロリスト側は銃火器、特に長時間連射のきく機関銃は装備していなかったけ?
「地球」から密輸入すればかなりの量が取り揃えられたと思う秋の夕暮れ……
>>720 >>722 その発想はなかったwwwwwwwww
おい、396氏が来てるなら俺呼んでくれよ!
736 :
687:2007/09/21(金) 18:22:22 ID:NjzQaaHH
>>692 スカは確かにセルゲイポジションだと思うんだが
アッー!となった時に誰が相手だと一番ユーノが悲惨かを考えて選択しましたw
死後は雲の上から「娘達をよろしくね(キラーン)」となるしな。
ユーノ+海鳴温泉+乾坤一擲
この本尊はあくまでもフェレットを模したものであり、けしてアレではありません
リリカルなのはsuperHはまだですか
すずかがテイアナと洗いっこ(厳密には一方向)をすると申したか
ティアナがすずかとアリサに挟まれるとか、助けに来たスバルはアリサの餌食とか
>>728 言いたくないんだが、リリカルあぷろだネタは自重しようよ。
どうせなら1だけでなく2のネタも書いてみるとかしてさ。
>>709 うわ、お久しぶりです
待ってましたよーGJです
しかし、この逆恨み思考の連中は相変わらず非生産的だなー
>>741 そういえば
>>1にもあるけどリリカルあぷろだネタって何?
映画のパロは駄目って事?
そういえば殺人予告ってどのへんのスレ読めば顛末が解るの?
わりと主要キャラ、このスレは死んでるの見てる気がするけど…
ふー、久々に昔のなのはとユーノの甘酸っぱい恋愛モンとかも見たいなぁ。
クレクレするだけなのも何だしちょっといっぱつ考えてみるか。
と、思い返しつつネタ出ししてみたら何故かユーノが血涙流しながら
『昔は、昔はよかった・・・・・・』とうめいているSSができそうになって困ってる。
何故かユーノが真性炉になってしまった。。。
>>747 今ではアルフ嫁にしてるくらいだから真正の炉としか……
>>744-745 あの時のガイキチ君ですら自分がスレにふさわしくないと「自分で」判断して消えていったというのに・・・
最近のここに沸いてる輩は自分が何をしているかもわかってねえんだもんなぁ・・・
もうすぐ埋まるな
752 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 20:48:31 ID:52yqrns1
なのはがユーノとヴィヴィオにたべられるってのは
なのはがたべられる側ってのがイマイチ想像できない。
スレに余裕の無い今なら言える
クロフェ不倫モノ書いてるけど半年筆が止まったままなんだ…
ホント魔法少女モノは地獄だぜフゥハハハー!
lヽ ,、,、./ ,-、),-、 , '´ ⌒、ヽ
<)' ~´ハバ Y ;' A`) . l(((!((("メi . /゙Y /^ヘヘYヘ
| イノリノハ)) : : : :`ヽ/´ ̄ ̄ 从^ヮ^ メij .刀.、/,ィjミノレハ从リヾ .,'`》'´⌒`彡
ノ.人l|゚ -゚ノl| . : : : : : : : : : : : : : : :、:\/: : : く+ハ(!`Д´ノハ+>/ ,ィ∝ノノ)))))
/:/.:.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:ヘ\: : : : : : : ∪: :∪ : : : : ( ( ゝ(l!゚ -゚ノ|l
l://.:.:/.:./ .:./ .:l.:.:,'.:.:{:.:.:.:.l.:.:ヽ.:.:.Vl:/ , ミ ´.⌒.^ 、: : : : : : ,(_: :_:<(^!!つつ
/.:.:/.:. l:.:.:.!>ト/{.:.ハ.:.:斗<:l:.:.:.l.:l. ⌒(((从从〉*⌒`7>f^⌒ヾY⌒>
. l.:.:/.:.:.:.|:l.: レ仟圷ヽl ヽfチ圷 |.:.:l:| |l゚ヮ ゚ノ|l ! xくけ从ハル=ト<
. |:/!.:.:.: 从.:.{. V;;リ V;;リ 'j.:.,' | ⊂!卯(⊃t/: : : :.リ、∀`*リハヽ
.... j:ハ.:.:..・ト :.ゝ ' /.:/レ| _ . 〈_|_ヽ.> /: : : : セ二/ ,-' ̄ ̄ ヽ
'´.r===ミ彡 V 7 彡'.:.∠ =。= ヘ. し'ノ /: : : : / ( ((ハル ヽ/ ̄ ̄⌒ヽ
ノ !リノノ))))|ヽ. ´ , イ! .:./i !!ノリノ))》. ,': : : : /. `ゝ^o ^ノ√i (《レノリノハ) )
. ( |.|゚ ヮ゚,l|ゝ . ト≧≦ュ| リ/ ノi゚リ.゚ ヮ゚从 i: : : : { 、 _☆ミつ介》ヽ :: ヾ #`‐´ノ
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{ }}:::::ン  ̄}__/ ̄`^<_/ /,弖 l ::{{ } / /_j_j>j ¥ 《/、,、,、,ヘ¥
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